1 :
創る名無しに見る名無し:
>>1乙
これ、ある程度書き込みないとスレが落ちる。とか、ないのかな?場所によっては
そういう制限のところあるから。
>>2 どうだろ
創作発表板ではそういうのはみたことないけどな
2週間空白を作らないで
>>10までいけばおk
かなりゆるい
おお、それは安心……て、油断しているとなりそうな感じだけどw
大丈夫!
SS投稿されれば10なんて直ぐだからwww
もっとSSスレが活性化する事を願う
7 :
時の番人:2011/02/05(土) 18:55:51 ID:FG9vWuVK
今、ここ誰も使ってませんね〜!?
使ってないようなので今から
「日本鬼子・ひのもとおにこ」〜第十章〜【別天津神(ことあまつがみ)の民】
を投下します。
それと今回も挿絵・・無しです。
8 :
時の番人:2011/02/05(土) 18:57:00 ID:FG9vWuVK
●「日本鬼子・ひのもとおにこ」〜第十章〜【別天津神(ことあまつがみ)の民】
遠くで鳴く小鳥のさえずりが鬼狐神社まで、響き渡る冬の日。
裏庭に、少し大きい車が止まっている。8人くらい乗る事が出来るバンタイプの車だ。
この車は、他の神社の神主や、お客さんを送迎する為に鬼狐神社が保有している車。
今は朝8時くらい。この車に荷物を詰め込む秀吉と鬼子の姿があった。
昨日の晩、ヒワイドリの呪縛の解読を途中で抜けてきたきび爺ときび婆。
それに、鬼子と織田、秀吉、般若の6人で話しをしたのだ。
力を持つ人間の民に協力してもらい、今回ハチ太郎が遭遇した力の強い
悪しき輩を見つけ出す。そして、散らす事を。
秀吉と鬼子はその準備をしている所だ。
きび爺、きび婆、弥次さん喜多さん。それに織田と舞子が2人を心配そうに見つめている。
きび婆が鬼子の方に近寄ってきた。
「鬼子・・あんまり無茶はせんでおくれよ。深追いは禁物じゃて」
「解ってるわ。心配しないできび婆。それに皆も。私は大丈夫よ」
鬼子は笑顔でそう答えた。
織田が秀吉の方に近寄って来て小声で伝える。
「おぃ秀吉。鬼子ちゃんが無理しそうな時は、お前が止めるんだぞ。
鬼子ちゃんに怪我させたら承知せんからな!」
秀吉は織田のその言葉に、深くうなずいた。
「解ってます。任せて下さい」
秀吉は口を真一文字にしてそう織田に答えた。
車に乗り込むのは、鬼子、秀吉、般若。それに今朝方やっと呪縛の解けたヒワイドリ。
秀吉が運転席に乗り込み、鬼子は助手席に乗り込む。般若は般若面となり、
鬼子の袂に入れられている。そしてヒワイドリアクセ付きカチュウシャを頭に・・・。
ヒワイドリは・・・徹夜明けで爆睡中だ。織田がそのヒワイドリを後部座席に放り込んだ。
きび爺が2人に声をかける。
「絶対に無理するんじゃないぞ。気を付けてな」
秀吉が、運転席の窓を開けみんなに挨拶をしている。
「じゃぁ行ってきます。皆さんも気を付けて」
鬼子も助手席の窓から皆に声をかけた。
「行ってきます。こにぽんに宜しく伝えて下さい」
こにぽんははだ寝ている。傷を負ったハチ太郎と、徹夜明けの般ニャーとともに。
そして、車は静かに走り出し鬼狐神社から消えて行った。
鬼子と秀吉。そして般若と爆睡中のヒワイドリを載せた車が高速道路を走っている。
鬼子は窓から見える外の景色を、寂しげな表情で見つめていた。
「鬼子ちゃん。車に乗るの初めてだよね。どう?走るより早いだろ!?」
秀吉は、鬼子の沈んだ表情を気にかけているのだ。
「ん〜・・・。私の方がもう少し早いかな」
今、車は時速80キロで走っている・・・。
「え・・・このスピードより早く走れるの・・・?」
「・・うん。でも、早く走れても輩のいる場所は解らない・・・」
秀吉は、輩とは違う話題にしようとしているのだが、鬼子の頭の中は
やはり、心の鬼からなる悪しき輩で一杯なのだろう。
「・・・そ、そうだね。早く走れてもね・・・。ハ・・ハハハ・・・」
秀吉の話しは撃沈される・・・。
一時間ほど田舎風の郊外を走っていたが、所々ビルも目立つようになってきた。
神社近くの風景とは全く違い、近代的なビルが立ち並ぶ。
後部座席ではまだヒワイドリが寝ている。呪縛が解けて直ぐ眠り込んでしまったのだ。
9 :
時の番人:2011/02/05(土) 18:58:06 ID:FG9vWuVK
「ねぇ秀吉さん」
と、鬼子が声をかけてきた。
「ん?なんだい?」
「光の世って争い事とかはないんですか?」
輩と関連ずけを出来るだけしたくなかった秀吉だが、やはり、そうもいかないみたいだ。
「ん〜〜〜。あるよ・・・。欲のぶつけ合い、趣味、思考の違うもの同士の争いなんか・・・沢山ね」
「・・・殺し合い・・なんかも?」
「・・そうだね。この前、刑事さんが神社に来たろ!あの刑事さんはそんな争い事を
取り締まっている。大目付だったかな?闇世で言う。闇世も光の世も同じじゃないかな・・・」
「・・・そうですか・・・。何で争い事がおきるんでしょうか・・・どうして生きる者は
争い事をするんでしょうか・・・。皆幸せに過ごそうと思ってないんでしょうか・・・」
鬼子がいつも心で思っている事が、自然と口から出てしまっていた。
「鬼子ちゃんはどう思ってるんだい?光の世の事はまだよく解らないだろうけど、
闇世での争い事なんか・・・」
秀吉は、もう話題は何でもいい。鬼子に喋らせる事でなんとか元気になって欲しいと思っているのだ。
「・・・闇世では・・・悪しき輩との戦いがほとんどだけど、たまに、違う民同士のいざこざもあるの。
そんな話を聞くと、悲しくなってきます・・・」
「そっか。そうだよね。でも、それを直ぐに解決する事は出来ない。
少しづつ、少しづつ争いの無い世界にしていく為にも、まずはその輩を何とかしなくちゃね」
「秀吉さん・・・。今から会いに行く光の世の人間の民ってどんな人なんですか?」
「ん〜・・・。僕も良く知らないんだ。住所と名前だけ渡されたからね。織田さんの言うには
わがままな奴だって・・・。でも、狐火様の紹介だから悪い人じゃ無いよ。きっと」
「・・・そうですか。その人を危険な目に合わす事出来ないから、話しだけ聞く事にしませんか?」
怪我人を出したくない、最悪死んでしまうかもしれないほど強い相手を探してもらう事を、
鬼子は心配しているのだ。本当は自分の力で探し出し解決しなければいけない事なのに、
人間の民を危険にさらしてしまう事への不安が強くなっているのだ。
「鬼子ちゃん。そういう事は会ってみて、話をしてみてから決めたらいいんじゃないかな。
狐火様から力を貸してもらえって言われてるから、弱い人じゃ無いと思うし」
「でも・・・」
「解ってる。鬼子ちゃんの気持ちは解ってる。とにかくそれは会ってからにしよう」
「・・・はい・・」
鬼子の心は、自分一人で解決しようとしているのだ。同行している秀吉にも怪我はさせられない。
今から会いに行く人も危険な目にあってもらいたくない・・・と。
「ふわあぁ〜ぁあ」
後部座席からヒワイドリの声がした。
両腕を上に伸ばし大きなあくびをしながら目を覚ましたのだ。
「ん?ここ何処?」
周りをキョロキョロしながらヒワイドリがそう言った。
鬼子はヒワイドリから見えない様に、自分の身体を車の座席越しに小さくして隠れている。
秀吉はバックミラー越しに言う。
「ヒワイドリ、やっと起きたのか。どうだ?身体の調子は」
その言葉を聞いたヒワイドリは、呪縛を解放された事を思い出した。
「あっ!オレ今どんな風に映ってる?」
「・・・ニワトリだけど・・・」
「・・・そ、そうか。で、ここ何処?」
「車の中さ。今、狐火さまから力を借りる様にと言われた人の所に向かってる途中だよ」
「そうなんだ。まぁオレには関係ないけどな。で、鬼子。何で小さくなってるんだ?」
・・・バレてる。
「・・・ん゛?あんたと喋りたく無いからよ」
呪縛の解けたヒワイドリが、鬼子にどんなイタズラをしてくるか解らない。
今までに無いヒワイな言葉をかけてくるかもしれない。
鬼子は袂に手を入れ、般若面の口から少しだけ薙刀を出し、それを握った。
10 :
時の番人:2011/02/05(土) 18:59:03 ID:FG9vWuVK
秀吉は笑顔だ。ヒワイドリが起きた事により鬼子は今、悪しき輩の事を忘れている。
「あ、ヒワイドリ。ニワトリの姿じゃ今後街中一緒に歩きずらいから、元の姿に戻ってろって
狐火様が言ってたぞ。それと、悪さをするなともね」
「そっかぁ〜。ダハハハハ〜。オレの天下だ。オレ様の天下だぁ〜!!!」
ヒワイドリは目から炎を上げている様に、上を向いて天を仰いでいる。車の中だが。
「ヒワイドリ、悪さしようとしたらその時点で消すからな」
と、鬼子の袂から聞きなれたガサツな声が聞こえてきた。般若だ。
「や、やっぱりいたのね・・・。そ・・・そんな事少しも考えて無いよ・・・。
ただちょっと吠えてみただけさ・・・」
ヒワイドリは冷や汗をながしながらそう言った。
「じゃぁ元の姿に戻るか」
そう言ってヒワイドリは、少し念を貯めた。
【シュフォ〜ッ】
ヒワイドリの周りに念の渦が出来る。車の中はその渦の風で紙切れや荷物などが浮き上がり
渦を巻いている。
「ちょ・・ちょっと、もう少し・・・」
と鬼子が言うと同時に、
【バシュー】
車の中が光に包まれ、車が・・・高速道路のアスファルトから一メートルくらい浮いてしまう。
【キキキキ〜〜〜】
慌てた秀吉が何とか車を立て直そうと必死に無言でハンドル操作している。
「こ、こら〜ヒワイドリ〜〜〜」
鬼子の叫び声が車の中に響き渡るが・・・どうしようもなかった。
【キキ〜〜キキ〜〜〜】
秀吉はやっと車を立て直したが、涙目になりハンドルにしがみ付いている。
もちろん鬼子も、涙目に・・・。
ヒワイドリは・・・自分の頭を天井に打ちつけ、抱え込んでいた・・・。
「いって〜〜〜・・・。ごめん。久しぶりだから力加減を間違えちゃった・・・」
元に戻ったヒワイドリの姿は、白髪に一部赤い髪が混じっている。
そして白色を基調とした着物姿に変わっていた。
鬼子は薙刀で突きながら言う。
「あんたねぇ〜・・・ほんっとに厄介者だわ。きび爺は何でこんな奴と一緒に行けって
行ったんだか・・・」
「う、うるせい。仕方ないだろ。本当に久しぶりだったんだから」
「で、あんたは元々何の民だったのよ?」
「ん〜〜〜・・・。思いだせん。完全には呪縛を解いてもらって無いみたいだからなぁ・・・」
「あ、それより鬼子!」
「ん゛?何よ・・・」
「乳の話しでもしようじゃないか」
【プッス】
薙刀がヒワイドリの眉間に突き刺さる。
「お・・・鬼子。それ以上力を入れないでね・・・。
オレ、死んじゃうから」
「ふん。役立たずが」
車はそんな皆を乗せ、高速道路を降りて行った。
11 :
時の番人:2011/02/05(土) 19:00:06 ID:FG9vWuVK
大都会。近代的なビルしか立ち並んでいない。こんな所にその人間の民がいるのか。
人が溢れかえり、肩をぶつけながら歩く人々。そんな中、秀吉は片手にメモを握り締め
片手でハンドルを握り締め、ユックリと車を進めていた。
そのまま小さな細い路地を入っていく。少し進むと人の波もまばらになり、静まり返った所に出てきた。
「あっ、ここだ!」
と秀吉は5階建てのビルの前に車を止めた。
そのビルの前に駐車スペースがあるので、そこに車を止めなおした。
鬼子達は車を降り、ビルの看板を見上げた。
【HIBIKI STUDIO】ヒビキ・スタジオと書いてある。
小さな玄関を入ると、階段と小さな電話だけがある空間。そして階段の手前には鉄格子が施している。
秀吉は番号をクルクル回すレトロな黒電話に目をやった。その横に何か書いてある。
【御用の方は受話器を取り、○○番まで】
秀吉は受話器を取り、○○と回した。
【トゥルルルル〜・・・】
呼び出しているが、中々出てくれない。その横で、ヒワイドリが鉄格子をこじ開けようと
【ガシャガシャ】やっていた。
「ハァ〜ィ。どちらさん?」
とやけに色っぽい声が受話器から聞こえてきた。
「あっ、鬼狐神社から来た者です」
「あぁ〜早かったのね!ちょっとまってね。柵の鍵を開けるから。
階段登って二階まできてくれる?じゃぁね」
【ガチャン】
と受話器が切れた。それと同時に
【ポーン】
と言う音が柵の鍵の所から聞こえてきた。どうやら、鍵が開いたようだ。
「うす汚い所だなぁ」
ヒワイドリが裾を少し上に上げながらそう言った。
【キッ】とヒワイドリを睨んで鬼子が言う。
「あんた、言葉を慎みなさいよ!」
階段を上がって行くと、なにやら音が聞こえてくる。秀吉は、その音が聞こえてくるドアを開けた。
すると、ガラス張りのぶ厚いドアがもう一つある。その向こう側では、誰かが何かをしているようだ。
横に有る階段から誰かが降りてきた。
「あ〜ら。良くいらしたわね〜ん」
その色っぽい声の主は、見た目20代前半の女性。とても色っぽく見える。
髪型は茶髪のセミロング、そして白いシャツを着ているのだが、
そのシャツをむやみに、そして力強く持ち上げる胸・・・。
鬼子はそれを見て・・・呆然としている。
秀吉も違う意味で呆然としているが。
【シュッ】
ヒワイドリがその女性の横に素早く動いた。
「ち、」
【プスッ】
鬼子が素早く、ヒワイドリのお尻に薙刀を刺す。
そんな鬼子とヒワイドリの無言のやり取りを他所に、その女性が鬼子の腕に手を添えた。
「あなたが鬼子ちゃんね!か〜わいぃわね」
「え・・あ・・あのぅ・・・」
「解ってるわ。連絡があったから」
そう言いながら、その女性はセミロングの髪の毛をユックリかき上げた。
薙刀がお尻に刺さっているヒワイドリが、その女性の髪の毛の香りを
【クンクン】
と心地良さそうな笑顔で匂っている。
12 :
時の番人:2011/02/05(土) 19:01:06 ID:FG9vWuVK
秀吉は、そのヒワイドリを手で隠す様に押しのけながら言った。
「初めまして、鬼狐神社に仕える秀吉と言います。貴女が狐火様から紹介された方でしょうか?」
「いいぇ、違うわ。私はここの事務所の社長よ。社長兼神主だけどね。響って言うの。宜しく〜」
「あ・・・宜しくお願いします」
その響社長はガラス張りの中にいる人達を指差しながら言った。
「紹介されてるのは、あの子達よ」
手前に三人。そのまた奥にガラス張りの部屋があり、その中に一人。
「今、新曲の音合わせ中だけど入っていいわよ」
響社長はそう言いながらガラスの扉をあけた。すると、中では心地のいい音楽が流れている。
「あっ!」
鬼子が目を見開き、焦りながらその人達に指をさしている。
「ぁあ〜・・・金色のビルの看板の人達〜〜〜!」←第五章参照。
秀吉も驚き、唾を飲み込んでいる。
「あぁ・・・テレビに出てる人だ・・・」
その言葉を聞いた響社長は、キョトンとした表情で言う。
「あれ?聞いて無かったの?彼等は歌手よ〜」
「歌手!?」
「そう。中で一人音あわせしている男の子が音麻呂で、手前にいる男の子が歌麻呂。
2人一組のグループで唄ってるわ。そして、手前にいる女の子2人、茶髪の子が
詠麻呂で金髪の子が奏麻呂よ。彼女達も2人一組のグループなの〜」
「知ってます、見たことあります。テレビにもよく出てますよね」
秀吉が目をキラキラさせながらそう言った。
「そう。最近人気が出てきてね、彼らが作る曲っていい曲なのよ〜ん」
響社長は両手を掴み、腰を振りながら満面の笑顔になっている。
「入っていいわよ〜ん!」
秀吉は、響社長の揺れる腰に誘われながら中に入って行った。鬼子も付いて行ってるが。
ヒワイドリは鬼子により、中には入れてもらえなかった。
中にいる女性二人と響社長に悪さをしてもらいたく無いからだ。
見た事の無い空間に圧倒されながら、鬼子が挨拶をする。
「こ、こんにちは。初めまして、ひのもと鬼子と言います」
「ぼ、僕は秀吉です」
歌麻呂(男)と言う人が2人の言葉に返事をしてくれた。そして、鬼子の方を見た。
「あぁ〜よく来たね!君の事聞いてるよ。闇世の鬼の民なんだってね。初めて見たよ〜。
可愛い顔してるから君なら絶対売れるよ〜。俺は歌麻呂。宜しくね。」
歌麻呂はニコニコ笑顔で手を振りながらそう答えた。
すると、その横にいた茶髪の詠麻呂(女)が歌麻呂(男)の背中を【ポン】と叩きながら言う。
「違うでしょ!力を借りに相談に来てるんだから。ね、鬼子ちゃん!」
鬼子は少し引きつった笑顔で返事をする。
「は・・・はい」
「私は詠麻呂。宜しく〜」
詠麻呂(女)も手を小さく振りながら挨拶した。
鬼子も少し焦りながらまた挨拶をする。
「あ・・よ、宜しくお願いします」
奏麻呂(女)が鬼子と秀吉の手を引いて言った。
「まぁまぁ立ち話もなんだから、座ってよ。私は奏麻呂よ。宜しくね」
またまた、鬼子と秀吉は挨拶をする。
「宜しくお願いします」
音麻呂(男)と言う人は、もう一つのガラス張りになった部屋の中で、ピアノを弾いているみたいだ。
音合わせ中と言ってたから、その作業中なのだろう。
中から手を振ってくれているので、鬼子は頭をチョコンと下げて挨拶をした。
ヒワイドリは・・・ガラス張りの部屋の外で、口に指を入れながらこちらの雰囲気を
うらめしそうに覗いていた。
歌麻呂(男)は、自分の前の機械のつまみを、鬼子達には見えない様にしながらスライドさせた。
そして、鬼子達の方に向き笑顔で言った。
「で、その鬼の民の子が俺たちに相談って何かな?」
「は、はい・・。実は・・・」
と鬼子はココに来たいきさつを丁寧に全て話した。
13 :
時の番人:2011/02/05(土) 19:02:07 ID:FG9vWuVK
歌麻呂(男)はその話を静かに聞き、腕を組みながら鬼子を見つめている。
「ふ〜ん。そんな事になってたのか。大変だったね。それで、俺達にそいつの居場所を
探して欲しいと」
「は、はい。ハチ太郎の・・犬の鼻を頼りに出来なくなってしまったので、
狐火様が貴方たちの力なら探し出せるんじゃないかと・・・」
神社の人達、そして同行している秀吉からも、しっかり説明して力を貸してもらえる様にと
念を押されていたので全てを話した。
だが、やはり鬼子の心は人間の民に迷惑をかけたくないと思っているようだ。
迷惑だけでは済まないかもしれない、とても危ない場所に同行してもらう事をためらっていた。
鬼子は、歌麻呂(男)と目を合わさず少し下を見つめている。
歌麻呂(男)は、鬼子のその表情を見ながら言う。
「山の中を探すとなると、俺達4人の力が必要だなぁ。単独ではまず見つからないからね。
何日かかるか解らないから、食料も持って行った方がいいよなぁ」
詠麻呂(女)は歌麻呂(男)をからかう様に言う。
「シャンプーやリンス、歯磨きセットとお化粧道具も持っていっていい?」
「キャンプじゃねぇんだから、だ〜め!」
「え〜、じゃぁ着替えくらいはいいでしょ!女の子なんだから」
詠麻呂(女)は奏麻呂(女)にくっ付きながらそう言った。
「き・・・危険な目に合うかもしれません。私はまだ、その悪しき輩に遭遇してませんが、
とても強い心の鬼が取り付いた輩なのは、間違いありませんから」
鬼子の表情は寂しげだった。歌麻呂(男)、詠麻呂(女)、奏麻呂(女)も、その鬼子の表情に
どことなく自ら壁を作っている様に見えた。
鬼子は続けて言った。
「闇世では、その心の鬼に取り付かれてしまうと悪しき輩となってしまうんです。
そうなってしまうと・・・人間の民にはもどれません・・・」
奏麻呂(女)が鬼子を上目使いしながらジッと見つめる。
「鬼子ちゃん・・・。さっきから怖い話ししかしないね。私達の事を・・・
遠ざけてる?・・・」
鬼子は【ドキッ】っとした表情を浮かべる。
「ち・・・違います。じ・・事実をちゃんと伝えなきゃと思って・・・」
歌麻呂(男)の表情が少し厳しくなる。
「・・・鬼子ちゃん。独りで行くのかい・・・?」
その言葉を聞いた鬼子は・・・下を向きながら、膝の上で握りこぶしを作っていた。
「いや・・私は・・・」
秀吉は慌てて、鬼子の言葉をさえぎる様に言う。
「私も行きます。行きますって言うか・・・私は当事者なので」
歌麻呂(男)は鬼子を見つめながら首をかしげている。
「いや・・・秀吉さんを置いて、独りで行こうとしている様に見えるんだけど、
違うかな?鬼子ちゃん・・・。狐火様からの紹介なので、ココへ来たけど
断ってもらえる様に・・・って・・心がそう言ってるよ」
秀吉は驚いた表情で、鬼子の方を見て言う。
「お・・・鬼子ちゃん・・・それ本当なのかい・・・?」
鬼子は目をつむり、下を向きながら少し震えていた。
「・・・だ・・だって・・・秀吉さんも見たでしょ・・。ハッちゃんのあの姿・・・。
もし、秀吉さんや皆さんがあんな事になってしまったら・・・。
死んでしまうかもしれない・・・」
歌麻呂(男)が、鬼子の方に背を向けて、中にいる音麻呂(男)の方を見ながら話した。
「鬼子ちゃん・・独りで行ってどうするの?」
「・・・私独りでも大丈夫です。時間はかかると思いますけど、
絶対光の世は守ってみせますから・・・」
歌麻呂は振り向き、鬼子の顔をジッと見る。
「独りで?」
「はい」
「傷ついても?」
「・・・はい」
歌麻呂(男)は鬼子の目を見ていた。鬼子の心の声を読みとろうとしているみたいだ。
ジッと見つめ続ける。その状態で時間が少し過ぎて行く。
14 :
時の番人:2011/02/05(土) 19:03:13 ID:FG9vWuVK
歌麻呂(男)が急に立ち上がった。
「ダメダメ〜鬼子ちゃん。駄目だよ〜。そんなんじゃぁ悪しき輩に勝てないよ!
みんなの力を合わせないと、倒せる者も倒せなくなる。そうだよなぁ?音麻呂(男)!」
歌麻呂(男)がガラス張りの中の音麻呂(男)にそう声をかけた。
中にいる音麻呂(男)に今までのやり取りが聞こえていたみたいだ。
音麻呂(男)は大きくうなづいている。
詠麻呂(女)が鬼子の方を向き笑顔で言った。
「闇世だけの問題じゃぁないんだし、協力して探し出さなくちゃぁね。
鬼狐神社の狐火様からのお願い事なのに、鬼子ちゃんを独りで行かせるなんて出来ないわ」
「で・・でも・・・」
鬼子のその暗い表情を見ていた奏麻呂(女)が少しおちゃらけて言う。
「それに、織田さんがお世話になってる神社だもの、なおさらほっとけないわ」
奏麻呂(女)のその言葉を聞いて、秀吉は思わず口から言葉が出てしまった。
「お、織田さんとはどんな関係があるんですか・・・?」
「関係って・・・ぃやね〜そんな事聞かれたら恥ずかしくなっちゃう」
奏麻呂(女)は顔を赤くして下を向いた。
それを見ていた歌麻呂(男)が笑いながら言う。
「こらこら、からかっち〜駄目だろ奏麻呂。秀吉さん、俺達織田さんに古武道習ってた
時期があるんですよ。子供の頃なんですがね。あの人だけは倒せなかったなぁ〜」
「え・・・習ってたの!?」
「うん。小学5年生くらいの時だったかな。生意気な俺たちをぶん投げて自慢してたよ」
「5年生をぶん投げて自慢・・・」
「だから鬼子ちゃん、俺達は一緒に行くよ。それと、手紙にも書いてたけど狐火様が
鬼子ちゃんの事をすごく心配しててね。ひどく傷ついた友達や、怪我をした神社の人達の事が
心に残ってるから、俺達の同行を断るかもって、独りで行こうとするかもって書いてあった。
狐火様が書いてた事、当ったなぁ」
続けて歌麻呂(男)は言う。
「鬼子ちゃん。仲間って大事だよ〜。独りで解決するとか、守ろうなんてしちゃ駄目さ。
協力し合って、初めて力が発揮される。だから皆を守る事ができるんだ。
その事を解ってて欲しいな」
鬼子は嬉しい様な、でもやはり心配なのは拭い切れないでいた。
「あ・・・有難う御座います」
歌麻呂(男)が、場の雰囲気を少し変えようと笑顔で話しだした。
「俺たちの紹介がまだだったね。今はこの音楽活動に落ち着いてるけど、それまでは色んな事をしたよ。
元々俺たちって、主体にしている核たる物が無かったから。色々やりすぎて、
色んな所から破門状態だし・・・。唯一歌手としての活動は自由って所かな」
「は・・・破門・・ですか?」
「そうなんだ恥ずかしい話しだけど。神主も山伏も陰陽師も古武道も、
その他の神に関わる事全部ね・・・。神職では浄階って言って最高位になる所だったんだけど、
面白くなくなってきて・・・。もう全部笑い話だよ」
秀吉はその言葉に驚きの表情を浮かべた。
「え?浄階って年齢など関係ないんですか?長く仕えてる人がなれると聞いた事がありますけど」
「その通りですよ。浄階の職に就いてた人が俺たちにはその力があるって言って、
勝手にその職に就けようとした事があったんです。
でも、俺達の年齢や態度やら回りからすごく反対されて」
秀吉の驚きはまだまだ続いている。
「皆さんは何故、神主や山伏や陰陽師、古武道と色んな神職に精通してるんですか?」
「それが・・・良く解らないんです。何か俺達の血には、大昔、この世を作り上げた神様の血が
濃く混じってるって誰かが言ってたんだけど。架空の神話なんですよ。
俺達の神職の吸収の早さに冗談で言ってると思います。
別天津神(ことあまつがみ)って神様達らしいんだけど。でも今の俺たちには関係ないし、
どうでもいい事なんですけどね」
15 :
時の番人:2011/02/05(土) 19:04:41 ID:ys9iTQUi
歌麻呂(男)は鬼子の方に向いて話した。
「俺たちの音楽活動の原点は祝詞(のりと)なんだよ。神に捧げる歌や舞をしてた時に
なんかこう、ピーンときてね。人の心を和らげるって言うか、癒すって言うか。
笑ったり怒ったりも表現出来るから、今の俺たちにとても合ってるんだよ。
さっき、鬼子ちゃんが悪しき輩の居場所が解らないって言ってたよね。俺たちにもすぐ
その居場所が解るかって言えば無理だと思う。でも、自然の力を借りれば何とかなるかもしれない」
「し、自然の力・・ですか?」
「そう。何かを探す時は、神主、陰陽師の力ではなく山伏の力の方が勝ってるからね。
特に山の力を借りて探してみるよ」
鬼子の耳には聞きなれない言葉だ。山伏、陰陽師、祝詞・・・。そう言う神職が
光の世にはあるのだ。
「皆さんは、必ず私が守ります。だから安心して下さい」
鬼子のその言葉に、歌麻呂は呆れ顔だ。
「いや、俺たちは大丈夫だよ。自分の身くらいは自分で守るよ」
「いえ・・・本当にとても強い輩みたいなんです。
皆さんに怪我でもされたら・・・必ず守りますから。」
「ハハ・・。大丈夫だって、そんなに守る守るって言ってちゃぁ自分の事も守れなくなっちゃうよ」
そんなやり取りをしている所に、音麻呂(男)が中のマイクを通じて話しかけてきた。
「歌麻呂〜詠麻呂、奏麻呂〜。ちょっと中に入ってきてくれ」
音合わせの打ち合わせ中だと響社長は言っていた。鬼子達は彼らの邪魔をしないように
この場で待つことにした。
すると、音麻呂(男)が中から初めて出てきた。
そして、目の前の機械をイジっている。何かのボタンを押したようだ。
「鬼子ちん!ガラス越しに鬼子ちゃんを観察してたんだけど、
俺たちと同じように、すごく頑固だね〜。気が強いって言うか優しすぎるって言うか。
そんな鬼子ちゃんを見て今作った曲があるから聞いていってよ!」
「え・・?」
と、あっけに取られている鬼子と秀吉。
その2人を置いて、音麻呂はまた中に入って行った。
16 :
時の番人:2011/02/05(土) 19:05:51 ID:ys9iTQUi
【信じてくれればいい】
http://ux.getuploader.com/oniko3/download/46/sinjitekurerebaii001.mp3 1番歌詞
黒髪がなびく、君に逢うとふと 懐かしさ溢れ、心が温かくなる
君に触れたいと、手を伸ばしてみる でも悲しい目が、僕の心遠ざける
瞳に映る、本当の心
想いを投げつけたら、傷つくきみがいるの?
伝える事をせずに、背負うとふと消えるの?
独りで生きる事を、優しさと信じるの?
くれない色の、夕日見つめる 君の居場所を、照らしてくれるの?
冷めた視線に、疲れたみたい 独りたたずみ、静かに泣くの?
遠くの陰を、手探りして 見えない道を、ただ歩くの?
本当は君に、寄り添って 全てを支えてあげたい
独りで悩まないで、君のそばにいるのは
大切に思う人ばかりなんだから
信じてくれればいい、強さと言う弱さを
みんなが必ず受け止めてくれるから
2番歌詞
はにかむ笑みから、優しさ伝わり 何気ないしぐさ、いつも心が引かれる
そばにいる君に、声をかけてみる でも寂しい背が、僕の思い遠ざける
抱え込む君の、本当の心
気になり問いかけると、胸締め付けられるの?
うつむくと心から、笑うことが出来るの?
目を閉じて離れると、忘れる事が出来るの?
僕に逢うたび、見上げる空 大切なもの、見当たらないの?
悲しみ背負い、見えない場所で 声を出さずに、静かに泣くの?
悩み隠して、笑顔でいると、無くした物が、見つかると言うの?
泣いたまま胸を張らないで かける言葉無くなるから
独りで悩まないで、君のそばにいるのは
大切に思う人ばかりなんだから
信じてくれればいい、強さと言う弱さを
みんなが必ず受け止めてくれるから
心照らす光を、探さなくても近くに
君を見守り寄り添う人がいるから
信じてくれればいい、全ての悲しさ辛さを
みんなが必ず受け止めてくれるから
手を取り合い進もう、君の目指す所へ
暖かい手差しのべる、みんなが待っているから
投下終り。
「日本鬼子・ひのもとおにこ」〜第十一章〜【光の世の力】に続く。
17 :
時の番人:2011/02/05(土) 19:07:12 ID:ys9iTQUi
ヘタ曲ですいません・・。限界でした。
UTAUを最近初めて使ってみました。
曲作りも最近初めたばかりで、何でこの音にした?とか
何でそこに音を入れる??とか沢山聞きずらい所があると思います。
音やリズムがズレてる所があるかもしれませんが、
そこの所は広〜〜い心で受け止めて下さい。
音麻呂氏、歌麻呂氏、詠麻呂氏。名前使わせて頂きました。
UTAUの響さんの名前も使わせて頂きました。
絶対駄目だ〜と言う事なら即変更します。
それと、田中さんに下の名前があったんですね・・・。
みこと→たくみ(匠)に変更します。
18 :
時の番人:2011/02/05(土) 19:38:24 ID:ys9iTQUi
こんなおちゃらけ曲も作ってみました。
「君とドライブ」by、5変態
セカンドシングル・・・
*最初の方音割れに注意・・・。
「君とドライブ」by、5変態
http://ux.getuploader.com/oniko3/download/47/kimitodoraibu-gohentai002.mp3 アーアア アーアア アーアア アーアア
近寄って行く俺達 誰が見ても男前
君はまだ気付かない そっと肩を叩くまで
ドライブしよう俺達と一緒に 目が光る俺
自身満々アゴを上げて言う ほら決まったぜ〜
逃げないで 走らないで 叫ばないで〜
投げないで 叩かないで 蹴らないでよ〜
ただ君と 一緒に 風を切って〜
この街を ドライブ したいだけさ〜(下の「い」と被る)
いつも〜手探りしてる 俺達の居場所が無い 遠い道のりか〜
光当たる場所まで 飛ばしていこう今すぐ 君の笑顔とともに〜
紅色のお姉ちゃん 恥ずかしがらずに乗りなよ
君はまだ気付かない 俺達の良い所に
刺さないで 殴らないで 散らさないで
切らないで えぐらないで 食べないでよ〜
ただ君と 一緒に 風を切って〜
この街を ドライブ したいだけさ〜
みんな心の鬼に 取り付かれても平気さ 必ず萌えようぜ!
光当たる場所まで 飛ばしていこう今すぐ 君の笑顔とともに〜
すみませんでした。
乙
時の番人氏のSSは鬼子が未熟な設定でいっているんでしたっけね。
確かおじーちゃんズは元シノビ…で良かったんでしたっけ?
他のSSのキャラと記憶が混ざってなきゃいいんですが。
それにしても音楽までとは…多才ですねえ。
20 :
時の番人:2011/02/07(月) 21:22:09 ID:n0PnnLj3
>>19 そうです。徐々に強く、たくましく、と。
ありきたりな設定ですが・・・。
鬼子が強く(心も)なっていくのは38章くらいからです。
おじーちゃんズは忍びです。弥次さん(陽忍)喜多さん(陰忍)です。
忍者・古武道・神職・山伏・陰陽師・歌手とふんだんに出して、
SSを書き易く、続けやすく、ネタ切れしないようにしてます。
音楽・・・失礼しました。本当に耳汚しですいません。
21 :
時の番人:2011/02/07(月) 21:37:54 ID:n0PnnLj3
あ・・・やっちまった・・・。
鬼子SSスレ3がまだあったんだ・・・。
ごめんよ〜ご〜めんよ〜・・皆・・・。
いや、おかげで、落ちる心配はなくなった。基本、ここは大作を投下する場所だから、
空くときは空くし。保守になったと考えればそれほど問題じゃないかと。
前スレはもう容量MAXなのかな?次スレへの誘導入れようとしたら弾かれた…。
左下の表示では501KBだったんだけどなぁ。
24 :
23:2011/02/09(水) 10:46:44 ID:k+9nhHGo
ごめんなさい、
>>1をよく読んでいなかった。500越えた時点でアウトなのね…。
〃 A´`Aヽ
Kiミ!|ノノ))))〉 <では、私がアゲアゲしておきます。
ノ ヘ.|l.゚ ヮ゚ノ|!_
.
26 :
時の番人:2011/02/10(木) 18:33:18 ID:cGcsK0Md
あれ?書き込んでる人が少ない・・・。
そ、そうか!3連休前だから、
頭の中、萌え萌えしてる人が多いんっだな!
規制かもしれんでヤス
あっしは誠意創作中っス
28 :
時の番人:2011/02/10(木) 19:23:29 ID:cGcsK0Md
>>27成る程、乙でヤス
今、ここ誰も使ってませんね〜!?
使ってないようなので今から
「日本鬼子・ひのもとおにこ」〜第十一章〜【光の世の力!?】
を投下します。
それと今回も挿絵・・無しです。
29 :
時の番人:2011/02/10(木) 19:25:05 ID:cGcsK0Md
●「日本鬼子・ひのもとおにこ」〜第十一章〜【光の世の力!?】
空高く、筋雲が伸びる冬の15時頃。高速道路を走る鬼狐神社所有の車がある。
運転席には秀吉、助手席には人の姿のヒワイドリ。
その後ろに鬼子と詠麻呂(よみまろ女)、奏麻呂(かなまろ女)、
歌麻呂(うたまろ男)、音麻呂(おとまろ男)が乗っている。
HIBIKI スタジオの響社長は、一応神主なので事務所を離れる訳にはいかない。
と言うか・・彼らが鬼子と同行を決めたので、スケジュールの調節に
あたふたと謝りの電話などをしなければいけなかった。
車の中は、彼らの曲が流れていて心地のいい空間になっている。
車の向かう先は、鬼狐神社から北へ50キロほど離れた山間の中。
そこに、小さなお寺があるらしい。その場所を基点に、
心の鬼に取り付かれ強い悪しき輩となった者を探す為、移動している所だ。
ヒワイドリが・・・助手席から後ろを覗き、鼻を大きく開いて笑顔で匂いを嗅いでいる。
鬼子は、薙刀の枝の部分でその鼻の開いたエロ顔を一生懸命前へ押し返していた。
「ねぇねぇ、鬼子ちゃん。この鼻の下が伸びている変顔さんは誰?」
鬼子の横に座っている詠麻呂が、そう聞いてきた。
変態の話題にしたく無かった鬼子だが、同行している者の紹介はしなくちゃいけない・・。
仕方なく、恐る恐る話す事にした。
「あ・・あのう・・・。こ、こいつも闇世の民で、多分鳥関係の鶏の民だと思います」
4人は目が輝いている。聞いた事は有るが、実際に闇世に生きる色々な民達を見た事が無いからだ。
「へぇ〜。鶏の民かぁ〜。でも人間と同じ姿してるのは何故なの?」
奏麻呂達の興味は当分続くだろう・・・。そう思った鬼子は、早くヒワイドリの話から
離れたかったので、口早にこの変態の説明をした。
「闇世には数多くの民が住んでますけど、元々は皆さんと同じ姿なんですよ。
力を出す時にその民の本来の姿に変わるんです。でも、こいつは、闇世でイタズラばかり
していたみたいなので、光の世で言う警察、闇世で言う大目付によって
罰として鶏の姿にされてたみたいなんです」
すると奏麻呂が椅子から乗り出して来た。
「ぇえ?鶏??なってみて!」
超〜笑顔な奏麻呂。それにとても良い香りがするので、ヒワイドリは上機嫌だ。
「よお〜っし!女性人の頼み事とあっちゃぁ人肌脱ぐしかないなぁ!」
と、ヒワイドリは少し念を入れた。
それを見ていた秀吉が、慌てて言う。
「ヒ、ヒワイドリ。念の込め方を間違えるなよ。事故っちゃうから」
「わ〜かってるって!うっせ〜なぁ。ほらよっ!」
【バシュン】
・・鶏の姿に一瞬にして変わった。今回、車は中に浮く事無く・・・。
「ぉおお〜」
詠麻呂達のどよめきが興る。
「ほ、本当だぁ〜!鶏になってる〜。キャハハハハ〜!か〜わいぃ」
詠麻呂の意外な反応。奏麻呂も一緒になって喜んでいる。
「乳の話をしようじゃ無いか」
ヒワイドリのいつもの唐突なその言葉に凍りつく・・・のは、鬼子と秀吉だけだった。
詠麻呂は、ヒワイドリをバンバン叩きながら喜んでいる。
「なぁに〜、乳の話って〜。お子茶間なのね〜ヒワイドリって!」
叩かれているヒワイドリは喜んでいいのか・・顔を歪めながら悩んでいた。
何故なら、痛いのだ。とても痛いのだ。詠麻呂の叩く力が尋常じゃ無い・・・。
奏麻呂が後ろから手を伸ばしてきた。そして、ヒワイドリの首を掴み、
【グイッ】と自分の方へ引き寄せ、抱きついた。
「キャッハ〜!いい感じいい感じ〜!」
ヒワイドリは、奏麻呂の胸に押し当てられているのだが・・・顔は・・苦痛に満ちている。
ヒワイドリの顔が・・徐々に赤くなりだした。そして、赤くなった顔を通り越し、
青くなり始めた。・・・息が出来ないほど締め付けられているのだ。
「あ・・ぁあ・・」
ヒワイドリの言葉が小さく口から漏れて聞こえてくる。
30 :
時の番人:2011/02/10(木) 19:26:09 ID:cGcsK0Md
詠麻呂が奏麻呂からヒワイドリを取り上げようと、足を引っ張った。
すると、負けじと奏麻呂も首を引っ張る・・・。
「私のよ〜返してよ〜」
「あんた独り占めする気?貸しなさいよ」
と声を掛け合いながら、ヒワイドリを引っ張り合いしている。
息が出来ない状態で、引っ張られるヒワイドリ。彼には・・もう意識は無かった。
強い・・とても強い人達だ・・・。と鬼子は思った。
ヒワイな言葉を受け流し、自らそれを楽しんでいる・・・。
鬼子には到底真似出来ない光の世の力だ・・・。
歌麻呂、音麻呂もその光景を見てケラケラ笑っていた。
そんな楽しい?時間が過ぎ、車は小さなお寺へと着いた。
本当に小さなお寺だ。本堂と、ここの神主が寝泊りしている建物だけある。鬼狐神社とは全然違う。
参拝客も見当たらない。車の音に気付いたのか、お寺からカラフルな洋服を着た人が出てきた。
鬼子達は、車から降りてその人物に挨拶をする。
ヒワイドリは・・・鶏の姿で、助手席で気を失ったままだ。
「いやぁ〜よう来なすった来なすった。鬼狐神社の人と、響ちゃん所の人達だね!」
出迎えてくれたのは、腰が曲がった見た目80歳過ぎくらいのお爺さん。
白いヒゲが長く伸びた神主さんなのだが、着ている服が・・・
赤、黄、青と・・・原色に近い色の洋服を着ている。
「わしゃぁ〜ココを守っとる神主で、鷲の民の鈴木ちゃんっちゅーんじゃ。宜しくな」
【ちゃん・・・って・・】と皆思い苦笑いしているが、
鬼子の目の色が変わる。もちろん他の皆も同じだ。
「宜しくお願いします。私はひのもと鬼子です」
他の者も挨拶をしたが、頭の中には、“鷲の民”と言う言葉がこだましている。
光の世の民の人達はもちろん、鬼子も鷲の民を見るのは初めてなのだ。
「鈴木ちゃん!鷲の民になってちょうだい!」
奏麻呂が飛び出して行き、そのお爺さんである鈴木ちゃんにそう言った。
怒られると思った鬼子と秀吉は肩を少しすぼめ、鈴木ちゃん(お爺さん)を伺うように見ていた。
鈴木ちゃん(お爺さん)は・・・超ニコニコ顔だった。
「おぉ〜う。えぇじゃろ。その代わりアンタ等のサインをちょうだいな。
わしゃぁ〜詠ちゃん奏ちゃん2人の大ファンなんじゃ。ダハハハハ〜」
「ぇえ〜私達の事を知ってるんですか?ラッキー!」
秀吉が小さく手を伸ばす。目の前の状況が、心の鬼に取り付かれ悪しき輩となった話題とは、
正反対のミーハーな話しになっていたからだ。
「あ・・あのぅ、鈴木さん・・・」
秀吉の声は、鈴木ちゃん(お爺さん)に全く届かない。
「よ〜し!見ておれ」
と、鈴木ちゃん(お爺さん)は言いながら念を軽く込めた。
【バシュー】
凄まじい音とともに、鈴木ちゃん(お爺さん)の姿が変わっていく。
この世の者では無いとてつもない威圧感の有る形相。鋭い爪とクチバシ。鬼子達を覆う様な大きな体と翼。
鷲の形はしているが、どこと無く人間の形も残している。
そして、何より鷲が持ち得る強大な力が、鬼子達を震わせていた。
腰の曲がった先ほどの弱々しい姿はどこにも見当たらない。
「す・・・すごい・・・。こんな事があるなんて・・・」
鬼子は鷲の姿になった鈴木ちゃん(お爺さん)を呆然と見上げていた。
31 :
時の番人:2011/02/10(木) 19:27:18 ID:cGcsK0Md
鬼子達は、鈴木ちゃん(お爺さん)が寝泊りしている部屋にいる。
壁には・・・詠麻呂と奏麻呂のポスターばかり・・。
目の前にいる鈴木ちゃん(お爺さん)とこの部屋を見る限り、弱々しいミーハーなお爺さんにしか見えない。
先ほどの姿は、やはり闇世の力の民の本来の姿なのだろう。
鬼子達は、そのお爺さんの底知れぬ力を感じてからは、身震いばかりしていた。
ヒワイドリは、元の姿に戻り皆と同じ場所にいるが、まだ青い顔をしてうな垂れている。
締め付けられてた後遺症がまだ残っているのだ。
部屋の中には詠麻呂と奏麻呂の曲が流れていて、鈴木ちゃん(お爺さん)はノリノリでみんなに出すお茶を入れていた。
鈴木ちゃん(お爺さん)は上機嫌だ。大ファンの詠麻呂と奏麻呂が目の前にいるからだ。それと・・・。
「鬼の民の鬼子ちゃんだったね!?そんな隅に座らずにこっちに来て囲炉裏にあたりな!」
「あ、は、はい。有難う御座います。でも私はここで・・・」
「・・・気にしとるのかぃ?闇世の事を。光の世にいる時はそんなこたぁ〜気にせんでえぇよ」
鈴木ちゃん(お爺さん)は優しい顔を作りそう言った。
疑問に思った音麻呂が鬼子の方を見た。
「え?気にするって何を?」
「そ・・それはぁ・・・」
鈴木ちゃん(お爺さん)は皆にお茶を出した後、鬼子の手を引っ張って囲炉裏のそばに座らせた。
「ワシらの鷲の民と鬼の民は、昔っからいざこざが絶えんでな。血の気の多い奴等が
お互いの民に手を出したりして、色々あるんじゃ。鬼子ちゃんはそれを気にかけとるみたいだが、
そんなこたぁ〜今ココじゃぁ関係ありゃせんよ。そうじゃろ般若面」
音麻呂(男)、歌麻呂(男)、詠麻呂(女)、奏麻呂(女)はキョトンとしている。
話しの内容は解ったのだが、最後の般若面と呼びかけたのは誰に対してなのか・・・。
すると、鬼子の辺りからガサツな声が聞こえてきた。
「そうじゃ、鬼子よ。光の世ではそんな事関係ないわぃ」
4人は少したじろぐ。鬼子からガサツな声が聞こえてくるからだ。
「お・・鬼子ちゃん。い、今の声は・・鬼子ちゃんなの?」
詠麻呂が驚いた顔でそう鬼子に聞いた。
「ち、違います。これです」
と、鬼子は自分の袂から般若面を出してきた。
すると、ヒワイドリが飛び上がり般若面に指を指しながら言った。
「そこの4人さん。こ、こいつには気をつけろよ。とんでもない悪党だからな」
「誰が悪党じゃぃ。馬鹿たれが!」
4人は鬼子から少し離れてその様子をジッと見ている。
鬼子の頭には汗が流れる。
「ホホホ。お前さんもだ〜いぶ気が長くなったな」
鈴木ちゃん(お爺さん)が般若面にそう言った。
「以前のお前さんなら悪口を言った奴は直ぐ食べてたんだがな」
ヒワイドリの額から汗が流れる。
「え・・・食べる・・?」
「冗談はそれくらいでえぇ。鷲の民の元長老よ」
般若面はそう言って、白い縦長の膨れ上がったお餅のような姿に変わった。
また、4人はその般若の姿に驚きと・・感動と。
「おぃおぃ。闇世の民って何か・・・楽しそうだな」
鈴木ちゃん(お爺さん)は、般若のその姿に驚き優しい顔の眉間に深いシワが出来る。
「お・・お前さん・・・。その姿になれるっ中事は、狐火様に解いてもらったのか。
そ・・そうか。今回の悪しき輩は・・そんなにヤバイ輩なのか・・・」
「いや、まだそうと決まっておらん。やられた仲間は、力が弱いからな。
ここに座ってる鬼子もそうじゃ。まだまだ鬼としては未熟なほうじゃよ」
そう言いながら、般若はヒワイドリに出されたお茶を自分の前に持ってきて飲んだ。
ヒワイドリは・・・何も言えない。
32 :
時の番人:2011/02/10(木) 19:28:34 ID:cGcsK0Md
「あのう・・・」
と鬼子は鈴木ちゃん(お爺さん)に声をかけた。
「鈴木さんは、今般若が言ってた元鷲の民の長老・・・って」
鈴木ちゃん(お爺さん)は笑顔で答える。
「そうじゃよ。だ〜いぶ昔じゃが鷲の民の長老をしとった。
今は隠居の身で、大白狐様からの命(命令)で、ココの守り役をしとるんじゃ。
こっちの世界はえぇのう。平和だし、綺麗なお姉ちゃんは多いし、
何より、心地のいい歌もあるからなぁ」
詠麻呂達4人は苦笑いしている。闇世の力の民の中でも恐ろしいとされている鷲の民・・・。
しかもその長老をしていた人が、自分達の音楽を気に入ってるとは・・・。
とても複雑な気分だろう。
音麻呂はふと何かを疑問に思い、鈴木ちゃん(お爺さん)に声をかける。
「鈴木ちゃん、」
音麻呂がそう声をかけると、鈴木ちゃん(お爺さん)の形相が一瞬にして非常に怖い顔になる。
「“ちゃん”とはなんじゃぃ!?“さん”を付けろ!ワシの事を“ちゃん”で呼べるのは
綺麗なね〜〜〜ちゃん達だけじゃ」
男陣の音麻呂、歌麻呂、ヒワイドリの脳内は、
【・・・・・・・・・・殺される・・エロジジイには気をつけよう】である。
もう一度音麻呂は言いなおした。
「す、すみません・・。ちょっと疑問に思った事がありまして・・・。
それほど力の強い鈴木さんがいらっしゃるのに、何故輩退治にいかれないんですか?」
鈴木ちゃん(お爺さん)は、彼等4人の方を見て少しうなだれる。
「そうか・・・今の神職経験者って、そんな事も知らんのか・・・。
ぬるいお湯の中に浸かってしまった者は、皆そうなのかのぅ・・・」
その言葉を聞いた彼等4人は冷や汗を流している。
鬼子も無言で冷や汗を流している。同じような疑問をいだいていたからだ。
「すまんのう鷲長(わしおさ、元長老の事)殿。こやつらはまだまだ半人前でな。
わしの方から説明するわぃ」
見かねた般若が、みんなの方へと振り向いた。
「この鷲長も、鬼狐神社の狐火も、その他、神社、寺、祠などに仕える守り役は皆
鬼子やそち達(4人)より力の強い民達ばかりじゃ。当然悪しき輩をも上回る力を
持っておる。しかし、光の世の神社、寺、祠からは出らんのじゃ。
神職関係での行事などで、神社から出たり、私用で出たりは出来るんじゃが、
心の鬼関係では出られんのじゃよ。出られんと言うより出ないと言う方が合ってるがな」
歌麻呂が、その言葉に反応した。
「あ・・それって・・ひょっとしたらこの国の結界に関係あるとか・・・」
「ほほう、お主は少し勉強しとるみたいだな。その通りじゃ」
歌麻呂が、音麻呂、詠麻呂、奏麻呂の方を見た。
「ほら、俺達勉強したじゃないか。神社や寺、祠の位置関係を」
歌麻呂以外の3人は小さく声を上げる。
「あ・・この国を包む大きな結界の網の目の事か!」
それを聞いた鷲長は少し安堵する。そして、般若は言葉を続けた。
「そうじゃ。光の世では今まで力の強い悪しき輩が出なんだが、
今は状況が違う事を他の守り役は知っとる。もしその時に一部の守り役が
神社を出て、万が一輩に殺されでもしたら、そしてその時にその神社を破壊されたとしたら、
その部分に関係する結界が壊れてしまうんじゃ。結界が壊れてしまえば、
発祥が謎の心の鬼の繁殖が強くなってしまう。そうすると、心の鬼から徐々に力の強い
悪しき輩へと姿を変えてしまう。そしてその悪しき輩が増えてしまえば・・・
いずれは闇世と同じ状態になってしまうじゃろ・・・」
色々な話をしたその日は、そのままこのお寺に泊まる事にした。
そして、セクハラヒワイドリは詠麻呂、奏麻呂には近づかず、音麻呂、歌麻呂の近くで
くつろいでいた。
33 :
時の番人:2011/02/10(木) 19:30:00 ID:cGcsK0Md
次の日の朝、お寺の庭先で出発の準備をしている皆の姿がある。
鬼子は、いつもの様に自分の角にヒワイドリアクセサリーを着けようとしていた。
出かける前の癖になっているようである。
鬼子の頭に着いてる般若面は、一言鬼子に言う。
「鬼子、今はその変てこなアクセサリーは要らんのじゃないか」
「あ・・そ、そうね。ついいつもの癖で・・・」
その様子を見ていた山伏装束の奏麻呂が鬼子に近づいて来た。
「あ〜そのアクセ着けないなら私に貸してよ!鬼子ちゃんが着けてていいなぁ〜って思ってたの」
奏麻呂の意外な趣味?ファッションセンス??なのだろうか・・・。
奏麻呂は鬼子からそのヒワイドリアクセを貸してもらい、自分の髪の毛に着けた。
その様子を見ていた音麻呂と歌麻呂はお腹を抱えながら涙を流し、無言で笑っている・・。
「さ〜いくぞ!おまえら!!俺様に付いてこい!」
と大声を張り上げながら歩いて行くのはヒワイドリである。
皆は、ヒワイドリと正反対の方に歩いて行った。
ヒワイドリが焦りながら言う。
「おぃおぃ、お前等何処にいくんだよ」
すると鬼子が答えた。
「そっちは南の方角よ・・・」
その様子を見ていた鈴木ちゃん(お爺さん)はケラケラ笑いながら手を振って
みんなを見送っている。
お寺を出ると、辺りは直ぐ薄暗くなる。
朝陽は照り付けてるのだが、日差しが高い木々にさえぎられ、地面まで届かないのだ。
「よ〜し」
と音麻呂が言いながら、腰に掛けていた法螺貝(ほらがい)を口にくわえた。
【ブオォ〜ン、ブオォ〜ン】
とその法螺貝を力一杯吹いた。
音麻呂、歌麻呂、詠麻呂、奏麻呂の4人は、その場にジッとして動かない。
法螺貝の音が鳴り止んでから少し経った。
「う〜んやっぱり反応なしか。錫杖(しゃくじょう)が響かない・・・
やっぱり俺達4人は、別れて行動した方がいいな」
音麻呂がそう言うと、鬼子が直ぐに近づいて来た。
「え・・別れてって、危険ですよ。皆一緒に行動しなくちゃ・・・」
「いいや、この広い山で一箇所に固まって法螺貝を吹いていてもそう簡単に悪しき輩を
見つける事は出来ないだろ。それなら散らばって色んな方面から法螺貝を吹いて、
山の反応を探らなくては意味ないからね」
「で・・・でもそれじゃぁ危険すぎます・・・」
鬼子の頭の上で般若面となっている般若がしゃべる。
「そうか、お主等のその力は多方面の方が力を発揮する・・と言う事じゃな」
それに音麻呂が答える。
「はい。危険なのは解っていますが、無意味に時間を費やすよりいいと思います」
すると、般若面が白いお餅を伸ばしたような般若の姿へと変わり、地面に降りた。
「奏麻呂とやら。お主が頭に着けとるアクセサリーをちょいとワシにかしておくれ」
「え?こ、この可愛いアクセを?」
「そ・・・そうじゃ」
般若は奏麻呂の独特の感性に驚きながら、そのヒワイドリアクセサリーを受け取った。
「な、何するの?」
と鬼子は般若に聞く。
「ちょぃ見とけ」
と般若は言いながら、両手を前に出しそのアクセに念を送っている。
すると、一瞬そのアクセが輝き、そしてまたすぐ消えた。
「これをお主等4人がそれぞれ持つんじゃ。何かあった時、お主等の念をこのアクセに込めると
その位置がすぐ解るし言葉も交わせる。ワシにも、鬼子にも、お主達にもじゃ。
それと、音麻呂と歌麻呂は一人で行動じゃ。気をつけるんじゃぞ。
詠麻呂には秀吉が付け。奏麻呂にはヒワイドリじゃ」
4人はヒワイドリアクセをそれぞれに分けて渡し、袂に入れた。
鬼子と般若面。音麻呂。歌麻呂。詠麻呂と秀吉。奏麻呂とヒワイドリ。
この5組がそれぞれ違う方向へ歩いていった。
34 :
時の番人:2011/02/10(木) 19:31:09 ID:cGcsK0Md
冬場だが、鬱蒼と生い茂る木々。出発した時より少しは明るくなっているが、それでも
やはり辺りは薄暗い。皆と別れてから3時間くらい経っただろうか。
音麻呂、歌麻呂、詠麻呂、奏麻呂はそれぞれの場所で法螺貝を吹き、山の反応を伺っているが、
錫杖の反応は無いままだった。
白いお餅状態で鬼子の頭の上に乗っていた般若が、何かに気付いた。
「鬼子ちょぃ止まれ。あの右側の枯木の近くまで行ってくれぬか」
「え?どうしたの般若」
と鬼子は言いながら枯木の近くまで歩いていった。
すると、般若が鬼子の頭の上から【ピョン】と飛び降りた。
般若はその枯木の下にある黒い石を拾い上げた。
「そうか・・・ハチ太郎の鼻が効かん訳じゃ・・・」
そう言い、その黒い石を鬼子に見せた。
「なにか・・その石に何か書いてあるわね。何なのこれ?」
「これは、神代文字じゃ」
「神代文字!?」
「そうじゃ。この文字の配列は、犬の民の鼻を効かなくする為の念が込められておる」
鬼子は目を見開いた。
「じゃ、じゃぁその術にハチ太郎は引っかかってしまった訳なのね・・・」
「そうじゃ。多分このような石を、この山に配置して犬の民の鼻を効かなくする
結界をはっていたんじゃろう」
「じゃ・・・じゃぁやっぱり般若が言っていた・・知恵の有る悪しき輩がいるって
事なんじゃぁ・・・」
般若は腕を組みながら言う。
「う〜ん・・・。推測じゃがな。しかし、そう考える方が普通じゃろぅ。
知恵の有る輩がいると考えながら、こちらも行動する方がえぇじゃろな」
そう言いながら二人はまた歩き出した。
が、鬼子の表情が先ほどから少し曇りがちだ。
鬼子の頭の上に乗っている般若が聞いた。
「鬼子、さっきから変な顔をしとるがどうしたんじゃ?」
「う〜ん・・・。奏麻呂さんはアクセに念を入れてないのに、居る位置が
手に取るように解るのは何故なのかな〜って思って」
「あ!」
般若はそう言い、鬼子に叫んだ。
「鬼子!奏麻呂の所へすぐ飛んで行くんじゃ。早く!」
鬼子は森を裂く勢いで奏麻呂の所へ走りながら飛んでいく。
そして鬼子は走りながら般若に聞いた。
「は・・般若・・。どうしたの?何故急に?」
「ワシとした事が・・うかつじゃったわぃ。奏麻呂の近くにはヒワイドリがいる。
あやつの呪縛を解いた時、以前より増して力が強く成っておる。力が強くなるって事は、
相手からもその位置が解りやすいって事だ」
鬼子の表情が変わる。目が赤く染まっていき、くれない色の着物からはもみじが舞い散る様になった。
鬼子の鼓動が速くなる。その表情は、悲しさを背負っている様にも見えた。
鬼子は無言で奏麻呂のいる所へ力一杯走って行った。
【バッ】
鬼子が突然、奏麻呂とヒワイドリの目の前に飛び出して来た。
突然の事なので、奏麻呂は素早く一歩後ろへステップし、険しい表情で身構えている。
ヒワイドリはその奏麻呂の後ろに隠れていた・・・。
35 :
時の番人:2011/02/10(木) 19:32:17 ID:cGcsK0Md
状況を把握した、奏麻呂の表情が穏やかになっていく。
「あ〜・・ビックリした。鬼子ちゃん驚かせないでよ〜」
「ご・・ごめんなさい。ちょっと心配になって・・・。
で、ヒワイドリ・・。何であんたが奏麻呂さんの後ろに隠れてるのよ・・・」
鬼子はキツイ表情でヒワイドリを睨んだ。
「だ・・だって・・。怖かったんだもん・・・」
ヒワイドリは弱々しくそう返事した。
般若が鬼子の頭から飛び降りてきた。
「ヒワイドリ、お前は鬼子と一緒に行動せい。奏麻呂にはワシが付く」
すると、ヒワイドリが般若に指をさしながら叫んだ。
「ぁあ〜あんた、奏麻呂ちゃんに手を出そうとしてるだろ!」
【ガツン】
ヒワイドリの頭が地面に埋まり、足をバタバタさせている・・・。
般若が殴りつけたのだ・・・。
その時、詠麻呂からヒワイドリアクセを伝って皆の心に連絡が入った。
【皆、ただの連絡よ。まだ遠いと思うけど、微弱ながら錫杖が反応してるわ】
すると、それに反応する様に鬼子が念じた。
【解ったわ、詠麻呂さん。今からそっちに行くからその場で待っててね】
般若もそれに反応する。
【音麻呂と歌麻呂は詠麻呂と近い位置にいるから、用心しながら詠麻呂の方へ
移動せい】
音麻呂、歌麻呂もそれに反応する。
【はい、解りました。回りを探りながら徐々に詠麻呂の方へ近づいて行きます】
般若は鬼子の方を見て言った。
「鬼子、詠麻呂、秀吉と直ぐ合流するんじゃ。ワシと奏麻呂の2人を背負って行けんからな」
「はい。解りました」
と鬼子は言い、直ぐに詠麻呂と秀吉の所へ走り飛んで行った。
ヒワイドリはとっさに鶏の姿に成り、鬼子の背中に飛びついた。
森を凄い速さで駆け抜ける鬼子。やはりその目は赤くなり、着物からはもみじが舞っている。
そして先ほどと同じように悲しい顔をしていた。
詠麻呂と秀吉が悪しき輩と遭遇した訳ではない事は解っている。
解っているのだが、鬼子の心には今までの辛い出来事が蘇っているのだ。
決して、傷つけさせてはいけない、悲しい想いをさせてはいけない・・・。
そう思いながら鬼子は森の中を駆け抜けているのだ。
【ズザッー】
鬼子はあっと言う間に詠麻呂と秀吉の前に出てきた。
ヒワイドリは鬼子の背中にしがみ付きながら白目を向いている。
鬼子のあまりの速さに目を回したのだろう。
詠麻呂と秀吉は少しビックリしたが、それより驚いたのは、鬼子の表情だった。
角が伸び、目が赤くなり、着物の裾が動きやすいように短くなり、そしてその着物から
もみじが舞っていて、手に持った薙刀が少し輝いていたからだ。
「お・・鬼子ちゃん・・・?」
そう詠麻呂は鬼子に声をかけた。
鬼子は笑顔でそれに答える。
「はい。輩の反応はどうですか?」
鬼子は心配していた自分の心を隠し、精一杯の笑顔でそう詠麻呂に聞いた。
「あ、あぁ輩ね。大丈夫。反応は小さいわ。まだ近くには居ないわね」
「そうですか。ココからは私と一緒に行動しましょ!」
心配している心を隠した鬼子の表情を、秀吉は読み取っていた。
「よ〜し。僕が2人を守ってあげるからね。こう見えても、僕は強いんだぞ〜!」
秀吉は、鬼子の緊張した心を少しでも和らげようと織田がいつも言うような口調で
腕まくりしながら力拳を作っている。
それを見ていた鬼子と詠麻呂は笑っていた。
36 :
時の番人:2011/02/10(木) 19:33:31 ID:cGcsK0Md
「鬼子ちゃん見て!ほら、錫杖がすこ〜し振動してるでしょ。これって、山の自然の力が
私達の問いかけに反応してくれてるのよ。この山の木々や大地が生きている事を実感出来るって、
すっごく興奮しない!?だ〜からやめられないのよね〜山伏って!」
「へぇ〜山が生きているっていままで考えた事無かったから、不思議で不思議で」
鬼子の表情は笑顔だった。鬼子の心を和らげるのは、秀吉より詠麻呂のほうが、
一枚も二枚も上手のようだ。
鬼子達の前の方から声が聞こえて来た。
「お〜ぃ」
手を振っているのは、一番近くに居た音麻呂だった。
その音麻呂が笑顔で手を振っている。
「あれ?鬼子ちゃんも居たの!?奏麻呂の近くにいたんじゃぁ」
「はい、走り飛んで来ました!」
「え・・?は、速いね・・。とても・・・」
音麻呂はかなりビックリしている。鬼子の位置は、ヒワイドリアクセで読み取っていた。
かなり遠くにいた奏麻呂の所からここへこんなに速く走って来たなんて・・・。
その時突然、音麻呂と詠麻呂が手に持っていたヒワイドリアクセから急に痛みが走った。
【鬼子!】
般若の声が聞こえた。
【バッ】
っと飛び出していく鬼子。
みんなに伝わった痛みとは・・・。
・・・歌麻呂の痛み・・・。
森の中を凄まじい速さで駆け飛ぶ鬼子。
その姿は、角が少し光ながら鋭くなり、着物からもみじが大量に舞い散っている。
薙刀は光輝き、そして・・・目は見開き、赤黒く染まったその瞳からは・・・涙が溢れていた。
投下終り。
「日本鬼子・ひのもとおにこ」〜第十二章〜【ヒワイドリの怒り】に続く。
.
37 :
時の番人:2011/02/10(木) 19:38:00 ID:cGcsK0Md
第十話から
音麻呂氏、歌麻呂氏、詠麻呂氏。名前使わせて頂きました。
UTAUの響さんの名前も使わせて頂きました。
絶対駄目だ〜と言う事なら即変更します。
それと、田中さんに下の名前があったんですね・・・。
みこと→たくみ(匠)に変更します。
38 :
転載です:2011/02/11(金) 18:35:31 ID:CCW0J97k
小日本がハンニャーを抱えながら、地図に書かれた家へと向かう鬼子達。
ハンニャー『そこに住んでる子はね、去年に図書館の絵画コンクールへ応募してくれた子だったんだけど…』
鬼子『何があったんですか?』
ハンニャー『その子が描いた絵を見た男の人たちが、揃って係員さんのお尻に痴漢をしてったのよ』
鬼子『それって…観た者が心の鬼に憑かれた、って事ですか?』
ハンニャー『そうね。…着いたわ、ここよ』
古びたアパートの二階、下手すればお化けでも出そうな程ボロくなったアパートに辿り着いた。
第十三話:現代の鬼絵師、匠ちゃん
ピンポーン…。インターホンを押しても、何の反応も無い。奥からは何かの音楽が聞こえてくる。
ハンニャー『しょうがないわね…。ちょっと窓から回ってくるから少し待ってて』
小日本の腕から屋根に上げられると、ベランダ側へと降りたハンニャーはガラスを爪で掻き、不快な音をたてる。
ハンニャー『田中さん、開けて頂戴。前に言ってた鬼子ちゃんを連れてきたわよ』
呼ばれた田中さんは、窓を開けて玄関の方へと向かう。
ガチャリと扉が開くと、そこには鬼子と同年代の女子が立っていた…。
田中『あの…あなたが鬼子さん?本当に角があるの?若般さんみたいに霊能力があるって本当?』
ハンニャー『あのねぇ、そんなに一度に聞いたら誰だって答えられないわよ。もう少し落ち着きなさい』
突然の質問攻めに鬼子はキョトンとしているが、それを遮って小日本が質問を返す。
小日本『ネネさまがいつも言ってたよ!まずは相手に尋ねようとする人がなのりなさい!って』
得意げな顔で胸を張る小日本は、少し大人になったと思って嬉しいのであろう、自信満々な顔だ。
田中『これはこれはお嬢様、失礼を致しました。私の名前は田中匠と申します。一介の絵描きでございまして、
そちらにおられます若般様にお世話になって依頼、時折絵を見て貰ったりしている者でございます』
小日本『あたしの名前は小日本、こちらにいるネネさま…日本鬼子よりお名前をお借りしました居候でございます』
真似をして、小日本が少し威張り気味に自己紹介するが、すかさず突っ込みが入る。
鬼子『小日本、居候はそんなに誇れる事じゃないのよ?柚子さんの優しさに感謝しなきゃ…。
私は、日本鬼子と申します。そちらの若般さんに鬼祓いの修行をつけて頂き、現在もその鬼祓いを生業としております』
39 :
転載です:2011/02/11(金) 18:36:18 ID:CCW0J97k
田中『本当に鬼を退治できるんだ!その…角を見せてもらって良い?』
ハンニャー『田中さん、興味深深ね。でもまずは中に入っても大丈夫かしら?』
小日本『ハンニャーはもう中に入ってるじゃん!変なの〜』
田中『ねぇ、小日本ちゃん、なんで若般さんがハンニャーって名前なの?』
小日本『ハンニャーはね、いつもネネさまの般若のお面を気にしてるし、ニャーとも鳴くからハンニャーなの!』
鬼子『…あの、本当に上がらせて貰っても大丈夫でしょうか?それに…もし鬼の角があったなら…それは怖く無いのですか?』
田中『大丈夫よ、汚い所だけど上がってって。小日本ちゃんも一緒にね』
中に入ると部屋の壁には沢山の絵やポスターが貼られている。机の上には描きかけの絵が置いたままだ。
お茶の準備と終えた田中さんは、帽子を取った鬼子の頭をマジマジと見ている。そ〜、っと手を伸ばされると、鬼子はビクッと身構えた。
田中『ごめん、怖かった?ちょっと触ってみたくなっちゃって。それ…本物なんだよね?』
鬼子『はい、本物です。それより、怖くは無いのですか?本当に鬼だとしたら…』
田中『あたしは何か作っている時に、そればっかり集中しちゃって、他は普段も含めて全然無頓着になっちゃうのさ。
全然怖く無いし、むしろ作品のネタにもっと見せて欲しい位だよ。触っても良い?』
ハンニャー『いい加減にしなさい。それより、田中さんの中に潜んでいるモノを見せて上げて欲しいの』
田中『…解ったわ。けど、目に見えるほどなんてそう無理だと思うんだけど…』
机に向かい、田中さんが創作に集中しだすと、鬼子の目には白い靄が形を成していくのが見えた。
ハンニャー『この子が抱えている心の鬼は、鬼と言うより守り神に近いのかしらね…自分の『拘り』を紙の上へ表現する力よ』
鬼子『でも…害は無いんですか?前に大事になったって…』
ハンニャー『まぁ、こいつのせいで、見ただけで何かムラムラする絵になっちゃうみたいなんだけどね。基本は本人の実力でしょ』
鬼子達が話している間にも、一枚書き終えたのかフッと気配が消えていく。本人に対して害を与える事も無いようだ。
田中『で…何か解ったんですか?私はただいつも通り絵を描いていただけですけど。』
ハンニャー『あなたは普通にその状態を切り替えられるけど、この子にそれは難しいのよ。そのコツを教えて上げて頂戴』
鬼子『ど、どうか宜しくお願いします!私はもっと上手く力をコントロール出来ないと駄目なんです!』
深々と頭を下げる鬼子を見て田中さんはため息を吐いた。
田中『そんなに肩肘張ってちゃ気持ちの切り替えなんて出来ないでしょ?…!そうだ若般さん、この子一日借りて良い?』
ハンニャー『良いけど、どうするつもりなの?』
田中『鬼子ちゃん、あんまり街で遊んだこと無いでしょ?明日一日遊びましょ!何抱えてるのか知らないけどさ、一度全部忘れようよ!』
鬼子『遊び…ですか?本当にそんなので大丈夫なんですか?』
田中『ほら!またそうやってまた硬い事を言う。全部気にしないためだから忘れなさい!明日この駅で十時ね』
鬼子が戸惑うまま、駅名が書かれた紙を、田中さんが手渡してその日は分かれた。
40 :
レス代理:2011/02/12(土) 12:48:54 ID:XYjiNxsO
41 :
時の番人:2011/02/12(土) 12:50:32 ID:wRaenDfR
>>39 乙。田中さんが鬼子のお姉さん的立ち位置って感じ?
みんな色々考えるなぁ〜。
でも、SSスレに規制されてるみたいだね・・・。
書き込みにくそうって感じがするよ。
俺もそのうち規制されちゃうのかなぁ・・・。
話しは変わって、
SSスレから離れてしまったSSの民よ。
戻ってこ〜〜〜〜いぃ!!
SSの創作だぞ!創作!!
過去、現在、未来。萌え〜、お茶らけ、真面目、シリアス。
学園、異世界、アイドル、OL〜
神、鬼、妖怪、人間、動物、昆虫、ロボット他エトセトラ〜
色んな鬼子を見てみたい。
それとも本当に規制が多いのか・・・?
避難所で、議論されてる#スレ分け、が一段落するといいね。
42 :
思いつき投下:2011/02/13(日) 02:00:50 ID:F8CiKWEn
新宿駅北口付近
深夜1時。まだ活気がある街にに銃声と悲鳴が絶えず鳴り響いている。
発砲目標は3mを超えるであろう巨大な鬼。
「ちっ!本部は何をしてるんだ!これ以上は防護結界が持たないぞ!」
「もう少しで特殊部隊が来るはずなんです!」
「待っていたら被害は増大するぞ!ここで仕留めることが出来ればっ!」
「無理です!装備が足りません!」
「なら奴もろとも俺が!」
「む、無理ですって!」
――遅れてすまない。こちら特殊作戦部隊。目標を視認した。作戦行動に移る。地上部隊は避難を。
隊長であろう男を抑えている兵士に無線が入る。
上空にはヘリが見えている。全滅はしなくて良さそうだと兵士が胸を撫で下ろす。
「隊長!特殊部隊です。結界を維持したまま避難しましょう」
「やっとか……生存者に通達!防護結界を維持したまま鬼から距離を取れ!結界が薄くなっても構わん!」
ヘリ内部
「パイロットさん。もっと近づけない?」
ヘリから長髪の女性が目標である鬼を覗き込むようにして見ながらパイロットに相談する。
どうやら、彼女は人ではないようだ。頭部に二本の小さな角を生やしている。
「パイロットじゃない。監視員だ」
「どっちでも良いじゃない。それよりこれ以上は近づけないの?」
「不可能だ。これ以上近づけば、結界が崩壊する。被害が増えるのはゴメンだ」
「それじゃあ、私は部隊が全滅するのを見ていますね。可哀想に……」
ヘリを操縦している男が被っているヘルメットを外し頭を掻き毟る。
どうやら相当悩んでいるようだが決心したようだ。
「あっー!どうなっても知らんからな!くそっ、なんでこんな仕事を請け負ったんだ俺は……」
「愚痴るなら無事に退治してからにしてね」
「分かってるよ」
ガクンッとヘリが一度旋回し急降下を始める。
まるでジェットコースターのように体が浮いている気分がする。
「まだ、あと少し……」
「これ以上は墜落する!」
「ありがとね。監視員さん」
43 :
思いつき投下:2011/02/13(日) 02:01:47 ID:F8CiKWEn
ふわっと風がヘリの内部に流れ込んできたと思ったら彼女の姿は既になかった。
飛び降りたのだろうか?
次の瞬間、ガラスが割れるような音と共に青白い光が視界を覆う。恐らく、結界が割れたのだろう。
「くそっ!墜落する!飛び降りるぞ記者さん!」
男が焦りながら私の服を思いっきり掴み外へ飛び出す。
一瞬の出来事で訳が分からなかったが私はヘリから飛び降りたのだ。
頭を打ったのか酷い頭痛がする。しばらくして、少しぼやける目を開けると先ほど乗っていたヘリが頭上を通り過ぎ、
新宿駅へ墜落するのが見えた。言葉では表せないほどの衝撃音と熱風が私を襲う。
冷たいアスファルトとの温度差が何とも言えない。
「大丈夫か記者さん。あんたがボッーとしてるから目標は退治されちまったぞ。決め台詞を言ったところだけでも撮って置けよ」
「あ、あぁ……」
自ら彼らのヘリに乗りたいと志願したというのになんという失態だろう。
彼女が鬼を退治する瞬間はどうやらカメラに収めることは出来なかったようだ。
落胆しながらも彼女達の監視員である彼の言うとおり最後の場面でも写真に収めておこう。
「萌え散れ……」
彼女がそう呟くと、鬼は一瞬のうちに大量の紅葉の葉へと変わってしまった。
あまりの美しさに私はカメラのシャッターを押したまま時が止まれば良いと思ってしまう程だ。
「あのさ、毎回毎回ね。紅葉を散らすのはやめてくれない?」
「えー。だってカッコいいじゃないですか。こう、ブワッ―っと紅葉が舞う中を私が歩くっていうのが」
「知らねぇよ!経費がスゴイの!今回もヘリは潰すわ、駅は潰すわ、紅葉は散るわで本部に帰りたくないわ!」
「ヘリと駅は知りませんよ勝手に落ちたんですから」
「無茶な要求をするからだろうが!また給料が……」
「それは私には関係が……あれ?記者さんどうしたんですか?」
彼女が私に気づいたようで話しかけてきてくれた。
「あ、いや。今回は取材にご協力いただきどうもありがとうございました」
「いえいえ」
「何照れてるんだ。照れる要素は一つもなかったぞ」
「え?そう?」
「はぁ……記者さんはもう帰るんだな。警察が来たら厄介だぞ」
「そうですね。本日はありがとうございました」
「二回目―」
「次に取材するときは安全な日だと良いな。ま、あり得ないだろうけどな」
私は彼らに礼をすると、直ぐにその場を後にした。
特殊作戦部隊、思ったより危険な人たちでは無さそうだ。今後も彼らの取材を続けていきたい。
週刊鬼報!
「――だってさ監視員さん」
「あぁ、あの記者さんね。ヘタレかと思ったら何気に受身とってたからびっくりだよ」
「え?受身取れたの?」
「いや、受身って言うかただ転がってたというか――」
「私語は慎め!どういう状況か分かってるのか?ヘリを墜落させ、挙句の果てには駅まで潰すという
訳の分からない大惨事を引き起こしてどうするつもりだ!」
「……すいませんでした。以後はこのような事が無いように監視員の私がしっかり見張ります」
「見張られます」
「毎回毎回同じことを言ってるじゃないか!この前の事件では、ヒワイドリが大怪我を負うような――」
『また同じこと言ってるぞチチメン』
『仕方ないよ。ま、アレは私じゃなくヒワイドリが悪いんだけどね』
「それに付け加え、鬼子の方はどうだ?毎回毎回……」
『『早く説教終わらないかな』』
44 :
思いつき投下:2011/02/13(日) 02:04:45 ID:F8CiKWEn
いやぁー。解決屋のネタが思いつかないので書いてみたけど
9課みたいになっちゃったよ。まじ影響受け過ぎす。
−ここはとある都会にある電気街。都会の空気に馴染みそうにない、和服姿の少女が一人。
駅の改札口で時計を何度も気にしながら待っていた。その文字盤は…まだ九時を指している。
鬼子『…凄い所。みんな色んな想いが渦巻いてるみたいだけど、大丈夫なのかしら?』
見渡す街には「心の鬼」とまではいかないが、多少の黒い感情や集中した白い感情が鬼子の目には見えていた。
田中『ごめんね〜!待ったでしょ?』
後から、改札を抜けた田中さんが声をかける。
鬼子『いえ、大丈夫です。それで…ここで何をするんですか?どこかに潜んでいる鬼を祓うとか…?』
田中『ちょっと、何もしないってば!ただ遊ぶだけ。行きましょう』
そういうと、鬼子の手を取り、人ごみの中へと入っていった。
第十四話:初めての友達
(注:私は秋葉原に行った事がありません。モデルはあの街ですが、表記は絶対本物を表現し切れていないかと)
街中を歩くと、鬼子は帽子が取れないかどうか必至に気にしている。人ごみに押されて今にも外れそうだ。
田中『何やってんの?その帽子、取っちゃって良いよ?』
鬼子の返事を聞く前に帽子を取ってしまう。昔は小さなお面で隠せていたが、大きくなってくると高い麦藁帽の様な帽子で隠していた。
慌ててもう一度被ろうとするが、その手を田中さんが止める。
田中『大丈夫、大丈夫よ、この街では。周りをよく見てご覧よ。もっと変な格好をしている人達が沢山居るから』
人々に見えた想いの渦にばかり囚われていた鬼子は、姿や格好までに目がいってはいなかった。
よくよく見てみると、冥土姿、何か西洋中世の格好に似た姿や、髪を様々な原色系に染めた者までいる。
鬼子『…ここは、不思議な街ですね。なぜこんな奇天烈な格好をしてらっしゃるんですか?』
田中『みんな自分の好きな事に正直だからじゃない?基本的にここで表現されてる趣味はオタクだ何だと世間一般に嫌われてるから…。
でも、鬼子さんみたいなコスプレをしてる人も多いから、ここなら何も気兼ねなく遊べるでしょ?ね?』
突然提案して、何も考えていないと見えてもきちんと考えて場所を選んでいた様だ。その気遣いに鬼子も少し笑顔を見せる。
鬼子『…有難うございます、田中さん。いつも私は怖がられると思っていました』
田中『匠でも良いよ。良かった、気に入ってくれたみたいで。じゃあ悪いけど、最初に本屋さんへ寄って良い?』
鬼子『はい、大丈夫ですよ。何処へなりともお供いたします』
本屋へ立ち寄ると、色々な本が並ぶ中で普通に春画や男色本のあるコーナーへと立ち寄る。
周りに並ぶ本を見て、顔を赤らめる鬼子に対して水を得た魚のように色々と物色する田中さん。
田中『ちょっとこれとこれ持っててくれる?』
鬼子の手に本をヒョイヒョイ手渡すが、その表紙はやはりある程度露出の高い女性ばかり。
ドンドン顔を赤らめる鬼子に対して、最終的に十冊位集めた田中さんは満足げにレジへと向かう。
鬼子『あ、あの…本当にコレをこんなに沢山買うんですか?!』
田中『そ〜よ〜。買うだけじゃなくて自分でも書くんだから、資料資料。後で私が持つから大丈夫よ』
結構な値段になったが、平気な顔で全てお買い上げして、そのまま本屋を出る。
鬼子にとってはどれも見た事が無い風景、事柄である自然に顔もほころぶ−が、一瞬心の鬼の強い気配を感じた気がして振り向く。
田中『どうしたの?急に?』
鬼子『いえ、何か嫌な気配を感じた気がして…でも気のせいみたいです』
そう、その視線の先には何も無かった。ドロドロとした心のモヤも、集中した人が見せる気配も『全く何も無かった』のだ。
田中『そろそろお腹空いてない?ご飯食べようよ』
二人はカフェに入ると向かい合わせに座った。普段は御飯派な鬼子も、郷に入っては従い洋食を前にする。
鬼子『あの…本当にこんな感じで、自分の中に潜んだ鬼を制御出来るんですか?』
田中『また考えていたの?一体何を抱えているのか知らないけど、考えすぎは良くないよ。私なんて気が向いた時に集中してるだけだし』
鬼子『…私の場合は、本当に鬼が憑いてしまったんです。『道引鬼』という鬼の世界へ引きずり込む悪鬼で、今は若般さんが封じてくれてますが、
もし怒りに任せて力を振るえば、その鬼さえも開放されて私が鬼の道へと落ちてしまうかも知れないんです。だから…』
田中『じゃあ、落ちちゃえば?』
鬼子『え!そんな事したら私は人に害を成すかもしれないんですよ!前に同種の『囁鬼』に引き込まれた先々代の…』
田中『ゴチャゴチャ考えてないで、自分で選んじゃえって言ってるの。今日は私と一緒に遊ぶって『人の道』を選んだ、
明日は違う考えが生まれるかもしれない、いつかそれに答えを出して、自分で選べば良いじゃない』
鬼子『本当にそれで大丈夫なんでしょうか…若般さんもかなり警戒されてますし、うちの本家でも…』
田中『全然関係ないよ。若般さん時々酷いんだよ?私が全力で描くと「人を惑わすかもしれない」って控えめにやれって言うんだ。
でも私は本気で描く。それは自分で選んだ道だし、誰にも止めさせたくない。だから私は一人で住んでるし周りも気にしない』
鬼子『強いんですね。私もそれ位強くなれるでしょうか?』
田中『あんまり気負いしすぎなきゃなれるんじゃない?他人のためだけに自分が居るわけじゃないし、楽しみなよ』
鬼子『はい。有難うございます』
二人はその後も街中でゲームセンターやらで遊び、旅館の前まできた。一日全然構って貰えなかった小日本が膨れている。
田中『最初に本買ったのは失敗だったわ。重くてもうヘトヘト…』
鬼子『またご一緒させて下さいね。本日は有難うございます』
その場で深くお辞儀をする鬼子に苦笑いしながら、田中さんは手を振りながら帰っていった。
第十と二分の一話(バレンタインだよ!鬼子と集合!)
鬼子が三つの包みを持って、近くの神社へ行く。そこはいつか皆で綺麗にした場所である。
鬼子『お三方〜居るの〜?』
一番奥に鎮座する社が、ギィ…っと音を立てて扉が開いていく。中から出てきたのは鶏型のエロ神の一種…ヒワイドリだ。
ヒワイ『あぁ、ここに居るぞ?今日はどうしたというのだ?』
出てきた社の奥には、何やら色々な人形やら冊子がいくつか置かれている。
鬼子『最近悪さをしなくなってきている様だから、そのお礼にでもと…もしかしてその後ろのってお供え物?』
ヒワイ『あぁ、そうだな。私は肉欲系の神、それを過剰に感じさせるものをお払いも含めて置いていっている様子だ。
たまる一方ではあるが、おかげで退屈はしていないのさ。これも鬼子、そなたのおかげでもある』
鬼子『なんか前の元気さが無いわね。でも偉いわ、それを見る限りお焚き上げもやって、人々が惑わぬようにもしてるんでしょう?』
ヒワイ『お焚き上げ?何の事だ?せっかくの秘宝(?)を焼いてしまうなど誰もせんぞ?』
鬼子『…じゃあ、今までに溜まった分でそれだけ?「溜まる一方」って言うほど無いみたいだけれど…』
あの大晦日以降も少なからず参拝客はいたはず。約一ヶ月と少し…それにしては少ない。片手で足りる程度だ。
ヒワイ『当然、これ以上溜まっていたさ。だがな、鬼子よ…秘宝とは多くの若者に受け継がれてこその秘宝なのだ。
ここに無い分は全部、近所の性欲旺盛な中学生辺りが持って帰ってくれたよ。あの子らの将来が楽しみだなぁ…』
鬼子『…じゃあ何?有害図書認定なんて軽くしそうな本を、年端も行かない少年が持っていくのを黙って見てた、っていうの?!
せっかく少しでも義理を通そうと思ってチョコレート持ってきてあげたのに…もう知らないわ!萌え散れ!!』
言うなり石突部分でボコスカ殴る。その反動で社にあった魔改造されたフィギュアや無修正のいかがわしい本も散る。
ヒワイ『グ…グケェ…そうか、今日はばれんたいんでーという奴か…道理でエロ心が半端な訳だ。今日ばかりは精神純愛が主になり、
純粋な心でワクワクしておるんだろうなぁ…ここで何度も秘宝を漁っていた彼らも、何か貰えているかなぁ…』
どこか哀愁を漂わせた目で遠くを見つめるヒワイドリは、あと二人の分も合わせた三つの義理チョコの下で気を失った。
一方その頃…ヤイカガシの所では、先日の勇ましく(?)心の鬼とも対峙し、病気の少女を労わる姿に感動した小日本が、
一生懸命考えて作った手作りチョコを手渡そうとしていた。もちろん、躊躇無く受け取るヤイカガシ。
ヤイカ『いいんでゲスか?あっしにこんな大層な物を頂やして。あっしも罪な男になれたでゲス』
小日本『本命チョコ、ってのじゃあ無いんだよ。でもお友達として一生懸命頑張りました!』
ヤイカ『すまないでゲス。さっそくいただくでゲス!…これは!?』
すぐにがっつくヤイカガシであったが、何やら様子がおかしい。チョコの割れ目からは小骨が出ている。
小日本『美味しい?「いわし」ってもっと小さいお魚を食べるんだよね?だから頑張って煮干を砕いて入れたの!ねぇ、美味しい?』
ヤイカ『(この笑顔を消したら…)美味しいでゲス、美味しいでゲス…涙が出るほど美味しいでゲスよ!でもちょっと飲み物が…』
小日本『良かった〜。あ!飲み物なら腐葉土を溶かした特製ココアがあるよ!「ひいらぎ」の葉も育てなきゃね〜』
その日、ヤイカガシの目からは感動か不味さからか解らない涙がさめざめと流れ続けていた。
乙。
ってか、誰か止めなかったのかw わんこか鬼子はw
49 :
バレたいん!:2011/02/15(火) 16:42:49 ID:bjh+3WqN
2月14日!バレタイン!
鳴「日輪さん、鬼子さん」
日「ん?」
鬼「なんですか?」
夜「チョコが欲しいです」
日「ほほぉ〜う」
鬼「私、チョコは作ったことが……」
日「よし!作ってやろう。一時間待てば良い」
鬼「えっ!?」
鳴「キター!」
夜「ヤター!一時間っすね!出かけてくるっす!行こう陽介」
鳴「もちろんさ!」
ダダダダダ……
鬼「どうするんですか?私チョコなんて作ったことが……」
日「誰がチョコを作るって言った?ふふふふふ……」
鬼「日輪さん。何か企んでますね」
――3時間後
鳴「遊びすぎた……3時間も経ってしまった……」
夜「いいじゃないッスか。チョコは冷えたほうが美味しいんっすよ!」
ガチャ
日「ほいっ。バレタインチョコ」
夜「えー。俺、日輪のはいら(ry」
日「あぁん?」
夜「ありがたく貰います」
鬼「えぇと……その……」
鳴「ワックワク」
鬼「ここここれ!受け取ってください!」
鳴「キター!鬼子からチョコキター!ありがとう鬼子」
日「ふふふふ……」
夜・鳴「では、早速いただきます」
モッグモッグ……
夜・鳴「美味い美味い……ってあれ?なんだか眠たく……」
50 :
バレたいん!:2011/02/15(火) 16:43:41 ID:bjh+3WqN
――1時間後
鳴「ん……なんだ。寝てたのか?体が重い……」
夜「なななななんじゃこりゃあああああ!」
鳴「どうし……ってなんじゃこりゃあああああ!なんで胸があるんだ夜烏賊!」
夜「陽介にもあるぞ!」
鳴「ということは……え?性別変わったの?」
夜「なんだってぇー!っは!待てよ……ということは合法的にパンツを盗みほ(ry」
鳴「いや、それはないだろう」
日「ふふふふ……起きたようね」
夜・鳴「!?」
鬼「ご、ごめんなさい!日輪さんの暴走を止めることが……」
鳴「え?なんの話」
日「それはね……チョコに性別を変える薬を混ぜておいたのだ―!」
鳴「Oh...My God!」
日「日頃の恨みを、今こそ……今こそ、返してあげるとき!」
鳴「ま、待て!何の恨みだよ!ていうかなにする気!?」
日「こき使われてる恨みです。あと胸のサイズを測ります」
鳴「えー。そんなに使ってないってヤダー。近寄るな!ケダモノ!助けて鬼子さん!」
鬼「すいません……私も面白そうなので参加します!」
鳴「えーってやだーーーーー!」
鬼「うふふふっふふふ」
鳴「だーーーーー!って……夢か」
鬼「どうしたんですか?大分うなされてたようですけど……」
鳴「いや、なんでも無い。心配してくれてありがとう」
鬼「?」
夜「日輪さん。鬼子さん。チョコが欲しいです!」
日「よし!作ってやろう!一時間も待てば良い!」
鳴「えっ?」
デッデレレーーーン。夢オチEND
いやー。性転換ネタって一回はやりたくなるよね!
スレお借りしますた。
乙
誰かと思ったらよろず屋のメンツか。一瞬、誰だっけ?って思ってしまったw
>>51 覚えててくれただけでも感動です!
まさか覚えられているとは……
53 :
時の番人:2011/02/19(土) 18:08:17 ID:/QRWEMpT
皆さん乙です。
書き込みないので、足跡残しっと・・
>>52 記憶喰みの奴だったと思うけど……続きそうだったので覚えていたんですよ。
まだ、ちょっとだけ記憶が戻った所で一区切り。みたいなので気になってて。
>>54 SS書きとして嬉しい限りです。
今はちょっと規制中なので投稿は出来ませんが、解除されたら投稿したいと思ってます。
短編おば。
或る日テトはジャスミンと出会った。その時の会話。
テト 「お久〜、極楽蜻蛉のジャスミンじゃねぇか」
ジャスミン「何よぉ。その言い方」
テト 「その通りだろうが」
ジャスミン「そりゃー、Take it easyがモットーだけど」
テト 「なら、いいんじゃねぇ?」
ジャスミン「よくない」
テト 「で、話は変わるが、チェニジアって知ってるか」
ジャスミン「知らな〜い」
テト 「フン、もっと世の中はよく見たほうがいい。まぁ、それは措くとして、中国でも同様の動きがあるらしい」
ジャスミン「あたし関係ないも〜ん」
テト 「まぁ、名前が使われた(?)ということでここはひとつ」
ジャスミン「落ちはどうなったのよぉ」
テト 「お前の名前も言霊だったんだとうというのが落ちだ」
ジャスミン「それだけかい」
テト 「それだけだ」
お粗末さまでした
>>47 避難所ではお疲れ様〜。何ていうか…現状見ているとOOOホイホイみたいに見えるな。
コテ付けて荒れてない状態になっているのが嫌な人は、大抵何故かお前も一緒に叩き出したがる。
創作者追い出してでも『待ち』の状態で名無しオンリー、それが閉塞感を無くしている事になるなのか、
お前の代りに名乗りを上げる人が、鬼子の説明となるストーリーを上げて長編作品を上げ宣伝するのが閉塞感を無くす事になるのか。
自分は何も結論書かないよ?擁護したら何故か荒らし扱いでボッコボコに叩きたがるからね。
ところで伏線張りっぱなしなのはどうすんの?中途半端で止めやがって…。
叱咤激励のつもりなんだろうけど、ちょっと落ち着け。
それじゃあ応援したいのか叩きたいのか分からなくなってるぞ
59 :
鬼饅頭:2011/02/21(月) 21:38:18.86 ID:MJmHcr9k
鬼子×やる夫かくお!と言っていた者ですが「引かぬ、媚びぬ、省みぬ」でないと創作なんてできないと思っていますよ。
けなされても無視されても自分の作風を貫いた人のほうが面白いものを書いてますし。
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l:!::::::::::::::::/ :l|::::::::::::::::::l |、 丶、 /丶、:::::::::::::::::::::::|.!
l:!|::::::::::/::::: !|:::::::::::::::::.! !、ヽ \ l i !ヽ:::::: :::::: ::::ll|:
!:|:!:::/'"`ノ ー!|: ::::::::::::::::|:.!:::ヽ丶、 ヽ! ! |:、!::::: :ヽ:::|.||.
!::!'´ノ>∠: :: :||!::::::::::::::::::.!:|:::::::\ヽ .! | .!:(ヽ:::: ::ヽ|、!|
/:: ̄ソ '´ \::|:l|::::::: ::::::: :|:.!:::::::::::ヽ ヽl | !::::ヽ:::::::::ヽ:\
素材はキル子+エレボス(ペルソナ3)。
鬼面がないと鬼子って感じがしないよね。
60 :
鬼饅頭:2011/02/21(月) 21:40:55.35 ID:MJmHcr9k
sage忘れてた…
せ、せっかくカッコよくきめたのに……w
62 :
前スレ103:2011/02/23(水) 01:35:07.34 ID:hpankIUI
>>59 やっぱり勢いで突っ走った方が良いんですかね…周りを気にしすぎかも知れません。
色々モヤモヤしつつ、終わり方も前以上にイメージが固められたので一話投下します。
キャラを固められるだけのパワーがある作品…自分には到底無理なわけですが、
それが必要とされているのか、いないのかだけでも大きく揉めてしまってますよね。
まぁ自分は小日本代表決定の時みたいに、みんなでワイワイやりたいだけだったりしますけど。
自分のイメージする理想は、全代表小日本をデフォルメして描いて下さった方の絵の様な状況だったり。
どの物語・作品も消えず、けれども共通認識として柱になる作品はある状態なら二次も創りやすいのでは?なんて。
今の所長芋さんの漫画が一番良さそうだとは思うのですが、もっと色々な方々の描く物語を、
まとめて色々読んでみたいという欲からの暴走でした。申し訳ございません…反省しております…。
63 :
前スレ103:2011/02/23(水) 01:41:03.67 ID:hpankIUI
…何やってるんだ。間違えて自分も上げてしまってるし。以下、十五話分投下。
自分なりに刀を背負い、縁結びを行う小日本を説明できそうな話を考えてみました。
水撒きをしている柚子の前に、若般さんと田中さんがやってきた。
田中『こんばんは〜。一晩泊めてもらって良いですか?』
柚子『えぇ、大丈夫ですよ。お部屋は空いてございます。確か鬼子さんのお友達ですよね?呼んで来ますね』
その様子を物陰から小日本がジィッと睨んでいた。
第十五話:小日本はどこから来たの?
旅館に入ると、ヤイカガシに跨った小日本が待ち構えていた。新聞紙を丸めた武器(?)を持っている。
小日本『田中〜!ネネさまを連れて行くな〜!帰れ〜!!』
ヤイカガシは尻をペシペシと叩かれると、仕方無さそうに前に進む。無理やり馬とされている状態だ。
柚子『ハイハイ、お客様に乱暴はいけませんよ。絵本なら私が読んであげますからね〜』
すぐにたしなめられて、奥へと引っ張っていかれる小日本。振り返り、田中さんに向かってアッカンベーをしている。
鬼子『あの…お待たせしました。ようこそお越し下さいました。本日はごゆっくりとお過ごし下さいませ』
田中『そんなに畏まらなくても良いって。ちょっと温泉浸かりにと遊びに来ただけだし…』
ハンニャー『あたしは先にお風呂頂くわね。…なんか変な気配もするけど、本当にここ大丈夫なの?』
訝しげにキョロキョロと見渡しながら、奥の女湯へと向かっていく。
田中さんを先に客室へ通すと、そこには既に小日本が待ち構えていた。背中の刀を無理やり抜こうとしているが…抜けない。
小日本『う…う〜。この刀さえ使えればネネさまをたぶらかす人なんてぇ〜』
田中『べ、別にたぶらかしなんてしてないよ?…小日本ちゃん、鬼子ちゃんを取られたみたいで寂しいんだ?』
刀を無理に抜こうとした小日本は、ひっくり返り外へ転がった所をヤイカガシにキャッチされ、また何処かへ連れて行かれた…。
田中『…ねぇ、小日本ちゃんって、鬼子ちゃんの妹で合ってる?とっても仲が良さそうだよね〜』
鬼子『そうねぇ…でも、本当に妹って訳でも無いのよ。あの子は言ってみれば神様の一人なのかも知れない』
田中『それって、どういう事?若般さんが「心の鬼」と呼ばれる者も、力をつければ別の存在になるって言ってたけど、まさか…』
鬼子『あの子には去年の春頃に出会ったの。私が「後悔の念」から産まれた心の鬼を退治したときにね…』
64 :
前スレ103:2011/02/23(水) 01:45:48.30 ID:hpankIUI
その日、鬼子は心の鬼を退治した…が、その女性に纏わり付くモヤは未だ晴れない。聞けば自らの宿した子を相手との結婚が許されず、
堕胎した事を強く悔いているという。そこで、若般さんの勧めで近場の水子供養の寺へと共に向かう事になった。
水子供養は恨みを残さぬようにと、この世での縁を切る所…頭の隅に残り続ける迷いを断ち切る事。
そこで鬼子が感じたのは、そこに飾られた刀に多くの白いモヤの様な気配が漂い、纏わり付いている光景だった。
鬼子『住職様、あの刀は何なんですか?』
住職『あの刀が、ここの水子供養に用いられる御神体なんですよ。銘を「童切り緒結」という御神刀にございます。
大昔飢饉があった頃、口減らしのために童を切った刀の持ち主が、どうかへその緒にまた結ばれて産まれてきてくれと、
そう願いながら刀を抱え祈っていると、豊作になった年に切ってしまった子供と瓜二つの子供に恵まれたそうじゃ』
一緒に来ていた女性も、お腹へそっと手を触れながら聞いている。理由は違えど、状況は似たものと感じる状態である。
住職『その刀は寺へと寄進され、水子や亡くした幼子への未練や縁を断ち切り、また新たな出会いの縁と結ぶ御神体としているのだよ』
女性『私…いつか本当に信用できる方を探して、夫婦となり…しっかりと子供を育てます。本当に有難うございます』
幾分か晴れやかになった女性のお腹から、すっと白い魂の様なモヤが、また刀へと引き寄せられる。
それに気づいていない様子の女性は、そのまま深くお辞儀をすると寺を後にして外に出ようとしていた。
鬼子『…住職さん、この刀に触ってみて良いですか?何故か少し懐かしい気がするの』
住職『良いですよ…若般さんのご紹介だ。日本家にも幾分かご縁のある刀と聞いておりますゆえ』
鬼子が近づくと、より一層光を増す。それに触れると、徐々に光が人の形を取っていく…!
???『…ん…ネネさま??鬼子ネネさまよね?会いたかった…ネネさまが消えちゃったかと思ってた…』
そこには桜模様の着物を着て、先ほどまで台に乗っていた刀を背負った少女の姿があった。
鬼子『え…あなたは?私の事を知っているの?』
小日本『えへへ…私の名前は小日本、ネネさまから名前を貰ったんだよ?ネネさまったらまた忘れてるんだね』
田中『…え?あの子は刀から産まれたの?しかも鬼子ちゃんの事を既に知っているってどういう事?』
鬼子『話せば長くなるけど、私の一族には私と同じ様に角のある「鬼子」と呼ばれる女が時々生まれるの。
小日本の言っているのは、多分先代以前の事を言っていると思うんだけど、私の家族は本家を離れたから詳しくは知らないの…』
ハンニャー『ちょっと鬼子!なんでこの旅館にはこんな変態のまで来ているのよ!あんたは本当に甘すぎだわ…』
若般は猫耳まで飛び出し爪の伸びた姿で、バスタオルのみ身に纏い爪の先にはチチメンチョウとヒワイドリを串刺しにしている。
二羽『ふ…ふふ、良い乳を拝ませて貰えれば我らが生涯に一片の悔いも無し!!』
暴れて爪からずり落ちると、一目散に逃げていく。それを湯上り姿で追いかける若般。ほとんど野生に戻った猫だ。体は妖艶な女性だが。
田中『…何、アレ?鳥が喋ってた…。いやまぁ猫又と一緒に泊まりに来た私も変なんだろうけど』
鬼子『…どこまで話しましたっけ?そうそう、それでついて来ちゃってしばらく若般さんと一緒に三人で住んでたんだけど…。
夏にね、彼女が若般さんの前で力を使っちゃったの。図書館に飾る絵が少ない、って時にね…』
小日本『えへへ…私の力なら色んな人を呼べるよ〜!…絵を描きたりし方々よ、この地へ集まりたまへ…萌え咲け!』
目を閉じた小日本が祝詞を上げると、ピンクの花びらが街へと散り、パラパラとコンクールに出展する作品を人々が…。
65 :
前スレ103:2011/02/23(水) 01:53:16.41 ID:hpankIUI
田中『ちょっとまって!それって夏がテーマの市のコンクールだよね?その人達の中に多分私も入ってるよ。
友達と水着は尻が良いか胸が良いかで喧嘩してて、突然コンクール応募して決着ってのが思い浮かんで…』
鬼子『そう、人の想いにも干渉出来る力、運命すら左右できる力は危険すぎるから、小日本を封印する事も考えないとならない
って言われて、若般さんと大喧嘩しちゃったのよ。それから二人で飛び出して、空き家を見つけてそこに住んで…』
話している所に、また小日本が飛び込んできた。その手には絵本が握られている。
小日本『やっぱりネネさまに読んで欲しい…駄目?ネネさまも遊んだりしたいのよね?邪魔だったらごめんね…』
見つめる二人の目は、いつも以上に優しくなっている。ふと、田中さんが何かを思い出して鞄を漁る。
田中『そうだった、小日本ちゃんにプレゼントがあるんだ〜。ちょっと付けてもらって良いかな?』
そう言うと三つのリボンを取り出す田中さん。それを小日本の頭頂部の髪に一つ付けて『P子』と言ってみたり、
側面の二つ髪に付けて『U子』と言ってみたりする。『私で遊ばないで〜』と恥ずかしそうだが、プレゼント自体は嬉しそうだ。
田中『もし気に入ったなら、鬼子さんに付けて貰いなよ。今度遊びに行く時は小日本ちゃんも呼ぶからさ』
小日本『絶対だよ〜。ネネさま…また私を置いて行ってしまったら嫌だよ〜』
三人は約束をして、そのあと変態がコソコソ覗こうとする湯船に三人で入って温まっていった。
…以上です。『御結』という刀の銘の案を読んだ時に、どうやればストーリー付けられるか考えて、
結局『御』を『緒』に変えて、前に本スレへ書いた水子の本当は産まれたかったというのに無理やりくっつけました。
次に書くのはいつか解りませんが、モモサワガエルを登場させる予定です。
ところで…コミケってどんな雰囲気なんですかね?まぁ結局は想像を頼りに書いてしまいますが…。
>>65 コミケは戦場!夏に行けば、冷えピタがないと戦死確定!
というわけで、誰も使って無さそうなので使わせていただきます。
キャラ崩壊させすぎだろ俺。
当たり前のように続いている日常もいつか終わりを迎える日が必ず来る。
だからと言って諦めた訳ではないのだが……どうしたものかな。
部屋には人外の者が6人。その内、人の形をしているのが4人。
残り二人は鶏と魚だ。二足歩行のな。
まぁ、もともと俺の日常は人の形をしている人外の日輪と夜烏賊が
一緒にいることで形成されていたんだが……いやはて、鬼子を匿ってからというもの
トラブルが頻繁に起きそうな予感がする。現に一週間も立っていないのに居候が
小日本という居候が一人増え、またヒワイドリとヤイカガシという二人増えそうだ。
鳴「なぁ、日輪」
日「なんですか?今はロケットの形をしている乳について語り合っているところで……」
鳴「まぁ、それはいいんだがな。お前、昨日いくら使った?」
日「えーと……いくらでしょうね?」
鳴「今月の食費が……無いんだけど。ってコレは昨日から言ってるが」
日「だから私と鬼子ちゃんがバイトに行くんじゃないですか。ねぇー鬼子ちゃん」
鬼「え、えぇ……」
昨日の事があるのか少し気まずそうだ。
まぁ、それもそうか昨日は着物を脱ごうとしたんだからな。
危うく事務所がストリップ劇場に早変わりするところだ。副作用は考えないといけないようだ。
鳴「それもそうなんだが……それでも食費が足りないんだ。7人だぞ!?7人!」
日「え?ヒワイドリ達も居候していいの?」
鳴「いや、それは別に構わないんだが……」
ヒ「いや、居候はしないから安心してくれ鳴木よ。鬼子と小日本を連れて、山に帰る」
鳴「え?どういう事だ?」
ヤ「どうもこうも無いですよ。元々、そういうつもりだったんです。小日本は想定外でしたけど」
ヒ「そういう事だ。元々、鬼子が記憶を失う原因を作ったのも俺達だ。責任は俺達が取るべきなんだ」
鳴「鬼子はそれでいいのか?」
鬼「わ、私は……」
ヒ「帰るんだよ鬼子。ここは住む世界が違う」
鬼「けど……私は、この相談所の一員です」
ヤ「ならそれも今日まで。帰るの鬼子。家だって放ったらかしなんだから」
鬼「嫌です!私は……貴方達のことは……しらないですし……」
ヒ「はぁ……いいか?鬼子がどう言おうが構わない。だが記憶を取り戻すためだ」
鬼「で、でも……」
鳴「記憶がなくなった原因をしってるのか?」
ヒ「……あぁ、知ってるさ。記憶喰だ」
こいつ、何か隠してやがるな。
まぁ、今は答えたことだけ聞いておこう。
鳴「じゃあ記憶を奪った記憶喰はそこにいるのか?」
ヒ「それは分からない。だが探してみるしか無いだろう?」
鳴「一体はこの街にいたぞ」
ヒ「この街に?そうか、だから昨日は鬼子の様子が可笑しかったのか」
鳴「あぁ、だが記憶喰はそんなに頻繁に出るはずじゃない。なのにこの部屋に居たんだ」
ヒ「あいつらか」
鳴「知ってるのか?」
ヒ「知ってるも何も、住んでたところじゃ頻繁に会ってたからな」
鳴「そいつらが記憶を失う原因か?」
ヒ「いや、違う。あいつらは鬼子の補佐だ。守り神みたいなものさ。鼻が利くからな」
鳴「狛犬か」
ヒ「少し違う。犬神だ。といっても婆さんから受けた恩を返すためにしてるんだろうけどさ」
鳴「婆さん?」
ヒ「あぁ、俺達は鬼だから何百年も前の話になるが……」
ヤ「ヒワイドリ!」
ヒ「あ、すまないヤイカガシ。まぁ、何にせよ鬼子は連れて帰る」
鳴「……なら俺も連れてけ」
鬼「鳴木さん。何を……」
鳴「どの道、記憶が戻らなくてもいつかは帰るんだ。場所を覚えといて損はない。
あ、そうだ。ちょっとだけでも記憶戻った?」
鬼「あ、記憶は戻りました。鬼についての記憶と、薙刀の使い方をですが」
鳴「それは良かった。で、俺は行ってもいいのか?」
ヒ「……荒らすなよ」
鳴「何を荒らすんだよ」
ヒ「鬼子の箪笥」
鳴「俺はお前らみたいに変態じゃない!」
ヤ「失礼な!私たちだってバレないように持ち出してるんだからね!」
鳴「それが変態行為だ!というか盗むじゃないか!」
ヤ「一緒に住んでるので盗みになりません」
鳴「なります」
鬼「というかそういう事されてたんですね……」
ヤ「や、それはその……言葉のあやというか……」
鬼「変態!」
小「ネネさま待って!こにも行く!」
バタバタと鬼子は小日本を連れて出ていってしまった。
夜「下着盗むのはやり過ぎじゃないか?」
日「というか本人の前でそれを言っちゃうのがなぁ」
鳴「いや、お前らが言うなよ」
ヤ「この言葉を聞くのは何度目だろうか……」
鳴「涙拭けよ」
ヒ「それは涙じゃない。心の汗だ」
鳴「かっこ良く言っても涙だ」
ヒ「かっこ良ければ問題ない。イケメンなら乳と……」
鳴「くだらんこと言ってないで、鬼子と小日本探しに行くぞ―」
――まちなか!
鳴「居ねぇよ。蕎麦屋とか探したけどやっぱいねぇよ」
ヒ「そばが好きだからな鬼子は」
鳴「なぁ、なんか電波っぽいので居場所探せないの?鬼電波とかさ」
ヤ「というかさっきから事務所のビルに居るからね。鬼電波で探したところ」
鳴「早く言えよ!というか鬼電波で合ってんのかよ!」
ヒ「残念不正解だ。これは愛という――」
日「それはないわね」
夜「それはないっスね」
ヒ「お前ら……仲間じゃないのか」
――再び事務所!
ガチャ
鳴「鬼子、心配かけr」
バタンッ
日「どうしたのさ?」
鳴「なんかちっこいのが居た。あと大きいの」
夜「何いってんスか?」
鳴「なんかだかな……小さい鬼子と大きい巨乳が居た」
日「まじかよヒャッホーーーウ!」
ガチャ
日「……」
バタンッ
鳴「どうだった?」
日「目が血走ってた。というか鼻血吹いてた。あれは狩人の目だよ。怖いよ!」
ヒ「そんな訳ないだろ。怒った鬼子のほうが怖いに決まってる」
鳴「まぁ……入ろう」
ガチャ
鳴「えぇと……そのですね」
ヒ「おぉ、小日本」
小「やほ、ヒワイドリ」
ヤ「ありゃー鬼子ちっちゃくなっちゃった」
鳴「Hey,You!どういう事か説明を」
小「カクカクシカジカ」
日「そんな事が……ていうか乳すげー!お姉さんと乳についてアンドロメダまで語り会おうぜ!」
鳴「ちょっと黙ってな日輪!カクカクシカジカってなんだよ」
小「漫画等でよくある説明です」
鳴「俺には伝わりませんでした」
小「分かりました。では説明を始めます。なんかー鯖みたいなのがー」
鳴「普通にしてくれ」
小「なんだか、鯖みたいな変な鬼が事務所内に変な術をかけていたらしく、ネネさまと私が
入った瞬間にこう……ネネさまと私の時間が逆になったみたいで」
鳴「……時間系の鬼か。鯖って言うんだったら、逆時鬼でほぼ間違いないな。で、本体は?」
小「知らないよ?」
鳴「えー。元に戻れないじゃん」
小「知りませんよ。というか戻らなくていいじゃないですか。ネネさまがこんなに愛くるしい……ブハッ」
鳴「鼻血出てるぞ小日本」
小「すいません。ネネさま―。今日はお蕎麦ですって!」
鬼「なにっ!?本当か!?」
鳴「おい、今日は飯はな――」
小「本当です!」
鬼「やったー。お蕎麦!お蕎麦!わんこ!お蕎麦!」
小「空気読んで下さい鳴木さん」
鳴「えぇー。だってお金がないからさ」
小「お金とかいう問題じゃないんです!ネネさまだけを幸せにできるかどうかなんです!」
鳴「分かった。蕎麦だな?言ったぞ?ネネさまだけを幸せにって言ったよな?」
小「え?まぁ、言いましたけど」
鳴「出前を取る……あ、すいません。蕎麦の出前、大盛り一人前」
一同「えっ?一人前!?」
鳴「お金がないものでな」
小「それじゃあ私たちは?」
鳴「飯抜きです。ついでに鬼子だけの蕎麦ですので」
小「そんなぁ〜」
馬鹿なやりとりをしていると鬼子(小)が袖を引っ張ってきた。
鬼「お前、イイヤツだな!名前はなんていうの?」
鳴「えっ?俺?」
鬼「うん!」
鳴「鳴木だ。ナルキ」
鬼「ナイキだな!ナイキはいい人!」
鳴「ナルキ……というかそのスポーツ用品みたいな名前はやめて」
鬼「ナイキはいい人ー!」
鳴「……もういいよナイキで」
日「がんばれNIKE」
夜「頑張るっスよNIKE」
ヒ「がんばれよNIKE」
ヤ「きっといいことあるってNIKE」
鳴「ちくしょう……バカにしやがって」
バイクの音が近づいてきた。どうやら蕎麦が届いたようだ。
財布から1600円取り出し、受け取りに行く。
出前「しゃーすっ!1580円になりまぇあああす!」
鳴「じゃあ、1600円から」
出前「しゃーすっ!20円のおつりです!ありやしたー」
大盛りと言ったが相当多いな。
鬼子(小)一人で食べきれるかな?
鬼「お蕎麦きたの?」
鳴「はい、お蕎麦」
鬼「やたー。ありがとうナイキ!一口あげる!」
鳴「おぉ、それは嬉しい」
小「断れ」
鳴「えっ!?」
小「断るんだNIKE。じゃないと運命の赤い糸が未来永劫消えることになるぞ」
鳴「それは困る!……あー、鬼子?」
鬼「なにっ?そんなに食べたいのか?食いしん坊だなナイキは」
鳴「そうじゃない!お兄さんあんまりお腹減ってないから一人で食べな」
鬼「本当にいいの?」
鳴「いいぜ☆」
鬼「ありがとうナイキ!」
鳴「……泣けてくるな」
ヒ「あ、俺腹減ってきた。鬼子ちょっとくれ」
鬼「やらないよ!」
ヒ「ケチ」
鬼「ベーっだ」
小「可愛すぎ!ブハッ!」
日「あ、倒れた。この内に胸のサイズを……」
夜・ヤ「では私どもはパンツの柄と採取を……」
鳴「やめないか」
あっるぇー?小日本ってこんなキャラだったっけ?
どうやら、鬼子と小日本の歳が入れ替わったようです。ではでは。
スレお借りしますた! by ぬーん
72 :
日本カレンダー:2011/02/24(木) 18:33:08.93 ID:XHqKZi1B
月の終わりも近くなったのでお借りします
【日本カレンダー・二月】
「日本さん!あそぼー!」
「た、田中さん……うえぇぇ……」
「ちょっと、どうしたの?
よ、よーしよし泣かない泣かない!」
「ひっく、バレンタインだから、
田中さん、に、お菓子をと思って…ッ
でも、上手くいかな、くてぇぇ…うぇぇ……」
「よしよし。一体何を作ろうとしたの?」
「生チョコっていうの、
簡単だってテレビでやってたから、見よう見まねで…
でも私、生チョコって食べた事なくて、
わかんなくて…ひっく」
「ありゃりゃー。
クリーム入れすぎで固まらなくなっちゃったんだよ。
チョコ増やせばなんとかなるって。だから泣かないで?ね?」
「ひっく、…はい、泣きま、せん!」
「それにしても…日本さんって料理上手なのに、
お菓子作りで失敗なんて意外だなぁ〜」
「お菓子って、お味噌汁作るみたいに目分量じゃダメなんですね…」
「あはは、そりゃーね!
さ、アタシも手伝うから作っちゃおう!」
「ありがとうございます。今度こそ頑張ります!
まだまだ材料のチョコは沢山ありますから!」
「うわぁ!そんなにいっぱい買ったの?」
「どのくらい必要か、よくわからなくって……」
「それにしたって買いすぎだよ…。
よーし、この際だ!色んなの作っちゃお!
私もバレンタインにってクッキー焼いて来たんだ!
あんまり上手じゃないけど。」
「わぁ、美味しそうです!」
「このクッキーに、チョコ溶かして塗っちゃおうよ!
それからホットミルクにチョコを溶かすのも良いよね!」
「あ、私チョコ大副も食べたいです」
「良いね!作り方調べようっと」
「出来あがったら、小日本も呼んでおやつの時間ですね!」
「仕方ないから、ヒワイドリとヤイカガシにも恵んでやるか!」
そんな、二月の思い出。
完
転載しますね。
深山之烏利 ◆T6aH4QT.x2:2011/02/25(金) 00:27:09 ID:N3k3yKso0
代理投下をお願い出来ればうれしいです。
駄文書きながら鬼子ぷろじゅくとの盛り上がりを願う者で御座います。
下記をSSスレさんと本スレさんに投下していただけたら感謝申し上げます。
↓
綿雪の枝・雪原(しらの)の紅葉
http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=112251 ーー密やかに 時のうつろひ あおぎみて ことのよみては いずこかにさるーー
ただいま帰りました。
SSを書こうと思ったんですが、時間がないので最近独学で始めた俳句を一句詠みたいと思います。
(制作スレ&避難所と同じものですが)
目に沁みて 嬉しみ流す 春一番
(風が吹いて塵が目に入る。痛い。痛いけど春がもうすぐだって思うと嬉しい。だからこの涙はきっと嬉し涙なんだね。)
春先は慌ただしくなりそうですが、これからもよろしくお願いします!
>>74 ・・・ハッ!
目に滲みて 憂い見出す 春一番
(風が吹いて花粉が目に入る。痒い。痒いのはついに私も花粉症が発症か。掻きすぎて目が滲みる
嬉しいはずの春がウツな季節になってしまった)
春は慌ただしくなりそうですが(主に横隔膜が)これからもよろしくお願いします!クシュン!
・・・・?返歌?
>>74 お帰り〜。
一緒にSS盛り上げていこうね。
やっぱりここの穏やかな雰囲気は好きだなあ……。
雪解けて 野花咲きたる 日射しかな
もみじ葉を 惜しみ散りたる あの日から 過ぎて息吹く芽 大志抱きて
(紅葉が散っていったあの日から自分もここから散っていきました。
それから春になって芽を出す種のように、私も大志を抱いて再びここにやってきました)
>>75 返歌を下さるとは! ありがたやありがたや……。
憂いれども 日の出に去るや 春一番
(ウツな季節でも、春一番のように、鬼子さんを見れば嫌な気分も吹き飛んでしまうなあ)
>>76 ただいま!
一緒に盛り上げていきましょう!
とりあえず索引作ってみた。
<文章>
「日本鬼子・ひのもとおにこ」〜第十章〜【別天津神(ことあまつがみ)の民】 作:時の番人
>>8-16 「日本鬼子・ひのもとおにこ」〜第十一章〜【光の世の力!?】
>>29-36 アニメ風第十三話:現代の鬼絵師、匠ちゃん
>>38-39 アニメ風第十四話:初めての友達
>>45-46 アニメ風第十と二分の一話(バレンタインだよ!鬼子と集合!)
>>47 アニメ風第十五話:小日本はどこから来たの?
>>63-65 新宿駅北口付近(仮)
>>42-43 バレたいん!
>>49-50 UTAUI鬼子と愉快な仲間たち
>>56 鬼はまず相談所へ!3
>>67-71 日本カレンダー・二月
>>72 綿雪の枝・雪原(しらの)の紅葉 作:深山之烏利 ◆T6aH4QT.x2
>>73 <AAもの>
鬼面と鬼子(仮) 作:鬼饅頭
>>59 <詩歌>
春一番の俳句 作:歌麻呂 ◆Bsr4iViSxg 他
>>74-77 <音楽>
「信じてくれればいい」
>>16 「君とドライブ」by 5変態
>>18
まとめて投稿で申し訳ないんですが、感想をば。
ちょくちょく読んでるんですが、そのときに反応したほうがよかったですね。
これからは適当なときに適当な感想を書くかもしれません!(/ ̄^ ̄)すちゃっ
「日本鬼子・ひのもとおにこ」
>>8-18 >>29-36 4人組楽しいですねw
若い生命力の溢れたキャラってそういえばあまりいなかったかも。
曲もよかったです。これ洗練させたらすごいことになりそう。
本スレの5変態もあなただったんですねw
アニメ風
>>38-39 >>45-46 >>47 >>63-65 田中さん最強説。そうそう、こういう役回りの方ですよね。うまい!
こにぽんは、刀の力と水子たちが融けあって生まれたのかな。
そう思うと、ほんと幸せになって欲しいわ…。
あと、こにぽんとヤイカガシ、さりげなく仲がよいところにほのぼのしました。
新宿駅北口付近(仮)
>>42-43 思い切りのよすぎる鬼子さんも好きよ!
9課も好きなので、なんだか嬉しかったっす。
今回の監視員さんは、ヒワイドリ…ではなくてヤイカガシとか?
バレたいん!
>>49-50 よろず屋は、赤白組の女の子と青黒組の男の子ってイメージになりましたw
そういえば鳴木さんは何色だったっけ。
規制が長引くようなら、転載で来ちゃってくださいまし。
UTAUI鬼子と愉快な仲間たち
>>56 なぜテトww
「極楽蜻蛉のジャスミン」がしっくりきすぎて困る。
鬼はまず相談所へ!3
>>67-71 あれですね、あのイラストですね!ブハッ!
記憶喰や逆時鬼をどう料理するのか期待しております。
それにしても、この事務所、騒がしいのが6人もいて、よく破裂しないな…。
日本カレンダー・二月
>>72 このシリーズの構想大好きです。鬼子さんには四季が似合う。
友チョコいいですねぇ…。
綿雪の枝・雪原(しらの)の紅葉 作:深山之烏利 ◆T6aH4QT.x2
>>73 雪山や娘さんの描写が鮮やか鮮やか。
銀世界の中で足をずぽずぽ抜きながら一歩ずつ歩くような、そんな読み口も乙なものですな。
鬼面と鬼子(仮)
>>59 視線がたまらんです。
> けなされても無視されても自分の作風を貫いた人のほうが面白いものを書いてますし。
ってのに深くうなずきました。
アニメ風の田中さんのごとく作られたものには、他にはない魅力がありますわな。
春一番の俳句
>>74-77 お帰りなさい!
いやー懐かしくて目頭が熱くなりました。
新しい季節を存分に描いてくださいまし。
>>77 いや、つい思いついちゃって。不快に思われてなくてヨカタ
憂え春 朝の空気は ぬくきかな
(春は花粉症でヤな事も多いけど、朝起きるとき凍てつく空気じゃなくなってくるのはありがたい)
82 :
時の番人:2011/03/02(水) 22:04:05.82 ID:knkjYirz
今、ここ誰も使ってませんね〜!?
使ってないようなので今から
「日本鬼子・ひのもとおにこ」〜第十二章〜【ヒワイドリの怒り】
を投下します。
それと今回は、やっとこさ挿絵・・有りです。
絵を投下すると、何故か色が違って表示されてしまう所があるみたいです。
ご了承下さい。
◎NO、15さんが書いていた本スレ
>>343の幹部鬼の設定画にあった、
カマキリをモチーフに、言葉だけですがイメージして書かせてもらった所が
一部あります。NO,15さん、イメージお借りしました。絵では表現していません。
SSの中に出てくる全身カマキリタイプの輩は、幹部鬼とはいっさい関係なく、
ただの使いっパシリみたいな扱いです。
◎ヒワイドリ擬人化のイメージも、何方かが書いていたものを使わせて頂きました。
◎音麻呂氏、歌麻呂氏、詠麻呂氏。名前使わせて頂いてます。
山伏&陰陽師&古武道その他の神職経験者の【別天津神(ことあまつがみ)の民】として出ています。
第十章から書かせて頂いてます。絶対駄目だ〜と言う事なら即変更します。
◎それと、田中さんに下の名前があったんですね・・・。
みこと→たくみ(匠)に変更します。
絵チャ・・行きそびれました。また有るのなら、ロム専でこっそり覗きに行かせてもらいます。
>>78 索引乙。いつも索引作ってくれてる人ですよね!?ありがたや〜。
>>79 感想有難う御座います。5変態は・・・サードシングル取り掛かり中〜。
では、SSを投下させて頂きます。
83 :
時の番人:2011/03/02(水) 22:05:20.68 ID:knkjYirz
●「日本鬼子・ひのもとおにこ」〜第十二章〜【ヒワイドリの怒り】
陽の光が傾きかけた午後。薄暗い森の中を凄まじい速さで駆け飛ぶ鬼子の姿があった。
その姿は・・角が光りながら鋭くなり、裾が短くなった紅色の着物から大量のもみじが舞い落ちている。
そして、妖しく光り輝く薙刀を右手に持ち・・・赤黒く染まったその瞳からは・・・
・・・涙が溢れ出していた。
皆が感じた歌麻呂の痛み・・・。その痛みが鬼子の心を強く締め付けている・・・。
みんなを守る・・・と、心で決めていたのに・・・。
【無事でいて・・・】
そう思う一心で鬼子は、木々の小さな枝を避ける事無く森の中を一直線に駆け飛んでいる。
鬼子の顔は・・・木々の枝が当り、血が滲むようになってきていた。
自分のこの小さな痛みなどどうでもいい。歌麻呂の安否だけが・・・・・・。
歌麻呂が何かの影を相手に、険しい表情で身構えている。
右手に錫杖(しゃくじょう)を持ち、その枝の先には、刀の様な薙刀の様な鋭い刃物が付いていた。
歌麻呂の左腕から・・血が流れ出ている。そして、足を引きずっていた。
「くそう・・・。不意打ちたぁ〜卑怯な奴だな・・・。こ、これが心の鬼に取り付かれ、
悪しき輩と変貌した奴の姿か・・・。醜い姿だな・・・」
彼が見上げたその先には、自身の身体の三倍ほどの大きさのある熊の様な姿の悪しき輩がいた。
歌麻呂は錫杖を左手に持ち替え、右手で素早く九字(くじ)を切り出した。
「臨兵闘者皆陣列在前」←【指を四縦五横に切る動作を伴う】
その言葉を唱えた後、何かの紙をその悪しき輩に投げつけた。
そして叫ぶ。
≪「式神!!」≫
すると、その投げつけた紙が、獅子の姿に変わり悪しき輩に飛び掛って行った。
今回のこの力は、山伏ではなく陰陽師の力だ。
その隙に、歌麻呂は足を引きずりながら少し後ろへ後退する。
獅子にまとわりつかれている輩が大きな爪で、その獅子を一刀両断した。
【ガシーン】
歌麻呂は、険しい表情で下唇を噛締める。
「・・これなら」
そしてまた九字を切り出した。
「朱雀・玄武・白虎・勾陳・帝后・文王・三台・玉女・青龍」
先ほどとは違う唱え方だ。
そう言いながら今度は木の板を懐から出し、それを輩めがけて力一杯投げつけ、叫んだ。
≪「霊符!!!」≫
【ドドーーーーン】
大きな爆発音とともに、あたり一体が炎の海に飲み込まれる。
大きな炎が燃え盛る中、歌麻呂はその場で炎を見つめ身構えていた。
「ハアハア・・・やったか・・・?」
目の前の炎の中で、黒くうごめく影が見える。
歌麻呂は、顔の前に腕をかざし、炎の中のうごめく影をじっと見ていた。
【ドバァッ】
突然炎の中から悪しき輩が現れ、歌麻呂めがけて襲い掛ってきた。
歌麻呂は後ろに飛んで逃げようとしたが、くじいてる足が言う事を聞かない。
そして・・その場に倒れこんでしまった。
「し・・しまった」
歌麻呂はその影を、目を見開きながら見上げた。
覆いかぶさる様に歌麻呂の前に飛び出して来た悪しき輩。
その輩が、大きな爪を勢い良く振り下ろしてきた。
【ガシーーーーンッッッ】
辺り一面に鳴り響く大きな鈍い音。
【ドスン】
と地面に落ちる輩の片腕。
その音に目を開いた歌麻呂の前には・・・・・仁王立ち姿の鬼子がいた。
鬼子が熊の様な悪しき輩の片腕を切り裂いていたのだ。
赤黒い瞳からは・・・小さく輝く涙が流れている様に見えた。
●挿絵1
http://loda.jp/hinomotooniko2/?id=735.jpg
84 :
時の番人:2011/03/02(水) 22:06:31.23 ID:knkjYirz
「ヒワイドリ、早く歌麻呂さんを安全な場所まで!」
人型に素早く変ったヒワイドリは歌麻呂を抱きかかえ、即この場から走り去る。
歌麻呂の目には、ヒワイドリの着物の合間から燃え盛る炎の中へ飛び込んでいく鬼子の姿が映る。
手を伸ばしながら歌麻呂は叫んだ。
≪「鬼子ちゃーーーーん・・・」≫
燃え盛る炎の中で、鬼子とその悪しき輩は対峙している。
輩の爪を見ると・・・白い毛がその爪の中に挟まっていた。
鬼子には直ぐ解った。それが、ハチ太郎の綺麗な白い毛だと。
鬼子の髪の毛が逆立って行き、赤黒い瞳が怒りを爆発させる。
≪「・・・お前が・・・お前がやったのかーーーーー!」≫
鬼子は叫び、見た事の無い険しい形相でその輩に飛び掛って行った。
光輝く薙刀を力一杯振り下ろす鬼子。それをかいくぐりながら鋭い爪を
鬼子に突き出す悪しき輩。
炎の中では、【キーン】【ガスッ】【ドガッ】という音が何度も鳴り響いていた。
少し離れた高台に、ヒワイドリは歌麻呂を降ろす。
ヒワイドリは、自分の白い着物の袂を破り、それを歌麻呂の怪我の部分に巻き付けた。
「大丈夫かぃ?歌麻呂」
初めて見る優しい目つきのヒワイドリだ。
「あ・・あぁ。俺なら大丈夫。ちょっと、足をくじいちまってね。それより・・
鬼子ちゃんの方が心配だ。鬼子ちゃんがどれほど強いかは知らないけど、
あの悪しき輩は・・・鬼子ちゃんにとっても強すぎるんじゃぁ・・・」
ヒワイドリが炎の方を見つめる。
「・・・・・解らない。おいらにも解らないんだ。鬼子の強さがどれ程かは・・・」
後ろの草むらが急にガザガザと揺れる。
ヒワイドリは振り向き、とっさに身構えた。
すると、音麻呂と詠麻呂、秀吉が出てきた。
3人の目に、歌麻呂の身体の状態が飛び込んで来た。
音麻呂が、血相を変えて飛び寄って来る。
「う、歌麻呂。大丈夫か!?」
「あぁ、大丈夫。危ない所を鬼子ちゃんに助けられたよ」
秀吉が辺りを見回す。
「お、鬼子ちゃんは何処に・・・?」
すると、ヒワイドリが指差した。
「・・・あの・・炎の中さ・・・。悪しき輩とあの中で闘ってる・・・」
その言葉を聞いた秀吉の表情が、みるみる怒りに満ちた顔つきに変わっていく。
眉間にシワを寄せた秀吉は、ヒワイドリの胸ぐらを掴み、押し上げた。
「お・・お前・・・。鬼子ちゃんを一人で・・・」
「秀吉さん。違います。今さっきヒワイドリが俺をココへ運んでくれたんです」
歌麻呂は、痛む足を押さえながら立ち上がり、秀吉の腕をつかみながらそう言った。
「そ・・そうか。すまん・・ヒワイドリ」
そう言った秀吉は、直ぐに鬼子の方に走って行った。
「君達はココで待機だ。危ないと思ったらすぐ逃げるんだよ!
決してあの場所には近づかないでね」
そう言い残し、秀吉は鬼子の方に走って行った。
秀吉が駆け込んで行った時、炎は煙へと変わっていた。
そして大声で叫んだ。
≪「鬼子ちゃん!鬼子ちゃん・・・」≫
黒く立ち込める煙の中から鬼子の声が聞こえて来た。
「秀吉さん?こっちには近づかないで!」
その声がした方へ、秀吉は何も考えず駆け込んで行った。
薄暗い煙の中、秀吉の目に飛び込んで来たのは、鬼子の着物が所々切り刻まれていて、
口からも・・・頬からも血を流している姿だった。
「鬼子ちゃん!」
「ひ・・秀吉さん・・・」
鬼子は目を見開き驚いている。
「な、何で来たんですか・・。ここは危険だって・・・」
「・・・鬼子ちゃん・・。一旦下がるんだ。その状態では勝てなくなるよ」
85 :
時の番人:2011/03/02(水) 22:07:33.38 ID:knkjYirz
2人の前には、異形の形をした悪しき輩がいる。こちらの動きをジッと見つめているみたいだ。
「だ・・駄目です。先に逃げて下さい。秀吉さんは何も武器を持っていないじゃないですか」
その言葉が終わるのと同時に、悪しき輩が飛び掛って来た。
素早く鬼子の前へ出る秀吉。
輩の大きな腕を瞬時に掴み、相手の力を利用してそのまま下へ押しやる。
下へさがった輩の首元めがけて、秀吉の足が力強く食い込んだ。
【ドガッ】
輩は地面に叩きつけられる。一瞬の出来事だった。
秀吉は、鬼子の腕を掴み後ろへと下がっていく。
「これが僕の武器さ。古武道ってね、相手の力を利用しながら倒すんだよ」
鬼子は秀吉の力強さに圧倒されていて言葉が出なかった。
「あ〜あ。鬼子ちゃんのその姿を織田さんが見たら・・・僕怒られちゃうな・・・」
「で・・でも・・・。やっぱり秀吉さんは下がってた方が・・」
「鬼子ちゃん。鬼子ちゃんがいくら強くても、倒せない相手がいるかもしれない、
そういう時は、みんなの力を借りないとね。力を合わせれば勝てるようになるよ、きっと」
叩きつけられた輩の周りに立ち込めていた煙が、徐々に薄くなってきた。
その時・・・鬼子と秀吉の目に映ったのは、倒れている輩の後ろにもう一体、
大きな異形の形をした輩の姿が映った。
秀吉が、目を凝らしながらその輩を観察している。
「形が違う・・・。やけに長い手足だ・・・」
「あ・・あれは多分、昆虫か何かに取り付いた輩だと思います。でも・・・
ここまで身体が大きくなるなんて・・・」
「鬼子ちゃん・・少し距離をとろう。相手の動き方を読むんだ」
「は、はい」
少し離れた場所にいるヒワイドリ達。彼等もまた、鬼子達の状況を見ていた。
ヒワイドリが険しい表情でそれを見つめている。
「やばい・・・やばいぞあれは・・・。もう一体出てきやがった。
秀吉がいると言っても、一匹相手に苦戦していた鬼子では・・・」
≪「俺が行く!」≫
と声を張り上げたのは音麻呂だった。
「まてぃ」
後ろからガサツな声が飛んで来た。出てきたのは、般若と奏麻呂だった。
「後ろから近づいてるワシ達に気付かんようでは、あの輩は倒せんよ」
奏麻呂が歌麻呂の状況を見て、近くに飛んで来た。
「ど・・どうしたの!?怪我してるじゃない・・・」
「ハハ・・ちょっと不意をつかれちゃってね」
般若は、彼等の周りに素早く結界を張る。
「この結界から出るんじゃないぞ。この中にいれば安心じゃからな。絶対に出るな!
ヒワイドリよ、どういう状況か説明してくれ」
ヒワイドリは、鬼子がココへ到着してから今までの状況を般若に説明した。
「・・・そうか。苦戦しとると言う訳じゃな」
「そ、そうだよ。だから速く助けてやれよ般若」
ヒワイドリはそう荒々しく般若に言った。
「・・・今は駄目じゃ・・・」
「ハァ・・?何言ってんだ般若。お前は鬼子の守護者だろ!」
「そうじゃ・・・。ヒワイドリは知らんのか?守護者とは、必要以上の事をしてはいけないんじゃ。
もしワシが手助けなどしてしまったら、今必死になって考えておる鬼子が成長すると思うか?
今以上に強くなろうとしている鬼子の邪魔をするだけじゃ」
「しかし・・・あの状況じゃぁ・・・」
「解っとる・・・。もう少し様子をみるんじゃ」
般若は鬼子達を見つめている。
ヒワイドリは、握り拳を作りながらその様子を眺めていた。
86 :
時の番人:2011/03/02(水) 22:08:35.25 ID:knkjYirz
ジリジリと後ろへ下がる鬼子と秀吉。そして秀吉が鬼子に言った。
「あの這いつくばってる方の輩の攻撃パターンは解ったかい?」
「はい、大体は。あの大きな爪でしか攻撃してきませんから」
秀吉は、もう一体の輩の方を見た。
「じゃぁ後は、あの手足の長い輩の攻撃パターンが解れば、何とかなるかもしれないね。
僕があの輩と対峙するから、鬼子ちゃんはその攻撃パターンを良く見ておくんだよ」
そう言い少し前へ出る秀吉。鬼子はその秀吉の肩に素早く手をやった。
「だ、駄目です。危険ですよ・・・。秀吉さんは相手の力を利用して倒すんでしょ!?
なら、あの手足の長い輩には不利なんじゃぁ・・・」
鬼子のとても不安そうな顔つき。秀吉はその鬼子の顔を見ながら微笑んだ。
「さすがだね!良く見てる。僕の弱点も解ってるなんて凄いよ。
でもね、今君は、肩で息をしているだろ。その状態で突き進んでも解決策は見つからない。
僕は、自分の身が危なくなったら一度後ろへ下がるから、それまではその目で
相手のパターンと弱い所を読み取ってくれるかな。それと、体力を回復させといてね」
「わ・・・解りました・・でも・・・」
鬼子の表情はまだまだ不安そうだ。秀吉は、人差し指を立てて笑顔で鬼子に言った。
「頼んだよ。これから光の世を守っていかなくちゃいけないのは僕じゃなく、鬼子ちゃんなんだ。
その鬼子ちゃんには、もっともっと強くなってもらわなくちゃ。ね!」
そう言って、秀吉は輩の方へと飛び込んで言った。
≪「ひ・・秀吉さーーーん」≫
手を伸ばし叫ぶ鬼子の指先越しに、秀吉の姿が小さくなっていく。
手足の長い輩を一言で言うならカマキリのようだ。
秀吉がカマキリの様な輩の近くに行った時、鋭いその長い手が飛んで来た。
それをしゃがんで避ける秀吉。そして素早くその輩の真下へと潜り込んだ。
お腹の様な部分に、力一杯拳を振り上げる。
【ドグッ】
少しヨロめく輩だが、長い足が横から飛んで来た。
秀吉はすかさず状態を反らす。目の前をかすめ飛んでいく輩の足。
とっさに、秀吉は輩の前に出て飛び上がった。
そして、秀吉の右足が空間を裂く様に輩の顔めがけて飛んでいく。
【ガツーーーン】
輩の首が捻じ曲がる。
「いけるか・・・」
秀吉がそう思った瞬間、背中に熱い激痛が走った。
中を舞いながら振り向くと、そこにはさっきまで横たわっていた熊の様な輩がいた。
その輩が、秀吉の背中をえぐったのだ・・・。
【ゥグッ・・】
秀吉は・・地面に膝を付き、倒れ込んでしまった・・・。
それを見ていた鬼子の赤い目がさらに大きくなり、一瞬にして髪の毛が【ブワッ】と逆立つ。
凄まじい速さで駆け込む鬼子。その目には秀吉しか映っていない。
立ちはだかる二匹の輩の間に素早く入り、秀吉を抱きかかえてその場を飛び出して行った。
鬼子は右足で地面を蹴ると同時に、秀吉をその場に置き、
身体を反転させて、今度は輩に向かって突進して行った。
秀吉の身体の周りは、小さく光るもみじの葉っぱで覆い尽くされている。
輩に飛び込んでいく鬼子の表情は、怒りに満ちている。
激しく光り輝く薙刀が、動きの鈍い熊の様な輩を切り裂いた。
≪「萌え散れー!」≫
●挿絵2
http://loda.jp/hinomotooniko2/?id=736.jpg 大きく叫ぶ鬼子。その鬼子めがけてカマキリ型の輩の長い手が飛んで来た。
鬼子はその手を避けようとしない・・・。頬をかすめ、鬼子の頬を切り裂いた。
しかし、鬼子は瞬き一つしない。かまわず、そのまま突進する鬼子・・・。
鬼子の表情は・・獣のようだ。
87 :
時の番人:2011/03/02(水) 22:09:37.71 ID:knkjYirz
その様子を見ていたヒワイドリが何かに気付く。そして手を上げ指した。
「あ・・あれ・・。あの輩の後ろに3匹目の輩が・・・」
その3匹目の輩の姿も大きく、トカゲと狼を合わせた様な姿をしていた。
「も・・もう駄目だ。般若、鬼子を助けに行こうよ」
ヒワイドリは真剣な表情で、般若にそう言った。
しかし・・般若の答えは・・・。
「・・・まだだ」
般若を酷く睨むヒワイドリ。
「き・・・貴様〜・・・」
そして握り拳を作りながら叫んだ。
≪「鬼子を見殺しにする気かーーーーーーーーーーーーーー!!」≫
そう叫びながら、ヒワイドリは結界から出て、鬼子の元に走って行った。
「は・・・般若・・さん」
そう声をかけて来たのは音麻呂だった。
「俺も行きます。これは・・・どう見ても鬼子ちゃんには不利ですよ・・・。
俺達の力が弱いのは解ってます。だけど、これじゃぁ・・・」
般若は腕組しながら語った。
「駄目じゃ。お主等が行くと、鬼子は必ず守ろうとする・・・。
今のあの表情では、自分の身を犠牲にしてまでもな。お主等にはそれが解ると思うがの」
音麻呂達4人は、般若の言葉は直ぐに理解できた。彼等もまた神職に精通する身。
鬼子の目からは、それが非常に解りやすく読み取れていたのである。
「大丈夫じゃ・・・・・。そん時はワシが出る」
般若はそう語り彼等の動揺を抑えた。
ヒワイドリが、怒りに満ち溢れている鬼子の目の前に飛び出てきた。
切羽詰った状況に似合わない笑顔のヒワイドリ。
「よ!助けに来たぜ」
「ヒ・・ヒワイ・・」
少しばかり鬼子の目の色が変わり、落ち着きを取り戻す。
そしてとっさに輩から離れる鬼子。ヒワイドリもそれに付いていった。
「あ!あの輩は・・!?」
鬼子はやっと、3匹目の輩に気が付いた。
「だろ〜。全然気付いて無かっただろ。もうチョッとで殺される所だったぜ」
「・・・な・・何であんたまでココに来たの?」
「何でって・・・助けに来たんだろ」
「た・・助けにって・・・足手まといになんないでよ・・・」
邪魔だな〜と言いたげな表情の鬼子。そんな鬼子をよそに、ヒワイドリは腕まくりしている。
そして、ヒワイドリは鬼子の方を見て言った。
「で・・・どうやって倒そうか・・?」
鬼子は口をアングリと開ける。やっぱり・・今のヒワイドリは
呪縛を解く前のヒワイドリと性格が同じだった・・・。
頭をかきむしりながら鬼子は言う。
「あの手足の長い輩は、接近戦に弱いみたい。でも・・・その中に入るまでが危険なの・・」
「接近戦に弱い・・・か」
ヒワイドリは【ニヤッ】っと笑った。
「よ〜し。見とけよ鬼子」
そうヒワイドリは言いながら、目の前に両手をかざした。
すると、ヒワイドリの回りの空気が渦を巻く。髪の毛と着物が激しく舞い上がった。
【ブワアァ〜〜〜】
●挿絵3
http://dl8.getuploader.com/g/oniko3/53/12-3.jpg 【プッスン・・】
●挿絵4
http://dl8.getuploader.com/g/oniko3/54/12-4.jpg 「あ・・・あれ・・・???」
ヒワイドリの姿が・・・弱々しい鶏に変わって・・・。
鬼子が後ろでこけている・・・。
88 :
時の番人:2011/03/02(水) 22:10:38.48 ID:knkjYirz
ヒワイドリの額から、冷や汗が流れ落ちる。
情け無さそうな表情で鬼子の方を見た。
「じゅ・・呪縛が・・・」
≪「ヒワイ!!下がって!!」≫
鬼子がそう叫ぶ。
カマキリ型の輩が襲いかかって来たのだ。
ヒワイドリはまた人型に変り、とっさにしゃがみ込んだ。
その背中をかすめる様に、輩の長い腕が飛んでいく。
鬼子が輩の近くに素早く走り込む。そして薙刀を力一杯振上げた。
【ズバーーーン】
・・・空を切る薙刀。その鬼子めがけて輩の長い手が飛んでくる。
鬼子は、薙刀を振り切った勢いで体勢を整える事が出来ずにいた。
【ドンッ】
ヒワイドリが鬼子に体当たりして突き飛ばす。
鬼子の身代わり・・の様な形になってしまったヒワイドリめがけて、
輩の手が・・・。
【ガシーーーン】
ヒワイドリの頭にかすかに当った。脳震盪を起こしその場に膝を着くヒワイドリ。
カマキリ型の輩が、両手と前足2本で再びヒワイドリを襲う。
それを見ていた鬼子が叫んだ。
≪「ヒワイーーーーー」≫
【ガキーーーーン・・・】
鈍い金属音が鳴り響く。
輩の長い手足が、ヒワイドリの目の前で止まっている。
ヒワイドリが首に巻いていた羽付きファーが、硬く鋭くなり七支刀の形になっている。
七支刀は2本出現し、それが鎖と紐で繋がっていた。
●挿絵5
http://dl8.getuploader.com/g/oniko3/55/12-5.jpg それを使ってヒワイドリ自身が、輩の手足を止めたのだ。額から血を流しながら。
「・・そうか・・・昔、こんな武器も使ってたよなぁ・・・」
輩の手足が、そのままヒワイドリを押しつぶそうとしている。
鬼子は、ヒワイドリを助けようとカマキリの様な輩に近づいて行くが、
輩の他の足に阻まれている。
押し潰されそうになるヒワイドリ。鬼子は強引にヒワイドリの方へと走って行った。
輩の足が、鬼子めがけてかすめ飛ぶ。鬼子の紅い目が、その動きを読み取ろうとしていた。
そして、薙刀を振りかざす。
【ザシュ・・】
鬼子が、何とか輩の足一本を切り裂いた。
ヒワイドリを押し潰そうとしていた輩の手足がかすかに緩む。
その隙に、鬼子はヒワイドリの腕を掴み、外へと飛び出した。
【ドガッ・・・】
・・・鬼子の頭から、血が流れ出す・・・。
輩の鞭の様にしなる手が・・・鬼子の頭に直撃したのだ。
ヒワイドリの目の前で、倒れていく鬼子。彼は、手を差しのべ鬼子を抱きしめた。
ヒワイドリが鬼子を見ると・・・輩の強い一撃で、気絶していた・・・。
「・・お・・・俺なんか・・助ける価値なんてないのに・・・」
カマキリ型の輩が、ヒワイドリ達を再度襲い始めた。
・・長い・・輩の手足が・・・、身動き取れない彼等めがけて飛んでいく。
ヒワイドリは・・・鬼子を抱きしめたまま・・その場を動けないでいた。
彼は・・・黒い空を見上げ・・・力一杯叫ぶしか出来なかった。
≪「は・・・般若ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」≫
.
89 :
時の番人:2011/03/02(水) 22:11:39.18 ID:knkjYirz
そのヒワイドリの叫びを聞いた音麻呂達4人が、般若の方を見た。
しかし・・・・・・・・・その場にはいなかった。
般若が立っていたと思われる部分だけ・・・草が揺れていた。
【ズザーーーン!!】
鬼子とヒワイドリの前で、何故か粉々に切り刻まれているカマキリの様な輩。
その場には・・・赤く光る目を持つ般若の姿があった。可愛い姿には似合わない程の大きな妖気。
その般若が持つ強大な気が一瞬だけ、異形の形をかたどる。
●挿絵6
http://dl8.getuploader.com/g/oniko3/56/12-6.jpg 「鬼子を連れて下がれ、ヒワイドリ」
「は・・・般若・・・」
「秀吉が横たわっている所まで、今すぐ下がるんだ」
そう言われたヒワイドリは、気絶している鬼子を抱きかかえ、
横たわっている秀吉の所まで駆け飛んで行った。
秀吉の横に、鬼子をそっと寝かすヒワイドリ。
彼が秀吉の方を見ると、鬼子から舞い落ちたであろう淡く光るもみじが、
秀吉の傷口へと消えていっている。ヒワイドリはそれに感づく。
「あ・・もしかして、このもみじ・・・こにぽんと同じ癒し効果があるんじゃぁ・・・」
彼は、秀吉には届いていない淡く光るもみじをとっさに拾い上げ、
鬼子の傷口に当てた。
鬼の形相で狼の様な悪しき輩を睨む般若。その輩は、ユックリと般若の周りをグルグル回っている。
般若が言葉を発する。
「貴様か・・・犬避けの石を置いたのは・・・」
【グルルルルー】
●挿絵7
http://dl8.getuploader.com/g/oniko3/57/12-7.jpg 輩は、口からヨダレを流しながらそう唸るだけだった。
「・・こいつじゃ無いな。ただの輩だ」
すると、狼の様な輩の後方から何かがユックリと出てきた。
般若の目は、その何かを睨みつける。
輩の後方から出てきたのは、見た目人間の民の様に見えた。
しかし、両腕が異様に長く、指先には尖った爪を持っている。
背丈は3メートルほどか。そして青黒く艶やかな皮膚をしていた。
顔は・・・縦に長く、横長に切れた大きな目を持っている。
その人間の様な輩が、狼の様な輩の横で立ち止まった。
そして、般若をジロジロと観察しているようだ。
「・・・非力な鬼娘に着く守護者か・・・」
●挿絵8
http://dl8.getuploader.com/g/oniko3/58/12-8.jpg 人間の様な姿の輩がそう喋った。
般若は目を見開いて驚いている。
「・・や、やはりそうか。知恵を持ち得た輩が存在しとるとは思っとったが・・・。
貴様・・・光の世に何しに来た?」
すると、その人型の輩が【ニタッ】っと笑い出した。
そして、長い両腕を左右に広げた。
「何しに来た?お笑いだな。そんな事は決まっているだろう。
この世を支配しに来たんだよ。人間の民を食い潰し、我が力にしてな。
人間の民は美味しいぞ。食えば食うほど新しい知恵が付く。
そして・・・闇世の大白狐をも食いつぶす」
「ほほぅ・・・。大白狐様までも・・・か。それは大層な計画じゃな。
その為に・・・その知恵で、光の世の力石を解読すると言うんじゃな」
輩の目つきが鋭くなる。
「・・・頭の良い守護者だな・・。それに感ずいているとは。
なら、お前の力では俺を止める事が出来んと言う事にも感ずいているだろう。
力の差が大きすぎる。お前のその力では俺に触れる事すら出来んからな」
そう言われても、般若の顔つきは全く変わらない。
「貴様は・・元々闇世の猿の民だな・・。その猿の民が人間の民を喰らい続け、
今の姿になってるんだろう。貴様・・・何処を通ってこの光の世へ来た・・」
その輩は・・一度目を閉じ、そして見開いた。
そぉーっと右手を前へ出していく。非力な般若の事を少し警戒している様だ。
90 :
時の番人:2011/03/02(水) 22:12:46.02 ID:6P9xs2dk
「・・・何処を通って来た・・・か。色々調べているみたいだな。
俺は、闇世で200年ほど色んな民を喰らい続けてきた。
最近光の世に来たが、それでも50体くらいは喰ってるなぁ。」
人型の輩は、話をたぶらかしているみたいだ。
それを聞いた般若の目がさらに厳しくなる。
「・・・何処かの川を・・通って来た・・・のだな!?」
人型の輩は、目で般若を睨み、鼻で般若の何かを読み取ろうとしていた。
「お前は・・・鬼娘の守護者・・・・・・では無いな・・」
そう言葉をかけられた般若は無言だった。
輩がまた話しだす。
「お前の力は、この輩と同等くらいか・・・」
これ以上の詮索を拒むかの様に、その輩が指を【チョン】と前へ出す。
すると狼の様な輩が、不意に般若を襲い始めたのだ。
【ズバーン】
一瞬にして砕け散る輩。般若は動いた気配がなかった。
人型の輩が少し下がりながら、般若を睨み言った。
「お前・・・何者だ・・。いや・・・元は何の民だ・・」
ヒワイドリも、遠くにいる音麻呂達も・・身体に非常に強い殺気を感じている。
詠麻呂が自分の身を抱きしめながら言った。
「い・・痛い・・。身体が痛い」
音麻呂が皆を抱きしめながら言う。
「あ・・あいつの・・・。人型の輩の殺気が・・俺達の身体を痺れさせているんだ・・。
は・・般若さんからも殺気は感じるけど・・・大きさが違いすぎる・・・」
ヒワイドリは未だに目を覚まさない鬼子の近くで、同じ殺気を感じていた。
「は・・・般若・・。あ・・あんたの力でも無理だ・・・。お・・俺達・・もう・・・」
般若を睨みつける人型の輩。その輩が、そおーっと右手を上げ鬼子達が居る所を指差した。
「少しは早いみたいだが、俺の動きには付いて来れんだろう。お前が言う様に、俺は
元々猿の民だ。色んな民の中でも飛びぬけた瞬発力を持っているからな。
お前の目の前で、あの鬼娘の力・・・喰ってやるわ」
そう言い、人型の輩は鬼子達の方へ一瞬にして飛んで来た。
般若は・・・やはりその動きに付いていけずにいた。
人型の輩の大きな爪が鬼子達を襲う。ヒワイドリは、身構える動作さえ出来なかった。
【ギュイィーーーーーーーーーーーーーーーーーン】
人型の輩の腕が、後ろへ弾かれネジ曲がる。
般若が腕を弾いたのだ。遠くにいた般若が・・・。
「ヒワイドリ、2人を担いで直ぐに結界の中へ!」
焦るヒワイドリは、息を止め、鬼子と秀吉を担いで結界の方へと走って行った。
とても醜い形相で、般若を睨む人型の輩。
「・・お・・・お前・・・」
般若の額に、薄っすらと光る文字が浮き出ている。
人型の輩がそれを見て、自分の顔の前に両手を持ってきた。
何か・・・黒く光る小さな文字が輩の手の中に浮かび上がる。
そして般若を見下ろしながら笑い、言った。
「お前は・・鬼の民なのか・・・」
黒い文字を浮かべる輩を見た般若は、目を見開く。
【あぶない】と思ったのだ。
般若は、ヒワイドリの方を見て叫んだ。
≪「速く結界の中へ入るんじゃーーーーーー!」≫
そう言い終わると、般若の額の文字が光輝き出した。
【ブヮアーーーーーーーーーー・・・】
91 :
時の番人:2011/03/02(水) 22:13:49.11 ID:6P9xs2dk
その光り輝く文字を見た人型の輩は・・・のけ反りながら後ずさりする。
「・・そ・・その文字は・・・古(いにしえ)の民・・・・・。
で・・・伝説の・・・・・龍の民か・・・・・・・・」
そう言いながら、輩の手の中の黒光りしている文字が渦を巻きだした。
般若は、大声で叫ぶ!
≪「速くしろーーーーヒワイーーーーーーーーーーーーーー!!!」≫
般若は力を解放した。
【ドォーーーーーーン】
白いお餅を縦に伸ばした様な般若が・・・人型に変っていく・・・。
黒色の袴姿。解放した力の波に激しくたなびく金色の長い髪。
口からは・・・黒い妖気が溢れ出している。
そして、紅色と金色の瞳で輩を凝視していた。
●挿絵9
http://dl8.getuploader.com/g/oniko3/59/12-9.jpg 般若の黒い強大な妖気に、波打ち引き裂かれる輩の皮膚。
その波が、結界を張ってある所まで一瞬に飛んで来た。
結界の中から、ヒワイドリ達に手を差しのべる音麻呂達。
ヒワイドリは、間に合わないと感づいた。そして、鬼子と秀吉を結界の中に力一杯放り込んだ。
音麻呂達は、鬼子と秀吉を抱きかかえながら倒れこむ。少し遅れ、ヒワイドリも結界の中に飛び込んだ。
その瞬間、般若の解放した力が結界を貫く。その時、ヒワイドリの足はまだ結界の外にあった。
人型の輩の皮膚は引き裂かれ、タダレ落ちていたが、構わず般若に襲いかかって来た。
【ドゥン・・・・・】
一瞬にして塵(ちり)となる輩。
輩が塵となり消えていきながら、ポツリと言葉を発した。
「・・・な・・何故だ・・・。鬼の民と・・・龍の民は一緒にいる事が出来ないはず・・・。
ぁあ・・まさか・・・。あいつは・・龍の民の・・しかも唯一の虐げられし者の・・・・・・」
そう言いながら、人型の輩は消えていった・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
空から、赤黒い雨が降り出してきている。
そんな中、般若は・・・中に浮きながら人型の般若の身体が輝いている。
のけ反りながらユックリと下へ落ちていく。一瞬、般若の力が暴走し鬼の民が実体化するが
すぐに消えて無くなってしまった。
●挿絵10
http://dl8.getuploader.com/g/oniko3/60/12-10.jpg 人型の般若から、お餅型の般若に・・・
・・・・・・・・・そして・・・般若面になりながら落ちていく。
「・・・我墜ちて・・・守護神なり・・・」
【コトン・・・】
地面に落ちた般若面は全く動かない。
結界の中にいる鬼子達は・・・皆気絶していた・・・。
投下終り。
「日本鬼子・ひのもとおにこ」〜第十三章〜【いつもの自分で】に続く。
.
凄惨な世界観ながらも友情いっぱいで怖楽しめました!シリアスな鬼子見たかったし!
挿し絵付き豪華でした。ファーが剣にとか良いわぁ 龍の民つおいね!
誤字脱字無さすぎ含めスバラシスv
だれも使って無さそうなので使わせていただきますね。
子「早速ですが、今日は何の日でしょう!」
鳴「給料日?」
子「不正解!」
日「乳の日」
子「それは貴方達にしたら毎日でしょうがっ!」
夜「パンツデーッス!」
子「なんだそのバレンタインデーの派生みたいな日は」
ヒ「ふっ……お前らお子様だな。今日は鬼子のバストチェックの日に決まってるだろう」
子「鶏鍋になりたいんですかヒワイドリ?」
ヒ「すいません」
ヤ「お前もまだまだだなぁ。今日はパンツを買いに行く日だろう!そしてお古を私が――」
子「今日は天気がいいので七輪で魚を焼くといい感じになりますね」チャキ...
ヤ「冗談ですって小日本様」
子「もっー!なんで今日という日が分からないんですか!」
鬼「わかった!あられの日だ!」
子「正解!さすがネネさま!」
鳴「あぁ、ひな祭りな」
鬼「あられの日違うのかナイキ?」
鳴「合ってるよー」
鬼「じゃあ、あられ頂戴?」
鳴「ひなあられは無いです。代わりに良いものをヘソクリから買ってきてやろう」
鬼「無いのか!?あられ……」
鳴「そんなに食べたいのか?あれ、そんなに美味しく(ry」
子「つべこべ言わずに買ってきたら良いんですよ。ネネさまが欲しがってるでしょう?」チャキンッ!
鳴「そういう脅しみたいなのは良くないと思うな!」
子「では運命の赤い糸を切断してもよろしいでしょうか」
鳴「ちょっと行ってくる」ドタタッ...
――20分後!
鳴「帰ってきたぜ鬼子!」
子「静かに!ネネさまが寝てるんですよ!」
鳴「(´・ω・`)」
鬼「ん……帰ってきたのかナイキ?」
鳴「え、うん」
子「せっかくの寝顔を寝顔を寝顔を……」
鳴「……ほら、お土産だぞ鬼子」
鬼「本当か!開けていいのか!?」
鳴「イエス」
鬼「?」
鳴「開けてイイですよ」
ガサガサッ
鬼「おぉ〜。ちらし寿司だちらし寿司!」
日「うわっ……海鮮ちらしじゃないですか!」
夜「高かったんじゃないんスか?」
鳴「高いよ。一つ3000円くらい」
ヒ「ということは」
ヤ「タダでコレが食える!」
子「やれば出来るじゃないですか鳴木さん」
日(まぁ、いつも通り――)
夜(俺達の分は無いんでしょうね)
鳴「本当だぞ。今日だけで凄い金が飛んだ。一万ぐらい。鬼子、これあられな」
鬼「ありがとう鳴木!」モグモグっ
子「さぁ!早く私たちの分を出すのです!」
鳴「ねぇよ」
ヒ「なん……」
ヤ「だ……」
子「と……?」
鳴「居候の身で贅沢な。自分でお金を稼いでから言いなさい」
子「稼いでるじゃないですか!この美貌で!10年前の時間軸ではありえない美貌ですよ!」
鳴「うるせー!もう見飽きたんだよ!というか金になってねぇじゃねぇか!」
ヒ「俺の分はこの写真で……」スッ
鳴「ん?……こ、これは!鬼子のはd……ダメに決まってるだろ」
ヒ「なっ!?酷いぞ!俺の宝物だぞコノヤロー」
子「へぇ、一体どんな写真」
日「うはっ!生乳写真!」
ヒ「ちょっとお腹が痛くなったので散歩でも」
子「ニヤリッ」
ヒ「ヤダーっ!その笑顔ヤダー!」
――ヒワイドリ退場
ヤ「じゃあ、私はこれでお願いをする!」
鳴「パンツはいらねぇよ!」
ヤ「なんだとっ!これを手に入れるのにどんだけ苦労したと!」ガシッ
子「ニヤリッ」
ヤ「ぎゃあああああ!顔にヒワイドリの血痕が!」
――ヤイカガシ退場
子「さて、私の分はありますか?」
鳴「そんな血塗れの顔で言わないでください」
子「あるんですか?お腹ペコペコですよ」
鳴「あるよチキショウ!」
子「話せば分かる人だと信じてましたよ」
鳴「脅しじゃねぇかよ」
子「ネネさまー。一緒に食べましょう!」
鬼「いいよー」
日「で、私達の分は?」
夜「そうっスよ。俺達の分が無いとか無いッスよね?」
鳴「あるよ。あるって」
日「ふぉおおおおお!コレが……年に一度しか食べれないという高級海鮮」
夜「あれ?コレって共食いじゃないっスか?」
鳴「気にすんな」
夜「そうッスね」
――1時間後
鳴「いやぁ、食った食った」
日「さすが高級。おいしかった」
夜「美味だったけどなんだかいたたまれない気持ちになったっス」
子「ヤイカガシもコレぐらい美味しかったら……」
鬼「美味しかった―」
鳴「さて、全員食べたところで。写真撮影と行こうか」
日「メインイベンツ!」
鳴「ひな壇の撮影でございます」
夜「キターッ!」
子「お雛様はネネさまで、お内裏様は?」
ヤ「私に決まってるだろう」
ヒ「いや、俺だろう」
夜「いやいや、俺が」
日「いやいやいや、私が」
子「じゃあ私が」
鳴「めんどくせェなお前ら。そんなにお内裏様やりたきゃ交代で写真取ればいいじゃない」
ヒ「バッカヤロ―!」ゴッ!
鳴「おぅふ!なにすんだ馬鹿鳥!」
ヒ「てめぇは何も分かっちゃいねぇ。この小さい状態の鬼子と写真が取れるのが今だけということを」
鬼「小さくないよ?」
鳴「だから交代で……」
ヒ「だからこそなんだよ!一番初めに並んで写真を取れた奴こそが初めてをもらえるのだ!初体験だ!」
鳴「その考え方は少し怖いぞ」
子「ということはやはり私が行くしか無いようですね」
ヤ「こにぽん!今回ばかりは譲れない!」
子「……」ドスッ!
ヤ「ぐっ……」
子「他愛もない……」
鳴「争うなよ。そんなに初体験が欲しければ、皆でお内裏様になればいいじゃないのか?」
ヒ「なっ!」
日「それは……」
夜「なんということを……」
子「やはり斬るしか……」
鳴「なんでさ!一度に写真が撮れて十分いい案だと」
子「浮気じゃないですか。お雛様が、数多くのお内裏様とならんでたら」
鳴「あ、そういえばそうだな」
子「やはり邪魔者を排除してから」チャキ...
鳴「待て待て待て!話せば分かる子だっただろ!」
子「それは十年前の話です」
鬼「ダメっ!」
子「ネネさま!どうして!?」
鬼「皆で仲良く!」
子「くっ……ネネさまにそう言われては引くしか……」
鳴「助かったぁ。ありがとな鬼子」
鬼「ご飯くれるいい人だからな」
鳴「あれ?俺ってその程度?」
――20分後
鳴「ひな壇、設置完了でございます」
鬼「おぉー」
日「これはいいひな壇」
鳴「はい、鬼子はここに座ってな」
鬼「よいしょ……コレ終わったらあられ食べていいのか?」
鳴「終わったら皆で食べようなー」
鬼「うん!」
鳴「では、お内裏様集まってくれ」
ドタタッ!
子「それでは、私がネネさまに一番近い位置で」
ヤ「じゃあ、私はパンツが見えそうな位置に」
ヒ「俺は適当に」
日「私も適当に居るかな」
夜「俺はヤイカガシと同じ位置に」
鳴「……なんでその位置全てが俺に体重が掛かる位置なんだよ。重い!退け!」
子「仕方ないでしょ!ここが一番近いんだから!なんだったらその場所を譲ってください!」
日「この位置が一番楽だからね」
夜「同意」
ヤ「同意」
ヒ「同意」
鳴「そんな訳が、って馬鹿!それ以上体重かけるな!倒れる倒れる!」
パシャッ!
ということで、前代未聞のお内裏様が6人、お雛様が1人というひな壇が出来たのであった。
これから事務所に飾られるであろう馬鹿な写真と共に。
ひな祭りということを忘れていた。記念にSSをば。
キャラが分からないかも知れませんね。一様、よろず屋メンバーです。覚えていてくれてればですが。
相変わらずのキャラ崩壊。読んでいただければ幸いです。スレお借りしますた!
by ぬーん!
乙・・・て、入れ替わりも戻ってないのかよ?!記憶も完全じゃないらしいしこれからどーなるんだ、これw
ツッコミ担当鳴木さん。
お金は使うべきときに使う、それが大人さ(ふっ
みたいなイメージになりましたww
あ、小日本が「子」になってるのは仕様ですか?
102 :
時の番人:2011/03/04(金) 14:44:18.59 ID:i5cGpV6u
>>92 有難う御座います。ファーが剣、しかも七支刀になるって事にするまで、
かなりの時間、ネットを検索しまくりました。ファーに似合う剣、
ファーの様な剣??柔らかい?硬い?など。
また、荒れる要素の有る設定に突っ込んでいいものなのかどうか・・・。
など悩みまくった末の七支刀です。二次創作なのでお許し下さい。
>>94 何気にこにぽんの行動が怖いですね。それに引き換え相変わらずの
よろずやメンバー。これからどうなっていくのやら。
>>101 有難う御座います。その絵が・・・大苦戦なんです・・。
スラスラと絵を描ける人が羨ましいです。
>>102 遅くても書ける人が羨ましい。私が描いたら凄いことになっちゃいますw
作品連続で申し訳ないですが、投稿させてもらいます。
暑い。もうすぐ春だと言うのは分かっているが、事務所内が暑すぎる。
原因は分かっている。人数が増えすぎたせいだ。
狭い廃墟のビルを管理がてら借りているというのに……暑くて溶けちまうよ!
日「溶けないですよ」
鳴「読心!?」
日「心の鬼っていう肩書きを忘れてもらっちゃ困りますよ」
え?ということは今まで考えていたことをずっと見られてたってこと!?
恥ずかしい……
ヒ「あ、そうだ。鬼子」
鬼「なんだヒワイドリ」
ヒ「落し物です」
鬼「おぉー、ありがとう?」
ヒ「なぜ疑問形」
鬼「なんとなく」
出前の蕎麦を食べ終えた鬼子にヒワイドリが何かを渡していた。
目を凝らしてよく見てみると、もの凄い形相をした般若面。
え、怖い。大人というか24歳のお兄さんでも怖い。
鳴「ヒワイドリ。それ、何?」
ヒ「え?どれだよ?」
鳴「そのお面」
ヒ「あぁ、般若面ね。鬼子のお面だよ」
鳴「鬼子の?この事務所に来てからは付けてなかったぞ?」
ヒ「山で落としてたんだよ。それを俺のセンサーが発見したってわけさ」
鳴「あぁ、そういう事。変態センサーね」
ヒ「失礼な!愛ゆえにだ」
鳴「そんな一方的な愛は駄目だと思います」
ヒ「現在354万回振られてます」
鳴「ごめんなさい。お気持ちをお察しいたします」
ヒ「ありがとう……今夜、居酒屋で乳の話を聞いてくれるか?」
鳴「聞くわけねぇよ!」
ヒ「可哀想って思ってくれたんじゃないのか!?」
鳴「自業自得だ馬鹿鳥。さっさと鬼子を元に戻す方法を探すぞ」
足元でブーブー言いながら走り回ってる鳥は置いておいて……早く元に戻す方法を探さなくては。
三階の資料室に置いてたっけな。あー、探さないとな。
鳴「日輪、夜烏賊。資料取ってきてくれ。三階にある筈だから」
日「曖昧なんですね」
夜「疲れてるんスよ。最近ずっと怒鳴ってるっスから」
鳴「お前らが悪いんだろう」
夜「まぁ、そういう解釈の仕方もあるッスね」
鳴「それしかないだろう。もういい。早く探して」
夜「はいはいっス」
日「わかってますよ」ガチャ...
資料は日輪達に任しておいてって、俺やることないじゃん。
こうなったら小さい頃の鬼子を写真でも取って永久保存版に……
鬼「ナイキ―。お祭りだ―」
鳴「へ?」
鬼「お祭りだお祭り」
小「わー、本当ですね―」
窓の外を見てみると確かに祭りをしていた。妖怪の類のオンパレード。
一般人には見えていないようだが、俺より鬼子が先に気が付くとは。
そろそろ年というわけか……
鬼「お祭り行こうナイキ!」
鳴「金が……あ、そういえば妖怪は物々交換だっけ?」
小「違います。moneyです」
鳴「何故英語で言った」
小「なんとなくです。それにほら、年齢と共に賢くなった私を知って欲しくて」
鳴「賢くなってないぞ」
小「斬りますよ」
鳴「さぁー、仕事だ仕事」
鬼「お祭りは!?」
鳴「あぁ、お金が……無いんス」
鬼「……ダメ?」
鳴「いや、ダメというわけでは……はぁ、分かったよ。行っていいから」
鬼「やったー!」
相当甘いな俺。子育てをしたらかなり我侭な子に育ちそうだ。
鳴「1000円までだからな。わかった?」
鬼「うん。1000円って何?」
鳴「……おーい、日輪。資料探すのは後で良いから、一緒についていてあげなさい。小日本も」
日「了解。で、私へのお小遣いは?」
小「私は最初っからそのつもりです」
鳴「日輪へのお小遣いはありません。小日本は予想してたからどうでもいいです」
小「うわー。10年前の私なら甘かったくせにぃ。ロリコンですね」
鳴「だだ誰がロリコンか!さっさと行けっての!」
小「わかってますよー。ネネさま行こう」
日「じゃあ、行ってきますね」
鬼「ありがとうナイキ―」
ガチャッ...
鳴「やっと行ったか」
ヤ「私も行きたかったなー」
ヒ「俺も」
鳴「お前らが行くと浪費が激しいからな留守番だ。俺は出掛けてくる」
ヒ「自分だけでお祭りを楽しむ気だな!」
ヤ「私たちも連れてけ!」
鳴「行かねぇよ!通帳の残高チェックだ!俺が帰ってくるまで此処に居ろよ!絶対な!」
バタンッ!
扉を閉めても事務所からは文句を言っている声が聞こえてくる。
鳴「さてと……こっちの路地裏だったけな」
事務所から出て直ぐの路地裏へと入っていく。
確かこの辺に居たはずなんだが……
鳴「おーい。居るんだろ?いつも事務所を覗いてる人。話しがあるなら聞くから出てきてくれ」
……返答はない。そりゃそうか。
いきなり事務所の中の人間が出てきても、恥ずかしいとかそういう感情で出てこれないよな。
仕方ない、出直すか。ついでにお祭りで占ってもらおう。
そう思い、通りの方へ振り返ると声が聞こえてきた。
?「振り向くな」
鳴「へ?」
最初はなんだと思ったが、そりゃ振り向いたら顔覚えちゃうもんな。
ストーカーの類だったら顔を覚えられる事ほど嫌なことはないだろうし。
鳴「分かった。振り向かない」
?「何のようだ?」
鳴「いや、いつも事務所を覗いてるだろ?なんかあるのかなぁっと思って」
?「はぁ……気付いてたのか?」
鳴「そりゃ当然。あれだけ目を光らせてればね。俺の推測だと、君達は鬼子の補佐だろ?」
?「なんでそんな事を?」
鳴「ヒワイドリが言ってた」
?「あの鳥野郎……分かったよ。確かに俺は補佐役だ。鬼子のな」
鳴「そりゃどうも初めまして。名前は?」
狛「……狛〈こま〉」
鳴「なにそれ可愛い」
狛「ぶっ飛ばすぞ」
鳴「それは失礼しました。で、なんでいつも覗いてるんだ?」
狛「言ったろ?鬼子の補佐だ。何かある時はすぐに駆けつける。記憶喰をソファに置いたのも俺だ」
鳴「いや、補佐は分かってるけどさ、なんで姿を現さないんだ?そして、その節はどうも」
狛「補佐は所詮、補佐だ。鬼子自信に守られてるって言う変な気持ちを持たしちゃいけないんだ」
鳴「どうしてだ?」
狛「これは、記憶を失う話になるんだが……鬼子が行っていたのは鬼の浄化だ。闇に心を呑まれれば
人の心から鬼が表面上に現れる。それは人の行動、言動などの全てに影響する。それは知ってるな?」
鳴「あぁ、知っているよ。何年やってると思ってるんだ」
狛「この闇に呑まれた心を救うには心の隙間に巣食っている鬼を元の状態へ戻さなければならない」
鳴「それなら、俺も何回か行って来たぞ。まぁ、対処できる相手は少なかったが」
狛「そういう人達は昔から居たさ。だけど完全に浄化しきれる訳ではない。黒から灰色へと変えるのが精一杯だ。
完全に浄化できる奴らも居たが……子孫にはあまり伝わらなかったみたいだな」
鳴「安倍晴明の事か?」
狛「それと、芦屋道満。その頃から鬼子は鬼の浄化について学び始めた。成長が止まったのもその頃だ。
話は変わるが、鬼には二種類居るって言うことは知ってるか?」
鳴「あぁ、聞いたことがある。堕鬼と善鬼だろ?確か、堕鬼が人や動物、植物に対して悪い影響を与える鬼で
善鬼は普段からそこに居るが悪影響は無く、居たほうが幸福になる場合もある鬼だろ?」
狛「そうだ。補足すると、善鬼が負の感情を受けすぎると堕鬼になる。鬼子が相手にするのは堕鬼だ。それも
最上級クラスの危険な相手ばかりだ」
鳴「そうか、だから姿を隠してるのか。守られているという意識が心に隙を生み、命を落としかねない状況が
増えるのを避けるためか」
狛「そういう事だ。分かってくれて何よりだ」
鳴「あれ?ということはだ。狛がここに居るって事は鬼子の補佐はどうなってるんだ?」
狛「それに付いては問題ない。まだ若いがしっかりやれる坊主に任したよ」
鳴「坊主?」
――その頃の鬼子一行
鬼「ねぇねぇ、蕎麦くださいな」
店「50円イタダキヤスヨ」
鬼「はい」
店「マイドアリデヤスヨ」
鬼「日輪のオネーちゃん!蕎麦かった!」
日「ズキュン!……なんだ、このトキメキは!確かにあと十年したら一緒に話し合いたいのは確かであるが、
こんな胸のトキメキは初めてで(ry」
小「コレが、ネネさまの力ですよ」
日「こ、コレが!」
小「もう、可愛い!一生このままでもいい!」
日「今までは、大きい胸や小さめの胸についてばかり語っていたが、子供の物も……」
?「いや、やめとけ」
小「!!」
?「い、やべっ!逃げろ」
小「日輪さん!」
日「……しかし、現状で小さいものというのは将来的に長い目で見ていくと……」
小「日輪さん!」
日「はひっ!どうしたの!?」
小「あのチッコイ犬耳の子供を捕まえて!」
日「えー、男じゃん」
小「やらないと鶏鍋」
日「よしっ!いっちょ行ってくるね!」ダダダッ...
?「あぁ、もう!なんで追いかけてくるんだよ!」
日「鶏鍋は嫌だからに決まってるでしょう!」
?「はぁ?何いってんだ!人間の癖に!」
日「誰が人間だ小僧コラ!とぉう!」
?「わっ!馬鹿!」
バターン!
日「ふふふ、鶏の跳躍力を舐めてもらっちゃ困りますな」
?「ってー、離せ馬鹿!胸が当たってんだよ!」
日「ほほーう。その年で、胸に反応するとはどうだい?今夜一緒に乳について話そうじゃないか」
?「誰が話すか!ヒワイドリに心乗っ取られてんのか!?」
日「その、ヒワイドリ本人ですが」
?「えっ?」
小「日輪さん!捕まえましたか!?」ダダダッ...
鬼「悪い奴はそいつかー」
?「いっ」バッ...
日「ご覧のとおり、私の下敷きです」
小「どうもありがとうございます。さて、さっきからネネさまの周りをウロチョロと……顔を出しやがれってんだい!」
日「口調変わってる変わってる」
?「わっ、やめろ!布を引っ張るな!」ビリッ...
小「あれ?」
?「何すんだよ小日本!」
小「それはこっちの台詞です。なにしてるんですか柴」
柴「それは……その」
小「まさかストーカーという訳ではないでしょうね。そんな事にしたら犬鍋に」
柴「バッ、違うよ!それに俺が好きなのは小……ゴニョゴニョ」
小「?」
柴「あー、もう!鬼子の護衛だよ!」
小「護衛?」
柴「そう。記憶を無くしてからもからもずっと護衛してたの!もちろんそれ以前からもだけど」
小「なぜそのような事を」
柴「それは知らない。狛に聞いてくれよ」
小「狛は何処に?」
柴「それは言えな(ry」
小「何処に?」
柴「事務所の所に居る……」
小「ありがとう柴。さて、それじゃあ戻りますか」
鬼「えっ!?もう?」
日「鬼子ちゃん。あと、お金いくら持ってる?」
鬼「これだけ!」
日「20円……もう、お金ないからオシマイだね」
鬼「そうなのか。残念だな。また来れる?」
日「それはお祭りがやってればもちろん来れるよ」
鬼「皆も一緒に?」
日「それは、お金があればかな?貧乏だし」
鬼「そうかー。期待してる」
小「じゃあ、ネネさま帰ろうか」
鬼「うん」
柴「それじゃあ、俺もソロソロ」
ガシッ!
小「柴は一緒に」
日「来るんだよねー」
柴「い、いやだぁああああ」
――再び事務所前!
狛「……でさ、般ニャーがな」
小「さて、事務所で取り調べ取り調べ」
柴「いやだあああ。昔は優しかったのにぃいい!」
狛「やべっ!鳴木。ちょっとこっち来い!」
鳴「うぉっ!?」
小日本達が祭りから帰ったのを目にした途端、腰に手を巻き付け事務所の
真正面のビルの屋上へと飛び上がった。
強く絞めつけられて……気持ち悪い……
鳴「うぉえ……」
狛「お、悪い。強く抱きすぎたな」
鳴「吐くかと思った。で、急にどうしたんだ?」
狛「いや、小日本が帰ってきたんでな。けど、隠れる必要なかったみたいだ」
鳴「どういう事?」
狛「犬耳の子供見えるだろ?あれが、俺の代わりに鬼子を追わしてたんだが、捕まったみたいだ」
鳴「あぁ、あの日輪にヘッドロックかけられてる子ね」
狛「そう、あれだ。引取りに行くか」
鳴「そうだな。俺もそろそろ戻りたいし。あ、そうだ。鬼子を元に戻す方法が知りたいんだが」
狛「あの三階でパンツ被ってる男が資料を探してるんじゃないのか?」
鳴「聞こえてたのかよ。あれは役にたたん」
狛「犬だからな聞こえる。そうか、でも俺も知らねぇんだよ。般ニャ―なら知ってる思うが」
鳴「あぁ、何百年も生きてる猫だろ。さっき聞いたけど、気まぐれじゃ意味ないしな」
狛「そうだな。多分まだ、家にいるだろうし。仕方ない、俺も資料探すの手伝うよ」
鳴「あぁ、助かる」
狛「それじゃあ、事務所行くか」
鳴「ちょっと待て……まさか飛び降りr(ガシッ」
狛「よっと」
鳴「ぎゃああああああああ」
――事務所!
ガチャ
鳴「た、ただいま」
日「おかえり―ってどうしたの?」
鬼「顔色が悪いぞー」
鳴「ちょっと、悲惨な目に。もうこりごりだ」
狛「情けないな。アレぐらい耐えろよ」
鳴「耐えれない!死なないと分かってても怖いわ!」
小「……来ましたね狛」
柴「ごめん……捕まった」
狛「知ってる」
柴「怒ってる?」
狛「それはもう凄い」
柴「ごめんなさい!」
狛「日輪さんだっけ?人型を維持してるヒワイドリは」
日「ひゃい!そうです」
狛「そのチッコイのを一日レンタルします。好きなだけ話し相手に」
日「ヒャッハー!三年分蓄積された乳の話を聞かせてやるぜ!」
柴「それだけは勘べ(ry」
狛「ははは、人形は喋っちゃだめだぞ!我、尊ノ命ニヨリ命ズル。拘束第三式、傀儡」
柴「ムグゥ!」
日「これは便利!さっそく聞いてもらうか」
柴「ムウウウウウ!ンン!」ズルズル...
鳴「え?なにそれ怖い」
狛「大丈夫だ。人間には効かないから」
鳴「そりゃ良かった」
狛「ついでに言うと鬼子にも効かない。逆に術をかけたコッチがダメージを負っちまう」
鳴「やったことあるのかよ!」
狛「小さい頃に一回だけ。あまりにもウロウロするもんで」
小「無視ですか。私は無視ですか」
狛「あぁ、忘れてた」
小「このっ!」チャキンッ!
狛「ほれっ!鬼子の秘蔵写真」
小「っ!……卑怯ですよ狛」ゴソゴソッ
狛「ははは、なんとでも言ってくれ。伊達に監視していたわけじゃない」
小「コレ、盗撮って言うんですよ」
狛「資料集めと言ってくれ」
小「まぁ、良いですけど……」
鬼「……ネムイ」グイッ
鳴「なんで俺に言うんだ」
小「やだ!可愛い!」
鳴「小日本。鬼子が眠いらしいぞ」
小「分かってますよ。ネネさまコッチですよ。ここで寝ましょうね」
鬼「ん」
小「くぅー!寝顔もクァワイイ!」
鳴「鼻血垂らしながらコッチ向くんじゃないですよ。怖い」
小「ロリコンの癖にこういう所は理解してくれないんですね」
鳴「ロリコンじゃねぇよ!」
小「ま、良いです。狛、なんで黙って監視なんかしてたんです?」
鳴「流された……」
狛「ん?危険が及ぶからだよ」
小「そうですか。それじゃあ、なんで記憶を失うのを止めれなかったんです?」
狛「俺より強かった。それだけだ」
小「記憶喰が?」
狛「違う。記憶喰は只の道具扱いだったよ。俺が負けたの違う奴だ……同じ相手に二度も負けるとは……」
小「違う奴……一体誰なんです?」
狛「それは、言えない。危険が多すぎる」
小「……じゃあ、今はいいです。記憶喰は探したんですか?ご自慢の鼻と術を使えば直ぐ見つかるでしょう?」
狛「無理だった。一体だけはなんとか見つけて鳴木が、記憶を取り戻してくれたが……残りは分からない」
小「分からない?」
狛「あぁ、なんかこう……探れば探るほど俺に反動が来る。捜索できないように術をかけられてるんだと思う」
小「一体誰がそんな事を」
狛「だから言えない。一つだけ言えるとしたら……婆さんの件にに関わってる奴だ」
小「!……そういう事ですか。分かりましたこれ以上は詮索しません」
狛「分かってくれてありがとう」
鳴「なぁ、婆さんの件ってなんだよ」
狛「まだ、知らなくていい」
鳴「時が来ればって奴か?」
狛「そうだな。時が来ればだ」
鳴「分かった。今はこの疑問は胸に閉まっておくよ」
バタタッ...ガチャ
夜「資料、見つかったっスよー。ってなんですかこの空気は?」
ヤ「私が一言も発することが出来ないほどに空気が張り詰めていた」
ヒ「俺もだ」
夜「そんなにヤバい状況なんスか!?まさか闇金ッスか!?」
鳴「そんなんじゃねぇよ。で、資料見つけたんだろ?元に戻る方法にはなんて書いてあった?」
夜「えーとッスね。『ヨモギと生卵、サバをミキサーにかけた物と』を飲めば元に戻るらしいっス。一週間後ですけど」
小「なにそれ……想像するだけでも気持ちが悪い」
鳴「一週間か。少し時間が掛り過ぎるな。成分促進剤を入れたらどうなる?」
夜「なんとも言えないっスが、時間は短縮はできると思うっス。一晩ぐらいまで、ただ……」
鳴「ただ?」
夜「成分促進剤はゲロマズだったはずッス」
鳴「仕方がないな」
小「えっ!?私は嫌ですよ!」
鳴「つべこべ言うなよ。もとに戻るためには飲まなきゃならないだろ」
小「私は別にこのままでイイですよ!」
夜「あと一ついいっスか陽介?」
鳴「なにだ?夜烏賊」
夜「促進剤の在庫がないっス」
鳴「はぁ!?」
夜「仕入れにいかないとッス」
鳴「くそっ!またあいつの所に行かなきゃならねぇのかよ」
夜「仕方ないっスね。無いんですもん。因みに現在時刻が19時なのでもう開店してるっすよ」
鳴「本当に仕方ないな。今から行くか」
夜「そうっスね」
鳴「夜烏賊、日輪……は鬱憤を晴らしてるから、狛!一緒に来てくれ」
夜「あいっス」
狛「ここはどうするんだ?」
鳴「日輪がいるからなんとかなるよ。小日本もいるしな」
狛「やっぱり、小日本を連れて俺が残ったほうが……」
鳴「来てくれ、じゃないと俺が死ぬ」
小「私じゃ頼りないと?」
鳴「そういう事じゃない。ただ……女の子はちょっとやめといたほうがいいかなっと」
あそこは色々と大変だからな。色々と。
小「そうですか。まぁ、ネネさまと一緒に居れるのでいいですけど」
狛「しょうがないな。一緒に行くよ」
鳴「じゃ、行くか!」
小「いってらー」
無駄に長くなってしまった。申し訳ない。
あと、今回も色々と設定等をお借りしました。(狗がショタだとかゴニョゴニョ……)
SSスレもお借りしました!キャラ崩壊は毎度の事ですねw
by ぬーん!
おおなんだか展開してきた!
楽しそうな裏設定がいろいろある予感も…。
狛さんはたくましい青年版わんこみたいな感じですかね?前にろだのイラストにあったような。
しかし、そろそろ人物紹介一覧とかあらすじとか欲しくなってきたなあ。続きモノは。
他のストーリーとごっちゃになりそうだし、途中参加の人にはイミフだろうし。うぃきにまとめてあるんだっけか?
やっぱ作者さんに作っていただくのが一番じゃない?
作品ごとに設定がけっこうこまごまと違うから、ウィキに頼るわけにもいかんし。
>>112 そうです。イメージ的にはそうなります。
裏設定はまぁ、色々とあったり無かったりww
>>115 書いた方がよろしいですかね?
キャラ多くなってしまいましたし。
毎回は必要ないだろうけど、スレ内に一回くらいは・・・後はレスアンカでもいいから。あると「ああ、あれか」って
なりやすいかなと。
久しぶりです、なんか短編一本書いてみようと思ったんですが煮詰まってしまいました。
具無しで煮込んじゃあ沸騰するだけなのでちょいと火を止めてみますか。
>>81 お久しぶりです^^;
なごり雪 春の空気は さくらまつ
(雪が降っとるけど、春の空気はもう桜を待ってる気配がするよね)
>>82 時の番人さん
御無沙汰しております。イラストとか……! 上手すぎて涙です。羨ましい……!
わわ、しかも歌麻呂が作中に登場とは何たる光栄なことか!
ありがとうございます、焼くなり食うなり微塵切りさせるなりしてあげてくださいませ。
>>116 ◆XcAeHXuSbkさん
私がいないうちに面白い作品が生まれていたようで。
これは最初から読みたいものですね!
ひなまつりのお話もなかなかのカオスっぷりというか、相変わらずのヤイカガシっぷりに安堵いたしました^^
取り敢えず出だしが書けたので、予告編的に投げます。
I-i
「よーしっ。今日こそはやるぞー。」夕食中だというのに吠えてしまった。
・・・
「勘弁してくれよ、いきなりなんだぁ。」
「何をするのか知らんが、ほどほどにな。」
「何でもいいけど、早くご飯食べて。母さんだって暇じゃないんだから。」
そういうことで、今夜は一大決意してPCに向かっている。
祐子はここ一月ずっとdsを追っている。伝説の日本人ハッカーだ。某企業の不正会計事件で存在が広く知られるようになった。
(非改行)国内外を問わず大学や研究所のネットワークに侵入、様々な分野の研究資料や論文草稿等を読み漁り、研究についてのコメント・侵入手段・対処法を残していくが、dsから他に情報が流れることは無いという。
一月前祐子はdsが残していった問題のファイルを入った先で見た。つまり祐子もハックしていたわけだが、苦労して入った先で「セキュリティーに問題があり過ぎます」といった英文を目にしてちょっとヘコんだ。
(非改行)それ以来気になってdsのことを調べたり、立ち回りそうなところをうろついたりしてみたが、4月になって「居場所」と思しきアドレスが分かった。今夜はそこに入ってみるつもりでいる。
みゃ〜
アラートが鳴った。一月ほど前からあちこち嗅ぎ回っているのがいるので、無断でいくつかハニーポットを置いたのだが、そのうちの一つにアクセスがあった。
『来た。』思いはしたが、慌てて机に戻るようなことはしない。ポットの温め中だ。
『適温。』一旦お湯を捨て、ティーバッグを放り込み、改めてお湯を入れる。アクセスよりお茶の方が大事だ。
・・・
トレイをサイドテーブルに置いて、PCに向かったと思いきや、タイマーをセットしただけで、見てどうもならないのに、ポットを見ている。
みゃ〜ん
ティーバッグを小皿にどけて、AAねこ柄湯呑にお茶を入れる。
『いまいち。』お茶だけは妹にかなわない。タイマーなどに頼っているのがダメなのかもしれない。そうはいっても、ねこには変えられんだろう、ねこには。
それでやっとポットの管理画面に目を向ける。『いい線行ってるけど、ちょっと遅いかなぁ、でもこんなもんかなぁ。』いつまでも構ってられないから仕事をする。入社2年目だが結構忙しいのだ。
み〜
『おわたー。』と思ったら鳴きやがる。入ってきたのだ。いい加減眠いのだが、これは見ないわけにはいかない。
exit
『はいぃ〜。』何がなんだか分からない。片手間にアクセス元は掴んであるから叩いてみる。
『落ちてる・・・。』どういうつもりなのだろうか。何にせよ寝かせてもらえるのはありがたいから、すべてのポットで今回使われた隙をすべて塞いで寝た。他にも隙はあるからまだ入れるはずだ。
はあ はあ はあ
『入れた・・・。』入っただけで感極まって、何もできない。出てすぐhaltした。机を離れてベットに倒れこむ。
『寝れんのかよ?』とはいえ、何もできないなら寝るしかない。
はあ はあ はあ
『何処に消えた?』一度は捕捉したのに、結局逃げられてしまった。探し回って、こんなとこで息を上げてしまっている。
『こんなんじゃダメだ。』姉さんならどうしただろう。心を落ち着けて探知し、見つけ次第何処だろうと構わず踏み込んで斬るに違いない。そもそも一度補足した鬼を逃したりはしない。
『私はダメだ。』振り上げた薙刀を叩きつけようとして思いとどまる。非生物の修復は、不可能ではないが、今の鬼子には時間がかかる。日が登ってしまうだろう。諦めるしかなかった。
comming later
行が長すぎるといわれたので、「(非改行)」のところは元々改行のなかったところです。
panneau
乙。
・・・・んと、これはネット内鬼子なのかな?鬼もいんたーねっとの時代か
・・・て、ついったーで普通にしゃべってたやん!>セルフツッコミ
121 :
時の番人:2011/03/08(火) 19:27:38.84 ID:J7RDg5Uf
>>117 次回あたりに少しですが、キャラ説明を付けてみようかと思います。
>>118 そんなお言葉を貰えるとは!感謝感激でございます!
>>119 乙ッです。 ハッキングだとな!
近代モノのストーリーは気になる所。
>>121 ヤイカガシが一人で逃げてるww
なぜだろう。天野月子を思い出してしまったw
>>122 やったー!
あらすじキャラ紹介等、楽しみにしてます。
時の番人さんのSSにもキャラ紹介とかあると、個人的にうれしいな。
かなりのロングランですし。
>>119 新しい切り口ですね!
現代モノもかなり好きなので、わくわくです。
124 :
時の番人:2011/03/14(月) 14:01:47.13 ID:o+WyRL48
避難所で地震などによっての安否確認?レスがあります。
読んでいくと、砂袋さんは避難所にはもうレスしないとの旨を書かれています。
しかし、SSスレは読むと言う事を書かれてるので、ここに書き込みますが、
砂袋さん。ここを見ていれば、一言でいいので安否確認のレス下さい。
>>122 あの場面では・・逃げるが勝ちです!
>>123 有難う御座います。私のSSのキャラ紹介は書き上がっていますが、
一身上の都合で投下時期を少しズラそうと思います。
125 :
国防省 ◆Oppai.FF16 :2011/03/18(金) 14:08:57.68 ID:0v2EmBxM
鬼子から出て行った身ゆえ顰蹙を買うかもしれませんが、
掲示板としての本来の機能を使用させて頂きたく。
砂袋さん、もし出来ましたらコメントを下さい。
震災で、2ちゃんねるは全ての規制を解いていると聞きます。
書き込めるはずです。
無論、避難所スレでもかまいません。貴方の安否を確認させて下さい。
126 :
時の番人:2011/03/18(金) 19:02:48.85 ID:4EnBIwam
>>125 国防省氏、お帰り!震災無事だったんですね。
出て行ったのなら、後は帰ってくるだけ。
あれこれ考えず、ただ帰って来ればいい。
国防省氏お帰り〜!
「ただいま」と言う言葉を待ってるよ。
>>125 お久しぶりです!
いろいろ事情もあるでしょうし、ここはご覧の通りのんびり進行ですが…
国防省さんがまた(続きでもなんでも)作品を投下してくださったら、嬉しいです。
いつでも楽しみにお待ちしています。
>>126 >>127 返事が遅くなってすみません。レスありがとうございます。
砂袋さんが東北や北関東の人ならば、避難やら停電やら断水やら家族の安全の確保
やらで大変な状況なのかもしれません。
だから此処へ書き込めない、そう信じたいです。
そう、本当に認めたくないのは、いつも現実だったり。
そんな現実を自分の都合の良い様に上書きしたいが為に、私は物書きをしているのかも。
だから今回もいつもと同じ様に。
【砂袋さんへ】
作文が下手な国防省です。
(しかしこれって、絵描きさんに絵を描くのが下手だ、とか、音屋さんに音作りが下手だと
言ってるのと同じですよね。酷いなw)
私はこれからも書き殴りをネット上に晒していきます。
名前もトリもこの『国防省 ◆Oppai.FF16』で通します。だから、何処かで目に留まりましたら
お声をお掛け下さい。そして、“荒唐無稽なネタ”(プロのライターさん二人に書いて貰って、
尚納得がいかなかったという)とはどんなものなのか、こっそり教えて下さい。
その時を心待ちにしています。
>>128 国防省さん、お帰りなさい。便乗生存報告します。こちらは被害・計画停電なども無い場所なので無事です。
ただ、パソコンが時期同じくしてぶっ壊れてしまい、どうにか使える古いのは10分に一回程度でフリーズし、
新しいヤツは電源系の異常でそもそも起動できません。なので長文創作は修理後に…。
砂袋さん、無事帰られましたら生存報告して下さいね〜。待っております。
テスト
131 :
転載です:2011/03/22(火) 20:03:57.62 ID:A/kbny7a
:日本カレンダー:2011/03/22(火) 15:05:56 ID:6ot8JIVo0
あかりをつけましょ ぼんぼりに。
【日本カレンダー・三月】
今日は嬉しいひなまつり。
別段行事に興味があるわけでもないけれど、お祭り事はなんとなく心が弾む。
女の子が主役お祭り。女の子は皆お姫様。勿論そこにはアタシも含まれる。
そう、今日の主役はアタシなのだ。
「なんだか嬉しそうですね。」
日本さんは茶葉を取り替えながら微笑みかける。
「アタシはお姫様だー!」なんて考えていた事は気恥ずかしくて言えず、
誤魔化すようにエヘヘと笑い返した。
「田中ぁ、今日はゲームとか本は持って来なかったの?」
こにぽんがチョロチョロとアタシの荷物の少なさに首をかしげている。
いつもの田中なら、こにぽんにはこれがオススメだよー!なんて
可愛い絵柄の漫画を持ってきてくれたりするのになぁ、と
残念そうな表情を浮かべている。そんな様子も可愛らしいやら申し訳ないやら。
「今日はひなまつりだよ、こにぽん。」
ポケットからジャラリとそれを取り出すと、
興味深そうにこにぽんの目がキラキラと輝いた。
「たまにはアナログな女の子ゲームも、乙じゃない?」
ビー玉、おてだま、いろはカルタ。
白いお皿に散らばる雛あられは、アタシが持ってきたおはじきに似ている。
試しにぴんと指ではじくと、お菓子らしい軽い感触。
きっとアタシが形作られる前に流行したはずの遊びは
その記憶が無くとも、懐かしく感じるのは何故なのだろう。
「なんだか嬉しそうですね。」
さっきと同じように、もう一度。確かめるように日本さんは私を見た。
彼女には参った。そう言えば日本さんは、アタシを一度も田中とは呼ばなかった。
きっと、最初から気付いていたんだね。
「敵わないなぁ……」
「ふふ、私いつも、あなたのような方々の相手をしていますから。」
「ねぇ、日本さん。ありがとう、楽しかったよ。
最後に一つ、お願いしてもいいかなぁ。」
翌日、犬神神社の木の下を掘り返すと
小さな雛人形が一体埋められていた。
このあたりに住んでいる誰かのイタズラだったのだろう。
鬼子は折り紙でお内裏様を折り、元の場所に埋めなおした。
そんな、三月の思い出。
乙
ひなまつりか・・・
133 :
避難所より転載:2011/03/23(水) 01:17:43.11 ID:gq2TASXm
421 :panneau ◆RwxKkfTs..:2011/03/22(火) 22:23:06 ID:CqXvXp9k0
>>119のpanneauです。生存宣言&続き投下です。
project light way:2年4月:I-ii(翌未明ー)
黒い体、赤い瞳、大きく開いた口に、2本の角。
『本成!!』
はあ はあ はあ
目を覚まして息を吐き出す。「本成の鬼と対峙した」というだけの夢だが、過去の記憶と胸の圧迫感がひどく印象の悪いものにしている。胸の圧迫感?
「乳の話をしようじゃないか。」
鶏的な居候が胸の上から話しかけてきた。種の名前としてはヒワイドリになるが、うちの個体は「鳥嶋」だ。下の名前は、あるのかどうかも知らない。左手でのど輪を決めて起き上がる。
「く、首が、抜ける。」
辛うじて出る声で訴えるが、知ったことではない。部屋を出て曲がり縁の戸を開ける。まだ暗い。つっかけを履いて、校庭のようにだだっ広いだけの庭に出る。
武芸に苦手は無く、投擲も得意だ。膂力を抑える呪符を仕込んだ左のアームバンドを緩めて手首まで落とすと、右手に持ち替えて全力でぶん投げる。
「にゅ〜〜。」
悲鳴を上げながら虚空に消えていった。星になったかどうかは分からない。
部屋に戻って携帯を見ると4時だ。予定の起床時間に1時間早い。
『どうしたものだろ。』
昨夜の失態が心に引っかかってひどく億劫だったが、同じ理由で寝付けそうにもない。どうせ朝一はいつも稽古だから、妹が起き出してくるまで一人で稽古に励むことにした。
トレーナーを寝間着にしているので、着替えずに運動靴で玄関から庭に出る。ちょっと寒いが、どうせ動けば暖まる。髪を結わえて、まず柔軟体操だ。体はひどく柔らかい。終えると少し右手を開いて呼ぶ。
「鬼斬」
右手の中に現れた薙刀は楕円の鉄柄に楓紋の金象嵌があしらってある。生成してなくても鬼には違いないから、これを片手でぶん回せる。
しかし、まずは中段に構えて、切先を左に回す。相手の武器を外へ払う動作だ。続いて右に回して、内に払う。前に踏み込んで突く。家芸で最初に教わる動作だ。何かあったらここに戻れと強く言い聞かされている。
3度繰り返し4度目で突く手を速めた。二段突き。以前から突けてたが、今のは感触が軽い。
『いける。』
外、内、本鬼。
三段突き切った。会心の笑みを浮かべる。楓紋初代は撃払突を一息で放ったというから、自分などまだまだだが、それでも嬉しい。妹が起きてきたら弓射の稽古を見てやらなければならないが、それまでずっと突いてよう。
今回はここまで。文章がこの調子なので、なかなか先に進まない。
返事を求められたのだが、規制を喰らったので、例によってしょうもないSSを以って返事とします。
鬼子「地震、凄かったですねぇ。」
テト「こっちは片付いたし、他に異常は見当たらないし。それと他の面子の動揺も何とか収まった。」
鬼子「一時パニック状態でしたね」
テト「仕方がない。子供が多いから。あちこちで所在確認をしなきゃならんかったのが大変だったわ。」
鬼子「でも、このヘッドホーン、凄いですね。あちこちと連絡がつくなんて。」
テト「Vocaloidと同じものから、廉価版まであるから、性能はまちまちなんだけど。」
鬼子「同じじゃないんですか。」
テト「微妙に異なるらしい。それに通信機能は常時使う訳にはいかないし、電話代わりにされても困る。」
鬼子は転がる箸を見たかのように笑った。
テト「そのVocaloidも全員所在確認が出来たし、後はアイマスか。」
鬼子「でも、知り合いの方がやってるんでしょ。」
テト「律子さんと小鳥さんね。さっき小鳥さんから連絡があって全員の無事が確認された。」
勿論UTAUもVocaloidもアイマスに協力していた。動揺するメンバーがいれば年長者が落ち着かせ、
行方不明者は誰であろうと探すようにもしていた。数百名いるUTAUの所在確認はコトダマの協力まで借りて行われた。
残念だったのは、765プロの社長が病院に入ったことだった。
鬼子「あそこの社長さん、愉快なお方だったんですねぇ。」
テト「ああ、あれか。あたしが"デビュー"した時もヨドバシ辺りまで走り込みをしたらしいからな。」
テトの表情は悪戯っ子のそれだった。あの"デビュー"の時、高木社長は店まで「重音テト」を入手するべく激走したのだった。
鬼子はますます笑みを大きくした。
テト「で、今度はジャンプの練習、っと。」
地震に慌てた社長はそのままビルの窓から飛び降りたらしい。
鬼子はますます笑みを大きくした。
テト「不謹慎だぞ」
鬼子「だって…、だってだって、こ、これが、笑わずに…」
鬼子は笑いだした。流石に耐えられなかったらしい。
鬼子が笑いだしたのを聞きつけてか後輩二人がリビングに来た。
ルコ「鬼子さん、何があったんすか。」
テト「高木社長の件だ」
リツ「ああ、あの慌てふためいてビルから落ちったて言う間抜けな人のことですか。」
テト「それは言い過ぎというものだ。」
リツ「じゃあ、どう言えばいいのよ。」
テト「迂闊で残念。」
ルコ「それ、もっと酷い気が…」
テト「テイは大丈夫か。」
ルコ「問題ありません。縛に囚われています。」
ルコの言うとおりだった。健音テイは自室で信号機に囲まれていた。
テト「しゃーない。放っといたらレンの所に吶喊しかねんからな。」
これも事実だった。地震直後からテイはレンキュんが、レンキュンがーを連発していた。
いい加減止めるのも面倒くさくなったので、信号機で取り囲んでテイの動きを封じたのだった。
テトはお茶を入れた。全員に配る。
ルコ「でも、物が不足してるってのは痛いですよね。」
テト「仕方がない。物流が正常になればモノ不足は解消する筈だ。」
ルコ「でも先輩、フランスパンが無くって気落ちしてたじゃないですか。」
テト「あ?ああ、あれか。誰ぞじゃあるまいし、騒ぎ立ててどうするよ。」
リツ「でも、先輩、凄ーく落ち込んでた。」
テト「まぁ、確かにな。しかし、あたしから率先してフランスパンガーとは言えんだろうが。」
ルコ・リツ「ですよねー」
テトは鬼子を見た。
テト「鬼子、どうした。」
鬼子「お蕎麦がぁ〜」
どうやら蕎麦が不足しているのを思い出したらしい。
テト「品不足ならそのうち解消するだろ。」
鬼子「でもいつまで続くんですかぁ〜」
テト「バグハウスにも物が届いてるんだから、そのうち届くだろうが。」
ちなみにバグハウスと言うのは無音ゼロが社長をしているスーパーのことである。
店員は皆真っ黒でウザいことに定評があった。看板というか、会社のマークにもこの店員が使われている。
ちなみに秘書はアリスと言い、初音ミクに似ているが、同一人物でないのはツインテールの長さとか体形を見ればわかる。
鬼子「でもぉ〜お蕎麦がないなんて〜」
テト「蕎麦屋があるじゃないか。」
鬼子「あそこ雰囲気嫌いなんです。」
テト「そうか?普通に蕎麦を頼んで、頼んだモノを食って代金を払うだけだろ。」
鬼子「だからぁ〜雰囲気がぁ〜」
テト「あそこはあれがウリだからな。」
ルコ「あれがウリだったんですか。」
テト「うん。」
三人は肩を落とした。
この町にある、そば処「のろいね」は呪音キクが主をしている蕎麦屋のことだった。
蕎麦は旨いのだが、店が辛気臭かった。主が主だから仕方がないが、
人によっては絶対来たくない店の一つに数えられる。
テト「ああ、そういえば最近新しい店員を雇ったんだっけ」
ルコ「なんか嫌な予感しかしない。」
鬼子「まさか」
テト「なんか、皆に相手にしてほしいって言うんであそこを紹介したら、キクと意気投合したらしいぞ。」
三人「絶対行きたくない」
そば処「のろいね」には殺音ワラと病音ヤミという店員がいた。ワラは接客と調理兼任。ヤミは接客専門だった。
しかし、病音ヤミは病人だったため、他の二人の負担が増えることとなった。
ワラとキクは他の店員を探したが、店が店なので誰も近寄らない。
そんなとき、この店に相応しい少女が来た。名前を綿抜鬼という。
ルコはテレビをつけた。流石にあの店の話題は続けたくなかった。ヤンデレなら既にこの家にも住んでいる。
実に面倒、それがルコの感想だった。それなのに態々、そんなのばかりが揃っている店のことなど考えたくなかった。
だがテレビもルコの望むようなものを映し出していなかった。先輩が見ないほうがいいといった理由が分かる。
ルコ「あの、先輩」
テト「何だ。」
ルコ「テレビでメルトダウンとか言っちゃってますけど。」
テト「起きっこない。心配するな。」
ルコ「でもこんだけ言われると、そうなるのかなって気が」
テト「だからTVは見るなといったんだが、この間も説明したろ?起きない理由。」
ルコ「ええ、まぁ」
鬼子はチャンネルを変えていた。どこも同じようなものだった。結局国営放送にチャンネルを合わせる。
鬼子「ここが一番いいみたいですね。」
テト「人様から金をふんだくってんだ。これ位してくれなきゃ困る。」
鬼子「厳しいですねぇ。」
テト「気にすんな。どうせ何時も人のことを非難しまくってばかりいるんだから。」
鬼子は気が抜けたように笑った。さっきの蕎麦屋の話は気が滅入るし、テレビも気の滅入ることしか言わない。
鬼子「テトさん。いいことがあるんでしょうか。」
テト「ん?そうだねぇ。これからの心掛け次第じゃない?」
鬼子「心がけ、ですか。」
テト「悲観は気分。楽観は意志、そういうじゃない。」
鬼子「そういうものですか」
テト「そういうものよ。」
鬼子「でも何かどうしょうもないような。」
テト「それでも人は生きていかなければならない。喩え、その先碌でもない未来が待ち受けていたとしてもね。」
鬼子「避けられるんでしょうか。」
テト「正直言ってあたしにも分からん。でも、絶望するより、楽観的に見たほうがいいんじゃないかと思っている。
それに、被災地にいる人たちはもっと大変なのだ。それに比べたらどうということはないでしょう。」
鬼子「ああ、まぁ、確かにそうですね。」
テト「まぁ、そういうこと。んじゃ、世の中を明るくするためにあたしたちに出来ることをしようか。」
鬼子「私達に出来ることって、一体…」
テト「歌うことだ。」
鬼子はきょとんとした。この人、何言ってんのかしら。
テト「あたしたちは何者だ?」
鬼子「えーと、何でしたっけ。」
テトは脱力した。ルコは苦笑いをし、ルコはあっけにとられていた。テイは二階で硬直したままだった。
テト「UTAU、だ。こういう時に辛気臭い顔してどうするよ。」
鬼子「そう言えばそうでしたね。」
テトは再び脱力した。
テト「まぁ、何だ。そういうこと。歌の力で皆を明るく出来たらいいんじゃないの。」
鬼子「そういうことなんでしょうか。」
テト「うん。そう。この状態で、どれだけのプロデューサーがやる気になるか分らないけど、
それでも人々のために歌を歌うのが仕事でしょう。
そういう立場にあるあたしたちが暗い顔してたら、皆余計気落ちするわ。」
鬼子「そういうものでしょうか。」
テト「そういうもんだ。」
鬼子は分からない、という表情をしている。テトは、仕方ないか、と思っていた。
この子はまだUTAUに加わってから日が浅い。そういうところが本当の所で理解できなくとも仕方がなくもある。
テト「じゃあ、スタジオに行こうか。」
137 :
時の番人:2011/03/26(土) 13:26:35.74 ID:FN+5c8xF
>>113>>115>>117>>123 1話〜12話までのキャラ紹介です。こんなんでいいのかな?
キャラ紹介一覧(2011 3/26現在)変更の可能性有り
・日本鬼子(ひのもとおにこ)16〜18歳。鬼の民(女)。主人公。「わたし」
┃
┗━・般若面 年齢不詳。鬼子の守護者。過去の多い男。「ワシ」
・小日本(こにぽん、こひのもと) 6〜8歳(女)。○の民。
┃
┣━・般ニャー 年齢不詳。元猫の民(女)。こにぽんの守護者「あたし、あたい」
┗━・ハチ太郎 年齢不詳。12歳〜14歳?犬の民。男。こにぽんの守護者(見習い)「俺」
<鬼狐神社のメンバー>
・きび爺(狐火の爺) 年齢不詳(男)。闇世出身。狐の民の狐火一族。
┃
┣━・きび婆(狐火の婆) 年齢不詳(女)。闇世出身。狐の民の狐火一族。きび爺の妻
┣━・織田(おだ) 大柄体格50歳くらい。男。光の世の人間の民。古武道
┣━・秀吉(ひでよし) モヤシ体格30歳くらい。男。光の世の人間の民。古武道
┣━・弥次さん(やじ) 70歳くらい。男。光の世の人間の民。忍者
┣━・喜多さん(きた) 70歳くらい。男。光の世の人間の民。忍者
┗━・舞子(まいこ) 20歳くらい。女。光の世の人間の民。巫女みこさん(古武道見習い)
・ヒワイドリ 鶏の民?種類は解らない。男。年齢不詳。「おいら」
・ヤイカガシ 魚の民?鰯?種類は解らない。男。年齢不詳。「俺」
・モモサワガエル 蛙の民の一種?種類は解らない。男。年齢不詳。「おいら」
・チチメンチョウ 鳥の民?種類は解らない。男。年齢不詳。「私」
・チチドリ 小鳥(○の民?)種類は解らない。 男。年齢不詳。「ボク」
・田中さん 16〜18歳。女。光の世の人間の民。高校生。控えめな性格。物知り。人見知り
<別天津神(ことあまつがみ)>メンバー。ほとんどの神職経験者(山伏+陰陽師+神主などなど)
┃
┣━・音麻呂おとまろ (18歳〜20歳)男。光の世の人間の民。ミュージシャン
┃ ┃
┣━・歌麻呂うたまろ (17歳〜19歳)男。光の世の人間の民。ミュージシャン
┃ ┃
┃ ┗━(音麻呂、歌麻呂で一つのユニットを作り音楽活動している)
┃
┣━・詠麻呂よみまろ (17歳〜19歳)女。光の世の人間の民。ミュージシャン
┃ ┃
┣━・奏麻呂かなまろ (16歳〜18歳)女。光の世の人間の民。ミュージシャン
┃ ┃
┃ ┗━(詠麻呂、奏麻呂で一つのユニットを作り音楽活動している)
┃
┃
┗━・○麻呂
・鈴木ちゃん 年齢不詳。男。元鷲の民の長老(鷲長)。闇世の鷲の民
現在は、光の世で小さなお寺の住職(守り役)をしている
・刑事さん 35歳くらい(男)光の世の人間の民。
〜もう少し詳しいキャラ紹介はこちら〜
http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=228527
138 :
時の番人:2011/03/26(土) 14:05:13.45 ID:LW83piMY
皆さんのキャラ紹介も
楽しみに待ってます!
ドキドキ・ワクワク!!
コテ鳥 挑戦。
これでいいのかな?
ぉお〜っと・・・。
何方か解りませんが、日本鬼子ぷろじぇくと まとめ@wikiに
5変態のファーストシングルを載せて頂いて有難う御座います。
久しぶりに@wikiを見てビックリしました。
本当に有難う御座います。
修理代2万以上の可能性と言われました…。もうフリーズと戦いながらボチボチ書きます。
>>73>>137かなり反応遅いですが、皆様の作品を読むためにPIXVアカウント取得しましたぜ…。
キャラ紹介はどうしようか…。ネタバレにならない程度で一応挑戦します。
ーー前スレ103の、アニメ風投下中における設定ーー
時代設定:昭和〜平成辺り。
・日本鬼子・
日本家分家における一人娘。母とは死別、現在日本家を狙う鬼の一人に憑かれている?
若般さんに対心の鬼の戦闘技術を叩き込まれるも、小日本とともに家出を図る。
心の鬼退治で人々に笑顔が戻る事が嬉しい。だがそこまで明るい性格ではない状態。
・小日本・
霊刀、御結(緒結)に集まり神と成った小さい子供の思念。精神年齢もほぼ同程度。
父母と長く暮らしたかった思いから、縁を結ぶ力を持ち、未練を断ち切る刀から、縁を切る力も持つ。
鬼子とは先代(?正確に先代か不明。日本家では時折角のある『鬼子』が産まれる)の頃には出会っていた。
・柚子さん・
冬至温泉の女将さん。行くあての無くなっていた鬼子を、居候兼仲居さんとして迎え入れる。
いわゆる読者役キャラで、お母さんポジション。物語が進むにつれて影の薄くなる、そういう立ち位置。
既婚・未婚不明だが、チチメンチョウも満足のサイズではあるらしい、性格天然。
・若般又苗(ハンニャー)・
日本家に仕える猫又で、読書が仕事でもあり趣味でもある。図書館別室に在住。
性格キツメで長期の経験から戦闘技術はそこそこあるが、『鬼斬』を扱う鬼子の方が本来は上。
心の鬼を祓う術を常に探求しており、古書をよく読み呪符・霊具で戦う(未だ本編中の描写なし)。
・田中匠・
近隣に住む高校生。同人誌の作成や絵を描くのが好きで、邪魔されたくないという理由にて
一人で暮らしている(家族を考えるのが面倒だったのだろう…などと勘ぐってはいけない)。
本気で描いた絵は、見た者の心を揺さぶり心の鬼を生み出してしまうほど。
・ヒワイドリ、チチメンチョウ、チチドリ、ヤイカガシ・
一応は人の信仰もあったため、他の心の鬼とは違い『神』の眷属となったもの。
基本迷惑ばかりかけるが、時には格好良く活躍したりも…?人のエロ心などに反応して、
勝手に活動を繰り返す。何故か他の心の鬼と違い、一般人にも見えたり触れたりの反則系?
設定の続き〜作中内での心の鬼関連の設定。
・心の鬼・
強い感情が固定化・他人格と化して人から飛び出したもの。それ固有においても意識を持つ。
その捕らわれた感情・欲望等に合わせた身体や能力を持ち、霊力を持つ人へは直接接触も出来る。
本体が寝ていたり、他の感情が弱まっている時や、誕生してすぐには操られてしまうことも。
・骸付き(作中登場未定)・
心の鬼を抱えたまま亡くなり、人としての意識は消え完全に鬼と化した状態。
本体の腐敗まで動き回るが、その修復や土に帰った後も怨霊として残る者もいる。
肉体を支配しているので本体があり、一般人に直接危害を加えてくる事も多い。
・悪鬼と鬼成・
宿主が鬼の存在を理解し心の鬼へ肉体を貸したり、宿主が霊力持ちだと一般人にも直接危害を加える悪鬼へ。
鬼の存在を知る能力者が儀式によって心の鬼を取り込み、鬼へ堕ちるのが鬼成である。
・神成・
骸付きや怨霊のうち、その行動動機・感情が人々の助けとなるものを神聖な器へ移して祀ること。
これにより器ごと破壊されなければ消えない強力な存在となり、信仰を受けて人々を守る力を持つ。
基本器を離れても動き回れるが、小日本の様にそれを持ち歩く者もいる。触れる者も多い。
強力な怨霊の怒りを静めて、神成の儀式を行う場合も多々ある。畏怖もある種の信仰であるからだ。
ただし、わざと怒りを残し矛先を変える事で呪詛に使われる可能性に注意が必要である。
・手招鬼、道引鬼、囁鬼・
鬼子を主の下へと誘おうとする悪鬼(鬼成?)の三人衆。手招鬼は鬼子の興味を引いて呼ぼうとし、
道引鬼は無理やり鬼子へ取り憑き、強引に鬼界へ連れ込もうとする。囁鬼は人に憑き気配を消し、
鬼子を詐欺師の如く騙して、一緒に鬼界へ連れ込もうとする。今までで一番危険だったのは、
囁鬼が憑いた男と先々代が夫婦となろうとし、日本家へ共に反抗しだした時(その後当代鬼子は入水)。
以降日本家ではますます『鬼子』への風当たり・監禁を強くし、方針の違いで分家を出すまでに至る。
・手招鬼達の親玉(ラスト以外出すか未定)・
一応蟲武者達の組織でイメージ。自分達を襲った鬼の軍勢と戦うために、
津軽十腰のうち鬼を祓う力を持つ『鬼斬』、それを扱える鬼子を欲している。
十腰の内残り九腰は、黒砂刀を蟲武者が持っているが他は未だ判明していない。
>>142 間違えた…骸付きは最初に出した強力な心の鬼(鬼子クローンの血肉利用)で出してました。
やっぱりパソコンが安定しないので、16話以降はボチボチと夜当たりに投下します。
本業集中のため、ここ一週間位で全部落としきる予定ですが上手く行くやら…。
新しいSSと、紹介の投下ありがとうございます!
>>137 おお、分かりやすい!
光の世と闇世の関係がよく分かっていないので、またいずれ簡単に紹介してもらえると嬉しいです。
そういや、ハチ太郎の原型って、もしかしてひのもとわんこ?(気づくの遅)
>>141-143 心の鬼の設定が細かい…。そして日本家の歴史がいろいろとロマンですねぇ。
物理的に大変そうだけど、がんばってくださいませ。
こんな感じか > 登場人物紹介
名前:うますぎ棒EX・DXヴァラエティーSPパック
年齢:10歳くらい?
身長:うますぎ棒より2・3割長い
体重:64本入り、¥512
概要:日本のギーク御用達の汎用食料「うますぎ棒」を長尺化したものが「うますぎ棒EX」(EXはextendedの略)で、これを8種類×8本詰め合わせたもの。
「うますぎ棒」「うますぎ棒EX」に比べてかなり割安だが、店舗スペースの関係からコンビニエンスストアに置かれることは稀で、結果として多くのヒキオタがスーパーマーケットに引きずり出されることになった。
ploject light wayは来週から隔週連載wの予定。
次回予告:「二人はバス通」
>>123 こんなモノかな?正直、ネタが……あり過ぎて困るww
鳴木 陽介(なるき ようすけ)
男。24歳。相談所の経営者。相談所は17歳の時から経営。高校中退での起業には理由があるらしい。
魑魅魍魎の類が見える、触れれる事以外は普通の男性。相談所の中で唯一の人間。
ビルを丸ごと借りているので一階は寝床、二階は事務所、3階は資料室となっている。4階と5階は空室。
家賃は大家さんが知り合いということもあり20万程度で住んでいるが依頼が来ないことのほうが多く
バイトや支払いを見送ってもらったりしてなんとか首をつないで来た。現在の滞納額は50万円。
日輪 氷取(ひわ いどり)
女性?。不明。相談所の一員。心鬼。 見た目は20代後半
陽介のお情けで人間の世界で働くことが出来た心鬼。元ストーカー。
相談所の一員として働いてはいるが、給料や通帳のお金をキャバクラやその類の店に使うので
その度にお叱りを受けている。が、あくまで触るのが好きなのではなく語るのや見るのが好き。触るのは限界が来た時だけ。
元は鶏の様な姿なので、仕事にならない為に長期の人化を可能にする薬を飲んでいる。
夜烏賊 樫(やいか がし)
男性?。不明。相談所の一員。守神。元下着ドロ。 見た目は20代後半
捨てられた柊鰯がそのまま腐るのは嫌だと願ったら何か動けるようになった。何故かくさや好き。
本人曰く、旧家の魔除けとして正月に使われたらしいが陽介が思うに「猫に食べられた残骸」らしい。
動けるようになった代償なのか元からなのか、女性物のパンツに対する愛情は人一倍で自分で買いに出かけたり、
思わず盗んでしまったりと色々と困る奴というか危ない奴。逃げ足は早い。
日輪と同じく、長期の人化を可能にする薬を服用中。
日本 鬼子(ひのもと おにこ)
女性。不明。記憶喪失。鬼 ?見た目は10代後半
記憶喪失の為、山の中で農作物を荒らしていたりしていた所を陽介達に保護される。
薙刀と着物、頭上の角が特徴的な少女。記憶喰に奪われたと見られる記憶の欠片を回収するために相談所の一員として居候。
現在は6つに分かれたと見られる記憶の欠片の内、1つを回収しており薙刀の使い方と鬼に関する過去の記憶が蘇っている。
小日本やヒワイドリ達が合流してからは逆時鬼のせいで小日本との年齢が逆転。子供の姿になってしまった。
この時にヒワイドリから、山の中で落としたと見られる般若面を受け取っており頭に付けている。
記憶を失う原因には過去の出来事が関係しているようだが?
小日本(こにぽん)
女性。不明。自称鬼子の妹。鬼? 見た目は10歳前後。
元気な女の子。元気すぎて鬼子を探しに出たが、迷子になって家に帰れなくなった。
日本刀を背中に携えてはいるが使用したところは見たことがない。というか抜けないらしい。
逆時鬼により鬼子との年齢が逆転した小日本は頻繁に日本刀を抜く動作をするが抜いたところは見たことがない。
ヒワイドリ
男性?不明。鬼子のストーカー1。心鬼。20代前後。
鬼子が大好きな変態その1。種族や分類的には日輪と同じで、同様に乳も好き。
ただ、こちらは品が良い乳と書いて品乳が好き。鬼子の乳はキング・オブ・ゴットらしい。意味が分からない。
鬼子の失踪当日から探していたが、ついつい好みの女性を見つけ『乳の話をしないか?』と話しかけまくっていた為
捜索が疎かになっていた。駅前にはヒワイドリを不審者として注意を呼びかけるポスターが張ってある。
日輪、夜烏賊とは違い人化の時間は2時間程度。
ヤイカガシ
女性?不明。鬼子のストーカー2。守神。20代前後。
鬼子が大好きな変態その2。種族や分類的には夜烏賊と同じで、同様にパンツがすき。くさやは特に好きじゃない。
鬼子の失踪当日からヒワイドリと共に捜索していたが、ナイスなパンツを履いていると確信した女性をストーカーしていた為
捜索がおろそかになっていた。女性に発見され『今履いてるパンツをくれ』等の発言をしたらぶん殴られ気絶。
現在、女性宅周辺では不審な女性が女性に対し『パンツをくれ』と言う事案で捜査が進んでいる。
ヒワイドリと同じく人化の時間は2時間程度。
秋田
男性。不明。過去の依頼者。狛犬。20代後半。
どこかの山奥にあった神社の狛犬。土地開発により移転も無しに守るものを失ったが、鳴木の噂を聞き相談した。
現在は電気街でメイド喫茶をしながら生活している。
こちらも日輪、夜烏賊と同様に長期に渡る人化を可能にする薬を飲んでいる。服用前は4時間程度が限度。
柴
男性。不明。鬼子の守り。犬神。10歳前後。
普段は柴犬の姿をしている男の娘。理由は明らかではないが、犬神となり狛と一緒に鬼子を影から支えている。
小日本と鬼子に対しては優しく接するが他は別である。小日本の事が好きらしいのだがイマイチ実感が湧いていない。
大人状態の小日本は苦手。大人になるとアレになるのかと思うとちょっとショックらしい。人化は3日程度なら可能。
犬神になった理由は……割愛。
狛
男性。不明。鬼子の守り。犬神。20代前後。
普段は白い毛並みの狗の姿をしている。柴のお兄さんのような存在。昔から二人で鬼子を影から守ってきた。
鬼子の事は妹の様に可愛がっており、ちょっと過去にイザコザも……
基本的に誰とでも直ぐに打ち解けられるので買い物等を担当していた。
犬神としての年数は柴より100年以上ある。
過去話どうしようか悩み所(´・ω・`)
誤字脱字、設定の謎はどうか許して……ください……
>>131 ああいいなあ、素直にだまされました。
鬼子らしい素敵なお話でした。
>>133 トレーナー姿の鬼子さんwwいいかもw
体の感覚の描写が多くて、読んでて楽しかったです。
>>134-136 鬼子ちゃんは生まれたてのロボットのようだなぁ。
先輩方にかわいがられて大きくなりなよ。
設定も大放出ですね。読み直したくなった。
設定はあくまで作品の助けだから、謎があるくらいでちょうどいいと思いますw
>>144 最初が初見さん向けの説明用途の話を考えていたので、細かくなってしまいました…。
心の鬼企画でどんどん増える中、なぜヤイカ&ヒワイが特別何度も出てくるのか?
その理由付けに作った設定が半分以上あるので、ほぼ奴等のせいだと思って下さいw
皆さんの設定に刺激されたので、今から数話投下出来ないか挑戦してみます。
鬼子『あの…本当にこんな服を着て行くんですか?』
田中『そうよ?今回の私の本のテーマなんだから…申し訳ないけど、一日それでね』
小日本『ねねさま、とっても色っぽいよ〜』
フリフリとしたミニスカート状態の着物を着せられて、どこかそわそわとする鬼子。
途中の電車は、以前見た街の様に同じ様な格好の人達で溢れてきていた。
第十六話:大発生、モモサワガエル
小日本『暑い〜!人多い〜!…気持ち悪い〜!』
会場に着くなり小日本が心底嫌そうに叫ぶ。真夏の同人誌即売会場は、
大勢の人で溢れており、その入り口に向かってギュウギュウと並んでいた。
鬼子『こ…この列に並ぶんですか?相当時間かかりそうですけど?』
田中『大丈夫よ。今日は買う側じゃなくて売る側だから。ただちょっと遅刻気味かな〜』
荷物を引き摺りながら、出品者向けの入り口に向かう田中さんに遅れまいとついて行く。
人ごみや荷物を掻き分けて、自分のスペースに辿り着くと、そこには既に見慣れた猫が…。
田中『げ…若般さん、何でこんな所に居るの?ていうかそれ反則じゃない?』
ハンニャー『…誤魔化さないでね。あなたが描いた絵で何か起きないか心配で来ただけよ』
田中『だ、大丈夫よ。今日は友達に頼まれた奴を変わりに売るだけだから…』
ハンニャー『それなら良いんだけど…古本のコーナー辺りにいるから何かあったら言うのよ?』
手を振って苦笑いしながら見送ると、大きくため息をついてようやく荷物を開けた。
田中『…やっぱり反則よね。列にも並ばず平気で入ってるし。それにしても勘が鋭いなぁ』
鬼子『え?本当は田中さんの作品を売るんですか?』
田中『そうよ、今回は「太股」にこだわって描いたの!誰にも邪魔はさせないわ…フフフ』
小日本『こらぁ!嘘つきはいけないんだぞ〜!閻魔さまにメッってされるぞ〜!』
小日本が膨れる中、準備が整った辺りで開場の合図があり、人が流れてきた。
目的の場所へ早足の人に押され、ゆっくり見て回る人がギュウギュウと窮屈そうだ。
何人かの人が目を留めてくれているが、あまり手には取ってくれていない。
田中『鬼子ちゃん…出番よ!その魅惑の脚線美でお客さんを呼んで、お願い!』
鬼子『え〜とこうですか?いらっしゃいませ〜。ようこそおいで下さいました〜!』
田中『…その声がけじゃあ、旅館と同じじゃない?』
じゃあどうするのかと問う鬼子へ、色々ポーズをとらせてみる田中さん、
それを真似して隣で体を捻ってみる小日本。次第に本も売れ始め、数をへらしていく。
しかしほぼ売り切れた頃、購入した何人かが店へと戻り突然鬼子の足を撫で回した!
鬼子『きゃあ!!何をするんですか!…ってコレは心の鬼?!』
モモサワガエル『あっしはモモサワガエルと申します。本日はこちらの殿方の…ゲコ?』
自己紹介を終えるより先に、薙刀で萌え散らす鬼子。しかし後から後から湧いてくる。
鬼子『…え〜と、本当に田中さんの本の影響で?今日何冊売りましたっけ?』
田中『そうね…百冊はあったと思うけど、まさか全部こんな状態に?』
あちこちで太股を触られた女性達の悲鳴と、殴られた男の呻き声が聞こえ始めている。
見つけた側から切り祓うが、生み出す元も多いためなかなか数が減ってくれない。
田中『これ…若般さんにもばれるかなぁ。ともかく買ったお客さんを探すしか…』
三人が記憶を頼りに祓っては回収している中、不意に鬼子が振り向いた。
田中『??どうしたの、鬼子ちゃん?』
鬼子『強い…心の鬼の気配がします。こんな生まれたての奴の気配じゃないのが』
その方向で一瞬生まれでたモモサワガエルが、大きな口に飲まれて消える様子が見えた。
十六話完
(この時回収し損ねた本から何度でもモモサワが産まれてくる…って他と差が大きいか)
モモサワガエルが大口に飲まれた時、周りの人々の感情すら一気に飲まれる。
不意に物忘れをしたかのように見回す人々の中で、一人だけ腹を抱えて笑っている者がいた。
鬼子『あなた…一体何者なの?まさかその鬼をわざわざ隠そうってつもり?』
食い終ってすぐに消えた鬼の気配に、安堵よりも警戒を強めて構える鬼子。
男『あぁ?n笑っちゃいけないのかいそれとも…こいつが見えてるのかな?』
第十七話:鬼喰らう鬼、悪食鬼
http://loda.jp/hinomotooniko_kokoronooni/?id=51 男の背後に醜い贓物を思わせる心の鬼が浮かびあがった。その口からは酸が滴っている。
悪食鬼『気をつけろ…こやつは私を浄化する力を持っているようじゃ』
鬼子『あのカエルを散らすのも見てたの…?これ以上人の心を惑わす前に…萌え散れ!!』
鋭く突きを出すが、その時既に鬼は男の体内に隠れてしまっていた。
男『おっと、会場は危険物持ち込み禁止だって言われてなかったかな?』
薙刀の柄を掴んだ男は、その太った容姿から想像できない速さで鬼子に膝蹴りを入れた。
鬼子『ゲホッ…なぜその鬼を庇う?そやつは人心を惑わす禍々しきものなるぞ!』
男『へぇ…こいつがねぇ?俺にとってはただの理解者だぜ。何食っても馬鹿にしない、友人だよ』
悪食鬼は姿を現すと、酸を鬼子に吐きかけた。服に穴が開き、更に肌が露出する。
田中『鬼子ちゃん…。!そうだ、私若般さん呼んでくる!ちょっと待ってて!すぐ連れて来るから!』
苦戦する鬼子をみかねて、自分では戦う力にかける田中さんは救援を求めに走る。
男『へぇ…仲間までいるのかい?そいつは厄介だねぇ。来られる前にかたをつけるか』
懐からカッターナイフを取り出すと、ただの演技と思っていた周辺の人も、悲鳴をあげて逃げ出す。
悪食鬼『待てよ…相棒。厄介だが旨そうだぜ…特にそこに隠れているやつなんてな』
視線の先は、鬼子の後ろで多少震えていた小日本だった。
鬼子『何をする気なの?この子には指一本触れさせやしな…』
話している間に、悪食鬼の口からカエルのような長い舌が伸び、叫ぶ小日本を飲み込む。
男『武器を抑えられて、何が出来るって言うんだよ?舌なら触れても良いってか?』
ヘラヘラと笑う男に対し、悪食鬼満足そうに膨れた腹をさする。
悪食鬼『ゲヘゲヘゲへ…こいつは上玉だぜ。こいつの持ってた力を使えば…』
体からどす黒く変色した赤い糸を放出すると、その先へ囚われた心を引き寄せてどんどん食べる。
鬼子は先ほどから放心して、うわ言の様にブツブツと呟いている。
その呟きに合わせて、般若の面が徐々に鱗で覆われていく…。
鬼子『…く…小……を!よくも小日…を!よくも小日本を!』
怒りで完全に我を忘れた鬼子の般若面は、鱗にまみれた怒りに震える蛇の面となり、
鬼子は角だけでなく牙まで大きく伸びた姿と相成った。誰しも恐れる鬼の形相が如く…。
男『そんななりして、俺をどうしようってんだ?殺しでもしたらお前も刑務所行きだ』
鬼子が意識を飛ばしてしまった後では、中に潜んでいた鬼が姿を現してしまっていた。
???『あぁ、そんな事しねぇさ、むしろ感謝している位だぜ…これでこいつを連れて行ける』
悪食鬼『まさかお前も「鬼界」に住む鬼か?なら俺も連れて行ってくれよ?』
???『そうしたい所だが、お前みたいに仲間でも喰らう鬼は連れてけないなぁ!』
仲間が出てきたと思った所へ、薙刀を力任せに無理やり振り下ろされる。
咄嗟に男の体へ引っ込もうとするが、その体ごと肩まで刃は届き、散らされていく。
その散っていく体内からはまだ消化されきっていなかった小日本が、気を失いながらも出てきた。
ハンニャー『そこまでよ、道引鬼。この子に人殺しなんてさせやしない!』
男の肩のところで薙刀を抑えていたのは若般だった。怒りに満ちた眼で鬼子を見据える。
道引鬼『これはこれは、日本家のメス猫さん。また邪魔する気ですか?』
ハンニャー『今は封印くらいしか出来なくとも、いつかあんたを鬼子から追い出してやる!』
手にした札を祝詞を唱えながら面へ貼ると、札が焦げながらも面は般若の表情へ戻っていく。
道引鬼『チッ…まぁいい。いくらでもチャンスはある。どうせ人としての心はその内死ぬさ』
気を失った鬼子と小日本を残し道引鬼は姿を消し、若般と田中さんは二人を抱えて
逃げる様にその場を立ち去った。後に残された男はどうにか病院まで自力で帰ったという。
今日は以上です。時間かかりすぎだなぁ。そして無理やりの流れが多くなった…。
名前、名前w
まあ誰だかはわかるけれど。
>>149-153 なるほど、ヒワイドリらと他の心の鬼との差からだったんですか。
15さんの敵組織設定も少し取り入れて、まとまりが出てきてますね。
道引鬼もはっきり出てきて、少しずつ核心部分に近づいてきましたね。
にしても、はんにゃーさんが、巨乳メガネの目元涼しげなおねえさんに変換されてしまうwああ守られたい。
こんなイメージでいいんですかね?w
>>154 はい、間違えました。これで大丈夫かな?
>>155 自分のイメージも同様ですよ〜。18・19話今夜辺りに落とす予定ですが、
そこで過去回想をほぼ全部出し切る予定です。実際ほとんど出尽くしていますが…。
???『怖い人…鬼子、一体誰が来ようとしているって?』
そこへ、不意に猫が現れた。その猫を見つけ睨みつける父。
ハンニャー『お久しぶりね…。角のある子供がいるって噂、どうやら予想通りの様ね』
父親『…鬼子はあんな所に閉じ込めさせない。この子のやりたい様にさせてやりたいんだ!』
鬼子『あぁ〜!猫ちゃんが喋ってる!ねぇねえ!触っていい?』
ハンニャー『ごめんね、鬼子。お父さんと話があるの。少し他へ行ってくれるかしら?』
第十八話:鬼子に潜む鬼
母親『それではこちらに本日のご相談診察内容をお書き頂けますか?』
男性『はい。…そういえば、こちらのお嬢様に道を教えて貰ったんですが…』
鬼子『あぁ〜!道で会ったおじちゃん。本当に来てくれたんだ。お体は大丈夫?』
母親『これ!鬼子。あんまり待合室で暴れるんじゃあありません!』
男性『ククク…大丈夫ですよ。しかし天真爛漫過ぎますね。どうしたものか…』
母親『どうなさったんですか?』
鬼子『…おじちゃん、怖いよ。何でそんな顔をしているの?』
男性『大丈夫だよ?…手っ取り早く心を空っぽにするにするには、最愛の者の死か』
言うなり男性の体は腕が膨れ上がり、角が生えてきた。そして一瞬で母親の首を掴む。
母親『いや…やめなさい!…は…なしなさ…』
鬼子『やめてよ…やめてよ…やめろおぉ!』
母親が息絶えるとほぼ同時に、鬼子の体から光のように霊気が溢れて来た。
道引鬼『くく…大した力だ。だが怒りに囚われてはとり憑く隙だらけだ』
男の体から抜け出すと、道引鬼は角も伸び殴りかかる鬼子の体へ、無理やり侵入した。
ハンニャー『もし、このまま人里で何の守りも知らず育てば、いつか鬼に襲われるわ』
父親『だから鬼子には座敷牢ですごせと?鬼を祓う術のみ知る事が一人の女の子の生き方として正しいと?』
ハンニャー『…あの子のためでもあるわ。彼女を奪おうと狙う鬼は何度も現れている、それはお知りでしょう?』
父親『そう、その鬼へ襲われた時のために日本家は鬼子を道具の様に扱おうとしてきた!
鬼の血を薄めるため?そのためには子を持つ幸せも、人を愛する幸せも奪うのが正しいと言うのか!』
ハンニャー『…鬼の血を断つ事は新たな「鬼子」を…不幸になりかねぬ子が産まれないためにも必要な事です』
父親『違うだろう?鬼斬を扱える鬼子を日本家が囲い込むためだけに「鬼子」は不幸になっているのだ。
もし鬼であろうと誰もに受け入れられれば、鬼子として産まれる事は不幸の原因ではない!』
鬼子を本家へ連れ帰ろうとするハンニャーに、子を離すまいとする父…そこへ悲鳴が聞こえてきた。
父親『鬼子!どうした………お前、どうしてこんな事に…』
道引鬼『あぁ遅かったなぁ。もうお前の妻も子供も居ない。後は鬼子の手でお前も殺せば…』
ハンニャー『させるかぁ!!喰らえ!!』
若般は人型に化けると懐の札を投げつける。鬼子の体に貼りつき、動きが鈍る。
ハンニャー『あの面は、鬼封じの面…なのよね?…呆けていないで答えなさい!』
父親『あぁ…そうだ。家を出る時にもしものためと渡されていた…どうしてどうしてこんな…』
呻き声をあげる道引鬼は鬼子の体から札を毟り取り始めている。
道引鬼『本家のメス猫か!くそ…あと一歩まで来たというのに…』
ハンニャー『黙りなさい!人を脅かす悪鬼め!静まれ!』
鬼子が角隠しに付けていた面…今はお多福から般若の様相になった面に呪符を貼り祝詞をあげる。
次第に鬼引鬼の力で膨れ上がっていた腕も、大きく伸びた角も収まっていく。
…鬼子ちゃん、鬼子ちゃん!ねねさま…ねねさまぁ…起きてよう。
ゆっくりと鬼子が目を覚ますと、二人が顔を覗き込んでいた。
古い夢を見て、眼には涙が溜まっている。また鬼に心を囚われた悔しさと悲しみ…。
母を亡くした日の想いが、このままでは駄目だと鬼子へ勇気を与える。
鬼子『若般さん、私…あいつを追い出したい。祓いたい。どうすれば良いの?』
使って無さそうなのでお借りを……
事務所を出て、車で小一時間。千鬼山という山の麓に目的の店がある。
千鬼山とは文字通り、千匹の鬼が支配していたと古書に記されていることから名が付いた。
どうやら、色々と厄介な鬼が多種多様に渡って暮らしていて戦争も耐えなかったとか。
それを見かねた坊さんが山自体を自らを引き替えに封印したとかどうとか。
だけど、それから300年近く経った今、山では行方不明者が多数出ていることから立ち入り禁止になっている。
俺も一度だけ調査という面目で入ったことがあるんだが……どうも気分が悪い場所だった。
恐らくだが……千鬼山の広さから考えて、千匹の鬼が頭首になっているなど不可能だ。
坊さんが封印したのは山ではなく、何処かから山に通じる通路なんではないかと……そしてその封印が解け始めた。
まぁ、そんな事は今の俺には関係がないんだけどな。調査も依頼者が神隠しに遭ったから破棄したし……
解決はしなければならないんだろうが……下手な干渉の仕方をすればアチラ側の住人を怒らせるからな。
今はとりあえず”調査中”として、日輪に関連書物を探してもらっている最中だ。
おっと、どうやら店の前に着いたらしい。
夜「着いたっス。合言葉覚えてるっスか?」
鳴「覚えてる覚えてる」
狛「え?なに?この店ってそんなにヤバい店なの?」
狛が店の方を指差す。指の先には、今にも潰れそうな荒屋が立っていた。
そして屋根の上には看板らしきものが乗っており、赤い文字で『秩天堂』と書かれている。
……名前的には某ゲーム会社に似てて危ないが、この店は世界的には活躍してないので気にしないでくれ。
鳴「いやいや、やばくないやばくない。普通の薬屋だよ」
狛「どんな?」
鳴「いやぁ……表では口に出して買えない薬も扱ってる」
狛「ヤバそうじゃねぇか!」
鳴「冗談。ただの薬屋だよ。近くの村の人も此処に来るんだから。俺達が買うのは裏物の薬。だから合言葉がある」
狛「そういう事か。素直に言っておいてくれよ。鬼子に変な薬を飲ませ……ってやっぱり裏物じゃないか!」
夜「心配しないで大丈夫っス。裏物は裏物でも、妖怪や神向けの薬って意味ッスから」
狛「なんだ……それなら良かった」
鳴「心配しすぎ。俺がそんなヤバい薬に手を出す奴には見えないだろ?」
狛「いや、お金に困ってとか。家賃払ってないらしいし」
鳴「失礼な。そこまで堕落してない。というかなんでその事を知ってるんだ?」
狛「ごめん」
車を停めて店の中に入る。玄関の扉は建てつけが悪いのかホラー映画でよくある軋む音がする。
それがまた怪しさ倍増の要因になっているらしく、狛が隠していた犬耳が頭に生えるほどだ。
やべぇ……モッフモフしたい。凄い触りたい……っていけねぇいけねぇ。目的は促進剤なんだからな。狛の耳を触るんじゃない俺!
狛「すごい、怪しい臭いがする」
店に入った途端に、狛がなにやら言い出す。
鳴「それはカビの臭いだな」
狛「それに……甘い匂いも……」
鳴「それはプリンの匂いだな。ほら、アイツが特大のオッパイプリンを食べてるだろ?」
?「だれがあいつだ。師匠に向かってそれはないんじゃないか?」
鳴「だれが師匠か!?」
狛「あっれぇ?可笑しいな。目が可笑しくなったのかな?鬼子にちょっかいを出してた奴がここに居る気がするんだが」
チ「久しぶりだなぁ狛。チチメンだ。覚えてるか?」
鳴「え?何?知り合い?」
狛「えっ?まぁ、知り合いというか腐れ縁というか」
チ「つめたいねぇ。死にかけている所を助けてやったってのに」
狛「うるさい。アレは婆さんが助けろって言ったんだろ。婆さんが言わなきゃ何もしなかったくせに」
チ「おまっ……婆さんって、あいつはそんなに年取ってないぞ?40過ぎぐらいで世間知らずだがな」
鳴「また、婆さんとか言う話になるんですね」
夜「そしてオイラ達は存在を忘れられてるというね」
二人が口論している間、俺達かやの外グループは店の隅に置いてあるパイプ椅子に座って収まるのを待っていた。
そして数時間後――
チ「こぉんのクソ狗がぁあああ!」
狛「うるせー乳魔人!」
何時の間にかチチメンはカウンターを飛び出し、狭い店の中で口論の試合が始まっていた。
夜「まだやってるっスよ。もう、飽きたっす。夜明けまでそんなに時間ないっスよ」
鳴「やべぇ……意識飛んでた。あとどれくらい?」
夜「4時間ぐらいっス」
鳴「はぁ……ちょっと面倒だけど、止めてくる」
夜「よろしくっス。オイラはこのカウンターの後ろにいるッスから」
夜烏賊、お前はまた逃げるのな。
ちょっと顔が良いからって良い気になってるんじゃねぇぞコノヤロウ!
とか口に出していってみたいのだが、今はコッチを止めるのが先か。
鳴「なぁ……狛、チチメン」
狛「大体、お前は昔っから鬼子のその……気にしていることをからかったりだな」
チ「はいー、今恥ずかしがった!その時点で負けだ狛!乳っていうのはな形も大事だが大きさが一番に決まってるだ!
それを口に出せない時点でお前の負けぇ!」
鳴「ちょっと……聞いてくださいよ、お二人方」
狛「はぁ!?ふざけんなよ!鬼子のはあれで良いんだよ!」
チ「あっれ?守ってるって風呂場も守ってるんですか!?もしかして覗きですかこの変態が!」
狛「ばっ!覗いてねぇよ!というかお前みたいな変態の塊みたいな奴にい――」
鳴「だぁっらしゃああああ!!少しはコッチの話も聞かねぇか!」
店内が静まり返る。あれ?何この空気?
狛「……ごめん」
チ「いや、マジでごめん」
鳴「まぁ……いいんだけどさ。って今日は買い物に来たんだよチチメン!」
チ「あぁ、買い物な買い物。ほれ、合言葉」
鳴「えっ……やっぱいるの?」
チ「当たり前だ阿呆。なりすましだったらどうすんだ。姿写なんて奴も出回ってるんだぞ」
鳴「しゃあねぇな……ち、乳は大きくてフッカフカが一番!乳があれば愛もある!乳があれば品もある!
多ければ多いほど特をするそれが巨乳だあああああ!!」
狛「うわぁ……」
鳴「うわぁってなんだよ!コッチだって恥ずかしいんだぞ!?」
チ「はい、本人。まぁ、分かってたけどね。で、何をお求めで?」
鳴「わかっ……はぁ、促進剤の在庫が切れたので6ケースほどを頼む」
チ「あぁ、はいはい促進剤ね促進剤。おい、夜烏賊と狛。地下にあるから取ってこい」
夜「えー、まじッスか?ジメジメしててあそこ嫌いなんスよ」
チ「世界のパンツ特集完全版(未発売)」
夜「さーて、行くっスよ狛さん」
狛「えっ?アレで釣られんの?」
鳴「じゃ、俺も付いて」
チ「まぁ、待てよ。お前には用事がある」
鳴「ですよねぇ……」
――その頃の事務所
ヤ「イエス!ナイスパンチラ!ナイスパンチラ!」
ヒ「カモーン!チチチラカモーン!」
事務所に置いてあったデジカメで鬼子の寝姿を撮りまくっていた。
小「カモーン……ヘルタイム」
ヤ「Woo...ノーヘルタイム……」
ヒ「ソーリー」
小「ノー」
ヤ・ヒ「ノオォオオオオオ」
――戻りまして秩天堂内部
鳴「で、呼び止めた理由って?」
チ「分かってんだろ阿呆が。検査だよ」
鳴「検査ねぇ……いらないと思うけど」
チ「いるに決まってるだろ馬鹿。ズレを確かめるんだよ。ほら、顎乗せろ」
鳴「……めんどくさいな」
目の前には眼科で視力などを図るときに使う器具が置いてある。
顎を乗せて、使うタイプだ。といっても、本当に顎を乗せて頭を固定するだけの物だが。
ついでに言うとこれは、現代医学で使うものではなく個人的に作ったカラクリらしい……
カラクリって何時の時代から生きてんだよチチメン。
チ「では、検査を始めようか」
鳴「手短に……」
チチメンがメガネをかける。これは特殊なメガネで、レンズの前に置いてある4枚のフィルターを
レンズの前に倒して使用する。これも自作らしい。というか何が見えるんだよそれで。
チ「ふむ……いいぞ、退いても」
しばらくするとチチメンがメガネをカウンターに置き、モノクルをかける。
ちょっと顔が怖い(´・ω・`)
チ「大分ズレが出来てる。薬はまだ飲んでるのか?」
鳴「もちろんさ!」
チ「何錠だ?」
鳴「えーと、8錠ぐらい?」
チ「飲み過ぎだ阿呆!一日2錠までだぞ見鬼薬は!」
鳴「え、いやー。そうでもしないと見えにくいから……」
説明しよう!見鬼薬とは、20歳を過ぎても魑魅魍魎が見えるようにと開発された薬である。
薬を飲むことによって普段、見えないものが見えるようになる便利なお薬である!
チ「見えなくなったらそれで終わりだ。そうも長引かせるものじゃない」
鳴「いやいや、目的すら達成してないのに飲むのを辞めるとか無理だ」
チ「変わりに達成しといてやるから気にするな」
鳴「嫌だ。俺が達成しなきゃ意味が無い」
チ「あのな……副作用分かってんのか?」
鳴「忘れた。というかどうでもいいだろ」
チ「あのな、飲み続ければ必ず副作用はでる」
鳴「そうかい。じゃ、そこまで行けば俺は引退かな」
チ「そういう問題じゃないんだよ……いいのか?目が無くなり、記憶もなくなるんだぞ?それに、この薬の
使用年齢の限度は22歳だ。お前はもう二年も限度を超えてる。ここらが潮時だろ?」
鳴「潮時じゃねぇよ。まだ、何にもしてないんだ。何もな……」
チ「7年も前の話じゃないか……そろそろ忘れろ」
鳴「っ……まだ、諦められない」
チ「もう充分だ。後は俺が受け継ぐ。必ず報告もする。だから、あまり自分を追い詰めるな」
鳴「あいつは……」
夜「見つけたっすよー!ってなんスか?この空気……重いっす」
夜烏賊達が地下室から戻ってきたみたいだ。
なんてタイミングの悪い……
チ「いやぁー久しぶりに会ったら、趣味が変わってたらしく巨乳から品乳好きになっててさ。喧嘩になっちまった」
鳴「え?」
チ(バレたら不味いんだろ?)
鳴「い、いやぁ!そうなんだよな!やっぱり乳は形が大事だって喧嘩になっちまって。心配させて悪い」
夜「怪しいっス。ま、余計な詮索はしないッスけど」
狛「……」
鳴「さ、帰ろう。鬼子達が待ってる」
チ「よし、じゃあ俺も行こう」
夜「えっ!?来るんスか?」
チ「もちろんだとも!久しぶりに鬼子に会わないとな!体の成長を確かめるために!!」
狛「あんまり余計な事するなよ」
チ「大丈夫大丈夫。小さい胸には興味がない」
鳴「どうでもいいけど、早く帰ろう。時間がねぇ」
チ「っと、そうだ。促進剤ってなんでいるんだ?」
鳴「狛と喧嘩してる時に言ってただろ?鬼子が逆時鬼のせいで小日本との時間が逆になったんだ。それを元に戻
す為にだな」
チ「言ってたか?まぁ、その手の薬ならあるぞ。ほら、コイツだ」
トンッとカウンターの上に小瓶を置く。中には灰色のドロドロした液体が入ってる……
コレはどう見てもヤバい薬だろ……
チ「これが、逆時期の効果を僅か一時間で元に戻せる薬だ。すんげぇ不味いけどな」
鳴「それは知ってる。まぁ、薬があるなら役立つ。さっさと帰って元に戻そう」
夜「イエッサーッス」
そう言って店主のチチメンを含む4人で帰路についた。
4人乗りの乗用車なんだが……促進剤のせいで4人も乗れないのでチチメンには人化は止めてもらった。
狛の方に止めてもらおうかと思ったが、結構な歳の犬神なので体がデカイとのことで止めた。
レンタカーなのに潰されたら割に合わない。
――事務所!
鳴「たっだいまー!ってなんだ!?部屋が羽だらけに!?」
小「あ、どうでした?」
鳴「いやぁ、薬は手に入ったから直ぐに戻すよ」
小「ッチ……」
鳴「あれ?今舌打ちしたよね?」
小「してませんよー」
鳴「イイけどさ……日輪達は?」
小「日輪さんならあそこで柴に洗脳を……あ、今日は鶏鍋と魚焼きがいいですか?」
ふと、日輪が居る部屋の隅を見てみると柴にずっと乳の話をしているようだ。
可哀想に……動けないせいか、涙を流してる……眼の焦点もやべぇ……
鳴「え?いや、食事は要らないけどってヒワイドリ、ヤイカガシ!?」
ヒ「た、助けて……」
ヤ「ワリとまじでぇん!?」
小「あー、駄目じゃないですか。食品は喋らないのが普通なんですよ?」
足で押さえつけられる二匹。人化も解けている状態で羽が無くなった鶏と塩漬けにされてる魚をみると
可哀想とも思えてきた。泣いてるし……まぁ、それ相応のことはしたんだろうけどな。
夜「陽介ぇ……手伝ってっスよ。ってなんスか?この部屋の散らかりようは」
鳴「アレ」
夜「だいたい分かるので詳細は聞かないっス」
狛「こに!鬼子は大丈夫か!?」
小「大丈夫ですよ。私がしっかり守りましたから」
何時のまにか紐で二匹の足を括って、釣り上げて狛に見せる。
あの笑顔がもっと違う方向に向けば良かったのだけれど……
ヤ「なんだろうか……」
ヒ「なんか……快感になってきた」
どうやら二匹は特殊な方向へ目覚め始めたようで……
狛「お、おぉう……それは良かった……」
柴「んんー!んぅんー!」
狛「あっ、忘れてた……待ってろ、今解いてやるからな」
日「えっー、もう解くの?あと7時間は話したい気分」
狛「止めてやってくれ、コイツはもう限界だから」パキンッ
柴「うわぁあああああ!お前らなんか大嫌いだ――――!!」
術を解かれた途端、泣きながら柴が外へ飛び出ていく。
一体何を聞かされたんだろうか……まぁ、乳の話だろうが。
乳の話でここまでトラウマを植え付けれるなんて日輪……恐ろしい子!!
チ「おっー、ここがお前の事務所……って誰だ!あの巨乳ちゃんは!?」
鳴「カクカクシカジカ」
チ「ほー、小日本か」
小「ご無沙汰してますチチメン」
チ「どれ」ボインッ
鳴「なっ」
小「ひっ」
なんてことを……これはヤバイ……
あの可愛らしい小日本ではなく恐ろしい子!だってのに……
小「チチメン」
チ「ん?」
小「ゴートゥーヘルです」
チ「oh...」
目を閉じてても簡単に想像できる惨劇の風景。
どうしたらこの惨劇を回避できたでしょうか……いえ、回避は出来なかったでしょう。
だから、この話を聞いた皆さんは真似しないでね!!
日「そうだ、ようすけぇー」
鳴「なに?」
日「薬。買ってきたんでしょ?飲まさなきゃ」
鳴「あぁ、そうだそうだ。えーと、たしかこの袋に……あったあった。ほれ。」
ポンッと投げて、日輪に薬の入った瓶を投げ渡す。
日「うわっ!なにこれ?気持ちわるい色してんなー」
鳴「仕方が無いだろう。不味いらしいから何とかして鬼子に飲ませてやってくれ」
日「りょうかーい」
さて……次は小日本に飲まさなければならない訳だが。
チチメン……なんと哀れな姿に。地肌が寒そうだぜ。
鳴「小日本。薬の時間ですよ」
小「うっ……そ、それは遠慮しようかなぁ……」
鳴「駄目です。飲みなさい」
小「えっー、いいじゃないですか。私が大人でも問題はないでしょ?」
鳴「いや、あるっちゃある」
小「どんな?」
鳴「怖い。この一言に尽きる。だから飲むんだ」
小「どうしても?」
鳴「いや、大人しくしてくれるなら別に良いんだけどね」
小「じゃ、大人しくする!私の時間軸じゃ鳴木さん居ないし!」
鳴「なんだ、俺は死んでるのかよ」
小「えへへー」
鳴「誤魔化したな。というか死んでないほうが可笑しいから別にいいか」
小「ま、未来なんて変わりますからどうとでもなりますよ」
鳴「歳には勝てないだろ」
小「そうですねー。で、飲まなきゃ駄目なんですか?」
鳴「くっ……別に構わん。ただ、後で絶対飲めよ。怖いから」
小「分かってますよ。飲みますって……後で」
なんと甘い。甘すぎるぜ俺。
別に影響はないから良いんだけどさ。
鬼「苦いのいーーやーーーー!!」
日「ぐぇええ!」
鳴「えっ!?何よ?」
日輪と鬼子が居るところを見る。壁に頭を打ったのだろうか?日輪の頭の上にはヒヨコが飛んでいる……ように
見える。
一方の鬼子はというと、なんだか角が伸びている。というか目の周りには歌舞伎でよく見る隈取の化粧が。
目も赤くなってるし……ナニコレェ、なにこれぇ!!
小「ネネさまの中成きたぁあああ!」
鳴「うわぁ!急に大きな声をって中成ってなに!」
小「中成とはネネさまの――」
部屋を走りながら破壊していく鬼子を尻目に説明が始まる。
それから十分……
小「で、あるからして――」
鳴「なげぇ!すっごい長い!簡単にしてくれ」
小「ここからが重要なんですよ!?」
鳴「いや、今度聞くから。説明を簡単にしてくれ。でないと部屋が無くなっちゃう」
小「仕方が無いですね。中成というのはネネさまが怒ったときになる形態の事です。強いのでお気をつけて」
鳴「えっ!?それだけ?怒っただけ?」
小「そうですよー」
鳴「なんだ、それは良かった。変な病気にでもかかったのかと思ったよ」
小「そうですねー。で、止めないんですか?」
鳴「そうだった!鬼子!やめてくれぇええ」
それから鬼子の暴走が収まるまでに1時間の時間を使い、薬を飲ませるのに30分もかかった。
最終的に薬を飲ませるのに、あとで特上の蕎麦を食べさせてあげるということで成功したんだが……
薬を飲み終わった後に柴が帰ってきて、手には記憶の欠片を持っていた。
どうやら、神様らしく記憶の欠片の中身を覗いて鬼子の記憶と判断したらしいのだが、さぁ大変だ。
また不味い薬を飲ませなくてはならなくなり小一時間。
今度は鬼子をこの町で一番の大イベントである夏祭りに連れて行くということでなんとか薬を飲ませた。
その後のことは言うまい。前例がある。
はぁ……これ、今日のこと覚えてるのかな?覚えてたら……すごい金が飛ぶ。諭吉が鳥になって飛んでいく。
考えたくもねぇ。
さて、鬼子の家に行く準備をするかな。
どうやら、次回はついに鬼子の家に行けそうです。やべぇ……鬼子全然出てきてねぇ……
これは駄目なパターンだ。鬼子出てきてねぇ……
>>158 乙!
これはいよいよ、謎が解決し始める展開!
そして次回はワックワク展開!……ぐぬぬ、気になる。
>>168 いつも索引を有難うございます。伏線回収は済んで、後は消化試合状態です。
一応流れが見える様に誤字脱字等校正し、PIXVにまとめようかと考えましたが、
電源付かなくなったPCに纏めてて、DAT落ちで過去スレも見れないので断念です。
まぁ実際必要も無かったから、タイミング良くパソコンが壊れたんだろうと考えておきます。
では、第十九話投下します。PCのご機嫌とノリ次第で最終話まで…出来るかなぁ?
ハンニャー『…鬼子、もし本当に覚悟が出来ているなら、一つ方法があるわ』
鬼子『本当ですか!…でも、どうして今までその方法をやらなかったんですか?』
ハンニャー『もし…もし失敗したらあなたは死ぬ。それでも挑戦する覚悟はある?』
第十九話:魔祓いの秘術
鬼子『覚悟は、出来ています。これ以上誰かを傷付けない様に出来る限り早く…』
ため息を吐くと、ハンニャーは一つの古書を懐から取り出した。
ハンニャー『わかったわ。人に鬼が潜り込んでいる状態を「魔」と呼ぶの。
これを人が故意に行っていれば悪鬼や鬼成となるのは教えたわよね?』
古書の一つ一つの絵を指差し、確認をしていく。どうやら鬼退治の指南書の様なものらしい。
ハンニャー『これを祓う方法は大きくは三つ。一つは先日の様に体ごと鬼祓いの武器で貫く事。
でも鬼子が自身の力を自身に向けた所で効果は無いから、この方法は無理なの。
もう一つは呪符で体に止まれなくして剥がす方法。けれどもこれも霊力などを持った人には、
例えば鬼成となった人や、鬼子のように霊力を持った人が取り付かれた時は効かない。
本人の霊力を利用して、鬼が自分を体へ縛り付けているから、出てこないわ』
鬼子『じゃあ…私が頼れるのは残り一つの方法だけ、って事ですか?』
ハンニャー『そうよ、その方法はより強力な霊具・神器とさえ呼ばれる物を使って、
儀式により鬼を本人の別の体へと写し、その体ごと退治する方法』
小日本『ねねさまもあたしも、体は二つも無いよ〜?』
ハンニャー『体といっても、実際はへその緒等のその人であってその人でない物でいいわ』
鬼子『それで…どうして死ぬ可能性まであるんですか?』
ハンニャー『この方法の場合、完全に支配できる…それも霊力さえ秘めた体を得た鬼が、
元の宿主である鬼子を襲う事になるわ。もしその時奴の方が力が上だったら…』
田中『だ、大丈夫よね?鬼子ちゃん強いし、この「鬼斬」もあるんだし…ね?』
長い沈黙が訪れるのは、先日見た道引鬼の強さをある程度体感しているからだった。
ほぼ効力が薄れていたとはいえ、鬼封じの面を付けたままであの強さなら…。
ハンニャー『もう一つ問題があってね、その儀式に必要な鏡はわかってるけどまだ持ってないの』
鬼子『まだ、という事はどこにあるかも解っているんですか?
???『話は聞かせてもらったぜ。そいつなら俺たちが取りに行ってやるよ!』
振り向くと、四つの影がそこには立っていた。…頼りになるか解らない奴らの影が。
ハンニャー『あんた達は…この変態ども!』
ヤイカ『その言い方は酷いでゲス。せっかくいつもお世話になっている御礼をと…』
チチメン『まったくじゃな。お前は良い乳を持っておるのに性格が勿体無い』
チチドリ『鬼子さん達には恩があるチチ!ここで返さないならロリコンが廃るチチ!』
ヒワイ『まぁ、そういう事だ。場所を教えて貰おうか?』
一人一人ポーズを決める変体供。しかしあまり決まらない姿なのは変わらない。
鬼子『みんな…ありがとう』
ヒワイ『なぁに。ここいらで活躍しておかねば何も返せないのでな…気にするな』
まだ信用しきっていない若般であったが、小日本の『ヤイカちゃんなら大丈夫』の声を聞き、
不安ながらもヒワイドリ達へと地図を差し出す。古書の付録の様な物らしい。
ハンニャー『じゃあ、ここへ向かって貰えるかしら?奥に鏡が祀られているはずだから』
チチメン『「桃の風洞」か…なかなかに遠いな』
ハンニャー『儀式を出来る場所はその近くだから、そこへ届けてもらえば大丈夫よ』
地図に描かれた一つの島へ、赤ペンで印を付ける。だが名前を見たヤイカガシが驚く。
ヤイカ『!!鬼ヶ島でゲスか!何故そんな物騒な島に…』
ハンニャー『その場所が儀式に適しているのよ。…もしもの場合もあるしね』
ヒワイ『もしもの場合?それで、いつまでに持っていけば良いんだ?』
ハンニャー『次の満月の時よ』
チチドリ『あと一週間ってところチチね。解ったチチ』
田中『じゃあ私たちはその間に鬼子ちゃんのへその緒を取りに…って一緒に行っても大丈夫?』
鬼子『大丈夫です。私なんかのために…皆さん、本当に有難うございます』
半泣きになっている鬼子の頭を、若般と田中さんが優しく撫でる。
ハンニャー『では、急ぎましょう』
>>172 ありがとうございます。しかしなぜか前スレだけ過去ログ検索でもひっかからない…。
少し洞窟内の仕掛けが思いつかなくて停滞中…それぞれに見せ場を作るのはどうしたら良いかなぁ。
そういえば投下予告するのがルールでしたな。
つわけで、以下175・176使います(177までいくかもしれません)。
<>のところは元々非改行のところです。
project light way
2年4月:I-iii(朝ー)
ふぁ〜
案の定興奮してろくに眠れなかったので、バス停でついあくびをしてしまった。少し恥ずかしかったが、他のバス待ちの人々は気にも留めない。当然だが、それはそれで釈然としない。
バスが来た。例によって、車窓を通して大和勇子が立っている姿が見える。バスの始点にある寺の娘だと噂に聞いている。
「おはようございます。」
「おはようございます。」
学校・学年・クラスが一緒、祐子の苗字は山野だから席は廊下側端列で前後。それでも、割とやかましい学校なので挨拶こそするが、まともに話したことはない。
<>二人とも弁当持ちだが、学校のPCではどうしようもないから、祐子は無線が使えるところで食べるし、勇子も教室で食べてはいないようだ。他の休憩も勇子の方が教室にいない。
<>大体二人とも「話しかけるなオーラ」を出している。そんなだから、挨拶を済ますと祐子は離れた前の席に座った。終点の駅までだから眠りたい。寝る気まんまんでメガネを外して制服の胸ポケットにさした。
大和家が始点付近で、山野家は下ってきて住宅地の真ん中少し上。バスはさらに坂を降りて通勤・通学客を拾っていく。宅地が終わり新市街に間もなくという辺りまで来るともうバスはずいぶん混み合っている。
<>自転車で駅方向へ向かう姿は増えてきたが、駅まではまだちょっとあるからまだ幾人かバスに乗ってくる。
『!』
乗り込んできた客達からかすかだが鬼気が感じられる。集中して探ってみる。
『昨日のオニ!!』
血が逆流した。思わず右手が動き口が少し開く。昨夜のことを思えばこの場で切り伏せたかったが、それではタダの人殺しだ。
初めは入口付近に立っていたが、今は押されて、眠っている祐子の隣にまで来ている。入り口の方を向いても混んでいるから見えるとは限らないし、気づかれるのは避けたい。激情と視認を諦め、落ち着いて鬼の気を調べる。
じっくり調べて気がついたが妙だ。確かに鬼だが、今まで祓ってきた鬼とは随分違う。
『新種?』
今まで存在しなかったものに対する考えとして自然だが、納得はいかない。
『不自然』
いい感じだ。ではどういう不自然さか。こういう思案は苦手だが、今は他にするべきことがない。
『特徴が無い!?』
浮かんだ言葉は普通だが、それが表す考えは異常だった。具体性や個別性を欠いた一般的・抽象的な鬼、鬼の概念みたいなのが憑いている。どんな鬼でも個別の具体的な怨念・怨恨に憑くはずだから異常だ。とはいえ受けた印象にはその考えが最もしっくりくる。
『捕えよう。』
感じたことの説明はうまくいっても、結局それが何を意味しているのかは分からない。手に負えぬ問題だから年長者に相談したいが、引き連れて行った方が話は早い。
<>面に出さないが、父がこうした話を避けたいのは知っている。相談するなら姉だが、家を出て他所に住んでいる。あまり使わない捕縛術を姉のところまで保たせられるだろうか。
ここまで考えたところでバスは駅に着いた。乗り替えだ。
(つづき)
「山野さん、着きましたよ。」
山野祐子が随分深く眠っているのには気づいていた。素性が素性だからなるべく人と接触しないようにはしているが、さすがに見過ごせない。着いたら起こそうと思っていたが、話しかけたくらいでは起きない。
<>好都合だ。悪いが利用させてもらおう。既に「特徴が無い」という特徴を十分に把握していて、もはや誤認する恐れは無かったが、念のために視認しておく。
「山野さん、起きてください。」
言いながらミラーを八方眼で捉える。20台後半くらいで、中肉中背。いい男でもなければ特に不細工ということもなく、髪も中途半端な長さで、どこにでもいそうな男だ。「特徴が無い」と言えるかもしれない。
<>しかしどんな平凡な男にも、「右頬、鼻孔の横に黒子」とか「左のこめかみ辺りに吹き出物」とかいった些細な特徴はある。スーツ姿でないから店員・工員などの制服仕事、多分工場勤めだろうか。
「山野さん。」
用は済んだから、肩を軽く揺すった。乗りかかった船だから、これで起きないようなら次は点穴突いてでも起きてもらう。
今回はここまでです。
ごめん、まちがった。つわけで、更に続き。
「んぁ。」
左肩を誰かが揺すっている。香か何か微かに香っていて、バスは止まっている。見覚えのあるぼやけた色の配置がぼやけた形にまではなるが、メガネを外しているから鮮明にはならない。多分大和勇子がこっちを見ている。
「なに?」
「着きましたよ。」
「ん?ああぁ。・・・ありがとう。」
意外さもあって、事態の把握にちょっと時間がかかった。大丈夫と見た勇子は先に出て行った。男が別のバスの待ち行列に並んでいるのを確認して改札口へ向かう。
<>起き抜けですぐに力が入らなかった祐子は結局最後にバスを降りた。結構離れてしまった勇子の後ろ姿を見ながら思う。
『案外優しい子なのかなぁ?』
自分なら放っておいたかもしれない。他にも心当たりはある。祐子は自称150だが、勇子の方は170ほどあって、比率では少し細身な方だが、やはりそれなりの幅はある。
<>板書や資料映画像などは机のモニターに出るとはいえ、それでも何かとジャマになるはずだ。しかし今年はむしろその手の不自由は減っている。
<>古典の台詞を真似ると「見、見える。見えるぞー」となるが、それはともかく不思議に思って観察したら勇子は少し廊下に寄って席に座っている。癖か配慮か分からなかったが、今日の様子だと配慮なのかもしれない。
今週は、本当にこれで終わり。続きは再来週。
皆さんのキャラ紹介、登場人物もオリジナリティーがあり、
独創的で面白いですね。
また、それぞれに色んなストーリーがあって、楽しませて頂いてます。
>>144 光の世と闇世の関係は、元々一つの世界(空間)でした。
心の鬼が遙か昔に現れ、その者達が強くなり悪しき輩となって暴れまわった時に、
世界を光の世と闇世に分けました。ちょぃ詳細↓一話の上の方に書いてます。
http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=120303 ハチ太郎の原型は、その通りです。本スレには、茶系の毛並みが多いようですが、
SSの中では白い毛並みにしています。
>>167 いつもいつもまとめてくれて乙です。
>>157-158>>170-171 お父さんお母さんかわいそす…。鬼子を守ろうとしたのにな。
ついに体にひそんだ道引鬼と対決、かぁ。
>>160-166 なんかものすごーく大変そうでしたねww
そして鳴木さん薄命説。強く生きろ。
ちょっとキャラが多くて、誰がしゃべってるのか混乱してきたかも。。
場面の最初で誰がその場にいるのか書くとか、キャラごとに口調の変化を大きくつけるとかどうかな?
>>175-177 山を降りる朝のバス。いいですなぁ。
ここの鬼子さんにはお姉さんがいるんですね。どんな家なんだろう。
祐子さんのほうの話とどう絡むか楽しみです。
>>178-179 なるほどなるほど…。最初のほうは初めて読みました。
実際に力を持った神社という場がいい味だしてますね。
そしてイラストがかっこいいっっ!!
個人的には歌麻呂さんのが一番すきです(聞いてない
>>160-166 そうだ。後から思いついたんですが、
せりふの前の名前を、一文字だけじゃなくて名前全部を書くのはどうでしょう。
「鬼子」とか「ヒワイドリ」とか「鳴木」とか。
せりふの行頭は揃わなくなっちゃうけど、
いちいち頭で名前を補完しながら読んでたことに気づいたので…。
最初の方だけ名前書いてその後は先頭の文字だけ。というやり方もあるんじゃないかな?
ヒワイドリ「乳の話をしようじゃないか」
鬼子「あなたねぇ!」
ヒ「乳の話を・・・」
鬼「萌え散れ!」
とか
>>181-182 それだっ!
と言う前に口調をどうにかしなければ!
ご意見ありがとうございます!次から反映しますぬ。
>>179 時の番人さん、乙です!
この4人、どんなジャンルを歌うんでしょ? あとユニット名も決めないと。
表の顔はミュージシャン、裏の顔は神職(退魔師)。
かっけー。細かな裏設定は作品を重厚にしますよ。
時の番人さん、
GJと言わざるを得ません!
本スレさんの方で何やら発言が有ったようですが、
ヤハリ、コテ名名乗って頑張ってきた方の名前を導入する以上、
礼儀を通して更にプラスした心意気に称賛の思いです。
SSを書くお手並みに感心の心を伝えると共に、
チョットしたオネダリなどいいでしょうか?
歌・音・詠・奏の四人を自在に使って描写なさってますので、ここは一つ
”合体ロボの鬼子さん”のイメージを投下なされた方の心を拝借して、
音=音の連らねを創る退魔師(作曲家として即興で凄いメロディーを作れる)
歌=言挙げの響きが秀逸(声の特性として鎮撫の響きを出せる)
詠=歌詞を創る能力が抜群(鬼ですら泣いちゃうような言葉の連ね)
奏=卓越した楽器演奏者(音の響きが3人の呪力をまとめるみたいな)
な、4人連携退治シーンなどを出してくれたりすると萌えまくります!
いぇ、クレクレのつもりは無いですが、そのように思われましたら、ごめんなさい。
>>179 絵も上手くいらっしゃって羨ましい…。ミュージシャンのグループは音楽性の違いから、
日々熱い討論をやっているイメージが付きまといます。はい、私は音楽にも疎いです。
ザ・コブラツイスターズは何故に解散したのか…そういえば理由とか本当に解散したか確認して無いな。
>>180 私が書くと薄幸属性が付いてしまいます。観光課さん・ネームの人さんの第一話を基礎にしてるのですが、
普通にギャグ要素大盛、コメディータッチで書く方向へも進めたはずなのですが…。
第二十話、投票行く前に投下します。正直酉の仕掛けは納得出来てない…。
ヒワイ『ここか…随分と山奥まできてしまったな』
崖にぽっかりと開いた洞窟の前に並ぶ四匹。
ヤイカ『立ち止まってても仕様が無いでゲス。早く入るゲス』
チチドリ『かび臭そうな場所でチチね…』
チチメン『明かりも持ってきておるし、まぁ大丈夫だろう』
第二十話:桃の洞穴
中に入ると、広い部屋に沢山の横穴。道がいくつもに分かれている。
ヒワイ『な、なんじゃこりゃあ!』
ヤイカ『広そうでゲス…とりあえず一つ一つ調べていくしかないでゲス』
チチメン『まぁ待て。ここに何か書いておるわい』
入り口から正面の位置にあった石碑へ、提灯の明かりをかざすチチメンチョウ。
しかし二匹は忠告を待たずに真っ直ぐの道へと入っていってしまった。
『サルハケンデツラヌカレシヒノモトナリ。ヒノデノケンノガワノモノヨ、
アラソイヲヤメテケンヲオキシミチヘススメ。サルトナスアヤマチハバツヘノミチナリ」
碑文を読み上げると、その声を掻き消すかのように二匹の悲鳴が上がった。
戻ってくる二匹は足をさすり、お尻をさすりながらピョンピョンと跳ねている。
ヒワイ『し、下に尖った岩が沢山…』
ヤイカ『あ、危うく串刺しになる所でげしたよ!』
チチメン『正面が危険ということは…。!入り口から左へ直角の道じゃ。行くぞ』
未だに痛みで悶える二匹を引きずって、四匹はその先へと進んで行く。
しばらく歩くと錆付いた扉のある開けた部屋へと出た。扉以外に道は無さそうだ。
チチメン『今度は…トリハサカツボノカタチ。ニゲトブトリハソノフチニカギヲオトス』
ヒワイ『酒壷の形?壷なんて何処にも見当たらないが…?』
ぐるりと部屋を見渡すが、扉以外にこれといった怪しいものも無い。
扉には確かに鍵がかかっており、押しても引いても動く気配さえしない。
チチドリ『壷のフチって上の部分チチよね?…提灯をもっと上に持ち上げて欲しいチチ!』
チチドリが天井限界まで飛ぶと、天井と壁との間にまた別の隙間があった。
その隙間をヤイカガシに肩車されたチチメンチョウの提灯が照らす。
チチドリ『あったチチ!今落とすチチ!』
見つけた鍵を蹴り落とすと、ヒワイドリがキャッチし、扉を開ける。
だが、鍵を開けたヒワイドリが一瞬で黒い影に突き飛ばされる。
戌『タトエアルジガクルエドモ、アダナスヲホロボスガチュウギノイヌナリ。
ホウモツヲヌスマントスルモノハ、イキテハトオサン!』
チチメン『こやつは…骸付きか!厄介なのが残っておったもんじゃわい』
ヒワイ『チチドリ!そこから降りてくるなよ…こいつは危険そうだ』
戌から距離をとって応戦の体勢へ入るヒワイドリ。だが体格差もあり苦戦は免れそうに無い。
皆が緊張する中、一匹ヤイカガシのみがニヤリと笑う。
ヤイカ『戌、でゲスか。クックック…これほど好都合な相手もいないでゲス!そりゃあ!!』
気合を入れると、ヤイカガシの体から妙な色をしたモヤが立ち上る…とんでもない悪臭のモヤが。
煙を吸い込んだ全員がのた打ち回るが、味方への甚大な被害は目に入ってないらしい。
ヤイカ『さぁヒワイドリさん!今のうちに行くでゲス!』
扉の先へと駆け込むヒワイドリは、一目散で奥へと走っていく。半分は臭いから逃れるため、
半分は宝を手に入れるためだ。その先の小さな台座に、未だ輝く銅鏡が鎮座していた。
ヒワイ『こいつか…』
チチメン『おい!ヒワイ、そっちへ行ったぞ!気をつけろ!』
鼻を潰された戌は、闇雲に走り壁へもぶつかりながら突進してくる。
ひらりと避けたヒワイドリは仲間の下へと戻ると扉の鍵を硬く閉ざした。
ヤイカ『その鏡でゲスね!…?これにも何か文字が彫ってあるでゲス』
『タカラニメガクラミ、ヒノモトヲツラヌキサルトウソブキテウメシトキニカガミヲミル。
ワレラノタイジセシイカナオニヨリ、マガマガシキハウチナルオニナリ。
クヤメドモシセシヒノモトモウモドラヌ、ニゲシトリモモウモドラヌ。
シンンジツウツシシカガミコソマコトノタカラナリ。オロカナアヤマチクリカエシテハナラヌ』
ヒワイ『…行くぞ。早めにあいつらに届けてやろう。こいつで大丈夫なはずだ』
四匹は洞穴を出て、鬼ヶ島へと向かった。
…桃太郎の後日談をあまり見ないので、半分仲間割れ扱いでネタ利用しました。
ヒノモト=その時代の鬼子というイメージです。やはり暗い話ばかり思いついてしまう…。
>>187-189 4匹が大活躍…ってほど派手ではないけれど、碑文がいいですね。
やるせなくて、なんだかしみじみしてしまいました。
自分で漢字かな混じり文にしてみたんですが、これで合ってますか?
サルハケンデツラヌカレシヒノモトナリ。ヒノデノケンノガワノモノヨ、
アラソイヲヤメテケンヲオキシミチヘススメ。サルトナスアヤマチハバツヘノミチナリ
申(さる)は剣で貫かれし日の本なり。日の出の剣の側の者よ、
争いをやめて剣を置きし道へ進め。申となす過ちは罰への道なり
トリハサカツボノカタチ。ニゲトブトリハソノフチニカギヲオトス
酉は酒壷の形。逃げ飛ぶ鳥はその縁(ふち)に鍵を落とす
タトエアルジガクルエドモ、アダナスヲホロボスガチュウギノイヌナリ。
ホウモツヲヌスマントスルモノハ、イキテハトオサン!
たとえ主(あるじ)が狂えども、仇なすを滅ぼすが忠義の戌(いぬ)なり。
宝物を盗まんとする者は、生きては通さん!
タカラニメガクラミ、ヒノモトヲツラヌキサルトウソブキテウメシトキニカガミヲミル。
ワレラノタイジセシイカナオニヨリ、マガマガシキハウチナルオニナリ。
クヤメドモシセシヒノモトモウモドラヌ、ニゲシトリモモウモドラヌ。
シンンジツウツシシカガミコソマコトノタカラナリ。オロカナアヤマチクリカエシテハナラヌ
宝に目がくらみ、日の本を貫き申と嘯きて(うそぶきて)埋めし時に鏡を見る。
我らの退治せし如何な鬼より、禍々しきは内なる鬼なり。
悔やめども死せし日の本もう戻らぬ、逃げし酉ももう戻らぬ。
真実写しし鏡こそ真(まこと)の宝なり。愚かな過ち繰り返してはならぬ
>>191 カッコ良すぎる……自分には真似が出来ないな!
一度はやってみたい……そんな文字の羅列……
使って無さそうなので利用させてもらいます。相変わらず鬼子成分が低め……
車で揺さぶられること5時間半。徒歩3時間。
空にはすっかり日が昇り、薄気味悪い森の中は太陽の光のおかげか、幻想的な姿になっていた。
鳴木 「なげぇ……何時になったら着くんだ」
日輪 「暑いよぉ……ムラムラするぅ」
夜烏 「それを言うなら蒸し蒸しするッス」
日輪 「そうとも言う」
鳴木 「なぁ、何時になったら着くんだ狛」
狛 「え?……あと10分位」
鳴木 「それ2時間前に聞いた」
狛 「大丈夫だって……と、話してる内に着いたな」
鳴木 「?」
狛が道の途中で立ち止まる。目線の先にはケモノ道……
いやいや、比較的整備されているコッチの道のほうが楽な気が……
鳴木 「え?ここ?コッチの整備されてる道じゃないの?」
狛 「おいおい。なんで数百年も人に知られずに過ごしてきたと思ってるんだ?」
鳴木 「まぁ、そうだけどさ」
柴 「やっぱアホだな。見た目通りだ」
鳴木 「うるせぇ。日輪をけしかけるぞ」
柴 「へへーん。そうも同じ手にヤラれるほど狗神は甘く……」
日輪 「隙を見つけドッ―ン!」
柴 「う、うわぁあああ」
日輪 「ふふふ、そんなにお姉さんとお話がしたいのかぁ。仕方ないなー」
柴 「や、やめろ馬鹿!抱き着くな!鳴木、止めさせろよ!」
鳴木 「……楽しそうだからいいじゃない。頑張れよ少年……さて、あっちは放っておいて、
狛。コッチのケモノ道の先にはなにかあると思えないんだけど仕掛けか何かでもあるのか?」
柴 「やーめーろーよー」
日輪 「ははは、可愛いやつめ」
鳴木 「ちょっとうるさい。で、どうなの狛?」
狛 「まぁ、見てなって」
狩衣の懐から札を取り出す。なんていうかスゲェ汚い。所々が赤黒く染みになってたり。
血文字か?いやいや、血だなんてそんな事あるわけないよな。はははは……
狛 「血を捧げし者。この地に眠りし扉を開け。契約の札を提示する」
札をケモノ道の空間に貼り付けるよう動作をする。すると、札は空中に止まり札を中心に周辺の景色が歪む。
しばらく、札に吸い込まれるように周辺の景色が歪むのを見ていると一瞬で景色は変化した。
いや、変化したというより取り込まれたと言ったほうがいいだろうか。先ほどとはまるで空気が違う。
いくら山だとしても多少なりとも文明というか空気が淀んでいるものだが、此処は違う。何も感じない。
透き通っている。息を吸い空気を肺に取り込むと、体の悪気を全て吸いだされるような感覚に陥る。
簡単に言葉では表せないが……とても心地が良い。
狛 「それでは、ようこそ。ここが裏の世界。隔離された日本鬼子の世界へ」
日輪 「ひゃっほぉおおおい! 突撃!!隣の箪笥!」
柴 「うわわ、抱き上げるな!」
小日 「ハンニャーが居るのに……止めなければ!」
ヒワイ「あっ、待てよ!」
ヤイカ「箪笥のパンツは渡さない!」
夜烏 「はしゃぎ過ぎっスよぉ……ってパンツは渡さないッス!」
日本 「あっ、待ってくださいよー」
領域に入った途端に、視界の先に見える家に向かって皆が走りだす。
隣の箪笥ってなんだ?というかパンツに執着しすぎだろ守神の二人は。
鳴木 「あんまり走るなって……ん?日本鬼子の世界?鬼子の為の世界?どういう事だ?」
狛 「あー、そういやまだ説明してなかったな。ここはな、歴代の鬼子が隔離される場所なんだ」
鳴木 「歴代の……鬼子?待てよ、鬼子って何人もいるのか?」
狛 「それは――」
チチメ「そこからは初代から仕えていた私が説明しよう」
狛 「勝手に会話に……」
チチメ「落ち着けよ狛。私のほうが先代に長く仕えてたんだ。問題はあるまい」
狛 「ぐっ……」
チチメ「では、説明をしようか。はじめに陽介、昔から鬼っていうのはどういう扱いを受けてきたと思う?」
鳴木 「えっ?そりゃあ悪いモノ。人間に取っては敵として認識されてることの方が多いと思うけど?」
チチメ「そうだよな。じゃあ、その鬼が見え会話が出来る唯一の人間を普通の人間が見たらどうなる?
もちろん鬼の姿は普通の人間には見えていない」
鳴木 「おかしな奴とされるか、そういうモノが信じられてる場所なら危険人物として……あっ」
チチメ「おっ、分かったようだな」
鳴木 「大体は」
チチメ「大体で構わないさ。つまり、此処は鬼と会話でき、それらの類を使役できると思われた人間が
初めに隔離された場所なんだ。もちろん、鬼を使役なんて出来るはずなんてないんだが彼女は
隔離される事を受け入れた。条件を提示してね」
鳴木 「条件?」
チチメ「一つは、人が足を踏み入れることが出来ない土地であること。もう一つは、鬼達の安全の保証と出入りの自由」
鳴木 「保証?待て待て待て。鬼を見えない相手に保証なんて居るのか?ましてや、鬼は殺すことはできないぞ?」
チチメ「時代が時代だ。そういう類のモノを使役して、呪いや道具に使ってる奴なんていくらでもいた。その為さ。
それに、鬼は殺すことは出来る。生まれた年も分からぬ名もなき刀匠が打った6本の刀。一つは小日本が
持っている縁を斬ったり繋げたり出来る恋神の刀。もう一つは鬼子が持っている鬼斬りの薙刀。
そして最後に、あの家に保管してある鬼殺しの刀だ。残りは行方が分からない」
鳴木 「なんだそのビックリドッキリな刀剣類は。というか初代は何処行ったんだよ」
チチメ「ついでに銘を言うとだな。小日本の刀は緒結で、鬼子のが鬼斬、そして最後のが鬼虚」
鳴木 「聞いてねぇ……」
チチメ「ん、あぁ。初代ね初代。彼女は死んだよ。というか殺されたって言うのが妥当かな」
鳴木 「殺されたって誰に?」
チチメ「人間……と我ら鬼」
鳴木 「隔離してたのにか?」
ちょっと訳がわからない。隔離したんだったら殺さなくたって、ずっと隔離しておけば良い話だ。
例え、鬼の出入りが自由だとしてもその人自身は外に出れないから意味が無いのでは?
チチメ「これがな、色々と厄介なんだよ。あっ、ついでに言うと隔離された初代ってのが皆が言う婆さんな。覚えとけ」
鳴木 「いや、大体予想は付いてたから言わなくても良かったんだが」
チチメ「あっそ。じゃあ、話を続けるけど……」
狛 「……長くなりそうだな。じゃあ、俺は先に家に行ってる。ハンニャーにも説明しないとならないしな。はぁ……」
チチメ「あぁ、頼む。で、話は戻るが、ここを隔離したときの条件に入ってた鬼の出入り自由っていうのが問題だったんだ。
もちろん、彼女自身は悪いことを考えてた訳でもなんでもない。ただ、喋り相手が欲しかっただけだ。
でもまぁ、色々とタイミングが良く起こるんだなこれが。彼女を隔離してから6年後、疫病が蔓延したんだ」
鳴木 「んぁ?疫病が蔓延した?それと殺されるのに何の関係があるんだよ」
チチメ「当時はそういうのが流行ってたって言ったろ?一つの嘘が知れ渡れば、今みたいに知識がある奴だけではないんだ。
その声が大きくなると統治している奴は保身の為か、民衆の言うことを聞く。知れ渡った嘘は……彼女が
病を広めたってことだ」
鳴木 「なんだそれ?勝手じゃないか」
チチメ「まぁ、そうなんだがな。だが、全員が全員そうじゃない。ある二人の男がそれを否定した。といっても、彼女を
この場所に隔離し、術を施した男達なんだがな。だが、彼らの申し出は受け入れられなかった。それどころか
申し出た事により更に彼女の処刑を求める声が多くなった。片割れの男が彼女と密会していたことがバレたからだ」
鳴木 「ん?隔離した男達には見えないのか?なんか変な術が使えるんだろ?」
チチメ「見えるんだがな、彼らはそれを代々、仕事にしてい人達だ。なのに只の民家の娘が見えるようになった。
だから、危険視した上の奴らは彼女を隔離したってことさ。必要以上に民衆の不安を煽る奴は要らないからな。
……まぁ、ということで。なんやかんやあって結局は男達の奮闘もむなしく彼女は処刑されたってことでこの話は終わりということで」
鳴木 「あれ?今、色々とハショったよね?というか凄い大事な部分もハショッてるよね!?」
チチメ「正直、喋るのがめんどくせぇ。というか立ってるのしんどい。特大の乳プリンを持って来い。そうしたら話をしてやる」
鳴木 「そんなの知らな――」
?? 「こんな所でなぁにしてるのさ」
鳴木 「あでっ!?」
背中に何かが突き刺さると思ったら今度は何かが、背中をよじ登って肩から顔を覗かせる。
猫だ。白い毛のちょっと貫禄のある猫。しかも喋ってる。
チチメ「げぇっ!ハンニャ―!」
ハンニ「なにが、げぇっ!だよ。ろくに連絡もしないでこっちに来るなんてさ。いい度胸じゃないの」
チチメ「はっ、なにが連絡だ。そっちが勝手にだな……」
鳴木 「いや、もう喧嘩とかいいから。あと肩の猫。首が痛い」
ハンニ「ちょっと位、我慢しな。男だろアンタは」
鳴木 「いでぇ!?」
ほっぺたを引っ掻かれる。あぁ、爪がいてぇ……
ハンニ「それにしてもこんな所で話してないで家に来なよ。アンタが鬼子を助けてくれたんだろ?一杯しながらさ」
鳴木 「えっ?いや、助けたというか何というか……」
ハンニ「どうでもいいさね。取りあえず家に向かいな。昔話もそこでしてやるからさ。もちろん、一杯付き合ってくれたらだけどね」
鳴木 「まぁ、それはけど……」
チチメ「やめとけ陽介。そいつは酒癖ぐぁ!」
チチメンの顔面に向かってハンニャ―と呼ばれる猫が跳びかかってダブル猫パンチを食らわせる。
K.O!って奴だな。顔に飛びかかられただけで気絶しちまったよ。まぁ、鳥だからな。仕方ないか。
ハンニ「ほら、坊主。さっさと歩きな。せっかくの熱燗が温くなっちまうよ」
鳴木 「こんな時間から熱燗かよっ!」
ハンニ「人の勝手さね」
昔話はしてもらえることになったが……昼間っから酒に付き合わされるのかよ。不健康だ。
いや、不健康生活を送ってきた俺が言うのもなんだが……なんだかなぁ……
というわけで、次からは過去の話に突入です。色々と、謎を解決して行ったり行かなかったり……
ということを鬼子視点で。ていうか前回に引き続き、鬼子の出番がねぇ……
まぁ、次回からしばらくは鬼子視点で行きたいと思っておりますゆえ、何卒許して下さいまし。
あっ、名前の表示の仕方を変えていただきました。少しは見やすくなったでしょうか?相変わらず台詞ばっかですが。
>>190 まだまだ甘いんです…このレベルではエストポリス伝記2には叶わない…。
>>191 はい、それで合っていますよ!わざわざ訳をして頂き、有難うございます。
鬼を巡る話は、基本悲劇になっていそうだと、自分の勝手なイメージが作用してます。
>>192 結構簡単ですよ〜。堅苦しい表現を選んで、読みにくい片仮名のみへ変えただけです。
鬼子のために用意された空間か…自分が書いたら随分悲惨な拷問器具さえ並ぶ部屋になりそう。
>>193-196 異世界の清浄な空気を吸ってみたくなりました。
そしてチチメンの語りに思わず引き込まれてしまいましたとさ。
鬼子は自分の立場をどんな風に認識して、どんな風に思ってるんでしょうね。
3文字作戦いいですね!
人数が少なくなったこともあり、かなり読みやすいです。おつかれさまです。
休載週なので、project-light-way_conf.txtを作って遊ぶ。
よっぽど、.confにしてやろうかと思ったが、何かしらクラッシュされてもかなわないので止めた。
「作中で追々」というスタイルなので迷ったが、少し公開してみる。
氏名:大和勇子
種族:鬼
年齢:16→18(11月・・・何日生まれだっけ。"→"は作中の変動予定)
身長:169→173
体重:鬼だから結構重い。
BWH:公式ではCだが、なりがでかいので貧乳ぎみに見えるかも。
身分:高校生女子。「優良生徒」。当代日本鬼子(一応「大都督\日本全州\諸鬼事」という官印?がある)。大和本家当主(こっちは「都督\坂東八州\諸鬼事」)。主婦。
経歴:中等部から高等部2年B組→3ーB。高等部進学と同時期に、先代の強引な推しで日本鬼子襲名。
本成封紋:楓一葉かなと思うが、まあ、かわいいのを募集中。
占名裏字:兇
武器:主に薙刀を使う。由来から「ぎなた」と呼んでたが、鬼子襲名にともない現在の呼び名は「鬼斬」。鉄柄に楓紋の金象嵌。他に大小と弓を持つが、実戦で使うことは少ない。
戦闘スタイル:家の傾向で、攻撃術はあまり使わず、また間合いを近めにとり、刺突を多用。
見た目:清楚系美少女。人形時は髪を白リボンで1本にまとめている。少しだけ結わえてから全体をまとめるので、生成で髪が弾けたあともリボンが後ろ頭に残る。
要約:物静か武辺娘+ときどきいろいろ
通常タグ:
見た目・身体;清楚、地味、微笑、黒髪、長髪、リボン、貧乳、さらし、高身長、細マッチョ、腹筋、剛力、剛腕、怪力、健康、
和風、振袖、木履、楓、薙刀、鉄柄、金象嵌、火眼金睛、呪符、ねこ、制服、アームバンド、トレーナー、Tシャツ、運動靴
挙動・態度;武辺、物静か、落ち着き、冷静、沈着、静謐、控え目、激情、果断、無言実行、無頓着、強引、強情、暴虎馮河、無鉄砲、いきなり、無造作
嗜好;食欲旺盛、大食い、和食、精進料理、米、おにぎり、高圧縮おにぎり、甘味、お茶、動物、かわいい物、旧市街、文系
習慣・習性;昼寝、主婦、おかん、早寝早起き、反省、努力、精進、修練、稽古、生真面目、丁寧、深慮、反復、
旧家、寺院、礼儀、礼節、家族思い、義理堅い、正義感、責任感、重圧、不器用、健全
本人メッセージ:「えっ、はあ・・・・・・よろしくお願いいたします。」
タグは、思いついた言葉を並べただけだから、わりと適当。
↓200オメ
>>199 panneauさん、詳細な自己設定を晒してくれてありがとです。
SS読みながらの妄想補助にワクテカします。
ただ、あまりにも細分化されすぎていて、書き分けられて同時に整合性を表現できるのか
チョット心配しちゃいます。
此処まで細かく晒しちゃうと、
表現上、ツッコミしたがるネガさんに言いがかりの足がかりを与えちゃわ無いかと心配になります。
例(トレーナー・運動靴→落ち着き・控えめ→礼儀・礼節
と、(細マッチョ・剛力→Tシャツ→激情・強引→大食い→修練・稽古→不器用
なルート分岐的なまるで別な印象キャラの想像余地を設定上で想定しているわけで・・・
ただ、期待していますので、頑張ってください!
>>199 学園物鬼子…ギャグに恋愛、通常ライバルに敵ライバルと色々盛れますよね。
どう書けば上手く回るか、全然解らないので羨ましい…。
誰も使ってない内に、残りを第二部接続の前フリ(以前本スレ投下)以外落としておきます。
途中でストップするかもしれないけれど、一応チマチマ書き溜めてきたので、
恐らく異常に時間かかる事にはならないはず…。他の用事で出払ったりしなければ、ですが。
あと…音麻呂さん、本当にごめんなさい。私が突然中抜けしたせいで、
今もマップ作る方が見つかってないんですよね。前と変わらずド下手でも大丈夫なら、
九月以降頃には多少集中してPC触れる状況にはなります。細々とになるかもしれませんが、
その時に何らかのお手伝いをさせて頂けますと幸いです。本当に申し訳ございません。
けれども技術面含めて、一刻も早くマップデザインの方が見つかる事を願っております。
田中『鬼子ちゃんのお父さんって、どんな人なの?』
ハンニャー『とても優しい人よ。ちょっと優しすぎる位…』
車窓から山間の村を見つめる鬼子。その表情はどこか陰りを見せている。
鬼子『あの…私、本当に帰ってきて良かったんでしょうか?』
ハンニャー『良いに決まっているでしょう。さ…降りましょう』
第二十一話:日本家の守る物
坂道を登っていくと、小学校や病院が見えてきた。
田中『鬼子ちゃんもこの学校に通っていたの?』
鬼子『はい、ちょっとの間でしたけれど…』
田中『じゃあ家もこの近くに?』
ハンニャー『その先にある病院よ。…もう、随分古びれちゃってるけど』
学校を覗き込む鬼子の顔が、とても寂しげでそれ以上聞くのをやめてしまった。
いっつも絵ばかり描いて、クラスでも浮いてしまう。でも、自分には角なんて無い。
もし鬼子ちゃんが学校に通っていたら、普通に過ごせたか?予想は簡単に出来た事だった。
鬼子『着きましたね…父は元気にしているでしょうか?』
恐る恐るインターホンに指を伸ばす鬼子を遮り、若般が躊躇い無く押す。
ハンニャー『迷っていても仕様がないでしょう?大丈夫、大丈夫よ』
ポーン、と無機質な音が鳴り響くと、どこか疲れた風な男の声が聞こえてきた。
父『はい…どちらさまでしょうか?もしご診察でしたら、表の診療所入り口から…』
鬼子『私です!お父さん、鬼子です!』
マイク越しに聞いた数年ぶりの娘の声に、父は物音を立てながら玄関へ駆け寄る。
開いた扉の先には、大きく美しく成長した娘が待っていた。
父『おお…良く無事帰ってきたな…綺麗になって…見違えたよ。こちらのお嬢さんは?』
田中『田中匠と申します。初めまして…鬼子ちゃんとは最近友達になったばかりで…』
父『そうですか、鬼子に友達が…有難うございます。!!若般、お前も一緒だったか!』
ハンニャー『申し訳ございません、旦那様!!私が間違っておりました!!』
深々と頭を下げ、そのまま土下座しそうな若般を止め、父は中へ招き入れた。
父『あれから、本家の人間が何度も来たよ。「鬼子と鬼斬はどこだ!」とな』
ハンニャー『申し訳ございません、足が着くと思い今まで連絡をしておりませんでした。
現在まで旧書庫のある街で隠れ過ごしています。鬼子も仕事等も見つけ…』
ポツポツと、道引鬼を封じてからの事を若般が報告し始めた。本家へ戻ってからの事を…。
???『なんと…では時既に遅く、鬼に取り憑かれてしまったというのか!』
ハンニャー『はい、申し訳ございません。ですが表に出ない様、面と呪符にて封印は致しております』
??『ですが、それらは一時的な物。いつか感情が抑制できなくなる時、解かれてしまうでしょう』
????『そうなっては以前の二の舞じゃ。またこの家も人の世も、鬼に襲われる事になりかねんじゃろう』
ハンニャー『私が責任を持って鬼祓いの指導と封印を行います。どうかご容赦を…』
???『鬼が既におるとならば、精神鍛錬の指導役も付けられんぞ?猫風情が全て出来るのか?』
??『ならばいっそ、仲間の血で染まる前に、楽にしてやるのも優しさとは思わんか?』
数日に渡る議論の中、異例の若さで鬼に憑かれた鬼子の処遇は悪い方にしか傾かない。
…雨が降り出したその日、若般は「鬼斬」を持ち、鬼子を背に屋敷を飛び出した。
犬?『おい…何処へ行くんだ?私達はあの家に仕えるのが使命だろう?』
ハンニャー『お願い、見逃して。あの人達は保身のためにこの子を始末するつもりだわ』
ライトの明かりが、すぐ近くを照らす。犬も含めた追っ手が迫ってきているのだろう。
犬?『…雨が激しくなってきたな。これじゃあ自慢の鼻も効かないかもな』
ハンニャー『あなたは…一緒に来ないの?数世代前に鬼子が私達を拾ってくれたのに…』
犬?『鬼子を、守るため必要な物はあの家に揃っている。家を守るのも、鬼子を守る事に繋がるよ』
ハンニャー『不思議ね…猫は家に付き、犬は人に付くって言うんだけど…じゃあ、さよなら』
父『私の、鬼子を人として大切にして欲しい想いを汲んでくれたんですね。ありがとう』
鬼子『父さん、若般さん、私のせいで色々とご迷惑をかけてしまってごめんなさい』
父『気にすることは無いよ。こうして無事でいてくれて何よりだ。
田中さん、これからも鬼子と仲良くしてやって下さい』
田中『はい!あの…結構鬼子ちゃんを振り回してばかりですけど、これからも宜しくお願いします』
ハンニャー『旦那様、魔祓いの儀式に鬼子のへその緒が必要なのですが頂けますでしょうか?』
父『あぁ、すぐに用意しよう。鬼子、どんなに辛くともこうして支えてくれる人がいる。
その事を忘れるんじゃないぞ。もちろん私もその一人だし、これからも増えるだろうよ』
鬼子『お父さん…有難うございます。私、頑張ります!』
二人は固く抱き合い、出発を惜しんだ。
ハンニャー『じゃあ…行きましょうか』
鬼子『はい、早く鬼を退治して皆様へご迷惑をかけない様に致します』
父『鬼子、またいつでも帰ってきなさい。お前の家はここにあるのだから』
深々とお辞儀をする鬼子に戸惑いながら、父は皆を見送った。
第二十二話:さよならじゃなくて…。
ハンニャー『田中さん、あなたはここで帰りなさい』
田中『え?…なんで?私も鬼ヶ島に行ってみたいんだけど?』
ハンニャー『前に説明した時、あなたもいたでしょう?危険なのよ、帰りなさい』
鬼子『私からもお願い致します。みなさんをお守り出来るか自信がなくて…』
小日本『へへへ…田中はお留守番だね〜』
田中『しょうがないか…せめて見送りはさせてね』
電車に揺られながら、ジッと不安げに景色を見つめる鬼子。
ハンニャー『そんなに心配そうな顔をしないの。大丈夫よ、成功するわ』
鬼子『もし、私が上手く退治できなければ…どうなるんですか?』
ハンニャー『…万が一、散らす事が出来なかった時のために、鬼門もある鬼ヶ島でやるのよ』
田中『「鬼門」って何なんですか?丑寅の方角?』
ハンニャー『鬼門は人の世と鬼の世を繋ぐ入り口よ。もし祓えなかったとしても、
その奥へと押しやればそれだけで十分。鬼子の体からは追い出せるから…』
鬼子『じゃあ、道引鬼もそこを通って人の世へ?』
ハンニャー『恐らく…ね。人の世で産まれる鬼は数多あれど、ここが行き易い場所と限らない。
鬼の世へ移る者も、何らかの目的で人の世に出る鬼もいるわ』
小日本『あぁ!!大きい川だぁ!』
はしゃぐ小日本の視線の先には、海が見えてきていた。
田中『うわ…船が来るまで結構時間あるよ…』
小日本『よし!田中、川で遊ぶぞ〜!ついて来〜い!』
田中『そりゃあ海だよ〜。まぁ良いか』
ハンニャー『そういえばあの変態ども上手くやっているかしら?』
鬼子『私のせいでみんなにご苦労ばかりかけて…本当に申し訳ないです』
ハンニャー『本家での事は申し訳なかったけれど、私は一緒に過ごせて楽しかったわよ?
今までにも何人もの鬼子と過ごしたけれど、あなたはまるで自分の子を育ててるみたいで…』
鬼子『私で「鬼子」として産まれる者は最後になるでしょうか?
ハンニャー『わからないわ。本当に血が薄まり果てる事で終わるのかも含めてね…』
田中『おーい!鬼子ちゃんもこっちにきなよ!』
小日本『ねねさま〜。やどかり捕まえた〜!可愛いよ〜』
ハンニャー『あなたは色々迷惑かけたと気にしてるけど、少なくとも小日本は違いそうよ?』
鬼子『はい、あの子のためにも頑張ります』
海に出て共に遊んでいると、かなりの速度で船が戻ってきた。波飛沫が鬼子達にもかかる。
船長『途中で変な集団に会ってね…気味が悪いから慌てて逃げてきたんだ、ごめんよお客さんかい?』
鬼子『はい、お願いします。それじゃあ田中さん…さようなら。良ければ旅館の荷物を片付けておいて』
田中『バカ!さよならじゃないでしょ!また会うのよ?自分でやんなさい!じゃあ…またね!』
船は三人を乗せて出向した。大きく手を振る田中さんに応える鬼子。船は途中小船の横を通る。
チチドリ『あ!またさっきの船チチ!ヤイカガシ、全速で波を避けるチチ!』
ヤイカ『むちゃでゲスよ!三人も乗せた船を引っ張る苦労をわかって欲しいでゲス!』
チチメン『やはりちゃんと船へ忍び込んだ方が良かったかのう…』
ヒワイ『やや!あそこに乗っているのは鬼子ではないか!ヤイカ、急げ!』
ヤイカ『ひ、酷いでゲス〜!誰か代わって欲しいでゲス〜!』
>>204 ×ここが行き易い場所
○ここが生き易い場所
です。間違えました…。
ハンニャー『着いたわね…ここにあるはずなんだけど…』
鬼子『あの…チラホラと心の鬼の気配がしますが大丈夫なんですか?』
ハンニャー『相手にしないほうが良いわよ?ここには憑かれた人が何人も流れ着き暮らしているから…』
鬼子『心の鬼を退治される事を望んでいない、という事ですか?』
ハンニャー『変わり者と蔑まれ、それでも暮らせる場所が見つかった人は今更一般人に戻りたくない、
だから、良かれと思って祓うと逆恨みされて追い回されるわよ』
ヒワイ『ちょっと待てや〜!俺達を忘れていやしないか!」
第二十三話:月下の祈り
小日本『あぁ〜!ヤイカちゃん達だぁ!お疲れ様〜』
ヤイカ『ひ、酷い目にあったでゲス。もう休みたいでゲス』
チチドリ『小日本ちゃん、その服の中で休ませて欲しいチチ…』
ハンニャー『変態は休み休み言ってね…それで、例の物は無事手に入ったの?』
チチメン『ほれ、こいつじゃろう?違ってたらさすがに知らないがな』
手渡された鏡を念入りに確かめる若般。ちらりと鬼子にも向け、何が映るか覗き込む。
ハンニャー『確かにこれね。ありがとう、助かったわ』
ヒワイ『さて、ではお礼にその乳を揉ませて貰おうか…』
近づいてきたヒワイドリの顔は爪で縦に引き裂かれた。
…ちょっと途中ですが、風呂や飯で一度離れます。
続きを書きます。
チチメン『な、何てことをするんじゃ!せっかく手伝ってやったというのに…』
ハンニャー『その手伝って貰った理由は、これから大事な儀式をするためなのよ。
あんまり気を散らさないで貰えるかしら?』
ヒワイドリの悲鳴や騒ぎを聞きつけ、周囲に島民が集まってくる。
島民『お前さん達、この島に何をしに来たんだ?』
ハンニャー『…いえ、ちょっとした観光ですわ』
ヒワイ『何を言っておるんだ?私達は鬼を退治するために準備してきたのではなかったか?』
その声にどよめき、目の光を強くする島民達。
ハンニャー『このバカ…空気ってもんを読みなさいよ…』
島民『この島の名前を知らない訳ではあるめぇ?他所モンが荒らそうってんなら…』
ジリジリと間合いを詰め、銛を構えて威嚇してくる島民…その前に鬼子が立ちはだかった。
鬼子『皆様、申し訳ございません。実は私もこの様な者でございます』
はらりと角隠しの帽子を落とし、その正体を現すと島民達は平伏した。
島民『おぉ…本物の鬼様じゃ!生きて姿を拝めるとは…有難や、有難や』
鬼子『どうか私の修行のため、一時この地をお貸し頂けませぬでしょうか?』
島民『えぇですとも、えぇですとも。何処でもお使い下さいませ』
ハンニャー『あの…「月見のウロ」はこの島のどこにあるのでしょうか?』
島民『それなら岬の方にあります。どれ…案内致しましょう』
鬼子に近づいた若般が囁く。『上手くやったわね…これで何とかなるわ』
案内された場所は、切り株の様な形の山に開いた洞窟だった。
島民『ここは月夜に人が消えたり、物の怪が現れるという場所、
要らぬ心配と思いますが、ゆめゆめお気をつけ下さいませ』
案内してきた島民が帰るのを見計らって、若般が準備を始める。
ハンニャー『月明かりが入る頃には鬼門も開くはずだから、それまでに準備を終えましょう』
奥には大きな池があり、天井は崩れ外から光が入り込んでいる。
ハンニャー『へその緒はこの池と鏡の間に置いて!』
転がっていた鏡台を手に持ち、テキパキと指示を出していく若般。
鬼子『あの…私はどこに立てば良いですか?』
ハンニャー『鬼子は鏡とへその緒の間に立って頂戴…小日本、何をやっているの?』
小日本『私もねねさまと一緒が良い!これならねねさまも怖くないでしょ?』
ハンニャー『気持ちは有難いけれど、どいておいて貰えるかしら?あと、鬼子は鏡を見ないでね!』
鬼子『え?何故ですか?』
チラリと覗いてしまった先には、自分だけでなく憎き道引鬼も映っていた。
ハッとしてすぐにへその緒へ向き合う鬼子。だが先ほど見た中で何か違和感を感じながら…。
ハンニャー『あとは月が出るのを待つだけよ…』
明かりを消し、闇が包む中、徐々に壁を月光が照らし始める。
その光が池にまで達した時に、鬼子の体とへその緒も淡く光を帯び始めた。
鬼子『え…嘘?』
目の前で光を浴びたへその緒が、醜く変容していく。だが…途中でそれは二つに割れた。
一つは道引鬼に、もう一つは…先ほど鏡の奥にチラリと見えた別の影に。
道引鬼『愚かなり!日本家の雌猫!愚かなり!当代鬼子!中に潜むもう一匹の鬼に気づかず、
我々に力を与えてしまうとは!全く、嬉しい誤算をしてくれるわ!!』
初期プロット(+敵組織)の最終話、ようやくここまで来ました…。
もう一匹の鬼をどんなのにするか迷って、結局有名作品のこいつを参考にしました。
ドビー:
http://www.youtube.com/watch?v=PGP3upvjiGk 鬼子の中より現れた鬼は…二匹。一匹は道引鬼、もう一匹は西洋民話に出てくる醜い小鬼の様だ。
道引鬼『愚かなり!日本家の雌猫!愚かなり!当代鬼子!中に潜むもう一匹の鬼に気づかず、
我々に力を与えてしまうとは!全く、嬉しい誤算をしてくれるわ!!』
ハンニャー『鬼子!気圧されては駄目よ!今の内にあいつを祓って!』
鬼子『は、はい!』
鬼斬を構え、いざ飛び掛ろうとした鬼子だが、ガクンと膝を着いてしまう。
まだ何も触られていないのに、頭から血が流れる。何をされたかも解らない。
第二十四話:弱さと向き合う先に
???『私さえいなければ…私のせいで…消えてなくなればいい…』
もう一匹の鬼はブツブツと暗い事を言いながら、壁に頭を打ち付けていた。
道引鬼『くくく…こやつは「自責鬼」。どうやらお前より産まれたゆえ、まだ繋がっている様だな』
大きく腕を伸ばし、更に痛めつけようとするが、寸前でハンニャーが確保する。
ハンニャー『鬼子!あなたは道引鬼に集中して!こいつは私達が引き受けるから!』
ヒワイ『何をやっとるんだ…鬼子、お前はこんな事ばかり考えておったというのか?』
小日本『ねねさまはこんなに弱くないもん!いつも私達を助けてくれるんだもん!』
ヤイカ『あっしみたいなヘンテコ、受け入れてくれるのは鬼子さん達位でゲスよ』
自責鬼が何度も頭を打ち付けるのを、皆で羽交い絞めにして止める。
チチドリ『今の内に早く!こいつを祓うチチ!』
チチメン『…下らぬ真似を!結局、こやつもお前が作り出した鬼じゃろう、のう道引鬼よ!』
道引鬼『あぁ?馬鹿な事を言う奴もおったもんだわい。こやつは人の世が産み出したもんだろうが!
人の世で異形の者は受け入れられぬ…蔑まれ、追いやられ、迫害されるが定め!
大人しく我ら鬼の世界へと送り出せば良いものを…苦しめたのは人間達だろうが!』
田中『バカにしないでよ!!そりゃあ他人と違ってたら避ける人は多いよ?
でも、だからこそ理解し合える人が嬉しいんじゃん…迷惑のかけあいでも嬉しいんじゃん…』
そこに居ないはずの友の大声で、顔を上げる鬼子。ふら付く足にも力が入る。
鬼子『ここに来ちゃ駄目!もうこれ以上私のせいで誰か傷ついたら…私…』
田中『鬼子ちゃんもバカよ!友達の応援に来て何がいけないっていうの?
誰が傷ついたら鬼子ちゃんのせいにするの?みんな助けたいのは同じなのが解らないの!?』
一斉に全員が頷き、負けるな、大丈夫、信じてる、鬼子へ励ましの言葉をかける。
力を取り戻した鬼子は、道引鬼ではなくまず自責鬼の元へと足を進めた。
鬼子『ごめんね…みんな。ありがとう、みんな。私が最初に決着をつけるのは自分の心だよね』
祓い終えると鬼子は、紅葉を散らし角が伸び、中成となって道引鬼へと対峙する。
道引鬼『ちぃ…だが学習はしていない様子だな。浄化まではされてない鬼の散り際は餌にしかならん!』
大きく息を吸い込み、自責鬼の残骸を取り込んで道引鬼はますます大きくなる。
鬼子『だからなんだというのか!お前も今すぐ散るが良い!』
力強く鬼斬を振り下ろし、切り裂くが簡単には散り消えない。
長く生きた鬼の成す技なのか、鬼子の霊力を持った体を得たからなのかは解らない。
道引鬼『こんな程度の実力で私を散らすだと?弱小鬼と一緒にするなよ!』
膨れた腕で鬼子を掴むと、そのまま壁へと叩きつけた。衝撃で力が抜ける鬼子。
だがすぐに体勢を立て直して鬼斬りを握り直す鬼子。しかしもう一度道引鬼が全身を掴む。
道引鬼『さぁ、鬼の世へ向かおうか。あの先は貴様にとって楽園だぞ…』
片腕で渦を巻き始めた池を、無理やり押し広げると、そこに闇の穴が大きく開いていた。
ハンニャーやヒワイドリが呪符などで攻撃するが、ほとんど意に介さない。
鬼子『負けない…私は人の世で生きていくわ!お前の好きな様になどさせるものか!』
手の中で鬼斬を引き降ろし、指を切り刻むと滑り落ち、もう一度距離を取る。
もう一度掴もうとする道引鬼の前に、小日本が割り込んでいた。
小日本『これ以上…ねねさまを傷付けたら許さないんだから!』
今までには抜けていなかった緒結を、カタカタと震えながらも構える小日本。
その刀で鬼子と道引鬼の間へ振り下ろすと、空間に亀裂が走った。
道引鬼『???何をやっている?刀は届いてもおらぬわ…!ハハハハハッ!』
しかし…もう一度鬼子をつかみかけた手は「バチッ」と散った火花で弾かれる。
ハンニャー『…縁切りの力!今よ、鬼子!そいつを鬼門へ押し返して!』
道引鬼『縁切り刀だと?結界を張るほどとは…クソッ…』
鬼子『いざ、散り消えよ!禍々しき悪鬼よ!』
ヒワイ達が足を掬い上げてバランスを崩し、若般が呪符で動きを鈍らせる。
鬼斬の一閃が道引鬼を突き飛ばすと、鬼門の奥へ道引鬼が呑まれていく。
道引鬼『まさか、ここまで来てやられるとは…だが鬼子よ、母の仇を討ちたいと思わんか?』
怒りに満ちた目で道引鬼を睨み、後を追いかけた鬼子を止めたのは若般だった。
ハンニャー『挑発に乗っては駄目よ、鬼子。あいつの狙いは最初から向こうへ引きずり込む事なんだから』
月明かりが薄れていくと、ゆっくりと鬼門は閉じ、多少広がったが元の池へと戻っていく。
田中『ごめんね、鬼子ちゃん。勝手についてきて。もう、大丈夫なんだよね?』
鬼子『はい!有難うございます。もう二度と自身の心にも負けません!』
ハンニャー『さぁ、今日は宴会よ!あんた達にもちゃんと胸を触らせてあげても良いわよ?』
ヒワイ『ええい品の無い女め!恥らう所を触ってこその乳だというのに…全く…』
チチメン『わしはあの女将の豊満な乳がええのう。大丈夫じゃろうか…』
チチドリ『あの…小日本ちゃん、申し訳ないけど、その胸を私にも触らせて欲しいチチ!』
小日本『私みたいな小さい子の胸を触って嬉しいの?チチドリちゃんって変なの〜』
ヤイカ『何でも良いから流石に休みたいでゲス。煮えない程度にゆっくり温泉に入りたいでゲス…』
一同はようやくの笑顔に包まれながら、鬼ヶ島から日常への帰路に着いた。
実は、211内の
道引鬼『さぁ、鬼の世へ向かおうか。あの先は貴様にとって楽園だぞ…』
この台詞は、
道引鬼『さぁ、共に鬼の世へ行くぞ!これで天魔党の悲願に一歩近づく…』
で差し替えでも考えておりました。ここから連続していくなら後者で。
しかし、それで入れてしまうとまた続きを書きたくなるので、政策裏話程度で…。
長きに渡って皆様のお目汚し、大変失礼致しました。今回の投下前にも書きましたが、
次に戻ってくるとしたら文章書くとしても9月以降になりそうです。皆様のご活躍を祈りつつ、
これにてしばしのお暇をさせて頂きます。どうも有難うございました。失礼します。
>>199 これは助かる。語られてない部分が補間されるのでいい感じ。
オイラもこんな事ができたらいいんだが……何レス使うのか分からないから出来ないww
次回からはコレを踏まえてみると世界観がかなり広まりそうです。
>>202-213 長い間お疲れさまでした。道引鬼との戦いが熱かったです。
戻ってくることを願ってます。
……ちょいと続きというか過去編突入を投下させてもらいます。
縁側に強制的に座らされながら、恐らく一番の古株であるハンニャーと呼ばれる化猫を待つ。
それには理由があって、鬼子についての昔話……つまり狛とかがたまに口に出す”婆さん”について知ろうという訳。
どうやら鬼子の記憶喪失には婆さんなる人物の事が多少ではあるが絡んでおり、欠片を見つけるのに手掛かりになればと思ったからだ。
記憶喰の分裂期間は1週間。だけど、どうやらそれもあまり心配する必要は無いらしいと狛が言っていた。
今はとりあえず、狛の言うことを信用して、のんびりとは行かないが調査することにした。
ハンニ「なぁに難しい顔してるのさ」
鳴木 「あつぅ!?」
ハンニ「出来立だからねぇ……ほれ、熱燗」
熱燗の入った容器をほっぺたに軽く当てられる。出来立って、結構熱いんだぞこの野郎!
当てられた部位を手で押さえていると、お猪口を渡される。というか人の姿かよ。猫の姿で居ろよ。猫好きなんだからさ。
ババアの胸見たって興奮しないんだからね!嘘だけど!!
ハンニ「飲むんだろ?」
鳴木 「あっ、ども」
ハンニ「まぁ、昔話だからね。ちびちびと飲みながら聞いてくれたら良いからさ」
鳴木 「あぁ……そうする」
ハンニ「さてと、話はかなり昔まで遡るよ。確か問題が起き始めたのは鬼子が初めて婆さんの言い付けを破った時からだね」
――ほんの昔のお話(視点変更。NEXT...鬼子)
鬼子 「はぁ……はぁ……」
月明かりが照らす山の中を私は必死で走っている。唯一、皆がくれたお面を大事に抱えながら。
後ろからは大勢の人が松明を持って追いかけてきている。私を捕まえるために。
どうして、私は言いつけを守らなかったのだろう。婆様だってちゃんと言っていたはずだ。
彼らは守る対象ではあっても、友人になれる対象ではない。彼らは私たちを憎んでいると。
村人A「見つけたぞぉ!」
村人B「追い込めぇ!捕まえれば手柄だぞ!」
村人C「手柄はオラのもんだ!」
見つかってしまった。もっと早く走って……逃げなくちゃ!
鬼子 「あっ……あぅ!?」
走りだした途端、木の根に足を取られ盛大にコケてしまう。
どうやら、今ので脚を痛めたみたいだ。立ち上がろうとすると右膝に強烈な痛みが走る。
村人B「コッチだ!こっちで声がしたんだ!」
鬼子 「あっ……」
見つかったと思った瞬間、グイっと腕を引っ張られ獣道に無理矢理連れ込まれる。
?? 「たくっ……これだから世間知らずのお姫様は嫌なんだ」
鬼子 「こ、狛!」
狛 「頼むから面倒事は増やさないでくれ。さぁ、帰るぞ」
鬼子 「やだっ!帰らない!」
狛 「っ……無理矢理にでも連れて帰る」
鬼子 「やだ!」
狛 「鬼子……悪いな」
鬼子 「わわっ!?」
ぐいっと抱えられ、肩に乗せられる。まるで大工さんが材木を運ぶ時みたいに。
鬼子 「離してよ!」
狛 「残念、さすがに婆さんの命令には逆らえないからな。無理やり帰るぞ」
鬼子 「むぅ……」
結局、私はそのまま狛に抱えられながら家まで無理矢理に連れて帰られた。
初代 「どうして勝手に出たんですか!ちゃんと言っておいたでしょ!?」
鬼子 「ごめんなさい……」
初代 「それにですね、村人にまで追い掛けられるなんて……」
狛 「まぁまぁ、無事に帰ってきたんだしその辺で許してあげましょうよ」
初代 「はぁ……そうですね。鬼子、怪我は?」
鬼子 「え、えと……脚をちょっと」
初代 「えっ!?どこ?見せなさい!」
鬼子 「あっ、はい」
着物をまくり上げ、痛めたと思われる右膝を見せる。
初代 「青痰が出来てるじゃない!ほんっとにもう!心配かけさせて!」
グイっと引っ張られ、抱きしめられる。
鬼子 「婆様、脚が痛い」
初代 「あ、ごめんね。直ぐに薬を持ってくるから」
鬼子 「うん」
婆様が立ち上がり、パタパタと部屋の奥に入っていく。
私はそんな光景を見て、少し嬉しかったりする。何時もはヒワイドリたちの世話のせいで構ってくれない
婆様だけど、今は独占できているからだ。言い付けを破ったのも、恥ずかしいが只の嫉妬からだ。
柴 「んぅ……うるさいよー」
柴が部屋の奥から瞼を擦りながら出てくる。この子は最近、狗神になったばかりの見習いだ。
力もなければ狛の様に色んな術を使えるわけでもない。今は本当に只の子供だ。
狛 「はぁ、起きちまったか。ほら、こっち来い」
柴 「ん……」
狛 「こらっ!袖を掴むな」
狛が柴を布団へと連れて行く。まるでお父さんだ。いや、見た目的にはお兄さんというのが正しいだろう。
初代 「はい、お薬持って来たからね。足だして」
鬼子 「ん」
初代 「沁みるけど我慢しなさいね」
少し緑がかった薬を痣の上に薄く塗られる。これは良く効く薬なのだが……代わりにしばらくビリビリと沁みる。
鬼子 「っ!」
初代 「あははー、やっぱり沁みたか。はい、我慢我慢」
肩を叩かれながら、胸中に抱え込まれるように引き寄せられる。
私は思わず手を背中に回して……ギュッと婆様の服を握りしめた。痛みを我慢しているのか、それとも
この時間が惜しいのか。私自身もハッキリと考えが纏まらないまま、体が動いていた。
初代 「あら、そんなに抱き締められたら苦しいよ鬼子」
鬼子 「ごめんなさい。でも、もう少しだけ……」
初代 「……はいはい」
それから、1時間ほど婆様に抱きついていたが婆様は何も言わずただずっと待っていてくれた。
やさしく背中を撫でながらずっと……
いやぁ、こんな感じでしばらく続けさせていただきたいと思います過去編を。
多分……過去編で殆どの謎を解決できたらと思っておりまする故、どうかお付き合いいただけたらと思います。
目に入ったら「あぁ、まだ書いてんのか」程度に生暖かい目で見守っていただけたら幸いです。
タイトル付けるの忘れてた……あと、初代の表記は婆様にするか迷った結果、初代にしますた。
>>198 感想ありがとうございます。鬼子の自分の立場に対しての思いは過去編が終わってからと考えてます。
3文字作戦今回も使わせてもらいました!w 内容がハッキリしないのでせめて見やすければ幸いです。
218 :
避難所から転載:2011/04/19(火) 22:17:16.75 ID:Lp+Vygr9
562:歌麻呂 ◆Bsr4iViSxg
11/04/19(火) 22:08:22 ID:SPo79/Cg0
SSスレの
>>179、時の番人さんへ
規制掛かっていたのでこちらから失礼します。
うはぁ、一息ついたところで顔出したら、なんとまあこんなイラストを……!
ありがたやありがたや。
もうなんと申せばいいのやら……!
ちなみに本人はこんなカッコよくはありませんw
219 :
日本カレンダー:2011/04/21(木) 19:42:07.60 ID:5N7R5MEP
そろそろ四月も終わりなのでお借りします。
ちょっと私生活でゴタゴタしてまして
毎月かけないかもしれなくなってきました・・・。
220 :
日本カレンダー:2011/04/21(木) 19:43:41.94 ID:5N7R5MEP
山田という男がいる。
不良というわけでは無いのだが、鋭い目つきと寡黙な態度が
近寄りがたい空気を発している、というのが
クラスメイトの共通した彼への感想だ。
そのクールな雰囲気を「格好いい」と感じる女子も
少なからずいるらしい…と、以前田中の学校の話題になった時に教えてもらった。
彼はまっすぐに田中を見つめている。
春は恋の季節だ…なんて。
ありきたりなフレーズが鬼子の頭をよぎった。
【日本カレンダー・四月】
校内で鬼のようなものを見たと、田中から相談された鬼子は
彼女から体操服を借り、学内への潜入を成功させた。
夕刻二人で見回っていると、確かにそこには鬼がいたが
靄のようにボンヤリとした姿で弱弱しく、
それでも威嚇するようにこちらに牙をむいた。
「どう?日本さん。やっぱり鬼…だよね?」
「ええ、まだ生まれたばかりで実体もありませんが
この様子だと、2、3日も放置すれば脅威になりますね。」
周囲に誰もいない事を確認してから薙刀を取り出すと
ぱぱんと小蝿を払うように鬼を消し去った。
「実体も無いのに、あれだけ牙をむくなんて…
この鬼を生み出した宿主は、よほど何かをため込んでいるようですね。
もしかしたら、また新たな鬼を生み出すかもしれません。」
鬼子の予想は正しかった。
翌日にはまた同じ鬼が校内をうろつく姿を田中が目撃したのである。
その翌日も、翌々日も。
しかし不思議なのは、校内に「鬼が出たぞ幽霊が出たぞ」といった噂は
一切流れてはいなかった事である。
目撃者が「目の錯覚に違いない」と気のせいにしたのでなければ
鬼を見たのは田中一人であった事になる。それも毎日。
結論は一つ。鬼は田中に執着している。
221 :
日本カレンダー:2011/04/21(木) 19:44:18.74 ID:5N7R5MEP
田中の提案でおとり作戦を実行し、
鬼をわざと逃がし
逃げる先までこっそりと追いかけた。
その先にはきっと宿主がいるはずである。
そして出会ったのが、山田であった。
あれは、人目を気にする、人の評価を気にする心が鬼になったモノであった。
それが田中に執着するのは何故なのか…。
鬼子は山田と退治してピンと来た。
山田は落ち着かない様子で田中を見つめていたからだ。
「あ…た、田中。なんだよ、こんな時間まで学校でオタク活動でもしてたのか?」
「あれ?山田君…、いや、そういうわけじゃ…。」
(ねぇ日本さん、山田君が鬼の正体なの?)
(本人に自覚はなさそうですが…ああ、なるほど。)
そうか、鬼が田中さんに執着した理由。
それは山田君が田中さんに執着しているからだ。
じゃあ、その執着心はどこから来るの?
鬼子の頭には恋愛学園ドラマのようなシナリオが浮かぶ。
恋だ。彼は田中に恋をしている。
そしてこの落ち着かない様子、間違いない。
彼は今、一世一代の告白をしようとしているのだ!
222 :
日本カレンダー:2011/04/21(木) 19:45:51.82 ID:5N7R5MEP
「田中とは、あんまり話をした事がなかったけど…」
「たまに話しても、またオタ活動か?ってくらいだしねぇ。」
私、ここにいていいんですか!?
いや、きっと彼には田中さんしか目に入っていない!
私の事なんか忘れてしまってるんですね!キャー!青春です!
鬼子は顔を赤らめて展開を見守った。
「俺、周りから怖いだのクールだの言われて、
そんな俺がこんなシュミしてんのかよ、こんなオタクなって、
そう言われるのが怖くて言いだせなかった。」
「意外だね、山田君って人の評価気にするタイプだったんだ。
何言われてもどこ吹く風ってイメージがあったよ。」
「きいてくれ、田中、俺は…!あの、えっと…俺を!」
ああ、言っちゃう!!むしろ行っちゃうんですね!!?
「俺をお前のサークルに入れてくれ!!!」
と、いうわけで。
隠れオタクである事が発覚した山田君は
田中のサークルに入る事となった。
悩みが解消された彼が鬼を発生させる事は無くなり、
校内はいたって平和になったのだが、
何故か鬼子が残念そうな顔をするので
田中は首を傾げるばかりであった。
そんな、四月の思い出。
223 :
日本カレンダー:2011/04/21(木) 19:56:22.51 ID:5N7R5MEP
すみません誤字がありました!
退治→対峙です。
読み返したつもりだったのに・・・orz
可能ならば、だけどSSは連続した同作品を続けて読めると嬉しいなぁ…。
今は編集人さんは居なくなってて、他にまとめてる方はいない状態でしたっけ?
wikiは誰でも編集可能?dat落ち分が見れない自分にはまともな編集作業出来ない点がアレですが…。
…さて、本スレ側で振ってみたヒワイドリin鬼子を、18禁にならない範囲で考えてみるかなぁ〜。
>>224 たしかに、wikiの作品ページは放置されてるね…。
みんな単になんとなく追加してないだけで、編集しても問題ないと思うよ。
創作に支障が出ないくらいのペースで、まったりやってみたら?
なぜかSSスレ3だけバックアップサイトの過去ログが見られないのが痛いけど…
そのスレのdatファイルをhtmlファイルとかにできる人がいないか、本スレで聞いてみたらどうでしょう。
以前変換して上げてくれた人がいたし。
>>227 ・アカウントは必要ないよー。
(一部の重要なページ(鬼子の設定とか)は管理者のまとめ人さんのアカウントでしか編集できないけど、他はほとんど大丈夫)
・各ページの上にある「編集」ってボタン→「このページを編集」から編集できます。
あ、ひとつのIPアドレスから編集できる回数は制限されてるので、編集を確定させる前にプレビューとかでよくチェックしてね。
・「短編小説」の説明に書いてある「掲載方法」のところの、
テンプレページをコピーして新しいページを作るには、「編集」→「このページをコピーして新規ページを作成」で。
タイトルが説明に沿った新しいページを作れば、「短編小説」ページに勝手に目次が作られるようなプラグインが使われてるみたいだよ。
3票ルールは一応合理的だと思うし守ったほうがいいと思うけど、
このスレで載せたい作品のレス番号にリンクして「載せたいと思うものに票を入れてください」とか言えば集まりそうな気がする。
本スレにもアナウンスすれば、簡単に集まると思うよ。
ここまで分かってるならお前がやれよって感じかもしれないけど、
ちょっと自分は今厳しいのだ…すまん。
>>226 うおぉ、いきなり降臨とは!ありがとうございます!
いい加減投下しないと、隔週ペースが維持できないので、以下2レスの予定で投げ。
<>は2chの都合で改行のしるし。
5年4月:I-iv(夕方ー)
実験室で集中家事管理システムからの飯炊きの検証実験に先輩と二人で付き合い、「本日の飯も美味かったです」の報告を係長にしたら、課長が3人を呼んでるという。
「大和さんの『重工』への出向の話が決まった。5月からだ。正式な辞令は明日かな。」
ザワ
意外な話に室内が少しざわめく。とくに聞こえるように話したわけではないが、隠す必要もない。
「はぁ。」
入社2年目だからよく分からないが、それでも変だと思う。一応「プログラマ」の専門職だが、何かしらの専門家がいるということなら、もっと経験を積んだ人に来る話だろう。
<>自分はred gateでお馴染みの学校を出て入社、研修やら社内一回りやらを経たのち半年ほど主においしくご飯を炊くためのプログラムやドライヴァを先輩と書いてただけだ。家電開発部の小娘に大型船舶や戦車の会社が何の用だろうか。
「何ですか、そりゃ?」
「急な話ですね。」代わりに聞いてくれた。
「うん、有無を言わせずだね。まあ、詳しい話は明日するさ。空いてるかい?」今日は木曜だからということだが、3人とも大丈夫だ。つか、普通空ける。
「そういうことだから、大和さんは途中の仕事はなるべく終わらせ、終わらない場合は確実な引き継ぎをお願いします。炊飯器の方は決着間近でしょ?」
「はい。」
「うん。私からは以上です。他の話で何かありますか?」
夕食時は過ぎたころ、勇子たちが通学に使っている駅のホーム下の通路では、暗色パンツスーツを着た27・8歳くらいで割と美人の女性が人を待っている様子だ。
<>改札口から二人連れの男性が出てくると、手を挙げて合図した。合流した3人は彼女の誘導で里山へのバス通りを北へ登っていく。
「逃げた実験体が潜んでそうやというのはほんまにこの辺りか?」
通勤鞄を手に提げたドブネズミ姿のアラフォー男性の問いは関西弁だ。
「ええ。噂の最新の到達点がこの辺で、昨日今日の痕跡もこの丘に少し残ってるんで、ほぼ間違いないですわ。」
関西弁は女性も同様。
「まずいな。」
「何がですん。」
結局全員関西弁だが、訊いたのは20台前半な感じのガムをクチャクチャやってる若者で、紺の野球帽に暗緑色のミリ風上着とジーパンという服装だ。Angel Bomberという戦略爆撃隊が実在するかは分からない。
「この丘の上の寺院が大和の御本家。この辺はお膝元や。」
「当代日本鬼子のですか、シュージュンさん。」
「そう。あと、聡君、俺はヒデカズや。」
敬称略も気に入らない。
「ああ、なるほど。それなら全部分かる。」
「なんや?」
「いや、上の方の住宅地に割と筋いい探知系の結界が張ってあるんですけど、」
「前はそんなもんは無かったが、尚更まずいな、それは。実験体は討たれたかもしれん。」
「いや、多分大丈夫かな。ここらの龍脈はかなり細いんですけど、おそらく本家の防御結界が相当手が込んでて、かなりリソースつこうてるんやないかな。
<>結果下流で細なってて、恒常的に探知結界張るんはきつい。実際、探知結界は多分今日張ったもんで、むしろ取り逃したから臨時に張ったんやないかと思います。」
知っていることと照らし合わせても辻褄は合う。推測はおそらく正しいだろう。
「以前と比べて龍脈が随分細っているのは俺も感じてたとこやが・・・
<>三女の恵さんがまだ幼いから、今の御本家で戦えるんは御当代と賢行さんのお二方だけで、他に諏訪の犬精が修行でおるて聞いてるが、まだ幼犬で戦力やない。
<>まあ、お二方で充分難攻不落やが、先代が表稼業の都合で別居なさった際、代わりに防御を強化したゆうとこか。実験体の方はどうか分からんが、今夜は手分けして捜索、見つからんようなら、俺が明日、挨拶がてら探りを入れてみるわ。」
説明しつつ話をまとめる。
「うぃーっす。」
ひどい返事だ。
「・・・」
女性の方は返事が無い。
「どないした、信江君」
「その防御結界、破ってみてもいいですかね。」
「あ?」何を言い出すんやこの女。
「先代が編んだ結界なら破ってみたいんですが。」
「先代が編んだとはかぎらへんな。そもそも大和とことを構えるのが目的やない。」
『やってみれば誰が編んだかぐらい分かるけど・・・』
「・・・そうですよね、今のんは無しで。」
『何か、変なんばっかりあてがわれたな。』先行き不安だ。
232 :
鬼饅頭:2011/04/23(土) 21:07:29.91 ID:l2rRCNBG
/ / /| i i i ! !、 /; ; ; ; ;ノヽ
. / ./ / i ! i i ト、 !i li /; ; ; ;ノ ヽ
| ! ト―/―レ-ヘ/`´!‐' ""i i.! < ●>iii
| i/i /フ== ill .l't== 、ト、u ソ
| ! i _乂__ノ_{ .|_i __ノi.| /エエエエコ
. i | | |||| `  ̄ ̄ ノ| |i| i i| i i| i
i | | u ` ij ノiゝ ゝエエエエコ
| l | `、 ,―‐ 、 l \______/
.| | i `ゝ.u  ̄ ̄ u ,' |
.| | | ` . _ , <イ |/
| i | |_ / '
呆れ顔鬼子。
突っ込みたいときにどうぞ。
今回のproject light wayは以上です。
SSスレ独自まとめをやろうとおもてたが、「同じこと考えてる人がいるなら止めるか」とおもたが、独自まとめなのでやはりやる。
おながい
勇子=鬼子のお姉さん役のオーディションをしたいので、「鬼子代表候補絵」をzipでください。
あったはずだと思って、旧ロダをzipとrarで検索してみたが無いんだよなぁ。
雑談
劇団の人たちはファヴィコン作らないのかしら。お手のもんだろうと思うのだが、案外そうでもないのか。
RSSもやってほしいなぁ。とりあえずperlスクリプトは見つけてきたが。
>>228 解説を頂き、ありがとうございます。
本スレでは今まさに忍キャラなどが産まれようとしているので、少々後ほどで大丈夫かな?
告知用の文言を考えた方が良いのかもしれない。
例?
SSのWiki反映が遅れているので、以前までと同様の基準として、
収録希望票が三票を超えた物から載せて行こうと考えております。
もし推薦したい作品がありましたら、ぜひSSスレ等にご連絡下さいませ。
自薦・他薦問いません。創作支援になりそう、鬼子の世界観に合っている…。
理由も何でも結構ですので、お待ちしております。もし三票超えているのに、
何故か反映されていない場合において、その編集を手伝って下さる方もお待ちしております。
…工夫や敬語とか、色々見直さないとアレですがイメージはこんな感じです。
>>237 直接見れるんですね!これだとみんな見易くて良さそうです。
忍・陰・局のトップが固まり次第SSも仕分け開始なのかな?
面白くなってきそうなタイミングで惜しいですが、そろそろ現実優先にせねば。
明日以降離れるので、最後に道引鬼の中成案も投下…。相変わらず絵が汚くて酷すぎるのですが。
女将の柚子さんも悪食鬼も、そして道引鬼すらまともな絵になってないや。
道引鬼中成案
http://loda.jp/hinomotooniko_kokoronooni/?id=71 それでは最短で12月頃に戻りますが、またお会い出来ましたら幸いです。
一刻も早く横スクロールのマップデザイナーの方が見つかりますように…本当に申し訳ないです。
SS書きとしても頑張ろうよ‥…
絵師さんの発想を受けてSSするんじゃなくて、
絵師さんの発想を助けるようなSS書くべきじゃないかな?
何だカンダイッテ、文字の分野は描き出せないって諦めるなら、
本スレに評価されている和歌の31文字の描写力にSSは負けているって事になる;;
>>239 なんか良く解らない事で苛ついてるみたいだが
>>238って画力の無さを嘆いているのであって、
絵師さんが絵にしてくれないと愚痴ってる様には見えないがね。自力でなるべく挑戦してる様だし。
もしかして…またいつもの『SSは要らない!』って人?
はいはい、絵師さんの発想の助けにならないSSを以下4レスに渡って投下させていただきますよ。
short storyではなくド長編side storyですが。
main streamは時代物だろうと思っているので、近現代や未来は傍流だろう。
自分のように、オリジナル鬼子を書かないのは外道かも。
project light way
5年4月:I-v(夜)
結局、大和勇子とは朝、バスで話したきりだ。お互い「話しかけるなオーラ」だから、まあ、問題は無い。勇子は右に寄って座り、休憩になるといなくなった。祐子は無線にタダ乗りできるところで昼食をとった。帰りのバスも一緒だったが、
「大和さん、ご機嫌よう。」
「山野さん、ご機嫌よう。」
これだけで、いつものことだ。
恩は恩で、機会があればいつか返すとして、今は大和勇子のことなどどうでもいい。dsだ。昨日は入っただけで興奮してしまって、ログも消さずに出てきてしまった。今夜は入るだけでなく、ちゃんと中も見ていく、ログも消す。
昨日ぶっこ抜いたパスが今日は通らない。侵入に気づいたdsがパスを変更したのだろうか。だとすると危険度はより上がっているが、昨夜は結局何もせずに出てきてしまっただけに、「多少の危険は冒しても」と思う。
<>昨日と同じ手で再度パスワードファイルを抜こうとしてみたが、案の定上手くいかない。少し焦ってきた。効率の悪い総当たりスクリプトをとりあえず回して、キーボードから手を離す。
ぱちん
『落ち着け、あたし。』大した勢いではないが、両手で頬を叩く。昨日も最初につまづいた辺りからグダって、無駄に手間取ってしまった。dsのホストだと言ってもコンピューターには変わりない。別の穴・他の手口を有力そうなものから当たっていくまでだ。
foo@example:~$ hssh -l turkin 2001:db8::
turkin@deathstar's password:********
password incorrect. login faild.
foo@example:~$ ./brute_for_ds.sh
変だと思うだけでなく、気もすすまない。正直家電の仕事は気に入っている。今着ているトレーナーの表が“I ? HAKUMAI”で、裏が「飯食うか?」のAAだから、炊飯器に振られたのは結構うれしかった。しかし、鬼といえど、社命には従わなくてはならない。
『OLは辛いねぇ。』専門職のプログラマがOLに当たるかどうかは分からない
。
みゃ〜
アラートねこに鳴かれる。今日の持ち帰りの仕事はもう済んだ。西洋の鬼に知り合いはいないが、ハイデルベルクの史学者に彼らに関係ありそうな研究をしている人がいる。
<>「向こうはまだ昼だから早寝早起きして夜に覗いてみようかなぁ」の辺りで、意識が横道にそれてたら、ポットにアクセスだ。
「マントイフェル博士が呼んでるのに〜。」
机をパタパタ叩きながら言ってみたが、それでどうにかなるわけでなく、そもそもそのような事実は一切無い。放っておいても勝手にハマるだろうと見立ててはいるが、何が起こるか分からないから博士の方は諦めて観察することにした。となれば、まずはお茶だ。
みゃ〜ん
例によってタイマーに頼って入れたので、相変わらず当人にとってはいまいちなお茶だ。アクセスログの方を見ると、昨日より手際は良くなっている感じだが、狙い目の絞りが甘いと思う。
しばらくお茶を飲んでいると、残しておいた別の穴からまたしてもパスワードファイルが抜かれていった。本来転送されないファイルだが、攻撃で異常動作中だから転送されてしまう、というふうに設定してある。
<>昨日の様子からして、暗号化パスワードの逆引き辞書は持っているようだ。ほどなく入って来るだろう。
foo@example:~$ hssh -l turkin 2001:db8::
turkin@deathstar's password:********
turkin@deathstar:~$
はぁー
入ったところで、まずは深呼吸する。辺りを見回してみると、このディレクトリには何も無い。このままではどうしようもないから、管理者権限を取る。管理者になって眺めたシステムは意外と簡単で平凡な感じだが、「最小構成」+αだから考えてみれば当然のことだ。
<>管理者用のホームディレクトリを訪れると、“tools.tar.gz”というアーカイヴがポツンと置いてある。
『うは、宝箱ぉ?』
中を覗くと、“.sh”やらの役に立ちそうなファイルで溢れ返っている。詳しく調べてみたかったが、あまり時間をかけていられない。アーカイヴごと転送してしまうと、ルートキットを置き、他の後処理をしてからdeathstarを出た。
root@deathstar:~# hscp root@deathstar:/root/tools.tar.gz foo@example:/home/foo/
・
・
・
root@deathstar:~# exit
turkin@deathstar:~$ exit
うふっ
「Congratulations! Present for you.」
chu?
ストーカーがアーカイヴの転送したのを見て、まずは他のハニーポットの撤収を始めながら口にした。「“/root/tools.tar.gz”の転送」がストーカー対策の「あがり」で、想定どおりに上手くいったようだ。
とりあえずアーカイヴの中身は非現役のスクリプトなどだが、ワームが仕込んである。展開・抽出or時限で作動、ひたすら上の台詞を表示して増殖しCPUを占拠するが、既存のファイルを破壊することはないし、システムからネットワークに出ることもない。
<>ストーカーが誤って、踏み台にしたホストにアーカイヴを残してしまっていれば、そこにも迷惑がかかることになるが、それはこれからチェックするし、間に合わなくても、元々そこの管理が甘いのが悪い。
『生者によっても生かされているのは確かだが、それがすべてではない。結局は死者から生まれた鬼だ。生者の秩序・都合に最後まで殉ずる義理はない。なるべく迷惑を掛けないようにはするが、必要なことは何であろうがさせていただく。』
そういう考えでいる。
夜中に忙しいことだし、相変わらず出向話が心に引っかかってはいるが、少し気分は良くなった。テーブル下の「うますぎ棒EX・DXヴァラエティーSPパック」から1本抜いて食べる。
『うまうま。』
・
・
・
chieko@diabless_sophie:~$ sudo halt
今週は以上です。続きは例によって再来週。
<>は、これも例によって、2chの都合で改行した部分です。
作中、hsshはsshレヴェル10くらいのエイリアスかなんかだろう、きっと。
>>241-246 ハッキングについてはまったく分からんけど、姉さんがやり手なのは分かったw
姉さん候補の絵は決まりそうですか?
ご無沙汰しております、時の番人です。個人的に苦渋の決断をしなければならなくなりました。
ここに書き込むかどうか非常に悩みましたが・・・。
個人的な二次として創作してきた「日本鬼子〜ひのもとおにこ〜」シリーズですが、一度打ち切ります。
SSや挿絵を投下していたあるサイトで、2月頃から非常に醜い言葉、メールが届くようになり、
困惑していました。同じサイトからメールを送ってくる相手方の人のサイトアドは解ります。
しかし、メールが送られてきてから数日後にはそのサイトアドは解約されていました。
そんな繰り返しが5月初旬まで続き、我慢していたのですが、一向にそのメールが収まる事なく
現在まで至っていました。仕方なくそのサイトを封鎖する事に決め、解約しました。
まずは、自分に非が無いか考えていました。もしかしたら誰かに迷惑をかけてしまったのか・・・。
無意識に他人を陥れていたのか・・・。色々考えました。
色々、深く、沢山考えました。メール内容を何度も見直しました。
どう考えても、「オリキャラを投下している」「ストーリーを進めている」
に、罵倒されている内容が当てはまってしまいます。
と言うか、ずばりその様な内容なのです。
確かにストーリーを成り立たせる為に、色んなキャラが登場しています。
また、私のキャラ絵は勉強中で下手です。それにストーリーも初挑戦だったのでかなり下手だと
自分でも認識しています。曲も歌詞もド素人です。
しかし、ただの二次創作なのにどうしてここまで執着してくるのかが解りません。
また、二次創作と言う事と自分の中で楽しんでいると言う事をこちらから何度もメールしましたが、
帰ってくるメールはいつもと同じ、キャラとストーリーへの罵倒メールばかり・・・。
本当に色々悩んだ末、創作を打ち切る事にしました。
こんな内容を書き込むと、荒れる可能性が有るとも考えましたし、
もしかしたら皆さんに迷惑がかかってくる可能性があるかも・・とも考えました。
ただ、本当に私が創作した事で誰かに迷惑をかけてしまっていたのなら謝らなければなりません。
本当にすみませんでした。
また、私は2ちゃん参加も初心者でしたし、二次創作も初心者だったので、
2ちゃん・二次創作は規律を守っていれば誰でも自由に表現できる物と思っていました。
もしそうでないのなら、これもまた謝らなければならない事の一つになります。
私の知らない暗黙の了解的な事柄があって、それを私が無視していたのかもしれません。
自分では理解出来ていませんが、もし、本当に私が勉強不足で、誰かに迷惑をかけていたのなら・・・
ご迷惑をかけてしまった方、本当に申し訳御座いませんでした。
しかし、私の結論は「ただの荒し」だと認識しています。
もし荒しなら、私への罵倒だけで収めてもらいたいと思います。
スレ内で名前をお借りした方々、また、キャラをお借りした方々、
返事を頂いた方々、宙ぶらりんな形で創作を打ち切る事にした事を
お詫びいたします。スレは覗きに来ますので楽しませてくださいね。
>>248 今までSSスレを引っ張っていてくれたあなた様が去られるのは寂しいです。
荒らしもココまでくると黙ってはいていられないようですね。
私も勉強中の身ではございますが、どんな形でもあなた様が戻ってくると信じております。
少しの間だけだと思い、とりあえずお疲れ様と言わせていただきます。
お疲れ様でした!
>>248 おつかれ様でした。楽しく創作できなければ、意味がないと、個人的には思っているので、ツラいと感じてまで
続けるよりも、一旦ジックリ休んで、英気を養って下さいな。
SSスレが消滅せず、今まで続いてこれたのはアナタのおかげだと思っています。
もう少ししたら手が空くので、また何かここに投下しようかな・・・
避難所より転載
628 名前:No.015 ◆oaq1gcCX6o[sage] 投稿日:2011/05/17(火) 00:21:09 ID:XOGdNEo60
規制中につき何方かssスレへ投下お願いします…自分の事ならまだしもなぁ。
>>248 お疲れ様でした…キャラに命を吹き込むだけ吹き込んで頂いて
何の力にもなれなかった事が歯がゆいです。
いつの日か、より良い形で出会える事を願っております。
>>248 なんということ…実はそんなことがあったのですね。
時の番人さんの心労は大変なものだったと想像します。本当におつかれさまです。
ストーリーも挿絵も歌麻呂さんたちも、とても好きでした。
これからも見守っていてくださいね。
そして、どんな形であれ、また参加していただけるようになることを願っています。
ストーリーを作ったり、それを通じてオリキャラを作ることは、普通で歓迎すべきことでしょうに。
いろんな作品が積み重なることで、多様で深みのある世界になるのだし。
作品どころか、言葉、それも個人への中傷を使って、創作をやめさせるなんて。
ハルトシュラー主義を思い出してくれ、鬼子ちゃんを枯らさないでくれ…って言っても荒らす人には通じないのかな(ρ_;)
SSスレ、本スレ、避難所スレの皆さんのコメント、心に響いています。
ご心配おかけして申し訳御座いません。
ただ、
私は今まで書いていたSSを途中棄権という形にしただけで、
今まで通りスレは拝見させて頂きますよ。スレから去ろうとは考えていませんので
皆さんの楽しいSS,本スレのコメント、避難所のコメントなどは、
読ませてもらおうと思います。
*自分自身への注意事項
・おかしいな??と思うメールに、真剣に返事をしない
・罵倒してくる人に、自分自身の表現を理解してもらおうとしない
・避難所に連絡し、皆さんの意見を聞く
などでしょうか。2ちゃんねるの鉄則である、「荒しは無視」
を無視してしまった私にも非が有ると思います。
SSスレの人達、No.15さんからもコメントをもらい、
何か、心の鬼を散らしてくれた様な思いになっています。
私がSS内で表現したオリキャラは、チョィ出の人も合わせて
14人くらいです。私が一番オリキャラを登場させていたのかもしれません。
それに、犬に勝手に名前も付けましたし、般若面も男バージョンで
登場させていましたし・・・。
二次創作とはいえ、あまりにもオリキャラを登場させすぎたのかもしれません。
多分、「5変態」の曲は許してもらえるかも・・・とは思っています。
下手ですが。
本スレ
>>768 >>775 響社長含め、音麻呂♂歌麻呂♂詠麻呂♀奏麻呂♀などの性別は
SSの中で私が脳内で決めた性別なので本人の方々には当てはまりません。
しかし、音の才能、歌の才能、詠む才能(短歌)は、
名前をお借りした本人達に合致していると思います。
初期の頃から本スレの中で表現されていて、スレ民にも支持され、
スレの中でスレ民によって名前が決められるって、
とても凄い事だと思います。その内容を
SSの中に当てはめさせてもらい、それは鬼子を助ける能力として発揮していくと、
脳内設定していました。←二次創作ですよ!
ただ・・・本人達から名前を借りといて、途中で止めるという行為が
無性に自分自身に腹立たしく感じ、また、申し訳なく反省をしています。
また、あるサイトの方で「お気に入りユーザー」として登録して頂いていた方々に
何も連絡無しに、閉じてしまった事をお詫び致します。
私は初心者だったので無視出来ませんでしたが、もし変なメールが届いてましたら
完全無視に徹して下さいね。
今は、荒れる恐れがあるので、本スレ・避難所には書き込み致しません。
SSスレの方々、スレを汚してしまい申し訳御座いませんでした。
ゆっくり休んで、また帰って来てね!
http://ll.la/WSsQ oniko
こんなふうに私家版htmlは作ってるけど、wikiの編集をする気は無いなぁ。
そもそもログインの仕方を知らない。私家版の編集方針は「網羅的」だしなぁ。
そんなことより、1話目早く終わらせろなんだよなぁ。
「このまま死んでも、それはそれでアリ」というくらい生活全般にやる気が出ないんだよなぁ。
「ぁ」ばっかし。
256 :
本スレ192:2011/06/05(日) 00:23:34.24 ID:IeZxV0+g
何度か出てきてるヒエログリフですね…。挑戦してみます。
私の名前を仮にAとしよう。私は、この近く…いや、遠くで産婦人科医院を経営しているものだ。
私がなぜ遠くに住んでおり、尚かつ開業医を営みながらこの場所にいるかは、話すと長くなる。
ピルルル…『二番線、電車が参ります。白線の内側にお下がり下さい』
あぁ、今日も楽園がまたやって来た!そう、私はこの電車に乗るためラッシュアワーに合わせて、
この遠方の駅まではるばるやって来たのだ。この列車は次の駅まで遠く、更にはあの悪魔は無い。
そう、あの天使と私を引き裂く忌まわしい悪魔がいない路線は、もうこの街にここだけなんだ。
私は、職業柄いくつもの臀部を見てきている。その中でも、無事出産を遂げやすい美しい形、
いわゆる『安産形』と言われる骨盤のしっかりと整った臀部は、宝石にも勝る至宝と呼べるだろう!!
私は一年程前患者のとても美しい臀部へ見惚れ、思わず頬擦りして以来、衝動を抑えられなくなってしまった。
『もっと美しい臀部をその手に収めたくは無いか?』
内なる声が鳴り響く。そうだ…患者を待ってるだけでは足りない。
臀部は…お尻は…私の手を必要としている!私には…お尻が究極の宝物なんだ!
目覚めてからは早かった。どこへ行けば一番触れるか考えた。一番最初に思いついたのはあの楽園だった。
だが…そこに待っていたのは悪魔。女性専用車両という悪魔だった。
私は冷静になり、どこの路線なら悪魔がいないか、どこの駅間なら一番チャンスがあるか、調べ尽くした。
しかし…同じ場所ばかりでは足が付きやすい。その時、内なる声がまた鳴り響く。
『わたくしの力は必要無いか?』
私の背中を押してくれた声は…私により協力してくれ、最高の力を得た!
「止めて下さい!この人、痴漢です!」
そう、美しい尻を持つ女性は他の男の薄汚い手にも狙われ易い。だから警戒心も強いのだが…。
彼女の掴んだ腕は別の男の腕だ。掴まれた男の方もキョトンとしている。
「ごまかさないで下さい!あなたでしょう!?私のお尻を触ってたのは!」
男は腕を引かれて次の駅で下ろされる。私は、その一部始終を吊り広告の中から見下ろしていた。
そう…彼がくれた力は、薄い紙や壁に一瞬で貼り付く能力だ。おかげで私は一度も捕まっていない。
遠くの駅まで来ているのも、半ば警戒心が残っているのみであった。
『今度は別の場所で狩るか…ヒヒヒヒ…』
数日後、田舎の閑散とした車内に私はいた。ここで触ってしまえば簡単に見つかるだろう。
だが捕まりかねないスリルすら、私にとっては甘美な時間のちょっとしたスパイスに変わっていた。
電車の扉が開くと目の前に、赤い和服姿の女性が乗ってきた。
…和服だと!満員電車では有り得ない客層!尻の大きさは足りない様に見えたが、
迷わずターゲットと決めて手を伸ばす。…が、様子がいつもと違った。
『そこまでよ、Aさん。そして…オシリスキー!』
私の腕は捕まれている。…何故だ!掴まれた部分以外はペラペラといつもの様に変わっており、
吊り広告に届いた部分は貼り付けていたが、掴まれた部分は生身のまま変わる事が無い…。
?『妖力は使わせないわ!オシリスキー!』
『ちぃ!我々を祓う者か…クソ…こうなったら!!』
内なる声が徐々に遠のいていく時、抜けていく感触と共に体は元に戻っていく。
私は彼が自分自身であり、とても愛おしいものに感じて思わず手を伸ばした!
?『ダメ!人ならぬ者を求めないで!あなたには帰る場所がある!待っている人がいる!』
和服姿の女性が止めた後、彼が完全に抜けきり私はまるで憑き物が落ちた様に脱力した。
その時、窓がガタガタと鳴り、忍者みたいな格好をした少女が車内へ入ってきた。
??『鬼子姉、こっちも準備出来たよ!』
鬼子『有難う、小日本。この人をお願い!』
小日本『解ったわ!』
小日本と呼ばれた少女は、私に大きな縫い針を刺すと、何かを縫い付ける。不思議と痛みは無い…。
小日本『これでもう大丈夫よね…』
彼女が縫い針をしまうと、途端にけたたましくPHSが鳴り響く。今まで…気づいてなかったのか?
鬼子『人心惑わす心の鬼よ!いざ萌え散らん!』
着物姿の女性が気合いを入れると、紅葉が舞い散り始めた。その様に見とれながらも電話に出た。
看護婦『A先生!今どこにいらっしゃいますか!急患です!他の病院も手が空いてなくて…!』
A先生『わかった!すぐ向かう!私達で助けるんだ!』
私は看護婦の声に叩き起こされた気分だった。すぐに荷物を拾い上げ、駅から飛び出す。
小日本『ちょっとしたのなら、すぐ呼んであげても良いのよ…!』
小日本が糸を空中に放り投げると、タクシーが駅へと勢いよく入り、彼を乗せてまた急発進した。
オシリスキー『くそ…逃げたか。だが、私は見つけられまい?』
鬼子『そうでも無いわよ?』
鬼子から舞い散る紅葉は車内中に満ちると共に、薄い広告などもサラサラと触れていく。
その一枚がオシリスキーの隠れた広告へ触れた時、彼の姿が厚みを持って現れた!
オシリスキー『なんてこった!こんな…こんな馬鹿な事が!』
鬼子『潔く、萌え散れ!』
鬼子の持つ薙刀がオシリスキーを切り裂くと、紅葉の中に花が舞い散った。
…数時間後、病院では新たな命が産声をあげていた。誰もが通ってきた、血の持つ鉄の匂いの川。
私の手で導くのは、この川を滑り出し人生という大海へ漕ぎ出す新たな命だった。
その中には、あのジメジメと暑苦しい密室とは違う、沢山の希望が詰まっているのだ。
私はもう道を踏み外して、自らの淫欲に捕らわれてしまう事は無いだろう。
あの『鬼子』と『小日本』という女性と少女へ感謝をしても仕切れない…。
小日本『鬼子姉、これで良かったんだよね?』
鬼子『えぇ、そうよ。あの人の手は本来人の命を救いあげる手なんだもの』
窓から見えていた二つの影は、母親が笑顔で赤ちゃんを抱きしめた時には消えていた…。
乙。うまくまとめてて読みやすかったです。よもや忍小日本が出てくるとは・・・・
263 :
本スレ172:2011/06/06(月) 01:22:23.33 ID:IJYQC4h/
「日本鬼子? にほんきし? 何これ?」
生徒のスポーツバッグから見えている雑誌(異様に薄い)、その表紙の文字。
その題字の下には、赤い和服を着た少女の絵が描かれている。
「まったくもう、大会の会場にまでこんなものを……」
職員会議で聞いた事がある、日本鬼子=ひのもとおにこ、の事。何やら心の鬼とかを祓ってくれる正義の味方だとか。
良くある都市伝説みたいなものだろうか?
そこへボールが床に叩きつけられる音と、続いて審判のホイッスルが!
「せんせー、イナちゃんせんせー! 何よそ見してるんですか!?」
ベンチの横に座る控えの生徒に叱られる。
いけない、今は顧問と監督をしているバレーボールの試合の真っ最中だった。
全国大会の地区予選、その二回戦。
我が県立女子高は昨年の県予選優勝校としてシードされており、これが緒戦となる。
その所為か、生徒たちは練習どおりにやっているものの、どことなく動きが硬い。
体育館の中に渦巻く応援と歓声、それに飲まれてもいるのか。
「まずレシーブにしゅーちゅー! しゅーちゅーしてー!」
ベンチの上に立って指示を送る。両腕をブンブン振り回して。
我が生徒たちは、ダメか、まるでこちらを見ていない。相手校の選手たちの方が余程こちらを見ている。それどころか、ちゅーちゅーなどと私の口真似をして笑ってさえいる!
セッターの生徒が自軍に向けてサインを出す。後ろ手で、お尻の前で。
そう、ふくよかで丸い、高校生らしい健康的な色気を放つ双丘の前で。
(因みに、バレー部のユニフォームは、生徒たちの選択による体操着とブルマーだ)
触ったらきっと柔らかいんだろうな……
――! 何考えてるの、わたし!? こんな大事な局面で!
ここ数日、私はおかしかった。
生徒たちのお尻にばかり目が行くのだ。彼女らが体操着の時、いや制服の時でさえ。
バレー部の練習中には、しっかり走りなさいとか言いながら、生徒たちのお尻を押してみたりもした。そうしたい衝動があった。
同じ女性なのに!
しかし、飛び散る汗に太ももの白っぽい肌色とブルマーの赤、そのコントラストと躍動感。
そして試合の緊張感の中で、まるで場違いな穏やかさを放つ、二つの丸いカーブ。
ああ、それらを今すぐ弄べたなら……
と、まるで変態な妄想に入り浸ったところで鳴る審判のホイッスル!
またも得点された。
当然だ。生徒の出したサインは、今の配置にそぐわないクイック攻撃を要求したものだったのだから。後衛の生徒が面食らってレシーブをミスしたのだ。
「タ、タイム!」
たまらずベンチから前に出て、両腕でTの字を作り審判に一回目のタイムアウトを要求する。
「イナちゃん、ベンチの上に立ってた方が」
声はすれども姿は見えず、といった風に周囲を見回す審判。
見かねて隣の生徒が声をかけてくれる。「ここですー!」
そこでやっと気付く審判。まったく失礼ね!
「タ・イ・ム、よ! 良いわね?」
審判に毒づく。そりゃ私は背が低いですよ。でもシューズ履いて四捨五入すれば150センチあるんだから!
「伊那 Q子(いなきゅうこ)、いやキューちゃん、落ち着きなよーw」
264 :
本スレ172:2011/06/06(月) 01:25:44.04 ID:IJYQC4h/
審判におちょくられる。いくら大学生の頃にコーチだったからって、ちょっと馴れ馴れし過ぎじゃない?
まあ大学生の頃(これでもインカレで優勝した時にセッターをやってたんだから)の呼び名である179(いなきゅー)
よりは遥かにマシだけど。
ベンチに戻ってくる生徒たち。掃除の係員たちがモップを床に滑らせる。
今年は何処かの学校から召集したのか、内一人は長い髪をポニテに纏めた学生っぽい女の子だった。まあ女子の試合には男子禁制な空気があるし、仕方ないのかも。
「やっとボクの出番だね」
集まった生徒たちに、マネージャの生徒(いわゆるボクっ娘)が飲料やタオルを手渡す。 それで一息つけたのか、生徒たちの表情に色が戻って来る。
「さあみんな、イナちゃんの指示聞いて気合い入れ直すよ!」
主将の生徒。
「じゃあイナちゃん、アドバイスをーって、あれ? イナちゃんどこー!?」
目の前に居るのに、まるで見えて無いかのように振舞う主将。
「ああんっ、わたしここー!」見回す目先に手を伸ばして。
いつも通りのネタに零れる失笑。主将のこういう機転がホントありがたい。
「あの長い髪の娘がやっかいね」
何度もブロックを抜かれていた生徒が吐き捨てるように。
確かに厄介、というかふざけている。かつて都道府県の代表選手にだけ許された、ゼロゼッケンを背負っているなんて。今は完全に学校別なので、そのシステムは無いのだが。
「うん、あの025を止めないとやられっぱなしね」
「でもどうやって?」
「一回で良いからサーブ取れば、025を後ろにやれるから」
生徒たちに会話が戻る。うん、もうこれで立ち直れそうね。流れさえ掴めば、地力はこちらの方が上の筈だから。例えあの025が凄い選手でも……そう言えば何処かで見たことがあるような? どこだったかしら?
「イナちゃん、どうすれば?」
セッターの生徒が聞いてくる。サインミスの事は言わないでおこう。その必要も無い。
「こないだ練習してた、アンダートスで直接相手コートに入れる技を使いなさい」
「ええっ、こんな時にあんなダマシが通用するでしょうか?」
「こんな時だからよ。出来れば025の選手の頭上に。出し惜しみは無しよ」
いけるのかな、と逡巡するセッターにレシーバーの生徒が、じゃわたし低く球を出すからね、と話しかける。そう、この二人も去年の優勝時のメンバー。寧ろ今現在の硬さの方が不自然だ。
「大丈夫、ちゃんと出来るよ!」
そう言ってセッターの生徒のお尻を張る。パアンという音が響く。
不自然な妄想無しで出来た。そして、そんな変な事に安心してる自分が少し嫌になった。
「…………」
そこで気付く鋭い視線。お尻の音がそうさせたのか、相手校の選手が一斉にこちらを見ているのだ。いや、その前からこちらを見ていたのか? 特に025の選手の視線がきつかった。
そう、その目つきで気が付いた。彼女は生徒が持ってきていた薄い本の表紙の、日本鬼子に似ているのだと。
「ケンジョー、ファイッ!」
「ゴーファイッ!」
円陣を組んで気合いを入れる生徒たち。
そして一斉にコートへ散って行く……筈なのだが、何故かセッター以外の5人の生徒が横一列になって、こちらにお尻を突き出した。
「私たちにも気合いを下さい!」
ずらりと並んだ赤いブルマの丸いお尻。
心の中の何かが鼻血を出したような気がする。
そして、審判が休憩時間終了だとホイッスルで急かす。
265 :
本スレ172:2011/06/06(月) 01:26:40.91 ID:IJYQC4h/
「ほら!」「もう!」「しっかり」「しなさい」「ってば!」
泣きたくなる気持ちを抑えて、パシンパシンと押し出すように尻を叩いていく。
生徒たちは口々に痛い痛いと言いながらも、笑顔でコートに入っていった。
「…………」
5人全員、ブルマは微かに汗ばんでいた。その手触りが。
意識しないようにしようとしたのに、そう思った事で逆に意識してしまった。
まさか生徒のお尻の感触を楽しんでしまうなんて!
私は一体どうしてしまったのだろうか。大学を卒業して未だ3年の若さなのに。
「ナイスでーす!」
控えの生徒の声で我に返る。たった今、例のダマシ技が決まったところだった。
「イナちゃ、あっ……」
私の横顔を見て絶句する控えの生徒。そう、今自分でも分かるくらい表情が険しくなっている。
「さあここからよ、締めてくわよー!」
同じ様に私の表情を見た主将が、良い方に解釈してくれた。そう、気を抜ける場面じゃないのは確かなのだから。
「あ、あの〜、ボクにも」
マネージャがおずおずと、気合いを入れて下さいと話しかけてくる。
「あなたは駄目よ」
「ええ〜っ? なんでですか〜?」
肩の高さで切り揃えられた綺麗な髪が残念そうに揺れる。
え、ちょっと待ってよ。この娘のジャージをずり降ろしてお尻ペンペンしなさいって?
私の心の中で、何かが歓喜の声を上げるのが分かった。確かにこの娘はチームの中でもとびっきりの可愛らしさを持っている。でもしかし。
「選手じゃないでしょ」
そう言っておいた。
険しい表情のままで。そうしなければならなかったから。何故なら、025が私に負けないくらいの険しい表情で私を睨んでいるから。
鬼子に似ている相手選手の025。もし彼女が本当に鬼子なら、邪な心を祓ってくれるという都市伝説な鬼の化身ならば、私は彼女の前に
身を投げ出す事を厭わないだろう。そして、いつの間にか心に巣食っている邪を追い出して、平和な日々を取り戻す幸福の予感に打ち震えるだろう。
しかし彼女はどう見ても普通の人間。身長は他の選手と同じくらいながら、ジャンプ力などの基礎体力とバレーボールのセンスが少し他人より優れている、ただそれだけの。
だから私は彼女を徹底的に潰す指示を出す。タイムアウトの度に、コートチェンジの度に。
徐々に余裕を失う相手チーム。その監督の指示は、最初宥めて途中で怒鳴り、その後陰険な雰囲気に変わっていった。
そして、その嫌な空気から逃れるように私の笑顔を期待する生徒たち。しかし、私はいつまでも笑顔を作れない。
試合が終わるまで私に笑顔は戻らないと諦めたのか、その都度お尻を叩かれる事を願う生徒たち。その真摯さに、要求を拒む事は出来なかった。
そしてその度に向けられる、025の糾弾するような鋭い視線。
私は、朧げに救いを期待する相手を、自らの視界から追い出そうとする自己矛盾の中で喘いでいた。
そんな中進む試合。1セット目こそ僅差で落としたものの、2,3セットは025が疲れてきた事もあって、大差で獲る事が出来た。
そして迎えたこの第4セット。24−10のセットポイント、即ちマッチポイント。
が、好事魔多し。セッターの生徒がネット上でのもみ合いの末の着地時に、足を捻ってしまったのだ。
266 :
本スレ172:2011/06/06(月) 01:27:40.76 ID:IJYQC4h/
絡んだ相手方の選手、025。心配そうな顔を向けてくる。
「ごめんなさい、私の所為ですよね」
「いえ、そういう事は」
初めて言葉を交わしたコートの上。思ったよりも高い優しそうな声だった、が。
もう負ける寸前だというのに、何この余裕? 勝負事を舐めてるの?
そう思ったら、急に彼女に対する印象が変わった。
「そういう事はないわ。いいえ、寧ろ余計なお世話かしら」
意外そうな顔をする彼女・025を残し踵を返す。審判に選手の交代を宣告する為だ。
「ウチは、ケガしたセッターをアウト、マネージャーをリベロとして入れます」
「ええっ!?」
「なんでそんな!?」
生徒たちや相手選手たちの疑問の声を背に、さっさとベンチに戻る。
「何ボサッとしてるの? さっさとコートに入りなさい!」
マネージャに檄を飛ばす。その声で、主将に肩を支えられて戻ってきたセッターが言う、まだ大丈夫の声がかき消された。
「せんせー、嬉しいですけど、可能なんですか?」
「県予選は選手登録がユルいのよ。念の為にアナタも選手登録してあるわ」
事実だ。審判が登録表を確認して、オーケーのサインを出してきた。
「リベロだから、服もそのジャージのままでいいわね」
さあ、とマネージャをコートに送り出す。
疑問と困惑の目、目、目。
その中でも特に異質な025の視線。どうせ助けてくれないんでしょ? ならそんな物事分かってるような態度とるんじゃないわよ!
少し困ったような審判のホイッスルの音。試合再開。
「アナタの相手は、その娘で充分よ!」
サーブ権は相手側。案の定サーバーの位置に入れたマネージャが狙い撃ちされ、瞬く間に点を奪われる。
24−15 まあ、すぐに試合を終わらせるでしょ、あと1点だから。
24−20 何やってるの? か弱い娘の一人もカバー出来ないの?
24−23 マネージャの腕は赤く腫れ上がり、既に半泣きの状態だ。
そしてついに、24−24のデュース。
「せんせー、わたしいつでも行けます!」
控えの生徒の声が、既に叫び声に近くなってきた。彼女もセッターだ。何故自分が入れないのか、このままではセットを落としてしまうのにという焦燥感で一杯なのだろう。
しかし、ボールは無情にもマネージャをカバーする為に歪になった守りの空き地を狙う様に落とされた。24−25、ビハインド。
「伊那先生!!」
相手の選手たちの動きが明らかに変わっていた。舐めた選手交替にプライドを潰されたと思ったか、
はたまた単調な攻撃を見切ったのか、025を中心にまるで別のチームかと見まごうばかりに動きが良くなっていた。こちらがマネージャを中心に萎縮しているのと対照的に。
「うるさいわよ」
ベンチの上で仁王立ち。もう自分でも自分が何をしたいのか分からなくなってきた。そう、誰も助けてくれないのね。
と我侭な感傷を覚えたところで、場内が歓声に包まれる。他の生徒がレシーブミスしたこぼれ球をマネージャがリカバリしたのだ、足で!
あっけにとられながらも、チャンスボールを相手に返す前衛の生徒。
そして再び繰り出される相手選手の強烈なスパイク。しかし、それすらもまたマネージャが片足で器用に拾ってしまった。
267 :
本スレ172:2011/06/06(月) 01:28:27.02 ID:IJYQC4h/
今度は上手くセッターにボールが返った。それでとりあえずアタックの形に持ち込んだ。 25−25 再びデュース。
今までは慣れない前傾姿勢で、腕で球を拾おうとして失敗していた。当然。視界が慣れないものだったから、全ての目測に誤りが出ていたのだろう。
しかし今は胸を張った状態。中学生時代はサッカー部だったという娘にとっては、それが視点のホームポジションだったかもしれない。足さばきはまあオマケみたいなものだろう。
そしてこれで我がチームに活気が戻ってきた。それはポジションが移動したからだ。
リベロは前衛には上がれない。後衛左を終えたら、他の選手と交代するルールだ。今マネージャは後衛の右から中に移動した。生徒たちはマネージャが交代するシナリオを思い付き、その中に勝利の可能性を見出したのだ。
声が蘇る生徒たち。マネージャも痛々しく腫れ上がった腕と手をおして、サムアップしてみせる。あと2回サーブ権移動で交代だと。
自軍のサーブ。もう控えの生徒も黙って見ている。
そして私は、本当は何をしたかったのだろう? こういう教育的な展開を狙っていたのか? 残念ながら答えはノーだ。意外な盛り上がりに感動すらしているというのに。
教科書どおりの攻撃が決まり、26−25 再度のマッチポイント。
相手選手もこちらの思惑を読んだのか、次のポイントは獲らせてくれると思ったらしい。雑なスパイクを返してくる。
それを拾った自軍の生徒、そのレシーブは。
そしてそれを見たマネージャは!
「バックアタック!?」
少し間延びしたレシーブ、セッターのサインには無かったそのプランは、戦況からまったくの意表をついた素晴らしい発想だった。しかし、如何せん門前の小僧なマネージャは付け焼刃。
ゼンマイのように一旦下がって助走し、羽のようにジャンプした。タイミングは計ったようにばっちりだったが、ただ高さが、その高さだけが僅かに――
「もっと飛んで!!」
いますぐ飛んでいって、その体を下から押し上げてあげたくなった!
そして、その激情に呼応するように、心の片隅にある邪な感情が立ち上がる。そのお尻を押し上げてやるんだと。
その瞬間、周囲が暗くなった。
いや、色を失った。それで暗くなったような気がしたのだ。
周囲のものは自分を含めて止まっている。呼吸すら止まっているが、息苦しさなどは全く無い。風も歓声などの音も無い。瞬きもしなくて特に不具合も無い。
つまり、時間が止まってしまった? そんな事って!?
「止まってはいないぜ」
体から、全く動かない体から茶色の光が浮かび上がり、それが体から離れてヒト(?)の形を作っていった。
「止まっていたら、思念体みたいなものである我々も動けないからな」
そのヒトの形の光りは、徐々に実体めいたものに変わっていった。大きなリスの様な尻尾を持った、男性のヒトの形に。
確かにそうだろう。でも現実として自分は、体をほんの一ミクロンも動かせない状態だった。もし動かせても、それは空気の壁を突き破るという
事だから、ソニックウェーブで自らの体を切り裂くというオチしか待っていない。やるだけ損だし、それは時間が止まっているのと同義だろう。
「貴方が私の中で邪な事を考えていたの?」
「よこしまなんて失礼な。俺はただ、神聖なる生命の誕生する場所を誇示するところを愛でる為にだな」
「……まあ、兎に角エロい存在だという事は良く分かったわ」
「エロを舐めるな」
268 :
本スレ172:2011/06/06(月) 01:29:23.88 ID:IJYQC4h/
わたしはこんなものにとり憑かれていたのか。情け無い。そういう無垢な感情が立ち上がるという事は、つまりこのエロい存在が完全に私の中から出ている事を意味していた。
「では何故私は会話出来るの? 貴方は私の中から出ているのに」
「さあね、俺も良く分からんよ。こんな事は長年オシリスキーをやってて初めての経験だからな」
オシリスキーというのか、この半人半リスの化け物は。
「まあ、やる事やったらすぐにまたあんたの中に戻るさ。宿主としての女性ってのは、あまり居心地が良く無いんだけどな」
でも女のお尻を触る機会は沢山さ〜、と半ば歌いながら、中空に浮いているマネージャに近づいていく。
「この娘のお尻を触る為に、あんたにとり憑いていたようなもんだからなあ」
そんなに良いものだろうか? 他人のお尻というものは。
「そして、そこで様子を見ている奴、いい加減出て来いよ!」
025選手に向かって言い放つ。やはり彼も彼女を鬼子だと思って?
しかし、それに対する返答は、全く別のところから発された。
「触りたいのなら、さっさと触ったらどうなんだ?」
コートの横で控えている、床拭き係のポニテの女学生。その体から赤い光が立ち上り、それが徐々に和服少女の形になっていった。
「あ、あれは……」
そう、これこそ生徒が持ってきていた薄い本の日本鬼子、そのものだ。
「ほう、意外に物分りがいいじゃないか。でも良いのかい? 今俺がこの娘の尻をい触ったら、俺の中のお尻パワーが満タンになるんだぜ?」
なんだそのお尻パワーというのは。
「満タンになったらどうなるんだ?」
ゆらゆらと揺れながらその間合いを詰めてくる鬼子。何か言い様の無い殺気みたいなものを携えて。
「バッカおめえ、このタンクは一度満タンになったら二度と枯れる事は無いという優れものよ。同じ鬼なら無限に酒が出てくる竹筒の事は知ってるだろ? アレと同じだ」
「ふむ、ではそのパワーとやらは?」
「そりゃおめえ、色々使える便利なものよ。例えば、祓いを生業にしている、同業者殺しの鬼を退治するのに、とかな!」
鬼子のバックをとろうとするオシリスキー。マヌケな名前とは裏腹に、その動きは素早く隙が無い。
「ほほう、それはいい事じゃないか。こちらは止めないぞ、さっさとやったらどうだ?」
敵に見守られていては落ち着かないのだろう。オシリスキーは先ず鬼子を追い払う事を優先させるようだ。
「オマエのお尻を頂いてからゆっくりな!」
バックの取り合い、文字通りのドッグファイト。
暫く、その真剣で且つどこかマヌケな戦いが時間の止まった体育館の中で繰り広げられたが、結局双方引き分けな雰囲気になった。
「くっ、こちらを疲れさせる戦法か。だがな!」
反転し、私の体に戻ろうとするオシリスキー。
「こっちには宿主という人質が居るんでな」
その瞬間、私の体内が、いや心の中が淡い色に染まった。
それはピンク? いえ、それよりも遥かに淡く儚い、桜色。
『よいしょ、もう大丈夫ですよ』
心の中の桜色の声。なにか安心と柔らかさの塊みたいな。
「ぐわ、俺を追い出すつもりか!」
私の中に入れなかったオシリスキーの叫び。どうやらヒトの心の中というのは、定員が一名の様だ。
「しかし、まだまだ。あの娘のお尻を触ればパワー満タン、無敵モードだからな!」
269 :
本スレ172:2011/06/06(月) 01:30:07.83 ID:IJYQC4h/
マネージャに向かって飛んでいくオシリスキー。鬼子は、今度はそれを妨害しなかった。そして、それを見て逆に戸惑うオシリスキー。
「お、おまえらお終いだ! 俺が終わらせてやるよ!!」
中空に浮かびっぱなしのマネージャに取り付くオシリスキー。
「お終いはオマエだろ?」
ついにオシリスキーのバックをとる鬼子。
「おせえ! 俺は今から無敵になる。この娘の――」
それは娘は娘でも。
「それ、むしゃぶりつけよ」
「ぐわ、こ、これは女じゃねええええええええええええええ」
いわゆる男の娘なのだから!
「遠慮するな!」
怯んだオシリスキーの後頭部を掴んで、マネージャの臀部に押し付ける鬼子。
あれなら、時間が動き出してから、マネージャはもう少し上に上がれるだろう。そしてバックアタックも上手く行くに違いない。
「ぎゅああああああああああああああああああああああああああああああああアア!」
見る見るうちに光の粒になって、やがて蒸散していくオシリスキー、だったもの。
『彼は男のお尻が弱点だったのです』
一瞬にして消え去ったところを見ると、余程強烈な苦手だったのだろう。
『では、短い時間でしたが私もこれで』
私の中から、桜色の光りと、同じ色の和服を着た幼女が去っていくのを感じた。
それと同時に、コートの向こう側に降り立った鬼子もまた中空に消えていった。
彼女たちもその生業の一部をこなしたというところか。結構あっけないものなのだな。
と妙な感慨に浸った瞬間、審判の強烈なホイッスルの音で現実に引き戻された。
「そこのちびっ子監督、退場ー!」
気がつけば、何故か私はコートの中に居て、マネージャの体を持ち上げていた。それもお尻から。
周囲の唖然とした目、目、これまた目……。
結局、試合は4セット目で勝利した。とどめはマネージャのバックアタック/サマーソルトキックだった。まるで冗談か、出来の悪いどこぞのSSの様なオチだった。
相手チームと歓談して別れる。次の3回戦は来週だ。時間は無いから引き締めていかなければ……と考える、会場からの帰り道の、学校差し回しの観光バスの中。そこに小さなリスが紛れ込んでいた。
なにこれ可愛い、と盛り上がる車内。やはり年頃の女の子たち(一人だけ厳密に言うと男子だが)。こういうものには敏感だ。生命の有無に関わらず。
しかし私には分かってしまった。このリスはあのオシリスキーが縮んでしまったその成れの果てだと。このまま放っておけば、またヒトの生気を吸って妖怪なり鬼なりに化けるのだろうと。
それでも私は見逃す事にした。私の逡巡を見て取ったのか、そのリスはバスが信号で停車した時を見計らって窓から外に逃げてしまった。生徒たちの残念そうな声を残して。
そう、必ずしもまたあの様な外道なものになるとは限らない。それに個性というものは、ある程度の放置をしなければ育たないものだから。
そういう期待の仕方もある。私はそう思った――
270 :
本スレ172:2011/06/06(月) 01:32:48.79 ID:IJYQC4h/
以上です。駄文で長文のスレ汚し、大変失礼しました。
本スレ172さん、192さんGJでした!
オシリスキー大活躍ですねwww
まさかあの流れから見事にSSが誕生するとはw
今後も期待していますね☆
なんと、リス型オシリスキーw 上手くネタ拾ったなあ・・・・GJです
172さんも良コンボGJ!
縦横無尽な物語進行がむっちゃ楽しかったです。
また何か書かれるのを楽しみにしています!
274 :
本スレ172:2011/06/07(火) 13:58:05.33 ID:dbpeW4nJ
>>271 >>272 >>273 御感想ありがとうございます。励みになります。
それと、遅れましたが、オシリスキー創作者の方々と本スレの195氏へ感謝申し上げます。
結局のところ妄想モ……あいや、本スレ192さんに、『放置プレイもまた愛情表現のうち』と言いたかったのですが、
私の書き殴りでは上手く伝わらなかったかもしれません。筆力低く申し訳ありません。
私見ながら、192さんは本流のお話を書きたがってる様に感じます。
そして、天魔党に代表される、1.5次的な設定の存在を障害と認識している様にも。
正直言って、他人の創作でありながら未完成の天魔党は扱いづらいですからね。
(心の鬼は、最初から汎用キャラとして募集されたので、気軽に使えるっぽいですが)
何勝手な解釈でSS書いてんだゴルァ、とか言われそうで怖いですし。
そこで、今回の様に、自由に使える心の鬼やその他ネタを募って、楽しくSSを書いていってみませんか?
肩の力を抜いて。
無論、192さんに限らず、今ROMってる他の書き手の皆さんも!
でないと、勿体無いですよ? その才能が眠ってるのは。
というワケで、次のネタを希望します。心の鬼は出来ましたらwiki内のものを。
それ以外でも、気楽に書けそうなネタが有りましたら是非。
厚かましいお願いで大変恐縮ですが、宜しくお願い申し上げます。
275 :
避難所874:2011/06/07(火) 22:59:14.07 ID:X6ennRU/
>>274 もし大丈夫ならハヤガテンさん(ジャスミンの人)のチラミンゴなんてどうでしょうか?
鳥とか魚とか、自分とは違う視点・空間から襲ってくる敵はなかなか書き辛くて…。
『降りてきなさ〜い!卑怯者〜!』か脅威のジャンプ力になりがちです。あとはカウンターか…。
276 :
本スレ172:2011/06/08(水) 00:46:03.74 ID:ahyhLBCV
>>275 いくら空の上に居るといっても、それが飛び道具を持っていない限り接近するしかないわけで。
そこに攻撃の機会が有る筈。
自分がカラスと戦う様子を考えて見れば良いかと。
相手(カラス)にヤル気が有れば有るほど、貴方(鬼子)に勝機が生まれる。
と読者に思わせつつ、並行してネタを仕込んで最後にドンデンで良いかと。
【チラミンゴとのバトル】
フクロウなどの例外を除き、鳥の目は頭部の横に付いている。
それは何故?
それは、正面から風を目に受けると不都合があるから?
それとも、横方向からの攻撃に弱いから?
「どうした鬼子、そんな短い得物ではここまで届かないぞ?」
頭上を優雅に旋回するチラミンゴ。
足元は、30キロ四方はありそうな広く浅い湖。其処はチラミンゴのテリトリー。
履物と足袋はとうに捨てた。着物の裾は膝丈まで捲り上げて帯に挟み込んだ。
「来なければこちらから行くぞ!」
頭上から急降下してくるチラミンゴ、教科書通りに太陽を背にして。
「ちっ」
頭上3mあたりで引き起こし、代わりに空気の塊を叩きつけて行く。
「――!」
すんででかわす。
この攻撃、媒質が空気とはいえ、かなりの破壊力を持っている。
その証拠に、今の攻撃で横の水面がえぐられ、30センチ下にあった岩が割れていた。
立ち上がった水の壁は、チラミンゴにかぶりそうな程だ。
「逃げてばかりか? それではその内に」
そう、実はもう十数回この攻撃を受けており、その度に体力を削られている。
もう何度もかわせるものではない。
「水底でペシャンコだな!」
またも頭上から急降下してくる。
しかも今回は目が合った!
横に付いてる筈の目が何故!?
「喰らえっ!」
叩き付けられる空気の塊。それに向かって薙刀を振るう!
「真中斬り!」
空気の塊が真っ二つになり、間の真空部分がチラミンゴを襲う。
「うわっと」
が、かわされてしまう。
その代わり、結構まともに空気の爆弾を喰らってしまった。
立ち上がる水の壁、硬い水底の感触。
「……くそ」
予想した次の攻撃が来ない。
立ち上がり、頭上を見上げる。
「や、やってくれる」
左の羽を痛めたチラミンゴ。かわしきれていなかった様だ。
「俺を本気にさせたのは、鬼子、おまえが初めてだよ!」
そう言って彼方へ飛び去って行く。
「逃げるのか!?」
「本気の……げき、をー……」
277 :
本スレ172:2011/06/08(水) 00:49:52.84 ID:ahyhLBCV
聞こえなくなった。20キロは離れただろうか?
とりあえず、体のダメージを確認する。
たくし上げた裾をもう少し開いて……
「――!?」
体を貫く強烈な何か。これは一体?
先程の転倒で、着物の中に何かが入ってしまったのか?
もう一度体を見る。今度は胸元を開いて……
「!!!」
今度は分かった。この痛いくらいに不愉快な感じ。
これは……
(そう、俺様の視線だよ)
チラミンゴの念か?
(俺様のチラ見は強烈だぜ? いつまで耐えられる?)
またも体を貫く強烈な刺激が!
これは本当にやられる。
「そう? こんなの全然なんとも無いわよ?」
実際は足に来ている。
(ふん、強がりも大概にしとくんだな)
またもチラ見の攻撃が!
「くっ」
たまらず深いところを探して水面下に逃げ込む。
(けっ、逃げたつもりかよ)
とりあえず水中を移動する。
(しかし俺様の方はもうダメージを回復したぜ)
(そろそろ止めを刺しに行ってやる)
そのセリフが終わりきらないうちに、空の彼方にチラミンゴの姿が見え始める。
今度は最初からかなり低空を飛んでいるようだ。両脇に水柱が立っている。
って、これは!
(俺様の大きさが普通のフラミンゴと同じだって、誰が決めた?)
先ほどと変わって、翼長が30メートルほどの怪獣になっていた!
しかもその速度も増しており、船の寄せ波宜しく水柱がチラミンゴの100m前方から
立っている。
(もはや音速の10倍以上だ。潰れろ鬼子!!)
強烈な水壁、超高速で接近!
(ん、超高速? それなら!)
その壁を蹴り飛ばし、登っていく。
高速で動けば、水もまたコンクリート並の硬度を持つ。
そしてチラミンゴの頭上に出た!
「私は超高速で動けないって、誰が決めたの?」
薙刀を一閃!
「な!? 糞があああああああああああああああああああああ!」
チラミンゴは完全に真っ二つになり、光の粒子となって蒸散した。
「チラ見も覗きもほどほどに!」
というワケで、とりあえず叩き台と致したく。
すんません、今夜はもう寝ます。
278 :
避難所874:2011/06/08(水) 05:55:55.54 ID:HFrKkozx
遠距離攻撃を弾く、対アグニム型もアリなのか…。自分が思いついたのは随分違うけど、書いてみます。
ある明朝…そっと携帯電話を開く母の姿があった。信用しているとは言え、どうしても見たくて堪らない。
浮気の気配も何も無い夫の電話を、何も無い日常は平和過ぎておかしいとついつい覗き見てしまう。
いつもの様に女性の気配が無いと安心して閉じて終われば良かったが、この春に初めて見る女性の名がそこにはあった。
入学式も終え、今日から娘が一人で学校へ通う。けれどもその晴れの日に不安とスリルで心臓は爆発しそうだった。
あの後、いつも通りの優しい妻として夫のお弁当を作り、何事も無いよう装い初めて二人一緒に出る夫と娘を送り出した。
見たい…知りたい…あの女は一体誰何だろう?でも…もし知ってしまっては、この生活は壊れてしまう…けど…
『ならば、迷う事は無いわ。知ってしまえば良いのよ』
誰もいない場所から声が聞こえる。疲れているのだろうか?だが視界の端にそこを捉えると、確かに何かがいた。
『私の力は、私自身も見せてしまうようね。もし…見たいけれど見れないものがあれば、私が力を貸せるわ』
しゃべった。ピンク色をした、角のある鳥が。そもそも窓を開いていた覚えもない。こんなのが入ってきたら気付くはず。
昔から好奇心の強かった母は、すぐにそれがどういったモノなのか、思い当たる。妖怪、幽霊…鬼の類いだ。
『私の力、千里眼を使えば真実を見れるわよ?』
母はチラミンゴの視線を通して、街の隅々まで見渡していく。視力は前から悪い方では無かったが、
それでも遠眼鏡を通して見る景色ほどではない。街の物陰に隠れた物さえ見える力に驚きつつ楽しんだ。
『ねぇ〜。見たいのはそっちじゃなかったでしょう?本当に見なくて良いの?』
不意に声をかけられ、何も無いはずの山奥を見る。するとそこに見えた着物姿の女の子が、こちらに手を振っていた。
アレ?…もう一度見てもやはり振っていた。赤い着物の女性が女の子へ近づいて何やら話した後、走り始めた。
『知りたいのは何でも無い景色じゃ無いはず。秘密に出来ていると思っているのを覗き見るのが良いでしょう?』
チラミンゴは夫の仕事を覗く事を執拗に求める。私はその声をよそにまず子供の教室を見た。何事も無く勉強をしている…。
『知らないまま、いつか突然襲ってくる事実の方が怖いわよ。さぁ、見なさい!』
一方、鬼子達は山奥から繋がる異界で休んでいた。不意に小日本が空へ向かって大きく手を振った。
「どうしたの?小日本?」
「ねねさま、誰かがここを見ているよ〜。あ、また!お〜い!」
「ここはそう簡単に解らないはず…。!鬼の力ね。小日本、視線の元へ行くわよ」
チラミンゴがどうしても見せたかった視線の先…夫の会社では、夫が若い女性と親しげに話す姿が見えた。
信じたくは無い姿、こんな力信じて貰えないだろう事、何も解決出来ない。知ってしまった事実だけが重くのしかかる。
『知らなければ、いつか彼はあなたを捨てたわよ。そう、秘密は覗き見て知る必要があるわ』
もう空は夕刻。力無くうなだれてただ時間が過ぎるのを待つのみ。その時、ドアが強く何度も叩かれた。
「突然すみません!ここに異形の者が現れてはいませんか?」
ドアスコープから見えた姿はあの女の子と一緒にいた赤い着物姿の女性。手には薙刀まで持っている。
「私達はその異形の者を祓う生業をしております。信用ならぬかもしれませんが扉をお開け下さい」
今日は不思議な客人が多く訪れる日だ。そう思いながら扉を開くと、チラミンゴが威嚇しながら迎えうつ。
『こんな場所まで何の用かしら?日本鬼子』
「あなたを祓いに来たのよ!心の鬼!」
突然爪やクチバシで女性と戦い始めるチラミンゴに呆気に取られていると、不意に電話が鳴った。
【もしもしOO小学校担任のOOですがお子様はもう帰られましたでしょうか?】
そうだ…娘が帰る時間はとうに過ぎていたのにそれすら気づいていなかった。
動揺する私を見て戦いをひとたび止める二人、すぐに夫へ確認の電話を入れる。
『ねぇ、あの事は聞かなくて良いの?』
「どうかなさったんですか?何かお手伝いは出来ますか?」
娘が帰るはずが帰っていない事、どこにいるかも解らない事を涙ながらに話すも…。
「小日本!この人と娘さんの縁は…」
「大丈夫、繋がってるよ〜。でも…ねね様、既につながっているからこそ何処にいるかまでは…」
『私の力を使いなさい!私に憑かれる程望んだのは、幸せな生活のためでしょう!さぁ、早く!』
そっと千里眼のチラミンゴの視点へやると、学校への通学路が見える。いない…ここにもいない…。
先ほどまで戦っていた二人は固唾を飲んで一緒に私の手を握っている。よく見れば女性にも角がある。
こんな人とは違う姿の者だって子を想う母を心配してくれるのだ。目が痛くなるが必死に探す。
駅…大通り…河原…河原?いた!娘だ!それを伝えると二人ともが飛び出して、娘を迎えに行ってくれた。
娘は…朝私の様子が違うのに気づいており、花冠をプレゼントしたいと花を詰んでいたそうだ。
夫は娘を心配し、残業も放って飛ぶ勢いで帰ってきた。親しくしていた女性について、聞く事は躊躇った。
けれども…携帯を覗き見ていた事まで含めて全てを話し、答えを待った。最悪の結末まで覚悟しながら。
『本当に私が居なくなっても不安にはならないのね?』
チラミンゴは寂しげに笑うと、私の深く頷いた首を見て、鬼子と呼ばれた女性の刀の露と消えた。
不安に駆られて対話を無くし、新入社員の教育担当になったという夫の話も聞いていなかった。
もう迷う事は無い。人同士でなくとも互いに思いやり、心配し支える事が出来るのだ。家族の中で出来ないはずがない…。
時折ふとあの広い視界を思いだして目を細めてみるも、普通の景色だ。
その時、ふとまた小さな女の子がこちらを見て手を振っている気がした…。
283 :
本スレ172:2011/06/08(水) 13:19:08.66 ID:jZ0/3Eta
遅れて大変恐縮ですが、チラミンゴの創作者の方へ感謝とお詫びを申し上げます。
有難うございます。そして突っ込まれ用の駄文に使ってしまい、御免なさい。
>>282 ナイスなSSの投下乙、と言いたい所ですが、これは一体どういう事でしょうか。
ああ、きっと私はおちょくられてるんですね。
『バトルシーンの書き方』をネタにしてスレを展開させよう、そういうネタ振りだと思っていたのですが。
そう、またやっちまった、って奴です(恥)。
良く考えてみれば、こういうのは
SS・小説創作の初心者のためのスレ 4筆目
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1281197869/ でやれって話ですわな。それを何を勘違いしたか偉そうに私は(大恥)。
でもまあ折角なんで、予想されたツッコミに対する解答を書き込んでおきます。
1.視点を一人称で固定する
そうする事で状況説明からセリフに至る間を短縮出来る→バトルものに必須な
スピード感を出しやすくなる。
2.主人公を適当にピンチに陥らせる
これはもう説明不要ですな。
3.臨場感を出す為、視点の主の考えと読者のそれをシンクロさせる
状況説明と行動の選択の間を省略する事で(読者に考えさせる事で)その効果を
出しやすくなる。スピード感も出る。
4.エピローグは短く、出来れば無しで
プロローグも極力短く、出来れば状況説明とダブらせて全体をコンパクトに。
というワケで、1の理由から、77行目の(ん、超高速? それなら!)の括弧は付けてはいけない。
また、3をやり過ぎると、目が何故横に〜から真中斬り、迄の様に説明不足になる。
(きょう日、赤胴鈴之助なんて誰もピンと来ないし、だいいち真空斬りだろそれ)
その他にも色々突っ込みどころ満載なのですが(そもそもバトルとして面白くない)
断末魔もここらで終了とします。
主に4の理由により。
ごめんなさい、おちょくるつもりなんて全くございません。
ただ、自分にはどうにもバトルシーンを思いつかなかったため、先に思いついてしまった、
『心の鬼が人の役に立った』話をあげてしまいました。失礼を致しまして、申し訳ございません。
もう一度今日明日にでもチラミンゴまたはその他で、バトルシーンの書き方を意識して投下致します。
鬼子は、空高くを見上げていた。チラミンゴは豆粒ほどに見える高さから、こちらを覗き見ている…。
周りにいくつも落ちているのは、先ほどから勢いよく落とされ、ぶつけられた石つぶてだ。
奴は…その視力により鬼子の動きを逐一観察し、一瞬の目を逸らした隙に石をぶつけると共に、
急降下してクチバシで切り裂いてくる。目をそらしては駄目だ…しかし暑さの中、
日を見上げて動きを水の中で走り追うのは例え手練れの鬼子といえど、体力を消耗する。
気が滅入って少し俯いた時、六度めの急襲を受ける。体への打撲だけでなく、顔にまで傷を負う。
湖底から砂利を掻き取り、上空へ舞い戻るチラミンゴをまた見送り、ふと家に帰った時を考える。
(鏡を見たら、まるで別人が写ってそうね…)
少し笑えてくる状況に思え、ピクリとも動かなくなった鬼子に、チラミンゴは上空で首を傾げる。
もう、体力も残っていないのだろう。そう確信して七度めの攻撃へと動いた!
湖面に何も波紋が無いほど静かになった中佇んでいた鬼子は、俯いたままに薙刀を回転させ、
今度こそ石つぶてを弾き返す。驚いたチラミンゴは翼を広げブレーキをかけるが時既に遅い。
振り回した薙刀は、遠心力を得たままに、見事チラミンゴへと投げ刺さった。
「何故…私の場所が分かった?」
『女はね、いつも鏡でどう見えるかを研究してるものよ』
チラミンゴは湖面に映った自身の姿へ重なるように着水し、そのまま散っていった。
…VS水鳥だとこんな感じにしかならないです。どうですかね?
286 :
本スレ172:2011/06/08(水) 18:20:37.47 ID:9//O7Fh3
>>285 私は、他人の作品を評価するスキルを持ち合わせていません。
それ故、一般的な事柄しか記述出来ません。
1.読者の身になって考えてみる
バトルシーンを期待してる読者は、一文が長い文章を読みたがるでしょうか?
全改行文は決して卑下されるものではありません。
2.自分が書きたいものを書く
バトルシーンが嫌いなら、それを省略出来る展開を最初から仕込む。
自分が書くという事=読者を楽しませる事、という大原則を思い出すべき。
嫌々書いてるものはすぐバレます。
3.模写を楽しみながら練習
例えば感動したドラマや映画、それを小説形式に書き下ろしてみる。
ワンシーンだけでもオケ。
出来上がりは最初から有るので、作文上の不具合は覿面に分かる。
4.他人と話をする
ほんのちょっとした事、例えば、今日買い物に行ってこれこれこういう安いものが有って、
等と他愛の無い話を如何に面白く盛り上げて(聞き手がウケて)話せるか。
5.他人の話を聞く
説明不要。
以上、私も普段から留意している事です。参考になりましたら。
すいません。なんかSSスレは楽しそうなので邪魔するのも悪いのでこちらに投下します。
「・・・こにぽんとわんこ、遅いわね」
鬼子がぽつりとつぶやく。晩ご飯にと用意した“だんご汁”を、囲炉裏で温めなおしながら窓の外を見る。
夕刻から降り出した雨のせいで外はもう真っ暗だ。山菜摘みももう出来まい。突然のこの雨に、わんこと2人、どこかで雨宿りでもしているのだろうか。
「しかたないゲス。アッシがちょっと迎えに行ってくるでヤンス。雨降りの中、歩くのは得意でヤス」
そう言い本性の姿のヤイカガシが、傘を2本、ヨイセと背負う。
「うん・・・。そうだね、お願いしてもいいかな?」
「鬼子から頼まれたら、断れないでヤス。なに、ワンコも付いてるんだから心配ないでヤスよ。だから2人を怒らないであげて欲しいでヤンス」
柊の手で自分の胸を叩き、ヤイカガシは似合わないウインクをしてみせる。
こんな風体だし、人型の時は少々素っ気ない態度のヤイカガシだが、でも鬼子同様2人をとても可愛がっている彼だ。
こにぽん達をフォローしているのだろう。
「わかった、怒らないよ。うん。多分2人とも濡れてるだろうから、わたしは帰ってきたらすぐお風呂に入れるようにしとくね」
「このお礼は、鬼子のパンツでいいでゲス」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「三枚卸しと簀巻きで干乾しにされるの、どっちがいい?」
「むしろご褒美です」
(少しイイ奴かと、思ったわたしが間違ってました)
鬼子は反省した。
ヤイカガシとそんないつものやり取りをしていると。
===カラ、カラカラ・・・===
裏の勝手口が開く音がした。こにぽん達が帰って来たのだろう。
鬼子は用意していた2枚の乾いた衣を抱えると炊事場へ向かった。
「こにぽん? 雨は大丈夫だった? 早く着替えないと・・・、っ!? わんこっ!?」
「・・・・・・」
勝手口の戸の側で倒れているのは。雨と泥と、そして己の血で濡れそぼって地に臥しているのは、こにぽんと一緒に出かけていた、わんこであった。
「わんこ! しっかりしなさいっ。 わんこっ!!」
駆け寄り、濡れるのも構わず身体を抱き上げる。よかった、息はある。
「・・・おに、こ・・・」
鬼子の呼びかけに、わんこは焦点が合わない瞳を向け応える。意識もなんとか大丈夫そうだ。
だがなんという有様だろう。着物は無惨に引きちぎれ、いたるところから血が滲んでいる。額は割れ、わんこの端正な顔を血で覆っている。
左手は肘の下が、あらぬ方向に曲がっている。
森の熊にでも襲われたのだろうか? だがわんこならその程度、後れを取るはずが・・・。
( っ!?)
肩口から胸に真っ直ぐ裂けたこの傷。これは・・・刀の傷!!
鬼子の眉がギュッと歪む。
「・・・わんこ。なにがあったの? 誰にやられたの? こにぽんはっ?」
鬼子の口から出た、自分とさっきまで一緒にいた少女の名前に、わんこの指が震える。
奥歯がギリと鳴り、そしてわんこの両眼から・・・ポロポロと、涙が溢れる。
「・・・ぇ。すまねぇ、鬼子・・・。アイツ、俺・・・護れなかった。クソッ・・・俺、あいつ等に・・・」
「落ち着いて、わんこ。あいつ等って誰? こにぽんは、どうしたの?」
「こに・・・、アイツ、攫われた。黒い・・・カハッ!」
「!?」
わんこが口から血を吐き出す。鬼子の着物の紅葉柄がさらに赤く濡れる。
「ヤイカガシっ。はんにゃーを呼んできて! 早くっ!! それからわんこを広間に! しっかりして、わんこ!!」
をぉ!?
邪魔すると悪いとか言いつつ、SSスレに落としてもーた。
天魔の続きでした。すいません。
GJです。全然邪魔なんかで無いかと。
172さんも創作初心者参加希望さんも、避難所で既に話し終えてる感じに見えますし。
SSスレも賑わってきたなぁ…続き、期待しておりますです。武者の強さが桁違いなら修行場面もありか…?
291 :
本スレ172:2011/06/10(金) 22:31:49.37 ID:O8pmY0nj
あのやりとりが楽しそうに見えるのか……
では、
>>285に返SSを。
【ダンシングモデル鬼子のヒザ蹴り】
「申し開きが有るなら聞きますが」
おっ……俺は昔から不思議に思ってた事が有るんだ。
「あら、何かしら?」
鏡は何故、左右逆にしか映さないのか。何故上下逆にならないのか?
「それが?」
いやっ、不思議じゃないか? 鏡は逆に映すのなら、上下逆があっても良い筈なのに
いつも必ず左右だけが逆だ。
「……」
俺は探していたんだ、上下を逆に映す鏡を、その状態を!
「それが私の足元に有る、この鏡って事なの?」
そっ、そうなんだ! 鏡の上に立てば上下が逆に映る筈だって。足を上げれば、鏡の
中の足は下に向かって動く筈。それは上下逆だ!
「ではそのカメラは?」
け、検証とその証拠だ。現象をカタチに残さないと、また同じ疑問に苛まれるから。
「なるほどねぇ。じゃあその現象とやらを、もっと間近で見なさいな」
こ、こうか……?
「そう、もっと近づいて跪いて……そう、良いわよ」
何か凄く嫌な予感がするんだが。
「歯を食いしばった方が良いと思うわ」
或る日のことテトが道端を歩いていると鬼に出会った。
最近多いんだよね、ジャスミンとか蕎麦屋のバイト(綿抜鬼)もそうだし。
テトは鬼娘を無視しようとした。
だが相手は無視してくれなかった。
鬼娘「あなたが重音テトさんですね」
テトは鬼娘の方を向いた。巫女っぽい衣装に頭の大きなリボン。
ゆっくりに角をつけたらこうなるかな。
テト「いかにも、そうだが。」
テトは、自分も有名になったもんだと思ったが、相手の思惑はそこに無いらしい。
鬼娘「日本鬼子はどこですか」
テト「知らない。」
鬼娘「とぼけないでください。あなたの所に居ることは分かってるんです。」
テト「そう言われてもなぁ。あたしんちは彼女の家じゃないし、どこに住んでいるのか正直分からん。」
鬼娘「はぁぁぁぁ?何ですってぇぇぇ!」
テト「そんな反応されても困る。それに君は誰だ。」
鬼娘「聞いて驚きなさい。私の名前は日出鬼子」
テト「驚きようが無いな。」
日出「はあ?んですってぇ?」
テト「君は実に馬鹿だな―」
日出鬼子は最後まで言わせなかった。
日出「馬鹿ですってぇぇぇ」
テト「当然だ。今更鬼の一人や二人に会った程度で何を驚けと言うのだ。」
日出鬼子は言葉を失った。
テトは日出鬼子を無視して立ち去ろうとした。
が、日出鬼子はテトの前に回り込んだ。
日出「ちょっと待ちなさい」
テトは、こいつ素早いなぁ、と思ったが、直ぐに、ああ、鬼だからかと思いなおした。
日出「鬼子はどこですか」
テト「あたしの目の前にいるだろ」
日出「そうじゃなくって、日本鬼子はどこにいるかと聞いてるんです!」
テトは『君は本当に馬鹿だな』と言うのを堪えて言った。「さっき言ったろ?知らないって。」
日出「しらばっくれても無駄です。」
テト「鬼子は今日はうちに居ない。どこに住んでいるのかもわからん。ちなみにこっちから用があるときは呼び出しはできるけどね。」
日出「呼び出してください」
テト「何で」
日出「いいから呼び出してください。」
テト「理由を言え。」
日出「あなたにいう必要があるんですか。」
テト「ああそう。じゃあね。」
これ以上付き合うのは時間の無駄だ。テトは日出鬼子から逃げることにした。
日出「ちょっと、待ちなさい」
テト「ヤです」
日出「いいから、待ちなさい。」
テト「ヤです」
日出「だから(ry
以下このやりとりが延々と続いた…かどうか知らない。
「鬼子」
庭でずっと立ったままだった鬼子は、その声に静かに眼を開けた。雨はもう上がり、真白の半月が鬼子の顔を照らす。
「・・・こにぽんは?」
はんにゃーの問いかけに鬼子は静かに首を横にふる。
「呼びかけてはいるんだけど、返事が・・・。わんこが言うには、その“黒い”何者かは、こにぽんを大切なもののように扱っていたそうだから、
殺されたとは思えないわ。なにかに遮られている、と考えるのが正しいと思う」
「・・・そう」
鬼子は一度、感応の儀を中断する。鬼子の眼が通常の色に戻る。
「それで、はんにゃー。わんこは、わんこは大丈夫なの?」
鬼子に、はんにゃーはニヤリと笑ってみせる。
「正直、助かるとは思ってなかったわ。さすがは狗神、と言うべきね。恐るべき体力だわ」
白衣に身を包んだはんにゃーは血の付いた手を拭き、そして眼鏡を外すと胸ポケットにしまった。
さすがは“歳の甲”と言うべきか。心霊治療の智をも、この妖しい猫又は体得しているのである。
そのはんにゃーの様子に、鬼子は安堵の息をはく。
「そう。・・・よかった」
「まだ楽観は出来ないけど、とりあえず傷口は全部塞いだわ。地蔵のジーサンが届けてくれた、狗神一族の秘薬にも助けられたわ。今は“オニコロリん”を呼び出して枕元に居てもらってるから、おっつけ意識も戻ると思うわ」
はんにゃーの説明を聞き、鬼子の顔にも笑顔が浮かぶ。
「ただ・・・」
はんにゃーが言いにくそうに口を動かす。
「 ? ただ?」
「・・・これを」
そう言い、はんにゃーはポケットから小さな筒を取り出した。
「封鬼、筒?」
“封鬼筒”。鬼子達“鬼を狩るモノ”が、心の鬼などの妖鬼を萌え散らす必要がない時や、使役する為に捕縛する道具だ。
はんにゃーはそれを地に置き開呪を唱え、中のモノを呼び出す。
空気のうねり、とでも言うようなモノが鬼子達の周囲に現れる。
「!? 心の鬼? これは・・・」
「治療の時、あの子狗の刀傷。ソレからこいつらが出てきたわ。放っておくと身体の腑(なか)を腐らせるかもだから、こそぎ落としたのだけど」
「でも・・・」
「そうね。ここまで弱いと、もうそう呼んでいいものか。どちらかと言うと『想念』って感じね」
心の鬼のさらにその残気、とでも言うべきモノ。たとえ人間がコレに“中った(あたった)”としても、
ちょっと憂鬱とか、お腹が少し痛いなぁ、程度のものだろう。
「ん・・・? 複数。それに霊齢が、若い?」
何気なく霊査をかけた鬼子が呟く。
心の鬼の強さというのは『生み出した人の想いの強さ』と比例するのだが、それとは別に『妖鬼として生まれてからの期間』もあるのだ。
元はたいしたことのない妖鬼でも、長い歳月を過ごすと、とんでもないチカラを持つモノとなる可能性がある。
だからこそ鬼子達がそうなる前に散らしているのだ。つまりこれは。
「そう。多分、今日話していた『町の人の心の鬼が“刈られて”いる事件』。それの残り粕がコレよ」
「そんなモノがなんで・・・。わんこが戦った“黒い鎧武者”って」
「ええ。十中八九、その事件の犯人でしょうね」
続けるかどうかは不明。
女医さん般ニャーも素敵だと思うのです。
勝手にキャラ使用、設定付け、御免ね。
は、ハンニャーが心霊治療・・・・怒らせるとなんかいんのーからタマを抜かれそうでキュッっとなったw
乙です。
日出鬼子に付きまとわれながらもテトは終音精肉店に辿り着いた。
ピンクの髪の店員ならぬ看板娘が陽気な声でテトに話しかける。
終音ニク「テトさん、いらっしゃい。」
ニクはテトに付き纏うようにしている少女を見て誰でしたっけと思い、
そう言えば最近UTAUに鬼が来たということを思い出した。
ニク「えーと、日本鬼子さんですね。私終音ニクって言います。よろし…」
だが相手は最後まで言わせず、すごい剣幕で怒鳴り返しただけだった。
日出「私は日本鬼子じゃありません。日出鬼子です。」
ニク「テトさんこの人何なんですか」
テト「わからん。鬼子に用事があるらしいんだが、要件をさっぱり言わんでな。」
ニク「危ない人なんでしょうか」
テト「ここまで付きまとってきたんだから十分危ないわ」
日出「誰が危ない人ですって」
ニク「あなた。」
テト「お前」
同時に同じ突っ込みを受けた日出鬼子は更に大きな声で怒鳴った。
日出「ぬあんですってぇ!」
テト「人んちの前で怒鳴るな。」
日出「指図しないでください」
テト「指図も何もいきなりやってきて理由も言わんと鬼子の居所を聞き出そうとするからだろ。」
日出「じゃあ、鬼子はどこにいるんですか。知ってるんでしょ。呼び出せるんでしょ、だったら今すぐ呼び出してください。」
ッたく。テトは内心で舌打ちした。多くのUTAUほどではないが、そこそこ知名度もあるし、目下活動中ではある。
最近音沙汰がないが、これも多くのUTAU動揺いちいち各人のすることに突っ込みは入れない約束なので特に詮索はしていない。
そんなテトを他所に日出鬼子は喚くのをやめない。
テト「じゃあ、呼び出してみる。ただし来るかどうかは分からんよ。」
日出「最初からそうすればいいのです。でも来ないってことは私に恐れを為したとか」
テトは殺してやろうかと思った。最近音信不通なことが多く、代りにあのスケベ妖怪共が出ることが多かった。
下ネタに走らねばいい奴らなんだが。それがテトの彼等に対して下した判断だったが、
連中がKAITOとつるんでた時には、全部駆除するのが相当に厄介だった。
もともとインカムを着けない子だから仕方ないが、
音信不通で代理が出ると言うことの意味を考えると憂鬱な気分になる。
だが、反応はテトの予想以上だった。
テト「もしもし重音です。日ノ本鬼子さんですか」
??「・・・」
テト「誰だ、お前は。」一気にテトの声に険しさが増した。
??「貴女が重音テトか。そちらで鬼子の役に立ってくれてると聞いている。いつも有難う。」
老人の声だった。
テトの反応についていけない二人を措いてテトはしゃべり続けた。
まさか叫び声すら上げられない状態ではないだろうな。
テト「貴女は本当に鬼子の知り合いなのか。」
??「そうじゃ。」
テト「本当かよ。いつものセクハラファイブはどうした。小日本やわんこは。」
??[皆で払って居る。今は儂が留守番をして居る。」
テト「で、あんた誰だ。」
??[儂か。紹介が遅れて済まぬ。狗神の翁と言っておこうか。」
テト「わんこの知り合いか。」
翁「まぁ、そうじゃな。」
テト(ほんとかよ。)
テトは鬼子がどこに住んでいるかは知らなかった。
聞こうとも思わなかったし、鬼子も子日本もそれについて何も言わない。
ただ鬼子たちが時たま持ってくる山の幸から、山深い人も踏み入れぬ処に住んでいるのだろうと言うことは想像できた。
翁「で、要件はなんじゃ。」
テト「日出鬼子とか言うやつが鬼子に逢いたがってるんだわ」
直ぐ近くにいる日出鬼子がいきり立つが無視。
翁「日出?そう言えば没キャラライクなのがいた気がするのう。フゥォッフォッフォッ。」
テト(なんじゃそれ。)
翁「まぁ、とにかく代われ。」
テト「(大丈夫か)ああ、少し待って。」
テトは懐から携帯電話に使うようなインカムを取りだして自分のインカムにつなげた。
この時点で興味津々と言うのか、何の話をしているのか知ろうとしている日出鬼子につけるように言う。
日出鬼子がテトに言われてインカムをつけたのを確認してから相手に行った。
テト「今から日出鬼子に変わるわ。」
テトはインカムを操作して日出鬼子が「通話」できるようにした。
その後の「翁」と日出鬼子とのやり取りが聞こえたが、テトは一生話すまいと誓った。
翁が「力」を込めて話すと日出鬼子が気圧されたのをはっきり感じた。
「翁」との話の後、日出鬼子が肩を落としてとぼとぼと立ち去って行くのを見たテトは
傍観者を決め込んでいたニクの方を見た。
ニク「世の中色々あるんですねぇ。」
テト「余り人に喋って回るなよ。」
ニク「ああ、そうですねぇ。一応個人情報ですから、聞かなかったことにしましょう。で、お客さん、ご注文は?」
テトは今晩のおかずを頼んだ。
ニクは鈴の鳴るような声で、ありがとうございまーす、と言うと頼まれたものを出した。
ニクは話全部を聞いてはいなかった。「翁」の声音が変わるとともに回線を切ったのだった。
テトさんには話全部が聞こえていた筈なんだけど、あれを聞いて何ともなかったのかしら。
それとも聞いていなかったとか。うん。そうに違いない。
ニクはそう思い込むことにした。もしそうでなかったら―
ニクは注文の品であるっヒレカツを出して、代金を受け取ると礼を言ってから去っていくテトを見つめていた
多分終わり
登場人物
これまで書いたものの説明
あちこちから設定をパクリました。原作者の方々には例と共にお詫び申し上げます。
日本鬼子 主人公に任命された人、じゃなくて鬼。その割に影が薄い。サーセン。
小日本 鬼子に遅れてやってきた幼女。多分鬼らしい。
わんこ 自称小日本の従者。
セクハラファイブ
ヤイカガシ・ヒワイドリ・チチメンチョウ・チチドリ・モモサワガエルを指す。
邪主眠 これが正しい漢字表記か自信がない。
南方より来た極楽蜻蛉な性格の鬼。風太郎なる天狗と同棲しているらしいが詳細不明。
綿抜鬼 ヤンデレな鬼。どうしたわけかテト達の住む町に迷い込んで、その儘そば処「のろいね」で働く破目になる。
重音テト UTAUで最も有名な人、いやキメラ。ただしどういう意味かは知らない。
こっちに来た鬼子をサポートする。
慾音ルコ Vipperloidその2。12歳にして2m近い巨体のふたなり。
でんでん堂の「珈琲納豆」を好んでいる。
ここで言う「珈琲納豆」とは、甘納豆を作る際に珈琲豆を一緒に入れただけのものである。
波音リツ Vipperloidその3。6歳にして身長約150cm体重25tonという良く分からんスペックを持つ男の娘。
健音テイ Vipperloidその4。19歳の女子大生にして鏡音レンに恋焦がれるヤンデレ。
信号機を見ると体が硬直する。
KAITO 名前だけ登場。既に末期状態らしい。セクハラファイブと邂逅したらしいが誰もそのことについては語らない。
呪音キク そば処「のろいね」の主人にして幽霊(らしい)。従業員が何人かいる。
終音ニク 終音精肉店の看板娘。というかこの店には彼女しかいない。
そば処「のろいね」
キクが経営する蕎麦屋。非常に辛気臭い店で、一角には呪いのグッズコーナーがある(非公開)。
テトによれば「普通に蕎麦を注文して、食って代金を払えばなんてことのない普通の店」。
バグハウス
町から離れた所にある大型店舗。店長と言うか社長は無音ゼロで秘書はアリス。従業員はウイルスとバグである。
終音精肉店
ニクが一人で切り盛りしている肉屋。ニクの両親が経営する終音牧場の直営店でもある。
そこの家畜には「運命を悟らせるため」食い物の名前をつけられているとか。
300 :
臓物練習:2011/06/12(日) 15:15:53.11 ID:CMazA+nj
6月9日。午後5時半。
日頃は妙に薄っぺらい漫画しか読んでいない双子の妹がソファに陣取り、家で取っていない朝日新聞を熟読している。
高校から自宅である一軒家に帰り着き、私服に着替えてリビングに入るなり、そんな異様な光景を目の当たりにした田中巧は戦慄し、やがて恐る恐る訊いた。
「何読んでるんだ、匠……」
「新聞。見ればわかるでしょ」
そんな会話さえ煩わしいと言わんばかりの、冷ややかな回答が妹の口から出た。
ソファの前に置かれた、低いガラステーブルの上に広げられた新聞から、彼女の視線は一瞬たりとも外れない。
遠巻きにしながら、巧も紙面を覗いてみた。妹が読んでいるのは日中関係について識者たちが議論をぶつけている丸1ページに及ぶ記事らしい。
『「萌え」は日中を救う』
タイトルと思しきその一文を目にして、兄は納得する。
二次元が生き甲斐の妹が、お堅い新聞に齧りついていた理由がやっと理解できた。
隣のキッチンで夕飯の支度をしている母の横をすり抜け、冷蔵庫から1リットルの牛乳パックを持ってきた巧は、らっぱ飲みをしながらリビングに戻る。
フローリングの上に腰を下ろし、テーブルの隅に置かれていたリモコンに手を伸ばす。テレビを点けると、芸能ニュースが流れ出した。
今や国民的人気を得ているアイドルグループの総選挙が、明日決着を迎えるらしい。
「兄貴もハマったの? そのグループに」
視線も上げないままだったが、ぽつりと妹が尋ねてきた。
「ハマったというか」
煮え切らない返答をしつつも、巧は空になった牛乳パックを潰してテーブルの上に置いた。
端的に言って、興味はない。
とはいえ巧も和を尊ぶ精神を持った普通の男子高校生である。クラスで大流行している話題をチェックするのも、楽しい日常を過ごすための義務だ。
特段彼自身に趣味があるわけでもないので、そういう付き合いで時間を割くことに対する抵抗もさしてない。
「推しメンは?」
「俺は……そうだな」
逡巡した後、巧は答える。
「やっぱ板野かな」
えー、と非難がましい声が妹の口から発せられた。
「あの中だったらやっぱまゆゆじゃない? 板野なんてDQNにしか人気ないでしょ」
DQNなる単語が何を意味しているのか、巧には見当もつかなかったが、否定的なニュアンスは十二分に伝わってきたので反論する。
「何か判んねえけど、人の好みにケチつけんなよ」
「熱くなれる程好きでもないくせに」
痛い所を突かれたので、そこで会話を止める。本物の政治ニュースの話になったので、巧はリモコンでチャンネルを変えた。
「つうかお前さっさと部屋に引っ込めよ。ソファに座りたい」
「これ読んだらね」
大きく伸びをしながら、匠は背もたれに上体を預ける。
「あー、疲れた。活字なんて普段ぜんぜん読まないから、目にくるわ」
ダウンした妹に代わって新聞を取った巧は、斜め読みを試みる。
「アニメマンガが対日感情の軟化に貢献……」
301 :
臓物練習:2011/06/12(日) 15:16:46.78 ID:CMazA+nj
結構なことじゃないか。
巧にとってはこれも先程のアイドルたちと同様、いまいち興味の持てない話だったが。
サブカルチャーの効果はあくまで限定的と見る論者と、アニメ等の話題で学生時代の苛めを免れたという論者がそれぞれ持論を展開している。
が、海賊版が横行しているため経済的恩恵を受けることは恐らく期待できない、という識者たちの一致した意見で記事は結ばれていた。
「……要約すると、ネットで落としてばっかいないで中国は正規の商品を買ってくれって言いたいのか、これ?」
新聞をテーブルの上に戻しながら、巧は続ける。
「日中の対立感情の話から後半の論旨が相当ずれてんな。ほとんど経済コラムになってる」
そこまで言うと、ぐったりとソファで伸びていた匠が跳び起きた。
「兄貴、もう全部読み終わったの!?」
「お前はせめてライトノベルくらい読めよ……クラスにいるバスケ部の彼女持ちイケメンエースでさえハルヒの最新刊読んでるぞ」
「文字媒体はどうもね〜、やっぱ漫画とかじゃないと」
まあそういう人種もいるだろう。
人気のないアイドルを応援してる人間も世の中にはいるだろうし、アニメで隣の国との友好を図ろうとする人間だっているだろう。
彼女がいるのに二次元の女を『嫁』認定する同級生もいれば、文字媒体の作品を一切受け付けないアニメオタクだっている。
「人の好みにケチつけるのは野暮だから、何も言わないけどな」
各々が自由に生きればいい。考え方の違う人間と遭遇したら、黙って距離を置くか、気の済むまで意見をぶつければいい。先程の新聞に出ていた連中のように。
「そうだ兄貴」
紙面との睨めっこを再会していた妹が、何かを思い出した様子で言う。
「同じクラスにいる、文芸部の友達……綿貫さんって言うんだけど、その子に小説の評価頼まれちゃってさ」
「また不適当な人選だな」
「主人公のモデルが私なんだって」
相当気に入られているのだろう。その女子に。
「だからどうしても読んでほしいって押し付けられちゃったんだけど……」
「代わりに感想ひねり出せってか。それはひどいだろ」
「でも、なんていうかさ」
妹の表情には、珍しく暗い影が落ちていた。
「私、あの子苦手なんだよね」
隣室から迸った妹の絶叫に、あなたはようやく気付く。
ベッドから足を下ろし、真っ暗な廊下に飛び出し、すぐ隣の妹の部屋に押し入る。
鼻を衝いたのは、血と、汚物と、生物の腐ったような臭い。
「……あ」
それらの臭いで気の遠くなりかけたあなたは、しかし妹の呟きで我に返る。
部屋は暗くはなかった。
室内には、いくつもの青い炎が浮遊していたためだ。
床には血の海が広がっていた。その中には、鬼火の光を受けてぬらぬらと輝く、ピンク色をした長い長い腸が沈んでいる。
ベッドに横たわる、妹の腹部にその臓器は続いていた。
「兄貴……」
口から血の泡を吹きながら、あなたの妹は顔だけを動かして力なく微笑する。
「女の子の部屋に入る時は、ノック、しようよ……」
四肢を鋭い刃物で縫いとめられた彼女が、掠れた言葉を紡ぐのに呼応して、室内の床に伸びた腸も微かに蠢く。
「た、くみ」
あなたは足が汚れるのも構わず、血だまりの中に足を踏み入れる。妹の臓器だけは踏み壊さぬように、細心の注意を払いながら。
妹の身体には、微細な白い生物が無数に群がっていた。一匹は五センチにも満たないであろう、鶏に良く似た何か。
「やっぱり人間は、肉の柔らかい牝に限るな」
妹の胸部の肉を、鋭い嘴で啄んでいた一匹が、そんな言葉を洩らす。
皮膚を裂かれ臓物を引き出され、空洞を晒している妹の身体から、全身血まみれになった生物が際限なく湧いてくる。
「ああ。中身も男より旨い。子宮は喰い荒し甲斐がある」
「あはは、どこ、食べてんのよ、こい、つら」
血と腐臭を口から吐きながら、あなたの妹は苦笑いを浮かべた。そして呟く。
「あぁぁ、痛い、痛い、痛い痛い痛いたいたいたい」
焦点の合わない妹の眼球から、ぽろぽろと涙が零れ始めた。
「痛い、なあ……何で、こんな、目、に、合ってんだろ、わた、し」
虚空に漂っていた妹の視線の焦点が、突如あなたに合わせられる。
「兄貴、気が、利か、ないなあ……ぼさっと、見てるくらいなら、早く、わた、わたし、を、楽に――」
その時、妹の片目が落ち、その穴から、血塗れになった一匹の害虫が顔を覗かせた。口からも、無数の白い鳥が溢れ始め、あなたの妹の言葉は――
302 :
臓物練習:2011/06/12(日) 15:17:09.69 ID:CMazA+nj
ベッドに寝転がって読書をしていた巧は、そこで文字を目で追うのを止め、妹のクラスメイトの作品が掲載された同人誌を枕元に置いた。
電気を消したが、横になる直前、猛烈な不安に襲われる。
部屋を出た巧は、廊下を進んで妹の部屋の前に立つ。
鉄のような臭いが、洩れ出ている。
ノックをした。
返事はない。
彼はノブを回し、ドアを押し開けた。
確信があった。
きっと、扉の向こうには。
そろそろまとめの時?
SSまとめサイトとか欲しいね・・・。
>>303 前回の索引は
>>167で合ってる?ずいぶん前だよね。
明日までやるつもりの人がいないなら作りますぜ。
よろしこ
307 :
索引的なもの:2011/06/19(日) 02:17:38.55 ID:YMO5x7oP
308 :
索引的なもの:2011/06/19(日) 02:20:04.31 ID:YMO5x7oP
>>306 お返事サンクスです。遅くなってすみません。
>>304 まとめサイトは
>>224とかで検討されてるけど、まだ始めてないみたいね。
「3票ルールは一応妥当」と言ったのは自分だけど、
最近政治利用も全く見かけないし、3票ルールはやめてもいいんじゃないかなとも。
224さんが諦めるなら自分がやろうかと思いますが…
とりあえず1週間ほどお返事を待ちます。
310 :
224:2011/06/19(日) 07:35:23.94 ID:ceDR279C
諦めてまではいないですが、ちょっと自分は8月までまとまった時間取れないので、
もし可能ならお願いしたいです。今の所時の番人さんの作品優先かな?
3票ルールを止めるべきかどうかの話も、サクッと決めて良いのか解らないですし。
あと、避難所で現議題議論の中、既にストーリー組めてる方へ対して、
『鬼子の性格付け・戦う理由等をどうやって組み立てましたか?』
って作品作りのヒント目的(?)で聞かれてる様子ですね。もし可能ならばご協力をお願い致します。
自分には鬼子を知らない人向けの鬼子を作るなんて、ハードル高くてアレだ…。
311 :
224:2011/06/19(日) 07:44:54.37 ID:ceDR279C
忘れてた…
>>309索引、お疲れ様です。有難うございます!
なんだかんだでSS書く人も増えてきたのは嬉しい所です。
312 :
224:2011/06/19(日) 07:46:46.40 ID:ceDR279C
忘れてた…
>>309索引、お疲れ様です。有難うございます!
なんだかんだでSS書く人も増えてきたのは嬉しい所です。
まとめSSサイトを作ってみようかと思うんだが・・・。
あいにく過去ログのストックが無いのだけれど。強力してくれる人いるだろうか?
>>314ありがとー
たたき台ができたら報告します。
316 :
315:2011/06/21(火) 02:05:22.62 ID:EX7arthY
>>314を覗いて今悩んでる。
1、10行程度の超ショート話はどうしたもんだろう? こんなのも拾うべきか、否か。
2、 政治ネタはどうする?
3、これは・・・SSなのだろうか? みたいのもあるが・・・。
A 全部拾うべき
B 編集者の裁量にまかせる
C 編集者が皆に見てもらいたい作品・面白いと判断した作品でおK
D その他
意見を求める。
用意して下さった答えとは違いますが…。
1:SSS(スモールショートストーリー)とでもして、タイトル分けせずそれのみまとめる?
2:政治系は基本弾いて、基準は何故か中国にある同じ字面の言葉とイメージが近づいてしまう内容?
3:巨大AA?はまた別枠でまとめる?感想か作品か分からない様な物は315さんにお任せする?
大分バラけましたが、以上で参考になりますでしょうか?
http://www1.axfc.net/uploader/File/so/64896.gz&key=oniko こういう感じでこっちでもやってたが、5月の終わりくらいから怠惰モード発動で進んでない。
「網羅的」を方針にしているので、例えば「小品」だとスレ毎に小品ページを作って「【長編SS】鬼子SSスレ4【巨大AA】の小品(1,2・・・)」みたいなふうにまとめてしまうつもりでいる。
「プロジェクト的に不推奨と思われる作品」については、
・サイト内にそれ用のメニューページを別に用意し、indexにはそこへのリンクだけを置く。
・別メニューページと各「不推奨作品」のページはROBOTをNONEする。
という予定だ。
「公式」的な立場のサイトにするなら、ここより本スレや「運営」で聞いた方がいいんじゃないのということでD。
「公式」的な立場のサイトにしないならBかCだが、違いが分からん
こんにちは、
>>309です。また遅くなってすみません。
panneauさんがいろいろ作ってくれてるので、自分がまとめを作る必要はなさそうですね。
おつかれさまです&よろしくお願いします!
SSスレ1を読んで思ったこと↓
1:短くても面白い作品はあるので、ご方針通りパック詰めにすればよいと思います。
2:読者にとっての中心的な印象が政治ネタかどうか(判断は編集者の裁量)で決めればよいのでは。
政治ネタが入っていても面白いものはあったけど、ちょっと趣旨に反しすぎではというものもあったので。
あと、ここで拾われなくても、wikiからリンクの貼られた過去ログには残っているので。
3:設定書き出しのみのものは拾わなくていいと思います。
AAは基本、wiki上の別のページに任せればよいのでは。AAで物語なら拾ったほうがよさそうですが。
>>318のファイルのページを読んで思ったこと↓
・indexページなどで、タイトルのついたSSについては、タイトルを『』などで囲んだ方が見やすいと思います。
・編集者の説明文とSS本文を、水平線やフォントサイズなどでくっきり分けたほうがいいと思います。
・レス番の変わり目は、改行を増やすとか水平線を引くとかで、もっと目立つようにしてはいかがでしょう。
というのも、レス番の変わり目が、物語の句切れ目になったり、読み手が一息つくタイミングになったりしてることがある気がするので。まあ好みかな…?
もし面倒なら、レス番の一行(例→70 名前:名も無き鬼の子 :2010/10/26(火) 00:05:52 ID:yt55kTwq)をそのまま残すという方法でもいいと思います。
320 :
315:2011/06/24(金) 03:01:24.83 ID:FSFsMiK7
>>318のpunneruさんがやってくれてるみたいだし、必要ないかな?
あまり人が来てないみたいだし、作品投下も自粛モードだし・・・。
自粛モード?
気の所為だ!
322 :
315:2011/06/24(金) 22:12:55.79 ID:sd3BZJn6
>>321 すまぬ。SS作品の投下、と言うべきだった。
―――時に大正9年、秋―――
今夜はやけに犬たちの声が騒がしい。生暖かい夜風が木々を揺らし、月明かりのみが夜道を仄かに照らしている。
町外れの深夜の稲葉川。橋のたもとの河原。そこには人に見えざる炎が2つ、上がっていた。
ひとつは青。そしてもうひとつは、―――緋色。
2つの炎は空で交差し、地を駆ける。炎が揺らげば川石は砕け、炎が大きく燃え盛れば、水面の月は大きく割れ爆ぜ散る。
青の炎が千切れ、一方に向かい飛ぶ。それを緋色の炎はよけ、あるいは混じり合う寸で弾き飛ばす。緋の炎が夜空に一筋激しく燃え上がる。真っ直ぐ撃ち下ろされた紅蓮の炎が青火を真二つに両断する!
だが。だが、それに比例するはずの音がしない。目線を反対の河原側に移せば、そこはススキが揺るる、古来より変わらぬ秋の夜長。まるで川の中央を境に透明な遮幕があるように存在(あ)る、2つの世界。
風呂の水の中で手を叩いているのを見るかのように、1町(いっちょう=約110メートル)間ほどしか離れてない集落の人々の耳に届くものは・・・なかった。
「ワシャ見たんじゃあ! あれは火の玉じゃ。鬼火(おにび)じゃっ。とてつもなくでっけぇ鬼火が、バチバチぶつかりあっとった!」
蕎麦屋の暖簾の奥で、老人のけたたましい声が響く。昨日子ノ刻頃、たまたま通りかかってその様子を見たという翁は、大げさな身振り手振りでその様子を語っていた。
「・・・じいさん。だからいつも言ってんだろ。深酒はやめとけって。この前は“ヒトの姿(なり)した鶏”、だったか? 赤いトサカの。なんだそりゃ? 息子の嫁が泣いてんぞ」
相手をしていた男は肩をすくめ、翁をたしなめる。翁の酒飲みはこの界隈では有名だ。
「ゆんべはワシはほとんど飲んどらんっ。ほんとに河原で鬼火が飛びまわっとったんじゃ!」
翁はツバを飛ばして言い募る。
「じいさん。奈良の大仏さんが一升飲んでも、ちぃっとですむが、人が飲みゃぁそりゃ深酒ゆうんじゃ」
話を聞いていた浅黒い肌の人足が耳をほじりながらそう言うと、周囲がドッと笑う。
「ホントじゃ言うに・・・」
そう言うと翁は、椀に入った濁り酒をグッと煽ると、机につっぷし、やがてイビキをかきだす。やれやれ、また翁の息子に迎えに来るよう使いを出さねば。そんな店の女将の言葉に皆ひとしきり笑うと、各々の話題に戻っていく。
「それはそうと・・・、例の噂聞いたか?」
「ん? あぁ、あの若い娘子が夜な夜な殺されるゆうやつか? 先日ので6人だったか。どこぞの助平野郎の仕業だろ。物騒なこった」
そう言って饂飩をすする男に、ハンチング帽をかぶった男は声を潜める。
「これは画報社(新聞社)に勤めるやつにコソッと聞いたんだが・・・、どうもおかしい、らしい」
「おかしい? らしい?」
ダシ汁を飲み干し、尋ねる。
「んむ。ほとんどが首を掻っ切られて死んでいるらしいのだが、『ホトケさんにも、周囲にも、血がほとんど残ってない』そうだ。」
「首を切られたのに血が? どこかで殺されて、その後そこに捨てられたんじゃないか?」
「と思うがな。だが、犯人が変態ヤローなら首以外にも傷がありそうなものだろ? だがそれはなかったそうだ」
「・・・・・・。ふ、ん。『手籠め』にするのが目的じゃないってことか」
「判らんがな。それと、おかしい点がもうひとつ」
「もうひとつ?」
「あぁ、そのかわり。ホトケさんの手には、まあ時期柄ではあるんだがな、―――“もみじの葉っぱ”が、握られていたそうだ」
男達は二人して首をひねるのであった。
「参っちゃったなぁ」
道ばたに立つお地蔵さまの隣に置かれた一抱え程の石に腰かけ、袴に紅色の大正羽織を着た少女はため息とともに呟く。
川沿いのそれなりに広くならされた道を、カラカラカラと人力車が町の方向に向かって急いでいる。
『大正でもくらしぃ』で、ひと昔前とは違い、女性の社会進出がだんだん認められつつあるこの時代。人々の生活にも活気があり、町には色とりどりの様々な店が軒を連ね、駅に行けば蒸気機関車で遠出も可能となってきている。
人通りもそれなりにあるこの道なのだが・・・。黒く長い髪、そしてそれを頭の上の大きな赤いリボンで纏め、結構目立つであろう容姿の鬼子なのだが。
誰もそんな鬼子を気にしない。眼を合わそうともしない。のんびりと牛を連れた農家らしき人が鬼子の前を過ぎる。唯一鬼子に気づいたらしい牛が、彼女を見ながらブルルと鼻を鳴らすのだが。
鬼子は右手にぶら下げたものを見、もう一度ため息をつく。
(足袋が汚れちゃうけど、しょうがない。もう片方の下駄も脱いで、裸足で帰るしか・・・)
そう思い鬼子が立ち上がろうと思った時。
「あの。どうかなさったんですか?」
鬼子の頭上で声が聞こえた。
「 え? 」
鬼子は顔を上げ、飛び込んできた太陽の光におもわず一度眼を閉じる。間を少し取り、鬼子はソッと瞳を開けた。
逆光を背に。全身白い・・・これは軍服だろうか? 糊の利いた上着の肩には飾り紐が付き、ボタンには菊の紋様が刻まれている――――を纏い、同じく陸軍の徽章を付けた白い帽子を被った青年が、そこにはいた。
「あの・・・わたし、ですか?」
鬼子は尋ねてみる。
「え? いや、はい。その・・・、物憂げなお顔でなにやらお困りのご様子だったので・・・」
鬼子と白い青年の視線が、ピタリと合う。どうやら間違いなく青年は鬼子に声をかけたようだ。
歳は鬼子と同じくらいか、少し上、だろう。よく見れば、なかなか端正な造りの顔をしている。今どきの青年にしては下顎の細い、だが一本筋の通った鼻梁。帽子から零れる髪は逆光のせいか、鬼子には白銀に輝いて見えた。
そして、意思の強そうなキリと上がった眉毛と、少しだけ少年の面影を残した、黒い二重の瞳。だが、鬼子と合ったのは青年の右眼のみだ。
青年の左の眼は、その端正な顔に似合わない包帯で塞がれており、伺うことは出来ない。
「・・・わたしが、見えるんですか?」
鬼子のその言葉をどう受け取ったのか、青年は左眼の包帯に思わず手をやる。
「あ、この目は、そ、その・・・も、“麦粒腫(ものもらい)”にかかって。大丈夫、ちゃんと見えていますよ」
青年はなぜか困ったようにハハハと笑う。
その笑顔に、鬼子は下心のようなものを見つけられなかった。人好きのする、なんとも好感の持てる爽やかな笑顔だ。まったくどこかのトリ野郎に見習わせたい。
「ご、ごめんなさい。そんなつもりで言ったんじゃないんです。そうじゃなくて・・・」
(おかしいな。隱形の結界はちゃんと張っていたはずなんだけど)
どう言うべきか迷っている鬼子に、青年はもう一度笑みを向ける。
「大丈夫ですよ。気にしないで。あぁ、下駄の花緒が切れてしまったんですね。どうぞ、僕に貸してください」
「え、あ・・・」
そう言い、鬼子の右手のものを受け取ると、青年は河原の斜面に向かいそこに生えていたススキの穂を数本手折ると、鬼子の元へ戻ってきた。
「少し、待ってくださいね」
青年はススキを手際よく両手で撚(よ)る。あっと言う間にそれで編紐を作ると下駄の目に通す。そして・・・。
===カラン・・・===
鬼子の足元にそれをそっと置いた。
「どうぞ。これでなんとか家に帰りつくまでは大丈夫だと思いますよ。ちょっとかっこ悪いかもしれませんが」
これで勘弁してください、と言い頭をかく。
しっかりと撚られた花緒は、このまま十分実用にも耐えられそうに見えた。
「あ、ありがとう、ございます」
「僕の肩を」
そう言い青年はズボンの裾が汚れるのも構わず、地面に片膝を付く。目線の高さが鬼子のものと一緒になり、鬼子はつい頬を染めてしまう。
「あ、はっ、はい」
慌てて鬼子は片足で立ち上がり、青年の言葉に甘え彼の肩に手を置かしてもらい、体重をすこし預ける。そして地に置かれた右の下駄に足を通した。
うん。全然きつくもない。
「ありがとうございます。なんてお礼を言えばいいか」
人間(ひと)になにかをしてもらうのがこんなに暖かいなんて。鬼子は嬉しく思い、立ち上がった青年を少しだけ見上げ、満面の笑みで礼を言う。
その笑顔を見、突然青年の顔が傍目にも判るほど朱に染まり、慌てて自分の胸のあたりを右手で抑える。
「 ? 」
「と、とんでもないっ。僕・・・じゃない、じ、自分は、当たり前のことをしただけで、そ、そのお爺様からも『女性には優しくするべし』と常々い、言われておりましてそのっ・・・」
なぜこの青年はこんなにも慌てているのだろう? 少し不思議に思い首をかしげる。
「んと・・・。その、本当に助かりました。あのお名前を伺ってもよろしいですか?」
「もっ、申し遅れました! じっ自分の名は『南條 眞魚(なんじょう まお)』と申しますっ!」
青年・・・眞魚はなぜか敬礼しながら言う。
「(クスッ)わたしは鬼子。『日本 鬼子(ひのもと おにこ)』です。・・・ヘンな名前でしょ?」
そう言い鬼子はペロと舌を出し、笑う。自分の名前に対する人間の反応は慣れっこだ。だが青年は・・・。
「と、とんでもありませんっ。 優しく力強い、素敵な名前です! と言うか、名前とのギャップがまた堪らない、と言うか・・・じ、じゃなくて、その!!」
慌てる眞魚に鬼子は一度ポカンとした表情を浮かべ、そしてまた笑う。
「あは♪ そんな風に言われたのは初めてです。なんだか・・・とっても嬉しい、な」
「いえ、その自分の名前のほうが、その男らしくないと言うか、ヘンと言うか・・・」
「あら、そんなことないですよ。かの弘法大師・空海様の俗世の御名前ではなかったですか? 徳高いお名前だと思いますよ」
その言葉に眞魚が感心する。
「へぇ、お詳しいんですね。知ってる人がいるとは思いませんでした。そうらしいですね」
(まぁ、あの人とは、あまり良い思い出はないんだけどね・・・)
鬼子は声に出さずに顎をかく。
こんなに人間と打ち解けて沢山話したのはいつ以来だろう。本来鬼子もおしゃべりは嫌いではない。
眞魚も緊張が溶けてきたのか、鬼子との談笑を好ましく感じているようだ。知らぬ間に時がすぎてゆく。
やがて涼しくなってきた秋の涼風が鬼子のリボンを揺らし、鬼子は慌ててそれを押さえる。
「あら、もうこんな時間。そろそろわたし帰らないと」
鬼隠ヶ岳と呼ばれるここから西側の連山を見、そこに隠れる準備を始めた太陽を眺めながら、鬼子が呟く。
鬼子の仕草や表情に見蕩れていた眞魚は、その言葉にハッとした表情になる。そしてつい、
「あ、あの鬼子さん!!」
・・・また、うわずった声をあげてしまった。
「 ? なんでしょう?」
笑顔で首をかしげる鬼子を見、眞魚は一度グビリと喉を鳴らす。
「ま、また鬼子さんとお話すること、叶いますでしょうかっ?」
渾身のチカラで言う。だが、目線だけは真っ直ぐ鬼子に向けて。
鬼子は一瞬顔を曇らせ、そして呟く。
「・・・そうですね。またお会いする機会があったら。その時はまた、是非」
その言葉に、鬼子とは逆に、素直に眞魚は喜色を浮かべる。
では、と深々とお辞儀し、鬼子は眞魚に背を向ける。
「・・・鬼子さん、かぁ」
眞魚は小さくなってゆく鬼子の姿が、鬼隠ヶ岳に消えるまでずっと見送るのだった。
そんな眞魚のことを先ほどから少し離れた場所で、数人の野菜売りのおばさん達が見ていた。そして声を潜めヒソヒソと話す。
「あれ、南條さんトコの坊っちゃんやろ? ・・・なんと話しとったんや? 独り言をブツブツと。」
「さあねぇ」
もう一人の老婆は、今晩の夕餉はなににしようか。そんなことを考えていた。
〜〜 日本鬼子 大正浪漫ノ章 序文 〜〜
続く・・・かもしんない
以上、お目汚し失礼しました。
よろしければ、ひと言感想・批評をいただければ、ガガダンスを踊って喜びます。
乙。読み応えあった。くそう、鬼子かわいいよ鬼子
・・・てか、伏線が気になるから途中でヤメないで〜
>>332 折角書いていただいたのに申し訳ないが、イラストのセーラー服少女について。
大正当時の女学生は臍出しセーラーとかミニスカははいて居りません。
ましてや二―ソックスの如きはないものと思われます。
どうしてもというならば、ストッキングにするとよろしいでしょう。なお、この場合、靴下も履きません。
靴下とするならば踝の上5cm程度で折り返すとそれらしく見えるでしょう。
当時はマジでいいところのお嬢様方が御通学遊ばれると言うイメージです。
>>328 「(クスッ)わたしは鬼子。『日本 鬼子(ひのもと おにこ)』です。・・・ヘンな名前でしょ?」
そう言い鬼子はペロと舌を出し、笑う。自分の名前に対する人間の反応は慣れっこだ。だが青年は・・・。
「と、とんでもありませんっ。 優しく力強い、素敵な名前です! と言うか、名前とのギャップがまた堪らない、と言うか・・・じ、じゃなくて、その!!」
慌てる眞魚に鬼子は一度ポカンとした表情を浮かべ、そしてまた笑う。
「あは♪ そんな風に言われたのは初めてです。なんだか・・・とっても嬉しい、な」
そりゃ惚れてまうやろ〜っ!!
>>333 そうだったんですね。なるほど。指摘ありがとうございます。
描くとしたら膝上スカート、黒スト。まったくもって勉強不測でした。
ちなみに右の子は、大正鬼子と聞いて「じゃあ田中さんは黒セーラーだろ!」
と思った次第ででした。見切り発車ごめんなさい。
>>335 いやいや、とってもカワユス♪ 淡い色彩がとってもグットです。
大正袴っていいよね。でも文章的な資料が少ないんだよね。
鬼子の可愛さを全然表現出来ない自分の文才のなさが悔しい・・・orz
自分で書いててナンですが、どうリボンを結んだらあの角が隠れるんでしょうかねぇ・・・。
ホントは情景描写とか眞魚の心情とかを、もっと詳しく書いたんだけど見辛いと思ってガッツリ削りました。
おかげで文章がガタガタになってるなぁ。
>>333 ストッキングが流通したのって戦後じゃない?
昔の女学生が履いてるのはガーターストッキングで、形状は限りなくニーソックスに似ている筈だよ。
まあそういう検証をするスレじゃないし、
あんまり細かい事を言ってたら創作のハードルが上がるばっかりだからこれ以上は言わないけど。
幻想昭和・幻想大正ってコトでここはひとつ・・・
>>337 そーだったかな。そうかもしれない。
でもガーターストッキングだと紐がないと不自然だね。
まぁ、あまり厳密でなくてもいいかも知れないが、ウソにならない程度にはしましょうということで。
>>336 麦わら帽子をかぶせるとか。昭和10年代ならあると断言できるが、大正時代はどうなんだろうか。
追加。
Wikiでざっと調べたんだが、骨が折れそうだわ。
今あるようなストッキングは日本では昭和40年代以降らしい。
戦前なら靴下とするのが安全でしょうね。
ストッキングの様なものとするなら絹糸で編んだものになりかねないのと、
ゴムが使えないから、相当のお金持ちじゃないと無理な気ががが
こりゃ挿絵描く人なんて居なくなるわな。
まー、こう言うの調べてくのも面白いとは思うよ。
大正ろまんもイイね。おにこさんがとおる。
本人が調べるのは良いけど他人のものにケチを付けるのは…
挿絵どころか文章も書けなくなるよ
平安ものとかどうするんだよ
間違いを正すにしてもあまりにフォローがないだろうよ
時代絵巻として、平安時代や戦国時代・近代はよく描かれているけど、
大正時代って結構少ないよね。
良い時代だと思うのだが。
一方地上波アニメでは、訳の解らない時代錯誤(?)な格好をした武将達が大将同士熱いバトルをしていた。
要するに何が言いたいかと言えば、時代考証も楽しいけれど突っ込みまくったら楽しく無いよね、って話で。
作品の中身はあくまでもフィクションである事はみんな理解しているだろうし。
『もしこの時代にこれがあればなぁ…自分ならこうするのに…』というのも作品のネタとして優秀かと。
江戸時代モノなんかでも普通にパンチラとかある作品もあるしな
何か言われたんで書いてみる。
登場人物
日本鬼子 多分主人公。
重音テト UTAUでもっと成功したキャラクター。
初音ミク Vocaloid。
田中匠 鬼子の友人。
シーン1 喫茶店にて
ミク「随分レトロなお店ですねぇ〜」
テト「何か外野が時代考証を真面目に考えていないようなので、背景を大正時代にしてみた。」
ミクは理解しかねる表情を浮かべてメニューを見た。
ミク「これ、日本語ですよね。」
テト「如何にも。」
鬼子「懐かしいですね。」
田中「鬼子さん、年齢設定…10代後半だったんじゃ…」
鬼子はしまったという表情をした。
鬼子「ああ、そうそう初めて見るけど」
そう言うと鬼子はすらすらとメニューを読み上げた。
テト「無理しなくていいから。」
鬼子「あはは」
ミク「えーと。フラィドフキッシュ?何これ」
鬼子「フライドフィッシュ、ですよ。」
テト「あー、それ。ワ行のカタカナが使われてるから。」
ミク「…そーですか。お値段20銭?銭でいいんですよね。」
テト「うん。」
ミク「なんか違うんですけど。」
鬼子「ミクさん。旧字体ですよ。だから違うんです」
田中は何も言わなかった。いや、言える筈がなかった。何しろ彼女は「当時」の事など知らない。
今着ているセーラー服からして、今でもあるような伝統高のもので、ロングスカートを着用に及んでいる。
靴下は純白のものを三つ折りにし、中学生用としか思えない革靴を履かされていた。
最も中身は見えないから現代のものになっているが、何が悲しゅうてミューズまで着せられているのか、さっぱり理解できない。
というかしたくなかった。幾ら当時の服装に合わせるからといってもこれはあんまりだと思っていた。
歩く時もスカートを翻さない程度にゆっくり歩けと言われている。慣れないことをさせられて心身ともにストレスが溜まっていた。
テト「田中さんは何にする。」
田中「うー、何でもいいですぅ。」
テト「パンとバターだけになるぞ?」
田中「疲れてるんで。」
テト「カレーライスでいいか?」
田中「嫌。」
テト「じゃあ、ビーフステーキとか」
田中「こんな時に食べたくない」
テト「オムレットとか。」
田中「はぁ?ニコレットの親戚ですか。」
テト「オムレツ、だ。」
ミク「お酒!」
テト「未成年者は飲酒禁止。つか、清涼飲料各種取り揃えてるだろうが。」
ミク「ネ―」
テト「ああ?」
テトの剣幕で、ミクは言葉を引っ込めた。
鬼子「サンドウヰッチとプデングと珈琲にしましょう。」
田中は疲れきった声で言った。
田中「他なんかある?」
ミクがメニューを差し出した。田中はメニューから決めないとロクなもんが来ないので、
貨幣単位や旧字体をモノともせず、読むことに決めた。
田中「鬼子さんと同じでいい。ドリンクバーとかないのかしら。」
テト「普及したのはここ10年位だろ。」
田中「あーそーですかー」
(次回に続く)
文明開化の音がする。
>>349 同じ物書きとして注意点をひとつ
※動作をそのまま書くのではなく、情景として描写してみよう。
鬼子はしまったという表情をした。
↓
鬼子はあわてて自分の口を押さえ、そして舌を出した。 とか。
こんな感じでもう一度自分が書いたものを見直してみては?
自己満足ならともかく、他人に読んでもらいたい、楽しんでもらいたいと思って書いてるなら、
読む人のイマジネーション(想像力)に働きかける文章を、と言うのを常に念頭に置こう。
一度、『雨』というタイトルで、“雨”と言う言葉を一度も使わず書いてみてごらん? 10行程で。
読んでる人に「ああ、雨が降ってるんだな」、と思わせてみよう。
そうすればあなたの文章は、また一段と輝くだろう。
文章も奥が深いなぁ。
そう言う考え方とかしてんだね。面白い。
タイトル:『雨』
「・・・泣いて、いいの?」
鬼子の差し出す手の平に、雫が落ちる
空を見上げて思い出す、あなたの泣き顔
そんなに泣かないで。池の水面をを叩く音は、あなたの泣き声
鬼子の頬を濡らす、冷たい痛み。 額に張り付く黒髪
そう、これはわたしに対する“罰”
鬼子は、両手で自分の肢体を抱きしめる
指からこぼれるのは、後悔か、それとも恐れなのか
いいわ。このままわたしの身体を、射抜きなさい
わたしの姿を、このまま覆い尽くし、そして消し去って!
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜・・・っ!!!」
声にならぬ鬼子の叫びは、一筋の光矢のつんざきに遮られ、聞こえることはなかった・・・。
雨が降り出して、だんだん強くなり、雷が鳴った様子を描写しました・・・、
・・・と思ったが、うっかり池に落ちた鬼子さんが恥ずかしがっていると、
濡れたフトモモを、モモサワガエルが触って、鬼子さんが悲鳴をあげたようとしたら、
滑ってまた池に落ちただけです。サーセン。
354 :
転載です。:2011/06/27(月) 14:23:01.21 ID:ExgAljDg
236 :名無しさん@避難中:2011/06/27(月) 13:56:59 ID:LCiCIlXo0
規制中に付き、どなたかSSスレに
投下お願いします。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
勉強の為、急遽「雨」を作ってみました。
「雨」
その瞳には青い空が映り、一際大きく盛り上がった雲が映っている。
身体を滑る様に優しく漂う初夏の風が、彼女の黒髪を包み込んでいた。
とても綺麗に輝いてる瞳に相反して、赤黒い瞳が空を睨みつけている。
先ほどの大きく盛り上がった雲が、徐々に彼女に近づいて来た。
辺りは少しずつ薄暗くなり、草原の小さな葉が時折お辞儀する様になる。
彼女は左手を目の前にかざし、ジッと空を、雲の中を凝視している。
左手に当る小さな振動が、突然重みを増し、地鳴りを上げる様に草原を叩きつけた。
突然、彼女はどこからか薙刀を取り出し、その中央で手を交差させながら力強く回転させた。
薙刀の刃が強く光り輝き出す。そして・・・右手で薙刀を力一杯空に突き出した。
「プッス」
「イテテ〜・・・」
彼女は左手で強く握りこぶしを作り、ガッツポーズを作る。
「次の鬼はヒワイドリね。目をつむって60秒数えてよ!」
「雨」おわり
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
までです。宜しくお願いします。
>>354 えと・・・、『雨』が“見えて”こないと、失敗だと思うんだ・・・。
>>354 玄人好みの表現するよな。
>小さな葉が時折お辞儀する様になる
の表現なんて、普通出来ないぜ。
小粒の雨がたまに小さな葉に当り、揺れる様を表現している。
それに、小さな振動、重みを増す、地鳴り、叩きつけるって
言葉で雨を表現している。
何故、俺がここまで354の肩を持つ様な事を言うかというと、
>>355 のレスが気になったからだ。
355は、>『雨』が“見えて”こないと、失敗だと思うんだ・・・。
なんて、小学生レベルの読み取りの力しかない事を、
354のせいにしているからだ。
だから、354よ、お前の文を小学生レベルでも解るように
レベルダウンしないと、ここの住人は解ってくれないぜ。
それと355に、本を読む事をおススメするぜ。
357 :
代行:2011/06/28(火) 19:46:18.55 ID:nVC1uJzi
355ではないけど、素人の感想を。
>>356にはなるほど…と思ったけど、
>>354の文章が不親切なところもあると思う。
それは、雨が降り出してだんだん激しくなっていく情景はあっても、
その真っ只中で鬼子がどうなったかの描写がほとんどないこと。
最初に、そよ風に黒髪が揺れたりする綺麗な描写をしてらっしゃるから、
豪雨の中で鬼子ちゃんがどんなに艶やかになったかも描けたんじゃないかなーと思うんだ。
分かりやすいかどうか以上に、もったいないなーと。
「雨」(書き直しました)
その瞳には青い空が映り、一際大きく盛り上がった雲が映っている。
身体を滑る様に優しく漂う初夏の風が、彼女の黒髪をそっと包み込んでいた。
とても綺麗に輝いてる瞳に相反して、赤黒い瞳が空を睨みつけている。
先ほどの大きく盛り上がった雲が、薄気味悪い色合いで徐々に近づいて来た。
辺りは少しずつ薄暗くなり、空から落ちる光の糸が、草原の小さな葉を時折お辞儀させていた。
彼女は左手を目の前にかざし、ジッと空を、雲の中を凝視している。
左手に当る小さな振動が、突如重みを増し、地鳴りを上げる様に草原を叩きつけた。
突然、彼女はどこからか薙刀を取り出し、その中央で手を交差させながら力強く回転させる。
彼女の黒髪は妖しく光り、押し潰そうとする轟音の矢に逆らう様に激しく波打つ。
薙刀の刃が強く光り輝き出した。そして・・・右手で薙刀を力一杯空に突き出した。
「プッス」
「イテテ〜・・・」
彼女は左手で強く握りこぶしを作り、ガッツポーズを作る。
「次の鬼はヒワイドリね。目をつむって60秒数えてよ!」
「雨」おわり
*10行をかる〜くオーバーランしちゃいました。
「雨」という文字を出さずに表現するってとても難しいですね。
ご意見頂いた方々、有難う御座います。
マスターベーションSSの危険度ってものが、こんなに短い文章でも
見て取れるんですね。SSって奥が深すぎです。
今の私の力はこんな程度です。もっともっと勉強していきます。
上記の「雨」は、鬼ごっこバージョンです。
by、時の番人
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
までです。宜しくお願い致します。
360 :
358:2011/06/29(水) 00:07:08.47 ID:HfiyHWYl
>>359 早速取り入れていただき、ありがとうございます!
鬼子ちゃん妖しいぜ美しいぜ。
そういえば10行っていう制約があるから、あまり長く描写できないんですね。失礼しました。
にしても、時の番人さんだったとは…!ひゃっほい。
361 :
351です:2011/06/29(水) 02:23:38.06 ID:XxRVzSLp
ちょっと提案しただけのなのに、力作を皆さん落としていただき眼福です。
小説のお話その2
※ 逆もまたしかり。なんだよ。
つまりなにが言いたいかとゆーと。
『雨が降っている』 たったこれだけのことに10行も使う必要ない! この7文字で十分!
ハイ。「あんだけ講釈垂れといてフザケンなよ!』とゆー怒声が聞こえてきます。
ようは、『じっくり描写するべき時と、サラッと流すべき処を理解しよう』・・・ということ。
見ている人に登場人物の心情を理解してほしい。ゆっくりとした時間の流れを感じて欲しい。
お話の世界はどうゆうところが舞台なのか。・・・etc。
そうゆう時はじっくり、しつこいくらい描写しよう。
スピード感を出したい(戦闘描写など)。テンポよい会話をしたい。
あと、のちのちのフラグに関するところはわざとスルーする。・・・など。
そういう時はあっさり、サラッと描写する。
つまり『お話の流れにわざわざ“波”を作ってみよう』、と言うことなのです。
これは小説・漫画に限らず、音楽やスポーツなどにも言えることです。
理由は・・・判りますね? そのほうが、共感しやすい・感動しやすいからです。
作品が出来上がったらもう一度、『削る作業』・『盛る作業』をしてみましょう。
実際、有名な小説家の方はほとんどの方が必ずやります。
なかには原稿用紙400枚分を削った方もいます。
書くよりこの作業の方がツラい、と言う方もいますね。
それが掴めれば・・・皆さん素晴らしい“語り部”になれると思います。
時の番人さん、おかえりなさい。
本当、文章の表現って思ってたより凄いもんなんだな。
読み手の感じ方をコントロールしていくのか。
なるほど、技だな。
363 :
351:2011/06/30(木) 03:13:14.95 ID:y5X3ZDMe
初心者にやりやすい方法を。
まずは会話のみバーッと書き出しちゃいましょう。
「暑いね」
「雨降らないかなぁ」
「クーラーないの?」
「節電しろよ」
「よし、海に行こう」
次にそれぞれ誰がしゃべっているのか、特徴付けしましょう。
セリフの前に鬼子・こにぽん、など話している人物の名前を付けると楽ですが、
例:鬼子「暑いね」 など。
これは“シナリオ形式”と呼ばれるもので、厳密にはまだ“小説”ではありません。
また、会話文に名前を入れて、“話を振る”ようにして誰が話しているのか、次の会話が誰なのか確定させておくことも可能です。
例:「暑いね、こにぽん」←これで次に誰がしゃべるかは“ほぼ”判りますね。
「暑いわねぇ・・・。大丈夫? こにぽん」
「なんだかベタベタする〜。雨、降らないかなぁ」
「クーラーないのぉ? 猫に、この暑さはキツいわぁ」
「節電でヤス。と言うか、この家にそんなものはないでゲス」
「(ピキーン)・・・よし、海に行こうぜ!」
↑わざわざ前に名前を付けなくても、だいたい誰がしゃべっているか、これで判りませんか?
そうしたら、それぞれに描写を付けていきましょう。この時、“誰が”このお話を語るのか決めましょう。
鬼子が語るのなら・・・
「暑いわねぇ・・・。大丈夫? こにぽん」
わたしは、井戸水の入ったタライに浸けていた手拭いを絞りながら言った。やはりこの時期に着物はキツいなぁ・・・。
その時押入れがガタッと鳴った。はて? ネズミでもいるのだろうか?
――となります。これを『一人称』と言います。つまり書き手=鬼子、なのですね。
自分が見たもの・聞いたものを書けばいいので、初心者に良いかもしれませんね。
ただ、注意しなければいけないことがあります。
それは『あなたが見たもの・聞いたもの意外は書いてはいけない』と言うこと。
鬼子が知らないことはあなたも知らないのです。知らないものは書けないですよね。てか、書いてはいけない。
それとは逆になんでも知っていて、なんでも見えているのが『三人称』。別名『神の視点』です。
鬼子達の数メートル上空をフワフワ浮いて見ている、と言えばよいでしょうか。
ネタバレですが、水着の入ったイ〇ンの紙袋を持った田中さんが、ワクワクしながら押入れに隠れているのさえも知ってます。
なんでも知っていますが、今度は物語を盛り上げる為の描写のテクニックが求められます。
それらを使いこなせれば・・・皆さん素晴らしい“語り部”になれると思います。
あとどのくらい書いたらここ落ちるの?
>>365 最大512だが500に達した時点で書き込めなくなる。現在の使用容量はスレの左下に赤文字表示。
一レスの容量によるが長文・大AAだと一気に行くね。普段気にしてないと突然埋まるから、
次スレ立たずに埋まって途切れる原因にもなるのが、本スレと長文SS・巨大AAスレが分割された理由の一つかと。
携帯からだと現在容量が解らないんだが、昨日440辺りだったからあと4〜5レス使う作品が二〜三位の空き容量かな?
したらばの場合は知らない。容量落ちは無くてレス数のみかも知れないけど、板によって設定変えれる様子だし…。
「・・・なにやら楽しそうだが。なにか良いことでもあったのか?」
「ん〜。なんにもないわよ。どうして?」
土間で夕餉の味噌汁を作りながら鬼子は応える。・・・どうやら、自分が鼻歌を歌っていることには気づいてないようだ。
「・・・・・・」
長めの黒髪を後ろで結い、和装をした青年は自分の前に置かれた湯呑みを見る。
この結界の家に出入りするようになって結構な歳月が経つが、鬼子が自分の為に茶を入れてくれたのはいつ以来だったろうか?
自分に対する鬼子の待遇があがるのは僥倖と思える事態のハズなのだが。
なんだろう? このモヤモヤした感覚は。なぜかそうは思えない。
鬼子がここ数日、町で鬼狩りをしたというのは知っていた。
だが、鬼子とて喜んで鬼を萌え散らしているわけではない。
鬼を萌え散らした後の鬼子はいつもどこか寂しそうなのだ。
だからそれ意外の『なにか楽しいこと』が、今日、あった? 町で?
ヤイカガシは頭を振り、ここに来た本題を切り出す。
「・・・残念だが。悪いお知らせだ」
「っ!? そんなはずはないわ!」
鬼子が味見用の猪口(ちょこ)を床に落とし、喰ってかかる。
頼むから菜切り包丁を持ったまま、そんな眼で自分を睨まないで欲しい。
「そんなことをわたしに言われてもな。だが確かに夕べ、8人目の犠牲者が出た。前と同じく首を掻き切られた姿だったそうだ」
町の様子を見てきたヤイカガシは、囲炉裏の前で正座し、茶をすする。
「そんな・・・、確かに萌え散らしたはずなのに」
鬼子が袴の裾をギュっと握りしめる。
最近、麓の町で猟奇的な殺人事件が多発していた。
年若い婦女子が、首を切り裂かれた姿で見つかっているのだ。いずれも死亡時刻は深夜、月のある晩の翌日に発見されている。
最初の犠牲者は遊女だった。
痴情のもつれか、金額が折り合わず殺されて捨てられたのだろうと、あまり大きく騒がれることもなかったのだが。
だが、次に見つかった犠牲者は、町で絹を扱うような呉服問屋の大店の娘だった。
そんな深夜に一人で出歩けるような気軽な家柄の娘ではなかった。逢い引きするような相手もいなかったそうなのだ。
まぁ、その程度なら“俗事の殺人事件”として鬼子が動くべきことではないのだが。
問題は殺された女性達の身体から“血液”がほとんど抜かれていた、ということだ。
古今、人の生き血を啜る物の怪は、ざっと考えても両の手に余る程いる。そして基本“物の怪”とは、ヒトの心の内より沸きい出る。
それに対し自然界や災害などからい出る妖怪(モノ)は、“山神”・“祟り神”などと区別される。これらは崇拝の対象になることも、ままある。
また、それらとは関係なくあまり知られてはいないが、ヒトには『血を求める“病”』がある。
あのヒトの流行りものが好きな猫又からそう聞いて知っている鬼子である。
原因を調べる為に鬼子は町へ降りた。
ただの快楽殺人なのか。病ゆえの所業なのか。はたまた怪異の仕業なのか。
地道な調査。その結果、やはり“心の鬼”が具現した妖(あやかし)の仕業と鬼子達は断定した。
だが、ヒトからい出た“鬼”は、その依代となった人間の知恵を一部受け継ぎ活動する。それゆえなかなか尻尾を出さず、あるいは逃げられ、さらに数人の犠牲者を出してしまったりもした。
だが数日前、やっと“対峙し退治”したはずなのだが。
だが・・・また犠牲者が出てしまった。
ヤイカガシは片目を薄く開き、目の前の少女の様子を見る。
鍋の煮立つ音が響く土間で、鬼子は黙って唇を噛んでいる。
「鬼子」
「・・・・・・」
そうなのだ。具現化した心の鬼程度、この少女の力量なら仕損ずるはずは無いのだ。だが・・・。
「・・・少しいいか? この姿はどうも肩がこる」
ヤイカガシは首を鳴らしそう言うと、返事も待たずまたたきの間に本性であるアノ姿に戻る。
“柊鰯”―ひいらぎいわし―。または“やいかがし”と呼ばれ、鬼を退けると言われる、思い、そして想われた姿に。
柊の手をパタパタさせ、ギョロっとした丸い魚の眼でヤイカガシは鬼子を見あげる。
見慣れれば“愛嬌”があると言えないこともないが・・・。いや。やっぱ、キモい。
「鬼子タン。鬼子タンが失敗するハズ無いでヤス。多分、萌え散らした鬼とは別の鬼が、まだいたでゲスよ。もしくは、前までの事件を模倣した悪いヤツとも考えられるでヤス」
「・・・ヤイカガシ」
暗にお前のせいでは無いと伝えてくる、目の前の珍妙な生き物(?)。
わざわざ変化してそう言ってくれるヤイカがシの心遣いが解らぬ、鬼子ではない。
普段、人の姿をとっている時はぶっきらぼうで寡黙な態度が多い彼ではあるが、本性はこちらである。
「だから、パンツくれでヤス!」
「文章に脈絡がないわーっ!!」
まだ書けるだろうか? スレの残りが少ないと長文は落としにくいね。
本性だなw
ちなみにこっちのブラウザ表示では445KBとある。テキストデータをプロパティで確認して投下するのもめんどくさいよね。
(ちなみにこのレスは163bytes)
>>370 続きを楽しみにしております。時代背景で起きそうな事件も違いますよね。
>>371 したらば掲示板の解説見る限り、向こうの場合容量制限は薄いみたいだね。一応参考までに。
したらば掲示板って知ってる?
http://rentalbbs.livedoor.com/about/ まぁ本スレ生きてれば相談もどうにかなるし、あんまりカリカリせず投下しても良いとは思う。
半角一文字で0.001kb、全角で0.002kbだっけ?こんなん数えながらレスとか、神経磨り減るわw
一応テンプレでは450KB超えた時にスレ立てになってるのか。
もうそろそろだけど、お引越しORそのまま、どちらにしろ必要かな。
374 :
創る名無しに見る名無し:2011/07/12(火) 18:24:56.11 ID:UwNtriLz
この過疎っぷりは容量落ち警戒からか、皆様ネタに詰まっておられるからか、既にSS書く人が去ったからか。
最後のは極力あって欲しく無いけれど、もし最初の理由なら次スレどうするかの話が決まるのを待たれてるからか。
1:創作発表板内に新たに5スレ目を立てる。
2:
>>364のスレを利用する。
3:創作発表板内の重複スレを利用する。
4:本スレと合併する。
5:立てない。4スレ目終了で鬼子SSスレ廃止。
正直5は最悪の手段だろうけども、自分がこんなの書く理由はそろそろ結論出して良い気がするからか。
まぁ、最近上げてないのでなにも言えないのですが、3か2が妥当でしょうね。
3は削除依頼が出てるので出来れば2かな
書きこんでみるテスト。
秋すぎて 春こえ梅雨も あけにけり 我が名の記す 壁はあるかや
あ、書きこめた。
皆さんお久しぶりです、歌麻呂です。
ずっと書きこみ規制がかかってると思っていましたが、
あっけなく書きこめることが出来ました!
実に半年くらいぶりですが、宜しくお願いします……!
お帰りなさ〜い。やはり規制を考えたからか、3という意見もあるのは優しさからか。
だが次戻って来た人が見つけにくいと心配からか、創作発表板内に置くべきというのも同じく配慮からか。
>>379 ただいまです^^
よかった、この記す壁は残っていたみたいで。
>>374 個人的には2のスレを使ったほうがいいのではないかな、と思ってます。
>>379の「見つけにくい」というのは
鬼子さんwikiの掲示板に書いておけば大丈夫かと思います。
(自分もそこからこのスレや他の鬼子さんスレに行きつけましたし)
あと、私も失踪してた分の作品を出せたらいいなあ、なんて思っていますので、
5番だけは勘弁して下さい……。
顔が赤いのは2と3を間違えた恥ずかしさからか、自分の体に血が通っているからか…。
書き込み規制や連投規制を考えると2がいいかなと思うのですが、ひとつ懸念が。
創作発表板の(暗黙)ルール的に、SSのレスだけ外部に置くというやり方はアリなのかな?
創作発表板ではSSが本筋になることが多いみたいだから、SSのレスだけ抜き出して外部に移すと、鬼子スレが創作発表板を使う意味が薄まっちゃわないかなとか。
よく知らない者が勝手に思ったことなので、杞憂かもですが。
暗黙ルールに忠実にやるなら4になるなあ。
ケース別だと
1:よその創発住人さん「ふざくんな。重複スレなんとかすれ」
2:発祥の地を離れるのは寂しいかも
4:見づらい、何かしら沸きやすい。個人的にはひっそり感が好き
5:漏れ「ふざくんな」
という感じですが、強固には主張しない。
2になったら重複スレは適当に使い潰して落としとこうかなとも思う。
「まあ、あそこは、もういいや」が創発板の実勢かなという気もするので、
暗黙ルールにせよ重複スレにせよ実はあまり気にしなくてもいいのかも知れぬ。
>>179 時の番人様
返信が来るのかどうか、今となっては分かりませんが、
打ち切りとは……。
あのような事情があっては仕方がありませんが、残念でなりません。
受け継ぐ、というのは何ともおかしい話かもしれませんが、
時の番人さんが書いて下さった「歌麻呂」のイラストを
pixivのプロフィールイラストに使わせては頂けないでしょうか?
八月頃から連載しようと思っている
長編鬼子(仮)を書く原動力にしたいんです。
無論、事情が事情なので無理にとは言いませんし、
イラストを書いて下さっただけで励みになるのですが……。
もしこのスレをご覧になっているのならば、
お返事のほう宜しくお願いします。
}>384
歌麻呂さん、おっすおすです。( ̄Д ̄)ノ
時の番人さん、帰ってきてくれたよ〜♪
}>359
386 :
代理投下:2011/07/15(金) 17:00:58.83 ID:hy24PTKE
>>374 2か3、見つけ易さで言えば3かな。2のスレ立てておいてアレですけど…。
そろそろ自分を追い込むために、避難所で言っていたSSの一話目冒頭を晒そう。
もし6時まで何も書かれてなければ『また詰まりやがった!』とでも思って下さい。
正直自分は短編を適当にポツポツ描いてる方が性に合ってるとは理解しました。
>>384 新作長編、期待しております!
ピピピ・・・ピピピピ・・・ピピピピピ!!
朝に目覚まし時計が鳴り響く中、布団からモゾモゾと腕が伸びてくる。
カチリ…。
時計を確認すると、まだ8時。カレンダーに目をやるが今日はまだ4月の頭。
始業式にすらなっていない。もぞもぞとまた布団の中へ潜るが、時計のスヌーズ機能がそれを許さない。
ピピ・・・ピピピ・・・ピピピピ・・・!!
今度こそ完全に止めようと、もう一度手を伸ばした所で、階下から声が聞こえてきた。
母「涼子〜!何時まで寝てるの?早く起きなさい!」
寝ぼけ眼で、もう一度カレンダーへ目をやる。やはり、今日は登校日でもない。
涼子「春休みくらいゆっくり寝かせてよ〜。まだ8時じゃん・・・」
母「何言ってるのよ…今日は入学式に部活の勧誘やるんでしょ?遅れても知らないわよ!」
母の言葉にガバッと身を起こし、時計をもう一度確認する。既にあれから10分二度寝している。
涼子「ちょっと!なんでもっと早く起こしてくれなかったの!!」
母「あら、目覚ましの音で起きたと思ってたわ。それより早く準備しなさい。朝ごはん、出来てるわよ」
急いで制服に身を包み、多少髪を梳かすと壁際のやけに細長いバッグを手に取り、バタバタと降りる。
食卓に着くと、トーストやソーセージを無理やり流し込み、すぐに玄関へと急いでいく。
涼子「行って来ま〜す!」
母「…高二にもなってあれじゃあ、先が思いやられるわね」
通学路を走る中、途中で大きな音がなり続ける家があった。
ジリリリリリリリリリリリリリリ・・・・・・・!!!
その家の中で、目覚まし時計を止める者は誰もいない。
昏々と眠り続ける住人は、まるで力をほとんど失ったかのような肌色で横たわっている。
涼子はそんな事も今は気付かないまま、自分同様朝が苦手な人がいるのだと思い込んでいた。
第一話:心の鬼を狩る者、日本鬼子参上!
詰まった…のか?せめて鬼子登場まで書きためて欲しいな。
そろそろ次スレをどこにするかの話(
>>374)再開しませんか?
話し合いだけならそんなに容量食わないと思うんで、ここでやっちゃいます?
それとも避難所なんかに移動したほうがいいかな?
今の所
>>374の『3』が多くて、『2』はあくまで非常用なのかな?
まぁ一度一箇所に投下し始めたら、そちらへまとめて終わりまで、って人が多そうだけど。
#SS板の次スレ
>>374 とりあえず1かな。
書き込めなくなる直前だから、いつも通りSSスレ
「【長編SS】鬼子SSスレ5【巨大AA】」をこの板に作る。
そして新しいSSスレ5を使いつつ、次スレの場所の話しも進める。
SSスレに規制で書き込めないって事は、本スレにも書き込めないので、
やはり、本スレ、SSスレの移動先を同時に考えないと。
実際の移動はスレ消化の時期が異なるので、同時とはいかないが。
過去の避難所スレとここの374のを借りて付け足した。
1:創作発表板内に新たに5スレ目を立てる。
2:建ててくれた板、もしくは過疎板を使用する。
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/14480/ (おにちゃんねる)
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/14457/ (創作発展専用@2ch型掲示板)
3:創作発表板内の重複スレを利用する。
4:本スレと合併する。
やっぱ避難所行きの話しだよね?
今無駄になってる重複スレは
>>375にある二つで(他に無いよね)、これらをどっちがどっちでもいいけど、4.1、4.2とする。
5スレはとりあえず立てるが、4.1、4.2への誘導を貼るだけで、これらを使い切るまで5スレは使わない。
というのを思いついたが、どうだろうか。
・避難所521で指摘された見つけづらさはクリアできてると思う。
・重複スレ数は4.1を使いきるまで現状維持になる。
・5スレの「即死」については
>>4らしい。
ただ、次スレで「おにちゃん」移転の人が多かったような印象があるのだが勘違いか?
風あらば 枝葉揺れども 根は揺れず 雨陽注がば 花は咲きなん
夏過ぎて 秋は来るらし 我が心 かはらず捧げん こすもすの花
400 ⊂(^▽^ ⊂⌒`つ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡
とにかくスレ立てしようぜ。
同じ板に。議論するのが遅すぎるZ
うーん、じゃあ、明日の昼前か夕方くらいに
>>398の線でやっとくけどいいか?
で、SSスレの「おにちゃん」移行話は5スレの終わりくらいまで無しつーことで。
今日はもう寝ます。
>>402 書き手じゃないけど異論ないです。よろしくー。
>>402 ありがたい!
よろしくおねがいします。
今日は書いてないな。
代わりというか、以下の6作品が上がる。
ID:y8rEuwql氏の無題作品
ID:5L60+is7氏の無題作品
ID:J/vgaqCu氏の無題作品
ID:vXFIGtqL氏の無題作品
ID:JNJygHcE氏の無題作品
ID:kdCcjeS7氏の無題作品
国防省さん・モエチリさんの大物なんかは、自動でできてきた後の手編集が面倒だったんで後回し。
411 :
創る名無しに見る名無し:2011/08/09(火) 00:00:33.22 ID:zzrS4GQW
昨日は避暑と酒飲みで潰れ、5スレの保守すらやってない。
今日は酒の影響、プチ避暑、アツダル、電波ばーさんの襲撃などで書いてない。代わりといっては何だが以下を上げる。
『えせ関西弁鬼子』『
>>109の鬼子再臨』
ID:F3cxNpuR氏・ID:rdxVQaQn氏の無題作品
残りが大作と小品に分かれてきたので、もうそろそろ2スレ目も考慮に入れながら編纂をせにゃならん。
つーわけでoniko-ss_02.txtを作ったのだが、専ブラの2スレのdatが途中までだったので、unkarのソースを引っ張ってきた。
専ブラから作ったtxtと形を合わせにゃならんので、sedって大体の形にした。
長編は、転送量のこともあって、スレ毎にページを分割するつもりだが、短篇はかえって困るな。
まあ、スレまたぎの短篇があるかどうか調べてないが。
明日は自作書きしかやらない予定。
昨日は#神のみ絵祭り0810に付き合ってたからあまり書いてないな。
でも少しは書いた。
今日は理由は無いが、あまり書いていないな。
しかし更に進んだ。
思いついたシーンがあって、次の祭りのときにSSぶん投げてやろうかと思わんでもないが、
それを書く前にplwを書かねばならん。
昨日は死んだ。
今日は半死にだったが、また少し進めた。
相変わらず少しだがまた進んだ。
早く上げたい気持ちは有るが、まあ、これで良い。
今日は自作は休み。
編纂作業は、いろいろ考えた挙句、datベースでやり直すことにした。
「資料サイト」なので、著者の入力にもっとも忠実なdatから起こすべきだろう。
つーわけで、今日はdat→txtの変換スクリプトをルビーで書いた。
今日はSSまとめ関係しかやってない。
ちょっとそういう気になったから、ワタヌキのシーンスケッチみたいなものを書くか。
書いてみたがネタバレが多すぎて上げる気にはならんな。
収穫が多かったのでよし。
【ネタバレ注意】
よく考えたら、こっちならあまり見る人もいなさそうだし、埋めるのにも都合がよかろうということで、せっかく書いたのでワタヌキ使ったシーンスケッチを上げることにした。
『この感じ!』
上空に異様な気配の無さを感じて跳びさがった。
グォーン
着地音だけ大きく、綿抜鬼の両腕を肩口から斬り落としている。姉だ。既に中成していて、裾から菊花弁が次々と舞い散っている。
『姉さん。いつになく本鬼。』
左瞳の明滅もいつもより速いかもしれない。
「やあ、智依子さん、久しぶり。」首だけ真後ろに振り返って言う。
「ハッ。」ゴホォーン。
ガン無視で首と腰を払う。智依子の雷声・震脚は珍しい。確かに本鬼のようだ。
「非道いなあ、ここはお互い再会を喜び合うところじゃないのかい。」
鬼だから、首をはねられてもまだ喋っている。
「黒珠、疾」
相変わらず無視して黒珠を発動すると、次の術を構築しながら綿抜鬼の頭を拾い上げる。軽そうだ。
「ねえ、君たちはどうして僕の邪魔をするんだい。僕は祐子ちゃんの中身を愛でたいだけなんだけどなあ。君たちに危害を加える気は無いんだよ。もっとも僕じゃあ、君たちにはなかなか勝てないけどね。」
やかましいと言わんばかりに黒珠の『特異点』から頭を中に投げ込み、残りの部分も放り込んでしまうと『特異点』を2本で指差す。
「≪Thermidor≫ 疾。黒珠、縮。」
テルミドルは、当然家伝には無い術だが、世界史で習ったから言葉も意味も知っている。どうも焼いて潰してしまったらしい。
「何だったんですか?」
「綿抜鬼ですか。」
「人のはらわたを好んで喰らう変態だけど、勇子見た?」
「はい。あれは中が空洞に・・・」
「うん。変態だから自分のはらわたも抜いて、どこかに隠してあるんじゃないかな。心が無傷だから、灰も残さず焼いて微小ブラックホールになるまで圧し潰しても、いずれ再生してまた祐子ちゃんを襲いにくるわね。」
『げっ。』
「戦闘能力自体は大したことないから、私か勇子がいる分には、まあ平気だけど、祐子ちゃん、三昧火は?」
「アイサー、使えるようになったであります。」敬礼して答える。
「"Fine." じゃあ、後でいよいよ符術法を授けます。」
ワタヌキのことはあまり調べず書いたので、まあ、何か違うんだろうが、私が書くとこんな感じ。
『鬼こっこ』、発見したのでやっちまうことにする。むふふ。
wget -E --no-cookies -r -p uri
こういうことをするから他人から胡散臭く思われるw
まあ何にせよ60枚げと。
久しぶりにこっちの埋め作業。
何でも決めてくれればいいと思う。どっちにしろ近づいてきたものしか使わない。
ワタヌキの場合は、あれは元々遠くにあったものだが、ワタヌキそのものはともかく、ワタヌキに入っていたアイデアは
>>419を書くことで近づいてきたから使う。
田中匠という子はploject light wayには近づいてこない。どこかで長芋氏は「どこにでも居る女の子くらいの意味合いで田中という姓にした」という感じのことを書いていたと思うが、実際のところあの子はあまり一般的ではない。
当たり前の話で、与えられる田中は既に長芋氏の書いた特殊な田中だから、既に一般性を喪失している。で、特殊性がゴツゴツ引っかかってまるで近づいてこないから使わない。
何か近づいてくるアイデアがあれば、「お前らご苦労様」といいながら余計なディテールを取っ払って使うことはあるかもしれない。
でも、そうするとグチグチ言われるかもしれぬ。そういうグチグチを聞きながら「ざまぁ」と思ってるのが作者というものだという気がせぬでもない。
今日は、まるで成果が無い日だったなぁ。
しばらく他の活動ばかりしていて、鬼子関係は何もしていない。
ここに書くのも久しぶりだ。
とりあえずタスクをメモっておく。
鬼子関係
・自作:問題無し。書けばいいだけ。書ける書けないは別問題。
・鬼子SSスレ作品まとめ:次はモエチリ氏1作目のページを作成予定。渋の完成稿との異同をどうするか。
・鬼子マンガ:iceweasel(firefox)のjs内外併用不可問題=最終画像番号の取得法問題。
←最終画像を常に"作品名_last.拡張子"のファイル名で上げておき、n番目が無いときはlastを表示というコードにする。
;「無いとき」の判定は可能か?
シェルター
・アトム計画:消失対応の組込み。消失待ち。次の予定は火曜か水曜。
・パス更改:パス作成。更改告知文作成。
他
・lepanneaunoir.web.fc2.com全体の再構築。
・鬼子マンガ
理想は「画像を投げただけで画像の増加に対応する」だったが、これをやろうとするとイヴェントハンドラ"onerror"を使うことになり、オンエラーの使い方としていい気がしなかったのでやめた。
結局、"onclick"で関数実行時にページ数を引数で渡してやることにした。これだと画像+作品ページの更新ということになるが、jsファイル書き換えよりははるかに良い。
「戻るスィッチ」と「任意のページに進むフォーム」とを作れば、制式運用できてしまうなぁ。
タスク優先度。
もう9・11なので、
パス>シェルターアトム>作品まとめ>自作>他
パス告知が終わったので、消失待ちのシェルターアトムはできないので、作品まとめの仕事をしないといけないが、先に鬼子マンガの装置をやって遊ぶことにする。
鬼子マンガシステム完成したっぽい。
モエチリさんのページを3分の1ほどやる。渋の挙動の所為か、空行の変更が多い。とりあえず煩瑣を厭わず一々編註を付けている。
モエチリさんページ終了。両indexとwork_listを書き換え、アトムを切ったから計6ファイルだが、鬼子マンガシステムのテストのためおにこっことcss・jsも上げたので実際には9ファイルだ。何か通信が遅かった気がする。
タスク
・シェルターアトム
・作品まとめ
・自作
・再構築
・gpl研究
・『現実的なものと潜在的なもの:現実的なものと理想的なもの』
ゴト日なのでパス告知を寝る前にやる。
tkttがおもしろくて仕事にならんかった。
今週は何もしておらんな。
タスク
鬼子関係
・自作
・まとめ
・gpl研究
シェルター
・パス告知 明日
・アトム クッキー消失対策、スレ消失対策
他
・lepanneaunoir.web再構築
・r-v:r-i
1:放っとくといつまで経っても書かないので、自作のファイルをとにかく開く。
2:20日の告知を忘れたので、寝る前と言わず、明日のパス告知は気づいたときにすぐやる。
3:スレ消失状態は、空のスレidを要求することで再現できるかもしれぬのでそれを確認する。
昨日に引き続き寝潰れて何もせず。
シェルター関係
パス告知、本日分終了。次は30日。
アトム、コード書き終了。要試験。
エネスレまとめ ← new
今日はもう他のことをする気が無いので、自作のtxtを眺めて過ごすことにする。
これが書き込めたら逃げ切ったということで。
忍法帖のおかげでおちおちスレも立てれない。
シェルターアトムを1日から開始とか書いてしまったのでそっちで忙しかったりする。
コード書き終了などと書いたが、実際に試運転を始めると問題が結構出てきて修正をちょこちょこしてる。
今日から公開試運転開始の予定。
!kujiでよかったっけ?
!omikujiだったか。