【なりきりリレー小説】ローファンタジー世界で冒険!

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1 ◆VQ6.K6xqhE
なな板で行われている特殊な形式のスレ”TRPG”から派生した“なりきりリレー小説”なるものを行うスレです。
なりきりのようであってリレー小説のようでもあって厳密にはそのどちらとも違う何かです。

○なりきりリレー小説とは?
なな板TRPから派生した独自の形式をこの度命名。
ストーリーが付いたなりきりであるなな板TRPGに対して
こちらはキャラクターを操作する事を通して物語を綴っていくリレー小説。
操作してはいけないキャラクターがいる所が、通常のリレー小説との主な違いです。
また、参加者が各々のキャラを操作する事にともなって時間軸が前後したり
書き手によって同じシーンを違う解釈に基づいて書いていたり
勢いを優先して整合性が怪しかったりと通常のリレー小説と比較するとあまりにgdgdなものです。
小説としての完成度は期待せずに、その自由度と予測不可能さと、キャラクターを前面に押し出した形式ならではの
全ての参加者が主人公となる群像劇を楽しんでいただけたら幸いです。

なな板から来た方へ
他人のキャラの操作や設定操作を一部解禁してしまったTRPGスレと思えば分かりやすいと思います。

なな板TRPについてはこちら
なな板TRPGまとめwiki
http://www43.atwiki.jp/nanaitatrp/pages/1.html
2 ◆VQ6.K6xqhE :2012/07/21(土) 11:48:37.49 ID:YAEWdJOt
参加方法には大きく分けて4つある

PC(※1)参加
プレイヤーキャラクターを保有してのレギュラー参加。
基本となる参加方法。トリップを付けてください。

NPC(※2)参加
NPC(ノンプレイヤーキャラクター)を演じてのスポット参戦。トリップ不要。

ST(ストーリーテラー)参加
自らのPCを持たずにNPC操作専属でスレに参加したい場合、それを禁止しない。
名無しとは動かせるキャラの幅が変わってくるため、トリップを付けてください。

名無し参加
なな板TRPGの伝統的な文化。
名無しでのネタ振りの事。単語投下から長文投下まで幅広く歓迎する。

※1 PC
基本的には、作成した個人が占有するキャラクター。普通は他の人が動かしてはいけない。
が、このスレでは他人のPCの操作も許可される場合がある。

※2 NPC
PC以外のキャラクターで、基本的に皆で共有する。
このスレではいつでも誰でも自由に登場させたり動かしていい。設定操作等も自由。
3 ◆VQ6.K6xqhE :2012/07/21(土) 11:50:02.15 ID:YAEWdJOt
ルール

ジャンル:ローファンタジー(ここでは異世界ファンタジーと現代異能ものとトンデモSFを混ぜ合わせたようなジャンルを指す)
コンセプト:こんな感じ http://www58.atwiki.jp/fortestaccato/pages/25.html
決定リール:あり ※1
○日ルール:7日/14日 ※2
版権・越境:全てOK ※3
敵役参加:もちろん自由
避難所の有無:スレが軌道に乗ったら参加者と相談の上用意します。

※1
このスレは決定リールを採用する。
決定リール……自分の行動が相手に与えた結果を書いていいというルール。
例:オレは殴り掛かった!(行動)お前は吹っ飛んだ!(結果)

・変換受け
他人がやらかしてきた決定リール、設定操作をキャンセルしていいというルール。
許可不許可に拘らず全員に常時発動。
許可した手前……等という遠慮は無用。気に食わない事があればどんどん蹴るといい。
そこから発展して、このスレでは前の人のレスを自分なりに変換して受けていい事とする。
前に出た設定を世に広く知れ渡っている通説であった事にして、真実の設定として別の設定を出す等。
一言で言ってしまえば”後出し優先”のルール。

実はキミは神の一族だった!
→例1:いえ、神の一族ではなく紙の一族です
→例2:……という夢を見たんだ。

※2
・7日ルール
前の投下から7日間(168時間)投下が無い場合、上記のルール使用不使用に関わらず、そのPCの操作が解禁される。
これによる操作解禁は、そのPCの投下があった時点で解除される。

・14日ルール
前の投下から14日間(336時間)投下が無い場合、キャラクター操作に加え設定操作まで全て解禁される。
つまり完全NPC化。ただしそのPCの投下があった時点で解除される。

・途中参加・FO・不定期参加・複数PC掛け持ち自由
FOとは何の連絡も無くスレを辞める事。不定期参加とは文字通りの超のんびりした不定期の参加。
このスレでは自由とする。ただし、上記7日ルールが容赦なく適用される事に留意されたい。
途中参加自由。レス順無し。一回の分量制限も無し。書きたいときに書きたいことを書きたいだけ書けば良し。

・1トリップにつき持てるPCは1キャラまで。複数トリップを使い分けての参加は自由
この場合、7日ルールや14日ルールをトリップごとに別々に計測するのに留意の事。

・表記方法
自由。
地の文で行動等を書き、「」内に台詞を書く小説式以外に
地の文でセリフを書き、()で行動等補足するという台本形式も可。

このスレの辞書に失敗という文字はありません。参加する事に意義がある!
4 ◆VQ6.K6xqhE :2012/07/21(土) 11:51:12.23 ID:YAEWdJOt
・キャラクター作成

名前:
種族:
性別:
年齢:
技能:
外見:
装備:
操作許可指定:
設定許可指定:

これは飽くまでも一例。項目は追加・削除自由。不明と書いておいてストーリーの途中で決めてもいいです。

・操作許可指定
他の人が、自分のキャラクターを操作する事を許可するかどうか。
名無しも可/参加者のみ可/不可 の三段階で名前欄で指定。

・設定操作許可指定
そのキャラクターの設定を他人が操作していいかどうか。
名無しも可・参加者のみ可・不可の三段階で指定。

※3
オリキャラだけでなく、版権キャラ・他スレからの越境キャラ、実在の有名人・それらのパロディ等も自由とする。
ただし、余程詳しく設定を書き込まない限り多分元ネタからはかけ離れていく事を了承のこと。
5 ◆VQ6.K6xqhE :2012/07/21(土) 11:52:04.58 ID:YAEWdJOt
ルールはこんな感じです
近日中に導入投下して開始します
6創る名無しに見る名無し:2012/07/22(日) 09:08:39.46 ID:8UcvQZvm
さささ
7 ◆VQ6.K6xqhE :2012/07/22(日) 09:39:07.25 ID:R6SX3qT6
――目の届かぬところ、見る価値もない些事、チラシの裏、一瞬の空想、――

――どこかでほんの少しだけ“これ”ではない世界を夢見る。 ――

――それが世界の小さな小さなほころびとなり、遠いいつか、その在り方が変わる・・・――

―― Adventure in Low Fantasy World! ――
8 ◆VQ6.K6xqhE :2012/07/22(日) 09:41:37.44 ID:R6SX3qT6
無数の世界を擁する円環多元世界群《リース》――
私達の住む世界である《地球》や、ありがちなファンタジー世界を模した《ガイア》という世界が存在する。
ここは、そんな世界群の中の一つ、有り得ないけどどこかにあるかもしれないもう一つの地球――《ネバーアース》。
この世界のジャンルは《ローファンタジー》。
何気ない日常に容赦無く浸蝕する超常――ハイファンタジーにはない低俗さと、現代異能にはない全力の幻想世界の融合。
無数にある世界群の中でも、おそらく最も統一性がなく時代考証も何もなくハチャメチャであろう世界だ。
あえて三行で説明すると――
私たちの地球と似ているようで全然違う、神々や精霊や魔法やモンスターが実在する世界。
そして、私たちの世界よりはるかに発展した科学を擁する未来社会でもある。
街では勇者になると言って脱サラする若者が後を絶えず、未開の奥地では大怪獣と人型戦闘兵器の決戦が日夜行われている。

物語の始まりの地は――何処にしようか。そうだ、あそこにしよう。
都市でありながら、隔離のために実質独立国家同様に自治権を認められている魔境の地――
古の謎秘めた遺跡にして、最先端の技術都市でもある――特区【ローファンタジア】。

まだ人と神が共に生きていた時代、それはそれは高度な魔法文明が栄えた。
その中心は、まさに楽園、と呼ぶにふさわしい美しき天空の都市。
しかし例によって例のごとく、何らかの理由で魔法文明は一夜にして崩壊し、天空の都市は地に堕ちた。
朽ち果てた楽園は、それ自体が巨大な遺跡となった。
強大なる力を持つ古代文明の遺産を求めて様々な輩が集まる。
時は流れ――やがてそこに街が出来る。
いつしかその街はこう呼ばれるようになった。堕ちた楽園――【ローファンタジア】と。

そして西暦30XX年――ローファンタジアは様々な勢力が跳梁跋扈する魔境都市と化していた!
怪しげな研究所、学園の名を騙った特殊部隊養成機関、カルト宗教の教会や寺院!
そして今この都市は、特区となって1000年を祝う独立1000年祭【ミレニアム】を間近に控えていた――
都市をあげての1000年に一度の大祭典で、何かが起こる――!
9フォルテ ◆VQ6.K6xqhE :2012/07/22(日) 09:44:55.32 ID:R6SX3qT6
名前:フォルテ・スタッカート
種族:半妖
性別:両声類
年齢:75歳後期高齢者!
技能:精霊楽師。飛びぬけた歌唱演奏能力と壊滅的な作詞作曲センスのコンボ
外見:少年のような外見、赤と青のオッドアイ
装備:へッドホンのようなヘッドギア・
・可変式魔導シンセサイザー『Element Cepter』通称『モナー』
操作許可指定: 名無しも可
設定設定許可指定: 名無しも可

―― 共に奏でよう、冒険の交響曲《シンフォニア》を!――

何故か人間と妖精の間に生まれてしまった禁断の子。
父は音楽を極め過ぎて頭がおかしくなってしまった大作曲家。
彼が言うには、母(?)は《リース》創世に関わった神格の大妖精らしい。
その呪われし生まれのため、精霊過敏症候群という不治の病にして宿命の超パワーを患う。
人間ベースの体と、妖精の精神と知覚のアンバランスから来るものである。
そのままだと精霊の声が聞こえ過ぎて発狂してしまうため、それを抑えるためのヘッドギアを常に付けている。
外すと真のパワーが解放されて暴走する。
左目は妖精の目で、精霊力による視覚であり、二重写しの世界を常に見ている。
また、周囲の精霊力の影響を強く受けるため、気分のムラが激しくその時々で口調が変わったりする。
ピアノの鍵盤と同じだけの音域を自在に操る超美声と、あらゆる楽器を弾きこなす厨スペックを持つ。
が、作詞作曲センスは壊滅的、もとい前衛的。人間の感覚を超越した妖精のセンスによるものだかららしい。
音楽を媒介に精霊に語りかけ、力を借りる事が出来る。
10フォルテ ◆VQ6.K6xqhE :2012/07/22(日) 09:56:18.68 ID:R6SX3qT6
世界設定と最初の舞台の設定を投下しました
(ちなみにこの設定すらも"変換受け"対象なので絶対確定ではないのです)

参加者募集開始します
作成例は>>9をご覧ください。
これよりシンプルでもいいしもっと設定に凝っても構いません。
ストーリーの導入はもう少々お待ちください〜

>>6
!?
11フォルテ ◆VQ6.K6xqhE :2012/07/22(日) 22:03:00.62 ID:XOBn+S4a
「なあ、お前はどっちが勝つと思う?」

独立1000年祭【ミレニアム】を間近に控え、ローファンタジアは沸き立っていた。

「片や超絶科学技術で世界を牛耳り天才的な頭脳を持つ財閥の総帥――
片や全世界の信仰の力を集め最強の魔力を持つ巨大宗教団体の教祖――
強さ議論厨の私をもってしても何とも言えませんね……」

【ミレニアム】の最大の目玉イベント、それは――『頂上決戦!神魔大帝VS星の巫女』!!

「ヴォクは断然巫女様を応援するぞ! 星の巫女たんは俺の嫁ハァハァ」
「あら、アタシは大帝様を応援するわ! なんてったってイケメン! 財閥の社長!」

NPCデータ
名前: 神魔大帝(本名未定)
種族: 自称神族と魔族のハーフ
性別: 男
年齢: 3ケタは超えてる
外見: 銀髪長髪のイケメン

名前:星の巫女(本名未定)
種族:自称星の女神の化身
性別:女
年齢:3ケタは超えてる
外見:金髪長髪の美女

説明しよう! この世界は、現在実質二つの巨大勢力が実権を握っている。
片や星霊教団、精霊魔法研究においては右に出る者は無く、世界中の人々の信仰を集めるに至った巨大カルト教団。
片や神魔コンツェルン、最先端のオーバーテクノロジーを持ち、あらゆる産業を牛耳る巨大財閥。
そのそれぞれの頂点に君臨するのが、星の巫女と神魔大帝というわけだ。

この度の頂上決戦、表向きは単なる見世物だが――実はそれ以上の意味がある。
この二つの勢力、隙あらば相手を買収しようとけん制しあっている。
そんな二つの勢力が、今回初めて直接対決をするわけだ。
たとえ見世物であっても負けた方の株価は暴落する、その隙を狙って勝った側は間違いなく相手に買収を仕掛けるだろう
……と一部ではまことしやかに囁かれている。
つまり、実質世界の覇権を賭けた戦い……かもしれないのだ!
12フォルテ ◆VQ6.K6xqhE :2012/07/22(日) 22:55:05.29 ID:XOBn+S4a
と、いったもののオレはセリーグとパリーグが戦おうが誰が世界の覇権を握ろうが興味は無い。
オレが興味があるのはメジャーデビューできるかどうかという事である。
というわけでいつものように野外ライブをしに公園にやってきた。
公園――ローファンタジア市民たちの情報交換場にして憩いの場。
ベンチではリストラおっさんが弁当を食い、隅の方には自由人達のテントが散在する。

「フォルテ……」

後ろを付いてきている ( ´∀`) の顔をした猫が口を開く。

「なんだ、モナー」

「フォルテは歌がとっても上手なんだからカバー曲でも十分人気が出るんじゃないモナ?」

「信念は曲げねええええええ!!」

モナーは諦めたように口をつぐむ。もはやテンプレ化したいつもの会話。
通称『モナー』。正式名称は、可変式魔導シンセサイザー『Element Cepter』
不思議な力であらゆる楽器に変身する魔導シンセサイザーだ。

定位置に立つとモナーが宙返りし、たちどころにギターに変身する。
それを抱え……ライブ開始だ!

「オレの歌を聞けぇえええええ!!」

演奏が始まった途端、観客たちが素晴らしい演奏に歓声をあげる。
文章媒体なのが実に悔やまれるところだ。

「ぎゃぁああああああああ!! なんだこの不協和音は!?」
「うるせー!!」
「騒音公害で訴えるぞ!」

続いて、おひねりが山のように飛んでくる。
具体的には缶や瓶。
それを拾い集めて廃品回収業者に持って行って、少しばかりの小銭に変えてもらうのだ。

「文章媒体で心底良かったモナ……!」
「ん、何か言ったか?」
13フォルテ ◆VQ6.K6xqhE :2012/07/22(日) 22:56:58.95 ID:XOBn+S4a
山のようなおひねりを抱えて帰ろうとしていたところ、広場の掲示板にはってある一際派手な張り紙が目に留まった。
銀髪美形の兄ちゃんがドアップでピースしている。

【頂上決戦にあたって傭兵募集! 一緒に世界を蝕む邪教のカルト教団をぶっとばそう!
誰でも歓迎! 年齢、性別、職歴、戦闘技能不問! 活躍に応じて報酬を支払います!】

「ふーん……」

つい、と視線を横にずらすと、もう一つ張り紙がある。
金髪美女がドアップでピースしている。

【頂上決戦にあたって傭兵募集! 一緒に世界を食いつぶす悪の巨大企業をぶっとばそう!
誰でも歓迎! 年齢、性別、職歴、戦闘技能不問! 活躍に応じて見返りを与えます!】

「うわあ、文面からレイアウトに至るまでもろかぶりだ」

「やあ少年、有名になりたいんだろう? 参加してみたらどうかね」

通りすがりの爺さんが話しかけてきた。

「今度のイベントって神魔大帝と星の巫女本人が戦うんじゃなかったのか?」

「何、基本的に偉い人は自分では何かをせずに後ろで偉そうに椅子に座っとくもんじゃ。
ルール無用のバトルなら見た目的に派手な人海戦術に走ろうと考えたんじゃろうな。
同じ事を考えるもんじゃのう」

「どうするモナ? 参加するモナ?」

オレはニヤリと笑って、地面に落ちている棒を拾った。

「当ったり前! この棒が左に倒れたら大帝側っ、右に倒れたら巫女側にエントリーだ!」

【書き込み秒数の一番右で判定 偶数……神魔コンツェルン側で参戦 奇数……星霊教団側で参戦】
14フォルテ ◆VQ6.K6xqhE :2012/07/22(日) 23:00:25.73 ID:XOBn+S4a
「右……星霊教団側にエントリーだ!」

早速星霊教団支部に赴き、頂上決戦にエントリーする。

「はいはい、この参加者名簿に名前書いてね。それで手続き完了です」

「それだけ!?」

本当に誰でもいいらしい。
15フォルテ ◆VQ6.K6xqhE :2012/07/22(日) 23:06:28.11 ID:XOBn+S4a
【開幕イベントとして二勢力に分かれて乱闘を設定させて戴きました!
ここからどう発展するかはまだ全く白紙! 自由に話を動かしていって下さい。
フォルテにはこのスレ用に多重人格になってもOKな設定を搭載しているので
多重人格化を恐れずにどんどん動かしてみてください。
普段ROM専の人も大歓迎……というかそんな人にこそ参加して欲しいと思っています】
16創る名無しに見る名無し:2012/07/23(月) 21:18:10.06 ID:WdsBqxNK
即興幻想曲はもういいの?
17アサキム タグラス  ◆JryQG.Os1Y :2012/07/24(火) 08:48:31.30 ID:+gUGpq3u
名前 アサキムタグラス
種族 半仙
年齢 見た目20代でもほんとは3桁
外見 白い服、【DOAのリュウみたいなやつの】
技能 聖魔法導師 あらゆる弱点を見つけ出せる。
装備、多機能型、攻撃武器「ブレイズ」
一様どっちも可能

ー閃光の稲妻曲がり通るー

こちらも、同じく禁断の子
だが、祖母が人間なだけで特に問題はないが、ただ人間でも入れるというだけ。
人間であるときは魔法を学び100になる前に聖魔法導師の資格を取る。
ブレイズはリミットを解除でき、仙術が使える。
18アサキム タグラス  ◆JryQG.Os1Y :2012/07/24(火) 08:59:53.01 ID:+gUGpq3u
「たく、えらいことをしてくれましたね。」
ここは、星の教団の本部最上階
アサキムは、星の巫女と会っていた。
「しょうがないでしょう、これが定めなのですから。」
「運命を変えようとは思わないの?」
まぁ、星の巫女が言うのは90%合っているのだが
「じゃあ今回の依頼は」
「ええ、人間界でも有名なあなたに参戦してほしいのです。」
俺は、無言で頷いた。

>>17の補足
また、アサキムは様々な鎧をもち覚醒時に付けると鎧が変化する。
19アサキム タグラス  ◆JryQG.Os1Y :2012/07/24(火) 09:01:53.05 ID:+gUGpq3u
翌日これは、全土に伝わり騒がせた。
「アサキムが参戦したからこれは、勝ちだな。」
巫女の予測道理だった。
そして、これから波乱に満ちた事になるとも。
20フォルテ ◆VQ6.K6xqhE :2012/07/24(火) 23:48:57.50 ID:oy5dxt0M
教団支部からの帰り道――

「おぉ……そこのアンタ!ちょっと待ちい!」

「オレ?」

ありがちな占い婆さんといった感じの婆さんが、こちらを見ておののいてる。

「見える、見えるぞ、そなたの背負う大いなる宿命が……!
来たるべき予言の日……
世界に終末を齎す厄災となるか、新たな時代を切り開く光となるか、それはお主自身にかかっておる……!」

「世界に週末をもたらしたらむしろ感謝されるんじゃないか?」

それだけ言って立ち去る。
“終末の予言”――それによると、この世界はもうすぐ滅びるらしい。アホらしい話だ。
大昔にも何度も似たような予言はあったが、アンゴラウサギの大魔王なんて来た試しはない。
『世界滅びるから夏休みの宿題しなくておkwww』と予言を信じた純粋な小学生が何人泣きを見た事だろうか。



翌日、一大ニュースが街中を駆け廻っていた。

「号外、号外だよ〜」

いつものように野外ライブを終えた帰り道、道で配られていた号外を何気なく受け取る。

「”閃光の導師”アサキム参戦かあ……え、ぇええええええええええ!?」

“閃光の導師”アサキム――
ウン百年前(正確には忘れた)の戦乱を平定に導いたと言われる、生きた伝説の英雄である。
安アパートの前まで来たところ、白い服に身を包んだ人影が佇んでいた。

「くっ……!?」

精霊力視覚の妖精の目である左目が疼く――男が発する強大な魔力に、精霊力がざわめいているのだ。
直感で分かった。その人の名前を呼ぶ。

「導師アサキム!」 

男はこちらをちらりと見た。肯定、と受け取っていいだろう。
思い当たった疑問を投げかける。

「……あなたのような人が何故ミーハーな俗世のイベントに?
このイベント、何か“裏”があるのか!?」
21フォルテ ◆VQ6.K6xqhE :2012/07/24(火) 23:53:59.55 ID:oy5dxt0M
【>アサキム導師
参加ありがとな、お前とは邪気眼が響き合う……!
勢いで突っ走るのが本分のスレだが最初だから少し募集期間を設けようと思うんだ。
今週末ぐらいに大乱闘開始するぜ! それまで適当に駄弁ろうか!】
22アサキム タグラス  ◆JryQG.Os1Y :2012/07/25(水) 08:45:34.72 ID:k/jh8q6J
>>21
「っん?君は?」
フォルテをみると同時に目が青になる。
なんだろう、この隠された禁じられた力。
だがそれに動じることもなく
「君は、フォルテ君だね。どうも、」
「あれ、その目は、僕のことを覚えていな。君の父親の葬式に親の子として出たのに。」
こいつの、父親も創世の最終段階で関わった人。

「まぁ、たまたま、巫女と知り合いで頼まれた。から、」
すると、黒い笑顔を見せ
「まぁ、久しぶりに体を動かしたいと思ったから。」

>>フォルテ
あれ、俺aizenだよ。
今度こそ最初から参加しようと思って。
23フォルテ ◆VQ6.K6xqhE :2012/07/26(木) 21:24:27.95 ID:a+bnCl11
>「っん?君は?」
>「君は、フォルテ君だね。どうも、」

事もなげに名前を呼ばれて、警戒を顕にする。

「何故オレの名を!?」

>「あれ、その目は、僕のことを覚えていな。君の父親の葬式に親の子として出たのに。」

もう何十年前になるだろうか。
父さんの葬式に、見知らぬ並々ならぬ雰囲気を纏った人が何人か来ていたことを思い出す。

「父さんの知り合いなのか……!?」

話はそれるが、RPGで感動的に人が死ぬシーンで
さっさとレイズかフェニックスの尾でピロッと生き返らせんかい! と思った事はないだろうか。
父さんは、当時すでに蘇生術が一般的になっていたにも拘らず、死んでしまったのだった。
蘇生術、それは二大勢力が持つ最強の切り札。人民を操る”支配の錫杖”――。
その昔、蘇生術は精霊魔術の総本山である星霊教団が独占していた。
独占なので安売りする必要は無く、逆にお高くとまっていたほうが高級感が出てよろしい。
そのため当時蘇生してもらうには多額の奉納金を支払わねばならず、実質庶民には手がとどかないものだった。
しかし、オーバーテクノロジーを駆使して台頭してきた神魔コンツェルンが、超科学による蘇生術を開発してから状況は一変する。
蘇生術の市場を制した方が世界を制す――。残酷な市場原理は命の値段にも容赦はしなかった。
堰を切ったように熾烈な値下げ競争が始まり、現在は下がるところまで下がって落ち着いている。
24フォルテ ◆VQ6.K6xqhE :2012/07/26(木) 21:27:24.99 ID:a+bnCl11
―― 以下、妄想シーンかもしれない回想シーン

今まさに、偉大な作曲家が死を迎えようとしていた。
その傍らで竪琴を爪弾く可憐な少女は、しかし必死の形相で癒しの旋律を奏でる。
ベッドの中の男は呟いた。

「フォルティーナ……我が愛しい娘よ、こっちへおいで」

「お父様、喋ってはいけません……!」

「もういいよ、私はもう十分生きた……」

男は死が迫っているとは思えない口調で穏やかに語る。

「許すものですか、死んでもすぐ教会に連れて行って生き返らせますわ!」

「出来ないよ。”ウンディーネ”や”人魚姫”を知っているだろう? それと同じなんだ。
これは禁断の恋をしたものの宿命……
“彼女”に焦がれた時から始まっていた避けられぬ呪い
でも後悔はしていない……こんなにも幸せだったのだから……」

「お父様、意味が分かりません!」

「フォルティーナ……お前に言っておく事がある……」

男は死にかけのくせに、力いっぱい言い放つ。

「―― 私はDOUTEIだ!!」

ドガシャーン! あまりにも場違いなその言葉に、少女は盛大にずっこける。
起き上がりながらも気を取り直して言う。

「分かっています。あなたの実の子ではない事ぐらい……」

聞こえているのか聞こえていないのか、男は構わず語り続ける。

「私は女に興味はなかった、いや、人間などには興味は無かったのだ。
音楽とは精霊と語り宇宙《そら》と響き合う言葉――
私の恋の相手は、星の息吹、あまねく大宇宙だった――
そしてそれは、大いなる妖精の姿をとって私の前に現れたんだ――」
25フォルテ ◆VQ6.K6xqhE :2012/07/26(木) 21:28:31.87 ID:a+bnCl11
「お父様……」

少女は男の手を固く握る。

「もう時間が無いようだ。
フォルティーナ……いや、フォルテ。
今までよく私のマニアックな趣味に合わせてゴスロリ人形系お嬢様でいてくれたね。
いいかい? 世の人は皆騙されているが人生の価値は長さではないんだよ。
これからは私に縛られず、お前の思うように生きなさい――
これをお前に託そう、きっと力になってくれるはずだ……」

足元には、いつの間にか( ´∀`)の顔をした二足歩行の猫がいた。

「待って! 教えてください、お母様の名前を……!」

「そうだな。お前の母さんの名前は……フェアr…」

そこで言葉は途切れ、瞼がゆっくりと閉じられる。

「お父様……!?」

握っていた手を離すと、腕が力なく落ちた。そして、その体が光の粒となって消えていく。
ゲームやアニメでよく見るこの死に方、一見綺麗だが『蘇生不可っすからwww残念!』という残酷な事実を意味するのだ。

「お父様……お父様ぁあああああああああああああああああああああああああ!!」

♪  ♪  ♪  ♪  ♪

葬式が終わった頃――少女、否、少年は明らかに何か勘違いしたマントをはためかせ、お供の猫を連れて旅立とうとしていた。
方向性を間違ったイメチェンである。

「何処へ行くモナ……?」

「オラさトーキョー……じゃなかった、ローファンタジアへいぐだ」

イメチェンし過ぎである。

「成り上がるにはあの魔境都市が一番いいらしい。
デビューして有名になって……母さんに一目会いたい……!」

「あの話を信じるモナ?」

「まさか……。
でも父さんに後悔はないと言わせるほどの人だったんだ……!」

そして、大いなる目標を掲げ都会に出て来た田舎者が、いつまでたっても目標を達成できずに田舎に帰る踏ん切りもつかず
ダラダラと過ごすありがちなパターンの例に見事に仲間入りし――現在に至る。

―― 回想シーン終わり
26フォルテ ◆VQ6.K6xqhE :2012/07/26(木) 21:39:18.02 ID:a+bnCl11
―― 妄想シーンかもしれない回想シーン終わり

「なんだっそら!」

自らの回想シーンにセルフツッコミを入れ、意識を現在に戻す。
何をしていたのか思わず忘れそうになったが、アサキム導師との会話の続きだ。

>「まぁ、たまたま、巫女と知り合いで頼まれた。から、」
>「まぁ、久しぶりに体を動かしたいと思ったから。」

明らかに裏がありますと言わんばかりの黒い笑顔。
ピーンと来たオレは、迷探偵コナンのようにびしぃっと指さして言い放った!

「ははーん、分かったぞ! 昔死ぬ間際の父さんからオレの事を頼む、って頼まれたんだな!
それはそうと……何てことをしてくれたんだ……」

そこで息を大きく吸い、力いっぱい魂の雄たけびをあげる。

「教団側に負けフラグが立っちまったないかァ――ッ!!」

世の中には、統計上導き出された無数のジンクスというものがある。
ジンクスとは何か、と聞かれたら、科学によっては説明できない世界の法則、とでも言おうか。
その中には、『無敵』と名がつく艦隊や、『勝利確実!』と言われたチームは必ず負けるという恐怖のジンクスが存在するのだ!
27フォルテ ◆VQ6.K6xqhE :2012/07/26(木) 21:42:36.27 ID:a+bnCl11
【>アサキム導師
なんとなくそんな気がしてたぜ! 改めてよろしく。
お前とは長い付き合いになりそうだな……なるといいな!】
28アサキム タグラス  ◆JryQG.Os1Y :2012/07/27(金) 08:58:25.25 ID:DsuTxzFp
「違う、違う、君の母親は、確かに俺の父の知り合いだけど、そういう事じゃないの」

勝手な妄想に驚きながら、冷静に
「いやーここんところ、異世界での戦いしかないし、まともなところで戦いたかったんだ。」

明らかに常人じゃない発言、
そして
「まぁ無敵とはいっても、人界だけだし、ここにも常人を抜いてる奴いるし、勝てない奴いるし 素戔嗚とか」
29アサキム タグラス  ◆JryQG.Os1Y :2012/07/27(金) 21:40:58.31 ID:DsuTxzFp
「さすがに、異世界で、昔の戦国時代の人と戦ったことはないけど。」
苦笑いしながら、
「戦ってみたいな、呂布とか。」
あっ、と思い
「そういや、敵さんはなんか怪しいことに手を付けてるらしいからな。有りそうだな。」
30フォルテ ◆VQ6.K6xqhE :2012/07/30(月) 01:40:54.31 ID:htJr7OPs
>「違う、違う、君の母親は、確かに俺の父の知り合いだけど、そういう事じゃないの」

「え、ちょ……」

母親について問い質そうとするが――

>「いやーここんところ、異世界での戦いしかないし、まともなところで戦いたかったんだ。」

頭の可哀想な人がいらっしゃる――! 
見た目は若くても、やはり年齢3ケタを軽く超えたお年寄りだ。これ以上問い質すのはやめておこう。
アサキム導師は唖然とするオレを尻目に、喋り続ける。

>「まぁ無敵とはいっても、人界だけだし、ここにも常人を抜いてる奴いるし、勝てない奴いるし 素戔嗚とか」
>「さすがに、異世界で、昔の戦国時代の人と戦ったことはないけど。」
>「戦ってみたいな、呂布とか。」

異世界の人達の名前が続々出て来た。

>「そういや、敵さんはなんか怪しいことに手を付けてるらしいからな。有りそうだな。」

「怪しいこと……?」

気にすることは無い、どうせボケ老人の妄想だ。
だけど、それなら何故胸騒ぎがする――!?
このイベントバトルからとんでもない事が始まってしまうような……。
31フォルテ ◆VQ6.K6xqhE :2012/07/30(月) 02:17:17.08 ID:htJr7OPs
そして時は流れ――ついにローファンタジア独立千年祭《ミレニアム》の日がやってきた!
大通りではパレードが行われ、道には屋台が立ち並ぶ。
そして、競技場では――世紀の対決の準備が着々と行われていた。
使うのは、バトル用のアリーナ。
外から見ると普通の体育館程度の大きさだが、空間制御技術により
内側には大国の一個大隊同士の戦争が出来るような広大なフィールドを広げる事が可能。
更に、荒野や森林など様々な地形に変化させる事が出来る。

周りを見回しながら競技場へ向かって歩いていると……

「おいこら、待て!」
「痛いのだー、離すのだー!」

ハゲのおっさんが金髪の少女の腕を掴んでいた。
おっさんの耳元で囁くように歌う。

「あーなーたーは髪の毛ありますか♪」

「ぐぁあ!?」

ハゲに精神的苦痛を与える呪歌、”ハゲの歌”だ。
おっさんが苦しんでいる隙に、少女の手を取って走る。

「こっち!」

「助けてくれてありがとう。
たこ焼きを食ってお金を払おうと思ったら財布を持ってなかったからダッシュで逃げようとしたところ
おっさんが凄い形相で掴みかかってきたのだ」

「普通に食い逃げじゃん!!」

どうしよう、食い逃げの片棒かついじゃったよ。
そんなオレの気を知ってか知らずか、少女は誘いをかけてきた。

「折角だから一緒に回らないか? 」

「……そうだな!」

――まあいっか! 細かい事を気にしても仕方がない。

射撃。輪投げ。スーパーボールすくい。
他愛も無い事で、少女はとてもたのしそうで。時はあっという間に過ぎた。

「それじゃあ……僕は用事があるからこの辺で」

「うん、そうだ、待って! 君の名前は……」

少女はすでに走り去り、姿は見えなくなっていた。
気が付けば、オレも結構いい時間だ。

「……行くか」

競技場にはすでにたくさんのイロモノ、もとい強者たちが集まっていた。
開始前に、星の巫女が演説をするという事で、教団側参加者が一か所に集まる。
仰々しく出て来た星の巫女。顔を見るのはこれが初めて……じゃない!
巫女の顔を見て、思わず大声を上げる。

「あ―――――っ、君はさっきの……!」
32フォルテ ◆VQ6.K6xqhE :2012/07/30(月) 02:20:49.26 ID:htJr7OPs
【導師ごめん、終末に大乱闘開始すると言っときながら開始までいかなかった。
参加者絶賛募集中。
イベント参加しなくても観客や通行人や近くで屋台出してる人等なんでもよくてよ】
名前: エスペラント=ゲシュペンストイェーガー
種族:超人(守護者的概念存在)
性別:男
年齢:10代後半〜20代後半(外見年齢)元は15歳だが時間が止まったその時から年を数えるのは辞めた
技能: ナイトウィザードの月衣のような物、空司
その世界に存在する力(魔法・気等特別な力等)に(使う際特別な才能が必要あれば)適合し操れる技法根源操法
個の意識がなくなり完全に世界の異物(敵)を排除する殺戮モード永久闘争存在化
笛魔法、不幸パワー
外見: 赤と黒の仮面を被った中肉中背、朱色の髪 緑色の瞳(右目)オレンジの瞳(左目)のオッドアイ
灰色の外套に詰襟付きの緑色の背広型チュニック、黒いズボン
装備: 封印武器召喚、封印武器無命剣フツノミタマ(召喚時のメイン武器)
操作許可指定:参加者のみ可
設定許可指定:あくまで一応参加者のみ可、すいませんが納得出来ない時は改変します

――仮面を纏い再び来訪せし多世界を守る者――
元はこの世界は様々な平行世界のテクノロジーを空間ゲートの行き来により習得し
軍事・民間問わず流用・改良し使われている発展させている国に近いコミュニティ(共通意識の元に集まる組織・集団)
の異能などをを持ち霊的にも神の領域を目指した新世代の超人を生み出す超人計画によって生まれた『』(無銘)の超人が
アンリミテッド、アートマン、サーヴァント等呼ばれる更に世界を飛び越えて守る超常存在に昇華した者。
多くの異世界や平行世界を周って移動し数多くの世界を揺るがす戦い・出来事を阻止するあるいはその世界に住む大多数もしくは全生命体に天敵と判断された
その存在を滅ぼす恒久戦士(永遠に戦い続ける火消し)。
仮面を被ると言う事は永久闘争存在化の表れであり、彼を知る者が居れば恐らくは無差別な殺戮者形態と誤解するだろうが
至って正気であり、さる理由により仮面を被りこの世界に来た。
その目的動機は一切謎に包まれており、彼がこの世界にきた理由とは何か
果たして世界で流行らそうとした人工言語を名乗る彼の正体は――
34アサキム タグラス  ◆JryQG.Os1Y :2012/07/30(月) 08:31:15.22 ID:mGW/Pu2h
「い、いや、三桁いってるけどまだ若い方だからね。300とかまだいってないし。」
ボケ老人とか言われた気がしたので、慌てる。
「それに、戦い続けていると、こうなるのですよ。」

始まりのかね
「時間か、行こう。」
門<ゲート>が一瞬だけ開き、その中から一人の男が出てくる
周囲を見渡すと誰も居ない事を確認し
思念通信を送りこの世界の広域補助機関<サポーター>に回線を繋ぐ

<私だ、現時刻を持って行動を開始する>
<了解しましたこの世界に関する情報提供等サポートもお任せ下さいミキストリ>

相手にしか聞こえない通信を終わりこの世界ではまず一歩を踏み出し歩く
彼の目的は現時点では不明
ただ言える事はこの世界では大きな災禍が起きる事を阻止するために遣って来たと言う事だ
<主様、最大目標をお教え頂けますか?>
<星霊教団、神魔コンツェルン二勢力の徹底的殲滅>

大通りの人ごみに紛れ、ベンチに座りながら思念通信にて自身の影そして大切な伴侶の一人に
彼の真意を告げる。

<御意>
<必要なければ極力は穏便に済ませても構わんがどうもキナ臭いのでな>

目の前で子供が転び、それを見て立ち上がり手を貸す
お礼を言ったその子供の頭を笑顔で撫でてその後姿を見送る
世界の覇権を賭けた戦いにあのような子供の命運が掛かっているのなら
彼は喜んで二大勢力に喧嘩を売り躊躇無く叩き潰す
子供や弱者を犠牲にする者たちに対してはまったくの容赦がなかった
37アサキム タグラス  ◆JryQG.Os1Y :2012/07/31(火) 22:32:32.74 ID:SNjAB05g
>>35

「さてと、俺は巫女に会ってくるよ。」

会場に向かおうとした。が、

仮面の男を見つけた。

「あの気、いままでで見たのだと、一人しかいない。」
そう、第二次異世界魔王討伐戦で戦った。【詳しくは、一緒に冒険しようライトファンタジーで】

【ビャグ、お前もきていたんだな。】
だが、残念なことに、共闘は無理そうだ。
【上等だ、戦ってやる。】
強敵の襲来にドキドキしていた。
38フォルテ ◆VQ6.K6xqhE :2012/08/01(水) 00:22:45.43 ID:JTA0jKSW
時間軸を少し巻き戻して――

>「い、いや、三桁いってるけどまだ若い方だからね。300とかまだいってないし。」

――心を読まれたっ!? 流石は導師様、侮れない!
うかつに心の中でバーカバーカオッパッピーとか言えないぜ!

>「さてと、俺は巫女に会ってくるよ。」

「ああ、じゃあまた後で!」
39フォルテ ◆VQ6.K6xqhE :2012/08/01(水) 00:23:18.17 ID:JTA0jKSW
――そして現在。
仰々しく現れた星の巫女を見たオレが奇声を発したところからスタートだ。

「貴様! 神聖なる巫女様の御前だぞ! 私語は慎みたまえ!」

巫女の護衛の者に注意された。
気にすることは無い、オレは巫女様の恩☆人なのだから。
いやあ、あんな有名人と謀らずもコネが出来るとはなんという幸運!

「オレだよ、ほら、さっきお祭り一緒に回ったよな!?」

巫女はこちらを一瞥すると、一瞬はっとしたような表情をしたように見えた。
そしてきっぱりと言い放つ。

「あらあら、失礼ですが初対面だと思いますよ。他人の空似でしょう」

「え、え―――――、でも……」

「いい加減にしろ!つまみ出すぞ!」

そう言われているうちに、段々と人違いのような気がしてきた。
確かに顔は一緒だと思うんだけど口調が全然違うし
さっきの少女はいかにも少女、という呼称がぴったりくるような感じだったけど
目の前の彼女には巨大宗教団体の教祖様!ってな仰々しいオーラがあるし……

「……」

急に恥ずかしくなって俯く。
巫女の演説はほとんど耳に入らなかったが
間もなくこの世界に《大いなる厄災》が訪れるから二大勢力は今こそ一致団結しないといけない
というようないかにもカルト宗教らしい事を言っていた。
大いなる厄災って何やねん! また性懲りも無くアンゴラウサギの大魔王か!?
要するに一言で言うと『勝って神魔コンツェルン買収したいから頼んだぞ!』という事だと思う。

演説が終わり、いよいよ試合が行われるアリーナへと向かう。
その途中でアサキム導師と合流した。
ひしめきあう猛者達の中に、一際目立つ奴がいた。

>「あの気、いままでで見たのだと、一人しかいない。」

仮面を付けた見るからにヤバそうな奴だった。

「うわあ、相当キちゃってるな!
さっきの演説の時は見かけなかったから神魔大帝側なのかな……。
直接対決は御免こうむりたいところだぜ!」

―― バトル会場は、準備万端整えられていた。
フィールドの広さは最大値に設定され、戦闘というより合戦に近いかもしれない。
それぞれの長である神魔大帝と星の巫女は、豪華絢爛な装飾を施された戦車《チャリオット》の玉座に悠々と座り、最後方に鎮座。
そこから偉そうに支持を出し、下々の雇われ兵達が前線で乱闘するという寸法である。
フィールドは最初は荒野に設定されているが、イベントの盛り上げを狙って途中で切り替えられるかもしれない。
40フォルテ ◆VQ6.K6xqhE :2012/08/01(水) 00:42:33.03 ID:JTA0jKSW
【>エスペラント殿
貴様のオーラ、猛烈にどこかで会ったような気がする……!
いや、気のせいか……? 気のせいだな!
てなわけで改めてよろしくおねがいします!

お二人に相談―。そろそろ避難所を立てようと思うのですがどこがいいか希望はある?
候補としては……

1 創発板避難所
http://jbbs.livedoor.jp/internet/3274/

2 千夜万夜
http://yy44.60.kg/figtree/

3 ワタクシがしたらばかどっかから掲示板ごと借りる

どこに立てても人入りはそんなに変わらない気はするのですが敢えて言うなら
創発民が入りやすいのが1、なな板TRPG民が入りやすいのが2
閉鎖的にはなるけどスレを複数使えて便利なのが3
ってな感じです。

言うまでも無くまだまだ参加者募集中です。
まだまだ今なら記念すべき黎明期からの参加者として参戦できるぞ!】
>>37

どこかで感じたことのある―いやいつかどこかで共に戦った事のある人物の力を感知する
人混みの中に紛れていてもその異彩を放つのだそれなりの猛者ならば分かるだろう

(恐らくはこの世界に奴も来たか、どちらの側に付くか知らんが)

行動を起こすべく立ち上がりまずは神魔コンツェルンに向かい傭兵として雇われる手続きをせねばならない
その際に戦わねばならないのなら仕方あるまい
静葉の方も星霊教団に潜入している頃合だろう

「悪いがこれも仕事なんでな、強すぎる連中には手加減がし辛い
殺しはせんが覚悟しておけ」

誰ともわからないように呟き、瞬く間に姿を消した
その後すぐに神魔大帝の所までに直接契約しに行き
警備やら他の傭兵を掻い潜った所を気に入られ
破格の条件で迎えられるがそんな事は微塵も興味が無く
大会に真っ先に出るように告げられ、出ることになる此処まではある程度順調だが
ここから先はどうなるやら
【>フォルテ
はて?君にはどうも懐かしい物を感じる
そうか…あの妖精彼女の子供か
そうだな、白光の神人と呼ばれた張本人さ信じるか信じないかは君次第だが

どうもお察しの通り参戦すると言っていた彼の人物です
一応此処でも宜しく

私としてはどちらでも構わないですが】


43アサキム タグラス  ◆JryQG.Os1Y :2012/08/01(水) 08:39:14.08 ID:rQuLdcY3
少し時間軸を戻し
フォルテより先にアサキムは星の巫女に会いに行った。
「んで、質問良いですか?」
「はっ、はい???」
星の巫女は自分と同じ仙界から来た奴だと安心できるのか。心を許してくれる。
実際、ここには護衛兵がいない。
「まさか、傭兵としてこき使うのでは無いでしょうね。」
「えっと、その指揮の補佐を」
「で、ピンチの時は、出るのか。」
「はい、よろしくお願いします。」

教団を出ようとした所に、俺の間者が来た
【静葉殿は、星の教団。ビャグミキストリは敵側に。】
いよいよ、ピンチか。
まぁ、いざというときは、素戔嗚召還しよ。
44アサキム タグラス  ◆JryQG.Os1Y :2012/08/01(水) 08:47:01.35 ID:rQuLdcY3
と言うわけで、実質的な指揮を取る事になったので、取りあえず兵器をチェックした。
「やぁ、兵器はどれくらいある?」
「はっ、コレを」

リストを見せられた。
それには、マシンガン5000丁 戦車、戦闘機300 ミサイル600機
そして、
「おまっ、これ八塩折じゃん。」
「はい、対魔物用兵器です。」
「よく、持ってこられたな。」
八塩折は、オロチ討伐に使われたものだ。
「まぁ、四機が限界か、じゃあ射程ぎりぎりに配備」
すぐに壊されては困る。
>>フォルテ
どこでも良いよ。
45フォルテ ◆VQ6.K6xqhE :2012/08/02(木) 01:53:45.89 ID:+topC3NZ
仮面の男が呟いたように聞こえた。

>「悪いがこれも仕事なんでな、強すぎる連中には手加減がし辛い
殺しはせんが覚悟しておけ」

「……知り合いなの?」

アサキム導師に問いかける。

『レディースエンドジェントルマン!
お待たせいたしました、《ミレニアム》最大の目玉イベント超常決戦!星の巫女VS神魔大帝!
いよいよ開幕です!』

ついに戦いは始まる。まずは両陣営の長の紹介からだ。
拡大立体画像が、空間にドアップで映し出される。

『人間は古来よりその技術をもって自然を制してきた――。
我こそはこの世の科学技術の担い手、神魔コンツェルンが総帥、神魔大帝!』

『我が名は星の巫女――星の声を聞く者。この戦いに精霊の導きがあらんことを――』

『『いざ、尋常に勝負――!』』

戦いの火蓋は切って落とされた。

【避難所を立てました。以後本編以外はこちらでお願いします。
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/3274/1343828074/l50
46アサキム タグラス  ◆JryQG.Os1Y :2012/08/02(木) 08:02:05.12 ID:F6/sShdV
「ふん、どうしようかな。」
精霊の導きとか言ってるからな、
戦術的に、戦闘機とか使うべきじゃないな。
「アサキム殿、八塩折は、予備で後2つ有ります。」
「何で、それを早く言わない。最前線に回せ。」
慌てて、準備に取りかかる。
「さてと、これで戦闘機を後詰めに回せる。」
アサキム的には、戦車で、砲撃、中央に集めたところを八潮折で打ち抜く。
「勝てるな。後は、一割回して、防衛に回し。」
ビャグに、備えたいが、
「少し、やるか」
八潮折に向かい一つずつ結解を仕掛けた。
これは仙人しか解除できないはずだ。
「いつでも、掛かってこいビャグ」
47創る名無しに見る名無し:2012/08/03(金) 20:58:22.95 ID:omo4bli7
1万時間をかければ、大抵の事は習熟できるという考え方があるそうです。
毎日3時間程を剣道の練習に費やせば、10年かけて1人前。
毎日10時間近く語学の勉強をすれば、3年ほどで話せるようになるわけですね。

皆様もご存じでしょうが、この世界には長命な種族がうようよしています。
わたしたち人間の寿命は頑張っても100年ほどなので、長命種族が本気になったら技能でも知識でも敵いません。
単純に考えて、50才の魔術師と500才の魔術師なら、魔術の習熟度には10倍の開きがあるわけです。
要するに寿命とは力なのです。

選挙でも20年を1票と換算して、永く生きた者が複数票を入れられる国家もあるそうですよ。
各国のトップなんて、わたしのひいお爺さんの頃から変わってない方もいっぱいです。
たまに変わることがあっても、やっぱり席を占めるのは人間の上位互換種の方々なわけでして。
人類は衰退しました……とは言いませんが、一部の天才を除けばそんな感じなんでしょうかね。
ですから、この世界で人間が安全に生きるためには、上位種の方々の機嫌を損ねないのが重要と言っても良いでしょう。

得体の知れない神と契約したり、吸血鬼に噛まれてみたり。
首尾よくパトロンを見つけて人間を卒業できた方は、寿命の枠も突破できます。
このミレニアムで誰かの目に止まって気に入られれば、人間の上位種になれるかも。
そう考えて、頂上決戦に参加する人たちも少なくないとか。
ちなみに、わたしも就職に有利になるかもって動機で参加しました。

わたしは精霊の声みたいなものは聞こえず、魔法も使えないので神魔コンツェルン側での参加。
支給された武器はピストルで、これは引き金を引くだけでもそれなりの攻撃になるのだとか。
要するに、引き金を引くだけの簡単なお仕事です。
両隣を見れば、わたしと同じくらい弱そうな人たちがたくさんいました。
チェスで言うなら、わたしたちはポーンといった所なのでしょう。

いざ、尋常に勝負との声が響き渡ると、頂上決戦が開始されます。
広い荒野に設定されたアリーナでは、さっそく両陣営のポーンがバタバタと倒れました。
事前に受けた説明では、わたしたちは死んでも蘇れるので心配は要りません。
なんでも、肉体の組成情報を基に全く同じ肉体を再構成して、魂っぽいものを移すんだとか。
古い肉体は蘇生の際に分解器で処分されるので、大丈夫だそうです。
高度な用語を駆使した説明でしたので、何が大丈夫なのか分かりませんでしたが、大丈夫だと思う事にしました。

ピストルを両手で構えたわたしは、星霊教団の傭兵と思しき方に照準を合わせます。
引き金を思いっきり引くと、大きな音がして弾丸はどこかに飛んで行きました。
どこに飛んで行くのかは分かりません。弾に聞いて下さい。

【わたし=雑魚モブなので名前は設定しません。容姿や年齢性別も遭遇した人が決めて下さい。瞬殺も操作もフリー】
48 ◆jIx.3BH8KE :2012/08/03(金) 21:16:20.92 ID:ZqrIslHd
【神魔大帝サイド】

神魔大帝サイドには、戦いの場に似つかわしくない一群がずらりと隊列を組んでいた。
スーツにネクタイ、髪型は皆一様に7、3分け。
彼等は神魔大帝が擁するサイボーグ部隊、”企業戦士隊”である。
脳にまで改造を施された彼等は、神魔コンツェルンの意思たる神魔大帝の命令を忠実に実行するのだ。
彼等のまとうスーツは実は最新の科学技術で作られたパワードスーツであり、ネクタイも同じく相手の梗塞等に使うための武器。
そして、名刺を手裏剣の様に投げつける名刺スラッシャー等の技を習得している。

「ゆけ! 企業戦士部隊!!」

神魔大帝の号令で、企業戦士隊は一糸乱れぬ動作で進撃を始めた。

【星の巫女サイド】

星の巫女サイドにもまた、別の意味で戦いの場に似つかわしくない集団が控えていた。
オタク向けアイドル風の服を身に纏い、魔法少女風のステッキを持った美少女達……
と言いたいところだがよく見ると老若男女美醜様々である。
こちらもアイドル風の服は魔法の加護がかけられた法衣で、魔法少女風のステッキは見たまんま魔法のステッキ。
星霊教団に帰依し精霊魔法を習得した者達の部隊、その名は魔法少女隊BKA148。
言ってはいけない巷の通称はバカ148。

「行きなさい、星の使徒達よ! 我が教団の教えを世に広めるチャンスです!」

星の巫女の声を受け、魔法少女達が敵軍に突撃していく。
49フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/08/03(金) 21:31:24.02 ID:ZqrIslHd
さて、いざ乱戦となったら意外とどうしていいか分からないものである。
そこれオレはとりあえずアサキム導師の横にくっついていた。
暇を持て余しているオレを尻目に導師はてきぱきと戦略を立てる。
ボケ老人は撤回しないといけないようだ。

>「アサキム殿、八塩折は、予備で後2つ有ります。」
>「何で、それを早く言わない。最前線に回せ。」

八塩折とは、古の神話にちなんで名付けられた対魔物兵器。
魔物を酔わせたようにして一瞬にして無力化する事が出来る魔導砲だ。

>「いつでも、掛かってこいビャグ」

「なあ、ビャクって誰なんだ?」

アサキム導師は分かるような分からないような答えを返してくれた。

「先程の仮面の男ですよ。
しかしあのような者はその世界ごとの名を持っていてもおかしくはありません。
あるいはこの世界では別の名前かもしれませんね」

「ふーん」

やっぱボケ老人かもしれない。

「さあ、始まりますよ。有名になりたいのでしょう?
あなたの演奏を思う存分聞かせてあげなさい」

見れば、向こうから神魔大帝群の第一陣が砂埃をあげて迫って来ていた。
前哨戦の始まりである。
50ゲッツ ◆DRA//yczyE :2012/08/03(金) 21:33:02.13 ID:rYmmIIkU
>『『いざ、尋常に

「っしゃァ悪羅ァ! 飛び入り参加してやらァ! ヒャハー!」

唐突にデリカシーも配慮も何一つ感じられない声が響き渡る。
老若男女、人も魔も、魔導も科学も入り乱れるその戦場に闖入者が現れたのだ。
銀色の翼を広げ天を舞い、手近な人間の頭蓋を幾つか粉砕しながら着地するのは、大柄な竜人。
背丈は凡そ2mであり、人間に近い頭部を持つが皮膚を覆う鱗と尾、ひれが紛れもなく彼の者が竜と人どちらでもない存在と物語る。
背後から迫る機械を左腕で殴り飛ばし爆砕するその竜人の色彩は、紅と銀によって強く印象づけられるだろう。
ワークパンツとジャケットを捲った四肢は紅の鱗に覆われ、その左腕は銀色の機械腕。
癖の強い金髪を後ろに撫で付け、先の割れた長い舌を鋭い歯を舐るようにチロチロと動かし、不敵に笑う。

>勝負――!』』

「神魔大帝側! ゲッツだ! さあさあ誇りがあるなら死にに来い、誇りが無いならさっさと逃げな!」

割り込みもいいところだが、ゲッツの中では既に戦いは始まっている。
挑発の言葉を口にすると同時に、敵陣の反応を待たずして竜人は駈け出した。
尾を揺らしバランスを取る事で四足歩行に近い程の前傾姿勢でも体勢を崩さずに移動できる。
前へと倒れこむ勢いを前進に活かすことで2mを越す巨体は真紅の砲弾となって敵陣の真正面から躍り込む。
敵の出方など確かめず、彼我の戦力を思考せず、状況の不利有利は問題外。
大切なのは、今身を置いている所が戦場であるかどうか、ただそれだけ。

>「行きなさい、星の使徒達よ! 我が教団の教えを世に広めるチャンスです!」

「おなごだからって容赦ァしねェぞ――!」

ちろり、と舌をはみ出させて、空気をビリビリと震わせる咆哮を響かせ、竜人は跳んだ。
身長2m超、体重凡そ180Kgが、数mの高みへ己の肉体のみでやすやすとたどり着いてみせるのだ。
落下の勢いにまかせて右拳を振りかぶり、魔法少女の集団へと落下していくゲッツ。

「鍛えりゃ生身で人も死ぬッ」

40ほどの妙齢の魔法少女の顔が、恐怖に染まる。
その理由は唯一つ、ゲッツの拳が眼前に迫ってきているからだ。
竜人は咆哮により恐怖を煽り、巨体で身を竦ませ、闘士で思考を凍結させるだけの実力を持つ。
相手がそうなってしまえばやることは単純、案山子を打ち砕き粉砕してしまうだけ。

魔法少女が10m超の距離を吹き飛び、他の魔法少女も交えて薙ぎ払われた。
鋼の義手ではない。只の生身の腕による打撃だ。
その一撃だけで、妙齢の魔法少女の顔は素敵に整形手術されてしまっていた。
眼前に広がるものは無い、その現状にゲッツは雄叫びを上げる。

「詰まんねェ! もっと本気で来な、死ぬ気でかかって来な、殺す気で来な!
 じゃねぇと俺だけじゃなくてめぇ等の敗北も勝利も味気ねぇだろうが!」

敵に対し激励のような言葉を叫び、竜人の機械兵は仁王立ち。
未だに見せている戦力はその身体能力唯一つ、であった。
51アサキム タグラス  ◆JryQG.Os1Y :2012/08/03(金) 22:34:23.12 ID:B04agttR
>>49
「フォルテ、お前の歌が、試合を左右する。気を抜くな。」
そう言う、
>>50
さてと、少しビビらせるか。
「フォルテ、少し出るよ。」
瞬間移動でゲッツの前に立つ
「時間がないんで、秒で終わらせる。」

ゲッツにブレイズ【ビームサーベルモード】を突き刺し

抜き

火炎弾を当てる。
「君たちは、遠距離攻撃で敵を近づけさせないで。」
超絶さわやか笑顔でいう。
「は、はい。」
こうすることでBAKの志気を上げる。
そして、戻る
「ちょっと来い。」
暗部の奴らを呼ぶ
「静葉の動向を探ってきて。」
「承知しました。」
静葉についての情報は伝えてあるので大丈夫なはずだ。
「八潮折の充電を開始しろ。」
52アサキム タグラス  ◆JryQG.Os1Y :2012/08/03(金) 22:42:37.48 ID:B04agttR
>>フォルテ
避難所使えないorz
何とかしてくだしゃい
53フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/08/03(金) 22:46:18.72 ID:ZqrIslHd
>>52
何っ!?
使えないというのは掲示板自体が開かない?それとも見れるけど書き込めない?
後者だったらスカイプが起動してたりはしない?
そうだとしたらログアウトしたら書き込めるようになるはず】
54アサキム タグラス  ◆JryQG.Os1Y :2012/08/03(金) 22:50:12.51 ID:B04agttR
>>フォルテ
スカイプ?何それおいしいの
書き込めない、見れるけど
そして、みわすれで、新キャラを瞬殺
しそうだ、
55フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/08/03(金) 22:58:48.44 ID:ZqrIslHd
【>54
参考までに http://help.livedoor.com/jbbs/qa627
スカイプはパソコンで電話するためのソフトなんだけど関係なかったか。
端末は……パソコンだったよね。書き込もうとした時にどんなエラーメッセージが出てる?】
56アサキム タグラス  ◆JryQG.Os1Y :2012/08/03(金) 23:07:31.15 ID:B04agttR
>>フォルテ
えっと、規制だったかな。
参考でWiiでやってる。だけど
57アサキム タグラス  ◆JryQG.Os1Y :2012/08/03(金) 23:15:55.58 ID:B04agttR
>>51
これの、10分前
さてと、少し暴れるし、フォルテいないし。>>47を潰すか。
目標タイム100秒か
レディゴー
まず、前線の雑魚どもをブレイズでなぎ倒し、
サイボーグは、手裏剣を切り抜けて、ブレイズ【ぼうがんもーど】で打ち貫く
鉛玉が来たが、掠りもしない。
「よし、ジャスト100秒、案外雑魚だな。」
58ゲッツ ◆DRA//yczyE :2012/08/04(土) 16:40:28.65 ID:Yk9K1oW4
>>51
>「時間がないんで、秒で終わらせる。」

一連の動作を、仁王立ちする竜人は全て受けてしまった。
一つだけ異様だったのは、その一連の動作を受け、火球を叩きこまれる瞬間に笑っていたことだ。
着弾し爆発する火炎弾、巻き上がる黒煙、業火。
暴れまわる暴風が止んだ事により周囲の士気も上昇し、安心して魔法少女達が詠唱を始めた。
だがその瞬間だ。

火柱の中から伸びた腕が、二本。
詠唱をする魔法少女二人の首を鷲掴みにして、持ち上げていた。
のそり、と飛び出すのは焼け焦げた衣服と赤熱する鱗を纏う、足。

「――ッ、ひゃ……っはははっはははっはは!
 上等過ぎんンぞ! そうだ、そうだぜ、そうでなきゃよォ! ドキドキバチバチドクドク滾ってくるってもんだァ!」

笑いながら、怒りながら、焼かれながら、血を吹き出しながら。
竜人が炎から堂々と這い出してきたのだ。
魔法少女二人の首をへし折り放り投げると同時に、豪放な笑いを響かせるゲッツ。
腹部を貫通するような傷跡だというのに、その足取りは軽い。
当然、ダメージを受けていないわけではない、刺されれば痛いし焼かれれば耐性が有るとはいえど熱い。
それでも立つのは、それでも笑うのは偏にこの竜人が戦士であるからに他ならない。

傷も死も、誇りをもっている限りは勲章でしか無い。
故に、戦いに於いてゲッツが得られるものは、歓喜に他ならず、それ以外はありえない。
ただ、やられ放題は性には合わず、引っ込んだアサキムに鋭い視線を向けた。

あれほどの事をされて尚笑う竜人を前に、周囲は怯えを見せる。
硬直した場を動かすように、竜人は己の左腕を天に掲げ、そして前方、敵将の方へとかざした。
鋼の腕だ、鈍く照り返す、無骨な兵器。

「――――ぶっ壊れろ」

その一言で、左腕が変異する。
一瞬だ、変化にかかったのは。
スライムのごとくに形を変えて、二の腕から先が砲塔へと形を変える。
唐突に現れた120mm口径滑腔砲が、魔法少女達にその丸い顎を向ける。
竜人が目を細めた、口元には、笑み。

轟音。

前方、十数人が吹き飛び、戦闘不能と成る。
そして、天にむけてゲッツが二度目の轟音を放った瞬間。
天空で何かが破裂し、炎の雨を降り注がせた。

初撃は単なる榴弾による前方の露払い。
二度目は炸裂焼夷弾による殲滅射撃。

格闘戦だけの体力バカではないと示す竜人は誇らしげに周囲を見渡し。
反動で漏れだす腹部の鮮血で、片膝を突くこととなった。

「……後先考えてなかったなぁオイ!
 まあいい! テメーら今から殲滅戦だ! ぶっ飛ばせぶっ潰せぶっ殺せぶっ壊せぶっ千切れェ――!」

背後の他の参加者を煽り立てて。
血だらけの竜人もまた、砲塔を支えとして震える足で立ち上がろうとしていた。
59アサキム タグラス  ◆JryQG.Os1Y :2012/08/04(土) 19:05:30.31 ID:ZSul0PpX
>>58
「ふっ、それでこそ、戦士だ。」
だが、明らかに、狂戦士だった。
はっきり言って、ビャクとアイツを相手するのは面倒だ。
「フォルテは、対竜人用の呪い歌を、俺は、少し大技を仕掛ける。」
そして、味方に大声で叫ぶ。
「今から、俺は大技を仕掛ける。時間稼ぎをしてくれ!」
応という、声が聞こえて安心した。
「八潮折を空に放て、」
「しょ、承知。」
天に巨大な砲撃が6つ放たれる。
「雑魚ども、これで潰えよ、」
その放たれたエネルギーを収束し、一気に雑魚に大玉として放つ。
当然、すごい衝撃なので、人だろうが、散る。
「さて、次の一手は、」
60フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/08/04(土) 23:16:45.66 ID:t7EhbyUq
企業戦士達が整然と隊列を組んで迫ってくる中、明らかに異質な者がいた。

>「神魔大帝側! ゲッツだ! さあさあ誇りがあるなら死にに来い、誇りが無いならさっさと逃げな!」

「なんだありゃあ……竜人!?」

ゲッツと名乗る竜人は、魔法少女達を次々と薙ぎ払う。
彼はまるで戦意を喪失させる力を持っているようだった。
一方では、企業戦士部隊と魔法少女隊が激突しつつあった。

「何アレ、キモ! アンタ達、何で全員7・3分けなのよ!?」

「答える義務はない! 名刺スラッシャー!」

およそ感情というものを見せずに淡々と進撃する企業戦士隊の方がやや優勢、といったところだろうか。

「行くぞモナー!」
「了解モナ!」

モナーがキーボードの姿に変化する。
しかし今回は演奏するのは、自作の曲――ではない。
そんなものに魔力を込めたら何が起こるか分からず危険すぎるからである。

魂に響く名曲は、精霊に語りかけ突き動かす力が宿す事が出来る。
この力を持つ曲の事を、業界では”神曲”と呼んでいる。
永きに渡って伝えられてきた神曲についてはその効果が検証済みであり、魔法の一分野として体系化されている。
それが、呪歌や奏術と呼ばれる魔法体系だ。
長きに渡って伝えられてきた曲と言っても、バロックやクラシックといった1000年期以前の真っ当な名曲から
2000年期以後に動画サイトで殿堂入りし一部のオタクに神と絶賛された曲に至るまで幅広い。

記念すべき開幕一曲目は――

「”死せる英雄たちの戦い”――アサキム導師に続けええええええええええええええええ!!」

一人の戦士が母親の制止を振り切り戦場へ赴くシーンから始まるこの歌が描くは、血塗れの戦場、屍累々の絶望的な戦い。
それでも尚未来を切り開くために残酷な運命に立ち向かうための勇気。勝利を掴むまでは決して引かないという誓い。
効果はまさにそんな歌詞の通り。
戦意鼓舞の加護の歌でもあり、死ぬまで進撃をやめない狂戦士を量産する呪われた歌でもある。
歌の効果はすぐに現れ、魔法少女が企業戦士を圧しはじめた。

「所詮社畜軍団など我らの敵ではないわあ!」
「そおれ! イオナズン!」

空間に電撃が走り爆発が巻き起こる。
雑魚を一掃する便利魔法により、企業戦士がバタバタとしびれて倒れていく。
ここでアサキム導師が動いた。
61フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/08/04(土) 23:18:20.19 ID:t7EhbyUq
>「フォルテ、お前の歌が、試合を左右する。気を抜くな。」
>「フォルテ、少し出るよ。」

そう言って、導師は瞬間移動で竜人の目の前に移動する。

>「時間がないんで、秒で終わらせる。」

この言葉通り、アサキム導師は華麗に3ステップ。ああ、竜人死んだな……。合掌。
そう思った次の瞬間。

>「――ッ、ひゃ……っはははっはははっはは!
 上等過ぎんンぞ! そうだ、そうだぜ、そうでなきゃよォ! ドキドキバチバチドクドク滾ってくるってもんだァ!」

嘘だろ――!?
竜人は刺されて焼かれたにも拘わらず魔法少女を二人屠って哄笑をあげていた。
それを見た魔法少女達が戦意喪失する。戦意高揚の歌の魔力がとけてしまったのだ。
戦意高揚の歌をやめ、次の曲を思案する。
……おかしい。普通、状況による恐怖で魔的なバーサク状態が解けることは無い。
それを上回るほどの強力な魔的な力が働いかない限り……。

>「――――ぶっ壊れろ」

……分かった! “声”だ。こいつの声には力がある!
父さんにとって音楽は、自らの興味の対象である神や精霊に語りかける手段だったが、
オレの興味の対象は、”音”そのものだ。

「……面白くなってきたじゃん!」

と後ろの方でたかをくくって呑気にニヤついていたら、上から炎が降ってきた。

「ぬわーーーーーっ!!」

と断末魔の悲鳴をあげながら死ぬ準備万端で目をつぶっていたら、ジュッと炎が蒸発するような音が聞こえた。
誰かが助けてくれた……!? 周囲を見回すと、ふと玉座に座っている星の巫女と目が合った。
その瞬間、彼女は一瞬微笑んだように見えた。

「星の巫女……助けてくれたのか……?」

>「フォルテは、対竜人用の呪い歌を、俺は、少し大技を仕掛ける。」

対竜用の呪い歌と言えば――やはり某大作竜退治RPGのテーマ曲でいこうか。
今でこそ竜退治からかけ離れている者もの、記念すべき第一作目は由緒正しき竜退治の物語だったのである。
そんな事を考えていると突然、目の前にいかにも弱そうな一般人といった感じの人が現れた。
今まで生き残っていたなんて余程運が良かったのだろう。

「あ、どうも」

その人は、挨拶代りにおもむろにピストルを撃ってきた。

「うわーっ!」

オレはまさかモブキャラに瞬殺されるのか!? 危うし!
62ゲッツ ◆DRA//yczyE :2012/08/05(日) 00:35:40.58 ID:r/JBBsVi
>「雑魚ども、これで潰えよ、」

放たれるエネルギーの先には、丁度立ち上がった所のゲッツも居て。
その力に飲み込まれて、爆風の中にゲッツは消え去っていった。
今度こそ死んだか、そう思うだろう。普通ならば。

「――――死にかけたぜ、クソッタレ。
 最高じゃねーか! オイ!」

爆心地に立つのは、ゲッツ。
鱗の一部が吹き飛び、生々しく赤い肉をさらけ出した竜人だ。
なぜ生きていたのか。
その理由は、爆心地のゲッツを見れば一目瞭然。
ゲッツの背後だけ衝撃を受けた様子が全くとして見受けられないのだ。
要するに、何らかの手段でゲッツはダメージを負いながらも今の一撃を防いでみせた、という訳だ。


「……ッ」

竜人は、痛む肺で無理やりに空気を吸い込み、深呼吸。
熱い空気が肺に取り込まれ、肉体に一気に酸素を巡らせていく。
痛みで逆に意識が鮮明となり、死に近づく感覚と、戦いの興奮で脳内麻薬が溢れていく。
痛みは忘れた。今必要なのは恐怖でも思考でもなく、闘志だけ。

「竜人ってのはよォ……勇敢で命知らずで喧嘩強くて鱗がピカピカの奴がモテるんだ。
 んでもって、俺は竜人族で一番のイケメンだ、この意味、分かるな?」

軽口を叩き、竜人は笑う。
先ほどの魔法少女達の様子を見るに、どうやら面白い技を使える奴が居るようだ、と。
そんな風に思いながら、先ほどの術師の言葉を思い出し、歌という言葉にも気がついた。

>「……面白くなってきたじゃん!」

「――俺も面白いぜェ」

竜人は、敵陣の中のフォルテを正確に見据え、そして目を細めた。
死ぬなら死ぬでそこまでだ、だから生きていれば相手をしてやる。
そんな意思を向けて、狂戦士化の解かれた魔法少女達に向かって進んでいくゲッツ。
千切れた肉体を前へ進める為に、血液が紅から水銀へと変わっていき、肉体の損傷部分を補っていく。
腹部の穴を埋めるように針金のような金属的な触手が生まれ、無理矢理に傷口をつなぎ合わせ始めた。
まともな治癒の仕方ではなく、魔術などでも無い現象。
左腕の表面がさざなみのように蠢くごとに傷の治療が進んでいる。
只の竜人ではない、機械化された竜人なのだ、その戦闘力は常識では計りようが無い。

「雑魚どもじゃァ俺は獲れねェよ。
 来るなら――そうだなァ、釣り合う奴らを連れて来なァッ!」

大言壮語を吐きながら、視線を流すのはフォルテとアサキム、そして星の巫女。
こう言っているのだ、これ以上一般兵を一人に吹き飛ばされたくなければ、強さに自信のある奴らがかかって来いと。
左腕から砲撃を放ち魔法少女を吹き飛ばしながら、肉体の所々が鋼と化した竜人は進んでいくのだ。
ダメージが無いわけではない、むしろこの中での個人では最も負傷していると見て間違いないのに。
それでも笑うのは、それでも闘うのは。
この竜人がゲッツという名のれっきとした戦士だからにほかならない。

(――誇りが有るやつだけがかかって来い、覚悟の有るやつだけが戦場にいていい。
 俺より強い奴だけが俺の前に立て、俺に勝ちたい奴だけが俺の敵になれ。
 それ以外の有象無象は、全部敵ですらねェんだからよォ)

竜は求めていた、己の全身全霊を掛けて戦える、強い敵を。
限界を出して、限界以上の高みでぶつかり合える、そんな相手の存在を。
>「っしゃァ悪羅ァ! 飛び入り参加してやらァ! ヒャハー!」

会戦間近にどこからかやってくる竜人
それに向けて視線を向ける
一体何者か目的は何か分からないが
問題はどちら側に付くのか動向を確認せねばならない

>「神魔大帝側! ゲッツだ! さあさあ誇りがあるなら死にに来い、誇りが無いならさっさと逃げな!」

こちら側に付くと言った後挨拶する間も無く斬り込んで行ってしまう
見るからに戦闘狂のだったらしい

「やれやれ、では血気盛んな乱入者には頑張ってもらうとするか」

だが彼の後には続かず、戦況を様子見するが如く静止し
その代わりに此方の神魔コンツェルンの持っている兵器類を管理している企業戦士を呼び出して
現在使える物を尋ねると、さすがに大企業普通ならば持ちえぬある兵器を開発していたようだ

「こんな物を作っているとはな、世界が世界なら支配すらも容易いな
今すぐ作動準備をしろ、目標魔法少女隊」

この言葉によりこの空よりも高くこの星の大気圏外丁度に幾つも建造配置された
衛星兵器群が存在する。それは軍関連に携わる企業ならば当然所持できる上に開発する事が許されている
言わば空を支配しているも同然だった

「あのゲッツとかいう男は狙うなよ、撃て!」

その言葉と共に空からレーザーやら電磁砲などの一斉砲撃の光が
味方を当てぬようにちゃんと認識されて降り注ぐ

「……(奴が居るならとっくに気づかれてるな、最低でも情報を得られれば万々歳だな)」

戦況を見極めながら次の一手を考えつつも
厄介な状況である事になりながらも今出来る事を考えていた

64 ◆jIx.3BH8KE :2012/08/05(日) 08:37:10.66 ID:F2vf5p2e
無言で戦況を見ていた神魔大帝が口を開いた。

「思ったよりやるようだな……。技術部隊、そろそろ”あれ”の準備だ!」

「はっ、かしこまりました!」

大掛かりな装置が組み立てられていく。
これは、世界の外側から《英霊》を呼び出す禁断の装置。
《英霊》――あらゆる世界、あらゆる時代に存在した英雄達の霊。
偉大な功績をあげ、死後も尚人々からの信仰の対象とされた英雄の霊は、
世界の外側に属する存在となり、因果の枠から外れて不変の現象になるという――
神魔大帝は、組み立てられていく装置を見ながら、愉快でたまらないという様に高笑いをあげた。

「科学と魔導はそろそろ一つになるべきなのだよ……。
もうすぐ、もうすぐ私の時代が来る! 魔導科学が支配する素晴らしい時代が訪れる……!
ククク、ハーッハッハッハッハ!!」
65アサキム タグラス  ◆JryQG.Os1Y :2012/08/05(日) 08:57:36.29 ID:Cc2leWE4
【おいおい、なんて戦闘狂だ。】
あの衝撃で一万tは衝撃を受けたはずなんだが、まぁ、良いやあいつの処理は、後だ。
【無限結解 神楽】
ゲッツのまわりに、多重に結解が張る。
【動けば、動くほどダメージが増え、酸素濃度も減る。さすれば】
機械の手も使えなくなる。
「報告、静葉を捕らえました。」
「ご苦労、監視を頼む」

「戦線に、舞い戻りますか。」
と思った、瞬間レーザーが発動、
矢のように、降ってくる。
「はっ、こんなので止められるとでも、笑止!」
自分、味方の、所に降ってくるレーダーを切り払う。
66ゲッツ ◆DRA//yczyE :2012/08/05(日) 21:34:39.47 ID:r/JBBsVi
>【無限結界 神楽】

展開された結界を前に、火力とタフさのみに自信のある竜人は余裕の笑み。
結界の面を前に機械の左腕を振りかぶり、殴りつけた。
ごうん、という衝撃音がビリビリと周囲の空気に食いつくも、砕ける様子は無い。

「ひーっはっはァ! 今更結界如きで俺様を留められグアーッ!?」

それでも何度も拳足を叩きこみ続けていた、ゲッツ。
だがしかし、余裕の表情のままダメージを受けたことにようやく気づき倒れこんだ。
酸欠で思考に霧がかかるが、もともと大したことを考えていなかったため大差はない。
それでも、全身に巡る痛みは消えず、むしろ数十回の打撃をその中で放ち続けた事が異常だったのだろう。

「――ッ、まずったぜ……ッ、糞がァ――――!」

酸素濃度が下がり、高山病のような症状になってもおかしくない現状。
だが、山岳をルーツとするゲッツの一族は、低酸素状態でもある程度までは対応できる。
世界の変化に対応して体一つで伊達に生きてきた種族ではないのだ。

「竜人の戦士を舐めんなァ! 危機危険絶体絶命はダチみてぇなもンだってなァ!」

結界に、右手の爪が食い込んだ。
同時に、左腕の内部に組み込まれた魔導心臓が鼓動する。
竜の血を薄く引く竜人の中に眠る因子が僅かに目覚め、竜種の魔力が発露。
竜の魔力が結界を構成するために必要な術式と魔力を侵食、捕食し始める。

「戦って戦って戦って殺して殺して殺して気高く生き抜いて、そんでもって誇り高く死ねれば!
 俺たち竜人は正真正銘の竜神になれンだァ! だから諦めてなんかやらねェぞ!」

竜人にとっては、諦めは最高に格好悪い事にほかならず。
どれだけ無様でも、勝とうが負けようが最後まで戦い続ける者が戦士だと思っている。
そして、そうでなければ竜人を名乗る事などできぬし、竜神に至るなど不可能だと『知っている』。
あきらめず、武様にも結界を一層づつ魔力を食いちぎりながら粉砕していく、竜人。
速度こそ遅々たるものだが、相手の搦め手の戦術はむしろこの竜人の中の眠れる竜を起こしただけだ。
と言っても傷は深く、酸素は足りず、満身創痍なのは間違いない。

>「科学と魔導はそろそろ一つになるべきなのだよ……。
>もうすぐ、もうすぐ私の時代が来る! 魔導科学が支配する素晴らしい時代が訪れる……!
>ククク、ハーッハッハッハッハ!!」

「しらねェ……ッ、ただ、顔面ストレートォ……ッ!!」

背後で起こる気配に、何か寒気を感じながらも。
それでも真正面からアサキムではなくても誰か将の首を取らなければならない。
それだけを糧に竜人は、前に進んでいく。
多重結界の最後の層を爪が貫き、徐々に結界を引き裂いていく。
もう数秒で、竜人は結界の軛から放たれ、肉塊に近い姿で敵陣に足を進めていく事だろう。
67アサキム タグラス  ◆JryQG.Os1Y :2012/08/05(日) 22:03:56.22 ID:Cc2leWE4
「さすが、太公望殿が作られた術、すごい力だ。」
圧倒的に、壊し、潰し、暮らした竜人
それもここまでかと見えたが、しかし、
「なるほど、あの右腕相当厄介だな。」
あの右腕がある限り、そう簡単にやられはしないか、
「いっそのこと、この地に封印するか。」
なんて、考えながら、潰し方を考えていた。
【今は、体力を温存しないと、あいつと戦うのは、フルでも若干キツい。あっ、】
そうだった、式神呼べばいいんだ。
とりあえず、ヴァイサーガ、アンジュリクを召喚【SRWOGを参考】
ゲッツに、当たらせる。
「神楽のいいところは、好きに調節できる。」
アサキムは、可能な限り、結解内の酸素濃度を下げた、
68アサキム タグラス  ◆JryQG.Os1Y :2012/08/05(日) 22:35:11.28 ID:Cc2leWE4
なお、アンジュリク、ヴァイサーガについては、人と同じサイズと認識してください。
69フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/08/05(日) 23:49:11.54 ID:tKgnmSCb
さて、モブにピストルを撃たれたオレの運命やいかに!?
結論から言うと、死ななかった。
相手が実戦経験が全く無い一般人だったのが幸いし、弾丸は僅かに外れて、耳の横、ヘッドホンのようなヘッドギアを掠っていった。
その衝撃で、ヘッドギアが外れて落ちる。

「あっ、外れてしまった。もう一回!」

相手はもう一回撃とうとするが、カチッという音がしたのみ。弾切れである。

「あわわわわ……」

狼狽えるモブに対し、オレは言った。

「安心しろ、わざわざモブを殺ったりしねえよ。関係ねーけど何でリクスーなんだ?」

「あわわわわ。就職活動の一貫として参加してみまして……。
これには企業のリクルーターも来てまして……」

「ククク……就職活動……! 今やどの企業も神魔大帝の息がかかってるからなあ!
下手すりゃ改造されてあんな風になっちまうぜ!?」

手近な企業戦士を指さし、嘲笑う。妖艶に、妖の残酷さを顕にして。
背に具現化するは、2対4枚の半透明の翼。
いつも付けているヘッドギアは、強力過ぎる半妖の力を抑えるためのもの。
外した時、真の力と残酷な妖の本性が覚醒する――!
外したというかうっかり外れたのだが、外れてしまえばそんなの関係ねえ!

「モナー、フォーム《タクト》だ」

モナーが変化したのは、楽器ではなく細い棒――指揮棒である。
それをすっ――と付きつけるは、アサキムに結界をはられて尚歩みを進める竜人の戦士。
アサキムに交代の時間を告げる。
70フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/08/05(日) 23:50:54.20 ID:tKgnmSCb
「アサキム、独り占めは駄目だぞ? そろそろ交代だ。
お前はあの仮面の男とやってきな、因縁があるんだろ?」

>「しらねェ……ッ、ただ、顔面ストレートォ……ッ!!」

交代を言い渡してもアサキムがまだ未練がましく仕掛けているようだが、今更これ位でへこたれるような奴ではないだろう。
満身創痍で歩みを進める竜人の前に立ちはだかる。

「お前、イイ声してるな。遊ぼうぜえ! オレは《精霊の奏者》フォルテ・スタッカート。
共に奏でよう、戦いの輪舞曲《ロンド》を! そしたら連れてってやるよ、竜王の高みまで!」

一つ深呼吸し、指揮棒を振り始める。

「――剣の舞!!」

空間が鳴動し、虚空からオーケストラが響き渡る。
最初は弦楽器と吹奏楽器の二拍子のリズム。マリンバで奏でられる軽快なステップ。
続いて現れるは緊張を煽り立てるようなチェロの旋律。
精霊が見える者には分かるだろう、これはオレの指揮に従って精霊が奏でているのだ。
同時に空間に無数の光の剣が現れ、その半分が竜人に斬りかかり、もう半分がオレの周囲に鎧のように展開する。
それはまさに攻防一体の剣の舞。

「どうだ、イイだろう? これが精霊の奏でる究極のオーケストラさ!」

これこそが、精霊楽師の真骨頂。
自ら奏でるのではなく指揮によって精霊に奏でさせる荒業。
指揮は、オーケストラの全ての楽器を把握してはじめて出来るもの。
卓越した魔力を持ち、あらゆる楽器に精通した者だけが達する事が出来る高みなのだ。
オレは不敵な笑みを浮かべて竜人を挑発する。

「まさかこれで終わり、なんて事はないよなあ、コンサートは始まったばかりだぜえ?」
71アサキム タグラス  ◆JryQG.Os1Y :2012/08/06(月) 09:21:44.53 ID:swhwIHkG
「ったく、しょうがないな。」
徹底的に、バックアップさせようとしたのだが、フォルテがやる気なのだやるしかない、
とりあえず、まず。
怒鳴ってみる。
「おい、エストランド、貴様の、間者は捕まえた、大人しく、投稿しろ。」
そういう、おそらく屈しないと思うがあくまでも、最後の投降策
【まぁ、無理だろう。】
>「科学と魔導はそろそろ一つになるべきなのだよ……。
もうすぐ、もうすぐ私の時代が来る! 魔導科学が支配する素晴らしい時代が訪れる……!
ククク、ハーッハッハッハッハ!!」

「やはりか、何か企んでいるのは間違いないと思っていたが」

これは本格的に多世界を揺るがす前の前兆かもしれない
破壊すべきか否かは判断が問われているが
状況は此方も芳しくないように思える
そんな時に、奴が此方にやってくる

>「おい、エストランド、貴様の、間者は捕まえた、大人しく、投稿しろ。」

そろそろ例の頃合かと思った時丁度のタイミングで思念通信が入る

<主様、例の情報は入手致しました今脱出しております>
<ミキストリ殿、静葉さんの救援終りました今から後を追って離脱します>

こちらとて一人で戦っている訳ではない仕事で就いている以上は広域補助機関<サポーター>のバックアップは存在する
世界守護者機関<ガーディアン>の世界を守る組織の名は伊達ではない

「投降する理由は無くなったな、まぁ元よりそのつもりなんぞなかったが」

手には無命剣フツノミタマを召喚し、アサキムを再度見やる
協力するかは此処から次第だが怪しまれる訳にはいかない

「さて、私も雇われた以上は金額分は仕事をせねばなるまい
悪いがこれも仕事だ」

目の前の男は屈指の実力者だろう
全力で遣り合うつもりはないが、そこそこの所まで頑張るとしようと考えていた
73ゲッツ ◆DRA//yczyE :2012/08/06(月) 13:25:55.75 ID:cYK+K1bd
結界を引き裂き、酸欠に陥りかけた身体に活力を与えるため、一息で大量の酸素を取り込む。
胸が鳩のようにぼこりと膨らみ、肋が拡張、肺が限界まで膨れ上がる。
酸素の足りていない身体に一気に酸素が行き渡り、思考の霞が消え、視界はアドレナリンも有り、逆によりクリアな程。
高地に置いて戦闘や狩をしてきた彼らは一瞬で酸素を取り込むための身体構造を得ているのだ。

体調は十二分だ、戦闘に於いて体調が万全なことの方が少ないのだから、今の己は十全であり、完璧だ。
なにせ足が動く、腕が動く、思考できる、心臓が動いている、生きている。
ならば闘う上で困る点など、何一つ見つかりなどしない。

>とりあえず、ヴァイサーガ、アンジュリクを召喚【SRWOGを参考】

>「お前、イイ声してるな。遊ぼうぜえ! オレは《精霊の奏者》フォルテ・スタッカート。
>共に奏でよう、戦いの輪舞曲《ロンド》を! そしたら連れてってやるよ、竜王の高みまで!」

二人から、一挙にダンスの誘いがやってきた。
だが、より情熱的にこちらにアプローチを掛けてきた方に、竜人は視線を向けた。
すなわち、獲物であり敵であるのはフォルテ、その人だ。
決めた以上は、他は見えず、戦意も意思も全てフォルテに注がれるのだ、恋焦がれるように。

「――歌ァ苦手だが、踊りは得意だぜェ。
 良ィ曲じゃねェか、好きだぜ、こういうのはよォ――――ッ!」

迫りくる、光剣。
迫りくる、ロボットの式神。
満身創痍の竜人に、それをどうにかする術などあり得るのだろうか。
――間違いなくあり得る、そうあり得るのだ。
光剣に向けて、竜人が竜の魔力を纏わせた生身の右腕を振りぬいた。
衝撃音と閃光を放ち、大量の光の剣は弾き飛ばされ――接近していたロボットに突き刺さる。
爆発、粉砕、衝撃。
どこまでも、只々ひたすらに暴力的。
だが、信仰と言っていいほどにその力の行使は真っ直ぐで、歪みないものだ。
爆風を背に、片膝を突く竜人はその力強い視線を、柄まで通らんと意思の剣として、送り込んだ。

「ひハッ! だったら俺も見せるしか無いわなァ!
 もう一回、テメェ≠ノ名乗るッ! 高地竜人族『ハイランダー』、全方位殲滅師のゲッツ・ベーレンドルフ!
 敬意を以て伝統の戦闘技能『クレイモア』を見せてやる、そしてその身と心に刻めェ! 竜人のッ! 生き様をッ!」

震える身体で、ゆっくりと立ち上がり、竜人は傲岸不遜に叫ぶ。
戦闘の意思に呼応し左腕の魔導心臓が鼓動、左腕がその姿を変えていく。
体内に根を張るようにして同化している未完成兵器は、その影響を全身に及ぼす事が出来る。
皮膚から鋼が分泌され、真紅の鱗の上に鋼の鱗がかぶさり、背の分泌腺から吹き上がる金属が翼を形作った。
角、爪が伸張、硬化、強化。その後魔力で全身がコーティングされる。
左腕の肘から先が2m級の両刃の大剣となり、全身が二回りほど巨大化した。

竜人、否。人の因子を持つ鋼の竜だ、そこに居たのは。

力強い鋼の翼を広げ竜人は空を撥ね、駆ける。

「祖人ゲオルギウスの刃と祖竜ファフニールの血が俺らを生んだ。
 竜の魔力と聖人の刃――――それらが生む一撃を、テメェに刻んでやるッ!」

迫りくる無数の光剣を、その爪と刃で吹き飛ばし、粉砕しながら。
その鱗に、その身体に傷を刻み込みながら。
それでも、竜は――真っ直ぐにゲッツ・ベーレンドルフを貫き通そうとしていた。
74アサキム タグラス  ◆JryQG.Os1Y :2012/08/06(月) 17:08:03.54 ID:swhwIHkG
「ふっ、それでこそ、お前だ。」
さすが、ビャグに付き添うもの、飄々と逃げたか。
「じゃあ、いざ勝負。」
ブレイズをサーベルモードにし、ビャグに突っ込む。
75気持山悪乃進 ◆Vk18rsmNcg :2012/08/06(月) 23:36:06.24 ID:JM+kwoP/
「神の使いである私が見るところによると、この世界は救いを求めておるようだな。
いや、救いを求めているのは私か。」

1人の男が西瓜を片手に歩いている。
どうやら道に迷ってしまったようだ。

名前:きもちやま わるのしん(気持山悪乃進)
種族:人間
性別:男
年齢:20代後半
技能:自称・大魔道士
外見:キノコのようなヘアースタイル 無駄に神々しいローブ
装備:いざないの杖、謎の小袋、黒歴史の書
操作許可指定:参加者のみ可
設定許可指定:参加者のみ可

76フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/08/07(火) 01:56:31.28 ID:kH1T3jtH
>「――歌ァ苦手だが、踊りは得意だぜェ。
 良ィ曲じゃねェか、好きだぜ、こういうのはよォ――――ッ!」

竜人が右腕を一閃すると、光の剣が弾き飛ばされロボットを破壊した。

「ひゅーっ、やるじゃん!」

>「ひハッ! だったら俺も見せるしか無いわなァ!
 もう一回、テメェ≠ノ名乗るッ! 高地竜人族『ハイランダー』、全方位殲滅師のゲッツ・ベーレンドルフ!
 敬意を以て伝統の戦闘技能『クレイモア』を見せてやる、そしてその身と心に刻めェ! 竜人のッ! 生き様をッ!」

何故だか分からないが、新たな神曲に出会った時のように胸が高鳴る。
曲目変更だ。こいつと踊りたくてたまらない。
タクトを高々と頭上に掲げる。指しているのは遥か天空の彼方、星界。
乞うは、星界に舞う流星の精霊の加護。

「望むところだ! 全部教えてくれ! "命、夢、希望、どこから来て何処へ行く?"
――”DANCING MAD《妖星乱舞》第4楽章”!」

演奏開始――。パイプオルガンの重厚な和声から始まり、直後曲調は急転直下ロック調へ。
破壊の衝動の中に見え隠れする悲哀。
この曲は、宿命の戦いの曲。そして、狂気に堕ちた哀れな道化師のテーマだ。
精霊の加護が降りてきた。オレは妖精の翼を広げ、地面から僅かに浮き上がる。

>「祖人ゲオルギウスの刃と祖竜ファフニールの血が俺らを生んだ。
 竜の魔力と聖人の刃――――それらが生む一撃を、テメェに刻んでやるッ!」

竜人の、非常識な長剣と化した左腕が迫ってくる。

「竜人は名前の通り半分が人で半分が竜だったのか。
つまり……お前の種族のアダムとイブはとんだヤンデレ同士だったわけだ!」

軽口を叩きながら、軽く地面を蹴る。
重力が無い世界で舞う蝶のように跳び、電光石火で突き出された刃を避けた。
――と思ったが避けきれなかった。脇腹を薄く薙がれ、真紅の筋が虚空に飛び散る。
それはあまりに人間的で、背で虹色に輝く妖精の翼とは似つかわしくない物。

「半妖――決して受け継がれることは無い一代限りの種だ。
恋とは完全なる者への憧憬。父さんは星の命そのものに心奪われた」

タクトの一閃に合わせて、竜人めがけて小型の流星が堕ちる。
竜人はそれを左腕の刃で粉々に粉砕する。

「さぁ、オレのハートを貫いてくれよ。Sall we Dance?」

戦いに焦がれる者と音楽に焦がれる者の乱舞がはじまる。
交差するは鋼の翼と虹の翼。激突するは竜の魔力と妖の魔力。
閃く巨刃と堕ちる流星が戦場を彩る。
77ゲッツ ◆DRA//yczyE :2012/08/07(火) 12:52:27.58 ID:Zdb1zbPD
>「ひゅーっ、やるじゃん!」

「この程度で声援あげてちゃこっから先ァ絶叫して絶望して絶頂しちまうぜェ!?
 ヒィッッハッハ――ッ!」

暴力、暴威、暴虐。
それらすべてを司るように、何もかもをも殲滅して駆け抜けていく。
彼は戦種は全方位殲滅師[ジェノサイド・マスター]。
こと攻撃力、攻撃手段に関しては無類の実力を持つ、破壊、殲滅、抹殺のエキスパート。
だからこそ、そう簡単に壊れない、そう簡単に終わらない相手をこの竜人は求めていた。
そして、今目の前にいるのは、『それ』だ。

>「望むところだ! 全部教えてくれ! "命、夢、希望、どこから来て何処へ行く?"
>――”DANCING MAD《妖星乱舞》第4楽章”!」

「はッ、知らねェよ。だが、テメェと遊ぶのはきっと楽しいぜェ!
 それだけは絶対に間違いねーわなァッ!」

鳴り響く、荘厳な音色。
物悲しさと、狂気、そして戦わなければならないという意思を感じさせる、その音色。
当然、竜人には音楽理論など理解するべくもないが、本能で理解する。相手もこちらと遊びたいのだと。
広角が釣り上がり、鋭い牙を剥き出しに竜人は翼を動かし、空を粉砕する轟音で、飛翔。
速度をより増し、2mを優に超える、数百kgの鉄塊は、咆哮を上げながら、接近。

>「半妖――決して受け継がれることは無い一代限りの種だ。
>恋とは完全なる者への憧憬。父さんは星の命そのものに心奪われた」

「は、ンな事言ったら俺らだって、竜と人だぜ。
 そして、憧憬だか道警だかホーケーだか知らんが、とりあえず俺ァテメェと刻みあいたい!
 今は、それだけで十分ッ! だろォ!?」

落下していく流星に、鋼が速度と重量を以て抱擁を交わす。
抱擁は余りにも激しく、流星は粉砕されて。
だが、その美しさに竜人は見せられ、より先を求めて竜人は肉体を駆動させる。
引き絞られた弓から解き放たれる矢の軌道で、空には下がっていく無数の線と、駆け上がっていく一筋の線が描かれた。

>「さぁ、オレのハートを貫いてくれよ。Sall we Dance?」

「傷ってのはわかりやすいつながりだぜ。俺はテメェのハートに俺を刻んでやる。
 だから、テメェも俺にテメェを刻みなァ! 全部全部、真っ向から受け止めてやるからよォ!」

鋼の鱗に罅が入り、限界に近い肉体を駆動させる事で、激痛で視界がスパークする。
ああ、楽しい。心のそこから、竜人はそう想えた。
絶対に、俺の存在をお前に刻み込む。そう、決めた。

きっと、その思考は狂っている。
きっと、その考えはおかしいものだ。
きっと、その姿は醜いだろう。

だが間違いなく、この空間、この事象は美しい。
竜人は、力で己を相手に刻むために。
半妖は、歌で己を示すために。
只々、憎みあうでもなく、敵対するでもなく。
遊ぶように、彼らはぶつかりあう。ひたすらに。
>「ふっ、それでこそ、お前だ。」

相手の言葉に対してはこの場では怪しまれないように無表情を装う
どうせなら彼にも協力してもらうのもいいのかも知れないが
あくまでも今想定している事を実行できる事が不可能になるほどの
行動に支障をきたすのが拙いのだ

>「じゃあ、いざ勝負。」

やってきたアサキムに対して余裕を見せるようにバックステップを踏み後方に下がる
そしてそれと同時に自身の周囲に黒い魔力で出来た十字剣が何本も出現させると

「まともな勝負になるかはこれからと君次第だ
こっちとしては殺す気は毛頭ないがね、詰らんリスクを背負うつもりもない
短い間だと思うがお付き合い願うよ」

愛想笑いをした後、一気に殺気と威圧感が膨れ上がる
79フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/08/08(水) 04:21:29.74 ID:FEZINwe4
>「は、ンな事言ったら俺らだって、竜と人だぜ。
 そして、憧憬だか道警だかホーケーだか知らんが、とりあえず俺ァテメェと刻みあいたい!
 今は、それだけで十分ッ! だろォ!?」

「ああ、十分すぎる位……!
この姿を見て怖がらないのはお前が初めてだ」

初めて、と言っても人前でこの姿になったのは何十年ぶりだろうか。
人間側から見れば禁忌でも、人間以外の種族の側から見れば何でもないものかもしれない。
それでも、初めて父さん以外の他人に本当の姿を認めてもらえたように思えたのだった。

オレは昔人間の学校に通っていた。自分でも少し変わった人間程度に思っていた。
しかしリア厨の頃DQNに絡まれて力を暴走させた日から、周囲の態度ががらりと変わってしまった。
得体の知れない者に対する畏怖の目。腫れ物に触るような態度。
色んな種族がうようよしているこの世界だが、人間だけは他と一線を画しているのだ。
他の種族との間に平均的な能力値で歴然とした差がある彼らは、同種同士で集まって身を守る生態がある。
――故に、他の種と交わる事は人間達の間でいつしか禁忌となった。
後天的に人間から他の種族にクラスチェンジする者もいるが、それは文字通り人間をやめる事なのだ。

「なんて、綺麗なんだろう――」

束の間の思考から帰還し、流星と鋼の饗宴に場違いな感想を抱く。
80フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/08/08(水) 04:23:46.13 ID:FEZINwe4
>「傷ってのはわかりやすいつながりだぜ。俺はテメェのハートに俺を刻んでやる。
 だから、テメェも俺にテメェを刻みなァ! 全部全部、真っ向から受け止めてやるからよォ!」

「浅葱の月の翅の舞い踊る宵――”月翅《つきはね》”――
これでラストだ、この歌で、お前にオレを刻み込む! オレの歌を聞けえええええええええ!!」

オレは笑っていた。心の底から笑っていた。やっぱり締めはヴォーカル曲で。
太古の昔とも、遥かなる未来とも、他の惑星とも取れるどこかにて、飛び立つ”蝶”を祝福する歌。
終始明るい長調のその曲は、戦いの場にはあまりに似つかわしくなく――
そして今この瞬間にあまりに合っていた。
さっきまで肩で息をしていたのに、嘘みたいに呼吸が整う。
そして語りかけるように、歌いはじめる。

「月影る闇に咲く華 底知れぬ深淵を見つめた
時を漂い続けた君は 星屑の掃き溜めにて目覚めた」

タクトに光が集まり、光の剣となる。それは精霊力の実体化、莫大な魔力の結晶。
歌いながら戦う事は物理的には可能。
しかしそれがいかに至難の技かは、アイドルグループの口パク騒動を見れば分かるだろう。
だからやろうとするバカは滅多におらず、技として確立もされていない。
これは味方にかける事を想定した補助魔法を自分にかけているのだ。
でも、今なら出来る確信があった。

「水を蹴って翅広げ 青年の日に別れを告げ今飛び立とう
黄金の粒散らして」

迫りくる鋼の刃。魔力を乗せた光の剣で、真っ向から切り結ぶ。
力と力が弾け、火花が散る。
いつの間にか体には無数の傷が刻まれていた。
しかし恐いほどに痛みは感じず、感じるのは上り詰めていく高揚だけ。

―― そうだ、この戦いが終わったらローファンタジアを出よう。
都会に幻想を抱いてとりとめのない夢を追い求めるありがちな田舎の若者の日々は終わり。
旅の目的は――母さんを探すこと。会いたいなら自分から探しに行けばいい。

「一夜の夢織り上げる宵に安息の繭はほどかれてゆく」

果たして、その瞬間は訪れた。光の剣の切っ先が竜人の心臓を捕える。
コンサートは最高潮に上り詰めた。“今だ”――全感覚がそう告げていた。

「浅葱の翅の女神の唄に狂わされた 獣の魂が踊り燃ゆ」

一気に滑空し、竜人の心臓に光の剣を突き立てる。それは鋼鉄をも貫く精霊力の剣。
刺し違えてもいい、いや、刺し違えるなら本望――!
81ゲッツ ◆DRA//yczyE :2012/08/08(水) 10:31:58.19 ID:WzJPjSln
>「ああ、十分すぎる位……!
>この姿を見て怖がらないのはお前が初めてだ」

「はッ――そりゃ当然、ハイランダーで最高最強のイケメンだ。
 むしろ超カッケェし、超綺麗だぜヒャッハハハハッハハハハッハハァッ!
 ま、俺の方が万倍イケメンだけどなァ――ッ!」

――鱗の赤いハイランダーは存在しない。
暗色と青系統の鱗ばかりのハイランダーの中で、ゲッツの存在は特別なものだった。
祖竜ファフニールの鱗は朱、その朱の理由は鱗に降りかかった血が炎で染め抜かれたから、と言われている。
母親の胎内を突き破って生まれたゲッツは、母親の血よりも尚赤い鱗を持つ、血の竜人だった。
幾ら戦いに身を置くことを好むハイランダー族とはいえど、赤い鱗の竜人は受け入れられ難い。
災いの竜人、それが神官から彼に与えられた魂の神名だ。

だが、己の出自も、己の人生も、己の名も、己の運命も。
この竜人は何もかもを後悔したことは無い。
迫害されるなら、それを跳ね除ける力を身につける。
殺されるなら、殺されなければ良い。
だが、それでも誰かに己を理解して欲しい、そう思う気持ちだけは、あった。
自分の全てを叩きつけることの出来る機会を、己の知らぬ己を引き出す相手を、求めていた竜人は。
相手こそが、それなのではないかと、本能的な何かで感じていた。

>「なんて、綺麗なんだろう――」
「はッ――ッハッ……ッ! ヒハッ!
 ヒャハハハハッハハハッハハッ! 最ッ高の気分だッ! 今の俺なら、星だって砕いて魅せらァ!!」

相手の感想の繊細さとは、真逆の感想。
品性の欠片もない、血の混じるしゃがれ声。
相手の紡ぐ歌とは比べるべくもないほどに、泥臭く、乱暴な声。
だがそれ故に、伸びやかに、力強いあり方が示される。
82ゲッツ ◆DRA//yczyE :2012/08/08(水) 10:32:50.73 ID:WzJPjSln


流星を前に竜は、尚舞い上がる。
ただ上を、ただ先に居る相手と刻み合うために。
空を――――切り裂いて。

>「浅葱の月の翅の舞い踊る宵――"月翅《つきはね》"――
>これでラストだ、この歌で、お前にオレを刻み込む! オレの歌を聞けえええええええええ!!」

莫大な魔力量、それを見て、笑う。
そして、己の望み、己の強くなりたい意思、己の力を求める強い情動に従い進化する武装。
己の義手、非究極未完成兵器『竜刃』が『竜刃昇華』[シェイプシフト]する。
魔導心臓が体内に溶け込み、竜の血の流れる生身の心臓と同化、一時的に体内に莫大な魔力を完全に供給させる。
閃光が、竜人の身体から生じた。
『進化の光』が、巻き上がる風と共に相手の光の刃とぶつかりあう。
鋼の鱗を砕き、赤き肉体を引きちぎり、そして衝突、衝撃、爆発、爆裂。

「ッハッ! 来いよ、来いよ、来いよ来いよ来いよ来いよッ!
 行ってやるぜ、どこまでもッ! 絶対にッ! テメェの元にッ! 俺を刻みにッ!」

絡みあうように、じゃれ合うように、必死必殺の剣閃がぶつかり合い。
心の賦に突き立てられる光の剣が、竜人の装甲を貫き、血を吹き出させた。
だが、終わりではない。竜人の瞳がまだ死んでいないからだ。
突き立てられた剣を中心に鱗に罅が入っていく、中から漏れるのは、赤い光。

「ぐ……ッ、が――ァッ! まァダダァッ!」

胸に生じた裂け目から、血の混ざる静謐な魔力が、暴虐となって吹き上がる。
理解する、コレが、竜神へ繋がる力の一端だと。
笑う、そして感謝。この高みまでたどり着かせた、フォルテの存在に。
だからこそ、叩きこむ。己の全身全霊全力全開を。

「――――竜刃昇華『アスカロン』ッ!」

胸の裂け目に手を伸ばし、竜人は己の血を握りしめ、何かを引きぬくッ!
左腕と同化した『それ』は――竜人の持つ刃を崩壊させ、さらなる領域に消化させる。
祖人ゲオルギウスの駆る聖剣と同じ名を冠した、必滅の刃は、閃光の剣――奇しくも相手のそれと似通った形を取って、顕現。

「テメェの名、まだ聞いてなかったな、そういや――――」

思い出したようにそう呟いて。
竜人は絶命と同時に、相手の胴を真っ二つに両断した。
笑みながら、崩壊する肉体を引きずり、大地へと落下していく竜人。

「――――刻みな、テメェの名を」

意識を失う間際に、ちいさくそう呟いて。
竜人の身体は崩壊し、鋼の心臓のみを残して大地に消えていったのだった。
83フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/08/09(木) 02:59:12.13 ID:d8rmNBNX
>「はッ――そりゃ当然、ハイランダーで最高最強のイケメンだ。
 むしろ超カッケェし、超綺麗だぜヒャッハハハハッハハハハッハハァッ!
 ま、俺の方が万倍イケメンだけどなァ――ッ!」

「ふっ、確かにイケてる。真紅の鱗も、鋼鉄の鎧も、何もかも全部!」

初めての感情が沸き起こる。こいつの事をもっと知りたい。
他人になんか興味は無かった。美しい曲に出会い音を奏でてさえいれば十分だった、それなのに。
こいつはきっとオレととてもよく似た形の魂を持っていて、それでいてオレよりもずっと強くて揺るぎない。
光に包まれた竜人は、神々しくさえ見えた。

>「ッハッ! 来いよ、来いよ、来いよ来いよ来いよ来いよッ!
 行ってやるぜ、どこまでもッ! 絶対にッ! テメェの元にッ! 俺を刻みにッ!」

突き立てた光の剣が、過たず竜人の心臓を穿つ。
真っ直ぐに瞳を見て告げる。

「オレは行ったぞ――だからお前も来い!」

>「ぐ……ッ、が――ァッ! まァダダァッ!」

鱗の罅から赤い光が漏れ出す。
胸の裂け目から膨大な魔力が溢れだす。

>「――――竜刃昇華『アスカロン』ッ!」

引き抜くは眩い閃光。竜人の祖人の刃を想起させる、光輝く剣。

>「テメェの名、まだ聞いてなかったな、そういや――――」

閃光が美しい弧を描く。それを最後に竜人は絶命し、地面へと落ちていく。
手を伸ばして一緒に落ちる。

「それなら最初に言ったよ? あ、れ……」

気付けば上半身と下半身がさようならしていた。
何かのゲームで上半身だけのドラゴンでハーフドラゴンなんてネタがあったけどあれか。
文字通り半分ってやつ。

「上手いよ……上手いギャグだ――」

上手いけどスプラッタ過ぎて子ども泣くぞ。

>「――――刻みな、テメェの名を」

その言葉を最後に竜人の肉体は崩壊し、鋼の心臓のみが残る。

「もう忘れちゃった……? 酷いなあ。
今度は忘れないように、ここに書いておくからね……」

鋼の心臓に、指を滑らす。Farte Stacattoと、光の文字が描かれる。
躊躇いながら、告げる。

「ゲッツ・ベーレンドルフ……オレを真っ二つにしたのはお前が初めてだ……
オレさ、旅に出ようと思うんだ。よければ、一緒に来てくれるかな……」

我ながら、初めての友達を遊びに誘う時みたいだ。
そう思ったのを最後に、意識は眩い光に呑まれた。
84 ◆jIx.3BH8KE :2012/08/09(木) 03:07:06.73 ID:d8rmNBNX
客席にやたらハイテンションな実況が響き渡る。

『おーっと、注目のバトルに決着が付いたようです! 相打ちですっ! たった今っ、双方壮絶に絶命しましたっ!!』 

人間の身には過ぎたる魔力の行使の影響か
半妖の肉体は朽ち果てて荒野を吹き抜ける風に散り、半実体の翼が結晶化して虹色の宝玉のような球体になる。
星の巫女は、半ば呆れ半ば感心したように部下に告げた。

「随分派手にやりましたね……。至急2人を回収して蘇生に回してください」

「しかし蘇生は死亡者を後で全員まとめてという手はずではないですか?
それに神魔大帝側は向こう側で蘇生するんじゃ……」

「今すぐに!」

「――はっ、ただちに!」
85アサキム タグラス  ◆JryQG.Os1Y :2012/08/09(木) 21:47:05.52 ID:gJ8PXMPL
「ふふ、じゃあ、行くよ。」
まずは、軽くサーベルで、攻撃
まぁ、これは、見事にかわされる。
【密室空間を作らないと、】
そう思いながら、不意を付けないかを見る。
「いいや、このままやろう。」
【天望結解 星空】
この結解は、ただ上空で、星空散歩をするためだけに、アサキムが作ったものである。
やがて、結解が上空やく2500メートルまで達すると、アサキムは口を開く。
「おまえの目的は、何だ。」
だが、ビャグは、動揺する素振りを見せない。
「真魔大帝には仙界から、介入が行われるはずだった。それぐらい知ってるだろう。」
一呼吸つき
「聞こう、仙界の者として、時の管理人として、」
>【密室空間を作らないと、】
>【天望結解 星空】

先ほどの戦場とは変わり、なにやらグングン上昇していくが
此方としてもある意味では好都合だが如何せん防音に関しては不安があるが
ある一定の高度まで来ると止まる

>「おまえの目的は、何だ。」

「ふむ目的ときたか、君も一応かつての共に戦った者として分かっていると思うが?」

彼の今の存在意義―それは多世界の危機を排除すること
この世界に来たと言う事そう言う事なのだが
口にするまでの事でもない

>「真魔大帝には仙界から、介入が行われるはずだった。それぐらい知ってるだろう。」
>「聞こう、仙界の者として、時の管理人として、」

「そのような情報もあったが、あくまで俺は第三者として此処に来ている
この世界の自浄存在と協力すれど、他の世界の介入など私には関係ない
我等は我等の仕事をするだけそれだけの話だ」

と真実半分を含めて話しながら此処である提案をする

「正直な話、星霊教団の情報も欲しい此処は交換条件でどうだ?
私が神魔コンツェルンの情報を提供するそちらは星霊教団を
どうも今回の件は此処だけの話いろいろきな臭い
手を組み、協力したほうが双方利益があるだろう?
僕はこの世界の子供達や善良な人達を守りたいんだ」

アサキムを見る目は真剣で見る
其処には嘘等微塵もない瞳があった仮面越しでも
誰かを想う強さを持っていることが分かるだろう
87アサキム タグラス  ◆JryQG.Os1Y :2012/08/09(木) 23:18:35.74 ID:gJ8PXMPL
「奴の目的は、英霊つまり、過去の英雄を呼ぶもの、そんなことしたら、世界は、」
しばらく、考え、
「わかった、出来る限り、の情報をやろう。つーか静葉いたんだから。」
あきれながら、
「実を言うと、星の巫女は正直言って、理解不能だった。」
「八潮折、通常、酒天童子の精を用いる。が、使うときチャージがいる。」
「が、星の巫女は、それをせずに、八潮折を完成、永遠に使えるようにした。なぜなんだ。」
「あと、フォルテを守ったこと、まぁ、飛び過ぎかと思うが、信用を得るため、怪しすぎる。」
まぁ、と前置きし
「俺の位は仙界では、高い方だが、星の巫女については、トップシークレットにはいる、太公望殿に協力してもらうとか、」
88 ◆jIx.3BH8KE :2012/08/10(金) 00:13:14.83 ID:659wzSFY
【新規さんが気付いてないといけないのでもう一度避難所URLを貼っておきます。
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/3274/1343828074/l50
気付いとるわボケ!と思っても許して〜】
89 ◆jIx.3BH8KE :2012/08/10(金) 01:43:17.71 ID:659wzSFY
運命の時は、着々と迫っていた。

「神魔大帝様、準備が整いました」

怪しげな装置のスイッチが入れられる。
その瞬間、装置の円形の舞台のような場所で空間がスパークし、衝撃波が巻き起こる。

「キャーーーーー!!」

フォルテ&ゲッツの死体、というよりもはや原型を止めていないパーツを回収していた星の巫女の部下が
悲鳴をあげながら吹き飛ばされる。

「あいたたたた……なんですか、あれは!?」

彼女が見た物は――英雄のイメージとは程遠い不定形の何かだった。
人の姿をしているようにも見えるが、その性別年齢は特定できない。見る度に違う姿の様にも見える。
観客席では例の占い婆さんが死にそうな形相で叫んでいた。

「おお……! 何という事じゃ、世界は終わりじゃ……!」

「大帝様、何か手違いで違う物出て来たんじゃありません!?」

「大丈夫だ問題ない、むしろ見よ、この膨大な魔力!!
今こそ私は魔導科学の力を持ってこの世界の神として君臨するのだああああああああああああああああ!!
さあ来い、《英霊》!! 契約だ!!」

神魔大帝の手下も流石にヤバイと思って止めるが、権力欲に目が眩んだ神魔大帝は取り合わず、得体の知れない“それ”を迎え入れる。
その瞬間、神魔大帝の目つきが変わる。得体の知れない何かに乗っ取られたのだ。
90 ◆jIx.3BH8KE :2012/08/10(金) 01:44:18.49 ID:659wzSFY
『ククク……愚かな人間共よ、私に平伏せ。さもなくばこうなるぞ』

神魔大帝が腕を一閃すると、よく分からん波動が放たれ、観客席の人間が数百人一気に死亡した。
まだ平伏さないとも言ってないのに返事も聞かずに瞬殺とは酷い話である。

「かつて数多の世界を滅ぼしてきた《大いなる厄災》――予想よりも早く来てしまったようですね……」

ここに来て星の巫女が立ち上がる。
部下の女性に歩み寄り、静かに告げる。

「後の事は頼みましたよ、それと、その子は必ず丁寧に蘇生させるのですよ。
傷など残らないように。
……いえ、初めての親友に付けられた傷なら、一つぐらいは残ってもいいかもしれませんね……」

「巫女様、何を……!?」

巫女は、部下の問いには答えず、今度はエスペラントの方に語りかける。

「えへへ、久しぶり。
以前の戦いで来た時、この世界はこのまま発展すればいずれ巨大企業が支配する世界になるだろうと思った。
資本主義至上団体が精霊達を統べる力までも取り込んだら、間違いなく世界は滅びる。
だからずっと前から姿を変えてこっちの世界に潜りこんでいたんだ。
でも……駄目だったみたい。相手の権力欲を煽り厄災を呼び寄せる結果になってしまった……」

そして神魔大帝の前まで行き、朗々と名乗りをあげた。

「元よりこれは私とあなたの戦い……。
星の巫女”アマテラス=ガイア”が直々にお相手します-――!!」

その背に顕現するは、3対6枚の翼。それは、神格の妖精の証だ。

「ほう、早々と死にたいと言うか、良いぞ、受けてたとう!」

神魔大帝は、紅く光る刃を両手に出現させる。
スターウォーズでおなじみのビームソードである。
対する星の巫女が構えるは、虹色の宝石があしらわれた美しい杖。
奇しくもその杖の名はフォルテの持つ楽器と同じ、”エレメントセプター”だ

こうして、神々の戦いが始まった。
>「奴の目的は、英霊つまり、過去の英雄を呼ぶもの、そんなことしたら、世界は、」

アサキムはそのように思っていたようだが実情そんなものではない

「その認識は合っているが、奴の真の目的はその先だよ
その力を手に入れようとしている自分と同化してな意のままに操る
このまま聖杯戦争を始めるならまだしも厄介なことをしてくれる」

彼はいわば別世界のカテゴリーで当て嵌めるのなら守護者やサーヴァントのようなものだ
それが奴が呼び出そうしている者がこの世界を守るために来たとは皮肉以外の何者でもない

>「わかった、出来る限り、の情報をやろう。つーか静葉いたんだから。」

「実際に教団に居た者と外部から入手した者とは視点が違う情報は判断材料が増える
故にまるで一方向と別方向から見ている者の情報は精度がまるで違うぞ?」

外部から手に入れられた情報だけと内部事情に詳しい者の情報の組み合わせは格段に整合など質が
遥かに上がる。もっともまともな思考判断しているのが前提条件であるが
それからアサキムの話を聞く限りに星の巫女に関する情報はトップシークレットらしく詳しくないらしいが
まずまずの収穫だろう

「兵器の類は見ての通り、既にこの世界と別世界の狭間に建設できるほど衛星兵器の類に囲まれてる
本気を出せばこの世界は衛星兵器の質量兵器やらレーザーなどのエネルギー兵器が降り注ぐ
この戦いで偶然を装って破壊したかったが」

既にこの世界は多くの衛星兵器に囲まれているため制空権を握られている
性質の悪い事に世界と別世界の狭間での間に戦略兵器すら作られていることだった

「そして奴が作った装置は聖杯を魔導科学で再現した紛い物だ
当然呼び出す英霊の品がなければ召喚主との相性の良い者が呼ばれる
性質だけ言えば月にあるムーンセルに近いものがあるな、相手が呼び出した主を認めた者がやってくる
奴は安全を取ったと言う事さ、呼び出した者に殺されぬように」

装置についても調べた限り自分の考えも含めて言っているが
再現出来たのは中々出来る事ではない大企業だけの事はあるのかもしれない

「神魔大帝についてはこの世界の者ではない、別世界から遣って来たようだな
少なくてもあの戦い以前に会った事のある存在ではない、目的のほどは恐らくは―
なんだ?下で何か起きているぞ」

そして下に視線を向けると案の定、例の装置は稼動し
それは召喚されていることに気づく英霊などでは断じてない
呼んでは決していけないそれは召喚されてしまった

「僕は行く!アレを阻止するためにここに来たんだ
先に行ってるよ!!」

空間をぶち破り下へと降下していくと同時に神魔大帝の方に向かうのであった
92アサキム タグラス  ◆JryQG.Os1Y :2012/08/10(金) 18:34:09.11 ID:MIq9/Xbx
「ったく、面倒なことをって、そこから飛び降りんな。」
勢いよく、行ってしまった。
「さて、俺も戻らんと、ってなんだあれ、」
アサキムがみたのは、妖蛇しかも八首
「早く行かないと、」
アサキムもそこから飛び降りる。
93◇DRA//yczyE:2012/08/10(金) 22:35:23.30 ID:n3NvgDBC
「我が名は、神魔大帝――否、頂天魔アイン・ソフ・オウル[Ain Soph Aur]ッ!
 我が無限光の刃の前には、貴様如きもはや敵ではないという事を教えてやろうッ」

無限の光、それを顕す様に、赤く禍々しい一対の翼が背から吹き上がる。
照らし出されるローファンタジアは、闇の光という矛盾する要素に次第に支配されつつあった。
光ではあるが、間違いなく聖性など持たず、純粋な邪気のみでその存在は構成されている。
その密度、その存在の格、その禍々しさを言い表す言葉は無数に有れど、最も陳腐な言葉で顕すとすれば、一言。
魔王と言う他にない姿と力と暴虐だ。

――神々の衝突が始まる。
両手の剣、至光剣『無銘』を握りしめ、《大いなる厄災》、アイン・ソフ・オウルはアマテラスを睨みつける。
もはや視線で弱き者なら死にかねない圧が掛かったその瞬間、頂天魔はその姿を消す。
移動だ。

「――――無ゥンッ! ■■■■ッ!」

空間を捻じ曲げながら、莫大な存在感はアマテラスに近づいたのだ。
振り上げられる右の剣は、一閃で並大抵の命ならば蘇生不能な死を与える威力を持つ。
袈裟斬りが、アマテラスの身を浅く裂き、遥か彼方へと吹き飛ばす。

後塵には、神魔大帝の部下達が移動の煽りを受けて、死傷している。
だが、もはや彼にそれを省みる感情も、必要もない。
個として究極の完成体に至った以上、もはや未完成な人間に意識を向ける意義など無いのだから。

>「僕は行く!アレを阻止するためにここに来たんだ
>先に行ってるよ!!」

「不敬ッ! 神を前にひれ伏さぬ者は死せよ、■■■!」

己の頭上から来るエスペラントを睨みつける頂天魔。
左腕を翳し、軽く振りぬけばエスペラントはアリーナの端まで吹き飛ばされた。
存在の密度が異様に高く、世界に対する干渉度がケタ違い故に、魔力など欠片も込めずともこのような芸当が可能となる。
94アサキム タグラス  ◆JryQG.Os1Y :2012/08/10(金) 22:57:53.86 ID:MIq9/Xbx
「ビャグ!!」
吹き飛ばされた、奴を見て驚き叫ぶ。
「神と手合わせぐらい、何度もやってるよ。」
ブレイズを終い、天舞の矛を取り出す。
「覚醒、」
一気に、仙気を解放する。
「災害は、排除するのみだ。」
>>「否、消えよ」
災害野郎が、にらみつけるが、
「おまえと、同じことをしているから無意味だ。」
降下する際に聞こえた声はかつて共に戦った戦友だった
その独白が聞こえてくる。

>「えへへ、久しぶり。
以前の戦いで来た時、この世界はこのまま発展すればいずれ巨大企業が支配する世界になるだろうと思った。
資本主義至上団体が精霊達を統べる力までも取り込んだら、間違いなく世界は滅びる。
だからずっと前から姿を変えてこっちの世界に潜りこんでいたんだ。
でも……駄目だったみたい。相手の権力欲を煽り厄災を呼び寄せる結果になってしまった……」

「……もしも両方とも破壊しようとしていた僕が言えた義理はないが
よくやったんじゃないか?ちゃっかり幸せに暮らしてるじゃないか君の子供の顔も見れたしな
自分の子供に反乱を起こされるほどじゃないことがよっぽど幸せだよ」

過去にあった自分が親と名乗るにもおこがましい自分と静葉との間の子供の一人の起こした騒動を苦笑しながら
自嘲気味に語る

>「不敬ッ! 神を前にひれ伏さぬ者は死せよ、■■■!」

圧倒的攻撃によりエスペラントはアリーナの端まだ勢い良く叩きつけられるが
その際に起きた煙が完全に晴れる頃にはそこには黒い魔力で出来た十字剣、無想剣が地面に突立てられて
それがボロボロに崩れて消える頃に居ないはずの上空から声が聞こえる

「それと、誰が馬鹿正直に突っ込むと言った?」

先ほどの幻影―アサキムとの戦いで出現させていた無想剣にエスペラントの虚像を載せていた
言わば自身の技で編み出した物で自身を幻影着せて先行させていたと言う事だった
降下の速度と相俟って無命剣フツノミタマから禍々しい和弓へと変化させて
周囲にある無想剣を絨毯爆撃の如くアイン・ソフ・オウルに近づく瞬間に爆破する物を含めて
射出し、弓の弦を引き

「穿て!ヤドリギの矢よ!」

神すらも貫いたヤドリギの矢を目にも止まらぬ速度で撃ち続け
それは着地するまで続け、着地した後に武器をハルバートに変えた

96アマテラス=ガイア@NPC ◆jIx.3BH8KE :2012/08/11(土) 08:28:10.99 ID:tjsQXH3X
フォルテ死亡中につき今回の語りはわたくし星の巫女が務めさせて戴きましょう。
……いえ、テンプレ女神っぽい雰囲気を醸し出して信仰を集めるためにキャラを作っていたのですが
もはや取り繕う必要はないですね。
ボクの本名はフェアリー・テイル・アマテラス=ガイア。
異界から来た神格の妖精。出身世界でうっかり世界を救ったら、多世界を守る存在の一席に加えられてしまった。
こんなに長いDQNネームなのは、一介の妖精が色々あって星の女神の神格を受け継いだからだ。

>「我が名は、神魔大帝――否、頂天魔アイン・ソフ・オウル[Ain Soph Aur]ッ!
 我が無限光の刃の前には、貴様如きもはや敵ではないという事を教えてやろうッ」

神魔大帝がその正体を現す。それを見て確信した。
《大いなる厄災》に乗っ取られたのではない――分かっている上で一体化して双方利用しあっているのだ。
どちらも単体ずつなら神格の存在複数でかかれば倒せない相手では無いけど……合体された今となってはその力は未知数だ。
まずったなあ、こんな回りくどいことをせずに神魔大帝を形振りかまわず倒しておくべきだった。

>「――――無ゥンッ! ■■■■ッ!」

空間を捻じ曲げ、頂天魔はボクの目の前に現れる。
袈裟切りを当てられ吹き飛ばされる。
魔法で風を起こして体勢を立て直し着地。

>「……もしも両方とも破壊しようとしていた僕が言えた義理はないが
よくやったんじゃないか?ちゃっかり幸せに暮らしてるじゃないか君の子供の顔も見れたしな
自分の子供に反乱を起こされるほどじゃないことがよっぽど幸せだよ」

「一応子どもっちゃ子どもになるのかな……。
あれは神の力の欠片と人が紡ぐ歌から生まれた、本来生まれるはずの無い存在。
世界法則のエラーをすり抜けてしまった出来損ないだ」

人間の尺度で言うと何とも無責任な発言だが
神々の世界では、親から見て子は自分の力を受け継いだ存在、程度の認識でしかない。
声をかけるように仕向けたのも先刻庇ったのも気紛れだ……きっと。

>「穿て!ヤドリギの矢よ!」

「――コントロールプラント」

ヤドリギの矢から無数の蔓が伸び、アイン・ソフ・オウルに絡み付く。
相手の魔力を吸い取る魔木ヤドリギの力を使った魔的な拘束。
ハルバードを構えたビャクさんに告げる。

「ビャクさん、《大いなる厄災》と神魔大帝に分離できればなんとかなる――
ボクが結合を弱めるからその隙に切り離すんだ! ――プリズミックミサイル!」

対象を本来の姿に戻す力を持つ、無数の虹色の光が放たれる。
97アサキム タグラス  ◆JryQG.Os1Y :2012/08/11(土) 23:09:10.65 ID:Pcc4JZcO
「ったく、お前の行く先は本当に、騒動があるな。」
半ば、テイルに呆れながら、
【試すなら、今か、】
聖剣キングラウザーを召還する。
【spade10 spadeJack spadequeen spadeking spadeace royalstraightflash!】
破壊神の前に、五枚の覚醒したアンデットカードが立つ。
「永久に、封印されろ、ロイヤルストレートフラッシュ」
剣から、衝撃が走り、五枚の、カードを走り、増大する。
【仮面ライダーブレイド参照】
98[NPC]頂天魔アイン・ソフ・オウル ◇DRA//yczyE:2012/08/12(日) 00:01:35.66 ID:k7K5hOSh
>「災害は、排除するのみだ。」

「ック……ッッハハァ! 神仙、半仙如きが、神に楯突こうなど。
 無為、無駄、無価値、無意味ッ!」

天舞の矛、莫大な仙気。
それらはたしかに強大、強力だ。
だが、この場、この状況においては、その力でも不利は覆され得ない。
ここに居るのは、人格を持った世界規模の災厄、災害の具現。
一人で立ち向かってどうにかなる存在では、無い。
少なくとも、戦いに赴き、力を消費した今の状態では特にだ。

>「穿て!ヤドリギの矢よ!」

エスペラントから放たれるヤドリギの矢。
それを見て、アイン・ソフ・オウルは結界を張る。
結界に阻まれたヤドリギは、その時点で威力と勢いを失う、が。

>「――コントロールプラント」

「むゥ……ッぐ――! 貴様ァ!
 今尚、無駄と知り尚邪魔立てするか!
 許さぬ、その思い上がった思考、頂天魔たる我に歯向かうそのあり方、何もかもが不遜、不敬ッ!
 貴様だけは、我がこの手で根絶してやる――、必ずだァ!」

結界ごと締め上げられるように展開された蔓。
それらが結界の魔力を飲み込み、成長し頂天魔を締め上げる。
だが、締め上げられて尚、吸い取られるよりも速い速度で魔力は吹き上がり続けていた。

「く……ゥッ! この身では――十全の実力を発揮できぬか……ッ!
 ぐ……ォ……ッ! 小賢しいわァ!」

アマテラスのプリズミックミサイルをまともに喰らい、その存在が揺らぐアイン・ソフ・オウル。
未だ取り込み、融合してからさほど時間が立っていない為、まだ影響を受けてしまう。
苦しみ、身体から黒い霞のようなものが漏れだしていき、その存在格が神魔大帝に近づこうとしたその時だ。

ローファンタジアが鼓動する。
99[NPC]頂天魔アイン・ソフ・オウル ◇DRA//yczyE:2012/08/12(日) 00:02:47.04 ID:k7K5hOSh
大地が叫び、天が哭く。
黒い霞が大地から漏れ出し、未だ残る生者達に襲いかかる。
そして、神魔大帝と《大いなる厄災》は、アマテラス、エスペラント、アサキムを見て、狂笑を浮かべた。

「貪欲=@富める者は枯れ果てよ 飢える者はただ死せよ
 我が地 我が目 我が身 触れる者物モノ みな須らくして ただ我也」

コントロールプラントのコントロールが、アマテラスから神魔大帝と《大いなる厄災》に奪われていく。
神魔大帝の力も富も権力も何もかもを求める欲望に、《大いなる厄災》が力を与えた。
神魔大帝が、頂天魔アイン・ソフ・オウルとして得た力は、単純。
すなわち、『略奪』にほかならない。
暴力的な魔力と神気を以て物質、生命、魔力、精気、その他何もかもを飲み込み、我が物とする力。

その力の一端が、コントロールプラントの術式を乗っ取る事で示された。
大地に突き立ち、急激に成長しローファンタジアを埋め尽くしていくヤドリギ。
拘束されるアイン・ソフ・オウルは、周囲に溢れる《大いなる厄災》の力を再度ヤドリギの力で自分の中に取り入れていく。

「フッ、ッハハハハハハッハハハハハハハ!!!
 貴様が我を抑えるために振るった力が、返って我を完成へと至らしめる!
 まさに滑稽! 無様! 喜劇悲劇拍手喝采ッ!
 我が、勝利するのだ――ッ、貴様も、我が飲み込み、貴様も我が糧として世界を飲み込む一端と化せ!」

ヤドリギの蔓は周囲に爆発的にその勢力を伸ばしていく。
黒く腐ったような樹液を垂らし、人々を飲み込み、文明を喰らい、兵器も魔術も一点に集約させて。
その蔓は、アマテラス、エスペラント、アサキム達にも伸びていく。
特に、宿敵たるアマテラスには、その量も太さも尋常では無いものだ。

余りにも、趣味趣向が悪い。
世界を救うため、世界を護るために振るった力で、世界を危機に陥れようとし。
その力を振るう者すらも飲み下し、己の一部として世界を自分に収束させようとしているのだから。

「……ッ眠りかッ。
 だが、貴様ら、だけは――!」

ぐらりと、アイン・ソフ・オウルの身体が揺らぐ。
完成に至らない存在を、今まで飲み込んだ力、命を元に再構成し、完全体に至らせようとしているのだ。
アイン・ソフ・オウルを護るように、繭の如くに蔓が伸び、アイン・ソフ・オウルに巻き付いていく。
今此処で倒すか、此処で一旦引き、完全体となる前に滅ぼすか。

世界の命運を握るポイント・オブ・ノーリターンは、今この時点だった。
100半永久闘争存在エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2012/08/12(日) 04:07:58.78 ID:2z5DfrVF
>「一応子どもっちゃ子どもになるのかな……。
あれは神の力の欠片と人が紡ぐ歌から生まれた、本来生まれるはずの無い存在。
世界法則のエラーをすり抜けてしまった出来損ないだ」

分かっていたことだがやはり人間の尺度と神の尺度は違う
だからこそ神様は見ているだけで何もしないと嫌われる一端の一つになっている事には違いない
自身も正直人間として生きていく事に誇りを持っている側の価値観としては己自身が嫌う神に近いが
一歩間違えればこうともなっていなかったとは到底言えないし、仮にもかつて共に戦った仲間だ
アドバイスをするくらいはしてやろう

「これは神様が嫌われる要因だとは気づいていないな、そんな考えじゃいつ反逆起こして殺されても文句は言えない
だが君も人を愛して生まれたのがあの子供だろう?本当に完成した跡継ぎを作るなら神同士で作れば良いはずだ
自身の意思で人を愛せたなら、その出来損ないでも君の子供だきっと心の何処かでは愛情を持っている
エラーを起こした片方として責任を持て本当に拗れると大変だぞ?」

>「ビャクさん、《大いなる厄災》と神魔大帝に分離できればなんとかなる――
ボクが結合を弱めるからその隙に切り離すんだ! ――プリズミックミサイル!」

「切り離すか、どうも事はそんな単純じゃなさそうだ」

なんて会話しているのも束の間、アイン・ソフ・オウルは存在格が最悪の形で影響を受ける
コントロールプラントによって相手の魔力を吸い取る魔木の支配権すら奪うほど
『略奪』の力を使い寧ろ爆発的に成長させ蔓を伸ばしていく

>「フッ、ッハハハハハハッハハハハハハハ!!!
 貴様が我を抑えるために振るった力が、返って我を完成へと至らしめる!
 まさに滑稽! 無様! 喜劇悲劇拍手喝采ッ!
 我が、勝利するのだ――ッ、貴様も、我が飲み込み、貴様も我が糧として世界を飲み込む一端と化せ!」

「ここまでの力か、なるほど確かにお前は厄介だな
残念だな、もう僕でも制御できないんだよ此処まで来ると
貴様が強すぎれば強すぎるほど、世界は更に力を与える」

この言葉が意味する事は彼の右目は既に彼の意思が失われた証
半永久闘争存在化の始まりつまりは世界を守るための殺戮機械と化すまでのカウントダウン
だが力は当然多世界が守ろうとする力が供給するため無限に湧き上がり
自我が失われるに連れてそれはバグキャラの如くチート染みた存在になってくる

「お前達は逃げたほうが良い、今から俺は此処で仕留める
スルトの剣を発動させる、下手をすればこの世界を焼き払う威力だが
コイツを焼き払うのは丁度良いか」

ハルバートから無命剣フツノミタマに変えると
本来の力を解放するならばそれは金色の炎の嵐ではない
黒き炎が湧き上がるその技の名はかつて北欧神話世界とユグドラシルつまりは世界樹ですら
焼き払った巨人の名を記した剣を再現した技―スルトの剣
黒の意味の名を持つ通りそれは太陽の如く輝く世界を焼き尽した破滅の黒炎
これが放たれると言う事はいかなる世界すらも焼き尽す最強最悪究極対界兵器
受け止めきる存在がいなければこの世界すら吹き飛ぶが目の前にはそれを受け取る対象がいるのなら
この技を使っても問題ないはずだ

>「永久に、封印されろ、ロイヤルストレートフラッシュ」

「温い封印されたらまた何時か復活する
もう二度と現れないようにするため消滅させる
時間がない、返答は聞かんぞ」

黒い炎が無命剣から現れ始める、空間すらも焼き焦がし削り消し去るその炎が発動した今
最早猶予はない
101アマテラス・ガイア@NPC ◆jIx.3BH8KE :2012/08/12(日) 15:33:42.99 ID:UfCk+lGs
>「これは神様が嫌われる要因だとは気づいていないな、そんな考えじゃいつ反逆起こして殺されても文句は言えない
だが君も人を愛して生まれたのがあの子供だろう?本当に完成した跡継ぎを作るなら神同士で作れば良いはずだ
自身の意思で人を愛せたなら、その出来損ないでも君の子供だきっと心の何処かでは愛情を持っている
エラーを起こした片方として責任を持て本当に拗れると大変だぞ?」

「神が人を愛してはいけなかった。ボクの力があの子を苦しめる……。
なのにどうして見た事もない母親を恋い慕うんだろう。いっそ憎んでくれればまだ良かったのに」

彼が言う通り、神が子どもに反逆を起こされるのは、珍しい話ではない。
しかし皮肉なことにボクの神格の一つはガイア――全ての生命の母たる大地母神。
実際の母親とは違う、星の生命の象徴としてのグレートマザー。
だからこそ人間の子供が母親に向けるような感情を向けられても応える事は出来ない。
どうしていいのか分からないのだ。

>「く……ゥッ! この身では――十全の実力を発揮できぬか……ッ!
 ぐ……ォ……ッ! 小賢しいわァ!」

《大いなる厄災》と神魔大帝が分離しかけている。
いける!?と思ったその時だった。黒い霧が大地から沸き起こる。

>「貪欲=@富める者は枯れ果てよ 飢える者はただ死せよ
 我が地 我が目 我が身 触れる者物モノ みな須らくして ただ我也」

ヤドリギの支配を奪われた――! 例えるなら眠り姫で城をまるごと呑みこんだ茨か。
いや、もっと酷い。全てを貪欲に呑みこんでいく。
102アマテラス・ガイア@NPC ◆jIx.3BH8KE :2012/08/12(日) 15:35:17.12 ID:UfCk+lGs
>「フッ、ッハハハハハハッハハハハハハハ!!!
 貴様が我を抑えるために振るった力が、返って我を完成へと至らしめる!
 まさに滑稽! 無様! 喜劇悲劇拍手喝采ッ!
 我が、勝利するのだ――ッ、貴様も、我が飲み込み、貴様も我が糧として世界を飲み込む一端と化せ!」

「ふざけるなっ……! 誰がお前なんかに……」

蔓を切り落とし取り込まれないようにするのが精一杯だ。
アマテラスの神格も、ガイアの神格も、その本質は恵み与える豊穣の力。
今回の相手にはあまりにも分が悪い。
しかし、戦況に変化が訪れた。今までこちらに来ていた蔓が引き、アイン・ソフ・オウル自身に巻き付いていく。

>「……ッ眠りかッ。
 だが、貴様ら、だけは――!」

「チャンス! 一気にたたみかけるよ!」

>「お前達は逃げたほうが良い、今から俺は此処で仕留める
スルトの剣を発動させる、下手をすればこの世界を焼き払う威力だが
コイツを焼き払うのは丁度良いか」

「何を!?」

ビャクさんが永久闘争存在になりかけていた。
あの攻撃を放てば、世界自体は吹き飛ばなくても地表は焼け野原になり人が住める状態ではなくなるだろう。
永久闘争存在――自らの意思は無く、ただ多世界の平和のために最善を尽くすプログラムのような存在。
と言えば聞こえはいいが、多世界を守るためなら一つの世界が吹き飛ぶのも厭わないということ。
とはいえボクも今や多世界を守る者の一角。
永久闘争存在と化したビャクさんの判断は、諸般の事情を組み込んで演算した結果の合理的な判断のはずなのだが……

「駄目だよ!!」

どうしてかは分からないけど、気付けば叫んでいた。
ずっと昔、理屈なんて抜きで自らの世界を守りたいと願った時と同じ気持ち。
いや、それ以上。
アサキム導師に懇願する。

「お願い、ビャクさんを止めて!! この世界が焼き払われてしまう!!
アイツの相手はボクがするから――」

三対の翼で大きく跳び、アイン・ソフ・オウルを眼下に捕える。

「――星霊守護結界《イージス》」

急降下しながら、世界が攻撃の余波を受けぬように周囲に無敵の守護結界をはる。
こいつだけは。こいつだけは。仕留めてみせる。たとえこの身が朽ち果ててでも――
どうしてだろう。どうしてここまで――
手を伸ばせば触れんばかりの至近距離で叩きつけるは、太陽神アマテラスの究極奥義。

「あの子からは何も奪わせない……《スーパーフレア》!!」

膨大な力が収束し、獄炎の大爆発が巻き起こる。
ああ、少しだけ分かったような気がする。これが、親の愛なのかな――

――フォルテよ、どうか幸せにお生きなさい
103[NPC]頂天魔アイン・ソフ・オウル ◇DRA//yczyE:2012/08/13(月) 16:30:33.61 ID:CxexmEo2
眠ろうにも、此処で寝ては間違いなく滅される。
いくら強かろうが、完成には至らぬ身と、世界の守護者の勝負だ。
負ける気は無いが、不利なのは間違いない。

>「ここまでの力か、なるほど確かにお前は厄介だな
>残念だな、もう僕でも制御できないんだよ此処まで来ると
>貴様が強すぎれば強すぎるほど、世界は更に力を与える」

「――猟犬風情が、いい気になるか。
 倒せると。この世界を犠牲にすれば多元世界は救うことができる、そう思っているのだろう。
 それこそが貴様の思い上がり、それこそが貴様の弱み。
 貴様は誰にでも勝てるがゆえに、己の敗北を想像できぬ――それこそが隙ッ!」

至光剣を己の腹部に突き刺し、眠りに近づく身を強制的に目覚めさせるアイン・ソフ・オウル。
全身から黒い光が吹き上がり、ヤドリギの成長が爆発的に増していく。
直後、だ。
アイン・ソフ・オウルは怯えるような表情を浮かべながら、狂笑を響かせる。
赤子のような叫びは、恐れに他ならず、この神格は間違いなくエスペラントを畏怖していた。
だが、同時に。口元に浮かべる笑みは、侮蔑以外の何物でもない。

「恐れッ! 死を恐れ、富を失うことを悼み、権力の座から降りる事から逃げ続ける!
 私は、誰よりも富み、誰よりも全てを持ち、誰よりも何よりも恵まれ、死すらも克服した!
 だが、だがッ! それ故に、私は――我はッ! それを失うことを何よりも恐れるッ!
 私は、抜け目が無い。私の手に入れたもの、私の手に入れるものを奪われぬ様に生きてきた。
 もはや恐れを抱く必要の無き存在に至ったとて、我は油断など欠片もなきッ!」

神魔大帝は、臆病だ。
故に、誰よりも抜け目なく、誰よりも強く賢く気高くあらねばならなかった。
誰よりも富み、誰よりも優れ、誰よりも恵まれた故に、それを失わぬようにしか生きられない。
恐怖と欲望、ある意味では人が誰でも持ちうる物。
この男はなまじ優れていたが故に、人並み以上に恐れも強かったのだ。

ヤドリギが、闘技場に満ちていく。
大地が崩壊し、鋼の心臓とフォルテは時空の裂け目に飲み込まれていくことだろう。
だが、目的はそれではなく――英霊召喚装置。
装置のシステムを取り込み、多元世界に干渉する術を得た、アイン・ソフ・オウル。
神魔大帝はこのような存在を喚び、このような事態になると予想していなかったわけではない。

保険として用意しておいた、守護者との戦いの秘策。
多元世界から力を得るのならば、多元世界から力を奪い取ればいい。
人の飽くなき欲望の頂点が、その無茶を具現化させてしまったのだ。
104[NPC]頂天魔アイン・ソフ・オウル ◇DRA//yczyE:2012/08/13(月) 16:31:44.98 ID:CxexmEo2
アイン・ソフ・オウルの背から生えたヤドリギの根が空間を引き裂き、何処かへと突き刺さる。
途端、アイン・ソフ・オウルの力が増し、同時にエスペラントに流れる力が減っていく。
エスペラントとて、無限とは言えど何処かから力を引っ張ることで無限に強化されているはずだ。
その源泉であろう、多元世界に根を伸ばし、侵食し力を吸い上げているのだ。

>「永久に、封印されろ、ロイヤルストレートフラッシュ」
>「温い封印されたらまた何時か復活する
>もう二度と現れないようにするため消滅させる
>時間がない、返答は聞かんぞ」

「無為ッ!」

未だ何層にも重なるヤドリギの枝が、その封印の衝撃を受け止める。
力が僅かに封じられるも、ヤドリギの寄生の性質に、アイン・ソフ・オウルの略奪の神性が加わることで逆効果。
封印などでは決して滅びぬ程の存在となっているのが、この厄災。
エスペラントの言う通り、もし封印されたとしても、この邪神は間違いなく復活するだろう。
確実に、強力であろう封印の式を飲み込んでより強大になって。

そして、世界を飲み込みうる、最高、最強、最悪の炎が己に迫り。
さしものヤドリギに載せた略奪の力すらも共に焼きつくされていく感覚がアイン・ソフ・オウルには感じられた。
それでも拮抗しうるのは、この男の欲が果てしないから、だろう。

「ああ、羨ましい、妬ましいッ。
 素晴らしく強力で美しくて醜悪で絶対的ッ!
 欲しいッ、欲しいッ! 我以外に絶対は無用ッ!
 寄越せ、それはッ……! 我の物だァ!」

神気。否、侵気。
黒い炎と黒い霞を帯びたヤドリギがぶつかりあう。
霞に触れた炎で炎を焼きつくす事で、炎と拮抗しているも、未だ多元世界に根を張り切らぬアイン・ソフ・オウル。
当然としてバックアップを受けて無限に強化されていくエスペラントとは、強化の速度が違う。
ジリジリと、ヤドリギが焼け焦げ、本体へとその炎が近づいていく。

「――死、だと……ッ。
 認めぬ、断じてッ! 決してッ! 絶対にッ!
 ぐ、ゥお!?」

>星霊守護結界《イージス》

周囲に根を伸ばし、新たに力を吸い上げようとした瞬間。
最高、最堅、最硬の結界に、根が阻まれる。
結界を徐々に侵食するも、最強の結界に対する侵食は遅く、絶対防御を得る事も間に合わない。

そして。

>「あの子からは何も奪わせない……《スーパーフレア》!!」

「我は――ただ、永久にこ――ッ」

至近に有るは、ガイアの使徒、星の巫女、多元の守護者。
叩きつけられた衝撃に、あらゆる音、光、感覚が消え失せた。
広がる獄炎はイージスによって反射され、またアイン・ソフ・オウルを焼きつくす。
105[NPC]頂天魔アイン・ソフ・オウル ◇DRA//yczyE:2012/08/13(月) 16:32:53.08 ID:CxexmEo2
――静寂。

結界すらも焼きつくし、根を張ったヤドリギも徐々に燃え尽きていくその光景。
爆心地には、灰となって尚、生命にしがみつく哀れが有る。

「……ッ、くハッ!」

灰が寄り集まり、顔だけを構成する。
あらゆる、悪意、絶望、恐怖をないまぜにした、強すぎる感情が有るゆえの無表情。
能面のようなその顔で、天を仰ぎ。

「猟犬、貴様は今にこの世界を焦土とし、殲滅しなければならなくなる。
 我は負けたが――我は死なずッ! 世界がある限り、我は世界の全てを掌握しようッ!
 ふ、ハッ! フハハハッハハハハハッ!
 我執=@我が望み 達せず 潰えるなど 認めぬ。
 何度でも、そう――何度でも繰り返す。
 たとえ何度滅ぼされようとも、必ず全てを貪ろう。
 我が名は頂天魔アイン・ソフ・オウル! その名、その存在、決して忘れるな!
 ――――ザ・シード=I」

ヤドリギに精気が宿り、花が咲き。
同時に、炸裂した。

炸裂し、凄まじい勢いで世界に飛び散ったのは宝石のような黒い球。
感じられる力は――アイン・ソフ・オウルのそれと、同種のものだったろう。
そう、世界に己の分身を撒き散らし、どれか一つでも完成に至れば、そこからやり直せばいい。
ヤドリギの種は、この世界に根を張り、この世界を食い荒らし続ける。そしていつか――異世界も。

「残念、だったなァ! アマテラス・ガイアァ!
 我の勝t――」

勝鬨を上げられず、消滅していくアイン・ソフ・オウル。
つかの間の静寂、つかの間の平和、つかの間の安息。
だが、危機は無くなっていない。
この世界に飛び散ったアイン・ソフ・オウルの種子を全て滅ぼさなければこの世界、ひいては異世界の安息すら脅かされる。

最後の最後まで、底意地が悪い。
そんな男であり、神であった――。

轟音を立てながら、崩落していくローファンタジア。
最高の科学と魔術によって成り立っていたこの地は、その最高の科学と魔術によって滅び行く。
天に届かんと伸ばされた高層建築物も、美しい森も、子供たちの過ごしていた学園も、歴史ある遺産すらも。
砕けて、ひたすらに終わっていくだけ。

これから先、この世界がどうなっていくか。
ローファンタジアのように滅びの運命を辿るのか、それとも平和と安息を取り戻すのか。
――この世界に生きる者達の手で選んでいくしか無いのである。
106アサキム タグラス  ◆JryQG.Os1Y :2012/08/13(月) 17:17:43.04 ID:Fg2koPPI
「まぁ、忘れられてる事については、ほっといて、何とかするか。」
【強制転移 アマツカゼ】
ビャグを、仙界まで一気にとばす。
「アインオブソウルも消えた。まぁ、残骸は、回収するか。」
アサキムは、どこからともなく、ラウスカードを、取り出し、
残骸に投げる、すると、カードに残骸が回収されていく。
「俺は、一回仙界に戻るよ。」
107―幕間―リーフ@NPC ◆jIx.3BH8KE :2012/08/13(月) 23:52:25.43 ID:3BXTyx2O
私はよく分からないパーツを二つ持ち、星の巫女様の最後の命令を果たすべく走っていました。
それは壮絶にバトルして相打ちになった二人を生き返らせる事です。
えっと、星の巫女の本名はフェアリー・テイル・アマテラス=ガイアでしかも隠し子がっ!?
いえいえ、今はそんな雑念は捨てなければ――
神々の戦いを尻目に必至に走りますが、なかなか無題に広く設定された闘技場から出られません。
突然大地がひび割れ、足をとられます。

「いやぁああああああああああっ!?」

私が滑り落ちていく先には、ぱっくりと時空の裂け目が開いているのでした。
もう何が何だかわかりません。

わからないついでに自己紹介をしておきましょう。
私の名前は藤浦 葉――じゃなかった、この世界ではリーフ・ウィステリア と名乗っております!
昔ちょっとした事故で地球という世界からこちらの世界に飛ばされてきたわけですが、皆オタクの妄想だと決めつけて誰も信じてくれません。
魔法も精霊もない世界なんて有り得ないって。
それは大変? いえいえ、一生こちらの世界にいてもいいって気分です。だってオタクですから!
そして紆余曲折あって星の巫女の側近になる事に成功し、今に至るのです!

「おぉ、ドザエモンじゃ……!」

声が聞こえてきました。

「何をいっとんじゃ、生きとるわ! お嬢さん、大丈夫かえ!?」

もしかして私が呼ばれているのでしょうか。
目を開けてみると、爺さん婆さんが心配そうに私の顔をのぞきこんでいました。

「なぬっ!? なんじゃこの猫は!」
「おお、ワシ見た事あるぞい!
なんとかちゃんねるとかいう掲示板のキャラクターで確か名前はレモネード……」
「そうか、村の掲示板を見てみるかのう」

「いいから早く生き返らせるモナ!」

モナーを巡る会話を聞いただけで確信していまいました。
どうやらRPGの最初の舞台にありがちなド田舎の村に流れ着いてしまったようです。
大都会ローファンタジアと比して何たる落差でしょうか。
まあそんな事は大した問題ではありません。
神魔コンツェルンはほとんど市場経済に影響が無いド田舎は放置ですが
どんな田舎の村にも星霊教団の教会はあり、蘇生術を習得した者が配備されています。
さっさとピロッと生き返らせて語り手を交代してもらいましょう。

♪ ♪ ♪ ♪ ♪

「……これ、ですか?」

術者は目をぱちくりして言いました。
ちなみにこの辺で人が死んだ時はローラーがついた棺桶を自らひきずってくるのが主流だそうです。
都会なら電話一本で救急車ならぬ霊柩車が来てくれたりするのですが、ここはド田舎だけあって随分原始的ですね。

「派手にやりましたねえ。動けるようになるまで2〜3日かかりますがよろしいですか?」

ここまで原型をとどめていないと流石にピロッとはいかないようです。
とはいえよろしくないですという訳もなく、お願いしますと言って入院させます。
108半永久闘争存在エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2012/08/14(火) 03:05:39.43 ID:suHeqVXK
>「――猟犬風情が、いい気になるか。
 倒せると。この世界を犠牲にすれば多元世界は救うことができる、そう思っているのだろう。
 それこそが貴様の思い上がり、それこそが貴様の弱み。
 貴様は誰にでも勝てるがゆえに、己の敗北を想像できぬ――それこそが隙ッ!」

猟犬確かにその呼び方は間違っちゃいないしそんな呼ばれ方にはもう慣れた
確かに言っている事は正しいかもしれないしかし同時に間違っている

「思い上がり?とんでもない貴様は分かっていないなそんな思考すらも出来んよ
文字通り勝つためならば何度でも蘇るし、立ち向かわされるその度に勝つまで
無限の力を与えられて、只の現象にいやただ倒すと言うだけの存在概念に意思が介在などせんよ
許されている事は殲滅と勝つ事だけだ問答無用でな」

そこには絶対に勝つまでに何度でも何度でも意思も奪われただただ倒し刈り取るためだけに存在する
思い上がりも無ければ弱みも無い、それは只の現象でしかない
故にそれは絶対に相手を狩る立場だからこそ不変である無敵最強の存在自己を差し挟む事が許されぬ殺戮の歯車
畏怖にも恐怖にも反応しないそこにあるのは究極の無関心なのだ

>「恐れッ! 死を恐れ、富を失うことを悼み、権力の座から降りる事から逃げ続ける!
 私は、誰よりも富み、誰よりも全てを持ち、誰よりも何よりも恵まれ、死すらも克服した!
 だが、だがッ! それ故に、私は――我はッ! それを失うことを何よりも恐れるッ!
 私は、抜け目が無い。私の手に入れたもの、私の手に入れるものを奪われぬ様に生きてきた。
 もはや恐れを抱く必要の無き存在に至ったとて、我は油断など欠片もなきッ!」

そしてそれは更にヤドリギの成長を促し
英霊召喚装置を取り込むアインソフオウルは更に力を増すことにより
自我はどんなに抗おうが薄まっていく、必然の結果なのはエスペラントには目に見えていた
自身の選択肢は最早狭まり、既にスルトの剣を実行している最中に声が聞こえた

>「駄目だよ!!」

だがそう言われても最早事態は急を要する自我は失われつつある中
この事に関してはコントロールが効きそうにない

>「お願い、ビャクさんを止めて!! この世界が焼き払われてしまう!!
アイツの相手はボクがするから――」
>【強制転移 アマツカゼ】

意図せぬというよりも有象無象の中でも力を持つ者達に突如何処ぞに飛ばされる
だがそれはほんの少しの悪足掻き、既に永久闘争存在と化してしまった彼に取っては些細な誤差でしか今なくなった
109フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/08/14(火) 19:33:01.55 ID:BIoaM/3e
夢を、見ていた。
此処とは違うありふれたファンタジー世界。そこで繰り広げられる、導きの妖精と光の勇者達の冒険譚。
その道中は無軌道で滅茶苦茶でありえないけど、一言で言ってしまうと――
光に導かれた勇者達が魔王を倒して世界を救う、そんな何の捻りも無い物語。

「ねぇ、君はどんな物語を奏でる?」

銀髪の妖精がこちらを見つめていた。人間では有り得ない程鮮やかな青い瞳で。オレの左目と同じ色……
そう思ってはっとする。似ている。外見年齢はオレよりずっと幼いガキンチョだけど、確かに似ている。

「ごめんね、世界に厄災の種が散ってしまった……」

銀髪の妖精が、三対六枚の翼を持つ金髪の女神となる。
神は、世界によって違う姿をとる事があるという……。

「星の、巫女……? 馬鹿……姿変えられたら分かんないだろ……」

「この世界をお願い、あなたなら大丈夫――」

金髪の女神がきびすを返し、光の中に消えていく。

♪  ♪  ♪  ♪  ♪

「母さんっ……!」

叫びながら跳ね起きる。夢の内容はよく覚えていないが、何故か涙が溢れてきた。
周囲の精霊力が不安定なのかもしれない。そうに違いない。
声を押し殺して肩を震わせていると、突然後ろから頭にヘッドギアがはめられた。

「落ち着いてくださいマザコン楽師さんっ。
これ強すぎる禁断の力を抑えるためのアイテムってやつですよね!
分かります、定番ネタは全部押さえてますよぉ! オタクですから!」

「ぎゃー! マザコンじゃねえ! 何だお前っ……って!」

自分がマッパという衝撃の事実に気付き、慌ててタオルケットを体に巻きつける。
謎の女性がエコバックっぽい袋からオレの着ていた服をさも当然のように取り出す。
ついでに財布やらDSやらスマホやらノートパソコンやらも出て来た。どうなってんだその袋。
110フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/08/14(火) 19:37:41.75 ID:BIoaM/3e
「女の子同士なんだから恥ずかしがらなくていいじゃないですか着せてあげますから!
”ここで装備していくかい?”……って一回言ってみたかったんです!」
「はいにすると”装備させてもらった”って出るあれ!? 絶対おかしいよね!
……じゃなくて今さらっと爆弾発言したな!? 人が寝ている間にどこ見た!? ドHENTAI!!」
「いえ、蘇生する際に住基ネットで確認してもらったら人間・女性と登録が……
それ以外にどこを見たと思ったんですか?」
「仕方ないじゃん! 半妖なんて種族は無い事になってるし人間に両声類なんて性別はないから仕方ないじゃん!
自分で着るから結構です!!」 

とりあえずHENTAIを部屋から蹴り出した。
公的な登録が実態に即していないのは今の時代ではよくある話である。
……元より生まれるはずのない一代限りの種族に、性別など存在しない。

「変態呼ばわりは酷いモナよ? 無茶して死んだフォルテ達を教会まで連れて来てくれたモナ
全く……死体損壊どころか原型とどめてなかったからうまくいくか気が気でなかったモナ」

「死んだ……? フォルテ”達”……? あれ……?」

服を着ながら、胸の丁度心臓のあたりに傷痕がある事に気付く。ようやく思い出した。
見るからにガラの悪そうな竜人に喧嘩をふっかけて全身傷だらけになった挙句に真っ二つにされたのだ。
普段のオレなら絶対に有り得ない。戦の精霊に惑わされたのか――
それにしてもどうして傷痕が残っている?
星霊教団による蘇生は、死体の損壊が少ない時は治癒魔法の応用で行われるが
原型を留めていない時は、残った一部分が持つ記憶を基に再構成するという。
ならば傷痕が残っているのは、オレ自身が記憶に刻んでおきたいと思ったから……

「……まさか」

首を横にふってその考えを否定する。とにかく向こうも同じように蘇生されたんだろう。
と、いう事は今頃さっき蹴り出したHENTAI直送便が向こうにいっている可能性が否定できない。
マジでどうでもいい。あんなチンピラがどうなろうが知ったこっちゃない。オレはダッシュで隣の部屋に走った。

「ゲッツ! 無事かー!?」

そこで見た物は――
111永久闘争存在 ◆hfVPYZmGRI :2012/08/14(火) 20:39:43.64 ID:suHeqVXK
彼は確かに飛ばされたが、猶予が無い上に完全に世界の厚いバックアップが入っている以上は
無駄な足掻きでしかなく、アインソフオウルの背後に現れる

>「ああ、羨ましい、妬ましいッ。
 素晴らしく強力で美しくて醜悪で絶対的ッ!
 欲しいッ、欲しいッ! 我以外に絶対は無用ッ!
 寄越せ、それはッ……! 我の物だァ!」

しかし何も感じない、愚かとすらも思わない
ただの多世界に対する障害物とてそれは足元の石ころや蟻のようにも気に掛けてすら居ない
そこにあるのは自我が無くどうしようもなく冷たく無機質な目だ。
奴も多元世界世界から力の吸収を始め、こちらも奴により供給される力にも影響は出ていたが
その力の回される速度と強化は何者にもより早く何者よりも強力だったしかし
放たれたスルトの剣の黒き炎は全てを燃やし尽くす例外は無く、このまま行けば奴は魂すらも燃やし尽くし
転生すらもできないはずだった。

>「――死、だと……ッ。
 認めぬ、断じてッ! 決してッ! 絶対にッ!
 ぐ、ゥお!?」
>「――星霊守護結界《イージス》」
>「あの子からは何も奪わせない……《スーパーフレア》!!」

更に力を得ようとした際にそれをが結界防ぎ、そしてアマテラス己の全てを賭けた獄炎はアインソフオウルを焼き尽くした
支配したヤドリギも奴の本体も焼き尽くされこのまま朽ち果てれば良しのはずだった



112永久闘争存在 ◆hfVPYZmGRI :2012/08/14(火) 21:00:08.76 ID:suHeqVXK
だがアインソフオウルはその状況になっても諦めていなかった
まさに今際の最後の悪足掻きだったのだろう
最後の全力を使い、宝石のような黒い球を飛び散らせる世界に向かって。
恐らく奴の力の分身だろう、捨て台詞まで吐いて行った

>「猟犬、貴様は今にこの世界を焦土とし、殲滅しなければならなくなる。
 我は負けたが――我は死なずッ! 世界がある限り、我は世界の全てを掌握しようッ!
 ふ、ハッ! フハハハッハハハハハッ!
 我執=@我が望み 達せず 潰えるなど 認めぬ。
 何度でも、そう――何度でも繰り返す。
 たとえ何度滅ぼされようとも、必ず全てを貪ろう。
 我が名は頂天魔アイン・ソフ・オウル! その名、その存在、決して忘れるな!

いまエスペラントには自我が無いし、聞いていても無意味なのだが
このような言葉を何万、何億それ以上を聞いて来た。
それはこの形態になってからは全ては戯言にしてきたこれからもそれは変わりはしない

「………貴様もすぐに忘却の彼方に消え去る、喧嘩は相手を見てから売れ
魂の一片すらも存在する事が許されないことになるもう遅いが」

片目は脅威が今の所去ったためか自我を取り戻したが如く色を取り戻していくが
それは完全とはとても言えないだからその言葉は永久闘争存在かエスペラントが言ったのかは
それぞれの解釈に任せるとしよう。
何事も無かったかのように姿を消す次は一番近い場所に落とされた災厄を滅ぼしに向かっていった
113アサキム タグラス  ◆JryQG.Os1Y :2012/08/14(火) 21:10:36.52 ID:ufICQy75
>>111
「ビャグ?無事?」
まぁ、無事だと言えたが、
だが、
「荒れ果てたな、」
周りは、既に焦土とかしていた。
「はぁ、めんどくせ」
【放水、アクアタイタルフィールド】
水が、周りに張ってゆく。
【グリーンプラネット】
腕を土に入れて、魔力を直接入れる。
「まぁ、これで、」
土から、草が生え、木になる。
「タイ違う違う。」
禁断のカードを使おうとしたが、やめた。
114アサキム タグラス  ◆JryQG.Os1Y :2012/08/14(火) 22:19:06.88 ID:ufICQy75
新キャラ参戦 NPCだけど
名前 アヤカ タグラス
年齢アサキムより5さい年下。
技能 暗殺 アサキム仕込みの魔術
持ち物 高周波ナイフ【レイン】 聖霊の衣
NPCですのでご自由に
アサキムの妻 
私生活でも、仲良し
即興コンビネーションアタックもできる。
115アサキムandアヤカ  ◆JryQG.Os1Y :2012/08/14(火) 22:28:31.84 ID:ufICQy75
「おーい、迎えにきたよ。」
「あっ、アヤカようやくきた。」
空飛ぶ馬車にのって迎えにきたのは俺の妻アヤカ。
敵に回すとテイルなみに怖い。
「まぁ、事情は説明したとうりだ。」
「ふーん、素戔嗚様には、言ったけど、なんで主要メンバー集結させるの?」
「それほど深刻だから。まぁ説明はあと。」
そして、馬車は仙界につく
「汝、なぜ我たちを集めた。」
素戔嗚が俺に聞く
「理由は、あのアインオブソウルが、無数に因子をバラバラにしたからです。」
「なっ、なんと、それでは」
ふっきが驚き
「なるほど、一回があれでは、さすがに」
女禍が理解し、
「手に負えないか。」
太公望がまとめる。
116アサキムandアヤカ  ◆JryQG.Os1Y :2012/08/14(火) 22:34:02.37 ID:ufICQy75
「そうです、まず、俺たちでできるだけ、因子を回収しないと八蛇以上の」
「承知した、我もいこう。」
「感謝します。」
「俺は、天照大神の回復を待ち話を聞こう。」
「分かった。」
女禍が了解する。
「じゃあ、行きますか。」
それぞれ、別のところに行く。
>>ALL
仙界の人は使ってOKです。
117ゲッツ ◇DRA//yczyE:2012/08/16(木) 16:33:22.64 ID:GiIy+B+1
「――ん、あ?」

目を開くと、のどかな風が鼻孔を擽った。
土と草の匂い。それも鮮やかで濃いそれに、此処が割りと自然豊かだと理解。
身体を起こすと、全身にピキピキとした妙な感覚が走り、なんとも言えない表情を竜人は浮かべた。

「成る程、死んだかァ」

やたら再生したのか豊かな金髪を後ろに撫で付けるようにして。
近くの髪留めで軽く縛ると、周囲を見回して。
膝を曲げ、腕を柔軟させる。
そうしている内に、ドアが空き、星の巫女側に居た覚えのある女が部屋をのぞき込んでいた。

「えーっと、ゲッツさーん?
 意識、戻りまし、キャーッ!」

女は、最初普通に声をかけていたのだが、ゲッツを見た瞬間に逃走。
そんなに強面かねぇ、と剣士をむき出しにして笑う。
そして、心臓に突き刺さったであろう傷跡を爪で軽く抉るようになぞる。

>「ゲッツ! 無事かー!?」

この声には、覚えがあった。
心臓に刻まれた、魂が覚えた声、名。

「おう、フォルテか。
 無事も何も元気ピンピンだぜェ」

ドアを開け、そこに居たのは――ZENRAの竜人だった。
筋肉が無駄なくついた細身ながら密度のある肉体と、根本から失われている銀色の左腕の断面。
そして古傷だらけの皮膚。
その中には、当然としてフォルテの着けた傷も含まれている。
通常治癒術を使えば傷跡は殆ど残らないのだが、彼は受けた傷の一部を残す事を矜持としていたのだ。
そして、ようやく竜人は先程のHENTAIが逃げた理由に思い至る。

「ん……? 服か」

戦いを思い出し、そりゃあ服も消えてなく成るわ、と理解。
とりあえず近くのシーツを無造作に引き裂き、勝手に腰に巻いていた。
デリカシーが無いどころかナチュラルに誰のものか知らないシーツを引き裂く当り大雑把さが全開だった。
118アサキムandアヤカ  ◆JryQG.Os1Y :2012/08/16(木) 21:05:47.63 ID:VumIptdq
「着いた♪」
「ふぅ、着いたな。さてと、行動を開始するか。」
ここは、戦場の跡地10時間前まで激戦が繰り広げてた所。
「さてと、」
テイルを見つけ、往復ビンタを二、三回する。
「っ、ここは、」
「おーし、意識はあるな。よーし、行ってらっしゃい。」
「えっ?ちょっとまっ、うわっ」
精霊界に送り、治療させる。
「まぁ、治療には、2、3年かかるだろうな。腕を生やしてくれたお礼だ。」
「さてと、」
とりあえず、教会の奴を見つけ、フォルテのいる場所を特定する。
119アサキムandアヤカ  ◆JryQG.Os1Y :2012/08/16(木) 21:14:04.29 ID:VumIptdq
>>117
「おーい、フォルテ、竜人生きてる?」
入るところに到着し、声をかける。
「まぁ、無事じゃないだろうが蘇生術は成功したようだな。」
安心した。なんだかんだで
「すみません、カフェオレください。」
近くに、いた子に頼む。
「まぁ、おまえらが、ボトボトいやぼろぼろになってるあいだに、起きたことは、」
まず、手始めに
「まず、真魔大帝が闇の塊と契約、アインオブソウルとなる。」
「そして、星の巫女、エストランド、俺で奴を駆逐した。」
「だが、奴は、種を生成自分の分身を作り、世界中に飛ばした。」
「お前たちの力が必要だ、竜人、そして、星の巫女いやテイルが残した子」
120アサキムandアヤカ  ◆JryQG.Os1Y :2012/08/16(木) 21:18:31.97 ID:VumIptdq
そして、テイルの奴の話をしてやる。
「まぁ、奴とは、魔王レヴィヤタンを倒したときに、であった。」
「まぁ、あいつは、ホントに頼りになる奴で、結局美味しいところは、全部持ってかれちまった。」

「まぁテイルに、恩はあるから、精霊界の治療所に招来させてやった。あと、」


「竜人よ、服きろ。」
121フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/08/17(金) 16:05:44.66 ID:aHoMxoGX
>「おう、フォルテか。
 無事も何も元気ピンピンだぜェ」

ゲッツが何事もなかったかのように笑っていた。
改めて見るとでかい。身長2メートルあるんじゃないか?
見上げるように視線を合わせて、どんな顔をすればいいのか分からず照れ笑いする。

「名前、覚えててくれたんだね」

あの時確かに、心臓に名前を刻んで、旅に出るから付いて来いと言ったのだ。
何でそんな事を言ったのかは自分でも分からない。
酔っぱらって意味不明な行動をしてしまうのに似ているだろうか。
視線を少し下に移すと、無数の傷痕が目に入る。銀色の左腕は今は断面だけを残し失われている。
あの左腕、確か形状変化してたような気がするけど……どうなってんだ。
何気なく視線を更に下に……そこに至りようやく相手がZENRAだという事を認識する。
あまりに堂々としてらっしゃるので今まで気付かなかったのだ。

「……ちょっとは隠せよナチュラルすぎるだろ!」

>「ん……? 服か」

当然のごとくシーツを引き裂きはじめるゲッツ。

「ぎゃー!! 普通に器物損壊してる!」

証明さーん、スポットライト準備おk?
物陰に隠れ頭を抱えて独白シーンスタート。

「ああっ、返す返すもなんでこんな奴に熱烈アプローチしてしまったのだろうか。
友達なんていらないけど万が一友達になるとすれば歌や楽器を愛する可憐な少女だろうか――
と思っていたのにっ……」

「なーにが可憐な少女モナド厚かましいモナ。
そもそも芸術の根本にあるのは狂気的なまでの激しい情動……酔っぱらった時が本性モナ」

と、突然間近に只者ではない気配を感じ、独白シーン終了。
122フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/08/17(金) 16:06:47.13 ID:aHoMxoGX
>「おーい、フォルテ、竜人生きてる?」
>「まぁ、無事じゃないだろうが蘇生術は成功したようだな。」

「アサキム導師……!」

>「すみません、カフェオレください。」

「はい、ただ今!」

いつの間にか戻って来ていたリーフがカフェオレを買いに走り去った。
アサキム導師が驚くべきことを語り始める。

>「まぁ、おまえらが、ボトボトいやぼろぼろになってるあいだに、起きたことは、」
>「まず、神魔大帝が闇の塊と契約、アインソフオウルとなる。」
>「そして、星の巫女、エスペラント、俺で奴を駆逐した。」
>「だが、奴は、種を生成自分の分身を作り、世界中に飛ばした。」
>「お前たちの力が必要だ、竜人、そして、星の巫女いやテイルが残した子」

「え、いや、あの……ハハハ、導師様は冗談が上手いなあ」

フラフラと外に出る。
そうしたら、高層ビルが立ち並ぶローファンタジアではなく、見知らぬ場所。というかド田舎。
どこだここ?

「号外だよ〜」

渡されるままに号外を受け取ると、そこには“ローファンタジア壊滅”と書いてあった。

「うそだ……嘘だろ……!?」

「……本当です」

声がした方を見ると、人数分のカフェオレを持ったリーフがいた。
こんなド田舎でも自販機はあるらしい。

「星の巫女……あなたのお母様にあなた達を託されたんです」

ああ、そうなんだ、とこれには不思議と驚かなかった。
もう他の事に驚きすぎて麻痺してしまったのか、もしくは自分でも何となく感づいていたのか。
リーフに連れられて戻ると、導師が母さんの話をしてくれた。
どうぞとカフェオレを渡されて初めて喉が渇いている事に気付く。もしかしてさっきそんなに泣いただろうか――。

>「まぁ、奴とは、魔王レヴィヤタンを倒したときに、であった。」
>「まぁ、あいつは、ホントに頼りになる奴で、結局美味しいところは、全部持ってかれちまった。」

カフェオレを飲み干し、導師に詰め寄る。

「それで……母さんは!?」

>「まぁテイルに、恩はあるから、精霊界の治療所に招来させてやった。あと、」

精霊界とかよく分からないけど、とにかく死んではいないらしい。
ただし復活するのに数年かかるそうだ。
123フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/08/17(金) 16:08:04.95 ID:aHoMxoGX
>「竜人よ、服きろ。」

一瞬、何とも言えない沈黙が場を支配する。

「――あ」

世界規模の話の衝撃で目下の問題をすっかり忘れていた。

「大丈夫、きっとこの中に!」

ふくろの中を探ると、何故かネクタイが出て来た。ネクタイとは典型的な紳士の記号的表現である。
ということは、全裸でもネクタイを付ければ紳士になるのではないか。
変態紳士、そんな素敵ワードがオレの脳内に浮かんだ!

「フォルテさん、それは流石に駄目ですーっ!
フォルテさんのは落ちてたから拾って修復魔法をかけておいたんですけど
ゲッツさんのは木端微塵になってしまいましたからね。
冒険者の店に買いに行きましょうか、多分同じようなのがありますよ!
というか蘇生したら服まで一緒に再生しそうなもんじゃないですか。案外ケチくさいんですねえ」

ここで言う冒険者の店は、酒場、武器屋、防具屋、アイテム屋等が一緒になった総合店のこと。
冒険者と言ったら格好よく聞こえるが、要はちょっと危険な事を請け負うなんでも屋みたいなもので
殆どが就職に失敗したニート崩れか厨二病をこじらせてしまった物好きのどちらかである。
酒場とは依頼を集めて、適当な冒険者パーティーに斡旋する仲介業者みたいなものだ。

「つってもこのまま行ったら逮捕だな。
導師、ディスガイズかその類の魔法は使えるよな? かけてやってくれ」
124アサキムandアヤカ  ◆JryQG.Os1Y :2012/08/17(金) 17:53:28.18 ID:kREvdM0k
「ああ、大体分かった。」
とりあえず、素戔嗚サイズの服を呼ぶ
「これでも入るか知らんが、とりあえず着ろ。」
まぁ、これでおしまいじゃなかった。
「あっ、紹介すんの忘れてた。俺の嫁な、」
「初めまして、アヤカタグラスです、先日は、夫がお世話になっています。」
一とうりやったか。
「まぁ、ローファンタジアは壊滅、人が住むのにあそこから50年かかる。」
「それでも、まだ良い方です。ローファンタジアだけで被害が収まったのですから。」
アヤカが継ぎ足す。
「まぁ、仙界の仲間達が回収してくれてるから、なんとかなるとは思うが」
「ビャグの野郎、ド派手にやりやがって。」
125ゲッツ ◇DRA//yczyE:2012/08/17(金) 20:46:16.46 ID:n/Fa/Xox
>「名前、覚えててくれたんだね」

「俺ァ頭ぁ悪いが記憶力はいいもんでよ。
 俺に消えない傷を刻んだ奴は決して忘れねー事にしてあんだ。
 んで持って、傷は必ず残す、ってな」

このご時世に、古傷だらけの戦士などという物はまず見ない。
だが、それでも古い信仰を守り続けるこの戦士は、傷を背負い続ける事を誇りとする。
にぃ、といい笑顔を浮かべながらも、腰巻になるようにシーツを現在進行形で引き裂いているゲッツ。
色々と台無しだが、色々とあれだ。

>「ぎゃー!! 普通に器物損壊してる!」
>「ああっ、返す返すもなんでこんな奴に熱烈アプローチしてしまったのだろうか。
友達なんていらないけど万が一友達になるとすれば歌や楽器を愛する可憐な少女だろうか――
と思っていたのにっ……」

「やかましいなお前!
 いいじゃねーか、こんなにガタイよくて強くて格好良いイケメン竜人で何が不満だよオイ。
 俺はお前とダチに慣れて嬉しいぞ、そりゃ当然な」

ビシリと突っ込みを入れつつ、冗談めかした言葉を重ねる。
が、最後の言葉だけは真摯な色が有る当たり、この竜人の人間性ならぬ竜人性が良く分かるというものだ。
戦いの外では、どちらかと言うと気さくなあんちゃん、な感じであるのだった。
126ゲッツ ◇DRA//yczyE:2012/08/17(金) 20:47:51.74 ID:n/Fa/Xox
>「おーい、フォルテ、竜人生きてる?」
>「まぁ、無事じゃないだろうが蘇生術は成功したようだな。」

「んーっと、アサキムか。
 うぃーっす」

ひらひらとアサキムに右手をふりつつ、器用に片手で下半身を隠すために布を巻いていく。
そうしながらも、尖った耳をぴくぴくと動かして、アサキムの話に耳を傾けた。

>「まぁ、おまえらが、ボトボトいやぼろぼろになってるあいだに、起きたことは、」
>「まず、神魔大帝が闇の塊と契約、アインソフオウルとなる。」
>「そして、星の巫女、エスペラント、俺で奴を駆逐した。」
>「だが、奴は、種を生成自分の分身を作り、世界中に飛ばした。」
>「お前たちの力が必要だ、竜人、そして、星の巫女いやテイルが残した子」

「成る程、チィっと以上に面白い事になっちまってるみてーだなぁ」

右手の爪で左肩の鱗をこりこりと引っ掻きながら。
眉間に皺を寄せて、沈黙。
ぷるぷると震えているのは、恐怖なのだろうか、とも思われるか。

が、違う。

顔を上げた竜人の顔には、笑顔。
それも、先の戦場で見られた鋭い獣性を宿した、それ。

「――上ッ等すぎんぞオイ。大悪だろうが大正義だろうが神だろうがガキだろうがババアだろうがなんだろうが喧嘩売ってくるなら買うのが俺の流儀でよォ。
 要するに、そいつぁ全世界に喧嘩売ってんだろ? だったら買うのが筋でぶっ倒すのが礼儀ってもんだろォ!」

左腕の義手接続面の断面が波打ち、徐々にその義手としての形を取り戻していく。
義手は、装着者の戦意や、何かを求める気持に呼応してその姿を変えていく。
先程までは、それほど必要性を感じていなかったから腕がなかったわけで、腕を取り戻すという事は兵器を身に付けるという事。
戦意の具現が鋼の腕という形で生まれ落ち、竜人の体の欠けた部分に最後のピースを嵌めた。

「ネクタイかよ……。固い服装苦手でよ。
 面倒だし全裸でも俺ぁ構わんぜ?」

と、ネクタイを取り出したフォルテに色々ひどいことを言うZENRAドラゴンメーン(全裸)。
デリカシーは無い、羞恥心も無い、戦闘力しか無い。

>「これでも入るか知らんが、とりあえず着ろ。」

「うっわ、ちょいとキツいなァ」

大柄な男性サイズの服だが、それでも丈が足りない。
面倒だ、との事で袖を引きちぎり、腕を出す。
ズタズタだが、妙にワイルドで似合っていたのは気のせいではなかっただろう。
127フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/08/18(土) 14:52:16.23 ID:sld0ev2o
>「やかましいなお前!
 いいじゃねーか、こんなにガタイよくて強くて格好良いイケメン竜人で何が不満だよオイ。
 俺はお前とダチに慣れて嬉しいぞ、そりゃ当然な」

独白シーンの演出したのに普通に聞こえてるー!?
否、ふすまの向こうから聞こえてきた会話を聞こえなかった事にする類の配慮をこいつに期待したオレが馬鹿だったのである。
そんな事を言われたら……そんな事を言われたら……ニヤついてしまうじゃないかぁああああ!
極力平静を装って言う。

「そ、そこまで言うなら仕方がないな! 感謝する事だな!」
「超嬉しいと言っているモナ」

こらモナー、楽器の分際で同時通訳しなくて宜しい。

>「ネクタイかよ……。固い服装苦手でよ。
 面倒だし全裸でも俺ぁ構わんぜ?」

人が折角紳士の正装にしてやろうというのにこの竜人ときたら全裸でいいとのたまいはじめた。
いやまて、ネバーアース環境が取り沙汰されている昨今、全裸とは究極のクールビズたりえるのではないか。
星の女神たる母さんも喜ぶというものだ。
だがしかしっ!! いくら環境のためとはいえV系吟遊詩人のオレには全裸は耐えられない!!
オレはこの服装を年中貫いているのだ。
黒レザーのベスト&ショーパンをベースに吟遊詩人のディティールを加えたような、夏は暑くて冬は寒いナイスな服装である。
128フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/08/18(土) 14:53:01.41 ID:sld0ev2o
>「これでも入るか知らんが、とりあえず着ろ。」
>「うっわ、ちょいとキツいなァ」

オレが究極の命題の間で悶々としている間に、ゲッツはさっさとワイルドなファッションになっていた。

>「あっ、紹介すんの忘れてた。俺の嫁な、」
>「初めまして、アヤカタグラスです、先日は、夫がお世話になっています。」

「世帯持ちだったんかい!」

とりあえず突っ込み、外に出る。
器物損壊分の追加代金はマジックテープ式の財布をベリッと開けてスタイリッシュにカード払いしておいた。
歩いていると、道行く爺さん婆さんの視線が集まっている……ような気がする。

「何じゃありゃ、冒険者かえ」
「それにしては変な組み合わせじゃのう、ヴィジュアル系バンドのツアーじゃないけ?」
「こんな田舎に来るわけなかろう。ワシャ知っとるぞ、あれはコスプレゆうてな……」

ローファンタジアにはコスプレやよく分からん服装の人がたくさんいたので何ら違和感はなかったが
確かにここだとちょっと、というか滅茶苦茶浮いている!
そそくさと冒険者の店に入ると、マスターがカウンターに突っ伏して寝ていた。
こちらの気配に気づくと驚いて飛び起き、何事もなかったように言う。

「ドイナカの村の冒険者の店へようこそ!」

「今寝てたよね!?」

「滅相も無い、いくらド田舎で近所の人しかこなくていつも台所のゴキブリ退治ぐらいしか依頼がなくて
まともな客が殆ど来ないからって寝たりしませんよー、ハハハ。
でもお客さんラッキーですね、今日は久々に事件らしい事件の情報がありますよ!」

マスターは情報を言いたくてたまらなさそうだ。
それはかつて何処にでもある村だったがアインソフオウルの撒いた種子により
今に廃墟も同然と化した。今でもその力に魅入られし者が住み着き猛威を振るうべく
力を蓄えようとしていたが、あっさりとその生涯は潰える。
エスペラントにとっては早くも二つ目のアインソフオウルが撒いた分身を刈り取っていた

「これで二つ目か、一体幾つばら蒔いたのか把握出来ていないが
早く始末せねばならん」

両断された肉体が塵に還っていく姿を見ながら
力に飲まれた哀れな目の前のかつての者に憐れみの感情を向けて居た時
途轍もない力が現れるのを感じ振り向いた時、3歳のスポーツ刈りの少年が居た
目付きと口元に嘲笑を浮かべてそして全身から禍々しい力を放出していた

「所詮は力に溺れた落ちこぼれですね、タラちゃんの同類の中でも下の下で〜す♪」

目が完全に正気の者ではないタラちゃんと名乗った少年に反射的に矢を放つと瞬く間に別の場所に移動する
そしてその子供は面白い玩具を見つけたの如くただ一言

「お兄ちゃんの今後の活躍が楽しみで〜す♪また生きていたら会いましょう♪」

まるで無駄とでも言いたげだったがそしてそれは何処かに消えていく
だが奴は間違いなくばら蒔かれたアインソフオウルの力を取り込んだ者だろう
同類を名乗った以上はそう考えられるが嘘だという可能性もあるが

「何れは合間見えよう、例え姿が年端もいかない子供だろうが
君を倒さねばならない、静葉」

あのような子供を手に掛けなくてはならないのかと苦悩もあったがそれはすぐに消え
自らの影を呼び出して次の目的地に向かう。

130アサキムandアヤカ  ◆JryQG.Os1Y :2012/08/21(火) 08:46:05.46 ID:WpKkGxFb
「さて、俺はそこには用ないから、じゃあな。」
飲んでいた、カフェオレを飲み干し、ゴミ箱に捨てる。
「どうせ、また会うし、」
そういうと、二人は、光の中に消えていった。

此処は、とある都市 だが、アインオブソウルのせいでほぼ半壊
そんなことには、目もくれず、つっこむ
「なぁ、悪いんだけどさ、消えてくんない、今すぐ」
その言葉を聞いた瞬間AOS【アインオブソウル】は攻撃を開始
「排除開始。」
ツインバスターライフルを召喚すぐに攻撃
ターゲットは、見事に散る。
その瞬間、サザエさんのイクラちゃんみたいな奴がでてくる。
しかし、可愛いというよりは、まがまがしい
「ちゃーんちゃーん」
バン
「アサきム!何で撃つの」
「今、クロックアップした。人じゃない、彼奴」
「アヤカいくぞ。」
とりあえず、また狩りにいく。
だが、偶然にもビャクと同じだった。
131ゲッツ ◇DRA//yczyE:2012/08/21(火) 21:39:29.88 ID:TZ0hTQnT
>「さて、俺はそこには用ないから、じゃあな。」

「んあ、もう行くのか。
 ま、いってらー」

特に引き止める様子も無く、銀色の腕をひらひらと振ってアサキムを見送った。
そうしながら、何事も無く外に出ると

>「何じゃありゃ、冒険者かえ」
>「それにしては変な組み合わせじゃのう、ヴィジュアル系バンドのツアーじゃないけ?」
>「こんな田舎に来るわけなかろう。ワシャ知っとるぞ、あれはコスプレゆうてな……」

という声が聞こえて、憮然とした顔。
ただでさえ強面かつ体格の良い竜人だ、まるでモーゼのように道は開けていった。
ヤクザとか山賊とか色々と散々に言われつつも、なんだかんだで冒険者の店にたどり着いて。
店のドアを潜るようにして入ると、やる気の無さそうな店主が一人。

>「滅相も無い、いくらド田舎で近所の人しかこなくていつも台所のゴキブリ退治ぐらいしか依頼がなくて
>まともな客が殆ど来ないからって寝たりしませんよー、ハハハ。
>でもお客さんラッキーですね、今日は久々に事件らしい事件の情報がありますよ!」

「言いたいのはわかったから勿体ぶん無くてもいいんだぜェ?
 な、な。ちょいと俺今ワクワクしてるわけでよ、大抵の仕事なら即受けてやンぜ?」

なぜか無事だった冒険者カードを懐から取り出し見せるゲッツ。
冒険者協会のデータサーバが無事であれば、確認したデータの中で荒事系の案件の解決件数が多いことがわかるだろう。
少なくとも、ペーペーの新人ではない事は明白だった。

鬼が出るか蛇が出るかホモが出るかサザエ時空が出るか。
何もわからない状況だが、少なくとも話を聞かないことには何も始まらない。
そして場所は移ってテイル達の居る村から比較的近い
中途半端な都会っぽいよく言えば発展途上悪く言えば何の特徴も無い街に
何処にでもあるチェーン店のファミレスにて守護者委員会の超広域情報収集部門の
いわば諜報員のような物の総称である葉―リーフの一人と落ち合うこととなる

「この辺は本当に平和ですよ、ただねぇ…」

彼はこの辺では何処にでもいる若者風を装っているチャラチャラした男だ
話をする際にも不自然が無いように携帯を見ながら小声で報告する

「最近ゆっくりっていう饅頭だが生首の突然変異だか分からない生き物がなんだか様子がおかしいんですよ
人を襲って凶暴化しているのも居るらしいですよ?後はこの辺だけじゃなくて広範囲で男が何者かに誘拐されてるようなんです
その人達が淫夢ファミリーとか言うのに拉致されたという情報も入ってきましたが
何処に潜んでいるのかは現在調査中。ただ間違いないのはこの世界の外から来たとんでもない存在と言う事です」

聞きたい事は全部聞き終わったので足早に葉―リーフの男は帰って行った
静葉はただ一言も言葉を発せずエスペラントも思考する素振りを見せる
その事はばら撒かれたアインソフオウルの種子が関係あるかもしれない
そして覚悟を決めて立ち上がる

「情報がないからに動けん静葉と共に情報収集をするとしても時間が掛かるだろう
今日は宿屋を取っておく、夕方くらいに其処に集合だ」

「…御意」

ファミレスから出るまで何者かに見られているような気がした
そしてその後も後を付けられていたが敢えてその事にも気づいていた静葉も制止し
各々の行動を開始した
133フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/08/22(水) 20:23:41.06 ID:4PBVbSo9
>「さて、俺はそこには用ないから、じゃあな。」

アサキム導師は早速トンズラしようとしていた。

「ちょっと待て、自分でお前達の力が必要だとか言っといて丸投げ!?
あとは若い二人で好きにしろってか!? せめてヒントを残して行くとかさあ導師様!」

>「どうせ、また会うし、」

導師は意味深な言葉を残して光の中に消えた。
外に出るとゲッツの威光によって、まるで海が割れるがごとく道が開けていく。

「どこぞの救世主様かよ! あんまり怖い顔すんなよ、子ども泣くぞ!」

とは言ったもののバーゲンかコミケの時には便利すぎる能力である。
というかこの爺さん婆さんは何で用も無いのに外をうろついてるんだろう。

時間軸は現在に戻って冒険者の店。ゲッツはノリノリだった。

>「言いたいのはわかったから勿体ぶん無くてもいいんだぜェ?
 な、な。ちょいと俺今ワクワクしてるわけでよ、大抵の仕事なら即受けてやンぜ?」

「まあがっつくなって、こっち来いよ。マスター、……そうだな、ミントフラッペ三つ」

カウンター席に座ってゲッツとリーフに両隣に来るように促し、様式美に則って飲み物を注文する。
年齢確認されるのは分かりきっているので年金受給者証を印籠のように見せつけつつ、だ。

「当店は未成年者にお酒は……失礼致しました!
あ、そっちの男性の方はいいですよ。見れば分かりますから」

当然だ、どこからどう見ても未成年者には見えない。
竜人って長寿種族だっけ。だったら余裕でオレより年上かもな。
マスターはオレ達の前にグラスを置くと、冒険者カードを端末に通す。
ちなみにオレの冒険者歴は、ハーメルン的手法を使っての飲食店のネズミ駆除や
呪歌でのスポーツチームの応援が時々ある程度だ。
134フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/08/22(水) 20:25:06.66 ID:4PBVbSo9
「随分経験値に差があるコンビですね。パワーレベリングですか?」

「まあそんなところだ、フフ、そろそろいいだろ?」

グラスの端に刺さっていたミントの葉を弄びながら本題を促す。
マスターは懐中電灯で照らしながら怪談風に語り始めた。

「3日程前……子どもの遊び場になっている近くの森に流れ星が落ちたそうだ。
ところが……翌日面白がって見に行った子どもが全員行方不明。
探しに行った親もついに帰ってくることはありませんでしたとさ」

「本当に何にも手掛かりはないのか?」

「森の近くまで行って顔面蒼白で逃げ帰ってきた人が一人。
なんでも、森の方からランランルーというえも言われぬ声が聞こえてきたそうな……」

やべー、何か分からないけど超怖ぇええええええええええええ!!
オレはミントのリキュールを飲み干し、飾りの葉っぱも食っちまい、丁度横にあったもう一杯に手を付ける。

「そ、そんな顔してどうしたゲッツ、こんなんで怖いのか!? 意外と可愛いところがあるんだな!」

「それゲッツさんのです」

「――あ。あっはははは!!」

リーフに突っ込まれ、もはや笑って誤魔化すしかなかった。
135アサキムandアヤカ  ◆JryQG.Os1Y :2012/08/22(水) 21:35:33.71 ID:Wuu7mb3n
「ウォッカを2つ」
「かしこまりました。」
ここは、あの店から少し離れた、酒場
ここで、二三人のおっさんが、アヤカにちょめちょめしようとして、血塗れになってるが気にしない。
「なるほどな、流れ星か。」
「はい、見つけた子、親は全て消えてしまったとか。」
「うーん、それだと、第三段階までいってるかもな。」
「あっ、そういえば静葉さんに、会いましたよ。」
「知り合い?」
「ええ、その話した情報、話したら、いい手みやげになるとか。」
「そうか、奴の居場所は」
「宿場です、ご丁寧に場所まで」
「えっと、宿場に行こう、まぁ、そこで泊まるのもいいか、」
とりあえず、こちらも行動を開始します。
136ゲッツ ◇DRA//yczyE:2012/08/23(木) 04:56:48.08 ID:fesykLCH
>「まあがっつくなって、こっち来いよ。マスター、……そうだな、ミントフラッペ三つ」

「うお、俺香り強いの苦手なんだがなァ」

獣の嗅覚を持つ、竜人種のゲッツ。
あまり強い香草等の香りは得意ではなかった。
フォルテが年金受給者手帳を見せているのを見て、ただでさえ強面の瞳が細められ、口元が三日月を描く。
ぞろりと覗く白銀色の歯が鋸のようだ。

「お前、酒飲める年かァ。こりゃ驚いたわ」

年齢を勘違いしていたのはゲッツもまた同じであった。
何はともあれ、カウンター席に座り、酒が出てくるのを待ち。
出てきたカクテルを見て、嗅いで、口に含んで。

「あんだ、美味ェじゃん。
 マスター、もーいっぱいな」

そう言うと、勝手につまみも頼み始めて一人宴会モードに入り始めた。
子供のようなフリーダムっぷりだ、頭の中に入っているのはおがくずである。
ただしその振る舞いをしているのは2m級の体格の良い竜人、という問題があるが。

一人宴会モードに入りながらも、ゲッツはマスターの言葉は確りと聞いている。
そして、思案顔を浮かべ、軽く俯いて。
うー、とちょっとした唸り声を漏らしていたのだが。

>「そ、そんな顔してどうしたゲッツ、こんなんで怖いのか!? 意外と可愛いところがあるんだな!」

というフォルテの言葉に、きょとんとした顔を浮かべて。
ゲラゲラと下品な笑い声を響かせながら。

「いンやァ、拳でカタがつきにくい案件は苦手でよォ。
 何とかして全部ぶっ倒せねーかなって考えてたわけだ。
 ……あと、お前飲んだそれミントフラッペじゃなくてアブサンな」

レベルを上げて物理で殴って何とかする以外の手段を持たないゲッツは、なんとか暴力で済ませようと考えていたようだ。
そして、一人宴会モードで頼んでいた酒は、当然としてミントフラッペだけでは収まらず。
たまたまフォルテが手にして飲んだ酒は、アブサンと呼ばれるニガヨモギのリキュールのストレートだった。
あまりにも独特すぎる為、好き嫌いが分かれる味かつ、度数が極めて高い。
ミントフラッペと思ったら予想外のダメージを食らう事だろう。
137フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/08/23(木) 05:02:07.10 ID:fesykLCH
>「お前、酒飲める年かァ。こりゃ驚いたわ」

「そこは年金貰ってる年なのか随分お若いって言ってくれよ!」

とはいえ、ゲッツが驚くのも無理はない。
オレの体は気づけば10代半ばを過ぎたぐらいのまま時を止めていた。
理由は単純明快。妖精は、幼い子どものような姿のまま悠久の時を生きる種族だ。
母さんは異界の妖精らしいが、おおかたその点は似たようなものだろう。
いくらぱっと見人間っぽくても、やはりオレの半分は妖精なのだ。

ヤケクソの勢いでミントフラッペを一気飲みしたオレに、一人宴会モードに入っていたゲッツは答えた。

>「いンやァ、拳でカタがつきにくい案件は苦手でよォ。
 何とかして全部ぶっ倒せねーかなって考えてたわけだ。
 ……あと、お前飲んだそれミントフラッペじゃなくてアブサンな」

「――へっ」

そう言われてみれば苦っ、というか辛い! なんじゃりゃ消毒用アルコールか!

「ぎゃぁあああああああああああああ!! 水!! 水!!」

断末魔の絶叫をあげながら水を乞う。
オレは砂糖を大量にぶち込んだやつ、というより大量の砂糖の中に酒を少し入れたやつしか飲めないのに!

「やっぱりフォルテさんにはまだ早いですよ! 無理せずジュース飲んどきましょうよ」

リーフの有難い忠告にオレは真っ向から反論する。

「君は何も分かってない! そうだな、世界の危機と(笑)で例えよう。
ひたすらドタバタするだけの日常コメディは何か物足りない
かといって終始糞真面目に深刻に世界の危機に立ち向かう話なんて重苦しくてとてもやっていられない。
でもそれを大量の(笑)の中に入れる事によって奇跡の化学反応が起こるのだっ!」

「意味が分かりません、大丈夫ですか!?」

「大丈夫も大丈夫、歌いたいぐらいの気分だ。
ラッキーだな、ローファンタジアで名をはせたトップアイドルの歌が聞けるなんてなあ!」

オレはおもむろに立ち上がり、ギターを構えた。

――ガチャッ ポイッ

気が付くと店の外壁にもたれかかって座り込んでいた。どうやら摘まみだされたらしかった。
またオレの素晴らしい芸術が理解されなかったか、嘆かわしい事である。
138ゲッツ ◇DRA//yczyE:2012/08/24(金) 04:40:11.41 ID:x1qLXE76
>「ぎゃぁあああああああああああああ!! 水!! 水!!」

「うわァお、予想外に楽しい反応じゃねーの」

ケラケラケラと上機嫌に笑いつつ、フォルテに水の入ったコップを押し付けて。
当人はエメラルド色の液体をスイスイと口の中に含み、嚥下していく。
因みに、ニガヨモギには向精神作用のある成分なども含まれている為、一時期アブサンは製造禁止になった事もある。
ゲッツが飲んでいたのは、当時のそれに近い限り無く非合法に近いタイプの為、色々とアレだった。
まあ、飲んでいる当人は血色が良くなる程度でそれ以上でも以下でもないのだが、

>「大丈夫も大丈夫、歌いたいぐらいの気分だ。
>ラッキーだな、ローファンタジアで名をはせたトップアイドルの歌が聞けるなんてなあ!」

響くフォルテのギター、ボーカル。
美声と美旋律で奏でられるのは、あまりにも前衛的すぎる音色。
だが、ゲッツはむしろ楽しそうな顔でその音楽に耳を傾ける。

店の外につまみ出されそうなフォルテを見て、苦笑を浮かべて。
首根っこを摘んで、文字通り店の外に摘み出した。
どうやってかっぱらってきたのかビンのアブサンを何本か小脇に抱えて、リーフのふくろに押し込みつつ。
げらげらと陽気に笑い声を上げながら、フォルテの背中を強く叩いた。

「いいじゃァねえか。
 魂に熱が有る奴ってのァやっぱり好きでよ。
 お前さんの作る曲はちィとウケねぇかも知れねぇが、俺ぁ嫌いじゃねェ。
 良い演奏と歌だったぜ?」

この男に慰めや、配慮というデリカシーは無い。
素直に、曲に関しては貶すが、姿勢と意思には賞賛を。
魂に熱の入った者。要するに、一生懸命な存在を好むのがこの男だ。

「ん、なンか、声が聞こえンなァ?」

声を潜めて、周囲を見回すゲッツ。
酒を軽く含みながらも一気に警戒体勢に入り、その双眸に剣呑な色が宿る。
口元に指を当てて、フォルテの方を向き、大通りの方へと歩いて行くゲッツ。

「あそこ行くと神様がオラ達連れてってくれるだ。
 だから、悪いもんじゃ無いべよ。
 このまま生きてたって、きっと全部ローファンタジアみたいになるっぺぇよ。
 ……オラ、こんな村いやだァ! 森に行くべさァ!」

憔悴した様子の村人が、そう言うと、近くのカブに飛び乗り、森の方へと消えていった。
人だかりの奥にある、集会場のラジオからはローファンタジアの崩壊のニュースが流れていた。
村人の青年の言葉に、他の人々の間でもざわめきが広がっていき、嘘だと笑い始める人と、不安そうに当りを見回す人等が現れ始める。
ざわめきは広がっていき、不穏な気配が村全体を包みこみつつ有った。

「ンで、どーするよ、フォルテ」

つい、と親指で森の方を差して、竜人は首を傾げて問いかけた。
パーティを組む以上は、必要以上の独断専行をする積りは無い。
リーフにも同じように、意見を求めるのだった。
139フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/08/25(土) 09:19:09.81 ID:1pc9+ODc
>「いいじゃァねえか。
 魂に熱が有る奴ってのァやっぱり好きでよ。
 お前さんの作る曲はちィとウケねぇかも知れねぇが、俺ぁ嫌いじゃねェ。
 良い演奏と歌だったぜ?」

慰め、なわけはない。こいつはそんな気の利いた奴じゃない。
それは裏を返せば、言葉の全てをそのまま信じていいということだ。
立ち上がり、空を見上げるようにして語る。

「ありがとう。なあゲッツ、オレには夢があるんだ――。
この魂で紡いだ神曲を世に送り出す事。
だって、そうなればオレの生きた証が永遠に受け継がれるんだよ。
喜べ、お前の心臓には未来の大作曲家様のサインが刻まれているっ!」

こんな事を言うなんてかなり酔ってるな、と我ながら思う。
思ったが最後、ある事に気付いてしまった。やっぱり飲み過ぎだ。
オレの微妙な顔色の変化を読み取ったリーフが毎度お馴染みのメタ発言をする。

「まさか……気分が悪いとか吐きそうとか言い出さないでくださいよ!?
健全な紳士の集会所で不必要にマニアックな方面を開拓しようとしないでください!
お茶の間がドン引きします!」
「誰が開拓するかっ! アイドルはトイレに行かないって昔から言うだろ!」

>「ん、なンか、声が聞こえンなァ?」

こっちの掛け合いを余所に、ゲッツが警戒態勢に入る。
只事ではないざわめき声がする。そーっとそちらに行ってみると……

>「あそこ行くと神様がオラ達連れてってくれるだ。
 だから、悪いもんじゃ無いべよ。
 このまま生きてたって、きっと全部ローファンタジアみたいになるっぺぇよ。
 ……オラ、こんな村いやだァ! 森に行くべさァ!」

一人の青年が森へ行ったのを皮切りに、村人たちに不穏な雰囲気が広がっていく。

「こ、これはヤバイんじゃないかな!? うん、マジでヤバい!」

とか何とかいいながらどさくさに紛れてさりげなく茂みの中に分け入る。
それぐらいヤバかったのだ。

―― 約1分後
オレはどうしようもない事を呟きながら服装を整えていた。

「はぁ……なんでこういうところは人間仕様なんだよ。
どーせ物理法則とかガン無視なんだからそこは妖精仕様でいいのに……」

ちなみに描写されていない事は断じて起こっていない! アイドルは以下略。
いなくなった事を気付かれる前に早く帰ろう。
駆け出しかけてはた、と足を止める。只事ではない気配に、左目が疼く。
精霊力が狂っている――恐る恐る後ろを振り向く。そして見た物は――

「――うわぁああああああああああああああっ!!」
140リーフ@NPC ◆jIx.3BH8KE :2012/08/25(土) 09:21:20.90 ID:1pc9+ODc
>「ンで、どーするよ、フォルテ」

ゲッツさんが振り向いて聞くも、フォルテさんはいません。

「えーと、すぐに戻って来ると思いますよ。
何も聞かないであげてくださいね」

私が言った通り、フォルテさんはすぐに現れました。腕には何故かかごを下げています。
その姿は、どこか白雪姫に出てくる毒リンゴの魔女を彷彿とさせました。

「それ何ですか? どこから持って来ちゃったんですか……!?」

「ハンバーガー4個分ぐらいかな☆ 一緒に食べようよ☆」

あっちゃー。一人になった時に取り憑かれるというオカルトの定番パターンを踏襲してしまったようです。
精霊力などの加護を受けやすいのは一見いいようですが、往々にして悪い物の影響も受けやすいものなのです。

「駄目ですよゲッツさん! これは罠です、絶対毒が入っています!」

「朝ごはん食べて、元気もぉりもり!」

今は朝じゃないけどそう言われてみれば、すごく美味しそうに見えます。

「じゃあ少しだけ……」
141ゲッツ ◇DRA//yczyE:2012/08/26(日) 00:27:36.08 ID:SxYR5E9E
相変わらず愉快なコントを繰り広げる二人を尻目に、眼前の状況を警戒していたゲッツ。
当然として、フォルテが茂みに行ったことにも気がついていなかった。
村人のざわめきも広がり、異様な雰囲気の中で。
竜人が振り向けば、居るのはリーフだけ。首を傾げた。

>「えーと、すぐに戻って来ると思いますよ。
>何も聞かないであげてくださいね」

「あァ、便所か」

本当にデリカシーが無いが、仕方がない。
戻ってきたフォルテにぱたぱた、と手を振ろうとしたが、咄嗟に手を下げ、身を固めた。
意思を四肢に巡らせ、鋼の左腕は波打ち、毛羽立ちゲッツの体に魔力を供給し始める。
既に五体は臨戦態勢であり、戦闘にいつでも入れる状況。
警戒の原因は、戻ってきたフォルテに有った。

>「ハンバーガー4個分ぐらいかな☆ 一緒に食べようよ☆」

「なァる。そういう訳、ッてか、オレも不味くねェか?これよォ!?」

確実に様子がおかしく、先ほど聞いた話も合わせればなんとなく予想はつく。
要するに、事件の元凶か何かの影響を受けているのだろう、という事は頭におがくずしか詰まっていなくとも理解できた。
暴力でしか物事を解決出来ないが、何か策は無いものかと戦闘時のみ冴える思考を駆動。
結果として、有る一つの行動を導き出した。

目の前には様子のおかしいフォルテと、そのフォルテにふらふらと手を伸ばしていくリーフ。
竜人もまた、謎の力に吸い寄せられるようにして、意識に僅かにもやがかかりはじめた、が。
咄嗟に一口、アブサンを口に含み、強い臭気と苦味、辛味で意識を強制的に覚醒状態へと持ち込む。

息を深く吸い、ゲッツは大きく口を開いて肺から息を叩きだした。
肺から気管を通り抜ける暴風は、そのまま声帯へとたどり着き、声帯を通り抜けることで音を生み出す。
音は、開けられた大口を拡声器として発射された。

「ガァアァァ――ッ!」

空気をビリビリと震わせ、心をも揺らす音の猛威。
戦意を強く込めたその咆哮は、あのローファンタジアでの戦いで魔法少女達を恐慌に陥らせたそれと同種の技能。
村全体に響き渡るその咆哮で、村全体の音が一瞬すべて消え失せたかのような錯覚すら抱かせるだろう。
竜人族の肺活量に、鋼の心臓からの魔力を込めた技の一つ、竜哮である。
そして、おもむろに手を伸ばし、リーフとフォルテの頬を摘み、痣にならない程度に強く引っ張る。

「さっさと起きろってェの、お前らヨォ。
 遊んでる場合じゃねーだろうに」

嘆息しつつも、先ほどのフォルテの姿を思い出し、苦笑。
いつかからかいのネタにしてやろうと心に決めるのだった。
フォルテとリーフが調子を取り戻すまでの間に、ゲッツは村人達に車を借りられないか交渉を始めている。
健脚の為、徒歩でも竜人は問題無いが、リーフ達もと考えると、バイクで逃げた村人を追うのは徒歩では難しい。
少なくとも車で森までの道を短縮するか、魔法での移動などが必要だろう。
142フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/08/26(日) 00:35:16.17 ID:SxYR5E9E
闇に光が差し込むように、意識に立ち込めた霞を、竜の咆哮が吹き払う。
あの時オレの気を引いた、魂に突き刺さるような音。

>「ガァアァァ――ッ!」

眠りから目覚めると、目の前には金髪の竜人がいた。

「なんだよぉゲッツ、そんなに大声だして。発声だけはバッチリだな。
……あいたたたたたた!!」

>「さっさと起きろってェの、お前らヨォ。
 遊んでる場合じゃねーだろうに」

そう言われて、次第に記憶が戻って来る。
V系吟遊詩人にあるまじきキャラ崩壊を起こしていた気がする……!
なぜか籠に入ったハンバーガーなんて持ってるし! よく見ると賞味期限切れだ!

「なんだっこら!」
「賞味期限切れじゃないですか! 思わず食べそうになっちゃいましたよ!」

と言いながらも賞味期限切れハンバーガーを袋に収納するリーフ。

「そんなもんしまうんかい!」
「後に何かの手掛かりになるかもしれませんから。何か思い出せませんか……?」

そうだ、オレはあの時何を見た?

「えーと……白塗りで赤いアフロの道化師……」
「道化師!? オカルトの王道ですね!」
「いや、多分そんないいもんじゃないと思う……」

オレ達が推理を繰り広げている間に、ゲッツは車を借りる交渉を始めていた。
ここはおちょくっておくのが礼儀というものだろう。

「くくく、お前盗んだバイクで走り出しそうな顔してるのにな。
か弱いお嬢さんを長距離歩かせられないってかー!? 結構気が利くところあるんじゃん」
143フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/08/26(日) 00:35:56.17 ID:SxYR5E9E
そうしている間に車を貸してくれる親切な人が現れた。

「オラの車を使ってくんろ」

その車にはアニメ絵柄の金髪の美女が描かれていた――。いわゆる痛車である。

「キモオタ……じゃなかった、アニメマニアの方ですか?」

「失礼な! これは星の巫女様の聖画さぁ。
オラさ星の巫女様のファンクラブの一員…じゃなかった、星霊教団の敬虔な信徒だべ」

星の巫女様には隠し子がいるんだ、残念!と言ってみたい衝動にかられるがやめておく。
星の巫女様の聖画は正直かなり微妙だが、この際贅沢は言っていられない。

「運転は任せろ! ここ何十年間もゴールド免許だ!」

ペーパードライバーだからゴールドで当然なのだがまあ問題はないだろう。
早速車に乗り込み、発進する。
その瞬間物凄い勢いで後ろに走り出し、木にぶつかる……寸前に止まった。
何とも言えない沈黙が流れる。

「ハハハ、ギア入れ間違えた。
ぶつからないオプション付いてんの!? 最近の車はすごいな!」

車の性能を賞賛して誤魔化してみた。
144創る名無しに見る名無し:2012/08/26(日) 00:46:02.34 ID:bsQGeboQ
「――誰かを救うのに、正義なんか、いらない。
 でもな、正義を否定するってのも、こいつはまたなかなか覚悟の要ることだぜ?
 倫理に石投げて、道徳に背を向けて、えこひいきのズルをしながら大切な人を守っていくんだ」
静葉と別れた後、PDA型悪魔召還器COMPを介して
かつてルドラサウム大陸にその世界の創造神ルドラサウムを討伐する
命令(オーダー)を引き受けた時にその手始めにてかつて存在しないはずの武田家当主
武田信玄としての役割を演じるために与えられ、紆余曲折ありながらその足がかりとして
戦乱に満ち知っている限りの災厄を排除し島国を征服した。
その際に出来た臣下達風林火山を呼び出す

「「「「お久しぶりです御館様」」」」

「久しぶりだな、昌景、透琳、彰炎、義風
お前達にいろいろと力を貸してもらいたい」

情報に関する事は疾きこと風の如しと呼ばれる忍高坂義風に任せ
残りのメンバーには知恵を借りながらいろいろと手伝ってもらう事になり
山県昌景、馬場彰炎はてばさきと呼ばれる生物の騎馬兵なので足は速く行動に移していった
その後を人の足で真田透琳も歩いて姿が見えなくなるころに
先ほどからこそこそ付いて来る者に声を掛ける

「何時まで付いて来るつもりだ?」

その声にもはや無駄だと思ったのか姿を現す
何処にでも居るサラリーマンのようだが目付きと身のこなしからして只者では

「いや失礼、私は海山商事…まぁようするに民間軍事会社ですな実情は政府の外郭団体なんですが
そこの営業課という名の実働部隊いや元実働部隊の社員穴子と言います」

「それで?その元実働部隊社員がなぜ私を付回した?」

その事に関しては少し申し訳なさそうにそして真剣な表情で

「あなたは世界守護者機関の方ですよね!?ならば私達に力を貸して下さいませんか?」

どう言う事なのかは分からないが切羽詰っているには間違いない
詳しい事情をこの際時間はまだあるためせめて聞くだけ聞こうと尋ねようとする
「まずは――」

そんな時、どこからか見た事のない獣がやってきて目の前で倒れる
そしてそれを追って来た二人組が現れる

「あーあ裏切り者のクッソ汚い淫獣を始末するのに見られたよどうする(棒読み」

「もう面倒だから始末しちゃ」

二人組の内一人が始末する事を仄めかした時、穴子はいつの間にかその手にグロック17を持ち
瞬く間にその頭をパーンという乾いた音と共に撃ち抜く
間違いなくそれは手馴れた手つきで相当な実力者であることが分かる

「貴様等、どこかで見たと思ったら淫夢ファミリーか!
タラオに誑かされたホモ共が!吐いてもらうぞ奴の居所を!」

既に射程に捉えていたのかもう一人に対してまずは足を撃ち抜き
近づこうとした時に思わずエスペラントは近くに寄って制止する

「こいつ等に関して何か知っているのですか?」

倒れている謎の生物を優しく抱き抱えて尋ねる
そしたら銃は向けたままにその語りかける

「私が追っている存在に唆された奴等の一つですよ、私はその追っている子供を
殺すために此処まで来ました協力してもらえませんか?」

「うわぁヤベェ、血が出てきてるんじゃねぇーか(驚愕」
147ゲッツ ◇DRA//yczyE:2012/08/26(日) 23:21:37.04 ID:WN8GTI5p
>「くくく、お前盗んだバイクで走り出しそうな顔してるのにな。
>か弱いお嬢さんを長距離歩かせられないってかー!? 結構気が利くところあるんじゃん」

「そんなんじゃんねェッての!
 お前らがヒョロいから俺が珍しく気を利かせてやったってのによォ。
 これでも元傭兵だぜ? 作戦行動だ、作戦行動。おう、そうだそうだ」

はん、と鼻で笑いながらそっぽを向くゲッツ。
面倒見は良い部類だが、こうして面と向かって言われれば流石に恥ずかしい。
もともと粗暴で粗野なのはこの竜人も自覚していて、それが自分の在り方だとわかっているのも相まって、気が利くなんて似合わないこともわかっていて、どことなく恥ずかしい気分になったのだった。

ピーチクパーチク騒ぎながらも、なんだかんだで車を貸して貰える事になったゲッツ達。
見せてもらった車は、アニメの絵が書かれた、所謂痛車。
ゲッツの反応はと言えば……。

「うぉッ、これすげェ力入ってんのなァ。
 カッティングシートって、結構上手くやるのむずいんだが。
 気泡も入ってねェし、こりゃ職人技だなァおい。
 絵柄も複雑だし、パネェぞこりゃァ」

熱の入った視線で、車に張り付き、車の絵柄を舐めまわす様に眺めていた。
目的はアニメと別の所なのだが、傍から見れば異様な体格の竜人が痛車にへばり付いている不気味な光景にしか見えないし、実際そうだ。
誉めそやす竜人の態度に、村人はといえば、満更でもない様子だ。

「そ、そうだべか。
 ふへへ、ありがとうだべ」

ガラの悪い竜人が存外にこの手の事に理解が有った為、割りと好意的な感情を向ける村人。
竜人はと言えば、リーフの袋を勝手に取り上げて、紙とペンを取り出して何かを書く。

「いや、すげーわ、すげーから先に謝っとくけど車ぶっ壊すかもしんねェから。
 そんときゃここまで連絡してくれヤ、代わりの車くらいなら用意してやっからよォ」

痛車の製作技術の高さに感銘を受けながらも、これから先の戦いや状況によってはこの芸術作品がお釈迦になるのも心苦しかったゲッツ。
そのため、実家が兵器工場で車も作っているゲッツは、実家の連絡先を書いて村人に渡す。
後々トラブルにならないように身を振るのは、傭兵として各地を渡り歩いてきた経験則だ。
148ゲッツ ◇DRA//yczyE:2012/08/26(日) 23:22:55.77 ID:WN8GTI5p
何はともあれ、車を借りる事の成功したフォルテ、ゲッツ、リーフの3人。
最初は車を運転しようとゲッツが思っていたのだが

>「運転は任せろ! ここ何十年間もゴールド免許だ!」

と気合を入れているフォルテを見て、不安に思いつつも、まあやらせてみるか、と見守り助手席に。
車を揺らしながらも、車体に巨体を押しこみ、交渉の際についでにもらってきた地図を眺める。
いざ出発と、車が発進した瞬間に、衝撃が竜人含む車内の全員に襲いかかる。

>「ハハハ、ギア入れ間違えた。
>ぶつからないオプション付いてんの!? 最近の車はすごいな!」

沈黙と、引きつった笑い声。
嘆息するゲッツは、フォルテの襟首に静かに手を伸ばし、むんず、と鷲掴みにして窓から外に放り捨てる。
開いた運転席に乗り込みながら、ゲッツはおもむろに座席の調整と、ミラーの確認を開始。

「ちょいと替わりなァ。
 お前に任せてると日が暮れても付きそうにねェし。
 ……ん、装甲車よりクラッチは緩いな。シートも良い感じだし。
 つーわけでお前助手席で、ナビ担当な。ほれ、地図」

窓からフォルテに地図を放り投げ。
フォルテが乗り込むと、ゲッツは手慣れた様子でギアをチェンジ。
アクセルを踏み込み、森の方へと走りだした。

「こりゃ、飛ばしてイケる感じだ、っしゃァ! 行くぞ悪羅ァ!
 あとオレ方向音痴だから真面目にナビしねーとどこ行くか分かんねーからなァ!」

アクセルを全開で踏み込み、全速力で農道を駆け抜けていく痛車。
運転は荒いものの慣れたものであり、舗装されていない荒い道を走るのには慣れている。
ナビを間違えさえしなければ、または何らかの邪魔さえ入らなければ森までは1時間程でたどり着けるだろう。
149フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/08/26(日) 23:27:00.34 ID:WN8GTI5p
痛車技術への意外すぎる造詣を見せたゲッツが、どこかの連絡先を村人に渡す。

>「いや、すげーわ、すげーから先に謝っとくけど車ぶっ壊すかもしんねェから。
 そんときゃここまで連絡してくれヤ、代わりの車くらいなら用意してやっからよォ」

「え、どこの連絡先だよ!? スポンサーでも付いてんのかよ」

聞けば実家が兵器工場らしい。ちょっと待て。それって結構な金持ちなんじゃ!?
てっきり天涯孤独か超貧乏か勘当されたかのあたりだと思ってたぞ。
さっきおちょくったら予想外に反応良かったし、実はこう見えて本性は……育ちのいいお坊ちゃん!?

―― そして今。オレは車の窓から爽やかにダイブしていた。やっぱ金輪際気のせいだ!
そのままドサッと地面に落ちる。

「いってー! あのなー、いくら金持ちのイケメンでも乱暴だとモテないんだぞ!」

>「ちょいと替わりなァ。
 お前に任せてると日が暮れても付きそうにねェし。
 ……ん、装甲車よりクラッチは緩いな。シートも良い感じだし。
 つーわけでお前助手席で、ナビ担当な。ほれ、地図」

口を塞ぐかのように、バサッと顔に地図がのっかる。
いそいそと助手席に乗り込む。

「もう、仕方ないなあ。あれ? という事はカーナビ付いてないの? つーかよく見るとミッション?」

すみません自分オートマ限定免許でした。根本的に駄目である。

>「こりゃ、飛ばしてイケる感じだ、っしゃァ! 行くぞ悪羅ァ!
 あとオレ方向音痴だから真面目にナビしねーとどこ行くか分かんねーからなァ!」

「おー! 盗んだ痛車で走り出す〜♪」

「人聞きが悪いですよ、盗んでません!」

5分後――オレは地図を熱心に見ていた。後ろを振り向き、真剣な表情でリーフに意見を求める。

「ここのラーメン屋美味しそうだと思わない?」
「げっ、真面目に観光地情報を吟味してる! 駄目ですよ、本来の目的を忘れたら!」
150フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/08/26(日) 23:29:25.30 ID:WN8GTI5p
ここでオレは名案を思い付いた。そうだ、スマホのナビを使えばいい!
リーフに袋からスマホを出してもらい、画面を表示する。
すると恐ろしい程の大量の着信やメールが……。

「うを!? なんじゃこれ」

留守電を再生してみる。最近のスマホはテレビ電話が標準装備なので、無駄に映像付きで再生される。

『生きてるかー!?』
『フォルティーナちゃん、ローファンタジア壊滅したらしいけど大丈夫なの!?
ようつべに流されてるイタい野外ライブの人ってアンタでしょ!?』
『死なれたらニラオチ対象が無くなってつまらんわ』

――音大の同期だった。人間異種族入り混じっているが皆見事に若いままだった。
何十年も音信不通だったくせにワクワク観察対象が死んだかもしれないと思って慌てたらしい。

「何故か人間脱出率パネエしニラオチ対象になってるしイメチェンしたのに普通にバレてるし!」

『ドナルドです』

「――へ?」

最後に赤アフロが一瞬出た気がしたが、気のせいだと思う事にした。留守電再生をプチッと切り、ナビを起動する。
これで辿りつけるはず……と思いきや何者かの妨害電波を受けたらしく、画面が砂嵐になる。
再び画面が映ったかと思うと、壁にうまった大量の白塗り赤アフロの顔が引き返せー引き返せーと言っている映像が……。
もはやガチホラーだった。

「ぎぇえええええええええええええええ!?」

♪  ♪  ♪  ♪  ♪

そんなこんなで――そろそろ日が沈もうかという頃、オレ達は森に辿り着いた。

「いやあ、ちょっと時間はかかったけど無事に辿り着けて良かったよかった!」

「え、ええ! 夜の方が雰囲気も出ますし!
わたしはNPC特権の気配を消す魔法使っときますからどうぞお構いなく!」

これは訳すと、専らふくろ要員なので敵に襲われる事はないし戦闘にも参加しませんという意味である。
151 ◆JryQG.Os1Y :2012/08/26(日) 23:35:26.84 ID:F4W/yGIC
「さて、行こうか。」
酒場のあと、アサキムは、とりあえず、ビャグを追うことにした。
「さて、」
アサキムは、オーロラを発生させた。
「お待たせいたした。」
そこに、現れたのは、風魔小太郎
アサキムは、戦国三国武将の繋がりが、強かった。
「風魔、アヤカに連絡、静葉と合流させろ。」
「承知。」
風魔は風とともに去る。
「さて、俺も行こう」
アサキムは、風魔が乗って持ってきた。バイクにのりビャクの念を追うことにした。
152 ◆JryQG.Os1Y :2012/08/26(日) 23:40:15.42 ID:F4W/yGIC
「どこだ?」
念を追いながら、アサキムはバイクでそこに向かっていた。
「見つけた。」
見えたのは、ビャクとおっさん。
「ビャク、なに、特殊部隊のおっさんと、兄さん脅してんだ?」
バイクで、森を抜け、ビャクと合流する
「おうおう、これはいい物を捕まえたじゃねぇか」
現状はどうすべきか、対応を決めあぐねている中
狙っているのか非常に良いタイミングでアサキムがバイクに乗ってやってくる

>「ビャク、なに、特殊部隊のおっさんと、兄さん脅してんだ?」

相変わらず先ほどの生き残りの一人にグロック17を向けながら
エスペラントに問いかける

「知り合いですか?」

本来ならば過去に戦った仲間ではあるが今の立場的には唯の知り合いか
恐らくは目的は一緒だろうからまた共に戦う事になるだろうが

「同じお役目の腐れ縁って奴かも知れませんが一応知り合いですよ」

それを聞いて空いていたもう片方の腕の袖からもう一丁を出そうとしていたのを
止める動作をその目で確認する。やはり見立て通り人間としては相当の手錬のようだ

「俺を捕まえてどうするつもり―」

「使えないですね、さっさと死んで差し上げろ」

突如身動きを出来なくなった青年が突如燃え上がり絶叫と共に消し炭に還る
声がした方向にある建物の上からスーツを着て眼鏡を掛けているが瞳はやはり
倒したアインソフオウルの種子を持った者と同じ力を持つそれに魅せられた狂気の存在である
瞳をしていたのであった。

「貴様、SNJか?有名クラスが出張るとはな」

銃を向けて穴子はSNJに警戒しているが相手は気にもせず会話を続ける

「いえ、別に貴方方には用はありませんよ用があるのは
其処の方が持っている汚らしい獣に用があるのですよタダでは言いません
引き渡してもらえますか?」

言葉面は慇懃無礼だが、本当に持っている生き物にしか用が無いらしく
引渡しを命じてくるが、もちろん動じるわけも無く

「断る、俺は手の届く範囲は必ず救うと決めている
どうしても欲しかったら俺を倒してから奪え」

断固拒否の姿勢を見せるとSNJは困った風に肩を竦める
「まぁ良いんですけどね、もうどの道この世界の異変は
淫夢くんが裏切った程度で止められないですし」

自信たっぷりにどうでも良さそうにあっさりとこの未知の獣
淫夢くんの抹殺は諦めたようだ

「今更この世界の異変に感づいたとしてももう遅い
我々淫夢ファミリーは虐げてきた運営に復讐するんですから!
止められる物ならば止めてみなさいこの街の先の森でお待ちしてます」

「待て!!」

SNJは大胆不敵にも自らの住処を告げた後
穴子の正確無比の射撃すらも切り抜けて何処かへと飛び去る
だが奴を追うよりも今は衰弱している淫夢くんの処置をしなければならない

「穴子さん、先ほどの話は引き受けましょうですが
まずはこの淫夢くんの手当をして奴を追わなければなりません
そして改めてお話を聞くという形で構いませんか?」

穴子はしばし悩む素振りを見せた後

「分かりました、私は実は単独で動いているわけではなく
他にも連れがいまして今から合流して出来れば彼らにも話を通してから
貴方方の後を追わせてもらいます」

それで構わないと返事をすると穴子は申し訳なさそうに
足早に立ち去っていった

「手当てをしながら奴を追わんといかんな
本当に奴等の企みで世界が大変なことになるのならば今すぐにでも」

ヴォーと鳴いた淫夢くんを優しく撫でながら
メディアラハンを掛けたのであった
155ゲッツ ◇DRA//yczyE:2012/08/28(火) 07:13:11.20 ID:atawFD6f
諸々色々ありながらも、なんだかんだでたどり着いた森。
見回せば、鬱蒼と茂った木々が月光も覆い隠す。
風が吹き、木々がざわめき。夜の森の職務である恐怖を煽る業務内容は十二分だ。
特に、森全体にはびこる、どことなく重苦しい気配が更にそれを助長していた。

「明かりはァ……っと。
 んー……こんな感じ、かねぇ?」

左腕を伸ばし、腕がまるで海月かアメーバかのようにうねり始める。
形を自在に変え、内部の回路を組み変え、魔力を動力に機能を起動。
掌から周囲を明るく照らす魔力の明かりが飛び出し、浮遊した。

「ん、物ぶっ壊す以外ァ苦手なんだが、案外上手く行ったじゃねーの。
 ……焼けた鉄と木の匂い、あっちか?
 置いとくとまたとりつかれるかもしんねーから、フォルテもさっさと付いて来なァ」

鼻をすんすんと鳴らし、森の入り口直ぐまで歩いて行くゲッツ。
フォルテがついてくるのを確認すれば、振り返らずに歩みを進める。
進めた歩みの先には、拉げたカブの車体が炎上していた。

「マジかァ……、こりゃ追うの骨だぜ?
 森全部焼き払えば良いんだが――、フォルテ。魔力の探知とか出来ねーか?
 取り憑かれやすい程そういうのに敏感なら、出来る気がすんだけど」

タイヤ痕を追えるならばまだ良いが、夜の森の鬱蒼と茂った草むらをかき分け足あとを探すのは骨。
探知系には向いていない為、フォルテに丸投げするゲッツ。
そして、同時に入り込んだ村人の救出よりも先に元凶を倒したほうが早いのではないかとも考える。

「村人探すよか、元凶先にぶっ飛ばしてからの方が早いかもなァ。
 どうしたもんかねぇ」

首を傾げつつ、竜人は戦闘以外ではそうそう回らない頭を回す。
が、どうするべきかは結局思い浮かばなかった。
156フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/08/28(火) 22:45:34.03 ID:j2omGOBw
夜の森は肝試しな雰囲気を出す仕事をし過ぎだった。
左目の精霊力視覚である程度は見えるとはいえ、漆黒の闇の中を歩くのは勘弁願いたかった。

>「明かりはァ……っと。
 んー……こんな感じ、かねぇ?」

「すっげーなあ、それどうなってんだマジで!」

>「ん、物ぶっ壊す以外ァ苦手なんだが、案外上手く行ったじゃねーの。
 ……焼けた鉄と木の匂い、あっちか?
 置いとくとまたとりつかれるかもしんねーから、フォルテもさっさと付いて来なァ」

「ま、待ってよー!」

ずんずん先行するゲッツ。
速足で歩かないと置いて行かれるのは、そもそもの体の大きさが違うから仕方がない。
付いて行った先にあったのは、炎上するカブ。
さっきから気分がすぐれないし頭が痛い。悪い精霊力にあたった時の症状だ。

>「マジかァ……、こりゃ追うの骨だぜ?
 森全部焼き払えば良いんだが――、フォルテ。魔力の探知とか出来ねーか?
 取り憑かれやすい程そういうのに敏感なら、出来る気がすんだけど」

「馬鹿! 植物なら虐殺してもいいのかよ!? 森全部焼き払うなんて冗談でも言ったら駄目だ!」

自分でもびっくりするぐらいの剣幕で突っかかっていた。
――またやってしまった。オレは周囲の精霊力が精神状態に直接作用する困った体質をしている。
精霊力の感受性の高さと、それに対応していない人間ベースの体とのギャップによるものだ。
端から見ると、度々理由も無くイラついたり嫌な奴になるようにしか見えない。
はたと我に返って、うつむいて言い訳する。

「……ごめん、今のは忘れて。病気みたいなものだから。
森全体に瘴気が充満している……。一曲、歌っていいかな?」

>「村人探すよか、元凶先にぶっ飛ばしてからの方が早いかもなァ。
 どうしたもんかねぇ」

素か意識してかは分からないが普通に目下の話を進めるゲッツ。
ここまで邪な魔力が一帯に充満してしまったら、逆に探知は出来ない。
聞き込み、なんて言っても誰もいないし……いや、いい聞き込み対象がそこらじゅうにいるじゃないか!
丁度歌って気持ちを落ち着かせないといけないと思っていたところだ。
157フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/08/28(火) 22:47:56.63 ID:j2omGOBw
「なぁゲッツ、樹の精霊に会ってみたくはないか? 
“ドライアード”――植物に宿る永遠の乙女……超美人だぞ?」

モナーをキーボードに変化させ、奏で唄うは森の息吹、生命の神秘。
ジャンルは幻想テクノとでも言おうか。
その題名の通り、植物の精霊ドライアードを物質界に呼び出す歌だ。

やがて、歌に応え、樹の精ドライアードが現れた。
緑髪ツインテールの美少女の姿で――。

「初音ミク……!?」

「緑髪でツインテールだったら自動的に初音ミク!? ニコ厨マジウケる!」

このドライアードはギャル口調だった!

「雰囲気ぶち壊れだぁああああああああああああああ!!」

「ウチらだっていつもはこんなんじゃないし。
急にのどかな森の真ん中に変なファーストフードショップがおったって気が立ってるワケ!」

ドライアードもアインソフオウルの種子の影響を受けているらしかった。

「んでそのバイクに乗ってたボーヤ、ハンバーガーのパンを千切って落としながら歩いてたよ。
辿っていけばいいんじゃね?」

何気に有力情報を手に入れた。

「ありがとう、ドライアードさん」

「は? 呼び出しといてタダ働き? イケメンでも紹介しろや」

それを聞いて血の気が引いた。
ドライアードには、美男子や美少年を誘惑して木に取り込んでしまうという恐ろしい伝承があるのだが、まさか……。
オレはゲッツの前で両手を広げて全力で拒絶の意思を示した。

「駄目、絶対!! こいつはガサツだし乱暴だしお前好みの美男子ってタイプではないと思うぜ!!」

「はぁ? そんなチンピラにキョーミねーしwwwウチら美形専門だからwww
しゃーねー、ちょっとガキだけどアンタで手を打つわ」

次の瞬間、緑髪美少女にひょいっと抱え上げられて持ち運ばれていた。
これじゃあ誘惑でも何でもなく単なる拉致である。

「はい、萌える緑のネギ祭りにご案内ワッショーイ!!」

全くもって意味不明だが、大ピンチという事だけは確かだ。
接近戦ならまだしも密着戦(?)に持ち込まれると手も足も出なくなるのが魔法使い系クラスの哀しさよ。
真に不本意ながら、オレはスタイリッシュキャラにあるまじき形振り構わず助けを求める悲鳴をあげていた。
もう涙目になりながら。それは心の底からの叫びだった。

「ゲッツ、たっ、助けてくれぇええええええええええ!
ネギ祭りは嫌だぁああああああああああああああああ!!」
158アサキム ◆JryQG.Os1Y :2012/08/28(火) 23:09:26.17 ID:MKUCjvd1
『ビャク、俺は先に行く。中に、竜人たちがいる。』
アサキムは、走る。いやな予感しかしない。
『とりあえず、やるか。』
とりあえず、精霊を呼ぶ。
『やぁ、かい、じゃないアクエリア』
『やあ、アサキム20年ぶりだね。』
『人来てない?ここ、』
『ああ、マックのキャラににた奴と、うちの妹が人襲ってる。』
『なぜ、そんなことがさらっといえる。まぁいいつれてけ』
『はいはい。』
フォルテの念が近い。
そこには、フォルテたちと、ドライアードがいた。
『こらぁぁぁぁ、ドライアード!』
近づくと同時にヘットロックをかける。
『えっ、アサキムちん何でここにいるの』
『何でじゃねぇぞ、こらなにねぎまつりにしようとしてんだあっ?』
『ごっ、ごめんなさい う、許して』
『だが断る。』
鮮やかな、ハイパーバックドロップ
『ったく、人襲ってるといって滅多に人の入らない森でいるとしたら、やっぱおまえ等だったか。』
159ゲッツ ◇DRA//yczyE:2012/08/29(水) 00:49:21.25 ID:7ItQWv8O
>「すっげーなあ、それどうなってんだマジで!」

「あァ……っと、なんだったっけか。
 なんか神経を通して考えた通りになんちゃらかんちゃらでなんだかかんだかだった気がするけど。
 とりあえず便利で丈夫で強い事だけは間違いねェわなァ」

神経系を侵食し融合する形で駆動しているのがゲッツの義手であり、動力は魔導心臓。
魔導心臓は元は別付けだったのだが、フォルテとの戦いで進化し、生身の心臓と融合していた。
それらもあり、魔術とは別の形での魔力の行使が可能となっているのだった。

「エスコートが必要かァ?」

けらけらと笑っていたが、ゆるやかに歩く速度を下げていくゲッツ。
少なくとも、フォルテの調子が悪そうなことには気がついている。

>「馬鹿! 植物なら虐殺してもいいのかよ!? 森全部焼き払うなんて冗談でも言ったら駄目だ!」
>「……ごめん、今のは忘れて。病気みたいなものだから。
>森全体に瘴気が充満している……。一曲、歌っていいかな?」

「あァ――……そういや、妖精系異族だったか。
 悪ィな、俺ガサツだからよ。
 ……ま、ガサツで図太いから、お前さんがキレたくらいで気にもしねー。
 悪いと思うなら、いい歌聞かせてくれ。それで十分だ」

自分がガサツで粗忽で無頼な輩だということは竜人も認識している。
だからこそ、自分に非が有る時は素直に認めて謝る事が竜人なりの自分へのルールだ。
気にしてないというのは事実であり、それでも悪いと思うならいい歌を聞かせてくれればそれで十分だ。

>「なぁゲッツ、樹の精霊に会ってみたくはないか? 
>“ドライアード”――植物に宿る永遠の乙女……超美人だぞ?」

響き渡る旋律と歌唱のメロディラインに身を委ね、意識を向ける。
竜人も又、地脈や周囲の気質の影響を多少なりとも受ける種族。
いつも以上に粗暴かつデリカシーの無い思考が、多少は休まる気がした。

そして、目を開けば――素晴らしい美少女が目の前にいて。
一瞬の沈黙の後、ゲッツは――。

「うっわ、マジマブいんだけど。
 でも、なんつーか……乳が足りないっつーか、うん、乳がなァ。
 いや、乳が好きってわけじゃないんだけどさ、ホラ、俺だって男じゃん?
 やっぱり、巨乳って夢が詰まってるしさ、夢を追い求めるのっていつまでも輝き続ける男の在り方じゃん?
 でもまあ大切なのは形だよな、そうそう、形形。バランスってやっぱり殺し合いの戦場でも大切だし、人間やっぱり調和ってのが必須だもんな。
 乳の大きさに貴賎無し、可愛けりゃぶっちゃけなんでもいいわ!
 いっやァでもまあ実際正直マジでイケるけど、つーか眼福すぎてヤベェんだけど。
 バイクの後ろに乗せて海岸線ぶっ飛ばしたいノリだわマジ」

ゲッツは――すごい勢いでチョロかった。
もともと傭兵の為、男臭い戦場で汗まみれ、泥まみれで生きてきた男だ。
ぶっちゃけて言うと、この手の事に対する耐性は全くと言って無い。
口から思考とか色々だだ漏れしてるのが、その証左であることは間違いない。
鼻の下を伸ばして、涎も垂らしそうなその情けないどころか公然猥褻フェイスは、あの時鉄血の戦いを繰り広げた男と同一人物にはとても見えない光景だったろう。
さぞかし口を開けばお淑やかで、ぎゅうとこちらに抱きついてきて助けを求めてくるなら俺は世界だって救っちまうぜ?と思っていた矢先、耳も疑う喋りが聞こえる。
160ゲッツ ◇DRA//yczyE:2012/08/29(水) 00:50:40.08 ID:7ItQWv8O
>「緑髪でツインテールだったら自動的に初音ミク!? ニコ厨マジウケる!」

「アイエエエエ! ニンジャ!? ニンジャナンデ!?」

色々ぶち壊されてゲッツもまた壊れた。
忍殺語を口走りながら頭を抱えて、うおー!と叫び声を響かせた。

「くっそ、今なら古代ローマカラテでニンジャスレイヤーも一撃必殺出来る気分だぜ……!
 さすがにこりゃブッダも怒るぞ!
 むしろここまで釣られた俺がモスキート・ダイビング・トゥ・ベイルファイアなのか!?」

フォルテの言葉も信じていたし、それは実際に嘘では無かったのだが。
非モテの妄想を裏切られたのだ、そりゃこうも成るというものだ。
しかも――

>「はぁ? そんなチンピラにキョーミねーしwwwウチら美形専門だからwww
>しゃーねー、ちょっとガキだけどアンタで手を打つわ」

「俺のHP、マジでロウソク・ビフォア・ザ・ウィンド……」

物理には強いが純情は弱い。だって、男の子だもん。
心が折られかけたが、そこは竜人だ、立ち直りが早い。
土下座して一発やらせてくださいとでも言おうと顔を上げればフォルテが連れ去られていった。

「って、フォ――ってアサキム!?」

連れ去られるフォルテと、連れていくドライアード。
そこに現れたアサキムが、ドライアードをヘッドロックした上で、バックドロップをかましていた。
竜人はと言えば、フォルテの首根っこを掴んで、猫のように持ち上げていたのだが。

「……俺、もう女に幻想抱かないわ。
 なんつーか……ショッギョ・ムッジョな気分……」

まだ少々壊れていたが、ショックからは立ち直った。
そして、結構容易く連れて行かれてしまったフォルテを思い出し、思考。

「お前、予想以上にひょろいなぁ。
 森歩き詰めに成るかもしんねーけど、大丈夫かよ?」

首根っこを掴んで持ち上げたまま、問いかける。
大丈夫じゃないと答えたらこのまま担いで運送されそうな雰囲気だった。

「あァと、アサキム。
 どーやらハンバーガーの切れ端追ってきゃ元凶に辿り着けるらしい。
 つーわけで、俺ら普通組だけじゃ心許ねぇからお前さんも付いてきて欲しいんだけど、どうだ?」

実力が離れていることは先の戦いで既に認識済み。
安全性と迅速な事件解決の為には、協力するべきだと判断した。
161アサキム ◆JryQG.Os1Y :2012/08/29(水) 08:40:01.00 ID:Xzisa30I
『ああ、元より、そのつもりだ。』
ゲッツの問いに、笑顔で答える。 
『まぁ、ターゲットはいろいろあるんだが。なんとかファミリー?そいつらを追ってたら、こうなった。』
『まぁ、ここには、ボカロ似の奴が多いのだよ。うん』
『ビャク、聞こえる? 近くに置いといた。念動通信機から発せられた。奴なんだけど、こっちこれたら着てくれる。』
162フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/08/29(水) 21:38:32.21 ID:xLjubhv4
>「あァ――……そういや、妖精系異族だったか。
 悪ィな、俺ガサツだからよ。
 ……ま、ガサツで図太いから、お前さんがキレたくらいで気にもしねー。
 悪いと思うなら、いい歌聞かせてくれ。それで十分だ」

「そっか、そういや文字通り鋼の心臓、だもんな。……良かった!」

オレが他人との間に壁を作っていた原因の一つを事もなげに流され、すっと気持ちが楽になった気がした。
こいつといると、自分がすごくつまらない事にこだわっているような気がしてくる。

あろうことかドライアードを前に乳談義を始めたゲッツ。
ヤバイって、ドライアードさんドン引きするって!と止めるのも忘れてオレはただ( ゚д゚)の表情を浮かべて見ていた。
が、最初の衝撃が過ぎ去るとすぐにニラオチモードに入る。
ドライアードのイメージ崩壊を目の当たりにして壊れたゲッツを、面白半分憐み半分で見守っていた。
そして今、猛烈アタックしたゲッツは誘惑してもらえずに、何故かオレが拉致されようとしているわけだが。

>「って、フォ――ってアサキム!?」

>『こらぁぁぁぁ、ドライアード!』

アサキム導師がナイスタイミングで颯爽と現れてドライアードにヘッドロックをかけた!
オレはその衝撃で放り投げられ、ゲッツに首根っこをキャッチされた。
首根っこを掴まれるのが定番になってしまった気がするが、オレは別にチビキャラではない。
厚底ブーツで底上げして大体170pぐらいにしてあるので断じてチビキャラではない。

>「……俺、もう女に幻想抱かないわ。
 なんつーか……ショッギョ・ムッジョな気分……」

猫みたいにプラプラされながら、酷く傷心した様子のゲッツを慰める。

「おいおい、鋼の心臓はどうした〜? まあ気を落とすなって、オレでよければ今度女装してやるよ。
こう見えてゴシックでロリータな路線も結構イケるんだぜ! お前の大好きな乳はないけどなっ!」

とは言ったものの、性別:両声類 のワクワク不思議生物が女装したところで嬉しいのかは甚だ疑問である。
まあ実も蓋も無い事を言うとドライアードも物質界に美女の姿をとって顕現するだけのワクワク不思議存在なのだが。
163フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/08/29(水) 21:39:31.35 ID:xLjubhv4
>「お前、予想以上にひょろいなぁ。
 森歩き詰めに成るかもしんねーけど、大丈夫かよ?」

「大丈夫だって! これでも半分森の妖精だぞ?」

ようやく猫状態から解放される。
厚底ブーツは正直歩きにくいが、運搬されるのは御免蒙りたい。
というか何が悲しゅうてこんなビジュアル以外の全てを犠牲にしたV系ファッションで森を探索せねばならんのか。
全裸でもいいとのたまったゲッツを1%ぐらい見習うべきだ。でも! 信念は! 曲げない!

>「あァと、アサキム。
 どーやらハンバーガーの切れ端追ってきゃ元凶に辿り着けるらしい。
 つーわけで、俺ら普通組だけじゃ心許ねぇからお前さんも付いてきて欲しいんだけど、どうだ?」

>『ああ、元より、そのつもりだ。』

アサキム導師が仲間に加わった。
そして――

「無い……そっちはあったかー!?」

オレ達は地面にへばりつくようにしてハンバーガーの切れ端を探しては一マス前に進むシュールな光景を展開していた。
そうしていると、饅頭だが生首の突然変異だか分からない生き物が目の前に現れた。俗にゆっくりと呼ばれているものである。

「ぎゃあ!?」

「マクドナルドこちら(棒読み」

謎の生き物は棒読み口調で言葉を発した。
付いて来いと言っているのか!? 敵の罠か、それとも――!?
164ゲッツ ◆DRA//yczyE :2012/08/30(木) 23:01:11.09 ID:lebk2hik
>「おいおい、鋼の心臓はどうした〜? まあ気を落とすなって、オレでよければ今度女装してやるよ。
>こう見えてゴシックでロリータな路線も結構イケるんだぜ! お前の大好きな乳はないけどなっ!」

「鋼だから逆に直ぐに冷え込んじまうんだよこのやろォ!
 確かにお前ァ美形なのは分かるがなァ。
 なんつーか、そういう対象じゃぁねぇわ、素で」

実際に、フォルテがそのような格好をしている姿を想像してみるゲッツ。
だが、いくら想像しようとも、案外似合うな、以外の感想は出てこない。
どちらかと言うと、今のように軽口叩いてぎゃーぎゃしている方が竜人の性には合っていた。

片手に持ったアブサン酒を口に含み、少々スイッチを切り替えるゲッツ。
因みに、いまさらだがナチュラルに飲酒運転をしていたのは気にしてはならない。
ポケットにビンを差し込むと、ゲッツもアサキムとフォルテと共に、ハンバーガーの切れ端を探し始める。

が、こういう場合における注意力に欠ける竜人は当然のように、何も見つけられない。
せめてとばかりに、目を眇めて周囲に警戒の視線を巡らせる位しか出来なかった。

>「無い……そっちはあったかー!?」

「俺が見つけられると思うかコノヤロー!」

愚痴として憎まれ口を叩きながらも、警戒しながら歩みは進める当りは律儀だ。
そして、当然のように真っ先に生首に気がついたのもこの男であって。

「……んー、食えそうには無ェなぁ」

視線の先には何とも言えない不思議不気味生物。
ため息をついて、腕組み、瞑目。

「このまま探してても埒が明かねェし、ここはあえて付いてくってのも有りじゃねーかな。
 当然、警戒はアリアリでだけど」

左腕を触手のように蠢かせながら、竜人は笑みを浮かべる。
膠着した状況の打破に繋がるのであれば、多少のリスクを竜人は厭うつもりは無い。
二人に意見を求めつつ、周囲を何気なく見回すゲッツは、訝しげな表情を浮かべる。

「……ん? 靴跡、だなこりゃ。
 形的にブーツ、しっかりした作りっぽいけど。
 あの村人、確か長靴だったよなァ?」

見てみれば、茂みに向かって消えていくそれほど古くない様子の足あとが一つ。
その事実はこの森に踏み込んでいるのは、ゲッツ達や村人だけではないという事を示していた。
ゲッツの表情は僅かに固く、先程までの軽薄な笑いも多少以上の険が含まれている。

「ま、もっと気をつけたほうがいいかもしんねェなァ?」

全体に注意を呼びかけ、竜人は即戦闘に移れるように左の五指に鋭い爪を創りだした。
165フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/08/31(金) 23:58:04.59 ID:YmjHrH+T
>「鋼だから逆に直ぐに冷え込んじまうんだよこのやろォ!
 確かにお前ァ美形なのは分かるがなァ。
 なんつーか、そういう対象じゃぁねぇわ、素で」

ゲッツは冷静にマジレスを返してきた。
当たり前だ、逆にそういう対象にされたところで反応に困る。

「あぁやめとけ。惚れても報われないぜ〜? オレ音響愛好者《アコースティックフィリア》だから」

これ、ナチュラルにド変態紳士です!と宣言しているわけだが
変態もマニアック過ぎる域に達すると逆に変態っぽさが無くなるのは何故だろうか。

さて本題、生首について。

>「このまま探してても埒が明かねェし、ここはあえて付いてくってのも有りじゃねーかな。
 当然、警戒はアリアリでだけど」

「明らかに誘ってるよな……。
押すなよ押すなよと一緒で引き返せーなんて来いって言ってるようなもんだし」

こちらは行きたい、向こうは招待したいとなればもはや迷うことは無い。

>「……ん? 靴跡、だなこりゃ。
 形的にブーツ、しっかりした作りっぽいけど。
 あの村人、確か長靴だったよなァ?」

「夜のマックは行き場の無い人のたまり場になるって言うからな……。
アサキム導師、さっき言ってたなんとかファミリーって何なんだ? そいつらの足跡かな。
それからビャクって……あの仮面の奴と仲間なのか?」

生首を追いながら、アサキム導師に話を振ってみた。
166アサキム  ◆JryQG.Os1Y :2012/09/01(土) 11:43:37.52 ID:x2jeQvx7
「変な生き物か、これまたいかに。」
目の前の、ことに理解しながら、考えている。
と、言うところでフォルテが質問してきた。
俺に、質問するなと言うのを押さえ
「国際的な犯罪組織だ。アインオブソウルに乗じて来たのだろう。」
「ビャクは、テイルと戦っていたときの腐れ縁だ。まぁ会うのは久しぶりだが。」
「さて、奴の後を追うか」

先に行ったアサキムの後に向かうべくこちらもやや本気を出して
この先の森に向かって淫夢くんを抱いて移動を始めるが
走り出した時には既に元気になったのか、自力で飛び上がり傍を離れない
どうやら懐かれたらしく、何処かに案内するように道を指し示していた

「こっちでいいのか?」

淫夢くんの案内されるままにまるで導かれたように森の入り口までにやってくる
淫夢ファミリーに狙われていたのだから当たり前だが奴等の事情精通しているのは間違いない
この生き物が何のために脱走したのかは分からないが
そんな時に近くから自分に直接自分のみに呼びかける声を聞く

>『ビャク、聞こえる? 近くに置いといた。念動通信機から発せられた。奴なんだけど、こっちこれたら着てくれる。』

「今向かっている最中だ、何時になるかは分からんがすぐそっちに合流する
淫夢くん、頼むぞ」

律儀に頭を下げるポーズを取って森の中に入っていく淫夢くんの後を見失わないように
後を付いていく意外とこの森については知り尽くしているのか裏道に近いような場所を通っていく
彼からは不思議と悪い物を感じない寧ろ神聖な物を感じていたまるで

「聖獣―か」

目の前の珍妙な生き物が何なのかはそれで一応説明が付く
未知の生物が淫夢ファミリーで崇拝されていたのが逃げてきた
だがただ逃げるだけならさっさと逃げればいいのだから
この行動はそれでは腑に落ちない

「彼らを止めようとしているのか?その身を賭けてでも」

その返答は後ろを少し振り向き再び前を見る
それが淫夢くんの返事だったのかも知れないと考えた後先に進む事を考えた
168フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/09/02(日) 22:50:49.65 ID:3DcQ125M
>「国際的な犯罪組織だ。アインオブソウルに乗じて来たのだろう。」

そんな犯罪組織は聞いた事がない。
が、一般人から見て世界が平和なのは凄い人たちが表沙汰になる前に処理しているから、と言う都市伝説がある。
一口に国際的な犯罪組織、といってもアサキム導師ほどの超人が追うほどの組織だ。
人知を超えた集団に違いない。

「そいつら、アインソフオウルの種子を利用しようとしてるって事……!?
まずいよ! 種子単体でもヤバイのにそんな奴らの手に渡ったら……」

>「ビャクは、テイルと戦っていたときの腐れ縁だ。まぁ会うのは久しぶりだが。」

「母さんの仲間だったの? じゃあ……味方なんだね。……わっ!?」

茂みからガサガサと音がし、何かが飛び出して来た!
ハクビシンともリスザルともスローロリスともつかない謎の動物だ。
しかし不思議と怖くはない。むしろ神聖なオーラ……いや、率直に言って可愛い!
激しくもふりたい! 捕まえてもふもふもふもふしたい!
謎の動物に駆け寄ろうとすると、謎の動物は一定の距離を保つ絶妙な速度で逃げる。
少し走っていると、謎の動物はある場所で立ち止まった。

「とーお!」

謎の動物に飛びかかる。存分にもふもふしようと動物を抱えて立ち上がると――

「……はっ」

目の前に明らかに不自然なファーストフードショップがあった。

『もしもし、ドナルドです』

赤いアフロの道化師が、ベンチに腰かけて電話をかけている!
何だよアレ、援軍要請? それとも捕えた村人を売り飛ばす手配!? 妄想は広がるばかりである。
出かけた悲鳴を呑みこんであとずさる。
169ゲッツ ◇DRA//yczyE:2012/09/05(水) 05:23:41.92 ID:lHhBgInk
>「国際的な犯罪組織だ。アインオブソウルに乗じて来たのだろう。」

「種子自体が危険なんだろ? ってか俺の野生の勘がビンビコヤバいつってるしよォ。
 そんな危険なもんが、一介の組織位に扱えんのかねェ。
 なんっつーか、自爆の予感とか、裏にもっとでかいのとかそんな感じでテンション上がってくんだけどォ?」

いかにもきな臭くなってきたと、俄に熱のこもった態度を見せ始めるゲッツ。
祭好きの性格の上に血気盛んで、争いを好む以上、感じるのは危機感ではなく期待なのはある種当然か。
態度も思考も、やはり正義の味方というよりはどこぞのチンピラと言う他無い。竜人なりの信念があるとしても、だ。

会話をし、木々を押しのけながら先に進めば、フォルテがなにか不思議な動物を見つけ駈け出した。
ゲッツもまた、遅れないように警戒な足取りで木々の間を駆け抜けていく。
そして、フォルテが茂みを越え、謎の動物に飛びかかったその先には――

>『もしもし、ドナルドです』

「――とりあえず……わっけ分かんねェ!?」

森を抜けて、木々をかき分けて、目の前にあったのはファーストフード。
嫌いではない、むしろジャンクなものだろうがなんだろうが腹に入ればそれで良し、美味ければもう「気に入った オレの家に来て妹をファックしていいぞ!」な勢いだ。
だが、そんな空っぽの頭でも、この状況が味覚以外の要因で不味いことくらい即座に理解できる。
危機と四季の折にはよく回る思考は、様子がおかしかった時のフォルテがそういえばハンバーガーを差し出してきたと思い出し、目の前の道化の正体に思い至る。

「あれじゃね? 元凶っつーか、ボコる相手っつーか、ぶちのめす相手ってかそんな感じの。
 つー訳で、……殺っちまう?」

茂みから目を凝らして、道化師に警戒を巡らせつつ、口から溢れるのは襲撃したくてウズウズするノリノリの言葉。
左腕は別種の生き物のように泡立ち、膨らみ形を変えて、竜人の戦意を形にしようとしている真っ最中。
攻撃が決定すれば間違い無く先陣を切って後塵を尻目に突っ込みに行くだろう。危険などは欠片も考えることなく。

「つっても、村人が無事かが問題か。
 誰か、偵察とか探査得意な奴居ねぇ? 俺ァ当然無理だけどよ」

と言っても、曲がりなりにも傭兵だ、開戦さえしてしまえば鎖の千切られた猛獣だが、首輪のある限りは多少は理性的。
アフロの道化師の妙な不気味さに、思考の一分が冷え、万が一を危惧していた。
170フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/09/06(木) 23:07:44.82 ID:IjYo/9r8
>「あれじゃね? 元凶っつーか、ボコる相手っつーか、ぶちのめす相手ってかそんな感じの。
 つー訳で、……殺っちまう?」

「ヤバいよ、絶対危ないよ……!
だってアイツって破壊光線放ったり暗黒波動出してきたりするアレだろ!?」

((((;゚Д゚))) やべー、超怖えー! ―― ヘタレがここに約一名。
すんません、ミュージシャン崩れの年金生活者が成り行きで世界の命運を背負うとかやっぱ無理です。
オレの肩に、アサキム導師が手を置く。

「何お前は後ろでBGMでも流しておけばいいさ。
――吟遊詩人冥利に尽きるんじゃないか? 伝説の原典を一番近くで見られるんだから、な」

また心を読まれたぁああああああ!?
それはそうと、吟遊詩人とはもともと伝説を歌にして語り継ぐ者――。
新たなる伝説の発信源になれる。これって最高のポジションじゃないかい?
いまにも飛び出しそうなゲッツの背中をばんっと叩く。

「よーしゲッツ、しっかりやれよ!
大丈夫、応援したスポーツチームの勝率100%のオレがついてる!」

>「つっても、村人が無事かが問題か。
 誰か、偵察とか探査得意な奴居ねぇ? 俺ァ当然無理だけどよ」

あれ、意外と理性的だった。
その時、謎の動物が我こそはと言わんばかりに腕の中から飛び降り、走っていく。
しかし、待てど暮らせど帰ってこない。まさか、逃げられた……!?

「謎の生物が追っかけてくるから逃げたら偶然ここに来ただけなんじゃねェの?」

と、ゲッツ。謎の生物って誰だよ!
そうしている間に、ドナルドはファーストフードショップに入っていった。

「覗いてみる……? そーっとそーっと……」

自動ドアが開かないように注意しながら横からのぞくと……

「いいかい? VIP客が来るから心を込めて”おもてなし”するように☆」

「はい、教祖様の御命令とあれば!」

店内は何故か客で賑わっており、いかにも田舎者っぽいバイト達がめまぐるしく働いていた。
五体満足で生きているという意味では無事だが、これは無事のうちに入るのか微妙なところだ。

「よし! あえて罠に乗った振りをして突入だ!」

ウィーン……

「いらっしゃいませ〜! ご注文は何になさいますか?」

「見せてもらおうか、心を込めたおもてなしとやらを。――スマイル一つ!!」

オレはイントネーションが田舎っぽく訛ったバイト店員に向かって、一昔前のギャグを言い放った!
そして暫くしてから淫夢くんの行く方向が変わり茂みに入ってしまう
此方も後姿を見失うわけには行かないため、その後を追い続けると
何回か茂みを抜けると、辺りには道らしき場所に出る。

「何処に行った―!?」

見失ったと思い辺りを見渡していた時に丁度こちらの胸に飛び込んでくる
何かあったのか少し震えていたが、そこは心配ないと落ち着かせるように

「大丈夫だ、何も怖い事はないさ」

彼本来の姿である温かい笑みを向けるやはり根がまだまだ純粋な少年は動物に好かれやすいのか
すると肩の所まで上ってきて頬をペロペロと舐めた後
自分が先ほど戻ってきた道を指で指すこの先に何かあると言いたいようだ

「ふむ、この先に何かあるのか?行って見よう」

淫夢くんを肩に乗せてその先に向かうとこの森には明らかに商売になるような所ではないのに
ファストフード店があったいかにも個人経営だとしても怪しすぎる
そして見た事がある者たちが店の中に入っていくのを目撃する

「アサキムの奴、なんであいつ等を止めないんだ?明らかな罠だろう」

淫夢くんは心配そうに見つめていたが、もはや見過ごす事は出来そうに無い
嘆息をしながらも店の方向にむかった。
172アサキム ◆JryQG.Os1Y :2012/09/07(金) 17:42:06.69 ID:djF6Wdfi
「来たか、ビャク。」
アサキムは、ビャクの到着を待っていた。
だが、
「あの二人、行っちゃった。まぁ、良いか。」
なんか、言いたそうなビャクを見ながら、
「猿飛サスケと、服部半蔵を護衛に、付けている。陰に化けているから、問題はない。」
「まぁ、叩いて、吐かせるよ。おそらく中心の物だろう。」
「普通の奴だったら問答無用で燃やすつもりだったんだが。」
173:ゲッツ ◇DRA//yczyE:2012/09/08(土) 08:00:40.31 ID:I/+SOda5
>「ヤバいよ、絶対危ないよ……!
>だってアイツって破壊光線放ったり暗黒波動出してきたりするアレだろ!?」

「だァからイイんだろォが。命がけの戦いでよ、勝てるか分かんなくてよォ、絶望しかねないほどの戦いでよォ!
 それでも戦って戦って、勝って負けて殺して殺されてブチのめしてブチのめされてぶっ殺して! それでこそだろうよ。
 手の届く場所にある白星に意味なんざねェ、獲れねぇ白星取るのが楽しいンじゃねェか」

熱のある言葉、狂騒する戦意、獣のように広角を釣り上げる笑み。
好戦的な竜人種の中でも特にその傾向が強い、戦場に生きる種族『ハイランダー』。
その中でもなお異常以上に異端な異状を持つ竜人の中には、危ないと恐怖の言葉はない。
むしろ、絶望と絶対との対決は望む所で、勝てぬ相手に勝つことに意義があり、勝つ事が分かっていつ相手とは闘う価値が思い浮かばない。
誰のためでも無く、戦いのために戦う者、それがゲッツだ。

多少は意識を落ち着かせて、フォルテの言葉に、ぐっとサムズアップ。
そうして、こっそりと店の中を巨体と長身の二人が覗きこんだが。

>「いいかい? VIP客が来るから心を込めて”おもてなし”するように☆」
>「はい、教祖様の御命令とあれば!」

「うっわ、キッツイなァ」

店内には頭の痛くなるような光景が有って、中を確認せずに大火力を打ち込んだらどうなったかを想像すると溜息しか漏れなかった。
まあ良いと判断したゲッツ、当然元凶が現れれば躊躇も遠慮も加減もせずに全力を叩きこむだけだ。

>「よし! あえて罠に乗った振りをして突入だ!」

「……ま、オレもフォルテに賛成って事で、突入としますかねェ!
 アサキム、ちょいと行ってくるからなんかあったらヨロピクー」

フォルテの意見に同意して、鋼の腕を持つお祭り好きは意気揚々と店の中へと入り込む。
堂々と胸を張っているが、目付きの悪さと迸る柄の悪さによって、只のチンピラ以外の何者でもない。
質の悪い点は、その只のチンピラに誇りと戦闘能力が搭載されている、という点なのだが。

「死に際に笑えねェ奴は天国にァ行けねえらしィぜ?
 つーわけで、注文はスマイル一つ、さっさとよこしなァ!」

台詞といい、態度といい、悪役以外の何物でもなく。
フォルテの背後に仁王立ちで陣取り、店員に睨みを聞かせていた。
声は先の戦いに於いて発した力のある声と同種の物であり、竜種特有の威圧と魔力で更にそれは強まっている。
操られているとは言えど、意思の弱いものや、洗脳の弱い店員たちは顔を青ざめさせて恐慌状態に陥り始める。

「テメェら客商売舐めてンのかァ? あァん?
 死にたくなきゃ、さっさと引きな、逃げな、気絶しろァ!」

要するに、恐怖と威圧を持って、店員達の支配を吹き飛ばそうとしていた。
強引すぎる力技だが、少なくともこれだけの騒ぎを起こせば何らかの動きが相手側からもあるはずだ。
鋼の腕をぎしりと蠢かせてゲッツは店内を睨め回すように睨みつける。
174フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/09/08(土) 08:02:43.81 ID:I/+SOda5
>「だァからイイんだろォが。命がけの戦いでよ、勝てるか分かんなくてよォ、絶望しかねないほどの戦いでよォ!
 それでも戦って戦って、勝って負けて殺して殺されてブチのめしてブチのめされてぶっ殺して! それでこそだろうよ。
 手の届く場所にある白星に意味なんざねェ、獲れねぇ白星取るのが楽しいンじゃねェか」

作戦は”ガンガン行こうぜ”しか指定できませんってかー!?
思わず苦笑。こいつって本当に戦闘狂。これじゃあ先が思いやられる。でも……
最後の一節がハートに直撃してしまった。本人としては深い意図はないんだろうけど。

「そっか……いいんだよね! 手の届かない星に手を伸ばしても――」

さて、ハンバーガーショップ突入したオレ達。

>「死に際に笑えねェ奴は天国にァ行けねえらしィぜ?
 つーわけで、注文はスマイル一つ、さっさとよこしなァ!」

オレの背後でゲッツが凄みをきかせると、店員は恐慌状態に陥り始めた。
見事なまでの虎の威を借る狐の構図の完成である。
昔から戦闘狂と知性派の組み合わせは名コンビだと言われているが、その例に漏れなかったようだ。

「お前間違えても知性派じゃないモナよ!? ドヤ顔ウゼーモナ!!」

モナーもアップを始めたようです。

>「テメェら客商売舐めてンのかァ? あァん?
 死にたくなきゃ、さっさと引きな、逃げな、気絶しろァ!」

しっかし、シビれる声してるな。
聞く者を恐怖に陥れる力のある声だが、戦慄と恍惚は紙一重だという。
オレの魂はこの声の効果を、紙一重の手違いで後者と解釈するようだった。
恍惚の笑みが漏れるのを抑えながら思わず呟く。

「……気絶しそうだ、恐怖とは逆の意味で」

カチャッ
満を持して店長室からドナルドが出て来た。

『ドナルドです。ドナルドは今男子に夢中なんだ。
ドナルドのことが大好きだなんて嬉しいなあ』

ドナルドは既存の台詞のみを組み合わせた意味不明の強引な決定リールで既成事実を作ろうとしてきた!
変換受けを発動して冷静にマジレスを返す。

「う〜ん、そもそもテンプレよく見てもらうと男子とは書いてないし?
それにオレって半妖精だから添加物とかわざとらしい味付けは嫌いなんだよな。
いやまあでも都会暮らしが長いから。食べない訳ではないんだけど。
何が言いたいかというとどっちかというとモス派ってことかな」

この言葉にドナルドは一瞬固まり、そして――キレた!

『――ドナルドは嬉しくなると、つい殺っちゃうんだ。ランランルー!』

問答無用で破壊光線が放たれる!
175アサキム ◆JryQG.Os1Y :2012/09/09(日) 15:46:04.85 ID:nBnseraY
>>174
ディーフェンド please
フォルテ達の前に 岩のシールドが招来 光線を防ぐ。
煙が出ている隙に
big please
巨大な手が、ドナルドを殴りとばす。
「ウィザード、やはりこの力は素晴らしい。」
それは、仮面ライダーウィザードとなった。アサキムであった。
「ふっ、呆気ないな。(笑)」

「ドナルドは、うれしくなるとつい殺っちゃうんだ。」
ポテトと、ハンバーガーが襲う。
「無駄だ。」
コネクト please
「コネクトの魔法の応用編だ。」
異世界に、ハンバーガー達が吸収されていく。
「フィナーレだ。」
フレイズ ヒーヒーヒーヒーヒー
スラッシュストライク ヒッヒッヒ
炎の斬撃がドナルドを襲う
176アサキム ◆JryQG.Os1Y :2012/09/09(日) 15:49:02.53 ID:nBnseraY
斬撃を放った後、アサキムは、ビャクに聞く。
「ところで、おまえってハンバーガー食うの?俺は、ロッテリア派だけど」
>「来たか、ビャク。」

そして店に入る最中に声を掛けられたと思ったらアサキムであった。
なにやら発言からして少しいい加減に聞こえなくもないが、保険は掛けて置いたらしい

>「まぁ、叩いて、吐かせるよ。おそらく中心の物だろう。」
>「普通の奴だったら問答無用で燃やすつもりだったんだが。」

「事は慎重に運べ、まだ此処が敵の本拠地として決まった訳ではない。
あからさま不自然でも後々厄介な事になったら目も当てられないぞ」

まだ此処が敵の本拠地すら分かっていないのだから、それで中に何も知らない人間を攻撃に巻き込んだら
失われた命は取り返しがつかないのだ、死んだから蘇らせれば良いという考えは命の尊厳の軽視である
もっともそれは自身が他人にとやかく言える立場ではない事を重々承知しているため若干自嘲気味だ。
そして中に入ると既に戦闘状態に入ったらしく、二人は攻撃を受けていた
しかしアサキムによって新たな仮面ライダーとなり防ぎ、炎の斬撃を見舞う

>「ところで、おまえってハンバーガー食うの?俺は、ロッテリア派だけど」

「手短に食べられるからな、こんな仕事をしていると各世界のファストフードは食べ歩くのも
マイブームみたいな物で良く活用している、あえて個人的にはウェンディーズかバーガーキング派か?」

特に何処派と言うわけでもなく好みであればあえてその双方を言いながら
あからさまな他のハンバーガー屋について話し込んでいた居た所
突然何処からか現れる三人の不審人物が現れる。
一人はハッピーセットとして採用されながらその顔が邪神モッコスのようになってしまい
いろんな所にネタにされたうちはサスケもといハッピーセットサスケ。
もう一人は顔が似ているが、麻薬中毒患者のように定期的にオレオを摂取しないとオレオしか喋れなくなる
サスケの兄うちはイタチもといオレオイタチ
そしてもう一人は仮面を被った何かしら犠牲になったのだを付け足す頭がおかしくなったのかボケたのか
ホントか否か彼らのご先祖の一人うちはマダラもといネタの犠牲になったマダラ

『ハッピーセットとして作られてネタにされた恨み晴らす前に死ねるか!』

『オレオ!お前達はオレオの枚数稼ぎになってもらう!』

『お前達は犠牲になってもらう、これから俺達の野望の犠牲にな』

一応腐っても頭が狂っていようが彼らもチート能力を持った指折りの実力者であるうちは一族
ハッピーセットサスケは雇われたから職務を全うするしているが残り二人は気紛れで付いて来たのが不幸だった

「……こいつ等、ふざけているが油断が微塵も出来ない連中か」

相当厄介な事になったなと思いつつ、無命剣フツノミタマを召喚した。
178アサキム  ◆JryQG.Os1Y :2012/09/11(火) 16:21:56.43 ID:XOB1LQG8
「まぁ、もとより、燃やすのは逃がしてからだけどね。」
苦笑いしながら変身を解こうとする。
だが、
野生の変な人が現れた!
「気持ち悪」
「気持ち悪っていうな。」
一人のイタチが襲ってきた。
「おっと」
攻撃を、ウィザーソードガンで受け止め
交戦を開始する
179ゲッツ ◇DRA//yczyE:2012/09/12(水) 02:03:10.11 ID:Vs7RKeJV
>『ドナルドです。ドナルドは今男子に夢中なんだ。
>ドナルドのことが大好きだなんて嬉しいなあ』

「っはァ? 悪いけど、男の子ってナリじゃァねぇっての。
 言っとくけどよォ……、俺の好みはラッキーピエロだ!
 函館五稜郭公園前店のチャイニーズチキンバーガーさっさと買ってこいや3秒でなァ!」

※ラッキーピエロとは北海道函館市のローカルなファーストフード店であり、
チャイニーズチキンバーガーは揚げたての唐揚げに中華甘酢を絡ませた物を3,4個程挟んだ大人気メニューである。因みにカレーも美味しい。ハセガワストアのやきとり弁当食べたい。

兎にも角にも、ゲッツもフォルテも当然のようにして、話をまともに聞くつもりも無く。
ゲッツなどはもはや今にも爆発しそうな程の戦意と殺意と熱意にあふれていた。
今食べたいのは、ハンバーガーなどではなく、胃ではなく心を満たす芳醇な味わい、即ち戦いに他ならなかった。

>『――ドナルドは嬉しくなると、つい殺っちゃうんだ。ランランルー!』
>ディーフェンド please

ドナルドが放った破壊光線は、アサキム老師の岩の盾により受け止められる。
砕け散る破片が有りながらも、高位の半仙たるアサキムが振るう仮面ライダーの力は強力。
盾を削りながらも、貫通まではまだまだ余裕が有りそうに見えた。

「――ヒッ、ハァ……ッ、ヒッヒャハァ!
 ヒャハハハハッハハハハッハハハハハハハハッハ――――――ァッ!
 そうだそうだそうだそうだぜェ! これだ、この熱だ、このヒリつく感覚だ、この絶望感だ、この感覚だァッ!
 ギャグみたいな敵共だが、どうやら十二分以上に俺よか強いッ! だったら、その届かない星――奪いに行かせてもらうぜェ!」

戦場に響き渡る哄笑、狂笑、絶笑。
狂戦士、殲滅する者、全方位殲滅師のゲッツが、その歩みの方向を前へと定義し咆哮した。
アサキムとエスペラントの話し合い、事は慎重に運べという言葉。
それらなど知ったことではないとばかりに戦意は轟々と燃え盛る。
明らかに戦力として現状、アサキムとエスペラントの二人とは決して同等とは言えないゲッツ。
だが、それは問題ではない。必要なのは、目の前に敵が居ること、それだけなのだから。

「消し飛べやァ! 纏めてDETHだ、テメェらにはDEATHのA≠ヘ要らねェ!
 その命[Alive]、根っこから殲滅して、二度と芽吹かねぇように後悔させてやらァ――!」

左腕を振りかぶり、地面へと叩きつけ跳躍。
天井にすれすれまで跳躍すると同時に、地面に向けてその左腕を翳す。
同時に、皮膚を突き破るようにして鋼の鱗が体を覆い、背の肉を引き裂きながら一対の鈍色の翼が現出する。
180ゲッツ ◇DRA//yczyE:2012/09/12(水) 02:04:48.12 ID:Vs7RKeJV
「ゥゥオォォォォオ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ア゛ァ゛アァッ!」

上空から地上に向けて、数条の線が走り、大地が炸裂する。
その線の正体は光だ。レーザーではない、もっとより純粋な力の発露、力の解放。
あの戦いの時からゲッツの姿は大きく変化していた。装甲の胸には亀裂が入り、亀裂から赤黒い光が漏れ出している。
その部分は、フォルテがゲッツに着けた傷の部分であり、ゲッツが次の領域へと歩みを進めた証でもあった。

「リンボでロンドを踊る暇無しにあの世の最下層に叩き落としてやらァ!」

駆け抜ける火薬を満載した鋼の火矢、ミサイル。
駆け抜ける膨大な魔力を込めた光条、マジックアロー。
物理火力であるミサイルと魔術火力であるマジックアロー。
どちらも追尾性を持ち、どちらもその火力だけは非常識なまでに高い。

数秒後には、マクドナルドの店からは窓と壁と家具が失われ、倒壊の危機に陥っている事だろう。
各個撃破はアサキムとエスペラントに任せ、ゲッツは全体をロックオンしながら飽和火力で殲滅に掛かろうとしている。
一端守勢に入ればジリ貧だが、攻撃に回っている限りは攻撃手段の豊富さと火力の高さも相まって中々の戦力を発揮するゲッツ、但しゲッツには一つの問題があった――。

「あんじゃこりゃァ――――!?」

幻術や精神攻撃に対する耐性の低さ、である。
瞳術使いのうちは一族が3人、この状況はあまりにもひどい相性の悪さだ。
サスケに月読を喰らい、何やら一瞬の間に幻術を見せられたようで、1秒程度の幻覚の間に秒間数十発の小型ミサイルとマジックアローの軌道が逸れ、味方達にも襲いかかっていってしまう。

「……ッ、糞ァ!
 萎えちまったァ……ッ、まだ、戦いてェってのによォ!
 俺は、D≠カゃねェ!」

地面に落下し、荒い息を吐きながら、幻覚による動揺を抑えこもうとするゲッツ。
だが、少なくとも現状ゲッツは戦力には数えられない状況にあるだろう。
竜人は珍しい程に、このギャグのような状況の中でシリアスに取り乱している。

胸元から漏れている光に、黒い要素が濃くなっていく。
物量も質も膨大かつ強力だというのに、その力はどこか危うく、禍々しさも孕むもの。
先の戦いのそれらのような純粋な力ではなく、何者かの意思を内側に感じさせるようなそれ。

「ちくしょォ――ッ!」

戦場に居て、己のすべき事が分かっていて、それでもなお体を駆動させられない。
己の心臓の奥よりももっと奥、言うなれば魂から湧き上がる黒い衝動、総てを壊してしまいたいというその衝動は、戦意とは違う邪なもの。
戦いを儀式と捉え、神聖視するゲッツにはそれを抱いたまま戦うことなどできなかった。
181フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/09/13(木) 03:37:19.94 ID:pVGaI6eN
>「――ヒッ、ハァ……ッ、ヒッヒャハァ!
 ヒャハハハハッハハハハッハハハハハハハハッハ――――――ァッ!
 そうだそうだそうだそうだぜェ! これだ、この熱だ、このヒリつく感覚だ、この絶望感だ、この感覚だァッ!
 ギャグみたいな敵共だが、どうやら十二分以上に俺よか強いッ! だったら、その届かない星――奪いに行かせてもらうぜェ!」

どう見てもふざけているようにしか見えない忍者三人組にノリノリで突撃していくゲッツ。
ゲッツは歴戦の戦士だ、敵の強さを見抜く目は信頼できる――のだが、こいつらはどうしてもネタキャラにしか見えなかった。

>「……こいつ等、ふざけているが油断が微塵も出来ない連中か」

エスペラントというらしい仮面の男もそう言うが、やっぱりネタキャラにしか見えない。

「うーむ……アイツら強い、のか? 正直ギャグ要員にしか見えん……」

といっても、オレも人の事は言えないのだが。
というのもこのパーティーの構成は、超人・超人・傭兵崩れのフリーター・ミュージシャン崩れの年金生活者。
3番目はこの際まあいいとして、年金生活者……こりゃあかんわ。
出オチギャグに走りたいがためにこんな後先考えない設定を強行してしまった製作者を問い詰めたい、小一時間問い詰めたい。

>「リンボでロンドを踊る暇無しにあの世の最下層に叩き落としてやらァ!」

アサキム導師とエスペラントが超人バトルを繰り広げ、ゲッツの鋼の矢と魔力の矢が乱れ飛ぶ。
出る幕ないじゃん、これ。オレが何もしなくても終わるな。

「フォルテさん、こっちに来て一緒に観戦しましょう!」

所在無さげなオレをリーフちゃんが呼んでくれた。何故か座布団に座って茶を飲みながら。

「つーかいたんだ! 気配を消す魔法パネェ!」

「はい、描写されなくてもずっとついて来てますよ。ふくろ係ですから」

リーフの横に座って茶をすすっていると、リーフが小声で話しかけてきた。

「分かってます、調子が悪い時は無理しない方がいいですよ」

「知ってるの……?」

オレが患っているのは先天的な重度の厨二病、じゃなかくて精霊力過敏症候群。
精霊力過敏症候群は、ハーフエルフなどの妖精系異種族と人間のハーフに発症する事がある症状だ。
しかしハーフエルフの絶対数自体が少ないため、あまり一般には知られていない。

「見ていればなんとなく分かります。薬飲みます?」

リーフが出してきたのは白い錠剤。
この病気の薬はないはずだけど――つまりこれは……。

「それってヤク!? クスリキメてハイになれと!?」
「えっ、やめて下さい、人聞きが悪い! お腹痛くありませんか?」
「正露丸糖衣錠か――ッ! いや別に賞味期限切れのハンバーガーとか食べてないし」
「そうじゃなくて!」

と、噛み合わない会話をしていると。
182フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/09/13(木) 03:39:48.73 ID:pVGaI6eN
トスッ――

「あっ、痛いかも」

当たり前である。胴体をマジックアローが貫通し、オレはパタッと倒れた。

「キャーーーーー!! フォルテさーーーん!!」

もう死ぬ、絶対死ぬ、と思いつつガバッと起き上がる。
実は魔法攻撃に対する耐性はかなりあるらしく、意外と平気だった。
でも痛いもんは痛い。ゲーム的に言うとHP三分の一ぐらい持って行かれた。
ゲッツに食って掛かる。

「おいゲッツ! いくらサボってたからってそんなので射抜く事ないだろ!
ミサイルの方だったら即死してたぞ!」

>「……ッ、糞ァ!
 萎えちまったァ……ッ、まだ、戦いてェってのによォ!
 俺は、D≠カゃねェ!」

ゲッツは訳の分からない事を口走っていた。
敵に幻術をかけられている! こいつはヤバイ、早く何とかしないと大変なことになる!
素早く敵の情報を検索したリーフが解説する。

「彼らは選ばれた者だけが持てる第三の目、万華鏡写輪眼の使い手!
あれはおそらく自らの精神世界へと対象を引きずり込み、相手に無間地獄を体験させる幻術”月読”――
本来の使い手ではないサスケにくらってあれですからそっちがホームグラウンドのイタチにくらったらどうなる事か……。
サスケの必殺技は黒炎を操る”天照”です!」

さて、何を歌う? オーソドックスに幻術払いの呪歌で行くか――? いや、払ってもまたすぐに掛かるだけだろう。
ならば逆にこちらの幻術で領域を染め上げてしまうしかない!
モナーが変身したキーボードを抱える。鍵盤をかき鳴らし、ライブの前口上を述べる。

「揺らがないってカッコイイけどさ。迷ってもいいじゃん!
チキンバーガーとやきとり弁当どっち食べよう、とか考えてる時最高に生きてるって実感するよね!
迷走したっていいんだよ、だって目的地まで最短ルートなんてつまらなくない!? 
“迷夢”――最高の夢を見せてやる! 諦めなければいつかは辿り着くから、一緒に届かない星掴もうぜ!」

“迷夢”――それは、鬱蒼と生い茂った神秘の森を連想させるような歌。
そのイメージ通りに迷いの森を作り出す事すら出来る、領域型の幻術だ。
戦慄を紡ぐは、幼い少女をイメージしたファルセット(裏声)。どんな声だってお手の物だ、極上の夢を紡いでやる。
183フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/09/13(木) 03:41:59.03 ID:pVGaI6eN
「鈍色の空を渡り 水鳥は海を夢見る  薄闇に落ちる影 荒れ果て野 孤独と記憶――」

「何だありゃ?」
「知らん! 放置だ放置!」

敵さん達は超人達の相手で忙しいので1番終了時点でアウトオブ眼中。こちらとしては好都合だ。
気付かれないうちにいつの間にか領域を浸蝕しているのこそが呪歌の真骨頂。

「鴇色の冷たい手は 語り部の声を摘み取り  格子戸に掛かる月 銃声(たまおと)は歴史を描く
絡みつく運命(さだめ)の振り子達  歪む街は 僕に 与え 奪い 謳う
キミをかましませる総てを浄めるように  強く風の吹くこの国で消せない虹を探そう」

“銃声(たまおと)は歴史を描く” ”歪む街は 僕に 与え 奪い 謳う”――か。
オレは歌いながら、不思議な感覚を覚えていた。いつもただ歌いたいから自分のために歌っていた。
こんなにも誰かのために歌うのは、初めて――かもしれない。
2番の半ば――ボケてサスケにつきあっていたらしいマダラがまずこの状況に疑問持ち始めた。

「私達はこんな所にいるべきではないのではないか?」

それにイタチも同調する。

「確かに……オレオの枚数稼ぎは他でした方がいいオレオ!」

「絡みつく運命の振り子達 沈む街が キミと 僕を 選び 造る
キミを掲げるこの世界で 誇れるように 遠く砂漠の丘の上で 果てない朝を飾ろう」

「俺は……間違っていたのか……!?」

もうすぐ完唱しようかという頃、二人につられてサスケも頭を抱えて苦悩し始める。
これはイケるんじゃない!? と一瞬思ったが、そう簡単にはいかなかった。

「否、ハッピーセットとして作られてネタにされた恨み晴らさでおくものかっ!!
犯人はアイツだ――ッ!! 理由はいかにも常日頃からそういうネタでゲラゲラ笑ってそうだから!
イタチ! マダラ! 邪悪な幻術に騙されるな!」

――ついにバレた! 逆上したサスケからは殺る気が溢れ出ている。
これは……“天照”来ちゃう!? やっべー! 自分の親と同じ名前の技でこんがり焼かれるとかシャレにならない!
184アサキム ◆JryQG.Os1Y :2012/09/13(木) 16:17:53.18 ID:brOEIh4W
「ded of hel」【地獄と絶望】
3人の、周りにエネルギーが収束。
地獄へ引きずられるか、絶望の苦しみを与える技である。
これは、後者の方だ。
「くわっ。」
三人が、苦しみ始めた。
「つくよみ」
「天照」
コンガリ攻撃と、派手に燃える攻撃がきた。
「無意味だ、つくよみは目を直視しないとダメだし天照は」
燃えついたように見えたが。
シュゥゥゥゥ
「フレイムは、日の吸収ができ、魔力へと変える。」
「大人しく、尽きろ」
だがそんな事を言っている矢先に先ほどの言葉は知ったこっちゃないと言わんばかりに
竜人は笑う血を滾らせながら

>「――ヒッ、ハァ……ッ、ヒッヒャハァ!
 ヒャハハハハッハハハハッハハハハハハハハッハ――――――ァッ!
 そうだそうだそうだそうだぜェ! これだ、この熱だ、このヒリつく感覚だ、この絶望感だ、この感覚だァッ!
 ギャグみたいな敵共だが、どうやら十二分以上に俺よか強いッ! だったら、その届かない星――奪いに行かせてもらうぜェ!」

そうして瞬く間に攻撃態勢に移りアサキムはイタチ、ゲッツはその場の敵に対して攻撃を始める
空いているのはこの中ではまず随一の戦闘能力を持つうちはマダラと自然と闘うように向けられる
正直に言えば戦闘経験等を含めレベルが違いすぎる、とんでもない奴を回されたものだ

『この気迫に威圧感…相当の修羅場を潜っているな、貴様』

「此方は飽きるほど戦っているからな、嫌というほどに」

そして一触触発の中で再び火蓋が切られようとした。
だが、 そんな時敵に放たれたはずの数十発の小型ミサイルとマジックアローが迫り来る
しかしそれには瞬時にエスペラントは反応し、周囲にはありえないぐらいの黒の十字剣―夢双剣が
数十本出現し迫り来る全てを上手く叩き落す。

「お前達、大丈―」

『余所見をしている場合か?』

気が付けば既に間近にマダラは迫っており、その攻撃に対して対応すべく
急いで立ち回ったが僅差で間に合わないだろうそんな時突如何処かで聞いたことある懐かしい力を感じる
呪歌―かつて共に戦った者達が新たに作り出した力。
既に死闘を演じていた事を忘れていたがマダラの攻撃はやってこない
>「絡みつく運命の振り子達 沈む街が キミと 僕を 選び 造る
キミを掲げるこの世界で 誇れるように 遠く砂漠の丘の上で 果てない朝を飾ろう」

しかし唄はまだ続くものの攻撃してくる気配は無くなったのだ

>「私達はこんな所にいるべきではないのではないか?」

エスペラントですら聞いた事の無い呪歌に近いいや幻術により
突如マダラはそんな事を言い出したのだ

>「確かに……オレオの枚数稼ぎは他でした方がいいオレオ!」

その言葉にはなぜかイタチも頷くほどでありそしてサスケも

>「俺は……間違っていたのか……!?」

と此処で彼らが戦闘を辞めてくれるかに思えた。
しかしそうは神の気紛れかならなかったのだ

>「否、ハッピーセットとして作られてネタにされた恨み晴らさでおくものかっ!!
犯人はアイツだ――ッ!! 理由はいかにも常日頃からそういうネタでゲラゲラ笑ってそうだから!
イタチ! マダラ! 邪悪な幻術に騙されるな!」

「多世界を守る者として、そこの彼の首を渡せば最低限決着が付きそうなものだが
あくまでも最終手段だろうな」

多世界を守る者の視点としてはフォルテの首をこの場で差し出せば恐らくは解決するだろう
もっともそんな事は個人的にはしたくないのだ、自分には今自我があり考える意思がある以上は
唯の殺戮機械と同じ思考と行動を移す理由などない、断じて同じになる訳にはいかない
奴と自分は表裏一体―もう一人の自分ではあるが納得した訳ではない自分が自分で居る以上は

「僕が納得し、そして選ぶんだ。誰の意思に操られるでもない
己自身の意思の選択を」

決意に満ちた言葉と同時にアサキムはなにやら攻撃を始める
しかしマダラは涼しい顔をしてイザナギを発動させていた

「此処まで来たら、最早どうしようもないか」

超人刻印―ツァストラコード―を発動させるより他にどうしようもない
そして詠唱を始めた
>「おいゲッツ! いくらサボってたからってそんなので射抜く事ないだろ!
>ミサイルの方だったら即死してたぞ!」

片膝を付き、荒い息を吐くゲッツには、いつもの狂気染みた狂喜を湛える表情は無い。
ただ、脂汗を流して何かに耐えぬいているかのような、張り詰めた必死な気配だけだ。
何を見ているかはゲッツ以外には誰にもわからない。が、顔色を見れば間違い無く良い物では無い事は確実だ。

「――ッ、黙ってろ……ッ。
 ち、ィ。苦手だってのは解ってたが、こいつァ――ちぃと以上……ッにィァッ!」

頭に右手を当て、強く握りしめ爪を食い込ませながら、歯を食いしばる。
正気を保ってられるのは、単なる抵抗力ではなく、精神力。それだけだ。
そう長く耐え抜けるものでも無いし、耐性が無いゲッツには何時か限界が来る、それも近いうちに。

だが、ゲッツの見る地獄は、吹き払われる。
幻術を塗りつぶす、精霊の力を宿した魔の歌を以て。

>「揺らがないってカッコイイけどさ。迷ってもいいじゃん!
>チキンバーガーとやきとり弁当どっち食べよう、とか考えてる時最高に生きてるって実感するよね!
>迷走したっていいんだよ、だって目的地まで最短ルートなんてつまらなくない!? 
>“迷夢”――最高の夢を見せてやる! 諦めなければいつかは辿り着くから、一緒に届かない星掴もうぜ!」

響く、朗々とした歌声、己の中にずっと押し込めていた、どろりとした部分。
そこを肯定されるような歌詞と音に、ゲッツは埋没し、意識を沈ませ、目を閉じる。
俯きながら、珍しいほどに静かで重い声でゲッツは言葉を零す、己の中の迷いを己で再確認し、それでも道へと歩みを進めるために。

「俺ァよォ。ずっと、悪竜と聖人、どっちなんだろう、って迷ってたんだァ。
 だがな、間違いなく、俺ぁ悪竜の側だ。
 知ってたさ、どんだけ誇りを掲げようと、何処まで行っても俺の血は黒い血の赤竜のそれだって事なんか。
 まだよォ、俺は俺の事に納得なんかできちゃいねぇが――、一つだけ言えることァよ――ォ」

ずっと、己の出自。母の胎内を突き破って生まれた、蒼い鱗の一族の中の朱い鱗の己に付いて考えて生きてきた。
神官から聞いた話では、悪竜ファフニールの鱗も又、朱だったと聞いて。
己の中には隠し切れない悪性が在るのではないか、だからこそ己は戦いに魅入られ続けているのではないか。
そう、物心ついた時から悩んだが、結局としてゲッツの知能ではそれに結論を見つけることなどできなかった。
だからずっと、ただ戦いに生きて戦いに死んで、誇りだけを食らって生きていけば良い、そう信じてきた。
そして今、己の泥を見せられて、竜人はひとつの結論を出す。
「――――やられっぱなしは性に合わねェ」

――知ったことか。
幻術は未だに竜人のトラウマをえぐるような光景を見せつづけ、断末魔を聞かせ続ける。
誇りを踏みにじるような一方的な虐殺を見せられ続け、己の悪性を視界に刻まれ続ける。
だが、知ったことか。これまで結論が出なかったのだ、今すぐになど分かるはずが無い、いや、分かって溜まるかといった所。
迷いながらでも良い、その言葉はゲッツにとってのある意味での救いになった事は間違いなかった。

「パクるぜ、フォルテ」

竜人は、苦痛の中で息を取り込む。
高地種族の彼らの胸郭は拡張しやすく、また肺も即座に肥大しやすい。
大量の酸素が脳に巡り、一瞬浮遊感が駆け抜けた。
聞こえる、敵の声。それを塗りつぶすような、友の歌唱。

>「否、ハッピーセットとして作られてネタにされた恨み晴らさでおくものかっ!!
>犯人はアイツだ――ッ!! 理由はいかにも常日頃からそういうネタでゲラゲラ笑ってそうだから!
>イタチ! マダラ! 邪悪な幻術に騙されるな!」

相手の叫び声を吹き飛ばすような叫び声染みた歌声が、フォルテの展開する幻覚の森をさざめかせる。
咆哮、感情の爆発的発露、所謂、デスボイス、グロウルとも呼ばれるそれに近いがもっと原初の形に近いもの。只の叫び。
竜の咆哮にも通じる暴力的音声は、魔力と感情と誇りを載せて、ゲッツの内面を変化させていく。

「[――誹謗しろ! 引き千切れ! 己の血脈に毒を打て!]
 ――Denigrate! Lacerate! Feed the poison in your veins!
 [そうして愚かしい世界の崩壊を生き抜いて行け]
 And withstand the collapse of a world of fools! 
 [全ての恐怖を引き裂いた 闇の中の閃光のように!]
 All your fears Torn apart Like a sparkle in the dark!
 [腐敗した己を切り捨ててその目を覚ませ!]
 Be aware of yourself rip the decaying parts away!」

ゲッツの纏う鋼の鎧が粉砕していき、赤い鱗が毛羽立ち、鋼の翼が赤色に染まっていく。
服が吹き飛び、最低限の布だけの状態となった肉体に在る無数の古傷から、真紅の光が漏れだしていく。
口の端からは黒い炎が漏れ、瞳は煌々と輝き、オールバックの金髪は別の生き物であるかのように蠢きさざめく。
最後に一つ、息を吸い込み竜人は、本物の竜の息吹を吐き出しながら世界へと己の存在を主張する為に、叫びを上げる。
「ハイランダーの忌み子、ゲッツ・ディザスター=Eベーレンドルフ!
 テメェらにはむかついた。ガチでむかついたァ! 生きて返す積りはねぇし、降参の言葉も聞いてやんねェ!
 ぶっ倒す、ぶっ飛ばす、ぶっ千切る、ぶっ殺すッ! それで上等、それが常道、それが俺の王道だァ、文句あッかこの野郎ァ!」

災厄[Disaster]となる運命[Destiny]など破壊[Destroy]してしまえばいい。
何もかもを壊して、強引に突き進むのが全方位殲滅師たるゲッツの常道、王道だ。
ならば、もう負ける気はしない。
運命も、絶望も、何もかも。レベルを上げて物理で殴って何とかしてしまえ、それで何とかならなければもっと強くなればいい。

「――サンキュあと悪ィ、フォルテ後で酒でも飯でもなんか奢ってやる。
 あと、アサキム防御サンキュ、そのクッキーマニアっぽい忍者くらいお前なら楽勝だろ?
 エスペラントは――まあ困ってなさそうだし、あの変な仮面の相手なんだろ?
 今から言うがあのサスケとやらは俺が食うッ! 言っとくけど、お前らの誰かがアイツ倒したら俺キレっから! 分かったかァ!?」

一言、先に自分勝手に狂戦士のごとく戦うと宣言した竜人は、いつもの調子を取り戻しつつ有った。
超人相手に傲岸不遜に助成をするなと叫び、己を苦しめた格上相手に一人で挑むと決めたのは、一重にそうするのがゲッツの生き方だという事にほかならない。
ゲッツは邪神モッコス染みていながらも、強力な力を持つ忍者、ハッピーセットサスケと相対する。
咆哮で無理やり幻覚を喰らい尽くした今のゲッツには、そうそう月読でも干渉できるものではない。
即ち、天照くらい――と言っても十二分に狂喜だが――しか有効な瞳術は存在していない。

「天照!」

サスケがチャクラを練った瞬間、黒い火炎がゲッツを包み込み、肉を灼く音が響くが、当然のように足は前へと進む。
地面を抉り、ゲッツは黒の炎に焼かれながら、一陣の風を追い抜いた。
軌跡は紅。傷口から漏れる赫い光が消えない火炎の侵食を押さえ、切り裂いている。

「竜刃昇華[シェイプシフト]、アスカロン!
 モードッ……ディザスタァァア゛ア゛ア゛ァ゛――――――ッ!」

振りかぶった腕は、鋼の左ではなく、真紅の右。
全身の傷から吹き上がった紅の、魔力とも異なる純粋な力=B
それを只腕に纏わせ、超々高速で、なんの細工も理論も無くがむしゃらに叩きつけるだけの頭の悪い必殺技。

消えぬ炎が何らかの干渉によって粉砕し、拳はハッピーセットサスケの土手っ腹に突き刺さる。
十数メートルに渡って引かれた紅の残像は、忍者の前に収束し、必殺の一撃の終息をそこに証明する。

コンマ数秒にも満たないしぃんとした沈黙は、嫌にしんしんと降る雪のような鋭さを以て。
その沈黙は、みしりという何か肉とは違う何か、間違ったものを殴ってしまったかのような音で破られる。

結果は――轟音、爆発、閃光。

あまりにもやり過ぎという位に派手な演出を伴って、サスケは吹き飛び半身を引きちぎられて吹き飛ばされる。
数m先の地面に肉体をめり込ませて、少なくともサスケ相手にゲッツの憂さ晴らしは終了したようだ。

「……ちぃっと、無理っぽ。
 久々っつーか、マジ死ぬわ、疲れたァ!」

拳を振りぬいた形のままで、ゲッツは吐血しながら地面に倒れこむ。
これから先何が起こるか分からないというのに、後先の考えの無さだけは一級品だった。
だが、少なくとも3人の強力な忍者の内1人は再起不能。後の二人は特に心配もいらないだろう。
少なくとも、ゲッツはそう思える程度には、今の仲間≠信頼できていた。
190フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/09/15(土) 09:01:23.32 ID:bZgwb2uC
>「俺ァよォ。ずっと、悪竜と聖人、どっちなんだろう、って迷ってたんだァ。
 だがな、間違いなく、俺ぁ悪竜の側だ。
 知ってたさ、どんだけ誇りを掲げようと、何処まで行っても俺の血は黒い血の赤竜のそれだって事なんか。
 まだよォ、俺は俺の事に納得なんかできちゃいねぇが――、一つだけ言えることァよ――ォ」

祖竜信仰――悪竜を打ち倒した聖者の神話。
某大作RPGの第一作目のような、王道中の王道の英雄伝承。
でも、自分たちの起源のうちの片方が悪の象徴だなんて悲しくない!?

>「――――やられっぱなしは性に合わねェ」
>「パクるぜ、フォルテ」

ゲッツはトップアイドルたるオレの歌に大胆にもコーラスを入れてきやがった。
それは――音楽のテストなら0点になりそうな酷いものだった。
多分音痴だろうとは予測がついていたけれど、音程も何もない。
でも……最高だ。最高にシビれた。

>「[腐敗した己を切り捨ててその目を覚ませ!]
 Be aware of yourself rip the decaying parts away!」

「――君を悲しませる全てを 浄よめるように  強く風の吹くこの国で 消せない虹を探そう」

奇しくも掛け合いのように、歌い終える。
その時目の前にいたのは真紅の竜、というべきだろうか。

>「ハイランダーの忌み子、ゲッツ・ディザスター=Eベーレンドルフ!
 テメェらにはむかついた。ガチでむかついたァ! 生きて返す積りはねぇし、降参の言葉も聞いてやんねェ!
 ぶっ倒す、ぶっ飛ばす、ぶっ千切る、ぶっ殺すッ! それで上等、それが常道、それが俺の王道だァ、文句あッかこの野郎ァ!」

「あ……」

オレはただその姿を魅入られたように見ていた。
実も蓋も無さすぎるが、小細工せずに邪魔する者をぶっ倒していくのは紛れも無く王道。
吟遊詩人たるもの、英雄伝承《ヒロイックサーガ》を紡ぎたいという抗えぬ本能が心のどこかにある。
その条件が揃ってしまったのかもしれない。世界の危機と――滅びの運命を打ち壊す英雄。
そして吟遊詩人によって伝説に刻まれた英雄の事を、後世の人々は“伝説の勇者”と呼ぶ!
裏を返せば、吟遊詩人に目をつけられてしまった奴が伝説の勇者に仕立て上げられてしまう、ともいえる。
伝説の勇者御一行って吟遊詩人加入率が妙に高くは無いか? つまりはそういう事だ。
191フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/09/15(土) 09:09:49.57 ID:bZgwb2uC
>「竜刃昇華[シェイプシフト]、アスカロン!
 モードッ……ディザスタァァア゛ア゛ア゛ァ゛――――――ッ!」

かくして、オレの勇者様は――ふざけたハッピーセット忍者をぶっ飛ばした。
そりゃもうオーバーキルの勢いで。大爆発が巻き起こる。

>「……ちぃっと、無理っぽ。
 久々っつーか、マジ死ぬわ、疲れたァ!」

ゲッツに歩み寄って笑いかける。

「オレはさ、竜って好きだよ。強くて、かっこよくて――なんてったって妖精と並び立つワクワク冒険物語の代名詞。
こんな事を言ったら怒るかもしれないけどさ……。祖竜って本当に悪い奴だったのかな? 
あんまり神話を真に受けて悩まないほうがいいぜ? どうせ伝説を語りつぐ奴なんて壮大な大法螺吹きの集まりだ。
オレを見てりゃ分かるだろ!」

伝承は語られ、騙られる――。吟遊詩人なんて、取りとめのない夢を見てばかりの大嘘つき。
だけど伝説が生まれる現場に居合わせた時、その歌をもって嘘を貫き通して真実にする事だって出来るのだ。

「だから安心しなよ。たとえ本当に悪竜の化身だとしても、このオレが――」

――勇者にしてやる!

と言おうとして、言葉が止まる。こいつ、全裸寸前になってやがる――!
もしや毎回戦闘の旅に裸になるつもりか。サービスのつもりなのか!?
突っ込んでネタにした方がいいのか!? スルーした方がいいのか!?
戦闘狂のチンピラを勇者にするだけでも難易度MAXなのにその上脱ぎたがりとかどんだけ難易度上げるつもりだ。
問い詰めたい、小一時間問い詰めたい!

「……今度カラオケオールで付き合え!」

問答無用でそう言い渡す。拒否権は――無い!

『ドナルドも、君と一緒に遊びたいなぁ』

「お前は誘ってねーよ! つーかまだいたのお前!?」

ハッピーセット忍者に気を取られてすっかり忘れていた。これって何気にピンチじゃね!?
不敵な笑みを作り、ヘッドギアに手をかける。

「どうしても遊びたいなら遊んでやるけどさ……こいつには手を出すな!」

「それは駄目モナ……!」

「大丈夫、見つけたんだ。詠うべき物語《サーガ》を――!」

と恰好良さげな事を言ってみるが、吟遊詩人が格好付けの大嘘つき野郎揃いなのはご承知の通り。
全然大丈夫じゃない、こんな所で精霊の声を直に聞いたら精神崩壊を起こすかもしれない。
ヤバイヤバイヤバイヤバイ。超人二人組、助けてぇええええええええええ!!
192アサキム ◆JryQG.Os1Y :2012/09/15(土) 11:54:14.25 ID:WsPFyG1l
>>「ドナルドも君たちと」
グサッ
「あそ、」
グサッグサッ
「びたい」
グサッグサッグサッ
アサキムはドナルドに飽きて、早く死ねや。とか思いながら魔法弓を放つ
やがて、倒れた。
「はぁ、終了っと。」
>>「待てやこら」
イタチがおそう
うっせぇな。とか思い こいつもまた八つ裂きにした。
>「――サンキュあと悪ィ、フォルテ後で酒でも飯でもなんか奢ってやる。
 あと、アサキム防御サンキュ、そのクッキーマニアっぽい忍者くらいお前なら楽勝だろ?
 エスペラントは――まあ困ってなさそうだし、あの変な仮面の相手なんだろ?
 今から言うがあのサスケとやらは俺が食うッ! 言っとくけど、お前らの誰かがアイツ倒したら俺キレっから! 分かったかァ!?」

「ふん。この中で一番強いのを押し付けておいてよく言う
なんなら変わって欲しいくらいだが、いいだろう。
其処まで啖呵を切って見せたんだ死んででも果たせよ」

自分の獲物と言い切り、邪魔は許さぬと言ったので迷わず此方も悩む素振りも見せずに直ぐに言い放つ。
そしてそんな事を言いつつもあっという間にサスケを倒し、竜人も吐血しながら倒れる
イタチもどんな手品を使ったか知らないが倒してしまったようだ
詠唱しようとしている間に既に三人の内二人は倒されたようだった
この様子を見ながら同族が倒されたと言うのにマダラは冷静だった

『この二人を屠るか、中々の実力があるようだな
少々人数的には不利のようだ二人の仇を取るために此処で総力戦をやっても構わないが
私も月の眼計画を成就させるためにいろいろ忙しい、一旦退くとしよう』

この光景を見てもなお、この場は退く事を決めるマダラ
これは好機と見るべきなのだろう、此処で戦うには場所が狭すぎる

「引き際は弁えているようだな、だが」

とそんな隙を見逃す訳もなく追撃を仕掛けようとするが
淫夢君が必死に鳴き始めるこれが何らかの警告と言う事に一瞬にでも遅れていたら
大変な事になっていただろう

『しかし、このまま何もしないというのもアレなのでね
置き土産を置いていこう』

何も動作を見せていない、しかしそれは淫夢君の必死の警告と修羅場を潜ってきた経験と勘が告げる
今すぐに反応しろと

「何か仕掛けてくる気を付け――」

そして必死になって淫夢君を庇うようにしながらも既に遅かったのかもしれない

『神羅天征』

斥力を自由自在に操る術により己を中心に範囲内にあるすべての物質を吹き飛ばし
全チャクラを込めて爆発的な破壊力を生み出し、一国(里)を一撃で吹き飛ばす威力で
この店とそして付近にある全てを盛大に全力で吹き飛ばしたのであった。
194ゲッツ ◇DRA//yczyE:2012/09/19(水) 01:33:49.65 ID:33EpcMqg
>「オレはさ、竜って好きだよ。強くて、かっこよくて――なんてったって妖精と並び立つワクワク冒険物語の代名詞。
>こんな事を言ったら怒るかもしれないけどさ……。祖竜って本当に悪い奴だったのかな? 
>あんまり神話を真に受けて悩まないほうがいいぜ? どうせ伝説を語りつぐ奴なんて壮大な大法螺吹きの集まりだ。
>オレを見てりゃ分かるだろ!」

仰向けになったゲッツは豊かな金髪を背に敷いて。
胡乱な目を向けながらも、僅かに口元に笑みを浮かべてフォルテの言葉を聞く。
最後まで聞いて、おもむろに竜人は身を起こして、口を開く。

「っハヒハッ! お前ェはやっぱりお気楽で良いぜェ。
 確かに、神話ってのァ語り継がれる内に変わってくもんだ。
 もしかしたら、ってのも十二分にありだしよォ。
 ……それに、俺が何であろうとハイランダーで一番のイケメン戦士だって事だけは間違いねぇしなァ!
 ゲハハハッハハハハハッハァ!」

何も考えていないように見え、案外何かを考えているこの竜人。
だが、己のような暴力的なやり方とも違う、優しさとも違う、どこか真っ直ぐなその言葉は、竜人の心を打つ。
成る程、これが吟遊詩人か。と竜人は心の中で納得し、僅かに友に憧憬すら覚えた。
暴力、破壊。それ以外の力も存在するのだと言うことを、目の前の存在で納得できる。

>「だから安心しなよ。たとえ本当に悪竜の化身だとしても、このオレが――」

言葉に詰まった相手を見て、ゲッツは眉を潜める。
一体何なんだ、ジロジロ見ても俺がイケメンな事には変わらねェぞ。
竜人がそう思っていた所、結局吐こうとした言葉は飲み込まれたようで、カラオケの誘いへと取って代わるのだった。

>「……今度カラオケオールで付き合え!」

「あいよ。つっても、俺様のすんばらしぃ歌唱力聞いたろ?
 アレでもいいなら存分に聞かせてやらァ、歌は苦手だが聞くのは好きなんだよ」

ゲッツ、当然として誘いを快諾。
何を歌ったものかと思考を巡らせるが、途端、背後にはドナルドが現れたのだが――。
195ゲッツ ◇DRA//yczyE:2012/09/19(水) 01:35:03.00 ID:33EpcMqg
>「あそ、」
>うっせぇな。とか思い こいつもまた八つ裂きにした。

イタチもろとも一瞬でアサキムがミンチにしてしまう。
己が苦労してようやく倒した相手をいとも簡単にひねってみせるその戦闘力に戦慄、しかし、歓喜。
仲間であろうと、強者が存在しているという事には、興奮と喜びが隠せない。

「ヒュ――ゥ、やるゥ。
 つか、感慨ねェな。パねぇわ」

地面に座り込んだまま、ゲッツは賞賛の声を。
そこまで来て、エスペラントとマダラはどうしているかを思い、そちらに視線と意識を向けた。
その瞬間、ゲッツもまたエスペラントと違う理由で理解する、今すぐに動け、と。

確実にエスペラントやアサキム、それどころかフォルテにも生まれてからの年月では劣っている。
だが、長年、何代も、何十代も連綿と受け継がれていた血脈の本能が、叫びを上げた。

死ぬぞ、戦え。聖者も悪竜も、戦わずしては英雄になどなれぬ、魔王になど達せぬ。
戦え、お前は悪竜であり、聖者である者。そして、どちらでもなく、どちらでもある者。
刃を抜け、■■■■に火を灯――――

>「何か仕掛けてくる気を付け――」
>『神羅天征』

眼前を駆け抜ける轟音、爆音、衝撃。
視界には、フォルテ。間違いなく、この状況を打破しうる術は無いであろう友。
ならば、己は。
満身創痍、指一本も動かせはしない。
だが、動かさなければ死ぬ。ならば――動かせば良い。

「ッ、死んで溜まるかこの変態仮面ァ――!」

立ち上がったのは、きっと奇跡などではない。
起きるべくして起き、立ち上がるべくして立ち上がった。
背に刻まれた傷から閃光が吹き上がり、真紅の翼を形作ると同時に、フォルテの首根っこを引っ掴み、飛翔。

「あ゛ァ゛ッ゛、痛゛ッ゛て゛ェ゛――――――ッ゛!!」

地上数百mまで、即座に飛翔し、背後へと追いすがる破壊を追い抜きながら、待避。
だが、右の膝から下が衝撃に飲み込まれ、骨格が粉砕した。
それでも、翼は展開したままで、フォルテの首根っこを掴んで、地上を見下ろし警戒をしていた。

「お前ら、死んでねェかァ――!?」

己よりもはるかに強い超人達と言えど、仲間が心配ではないはずは無い。
空から己の血で雨を振らせながら、ゲッツはゆっくりと降下していく。
196フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/09/20(木) 07:37:25.79 ID:fKktU9kl
>「はぁ、終了っと。」

ドナルドはアサキム導師によって瞬殺された!
オレにとっては死亡フラグでもこの超人にとっては敵ではないらしい。
緊張の糸が切れ、地面にへたりこむ。

>「ヒュ――ゥ、やるゥ。
 つか、感慨ねェな。パねぇわ」

パねぇといえば何故かギリギリのラインで布が残ってるのもパネエ。
カラオケをOKされて機嫌をよくしたオレは裸ネタを弄って遊ぶ事にした。
聞えよがしに独り言を言ってみる。

「……惜しい、実に惜っしいなぁ。女だったら稀代の名ヒロインになれたのに」

――不意に、精霊がざわめいた。
え、何!? ほんの何気ないギャグに総出でドン引きしないで。

>『神羅天征』
>「ッ、死んで溜まるかこの変態仮面ァ――!」

首根っこを掴まれて超スピードで舞い上がる。絶叫マシンもびっくりの逆バンジージャンプである。

「っひゃあああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

認識がワンテンポ遅れてくる。いや、ワンテンポで済んでいればかなりいい方だ。
眼下は爆発によって焼け野原になっていた。
そして、ゲッツの右脚が血まみれになっているのが今更ながら目に入る。

「お前……!」

自分は、無傷。
放っといたら確実に死にそうだったオレを無意識のうちに庇ったのだろうか。

>「お前ら、死んでねェかァ――!?」

「人の心配してる場合じゃねーよ、バカ!」

着地するなり、崩れ落ちるように倒れかかってきたゲッツを担ぐというか引きずるような恰好になる。
ああ、言わんこっちゃない! 近くにいたアサキム導師に懇願する。

「おい、どーにかしろよ!! してくれ……して下さいお願いします!」
197アサキム ◆JryQG.Os1Y :2012/09/20(木) 16:18:15.24 ID:W0bREJBr
「ふん、たわいもない。」
瞬殺しおわったあとのどや顔。
の瞬間
強烈な爆風。
「ったく、うちは ってこんなにどはでなことしたっけ?」
【スパイラルチェーン】
鎖を地面に縛り付け耐え。
同時に、飛んだ赤子も回収。
「何とかなった。」
一息つきたいな。とか思ってたとき
フォルテが何とかしてとかいいはじめた。
「ビャク、に頼んでくれ。少し歌を歌うから。」
そういうと、息を吸い、高めの声で、歌い始める。
「what I do it is this real?」【見ているものは現実か?】
これは、招来歌 God only knows
すると、女の子二人が風と共にくる。
「よんだぁ? アサキム」
「よんだぁ、魂回収よろしく」
「はぁい。」
この女の子二人は、列記とした、死神
人外なので呼んだ。
「じゃあね、アサキム」
「おう、じゃあな。」
マダラの放つ神羅天征はやはり伊達ではなくこの森ごと周囲を吹き飛ばした
此処には爆心地のように何も無い更地と化した
この出来事に対して当然森の外の住人は大騒ぎになっていた。
幾らこう言った事が日常茶飯事でも、消え方が尋常じゃない事とアインソフオウルの種子により不安定になっていると言う事もあったのだろう。
輪廻眼を持つマダラの仕業と知るには先ずは生き残った者達以外知るところではないのだが。

「……なんとか防げたか」

周囲には数え切れない夢双剣が周囲を取り囲みそれを防御術式として展開していた
そして何とか限界ギリギリ状態であるため超人刻印―ツァストラコード―を詠唱を諦め全力で回せるだけの力を回した状態での賭けだった
お陰で防げたものの黒い十字の剣全ては全てボロボロであり、纏っていた仮面にもヒビが入り直ぐにでも砕けそうになっていた
だがそれでも右腕に抱えた小さな命、淫夢くんだけは死守することが出来た。

「良かった…大丈夫かい?」

その一言を言った次の瞬間、仮面が完全に砕け顔の半分だけ素顔が現れる。
淫夢くんに向けている瞳はとても優しく、暖かい気持ちに溢れていた。
そんな時、ゲッツの声が聞こえてきたので振り返るがフォルテに背負われながら
その様子もとんでもない状態になっていたが

>「お前ら、死んでねェかァ――!?」
>「おい、どーにかしろよ!! してくれ……して下さいお願いします!」

「そんな状態なら他人より自分の心配をしろ!ったく急いで病院行きだ!」

自分より相手を心配するゲッツに対して溜め息を吐きながらも自分も何よりも淫夢くんの命を優先したため大概だが
近づいてメディアラハンを掛けて全員に対して完全回復させるが一応と言う事もある

「とりあえずは完全回復させたが病院に行くぞ、念の為だ」

別に仮面が割れて素顔を見られても構いやしない、既に名前を隠す意味も顔を覆う理由も無い
周囲を見渡すが其処にはドナルドらしき正しく吐き気を催す肉塊と化していた
そりゃそうだかなりの近距離に居たのだから挽肉になっていてもおかしくない
だがそれでも違和感を感じる、それは何なのかは分からないが

「あの淫夢ファミリーは出てくる気配が無かったがまさか互いに潰し合わせる罠だったとも
今更ながら思いつくとはな」

何にせよ今は生きている油断ならない状態だが、今は生きていると言う事で良しとしよう。
199ゲッツ=ベーレンドルフ ◇DRA//yczyE:2012/09/21(金) 23:35:07.19 ID:jCvAJCj9
フォルテを何とか回収して助けるも、ゲッツの足はブラクラもびっくりな有様に成っていた。
痛みに強いとは言っても、精神が消耗している状態の満身創痍に倍プッシュである、当然の様に着地すればどうなるかは決まっていた。
バランスを崩し前へと倒れ込みそうになるも、フォルテがゲッツを担いだ。

>「人の心配してる場合じゃねーよ、バカ!」

「いんやァ、生きてりゃ――イッツツツ……、なんとかなるしよォ。
 それに、ダチ助けた怪我ならそりゃ名誉の負傷だから問題ねェし」

ゲッツ独特の、誇りを重んじる理論がフォルテの言葉には返される。
と言っても、冗談ではないダメージな為、流石に表情は引きつり気味だ。
体格差も有るため、比較的長身とは言えど筋量が少なそうなフォルテに負担を掛けない程度に無事な左足に体重を預ける。
そのまま、フォルテに引っ張られる形でアサキムの所までひょこひょこと動いていく、が。

>「ビャク、に頼んでくれ。少し歌を歌うから。」

「うっわ、羨ましいんだけど。フォルテと良いアサキムと良い歌えばかわいい女の子に会えるとかちょっとかなりマジで裏山……ッ、つつつつつつつー!?」

アサキムの言動に気を悪くした様子は無いものの、そのまま少女を召喚したアサキムを見て、軽口。
最近の若者は歌って女の子出すのが流行りなのかァ?と冗談を口にするが、この中で一番の若輩者はここに居る、ゲッツ・ベーレンドルフ(23)である。
そうこうしている内に、仮面に罅を入れたエスペラントが現れ、こちらにやってくる。

>「そんな状態なら他人より自分の心配をしろ!ったく急いで病院行きだ!」

「だァから、自分の限界はわかってるからそこまで取り乱さンくてもよォ。
 まあ、ここまで無茶こいたのは数年ぶりだけど」

周りの取り乱し様に、なんとなく困惑しながらゲッツはエスペラントの治療をおとなしく受ける。
元々傭兵であり、どちらかと言うと個人主義の場で戦い続けてきたゲッツは、主義から他者を心配する事は有っても、あまり他人に気をかけられたことは無い。
だからこそ、なんとなくくすぐったいようなむず痒い気分になる。

>「とりあえずは完全回復させたが病院に行くぞ、念の為だ」

「……病院、苦手なんだよなァ。
 つか、竜刃がある程度体、補修とか調整してくれると思うから問題ねェかも」

ほぼ完全回復しつつ有るが、右足は先程まで原型をとどめていなかった。
流石に僅かな傷跡や裂け目は残っていたが、それらは傷口から染み出す銀色の液体で埋められ、次第に肉体と馴染み傷跡を消してしまった。

「ま、なんだ。サンキュ、エスペラント」

ひょこり、と軽く頭を下げて、ゲッツは礼を言い。
一息つきつつ、その場に座り込み、大の字に倒れこんだ。
200??? ◇DRA//yczyE:2012/09/21(金) 23:37:49.48 ID:jCvAJCj9
――と、一息つけるような雰囲気であった所に、状況を動かす事態が起こる。
空間に僅かな撓みが生じ、何かがここに現れたのである。

「く、ヒヒ。コレが、滅びの種……!
 淫夢ファミリーを雇った甲斐があったというものだ、ヒヒュヒュフ……」

唐突、空間転移の魔術を行使したのか、爆心地に現れる一つのローブ姿。
白一色の装束に、鏡面加工された仮面を被った姿は、清潔感にあふれながらも病的な要素を感じさせる。胸元には煌くアミュレットが有り、それが唯一人間味を感じさせない彼に個性を与えていると言えた。
その、比較的長身な細長い白装束は、おもむろにドナルドだった%塊に手を突っ込むと、手のひらサイズの黒い宝玉をひきずり出した。

「ヒヒャヒュヒヒヒヒヒヒヒヒ……。
 これ、ガ。コれガ……。」

白ローブは奇怪な笑いを上げながら、その宝玉を眺めていた、が。
回りにいる術者の存在を感知すると、即座に転移術式を起動し、逃げ出そうとしはじめた。
淫夢ファミリーの痕跡、ドナルドが暴れ、あまつさえ忍者まで現れた今回の事態に一枚噛んでいるのはきっと間違いない。
逃走までは1秒と掛からないはずだ、何とかしなければこのまま逃してしまうだろう。
201フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/09/22(土) 01:06:24.71 ID:PYMSRaXA
>「いんやァ、生きてりゃ――イッツツツ……、なんとかなるしよォ。
 それに、ダチ助けた怪我ならそりゃ名誉の負傷だから問題ねェし」

「ゲッツ……」

英雄に憧れる少年のような事を言っているが
とっさに自分の事は二の次で誰かを助けるなんて誰にでも出来る事ではない。
ちゃんとお礼を言おうと思って口を開き、いざ出て来た言葉は――

「さっすがオレの見込んだ勇者様! 惚れちまいそうだぜーっ!」

おちょくっているようにしか聞こえないのは多分気のせいだ。
さて、オレの懇願を聞いたアサキム導師の反応は……

>「ビャク、に頼んでくれ。少し歌を歌うから。」

そう言って呑気に美少女を召喚しはじめた。

「おい、そんな事してる場合じゃないだろ!」

>「うっわ、羨ましいんだけど。フォルテと良いアサキムと良い歌えばかわいい女の子に会えるとかちょっとかなりマジで裏山……ッ、つつつつつつつー!?」

「お前はいーから黙っとけ! ……〜〜〜〜〜〜っ!」

無理な体制で負担をかけたせいか、ここにきてマジックアローが貫通した部分が痛みはじめた。
断じてオレがチビキャラなのではなく、こいつがでかすぎるのである。
( ´∀`)< 水増し込みで約170p 水増し部分を8〜10cmと仮定すると……おそらく本来の身長は(お察しください)
        戸籍上の性別を基準にするとギリで平均値以上かモナ!
……今いらん注釈が入った気がする!
202フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/09/22(土) 01:07:26.37 ID:PYMSRaXA
それはそうとビャクことエスペラントに頼めと言われたが、仮面で得体が知れなくて正直ちょっと近寄りがたい。
と思う間もなく、エスペラントの方からこっちに来た。

>「そんな状態なら他人より自分の心配をしろ!ったく急いで病院行きだ!」

そう言う彼の仮面は半分割れ、素顔が見えていた。その素顔は純粋な少年のようにも見えた。
素顔が半分見えた、それだけで一気に身近になったように感じる。
彼は全員に回復魔法をかけてくれた。

>「とりあえずは完全回復させたが病院に行くぞ、念の為だ」

>「……病院、苦手なんだよなァ。
 つか、竜刃がある程度体、補修とか調整してくれると思うから問題ねェかも」

「うんうん、あんな変態集う城にはいかない方がいい!」

病院というワードで種族判定検査の時のトラウマが蘇る――!
年金受給年齢になると、種族変更届をわざと出さない事による不正受給を防ぐために人間かどうかの判定が行われるのだが……。
V系吟遊詩人たるオレに服を脱げなんぞ何たる狼藉か!

>「ま、なんだ。サンキュ、エスペラント」

これにて一件落着かと思われたその時だった。

>「く、ヒヒ。コレが、滅びの種……!
 淫夢ファミリーを雇った甲斐があったというものだ、ヒヒュヒュフ……」

謎の人物が現れ、ドナルドの成れの果てから黒い宝玉を取り出しているではないか!

「3分稼ぐから……頼んだ!」

このまま逃がしてはいけない、そう直感したオレは、とっさに歌い始めた。
一瞬躊躇ったが、そんな事を気にしている場合ではない。
巡姫舞踊曲――それは、聞いた者の心を釘付けにする魅了の歌。時間稼ぎならこれが最適だ。

「天の神より与えられしは妖姿媚態と迦陵頻伽  未来永劫比類する可き女等現れ得ないさ
すぐに裸で戯れたがる牡どもを見下げながらね 甚振ることで求めるものはより崇高な快楽だけ」

躊躇った理由が分かっただろうか。歌詞がグラマー美女視点のめくるめくSMワールドなのだ!
白ローブはなんじゃこれ、と言わんばかりにこちらを見つめていた。
成功だ――お前はもう掛かっている! アサキム導師、エスペラント、うまくやってくれよ――!
ちなみにこの後とてもここには書けない歌詞のオンパレードだから興味のある人は実際に聞いてみよう!
お前一瞬躊躇ったとか言いつつ結構ノリノリで歌ってるじゃないかって? 断じて気のせいだ!
203アサキム ◆JryQG.Os1Y :2012/09/22(土) 09:57:14.66 ID:bVqOxgsu
「はいはい、そこまで。」
変な奴を、鎖で拘束。
「ラウスカード、発動。いけっ」
闇の宝玉に、カードをつける。
封印。
204アサキム ◆JryQG.Os1Y :2012/09/22(土) 09:58:54.12 ID:bVqOxgsu
「ビャク、俺は、肉体封印できないから。よろしく。」
ドナルドの封印を依頼する。
病院に良くという言葉に対してこの二人は余りいい顔をしない
普通行きたがる奴は稀なのは確かなのだろう

>「……病院、苦手なんだよなァ。
 つか、竜刃がある程度体、補修とか調整してくれると思うから問題ねェかも」

>「うんうん、あんな変態集う城にはいかない方がいい!」

「確かに私も好き好んで行きたいとは思わん、ただこっちは医者じゃない以上は専門の奴に見てもらって確認してもらう
それだけだ、直っていたらそれで良し何か不味い事があれば治療してもらう損は何処にも無いだろう?」

とりあえず何処か聞き分けの無い子供に対して優しく諭す親の用に説明する
もしも本当に生まれた世界と時代が違えば静葉いやもしかしたら別の誰かとの間に出来た子供に言う事になっていたか
そんな想像は今の彼はとてもじゃないが出来なかった。

>「ま、なんだ。サンキュ、エスペラント」

「竜人はプライドが高いと聞いていたがまさかそんな言葉を聞けるとはな
素直に礼だけは受け取っておく」

何時ものように皮肉を言いながらもそんな事を言う。
だがなんだかんだで終わり、このまま事が終るかに見えたがどうもそうではないようだ

>「く、ヒヒ。コレが、滅びの種……!
 淫夢ファミリーを雇った甲斐があったというものだ、ヒヒュヒュフ……」

>「3分稼ぐから……頼んだ!」

>「はいはい、そこまで。」

そして突然現れたそれは淫夢ファミリーを雇ったと言う言葉を呟き
眉を潜める、コイツは仕組まれたこの経緯を間違いなく知っているいや裏で糸を引いてるのは確実
それは肉塊から黒い宝玉を取り出した寸前にフォルテが時間を稼ぎ
アサキムはソイツを鎖で拘束し、闇の宝玉すら封印してみせる

>「ビャク、俺は、肉体封印できないから。よろしく。」

「既にこの肉塊を封印する意味はあるのか?それと言ったはずだぞアサキム
封印をするだけならいつか復活する、消滅させろと」

肉塊に片手を向けて其処には幾何学模様が発生しそれが炎を形成する
宇理炎―それは完全な不老不死となった赤い水を飲んだ屍人を完全に焼き払うそれとは遥かに劣る
しかしそれは対不死者対策としてその生命エネルギーを媒介に精神が廃人になるまで苦痛を与え焼き続ける
アンデット、或いは完全な不老不死を持った相手には最悪の炎でドナルドだった肉塊を焼き払った
206アサキム ◆JryQG.Os1Y :2012/09/23(日) 16:33:32.94 ID:LH8bFvn/
>>205
「おまえの言うことは正しいが、俺の腕ごと燃やそうとするのは止めろ。」
なんと、鎖に火が引火していたのだ。
まぁ、その火を腕を振り、払う。
コネクト please
「腹へったぁぁ。」
取り出したのは、なんとさっき倒した、ドナルドのポテト
「マックは、チーバーとポテトとナゲットと白ぶどうさえあればいい。」
もしゃもしゃと食い始める
207ゲッツ ◇DRA//yczyE:2012/09/26(水) 01:06:57.25 ID:O8OkcbQV
>「うんうん、あんな変態集う城にはいかない方がいい!」

「俺もそうだけど俺が前居た傭兵部隊だと怪我して病院から戻ってきたら人間やめてたとかザラにあるしなァ。
 金無くて治験に行った先輩がサイボーグ化して悪の組織の下っ端になってたりしたし」

この世界の闇は深い。
高報酬のバイトと思って治験に行ってベッドで寝てくるだけ、と思ったとしても気がつけば
サイボーグだったり改造人間だったり怪人だったりは割と日常茶飯事である。
例に漏れず実はゲッツもその類なのだが、ゲッツの場合はむしろこれ幸いとばかりに身につけた力を振るいまくっていたのだった。
どちらにしろ、肉体の負傷の大半はエスペラントによって治癒された上に、竜刃の再生力を肉体に転用することで急速に肉体は修復されていく。
治療されてから数秒後には強度の戦闘行動は控えるべき、という程度までは即座に回復していた。

>「確かに私も好き好んで行きたいとは思わん、ただこっちは医者じゃない以上は専門の奴に見てもらって確認してもらう
>それだけだ、直っていたらそれで良し何か不味い事があれば治療してもらう損は何処にも無いだろう?」

「ハイハーイ、三割くらい金属と入れ替わッてッから生身の病院では直せませんでござえますゥ。
 まあ、あと真面目な話をするとちょいと病院に行くと見つかりたくない奴に見つかるかもしンねェからよォ、気にしないでおいてくれや。
 これでもタフさだけにァ自身あンだからよ?」

最初は茶化した様子で行きたくない理由の一つを口にするが、二つ目の理由にはほとほと嫌そうな意識が口調に混ざっていた。
物理で何とかしない限りは梃子でも動かない程にはその決意は硬そうだ。
どちらにしろ、パッと見でも術式で精査したとしても、生身の生物とは肉体の構造が違うが健康体であることはまず間違いない。

>「竜人はプライドが高いと聞いていたがまさかそんな言葉を聞けるとはな
>素直に礼だけは受け取っておく」

「恩には礼を、義には信を、友には愛を、てな。
 律儀に生きるてェのは結構良い生き方だと思ってるもんでね」

ひらひらと手を振り、軽く口元を歪める笑みを見せるゲッツ。
受けた恩には礼を返すのは当然であり、その当然を当然のように行動する事、それはゲッツの行動理念の一つだ。
その理念は、ある意味では種の中で排斥されていたからこそ、硬い意思を守るためにも必要だったものなのかもしれない。
どちらにしろ、ゲッツがエスペラントに皮肉抜きで感謝の念を覚えているのは間違いない。

そして、目の前に現れた白ローブの男はと言えば――。
208??? ◇DRA//yczyE:2012/09/26(水) 01:08:30.89 ID:O8OkcbQV
>「天の神より与えられしは妖姿媚態と迦陵頻伽  未来永劫比類する可き女等現れ得ないさ
>すぐに裸で戯れたがる牡どもを見下げながらね 甚振ることで求めるものはより崇高な快楽だけ」

「ぬ、ゥ!?」

宝玉を握りしめたままフォルテの歌声を聞き動きが止まる白ローブ。
その状態から、即座に鎖が襲いかかり、肉体が拘束されてしまう。
もぞもぞと蠢くが、レベルの違う半仙と、普通の魔術体系とは異なる術を使う両声類の二人相手には分が悪かった。

>「ラウスカード、発動。いけっ」

そして、黒い宝玉にカードが貼り付けられるも、宝玉から漏れだす圧力に次第にカードが侵食されていく。
この宝玉は、アイン・ソフ・オウルの欠片であり、だからこそあの災いの持っていた略奪の力の欠片でもあるのは当然の事だ。
要するに、封印をかけようともその封印を吸収し、それを苗床として種子を芽吹かせてしまう、厄介な代物なのである。

「……ッ、く、ぅ。これハ、まずい……か。
 我が、神よ――!」

追い詰められ、明らかな動揺を見せている白ローブ。
だが、

>「既にこの肉塊を封印する意味はあるのか?それと言ったはずだぞアサキム
>封印をするだけならいつか復活する、消滅させろと」

>「おまえの言うことは正しいが、俺の腕ごと燃やそうとするのは止めろ。」
>なんと、鎖に火が引火していたのだ。

身を縛る鎖に火が燃え移り、白ローブの男の体にもまた燃え移ろうとしていた。
苦痛と恐怖を前にして、白ローブの男が上げた声は、狂喜の叫び。

「ヒヒャフヒュ……!
 神よ、我が身を灼き、我が魂に七難八苦を与え給えェエエェ――――!」

胸元で十字を切ると、身を炎に投げ出し、即座に燃え上がり灰になって白ローブは消えてしまった。
燃え付き、灰となったそこに残っていたのは、変則的なロザリオが一つだけ。
そのロザリオを検分すれば、なんてことは無い、この世界での主要な宗教の一つに数えられている、三神教団のロザリオであっただろう。

だが、三神教団はカルト教団の類では無いのは、この世界での殆どの人間の中では共通の認識である。
ローファンタジアでの事件が、教団の中に何らかの影響を与えている、のかもしれない。
と言っても、証拠は燃え尽き、残ったのはロザリオだけ。
もしかしたら何もないかもしれぬし、何かあるかもしれない、と言った程度のことだろう。

周囲にはもう危険の気配は無く、ようやく休憩が取れそうである。
村人を回収し、近辺の村に戻っても良いだろう。
209フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/09/26(水) 21:54:29.16 ID:cNpMSeq2
>「……ッ、く、ぅ。これハ、まずい……か。
 我が、神よ――!」

封印を養分にして、アイン・ソフ・オウルの種子が発芽しようとしている!
白ローブを乗っ取ってラスボス級の敵が爆誕するんじゃないだろうな!
が、白ローブを縛る鎖に炎が引火する。超人二人組が張り切り過ぎである。

「ちょっと! やり過ぎだよ! ここは捕まえて事情聴取を……!?」

>「ヒヒャフヒュ……!
 神よ、我が身を灼き、我が魂に七難八苦を与え給えェエエェ――――!」

言い終わらないうちに、白ローブは自ら炎の中に飛び込んだ!
あの狂喜っぷりは尋常ではない。
炎の中に飛び込んで死ぬと美幼女に生まれ変われるとかいう新興宗教だろうか……。
結局、焼死体すら残らずに全てが灰になってしまった。

「あーあ、手掛かり無しかぁ……ん?」

灰の中に落ちていたロザリオを拾う。なんだ、三神教団か。
――え? 三神教団!? 割とまともな教団だったはずだけど……。

「三神教団を騙ったカルト教団かなぁ。
ま、宗教なんてオレには無縁だからよく分かんね」

アンタの母ちゃん星霊教団の首領じゃないかって?
あれは宗教であって宗教でないというか、一般的に言う宗教とは別枠というか。
宗教団体というよりも全国に教会を設置運営したり、精霊魔術の研究をしたり、ついでにたまに環境保護活動をしている機関として認識されている。
言わば、昔からなんとなくあった八百万の精霊思想を組織的に実践する便利団体。
そして星霊教団が抱える術者達はやはり神官ではなく、精霊使いなのだ。
だから信仰するしないという問題ではない。現にその辺にいるんだもん。
何はともあれ、一件落着――。

「おーい、もう出てきていいぞー」

声をかけると、どこからともなく村人達がわらわら沸いてきた。
あれほどの戦闘に巻き込まれずに済んだのは、流石NPC特権といったところか。

>「腹へったぁぁ。」
>「マックは、チーバーとポテトとナゲットと白ぶどうさえあればいい。」

アサキム導師は平然とマックを食っていた。さすが超人。
あの炎上バイクの持ち主の青年が語る。

「何で森に来たのかは分かんね。
事故って頭を打って正気に戻ったからハンバーガーを千切りながら歩いていたら
ここに辿り着いてしまってまた洗脳されただべさぁ。
助けに来てくれてありがとさぁ」

さて、問題はこの大量の村人をどうやって連れて帰るかという事だ。
行った事がある場所に転送ゲートを開く呪歌もあるにはあるんだけど消費MPが馬鹿みたいにでかい。
今使えば間違いなく失神するだろう。
……ええい、ここまで来たらもはや様式美だ!

「導師えも〜ん! 村人連れて帰って〜!」
210フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/09/30(日) 00:08:22.12 ID:fzvWK4K7
「お安い御用だ。転送――transfer」

導師えもんことアサキム導師は、オレのの○た君風の要請に何食わぬ顔で応じた。
導師が術を発動すると、村人たちは眩い光に包まれて消えた。

「すげーや、さすが! ……あれ?」

アサキム導師の姿はすでに見当たらなくなっていた。
さては、村人達と一緒に消えたな! やられた!

「……置いて帰る事ないじゃん!」

と言ってみたが、これで正解だったのだろう。

「あっ、でもそういえば痛車返さないといけないしね。早く戻って報酬受けとろっか!」

ゲッツに声をかけ、エスペラントという青年(?)にも声をかけてみる。

「エスペラント……さん。特にアサキム導師と行動しているってわけじゃないの?
だったらよければ一緒に来る?」
211アサキム ◆JryQG.Os1Y :2012/09/30(日) 09:15:04.36 ID:ILFmEEHE
「あの、餓鬼人使い荒いな。」
なんだかんだで、アサキムは、願いを聞き入れる。
そして、逃げる。
どこに、逃げたかというと。
学業都市バイタル。
「ここには、ビャククラスしか入れないしね。」
アサキムが、向かったのは、バイタルの地下。
3つの、ロックを解除し、向かったのは、地球の本棚。
「さぁ、検索を始めよう。」
すると、大量の本がでる
「keyword 浮魔family 教団 ドナルド 白ロープ」
次々にkeywordを打ち込んでいく
最後に残った本をとり、電子書籍化
ビャクに送る。
「浮魔familyについての情報を送る。PS,フォルテは後でミンチにする」
212アサキム ◆JryQG.Os1Y :2012/09/30(日) 09:16:31.45 ID:ILFmEEHE
ミス
地球の本棚の後に
26本のガイアメモリを取り出し、それをぶっさす
213エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2012/10/01(月) 01:32:59.86 ID:J18+IyWt
>「ハイハーイ、三割くらい金属と入れ替わッてッから生身の病院では直せませんでござえますゥ。
 まあ、あと真面目な話をするとちょいと病院に行くと見つかりたくない奴に見つかるかもしンねェからよォ、気にしないでおいてくれや。
 これでもタフさだけにァ自身あンだからよ?」

どうやら話を聞く限りは訳ありでありどうしても病院には行きたくないらしい
まぁ正直な所特別な病院を手配しても良さそうだったが、底まで固辞するのならば仕方あるまい

「まぁそちらの態度次第で私の知り合いの口が堅い所でも紹介しようと思ったが辞めた
君の好きにしろ、だが脅す訳じゃないがもう取り返しが色々つかない所に来ていても後悔するなよ?
野垂れ死のうが下らない事で殺されようがそこまでは面倒見切れないからな」

己自身は全能の力を持とうもと決して完全無欠な神などでは断じて無い
せめて人生の先輩としてとりあえず言いたい事は言って置いた

>「おまえの言うことは正しいが、俺の腕ごと燃やそうとするのは止めろ。」
>「ヒヒャフヒュ……!
 神よ、我が身を灼き、我が魂に七難八苦を与え給えェエエェ――――!」

「おや?燃やしたのは死体だけのはずだが?」

というよりなぜ離れていた肉の塊。燃え移ったのかは分からないが鎖そして強いては現れた不審人物は突如飛び込んでいった
まるで狂信者の如く神に対して断末魔を叫びながらそれは燃え尽きる。
あの者は何者か、只分かっているのは自称淫夢ファミリーを雇ったらしく
そして忌々しいアインソフオウルの種子を取り込もうとしていたことだけだ

「…雲行きが怪しくなってきたな、コイツもあのタラオとか言うのと関係者か?」

とりあえずそんな事を呟きながらフォルテは灰の中から何かを拾う
それはロザリオであった。

>「三神教団を騙ったカルト教団かなぁ。
ま、宗教なんてオレには無縁だからよく分かんね」

「ほう、その三神教団とやら案外関わっているかもな」

経験則から大抵は大きな宗教組織は何かしら表沙汰に出来ない宗派やら何かをやっている
現実世界に置けるキリスト教の神父による少年の性的虐待など数え切れば暇も無い
だからエスペラントという個人は宗教にはとても否定的である。
悪魔召還師として歴史の真実を知ればそりゃ懐疑的にもなる

>「おーい、もう出てきていいぞー」
>「何で森に来たのかは分かんね。
事故って頭を打って正気に戻ったからハンバーガーを千切りながら歩いていたら
ここに辿り着いてしまってまた洗脳されただべさぁ。
助けに来てくれてありがとさぁ」
>「導師えも〜ん! 村人連れて帰って〜!」
>「お安い御用だ。転送――transfer」

こうして浚われた大勢の村人達はアサキムの手引きにより帰っていった
とりあえずは一段落だろうか、そんな時に調査を終えて戻ってきた静葉
風林火山連中も帰って来る、取り合えずは後で話しを聞くとしてPDA型COMPに帰還してもらう

「只今戻りました、主様」

「ご苦労とりあえず食事でもして行きたい所だな、今はマクドナルド以外で」

今はマクドナルドのマの字も見たくない状況でそんな事を呟いた。
214エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2012/10/01(月) 01:50:51.23 ID:J18+IyWt
そんな時、思わぬ所から質問が入るそちら側に振り向き話を良く聞く

>「エスペラント……さん。特にアサキム導師と行動しているってわけじゃないの?
だったらよければ一緒に来る?」

「別に呼び捨てでも構わん、所詮は偽名でもう意味は無いしな
アイツとはあくまでも目的が同じというだけで基本は好き勝手にしてるだけだ
大体の目的が同じでも所属が違うしな、無意味な束縛などお互い必要がない
……いいだろう、どうせ宿屋の方向は同じだからな」

仕事をある程度終えたしいっそこのまま付いて行っても今の所は問題ない
それを承諾すると静葉も沈黙し肯定し一緒に付いて来ることになる
このまま歩き続けている時、PDA型COMPになにやらメールが着信している音が聞こえたので
懐から取り出して、早速確認する

>「浮夢familyについての情報を送る。PS,フォルテは後でミンチにする」

「仮にも年長なんだから多少は大目に見てやれ、それだけをこなせる力があるならな
お前みたいな力を持てない奴は大勢居るんだからな」

やれやれ、としながらもそんな事を呟いて纏められた電子書籍を確認しようとファイルを開こうとするが
手を止める。とりあえずちゃんとした時間に見て出来る限りの情報を世界守護者委員会に報告すれば良い
今でもなく見れるのだからそっと仕舞う

「?どうなされました主様」

「いや……とりあえず休息を取れる時は取っときたい、そう取れるものじゃないからな」

そんな事を言いながらフォルテ達の後に続き、再び歩き始める
215ゲッツ ◇DRA//yczyE:2012/10/01(月) 23:18:59.54 ID:axNVnwoK
>「お安い御用だ。転送――transfer」

「ヒャハハァ! いい度胸してんじゃねェのあの腐れ導師め、今度呼び出してた女の子に酌させてやらァこんちくしょう」

自分達を置いて消えてしまったアサキムを見て、高笑いを浮かべながら微妙に青筋を立てていた。
とは言え、体調は復活したようであり、起き上がると軽く屈伸をし、全身を捻ればごきりという音が周囲には響き渡る。

>「あっ、でもそういえば痛車返さないといけないしね。早く戻って報酬受けとろっか!」

「ンだな、にしても見晴らし良すぎだろこの森……、出口まで一直線だぜ?」

竜人の視力の平均は3.4程度。ゲッツの場合は肉体が最適化されているためその数倍はある。
先の戦闘に於いて吹き飛んだ森は見晴らしが良く、出口当りに止めた痛車は容易に見つけることができた。
ズボンのポケットを漁り、鍵を探そうとするゲッツ。
暫くの間もぞもぞとした動きを繰り返していたが、青い顔をし始めた。
ポケットから引きぬいた掌の上に乗っていたのは、粉々に砕け散った金属片。
間違いなくあの痛車のキーである事は想像に難くない。

「……やーらーかーしーたー!
 いや、待てよ、待てよ……? 腕が形変えられるなら……」

頭を抱えてうねうねしていたが、しばらく鋼の腕を見つめて沈黙。
おもむろに義手に右手の爪を食い込ませて義手の一部を引きちぎった。
千切られた義手の欠片はアメーバのように蠢くが、ゲッツが念じることによって鍵の形で固定化された。

「っし、問題なし、おっけー」

ゲッツ的には何の問題もなかったが、色々問題だ。
なお、現在のゲッツはかろうじて下半身が布で覆われている程度、要は半裸。
否、半分全裸という矛盾が通じるほど際どいレベルでマッシブな肉体を披露していた。

>「ほう、その三神教団とやら案外関わっているかもな」

「なになに、喧嘩か!? 喧嘩だな、殴り合いか射撃戦か殲滅戦かァ!?
 ……っと、まあとりあえず今は報告か。いい仕事してくれた痛車も返さなきゃなんねーしよ」

きな臭い発言が聞こえると同時にゲッツは爛々とした瞳といい笑顔を携えて詰め寄ってくる。
何処まで行っても本質は変わらず、狂戦士で前時代的でウォーモンガーなのがこのゲッツだ。
ある意味どんな世界になろうがどんな状況だろうが強く生きていける図太さはこの世界で生きていく上では重要なものであるのかもしれない。
と、テンションの急上昇を見せるも、なんだかんだで職務を忘れはしないのは傭兵の性か、フォルテとエスペラントに先行する形で鍵をちゃらちゃらとさせながら森の出口へと歩いて行った。
216ゲッツ ◇DRA//yczyE:2012/10/01(月) 23:20:15.00 ID:axNVnwoK
>「エスペラント……さん。特にアサキム導師と行動しているってわけじゃないの?
>だったらよければ一緒に来る?」

>「別に呼び捨てでも構わん、所詮は偽名でもう意味は無いしな
>アイツとはあくまでも目的が同じというだけで基本は好き勝手にしてるだけだ
>大体の目的が同じでも所属が違うしな、無意味な束縛などお互い必要がない
>……いいだろう、どうせ宿屋の方向は同じだからな」

「ぅぉーぃ! さっさと返って飯と酒と女にすっぞ、フォルテもエスペラ――なっげえからなんかあだ名考えるわ!
 今日から俺お前エス平な、エス平、オーケー?」

二人のやり取りなど知ったこっちゃないとばかりの態度の竜人は、大分離れた所からフォルテとエスペラントに向けて手を大きく振っている
もはやついてくるのはゲッツの中では規定事項だったようである上に、エスペラントには謎のあだ名が付けられてしまった。
車の運転席に乗り込み、キーを回せばすでにスタンバイは十二分、何かを思いついたようで鋼の義手で何かを企んでいるようだ。

「……っし、っしししししっしゃー! 速さが足りねぇと思ってたがこれで速さが足りるぜこのやろォー!
 村まで5分、いや、3分でたどり着いてやるッ、世界を縮めてやるってなァ――!」

二人が車に乗り込んだ瞬間、ゲッツはアクセルベタ踏みかついい笑顔で痛車を発進させる。
異様な速度が生まれていたが、その原因はゲッツの義手が車と一体化し一時的にその性能を爆発的に増大させていた故。
不要な所で全力だが、さっさと帰りたいやらスピード出してスカッとしたいやらの気持ちが折り重なって今に至っている。
爆音、轟音を後塵に混合させて音を追い抜く速度で村へと痛車は一陣の風となって駆け抜ける。
2分後には村の入口に痛い疾風はたどり着いていた。

「2分、16秒……! これ農道痛車カーレースだったら世界新記録じゃねェ!?
 ともかくついたぞ、飯だ酒だ女だ宿だァ!」

ゲッツは車から降りると真っ先に痛車の持ち主に車を返しに行き、そのまま宿屋に向かおうとしていた。
217フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/10/03(水) 01:49:49.14 ID:NmjE911f
>「ンだな、にしても見晴らし良すぎだろこの森……、出口まで一直線だぜ?」

「見晴らしよくなっちゃったんだよ! ドライアードさん怒ってるよ!」

そんな会話をしていると――

>「只今戻りました、主様」

「誰!?」

エスペラントさんによると、彼に付き従う従者のような人らしい。
黒髪ポニーテールの長身ナイスバディ。
お姉さま、という言葉がぴったりくるような美人さんだ。ドキドキしてしまいますわ!

「これはいかんモナ、変なスイッチが入ったモナ…」

「初めまして静葉お姉さま、わたくし吟遊詩人のフォルティーナと申します、以後お見知りおきを!
あそこで騒いでおりますむさ苦しい者は…」

>「……やーらーかーしーたー!
 いや、待てよ、待てよ……? 腕が形変えられるなら……」

「……はっ!」

いけません、あの野郎半分全裸でしたわ! お姉さまの前で何という狼藉!

>「っし、問題なし、おっけー」

「問題大アリです! 早くこれをお召しになりやがるのです!!」

リーフさんの袋からとっさに服らしきのもをひっつかみ、着させます。
服らしきものはエプロン(フリル仕様)でしたが、体の前面は隠れるのでまあいいでしょう。

【抵抗を試みる場合は回避判定だ! フォルっちは技能による命中補正が0なので回避失敗はまず無いぞ!】

エプロン着せ判定が成功したかは置いといて――
エスペラントさんの持っている変わった携帯電話らしきものの着信音がなります。
その時なんとなく、えも言われぬ寒気を感じたのでした。
一瞬にしてミンチになったドナルドが思い出されます。

>「仮にも年長なんだから多少は大目に見てやれ、それだけをこなせる力があるならな
お前みたいな力を持てない奴は大勢居るんだからな」

「ひぃいいいいい!! ごめんなさいごめんなさい許して!」

「あ、元に戻ったモナ」

>「ぅぉーぃ! さっさと返って飯と酒と女にすっぞ、フォルテもエスペラ――なっげえからなんかあだ名考えるわ!
 今日から俺お前エス平な、エス平、オーケー?」

「おkwww」

VIP的なノリで人のあだ名を勝手にOKし、いそいそと痛車の助手席に乗り込む。
218フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/10/03(水) 01:51:27.41 ID:NmjE911f
>「……っし、っしししししっしゃー! 速さが足りねぇと思ってたがこれで速さが足りるぜこのやろォー!
 村まで5分、いや、3分でたどり着いてやるッ、世界を縮めてやるってなァ――!」

「え、あんまり物騒な事は……あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」

富士急ハイランドのジェットコースターもびっくりな勢いで痛車は発進し、
気付けばローマ字入力ではとても表現出来ない絶叫をあげていた!

>「2分、16秒……! これ農道痛車カーレースだったら世界新記録じゃねェ!?
 ともかくついたぞ、飯だ酒だ女だ宿だァ!」

「殺す気か、バカーっ!!」

永遠のような2分16秒後。
窓に映ったオレの顔は、涙と鼻水を垂れ流し酷い有様になっていた。V系吟遊詩人にあるまじき放送禁止フェイスである。
物凄い勢いでタオルで顔を拭いて証拠隠滅する。化粧してなくて良かった!

「あっ、帰ってきたさァ!」

痛車の持ち主が駆け寄ってくる。
ゲッツの無茶の後遺症で痛車がワクワク改造車になっているかもしれないが、知らぬが仏という事で黙っておこう。

「広場の方が騒がしいけど何かあったの?」

「そりゃあーた、行方不明になっていた村人が唐突に現れたもんだから大騒ぎだべ。
あーた達がやってくれたんだろう?」

「うん、そりゃもう凄かったんだから! 並み居る強敵たちをバッタバッタと薙ぎ倒し……」

オレはほとんど何もやってないけどな!

「やっぱりかぁ。よし! その車あげるべ! 村を救ってくれた恩人にせめてものお礼さぁ!」

「え……いいの!?」

「皆の衆、宴じゃあ! 宴を始めるぞ!」

いきなり村長っぽい爺さんが出てきて号令をかける。
さすがド田舎の村だけあって、事件が解決すると宴をやりたがるという様式美に忠実である。
何故かぞろぞろと移動を始める村人達。

「そこでやるんじゃないのか?」

「キャンプファイアーじゃあるまいし。ホテル…じゃなかった、宿屋の最上階にある宴会場を予約しておるぞい」

そこは微妙に様式美に忠実ではなかった!
219エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2012/10/08(月) 23:44:41.41 ID:DLAQLkJ7
>「なになに、喧嘩か!? 喧嘩だな、殴り合いか射撃戦か殲滅戦かァ!?
 ……っと、まあとりあえず今は報告か。いい仕事してくれた痛車も返さなきゃなんねーしよ」

「まぁまだ現状何も分かってない、いきり立つのは結構だが
何の罪もない市民を大量虐殺することになることだけは勘弁してもらいたいな」

とりあえず口にしただけで証拠が出てきたわけでもないため肩を竦めて

>「ぅぉーぃ! さっさと返って飯と酒と女にすっぞ、フォルテもエスペラ――なっげえからなんかあだ名考えるわ!
 今日から俺お前エス平な、エス平、オーケー?」
>「おkwww」

「…別にエスでも良いと思うのだが好きにしろ最も絶対に呼ばれたら返事する事は無い時もあるかも知れんが」

二人が乗ってきた痛車に乗り込もうとしていた時ふと静葉の方に視線を向けると
性別チェンジをしたフォルテがそっちの気でもあるのか彼女に声を掛けていた

>「初めまして静葉お姉さま、わたくし吟遊詩人のフォルティーナと申します、以後お見知りおきを!
あそこで騒いでおりますむさ苦しい者は…」

「存じておりますフォルテ殿にゲッツ殿ですね、情報収集は生命線ですので欠かせません
これからはどうぞ宜しくお願いします」

素直に礼をするとその後のやり取りはまったく興味ないように先に痛車に入る

>「ひぃいいいいい!! ごめんなさいごめんなさい許して!」

>「あ、元に戻ったモナ」

「この先が思いやられるな」

嘆息を吐きながら車に入り最後に全員が入ったとき出発する。

>「……っし、っしししししっしゃー! 速さが足りねぇと思ってたがこれで速さが足りるぜこのやろォー!
 村まで5分、いや、3分でたどり着いてやるッ、世界を縮めてやるってなァ――!」

「違反キップを切られても僕は知らないよ、無免許ばれた時点で巻き添えを食うのは御免だ
静葉分かっているな?」

「分かりました主様」

後ろの二人はとても不穏な事を口にしながら残念ながら二人とも普通の人間ではないため
この程度の速さでは何事もないように最後まで乗っていた。
220エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2012/10/09(火) 00:11:22.79 ID:RFCi2BHR
>「2分、16秒……! これ農道痛車カーレースだったら世界新記録じゃねェ!?
 ともかくついたぞ、飯だ酒だ女だ宿だァ!」

>「殺す気か、バカーっ!!」

そしてとても安全運転とはいえないものの村に戻ってくる
ケロッとした顔で二人は車から降りる

「運が良かったな、警官にも見つからなくて。
だが確実なのは今の見たら私が教習所の教官なら免許は渡さんな
もう少し安全運転を心掛けろよ」

だが2分16秒で辿り着いたのは賞賛に値するので
素直に褒めておいた。
そん時にどうやらこの車の主にして村の住人が近づいてくる
話を聞く限り無事消えた住人達が戻ってきたらしい
その礼で車もくれた上で

>「皆の衆、宴じゃあ! 宴を始めるぞ!」
>「そこでやるんじゃないのか?」
>「キャンプファイアーじゃあるまいし。ホテル…じゃなかった、宿屋の最上階にある宴会場を予約しておるぞい」

「…………」

どうもこういった催し物はなぜか参加するのは躊躇いが出てしまう
例え激闘の後でその労ってくれる気持ちは勿論嬉しいのだが

「主様、どうか成されましたか?」

「いやなんでもない、せっかくの宴だ静葉も楽しむといい」

かつての先行調査隊時代の自身ならば何も思わなかったのだが
とりあえずお招きして頂けるのならば行っても損はないだろうと
行く事を決めた。
221ゲッツ ◇DRA//yczyE:2012/10/11(木) 00:40:33.97 ID:x9R9SMnh
>「殺す気か、バカーっ!!」

「ばっか、こんくらいで人死なねェって。
 つか、すっげー顔だなァ、ゲハハハッ」

ラディカル・グッドスピードもびっくりな速度で村にたどり着いて、降りれば怒声。
きょとんとした顔でデリカシーなど無い様子で涙と鼻水でぐしゃぐしゃのフォルテを見て笑っていた。
決してこれはフォルテが繊細だからやられているのではなくこの無粋半裸サイボーグ竜人が大雑把な存在だから平気なだけであった。

>「運が良かったな、警官にも見つからなくて。
>だが確実なのは今の見たら私が教習所の教官なら免許は渡さんな
>もう少し安全運転を心掛けろよ」

「信号の無い農道なんてこんなもんじゃね?
 俺の故郷ァ山だったけど割りと飛ばす奴多かったし。
 ってかエス平も静葉……さん?かね、も余裕綽々だなァ。……やっぱフォルテお前ヒョロいんじゃね?」

田舎の農道など大抵こんなものだと語るゲッツ。
実際、数キロの間を車が殆ど通らず信号機も存在しない農道の場合は飛ばすドライバーも割と多い。
ただし決して現実世界では褒められたことではないどころか警察に見つかれば切符を切られてしまうため現実ではやらないように。

>「広場の方が騒がしいけど何かあったの?」
>「そりゃあーた、行方不明になっていた村人が唐突に現れたもんだから大騒ぎだべ。
>あーた達がやってくれたんだろう?」
>「うん、そりゃもう凄かったんだから! 並み居る強敵たちをバッタバッタと薙ぎ倒し……」

「……盛るなァ。まあ、嘘じゃないってェのが吟遊詩人の腕の見せ所って奴なのかねェ」

語りまくるフォルテを横目で見つつ、ふへぇと嘆息する。
首や手足を動かせばごきりごきりと音が響き、傷は治っても疲労は流石に残っていることが分かった。
222ゲッツ ◇DRA//yczyE:2012/10/11(木) 00:41:16.38 ID:x9R9SMnh
>「やっぱりかぁ。よし! その車あげるべ! 村を救ってくれた恩人にせめてものお礼さぁ!」

「マジかよ!? うっわ、サンキュ、マジありがと。
 これで足出来たし、なんとか他の街にでも行けそうだなァ?」

太っ腹な村人の感謝に、ゲッツは正直一瞬だけ申し訳なさを感じたが、そこは傭兵である。
相手が払うと言った報酬は報酬として貰い、自分で決して自分の価値を下げるような振る舞いはしない。
素直に車を受け取る事にし、車のキーをちゃらりと軽く鳴らして服に仕舞い込もうとしたが如何せんほぼ全裸だった。
厳密には腰巻のような布とパンツだけで靴すら履いていない素敵スタイル。
先ほどフォルテに押し付けられたフリル付きのエプロンを腰に巻いている為もっと訳の分からない事になっていた。

「うわァお、服無ェじゃん?」

集まってきた村人たちからは感謝のざわめきや尊敬の声なども聞こえてきた。
貫禄のあるエスペラントと静葉に対しては間違いなくそれは好意のそれであるし、外見は割りと麗しいであろうフォルテにも好意的な視線が向けられている。
が、しかし。
たまにざわめきの中から「お母さん、なんであの鱗の人服着てないの?」「しーっ、英雄様にも趣味ってものが有るのよ?」とかそんな感じの言葉も囁かれているのだった。

>「皆の衆、宴じゃあ! 宴を始めるぞ!」
>「そこでやるんじゃないのか?」
>「キャンプファイアーじゃあるまいし。ホテル…じゃなかった、宿屋の最上階にある宴会場を予約しておるぞい」

「っしゃァ! 酒と飯と風呂と女と寝床だなァ!?
 行くぞ、さっさといくぜひゃっはァ!」

宴と聞いて宴=タダ飯、タダ酒、タダ寝床と脳内で図式が組み立てられたゲッツ。
途端にテンションを上げ、我先にと駆け出していった。
砂埃を残し村人は、村を救った半裸の立役者が迫った為少々引き気味にモーゼの様に道を開けていた。
そのためゲッツの通った道はまるわかりなのだが――。

「ささ、皆様。宴の方はあちらになっておりますのじゃ」

村長が指さしたのはゲッツが走り去ったのとは完璧に逆方向。
ゲッツが宴会会場にたどり着いたのは皆が宴会会場で一息ついた頃であった。
223ゲッツ ◇DRA//yczyE:2012/10/11(木) 00:42:04.43 ID:x9R9SMnh
□ □ □ □

場所は変わり宴会場。
ドイナカ村は微妙に薬効があるのか何やら怪しい感じの温泉が話題だったり話題じゃなかったりする村である。
山の幸にはそこそこ自信が有ったり、鹿肉や熊肉などの田舎ならではの食材を用いた料理も宴会場の卓には乗っている。

「ふぃー……人心地ついたわ。人じゃねェけど」

なんだかんだで浴衣に着替えてきたゲッツはようやく数時間ぶりに服といえるものを着ていた。
但し勝手に尻尾を出せるように浴衣に穴を開けていたり、着付けが適当そのものだったり等、割りとやりたい放題だが。
当の本人はと言えば卓に載せられた様々な料理に目移りし歯並びの非常に良い(非常に肉食動物っぽい)歯をむき出しに舌なめずり。
ちょっとスキップして幸せ気分で上座に勝手に移動して勝手に座り込んでいた。

「とりあえず酒かねェ? 乾杯するには飲み物要るし。
 フォルテはアブサンでも飲むか?……ま、冗談だからお前は甘いのでも飲んどけ。
 エス平と静葉……さん?は何飲むよ? なんか近くの酒蔵の樽酒出るらしいけど」

中居さんに乾杯の飲み物を頼まれて適当に仕切り始めるゲッツ。
こういう状況では案外気のいい兄ちゃんな行動を取るタイプである。
飲み物を決めれば数分も立たずに希望の飲み物が来て、乾杯の後に宴会が始まるだろう。
224フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/10/11(木) 00:45:00.34 ID:x9R9SMnh
>「…別にエスでも良いと思うのだが好きにしろ最も絶対に呼ばれたら返事する事は無い時もあるかも知れんが」

「エス……」

―― ええい、その辺の楽器全部持って行けい!
―― 楽器だけはどうか……! ご無体なぁあああああああ!!
父さんが税金を払って無くて実家が差し押さえにあった時のトラウマが蘇る!
(※ エス……差し押さえの隠語 最近最終回を迎えたドラマ“トッカン”で有名になった)

「ちゃんと帳簿つけなきゃ……」

冒険者の申告率は実に5%を下回っているらしい。
年収億クラスの凄腕冒険者が、税金払って無くて国の手先に賞金首のごとく追い掛け回されているのはよくある話である。

>「信号の無い農道なんてこんなもんじゃね?
 俺の故郷ァ山だったけど割りと飛ばす奴多かったし。
 ってかエス平も静葉……さん?かね、も余裕綽々だなァ。……やっぱフォルテお前ヒョロいんじゃね?」

「そなた、田舎の農道では音速で車が飛び交うと申すか……!」

なんだろう、超人に囲まれて一人だけ虚弱体質みたいなこの空気。
大体普通最初の依頼はゴブリン退治とかじゃね!? 絶対GMが手違いで入れる冒険者パーティーを間違えたに違いない。

>「マジかよ!? うっわ、サンキュ、マジありがと。
 これで足出来たし、なんとか他の街にでも行けそうだなァ?」

痛車を報酬として受け取った!
普段は報酬を貰う時は仕事内容と報酬金額が書かれた小さい紙を貰うのだけど……

「現物給付か。痛車の時価っていくらだろう」

店で売ろうとしてみれば市場価額が分かるけど絶対売れませんって出るパターンだよ、これ!
冒険者の世界では依頼の報酬として凄いアイテムという話はよくあるらしいがマジでその辺どうなってんだ!?
エス平さんは異世界の人だし……そうだ、ゲッツに聞いてみよう。
225フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/10/11(木) 00:52:42.09 ID:x9R9SMnh
「なあゲッツ……あれ?」

>「ささ、皆様。宴の方はあちらになっておりますのじゃ」

ゲッツは、宴会場とは逆方向に走り去っていたのであった。
すぐに来るだろうと思い、先に宴会場に行って座っておく。
温泉が有名だったり有名じゃなかったりするらしいが、どのカテゴリーに行っていいのか分からないので温泉パートは勘弁していただきたい。
男用、女用の他にその他用もあるにはあるのだが、スライム系種族や機械生命体が主な客層だし……。
そもそもこのパーティーで温泉パートなんてやっても誰も得しないのでそんな心配をする必要はないのだ、そうに違いない!
と、隣から妙な視線を感じる。

「……何?」

そこには、いつぞやの占い婆さんがいた!

「ゆめゆめ忘れるな、この世で最も美しく尊い物語には恐るべき影がある事を……」

「うわ、びっくりした! つーか何でさりげなくここに紛れ込んでるんだよ!」

婆さんはオレの質問には答えず、有無を言わさぬ目力で警告してきた。

「悪い事はいわん、あの者と一緒にいてはならぬ! 共にいれば必ずや災いをもたらすであろう……!」

それに対し、実にいい笑顔で心底同意しながら頷く。

「うん、オレもそう思うよ! ぶっちゃけ何かの手違いだと思う」

「そうか、ならば話は早い……ではすぐに」

婆さんの言葉を遮って続ける。

「でもね。吟遊詩人は自らが語るサーガの勇者様を自分では選べないのさ。
自分で選べるならとっくに可憐な美少女をオーダーしてる」

「戯れを。そなたが選んだのでなければ誰が選んだというのじゃ?」

ふっと目線を外して遥か遠くを見るような目をして語る。

「そうだな……芸術の神様とでも言えばいいかな?
初めて見た時から魂では分かっていたんだ。だから心臓に名前を刻んだ。
……なーんて、飲む前から酔っぱらってるな!」

自分で言いながら流石に恥ずかしくなって、誤魔化し笑いしながら向き直る。
と、婆さんはいつの間にか姿を消していた。
噂をすれば、さっきの会話を知る由もない滅茶苦茶上機嫌なゲッツが登場した。
226フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/10/11(木) 00:54:51.09 ID:x9R9SMnh
>「とりあえず酒かねェ? 乾杯するには飲み物要るし。
 フォルテはアブサンでも飲むか?……ま、冗談だからお前は甘いのでも飲んどけ。
 エス平と静葉……さん?は何飲むよ? なんか近くの酒蔵の樽酒出るらしいけど」

「とりあえずカシスオレンジ」

ドヤ顔で注文し、宴会はスタートした。

「さあ、皆さんご一緒に〜!
マイヤヒー! マイヤフー! マイヤホー! マイヤハッハー!」

まずは宴会用の呪歌で場を盛り上げる事にした。
懐かしの古き良きフラッシュ空耳ソング”恋のマイアヒ”を、宴会場を練り歩きながら歌う。

「ハロー?猿ー? すげえ うん 入る?  字べろ ゆびーらまくましてー
ペンチラッ アロン? アーロン  すげえ うん ピカソ 簒奪ビーフ」

ゲッツの皿からすかさずローストビーフを掠め取る。

「キス すごい肉 脱線してんの さらに肉」

エス平さんの皿からもローストビーフを掠め取る。

「 米さ!米酒か! 飲ま飲まイェイ!  飲ま飲まイェイ! 飲ま飲ま飲まイェイ!
キープ ダールシム 預かりDAY  v並 フェイス DE 大きい筆入れ
米さ!米酒か! 飲ま飲まイェイ!  飲ま飲まイェイ! 飲ま飲ま飲まイェイ!
キープ ダールシム 預かりDAY  並 フェイス DE 大きい筆入れ」

あれ、おかしいなあ。モナーが三体ぐらいに分裂して踊ってるように見えるんだけど!?
そもそもなんでギター持ってるのにあそこにモナーがいるんだろう。
やっべー、もうみんなしてべろんべろんで前後不覚になる図しか思い浮かばない!
227アサキム ◆JryQG.Os1Y :2012/10/11(木) 16:20:51.50 ID:LaWoS4ow
「ふぃ。」
アサキムと、アヤカはバイタルのホテルで食事をしていた。
「ねぇ、アサキムホントに宴会行かなくて良かったの?」
「あんな、理性のない、バカ騒ぎ付き合えるかっつの。」
ゲッツ、危険 酔うと無差別殺人しそう。
フォルテ、耳に付けてんの外すと同じ
「まともな奴、ビャクしか居ないし。」
228エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2012/10/14(日) 03:20:25.81 ID:9ttFusnU
>「信号の無い農道なんてこんなもんじゃね?
 俺の故郷ァ山だったけど割りと飛ばす奴多かったし。
 ってかエス平も静葉……さん?かね、も余裕綽々だなァ。……やっぱフォルテお前ヒョロいんじゃね?」

「…どんな道端で子供や人が突然出てきたら洒落にならんだろう
お前の故郷の者が車に引かれても頑丈でピンピンしているなら話は別だが
フォルテや普通の人間なら当たり前の反応だな、俺たちが異常なんだろう」

「私たちは特殊な訓練を積んでいたり、体質が普通とは違いますからね
この程度ならなんともないんですよ」

嫌味で言ったわけではないが、音速で飛び回る車という鉄の塊は傍から見る以前に当然動く凶器である
そんな物にぶつかってタダで済むのもこの世界には大勢居るかもしれないが普通ならば当った時点で確実に死ぬだろう
それとなんとなくフォルテのいう事はもっともだという事は肯定しておく
普通の人間ならば間違いなく吐く速度に間違いない事は身を持って分かっているからだ

>「マジかよ!? うっわ、サンキュ、マジありがと。
 これで足出来たし、なんとか他の街にでも行けそうだなァ?」

>「現物給付か。痛車の時価っていくらだろう」

痛車を謝礼としてもらえるとして聞いて二人のこの言葉に関して
かつての戦友の今現在の姿とは言えそれが描かれたかなり目立つ車に対して
かなり複雑な視線を向ける

「こんなに目立つ物を移動手段にするのか、隠密性とかは最悪だな
敵と戦う時は確実に見つかるぞ」

こんな物に乗っていれば敵にすぐ見つかるのは明白であり正直であれば
もっとまともな移動手段を望みたい所だがいざという時は世界守護者機関に頼むしかないだろう
そんなことを言っている合間にあっと言う間に村長に宴会場にて案内される
なぜか反対の方向にゲッツは走り去っていってしまったが

「服でも買いに行ったのでしょうか?」

「放っておけ、後で合流するだろう」

エスペラントの命により放っておくにした静葉はすかさず腕を組んで
主と同じ方向に向かうのであった。
229エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2012/10/14(日) 04:09:14.12 ID:9ttFusnU
宴会場に付く頃にはエスペラントは何時の間に半壊していた仮面をいつの間にか脱ぎ捨て
素顔のままで参加する事になる。
そして静葉も周囲に紛れ込むように片時も離れず隣に座っていた。

「中々賑やかだな、なんだか落ち着かないが」

やはりこう言う雰囲気にちょっとした距離を無自覚に起きたくなる起きたくなる
こういったことも普段は余り無いためか分からないが

「温泉もあるようです、子宝の湯があれば一緒に混浴したいですね」

若干酒でも飲んだのかというように顔が赤くなった静葉幸せそうに腕を組みながら
次第に奥ゆかしく手を握って露骨に見つめてくるがようするにコウノトリを運ぶ事をしようと言っている時点で察して欲しい
恐らくこの世に人間が二人しかいないなら間違いなく全人類のアダムとイヴになっている
エスペラントも目を逸らしながら、なんと返答した物かと困っていた
そんな時に向いた方向にフォルテと謎の老婆がいる所を目撃する

>「ゆめゆめ忘れるな、この世で最も美しく尊い物語には恐るべき影がある事を……」

>「うわ、びっくりした! つーか何でさりげなくここに紛れ込んでるんだよ!」

此処から先は宴の騒いでいる声に紛れて聞こえて来なくなってしまう
そして再び聞こえる頃になれば既に会話は終ったらしく其処から先の内容は分からなかった。

「………」

何が起きたかは知らないがとりあえずは心配するような事は起こらなかったのは
確かのようで、今は宴に集中する事にした

>「とりあえず酒かねェ? 乾杯するには飲み物要るし。
 フォルテはアブサンでも飲むか?……ま、冗談だからお前は甘いのでも飲んどけ。
 エス平と静葉……さん?は何飲むよ? なんか近くの酒蔵の樽酒出るらしいけど」

「まずは黄金の蜂蜜酒…ではなくミードを頼む」

「では私は日本酒を」

何時もラバン教授と共に飲酒している黄金の蜂蜜酒などは当然ないため
神話的逸話もあるミード、静葉は日本酒を頼む

>「キス すごい肉 脱線してんの さらに肉」

行き成りローストビーフを掻っ攫われる
この程度で目くじらを立てる訳でもなく
マンガ肉に齧り付いて、静葉は横で刺身を食べていた

>「 米さ!米酒か! 飲ま飲まイェイ!  飲ま飲まイェイ! 飲ま飲ま飲まイェイ!
キープ ダールシム 預かりDAY  v並 フェイス DE 大きい筆入れ
米さ!米酒か! 飲ま飲まイェイ!  飲ま飲まイェイ! 飲ま飲ま飲まイェイ!
キープ ダールシム 預かりDAY  並 フェイス DE 大きい筆入れ」

「早速酔っ払っているのか?まったくどうしようもない奴だな」

「主様、お注ぎましょう」

ミードを水のように飲む前に静葉と共に乾杯をして水の如く飲みながら
やはり顔が赤くならない。超人として作られた彼はやはり身体の機能として
幾ら飲んでもアルコール等は分解されてしまう
ため実質酔えないのである。これが幸か不幸か分からないが
230アサキム ◆JryQG.Os1Y :2012/10/14(日) 20:22:48.14 ID:1jl+B0QS
「ねぇ、アサキムまだ、飲み足りなぁい。」
「そうとは、言うが、結構のんだぞ。」
いろいろ、酒を飲んでも、まともに歩いている。
「チャンスでぇす。ここで一気に」
後ろから、鎖が、来た。
「っ?」
だが、意図も簡単に、回避し、
アサキムは、村正を
アヤカは、巨大手裏剣を構える
「あぁ、お前か、タラちゃん」
「中の人なんでいないでぇす。」
衝撃波、しかし、二人はかわし、斬撃をくらわす。
231アサキム ◆JryQG.Os1Y :2012/10/14(日) 20:27:13.01 ID:1jl+B0QS
「っ、半仙とは、言え、この攻撃力、侮ってたです。」
「逃げたか、寧ろ感謝だな。」
「ねぇ、アサキムあれって?」
「あぁ、彼奴は、っ?鳴ってるぞ。」
アヤカの携帯が鳴る。
内容は、
「今、みんなでいっしょに飲んでまぁす。一緒に来ませんかぁ? 静葉」
「あの人完全に酔ってるな。どうする?アサキム」
「しゃあねぇ、飲み直しすっか。」
オーロラを出現させ、会場に向かう。
232アサキム ◆JryQG.Os1Y :2012/10/14(日) 20:45:32.68 ID:1jl+B0QS
会場に、向かい。ビャクたちと合流する。
「俺は、泡盛を」
「じゃあ、私は、マッコリを」
それぞれ、好きな酒を頼む。
アヤカは、静葉さんと、仲良く笑いながら、グビグビ飲んでいる。
「うちの、アヤカがすまないな。」
そう、ビャクにはなす。
「来るつもりはなかったんだが、突然のことがあって」
「実は、お前が会ったタラちゃんに会った。まぁ逃げられたがな」
「実力的には、あっちの方が上正直、フォルテ達が勝てるかどうかわからない。」
「そこで、一時世界守護委員会の委員に、二人を一時的に任命し、天地天魔の間に特訓させる。」
天地天魔の間とは世界守護委員の訓練所で
ここに、S級以上の犯罪者が入る。
233ゲッツ ◇DRA//yczyE:2012/10/14(日) 22:52:40.26 ID:28AT3NVK
>「とりあえずカシスオレンジ」
>「まずは黄金の蜂蜜酒…ではなくミードを頼む」
>「では私は日本酒を」

「あー。カシオレ(笑)とか言われるけどなんだかんだで美味いよなぁ。
 んで、二人の分もな、りょーかい。
 んじゃ俺はアースクエイクで」

ゲッツが頼んだ酒は、ゲッツが好んで飲むアブサンと、ウィスキー、ドライ・ジンをそれぞれ1:1:1で混ぜたカクテルだ。
飲む前になれない人ならば覚悟を必要とすると言われるほど癖の強いカクテルが、妙に気に入っている為愛飲している代物である。
それをくぃ、と口に含み、さて飯だとわさわさと周囲のものを更に山盛りにして貪り始めるのだったが――。

「うっわ、フォルテがハメ外し過ぎてヤバいわァ。
 ま、アレはアレでノリが良いし、ほうっておくか――って……なんだ、視界がぐらつくんだが、どういうわけだおいおいおいお――ヒャッハーっ!」

普段酔っ払うことなどまずありえないゲッツが凄まじい勢いで悪酔いしていた。
なぜか分裂していたモナーを適当に鷲掴みにして、モナーをマイクのように持ちながら大声を張り上げ暴れ始める。

「俺は地獄のテロリストォ! 昨日母さん犯したぜェ! 明日は父さん掘ってやれェ!
 アイアムアテルォリィストォ――! ストレイト アウト オブ ヘェ――ッるゥ!
 SATUGAI! SATUGAIせよッ! SATUGAI! SATUGAIせよォ――ッ!
 KILL KILL KILL KILL! キェ――――ッ!!」

大分ひどい勢いで暴れまわっていた。
酒によっている感じの暴れっぷりどころか、これは何かヤバいものやった系の暴れっぷりである。
ゲッツの胸に刻まれている傷から光が漏れている当り、原因の一端がフォルテの呪歌にあるかもしれない、と誰か気づいてもおかしくはない。

というかこのままだと一秒間に十一回のレ○プ発言やら、すべての発言にピー音が入りかねない状況である。
仕舞いには食いちぎらない程度だが、がじがじとモナーをかじり始めた。
放置しておけば出来ない歯ギターを適当に敢行してしまうことだろう。

まともな状況なら、アサキムとエスペラントの話に、真面目な表情で入る事もありえた。
がしかし、今のゲッツにそんな事はありえない。要するに――超外道モードだ。

「うっわwwwアサwwwキwwッムwwwwww
 なんで居るんお前wwwってか、あのww可愛い子、居ねーのwっw!?
 へへへへ、wwっっうぇwっうぇうぇうぇ!」

そう言いながら、アースクエイクの入ったショットグラスを抱えて絡み酒を始める。
冗談抜きで質の悪い、腕力と強引さとひどいノリをかね合わせた、スーパー酔っぱがそこに居た。
234フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/10/15(月) 21:36:35.01 ID:BWr6F7zD
静葉さんがエスペラントさんにそこはかとなくお色気攻撃を仕掛けているところに
アサキム導師とアヤカさん夫妻が現れて4人で仲良く話し始めた。
何の打ち合わせだよ勝手にやっとれwww

>「俺は地獄のテロリストォ! 昨日母さん犯したぜェ! 明日は父さん掘ってやれェ! 」

素晴らしい歌唱力の歌に、飲んでいたカシスオレンジを盛大に噴き出す。

「ギャハハハハハ! ヤバイって! 最近CERO判定厳しいんだからさ!
ってモナーを食うなぁああああああああああああ!!」

ヤバイとか言いながらも即席で伴奏を付け、歯ギターを実演してみせる。

「こうやんの。あれ? そのモナーギターに変身してるじゃん」

ゲッツの捕まえているモナーが微妙に変身していた。
といってもモナーの原型が微妙に残っているため、モナーをモチーフにした玩具のギターのようなデザインだ。
何あれ可愛い。

「笑い事じゃないですよ全年齢板追い出されたらどうするんですか!
大体フォルテさんが変な歌を歌うからです、早くどこかに連れ出してください!」

リーフに怒られ、ゲッツを連れだす事にする。
ゲッツはアサキム導師に絡みに行っていた。
この場合の絡むとは業界用語のそれではなく、一般的な意味の方である。

>「うっわwwwアサwwwキwwッムwwwwww
 なんで居るんお前wwwってか、あのww可愛い子、居ねーのwっw!?
 へへへへ、wwっっうぇwっうぇうぇうぇ!」

さて、どうやって連れだそうか。
筋肉バカの手綱を握るにふさわしい知能派のオレはとっさに完璧な作戦を編み出した。

「こーらゲッツ、幸せ者共のダブルデートの話し合いを邪魔するのは無粋だぞwww
温泉でも行こうぜ!」

「自ら地雷を踏み抜きに行ったモナ……!」

モナーがツッコミを入れるが、別に温泉に入りに行こうと言っているわけではないのだ。
流石にそこまで酔っていない。それどころか実に頭が冴えている、オレって天才じゃね!?

「届かない星こそ価値がある、そうだろ? 
苦難を乗り越えた者だけが見る事ができる絶景を見に行こう!」

言葉は格好いいが、要するに覗きに行こうぜ!と言っているのである。
一匹に戻ったモナーを抱き上げ、ダメ押しの呪歌を歌いながら出ていく。

「僕はずっと上を 目指してく そこからしか見えない ものを見るために
失くすものも覚悟 できている〜♪」

「行ってらっしゃい! この会議は私が代理で引き受けさせて戴きますねーっ!
後で結果をお伝えしますから!」

別にドキッ☆超人だらけのダブルデートの計画なんて伝えて貰わなくてもいいんだけど。
――と、呑気にこの時のオレは思っていたのであった。
235リーフ@NPC ◆jIx.3BH8KE :2012/10/15(月) 21:38:28.59 ID:BWr6F7zD
さて、スーパー酔っぱ達が消えたところで、真面目に作戦会議です。

>「実力的には、あっちの方が上正直、フォルテ達が勝てるかどうかわからない。」
>「そこで、一時世界守護委員会の委員に、二人を一時的に任命し、天地天魔の間に特訓させる。」

「修行展開ですね、分かります。
――はっ、あの酔っぱらいっぷりだと入る所を間違えるなんて事は……」

「大丈夫さぁ。間違えたところでどうせ婆さんしかいないべ」

「そうですか、それならまあいっか」

本当にいいのでしょうか。なんかおかしいような気がしますがまあいい事にしましょう。
236アサキム ◆JryQG.Os1Y :2012/10/15(月) 22:22:09.13 ID:T1P/r9Nr
「さて、邪魔者も失せたことだし。天地天魔の間でのメニューを決めようと思う。」
そう言うと、アサキムは、おもむろに、ラウスカードとはまた違う、カードを取り出す。
「コイツは、アンデットカードといって、まぁいろいろ出来るんだが。」
「これを、フロートと言う魔法で封印を解除し、あの間にぶち込む。」
「フォルテと、ゲッツにはそれらを全部封印してもらう。」
「あっ、案内役は、リーフな。これ強制。」
気配消しは、使えるので決定
「さぁて、俺をバカにした罪は重いよぉ。」
完全に酔いが回り、顔が少し赤くなっている。
ちなみに、アサキムがダウンするのは、この状態を6時間続けないとだめである
237エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2012/10/16(火) 01:39:54.56 ID:oa66eayy
酒が進み、楽しく飲んでいるかと思えば
やはりお酒は普段秘めて抑え付けている想いを解き放つ物
普段は大人しくしているがそのまま進めば静葉と強制コウノトリルート行きになるだろうなと
内心今日もそうなるのかと思った矢先に、この馬鹿騒ぎの中にアサキム・アヤカ夫妻がやってくる
そして静葉とアヤカは共に酒を飲み始めた、どうやらそれなりの仲で親しいようだとこの時に認識する

>「うちの、アヤカがすまないな。」

「いや、気にするな受け皿が出来て助かった」

と言っても後にそんな事関係なく強制コウノトリルートに行くのはまた別の話である

>「実は、お前が会ったタラちゃんに会った。まぁ逃げられたがな」
>「実力的には、あっちの方が上正直、フォルテ達が勝てるかどうかわからない。」

「なるほどな…まぁ適材適所があるからな戦闘に不向きだったり動きにムラやり隙があったとしても
それは経験やらでいろいろ補えば化ける可能性があるから一概にどうなるかは分からないが
で、何が言いたい?」

アサキムの言いたい事を率直にいう事を求め、耳を傾けていたが
眉を潜める。

>「そこで、一時世界守護委員会の委員に、二人を一時的に任命し、天地天魔の間に特訓させる。」

「待て、お前は他世界の勢力の所属だろうそれが何の権限を持って仕切る?
俺などのEXナンバーは組織では存在しないと思われていると同時に理由があればある程度の独立権限がある
その理由に納得出来なければ承服しかねる」

相手はいかに共に駆け抜けた戦友とは言え所属する勢力は世界守護者委員会<ガーディアン>ではない
そんな奴が当然任命権等あるわけも無く指定されても従う義理はないのだ

「それに彼らは組織構成員でもないし、あそこには俺のような罪人か高度な戦闘技術を学ぶ上級階級あるいは候補生
・戦闘員志望が行けるはずの場所だ。
例え例外として放り込めたとしてもそれ以外にも鍛える方法はあるはずだ」

フォルテとゲッツは世界守護者委員会の構成員ではないため、彼らは地獄すら生ぬるい場所である事は
EXナンバーは必ず飛ばされる場所であるため配属される前に居たため嫌と言うほどに知っている。
あそこでは確かに極限まで入った時点で追い詰められるため確かに強くなるしいろいろな意味で価値観も変わるが
例外にでもしない限り構成員でも血反吐を吐く程度では済まない場所に送るのはどうかと個人的には思っていた。
238アサキム ◆JryQG.Os1Y :2012/10/16(火) 16:24:21.45 ID:vr0kZfev
「そうだな。あの空間は生き地獄だしな。」
アサキムは、誤って、ここに落ちてしまったのだ。
まぁ、1ヶ月で出れたが。
「彼処が、ダメなら、無生の間だな。」
こちらも、グルメ界見たいな気候である。
239アサキム ◆JryQG.Os1Y :2012/10/16(火) 16:27:35.01 ID:vr0kZfev
そこは、仙人たちが修行する場。
素戔嗚尊が修行していた場ともされている。
「彼処なら、監視も利くし、俺のアポで行ける。」
「流石に、54のアンデット封印はキツいから、キング級は、サポートに回ってもらうか。」
240ゲッツ ◇DRA//yczyE:2012/10/16(火) 21:49:07.68 ID:GtzbIIOL
>「ギャハハハハハ! ヤバイって! 最近CERO判定厳しいんだからさ!
>ってモナーを食うなぁああああああああああああ!!」

「ゲェヒャヒャヒャァ! まっず!
 モナーまっず! やべーは、返すって返すって、ヒャハハハハ!」

そう言ってごうんとモナーを振り回しながら、相手にぶん投げた。
2m以上の長身の筋肉の塊がぶんぶこぶんと武器ではないにしろ長物をぶん回しているのは冗談抜きでデンジャラスだった。
因みにギターに変形したモナーはフォルテの足元の畳みに半ばまで突き刺さっていた。
もう一度言うが酔っぱに物理攻撃力が伴うとこうなる、要するに物騒極まりない。

「おいおいおいwwっw,なっでwwっうぇ、おまへら、イチャイチャしてwっうぇwwっうぇw。
 楽しっうぇwそうだなwっうぇwwwwwwwwwwwっうぇw」

大分発言が崩壊しつつあったが、フォルテが大人しくなったため、段々平常の状態に戻り始めていく。
そして、意識が朦朧としていたちょうどいい所にフォルテが突撃、フォルテの提案を耳に聞き入れてしまった。

>「こーらゲッツ、幸せ者共のダブルデートの話し合いを邪魔するのは無粋だぞwww
>温泉でも行こうぜ!」
>「届かない星こそ価値がある、そうだろ? 
>苦難を乗り越えた者だけが見る事ができる絶景を見に行こう!」

「おー、いいないいなwww
 ……ん? 絶景? ……待てよ、待てよ――乳?
 っしゃァ、逝くぜフォルテ、さっさと行こうぜ、届かない白星に手を伸ばしになァ!
 なぁに、ビビるこたァねェ! ここにいるのは、ハイランダーでも一番のイケメンで最強の戦士!
 全方位殲滅師のゲッツ=ベーレンドルフだからなァ! ヒャハハハハハハハハ――ッ!
 おら逝くぞごるァ!」

丁度相手の言葉を聞き届けるくらいには正気に戻ってくる所に、フォルテの提案だ。
当然頭脳派などという言葉とは、縁もゆかりもないどころか知能という言葉を月面に置き忘れてきたこの竜人が相手の言葉の裏を慮る事などこの状況で出来るはずはないのだ。
更にそこで呪歌によるダメ押しだ。もう止まるはずは無い。

高笑いを上げながら、フォルテを小脇に抱えて階下へと走り抜けていくゲッツ。
まさに戦場を掛ける疾風、真紅の破壊。
そう風呂場(女湯)とは――男の戦場なのだ!

但し、周りの方々から見れば、本当にこいつらが村の危機を救ったのか疑問に思わざるをえない光景だったろう。
まったくもって物語を紡ぐというのは難しいことだ、この調子では後世には半裸の竜人が街を駆け巡る壁画が残されてしまうかもしれない。
だが、ゲッツは気にしない。気にするはずが無い、その場の欲望に流されるまま、ゲッツはフォルテを抱えて男湯に突撃。
ど田舎だけ有って空いている男湯に突撃すると同時に、2秒で全裸で腰にタオル巻きでフォルテをまだまだ抱えて突撃。

「――ひゃっはァ! 混浴だってよこのやろォ! パねぇ、パねぇぞ!
 覗きに行く必要なんかなかったんだァ! やったねたえちゃん!」

すぱぁんと開き戸を開けて、混浴露天風呂に堂々と現れたゲッツ。
だが、その直後、上の宴会会場にまで響き渡るような怨嗟の叫び声が響き渡った。

「な ァ ん で 、 バ バ ア し か い ね ェ の ォ ―――― !?」

「おぉ……、兄ちゃん良い体しとるのう。
 なんじゃ、酔っ払っとるのかえ。怪我するぞい?」

「ババァ優しいありがとうでもオレの心はロンリーハァトだこのやろォ!
 男心を、男心を裏切りやがったな、この……このやろ――げふぅ」

要するに、混浴に行ってみればお年を重ねられた女性の方々しか居られなかったのだ。
そして色々有っていっぱいいっぱいになったゲッツは、そのまま湯船に顔面から倒れこんでいく。
因みに、まだ小脇にフォルテは抱えたままだった。
241フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/10/16(火) 21:51:53.48 ID:GtzbIIOL
突如、体が宙に浮く。

「……へ? ぎゃぁあああああああああああああああああ!!」

オレはゲッツに小脇に抱えられて物凄い勢いで運搬されているのだった。
そのまま男湯に突撃し、露天風呂(混浴)に乱入する。
尚その際、温泉なので当たり前といえば当たり前だが折角服を着ていたゲッツがまたもや裸になってしまった。
そこではオレと同年代の女性の方々がくつろいでいた。
と言ったら長寿種族や人間脱出組の美少女を期待するかもしれないが、フツーに人間のBBAである。

>「な ァ ん で 、 バ バ ア し か い ね ェ の ォ ―――― !?」

「坊やだから……じゃなくて田舎だからさ。……おいどうした!」

水面が近づいてくる! 気が遠くなったらしいゲッツが湯船に顔面ダイブを敢行していた。
当然、脇にがっちり抱えられたままのオレも一蓮托生である。
効果音はバッチャアアアアアン! 婆ちゃんだけに。
それはそうと……おいゲッツ、そろそろ起き上がれよ、息が苦しいんだけど。
……ってこの馬鹿気絶してやがる――! それなのになんで抱えたままなんだよ。離しやがれ――っ!!
共にいれば必ず災いをもたらす――本当にそうだよ! あばばばばばば…かゆ…うま…

♪   ♪   ♪   ♪   ♪   ♪   ♪

「おお、こっちは物凄い美少年じゃ! ええのう、ええのう」
「そうじゃのう、でもワシャあ逞しいこっちの兄ちゃんがタイプだぞい」
「そんな事を言っておる場合じゃあるまいて、意識がない!」
「おお、人工呼吸するかえ!?」
「残念、息しとるがな」
「うむ、本当に残念じゃ……」
242フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/10/16(火) 21:53:07.05 ID:GtzbIIOL
――目が覚めると、ベッドに寝かされていた。
まず自分が服を着ている事を確認して一安心する。しかも綺麗に乾いているときた。
普通このようにストーリーに関係ない事は省略されるものなのだ。やっぱりこうじゃないと、感心感心!
と思っていると……

「あ、起きましたか? 全く、二人そろってお風呂で溺れるなんて……大変だったんですよ!
濡れ鼠になってたので全部脱がせて新しいのを着せておきました」

「リーフ、お前の仕業か―――っ!!」

こいつ、いつの間にか同じデザインの服を調達していやがったか――!
待てよ、そういえば……

「ショーパンのポケットにロザリオ入ってなかった?」

「特に何も入ってませんでしたけど……」

まさかのキーアイテム紛失かよ! ありえねー! 頭を抱えて叫ぶ。

「しまったぁああああああああ!! さっさとふくろに入れておくべきだったぁああああ!!」

そこに、タイミングよく露天風呂の婆さんのうちの一人が現れた。
手にはロザリオを持っている。

「これの事かえ?
湯船の底に落ちてたからお前さん達の物じゃないかと思って持ってきてみたんじゃ。
吟遊詩人様は三神教団の信者かえ?」

「え、んーっと……」

「近々トップが交代するらしくて聖都エヴァンジェルでセレモニーが開かれるそうじゃ。
盛大にやるらしいから行ってみるといいと思うぞい。新主教が民衆と前で奇跡を見せるとか何とか……」

聖都エヴァンジェルといえば三神教団を取りまとめる総本山があるところだが
そんなド派手な事をやりたがるような教団だっただろうか。
確かにトップの交代はこの長寿種族が席巻する世界においては一大イベントではあるのだけど……ま、いっか!

「そうなんだ……ありがとう!」

お礼を言ってロザリオを受け取る。オレはニコニコしながら半裸の竜人に声をかけた。

「つまり……お祭りだって!
アイツらのダブルデートのスポットにぴったりじゃね!? さっそく教えてあげよう!」
243エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2012/10/18(木) 02:32:25.60 ID:LKfeqaam
>「そうだな。あの空間は生き地獄だしな。」
>「彼処が、ダメなら、無生の間だな。」

だがエスペラントの言葉に対して納得したのかあっさりと引き下げ
次なる代案は無生の間なる場所であった

>「彼処なら、監視も利くし、俺のアポで行ける。」
>「流石に、54のアンデット封印はキツいから、キング級は、サポートに回ってもらうか。」

一応アサキムの顔が通用するらしく監視も届くらしいまぁそれが絶対に安全とは言えないが
試練内容も決めているようだが

「その無生の間とやらは近いのか?この世界から移動するというのならば
個人的意見としては移動する合間も修行させられる場所が良いと思うんだが
お前の監視が効くならお前に丸投げしたいんだよ此方としても
アイン・ソフ・オウルの種子だけじゃなく私や静葉にもやることがあるんでね」

此方も一応独立権限が与えられているとはいえ仕事に来ているのである
そちらも疎かにする事はできないし、彼が全てを一任するというのならばそれでも構わない
というのが本音である

「監視の安全の度合いを上げるなら私達も同行するべきなんだろうが、あくまでも此方が片手間の範囲でならだ
他世界に行って稽古を付けるならお前に任せるし、この世界で移動も含めて俺たちでその合間に修行させながら
そこに向かって更に本格的に指導を任せるか好きにしてくれ」

とりあえずアサキムがしたいように任せる。此方としても協力はしたいが
この世界に解き放たれた物が厄介すぎるのだ
既にこの世界の何処かでは奴の分身となり目覚めているかもしれないのだ
それくらい事態は深刻と捉えた方が良い

「種子の広まったこの世界からは目は離せない故に私は簡単には世界移動できない
ローファンタジアを人の住めない大地にしてしまった責任がある…
その罪滅ぼしにもならない事は分かっているが」

自嘲気味に笑いながら呟く
本来ならばこの世界全体はスルトの剣で全てが焼かれ消え去っていた
ローファンタジアにも人は住んでいたのだ、その命を奪ってしまったのは変わりないのだ
犠牲にしてしまった人や彼が守りたいと願う人々のために今やれる事をしなくてはいけない
244アサキム  ◆JryQG.Os1Y :2012/10/18(木) 08:08:44.78 ID:C1ZYZY3K
「いやぁ、あいつ等移動させんのは簡単なんだけど。遠い。この次元だけど」
「仙界と人界の間の門ヘブンズゲートの近くだ。」
「監視については、いい奴らがいる。任せろ。」
「だがなぁ」
アサキムは、ふらっと立ち上がり
「あれから、自然を作り出すのにどんだけ大変だと思ってんだこら」
ビャクに襲いかかり、コブラツイストをかます
「まぁ、安心せい。半年もすれば、巨大ヴァンパイヤを素手で破壊できるよう、鍛えてやるから。」
245エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2012/10/18(木) 21:02:34.95 ID:LKfeqaam
>「いやぁ、あいつ等移動させんのは簡単なんだけど。遠い。この次元だけど」
>「仙界と人界の間の門ヘブンズゲートの近くだ。」

「その辺はお前に全て一任する、出来るだけの協力はするつもりだ
こちらとしてもこの世界での一番近い修行の地を提供できれば良かったんだがな」

アサキムの言葉からすればこの次元にあるようだが遠いらしい
奴のホームグウンドならば勝手も利くだろうとは思っているが
曲がりなりにもこのこの男の指導手腕を見ていないためなんともいえないので
不安が無いというのは大嘘になってしまうが、とりあえずは任せることにする

>「だがなぁ」
>「あれから、自然を作り出すのにどんだけ大変だと思ってんだこら」

「………それについてはどう言い訳も弁解もするつもりはない
僕は多世界を守るためのツールにして端末に過ぎん、多数の世界の防衛意識が判断すれば
それを実行するためだけの傀儡だ、最後まで足掻いてもどうにもならんこともある不本意だがな」

コブラツイストをかけられても平静を保ち、声が一段階下がりながら
絶望と諦観に満ち溢れた瞳で淡々と答える。
それは無機質であくまでも一人の恒久戦士としての言葉

「お前には感謝している…が、一つ言っておくぞ僕は世界という多くの物を維持し支える
特別では無い組み込まれた少し特殊な歯車だ、そしてそれには切り札を使わねば抗えぬほど強力な力ではあるが
自らを縛る逆らえない呪いも兼ね備えている、わかってくれとは言わん多くの世界が望む事が正しいのか今でも僕には分からない
だが生物が生きるには必要な基礎の存在だ、此方も無駄とは分かりなからも足掻き続けているが
思いたくもないがその程度で済んだだけでもいい方なんだよ、下手すればこの世界どころか別世界にも種子が飛び散れば
その世界ごと滅ぼさなきゃならんて事もありうるのだからな」

今も世界守護者委員会と広域補助機関も調べてもらっているがこの世界だけに種子が飛び散っているという程度で済んでいるのか分かっていない。
エスペラントはそれが多くの世界や他の世界に影響が大きく出るのであれば最悪その世界は滅ぼして斬り捨てならなければならない
失われた命と生命が住めなくなった大地と引き換えに多世界を守れたのか―それが自分でも良く分からないが

「だからアサキムお前が、もしも多世界の影響を及ぼそうとしている現象に守ったり手を貸す真似をするのならば
世界の敵として見なされて僕は僕の意思を奪われて強大な力を持ち、お前を排除するだろう
覚えておけ、そして忠告するお前の目の前に居るのはそういう存在なんだ」

己自身完全に割り切ったわけではないがそれが自身の今背負わされている役目にして宿命である

>「まぁ、安心せい。半年もすれば、巨大ヴァンパイヤを素手で破壊できるよう、鍛えてやるから。」

「半年―か今はアイン・ソフ・オウルの種子に関しては一刻も猶予が無いというのに少し掛かりすぎではないのか?
それにあの戦闘狂の脳みそ筋肉のゲッツは兎も角フォルテは戦闘向きの能力者ではないあくまでもその補助だ
お前もまさか彼らを同一レベルで考えているんじゃないだろうな?伸ばせる部分は当然個人によって違う
同じように伸ばそうとすれば無理が生じるその辺はどうするつもりだ?」

片方は戦闘大好きな戦闘職はやりようはあるが、戦闘が担当ではない補助職をどう巨大ヴァンパイヤを素手で破壊できるようにするのか
まさかコイツも脳筋思想ではあるまいなと考えつつ、あくまでも戦闘専門ではないフォルテをどう鍛えるのか
無理をさせすぎて大変な事になっては目も当られないのだ
246ゲッツ ◇DRA//yczyE:2012/10/18(木) 23:52:45.10 ID:o0xqNrTD
「梅干しッ!?」

謎の叫びを上げながら、布団を天井まで蹴り飛ばして飛び起きる竜人。
ぼふん、と天井で布団が跳ね返りゲッツの頭に落ちてきた。
ぶすりと角が布団を貫通して、布団の下でゲッツが蠢いている。

「だーくっそ、なんだこの布団、取れねェんだけど――!?
 ちーっくしょォいやァ!」

びりぃ、と頭を押しこめば布団に頭の通るサイズの大穴が開く。
そこから顔面綿だらけの馬鹿竜人が飛び出して、周囲を見回した。
丁度左に居た仲居さんと目線が有って、仲居さんは引きつった笑みを浮かべていた。

しばし土下座をした後に許してもらい、フォルテの方の話に耳を傾ける。

>「近々トップが交代するらしくて聖都エヴァンジェルでセレモニーが開かれるそうじゃ。
>盛大にやるらしいから行ってみるといいと思うぞい。新主教が民衆と前で奇跡を見せるとか何とか……」
>「つまり……お祭りだって!
>アイツらのダブルデートのスポットにぴったりじゃね!? さっそく教えてあげよう!」

「ほォ、エヴァンジェルか。あそこだったら確かオレのダチが酒場開いてたからタダ飯タダ酒タダ宿行けるぜ?
 俺も昔やんちゃしてた時に色々アレだった所だから割と詳しいし、案内くらいなら行けるしな。
 いいんじゃね? ……但し、めっちゃきな臭い雰囲気しかしねェから警戒は忘れずって事で」

三神教団のロザリオを持った白いローブの男、そしてローファンタジアの崩壊からそう時間をおかずしてのセレモニー。
明らかにきな臭い匂いしかしていない、何らかの危険は待ち受けていると見て間違いない。
だが、どちらにしろ事件を追うのであればきな臭い所に行く事こそが定石である。

「っし、だったら早速あいつらに話し通してくるかァ」

だとすれば話は早く、またもや半裸の竜人は半裸のままで表に出る。
なぜかフォルテの首根っこを掴んでずりずりと引きずりながらだが、力はあまり入れてない為暴れれば抜け出せる程度だ。
ついでにリーフの袋から勝手に酒瓶を取り出して一口煽ると同時に、上の宴会場へと移動。

「おぃーっス熱々夫婦どもォ! てめェらに良い感じのデートスポット教えてやりに来たぜヒャッハァ――ッ!
 なんかよォ、聖都エヴァンジェルの方で教主が変わってセレモニーがどったらこーだらとかで祭らしくてよォ。
 きな臭いから調べに行くついでにお前らデートでもしたらいいんじゃね――ってなんだこの雰囲気、デートって感じじゃ無くね?」

ノリノリですぱぁんと引き戸に罅を入れながら乱入しつつマシンガントークなゲッツ。
そしてデートプラン的な物を提案した状況で、ようやく雰囲気がスゥイートな色を帯びていない事に気づく。
超人達が揃って何かを話しているのだ、気にならないはずは無かった。
247フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/10/18(木) 23:54:30.09 ID:o0xqNrTD
>「だーくっそ、なんだこの布団、取れねェんだけど――!?
 ちーっくしょォいやァ!」

「アッー! 穴が無いからって開けちゃらめーっ!!」

ゲッツはまたもや器物破損してしまった。さっきもフツーに浴衣に穴開けてたし。
謀らずも行く先々で様々なものを破壊してしまうお方である。さすが全方位殲滅師の称号は伊達じゃない!

「すみません、お金払いますので許してやってください」

ゲッツが土下座している横でもはやルーチンワークのように涼しい顔でリーフから財布を受け取り
マジックテープをベリッと開けてスタイリッシュにカード払いした。
オレが年金受給者でよかったよ本当に。器物損壊の弁償代で破産したら笑うに笑えない。

>「ほォ、エヴァンジェルか。あそこだったら確かオレのダチが酒場開いてたからタダ飯タダ酒タダ宿行けるぜ?
 俺も昔やんちゃしてた時に色々アレだった所だから割と詳しいし、案内くらいなら行けるしな。
 いいんじゃね? ……但し、めっちゃきな臭い雰囲気しかしねェから警戒は忘れずって事で」

「何だその更生した元不良少年みたいな台詞は……!」

昔やんちゃしてた時って――今は落ち着いたつもりなのか!? 
昔どんなんだったんだ……。問い詰めたい、小一時間問い詰めたい!

>「っし、だったら早速あいつらに話し通してくるかァ」

例によって首根っこを?まえられて運搬されるが、問題はそこではなく――

「待って! 服着て服!」

>「おぃーっス熱々夫婦どもォ! てめェらに良い感じのデートスポット教えてやりに来たぜヒャッハァ――ッ!
 なんかよォ、聖都エヴァンジェルの方で教主が変わってセレモニーがどったらこーだらとかで祭らしくてよォ。
 きな臭いから調べに行くついでにお前らデートでもしたらいいんじゃね――ってなんだこの雰囲気、デートって感じじゃ無くね?」

言って着るぐらいなら最初から着ているわけで、当然のごとくゲッツは半裸のまま宴会場に参上してしまった。
が、超人達はその事に突っ込む素振りも見せず、何やら真剣な表情で話をしている。
248フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/10/18(木) 23:56:19.18 ID:o0xqNrTD
「修行? この半裸野郎をこれ以上調子に乗らせてどうすんだよ」

強い敵と戦えるならコイツは大喜びするだろうけど……
修行展開ってドラマチックに演出するのが難しいんだよな、ぶっちゃけ。吟遊詩人の語るサーガはロマンが命なのだ。
ひたすら殴り合って千切っては投げ千切っては投げしているのをどこにロマンを見出せというのか。
英雄の冒険譚で途中で延々と修行シーンある話はあまり見当たらないだろう。つまりはそういう事だ。
これがジャンルが冒険ものではなくバトルものだったら話は変わってきて、修行展開は鉄板中の鉄板だったりする。
しかしバトル物には、皆が体育やってる後ろで一人だけ音楽やってるようなKYが出演する枠はない、つまりはそういう事だ。
そう思ってタカをくくっていると……

「え、何? オレも修行すんの? ふーん……」

その意味を理解するのに、一拍間を要した。

「何ィイイイイイイイイイイイ!? 冗談だろ!?
絶っっっっっ対強くならないから! 強くなる前に即死するから!!
つーかお前ら超人なんだから呑気にオレ達鍛えてる暇があったらさっさと種子を処分して回った方がいいんじゃね!?」

動転のあまり、それを言ってしまってはお話にならない、という吟遊詩人が最も踏むべからざる地雷を踏み抜いてしまった。
ん? 待てよ。真面目な話、マジで何でなんだろう。
あの時アサキム導師は確かに”お前達の力が必要だ”と言った。
オレは言うまでも無く、ゲッツより強い人も神々や超人の業界なら掃いて捨てる程いるだろう。
戦力はそっちで調達すればいいだろうにどうして……
不意に真顔になって導師様に目を合わせる。

「なあ、アサキム導師……」

――何を知っている? 何を隠してる?
喉元まで出かかったその言葉は、結局発せられることは無かった。
オレ達がすでに超人達の計画に組み込まれているのなら、今知ってどうなるものでもないし、いずれ知る事になるのだろう。
それに、知るのは少し怖い気もした。

「ま、いいや! オレはこの勇者様の行くところに行くまでよ!」

ゲッツの背中を軽く叩いて笑って見せる。
よくもまあ恥ずかしげも無く昔のRPGのような単語を発する、と自分でも思うが
公共の場を半裸で走り回り行く先々で器物損壊するお方を勇者と言わずして何と言おうか。
249ゲッツ ◇DRA//yczyE:2012/10/23(火) 23:09:07.02 ID:eRl7ZqoV
>「修行? この半裸野郎をこれ以上調子に乗らせてどうすんだよ?」

「だァれが半裸だ、鱗着てるだろォが。
 ……にしても、修行ねェ。いや、悪かァねぇ、むしろ望む所だけどよ。
 だがよ、お前さん達はオレ等の事を考えてくれてんだろォが、誂えられた戦いで本気で修行になるんかよ?
 戦いってもんは、何時だって人生掛けて、自分の全部を賭金にしてぶち当たるもんだろ?
 それによォ、どうせ修行するんなら果てしなく強い奴相手にする方が気合入るだろォが。
 例えば、アサキム、エス平。お前さん達を相手にする――とかなァ?」

修行、その言葉自体は嫌いではない。
己を高め、己の限界に挑み、己の目指す己に辿り着かんとする行為は褒められこそすれど、疎まれる事はそうそう無いだろう。
現にゲッツも日々戦いに身を置き続ける事を生業とし、その一戦一戦に命を掛けて挑む事でこれまで戦士としての経験を積んできた。
当然、長くを生きる二人の超人とは比べるべくもない程に大きな開きのある実力と経験だ。
だが、それでもゲッツは思う。

修行だからと言って都合の良い相手を選んでいるようでは、本当の成長なんてありえない、と。
絶望と激痛と恐怖を前に立ち向かわなければ、本当の力など決して身につくはずは無い、と。
ゲッツはあろうことか、相手の提示した修行内容が生ぬるいと切って捨てたのだ。

>「何ィイイイイイイイイイイイ!? 冗談だろ!?
>絶っっっっっ対強くならないから! 強くなる前に即死するから!!
>つーかお前ら超人なんだから呑気にオレ達鍛えてる暇があったらさっさと種子を処分して回った方がいいんじゃね!?」

「お前らがなんで俺たち連れてこうと思ってんのかは知らねェけどなァ。
 そうそう思い通りに物事運ぶと思ったら大間違いだ。
 確かに俺は強い敵は願ったり叶ったりだが、今回ばかりはフォルテに同意だぜ。
 なんで、態々時間掛けて俺たちを鍛えようと思ってンだァ?」

瞳孔が縦に伸び、煌々とした光を宿し、二人の超人とその相方達を見据えていた。
そこに居るのは、腐っても竜種の血を引く者だ。
その威圧は、相手にとっては涼風程度で気にも止めないものだろうが、周囲の仲居さんの内数人が引きつけを起こして倒れ込んでいた。

「悪ィがよ、俺が嘘をつけねェ奴だってのも有るせいだろうが、真意の見えねェ奴は苦手なんだァ。
 ――思えば、俺ぁてめェらと腹割って話したこともねェんだよ。
 フォルテとは多少話したが、ここは一丁――お前らの真意ってもんを聞かせて欲しいと思う。
 俺の真意は簡単だぜ?英雄になって俺の事を一族に認めさせる=Aそれが俺の戦う理由の一つさ。
 てめェらは、なぜ闘う? なぜ、お節介にも世界を救おうとする=H
 世界を救おうとしている奴なんて、きっとこの広い世界に俺たち以外にも五萬と居るんだ。
 その中で、わざわざお前らが闘う理由は、お前らが傷つく理由を話してくれや、頼むぜ?」

どっかと、半裸の竜人は超人相手に啖呵を切り、近くの酒瓶を近くに寄せ座り込んだ。
ラッパ飲みで焼酎を煽り、鉄色の瞳はそらされることなく真っ直ぐにエスペラント、静葉、アサキム、アヤカを見据えていた。

相手の真意を聞かない限り、この竜人は相手の提案を飲むことは無いだろう。納得さえ得る事が出来れば、きっとこの竜人はどんな修行だろうと捨て駒のような役割だろうと躊躇うことなく身を投じる。
その納得の理由を得るために、竜人はただ、『なぜ』と問うた。
250エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2012/10/24(水) 03:14:49.56 ID:QwYtMq9q
>「おぃーっス熱々夫婦どもォ! てめェらに良い感じのデートスポット教えてやりに来たぜヒャッハァ――ッ!
 なんかよォ、聖都エヴァンジェルの方で教主が変わってセレモニーがどったらこーだらとかで祭らしくてよォ。
 きな臭いから調べに行くついでにお前らデートでもしたらいいんじゃね――ってなんだこの雰囲気、デートって感じじゃ無くね?」

>「待って! 服着て服!」

だがアサキムの真意を聞く前に話題の中心人物であるフォルテとゲッツ達が来てしまう。
こちらとしては完全にアサキムの考えを支持している訳ではないし、やる価値はあるのは分かるが
その考えには賛成するかそうでないかというどちらとも言えないのがエスペラントの現状である

「仕方あるまい…本人達抜きに話を進めてもどうしようもないからな
話そうではないか彼らには知る権利は確実にあるからな」

とりあえずはアサキムとの対談での聞くことになった彼らの修行計画について
一切を知る限り話し、相手の態度に視線を向けて言葉を待っていた。
当然の事ながらフォルテは動転しながらも確かに的を得ている事を言う
だがゲッツに付いて行くらしいから、彼の返事が今後の決定権を左右するのは間違いない
当然戦いが好きなゲッツは飛びつく事は予想出来ていた、しかしその口からは何時か聞かれるだろう事を
この場でする事になる。

「悪いが、私はお前と修行とは言え戦うことに時間を割く事は出来ない
その辺は守秘義務に入るが様々な事情もあって仕事で来ているからな」

蜂蜜酒(ミード)を飲み干しながら、冷静な目でグラスに注ぎ足して
そのもっともな理由に対し

>「お前らがなんで俺たち連れてこうと思ってんのかは知らねェけどなァ。
 そうそう思い通りに物事運ぶと思ったら大間違いだ。
 確かに俺は強い敵は願ったり叶ったりだが、今回ばかりはフォルテに同意だぜ。
 なんで、態々時間掛けて俺たちを鍛えようと思ってンだァ?」

「そうだな―お前等とは私も同意見だがな
理由として思い浮かべるとしてもフォルテはテイル…いや此処ではアマテラスか
その子供だからか?なんとなくだが今回の件に対してお前には運命を感じる」

まったく理由にならん理由だがなぜだかあのテイルの子供なのだ
こういった似た騒動には巻き込まれるのならば此処で鍛えても悪くは無いのかもしれない

「ゲッツお前は、死んでいたとはいえローファンタジアの崩壊から生き残った存在だからな
殆どが死に絶え私の手で人の住めない大地にしてしまったとは言えそれには運よく生き残った
その強運を感じるし、お前はフォルテと関わり此処にいる以上は何か意味があるんだ」

とりあえずは本来の彼であればそんな言葉は出ないはずだったが
彼らはこの世界においての世界の自浄存在(勇者等の善勢力などの事)ではないか
そんな事を思い始めていた
251アサキム ◆JryQG.Os1Y :2012/10/24(水) 22:40:52.08 ID:DIJrLO+f
「というわけだ、修行は、明後日からだ。」
「内容は、これだ。」
修行メニュー
A〜Qのアンデット封印【仮面ライダーブレイドの】
封印には、ラウスカードを使用
時間は、48時間
252フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/10/25(木) 01:01:24.39 ID:oNM6+jqM
ゲッツは修行に飛び付くかと思いきや、この超人達が怪しく思えてきたようだ。
威圧感だけで卒倒者が出てるし! オレが平気なのはあの戦いがあったからだろう。

「あんまり怖い顔するなって! 通報されっぞ!」

でも気持ちはよく分かる。謎めいた導師様、なんていかにもトリックスターっぽいもんね。
こんなポジションの人が実は諸悪の根源でラスボスでした!なんて展開もありがちである。
それでも悪いようにはしやしないだろうという根拠の無い確信があるのは
一重に昔母さんがお世話になった、というか現在進行形で世話になっているからだろう。

>「そうだな―お前等とは私も同意見だがな
理由として思い浮かべるとしてもフォルテはテイル…いや此処ではアマテラスか
その子供だからか?なんとなくだが今回の件に対してお前には運命を感じる」

「親っつっても殆ど知らない人だしなあ、運命感じられても――」

エスペさんもオレと同じようなことを思っていたようだ。
といっても、向こうはオレを子どもとも思ってないのかもしれない。
というのも、オレは普通の生まれ方をしていない。意図せずに神話的なトンデモな方式で発生してしまったのだろう。
それでも、精霊が見えるこの左目も、精霊の声が聞こえ過ぎる聴覚も、母さんから受け継いだもの。表裏一体の祝福と呪縛。

「と言いたいところだけど……親は選べないんだもの。仕方ないね!
だからって修行OKしたわけじゃないからな。導師様、勇者様もお気に召さないって言ってるしここは……」

>「というわけだ、修行は、明後日からだ。」

「どーいうわけだ!?」

流石導師様、本人達が拒否ってもそんなの関係ねえってか! どうしても修行場に放り込みたいらしい。
253エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2012/10/25(木) 03:26:14.87 ID:3FbIdW4e
>「悪ィがよ、俺が嘘をつけねェ奴だってのも有るせいだろうが、真意の見えねェ奴は苦手なんだァ。
 ――思えば、俺ぁてめェらと腹割って話したこともねェんだよ。
 フォルテとは多少話したが、ここは一丁――お前らの真意ってもんを聞かせて欲しいと思う。
 俺の真意は簡単だぜ?英雄になって俺の事を一族に認めさせる=Aそれが俺の戦う理由の一つさ。

ゲッツはやはり竜種の血を引いているのは伊達ではなく凄まじい威圧感を全身から発し
戦場にいる訓練された兵士さえもそれに飲まれるのだろうし、現に非戦闘員の仲居達は倒れてしまうが
此方も幾多の修羅場を数え切れないほど越え生き残ってきた、エスペラントと静葉はやはりたじろぐ事も無く
二人の空気は周囲は楽しげであるに対して明らかな異質な物を周囲を覆っており、まず並大抵の者では首は突っ込みたくないと
あからさまに人はフォルテとゲッツ、アサキムとアヤカを除き蜘蛛の子を散らすように離れる。

「主様……」

「此処は酒の席だ嘘も真も溢れる場所だ
酒が入ると口も回るというのも実に人間的だからな
信じる信じないもお前達の勝手だ、今から喋る事は独り言だ」

そして近くに席にドカッと座り込み焼酎をラッパ飲みしているゲッツに対して
珍しく皮肉抜きに彼としては見る者によっては異常とも取られないほど一番拘りである人である事を口にして
意識を失わずに言わば推奨されている最適度にしか酔うことしかできない超人は口を開く

>てめェらは、なぜ闘う? なぜ、お節介にも世界を救おうとする=H
 世界を救おうとしている奴なんて、きっとこの広い世界に俺たち以外にも五萬と居るんだ。
 その中で、わざわざお前らが闘う理由は、お前らが傷つく理由を話してくれや、頼むぜ?」

「僕は多世界を守るために影響を及ばす存在を滅ぼすために取り込まれた防衛機構システムの一部だからと言うのもある
だが一番の理由は簡単だよ、守りたい物があるからだから僕は戦っている
そのために永遠に戦い続けるが故に恒久戦士という数多くの世界を維持するための歯車で
必要と在らば世界単位で切り捨て多くの命を奪った僕をそれでも暖かく迎えてくれて、家族同然に思ってくれている人達がいる
だからその人達の平穏で何時までも続く平和な世界を守るために戦う、その人達の子供達や子孫がちょっとした事で喧嘩をしたり
笑顔になったり出来る事が続くのが優しくしてくれたあの人達に対する恩返しだと思うから」

それは彼が彼である所以でありどんな事があっても絶対に忘れることがなかった。
かつての荒れていた時期から立ち直らせた主な要因の一つであり勝敗を超えてでも守らなければならない物である
その人達のためならば自身の全てと命すらも惜しくないと思わせるほど
そこには決して強い力があるわけではない自身が切り捨て無ければならないことを強いられる事もある
ごく普通で平凡な日常を生きる者達の脆く儚い生活を送る人達の優しさはビャク=ネイムレイスにとって
何事にも変えがたいお金でも買えない絶対無二の宝物である

「所詮は選民思想かもしれない自分を認めてくれる者達だけを救いたいと思われるかも知れんが
皮肉な事にいろいろな世界に移動するたびに大切な人が出来る、それ故に傷なんぞなんとも思わん
傷が多ければ多いほど自分に誇りを持てる、仕事には持てずとも己自身の心の底からの願望を果たせているのだから」

今でも恥ずかしげも無く言えるという事は変わらずにずっと心の中で思っているという証であった

254エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2012/10/25(木) 03:27:32.83 ID:3FbIdW4e
>「親っつっても殆ど知らない人だしなあ、運命感じられても――」
「と言いたいところだけど……親は選べないんだもの。仕方ないね!
だからって修行OKしたわけじゃないからな。導師様、勇者様もお気に召さないって言ってるしここは……」

「お前等は絶対に似たような事に確実に巻き込まれる、今回は運が良く生き残ったが
次も同じとは限らない、精々自分の身は守れるくらいのレベルアップだとも思えば損はあるまい?
お前達は一生逃げ回る生活をしたければ勝手にしろ、そこまでは口出しせん
見てない所で強大な敵に見つかって殺されても対処しきれん」

とりあえずエスペラントはアサキムとは違い選択の権利は与えるが
甘えさせる訳でもなくただただ現実を述べるだけであり
手の届く範囲は確実に守って見せるがそれから先には限界がある
全能にはなれても全知ではないということだ

>「というわけだ、修行は、明後日からだ。」

「素直に受けとくほうが今後の為に推奨はしておく
散々言っておいたから選択はお前達の自由だ
また私にもアサキムが逃げ出そうとした時に捕まえようとするのを止めるつもりもない
それも私の自由だからな、逃げるなら頑張れよ」

本当に他人事のように蜂蜜酒を平然とした顔でジュースの如く飲み
それを継ぎ足す静葉であった。
255フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/10/25(木) 23:56:28.13 ID:mahxtBhl
>「所詮は選民思想かもしれない自分を認めてくれる者達だけを救いたいと思われるかも知れんが
皮肉な事にいろいろな世界に移動するたびに大切な人が出来る、それ故に傷なんぞなんとも思わん
傷が多ければ多いほど自分に誇りを持てる、仕事には持てずとも己自身の心の底からの願望を果たせているのだから」

大切な人達を守りたいと真っ直ぐな瞳で語るエスペラントさん。
まるで、古き良き伝説に出てくる理想的なフォルムの世界を救う英雄みたい。
雲の上の超人のくせに、時々純粋な少年のようにも見える不思議な人だ。
自然に笑みが零れた。

「あなたは、母さんの勇者様だったのかな……? なーんてね」

彼の意見は要約すると、修行を受ける事をお勧めする、逃げるなら勝手にしろという事だった。
オレの考えている事は全てお見通しだって!?
その上で逃げるなよ?逃げるなよ?逃げちゃえ!と言っているように聞こえるのはオレだけだろうか。
押すなよ?押すなよ?のコントと同じ理論で。

「……うん、分かったよ!」

どっちとも取れる返事をする。
すでに全部お見通しのエスペラントさんに聞かせるためではなく、後の二人に聞かせるためだ。
アサキム導師には素直に修行に同意したように思わせるように。
ゲッツには一瞬”オレに考えがある”のウィンクを送る。分かってくれるよな!?

♪   ♪   ♪   ♪   ♪   ♪   ♪

その夜、皆が寝静まった頃――

「起きて、起きて! アタシと一緒に来て。
誰かに縛られるなんてあなたには似合わない。とびっきりの星を探しに行きましょう!」

とびっきりの澄んだ美少女声に目を覚ましたゲッツは、声の通りの美少女を目撃する事だろう。
腰まで届く銀砂のストレート。ヘッドギアにあしらわれた揺れるリボン。
ふわりと広がるフリフリスカート。
満を持して正統派美少女ヒロイン参入――ではない。笑いを堪えきれなくて呼吸困難で死にそうだ。

「クックククク…! 残念でした、オレだよオレ! 腹いてえwww
え、そんなにガチで残念がるなよ…! 怒るなって! これでもふざけてるわけじゃないんだからな!
あのお節介野郎の目を逃れるための変装だよ。
セーラー服美少女戦士は微妙に服が変わるだけで変身前と変身後が別人と思われてるだろ?
記号的表現は一種の魔力を持つ――。
魔的なもので物事を見ている超人ほどこういう一見お粗末な方法には弱いんだ。
つまり何が言いたいかってーと……脱走してやろうぜ! これより貴方様を誘拐させて戴きます!」

トンデモ理論をドヤ顔でぶちかまし、オレの勇者様に手を差し伸べた。
256ゲッツ ◇DRA//yczyE:2012/10/29(月) 00:25:10.59 ID:By3kcbUT
>「……うん、分かったよ!」
「あァ、しゃーねぇな、やってやるさ」

フォルテのウィンクは目の端で捉えており、こちらもまた、相手の言葉に同意するような言葉を吐く。
が、この言葉はフォルテの考えに対する同意であって、修行に対する同意ではなかった。
嘘はついていない、歴戦の傭兵は強かなのである。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

そして、皆が寝静まる夜半の時間。
人一倍体格が良く、また迷惑をかけまくったゲッツは隔離されるように旅館の端の部屋をあてがわれていた。
ゲッツはと言えば、大の字になって鋭い牙を剥き出しにしたまま、大いびきをかいていた。

が、そこは竜人、音には敏感だ。
美少女の声を聞くと同時に布団を天井まで吹き飛ばしながら飛び起きた。

(アレか!? 村を救ってくれたお礼に――ってやつか!?
 ……いや、しかしなァ、女の子だって俺みたいなごっつい奴の相手はビビるだろう。
 此処は一丁紳士的に――)

「こんな夜中にどうしたんだい、お嬢さ――――ってテメェフォルテじゃねーか。
 さすがの俺でも騙されねェぞ?  ……いや、騙されてねーからな、マジで、いや本気と書いてマジで」

出鼻を挫かれて、なんとも言えない表情を浮かべるゲッツ。
なんとなくしてやたれたような感覚をゲッツは覚えていたが、負けを認めたくはなかった。
ただ、鋼の義手の表面が一瞬小波のように揺れていたのは間違いない。

>「クックククク…! 残念でした、オレだよオレ! 腹いてえwww
>え、そんなにガチで残念がるなよ…! 怒るなって! これでもふざけてるわけじゃないんだからな!
>あのお節介野郎の目を逃れるための変装だよ。
>セーラー服美少女戦士は微妙に服が変わるだけで変身前と変身後が別人と思われてるだろ?
>記号的表現は一種の魔力を持つ――。
>魔的なもので物事を見ている超人ほどこういう一見お粗末な方法には弱いんだ。
>つまり何が言いたいかってーと……脱走してやろうぜ! これより貴方様を誘拐させて戴きます!」

トンデモ理論をブチかましながら、楽しそうなことを提案する友人の姿に、かつての戦場の無茶苦茶を思い出し、俄に心が沸き立った。
ふつふつと、己の中の熱が燃えていくのを感じる。なるほどと、ゲッツは納得をした。
先程から己の中でもやもやとし続けていた感覚の正体を今になって悟る。
そう、それは閉塞感だ。常に自分の道を自分で切り開き、障害を粉砕してきた男は、誰かの敷いたレールを歩くことを何よりも嫌うのだ。
257ゲッツ ◇DRA//yczyE:2012/10/29(月) 00:26:34.66 ID:By3kcbUT
というわけで、ニヤリといい笑顔を浮かべた竜人は、ひょいとフォルテを肩に担ぐと、窓辺に向かって歩き出す。
窓枠に足をかけ、空を見あげれば爛々と輝く満月が天蓋には浮かんでいる。
紅の瞳孔がきゅうと収縮し、口元からはひゃはは、と楽しげな笑い声がこぼれだした。

「悪ィが、誘拐すンのは、この俺だぜェ?
 ……っと、出発前にちょいとやりたいことがあンだ、お前もちょいと付き合いな」

そう言うと同時に、宿の5階から、ひょいと飛び降りるゲッツ。
当然ながらフォルテを担いだままだが、唐突に背中から銀色の翼が飛び出して、ゲッツは飛翔。
天高く飛び上がると、ドイナカ村を見下ろし、村で一番高い建造物、鐘楼を発見。

一息に加速し、鐘楼の最上部にたどり着くと、ゲッツは唐突に生身の右腕の爪を一閃。。
鐘楼の外壁には、赤く魔力の痕跡の残る爪痕が深く刻まれ、同時に鐘楼の表面を微弱な魔力が走った。
ふぅ、と一息終えたような表情を浮かべ、肩に担ぐフォルテに目線を流す。

「いっつも旅先に来るとこうしててな、俺がここに来たっつー爪痕を残すことにしてあんだァ。
 生きてくってことは、自分が居たって証拠を残していく事、って思ってるもんでな。
 ……ッツーわけで、お前もせっかくだし残してかねェか? 伝説の勇者パーティ予定参上、ってよォ?」

ゲッツは、楽しげな笑い声を零しながら、少しだけ自分の人生観を語る。
何かに己の痕跡を残していく事が、生きていくということ。
例えばそれは伝承だろうし、物語だろうし、歴史だろうし、ともすれば墓かも知れない。
要するに、ゲッツが爪を振るったのは、この日確かに己がこの村に存在していたという事を証明する為。

この竜人にも、多少はロマンや風情というものを理解する感情は有るのである。
というわけで、竜人はフォルテにもここに傷を残していくか?と問いかけていた。
どちらにしろ、痕跡を残すにしろ残さないにしろ、この痕は聖都エヴァンジェルへ上空ルートを通って超速5時間空の旅が待っているだろう。
258フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/10/29(月) 23:24:50.91 ID:7L7b25SV
>「悪ィが、誘拐すンのは、この俺だぜェ?
 ……っと、出発前にちょいとやりたいことがあンだ、お前もちょいと付き合いな」

「きゃはは、お前はすでに誘拐されている!……ひゃあああああああ!?」

突然窓から飛び降りるゲッツ。一瞬の落下の後に浮遊感。
ゲッツは銀色に輝く翼で空を飛んでいた。
どんどん地上が遠ざかり、長い髪が夜風になびく。(女装するにあたって魔法薬で伸ばしたのさ!)

「あはははは! すっげー! 翼出し入れ自由になったのか!」

さて、ここで問題です。
唆して付いてくるように仕向けるのは誘拐。筋力で運搬して連れ去るのは拉致。
この場合攫ったのはどっちで攫われたのはどっちでしょう!? 答えは知らね。投げっぱなし!
ゲッツは鐘楼へと降り立つと、右手を一閃し外壁に爪痕を刻んだ。

>「いっつも旅先に来るとこうしててな、俺がここに来たっつー爪痕を残すことにしてあんだァ。
 生きてくってことは、自分が居たって証拠を残していく事、って思ってるもんでな。
 ……ッツーわけで、お前もせっかくだし残してかねェか? 伝説の勇者パーティ予定参上、ってよォ?」

「ふふっ、まるで芸術家みたいな事言うんだな。嫌だと言っても何もかも残してやるよ!
このオレの歌に乗せてなあ!」

モナーからどこにでも書ける魔法のオサレ羽根ペンを受け取る。
これはモナーの一部が変化したもので、楽譜や詞を思い付いたら即書き留めるためのモナーの機能である。
ゲッツの心臓に名前を書いた時もこれと同じ原理だ。
羽根ペンを走らせ、ト音記号と五線譜、そして飾り字体のfを記す。Forte――強勢を意味する演奏記号。

「これから綴られるのさ。オレ達の冒険の交響曲《シンフォニア》が!
でもな、困った事にどんな曲になるのか全く決まっちゃいない。
……いや、p(ピアノ)のしっとりした曲じゃない事だけは確定だな!」

鐘楼の屋根にぴょんっと飛び降り、キーボードを抱える。
旅立ちの時に歌いなさいと、昔父さんが教えてくれた呪歌。歌うのは今だ。
効果は、秘密と言って教えてくれなかった。
すぐに分かるかもしれないしずっと分からないかもしれないんだってさ。

「星辰《ほし》の導きか 運命《さだめ》の悪戯か
分断《わかた》れた者達が 時空《とき》を超え 巡り会う――」
259フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/10/29(月) 23:59:29.88 ID:7L7b25SV
と、鐘楼の窓からひょこっとリーフが顔を出す。

「ふふふ、何してるんですかー?」
「げっ、バレた!」

言わんこっちゃないさっさと逃げようとばかりにゲッツがオレを抱え上げて飛び立つ体勢に入る。

「安心してください。超人達には睡眠ヤクを盛っておきましたから今頃ぐっすりですよ。
忘れ物を届けに来ました。これ持ってってください」

リーフが差し出したのはは、ふくろだった。

「でも……」
「それ、サブバッグです。こっちの本体の袋と四次元空間で繋がってます」
「ス○アポケットかい!」

こうして、パーティー分岐してもなぜアイテムは共通なのかというRPGの理不尽な点の一つが強引に解釈された!

「では応援してますので頑張ってください! 私は出来るだけ素っ頓狂な推理で超人達を撹乱しますので!」

「さっすが母さんの専属パシリ! よく分かってんじゃん! 行こうぜゲッツ、ヒャッハーッ!!」

♪   ♪   ♪   ♪   ♪   ♪   ♪

時の果て《いやはて》の書庫に 綴られる 
果てなく続く 年代記《クロニクル》
永遠と言う名の 壮大な題名《テーマ》にひるまないで
君は確かな現在《いま》を生きて

僕達は何のため この世に生を受けるのか
生きている意味なんて 分かるはずもないけれど
だからこそ守りたい かけがえのない宝物を 君の生きる未来を

♪   ♪   ♪   ♪   ♪   ♪   ♪

夜空に響く歌声。その旋律を紡ぐは美少女(※外見上)。
銀翼の竜人に抱えられて、満月が輝く夜空を翔ぶ。
何でこんな事になっているんだろう、と自分でも不思議に思う。
敷かれたレールから踏み出すような勇気も無謀さも馬鹿さも持ち合わせていなかったはずなのに。
平穏な日常で満足していたはずなのに。自分の中に自分でも驚くほどの激しい衝動がある事に気付いてしまった。
本当はワクワクするような冒険に憧れていた事に気付いてしまった。原因は分かりきっている。

「ゲッツ……」

お前のせいだ、どうしてくれる。そう言おうとしたんだけど。

「自分で言うのも何だけどさ、これってかなり絵になってんじゃない!? 
来年あたりにジブリでアニメ化来ちゃうかも! タイトルは外道戦記で!」

とか何とか言いながら。
東の空が明るくなり始めるころ、立派な大聖堂がある聖なる都へ到着するのであった。
第二章、聖都エヴァンジェル編開幕――!
260アサキム ◆JryQG.Os1Y :2012/10/30(火) 16:53:44.20 ID:AsFnuc3D
「逃げちまったか。」
はぁ、とため息つきながら
「まぁ、いっか。行き先は予想ついてるし。」
見事に、逃げられたのは、主人公補正である。
261アサキム ◆JryQG.Os1Y :2012/10/30(火) 16:55:47.99 ID:AsFnuc3D
「アヤカ、行くよ。」
「ううん、どこに。」
「聖都。」
聖都とは、ヱヴァンジェルのこと。
「あそこ、なら。いそうだ。」
262アサキム ◆JryQG.Os1Y :2012/10/30(火) 16:57:01.37 ID:AsFnuc3D
「やったね、デートだ。」
「デートじゃな…悪くないな。」
たまには悪くないと思い。宿舎を旅立った。
263エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2012/10/30(火) 20:31:07.18 ID:UW6VWNTz
誰もが寝静まる時刻、毛布に包まりながら静葉は半ば無意識にだが警戒しながらも眠り
窓から外を見つめているエスペラントは上半身裸のままで外に抜け出すゲッツとまんま言葉の通り女装している
フォルテの姿を見つめていた。
此処では少年誌的な誓約にて見せる事はできないが俗に言う激しい情事の後と言う奴である
毛布に包まっている静葉はその下はもしかしたら服を着ているかもしれないし、生まれたままの姿かもしれない
それはご想像にお任せするとして、この二人は睡眠薬の効果をある程度軽減するかあるいは全然効いていないのか
少なくてもエスペラントはピンピンしている、まぁ当然の事だが盛られても人体構造も肉体的霊的にも変異しているためすぐに抗体が出来てしまう
僅かな時間しか意味は成さないし、静葉も元は忍者の家系であるため当然薬毒耐性があるため睡眠薬などは効かない
元々引き止めるつもりも無かったため、何事も無ければ黙って置こうとも考えていたが

「まぁ大方こんな事になるとは思っていた、止める気もないし勝手に行くなら黙って見過ごそうと思って警告もしたんだが
まさか僕達まで睡眠薬を盛るとはなぁ、何もする気は無かったが相手から此処までこういう事をされちゃあ
幾らなんでも笑って済ませられる冗談ではないな。気が変わった、奴等には地獄を味わってもらうか」

エスペラント自身は一切このことに関しては手出しをするつもりは無かったしも直接関わる気もないと宣言した上で
薬を盛られるという事はその言葉を信じていなかった=喧嘩を売られたと判断したようだ
そしてその言葉を聞いて毛布に身体を包んでいた静葉が起き上がり

「次の目的地に行かれるのですね、ヱヴァンジェルの地に」

次の任務の地―というよりこの世界での協力者である広域補助機関の構成員がいる場所に向かう事は
最初から決まっていたため、二人が行く場所は同じであったのである

「そういう事になるな、見つけ次第アサキムに問答無用で引き渡す
やはり甘やかすのは駄目だという事は良く分かった、今回で認識を改めたよ」

そしてエスペラントと静葉は明朝すぐに旅館を出て
すぐさまに次の任務の地へと向かうのであった。
264アサキム ◆JryQG.Os1Y :2012/10/30(火) 21:43:45.76 ID:AsFnuc3D
「しっかし、俺たちにまで、毒を盛るとはな。」
アサキムは、聖都に向かう列車で呟く。
アサキムとアヤカは、仙人【アサキムは純粋ではないが】
人間用など経でもない。
「見つけたら、どうしてやろうかな。」
265アサキム ◆JryQG.Os1Y :2012/10/30(火) 21:45:59.29 ID:AsFnuc3D
「しかも、私にも盛るなんて」
パリン、アヤカの持ってたグラスが割れる。
「落ち着け。アヤカ」
やれやれ、そう思う、朝方だった。
266リーフ@NPC ◆jIx.3BH8KE :2012/10/30(火) 23:17:23.84 ID:ifLv7XQ4
私は朝食をもそもそ食べながら超人達に言いました。

「あのあの、エヴァンジェルにはいかないんじゃないですか?
だって脱走する前に言ってたところですよ。
え、お二方ともどっちにしろ次の行先がエヴァンジェル……あ、そうですか」

睡眠薬を盛られたのが怒り心頭のようでそれ私ですから、と言いそうになるのを踏みとどまります。
そんなの屁でもない超人の割には心が狭いですね。
もしくはその場は見逃した所を鑑みると、本人達は効いてない効いてないと言いつつ
実はうつらうつらしていたんじゃないでしょうか。
なーんて言ったら命の危険がありますので口が裂けても言いませんけど!

「ゆうべは おたのしみでしたね(棒読み」

聞えよがしに誰にともなく呟きます。
何をお楽しみだったって!? 誰ですか枕投げなんて言っているお子様は。
もちろん……ルービックキューブですよ! 二人で夜更かししてカチャカチャカチャカチャとやっていたに違いありません!
当然のごとく、私のせめてもの抵抗の呟きは聞こえなかったのか聞こえなかった振りをされたのか、見事にガンスルーされました。

何々? 2グループともアツアツカップル行動な雰囲気ですか? 私完全に邪魔者じゃないですか!
これはどちらかにくっついていったところで存在を忘れ去られるだけに決まっています!
逆に言えば当然いなくなっても誰も気づきません。本邦初の単独行動をするとしましょう。
ありました、痛車です。ラッキーな事にキーが差しっぱなしでした。
華麗なハンドルさばきで聖都エヴァンジェルに向かいます。
AT限定免許何て事はありませんよ? プロのパシリを甘く見てはいけません!
幸いNPC特権で隠密行動はお手の物です。引っ掻き回してやるとしましょう!

【パシリが野に放たれた! もちろん誰でも動かしてOK!
本人としては一般人組が捕まらないように動くが行動の結果何が起こるかは分からないしそもそも何の影響力もないかもしれない!】
267創る名無しに見る名無し:2012/10/31(水) 18:39:03.62 ID:Q9/PfhbN
ファンタジー小説
http://www.which.ne.jp/?id=79
268ゲッツ ◇DRA//yczyE:2012/11/01(木) 01:45:21.17 ID:QM0512a7
明朝。
聖都にほど近い丘に降り立つ影が二つ有った。
一人は、2mを優に越える、竜人種においても体格の大きい部類に入るハイランダー、ゲッツ。
珍しくまともな服――道中で調達したハイランダー族特有の背中の布が外せる茶を基調とした民族衣装を着た竜人は、草原に爪をめり込ませながら停止した。
そして、肩に担いでいたヴィジュアル系の様な格好をしたどう見ても非戦闘員の両声類を地面へと放り捨てる。
乱暴ではあるが、怪我をさせないように加減している辺り、流石かもしれないが、そもそも投げるなという話だ。

「っふぃー。流石に長丁場だったか、まあ空の旅の分振動も少ねェし、農道最速グランプリよかは乗り心地は好かったんじゃね?
 ッツーわけで、やって来ました聖なる都、エヴァンジェル!ってか」

丘の上から睥睨するように聖都を見る。
白い壁に覆われ、中心には大聖堂のある美しい都市である。
現在はセレモニーと同じタイミングで開かれた祭の最中であり、断続的に様々な所から花火が打ち上がっている。
遠くから見て尚活気が分かるほど人々に溢れており、ぱっと見ではきな臭い気配などまったくもって感じられない、外見の綺麗な都市=B
ふへぇ、と面倒そうな表情を浮かべながらゲッツは溜息を吐き、ごきりと首をまわして軽く屈伸。

「昔あそこの城壁粉砕したのによォ、完璧に直されてやがるし……。
 うっわ、あそこの区画も金有りそうな建物作りやがって!
 ま、青春時代を思い出すつもりで、ちょいと行くかァ。なァ?フォルテ」

前に来たことがあるのは間違いないようで、口からは色々突っ込みどころに溢れる言葉ばかりが飛び出していく。
青春時代と言っているものの、どんな青春時代かは正直筆舌に尽くし難い為、今ここでは割愛することとする。
翼は体内に溶けこむように消えていき、上げられていた布を下ろせばマントを着込んでいるような姿となった。

そして、竜人はフォルテを引っ張るようにしながら、聖都の西門――ではなく、東門の方へと歩いて行き、橋を渡っていく。
橋の先にある門には、数人の警備兵が居り、当然のようにゲッツとフォルテも呼び止められる。

「そこの二人、暫し待たれよ。
 今は祭りの期間故、いやだからこそ危険分子の侵入は防がねばならぬ。
 そちらの吟遊詩人殿は構わぬが、そこの竜人よ、何か身分を証明する物は有るか?」

祭りの期間だからと言ってフリーパスという事はありえない。
どころか、沢山の人が訪れるからこそ、治安の維持の為に警備等も厳しくなってこそ当然というものだ。
呼び止められたゲッツは、とてもいい笑顔を浮かべながら懐をまさぐり、冒険者ギルドのカードと、何かの紙切れを警備兵に差し出す。
暫くそれを見ていた警備兵は、顔を青くしてゲッツに対して複雑な視線を向けると、無言で門を開けた。

「あいよ、ありがとさん。
 5年前みたいにはしねェからそんなにビビんなっての、ほれ、手間賃!」

門をくぐりながらケラケラと笑い声を響かせて、ゲッツは警備兵に銀貨を一つ投げ渡す。
豪速球で投げられた硬貨は警備兵の兜に当り、鐘を鳴らすような甲高い音を響かせて空中に舞い上がった。
それを軽く一瞥すると、ゲッツは気にせず大通りへと向けて歩いて行った。
歩いて行ったのだが――、この東区画、あまり活気が無い。
とは言ってもドイナカ村に比べては遥かに人も多いのだが、妙に壁が薄汚れていたり、浮浪者の姿が時折見られる事などがその活気の無い雰囲気の一端だろう。
出店の数も少なく、警備の兵の数もあまり多いようには見られない。端的に言ってしまえば、どこの町や村にも有る、治安の悪い地域、であった。
なぜわざわざこんな所を選んだかは、ここまでフォルテを引きずってきた、勝手に大量のケバブを食べまくっている竜人のみが知る所だ。
269ゲッツ ◇DRA//yczyE:2012/11/01(木) 01:46:13.08 ID:QM0512a7
「なー、ゲッツ? なんでこんな治安の悪いところ連れてきたんだよ!
 せっかくの祭なんだからさあ、もっとこうパーッっとした所に行くべきだろ!」

「まあ、後でそっちは行くけど、今日の宿予定がここにあるもんでなァ。
 昔のダチがこっちに居るつったろ? そいつの店だから、言っちまえば安いし、身を隠しやすいって訳だなァ。
 どうせあいつら速攻でこっち来て俺たちみつけんだろ? だから目立つ所に泊まるのはアレだろォが」

ゲッツの友人がやっている店との事だが、この男の友人だ、危険性しか存在しない。
とりあえず気にするなと言いながら地区の細道の奥へとずんずんと進んでいく殲滅師と吟遊詩人。
暫く歩けば唐突に開けた地域に入り、小さいながらも手入れの行き届いた宿が目の前には建っていた。
店構えだけならばちょっと小洒落た、アットホームな店だが、残念ながらこの世界は外見で物事を判別しきれない世界だ。
何が飛び出してきてもおかしくはない。

「ちゃーっす!」

竜人は大声を張り上げながら、力強く店の戸を開けて堂々と入っていく。
店の中に入ってみれば、これまた以外な事にセンスの良い内装の、シックな酒場がお出迎えした。
瞬間、背後のドアがばたん、と閉まる音が響く。

後ろを振り返れば、そこにはバーコートに身を包んだ壮年の男性の姿があった。
長身であり、また体格の割と良いが、丸メガネと柔和な表情が不思議と威圧感を感じさせない。
それよりも不思議な点は、先程まで背後に誰も居なかったであろう点だろう。
そこに居たのはレベルの差は有れど、竜人と吟遊詩人から見れば間違いなく訳の分からない人種の一人だった。
270ゲッツ ◇DRA//yczyE:2012/11/01(木) 01:46:52.77 ID:QM0512a7
「んー……、おお、ゲッツ君じゃないかね。
 最後に来たのは……、ああ、開店祝いの時以来か。
 いやはや、ローファンタジアが崩壊したと聞いて心配していたが、元気そうで何よりだ。
 そちらの――お嬢さ、いや……君は初めて見るようだが、ゲッツ君の友達かね?」

ゲッツの背中を強く叩き、嬉しそうな表情を浮かべ話しかける男。
そして、信じられない事として、今の動作でゲッツが地面にうずくまり悶絶していたという点だ。
まあ傭兵部隊等では良くある俗にいう手荒な歓迎である。ゲッツもお返しとばかりに幾つかの銃弾を撃ち込んでいるのだから、おあいこというべきだろう。
但し銃弾は全て壮年の男性をすり抜けて壁にめり込むこともなく男の手の中に握られ、ポケットにしまい込まれていたが。

「初めまして、吟遊詩人殿。
 私はボルツ・スティルヴァイ、今はこの酒場ウ・ボイのマスターをしている者だ。
 前は、そこでのたうち回っているゲッツ君の居た部隊の隊長をさせてもらっていた。
 閑古鳥の泣いている寂れた店だ、ゆっくりしていくと良い。歓迎するよ」

柔和な笑みを浮かべながら、フォルテに右手を差し出す店主のボルツ。
傷だらけの手は固く。戦う男の手というものを強く感じさせる感触がする。
フォルテの手を少し強めに握って歓迎の意を表明すると、ゲッツの尻を蹴っ飛ばし店の端に転がしながら、カウンターに引っ込んでいく。

「おらァ!」

カウンターへ向かうボルツに次は斬撃を叩き込むも、素手で止められ投げ飛ばされるゲッツ。
すとん、と席に座る形で着地したゲッツの目の前には、よく冷えたアブサン酒が出されていた。
パチリとウィンクするボルツと、高笑いを響かせるゲッツ。
どうやらここまでの殺し合いが二人の挨拶だったようだ。

「……さて、このオッサン、半端ねぇドSだが飯と酒と戦いだけは上手いぜ。
 街に出るならここで飯ちょいと食ってから行こうぜ。
 ッツーわけでボルツのオッサン、寝床二人分用意しといてくれや。あとこいつにミントフラッペな」

「ふふ、久々に会ったが実力には磨きがかかっているようで良かった。
 寝床とミントフラッペ、あと多少の軽食を用意しておく。
 何か用があってきているだろうが、せっかくの祭だ。積もる話は夜にしようか」

フォルテ用のカクテルもカウンターに出され、ちょっとしたサンドイッチ等の軽食も振舞われる。
値段についての言及は全く無いが、気にする必要はないだろう。
酒もサンドイッチも食べれば美味い。

ゲッツはまた浴びるようにアブサン酒を飲んでいるが、ふと思い出したように口を開く。
目を細めて、フォルテの目を真っ直ぐ見据えるようにした瞳は、嘘を許さない真摯な色だ。

「そういや、ノリでここまで引っ張ってきたが、このまま俺と旅していいのかお前。
 俺は俺の矜持と趣味の為に闘うって決めてるが、お前さんは別に戦わなくてもいいわけだ。
 エスペラントとアサキムにも聞いたが、お前には戦う理由ってやつ、あんのかね?って思ってよォ」

アブサンを喉に流しこみ、視線も流し、意識を流す。
此処から先はエスペラントも言っていた様に、死の危険が伴う戦いが有るだろう。
決して物見遊山の感覚で行ける道筋でも無く、また覚悟が無ければ何時か脱落してしまうのは目に見えている。
だからこそ、ゲッツは友である相手だからこそ問う。このままついてくる意思と覚悟は決まっているのかと、改めて確認するために。
強がりでも、冗談でもない、フォルテの意思をゲッツはその耳で聞きたがっていた。
271 ◆JryQG.Os1Y :2012/11/02(金) 20:49:30.88 ID:bo2zUviC
「よっこいせっと。」
列車から降りた、アサキムたち。
「じゃあね。アサキム。」
幻影の術で、消えるアヤカ。
「はぁ、勝手に行きやがって。」
呆れながらもついていこうとするアサキム
272 ◆JryQG.Os1Y :2012/11/02(金) 20:56:43.80 ID:bo2zUviC
だが、アヤカはぶっとばす気満々で行ってしまったので無意味だ。
「さて、奇跡ってなんだろうね。」
内心呆れながらも、適当に散策している。
「っ?これってボルツさんの?」
アサキムも、人界で認めている人もいる。
その1人が、ボルツさん。
273 ◆JryQG.Os1Y :2012/11/02(金) 21:02:46.71 ID:bo2zUviC
話に聞いたことがあるだけで、見たことはない。
「入ってみよ、」
ドーン!
「っ?」
戦術「透視、」
店の中では、ゲッツが、ボルツさんに投げ飛ばされていた。
「これは、まさかの、」
店の中に入る。
274谷岡俊一 ◆hfVPYZmGRI :2012/11/03(土) 16:56:47.67 ID:wkD/3R/V
リーフが聖都エヴァンジェルで車で向かっていた時
誤ってある車―センチュリーの後方にぶつかる

「チッ」

どこぞの元バレー選手に似ている顔立ちのヤクザは舌打ちをすると
リーフの車のドアを開き、詰め寄る

「おいコラァ!降りろ!免許持ってんのかコラ!・・・おい
免許見せろぉ!・・・ 早くしろよ 」

そしてリーフの取り出した免許証を奪って一瞥し

「おいお前クルルァ(車)についてこい!」

そう言ってセンチュリーを自分の組の事務所に走らせた
その後何が待ち受けているのか
275エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2012/11/04(日) 03:51:48.46 ID:PCm+cCNC
聖都エヴァンジェルへ入る際に、広域補助機関の構成員の手引きによりスムーズに行う事が出来た。
二人はある程度まで街へ入る大通りに来るとすぐに別れる。
構成員との合流までには出来る限りの現地の情報を入手しておきたいため静葉に情報収集を任せる
彼女と別れたとエスペラントも不自然には見えない様子であっという間に大通り周辺を周る
見た限りではこの都にもそれなりに大きいためか、治安が悪い場所もあることもあり此処にももしかしたら貧富の差があるのかもしれない

「やはり何処の世界に行っても浮浪者は居なくならないものだな…」

一通り東区画を見て通り過ぎて現在は北区画の公園にて余りにも平和で違う部分がある周囲を見て
思わず呟かずには居らなかった。そこに浮浪者を決して侮蔑や軽蔑等汚らしいという感情は入っていない
其処には哀れみや同情といった物は半分は占めるものの結局はこの社会的構造を生み出すことと解決する手段が未だに見つからない事に
とても悲しいと思えた。やはり今でも例え夢物語と言われようが、皆が幸せで笑顔に溢れる世界を目指した者―もちろん今もだが
それ故に偽善や思い上がりだろうが、何も出来ない自分に対してなんとも言えない感情が湧き上がる。
所詮は他人事で切り捨てられれば良いのだが、それが出来ないのは根が善人故だろう。
276リンセル ◆Ac3b/UD/sw :2012/11/04(日) 08:16:59.68 ID:1g2wBGx6
聖都エヴァンジェルに入って大通りを進み続けると、全てが薄緑で統一された一角に辿り着く。
淡い翠の正体は魔封石と呼ばれる建材で、異能全般に反作用として働き、消し去ってしまう効果を持つ。
これによって、転移魔法を用いての大聖堂への強襲、攻撃魔法での遠距離攻撃は不可能とされる。
伝統ある宗教都市だけに『メテオ!』やら『アースクエイク!』の一言で壊滅させられてはたまらない。
実際に対立する宗教勢力などの攻撃に晒され、聖堂が破壊された事も幾度かあった。
従って、エヴァンジェルは都市防衛策として宗教施設の周縁部に大規模な消呪区域を造った訳だ。
基本的に都市中央部で魔法を使えるのは、大聖堂など宗教施設の内部のみとなる。

呪的に遮断された地区は聖堂騎士団の巡回もあって治安が良く、従って富裕層の邸宅や行政施設で占められていた。
翡翠通りと呼ばれる大通りでは、どの戸口にも柊の枝と青い葉と綺麗な花の飾り。
立ち込める芳しい香りは、香辛料屋が祝祭に使うアロマットを挽くものだろう。

パン屋の見習い、リンセル=ステンシィはセレモニーで賑わいを見せる翡翠通りを練り歩いていた。
小脇に抱えた編み籠には、焼き立てのパンがぎっしり。
卵を練り込んだ生地を三つ編みにして中に果物を挟み、砂糖と塩の味付けで焼き上げたパン。
エヴァンジェルの名物で、その名もトリス・ブレッド。
鳥の卵が天の恵み、果実が大地の恵み、塩が海の恵み、合わせて三神の恵みを意味するパン……との事らしい。
リンセルは聖都を訪れた巡礼者や学僧、様々な観光客を相手に名物のパンを売っている。

「神様の恵みが詰まったトリス・ブレッドは如何ーっ!
 1つ銅貨10枚! 14才女子が必死になって売ってるパンでーす!」

声は明るく、物怖じする所もない。
エヴァンジェルは宗教都市故に信仰を同じくする者へは寛容であり、弱者や短命種、人間たちも堂々と暮らす。
神の前に種族の壁は無いとの教えが、雑多な種族を融和させているのだ。


名前:リンセル=ステンシィ
種族:人間
性別:女
年齢:14歳
技能:パン焼き
外見:すらりとした体つき、白い肌、三編みに纏めた栗色の髪、茶の瞳、薄い唇
装備:黄緑の三角巾、華やかな花柄エプロン、赤い上衣とスカート、白い長靴下、サンダル
操作許可指定:誰でも可
設定操作許可指定:誰でも可

【本編と関係ない所で、延々と日常ものやってていいですか?】
277フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/11/05(月) 00:18:40.32 ID:BPUFkD+b
オレ達は聖都エヴァンジェルについた。
折角正統派ファンタジーのような絵になるように女装してやったというのに
そんなの関係なくゲッツは相変わらずツッコミどころしかない言動を連発する。
いちいち突っ込んでいては身がもたないのでスルーする事にした。まとめて一言だけ。

「っかしーなー、なんで今頃牢屋に入ってないんだろう」

そんな奴が連れてくる店だ、ろくなものではない――と思いきや
意外とオサレな酒場だった。

>「んー……、おお、ゲッツ君じゃないかね。
 最後に来たのは……、ああ、開店祝いの時以来か。
 いやはや、ローファンタジアが崩壊したと聞いて心配していたが、元気そうで何よりだ。
 そちらの――お嬢さ、いや……君は初めて見るようだが、ゲッツ君の友達かね?」

こいつ、転移魔法か何かかいきなり現れた上にオレが人間じゃない事に感づいた! 只者じゃないぜ!
確かに潜伏場所としては申し分ないのかもしれない。

「ああ、ゲッツ君のマブダチにしてローファンタジアで名をはせたトップアイドル、フォルテ・スタッカートさ!
あなたが店主? へー、センスいいじゃん! ……ぎゃぁああああああああああああああああ!! アンタら何やってんだ!?」

ゲッツと殺し合いをしながら穏やかに笑って手を握ってくる店主。

「いやいやいや、呑気に握手してる場合じゃないから!」

ゲッツもゲッツだ、いつの間にか着席してるし。

>「……さて、このオッサン、半端ねぇドSだが飯と酒と戦いだけは上手いぜ。
 街に出るならここで飯ちょいと食ってから行こうぜ。
 ッツーわけでボルツのオッサン、寝床二人分用意しといてくれや。あとこいつにミントフラッペな」
>「ふふ、久々に会ったが実力には磨きがかかっているようで良かった。
 寝床とミントフラッペ、あと多少の軽食を用意しておく。
 何か用があってきているだろうが、せっかくの祭だ。積もる話は夜にしようか」

「あんまりオレに叫ばせんなよこのアホ師弟! 声が枯れたらどうしてくれる!」

目の前に置かれたグラスを取って一口。

「……ん?」

喉から鼻に抜ける爽やかな香り。甘すぎずアルコールがきつすぎない絶妙な配合。
有体に言えば美味しい。続いてサンドイッチを一切れつまみあげる。
たっぷりのタマゴと新鮮そうな野菜がはさまっている。試しに一口。

「うわあ、タマゴふわっふわ。うん、うん。いいんじゃない?」

サンドイッチにパクつきながらゲッツの方を見ると、酒ばかり飲んでいる。
278フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/11/05(月) 00:20:08.69 ID:BPUFkD+b
「美味しいぞ、食べて見ろよ! な、なんだよ……!」

ゲッツがやたら真剣な表情で見つめてきた。
竜種独特の強く収縮する瞳孔――心の奥まで見透かすような射抜くような視線。
これは……好きになってしまいました付き合って下さいとか言い出すのか!?
すまないゲッツ、勢いで女装なんてしたのがいけなかった!

>「そういや、ノリでここまで引っ張ってきたが、このまま俺と旅していいのかお前。
 俺は俺の矜持と趣味の為に闘うって決めてるが、お前さんは別に戦わなくてもいいわけだ。
 エスペラントとアサキムにも聞いたが、お前には戦う理由ってやつ、あんのかね?って思ってよォ」

予測は見事に外れたのであった。ああ、良かった―― 一瞬本気で焦ったぁ!
ってちょっと待て。ここまで運搬してきたくせに今更!? なんて奴だ!
オレはニヤリと笑って言い放つ。

「オレは戦う理由は無いなぁ。戦うのはお前だから」

堂々たる非戦闘員お荷物宣言。我ながら酷いがどう見ても非戦闘員に向かって戦う理由を聞く方も聞く方である。
立ち上がって歩きながら芝居がかった動作で語る。

「オレには夢があるっていったろ? この世界に神曲を送り出す事――それには題材《テーマ》が必要だ。
最高のテーマに出会ってしまったんだよ。誰も見た事の無い伝説……世界に二つとない唯一無二のテーマにな!」

ゲッツの方をちらっと見る。
ここまで言ったら分かるだろ? 駄目? 最後まで言わないと駄目?

「ああもう面倒臭い奴だなあ!
頼むよ、この世に自分が居たって証拠を残させてくれ。その代わり……」

ゲッツの肩を掴んでこっちを向かせて言う。

「オレがお前を、伝説の勇者にしてやるよ!! そのためなら、戦ってもいい――!」

言わせんな恥ずかしい!
芝居がかったくっさい台詞なんていつも平気で言えるはずなのに、何故か脈拍が上がり過ぎて死にそうだ。
それは何の虚飾もない本心だからだろうか。助けて。誰か助けて。
そう思っていると、アサキム導師が入ってきた。

「見つけたぞ、さあ行こうか」

「導師様といえど邪魔をするのは無粋というものだよ」

ボルツさんが導師様の前に立ちはだかる。

「知り合いなのか!? 丁度いい足止め頼んだ! 逃げるぜゲッツ!」

ゲッツの手を引っ張って外に駆け出す。
279リンセル ◆Ac3b/UD/sw :2012/11/05(月) 02:05:23.78 ID:zzk8Gj1p
翡翠通りでを売っていたリンセルは、すぐに籠の中の商品を減らしてゆく。
セレモニー目当ての大勢が買って行くので、名物の売れ行きも上々なのだ。

「お買い上げ、ありがとうございましたーっ!」

(ふっふっふ、観光気分で訪れる愚民どもめ……)
(セレモニーの期間中、私に搾取されているとも知らず、良い気なものよ)
(今、銅貨10枚で売ってるトリス・ブレッドは普段の価格が銅貨8枚。そして原価に至っては銅貨4枚!)
(つまりは、あんたたちは私に銅貨2枚もボラれているってわけ)
(このコツコツと貯めた資金で、いずれ私は世界を征す! パンで!)

売りものが残り少なくなった所で、リンセルは商区に店を構えたパン屋・ロルサンジュに戻ろうとした。
大通りの賑わいと売れ行きから、店に到着する頃には籠の中のパンも完売するだろうと計算して。
しかし、その計算は風のように雑踏を抜ける影によって覆される。

「あ、そちらのカップルさん? パンは如何です……きゃあっ!」

手を取り合って駆けるフォルテとゲッツが、通りを駆けてゆく。
彼らを呼び止めようとしたリンセルは、手に軽い衝撃を感じた。
ひらひらとしたフォルテの服が雑踏を走る中で不規則に躍り、パンの入った籠を絡め取っていったのだ。

「バスケットが……消えた!?」

リンセルは慌てて周囲を見回すが、さっきの全速力で駆けてゆく二人組の姿はすでに無い。

「まさか、さっきの二人組は……スリ……。
 そう言えば、聞いたことがある……。
 スリは二人一組で一方が注意を引き付け、もう一方が死角から物を掠め取るって」

呆然としていたリンセルも、しばらくすると冷静さを取り戻した。

「このまま泣き寝入りは出来ないし、聖堂騎士団に通報しなくちゃ」
280リンセル ◆Ac3b/UD/sw :2012/11/05(月) 02:18:00.58 ID:zzk8Gj1p
>>279
翡翠通りでパンを売っていたリンセルは、すぐに籠の中の商品を減らしてゆく。

〜かくかくしかじか、以下略〜

【一行目で“パン”の単語が消えてたぁぁっ】
281アサキム  ◆JryQG.Os1Y :2012/11/05(月) 18:25:44.25 ID:hjN1KVuy
>>278
「いや、事情がありまして、彼奴より先に、捕らえないと。」
「だからといって、俺はゲッツの元上司通すわけにはry」
ドォォォォォン
二人の目に映ったのは、クレーターパンチをもろにくらい、
吹っ飛んでいる、ゲッツとフォルテ。
そして、最高の笑みを見せるアヤカであった。
「お分かり頂けましたか?遅いですけど。」
「ああ。二人を頼むぞ。」
急いで、二人の落下地点に向かう。
282ゲッツ ◇DRA//yczyE:2012/11/05(月) 23:34:12.41 ID:zzk8Gj1p
ゲッツは、相手に問う。
そして、その問いに真摯に答えようとしてくれている時点で、こいつはやはり信用できる、と理解した。
アブサンを口に流し込みながら、僅かに口角を吊り上げ犬歯をむき出しにして、笑う。

>「オレには夢があるっていったろ? この世界に神曲を送り出す事――それには題材《テーマ》が必要だ。
>最高のテーマに出会ってしまったんだよ。誰も見た事の無い伝説……世界に二つとない唯一無二のテーマにな!」

(――ったく、似てやがる。 伝説を作るのと、伝説になりたい奴。ま、出会っちまったんだ、しゃーなしだな)

喉を震わせて、低音の笑い声を響かせるゲッツ。
その表情は、平時の狂笑や、暴力感溢れる高笑いではなく、本当に普通の笑いだ。
何かとても、嬉しいことがあったような、幸せな笑い。

>「ああもう面倒臭い奴だなあ!
>頼むよ、この世に自分が居たって証拠を残させてくれ。その代わり……」

相手の言葉を、みなまで聞きたかった。
竜人は、闘うこと以外存在しない。相手のように素晴らしい歌を歌うことも出来ない、言葉だって直接的なことばかりが流れ出る。
その戦いだって、まだまだこの世界では上の存在などそれこそ無数に存在しているのだから。
だが、それでも竜人は戦いから身を引こうとは思わない。きっと、フォルテが歌を歌うのも、同じように、魂の叫びが体を動かしているからだと思う。

>「オレがお前を、伝説の勇者にしてやるよ!! そのためなら、戦ってもいい――!」

「っはッ……! ヒヒャハハハ――! いいぜ、そういう熱い言葉は大好きだァ! 上等だぜェ! フォルテ!
 テメェの命はオレが守る! テメェと一緒にオレは拳も! 剣もッ! 炎もォ! 鋼もッ! 振るおうじゃねェか!
 だからお前は、オレの姿を力を歴史に刻め! オレを謳うテメェの名前と一緒によ、面白おかしくこの世界に爪痕を残していこうじゃねェか!」

竜人は、飾り気のある美しい言葉も嫌いではないが、今のフォルテが口にしたような、心をむき出しにしたような言葉を何よりも好む。
嘘のない、混じりけの無い言葉こそが何よりも心を打ち、魂に灯火をつけるのだ。
哄笑を響かせ、一息にアブサンを飲み干し立ち上がるゲッツ。それと同時に、アサキムがこの店に現れた。

>「見つけたぞ、さあ行こうか」
>「導師様といえど邪魔をするのは無粋というものだよ」

立ちはだかるボルツ、この世界に置いても最強クラスに数えられるであろうアサキムを足止めしようと考え、それを実行に移せる時点で、この男も相当非常識だ。
少なくとも、あのアサキム相手に数秒以上の均衡状態を作り出すことが出来た時点で偉業といっても良い。
動き出すフォルテ、それを見てゲッツもまた歩みを進め出す。強く地面を蹴り、加速を産み。金髪は風に流れて赤と金の混じる軌跡を作る。

>「知り合いなのか!? 丁度いい足止め頼んだ! 逃げるぜゲッツ!」

「ヒャハッ! 任せたぜ、ボルツのおっさんよォ!
 っしゃ、逝くぜ、行くぞ、突っ走るぜぁ!」

ゲッツは、フォルテが己の手を取った瞬間、わしづかみにして引き上げて肩に担ぎ上げる。
フォルテを運送するのが日常茶飯事になりつつ有るが、こちらの方が早いのだからしかたがないだろう。
狭い裏路地では翼を広げて飛翔することが困難であるため、加速を得て最速で飛ぶ為に大通りを目指していく、が。

>「あ、そちらのカップルさん? パンは如何です……きゃあっ!」

「カップルじゃねーってのォ! って、悪ィ!」

駆け抜け路地を飛び出した時点で、リンセルと接触。
フォルテの服にバスケットを引っ掛けてしまうものの、今は足を止めている余裕などはなかった。
開けた空間に出たその瞬間、地面を蹴り飛ばし、飛翔しようとする。
だがしかし、その瞬間に衝撃がフォルテを担ぐゲッツに襲いかかった。
視界が揺れ、衝撃に骨が軋み、脳裏に星がちらつく。ローファンタジアの崩壊時点であれば、ここで既に斃されていてもおかしくはない。
だがそれでもフォルテを庇いながら立っていたのは、ゲッツが戦いの中で成長していた故だろう。

>「お分かり頂けましたか?遅いですけど。」
>「ああ。二人を頼むぞ。」
283ゲッツ ◇DRA//yczyE:2012/11/05(月) 23:35:22.63 ID:zzk8Gj1p

「だァれが、お分かり頂けたってェ?
 この通り、ひょろひょろ吟遊詩人は別として、最強のイケメン戦士様は見ての通りピンピンだぜこの野郎ァ!」

犬歯をむき出しにしながら、高笑いを響かせるゲッツ。
その気配は、アイン・ソフ・オウルの圧力とは異なる性質の、黒い性質を持った圧。
他の竜人種に比べて血が濃い<Qッツは、並の竜人よりも遥かにタフで、遥かに再生能力に長ける。
血まみれになり、骨に罅が入ろうと笑い続けていられるのは、その肉体と戦士の誇りが無ければありえなかっただろう。

「やれやれ、相変わらず無茶をするね、ゲッツ君。
 まあいい、流石にかの導師アサキム殿と、その相棒のアヤカ殿二人を相手に攻勢に出るのは無謀というものだが。
 15分、そこまでならこれ以上彼らを先に進ませぬ事を確約しよう。……老兵だが、まだ剣も心も錆び付いてはおらん」

いつの間にか、アサキムとアヤカ、フォルテとゲッツの間に割りこむように存在していたボルツ。
最初からそこにいたかのような自然さは返って不自然と言うに他ならない現象だろう。
そしてまた、唐突に老勇者の両手には、ミスリル銀で出来た剣の柄が握られている。
一瞬魔力が弾け、風の魔力で形成された不可視の刃が二本生成。そして、手袋から銃口が飛び出し、火炎弾を数十発一息で発射。
目潰しとして相手に着弾する直前に炸裂させ、視界の全てを爆風で覆い隠す。

「ゲッツ君の師匠として、本当の全方位殲滅師の戦い方というものを披露しようか。
 剣を握るのは――半年……いや、済まなかった昨日振っていたばかりだったな。
 さっさと逃げたまえよ、そこのやんちゃ坊主達は」

ぐっと静かにボルツはサムズアップ。
ゲッツもまたサムズアップをして、鋼の翼を広げて天空に舞い上がる。
フォルテの服に引っかかったバスケットがひっくり返り、スラム街にパンの雨を降り注がせた。
飢えた子どもたちにも、この日の祭のお裾分けだ。

銀と金、赤の竜人は吟遊詩人を拉致するような姿で、大聖堂の方向へと飛翔していく。
楽しそうに哄笑を上げ、縦横無尽に空をかける姿は、なるほど、やんちゃ坊主と言う他なかっただろう。

「さーって、どうせあとちょっとの逃避行だ!
 どうせならここで一番高い所行ってやろうじゃねぇか、なぁ!?」

そう叫ぶと、フォルテを肩車して、高く高く飛ぶ。
目指すは、大聖堂の時計塔。風を切り飛翔するゲッツは、謎の魔力の壁のようなものも気にせず粉砕し、時計塔の窓から中へと入り込んでしまった。

「ヒャッハァーっ!到着ってかァ!?」

時計塔最上部、なにもない殺風景な部屋の中は騒然としていた。
――なんと、その部屋の中に、ドナルド達と戦闘した時に現れた神官と同じ格好をした人々が十数人居たのである。
彼らの格好は、白いローブに鏡の仮面、そして胸元には三神教団のロザリオ。
彼らはそれぞれの武器を構え、フォルテとゲッツに対して敵対心を見事に顕としているのだった。

「何者だ貴様!」
「くッ、もしや我々の計画を――!?」
「殺せ、扉を固めろ、さっさと潰せ!」
「これも我らが神の試練か……、だが、真なる神の教えは我らとともに有り!」

「「「「「「「「「「「「我ら、真なる神の教えと共に生きるものである!」」」」」」」」」」」」

武器を構え、今にも襲いかかりそうな神官達を前に、ゲッツはフォルテを下ろして、笑う。

「なーなー、これも伝説に刻んでおいてくれるかァ?
 っても、こんな雑魚連中なら対して面白くもねぇか! ギャヒャハハッハハハハハ!」

鋼の腕を武器に変えて、相手達を挑発するようなセリフを吐き出すこの竜人。
だが、警戒と敵意を一人に集中させることで、フォルテに対するマークを逸らす戦略でもあった。
――どうにも、このセレモニー。予想通りにきな臭いことになっているようだ。
284エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2012/11/06(火) 01:32:33.23 ID:3jAN9z/1
とある喫茶店で待っていたのだが約束の時刻になっても
広域補助機関の構成員は出てくる様子も無く、連絡も無い
情報網ではこのエヴァンジェルでは不穏な動きがあるという事を聞いたので
その詳しい話を聞くべく来たのだか

「(まさかとは思うが…)」

最悪の可能性が頭を過ぎったその時、今まで同行していた大人しかった淫夢君が急に走り出して
他の客の出入りと共に空いた扉を抜け出て外に出てしまう
突然の出来事だったものの、すぐに反応して淫夢君を追いかけるべく暫く走り回っていると

>「このまま泣き寝入りは出来ないし、聖堂騎士団に通報しなくちゃ」

ようやく追いついた時には一人のパン売りの少女の足元で一部始終を見ていたようで哀れだと思ったのか
その愛らしい外見を利用してまるでマスコットキャラクターのように客寄せをしているように見えて、人が集まっているようであった。
中には淫夢君に餌をやるためにパンを上げているようでおいしそうに食べている

「ふう、仕方ない」

淫夢君に餌を上げようとしている連中も増えてきて完全に売り切れる前を見計らい
エスペラントが近づくと素早く肩の上まで上ってくる。

「すまない迷惑をかけたな、迷惑料だ受け取ってくれ」

とりあえず行動する上で金銭面での援助はほぼ無制限に近いため
残り一つを金貨一枚を渡してパンを買うと内心もう来ているだろうかと
思いつつも喫茶店に戻るように立ち去り、その後姿からひょっこりと淫夢君は少女の方を向いて
バイバイ、と挨拶するように手を振っていた
285アサキム ◆JryQG.Os1Y :2012/11/06(火) 10:51:25.27 ID:CB9eEOAl
「ゲッツすご。」
アヤカの本気のパンチを食らって生きてるとか。
「ったく、少しまずそうだな。」
>>「本当の全方位魔術師の戦いというのを見せてやろうか。」
「上等。、アヤカそこにry」
いない。またか
「ビャク、手段は問わないから大至急二人をを追ってくれ、さもないと」
「二人の命が俺の嫁に狩られる。」
とりあえず、通信機で伝える。
「さて、ケンカを売られた身だ、買うのが妥当だな。」
仙気を解放し、ラクネルを持つ。
286リンセル ◆Ac3b/UD/sw :2012/11/07(水) 00:37:10.74 ID:esKWxHpX
リンセルが大通りを歩いてパン屋の前まで辿り着くと、何処からか狐とも猫ともつかない生き物が足元に寄って来た。

「あなた、狐? 猫? 栗鼠猿? 見た事ない生き物ねー?」

しゃがみ込んで訪ねても、言葉を持たぬ獣から返事が返って来る筈もない。
謎の小動物は小首を傾げる仕草をすると、くるくると飛び回ったり、跳ね回ったりを始めた。
道行く通行人も思わず足を止め、この珍奇な獣が踊る様を見入る。
無論、リンセルは人が集まって来た絶好の機会を逃さない。
ロルサンジュの中に入り、幾つかのパンを籠に詰めると商売に勤しむ。

「古の詩人はかく語りき、涙と共にパンを食べた者にしか人生の味は分からない。
 そう、パンを食べずに人生は語れません! パンの美味しさが無ければ人生の半分くらいは損してます!
 ロルサンジュのパンも涙が出るほど美味しいですよ〜。
 お昼にパンはいかが〜。パンはいかがですか〜」

しばらくすると獣の飼い主らしき涼やかな感じの青年が現れ、跳ね踊る獣がスルスルと彼の肩に登ってゆく。

>「すまない迷惑をかけたな、迷惑料だ受け取ってくれ」

パンを求めた彼にトリスブレッドを手渡すと、黄金に輝きく貨幣が返って来る。

「あ、これエルデ金貨?」

レートの変動はあれど、エルデ金貨一枚は良質の銀貨にして二十枚分の価値。
混ぜ物の多い悪貨、ペラル銀貨一枚ですらパン一つと代えるにしては多過ぎる。
リンセルは喉元まで出かかった、多いですよという言葉をグッと堪え「ありがとうございましたっ」と笑顔を返す。
これで、さっき失った籠とパンの代金を差し引いても余りあるくらいの実入りを得た。

「でも、それはそれ、これはこれ」

リンセルは己の受けた被害を訴えるべく、元勇者と導士が衝突する通りを避け、東区の小聖堂へ向かった。
小聖堂とは街の東西南北にある施設で、大聖堂を使うまでもない小規模な礼拝を行い、その管理は常駐する司祭が行う。
内装は宗教的な厳かさを感じさせる装飾なのだが、どうにもこぢんまりとした印象は否めない。
今日、14才女子の不平不満を聞く相手は、皺だらけの顔に山羊のような白い髭を生やす老人。
長年三神教団で司祭を務め上げ、齢も百に届こうかというフェオン=ランギイル司祭だった。

「ですから! ならず者に狼藉を働かれたので、聖堂騎士団の出動をお願いしたいんですっ!」

「ほ、いやいや、その銀の燭台は彼に上げたものでしてな……」

このフェオン司祭、歳月を重ね過ぎた影響が体の各所に現れているせいで、リンセルとの話もなかなか噛み合わない。
それどころか、うつらうつらしながら過去の彼方の人物と話し始め、小聖堂には無為の時が過ぎて行く……。
287フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/11/10(土) 00:26:44.51 ID:ayoXoGtF
>「っはッ……! ヒヒャハハハ――! いいぜ、そういう熱い言葉は大好きだァ! 上等だぜェ! フォルテ!
 テメェの命はオレが守る! テメェと一緒にオレは拳も! 剣もッ! 炎もォ! 鋼もッ! 振るおうじゃねェか!
 だからお前は、オレの姿を力を歴史に刻め! オレを謳うテメェの名前と一緒によ、面白おかしくこの世界に爪痕を残していこうじゃねェか!」

「お前……分かってて言わせただろ」

なんだか一本取られた気がする。だけどとても幸せな気分だ。
いつの頃からだっただろうか、虚飾と戯言の中に本心を紛れ込ませるようになったのは。
本心を曝け出して傷付くのは怖い、だけど分かってほしいという矛盾。
でも、はっきりとか無意識的にかは分からないけど、こいつはきっと分かってくれていたんだ。

「だったら……お前の誇りはオレが守る! この歌で何度だって立ち上がらせてやる!
全部全部聞いてくれよ! 勇気の歌も希望の歌も歓喜の歌も絆の歌も……!
だからそんじょそこらの伝説と同じなんて駄目だぜぇ! 由緒正しき英雄譚の様式美ブチ破ってやろうじゃないか!!」

ゲッツの手を取った瞬間に担ぎ上げられる。うん、やっぱそうなるよな!
これぞ文字通りのお荷物。ナマモノにつき取扱い注意。
アヤカ導師のマジ攻撃を受けるも、ゲッツはオレを見事に庇い切った。
どこからとこなく現れたボルツ店長が立ちはだかる。
288フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/11/10(土) 00:27:54.42 ID:ayoXoGtF
>「さーって、どうせあとちょっとの逃避行だ!
 どうせならここで一番高い所行ってやろうじゃねぇか、なぁ!?」

「あははは! 馬鹿と煙は高い所が好きってかー!?」

なんで服にパンのかごがくっついてるんだろう。オレの服は鳥の巣か!
魔法障壁を突き破った! 時計塔に突入した! 怪しい集団と目が合った!

「あ、お邪魔しました。帰ろうかゲッツ」

>「「「「「「「「「「「「我ら、真なる神の教えと共に生きるものである!」」」」」」」」」」」」

しかし まわりこまれた! 戦闘が始まった!

「……だよなー!」

>「なーなー、これも伝説に刻んでおいてくれるかァ?
 っても、こんな雑魚連中なら対して面白くもねぇか! ギャヒャハハッハハハハハ!」

「ならいっそギャグパートにすればいいんじゃね!? 最高に楽しい歌でなあ!
万歳!聖なる女王様《Hail Holy Queen》!」

邪教の信徒にお見舞いするは讃美歌らしからぬノリノリな讃美歌。
ステップを踏みながらタンバリンを打ち鳴らす。
前半はカットでいきなり中盤の盛り上がるところからだ!

「たまらんかすり傷海老よ おお毬屋 泡擦り笊を塩ビだ おお毬屋
ジャイアントコーンinジャガビー(チェルシー) Singing風呂敷ジャガビー
ヘルメット大好きサンターアンダギー さーね さーね さーねレジーナ
あーれーるーやー!」

「むぅ…我々の理解の範疇を超えている! 新種の黒魔術か……!?」
「気にするな、どうせ出鱈目だ!」

「松子と待つレンタルランタン サッと散歩中ストップ犬っす
いいこれニーチェまたニーチェ サッと散歩中ストップ犬っす
あーれーるーやー!」

「はっ、何故私は手拍子をしているのだ……!?」
「釣られるなたわけ!!」
「そういう先輩は不思議な踊りを踊ってますよ!」

白ローブ達はいい感じにコントをし始めた! 蹴散らすには十分すぎる隙だ。
せっかく謎めいた邪教集団っぽくキメた服装が却ってシュールさを増幅し、ご愁傷様の限りである。
289ゲッツ ◇DRA//yczyE:2012/11/10(土) 23:51:58.61 ID:3YOV23Ni
ゲッツとフォルテの前には雲霞と立ち塞がる白装束。
皆ある程度以上の練度は有るようで、槍の穂先は振るえること無く突き付けられている。
が、しかし。超人共の戦いを見慣れてしまったゲッツもフォルテも、この現状に危機感を抱く事はない。

現に、今この状況ですら――

>「ならいっそギャグパートにすればいいんじゃね!? 最高に楽しい歌でなあ!
>万歳!聖なる女王様《Hail Holy Queen》!」

「ヒャハハハ! そりゃァいいぜェ!
 だったらオレはハートでヒートなビートを刻んでやるかァ!?
 まあ、ぶっ叩くのはドラムじゃなくて肉だけどなぁ!」

ゲラゲラゲラと下品な笑い声を響かせながら、ゲッツは物騒な事をさも楽しそうに語ってみせる。
勢い良く左腕を回し、息を深く吸って悠然と準備運動。

>「たまらんかすり傷海老よ おお毬屋 泡擦り笊を塩ビだ おお毬屋
>ジャイアントコーンinジャガビー(チェルシー) Singing風呂敷ジャガビー
>ヘルメット大好きサンターアンダギー さーね さーね さーねレジーナ
>あーれーるーやー!」

>「はっ、何故私は手拍子をしているのだ……!?」
>「釣られるなたわけ!!」
>「そういう先輩は不思議な踊りを踊ってますよ!」

目の前で踊る白ローブ達を見据え、拳を鳴らせば次第に白ローブ達にも恐怖の輪が広がっていく。
逃げ出そうにも踊らされ、目の前には今にも全滅させに掛かるような巨大な竜人。
正直言えば、ご愁傷さまだ。
支援職と前衛職の相性はやはり良いのである、現に今の状況がそうだ。

「――さーって、空中散歩と行こうかテメェらァ!」

床の石が砕け、ゲッツの姿が消える。
体こそ大きいが、かと言って速度が遅いわけではない。むしろ狩猟者としての肉体は高い機動性を持っている。
振りかぶる腕は、平手。

すっぱぁん!ととてもいい音を響かせて、窓ガラスを突き破って白ローブが吹き飛ばされた。
直後、人数分のスパンキング音とガラスが砕ける音と人が吹き飛ぶ音。
要するに、全力ケツドラムでいい音響かせながら白ローブ共を全員纏めて空の旅にご招待。
後は落下して蘇生を待つばかり、かと思ったのだが――。

>「ビャク、手段は問わないから大至急二人をを追ってくれ、さもないと」
>「二人の命が俺の嫁に狩られる。」

窓から吹き飛ばした白ローブがまた窓から戻って壁に叩きつけられてど根性ガエルである。
ついでにどういう事情か窓から入ってきたのはアサキムの嫁、アヤカ。
まるで使徒のように目を赤く光らせて口から白い煙を吐き出している。正直言えば白ローブなど目ではないくらいに恐ろしい光景がそこにあった。

「――――やっべ、やっべって、マジやべーって、何がヤベーって全部やべーって、どうするよヤベェよ」

言語中枢がただでさえ欠陥だらけだというのに更に言葉が崩壊していた。
逃げようにも窓の側にアヤカが居るため窓から逃げることは出来ない。
流石にそろそろ年貢の納めどきかもしれない。尚、新教皇のセレモニーは夜。後数時間だ。
290ゲッツ ◇DRA//yczyE:2012/11/10(土) 23:52:59.30 ID:3YOV23Ni
そして、所は変わってアサキム側。
ボルツとアサキムの戦いは凄まじい惨状と化していた。
流石に超人同士とは言えどレベル差は覆し難くボルツが劣勢。
スーツに乱れが生じ、ところどころから血が滲んでいた。

「厄介、だねぇ。
 なんでもあり、とはいやはや、実力が有れば何に特化しようとも意味が無いと言うことを如実に知らされるよ」

毒の魔力で出来た刀身を構えてボルツは苦笑を零す。
時計塔にゲッツ達が入ったのには気がついている。

「……さて、じゃれあいは終わりにしようか。
 エスペラント殿もアサキム殿もご婦人方も、後で私の店に来てくれるかね?
 ゲッツ君とフォルテ君は私が責任を以て捕獲してくると確約する。どうだい?」

若さ故の過ちは多いにするべきだというのがボルツの持論だ。
だからこそ、ゲッツとフォルテの考えの浅い、暴走行為の後押しをしていたのだが、この国にはとある事情がある。
少なくとも、真面目にエスペラントとアサキムという二人の超人を交えて何かの話し合いをしなければならない程度の。
ボルツの真面目な表情からは冗談の要素は無く、何らかの危機にこの都市もまた陥っている事が分かるだろうか。
291エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2012/11/11(日) 03:20:10.65 ID:yIZQrHZZ
そして先ほどの喫茶店に戻りながら、肩で大人しくしている淫夢君に声を掛ける

「どうして急に飛び出したりしたんだい?」

頭を優しく撫でながら問いかけるがやはり返事は来ない
まぁ仕方あるまいと思い、その行動に関しては追求しても答えは返ってこないのは明白なので
もしかしたらもう今頃には広域補助機関の構成員も来ているかも知れないと思いながら歩みを進めている矢先
持ち歩いているPDA型COMPに通信が来ている事に気づき覗いて見る

>「ビャク、手段は問わないから大至急二人をを追ってくれ、さもないと」
>「二人の命が俺の嫁に狩られる。」

エスペラント自身は通信用アドレス交換はした覚えは無いのだが
それにしても奴は以前言った事を忘れているのか

「仕事が入っているから構っている暇は無いと宴の席に言った筈なのだが…
正直に言えばこんな物は無視なのだがな」

修行に関する事は付き合えないと告げた以上は無視を決め込まれても攻められる謂れはまったく無い
酷な事を言えばこの程度で殺されるようじゃフォルテとゲッツはそれまでである
運が無かったと嘆くべきか、あるいはその程度を乗り越えられなければ此処で終わったほうが幸せなのかもしれない
白状と言われようがこちらのやるべき事を無視してでも協力せねばならないことではないという判断の元、
PDA型COMPの通信を切り、仕舞おうとするが

>「……さて、じゃれあいは終わりにしようか。
 エスペラント殿もアサキム殿もご婦人方も、後で私の店に来てくれるかね?
 ゲッツ君とフォルテ君は私が責任を以て捕獲してくると確約する。どうだい?」

切ろうとした時に見知らぬ男と思われる者からのそんな声が聞こえた
なぜ自身の事を知っているかは知らないが、その事には少しの警戒心に興味と関心がある
淫夢君もなにやらもぞもぞと身体を動かしている、まるでそんな事言わないで行こうよと言いたいように
ジェスチャーで示しているようにも見えたため、しばし如何するべきか思考すると

「……いいだろう、少ししたらそちらに行く
場所を教えてもらおうか?」

男に場所を教えてもらうと通信を切り先ほど回った区域に向かう
情報収集に回っていた静葉を呼び出すと
指定された場所にある宿屋をすぐに探し当てる
扉を開けて宿屋に入るのであった。
292リーフ@NPC ◆jIx.3BH8KE :2012/11/11(日) 06:12:02.69 ID:yQZYO45X
私はヤクザのような男に連行され、大聖堂の奥まった場所にある小部屋に連れ込まれました。
椅子にぐるぐる巻きに拘束されます。

「あのぅ……教団関係者なんですか?」

「大聖堂の中にヤクザの事務所があっても何ら不思議はないだろう。
この度新しく借りた事務所だ!! 文句あるか」

「不思議ありまくりですよそれ!
ところであなた……ガチなホモ略してガチホモですね!?
だったら私を連れてきても意味ないじゃないですか!」

「いい事に気付いたな……いかにも。女には露ほども興味は無い!
お前は奴らをおびき寄せるための囮だ!」

「庇い立てでも何でもなくそれはガチでやめた方がいいですよ!
一瞬でミンチにされてお終いですから!って何撮ってるんですか!?」

「式典中に大スクリーンにこの映像を流す!!
そうすれば奴らが慌てて助けに来ると言う寸法だ!
さあ泣きながら助けてと叫べ!」

「すいませーん、捕まっちゃいました〜。
皆さんの実力なら一瞬で終わると思うので空いた時間に助けに来ていただけると大変助かります」

カメラ目線で何とも間の抜けた救援要請を出すのでした。
“これは罠よ! 来たらいけない!”なんて言った方が盛り上がるのでしょうがただのホモヤクザより味方側の方が実力が明らかに上。
来たらいけない理由もありません。
293リンセル ◆Ac3b/UD/sw :2012/11/11(日) 09:03:14.67 ID:FlGb5i9Y
「それじゃ騎士さん、恐ろしい凶漢たちの捜索を宜しくお願いしますね。
 お金を払わずにパンを盗むなんて……決して許されざる大罪ですから!」

老司祭との長い交渉の末、パン屋の少女は聖堂騎士団から暇そうな人員を一人確保する事に成功した。
海の神の末裔とも呼ばれるスキュラ族で、名前はアリアード・レーシャル。
長くて艶やかな金色の髪に柔らかそうな薔薇の頬、常に夢見るような表情を浮かべる女である。

 名前:アリアード・レーシャル
 種族:スキュラ
 性別:女
 年齢:18
 技能:神聖魔術(ツルア派・水系統)、水棲、妖獣部位の自律行動
 外見:上半身は人間の乙女、下半身は犬の六頭を備えた獣
 装備:白い法衣、聖別された短剣、ロザリオ
 操作許可指定:誰でも可(おっとりしてるが、食欲が高じると下半身の獣が無意識に周囲の生物を襲って食べる)
 設定許可指定:誰でも可(聖堂騎士団所属)

アリアードは神官らしく銀刺繍の白衣で身を覆っているのだが、腰の部分から下は六頭もの犬の頭を生やす赤黒い獣。
スキュラ族は水陸に適応した妖獣種であり、本来はエルフのような亜人種に比べれば他種族とも友好的ではない。
しかし、この聖なる都ではこのような妖獣でも、神への信仰と法を尊重する心があれば居住を許されるのだ。

「そろそろ、午後の仕事が始まっちゃう……。
 あの、二つか三つの店を回る程度で終わると思うので、騎士さんも付いて来てくれませんか?」

「はぁあい、いいですよぉ。
 お仕事が終わるまではぁ、後ろで巡回警備してますねぇ」

リンセルが働くパン屋は付近の飲食店、特に自前の窯を持っていない店などにパンを卸す。
得意先を定期的に周り、在庫の減り具合に応じてパンの配達を行うのだ。
主にサンドイッチ用のパンやロールパンが主力商品で、ボルツの経営するウ・ボイもお得意様の一つ。
しばらくすると、背後に威圧感のある妖獣を引き連れたリンセルが酒場の戸を潜り、店内へと入って来る。
真っ直ぐにカウンターへ近づいたリンセルは、グラスを磨いているボルツに軽く会釈。

「こんにちは、スティルヴァイさん。パンの注文はありませんか?」

「ロルサンジュのお嬢さん、いつも閑古鳥を鳴かせるウ・ボイへの御足労、有り難く思う。
 とは言え、祝祭の期間ともなれば多少なりだが客は増える。
 特別食べそうな客も何人か入りそうなので、もう少しパンを頼めるかな?
 プルマンブレッド、クロワッサンを中心にライ麦や五穀のブレッドも多めに欲しい」

「分かりました。それでは後ほどお届けいたしますね」

パンの注文を受ければウ・ボイとの商談も終わりなのだが、リンセルは踵を返す前に店内の様子をそっと眺めてみる。
ボルツの言う通り、確かに普段と比べれば客足も多いようだ。
294アサキム ◆JryQG.Os1Y :2012/11/11(日) 16:50:47.19 ID:p0MJeRtS
「ああ、仮にもテイルの子なんだから。復活して、スーパーノヴァ食らっても知らんよ。」
【ビャクの、モバイルの連絡を知ってるのは、アサキムだから。】
>>「ゲッツとフォルテ君は私が責任を持って、捕獲してくる。」
「その言葉を聞いて安心しました。」
アサキムもなかなかダメージを受けていた。
「さて、アヤカは。」
千里眼で、探すと。
「あー、これやばいな。」
完全に、アヤカが暴走モードに入っている。
「めんどくさいな。」
アヤカの元に魔法陣を形成し、そのまま、アサキムの元に転送させる。
295アサキム ◆JryQG.Os1Y :2012/11/11(日) 16:55:29.21 ID:p0MJeRtS
送られてきた、アヤカは完全にノックアウトされていた。
「はぁ、転送魔法の、一番古いのだからな。負担も大きい。」
でも、アヤカは仙人、どれだけもつかわからない。
「ううん」
(マジカよ。)
起きてしまった。
「あれ、私。」
「捕獲が目的だからな。ミンチにしようとしているところを止めさせてもらった。」
アヤカは、名残惜しそうな顔をしながらしょうがなさそうにアサキムについてきた。
296フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/11/11(日) 17:01:21.59 ID:9ZxXSd5e
歌とケツドラムで盛り上がっていたのも束の間。
使徒襲来、そんな素敵ワードがオレの脳裏によぎった!

>「――――やっべ、やっべって、マジやべーって、何がヤベーって全部やべーって、どうするよヤベェよ」

「よし! オレに任せろ!」

光速の速さでその場に正座し、額を床につける。
遥か東方の島国に伝わる究極奥義、DO☆GE☆ZAである!

「申し訳ありませんでしたー!」

「いや、許さんし」

「全然駄目じゃねェか! どーすんだよ!」

「ごめん、万策尽きた!」

顔を上げると、目の前にボルツ店長の後姿があった。
そしてアヤカ導師の鉄拳を受け止める――かと思いきや、アヤカ導師は忽然と姿を消した。
店長ったらバ○ルーラでも使った!?

「て、てんちょおおおおお! 助かった!」

「鬼ごっこの時間はお終いだ、帰ろうか」

あっという間に魔法のロープのようなもので簀巻きにされて連行される。

「あれ? あれー?」

なんだよ店長、あっち側に取り込まれちゃったのかよ!
297ゲッツ ◇DRA//yczyE:2012/11/11(日) 21:51:09.25 ID:3c2Su06W
なんだかんだ有って、アサキムはアヤカを回収し、ゲッツとフォルテは神出鬼没の宿屋店主ボルツの手で捕縛されてしまう。
結局、簀巻きにされてフォルテとゲッツは店の端に転がされることとなった。
尚、ゲッツには腹パンとローキックのおまけ付きだが挨拶である。

>「分かりました。それでは後ほどお届けいたしますね」

「ああ、そうだ。ロルサンジュのお嬢さん。
 あそこに君のパンを奪った犯人が居るのだが、済まないが私の古い馴染みとその友人でね。
 話を聞く所によると追われている途中で服のフリルに引っ掛けてしまったようだ。
 ……というわけで、今回の支払いには少し色を付けさせてもらいたいのだが、いいかね?」

リンセルに対して、店の端でボロ雑巾にされている二人を指さして、犯人だと示した。
その上で、一応制裁は加えた事を口にしつつ、支払いに色をつけることでこの事件を示談で済ませようとしているようだ。
余り褒められた行いではないが、大人は汚い。支払おうとチラつかせる硬貨は、籠の分を合わせても有り余る程度には高い値段であった。

そして、エスペラント、静葉、アサキム、アヤカが店にたどり着くと、テーブル席を勧める。
ゲッツとフォルテも椅子にしばりつけて逃げないようにしている辺り、ボルツも鬼畜に見える。
が、その内心としてはここで対策を取っているスタンスを見せることで他の者からの風当たりを弱くする狙いがあった。
ぱちりと意味有り気にフォルテとゲッツに目配せをしてからウィンクを忘れない。

ことり、と皆の席に紅茶を置いてから菓子をサーブする。
全体に茶と菓子が行き渡ったのを確認すると、先程の戦闘など感じさせない元の格好に戻ったボルツもまた席につく。

「……さて、と。アサキム殿は知っておられるようだが、ゲッツ君の元上司のボルツ・ステルヴァイと言う者だ、よろしく頼むよ?」

ゲッツの上司という事は、元傭兵という事だが、粗暴な様子を見せることはない。
友好的な笑顔で、先程戦闘していたアサキム達や、話しかけたばかりのエスペラントと握手をかわしていく。
その手は固く鍛えられたもので、なるほど歴戦の戦士であると思わせる存在感の有る手だった。

「これでも、私は一応元勇者な訳でね、そこそこ世界情勢にもアンテナを張っているのだが。
 ローファンタジア崩壊以降、各地で黒い宝石が原因と見られる事件が多発していてね。
 この都市もまた、例外ではない。黒い宝石から魔物が生まれたり、結界が侵食されたりダンジョンが作られたり、結構色々なことが起こっているんだ」

情報を集めていたであろうエスペラント等は知っていることだろう。
この都市にも、幾つかの災厄の種は落ち、それらが事件を引き起こしていたのだ。
だがしかし、都市内に混乱が生じている様子が無い。それには間違いなく理由がある。

「それらの事件を解決し、黒い宝石を回収しているのが、次期教皇の派閥、真裏派[しんりは]なんだ。
 民衆の不安を払拭してくれたのはいいのだが、色々と背後関係が不透明でね。
 宝石も教皇の私兵が回収して、行き場が分からなくなってしまっているのだよ。
 ……色々ときな臭い気配がしてね、恐らく彼らの気配などから察するに、今日の夜のセレモニーで、何かが起こると思う。
 君たちには、それらについて強く警戒しておいて欲しいと思ってこうして話をさせてもらった。
 故郷に帰れない私は、ここに骨を埋めるつもりでね。どうか、君たちにこの都市を守ってもらいたい、そう思うんだ」

口髭を整え、片目を眇めて真っ直ぐ皆を見据えるボルツ。
ゲッツはといえば、かつて苦楽を共にした仲間の言葉に、沈黙を保っている。
そして、僅かな間を置いて、ゲッツは超人二人とその相方二人に向き直る。

「――あーっと、なんだ。逃げたのはマジで済まんかった。
 リーフが悪ノリで薬盛ったのも、一応オレの方から後で焼き入れとくから許してやってほしい。
 んで持って、更に迷惑掛けることになるんだが――、ボルツのおっさんに頼まれたんでな。
 オレはとりあえずこの街のきな臭い所吹っ飛ばすまではここにいようと思う。
 あんたらが残るか残らんかはあんたらの自由なんだが――、お前らだって黒い宝石回収するのが目的だろ?
 宿屋ならボルツに頼めば只で泊まらせてくれると思うし、今日の夜まで修行とかお預けにしてくれれば良いんだが……どうだ?」

珍しく、このゲッツが頭を下げた。
師であるボルツの頼みに、仁義を重んじるゲッツは断る理由を持ち合わせていない。
だからこそ、今後どんな厳しい修行が来ようともやる事を確約しつつ、助勢を頼み込むことにしたのである。
298アサキム ◆JryQG.Os1Y :2012/11/11(日) 23:21:10.97 ID:p0MJeRtS
「ああ、宜しく。」
改めて挨拶をする。
「ところで、アサキム。」
「あっ?」
「何で、ボルツさんのこと知ってんの?」
「ああ、それは。偶々、」
「ふうん」
【言えない、勇者名簿に偶々載ってたからとか言えない】
>>「それらの事件を解決してるのが、次期法皇の派閥の真理派だ」
「真理派ねぇ。」
聞いたこともないとか思い資料持ってくればよかった。そう思った。
「まっ、こっちこそ悪かったな。別に、逃げたのは怒ってないんだ。だけど」
「薬盛るのってねぇ。やりすぎだとは思わないかい?」
アサキムの顔にステンドガラスのような模様がでる。
【この模様はめったにでず、かなりキレている証。】
「アサキム?顔ステンドガラス出てる」
「あっ。」
あわてて冷静になり。ステンドガラス模様を引っ込める。
299リンセル ◆Ac3b/UD/sw :2012/11/12(月) 21:57:42.47 ID:0XHS8YZQ
>「ああ、そうだ。ロルサンジュのお嬢さん。
> あそこに君のパンを奪った犯人が居るのだが、済まないが私の古い馴染みとその友人でね。
> 話を聞く所によると追われている途中で服のフリルに引っ掛けてしまったようだ。
> ……というわけで、今回の支払いには少し色を付けさせてもらいたいのだが、いいかね?」

「はい、もちろんです。
 こちらこそ、そのような経緯があったとは露知らず。
 うっかり、聖堂騎士団にまで話を持っていってしまいました」

ウ・ボイのマスターから示談を持ちかけられたリンセルは、あっさりと提案を呑んだ。
彼がお得意様である事に加えて、いつもの数倍の支払いを提示されたからである。
この街で、ボルツがある程度知られている事も幸いした。
少なくとも、この街で暮らすなら無意味に敵対して得となる人物では無い。

「えぇっとぉ、私の出番、これで終わり?」

「はい、思ったより早く解決いたしましたので。
 街中を色々探すかな、と思いましたが早期解決でしたね」

「そぉ……犯人探ししてる振りして、いろいろ食べたかったなぁ」

リンセルの背後に控えていたスキュラが不満そうな声を上げた。
上半身の少女部分は、青色の瞳で縛られたゲッツとフォルテを見つめ。
下半身の獣たちは、全てが涎を垂らしながらエスペラントの連れている小動物を凝視している。

「それでは、お忙しいようですので私はこれで失礼しますね。
 トリス・エヴァンジェル」

パン屋の少女は挨拶の言葉を述べると、聖堂騎士を引き連れてウ・ボイを去った。
別れ際の言葉は日常的な挨拶で、貴方にも神の恵みがありますように……程度の意味である。
300エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2012/11/13(火) 03:10:32.53 ID:T/5tWS5/
店に入り、周囲を素早く眺めるとなんと先ほどのパン売りの少女がいる事に気づく
簀巻きにされて転がっている二人は一瞥しただけで、すぐに目の前の男に視線を移す
やはり二人を捕まえられるほどの実力はあると見て間違いないだろうと内心相応の実力者である事に
気づきながら

>「……さて、と。アサキム殿は知っておられるようだが、ゲッツ君の元上司のボルツ・ステルヴァイと言う者だ、よろしく頼むよ?」

元上司と名乗る笑顔のボルツに対して此方も既に新しい仮面を被っているため表情は見えないものの
こちらも少しは表情を和らげて握手をするために相手の差し出した手と握手する時点で
思っていたことが確信に変わるがそれでも口にはしない。

「何処で私を知ったかは今更は聞かん、それで用件を聞こうじゃないか」

全員集まったところで手早く自分と静葉を呼んだ事に関する本題を切り込む。

>「これでも、私は一応元勇者な訳でね、そこそこ世界情勢にもアンテナを張っているのだが。
 ローファンタジア崩壊以降、各地で黒い宝石が原因と見られる事件が多発していてね。
 この都市もまた、例外ではない。黒い宝石から魔物が生まれたり、結界が侵食されたりダンジョンが作られたり、結構色々なことが起こっているんだ」

ボルツという男はこの世界に置けるかつての世界における自浄存在―つまりは世界の危機を乗り越えようとするこの世界に置ける防衛機構
勇者であったようだ。そしてどうやらいろいろなコネやら伝手はあるらしく我々の知りうる情報を彼も知っているという事だ。
この時点でもやはりこの男は只者では無い、なんせ普通では緘口令に近い状態で出来る限りその性質から情報が広まる事が大変な事態を引き起こすからだ
それを知っているという時点で特別な情報源か悪用している者以外はほぼ知り得ないのだから。

>「それらの事件を解決し、黒い宝石を回収しているのが、次期教皇の派閥、真裏派[しんりは]なんだ。
 民衆の不安を払拭してくれたのはいいのだが、色々と背後関係が不透明でね。
 宝石も教皇の私兵が回収して、行き場が分からなくなってしまっているのだよ。
 ……色々ときな臭い気配がしてね、恐らく彼らの気配などから察するに、今日の夜のセレモニーで、何かが起こると思う。
 君たちには、それらについて強く警戒しておいて欲しいと思ってこうして話をさせてもらった。
 故郷に帰れない私は、ここに骨を埋めるつもりでね。どうか、君たちにこの都市を守ってもらいたい、そう思うんだ」

そして此処からが自分達を呼んだ主な理由である、教皇の派閥、真裏派――
この都市にてやはりきな臭い気配と動きをしているという事、この男は此処を自身の生涯を全うするつもりであり
守って欲しいという事を頼んでくる。
正直に言えばそれはと管轄外として切り捨てる事も可能である範囲の願いではあるものの
しかし、多世界に飛び散る脅威に繋がる情報がある以上は無視もできない
それ以前に個人の感情として、もしも最悪の事が起これば此処にいるパン売りの少女の命が失われることになる
そんな事を断じて許すわけにはいかない

「私は無神論者で正直に言えば宗教は嫌いな方でね、翻弄される弱者がいる以上は私には場合によっては打倒すべき存在だ
宗教派閥がどうなろうが知った事では無いし、興味もない…がやはり一部のそういった連中のせいで被害を被る
何の罪も無い者たちを見捨てる事は性分的に出来ないんでね、この都市が絶対に無事これからも平穏になるという保障はできん
だがやれる事は協力すると約束しよう」

彼は女神転生的に言えば属性はライト・ニュートラルに近い立ち位置に近い
だが秩序を人に必要以上には押し付ける考えは良しとしないしむしろそれは誰よりも嫌っている存在だ
故に比較的に異教に関しては寛容ならば文句は言いはしないし、力を持って改宗を強いる連中には何処までも容赦が無い
これが聖堂関係者からの依頼ならば、場合によって一蹴するものの
あくまでも関係が無く、弱者が必然的に関わるのならば断る訳もなく
自身の主の命には従う静葉も肯定の意思を示す。
301エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2012/11/13(火) 03:31:41.65 ID:T/5tWS5/
>「――あーっと、なんだ。逃げたのはマジで済まんかった。
 リーフが悪ノリで薬盛ったのも、一応オレの方から後で焼き入れとくから許してやってほしい。
 んで持って、更に迷惑掛けることになるんだが――、ボルツのおっさんに頼まれたんでな。
 オレはとりあえずこの街のきな臭い所吹っ飛ばすまではここにいようと思う。
 あんたらが残るか残らんかはあんたらの自由なんだが――、お前らだって黒い宝石回収するのが目的だろ?
 宿屋ならボルツに頼めば只で泊まらせてくれると思うし、今日の夜まで修行とかお預けにしてくれれば良いんだが……どうだ?」

エスペラントと静葉は普通の人間じゃないため幾ら効かないとは言え
それはやはり冗談や悪乗りで許せる許容範囲を超えてる
親族や友人などを人質に取られてそんな事をしなければならないという事は別としてだ

「私達だから効果はそんなにも現れなかったが恐らくは分かっていたからこそとんでもない量を入れたんだろう
それが普通の人間ならば大変な事になっていただろう、其処まで行けば犯罪にだ
無罪放免で許されるのはどこぞホモAVだけだ、官憲に突き出されても文句は言えんぞ」

「……私も主様と同意見ですね、やっていい事と悪いことがあります
私達の住んでいた世界では犯罪ですよこれは」

やはりふざけるという限度を超えているため、簡単に許すということは
彼らに対して甘さを捨てるという言葉を撤回するも同然の言葉である
そうすればまた同じ繰り返しになることであり、此処は厳しい態度で望まねばならない

「逃げたことに関しては何も言わんが、お前達は干渉する気はないと言った私たちにも盛ったな
多少は大目に見てたが、お前達がそういうつもりならば私は今後擁護も庇いもせん
アサキム、お前の考えを尊重する好きにしろ」

とりあえずアサキムの言葉を尊重する旨を告げる。
最早この二人には対しては今後とも余程の無茶だろうが
出来ると判断した事は彼らの意見は尊重しない厳しい姿勢を見せることになるだろう
甘やかす事は彼らのためにならないと完全にそう思うようになったようだ
情け容赦の無い方が彼らを成長させるのだから
302フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/11/13(火) 23:37:06.84 ID:8XpKahA2
オレ達は簀巻きにされて店の隅に転がされた。
パン屋がスキュラ引き連れてやってきて店長が大人の方法で追い返したりした。
店長マジサンキュー。
店長には感謝だが、折角逃げ出したのになぜにすぐに捕まって簀巻きになって転がらにゃならんのか、とも思う訳である。
妖精は気分屋なのだ。
店長が超人達に何か依頼しているけど知らんがな。どーせオレなんていてもいなくても変わらんしやる気無くした。
と、不貞腐れていたのだが……

>「――あーっと、なんだ。逃げたのはマジで済まんかった。
 (中略)
 宿屋ならボルツに頼めば只で泊まらせてくれると思うし、今日の夜まで修行とかお預けにしてくれれば良いんだが……どうだ?」

ゲッツが頭を下げて頼み込んでいた。でも、ゲッツが謝る筋合いはないと思う。
あんなノリで意味不明の修行場に連れて行かれかければ逃走するのも当然だし、ヤクを盛ったのはリーフが勝手にやった事だ。
頭を下げてまでも、お世話になったボルツさんの力になりたいのだろう。
というか会ったばかりのオレを体を張って庇ってくれるような奴だ。
こいつにとって恩がある人が困っているのに放っておくなんて有り得ないのだ。
303フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/11/13(火) 23:38:42.38 ID:8XpKahA2
>「私達だから効果はそんなにも現れなかったが恐らくは分かっていたからこそとんでもない量を入れたんだろう
それが普通の人間ならば大変な事になっていただろう、其処まで行けば犯罪にだ
無罪放免で許されるのはどこぞホモAVだけだ、官憲に突き出されても文句は言えんぞ」
>「……私も主様と同意見ですね、やっていい事と悪いことがあります
私達の住んでいた世界では犯罪ですよこれは」

見事なキレっぷりだな、これ。
それにしても真面目な台詞にさらりとホモAVという単語を混ぜるなこの超人は!

>「まっ、こっちこそ悪かったな。別に、逃げたのは怒ってないんだ。だけど」
>「薬盛るのってねぇ。やりすぎだとは思わないかい?」
>「アサキム?顔ステンドガラス出てる」

うっわー、完璧プッツンいってるじゃん。

「ふふっ」

不謹慎にも、思わず笑いがこぼれた。

「何がおかしい?」

「だってさ、あなたたちってオレには想像もつかないような大局を見据えてこの地上に派遣された存在でしょ?
地上の人間とは全然違う感覚を持ってると思ってたのに……人間より人間らしい感情持ってんだね。
ごめんね、別に指示を出したわけではしてないんだけどリーフが勝手に気を利かせてというか何と言うか……」

エスペラントさんは結論的にはアサキム導師に合わせると言うので、真顔になってアサキム導師に向き直る。

「アサキム導師、逃げようと唆したのはオレなんだ。ゲッツは悪くないよ。
でも元はといえばあなたが何故オレ達なのかの理由も言わずに訳の分からない場所に連れて行こうとしたからなんだよ?
仕方の無い事ではあるけどね、物事には”語るべき時”というのがあるからさ――
だけどね。お願い!こいつの頼み聞いてやってほしいな。
こいつはオレとは違って命より大事にしてる事のためにしか頭を下げないんだから。
これが終わったら修行でも何でもやってもいいから、な……?」

ぶっちゃけ修行とか時代遅れだし汗臭いし痛いし何より即死しそうで嫌だけど、ゲッツがお前の命は俺が守ると言ってくれたから。
それはそうと、リーフには怒っとかなきゃ。まさか殺人事件仕様の量を盛ったとは思わなんだ。

「リーフ! 殺人的な量を入れたなんて聞いてないよ!? ……あれ?」

なんとなくいるような気がしていたが、リーフの姿が見当たらない。

「リーフは? 一緒じゃないの!?」

エスペラントさんとアサキム導師に尋ねる。
てっきり超人グループと一緒にいると思ってたんだけど……。
304アサキム  ◆JryQG.Os1Y :2012/11/14(水) 13:36:12.68 ID:PSPyqj/T
「いや、良いんだけどさ。逃げたことをあれしてるじゃないし。」
「リーフをミンチにすれば後は良いよ。」
ホモAVはスルーだ。
「まぁ、修行メニューは二つから。選んでね。」
「一つは、俺よりも鬼畜な筋肉ムキムキ老人にみっちりしごいてもらうか。」
「一つは、俺よりはましだけど、53体のアンデットを倒すか。」
「選べ。」
305ゲッツ ◇DRA//yczyE:2012/11/15(木) 19:42:11.79 ID:lB6k4/FM
>「それでは、お忙しいようですので私はこれで失礼しますね。
> トリス・エヴァンジェル」
「ああ、今後共よろしく頼むよ。ではまた、トリス・エヴァンジェル」

去っていくリンセルとアリアードを見送るボルツ。
彼女らの産土であるここが危機にさらされていることは、彼女らに話すことはない。
話した所でどうにもならぬし、喝采が欲しいわけでもない。只、この地をこの男は守りたいだけだ。

>「真理派ねぇ。」

「協力を強制する積りは私には欠片もない。
 だが、あなた方の助力を、私は願いたい。
 ……どうか、力を貸してもらえぬだろうか?」

ボルツとゲッツは無言で頭を深く下げる。
師は、追われる身を受け入れたこの都市に報いる為に、この都市を救おうとしているからこそ、必死。
弟子は、朽ちる身を救い上げた師への恩に報いる為に、この都市を救う為に破壊を振るおうとし、それでは足りないと理解しているからこそ、必死。
必死に生きる、超人じみた常人が、超人二人とその相方達の前で深々と頭を下げていた。

>「私は無神論者で正直に言えば宗教は嫌いな方でね、翻弄される弱者がいる以上は私には場合によっては打倒すべき存在だ
>宗教派閥がどうなろうが知った事では無いし、興味もない…がやはり一部のそういった連中のせいで被害を被る
>何の罪も無い者たちを見捨てる事は性分的に出来ないんでね、この都市が絶対に無事これからも平穏になるという保障はできん
>だがやれる事は協力すると約束しよう」

「協力、感謝するよ。エスペラント殿。
 ……本当を言うと私も出たい所なのだがね、大分耄碌してきている老頭児だ。
 現役ほどでもないし、逆に君たちの足を引っ張ってしまいそうでね」

その礼は、心の底からのものである。
そして、その表情に混ざっている物は、苦々し気な感情。
必要と有らば自分でも力になりたいが、力になるには年齢を重ねすぎてしまっているというどうしようもない現実。
だからこそ、この店主は誰かに己の意思を託すしか無い。己の弟子との再会は、代替わりを示す予兆であったのかもしれない。
老兵は只死ぬのではない。経験を次へと繋ぎ、未来を新兵に託すのだ。

「――ゲッツ君、君は何を言おうとどうせ闘うつもりだろう。
 だから何も言いはしない。言葉は呉れてやらんが、餞別は呉れてやろうと思う。
 私の剣の柄だ。……まあ、君なら何かできるだろう、お守りと思って受け取っておけ」

ミスリル製の剣の柄をゲッツに託すボルツ。
ゲッツは何も言わず、犬歯を剥き出しにした笑顔を浮かべ、ボルツから剣の柄を受け取る。
そして、受け取った瞬間にボルツの顔面に拳を振りぬき、カウンターでゲッツが顔面に拳を喰らい、吹き飛んだ。

「……っは、老頭児名乗るにァまだ早ェと思うがね。
 まあ、俺は何と言われても闘うつもりだぜェ? それは、ボルツのおっさんへの恩なんかじゃねェ。
 俺は、強いやつと闘うのが好きだからよ。こんな大事件ならそりゃあもう絶望的に強い輩が出てくるに決まってンだ。
 だから、俺は俺の為に戦う。……お前の為なんかじゃねぇからな?」

お前の為に闘う、などと言う言葉は傭兵としては気恥ずかしいものだ。
互いにその感情は理解できていたため、建前だけの言葉の応酬を交わすこととなる。
今回の件に参加する物は、ささやかと言っても多額の金銭が報酬としてボルツから支払われることになるだろう。
306ゲッツ ◇DRA//yczyE:2012/11/15(木) 19:43:03.10 ID:lB6k4/FM
>「アサキム?顔ステンドガラス出てる」
>「あっ。」
>「逃げたことに関しては何も言わんが、お前達は干渉する気はないと言った私たちにも盛ったな
>多少は大目に見てたが、お前達がそういうつもりならば私は今後擁護も庇いもせん
>アサキム、お前の考えを尊重する好きにしろ」

「ああ、今回の件ばっかしは弁解のしようもねぇ。
 ……フォルテとリーフにゃ俺がガチでヤキ入れとくからこいつらはかんべんしてやって――」

頭を下げるゲッツは、このまま全ての責任を自分が負うことにしようと考えていた。
自分が手を下した部分は極僅かであるにしろ、彼らの行動に乗っかったのはまた事実なのだ。
故に、汚れ仕事と面倒を引き受けるのが仕事であったゲッツは、その僅かの手出しを根拠に自分に責を向けようとした、がしかし。

>「アサキム導師、逃げようと唆したのはオレなんだ。ゲッツは悪くないよ。
>でも元はといえばあなたが何故オレ達なのかの理由も言わずに訳の分からない場所に連れて行こうとしたからなんだよ?
>仕方の無い事ではあるけどね、物事には”語るべき時”というのがあるからさ――
>だけどね。お願い!こいつの頼み聞いてやってほしいな。
>こいつはオレとは違って命より大事にしてる事のためにしか頭を下げないんだから。
>これが終わったら修行でも何でもやってもいいから、な……?」

「って、フォルテ――」

自分の言葉を遮るようにして発せられたフォルテの言葉に、胸を打たれた。
無言でゲッツはフォルテの頭に手を置き、ぐしゃぐしゃと髪をかき回す。

「……ま、なんだ。ガチでサンキュ。
 流石にあいつらのお仕置きを俺一人で受けるのは気が気じゃなかった。
 お前は殺させねぇし、リーフも殺させるつもりはねェ。お前は安心して後ろで謳うのを仕事にしな」

素直な感謝。
時として頑固な竜人の性質には、全てを背負い込もうとする悪癖がある。
言えなかったこと、出来なかったことを、軽いとも言うが、自由な妖精はやってのける。
一族の誇り、戦士の誇り、誇りに縛られる生き方を自らの意思で選択したとは言えど、その窮屈さで自分を縛る生き方は時として自分の首も締めることとなる。
ある意味、このコンビはいろいろな意味でバランスがとれている、と言えただろう。

>「リーフは? 一緒じゃないの!?」
「おい、ちょいと待ちなァ。
 ……スペアポケット借りるぜ」

ゲッツはフォルテの持つスペアポケットを勝手に手に取る。
そして袋に手を突っ込み、手を引き抜けばそこには紙片が有る。
それを開き中の文章をゲッツは読み上げた。

「えーっと、要約するとホモヤクザの事務所に連れていかれてるっぽいな。
 大聖堂の中に閉じ込められてるっぽいけど、ホモだから貞操の危機とか命の危機は無さそう、だな。
 ……ま、なんとかなるんじゃね? 悲壮感とか感じられねぇし、この文面」

テーブルの上にメモを放れば、メモの文字がリーフの文字だと分かるだろう。
訳の分からない状況だが、ホモAVだからと言ってこいつらの前では無罪放免で済はしない。
犬歯をむき出しにした竜人の笑みは、ただ荒事の予感しか感じさせなかった。

>「選べ。」
「前者一択。限界とか気にしないで厳しくしな、死ぬくらいでちょうどいい、加減は要らねェよ」

アサキムの提案に、ゲッツは即答する。
限界を越えるとかそういった事を言っている限りは甘えでしか無い。
死ぬ気などといった言葉は死んでからしか意味が無い。
だからこそ、死線をくぐらせるような修行を、とゲッツは要望した。
修行という物は部族の主義としてはそれほど好ましいものではないが、ここで無碍にするのは望ましくない。
ならば、極限に挑むのみ、である。
307アサキム ◆JryQG.Os1Y :2012/11/15(木) 20:03:25.74 ID:HT6pdDPw
「あーおk。どっちとも行ってみようか。」
軽いのりで、ゲッツの修行決定
「次は、フォルテ。二つあるよ。セイレーンの元で精神崩壊するまで修行するか、それか、体を極限まで鍛えて音自体を鎧にするか選べ。」
選べのところに若干殺気を混ぜてみた(笑)
>>「ああ、ちょっと待て、スペアポケット貸せ。」
「ああ、そんなのが有んのか次貸せ。」
ゲッツから、スペアポケットを渡されるとアサキムは、黒い謎の物体を入れる。
その正体は、彼のみが知る。
そのうち、事務所から爆発と悲鳴が起きるだろう
308リンセル ◆Ac3b/UD/sw :2012/11/16(金) 23:46:08.47 ID:XNWQn4Tv
ウ・ボイで修行の話が繰り広げられている時刻。
太陽は僅かに西へと降り始め、それに合わせて大地に描かれる影も東へ伸び始めていた。
パン屋への道を急ぐリンセルは、道程も半ばに差し掛かった頃、雑踏の人だかりを見て驚愕する。
そこでは、一人の見慣れぬ少年がパンを売っていたのだ。

(私の縄張りが荒らされてる!)

浅黒い肌の少年は白い麻布の服を着て、日差しを避けるつば広帽子を被り、土埃で汚れた靴を履いている。
その恰好と朴訥そうな雰囲気から、リンセルも一目で彼が農村部の出身であると分かった。
横に止めた台車には、平たい箱に詰められたパンの山。
都市のパン屋は競合を避けて一定の範囲内でしか商売をしないものだが、農村から出稼ぎに来たパン屋は違う。
人の多そうな所を見つけては、誰に気兼ねすることなくパンを売る。

「ちょっとちょっと、何やってるの!?
 この辺りはロルサンジュのテリトリーよ、商売の優先区域!」

リンセルは、つかつかと少年に向かって歩み寄ると捲し立てた。
何とかしてここから追い払わなければ、この辺りをパン販売の拠点にされかねない。
それは、今後のロルサンジュの売り上げにも少なからず響くだろう。

「この辺りでパンを売っている人は、見た所じゃ特にいないようだったけどね。
 それに僕がどこで商売しても、街の法に違反していなければ誰かにとやかく言われる覚えは無いよ」

農村のパン売り少年は、あまり抑揚の無い声で反論する。
確かにリンセルが長らく持ち場を離れていた為に、この辺りでパンを売っている者はしばらくいなかった。
さらに外部から来る商人には、都市の掟が通じない事も少なくない。

(な、なんですって! 素直に謝って立ち去れば許してあげようと思ったのに!)

リンセルは怒りのあまり、わなわなと肩を小刻みに震わせる。
そして、まだ一緒に付いて来ていたアリアードへ振り返ると、不満を爆発させた。

「騎士さん、都市でパンを製造販売するには厳しい査察が必要なはずです!
 衛生面、味、品質、どれをとっても、この人のパンが必要な基準を満たしているとは思えません!
 パンは生活の要! 食の根幹! こんな粗製乱造のパンを許していてはエヴァンジェルが滅亡してしまいます!」

「ん……んー? そうねえ、聖都滅亡は困るー……。
 それじゃあ、シンプルにパン勝負をしましょお! 味とか品質を比べ会うのー」

「分かりました。ロルサンジュのパンは世界一です! 誰にも負けません!」

世界を懸けた大きな戦いの裏で、小さな戦いの火蓋もまた切られた。
規模は異なれど、生命ある所では常に争いが繰り広げられるのだ。
人類は……戦わずにはいられない悲しい性を持っているのかも知れない。
309フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/11/18(日) 00:53:31.15 ID:mP5brfuj
>「私の剣の柄だ。……まあ、君なら何かできるだろう、お守りと思って受け取っておけ」
>「だから、俺は俺の為に戦う。……お前の為なんかじゃねぇからな?」

しかしこの師弟、分かりやすすぎるツンデレである。典型的すぎて見てるこっちが逆に恥ずかしいわ!
でもそんなやり取りができる二人が羨ましくもあった。
オレに精霊楽師としての手解きを施した父さんはもうこの世にいない。
腹いせにおちょくってやろう。

「ふふっ、ゲッツは幸せ者だね。恩返しをする相手がいて。
お父様、御子息にはわたくしが付いておりますわ。どうか心配なさらず。
……って何言わせんだお前等!」

―――――――――――――――

>「……ま、なんだ。ガチでサンキュ。
 流石にあいつらのお仕置きを俺一人で受けるのは気が気じゃなかった。
 お前は殺させねぇし、リーフも殺させるつもりはねェ。お前は安心して後ろで謳うのを仕事にしな」

「本当の事を言ったまでさ。
バカだなあ、一応オレのほうが年上なんだからこいつに誘拐されましたー!って言えばいいのに。
でも安心した。お前も怖いなんて思う事があるんだ」

そして、修行メニューが決まっていく。

>「あーおk。どっちとも行ってみようか。」

「はあ!? ちょっと待てよ!」

>「次は、フォルテ。二つあるよ。セイレーンの元で精神崩壊するまで修行するか、それか、体を極限まで鍛えて音自体を鎧にするか選べ。」

「ああ、オレは別コースか。ってえぇええええええええええええええ!? マジで!? 別コース!?」

というか体を鍛えて音自体を鎧にするって……体を鍛えてもそんなトンデモな能力は身に付かんだろ。
もう一つの方は、なかなかに興味を惹くものがあった。
セイレーン――旅人をナンパし船を難破させる妖獣。
人間に友好的とは言えない恐ろしい奴らだが、呪歌に関してのスペックは文字通り人知を超えている。
もしもその技を盗むことが出来たなら、大きな前進になるかもしれない。

「そのセイレーンは知り合いか? 
美形で美声のトップアイドルが行くから楽しみにしてろと伝えておいてくれ!」

恐怖が無いわけではないけど、満更でもない気分になっている事に自分でも驚いていた。
――そっか、決めたからな。この型破りな勇者様を謳うにふさわしい吟遊詩人になるって。

>「ああ、そんなのが有んのか次貸せ。」

アサキム導師がスペアポケットに謎の黒い物体を放り込む。

「ちょっと待てそれって……!」

どう見ても爆弾です本当にありがとうございました。
310アサキム  ◆JryQG.Os1Y :2012/11/18(日) 14:24:23.28 ID:BFbHrn60
>>「はぁ、ちょっと待てよ。」
「バカじゃねぇの、お前みたいなひょろひょろは、2秒でミンチだ。」
事実だ。
>>「その、セイレーンは、知り合いか?」
「知り合いだ。俺とアヤカの仲人だ。」
これもまた、事実だ。
「まぁ、音を鎧にした方が、自分の身を守ったほうが良いんだが。」
>>「おい、まて、それって」
「………ノーコメントだ。」
フォルテは、爆弾と思っているらしいが、正確には暗黒物質【ダークマター】だ
どんなのかは、ご想像にお任せする。
311エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2012/11/19(月) 21:58:52.74 ID:tS1Y4E2x
>「協力、感謝するよ。エスペラント殿。
 ……本当を言うと私も出たい所なのだがね、大分耄碌してきている老頭児だ。
 現役ほどでもないし、逆に君たちの足を引っ張ってしまいそうでね」

深く頭を下げるボルツに対して内心というよりも仮面の下では
困惑の表情を浮かべつつも

「とは言っても君達からの尺度からすれば私の方が既に相当な年だとは思うがね
貴方を子供扱い出来るほどとは思ってはいないが、頭を上げられよ
如何に我等が頑張った所で貴方の望む良い結末を迎えられるとは限らない
もしかしたら最善を尽くしても最悪あのローファンタジアの再来と言われる結果になるかもしれない
それを努々忘れないで欲しい」

事実、何が起こるかも分からない以上はあの種子が関わっているのなら
どう足掻いても自らの手で滅ぼしたに等しいローファンタジアの二の舞になるかもしれない
自分とて望まぬ結末だとしても運命は思い通りに行かない物だ
望まないまま最愛の人を自ら手を掛けねばならなくなった彼のように

>「ふふっ」
>「何がおかしい?」
>「だってさ、あなたたちってオレには想像もつかないような大局を見据えてこの地上に派遣された存在でしょ?
地上の人間とは全然違う感覚を持ってると思ってたのに……人間より人間らしい感情持ってんだね。
ごめんね、別に指示を出したわけではしてないんだけどリーフが勝手に気を利かせてというか何と言うか……」

突然笑い出したフォルテは、自分達が人間らしい感情を持ち合わせているという事に関して
雲の上の人だと思われていたようでそんな事でおかしくなったらしい
まるで親近感を感じているというみたいに

「私は最初から今のような人ならざる者ではなかった―と言えば嘘になるかな?
正直に言えば私は神やその類からすれば人であることに拘り続けている異端者なのだろう
しかし何も変わらない不変の存在になど興味は無いのだよ、其処に生きている実感がないからな」

彼は既に最早二度と人間のように老いるまでに至る過程がなくなった
齢十五の時に時間が止まった肉体だが、不思議なことに永遠の十五になったものの
戦闘能力やら身体能力に関しては成長期の肉体故に止まることがない言わば停滞や全盛期という訪れが存在しない代わりに
年は取らず永遠に成長し続けるというやはり人でなくなるもその中でも異端な存在なのである
それが人である事にこだわり続けるのだ、彼は最早その力から
人でもなければ神ではないそんな存在になりつつあった。

「今の私が居るのは人間でありたいと思っているから此処にこうしていると思っているんだよ
――話はズレたが、奴が全てを仕込んだという訳か」

こうなったらリーフに対しても何か考えねばならんなと思った矢先
フォルテが周囲を探しても居ない事に気づく

>「リーフは? 一緒じゃないの!?」

「いえ、私達は知りません。
途中で別れてきりですし…」

そういえば今までなんだかんだで姿を見ない
なんだか嫌な胸騒ぎがするエスペラントであった。
312エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2012/11/19(月) 22:41:43.03 ID:tS1Y4E2x
>「おい、ちょいと待ちなァ。
 ……スペアポケット借りるぜ」
>「えーっと、要約するとホモヤクザの事務所に連れていかれてるっぽいな。
 大聖堂の中に閉じ込められてるっぽいけど、ホモだから貞操の危機とか命の危機は無さそう、だな。
 ……ま、なんとかなるんじゃね? 悲壮感とか感じられねぇし、この文面」

どうやら何時の間にかにリーフの奴はヤクザに拉致されていたらしい
なぜスペアポケットから出てきたのかは敢えて突っ込まないが
問題は居るのが大聖堂ということだった

「なぜ大聖堂なんだ?別に其処である必要があるとは思えんのだが…」

それこそスラム街の廃墟などが連中には相応しいのだが
もしや今回の件に何らかの関わりがあるのか

>「ああ、そんなのが有んのか次貸せ。」

アサキムは何かを入れた
それに関しても特に何も言わない
どうせ奴の事だからろくでもない物に決まっているから

「善は急げだ、今やれることをしなくてはな
静葉には潜入調査を任せる、私もさすがにこれ以上相手を待たせる訳にもいかん
少し出かけてくる」

「御意」

静葉に対して大聖堂に向かわせ
既に待ちくたびれているだろう広域補助機関の現地構成員との待ち合わせの場所である
喫茶店に向かうのであった。
313ゲッツ ◇DRA//yczyE:2012/11/20(火) 01:03:54.83 ID:5qgsu3UZ
>「ああ、オレは別コースか。ってえぇええええええええええええええ!? マジで!? 別コース!?」

「うっわぁ、ぶっ飛んだ修行プランだなそりゃァ。
 ……ま、死なないように祈っとくぜ。俺は死なねぇしな」

フォルテの修行も大分地獄だなぁ、と思いつつ、とてもいい笑顔でサムズアップ。
デフォルトで鬼畜でアッパー入ってるが、平時からこんなものな為何ら問題は見当たらない。
どっちにしろ、この案件が終われば竜人も吟遊詩人も地獄を見るのは違いないだろう。

覚悟はできているため、それ以上文句を言うことはあり得なかった。
竜人は恩師から受け取った剣の柄を軽く握りしめて振りぬき、腰のポーチにしまい込む。
アースクエイクを喉に流しこみ、強烈な味に脳天を文字通り揺らしながら、口元には笑みを浮かべた。

これからやってくるであろう鉄火場を思い浮かべ、己の力の発揮場所を楽しみにしていた。
戦いが起きなければ良いとか、力は使わないのが一番だ、等と綺麗事を言うタイプの存在ではない。
力があるのだから力を振るう戦場は望む所であるし、力があるなら全力を出せる機会をこの竜人は何よりも望んでいるのだ。

>「とは言っても君達からの尺度からすれば私の方が既に相当な年だとは思うがね
>貴方を子供扱い出来るほどとは思ってはいないが、頭を上げられよ
>如何に我等が頑張った所で貴方の望む良い結末を迎えられるとは限らない
>もしかしたら最善を尽くしても最悪あのローファンタジアの再来と言われる結果になるかもしれない
>それを努々忘れないで欲しい」

「幾ら勇者であっても、私は結局の所人でしか無い。どこまで行こうと私は人間の勇者∴ネ外には成れそうもないさ。
 私は君たちの様な長寿種よりも早く歳をとるし、早く寿命が来るし、容易く死ぬ。
 ……だが、だからこそ、私達の様な物は、なりふり構わず最善を求める。
 君たちが全力を出してこの地を守れなかったとすれば、恐らくこの土地の誰が同じ事をしても同じ結果になるだろうさ」

ボルツは、ゲッツの組むパーティのメンバーについてはある程度の知識を得ている。
その中でも、別格といっていい二人の超人の存在も。
だからこそ、頼むのである。少なくとも、この地に於いて教皇等と同等以上に渡り合える物に、この都市の命運を託したいのだ。

頭を上げ、口髭を整えて柔和な笑みを浮かべるボルツ。
ふと時計を見て、ゲッツの方に向き直るボルツは、視線で合図を送る。
それで全てを察したゲッツは立ち上がり、声を張り上げる。

「……さって、と。
 そろそろ、セレモニーの時間だったんじゃねェかね。
 何が起こるか全くわからねェ玉手箱がお待ちかねな訳だが、ちょいと遊んでこようじゃァねえか!
 つー訳で、祭に出ようぜ! 嫁さん方は別に旦那共とイチャついててもいいんだぜェ? ヒィーヒャヒャヒャヒャァッ!」

高笑いを響かせるゲッツは、いつも通りのハイテンションで、扉を蹴破る勢いで強く開ける。
そして、背後に立つボルツに向けて無言で左手を差し出し、ボルツはその左手に向けて浅く魔剣を振るい、紋を刻んだ。
刻み込まれたひび割れた歯車と螺子の文様を懐かしげに見つめて、無言でゲッツは歩き出す。

ひょい、と肩にフォルテを担ぎ上げるのはいざという時守りやすいという実利的なものだが、もはや様式美だろう。
数分も歩けば、中央広場にたどり着く。
大聖堂、人だかりの奥にあるのは、演説席。そう、教皇が後継の儀を行い、声明を発表する場。
人だかりは興奮ばかりである。なにせ、200年ぶりの教皇の交代だ。
歴史に名を刻まれるような大きなイベントを寿命の内に経験できるのだから、その興奮はひとしおと言ったところである。

「――諸君。静粛に」

副官であろう神官がマイクを通して全体のざわめきを抑えこもうとする。
そして、ここは宗教都市だ。神官の言葉を受ければ、先程までの喧騒が嘘で有ったかのような静寂が場を包む。
大聖堂の正面門から演説台まで引かれた赤絨毯。その赤絨毯を引く理由となった本人が、正面門が開き現れる。
314ゲッツ ◇DRA//yczyE:2012/11/20(火) 01:05:20.30 ID:5qgsu3UZ
清冽にして凄烈だ。
その男が与える印象は、まずそれだったことだろう。
涼やかな銀色の瞳に、後ろに撫で付けられた金髪。
皺一つ見当たらないものの、苦労を重ねてきたであろう事が分かる、独特の重みの有る顔。
体格は神官戦士としてよく見られる程度であり、右手には神官杖を握っている。
服装は、華美でありながらも、装飾は最低限という上品な物。

この男が、今代からの教皇、ミヒャエル・リントヴルムX世。
種族は人間、年の頃は40前半と言う、教皇としては異例の若さ。
しかし、前教皇の遺言や、ローファンタジア壊滅以来の執政等から評価を得て教皇に収まった、敬虔なる神の信徒である。

そして、男は歩く。
数千の人々の視線から、一歩も引くこと無く、身を捩ること無く。
一定の速度で、三主の意思の体現者は、只々歩き、壇上にたどり着いた。

「まず、ローファンタジア崩壊事件に付いて、私の身からも弔辞を述べさせて頂く。
 信徒ら、黙祷」

壇上に上がり口にしたのは、無数の人名が失われたローファンタジアについての弔辞。
男も目を伏せ、両手をあわせ祈りを捧げ冥福を祈る。
……祈る神が、何なのかは、定かではないが。

「……私が309代教皇を務める事になった、ミヒャエル・リントヴルムである。
 この都市に留まらない、種族年齢問わぬ信徒50億人の幸福と平和は、私が守る事を宣言しよう。
 そう、今この時、この瞬間より。汝らは我らとともに有り、我らの手を持ってして神の加護を身に受けることとなる」

穏やかかつ、重い笑みには説得力がある。
静かな語り口調には嘘は何一つ混ざっては居ないし、この男は心の底から信徒を救済しようとしている。
そう、奇跡をもってして。
315ゲッツ ◇DRA//yczyE:2012/11/20(火) 01:06:20.84 ID:5qgsu3UZ
「――――奇跡を、ご開帳しよう」

副官であろう上級司祭が、台を捧げ持ち教皇の元へと歩いて行く。
その台の上には――、幾つかの漆黒の宝玉があった。
同時に、大聖堂が鼓動し、都市の地下から何かのうめき声が聞こえるような、錯覚が襲いかかることだろう。

異変が、起こりつつ有った。
人の身で、宝玉の力に飲まれること無く、宝玉の力で何かをなそうとする者がここに居る。
ローファンタジア異変並に不味い事が起こる予兆が、広場全体に広がりつつ有る。

同時に、聖堂騎士団達が現れ、教皇の周囲を固め始める。
空気の変化に気づいた国民たちは、恐怖に怯え逃げ出すものも現れれば、教皇の姿に魅入られ動けないものもいる。
教皇が、宝玉を掴んだ。天へと掲げるのは、宝玉を握る左腕。

「呪われた者達が退けられ、無限の劫火に飲まれるその時、
 祝福された者達と共に我が名を叫べ
 汝らの心が、灰燼の如くに砕かれようとも、絶望の火に飲み込まれようとも
 汝ら神の神名の元に跪き、ひれ伏して懇願せよ
 ――来たれり、終末の時よ、と!」

宝玉が力を膨れ上がらせていく。
同時に、この男の精神も高ぶらされ、常人ならば正気を失い滅びていてもおかしくない状態まで追い込まれる。
だが、それでも宝玉から力を引き出し続けた男は、限界まで引き出しきった上で――膨れ上がった宝玉を握りつぶし粉砕した。

生まれたのは、沈黙。
だが、それは安心ゆえの沈黙ではない、平和ゆえの沈黙ではない。
これからくる絶望の予兆に、全てが停滞するほかなかった為の沈黙であった。

直後、大地が震え、裂けた。
直後、天蓋が砕け、割れた。
直後、湖畔が踊り、燃えた。

天から現れたのは、無数の触手を生やした四角錐の形をした異形。
大地から現れたのは、蟻と蜘蛛を合わせてその上に人の皮膚を張り合わせたような異形。
外部の堀から内部へなだれ込むのは、獅子のたてがみとして蛸の足を生やした異形である。

どれも、この世界の魔物図鑑では観測されていない、新種。
否、人々が忘れ去ってしまうほどの古代に存在していた、人間が認識するのを拒否する異種――旧神の欠片だ。
旧神の欠片達は、広場の人々を襲い、飲み込み、同化し始める。
何とかしてこの状況を打破しなければならないことだろう。
316 ◆JryQG.Os1Y :2012/11/20(火) 16:29:00.22 ID:5QtYW0tK
「こいつは、始めてみるな。」
アサキムでさえ、見たことのない、生き物
「まさに、絶望だな。」
唖然としながら、
「でも、倒せなくはない。」
ルナティックアーチェリーをその手に持ち。
両目のコンタクトを外す。
「アサキム タグラスが命ずる。」
両目に、王の紋章がでる。
「時を止めよ。」
周りに、赤いフィールドが広がると同時に、活動が止まる。
「まずは、あの生物だな。」
大地から、現れたものを照準とする。
「創世葬送曲」【クロニクル レクイエム】
矢を、天に放つ。
すると、一万二千本の矢が、大地からのやつに放たれる。
ここで、全体にかかるギアスを解除。
大地からのものは、今気づいたようであった。
一万二千がでたあと、八千本の矢、続いて一億と二千本が放たれる。
317リンセル ◆Ac3b/UD/sw :2012/11/21(水) 01:49:23.63 ID:O/0UrEHl
「やっぱり、パン勝負を行うなら人通りの多い所が良いです。
 そろそろセレモニーが始まる頃ですから、大広場の近くで行いましょう。
 あの辺りなら治安も良いですし、一番安全な所ですからね」

パン勝負を始めようとするリンセルたちは、ぞろぞろと連れだって中央広場の方へ向かう。
大通りを歩いて程なく、中央広場を囲む白い壁と美しい水路が目に入った。
中央広場への入口であるアーチ門からは、絶え間なく大きな喚声が聞こえて来る。

「景色も良いですし、観光客やカップルの数もまあまあ。
 広場の中で行うとセレモニーの邪魔ですから、この辺りが良いでしょう。
 それでは、どちらのパンが上か……勝負を決めようではありませんかっ。
 私は生地に牛乳を練り込んだトリス・ブレッド改を出します!
 コクが深くて味もまろやか、これに勝るようなパンはエヴァンジェルにありません!」

リンセルは広場に向かう人たちを呼び止め、ロルサンジュのパンを配布し始めた。
無論の事だが、セレモニーが始まっているので広場の中に入ってまでパンを配る事はしない。

「そこの人っ、ぜひともトリス・ブレッド改を食べてみてください。
 そして、10点評価で10点を付けて頂きたいですっ! 足りなければ20点でもいいです!」

城壁外でパン勝負が繰り広げたのと同時刻、大聖堂を擁する中央広場に教皇が現れた。
彼が奇跡の顕現を宣言し、漆黒の宝玉が衆目の目に晒された瞬間、大地が鳴動したかのような音が群衆の心に響く。
辺りを見回しても何かが揺れている様子は無いのだが、リンセルは咄嗟に地震と錯覚してしゃがみ込んだ。

「えっ、地震……?」

教皇が黒い宝玉を握り潰した瞬間、中央広場を取り巻く水路は一瞬にして清らかさを失う。
透明に澄んでいた水は、まるで病んだ獣の血を流し込んだように黒ずんだ赤へと染まった。
突然、その澱んだ水路の一角が大きく盛り上がり、飛び散った水飛沫が翡翠色の石畳を不快な色で穢す。
水面下の異界から這い出て来たのは奇形の巨神、“海を燃やすギェリム”の欠片。
三主教・真裏派は、“海を燃やすギェリム”への恐れがツルアの偶像を創り出したと定義している。

「え、あ……ぁ……ぁ……ぁ……ぁ…………………………」

異形の神が視界に入った瞬間、リンセルの精神は放心の海に沈んだ。
恐怖で身じろぎ出来ないどころか、本能的に五感が現実を拒絶してしまう。
開いた瞳孔は物を見ず、口は神への祈りを発することなく、逃げるために立ち上がる事すら出来ない。
それは周囲の人間たちも同様で、まるで人の群が生ける石像と化したかのようだった。

≪01010100101010101010100101010110111010111100101010101010010101――!!≫

海嵐にも似た轟音が硬直した大気を劈く。
リンセルには意味ある言葉として認識されなかったが、或いは神の言語かも知れない。
咆哮するギェリムの欠片は城壁外の水路から這い出ると、太い根のような触腕を四方八方に伸ばした。
城壁を乗り越えて中央広場の中に入る為なのだろう。

そして……無作為に伸ばされた太い触腕の一本は、リンセルの頭上へも落ちて来る。
単に移動の為に広げられただけに過ぎない脚でも、人間を圧死させるに充分。
広場の中の人間たちと同じく、触れただけで三主の神と同化してしまう可能性も少なくない。

とりあえず、パン屋たちの戦いはあっさり終結した。
318フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/11/22(木) 19:46:00.81 ID:6bNv0d+C
>「……さって、と。
 そろそろ、セレモニーの時間だったんじゃねェかね。
 何が起こるか全くわからねェ玉手箱がお待ちかねな訳だが、ちょいと遊んでこようじゃァねえか!
 つー訳で、祭に出ようぜ! 嫁さん方は別に旦那共とイチャついててもいいんだぜェ? ヒィーヒャヒャヒャヒャァッ!」

「KY承知で一応言っとくけど何も起きないに越したことは無いんだからね!?
つっても残念ながらこの超人達が何かが起こると踏んでいる以上まあ起こるだろうけどな」

例によってゲッツに運搬されて広場に向かう。
ちなみに、女装をやめるタイミングを逃して結局女装したままだ。
女装したままボス戦に突入してもふざけているようにしか見えない件。

そして、新教皇就任のセレモニーが始まった。
新教皇は教皇としては異例の若さとはいえ、落ち着いた雰囲気を纏っている。
また神魔大帝みたいな見るからに胡散臭いイケメンが登場するのかと身構えていたんだけど……。

>「まず、ローファンタジア崩壊事件に付いて、私の身からも弔辞を述べさせて頂く。
 信徒ら、黙祷」

「……」

短くない時間を過ごした都市がもう無い事を改めて実感する。
安アパートの大家の婆ちゃんも、行きつけの定食屋のおじさんも、路上ライブを冷やかしにきた子ども達も、もういないんだ。
母さんはローファンタジアを必死に守ろうとして戦って重傷を負った。
あんなことはもうあってはならない、二度と、ね。

>「……私が309代教皇を務める事になった、ミヒャエル・リントヴルムである。
 この都市に留まらない、種族年齢問わぬ信徒50億人の幸福と平和は、私が守る事を宣言しよう。
 そう、今この時、この瞬間より。汝らは我らとともに有り、我らの手を持ってして神の加護を身に受けることとなる」

立ち振る舞いといい、表情といい、いかにも教皇になるにふさわしい人格者に見える。
もはやこのまま何事も無く式典が終わる気しかしない。

「残念だったな、何も起こりそうにないぞ。
ま、某小学生名探偵じゃあるまいし行く先々で大事件が起こるはずねーよ」
319フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/11/22(木) 19:50:56.45 ID:6bNv0d+C
>「――――奇跡を、ご開帳しよう」

なんだなんだ? 余興にマジックでも披露するのか?
台座の上に黒い球体が見えた途端、そんな呑気な考えは吹き飛んだ。
黒い球体を集めて回ってるって言ってたけど……マジで使うためだったのか!

>「呪われた者達が退けられ、無限の劫火に飲まれるその時、
 祝福された者達と共に我が名を叫べ
 汝らの心が、灰燼の如くに砕かれようとも、絶望の火に飲み込まれようとも
 汝ら神の神名の元に跪き、ひれ伏して懇願せよ
 ――来たれり、終末の時よ、と!」

「冗談抜きで使徒キターーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

空から地面から、海の方からもなんかうじゃらうじゃらした巨大な怪物が三体現れる。
こいつ、ローファンタジアご愁傷様言った舌の根もかわかぬうちに……!

「祭りの時間だ、行ってらっしゃい!」

阿鼻叫喚の中、躊躇なくうじゃらうじゃらした怪物に突撃していく超人や戦闘狂達を見送る。
こいつらを直接どうにかする力はオレには無い。第一キショいし。
要は操ってる教皇を止めさせればいい。一刻も早く教皇の元へ行かなければ。
普段は出す事のない妖精の羽根を顕現して空中を横切る。
何故こんな事をしたのか自分でも分からない。相手が人間ならまだ話が通じそうだと思ったのかもしれない。

「三主教教皇ミヒャエル・リントヴルムX世!! 星霊教団の大聖母”星の巫女”を代理して謁見を申し込む!」

「無礼者! 失せろ!」

動こうとする聖堂騎士団を、教皇が制する。

「良い、通せ。そのお方は星の巫女が御子であらせられる。
よくぞ来てくれた。丁度こちらからお連れしようと思っていたところだ」

「何故それを知ってる!?」

教皇の目前に降り立つ。
対面した瞬間、まるで二人っきりで異次元に隔離されたかのような物凄い威圧感を感じる。
320フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/11/22(木) 19:51:51.57 ID:6bNv0d+C
「我が情報網を舐めて貰っては困るよ。母君の事は残念だったね」

大体の事は知っているが母さんが実は死んでない事までは知らない、という事か。

「教皇様、先刻ローファンタジア事件への弔辞をおっしゃったばかりではないですか。
何故にこのような行いをなさるのですか? 何ですあれは!?」

「素晴らしいだろう。見よ、あの神々しいお姿を。
真の三主神に身をゆだねる事で我々は全ての苦しみから解放されるのだ」

「真の……三主神!?」

オレがその言葉の意味を理解できないうちに、教皇は更にトンデモない事を言ってきた。

「そこで君にはかの神々を崇め奉る歌を歌って欲しい。
さすれば神々は更なる力を得、世界中の人々を救済する事が出来るだろう」

教皇はそう言って、オレを演説台の方へ促す。
あろうことか、教皇はオレに破壊に手を貸せと言ってきやがったのだ。
教皇をキッと睨み付けて拒絶の意思を示す。

「嫌だ! 歌をそんな事のために使うなんて……!」

「そんな事? 君なら知っているだろう。力持つ音楽の事を何故神曲と言うか。
呪歌は本来精霊等という下位の存在にくれてやるものではない。
神に捧ぐ供物だったのだ」

「そうじゃなくて! あんなのどう見ても神じゃねーし!」

教皇は静かに歩み寄って、リボン付きのヘッドギアに手を伸ばしてきた。
逃げなければいけないのは分かっているのに、圧倒されて動けない。

「そんな物を付けているから分からぬのだ。聞いてみるがよい、神の声を!」

「あ……」

超常の声に対する鋭敏すぎる聴覚を封じる枷が、外される。
その瞬間、この世界の言語ではとても筆舌に尽くす事が出来ない、膨大な混沌とした情報が流れ込んできた。
321ゲッツ ◇DRA//yczyE:2012/11/26(月) 02:06:37.55 ID:sM/n8jp1
>「創世葬送曲」【クロニクル レクイエム】

「クッッハハハハハハハ――ァ!
 何を無意味な、何を無価値な、何を無駄な事を!
 届かぬよ、その程度では、その有様では、その絶対性では!
 欠片とは言えど、ここに降臨しているのは真なる神の眷属、バイト=ドローンなのだ、甘く見ると痛い目に遭うぞ」

現れた神々の欠片はアサキムの放った千の矢を受け、万の矢を受け、億の矢を受けた。
そしてそれらは確かにダメージを与え、三主の欠片たちに確かに傷を与えていた。そう、間違いなく。
だが、飛び散った触手の破片は肉塊となり、バイト=ドローンのトークンと化す事で却って被害を増やすはめになった。
彼らは現生生物達がこの世に現れる前から生きてきた、文字通りの神代の生物たち、しかし語られぬ禍津神。

天蓋を砕くイビャスのドローンがその無数の触手を蠢かせ、先端を開けば、そこから覗くのは怪しい色をした球体。
光を纏い、圧縮された破壊の力は解き放たれ、天空から数千の光条となって世界を灼く。
子どもたちが過ごした学び舎の壁が溶かされ、皆が洗礼を受けた泉の水が干上がり、明日を生きるパンを求む乞食が燃え落ちる。
世界の終わり[アポカリプス・デイ]が具現されたのならば、文字通りこういう事態を言って間違い無い。少なくとも、これ以上の世界の危機はそうそう起こり得ないことは間違いない。

「ここにあるのは絶望だ、世界の滅びだ。
 抗うことを私は止めぬ。憎まれる事を私は厭わぬ。呪われる事を私は呪わぬ。
 もはやアイン・ソフ・オウルの残滓に汚染された世界を救うには、劇薬を持って成す以外に術は無いのだから。
 誰かがやらねばならぬならば、私がやる! 否、私がやらなければならないのだ!
 それでも尚、この世界をぬるま湯の絶望に浸かり続けさせたいのであれば、貴様ら全員我らの手で滅ぼし返してくれるわ!」

朗々と声を響かせる、教皇ミヒャエル・リントヴルム。
この男だけは、真裏派の中でも唯一狂気に飲まれていない男であり、誰よりも信心深く、誰よりも神を信じていないものだ。
誇りと、使命感を持ってこの男はこの行動を決行した。間違いなく、無数の流血と絶望と滅びを覚悟の上で、である。
私利私欲、恐怖によって滅びを撒いたアイン・ソフ・オウルと異なる点はそこ。ある意味、究極的に堅固な柱を持つこの男は、実力でアイン・ソフ・オウルに劣るものの、それ並に厄介な存在であるだろう。

このままエヴァンジェルは絶望に飲まれ、そして異形に食い尽くされるのが定めなのか。
否、否。全く持って否。
ここに居るのは、伝説の勇者パーティになるかもしれない可能性が微粒子レベルで存在する#y共。
何か、何かがあれば。この現状を打破できるかもしれない。少なくとも、今回は一人一人が突出するスタンドプレイでは如何ともし難い状況だろう。

「――ち、ィ。
 半端じゃねぇ厄介さだぜ。……数が多い上に、砕けば増えるし、燃やそうとしようにも燃やせねぇ。
 餓鬼爺婆野郎淑女ども全員纏めて後ろに下がってなァ!出来ればさっさとシェルターに逃げ込みやがれ!」

降り注ぐ光条を打ち砕きながら、逃げ惑う民衆に力ある声を響かせ扇動するゲッツ。
地下シェルターに人々は逃げ込んでいき、シェルターになだれ込もうとするイビャスのドローンと互角に殴り合っていた。
肉体を取り込まれかければ、口から火炎を吐き出し自分の肉体ごとドローンを消し飛ばし、吹き飛んだ肉は竜刃で補い、更に相手を押し返す。
ドローンの中心へ鋼の左腕を叩きこみ、同化されかけながらも、中心角の小さな黒い球を引き出し、砕く。
322ゲッツ ◇DRA//yczyE:2012/11/26(月) 02:08:06.02 ID:sM/n8jp1
「……これが弱点かッ!
 だったら話は早ェしぶっ殺すだけだ!
 こんな無理無茶絶望絶体絶命だが、今の俺は胸糞煮えくり返ってんだ!
 今の俺ァてめぇ等1000億万兆人相手にしようが一歩も引く気は無ェなァ!」

皮膚から飛び出した触手を引き千切りながら、ゲッツは駆け抜け、次々とドローンのコアを引きちぎっていく。
しかしながら、その度に肉体は侵食され、ゲッツもまた正気を失い狂気に囚われつつある。
もとより正気から程遠い戦闘狂とは言えど、この状況で長く戦い続けるのは望ましくない。他の人々にとっても、間違いなく。

>「え、あ……ぁ……ぁ……ぁ……ぁ…………………………」

アサキムとゲッツに向けて、ギェリムのドローンがなだれ込んでいく。
それを見て、生身の右腕の大半が触手や粘液と同化しつつある腕を振りかぶり、大地を砕きながら飛翔。
拳を振りぬき、リンセルに向けて落下する触手を叩きのめして、粉砕した。

びちゃりびちゃりと辺りに飛び散るのは肉片と青黒い血液の滝。
腐臭を漂わせるそれらを生身で浴びながら、ゲッツはリンセルの首筋を引っ掴み、安全地帯へ放り投げる。
正気を失っているであろう今のリンセルと、周囲の人々の正気を取り戻す為に、ゲッツは声を発する。

「ガ……ッ、アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァ――――――――ッッ!!」

竜種の咆哮は、神の声に対抗しうるのか。
いや、し得ない。だが、強い意思を持って、人々の為に上げた叫びは、聞こえないはずは無い。
此方に人々が注意を向けた瞬間に、ゲッツは鋼の左腕を塀を乗り越えるドローンの頭に向けて構え、砲撃。

轟音と同時に、ドローンの一体を絶命させ、塀の向こうにそれをたたき落とした。
荒い息を吐き、軟質化した皮膚を引きちぎり、鋼で肉体を補いながら、全体を見回し叫ぶ。

「――塀の方は比較的数が少ないから俺がぶっ潰す!
 アサキムは空のやつぶっ飛ばすのやってくれや! 遠距離得意だろォ!? コア狙いながら乱れ打ちなァ!
 んで、エスペラント――、どこに居るか分かんねぇけど、地上組頼む! 数が多い上に固くて強い、お前さんの火力ならなんとかなる!」

指示と言える程レベルの高いものではない、と言うよりゲッツが指示をするよりもアサキムやエスペラントがする方が経験的に有利だろう。
だが、少なくとも今の時点でそれらを考える余裕は無く、ゲッツは比較的数が少ないが、サイズの大きいギェリムのドローンを相手取る。
肉体の一部は既に同化されているが、同化部位を引きちぎり、全身傷だらけにしながら、戦っていた。

リンセル達に振り向き、ゲッツは叫ぶ。

「さっさと東のスラムに逃げな!
 あっちはボルツのおっさんが撃ち漏らしをどかしてるくらいで、そんなに危険じゃねぇ!」

叫ぶやいなやそうそうに、背中から翼を生やし、左腕を剣に変形させ、ゲッツは数十体のギェリム=ドローンに対して襲いかかっていく。
触手に骨を砕かれれば、骨髄から溢れる鋼で繋ぎあわせ、血を噴出せば竜刃が擬似血液を生成してそれでも戦い続ける。
アサキム相手に瞬殺されない輩を相手にしているのだ、即死していないだけ健闘、否、奇跡と言っても過言ではなかった。
323ゲッツ ◇DRA//yczyE:2012/11/26(月) 02:09:21.03 ID:sM/n8jp1
その奇跡が現れた直後、さらに状況が変化する。
その他にも、この都市に滞在していた百にも迫ろうかという数の冒険者達が震えながらも立ち上がり、動き出したのである。
この絶望を前に闘う者達の姿を見ることで、彼らも勇気づけられたのか。力に差はあれど戦える人々は、4人だけではないのだ。
そして、外縁部等から、数多の騎士たちが集まっていく。聖堂騎士団の精鋭とはいえないまでも、日々この都市を守るために身を粉にして戦ってきた老若男女、この都市を守るのは自分たちだと叫びを上げるように化け物たちに槍を突き立て、メイスを叩きつけ、剣で引き裂く。

「――この都市は、俺たちの故郷でなァ。幾ら神様だろうと、俺の母ちゃん殺したりしたらただじゃおかねぇぞ!」
「自分、聖堂騎士団に所属したのは、弱きを助け、強きを挫く者で有りたかったからであります! 隊長、自分は弱気を捨て、強気に生かせてもらいます!」
「し、死にたくないけどよォ……、ここの大聖堂で相方と結婚するために旅しに来たんだ! こんな所で死んで溜まるか畜生が!」
「外縁部周回部隊、総員構え! 教皇がどうとかは関係ない、私達が仕えるのは、信仰であって、邪神ではないのだ!」

「「「「「こんな所で、死んで溜まるか。負けてたまるか、好き勝手にさせて溜まるかッ――――!」」」」」

戦う理由は人それぞれ。だが、戦線を支える力が確かに付け加えられた。
5人合わせてもゲッツ一人と同等程度かそれ以下だが、それが大量に入れば話は違う。
手数は数多、面で場を護り、面で敵を突き殺す。自分本位な救済を好としない、力強い生き様がそこにはある。

その中で、ゲッツはフォルテの姿を視界に収めた。
普段は付けているヘッドギアを外され、苦しんでいるフォルテ。
それを見て、ゲッツは跳んだ、そして飛んだ。

「――てめぇら、ここは任せたァ!
 俺のダチがちぃっとアブねぇっぽいんでなァ!」

空には雲霞と無数のトゥビェニ=ドローンが立ち塞がるも、それらをゲッツは次々と吹き飛ばし、粉砕し広場へと近づいていく。
上空からゲッツは、教皇に叫ぶ。

「てめぇ、俺のダチに手ェ出していいと思ってんのかァ! アァンッ!?
 こいつはなァ、神を称える歌なんか謳いやしねぇよ、ってか、それくらいなら神様も馬鹿騒ぎサせるような歌を歌っちま――――」

堂々とした態度、そして力を持つ叫び声も、別格の存在である教皇には何一つ通用しない。
教皇が持つ杖の宝玉は、いつの間にか滅びの種に変わっており、それを掲げれば、直後。
ゲッツの両翼が粉砕し、全身から鮮血を吹き出してゲッツが大地にたたきつけられた。
無慈悲な瞳、氷のように冷たく、鋼のように強硬な意思を秘めた教皇の瞳が、フォルテとゲッツを射抜いていた。

「――この滅び行く定めの世界を救うのは、強き意思、そして人々の繋がりである!
 だが、人々に強き意志を持つものなど、そうは居らず、人々はいがみ合い、争うばかりだ!
 だからこそ、私は絶対悪≠標榜しよう! 私に敵意を持て! 絶対なる悪を憎め! 恐れよ! そして抗え!
 汝らにいがみ合う暇など与えん! 弱き意思を持っていては生きていけぬようにしてやろう!
 その為には、汝らに決して滅ぼされぬ、そして汝らを滅ぼさぬも傷つける、絶対不変の力が必要なのだ!」

朗々と響く声、それは一言で言ってしまえばこういうことである。
『みんながいがみ合って居る世界をひとまとめにする為に、そうならざるを得ない存在を作り出す』
それが教皇の考えであり、人々に対する絶望の姿、最悪の神の使いを呼び出した理由。
この男自身が最悪の存在となる事で、総ての悪意を集中させ、人々をまとめ上げ、世界を救おうとしているのだ。

「故にッ……! フォルテ・スタッカート!
 謳え、使いに呼びかけ、真なる神自身を呼び出す歌を!
 世界平和の為に歌った汝を、私は讃えよう! 汝こそが真の勇者であると!」

フォルテの肩を痛いほどに掴み、謳うことを強要する教皇。
圧倒的有利の中でも、この教皇もまた、神々の使いと戦う人々と違う理由で必死である。
それが正しいのか間違っているのかは、きっと誰にも判断できない。謳うかどうかは、フォルテに託されたのだ。

「ッ、ぐ、ッ、お――!」

地面に体を半ばまで埋め、ゲッツは壇上を睥睨する。
その視線は、もしかするとフォルテと交錯するかもしれない。
ギラギラと刃物のような強い光を宿した、獣性と決意と覚悟を秘めた、心だけでも力を示そうとしている視線と、だ。
324フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/11/26(月) 02:23:26.90 ID:VYYNwtl0
許容範囲を超えた膨大な情報に、頭が割れそうに痛む。
認識できた僅かな断片を言葉にすると、有史以前に君臨していた者達。我々の感覚では認識不能の異界の”海”――。
人々の恐怖が作り出した偶像、神々の真の姿――。

「う……ぐっ、あぁあああああああああァッ……!」

立っていられずに膝をつき、口の端から呻き声が漏れる。
皆が信じている三神は、真実に耐え切れない弱い人々の心が生み出した虚像だった。
移ろいゆくこの世界に確かな物など何もない。
最悪の未来予想図がありありと思い浮かぶ。

―― 今までよく働いてくれたね。お前は生かしておくには知り過ぎた。ここで消させてもらう。

「導師様……」

―― 許せ! 多世界の平和のためにこの世界には犠牲になってもらう!

「エスペラントさん……」

―― フォルテ悪ぃ、やっぱ魔王路線に転向するわ! 平和な世界には耐え切れないんだァ。

「ゲッツ――」

それはほんの少し、自分でも意識しない程度に仲間達に対して漠然と抱いていた不安。
オレはこんな事を思っていたのか。仲間の事をそんな風に思っていたなんて最低だ。
それはオレがどうしようもなく弱いから。いつか見捨てられるんじゃないかという不安があるからだ。
アサキム導師やエスペラントさんはオレを母さんと重ねてる節があるけど、オレは母さんみたいに強くなれない。

「――ッ」

声を押し殺しても、雫が止めどなく頬をつたって地面に落ちる。
そこに、心の隙間に入り込むかのような教皇の声。

「偉大な女神を母を持つというただそれだけで突然神々の戦いに巻き込まれさぞ辛かろう。
だがもう何も恐れることは無い、今こそ真なる三神に身を委ねよ!」

オレはその声に突き動かされるように虚ろな瞳で演台に歩みを進める。
破滅の神を讃える終焉の歌を歌うために。

reaty amole ora fayty ya!《愛しい者達よ 集え》
tu lio shella luty far emio《世界に我等の心を捧げよ》
la shay fierr natyya《何も恐れることはない》
iya-ha-eh (feti)lishay ray le oura《神々の御手に全てを委ねよ》

ra shooty liefar ray sheim ou deer《創られしものは全て いずれ滅び》
iya-ha-eh seida rou《神々の元へ還りゆく》
zzow nai tolan douzee fantar zie(toomie)《万物に常は無く 流転し》
iya-ha-eh seida rou《神々の元へ還りゆく》

これも神の声なのか? 無意識の海から沸いてくるかのように、この世界の言語ではない歌詞が降りてくる。
唇を開き今まさに最初の一声を発しようとして、止まる。
オレは何をやっている? 歌エ、いや、歌ウナ。
この世ニ真実ハ存在スル? 生キル事ニ意味ナンテアルノ? モウ何モ分カラナイ――
325フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/11/26(月) 02:25:49.24 ID:VYYNwtl0
>「てめぇ、俺のダチに手ェ出していいと思ってんのかァ! アァンッ!?」

声が、聞こえた。お世辞にも綺麗とは言えないのに、何故かオレを惹きつけてやまない声が。
今はヘッドギアを外しているから、ローファンタジアでの戦いの時以来の鮮烈さで。
さっき聞いたばかりなのに、とても懐かしい感じがする。
めくるめくあちらの世界に旅立ちかけていたオレは、すんでのところで戻ってきた。

>「こいつはなァ、神を称える歌なんか謳いやしねぇよ、ってか、それくらいなら神様も馬鹿騒ぎサせるような歌を歌っちま――――」

教皇が杖を掲げた、ただそれだけでゲッツは両翼を粉砕され地面に叩きつけられた。

「ゲッツ――!! どうして来るんだよ馬鹿……!」

危険を承知で、というよりそんな事は考えもせずに助けにきてくれたのだろう。
そんな友を異形の神の声の影響とはいえ、一瞬でも疑ってしまった。
自分に対する怒りもひっくるめて、そうさせた教皇にぶつける。

「もうやめろよ! やめてくれ! 滅びが救いとか勝手に決めつけんな!
別にお前がそう思うならそれでいいけど世界全体を救ってやろうとか余計なお世話なんだよ滅びたいなら一人で勝手に滅びとけ!
こんなの救いでも何でもねーよ!」

すると教皇は、相変わらず落ち着きくさった態度で思いがけない事を語り始めた。

>「――この滅び行く定めの世界を救うのは、強き意思、そして人々の繋がりである!
 だが、人々に強き意志を持つものなど、そうは居らず、人々はいがみ合い、争うばかりだ!
 だからこそ、私は絶対悪≠標榜しよう! 私に敵意を持て! 絶対なる悪を憎め! 恐れよ! そして抗え!
 汝らにいがみ合う暇など与えん! 弱き意思を持っていては生きていけぬようにしてやろう!
 その為には、汝らに決して滅ぼされぬ、そして汝らを滅ぼさぬも傷つける、絶対不変の力が必要なのだ!」

さっきまでと言っている事がある意味180度違う。これが本心と見て言いだろう。
つまり、さっきまでの完全にあちらの世界に行ってしまった人の振る舞いは演技。
多分、オレをお荷物だけに産地直送、じゃなかったSAN値直葬して手っ取り早く自分の意のままに動かそうとしていたのだろう。
それを阻まれ、今度は真意を明かしたという事か。
でもな、手の内を明かした敵役はそこから一気に攻め込まれるんだぜ――?
オレは怒る気を無くし、教皇を哀れむような視線で見つめる。

「仮にそれで世界が平和になったとしてもさ。
あなた自身は皆に憎まれて、怖がられて、きっと誰にも分かってもらえなくて、ずっと孤独のままなんだよ……それでもいいの?」

>「故にッ……! フォルテ・スタッカート!
 謳え、使いに呼びかけ、真なる神自身を呼び出す歌を!
 世界平和の為に歌った汝を、私は讃えよう! 汝こそが真の勇者であると!」

教皇はオレの問いに答えるかのように、謳えと言った。
こいつ、狂気以上に正気じゃない。
きっと、その心が、その意思が、あまりに強すぎる故に道を踏み外してしまった。
326フォルテ ◆jIx.3BH8KE :2012/11/26(月) 02:28:26.62 ID:VYYNwtl0
「貴方の決意はよく分かりました。謳いましょう。世界平和のために、”真なる神自身”を呼び出す歌を――」

オレは恐慌に恭しく一礼し、再び演台に歩みを進める。
地面にめり込んでいるゲッツと目が合う。射抜くような本気の瞳。
その視線に、何かを企んでいる時のウィンクで応えた。

「オレ謳うよ! 大丈夫だから。全部上手く行くから!
こんな特大ライブをそんなに近くで聞けるなんてラッキーだな!」

モナーがドラムセットに変身する。
伴奏が殆ど打楽器だけという事は、歌い手の技量がもろに出るという事だ。

「聖堂騎士団の方々!市民の皆様!
ローファンタジアのトップアイドルフォルテ・スタッカート様のエヴァンジェル初ライブだ!
オレの歌を聞けええええええええええええええ!!」

両手に持ったドラムバトンを回し、オレは歌い始めた。
出だしはやはり異界の言語。神の世界の言語なのかもしれない。

「si! yara tufary tereya 《謳え 創世の詩を》
cety durtia lofida 《与えられた命》
shenna sado passe rosaty ya! 《熱き想いと共に燃やして》
tir asce tu arreta sutyfan amole 《我等を包む全てに愛を奏でよう》
aa- miseley oh- san affara ha- 《嗚呼 祈れよ 光あれ》」

それは、終焉ではなく創世の歌。そして、天と水と大地に惜しみない感謝を捧ぐ歌。
正体を現した神がリアルタイムで暴れているこの状況で敢えて、人々が長年信じてきた三主神を讃える歌を。

「天地ひらけし時 生まれ落ちたるは神の子等 集いて祈らん 《我等が大地に祝福を》
咲きし花 愛でる子の 両の手に注ぐ雨露は  光を纏いて 大地の緑を育めり
水際にたゆたう 木の葉に 命 重ね  未来(あした)の日に導き(道)を… 繰り返す 憂いと喜び
霞みゆく遠き空 雲間に満つ 其の光  もたらす天恵よ 我等 包みたまえ
神祀り 彩るは宙を跨ぐ七つ星  清けき月影に 祈り謳 捧げん」

間奏の時に、その場にいる全員に語りかける。
神の正体を知り狂気に蝕まれている人々を引き戻すために。

「古来より世界に害成す恐ろしい者が現れた時、人々はどうしてきたと思う? 方法は大きく分けて二つ。
一つは真っ向勝負を挑み制圧すること。もう一つは……神として崇め奉り鎮めること。
珍しい事じゃないんだよ、こんなことって。確かにそれは正面から立ち向かう力の無い弱い者がする事かもしれない。
でも……それで本当に恩恵を与える神様になったとしたら? ずっとここではない世界にいれば神様でいられるとしたら?
きっと、真実は一つじゃない。
たとえ最初は恐怖が作り出した嘘だったとしても、ずっとみんなが信じて来た事は一つの真実になるんじゃないかな。
だからもう一回、信じてみよう? あなた達が信じた神を!」

神曲は、多くの人の支持を得る程その威力を増すという。
どこまでいけるかは分からないけど、狂気の浸蝕を防げれば成功。
もしも本体にも効いて弱体化でもしてくれれば儲けものだ。
オレに出来るのはここまでだ。頼んだよ? 超人組。そう思いながら、2番を謳い始める。
327エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2012/11/26(月) 03:33:36.65 ID:+D0inRG7
「まさかこのようなことになるとはな…」

あの後エスペラントは現地での広域補助機関の構成員の居る喫茶店に戻るはずだった
しかしその道中で、思いも寄らない形で構成員と遭遇する事になる
相手は真裏派の新教皇就任のセレモニーに置いて行おうとしていた情報を知るも
その事を知った真裏派により、四六時中追い回される事になり喫茶店に行く事が出来ないほどに包囲されていた
それに負傷していたことにより下手に身動きも出来ず
故に浮浪者を装う事で機会を狙っていたらしく、たまたま構成員と遭遇しなければ今も其処に居た事には違いない。
そして情報を聞いた後は、真っ先に中央広場に向かったものの既に事は最悪の形で起きてしまっていた。

「遅かったか―三柱の邪神のようだが幸いにも本体ではないようだな」

既にこの世界が召喚された時点で災厄が広まるとされればエスペラントはすぐにでも
意思なき殺戮形態―永久闘争存在と化すが、今は意識を保てる程の力の供給が始まりつつあるようだ
だとしても決して予断は許されない状況だが

手には装飾されたバクルスの形状に近い杖という名の詠唱端末機を召還し
ある魔法―とある世界ではその際に発生させる呪素により一定量を超えると魔族と呼ばれる
災害を生み出す系統である―を唱える

『我・法を破り・理を越え・殲滅の意思を抱く者なり!・・・
グロークン・グロークン・エイテ・イム・シーンス!』

この僅かな詠唱により突如空間に強力な力場渦動を発生させ、それは三柱に対して包み込むほどの大きさであった
世界から供給された力だけではない、彼の普段からの使用しているのみだけで考えれば
この時点でも相当な実力者であることが伺える

『<ヴォルテックス>イグジストッ!』

三柱を包む大きく強力な力場渦動は三柱をを束縛し、最後の詠唱と共に
微粒子まで磨り潰して粉砕し分解する力場の渦巻きにより無限に絞り込まれていく
それは例え神だろうと跡形も残す事を許さぬと言わんばかりに

「煩くて叶わん、ヤハウェよやはり神のルールを押し付けようとする馬鹿者が
何処に行っても居るな、例え異教でもお前ならば嘆くだろうなこの状況は」

神の声を聞きながらもやはり、多世界を守るためだけに昇華した守護者的概念の存在は
その膨大な情報を聞き取りながらも、彼の知る善良で、自身の力の無さで人を救えない事を悔やみ
他者の混沌を許容しているまさに神に相応しき寛容さと誰かを見返り無しで救おうとする
神の中では珍しくも馬鹿を見ても人を信じ続ける友の名を口にし、彼とは比べようもない
邪神共に対して仕方ないとはいえ嘆息を漏らさずには居られなかった。

>んで、エスペラント――、どこに居るか分かんねぇけど、地上組頼む! 数が多い上に固くて強い、お前さんの火力ならなんとかなる!」

そしてその声に気が付けば、ゲッツは傷だらけになりながらも
逃げ惑う市民達に襲い掛かる数多き肉塊共が眼に入る
これを見逃す訳も無く

「任された―此処で奮闘せねば僕が来た意味はない
宇理炎・鉄の火!!」

右手を天高く掲げ、空には幾何学模様が発生する
それは本家本元とは遥かに劣る炎―しかしそれは不老不死の存在の生命を媒介に
廃人にするまで燃やし続ける、青白い天空から舞い降りる無数の炎の矢が
罪も無き者達を蹂躙しようとしている地上に存在するドローンにまるで
天罰の如く、その身を裁くように燃やし尽くした。
328アサキム  ◆JryQG.Os1Y :2012/11/26(月) 17:52:12.98 ID:iblIbby6
>>「アサキム、は、空の奴を頼む。」
「礼儀は、成ってないが良いだろう引き受けよう。」
【コネクト、コピー please】
連携魔法で、ウィザーソードガンを二つにする。
「乱れ撃つ!」
空の、奴に向けて、ドローンも巻き添えにしながら、撃ちまくる。
魔法の弾なので十分有効打だろう。
「雑魚は、潰した。フィナーレだ。」
そういうと、ある武器を召還する。
それは、余りにも、大きい槍
「ロンヌギヌの槍だ。当たってよ。」
アサキムは、空の怪物に向け飛び、コアにそれをぶっさす
329リンセル ◆Ac3b/UD/sw :2012/11/28(水) 07:59:08.40 ID:bsv3+izw
三主の降臨したエヴァンジェルに竜人の咆哮が轟く。
それは暴風が白い濃霧を吹き散らすかのように、混濁する群衆の精神から恐怖の呪縛を払った。
大海を揺らす程の波浪が、小さな波紋で僅かに掻き乱されたと形容した方が近いだろうか。
いずれにしても、リンセルの状態は放心から恐慌へと変化した。

「あぅっ……ぁぅぁぅ……」

パン屋を含めた困惑する一般市民に向け、満身創痍のハイランダーは叫ぶ。

>「さっさと東のスラムに逃げな!
> あっちはボルツのおっさんが撃ち漏らしをどかしてるくらいで、そんなに危険じゃねぇ!」

「は、はひぃい……っ!」

半ば這うような格好で、リンセルは群衆に紛れて中央広場から遠ざかって行く。
逃げ惑う一般市民と言う言葉で表現するのが、ぴったりの光景である。
広場から溢れた神の欠片が一般市民を襲うのを阻んだのは、街に滞在していた冒険者や聖堂騎士の奮戦。
さらに折よく天から火の雨も降って来た事もあって、幸いにもエヴァンジェルは一人のパン屋を失わずに済んだ。

――――。

人々が去った後の街路に目を向ければ、聖堂騎士のアリアードは逃走せずに残っている。
彼女は広場の門まで進むと、暴れ狂うギェリムの魁偉を見上げていた。
真裏派以外の神官は三主の真実について知らず、教皇も異形の存在を真の神としか表現していない。
従って神威ともいえる畏怖と水棲生物のような外見から、彼女は目前の巨大な異形がツルアであると正確に誤認した。

「え、えっとぉ、神様が人間を襲ってるの? 状況が分かんないよぉ……」

考え込む聖堂騎士の耳に、フォルテの発した言葉が入って来る。
だからもう一回、信じてみよう? あなた達が信じた神を……との言葉が。
アリアードはうっかり深く考え込んでいたので、最後の一文しか耳に入らなかったのだ。

果たして神とは何だろうか?
三主教の信徒たちは、自らの崇める三神が世界を創造した存在であろうと伝えている。
彼らが天を描き、大地を造り、海を満たしたと。

アリアードもそう考えており、少なくとも創造の神に対して数千単位で人間が集まったた所でどうにかなるとは思わなかった。
だから、妖獣の聖堂騎士は神の使いを見ても冒険者や他の聖堂騎士のように刃を向けない。
刃を止めて沈黙した彼らの中で、アリアードは率先してツルアに向けて加護の聖句を唱える。
真摯に、熱烈に、無心に。

「ラサ・アピシアト・ディ・ツルア(聖なる海の主、穏やかな海を司るツルアよ)。
 レザ・イディウス・ディ・ツルア(邪なる海の主、荒らぶる海を司るツルアよ)。
 セイラーン・アヴ・イーニュ(我が祈りに応え、どうか怒りを鎮めたまえ)。
 セイル・アヴィシーム・エルタウ・エルタウ・エルタウ(我らを嘆きの海へ連れて行くのは、思い止まって下さい)」
330 ◆jIx.3BH8KE :2012/11/30(金) 01:21:26.44 ID:jMyd+GI7
331創る名無しに見る名無し