仮面ライダーバトルロワイヤル THE NEXT Version.10
当スレッドは、「仮面ライダーシリーズに登場するキャラクターでバトルロワイヤルをしてみよう」という趣旨のSSスレです。
企画の性質上、登場人物が敗北・死亡する描写や、残酷な表現が含まれています。
また、二次創作という性質上、本編のネタバレを多く含んでいます。
閲覧の際は、その点をご理解の上でお願いします。
企画の性質を鑑み、このスレはsage進行でお願いします。
また、このスレの話題をこの板の他のスレや、特撮!板の関連作品スレに持ち込まないようにしてください。
■参加者名簿■
主催者 村上峡児
【初代】1/4
●本郷猛/●一文字隼人/○死神博士/●ゾル大佐
【アマゾン】0/4
●山本大介/●モグラ獣人/●十面鬼ゴルゴス/●立花藤兵衛
【クウガ】4/5
○五代雄介/●一条薫/○ゴ・ガドル・バ/○ゴ・バダー・バ/○ン・ダグバ・ゼバ
【アギト】4/5
○葦原涼/○風谷真魚/○北條透/●水城史朗/○風のエル
【龍騎】4/5
○城戸真司/○東條悟/○香川英行/○手塚海之/●芝浦淳
【555】5/5
○木場勇治/○長田結花/○海堂直也/○北崎/○澤田亜希
【ブレイド】3/5
●剣崎一真/○橘朔也/●金居/○城光/○志村純一
【響鬼】3/4
○日高仁志/○桐矢京介/●和泉伊織/○歌舞鬼
【カブト】4/5
●天道総司/○影山瞬/○乃木怜治/○加賀美新/○風間大介
【電王】3/5
●モモタロス/○ハナ/○桜井侑斗/●デネブ/○牙王
【FIRST・NEXT】3/5
●本郷猛/○一文字隼人/○風見志郎/○三田村晴彦/●緑川あすか
◆
鏡の向こう側、虚像の世界の中から、声が聞こえる。龍の哭く声が。
自分の半身がいなくなったような虚無感、自分の肉親がいなくなったようないい知れぬ虚無感。
本来ミラーモンスターはそのような感情を抱かない。自らが命を得るため、人間の命を奪い続けるだけの存在だ。
だが自分がこのように感情を持ったのは――――やはり、あのお人よしの主の所為だろうか。もしそうだとしたら、まったく余計なことをしてくれたものだ。
――――だが今は、それが逆に心地よかった。
今は別の主がそばにいるが、それでも失ってしまった何かを埋めることは出来ない。失ったものはもう、二度と戻らない遠くへといってしまったのだ。
だから、せめてそこに届くよう、龍は哭き続けた。
まるで、主に対する弔いの鐘のように。
【 牙王@仮面ライダー電王 死亡 】
【 城戸真司@仮面ライダー龍騎 死亡 】
【 残り31人 】
※C-3エリア 保養所跡地に以下のものが放置されています。
ウルフビールスの笛@仮面ライダー、ウルフビールスの小瓶(空)@仮面ライダー、GS-03・デストロイヤー@仮面ライダーアギト、
オロナミンC×2(ぬるめ)@仮面ライダー剣、マスターパス@仮面ライダー電王、YAMAHA TMAX@現実、支給品一式×3
※カードデッキ(龍騎)+サバイブ烈火@仮面ライダー龍騎、ガオウベルト&ガオウガッシャー@仮面ライダー電王は戦闘で破壊、炎上しました。
※保養所前に城戸真司の遺体と牙王の遺体(砂状態)が放置されています。また首輪は両方についています。
投下終了です。
感想、指摘、矛盾点などありましたらよろしくお願いします。
---
以上、代理投下終了です。
投下乙です!
畳み掛けられるようなバトルパートのボリュームにただただ圧倒されました!
ダグバの力はやっぱり一段上って感じだなあ…
フォームチェンジを駆使したガドルの戦い、やっぱり不意打ちのタイガなど
見所がたくさんありすぎてどこから言っていいかわからないくらいです。
乃木と死神博士のやりあいもとても緊迫感があって素晴らしいです。影山の小者っぷりはもう鉄板だなーw
目指す首輪解除への手がかりも入手して先がいよいよ気になりますね。
ガドルライジング化!?といい、ウルフヴィールスといいここに来てさらに
ヤバそうなフラグがたくさん立っていてそこもまた楽しみです。
そして真司の最期、龍騎の戦いには胸が熱くなりました!
お人よしでも信じて最後まで戦いぬき、サバイブにも変身を果たしたその姿は想像するだけで燃える!
ラストのドラグレッダーの描写には思わず涙腺が緩みました。
素晴らしい大作、本当にGJです!!
投下乙です。
バトルの緊迫感と、キャラの感情に揺さぶられました。
強烈なガオウの最後。
真司の『一通り知り合いの心配をしたら心がふわっと――』のくだりは得に。
超大作GJです!
投下&代理投下&スレ立て纏めて乙
真司、逝ったか……普通に奇襲で死亡かと思いきや土壇場のサバイブには燃えざるを得ない!
しかしドラグレッダーは乃木さんに飼われるなんて気の毒w
牙王が死ぬ一方で帯電したガドル、圧倒的なダグバのグロンギ組がどう動くかも注目ですね。
乃木組と死神博士の合流が首輪解除への活路を開くことになるのかも気になります!
GJ!!
遅ればせながら投下乙です!
言いたい事がほとんど言われてしまっていますが
龍騎サバイブめちゃくちゃ燃えました!!
首輪解除への道も少しずつ見えてきてそのへんも気になります。
GJ!
そんでガドルさんの腕がくっついたの、もずく湯のおかげだったのか…w
ふと気づいた。
香 川 先 生 放 送 越 え し て な く ね ?
恐るべしゼロノスカード……俺達の記憶から香川先生を忘れさせるなんて……
>>12 そうだったっけ?と思って見てきたらマジだった
本人超記憶力の持ち主なのに忘れられるとは…
香川先生の状態を分析するとだな
場所:地図にも載ってない無名ホテル
思考:休む
周り:近寄りそうな人皆無
道具:なし
まあ、動かし難いでしょうなw
戦闘続いてたし三、四時間は寝ててもらっても(ry
創発入れないと思ったら落ちてたんだな
ライダーロワはキング氏とドットレ氏、GR1はマスターとtu氏、スパロワはしーぽん、二次スパは7V氏、漫画はボイド氏ドットレ氏、ロボはあにじゃーんドットレ氏康一くんあたりがいなきゃとっくに潰れてる(06/14 20:04)
byマダオン
たしかに両氏の弛みない努力がライダーロワ完結に
大きく貢献していたことは間違いないな
ところで手塚は本郷が今際の際に思いを託した一文字を
(自分が命を救った志村に)殺され、運命を変えるために守ると決めた
真司も死に…地味に報われないな。本人も未だ重傷だし
なに当たり前のこといってんだ?
そういう空回りも手塚らしいとも言える。
原作でもあんまり報われていなかったしw
>>16 ライダーロワ1stに関しては何一つ偽りのない話じゃん
こんな企画あったんだな
最近読み出したがおもしろいな
過疎化しすぎだろwww
だって……この状況は……
23 :
創る名無しに見る名無し:2009/06/22(月) 00:44:06 ID:apPISEWr
なに?
僕らの望んだ戦争だ。
25 :
創る名無しに見る名無し:2009/06/23(火) 00:44:16 ID:tF6W7RlB
こうなったらディケイドが出てきてラスボス殺してエンディングしかねぇ!
いや、4人のてつをが現れてだな
4人のてつを、ディケイド、ディエンド、W。
こいつらがいれば
参加者「もうあいつらだけでいいんじゃないか」
これはもうウルロワと同じエンドしかないな
ディケイドがうっかりロワ世界破壊でw
ウルトラの最終回は神。
(厄病)
お前らも気が短いなあ
パロロワには完結まで3年くらいかかった場所もあるんだぞ
たかだが一ヶ月程度間が開いたからなんだってんだ
まったくだ
四年目突入しても元気にやってる某ロワとか
BRUより長い歴史を持つ某ロワに謝れ
幾つもの世界に手を伸ばす悪の秘密結社
ロワ主催として完璧だな
―最終話 希望を胸に すべてを終わらせる時…!
さいきょうさいあくのてんかいでぼくたちのかめんらいだーがころされていく!
あくむのばとるろわいやるはおわりそうにない。
そんなとき、じくうをこえてぼくらのでぃけいどがたすけにきたぞ!
ディケイド「くらえオルフェノク野郎。」
ローズオルフェノク「さあ来いディケイド!オレは実は一回刺されただけで死ぬぞオオ!」
(アタックライドゥ・スラッシュ)
ローズオルフェノク「グアアアア!こ この最強のオルフェノクと呼ばれる四天王の村上が…こんな小僧に…バ…バカなアアアア」
(ドドドドド)
ローズオルフェノク「グアアアア」
根岸「村上さんがやられたようですねぇ…」
ジャーク将軍「ククク…奴は四天王の中でも最弱…」
過去キング「人間ごときに負けるとは。面汚しめ…それよりも俺は嫁が心配だ。
早く家に帰りたい。」
ディケイド「くらえええ!」
(ファイナルフォームライドゥ・オールライダー!)
3人「グアアアアアアア」
ディケイド「弱いな。簡単にに四天王を倒したぞ。これで大首領のいる要塞の扉が開く気がしないでもない。」
大首領「よく来たなディケイド…待っていたぞ…」
(ピンポーン)
ディケイド「お前が大首領か?案外小さいな。」
大首領「ディケイドよ…戦う前に一つ言っておくことがある お前は私を倒すのに『ちゃんとした終わり方』が必要だと思っているようだが…別になくても倒せる」
ディケイド「だいたい分かった」
大首領「そして参加者たちは新作が待ちくたびれたのでそれぞれの世界へ解放しておいた あとは私を倒すだけだなクックック…」
(スタスタスタ)
ディケイド「そうか。…オレも一つ言っておくことがある このオレに生き別れた妹がいるような気がしていたが別にそんなことはなかったぜ。」
大首領「そうか」
ディケイド「それじゃ死ね」
大首領「さあ来いディケイドゥ!」
ディケイドの勇気が世界を救うと信じて…! ご愛読ありがとうございました!
エンドクレジット
主演・仮面ライダーディケイド:門矢士
ローズオルフェノク:村上社長
根岸
ジャーク将軍
過去キング
その他参加者の皆さん
大首領:鳴滝
以下、スルーで
物語は終了しました。
以降のディケイドの活躍は劇場版仮面ライダーディケイドにご期待ください。
一年は新作来なかったロワでも完結したんだぜ
何をそんなに悲観するんだ
これ見る時間作るくらいならこれまでのディケイドもっかい見るよ
それかライダー大戦のログ
いやライダー大戦はあれはあれで面白いけれどこのスレで言う事じゃねーだろ
これは酷い荒れ具合
だけどcWの登場から1年と考えれば長持ちした方か
素直に特撮物の熱さが楽しいのが大戦。
生き残りと裏切りのシビアさがたまらないのがロワ。
大戦は 勝敗が誰にも読めない(ダイスだし)、展開が速い
ロワは 勝敗はある程度コントロール可能(ただし書き手に限る)、展開が遅い
大戦を楽しみつつロワの続きを待つのがお薦め
澤田とV3の話全然進んでねぇw
あまりにも贔屓されすぎたwwww
>>44 大戦参加しててここ読んでる人なんているのかね?
大戦参加してなくても見てるだけで楽しいのは俺だけではない、と思いたいし
ロワと大戦両方見てる人は多少はいると思う。多分
マイナーすぎるキャラ多すぎ。
主人公キャラ死にすぎ。
1と2だと2で何もかも劣化する。これ、あらゆる作品の法則。
ロワは正規の作品だけど大戦は大戦で
マイナーキャラ大活躍だからね。
まさかミラージュアギトが主役格になるとは誰も予想できなかった。
落ち着くんだ仮面ライダー「2」号!!
お前の事を言ってるんじゃない!!
でもライダー大戦面白いよな。
2期じゃ音也の話が熱かった。
3期目も始まったし、天道VSオーヴァーロードとか良かったな。
毒吐きがうるさくなるから宣伝は止めてくれ
まあ、大戦なんてどうでもいいけど、それくらいはいいんじゃね?
毒吐きは建前上見ないほうがお勧めな場所だし、そこに遠慮するよりももっと別に遠慮する対象があるだろう。
じゃあライダー大戦の話しはしていいってことになるなw
よかったよかったw
畑違いの話も大概にしておけ
ライダー大戦の話がしたかったらそっちでやれよ
ロワ無関係の話は当然荒れるしロワの話を振る奴もいないし、
もう次の動きがあるまで全員黙ろうぜ
それが1番幸せだ
既に参加者締め切られてる企画の宣伝しても意味ないだろうに・・・
主催者が間違えて全エリアを禁止エリアにしてしまった。
【全員 死亡】
残り0人
ところが偶然人数分のボタンを持っていた753が通りかかり・・・
何で終わらそうとするんだ?ちょっと更新が開いただけだろ。書き手さんのテンションも下がるだろうし、冗談でもやめてほしい。せめて別のスレでも立ててそっちでやってくれって感じだ。
そういうこと言うといつぞやの新ライダーロワみたいに荒らしスレが立つよ。
下がるも何も書き手いなくね?
嘴突き出して餌を待つ小鳥くらいここの住民は何もしないな
やる事っつったら企画に関係ない愚にもつかない雑談か、たまに来る俺みたいな外様の意見を毒吐きでネチネチ叩くだけ…
投下が来ても自分が気に入らなければ叩く、議論スレっつー反対意見が封殺される場所で圧力かける
そりゃ前からの書き手も愛想尽かして見限るよ
読者の俺は待つしかないってことか
だいたい分かった
そもそも書き手が書き手チャットでリンチするようなロワだし
なんだ、お前まだいたのか。
暇だなw
投下してみたいんだけどいいかな?
最近この企画を知って、今まで一度も投下した事ないし今後も投下できるかどうか分からないけど・・・
していいんだったら、香川で
>>69 その辺のルールさえ守ればOKって意味ね
ところで今日気づいた事なんだけども。
「零れ落ちる闇」(香川が最後に登場した回)で川に落ちた香川はG-6からE-6まで内陸の方に流されているんだけど
普通、川って海に向かって流れるもんだよね?
確かに、通常はそうですね……なんで当時の俺は気付かなかったのだろう
まあ、過去に内陸に流れる話が通った以上、ここではそういう設定ってことになるんじゃないかな。
>>71 ちょっと釈然としないけど・・・了解です。
一応、予約スレで予約しようと思ったんですが「外部投稿は禁止です」と言われてしまいました。
予約スレの
>>1には
1:予約が入っていない、もしくは議論中で凍結されているパートに含まれないキャラは予約なしでも投下することができます。
とあるので予約しなくても仮投下に問題はないだろうと考えて仮投下スレに投下しようとしましたが、こっちも同様でした。
どうすればいいですか?
う〜ん、どういうことなんでしょう……。
規制に関しては、管理人氏がここ見てくださってると良いんだが…
予約スレに直接飛んでね?
>>74 まとめWikiのリンクから行ったんですが・・・
これは管理人の罠だ!もしや管理人の正体は・・ゴルゴムか!
手順に従って投下っていうのが一番望ましいとは思いますけれど予約スレに書き込めないのは仕方ないですしゲリラ投下でいいのでは?
このスレで誰々の話を書きたいって子とは既に表明されてますし問題ないんじゃないですかね?所詮ただの読み手の意見ですけど
>>72 「外部投稿は禁止です」は専ブラからの書き込みで出るエラーです。
通常のブラウザをお使いください。
なお、予約ルールについては諸般の事情で変更されております。
スレのテンプレのものが最新です。
>>77 > 通常のブラウザをお使いください。
専用ブラウザとかインストールしてもいないんですが・・・IEのみです。
> スレのテンプレのものが最新です。
このスレの?
>>78 詳細はご説明できませんが、普通のブラウザで普通にアクセスしていればそのエラーは出ません。
私の方からは、そちら側で何か疑わしいことをなさっている、としか申し上げられません。
今一度ご確認ください。
えー、ただ今、仮投下スレに仮投下してまいりました。
どういうわけか昨日に限ってカキコできなかったみたいで、今やってみたらできました(汗)
一体どうなってるんだろう・・・
ともかく「一時投下・仮投下スレッド 2」へ投下はもう済みました。
キャラは以前から書いていましたとおり、香川です。ご意見等お願いします。
・・・予約はした方がよかったかな?
>>80 ルールはテンプレに明記されており、住人がご質問に答えて直接誘導もしているのですから
そこを守っていただくのは最低限の礼儀ではないかと思うのですが。
また一度でも例外を認めてしまいますと、後々いらぬトラブルの原因になる、というのもあります。
過去ログに目を通していただいていれば、
私が何を言わんとしているかはご理解いただけるかと存じます。
>>81 予約はしなくちゃいけませんでしたね。すいませんでした。
今からでも予約スレに書いた方がいいですか?
もうどうでもいいんじゃねーの…
まあ、予約んとこに書き込めないようにされてる人がいるからピリピリするのも分かる。
これまでに色々あったし。
できるのなら、今から予約スレに書いたほうがいいんじゃないかな
予約スレに書いてきました
えー、修正版を仮投下スレに仮投下して24時間が経過しましたが、リアクションがありません。
本投下しても大丈夫という事なのか、単に誰も見ていないのか・・・
どうすればいいでしょう?
本投下して構わないと思いますよ。自分は問題ないと感じました。
では、今から本投下を行います。
「こんな所かな……」
ホテル従業員用の休憩室。
質素なソファに腰掛け、見つけた救急箱の中身を使って応急処置を済ませた香川は独りごちた。
打撲も裂傷もたいしたものではなく、十分処置できたはずだ。
とりあえず彼自身に関しては状態は悪くない。
だが状況はかなり悪い。
侑斗とはぐれてしまい、荷物は全て川に流された。
時計がないから分からないが、もう正午は回っているはずだ。第2回放送がすで行われたはず。
だが携帯も流されたため彼はそれを聞く事ができなかった。
侑斗や海堂が無事かどうか、次の禁止エリアがどこかわからない。
別の参加者に聞くしかないが、協力的な人物にそう巡り会えるだろうか。
「…………」
ネガティブに考えてはいけない。
そう思い、脱いでいたシャツに袖を通しながら立ち上がり、部屋を出る。
廊下を進むと、右手のドアに従業員用更衣室と書かれた扉がある。
先ほどここで服を拝借して、現在それを身に着けている。着ていた服はずぶ濡れだったので着替えたのだ。靴も脱いで今はスリッパだ。
その際、この部屋で気になった事があった。
改めて更衣室を見回す。
(……やはり妙ですね)
そう思うのは、ロッカーの大半が開け放たれたままだからだ。
更にそのほぼ全てに服や私物が入ったままなのが見てとれる。埃も少し積もっていた。
全ての閉じたロッカーを調べる。鍵がかかっていたのは数ヶ所のみ。
開閉問わずほぼ全てのロッカーに服が入っており、バッグは少ない。
そこで香川はある事に気づく。
開いたロッカーを次々に覗きこんでいき、やがて目当てのものを見つけて手に取る。
ハンガーにかかっているボーイの制服だった。
肩の辺りに埃が積もっている。これも同時期に放置されたのだろう。そのロッカーにはボーイの帽子もある。
他のロッカーも調べるが、制服はほとんどなかった。
私服はあるが制服はない。
(つまり、ここの従業員達は……)
ホテルの従業員達はある日、姿を消した。
その際荷物は持って、しかし着替えず制服のままホテルから出たのだ。
ロッカーのほとんどが開きっぱなしだった事から、急いでいたのだろう。
(しかし……)
この状況を説明するのに納得のいく推測はできた。
だが、それが事実ならこのホテルには従業員達が慌てて出て行かなくてはならないような事態が起こった事になる。
(では、何が起こったと?)
これ以上は考えてもラチが明かない。
とりあえず、使えそうなものがないか物色してみる事にした。
サイズの合う運動靴と靴下が見つかり、それを履いた。
今後どれだけ歩かねばならないか見当もつかないため、なるだけ足に負担がかからないようにした方がいい。
ソファで少し休もうとその足でホテルの玄関ロビーへ向かった。
従業員用入り口の扉を開けると受付カウンター内に出た。
玄関の外に人影など見えないのを確認するとカウンターを出る。
ロビーは白を基調とした内装が施されており、豪華というほどではないが高級感を演出していた。
床は薄汚れてはいるが埃などなく──
(埃がない?)
床にかがみこみ、指で触れてみる。
やはり汚れているが埃は先ほどのロッカーに比べればはるかに少ない。
そういえば更衣室の床も埃はほとんどなかったように思う。
(誰かが掃除しているという事ですか?)
有り得るとすればスマートブレインか。
この島を殺し合いの会場にした以上、このホテルもその舞台となる。
そのために最小限の手入れはしていたという事か。
もしかすると、そのためにスマートブレインがこのホテルの従業員を退去させたのか。
(さすがに考えすぎでしょう……ん?)
顔を上げた時、受付カウンターの向かいの白い壁に黒い点があるのに気づいた。
玄関の外に人影がないのを確認してロビーを横切り、近づいてみる。
「これは……」
点に見えたそれは銃弾だった。壁に突き刺さっている。
指でつまんで引き抜く。
つい先刻まで自分が持っていたライフルの弾丸と同じ口径だろう。彼の記憶力は超人的である。
なぜここに銃弾が打ち込まれているのだろうか。
壁際には台が置いてあり、銃弾がめり込んでいたのは台の真上十数cmほどの所だ。
台の上には何もない。何かを乗せるためにここにあるはずなのにだ。
床を見るが何も落ちていない。台をどけると、小さい破片と枯れた花びらが落ちていた。破片は陶製のようだ。
(花瓶か……)
台の上に花瓶があり、それを銃弾が貫き壁に命中したのではないか。銃弾と台の位置関係はちょうどそれくらいだ。
破片と花びらはその時に床に落ち、台の下に入ったのだろう。
花瓶を狙ったのか、それとも誰かを狙って放たれた弾丸がはずれて花瓶に命中したのか。
外を警戒しながらロビーを調べるが、戦闘があった痕跡も他に壊された物もない。
それに、花瓶に入っていただろう花や他の破片は床にない。水がこぼれた痕跡さえなかった。
となると殺し合いの参加者が今日壊したわけではない。かなり以前に壊され、誰かが片づけたのだ。
ここで香川は先ほどの、スマートブレインがホテルを殺し合いの会場として使うために従業員を退去させたという仮説を思い出した。
もしや、この銃弾はそのための強制力の誇示として発砲されたのではないか。銃で花瓶を破壊するのは脅しには有効だろう。
(やはり……?)
性急に結論づけるのは危険だ。しかし、そういう可能性は否定できない。
また外を確認してからロビーを横切り、受付カウンターに入るとパソコンを立ち上げ宿泊客管理ソフトを起動させる。
ログイン画面が表示され、IDとパスワードの入力を要求される。
それらを素早く入力しログインする。
先ほど更衣室を物色していた際に、このソフトのIDとパスワードが書かれたメモを見つけていた。
香川は見たもの全てを完璧に覚えてしまう記憶力を持っており、その内容を一字一句違わず記憶していた。
余計なものを見てしまったと思ったが、かえってツイていたようだ。
宿泊状況を確認すると、宿泊客が最後にチェックアウトしたのは3ヶ月前だった。
それより数日前からチェックインしたままになっているデータもある。
先の仮説と合わせるなら、3ヶ月前に従業員と宿泊客が銃で脅され退去させられたとも考えられる。
「…………」
ただ、疑問が残る。台の下の破片や花びらは見逃したものとしても──
なぜ、更衣室の床はそれなりに掃除していたのにロッカーは開けっ放しにしていたのか。
なぜ、壁の弾丸はそのままになっていたのか。
なぜ、宿泊客のデータは残ったままなのか。
(発見できるように、あえて残しておいた?)
とするなら、それはなぜか。
考え始めて程なく、一つの推測が浮かび上がった。
自分の仮説が真実だったとしても、それはこの殺し合いの促進にも解決にも全く影響がない。むしろそういう事を考える時間を使うだけ行動にロスを与える事になる。
という事は、ホテルに入ってからの自分の行動も主催側の予測の範疇だろう。
(ならば)
ここで香川は行動の方針を固めた。
とにかく海堂や侑斗と合流する。そのためにまずはホテルを出て行動するための準備をする。
ここで得た情報は必要な時が来れば考えればいい。
とりあえず思考は打ち切り、従業員用入り口の奥へと向かった。
数十分の探索後、まとめた荷物を確認する。
非常用防災用品の袋が見つかり、保存食や懐中電灯や水、軍手などが入っていた。
更衣室にリュックがあったので荷物はそれに入れ、軍手は手につけた。応急処置に使った救急箱の中身も入れておく。
観光マップもあった。支給された地図ほど詳細ではないが、ホテルから動物園への道筋はわかった。
支給品の地図の内容は持ち前の記憶力で事細かに覚えているが、それにはホテルは載っておらず自分の現在位置がわからなかった。
マップによるとホテルから動物園は近い。
侑斗と共に動物園へ向かう予定だったし、海堂にも動物園で合流しようと伝えてある。
二人とも無事に動物園にいる事に望みをかけるしかない。
彼らでなくても協力的な参加者に会えればいいが、あまり期待できないだろう。
武器になる物も探したが、そういった物だけは主催側が持ち去っていったようだ。
客室も調べてみたかったがカードキーによるロックがかかっており、そのカードキーが見つからなかった。
それから、壁から発見した弾丸も一応持っていく事にした。ホテルで起こった出来事の重要な証拠品だ。
ホテルを後にし、動物園を目指して丘の斜面を道路沿いに歩く事にした。
丸腰の自分では変身能力を持った参加者と鉢合わせた場合、抵抗する術がない。
かといって侑斗達とすれ違って気づかなかった、という事態は避けたい。
だから道路は避け、自分は木などでなるべく姿を隠しつつ道路が見えるように丘を歩く事にした。
合理的な選択のはずだったが、斜面を歩くのは案外疲れる。
汗をぬぐいながら、じきに動物園が見えてくるだろうと考えていると。
斜面の上の方に家が見えた。
正確には“家だったもの”だろう。朽ち果て、崩れていた。
庭が見えるが、かなりの期間手入れされていないようだ。
この家も強制退去で人がいなくなったのかもしれないが、家が壊れているのはなぜだろうか。
気にはなったが、今は先を急いでいる。
再び歩き出し、林に入っていく。
道路と正面へ交互に顔を向けながら歩いていると、やや開けた日当たりのいい場所に出た。
そこで香川は“あるもの”を見つけ、自分の目を疑った。
「これは……」
彼の目の前には、レンガを円形に並べて作られた小さい花壇があった。さっきの庭同様、手を加えられなくなって久しいようだ。
その中央に、青いバラが咲いていた。
たった一株、花の数は5輪だけだが圧倒的な存在感を放っていた。
その可憐な形と青色の美しさに思わず見とれてしまっていた。
しかし少し時間を置き冷静になると、それどころではないと思い直す。
青いバラなど存在しない。
古来から青いバラを作り出そうと様々な品種改良が重ねられてきたが、いまだに──少なくとも香川の世界では──作られていない。青いバラが不可能の代名詞となってさえいる。
それが今、目の前にある。
よく見ると茎に接ぎ木の跡がある。つまり、この青いバラは人工的に開発されたものだ。恐らくスマートブレインだろう。
そうだとするなら、スマートブレインはまさに不可能を可能にするほどの技術を持っている事になる。
この分だと、他にもどんな技術を持っているのか想像もつかない。その生成物の美しさにかえって敵の恐ろしさを痛感する。
だが、そんなものがなぜこんな所で栽培されているのか。
何者かが隠れて栽培していたとしか考えられない。さっきの崩れた家の住人だろうか。周囲にはこの一株以外に青いバラはない。
「…………」
ここで時間を喰っているわけにはいかない。立ち上がり、その場を後にした。目的地の動物園まであとわずか。
しかし、青い花は香川の記憶の中に確かにその姿を残した。
【香川英行@仮面ライダー龍騎】
【1日目 現時刻:日中】
【現在地:E-6・動物園近くの丘】
【時間軸】:東條悟に殺害される直前
【状態】:深い後悔、強い決意。全身に中程度のダメージ(応急処置済み)、軽い疲労。
【装備】:なし
【道具】:リュックサック、保存食2日分、ペットボトル500ml(水入り)、懐中電灯、軍手(使用中)、医療品(消毒薬、包帯、ガーゼなど少量)、観光マップ、弾丸(発砲済み)
【思考・状況】
基本行動方針:殺し合いの阻止
1:木場勇治の抹殺。
2:木場勇治を抹殺後、海堂及び侑斗と合流。
3:東條は必ず自分が止める。
4:ガドル(名前は知らない)、北崎を警戒
5:五代雄介に一条薫の死を伝える。
6:侑斗を生存させるため、盾となるべく変身アイテム、盾となる参加者を引き入れる。
【備考】
※変身制限に気づきました。大体の間隔なども把握しています。
※剣世界の事についておおまかな知識を得ましたが、仮面ライダーやBOARDの事など金居が伏せた部分があります。
※木場からオルフェノク・スマートブレイン社についての情報を得ました。
※死者の蘇生に対する制限について、オルフェノク化させる事で蘇生が可能なのではと思いはじめました。
※ショッピングセンター・動物園あたりの川に香川の支給品が流されました。川のどこかにあるかもしれません。
※第2回放送を聞き損ねています。脱落者・新しい禁止エリアがわかりません。
※3ヶ月ほど前にスマートブレインによってホテルの従業員と宿泊客の強制退去が行われたと推測しています。
※ホテルの宿泊客管理ソフトのIDとパスワードを記憶してしまいました。忘れる事ができません。
※観光マップは南北C〜H、東西1〜6の範囲まで載っています。道路や駅、観光地とホテルの位置がわかります。
※E−6動物園付近の丘で崩れた家を、林の中で青いバラを発見しました。家の正体については他の書き手の方々にお任せします。
投下終了です。
初投下ですがいかがでしょうか。
ご意見等よろしくお願いします。
投下乙です。
香川は情報端末が無いままと言うのは痛いですよね。果たしてこれからどう行動して行くのでしょうか・・・
そし無事、侑斗と合流出来るのでしょうか。それとも・・・香川が次に誰と出会うかによって命運が変わりそうですね。
そしてまさかの青いバラ、何故そこにあるのか・・・これからの展開に期待です。
>>99 感想ありがとうございます。
えー、特に問題等ない場合、これからどうすればいいんでしょう?
まとめWikiに反映?
101 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/21(火) 12:29:01 ID:CV0SRmj6
遅ればせながら投下乙です。
とうとう香川教授が動き出しましたねー!図らずもキーアイテムらしき青いバラも
発見したりとか、教授の頭脳がどういった結論を導き出すのか気になります。
>>100 この場合はまとめwikiに反映してもらうことになると思います。
やり方はまとめwikiの下部にある『新しいページ』というリンクをクリックして、『すでにあるページをコピーして作成』
の項目 の下にある検索窓から『SS用テンプレ』を検索し、次のページからタイトルを入力して新規ページを作ってください。
そこにSS本文をコピペすればOKです。
初投稿乙でした、これからもがんばってください!
>>101 説明ありがとうございます。
手順に従い、「香川教授の事件簿」をまとめwikiに反映してきました。
今後も機会があれば書いてみようと思います。
>>103 いつも乙です!待ってました、がんばってください!
>>103 ラジオって、誰がしゃべるんだろ?
でも、そういう事があると書き手が増えてくれるかもしれませんね。
書き手談話室にちょっと質問を投下してきました。
お時間があればどなたか相手してやってくださいw
>>105 R-0109って人がMC
マイクとスカイプ(分からないなら検索)さえあれば乱入できちゃう
よく分からないなら
>>103の日程表等を見てくださいな
>>103 多分聞きに行くんで頑張ってください!
ひっそりと風見志郎、加賀美新投下します。
気がつくと、どうやってきたのかもわからない、そんな場所に来ていた。
どこにでもあるような住宅街の真ん中にある、ありふれたアスファルトの道路。視界の脇に移る赤い色は、日本人なら誰でも知っているであろう東京タワーだ。
その影からひょっこりと現れた朝焼けとともに、夜明け独特の香りが鼻の奥をくすぐった。とても心地よい感覚に包まれながら、冷静に今の状況を観察する。
見覚えはない……いや、微かに懐かしいような記憶がある。ひどく不安定でうまく頭が回らないけど、確かここは――――
「俺とお前が、初めて会った場所だな。」
ああ、そうだ。
声のした方に振り返ると、一瞬太陽のような強い光に視界を奪われる。やがて目がそれに慣れてくると、見覚えのある懐かしい姿が見えてきた。
青く輝く二つの複眼に、雄雄しくそびえたつ真っ赤な一本角。またそれに沿うようにして、右手の指を天に向かって掲げる仕草。
自分の知る限り、その姿を持ち、そんな大胆不敵な立ち振る舞いをする奴は広い世界を見回してもたった一人しかいない。
「お前……」
「よう、相変わらず元気そうだな。」
カブトの装甲のなかから現れたのは、やはりあの天の道を往く男だった。
以前見たのとまったく変わらないその微笑に、思わず安堵した。何せ、もう二度と会えないと思っていたのだから。
「天道……風間が見たのって、やっぱりお前だったんだな!」
風間の名を聞いた瞬間、天道の顔色が曇る。まるで、何か言いにくい事を隠しているかのように。
そういえば、その風間はどこにいるのだろうか。辺りに自分と天道以外の人影はない……いや、そもそも自分はなぜここにいる?
先ほど、殺し合いにのった風間を止めるために協力すると誓ったはずだ。こんなところに来た覚えはないし、呼ばれた覚えもない。
今自分が置かれている状況の、何もかもが不可解すぎる。首筋に感じる冷たい金属の感覚が、頭の中の気だるさを一瞬で吹き飛ばした。
「……!」
支援
112 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 23:27:09 ID:Uwqyd7/B
まさかと思い振り返った先には、誰もいなかった。
「天道! オイ天道どこだ!!」
届かないとわかっていながらも、叫んだ。夢なら夢で、言いたいことを言わせてくれ、こっちはあいつに言いたいことが山ほどあるんだ。
散々偉そうにしておきながら、一人で勝手に死にやがって。絶対追いつくって行ったのに、一人で勝手に手の届かないところへ行きやがって。
太陽の輝きが色濃くなり、何も見えなくなっていく。手足の感覚や意識が薄れていく中、ひどく優しげな声が耳に届いた。
「加賀美――――生きろ、そして、ひよりを頼んだぞ。」
◆
「……あ……れ、俺……」
「起きましたか? いつ襲われるのかわからないというのによく寝られるな。」
加賀美が目を開けると、風間――――風見がほのかに湯気の香るコーヒーを差し出していた。どうやらいつの間にか眠っていたらしい。
そのコーヒーを受け取りながら、夢の内容を思い出そうと考える……が、殆ど思い出せない。子供の頃ならよく思い出せたものだが、今となってはそれも難しい。
……ただ、何かとても大切な事を託された、気がする。
「あれ、お前コーヒーなんて入れられたっけ?」
「……それくらい、私にも出来る。」
そうか、と返事をしつつコーヒーを啜る。程よい苦味が残った眠気を覚まし、周りの状況に感づく程度の余裕を与えてくれた。
研究室の中がほんのり赤く染まっているのだ。その光を辿っていくと、窓辺から真っ赤な夕日が差し込んでいる。
「風間、今何時だ?」
「五時を回った辺りだ。お前が寝ている間、特に変わったことはなかった。」
「……そうか、ありがとな。」
突然礼を言われ、風見は訝しげな表情をした。その表情を読み取ったのか、加賀美がコーヒーを飲み干して立ち上がる。
「今五時ってことはさ、四時間近くお前はここで見張っててくれたんだろ?」
「ええ。」
「その間、お前は俺を置いてどこかに行ったり、最悪殺す事だって出来たわけだ。違うか?」
違わない、と風見は心の中で呟く。しかし、それをしなかったのは単なる彼の気まぐれに過ぎない。
加賀美に寝ていた間の放送を伝えなかったのも、伝えればまず間違いなくそこに向かうと思ったからだ。それも、無理やりにでも自分を連れて行こうとするだろう。
ただ、それを断るのは酷く面倒だと思った、それだけのことだ。しかし、加賀美はそれを変な方向へと勘違いしていく。
「でも俺はこうやって生きてる……つまりさ、少しは俺のこと信じてくれたって事だろ。だから、ありがとう。」
加賀美の一切裏のない純粋なその言葉に、風見はコーヒーを飲み干し、カップを置く音でだけ答えた。
◆
物陰から、二人の様子を見つめる小さな赤い影。主を失ったカブトゼクターだ。
加賀美の様子を伺いに飛んできたのだが、特に手を貸す必要はなかったようだ。ただ、あの男がドレイクの資格者であると勘違いしているようだが。
低く頷き、立ち去ろうと旋回すると、そこに二つの影が割り込む。ガタックゼクターとホッパーゼクターだ。
友と出会えた喜びか、ガタックゼクターの無機質の瞳は何も移さない。ホッパーゼクターはというと、特に何も反応を見せていない。
二つのゼクターを見比べた後、ふとカブトゼクターが天井を見上げる。
――――?
それに釣られてガタックゼクターも見上げた、その瞬間。
――――!!
その一瞬の隙を突いて、カブトゼクターが二機の間を掻い潜り、研究所の外へと飛びぬけていった。
完全に不意を付かれたガタックゼクターは、ホッパーを置いて全速でそのあとを追いかける。無論、加賀美と風間に気づかれないようにだ。
扉を抜けた所で、カブトゼクターがこちらに突進してくる光景が見えた。紙一重で避けるが、当てる気がなかったのはガタックゼクターにも理解できる。
――――ついて来るな。
言葉を発せないゼクターだからこその感情表現。戦いの神の名を冠するガタックゼクターでさえも、怯まずにはいられないほどの気迫が込められていた。
一瞬の戸惑いの後、ガタックの顎が震える。承諾の合図を見届けたカブトゼクターは、どこへともなく飛び去っていった。
当面の目標は、天の道の後継者を探すか……主を失い、一人はぐれ虫は夜を往く。
【1日目 夕方】
【現在地:B-7 研究所ロビー】
【加賀美新@仮面ライダーカブト】
[時間軸]:34話終了後辺り
[状態]:痛みはほぼ回復。脇腹に刺し傷、頭部に打撲、肩に裂傷、背中に複数の打撲、右足にダメージ
強い怒りと悲しみ。新たな決意。
[装備]:ガタックゼクター、ライダーベルト(ガタック)
[道具]:基本支給品一式 ラウズカード(ダイヤQ、クラブ6、ハート6)不明支給品(確認済み)2個。
放置されていたデイパック(基本支給品×2、ラウズアブゾーバー、V3ホッパー、首輪(一文字))
[思考・状況]
基本行動方針:桜井侑斗を始めとする協力者と合流する。
1:風間(風見)に同行する。風間(風見)と危険人物以外との戦闘は阻止する。
2:危険人物である澤田と真魚、バダー(名前は知りません)を倒す。
3:風間(風見)といずれは戦うことへの迷い。出来れば戦いたくない。
[備考]
※デネブが森林内で勝手に集めた食材がデイパックに入っています。新鮮です。
※首輪の制限について知りました。
※友好的であろう人物と要注意人物について、以下の見解と対策を立てています
味方:桜井侑斗(優先的に合流)
友好的:風間大介、影山瞬、モモタロス、ハナ(可能な限り速やかに合流)
要注意:牙王、澤田、真魚、バダー(警戒)
※風間大介(実際には風見志郎)が戦いに乗っていることを知りました。
※放置されていたデイパックの中身は確認していません。
【風見志郎@仮面ライダーTHE NEXT】
【時間軸:】THE NEXT中盤・CHIHARU失踪の真実を知った直後
【状態】: 疲労回復、全身打撲、中。両腕、腹部にダメージ中。
【装備】:ハリケーン 、ホッパーゼクター+ゼクトバックルB、デンガッシャー
【道具】:基本支給品×2セット、ピンクの腕時計、ラウズカード(ハートJ、クラブJ)、FOX-7+起爆装置(残り3)
【思考・状況】
基本行動方針:殺し合いに勝ち残り、優勝してちはるに普通の生を送らせる。
1:研究室に設置したFOX-7を、最大の被害を与えることのできるタイミングで利用。
2:ショッカーに対する忠誠心への揺らぎ。
3:葦原涼が死んでいなかったことに驚きと僅かな安堵。
4:いずれあの男(加賀美)と決着を付ける。
【備考】
※モモタロスの死を受け止め、何か複雑な心境です。
※ホッパーゼクターを扱えます。
※FOX-7は基本的に、起爆装置を使った時にのみ爆発します。爆発の規模は使った量に比例します。
起爆装置は全携帯が内蔵している専用アプリに起爆装置のコードを打ち込んで操作するもの。
スイッチ式と時限式の両方の使い方ができます。
※加賀美のデイパックが二つになっていることにまだ気付いていません。
※研究所の研究室に、FOX-7が一つ仕掛けられています。
※カブトゼクターがこれからどこへ行くかは後続の書き手さんに任せます。
短いですが投下終了です。感想指摘問題点等ありましたらよろしくお願いします。
しまった、タイトル付け忘れた……
タイトルは「男二人、虫二匹――――はぐれ虫」でお願いします。
投下乙です
天道………死してなおカ・ガーミンを見守ってくれるのか……!
投下乙です!
夢の中で加賀美を励ます天道に目頭が熱く…!
カブトゼクターもガタックゼクターとの邂逅を経てどういう行動を取るか
気になります!GJ!!
> ◆RIDERjbYCMさん
投下お疲れ様です!
天道と加賀美の信頼の厚さがわかります。
ゼクター達にもスポットが当たっていて良い話だと思います。
投下乙です
カブトゼクターとガタックゼクターの邂逅と別れにほろり……
なにこの内容よりも作者の名前を重視しますと言わんばかりの感想の差w
でもやっぱり内容は微妙だな。
他ロワにはもっと感動的なシーンはいくらでもあるし、文章力も……。
個性っつったらそれまでなんだが、この人いつも「〜〜。」って会話文に読点入れるよな
文法上間違っちゃいないとはいえ、小説とか他の書き手の見て違和感感じないんだろうか?
俺はなんか台本読んでる感じってか、どんな状況だろうと不気味なほど冷静って気がしてアレなんだが
「起きましたか? いつ襲われるのかわからないというのによく寝られるな。」
>>129 口調が変でしたね。後ほどwikiにて修正しておきます。
タメ口で話してたのに返事するときは「ああ。」じゃなくて「ええ。」
俺はこれにも違和感ある
ただ今から仮投下スレに仮投下してきます。
今から本投下します。
『まず、この放送を目にしている参加者の皆様に突然の無礼を詫びさせてもらう』
唐突に携帯電話から流れた放送。
『私……橘朔也は、君達と同様、このゲームの参加者だ』
参加者の一人である橘から、全ての参加者へと発信されたメッセージである。
『単刀直入に言わせてもらおう。……私は、ゲームの終了に必要な鍵を所有している』
それはあるいは喉から手が出るほど求める物の。
『こちらの現在地は――――君達も察しがついているだろう。……そう、放送局だ』
それはあるいは格好の獲物の在り処を示すものに思えただろう。
『ここから我々は――!?』
唐突に始まったその呼びかけは、終わりも唐突であった。
◇ ◆ ◇
北崎は放送を見終わり、携帯をしまう。
「放送局か……」
今の放送で、放送局に集まる参加者は少なくないだろう。橘を救い出そうと、もしくは息の根を止めようと。
「面白そうじゃない……」
見る者に恐怖を与える、凶悪な笑みの浮かんだ幼い顔。
変身の制限時間が切れるのを待つために不本意に時間をつぶしていた不満を解消する機会がじきに巡ってくる。
多数の参加者を全てねじ伏せ、自分が絶対の力を持っている事を思い知らせる。
それは自分にとって至福の時間となる。
「……だけど、まだ早いかもな」
現在地から放送局までは程近い。今から向かって到着する頃にはまだ参加者は集まっていないかもしれない。
それに、オーガとシザースの制限が切れるまでにはまだ少し時間が必要だ。
それなら。
「寄り道していこうっと」
つぶやき、凱火を走らせる。
まだこの近くにいるはずの歌舞鬼を探しに。
◇ ◆ ◇
「……今の、どう思う?」
澤田は隣に座る真魚に尋ねた。
「どうって……」
予想通り答えに詰まった真魚を見て、携帯を閉じる。
先刻、侑斗と一戦交えた地点から少し北に移動し、彼がまた来るかもしれないと警戒していたがその気配もなく、今後どこへ向かうべきか考えていた所だった。
「はっきり言って、他人の心配をしていられる余裕なんかないでしょ?」
「そうだけど……」
木陰に並んで座るその光景は、傍目には普通のカップルにしか見えないだろう。
「でも、気になるじゃない」
「まあね」
認める。特に最後、あんな中途半端に終わったのを見れば何かあったと思うに決まっている。
「だけど、ここからその放送局までかなり遠いんだよ? 僕らが着く頃にはもう彼はいないかも知れない」
救出されるにしろ殺されるにしろね、とは言わないでおく。
「まあともかく、僕らがこれからどうするのかはちゃんと考えないとね」
東西を禁止エリアに挟まれたこのエリアでは北か南しか進みようがない。
真魚には、北の研究所に参加者が集まるかもしれないと言ってある。
スマートレディから電話で聞いた事は伏せ、首輪を外す方法を研究所で探す参加者がいるかもしれないと話した。
人の多い所は避けたいので北へは向かいにくい。
しかし、南には先ほど倒し損ねた侑斗(澤田は名前を知らないが)が逃げていったはずだ。
それを言った所、真魚は南へ行く事に難色を示した。
彼女は彼に対してあまり悪い印象は持たなかったようだ。
それを考えるとなぜか面白くなくなってくる。彼女は自分を頼りにしているのではなかったのか。
彼女を待たせて、そいつを片づけてこようかとも考えた。
ひょっとすると多少態度に出たかもしれない。彼女はとりあえず落ち着いて考えよう、と提案してきた。
そこに今の放送があった。
「とりあえず南に行って、人のいなさそうな所を探そうか?」
と言ってみるが真魚は、
「ん……」
まだ悩んでいる。
いよいよ不機嫌になり始めた澤田はデイパックからペットボトルを取り出し、水をゴクゴクと飲み始めた。
◇ ◆ ◇
急に途切れた放送に、侑斗は思わず立ち上がった。
「なんだ? 一体どうしたんだ?」
橘という男の身に何かあったに違いない。
今すぐに放送局に駆けつけたい所だが、さっきゼロノスに変身したばかりで制限の時間はまだ過ぎていない。
それに、はぐれてしまった香川を放っておく事もできない。
「くそ、どうすればいいんだ……」
歯がゆい思いをしながらつぶやく。しかしその場には彼一人しかおらず、答えてくれる者はいない。
「香川さん……デネブ……」
そのつぶやきも風の中へ消えていく。
一人でいる事がこんなに心細いとは思わなかった。
いつも一緒にいて、共に戦ってくれたデネブ。
この殺し合いの中で幸運にも最初に出会い、様々な助言をくれた香川。
だがデネブは殺されてしまい、香川は消息が知れない。
この殺し合いはなんとしても阻止したい。そう意気込んでいた。
だが現実には一条や海堂、放送で呼ばれた見知らぬ人々はことごとく命を落としている。
それらの人々どころか、自分の隣にいた人さえ守り切れていない。
「ちくしょう……!」
吐き捨てても現実は何も変わらない。
がっくりと肩を落とす。
自分は人に頼り切りの子供だったことを痛感する。
強くならなければならない。人を守るために。
「もうこれ以上、誰も……!」
拳を強く握りしめ、侑斗は歩き出した。
たとえ一人でも、それでもできる事があると信じて。
◇ ◆ ◇
侑斗を――正確には侑斗にそっくりな京介を探している葦原と木場は一旦カブトエクステンダーを停めて放送を聞いていた。
いきなり中断され、顔を見合わせる。
「どうしたんでしょう?」
「さあな」
答えてヘルメットのバイザーを下ろす。
「とにかく、まずは侑斗ってヤツとちゃんと話をつける事だ。その後で考えていい」
「……わかりました」
カブトエクステンダーが走り出したので葦原にしがみつく木場。
色々と取り留めのない事を考えていると、葦原が声をかけてきた。
「あんまり何でも背負い込もうとするな。誰にでも限界はある」
「でも……」
「今のは俺だって気になるさ。だが、考えることはそれ以外にもたくさんある。一つずつ片づけていくしかないんだ」
「…………」
気休めを言うでもなく、突き放すでもない。葦原の言う事は現実的だ。
どうにもできなかった事態は木場も経験がある。一度や二度ではなく。
確かに、いくつもの問題を同時に手につけていたらかえって上手くいかないかもしれない。
それなら、一つに集中した方がまだマシだろう。
「……ん?」
と、何かが聞こえた気がして声を上げる。
「どうした?」
木場のつぶやきが聞こえたのだろう。葦原が聞いてくる。
「いえ、今何か聞こえたような……なんだか何かがぶつかる音だったような」
「どっちだ?」
「多分……こっちです」
木場は北への道を指差した。
◇ ◆ ◇
バイクにまたがったまま後ろの京介と共に放送を聞いていた歌舞鬼は携帯をしまい、エンジンを噴かす。
「い、いいんですか歌舞鬼さん?」
「んん?」
声を上げる京介。まだ落ち着いていないようだ。
「そうは言ってもなぁ、こんな事になったらお前、そのホーソーキョクとやらに人が集まるだろ? 北崎みてえのもいるかもしんねえぞ?」
「そ、そんな」
情けない声を上げる京介に笑いながら、
「だからよ、逆に人の少なそうな所に行こう。北の方だったらあんまりいないんじゃないかと思うんだよ」
地図で見ると、北側のエリアには人の集まりそうな施設はほとんどない――と歌舞鬼は思っていた。
研究所や大学などがどういう場所かよくわからないゆえの思い込みなのだが。
それに北崎は南側のエリアにしばらく留まるのではないかと思われた。さっき遭遇したのはこの近辺だし、今の放送でも南に人が集まると予想できるからだ。
アクセルをひねり、バイクを走らせる。
「よし、少し急ぐか」
「は、はい」
必要以上に強く歌舞鬼にしがみつく京介。相当不安らしい。
「そんじゃ、スピードアップだ!」
少し深めにアクセルをひねり込み、加速する。
「おお、速ぇな!」
予想以上の加速に歓声を上げる。
「よし、もっと上げるか!」
風を切る感覚に爽快になり、さらに加速し――
ガッシャーン!
カーブを曲がりきれず転倒してしまった。
「つ〜」
歌舞鬼は背中を押えながら立ち上がった。調子に乗りすぎたらしい。
「おい、京介、大丈夫か?」
「いっててて……」
京介は胸と顔を押さえている。けっこう強く倒れて顔もすりむいたようだ。
「運動神経ねえなあ、お前」
「ひどいっすよ歌舞鬼さん……」
なんとか二人でバイクを起こして再び乗ろうとした時、自分達が来た方の道路から別のバイクが走ってくるのに気づいた。
「ん?」
京介も気づいて見る。そして声を上げた。
「あ、あいつらさっきの!」
乗っているのは先程京介に迫っていた二人組の男達だった。京介を追ってきたのか。
こちらに気づいたらしく、後ろに乗っている者がこちらを指差している。
「行くぞ、京介!」
再び走り出す歌舞鬼。
京介はまたも強くしがみついた。
◇ ◆ ◇
森を抜け、川を渡り、坂を越える。
そうして道なき道を進み、ようやく舗装された道路が見えてきた。
「お、見えてきた見えてきた」
橘という人物の放送を聞いて彼の元へ向かった一文字・志村と別れ、病院を目指して竜巻を走らせるヒビキは歓声を上げた。
禁止エリアを迂回するためとはいえ、悪路ばかり走っていては手塚のケガにも響く。
肩越しに手塚の様子を伺うと、自分の背中に顔を突っ伏したまま動かない。やはり相当参っているようだ。
「手塚、そろそろ休憩にするから、もう少し頑張ってくれ!」
道路へ乗り上げ、そのまま南へ向かってハンドルを切った。
◇ ◆ ◇
動物園とはこんなに不気味な場所だったろうか。
動物どころか人っ子一人いない動物園を歩き回り、香川はため息をついた。
さっき自分がいたホテルと同様、ここも数ヶ月は放置されているようだ。
侑斗や海堂の姿はなく、人がいた気配もほとんどない。
とりあえず入り口へ足を向ける。誰か通りがかったり立ち寄るかもしれない。
(動物園か……)
――パパ!
数年前、家族で動物園に遊びに言った事を不意に思い出した。
息子の裕太が嬉しそうにたくさんの動物達の檻の前を走り回り、妻と一緒に追いかけるのが大変だったほどだ。
ミラーワールドを巡る戦いに身を投じ、神崎士郎によって手を引く事と家族の命とを選ぶ事を強要された時、迷わず家族を見捨てる選択をした。
家族はもちろん大事だったが、ミラーワールドを閉じなければ多数の人々がミラーモンスターの餌食になってしまう。
それを阻止するためには犠牲は覚悟しなけらばならない。彼の持論である英雄的行為だ。
だからオルタナティブ・ゼロに変身し戦ったが、その最中に現れた龍騎に家族は無事だと教えられ、戦闘の後すぐに連絡を取った。
電話がつながった時の安堵感は忘れられない。ミラーワールドの問題は解決していないとはいえ、やはり家族が無事だったのは嬉しかった。
あの時ばかりは龍騎――城戸真司に感謝した。だから彼は英雄の器ではないのだが。
思わず感傷的な気分になってしまう。もう一度家族に会いたい。
必ず生還する。ミラーワールドを閉じるためにも、家族のためにも。
そういえば、城戸もこの殺し合いに参加させられていたはずだ。名簿に名前があった。
会えば、恐らく手を貸してくれるだろう。そうでなくても、誰かに協力しているに違いない。
考えながら歩いていて、入り口に着いた。
入場券売り場に入ろうとして、音が聞こえてきた。
耳を澄まし、しばらく聞き入っていると、どうやらバイクのエンジン音のようだ。
塀に身を隠し、その陰からのぞく。
やがてバイクが北の方から走ってきたのが見えてきた。運転しているのは男のようだ。
段々近づき、後ろの誰か乗っているのが見えた。
仲間だろう。という事は友好的な人物である可能性が高い。
一か八か、香川は道路で飛び出し、両手を振った。
当然バイクの男は気づき、自分の近くで停車した。
「こんにちは」
にこやかに挨拶する男。歳は30前後ほどほどだろう。
「私は香川と申します。この殺し合いを止めようと考えています」
「俺は日高仁志。ヒビキって呼んで下さい。こっちは手塚」
ヒビキは後ろの男の紹介もした。思った通り友好的だった。
「ちょうどいいや。手塚はケガしてるんです。この中に運ぶの手伝ってもらえませんか?」
「ええ、いいですよ」
バイクごと動物園の中へ入る三人。
自分の幸運に感謝しつつ、色々と情報を聞かねばならないと考えていた。
◇ ◆ ◇
彼らが歩む道は、同じ空間にありながら全て異なる方向へ向いていた。
ある道は他の道と交わり、またある道はさらに違う道へ分岐し。
この島そのものが大きな運命の交差点と言えるだろう。
そして今、いくつもの道が一本に交わりつつあった。
◇ ◆ ◇
澤田はすっくと立ち上がった。
彼の耳が遠くから風に運ばれた音をとらえたからだ。
「どうしたの?」
尋ねる真魚。
「あっちの方、遠くから何か音が聞こえたんだ」
北の方を指す。
けっこう遠いのかはっきりとは聞こえなかったが、バイクのエンジン音ではないだろうか。
真魚はそちらへ目を向ける。
「誰かいるのかな?」
澤田は少し考え、
「よし、行ってみよう」
座っていた真魚の手を引いて立たせ、丘を登る。
「ねえ、道路から行かないの?」
「ばったり出くわすのは避けたいからね」
正直、真魚が動く事を渋っていたので、動かすいい口実が出来たと思った。
様子を見に行くだけだ。いざとなれば自分が真魚を守る。
自分がかなり自然に真魚を守るべき対象として意識している事に、澤田は違和感を感じないでいた。
◇ ◆ ◇
「ありがとう、香川さん」
「いえ」
休憩所のベンチに寝そべり礼を言う手塚。
すでに情報交換はかなり進んでいた。
ヒビキからは第2回放送の内容を教えてもらい、海堂とデネブが死んだ事。
橘の放送が行われた事。
ヒビキ達のグループは手塚を病院へ連れて行くために別行動中である事。
そのグループに城戸真司がいる事。
北條と言う人物が首輪の分析のために乃木と言う怪人に連れて行かれた事。
さらに志村と一文字という人物が橘を助けるために放送局へ向かった事などを聞いた。
香川も侑斗が時の列車の持ち主で恐らくこの島からの脱出の最重要キーパーソンである事。
木場に襲われた事と彼、ひいてはオルフェノクは危険である事、主催者であるスマートブレイン社長もオルフェノクである事。
立ち寄ったホテルで起こったと思われる事などを話し合った。
「他のメンバーは、その乃木と言う男の指示で動いているんですね?」
「ええ。青いバラを探せって言われてるらしいです」
「青いバラ?」
その言葉に、先ほど林の中で見た美しい青いバラを思い出す。
「なんでかはよくわからないんですけど、多分この首輪に関わりがある事だろうって」
自分の首元を指しながらヒビキ。
それならば、ちゃんと教えた方がいい。
「青いバラなら知っていますよ。この目で見ました」
「本当ですか!?」
その言葉に驚くヒビキと手塚。
「ええ。このすぐ近くに咲いていました」
「案内してもらえます?」
言いながらヒビキは立ち上がり、自分の荷物を肩に担いだ。
「手塚、ちょっと行ってくる。少し待っててくれ」
「わかりました」
「念のため、バイクは置いてくから」
バイクのキーをテーブルに置き、二人は動物園を後にした。
◇ ◆ ◇
「来ないな……」
斜面にしゃがみ、双眼鏡をのぞいていた侑斗はつぶやいた。
さっき遭遇したナオミらしい少女と男がこっちへ来るのではないかと考え、遠くから双眼鏡で様子を伺っていたのだ。
香川は北にいると考えられるので、なんとかこの道を北上したい。
だが、まだ変身できないので鉢合わせは避けねばならない。
しばらく待っていたものの、北側からは人影は見えない。
「どうするかな……ん?」
考えていると、逆の方向からバイクの音が聞こえてきた。
こっちから来る事は考えていなかった。そちらへ双眼鏡を向ける。
二人が乗ったバイクが道路を走っている。
運転している男に見覚えはない。後ろに乗っている人間の顔はよく見えない。と、
ガッシャーン!
「あ」
カーブを曲がろうとした時、バイクごと転倒してしまった。
二人ともケガは大した事はなさそうで、フラフラと立ち上がってバイクにまた乗ろうとしている。
そこで後ろに乗っていた男の顔が――
「えっ!?」
思わず大声を出していた。
そこには自分がいた。
自分と同じ顔をした男だった。
最初に会場で見かけた自分にそっくりな男に違いない。
すぐにそこへ向かおうとすると、彼らの後ろからもう一台バイクが走ってきた。
彼らの近くでバイクを停め、彼らへゆっくり近づく。
運転していたのはやはり知らない男。だが後ろに乗っていたのは――
「木場……さん!?」
間違いなく、木場勇治だった。
気がつくと侑斗は走り出していた。
行かなければ。ちゃんと話さなければ。
自分のせいで事態はおかしくなってしまった。
だから、自分が何とかしなければいけないのだ。
転がりそうになりながら踏ん張り、斜面を駆け下りていった。
◇ ◆ ◇
「ってぇ〜……」
「歌舞鬼さん……勘弁して下さいよ、ホント……」
「たはは、ワリぃワリぃ」
立ち上がりながら恨み事を言う京介。
今度は尻を打ったらしくさすっている。
歌舞鬼はというと、どうという事はない。
すぐにバイクを起こそうとするが、そこへ後ろから別のバイクが到着した。
「あ……!」
京介が声を上げる。
バイクから男が二人降りてくる。
◇ ◆ ◇
「大丈夫ですか? ケガは?」
ようやく追いついたが、相手はバイクで転倒してしまったようだ。
心配だったので木場は二人に声をかけた。
「く、来るなよ!」
後ずさる侑斗――らしい人物。木場は足を止めて、
「落ち着いてください。俺の話を――」
「おい」
もう一人が侑斗の前に立ちはだかる。
すると木場の表情が急に引きつった。
「も……森下さん!?」
「あ?」
木場は青ざめ、よろめいた。
それは見覚えのある顔だった。
かつて木場の恋人だった千恵の兄の義正だ。
自分が殺した彼女の仇を探して自分を訪ねてきた後オルフェノクに襲われ、彼自身もオルフェノクへ覚醒してしまった。
そして彼は自分がオルフェノクになったのは妹の仇を打つために神が授けてくれたものと思い込んでしまい、暴走して無差別に人を襲ったためファイズ――乾巧に倒された。
すべての発端となったのは、自分が千恵を殺した事だ。それさえなければ彼は人の道を踏み外す事はなかっただろう。
それゆえ、彼に対しては強い悔恨の情が残っていた。
その彼を目の当たりにして、木場は心を押しつぶされそうになっていた。
「森下さん……なんですか!? どうしてこんな所に……あなたはもう死――」
「待て待て待て、俺は歌舞鬼だ。モリシタなんて名前じゃあねえ」
手を上げて否定する森下――いや歌舞鬼。木場はそれを聞いてしばし呆然としていたが、
「そ、そうですよね……あの人はもう死んでるんだし、名簿にも名前なかったし……」
「そんなに似てるのか?」
葦原が聞くので、頷く。
「はい……とてもよく似ています」
「へぇ、俺みてぇな男前がいるってぇ? どう思うよ、京介?」
おどけながら後ろの侑斗に声をかける歌舞鬼。
だが彼はそんな事を言っている場合かとばかりに非難のまなざしを向けてくる。
「キョウスケ? そいつは桜井侑斗じゃないのか?」
歌舞鬼の言葉に、葦原が反応した。木場も耳を疑った。
「おい京介、名乗ってやったらどうだ?」
「お、俺は桐谷京介だ。サクライなんてし、知らない」
それを聞いて木場と葦原は顔を見合わせた。
「おい、こっちは名乗ったんだからよ、そっちの名前も教えちゃくんねえか?」
言われて、二人とも再度顔を見合わせる。
「俺、木場勇治っていいます」
「俺は葦原涼だ」
「キバにアシハラか。悪いがこいつは京介だ。お前らの探してるサクライとかいうのとは違う」
「でも……」
「木場さーん!」
不意に大声。その方向を全員が向いた。
「えっ!?」
京介がもう一人走ってきていた。
同じ顔の人間を二人も目の当たりにして、全員が驚いていた。
四人の前に現れたもう一人の京介はハアハアと肩で息をしながら口を開いた。
「木場さん……ハア、ハア……」
「君……」
木場がつぶやく。
「お前、桜井侑斗か?」
息を切らしながら葦原の問いかけに頷くもう一人の京介――侑斗。
「……たまげたな、こりゃ」
侑斗と京介は本当にそっくりだった。これではみんな間違えて当然だろう。
「そっくりさんって、意外といるもんなのかね」
「そ、そうですね」
と、今も間違えられた歌舞鬼と間違えた木場。
京介も侑斗の顔をまじまじと見つめる。
「……ホント、気持ち悪いくらい似てるな」
「まったくだな」
京介の言葉に葦原が同意を示した。そして木場に声をかける。
「おい、こいつに話があるんじゃなかったのか?」
「あ……はい」
二人がそっくりすぎる事に呆然としてしまっていたが、気を取り直して侑斗の前に立つ。
「その、あの時は俺――」
「すいません木場さん、さっきはひどい事を言ってしまって」
話そうとしていると、いきなり頭を下げられた。
「謝っても許してもらえないかもしれないけど、本当にごめんなさい」
「君……」
頭を下げたまま謝る侑斗。
木場は驚くと同時にとても嬉しかった。
「いや……大丈夫だよ、俺は。あの時は君も無事だったし」
「いえ、俺が悪いんです。俺が赤カードの代償の事を忘れていたから……」
「代償?」
木場が聞き返すと、侑斗はデイパックからベルトを取り出した。
「香川さんはあの時、このゼロノスベルトに赤のカードを使って変身したんです。
これ、今まで俺しか使った事がなかったからうっかり忘れていたんだけど、赤を使った人間は自分を知る人から記憶が消えてしまうんです」
「え?」
「そのせいで木場さんは香川さんの記憶を失ってしまったんですよ。そこにあんな写真とか見てしまったから……」
急に突拍子のない事を言い出す侑斗。
頭の中で言われた事を噛み砕く。
「じゃあ俺は、あの香川って人に会った事が?」
「はい。あのショッピングセンターでの戦いの時、香川さんと話をしたはずです」
「でもそんなはずは……あの場には海堂や北崎、あと怪物とかはいたけど……」
あの場は三度に渡り――最初は北崎、次いで鳥の怪物、そして巨大な赤い怪物――数名が入り乱れて戦いが行われたが、彼の事は全く記憶にない。
「あの赤いヤツが現れた時の事は?」
「それは覚えてる。僕も君も変身できないから海堂と……」
もう一人が戦った、と言いかけて、それが誰なのか思い出せず口ごもった。
確かにあの時、海堂の他にもう一人戦っていたのだ。
だが、それは誰だ? 全く思い出せない。
もし侑斗の言う通りならば、それが香川だ。
だが自分の記憶から香川の記憶がなくなってしまい、誰かがいたという記憶だけが残った。
そう考えれば説明はつく。
「じゃあ俺は本当に……」
そうなると香川に攻撃したあの時、彼らからすれば味方と思っていた人物がいきなり襲いかかってきた事になる。
裏切られたと思って当然だ。いや、裏切り以外の何物でもあるまい。
「そんな……」
頭を殴られたような衝撃を感じてひざが崩れた。
裏切ったのは彼ではなく自分の方だったのだ。
そんな木場の肩を侑斗がつかんだ。
「木場さんは悪くないんです。俺の、俺のせいで……」
侑斗が慰めの言葉をかけてくれるが、木場は自分を責めていた。
「俺はどうしたらいいんだ……」
「さっきの放送じゃ香川って名前はなかったな。って事はまだ生きてるんだろう」
そこで葦原が口を開いた。
「じゃあ木場、その香川って人を探すのに手を貸してやれ。俺も協力する」
「葦原さん……」
泣いている木場を見ながら、
「えーと……」
と、歌舞鬼は頬をかきながらつぶやいた。
すっかり話に置いていかれてしまってどうしたものかと思っていたのだ。
やがて木場は顔を上げ、京介に謝った。
「桐谷さん、でしたっけ。すいませんでした、侑斗と間違えてしまって」
「あ……ああ。まあ、こんなに似ていちゃあしょうがないよな」
少々複雑な表情の京介。と、そこで木場が再び口を開いた。
「あ、そうだ。ちょっと聞きたいんですけど」
「何?」
「さっき君が持ってたベルトの事なんですけど……」
「え……」
表情が引きつる京介。
「あれは俺が仲間の海堂ってヤツに預けたものなんです。海堂に会ったんじゃないんですか?」
京介は困った顔でこちらを見た。しょうがないので助け舟を出す。
「ああ、会った」
歌舞鬼は、道中で北崎に会った事。
彼が同道を申し入れてきたので受け入れた直後、海堂が北崎に戦いを挑んだ事。
自分は一度海堂とやりあった事があったため様子見をした事。
仲間の三田村が脅迫同然に北崎に加勢させられた事。
さらに北崎が海堂の持っていたファイズギアを京介に使わせようとしたが、彼はそれを持って逃げた事。
そして自分は追い詰められた海堂を助けて逃げた事などを話した。
「それで海堂は……?」
「…………」
罪悪感が胸にちくりと刺さる。
「一応逃げたんだがな、北崎にやられた傷が深かったらしい。そのまま死んじまったよ」
さすがに自分がとどめを刺したとは言えなかった。
優勝を狙う覚悟の印のつもりで殺したはずだったが、人数的に言って今戦うのは不利だろうし、何よりこの場の全員を倒す気にはなれなかった。
特に木場と侑斗は何やら誤解を解いた直後で感動的な場面を迎えたばかりだ。
(ダメだなあ、俺ぁよ)
「そうだったんですか……海堂を助けてくれてありがとうございました」
悲しそうな表情を浮かべながら歌舞鬼に頭を下げる木場。胸の痛みが強まってきた。
「……なあ、仮面ライダーって知ってるか?」
「え? そういえば海堂や赤いヤツがそんな事言ってたような……」
首を傾げる木場に、空を見上げながら続ける。
「海堂は言ってたぜ……仮面ライダーは困ってる奴を助けて、どんな時でも助けを求めてる奴の所へ行くんだって……そしてあいつは自分も仮面ライダーになるって、そう言って北崎に挑んでいった」
「海堂が……」
「あいつの事で俺が伝えるべきなのはこれだけだ」
そう言って締めくくった。
それをどう受け止めるかは彼ら次第だ。
だが恐らく、彼と同じ道を歩もうとするだろう。
目を見ていれば、この三人はそういうタイプだとわかる。
彼らがその道を進み――そしてぶつかるべき壁を越えられなかった時、自分が彼らに引導を渡そう。
困難な道である事は自分が一番良く知っている。
だが、だからこそ彼らに期待してしまう。
自分が進めなかった道を、彼らは進めるだろうか。
できれば最後まで貫き通して欲しいとさえ思う。
(やっぱ甘いなぁ、俺は)
「なあ、頼んでもいいか?」
木場の肩に手を置き、京介を親指で差しながら、
「こいつ、お前たちと一緒に連れてってやってくれ」
「え!?」
京介が驚いた声を上げる。
「歌舞鬼さん、一緒に来てくれないんですか!?」
「悪いな、京介。俺、ちょっと一人でやりたい事があってな」
支援
そして、ここにいる侑斗や葦原。彼らも人を助ける強さを持つ人たちだ。
自分も彼らのようになりたいと思う。
こんな殺し合いの最中に放り込まれたからこそ、仮面ライダーの真価が問われているのだろう。
ならば自分は海堂の遺志を継ぎ、助けを求める人々を見捨てず戦う。
自分は、海堂が信じた仮面ライダーの正義を信じる。
(海堂……俺はきっと仮面ライダーになる。見ていてくれ)
木場はまるで生まれ変わったような気分で、晴れやかな笑顔で仲間達と握手を交わしていた。
◇ ◆ ◇
丘を北へ移動していると、急に澤田がしゃがみこんだ。
「どうしたの?」
真魚もしゃがまされた。
澤田は辺りを見回すと、崩れた家の跡を指差し、
「こっちへ」
と、その家の中に一緒に入った。
家の中、という言い方は適当ではあるまい。
壁は一面しか残っておらず、その壁の陰に隠れているだけだ。
壁から様子を伺う澤田の肩越しに外を見ると、男が二人歩いていた。
どちらも知らない顔だ。彼らは林の中へ入っていった。
彼らの姿が消えて家の中だった所を見ると、埃まみれの本が落ちていた。題名がかろうじて読めた。
「これ……学術書?」
彼女の扶養者である叔父は大学教授を務めている。
そのため家で学術書の類はだいぶ見慣れている。さすがに読んだ事はなかったが。
題名からすると植物学関連のもののようだった。
なんでこんな廃墟にこんな本があるのだろう。
そう思い、本の表紙に指を触れた瞬間、頭の中にビジョンが見えた。
「あっ――」
自分の視界は何か透明なプラスチックか何か越しになっていた。
視界が動き、自分は――正確には自分が追体験している記憶の持ち主は、小さいビニールハウスの中で防護服に身を包んだ状態なのだと気づいた。
ビニールハウスの中には、防護服を着た人間がさらに二人いた。手に何か器具を持っている。
その中で栽培されている植物に自分の顔が近づいた。
それは青いバラだった。
そこで場面が変わり、今度は防護服を着てはいたが顔の部分は晒していた。
防護服の手袋をした手で青いバラを一輪持って、女性にそれを見せた。歳は30歳前後くらいか。
女性はうれしそうに花を受け取り、青い花弁に指を触れた。
すると女性に異変が起こった。
指がボロボロと崩れていったのだ。
それは手首、腕、胸、顔、ついには全身に達し――
女性は灰になって崩れ落ちた。
そこでビジョンは終わった。
>>151と
>>153の間が抜けてました。失礼しました
その方がいい。
このままでは京介は自分が殺してあげなければより苦しむ事になる。
それに自分はやはり優勝を狙う。そのためには戦わねばならないが京介も一緒だとはっきり言って足手まといだ。
それよりは多数の仲間と一緒にいた方が安全だろう。
荷物を押しつける形になるが、恐らく彼らは受け入れるだろう。
「心配すんな。縁があったらまた会えるだろうからよ」
言いながらさっさとバイクを起こし、京介の分の荷物を彼に投げ渡す。
「それじゃ、すまねえが京介の事、頼むぜ。じゃあな」
大声で呼び止める京介を後に、歌舞鬼は北へ走って行った。
やがて声は聞こえなくなり、バイクの音しか聞こえなくなる。
また一人になった。
だがアマゾンと海堂は死に、京介は木場達に預けた。
三田村は心配といえば心配だが、北崎の性格からしてすぐには殺さないかもしれない。三田村には酷な環境だろうが。
それでも、気になるものはあらかたカタはつけた。そろそろ自分の事を考えていいだろう。
(俺はどこへ行くか……)
とにかく、会った者を倒す。それしかないだろう。
(よっしゃ……やったるか)
改めて方針を決め、歌舞鬼はスピードを上げた。
◇ ◆ ◇
「歌舞鬼さん……」
歌舞鬼が走り去っていったのを呆然と見送る京介。
木場はそれになんと声をかけていいのかわからなかったが、やがて葦原が話しかける。
「お前はどうする?」
「え……ど、どうって……」
京介は浮き足立っている。と、侑斗がおずおずと口を開いた。
「あのさ……よければ、これからはこの四人で行動しないか? やっぱり仲間は多いほうが頼もしいし……」
その言葉に、他の三人は顔を見合わせた。そして口々に答える。
「俺はいいぜ」
「俺もそうしたい」
「い、いいのか……?」
その言葉に、侑斗は顔を輝かせた。
「よし……それじゃ、これから俺達は仲間だ!」
そう言って、侑斗は京介に手を差し伸べた。
「改めて、俺は桜井侑斗」
「き、桐谷京介」
やや固い笑顔を浮かべながら握手を交わす侑斗と京介。
そして木場や葦原とも順に握手を交わしていった。
木場は仲間が増える事を大変幸福な事だと実感していた。
結花や海堂の事を思い出す。
海堂はもういないが、結花はきっとまだ生きている。なんとか巡り会って一緒に脱出したい。
そして海堂が死ぬ時まで貫いた意志――仮面ライダー。
自分にその資格があるかどうかはわからない。
だが自分の知る人物に、最もそれに近いだろう者がいる。
巧は確かに、人を助けるためだけにファイズとして戦っていた。
以下
>>153の続き
「真魚ちゃん?」
澤田の声で我に返る。いつの間にかかなり汗をかいていた。服がべっとりして気持ち悪い。
「あ、うん、なんでもないよ。それより澤田くん、これから――」
ごまかそうと話をそらそうとした時。
ガッシャーン!
何か音が聞こえた。
澤田と一緒に壁から少し顔をのぞかせるが何もない。
方向は道路の方だろう。
「ちょっと様子を見てくる。真魚ちゃんは絶対ここから動いちゃいけないよ。いいね?」
「う、うん。気をつけてね」
澤田は自分のデイパックを取り、先ほど二人組が入っていった林から遠ざかるように走っていった。
林の中から姿を見られないように迂回して道路へ出るつもりだろう。
「…………」
澤田の姿が見えなくなり、真魚は再び恐る恐る学術書に触れた。
今度は何も見えなかった。
(何だったんだろう……今の)
◇ ◆ ◇
動物園を出て丘を登る香川とヒビキ。
「ここ、ピクニックとかしたら楽しいだろうな」
道々、ヒビキは自分が所属する猛士という組織の事を話してくれた。
表向きはオリエンテーリングのNPOだが魔化魍なる怪物と戦うために鬼という戦士を集めた組織で、ヒビキもそこで鬼としての経験を活かしアウトドア活動のインストラクターのような仕事をしているらしい。
それなら仕事柄そういう感想を持つのはまあ当然だろう。状況が状況でなければ。
だが見様によっては豪胆とも言えるし、体の動きを見ても確かに素人ではない。
引いたのは多分当たりだ、と香川は思った。
やがて見えてきた林の中へ、ヒビキを伴って入っていった。
「あそこです」
指差す先に咲いている青いバラを見て、ヒビキはおお、と声を漏らした。
「へ〜、本当に青だ。キレイだな〜」
ヒビキはしばらくバラを見ながら周囲を回っていた。
「よし、この事をみんなに知らせないとな」
嬉しそうに手を打ち合わせるヒビキ。
「でも、知らせるだけでいいのかな? 持って行った方がいいのかも」
「しかし、迂闊に取ってしまうとしおれてしまいますからね。これ一本しかないですし、まず知らせてから考えた方がいいでしょう」
話し合っていると。
ガッシャーン!
「うん?」
はっきり聞こえた大きな音に二人とも顔を上げる。道路の方だ。
「なんだろ? ちょっと見てきますね」
「待って下さい。誰かいるかもしれません。殺し合いに乗っている者だったら……」
行こうとするヒビキを引き止める香川。
「大丈夫ですよ。いざとなったら逃げますから」
だがヒビキは林を出て道路へ向かっていった。
◇ ◆ ◇
「あいてて……」
道路に五体投地してうめく歌舞鬼。
「くそ〜、もう金輪際スピードアップして曲がらねえからな……」
カーブをにらみつけながらうなだれる。
ケガは大したことないが、三回も連続で同じ事をやっていればいい加減悲しくもなる。
カラカラと虚しく回るタイヤを見たら、ため息がもれた。
「大丈夫ですか〜?」
と、声がした。
声に聞き覚えがあるような、と思いながら上体を起こすと。
「……!」
歌舞鬼の心臓が一瞬、痛みを感じるほど収縮した。
男が一人、丘を駆け降りてきていた。その顔も声もよく知っている男が。
「ヒビキ……!」
自分を倒した鬼――ヒビキに間違いなかった。
出会ったら意趣返しをしようと考えていたが、こんな唐突に遭遇するとは。
本当に世の中は何が起こるかわからない。
「バイクで転んだんですか? 頭とか打っていません?」
駆け寄ってきたヒビキは歌舞鬼にケガの心配をしている。
「あ……ああ。心配にゃ及ばねえよ」
自分を落ち着かせようと、平常を装って答える。
言いながら、汗が頬を伝うのがわかった。
緊張と興奮によるものだろう。
息も荒く、胸も高鳴っていた。
「そうですか。よかった」
と言って、こちらを助け起こそうとする。
こいつらしいぜ、と内心思いながら起き上がる。
「まさかこんなトコでお前に会えるとは思わなかったぜ、ヒビキ」
にらみつけ、しかし口元は笑みを浮かべながら言うと、ヒビキは目を丸くした。
「え? 前に会った事あります?」
「おい、まさか俺を忘れたとは言わせねえぞ」
ヒビキは首を傾げ、しばらく考えてから、
「いえ、俺は覚えが……あ、もしかして猛士の方ですか?」
「タケシ? 俺の名前はタケシじゃなくてよ……」
答えながら取り出した変身音叉を見せると、ヒビキは驚いたようだった。
「それは……?」
足を上げ、靴の裏で音叉を鳴らし、額の前にかざす。
「歌舞鬼……」
歌舞鬼の周囲を花びらが舞い、ヒビキは思わず後ずさる。
そして花びらが消えると、歌舞鬼が赤と緑の鬼へと姿を変えていた。
「ハァ!」
それこそ歌舞伎のように首を回し、手を広げる。
「鬼!?」
驚くヒビキを尻目に、変身音叉を音叉剣へ変化させる。
「さぁて、俺のリベンジを受けてもらうぜぇ!」
◇ ◆ ◇
休憩所のテーブルの上に紙を広げ、手塚は何事か書きつけていた。
ヒビキと香川がここを後にして、だいぶ時間が経つ。
すぐに戻ると言っていたのに、少々遅い気がする。
かと言って自分のケガではヘタに出歩くわけにも行かない。
そこで、自分はどうするべきか占ってみる事にしたのだ。
「…………」
紙に火をつけ、しばらくその様子を見守る。
しばらくたち、紙が燃え尽きると手塚の目が見開かれた。
「これは……」
「ヒビキさん達が危険だ!」
ケガの痛む体を押して、手塚は竜巻を南へ向かって走らせた。
◇ ◆ ◇
「くっ!?」
袈裟懸けに振り下ろされた音叉剣を、身をかがめながら横に避ける。
何度も振るわれる斬撃をすんでの所でかわしていくが、横薙ぎに払われた剣先が襟元を切り裂いた。
「どうなってるんだ、一体!?」
ヒビキは混乱していた。
彼──どうやら歌舞鬼という鬼らしい──は自分の事を知っているようだが、自分は全然知らない。
しかも見た事のない姿の鬼に変身し、襲いかかってきた。
リベンジと言っている事から、自分に恨みがあるのだろうか。
「うりゃぁ!」
鋭い突きが腕をかすめ、体勢が崩れる。
「どうしたぁ、ヒビキよぉ!」
歌舞鬼は距離を詰め、ヒビキの腰から変身音叉をもぎ取ると腹に蹴りを入れた。
「ぐあっ!」
腹を押さえ道路に転がるヒビキに対し、歌舞鬼はただ音叉剣を肩に担ぐ。
「何考えてやがんのか知らねえがよ、ゴタクはいらねえんだ!」
奪い取られた変身音叉が投げられ、ヒビキの目前に転がる。
それに視線を落としたヒビキに音叉剣を突きつける歌舞鬼。
「俺と戦え、ヒビキ!」
「…………」
変身音叉を手に取り、立ち上がる。
彼が何者かわからない。なぜ自分を狙うのかも。
だが、彼の殺気は本物だ。このままでは自分が殺される。
意を決し、伸ばした音叉を指で弾く。
キィィィィン──
美しい音色を発する音叉を額の前にかざす。
青い炎がヒビキの体を包み込み、その中から紫の鬼が現れた。
「ハァッ!」
対峙する歌舞鬼と響鬼。
歌舞鬼は満足そうに頷き、
「へっ……ようやくその気になったようだなぁ?」
その言葉に、響鬼は無言で音撃棒を構える。
一瞬の静寂──
そして、それを打ち消す鬼の咆哮。
「でやぁぁっ!」
歌舞鬼が音叉剣を振り下ろし、響鬼が音撃棒で横に弾く。
「トォ!」
ガラ空きとなった腹へ、小さい動きで蹴りを打ち込む。
腹を押さえ、たたらを踏む歌舞鬼。
「へへ……面白くなってきたじゃねえか」
両手で音叉剣を構えなおす。
「ここからが本番だぜぇ!」
跳躍し、打ち下ろされる剣を転がってかわす。
両者が即座に体勢を立て直した直後、音叉剣と音撃棒が音を立てて交差する。
◇ ◆ ◇
ようやく道路が見える所に来た澤田が目にしたのは、二体の“鬼”が戦っている光景だった。
片方は赤と緑の体色、剣を持っている。
もう一人の方は紫、こちらは二本の短い棒で応戦していた。
どちらも見た事のないタイプの戦士だった。
オルフェノクではなさそうだし、スマートブレインのライダーズギアでもない。ダークカブトの系統とも違う。
興味が湧かないではないが、そんな事は瑣末な問題だ。
片方が倒されてから、もしくは時間切れを起こした所で襲撃して始末してしまうか。そう考えたが……
澤田は後ろを見た。
真魚がついて来てはいないかと思ったが、丘の上の方には人影はない。
だが、そのうち来ないとも限らない。実際にそういう事があった。
最も、その時は彼女のおかげで難を逃れたわけだから、あまり非難できる義理ではないだろう。
しかし戦っている最中を見られたならまだ、こっちが襲われたからとでも言い訳できるが、自分が誰かに攻撃を仕掛ける所を見られるのはできるだけ回避したい。
かといって奇襲が出来るこの状況を見逃すわけにもいかない。
そうなれば真魚が来ないうちに仕掛けるしかない。
カイザフォンを取り出し、コードを打ち込む。
── Standing by ──
「変身」
── Complete ──
◇ ◆ ◇
感じたのは、違和感。
自分が戦っている鬼が、かつて戦った響鬼とは戦法が違うのを歌舞鬼は感じ取っていた。
大まかに言えば、響鬼のスタイル自体は同じだ。洗練された我流。
だがわずかに違う。実際に戦ってみてはじめてわかる程度の差ではあったが。
(どーいうこったろうなぁ?)
歌舞鬼は内心で首を傾げた。
違和感といえば、響鬼はさっき自分を知らないかのような素振りだった。
変身した時も、変身した事そのものに驚いているようだったが、鬼だとはわかっていた。
つまり、見た事のない鬼だったから、という事だ。
(……試してみっか)
響鬼の打ち込みを剣で受け、体勢を崩したように見せた。
そのスキに再び音撃棒を打ち込まんとする響鬼。
「おりゃ!」
それを歌舞鬼は唐傘を開いて受け止める。
「!?」
そして傘越しに音叉剣を突き通す。
「ぐあ!?」
手応えあり。
剣を傘から抜き、傘ごとはね上げる。こうすれば傘で剣閃は見えない。
またも手応え。傘で見えなかった視界が開けると、響鬼はアスファルトを転がっていた。
起き上がった響鬼だったが、すぐに膝をついた。
腹と胸から赤い血が流れている。胸の傷は斬り上げた時のだ。突きは腹に入ったのだろう。
(ビンゴ……だな)
この戦法はかつて歌舞鬼が他ならぬ響鬼に対して使ったものだ。
ヤツが同じ手を二度も喰らうはずがない。
つまり、この響鬼は自分を倒した響鬼とは別人なのだ。
アマゾンのような野生児や、侑斗と桐谷のようなそっくりな人間が参加しているこの場ならば、そういうのも有り得るだろう。
傘を投げ捨て、響鬼に迫る。たとえ別人でも響鬼は響鬼、それこそ同じ手は通じないだろう。
自分でもヘンな理屈だと思うが、間違いではあるまい。
響鬼は立ち上がり、右手の音撃棒を構える。左手で腹を押さえているが、足元はしっかりしている。
(鍛えてます……ってか。やっぱりヒビキだぜ、こいつぁよ)
手傷は負わせたがまだ油断は出来ない。あの時はここから響鬼は自分を倒してのけたのだ。
むしろ、ここが正念場。
歩み寄る歌舞鬼。動かない響鬼。
やがて剣が届く範囲に入り──
歌舞技が剣を振り上げ。
響鬼が両手の音撃棒を握りしめ。
二人が武器を相手目がけて叩き込む瞬間──
二人を殺気が襲った。
「──!」
数個の光弾が二人がいた空間を切り裂く。
二人は勢いに逆らわずすれ違うように転がり、光弾を辛うじてかわしていた。
「誰だ!?」
光弾が飛んできた方向を見ると、少し離れた木の陰で金のラインが入った黒のボディの人影が妙な形の物──見た事はないが十字型だ──を構えていた。
なんとなく海堂が変身したファイズと印象が似ている、と歌舞鬼は思った。
邪魔した事への文句でも言ってやろうかと思っていると、その人物は跳躍し彼らの近くへ降り立った。
顔を近くで見ると“×”と書かれている。変な顔だ、とつぶやく。
「おい、てめえ──」
口を開いたのも構わず、その戦士──カイザがこちらへ駆け出すと同時、カイザの持っていた物から今度は金色の光の棒のようなものが出てきた。
カイザは歌舞鬼には目もくれず響鬼へ走っていく。
そして、その光の棒を振り回した。
「う!?」
驚きながらもかわす響鬼。そのまま攻撃を続けるカイザ。
あれは棒ではなく剣だったようだが、それよりも不可解なのはその行動だ。
(なんで響鬼を狙ってやがる?)
一瞬考え、即座に理解した。
さっき、二人が武器を交えようとした瞬間に感じた殺気。自分も狙われていたが今襲っているのは響鬼だ。
つまり、標的は自分と響鬼の両方。それで響鬼を狙う理由は一つ。
響鬼の方が手傷を負っているからだ。
早い話が、弱い方を優先して狙っただけなのだ。
「こンの野郎っ……!」
そこまで考えた瞬間、歌舞鬼の頭に血が上った。なんて卑怯なヤツだ、と。
気づけば、歌舞鬼は走っていた。
響鬼は音撃棒を巧みに操ってカイザの斬撃をさばいていたが、スキを突かれ腹に蹴りを喰らった。
歌舞鬼からの突きを受けた部分を攻撃され、動きが止まってしまう。
「おらぁぁぁっ!」
雄叫びをあげ、響鬼に斬りかかろうとしていたカイザに音叉剣を振り下ろす。
かわされるが、二撃、三撃と剣を振るう。
カイザは素早く間合いを取る。歌舞鬼はそこでいったん手を止めた。
「てめえ、人の獲物横取りしようったって、そうはいかねえぞ!」
剣を構えたまま、後ろの響鬼に声をかける。
「おいヒビキ、勝負はお預けにしといてやる。とっとと逃げろ」
後ろから返事は来ず、代わりに正面から聞こえた。
「どういうつもりだ?」
男の声だ。
「どういうつもり……ね。確かに何やってんだろうね、俺はよ。たった今まで殺そうとしていた奴を助けるなんてよ」
理由はわかっている。
「だがよ……こいつはな、てめえみてえな卑怯モンにやらせるにゃもったいねえぜ。こいつを倒すのは俺だ」
それも本音ではあるが。
結局の所、自分は甘いのだ。
弱者を虐げる者がどうしても許せない。
相手が響鬼なのが、かえってそうさせているのかもしれない。こだわりを持つ相手ゆえに自分の地が強く出てしまうのだ。
(こんな調子で優勝できんのかね、俺)
自分に対して呆れる。
(なら、響鬼の前にまずこいつを倒すとすっか)
そして素早く切り替える。
「うりゃああ!」
叫びながら走り出す。相手もそれに合わせるように駆け出した。
斬りかかるがさばかれ、反撃の刃を身を翻してかわす。
次いで剣が交差し、鍔迫り合いになる。
しばらく力比べをしつつスキを伺っていたが、無駄のない素早い動きでひざ蹴りを叩き込まれた。
そこへ光の剣。後ろへのけぞってかわそうとするが、左肩に喰らってしまった。
そのスキを見逃すはずがなく──
(マズい!?)
「ハァッ!」
迫る刃を止めたのは、音撃棒だった。
二人の間に割り込んだ響鬼が剣を抑え込み、口から青い炎を吹いた。
今度はカイザが後ろへのけぞった。そのまま後ろへ転がり込む。
「大丈夫?」
振り向いた響鬼と目が合う。
「お前……」
「これで、さっきの借りは返したよ」
前へ向き直る響鬼。
「人を助けるのが俺達鬼の役目でしょ?」
「……へっ、へへへへ」
思わず吹き出してしまった。
やっぱりこいつはヒビキだ、間違いなく。
なんだか妙に愉快な気分になってきた。
左肩の傷は浅くないが右腕が使えるなら十分だ。
自分も響鬼も手傷を負ってしまったこの状況では、最善の選択は一つしかない。
左手に剣を持ち替え、右手でポンと響鬼の肩を叩く。
そして響鬼の横に並び、再び右手に剣を構える。
「おい、バッテン野郎」
顔に“×”と書いてあるのでそう名づけた。
表情は読めない。意に介していないのかどうかもわからないがそこは無視する。
「出血大サービスだ。俺とヒビキが一緒に相手してやるぜ。文字通り死ぬほど血が出るかもなぁ?」
宣戦布告と同時に、ヒビキに対する共闘の呼びかけ。
それに対しヒビキは、
「ダメだよ、殺しちゃ」
「……お前なぁ」
「死なせちゃダメだよ。俺達は鬼なんだから」
この男はどこまで甘いのだろう。
(人の事ぁ言えねえか)
ともかく、共闘を拒みはしなかった。それだけで十分だ。
「おっしゃ!」
気合の声を入れ、歌舞鬼と響鬼は同時に駆け出した。
◇ ◆ ◇
道路を北上する四人の若い男達。
侑斗が、香川がこっちにいるはずだと言うのでこの方向へ進んでいた。
この道で参加者二名に出会い、戦闘になったと話しているので警戒してはいる。
バイクは一台しかなく全員で乗る事が出来ないので、歩きながら色々と互いの情報を交換していた。
「じゃこれ、どのみち俺は使えないわけ?」
「ええ。適性のない人間が使おうとすると吹っ飛んでしまうんです」
ファイズギアを持った京介に説明する木場。そこに侑斗が尋ねる。
「木場さんは使えるんだよな?」
「うん」
「なら、これはあんたが持っていた方がいいな」
そう言って京介が手渡してきたファイズギアを受け取る木場に、カブトエクステンダーを押している葦原が小さい声で聞く。
「適性のあるヤツって、お前のような?」
「……ええ」
小さい声で短く答え、デイパックにファイズギアを入れようとして、葦原が声を上げる。
「なあ、同じようなベルトが入ってるが?」
「ああ、これでしょう?」
第2回放送の時、携帯を取り出そうとして気づいてはいたが海堂が死んだと聞かされたショックでそれどころではなかったのだ。
それから葦原とずっとバイクで行動しており、説明書を見る余裕はなかった。
ちょうどいい機会だと説明書を読み始めた木場を見て、そういえば自分もベルトを二つ持っていた事を思い出す。
一つはデルタギア、あすかの遺品だ。
もう一つは恐らく最初からデイパックに入っていた支給品だろう。
ひょっとするとファイズギアやデルタギアのような変身の道具かもしれないが説明書はなかった。
「お前に間違われたおかげでこっちはえらく苦労したんだからな」
「そ、そんな事を言われても」
侑斗と京介は他愛のない話をしている。顔も声も似ているのでどっちがどっちかわからなくなる。これでは間違われても無理はあるまい。
ずいぶん平和な時間が訪れた事に葦原は顔が緩んだ。
と、不意に木場が顔を上げた。
「木場?」
葦原が声をかけると、木場は緊張した面持ちで、
「前方で、多分誰か戦っています」
その言葉に、侑斗と京介も木場を見る。表情まで一緒で本当に区別がつかない。
「何もないけど……」
目を凝らして前方を見る京介。オルフェノクである木場とは違い、普通の人間である彼には何も見えず、聞こえない。
それは侑斗も一緒のはずだが、こちらは走り出した。木場も駆け出す。
「あ、おい!」
声を上げる京介。
葦原はカブトエクステンダーにまたがり、エンジンを噴かす。
「乗れ!」
京介を後ろに乗せてカブトエクステンダーを走らせる。
簡単に侑斗と木場を抜き去り、やがて人影が三つ見えてきた。
「あれは……」
一人は赤と緑、剣を使っている。
もう一人は紫、赤い棒を二本持っており、この二人は協力しているようだ。
そして最後の一人に、葦原は見覚えがあった。
黒と金。自分があすかを助けるために四号と戦っている時に加勢してくれた者だ。
「歌舞鬼さん! それにヒビキさん!」
「何?」
カブトエクステンダーを停めた葦原の後ろで京介が口走った所で、木場と侑斗が追いついてきた。
「歌舞鬼って、さっきのヤツか?」
「はい。あの赤と緑のが歌舞鬼さんです。そして紫のがヒビキさん、俺の師匠です」
「それなら、その二人を助けないと!」
戦況は響鬼と歌舞鬼の方が優勢ではあるが圧倒しているというほどではない。
ファイズギアを取り出そうとする木場を葦原が押しとどめる。
「待ってくれ。あっちの黒いのは以前、俺を助けてくれたヤツだ。悪いヤツではないと思う」
「でも、歌舞鬼さんもヒビキさんも人助けが仕事の鬼です! 無闇に人を襲ったりしません!」
「そうですよ! 歌舞鬼さん、桐谷君を助けたじゃないですか!」
京介に同調する木場。彼としては、森下にそっくりな歌舞鬼を放っておけないのだ。
見知った黒の戦士──カイザに変身しているのが誰なのかは気になるが。
彼の知るカイザギアの所有者である草加雅人の名前は名簿に載っていなかった。
だとすると、別のオルフェノクだろう。
葦原を助けたというのが気になるが、そんな場合ではなさそうだ。
「だが……」
二人の言葉に反論できない葦原。
そして、どうすべきか判断しかねる侑斗。
「なんだかモメているね」
と、その場にそぐわない涼しい声が聞こえた。
全員が振り返ると──
「うわあああ!?」
「お前は!?」
尻餅をつく京介と、怒りの表情をむき出しにする侑斗。
そこにいたのは、服をだらしなく着崩した少年。この場にいる誰よりも若いだろう。
なんとなく楽しそうな表情に違和感を感じざるを得ない。
「きっ、き、北崎……!」
「北崎?」
京介の震える声で葦原は少年の正体を知った。
「お前が海堂を……!」
木場がファイズギアを取り出す。
それを見た少年──北崎は歩き出した。
「君は、彼より僕を楽しませてくれるかい?」
「貴様……!」
ファイズギアを強く握りしめる木場から目を離し、対照的な反応を示す侑斗と京介に目を向ける。
「すごいそっくりだね、君達。どっちが桜井君でどっちが桐谷君かな?」
侑斗も京介も後ずさる。
「まあ、態度で大体わかるかな。桐谷君はともかく、桜井君は僕を少しは楽しませてくれそうだね」
「く……」
タイミングの悪い事に、侑斗は今ゼロノスに変身できない。
「それに……」
北崎の視線の先は彼ら四人より後方。戦っている最中の三名だ。
「これは、思っていた以上に面白そうじゃない……」
心底楽しそうな笑顔を見せる。だが、かえって恐怖をあおる表情だ。
(こいつは……)
葦原は、目の前の少年が危険極まりない存在だと直感した。
藤兵衛を殺したアンノウンと同じような目。人間を殺す事を心底楽しむタイプだ。
「さて……そろそろいい頃だと思うけど……」
北崎はつぶやき、ポケットから何かを取り出した。
黒く、蟹の絵が入った四角い物だ。
それをカブトエクステンダーのミラーにかざすと、北崎の腰にベルトが出現した。
「思った通りだ。変身」
そのベルトに黒い物を差し込む。
次の瞬間、北崎は蟹を模した黄金の戦士──シザースへと変身していた。
「何だと!?」
まだ自分の知らない変身アイテムがあった事に葦原は驚いた。一体どれほどのアイテムがばらまかれているのか。
木場はファイズドライバーを腰に装着してファイズフォンを開く。葦原も身構え──
「それじゃ、頑張って僕を楽しませてよ。、“仮面ライダー”達」
183 Traffics ◆qFhr8mElWw 2009/08/05(水) 17:30:00 ID:FPTna2U0
そう言って、シザースがジャンプした。四人の頭を飛び越え、歌舞鬼達へ向かって行く。
「待て!」
木場は変身コードを入力しながら、葦原は両腕を交差させながら走り出す。
── Standing by ──
「変身!」
木場はファイズフォンをファイズドライバーに装着し、
「変身!」
葦原は腕を下ろし、異口同音に叫んだ。
── Complete ──
それぞれファイズとギルスに姿を変じ、シザースを追いすがる。
かくして、六名もの仮面ライダーが入り乱れての乱戦が幕を開けた。
◇ ◆ ◇
失策だった。
最初の不意打ちに失敗した事もそうだが、その後が予想外の事態だった。
カイザに変身した直後、都合よく歌舞鬼が響鬼を傘を用いた幻惑戦法で追い詰め、カイザブレイガンで二人をまとめて始末しようとした。
それがかわされてしまい、自分の場所が知れてしまった。奇襲でなければ射撃が当たらないような距離だったので、やむなく接近戦に持ち込むことになった。
負傷した響鬼を先に狙ったのだが、そこで歌舞鬼が響鬼を助けたのが誤算であった。
さらにその後、今度は響鬼が歌舞鬼を助け、二人でかかってこられてしまう事に。
おまけに、更に四人も増えた。
中には見知った顔が三つ。
スマートブレインに楯突いていたオルフェノクだ。名前は木場といったか。
つい先刻見た顔もあった。なぜか同じ顔が二つ。双子ではないかと思うほどにそっくりだ。
どうすべきか決めかねているようだが、自分に向かってくる可能性はあるだろう。
まだオルフェノクへの変身は残しているとはいえ、響鬼と歌舞鬼も変身を残しているかもしれない。
駆けつけた四人にしても、少なくとも木場は戦える。どうにか撤退しなければならないが……
そう考えていた所に更なる乱入者が現れた。それもよく知っている人物。
ラッキークローバーの北崎。
ある意味、最も危険な人物と出くわしてしまった。
案の定、見知らぬ姿──シザースに変身し、こちらへ向かってきた。
それを見て木場ともう一人も変身して走ってくる。
両方の変身した姿に見覚えがあった。
木場の方はファイズ。自分が今使っているカイザギアと共に『三本のベルト』と呼ばれるスマートブレインのライダーズギアだ。
もう片方の緑の戦士──ギルスは、デルタに変身しようとした女の仲間らしいヤツだ。
多分、まだ自分を友好的と思っているだろう。まだツキは残っている。
乱入者には歌舞鬼と響鬼も気づいていたようだ。三人とも一時手を止めてシザースの動向に注意を払う。
そしてシザースバイザーが突きこまれたのは──歌舞鬼だった。
音叉剣で受け流し、数回打ち合ったがやがてバイザーのハサミに剣を挟みこまれた。
「やあ、会えて嬉しいよ」
シザースバイザーで音叉剣を抑えつつ、ベルトのカードデッキからカードを抜くシザース。
「ケッ、最悪のゲストのご登場ってか……」
どうやら、歌舞鬼と北崎は面識があるらしい。
雰囲気で敵と察したらしい響鬼もシザースに迫る。シザースは剣を抑えたままのバイザーにカードを読み込む。
── STRIKE VENT ──
響鬼が音撃棒を叩き込もうとした瞬間、シザースの右腕に出現したシザースピンチが彼を弾き飛ばした。
どうやらカードを読み込むことで武器が出現するシステムらしい。
続いてシザースピンチを歌舞鬼へ打ち据える。うめきながら剣を手放して倒れこむ。
シザースは剣を適当に放り投げながらこちらへ顔を向け、
「君は誰かな? まあ誰でもいいけどね」
正体を詮索しないのは助かるが、無視する気もないらしい。
言いながら再びカードを取り出している。
そこへファイズとギルスがシザースの後ろから殺到してくる。
「北崎!」
当のシザースはそちらへは顔も向けず、カードをバイザーへ差し込む。
「君達はこいつと遊んでてよ」
── ADVENT ──
電子音声が鳴った直後、倒れた歌舞鬼のバイクのミラーからシザースそっくりな怪物──ボルキャンサーが飛び出し、ファイズとギルスを叩き伏せた。
二人ともすぐに体勢を立て直し、応戦するが装甲の頑丈さに手を焼いているようだ。
さらにカードを抜きながらカイザへ近づくシザース。
── Burst Mode ──
── GUARD VENT ──
カイザブレイガンから光弾を発射するが、シェルディフェンスで防がれてしまう。
光弾をことごとく防ぎながら距離を詰められ、やむなく剣で応戦する。
響鬼と歌舞鬼を見ると、変身が解けた歌舞鬼を響鬼が助け起こしていて、そこにファイズとギルスが駆け寄っている。ボルキャンサーはいつの間にか消えていた。
やがて響鬼も変身が解けてしまう――全裸のような気がした――が、それ以上は余所見できる余裕はなかった。
ファイズとギルスもシザースに攻撃をしかけるが、それらさえもいなしていく。
北崎は攻撃も防御も上手く、動きは割と鈍重なのにスキがなく、パワーに優れた性質を活かしている。
囲まれないように常に動き、左右のハサミを器用に使いこなして牽制し、殴り、弾き、切り裂く。
何発かシザースに当たった攻撃はあるものの、装甲の厚さゆえ有効打にならない。
ブレイガンをシザースバイザーで大きく弾かれ、蹴りをもろに受けてダウンしてしまう。
起き上がろうとして、シザースから距離を取れた事に気づく。
シザースはファイズとギルスを相手に立ち回っており、すぐにこっちへ迫るという事はなさそうだ。
余力はまだあるが、そろそろ潮時──
── SPIN VENT ──
不意に横から聞こえた電子音声。直後にその方向から槍のような物が迫る。
とっさにブレイガンを跳ね上げ、それを弾く。
転がって距離を取り、立ち上がる。
そこには、鹿のような二本の角を持った戦士──インペラーが立っていた。
手には二本組のドリル。それを振りかざし、跳躍してくる。
再度転がり、ドリル──ガゼルスタッブから逃れ、着地直後のインペラーに距離を詰める。ガゼルスタッブの形状からして、肉薄した方が有利だと判断した。
ブレイガンをガゼルスタッブで受けられ、押し合いになる。
「惜しかったなぁ、さっきのお礼だったんだがよ」
声からして、変身しているのは歌舞鬼。
不意打ちを仕掛けられた事を根に持っているようだ。
「また邪魔されちゃたまらねえからよぉ、とりあえず響鬼より先にてめえだ」
どうも、勝負に水を差された事の方が恨みが大きいらしい。
そろそろ自分も時間切れのはずだ。すぐに勝負を決めた方がいいだろう。
◇ ◆ ◇
突然現れたシザース。
殴り倒され、起き上がろうとすると歌舞鬼も同じように倒され、人間の姿に戻っていた。
「大丈夫か?」
響鬼は歌舞鬼に駆け寄り、声をかけた。
「いてて……くそ、あんにゃろう……」
シザースに殴られた顔を押さえながら響鬼に助け起こされる歌舞鬼。
「歌舞鬼さん!」
「大丈夫か!?」
そこにファイズとギルスもやって来た。さっきまで魔化魍のような怪物と戦っていたと思ったが、その怪物はどこにもいない。
「君達は……?」
「ああ、こいつらは大丈夫だ」
訝しむ響鬼に答える歌舞鬼。と、そこで響鬼も変身が解けた。
「…………」
いきなり全裸の男が現れたのでギルスとファイズは一瞬固まってしまった。
「……あんた、まだ変身できるか?」
とりあえずギルスがヒビキに尋ねる。
「いや、俺は他に変身できない」
かぶりを振ると、ギルスとファイズは顔を見合わせる。
「詳しい事は、あっちの二人にでも聞いてくれ。行くぞ、木場」
「はい」
シザースへ向かっていく二人。
歌舞鬼は懐から何かを取り出した。
「俺はもう一仕事してくっか」
さっきシザースが変身する時に使っていたものと同じようなカードデッキ。歌舞鬼はそれを倒れたバイクのミラーにかざす。
「変身!」
やはり同じように出現したベルトにデッキを装着すると、歌舞鬼の姿が角が生えた黒と茶色の戦士に変わった。
「お前は適当に逃げてろ。次に会う時まで命は取っとけよ」
そう言って歌舞鬼も乱戦の中に向かって行った。
思えば不思議な人だ。
わざわざ自分を鬼に変身させ、本気で殺しに来たかと思えば乱入してきたカイザから自分を助けてくれた。
今もわざわざ自分に逃げろと声をかけていった。
悪ぶっているが、いい人なのだろう。
「ヒビキさん!」
そんな事を考えていると、同じ顔の男が二人、ヒビキに駆け寄ってきた。
駆けつけてきていたのに気づいてはいたのだが、同じ顔が二つも並んでいると妙な感じだ。
「お前、双子だったっけ?」
「こんな時に何言ってるんですか!」
ツっこむ京介(多分)。すると京介その二(?)も声をかけてくる。
「ケガ、大丈夫ですか? けっこうひどいんじゃ……」
「大丈夫、けっこう鍛えてるから」
笑顔で手を上げる。本当はかなり痛いのだが。
「俺、桜井侑斗っていいます。桐谷とは顔が似てますけど赤の他人です」
「君が桜井侑斗?」
さすがのヒビキもこれには驚いた。
香川から聞いたのはついさっきなのにもう巡り合う事ができ、しかもそれが京介ととてもそっくりだとは。
「香川さんて人から話は聞いてるよ」
「香川さんに会ったんですか!?」
「ああ、この近くに来てるよ」
侑斗は驚き、そして顔を輝かせた。
「香川さん……無事だったんだ……」
「よかったな、桜井」
侑斗の肩に手を乗せるヒビキ。
「とりあえず、少し離れよう。応急処置もしたいし、服も着ないと」
「だ、大丈夫でしょうか」
乱戦を展開している五人を見ながら、不安そうな京介。
「俺も悔しいけど、今は俺達にできる事をしよう。近くにいるとあいつらの邪魔になりかねないしな」
そう言って、戦場から距離を取る事にした。
「ところで今、木場って言ったね?」
「はい、彼が木場さんです」
と侑斗が黒い方の戦士を指差した。
「香川さん、木場って人に襲われたって言ってたけど」
「それは誤解なんです。色々とあって……でも、木場さんは今は俺達の仲間です。信じてください、お願いします」
必死に訴える侑斗。その目にヒビキは微笑む。
「わかった、お前を信じるよ」
◇ ◆ ◇
「あれは、木場勇治!?」
香川は、林の木陰からヒビキが戦っていたのを見ていた。
変身できず武器も持たない自分では助けに行く事もできなかったのだ。
そこに黒いライダーや北崎、そして侑斗ら四人も現れた。
侑斗が無事だった事は嬉しいが、侑斗にそっくりな人物、そして木場が一緒にいたのには驚いた。
なぜ木場が侑斗と一緒にいるのか。
しかも木場は変身して北崎に戦いを挑んでいる。これは侑斗に味方しているとしか思えない。
香川は困惑してしまっていた。彼は殺し合いに乗っていたとばかり思っていたのに。
ヒビキの方は、最初に戦っていた相手がなぜか味方してくれたため難を逃れたようだ。今は侑斗らがケガの手当てなどをしている。変身が解けるとなぜか全裸だったが。
ヒビキが最初に戦っていた者と北崎は、神崎士郎が作ったカードデッキを使っていた。
うち前者については見覚えがある。佐野という男が変身していたインペラーだ。彼は今、黒いライダーを相手にしている。
北崎とは木場とその仲間らしい緑のライダーが二人で戦っているが、優勢とはいえない。
侑斗が変身していないのを見るに、彼は今制限時間中なのだろう。
もう一人の侑斗にそっくりな男も戦っていない。変身手段を持たないのだろうか。彼にゼロノスベルトを使わせる事も出来るはずだが。
いずれにせよ、侑斗らと合流しないといけない。
香川は戦況を見守りながら、移動を始めた。
◇ ◆ ◇
── Exceed Charge ──
「おおおっ!」
「ウォォォーッ!」
わずかに時間差をおいてシザースに迫るグランインパクトとヒールクロウ。
左右の腕で順に受け止めるが、グランインパクトでシェルディフェンスが外れ、ヒールクロウでシザースピンチが砕けた。
シザースはそれにも慌てず、ファイズをタックルで吹き飛ばすとギルスにシザースバイザーを見舞う。
胸を切り裂かれ、身じろぎするギルスにキックとパンチを立て続けに叩き込んだ。
ダウンするギルスを横目にファイズを見ると、足にファイズポインターを装着し終わるところだった。
二人同時にベルトに手を伸ばす。
── Exceed Charge ──
ファイズはファイズフォンのキーをプッシュし、シザースは最後のカードを引き抜く。
── FINAL VENT ──
ファイズドライバーから右足に赤い光が動き、シザースの背後に再びボルキャンサーが現れる。
「はっ!」
跳躍するファイズ。ボルキャンサーにトスされて丸まったシザースに、赤い円錐型の光が接触する。
「だぁぁーっ!」
クリムゾンスマッシュとシザースアタックがぶつかり合い、轟音が鳴り響く。
そして、シザースはアスファルトに倒れ、ファイズが遅れて降り立った。
「いてて……やるね」
起き上がるシザース。左肩を押さえている。
「さっきまで僕が押してたんだけどなあ……」
ファイズとギルスの二体を相手に上手い立ち回りで優勢を保っていたが、純粋なぶつかり合いでは意外とシザースはパワー勝ちできないようだ。武装の性能も良くない。
北崎は知らないが、シザースと契約しているボルキャンサーのAPは同じ人物が製作したデッキの中でも一番数値が低い。
戦闘巧者の北崎でなければこれほどの成果は出なかったかもしれない。
だが、装甲の厚さだけは本物だったようだ。シザースアタックでだいぶ勢いを削いだとはいえ、クリムゾンスマッシュを喰らっても大したダメージは受けていない。
と、シザースの変身が解けた。直後、ファイズとギルスの変身も解ける。
ふ、と笑う。
「今度はこれ」
デイパックからベルトを取り出す北崎。それを見て木場もベルトを取り出す。
「葦原さん、下がっててください!」
葦原はよろけながらその場を後にする。他の変身手段を持たないようだ。
北崎は黒、木場は白のベルトを腰に巻きつけ、それらと同色の携帯電話を取る。
「へえ、それも面白そうなオモチャだね」
北崎は0・0・0、木場は3・1・5とコードを打ち込む。
── Standing by ──
── Standing by ──
「変身」
「変身!」
── Complete ──
── Complete ──
そこには、白と黒のライダーが対峙する光景があった。
相手は違う世界において自分が変身する姿である事を、木場は知る由もない。
「さあ、第2ラウンドといこうか」
オーガとサイガ。
『地のベルト』『天のベルト』と並び称された二つのギアは、ありえないはずの対決を捻じ曲げられた運命に強いられた。
◇ ◆ ◇
ガゼルスタッブがアスファルトを穿ち、カイザの足がインペラーのアゴ目がけて振り上げられる。
上体を反らして蹴りをかわし、やはり蹴りで反撃した。
肘で防ぎ、ブレイガンを払うが飛び退いてかわされる。
距離を取られたならと射撃するが、ぴょんぴょん飛び跳ねるので当てられない。
そして射撃の間隙を縫って短いジャンプで少しずつ間合いを詰め、低く飛びかかりながらガゼルスタッブを繰り出す。
転がって避け、起き上がる頃にはすでにインペラーは離れている。
さっきからインペラーはずっとこの調子でジャンプによるヒットアンドアウェイを繰り返している。
カイザは近づいたら剣、離れたら射撃で対応しようとするが小さいジャンプしかしない上にタイミングを巧みにズラすので当たらない。
こうちょこまか動かれては大技を出そうにも当てられまい。もはや鹿というよりバッタだ。
だが決定打が打てないのはインペラーも同じはず。
とにかく、どうにかしないと時間がない。
(時間?)
気づいた時はもう遅かった。
カイザの変身が解け、澤田の姿が露わにされる。
そして、待ってましたとばかりにインペラーがカードを抜き、膝のバイザーに装填した。
── FINAL VENT ──
倒れたバイクのミラーから大量のシカ型モンスターが現れ、澤田に向かって殺到してくる。
(しまった……最初から時間切れを狙っていたのか!)
変身したのはインペラーの方が後だった。
自分のペースに引き込んで時間稼ぎをすれば変身が先に解けるのはこっちの方だ。
ブレイガンが遠近どちらにも対応できる武器だった事もかえってマイナスに働いたかもしれない。
相手のペースに飲み込まれてしまった自分の迂闊さを呪いながら、殺到するゼールの群れを睨みつける。
この状況を打破する方法は一つしかない──
真魚が見ていない事を祈りつつ、澤田はゼール達に向かって走り出した。
「うおおおっ!」
インペラーには、ヤケクソの特攻にでも見えたろうか。腕を組んで余裕を見せている。
先頭を跳ねるメガゼールの腕が澤田に触れようとした瞬間──
メガゼールはスパイダーオルフェノクへ変化した澤田によって叩き伏せられた。
セールが立て続けに迫りくるが、スパイダーオルフェノクは凄まじい速度で拳を打ち出し、足を振り上げ、殴り伏せ、蹴りつぶし、投げ飛ばした。
完全に包囲したゼール軍団が一斉に飛びかかる。
スパイダーオルフェノクは八方手裏剣を生成させ、持った右腕を伸ばして360度振り回した。
「でぇぇぇぃっ!」
神経を研ぎ澄まし、オルフェノクとしての知覚能力をフルに引き出す。周囲のゼール一体一体の動きが手に取るようにわかる。
回転ノコギリのようにゼール達を切り刻み、一頭たりと一定範囲からスパイダーオルフェノクに近づけない。
やがて最後のゼールを消滅させ、腕を元の長さに戻す。
そしてインペラーを睨みつけた。
もう余裕は感じられない。スパイダーオルフェノクの鬼神のごとき戦いぶりに圧倒されていたのだ。
しかもインペラーは切り札であるファイナルベントを使ってしまった。
だがスパイダーオルフェノクの方も疲労は著しい。首輪の制限下でオルフェノクの能力を酷使したのだから。
しかし、今度は先に時間切れを起こすのはインペラーの方だ。
伸縮自在の腕を使えば、敏捷性に優れるインペラーでさえ動きを捉えられるだろう。
次はこっちがゆっくりと料理する番だ──
ゆっくり近づくスパイダーオルフェノク。
それに対し、インペラーはデッキからカードを取り出す。
それを見て、まだ何かあるのかと警戒して足を止めてしまう。
するとインペラーは大きく後ろへ飛び上がりながらカードをバイザーに入れた。
── ADVENT ──
「!!?」
再びわらわらとミラーから出てくるゼール軍団。ビデオを巻き戻したかの如く、さっきと同じように迫る。
さすがにこの数を二度も相手するのは辟易する。
当のインペラーは倒れたバイクを抱え上げ、飛び跳ねながら逃げていく。
それを追いかける余裕はない。
スパイダーオルフェノクもきびすを返し、迫りくるゼール軍団から逃げ出した。
真魚がいるのと逆方向へ丘を登りながら、くらいついてくるゼールどもをふりほどく。
先回りした数体は八方手裏剣で斬り倒し、タックルをしかけるギガゼールには肘を見舞う。
もしこれが映画の撮影で、自分が監督だったらタイトルは『鹿』と名づけただろうなどと笑えない事を考えてしまう。
それから1分後、ゼールは全て消滅し、澤田はどうにか逃げ切ることができた。
◇ ◆ ◇
「あれは……」
葦原は、カイザから変身を解除した男の姿を見た。
以前助けられた人物。顔は覚えておきたい。
「あいつ……さっきの!」
と、葦原の上半身に包帯を巻いていた侑斗。
シザースにやられた胸のキズ自体は深くはないが体力の消耗も大きく、ギルスへ変身した反動は腕などに顕著に現れている。
それを堂々と見せるのにはさすがに抵抗がないではなかったが、もう木場には見せたしと開き直ってしまった。
「知ってるのか?」
「ああ、さっきこの道で戦ったのはあいつだ!」
やはりヒビキの体に――今はズボンだけ履いている――包帯を巻いている京介の問いに侑斗は指を刺して答えた。
そして彼が灰色の怪人へ変身する所を目の当たりにして全員が色めき立った。
「あいつも……オルフェノクだったのか」
その姿で、大量の鹿の怪物を一人で蹴散らしている。
「すげえ……」
思わず京介がつぶやく。その姿は鮮烈に彼らの印象に残った。
ところが再び鹿の怪物が大量に現れ、そのオルフェノクはさすがに逃走した。
歌舞鬼もそのスキにバイクごと逃げていった。
やがて、戦っているのはオーガとサイガのみになる。
「くそ……あと少しなのに……」
憎々しげに携帯を見る侑斗。
ゼロノスへ変身できる時間まで、まだ10分以上ある。
葦原とヒビキは負傷、京介は戦った経験がないという。
言えばあるいは葦原かヒビキは無理を押しても戦いに行くかもしれないが……
侑斗が色々と考えていると、不意に葦原の声がした。
「おい、バイクが来るぞ」
見ると、北の方からバイクが一台、走ってきていた。
バイクを見てヒビキがつぶやく。
「まさか……手塚?」
◇ ◆ ◇
二本のトンファーエッジとオーガストランザーが数合目となる接触の音を奏でる。
慣れない得物ながら、スピードもパワーも驚異的なオーガの攻めに懸命にくらいついていく。
薙ぎ払われるオーガストランザーを受けようとしてサイガのトンファーエッジが二本とも大きく弾かれ、体勢を崩される。
何とか手放さなかったが、そのスキにストランザーが振り下ろされる。
とっさに後ろへ飛び、胸を切っ先が切り裂くが装甲を破るには至らなかった。
接近戦ではヤツの方が上手。
そう判断し、トンファーエッジを背中のフライングアタッカーに取りつける。
接近して更に斬撃を繰り出すオーガだったが、ストランザーが振り切られたのはサイガが上昇した後だった。
事前に説明書に目は通していたため、サイガの運用については困る事はなかった。
取りつけたトンファーエッジをブースターライフルモードにして、上空からオーガに弾丸の雨を浴びせる。
オーガは走りながら弾丸をかわし、オーガフォンのEnterキーを押した。
── Exceed Charge ──
電子音声と共に、オーガストランザーの光る刀身が異常な勢いで伸び出した。
「なっ!?」
オーガはその長い光の刃を振り回し、サイガを追い立てる。
ジェットパックを細かく操作して必死にかわすが、それに手一杯で銃を打つ余裕がない。
「これはいいや。まるでハエ叩きだ」
新しい遊びを見つけかのようにはしゃぐオーガ。重厚な見た目からは想像がつかないような言動だ。
このままではいつか捕まってしまう。
一か八か懐に潜り込むか。
そう考えていた時、サイガの耳にバイクの音が聞こえてきた。
それはオーガにも聞こえていたようで、ちらりと道路の方を見る。
北の方からバイクが一台、走って来る。乗っているのは黒髪の男だ。顔色が悪い気がする。
男は両手をハンドルから離すと、妙なデザインの剣と紫のサソリのようなものを両手に持った。
「変身!」
この場のほぼ全員が使ったフレーズを口にし、彼は剣にサソリを取りつけた。
── HENSHIN ──
すると彼の体を六角形の装甲が覆い始め、やがてチューブが大量についた鎧の姿──サソード・マスクドフォームになった。
「あれは……!」
その変身プロセスに木場は見覚えがあった。
一度敵として戦い、そして一度共闘した影山が変身したザビーと同じ変身の仕方だ。
ゼクトとかいう組織が作った変身機構──確かマスクドライダーシステム──に違いない。フォルムもザビーに雰囲気が似ている。
だが、変身した男とライダーそのものには見覚えがない。
彼は敵なのか、それとも味方か。
と、
「手塚さん、黒い方が敵です! 木場さん、彼は味方です!」
どこからか大声。聞き覚えがある気もするが……
その思考は中断せざるを得なくなった。
オーガストランザーがサソード目がけて振り上げられたからだ。
「危ない!」
瞬時に下降し、横から地表すれすれに飛んでオーガに体当たりする。
オーガは体勢を崩し、光の刃はバイクのわずかに横のアスファルトに叩きつけられた。
「はっ!」
バイクからジャンプするサソード。乗り手を失ったバイクはガードレールにぶつかって倒れた。
着地し、オーガに剣──サソードヤイバーで斬りかかる。
オーガはサイガを蹴り飛ばし、元の大きさに戻った刃でサソードに応戦する。
二合ほど打ち合うとサソードはよろけてしまった。
そこへオーガが剣を浴びせようとした瞬間、サイガがオーガの背中目がけて引き金を引いた。
地面に転がり、銃弾を回避するオーガ。そのスキにサイガはサソードに駆け寄る。
「大丈夫ですか?」
「すまない、助かった。俺は手塚。そこにいるヒビキさんの仲間だ」
「俺は木場といいます。来てくれて助かります」
簡単に自己紹介を済ませる。
その間にオーガは立ち上がり、マントの裾をはたいて埃を落としている。
「まだ僕に刃向かう馬鹿がいたんだね。でも君、非力すぎるよ。どっかケガでもしてるの?」
身じろぎするサソード。どうやら図星のようだ。
「まあ別にいいよ。遊びは多い方が楽しいからね」
ストランザーを振りかざし、走り出すオーガ。
「ケガ人だからと侮るんじゃない!」
叫び、向かっていくサソード。
サイガは上昇し、オーガの真上から落下、トンファーエッジを取り外して強襲を仕掛ける。
上空から銃で援護することもできるが、手塚がケガをしているのでは無理はさせられない。
両方の攻撃をかわし、オーガはサイガに蹴りを入れ、サソードと切り結んだ。
◇ ◆ ◇
「今の声って……」
侑斗は声の主を探していた。聞き覚えがある声だったからだ。
そして、斜面をゆっくり降りてくる人影をついに見つけた。
「香川さん!」
「桜井君、あなたが無事でよかった」
現れた香川に駆け寄る侑斗。
「よかった……無事で、本当に……」
「心配をおかけしましたね。ですが、大丈夫です」
侑斗の肩を抱いて安心させる香川。と、視線を京介に移す。
「彼が……あなたが言っていた、あなたにそっくりな男性、ですか?」
「あ、俺、桐谷京介っていいます」
軽く会釈する京介。次いでヒビキが口を開いた。
「香川さん、手塚はケガしてるんですよ?」
香川はええ、と嘆息する。
「確かにそうですが、気づいた時にはもう変身した後でしたからね。とりあえず必要な情報は知らせないといけないと思いまして。それより、ケガは大丈夫ですか?」
「これくらい大丈夫です。鍛えてますから」
腕を上げるヒビキだが、腹に巻かれた包帯には大きな赤いシミが出来ている。
「ところで……彼は木場勇治ですよね?」
オーガに空中から牽制を行うサイガを見ながら侑斗に尋ねる香川。
「ここへ向かいながら戦況を見ていたら、彼もあなた方の味方としか思えなかったので手塚さんにもそう伝えましたが……正直、解せませんね」
「それは誤解なんです。それについてはちゃんと後で話します」
「わかりました。それから桜井君、もしかして君は今ゼロノスに変身できないのですか?」
「はい。あと10分くらいで制限時間が切れるはずなんですが……」
携帯電話の時計を見ながら焦れったそうな表情の侑斗。
「10分ですか……カードはあと何枚ありますか?」
「4枚です。緑が3枚に赤が1枚」
「あと4枚……少々心許ないかも知れませんね……」
それを見ていた葦原が包帯が巻かれた上体を起こし、
「そのゼロノスとやらは誰でも変身できるのか?」
「ええ、私も一度使いました。現在、ここにいる中でゼロノスでまともに戦えるのは私と桐谷君だけでしょう」
「お、俺!?」
全く意外という風に声を上げる京介。
ヒビキが口を出す。
「香川さん、京介はまだ実戦向きの修行つけていないんです。実戦はちょっと」
「……そうですか」
「一応、誰でも変身できる道具ならもう一つあるにはあるんだがな」
葦原が自分のデイパックを手繰り寄せる。
「本当ですか?」
「まあな。あんまり使って欲しくないが……」
一瞬、葦原の顔に悲しそうな表情が見えた気がした。
「香川さん、何考えてます?」
と、ヒビキ。戦えるのは自分だけと言いながら、そうしないのを怪訝に思っているようだ。
「あの北崎という男もオルフェノクです。そしてそのオルフェノクの姿をまだ見せていない」
「つまり、あいつはあと一回変身できる……!」
拳を握りしめる侑斗。この島で最初に出くわした敵がそれだった。
「ですから、その時に私がゼロノスに変身しようと考えています。木場勇治もオルフェノクになれるはず。もし、まだ変身を残していたとしても桜井君がゼロノスになればいいし、それを使う手もある」
最後の言葉は葦原のデイパックを指して言ったのだ。
「そうなると木場のヤツ、3回も変身しないといけない計算になるぜ」
「仕方がないでしょう、オルフェノク用の装備が2つもあるのですから」
人使い荒いぜ、と呆れた表情の葦原。
だが、香川にしてみればたとえ全滅するとしても侑斗だけは守り切らなければならないと考えている。
時の列車の持ち主である侑斗こそ、この無益な殺し合いを止めることができる最大の切り札だと確信しているからだ。
だからこそ、あえて手塚を止めなかった。
可能な限りゼロノスは温存した方がいい。
「ち、ちょっと! ヤバくないか!?」
と、指を刺して京介が大きな声を上げる。彼の指の方を見ると──
サイガもサソードもボロボロでアスファルトにうずくまっていた。
作戦会議をしている間に形勢は悪くなっていたらしい。
「桜井君、ゼロノスのベルトとカードを!」
このままでは二人が危ない。そろそろオーガとサイガの変身も解ける時間のはずだ。
「は、はい!」
慌てて香川にベルトと緑のカードを差し出す侑斗。赤だけは渡せなかった。
だが手渡した瞬間、葦原と京介の声がした。
「うっ!?」
「わあああっ!」
はっと気づくと、オーガが巨大な光の剣をこっちへ向けて振り上げていた。
◇ ◆ ◇
支援
何度もサソードヤイバーを振るうが、いずれも簡単にストランザーであしらわれてしまう。
「手塚さん、離れて!」
上空でサイガが銃を構え、サソードに警告する。
サソードが後ろへ下がると同時、オーガも横へ飛ぶ。二人が一瞬前までいた地点が銃弾で爆ぜる。
サイガは上空からオーガに距離を詰め、フライングアタッカーからトンファーエッジを切り離しつつ、サイガフォンに手を伸ばす。
── Exceed Charge ──
サイガドライバーから両腕にフォトンブラッドの輝きが移動し、二本のトンファーエッジが青く輝く。
それに合わせ、サソードもオーガに接近する。
だがオーガは避けるどころかサイガに向かって一歩踏み込んだ。
トンファーエッジは空を切り、オーガとサイガの頭が打ち合わされる。頭突きからオーガはストランザーを振り上げ、サイガのボディを切り裂きながら空へ打ち上げた。
そして後ろ向きにサソードの胸に蹴りを打ち込んだ。
厚い装甲ごしとはいえ、オーガの強烈な蹴りをケガしている胸で受けてしまい、激痛に見舞われる。
動きが止まってしまった所に当然のように行われる斬撃。
サソードの装甲は深く抉られ、それでも手塚の体までは刃は達しなかった。だがダメージがないではない。
さらに一閃斬られた衝撃で地面に転がり、止まっても痛みで動けない。
「くっ……」
サソードヤイバーをアスファルトに突き立て、なんとか立ち上がるサソード。
胸の辺りにべっとりとした感触がする。傷口が開いて血が流れているのだろう。
少し離れた位置にサイガが倒れこんでいる。
サソードがケガのせいで動きにキレがなかったためサイガがそれをフォローしようと接近戦を仕掛けていたのだが、結果的に二人ともオーガと正面からぶつかる事になってしまった。
装甲の厚いマスクドフォームのままでいた事がケガで動きが鈍っている手塚にプラスに働いた面もあるが、それは単に彼がキャストオフの仕方を知らないからに過ぎない。
(こいつ……強い……!)
もしかするとダグバとも互角にやり合えるかもしれない。
目前の黒い魔人に戦慄を覚える手塚。
(このままでは、また俺は運命を変えられずにっ……)
動物園で行った占いの結果をなんとか的中させまいと駆けつけたが、結果はこの通り。
ヒビキを助けるどころか、今自分が助けを必要としている。
情けなさで泣きそうな気分だ。
「もう限界?」
オーガストランザーを肩に担ぎ、悠々と歩いているオーガ。
「しっかりしなよ。それじゃ仮面ライダーの名が泣くよ?」
「黙れ……っ」
フラつきながらも立ち上がるサソードとサイガ。
いくら絶望的な状況でも、自分はまだ生きている。
(ならば最後まで運命に逆らえ……!)
自分に喝を入れ、サソードヤイバーを両手で構える。
「そう来ないとね。でもなあ、そんなボロボロじゃあね。とはいえ時間はまだ少しだけあるんだよなあ……」
ブツブツ言いながら空を見上げるオーガ。時間とは、変身時間10分の事だろう。
と、ポンと手を叩いた。
「そうだ。面白い事を思いついた」
そう言うとオーガフォンのEnterキーを押す。
── Exceed Charge ──
またもオーガストランザーから長い光が出でる。
「っ!」
まとめてトドメを刺す気か。
光の大剣を振り上げるオーガ。しかしその正面にいるのはサソードでもサイガでもなく──
「うっ!?」
「わあああっ!」
香川やヒビキらが固まっている場所だ。
「さあ、どうするのかな?」
言った直後、まるで包丁で大根でも切るかのように気軽に大剣を振り下ろすオーガ。
「ヒビキさん! みんな!」
みんなに迫る光。その軌道のすぐ近くにサソードがいたのは偶然か奇跡かオーガの計算づくか。
躊躇せず、オーガと仲間たちの間にサソードが身を滑り込ませた。
全ては一瞬の出来事──
◇ ◆ ◇
「うわああああああぁぁぁぁぁぁっ!!」
「手塚さん!?」
「手塚ぁぁぁっ!」
サソードの絶叫に香川とヒビキの声はかき消される。
オーガストラッシュは無常にもマスクドフォームの装甲さえ打ち砕き、サソードの体に深々と食い込んでいく。
「やめろぉぉぉぉぉっ!」
サイガが走り、オーガの横っ面にパンチを叩き込む。
オーガストランザーがオーガの手を離れ、サソードはオーガストラッシュの洗礼から開放された。
「この──」
オーガは殴られた腕を両腕でつかんでサイガの体を振り上げ、全力で地面に叩きつけた。
アスファルトを砕きながらバウンドするサイガを更に蹴り上げる。
サイガの体は弧を描き、仲間達の近くへ落ちる。それに一瞬遅れてサソードが膝を突き、前へ倒れた。
「がは、っ……手、手塚さ……」
倒れこんだサソードに手を伸ばすサイガ。その瞬間、オーガとサイガ、そしてサソードの変身が解けた。
時間的に余裕があったはずのサソードの変身も解除された理由は一つ──
「手塚っ!?」
「手塚さん!」
手塚に駆け寄る仲間達。
その姿を見て全員が息を呑んだ。
オーガストランザーの斬撃は手塚の体を右肩から腹の辺りまで切り裂いていた。
凄まじい量の血液がアスファルトに赤い流れを作る。
「手塚っ! 手塚! しっかりしろ手塚!」
「おい!」
「手塚さん!」
ヒビキの、葦原の、侑斗の声にも手塚は反応しない。
口からも止めどなく血が溢れ、時折ゴボッと音がする。
「あはははは!」
北崎は手塚に指を刺し、腹を抱えて笑っていた。
「やると思ったら本当にやったよ! さすが仮面ライダー、予想通りすぎて笑いが止まらないや! あははは!」
「貴様ッ……!」
香川がギリギリと歯軋りしながら鬼の形相で北崎を睨みつける。
北崎の暴挙は冷静な香川をさえ激怒させるのに十分すぎた。
最初の戦いで一条にかばわれた時と全く同じ事を目の前にいながら許してしまった。
ゼロノスを温存しようとした事を激しく後悔した。
「貴様だけは許さんッ!」
持っていたゼロノスベルトを腰に巻き、カードを差し込む。
── ALTAIR FORM ──
ゼロノスに変身すると素早くゼロガッシャーをサーベルモードに組み立て、北崎目がけて走った。
「うわあぁぁっ!」
木場も満身創痍に関わらずホースオルフェノクへ変化し、ゼロノスと共に突進する。
ほんのわずかな時間とはいえ一緒に戦った仲間が致命傷を負わされた怒りと悲しみで、オルフェノクの姿を仲間に見られるという事は頭から吹っ飛んでいた。
「あははは! あっはははは!」
北崎はまだ笑っている。両手を広げて天を仰ぎ、笑いながらドラゴンオルフェノクに変化する。
「あははは!」
そして竜人態に姿を変えた刹那、ドラゴンオルフェノクが消えた。
ドガガガッ!
ズガッ!
ガガッ!
「ぐあっ!?」
「うああっ!」
「あはははははは!」
笑い声を上げながら超高速でゼロノスとホースオルフェノクを攻撃するドラゴンオルフェノク。
二人はさながら突風にもまれる木の葉のように宙に浮き、殴打の音と笑い声がその場に木霊した。
やがて攻撃が終わり、ドラゴンオルフェノクが通常速度に戻るとゼロノスとホースオルフェノクは落下した。
全身を激しく打たれ、うめくばかりで立ち上がれない。
「はははは、どうしたのさ? もうこれでおしまい?」
ゼロノスもホースオルフェノクは息も絶え絶えで口も聞けない。
「結局さ、どんなにあがいたって君達が僕に勝つなんて絶対に有り得ないんだよ。仮面ライダーって言ったって僕にとってはただのオモチャに過ぎないのさ」
「ぐ、あっ……」
「わかった? ならもう殺していいね」
悠然と二人に近づくドラゴンオルフェノク。
(こんな……手塚さんどころか、このままでは全員が……)
(また人を守れないのか、俺は……海堂っ……俺は……)
二人は慟哭した。
◇ ◆ ◇
もう自分は死ぬ。
手塚は意外と冷静に状況を分析していた。
だが、なんとかオーガの攻撃からみんなを助ける事はできた。
あとはみんなに託すしかない。
(すまない、ヒビキさん……だが、なんとかあんたを守る事はできた……桜井や香川さんを頼む……それから本郷、すまない……)
体はほとんど何も感じなくなっていた。ただ冷たく、寒い。
だが、何かが顔をしきりにつついているのは辛うじてわかった。
目を開くと、サソードゼクターがハサミで自分の頬を何度もつついていた。
(お前か……すまなかったな……せっかく選んでくれたのに、まともに使いこなせないで……)
手を伸ばそうとするが、体が言う事を聞かない。
(俺に代わって、お前がみんなの力になってやってくれ……頼む……)
薄れていく意識の中で、サソードゼクターに懇願する。きっと誰か、自分より上手く使える者がいる。
願わくば、その者がこの島にいるすべての人の希望となる人間であって欲しい。
(誰だろうな……今から占ってみたくなったな……が、無理だな……占いか……)
ふと、ある占いの結果を思い出した。
(城戸……)
仮面ライダー龍騎──城戸真司が死ぬ。
そういえば、その結果をまだ変えていない。
(だが……さっきの占いの結果は外れた……いや……)
さっきからヒビキ達が自分に何度も呼びかけている。もう何と言っているのかさえわからないが、声は聞こえている。
(こいつらなら……きっと、運命を変える……)
かつて城戸がそうしたように。きっと、城戸も彼らに任せれば大丈夫だ。
そう考えると、なぜか妙に安心してきた。
(いい気分だ……)
意識を自分の脳から手放すような感覚は眠りのようだった。
(優一……)
不意に親友の顔が浮かんだ。例え再びピアノを弾けるようになれると言われても、他人を犠牲にする事を拒み、死んでしまった親友を。
天国で──せめて死後の行き先は天国だとくらい期待してもいいだろう。優一もそっちにいると──彼は自分を褒めてくれるだろうか。
そろそろ終わりだろう、自分は。
まだ意識がこの世界に残っているうちに、心に言葉を刻んでおきたい。
(当たらないでくれよ……俺の……うらない……なん……か……)
それは嘘偽りない、純粋な願い。
そして手塚の意識は永遠の闇の中に消えていった。
奇しくも、彼と瓜二つの顔を持つ一文字隼人がアルビノジョーカーによって命を絶たれたのと、ほぼ同時刻であった。
【 手塚海之@仮面ライダー龍騎 死亡 】
【 残り29人 】
◇ ◆ ◇
「て……手塚ぁぁ〜っ!」
手塚の顔がカクンと沈んだその瞬間、ヒビキはありったけの声で叫んだ。
彼のケガを治すためにここまでやって来たのに。
逆に自分が手塚に助けられてしまった。
人目もはばからず、動かなくなった手塚の体にすがりついて泣いた。
(何が鬼だ……何が鍛えてますだ……)
人を守る。
それが自分の使命だ。
それをまっとうできなかった。
目の前で、人が死ぬのを見ていただけだった。
(仲間一人守れないで、俺は何やってるんだよ!)
手塚の命がけの行動を侮辱した北崎。
倒して手塚の仇を取りたい。
だが、戦う力がない。
自分はこんなに弱い男だったのかと自分を責める。
弱くなければ、手塚は死なずに済んだかもしれないのに。
ガチャガチャと音が鳴り、不意に顔を上げる。
葦原が自分のデイパックを逆さにして中の物が転がり出たのだ。
その中に、見覚えのあるものがあった。
スマートブレインのロゴが入ったトランク。
(これって、あすかさんが勝手に持って行った……)
城戸が持っていた支給品で、誰でも変身できるとわかった途端にあすかが奪い取っていってしまったデルタギアだ。
葦原が言っていた変身できる道具とはこれの事だったようだ。
(なんでこれがここに……?)
あすかは何者かに殺された。
そして葦原がデルタギアを持っている。
そういえば五代達は、あすかが死んでいた場所で緑の戦士と戦ったと言っていた。
そして葦原もさっき、緑の戦士に変身して戦っていた。
もしや、と一瞬考えたが葦原も手塚の死に悲しみ、怒っている。悪い人物には見えない。
(……よし)
その問題はひとまず保留だ。後で彼に直接確認しよう。
やる事ができた分、気持ちが前向きになってきた。
意を決し、デルタギアに手を伸ばす。
◇ ◆ ◇
「あ……ああ……」
京介はブルブルと震えていた。
いきなりオーガが自分の方へあの剣を振り下ろした瞬間、縮み上がって動けなかった。
それからはろくに覚えていない。
ただ、自分が震えている事に気づいた時、手塚が自分達をかばって死んだ事はなんとか理解できた。
歯はガチガチと音を立て、口はまともに動かせない。
足にも力が入らない。腰が抜けてしまったようだ。
大量の冷や汗で服がぐっしょりと濡れている。
彼の意識を支配していたのは、ただ、恐怖。
◇ ◆ ◇
葦原はアスファルトを拳で殴った。
みすみす人を死なせてしまった。
しかも自分たちを守って。
ちゃんと顔を見たのは、かばわれた直後だけ。面識もないのにこの男は身を挺して自分たちを守ってくれた。
肌は生気を失い、顔は血にまみれて可哀相な顔にされていた。
藤兵衛の死体を発見した時の後悔や怒りが再びこみ上げた。
顔を上げると、変身した香川と木場が叩きのめされている。
自分のデイパックをひっくり返し、中身をアスファルトにぶちまける。
もはや甘い事を言っていられない。
ヤツは絶対にぶっ倒す!
転がり出たデルタギアに手を伸ばそうとして──
何かが視界の隅で動いていたのに気づいた。
「……?」
不意にそれを見ると、バッタが飛び跳ねていた。
正確にはバッタの形の機械だ。顔をこっちへ向けて、ぴょんぴょんと何度も跳ねている。
自分の荷物の中に紛れ込んでいたのか?
頭に浮かんだ疑問符に一時、怒りや悲しみを忘れる。
そのバッタは今度はぴょんぴょん跳ねて移動しだした。
やがて、デルタギアではないもう一つベルトの周りを回りだした。
「それを使えって言ってるのか? お前……」
◇ ◆ ◇
二回目だった。
この島に連れて来られてから、誰かにかばわれたのは。
その人の命を犠牲にして。
もう誰も失わない。誰も死なせない。誰も悲しませない。
そう決心したのに。
自分は変身してすらいない。この肝心な時に何もできなかった。何もしなかった。
侑斗は泣いた。
自分と香川をかばってくれた一条。
たまたま居合わせただけだったのに手を貸してくれた海堂。
そしてデネブ。
みんな死んでしまった。
守りたい人達は、侑斗の希望に関わらず殺されてしまう。
俺は強いんじゃなかったのか。
みんなを最後まで守り通すんじゃなかったのか。
みんなをこの理不尽な戦いから救い出すんじゃなかったのか。
俺は結局、何も出来ないのか。
「ちくしょう……ちくしょう……」
アスファルトについた手の甲に、涙が落ちる。
耳に香川と木場の悲鳴が聞こえている。
だが、まだゼロノスの制限時間は過ぎていないはずだ。
「う……ううっ……」
侑斗は無力感に心を押しつぶされそうになっていた。
そんな侑斗の手首に何か感触があった。
見ると、紫のサソリがハサミでシャツを引っ張っている。
手塚が変身する時に剣につけていたやつだ。
サソリは侑斗の気を引いた後、手塚の傍らにあった剣の近くへ動いていき、侑斗へ向き直った。
これと自分を使って手塚の仇を取って欲しい──なぜかそう言っているような気がした。
「お前……」
サソリに導かれるまま剣──サソードヤイバーを手に取る。
ずっしりと重かった。
実際の重量はそれほどではない。
だがこの剣には手塚の、一条の、海堂の、そしてデネブの遺志が詰まっている。そんな気がした。
強くなれ、守りたいものを全て守り抜けと、剣を通じて声が聞こえた。
それは剣から聞こえた声か、それとも自分自身の奥底に眠る尽き得ぬ勇気と闘志の叫びか。
(みんな……)
「俺は……負けない。何度倒れても、最後の最後まで戦い続ける。死んでいったみんなのために……そして、まだ生きている……全ての人たちのために……!」
サソードヤイバーを左手に、サソリ──サソードゼクターを右手に持つ。
葦原を見ると、彼も同じようにベルトとバッタ──ホッパーゼクターを手に取っていた。
そしてヒビキもデルタギアのケースを取り、開く。
「葦原……これ、俺に使わせてくれないか」
まっすぐに葦原を見るヒビキ。
頷く葦原。説明書に目を通し、デルタドライバーを腰に巻く。
侑斗と葦原も目が合い、三人とも同じ意思を持っている事を確認すると頷き合った。
三人は立ち上がり、ゼロノスとホースオルフェノクをいたぶっているドラゴンオルフェノクへと向き直る。
「変身!」
侑斗は手塚がやったようにサソードヤイバーにサソードゼクターを取りつけ、
「変身」
── Standing by ──
ヒビキはデルタフォンを口元へ持っていき、トリガーを引きながら音声コードを入力してデルタムーバーに差し込み、
「変身!」
葦原は腰に巻いたベルトにホッパーゼクターを装着した。
── HENSHIN ──
── Complete ──
── HENSHIN ──
侑斗と葦原の体の表面に六角形のフィールドが多数現れ、ヒビキの体の回りには銀の光の帯が巡り、三人の体を次第に覆いつくしていく。
── Change Punch Hopper ──
侑斗は多数のチューブが装甲から覗くサソード・マスクドフォームに。
ヒビキは赤い目に黒いボディ、三角の白いツノがついたデルタに。
葦原はグレイの細いボディを持ち、右腕にジャッキがついたパンチホッパーに変身した。
「はああああっ!」
猛ダッシュでドラゴンオルフェノクに迫る三人。。
それに気づき、つかんでいたゼロノスをどさりと落とすドラゴンオルフェノク。
サソードヤイバーの斬撃をかわし、デルタのキックとパンチホッパーの拳をいなす。
「今度は君達? いいよ、今機嫌いいから相手して──」
「うおおぉっ!」
ドラゴンオルフェノクの言葉を無視して、突撃するサソード。接触する前に両腕で捕らえられる。
体を揺さぶり、抵抗する。
「何? ヤケになった?」
ヤケなどではない。
手塚が変身した時から、このアイテムがさっき戦ったあの黒いヤツ──ダークカブトと同じ系統のものだと気づいていた。
ならば、ヤツと同じ機能がついているはず。
体を激しくゆすり、ドラゴンオルフェノクと自分の位置を調節する。
ちょうど仲間達がドラゴンオルフェノクの体で見えなくなった所で、サソードゼクターをいじりだした。
やがて、サソードゼクターの尻尾が動く事に気づき、カチャリと押し込む。
── Cast off ──
「うわっ!?」
サソードの体から多数の装甲の破片が周囲に吹き飛ばされる。
ドラゴンオルフェノクは至近距離で多数の破片の直撃を受け、もんどりうって倒れた。
── Change Scorpion ──
そこにいたのは毒々しくも鮮やかな紫色の痩身の剣士──仮面ライダーサソード・ライダーフォーム。
計算通り上手くいった事に侑斗は内心、歓声を上げていた。
ダークカブトは装甲を吹き飛ばす時、ベルトにつけたカブトムシ──ダークカブトゼクターを操作していた。
もしサソードにも同じ機能がついているなら、こっちもゼクターをどうにかするのに違いないと予想していた。
だが上手くいったとしても、仲間まで巻き込みかねない。
そのためドラゴンオルフェノクに肉薄した上で、仲間達が自分から見てドラゴンオルフェノクの陰に入るようにしてからキャストオフしたのだ。
仲間は無傷で相手にはダメージ。まさに一石二鳥の作戦だった。
致命傷など与えられなかったが、自分の策が成功した事で侑斗は自信を取り戻しつつあった。
「桜井くん……」
その事に気づいたのか、香川が感心したように侑斗の名を呼んだ。
「大丈夫ですか、香川さん?」
ゼロノスを助け起こすサソード。いつも自分が変身する姿を起こすのは妙な気分だ。
ホースオルフェノクを見ると、彼もデルタとパンチホッパーが肩を貸している。
「遅くなってすいません。でも俺が来たからには、もうアイツの好きにはさせません」
「桜井くん……」
「まだ戦えるか、木場?」
「……はい!」
のろのろと起き上がるドラゴンオルフェノク。
「やってくれたね……ちょっと痛かったよ、今の」
ドラゴンオルフェノクへ、サソードは一歩進み出て指を突きつける。
「先に言っておく」
それを聞いてドラゴンオルフェノクはわかってるとばかりに腕を広げた。
「俺はかなり強い、でしょ?」
「今回は少し違う……」
サソードヤイバーを空へ掲げ、高らかに宣言する。
「俺達はとーてーも強い!」
最後に、ゼロノスでいつもやっているようにバシッと自分の腕を叩く。
「勝手に言ってなよ。どうせ何度やったって結果は同じなんだから」
「そいつはどうだろうな?」
ドラゴンオルフェノクはハッタリとしか思っていないようだ。それならむしろ好都合。
左腰に手を添えながら右手のサソードヤイバーを構える。
「少し機嫌悪くなっちゃった。痛い目を見てもらうよ」
次の瞬間、ドラゴンオルフェノクの姿が消えた。
「桜井くん!」
サソードは左腰の突起部分を掌でグリグリと力を入れる。
やがて、突起が横にスライドする。
── Clock up ──
予想通りの電子音声。
その瞬間、全てがスローモーションになる──ドラゴンオルフェノクだけを除いて。
半日ほど前に戦った時は残像すら見えなかったが、今は普通程度の速さに見える。
ダークカブトに打ち負かされたのは決して無駄ではなかった。
(捕まえた──時の波を!)
自分へ爪を振り下ろそうとするドラゴンオルフェノク。
それをサソードヤイバーで弾き返す。
「!?」
明らかに動揺するドラゴンオルフェノク。
返す刃で腹を斬りつける。
確かな手応え。
すれ違いざま、身を翻して背中へ斬撃。
振り返るが構わず、素早く三撃・四撃と攻撃を加える。
ようやく防御姿勢を取ったドラゴンオルフェノクに足払いをかける。
予想以上に見事にすっ転んでくれた。
── Clock over ──
そして時の流れが戻る。
周囲は何も変わっていない。ドラゴンオルフェノクが地に倒れている事以外は。
◇ ◆ ◇
「なんと……!?」
ゼロノスは自分の目を疑った。
ドラゴンオルフェノクが消えたと思った次の瞬間、サソードまで消えた。
数秒経つとサソードが再び現れ、ドラゴンオルフェノクが倒れていた。
これはサソードがドラゴンオルフェノクの速さについていったという事だ。
「今、何が……?」
デルタも驚いている。
「一体どうやって……」
「クロックアップですよ! ゼクトのライダーシステムには、時間の流れを操作する能力があるんです」
「何ですって?」
ホースオルフェノクの言葉はにわかには信じがたい。だが、実際そうとしか思えない状況だ。
「じゃ、俺にも出来るんだな? 今の桜井の動きが」
パンチホッパーが口を開く。
「左腰にスイッチがあるはずです」
言われて左腰を触るパンチホッパー。するとスイッチがスライドした。
── Clock up ──
刹那、今度はパンチホッパーの姿が消えた。
起き上がろうとするドラゴンオルフェノクは再び地に叩き伏せられた。
と思えば体が跳ね上がり、前後左右へ揺れるように動かされる。
ドガガガガガガガガッ!
腹にマシンガンが直撃しているような挙動。まるで目にも止まらぬ速さのパンチの連打を浴びせられているような……
── Clock over ──
クロックアップが終了した後も、パンチホッパーは名前の通りのパンチの連発を続け、最後にカカト落としを後頭部に叩きつけた。
再び地に倒れるドラゴンオルフェノク。
ゼロノスとデルタはホースオルフェノクの言った事を真実と認めざるを得なかった。
「どうして知っているんですか?」
「同じシステムを使っていたヤツとしばらく組んでたんです。その時に色々聞かせてもらって……そうだ!」
ホースオルフェノクがゼロノスの両肩に手を置く。
「まだ色々知らない事があると思うんです。だから、二人に説明する時間を作ってくれませんか?」
「……なぜ手塚さんには教えなかったんです?」
「その、まさか知らずに戦ってるなんて思わなくて……すいません。ちゃんと教えていれば助けられたかもしれないのに……」
うつむいてしまうホースオルフェノク。確かにそうだろう。
「…………」
相手は、一度自分を襲ったオルフェノク。
だが侑斗によればそれは誤解らしい。今は侑斗や自分に全面的に協力している。
手塚が殺された時のリアクションから見ても、彼はこっちの仲間だ。
そして形勢は、こっちが逆転している。
だが、サソードとパンチホッパーが再びクロックアップを発動させようと腰のスイッチを入れるが、発動しない。
支援ー
「あ、制限のせいでクロックアップは連発できないんです。有効時間も無制限の時より短いらしくて」
当然だろう。そんな能力に制限がなかったら完全なワンサイドゲームになってしまうに決まっている。
「二人とも、彼はその変身システムについて詳しいようです。私達が時間を稼ぐので、ちゃんと説明を受けてください」
そんなテクノロジーを持ったシステムなら、しっかり使い方を理解していないと危険だ。
手塚には失礼だが、使いこなせずに倒れた彼の二の舞は避けねばならない。
幸い、ドラゴンオルフェノクは心理的にもダメージが大きいようだ。
それに、ドラゴンオルフェノクの超スピードにも制限はかかっているはず。使用した直後は使えないはずだ。
二人でなら、無理をしなければ時間くらいは稼げるだろう。
「頼みますよ、木場さん。ヒビキさん、行きましょう」
「よっしゃ!」
「ち、ちょっと待って下さい!」
戦いに行こうとする二人をホースオルフェノクが引き止める。
デルタの腕を引き、
「あなた、オルフェノクじゃありませんよね?」
「いや、俺は鬼だよ」
ホースオルフェノクは少し首を傾げたが、話を続けた。
「オルフェノクでないものがデルタに変身すると、精神に異常をきたして凶暴な性格にされてしまうんです」
「なんだって?」
「ですが、自分の意思を強く保てばそれをはねのける事ができるかもしれません……できますか?」
「大丈夫だよ。俺はみんなを守るために戦うんだ。絶対にそれ以外の事に力は使わないよ」
ポンとホースオルフェノクの肩に手を置くデルタ。
「ありがとうな、木場」
シュッ、と敬礼のようなポーズを取り、ドラゴノルフェノクへ向き直る。
「では、お願いしますよ」
それにゼロノスも続いた。
うめきながら三度起き上がるドラゴンオルフェノクへ、ゼロガッシャーを振り下ろす。
竜人態から魔人態へ変化し、巨大な爪でそれを受け止めるドラゴンオルフェノク。
「ここであなたを仕留めてみせます!」
「調子に乗らないで欲しいな?」
頭はすっかり冷えている。侑斗のおかげだ。
「そのセリフ、そのままお返しします」
蹴りを入れ、体勢を崩してゼロガッシャーを腹へ突きこむ。
それは防がるが構わず刃を跳ね上げ、更に蹴りを浴びせる。
そこへ音撃棒を携えたデルタが飛び込む。
◇ ◆ ◇
「オオォッ!」
ドラゴンオルフェノクは左右の音撃棒を受け止めて腕に装着した巨大な爪――ドラゴンホーンを繰り出し、デルタはそれをダッキングでかわす。
同時に出した足がぶつかり合い、両者一瞬バランスを崩す。
そこにゼロノスが斬りかかり、ドラゴンオルフェノクは転がって回避する。
ゼロノスの横に並び、音撃棒を構えるデルタ。
さすがにミスマッチな組み合わせだと思うが、やはり使い慣れた武器の方がいい。
「ヒビキさん、大丈夫ですか?」
正直、変身した時からおかしな感覚がずっと頭につきまとっていて不快だ。
人を守るために戦う。その信念に対して直接圧力がかかっているような。
長年にわたって修行を続け、精神面においても卓越したヒビキでなければ戦いに快感さえ感じるようにさえなるかもしれない。
確かにこれは危険だ。変身中はずっと気が抜けない。
戦いながら闘争心を抑える事ほど難しい事はない。
だがデルタは、ゼロノスに手を上げて答える。
「大丈夫です。鍛えてますから」
音撃棒を握りしめる。鬼としての自分の力の象徴。
自分は人を守る鬼である事をこれほど強く意識できる物はない。
今こそ鍛錬の成果を発揮する時だ。
自分は絶対屈しない。
ドラゴンオルフェノクにも、デルタギアにも。
「ハアァッ!」
気合を入れ直し、ゼロノスと共にドラゴンオルフェノクへ向かっていく。
音撃棒とゼロガッシャーをことごとく防御するドラゴンオルフェノク。反撃も鋭く、なかなか有効打が与えられない。
(落ち着け、焦る必要なんてないんだ……)
頭の中がチリチリするような感覚。デルタギアの毒──デモンズスレートを必死に押さえ込みながら戦うデルタ。
歌舞鬼に受けたキズと時折喰らってしまう攻撃で意識がかき乱されるが歯を食いしばって耐える。
こういう時こそ平常心を保たねばならない。いつもやっているように。
そして、ようやく待っていた時が来た。
── Rider Jump ──
── Rider Slash ──
デルタとゼロノスの頭上を飛び越えるホースオルフェノク。下半身が馬に変わり、剣と盾を持っている。
サソードもいつの間にかドラゴンオルフェノクの側面に移動している。
さらにホースオルフェノクより高くジャンプしているパンチホッパー。腰のホッパーゼクターの脚を下ろす。
―― Rider Punch ――
「ハッ!」
剣を突き出すホースオルフェノク。それはかわされ、爪で反撃されたが盾で防いだ。
ホースオルフェノクが突っ込んだ勢いのままドラゴンオルフェノクの脇を駆け抜けると、今度はパンチホッパーの拳が迫っていた。
横にジャンプし、これも避けられる。ライダーパンチは地面に命中し、アスファルトを粉々に粉砕した。
さらにサソードが離れた位置からサソードヤイバーを振り下ろす。
「でやああっ!」
剣から光の刃が飛ぶ。
飛来するライダースラッシュもかろうじて紙一重でかわされた。
剣閃はそのまま木に命中、縦に真っ二つに切断された。
切れ味でいうならオーガストラッシュと比較しても遜色ないだろう。
集結する五人――サソード・パンチホッパー・デルタ・ゼロノス・ホースオルフェノク。
「ようやく面白くなってきたじゃない。少し見直したよ」
それでもドラゴンオルフェノクにはまだ余裕がある。
「もう時間は少ないけど、そのわずかな時間でも君達全員全滅させる自信はあるよ」
そう言って竜人態へ変化する。
「! クロックアップ!」
── Clock up ──
── Clock up ──
即座に腰のスイッチを操作するサソードとパンチホッパー。
刹那、ドラゴンオルフェノクとサソードとパンチホッパーの姿がかき消えた。
「木場さん、ヒビキさん、準備を!」
ゼロノスは指示を飛ばしながらゼロガッシャーをボウガンモードに変形させ、ゼロノスベルトのスイッチを押した。
―― Full Charge ――
「よっしゃ!」
それを受けて説明書にあった大技の準備に取りかかる。
デルタムーバーを手に取り、ミッションメモリーを挿入する。
―― Ready ――
ジャキン、と銃身が伸びたデルタムーバーを口元へ運ぶ。
「チェック!」
―― Exceed Charge ――
音声入力ってなんだか装甲声刃みたいだ、と思った。
◇ ◆ ◇
この状態で普通に戦ったのは初めてだった。
アクセルフォームでさえ自分には及ばなかった。
首輪の制限のせいもあるだろうが、サソードとパンチホッパーは自分と競り合えるほどのスピードで動いている。
今もパンチやキック、剣が次々に迫ってくる。
だが、大半はドラゴンオルフェノクの体まで到達しない。まともに当てた数で言えば自分の方が多い。
結局の所、彼らはただ自分と同じ土俵に上ったに過ぎない。それだけでは最強の存在である自分を凌駕するには至らない。
それでも、何度も打ち倒されながら何度も向かってくる二人。
そうでなければ面白くない。簡単に壊れてはつまらない。
── Clock over ──
── Clock over ──
やがて三人とも平常の速さに戻る。
サソードもパンチホッパーも疲労を隠せない。この調子ならば十分全滅──
そう思いながら他の三人を見ると、うち二人──デルタとゼロノスがそろって武器をこっちへ向けた。
「!」
デルタムーバーから青い光が放たれる。
それを横へ飛んでかわすと今度はゼロノスのグランドストライク。
身をひねるが、左肩をわずかにかすった。
更にグランドストライクと同じタイミングで飛び出したホースオルフェノクに後ろ足で空中へ蹴り上げられる。
── Rider Jump ──
吹き飛ぶドラゴンオルフェノクに先回りするように飛び上がるパンチホッパー。先程と同じようにホッパーゼクターの脚を下げる。
―― Rider Punch ――
「ウォォォッ!」
「くっ!」
ドラゴンオルフェノクとパンチホッパーの拳がぶつかり合う。
手に痛覚を覚え、反動で二人とも反対の方向へ吹き飛んでいく。
―― Rider Slash ――
自分が飛んでいる方向から音声。サソードが光るサソードヤイバーを振りかざしていた。
「おりゃあああっ!」
もう刃が届く距離。振り下ろされるサソードヤイバー。
とっさに魔人態に変化、両腕のドラゴンホーンで受けるが左の角ごとそれらが切断された。
そのまま地上に落下するドラゴンオルフェノク。
「タァァーッ!」
最後に、デルタのルシファーズハンマー。
「ぐあああ!?」
立ち上がろうとした所でポインターなしとはいえ胸にもろに受けてしまい、ドラゴンオルフェノクは吹っ飛んだ。
◇ ◆ ◇
「やった!」
デルタのキックがドラゴンオルフェノクに炸裂したのを見て歓声を上げるサソード。
「ウグゥッ……!」
うめきながら立ち上がるドラゴンオルフェノク。わずかによろめく。
支援
「ざまぁ見やがれ……!」
右手首を押さえながら吐き捨てるパンチホッパー。
「よし、次で――」
ゼロノスがゼロガッシャーに挿入していたカードを再びベルトにセットしようとした瞬間、ゼロノスとホースオルフェノクの変身が解けた。
「うっ?」
時間の事を忘れていた。
動揺する二人にドラゴンオルフェノクが光弾を数発、発射した。
「危ない!」
―― Put on ――
サソードは香川の前に立ち、脱ぎ捨てた装甲を再び装着して光弾から守った。
木場はパンチホッパーとデルタが飛びつき、地面に押し倒されて難を逃れた。
ドラゴンオルフェノクが撃った光弾はサソードらの手前のアスファルトにも着弾し、辺りを煙が覆った。
視界が開けたときにはもうドラゴンオルフェノクの姿はなかった。手塚が乗ってきたバイクも消えている。
「……逃げられたか」
起き上がり、変身を解くデルタとパンチホッパー。
「惜しかったのですがね……」
メガネをかけ直し、つぶやく香川。
「…………」
ドラゴンオルフェノクがいた場所を見つめたままのサソード。
香川はサソードの肩に手を置いた。
「桜井くん、よく頑張りました。ヤツをあそこまで追い詰めることができたのです。これは誇りに思っていい」
「ですが香川さん……」
「大丈夫です。この次に会った時こそ、我々が勝つ時です。今はまず手塚さんを……」
「……はい」
頷くサソード。そして変身が解除された。
「香川さん」
きびすを返した香川を呼び止める侑斗。手を差し出し、
「ゼロノスベルトを。もう時間はたったはずです」
「桜井くん……」
「もし何か来ても、俺がみんなを守りますから」
強い光が宿った瞳。その眩しさに思わず目をそらし、ゼロノスベルトを差し出す。
受け取った侑斗の手を握る。
「強くなりましたね……桜井くん」
「……へへ」
照れくさそうにはにかむ侑斗。
二人はしばらく握手を続けていた。
(少し離れた間に、一回り成長したようだ)
何があったかは知らないが、まるで自分の生徒の成長を見守っているようで嬉しい気分になる。
手塚の死を乗り越えた事もあるのだろう。
彼の死は無駄にしない。絶対に。
侑斗と一緒に仲間たちの元へ歩き出す。
(それに引き換え、彼は……)
へたりこんだまま、まだ立ち上がれないでいる京介を見て香川は嘆息した。
手塚が殺された事に全員が奮起したというのに彼だけはこの体たらくだ。
さっきもゼロノスに変身して戦う事をあからさまに嫌がっていた。これでは戦力にならない。
侑斗とは顔は似ているくせに、中身は月とすっぽん。
ヒビキには悪いが、はっきり言って足手まといだ。
侑斗らの性格上、彼を捨てていくなどしないだろうからこれは不安材料だ。
木場に関しては一見信用してもよさそうにも思えるが、まだ油断は出来ない。
いずれにせよ、今後は考える事がたくさんある。
侑斗が人々を救うために、犠牲を出す事もいとわず、自分は立ち回らねばならない。
【桜井侑斗@仮面ライダー電王】
【1日目 現時刻:午後】
【現在地:E-6・道路】
【時間軸】:最終回直後
【状態】:深い後悔、強い決意。全身に中程度のダメージ、中程度の疲労。 サソードに変身不可(2時間)
【装備】:神経断裂弾(1発)、ゼロノスベルト、サソードヤイバー&ゼクター
【道具】:基本支給品×2、ゼロノスカード3枚(内1枚赤カード)、ラウズカード三枚(ダイヤK・ブランク二枚)
ショッカー戦闘員スーツ×2@仮面ライダー、ディスクアニマル(ニビイロヘビ)、戦国時代のディスクアニマル(イワベニシシ)
煤けた首輪、双眼鏡、コーヒーセット、デジタル一眼レフ(CFカード)、望遠レンズ
【思考・状況】
基本行動方針:殺し合いの阻止
1:もう誰も死なせず、無事に生還する。
2:香川に木場の事を説明する。
3:ガドル、風のエル(名前は知らない)、北崎を倒す。
4:五代雄介に一条薫の死を伝える。
5:真魚(名前は知らない)は本当にナオミなのか知りたい。
6:可能性は低いが良太郎や愛理を探す。
【備考】
※変身制限に気づきました。大体の間隔なども把握しています。
※首輪の損傷具合は不明です。
※剣世界の事についておおまかな知識を得ましたが、仮面ライダーやBOARDの事など金居が伏せた部分があります。
※木場からオルフェノク・スマートブレイン社についての情報を得ました。
※あの少女(真魚)は帽子の男(澤田)がいるから安心?
※サソードゼクターに適格者として認められました。
※澤田=ダークカブト=カイザ=スパイダーオルフェノクである事を把握しました。
【香川英行@仮面ライダー龍騎】
【1日目 現時刻:日中】
【現在地:E-6・道路】
【時間軸】:東條悟に殺害される直前
【状態】:深い後悔、強い決意。全身に中程度のダメージ、中程度の疲労。 ゼロノスに変身不可(2時間)
【装備】:なし
【道具】:リュックサック、保存食2日分、ペットボトル500ml(水入り)、懐中電灯、軍手(使用中)、医療品(消毒薬、包帯、ガーゼなど少量)、観光マップ、弾丸(発砲済み)
【思考・状況】
基本行動方針:殺し合いの阻止
1:東條は必ず自分が止める。
2:木場についてちゃんと話を聞きたい。
3:ガドル(名前は知らない)、北崎を警戒。
4:五代雄介に一条薫の死を伝える。
5:侑斗を生存させるため、盾となるべく変身アイテム、盾となる参加者を引き入れる。
6:桐谷京介が足手まといなのはどうしたものか。
【備考】
※変身制限に気づきました。大体の間隔なども把握しています。
※剣世界の事についておおまかな知識を得ましたが、仮面ライダーやBOARDの事など金居が伏せた部分があります。
※木場からオルフェノク・スマートブレイン社についての情報を得ました。
※死者の蘇生に対する制限について、オルフェノク化させる事で蘇生が可能なのではと思いはじめました。
※ショッピングセンター・動物園あたりの川に香川の支給品が流されました。川のどこかにあるかもしれません。
※第2回放送を聞き損ねていますが、脱落者・新しい禁止エリアは把握しました。
※3ヶ月ほど前にスマートブレインによってホテルの従業員と宿泊客の強制退去が行われたと推測しています。
※ホテルの宿泊客管理ソフトのIDとパスワードを記憶してしまいました。忘れる事ができません。
※観光マップは南北C〜H、東西1〜6の範囲まで載っています。道路や駅、観光地とホテルの位置がわかります。
※E−6動物園付近の丘で崩れた家を、林の中で青いバラを発見しました。
◇ ◆ ◇
「手塚さん……」
木場は手塚の遺体を前にしゃがみこんでいた。
「俺がライダーシステムの事をちゃんと教えていれば……」
おかしいとは思ったのだ。なぜキャストオフしないのだろうと。
戦っている最中ゆえ気づくのが遅かったとはいえ、どうしても悔いが残る。
思わず涙がこぼれる。
仮面ライダーになると誓ったのに、彼をみすみす死なせてしまった。
と、肩に感触。
振り返ると、葦原が自分の肩に手を置いていた。
「…………」
彼は何も言わず、ただ黙って木場の目を見ていた。
それだけで、彼も自分と同じ気持ちなのだと感じた。
そして、他の全員が一様に悲しそうな目で手塚を見ていたのに気づく。
全員がそうなのだ。
「…………」
木場は袖で涙をぬぐい、手塚の顔に視線を戻した。
いつまでも悲しんでばかりではいられない。
もう手塚のような死者を出さないためにも、自分は強くならなければいけないのだ。
「手塚さん……俺は必ずここにいるみんなを守って、ここから脱出します」
手塚に決意を誓い、隣にしゃがんだ葦原と頷き合った。
【葦原涼@仮面ライダーアギト】
【1日目 午後】
【現在地:E-6・道路】
[時間軸]:第27話死亡後
[状態]:全身に中程度の負傷、中程度の疲労、腕部に小程度の裂傷、胸に軽度の裂傷、変身の後遺症、仇を討てなかった自分への苛立ち。ギルス・パンチホッパーに変身不可(2時間)
[装備]:フルフェイスのヘルメット、カブトエクステンダー@仮面ライダーカブト、ホッパーゼクターのベルト
[道具]:基本支給品×2
【思考・状況】
基本行動方針:殺し合いには加担しない。脱出方法を探る。
1:立花を殺した白い怪物(風のエル)、あすかを殺した白いライダー(ファム)、未確認生命体4号(クウガ)、北崎に怒り。必ず探し出して倒す。
2:立花藤兵衛の最後の言葉どおり、風見の面倒を見る?
3:黒いライダー(カイザ)を探してみる。
4:五代雄介の話を聞き、異なる時間軸から連れて来られた可能性を知る。
5:白い怪物(ダグバ、ジョーカー)を倒す。
6:木場が間違いを犯した場合全力で止める。
7:デルタギアを誰か、はっきりとこの殺し合いに反抗する者に託す。(今の所木場が有力)
【備考】
※五代の話を聞き、時間軸のずれを知りました(あくまで五代の仮説としての認識です)。
※剣崎一真の死、ダグバの存在、ジョーカーの存在などの情報を五代から得ました。
※カブトエクステンダーはキャストオフできないため武装のほとんどを使えません。
今の所、『カブトの資格者』のみがキャストオフできます。
※澤田=カイザ=スパイダーオルフェノクである事を把握しました。
【木場勇治@仮面ライダー555】
【1日目 現時刻:午後】
【現在地:E-6・道路】
【時間軸】:39話・巧捜索前
【状態】:全身に中程度以上の打撲。後悔と悲しみ。大程度の疲労、背中等に軽い火傷。ホースオルフェノク・ファイズ・サイガに変身不可(2時間)。
【装備】:ファイズギア、サイガギア、トンファーエッジ
【道具】:基本支給品×1、Lサイズの写真(香川の発砲シーン)
【思考・状況】
基本行動方針:海堂の遺志を継ぎ、仮面ライダーとしてみんなを守るために戦う。
1:香川とちゃんと話をする。
2:葦原に憧れに近いものがある。
3:死神博士、ゴルゴス、牙王、風のエル(名前は知らない)、東條、北崎を警戒。影山はできれば助けたい。
4:事情を知らない者の前ではできるだけオルフェノク化を使いたくない。
【備考】
※香川から東條との確執を知り、侑斗から電王世界のおおまかな知識を得ました。(赤カードの影響で東條の情報だけが残っています。)
また、第一回放送の内容も二人から知りました。
※赤カードの影響で自分が香川の記憶を失った事を把握しました。
※自分を信じるが、自分さえも信じられなくなったらその時は…?
※カイザが澤田である事は知りません。
◇ ◆ ◇
「京介、大丈夫か?」
ヒビキが京介の手を取るが、まだ立ち上がれない。
「す、すいません。俺……」
「まあ、しょうがないけどな」
言って、ヒビキは疲れた表情で目の辺りを押さえる。
「大丈夫ですか? ヒビキさん」
「うん、少し疲れてるけど大丈夫」
そう言っているが、これほど疲れた表情のヒビキは見た事がない。
デルタギアのデモンズスレートにまだ抵抗しているという事には気づかなかった。
少々不安になり、他の仲間達を見る。
そして木場を見た時に視線が止まった。
さっき手塚が倒れた直後、彼も北崎と同じような灰色の怪物に変身した。
京介は木場がオルフェノクであることを聞いていなかったのだ。
そんな人物が仲間で大丈夫だろうか。
北崎に恐怖を植えつけられた京介は彼に対しても恐怖を抱きつつあった。
【日高仁志(響鬼)@仮面ライダー響鬼】
【1日目 現時刻:午後】
【現在地:E-6・道路】
[時間軸]:最終回前
[状態]:顔面に傷、胸に切り傷、腹部に中度の火傷と刺し傷、強い決意、精神への疲労大。響鬼・デルタに変身不可(2時間)。
[装備]:変身音叉・音角@仮面ライダー響鬼、劣化音撃棒×2、音撃増幅剣・装甲声刃@仮面ライダー響鬼、デルタギア
[道具]:基本支給品一式(元の服を含む)、野点篭(きびだんご1箱つき)
釘数本、不明支給品×1(確認済)
【思考・状況】
基本行動方針:出来るだけ多くの仲間を守って脱出
1:青いバラの事を別行動中の仲間に知らせる。
2:葦原にあすかの事を聞く。
3:歌舞鬼が気にかかる。
4:ダグバと北崎は放置できない。
5:もっと仲間を増やす。
6:新たな仲間を信頼。
7:志村は信頼することを前提に行動する。
8:一文字・志村とは病院で合流する。
【備考】
※E−6の林の中で青いバラを見つけました。
※デルタギアのデモンズスレートは今の所は何とか抵抗していますが……?
【桐矢京介@仮面ライダー響鬼】
【1日目 現時刻:午後】
【現在地:E-6・道路】
[時間軸]36話、あきらに声を掛けた帰り
[状態]:走り回った事による中程度の疲労、バイク転倒による擦り傷や打ち身、僅かな人間不信、激しい動揺
[装備]:なし
[道具]:基本支給品(食料紛失)、ラウズカード(スペードの10、クラブの10)
【思考・状況】
基本行動方針:生き残る
1:響鬼達に守ってもらう。
2:激しい恐怖(特にダグバ、ゾルダ、ドラゴンオルフェノクに対して)
3:木場にわずかな恐怖。
【備考】
※自分を助けてくれた男性(水城)の生存の可能性は低いと予想。
※食料は移動中に紛失しました。
※このグループについて
○情報交換は香川・ヒビキ間、侑斗・葦原・木場・京介間でのみなされています。
○さしあたっては手塚の遺体を埋葬する事を考えています。
○手塚は自分の支給品を持っています。
◇ ◆ ◇
「は〜っ」
ごろん、と地面に寝転がった歌舞鬼は大きく息を吐き出した。
変身していたとはいえ、バイクを抱えて逃げてきたのだ。疲労は小さくない。
「にしても、アイツも海堂や北崎の同類だったとはなぁ……」
澤田の事を思い出す。かなりの手練れだ。
ヒビキとの勝負を邪魔した事は許せないが、簡単に倒せる相手ではなさそうだ。
ヤツとヒビキをさしあたっての標的としよう。
だがヒビキは京介らと合流した。彼らと行動を共にするに違いない。
そうなると少々狙いにくくなる。
「……ま、そん時考えりゃいいだろ」
とりえず少し休もう。あとはそれからでいい。
【歌舞鬼@劇場版仮面ライダー響鬼】
【1日目 現時刻:午後】
【現在地:D-6 南西部】
[時間軸]:響鬼との一騎打ちに破れヒトツミに食われた後
[状態]:中程度の疲労、肩に裂傷、歌舞鬼・インペラーに変身不可(2時間)
[装備]:変身音叉・音角、音撃棒・烈翠
[道具]:基本支給品×4(ペットボトル1本捨て)、不明支給品×1(風のエル・歌舞鬼確認済)、歌舞鬼専用地図
音撃三角・烈節@響鬼、GK―06ユニコーン@アギト、ルール説明の紙芝居、インペラーのカードデッキ@龍騎、KAWASAKI ZZR250
【思考・状況】
基本行動方針:優勝し、元の世界に戻って魔化魍と闘う。そして最後は……
1:ヒビキに勝つ。
2:澤田(名前は知らない)にヒビキとの対決を邪魔した礼をする。
3:北崎はいつか倒す。
4:桐谷達が挫折したら自分が引導を渡す。
【備考】
※カードデッキの使い方は大体覚えました。
※G-6エリアに放置されていた基本支給品+不明支給品×1を回収しました。
◇ ◆ ◇
「まだかな……」
瓦礫に腰かけ、真魚はそわそわしていた。
澤田が出て行ってからだいぶ経つ。
さっきから大きな音が何度か鳴り響いていて、だいぶ不安になってきていた。
何度様子を見に行こうと立ち上がりかけただろう。
だが澤田から動くなと言われたし、拳銃を使わねばならないかも知れないと思うととても恐い。
結局は動けない。
「澤田くん……」
彼は大丈夫だろうか。
ケガとかしていないか。
「真魚ちゃん」
「えっ?」
声に思わず顔を上げると、そこに澤田がいた。
息を切らせて、疲れた表情をしている。
ふぅ、とため息をつきながら座り込んだ。
「だ、大丈夫?」
「うん。たいした事ないよ」
見た所、ケガなどはないらしい。
「戦ったの?」
「まあね。ちょっと大変だったけど」
「相手は?」
もしや、誰か殺したのではないだろうかと思わず不安になった。
「逃げたよ。でもまだ近くにいるかもしれない」
少し安心した。が、まだ油断できないという事だ。
「それで、どうするの?」
「しばらくここにいよう。そのうち誰もいなくなると思う。俺、少し休むから」
そう言うと澤田は真魚の膝に頭を乗せて寝そべった。
「ち、ちょっと澤田くん」
「何かあったら起こしてよ」
慌てる真魚の頭から帽子を取り、自分の顔にかぶせる澤田。
どうも、このまま眠るつもりらしい。
「真魚ちゃん。俺、もう鹿は見るのもイヤだ」
「え?」
意味のわからない事を言ったと思ったら、やがて寝息が聞こえてきた。
「…………」
トイレに行きたくなったらどうしよう、などと考えながら真魚は規則的に上下する澤田の胸を見ていた。
【澤田亜希@仮面ライダー555】
【一日目 午後】
【現在地 E-6 家の廃墟】
[時間軸]:34話・真理再生前
[状態]:睡眠中。大程度の疲労。体の各部に打撲。カイザ・スパイダーオルフェノクに変身不能(2時間)。
[装備]:カイザギア(全装備付属)、ライダーベルト+ダークカブトゼクター
[道具]:基本支給品、通話発信可能な携帯電話、不明支給品×3(本人確認済み)
ディスクアニマル(アカネタカ)、iPod(動画再生機能付き)ファイズアクセル
[思考・状況]
基本行動方針:参加者を皆殺しにして自分が完全なオルフェノクであることを証明する。
1:風谷真魚を守る。あくまで、最後に自分の手で殺すために。
2:他の参加者を殺す。
3:なるべくオルフェノク態で戦う事を避ける。そのために一つでも多く変身装備が欲しい。
4:リスクを避けるべく、人の多い場所には近づかない。
5:放送局へ向かう
[備考]
※ダークカブトに資格者として認められました。ベルトはカブトのものを流用しています。
※能力制限等のルールについて、あらかじめ大まかに知らされています。
※澤田の携帯電話は特別仕様のため、通話の発信機能が生きています。
現在の所、通話可能な相手は主催者(村上社長・スマートレディ)のみです。
※鹿が嫌いに?
【風谷真魚@仮面ライダーアギト】
【一日目 午後】
【現在地 E-6 家の廃墟】
[時間軸]:31話・サイコキネシス発現後
[状態]:健康。動揺。強い自己嫌悪。
[装備]:コルトパイソンA@クウガ(装弾数5/6、マグナム用神経断裂弾)
[道具]:基本支給品一式x2(真魚・天道)
ライダーパス、首輪(天道)
特殊効果弾セット(マグナム用神経断裂弾54、ライフル用神経断裂弾20、
ランチャー用非殺傷ゴム弾5、ランチャー用催涙弾5、ランチャー用発煙弾5、ランチャー用対バリケード弾5) 、澤田のキャップ帽
[思考・状況]
1:澤田についていく。離れたくない。
2:人殺しをした自分が憎い。
3:自分の能力と支給品の銃を嫌悪。
4:能力の事を澤田に知られたくない。
5:澤田と一緒なら、元の世界に戻れる…?
6:自分をナオミと呼んだ青年にもう一度会って謝りたい。
[備考]
※制限もしくは心理的な理由で超能力が不完全にしか発揮できません。
現状では、サイコメトリーで読めるのは断片的なイメージだけです。
※以下のように事実を誤解しています。
サイコメトリーで見えた灰色のモンスターの正体は天道=カブト。
灰色の怪物(海堂)と赤い怪物(モグラ)は殺し合いに乗っている。
青いライダー(ガタック・ライダーフォーム)に変身して自分を守ったのは澤田。
加賀美(名前は知らない)は自分がサイコキネシスで殺した。
自分をナオミと呼んだ男(侑斗)と黒い異型(デネブ)は親友。
※決心が付いたら澤田の帽子に触れてイメージを見てみる。
※青いバラに触れた女性が灰化するビジョンを見ました。
◇ ◆ ◇
「ハァ、ハァ……」
奪ったバイクを走らせ、適当に道路から離れた所で北崎はバイクごと倒れこんだ。
全身キズだらけで服も血に汚れている。
「ハァ、ハァ、ちょっと遊びが過ぎたかな……」
最後の数分間を思い出す。
自分が負ったダメージは、ほとんどがその時のライダー達の必殺技のラッシュによるものだ。
誤算だったのが、紫とグレイのライダーが竜人態のスピードについて来れた事だ。
それさえなければこれほどのダメージを受ける事はなかったはずだ。
だが、言い換えればそれにさえ気をつければ十分なはずだ。
この次こそは自分の方が強いという事を思い知らせてやろう。
自分が逃げたという事実に怒りを覚えながらも、相手が手強くなっている事に歓喜してもいた。
相手が強いほど叩き潰し甲斐がある。
「うふふふ……」
そう考えると思わず笑いが出た。
それまではほんの一時の優越感を与えてやろう。結局、最後に勝ち残るのは自分だけなのだ。
ようやく本気を振るえる相手が出て来た。楽しみが増えたと思えばいい。
あの近くに自分が乗っていたバイクを置いてきてしまったが、それはしょうがない。
お楽しみの時間に向けて、それまではしばし休憩の時間だ。
【北崎@仮面ライダー555】
【1日目 現時刻:午後】
【現在地:D-7 南西部・道路付近】
[時間軸]:不明。少なくとも死亡後では無い。
[状態]:全身に中程度以上の疲労とダメージ。ドラゴンオルフェノク・オーガ・シザースに変身不可(2時間)。
[装備]:オーガギア、シザースのデッキ
[道具]:竜巻、ディパック(三田村、基本支給品×1)
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いを楽しんだ上での優勝。
1:侑斗達とは今度は本気で戦う。クロックアップだけは警戒する。
2:三田村のような人間をまた探して手下にするのも面白いかも。
3:五代雄介、「仮面ライダー」なる者に興味。
4:ゾル大佐、橘朔也と会ったら今度はきっちり決着をつけ、揺ぎ無い勝利を手にする。
5:「仮面ライダー」への変身ツールを集めたい。
6:木場勇治はどうせだから自分で倒したい。歌舞鬼はいつか倒す。
7:海堂はカブキが殺したと考えているが、あまり興味はない。
※変身回数、時間の制限に気づきましたが詳細な事は知りません。
※E-6、侑斗らがいる地点から少し南の路上に凱火を放置しています。
◇ ◆ ◇
一つに交わった道は再び分岐し、新たな道を作り出す。
その異なる道がどこへ向かっているのか、あるいは途中で終わっているのか。
その道を行く者達はそれを知らず、ただ進む事しか許されない。
以上で代理投下終了です。他に投下をしてくださった方ありがとうございました!
>◆oA4.kKflHFtJ氏
大作投下乙です!
あの人数とまともにやりあって逃げ延びられる北崎すげえw
不安要素もあるものの一つの大きな対主催集団もできあがってこれからが楽しみです。
それと、ここからは誤字の指摘になるのですが、
手塚の親友は『雄一』になります。また、
>>155の
> その言葉に、侑斗は顔を輝かせた。
は文脈的に京介のような気がします。しかし侑斗でもおかしくはないので
見当違いだったらすみません。
また、避難所の仮投下スレと本スレとでトリップが違ってしまっています。
これは最近2chでトリップキーに使われる文字の数が全角4から8へ変わったためだと
思われますので、全角4文字以上の文字列を使っていると違ってしまうようです。
トリップを入れる際#の後ろに入れる文字を4文字にすると避難所のものと同じに
できると思いますので試してみてくだされば幸いです。
その際はトリ割れに気をつけてくださいね。
◆oA4.kKflHFtJからトリップ改めました。
代理投下してくださったみなさん、ありがとうございました。
>>209さん
> 手塚の親友は『雄一』になります。
すいません、素で「優一」だと思ってました(爆)修正しておきます。
> 文脈的に京介のような気がします
ここは侑斗です。直前の三つのセリフが誰のかわかりにくいかもしれないですね。
修正を考えて見ます。
「仮面ライダー占い」では手塚は斉藤って呼んでた気がするけど、本編では雄一って呼んでたかな……。
なんだか、斉藤って呼んでたような気がするんだけど……。
あと、本編とは関係ない質問。
このロワの支援MADで使われてる曲って何ていう曲?
投下から数日たってるとはいえ、ほとんど感想が書かれないうちから感想書きもしないで関係ない質問とかw
京介の名字、桐谷じゃなくて桐矢でしたね。修正しておかないと。
えー、とりあえず手塚にだけは触れてあげてください(合掌)
>>211 本編では「雄一」でした。
曲はちょっとわかりませんね。
仮面ライダー占いってなんだろうと思ってググってみたら手塚お前何やってるんだw
>>212 How is 作品 <<<<<< Who is 書き手
これがライダーロワ読み手の考え方だ
>>213 ◆qFhr8mElWw氏
投下&修正乙です!代理投下した方も乙です
感想遅くなってすみません
とにかく大ボリュームのバトルシーンがすごかったです!登場人物が入れ替わり立ちかわり
変身していって、最後の北崎への必殺技ラッシュには興奮しました
おんなじ顔のキャラ、侑斗と京介もついに対面を果たしてどうなるかと思いきや
ヒビキさんの『京介その一・その二』よばわりに吹きましたw
手塚の犠牲を胸に刻んだ対主催集団の結成はこのロワにどう影響を与えるか...
>>211 支援MADの曲はたしか「アヌビス」ってゲームのテーマソングだったかと
今更ですが投下&代理投下乙です!
誤解が解けて良かったと思いきや新たなる不安要素も生まれ今後どう影響が出るか楽しみです…!
あの人数の必殺ラッシュで生き残る北崎さんすげぇw
週明けごろにまた予約して投下しようかと考えています。
ちょっと立て続けに投下しすぎな気はしますが、今度は繋ぎの話です。
>>217さん
マンガ、拝見しました。
あの激闘が絵で見れて感激です。
>>217 すごい、これだけの枚数を描いたんですか?お疲れ様です。
(日本のオタクは才能の無駄使いといわれるだけの事はある。)
文字で読むより、漫画のほうがダグバの子憎たらしさが増しますね。
>>217 拝見しました!!乙&GJ過ぎるっ!!!!!
漫画で見ると文字の描写と違ってまた良い!!
昨日、仮投下してきました。
ちょっとご意見を伺ってみたいので、どうぞ見てやってください。
今から本投下します。
昼下がりの町を疾駆する二つの人影。
五代と光は一つの方角へ走っていた。
ハナと結花が逃げた方角、そして風のエルが飛んでいった方角へ。
変身はついさっき解けてしまった。
風のエルの策にまんまと乗せられてしまい、ナイトとファムの飛行する手段を使い切ってしまったため、走る他なかった。
ハナと結花を狙っているのなら、二人の足を考えても遠くはないはず。
光はそう考えながら駆けていた。
と、前方やや左の建物の陰から何かが飛んでいるのが見えた。
「光さん、あれ!」
五代も気づいて指を刺している。
さっきの怪人が少女を抱えて飛行していた。
「ハナ!」
光がつぶやく間にも風のエルは二人の上空を通り過ぎ、そのまま後方へ向かって飛行している。
さっきファムに変身したばかりだし、アンデッドへの変身もまだ制限時間のはずだ。それは五代も同じ。
「光さん、デッキを!」
五代は光の手からファムのデッキを奪い取り、代わりにナイトのデッキを押しつける。
そして道路のカーブミラー目がけてファムのデッキをかざした。
「待て!」
光は五代の意図を理解すると同時に、彼のデッキを持った手を押さえた。
「光さん!? ハナさんを助けないと――」
「落ち着け! 今からでは変身しても追いつけん! ヤツの武器で撃ち落されるのがオチだ!」
「でも!」
言い合う間に風のエルの姿は小さくなっていた。
遠くに見える放送局の方向へ飛び去っていくのを二人は歯噛みしながら見ているしかなかった。
「それより結花が心配だ。ヤツがハナだけを連れて行ったとなると……」
風のエルが抱えていたのはハナだけだった。では、一緒に逃げた結花は?
「まさか……」
「結花を探すぞ。ヤツの事はそれからだ」
光はナイトのデッキをポケットに押し込みながら走り出す。
しばらく二人で走った後、彼女は路地へ入っていった。
「二手に分かれるぞ。私はこっちを探す」
◇ ◆ ◇
「結花さん! 結花さん!」
光が行ったのと別の路地に入り、結花を呼ぶ五代。
これ以上仲間を危険な目に合わせたくなかった。
剣崎やイブキの最後の姿がフラッシュバックする。
最悪のケースだけはせめて免れている事を祈りながら結花の名を呼び続けた。
しばらく走り回っていると、交差点に大きな布が落ちていた。
「これは……」
手に取って見ると、切り裂かれた美しい着物だった。確かハナが持っていた物だ。
「……っ…………っ……」
何か聞こえて横の道に顔を上げると、少女が地面に突っ伏して泣いていた。
「結花さん……」
思わずため息がもれる。心底ほっとした。
「結花さん。大丈夫? ケガはない?」
駆け寄り、声をかける。
結花はゆっくり顔を上げた。目が赤く、ずっと泣きはらしていた事が見て取れた。
体を見ると、汚れてはいるがケガはないようだ。
「光さーん! 結花さんがいました!」
光るがいるであろう方向へ大声を飛ばす。そして結花の顔をのぞきこんだ。
「よかった、無事で。心配したんだよ」
「ごめんなさい……」
小さい声で答える結花。
「ごめんなさい……ハナさんが……あいつに……」
「結花!」
光がやって来て五代に並んで結花の前にしゃがむ。
「私……何も……何もできなくて……ごめんなさい……」
しかし結花はうつむき、涙声で謝罪の言葉を口にした。
「ごめんなさい……」
結花の目から涙が流れる。
「…………」
結花の涙に、五代はある少女の事を思い出した。
夏目実加。
五代がもといた世界での未確認生命体による最初の犠牲者達、そのうち一人の娘だった。
五代は葬儀で彼女が涙を流すのを見ていた。
その前日、クウガに二度目の変身をして未確認生命体第3号と戦ったが白のクウガだったため一方的に打ちのめされ、その場にいた一条――彼もこの殺し合いで命を落とした――も負傷させてしまった。
中途半端に関わろうとするな。彼は五代にそう言った。
相手が殺人も厭わない怪人とはいえ暴力には強い抵抗があり、戦う覚悟ができていないまま変身したため白のクウガのままだった。
決心をつけなければクウガの本当の力を引き出せない事はわかっていたが、暴力を振るう事への抵抗がそれを躊躇わせていた。
しかし実加の涙を見て、未確認を止めなければ彼女のように笑顔を奪われる人が増える――その現実を目の当たりにした事で、五代は未確認との戦いを決意した。
これ以上、誰かの涙は見たくない。みんなに笑顔でいて欲しい。
葬儀の後、未確認第3号に襲われていた一条に対して彼はそう宣言した。
だが今、結花は泣いている。
ハナを目の前で連れさらわれ、自分の無力を悔やんで苦しい思いをしている。
自分がいながら、彼女の笑顔が奪われてしまった。
五代は自分の手に視線を落とした。
彼女のために自分にできる事は。
彼女の笑顔を取り戻すためには、どうすればいいのか。
泣いている結花の肩を優しく抱いて、五代は微笑んだ。
「大丈夫。ハナさんは俺達がきっと救い出すから」
その言葉に、結花は涙に濡れた顔を上げた。
「きっとまだ間に合う。チャンスはあるはずなんだ。だから泣かないで」
優しく語りかける五代。結花の表情は変わらない。
「だが五代……」
と光の声。結花の肩に手を置いたまま、光に顔を向ける。
「光さん。あいつ、放送局の方へ飛んでいきましたよね?」
怪訝そうな表情をする光。
「さっき俺、放送局の鉄塔に人が吊るされてるのを見たんです。
もしかするとあいつ、人をさらって放送局へ連れて行ってるんじゃないかな」
光はそれを聞いて放送局がある方を見た。
「本当か?」
「はい。だから、まだハナさんも生きている可能性あると思うんです」
そう言って、再び結花に向き直る。
「ハナさんは、ケガとかした?」
「い、いいえ……」
その言葉に五代は頷き、
「なら大丈夫。きっと無事に助けてみせるよ。だって俺クウガだし」
にっこり笑い、サムズアップをする五代。
結花の表情は変わらなかったが、五代の指をじっと見ていた。
「よし、行こう。そろそろ俺と光さんの変身も出来る頃だし、デッキの変身も一回残ってるから何とかなるよ、きっと」
五代は立ち上がり、結花に手を差し伸べて立たせる。
まだ悲しい顔をしているが、涙は治まったようだ。
「大丈夫!」
結花に再びサムズアップ。
「五代さん……」
結花は涙を手でぬぐった。その肩に光が手をポンと置いた。
「安心しろ。ハナは私達が助ける」
「光さん……」
光の凛とした表情を見つめる結花。
「ごめんなさい……私、何も出来なくて……」
うつむく結花に、五代は笑いかける。
「大丈夫だって。俺達、やる時はちゃんとやるよ。そして君にもきっと、何かをやる時が来ると思う」
その言葉にはっと顔を上げる結花。
この言葉も五代が夏目美加に言った事だ。
五代は笑顔のままで、
「だから、いつでも自分ができる事をしないとね。俺、全力でハナさんを助けるから」
そう言って、放送局へ歩き出した。
「…………」
二人がついてきているのを確認して、歩きながら五代は夏目美加の事を考えていた。
クウガとして戦う覚悟を決めたきっかけになった少女。結花を見てそれを思い出した。
ハナはなんとしても救い出さねばならない。
もちろんハナのためだが、結花のためでもある。
彼女はイブキの事で深く傷ついている。この上、ハナまで失えば、彼女の笑顔は永遠に取り戻せないかもしれない。
自分はみんなの笑顔を守るために戦っているのだ。
剣崎、そしてイブキの死を目の当たりにし、彼らを殺したダグバや牙王への、そしてそれを目の前で食い止められなかった自分自身への憎悪が心に渦巻いていた。
それに心を覆われ、自分の戦う理由を見失いかけていた。
その黒い感情はまだ昇華しきれていないが、忘れかけていた大事な事を思い出す事ができた。
笑顔を守るために。
翼の怪物からハナを救い出す事ができれば結花の、そして憎悪を抱える自分自身の心を救う事ができるかもしれない。
(絶対に助ける……!)
両手を握り締め、五代は強く決意を固めた。
(……でも待てよ?)
ふと疑問が浮かび、後ろの結花を見る。
(なんで結花さんは放っといてハナさんだけ連れて行ったんだ?)
首を傾げる。
結花は無傷。連れ去っていかなければ危害も加えず、彼女だけ無視したような感じだ。
結花に並んで歩きながら、光が落ちていた斧をデイパックにしまっているのが見えた。
あれは確かハナが持っていたから、恐らく彼女はこれを使って抵抗したのだ。
もしかすると、結花は恐怖ですくんで抵抗しなかったのかもしれない。だが、だからといって放置するのも不自然な気がする。
ハナに危害を加えず連れ去って行ったのも不可思議ではあるが、それなら二人一緒にさらって行きそうなものだ。
(あの武器持ってるせいで、一人しか抱えられなかったとか?)
有り得るかも知れないが、それならハナを放送局に置いてきて舞い戻り、結花を連れ去りに来そうなものだ。
しかし、けっこう時間は経っているがヤツが来る気配はない。
自分達が結花と合流したからにしても、様子を見に来るくらいはするはずだ。
そうなると、ヤツは結花に興味がないとしか考えられない。
(だとすると、なんで?)
しばらく考えながら歩いていたが答えが出ないため、考えるのを中断してハナの事に集中する事にした。
◇ ◆ ◇
「行くぞ」
光は落ちていた斧を拾うと結花の肩をポンと叩いて歩き出し、結花も二人について行った。
前を歩く五代の背中を見ながら斧をデイパックへしまいこむ。
「…………」
五代の雰囲気が少し変わった。
イブキが死んでから精神的に余裕がなくなったのか危なっかしい感じだったが、今の五代はその余裕を取り戻したように見える。
結花の涙を見た事で吹っ切れたのかも知れない。
(ちょうどいい。ハナを救わねばならんからな)
少々不安があった五代が立ち直りつつある事は喜ぶべき事だ。
仲間を失うわけにいかないのは彼女とて同じだ。
五代が言った通り、アンデッド体への変身はそろそろ可能な時間だ。
(だが解せんな……どうしてハナだけさらって結花には手を出さなかった?)
光も五代同様、その点が気になった。
だが、今はそれ所ではないと思い直す。
どうやってハナを救い出すか。光は考えをめぐらせ始めた。
◇ ◆ ◇
二人にうながされるままにとぼとぼと歩きながら、結花は五代の言った事を反芻していた。
――君にもきっと、何かをやる時が来ると思う。
――だから、いつでも自分ができる事をしないとね。
自分も戦う時が来るという事だろうか。
(そんな事言ったって……)
それはつまり、オルフェノクの力を使う事だ。
自分がそれを見られるのを恐れている事を五代はわかっていない。
とはいえ、結局それをしなかったせいでハナがさらわれたのは事実だから彼を責める事はできない。
わかってはいるが、彼女には五代の言葉は自分の気持ちを考えていなさすぎるように思えた。
五代のクウガとして戦う信念、そこに至る過程を知っていればあるいはもっと素直にその言葉を受け止められたかもしれない。
しかしそんな事は知る由もなく、精神的に追い詰められている結花には彼の言葉はひどく重いものに感じられた。
**状態表
【G-3 住宅街のはずれ】【1日目 午後】
【五代雄介@仮面ライダークウガ】
[時間軸]:33話「連携」終了後
[状態]:全身打撲、負傷度大(応急手当済み)、強い自己嫌悪(やや持ち直す)。ナイトに変身不可(2時間)。
[装備]:カードデッキ(ファム)、警棒@現実、コルトパイソン(残弾数5/6:マグナム用通常弾)
[道具]:警察手帳(一条薫)
[思考・状況]
基本行動方針:絶対に殺し合いを止め、みんなの笑顔を守る
1:鳥の怪人からハナを救出し、結花の笑顔を守る。
2:北條を救出するために、乃木の命令を可能な限りで遂行する。
3:白い未確認生命体(アルビノジョーカー)、ダグバ、ガドル、牙王を倒す。
4:金のクウガになれなかったことに疑問。
5:剣崎の分まで頑張って戦い、みんなの笑顔を守りたい。
6:鳥の怪人はなぜ結花に何もしなかった?
7:屋上の人影が気になる。
【備考】
※第四回放送まで、ライジングフォームには変身不能
※ペガサスフォームの超感覚の効果エリアは1マス以内のみです。また、射撃範囲は数百メートル以内に限られます。
※ドラゴン、ペガサス、タイタンフォームには変身可能。ただし物質変換できるものは鉄の棒、拳銃など「現実に即したもの」のみで、サソードヤイバーやドレイクグリップなどは変換不能。
※葦原涼の「未確認生命体事件」の終結を聞き、時間軸のずれに疑問を持ちました。
※葦原涼のギルスへの変身能力について知りません。
【城光@仮面ライダー剣】
[時間軸]:40話、トライアルについて知った後
[状態]:膝などに軽い擦り傷。腹部に裂傷(中程度:応急手当済み)。各部に中程度の打撲。ファムに変身不可(2時間)。
[装備]:カードデッキ(ナイト)、冥府の斧@仮面ライダーアギト
[道具]:基本支給品・トランシーバーA・ラウズカード(スペードQ/K)
[思考・状況]
基本行動方針:このゲームから脱出する。主催にはバトルファイトを汚した罰を与える。
1:鳥の怪人からハナを救出する。
2:北條奪還のため、まずは『青いバラ』『首輪』の入手、『放送』の指令を遂行。
3:他の参加者とは必要以上に関わる気はない。邪魔ならば排除するが基本的に放置。
4:剣崎の死、北條の言葉、乃木との戦闘から首輪制限下における単独行動の危険性を認識。
5:五代の態度に苛立ちつつ、僅かに興味。 志村に違和感。
6:イブキの代わりに、結花の面倒を見る
7:首輪探知手段の支給という行為に疑問
8:鳥の怪人はなぜ結花に何もしなかった?
【備考】
※トランシーバーの有効範囲は周囲一マスまでです。
※以下の様に考えています
青い薔薇は首輪と関係がある
ライダーの強化フォームはなんらかの制限が掛かっている。
【長田結花@仮面ライダー555】
[時間軸]本編第41話終了直後(武装警官を一掃する直前)
[状態]小程度の負傷、人間への不信感(軽度) 、海堂・イブキの死に対する強い悲しみ。
[装備]変身鬼笛・音笛、音撃管・烈風、ディスクアニマル(アサギワシ)
[道具]ライダーブレス(ケタロス:資格者不明)、青い花びら、トランシーバーB
[思考・状況]
基本行動方針:木場と合流する
1:ハナを目の前でさらわれた事とイブキの死に深い悲しみ。自分の無力さを嫌悪。
2:「人間ではない」城光に若干の好意。「人間」の「警官」北條には強い警戒心。
3:仲間達に嫌われたくない。オルフェノクであることは極力隠す。でも、いつか何かをする時が……?
4:指令なんて、どうしたら……?
5:五代に対してわずかな悪感情。
※イブキの亡骸がドラグブラッカーに捕食されたのを目の当たりにしています。
※トランシーバーの有効範囲は周囲一マスまでです。
◆qFhr8mElWw氏に代理の人、乙です。
虎姐さんもすっかりいい人になってるなあ。
疑問が悪い方へと向かわなければいいんだが
投下&代理投下乙です!
仲間の危機に奮起する虎姐さんと五代に対してどこまでも内にこもっていく
長田さんが怖いような楽しみなようなw
丁寧な心理描写がよかったです。GJ!
代理投下してくださった方、感想を書いてくださった方々、ありがとうございました。
1ヶ月ほどで3つも投下して、さすがにネタも尽きてきたので当分投下しないと思います。
なので他の書き手の方々、よろしくw
予約キター!!
≫240
短期間での3作投下、乙です。
少し前ですが青山さんはカブキだったのかと思わずwikiで調べてしまいました。
結花はつれてこられた時間軸のせいもあってか不安定な中、五代、光の二人といることは幸運なことなんだと思いました。
大人数予約キター
に、22人・・・!?
Trafficsの11人でも必死だったのにその倍ですか(汗)
この方、予約スレを見る限りだと何回か多人数の話を予約して、色々な事情で投下できなかった事があるみたいですね。
今度こそ投下できる事を期待しましょう・・・
頑張って下さい。
う〜ん、どうなんだろ。誰か知ってる人いない?
>>243 仮投下スレでも思ったことですが、
ご自分自身の投下や自作の修正議論など、本人確認が必要なとき以外は
トリップをつけるのは避けるべきと思います。
無用の軋轢を生む原因にこそなれ、メリットはありませんので。
また破棄かよ……
どうでしょう、そろそろ第3回放送の内容を考えませんか?
放送本文とか新しい禁止エリアとか。
どなたか書きたいという方がいなかったら自分が本文を考えようかと思いますが・・・
248 :
創る名無しに見る名無し:2009/09/05(土) 19:52:31 ID:w7YrE9dE
過半数が夕方の時間帯に入っていない上、一部このまま放送に進むには聊か苦しい参加者もいます。
流石にまだ時期尚早では?
おっと、下げ忘れ。
紫煙
予約キター。楽しみにしております!
・・戦いは終わらない。
──仮面ライダー THE NEXT DECADE──
スマートレディ「社長、大変なんですぅ!スマートブレインの監視衛星が巨大な重力異常を感知してるんですよ!!」
夏美「ここがライダーロワの世界なんですか?」
ユウスケ「あれは、もう一人のクウガ!?」
村上社長「スマートブレインの力を大ショッカーに協力しろと?」
士「南光太郎・・、あんたまでこの世界に」
鳴滝「この世界も破壊されてしまう。おのれぇ、これも全てディケイドのせいだ!!」
渡「今度こそ、全てのライダーを破壊してください。世界を救う為に!!」
ディケイドライバー「ファイナルアタックライドゥウゥ、リュリュリュリュウキイィ!!」
南光太郎「これがハイパーゼクター!?」
スーパーアポロガイスト「我が名はアポロガイスト。全ライダー達にとって大迷惑な奴なのだ!!」
カズマ「変身!!」
×影×××××「全て我々の予定通り」
ライダー達の戦いは更なる混迷を極めて行く・・。
ロワラジを聴きなおしてディケイドネタを妄想してしまった。
>>252 ちょww
あのBGMが脳内再生されてしまったwww
ロワラジで言ってたみたいにこれまでのあらすじとかやってみたいよなー
さて、予約は果たされる…といいなー
こんばんは。
香川英行 桜井侑斗 葦原涼 木場勇治 日高仁志 桐矢京介 志村純一
投下します。
そこだけ色の違う地面の上に、傾きかけた陽が作る細長い影が並んでいる。
道路の外れの林の中に作った手塚の墓の前で、ヒビキはもう一度手を合わせた。
「……手塚。ゆっくり休んでくれな」
他の面々も、沈痛な表情でその背中を見つめている。
掘り返されたばかりの土のにおい、冷たさを増した風、そのどれもが悲しみを一層呼び起こすようだった。
ヒビキが立ち上がろうとして、ふと地面を見ると、動く小さなものが目に映った。サソードゼクターだ。
辺りから拾ってきた花崗岩の墓標の前にたどり着くと、尾を垂らしてじっとしている。
ヒビキにはサソードゼクター緑色の目が、悲しみに光っているように思えた。
「……手塚の事が大好きだったんだな、お前」
ダグバと戦った時、怪我を手当てする時。いつでもこの小さなサソリは、手塚のために必死だった。
つい先刻、仲間の一人を変身させたのも、手塚の仇を取るためだろう。
機械そのものの姿に似つかわしくない、情の感じられるサソードゼクターの行動を思い出し、ヒビキは慰めの言葉を口にする。
「ありがとな。手塚の言うように、俺たちみんなで『運命を変えて』やろうぜ」
サソードゼクターは何も応えず、ついと歩き出すと、おそらく誰かしらの荷物に紛れ込んだのだろう、姿を消した。
はは、とヒビキは微かに笑い声を漏らす。そして今度こそ立ち上がって振り返ると、仲間たちに言った。
「じゃあ―――行こうか」
それぞれが決意の表情を浮かべて頷く。踵を返し歩き始めた一同の背中を見て、ヒビキもそれに続いた。
重く強く、『誰かを守る』事の意味を胸に刻んで。
※※※
時刻はやや遡る。放送局を離れた志村純一は、駅前の大通りから病院を仰ぎ見ていた。
ヘルメットのバイザーを上げて目を凝らすと、窓ガラスが割られ、白い壁面は黒く煤け一部崩れている所もあるようだ。
放送局にいた頃は気が付かなかったが、かつて大規模な戦闘があったことは間違いないだろう。
(下手をすれば、巻き込まれていたかもしれないな……)
そうならなかったことに胸を撫で下ろしつつ、バイクから降りて様子を伺う。
と言っても、無駄に身を危険に晒すつもりはない。外部から軽く覗き見る程度だ。
閑散とし、荒れ果てたロビーは無人である。戦闘を行っていたであろう者たちも、こちらへ向かっていたはずのヒビキたちの影もない。
距離はそう遠くなく、足もある事も考慮すれば、何かしらのトラブルが起こったのだろう。
だとすれば、ここに留まって到着を待つよりは一刻も早く合流するべく行動したほうがいい。
一文字の死に疑問を持たれるのだけは避けなければならないのだ。
その事でふと志村は思い直し、もう一度危険がない事を確認すると、破れた自動ドアから病院の中へと入り込んだ。
※※※
「それで、これがヒビキさんが言ってた『青いバラ』ですか?」
「うん、そうそう。キレイだろ?」
支援
驚きを滲ませて問いかける京介にヒビキが答える。
瑞々しい、張りのある花弁に露を乗せた『青いバラ』は、先刻見たときと変わらず静かに佇んでいた。
物珍しさからか近寄ってしげしげと覗き込む者もいれば、あまり興味をそそられないのかやや遠くから見ている者もいる。
ヒビキから事情を聞いた木場が僅かに声を弾ませた。
「これを持っていけば、ヒビキさんの仲間が助かるんですよね」
「そう言われたらしいんだけどね。コレを外す研究をしてるとかで……何か関係があるのかな?」
「首輪を?」
言いながら首を指差すヒビキに、傍らに立っていた香川は反応する。
人を灰化させる技術と、『不可能』の象徴とも言える青いバラ。
スマートブレインの持つ未知の技術の作り出した物であるという共通点を持つ、異なる事象。
(つまり、バラを入手するよう命じた男は、この二つが関係しているという事を知っている)
香川は腕を組むと、思案を巡らせ始める。研究所に居るという男は、そこで何かを発見したのだろうか。
もう一つの指令、放送を行うように言ったのはおそらく参加者を集めて一網打尽にする罠か何かのつもりだろう。
だが、どんな目的を持つ者であれ、首輪の制限を疎ましく思うのは何らおかしな事ではない。
そして―――指定された『青いバラ』がこうして存在している以上、彼らが今の自分たちよりも確実な情報を掴んでいる可能性は高い。
このままヒビキに同行し、彼らにコンタクトを取るのが得策か。
そう考えていると、木場が花を一輪だけ摘み、食料品が入っていたらしいビニール袋に入れているのが目に映った。
それを持ちこちらへ駆け寄ってくる。
「ヒビキさん、これでいいですか? 一応水も入れておいたので、少しの間なら持つと思います」
「ああ、サンキュー」
ヒビキは礼を言って袋を受け取ると、ビニールの口を塞いで、潰さないようにそっとデイパックにしまった。
ふと、微笑んでその様子を見ていた木場と、香川の目線がぶつかる。木場は気まずそうに顔を伏せ、目を逸らした。
先程侑斗から説明を受け、謝罪されたものの、二人の間に生じたわだかまりは氷解しきれるものではない。
黙って侑斗たちの元へ戻っていく木場の背中を見る香川の視線は冷ややかだった。
※
ヒビキはほんの一瞬香川と木場の間に漂った居心地の悪い空気に、どうしたものか、と頭を掻いた。
しかし、今は誤解があったとしても、お互い事態の打開を目指す仲間同士なのだ。
行動を共にするうちに頑なな心も解けていくだろう、とすぐに気を取り直す。
(さっきだって、力を合わせて戦ってたんだもんな)
ウン、と一人頷いて、バラの方へと向き直ったヒビキは、目の前に二つ並んだ同じ顔に後ずさった。
まるで双子のようにそっくりな二人は、解っていても自分の弟子である京介が二人に増えたようで驚いてしまう。
「あーびっくりしたあ、本当に似てるな〜、京介と侑斗は」
そう言って笑う自分を見て、不服そうに顔を見合わせる様子もそっくり同じな二人を見て、ヒビキは思う。
(こりゃいよいよ、他にも同じ顔の人間がいるかもしれないな……)
手塚と一文字、京介と侑斗。
顔のつくりは同じだが、かなり雰囲気の違う手塚と一文字に比べ、この二人は見た目といい性格といい共通している部分が多い。
少し似ている程度ならともかく、ここまでそっくりな人物ばかりが集められていると何か作意があるのではないかとも思ってしまう。
一文字が見た志村の件とも合わせて―――無論、決め付けるのは早計だが、その可能性が高まったことは間違いない。
よもや自分と同じ顔の人間も連れて来られているのではないか、とまで考え出したヒビキに、唇を尖らせて京介が言う。
「笑い事じゃないですよ、コイツが俺に似てるせいで、追っかけられてすごい大変だったんですから」
「何だよ、そうじゃなくてお前が俺に似てるんだろ。迷惑だって言うなら俺もそうだ」
261 :
創る名無しに見る名無し:2009/09/24(木) 23:27:52 ID:GNc6wgNP
嫌そうな口ぶりまでよく似ている。腕を組んだまま黙って立っている葦原の隣で、木場が苦笑した。
これでは間違われるのも無理はないだろう。二人は言い合ってはいるものの、やはり親近感が沸くのか打ち解けた様子である。
ヒビキは「まあまあ」と二人の肩をポンポンと叩いて宥めた。
「顔が似てるのは誰のせいでもないじゃないの。一緒に居れば、これ以上変な間違いも起こらないだろうしさ」
「それは……そうかもしれませんけど」
「それにさ、侑斗は鬼とは違うけど、さっきみたいに変身して戦えるんだし、心強いじゃないか。な?」
ヒビキがフォローすると、尚も不満げな声を漏らす京介を横目で見て、侑斗はふん、とそっぽを向きながら言った。
「お前はまだ修行中、なんだろ。 とにかく俺たちの足を引っ張らないようにしてくれよ」
「なんだとっ!」
掴みかからんばかりの勢いでいきり立つ京介を抑えながら、内心ヒビキは首をかしげる。
京介の態度には少し前から違和感を覚えていたのだった。
自分の実力以上の虚勢を張る事もあるにはあるが、負けん気が強く、何だかんだで鬼の修行にも喰らいついてくる根性持ち。
だが、今の京介はどうも何かが違うようだ。あえて言うなら、出会ったばかりの頃のような、気持ちだけが先走っている印象を受ける。
(でもまあ……こんな状況なら、頼りない気持ちになるのも仕方ないか)
なにせ、殺し合いを強制されるなどと言う異常事態である。普段の魔化魍退治とは全く違う。
そんなシチュエーションに放り込まれて、未熟な少年がいつも通りの精神状態を維持しろと言うほうが無理なのだ。
それでも、侑斗と京介のやりとりのおかげか、何となく和んだ雰囲気になった事にほっとしつつ、再び二人の仲裁に入った。
※※※
西の空に浮かぶ雲がオレンジ色を帯びてきた頃、ヒビキたちは『青いバラ』のあった丘からやや南下した位置にある駅の構内に移動していた。
ヒビキが乗っていたバイク、『竜巻』は北崎に奪われてしまったが、途中に放置されていた『凱火』を回収できたのは幸いだった。
小さな噴水が――モーターが止まっているために埃や細かなゴミが浮いていてあまり気分の良いものではなかったが――設えてあるコンコースのベンチにめいめいが腰を下ろす。
途端、もう二度と立ち上がりたくないと思う程の疲労感を覚え、京介はぐったりと背もたれに身を預けた。
歩いている最中は気が張り詰めていたのかさほど疲れは感じていなかったが、足は棒のようで、見れば膝が笑っている。
他の皆も同じようで、一様に厳しい表情で床を睨んでいた。特に何度も変身した木場と葦原は目に見えて顔色が悪い。
それじゃ、と話を切り出したヒビキにも、その声は張りがない。
「仲間も増えた事だし、これからの事でも話し合おうか。 ね? 香川さん」
「ええ。まだ情報を共有できていない方も居ますし、この辺りで整頓しておいた方がいいでしょう」
何時の間にかヒビキと香川の二人がこの集団のまとめ役になっているようだった。年齢からすれば当然の成り行きだろう。
ヒビキは全員の顔を見回し、異議のない事を確認する。―――と、一人緊張に顔を強張らせている木場に気付き、声をかけた。
「どうした、木場?」
「今、外から、バイクの音が……」
コンコースはほぼ無音だった。耳を澄ませても、バイクの排気音などは聞こえてこない。
京介は気のせいではないか、と言おうとしたが、先程も似たような事があったのを思い出し、はっとした。
ややあって、バイクが近づいて来る音が京介の耳にも聞こえだす。
少し様子を見てくると立ち上がったヒビキを見送り、京介は固唾を飲む木場の顔を見て、畏怖の念を強める。
―――彼は本当に、人間ではないのだ、と。
※
ヒビキは柱の陰から様子を伺っていた。
駅前の道路の彼方に小さく見えるバイクに目を凝らし、それが見覚えのある物だと気付くと物陰から出て、大きく手を振る。
相手もそれに気が付いたのか、減速して駅の前でバイクを止めた。
「志村! 無事だったのか!」
「ヒビキさん! 病院に居なかったので、どうしたのかと思って……」
ヒビキが駆け寄ると、志村もヘルメットを外した。疲れきった顔をしてはいるものの、酷い怪我などはなさそうだ。
「何だ、志村一人なのか? 一文字や他の皆は? タチバナって人は?」
「それが……チーフとはあの辺りに待ち受けていた空を飛ぶ怪物に阻まれてしまって」
離脱の際にライアのデッキを使い、戦力が無くなってしまった事。
五代たちと合流しようにも姿が見えず、仕方なく一旦病院へ向かったものの無人で、念のため病院に残った一文字にヒビキたちを探すよう言われた事。
事情を説明する志村にヒビキは頷き、問い掛ける。
「じゃあ、二人は今の所無事なんだな?」
「はい。 ヒビキさんが見つかって本当によかった……早く病院に戻って、一文字さんと合流しましょう! 手塚さんの怪我も心配ですし―――」
嬉しげに言う志村に、ヒビキは俯いた。その態度に何かを察したのか、志村の顔から喜色が消える。
夜を連れて来る風に街路樹の葉がざわざわと震え、西日が作る建物の影が妙に濃く感じた。
「そんな……手塚さん……」
手塚は傷ついた体で、敵の攻撃から自分達を庇って倒れたのだと告げると、志村はそう呟いて口を覆った。
悲しみと後悔からだろう、その手は小さく震えていた。
もう一方の手に、強く握り締められたライアのデッキを見て、ヒビキも痛ましげに面を歪める。
「ゴメンな……志村。手塚の分まで、頑張ろうな」
志村は黙って袖口で顔を拭うと、力強く頷いた。
※
ヒビキの連れて来た志村という男を加え、一同はコンコースに円座して会話を交わし始めた。
木場はスマートブレインの正体、オルフェノク、ベルトの事を。ヒビキは今まで出会った仲間たちの事を。
葦原もまた、若干治まってきたものの、変身の後遺症から来る苦痛と疲労を堪えながら耳を傾けていた。
各々の語る話を、そのつど香川がまとめる形で情報交換が行われていく。
目的、仲間、そして敵―――膨大な量の情報に、ある者は静かに聞き入り、ある者は熱心にメモ帳へと書き付けている。
聞き覚えのある名前や姿が口にされる度に反応を示す者も居たが、質問や追求を許してしまうと事の運びが滞るからだろう、香川が制止していた。
無論葦原も例外ではない。忘れようのないその名前、『緑川あすか』、そして『五代雄介』の名がヒビキの口から語られると、思わずその顔を見つめてしまう。
あすかと一時期行動を共にしていたというヒビキは、彼女は敵を倒すためにデルタギアを持って離脱したと言った。
ならばそのデルタギアを持っていた葦原とも何かしら関係があると察していたのだろう、意外でもなさそうにその視線を受け止めている。
それでも、葦原があすかの最後を語り始めると、ほんの一瞬驚愕からか目を見開くのがわかった。
だが、各人から一通り話を聞いた香川が「何か質問がありますか」と促した時も、ヒビキはその場では何も言わず黙っていた。
他の者からはぽつりぽつりと、知り合いなのだろう人物の安否を尋ねたり、理解できない用語の説明を求める声が上がる。
それも落ち着いてきた頃に、まとめ役に徹していた香川が口を開いた。
「病院と放送局を経由してヒビキさんたちの仲間を集めた後、研究所で首輪を解除する術を探っているという男の元へ向かう……今までの話を総合すると、こうしたルートを辿る事になると思います。
幸いバイクは三台ありますし、研究所へ行くメンバーは合流した後その時の戦力から決定すればいいでしょう」
淡々と語る香川の声を聞きながら、葦原の脳裏にちらりと風見志郎の顔が浮かぶ。
桜井侑斗と再開し喜ぶ木場の姿を見て、彼はヒビキ達に任せ、自分は風見と五代を探すべく分かれようかと思っていたが、目的地に五代たちがいると聞けば無視はできない。
―――涼、あなたは殺させない、私が……デルタの力で守るから……!
意識を失う寸前に、泣きそうな声で自分を呼ぶのが聞こえた。
仇を討つ、と細い腕でデルタギアを握り締め、本来ならば優しく美しい筈のその顔を、怒りと悲しみに歪めていたあすかが脳裏に蘇る。
(あすか……お前を殺した奴らを許しはしない……!)
守れなかった―――その悔しさは彼女の命を奪った者たちへの怒りに変わる。葦原は静かに拳を握り締めた。
※
香川はもう一度、異論がないか確かめるように一同の顔を眺め回し、所持品の事について切り出した。
「あーっと、その前に……葦原、だっけ? ちょっと」
ヒビキは悪いと思いながらもそれを遮ると、思いつめた表情の葦原に向かって声をかけた。
手招きすると、葦原も黙って立ち上がった。いぶかしむ香川に、ヒビキは片目を瞑って詫びる。
「すみません、ちょっと確認しときたい事があって。すぐ戻りますし、わかった事があったら話します」
「わかりました、こちらでは所持品の整理を進めておきます。 葦原さんも、荷物を見せてもらって構いませんね?」
「好きにしろ」
無表情で尋ねる香川と心配そうに眉をひそめる志村を横目に、そっけない態度の葦原を伴って、少し離れた階段の下まで移動する。
この辺りなら他の者に会話が聞こえる事はないだろう。
わざわざ移動したのは折角団結している皆に余計な気を揉ませたくないからだったが、見れば葦原の表情は変わらず厳しい。
警戒されてしまったか、と頭を掻きながら、ヒビキは努めて穏やかな口調で話し始めた。
「葦原はさ、さっきの話の中で、俺の仲間の五代たちと戦った、って言ってたよな?」
「ああ」
「そこがわかんないんだよな……俺の知ってる五代と光さんは、あすかさんを殺すような奴じゃなかった」
葦原の目は強い光を宿し、真っすぐにヒビキを見つめている。瞳の奥には静かだが、激しい怒りが見て取れた。
五代たちが葦原の変身する『緑のライダー』と戦った、と言っている以上“そっくりさん”の仕業であるとも考えられない。
何らかの誤解が生じている事は明らかだが、だとすれば。
「……あの『黒いライダー』、かな」
ヒビキが呟く。中央で交差する黄色いラインに縁取られた紫の瞳を持つ、カイザという名のライダー。
木場のファイズ・サイガ、北崎の黒と金のライダー、そして自分の変身したデルタ。
これらは全てスマートブレインによって作られたものであり、変身者は限られていると木場は言っていた。
カイザに変身していた少年は木場と同じオルフェノクで、侑斗の知り合いによく似た少女と行動を共にしており、五代と戦っている葦原を助け、歌舞鬼と戦っている自分を狙い乱入してきた。
聞いた話を総合すればこんな所だが、どうにも腑に落ちない部分がある。行動に一貫性がないのだ。
少女を守るように行動している事や葦原に助太刀している事から、力を振るい他者を傷つけるためだけに――例えば北崎のように――行動しているとは思い難いのだが。
木場はカイザに変身する人物は本来あの少年ではなく、別の男だったとも言っていた。
もしかしたらその時その時によって別人が変身していたという可能性もあるが、こればかりは又聞きしただけのヒビキには判断できない。
眉間にしわを寄せて考え込むヒビキから、葦原はふいと目線を外し、背を向けた。
「あ、おーい。どこ行くんだ?」
「あんたに何を言われようが、奴らが何をしたかは俺が確かめる。……五代にも、あの黒いライダーにもな」
言い捨ててそのまま階段を下りていってしまう葦原を見て、ヒビキは肩を竦めた。
しかし、葦原に対して悪感情を抱いた訳ではない。自分自身の信念に裏打ちされた言動とその慎重さはむしろ好ましくさえある。
それに五代たちの話を聞くつもりだというのは、このまま同行してくれるという事だ。
ヒビキはあえて葦原を追わず、香川たちの待つ中央ロビーへと戻るべく歩き出した。
※
ヒビキと葦原の居なくなったコンコースでは、皆の持ち寄った変身具が床に並べられていた。
斜めに差し込む夕日が、大理石様の模様が描かれた床材にそれらの独特のシルエットを浮かび上がらせている。
ライダーズギア、カードデッキ、ゼクター、ゼロノスベルト。
全く異なる技術によって作られたそれらのアイテムの存在は、もしこれまでに幾度となくその力を見せられていなければ、香川にも到底信じられなかっただろう。
他の者たちも同じ気持ちのようで、床の上の数々の所持品に視線を注いでいる。
香川は咳払いを一つして一同の注意を引きつけると、口火を切った。
「これだけの数が有れば、戦力的には心強いですが、多数が使用者を選ぶものであるためあまり安心もできません。使用できるものとそうでない物を選り分けて再分配した方がいいでしょう」
一同が小さく頷くのを見届けて、香川がまず手に取ったのは黒い刀身、紫の柄を持つサソードヤイバーだった。
「手塚さんが亡くなったのは残念ですが、先程の戦いでサソードの資格が桜井君に移ったのは幸いでした。これでカードを温存することができる」
言いながら、サソードヤイバーを侑斗の方に押し出す。侑斗は香川の物言いに一瞬だけ戸惑った様子だったが、すぐに決意の表情でそれを受け取った。
肝心のゼクターの姿が見えないが、変身時にはどこからか現れると聞いたので心配はないだろう。
次に香川はライアのカードデッキを手に取り、他のメンバーに見せた。
「カードデッキは使用者を選びません。臨機応変に使えば戦況を有利にできるでしょう」
「……あの」
271 :
創る名無しに見る名無し:2009/09/24(木) 23:36:35 ID:GNc6wgNP
おずおずと声を上げたのは志村だった。
香川はヒビキの仲間だというこの青年が、手塚からライアのデッキを借り受けたのだと聞いていた。
妙に白いその顔に、気弱そうで、それでいて必死な表情を浮かべている。
「もし良ければ、それは僕に持たせてくれませんか。手塚さんの遺志を継いで、戦いたいんです」
香川が見つめ返しても、その目を逸らす事はない。
いかなヒビキの仲間であっても、出会ったばかりの人物を頭から信頼はできないのだが。
「……構いませんが、今君には変身制限が掛かっていると聞いています。何かあれば、すぐ誰かに渡すようにしてください」
一応釘を刺してから、香川は志村にカードデッキを手渡した。志村は礼を言うと、大事そうに上着のポケットにデッキをしまいこむ。
「デルタギアを除くベルトは木場君に持っていてもらいましょう」
「……はい」
木場は真剣な面持ちでギアをデイパックに収めた。憔悴した横顔を侑斗が心配そうに覗き込む。
その様子に香川は若干のやりにくさを感じながらも、残ったゼロノスベルトとゼクターベルト、デルタギアを指差した。
「さて、この三つですが、ゼクターベルトは既に葦原さんが変身資格を得ています。デルタギアは、誰でも変身できるとの事ですが……」
「―――それを使うのは、あんまりオススメできないかな」
背後からのんきなヒビキの声が聞こえ、香川は振り向く。背後には葦原の姿はなかった。
「さっき変身してみて解ったんだけど、木場の言うとおり、そのベルトは普通じゃない。なんていうか説明しづらいけど……」
「でも、これを使ったら修行を積んでなくても戦えるんでしょう?」
頭を掻くヒビキを見て、今まで黙りこくっていた京介が口を開いた。デルタギアに手を伸ばそうとする京介を、香川は制止する。
「たとえそうでも、君のような一般人を戦闘に駆り出す訳にはいきません」
彼のような人間が力を持ったとしても役に立つどころか要らぬ面倒が起こりかねない。
先程まで怯えきっていたにも関わらず、この変わり身である。香川は言葉を選んだが、本心ではそう思っていた。
大方ヒビキがデルタギアを使いこなしたのを見て憧れを抱いたのだろうが、やはり侑斗とは器が違いすぎる、と内心香川は溜息をつく。
「これはいざと言う時以外では使わない方がいいでしょう」
宥めるヒビキにも不満げな様子の京介の前からデルタギアを回収して、自分のデイパックに収める。
続いて鬼が使えるというディスクアニマルなるものを侑斗が持っていたのでヒビキに渡し、ゼクターベルトも葦原の荷物へ戻すと、床の上に残ったのはゼロノスベルトだけになった。
※
「……ところで、ヒビキさん。葦原さんはどうしましたか?」
「えっ? ああ、俺の仲間に用があるって言うから、付いて来てくれるみたいですけど……ここにもすぐ戻ると思いますよ」
突然葦原の事を訪ねられて、いささか面食らいながらもヒビキが答えた。
そうですか、と返しつつ、ちらりと木場に目をやる。香川の目線に気付いた木場は慌てて立ち上がると言った。
「俺が探してきます」
自分に負い目を感じている彼ならそうするだろうと見越しての事だった。
香川が頷くと、続いて志村が「僕も一緒に行きます」と立ち上がった。
二人が連れ立って、やがてその姿が見えなくなると、さて、と眼鏡のブリッジを持ち上げて掛けなおした。
合流したばかりで素性の知れない葦原と志村、オルフェノクの木場はこの場に居ない。
侑斗は言うまでもなく、ヒビキについても香川は少しの間ではあるが行動を共にするうち、彼が城戸真司のような裏表のないお人よしである事を悟っていた。
京介については、謀をする能力もないだろう。
よしんば何かしでかそうとした所で、簡単に制御できると香川は判断した。
意図が読めず、困惑の眼差しを向けてくる一同に、最後に残ったゼロノスベルトを手にとって告げる。
「この際ですから他の皆さんにも知っていてもらいましょう。私は桜井君こそがこの殺し合いからの脱出の鍵となる存在だと思っています」
一同ははっとした様子で、香川と侑斗の顔を交互に見比べている。香川は続けた。
「このベルトの本来の所有者は桜井君です。彼はこのベルトを持つと同時に『時を渡る列車』ゼロライナーのオーナーとなった。
今は列車を操る事は不可能ですが、もし能力の制限が首輪から来るものであるとすれば、制限を受けていない状態の桜井君と、ゼロノスベルトの二つが揃って初めて脱出への道が開ける事となる。
変身は誰もが行えるとは言え、リスクも明らかになりましたし、極力使わない方がいいでしょう」
そう言われて、侑斗が唇を噛むのが見えた。ゼロノスとして今までのように戦わせるつもりはない、と宣言されたのなら、当然の反応だろう。
「桜井君とゼロノスベルト、カードを温存するためには皆さんの協力が必要不可欠です。この事を良く覚えていてください」
「でも、それじゃあ、何で俺たちだけに言うんですか?」
とまどいと若干の興奮を交えた声で京介が問う。
一瞬だけ躊躇ったが、ここで自分が彼らをどう思っているかを明かし、注意を喚起したほうがいいだろう。
「……聞く所によれば葦原さんはヒビキさんの仲間と戦った事があり、木場君に至ってはスマートブレインと同じくオルフェノクです。ヒビキさんには悪いですが、志村さんも出会ったばかりで信頼できるとは言い難い」
「香川さん!?」
侑斗が目を見開き、驚愕を露わに香川を見つめる。反発されるのは予想済みだったので、言い募る侑斗を静かに諭す。
「木場さんが香川さんを襲ったのは、俺のせいだって説明したじゃないですか!」
「それでも、です。彼は人間ではない―――私はオルフェノクという存在自体に危険意識を抱いています」
たとえ自分を襲った事が誤解であったとしても、香川の認識は揺るがない。
スマートブレインがオルフェノクを束ねているのだとすれば、何かしらの働きかけを木場に行っている事は十分に考えられる。
現在彼が自分たちに害意を持っていないとしても、香川にとっては警戒すべき存在であることは変わりない。
視界の片隅で、京介がぞっとしたように肩を抱いて呟いた。
「俺も……オルフェノクは信用できないと思う」
「……おい、京介……」
「だってヒビキさん、人間の姿してたって、奴らは化け物じゃないですか! 北崎だって、さっきの奴だって、人間のフリをしてるだけの―――」
なおも不安を口にする京介を咎めると、ヒビキは渋面を作って香川にこう言った。
「香川さん、それはちょっと決め付けすぎじゃないですか? 侑斗を守りたいのはわかりますけど……」
「無論、そうではない事を願っています。ですが、僅かでもその可能性があるなら、気をつけておくに越した事はありません」
275 :
創る名無しに見る名無し:2009/09/24(木) 23:38:55 ID:GNc6wgNP
そう言って、香川は再び侑斗を見据える。
侑斗は木場を信頼したい気持ちと、香川の言葉の間で惑っているのか、俯いて黙っていた。
幾分か反感を買ったかもしれないが、この話をする事によって侑斗が自分の立場を理解し悪戯に身を危険に晒さなくなる事を期待しよう。
「厳しい事を言うようですが、何に代えても守らなくてはならないのは、君の命とゼロノスベルトです」
香川は手にしたゼロノスベルトを自分のデイパックへとしまい込み、黙り込んだままの侑斗の肩を叩いた。
ゼロノスのベルトと、桜井侑斗自身。
少数の犠牲を払ったとしても、多数の救済のために、必ず守り抜いてみせる。
冷酷と思われても構わない。自ら信じるヒロイズムを改めて胸に刻み込んで、香川はそれが侑斗にも伝わるように願いながら言った。
「……君こそが、私たちを、この殺し合いに巻き込まれた人々全てを、救う道となる」
※
駅構内から地下へと向かう階段を木場と二人歩きながら、志村は内心ほくそ笑んでいた。
自分の正体を知る手塚が死んだ事。ひとまずは疑われずヒビキに迎え入れられた事。そのどちらもが志村にとっては都合の良い出来事だった。
あまりにもあっさりと自分の言い分を信じられて拍子抜けしたが、ヒビキが出会ったと言う者たちを見て腑に落ちた。
そのうちの二人が、双子の兄弟だと言われれば納得してしまうほどよく似ていたからだ。
実際は赤の他人であるという桜井侑斗―――そういえば長田結花から聞いた名だったか―――と、桐矢京介の存在は、殺し合いに乗っているのは志村と『同じ顔をした他人』だとヒビキに思わせるのに一役買ってくれたのだろう。
その証拠に、情報交換の際にヒビキが語った内容には、『志村が一文字を襲った可能性がある』事は含まれていなかった。
一文字を一人残して探しに来た、というのは我ながら苦しいと思ったが、小細工として一文字の所持品を病院に置いてきたので、それが見つかった時にまた言い訳すればいいだろう。聞かれもしない事を喋ってボロを出してはたまらない。
放送局の一文字の死体をあまり念入りに隠してこなかった事が気がかりだったが、今更どうにもなりはしない。
自分と共に病院に来た、とそう思わせれば、その後の一文字の行動は誰にもわからないのだ。例えそれがどれだけ怪しかろうと。
小ぢんまりとした駅地下の、駐輪場と売店を見回す木場に声を掛ける。
「すみません、勝手に着いてきてしまって。もしかして、葦原さんとお話があったんじゃないですか?」
「いえ、そんな事はないです。ありがとうございます」
「こちらこそ、仮面ライダーとして、皆さんのお役に立ちたかっただけですよ」
これまで交わした会話から、志村はこの木場という男は自らの脅威にはなりえない、と直感した。
頑張りましょう、と笑って手を差し出せば、ためらわずに握り返してくる。その態度に疑いなどは一遍も見えない。
どちらかといえば、城戸や五代などのような、騙しやすい人物に思える。上手く扱えば何かしらの役に立ってくれそうだ。
自分たちの声が聞こえたのか、柱の影からぬっと金髪の男が姿を現した。
「あ、葦原さん! ヒビキさんと一緒に戻ってこないから、どうしたのかと」
「……それでわざわざ探しに来たのか」
ぶっきらぼうに言う葦原に、志村は不安そうな表情を作って尋ねる。
「ヒビキさんと、何かあったんですか?」
「いや。……戻るぞ」
志村を一瞥し、そのまま背を向けてさっさと歩き出す葦原を見て、こちらは扱い辛そうだと思う。
駒となりそうな人間が増えたのは喜ばしいが、接触する相手が増えたため立ち回りにはより一層気を使わなければなるまい。
だが、誤解から木場が香川を襲った事や、ヒビキと葦原の間にあるわだかまりなど、使えそうな情報も得る事ができた。
278 :
創る名無しに見る名無し:2009/09/24(木) 23:40:52 ID:GNc6wgNP
(そして何より、桜井侑斗はダイヤのカテゴリーキングを所持している!)
自らの目的である14復活のため、どうしても手に入れなければならない。
取り入って譲らせるか、機会を見て奪うか。どちらにせよ、優勝するためには彼らは皆邪魔な存在なのだ。
様々な策謀をめぐらせる志村の目は、前を歩く葦原と木場の背に注がれていた。
※
葦原を追って数歩足を進めた所で、木場はふと足を止めた。微かな声が耳に飛び込んできたのだ。
葦原と志村の顔を見比べるが、どちらも口を開いてはいない。少し考えて、この場所がコンコースの真下に位置する事に思い当たった。
だとすれば、この声は上にいる香川たちのものだろう。
流石に全てクリアに聞こえるわけではなく、切れ切れではあるが、妙な胸騒ぎを覚えて、いけないと思いつつも耳をそばだてる。
―――私はオルフェノクという存在自体に危険意識を抱いています―――
香川の声だ。
木場の胸にズキリと、ナイフで貫かれたような痛みが走る。
思い違いとは言え、否応なしに攻撃を加えられればそう思われるのも仕方がない、一度失った信頼を取り戻すのは難しい、と解っていても、実際聞かされるとショックだった。
償うためには、今まで以上に香川たちの力になるべく働くしかない。そう思い、拳を握って一歩を踏み出す。
―――人間の姿してたって、奴らは化け物じゃないですか!―――
耳に飛び込んできたその言葉に、木場は雷に打たれたような衝撃を受けた。
激しい拒絶。言葉自体の苛烈さにはもちろんだが、何よりも木場の心を動揺させたのはその声の主だった。
(桜井君……!?)
まさか、そんなはずはない、と頭を振ってその考えを追い払う。
きっと京介だ。侑斗と勘違いして、京介を追い回した事から、怯えられてしまったのだ。
そう思おうとすればするほど混乱は深まり、その声音がどちらのものかわからなくなってしまう。
『お前の声なんて、化け物の声なんて聞きたくない! 行け!!』
かつて侑斗本人の口から発せられた言葉が脳裏に蘇り、木場の心を苛んだ。
微笑みながら手を取り合ったのはほんの少し前の事なのに、消えうせたと思った黒い感情が蠢きだす。
胸を押さえ立ち止まった木場の様子を不審に思ったのか、志村が声を掛けてくる。
「木場さん? どうかしましたか?」
「……いいえ、何でもありません。行きましょう」
その声に我に返り、木場は迷いを振り切るように言った。
決意したのではなかったか、海堂の遺志を継ぎ、『仮面ライダー』となることを。
たとえ疎まれていたとしても―――そう強く念じるが、先程の言葉が耳にこびりつき離れない。
見れば、葦原も立ち止まって、訝しげに木場の顔を見つめている。
重たく感じる足をようやっと前に進ませながら、先程の事を侑斗に問いただすべきか、と木場は考えるが、すぐさま頭がそれを否定する。
聞けるはずがない。知るのが怖い。
信じるしかない、と思うものの、一度芽を吹き出した猜疑心はゆっくりと、確実に木場の思考を侵食していく。
ロビーへと続く階段を登るのが、まるで死刑台へ向かうように木場には感じられた。
281 :
創る名無しに見る名無し:2009/09/24(木) 23:43:28 ID:GNc6wgNP
状態表
【日高仁志(響鬼)@仮面ライダー響鬼】
【1日目 現時刻:夕方】
【現在地:F-6・駅構内】
【時間軸】:最終回前
【状態】:顔面・胸に切り傷(軽度)、腹部に火傷と刺し傷(中程度)、精神への疲労(大)、強い決意。響鬼・デルタに変身不可(1時間)。
【装備】:変身音叉・音角@仮面ライダー響鬼、劣化音撃棒×2、音撃増幅剣・装甲声刃@仮面ライダー響鬼
【道具】:基本支給品一式(元の服を含む)、ディスクアニマル(ニビイロヘビ)、戦国時代のディスクアニマル(イワベニシシ)
野点篭(きびだんご1箱つき)、青いバラ(ビニールパック入り)、釘数本、不明支給品×1(確認済)
【思考・状況】
基本行動方針:出来るだけ多くの仲間を守って脱出
1:新たな仲間と共に別行動中の仲間と合流。
2:葦原と五代たちにある誤解を解きたい。
3:歌舞鬼・黒いライダー(澤田)が気にかかる。
4:ダグバと北崎は放置できない。
5:もっと仲間を増やす。
6:志村は信頼することを前提に行動する。
【桐矢京介@仮面ライダー響鬼】
【1日目 現時刻:夕方】
【現在地:F-6・駅構内】
【時間軸】36話、あきらに声を掛けた帰り
【状態】:バイク転倒による擦り傷や打ち身、疲労(大)、僅かな人間不信、動揺。
【装備】:なし
【道具】:基本支給品(食料紛失)、ラウズカード(スペードの10、クラブの10)
【思考・状況】
基本行動方針:生き残る
1:響鬼達に守ってもらう。
2:激しい恐怖(特にダグバ、ゾルダ、ドラゴンオルフェノクに対して)
3:北崎・木場を始めとするオルフェノクに不安。
4:侑斗に僅かな嫉妬・羨望。
【葦原涼@仮面ライダーアギト】
【1日目 現時刻:夕方】
【現在地:F-6・駅構内】
【時間軸】:第27話死亡後
【状態】:全身に負傷・疲労(中程度)腕部・胸に裂傷(軽度)変身の後遺症、仇を討てなかった自分への苛立ち。ギルス・パンチホッパーに変身不可(1時間)
【装備】:フルフェイスのヘルメット、カブトエクステンダー@仮面ライダーカブト、ホッパーゼクターのベルト
【道具】:基本支給品×2
【思考・状況】
基本行動方針:殺し合いには加担しない。脱出方法を探る。
1:ヒビキたちに同行し、五代から話を聞いた上で真実を見極める。場合によっては倒す。
2:白い怪物(風のエル)、北崎は必ず倒す。
3:黒いライダー(カイザ)を探してみる。
4:立花藤兵衛の最後の言葉どおり、風見の面倒を見る?
5:白い怪物(ダグバ、ジョーカー)を倒す。
6:木場の様子がおかしいのが気がかり。
【備考】
※カブトエクステンダーはキャストオフできないため武装のほとんどを使えません。
今の所、『カブトの資格者』のみがキャストオフできます。
※澤田=カイザ=スパイダーオルフェノクである事を把握しました。
284 :
創る名無しに見る名無し:2009/09/24(木) 23:45:01 ID:GNc6wgNP
【木場勇治@仮面ライダー555】
【1日目 現時刻:夕方】
【現在地:F-6・駅構内】
【時間軸】:39話・巧捜索前
【状態】:全身に打撲(中程度)、背中等に火傷(軽度)、疲労(大)、激しい動揺。ホースオルフェノク・ファイズ・サイガに変身不可(1時間)。
【装備】:ファイズギア、サイガギア、トンファーエッジ
【道具】:基本支給品×1、Lサイズの写真(香川の発砲シーン)
【思考・状況】
基本行動方針:海堂の遺志を継ぎ、仮面ライダーとしてみんなを守るために戦う。
1:会話の内容に動揺。
2:香川たちの信頼を取り戻すために戦う。
3:死神博士、ゴルゴス、牙王、風のエル(名前は知らない)、東條、北崎を警戒。影山はできれば助けたい。
4:葦原に僅かに憧れの感情。
【備考】
※赤カードの影響で自分が香川の記憶を失った事を把握しました。
※自分を信じるが、自分さえも信じられなくなったらその時は…?
【桜井侑斗@仮面ライダー電王】
【1日目 現時刻:夕方】
【現在地:F-6・駅構内】
【時間軸】:最終回直後
【状態】:全身にダメージ・疲労(中程度)、強い決意、無力感。サソードに変身不可(1時間)
【装備】:神経断裂弾(1発)、サソードヤイバー
【道具】:基本支給品×2、ラウズカード三枚(ダイヤK・ブランク二枚)
ショッカー戦闘員スーツ×2@仮面ライダー、
煤けた首輪、双眼鏡、コーヒーセット、デジタル一眼レフ(CFカード)、望遠レンズ
【思考・状況】
基本行動方針:殺し合いの阻止
1:ヒビキたちと共に仲間と合流。
2:香川の話に反感。木場との仲を取り持ちたい。
3:ガドル、風のエル(名前は知らない)、北崎を倒す。
4:五代雄介に一条薫の死を伝える。
5:ナオミにそっくりな少女(真魚)が気になる。
6:ハナの無事に安堵。可能性は低いが良太郎や愛理を探す。
【備考】
※サソードゼクターに適格者として認められました。
※澤田=ダークカブト=カイザ=スパイダーオルフェノクである事を把握しました。
【香川英行@仮面ライダー龍騎】
【1日目 現時刻:夕方】
【現在地:F-6・駅構内】
【時間軸】:東條悟に殺害される直前
【状態】:深い後悔、強い決意。全身にダメージ・疲労(中程度)。 ゼロノスに変身不可(1時間)
【装備】:デルタギア、ゼロノスベルト、ゼロノスカード3枚(内1枚赤カード)
【道具】:リュックサック、保存食2日分、ペットボトル500ml(水入り)、懐中電灯、軍手、医療品(消毒薬、包帯、ガーゼなど少量)
観光マップ、弾丸(発砲済)
【思考・状況】
基本行動方針:殺し合いの阻止
1:ヒビキたちと共に仲間と合流し、研究所で首輪の解除の方法を探る。
2:オルフェノクの存在に危機感。信頼できるのは今の所ヒビキと侑斗のみ。
3:ガドル(名前は知らない)、北崎を警戒。
4:五代雄介に一条薫の死を伝える。
5:侑斗を生存させるため、盾となるべく変身アイテム、盾となる参加者を引き入れる。
【備考】
※ショッピングセンター・動物園あたりの川に香川の支給品が流されました。川のどこかにあるかもしれません。
※3ヶ月ほど前にスマートブレインによってホテルの従業員と宿泊客の強制退去が行われたと推測しています。
※ホテルの宿泊客管理ソフトのIDとパスワードを記憶してしまいました。忘れる事ができません。
※観光マップは南北C〜H、東西1〜6の範囲まで載っています。道路や駅、観光地とホテルの位置がわかります。
【志村純一@仮面ライダー剣・Missing Ace】
【1日目 現時刻:夕方】
【現在地:F-6・駅構内】
【時間軸】:剣崎たちに出会う前
【状態】:腹部に火傷(軽度:治癒進行中)、胸にダメージ(中程度)、疲労(大)。アルビノジョーカーに変身不可(1時間)
【装備】:ライアのカードデッキ@仮面ライダー龍騎、蓮華のワイヤー内蔵型指輪@仮面ライダーカブト
【道具】:基本支給品(携帯・地図のみ)、ラウズカード(クラブのK、ハートのK)@仮面ライダー剣、ホンダ・XR250(バイク@現実)、首輪
【思考・状況】
基本行動方針:人間を装い優勝する。
1:根回しの続行。他のメンバーからの信頼を得る。
2:ダグバなどの強敵とは戦わず泳がせる。
3:馬鹿な人間を利用する。鋭い人間(香川・葦原)やアンデットには限りなく注意。
4:誰にも悟られず、かつ安全な状況でならジョーカー化して参加者を殺害。
5:橘チーフを始め、他の参加者の戦力を見極めて利用する。自分の身が危なくなれば彼らを見捨てる。
6:『14』の力復活のために、カテゴリーKのラウズカードを集める。
【備考】
※病院のロビーに、一文字の所持品(特殊マスク)と携帯電話・地図を除く基本支給品を置いてきました。
【補足】
※病院・放送局を経由して仲間と合流した後、研究所に向かう事に決めましたが、バイク・電車など移動手段やメンバー分けは後続の書き手さんにお任せします。
※情報交換が行われましたが、その内容がどこまで詳細に語られたかも同様に後の話によって都合の良いようにしてください。
以上で投下終了です。
支援してくださった方ありがとうございました!
誤字、矛盾点等の指摘がございましたらお願いいたします。
乙ですー
木場カワイソスw
そして年長組はかしこいなあ
今後に向けて響鬼さんの優しさと香川の容赦なさがどう働くか楽しみです!
投下お疲れ様でした。
合流人数が多い分、情報交換が綿密ですね。この後が楽しみです。
しかし木場が不憫だ・・・
指摘ですが、
>>256の
「ヒビキにはサソードゼクター緑色の目が」は
「ヒビキにはサソードゼクターの緑色の目が」ですね。
修正箇所はここだけだと思います。
291 :
創る名無しに見る名無し:2009/09/24(木) 23:54:15 ID:GNc6wgNP
投下乙です。
そろそろ大人数のチームが固まり、装備なども整理して団体での行動が多くなる!
……と思いきや志村の暗躍が光る、ここからステルスとしての本領発揮か
一度は持ち直したかに見えた木場も爆弾がまた膨らみ始めて不安を煽ってゾクゾクします。
まだまだ先の見えないこれからの戦いを期待させる作品でした! GJ!!
>>289−291
ご指摘&感想ありがとうございます!とても嬉しいです。
>>290氏
ご指摘ありがとうございます!wiki収録時には修正させていただきます。
また言い忘れていましたが、以前『Traffics』にてデルタギアの副作用について
木場が知っているか否かが避難所で論じられていましたが、一応こちらでは
『知っている』という事にしています。
今後『Traffics』が修正された場合には(簡単にですが)その辺りの記述を差し替えたいと思います。
投下乙でした!
ステルスの志村は勿論のこと、真っ当に脱出を目指してる連中も不安要素を抱えこんでる
チームになったもんだなあ…w
このチームが今後どんな戦いを見せるのか期待です。
そしてさらに新しい予約が!
お二人共がんばってください!
今日になってやっと読めました。乙です!
キャラが皆、本編さながらに感じられて魅了されました!
それにしても香川教授、蓄積したデータがパネェだろうなあw
本拠に居れば、アレとコレを組み合わせて新アイテム…とか作りそうだwww
投下きた!乙です!
うーん、個人的に気になるのは木場さんがどうなってしまうのか!
そして不安要素を抱え込だチーム! コレは目が離せない!
これより仮投下します
支援してほしい?
支援したい…って解釈でいいのかな?
加賀美新、風見志郎、ン・ダグバ・ゼバ 投下します
コンクリートと鋼鉄で構成されている工場は、徐々に濃くなる夜の闇によって暗さを増していた。
この時間帯は地平線の彼方へと消えていく太陽と、星の数が増える光景を窓から眺める事が可能となっている。
しかしその輝きは人々を安心させるものではなく、まるで何者かから監視されているような不気味さを感じさせるものだった。
最も、彼の場合はその空を見上げたところで何の感情も抱かないだろう。
外から入り込む風によって体が冷やされながら、所々が黒く焦げている白装束に身を包む一人の青年が荒れ果てた部屋を見渡している。
全てのグロンギの頂点に立ち、圧倒的かつ絶対なる強さと威圧感を内面に秘め、究極の闇と称される彼の名はン・ダグバ・ゼバ。
リントの道具を探すためにこの工場を訪れ、全ての部屋を見回ったものの興味に引かれる道具は見つからなかった。
最後に訪れた粉塵爆発によって荒れ果てたこの部屋には、自分と戦った甲蟹に酷似する姿をした異形に変身した男、自分の事を知っていると思われる一人のリントが残したかもしれない紙と鉄屑が複数散らばっている。
だがそれも彼の関心が動くほどの物でもなかった。
もしかしたらあの二人も、自分のように『仮面ライダー』と呼ばれるリントの戦士になる為の道具を所持していたかもしれないが、逃げられた今となっては確かめる術などない。
しかし、リントの方はともかくあの紫色の怪物は多少ながらも評価に値する。
少なくとも、全てを喰らう王と自らを称していながらほんの僅かな時間で酷く落ちぶれた牙王よりは楽しむことが出来た。
だがダグバにとってそれは些細な問題でしかなく、今は別の出来事に感心が向かっていた。
先程まで眠りについていた自分を強制的に目覚めさせた、強大なる力と灼熱。ほんの一瞬だけ、それはただの気のせいかと思った。
しかしその瞬間、太陽の如く眩い輝きよって視界を埋め尽くされ、続くように天空へと高く昇る銀色の巨竜が見えた。
あの時肌に突き刺さった感覚は、究極の闇へと姿を変えたクウガに匹敵するほどの物だった。
自身を満足させることが出来るのはあのクウガだけと思っていたが、あれに等しいほどの存在がこの会場の何処かにいるのか。
その考えに至った途端、ダグバの感情は次第に高まっていき、その表情からは笑顔が生まれていく。
最も、それに暖かみなどは一切込められておらず、獲物を嬲るときにのみ浮かべる氷山のように冷え切った物だった。
あの龍は二度に渡って戦いを繰り広げた本郷猛と名乗るリントの戦士が、初めて自分と戦うときに呼び出した龍に似ている。
しかし本郷は前に拳を交えた際に葬ったはず。
ということは、あれを呼び出したのは彼の仲間である一文字、風見、城戸の三人の中の誰か、あるいは別のリントなのだろうか。
何にせよ、このような何もない場所にこれ以上いたところで、何の収穫も得られないだろうし、如何なる強者とも出会えないだろう。
「頑張って僕を笑顔にしてね………」
ダグバは狂気に満ちた笑みを浮かべながら、この会場にいる全ての存在に対して言い聞かせるようにぽつりと呟く。
体に付着された埃を払い、床に散らばっている瓦礫と紙屑を踏みながら一歩ずつ足を進める。
無造作に踏み潰されたそれらは形を歪ませるか、音を立てながらあっけなく壊れるだけだった。
今の彼が欲するのはただ一つ、強者との出会いだった。まだ見ぬ参加者を求めるダグバの歩幅は自然と大きくなっていって、速度も速くなっていく。
そろそろ三度目の放送が始まるだろうが、彼にとってそれは感心を向けるほどのことでもない。
やがて工場の外に出るのと同時に、無意識のうちに再び唇を動かした。
「『仮面ライダー』達………」
【1日目 夕方】
【現在地:B-5】
【ン・ダグバ・ゼバ@仮面ライダークウガ】
[時間軸]:47話、クウガアメイジングマイティに勝利後。
[状態]:脇腹に刺し傷、額にヒビ(出血止まり済み)、胸部に蹴りによるダメージ、右肩に清めの音によるダメージ、全身に軽度のダメージ、二時間変身不可(グレイブ、グロンギ体)
[装備]:グレイブバックル
[道具]:基本支給品×3 ラウズカード(スペードA〜9、ハートQ)、サバイブ『疾風』
【思考・状況】
基本行動方針:究極の闇を齎す。
1: 究極の闇を齎す。
2:強くなったクウガ、龍騎、響鬼、ライア(サソード)、ガドルと再戦 。
3:『仮面ライダー』と思われる一文字隼人、風見志郎、城戸真司と戦う。
4:究極の闇に匹敵する程の力の正体を突き止め、戦う。
5: 自分に楯突いた志村には容赦しない。
6:牙王にはちょっと失望。
7:リントの道具の力に興味。
※自身の戦闘能力に制限がかかっていることを何となく把握。
※志村が人間でない事を知りました。
※ハートのKが無くなっている事に気付き、志村が奪ったと思っています。
※工場内には首輪の部品、様々なチラシやら何やらが散乱しています。
※龍騎サバイブの気配を感じ取り、その正体は一文字、風見、城戸の三人の中の誰かだと推測しています。
※どこへ向かうかは次の方にお任せします。
研究所のロビーで、加賀美新は軽いストレッチで体をほぐしながら息を吐いた。
外は夕日が沈み始めるところで、この殺し合いの会場には場違いとしか思えないような穏やかな虫の鳴き声が耳に入る。
しかし加賀美はこの異質に満ちた島にいる以上、それを聞いても心を穏やかにすることなど出来なかった。
スマートブレインによって強制的に集められたと思われる大勢の人間が、この半日の間に命を落としているという事実もそうだが、それよりも深刻な事態が彼の前に存在している。
それは、ようやく再会を果たした戦友、風間大介がこの戦いに乗っているということだった。
その彼は今、自分と向かい合うように備えられたソファーに座り、両手を絡ませながら汚れた床を見つめている。
――俺は、戦うつもりだ……自分の為に。あの子の為にも…
加賀美は風間があの時言ってた言葉を、頭の中で思い浮かべる。
――君には、何も分からないだろう。愛する者を失った悲しみや、絶望などは…
この言葉から推測するに、以前影山によって誘拐されたように風間は常に一緒にいる少女、ゴンを自分のそばから無理矢理引き離され、人質に取られてしまっているのだろうか。
そんな彼女を救うために、風間はこの戦いに勝ち残ろうとしているのかもしれない。
加賀美がこちらを向いていることに気づいたのか、風見志郎は顔を上げて目を合わせる。
「………何だ?」
「いや、別に何でもないけど………」
「そうか」
風見の呟くような声に対し、慌てたような表情で加賀美は返答する。
それにあっさりと答えると、不意に風見はこの会場で始めて出会った男、立花藤兵衛の事を思い出す。
あの男は目の前で椅子に座る男のように、まるで自分のことを知っているかのような口を利いていた。最も、会って数時間という短い時間でただの肉塊と変わり果てたが。
この男の場合は立花とは少し違い、自分のことを『風間』という男と勘違いをしている挙げ句に、同情しているような態度を取る。
正直な話、それに苛立ちを覚えるが、この男は自身と同じゼクターと呼ばれる力を保持している。
だから戦力として利用するために行動を共にする必要があった。それにこの男の戦闘スタイルを把握する必要があるだろう。相手は自分よりゼクターの扱いに長けているだろうから、いざ実際に戦う時までに対策を練る必要がある。
首輪の効力による制限を利用する手もあるだろうが、それだけで勝てる相手ではないだろう。
「なあ風間、ちょっと良いか?」
風見が思案に耽っていると、加賀美は再び口を開く。
「今度は何だ」
「お前、さっき言ってたよな。あの子の為に戦うって」
その言葉によって、風見はこの戦いに優勝することによって取り戻そうとしている大切な妹、風見ちはるの笑顔が思い浮かんでいく。
自分が選ばれたショッカーの一員などと呼ばれて充足感を得ている間に、失ってしまったちはるの夢、幸せ、未来――
そして、それに気付くことが出来なかった愚かな自分――
否定したくなるような苦い現実に不快感を覚え、眉を歪めるが、それはほんの一瞬のことですぐに落ち着きを取り戻す。
「………それがどうした」
「お前があの子のことを大事に思ってるのはよく分かる。でも、こんなことを続けて本当にあの子は喜ぶのか………?」
この言葉は加賀美に対する不快感を強くするのに十分な威力を持っているが、風見はそれを堪えて唇を動かす。
「何が言いたい………?」
「何て言うか、上手く言えないんだけどよ………お前がこんなやり方を続けても、あの子が悲しむだけなんじゃないかって………」
加賀美は目の前で座っている風見の顔を見ながら思いを吐いた。
実際、もしもゴンが自分のために風間がこんな殺し合いに乗っていることを知ってしまったら、深い悲しみに沈んでしまうだろう。
ロビーの中に静寂が走り、ほんの僅かな緊張を加賀美は感じる。
「貴方もくどい……」
数秒の間が生じた後、先に口を開いたのは風見からだった。
彼はソファーから立ち上がると、その瞳を加賀美に向ける。
「それを聞いたところで私がこの戦いを降りるとでも思っているのか」
「そうじゃない。ただ、お前が罪を背負うことをあの子が望んでいるとは――」
そこから先を言葉にすることは出来なかった。
風見の手には機械的な外見の剣、デンガッシャーが握られ、殺気と共にその赤い刃が加賀美の額に突きつけられたからだ。
一筋の血が流れ、あと少しでも力を込めれば簡単に顔を突き破り、加賀美の命を奪うことなど容易なことだろう。
先程まで冷え切った瞳には怒りによる熱が込められていた。それはまるでお伽話に出てくるような地獄の業火を連想させる。
普段の風間からは考えられない態度に、加賀美はほんの僅かに圧倒されてしまう。
「先程も言ったはずだ、そんなのは綺麗事だと………! 私にはあの子が全てだって事も………!」
「でも、もしお前のそんな姿をあの子が知ったら――!」
「黙れ!」
研究所全体に響くほどの怒鳴り声を発するのと同時に、風見はより強い力で剣を握る。
それによって額の皮膚はより一層破れ、流れる血の勢いは増していく。
「もう一度だけ言っておこう。私はあの子が幸せになるためならばどんなことでもする! たとえこの手がいくら血で汚れようとも後悔しない! それが私のライダーとして戦う理由であり、それが私でもある!」
「風間……やっぱり、変える気はないんだな」
額の痛みのことなど気にかけないように、加賀美は風見に答える。
「なら俺ももう一度言う、お前を絶対に止めてみせる。その為に俺はお前に協力すると言った」
それを言う加賀美の瞳には強い意志が込められていた。
途端、僅かながらデンガッシャーを握る風見の力が弱くなっていく。
「お前に罪を重ねさせない……これが俺のライダーとして戦う理由で、これが俺なんだ」
――お前が……生き返ることに何の価値を持っているかは知らない。 だが、これだけは言える。死んだ人間が生き返ったとして、それは本当に幸せか?
一切の嘘偽りが感じられないそれを聞いて、風見はこの会場に連れてこられてから出会った二人目の男、葦原涼の言葉が不意に蘇る。
――スマートブレインと戦い、お前がお前として生きてやれ。たとえ生きるのが辛くても……俺たちは生きていかなくちゃいけないんだ
あの男も綺麗事としか言えないような事を言い、自分を止めようとした。
私は葦原やこの男とは違う。ちはるを救うためならばどんな汚れ役も買い、この会場にいる全ての人間を殺すつもりだ。
目の前の男を倒すことは今でも出来るはず。
しかし、デンガッシャーがこれ以上その額を突き破ることはなかった。いや、風見の腕がこれ以上動かなかったのだ。
覚悟はとっくに決めたはずなのに、何故。
頭の中に疑問が駆け巡っていくが、それが晴れることはない。
やがて風見はデンガッシャーを加賀美の額から遠ざけ、刃に付着した血液を払った。
「風間、お前………!」
「勘違いをするな。貴方は協力者、今死なれては困るだけだ」
喜んだような表情を浮かべる加賀美に対し、風見はあっさりと冷たく返す。
そうだ、この男とは一時的な協定を組んでいるだけで、決して仲間などではない。
そう自分に言い聞かせるとソファーに再び腰掛け、デンガッシャーを脇に置く。
加賀美も額の血を拭い、同じようにロビーに備え付けられた椅子に座り込んだ。
【現在地:B-7 研究所ロビー】
【加賀美新@仮面ライダーカブト】
[時間軸]:34話終了後辺り
[状態]:痛みはほぼ回復。脇腹に刺し傷、頭部に打撲、肩に裂傷、背中に複数の打撲、右足のダメージ回復
強い怒りと悲しみ。新たな決意。 額から出血(痛みはあまり無く、動きに支障は無い)。
[装備]:ガタックゼクター、ライダーベルト(ガタック)
[道具]:基本支給品一式 ラウズカード(ダイヤQ、クラブ6、ハート6)不明支給品(確認済み)2個。
放置されていたデイパック(基本支給品×2、ラウズアブゾーバー、V3ホッパー、首輪(一文字))
[思考・状況]
基本行動方針:桜井侑斗を始めとする協力者と合流する。
1:風間(風見)に同行する。風間(風見)と危険人物以外との戦闘は阻止する。
2:危険人物である澤田と真魚、バダー(名前は知りません)を倒す。
3:風間(風見)といずれは戦うことへの迷い。出来れば戦いたくない。
[備考]
※デネブが森林内で勝手に集めた食材がデイパックに入っています。新鮮です。
※首輪の制限について知りました。
※友好的であろう人物と要注意人物について、以下の見解と対策を立てています
味方:桜井侑斗(優先的に合流)
友好的:風間大介、影山瞬、モモタロス、ハナ(可能な限り速やかに合流)
要注意:牙王、澤田、真魚、バダー(警戒)
※風間大介(実際には風見志郎)が戦いに乗っていることを知りました。
※放置されていたデイパックの中身は確認していません。
【風見志郎@仮面ライダーTHE NEXT】
【時間軸:】THE NEXT中盤・CHIHARU失踪の真実を知った直後
【状態】: 疲労回復、全身打撲、中。両腕、腹部のダメージ回復。
【装備】:ハリケーン 、ホッパーゼクター+ゼクトバックルB、デンガッシャー
【道具】:基本支給品×2セット、ピンクの腕時計、ラウズカード(ハートJ、クラブJ)、FOX-7+起爆装置(残り3)
【思考・状況】
基本行動方針:殺し合いに勝ち残り、優勝してちはるに普通の生を送らせる。
1:研究室に設置したFOX-7を、最大の被害を与えることのできるタイミングで利用。
2:ショッカーに対する忠誠心への揺らぎ。
3:葦原涼が死んでいなかったことに驚きと僅かな安堵。
4:いずれあの男(加賀美)と決着を付ける。
【備考】
※モモタロスの死を受け止め、何か複雑な心境です。
※ホッパーゼクターを扱えます。
※FOX-7は基本的に、起爆装置を使った時にのみ爆発します。爆発の規模は使った量に比例します。
起爆装置は全携帯が内蔵している専用アプリに起爆装置のコードを打ち込んで操作するもの。
スイッチ式と時限式の両方の使い方ができます。
※加賀美のデイパックが二つになっていることにまだ気付いていません。
※研究所の研究室に、FOX-7が一つ仕掛けられています。
――――――――――――
これにて、投下終了です
何か気になる点がありましたら教えてください。
投下お疲れ様です。
今回は静の場面という感じで、たまにはこういう話もあっていいと思います。
投下乙です!
説得の熱さが加賀美らしくていいですね。
この熱さが凍てついた風見の心に伝わったらいいんですが…
ダグバも獲物を求めて動き出したし、今後が気になる話でした!
お待たせしました。
風間大介、橘朔也、ハナ、五代雄介、長田結花、城光、風のエル、スマートレディ、村上峡児。投下します。
きかけた日の光が降り注ぎ、緩やかなそよ風が全身を包みこむ。この柔らかな暖かさは、桜舞い散る季節の特権だろう。
視線を上げれば雲ひとつない、まさに快晴というべき空が広がっていた。吸い込まれそうなほどに澄み切ったこの青は、今も自分の周りで吹き抜ける小さな相棒を連想させる。
それに加えて眼下に広がるこの眺めだ。町はおろか島全体を見渡せるほどの絶景、なんだか自分が空を飛んでいるような感覚に――――?
(――――っ!? いけない、こんなところで眠りに落ちるなんて……)
急激に現実へと引き戻される風間の意識。空を飛んでいるどころか、実際に自分は吊るされている。下手に動けば絶景目掛けて直下降しかねないのだ。
目線をもう少し下へ落とし、自分が今吊るされている建物……放送局を見る。ここに縛り付けてくれたあの怪物はまだ帰っていないようだが、縄を解いてくれそうな人物もいない。
ドレイクに変身できればこの縄など簡単に千切れるのだが、運の悪いことにドレイクグリップは屋上に空しく転がっている。恐らく縛られた際にでも零れ落ちたのだろう。
(拾わせる……のは無理でしょうね、あの短い腕では掴むのも難しいといったところですか。)
こちらの考えていることがわかったのか、ドレイクゼクターは低く翅を唸らせしょぼくれた様な仕草を見せる。
気にすることはない、そう声をかけようとした瞬間に、それまでの心地よい物とは明らかに違う異質な風が割り込んできた。
「主よ。御身の望む通り、我が手に人の子を掴んだ。」
風間の耳が、どことなく女性のそれに近い声を捉える。まるで空中を歩くかのように現れた怪物は、剣を持った手で器用に人一人を抱え、その顔を風間へと向けた。
そういえば、人の塩がどうとか言っていたな……などと冷静に思い返す風間だったが、風のエルが運んできた見覚えのある顔を見た瞬間、叫ばずにはいられなかった。
「ハ、ハナさん!?」
そしてそれは、空ろながらもまだ意識のあったハナも同様であった。
「えっ、大介!? 何でアンタがここにいるのよ!?」
「……?」
風のエルは、バタバタと暴れるハナと風間とを交互に見て首を傾げる。唯の人間一人に、主がなぜここまで反応するのか理解しかねるからだ。
「どうなされた? もしや、気に入らないか……ならば、すぐに新たな贄を手に。」
そう言うと風のエルは風間に背を向け、ハナの首を捻り切らんと両腕に力を込めた。
「ま、待ってください!別にそういうわけではありませんから、その手を離してください!!」
ハナの意識が暗黒に落ちる手前で、風間が急いで静止を呼びかける。飛び掛ったドレイクゼクターを軽く払って、風のエルはその手を離した。
鈍い音とともにハナの体は屋上のコンクリートへと叩き付けられるが、今は痛みを気にかけるよりも解放された喉で精一杯息を吸うことに意識が向いていた。
その姿に顔をしかめながら、風間は前を見据える。向こうは宙に浮いているため、自然と風のエルと目が合った。
「……その人は、私が直接判断します。この縄を解いてもらえませんか?」
「ならぬ。主の手を煩わせるまでもない。」
即答だった。断った理由はあまり嬉しいものではなかったが、尚も風間は食い下がる。
「私が直接、自分の手で判断したいのです。お願いします、縄を解いてください。」
しばらく考え込むような仕草を見せる風のエルだったが、観念したようにパーフェクトゼクターを振り上げ、風間を縛る枷を切り落とした。
即座に受身を取って着地した後、すぐにドレイクグリップを確認した。が、どこにも見当たらない。
「そんな、確かにさっきまでこの辺りに……」
「さぁ、立つのだ人の子よ。そして我が主に紅き水を捧げよ。」
音も立てず地に立った風のエルが、呼吸を整えていたハナの首根っこを持ち上げる。急に立ち上がって景色がぐら付くハナの耳に、カランと何かが転がる音が響いた。
(……あれ、これって……)
視界の隅に映ったのは、見覚えのある青色のグリップだった。
◇ ◇ ◇
橘朔也は、十分な思考の末ついに決断を下した。
志村には行けと言ったが、ある程度戦闘訓練をつんだとはいえ、丸腰の人間が向かった所でどうにかなるものだろうか。
仮面ライダーやアンデッド、ゾル大佐のような改造人間とこの島には人知を超えた存在が大勢いる。志村の仲間がどれほどの力を持っているかわからないが、それでも安心は出来ない。
そして、自分の手には戦う力がある。ならば、今すぐにでも加勢に行くべきではないだろうか。
保身ばかり優先させていたら、またいつ禍木達やゾル、剣崎のような犠牲者を出してしまうかわからない。橘にとってそれは最も恐ろしいことで、最も阻止せねばならないことだった。
(ここは三階、階段からはだいぶ離れている。扉を蹴破って、下へ降りるまでせいぜい数分……どこかの窓から飛び降りたほうが早いか。)
ギャレンバックルにダイヤのエースを差し込み、アンデッドの力を最大限引き出せるように集中する。このシステムは融合係数が大きな戦力の鍵となるからだ。
手を左胸の前に翳し、握り拳を作って静止。あとは叫び、一息にこのベルトのレバーを引くだけである。
「変し――――」
『はぁーい☆ 橘さぁん、おいたの反省は出来ましたかー?』
驚きで全身が強張った。それまでいくら弄っても返事の一つもよこさなかった機械から、突然耳に痛いほどの音量で女の声が流れてきたのだから。
振り返らずとも、音声だけですぐわかる。スマートブレインのあの青いキャンペーンガール、自分をここに立ち止らせている原因を作った存在だ。
「黙れ、さっさと扉を開けろ。」
『やだぁ、怖〜い! でも大丈夫ですよぉ、あと一時間もすれば開くように設定してますからん♪』
「……何?」
一時間という具体的な数字に違和感を覚え、携帯電話で時刻を確認する橘。ディスプレイはちょうど、時刻が五時に切り替わったところだった。
「放送か。」
『ピンポ〜ン! 我々としてもいつまでも閉じ込めているのは面白くないのでぇ、次の放送が終わったら扉を開けてあげたいと思いまーす!』
舐めた真似を、と内心で毒づく。口に出してもよかったが、出来ればそれは相手の姿が見えたときまで取っておきたい。
しかし、予想だにしていなかった敵との接触は一種の好機でもあった。うまくすれば思いがけない情報を得る可能性があるからだ。
「一つ聞かせろ。俺を足止めしたのは、こいつと何か関わりがあるのか?」
こいつ、とは橘に支給されたトランクボックスの事だ。餅は餅屋、というようにこの機械を作ったスマートブレインなら、何か情報を落とすかもしれない。
しかし帰ってきたのは嫌になるほど長い沈黙と、
『…………ひーみーつ、ですっ♪』
嫌になるほど腹立たしい、何のたしにもならない言葉だった。
しかし得たものはある。関係ないと即座に否定しなかったこと自体が、橘の仮説をより真実味のある物へと引き上げる。
「そうか、では悪いが俺は行かせてもらうぞ。下で部下が……仲間が戦っているからな。」
『あらら、ざぁんねん。じゃーあ、お姉さんから一言だけ、アドバイスをあげちゃいますよ!』
俺のほうが年上だろう、という言葉をかろうじて飲み込んで耳を傾けた。たいした話ではないだろうが、情報は多いに越したことはない。
『あんまり人を信用すると、また騙されちゃいますよぉ?』
「…………何?」
『あーん、悲しいけどおしゃべりの時間はここまでです、では、橘さんも残りのゲーム、しっかり生き残ってくださいね☆』
疑問の声は相手に聞かれもせず、そのまま一方的にスピーカーを切る音が聞こえた。
物言わぬ機械を前に、橘はスマートレディの言葉を反芻する。また騙される? いったい誰に騙されるというのだ?
「いったい、どこがアドバイスなんだ……いや、まさか。」
再び時計を確認すると、時刻はもう五時を七分も過ぎていた。変身時間から考えてみても、もう戦闘が終了している可能性はきわめて高い。
アドバイスと偽り、自分を少しでも長くこの部屋に閉じ込めることが目的だったのだ。騙されるとは、恐らくそういうことだろう。
「一杯食わされたか……チッ!」
もう躊躇している暇はない、一刻も早く行かねば志村達の命に関わる。再びレバーに手をかけて、手を引こうとした瞬間だった。
すぐ上の階から、建物全体を揺るがすほどの爆音が響いたのは。
◇ ◇ ◇
「ハナさん、それを蹴って、そうしたらすぐに離れてください!!」
風間の絶叫を待っていたかのように、ドレイクゼクターがその薄い羽で風のエルの目元を切り裂いた。
「ゴァッ……」
直撃はしなかったものの、目のすぐ下を狙われ視界が数秒暗闇に奪われる。瞬間的にハナを握っていた手も離してしまった。
ハナもその隙を逃さず、ドレイクグリップを風間の元へ蹴った後、離れる際にがら空きの鳩尾へと一発肘鉄を打ち込んでやる。
「変身!」
―― HENSHIN ――
拾い上げたグリップにドレイクゼクターを装着させ、叫んだ。青い装甲がその身を包み、蜻蛉を模した頑強な鎧を生み出していく。
頭頂部まで装甲に包まれ、目に当たるスリットが淡く輝く。ZECTが誇る射撃のライダーが、今再び現れたのだ。
「ハナさん、どこか安全な場所に隠れててください。」
言いながらドレイクゼクターを構える先では、風のエルがようやく視力の戻った両目を見開いていた。
一つ、この場にいる誰もが知らない事実がある。
風のエルは、今風間がドレイクに変身する瞬間を見ていない。だがそれだけではなく、以前にも風間がドレイクに変身する場面へと立ち会っている。病院での、死神博士一派襲撃時での出来事だ。
その時は、ゼロノスとの敗北に起因する戦闘欲求への目覚めと、とパーフェクトゼクターの使用法を知った事による意識の高揚とで、一種の興奮状態にあったといっていい。
それ故風間がドレイクに変身したのを見ても、特に記憶に残るほど意識しておらず、ただ獲物が戦う姿になったとしか認識していなかった。
風間の変身解除の時もイカデビルと交戦していたし、そこから先は語る必要もないだろう……さて、何を伝えたいかというと、
風間大介がドレイクであることを、彼……あるいは彼女はまったく知らないという事。
つまり、風のエルから見ると今の状況は『遣えるべき主が消え失せ、突然新たな敵が現れた』という他ないわけだ。
「オォオ……オオォオゥアアァア!!!」
そしてその事実は、激高とも感激とも取れる雄たけびを合図に、何のためらいもなく主と慕っていた存在へと牙を剥く。
引き金を数度引き絞り、牽制の弾を打ち出すがその勢いは止まらなかった。だが、ドレイクの方もこれで止まるとは思っていない。
「ハァッ!!」
「グッ、まだ、です!」
振り下ろされた刃の切っ先が、ドレイクの右肩を叩く。口元に繋がるパイプが切断されるも、分厚い装甲のおかげでその下の関節はまだ死んでいない。
懐に飛び込んできた風のエルをしっかり掴み、空いている手で至近距離から銃弾を打ち込む。もう一度パーフェクトゼクターが迫る寸前に、尾のレバーを引き抜いた。
「キャストオフ!」
―― CAST OFF ――
一瞬のうちに、その身から全方向へと弾ける装甲。うち一つが風のエルを直撃し、鳥の顔を模した額を打ち抜く。
そこから流れる赤い血をまるでシロップのように舐め取ると同時に、脱皮を終えた青い風が、鋭く佇むその翼を光らせた。
―― Change Dragonfly ――
「大介! するならするって事前に言ってよ!!」
「すみません、ですが状況がそれを許さなかったもので……とはいえ……」
口ではハナと会話しつつも、その目と指は休むことなく風のエルを捉え、引き金を引き続けている。
今度は牽制などではなく確実に仕留めるつもりで撃っているのだが、どうやら先ほど一撃当ててしまったのが不味かったらしい。
「ハァッ!」
翳された手から突風が吹き出し、華奢なドレイクの体を簡単に吹き飛ばす。必死に手すりにしがみ付くが、その勢いは収まるどころか強くなる一方だ。
(かえって動きを良くしてしまったか……だったら!)
── Clock up ──
ベルトから電子音声が流れ、ドレイクは別の時間軸へと飛び込む。大気の流れを肌で感じながら、風のエルの背後へと回り込んで拳で一撃。
照準を目の前の背中に合わせ、ドレイクゼクターの翅を折りたたみレバーを引く。銃口に青いエネルギーの弾が浮かび上がって空気を震わせた。
「ライダーシューティ……なっ!?」
── Hyper Blade ──
外の時間から、突如赤い斬撃が襲ってくる。とっさに脇へと転がって避けたが、同時にクロックアップが解けてしまう。
再び動こうとベルトに手を伸ばした時には、もう既に喉元へパーフェクトゼクターの切っ先を突きつけられていた。
「風の動きを見れば見抜くは容易い……流れが単調。」
「……クッ」
一直線に背後へ回り込んだのが仇となった。このまま銃で打ち抜いても、その時には既に首と胴から赤い花火が噴出していることだろう。
何か隙があるはずだと探すが、冷徹にも風のエルは隙を見せずグリップを折り曲げ、皮肉のつもりなのかガンモードで処刑宣告を下した。
「去ね。」
――――――パァン。
……銃声にしては、妙に薄っぺらい音が木霊する。指がまだ引き金を引いていない事を確認し、音のした方を向くとそこには。
「大介を離しなさい!」
物陰に隠れていたはずの贄――――ハナが、白い紙切れを持って立っていた。少しも足を震わせていないのが、風のエルには少し不思議に感じられた。
「……! 今です、プットオン!」
―― PUT ON ――
この好機を逃がすまいと、切り離された装甲が再び集まりその身を覆う。風のエルがその事に気づいた時には、ドレイクの銃口が火を噴いていた。
空を駆け抜け攻撃自体は避けられてしまうが、絶体絶命の状況だけは回避した。起き上がり、ハナの下へ駆け寄って言う。
「ありがとうございます……ですが、危険すぎます。一歩しくじれば貴女が……」
「何言ってんのよ、これでおあいこよ。それとも……」
「それとも?」
少しの間静寂が流れ、ハナの顔が恥ずかしそうに俯く。
「それとも……こんな危ない女は、好みじゃないかしら?」
口をついて出てきたのは、意外な言葉だった。
彼の知るハナという人物からはとても予想できないような発言に驚き、仮面の下で風間は微笑んだ。
「……いえ、嫌いじゃありませんね。」
「……そう。」
一言だけ呟いてまたいつものように、あの勝気な笑みを見せる。いつもの彼女だと安堵し、正面へとドレイクゼクターを構えた。
降り立った風のエルが放ったエネルギー弾を打ち落として、三度目のレバー操作。鎧がスーツから浮き上がり、待機音が流れ出す。
「ハナさん!」
「何?」
「伏せてください! キャストオフ!!」
―― CAST OFF ――
―― Change Dragonfly ――
流石に二度も同じ手は食わないとばかりに、飛んできた鎧を叩き落す姿が見えた。脇ではハナがほんの少し腰を抜かしている。
「事前に言えとは言ったけど、出来ればもうちょっと早く言って欲しかったわ……」
「次から努力しますよ。さあ、早く隠れて!」
── Clock up ──
二度目のクロックアップ。先ほどとは違い、正面から向き合わず動き回りながら次々と、しかし確実に銃弾を打ち込んでいく。
切り離された世界の外から、風のエルの目が少し遅れてこちらを追うのが見えた。動きを見ることは出来るようだが、その先を読めないのでは見えないのと同じだ。
(あなたが教えてくれたんですよ……私の動きが単調だと!)
少しリズムを崩して、目まぐるしく不規則に動き回ってやればどうだ。この通り相手はまったく対応できなくなった。
そしてクロックオーバー直前、意識の死角から飛び出してやれば――――――――
「なっ……!?」
── Clock over ──
「あなたからすれば、まるで突然現れたかのように見えるでしょう……くらいなさい!」
―― Rider Shooting ――
動きながら貯めていたエネルギーの塊を、一気に吐き出す。風のエルの体に直撃したそれは、どんどん二人の距離を広げていった。
パーフェクトゼクターで切り裂こうとするが、碌にパワーチャージをしていない刃では刃筋すら立たない。
「これは私の分です! そして……」
── Clock up ──
三度加速した時間の中へ飛び込み、十数メートルを音をも超える勢いで一気に駆け抜けた。
光弾のすぐ後ろで銃口を構え、聞こえないとわかっていながらも、風間はスローモーションのように動き続ける風のエルに向かって叫んだ。
「これが、ハナさんがあなたに受けた仕打ちの分です!! ライダーシューティング!!!」
―― Rider Shooting ――
度重なるクロックアップによる負荷の中、限界ギリギリの状態で二度目の必殺技を放つ。
連続で襲い掛かる衝撃に成す術もなく、風のエルの体はビルの外へ放り出された。もう、空を飛ぶほどの体力など残っていない。
ビルから落ちる直前に見えたのは、哀れんだような眼差しでこちらを見る、青い射手の仮面だけだった。
◇ ◇ ◇
「おい、あれを見ろ!」
最初に異変に気づいたのは、アンデッドである城だった。
その声につられた五代と、少し送れて結花が見上げた視線の先には、先ほど自分たちを襲いハナを連れ去った怪人の姿が見える。
しかし、数度瞬きする間に怪人は次々と体から火花を撒き散らし、屋上から放たれた蒼い光弾にその身を打ち抜かれ転落してしまう。
怪人は二度三度と羽ばたこうとするもその願いは叶わず、あっという間に建物の向こう側へと消えてしまうのだった。
畳み掛けるような出来事の連続に一同は圧倒されてしまうが、ここで五代が口を開く。
「あの怪人、誰かと戦ってましたね。」
「ああ、しかしハナは戦える装備を持っていなかったはずだが……」
「……もしかして、屋上に吊るされていた人が……」
五代と城の会話を聞き、沈みきっていた結花の表情にほんの少し明るい色が宿った。
「じゃ、ハナさんもその人に助けられて……!」
「きっとそうだよ! 早く行って御礼言わなきゃ!」
二人がハナの無事を喜んでいる中、城は考えを口に出さず、一人心の中で思案する。
(確かにその可能性は高い……が、怪人と争っていた相手が殺し合いに乗っていないとは限らない。橘の可能性もあるが、ギャレンにあのような技はなかった。
単に近くにいた敵を排除しただけかもしれないし、乗っていなかったとしてもハナの元へ間に合ったかは確認しないとわからない……)
チラリ、と横目で二人の顔色を探る。どちらもハナ生存の可能性が出てきて、喜んでいるように見える。
……今ここで二人の不安を煽るのは得策ではない。結花にこれ以上落ち込まれても困るし、五代の反感を買うのも目に見えている。
軽いため息を人知れず吐き出し、城は再び歩き出しながら後ろの二人へと呼びかけた。
「ともかく、急ぐわよ。私たちもなさねばならない用があるからな。」
◇ ◇ ◇
予想外すぎた。閉じ込められてからというもの橘は常にモニターには目を走らせていたし、監視カメラの映像も欠かさずチェックしていたつもりだ。
橘がこの建物に入ったあと、建物内に進入した人物は一人しかいない。もちろん、彼の部下である志村純一のことである。
近くで仲間が戦っていると入っていたが、あくまでこの放送局の外の話だ。そもそも志村意外誰もこの門を潜っていないのに、どうして上の屋上から爆音が起こるのか。
(考えられる限りでは……空か。なんてタイミングだ!)
そう、あまりにタイミングが悪すぎる。一刻も早く志村の元へ急がなければならないというのに、何者かが近くにいる以上、迂闊に外へ出るわけには行かなくなった。
監視カメラと局内通信でコンタクトも可能だが、相手が危険人物なら逆にこの部屋、この『島内向け放送室』の存在を知らせることになってしまう。
ただし、現れたのが善良なる人物だったら話は別だ。こちらとしても抗う人数は多いほうがいいし、あわよくばこの扉を破ってくれるかもしれない。
(……どちらにせよ、慎重に判断するしかないな。)
幸い、屋上からここまでをつなぐ道は階段一つのみだ。ゆったりと椅子に座り込み、橘の意識はモニター内の扉へと集中する……。
一方その頃、騒ぎの原因でもある風間とハナは、誰かに見られているなどとは露とも思わずに一歩一歩階段を踏みしめていた。
風間としてはこれからどうするか考えていなかったのだが、突然ハナが橘の放送のことを思い出し、風間に説明した後建物内を捜索することにしたのだ。
ちなみに、ドレイクの変身はまだ解いていない。建物内に外敵が潜んでいた場合の用心と、変身可能時間の具体的な数字をはじき出すためである。
「しかし、ゲーム終了の鍵ですか……少しきな臭くありませんか?」
「そうかしら? 私の仲間の知り合いみたいだし、とりあえず会って損はないと……っと、あった。」
会話の途中でハナの目がある物を捕らえた。エレベーターの前に取り付けられた、壁掛け型の案内図だ。
画面にノイズはあったものの音声はキチンと届いたのだ。それほど高性能な器具のある部屋なら、それに沿うような名前がついているのではと……と探していたら、案の定見つかった。
「『島内向け放送室』……十中八九、これでしょう。案外早く見つかりましたね。」
「そうね、もうちょっと下にあるかなって思ってたんだけど……」
ドレイクの仮面越しに、風間が部屋の名前を読み上げる。ミスリードかとも疑ったが、案内通りに進んでいくと本当にその部屋へと突き当たるのだから恐ろしい。
ハナとアイコンタクトを交わし、ドレイクの手が引き戸の取っ手へと触れた――――触れたのだが。
「……あれ?」
「どうしたの?」
「いえ……開きませんね。中から鍵でもしてあるのでしょうか。」
試しにハナの手も添えてもう一度チャレンジしてみるが結果は変わらず。ついでに言えば、扉めがけて放たれたハナののパンチも大して効果を示さなかった。
幾らドレイクが肉弾戦主体のライダーでないとはいえ、その身体能力は常人のそれをはるかに凌駕している。当然、腕力や握力といった物もだ。
その力を以ってしても開かないとなると、よほど頑丈な仕組みの鍵か、あるいは元々開かないかのどちらかだ。
「さて……開かないとなれば他を当たるしかありませんが……」
「……!ちょっと待って、向こう側から電話の音がするわ!」
その言葉につられてドレイクが振り向くと、廊下の突き当たりに備えられた電話が、控えめなコール音と共に赤いランプを点滅させていた。
「大介、どうする?」
「出るしかないでしょう。仲間からの連絡かもしれませんし、あるいはその橘って方が……あまり気分はよろしくありませんが、何処からか見ている可能性もあります。」
「そうよね、って……きゃっ!?」
支援!
突然ハナの視界が流星の様に駆け抜けたかと思うと、一瞬で目の前に白電話のついた壁が現われる。今の今まで見ていた『島内向け放送室』の立て札は、振り返った先のはるか後ろだった。
華奢な体が小脇に抱えられているところから察するに、クロックアップを使用したのだろう。先の戦闘で目の当たりにしたが、実際に体験するとやはり常識はずれの技術であることがわかる。
おもむろにドレイクが受話器を持ち上げ、周囲に警戒を払いながら電話の向こう側へと話し始めた。
「もしもし?」
『……俺は橘朔也、数時間前放送を行った者だ。君たちの事は、勝手ながら監視カメラから確認させてもらった。』
目線を天井に上げると、こちらを見下ろすカメラのレンズが動いた。風間は放送を聞いていないので、それを聞いていたハナに確認を取ってもらった。
コホン、と咳払いを一つし会話を続けた。相手がいやに冷静なのが、背筋に冷たいものを走らせる。
「……あなたが放送を行ったのはわかりました。ですが、こうやって連絡を取ったということは我々を無害と判断してのこと……ですね?」
『ああ、さっき扉の前で交わした会話からも、君たちがゲームに乗っていないことはわかっているつもりだ。』
「でしたら姿を見せていただけませんか? ただし、私は変身をしたままで、ですが。」
受話器の向こう側から流れたのは、沈黙。直後大きなため息が聞こえ、ドレイクの引き金を握る指に力が入るが、それに気付いたのかすぐに返事が返ってきた。
『そうしたいのは山々だが、あいにく俺はこの部屋から動けない……動くことを許されていないといったほうが正しいか。』
「動くことを、許されない?」
『ああ、あの放送が奴等にとって嬉しくない物だったらしくてな。放送を中断されたうえ、出入り口にロックをかけられてしまったんだ。』
出入り口にロック、と聞いてハナの顔色が変わった。再びゆっくりと振り返り、さっきまでいた場所を見つめ返す。
風間の表情は仮面で覆われて見えなかったが、橘が何処にいるのかはもう聞き返さずともわかっていた。
『……電話を取っているあんたの銃で、部屋の鍵を破壊してもらいたい。会ったばかりで……いや、話したばかりで警戒しているかもしれない。
しかし、君がその姿で現われてからもう数分立っている。身勝手な頼みなのは重々承知だが、変身が解ける前に頼みたい。』
懇願するような、本当に追い詰められた人間独特の誠実さ。風間はその声に、ここに来る前幾度か共に戦ったZECTの青いクワガタを重ならせた。
ここまで切羽詰った頼みを無碍にするほど風間は冷血漢ではない。しかし、何のためらいもなくこの頼みを引き受けるような、お人よしでもない。
「……大介、助けてあげて。」
「ハナさん?」
「私も、大介の立場だったら迷うと思う。でも私たちに迷ってる暇なんてない、そうでしょう?」
……また、可憐な女性の頼みを無視できるほど、風間は器用に出来ていないわけで。
「……ハナさんにそうまで言われては、私も引っ込みがつきませんね。」
口に微笑を携え、早口で風間は受話器の向こうへ要件を告げる。
「今から十秒後にドアごと鍵を打ち抜きます。出来るだけ離れて、何かで身を守ってください。」
『ありがとう、感謝する。』
感謝の言葉を合図に一旦受話器を置き、低く唸るドレイクゼクターを構えた。耳を塞いでと言おうとしたが、既に指が差し込まれているところを見ると要らぬ心配だったようだ。
ゆっくりと手を伸ばし……撃つといってからきっかり十秒後、引き金が数度引き絞られた。
◇ ◇ ◇
無我夢中で振り回したことが、効を成したらしい。風のエルはその幸運を自らの仕える黒き神に感謝した。
ビルに深々と突き刺さるパーフェクトゼクターの先端からは、転々と黄色いエネルギーが溢れている。大方、知らぬ間にハイパースティングでも打ち込んだのだろう。
ふと腹部に鋭い痛みを感じてない手を当てると、嫌な感触とともに赤い雫が滴り落ちた。さしもの風のエルといえど、二度も必殺技を食らった体は限界寸前だった。
このまま飛び降りてどうしようかと考えていた矢先、猛禽のような青い目がとある影を捉えた。
「……あれは……」
草の緑に紛れ見えづらいが、紛れもなく人の体だった。濃緑色のスーツに覆われたそれには、どの生物も等しく持っているものが欠けている。
それすなわち、首。
ニィ、と口を歪め短く吼えた。壁から足を使って剣を引き抜いて数m下の地面へと着地し、倒れている骸の首のあった場所に噛み付いた。
「……んむ……ぅ……はぁ……」
数時間ぶりの血の味に、口から漏れる吐息を抑えられない。新鮮なものでないのは少々残念だが、そんなことよりも今はこの蜜を味わうほうが大切である。
時折ペッ、とペレットのように金属部品を吐き出す。純粋な人間だろうがそうでいまいが、もう血の味さえあれば関係のないことだろう。
次は爪で腹部を切り裂き、辛うじて残っている臓器を頬張った。噛み締めるたび濃厚な血を吐き出すこれは、風のエルにとって最高の珍味だ。
堪能し切った抜け殻を最後に細かく口内で刻み、喉を鳴らして咀嚼する。帰ったら同じエルロードであるあの獅子にも進めてみようかと思うが、やめる。
「これは……我の物だ。」
耐え難いほどの独占欲。ここに来る前までなら、絶対に考え付かなかった感情だ。
一つ一つ腹から摘んで口に運んでいたが、もう面倒になってきた。思い切って、その顔を直接近づけ、貪り始めた。
まるで獣のように死肉を食らう姿に、かつての誉れ高き神の遣いの影はどこにも見えない。しかし、その本人はその事に気付こうともせず、乾いた笑みがこびり付いたままだ。
飛び散った血飛沫の一つが目に触れる。つぅと流れ、頬を通り口へと運ばれるそれはまるで涙のようにも見えた。
けふ、と口をついて出てきたのは満足の証。失った体力はまだ回復できていないものの、それに足る充実感は得ることが出来た。
戯れに頭部を捜してみると、存外簡単に見つかった。目は濁り表情は苦悶の物だが、口端が笑っていた事がなぜだか気に入らない。
「……!」
ちょうどいい、どうせなら万全の体調でゆっくり飲んでしまおう。そう思い、風のエルは失った左腕の代わりに男の長髪をくくり付けた。
辺りを見回して、少し遠くのほうに病院があるのを思い出す。数時間前襲撃した場所ということもあり余り気は進まないが、あそこなら自分の傷も癒せるだろう。
今すべき事は傷を癒し、主を見つけること。自分を墜とした青い戦士の姿を脳裏に焼き付けながら、風のエルはとぼとぼと病院までの道を歩き始めた。
【G-3 病院への道】
【1日目 夕方】
【風のエル@仮面ライダーアギト】
[時間軸]:48話
[状態]:血塗れ。頭部にダメージ。全身、とりわけ腹部に重度の負傷・行動原理に異常発生。左手首欠損。二時間能力発揮不能。
[装備]:パーフェクトゼクター(+ザビーゼクター)
[道具]:一文字の首。
[思考・状況]
基本行動方針:優勝して帰る。 帰ったら…?
1:病院へ行き傷を癒して、主(風間)を探す。
2:「仲間」を持つ「強き者」を殺す。容赦する気はない。
3:人を殺すことに、快楽を覚えた。
4:青い射手は要注意。次会えば仕留める。
5:人間の血から、主の人間へ抱く感情の一端を知りたい。
6:パーフェクトゼクター(名前は知らない)の使用法を理解。有効活用したい。
[備考]
※デネブの放送、および第一回放送を聞いていません。
※首輪の制限時間に大体の目星を付け始めました。
※パーフェクトゼクターへの各ゼクターの装着よりも、基本的には各ライダーへの変身が優先されます。現在は資格者不在のザビーゼクターのみ装着されています。
※風間をオーヴァロードと勘違いしています、また風間=ドレイクだと気付いていません。
※一文字(R)の死体の血を飲みました。胴体の損傷は激しいですが、頭部は手付かずのまま風のエルの左腕にくくりつけてあります。
◇ ◇ ◇
周囲に誰もいないことを確認しながら、慎重に建物のドアの前に立つ。開いた自動ドアの向こうに見える薄暗いロビーと、その先にある分かれ道に今のところ人影はない。
(とりあえず大丈夫かな……)
構えていた警棒をしまい、振り返った五代は後ろの二人へと頷いた。それを合図に結花と城が足を踏み入れ、すぐさま音を立てず扉が閉まる。
ふと城が視線を横にずらすと、薄汚れたソファが目に入った。光源の少ない暗がりの中、埃の中に微かに人の座った跡が見受けられた。
「誰かがいた事は、間違いないようね。」
城の言葉を聞き、心配そうに上を見上げた結花は天井の中に光る物を見つける。こちらを見下ろす監視カメラに、突然すべてを見抜かれてしまいそうな恐怖を覚えてしまう。
自分が人間ではないこと。そのことを隠していたこと。さほど後ろめたいわけではないが、どうしても後ろ向きに考えてしまうのが結花の性分だ。
「光さん、階段見つけました。そこの右奥の階段が屋上につながっているはずです。」
備えかけの案内図の上を五代の指が走り、城に見えるよう階段の位置まで進む。大体の位置を理解した城は、短くそうかとだけいいその階段へと足を向ける。
曲がり角の直前で立ち止まって、右の通路に誰もいない事を確認し、念のため左側の通路も見て、結花たちに安全だということを眼で伝えた。
その後姿が角の向こうへ消え、五代もそれに続こうと足を踏み出した。思考の渦から帰って来た結花もそれに気づき早足で行こうとするが、足元に落ちている物に気付くのが遅れた。
「っ……きゃっ!?」
大したことはない、誰かが落としたパンの袋か何かだろう。靴の下にあったやわらかいそれを踏んでしまい、結花の体は見事に地面とぶつかってしまった。
頭部に鋭い痛みが走り、結花の目に一筋の涙が宿る。しかしそれは痛みによるものでなく、どちらかといえば簡単に転んでしまう自分への不甲斐なさから来るものだ
「どうして……」
どうして自分はこんなにも足を引っ張ってしまうのだろう。
ぽたりと涙の雫が零れ落ちる。床に映った自分の姿に、一瞬だけ、オルフェノクの姿が被ったような気がした。
「……っ!?」
「結花さん、大丈夫? 立てる?」
ハッとして眼を開けると、そこには手を差し出し、心配そうな表情でこちらを見る五代がいた。夕日に照らされたその顔が、その表情にどこか寂しげな色を加えている。
手を伸ばしたら届くはずのその手を、結花は半ば無意識に――――握らず、振り払った。
「えっ……」
「……! あっ、あの、大丈夫です。一人で立てますから……」
驚愕に染まる五代の顔を見ていたくなくて、結花は顔を伏せたまま立ち上がり、スタスタと歩いていく。後ろから五代もついてくるが、振り返りたくはなかった。
どうして手を掴まなかったのか。確かに五代に対して……ほんの少し、本当にほんの少しだけ思うところはあった。
だが、手を振り払うほど、自分は五代のことが嫌いだったのか? そうまでして、自分から遠ざけたかったのか?
わからない、わからない、わからない。考えれば考えるほど、心に巣食う疑心という名の闇は、深く深く根を張っていく。
このままでは……いつか、自分が仲間に手を出してしまうのではないか。そう考えると、結花は体の震えを抑えることが出来なかった。
(木場さん、海堂さん……私、私が怖いです。)
少女の心には、いまだ影が差したままだった。
……そして、それから数十秒後。無人となったロビーに新たな人影が現れる。
「……よし、誰もいないようだ。」
左の角からひょっこりと顔を出したのは、サングラスをかけた橘だった。後ろからはハナと、変身の解けたらしい風間が続く。
「これから、どこへ向かうんです?」
「それなんだが……ハナ、だったな。本当なのか? 君の仲間に、志村とカテゴリーQがいるというのは?」
話を振られ、ハナの肩がピクリと震える。橘自身はそうプレッシャーをかけたわけではないが、黒スーツにサングラスの男性に凄まれると、流石に動じてしまう。
「ええ……あと、剣崎って人の知り合いもいました。」
「何……!?」
あわてて口を押さえるが、その動揺は隠し切れぬものでなかった。まさか、今になって剣崎の名が出てくるとは思いもよらなかった。
落ち着きを取り戻すためにも咳払いを一つ払って、話を元の方向へと戻す。
「実は、さっきその志村がここに立ち寄ったんだ。」
「えっ……?」
「仲間と来ている様で、表で戦闘を行っているらしかった。しかし、一足遅かったようだな……」
志村の仲間と聞いて、ヒビキや一文字の顔が頭を過ぎった。戦闘事態は、風間も風のエルを通じて聞いてはいる。しかし……
(人の子ではない……引っかかりますね。)
人間ではない、という意味だろうか。もしそうだとすれば、志村の仲間かあるいは戦っていた相手は人間ではないワームか、あるいはそれに順ずる何かということになる。
どうやって人かどうかを見抜いているかはさておき、もしワームなら誰かに擬態している可能性が高い。それも、まだ死んでいない参加者に擬態したほうがいろいろと有利なはず。
(ハナさんの言う危険人物には志村とやらにそっくりな男もいる……何にしても、少し様子を見るべきですね。)
「俺としては志村を追いたい……だが、カテゴリーQもいずれここに来るのだろう?」
「うん……放送を行う手筈になってるわ。」
「では、放送が行われたらここへ戻ってくるのはどうです? 私としても……」
風間の右手がハナの顎へと伸び、頬を撫でる。その表情は、紛れもなく一流メイクアップアーティストのそれだ。
「そろそろ可憐な花を色ど……ぐふぅっ!?」
風間のセリフは最後まで告げられず、その腹にはハナの鉄拳がめり込んでいた。咳き込み、崩れ落ちる姿を見て、思わず橘の顔に笑みが浮かぶ。
それに釣られるようにしてハナも噴出してしまい、仕舞いには殴られた風間も苦笑いを禁じえない雰囲気になってしまった。
「……仲いいんだな、あんた達。」
「何か言った?」
「いや、何も?」
笑いながら歩みを進め、二人に続き立ち上がった風間も自動ドアをくぐる。夕焼け色の空に、ドレイクゼクターが嬉しそうに飛び回った。
とりあえず向かう場所は、話し合った結果市街地エリアとなった。人を探すついでに、風間がメイク道具を調達したいとのことらしい。
(城さん、五代さん、結花ちゃん……すぐに、戻るから。)
少女の胸には、絶えず希望の光が差していた。
僅かなきっかけからすれ違った、二つの集団。互いが互いを探しながらも、進んでいく方向はまるで別物。
この先また出会えるか、そのときには何人になっているか――――誰にも、わからない。
【G-3 放送局前】
【1日目 夕方】
【共通備考】
1:それぞれが別の世界、時間から連れてこられた事を把握しました。
2:仲間や要注意人物など、交友関係についてある程度の情報交換を行いました。
3:城たちと入れ違いになった事に気付いていません。
【橘朔也@仮面ライダー剣】
【時間軸】:Missing Ace世界(スパイダーUD封印直後)
【状態】:悲しみ。顔・背中・腹部に打撲。生きる決意
【装備】:ギャレンバックル
【道具】:基本支給品一式、ラウズカード(スペードJ、ダイヤ1〜6、9)、レトルトカレー、ファイズブラスター
【思考・状況】
基本行動方針:ゾル大佐への責任をとり、主催者を打倒する為、生き残る。
1:風間たちの仲間を探し、城たちの放送があれば放送局に戻って合流。
2:カテゴリーQである城は今のところ保留。牙を剥くようであれば封印する。
3:信頼できる参加者と大学でトランク(ファイズブラスター)を解析する手筈を整える。
4:死神博士にゾル大佐の遺言を伝える。
5:アンデッドを死亡させたメカニズムの解明。
【備考】
※放送室には個人で参加者の携帯、もしくは全島各所にあるスピーカーへの放送が可能な準備が整っています。
※午後二時に各参加者の携帯へ向けて放送が行われました。
※橘は自身の姿を映して放送を行ったつもりですが、主催者側の介入でスノーノイズが発生しています。ただし、音声はクリーンです。
【風間大介@仮面ライダーカブト】
[時間軸]:ゴンと別れた後
[状態]:鼻痛(鼻血は止まっています)。 全身に大ダメージ。鉄塔に宙づり。ドレイクに二時間変身不能。
[装備]:ドレイクグリップ、ドレイクゼクター
[道具]:なし
【思考・状況】早期に殺し合いを止めた上でのスマートブレイン打倒
基本行動方針:打倒スマートブレイン
1:市街地へ向かい、仲間らの捜索とメイクアップ道具の調達。
2:協力者を集める(女性優先)
3:謎のゼクターについて調べる。
4:あすかの死に怒りと悲しみ。
5:移動車両を探す。
6:影山瞬に気をつける。
【備考】
※変身制限について把握しました。
【ハナ@仮面ライダー電王】
[時間軸]:劇場版・千姫と入れ替わっている時
[状態]:小規模の打撲、疲労大分回復、悲しみと強い決意。
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、洗濯ばさみ、ミニカー7台
【思考・状況】
基本行動方針:脱出する
1:仲間と行動。後ほどヒビキたちや城達とと合流。
2:仲間を探して一緒に脱出する。
3:イマジンに対する自分の感情が理解出来ない。
4:危険人物に気をつける。
5:モモタロス、デネブ、あすか、イブキら仲間達の分まで戦う
7:結花が人じゃない?どういう意味?
6:志村が妙に胡散臭い。
【G-3 放送局内】
【1日目 夕方】
【共通備考】
ハナたちと入れ違いになった事に気付いていません。
【五代雄介@仮面ライダークウガ】
[時間軸]:33話「連携」終了後
[状態]:全身打撲、負傷度大(応急手当済み)、強い自己嫌悪(やや持ち直す)。ナイトに変身不可(1時間半)。
[装備]:カードデッキ(ファム)、警棒@現実、コルトパイソン(残弾数5/6:マグナム用通常弾)
[道具]:警察手帳(一条薫)
[思考・状況]
基本行動方針:絶対に殺し合いを止め、みんなの笑顔を守る、だが……?
1:鳥の怪人からハナを救出し、結花の笑顔を守る。
2:北條を救出するために、乃木の命令を可能な限りで遂行する。
3:白い未確認生命体(アルビノジョーカー)、ダグバ、ガドル、牙王を倒す。
4:金のクウガになれなかったことに疑問。
5:剣崎の分まで頑張って戦い、みんなの笑顔を守りたい。
6:鳥の怪人はなぜ結花に何もしなかった?
7:屋上の人影が気になる。
【備考】
※第四回放送まで、ライジングフォームには変身不能
※ペガサスフォームの超感覚の効果エリアは1マス以内のみです。また、射撃範囲は数百メートル以内に限られます。
※ドラゴン、ペガサス、タイタンフォームには変身可能。ただし物質変換できるものは鉄の棒、拳銃など「現実に即したもの」のみで、サソードヤイバーやドレイクグリップなどは変換不能。
※葦原涼の「未確認生命体事件」の終結を聞き、時間軸のずれに疑問を持ちました。
※葦原涼のギルスへの変身能力について知りません。
【城光@仮面ライダー剣】
[時間軸]:40話、トライアルについて知った後
[状態]:膝などに軽い擦り傷。腹部に裂傷(中程度:応急手当済み)。各部に中程度の打撲。ファムに変身不可(1時間半)。
[装備]:カードデッキ(ナイト)、冥府の斧@仮面ライダーアギト
[道具]:基本支給品・トランシーバーA・ラウズカード(スペードQ/K)
[思考・状況]
基本行動方針:このゲームから脱出する。主催にはバトルファイトを汚した罰を与える。
1:鳥の怪人からハナを救出し、『放送』の指令を遂行。
2:北條奪還のため、まずは『青いバラ』『首輪』の入手。
3:他の参加者とは必要以上に関わる気はない。邪魔ならば排除するが基本的に放置。
4:剣崎の死、北條の言葉、乃木との戦闘から首輪制限下における単独行動の危険性を認識。
5:五代の態度に苛立ちつつ、僅かに興味。 志村に違和感。
6:イブキの代わりに、結花の面倒を見る
7:首輪探知手段の支給という行為に疑問
8:鳥の怪人はなぜ結花に何もしなかった?
【備考】
※トランシーバーの有効範囲は周囲一マスまでです。
※以下の様に考えています
青い薔薇は首輪と関係がある
ライダーの強化フォームはなんらかの制限が掛かっている。
【長田結花@仮面ライダー555】
[時間軸]本編第41話終了直後(武装警官を一掃する直前)
[状態]小程度の負傷、人間への不信感(中度) 、海堂・イブキの死に対する強い悲しみ。
[装備]変身鬼笛・音笛、音撃管・烈風、ディスクアニマル(アサギワシ)
[道具]ライダーブレス(ケタロス:資格者不明)、青い花びら、トランシーバーB
[思考・状況]
基本行動方針:木場と合流する
1:ハナを見つける。
2:「人間ではない」城光に若干の好意。「人間」の「警官」北條には強い警戒心。
3:仲間達に嫌われたくない。オルフェノクであることは極力隠す。でも、いつか何かをする時が……?
4:指令なんて、どうしたら……?
5:自分の無力さを嫌悪。
6:五代に対してわずかな悪感情。
※イブキの亡骸がドラグブラッカーに捕食されたのを目の当たりにしています。
※トランシーバーの有効範囲は周囲一マスまでです。
◇ ◇ ◇
「やぁ〜ん、脱出されちゃったぁ〜!」
ビルの一室で、一人反吐が出るほど甘い声で叫んでいるのは、衛星を通じて島をモニタリングしていたスマートレディだった。
彼女の目の前にあるデスクトップは、橘を閉じ込めていたドアが破壊される瞬間を繰り返し流し続けていた。開いたドアから、青い装甲の戦士が侵入するところで、最初の映像に戻っていく。
「せっかく時間を教えてあげたのにぃー。」
「勝手な真似をしてくれましたね。」
不意に凄みのある声を聞き、急いで振り返るとこちらを見下ろす村上がいた。その視線は繰り返される映像に向けられており、明らかに不機嫌なのが見て取れた。
「あ、あら社長、勝手なことって……」
「とぼけないでください。私に無断で、参加者に干渉しましたね。何故です?」
ドキリ、とスマートレディの体内から音がする。もしかしたら村上に聞かれたのではないかと思うほどの大きな音だった。
「だ、だってぇ勝手に放送を行っちゃう悪い子には……」
「そうではありません。何故、あんなことを言ったのですか?」
あんなこと、と言われると心当たりは一つしかない。橘に二度目の干渉を行った際、個人的に伝えたメッセージのことだ。
『あんまり人を信用すると、また騙されちゃいますよぉ?』
自分のセリフがフラッシュバックし、スマートレディの顔が青ざめる。何故と言われても、理由などこれっぽっちもない、ただの皮肉なのだから答えようがない。
というか、橘はまた騙されているという皮肉に気づかなかったのだから、何も問題ないはずだ。村上の溜息が、ほのかに呆れた感情を匂わせる。
「……気づかなかったからよかったものの、以後慎むようにしてください。それとそろそろ……」
「あ、はぁい放送ですね? 三回目、がんばっちゃいまーす☆」
逃げる口実が見つかったとばかりにそそくさと部屋を出て行くスマートレディを尻目に、村上の足は空席となった椅子へ伸びる。
しばらく退屈そうに映像を眺めていたが、やがて飽きたのかデスクトップの電源を落とし、ゆっくり背もたれに体重を預け目を閉じた。
「王よ……もうすぐ、すべての準備が整う。」
うわ言の様に告げられた村上の言葉は、誰にも聞かれることはなかった。
以上、投下終了です。多数の支援ありがとうございました。
ご意見ご感想、指摘矛盾点等ありましたらよろしくお願いします。
投下乙です!
放送局に集ったメンバー同士が戦い、出会い、すれ違い…
どうなるのか先が読めない話でハラハラドキドキしました!
大介カッコイイ!ハナさんとのやりとりには和みましたw
入れ違いになってしまった五代たちとは今後合流できるんでしょうか?
エルもダメージを受けながらも新たに動き出しましたし、社長の口からその目的らしき
言葉も聞かれてこれからも波乱がありそうで楽しみです!!
GJでした!
◆RIDERjbYCMさんも代理投下の方もお疲れ様でした。
どうやったら風のエルが死なずにハナは助け出されるだろうかと思ってましたが、こうきましたか。
(風のエルが死ぬ以外に収まらないだろうと思っていたので)
ハナ達、ニアミスしてしまって今後がおおいに気になります。
しかし、それより気になる点が。
> 風間大介がドレイクであることを、彼……あるいは彼女はまったく知らないという事。
さすがにちょっと無理がないだろうか・・・と思います。
自分としては、精神状態が正常でないのでその辺りをちゃんと覚えていないもしくは思い出せないというのは
まあアリかもしれないと思わなくもないですが、他の方々はどうかというと・・・苦しいのではないでしょうか。
それから、地の文(セリフでない部分)が誰の主観なのか、もしくは誰の主観でもないのかわからなくなる事があります。
その他細かい点を。
> きかけた日の光が降り注ぎ、緩やかなそよ風が全身を包みこむ。
「傾きかけた」の「傾」が抜けているんでしょうか?
> (拾わせる……のは無理でしょうね、あの短い腕では掴むのも難しいといったところですか。)
ドレイクゼクターの場合、腕ではなく足(肢?)だと思います。
> 「それとも……こんな危ない女は、好みじゃないかしら?」
・・・なぜハナはこんな事を言ったんでしょう? 電王は見た事がありませんが、軽口や冗談にしてもこういう事を言うキャラではないと思っていたんですが。
> 「ともかく、急ぐわよ。私たちもなさねばならない用があるからな。」
城光の口調からすると「急ぐぞ」だと思います。(ブレイド本編では「食べちゃうわよ」と冗談ぽく使ったきりだったはずです)
> 連続で襲い掛かる衝撃に成す術もなく、風のエルの体はビルの外へ放り出された。
屋内から屋外へ放り出されたように読めてしまいます。屋上で戦っていたはずですよね?
「風のエルの体はビルの屋上から宙へ放り出された。」という感じの方がいいと思います。
> 近くで仲間が戦っていると入っていたが、あくまでこの放送局の外の話だ。
「戦っているとは言っていたが」の変換ミスでしょうか。
> そもそも志村意外誰もこの門を潜っていないのに、どうして上の屋上から爆音が起こるのか。
「志村以外」ですね。
> 耳を塞いでと言おうとしたが、既に指が差し込まれているところを見ると要らぬ心配だったようだ。
ハナしかいないのは一応わかっていますが、橘と電話した後でもありますし「ハナに」と入れた方がいいでしょう。
> 無我夢中で振り回したことが、効を成したらしい。風のエルはその幸運を自らの仕える黒き神に感謝した。
何がどう功を成したのかわかりません。少なくとも自分には。
思わず発射したハイパースティングでライダーシューティングを相殺した?
のであれば、もう少しわかりやすく書いたほうがいいと思います。
> ビルに深々と突き刺さるパーフェクトゼクターの先端からは、転々と黄色いエネルギーが溢れている。
「点々と」だと思います。
というか、突き刺さっているのに先端が見えている・・・?
> 「誰かがいた事は、間違いないようね。」
城光の口調からすると「間違いないようだな」だと思います(が、これくらいは許容範囲だと思います)
> 戦闘事態は、風間も風のエルを通じて聞いてはいる。
「戦闘自体は」でしょうか。
最後に風間の状態表、まだ宙吊りのままになっています。
自分が気づいた点は以上です。長くてすいません。
どうでもいいけど電話するドレイクって想像するとすごいシュールw
>>340 指摘感謝です。
誤字と描写不足は、wiki掲載時にこちらで直しておきます。
ハナの
> 「それとも……こんな危ない女は、好みじゃないかしら?」
と、城の
> 「ともかく、急ぐわよ。私たちもなさねばならない用があるからな。」
> 「誰かがいた事は、間違いないようね。」
これらは、完全に自分の把握不足です。キャラの口調に沿うよう手直ししておきます。
>無我夢中で振り回したことが、効を成したらしい。風のエルはその幸運を自らの仕える黒き神に感謝した。
功を成したというのは、「落下中無我夢中で振り回していたら、運良くハイパースティングが発動し壁に突き刺さった」という意味です。
> 風間大介がドレイクであることを、彼……あるいは彼女はまったく知らないという事。
これについては……多少苦しいとは思いますが、今知らせるのは得策ではないと判断しました。
とりあえず、覚えていないもしくは思い出せないでもスジは通りますので、その方向で修正を考えてみたいと思います。
投下&修正乙です!お待ちしております。
大介救出・大活躍と橘さん合流でこっちでも対主催集団結成か!?と思いきや
すれ違いになっちゃってやきもきしますねwそうは問屋が卸さないって感じです
結花ちゃんと五代の心の隔たりもじわじわと広がってて何か起こりそうで気になりまくります。
読み応えあのある作品GJ!
久しぶりに読みに来たら力作が投下されていた。
相変わらず迫力ある描写!
GJです。
投下乙です!ライダーロワはファーストから本当に面白いなあ。
社長の言ってる王はやっぱりアークの事なのかなあ?
本編でも結局眠らせただけで倒せなかったし奴が登場したらそうとうやばい気がする!
投下乙です。
擦れ違いになってしまったけど、
橘さん、やっと騙されずに済む相手のみのチームにw
それぞれの思惑がどう動くのか、楽しみです
GJ!
仮投下板にTrafficsの修正版を上げています。もう5日ほど経ちましたが(汗)
仮投下板の
>>407-414です。
ご意見をお願いしたいと思います。
wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
失礼、操作ミスです。
どこかに書き込もうとしてミスったかw 不意打ちすぎてこっちも笑っちまったw
ワロタ
お茶目すぎバロスwww
352 :
創る名無しに見る名無し:2009/10/10(土) 20:58:16 ID:s78XkU0o
さな
353 :
創る名無しに見る名無し:2009/10/10(土) 20:59:35 ID:s78XkU0o
遅くなってすみません!
問題無いと思います。
修正お疲れ様です。
神山VSフレディ
『憎悪の声は歓喜する』の修正部分を仮投下スレに投下いたしました。
お手すきの方ご確認いただけると幸いです。
問題がないようでしたら後日他の修正点と共にwikiに反映させたいと思います。
これより仮投下します
風谷真魚、澤田亜希、北崎
本投下します
太陽が沈み始めたことにより、空は輝きを失いつつあった。
時間の流れと比例するかのように周囲は暗闇に染まっていき、辺りの温度は徐々に下がっていく。
より冷たさを増しつつある大気の中をエンジン音と共に、一台のバイクが颯爽と道を駆け抜けていた。
巨大な一つ目のような銀色のライトから放たれる一筋の光が道を照らし、二輪のタイヤが道路を容赦なく抉っていく。
夜の闇を照らす輝きを放つ竜巻の名前が付けられたバイクに、一人の少年が跨りながらハンドルを動かしていた。
黒い髪は一切の手入れが施されていないかのように乱れており、長身痩躯の体は襟が大きく開いたロングTシャツで包まれている。
運転手の正体は、このバトルロワイヤルを開催したスマートブレインが保有する上位の実力を持つオルフェノクの集団、ラッキークローバーの一角。
その名は北崎。
彼は今、柔和な笑みを浮かべていた。何も知らぬ者がそれを見れば、警戒を抱かないかもしれない。
しかしそれは温厚な人間が浮かべるような物ではなく、むしろ殺戮を自らの快楽とするような狂人が作るそれに近かった。
北崎は数時間前に戦った『仮面ライダー』達の事を考えていた。
裏切り者の木場勇治、二度に渡って自分に抗ってきた桜井と香川、スマートブレインの生み出したデルタのベルトを用いながら鬼に似た姿を持つヒビキと呼ばれた男、本気を出した自分の早さに桜井と共に追いついた葦原という男――
どれも皆、自分を歓喜させるほどの強さを持っていた。
欲を言うならば、ヒビキと同じように鬼を思わせる姿の『仮面ライダー』になれる歌舞鬼や、歌舞鬼と抗戦していたカイザとも戦ってみたかったが、途中で逃げられてしまったから仕方がない。
だがそれが気にならないほど愉快な出来事が次の瞬間に起こった。
あれはオーガに変身し、木場勇治と葦原の隙をついて無防備な人間達に攻撃を浴びせようとしたときのことだ。
重厚な鎧に包まれた『仮面ライダー』が自らの身を省みずに自分の一撃から弱者を庇い、命を落とした――
思い出すだけで笑いが止まらない、名前は確か手塚と言っただろうか。あれがきっかけとなって彼の仲間達が激昂し、自分に刃向かった。
そこから桜井と葦原はそれぞれ蠍と飛蝗を模した『仮面ライダー』に姿を変え、龍人態のスピードについてきたことが唯一の誤算だったが、あの集団相手に最後に勝ち残るのは自分であることに変わりはない。
いや、そういえば一人だけ例外がいた。桜井と似たような容姿をしておきながら、中身は月とすっぽんと言っても良い少年、桐谷京介。
他の男達が『仮面ライダー』に変身して自分に闘志を向けていたのに対し、彼だけが腰を抜かしながら恐怖に震えたような表情を浮かべていた。
あの態度は見ていて三田村を思い出させるようで、とても愉快に感じる。
もし『仮面ライダー』達を全員殺したら、桐谷を自分の家来にするのも面白いかもしれない。
「そろそろかな……」
身を切るような冷たい風を全身に受けながら、北崎はぽつりと呟く。
もうすぐ、先程の戦いによって自分に架せられた制限も切れるはずだ。それに休んでいた御陰で痛みと疲労も戦いに支障がない程度までに回復した。
これでようやく桜井を初めとする『仮面ライダー』達と戦うことが出来る。
今度はどんな玩具を使って獲物を嬲ろう、どうやって獲物を嬲ろう。
そして、どうやって『仮面ライダー』達を殺そう――
北崎は流れるように変わりゆく景色を視界に納めながら、笑顔を浮かべていた。
周辺に見えるのは微かに生い茂った林と穏やかに流れる川だけで、彼の興味に惹かれるような物は無い。
彼はこのまま竜巻の勢いに任せて、道を走ろうとした。
しかしその瞬間、彼の意識が別の場所に向けられていく。
――ガサリ
竜巻のエンジン音にかき消されてしまいそうなその微かな音は、人間の進化系であるオルフェノクの優れた聴覚を持つ北崎だからこそ聞き取ることが出来た。
ふと、何処からともなく草をかき分けるような音が聞こえる。耳に納めた途端、北崎はブレーキをかけてバイクの走りを止めた。
彼は音が聞こえた方面を振り向く。耳を澄ませると、地面を踏むかのような靴の音も混ざっているように聞こえる。
それはまるで徐々にこちらへ近づいてくるようだった。
音からして一人に思える。もしや、この近くに参加者がいるのだろうか。
考えに至った途端、北崎の感情が高ぶっていく。もしもやって来るのが『仮面ライダー』あるいは自分を満足できる強者ならば十分に遊んだ末に殺せばいいし、そうでない弱者ならば手下にすればいい。
北崎は竜巻のハンドルに手をかけ、獲物の正体を確かめるためにエンジンを動かした。
※
「ん………」
人肌程度の暖かさを後頭部に感じながら、澤田亜希は深い眠りから目覚める。
呻き声を漏らしながら瞼を開けると、その先には視界全てを覆うほどの漆黒が存在していた。
一体これは何なのだろうと、彼の中で疑問が生まれる。しかし数秒も経たない内に澤田の中でそれは解消された。
これは眠りにつく前に光を遮るため、自分がアイマスク代わりに使ったキャップ帽だ。
その事実を思い出すと、澤田は眼界を遮断する帽子を右手に取り、体を起こす。
「澤田くん……?」
聞き覚えのある声が聞こえ、澤田はその方向を振り向く。
首を動かした先には、彼がこの会場で行動を共にしている少女、風谷真魚の顔があった。
不安げな表情でこちらを見つめる彼女に対し、澤田は優しげに微笑む。
「おはよう、真魚ちゃん」
「もう、起きても大丈夫……?」
「うん、もう大丈夫だよ。心配してくれてありがとう」
真魚の心配に答えるように、澤田は笑顔で言う。
まるで心の底から彼女の事を慕っているかのように。
澤田には少なくとも真魚にそう思わせる必要があった。理由はただ一つ、自分が完全たるオルフェノクである事であることを世界に証明するために。
その為にこの会場で既に二つの命を奪った。感情などという下らない物を持っていないことを知らしめるには最高の手段だ。
真魚はその最後の仕上げ。現に彼女はそれが偽りの物とも知らずに、優しさの込められた言葉をほんのちょっと投げただけで笑顔を浮かべている。
もし、自分のことを信じ切っている真魚がこの真意に気づいたら、一体どんな表情を見せてくれるだろう。
悲哀だろうか、絶望だろうか、それとも言葉では表せないほどの物だろうか――
考えただけでも爽快な気分になるが、それを表に出すことは決してしない。
今だけはこの身に代えても真魚の為に戦う自分を彼女に見せつける必要があった。
澤田はふとスマートブレインから支給された携帯電話を開き、時計を確認する。
そこに書かれた時間を見る限り、既に夕方の時刻にまで達していた。どうやら自分の持つ全ての力を使うことが出来るようだ。
それに気がつくと、澤田は再び真魚に声をかける。
「そういえば真魚ちゃん、俺が寝ている間に何か変わったことでもあった?」
「ううん、特に何も……」
「それは良かった、真魚ちゃんに危ないことが何も起こらなくて」
真魚の心配に答えるように、澤田は笑顔で言う。
まるで心の底から彼女の事を慕っているかのように。
澤田には少なくとも真魚にそう思わせる必要があった。理由はただ一つ、自分が完全たるオルフェノクである事であることを世界に証明するために。
その為にこの会場で既に二つの命を奪った。感情などという下らない物を持っていないことを知らしめるには最高の手段だ。
真魚はその最後の仕上げ。現に彼女はそれが偽りの物とも知らずに、優しさの込められた言葉をほんのちょっと投げただけで笑顔を浮かべている。
もし、自分のことを信じ切っている真魚がこの真意に気づいたら、一体どんな表情を見せてくれるだろう。
悲哀だろうか、絶望だろうか、それとも言葉では表せないほどの物だろうか――
考えただけでも爽快な気分になるが、それを表に出すことは決してしない。
今だけはこの身に代えても真魚の為に戦う自分を彼女に見せつける必要があった。
澤田はふとスマートブレインから支給された携帯電話を開き、時計を確認する。
そこに書かれた時間を見る限り、既に夕方の時刻にまで達していた。どうやら自分の持つ全ての力を使うことが出来るようだ。
それに気がつくと、澤田は再び真魚に声をかける。
「そういえば真魚ちゃん、俺が寝ている間に何か変わったことでもあった?」
「ううん、特に何も……」
「それは良かった、真魚ちゃんに危ないことが何も起こらなくて」
我ながらいい演技だ。そう思いながら澤田は笑みを作り、そばにいる真魚に答えた。
不意に彼女の背後から見える外を見てみると、空は既に明るさを失い初めており、夕方であることを知ることが出来る。
もう近くには誰もいないだろうと、澤田が思ったその瞬間だった。
風の音と虫の鳴き声に混じって、何処からともなく鈍い音が聞こえてくる。瞬時に澤田はその方向を振り向いた。
それはバイクがエンジンを吹かし、タイヤが道路を削るような音だった。それは徐々にこちらに近づいてくる。
どうやら、この近くに参加者がいるようだ。しかも、バイクに乗っているときた。上手くいけば不意打ちを食らわせることも出来るだろう。
ただ、先程戦った鬼のように失敗しないよう、細心の注意を払わなければならない。
「澤田くん……どうかした?」
真魚の声が聞こえ、澤田は我に返る。
「真魚ちゃん、変な音が外から聞こえたからちょっとここで待ってて」
「もう動いても大丈夫?」
「大丈夫、すぐに戻ってくるから」
怪訝な表情を浮かべる真魚に対し、澤田はあっさりと答えながら立ち上がる。
彼は全ての装備が入ったデイバッグを肩にかけ、廃屋から外へと向かう。
真魚はその背中を、ただ見つめているだけだった。
※
体を休めていた廃墟から、徐々に距離が空いていることは彼は意識していない。
道を阻む草をかき分け、樹木の根を踏みしめながら澤田は音の聞こえた方向へ進んでいく。
時間帯からか、辺りの暗闇は徐々に深くなっていき、風の冷たさも増している。
耳を澄ませると、エンジン音はいつの間にか消えていた。どうやら運転手はバイクを止めたようだ。
なぜ止めたのかは、彼には判断が付かない。戦闘が始まったわけではなさそうだし、誰かと会話してるようでもない。
だからといって逃がすつもりはなかった。恐らく、共闘をしている他の参加者と落ち合う場所に着いたという可能性もある。
そうなる前に、自分が殺してしまえばいい。
考えながら澤田がもう一歩踏み出そうとした、その瞬間だった。
「へぇ、ここにいたの君だったんだ」
突如、背後より涼しい声が聞こえる。
思わず足を止めてしまい、澤田は振り向く。その途端、驚愕によって彼の両目が一気に開かれていく。
そこには、細身の長身をTシャツで包み、癖の強い髪型の青年が笑顔を浮かべながらこちらを見つめている。
青年の正体を彼は知っていた。
「北崎……!?」
思わず、澤田は名前を呼んでしまう。
それはラッキークローバーの中でも一番と言っていいほどの実力を誇り、龍の力を持つオルフェノクの北崎。
「君も僕と一緒に遊ぼうよ……?」
微笑みながら北崎は呟き、一歩一歩とこちらに足を進める。
その言葉の意味を澤田は瞬時に理解した。北崎は自分を標的に狙っている。
よりにもよって一番会いたくない相手と再び出会ってしまった。北崎は元々の実力さえも自分を上回り、更に変身システムを二つも所有している。
北崎は同じラッキークローバーの一員である琢磨逸郎ですらも、自分の快楽のために平然と暴力を加えている男だ。こんな場所で出会ってしまっては、同族たる自分ですらも命を奪われかねない。
ここで殺されては全てが水の泡だ。澤田は笑いながら近づいてくる北崎を尻目にデイバッグから銀色に輝く金属質のベルトを取り出し、腰に巻いた。
次の瞬間、漆黒の輝きを放つカブト虫を模した形状を持つ機械、ダークカブトゼクターが彼の手元へと飛んでくる。
澤田がそれを掴むのと同時に、北崎は足を止めた。
「それって……?」
北崎には目の前の光景にデジャビュを感じる。
あの昆虫は、数時間前に戦った桜井、手塚、葦原という三人の男が、自分と戦う為に使った『仮面ライダー』に姿を変える道具に似ていた。
「変身」
『HENSIN』
澤田がダークカブトゼクターをベルトのバックルに装着しながら静かに呟く。
その途端、電子音声がベルトから復唱され、腰に巻いたライダーベルトからタキオン粒子が吹き出し、六角形の金属片を形作る。
そこから続くように腰から脚部へ、胴体から両肩に、両腕から手に、首から頭部を金属片が包んでいった。
それは銀色と漆黒の重厚な装甲へと形を変え、最後に澤田の顔面が単眼の仮面で覆われていく。
全ての課程が終わるのと同時に、人工的に作られた瞳は金色の輝きを放つ。
「やっぱり……!」
澤田が仮面ライダーダークカブト マスクドフォームへと姿を変えるのと同時に、北崎は笑みを強める。
彼の感情が徐々に高まっていき、心臓の鼓動が早まっていく。
恐らくあの『仮面ライダー』は先程自分が戦った、龍人態に追いつけるほどの高速移動が可能なタイプと同じ物だろう。
予想が正しければ、あの重量感溢れる鎧の下にまだ別の姿があり、それはかなりのスピードを持っているはずだ。
『CAST OFF』
北崎が思考を巡らせている間、ダークカブトは自らのゼクターの角を百八十度の角度で倒す。
それと同時にダークカブトゼクターから人工音が鳴り響く。そこから全身の鎧に電流が伝わっていき、純銀に輝く鎧が弾き飛ばされていった。
ダークカブトの装甲が北崎の脇を高速の勢いで通り過ぎると、顎から漆黒の角がせり上がっていき、金の単眼が複眼へと変わっていく。
『CHANGE BEETLE』
人造音声と共に現れたのは、辺りの闇と同調するかのように全身が黒く煌めくカブト虫を思わせる戦士。
ライダーフォームの名を持つ形態にダークカブトが姿を変えるのと同時に、北崎の全身が龍を思わせるような漆黒の紋章が浮かび上がっていく。
そこから続くかのように、北崎の体が徐々に歪み始める。瞬き一つを許さない程の時間が経過すると、その体は大きく変質していた。
龍を思わせるような醜悪な顔面、天に向かって大きく伸びた二本の角、異様なまでに筋肉の発達した灰色に染まる全身、両腕に左右対称に生えた鋭い輝きを放つ龍の顔が刻まれているかぎ爪。
ドラゴンオルフェノクの名を持つ異形へと北崎が姿を変えるのと同時に、ダークカブトはベルトの脇に備え付けられたスイッチを右手で叩いた。
『CLOCK UP』
無機質な電子音が鳴った途端、ダークカブトの周囲を覆う時間の流れが一気に遅くなる。
地面に落ちていく木の葉の動きすらもスローモーションに映る中、ダークカブトはドラゴンオルフェノクから逃げるように勢いよく踵を返す。
澤田自身、北崎のような狂人と戦うつもりなど毛頭なかった。
いくら高速移動の能力を持っていたからと言って、それは十秒にも満たないほんの僅かな時間だ。それだけであれを相手に勝てるとは思えない。
恐らく北崎自身も先程の戦いによる時間制限が解除されているはず。
認めたくはないが、あれ程の化け物と真っ向から相手にしたところで返り討ちに合うのが落ちだ。
北崎に関しては他の参加者と戦って潰れるのを待てばいいだけだろう。
思考と共に木々の間を音速すら上回る速度でダークカブトは駆け抜けていたが、その足がこれ以上進むことはなかった。
「ガアッ……!」
走っている最中、突如として背中に激痛が走り、そのまま俯せの体制で地面に倒れてしまう。その衝撃で肩にかけていたデイバッグを放り落としてしまった。
澤田の呻き声と共にダークカブトの仮面の下で顎の拘束が緩んでいく。
一体何が起こったのか。
痛みから併発される熱に襲われながらも起き上がろうとするが、途端にその背筋が発達した異形の足によって踏みにじられた。
「何処に行くの?」
無邪気な、それでいて怒りの込められた声がダークカブトの頭上から聞こえる。
その正体は言うまでもなく北崎のそれだった。
ダークカブトは驚愕しながらも、首を背後に動かす。見ると、そこには先程の龍に酷似したのとはまた違う姿のオルフェノクが立っていた。
頭部に生えた左右に向かって伸びる二本の角、額で水晶の如く煌めく漆黒の球体、灰色を基調とした細身の肉体に所々突き出した棘。
その正体をダークカブトは知っていた。先程の『魔人態』とは異なり、防御力を捨てる変わりに凄まじい敏捷性を得られる『龍人態』の名を持つドラゴンオルフェノクのもう一つの姿。
『CLOCK OVER』
クロックアップの状態が終了することを知らせる電子音が鳴るのと同時に、ダークカブトの速度は元の状態へと戻る。
それを合図にするかのように、ドラゴンオルフェノクは右足を振り上げ、勢いよくダークカブトの背中へと叩き込んだ。
そこから二度三度と繰り返されるようにドラゴンオルフェノクの踏みつけが襲いかかり、鎧に黄色い火花が飛び散るのと同時にダークカブトは呻き声を漏らす。
攻撃力と防御力を犠牲にした形態なのに、まるで全ての体組織がそのまま押し潰されてしまいそうな程にその一撃は重かった。
それでも、ダークカブトは背部に力を込めて意識を保っている。
やがて何度目かになるか分からない打撃の後、ドラゴンオルフェノクは攻撃の目標を脇腹へと定め、そのまま勢いよく蹴りつけた。
ボールが飛び跳ねるかのようにダークカブトの体が地面を数回転がってしまう。
全身が鈍い痛みに襲われ、視界がぼやけていくが、ダークカブトはドラゴンオルフェノクに目を向ける。
「ねぇ、どうして逃げるの?」
ドラゴンオルフェノクはそう呟きながら、ゆっくりと歩みを進める。
失敗だった。
龍人態が圧倒的な瞬発力を持っていたと言うことは聞いていたが、まさかここまでだったとは。
キャストオフをした瞬間そのまま逃げるのではなく、クナイガンを用いて視界を奪うことをするべきだった。
そうすれば、逃走の確率が上がっただろうに。
ダークカブトは自分の認識の甘さを呪いながら立ち上がるが、その途端にドラゴンオルフェノクは腹部を目掛けて拳を打ち出してくる。
それをまともに浴びた彼は再度吹き飛ばされてしまい、そのまま背中から地面に叩きつけられてしまう。
「せっかくだからもっと遊ぼうよ」
微かな呟きと同時に、ドラゴンオルフェノクの姿はかき消えていく。
その刹那、ダークカブトの体は宙に浮かび上がり、痛みと共に脇腹から血飛沫が吹き出すかのように火花が飛び散る。
そこから続くかのように四肢の全てを使った無数の打撃が嵐のように襲いかかり、視界が反転していく。
ダークカブトの体が地面に落ちようとした瞬間、ドラゴンオルフェノクの拳がその背中を捉える。
まるで金属バットで殴られたかのような痛みを感じる度に、ダークカブトは周囲を駆け抜けている灰色の影を視界に捉えているが、絶え間ない攻撃と激痛によって体がついて行くことが出来ない。
もはやこれは戦いと呼べるような代物ではなく、一方的な嬲り殺しに等しかった。
「グッ……! ウオォォォアァァァッ!!」
ドラゴンオルフェノクの重い打撃によるダメージが徐々に蓄積され、ダークカブトは悲鳴にも聞こえるような絶叫を上げる。
クロックアップを使用する暇すらも与えてもらえず、ただ宙を漂うことしかできない。
やがて何度目になるのか分からない攻撃の後、ダークカブトは勢いよく地面に転がっていく。それと同時にドラゴンオルフェノクの早さも通常の状態へと戻る。
圧倒的な実力の差を再度認識され、ダークカブトの腸は煮えくり返っていた。だが悔やんだところで、事態が変わるわけではない。
ダークカブトはよろよろと起きあがりながら、銃を持つような形でゼクトクナイガンを構え、光弾を放とうとした。
しかし引き金を引こうとしたその瞬間、ドラゴンオルフェノクが姿勢を低くしながら懐に入り込み、右手で握り拳を作る。
そして顎に狙いを定めて勢いよくアッパーの要領で叩き込んだ。
「ガハッ……!」
ドラゴンオルフェノクの拳を受けたダークカブトは呻き声を漏らし、その体が吹き飛ばされていく。
数トンの重さに対抗することは出来ず、宙を舞う彼の体は重力によって自然に地面へと叩きつけられていった。
それが引き金となったのか、これまで蓄積されたダメージがついに限界を迎え、ダークカブトゼクターがベルトから離れていき、ダークカブトの鎧を構成しているヒヒイロカネが崩壊し、澤田は元の姿に戻ってしまう。
激痛で表情を歪ませる澤田を見た途端、ドラゴンオルフェノクの全身がボコボコと音を立てながら盛り上がり、表面が歪んでいく。
瞬間、その体は一気に変化を果たす。
見る物全てを震え上がらせるような顔面、太さを増した二本の角、筋肉の発達した胸板、両腕に付けられた龍の顔を思わせる模様の爪、大木のような太さを持つ両足。
数秒もの時間が経たない内に、魔人態の名を持つ形態へとドラゴンオルフェノクは姿を変えた。
「君、とっても弱いね。それでも『仮面ライダー』なの?」
ドラゴンオルフェノクは愉快そうに、そして冷たく言い放つ。
『仮面ライダー』―― その言葉は澤田にも覚えのある物だった。
この殺し合いの主催者たる村上峡児が口にした言葉で、それはスマートブレインが生み出したベルトの戦士と同じように、強大な戦闘力を持つ存在らしい。
だがそれは今の澤田にとってどうでもいい事だった。今必要なことはこの事態から脱出する方法のみ。唯一の手段がたった今費えてしまった。
たとえオルフェノクの力を発揮して戦った所で、返り討ちに遭うのが関の山。カイザギアが入っているデイバッグは数メートル先に置いてあるが、あの北崎が取らせる暇など与えるわけがない。
絶体絶命とも呼べるような状況に追い込まれた途端、ドラゴンオルフェノクの体が突然ドロドロと音を立てながら形を変えていく。
一呼吸を果たせるくらいに一瞬の時が流れた後、その体は北崎の物へと戻っていった。
「あれ、もう終わり?」
時間制限によって能力の発揮を強制的に解除された北崎は、怪訝な表情を浮かべながら呟く。
その様子を見た澤田の行動は早かった。全身に異常なまでの負荷が掛かり、満足に動かすことが出来ないにも関わらずに体を持ち上げる。
直後、澤田の全身が形を変えていく。一瞬の間で彼の姿は蜘蛛を思わせる風貌をした灰色の異形、スパイダーオルフェノクへの変貌を果たした。
真魚が近くにいないことを祈りながら、スパイダーオルフェノクはその右手で自ら作り出した八方手裏剣を握り、構えを取る。
「だあぁぁぁぁぁぁっっっ!」
スパイダーオルフェノクは八方手裏剣を北崎に目掛けて、渾身の力で投げ出す。
対する北崎は驚愕の表情を浮かべながら地面を転がるようにして、高速の勢いで迫りくるそれを避けた。目標を失った手裏剣はブーメランの如く回転しながら、スパイダーオルフェノクの手元に戻ってくる。
スパイダーオルフェノクはチャンスが出来たと確信し、落ちたデイバッグを拾いながら全力で駆け抜けた。
首輪の制限によって体に異常を感じながらも、彼はひたすら森の奥へ走る。北崎に僅かながら隙が出来たが、疲労困憊の状態で戦っても勝てるわけがない。
故に、こうする意外に方法がなかった。
「あ〜あ、逃げちゃった」
木々の中へと消えていくスパイダーオルフェノクの背中を見つめながら、北崎は残念そうに口を漏らす。
彼はゆっくりと起きあがると、地面に目を向ける。
「あれ……?」
直後、すぐ側に落ちていた物を見つけて北崎は呟く。
そこには青と黒に彩られた無機質なベルトと、Xの模様が描かれた携帯電話、そして一枚の紙が落ちていた。
「これって……もしかして三本のベルト?」
その機械の正体を彼は知っていた。
スマートブレインがオルフェノクの王を守護するために生み出したと言われる三本のベルトの一本、カイザギア。
これを操る男の名前は草加雅人と言っただろうか。何度か戦ったことがあるが、その度に自分が簡単に白星を納めた。
何故それがここにあるのか。答えは簡単だ、先程自分と遊んだ澤田が逃げる途中、無意識の内に落としたのだ。
そうなると、先程の戦いで逃してしまったカイザに変身していたのは澤田と言うことになる。
「面白そうじゃない……!」
北崎は一瞬で答えを導きながら呟くと、カイザギアを拾い上げた。
※
「ハァッ……ハッ………ッハッ!」
自分を標的にした最大の驚異から全力で逃げ出したスパイダーオルフェノクは、木に背中を預けながら腰を下ろしている。
それでも変身を解くことはしなかった。もし油断して北崎以外の参加者に襲われてしまっては、笑い話にもならない。
彼の心臓は張り裂けそうな程に激しく悲鳴を上げ、呼吸も凄まじいほど荒くなっている。
分かり切ったことだが、強敵だった。今こうして生きていることが奇跡と思えるくらいに。
しかしこのまま休むわけにもいかない。今のところその気配はないが、自分を待っている真魚がいる廃墟で異常事態が起こる可能性がある。
気がつくと休んでいる間に呼吸も少しは落ち着き、痛みも和らいでいた。それを感じたスパイダーオルフェノクはライダーベルトをデイバッグにしまい、ゆっくりと立ち上がる。
不意に、彼は以前この状態で生身の北崎相手に挑んだ時のことを思い返す。あの時はしつこく絡む北崎に嫌悪感を覚え、そのまま殺そうとしたが簡単に叩きのめされた。
その後奴は自分に対して愚か者を見るような笑みを向けながらあっさりと去っていったが。
逃げる選択しかできない自分と北崎を相手に怒りを覚え、スパイダーオルフェノクは唇を強く噛んでしまう。
体が糸の切れた凧のふらつきながらも歩いていたが、それ以上足が進むことはなかった。
『Exceed Charge』
突如、何処からともなく電子音声が響く。
次の瞬間、スパイダーオルフェノクの全身に金色に輝く鎖のような光が巻き付き、動きを強制的に止められてしまう。
「な、何……!?」
それは彼がよく知るものだった。
スマートブレインによって支給されたカイザの切り札であるゴルドスラッシュに繋ぐために、カイザブレイガンから放たれる拘束具。
しかしカイザになるための変身ギアは、自分の手元にあるはずだ。
それなのに、何故――?
「君だったんだね、さっき戦ってたカイザの正体は」
頭の中で疑問が駆けめぐっていると、聞き覚えのある声が聞こえる。
鋼のように体を縛り付ける黄金の縄によって、半端な体制で四肢の動きを阻まれている中、スパイダーオルフェノクは声の正体を一瞬で察知した。
それはつい先程、自分を散々痛めつけた北崎のそれだった。
このことによって示される事実はただ一つ、現在カイザの力を使っているのは他ならぬ北崎であること。しかし何故だ、カイザギアは自分のデイバッグに入っていたはず。
考えに至った途端、スパイダーオルフェノクは一つの可能性を導く。
(まさか、逃げる最中に誤って道に落としてしまった――!?)
「バイバイ」
スパイダーオルフェノクはすぐに気づいたものの、それでも遅すぎた。
北崎の呟きと同時に、彼の脇には黄金色の輝きを放つエネルギーが、Xの形を作りながら浮かび上がっていく。
閃光へと姿を変えながらカイザブレイガンを手に持ち、駆け抜けるカイザによってスパイダーオルフェノクの体が貫かれていくのに、それほどの時間は必要なかった。
※
全てが終わった林の中で、澤田はたった一人俯せの体制で倒れていた。
唇からはひゅうひゅうと音を立てながら短い息が漏れていき、その度に彼の命が削り取られていく。
自分は完全たるオルフェノクになるためにこのゲームに参加し、カイザのベルトを手に入れた。
だが手段であるはずのカイザによって命を奪われるとは、滑稽にも程がある。
澤田は芋虫のように地面を這い蹲りながらも、ゆっくりと進んでいた。
まだ真魚をこの手で殺していない、完全なオルフェノクであることを証明するその時まで死ぬわけにはいかない。たかが出来損ないの人間一人、この手で捻り潰せるはず。
悪鬼のように表情を歪ませながらも前に進んでいたが、やがて動かなくなる。
「クッ………まだ、俺は…………」
澤田は自らに言い聞かせるかのように呟くが、もはや体の自由は効かなかった。
そのまま瞳が閉じられようとしたその時だった。
「俺は………!」
『澤田くん』
不意に、澤田の耳に声が響く。
それに気づいた彼は顔を上げると、表情が驚愕で染まる。
見ると、目の前には自分がこの手で殺したはずの少女、園田真理が満面の笑みを浮かべながら自分に手を差しのばしていた。
だが、澤田が見ているのはただの幻覚に過ぎない。しかし彼がその事実に気づくことがないまま、真理は口を開く。
「ま、真理……!?」
『澤田くんは人間だよ、昔の優しかった澤田くんのままだよ!』
真理は太陽のように優しく微笑んでいる。それはまるで命を奪った自分に向ける物とは思えないくらいに、輝いていた。
それを聞いた澤田は無意識のうちに、真理の掌を掴むように腕を伸ばす。
その途端、走馬燈のように彼女との思い出が蘇っていく。
流星塾で初めて出会った人間だったあの頃――
一緒に笑顔を浮かべながら、クレヨンで絵を描いていた日々――
悪戯をして泣かせてしまった真理を慰めるために、赤い折り紙で動物を作ってそれを渡した日――
真理と共に育ち、共に泣き、共に喧嘩し、共に笑い合った流星塾の毎日――
オルフェノクとなってしまった今となっては、どれも遠い日の異物に過ぎなかった。
それにも関わらずして澤田は、最後の力を振り絞って真理の手を掴もうとする。
何故そうするのかは彼自身分からない。けれども澤田は必死に手を伸ばしている。
しかし、彼が真理の手を握ることはなかった。彼女の指に触れようとしたその瞬間、澤田の体が青い炎に飲み込まれてしまう。
これが意味することはただ一つ、澤田の命が尽きていくまでのカウントダウンだった。彼に残された時間はもう十秒も無い。
限界に達した澤田の体は徐々に色を失い、凍り付いていく。
それと同時に、彼は自らの体が軽くなることを感じた。ふわりと全身が浮かび上がるような感覚と共に、その瞳が閉じられる。
意識を手放すのを合図とするように、澤田の身体は音も立てずに崩壊していく。
最後に残ったのは、澤田亜希という存在を証明する灰の山とそれに埋もれた冷たい首輪だけだった。
【澤田亜希@仮面ライダー555 死亡】
【 残り28人 】
※澤田亜希の遺体は灰化しました。
主の身体が崩れていく様子を見届けながら、ダークカブトゼクターは宙を漂っている。
本来のパートナーと瓜二つの容姿を持ち、絶対なる強さを持つ自分の兄弟が認めたあの男の命を奪ったことから、彼に力を貸した。
だが結果がこんな末路だったとは。もっとも、クロックアップに匹敵するほどの高速移動を使える上に、かなりの手練れが相手では仕方がないかもしれない。
運が悪かったと諦めるしかないだろう。主に付き添っているあの少女に関してはこれから生きようが死のうが、自分の知ったことではない。
とはいえ、今やるべき事は次の主を捜すことだ。
主の命を奪った龍の力を持つあの男は、ベルトを手に持って移動している。
あれについて行けば、自分に相応しい者と巡り会えるだろうか。
ダークカブトゼクターは太陽が沈み始めた夜空の中で、たった一人羽ばたいた。
※
竜巻に跨り、ハンドルを動かしながら北崎は笑みを浮かべている。
彼の中では、一つの自信が出来上がっていた。
あの桜井達が変身した高速移動を使う『仮面ライダー』に難なく勝つことが出来た。攻撃を殆ど許さずにこうも圧倒的に。
これならば、勝利の余韻に浸っているあの『仮面ライダー』達を叩き潰せる。
もしも、それが出来たら愚かな彼らはどんな表情を浮かべるだろう、どれくらいの絶望を自分に見せてくれるだろう。
くつくつと喉を鳴らし、狂喜に満ちた笑顔を浮かべながら、肩にかけたデイバッグに目を移す。
この中にはカイザのベルトと、先程澤田が変身した黒い『仮面ライダー』に変身するための道具が入っている。
これだけの装備さえあれば、自分の勝利は揺るぎない物だ――!
「さあ、待っていてよ『仮面ライダー』達……!」
次なる参加者を求めるように、北崎は高らかに笑いながら進む。
その勢いを止めることの出来る者はいなかった。
※
「澤田くん……」
真魚は自分の膝の上に乗せた澤田のキャップ帽を見つめながら、一人で呟く。
彼が再び出てから、大分時間が経った。
時折、何処からともなく何かが壊れるような音が聞こえ、その度に彼女の不安は強くなっていく。
様子を見ようと思ったが、澤田からはここで待つように言われた。
故にここから動くことが出来ずに、彼の帰りを待つしか彼女は出来ない。
もうすぐ、三度目になる悪魔の呼び声が聞こえる。
そこで呼ばれる澤田亜希の名前を聞いた彼女が一体どうなるのかは、まだ誰にも分からない。
真魚はまだ、残酷な真実を知らない。澤田が二度と帰ってこないことを知らない。自分が一人になってしまったことを知らない。
【1日目 現時刻:夕方】
【北崎@仮面ライダー555】
【現在地:F-6】
[時間軸]:不明。少なくとも死亡後では無い。
[状態]:全身に中程度の疲労、小程度のダメージ。ドラゴンオルフェノク・カイザに変身不可(2時間)。
[装備]:カイザギア(全装備付属)、オーガギア、シザースのデッキ、スパイダーオルフェノクの八方手裏剣
[道具]:竜巻、ディパック(三田村、澤田、天道、基本支給品×3)
澤田のデイバッグ(不明支給品×3(まだ確認していない)、通話発信可能な携帯電話、ライダーベルト(カブト)、ディスクアニマル(アカネタカ)、iPod(動画再生機能付き)、ファイズアクセル)
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いを楽しんだ上での優勝。
1:侑斗達とは今度は本気で戦う。クロックアップだけは警戒する。
2:三田村のような人間をまた探して手下にするのも面白いかも。
3:五代雄介、「仮面ライダー」なる者に興味。
4:カイザギア、ダークカブトを使って遊ぶ。
5:ゾル大佐、橘朔也と会ったら今度はきっちり決着をつけ、揺ぎ無い勝利を手にする。
6:「仮面ライダー」への変身ツールを集めたい。
7:木場勇治はどうせだから自分で倒したい。歌舞鬼はいつか倒す。
8:海堂はカブキが殺したと考えているが、あまり興味はない。
※変身回数、時間の制限に気づきましたが詳細な事は知りません。
※E-6、侑斗らがいる地点から少し南の路上に凱火を放置しています。
※D-6、澤田の首輪が放置されています。
※デイバッグの中身はカイザギアとライダーベルト意外の物を確認していません。
※ダークカブトゼクターがこれからどこに向かうかは次の書き手の方にお任せします。
【風谷真魚@仮面ライダーアギト】
【一日目 現時刻:夕方】
【現在地 E-6 家の廃墟】
[時間軸]:31話・サイコキネシス発現後
[状態]:健康。動揺。強い自己嫌悪。
[装備]:コルトパイソンA@クウガ(装弾数5/6、マグナム用神経断裂弾)
[道具]:基本支給品一式x2(真魚・天道)
ライダーパス、首輪(天道)
特殊効果弾セット(マグナム用神経断裂弾54、ライフル用神経断裂弾20、
ランチャー用非殺傷ゴム弾5、ランチャー用催涙弾5、ランチャー用発煙弾5、ランチャー用対バリケード弾5) 、澤田のキャップ帽
[思考・状況]
1:澤田についていく。離れたくない。
2:人殺しをした自分が憎い。
3:自分の能力と支給品の銃を嫌悪。
4:能力の事を澤田に知られたくない。
5:澤田と一緒なら、元の世界に戻れる…?
6:自分をナオミと呼んだ青年にもう一度会って謝りたい。
7:澤田の帰りを待つ。
[備考]
※制限もしくは心理的な理由で超能力が不完全にしか発揮できません。
現状では、サイコメトリーで読めるのは断片的なイメージだけです。
※以下のように事実を誤解しています。
サイコメトリーで見えた灰色のモンスターの正体は天道=カブト。
灰色の怪物(海堂)と赤い怪物(モグラ)は殺し合いに乗っている。
青いライダー(ガタック・ライダーフォーム)に変身して自分を守ったのは澤田。
加賀美(名前は知らない)は自分がサイコキネシスで殺した。
自分をナオミと呼んだ男(侑斗)と黒い異型(デネブ)は親友。
※決心が付いたら澤田の帽子に触れてイメージを見てみる。
※青いバラに触れた女性が灰化するビジョンを見ました。
投下終了です
ご意見があればよろしくお願いします
投下乙です!
ついに散ったか澤田…
真魚は余り突発的なアクションは起こしそうにないけど、
女一人ってのが不安だ
投下乙です。
でも正直、ジョーカー潰しあわして持ったいないと思いました。
4466 :やってられない名無しさん:2009/10/18(日) 06:25:57 ID:???C
むしろあれ通ったら逆に書き手減りそうな気がする。
単純につまらない話でもあるし
4467 :やってられない名無しさん:2009/10/18(日) 10:15:01 ID:???0
つまんない、それにつきるんだよな
問題点があれば修正とかもありうるが、そう言う訳じゃないから通さざるを得ないだろう
悪い意味で、残るものがなにもないって感じだ
前の作品もそうだったけど、意図が悪い意味でよくわかりすぎて
それ以上のものがなにもない
加えて、前後のフラグとか全く関係なく好き勝手に動かしてる
フラグを撒いたり整理することに徹してる旧来の書き手さんの努力が
哀しくになってくるような虚無感だ
何を言っても愚痴にしかならないけどな
4468 :やってられない名無しさん:2009/10/18(日) 12:55:02 ID:???C
そんな話ばかり通ったから書き手が離れたをじゃないかなあ。
もう手遅れな気がする。
今頑張っている書き手ももちろんいるけど、毎回それを無駄にするようなつなぎかたされて不憫だ。
ここまで書くかいのないロワも珍しい
> ◆LuuKRM2PEgさん
投下お疲れ様でした。
仮投下板の方で感想を書いていますのでご覧になって下さい。
投下乙です。
ただ、感想としては北崎無双はもうお腹いっぱいかな
某ロワのブロリーじゃないけどこれ以上どうしたらいいのかと・・
「この世界は俺が破壊した」
現存する全てのライダーを破壊したディケイドが佇む。
「俺は全てを破壊する事しかできなかった」
ディケイドの一撃にベルトを破壊されたオリジナルの仮面ライダーキバ″g渡は語る。
「これでよかったんです。間違った方向へと歪められた歴史、世界は修正され、
死と新生の道が拓ける。再生は破壊の中でしか生まれませんからね」
ディケイドを取り巻く世界が光の粒子となり紅渡の体も消えていく。
「いつかまた、どこかでお会いしましょう。最後の仮面ライダー、門矢士」
もしも次に出会う事があれば。私も貴方の仲間として・・。
世界の全てが消えた。
一巡後の世界。
全ての記憶を失った門矢士は光写真館で目を覚ます。
【門矢 士 生還】
【仮面ライダーバトルロワイヤルTHE NEXT END】
誤爆
>>◆SBNext.HzAさんへ
議論スレ等を見ていて感じるのですが、避難所の管理をしていただいているのは感謝します。
ただ一言言わせていただきたい。なぜ貴方の発言は上から目線ばかりなのですか?
あなたはこのロワにおいてそんなに偉いのですか?
>>このところ新規の書き手さんも来ていただいてはいますが、あまりにこういった雑音が多いため(略)
雑音とはずいぶん酷い言い方ですね。
>>匿名掲示板でのリレー企画という根幹に逆らうことにはなりますが、
進行を維持するためには必要な妥協ではないかと考える次第です。
1st後半の流れもわかります。また新規書き手による投下作品がジョーカー同士を
潰し合わせる空気の読めないリレー内容だった事もわかります。
ですが現時点でリレーSSから一部の書き手による共同作業へと企画を切り替える事は
根幹に逆らってまで行うことなのでしょうか?
>>要約させていただくと、「善意の行為であればルールは無視して構わない」とのお考えなのですね。
その行為の是非以前に、ルールを尊重しないという姿勢は共同で作業を行う人間には害しか与えません。
今後の企画の存続のためにも、ここで手を引いていただきますようお願い申し上げます。
傍から見ていても◆qFhr8mElWw氏のガイドラインに沿わないNG要請は確かに問題発言でした。
ですがその行為に対して謝罪と反省をしっかりと表明しています。
一書き手を害と言い切る発言。続いての、ここで手を引いていただきますようお願い申し上げます。
名指しで人を呼び出した上に何の権利があって◆SBNext.HzA氏はこのような発言をしているのですか?
管理担当だからでしょうか? 一度罪を犯した人間は許されない。ではないですが
自身の間違いをしっかりと謝罪している人間に対してあまりな発言ではないかと感じました。
それとは別の話になりますが毒吐きについてです。
毒吐きが本スレに毒を出さない為にあるという事はわかります。
ですが本スレに投下された作品に対し感想の一つも付けず毒吐きスレで
作品に対する誹謗中傷ばかり伸びる現状はいかがなものかと思います。
仮投下後に指摘を待たず本スレへと作品投下した事もわかります、
指摘感想がそこまであるのならば、書き手に直接伝わる場所で言うべきではないでしょうか?
色々と言わせてもらいましたが不快に感じられた方がおられたら申し訳ありません。
ですが折角の良い作品が悪い空気のまま進むのはとても惜しいと思います。
現状◆SBNext.HzA氏提案中の議論スレもなかなか進んでない様子です、
今後どういった形で当ロワが進んでいくのか正直わかりません
難しい問題ではあると思いますが、まずは読み手書き手問わず皆でしっかりと話し合いませんか?
以上、長文失礼いたしました。
ここで言うってことはホストで特定されたくないためってことかと勘繰られるしな
本当に通りすがりの1読者がそう思ったのならぜひともコピペしてきてほしい
問題提起してくれたら議論にだって参加するよ?
さすがに無断でコピペは気が引ける
そもそも読み手ならホスト特定されたところで別に大して問題じゃないし
書き手でも意見は意見だからそこは自らビシッと言うべきだと思う
本人のふりをした荒らしという線もある。
本人ならそりゃお前が悪いとしか言いようがない反応だ。
>>386 ◆SBNext.HzA氏が偉い偉くない、権利のあるなし、そんなことは関係ないと思いますよ。
単に企画運営に携わる一書き手としての所見を述べ、またそれに賛同できる書き手氏だけを対象として
共同運営という新形態を提案されているだけです。
>難しい問題ではあると思いますが、まずは読み手書き手問わず皆でしっかりと話し合いませんか?
正にご自身でも仰っていただいている通り、ご意見をお持ちでしたら議論スレで存分にされてはいかがでしょうか。
いつでもお待ちしておりますので。
これはひどい
こんなロワやめてとっとと特撮ロワやろうぜ。
メタルヒーロー勢の参加するロワは確かに見てみたいがそれとこれとは別の話だろ
>>393 同意。
メタルやらが出るロワも見てみたい。
参加者の選択がおかしいこのロワより特撮ロワで牙狼出そうぜ。
釣れますか?
まきますか?まきませんか?
無関係なスレの話をするものじゃないぜ
保守
保守すんな
したらば見たら相変わらず酷い上から目線ですね
◆q氏の時も謝罪してる事に対しては一切発言せずに完全スルーで
謝罪している部分の問題を延々と責め立てる事といい
トリップを付けていない別に匿名でもいいと思う内容の書き込みを見てあなたは誰々ですね
って勝手に人のトリップを晒すとか有り得ないんですが
例え過去に揉めた人でもその問題はその時に解決している訳ですからわざわざその時の事をあげる必要もないですしね
そんな管理人が管理しているしたらばなんか危なくて書き込めないですよ
まるで監視されてるみたいで毒吐スレも使えません
cWさん、釣れますか?
「みたい」じゃなくて実際監視してんだよ馬鹿
お前みたいな馬鹿に使わせないための毒吐き移転だろうが
それとな、過去に問題起こしたような馬鹿には意見を述べる権利も
ついでに書き手として参加する権利もないってのが今回の決定だ
分かるか? お前はもう鳥を変えようと何をしようと、この企画には関われないんだよ
どこらへんが?
心が狭いなあ、かの有名な孔子先生が1500年も前に悟った
罪を憎んで人を憎まず、という言葉があるのにお前らときたら・・。
いつまで過去の事を言ってんの?
まあ過疎るのは当たり前の流れだったな、この企画もここまでか
一人の馬鹿が最後にトドメを刺したにすぎない
書き手…たまにしか投下しない(2作目だから難しい?)
読み専…毒吐きスレに引き篭もり。企画を盛り上げる努力は皆無
荒らし…いつでもどこでもウェイクアップフィーバー
そりゃ過疎ります
過疎る前にキバとディケイドだけは出てもらいたかったな・・・
良太郎だって出てないのに・・・
414 :
創る名無しに見る名無し:2009/11/21(土) 13:09:39 ID:268cMeQE
このスレも
>>33によって破壊されてしまった…
― 了 ―
ありえないくらい面白くもない
>>33が、時々プッシュされるのは一体……?
なんだ自演か
まあ、もうリレーする気はなくて談合で進めるってんだから過疎もクソもないわな
この本スレだって必要ない
>>415 > ありえないくらい面白くもない
>>33が、時々プッシュされるのは一体……?
>
> なんだ自演か
つまりディケイド最強というわけだな
418 :
創る名無しに見る名無し:2009/11/22(日) 05:52:37 ID:ktKddl4j
おもしろい
リレーする気ないとかマジでなんなの?
大して荒れてた訳でもないのに意味がわからないんだけど
cWさん、毎度自演お疲れ様です^^
ちげーよ馬鹿。即レスとか張り付きすぎだろ、キモいんだけど
わざわざ否定のためにレスとかキモイなーw
本人じゃなくても、cWと同レベルのレスだし
423 :
創る名無しに見る名無し:2009/12/07(月) 18:06:36 ID:lsGLEcqj
ほす
おのれ、ゴルゴムめ
Wikiからきて初めて見てみたらすごい荒れてるね、このスレ……
はたから見てればどっちもどっちというか
同じライダー好きならもっと普通に話し合えばいいのにね
前ロワの期間はどれほどだったか知りたい。参加者にカブト勢がいたから電王放送中で、終了したのはキバ放送中ぐらいだったから1年ぐらいか?
今回のロワはそれ以上かかるだろうし、そもそも完結できるかが問題だが
>>427 1stまとめサイトの過去スレログみりゃいいじゃん
結局、今どうなってんの?
合同はいいんだけど、予約とかないから誰か書いてるのかどうかすらわからん
書く気があるってんなら何らかの報告がほしいよな
今チームを組んでるのがどんな面子なのかさえ伝えないってのはなあ
なんていうか、そこまで待たなくてもいいと思うよ
半年に一回くらい確認するくらいでいいと思う
今日最終回を投下します
―これまでの、仮面ライダーバトルロワイヤルは―
多くの参加者が死んだ。ある者は自分の信念を貫く為に、
ある者は絶望に飲み込まれたまま狂気に曝され。
現在の生存者
仮面ライダークウガ:五代雄介
仮面ライダーナイト:ハナ
ドラゴンオルフェノク:北崎
アルビノジョーカー:志村純一
そしてン・ダグバ・ゼバ。
五代を逃がす為、ハナと行動を共にしたギルス=葦原涼もダグバに殺された。
「あんた、ハナとかいったな。……俺はあいつを、五代を疑っていた。だが、今なら奴を信じれる。
頼む……あいつを、クウガを!頼む……」
燃え盛る炎の中、芦原涼はダグバの前に立ちはだかり。
そして死んでいった。
「俺、なります。究極のクウガに……」
多くの救えなかった命を前に、五代雄介は決意する。
究極のクウガへの変身を。
――「君がクウガかぁ。面白そうだね。」
北崎が五代の前に立ちはだかる。
しかし、傷だらけの姿のハナが五代を救う為に現れた。
「五代さん、行ってください。ダグバを……倒してください!!」
五代は小さく頷き走り出す。
全てを――終わらせる為に。
同じ頃、島の上空にオーロラが浮かび上がり始めていた。
「なれたんだね、究極のクウガに……」
笑みを浮かべたままダグバは怪人体に変身する。
五代も決意を込めて叫ぶ。空に届かんばかりに――
「変身!!」
黒い究極戦士、アルティメットフォームとダグバの壮絶な殴り合いが始まる。
両者譲らず、何度も拳を叩き付け合い――周囲には血溜りが出来るほどに。
「へへへへ……へ。楽しいなぁ……」
血だらけになりながらもダグバはクウガを押し始めていた。
今までの激戦でクウガの蓄積していたダメージが限界を迎えていた。
最後の一撃を加えんとするその時――
時空の揺らぎの中から、1つの奇跡ががそれを防いだ。
「貴方は…!?」
胸に十字の紋章、緑色の目。
仮面ライダーと呼ばれた戦士達に酷似した姿の戦士が呟いた。
「通りすがりの仮面ライダーだ。覚えておけ!」
―ファイナル アタック ライドゥ……ディディディケイド!!―
「どりゃぁぁぁああ!!」
幾重にも重なったカードを潜り抜け、戦士がダグバを蹴り砕く。
「今だ、お前が決めろ。」
クウガを指差す。全てを理解し、力を振り絞り全力で駆け出し――跳躍した。
「うぉおおおおおおりゃぁあああああああ!!!」
全身全霊、全ての参加者の思いを継ぎクウガ渾身の一撃がダグバのバックルと
神経組織を破壊した。
「ふふ……クウガ……つよい…ね」
血反吐を吐き、消滅するダグバ。
―ン ダグバ ゼバ 死亡 残り4人―
「貴方は…一体。ここにどうやって?」
変身を解いた五代の前にはカメラをぶら下げた青年が立っていた。
五代の問いかけを面倒くさそうに頭を掻きながら応える。
「俺は破壊者ディケイドだ。ディケイドの力を使えば、どうとでもなる」
平然と言い放ち、五代の前から去っていく。
「くっ……ダメ。もう、耐えられない……」
ナイトに変身したハナをドラゴンオルフェノクが悠然と踏みつける。
「つまらないなぁ……じゃ、死んで。」
カードデッキを砕き、変身を解除させその胸元に剣先を突きつける――
その瞬間。
「ざんねんですが――死ぬのは貴方の方です。」
白装束の青年が小さいな蝙蝠を引き連れ姿を見せた。
温和そうなその顔からは想像できない程の力を内に秘めて。
「いくぜ、渡!!」
「いきますよぉ〜渡さん!」
キバットと呼ばれた蝙蝠、そして金色の龍が青年の体に纏われる。
「変身!!」
黄金の皇帝。キングの証を称えた仮面ライダーがハナの庇うように現れた。
「なに?君……強いのかな?」
高速で移動しキバを翻弄せんとするドラゴンオルフェノク。
しかしその姿が見えているとでも言うかのように背後に現れたドラゴンオルフェノクを
長身の剣――ザンバットソードの一閃が捉えた。
「無駄です。貴方では私には勝てない……」
煙を上げながら後退するドラゴンオルフェノクに赤く研ぎ澄ました
剣の追撃が振り下ろされる。
「バカな…僕は、最強なんだー!負けるわけが……な…」
北崎の姿に戻ったドラゴンオルフェクが砂となり消滅する。
それを見届けたキバは、青年へと戻りハナへと優しく微笑んだ。
「人の記憶が世界を再び創造します。貴方が生き残った意味は――ある。」
煙のように姿を消していく渡。
それをただハナは黙ってみている事しか出来なった。
― ドラゴンオルフェノク(北崎) 死亡―
「ふふ、俺が最後に生き残る…俺が勝者だ!!」
主催者本部。
村上社長を殺し主催者を乗っ取った志村=アルビノジョーカーは
自分だけが生き残る為、島を消滅させる装置を起動させようとしていた。
「村上も死に……後は目障りな連中を消すだけだ。くくく…あはははははは!!」
―そいつはどうかな?
志村が振り向いた先、そこにはカメラをぶら下げた青年の姿があった。
そして、五代雄介。ハナの姿も。
「フン……もう遅い。参加者は全員死んだも同然。お前等が殺し合い、
憎みあう間に俺は全てを手に入れた!!やはり、邪悪が最後には勝つ。
闇こそ全てだ!!」
青年は小さく笑いながら志村を睨み付ける。
「違うな。この2人は、誰かの為だけに戦ってきた。
どんなに踏みにじられようと、絶望するような事に出会っても――
諦めなかった。だから今がある!
どんな邪悪でも、その強さの前では――ゴキブリ同然だ。」
志村の顔が大きく歪み、そしてジョーカーの姿へと変化していく。
「貴様ぁ……一体何者だぁ!!」
1枚のカードをジョーカーに見せ付ける。
そこに書かれていた文字。それを高らかに叫ぶ。
「俺はディケイド。全てを破壊する。変身!!」
「超変身!!」「変身!!」
クウガ、ナイト、ディケイド。
「うおおお!!」「おりゃぁぁあ!!」「はぁあ!!」
3大ライダーが跳躍し、飛び蹴りを放つ。
不意を突かれたジョーカーは、体勢を崩し――
「バカなぁぁああああああああ!!俺は不死身の筈……何故、何故体が!!」
溶鉱炉の中へ落ち、体が消滅していくジョーカー。
最後に志村の姿へと戻り、そして消え去っていった。
―アルビノジョーカー(志村純一) 死亡―
「言った筈だ。俺は全てを破壊する―と。おい、あんたら。
出て行くなら今のうちだ。」
ハナと五代に脱出用のオーロラを指差す。
「でも、私達だけが生き残っても……いいんでしょうか。」
五代もハナも、虚ろな表情で青年を見る。
「安心しろ。記憶が世界を再び作る――そんな気がする。」
青年はカメラを取り出し、2人の写真を撮る。
五代もその言葉に頷き、オーロラの方へ歩き出す。
「行こう、ハナさん。俺達は、生き残った。
その意味を見つける為に。」
ハナも頷き歩き出す。記憶こそが未来を作るのだと信じて。
去っていく2人を見送りながら青年、門矢士は呟く。
「ここがライダーバトルロワイヤルの世界だったか。
もう二度と、ごめんだな。ライダーと戦うのは。
仮面ライダーは、共に戦う。それが一番、そうだろ?」
いつの間にか士の隣にいた青年、紅渡が微笑みながら頷いた。
「貴方からそんな言葉を聞くとはね。驚きましたよ。」
ライダーバトルロワイヤル the Next 完
そんなことより鮫の話しようぜ
>>440 ファイズの初期デザインモチーフなんだってな
超スピンオフが無ければ誰も気づかないだろあんなん
もう終わりにしましょう
お疲れ様でした
>>441 ギリシャ文字以外はホタルだって思っていたなw
あのカミングアウトは意外だった。
カイザならそうでもないんだがw
とりあえず最終回を投下しました。
稚拙ですが、これにてこの物語は終わりということで。
でも鮫って言われてるとどことなく面影が…
特にクラッシャー部分
鮫モチーフだったら、ファイズ勢は水中をスイスイ移動できたんだろうか?
平成のXライダー位置的に考えて。
水中だと姿がぼやけやすいけどファイズのライダー達は光のライン入ってるから水中戦も確かに映えたかもしれないね
まー、真っ暗闇でおぼろげに光ってる方がかっこいいのは否めないんだが
おまえら普段いないくせに荒らしが湧いたらいきなり出てくるのなw
だが水中で光っていたら逆に相手からすれば良い的でしかない
ここまで仮面ライダーアビスなし
今後の進行についておしらせします。
現在のところ、執筆作業への参加を名乗り出てくださっているのは
6VDLcuc3FQ氏 yFvLIBbl9I氏 RIDERjbYCM氏
LuuKRM2PEg氏 N4mOHcAfck氏 CIPHER0/kY氏
の計6名です。
今後とも作業に協力してくださる方は随時、書き手スレにお申し出下さい。
連絡方法をお知らせいたします。
今後の予約については、執筆担当者が随時予約スレに宣言を行います。
その際、ネタバレを避けるために予約キャラクターを公開しないこともあります。
(誰がどのパートを予約するかは、執筆者の間で話し合って決めています)
ご質問等ございましたら、ここや議論スレなどにどうぞ。
もう完結までのプロットは出来ているんですか?
企業じゃない件、とりあえず月1位で話が来てくれればいいありがたい
半年に一回くらいでもいいよー
企業秘密ってのはスマートブレインぽくていいじゃないかw
読むしかできないただのライダー好きな俺は、待つだけだぜ
6人のSS書きさんにまとめさん頑張って。期待してるぜ!
◆qFhr8mElWw氏はいないんだな…
書き手の皆さん頑張ってください!待ってます
うおっ、予約キタ!
楽しみにしてます
こんにちは。
夜と言っていたのに前倒しになって申し訳ないですが東條悟・三田村晴彦 投下します。
突然目の前に広がった色は、鮮やかな赤だった。
手のひらの上の柔らかいそれに、はっとして顔を上げた。端はほつれ、細い毛糸がマフラーから伸びている。
その先は彼女に繋がっていた。木陰から顔を覗かせた美代子の笑顔は、病室で見た花のように美しかった。
組織からの招待を受け、基地へ向かう三田村晴彦の胸には、恐れや不安は欠片もなかった。
小さく震える、彼女の白い冷たい手を握り締め、暗いトンネルを歩く晴彦の胸には、彼女と共に歩く輝かしい未来しか見えていなかったのだ。
だが、実際はどうだ。ショッカーの命じるままに破壊活動を行い、他者の未来を奪うだけの生。
今思えば、晴彦はそれでもよかったのかもしれない。彼女の側にいる事ができれば、ただそれだけで。
しかし、彼女は―――美代子はどうだったのだろう。
塞ぎ込み、事あるごとに癇癪を起こして医者たちを困らせていた自分を慰めようと、花を贈ってくれるような優しい心の少女は。
その事を思うと、晴彦の胸は重たく塞がれる。病に冒された体と引き換えに、本来の彼女を奪ってしまったという罪を償えるのならば、自分は何だってする。
優しく、花よりも美しい、天真爛漫な笑顔を、彼女自身が取り戻せるのなら。
―――たとえその時、彼女の側に自分が居なくても。
(―――みよ……こ……さん……)
※
「……それが君の、『大切な人』の名前?」
低く、呟くような問いかけを耳にした晴彦は、急激に覚醒した。
とっさに身を起こそうとするが、全身を襲う激痛と疲労にそれも叶わず、できたのは小さく呻く事だけだった。
視線を巡らせると、どうやら屋内らしい。埃っぽい、蜘蛛の巣の張った天井板が目に飛び込んできた。
次いで、声の主を見上げる。そこにはいつもと変わらず無表情の東條悟の顔があった。驚愕に目を見開く晴彦の胸の中を見透かしたのか、東條はほんの少し首を傾げて言った。
「どうして自分を助けたのか……って聞きたいの?」
東條の言うとおりだった。
紫のライダーと戦った後の事は、何故かぼんやりと霞が掛かったようで、よく思い出せないが――気を失っている自分などは足手まといにしかならないだろう。
気まぐれに連れ歩いているだけなら、これ幸いと始末されていてもおかしくはない。少なくとも、東條ならやりかねないと晴彦は思っていたのだ。
「なら君は、どうして僕を助けたのかな?」
質問に質問で返されて、晴彦は返答に詰まる。記憶が定かでないとはいえ、戦闘不能になった東條を連れて逃げたのは確かだ。
だからと言って、何故、と聞かれても明確な答えは用意できない。
東條を失い、一人で行動する事のリスクを背負いたくなかったのかも知れないが、わざわざ敵がいる場所へ東條を回収しに向かう事の方がよほど危険のような気がする。
無我夢中のあの状態で、どうしてあのような行動を取ったのか晴彦にも解らず黙り込んでいると、東條が傍らのデイパックを探る。
思わず身を硬くする晴彦だったが、差し出されたのはペットボトルの水だった。
「別に理由なんてどうでもいいけど。……僕は君に死んでもらったら困るんだ。それだけだよ」
今まで晴彦の事に徹底的に無関心だった東條の変わりように呆気に取られつつも、軋む腕を伸ばしてペットボトルを受け取る。
ふと違和感を覚え、手元に目をやると、晴彦はぎょっとした。強化服のグローブの指先がことごとく破れているのに気が付いたからだ。
まるでそこから何か鋭利なものが飛び出したかのようだった。ショッカーの科学力によって作り出された、しなやかで強靭な布をも切り裂く―――鉤爪。
瞬間、晴彦の脳裏に、自らの身に訪れた異変が蘇る。
(あれは一体何だったんだ!?)
まず思い当たったのは、北崎と戦った時に発生したあの衝撃だった。激しい苦痛に襲われ、血を吐いた。
今回の異変はそれとは逆に、自分自身を制御できないほどの熱が湧き上がり、それからの事はおぼろげにしか思い出せない。
先の衝撃は変化の前触れだったのだろうか。自分が知らなかっただけで、改造されたこの体に元々備わっていた力なのだろうか?
ショッカーの元にいた頃の晴彦はそれこそ機械のように、組織の歯車のひとつとして働いていたに過ぎない。内情や技術力については、全く知らないと言っていい。
たった一つだけ、あの場にいた老人の顔に見覚えがあったような気がするが―――それも今では状況が見せた幻だったのかもしれない。
正しい答えを導き出す事などと到底できる訳もなく、ようやく上半身を起こした晴彦は、混乱したままペットボトルの水を口に含んだ。
※
人心地ついて、改めて周囲を見渡すと、自分たちがいるのは粗末な掘っ立て小屋だった。山林の手入れをする者のために作られたものらしく、小屋のすみには毛布や薪が積んである。
戦闘の舞台となっていた保養所からどこへ向かうともなく走ったため、詳細な現在地は不明だが、東條が自分を小屋に運んでくれたのは間違いない。
俯いて携帯をいじっている東條に目をやると、顔も上げずに「もうすぐ放送の時間だね」と呟く。晴彦がその言葉に生返事を返すと、それきり再び会話は途切れた。
二人じっと黙りこくっている事の居心地の悪さに耐え切れず、とうとう晴彦はかねてからの疑問を口にする。
「なあ……どうしてそんなに『英雄』にこだわるのか、聞いてもいいか?」
途端、東條が顔を上げ、表情の伺えない真っ黒な眼をこちらに向けてきて、晴彦は内心冷や汗を流す。
「べ、別に、文句を付けたい訳じゃないんだ。言いたくなければ言わなくてもいいし―――」
理由はわからないが、自分を介抱してくれる程度には好意的になっている相手の機嫌を損ねたのではないかと思い、慌てて取り繕う。
しかし、東條はふいと視線を晴彦から外すと、無機質な、小さな声で、ぽつりと答えた。
「……英雄になれば、みんなが僕を好きになってくれるかもしれないから……」
東條の答えに晴彦ははっとする。
素直に理由を告げた事にも驚いたが、得体が知れないと思っていた東條の本当の望みが人に好かれたいというごく当たり前のものである事も意外だった。
そういえば、最初に話した時にも、みんなに認められる英雄に、と言っていたような気がする。それはもしや、『英雄になる事でみんなに認められたい』という意味だったのだろうか。
確かに、『英雄』という言葉には、偉業を成し遂げ、誰からも慕われ敬われる人物という響きがある。
人に好かれたいが故に『英雄』を目指すのはそれほどおかしいとは思えないが、そのためにどうして大切な人を殺さなければならないのか、大切な人を、美代子を救いたいと考えている晴彦には、理解不能だった。
返す言葉が見つからず口をつぐんだ晴彦に向かって、やや馬鹿にしたような声音で東條が言う。
「……別に、君に理解してもらおうなんて思ってないけどね。でも、三田村君だって、香川先生に会えば解るはずだよ」
ここではないどこかへいるであろう香川を見ているのか、東條の目線は虚空に向けられている。その瞳に狂気がじわりと滲みだしたように感じて、晴彦の背筋に冷たいものが走った。
それでも、ためらいがちにではあるが、質問を重ねたのは、大切な相手を殺す事を是とする理由を知りたかったからに他ならない。
「じゃあ……大切な人を殺せば『英雄』になれるっていうのは……その先生が言ったのか?」
「そうだよ。先生が間違った事を言う筈がないよ―――先生は本当に素晴らしい人だもの」
東條は関を切ったように、いかに『香川先生』が素晴らしい人物か語りだした。
熱っぽい口調ではあるものの、声量が大きくなったり、勢い込んで早口になったりしない所がかえって恐ろしかった。
話を聞いても、大切な人を殺さなければならない理由はよく解らなかったが、晴彦は次第に恐怖以外のものを東條に対して感じ始めていた。
誰からも好かれず、誰からも省みられない。
病室に垂れ込めて、訪れる者がいない現実に絶望していたかつての自分と、今の東條が重なった。
晴彦の元に美代子が現れたように、東條の元に現れたのが香川だったのだろう。そう思うと、目の前で熱弁を振るっているこの男の印象が少し変わった。
北崎と同じく自らの目的以外には目もくれず、他者を踏みつけにする事も――他ならぬ晴彦自身がそうした人物に追従することを望んでいたとはいえ――殺す事さえも躊躇しないような人物だと
判断したが、北崎の目的が『楽しむ事』である事に比べれば、東條の目的はずいぶんと人間らしく感じられる。
「……その事を思い出させてくれた君には、ちょっと、感謝してるかも……」
「あ……ああ……」
あまつさえ感謝という言葉まで口にした東條に、晴彦は動揺を隠せなかった。お互いの目的が最後まで生き残り望みを叶える事である以上、仲間意識は無用なはずだ。
その事は目の前の男も重々承知の上だろうに、このような態度を取る真意がつかめず、晴彦は戸惑う。
(でも……もし東條が本当に僕に気を許したとしたら、これはチャンスかもしれない……)
今までのように、心変わりに怯える事がなくなれば、東條の隙を見出すのも容易になる。この状況を利用しない手はない、と思い直す。
無論、こちらから東條への接し方を変えるという訳ではない。どちらにせよ、いつかは倒さなければならない相手なのだから。
元々向こうが気まぐれに同行を許し、晴彦はそれに従っただけである。これからも変わらず、晴彦は東條を利用して参加者を減らす。
「……本当に、感謝してるんだ」
再び小さく呟いた東條に、晴彦は困惑しながらも、彼の変化を内心で喜んでいた。
※※※
二人はそのまま、薄暗い室内でそれぞれが壁に背を預け、体を休めていた。
細い桟にはめ込まれた窓ガラスは薪ストーブの煤によってうっすらと曇っており、部屋に差し込む夕日は弱々しく、室内のそこここにうずくまる黒い影を消し去る事は敵わない。
そしてそれは、心の闇も同様と言えるだろう。
荒野で目を覚ました東條が、晴彦が自分を助けた事を理解した瞬間思い出されたのは、傷ついた自分を介抱し、東條にとって『大切な人』となった男、佐野満の顔だった。
敗北の衝撃を癒すべく、晴彦を手にかけようとした時、東條はある事を閃いた。
今ここで『大切な人』である晴彦を殺すより、もっと効果的なシチュエーションがある。
それは、自らが『英雄』である事を証明するために倒さなくてはならない人物。
馬の怪人であり、赤と黒のライダーである男、木場勇治と、恩師、香川英行。彼らの目の前で晴彦を殺し、そしてこう言うのだ―――
自分自身こそが『大切な人』を犠牲にする覚悟と本当の強さを持つ、『英雄』にふさわしい人物なのだ、と。
素晴らしい思いつきをもたらしてくれた晴彦に、東條は心の底から感謝していた。
首を捻って、もう一度窓の外を見ると、赤く染まった稜線が、まるで怪物のように、太陽をすべて飲み込もうとしている所だった。
疲れきった体には、夜になりつつある空の色が心地よく、東條はうっとりと目を閉じて、その『いつか』が叶う瞬間を夢想していた。
晴彦は自分ではなく、東條が変わったと思っていた。
しかし、変わったのは東條ではなく、晴彦自身だった。
晴彦だけがそれを知らなかった。
※
幕が下りる。陽の光は姿を隠し、舞台は闇が支配する夜へと変わる。
第二幕の開演のベルが鳴るまで、あと少し―――
【1日目 夕方 放送直前】
【現在地:C-4 渓谷にある小屋】
【三田村晴彦@仮面ライダー THE FIRST】
[時間軸]:原作での死亡直前から
[状態]:全身に中度の疲労、全身に強い痛み、不可解な衝動(リジェクション)への疑問、
北崎に対する強い恐怖 、リジェクション、一時間変身不可(コブラ、実験狼男)
[装備]:特殊マスク、鞭
[道具]:飲食物(二人分)
【思考・状況】
基本行動方針:彼女を救うために勝者となる。
1:東條へ若干の同情、共感? 当面は従う。
2:リジェクションへの不安。 狼男になった事と関係がある?
3:いざとなれば迷わない。
4:桐矢、海堂に僅かな罪悪感。
5:自身が改造人間(コブラ)であることは東條に黙っておく。
【備考】
※変身制限がある事を把握しました(正確な時間等は不明)
※ウルフビールスに感染したことにより、実験狼男に変身が可能になりました。ウルフビールスを媒介できるかは後続の書き手さんに任せます。
※リジェクションの間隔は次の書き手さんに任せます。(現状は頻繁ではない)
また、リジェクションと実験狼男への変化との関係を疑っています。
【東條悟@仮面ライダー龍騎】
[時間軸]:44話終了後
[状態]:中程度のダメージ、 一時間変身不可(タイガ)
[装備]:カードデッキ(タイガ・若干ひび割れ)
[道具]:基本支給品×2(飲食物抜き)、首輪(芝浦、金居) 、田所包丁@仮面ライダーカブト
[思考・状況]
基本行動方針:全員殺して勝ち残り、名実共に英雄となる
1:『ある程度の力を持つ参加者を一人でも多く間引く』
2:できれば最後の仕上げは先生(香川)にしたい
3:三田村はとりあえず生かしておく。『大切な人』。
4:殺した奴の首輪をコレクションするのも面白い。積極的に外す 。
5:木場(名前は知らない)に自分が英雄であることを知らしめる為、自らの手で闘って殺す。
※三田村が改造人間(コブラ)であることを知りません。
※三田村を『大切な人』認定しました。殺害するタイミングについては本文参照のこと。
※体を休めた後どこへ向かうかは後続の書き手さんにお任せいたします。
以上で投下終了です。支援してくださった方ありがとうございました!
ご指摘・ご感想等ございましたらお願いいたします。
本年は大変お世話になりました。今後とも執筆・支援共にがんばりたいと思いますので
どうぞ宜しくお願いいたします。よいお年を!
投下乙です
東條は少しマシになったように見えたが――そんな事はなかったぜw
あいかわらず英雄になろうと頑張っているんだな、怖いくらいだ
三田村はどうなってしまうんだろう
しまったしたり顔で挨拶なんて書き込んでいる場合じゃなかった!
タイトル忘れてました……『いつかが終わる日』でお願いします。
感想書いてくださった方ありがとうございます!嬉しいです!
投下乙です!
これまで戦闘ばかりだった東條に一気に人間味が出てきた!
晴彦を「大切な人」に重ねるのはうまいなぁ。これからの動向に期待が出てきました!
バダー、歌舞鬼投下します。
おいおいおいおいおいおい、何だこれ。いや何だこれ。
確かにこんな物騒な場所で、おてんとう様の下思いっきり眠ってた俺もどうかと思うぜ。いくら疲れてたとはいえよ。
そんでもっていつの間にか日は暮れかけてるし、ちょっと無防備すぎるのもいけねえ。起こされなかったのが不思議なくらいだ。
しかし俺はこうやって襲われることもなくちゃんと生きてる。バイクだって、薄目を開ければちゃんと見えるし特に変わったところはねえ。
……俺の枕元で、こっちを覗き込むくしゃくしゃ頭の兄ちゃんがいることを除けば、よ。
誰だよ、俺はこんなやつまったく知らん。ていうかこいつ、絶対に俺が起きるの待ってるよな? 起きたほうがいいのか?
さっきから殺そうとかそういう物騒な動きがないのはありがたいんだがよ、頼むからそのキラッキラ光る刀は仕舞ってくれ。
たまに離れて俺の乗り物や荷物漁ったりしてるけど、チラチラこっちを見てやがるし隙がねえ。そんなに近くにいられたら動けるもんも動けねえって。
何もしないなら、何もしないでさっさとどっか行ってくれよ。
◆
大地が微かにオレンジ色を帯びてきた頃、バダーの駆るジャングラーはようやく森林を抜け出した。
バギブソンの元となる一般車と勝手が違うこともあってか、思いの他給油に時間がかかってしまったが、無事にジャングラーは輝きを取り戻していた。
「……どっちへ行くか。」
呟いたバダーは地図を開き、難しい顔をして眼前の景色とそれとを交互に見比べた。彼にしては珍しく、何かを考えている風だった。
少し距離はあるが視界に道路があることから、現在地はちょうどドラグブラッカーに襲われたD-7エリアだということがわかる。
正直に言うと、悩んでいるのはこれからどちらへ進むか、である。
今の所、考えられるルートは二つ。真っ直ぐE-7エリアを突っ切って南へ向かうか、あるいは少し遠回りだが整備された道に乗っていくか。
どちらにせよ南へ行き着くことには変わりないのだが、どちらのルート上にもバイクの配置記号があるため捨て置けないというのが本音だ。
上を見上げ、夕焼け空にぽっかり口を空けている月を睨む。携帯電話で確認した時刻は、既に四時を大きく回っていた。
次の放送までもう時間がない、決めあぐねている内に狩るべきリントがいなくなってしまった……なんて、笑い話にすらならない。
また、いつガス欠が起こるかもわからない。リントとの交戦時に気兼ねなく走るためにも、出来うる限りそれ以外では燃料を控える必要がある。
「お前は……どう思う?」
バダーの頭上付近を旋回していた小さな相棒は、二度三度翻るように飛び回りジャングラーへと止まって、コンコンと車体を金色の角で叩いた。
角が指すほうへと行け、ということだろうか。
「……まぁ、そうか。」
さほど驚く様子も無く、むしろ予想通りと言わんばかりにヘルメットを被りエンジンを入れる。その隙にゼクターは器用に飛び跳ね、開いていたデイパックへと収まった。
おもむろにアクセルを大きく吹かし、ジャングラーはコーカサスゼクターの出した答えへと――――真っ直ぐ、E-7エリアへと向けて走り出した。
スピードを上げるにつれて、景色から徐々に緑色が減っていく。エリア同士の境界を越えた証拠である。
チラリと横目でバイクの配置場所を確認するが、何もない。辺りにリントや他の生物のいた気配はなく、その存在を訴えてくるのは吹き抜ける風だけだ。
(この分ならすぐに……)
すぐに南に着く、そう思った瞬間だった。
――――――――!!
突然不快なブザー音が響き渡り、ジャングラーの疾走を止める。恐る恐るヘルメットを外すと、ゼクターが不安そうな表情で覗き込んできた。
ブザーに紛れて柔らかな音声が聞こえてくるも抑揚が無く、まるでバルバのような女性のグロンギが読み上げているような音声だった。
――――――――ここは禁止エリアです。速やかに離れてください。
禁止エリア。
聞き覚えのある単語にバダーの瞳が動いた。確か、入ると首輪を剥がした時にように灰となる場所だったか。
自分が置かれた状況は理解出来たが、ここでひとつ疑問が生まれる。なぜ、この瞬間に警告がなり始めたのかだ。
このエリアに入ってしばらく経つ。今いる場所も、もうエリアの中腹にさしかかろうという所なのに。
(……、まさか!)
携帯を開き、時刻表示を見てバダーは愕然とした。時刻は、丁度五時になったところだった。
ゲゲル開始当初のアナウンスを信じるならば、禁止エリアは時間経過とともに増えていくしくみ。
ならば首輪が今警告を始めたのも、五時になったことでこのE-7が禁止エリアとして認識されたからだろう。
「チッ……」
すぐさま方向転換をし、全速力でジャングラーを走らせた。幸い近くの川を越えれば、目的とは逆方向になるがD-5エリアに出るはずだ。
嫌な倦怠感に体を包まれた所為か、肌を刺す風がやけに冷たい。
頬を伝う汗を拭うと、手の甲が薄っすらと黒く滲んでいるのが目に入った。
同時にチカチカと点滅する首元がジャングラーの目に映り、それら全てが少しずつバダーから冷静さを失わせていく。
次々と全身を襲う異常事態。その事をわかっていながら止められないのが、どうにも歯痒かった。
(走る前に気づくべきだったな……)
ヘルメットを叩いてきたコーカサスゼクターを掴み、ブレスへと嵌め込む。戦闘以外で使うのは好ましくないが、状況が状況だ。
―― HENSHIN ――
カブト虫の名を告げる電子音声を余所に、ベルトのボタンを半ば殴るような形で押す。
――CLOCK UP――
切り離された時間の中でも禁止エリアが有効なのかは知らないが、早く走り抜けられれば何でもいい。
より一層ジャングラーの速度を上げ、タイヤが巻きあげる水飛沫を弾きながら一息に川を飛び越えていく。ここに観客がいたならば、誰もが幻想的だと口を揃えて言う光景であろう。
前輪が地面についた瞬間、首輪のランプから光が消え失せ体が軽くなったのを感じた。
E-7エリアを抜け出した事で禁止エリアの効力も消えたのだ。
――CLOCK OVER――
元の時間に戻ると同時に変身が解け、ジャングラーごとバダーは地面に倒れこんだ。
よほど応えたのだろうか、体制を直そうともせず肩で荒い息を吐く。その姿はおよそゴの一員とは思え無いほど追い詰められたものだった。
「……次、は、ないな……」
この島に来てから始めて味わった命の危機。しかしバダーの顔に浮かんでいたのは、不釣合いな笑みだった。
――――グロンギという種族、とりわけバダーに言える事だが、彼らはどこか勝負師めいた価値観を持つ傾向がある。
人々を狩り、より上位の存在への挑戦権を争うゲゲルは元より、時間制限や殺害する人間の限定などの難易度の高い制約がいい例だ。
彼らはそうやって複雑なゲゲルを設定し、時には警察との戦いも交えたそれを突破することを最大の美徳とした。
また本来あるべき未来では、バダーはあと一人というところまでゲゲルを進めながら敗北し、命を落とした。それはなぜか?
最後の一人に、リントの戦士クウガを選んだためだ。
バダーは他のグロンギたちとは違い、自分からクウガに勝負を仕掛けた。わざわざゲゲル完遂まであと一人というタイミングで、だ。
理由は単純にクウガが強く、最後にギリギリの駆け引きを楽しみたいと思ったが為。
ゲゲル開始を言い渡されたその時、その瞬間も彼はコインを弄っていた。まるで、全ての決断を運に任せるギャンブラーのように。
その生死を賭けた焦燥感、一つでも間違えれば全てを失うそのスリル。それこそが、バダーがゲゲルに強く求めていた物だったのかもしれない。
「……?」
つんつん、と頬をつつかれる感触。目だけ動かすと、コーカサスゼクターが顔を動かそうと――――必死に別の方向を向かせたがっているようにも見えた。
「何だ?」
ゆっくり、うつ伏せの状態で振り向くとそこには。
「……ぉー、ーっ……」
そこには、自分と同じように寝転がっている男がいた。
しかも近くには探していたバイクの姿もあり……
そして、冒頭の場面に繋がる。
バダーとしては早くカブキに目覚めてもらいゲゲルを遂行したいのだが、いくら揺すっても起きる気配がない。
……自身の存在が彼に寝た振りをさせていることに気づけないのは、人間との価値観の違いから来るのだろうか。
(……退屈だ)
暇を潰せるような相手がいない以上、自然と意識はバイクの方に向かい、少しづつカブキから体が離れていく。
傍目にはただのバイクとしか見えないが、性能の面ではなかなか期待できそうだ。あくまで、一般に出回っている車両での話だが。
ジャングラーより小柄な分小回りも利きそうな上、ジャングラーでは成し得なかった『ある事』が出来そうなのもバダーを引き付ける一因となった。
(これなら……バギブソンになるな。)
バギブソン、バイクに金属片を差し込むことで変化させるバダー専用バイクである。
ガス欠が解決した後、その場で幾度か試したがジャングラーは何も答えなかった。以前なら、リントの姿でも変化は可能だったはず。
先のドラグブラッカーとの戦闘で偶然にも変身制限に気づいた事もあって、バダーはそれもハンデの一つと解釈した。
何せバギブソンがいつでも使えるのならば、バイクの扱いで自分の右に出るものなどそうはいないのだから。
(目覚めたら殺して……こいつを貰うか。)
ジャングラーを手放すのは惜しい気もするが、それを補って余りあるほどの代物が手に入るのだ。ここは潔く乗り換えたほうがいいだろう。
一通りバイクについて思いを馳せたら、今度は荷台に積んであるデイパックへと手が伸びた。別段欲しい物があるわけでもないが、暇潰し位にはなるだろう。
中身は妙な紙切れや鉄棒などガラクタにしか見えない物ばかりだったが、その中で一つだけ、バダーの興味を引くものがあった。
(これは……バグンダダか。)
グロンギ族のベルトに酷似した形にいくつのも玉で数を数えるゲゲルの道具。元は、ゲゲルの管理者が持っていたカウンターだ。
残っているリントの数を考えると少々多すぎるが、それでも自身に縁のあるものを見つけたバダーは悪い気分ではなかった。
(いざとなったら、昨日の兵隊たちを数えれば数は埋まるか……――――)
「よお、ようやく隙が出来たな。いいもんでも見つかったか?」
ヒヤリと首筋に冷たいものが走る。
その冷たさが汗によるものではなく、突きつけられた金属による物だと気づいたのは、後ろに立った男が再び口を開く直前だった。
「変な真似すんなよ、こんな玩具でもお前さんの喉をぶっ刺すくらいは出来るからな……とりあえず、そのそろばんもどきを戻せ。」
振り向くことも出来ず、促されるままにバグンダダを戻すと、押し当てられていた嫌な感覚がふっと消える。
それを確認した後、顔を後ろへ向けた。短いナイフを持ちながら立っていたのは、やはり先ほどまで寝ていた男――――カブキであった。
バグンダダを見つけた驚きで、バダーは少しの間カブキから意識を逸らしてしまった。恐らくは、その隙にでも距離を詰めたのだろう。
「なぁアンタ、一つ聞かせろ……俺が寝てる間、どうして何もしなかったんだよ?」
「……気が付いていたのか。」
「まぁな、アンタがいなかったらもう少し早く起きられただろうよ。」
くつくつと冗談めかして笑うカブキに釣られ、少しだけバダーの顔にも笑みが浮かぶ。しかしすぐに表情を切り替え、ナイフを手で払い除けた。
「このバイクは、お前のものだな?」
「は?」
「お前のものだな。」
だったらどうなんだよとぶっきらぼうに答えるカブキの視界に、小さな金色の影が映る。
「な……!?」
「バイクに乗れ。俺に勝ったら、教えてやる。」
瞬時に飛び込んできたコーカサスゼクターがカブキの目元を掠め、その僅かな間にバダーはバイクへと飛び乗る。
捲し立てられるエンジン音の隙間で体の輪郭が揺らぎ、全身を濃緑色の皮膚が包む。頭部に現れた触角が、飛蝗の如く存在を主張する。
グロンギとしての肉体を完成させ、バダーはハンドルを握る。ようやく戻ったカブキの目には、走り去る赤いマフラーしか映っていなかった。
「ちっ……あの野郎!」
ここまで露骨に喧嘩を売られて黙っているほどカブキは人間が出来ていない。すぐにバイクに跨って、エンジンを入れようとした。
が、ふと先ほどのバダーの言葉が引っかかり手が止まる。
「……そうか、これはバイクって言うのか……」
今の一瞬でも、はっきりわかることが二つある。
相手が自分よりバイクの扱いに慣れていることと、相手は自分を格下だと見下していることだ。
それは今カブキの目の前にある真っ赤なバイクと蹴落とされたデイパック、そしてさっきの虫が持ってきたこのバイクのものらしきキーが物語っている。
「あんの野郎……」
そう、バダーはジャングラーでなく、カブキの持っていたKAWASAKI ZZR250へと飛び乗ったのだ。大方、鍵はさっき漁っていた時にでも持ち出したのだろう。
目立った外傷のないバイクを捨ててまで、わざわざ傷だらけのバイクを選ぶのはどういうことか。
――――それは、見下されているからに他ならない。『お前ごときこのバイクでも十分だ』、と言われている様な物だ。
「……上等ッ!!」
音叉をフロントカウル角に響かせ、額へ押し当てる。炎と桜の花びらがその身を包み、カブキの体をまだらの鎧が染め上げていく。
ジャングラーのエンジンが暖まる頃には、花吹雪も晴れ、立派な歌舞伎の鬼がハンドルを握っていた。
「待ちやが……れ、ええええぇぇぇーっ!?」
歌舞鬼がアクセルを引いた瞬間、ジャングラーは稲妻のごとく走り出した。それもそのはず、いきなり操作を誤って最高速度全快にしてしまったのだから。
いや、厳密には操作ミスではなく、ジャングラーの性能が歌舞鬼の予想を遥かに上回っていただけなのだが。
「な、何だこりゃ!? あっちよりも物凄く早いじゃねえか!!」
風圧で持って行かれそうになる体を直し、ハンドルを切ってバダーの後を追う。
バダーもそれに合わせるようにスピードを調節して、歌舞鬼と並ぶような形へ持って行く。
バイクが並んだ瞬間に歌舞鬼が拳を放てばバダーは器用にそれをいなし、その間を縫うようにバダーが蹴りを放てば歌舞鬼の音叉剣がそれを防ぐ。
一通り戦闘が終わると二台は離れ、また近づいた瞬間に一進一退の攻防の嵐が、併走するバイクの上で繰り広げられる。
それでも運転するバイクの走行が乱れていないのは、流石というべきだろうか。
「ハッ!」
音叉剣をいったん引き、歌舞鬼は瞬時に発生させた鬼爪をバダーの喉笛目掛けて突き出す。至近距離、外す訳がない。
だがバダーは特に動じる風でもなく、爪の下から垂直に拳を当て攻撃を払い、そのついでに歌舞鬼の顎へとアッパーカットを決めた。
その衝撃でジャングラーの車体が大きく道を外れるが、すぐに車間距離を詰める。諸に入ったように見えたが、どうやら効いていないようだ。
支援!
「くっ、ちったぁやるようだな……だがこれならどうだ!」
勢いをつけてハンドルを持ち上げ、そのまま後輪で立ち上がるジャングラー。その体勢のまま歌舞鬼は車体を傾け、前輪をバダー目掛けて振り下ろした。
とっさに取り出したディスカリバーで進行を食い止めるが、舞い散る火花で視界を焼かれてしまう。沈む日の暗さに慣れていたから尚のことだ。
「ダリャァッ!」
「!?」
だからこそ、閃光の中から迫りくる刃にギリギリまで気づかなかった。
しかしバダーも素早く身をずらして剣をよけようとし、結果歌舞鬼の音叉剣はバダーの頬をほんの少し掠める程度に終わった。
歌舞鬼は地面に降り立ってからそのことに気づき、軽い舌打ちを漏らして振り向きざまに刀を振るう。
だが、その先に手ごたえはない。
「いない!? そんなバ……ガ――――ッ!!」
セリフの途中で歌舞鬼の背中に衝撃が走り、その身が崩れ落ちた。飛び上がったバダーの蹴りが、歌舞鬼の厚い装甲を穿ったのだ。
バキバキと嫌な音が響き、容赦なく意識を黒に染める。その間にもバダーは血を拭い、もう一度蹴りを浴びせ悠々と歌舞鬼の前から遠ざかっていく。
「な……」
歌舞鬼の頭が考えるのは、バダーの驚異的な強さの事ではない。たった一つの、シンプルな疑問だけだ。
(何がしたいんだあいつは……!!)
歌舞鬼には、バダーの行動がまったくもって理解できなかった。それでも消え入りそうになる意識を繋ぎ止めながら、必死にバダーの意図を探る。
荒野で寝ていた時も、先の攻防の刹那にも、そして今この瞬間も。止めを刺せるタイミングはそれこそ掃いて捨てるほどあったはずだ。
(だってのに止めをささねえ……いくらなんでもおかしいぜ。)
もはや見下している、という一言では説明できない。何か他の理由……バダーなりの狙いがあるとしか思えない。
遊ばれている? 違う。確かに手玉に取られているような感じはあるが、手の届かぬ距離ではない。見下しているとはいえ、油断も隙も見当たらないのがその証拠だ。
ならば試されている? それも違う。止めこそ刺されないが、先の蹴りには間違いなく殺意が込められていた。あれは演技で出せるようなものじゃない事は歌舞鬼もよくわかっている。
(クソッ、どれもあてはまらねえ!!)
音叉剣を杖代わりにしながら立ち上がり、きっとバダーを睨み付ける。それに気付いたバダーもバイクを止め、ヘッドランプを照らしつけた。
――――いつしか両者の間に、暗く冷たい雨が降り注ぐ。雨の光で煌く雫を見て、歌舞鬼はふと不思議な違和感を感じた。
きらりと一筋、音叉剣に弾かれて光が跳ね返った。それに照らされたバダーの目は歌舞鬼の方へと向いてはいたが、明らかに歌舞鬼以外の何かを見ていた。
(……何だ……あいつ、どこを見て……!?)
まさか。
激情に駆られた歌舞鬼が振り返った先には、先ほど奇襲に使ったジャングラーが横たわっていた。
雨粒が涙のようにフロントカウルを伝い、緑色の目が悲しげに光る。まるで意思を持つかのように、独りでに。
ライトは自分でなく、このバイクを照らしていたのか。歌舞鬼の独白を肯定するように、バダーはランプをちかちかと点滅させる。
(でも、なんでバイクを……)
その瞬間、歌舞鬼の頭を電流が駆け抜けた。
『たまに離れて俺の乗り物や荷物漁ったりしてるけど、チラチラこっちを見てやがるし隙がねえ。』
『このバイクは、お前のものだな?』
『バイクに乗れ。俺に勝ったら、教えてやる。』
点と点が今繋がった。バダーの行動は、すべてバイクに依存しているのだ。
バダーは、バイクに乗っている歌舞鬼と戦いたいのだ。どういう理屈でそうしたいかはわからないし、理解する気もないが。
「……はっ、ははは……」
どうしようもない笑いがこみ上げてくる体を持ち直し、持ち上げられた右手はバダーを指差す。雨でよく見えないものの、バダーは不敵な笑みを浮かべていたに違いない。
「……その挑戦、乗ってやるよ!!」
「来い、もう加減はしないぞ。」
歌舞鬼の叫びに短く答え、バダーは肘から装飾品を引きちぎる。それをキースロットルに差し込み、キーのように捻りを加えて奥にねじ込む。
雨粒を巻き込みながらフレームが歪み、その影響でヘッドランプも醜く潰れ辺りは再び夕暮れの闇に包まれる。
「よっ……と!」
歌舞鬼は起き上がらせたジャングラーに跨り、音叉剣で車体についた泥を払う。激しい雨で洗い流された分もあったためか、数度払っただけですぐに泥は落ちた。
妖しく光るジャングラーに睨まれたバダーのバイクは、もう完全にバギブソンへと変貌していた。
ふとその光に、歌舞鬼は懐かしい物を感じる。目の間にそり立つ角は、よくよく見るとどことなくあの野性味溢れる青年を髣髴とさせる形だった。
「……まさかな。」
その思いつきを考えすぎだと振り切り、歌舞鬼は目の前の敵に集中する。
数秒の静寂の後、ドルン、ドルンとアクセルを吹かす音。開戦の合図は、それで十分だった。
「らぁっ!」
いきなり速度全快で距離を詰め、音叉剣で攻める。振り下ろしたその先でディスカリバーと鍔迫り合いになり、互いの顔を火花で照らした。
その光で拳が眼前に迫っていることに気づき、歌舞鬼は剣の柄で防ぐ。お返しに回し蹴りを見舞うが、上体を軽く逸らしただけで避けられてしまう。
「チッ!」
ジャングラーの前輪で牽制し、一旦その場を離れる歌舞鬼。すぐさまバダーもハンドルを切り、それを追いかけた。
走りながら歌舞鬼は音叉剣を仕舞い、バダーが追いつけなくなるほどにさらに速度を上げる。
完全に変化を追えたバギブソンに光源はない。故にこの暗がりの中ではバイクの排気音、タイヤが大地を踏みしめる音で相手を探す必要が出てくる。
「だが、この雨の中ならあるいは!」
降りしきる雨粒がエンジンの音を掻き消し、抜かるんだ泥がタイヤの唸りを黙らせる。
こちらからもバダーの位置は掴めないが、問題ない。元々こちらから仕掛けるつもりはないのだから。
そして、後はエリア中を縦横無尽に駆け回って……
(……燃料を使い果たしたところを一気に、という辺りか。)
心の中で歌舞鬼の狙いを読んだバダーは、ひそかに微笑んだ。自分の勝利を確信したためである。
歌舞鬼は場所がわからない中走り回らせ、動けなくなったところを突くつもりなのだろうが、それは無理な話だ。
グロンギの聴力を持ってすれば雨など問題にならない。それを差し引いたとしても、歌舞鬼は決定的ともいえるミスを犯している。
それは、ジャングラーの光である。ジャングラーの目の輝きは、この雨の中でもよく届いており、歌舞鬼はそのことに気づいていないのだ。
(まぬけ、め)
雨粒を払い、こちらもさらにバギブソンの速度を上げる。速度も勝っている上、歌舞鬼の運転能力はそれ程でもないので道筋を読むのは簡単だった。
後輪で水溜りを弾き飛ばしながら光を追いかけ、岩に乗り上げたバギブソンは宙に浮かぶ。
車体をジャングラーのほんの少し前方に着地させ、ハンドルを切ってターンさせる。その場で停車し、何も知らず向かってくる歌舞鬼めがけディスカリバーを構えた。
「!? うおっ!」
間一髪、直前で見抜いて歌舞鬼は体を伏せるが、間に合わず右腕の継ぎ目に刃が食い込む。
それでもバイクを操作し、呻き声を漏らしながらも強引に引き抜く形で走り抜ける。
ディスカリバーの表面から、赤い血が雨に流されていく。直撃とはいえ右腕一本だけで済ませる辺り、歌舞鬼自身の戦いのカンは悪くないらしい。
じっくり時間をかければそれはそれで面白いゲゲルになりそうだが、生憎時間がない。変身制限まで、もう何分も残っていないのだ。
「潮時か。」
バギブソンを走らせ、もう一度歌舞鬼の前に回りこむ。今度は完全に止まらず、止めを刺すのには十分な速度で突っ込んだ。
歌舞鬼の面食らったような仮面に、剣を振り上げた自分の姿が見えた。その光景をバダーは自分の目にしっかりと焼け付ける。
「これで、一人目……だ!」
この島に来てからの、初めてのスコアに心を震わせながら――――バダーはディスカリバーを突き刺した。
「が……はっ!!」
その切っ先は吸い込まれるように腹部に収まり、歌舞鬼は顔を伏せた。当然、運転も出来ずジャングラーの前進は止まってしまう。
ふと肩に重さに感じたと思うと、いつの間にかコーカサスゼクターが乗っかっていた。戦いが終わったことを察知したのだろうが、いったい今までどこへ行っていたのか。
きっと、歌舞鬼は策を見透かされて、さぞかし悔しい思いをしていることだろう。鬼の仮面の上からで、表情が確認できないのが残念でならない。
「……ククッ」
しかし、そんな感情とは程遠い笑いがバダーの耳に入る。
聞き間違いだろうと思い、ディスカリバーをさらに捻じ込む……が、動かない。縦や横はおろか、引き抜くことすら叶わない。
その間にも、聞こえるはずのない笑い声は大きくなっていく。その声がどこから聞こえてくるのか、もはや探すまでもなかった。
「ハハハ……ハァーッハッハッハッ!!」
気がおかしくなったかとでも言いたげなバダーの視線に気づき、声の主は笑いを抑えながら言葉を発した。
「そこに、いるな?」
勢いよく顔を上げた歌舞鬼の仮面に表情はない。しかし、その口元は間違いなく笑っていた。
「ッ!?」
「逃がすかよ!」
柄を放したバダーの手を、歌舞鬼が放り投げた烈節が捉える。巻きつく際にコーカサスゼクターを叩き落としてしまったが、気づかれない。
剥ぎ取ろうと左手が拳を握った瞬間、もう一本の歌舞鬼の腕がそれを押さえ込む。
ご丁寧にも鬼爪が肉を抉り、両者の体を繋ぎ止めるするくさびとなっていた。
「うれしいぜ……ちゃんと、俺の目印を追いかけてくれてよぉ!!」
目印。何のことを言っているのかはすぐにわかった。
――――嵌められた。歌舞鬼がジャングラーのライトを消さなかったのは、ミスでもなんでもない、自分を騙す為の策だったのだ。
無計画に走り回ったように見せたのも嘘。刺された振りをして、隠し持っていた烈節で受け止めたのも嘘。
嘘に嘘を被せられたことで、バダーは自分の優位性を疑わなかった。
相手の手の内を読んでいた気になっていたが、読まれていたのは自分のほうだった。ここまで滑稽な事が、他にあるものか。
「ま、さっきの待ち伏せだけは驚いたぜ……けどな、」
両腕を引き寄せられ、互いの顔が近づく。顔に張り付いた雨粒に、それぞれの仮面が写るまでに。
「俺のことを見下した……」
突如歌舞鬼の口が大きく開く。その奥から届く熱気が、水飛沫で冷えた肌に染み渡る。
「……お前が悪いんだぜぇぇぇぇぇ――――ッッ!!!」
吐き出されたのは、視界を覆う灼熱の渦。それに包まれたバダーの意識が暗転するのも、時間の問題だった。
◆
◆
「……ぅ」
「お、起きたか? まだ動くなよ。」
生きている。目を開けてすぐ感じた疑問は、直後に押し寄せてきた痛みによって塗りつぶされてしまった。
痛みに耐えながら首を動かすと、派手に転倒しているバイク二台に、変身を解いてあぐらをかいているカブキの姿。そして、うろちょろとこちらを覗き込むコーカサスゼクター。
忠告を無視して上体を起こすも、顔に負った火傷が疼き少し後悔する。だが、それでもバダーは口を開いた。
「なぜ、殺さなかった?」
「おっと、それは俺が教えてもらう約束だぜ。」
まさかそれを聞く為だけに生かしておいたわけじゃないだろうな、と内心呟きながらバダーはゲゲルを説明した。
バイクから引き釣り下ろして轢き殺す。自分のルールに則った、ゲゲルの全容を。
「……ほぉー、どうりでさっき俺を待ってたのか。どうしてまたそんなことを?」
「ゲリザギバスゲゲルを成功させてダグバとのザギバスゲゲルを制する。それ以上、理由は要らない。」
見知らぬ単語の連発に苦笑いしながらも相槌を打つカブキに、バダーは次はお前の番だといわんばかりに睨み付ける。
「んで、何だっけ? 俺がお前を生かした理由だっけか?」
帰ってくるのは頷き一つ。心なしか、さっき戦っていたときよりも迫力がある気がする。
「別に、理由はねえよ。ただお前を生かしておいたほうが……」
一瞬だけ京介や、晴彦の顔が浮かんだ。生き残るということは、優勝するということは、いつか彼等を――――
「……この先、いろいろと楽になると思っただけだよ。」
押し寄せる感情全てを押し殺し、無理に不敵な笑みを浮かべる。
……今度は反応がない。永遠にも思える静寂の後に暗闇の中から返ってきた返事は、
「……変なやつ、だ。」
「お前さんには言われたくねえよ。」
抉りこむような突込み。瞬時に二人の視線が交差して、やがてどちらからともなく噴出し、今度は腹の底から笑ってしまった。
「お前はこれから……その、ゲゲル? ってのを進めんのか?」
今も火傷の痛みが駆け巡っているだろうに、バイクを立て直すバダーに問いかける。殺さないよう炎を加減したとはいえ、タフな奴だ。
「ああ。」
「……そっか。」
「……止めないのか?」
「止めるかよ、そのために殺さなかったんだから。」
バイクに乗った者しか狙わないなら、バイクに乗れない京介らはとりあえず安心だろう。
それでいて人数を減らしてくれるなら――――優勝を目指すためにも、好都合だ。例え、人間を見殺すことになろうとも。
カブキの瞳の中に、わずかな憂いが生まれる。異常がないか確認しながらも、バダーはその憂いを見逃さなかった。
「……お前は、他のリントとは違うんだな。」
「あん?」
バダーの口から、突然興味を引く発言が飛び出す。寝転がっていたカブキも跳ね起き、聞き漏らさないよう耳を傾ける。
「バイクに乗るリントは……皆弱いリントを守っていた。」
「リント……人間か?」
まるでカブキ以外にも鬼を知っているような口ぶりに、カブキの脳裏に、この島でも一度出会った一人の男が浮かぶ。
かつての仲間であり――――越えるべき壁であり――――おそらく、もう二度と相容れぬであろう敵。
「そいつってまさか……こう、紫色で、二本の角がニュッ、て」
「…………」
記憶を呼び起こし、カブキの言う特徴を持つリントを探す。紫色、ということは変身した姿だろう。
……そういえば、確かバイクを持つリントにそんなのがいたような気がする。一番最初に、しかももう半日以上前に出会ったきりだった所為か、思い出すのに時間がかかった。
「ああ、いた。」
「やっぱりか! そうか、お前がヒビキとねぇ……」
ヒビキ、というのが奴の名前か。その名を記憶に刻むバダーをよそに、カブキは一人うんうんと頷く。
「なあ、お前バイクに乗った奴を殺すんだろ?」
「ああ。」
「だったら、そいつ……ヒビキは残しといちゃくんねえか?」
「断る。」
即答だった。思わずバイクについていた肘から体勢を崩し、カブキは間抜けな格好ですっころんだ。
そんなカブキをまるで邪魔者を払いのけるように蹴飛ばして、バダーはバイクのエンジンを入れる。戦いであちこち傷ついているものの、使用する分には問題ないだろう。
「おい! 話はまだ……」
「嫌なら、俺より早く狩って見せろ。」
冷たく、それでいて覇気の篭った声でカブキを一蹴するバダー。ハンドルを握る寸前、何かを思い出したかのようにカブキに向き直った。
「……そうだ」
「何だよ?」
「禁止エリア……とやらには、気をつけろ。」
何を言っているんだ、カブキの呟きはバイクの廃棄音とバイクの駆動音で脆くもかき消されてしまった。
一瞬のうちに、その影はもう小さくなっている。これだけ距離が離れてしまうと、もう追いつくのは無理だろう。
走り去っていく後姿を見つめながらため息を一つ漏らすと、どこに行っていたのか今まで感じなかった疲れがどっと出た気がした。
今になって、刺された右腕が痛み出してくる。変身した装甲を貫くとなると、あの剣はよほどの名匠が打った業物なのだろう。
「ちくしょ、いつもならすぐ直るのによ……ん?」
静寂を満喫するのにも飽き、自分の荷物を集めようとすると、またもや言い知れぬ違和感がカブキの脳天を突き抜ける。
転がっている荷物は自分のデイパックと、音叉にさっき使った烈節、そしてさっきまで乗り回していたバイク。
「……あ」
繰り返そう。さっきまで乗り回していた、真っ赤な、あの野生児の面影があるバイク。
そしてデイパックの中にあるはずの、なんかよくわからないそろばんもどきが、ない。
「……あ゛ぁ〜〜〜〜〜っっ!!!!」
【1日目 現時刻:夕方】
【現在地:D-6 南西部】
※D-6エリアを中心に五時から数十分にわたり雨が降りました。
【歌舞鬼@劇場版仮面ライダー響鬼】
[時間軸]:響鬼との一騎打ちに破れヒトツミに食われた後
[状態]:中程度の疲労、肩に裂傷、右腕に刺し傷、二時間変身負荷(歌舞鬼)
[装備]:変身音叉・音角、音撃棒・烈翠
[道具]:基本支給品×4(ペットボトル1本捨て)、歌舞鬼専用地図、音撃三角・烈節@響鬼、
GK―06ユニコーン@アギト、ルール説明の紙芝居、インペラーのカードデッキ@龍騎、ジャングラー
【思考・状況】
基本行動方針:優勝し、元の世界に戻って魔化魍と闘う。そして最後は……
1:あんの野郎おおおお!!!
2:ヒビキに勝つ。割と急ぎで。
3:澤田(名前は知らない)にヒビキとの対決を邪魔した礼をする。
4:北崎はいつか倒す。
5:桐谷達が挫折したら自分が引導を渡す。
6:バダーは、参加者を殺すならば泳がせる。
【備考】
※カードデッキの使い方は大体覚えました。
◆
闇夜に響く絶叫を聞き、バダーはバイクの上でひっそりと微笑んだ。
勝負には負けたが、死にはしなかった。それどころかまた新たな戦うリントを見つけることさえ出来た。
そして、最たる収穫は己の油断の発見。カブキとの出会いは、バダーにとってとても深い意味を持つ物になった。
(……負けない、はずだった。)
バイクの性能と運転技量、精神状態、そして当人の戦闘センス。どの要素を取っても勝っており、確実に勝てる戦いだったはずだ。
だというのに――――結果は、策にはまり見事な敗北。それも、一時は殺害寸前まで追い詰めたのに、である。
(見下す、か)
最初から気を緩めず、本気でかかっていればあのような幼稚な策には嵌らなかっただろう。
……ゲゲル開始から今まで、戦いはあれどまともな戦果はない。人ですらない畜生のあの黒龍は論外だ。
残された人数もそれほど多くない。いつの間にか、ゲゲル失敗の影に追われ無意識のうちに焦っていたのだろうか。
(……もう、躊躇は、しない。)
ゲゲルに必要な道具は、もう十分すぎるほどに揃った。明日の夜明けまでに、バグンダダの玉をいくつ弾けるだろう。
当面の目標はバイクを持つリントと、ヒビキという名の戦うリント。カブキにはああ言った物の、実際会ってどうするかは正直半分半分といったところだ。
それこそ、そのときコイントスで決めてもいい。有無を言わさず襲い掛かってきた場合を除いて、であるが。
(……熱いな。)
この火傷は、いわば自分への覚悟の証。新たな決意を胸に、バダーはさらにバイクを加速させていく。
雨は、いつの間にか上がっていた。
【1日目 現時刻:夕方】
【現在地:E-6 東部】
【ゴ・バダー・バ@仮面ライダークウガ】
【時間軸:ゲゲル実行中(31-32話)】
【状態】全身にダメージ、上半身全体に火傷、右足にダメージ、二時間変身不能(グロンギ体)、一時間半変身不能(コーカサス)
【装備】KAWASAKI ZZR250、ライダーブレス&ゼクター(コーカサス)
【道具】基本支給品、車両配置図、ラウズカード(ダイヤの7・8・10)、ディスカリバー、バグンダダ
【思考・状況】
基本行動方針:リントではなく自分の「ゲゲル」を完遂する。
1:南へ下ってゲゲルを続ける。
2:クウガ、イブキ、ガタック、ドレイク、歌舞鬼はいずれ自分で倒す。
3:響鬼にわずかな興味。歌舞鬼に取っとくかどうかは気分次第。
4:(スマートブレイン勢力も含めた)「ライダー」の探索と殺害。
5:グロンギ族に遭遇しても、このゲゲルを終え、ゲリザギバス・ゲゲルを続行する為に殺す。
6:禁止エリアには気をつける。
※バダーは「乗り物に乗った敵を轢き殺す」ことにこだわっています。
選択の余地がある状況ならば、上の条件に合わない相手は殺せる場合でも無視するかもしれません。
※「10分の変身継続時間」と「2時間の変身不能時間」についての制限をほぼ把握しました。
※用意されたすべてのバイクが出そろったため、車両配置図は詳細地図としての価値以外なくなりました。
しかしバダーはその事を知りません。
※風見志郎の事を風間大介だと勘違いしています。
※コーカサスの資格者に選ばれました。
※KAWASAKI ZZR250はバギブソンに変化します。またジャングラーは変化しませんでした(通常バイクのみ変化可?)。
※禁止エリアに入ってから全身が灰化するまで、少し時間があるようです。
以上で投下完了です。多くの支援ありがとうございました。
感想指摘、矛盾点等ありましたらよろしくお願いします。
投下お疲れ様です!
放送前にバトルがきたwまさかここでバイク戦を見れるとは思わなかったw
グロンギはさすがゴ族なだけあってカッコいい連中が多いですね。
この二人が再開することはあるんだろうか。響鬼さんとバダーの接触にも期待。
あとカブキがんばれw
投下乙です!
見ごたえのあるバイクバトルに、一転二転する戦況にわくわくしました!
バダーさんはゴのプライドが、歌舞鬼さんは捨てきれない京介達への思いやりが
それぞれキャラクターらしくてとても面白かったです!
互いに決着は付かなかったものの、お互いにとって改めて自分の決意を感じさせられる
いい出会いだったと思います!GJでした!!
このスレを毎日見てても新しい書き込みがないので少し寂しい
ロワに出てきた台詞で好きな台詞とかある?
「ライダァァァァァァァァァァーーーー!!」
――あぁ、大丈夫さ。本郷――
――なぜなら、俺は――
「キィィィィィィィィィィーーーック!!!」
――この言葉を、知っている!――
(by一文字隼人NEXT)
ここが熱くてカッコよかった
ない
521 :
創る名無しに見る名無し:2010/02/02(火) 20:41:16 ID:GhzlV9W5
もう身内で固めたロワだ
今更読み手にモノをねだるな
新しい書き手も来ないから好きにやれ
もう2ちゃんでやる意味もないしな
独り言楽しいっすか? 相変わらずですね、cwさんw
524 :
創る名無しに見る名無し:2010/02/04(木) 20:55:13 ID:F4LS8XT8
, -‐−-、 ヽ∧∧∧ // |
. /////_ハ ヽ< 釣れた!> ハ
レ//j け ,fjlリ / ∨∨V ヽ h. ゚l;
ハイイト、"ヮノハ // |::: j 。
/⌒ヽヾ'リ、 // ヾ、≦ '
. { j`ー' ハ // ヽ∧∧∧∧∧∧∨/
k〜'l レヘ. ,r'ス < 初めてなのに >
| ヽ \ ト、 ヽ-kヾソ < 釣れちゃった!>
. l \ `ー‐ゝ-〈/´ / ∨∨∨∨∨∨ヽ
l `ー-、___ノ
ハ ´ ̄` 〈/‐-、
携帯から貼ったようなAA
ここが熱くてカッコよかった(笑)
一条は1st加賀美を彷彿とさせる死に方だったな
人を庇っての死が熱いのは認めるが、もう少し差別化してほしかったな…w
橘さん復活話はよかった。
アレな橘さんとのギャップがあってこそだな
もうちょっと時間おけよw
たしかに橘さん復活話よかったね
覚醒が脳内に流れたわw
自演乙
あの頃の橘さんみたいな電波キャラって、色んな化け方の可能性を持ってるんだよね
歪みきって悪役化、誰にも救われず身が朽ちるまで利用され続ける道化、
屁理屈がさらに上達してロワ屈指のウザキャラ(フカヒレみたいに)、他いろいろ
だからこそ、正直あの話は「勿体無い」としか思えなかったなあ
結局真面目で迂闊ないつも通りの橘さんになったけど、正直もう見飽きた
みんなの人気キャラだからこそ、枠を抜け出す冒険をしてほしかった
処理する力持ってる書き手がいなかったんだからしょうがない
もったいない部分を感じつつも棄てる選択しか無かったんだろ、多分
ところで今後話の投下ペースはどんくらいかね。半年に1回か年1くらいかな
予約制からよくわからん方式になったけど成果が見えないからつまんないね
いやあ、あの迷走は正直もうきつかっただろう
最初こそよかったが、あの時点じゃ死ぬかああなるかだったよ
これ終わらないと新しいライダーロワできないの?
>>535 別に新しく始めたかったらどこかで始めたらいいよ
ただし人が集まるかどうかは保障出来ないからな
立てるだけ立ててトンズラとか止めてくれよな
わけわからんシステムにしたのはいいけどいつ新作がくるんだ?
予約制じゃなくなって期限がなくなったけど
せめて今書いてる人が居るのか居ないのかくらい教えてくれよ
外部が口を出すなカス
黙って投下されるまで待て
全生存キャラ16〜18時の行動出揃ったようだから、一応放送いけるんじゃない?
540 :
創る名無しに見る名無し:2010/02/23(火) 01:23:35 ID:P8KF3yqW
あげ
ここに投下する意味なんてあんの?
おまえそれを言ったら他のスレもw
とは言っても確かにこの現状ならここに投下せずまとめサイトに投下しちゃえばいいんじゃない?って気もするな
このスレは投下報告だけでさ
今更このスレ見て新たな書き手が参入する環境でもないしな
もう新規参入はお断りになったんじゃ
私物化した企画をここに投下する意味ないだろ
私物化した時点で2chパロロワとしては死んだんだから
個人サイトの中二オリロワ投下してんのと同じやん
なにいってんだお前は?
ロワ自体が中二の溜まり場みたいなもんだろ
特撮ヲタは独りよがりだから困る
スレも掲示板も動いてないし、もう休止状態だな
第三回放送を投下します。
携帯の着信音が、暮れなずむ空に朗らかに響き渡る。
「ハァーイみなさん、6時間のご無沙汰でした。スマートブレインがお送りする極上のリゾートライフ、ちゃんと満喫してくれてますかぁ?」
携帯の小さな画面でにこやかに笑う女性。嘲笑うように細めた目は、見るものには小憎らしく映るだろう。
「それでは、12時からこれまでに生き残るのに失敗しちゃった負け犬さんのお名前を発表したいと思います。
十面鬼ゴルゴスさん、山本大介さん、和泉伊織さん、一文字隼人さん、手塚海之さん、牙王さん、城戸真司さん、澤田亜希さん。今回ゲームから脱落しちゃったのは以上8人の皆さんです」
女の声に合わせてテロップが流れる。死者の名前を視聴者の目に強引に刻み込もうと言わんばかりの執拗さだ。
「みなさん元気に殺し合ってくれているみたいで、お姉さんとってもうれしいです。その調子で、どんどん死んじゃってくださいね。うふふっ」
笑顔とともにカメラ目線を決める女性。数秒の沈黙が聞くものには痛い。大抵のものは、その空虚に悪意を感じる程度には疑心暗鬼になっているだろう。
たっぷりと間を取ってから、彼女は口を開いた。
「今夜は19時にB-3、21時にD-8、23時にB-8のエリアが進入禁止になりますよ。
それからがんばっている皆さんに素敵なプレゼントです。午後9時から、社長さんからの差し入れを載せた電車が運行を開始します。駅の近くにいる人はぜひ貨物車を覗いてみてくださいね。それじゃ、バイバーイ!」
にぎやかなBGMが不意に途切れ、放送は終わった。
「まったく、北崎さんも困ったものですね」
村上は苦笑を浮かべてリモコンを手に取った。テレビの電源が落とされる小さな音がはぜる。
無造作にデスクの上に戻されたリモコンのそばには、青いバラの花をたたえた一輪挿しが置かれていた。
彼は目が醒めるほどに鮮やかな青い輪郭を指の背でなぞった。
「首輪の効果はせいぜい持って一週間。その後になればどうぜ全員灰になるのだから、慌てて殺す必要などないというのに」
この世に存在し得ないと言われた寒色の花びらは、持ち主の冷酷な思惑を映してひややかに佇んでいる。
「そもそも、彼らが死ぬだけでは我々の目的は片方しか果たせない。彼らにはまずひとつになってもらわねば困るのです。未来と言う可能性の、すべての芽を摘むために」
確かめるようにつぶやいた声は、エアコンの立てる乾いた音に混ざって消えた。
* * *
琢磨は冷笑を浮かべてリモコンを手に取った。テレビの電源が落とされる小さな音がはぜる。
無造作にカウンターの上に戻されたリモコンのそばには、青いバラの花をたたえた一輪挿しが置かれていた。彼はちらりと花に眼をやり、顔をしかめた。
「危機的状況に陥れば互いに協力するかと思いましたが、結局『彼ら』とやっていることは同じとはね。見ているこちらが情けなくなってきますよ」
置いてある古い皮装丁の洋書を引き寄せると、その角が花瓶に当たって倒れた。
シンプルな作りの一輪挿しは、無抵抗なままカウンターを転がってシンクに落ちるほかない。悲鳴のようにか細い音の後、青い薔薇の花にぬるい水とガラスの破片が降り注ぐ。
「と、失礼」
「気にしないで」
冴子が指先で花をつまみ上げた。所々傷ついた花を、さっと水道で洗い流してカウンターに戻す。一連の仕草を眺めながら、琢磨が呟く。
「ただ……北崎さんも聞かされていたはずですがね」
「飽きたのでしょう?」
冴子がいともたやすくまとめる。
「そうかもしれませんね」
琢磨は応えてカクテルのグラスに手を伸ばした。
仮にもラッキークローバーの一員であった澤田の名を二人が挙げないのは忘れ去られているせいではない。彼や海堂、木場といったメンツに期待されていたのは、もともと殺戮ではなかったからだ。
彼らに求められていたのは、異次元のヒーローたちと手を取り合ってゲームに抗うこと。
むしろ、スマートブレインの存在を証言し、敵意と団結を煽ることだった。放送の中身が無用に挑発的なのも同じ理由だ。
「北崎君は、ドローを演出できるほど器用なタイプじゃないもの」
澤田君を殺したのも、待つのに飽いたからでしょう。彼はゲームのルールを尊重する心など、みじんも持たないはずだから。冴子はいいながら磨き上げたグラスをハンガーに戻した。
「それにしても」
ふっと漏らした吐息には、どこか不穏な空気が籠る。
「村上君の態度は眼に余るわね。二言目には王のため王のためと」
冷たい呟きに、琢磨が苦笑した。
「王がいてこその我々、というのは事実ですがね……王ひとりの世界であっては困る。世界は我々のものです」
「北崎さんも、さすがにそれはわかっているでしょう?」
冴子は口元だけで笑うと、拭き終わったグラスを棚においた。
「むしろ、あの人は自分が王様のつもりかもしれないけれど」
琢磨が黙って肩をすくめる。不穏な空気はバーの厚い壁に足止めされ、行き場なく薄暗い店内に漂っている。
以上で放送の投下を終わります。
いよいよ節目の24時間までリーチです。
読んでないけど乙
投下おつかれさまです。
裏側が徐々に明かされてきましたね……今後の展開が楽しみです。
そして誰もwikiに収録しない
空白期間2ヶ月、進行報告皆無、やっと投下された作品の感想は片手で数える程度、そしてwikiが更新されない…
実は書き手側もライダーロワなんてもうどーでもいーやって思ってたりしてw
マジレスだけど、まさにそのとおりだと思う
言われても自分たちでwikiに収録しようともしないし、もうやる気のなさが目に見えてる
リスタートしたら?
いや、リスタートを仮にしたとしてももう無理じゃないかな
体力ないでしょ、このロワ
じゃあ終了したら
もうディケイドに破壊してもらうしか
来い!カオスロワ
test
南光太郎を出しちゃえ
wikiが変な事になってるみたいだけど、どうなってるんだ?
ゴルゴムの仕業か!
wiki荒らしか?
直そうにも編集履歴使えないから半分お手上げ
それにしても何故アニロワ3rdなんだ?
なんだかよく分からん妙な編集だな
修正乙
管理担当です。
>>567でご指摘のあった件について、ご報告申し上げます。
5/9 22:18〜22:30にかけて、複数のページが以下のように改ざんされていました。
「トップページ」
別のパロロワまとめwikiのトップページの内容に差し替えられていました。
「メニュー」「藪をつついて黒龍を出す」「桃の木坂分岐点」
ほぼ白紙(記号1つのみ)となっていました。
「蜂の乱心」「イプソ・ファクト(前編)」「闇はーーー動き出すーーー」「憎悪の声は歓喜する(後編)」
それぞれ他のパロロワまとめサイトより、別々の作品がコピペされていました。
引用元は複数のパロロワに渡り、コピペ元の作者も統一されていません。
なお、編集者のIP、プロバイダとも特定済みです。
このようなことが繰り返される場合には、改めて対処法を検討致します。
このたびは対処が遅れ、ご迷惑をおかけしました。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
荒らしの報告とかしてる暇あったら、早く続き書けよと思うんだ。
せめて待ち侘びてる住人に経過報告くらいしてくれたっていいのにさ。
まあ落ち着け…
たしかに報告はほしいけど、気楽に行こうぜ
出したら別の意味で終わっちゃうよw
最終話 希望を胸に すべてを終わらせる時…!
ディケイド激情態「どうした、もう終わりか。」
全てのライダーは、突如現われた「破壊者」によって粉砕された。
首輪すら跡形も無く消え去り、残るのはライダーカードのみ。
「悪趣味な殺し合いの世界か。
もう、この世界に興味は無い。」
世界の破壊者は、バトルロワイヤルの世界すら破壊し
また何処かへと去っていった。
〈 ̄ヽ
,、____| |____,、
〈 _________ ヽ,
| | | |
ヽ' 〈^ー―――^ 〉 |/
,、二二二二二_、
〈__ _ __〉
| | | |
/ / | | |\
___/ / | |___| ヽ
\__/ ヽ_____)
/ \
/ ヽ
| |
/_______\
| -─(<・>)-(< ・>) / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(6  ̄ \ ̄| < この世界もディケイドに
|  ̄ / | 破壊されてしまった
\ /二二/ / \_________
/\ /\
 ̄ ̄ ̄
おのれ、ディケイドォオオオオ!!!!!
もう書き込みせずdat落ちさせてやれよ…
この板は書き込み無しのdat落ちは無理だよ
1000いくか、500kbいくかのどっちかでないと残るよ
もしくは
>>10までで止めるか
まじか…連投したら荒らし認定されるだろうし500kbも厳しそうだな
生かさず殺さずの状態か、可哀想に
一日1KBづつ適当なこと呟いてれば夏休みが終わる頃には落ちると思うよ?
げっ、よく見たら残り43kbしかないのかよw
続きの余地はないのね
586 :
◆vVe.Z3fuuw :2010/07/03(土) 18:56:31 ID:OuAHyTwd
俺を追い出さなければ今頃完結してたのに…
、
.\ ______ ,,
ヽヽ'´ .l .l .l::ヽ、 _ /
/\\ l .l .l:::: r''/
l r'' ヽ、 ,、 ´ /、:l
l l Y l Y l::l
l ヽ ノ l l l::l もうすぐ俺達が最終回を迎えるってのに
l  ̄ ,l .l .lヽ .ノ/ まだ完結してないとか、終わってるなホント
l ,l l .l::::::::/
l ヽ、l_l__l__ノヽ、
_ r-‐-- 、 _____ノヽ__ l l l::/:::::::ヽ ___________
/ /// l.l l´:::::::::::::::::_::-‐/l l:::::::::::::::`ヽ、
l、 / / /--- 、__ //.l_:::-‐‐--::、::_::l l .l::::::::::::::::::::/.l
l .`´/ / `y //:::::::::::::::::::::::::::::l ヽ ヽ:::::::::/ / l
l`-´ /l l l l::::::::::::::::::::::::::__:::::l、 ヽ ` ´ / /
,、ヽr,
/ ̄ ̄.ヽγ ̄ヽ キリッ
/ ///W`ヽヽ ゝ
γ /\ / //V\ l l .|
l ル(ー)W(ー) l リ ル <また新しいライダーが出るのに終わってないなんて…アトリームじゃこんな事なかった!
.レV ⌒(__人__)⌒ レノ^) ゝ
|l^l^ln|r┬-| V | /
\ヽ L`ー' /
,、ヽr,
i=i i=i
| | | |
| | | |
iiii .| |__-...-=--,-,,,.| | iiii
|ii|-| |: |ii|: :|iii|: |ii|: :| |: :|ii|、
i:´:|ii|: | |: |ii|: :|iii|: |ii|: :| |: :|ii|:::゛i
|、::|ii|: | |: |ii|、:|iii|: |ii|: :| |: :|ii|./:i|
|i:i\: :| |: |ii|キ|iii|‖i|: :| |: ,!ii|i:i:i|
|i:i :i\:|,r|ii|キ|iii|i:.|ii|v:!:/i :i:i:i:|
|i:i:i :i:i:i. :i:i!、|.,!liilヤ|ii! :i: i:i i:i:i:|
r:i:i . i:i:i :i:i:i f::|ii|:ヤ :i:i: :i:i: :i:i:i:i|} 俺は破壊者だ!
l:i:i:i:i i:i :i:i:i {..|ii|: } i:i:i :i:i:i:i:i:i:i:l
∨i:i:i:i:i: :i:i:i丶ii|,:'. i:i:i: i:i:i:i:i:i:i:!
∨:i:i:i:i:i:i:i:/:|ii|:丶i:i:..i:i:i:i:i://
∨、iiiiii/:.|ii|: |ii|: :|ii|ヽiiii__//
!/-:|ii|: :|ii|: liil: :|ii|: |i| ,、;l
∨゛、lii|_.|ii|: :|ii|." /:!丶
,,.-=ニ;::、\.|ii|_.|ii|__lii|__=' 三_,.-'"
:/ii/三!三丶三 ̄ ̄ ̄:´三/ /:
iii/ 三 丶三三iニi:三/l三/ /: : :
∨ 、, \ _
∨ ヽ ,.':ヽ"',__:>= 、
/゙:-==-"三/''"i `ヽノ:丶
r‐、-=-、三( )三ヾ ∨゛、.`ヽ゛/i
\ !ヽ ヽ,,_三三丶丶 ___.,' \/
!i´ ./ /__ニ三三、\___,.= \.、
!', / ./三f.、゙'':.、三丶゙''丶、、 ヽ,'/、 ,,
`丶:゙__ 三\=.゛'''' ヾ\、.、 ゛、".::/ /i.,‖, _‖
f⌒:::::\:,、゙i ..丶.,, ll.、:、三:゛、" ,' /‖'〃,'‖,,
!、:::、::`、:;>、丶 ____..,'' r=-.,,:i ゛,'.‖ヽ,'‖,'‖/_ すべてを
,'゙、゙___;; '" \ ...,, '゛>=゙'''=,,, i;; _i,',.': "´:;;! 破壊してやる
,::i _',, =-..,,::゙、、ヘ''"__ノ,' ,='"!;/'.,'.ヽ: :;;,'
',::| //:゛、 /. 、\ ゛'':.、_,:'::,:'' >、,'‖‖ヽ'/
';::゛..//::::::;'゛゛''''''=、゛,,:\://./ニ='三゛='..__,,,/
\ __ _____//::::::i / i _ ゙'''、:::; =゙'':三三三`ァ‐__:i__
\ li r='--三三::::::::://:::://:://l ,.-,.//:/三三`三三/ ///=-_____
l .li  ̄ ̄ ̄!/__,.////:://:::////:/_三三三三/ ///_/≡≡≡≡l
゙___li /::i::/// /:://::://:::://:::i≡≡≡≡≡≡≡=/:: ̄ ̄ ̄ ̄:l
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(二二二二 ___________ 二二二)
(二二二二 | lll> □ ロlミ {二l | 二二二)
(二二二二 | | 二二二二二)
(二二二二 | ┌―――――――┐ | 二二二)
ヽ. 三ヽ | |否 仝 φ F | | ___|
| 三 ll | |''ェ'' 百 品 ll|i|ll | | ][二二] 〕
.ノ 三ノ | | 〈v〉 (w) ⊂ | |  ̄ ̄ ̄|
(二二二二 | └―――――――┘ | 二二二)
(二二二二 | | 二二二二二)
(二二二二 | K ‐ T O U C H | 二二二)
(二二二二  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 二二二)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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l l l= {-、rニl l::::::::::::::::::://:::`::ー...、:::l__
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l l l-ニ`ー'‐,l l::::::::::, ':::ム::::::::::::, - ´  ̄ l
l l l三二‐,、l l:::::::/:::::ハ , <´ l
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l l`ー |_|─ ' l l:::/: : : : : : : ヘ──────‐,
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llソ/ ヽィ /`ヽ、 / / /::::::::::::///)/(//::::::/ /:::::::/ /,r二二二二二二二二ニ=-──── - 、
`ヽ/ ムソ / マミ /`ヽ、 ` ー──- -----' /::::::::::/  ̄ l______________ l
`ヽ、 / /ソ// ` ー 、___ , --─‐'──‐'ー─ ' ´ ̄ | ,──── | r────、l:::::::i ` ーl
人は戦いを求める だが、それは悪い事ばかりじゃない
戦いは人を強くし、更なる高みへ上らせる
[] []
| |====コ====|.|
/´:|..|ニニニニニニニ.| |¨`\
{ |: !:|..|ヨ_r||___||、_..| |:::|::ト .}
,ィ|Y::|::!.|ヨE{`Y´ }lヨ! !:::!::!:Vト、
| !\|::!:| |コi ゝハノi .| |:::|::|/ ノ }
|ヽ_r-、!:!.|E!==ニニ===| |:::|/、 /l
|ヽ;'::::::`| |Ll__rニニ(C).| |'::::::::::!イ!
Y:::::::::::| |{ユ-r|:::|ュfl,ィ| .!::::::::::|,イ!
Y::::/:´!.|::::!ヽ.冂/i:!:::! |:::!.i::::レ'
V、::!: ::| |: :!:i::}| .|::!:i:::| |:::i::!::ハ,'
ヘヽ:::::!.|::::i !/| .ト、:!:::! |:::!:i/テ
}.ゝ-| |‐イ|:::! .!::|`!:| |ァ‐'!リ
、:|::ト! |::::!.!::| :|:::! |:l .!イ_j/
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ス_ `>ゝ=、 ///:::/ /弋_::::|[:::::::]|::::::::::/ /:::::/ ///´ _,...--‐‐ ¨ ̄ヽ..=='.
レ!!rニ7=、_``ヽ='/ /:::::/ /::::::::::::::_i_i_::::: ̄:::/ /:::::/ / / /_,..-‐¨ ̄ _,....--‐¨ ̄!∨!::::::',
!ョi水}iE`Y`‐|__. /:::::/ /::::::::/¨( メ ) .7::::::/ /:::::/ ` ̄¨i! ̄_,..--‐ ̄i!!_fフ ∧ゝ、|∨|__ノ}
iヨゝ_/|E/Vヽ |‐`ー-..__l ゝ=、::_ ̄ゝノ ̄_,....' /--‐'!_,..-‐ ̄`i!|Efラ ̄`ヽ.:!|Ei/{.O!O} 〉.∨|__/|
_jヨ三≠モ!_メ.ノ .!E/∨}||`ー-...__ _二二二二_,..-‐ ̄!|Efフ発=ラ}| i!ヨハ{´!!`}|、_!|E、r\_/\!∨|:::::|
|\_(C!|ニ 凵ヽ!|ハ_人)!|Eト、_ノ!||───`!iミ{∧_}`〉!|ヨ八ミli彡|7|iEl ∧--'{ヽ||ヨノ-f ̄ ̄| ∨|::_/|
\ \j_ニ(C, !|∧j_/|| |r'{ リ.|El ゝ_j_ノl||ヨヾ-∨ヽ||Ei∧≡_/ハ||ヨ|≦_f ̄(C!ヨ三ニ=≠ ̄ ̄__/
`∨-.._ ̄|/j_i三(C.!|ソゝノ、!|ヨ {ゝY_ノ|||ヨゝハfjフ=||Ei/─=C) ||ヨ三三ニ≠-'' ̄ _,....--─T ̄
∨/`ー'::{__ ̄-..._j|三=(C||ヨ-ゝwノ.||Eイ___===(||El______,,..--|─'' ̄ ̄__,,..-、 ̄ .,:' .リ
ゝ!--フ::::::`ー |_≧__j|三三ニ(C|||ヨ三三Cニlj-‐ ̄__,,....-─'`ー、::::::::::::::::∨ / /
/≦:::::::/ ∧ |:::|´  ̄ ̄ ̄¨ー―‐¨ ̄|ニ≠::| | ∨\::::::::::::ゝ──‐'
/ !:::::::/ ∧ !::| |`ー――‐───'| |::::::::::| l V ::::::::::::::::::厂∨¨ヽ
俺達の物語は終わらない。それを望み、それを待つ人がいる限り。
絶望の中で、光を与える闇からの戦士。それが仮面ライダーだ。
┃ ┃
┃┃ ┃┃
┃┃┃┃┃┃┃
┃┃┃┃┃┃┃┃ ┃┃┃┃┃┃┃┃
┃┃┃┃┃ ┃┃┃ ┃┃┃┃┃
┃┃┃┃┃ _/ ̄ ̄/77 /^ー―┐./ー、/ー、
┃┃┃┃┃_ /__ ̄_/ /7_/,┐ ┌┴′// /77
イl二,工 二_//_/= / // ̄ /ー' / /ー┐ r'./  ̄/
|.|乂|且|__/|__/  ̄ / / 7/´/ ̄ _r┘ / /./ / ̄
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄_r┘ D ┃ ̄ C.  ̄D ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ┃┃┃┃
続
_______________
|/:./:.:イj:.リ:.八:.リ j:.i| \_____________
|:./≧x、lハj _,,リ≦二イ:.j| ミスト
|∧ぐセオ} 弋ダノイ.| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| .ハ j /イ | でもそれって本質的な解決にならないですよね?
| .八 <、 /イ|
| ト、:ヘ 、_ _ , /イ .|
|./リ;;;\ - ′..|
|.//;;;;;;;;ヘ ./ / | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
だが私は謝らないってか。
まあ二匹目のどじょうはいなかったって事だろ
次回は路線変更をした仮面ライダーW主演の仮面ライダー大運動会です。
ヽ从从从从从从从从从从从从从从从从从从从从从从从从ィ
ミ` 彡
三 楽 し い バ ト ロ ワ で し た ね ! 三
フィ ヽ
´/从从从从从从从从从从从 从从从从从从从从从从从ヽ`
)ノ´
l _
/l /l , '´:.:/___ ,. ,.イ
/:.l/〃:.:/  ̄:.:.:.:.:.: --‐..'´/
|l〈:.:.l:./:. ,.へ  ̄ ̄....─- <_
,ゝ.ヽ/l:.:./:ハ:.:.:`:...‐-...、:.:.:.:.:.`ヽ:\
/:. __/|:.|ミl/ミハ:.:.:.:.:.:\:.:.:\-.、:.:.:.\ヽ
/:/l:.:.l:.|:.|┘^¨ ヽ:.|l:.:.ト:.\:.:.:\\:.:ヽ:.:ヽ
/:/:.l:.:.:.l:|:.| l|l:.:|:.ヽ:.\:.:.:.l:.:ヽ:.:.l:.:l ヽ
∠/l:.:.l:.:.:.:l|:.|,/斗=ヽト! |l:.:|:|斗l=|: ト}l:::ヽ:.lヽ:l:.:l
/:l:.l:.:l:: :| :|ハ{斗三ミ、! N リァ三ミ、zハ .||l:.:.l:lヽl
l/l:.:ヽ:l. :|..:|Y トィ::. } トィ::.. }Y´||l:l l:.l l
l:.:l.:.:.l.:| :| 弋z.ソ 、 辷ツ'′! :l .l N
V\:ヽ::lヽ_/l/l/____ /l/l/ ノ:/
ヽl\l:ト { } ィ'}N
ヽ::ヽ ヽ ノ /:
j ̄ヽ ヽ `二 ..イj⌒/
r―十弋{ {┴ ┴} }フ'ー┬―┐
|::.:.:.:! ̄|}__ {〉― ―j ム! ̄´!l:.:.:.:.|
∧::.:.:.:/´--、ヽ、|ヽ‐------イ,ィ´二.`ヽ|:.:.:.:∧
/ ヘ::::{ 二ヽ.}ノ| □ |j{_{/, -- }l:.:./ }
600
601 :
名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/10(土) 22:14:00 ID:OcAI37Wd
おれは、このロワに起こってんだよ!
起こるのか
ウェイクアップか
ウェイクアップフィーバー!
__∧__
/ / ヽ \
| ̄ ̄〈 〉 ̄ ̄|
| }{ |
┃ \__/A\__/ ┃
┗〓/| ̄ ̄ ̄ ̄ \〓┛
/ | |) )
し|━▽━ニε/
| |
| /⌒ヽ |
あと37KBか…振り切るぜ!
妙に可愛いなw
こうなったら一気に埋めるってのはどうかな
よかねーよ
/!
/:i!
/:::i! ___
/:::ム´: : : _: : : : ラ===、
,イ:::/: : :/´: : : : /: : : : _\ \\/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\/./
r、 //::::/: / : : : : _/: : : :/`ヽ', \/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\/
i ∨/::::/,_、_: ,..-‐´: : : :/: : : :r、ハ {} お前の罪を数えろ {}
', 、_/::::/´: : : `ヽ : : : : /: : :/´: :ヽi! ∠ お前の罪を数えろ >
)/ {:::/: : : : :´;.: :',─‐': : ::/: :_r‐‐、リ {} (翔太郎&フィリップ.) {}
` 〉ス: : : : : `: : : |: : : :./∠三三三|/ \______ ,==、/\
ヽ、.\: : : : : ,イ─‐': : : : : : : : ,.イ /\_____ /: : : }/\\
ゝ_、 \ ̄: : : : : : : : : : : /イ弍、 ____ /: : : : /
\. \: : : : : : : : : ::|///,イ≧': : : : : : :_`>イ: : : : 〈
ヽ \: : : : : : : ///\: : : ,,.. ´ ̄  ̄/: : : /´:ヽ._
ヽ=ァニ≧─---イr-f´ヽ='´ ,...==¨ ̄ァ: : : :{: : : : : :y\
_/´: : : : : :,': : : // \___,.イ´ _/: : : ::/__: : : :\j
/ /: : /: : __rt_: : _/::::}\ ,..-‐´─‐¨:  ̄: : : :ヽ.: : ¨:ヽ
/'=ァ´=v´,..., ,;}! ,: /:|::::::ノ: : :`ヽ..__ /: : :{: __}}}_: : : : ノ入_:ノ
. / /;´`.;´.,,ノ´__/: :∨::ヾ.: : : : :: : /: : : : r‐: : :}}: : : : : ノノ: ̄: : :冫
√¨{\_/´: : : : :/: : : :\:::ゝ: : : : : !: : : : : ゝ=='=、: : : : :}}: : : : :{´
∧_,'.|: : : : : : : : : /〈: : : : : :\::: : : : 人: : : : :i!: : /、_二二二 テ'
| .L!_: : : : : : ,イ::::::` 、: : : : : `:::::::::::::::ヽ.:::::::i!、/ゝ、二二二ニ.イ
. 八 ,' /7\:__//´`ヽ.:::ヽ.: : : .:::::::`:::::::::::ゝ=::\二二二二/
ゝfi !: : : : : : : ,;´: : : : >=、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::て`ー‐´
|__j: : : : : : : : : : : : : : : `ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::/|
レ `!_/ ̄`ヽ.: : : : : : ,'::::::::: ̄ ̄:::\::::::::::/!::!
亅 /: : : : : : : : :>=、: : ::,':::::::::::::::::::::::::: : ヽ: /|::i::}
}__{: : :_/!: : : : : : : : : : ::,'::::::::‐-...::::::::: : /ー''::::}::iリ
___[ヽコ_/7: : : : : : : : : : : ,'::::::::::::::::::::ヽ.: :/ |::::::h:!:|
__[_ユj¨Vニニコ__,': : : : : : : : : : : ,'::::::::::::::::::::::::::ヲ|.U::::::|:i!::|
{fセ}::ゝ''/´了 ̄!i!i!i!f=======---- ..__::::::::::イ/:!. !:::::::::!l|::|
\\
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\\,---、__
/´\¨`ヽ.j ||`!丶. _ ─ァ
/: :/´: :`ヽ.__/||--─ _,. -'´
/´´:.:!: : : : : : :!`Yゝ='-く!´
,ィ:_,.=':.!: : : : : : ソ ,''. ,': : : : }
|: : : ,ヘー‐ア' ,',' .,': : : : リ <今日この過疎スレとやらを
|`ヽ./: :!:`ー': ,',' ,' ::ゝ=='! r´ ̄':! 閉店日にしてやるぜ!
トー、___/!:`ー,',',' .,'.: : `}: / /ゝ=='ノ
,..ァ≦ ̄ ̄≧、__j_r―‐‐‐'!、.,:' ,',' ,': : |: ,:レ'__/: : :/
,イ____ /`丶.>=='_ニァ','、/: : :'// ̄{l ̄ ̄`)
/´ `` ' / ヽ.: : :`≧=、ィ'. /: {iL ゝ、_r--'
, ' ,ィ´`ー―――-、..../ ノト===、: : /´: :r'7{|`ー―i! ̄ ̄{{ ̄`ー、
| / ____ /::::! ̄`]≧'/: : : `:|{: :====----ゝ-----'
| / /:: ``ー‐'!::::ノ: ヽ=/,ィ/: : : :,='7{: : : : ̄}} ̄ ̄}`ー、
V /::::,.--' ̄ ̄ ̄ ̄`∨!: : / / \: : : : !: :-===='====テ---'
∨ |::::': : _: -: -:=、: !/: |i l_/ `ー-、: : ゝ、:_:__,:===='
\!:::!: ,イ: : :__: _,.イ: : :`ヽ.___ `ー‐'/ ̄!l |: : :勹_}ヽ.
.{: :/: :_,.=='77: : ゝヽ.: : : :  ̄ニニニ=''ノノノ: : : :  ̄!ハ
',/: /: :,イ/: : : `ー====-.../`´: :ヽ:ゝ、`ー-、::ノ: ::}
',、: |: : !: :`ヽ.: : : : : : /: : : : :}ハ: :\: : :/: : :,'
V\: ゝ: : :`ー――‐ァ'ハ∧: : : : |:::!: : : :了、: :,:'
|: !\: ー-..___:: <: :.',`ー‐=、_../!|\: : : !:|´
|、: | `ー―――': : : ノ', ',: : : : |.|: :.\__',:}
{:::`ヽ.: :` ̄ ̄´: : :=-': :',::',: : : : j:i!: : : : : :!:|
|:::::::::::}、: : : : : : : _,.=-ゝ`ー==ァィ'|.i!}\: : ::|::!
_ミ`ー‐、
`⌒丶、'ー-、_ + 十
 ̄\―ヽ._ 二_‐-
\ \  ̄ ‐-  ̄二二_ ―_,r'⌒ヽー、
 ̄\ ̄ \‐- _ ╋__..ニ -―― ´ ̄ __... -―一┘
+ ニニ ー--\ ⌒Y:::::::::::`丶:::::::::::::::::::. -‐二´  ̄ ― +
 ̄\ | |::::::::::::::=,. -‐ 二_
_ ヽ.._ | |:::::::::ノ
 ̄ 〉 | |ー- ノ三二 +
十  ̄―/ | |::::::/二  ̄ _
ニー/⌒∨ // 二/⌒'l  ̄
_ / l /二 //:::::/::イ::::|二_
/ /| / .ノ//〈:::::::::::/|::::::|__ ╋
 ̄_/ _/_ヽ_,//:::::::::::./ |::::::|_
彡ニ ,ノ ( // ) 〈__ 三ミ +
( yノ / \ (///ノ
\\ //
\\ //
\\´Д`) /
| /
|弾吾/
| /⌒|
| / / |
ヽ | /
|゙─'| L
| /(_ ヽ
ノ / ゙し'
/ ノ 彡
/ /
`( ヽ
ヽ_つ
//
_ //
\ /f7´/. .//、
\丶 '、_|,r、_j//_:::::::\
ヽ=、 !/ヽ/: : : :ヽ--ハ
!: : :`´Y´{: : : : : : :|、::::::}
r、V: : : ノ i! ヽ.: : : :ノ::::\j
n ,,.. ノ_j_,:‐::‐:、 i! 'ヽ! ̄7\.ヘ,'
r─-、j_〉''"´ r─、:ゝi! ト、,ヘ__/.\! __
ヾ、::::::: ...... `:::::ノ/i i! ! / r===ゝ´:::::::::::::` `:ヽ.
 ̄7(●:::. (●) l´ ゝ==='`ー'イ {:::::::::::::::::::≠`\. ..\
r ‐、,ム-─‐- 、 ノ ,イ. . . ./ /ゝ \_,. -' _,.=、 `ヽ. ハ
ヽ i () n `ヽ,へ/ . . . _/==ァ| \ _,. -' \ ヽ!
,ゝ<ゝ、 / 丶.,-'゚ ゚/。゚/. \ ゝ=' _,. -'´\ \ '|
ノ_,/、  ̄ ̄〈_,,ノ ,〈 _.===':::::::::::\__,イ/::::::::::::::::::::\ ヽノ!
/:::ヽ //. . . . ./::::::::::::::::ヽ. /:::::::::::::/:::::::::\_ノ
/!
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__,' !
r==、___ _,ィ '/ ! |、! | r=、
',='´ゝt='', / ! | ; ゝ、 i,' !\ /`='ゝr=、
',: : :: : : ::', j 、、 { 丶| ,i! |V: : : : : :ゝ'/
/ ̄ 丶.: : : ::'., / ̄| ∧、 \ / ,i!_ノ/: : :: : : /
. / /--、 \: : :',==≠}f i |::. ..\, ィ'´, ,i!、 /=i!: : : /
/ / / 丶、 \:',--|==', ', i:: : '´ \ノ , |ノ::::ノ!: ∠ _ ___
/ / / \_j: : : ', ',、: : :'´ `ヽー'´,: ::/ /ゝ─‐、 `丶. ....::,ィHィI ≫イ
/ '─-、 ヽ.:/ヘ', ヽ.、:、:.、 ノォ|:..': :/ /´ ヽ ト. ......::,ィI]孚 ≫イ
{_r──-、 丶 f::::Y、、 `=='ィ^^ゝ=' ,イヽ. !,ィ≪\孚イ ≫イ
八 f ̄ ̄``丶. . :: ::::::::|丶、く、___7__レ'、: : ノ,ィHI]¨¨ ≫≠¨
/ ̄ ̄7\ \\r=、. .. : :: ::::::::::ゝ_ノ ハ:::,ィHI孚п@ ≫≠¨
{==イ´\_ヽ. >イ孚二アミヽ__}孚]ヲイ===ニニ≠ ≫=× '| |
/ ̄ ̄`ヽ.ヽ,ィイ孚≧nkイ(fノノノく≦≫イ≠ ≫イ、::::::| |_ノヽ]
Y´〃 ̄ヽ=、孚瓰[kkdn≪(C ヽ. ≫イ | \ノヽ. ノ
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/≪孚イ7イ| ',__,',_r、|ヽ.__j:::/ r'tK\孚迢= >I≫イ. ||___!: :::|、、j、_ ,.':::::::/ f´ `ヽ.
∧≫イ≪≫'ゝ、ィゝ、} |::::{、_!ノノkхhイ \ _,ィ´7!! |--{ /! Y::::::::/. |! }、 `丶.
∨≪≫イ ゝ=='、jjjニニ彡' ',ゝ、ノ\  ̄ ノィ===!_!==!!=、__/:::::::,ヘ. j! | { >、 、
∨イ `¨¨¨´ ∨∧', `¨¨`ーイ キユ=====i!ユミ /::::::/ 丶.ノノ }} /:::::丶
¨ ∨∧', ',シ! キユ=====i!ユミ,:::::::/ `ー―――、_/:::::::::/\
\∧', ',シi キユ=====i!リシ::::/ 7::::::::/:::::::::ヘ
\ゝ──',シ! キユ====='ミ/:::/ ー‐^{:::::r、:::::、
/  ̄ ̄ ',´ ̄ ≧==≦ \] |::::| {ヽ::、
_7 ` 丶 、====[|_]二二[|]=、───‐ii、 し' U 、)
ス/ rk孚韮韮}} K ̄ ̄ ̄¨フソ──‐''='
||
| | _
, -| |: : : :` ヽ.
/ : | |: : : : : : :ハ___ r=、
/ : : : | |: : : : : : : _| | |//.|
|`ヽ、/ ヽ_ - ‐´::::l l |//.|
, ‐ |::::::ヽ /:::::::::::ハ .l |//.|_
ヽ./l:::::::| ハ |::::::::/ / r==─‐」//.|//', 俺に質問をするな!
ヽl',::::::/ _ ヽ:::/ /ニニ| |, - イ////─ '
\ /::::::::ヽ // |////////////<
, ィヽl ー‐ ' |/r= 7|//| ̄二二二l l//| , . : ≦l
{///| `ー‐ '/-─‐': : ̄: : :/: : : : : : : :二> ´: : : : : : l
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∨/:::Y´⌒ヽ:::∨ /: :: : ` ̄: : : |} 、ニニニ=-{、 } / ̄ ̄
V、::{{// ⌒ヽ/: :: `ヽ: : ::j:: __=リ ``¨ー-.._ゝ'/
\ゝゝY⌒)):: : :: :: :: ` ̄: :: :/ `ー'
>,ヽ.--' `ヽ. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :| { ヽ. ヽ._
_=シ'..\ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | \ ./ :ゝ=-
彡シ ``ー‐-. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :| `{ノ ,:'
_=彡',',イ,、彡ハシミ.`¨ー-...: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :..:| ! ,
≦三彡',',/,シハノ彡'ミヽ三シ>=、 : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ト、 | |
≦三彡' /ゝ三____ヘ,イ´ー―---==:: : : : : : : : : : : :\=、 八 ノヽ
匕三三ノ ,メ / rtセテ=、\__ュ ;! !__≧ー、: : : : : : : : : : : :`ヽ.ゝ._ ヽ.
ゝ三彡'ハ彡'イ / ` ヽ / |-=r-≦´_| ̄リ ̄ハ ̄`ー..: :_ム `\
ヾ三三シ_/ ,イ: . ,: , :!,.' セテニ`ヽ!_ソハ_リ.  ̄ \
メ三三彡', イゝ! ; ::: |/ミヾ__八
`ー―フシ八ハ , .:: :: lイハヽ.iト、リ <ウチにぃー用ぉか?
ノ彡',イ|} ー、 _, /リミヽ=弋シイ
,彳||.!|ト. -' ,イハミヽ.三三シ'
_,.≦三'|.!! ヽ.ヽ 、__t==--=、 /-z=、`ー三彡'
_,.≦三三三 !.!!ヽ.ヽ.\ ゝ、`ー==- /.三三≧=.._  ̄
三三三三ヨ.!、ヽ.ヽ.ヽ. ヽ `ー―'' ,イ/リ三三三三三≧=.._=仁ニヽ._
三三三三ヨ.ト.ヽ.ヽ.ヽ.ヽ. > __,<////ハ三三三三三三≧、ヽ._ニヽjr=、
三三三三ヨ.| ヽ.ヽ.ヽ.ヽ.ヽ.ヽ. \// / .////∧}三三三三三三三kニヽ.`ミシ^ヽゝ=t_
三三三三ヨ.| ヽ.ヽ.ヽ.ヽ.ヽ.ヽ/::::∨ .///// ||三三三三三三三Иヽ.ヽ
__ r==t_r、._r=、
_,ィ、/ ー' |\rt_
/、_ ゝ、 ____/、 | ゝ=ァ、
/__,≧': : : : : : : : : : : : :>、 /ー'{__
{ /: : : : : : : : : : : : : : : : : : :\/レ'、
ヽ./: : : : : : : : ,': : : : : : ,': : : : : : : \ 心. 二二 ──ァl l 二二 ──ァl l
//: : : : : : : ,:.ク: : : : : : : : : : : : : : : : :∨ K. / / / /
/: rv: : : : : /_/: /: : : : : : : : : : : : : : : : ! く~´
,': : | |: : : 彳´ ク/ト/レ: :ハ: : : : : : : : : : : : :レ':', 二
|: : :!イ: :./セてか. リハl |: : :|=i!: : : : : : ,': : : | ん /\
|: : :j |:/ ¨ - .: ,イ,てか、リヽ.: : : / : : ! っ
|: : :ル' .::' ,' ´ ¨ ): ,イノ: : : :|
|: : : :' ,. ィ ,:、 /: :,ィ=、: : :! /^ヽ.
|: : 八 、_ ゝ、_ ,__ハ // ‐‐、ヽj//¨`ヽ\__
|: : : ∧ 、`ー== -、_, / r─‐‐、} |'r' ̄ ̄ヽ.__ \
|、: : : :ハ ゝ=‐-...-'イ / / r=' 、 `(_ノー‐'、_ ヽ.. \
/~\ !: : : :∧ ` ̄ ,イ ' ノ `^ー' ヽ. ` ' ,
/} }|\ |: : : :ト、|ヽ. ,≠ /| ノ \ ヽ.
j/7 くノ \. |: : /リ. \.>-/ / ゝ、_ , - ─' ヽ. \
\! \ ヽ___≦{/: / X'´ ヽ. ノ ノ `¨ーy' ___',_ ヽ. ヽ.
{_. \ | ノ: :j /ヽ 冫--'_,.. - 'ー─--...._ { ,イフ' ゝ=-...ー‐‐、 ',
/:\ ヽ. ヽj /: : K./ ', /、 lゝ: : : : : : | ` / ヽ| |リハ ヽ ',____
/: : : : ̄|≧=-、ミヾ jレ: ,イ ', ,イ: : : `¨ ̄:|: : : :r─tゝ=ァ' ∧/И ヽ. ∨ ラ、
./: : : : : :/ | く´ ∨ヽ.__: : : ハ: : :/  ̄7__,.r-‐‐―. |─'ハ!、___|\ ',__/ ハ
.|: : : : : / } ∧ ∨ハ  ̄ ̄ ̄| /=ニニ ̄ |: : : : : : ::| `ー、 ∨_ ∨
.|: : : : ::! ヽ. /: : ∨ ∧ハ ノ i ̄ ̄`ヽ...