【新ジャンル】「台詞系SS総合スレ」( ^ω^)

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181HAM ◆HAM/FeZ/c2

女『今歩いているこの道が、いつか懐かしくなるのかな』
182HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/05(木) 19:46:53.64 ID:UiRUtGWJ
男「うっし、引越しの荷物はこれで全部だな」

男「あー腰いてえ」

男「あとは…これだけ書斎に持ち込んでおくか」グイ



男「っと」ドサ

カチャン

男「ん??なんだこれ」

男「カセットテープ??」

183HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/05(木) 19:51:33.83 ID:UiRUtGWJ
【20××.3.20 17:00】

男「1年くらい前のテープか」

男「前に住んでた人の忘れものかなんかかな」

男「かけてみるか」

ガチャリ

男「再生…と」カチカチ

ザ…ザー…

女『あー、あー』

女『聞こえますか??』

男「ん??」

184HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/05(木) 19:54:51.27 ID:UiRUtGWJ
女『えーこんにちは』

男「はあ」

女『今日、この家に引っ越してきたものです』

女『新しい生活にわくわくしています』

男「なんだ、自分語りか。くだらねえ…」

女『あなたに聞いてもらいたくて、このカセットテープに吹き込んでいます』

男「え」

女『一人きり、新しい生活』

女『ペットも飼えないし、寂しいし』

185HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/05(木) 20:00:41.75 ID:UiRUtGWJ
女『あ、このテープは、私のさらに前の人のものみたいです』

男「あん??」

女『なんかミュージシャンの人だったみたいで、録音装置とかカセットが山ほど残ってて』

女『だから有効利用してみようかな、と思いまして』

男「はは、ヒマなやつだな」

女『次の入居者さんに向けて、私のお喋りを録音します』

女『これから毎日、一本ずつ録音していきたいと思います』

男「おいおい」

女『だってめちゃくちゃいっぱいあるんだもん、テープ』

186HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/05(木) 20:05:08.91 ID:UiRUtGWJ
女『この書斎を私の生活スペースにしようかな、と思います』

女『ここなら録音も読書もできるし、音楽も聞けるし』

男「ん、確かにいい部屋だな」

女『窓も大きいし』

男「…防音じゃねえのかな」

男「窓がある録音室ってどうなんだ」

女『このテープ、片面10分なんで、一日10分だけのお喋り』

女『B面は使いません』

男「お喋りって言っても…おれの声は聞こえないだろうよ」

187創る名無しに見る名無し:2011/05/05(木) 20:06:28.28 ID:m9ELelly
 
188創る名無しに見る名無し:2011/05/05(木) 20:06:40.27 ID:m9ELelly
 
189創る名無しに見る名無し:2011/05/05(木) 20:07:17.56 ID:m9ELelly
 
190HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/05(木) 20:08:44.24 ID:UiRUtGWJ
女『という訳で、明日も聞いてくれますか??』

男「…」

女『…聞いてくれたら、いいな』

男「…」

女『あ、これを1年後の同じ日に聞いてるとは限らないですよね』

男「うん」

男「今日は…3月24日だし」

女『今日の分まで、一気に聞いちゃってください』

女『それで、次の日から一日一本!!』

男「栄養ドリンクみたいだな」

女『どうでしょう??』

男「どうでしょうって言われても」

女『先のテープは、まだ聞いちゃダメですからね!!』

191創る名無しに見る名無し:2011/05/05(木) 20:10:32.53 ID:m9ELelly
 
192創る名無しに見る名無し:2011/05/05(木) 20:10:44.00 ID:m9ELelly
 
193HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/05(木) 20:13:42.17 ID:UiRUtGWJ
女『それじゃあ、また明日』

ガチャリ

男「…」

男「10分ってあっという間なんだな」

男「ま、することもないし、次のやつ聞いてやるか」

【20××.3.21 17:00】

女『えっと、昨日と同じ時間に録音してみました』

女『これを聞いてくれてるってことは、私のお喋り、聞いてくれる気になったんですね』

男「…」

女『うれしい!!』

男「…はは、お気楽な子だな」

194創る名無しに見る名無し:2011/05/05(木) 20:16:40.61 ID:m9ELelly
 
195HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/05(木) 20:16:51.68 ID:UiRUtGWJ
女『私、この春から異動してきたんですよ』

男「移動??」

女『まだ新米だから勉強も必要だって言われて』

女『町の広告代理店に、明後日から出勤なんです』

男「ああ、『異動』か」

女『楽しみなような、不安なような…』

女『でもここになら、不安をぶちまけることができそうだし、ちょっとこのテープ、頼りにしてます』

男「おれは一方的にぶちまけられるだけかい」

女『あなたの悩みも、時々聞きますよ♪』

男「聞こえねーだろwww」

196創る名無しに見る名無し:2011/05/05(木) 20:16:53.38 ID:m9ELelly
 
197HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/05(木) 20:21:04.14 ID:UiRUtGWJ
女『ここ、すっごく交通に不便ですよね』

女『なにしろ町までバイクで30分!!』

男「じゃあなんでここ選んだんだよ」

女『伯父の紹介で、すごく安かったんですよ』

男「お」

女『まだ貯金も全然ないし、安さに勝る優先条件はないですよね』

男「なんか、今、会話みたいになったな」

女『だからここに決めたんです』

男「ちょっと面白いかも、な」

198創る名無しに見る名無し:2011/05/05(木) 20:22:48.93 ID:m9ELelly
 
199HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/05(木) 20:25:41.70 ID:UiRUtGWJ
女『とりあえずは1年ちょいの契約』

女『こっちの会社での研修期間も1年なんです』

男「短いな、研修」

女『早く研修終わって、一人前になりたいけど』

女『この家に1年しかいないっていうのはもったいない気がします』

男「だよな」

女『でも次の入居者さんももう決まってるっていうし、仕方ないですね』

男「ん??それっておれのことかな」

男「家決めたのって、いつだっけかなあ」

男「だいぶ前から目はつけてたけど…」

200HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/05(木) 20:30:49.93 ID:UiRUtGWJ
女『明日はちょっと町へ出てみようかと思います』

男「去年22日は、休みの日だっけ」

女『色々と買い物もしなくっちゃね』

男「おお、参考にしようかな」

女『あなたも引っ越してきたばかりなら、参考にしてくださいね』

男「はは、見透かされてんな」

女『それじゃあ今日はこの辺で』

男「…早いな」

女『おやすみなさい』

男「早いだろ」

ガチャリ

201HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/05(木) 20:39:35.21 ID:UiRUtGWJ
【20××.3.22 19:00】

女『今日はちょっとしたハプニングが』

男「おお、いきなりどうした」

女『町に着いた途端ガス欠になったんですよ』

男「あ、はは、遠いしなあ」

女『ガソリンスタンドを探すのに手間取って、あんまり満足にお買い物できませんでした』

男「あーあ」

女『ていうか、バイクって重いんですね』

男「ずっと押してるとそう思うよな」

男「乗ってるだけだと気づかないもんだ」

202創る名無しに見る名無し:2011/05/05(木) 20:40:25.80 ID:m9ELelly
 
203創る名無しに見る名無し:2011/05/05(木) 20:40:38.72 ID:m9ELelly
 
204HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/05(木) 20:44:25.83 ID:UiRUtGWJ
女『でも、良い発見もあったんです』

女『町への一本道、途中に桜並木道があるんですよ!!』

女『ちょっとだけ、咲き始めてましたよ!!』

女『満開がすっごい楽しみです!!』

男「へえー」

女『あなたも、満開の頃にぜひ見に行ってみてくださいね』

男「いいな、それ」

女『絶対ですよ!!』

男「はいはい」

205HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/05(木) 21:19:15.11 ID:UiRUtGWJ
女『あなたがどんな人なのか、興味があります』

男「お」

女『何歳くらいかな』

女『男の人かな、女の人かな』

女『どんなお仕事してるのかな』

女『ってね』

男「おれは…20代のしがない小説書きだよ」

女『当ててみましょうか』

男「はは、やってみな」

女『小説家の人でしょう』

男「!!」

206HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/05(木) 21:27:05.61 ID:UiRUtGWJ
女『はは、びっくりしましたか??』

男「う、うお、え」

男「嘘だろ」

女『なーんて』

男「は??」

女『当てずっぽうじゃないですよ』

女『不動産屋さんに、聞いてたんです、次に住む人のこと』

男「な、なんだ、驚いたわ、くそ」

207HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/05(木) 21:34:04.08 ID:UiRUtGWJ
女『まあ詳しいことはもちろん聞いてませんけどね』

男「プライバシーというものがあるからな」

女『いいな、私も小説好きなんです』

男「へえ、そりゃあいいことだ」

女『私の知ってる作家さんだったりして』

男「ないない、超無名だから」

男「ていうか去年の今頃だと一冊しか書いてないから」

女『想像すると楽しいですよね』

女『名前、言っちゃダメですよ』

男「言っても聞こえねーだろ」

208HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/05(木) 21:38:53.12 ID:UiRUtGWJ
女『じゃあ、今日はこの辺で』

男「おう」

女『あ、歳が近いってこともチラッと聞いたんで、明日から、敬語やめようと思います』

男「不動産屋の親父…口軽くねえ??」

女『なんか敬語だと、堅苦しくて…』

女『じゃあ、また明日』

男「ふぅ…やれやれ」

ガチャリ

男「あと2本か」

男「一気に聞いちまうかなあ」

209HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/05(木) 21:44:01.51 ID:UiRUtGWJ
【20××.3.23 20:00】

女『こんばんは』

男「はい、こんばんは」

男「こっちはまだ夕方ですが」

女『さっきお料理失敗して、家の中が焦げくさいの』

男「なにやってんだ」

女『いやあ、油断した』

男「なに作ってたんだよ」

女『ロールキャベツって、簡単だと思ってたんだけどなあ』

男「ロールキャベツ焦がせるって、それすごくね??才能??」

210HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/05(木) 21:49:03.36 ID:UiRUtGWJ
女『今日は仕事始めだったんだけど、そっちの方は、まあ無事終了!!』

男「おお、もう始まったのか」

女『優しい先輩がいてくれて、色々と教えてくれたの』

男「そりゃあ、よかった」

女『私、偏頭痛持ちで心配だったんだけど、ここのところ調子もいいみたい』

女『一回痛くなり始めると、大変なの』

男「へえ」

男「なったことないからわからないけど、普通の頭痛よりも痛いもんなのかな」

女『あと、格好いい上司の人もいたの♪』

男「おお…ちょっと妬けるな」

211HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/05(木) 22:00:50.83 ID:UiRUtGWJ
【20××.3.24 19:00】

女『やっほー』

男「お、テンション高いな」

女『今日も快調ー』

女『先輩も格好いいしー』

女『マキさんも優しいしー』

男「はは、順調だね」

男「おれも明日からそうなるといいんだけど…」

女『今週の金曜日に歓迎会してくれるっていうから、楽しみ!!』

男「おお、いいじゃん」

男「おれも酒飲みたくなってきたな…」

女『うふふ』

男「ビールでも開けるか」

212HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/05(木) 22:06:39.70 ID:UiRUtGWJ
プシッ

ゴクゴク

男「っくぁー!!うめえ」

男「さ、続き続き」

カチャリ

女『始めてまだ少しだけど、私のことばっかり話してるね』

男「ふぅ…」

男「そりゃ、まあ、君のテープだし」

女『あなたの話も聞きたいな』

213HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/05(木) 22:14:08.25 ID:UiRUtGWJ
男「あなたの話もって…」

男「聞こえるのか??」

女『聞こえるよ』

男「…」

男「え??」

女『多分』

男「…」

女『聞こえたら、いいな、ってね!!』

男「ああ、そういうことか」

男「時々シンクロして、びっくりするわ」

214HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/05(木) 22:18:25.94 ID:UiRUtGWJ
女『小説は、進みそう??』

男「ん、まだ取りかかってないしな」

男「これから、これから」

女『どんな小説が好きなの??』

男「ん、読むなら推理小説かな」

男「おれが書いてるのはちょっと違うけど」

女『私はね、ミステリーが好き』

女『ちょっとした日常のおかしさとか、そういうの』

男「へえ」

女『本格的な推理小説は頭がこんがらがるし』

女『かといって恋愛ものもちょっとね』

男「女の子にはそっちの方が好きって子が多いんじゃないか」

女『周りの友だちは恋愛小説ばっかり進めてくるんだけどね』

男「うん、だろうね」

215HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/05(木) 22:25:57.18 ID:UiRUtGWJ
男「気分転換しながら、まあゆっくり書いていくさ」

男「君が好きそうな小説も、いつか書けたらいいな」

女『楽しみにしてるよ』

女『あなたの小説を、読む日を』

男「…」

女『うふふ』

男「はは」

女『ジャンルが違いすぎたら、どうしようって思うけど』

男「ホラーとか??」

女『ホラーとか、ね』

男「はは」

216HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/05(木) 22:40:21.58 ID:UiRUtGWJ
女『じゃあ、また明日』

男「ん、おやすみ」

女『おやすみ、またね』

ガチャリ

男「次は明日か…」

男「明日は何時だろ」

カチャカチャ

男「夜か…」

男「…」

男「とりあえず、飯作るか」

217創る名無しに見る名無し:2011/05/05(木) 22:48:36.62 ID:0Y1Hjink
支援
218創る名無しに見る名無し:2011/05/06(金) 22:52:55.54 ID:CQEGLhS6
支援
219HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/07(土) 01:24:10.37 ID:1Nsk0KyZ
【20××.3.25 22:30】

女『ごめんね、今日はちょっと遅くなったわ』

女『仕事は早く帰れたんだけど…』

男「ん??」

女『頭痛が出ちゃってね、仕事にならなかったんだ』

男「おいおい大丈夫か」

女『心配してくれてる??』

男「ん、まあ、な」

女『ありがと』

男「はは」

男「じゃあ今日はゆっくり休みなよ」

女『薬がまだ残ってるから平気よ』

女『ちょっとボーっとしちゃうけどね』

220HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/07(土) 01:28:29.37 ID:1Nsk0KyZ
女『私の頭痛はいきなりガッときて、何ごともなかったようにすっと治まるの』

男「へえ、大変だな」

女『薬がなくなる前に、町でいいお医者さんを見つけなきゃね』

男「…」

女『ま、大丈夫、大丈夫』

女『明日にはきっとケロッとしてるんだから』

男「そうだといいな」

女『明日は歓迎会もあるんだから、絶対行かなくちゃ』

男「無理すんなよー」

221HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/07(土) 01:34:16.17 ID:1Nsk0KyZ
【20××.3.26 23:00】

女『今日は快調でありました!!』

男「おう、えらく遅かったな、今日は」

女『先輩に送ってもらっちゃったーうふふ』

男「こんな場所までかよ」

男「先輩、ご苦労さんですね」

女『隣の席でーいっぱい喋ったのーいえー』

男「酔っ払ってるなあ」

男「ていうか、この状態でよく録音できてるなwww」

女『いえー』

222HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/07(土) 01:39:05.19 ID:1Nsk0KyZ
女『ワイン美味しかったー』

男「ワインかーおれは苦手なんだよなあ」

女『あとねえ、上司の人が飲んでた熱燗もちょっともらったの』

男「ああ、アレも無理だわ」

女『あとねえ、ビールも飲んだし、梅酒も美味しかったよう』

男「そんなに色々飲んで大丈夫かよ…」

女『うーん、ちょっと眠い』

男「早く寝なさい」

女『あははははは!!』

男「いきなりハイになるな!!」

223HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/07(土) 01:44:46.93 ID:1Nsk0KyZ
男「…」

女『…』

男「ん??」

女『ちょ、気持ち悪い…』

男「え」

女『お、おえ』

男「おいおいおいおい」

女『おえろろろろろろろろ』

男「ぎゃああああああああ」

女『あうー』

男「おいおいおいおい、大丈夫かよ」

女『…おやすみ…』

男「片付けろよ…」

男「ていうか撮りなおせよ…」

224HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/07(土) 01:50:13.14 ID:1Nsk0KyZ
【20××.3.27 11:00】

女『おはよう』

男「ん、おはよう」

男「珍しく早いな」

女『昨日、私、なに喋ってたのかな』

男「覚えてないのか」

女『床も、その、汚れてた、し…』

男「あー」

女『あ、あはは』

女『ごめんね』

男「謝らなくてもいいけど」

女『うう』

225HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/07(土) 01:56:12.58 ID:1Nsk0KyZ
男「あんまり酒飲んだことないのか??」

女『お酒、そんなに強くないの』

男「それなのにいっぱい飲むから」

女『それなのに昨日は飲みすぎちゃった…』

男「しかもチャンポンで」

女『もうしばらく先輩の前では飲まないことにする』

男「そうしな」

女『ああーなんか失礼なこと言わなかったかなー』

男「んーどうだろ」

女『あああ〜』

226HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/07(土) 02:01:42.03 ID:1Nsk0KyZ


男「ははは」

女『うふふ』

女『はあ、なんか色々喋ったら、すっきりしちゃった』

男「昨日吐いてるからじゃね??」

女『ありがとう』

男「おれはなにもしてねえよ」

女『じゃ、またね』

男「おう、またな」

ガチャリ

男「ふふふ…」

男「さて、明日のは何時かなっと」

ゴソゴソ

227HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/07(土) 20:24:04.59 ID:1Nsk0KyZ
―20××.3.28―

男「ふああ〜」

男「眠いな」

男「つうか筆が進まねえ」

男「あ〜あ」

編集「あ、あの」

男「おぅわあ!!」

編集「す、すみません」

編集「何回もチャイム鳴らしたんですけどお出にならないものだから…」

男「あ、ああ、今日、来る日でしたっけ」

編集「ええ、お久しぶりですね」

男「そうですね」

228HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/07(土) 20:29:26.73 ID:1Nsk0KyZ
男「コーヒーとか、どうです??」

編集「あ、いただきます♪」

男「まあインスタントですけどね」

編集「うふふ」

編集「この辺、お店も家も少ないようですけど…不便じゃありません??」

男「はは、まあ、たまーに町に出て買い物するのも楽しいものですよ」

編集「へえ〜」

男「まあ男一匹、気ままなもんです」

編集「結婚はされないんですか??」

男「予定がないもんでwww」

編集「そ、そうですか」

229HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/07(土) 20:36:00.26 ID:1Nsk0KyZ
編集「新作、売り上げが少しずつ伸びてます」

男「え、本当に」

編集「ええ、口コミから広がって。発行部数増やそうと上に掛け合ってるところです」

男「うわ、うわ、嬉しいな」

男「君がいつもかけまわってくれるおかげで、僕は小説で食べていけるんです」

男「ほんと、いつも、ありがとう」

編集「い、いえ、そんな…」

編集「先生の作品にもともと魅力があるからですよ」

男「いやいや、そんなことないって」

230HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/07(土) 20:40:27.71 ID:1Nsk0KyZ
編集「それで、次の作品にも注目が集まっているんですが…」

男「あ、ああ、そうだよね」

男「今あんまり進んでなくて、ね」

編集「そうですか…」

編集「でも、いい環境じゃないですか」

編集「きっといいインスピレーションが湧いてきますよ」

男「うん、そうだといいね」

編集「で、雑誌の方での読者の反響なんですが…」



231HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/07(土) 20:52:44.14 ID:1Nsk0KyZ
編集「で、ここの数字を…」

男「うん」ソワソワ

編集「あれ、どうしました??」

男「あ、いや、別に」ソワソワ

編集「はあ…」

男「あとやっとく事は、これだけですか」

編集「あ、そうですね」

編集「また来週あたり、取りに来させてもらいます」

男「ああ、はい、よろしくお願いします」

編集「それじゃ、そろそろ帰りますね」

編集「長居して申し訳ありませんでした」

男「いやいや、そんなことないですよ」

編集「では、失礼します」

232HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/07(土) 21:04:38.98 ID:1Nsk0KyZ
男「いかん、ちょっと時間が過ぎてしまった」

【20××.3.28 15:00】

女『こんにちは』

男「ほい、ちょっと遅れた、ごめん」

女『今日も町に出てみたよ』

男「ほほう」

女『いい感じの商店街を見つけたので、あなたも行ってみて』

女『お肉屋さんがサービスしてくれるし』

男「それは君だからじゃないか??」



女『じゃあ、またね』

ガチャリ

男「うーん」

男「知らず知らずのうちに楽しみになってしまっているな、このテープ」

233HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/07(土) 21:10:43.33 ID:1Nsk0KyZ
【20××.4.1 20:00】

女『…こんばんは』

男「ん、暗いな」

男「どうしたの」

女『最近頭が痛いって、言ってたじゃない』

男「あ、ああ」

女『偏頭痛だって、思ってたの』

男「??」

女『今日ね、町で大きめのお医者さんを見つけたから、帰りに寄ったの』

男「へえ」

234創る名無しに見る名無し:2011/05/07(土) 21:20:18.14 ID:/98mG+bv
おい……これは……
235HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/07(土) 21:23:15.75 ID:1Nsk0KyZ
女『また頭痛薬もらっておこうと思ったんだけど、お医者さんが変なこと言ったの』

男「あん??」

女『念のためレントゲンとっておきましょうか、って』

男「レントゲンって胸じゃねえの」

女『あ、レントゲンみたいなものを、って言ってたの』

女『MRI??そんな感じの横文字のやつね』

女『とにかく、詳しく検査した方がいいとか言われて』

男「はあ」

女『偏頭痛って、なにも映らないらしいの、本当は』

男「え」

女『でも、なにか、映ってたの、頭の中に』

男「…」

236HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/07(土) 21:31:41.51 ID:1Nsk0KyZ
女『私にはわかんないけど』

女『お医者さんも、気にするほどのものじゃありませんよ、って笑ってたけど』

男「…」

女『怖いの』

男「…」

女『頭の中にね、影があるんだよ』

女『腫瘍とか、そういうのだったらどうしようって思った』

男「…」

女『今までもらってた薬と、違うものも渡されたし』

男「…」

女『突然死んだら、どうしよう』

男「っ!!」

237HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/07(土) 21:39:00.93 ID:1Nsk0KyZ
女『あなたに話しかける、この時間が、私の楽しみだったのに』

男「…」

女『今日は、ちょっと、楽しくないや、ごめんね』

男「…」

女『気にしなくていいって言われたから、気にしないことにする』

男「でも」

女『ごめんね、変な話しちゃった』

女『明日からはまた、普通のテンションで、ね』

男「…」

女『じゃあ、おやすみ、またね』

男「…」

ガチャリ

238HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/07(土) 21:48:37.60 ID:1Nsk0KyZ
男「…」

男「いきなり、そんなこと言われたって…」

男「テープはずっと先まであるじゃないか…」

女『先のテープは、まだ聞いちゃダメですからね!!』

男「突然死んだり、しないよな、な」

男「…」

男「頼むから」

男「…」

男「はは、テープはもう止まってるってのに、誰に話しかけてるんだ、おれは」

男「寝るか…」

239HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/07(土) 22:00:02.52 ID:1Nsk0KyZ
【20××.4.2 19:00】

女『おいっす!!』

男「おいおい、テンション高いな」

女『今日はね、雨が降っちゃって』

男「おお」

女『春雨!!』

男「お、おお」

女『いやー30分雨にうたれながらの通勤ってのは最悪ですね!!』

男「その割には嬉しそうだな」

女『先輩が優しくココア入れてくれたし…』

女『それに、先輩のタオル借りちゃった♪』

男「ああ、それでか」

女『帰りには雨もあがってたし、30分頑張った甲斐があったわ』

男「はは」

240HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/07(土) 22:08:20.74 ID:1Nsk0KyZ


女『このテープがあなたのもとに届くまでに、1年間かかるわけじゃない??』

男「うん」

女『それって、なんだか不思議だなって、思ったの』

男「どういうこと??」

女『私の今を、あなたは1年後に同じように共有してくれるわけじゃない』

女『あなたにとっての私は過去だけど、私にとってのあなたは未来なの』

男「はあ…まあ、そういうことだな」

女『1年間だけ時空を超える、タイムカプセルなのよ、このテープは』

男「はは、幻想的だな」

女『それも10分間だけの、ね』

241HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/07(土) 22:15:08.50 ID:1Nsk0KyZ
男「10分間だけ、か」

男「インスタントだな」

女『インスタント・タイムカプセルよ』

男「…」

男「お、おお」

女『素敵よね』

男「君の発案だろ??」

女『さすが私!!』

男「ははは」

242HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/07(土) 22:21:34.16 ID:1Nsk0KyZ
【20××.4.3 13:00】

女『おやすみイエーイ!!』

男「…」

女『イエーイ!!』

男「…」

女『イエーイ!!』

男「うるせえよ」

女『今日もお昼ごはんをつくるの失敗したよ!!』

男「イエーイじゃねえじゃん」

女『はっはっは、笑っとけ笑っとけ』

男「おいおい」

男「ま、元気でなによりです」

243HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/07(土) 22:26:28.19 ID:1Nsk0KyZ
男「今日はなにを失敗したんだよ」

女『パスタをアルデンテにしようとしたら固すぎたの』

男「…それでよく一人暮らししようと思ったな」

女『もっかい茹でたら味がなくなったの』

男「馬鹿すぎるだろ」

女『だから今日は塩パスタだったの…』

男「…」

女『…イエーイ』

男「悲しい」

244HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/07(土) 22:30:44.45 ID:1Nsk0KyZ
【20××.4.4 15:00】

女『おやすみイエーイ!!』

男「それは昨日も聞いた」

女『あれ??聞こえないよ??』

女『イエーイ!!』

男「…イエーイ」

女『声が小さいぞー』

男「聞こえねーだろw」

女『イエーイ』

男「はいはい、イエーイ」

男「なんだこのノリは」

245創る名無しに見る名無し:2011/05/07(土) 23:44:23.67 ID:p9NNi91f
この企画なんだか楽しそうだなw
246HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/08(日) 17:32:50.95 ID:vkC7YS3H
【20××.4.9 18:00】

女『今日はとても残念なお知らせがあります』

男「あん??」

女『先輩に彼女がいました…』

男「お、おう、そっか」

女『仕事をする気力が起きません』

男「…」

男「なんでそれがわかったんだ」

女『今日、思い切って、晩御飯を誘ったら、彼女と予定があるって』

男「…」

女『うう…』

男「ま、まあ、気を落とすなよ」

女『ブルー』

女『マジブルー』

247HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/08(日) 17:36:46.43 ID:vkC7YS3H
女『マジレンジャー!!ブルー!!』

男「そんな特撮ありそうだな」

女『マジレッドはいつも充血してるの』

男「は??」

女『マジイエローはいつもシャツが黄色いの、洗ってないから』

男「お前はなにを言っているんだ」

女『マジピンクは淫乱だけど処女なの』

男「おい!!その口閉じろ!!」

女『ちょっと今日は調子が悪いな…』

男「絶好調じゃね」

248HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/08(日) 17:56:48.88 ID:vkC7YS3H
【20××.4.12 20:00】

女『今日は、続、残念なお知らせです』

男「またか」

女『先輩の彼女って言うのはマキさんのことでした』

男「…おおう」

女『マジブルーです』

男「マジブルーはどういう特性なの」

女『マジブルーは結婚を間近に控えた鬱気味のOLです』

男「マリッジブルーじゃねえか」

女『姑さんに早速目の前で愚痴を言われまくったんです』

男「重いよ」

249HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/08(日) 18:04:06.08 ID:vkC7YS3H
女『でもね、もういいの』

女『新しい恋を探して頑張るの』

男「前向きだな」

女『先輩の名前って、言ったことあったっけ』

男「いや、知らない」

女『伊達先輩って言うの』

男「伊達さんね」

女『マキさんと結婚したら…』ププ

男「…」

女『伊達巻き!!』ブフゥ

男「おうふ」ブフゥ

250HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/08(日) 18:10:35.23 ID:vkC7YS3H
女『って思ったら、すっきりしちゃった』

男「楽天家でいいね、君は」

女『でもまあ、しばらくは頑張って仕事に打ち込んで、忘れようと思う』

男「ん、頑張れ」

女『あなたはお仕事進んでる??』

男「ぼちぼちかな」

女『インスタント・タイムカプセルを題材にしてくれたら、読むからね』

男「…ん」

女『うふふ』

251HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/08(日) 18:16:23.41 ID:vkC7YS3H
男「…そっか、失恋か」

女『新しい恋を探して頑張るの』

男「…」

男「あれ、なんでおれ、ホッとしてるんだろう」

男「応援してるつもりだったのに…」

男「…」

男「まあいいや、寝よ寝よ」

252HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/08(日) 18:25:01.53 ID:vkC7YS3H
【20××.4.14 8:00】

女『おはよう』ハァハァ

男「去年の今日って平日じゃないのか」

男「なんで8時??」

女『今日…バイクが…壊れましたあ…』ハァハァ

男「おいおい」

女『だからね、会社に電話してね、今バイク押してます』ハァハァ

男「なにやってんだよ」

女『ただ歩くだけじゃしんどいから、ポータブルのやつ使って録音しながら、出勤』ハァハァ

男「無理して喋るなよw」

253HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/08(日) 18:32:19.33 ID:vkC7YS3H
女『今ね、桜の木が満開なの』

男「へえ」

女『前に話したよね、並木道の話』

男「ああ」

女『ほんと、きれいなの』

男「…今日は町に出てみるか」

女『今歩いているこの道が、いつか懐かしくなるのかな』

男「…」

女『そんなふうに、いつか振り返れたら、いいな』

男「…」

254HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/08(日) 18:40:34.16 ID:vkC7YS3H
女『あなたの今には、私はその家にいないんだよね』

男「そうだな」

女『実家に戻ってるのかな』

男「実家どこなんだろう」

女『それとも研修が長引いていて、まだ近くに住んでるかな』

男「…」

女『想像できないけれど、今を懐かしく振り返れてる人生なら、いいな』

男「…」

女『病院とかだったら、やだな』

男「やめろって」

女『えへへ、冗談冗談』

男「笑えないんだよ」

255HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/08(日) 18:46:49.30 ID:vkC7YS3H


男「お、いらっしゃい」

編集「またチャイム鳴りませんでしたよ」

男「ははは、直そうと思わなくって」

編集「どうしてですか、不便ですよ」

男「君くらいしか来ないからね」

編集「…」

男「はっはっは」

編集「毎回毎回不法侵入してる気分の私の身にもなってくださいよw」

男「はっはっは」

256HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/08(日) 18:52:21.31 ID:vkC7YS3H
男「今書いている短編が終わったら、次に書きたいものがあるんですが」

編集「お!!いいですね!!」

男「お互いに顔も知らない同士の二人が、カセットテープでつながる話なんです」

編集「ほうほう」

男「仮タイトルはインスタント・タイムカプセルで」

編集「ノリノリじゃないですか!!」

編集「なんですか、いいインスピレーションが湧いたんですか」

男「ええまあ」

257HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/08(日) 19:06:50.62 ID:vkC7YS3H
編集「なんだか生き生きしてますよ、先生」

男「そうですか??」

編集「なんだか顔色もとってもいい感じ」

男「ふだん顔色悪いんですか、僕」

編集「あああ、いや、いや、そういうことではなくて」

男「ははは」

編集「あはは」

男「今度までにプロット作っておきますから」

編集「はい、楽しみにしてます」

編集「でも、今書いてるものを落とすことはしないでくださいよ」

男「はいはい」

258HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/08(日) 19:13:37.81 ID:vkC7YS3H
編集「では、また来ます」

男「はーい」

編集「あ、あの、先生」

男「ん??」

編集「あの、この間素敵なイタリア料理のお店を見つけたんです」

男「ふうん」

編集「で、ですね、今度ご一緒に行きませんか??」

男「え」

編集「あああ、もちろん、お暇でしたら、ですけど」

男「ああ、いいですね」

男「僕、町の方あまり知らないし、案内してくださいよ」

編集「はっ、はい!!喜んで!!」

259創る名無しに見る名無し:2011/05/08(日) 19:23:21.30 ID:1/GhzcIX
編集これは……
260創る名無しに見る名無し:2011/05/08(日) 21:55:09.22 ID:53z/Tz1o
四円

261HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/08(日) 22:49:00.66 ID:vkC7YS3H
【20××.4.29 16:00】

女『今日はマキさんとランチしてきたよ♪』

男「おう、祝日か、今日は」

女『おいしーいイタリアンのランチ♪』

男「イタリアンねえ」

男「そういやあれから編集さんと具体的な約束してないな」

女『マキさんが、先輩に告白したお店なんだって』

男「…へえ」

女『そういう成功したカップルがたくさんいるんだって、ネットで紹介されてるお店らしいの』

男「…へ、へえ」

女『その話はちょっとつらかったけど、私もいつかこのお店で告白とかしてみたいなあ』

262HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/08(日) 22:56:02.11 ID:vkC7YS3H
男「…」

女『だってね、すっごく素敵な雰囲気なのよ』

男「…」

女『男の人も入りやすそうだし、だけどムードもあるし』

女『ランチでもディナーでもいい感じのお店だったよ』

女『あなたも是非、行ってみてね』

男「…」

女『あ、そういえば、あなたはいい人がいるの??』

男「ん…」

女『知らないな、そういう話』

男「どうかな」

男「わからない」

263HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/08(日) 23:04:18.22 ID:vkC7YS3H
女『実を言うとね、私、まだ会ったこともないのに』

女『あなたが、ちょっと、気になるの』

男「!!」

女『えへへ、変だよね』

男「…」

男「おれも…かな」

男「変だよな」

女『色んな想像を、毎日してるの』

女『あなたはどんな人なのかなあって、ね』

男「…」

男「おれもだよ、多分」

264HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/08(日) 23:11:18.34 ID:vkC7YS3H
男「毎日想像してる、気がする」

女『失恋したばっかだけど、いや、だからこそかな』

女『気になっちゃうんだなあ』

男「へえ」

女『みつを』

男「はあ??」

女『なーんて、ね』

男「あん??」

女『気にしないで、ただの戯言よ』

男「はいはい」

男「いい人、かあ」

男「具体的な約束、しようかな、早いとこ」

265HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/08(日) 23:20:15.77 ID:vkC7YS3H
【20××.5.5 11:00】

女『おはよう!!』

男「おう、おはよう」

女『子どもの日だね』

男「そうだな」

女『ああ…ゴールデンウイークが終わっちゃうね…』

男「君はずっと遊んでたじゃないか」

女『仕事がまた始まるなあ…』

男「嫌なのか」

女『五月病かな』

男「嘘吐け」

女『やっぱイケてるOLとしては、流行りものには手を出しとかないとね!!』

男「そんな五月病患者があるか」

266HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/08(日) 23:30:55.84 ID:vkC7YS3H
女『ゴールデンウイークは楽しかった??』

男「おれの仕事に祝日はあまり関係がないからなあ」

女『あ、作家さんにはあまり関係ないか』

男「そういうこと」

女『なにもなかった??』

男「昨日編集の人とご飯食べに行ったよ」

女『…』

男「そんで、告白された」

女『…』

267HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/08(日) 23:37:28.02 ID:vkC7YS3H
男「…」

女『私は、特になかったかな』

男「遊んでたろ」

女『さ、明日からは切り替えて、頑張るからね!!』

男「全然五月病じゃないじゃん」

女『あ、そういえばね』



男「君には話したいけど」

男「おれの声は届かないんだよなあ」

女『でね…』

男「はあ…」

268HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/08(日) 23:45:33.94 ID:vkC7YS3H
女『じゃあ、また明日ね』

男「ん、また明日」

ガチャリ

男「…」

男「返事、どうすっかなあ」

  女『あなたはいい人がいるの??』

男「いい人、なのかなあ」

男「どうすればいい??」

  女『…』

男「おれが決めること、だよな」

269創る名無しに見る名無し:2011/05/09(月) 17:36:45.83 ID:iqSH0ORA
盛り上がってきたな。
支援
270HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/09(月) 19:59:51.98 ID:tZMQn1+g
【20××.5.6 19:00】

男「今日、編集さんに、ごめんなさいって言った」

男「…」

男「あれで、よかったのかな」

男「わからない」

男「だけど、今は、彼女のことを考える余裕がない」

男「悲しませるだけだと思うから」

男「言い訳だな、結局」

ガチャリ

女『おいすー気分はどう??』

男「ぼちぼちだ」

女『そりゃあよかった』

男「ぼちぼちだっつったろ」

271HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/09(月) 20:04:32.29 ID:tZMQn1+g
【20××.6.11 21:00】

女『明日ね、大学のときの友だちが結婚するから、結婚式に行ってくる』

男「おう、行ってらっしゃい」

女『羨ましいなー』

男「いいじゃん、そのうちできるさ」

男「…おれと違って、な」

女『デキ婚らしいんだけど』

男「じゃあダメだろ」

女『でも…いいな…結婚』

272HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/09(月) 20:10:40.36 ID:tZMQn1+g
男「ジューンブライドってやつだな」

女『ジューンブライドってやつよ』

男「…」

男「最近一層シンクロするようになったな」

女『雨降らないかな、心配』

男「去年の天気なんかわかんねえよ」

女『テルテル坊主、あなたも作っといてくれない??』

男「一年前にさかのぼって効果あるのか」

女『お願い』

男「…仕方ねえなあ」

273HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/09(月) 20:16:34.06 ID:tZMQn1+g
【20××.6.12 23:00】

女『晴れたよ!!ありがとう!!』

男「ほんとかいな」

女『あなたがテルテル坊主作ってくれたおかげよ』

男「どうだろなw」

女『結婚式、楽しかった♪』

女『プチ同窓会の気分だったわ』

男「よかったな」

女『あ、それに旦那さんなかなか格好よかったよ♪』



女『じゃあ、おやすみ、またね』

男「ん、またね」

ガチャリ

男「お勤めご苦労さん、テルテル坊主」

274HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/09(月) 20:27:33.74 ID:tZMQn1+g
【20××.7.15 19:00】

女『クーラーが壊れたあ!!』

男「おいおい、マジか」

女『暑いよー』

男「まだ暑くないだろ」

男「ていうかクーラー付けるの早くないか」

女『死ぬー』

男「ああ、まあこの部屋は日当たりがいいしなあ」

女『土曜日さっそく修理に来てもらうことにしました』

男「行動も早いな」

女『この家にしては、おんぼろじゃない??このクーラー』

男「そうかな」

275HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/09(月) 20:32:46.37 ID:tZMQn1+g
女『直ったらいいな』

女『新しいの買う余裕はないもんね』

男「今は、直ってんのかな」

男「えっと、リモコンはどこだろ」

女『私暑いの苦手なんだ』

男「お、あったあった」

女『寒いのも苦手だけど』

男「ん??あれ??」カチカチ

女『あなたはどっち??』

男「どっちも平気」

男「…クーラー付かないじゃんよ」

276HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/09(月) 20:39:28.04 ID:tZMQn1+g
男「直ってねえぞー」

女『今日は窓開けて寝ることにする』

男「直ってねえって」

女『修理のお兄さん、電話では気前がよさそうだったから、安くしてもらえないかなあ』

男「…おれも修理頼むことにするかなあ」

男「でも、君の修理結果を聞いてからにしようかな」

女『あー早く直したい!!』

男「ええい、うるさい」

女『ちゃんとしっかり直しておいてもらうからねー』

男「一年でまた壊れてるぞ畜生!!」

277HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/09(月) 21:06:27.47 ID:tZMQn1+g
【20××.7.17 13:00】

女『クーラー復!!活!!』

男「おお、よかったね」

女『でも高かった…』

男「ドンマイ」

女『やっぱ型が古いらしくって、ガタが来てるって言われちゃった』

男「でも、その修理も一年持たなかったんだよなあ」

女『今日から快適よ』

男「おし、おれも修理してもらおうかな」

278HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/09(月) 21:11:44.90 ID:tZMQn1+g


修理人「あーやっぱりガタが来てますねえ」

男「はは、そうですか」

修理人「新しいのに替えませんか」

男「いや、でも、これがいいです」

修理人「愛着でもあるんですか」

男「ええまあ、そういう感じで」

修理人「いやーしかし…確か…」

男「??」

修理人「去年も僕ここに修理に来た覚えがあるんですけどねえ」

男「!!」

279HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/09(月) 21:36:34.73 ID:tZMQn1+g
修理人「勘違いかな…」

男「あ、去年は、別の女の人が住んでいたはずなんですが」

修理人「ああ、そうそう、女の人でしたね」

修理人「ちょうど一年くらい前ですかねえ」

男「ど、どんな人でした!?」

修理人「どんなって…いたって普通でしたよ。可愛らしい感じで」

男「げ、元気そうでしたか」

修理人「ええ、ニコニコしてて、元気そうな子でしたよ、確か」

男「そうですか…良かった」

修理人「??」

280HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/11(水) 20:04:41.07 ID:5dsozEwN
【20××.7.23 21:00】

女『明日、プールに行ってくるよ!!』

男「お、いいね」

女『今年初水着だよ!!』

男「ほほう」

女『…見たい??』

男「見れないから」

女『うふふ、見たいでしょう』

男「見れないっつってんだろ」

281HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/11(水) 20:11:25.21 ID:5dsozEwN
女『私のナイスバデーを明日晒してくるわん』

男「ナイスなのか」

女『…』

男「本当にナイスなんだな」

女『…』

男「嘘か」

女『ま、まだ発展途上だよ!!』

男「社会人がなに言ってんだ」

282HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/11(水) 20:16:16.10 ID:5dsozEwN
【20××.7.24 17:00】

女『マキさん、超巨乳だった…』

男「完敗か」

女『お、女の魅力はおっぱいだけじゃないよね!!』

男「…」

女『ね!!』

男「そ、そうだな」

女『スレンダーな方がいいって言う人もいるよね!!』

男「うん、確かにそういう人もいるよね」

女『…』

男「落ち込むなよ」

女『牛乳、いっぱい飲むことにする』

男「悪あがきはやめなさい」

283HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/11(水) 20:23:30.46 ID:5dsozEwN
【20××.7.30 22:00】

女『明日は夏祭りに行ってきます!!』

男「遊んでんなあ…」

女『たこ焼き!!リンゴ飴!!わたあめ!!』

男「祭と言えば金魚すくいだろ」

男「祭なんて久しく行ってないなあ」

女『今度は浴衣で勝負だよ!!』

男「またマキさんと張り合おうってのか」

女『ふふふ、浴衣はスレンダーな方が似合うんだよ!!』

男「頑張れー」

284HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/11(水) 20:30:45.13 ID:5dsozEwN
【20××.7.31 23:00】

女『私、認識を改めないといけないなって、思いました』

男「どうした」

女『…』

男「??」

女『巨乳でも浴衣が似合う人っているんだね』

男「…」

男「ドンマイ」

女『でもわたあめ美味しかった』

男「そっか」

285HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/11(水) 20:41:44.57 ID:5dsozEwN
女『あとね、私の部屋に金魚が来たよ』

男「大事にしろよ」

女『名前、どうしようかな』

男「金ちゃんでいいんじゃね」

女『ゴウちゃんでどうかな』

男「いかつすぎるだろ」

女『ゴールドのゴウ!!』

男「金ちゃんの方が可愛いって!!」

女『よろしくね、ゴウちゃん』

男「あああ…」

286HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/11(水) 20:46:19.95 ID:5dsozEwN
【20××.8.11 20:00】

女『暑すぎるんだよ!!』

男「こっちもだよ」

女『クーラーが唯一の友だちなんだよ!!』

男「お、おう」

男「??」

女『晩御飯作る気が起きないんだよ!!』

男「その『だよ』って言う語尾は何なんだ」

女『今日はもうお惣菜で我慢するんだよ!!』

男「なんか影響されたのか??」

女『だよ!!だよ!!』

男「??」

287創る名無しに見る名無し:2011/05/11(水) 20:55:09.75 ID:PynzH6/Z
C
(支援)
288HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/11(水) 20:58:40.70 ID:5dsozEwN
【20××.8.12 22:00】

女『昨日に引き続き、暑すぎるんだよ!!』

男「はいはい、クーラーが友だち」

女『クーラーが唯一の!!いや!!』

男「繰り返すのが好きなんだな、君は」

女『あなたの次の友だちなんだよ!!』

男「友だち少なすぎんだろ」

男「3番目は誰だよ」

女『3番目は…ゴウちゃんだよ』

男「寂しすぎんだろ」

男「今どきのOL寂しすぎんだろ」

女『寂しくなんてないんだよ…』

男「…ドンマイ」

289HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/11(水) 21:09:00.25 ID:5dsozEwN
男「職場で友だちいねえの」

女『マキさんは優しいけど、先輩だし』

男「…」

女『他に年の近い人がいないから…』

男「大学時代の友だちとか」

女『小学校から大学まではずっと地元だったからなあ』

男「離ればなれか」

女『…』

男「ってか、語尾がなくなってるぞ」

女『…』

男「何の影響だったんだよ」

290HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/11(水) 21:19:59.92 ID:5dsozEwN
【20××.8.21 18:00】

女『こんにちわー』

男「おう」

女『昨日マキさんに漫画を借りたので、今日は一日中読んでたの』

男「へえ」

女『だぴょん』

男「は??」

女『だぴょん!!』

男「…ま、まあ君が影響されやすい子だってのは良く分かった」

女『左手は添えるだけ!!』

男「はいはい」

291HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/11(水) 21:29:45.71 ID:5dsozEwN
女『そういえばさ、左手ってどうしてるの??男の人って』

男「ぐふっ」

女『あのときはやっぱりヒマしてるの??』

男「な、何の話かな」

女『それとも添えてるの??』

男「添えてませんけど」

女『働くのはやっぱり右手なの??』

男「ちょっと黙ろうか」

女『左手は添えるだけ!!』

男「うるさい」

292HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/11(水) 21:34:43.80 ID:5dsozEwN
【20××.9.17 23:00】

女『ういひひ、ただいま〜』

男「おいおい、酔っ払ってんのかよ」

女『お酒美味しかったあ』

男「ったく、そんなに強くないくせに」

女『今日はね、一人だったの』

男「あ、マキさんとじゃないのか」

女『一人で寂しくお酒飲むのって、憧れだったの』

男「そんな憧れ捨ててしまえばよかったのに」

女『寂しかった…』

男「当たり前だろ」

293HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/11(水) 21:40:35.64 ID:5dsozEwN
男「最近悩みらしいこと言ってなかったのに、どうしたんだ」

女『寂しいよう…』

男「おれが聞いてるだろ」

女『…』

男「おれの声は、やっぱ届かない、よな」

女『…あなたに聞いてもらえるこの時間だけが、私の安らぎなんだ』

男「お、おう」

女『自分で決めたこととはいえ、もっと長い時間にすればよかったなあ』

男「でも、テープは10分しかないんだろ」

女『B面も使えばよかった…』

男「ああ、そうか」

294創る名無しに見る名無し:2011/05/11(水) 21:43:50.31 ID:ndBxnvbP
追いついた
先が気になる
295HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/11(水) 21:46:13.16 ID:5dsozEwN
男「でも10分だからこそ、ここまで続いてるんじゃないか」

女『あなたからの返事が聞きたいよう』

男「おれはずっと聞いてるから」

男「たった10分だって、毎日楽しみにしてるんだから」

女『寂しいよう』

男「おれだって、おれの声が届かないのは寂しいんだよ」

女『ごめん、愚痴っぽくなっちゃったね』

男「いいよ、ここはそういう場所だろ??」

女『ごめんね』

男「いいって」

296HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/11(水) 21:51:56.63 ID:5dsozEwN
【20××.9.18 11:00】

女『…おはよう』グス

男「おはよう。なんだ、泣いてんのか」

女『昨日の、お店にい…』グス

男「あん」

女『大事な時計、忘れちゃったあ』グス

男「おいおい」

女『取りに行ってくる…』

男「お、置いてくれてるといいな」

女『大事にしてたのに…』

男「大丈夫だって」

297HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/11(水) 21:56:35.38 ID:5dsozEwN


女『じゃあ、また明日ね』

男「おう」

ガチャリ

男「…」

男「おい、結果発表は明日かよ」

男「時計は結局あったのか、なかったのか」

男「…」

男「こういうとこ、ちょっと不便だよな」

298HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/11(水) 22:05:23.04 ID:5dsozEwN
【20××.9.19 13:00】

女『おいっす!!』

男「おう」

女『今日はオムライスをつくったよ!!』

男「へえ、今日はうまくいったのか」

女『…』

男「??」

女『オムライスっぽいものをつくったよ!!』

男「失敗なのか」



女『じゃあ、またね!!』

男「おーう」

ガチャリ

男「…ふう」

男「おれもそろそろ飯作るか」

男「…」

男「って、時計は!!」

299HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/11(水) 22:10:58.69 ID:5dsozEwN
【20××.10.17 20:00】

女『ふと町に出てみたら、お祭りやってたの』

男「へえ、秋祭りか」

女『御神輿担いでる人たちがいて、写メとっちゃった♪』

男「見たいけど」

女『見たい??』

男「見れないしな、どうせ」

女『ね、御神輿って担いだことある??』

男「ないなあ」

女『私、担いでみたかった…』

男「女の人は無理だろ」

300HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/11(水) 22:20:27.04 ID:5dsozEwN
女『女の人の御神輿もあったのよ』

男「へえ」

女『高校生くらいの子も担いでたなあ』

男「そういうのもあるのか」

女『あと、フランクフルト美味しかった』

男「また食ったのか」

男「なんか君は食べ物の話が多くないかね」

女『太っちゃう』

男「ほいほい買い食いするからです」

301HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/11(水) 22:30:09.22 ID:5dsozEwN
女『ときに』

男「ん」

女『小説は進んでる??』

男「ぼちぼち」

女『早く読みたいなあ』

男「出版されたらあげるよ」

男「と、言いたいんだけどなあ」

女『最近読んだ本で面白かったのはね…』

302HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/11(水) 22:37:49.28 ID:5dsozEwN


男「小説、進めなきゃ、な」

女『じゃあ、おやすみ』

男「おう、おやすみ」

ガチャリ

男「…どうしたら、いいんだろう」

女『早く読みたいなあ』

男「…読んでくれるかな」

303HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/11(水) 22:44:15.50 ID:5dsozEwN
【20××.11.11 22:00】

女『やあ』

男「おす」

女『今日地震あったんだ』

男「あれ、そうだっけ」

女『あんまり大きな地震じゃなかったけど、仕事中でびっくりしちゃった』

男「そりゃあ、災難だったな」

男「まあ、無事そうでよかったよ」

女『電気とか揺れてたし』

男「机の下に隠れたか??」

女『小学校のときの避難訓練思い出したの』

男「机の脚は対角線で持つといいんだぜ」

女『いやあ、なんにしても怖かった』

304HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/11(水) 22:50:14.80 ID:5dsozEwN
男「仕事は??」

女『仕事の方は特に問題はなかったんだけど、ちょっと書類が散乱しちゃったのがねえ』

男「ああ」

女『うち、もともと整理された職場じゃないし…』

男「ははは」

女『家に帰ってきたらマグカップ一つ割れてたしい』

男「あらら」

女『まあ、この程度で済んでるんだからよかったのかなあ』

男「そうそう」

305HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/12(木) 21:44:40.24 ID:ry0k1tlb
【20××.12.1 21:00】

女『もうすでに世間はクリスマス一色ですよう』

男「おお、もうそんな時期ですか」

女『寂しいよう』

男「おれはもっと寂しいよ」

女『駅前でおっきなツリーの準備が始まってたよ』

男「まだ結構先なのになあ」

女『クスマスの日は家で一人パーティするからね!!』

男「どうせおれは10分しか参加できないんだよなあ」

女『チキン食べるから!!』

女『シャンパンも買っちゃうんだから!!』

男「酒はほどほどにしとけよ」

306HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/12(木) 21:53:45.16 ID:ry0k1tlb
【20××.12.10 22:00】

女『クリスマスにみんなでパーティすることになったよー』

男「おお、よかったじゃん」

女『先輩もマキさんも二人で過ごせばいいのにねえ』

男「大人になったな」

女『まあ他の部署の人もいるみたいだけど』

男「男前がいるといいな」

女『私のコミュニケーション能力でイケメンひっかけちゃうぞ!!』

男「はは、頑張れ」

女『嘘』

男「…」

女『無理無理、そんなの』

男「だよねー」

307HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/12(木) 22:12:26.32 ID:ry0k1tlb
【20××.12.17 20:00】

女『やあ』

男「やあ」

女『クリスマスにね、みんなでプレゼント交換することになったんだけど』

男「へえ、面白そうだね」

女『なにがいいかな』

男「おれのアドバイスは聞こえないだろ」

女『男の人も女の人も喜ぶものって限られてるよねえ』

男「ああ」

男「結局無難なものになっちゃうよな」

女『こけしとかどうだろ』

男「それはやめとけ」

308HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/12(木) 22:17:43.57 ID:ry0k1tlb
女『ちょっとエッチなパーティグッズもありってネットで見たんだけど』

男「それもやめとけ」

女『ちょっと買うのが恥ずかしいなあ』

男「やめとけええ!!」

女『あのねえ、見た目は可愛めのやつがあってね…』

男「ダメ!!ダメ!!絶対!!」

309HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/12(木) 22:21:57.45 ID:ry0k1tlb
【20××.12.19 14:00】

女『結局マグカップにしたよ』

男「ふぅ、安心したよ」

女『やっぱり無難なのが一番だよね』

男「そうそう」

男「エログッズ買わなくてほんとよかった」

女『そういえばプレゼント買いに行った店にね、面白いものが売ってたの』

男「ほう」

女『何だと思う??』

男「…」

男「エログッズでなければ何でもいいです」

310HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/12(木) 22:29:12.52 ID:ry0k1tlb
女『答えは!!ジャジャーン!!』

男「古っ」

女『頭痛持ちのあなたに!!ズキンシップ!!』

男「名前が嘘くさいwww」

女『首周りにペタっと巻くだけで、頭痛が和らぐんだって』

男「へえ、いいじゃん」

男「でもやっぱ名前が酷いな」

女『今夜からこれ巻いて寝ることにする♪』

男「それで頭痛がひくといいな」

女『ていうか、早速巻いてみる』

男「…ガッカリグッズじゃありませんように」

311HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/12(木) 22:35:43.26 ID:ry0k1tlb
女『冷たい!!なにコレ!!』

男「湿布なのか??」

女『うひゃああああああ』

女『痛い!!首筋が痛い!!』

男「おおお、悶絶してるな」

女『ひゃあああああああ』

男「ガッカリグッズだったか…」

女『あれ??ちょ、気持ちいい…??』

男「あれ??」

312HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/12(木) 22:44:37.61 ID:ry0k1tlb
女『やったー快調だよ!!』

男「あれ…意外」

女『最近あんまり頭痛は出てなかったけど、万一ってことがあるからね』

女『予防もかかさないのさ!!』

男「おう、それがいい」

女『あなたも頭痛に悩まされたら、ズキンシップ!!』

男「いやーおれは遠慮しておくよ」

女『ズキンズキン!!』

男「それ痛いときの効果音だろ」

313HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/12(木) 22:51:28.09 ID:ry0k1tlb
【20××.12.25 20:00】

女『先輩からマフラーもらったああああ』

男「おお、おめでと」

男「ふっ切ったんじゃなかったのか」

女『暖かいよう』

男「ていうか今までマフラーなしで生活してたのか」

男「バイクじゃ寒いだろうに」

女『あとねえ、別の部署の男の人から、アピールされたよう』

男「お」

314HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/12(木) 22:55:56.08 ID:ry0k1tlb
女『メアド渡されてーよかったらメールくださいっみたいな』

男「へ、へえ」

男「モテるんだなあ」

女『まあ、まだメール送ってないんだけど』

男「…」

女『どうすればいいかなあ』

男「ん、どうすればって」

男「好きなようにしてみれば??」

女『思い切って送ってみようかなあ』

女『でもなあ、どうしようかなあ』

男「悩むんだったら、やめとけば」

男「…」

315HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/12(木) 23:02:09.42 ID:ry0k1tlb
女『まあ、明日考えよ』

男「…」

女『おやすみ!!』

男「ん、おやすみ」

ガチャリ

男「なんだおれ、妬いてんのか??」

男「みっともねえ」

男「男だったらさ、応援してやれよ」

男「…くそ」

316HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/12(木) 23:10:20.83 ID:ry0k1tlb
【20××.12.29 19:00】

女『今日は仕事納め!!』

男「お、おつかれ」

女『今年もあと少しだね!!』

男「そうだな」

男「あんまり実感ないけどなあ」

女『年賀状はもう出した??』

男「いや、出さない派」

女『私は可愛いイラスト描いてもう出したよ♪』

男「へえ、絵描くのか」

男「今までそんな話出なかったのに」

317創る名無しに見る名無し:2011/05/12(木) 23:11:59.34 ID:h1mGDDCL
 
318HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/12(木) 23:15:15.10 ID:ry0k1tlb
女『あ、そういえばね、前メアドくれたって言ってた人いるじゃん』

男「お、おう」

女『やっぱりメールしなかったの』

男「…」ホッ

男「いやいや、なんでホッとするんだよ、おれ」

女『あの人ねえ、他にもいっぱいメアド渡してたんだって』

男「そっか」ホッ

男「悪い男にひっからなくって、よかった」

男「っていう安心だ、うん、おれおかしくないぞ」

319HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/14(土) 19:53:58.65 ID:R/RosYiF
【20××.12.31 23:55】

女『こんばんわー』

女『今年も残すところあと僅かですね!!』

男「おう、今日だけなんか時間が違うな」

女『今日だけはね、年越しをあなたとしたいなって思って』

女『いつもちょうどの時間に録音してたんだけど、今日だけ特別!!』

男「いやあ、今日は朝からヒマでヒマでね」

女『年越すぞー』

男「おおー」

320HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/14(土) 19:59:12.31 ID:R/RosYiF


女『あと5秒!!』

女『せーのお』

男「ハッピーニューイヤー!!」

女『新年明けましておめでとうございます!!』

男「ハモらなかった…」

女『いやあ、今年もどうぞよろしくお願いします!!』

男「はあい、こちらこそ」

女『でも一緒に新年を迎えてるってのに、年号が違う、干支が違うって変な気分』

男「んー」

321HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/14(土) 20:08:06.63 ID:R/RosYiF


女『ズバリ!!今年の目標は!!』

男「おお」

女『ああ、時間がない』

女『今年の目標は、CMの後で!!』

ガチャリ

男「…」

男「引っ張るねえ」

男「1月1日のテープは、と」

カチャカチャ

男「昼じゃねえか!!」

322HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/14(土) 20:24:30.04 ID:R/RosYiF
【20××.1.1 12:00】

女『おはよう!!』

男「寝てたのか」

女『朝寝は最高ですね!!』

女『しかもコタツで!!』

男「ちくしょう、羨ましい」

女『今からおせちを食べるよ』

男「おお、作ったのか」

女『作ったのはちょっとだけ』

女『ほとんどお惣菜です』

男「なんだ、そっか」

323HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/14(土) 20:28:57.92 ID:R/RosYiF
女『でも年末に買いこんでおいて正解だったわ』

女『しばらく外出しないだろうし』

男「まあ閉まってるしな、店も」

女『太っちゃうう』

男「運動しなさい」

男「って、おれも偉そうに言えないけども」

女『でもね、正月くらいはね、いいよね』

女『さあさあ、熱燗もいっちゃうよ〜』

男「おおおい、大丈夫かよ」

女『うひょ〜』

男「早いよ、酔うのが」

324HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/14(土) 20:35:58.81 ID:R/RosYiF
女『という訳で、今年の目標は、太らず!!楽しく!!おいしく!!』

男「地味に語呂が悪いぞ」

女『お酒ももう少し飲めるようになりたいし』

男「うんうん」

女『頭痛も最近やわらいできてるみたいで調子いいし』

男「…うんうん」

女『料理もうまくなりたいし!!』

男「そこ重要だね」

女『いい一年にするぞ!!』

男「頑張れよ」

325HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/14(土) 20:41:47.72 ID:R/RosYiF
【20××.1.10 14:00】

女『今日、町の方で成人式やってたよ』

男「ああ、ニュースでも、どこもかしこも成人式だな」

女『ああ、懐かしいなあ』

男「ほんの数年前だろ」

女『あなたは成人式、行った??』

男「ああ、退屈だった記憶しかないけどな」

女『私ね、成人式行けなかったんだあ』

男「どうして」

326HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/14(土) 20:46:29.79 ID:R/RosYiF
女『インフルエンザにかかっちゃってね』

男「ああ〜」

女『昔から体は弱い方だったからなあ』

女『着物も予約してたのに、あ〜あって感じ』

男「そりゃあ残念だったなあ」

男「やっぱ女の子にとっては大イベントなんだろうか」

女『大きくなって、初めて泣いちゃった』

男「ん…」

男「残念だったな」

女『結婚式では絶対キレイな着物着るんだから!!』

男「おお、着物派か」

女『ドレスも可!!』

男「どっちでもいいのか」

327HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/14(土) 20:54:51.72 ID:R/RosYiF
【20××.2.11 13:00】

女『先輩にバレンタインチョコをあげるべきか否か!!』

男「ううーん」

女『あなたなら、どっち!?』

男「懐かしいな」

女『どっち!?』

男「義理であげとけば??」

女『…』

女『義理じゃないの…複雑なの…』

男「なんで俺の言ったことがわかるんだよ」

女『あなたにあげたいなあ』

男「もらえるもんならもらいたいよ…」

328HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/14(土) 21:00:14.34 ID:R/RosYiF
女『手作りって、重いかなあ』

男「別に、いいんじゃね」

男「手作りで義理チョコ作る人だっているだろ」

女『…』

男「あ、手作りはやめとけ、わりとマジで」

女『頑張ってみようかな!!』

男「やめとけって」

女『よし、材料買ってくる!!』

男「あああ、もうオチが見えちゃう…」

329HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/14(土) 21:06:18.42 ID:R/RosYiF
【20××.2.12 16:00】

女『手作りチョコってどうやって作るの!!』

男「…」

女『なんでレンジの中がチョコまみれになるの!!』

男「…」

女『湯せんってなに!!』

男「…」

女『もうやだ!!』

男「ど、ドンマイ」

女『買ってきたチョコ配るもん!!』

330HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/14(土) 21:18:51.29 ID:R/RosYiF
―20××.2.14―

編集「先生、なかなか反応いいですよ」

男「あ、本当ですか??」

編集「ええ、次の週が楽しみだってファンレターが、去年の倍届きました」

男「へえーえ」

男「なんか実感わかないですね」

編集「あはは、これから実感することになりますって」

男「だといいんですけど」

編集「あ、先生、これ」

男「え??」

編集「バレンタインですので、ね」

編集「チョコレートです」

男「あ、ありがとうございます」

331HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/14(土) 21:25:32.25 ID:R/RosYiF
編集「ふ、深い意味はないので…」

男「そうですか…」

男「…」

編集「…」

編集「あ、すみません、迷惑だったら」

男「いや、頂きます」

男「嬉しいです、ほんとに」

編集「え、えへへ」

男「甘いもの、好きですし」

編集「よかったです♪」

332HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/14(土) 21:31:21.42 ID:R/RosYiF
【20××.2.14 20:00】

女『おいっす』

男「おいっす」

女『チョコ配ったら、みんな喜んでくれたよー』

男「おれも一個もらったぜー」

女『お返し楽しみ♪』

男「…」

男「お返しか…考えてなかった」

女『ま、こういうものは気持ちよ、気持ち』

男「そうだよな」

333HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/14(土) 21:37:39.29 ID:R/RosYiF
女『あなたはいくつもらった??』

男「一個だよ」

女『ファンの人からもらったりしないの??』

男「んーそういうのは届いてんのかなあ」

男「男か女かわからないようなペンネーム使ってるしね」

女『お返しはしっかりしなきゃダメだよ!!』

男「へいへい」

女『真心!!』

男「はいはい、真心ね」

女『ままごとじゃないよ!!』

男「はいはい」

334HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/14(土) 21:47:17.16 ID:R/RosYiF


男「はあーあ」

編集「どうしたんですか、先生」

男「ああ、ちょっと煮詰まっちゃってね」

編集「はあ…」

編集「でも、まだストックはあるんですから、そんなに焦らなくても」

男「ねえ、これ面白い??」

編集「え」

男「これ、面白いかな」

編集「ええ、私は面白いと思いますよ」

男「僕も、この世界観はとても気に入ってるんだ」

編集「ええ、いいことですね」

335HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/14(土) 21:55:21.35 ID:R/RosYiF
男「じゃあさ、読者は何を求めてるのかな」

男「この小説に」

編集「え…」

男「ハッピーエンド??どんでん返し??鬱な展開??」

男「それとも思いっきりSF方面に進んじゃう??」

編集「あ、ええと、鬱な展開は先生のカラーではないかと」

男「僕のカラーの話じゃなくてさ、この小説はどう終わるべきか、って話」

編集「ええと、私のような意見が参考になるとは思えませんが…」

男「いいんです、言ってください」

336HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/14(土) 21:59:06.71 ID:R/RosYiF
編集「これ、読者は主人公の男性に感情移入して読むわけですよね」

男「多分ね」

編集「となると、相手の女性がとても気になるわけですよね」

男「うん、そうだね」

男「僕も、そうだ」

編集「え??」

男「ああいや、気にしないで」

編集「ですから、相手の女性はもともと知っている人間のうちにいるってのはどうでしょう」

男「つまり、どんでん返し系だね??」

編集「ええまあ、私の個人的な好みの問題なんですが」

男「でも、そうなると声で気づかなかったってことだよね」

編集「うう、やっぱり苦しいですかね」

337HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/14(土) 22:04:06.50 ID:R/RosYiF
男「僕の頭から離れないバッドエンドがあるんだけど、一応聞いてくれる??」

編集「え、ええ」

男「男は毎日テープを聞いているうちに、自分の生活と彼女の話に違和感を感じ始める」

編集「…」

男「彼女が話す内容と現実に少しずつずれが生じるというか」

編集「…」

男「そこで確かめてみると、彼女はずっと病院にいたことがわかる」

男「テープはずっと病室で録音され続けていたんだ」

編集「…」

男「っていうものなんだけど、どうだろう」

編集「…」

338HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/14(土) 22:09:10.76 ID:R/RosYiF
編集「先生らしくありません」

男「いや、僕らしさはこの際どうでもいい」

男「この終わり方は、受け入れられるだろうか」

編集「そうですね、面白いと思います」

男「そうか…」

編集「でも、先生は書きたくないんでしょう??」

男「ん」

編集「書きたくないものは、書かなくていいんじゃないでしょうか」

男「ありがとう」

編集「でも先生が選んだストーリーなら、私はいいと思いますよ、なんでも」

339HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/14(土) 22:14:12.58 ID:R/RosYiF
男「もう一つあるんだけど」

編集「それも、バッドエンドですか??」

男「ええまあ、そうですね」

編集「どんな??」

男「途中まではちゃんと家での録音で、タイムカプセルは正常に作動しているわけですが」

編集「正常に作動…面白い表現ですね」

男「いつからか、彼女の未来日記になってしまうんです」

編集「つまり…書いてある日付が嘘、ということですか」

男「うん」

編集「それで、彼女は」

男「最後のテープを録音した後、死んでしまうんです」

編集「…」

340HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/14(土) 22:22:03.32 ID:R/RosYiF
男「だめですよね、やっぱり」

編集「だめってことはありませんよ」

編集「先生はご自分の好きなように書いてください」

男「んん…」

編集「無理やりハッピーエンドにしたい理由でもあるんですか??」

男「いや、別に…」

編集「確かに先生はほのぼのとしたハッピーエンドがカラーかもしれませんが…」

男「うん、その路線で行くつもりだったよ」

編集「いろいろなカラーを早く試してみてもいいんじゃないでしょうか」

編集「まだまだ新米ですからね」

男「ははww」

編集「嫌味じゃないですよ」

男「わかってるって」

341HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/14(土) 22:27:09.82 ID:R/RosYiF


男「あれから、試行錯誤して、なんとか形になりそうだ」

女『でねー』

男「君に、おれの言葉が届いたら、本当にいいんだけどなあ」

女『あはは』

男「小説のことも、君に対する気持ちも、話してしまえればいいのに」

女『そしたらマキさんがねー』

男「なんで…」

女『www』

男「聞いてくれないんだろうね、君は…」

女『そういえば最近ゴウちゃんが元気ないの…』

男「おれの話も、聞いてくれよ…」

342HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/14(土) 22:38:05.60 ID:R/RosYiF
男「これが…最後のテープか…」

【20××.3.19 18:00】

女『こんばんは』

男「おう」

女『今日でこのテープも、ちょうど一年だね』

男「ああ、そうか」

女『あなたは、全部、聞いてくれた??』

男「ああ、全部聞いたよ」

女『えへへ、楽しかったよ』

男「…おれもだよ」

女『私謝らないといけないことがあるの』

男「え」

女『ごめんね』

男「どういうこと??」

343HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/14(土) 22:43:39.09 ID:R/RosYiF
女『私、ひとつだけ、あなたに嘘をついたの』

男「嘘??」

女『私、どうかしてたんだわ』

女『あなたがこのテープを聞いてくれなかったら、タイムカプセルは永久に地面の中』

女『それは、嫌だったの』

女『だから、あなたが私の声を聞いてくれますようにって、嘘をついたの』

女『単なる私のわがままなんだけど…ね』

女『結局嘘でしたって、言ってなかったのよね』

男「どういうことだ??」

女『でもきっとあなたは、もうわかってるんじゃないかしら』

女『許してくれる??』

男「許すもなにも、嘘って何なんだ」

344HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/14(土) 22:49:29.45 ID:R/RosYiF
男「嘘…」

男「まさか…やっぱり君は日付を…」

男「いや、それとも、毎日の出来事は全部ただの妄想だったのか??」

男「やめてくれ…君は…元気で…このテープに言葉を吹き込んでいてくれなきゃ…」

女『本当にごめんなさい』

男「嫌だ、そんなの」

男「君はどこにいるんだ」

男「病院なんかにいないでくれ」

男「いや、元気で、生きていてくれよ!!」

男「じゃなきゃ僕は…」

345HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/14(土) 22:55:13.78 ID:R/RosYiF
女『あともう一つ、謝らなきゃ』

男「え」

女『今日、あなたの世界では「土曜日」よね??』

男「あ、ああ、確かに今日は土曜日だ」

女『ということは、あなたの世界にいる私も、土曜日なわけ』

男「君の、1年後の、君か」

女『私のわがままに付き合ってくれる??』

男「わがままって、何の」

女『ずっと私の言葉を受け止めてくれていたあなたに、正面からぶつかってみたくなったの』

女『このテープが終わったら、あなたに会いに行くわ』

346HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/14(土) 23:04:06.91 ID:R/RosYiF
男「…」

男「は??」

女『ごめんね』

女『もし嫌だったら、居留守でも使ってね』

女『チャイムを鳴らして、あなたが出なかったら、諦めるから』

男「お、おいおい、マジか」

女『この家にいるあなたがテープを聞いていなかったら、すぐに帰るから』

女『じゃあ、1年間、楽しかった』

女『ありがとう』

男「お、おい」

女『じゃあね』

ガチャリ

男「…」

男「じゃあ、君の言った嘘っていうのは…」

そういえばもうすぐ4月だな、と、なぜかふとカレンダーに目がいった。

男「4月…嘘…4月…嘘…」

チャイムが鳴った、気がした。

★おしまい★
347創る名無しに見る名無し:2011/05/14(土) 23:45:22.35 ID:xhu+HdKi
四月…まさか!

乙でした!楽しかったのです!
348創る名無しに見る名無し:2011/05/15(日) 02:03:03.79 ID:P9/EKPd1
乙!
しかしオチの意味が解らない
349創る名無しに見る名無し:2011/05/15(日) 08:21:32.72 ID:8r1eoFru
350HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/15(日) 10:51:37.30 ID:JCrdI0c1
楽しんでいただけてよかったです
よかったらこちらも見てみてね
http://hamham278.blog76.fc2.com/

>>348
女『私、ひとつだけ、あなたに嘘をついたの』
 ↓
嘘をつくと言えば何月何日??
 ↓
その日のテープで言ったことは嘘だった
 ↓
なんだうそか
351創る名無しに見る名無し:2011/05/15(日) 11:00:04.96 ID:Z0Z1jjuh
なんだうそか
352創る名無しに見る名無し:2011/05/15(日) 22:02:07.61 ID:P9/EKPd1
>>350
解説ありがとうございます。

全然関係ない深読みしてた自分が恥ずかしい・・・
353創る名無しに見る名無し:2011/05/15(日) 23:26:08.67 ID:q1NPUozJ
>>352
kwsk
354創る名無しに見る名無し:2011/05/16(月) 00:37:13.78 ID:6CF6FNWe
>>353
普通に去年まで住んでたのが編集で去年のは途中までしかなくてこっそり編集が今年のを置いてったとかそういうのを妄想してた・・・
355創る名無しに見る名無し:2011/05/16(月) 01:02:00.19 ID:GJuPhmqb
>>354
だいたい一緒で焦った。
356創る名無しに見る名無し:2011/05/16(月) 18:58:11.92 ID:lAgwsTHp
>>354-355
終盤だけど>>336
357HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/16(月) 22:15:50.10 ID:kUtoqd0S
若干ミスリードのつもりでその辺書いていましたが、
今後の参考にさせてもらいます
色んな読み方があるっていう方が面白いですもんね
358創る名無しに見る名無し:2011/05/18(水) 16:58:11.10 ID:2M2Yzecb
久々にいいもん読んだわ
359創る名無しに見る名無し:2011/05/19(木) 04:15:16.15 ID:v4Bxt3j/
乙でした! 
すごく面白かった。引き込まれた

途中からメタ展開をほのめかせるのも、いいスパイスだったし

何より、作家とテープの彼女のキャラがとてもいい。セリフが秀逸!

エンディングを描ききらないってのもニクいですw

GJでした! よかったら、また書いてくださいな♪
360HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/05/19(木) 21:39:37.66 ID:cgAuz6xJ
ありがとうございます
褒められるってのは嬉しいもんですね
落ちるのを気にせずのんびり投下できたってのは新鮮でした
またここでなにか書きたいと思います
361:2011/05/22(日) 00:03:22.43 ID:L8om4mfN
次投下していい?
362創る名無しに見る名無し:2011/05/22(日) 00:42:16.63 ID:EVpfe82Z
どうぞ
363創る名無しに見る名無し:2011/05/22(日) 01:10:15.62 ID:EVpfe82Z
むしろ書いてください
364:2011/05/22(日) 01:23:16.72 ID:L8om4mfN
では失礼して。遅筆だがすまん。


新ジャンル「似非ビッチ」

 ○早朝の通学路にて 

男「今日から新学期。心機一転、頑張るか!」
 ドンッ
女「痛っ!」
男「あっ、すみません」
女「っ……。『あっ、すみません』じゃねえよ。ぶつかっておいてふざけんなよコラ」
男「え……ちょっと。元々そっちが当たってきたんじゃないか」
女「あ? なぁお前、もしかして今あたしになんか言った?」
男「いえ、何でもないです……。(何このビッチ怖い……)」
365:2011/05/22(日) 01:24:02.09 ID:L8om4mfN
 ○退屈という名のありふれた日常が支配するはずの教室で

男「はぁ、朝から変な女に絡まれちゃったな。思わず逃げ出しちゃったけど大丈夫かな」
友「よう、なんか朝っぱらからお疲れだな」
男「友か、おはよう。それがさぁ、今日学校来る途中で女にぶつかっちゃって、なんか因縁つけられたんだよね」
友「へぇ、それは災難だったな。女といえば今日このクラスに転校生が来るらしいぞ」
男「ふーん、良く知っているな」
友「ばか、今クラスの連中はその話でもちきりだぞ。知らんのはお前だけじゃねーの」
男「そうか、まあ正直あんまし興味ないからね」
友「けっ、つまんねーやつだな。人生損してんぞ」
男「余計なお世話。それよりそろそろ先生が来る時間だぞ、席に戻った方がいいんじゃないか?」
友「あ、ああ、そうだったな。そうするか」
 ガラッ
男「(チャイムが鳴るのと同時に扉が開いたな。まるで計ったかのようだ)」
先生「皆さんおはようございます。転校生を紹介しますね。今日から皆さんのクラスメートとなる女さんです。仲良くしてあげてください」
女「……よろしく。ただの人間には興味ねぇ。以上」
男「げ……。(さっきの女、だと……?)」
先生「女さんの席は男くんの隣です」
男「げ……。(よりにもよって隣とかないわ……)」
女「ん、お前……また会ったな。せいぜい仲良くしようじゃねぇか?」
男「はい……(なんという邪悪な笑顔……)」
366:2011/05/22(日) 01:26:06.76 ID:L8om4mfN
 ○お昼休みのチャイムが鳴る

男「はぁ……(あの女、授業中たびたびこっち見てきやがって、何のつもりだよ……。まあ昼休みは購買で何か買って、どっかに隠れてやり過ごすか……)」
女「おい、お前」
男「ぅ、僕に何かご用でしょうか……。(俺なんでこんな下手に出てるんだろ……)」
女「は? 用があるから声かけたに決まってんだろ。実は今日さぁ、あたし昼食持ってきてないんだわ」
男「はい? あの、すみません……。女さんが何を言いたいのか分かりかねます……」
女「あぁ?! かねますとか分かりにくい言葉使ってんじゃねーよ、男!」
男「ひぃっ……(怖っ! つか会った初日から呼び捨てかよ!)」
女「まあいい。とにかくあたしの分の昼食買ってこい」
男「(ははん……分かったぞ。このビッチ、これから俺をパシリとして良いように使おうって訳だ。冗談じゃない。ここは強気な態度でもって、俺の厳然たる意思を示さなくてはならない

な……)」
女「どうした? 早く買ってこいよ」
男「えっ……あ、そういうのは、その、困ります……」
女「あ?」
男「行ってきまーす」
367:2011/05/22(日) 01:30:33.98 ID:L8om4mfN

 ○購買部へパシリ→教室に帰還

男「はぁ、疲れた……。(あんまり使わないから知らなかったけど、購買って学食より混んでるのな……)」
女「おせぇし。ちゃんと買ってきた?」
男「ああ……いえ、ハイ……」
女「悪かったな。無理やり頼んだみたいで」
男「いえ……。(無理やり頼んだ”みたいで”? いや、何も言うまい……)それで、お代の方なんですけど……」
女「お代?」
男「いえ、あの、500円で良いですので。(ホントは800円したんだけど)」
女「ああ……。悪い、今あたし日本円持ってないんだよね。また今度でいい、よなぁ?」
男「え、あ、はい……全然大丈夫、です……(値引きしてやったのに踏み倒す気満々、と……)」

368:2011/05/22(日) 01:33:45.43 ID:L8om4mfN
今日はここまでで失礼します。
369創る名無しに見る名無し:2011/05/22(日) 01:38:16.58 ID:OXLR4s7B
370:2011/05/22(日) 08:37:59.12 ID:L8om4mfN


 ○放課後ふわふわタイム

女「おい、男」
男「はい、女さん。なんでしょう?(たった一日でこの上下関係が板についてしまうとは……我ながら情けない)」
女「お前んちってあたしの家と方向同じみたいなんだよ。だから一緒に帰るぞ」
男「あ、はい。(放課後、女の子と二人きりで下校。一見して誰もがうらやむシチュエーション……だが)」
女「おい、さっさとあたしの鞄持てよ。もたもたすんな」
男「……はい。(ち、畜生……)」

371:2011/05/22(日) 08:39:11.26 ID:L8om4mfN

 ○下校中、唐突に

女「おい、男」
男「はい。(さっきまで無言だったのに、突然なんだろ?)」
女「もうここでいい。付いてくんな」
男「え、どうしてですか?(まあ、そろそろお暇しようと思ってたとこだけど)」
女「いいから鞄返せ! 付いてくんなよ!!」

男「ちっ、なんだよ一体……。(あ……生徒手帳落としていったみたいだ。……しかたない、追いかけて渡してやるか)」

372:2011/05/22(日) 08:40:18.14 ID:L8om4mfN

 ○手帳を返そうと

男「女さーん!」
女「男?! ざけんな、付いてくるなって言っただろが!」
 ダッ
男「えっ! なんで走るんですか?!」
女「走ってなんかいねーよ! これはいわゆる競歩ってやつだ!!」
男「あ、それどうでもいいんで! とにかく逃げるの止めてください!(傍から見たらストーカーしてるようにしかねーんだよ!)」

373:2011/05/22(日) 08:52:53.86 ID:L8om4mfN
 ○女、転ぶ 
 
女「あぅっ!!」
男「あ、女さん! 大丈夫ですか?!」
 パンッ
男「(……手を払いのけられた……。)」
女「勝手にさわんじゃねーよ!! 穢れんだろうが!!! 
男「(むっ……。)ああ、そうかよ……勝手にしろ。せっかく助け起こそうとしてやってんのになんだよその態度。女だと思って下手に出てやればつけあがりやがって、もう知らねぇ」
女「え……」
男「ほらよ、お前の生徒手帳だ。さっき落したんだよ」
女「あ……」
男「そうか、汚らわしい俺が触ったもんなんていらねぇよな。まあそれについては処分するなり好きにしろ。だがな……俺たちはもう教室で会ってもお互い空気だから。じゃあな、女さん」

女「ま、待てよ……」

374創る名無しに見る名無し:2011/05/22(日) 10:28:31.55 ID:OXLR4s7B
似非要素きた
375:2011/05/22(日) 15:33:57.02 ID:L8om4mfN

 ○女なんか知らないから無視して帰る

女「待てってば! あたしがなんかしたんなら謝ってあげてもいいから!」
男「……。(どこまでも上から目線。救えないビッチだな。どうせ謝る理由も、便利なパシリがいなくなるのが嫌なだけだろ)」
女「おい男! こっち見ろよ!!」
男「……ベタベタ触んじゃねーよ」
 ドンッ
女「きゃっ」
男「あ……ごめ……(いや、何を助け起こそうとしてんだ俺……。自業自得だろ)」
女「待ってよ、男……」
男「……。(帰ろう……)」
女「待って……違うんだよ……」
男「…………。」

376:2011/05/22(日) 15:44:34.62 ID:L8om4mfN

 ○女≠ビッチ

女「待っ……Otoko! Please……! Please wait for me!!」

男「……え?(英語……?)」
女「I'm sorry!! I'm sorry!! Please forgive me!! っ……わぁぁぁん!!!」
男「え? ちょ、はい?!(なんで急に流暢な英語で涙ながら謝罪すんの? うわ、人集まってきてるし、どうすんのこれ……?)」
女「わああああああん!! I'm sorry!! Excuse me……Please!! Please!!」

男「ちょ、ちょっと女さん! こっち来て!!」

377創る名無しに見る名無し:2011/05/23(月) 18:07:20.45 ID:/I+19iBr
なん…だと…
378:2011/05/23(月) 22:15:35.81 ID:73HvVKbQ
遅筆ですみません。



 ○野次馬から退避、事情を聴く

男「ふぅ、ここまで来れば大丈夫か」
女「…………」
男「……色々聞きたいが、まずこれに答えてくれないか?」
女「Ok……」
男「あのさ……勘違いかもしれないけど、女ってもしかして日本人じゃないの?」
女「No. Half of my blood is a ********……」
男「や、英語はやめて日本語で。学校で英語を習ってるからって皆が皆、英会話が出来ると思うなよ?」
女「…………」
男「どうして黙ってる?」
女「男……。あたしが日本語で話してもブチギレない?」
男「(ブチギレ……?)ああ、怒らないよ。だから日本語で話してくれ」
女「分かった、今日だけだぞ」
男「なんでだよ……(何故か急に女が元気になったような……?)」
379:2011/05/23(月) 22:16:13.87 ID:73HvVKbQ

 ○女は語る

女「……実は、あたしには半分しか日本人の血が流れてないんだよ」
男「つまり、ハーフってことだな?(だとしたら妙な日本語も納得がいくが……。)」
女「…………」
男「あ、すまん。喋りたくない事情があるなら無理に言わなくても……」
女「いや、ちょっと某クイズミリオネアの某ミノさんみたいに答えを渋ってただけだが」
男「じゃあファイナルアンサーって聞けよ。つか某の意味ねぇ!」
女「OH、ナイスボケ!」
男「ツッコミだっつーの!(疲れる……)」
380:2011/05/23(月) 22:18:15.53 ID:73HvVKbQ


 ○女は語る2

女「そう……なんと、あたしはハーフだったんだわ」
男「そうだったのか」
女「反応薄い。それじゃあ芸人として失格と言わざるを得ない。やり直せ」
男「うるせぇよ。じゃあお前、そのてっきり染めてると思ってたブロンドの髪も地毛なのか?」
女「地毛? ああ、本物の髪の毛ってことな。あたぼーよ」
男「あたぼーって。お前、誰に日本語習ったんだよ」
女「日本語は人から教わるものじゃねぇ……自分で覚えるものなんだよ」
男「ドヤ顔で語ってる所悪いが、お前に日本語の何が分かるんだと俺は言いたい」
381:2011/05/25(水) 22:13:18.63 ID:M2ZYU7VY

 ○男、感想を言う

男「しっかし、日本語のイントネーションは日本人と遜色はないんだよなあ」
女「ばっきゃろ、褒めても何もでねーっつの」
男「何もいらねぇ。つか勘違いすんな、お前の日本語はかなり致命的な問題があるんだからな」
女「地名的? ああ、方言ってやつだろ。知ってる知ってる」
男「(駄目だこいつ、早く何とかしないと……)」
382:2011/05/25(水) 22:13:50.49 ID:M2ZYU7VY
 ○男、話をまとめる

男「えーと、それじゃあ何か? 全て誤解だったってことか?」
女「ゴカイ? おいおい、ここは地上だから一階だろ」
男「鼻で笑ってるのはこの際許すが、間違ってるのはお前の方だからな?」
女「何、だと?」
男「まあ、それはいい。本当はよくないけど。とにかく、俺は今までのやり取りでお前の日本語を大体理解した」
女「発言を許可する。申してみよ」
男「…………。まず言葉遣いが男らしすぎ。続いて用法間違えすぎ。おまけに発音が良いのが逆にたちが悪い」
女「つまりあたしは……」
男「そうだ、お前は……」

女「賞賛されている?」

男「もうやだこの子」
383創る名無しに見る名無し:2011/05/25(水) 23:09:27.19 ID:/1HRJKxp
この女は萌えた
384創る名無しに見る名無し:2011/05/26(木) 22:34:38.83 ID:/7I4vtp0
続きを
385:2011/05/26(木) 23:33:33.29 ID:xeui1Ejl
>>383,384
読んでくれてありがとう
書きため分が思いのほか早く尽きて新たに書いてるので遅れます。
申し訳ないですがしばらくお待ちくださいませ。
386創る名無しに見る名無し:2011/05/27(金) 19:51:24.56 ID:Hk+59Z9r
待ってる
387:2011/05/27(金) 21:42:16.91 ID:8OAMFBzK

 ○初めての友人?

男「まったく……。昨日転校して来たばかりで酷なようだが、俺はお前に友人が出来るか心配だよ」
女「馬鹿、余裕だっつーの。もう初日で友達が一人出来たしな」
男「おお、やるな! うちのクラスのやつか?」
女「……まあ、そうだな。で、その友達ってのが目の前のおm、」
男「それじゃあ俺は晴れてお役御免だな! 明日からはそいつに面倒見てもらえよな」
女「…………。あー……男、今のは嘘だ」
男「なんだよ? 見栄張ったのか?」
女「うるせぇ黙れ。いいから俺とお前は今から友達、そうだろう? なぁ?」

男「まず恐喝はやめろ。話はそれからだ」
388:2011/05/27(金) 21:43:57.06 ID:8OAMFBzK

 ○また今日も学校へ

男「はぁ……身体がだるい……。(昨日はなんだかんだでアイツに付き合ってて疲れたな……)」
友「よう、男。おはよう」
男「友か、おはよう。珍しいな、こんな時間に教室に来てるなんて」
友「おう、今日は早めに目が覚めたからな。それよりお前、元気ないぞ」
男「そう見えるか? 確かに疲れてはいるが、元気がないという訳じゃないんだが」
友「転校生……女の件か?」
男「……どうしてそれを知ってるんだよ」
友「まあ、な。ここだけの話……あの女には気をつけろよ、男」
男「ん? そいつはどういう意味だ?」
友「女って転校して来る前は色んな親父と寝てたらしいぜ」
男「は? なんだって?」
友「だから、縁交だって。やだよなぁ、うちの学校でも何人かやってそうなやついるけど、実際に身近にいるとなると嫌悪感が半端ないよな」
男「おい、ただの噂だろ。そんなの本気にするなよ。(とはいえ、アイツのことを良く知らないうちに聞いたらそう思うのも無理ないか……)」
友「だってよ、クラスの女子が言うには本人から聞いたって話だぜ?」
男「(女のやつ、また誤解を招くような発言を……。)友、それは何かの間違いだから鵜呑みにするなよ」
友「やけに女を庇うんだな……。お前、まさか……」
男「何を言おうとしてるのか分からないが、それを俺は全力で否定する」
友「本当かねぇ。……あーっと、しまった! 数学の課題やってなかったんだった、急いでやらないと!」
男「え、今日は課題なんて……」
389:2011/05/27(金) 21:45:47.06 ID:8OAMFBzK

 ○知らぬが仏というが

女「おい、男。てめぇ、今何を話してたんだ」
男「うおっ、びっくりした! べ、別に聞いて面白い話でもないよ。(流石にこれは言えねーよな……)」
女「ふーん……このあたしに隠し事とはいい度胸だなぁ、おい」
男「いやいや、隠し事なんてしてないって。それよりおはよう」
女「おう。ところで昨日の約束は覚えてるか? 忘れてたらねじり殺す」
男「ちゃんと覚えてるからそれはやめてね」

390創る名無しに見る名無し:2011/05/27(金) 22:07:17.94 ID:Hk+59Z9r
続きを期待
391創る名無しに見る名無し:2011/05/29(日) 02:53:14.87 ID:6kOlJWzv
書き溜め中かな?
392:2011/05/29(日) 14:41:57.38 ID:iDFXL6cB
てすと
393:2011/05/29(日) 14:46:15.79 ID:iDFXL6cB


 ○昨日の話

男「約束って、友達作りと日本語指南の話だろ?」
女「そうだ、よく覚えていたな。特別に褒めてやんよ」
男「そいつはありがとよ。だが具体的に何をすればいいんだ?」
女「そうだな、今は特にねぇよ。指示はまあ、逐一出してやるからせいぜい首を洗って待ってろよ」
男「えーっと……それは『必要ならお願いするので待っててね(はぁと)』って言ってると考えて良いんだよな?」
女「いや、お前はただ犬のように飼い主であるこのあたしの命令をバカみたいに待っていろってことだけど」
男「無自覚なんだろうが、お前は人を怒らせる天才だな」
394:2011/05/29(日) 14:48:46.11 ID:iDFXL6cB

 ○午前の授業終了、お昼休みへ

女「あ、男。今日もあたし、昼飯持ってきてねぇんだけどちょっとひとっ走り買って来い」
男「なんでだよ。友達とか言っておいてパシリに使うのかよ?」
女「ちげーし。転校してきたばかりで購買部ってのがどこにあるのか分かんねぇんだよ」
男「なら最初から言え。それ、お前の最大かつ最悪の悪癖だぞ」
女「あ? うるせぇよ。いいから早く買って来いや」
男「ほら、それが駄目なんだよ。人に物を頼む時はお願いします、だろ? まったく……」
女「オネガイ、シマス」
男「なんで丁寧語はカタコトなんだよ……」
395:2011/05/29(日) 14:51:05.13 ID:iDFXL6cB
 ○そして購買部へ……

男「つか、これからずっとそうやって人に買いに行かせてたら、パシリさせてるのと何も変わらないっつの」
女「なんと、男は友達じゃなくてパシリだったのか……」
男「パシリじゃねぇよ……って、こんなアホなやり取りしてたら昼休み終わっちまうぞ」
女「ようやくパシリする気になったようだな」
男「そんな気はさらさらねーよ。購買部の場所を教えてやるから一緒に買いに行くぞ」
女「仕方ねぇな、一緒に行って教えられてやるよ!」
男「だからそこはお願いしますだろ……」
女「オネガイ、シマス」
男「……前途多難だな」
396創る名無しに見る名無し:2011/05/29(日) 16:03:32.72 ID:6kOlJWzv
投下乙!
397:2011/06/04(土) 09:40:06.21 ID:XlX46CNo
 ○へぇー……っていう

男「ここが購買部だ、場所は覚えたか?」
女「バカにすんな。物の見事に覚えたっつの」
男「そいつはよかった。じゃあ買うぞ」
女「ああ。だがすごいヒトゴミだ……。まさに人がごみのようだな」
男「お前は購買部の前にいるのだ……ってこのネタが分かるかどうかはさておき、正しくは人混みだからな?」
女「人混み?」
男「そ、人が混んでるから人混み。人がゴミみたいにいっぱいいるって訳じゃないからな……ってなんで俺の頭をペシペシ叩く?」
女「《4ヘぇ》。テレビでやってた」
398:2011/06/04(土) 09:42:53.30 ID:XlX46CNo

 ○昼食

男「あー、腹減った。もうほとんど時間もない事だし急いで食べよう」
女「金払ってないけどいいのか?」
男「そういやそうだった。今日はお金持ってきたのか」
女「いや、日本のお金は相も変わらず1ゴールドも持ってねぇ」
男「日本の通貨は円だ。一応確認するが、払う気はあるんだよな?」
女「馬鹿にすんな。払う気はありかねない」
男「その言い方だと踏み倒す可能性の方が高く聞こえるんだけど」
399:2011/06/04(土) 09:54:42.18 ID:XlX46CNo


 ○放課後

男「ふぅ、やっと一日も終わりか。帰ったら何しようかなぁ」
女「おい、男。ついにお前が役に立つ時が来たぞ」
男「あれ? お前、帰ったんじゃなかったんだな。で、何だよ?」
女「日本のことわざに《塁(ベース)は友を呼ぶ》というものがあるらしいな」
男「得意顔で突然何言ってんだか」
女「つーわけで……磯野、野球やろうぜ」
男「俺は磯野じゃねぇ。(だが友達を作る方法としては間違ってはいないか……。)いいぞ、人数の方は集めたのか?」
女「あたぼーよ、クラスの何人かには声をかけた。皆来るって言ってたぞ」
男「お前にしては手際が良いな。ちなみになんて声をかけたんだ?」

女「放課後になったら体育館裏へ来い、だが何か?」

400:2011/06/04(土) 09:58:21.37 ID:XlX46CNo


 ○そして誰もいなかった

男「誰も来ないな……」
女「落ち着け、おそらく日直の仕事やってて遅れてんだよ」
男「そうか……。日直って基本二人でやるものだけど時には十人ぐらいでやる事もあるかもしれないよな……」
女「……なわけねーだろ」
男「だよな……。帰るか」
女「おう……」
401創る名無しに見る名無し:2011/06/05(日) 04:52:25.04 ID:3RyhjtNO
乙です!
これ笑えるなあw 会話のリズムもいいし
続きも楽しみにしてるよ!
402:2011/06/05(日) 08:41:22.88 ID:5kbiMpYv
>>401
ありがとう。需要ないかもしれないと思ってやってるけどレスもらえるとやっぱ嬉しいね。
書くの遅いけど頑張る。
403創る名無しに見る名無し:2011/06/05(日) 22:59:02.59 ID:5NgX5IR3
面白いよー
404創る名無しに見る名無し:2011/06/08(水) 15:22:29.24 ID:rcvxZ3bU
男は俺妹の京介なイメージだが
女のほうは想像できんな
絵師様の降臨を所望する
405:2011/06/11(土) 10:42:04.18 ID:8mhkgony
>>403
ありがとう、その一言だけでも頑張れる

>>404
そこまで言ってくれてありがとう
男はまさにそう。お節介やきなところとか
女はまあ新ジャンルだからイメージわかなくても当然と言えば当然かと

ちなみに女のキャラ設定は以下の通り。

 背は女子高生の平均的な身長よりも高く、髪はウェーブのかかったブロンド。日本人と白人のハーフなので地毛なのだが染めていると誤解されている。
容姿端麗だが、世間知らずなお嬢様なのが玉に傷。
海外で生活していたため日本語は得意ではなく、盛大に誤って使っている。
箱入り娘であり、俗世間の全てを娯楽媒体や家庭教師による歪んだ知識から吸収したので世間一般の常識を誤解している所がある。
コミュ力も怪しい所があり、勘違いされる事が数々ある。
406:2011/06/11(土) 10:43:25.10 ID:8mhkgony

 ○下校

女「あ、そうだ。男、早くあたしの鞄持てや」
男「なんでだよ。自分で持てよ」
女「じゃあ自分で持つからお前の鞄持たせろや」
男「……はい? いやいいって、女に鞄持ちさせてたら傍から見て印象悪いだろ?」
女「鞄持ちは印象悪いのか?」
男「当たり前だろ。お前、鞄持ちを何だと思ってたの」
女「ああ? 友情を確かめるための儀式に決まってんだろ。言わせんな恥ずかしい」

男「俺はまずお前が恥を知るべきだと思うよ」
407:2011/06/11(土) 10:46:23.35 ID:8mhkgony

 ○下校2

男「そういえばお前、昨日なんで逃げたんだよ?」
女「に、逃げてなんかいねーし」
男「いや、明らか逃げてただろ」
女「は? いつ? 何時何分? 地球が何回周った時?」
男「お前は小学生か。いいから何か理由があるなら話してみろよ」
女「…………話すと長くなるぞ?」
男「(ん? 女の表情に影が……。何か事情があるのか……?)ああ……俺から聞きたいって言ったんだ。別に構わないよ」

女「昨日は……………。……お前に家を見られるのが恥ずかしくてな」

男「……それで?」
女「だから、お前に家を見られるのがな?」
男「あれ? 話すと長くなるって聞いたんだけど」
408:2011/06/11(土) 10:49:17.55 ID:8mhkgony


 ○下校3

女「おい、男。今日あたしんちに来いよ」
男「ん、恥ずかしいとか言ってたのにいいのか?」
女「おう、話したらふっきれた」
男「だけど、男の俺なんかがお邪魔してなんか言われない?」
女「ああ、ノープロノープロ。ただ、手土産は持って来いや」
男「分かったよ。だが土産は催促するものじゃないぞ」
409:2011/06/11(土) 10:51:10.27 ID:8mhkgony


 ○手土産を携え、女宅へ

男「で、でかい……」
女「ん? 何がだ?」
男「何がだってお前……。このバカでかい豪邸が本当にお前の家なのか?」
女「バカだと? テメエ、今私の家を侮辱したな」
男「してないからね? ……というかマジなの? お前、すごいお嬢様じゃねーか」
女「…………うるせぇ。早く入れ」
男「あ、ああ……(あれ、なんか怒ってる?)」

410創る名無しに見る名無し:2011/06/13(月) 23:36:48.99 ID:FMv+HngY
続きを
411:2011/06/19(日) 10:55:41.10 ID:EaoNZIJM

 ○メイド

男「いやしかし、日本にも本物のメイドさんっているんだな。今までメイド喫茶にしかメイドってやつはいないと思ってたよ」
女「メイド喫茶ってなんだよ?」
男「んー、そうだな。喫茶店の店員がメイドの恰好をしてお客さんをもてなす所だよ」
女「は? 使用人が店で働くとか意味分からん。まさか主人から満足に給金がもらえずに副業でもしてるのか?」
男「違う違う。だから、メイドの恰好しているだけで本物のメイドじゃないんだって。いわゆる偽物のメイドさん」
女「偽物だと? 許すまじ職業詐称……」
男「お客さんは自ら騙されに行ってるんだからいいんだよ」
412:2011/06/19(日) 10:56:36.07 ID:EaoNZIJM

 ○天然

女「今帰った」
?「あら、今日は早いのね?」
男「……お邪魔してます」
?「えっとぉ、どちら様かしら?」
女「クラスのやつだ」
男「どうも……同じクラスの男と言います」
女「あら? あらあら! 転校早々お友達が出来たのね? 良かったわねぇ、女」
男「女、この人は?(女のお姉さんだろうか。女と違って随分と物腰が柔らかいな……)」
女「母だ」
男「……お母さん?!(若っ!!)」
母「そうなの。男くんよろしくねぇ」
男「あ、はい、よろしくです……。(女の天然ボケは母譲りか……)」
 
413:2011/06/19(日) 10:57:30.11 ID:EaoNZIJM

 ○母と娘

女「部屋に行く。邪魔しに来んなよ、ババア」
男「ババアって、こんな若いお母さん掴まえて……(振り向かず行っちまった……)」
母「男くん、いいのよぉ」
男「でも、いくらなんでも……」
母「『部屋で男くんとお遊びます。あまり意地悪なさらないでくださいね、お母様』」
男「はい?」
母「あの子はー、そう言ってるつもりなの。日本語下手な娘でごめんなさいねぇ」
男「ああ、なるほど……。(娘ときちんと意思疎通は取れている訳だな……)」
母「娘をお願いねぇ。私に似てお淑やかないい子だから」
男「はい……(お淑やか? いやそもそも私に似てって……)」
414創る名無しに見る名無し:2011/06/23(木) 20:24:00.42 ID:IXuDB80k
続き楽しみにしてる
でも焦らず納得いくものを投下していいんだぜ!
415U:2011/06/25(土) 00:49:37.18 ID:ESas8AOc

 ○女の部屋へ

女「遅いっつの」
男「悪い悪い、土産を渡してたんだよ。って、お前の部屋って和室かよ」
女「そうだ、いいだろ?」 
男「ああ、若干こじんまりしてるが悪くない」
女「……茶でも飲むか?」
男「そうだな、頼む」
女「ちょっと待ってろ」
男「……?(奥に入っていくが台所でもあるのか?)」

 …………。

女「準備できた。こっち来い」
男「……。突然和服に着替えて何やってんだ……?(ブロンドの髪と和服のミスマッチが物凄いな……)」
女「は? 飲みたいって言ったのテメエだろ」
男「(自室の隣に茶道部屋があるみたいだ。)……もしかしてお前が淹れるのか?」
女「そうだ、そこに直れ」
男「はいはい、座れ……ね。つかちゃんと淹れられんの?」
女「少し黙って見ていろ」

男「ふーん……。(結構まともに茶道やってるじゃないか。和服姿もこうして見ると意外と……)」

女「できたぞ、ほら」
男「おお、さんきゅ」
女「……結構なお手前で?」
男「それ俺のセリフ。というかまだ一口も飲んでねえ」
416U:2011/06/25(土) 00:57:38.25 ID:ESas8AOc


 ○封筒の謎

男「ふぁ、眠……。また今日も一日学校に拘束されるのか。休みてぇ……」
女「おす、男」
男「なんだ、女か……。おはよう、お前はいつも元気だな」
女「自慢じゃねーが、元気だけが取り柄だ」
男「確かに自慢にはならんよな」
女「んなことはどうでもいい。…ほらよ」
男「ん、なんだこの封筒?」
女「ちっ、黙って受け取れや……」
男「おーい……。(どっかいっちまった……) えーっと、中身は手紙か」

 男へ

 このまえのひるめしだい

 かえしてやるよ

男「短っ! っていうか字が汚ぇ!(喋れるくせに書く方は駄目なんだな……)」

友「よ、男」
男「ん、友か。おはよう」
友「なぁ、今、女からその封筒受け取ったろ。中に何が入ってるんだ?」
男「ああ、これか。別に面白いものじゃないから気にすんな」
友「なんだ、そうなのか。じゃあいいよ――と見せかけて!」
男「あ、コラ! 封筒返せ!」
友「まあまあ、そう怒るな。どれどれ……」
男「ったく……(仕方ないやつだ……)」

友「……男、見損なったぞ」

男「え?」

友「封筒に入ってたこの5枚の諭吉さんは一体何だ?」 
男「諭吉って……一万円?!(しかも五枚! 昼飯代500円だぞ、入れ過ぎ!)」

友「何を驚いた振りしてやがる、白々しい。この人間の屑が」

男「待て、友よ。お前は何か勘違いしている」

友「はっ、勘違いだと? 女に売春させてその上前を撥ねる、それ以外にこの状況をどう解釈しろと?」

男「いや、だからその、昼飯代がね?」

友「言い訳なんか聞きたくない。お前とはもう絶交だ、じゃあな」

男「ちょっ…………なんでこんなことになってんの?」

417創る名無しに見る名無し:2011/06/25(土) 01:46:19.48 ID:fBxZRC0j
友wwwww
418創る名無しに見る名無し:2011/07/20(水) 08:54:13.71 ID:VXY79KOK
___|ω・`)チラッ
419創る名無しに見る名無し:2011/07/23(土) 21:59:41.21 ID:uj/pbzVn
地の文ありのSSってどこで投下したらいいんだろうか
420創る名無しに見る名無し:2011/07/23(土) 22:10:28.72 ID:C2EA5PdT
そりゃ内容によりけりですがな
421創る名無しに見る名無し:2011/07/23(土) 22:21:36.16 ID:uj/pbzVn
ですよねえ
20〜30レスくらいで終わる予定だしスレ立てるのはもったいないし、と思って
ここもまだ完結してないのかな
422創る名無しに見る名無し:2011/07/23(土) 22:25:32.40 ID:C2EA5PdT
もし二次創作なら、二次創作総合スレが便利
ただし、過疎ってて誰も見てない可能性も
423創る名無しに見る名無し:2011/07/23(土) 22:29:04.41 ID:uj/pbzVn
二次創作ってつまりハルヒとか唯とかまどかとか既存のキャラのやつ??
だったら違うなあ

姉スレでもないしバトルものでもないし
他に行き場所のない〜とかに行ってみます
424創る名無しに見る名無し:2011/07/30(土) 00:13:44.08 ID:80xkBoJ5
SS速報VIPとか
425HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 20:11:02.79 ID:3f/LQVrL
行き場所もあまりなかったので、やっぱりここお借りします

・地の文あり
・新ジャンルではなく普通のSS
・エロなし過剰な萌えなし

よろしくお願いします
426HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 20:14:10.93 ID:3f/LQVrL
男「恋のABC」
427HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 20:17:48.55 ID:3f/LQVrL

ABC欠乏症という病気をご存じだろうか。
最近世界を騒がせている厄介な病気だ。
その病気にかかった者は「ABC」が発音できなくなる。
まあ言うなれば失語症の一種だ。

人間が勝手に決めたアルファベットの通りに病状が進むなんて、ふざけた話だ。
おおかたどこかのマッドサイエンティストが作り出したウイルスかなにかが原因だろう。

女「…」モグモグ

僕の彼女もABC欠乏症にかかってしまった。

女「…おいしい」モグモグ

ちなみに今は食事中だ。

428HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 20:24:25.58 ID:3f/LQVrL

この病気はカップルを中心に広がっているらしい。
僕たちにも災難が降りかかったが、もし付き合っていなければ逃れられたのだろうか。
何にせよ、理不尽な病気であることは間違いない。

この病気にかかると、始めはABCが発音できなくなる。
日本語で言うと、Aはつまり「あかさたなはまやらわ」だ。
いきなりハードルが高すぎやしないか??
「愛してる」も「会いたい」も「からあげ」も「刀」も言えないんだ。

女『あんっ…あ…あん…んっ』

みたいな喘ぎ声は、もう永久に聞けないわけだ。
まあそんなに激しく喘いでくれたことなんて、一度もないが。

女「…ニヨニヨしてる」ギロ

ほら、「ニヤニヤ」が言えない。
待て、僕はニヤニヤなんかしてない。

女「…エロス」

誰がエロスだ。

429HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 20:33:14.28 ID:3f/LQVrL

わざわざ言うことでもないが僕は彼女に手を出していない。
Bまでだ。
Bって…言い方が古いな。でもまあ、そういう感じだ。

入れてしまうと、彼女を汚してしまうようで、なにかを失ってしまいそうで。
だから僕は彼女に手を出さない。
だけど、好きだ。大切だ。愛している。

女「…エロス」

顔赤くしちゃって。そんなにニヤニヤしてたかな??
エロスなことはしていない。
草食系紳士だ。自分で言ってりゃ世話ないな。

430HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 20:37:41.32 ID:3f/LQVrL

Bは「ばびぶべぼ」だ。
「馬鹿」とか「ボケ」とかも言えない。
「バスガス爆発」なんて言おうとしたらえらいことになる。

ちなみに「ラブ」は言えないが「ラヴ」なら言えるんじゃないかと思ったんだが…

女「…」パクパク

「ら」も駄目だったんだな。忘れていた。

女「好き」

これだけは言ってくれる。可愛い奴め。

431HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 20:45:30.59 ID:3f/LQVrL

Cは「ち」だ。
「地球」や「畜生」や「チュウ」も言えない。

女『おチ○ポください…』

も言ってくれない。
まあ言ってくれたことなんて一度もないが。

女「もう、エロス」ギロ

おっと、また睨まれた。
エロい妄想もほどほどにしないとすぐ見抜かれてしまう。困ったもんだ。

432HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 20:52:05.39 ID:3f/LQVrL

女「…」カチャリ

食べ終わったみたいだ。
彼女は僕よりも食べるのが遅い。
だけど、食べている最中の彼女を見ているのが好きだから、僕はいつも待っている。

女「…」ペコリ

「ごちそうさま」が言えないもんだから、彼女はいつも手を合わせてお辞儀をする。
「いただきます」も言えないから、食べる前も同じようにする。

女「行こう」

会計はいつも僕がする。
彼女に払わせるわけにはいかない。男として。
でも、いつも払おうとしてくれるのが、たまらなく嬉しい。
いや、違うな。「僕が払うから」って制して会計をするのが、たまらなく嬉しいんだ。

433HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 20:57:54.71 ID:3f/LQVrL

初めてこの病気を知ったとき、僕は信じられなかった。
誰だってそうだろう。

でも実際に言葉が消えていくのを知ったとき、文字通り「言葉を失った」ね。
今、うまいこと言った??

どうしても伝えたいことが言葉で伝えられないときは、文字を書く。
僕たちはそうしてきた。
でもよく顔を見ていれば、言いたいことは結構わかるもんだ。

女「…」

ほら、ガラスケースの向こうの服がほしいって、顔に書いてある。

女「…」

でも、お金に余裕がないのもわかってる。
だから彼女は無理に欲しがらない。
そんな彼女を喜ばしたくなるってのが、男の性だ。

…いや、高い、やっぱり無理だ。

女「…行こ」

ゴメン。

434HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 21:09:17.20 ID:3f/LQVrL

彼女の症状はどんどんと進む。
周りの都合などお構いなしだ。

Dは「だぢづでど」だ。
正直「ぢ」と「じ」の違いはよくわからない。
「地震」は言えるのに「鼻血」や「耳血」が言えない。

ちなみに「痔」って「ぢ」だと思ってたんだけど「じ」なんだね。
言ってみてって催促したら嫌々ながら言ってくれたよ。

女「…痔」モジモジ

なに言わせてんだって怒られたけどね。
でも言えなくなる前にたくさんの声を、言葉を聞きたい。
それは普通のことだと思う。

435HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 21:19:28.22 ID:3f/LQVrL

Eは「えけせてねへめえれえ」だ。
言いにくい…

母音が二つ言えなくなっちまった。
「エロス」も、もう言ってくれない。
あ段とえ段が言えないってことはあとは「い・う・お」の3つの段だけだ。

女「…好き」

まだ言ってくれてる。嬉しい。
僕も、愛してるよ。
だけど、君の言葉はもうすぐ消えてなくなる。
それが悲しい。

女「君は、いつも、ここに、いる」

ああ、いるよ。

女「…いいの??」

なにが??

436HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 21:35:10.48 ID:3f/LQVrL

女「横にいてくれる??」

いるよ。
僕はこれでもかってくらい頷いた。

女「いいの??」

いいよ。それでいいよ。
一生君のそばにいる。

彼女はこの病気にかかってから、一人称が言えなくなった。
「私」と言えなくなったから。
少し違和感はあるけれど、仕方ない。

女「ふふふ」ニコニコ

彼女に内緒で進めている計画があるんだけど。
早く実現させたいもんだ。
おっと、こんなこと考えてると顔に出る。
僕はそっぽを向いた。

437HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 21:42:35.24 ID:3f/LQVrL

女「押忍!!」

あいさつは「よう」か「押忍」かだ。
色気もクソもないな。

女「…」

はっは。
機嫌を悪くしないでくれよ。

女「コーヒー飲む」

ん、行こうか。
ほんとは彼女は紅茶が好きなのに。
でも僕に合わせているうちにコーヒーが好きになってしまったらしい。

僕もコーヒー派になって日は浅いんだけどね。

438HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 21:50:22.53 ID:3f/LQVrL

僕は喫茶店で、借りたマンションの見取り図を見せた。

女「!!」

一緒に住みたい。そう言うと、彼女は戸惑って、でも嬉しそうに笑った。

女「どう…」

「同棲」って言いたいんだけど、言えないみたい。
でも伝わった。

女「…」ゴソゴソ

財布を出そうとする。
家賃を出すってことかな。
僕はそれを制した。家賃くらい僕が出すさ。
自分で出せる範囲の家を借りたんだから。
そのかわり、料理とか、してくれないかな。

女「料理…する!!」

家事とか洗濯とかも…

女「する!!」

439HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 21:58:18.86 ID:3f/LQVrL

なんだかすごく嬉しそうだ。
言葉を失いつつある彼女は、一人で生きていくには大変だろう。

嬉しそうな彼女を見ていると、僕も嬉しくなった。
僕がずっとそばにいようと、誓った。

そうこうしているうちにFを失った。

もう「ふふふ」って笑ってくれない。
Fを失っただけで、彼女はほとんど笑わなくなった。

440HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 22:04:00.31 ID:3f/LQVrL

そしてGを失った。
「がぎぐげご」だ。

「ゲルググ」も「グレゴリー」も「午後の紅茶」も言えない。
だけどこの頃にはもう、彼女はあまり話さなくなった。

女「…」

ボーっとしている彼女を見ていると切なくなる。
今、なにを考えているんだろう。

女「…」

彼女がこっちを見たが、その表情からはあまり読み取れなかった。

441HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 22:09:53.17 ID:3f/LQVrL

沈んでいる彼女をピクニックに連れて行った。
風の気持ちいい日だった。
医者が言うには、この病気を止める手立てはないが、部屋で閉じこもっているとよくないそうだ。
だから少しでも気分が晴れるように外に連れていくことが多くなった。

女「…いい気持ち」

少しご機嫌になったみたいだ。
あれ、「ち」は言えないはずじゃ…

女「…」ニコ

「TI」ってことかな??
相変わらずこの病気の基準はよくわからない。

442HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 22:17:51.09 ID:3f/LQVrL

女「いい気分♪」

これもなんだか発音があやしい。
「キヴン」みたいな発音だ。
「ヘヴン」とか、言わないかな。「ヘ」はもう言えないのか。

女「…」ニコ

今のは「ありがとう」かな??
だいぶ表情から彼女の考えていることがわかるようになってきた。

443HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 22:24:11.89 ID:3f/LQVrL

部屋で発音の練習をした。

女「煮物、作る」

いいね、煮物は大好きだ。

女「ヒモ」

僕が??君が??
養っているとは言い難いが、僕はヒモじゃない。やめてくれ。

女「…」

今のは「ゴメン」かな。
まあ怒ってるわけじゃないけど。許す。

444HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 22:30:16.84 ID:3f/LQVrL

女「ポリス」

頼むから警官の前でそんな言い方するなよ。
怒られるから。

女「プロポリス」

ん??警官はみんなプロだろ。
アマポリスなんているんだろうか。

女「…」ニヤニヤ

ニヤニヤしている。彼女のこういうところが時々よくわからない。

445HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 22:38:14.27 ID:3f/LQVrL

女「ロリ」


なんだって??

女「ロリ!!」

誰だ、そんな言葉を教えたのは。
僕か。

女「スク水!!」

ああもう、やめてくれ。
好きだけどさあ。

女「クスコ!!」

もう黙りなさい。
僕は疲れた。

446HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 22:47:18.76 ID:3f/LQVrL

女「男好き」

ああもう、ろくな言葉がないじゃないか。
それに僕は男好きじゃない!!

女「ホモ」

ええい!!うるさい!!

女「…許す」

君はそういう趣味があったのですか、そうですか。BL好きですか。
悪いけど男には興味持てないし、許してもらうこともないからね。

女「…」ニヤニヤ

楽しんでる。くそ。

447HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 22:52:17.41 ID:3f/LQVrL

女「…」スッ

ん??どこに行くんだ。
台所??

女「…水」コトッ

うん、水だね。
で、これをどうしろと。

女「!!」バシャッ

うおお!!こぼすな!!
ズボンが濡れちゃったじゃないか。

女「雑巾!!」

雑巾、雑巾、どこやったっけ。
ていうかそれ言いたかっただけじゃないか。

女「雑巾♪雑巾♪」

なんでご機嫌なんだ。

女「布♪布♪」クイクイ

服を引っ張るな!!
それ雑巾じゃないから。

448HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 23:07:10.00 ID:3f/LQVrL

なんてバカなことをやっていたのも束の間。
HとIを立て続けに失った。

彼女はもうほとんど喋らなくなった。
「好き」も言ってくれなくなった。

女「…」シュン

そのかわり僕は毎日彼女に好きだということを伝え続けた。
少しだけ彼女の顔は晴れるが、すぐに寂しそうな顔になる。
僕にできることはないのかな…

449HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 23:15:46.98 ID:3f/LQVrL

JやLはいつ失ったかよくわからない。
特に変化はなかった。

僕がブタの絵のプリントTシャツを着ていると嬉しそうに

女「トントン♪」

なんて言っていた。
でも、それも言わなくなった。
NとOも失ったのだろう。

定期的に医者に通ったが、もう治る見込みがないどころか症状が加速する一方だそうだ。

450HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 23:21:16.46 ID:3f/LQVrL

ついにUまで失った。
母音のすべてとNが発音できない以上、彼女はもう喋ることができない。

女「…」ボー

僕が顔を覗き込んでも上の空だ。
声を失う実感が湧きあがっているのか。
もう諦めきってしまっているのか。

女「…」スッ

ベッドを指さす。
寝たいの??

女「…」コクン

生活感がなくなっていく。
僕は明日の朝食の準備だけ済ませ、ベッドに戻った。

451HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 23:25:21.86 ID:3f/LQVrL

女「zzz」

はっは。Zはまだ発音できるんだ。
なんだかよくわからないけれど、笑ってしまった。
もう最後かな。君の声を聞くのは。
たった一つのアルファベットだけれど。君の声には違いない。
可愛いいびきを聞きながら、僕もベッドにもぐりこんだ。

君はどんな気持ちだった??
頭をなでながら、寝顔を見つめる。

女「zzz」

僕は今、名残惜しい気持ちと愛しい気持ちが入り混じっている。
君もこんな気持ちだったのかな。
最後の君の声を聞きながら、僕も眠りに引き込まれていった。

452HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 23:35:52.79 ID:3f/LQVrL

目が覚めた。
なんだか頭がぼーっとしている。

彼女は隣で笑っている。
笑っている??

女『おはよう』

!!
なぜ、声が出せるんだ。

女『やっと、私も追いつけたね』

何を言ってるのかよくわからない。
追いつけたって、なにに。

453HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 23:40:37.96 ID:3f/LQVrL

女『君が声を出せなくなってから、ずいぶん待たせちゃったね』

そうだ…
この声は、彼女の口からではなく、頭の奥から聞こえる。

女『君の声も、私にはちゃんと聞こえていたのよ』

本当に!?

女『うん、本当だよ』

僕の声も、同じように彼女には伝わっていたのか。
君の頭の中に、僕の声はあったのか。

女『うん、君は声を失ってしまっていたけど、私の頭の中にはあったよ』

女『でも、うまく説明ができなくて…』

女『でもこれで、やっと話せるね』

454HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 23:46:20.69 ID:3f/LQVrL

言葉は失っても、会話はできる。

男『じゃあ、ずっと言えなかった言葉を言いたい』

女『なあに??』

男『愛してる』

女『ふふふ。ずっと聞こえてたけどね!!』

女『でも、ありがとう』

★おしまい★
455創る名無しに見る名無し:2011/08/05(金) 00:26:03.03 ID:xyrGV8jv

いいアイディアだなw
面白かった!
456創る名無しに見る名無し:2011/08/05(金) 01:04:31.80 ID:p+9WdaFK
乙!楽しかったよ。
GJです
457HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/05(金) 17:33:26.09 ID:+gwUOYdX
読んでいただきありがとうございました

もし発音できないはずの言葉を喋っているとか、
ここわかりにくいとか、指摘があれば遠慮なく言ってくださいね
458創る名無しに見る名無し:2011/08/26(金) 14:07:47.13 ID:UIquROW1
いいなこれ
459創る名無しに見る名無し:2011/09/24(土) 13:18:51.92 ID:U+7MIjxq
.
460創る名無しに見る名無し:2011/09/25(日) 17:34:54.32 ID:0YTBEfSv
>>457
素敵なお話でした。GJ!!
461HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/09/26(月) 22:51:52.08 ID:WLqvjZzW
ブログの方で忠告いただいたのですが
「E」を発音できなくなった直後に「れ」を発音してました
すみませんwww
462創る名無しに見る名無し:2011/10/18(火) 22:18:41.81 ID:LWbHm5QW
久しぶりに来たら良い話が投下されてた
463創る名無しに見る名無し:2011/11/17(木) 08:07:22.99 ID:9muQbZSE
     _ ―- ‐- 、    「 ageてみるか 」
    (r/ -─二:.:.:ヽ
    7''´ ̄ヽ-─<:.:.',                  __
.   〈t<  く=r‐、\:く       _ ...-::‐::¬::::: ̄:::::::::::::::::::::::::::::::
   ∠j ` / ,j={_/ヽヽr'       >:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
.    っ Y _/ ヽ了       /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
.    し イ --─¬       /::::::/:/|:::/::∧:::∧:::::::::::::::::::::::::::::::::::
      f: :_: : :_:_:_└ 、     |/f|/|/ .|/ |/ ∨ ヽ|\:::::::::::::::::::::::::
     /-ー/: : : : : : :\      {            ヘ:::::::::::::::::::::
    /7: : : :r: : : : : : : : : }     ',  .j /     }   .}::::::::::::::::::::
   /: : : : : :.|: :j: : : :\: : j      } /_       ミ   ヘ::::::::::::::::::
  /: : : : : : : j: ヘ、: : : : \|    /く<l´::<ニ二 ̄`>   ミ:::::::::/
 ./: : : : : : : \::::ヘ: : : : : : :ヽ    {::ア{:::::::}厂¨,`_______j:::::://
 {: : : : : : : : : : ヘ:::ヘ: : : : : : :',    V ヘ::::ノ` ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ .{::::|ヽ
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  ',: : : : : : : :::::::::::::::::::〉: :_:_.r--―く   >ヽ      /   _ノ::::{ _/
  '; : : : :.::::::::::::::::::::::r</ :.:..   `ー¬\__        /::::/
  〈: : : : :ー---‐‐r―'´  :.:.:.  ヘ: .  ヽ . . }ー、    ./::::<   「 ああ 」
  〈: : : : : : : : : : 〈r-‐、:.:.:.:ヘ.:.:.:.:.  ', : :  ',: . .|: : 〉  /:::::::/
464HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/03(土) 17:32:12.82 ID:1Cj7bgUJ
一本投下します
前の話とよく似てますが…

・地の文あり
・新ジャンルではなく普通のSS
・エロなし過剰な萌えなし



男「あの頃の僕らにはもう戻れない」
465HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/03(土) 17:37:14.99 ID:1Cj7bgUJ
「おはよう」

彼女が起きだしてきた。

「おはよう」

僕は笑顔で彼女を迎えるが、口の端が不自然になってしまった。

「お腹すいた」

よし、気付かれなかったようだ。
テーブルに向かう彼女を横目に、焦げついたフライパンをこっそり洗う。
また目玉焼きに失敗した。
何がサニーサイドアップだ。黒点しかないじゃないか。
部屋の中は焦げくさいにおいでいっぱいだが、彼女は気づかない。

そういう病気なんだ。

466HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/03(土) 17:42:40.91 ID:1Cj7bgUJ
ソラニンという名前の病気が流行り出したのは、年号が変わって間もなくの頃だった。
僕は当時、彼女との同棲生活をスタートさせたばかりだったこともあり
TVをつける余裕もなく自分のことで精いっぱいだった。

初めは珍しい症例として時々取り上げられるだけだったが、僕がその病気を知る頃には
国民の5%近くが感染していた。

今ではもう20%の国民が感染しているらしく、大きく取り上げられることも減った。
そのかわり、社会は大混乱で、日本はもうどうしようもないところまで来た。
海外のニュースでは大騒ぎらしいが、日本もそれどころではない。

国民の20%だ。5人に一人は感染者だ。
僕も、彼女も、それに感染しないなんて、誰が断言できるだろう。

467HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/03(土) 17:47:35.85 ID:1Cj7bgUJ
ソラニンは脳の病気だ。
脳の中から芽を出し、脳を侵す。
脳をスキャンすれば、まるでジャガイモのように芽を出した影がくっきり映るそうだ。

人から人へはうつらないらしい。
原因不明の治癒不能。
医学の発達でかろうじて進行は遅らせられるものの、今のところ治る手立てはないそうだ。

人から人へうつらないのになぜ感染者が膨れ上がったのか。
最初の感染者は誰なのか。
治す手立ては発見されるのか。
神も仏もいないのか。

なにもかもわかっていない。
僕も、国も。

468HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/03(土) 17:52:56.51 ID:1Cj7bgUJ
ソラニンに感染すると、なにかを失う。
それは、聴覚だったり、視覚だったり、言語だったり。
記憶だったり、運動能力だったり。

人によってさまざまだそうだ。
ある一定期間の記憶だけを失った人もいれば、昨日の記憶もない人もいる。
下半身だけが動かなくなった人もいるし、右目だけ見えない人もいる。
日本語だけを忘れ、カタコトの英語で話すようになった人もいるらしい。

病気が進行すれば、さらに失うものが増える。
生ける屍になる。いつかは。

恐ろしい。

469HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/03(土) 18:01:11.86 ID:1Cj7bgUJ
彼女の異変に気付いたのは、1カ月ほど前だった。

仕事から家に帰ると、どうも家の中が焦げくさい。
カレーを焦がしたようだ。

「ただいま」

「おかえり」

「どうしたん、焦げてるよ」

「え??」

彼女はニコニコ笑いながら、なべの底をお玉でかき混ぜていた。
笑いながら、何を言ってるのかわからない、といった顔をした。
ぐるぐる、ぐるぐる、鍋をかき混ぜる。

470HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/03(土) 18:06:26.41 ID:1Cj7bgUJ
「焦げてるって」

僕は慌ててガスを止めたが、彼女はまだ理解できないようだった。
換気扇を回し、鍋の中身を別の鍋に移している僕を、奇妙な目で見ていた。

鍋の底で黒く固まるコゲを見てようやく、彼女も変だと気づいたらしい。

「鼻、詰まったのかな」

グスグスと鼻を鳴らし、呟く。
でも僕は、そんな、風邪とかそんなもので片付く話じゃないと予感していた。

やはり彼女は感染していた。
嗅覚を、失っていた。

471HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/03(土) 18:35:26.65 ID:1Cj7bgUJ
病院で見せられた、脳のスキャン。
見事に芽が、咲いていた。

その晩、彼女は僕の胸に顔をうずめて泣いた。
涙が出なくなるまで泣いた。

「においが、しない…」

「あなたのにおいが、わからない…」

そう言って、何度も泣いた。
僕はどうすることもできず、ただ抱きしめて頭を撫でた。

ごめん。なにもできない僕で、ごめん。

472HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/03(土) 18:40:23.61 ID:1Cj7bgUJ
それからというもの、彼女は嗅覚のない生活を送ることになった。

僕は、最初は鼻づまりの延長のようなものとして考えていた。
だけど、そんな程度ではないようだ。

「これ、シチューみたいな味がする」

カレーを食べながら、彼女が言った。

「辛くないの??カレーだよ、これ」

「舌がピリってするけど、辛さが、わからないの」

だそうだ。それから彼女はカレーを作ってくれなくなった。

473HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/03(土) 19:04:11.00 ID:1Cj7bgUJ
というか、辛いもの全般が食卓に出なくなった。
舌がピリピリするだけで美味しくないのだそうだ。

明太子とかワサビとか、好きなんだけどなあ。
彼女のためだ。仕方ない。
どうしても食べたいときは、自分で買ってきて食べることにする。

そうしているうちに、いつの間にか夏になっていた。
外に出るのは億劫だけど、この部屋も蒸し暑い。
遠くでセミが鳴く声がする。

室外機が唸りをあげて夏に対抗しようとしている。
静かなのに、うるさい。

474HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/04(日) 17:39:51.34 ID:4WiWrzXq
ベランダから外を見ると、真っ青な空が広がっていた。
雲が並んで、千切れて、広がって、飛んでいる。

ベランダの下では向日葵が花を広げようとしている。
一階は大家さんの敷地だ。
花の綺麗さを話題にしようと思ったが、彼女は花の匂いも嗅げないんだ。

少し考えて、その話題を振るのはやめにした。

「ねえ、去年の冬のこと、覚えてる??」

突然話題を振られた。

「ん…覚えてるよ、いろいろと」

そう、いろいろあった。

475HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/04(日) 17:50:37.92 ID:4WiWrzXq
「あのとき、別れないで、本当によかった」

「…」

そう、僕たちは一度だけ、一週間だけ、他人になった。
よくある話だ。
いわゆる倦怠期。
僕たちもそれにかかった。

「ねえ、あなたは??」

「うん、僕も、別れないでよかったと、本当に思う」

元に戻れて、本当によかった。
そう思う。
あのときの一人寂しい夜とか、君が最後に編んでくれたマフラーとか、一人の年越しとか。
思い出して寂しくなってきた。

「本当に??」

「本当」

「嘘」

476HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/04(日) 18:22:56.01 ID:4WiWrzXq
嘘じゃない、と言おうとした僕よりも先に、彼女は堰を切ったように喋り出した。

「私が、ソラニンにかかって、私のこと、重荷になってる」

「あのとき別れてれば、あなたはそれを知らず、きっと幸せだったわ」

「辛いもの好きだったのにね」

「お香も焚かなくなったもんね」

「花も飾らなくなったよね」

「それもこれも、私が…」

あとは、言葉にならなかった。
また彼女は泣いた。
僕はどうすることもできず、ただ抱きしめて頭を撫でた。

477HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/04(日) 19:40:00.45 ID:4WiWrzXq
「失うものは、人によって違うんだってさ」

僕は、頭の中で整理する前に言葉にした。

「ソラニンで失うものは、自分自身が決めるんだってさ」

「それ、誰が言ってたの」

「テレビに出てた、偉い学者さん」

「…」

言葉は続く。
それが彼女を慰めるのか、傷つけるのか、判断できないまま。

「君は、嗅覚を失うことを、望んだ??」

478HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/04(日) 19:53:28.32 ID:4WiWrzXq
「…」

長い沈黙。
こんな言い方でよかったのか。
いや、そもそもこんな不確定な話を聞かせて、僕はなにがしたいんだろう。

「望んでない」

彼女はきっぱり言い切った。

「ほんの少しの、心の声で、失うこともあるんだって」

「…覚えてない」

においを拒絶するとしたら、僕の体臭がきつかった、とか、そんな理由だろうか。
そうだとしたら、少々ショックだ。
いやかなりショックです。

479HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/04(日) 20:01:31.45 ID:4WiWrzXq
もし、そうだとしたら、絶対に喧嘩はしたくない。

僕のことを忘れられたら、と思うと、怖くて。

「僕のこと、忘れないでくれよ」

「…うん」

届いたかな。
真夏だって言うのに、少し寒さを感じた。
悪寒でないことを祈ろう。

「さ、夕食の食材でも買いに行こうか」

「うん」

「今はなにが旬かな」

「…夏野菜のカレー、食べたい??」

「…うん」

「じゃあ、それ、作ろ」

480HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/04(日) 20:09:20.21 ID:4WiWrzXq
「カレーは嫌じゃないの」

「いいの」

「辛くなくてもいいからね」

「…うん」

甘口と中辛の間に決めて、僕らは近所のスーパーにでかけた。
なんだか少しだけ距離が近づいた、気がした。

遠くなかったはずなのに。

不思議だ。

手をつないでスーパーまで歩いて行った。
影が伸びる伸びる。なんてことない光景だけど、笑えてきた。

481HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/04(日) 20:15:50.62 ID:4WiWrzXq
「ね、ナスは入れようね」

彼女はポイポイとナスをかごに投入する。

「オクラは??」

「サラダも作ろうね」

彼女はポイポイとジャガイモやトマトをかごに投入する。
却下されたようだ。なんでだ。

「お、牛肉が安い」

「夏野菜カレーなら鶏肉だよね」

彼女はポイポイと鶏肉をかごに投入する。
僕の意見はどこに行った。

482HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/05(月) 22:13:18.15 ID:z8pEIGOt
「パプリカもいいよね」

彼女はポイポイとパプリカをかごに…

「いや、これ嫌いなんだ」

投入する前に、僕が止めた。

「なんで??」

「色が嫌い」

「きれいじゃん」

「でも形はピーマンじゃん」

緑色じゃないピーマンは変だ。
ピーマンは食べられる。小学生じゃないんだから。
でもパプリカは無理。生理的に無理。

483HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/05(月) 22:19:52.37 ID:z8pEIGOt
「むう」

彼女はちょっと不機嫌になったけど、なんとかパプリカは阻止した。
そのかわりピーマンで手を打った。

…ピーマンって夏野菜じゃないよな。
まあいいや。

「お腹すいた」

袋の中のジャガイモは、ソラニンを思い出すからあんまり好きじゃないけれど。
でもカレーにもサラダにも必要だ。

そう、ジャガイモに罪はない。

484HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/05(月) 22:26:37.71 ID:z8pEIGOt
結果から言うと、カレーは旨かった。

久しぶりの味だ。

彼女も嬉しそうだった。

それが僕を安心させた。

そして、一緒に皿を洗って、一緒にドラマを見て、シャワーを浴びて、寝た。

「おやすみ」

「おやすみ」

どこかで「さよなら」と聞こえた気がした。

485HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/05(月) 22:33:41.76 ID:z8pEIGOt
次の日、僕は目をこすりながら、白い天井を見上げていた。

なんだか変だ。
でも、知っている天井だった。
なんだろう、この違和感は。

窓の外を見ると、今日は天気が悪いのか、空は一面曇っていた。
こういう朝は気分が悪い。
スカッとした青空が見たいのに。

なんだかのどの調子が少し悪い。
そういえば昨日は冷房をかけっぱなしにしてしまった気がする。

486HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/05(月) 22:41:15.92 ID:z8pEIGOt
「おはよう」

彼女が先に起きていた。
声に元気がない。
顔色も悪いようだ。

「夏風邪、引いちゃったかも」

鼻をすする音がする。

「熱は??」

僕は彼女のおでこに手をあてる。

「…手、冷たい」

彼女が笑う。
違う、君が熱いんだ。

487HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/05(月) 22:50:12.98 ID:z8pEIGOt
「熱あるよ。もうちょっと寝てな」

薬を探そうと棚を漁りながら、また違和感を感じた。

顔色が悪いだって??

もう一度彼女に近づいて頬を手で挟む。

「冷たいよ」

違う、君が熱いんだ。
君の頬は熱いんだ。
なのになぜ、君の顔色はそんなに悪いんだ。
なぜそんなに青白いんだ。

…白い。白すぎる。
まるで人形のように。
死人のように。

488HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/05(月) 22:59:03.26 ID:z8pEIGOt
急に気分が悪くなり、流し台に吐いた。
口からは胃液しか出ない。
昨日、なにを食べたっけ。

横を見ると昨日の鍋があった。
ああそうか、カレーを食べたんだ。

蓋を取って中を覗くと、真っ黒な液体が入っていた。

「なんだ、これ…」

彼女が心配そうに、僕の背中を撫でてくれる。

「これ、なに…」

「昨日のカレーじゃん」

「焦げてる…」

「焦げてないよ」

489HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/05(月) 23:06:35.88 ID:z8pEIGOt
脳が鈍く回転を始める。
昨日のカレー。
昨日は焦げていなかったのに今日は真っ黒だ。

訳がわからない。
僕は頭を振る。
ひじがガラスのコップにあたり、床でガラスの割れる音がした。

「あらあら、危ないから、ほらどいて」

彼女が片付けようとしゃがみこむ。
僕もしゃがみこんで、ガラスを拾おうと…

「痛っ」

「あらあら、大丈夫??」

指先を切ってしまった。
指先から墨汁が流れ出す。

490HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/05(月) 23:15:27.35 ID:z8pEIGOt
遠くでテレビの音がする。

「今日は全国的に快晴です」

アナウンサーが天気予報を告げる。
フラフラとベランダへ向かう。

「ねえ、どうしたの??本当に大丈夫??」

彼女の声が後ろで聞こえる。
君こそ、熱があるんだから早く寝なさい。
そう言おうとしたが声にならない。

空を見上げると真っ白な曇り空だった。

下を見下ろすと真っ白な向日葵が僕を見上げていた。

僕はようやく理解し、声をあげて泣いた。

★おしまい★
491創る名無しに見る名無し:2011/12/06(火) 11:34:04.34 ID:RiiAW2SD
おつ
492創る名無しに見る名無し:2011/12/06(火) 18:48:01.10 ID:iP1lgJLr
オチが理解できない
誰か説明よろ
493創る名無しに見る名無し:2011/12/06(火) 21:53:19.02 ID:mZ/l2Vbf
投下乙です。胸のあたりが重苦しくなるような怖さが印象的でした
>>492
色覚を失ったって事かと。
理由は…前日パプリカの色が嫌いとかやってたあたり?
494創る名無しに見る名無し:2011/12/13(火) 02:46:10.79 ID:zrKW3E2Q
.
495創る名無しに見る名無し:2011/12/24(土) 07:52:03.36 ID:gZlpaSDq
乙です
純愛と少しの不気味さがたまらないな
496創る名無しに見る名無し:2012/01/08(日) 07:03:49.10 ID:YEkMYmKs
age
497創る名無しに見る名無し:2012/02/01(水) 04:37:34.03 ID:kiXA1REa
498創る名無しに見る名無し:2012/02/06(月) 21:25:32.39 ID:2baFQ1FB
age
vipは今書ける環境じゃないねえ
499創る名無しに見る名無し:2012/02/19(日) 22:18:41.26 ID:Nk34kw9y
兄「ただいま」

妹「おかえりー。卒業式なのに帰ってくるの早いね」

兄「クラスの奴らにカラオケ行誘われたけど、断って帰ってきた」

妹「そっか。制服のボタンが全て無事な事と関係があるのかと思った」

兄「はいはい俺はモテねぇよ。後期試験対策で明日も学校行くからな。遅くまで付き合いたくなかっただけだ」

妹「あれ、それじゃ明日も普通に制服で行くの? お母さんが制服クリーニングに出すって」

兄「小論文書いたの見せに行くだけだし、先生にも私服でいいって言われた」

妹「なんだ。んじゃ着替えたらちょうだい。渡しておくから」

兄「おう、悪いな」


妹「はい、お兄ちゃんの制服持ってきたよ」

母「ありがとう。あら、第二ボタンなくなってる。まだこんな習慣続いてるのね」

妹「……物好きもいるんだね」

母「そう? 美男子だけがモテるって訳でもないのよ……何、にやにやして」

妹「し、してないし!」
500創る名無しに見る名無し:2012/02/19(日) 22:22:17.21 ID:Nk34kw9y
兄妹物の場合、直接的なエロじゃなくてこういうのが良いと思うんだ
501創る名無しに見る名無し:2012/02/19(日) 23:25:42.22 ID:j5VY8i6X
うむ、いいかもしんない
502創る名無しに見る名無し:2012/02/21(火) 21:28:15.51 ID:Rv42F5S3




ワイが聞いた情報によると、もうじき中国はバブルがはじけて昔の貧乏な中国に戻るらしいで
もう経済は破綻してて、取り戻すのは無理なんだそうや


その世界ではごっつい有名な政府関係者筋から聞いた確かな情報やで

まあお前ら頭の良い連中には、今さらなくらいのネタやな、
お前らからすればもう常識的なくらいの知識やろ?
2ちゃんねるやってるやつならこの情報でもう大儲けしてるしな♪




503創る名無しに見る名無し:2012/02/22(水) 03:56:32.60 ID:f0i3wAY4
【友】

1「おー、元気そうじゃん」

2「そっちもな」

1「今何してんの」

2「呼吸」

1「そういうのいらねーから」
504創る名無しに見る名無し:2012/02/22(水) 03:57:15.49 ID:f0i3wAY4
2「お前は?」

1「えー適当に。バイトしてる」

2「相変わらずだな。定職つかねーの?」

1「まあそれは後々。やりてーことあるし」

2「やりたいことって何よ」

1「なんでもいいじゃん」

2「そう言われると尚更気になる」
505創る名無しに見る名無し:2012/02/22(水) 03:57:52.06 ID:f0i3wAY4
1「ん、あれだよあれ。世界一周」

2「は?」

1「だから、世界一周」

2「なんで?」

1「いや、色々見ときたいじゃん」

2「ほー」

1「なんだよ」

2「いや、なんかお前らしいけどな」

1「そうか?」

2「んー、衝動的というか奔放な感じが」

1「それ誉めてんの?」

2「まあ羨ましくはあるけど、真似したくはない」

1「まあそうだよな(笑)」
506創る名無しに見る名無し:2012/02/22(水) 03:58:17.51 ID:f0i3wAY4
2「お前いつもそうだな」

1「なにが?」

2「今いるところに執着心がない」

1「そうか?そんなことないぞ」

2「すぐふらっとどっか行くし」

1「んー」

2「ひとつのところに留まった試しがない」

1「まあ、そうかもだけど」

2「部活もころころ変えてたし今は仕事も」

1「あー。すまん」

2「なんで謝る」

1「なんとなく」
507創る名無しに見る名無し:2012/02/22(水) 03:58:41.27 ID:f0i3wAY4
2「責任感とかないのか」

1「それなりにはあるつもりだけどな」

2「そういうとこ本当嫌いだわ」

1「知ってる」

2「そういうところもな」

1「ごめん(笑)」

2「まあ良いけど」
508創る名無しに見る名無し:2012/02/22(水) 03:59:23.22 ID:f0i3wAY4
1「俺だって執着心無い訳じゃないぞ」

2「へぇ」

1「変わらない物があるから俺は自由にやれる」

2「変わらないもの?」

1「うまく言えないけど、友達とか?」

2「人は変わるもんだぞ」

1「お前は何年経ってもお前だ」

2「俺だって変わった」

1「ちょっと老けたな(笑)」

2「そういうのいらねーから」

1「(笑)」
509創る名無しに見る名無し:2012/02/22(水) 03:59:50.78 ID:f0i3wAY4
2「お前は本当変わらないよな」

1「ちょっとだけカッコよくなったろ」

2「気のせいだ」

1「お前は」

2「は?」

1「お前はなにしてんの」

2「ああ。普通に社畜」

1「社畜か」

2「社畜だ。お前と違って堅実派なんでな」
510創る名無しに見る名無し:2012/02/22(水) 04:00:23.13 ID:f0i3wAY4
1「お前らしいな」

2「どうも」

1「お前の夢、まだ覚えてるぞ」

2「忘れろ」

1「でっかい男になってでっかい事をする」

2「忘れろって(笑)」

1「あんまり大きくはなってないな。身長的な意味で」

2「身長の事は言うな。お前は無駄にでっかくなりやがって」

1「牛乳飲んでたからな」

2「俺だって飲んでたわ」
511創る名無しに見る名無し:2012/02/22(水) 04:00:57.19 ID:f0i3wAY4
1「将来は一流企業の社長か(笑)」

2「まあ、後々な」

1「お前ならなれる気がする」

2「どーも。俺も覚えてるぞお前の夢」

1「へ?」

2「おっきくなる」

1「ああ。おっきくなれたな(笑)」

2「分けろバカ」

1「牛乳が足んねーんだよ」
512創る名無しに見る名無し:2012/02/22(水) 04:03:49.75 ID:f0i3wAY4
2「アホか」

1「じゃあ気合いが足らん」

2「うるさい。で?」

1「ん?」

2「次の夢は?」

1「次の夢?んー世界各国に愛人を作るとか」

2「アホ」

1「夢はでっかく。だろ」

2「本当にやりかねないから怖いな」

1「やるんだよ」

2「ハーレムでも作る気か」

1「それも良いな」
513創る名無しに見る名無し:2012/02/22(水) 04:04:46.80 ID:f0i3wAY4
2「他にはなんか無いのか」

1「他?何だろうな」

2「色々あるだろ」

1「んー例えば?」

2「えー家を建てるとか有名になるとか金持ちになるとか」

1「それも良いかもなー」

2「適当だな」
514創る名無しに見る名無し:2012/02/22(水) 04:05:17.85 ID:f0i3wAY4
1「そうか?」

2「お前って欲があるんだか無いんだかわからん」

1「普通にあると思うけど」

2「実はあまり興味無いだろ」

1「なんで?」

2「なんとなく」

1「そうか」
515創る名無しに見る名無し:2012/02/22(水) 06:49:56.59 ID:f0i3wAY4
2「見つかると良いな」

1「ん?」

2「生きがい」

1「生きがいか」

2「俺は変わらないで待ってるから」

1「そうだな」

2「ああ」

1「ハゲてたら笑うからな」

2「ハゲねーよ」

1「ハゲましてくれてありがとう(笑)」

2「うるせーバカ」
516創る名無しに見る名無し:2012/02/27(月) 02:39:50.40 ID:YloicEog
女「男よ、今日の配給だ」
男「またおにぎり一つか…これいつまで続くんだろな」
女「おにぎりがあれば幸せじゃないか」
男「食えるだけ有り難いとは思うが…」
女「おにぎりがあって君がいる、私には何の不満もないぞ」
男「///」
女「おにぎりがあって良かった」
男「…」



被災してた時に書いたSS
517創る名無しに見る名無し:2012/02/27(月) 23:46:23.05 ID:L922xphC
男「もう陽が落ちるな」

女「また、夜が来るんだね」

男「怖い??」

女「怖いよ…でも…」

男「でも??」

女「君といれば、少しは平気」

男「そっか」

男「おれもだ」

女「夜怖いんだ」

男「そっちじゃねえよ」

女「私といると、怖くないんだ」

男「そうだよ、わかってるなら言うなよ」

女「えへへ」
518創る名無しに見る名無し:2012/02/28(火) 22:50:11.37 ID:i6owpL/Y
兄「おい、くりぃむレモンのビデオ見ようぜ」
妹「いやだよ」
兄「いいじゃん。お前、特等席で見ろよ。俺の膝の上」
妹「おい、触るなよ」
兄「いいだろ。兄妹なんだしぃ」
妹「イヤだって言ってるだろ。ハゲ!」
兄「なんだと? お前だって無毛じゃないか!」
妹「無毛のどこが悪いんだよ。ハゲよりは需要があるぜ」
兄「ねーよ」
妹「あるって言ってるだろ包茎!」

母「まあまあ仲がよろしいこと。もう少し盗み聞きしましょ。新たなる展開を期待して……」
519創る名無しに見る名無し:2012/03/08(木) 04:09:04.88 ID:/pZi7U5/
a
520創る名無しに見る名無し:2012/03/11(日) 17:49:05.43 ID:rcUeQBeu
流れ切って申し訳ないんだけど、地の文が多いタイプのブーン系なんかは何処でやればいいんだ?
521創る名無しに見る名無し:2012/03/11(日) 18:04:51.55 ID:P+oA5RfK
ここでかまわんと思うが。↓とかも

他に行き場所の無い作品を投稿するスレ4
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1322313024/l50
522創る名無しに見る名無し:2012/03/11(日) 18:04:53.44 ID:lLu5md1o
ここか行き場のないスレじゃない?
523創る名無しに見る名無し:2012/03/11(日) 18:29:25.88 ID:rcUeQBeu
>>521 >>522
成る程サンクス
524創る名無しに見る名無し:2012/03/12(月) 04:37:00.68 ID:aWqttZUX
なんでこんなつまらないゴミばっか投稿されてるのか不思議
センスも欠片もない奴が集まってんのか?
525創る名無しに見る名無し:2012/03/13(火) 01:42:01.92 ID:093AgQDr
そういうこというなよ
ヘタクソ達が傷なめあってるんだから
526創る名無しに見る名無し:2012/03/30(金) 18:38:10.17 ID:WzCU9cSW
age
5271/28:2012/04/16(月) 00:51:40.92 ID:J9GmMEEf
勇者「あんま悪いことしとったらあかんでほんま」

勇者「分かってんの?」

魔王「はい……」

勇者「ほんま?」

魔王「はい……」

勇者「……分かってへんやろ」

魔王「はい……」

勇者「はい、ちゃうわ!」
5282/28:2012/04/16(月) 00:52:48.53 ID:J9GmMEEf
勇者「自分なんでこんなことしたん?」

魔王「世界征服、カッコええやん」

勇者「あーなるほどなるほど」

勇者「ってアホか!」

魔王「人生を賭けるのに値するのは夢だけやと思わへん?」

勇者「自分魔族やん!」
5293/28:2012/04/16(月) 00:53:17.39 ID:J9GmMEEf
魔王「しかしあんたも立派やね」

勇者「なにが」

魔王「まだ16やろ?」

魔王「若いのに世界の命運委ねられてるなんて」

魔王「めっちゃ凄いやん」

勇者「お前のせいや!」
5304/28:2012/04/16(月) 00:53:54.42 ID:J9GmMEEf
魔王「怒鳴らんといてよもー」

勇者「自分退治されんのわかっとんの?」

魔王「えー、ほんまー? 怖ー」

勇者「なめとんのかボケ!」

魔王「君カルシウム足りてへんのちゃう?」

勇者「なんで魔王に栄養の偏り指摘されなあかんねん!」

魔王「あ、やっぱ足りてへんねや」
5315/28:2012/04/16(月) 00:54:26.75 ID:J9GmMEEf
勇者「はー・・・」

勇者「もうええ、行くで」

魔王「どこに?」

勇者「王国や」

魔王「ここで倒さへんのかい」

勇者「それでもええねんけどな」

勇者「お前倒したらどうせ消えるやん?」

魔王「そらそうや、倒されたら消えるのが悪の美学や」

勇者「それめっちゃ困んねん」
5326/28:2012/04/16(月) 00:54:57.54 ID:J9GmMEEf
勇者「正直な、手ぶらで帰っても儲けになれへんのや」

魔王「そんなんゆうても、うちだけ生首なんの嫌や」

勇者「せやから王国で倒すねん」

魔王「ええんかそれ?」

勇者「なにが?」

魔王「魔王を王国に招き入れてええんか?」
5337/28:2012/04/16(月) 00:55:30.55 ID:J9GmMEEf
勇者「ちゃうよ」

魔王「?」

勇者「お前が押しかけてくんねん」

魔王「意味分からん」

勇者「自分頭悪いなー」

魔王「うっさいボケ」
5348/28:2012/04/16(月) 00:55:59.46 ID:J9GmMEEf
勇者「王国の近くで二手に別れんねん」

魔王「うんうん」

勇者「ほんでお前王国に攻め込む!」

勇者「やばい! 王国の危機! その時勇者が帰ってきた!」

勇者「ほんでお前のことしばいてめでたしめでたし」

魔王「うわー、うちよりアホな奴おったわー」

勇者「一発どついたろか」
53510/28:2012/04/16(月) 00:56:36.23 ID:J9GmMEEf
魔王「ええよ、面白そうやし」

魔王「どうせ一度あんたに倒された身や」

勇者「よっしゃありがとう!」

魔王「あんた変な奴やなー」

勇者「ほな行くで」

魔王「れっつごー!」

勇者「忍!」ドロン
53611/28:2012/04/16(月) 00:57:09.27 ID:J9GmMEEf
勇者「着いたで」

魔王「なんで忍者式やねん」

勇者「ええやんなんでも」

魔王「うわー、うち魔王やのに忍者に倒されてもーたー」

魔王「ってなるやんか」

勇者「信長みたいでええやん」

魔王「信長は忍者に倒されてへん!」
53712/28:2012/04/16(月) 00:58:20.83 ID:14uV3D0A
勇者「作戦はこうや」

勇者「俺はもう出発する、お前は少ししてから来い」

勇者「以上」

魔王「うわー頭悪い説明やなー」

勇者「お前徐々に調子乗り出しとんな」

勇者「まあええ、行ってくるわ」

魔王「ほなな」

勇者「日が沈んだ辺りで来いやー」
53813/28:2012/04/16(月) 00:59:00.82 ID:14uV3D0A
魔王「少しってどんくらい待つんやろ」

魔王「暇やなー」

魔王「あかん、眠なってきた」

魔王「寝たらあかん寝たらあかん寝たらあかん寝たらやかん」

魔王「ちゃうちゃう、やかんやのうてあかんや」

魔王「あははー」

魔王「zz」
53914/28:2012/04/16(月) 00:59:35.94 ID:14uV3D0A
勇者「おい」

魔王「うちだし巻き卵は塩辛派ゆーてるやんかー」

魔王「甘いのは嫌やー」

勇者「起きんかいボケ」

魔王「あと5分・・・」

勇者「永眠させたろか」

魔王「・・・んー?」

魔王「ゆ、勇者! ふはは、よく来たな!」

勇者「もうそのくだり終わってんねん!」

魔王「痛い痛い! 思い出しました思い出しました! だからつねらんといて!」

魔王「もー、うちなんもしてへんのにつねることないやんかー」

勇者「なんもしてへんからや!」
54015/28:2012/04/16(月) 01:00:04.52 ID:14uV3D0A
勇者「せめて逃げろや!」

魔王「ええの?」

勇者「あかんわ!」

魔王「どないやねんな」

魔王「今までなにしてたん」

勇者「日の出って間違えてゆうたかなー」

勇者「とか考えてさっきまで向こうで待機しとった」

魔王「うわーご苦労様やなー」

勇者「しばいたろか!」

魔王「今から行こか?」

勇者「朝に行ったら雰囲気出えへんやろ!」

魔王「細かいなー」
54116/28:2012/04/16(月) 01:00:40.20 ID:J9GmMEEf
翌日

勇者「あとで宿代半額出しや」

魔王「うわーケチくさ!」

勇者「今度こそきちんと来いや」

魔王「分かってるって」

勇者「ほんまやな?」

魔王「ほんまや」

勇者「ほんまにほんまやな?」

魔王「ほんまにほんまや」

勇者「ほんまにほんまにほんまやな?」

魔王「はよ行きや」
54217/28:2012/04/16(月) 01:01:09.57 ID:J9GmMEEf
勇者「心配やなー」

勇者「あいつまた寝てへんやろな」

勇者「見にいこかな?」

勇者「あかんあかん、甘やかしたらあかんわ」

勇者「まだかー?」

勇者「・・・お?」

勇者「来た」
54318/28:2012/04/16(月) 01:01:51.71 ID:J9GmMEEf
魔王「ガオー」

兵士A「うわああああああああ」

兵士B「て、敵襲ー! 敵襲ー!」

兵士C「なんなんだこいつは! 一体どこから!」

兵士D「ど、ドラゴンなのか?」

魔王「魔王やでー」

兵士D「ま、魔王だー!」

兵士E「ひいいい! お助け!」

魔王「ガオー」
54419/28:2012/04/16(月) 01:02:57.01 ID:J9GmMEEf
魔王「ガオー」

チュドーン

魔王「ガオー」

チュドーン

魔王「んんー?」

魔王「あれなんか眠・・・」

魔王「zz」シュルシュルシュル

賢者「催眠魔法が効いて助かったわ・・・」
54520/28:2012/04/16(月) 01:03:29.41 ID:J9GmMEEf
勇者「うおー! みんな無事かー・・・ん?」

兵士A「いやー賢者様がいてくださって助かったな」

兵士B「まさか魔王を倒されるとは」

兵士C「まったくそれに比べて勇者ときたら」

兵士D「魔王を倒すことしか取り柄がないくせにな」

兵士E「まさかおめおめ王国に帰ってくることはないだろうな」

兵士「わはははは」

勇者「・・・あかん」
54621/28:2012/04/16(月) 01:04:11.11 ID:J9GmMEEf
魔王「んー?」

魔王「ここどこやー?」

賢者「お目覚めみたいね」

賢者「ここは王国よ」

賢者「ついでに言うと牢屋よ、それも結界がいくつも張られたね」

魔王「が、ガビーン!」

賢者「もうあなたはそこから出られないわ、死ぬまでね」

魔王「な、なんやて・・・!?」
54722/28:2012/04/16(月) 01:04:45.86 ID:J9GmMEEf
魔王「んなアホな話があるかい!」

魔王「ふんっ!」

魔王「・・・」

魔王「・・・あかん」

賢者「無駄な真似はしないことね」

賢者「精々死ぬまでそこで悔い改めなさい」

賢者「また後で来るわね」

魔王「アホー、一昨日来やがれー」

賢者(なんでゆーくんと同じ訛り方なんだろ)
54823/28:2012/04/16(月) 01:07:27.63 ID:J9GmMEEf
魔王「むー」

魔王「どないしよ」

魔王「それもこれもあのアホが早く現れへんからや・・・」

勇者「・・・やっと行きよったか」

魔王「ゆ、勇者!?」

魔王「こらー!」

魔王「なんで倒しに来なかったんや!」

魔王「うちはあんたやから倒されるゆうたんや!」

勇者「いや魔王として状態異常にかかるのはどうなん・・・?」カチャカチャ

魔王「お茶目や!」

勇者「アホか」カチャカチャ
54924/28:2012/04/16(月) 01:08:51.70 ID:J9GmMEEf
魔王「さっきからなにしとんの?」

勇者「結界壊しとんねん」カチャカチャ

魔王「・・・なにしとんの?」

勇者「助けたるゆうてんねん」カチャカチャ

魔王「・・・アホちゃう?」

勇者「アホちゃうわ!」

勇者「このままじゃ貧乏くじ引いただけや!」カチャカチャ

勇者「俺はなんとしても儲ける側に回ったんねん」カチャカチャ

勇者「心配せんでもお前を倒すのは俺や」

魔王「・・・バカ」
55025/28:2012/04/16(月) 01:10:59.39 ID:J9GmMEEf
勇者「よっしゃ、ほな行くで」

勇者「忍!」ドロン

パキーン

魔王「おお、やるやん忍者」

勇者「朝飯前や」

魔王「ほんまに朝飯前やな」

勇者「腹減ったわー」

賢者「朝食は食べてくの?」

魔王「あははー、そんなんしたら見つかるやんかあほやなー」

勇者「アホはお前や」

魔王「・・・?」

魔王「げげっ」

55126/28:2012/04/16(月) 01:12:24.99 ID:14uV3D0A
賢者「ゆーくん久しぶり」

勇者「久しぶりやな賢者」

賢者「今なら見なかったことにしてあげられる」

勇者「ほな頼むわ」

賢者「魔王は置いていって」

勇者「それは無理な話やな」

賢者「じゃあ見過ごせないわね」

魔王「ドキドキ」
55227/28:2012/04/16(月) 01:13:31.07 ID:14uV3D0A
勇者「お前のことはあんま傷付けたくないんや」

賢者「そう」

賢者「じゃあ私か・・・らっ!?」ゴンッ

勇者「でもどうせ傷付けるんなら早いうちに済ませとくわ」

賢者「きゅー・・・」

勇者「行こか」

魔王「あんたむっちゃ悪い奴やなー」

勇者「魔王に言われたないわ!」
55328/28:2012/04/16(月) 01:15:10.77 ID:14uV3D0A
魔王「ガオー」

チュドーン

兵士E「うわー!」

兵士C「な、なんで魔王が!?」

兵士B「て、敵襲ー! 敵襲ー!」

勇者「わはは、ざまーみさらせ!」

兵士A「だ、誰か乗ってるぞ!」

魔王「隠れてなあかんよ」

勇者「ええんや」

勇者「人影は見せとかなあかんねん」

魔王「? ガオー」

チュドーン
55429/28:2012/04/16(月) 01:15:52.31 ID:14uV3D0A
数日後

魔王「魔王を解放した謎の男、その正体やいかに!?」

魔王「やてー、賢者さんちくらへんかったんや」

勇者「やっぱな」

魔王「これからどないする?」

勇者「今考え中や」

魔王「折角勇者も魔王も休業中やし、どっか別の大陸行ってみいへん?」

勇者「そうやなー」

勇者「あ」

魔王「決まったん?」

勇者「そういや宿代!」

魔王「ケチくさ!」
555創る名無しに見る名無し:2012/04/16(月) 01:17:21.65 ID:14uV3D0A
おしまい

かっとなって書いた
反省はしている、後悔はしていない
番号は間違えた
556創る名無しに見る名無し:2012/04/16(月) 01:50:14.98 ID:YjIDPlmV
なんかごっつええあたりで脳内再生されたw
そして賢者がなんかかわいい。乙です
557創る名無しに見る名無し:2012/04/16(月) 17:02:58.68 ID:VXqkHrxR
確認だけどスレタイの「SS」てのはショートストーリーなの?
てっきりサイドストーリーだと思ってた
558創る名無しに見る名無し:2012/04/19(木) 17:01:02.34 ID:DNGnA6it
559557:2012/04/19(木) 18:35:35.67 ID:nsqOrslX
>>558
ごめんそういうことじゃない。
「SS」て言葉にショートストーリーとサイドストーリーの
2つの意味があることはわかってるんだ。
このスレッドではそれをどちらの意味で使っているのかってこと。
つまりこのスレッドは何を投下するためのものなのか確認したい。
560創る名無しに見る名無し:2012/04/19(木) 19:31:59.94 ID:Csq5hQga
>>559
>>2の説明は不十分? セリフ系なら何でもいーんでねーすか(こんな適当な答えじゃダメかなw)

いちおうこういうのもありますが・・・

二次創作総合スレ
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1282482997/

擬人化総合スレ2
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1284786920/

その前に、貴方が何をせんとしているのか?
それを伝えていただいた方が的を射た答えが出やすいのでは

ついでにいうとこういうスレも

スレを立てるまでもない質問スレin創発板2
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1280993428/

【雑談】 スレを立てるまでもない相談・雑談スレ3
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1330772489/
561557:2012/04/19(木) 20:46:14.47 ID:nsqOrslX
>>560
現在下書き中の「相生祐子の憂鬱」(「日常」のサイドストーリー)てのがあって
これをどこで投下しようかと。
SSがサイドストーリーの意味であれば問題なく投下できるが
ショートストーリーの意味であった場合、この作品は長すぎないだろうか。
(たぶん1000行以上になると思う)
個別のスレッドにかかわることは当該スレッドで質問したほうが確実だと思ったので

ちなみに擬人化でもクロスでもない
二次創作総合はあまりに過疎なので避けたい(投下経験あり)
562創る名無しに見る名無し:2012/04/19(木) 21:06:39.03 ID:A2+d3z55
反応が欲しいなら

SS速報vip
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/

SS深夜vip
http://jbbs.livedoor.jp/internet/14562/

が良いんじゃないかな
気軽にスレ立てて好きなだけ使える

完全な台本形式二次創作のウケはここじゃ良くないみたいだし
563創る名無しに見る名無し:2012/04/19(木) 21:08:57.92 ID:Csq5hQga
セリフ系ならここでいいんじゃないかな
あまりに長くて1000レス行きそうなら別だけど
ちなみに多少は地の文あってもいいみたい(そこまで厳密じゃない)

ていうか
>あまりに過疎なので避けたい

ちょwww それ言ったらこの板自体が(ry www
反応欲しければVIPおすすめ。いや出てけっていう意味でなくマジに
あとはSS速報? よう知らんけど

お気に召さないかもだけど、いちおうこういうスレもあります(創発コンシェルかw)

【評価】創作物の批評依頼所【批判】
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1288012319/

【mitemiteだし】感想を付けてもらうスレ 2
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1288013140/

【褒めて】優しい感想を付けて貰うスレ【伸びるよ】
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1281197722/
564創る名無しに見る名無し:2012/04/19(木) 21:25:02.68 ID:a2Ep8ALw
2ちゃんだとサイドストーリーをSSとは略さないんじゃね?混同するし

>あまりに過疎なので避けたい


               _,.-‐一――――‐--、_
             ,.‐''"              `゙''‐、
           /                    \
          /´      ,,,,xwiiiiiillll|||||||lllllliiiiiwx,,,   `、
         /      /iiiilllllllllllllllll||||||||||||lllllllllllliiiii   ', 
        ,'      /llllllllll!!!''''""~~~~~~~~~~~~~~~~\.  ',
        i      // |!!''"~/ ヽ      ! i ヽ  ヽ  |
       .|     〃 | | / ‖ .ll ヽ    .l l  }lヾヽヽ |
       |     !   | ‖ / ! /  ヽ  ../ ,,,,;;::'''''ヽ \ノ |
       i     !    / ,,,,!/::::::::::::: \/    __  ! |  |    過疎を耐え抜く精神力がある人でないと
       |     ゝ |/ .| "   __ ::::   '"ゞ'-' .| |  |    (創発板を使うのは)難しい
       |      ! .|. |  - '"-ゞ'-' ::::::..      | |  |
       |      ∨ .|         ...:::::::     .| |  |
       |      ::::|. |        ( ,-、 ,:‐、   | |  |
       |     :::::::.| |                 | /::::. |
       |    :::::::::::| |        __,-'ニニニヽ.  |/::::.  |
..       |   ::::::::::::::::| |ヽ        ヾニ二ン" /::::::::..  |
       |  :::::::::::::::::::::::ヽ\             /::::::::::... │
       |  :::::::::::::::::::::::::l  `ー-::、_       ,,..'|ヽ:::::::::....  |
       |  :::::::::::::::::::::::人      `ー――'''''  / ヽ::::....  |
       |; :;:;:;;:;:;::::_/  `ー-、          ,.-'"  \ー-、
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    ,,..-‐'''""        ヾ    ,.-''"|    /――――、/
565557:2012/04/19(木) 22:43:41.04 ID:merhjQ3Q
確かに創発板は過疎だけど
創発板でも普通は投下完了から二週間も経てば何かしらの反応はあるでしょ。
二週間経って完全無反応は創発板の中でも特に過疎だと思う
566創る名無しに見る名無し:2012/04/19(木) 22:46:06.32 ID:a2Ep8ALw
そら投下終了後にあんな事言うのがわるいやん
567創る名無しに見る名無し:2012/04/19(木) 22:56:23.47 ID:Csq5hQga
自分でも投下したこと忘れた頃についてるレスを発見するのが楽しいのにww

>>562で提示されてるのに、何故ここでの反応にこだわる? 
568557:2012/04/19(木) 23:19:39.08 ID:merhjQ3Q
VIPのレベルの反応だと
なんか催促されてる気がしてプレッシャーになりそう
このスレッドくらいが丁度いい
元々自分は2日に一回位しか閲覧しないので
569557:2012/04/19(木) 23:22:10.28 ID:merhjQ3Q
VIPのレベルの反応だと
なんか催促されてる気がしてプレッシャーになりそう
このスレッドくらいが丁度いい
元々自分は2日に一回位しか閲覧しないので
570創る名無しに見る名無し:2012/04/19(木) 23:25:57.08 ID:A2+d3z55
猿もないし>>562のどっちかでスレ立てて一気に投下しちゃえば反応貰えて一石二鳥じゃない?

ここの過疎が気に入ったのに感想が絶対貰えないと嫌だっていうのはちょっとおかしい気がしなくもない
571557:2012/04/20(金) 06:54:34.02 ID:eGgJ/zGQ
一回質問して一時間以内に3レス付くようなら
俺にとっては全然過疎じゃないと思う
572557:2012/04/20(金) 08:17:02.03 ID:eGgJ/zGQ
連投失礼
俺は別に反応が欲しいわけじゃないんだ
読んで欲しいだけだ

元々ある程度の反応のあるスレッドで無反応なら
それは作品が面白くないってことで納得できる
でも反応の全くないスレッドで無反応は
読んでる人がいないってことだと思う

あとクッキー使えないのが痛い
一応は使える設定になってはいるが
ウィルスバスターを入れてるので
月1で自動消去される
それを超えるほどの投下能力は俺には無い
573創る名無しに見る名無し:2012/04/20(金) 08:35:38.54 ID:hiQLw5IQ
今反応してるのは質問が来て答えてるからであってさぁ
このスレだってそこまで人いるスレではないし
前でも言われてるけどこの板は版権物二次創作はあまり流行ってないから
その元ネタの作品知らないと反応できない事が多々
574557:2012/04/20(金) 08:47:17.37 ID:eGgJ/zGQ
ごめん・・・やっぱりそうなんだよね。
なんか錯覚してたみたい
改めて見返すとこれまでの作品もそんなにレス付いてなかった

でもクッキー使えないからVIPは無理だと思う
だからこの板で投下させて
無反応でもいいから
575557:2012/04/20(金) 18:14:31.45 ID:yupko1o+
どうやら根本的に勘違いしてたみたい
SS速報vip(http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/ )は
そもそも2chのサイトではないことに今気づいた
さっきは携帯だったからページが表示できなかったんだ

2chでないならcookieとか忍法帖とか一切関係ないから
問題なく投下できるわけだ
あと投下のテンポも思ったほど早くなかったし

やっぱりSS速報vipで投下することにしよう
投下専用スレでこんな駄論してすまなかった
576創る名無しに見る名無し:2012/05/22(火) 19:30:23.64 ID:zpFq4f7X
a
577創る名無しに見る名無し:2012/06/10(日) 20:55:54.99 ID:JE74m1sR
二ヶ月前、他スレに冒頭部分を投下したことがあるのだが、ここに全文書き込んでみる。
@マルチポスト A長すぎる! という事だったら、どうかご容赦を。

   地獄百景
      芥川龍之介+埴谷雄高風に

 或る日の事でございます。御釈迦様は …違った …閻魔様は、二匹の鬼を供に連れて血の池地獄の淵を、
せかせかと通り過ぎようとしていらっしゃいました。
「やい、てめえら。モタモタしてんじゃねえ。さっさと歩かねえかい。」
《は?》
「だからよ。とっとと歩けってんだよ。このノロマの唐変木の木偶の坊の新入りめ。」
《ひ?》《ふ?》《へ?》
「なにハモってんだよ。トンチキめ、テンテンテレツクテンツクめ。それに、(ほ)はどうした?」
「ドンツクめ、ドンドンドロツクドンツクめ。(ほ)は風待ちです。」
「チャンシチリン、チヤンチャンシチリンチャンシチリン。得手に帆揚げて一目散髄徳寺と行きたいとこだけど、
ここは地獄のどんづまり。」
「ほー、合わせるじゃねえか。さてはおめえらお笑いだな?」
「漫画家でーす」
「漫画描きでゴザイマス。お客様は神様、お釈迦様は仏様でゴザイマス。」
「出来損ないの三波春夫みたいなこと言ってんじゃねえよ。あ、三匹のほうか、一匹足んねえけど。
それに釈迦だの仏だの平気で口にするとは、場所柄を弁えろってんだよ。分かったか、あーん? 
おめえたちの名めえはなんてえの?」
「山根赤鬼でーす。」
「山根青鬼でゴザイマス。」
「またかよ。ピーヨコちゃんだって三回が限度なんだぞ。ましておめえたちだ、それ以上は野暮ってもんだぜ。」
「しかし、青鬼よ。」
「なんだ、赤鬼よ。」
「べらんめえの閻魔様って違和感あるなあ。」
「全く以って、激しく同意。」
「なんだと、今なんて言ったんだ、このやろう。」
「あれ、聞こえちゃいました?」
「地獄耳だ。」
「あのー、馬鹿な質問だと怒らないでください。操縦できるんですか、機長? …じゃなかった、あなたはほんとに閻魔様ですか?」
「操縦? できないよ、全然、と言いつつここで思いっきり急ブレーキをかける、って乗せるんじゃねえ。おや、するってえと何か、
てめえら俺にアヤつけるために、わざわざこの地獄くんだりまでやって来たってえ訳かい? 上等じゃねえか。」
と言いながら、閻魔様はまた忙しなく歩きだしたのでございます。二匹の鬼も後に続きます。
「ひいふうみい …、ひいふうみい …。」
「楽しそうに針の山で針の数勘定してるのがいますけど、あれは誰ですか。」
「山根一二三だ。おめえらのダチだろうが。」
「あっちで笑いながらサボテンに抱きついてるのは?」
「馬場のぼるだよ。」
「うわっ、甘ったるい匂いがしてきましたね。」
「アップルジャムの池だからな。」
「池んなかで、体中ベタベタになって転がり回ってる阿呆がいますよ。」
「杉浦茂だ。奴は娑婆にいた頃からぶっ飛んでただろ。」
「向うで、竹刀と十手で立ち回りしてるおやじ二人はなんですか。いい年してみっともない。」
「しょうがねえ。赤胴つけて竹刀振り回してるのが武内つなよしで、朱房の十手がうしおそうじだ。」
「両手を横に突きだしてブーンて言いながら飛び回ってる奴は、あれは蜂のつもりなんでしょうかね。」
「胸に〈隼〉のロゴ入ったTシャツの野郎だろ、わちさんぺいだな。」
「柔道着着たイガグリ頭のおっさんがいますね。」
「福井英一だってばよ。」
「イガグリがベレー帽にメガネの弱そうな男を『へっぽこ藪医者』って言いながら投げ飛ばしましたよ。」
「投げられたのは、手塚治虫だっちゅうの。」
578創る名無しに見る名無し:2012/06/10(日) 21:00:47.47 ID:JE74m1sR
「どうしてこんなに漫画家がいるんですか?」
「そこよ。娑婆の奴ら、漫画家なんて子供のためにならねえ役立たずの厄介者だってんで、みんなまとめて送り込んできやがって、
まったくどうしようもねえ。」
「えっ、地獄送りを決めるのは閻魔様じゃないんですか?」
「地獄の沙汰も娑婆の評判次第ってことよ。とは言うものの俺も漫画家どもにゃ弱ってんだよ。あいつら地獄の風紀を乱しっぱなしだからな。」
「そりゃまたどうしてですか?」
「どうしてって、今見たばっかりだろ。どいつもこいつも地獄を楽しんじゃってんだもんよ。俺の立場がねえじゃねえか。」
「はあ、そういうもんですか。」
「そういうもんだよ。なんせここんとこ不景気でな。めっきり地獄に来る奴が減っちまって。こんな奴らでも入れねえことには、
こちとらの商売あがったりだからな。はぁああ、頭が痛えよ。」
「商売って …、なにか手を打たなかったんですか?」
「やったさ。」
「どんな手を?」
「いやな。亡者候補が減った一番の原因ってのを付きとめたら、信濃の善光寺だってことが分かったのよ。血脈の印の功徳なんてのを売りものに、
布施をふんだくって金出した奴みんな極楽へ、ということらしい。まったくふてえ坊主どもだ。が、と分かりゃあ話は早いや。細工は流々ってな。」
「どうしたんですか?」
「あっは、知れたことよ。泥棒を送り込んでその血脈の印とやらをガメちまおうって寸法だ。なんせここは地獄だからな。盗っ人の人材にゃ事欠かねえさ。」
「なるほど、さすが閻魔様。」
「おだてるねい。で、泥的の人選に入ったと思いねえ。」
「へえ、思いました。」
「さあ、そこで困った。」
「なんでです?」
「悪党が多すぎるんだよ。誰にしていいか迷う迷う。いずれがあやめか杜若、違うか。どいつも兄たり難く弟たり難し。」
「それもなんか違うと思いますけど。」
「まあ、こまけえことはいいんだよ。こうやって指折ってみるとな、日本駄右衛門、弁天小僧菊之助、忠信利平、赤星十三、南郷力丸。」
「まんま、白浪五人男じゃあーりませんか。」
「袴垂保輔、熊坂長範なんてのもいるし、鼠小僧次郎吉も捨てたもんじゃねえし。」
「ずいぶん時代があっちこっちしますね。」
「そん時にな、花道をつつつーと滑り出てきた奴がいてよ。」
「花道!」
「そいつが言うんだ。『元締めお待ちなせえ。』ってな。」
「元締め!」
「おめえは京唄子か。いちいち煩えな。」
579創る名無しに見る名無し:2012/06/10(日) 21:05:16.34 ID:JE74m1sR
「分かった。白井権八ですね。」
「おう、こっちのおめえは話が分かるな。ところがどっこいザァーンネンでした。ぴよぴよ大学。」
「誰だったんですか?」
「そいつが、『肝心なのを一人忘れてやぁいませんか。』ときたもんだ。」
「森の石松だ。」
「いけそうな奴だと思ったのにがっかりさせやがる。なんで石松なんだよ。話の流れ的にありえねえだろ。」
「だってその科白は …。」
「人の話は最後まで聞けってんだよ。慌てるこ○きは貰いが少ねえぞ。」
「閻魔様が伏字?」
「そりゃ、おめえ、ポリティカル・コレクトネスだあな。めったなことは言えねえよ。」
「ああいう言葉狩りの奴らこそ地獄送りだと思うんですけどねえ。」
「おめえ度胸あんなあ、気に入ったぜ。ところでと、どこまで話したっけ。そうだ、そいつが『寺が舞台ならあっしにお任せを。』
で、俺が『ぶふい! そういうおめえは忘れようとして思い出せねえ石川の五右衛門じゃねえか。こいつはドンピシャだ。』即決まりよ。」
「お頭、それで事の首尾は?」
「しーっ、鯉が高い …、って違うだろうが。そりゃ、大成功さ。なんたって超A級のプロだからな。」
「ゴルゴ13みたいですね。」
「うん、奴も早くここへ来ねえかな。楽しみにしてるんだ。」
「やっぱりあいつは地獄ですかね。」
「あたりき、しゃりき、車引き。あんだけ人を殺めておいて地獄以外のどこに居場所があるってんだ。 …待てよ。」
「なんです?」
「奴は金持ってるかんなあ。下手すりゃ善光寺まるごと買い込んじまうかもしれねえな。」
「そうそう、善光寺。五右衛門派遣の顛末はどうなりました?」
「それがな、情ねえことに …、 俺としたことが、ああ畜生 …。」
「ど、どうしちゃったんですか閻魔様?」
「あれを盗ったまでは良かったんだがな。そのまますんなり戻って来りゃあいいものを、野郎、そこで芝居っ気出しゃあがって、
『まんまと偸みとったる血脈の印、やれありがてえかっちけねえ。』ってんで見得切って戴ちまったもんだから堪らねえやな。
そのまますーっと極楽へ行っちまったのよ。」
「それはそれは、なんともはや、べけんやでげすな。」
「五右衛門、寺、舞台、こんだけキーワード揃ってて、あの展開が読めねえとは、俺も焼きが回ったもんだとガックリきちまってよ。」
「でも、そもそも花道から登場でしたよね。」
「おめえ、上役に嫌われるタイプだっただろ?」
580創る名無しに見る名無し:2012/06/10(日) 21:10:04.56 ID:JE74m1sR
そこへ、古株の鬼が数匹息せき切って駆けつけて参りました。
「親分、て、てえへんだ。」
「なにがどうした、だっふんだ。」
「また毛唐組がうちのシマ荒してますぜ。」
「こんどこそ勘弁ならねえ。」
「喧嘩〔でいり〕仕度は出来てやす。」
閻魔様は鬼達が口々に喚き立てるのを制しながら、徐に傍らの電話機から受話器を採り上げたのでございます。
「おう、東の地獄のもんだが、おめえんとこのサタンはいるかい? なに、出張中だと。おめえは誰だ? 代貸しのダンテだって? 
あの口の達者な野郎か。格下だがしょうがねえ、そんじゃ言っとくがな、おめえんとこの三下がうちのシマでちょろちょろしてやがるようだ。
この前の約定違反だぜ。さっさと引き上げさせな。この件はおめえが挨拶に出向いてきたらチャラにしてやる。サタンまで来いとは言わねえ。
それほどの事じゃねえしな。ただ、仔細はきっちり伝えとけよ。分かったな? じゃ、切るぜ。」
「閻魔様、カッコイイ!」
「むふふ、それほどでもねえけどよ。」
〔その電話は何ですか?」
「東と西の地獄を繋ぐホットラインだ。」
「こんな事しょっちゅうあるんですかね?」
「昔はそりゃあ酷いもんだった。だからこのホットラインを設置したんだ。つまらねえ小競り合いが大事にならねえようにってな。」
「へー、魂消た、高下駄、日和下駄。」
「地獄もこれでなかなかどうして、ちったあ進歩してるんだぜ。」
「恐れ入谷の鬼子母神。約定っていうのはどんなものなんでしょう?」
「ま、言ってみりゃあ停戦協定だな。けどよ、あいつら腹の底じゃそんなもの守る気なんかねえよ。」
「どうして分かるんです?」
「こないだちょいと派手に揉めた時によ。中立地帯で停戦交渉してる時の話だ。奴らが、権利がどうのこうの平等が滑ったの機会均等が転んだの
なんてほざきやがるから、俺は言ってやったのよ。『おめえさんたち、ちっと了見違いをしてやしねえかい。土地々々の流儀ってもんが
あるだろう。お互いに地獄者の仁義は守ろうじゃねえか。』ってな。」
「ヒヤヒヤ。」
「よっ、大統領っ。」
「馬鹿野郎。俺は大王だ、大統領じゃねえ。ま、そんなこたぁどうでも井伊家の赤備え。なっ、おめえたちもそう思うだろう? 
ところがだ、あん畜生どもの返答がいいや。なんて抜かしがったと思う? 『グローバルスタンダード』だとよ、くそったれめ。」
「そいつを錦の御旗に、いずれは天下布武という魂胆は丸見えですね。」
「だろ? もっとも協定約定なんてものは所詮そんなものさ。しかしだからこそってえか、そいつが有効なうちは守らなくちゃならねえ。
破った時のペナルティを定めてるのはそのためなんだしよ。以上、地獄大学法学部国際法講義終り。ここ、試験に出るからな。」
「えー、試験があるんですか?」
「当たり前田のクラッカー。お楽しみはこれからだ。呵々。」
鬼たちもどっと笑い声を上げたのでございます。
こうして今日も稚気に満ち、痴気に溢れた地獄の一日が終ろうとしているのでございましょう。
581創る名無しに見る名無し:2012/06/11(月) 15:14:19.49 ID:RiMWM/8D
退屈すぎ
つまんねえから死ねよ
582創る名無しに見る名無し:2012/06/13(水) 21:22:39.63 ID:9xp62Kxf
ほう
583創る名無しに見る名無し:2012/06/28(木) 02:43:20.19 ID:LG/2AXs8
ほけきょ
584創る名無しに見る名無し:2012/07/04(水) 17:35:00.90 ID:pD0Lfnb1
けきょけきょ
585使い回しですが:2012/07/11(水) 23:30:37.64 ID:2PT9rI9D
【博士と助手】


助手「ハカセ、生活費が足りません」

博士「むむ、そうか」

助手「このままだと来週には食糧が底をつきます」

助手「せっかく色々な発明品作ってるんだから、売れるものがあるはずです」

博士「むむむ、しかし最近は作ってないよ」

助手「昔のやつ!! 引っ張り出してくださいよ」

586創る名無しに見る名無し:2012/07/11(水) 23:37:20.29 ID:2PT9rI9D
博士「じゃ、じゃあこれなんかどうじゃ」

助手「はあ」

博士「ジャカジャン!!」

助手「そのテンションいらない」

博士「手乗り犬!!」

手乗り犬「きゅーん」

助手「わーお、可愛い!!」

博士「あ、でもこれはダメ、可愛いから売れない」

助手「飼ってもいいわよ!!」

587創る名無しに見る名無し:2012/07/11(水) 23:43:30.49 ID:2PT9rI9D
助手「ハカセ、生活費がさらに苦しく」

博士「むむむ、では次じゃ」

助手「ジャカジャンはいりませんよ」

博士「ジャ……っ」

博士「勝手にお掃除ロボ!!」

助手「おお、実用的じゃないですか」

博士「スイッチを入れると勝手にお掃除をしてくれます」カチッ

お掃除ロボ「……」ウイーン

助手「早速ゴミ袋を片付け始めましたよ」

博士「ハエもたかってたしね、最近ね」

588創る名無しに見る名無し:2012/07/11(水) 23:48:38.20 ID:2PT9rI9D
お掃除ロボ「……」ウイーン

助手「次はハカセの部屋に向かいましたよ」

博士「言い忘れていたが、ロボは自動的に汚いところを察知するんじゃ」

博士「最も汚いところを優先的に」

助手「つまりハカセの部屋がこの研究所で一番汚いと」

博士「そういうことになるのう」

助手「……」

お掃除ロボ「……」ウイーン

589創る名無しに見る名無し:2012/07/11(水) 23:53:27.49 ID:2PT9rI9D
お掃除ロボ「……」ウイーン

助手「ベッドの下に向かいましたね」

博士「ああ!! ダメ!! そこはダメ!!」

助手「なんですか、まさかいい歳してベッドの下にエロ本とか隠してあるんですか」

お掃除ロボ「……」ウイーン

博士「ダメ!! その本だけは!!」

助手「この研究所で最も汚い本なんですね」

お掃除ロボ「……」ウイーン

シュボボボボ

博士「燃やされたー!!」

助手「無慈悲ですねえ」

博士「明日からワシどうしたらいいの!!」

590創る名無しに見る名無し:2012/07/11(水) 23:58:43.52 ID:2PT9rI9D
助手「危なっかしいですね、あれは、売れませんね」

博士「ワシの秘蔵本が……」

助手「元気出してください」

博士「じゃあ君が本の代わ……」

ドゲシッ

助手「いいことありますって」

博士「け、蹴りに対するコメントが一言もない……だと……」

591創る名無しに見る名無し:2012/07/12(木) 00:05:17.80 ID:sGMXopEm
―――後日―――

博士「パ、パソコンの中身まで掃除されてる!!」

助手「良かったじゃないですか」

博士「助手君の恥ずかしい写真フォルダとか!!」

ドゲシッ

博士「人妻の18禁サイトのアドレスとか!!」

助手「な、効いていない……」

博士「ち、ちくしょおおおおおお」

助手「ハカセの発明品じゃないですか」

博士「あ、あれ、『ウイルスを消去しました』だって」

助手「いいことありましたね」


【博士と助手】おわり

592創る名無しに見る名無し:2012/07/12(木) 00:11:36.54 ID:uN881YNB
>>585
乙です!
4コマ漫画的ほのぼのだなあw
593創る名無しに見る名無し:2012/07/12(木) 21:28:46.14 ID:OcFFdEHY
ども
とりあえずストックぽつぽつ投下しときます
594創る名無しに見る名無し:2012/07/12(木) 21:33:57.70 ID:OcFFdEHY
【博士と助手 2】


博士「じめじめするのう」

助手「梅雨ですからね」

博士「じゃあ今日のテーマは梅雨じゃ」

助手「テーマってなんですか」

博士「じめじめすると食欲もなくなる、そこで!!」

博士「ジャカジャン!! カタツムリ調理機!!」

助手「うわあ……」

博士「これを使えば食費も抑えられます」

595創る名無しに見る名無し:2012/07/12(木) 21:39:38.02 ID:OcFFdEHY
助手「ハカセが先に食べてくださいね」

博士「むう、冷たいな」

モグモグ

助手「どうですか」

博士「じゃりじゃりする」

助手「殻は取れ!!」

596創る名無しに見る名無し:2012/07/12(木) 21:45:06.78 ID:OcFFdEHY
博士「カタツムリは高級食材と聞いたが」

助手「日本の野生はダメでしょ」

博士「食べる??」

助手「いりません」

博士「ちぇ……」

助手「使えませんね」

博士「なんの、まだまだ!!」

博士「ジャカジャン!! 第二弾!! ナメクジ調理機!!」

助手「懲りろ!!」

博士「ナメクジなら殻もないよ」

助手「そういう問題じゃありません!!」

597創る名無しに見る名無し:2012/07/12(木) 21:50:52.38 ID:OcFFdEHY
博士「……」ニュルニュル

助手「食べるんだ……」

博士「じゃりじゃりしない」

助手「そういうのはもういいですから、問題は味ですよ」

博士「結構いけるよ」

助手「マジですか」

博士「これで食費はしばらく安泰だね!!」

助手「え、梅雨の間ずっとこれ食べるの……??」

598創る名無しに見る名無し:2012/07/12(木) 22:01:42.57 ID:UGVKpnL4
なごむ
599創る名無しに見る名無し:2012/07/12(木) 22:04:47.27 ID:OcFFdEHY
博士「梅雨といえば、紫陽花だね」

助手「ええ」

博士「綺麗だよねえ……紫色でさ……」

助手「そうですね」

博士「……」

助手「……」

博士「で、どうかな、カタツムリ調理機売れないかな」

助手「え、紫陽花は!?」

博士「好きだよ」

助手「そういうことじゃなくて!!」

600創る名無しに見る名無し:2012/07/12(木) 22:10:59.12 ID:OcFFdEHY
博士「じめじめすると寝苦しい!! そんなときに!!」

助手「ジャカジャン!!」

博士「ジャ……っ、ちょっと!!」

助手「なんですか」

博士「台詞とらないでよ」

助手「いいから」

博士「安眠マスク!!」

助手「マスク??」

博士「こう……目につけます」

助手「アイマスクとどう違うんですか」

博士「なんかこう……デザイン??」

601創る名無しに見る名無し:2012/07/12(木) 22:19:24.75 ID:OcFFdEHY
助手「……」

博士「おお……ひんやり……する……ような……」

助手「曖昧なんですか」

博士「おやすみ」

助手「おやすみなさい」

博士「……」

助手「……」

博士「ダメだやっぱ暑い」ベシッ

助手「白衣着て寝るからですよ」

602創る名無しに見る名無し:2012/07/12(木) 22:31:48.49 ID:OcFFdEHY
博士「ええい!! 最終兵器!!」

助手「ここまでロクなの出てませんけどね」

博士「ジャカナ……っ」

助手「噛みましたね」

博士「わーお!! 季節変換マシーン!!」

助手「はい??」

博士「これを使えば、季節を進められるよ!!」

助手「え……それってすごいんじゃ」

博士「そーれ」カチッ

むわっ

助手「……」

博士「……」

 『あっつ!!』


【博士と助手 2】おわり

603創る名無しに見る名無し:2012/07/13(金) 21:46:14.16 ID:KoCzFuki
【博士と助手 3】

博士「いやー最近さー発明品売るためにはネーミングも大事って気付いたんだよねー」

助手「なんなんですか、そのエセ若者口調は」

博士「やっぱりー時代のー先端をーみたいな??」

助手「周回遅れ感が半端ないですね」

博士「という訳でえー今日の発明品はこちら!!」

助手「テレフォンショッピングみたいなノリやめてください」

博士「パッパラー!! ホンネデール!!」

助手「効果音が変わった!?」

助手「ていうかネーミング微妙!!」

博士「ウエエーイ」ドンドコドンドコ

助手「ハカセ、突っ込みきれません!!」

604創る名無しに見る名無し:2012/07/13(金) 22:01:39.90 ID:KoCzFuki
助手「で、これはなんなんですか」

助手「なんか光線銃みたいな形ですが」

博士「このビームに当たった者は、本音が出るという……」

助手「なんだ、そういう意味なんですか」

博士「ん??」

助手「私はてっきりホネが飛び出る破壊光線でも発射されるのかと」

博士「怖いこと言うね君」

助手「それなら喜んで引き金を引くんですけど」

博士「え?? あれ?? ワシのホネが見たいの??」ブルブル

605創る名無しに見る名無し:2012/07/13(金) 22:09:35.00 ID:KoCzFuki
助手「とりあえず試してみましょう」

ビビビ

博士「……」

助手「どうですか」

博士「あー助手君の乳首が見たいなあー」

ドゲシッ

助手「ちょ、それが博士の本音ですか!! ここ辞めさせてもらいますよ!!」

博士「『おっぱい』と言わないとこにこだわりを感じ取ってほしいなあー」

助手「そんなクソみたいなこだわりは捨ててください!!」

博士「クソって君……そんな言葉遣い……」

助手「ハカセに言われたくありません!!」

606創る名無しに見る名無し:2012/07/13(金) 22:36:56.55 ID:KoCzFuki
博士「助手君の本音も聞きたいなー」

ビビビ

助手「っちょ!!」

博士「ふっふっふ……」

助手「……」

博士「む、口を開かないつもりかな」

助手「……」

博士「助手君の最近の悩みはなに??」

助手「べ、便秘です」

博士「ほうほう」

助手「いやー!! なに言わせてるんですか!!」

607創る名無しに見る名無し:2012/07/13(金) 22:44:48.55 ID:KoCzFuki
博士「そんなあなたに!! ペッペケペー!!」

助手「また効果音が変わった!?」

博士「ツライ便秘もすっきり!! ホントデール!!」

助手「ネーミングかぶってますよ!!」

博士「ほら、これ飲んですっきり出しといで」

助手「は、はあ」

ゴクン

608創る名無しに見る名無し:2012/07/13(金) 22:57:33.95 ID:KoCzFuki
ジャー

ガチャ

博士「で、どうだった??」

助手「た、大漁でしたよ」

博士「具体的には??」

助手「あ、アトミック砲、みたいな……」

博士「ほうほう」ニヤニヤ

助手「いやー!! もういや!!」

博士「うむうむ、助手君がすっきりしているのを見ると気分がいいよ」

助手「私は嬉しさと恥ずかしさでもどかしいです」

609創る名無しに見る名無し:2012/07/13(金) 23:03:37.26 ID:KoCzFuki
助手「ハカセひどいですよねー」ナデナデ

手乗り犬「きゅーん」

博士「ああ、助手君が現実逃避を始めてしまった」

助手「手乗り犬可愛いなあー」ナデナデ

手乗り犬「くんくん」

博士「そ、そんなロボット犬より、ワシのほうが……」

助手「ワシの方が……なんですか??」

博士「か、かわっ……」

博士「役にた……っ」

博士「ダメじゃ、嘘は言えん」

助手「嘘っていう自覚あるんですか」

610創る名無しに見る名無し:2012/07/13(金) 23:11:34.49 ID:KoCzFuki
助手「ていうか、ホントデールってただの便秘薬じゃないですか」

助手「発明品って言うほどでもないですね」フン

博士「むむ、言ってくれるね」

博士「次はこれ!! オッペケペー!!」

助手「もう突っ込みませんからね」

博士「モギトレール!!」

助手「な、なにが、なにがもぎ取れるというんですか!?」

611創る名無しに見る名無し:2012/07/13(金) 23:20:45.47 ID:KoCzFuki
博士「これを飲むと、その人の最も『不要な部分』がもぎ取れるらしい……」

助手「伝承なんですか!? 不確定なんですか!?」

博士「どうかね、飲んでみるかね」

助手「怖すぎますよ!! どこがもぎ取れるかわからないとか!!」

博士「もぎ取れるほどの容量はなさそ」

ドゲシッ

博士「ど、どこがとは言ってないのに……」

助手「言わなくてもわかりますよ!!」

博士「おっぱ」

ドゲシッ

612創る名無しに見る名無し:2012/07/13(金) 23:25:36.01 ID:KoCzFuki
助手「これは危険すぎます!! お蔵入りです!!」

博士「ううむ、仕方ない、最終兵器じゃ」

助手「今回もロクなものが出てませんが……」

博士「ジャカジャン!! ジバクスール!!」

助手「また効果音が戻った!! なんか懐かしい!!」

助手「って、え?? ちょ、自爆??」

博士「このビームを浴びたものは問答無用で自爆するのじゃ」

助手「怖い怖い怖い!! なに作ってんですか!!」

博士「ふっふっふ、誰を自爆させようかなー」

助手「これさっき言ってた破壊光線よりも危険ですよね!?」

博士「ん??」

助手「こっち向けるな!!」

613創る名無しに見る名無し:2012/07/13(金) 23:30:58.05 ID:KoCzFuki
博士「そーれ」

ビビビ

助手「ぎゃー!! ちょっと!! 少しぐらいためらってくださいよ!!」ビリビリビリ

博士「……」

助手「……」

博士「あれ、そうか、自爆機能がある人にしか効かないんじゃった」

助手「そんな人類いるんですか!?」

博士「なんじゃ、残念」

助手「心臓止まるかと思いましたよ、もう」

614創る名無しに見る名無し:2012/07/13(金) 23:36:52.71 ID:KoCzFuki
博士「ちぇー」

ビビビ

助手「ちょっと、振り回さないでください」

博士「うひょー」

ビビビ

手乗り犬「きゅーん!!」ビリビリビリ

助手「あ、手乗り犬が!!」

ピピピピピピピピピピ

ズガーン!!!!!!!!!

博士「……」

助手「……」

 『て、手乗り犬ぅー!!』


【博士と助手 3】おわり

615創る名無しに見る名無し:2012/07/13(金) 23:40:19.67 ID:mMoO7utL
手乗り犬…いい奴だった…
616創る名無しに見る名無し:2012/07/14(土) 23:47:15.54 ID:d3MiqfGV
これおもろいわw
乙です!
617創る名無しに見る名無し:2012/07/15(日) 18:39:11.06 ID:4pCIzbY9
【博士と助手 4】


博士「正月は餅がおいしいよね」

助手「ええ」

助手「……季節感ゼロですね」

博士「そういうことは気にするな」

助手「まあ、いいですけど」

博士「あけおめー」

助手「うわあ、やりづらい」

618創る名無しに見る名無し:2012/07/15(日) 18:50:35.56 ID:4pCIzbY9
博士「助手君は餅にはなにをつける派??」

助手「私はきなこですね、王道ですね」

博士「ふふん、甘いな」

助手「む、ハカセこそどうなんですか」

博士「ワシはあれじゃよ、バター醤油と海苔じゃよ」

助手「砂糖は??」

博士「ナシじゃ」

助手「珍しいですね」

博士「ふふん」

助手「糖尿病ですか??」

博士「違う!!」

619創る名無しに見る名無し:2012/07/15(日) 19:03:24.54 ID:4pCIzbY9
助手「でもお餅を喉に詰めて亡くなる人が毎年いますよねえ」

博士「うむ、特に老人にな」

助手「ハカセ、大丈夫ですか??」

博士「ちょ、ワシまだ若いよ!!」

助手「ワシとか言ってたら老人にしか見えませんって」

博士「髪の毛も……まだあるし……」

助手「フサフサとは言わないんですね」

博士「嘘はイカンからの」

620創る名無しに見る名無し:2012/07/15(日) 19:11:18.36 ID:4pCIzbY9
助手「そういうときの発明品はないんですか」

博士「もちろんあるぞ」

博士「あ、餅だけに」

助手「ああ、いらない一言が……」

博士「ジャカジャン!!」

助手「あ、新年でもその効果音なんですね」

博士「餅取り機!!」

助手「響きがトリモチみたいですね」

博士「今どきの若い人はトリモチだなんて言ってもわからんぞ」

助手「や、やだなあハカセ、私もまだ若いですってば!!」

621創る名無しに見る名無し:2012/07/15(日) 19:31:22.76 ID:4pCIzbY9
博士「餅を喉に詰まらせた人がいれば、これでガッポガッポと……」

助手「吸い出すと」

博士「うむ」

助手「……」

助手「あれ?? 発明品は??」

博士「これじゃが」

助手「これ、ホームセンターで似たようなのを見ましたが」

博士「そ、そう」

助手「……」

博士「すまん、本当は既製品を買ってきました」

助手「ていうかこれ、本来便器用ですよね」

622創る名無しに見る名無し:2012/07/15(日) 19:39:25.91 ID:4pCIzbY9
助手「まあ、スランプくらいありますって」

博士「ううむ」

助手「お正月くらい気楽にいきましょう」

博士「そ、そうじゃな」

助手「いただきまーす」

博士「うむ、旨そうじゃ」

モチャモチャ

助手「ぱふっ」

博士「はっはっは、きなこを食べてると、時々そうなるのう」

助手「ゴホゴホ」

博士「大丈夫??」

助手「え、ええ、ちょっと急に食べすぎました」

623創る名無しに見る名無し:2012/07/15(日) 19:48:02.14 ID:4pCIzbY9
博士「まったく……」

モチャモチャ

助手「うーん、美味しい♪」

博士「んぐっ」

助手「もう一個食べちゃお♪」

博士「んん、んぐぐ、ぐぐ」

助手「うひー、太っちゃう♪」

博士「む、む、むぐぐ……」

助手「あれ、ハカセ、どうしたんですか??」

博士「んぐんぐぐぐ」

624創る名無しに見る名無し:2012/07/15(日) 19:55:16.01 ID:4pCIzbY9
助手「のどぼとけを??」

博士「ぬぐぬぐうう」ペチペチ

助手「叩いたら??」

博士「んぐんぐうう」バタバタ

助手「世界が変わった??」

助手「なに言ってんですか、ハカセ」

博士「んんんんんんんんん!!」

助手「冗談ですよ」

ガッポガッポ

博士「ぶはぁっ」

助手「早速役立ちましたね、餅取り機」

625創る名無しに見る名無し:2012/07/15(日) 20:16:28.96 ID:4pCIzbY9
博士「助手君、ちょっと、焦らしすぎ……」ゼエゼエ

助手「すみません」

助手「ちなみにこれ、新品ですか??」

博士「ん?? ああ」

助手「そうですか」

博士「え、なに?? 便器に使ったあとでした、みたいなオチ??」

助手「いや、そのオチは今ハカセが否定したじゃないですか」

博士「あ、ああ、そうか、そうだな」

626創る名無しに見る名無し:2012/07/15(日) 20:26:02.41 ID:4pCIzbY9
助手「ま、いいや、ハカセももう一個食べます??」

博士「ん、ワシはもういいかな」

助手「また詰まったら、困りますもんね」

博士「うむ」

博士「しかし、助手君よく食べるね」

助手「えっへっへ、今日だけはもう、カロリーとか気にすんのやめようかな、と」

博士「太ってるようには見えないけどなあ」

助手「見えないところが太ってるんですよ」

627創る名無しに見る名無し:2012/07/15(日) 20:32:23.65 ID:4pCIzbY9
助手「ううん、やっぱりきなこ最高です♪」

モチャモチャ

助手「んぐっ」

博士「ん、どうした助手君」

助手「んぐんぐんぐうう」

博士「ほうほう、喉に、餅が、詰まったと」

助手「んんぐ、ぐ、ううん」コクコク

博士「つまりガッポンしてほしいんだね、ワシが使ったあとの餅取り機で」

助手「んぐ、ううん、ぐううう」フルフル

博士「そーれ」

助手「んんんんんんんんん!!」フルフル

ガッポン


【博士と助手 4】おわり

628創る名無しに見る名無し:2012/07/19(木) 21:07:14.80 ID:E5hCWJT0
【博士と助手 5】


助手「ハカセ、髪伸びましたね」

博士「うむ、少し暑苦しいな」

助手「切ってあげましょうか」

博士「お、助手君、髪切れるんだ」

助手「ええ、まあ、多少なりとは」

博士「じゃあお願いしようかな」

629創る名無しに見る名無し:2012/07/19(木) 21:13:08.81 ID:E5hCWJT0
助手「ハカセの髪、真っ白で綺麗ですねえ」チョキチョキ

博士「ふふふ、そうかい」

助手「紫に染めたら綺麗でしょうねえ」チョキチョキ

博士「え、ちょっと、ダメ……」

助手「大阪のババ……マダムみたいに綺麗に染まるでしょうねえ」チョキチョキ

博士「助手君、ババアなんて言葉を使うんじゃないよ」

助手「なんとか踏みとどまりましたよ」チョキチョキ

博士「言ったも同然だけどね」

630創る名無しに見る名無し:2012/07/19(木) 21:29:28.40 ID:E5hCWJT0
博士「〜♪」

助手「(あれ、てっぺんが薄い??)」

博士「〜♪」

助手「(言った方がいいかな、気付かないふりした方がいいかな)」

博士「〜♪」

助手「ハ、ハカセ」

博士「うん??」

助手「て、てっぺんがハゲてきています」

博士「ちょっと直球すぎるよね!?」

博士「もう少しオブラートに包もうね!?」

631創る名無しに見る名無し:2012/07/19(木) 21:37:21.26 ID:E5hCWJT0
助手「最近の森林破壊の進行は恐ろしい勢いですよねえ」

博士「うん、え??」

博士「さっきのはナシの方向なのかしら」

助手「砂漠化現象も問題ですよねえ」

博士「……」

助手「ところでハカセ、ハカセの頭髪も破壊されています」

博士「よりひどくなってるよね!?」

助手「森林に囲まれた砂漠が見えてきました」

博士「それ地肌だからね!? むき出しにしないでね!?」

632創る名無しに見る名無し:2012/07/19(木) 21:49:04.84 ID:E5hCWJT0
助手「お、オアシスが見えてきています」

博士「それ蜃気楼だね」

博士「うん、ワシもなに言ってるか分からなくなってきたね」

助手「で、ハカセ、どうしましょうこの砂漠」

博士「砂漠って言うな」

助手「どうしましょうこの地肌」

博士「うむむ……そんなときには!!」

博士「薄毛の人に朗報!! ジャカジャン!! ハゲカクレール!!」

博士「誰が薄毛だ!!」

助手「私でないことは確かです」

633創る名無しに見る名無し:2012/07/19(木) 21:54:33.83 ID:E5hCWJT0
博士「このハゲカクレールは、薄毛地帯に塗ることで髪の毛のように膨らむ」

博士「薄毛地帯をこれで覆い、錯覚を起こさせるのじゃ」

助手「つまり誤魔化しですね??」

博士「……ま、まあ」

助手「今の時代、インチキくさいのも含めて発毛剤が山ほど発明されているんですよ」

助手「ハカセならもっとすごい発明が作れるはずです!!」

博士「ふふふ、ワシの発明がこれだけで済むはずがなかろう」

助手「や、やっぱりあるんですか、すごいのが」

博士「駆け引きが上手な策士は、まず捨て案を見せ、それから自信作を見せるのじゃ」

博士「ジャカジャン!! ジンルイミナハゲール!!」

助手「ほうほう、なんだか壮大な名前ですね」

634創る名無しに見る名無し:2012/07/19(木) 22:05:04.31 ID:E5hCWJT0
助手「って、え??」

博士「これを川に流せば、たちまち雨となって降り注ぎ、人類みなハゲるのじゃ!!」

助手「ちょ、ちょっと!! なんてもの発明してるんですか!!」

助手「ヤバめの毒物じゃないですか!!」

博士「ふふふ……髪を切ってもらったら、その辺の川にすいっと流してこようかな」

助手「ここら辺一体、みんなハゲちゃいますよ!!」

博士「いやいや、まずは川の下流に流れていくから」

助手「そういう問題じゃありません!!」

635創る名無しに見る名無し:2012/07/19(木) 22:15:02.88 ID:E5hCWJT0
助手「問題解決になってませんよハカセ」

博士「だって、毛が生える薬は作れなかったんだもん……」

助手「だからって周りみんなハゲさせることはないじゃないですか」

博士「家から出なかったら平気だよ」

助手「引きこもりだけフサフサの世界になっちゃいますよ!!」

博士「しかし社会復帰して家から出たらハゲる、と」

助手「最悪ですね」

博士「誰も家から出ない世界に……」

助手「恐ろしすぎます」

636創る名無しに見る名無し:2012/07/19(木) 22:20:00.15 ID:E5hCWJT0
博士「ダメかな」

助手「却下です、却下すぎますよ」

助手「今度フサフサなカツラでも発明してください」

博士「か、カツラ……」

博士「それじゃ!! 助手君天才じゃ!!」

助手「え」

博士「天才少女じゃ!!」

助手「え、そうですか」テレテレ

博士「あ、少女っていう歳でもなかっ」

ドゲシッ

637創る名無しに見る名無し:2012/07/19(木) 22:35:10.05 ID:E5hCWJT0
助手「これ捨てときますからね、ジンルイミナハゲール」

博士「ううむ、惜しい」

助手「はいはい、あ、ハカセの髪はもうとっくに切り終わってますからね」

博士「うむ、心なしか頭が軽くなったようじゃ」

助手「結構切りましたからね」スタスタ

博士「あ、ちょっと、それどこに捨て……」

ジャー

助手「え??」

博士「え??」

助手「す、水道で流しましたけれど……」

博士「……」

助手「まずかったですかね」

博士「なかったことにしよう」


【博士と助手 5】おわり

638創る名無しに見る名無し:2012/08/01(水) 21:12:12.63 ID:GXTz+mkz
【博士と助手 6】


助手「ハカセ、なに作ってんですか」

博士「む、これはな、次の発明の試作品じゃ」

助手「へえ」キョロキョロ

博士「うむ、もうすぐ完成じゃ」

助手「っていう割には、試作で終わってるものがゴロゴロ転がってませんか」

博士「う、痛いところを突くね」

助手「最後まで作ってくださいよう」

博士「ううむ」

639創る名無しに見る名無し:2012/08/01(水) 21:33:46.75 ID:GXTz+mkz
助手「たとえば、これとか、なんですか」

博士「あ、それは次元転換装置……」

助手「え、次元転換!?」

博士「の失敗作じゃ」

助手「なあんだ」

博士「あと一歩なんだけどなあ」

助手「すごいじゃないですか」

博士「予算が……」

助手「ああ、うち、貧しいですからね」

博士「貧しいって言うな!!」

640創る名無しに見る名無し:2012/08/01(水) 21:38:57.81 ID:GXTz+mkz
助手「なんかこう、すごい発明のアイデアみたいなのはないんですか」

博士「たくさんあるよ」

助手「実現できそうなものも??」

博士「もちろん」

助手「え、じゃあたとえば??」

博士「たとえば、そうじゃなあ」

助手「わくわく」

641創る名無しに見る名無し:2012/08/01(水) 21:43:04.09 ID:GXTz+mkz
博士「インターネットができて、テレビが見れて、録画もできて、買い物もできる……」

助手「ほうほう」

博士「電話とか」

助手「……」

助手「ありますね、それね」

博士「あるの!?」

助手「ていうか持ってますね、それね」スイッ

博士「持ってるの!?」

642創る名無しに見る名無し:2012/08/01(水) 21:50:24.17 ID:GXTz+mkz
助手「ハカセ、ちょっと時代に取り残されてませんか」

博士「マジで……」

博士「やべーマジやベー」

助手「取り残されてますね、確実に、ええ」

博士「やべー言葉他に思いつかねー」

助手「チョベリバとか言い出さないでくださいね、お願いですから」

博士「ほ、他にも思いついた発明はあるんだけど」

助手「ええ、ええ、聞きましょう」

643創る名無しに見る名無し:2012/08/01(水) 21:59:19.66 ID:GXTz+mkz
博士「そこに乗るだけで、体重と身長が同時に測れちゃう……」

助手「ありますね、それも」

博士「待って待って最後まで聞いて」

博士「それでいて体脂肪率や身体年齢も測れちゃう……」

助手「だからありますね、それ」

博士「あるの!?」

助手「実家でお母さんが使ってました」

博士「マジかよー」

助手「だいぶ前からありますからね」

博士「マジかよーやられたわー」

助手「ハカセのをパクったみたいに言わないでください」

644創る名無しに見る名無し:2012/08/01(水) 22:07:22.34 ID:GXTz+mkz
博士「え、じゃあこれは??」

助手「なんですか」

博士「蟹の風味を閉じ込めた、蟹の味そっくりな、カ」

助手「カニカマですよね」

博士「喰い気味で言われた!!」

博士「最後まで言わしてよ!!」

助手「今や本当に蟹そっくりで、外国人が間違えるほどらしいですよ」

博士「日本人もわからないんじゃないかな」

助手「そうかもしれませんね」モグモグ

博士「おいしい」モグモグ

645創る名無しに見る名無し:2012/08/01(水) 22:13:08.38 ID:GXTz+mkz
博士「じゃあ次、焼きそばを」

助手「パンにはさんだやつですよね、ありますね、だいぶ前からね」

博士「早いよ!! 最後まで言わしてよ!!」

助手「もう面倒くさいんで、どんどんいきましょう」

博士「扱いが酷くないかい助手君」

助手「いいからいいから、ほらほら」

博士「ううむ」

助手「クソ発明どんどん消化しちゃって捨てましょう」モグモグ

博士「やっぱり酷いよね!?」モグモグ

646創る名無しに見る名無し:2012/08/01(水) 22:15:29.54 ID:QQ2kAADr
焼きそばパンは発明なのかww
647創る名無しに見る名無し:2012/08/01(水) 22:24:54.71 ID:GXTz+mkz
博士「えーじゃあ次、焼きそばを」

助手「だからパンにはさんだやつですよね」

博士「と見せかけて、ご飯と混ぜた画期的な」

助手「そば飯ですよね、焼きそばパンより先にありましたよね」

博士「うそーマジかよー」

助手「ハカセ、もうちょっといいもの食べましょうよ」モグモグ

博士「助手君が作ってくれないから……」

助手「私、料理下手ですよ」モグモグ

博士「う、ううむ、そうか」モグモグ

648創る名無しに見る名無し:2012/08/01(水) 22:34:28.88 ID:GXTz+mkz
博士「パソコンの前に居ながらにして」

助手「ふむ」

博士「自分では全く動かなくても、こった肩をほぐしてくれる、椅子」

助手「……」

助手「ありますよね、それもね」

助手「マッサージチェアという名前で超ロングセラーですよね」

博士「いやいや、ワシのは、強さも角度もお好みで……」

助手「だからその機能もだいたい付いてますよね」

博士「リモコンで操作……」

助手「それも基本的に付いてますよね」

649創る名無しに見る名無し:2012/08/01(水) 22:45:12.19 ID:GXTz+mkz
博士「やせて見える鏡!!」

助手「凸面鏡ですよね」

博士「いや、やせて見える鏡、だよ」

助手「凸面鏡ですって」

助手「普通にカーブミラーとかにも使われてますよ」

博士「あんまり外出ないからわかんない」

助手「はいはい、そうでしたね」

博士「もういやじゃ、ワシの発明はことごとくパクられとる」

助手「いやいやいやいや」

650創る名無しに見る名無し:2012/08/01(水) 22:58:00.20 ID:GXTz+mkz
助手「あれですね、ハカセはもうちょっと世間のことを知る必要がありますね」

博士「なんじゃ、酷いな」

助手「外に出て色んな刺激を受ければ、また凄いものをガンガン発明できるんじゃないですか」

博士「そういうもんかのう」

助手「ほらほら、ちょっと気分転換に外に出ましょう、今日はいい天気ですよ」

博士「ちょ、ちょ、押すな押すな」

助手「ほらほら、行きましょう」

ガチャリ

651創る名無しに見る名無し:2012/08/01(水) 23:01:12.32 ID:GXTz+mkz
助手「……」

博士「……」

助手「……ハカセ、ここはどこでしょう」

博士「う、うむ、おそらく、異次元、じゃないかな、うん」

博士「次元転換装置が誤作動してしまったようじゃ」

助手「……」

博士「……」

助手「すごいですね、ハカセの発明は」

博士「じゃろ」

助手「で、どうやって帰るんですか」

博士「わからん」


【博士と助手 6】おわり

652創る名無しに見る名無し:2012/08/02(木) 20:04:25.31 ID:2H2pE+23
スゴイんだかショボイんだかww
乙ですー
653創る名無しに見る名無し:2012/08/04(土) 14:52:49.43 ID:X3naKLMp
【博士と助手 7】


助手「ハカセ、肌寒い季節がやってきましたね」

博士「うむ」

助手「現実の季節感はこの際おいといて」

博士「うむ」

助手「前もなんかいきなり正月ネタでしたしね」

博士「助手君、その辺で」

助手「はあい」

654創る名無しに見る名無し:2012/08/04(土) 15:00:06.27 ID:X3naKLMp
博士「コタツもストーブも、そろそろ出しちゃおうか」ゴソゴソ

助手「ええ、いいですね」ゴソゴソ

博士「どこにしまったっけなあ」ゴソゴソ

助手「うーん」ゴソゴソ

博士「お、これは……」ゴソゴソ

助手「ないですねえ」ゴソゴソ

博士「ほりゃ」カチッ

ブイーン

助手「なんですか、それ」

博士「ワシが昔作ったストーブみたいなものじゃ」

助手「へえ」

655創る名無しに見る名無し:2012/08/04(土) 15:04:32.65 ID:X3naKLMp
助手「あんまり暖かくありませんねえ」

博士「それなら、これはどうじゃ」

助手「こ、これは??」

博士「ジャカジャン!!」

助手「なんか懐かしい効果音!!」

博士「反転半纏!!」

助手「はんてん……はんてん……??」

助手「半纏は確かに暖かそうですが」

博士「これを羽織るとじゃな」

助手「体中に斑点ができると」

博士「気持ち悪い想像しないで!!」

656創る名無しに見る名無し:2012/08/04(土) 15:09:28.86 ID:X3naKLMp
助手「疫病?? 呪い??」

博士「違うから!! 斑点とかできないから安心して!!」

助手「じゃあどういう発明なんですか」

博士「これを羽織るとじゃな、色々なものが反転してしまうんじゃよ」

助手「へえ、面白そうですね」

博士「とりあえず着てみてくれ」

助手「はあい」ゴソゴソ

657創る名無しに見る名無し:2012/08/04(土) 15:31:28.37 ID:X3naKLMp
博士「どうじゃね」

助手「んーあんまり変化はわかりませんね」

助手「ちょっと暖かいかな、ってくらいで」

博士「反転ということはじゃな、物事が反対になるわけじゃ」

助手「ほうほう」

博士「つまり普段小さいものは大きくなるのじゃ」

助手「つ、つまり……」

たゆん

博士「うひょー!! 巨乳じゃー!!」

助手「や、やったあー!!」

658創る名無しに見る名無し:2012/08/04(土) 15:41:13.73 ID:X3naKLMp
博士「すみませんでした……」ボロボロ

助手「おかしいですよね、真っ先にコレっておかしいですよね」

博士「反省しています……」ボロボロ

助手「大体ハカセはいつも胸の話ばかりしますけど、失礼すぎますよね」

博士「自重します……」ボロボロ

助手「まったくいつもハカセは……」

たゆんたゆん

博士「(巨乳の助手君も新鮮でいいなあ)」

助手「ハカセ、聞いてます??」

博士「は、はい!!」

659創る名無しに見る名無し:2012/08/04(土) 15:46:44.87 ID:X3naKLMp
助手「くどくど」

博士「ほ、他にも色々と反転するんじゃぞ」

助手「はあ、そうですか」

博士「例えばほれ、助手君はワシのこと好きかな??」

助手「は、はあ!?」

博士「好きかな、と聞いておる」

助手「な、なななななな」

博士「早く答えてくれないと右手が勝手に動き出して揉んでしまいそうじゃ」ワキワキ

助手「っ!!」

ドゲシッ

660創る名無しに見る名無し:2012/08/04(土) 15:51:56.67 ID:X3naKLMp
助手「嫌いです嫌いです!! セクハラなハカセは嫌いです!!」

博士「それも反転するのじゃ」

助手「え??」

……

助手「ハカセぇ〜」イチャイチャ

博士「うひょー」

助手「ああん、もっとこっちに来てくださいよぉ〜♪」スリスリ

博士「(こ、これは強烈じゃ)」

助手「皮を剥き剥きしてあげますよぉ〜♪」

博士「(あ、それいいかも)」

助手「ほおら〜♪」

博士「でもピーラーは置いてきてほしいなあ……」

661創る名無しに見る名無し:2012/08/04(土) 15:58:02.37 ID:X3naKLMp
助手「はっ!! 私はなにを!!」

博士「(危ない危ない、一線を越えるところじゃった)」

博士「なあに、剥き剥きごっこをしそうになっただけじゃ」

助手「な、なあんだ、それなら安心」

助手「……ん??」

博士「ほ、他にも反転するんじゃぞ!!」

助手「は、はあ」

662創る名無しに見る名無し:2012/08/04(土) 16:05:19.77 ID:X3naKLMp
助手「わ、私が男の子に!!」

博士「うひょーペロペロ!!」

助手「ハカセは美少女に!!」

博士「クンクンしたい!! でも自分ではできない!! もどかしい!!」

助手「ち、血が青色に!! 肌が変な色に!!」

博士「ひいいいいいいいいいいい」

助手「天井が床に!!」フラフラ

博士「おっぷ、酔うぅ……」フラフラ

助手「体の内側と外側が反転しちゃいましたよ!!」ズルン

博士「ぎゃああああああああああああああああ」ズルン

663創る名無しに見る名無し:2012/08/04(土) 16:17:36.70 ID:X3naKLMp
博士「と、このように色々と反転する発明じゃ」ゼエゼエ

助手「はあ、はあ」ゼエゼエ

博士「楽しんでもらえたかな??」

助手「あの、質問が」

博士「なにかのう」

助手「半纏着てないのに、ハカセも反転してませんでしたか??」

博士「うむ、メインはさっきスイッチを入れたあの装置でな、催眠効果のあるガスを……」

助手「え、ただの催眠だったんですか」

博士「そうじゃ」

664創る名無しに見る名無し:2012/08/04(土) 16:26:35.46 ID:X3naKLMp
助手「なーんだ」

博士「面白かったじゃろう??」

助手「ええ、とっても」

助手「でも、おかしいと思ってたんですよ」

博士「ふふふ、助手君も鋭くなってきたね」

助手「(反転しなかったものもありますからね、うふふ)」

博士「ん、どうした」

助手「なーんでもありませんよう」


【博士と助手 7】おわり

665創る名無しに見る名無し:2012/08/11(土) 00:18:11.45 ID:8JTQE71E
.
666創る名無しに見る名無し:2012/08/13(月) 00:47:15.48 ID:VtS4+qoT
ここって、他の板に途中まで投下したモノでもいいの?

どこをどうしたら良いかとか、感想を聞きたいんだが。
667創る名無しに見る名無し:2012/08/13(月) 00:47:50.81 ID:nstezwnB
tes
668創る名無しに見る名無し:2012/08/13(月) 00:50:51.23 ID:X2B/FPYc
いいと思うよ
669創る名無しに見る名無し:2012/08/13(月) 00:57:28.60 ID:VtS4+qoT
>>668
ありがとう。 
自分で色々と考えてはいるんだけど、考えれば考えるほど訳が分からなくなって。
670創る名無しに見る名無し:2012/08/13(月) 00:59:14.59 ID:VtS4+qoT
【勇者「くらえっ、魔王!! これで最後だ!!」】


「ぎゃああああああああああ!!!!」

ドオオオオオオオオン!!!!

勇者「はぁはぁ…倒したのか?」

戦士「よっしゃあ!!」

僧侶「やったの?」

勇者「ああ!!」

賢者「ついにやりましたわ!!」
671創る名無しに見る名無し:2012/08/13(月) 00:59:44.10 ID:VtS4+qoT
「はっははははははは!!!!!」

勇者「な、何だ!?」

賢者「何ですか!? この声は!?」

僧侶「ど、どこから!?」

「お前たちが倒したのは、私の幹部に過ぎない」

戦士「何っ!?」

「私こそが、真の魔王である」

勇者「!!!!」

僧侶「そ、そんな……」ヘタリ

賢者「姿を見せなさい!!」

魔王「ふん、お前たちごときに姿を見せるわけが無かろう」

魔王「私の姿を見たければ、闇の世界へと来るがいい……」
672創る名無しに見る名無し:2012/08/13(月) 01:00:04.47 ID:X2B/FPYc
支援
673創る名無しに見る名無し:2012/08/13(月) 01:00:59.69 ID:VtS4+qoT
戦士「くそっ! さっき倒したのは単なる幹部だって言うのかよっ!?」

勇者「……」

僧侶「魔王を倒さなければ、本当の平和は訪れない……」

賢者「さきほど、魔王は闇の世界と言いました」

勇者「行こう…」

戦士「勇者!?」

勇者「本当の平和をみんなで勝ち取ろう!!」

僧侶「勇者様!!」

賢者「はい!! 皆で平和を取り戻しましょう!!」

勇者「行くぞ!! みんな!!」

「はい!!!!」
674創る名無しに見る名無し:2012/08/13(月) 01:01:32.63 ID:X2B/FPYc
675創る名無しに見る名無し:2012/08/13(月) 01:01:38.50 ID:VtS4+qoT
こうして、勇者たちは闇の世界へと向う!!

勇者たちの冒険はまだ始まったばかりだ!!




魔王「おい」

勇者「ん? どうした魔王」

魔王「おかしいだろうが」

勇者「おかしな所なんてあったか?」

戦士「全然」

僧侶「全く」

賢者「これっぽっちも」
676創る名無しに見る名無し:2012/08/13(月) 01:02:03.76 ID:X2B/FPYc
677創る名無しに見る名無し:2012/08/13(月) 01:03:04.21 ID:VtS4+qoT
魔王「おいいいいい!! 全く思い浮かばないのかよっ!!」

勇者「ああ」

魔王「なんで俺だけ、声しか出てないんだよっ!! それで終わるのかよっ!!」

勇者「それで終わる話もあるだろ」

僧侶「魔王、とてもツバが飛んでます」

賢者「汚いですわ」

魔王「あっ、ごめん……。っておいいいいいいい!!」
678創る名無しに見る名無し:2012/08/13(月) 01:03:16.75 ID:X2B/FPYc
679創る名無しに見る名無し:2012/08/13(月) 01:03:34.80 ID:VtS4+qoT
勇者「じゃあ、どうして欲しいんだよ」

魔王「俺をもっと出せっ!!」

勇者「そんなのでいいの?」

魔王「そんなのって、言い方!!」

僧侶「ツバが…」

賢者「汚っ!」

勇者「分かった、分かった。お前をもっと出せばいいんだな?」

魔王「そうだ!!」

勇者「おーい、お前らさっきのシーンやり直すぞー」

戦士「うぃーっす」

僧侶「分かったわ」

賢者「面倒ですが、仕方ありませんわね」

魔王「面倒ってなにっ!!!!」
680創る名無しに見る名無し:2012/08/13(月) 01:03:59.39 ID:X2B/FPYc
681創る名無しに見る名無し:2012/08/13(月) 01:04:09.19 ID:VtS4+qoT


……

………

勇者「本当の平和をみんなで勝ち取ろう!!」

僧侶「勇者様!!」

賢者「はい!! 皆で平和を取り戻しましょう!!」

勇者「行くぞ!! みんな!!」

「はい!!!!」
682創る名無しに見る名無し:2012/08/13(月) 01:04:32.86 ID:X2B/FPYc
683創る名無しに見る名無し:2012/08/13(月) 01:04:39.86 ID:VtS4+qoT
勇者たちは魔王を倒したと思っていた。

しかし、それはただの幹部にすぎなかった。

真の魔王は別の世界に存在していたのだ!!

ゆけ勇者たちよ!! 真の魔王打倒に向けて、新たな旅へと出発するのだ!!

684創る名無しに見る名無し:2012/08/13(月) 01:05:04.07 ID:X2B/FPYc
685創る名無しに見る名無し:2012/08/13(月) 01:05:10.39 ID:VtS4+qoT
勇者「これで満足か?」

魔王「そうじゃなくてっ!!!!」

勇者「は?」

魔王「もっとこうあるだろ!? 闇の世界に行くまでとか、魔王の城のダンジョンで苦戦するとか、

そして、なにより俺とのバトルシーンはっ!!??」

戦士「うわっ、ツバが散った!!」

僧侶「最悪」

賢者「気色悪いですわ!!」

魔王「……」

勇者「まぁ待てみんな。魔王がここまで言ってるんだ。もうちょっと協力してやろうぜ」

戦士「勇者がそう言うなら」

僧侶「仕方ありませんね」

賢者「分かりましたわ」

魔王「結局、勇者かよっ!!!!」
686創る名無しに見る名無し:2012/08/13(月) 01:05:42.04 ID:VtS4+qoT


……

………

勇者「ここが闇の世界の入り口か」

戦士「大穴じゃねーか」

僧侶「飛び込むのが、怖いです……」

賢者「行くしかありませんわ!!」

勇者「よし! じゃあ、行くぞ!」

ヒュウウウウウウウウウ

勇者「ここが闇の世界か」
687創る名無しに見る名無し:2012/08/13(月) 01:06:00.84 ID:X2B/FPYc
688創る名無しに見る名無し:2012/08/13(月) 01:06:12.42 ID:VtS4+qoT
戦士「昼間だっていうのに日が照ってないな」

僧侶「あっ! あそこに魔王の城が見えます!!」

賢者「でも、海に囲まれているわね」

勇者「しゃーねえなぁ。泳いで行くか!! みんな水着持ってるか?」

戦士「おう」

僧侶「はい」

賢者「もちろん」

勇者「じゃあ女性陣は向こうで着替えて来て」

僧侶・賢者「はーい」

魔王「ちょっと待てよっ!!!!」
689創る名無しに見る名無し:2012/08/13(月) 01:06:44.14 ID:X2B/FPYc
690創る名無しに見る名無し:2012/08/13(月) 01:08:48.17 ID:X2B/FPYc
691創る名無しに見る名無し:2012/08/13(月) 01:33:57.83 ID:VtS4+qoT
勇者「どうした?」

魔王「なんで泳いで行くんだよっ!! 迂回しろよ!! 折角、色々アイテム用意したのに!!!!」

勇者「だって面倒じゃん」

魔王「だから、面倒ってなんだよっ!?」

戦士「面倒は、面倒ってことだろ」

魔王「……」

勇者「つまり、正規ルートで行けってことだろ?」

魔王「そうだよっ!!」

勇者「分かった、分かった。そう言うことだから、みんな行くぞ」

戦士「うーっす」

僧侶「まだ歩くのですか…?」

賢者「はぁ、体が汗でベトベトしますわ。早くお風呂に入りたい」
692創る名無しに見る名無し:2012/08/13(月) 01:34:50.38 ID:VtS4+qoT


……

………

僧侶「ここでアイテムを使うみたいですね」

勇者「そんじゃあ、アイテムを使うぞ!」

なんと橋が出現した!

勇者「そんじゃあ行くか」スタスタ

戦士「うぃーっす」スタスタ

僧侶「はい」スタスタ

賢者「やっと魔王の城ですのね」スタスタ

魔王「おいいいいいいいいいいい!!!!」
693創る名無しに見る名無し:2012/08/13(月) 01:35:53.91 ID:VtS4+qoT
勇者「今度は何だよ!?」

魔王「今から城に行くんだろ!? もうちょっと緊張しながら行けよっ!!」

勇者「だってなぁ」

戦士「俺たち、レベルがカンストしてるし」

僧侶「しかも、木の実とかで全部のステータスをMAXにしました」

賢者「結局、アイテム集めに半日もかかりませんでしたわね」

魔王「お、おう…」
694創る名無しに見る名無し:2012/08/13(月) 01:36:42.35 ID:VtS4+qoT
勇者「よーし、城の中入るぞ」

戦士「おう」

僧侶「はい」

賢者「分かりましたわ」

ギィィィィィィィィィィィィィ

勇者「ここが魔王の部屋か」

魔王「って、おいいいいいいいいいいっ!!!!」

勇者「まだ、何かあるのか?」

魔王「何で城入ったら、すぐ俺の部屋なんだよっ!!!!」


勇者「そっちの方が楽じゃん」

僧侶「はい」

賢者「そうですわね」

魔王「いやいやいや!! その前のダンジョンに苦戦して、

なんとか俺の部屋にたどりつくことで、俺の強さとかが際立つんだろっ!?」

勇者「そうか?」

魔王「普通そうだろうがっ!!」

戦士「普通ってなんだよ」

魔王「ぐっ!?」

僧侶「別にそんなルールがあるわけではありませんし、

魔王が圧倒的に強ければ、特におかしくありません」

賢者「魔王の負けですわね」
695創る名無しに見る名無し:2012/08/13(月) 01:37:12.78 ID:VtS4+qoT
魔王「……」

勇者「まぁ、みんな。ここは魔王の顔をたてると思って、言うとおりにしてやろうぜ!

戦士「勇者がそう言うなら」

僧侶「仕方ありませんね」

賢者「分かりましたわ」

魔王「勇者、お前って結構良い奴だな…」
696創る名無しに見る名無し:2012/08/13(月) 01:37:43.47 ID:VtS4+qoT


……

………

「ギャアアアアアアアアアアアアア!!!!」パタリ

勇者「よし幹部を倒したな」

戦士「うーっす」

僧侶「それじゃあ行きましょうか」

賢者「ここが魔王の部屋ですわね」

ギィィィィィィィィィィィィィ

魔王「よくここまで来たな!!」

勇者「お前が魔王かっ!?」

魔王「いかにも。世界を救いたければ、私を倒してみせろ!!」

勇者「おりゃああああああああ!!」ザシュ


魔王に会心の一撃を与えた。

魔王は死んだ。

世界は平和になった。

697創る名無しに見る名無し:2012/08/13(月) 01:38:13.94 ID:VtS4+qoT
魔王「ちょおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

魔王「バトルシーン入れろって言ったじゃん!!」

勇者「入れただろ?」

> 勇者「おりゃああああああああ!!」ザシュ
>
> 魔王に会心の一撃。
>
> 魔王は死んだ。

勇者「ここ」

戦士「入れたな」

僧侶「確かに入れたわね」

賢者「疑いの余地がありませんわ」

勇者「なっ?」

魔王「なっ、てなんだよ!! たった3行だろうがっ!!!」

勇者「いや、空白行も入れたら5行だぞ?」

魔王「空白数えるのかよっ!?」
698創る名無しに見る名無し:2012/08/13(月) 01:38:44.72 ID:VtS4+qoT
魔王「頼むから、もう少しバトルシーン入れてくれよ」

戦士「どうする、勇者?」

僧侶「勇者様?」

賢者「勇者様に任せますわ」

勇者「しゃーねなぁ。乗りかかった船だ。最後まで付き合うか!!」

魔王「勇者…」ウルウル
699創る名無しに見る名無し:2012/08/13(月) 01:39:15.09 ID:VtS4+qoT


……

………

魔王「よくここまで来たな!!」

勇者「お前が魔王かっ!?」

魔王「いかにも。世界を救いたければ、私を倒してみせろ!!」

勇者「おりゃああああああああ!!」ザシュ


勇者たちは、魔王と死闘を繰り広げた。

そして、なんと勇者たちは魔王を倒すことに成功し、

世界に平和が戻った!!

こうして、勇者たちの旅は幕を閉じたのだった!!

700創る名無しに見る名無し:2012/08/13(月) 01:39:46.42 ID:VtS4+qoT
魔王「おい」

勇者「ごめん、面倒になった」

魔王「……」

戦士「つっこまないのか?」

僧侶「それこそ面倒になったんでしょ?」

賢者「魔王のくせに意外と根性ないのですわね」

魔王「そんなに、言う事ないだろっ!!!!」

戦士「あっ、つっこんだ」

僧侶「つっこみましたね」

賢者「鮮やかなつっこみでしたわ」

魔王「ちょ…」
701創る名無しに見る名無し:2012/08/13(月) 01:40:26.93 ID:VtS4+qoT
勇者「とにかく、もっと詳細なバトルを繰り広げたらいいんだな?」

魔王「ああ!!」

勇者「確かに引き受けといて、急に面倒になったから匙を投げたのは俺が悪かった!!」

魔王「ゆ、勇者…」ウルウル

勇者「よーし! みんな最後のバトルシーンだ!! 気合入れるぞ!!」

戦士「よっしゃ!!」

僧侶「しょうがないですわね!!」

賢者「さっさと済ませますわよ!!」

勇者たちは、気合を入れた!
702創る名無しに見る名無し:2012/08/13(月) 01:40:58.09 ID:VtS4+qoT


……

………

魔王「オウラアアアアアアアアアア!!!!」ドゴッ

魔王の痛恨の一撃!

勇者たちは、2のダメージを受けた!

勇者「……」

戦士「……」

僧侶「……」

賢者「……」

魔王「あ、あれ?」

勇者「もっと、強いの来いよ!!」

魔王「お、おう」
703創る名無しに見る名無し:2012/08/13(月) 01:41:28.60 ID:VtS4+qoT
魔王「オラアアアアアアアアアアアアアア!!!!」ドゴッ

魔王の痛恨の一撃!

勇者たちは、4のダメージを受けた!

魔王「あれ、あれ?」

魔王「ドラアアアアアアアアアアアアアア!!!!」ドゴッ

魔王の痛恨の一撃!

勇者たちは、1のダメージを受けた!
704創る名無しに見る名無し:2012/08/13(月) 01:41:59.16 ID:VtS4+qoT
魔王「はぁはぁ……」

勇者「……」

戦士「……」

僧侶「……」

賢者「……」

魔王「……」ソワソワ

勇者「え、えーっと」ポリポリ

戦士「かすり傷程度だったな」

僧侶「弱過ぎです」

賢者「この雑魚っ!!」

魔王「……」
705創る名無しに見る名無し:2012/08/13(月) 01:42:37.29 ID:VtS4+qoT
僧侶「散々ここまで色々と注文しておいて、こんな攻撃!?」

賢者「肩透かしも良いところですわっ!!」

僧侶「SSの中には、始めから魔王が倒されているモノもあるっていうのに」

賢者「自分の出番を増やしたいがために、勇者様に命令するとは、贅沢すぎますわ!」

戦士「まぁまぁ」

魔王「うぅ……」シクシク

勇者「泣くなよ、魔王」

魔王「ゆ、勇者…」

勇者「俺に言い考えがあるんだ」

魔王「そ、そうなのか…?」

勇者「おーい、幹部ちゃーん」

幹部「は、はい! なんでしょうか!?」

勇者「……」ゴニョゴニョ

幹部「は、はい! ありますが、お持ち致しましょうか?」

勇者「よろー」

魔王「?」
706創る名無しに見る名無し:2012/08/13(月) 01:43:14.45 ID:VtS4+qoT
幹部「お、お持ちしました」

勇者「サンキュー」

魔王「それは?」

勇者「これは血のりの入った袋だ」

魔王「!!」

勇者「始めから、いくつか全員に持たすから、

もし足りなくなったら待機している幹部ちゃんに貰って来て。いいかな幹部ちゃん?」

幹部「あっ、はい」


戦士「そうか、そうしたら重傷を負ったように見える」

僧侶「確かにこれなら、死闘を繰り広げたように見えますね」

勇者「ああ。そういうこと」

賢者「でも、服が汚れてしまいますわ…」

勇者「そんなの、俺がまた買ってやるから」

賢者「まぁ! さすが、勇者様ですわ!」

僧侶「ああ!! 賢者ばっかりずるい!!」

勇者「分かった、分かった。僧侶にも買ってやるから」

僧侶「やったー!!」

幹部「私もよろしいですか?」

勇者「いいぜ?」

戦士「じゃあ、俺も!」

勇者「男は勘弁」

戦士「まさかの差別かよっ!?」

魔王「そこー。俺の存在無視しなーい」
707創る名無しに見る名無し:2012/08/13(月) 01:43:44.75 ID:VtS4+qoT


……

………

勇者「おりゃあああああああああ!!」ザシュ

魔王「ぐはっ! おのれぇ…」ドゴッ

勇者「ちっ、戦士!」

戦士「おう!!」

タッタッタッ

勇者「幹部!」

幹部「は、はい!」

ヌリヌリ ヌリヌリ

戦士「幹部!」タッタッタッ

幹部「はい!」

戦士「血のり一袋くれ」

幹部「あっ、はい」
708創る名無しに見る名無し:2012/08/13(月) 01:44:30.48 ID:VtS4+qoT
魔王「全く、効かぬわぁ」

勇者「はぁはぁ……。とりゃああああああああああ!!」

魔王「喰らうがいい!!」

勇者「しまった!」


戦士「ゆうしゃーーーー!!!」バッ

ザシュ

勇者「せんしいいいいいい!!!」

戦士「くっ…。(さっき貰った血のりの袋を破って、と)」

勇者「こんなに血が出てっ!」

僧侶「今、回復魔法を!!」

フキフキ フキフキ

戦士「よし! ありがとう、僧侶!!」

賢者「詠唱終わりました!! 私の魔法喰らいなさい!!」

ドゴオオオオオオオオオオン!!

魔王「ぐおおおおお!!」

魔王「(つか、俺も一応血のり貰ったけど、

勇者たちの攻撃で、普通に流血してるんだが……)」



……

………

勇者「これで最後だ!!!!」ザクッ

魔王「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」パタリ

勇者「はぁはぁ……」

戦士「やった、のか…?」

僧侶「勇者様…」

賢者「やりましたのね…」

「うおおおおおおおお!!!!」
709創る名無しに見る名無し:2012/08/13(月) 01:45:01.06 ID:VtS4+qoT
勇者たちは、魔王と死闘を繰り広げた。

そして、なんと勇者たちは魔王を倒すことに成功し、

世界に平和が戻った!!

こうして、勇者たちの旅は幕を閉じたのであるっ!!

710創る名無しに見る名無し:2012/08/13(月) 01:46:43.90 ID:VtS4+qoT
エピローグ

勇者「ふぅ、やっと終わった」

魔王「とりあえず、俺マジでケガしたから手当して…」

勇者「僧侶」

僧侶「仕方ありませんねぇ」

魔王「ありがとう」

戦士「これでやっと帰れるなっ!!」


勇者「それじゃあ、8時に例の場所に集合な!」

賢者「それでは、私一旦家に帰ってお風呂に入ってきますわ」

僧侶「私もー」

勇者「それじゃあ、魔王と幹部もまた後でな!」

魔王「おう」

幹部「わ、私も行っていいのでしょうか?」

勇者「もちろん! 幹部ちゃんも出演者兼スタッフで頑張ってくれたじゃん」

幹部「ありがとうございます!」



……

………

勇者「おっみんな集まったな!」

僧侶・賢者・幹部「遅れて申し訳ありません!」

戦士「何謝ってんだよ」

魔王「ああ」

勇者「よし、それじゃあ入ろっか」

ガラガラ

店員「いらっしゃいませー!! こちらのお席へどうぞ」

勇者「はーい」
711創る名無しに見る名無し:2012/08/13(月) 01:47:27.86 ID:VtS4+qoT
僧侶「私、勇者様の隣!」

賢者「あっずるいですわ!!」

戦士「俺の隣も空いてるぜ?」

僧侶・賢者「……」

戦士「えっ無言!?」

幹部「私は、魔王様の隣で…」

魔王「ああ、いいよ」
712創る名無しに見る名無し:2012/08/13(月) 01:47:58.55 ID:VtS4+qoT
店員「ご注文、お決まりになりましたか?」

勇者「とりあえず、生3つと…」

僧侶「私、カルアミルク」

賢者「私はカシスウーロンで」

幹部「私、あまり飲めないので…」ボソッ

魔王「幹部は、飲めないからコーラで」

店員「はい、かしこまりましたっ!!」タッタッタッ


店員「おまたせ致しましたっ!! 生の方は…」

勇者「俺と戦士と魔王」

店員「はい。カルアミルクは」

僧侶「はい! 私です!」

賢者「カシスウーロンは私です」

店員「はい。ではコーラはこちらの方ですね」

幹部「は、はい」


勇者「全員行きわたったな?」

「はーい」

勇者「それじゃあ、映画撮影お疲れー!! かんぱーい!!」

「かんぱーーい!!」

ゴクゴク ゴクゴク

戦士「ぷはぁ!! うめぇ!!」

僧侶「きつい映画の撮影後だから、余計に美味しいですね!」

賢者「本当に! 魔王が色々と注文したから!」

魔王「す、すまん」

勇者「まぁまぁ、それが無かったらこんなに上手い酒が飲めなかったんだから」

賢者「まぁ、確かに一理ありますわね。言い過ぎましたわ」

魔王「色々と助かったよ、勇者」ボソッ

勇者「気にするな」
713創る名無しに見る名無し:2012/08/13(月) 01:49:47.11 ID:VtS4+qoT
戦士「それにしても、魔王と本気の死闘を繰り広げてもう5年か」

魔王「あの後すぐ、魔物と人間との間に平和条約が結ばれて、

俺なんか雑務に追われてたっていうのに、お前らときたらステータスMAXにしてやがるんだぜ!?」

幹部「確かに、びっくりしました…」

勇者「仕方ないだろ? 各国から報奨金貰って死ぬまで遊んで暮らせるけど、

長年染み付いた貧乏な暮らしで全くお金使わないし、時間は余るわで修行するしかなかったんだよ」

僧侶「平和条約のおかげで、今では人間と魔物のハーフの方なんてざらですものね。

人間なんて、未だに肌の色でいがみ会っているというのに」

魔王「それは、魔物もいっしょだ。他種族同士よりも同種族同士の方が戦争や喧嘩は起きる」

賢者「似たモノ同士の方が、まるで自分を見ているかようで嫌悪感を抱くのでしょうか?」

「……」


幹部「平和条約が結ばれたおかげで人間によって魔物が殺されなくなりました」

魔王「確かに。お前たちよりも昔の勇者なんか、ただ俺の仲間を殺すことが目的だったからなぁ」

賢者「まぁ、それは私たち人間も同じですわ。あっすみません。注文宜しいですか?」

店員「はーい!!」

勇者「全く違うモノよりも、似たモノ同士の戦争のケンカの方が、

意外と複雑なのかもしれないな」


勇者「今回の映画って、俺たちのことを後世に伝えるためだったよな?」

魔王「ああ、魔王と人間が資金を出し合って作ったドキュメンタリー風映画だ」

戦士「こんなので平和が続けばいいんだがな」

僧侶「こんなのって言うな」

戦士「ごめん」

勇者「……続くさ。こんな過ち二度と繰り返しちゃいけないんだよ」

魔王「少なくとも、俺が生きている約1000年は戦争なんてさせない」

勇者「……ああ」
714創る名無しに見る名無し:2012/08/13(月) 01:50:17.44 ID:VtS4+qoT
店員「お待たせ致しましたー!!」

戦士「おっ! 来た来た!! ホッケにたこわさ!!」

勇者「生は俺と戦士と魔王、梅酒ロックと芋焼酎はー?」

僧侶「梅酒は私!」

賢者「芋は私ですわ」

魔王「じゃあ、このウーロン茶は幹部で」

幹部「あ、ありがとうございます」


勇者「全員行ったかー!?」

「はーい!!」

勇者「じゃあ今度は…」

勇者「世界の平和に…」

勇者「かんぱーーい!!」



「かんぱーーーい!!」



715創る名無しに見る名無し:2012/08/13(月) 02:08:28.79 ID:VtS4+qoT
以上です。

最近SSを書き始めたんだが、
色々と粗があるのは仕方無いと割り切っているにしても、
「どこをどう修正したら良いか」を考えるほど分からなくなる。

それと、初めに簡単な設定を考えてはいるが、
書いているうちにどんどん変な方向に行ったりする。
最終的に読み返してみると、「設定のよりおもしろいんじゃね?」と思い投下したら、駄目出しされてしまう。

最初の設定を活かすコツとか、その他色々な感想等頂けるとありがたい。
716創る名無しに見る名無し:2012/08/13(月) 21:22:59.37 ID:IOv9HwEP
投下乙。映画だったのかYO!
717創る名無しに見る名無し:2012/08/15(水) 00:01:12.99 ID:DQwlwrvD
たいして筆力もない自分が言うのもあれですが、せっかくなので感想を

序盤は凄くテンポが良かったのに、エピローグが長いのでは、と思いました
映画であることを伏せ、軽く打ち上げに向かう流れで締める、とか
魔王「今度はおれが勇者役だからね!!」で締めるとか
世界のためにお互いお約束のルーティンワークを繰り返している間柄であるとか
勇者側と魔王側で取引があり、魔王がしばらく大人しくしている代わりに食料を持ってきてあげるとか

うーん、あんまり画期的なのはないけど、そんな感じでしょうか

>勇者「ここ」

>戦士「入れたな」

>僧侶「確かに入れたわね」

>賢者「疑いの余地がありませんわ」

四人の会話のテンポがすごくよくて、ここ大好きです
718666:2012/08/15(水) 15:18:38.54 ID:0ttX3fCK
感想&意見ありがとう。ここに投下して正解だったようだ。

最後のエピローグは、前半軽いノリだったから後半一気にシリアスっぽくしてみた。
けど奇をてらいすぎて、裏目に出てしまったのか。

もう少し、全体のテンポっていうもの考えて、思考錯誤してみます。
719創る名無しに見る名無し:2012/08/15(水) 21:06:48.49 ID:KxnQ/FjA
「...もしもし、丸山さん?
「ああ、早苗君か、どうしたの?」
「..昨日..大変だったみたいですね。」
「ああ、朝一でパトカーぶっ飛ばして、朝の11時にS市に戻ったよ。」
「あの...ね、丸山さん、実は相談したい事があるんですけど...」
「ん、何?」
「私..多分幽霊見た...」
「何だって?」
「幽霊、見たの。..それに、泥だらけの足跡と...櫛を見つけたの。
「櫛?」
「それでね、ほら、丸山さん前に“見える”って
言ってたから..」

「わかった、じゃあ今晩会えるかい?」
「はい、じゃあ今晩7時
、S市の駅前に、アイアンメイデンって喫茶店があります。そこで。」
「何?アイロンデメキン?」
「アイアンメイデンです。」
「ああ、それと、九十村出身の警官がいたんだよ。交番勤務の結城って奴だ。」
「結城....?」
「じゃあ、7時に、灰色弁天で。」
「..わざと間違えてるでしょ...じゃあ」
720創る名無しに見る名無し:2012/08/20(月) 20:37:03.22 ID:9WM2msb7
【博士と助手 8】


助手「テレビもマンネリですねえ」

博士「そうじゃなあ」

助手「使い捨てられていく『タレント』を見ていると、なんだか悲しくなってきます」

博士「この人もすぐ消えていくんだろうなあ、とか??」

助手「ええ」

助手「本当にすごいテクニックを持っている人とかは、消えていかないんでしょうけど」

博士「テレビに出てなくても営業とか公演とかで稼いでいるかもよ」

助手「まあ、そうですけど」

721創る名無しに見る名無し:2012/08/20(月) 20:44:12.40 ID:9WM2msb7
助手「マジックが一時期流行ったじゃないですか」

博士「ああ、あったねえ」

助手「ああいうマジシャンの人は、マジックショーをやって稼いでいるんでしょうか」

博士「そうじゃないかな」

助手「でも、タネをばらされたり、バラすところまでが芸の人は大変でしょうねえ」

博士「ああ、でも、タネは知りたいよね」

助手「『すごい!!』って思う前に、『え、どうやったの??』って気になりますからね」

博士「理系人間だねえ」

助手「理系人間ですねえ」

722創る名無しに見る名無し:2012/08/20(月) 20:49:34.27 ID:9WM2msb7
助手「ハカセ、なんかマジックできませんか」

博士「マジックかあ」

助手「ええ」

博士「こう……10円玉を2枚こすり合わせると……」

チャリチャリ

助手「すごい!! 3枚に見える!!」

博士「お金が増えまーす、いえー」

助手「って、完全に子ども騙しじゃないですか」

723創る名無しに見る名無し:2012/08/20(月) 20:57:33.75 ID:9WM2msb7
博士「こう、コップに水を入れます」

タプタプ

助手「ええ」

博士「ティッシュペーパーを上にかぶせ」

ファサッ

助手「はいはい」

博士「ひっくり返すと!!」

助手「おお!!」

博士「こぼれませーん、いえー」

助手「……」

助手「理科実験的な……まあハカセらしいですけれど……」

724創る名無しに見る名無し:2012/08/20(月) 21:07:40.79 ID:9WM2msb7
博士「机の上に100円があります」

助手「え、ええ、まだ続けるんですか」

博士「この帽子をかぶせると……」

フワッ

助手「な、なにが起こるんですか」

博士「んーと、多分、金額が倍に!!」

フワッ

助手「にひゃ……」

博士「猫になったー!!」

725創る名無しに見る名無し:2012/08/20(月) 21:16:45.15 ID:9WM2msb7
助手「え、え、え、なんですかこの猫」

猫「にゃー」

博士「ワシにもわからん!!」

助手「はい!?」

博士「ジャカジャン!! 名付けて!! ハットトリック!!」

助手「あの、話が見えてこないんですけど」

博士「なにが起こるかわからない不思議な帽子!! それがハットトリック!!」

助手「ああ、発明品だったんですね」

博士「反応が冷たい!!」

726創る名無しに見る名無し:2012/08/20(月) 21:22:11.14 ID:9WM2msb7
助手「ネーミング的には『トリックハット』のほうが正しいのでは」

博士「む、痛いところを突くね」

博士「でもほら、響きがいいでしょ」

助手「ええ、まあ」

助手「反転半纏といい、最近ネーミングに凝りだす傾向が」

博士「だって、ネーミングセンスが微妙とかいうからさあ」

助手「私のせいですか」

博士「そうだよ」

助手「あんまり進歩してませんけど」

博士「くっ」

727創る名無しに見る名無し:2012/08/20(月) 21:32:47.11 ID:9WM2msb7
助手「で、この猫どうするんです」

博士「飼っても……」

助手「ダメです」

助手「可愛いけど」

博士「くっ」

博士「涙を飲んで、ハットトリックをかぶせます……」

フワッ

助手「つ、次はなにが起こるんでしょう」

博士「ぱっぱらー!!」

フワッ

助手「ね……」

博士「虎だあ!!」

助手「きゃあああああああああ」

728創る名無しに見る名無し:2012/08/20(月) 21:37:45.61 ID:9WM2msb7
虎「……」のしのし

助手「い、行っちゃいましたね」

博士「ここには食糧がないって本能的に察知したんじゃないかな」

助手「私たちに見向きもしませんでしたね」

博士「美味しくなさそうだったからかな」

助手「ハカセはともかく私は……」

博士「……ドンマイ」

助手「く、悔しくないですし!! 別に!!」

729創る名無しに見る名無し:2012/08/20(月) 21:43:55.43 ID:9WM2msb7
博士「カビの生えたパンにかぶせると……」

助手「ま、まさか食べられるようになるのでは!?」

フワッ

博士「……」

助手「ネジですね……」

博士「……」ガリッ

助手「無茶です!!」

博士「歯が痛い」

助手「当たり前です!!」

730創る名無しに見る名無し:2012/08/20(月) 21:52:58.53 ID:9WM2msb7
博士「手袋にかぶせると……」

助手「ううん、予想がつきません」

フワッ

博士「中身入りになったあ!!」

助手「ぎゃあ!! ぎゃあああああ!!」

助手「早く!! 早くもう一度かぶせてください!!」

フワッ

博士「両手になったよ!!」

助手「ぎゃああああああああああああああ」

731創る名無しに見る名無し:2012/08/20(月) 22:04:01.09 ID:9WM2msb7
博士「次はなににかぶせてみようかなあ」

助手「い、いらない物にかぶせると一石二鳥では!?」

博士「助手君ナイスアイデア!!」

助手「ではさっそく……」

フワッ

博士「ぎゃー!! ぎゃー!!」

助手「ハカセうるさい」

博士「ワシどうなるの!? ワシの頭どうなるの!?」

助手「ハカセうるさい」

732創る名無しに見る名無し:2012/08/20(月) 22:10:17.99 ID:9WM2msb7
フワッ

博士「……」

助手「……」

博士「え、どう?? ワシの頭どう??」

博士「フサフサになってたりする??」

助手「あんまり変化はありませんね」

博士「そ、そう……」

助手「よかったですね」

博士「く、くそう、脅かしやがってえ!!」

フワッ

助手「ちょ!! どこに当ててるんですか!!」

博士「うるさい!! ワシと同じ恐怖を味わえ!!」

フワッ

733創る名無しに見る名無し:2012/08/20(月) 22:21:40.14 ID:9WM2msb7
助手「きゃー!! きゃー!! ってあれ??」

博士「大きさはさして変わっていないね」

助手「ていうか事あるごとに胸をネタにするのほんとやめてもらえませんか」

博士「まあまあ、お約束だって」

助手「……!?」サワサワ

博士「ん」

助手「な、ない……!?」

博士「もとから」

ドゲシッ

助手「違います!! 先っぽが!! 先っぽがありません!!」

博士「なんと!? とりあえず見せて!!見せ」

ドゲシッ

734創る名無しに見る名無し:2012/08/20(月) 22:28:35.62 ID:9WM2msb7
助手「ちょっと!! どうしてくれるんですか!!」

博士「う、ううむ」

助手「元に戻してください!!」

博士「ううむ」

ガチャガチャガチャ

ドスン

助手「!?」

博士「とりあえずこのニップレスを貼って誤魔化しておきなさい」ポイ

博士「ワシはこのタイムマシンで未来に行き、乳首を生やす技術を学んでくる」

キュイーン

助手「行っちゃった」

735創る名無しに見る名無し:2012/08/20(月) 22:35:17.97 ID:9WM2msb7
キュイーン

博士「ただいま」シャキーン

助手「ハカセ、一体どうしちゃったんですか」

助手「タイムマシンを一瞬で作り上げちゃったり」

博士「うむ、なんだか頭がすっとするような」

助手「さっきのハットトリックのせいですかね」

助手「てっきり私はアホになるオチかと思いましたが」

博士「逆に賢くなったようだね」

助手「笑えませんね」

736創る名無しに見る名無し:2012/08/20(月) 22:43:56.11 ID:9WM2msb7
助手「で、その、ち、乳首を生やす技術は……」

博士「うむ、まずこの人工乳液を身体になじませるところから……」ワキワキ

助手「手つき!! 手つきがアウト!! エロい!!」

博士「ん、なにがかな」ワキワキ

助手「自分でやりますから!!」

博士「そう」シュン

助手「あれ、やっぱいつも通りのハカセですね」

737創る名無しに見る名無し:2012/08/20(月) 22:57:03.57 ID:9WM2msb7
助手「ねえハカセ」ヌリヌリ

博士「ん??」

助手「こっち向かないでくださいね」ヌリヌリ

博士「うん」

助手「さっきのタイムマシン、あれ発表したら、ハカセもハクがつくのでは??」ヌリヌリ

博士「う、うん、そうだね……」

助手「なんですか、歯切れの悪い」

博士「あれねえ、2回しか乗れない作りにしちゃったんだよねえ」

助手「え!!」

博士「とりあえず行って帰って、と思って急いだからねえ」

助手「……」

738創る名無しに見る名無し:2012/08/20(月) 23:03:33.30 ID:9WM2msb7
助手「ハカセ、私のために……」

博士「あ、そうそう言い忘れてたけどねえ、その人工乳液ねえ、いい香りがしない??」

助手「え、ええ」

助手「いい香りって言うか食欲を刺激する匂いって言うか」

博士「未来の最先端技術でねえ、豚肉を調理した時の煙からできてるんだってさ」

助手「豚肉の煙で乳首が!?」

博士「面白いよねえ、未来の技術は」

助手「ハカセも似たような発明をしてると思いますが……」

博士「いやあ、しかしほんとにいい匂いだねえ、焼き肉がしたくなる」

虎「ぐるるるるるる」

助手「……ん??」

博士「……ん??」


【博士と助手 8】おわり

739創る名無しに見る名無し:2012/08/26(日) 21:18:51.71 ID:yT3kK2S9
【博士と助手 9】


博士「助手君、なんか元気がないねえ」

助手「昨日のカレーがちょっと古かったみたいで……」

博士「お腹壊したのかね」

助手「ちょっと痛いんですよう」

博士「ふうむ、心配じゃのう」

博士「ところで助手君、幽霊とか信じるかね」

助手「幽霊ですか?? 見たことがないのでいないと思いますが」

博士「そっか……」

助手「なんですか、ハカセ、まさか信じてるとか」

博士「よく見るんだよ……」

助手「見えるんですか!?」

740創る名無しに見る名無し:2012/08/26(日) 21:23:59.54 ID:yT3kK2S9
助手「科学に携わっている者として、それはどうかと!?」

博士「いやあ、でもねえ、見ちゃったからなあ」

助手「み、見たって、それどうせ見間違いですよう」

博士「昨日もねえ、夜散歩してたら……」

助手「夜は徘徊しないでください!!」

博士「最近のマイブームなんじゃよ、散歩」

助手「はあ」

博士「でね、電信柱の所から、こっちを窺っている人がいるんだよ……」

助手「怖い怖い!! ほんとっぽいからやめてください!!」

741創る名無しに見る名無し:2012/08/26(日) 21:27:09.49 ID:yT3kK2S9
博士「なんかね、怖いからさっさと通り過ぎようと思ったら……」

助手「……」

博士「その人がすっと音もなく近づいてきてこう言うんだよ……」

助手「ひい!!」

博士「『身分証明書、出してもらえるかな』ってね……」

助手「……」

助手「警官じゃん!!」

博士「しかもなにが怖いってね、身分を証明できるものが何一つないってことなんだよ」

助手「不審者じゃん!!」

742創る名無しに見る名無し:2012/08/26(日) 21:33:33.27 ID:yT3kK2S9
博士「いやあ、最近の幽霊は言うことが怖いね」

助手「オチが酷い!!」

博士「冗談はおいといて」

助手「どうせならもう少し面白い話をしてくださいよ」

博士「元気のない助手君を励まそうと思ってだね」

助手「怪談もどきは逆効果ですよう」

博士「そうかね」

助手「で、なんでしたっけ、幽霊の話でしたね」

博士「あ、それはおいといて」

助手「それもおいとくんですか!!」

743創る名無しに見る名無し:2012/08/26(日) 21:39:08.85 ID:yT3kK2S9
博士「こんなものを作ってみたんだけどね」ドスン

助手「なんですか、これ」

博士「ジャカジャン!! 自動怪談マシーン〜!!」

助手「児童階段??」

博士「NO チャイルド NO」

助手「ワンモアプリーズ」

博士「自動・怪談・マシーン〜!!」

助手「自動階段??」

博士「NO エスカレーター NO」

744創る名無しに見る名無し:2012/08/26(日) 21:49:02.69 ID:yT3kK2S9
助手「つまり??」

博士「これを起動させれば、怖い出来事が起こるという不思議な……」

助手「ハカセ最近発明がアバウトすぎやしませんか」

博士「そうかね」

助手「ハカセにも効果がよくわかってないものが多いですよね」

博士「スランプだからねえ」

助手「自分で言っちゃった!!」

745創る名無しに見る名無し:2012/08/26(日) 21:53:00.45 ID:yT3kK2S9
博士「ほーれ、スイッチオン」カチリ

ウィンウィンウィン

助手「震えてますよ」

ドロドロドロドロ

博士「効果音つきじゃ」

助手「ほんとにドロドロ言うんですか」

……

パチン!!

博士「お、ラップ音というやつじゃな」

助手「普通に電球が切れただけかと」

746創る名無しに見る名無し:2012/08/26(日) 21:59:20.54 ID:yT3kK2S9
助手「ハカセ、予備の電球がありません」

博士「おっと、買い置きがなかったかな」

助手「物置を探したんですけれど見当たらなくて……」

博士「そうか、じゃあちゃちゃっと作ってみるか」

助手「お願いします」

ガチャガチャ

博士「うん、これを付けておいてね」

助手「ハカセ、街の電気屋さんとかやった方が儲かるのではないでしょうか」

747創る名無しに見る名無し:2012/08/26(日) 22:15:25.11 ID:yT3kK2S9
ジャーゴボゴボ

博士「ん、なんの音かな」

助手「トイレでしょう」

博士「……」

助手「……」

博士「誰が流しt」

助手「やめてください!! 怖い怖い!!」

博士「この研究所にはワシら以外に誰も」

助手「うわああああああああああああああ」ゾクゾク

748創る名無しに見る名無し:2012/08/26(日) 22:34:38.34 ID:yT3kK2S9
博士「む、窓の外に人影が!!」

助手「ひゃあ!!」

博士「壁のシミが人の顔に!!」

助手「いやいやああああああ!!」

博士「ワシの顔、綺麗??」

助手「んなわけないじゃないですかあああああああああ」

博士「コックリさんコックリさん……」

助手「それ一人でやる遊びじゃないですから!!」

博士「ベートーベンの肖像がこっちを向いたぞ!!」

助手「怖い!! こんな貧乏な研究所に肖像画が飾ってあることが怖い!!」

749創る名無しに見る名無し:2012/08/26(日) 22:52:44.77 ID:yT3kK2S9
博士「と、このように色々と起こります」ゼエゼエ

助手「い、今のは結構怖かったです」ゼエゼエ

博士「そうじゃろう」

助手「ふう」

博士「あ、足元にゴキブリが!!」

助手「ぎゃあ!!」

博士「そっち行ったぞ!!」

助手「新聞!! 新聞!!」

ベシッベシッ

博士「……」ゼエゼエ

助手「……」ゼエゼエ

博士「こ、怖いじゃろ??」

助手「え、これも自動怪談マシーンのせい!?」

750創る名無しに見る名無し:2012/08/26(日) 23:01:28.04 ID:yT3kK2S9
博士「どうじゃったかな、自動怪談マシーンは」

助手「っ!! もう終わりですか」

博士「ページの都合というものがあるからのう、そろそろワシの散歩の時間じゃ」

助手「留守番してないとダメですか、私??」

博士「元気になったじゃろ??」

助手「んなわけないでしょう、まだちょっと怖いんですけど」

博士「がっはっは、まあいいじゃないか、それじゃあ行ってくるぞう」

助手「ああ、行っちゃった……」

ガチャリ

751創る名無しに見る名無し:2012/08/26(日) 23:10:27.85 ID:yT3kK2S9
ガチャリ

博士「ただいま」

助手「あれ、ハカセ、忘れ物ですか」

博士「ん、いや、夜の散歩に行って来たんだよ」

助手「いやいやいや、さっき出て行ったばかりじゃないですか」

博士「さっき??」

助手「自動怪談マシーンで遊んで、それで、ついさっき」

博士「ワシ、1時間ほど前に出て行ったんじゃが」

助手「え??」

博士「助手君、君、誰と喋ってたんだね??」

助手「え??」

助手「そういえば今日はあまり会話がかみ合ってなかったような……」

助手「……え??」


【博士と助手 9】おわり

752創る名無しに見る名無し:2012/08/26(日) 23:31:59.64 ID:fWQv8f2b
>>715
上の人とは逆の感想になってしまいますが
自分は、後半のシリアス部分が良かったと思いました

前半部は、正直「またよくある勇者魔王ものか・・・」と半ばうんざりした感じで読んでいたのですが、
テンポが良かったのでスルッと読めました。
そのまま終わってしまえばなんの印象も残らなかったように思うけれど、後半部(エピローグ?)の
シリアス的味付けが良いギャップを演出していたし、居酒屋の打ち上げも良い雰囲気で気持よく読めました。

また投下して下さい。がんばってね!



>博士と助手
投下乙です!
これ好きです、このゆる〜い感じがww
753創る名無しに見る名無し:2012/08/26(日) 23:35:53.97 ID:yT3kK2S9
ちなみに>>750をよーく読むと……ブルブル
754創る名無しに見る名無し:2012/09/18(火) 11:36:36.29 ID:VZWtMuCm
755創る名無しに見る名無し:2012/09/28(金) 02:29:52.19 ID:E+0avM/x
>753
何度か読み返してやっと気づいた
756創る名無しに見る名無し:2012/09/30(日) 23:52:14.13 ID:F8gg5kMg
>>755
わかんない
757創る名無しに見る名無し:2012/10/01(月) 00:02:04.44 ID:n/adCAeS







758創る名無しに見る名無し:2012/10/04(木) 20:07:43.93 ID:BJXlCSW9
【博士と助手 10】


助手「ハカセ!! 水道が止められました!!」

博士「なんじゃと」

助手「水道料金払ってませんでしたっけ」

博士「ううむ、どうじゃったかな」

助手「曖昧なんですか!?」

博士「通達が来ていたような……来ていなかったような……」

助手「なんにせよ止まってます!!」

助手「非常事態です!!」

759創る名無しに見る名無し:2012/10/04(木) 20:16:28.17 ID:BJXlCSW9
博士「まずい、朝の歯磨きができない」

助手「いや、そこはそんなに……」

博士「顔も洗えない!!」

助手「いつもそんなに気を使ってましたっけ」

博士「むむむ、お風呂も入れない……」

助手「ハカセは二日にいっぺんじゃないですか」

博士「そうだっけ」

助手「そうですよ」

760創る名無しに見る名無し:2012/10/04(木) 20:21:28.65 ID:BJXlCSW9
博士「ご飯……炊けない……」

助手「そうですよ、ご飯がピンチです!!」

博士「朝は白米とみそ汁以外認めないぞ!!」

助手「パン派な私は平気ですが」

博士「白米!! 白米!!」

助手「でもご飯でパンを作る炊飯器も発明されていますよね」

博士「あれはあり!!」

助手「ありなんだ」

761創る名無しに見る名無し:2012/10/04(木) 20:27:22.75 ID:BJXlCSW9
博士「今日の朝ご飯は??」

助手「水が使えないのでトーストとスクランブルエッグです」

博士「わーお、貧乏な研究所にしては素敵な朝食」

助手「ハカセがもっともっと発明してくれたら生活も楽になるんですけどねえ」

博士「……」

助手「なんですか??」

博士「いや、助手君、お母さんみたいだな、と思ってさ」

助手「誰がお母さんですか」

博士「お母さん、ケチャップとって」

助手「誰がお母さんですか」

762創る名無しに見る名無し:2012/10/04(木) 20:44:15.86 ID:BJXlCSW9
……

助手「ハカセ、今度はガスが止められました」

博士「なんと!!」

助手「昨日はお風呂をなんとか我慢してやり過ごしましたが、ガスまで止まると……」

博士「ご飯が炊けない!!」

助手「ええ、それは昨日からです」

博士「みそ汁が沸かせない!!」

助手「ええ、それも昨日からです」

763創る名無しに見る名無し:2012/10/04(木) 20:49:10.80 ID:BJXlCSW9
博士「むむう、これはピンチじゃ」

助手「発明でなんとかなりませんか??」

博士「あれは出したくなかったが……」

助手「え、なにかあるんですか!?」

博士「ワシの……人生一回きりの最終奥義じゃ!!」

助手「そんな最終回っぽく言われても!!」

博士「ジャカジャン!!」

助手「いつもより迫力がある!!」

博士「パンでご飯が作れる炊飯器!!」

助手「内容はいつも通りだった!!」

764創る名無しに見る名無し:2012/10/04(木) 21:19:23.64 ID:BJXlCSW9
博士「つまりこれにパンを入れて炊くとご飯になるという……」

助手「逆バージョンですね」

博士「これはワシが初めて作ったんじゃ」

助手「まあ……そうでしょうね」

博士「というわけで助手君、ご飯を炊いてくれ」

助手「え、ええ、食パンしかありませんが」

765創る名無しに見る名無し:2012/10/04(木) 21:28:35.05 ID:BJXlCSW9
ピーッ ピーッ

博士「どれどれ」パカ

助手「……確かにご飯ですね」

博士「うむ」

助手「ちょっと茶色いのが気になりますが」

博士「この際仕方ない」

助手「ちょっとパサパサしてます??」

博士「水が出ないから仕方ない」

助手「みそ汁はどうしますか」

博士「ジャカジャン!! 集水湯沸かし器!!」

助手「ほう」

766創る名無しに見る名無し:2012/10/04(木) 21:35:18.32 ID:BJXlCSW9
博士「これを使うと、空気中の水分を集めて、湯が沸かせるという寸法じゃ」

助手「へえーすごいじゃないですか」

博士「じゃあこれで早速みそ汁を……」

助手「ん??」

博士「ん??」

助手「これ使えば、普通にお米が炊けましたよね」

博士「……ソウダネ」

助手「まさかわかってなかったのでは」

博士「……」

助手「図星ですね」

767創る名無しに見る名無し:2012/10/04(木) 21:47:03.75 ID:BJXlCSW9
博士「ま、まあいいじゃないか」

博士「とりあえずスイッチオン」

ピッ

助手「どれくらいかかるんですか」

博士「ううん、実験してないから、よくわからないんだよねえ」

助手「まあ、気長に待ちましょう」

博士「それにしても、助手君、喉が乾かないかね」

助手「水が止まってますからねえ」

博士「肌もなんだかカサカサしてきたねえ」

助手「唇もカサカサに……」

博士「……」シオシオ

助手「……」シオシオ

助手「は、早く止めてください!!」シオシオ


【博士と助手 10】おわり

768創る名無しに見る名無し:2012/10/04(木) 22:01:38.33 ID:BJXlCSW9
とりあえず区切りのよい10本でいったん終了ということで
読んでくださった人、ありがとうございました
769創る名無しに見る名無し:2012/10/05(金) 01:05:19.50 ID:e/kUVnGl
>>768
乙です! このシリーズ好きだったw
また書いてくださいな
このトボけたほのぼの感が(・∀・)イイ!!



>>757
Ω ΩΩ<
770創る名無しに見る名無し:2012/10/15(月) 14:04:01.64 ID:FYgec+hm
>>768
771創る名無しに見る名無し:2012/11/19(月) 06:03:34.70 ID:Xi6UIJO/
.
772創る名無しに見る名無し:2012/12/23(日) 08:14:03.69 ID:Sio83AHJ
女「ねえ、男くん。台詞系ってなに?」

男「こんなふうに、台詞だけでストーリーが進む形式のことさ」

女「こういうのはここに投下すればいいわけね」

男「そうだね、単発立てるより読んでもらえたり感想もらえる率が上がると思う」

女「それはなぜ?」

男「住人の中には、単発にうんざりしてる人もいるからじゃないかな」



台詞系はこちらへ!
773飛竜 ◆PZGoP0V9Oo :2012/12/24(月) 22:31:34.73 ID:SMzreqkN
パイレーツ・キング!!

書いてくからよろしくな!! どんっ!
774飛竜 ◆PZGoP0V9Oo :2012/12/24(月) 22:53:48.67 ID:SMzreqkN
第1話 「韋駄天族」
とある島の船工場

デップ「親父!おれ海賊になるっ!」どんっ!

ウィルス親父「ダメだ。お前はオレの後をつぐ船大工になれ!」

デップ「嫌だ!!おれは広い海に出るんだ」

デップ、親父を殴る

しかし、全く利いていない! どんっ!

ウィルス親父「未熟もんが!子には親は超えられんのだ!」

ウィルスが木材でデップをぶん殴った!

デップ「い、いてぇ!」

ウィルス「がはは。この程度の攻撃も避けられなくちゃ海に出るのは無理だな」どんっ!

デップ「く、そお――ッ!」

その後、デップはビヨンセ(船大工見習いの少女)の家で頭のケガを治療してもらった

ビヨンセ「デップ!どうして海賊になるなんていいだしたのよ!」

デップ「世界が見たくなったんだ。こいつを見てな」

ビヨンセにデップが新聞記事を渡す

ビヨンセ「…………!パイレーツキング・シルバーロジャーがデミー山で滑落死!?」どどんっ!

デップ「シルバーロジャーが死んでパイレーツキングの座が空いた!また大海賊時代がやってくる!

 男に生まれた以上、天下をとるのも悪くないだろ?」どーん!

ビヨンセ「デップあんたスケールが大きすぎっ!」どんっ!

船大工A「た、大変だーっ!2人とも」

船大工Aがダッシュでやってきた

デップ「どうしたんだ?そんなにあわてて」

船大工A「工場が海賊に襲われたあ!」

デップ&ビヨンセ「何ぃ!?」どどんっ!
775飛竜 ◆PZGoP0V9Oo :2012/12/24(月) 23:10:21.25 ID:SMzreqkN
〜ウィルスの船工場〜

木材と倒れた船大工が船工場に散らばっていた

船大工B「……」

船大工C「た、助けて……」

バキューン!船大工Cの頭が銃でぶっ飛んだ

ウィルス「で、デビッド!」

サイ「弱い……弱すぎる」

サイ海賊団船長 眩惑のサイ 懸賞金4万円 どんっ!

ウィルス「よくも仲間を……」

サイ「残るは貴様だけだ。ウィルス」

ウィルス「木材振り回し!」

サイ「遅すぎる……
 スタイルA」どんっ!

サイが全ての攻撃をあっさり交わす

ウィルス「速い!?」

サイ「スタイルB」

バキューン

ウィルス「くばぁ!」吐血

サイ「……さすがにこの程度では死ぬまい」

ウィルス「くそっ、ただの海賊にオレが……」

サイ「ただの海賊。ではない。残念ながらな」

ウィルス「どういうことだ?」

サイ「貴様の持つ王のかけらを貰いにきた」

ウィルス「……!」

会話を遮るように飛び出むデップとビヨンセ

デップ「親父!」
776飛竜 ◆PZGoP0V9Oo :2012/12/24(月) 23:21:19.86 ID:SMzreqkN
ビヨンセ「な、何よこれ?なんか死にまくってる」

ウィルス「いかん、早く逃げ……」

サイ「邪魔だ」バキューン

ビヨンセ「ぐへえ!」どんっ!

ビヨンセの頭が弾け飛ぶ

デップ「ビヨンセ――ッ!」

サイ「次はお前だ」

ウィルス「待てぇ!かけらについて話そう!」どどんっ!

サイ「ほう?」

ウィルス「その代わり息子の命は頼む」

サイ「いいだろう」
サイが銃を下ろす
デップは立ち尽くした

ウィルス「どうしてここに王のかけらがあると?」

サイ「教える義務はない。しかし、せっかくだから教えてやろう」

サイが懐からニンテンドーDSのような装置を取り出す

サイ「私が以前船員をしていたデビル海賊団によって作られたものだ。その名もデビルレーダー!」どんっ!

ウィルス「デビル……」

デップ「レーダー?」

サイ「デビルレーダーは電波で王のかけらを探知し、GPSによって船をそこまで導くのだ」

デップ「王のかけらって一体?」
777飛竜 ◆PZGoP0V9Oo :2012/12/24(月) 23:28:39.01 ID:SMzreqkN
サイ「お喋りはそこまでだ」

サイが銃を構える

サイ「王のかけらを出せ」

ウィルス「わ、わかった……」

ウィルスが木材をへし折ると、中から青く輝くガラスの破片的なものが!


サイ「すぱらしい」

ウィルス「さぁ、これで」

サイ「約束だったな。よし、全員死ね」

デップ「えっ」

ババババババパババババババババ!!!

銃の雨が降り注ぎ、2人は蜂の巣に

サイ「ぶぁーか。誰がお前らクズとの約束を守るかよ」どんっ!

???「終わったか。サイ」
778飛竜 ◆PZGoP0V9Oo :2012/12/24(月) 23:44:57.44 ID:SMzreqkN
船大工A?「始末に時間をかけたな」

びりっ

船大工Aがマスクをはがすと亀田興毅そっくりの男が!

サイ海賊団航海士 ジャン どんっ!

船大工B?「死んだふりすんのも大変よねぇ」

ばりっ

サイ海賊団船医 ミーナ どんっ!

サイ「ああ、潜入調査ご苦労だったな」

ミーナ「これでデビル海賊団に先手をとったね!」

サイ「どうかな?ハンリュウ島にあったかけらの反応が海に移動しはじめた」

ジャン「なにぃ?」

ミーナ「あいつらもう」

サイ「うかうかしていられん。すぐに二つ目のかけらを探しにかかるぞ」

崩壊した船工場を背景にサイ海賊団3人が海を見る

サイ「新たなパイレーツキングになるのは、韋駄天族の末裔であるこの私、サイだッ!!」どどどんっ!

煽り:サイの冒険が始まる……!
779創る名無しに見る名無し:2013/01/11(金) 02:11:46.86 ID:36YedIfm
2ちゃん自体への書き込みもはじめてですお邪魔します。
セリフのみのSSですが投下させていだだきます。
780創る名無しに見る名無し:2013/01/11(金) 02:14:26.59 ID:36YedIfm
【気が付いたら君の目の前にいた話をする。】

「ねえ、俺がもうすぐ死ぬって言ったらどうする?」

「とりあえず落ち着け」

「落ち着いてるよ。実はね、俺には未来が見えるんです」

「今度は何のアニメにはまってるんだ。未来人が出てるあれか」

「あれではないよ」

「マジか」

「大マジなんだ」

「死ぬのか」

「どうやら死ぬらしい」
781創る名無しに見る名無し:2013/01/11(金) 02:16:20.13 ID:36YedIfm
「そうか」

「そうみたいだ」

「どうしようか」

「どうしようね」

「何かやりたいこととか」

「特にないね」

「無いのか」

「無いのさ」

「困ったな」

「困ったねえ」


「そもそも何で死ぬの」

「どっか病気みたいでね」

「雑だな」

「しかも治らないやつみたいでさ」

「更に雑だな、漫画みたいな話だ」

「漫画みたいな設定で少し嬉しいよ」

「馬鹿か」

「馬鹿なのかもね」

「いつ死ぬんだ?」

「それがわからないんだ」

「でも死ぬんだろ」

「うん、もうすぐ」

「それだけわかってりゃ十分か」

「うん、俺はもうすぐ死ぬんだ」
782創る名無しに見る名無し:2013/01/11(金) 02:18:12.90 ID:36YedIfm
「なのに何でここにいるんだ?」

「どういう意味かな」

「いや、だって普通死ぬってなったら色々あるだろ」

「遺書とか?」

「自殺かよ」

「違うね」

「ほら身辺整理とか、家族と過ごすとか、恋人と過ごすとか」

「うんうん」

「あとは、・・・えーと、何だ?」

「何だろうね」


「・・・そう考えると、死ぬってわかっててもやりたいことって特別出てこないな」

「そうだね」

「ちょっと絶望した」

「どうして?」

「もし俺がお前みたいにもうすぐ死ぬってなっても、」

「うん」

「特にやりたいことがないってわかったから」

「それは毎日充実してるってことじゃないのかな」

「どういうことだよ」

「君が悔いのない人生を送っているってこと」

「ふうん、そんなもんか?」

「そんなものです」
783創る名無しに見る名無し:2013/01/11(金) 02:19:53.85 ID:36YedIfm
「折角だし旅行とかはどうだ」

「旅行かあ」

「行ってみたい場所とかないのか」

「君もついてきてくれるの?」

「場所によってはだな」

「じゃあ京都」

「じゃあって何だ、じゃあって」

「修学旅行一緒にまわれなかったからさ」

「つーかあの頃まだ喋ってもいないだろ」

「そうだったね」

「旅行とか出来るのか?」

「どういう意味で?」

「体調的な意味で」

「大丈夫なんじゃないかな、多分」

「雑だな」

「自分の体だからねえ」

「自分じゃなかったらどうするんだ」

「きっくんなら、すごく心配する」

「きっくんって誰だ」

「君、って呼ぶの飽きてきたから、きっくん」

「あだ名呼びとか仲良しみたいだろ」

「仲良しでしょ?」

「ノーコメントで」

「えー」
784創る名無しに見る名無し:2013/01/11(金) 02:30:24.31 ID:36YedIfm
「もっと驚いてくれるかと思ったのに」

「実感ないからな」

「俺にもないんだよね」

「お前にないのに俺に実感あったら嫌だろ」

「そうだよね」

「つまりそういうことだ」

「そういうことだね」

「きっくんきっくん」

「呼ばれ慣れなさすぎてむず痒い」

「じゃあ呼び続けてあげましょう」

「本名にかすりもしない」

「俺だけしか呼ばない君の名前ってことだね」

「なんか気持ち悪いぞそれ」

「失礼だなあ」
785創る名無しに見る名無し:2013/01/11(金) 02:31:29.04 ID:36YedIfm
「もうすぐ死ぬって言ってたけどさ」

「うん」

「もし今から俺がコンビニに行くとする」

「うん」

「スピード違反で突っ込んできたトラックにひかれるとする」

「あらら、居眠り運転?」

「飲酒運転かもしれない」

「不運だね」

「その場合病気で死ぬお前より、俺の方が先に死ぬ」

「つまり?」

「もうすぐ、って曖昧だな」

「そうかもね」
786創る名無しに見る名無し:2013/01/11(金) 07:24:14.98 ID:FzPrglVR
C
787創る名無しに見る名無し:2013/01/11(金) 13:23:52.08 ID:36YedIfm
「ふふふ、」

「気持ち悪い」

「酷いなあ、俺は嬉しいのに」

「何がだ?」

「きっくんとこうして喋れて」

「・・・リアクションに困る」

「もっと早くきっくんとこうしていたらなあ」

「?」

「ふふふ、」



「あー腹減った」

「何か食べたら?」

「コンビニ行ってくっかな、お前も行く?」

「俺はいいや、お腹すいてないし」

「そっか、じゃーいってくる」

「飲酒運転のトラックにひかれないようにね」

「居眠り運転のトラックにはひかれてもいいのか」

「それなら仕方ないよ」

「まあ、仕方ないな」
788創る名無しに見る名無し:2013/01/11(金) 13:25:59.26 ID:36YedIfm
「ただいま」

「おかえりなさい、きっくん」

「超寒かった」

「あ、ピザまん」

「あったかいからな」

「もうすっかり冬だね」

「雪はまだ降らないけどな」

「どうせならあったかい季節に死にたかったなあ」

「まあ、ピザまんでも食え」

「うん」
789創る名無しに見る名無し:2013/01/11(金) 13:28:01.46 ID:36YedIfm
「あ、」

「どうした」

「そろそろ帰らなきゃいけないみたい」

「唐突だな」

「そんなものらしいよ」

「そんなものなのか」

「ねえきっくん」

「何だ」

「実は言わなきゃいけないことがあってね」

「唐突だな」

「実はね」

「告白以外で頼む」

「えー」

「えーじゃない」

「仕方ないなあ。実はね、身辺整理も、家族と過ごすのも、終えて来てるの」

「?」

「恋人はいないからどうしようもないんだけど」

「つまり?」

「実はもう俺は死んでるってことです」

「そっか」

「そうなのです」
790創る名無しに見る名無し:2013/01/11(金) 15:41:59.72 ID:kfFB5EKe
C
791創る名無しに見る名無し:2013/01/12(土) 00:13:08.12 ID:0w6Kg5/C
続き気になる
792創る名無しに見る名無し:2013/01/12(土) 00:42:28.90 ID:2y8ZSzUS
すいません仕事やら規制?やらでした。
連続投稿しすぎるとダメみたいですね・・・!
続きはらせていただきます。



「もっと驚いてくれるかと思ったのに」

「すげえ驚いてる」

「嘘だあ」

「一周して真顔」

「どうもー幽霊でーす」

「笑えない」



「何でここにいるんだ?」

「それが俺にもわからないんだよね」

「死んでまで出てくるような理由とか」

「やっぱり告白してないからかな」

「愛されてたのか」

「愛していました」
793創る名無しに見る名無し:2013/01/12(土) 00:44:27.29 ID:2y8ZSzUS
「お前馬鹿だな」

「馬鹿なのかもね」

「今更告白してどうするよ」

「ううん、考えてなかった」

「馬鹿だな」

「でも、死んでまで告白しに来るなんて、きっくんもう忘れられないでしょう?」

「とんだファンタジーだ」


「本当にそろそろ行かなきゃいけないみたい」

「そっか」

「最後にちゅーとか」

「しない」

「酷い」

「大体お前幽霊だし、触れないだろ」

「幽霊じゃなかったらちゅーしてくれたのか、残念」

「都合の良い頭だな」
794創る名無しに見る名無し:2013/01/12(土) 00:47:59.97 ID:2y8ZSzUS
「じゃあね」

「じゃあな」

「最後にきっくんに会えて嬉しかった」

「漫画みたいな台詞だな」

「大好きだからね」

「最後の最後まで相変わらずだな」

「本当はすっごい寂しいけどね」

「泣かないのか」

「きっくんが見えなくなったら泣く」

「へえ」

「あ、そうだ。まだ答え聞いてなかった」

「何の」

「最初の」

「あれか」

「そう、あれ」

「聞けば?」

「うん」
795創る名無しに見る名無し:2013/01/12(土) 00:50:43.98 ID:2y8ZSzUS
「ねえ、俺がもうすぐ死ぬって言ったらどうする?」

「今すぐお前と京都に旅行に行く」

「それはずるいよ」

「だろ?」

「愛してました」

「愛されてたみたいでした」

「じゃあね」

「じゃあな」




END
796創る名無しに見る名無し:2013/01/12(土) 00:54:34.61 ID:2y8ZSzUS
以上です。
長々とお付き合いいただきありがとうございました。
初めて書き込みしたため見にくかったり遅かったりあると思います。
お邪魔しました。
男女、など書かなかったのは性別を決めていなかったからです。
では、いつかまたお邪魔させていただくかもしれません。
失礼します!
797創る名無しに見る名無し:2013/01/13(日) 00:17:29.28 ID:4C2RSd8Y
おつです
淡々としてるところが逆にいいですね
798創る名無しに見る名無し:2013/01/13(日) 04:09:19.40 ID:gTcAJltk
これは良い
799創る名無しに見る名無し:2013/01/15(火) 19:32:59.87 ID:XSzNQsGf
淡々と進むのが逆に素敵
800創る名無しに見る名無し:2013/01/15(火) 20:24:30.02 ID:nlQ7P1u3
>>796
すごい良かったー!
こういう淡々としてるの好きだなー
ヘンに奇をてらった感じもないし、ちょっと詩的な感じもする
801創る名無しに見る名無し:2013/02/09(土) 09:26:10.14 ID:bN5066JG
理由:ネットにそう書いてあったから
802創る名無しに見る名無し:2013/02/21(木) 23:02:09.59 ID:Sef+mYfP
.
803創る名無しに見る名無し:2013/04/22(月) 02:56:57.25 ID:MLQ9WZio
804創る名無しに見る名無し:2013/09/15(日) 11:04:26.86 ID:3mNsNcv4
むー
805創る名無しに見る名無し:2013/09/18(水) 14:22:18.38 ID:gpRQZMLa
【静岡】男子バレー部で体罰、部員平手打ち ネットに動画が投稿される-浜松日体高★11



http://uni.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1379467365/
806創る名無しに見る名無し:2013/10/03(木) 15:58:33.43 ID:wzs4p9f1
807創る名無しに見る名無し:2013/10/06(日) 19:57:41.35 ID:8m8fkj/y
【訃報】タレントの桜塚やっくん、交通事故死★9





http://uni.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1381032597/
808創る名無しに見る名無し:2014/01/21(火) 17:35:25.28 ID:r6J4tu1z
 
809創る名無しに見る名無し:2014/02/07(金) 21:30:37.54 ID:ufI98QWO
 
810創る名無しに見る名無し:2014/02/15(土) 14:47:13.41 ID:zYzEnV2v
811創る名無しに見る名無し:2014/03/16(日) 07:32:56.16 ID:of1jWB6C
 
812創る名無しに見る名無し:2014/05/18(日) 03:12:31.28 ID:QxCbctro
813創る名無しに見る名無し:2014/09/21(日) 23:52:54.82 ID:FC/YSeIz
814創る名無しに見る名無し:2014/09/24(水) 00:22:39.72 ID:kZUGu7cE
昔は私もおねえちゃんのいる店でお酒飲んでたんですよ。
徳島にいたころ、あそこの城下は、秋田町というせまいところに市内の飲み屋が全部固まってるんじゃないかという、
一局集中の繁華街がありましてね、当時の同僚と連れ立って、ちょくちょく行ってました。
おねえちゃんがいるといっても、キャバクラとはちょっと違うんです。スナックというタイプで、おねえちゃんは
カウンターの中から出てこない。客はカウンターのバーで、ウイスキーの水割りをのむ。店には厨房がないから、
料理はなし。柿ピー、サラミ、チーズくらい。
料金体系もちょっと不思議で、酒はボトルキープが基本。キープがあれば、店で出すのは柿ピーと水と氷だけなのに、
一人頭2-3000円とるんですね。チャージとかいって。おそろしく高い柿ピーでしょ。水だって、ミネラルウォーターの
瓶ですけど、最初から栓がついてない店もあったし。「水商売」とはこういうことかと。
まあでも考えてみてください。柿ピーを何回お替わりしたとか、水が何本目とか、いちいち、どこかに正の字で書き
留めて、お勘定に入れる。そんな、おねえちゃん、いやでしょ?野暮の極みじゃないですか。税務署で飲んでる気分に
なっちゃう。
一人毎回2000円で固定するのが、まあ合理的なんです。閉店まで粘ってボトルを空にして帰っても、2000円。自分の
ボトルを減らしたくないというケチ臭い根性で、薄ーい水割り1杯だけで帰っても、やっぱり2000円。あれ、やっぱ
おかしいかな。まあいいや、そんな「スナック」を舞台にした噺におつきあい願います。
815創る名無しに見る名無し:2014/09/24(水) 00:28:12.15 ID:kZUGu7cE
「熊よう、今晩秋田町へ繰り出さねえか」
「おう、いいとも。珍しいな、八のほうから誘ってくるとは」
「へへ、この前お前が連れてってくれた店が、ちょいといい感じだったじゃないか。また、あそこ行こうや」
「ああ、なにか、あそこのねえちゃん、ちょっと素人っぽい、あれ、気に入ったんか?」
「まあ、そういうこった。ちょいと俺に考えがあってな、今晩ひと芝居うつんで、お前にも協力してほしいのよ。
 なに、難しいことはなんにもない。ごにょごにょごにょ ごにょっと、こんな案配で頼まあ」
「おう、おう、おう承知した。俺の方は、お前のボトルをしこたま飲んで、知らん顔でへらへらしてりゃ、
 そんでいいんだな。こんな役なら何回でも頼まれてやらあ」
「1回で十分だ。それから酒はおごってやるけど、チャージは頭割りだぞ。勘定は俺がまとめて払うから、
 おめえの分は今、こっちに預けてくれ」
「ちぇ、まるっきり只ってわけじゃあねえのか」
816創る名無しに見る名無し:2014/09/24(水) 00:32:43.43 ID:kZUGu7cE
その晩、熊さん、八っさん連れ立って秋田町へ繰り出します。宵の口は居酒屋で焼き鳥とかビールで腹をみたしまして、
少々できあがり加減で、夜も更けてから目当てのスナックへまいります。
「いらっしゃいませ、まいどごひいきにありがとうございます。お連れさまも2回目ですよね、どうぞこちらへ」
「さすがママさん、一度で顔覚えてるんだ。今日は俺が熊におごるんで、新しいボトル入れて。熊の誕生日祝いだ」
「あら、おめでとうございます」
「おめでとうございます。すぐ作りますね」
「乾杯」
「乾杯」
817創る名無しに見る名無し:2014/09/24(水) 00:33:56.82 ID:kZUGu7cE
てな調子で始めて、くいくい飲み進めます。日付も変わって、ニューボトルもほとんど空になって二人ともへべれけに
なったころ、他の客もみんな帰ってしまって、閉店時刻です。
「熊もなあ、男に祝ってもらうなあ、今年限りにしとけよなあ」
「けえ、てめえこそ自分のときにあてがあるのかよ、ねえんだろう、ぜんぜん」
酔っぱらうと耳が遠くなるんで、どうしても声が大きくなっちゃうんですね。
「もし、もし。盛り上がっているところ、あいすみませんが、閉店でございます」
「あ、あ、はいはい。閉店 閉店ね。承知しました。承知しましたよ。 だから、熊はさあ」
「もし、閉店ですのでお勘定を」
「あ、あああ、そう、そうお勘定。俺のおごりだ、二人分払うよ。はい、はい。えーと、財布財布。あったあった。
 あったけど、なんで財布が開かないの。あれ? どうしちゃったんだ、俺。うーぐらぐらする。よっし。任せる」
八っさん、財布ごとぽーんとママさんに渡しちゃった。
「いや、だから熊はな、ガツガツしすぎなんだよ」
次の瞬間には財布のこと忘れたみたいに、熊さんとのばかッ話にもどっちゃった。
ママさん、一瞬ぎょっとしたけど、財布をあらためると、予定の勘定より1万ちょっと余分に入っている。抜け目
無くボトルをもう1本入れたことにして、空の財布を八っさんに返して、
「毎度ありがとうございます。またお越し下さい。エッちゃん、お見送りして」
「いやーのんだ、のんだ。またくるよ」
818創る名無しに見る名無し:2014/09/24(水) 00:34:47.38 ID:kZUGu7cE
翌日
「おう、昨日はありがとよ。おかげで上首尾だったぜ」
「八も変わったやつだよなあ、余分に金とられて上首尾とはねえ」
「いいんだよ。おめえだって財布を落とした事あるだろ。俺は落とす場所と金額を選んで落とした
 だけだ。次行くときを楽しみにしてな」
「次っていつだい」
「昨日の今日ってわけにはいかないよ。1週間後な」
819創る名無しに見る名無し:2014/09/24(水) 00:36:09.12 ID:kZUGu7cE
1週間後
「よ、こんばんは」
「あらーーーいらっしゃいませーーーー」
「しばらくお見えにならなくって。お忙しかったですかあ?」

「おい八、すげーな。満面の笑みでキターーーじゃないか。エッちゃんなんか、カウンターの端っこに
 いたのに、『泳いで』きたよ。女のあんな笑顔、俺はみたことなかったぞ」
「ふふん。これが財布ぽーんの1万円のご利益ってやつよ」

ママさんもエッちゃんも、八っさんが酔って気が大きくなって、また財布ぽーんとなるのを期待して
ますから。なんとしても帰さないように、どんどん飲ませようと一生懸命。
「今日はね、カラスミがあるの。よかったらどう」
「そりゃ高そうだな、いつもの柿ピーでええがな」
「いただきものだから、お代はとりません。悪くなる前に誰かに食べてほしいだけ。カラスミ、
 嫌いじゃなければ」
「そうなん? そんならお毒見しましょうか」
820創る名無しに見る名無し:2014/09/24(水) 00:36:51.09 ID:kZUGu7cE
「八、こりゃママさんのとっておきみたいだな」
「いきなりいい展開だ。俺もカラスミは初めてだ。ほう、こりゃ酒が進むぞ」

「お酒に強いんですね。おかわりつくりますねえ。もうちょっと濃いほうがいいかな。
 きゃあ、ちょっと入れ過ぎたかもー。ごめんなさい。どうぞ、ごゆっくり」

「八よう、俺は今猛烈に感動している。これほどにガチな、キャッキャ、ウフフで、水割りつくって
 貰えるなんて。俺には営業スマイルに見えない」
「ばか熊、泣くな、楽しめ。ここが俺たちのモテモテ王国だ」

という調子で、楽しいお酒を二人のんで、
「さあ、熊、そろそろ帰ろうぜ」
「あー、待って待って。まだ閉店まで時間あるからゆっくりしていけばいいのに。
 もう一杯いけるでしょう?」
「引き止められて嬉しいけど、明日二人とも大事な仕事が入ってるのよ。お勘定を。」
今度は、八っさん、普通に自分で財布から金を出して、普通に勘定を済ませます。エッちゃんは大変に
残念そうな顔なのですが、別れが淋しそうにも見えるわけです。

「またきてね。なるべくはやくきてね。待ってるから」
821創る名無しに見る名無し:2014/09/24(水) 00:37:35.04 ID:kZUGu7cE
店を出てから熊さん。
「最後、エッちゃん、目がウルウルしてたじゃないの。」
「女は怖いねえ。絶対気があると思っちゃうよ。どうよ、ちょっといい感じ程度だったのが、すばらしく
 居心地のいい店になったろう?」
「たいしたご利益だ。けどよ、あんなまどろっこしいことしなくったって、ご祝儀なりチップなりで
 1万円渡してもいいんじゃないのか」
「チップで1万出しても、そりゃいい思いはできる。でも次に来たときに、チップなしで他の客と同じ
 だけ払ったら、なぜかケチられたと思われる。いい思いをするためには毎回チップを出すはめに
 なるんだよ。俺のは1回こっきりで、後々までご利益が続くし、それでケチと思われることも無い。
 それに俺の財布には、もっと入っているかもと期待が膨らむのよ。勘定のときエッちゃんに見える
 ように、今日は財布に8万入れておいた。」
「見せ金だけでサービスさせようってか。こいつは、いい根性しとるわ」
822創る名無しに見る名無し:2014/09/24(水) 00:51:39.77 ID:eHByZYTA
 
823創る名無しに見る名無し:2014/09/24(水) 06:16:38.48 ID:kZUGu7cE
店内
「ママ、くやしい。今日のお財布は万札ぎっしり。10万くらいあるんじょ」
「え?10万?・・・(独り言で)先週とはえらい違いだね。今日のは妙な財布の開け方だったよ、
 エッちゃんが覗けるようにしてたじゃないか・・・ははーん、そうか、そういうことか。」
さすが年の功で、ママさんは八っさんのたくらみを見破ったようす。
「(独り言で)先週のはわざとか。面白いことする客だね。こいつは一本とられた。カラスミ一本
 とられた。まあいいよ、こっちは損した訳じゃない。そんなら、わたしものってやろう」
エッちゃんに向かって、
「ばかだね、この子は。ボトル1本くらいだからちょろまかせるんじゃないか。うちはドンペリおいてる
 ような店じゃないだろ。一晩の勘定がどうやったって、そんなになるわけない。こっちは逃げも隠れも
 できない、この店でこれからもやってくんだ。10万入ってたって、うちで抜けるのはおんなじだよ。
 うちは細く長くでここまでやってきたんだから、あんまり欲かいたこというもんじゃないよ」
「でもね、あたしゃ見直したよ。今日のエッちゃんの仕事はよかったねえ。いいおんなっぷりだった
 じゃないの。」
「え? えへへ。そうかなあ?」
「エッちゃんもそろそろ性根をすえなきゃ。競艇選手になる夢が破れて、こんな店に流れてきて、つまんない
 と思っているんだろ? ここは本当は私のいる場所じゃないって顔ですましてカウンターに入ってた。
 それがどうだい。やればちゃんとできるじゃないか。これっくらい、身入れてやってりゃ、次はきっと
 うまくいくよ。先週の余録は二人で山分けにしたけど、次から抜いた分は全部エッちゃんにあげるよ」
「えー、ほんとう? いいの? ようし、なんか燃えてきた」
824創る名無しに見る名無し:2014/09/24(水) 06:17:42.97 ID:kZUGu7cE
その次もエッちゃんは、財布ぽーんの夢よふたたびと、手練手管をつくして、八っさんに深酒させよう、
いい気分でしこたまのませようとしたんですが、もとより八っさんのは意図してやったことで、酒癖でも
なんでもない。二度目はなかったわけです。でもママさんがしっかりネジを巻いてる。
「エッちゃん、どの客も同じだよ。酔って気が大きくなれば、財布ぽーんがあるかもしれないじゃないか」
店は毎日のようにやってます。八っさんといえども毎日は来ません。となると、エッちゃんは、手練手管を
他の客にも使うわけです。地方の目立たないスナックでくすぶっていたエッちゃんですが、その筋の才能も
あったんでしょう。もともと競艇選手になろうってくらいだから、お金は大好き、根性も人並み以上。それが
八っさんとママさんのぶら下げた人参で開眼した。
全身全霊の眼力で
「ゆっくりしていってね」
「のみっぷりのいい男のひと、いいなあ」
練習だろうがなんだろうが、やられた男は、キュンキュンでしょ。水商売の女性は、容姿よりも結局のところ
愛嬌が大事らしいですね。どれだけ客をいい気分に盛り上げるか。「またきてね」といわれて、常連になっちゃう。
八っさんだけの居心地のいい店じゃなくて、本当に居心地最高の店になっちゃった。
こうなると常連さんが増える、水揚げが増えるで、商売自体が面白くって仕方ない。もう八っさんの財布なんか、
どうでもいい。
秋田町のスナック過当競争の中、ありきたりだった店が、休みの前の日は満席になってしまう。すると常連が
平日の夜にも流れて行く。ずっと客足が途絶えない。
もうけの大きい水商売です。3年もしたら、ママさんはひと財産こしらえて、楽隠居。エッちゃんのほうは、
パトロンもついてないのに自分で店をもっちゃった。

身勝手きままな男が、財布を落としたつもりになって捨てた1万円が、思わぬ大きな福を呼び込むという、新春向け
の縁起のいい噺、「秋田町」の一席でした。
お後がよろしいようで。
825創る名無しに見る名無し:2014/10/23(木) 01:55:47.59 ID:xY9U0W9F
全く台詞系ではないしスレ違いだが、面白かった
元ネタあるのかな
826創る名無しに見る名無し