おつー!
乙なのだわ
「
>>1乙。お前なかなか目端が利くな、鹿馬ロ入るか?」
「GJだよ
>>1くん!御褒美にこの“生キャラメル(?)”をあげるよ!」
「やめろよサン……
>>1、それ多分ジンギスカンキャラメルだからな。コーヒー置いとくぞ」
「
>>1さん手際良いっス!怪我したらこの保健委員を呼んで欲しいっス!手厚く看護するっス!」
「中身を見たい生き物がいたら持って来ると良いっス。僕がヤってあげるっス……うふふ」
「白倉先生、保健委員とキャラ被ってますよ」
「……ぼそぼそ(跳月先生こそキャラ立ってなくて埋没してまスよ)」
「
>>1おつ。おい塚本、お前《馬鹿ロリータ》とかいうチーム作って小学生襲ったらしいな。指導室来い」
「塚本……君はハルウララだと思っていたのに。少年院でも達者でな。僕は祈ってるよ、別名祈り虫だけに」
「お前も馬鹿ロリータの一味だって聞いたぞ鎌田。指導室来い」
「ナ、ナンダッテー>Ω ΩΩ」
「
>>1おっつー。私がハルカ特製肉じゃが作ったげる」
「……お前マジでおかんみたいだぞ」
「うっさい爬虫類、タバコ食べさせるぞ☆」
「持つべきものは友ニャ。そして乙するべきは
>>1なのニャ」
「おお、さすがクロにゃ、シャコージレイをわきまえてるニャ」
「あの、えっと……
>>1さん、乙かれさま、ニャ」
「ニャー!コレッタ、おまえ天然ぶりっこするなニャ!」
「ひゃっほーー!!雪ゆきユキ!え?
>>1?僕は雪で頭がもうなんかもうひゃっほーー!」
「コラ犬太!待て!ステイにゃ!」
「うおー!何処だ冬将軍!!寒いだろーが!!」
「確かに寒いなー。それに探しても全然冬将軍て居ないなー。ちょっとベンチで休むかー」
「そうだな!もう何か月も探してるから、焦ってもすぐには見つからないのかもしれない!」
「へー、そんなに探してるのかー、大変だなー。とりあえず
>>1乙しとくかー」
「雪ゆきユキ〜〜!あれ、こんな所に雪だるま?……うわ!でっかいカマキリが死んでる?!」
「こら犬太!虫の死骸食べるんじゃないニャ!」
「ぐえっ、食べてないってばっ、り、リード緩めてっ、ぐえっ」
「よ…葉狐ちゃーん…」
「もたもたしてると置いてくでー。こっちや、こっち。」
「ちょ、ちょっと待ってってば、ふぅ」
「しっかりしいや、香苗姐ちゃんは体力ないなァ。
なんやまだ
>>1乙もやっとらんやないの。ほんなら私が済ませてまおか」
「あんまり年上からかっちゃダメよ。レイギっていうのがあるでしょ」
「そうよ、店長さんなんだから敬意払わなくちゃ」
「はーい、メイドのお姉ちゃん。」
「「私はメイドじゃないの。ウェイトレスなのよ」」
「ふーん、どっちかわかんないや」
「はぁ、はぁ(こ、こいつ………!)」
「それじゃ私たちも
>>1乙やっておきますかー うふふ」
「(あぁ!息あげてる間にタイミング逃した!)」
>>1乙なんだにゃ
前スレ蜂獣人で思い出したが「なぜ蜂は大量死したのか」って本流行ったよな
ふふふ
>>8 本がはやってるっつーか、蜂群崩壊症候群(CCD)は
世界各地で現在進行中
そんな事よりそろそろ体育で水泳の授業が取り入れられるぞ!
つまりスク水だ!!
前スレ埋め終わったー!
>>11 蒸し暑い中を毎日汗だくになりながら自転車で通勤するいのりん
そしてとうとう待ちに待ったプールの季節。プール開きの引率として参加する
しかしサン先生の策略により彼のステテコ系水着は特注サイズのスク水にすり替えられていたのだ!!
どうするいのりん! メタボ中年のスク水姿と言う姿になってまでプールの引率を勤めるのか!?
次回、『プール開きの悪夢!』……スペースラナウェイ!
「もっこりだけは勘弁願います……」
「女装ならいいんですか☆」
「ほな、ええ記事書かせて頂きますさかい」
ヨハンなら水泳授業にはりきって参加してきそうだぜ!
>>15 けど、引率として参加できたのは男子の水泳。
そんな厳しい現実を前に、がっくりと頭と尻尾を項垂れさせるヨハンだった。
いのりん「水島先生、授業代行お願いします」
水島「水泳の授業ならば真冬であろうとお任せあれ!」
サン「ちぇー、着ないのー? 巨大スク水高かったのにー」
いのりん「サン先生、英先生に“ちんかめ”かましといたので指導室に向かってください」
サン「……ぼ、僕急用を思いだしたんだけど」
獅子宮「じゃあ尚更急がなきゃな。私が指導室まで連れて行ってやろう」
サン「ちょっ、まっ、やめて、助けて!痛点の希薄な首筋を掴まないで!ヘールプミー!!」
校長「君ら、仕事してよ……」
>>13 スペースラナウェイ! で引くということは惨劇は避けられそうにないな
そういや毛皮の皆さんは濡れると貧相なことにならんのかな
みんなデフォで犬掻きはできそうだね
猫ってプールで溺れないのかな
柑橘系が食べれるんだから泳げる人も多いに違いない
世の中には、魚を採る為に自ら水に飛び込む猫がいるのを知っている俺が通りますよ……。
今回は利里君に続いてスィーツ大好きなあの子を主役にした話を投下します。
相変わらず結構長いので見たくない方はコテをNGに、支援したい方はどしどしとお願いします。
では、次のレスから投下
晴れた日は空を飛ぶに限る。
これは昔の偉人が言い出した事ではない、飛澤家に受け継がれる持論である。
確かに、晴れた日の青空を見上げるのは気分も良いし、太陽の光を受けた景色も何処か輝いても見える。
こう言う日は両の翼を広げ、風の吹く限り何処までも飛んで行けたら気持ちの良い事間違い無しだ。
こればかりは、空を飛べる種族の特権と言える筈だ。……多分。
「朱美、空を飛ぶなら飛んでる人の動きには気を付けなさいね?
「分かってるわよ、お母さん」
「それと、突風にも気を付けなさいよ? 今日は風が強いと天気予報でいってたから」
「はいはい、気を付けるわ。それじゃ、行ってきます」
余計なおせっかいを掛けてくるお母さんの言葉を振りきって、あたしは玄関から文字通り飛び出す。
額の髑髏マークと耳を入れる為の尖った形をしたスペースがチャームポイントの自作の皮製の飛行帽にゴーグル、
蝙蝠のマークをあしらった胸のアップリケが特徴の自作の飛行服を身に纏って、あたしは一陣の風となる。
今日は飛び回るだけだから持ち物はお財布と携帯だけで充分、むしろこれ以上の荷物は邪魔なだけ。
両の翼で受ける初夏の風が涼しく感じる。青空に輝く朝の太陽もその日差しを満遍なく地上に注がせている。
普段は見上げるだけだった家並みの屋根を飛び越し、ポニーテールを風になびかせてあたしは翼を羽ばたかせる。
家やら車やら色んな物でうめ尽くされた地上と違って、空は何処までも蒼く、広く、遠く、其処にある。
地上を行くケモノ達は、この何処までも晴れた空を如何思っているのだろう?
翼を羽ばたかせ、上昇気流に乗って滑空しつづける事、約三十分。あたしは海の上の翼となった。
海風に乗った潮の香りがあたしの鼻腔をくすぐる、波に照り返す陽光の煌きが少し眩しい。
海の上でぽつんぽつんと浮いている漁船の上で、ネコの船員達が網を引いて海の恵みのお裾分けを頂く。
毛皮を海水に濡らす彼らの目には、悠然と空を飛ぶあたしの姿はどう見えるのだろう?
けど生憎、気持ち良く青空を飛んでいる様に見えるあたしの心の中の空は、反面どんより曇り空だった。
――つい先週の金曜日の事、あたしは卓君達と喧嘩した。
獅子宮先生辺りがその理由を聞けば、「なんだ、そんな事か」と尻尾揺らして一笑するくらいの他愛のない事。
けど、多感な年頃のあたしにとっては結構重大な事なのです。
「なによ、卓君。それくらいやってくれても良いじゃない」
「あのなぁ朱美。それくらいって簡単に言うけど、それをやる俺としては本気で大変なんだよ」
始まりはあたしの他愛の無い我侭に卓君が文句を付けた事。
あたしも卓君も、自分が正しいと思っているから1歩も引く気は無かった。
「う〜、卓君のケチ!」
「なんだと! 朱美の我侭蝙蝠!」
結局、あたしは売り言葉に買い言葉とばかりに、卓君と口喧嘩。
「卓に朱美、喧嘩は止めるんだー!」
「別にあたしは喧嘩してないわよっ、利里君! 分かったなら口出ししないで頂戴!」
「あ、あう〜……」
挙句に仲裁に入ってくれた利里君にも酷い事を言っちゃって、そのまま謝る機会も無く下校時間になっちゃった。
後になってよくよく考えてみれば、卓君の言った事の方が正しい。けど、正しいからこそあたしの心を深く突き刺す。
そんな正しい卓君たちへ我侭を言ったあたしは、他の人から見れば悪い蝙蝠にしか見えないだろう。
わたしは鳥です、わたしは哺乳類ですと嘯いた蝙蝠の人も、今のあたしほど悪くは無い。
だって、その人の言っている事は多少の嘘はあれど大体あってるし、誰も困らせてはいない。
けど、あたしの口から出る言葉は卓君と利里君を困らせる我侭ばかり。本当に自分が嫌になる。
こんなどんより梅雨空な気分を抱えたままで、次の月曜日は迎えたくない。
明るく天真爛漫で通しているあたしが、暗い顔で授業を受けていたら多分、泊瀬谷先生は深く心配する事だろう。
それ所か、他の人達に今日は雪か槍でも降るのではといらぬ心配をかけさせる事になる。
考えれば考えるほど暗澹とした気分はずっしりと重くなる、家路に付くあたしの翼と足も重くなる。
けど、あたしは家に帰れば、翼をばさりと広げて何時もの通りの明るい姿で振舞う。
あたしは学校の事は家に持ちこまない主義なのだ。こんな事でお母さんに心配かけさせたくない。
けれど、流石はあたしの母。僅かな行動の違いで、今のあたしの気分をあっさりと読み取ってしまった。
どんな行動の違いかはあたしには分からない。多分、今日の夕御飯のお代わりを三杯から二杯に減らした事だろうか?
心の内を読まれて思わず暗い表情を浮べるあたしに、お母さんはにっこりと笑ってこう提案した。
「そう言うときは、気の赴くまま飛んで行けば良いのよ」
何時もはあたしに輪にかけて明るいお母さん、
けど、そんなお母さんにだって自分が嫌になる事があるのだろう。
そんな時は何時も、晴れた青空の下を翼を広げて飛び回っていたのだろうか?
そう言えば、数年ほど前に前にお父さんと喧嘩した時、お母さんがおもむろに外に飛び出したと思ったら、
3時間位した後でけろっとした表情を浮べて帰って来た事を思い出す。
多分、お母さんは遠く空の向こうへ嫌な気分を捨ててきたのだろう。
……まあ、そのついでにケーキをたらふく食ってきたのか、口の端にクリームが付いていたけど。
そう言う訳で、あたしもそれに倣おうと、梅雨の晴れ間が広がる日曜日の今日。
嫌な気分は何処かの空へ捨ててしまうに限ると、宛ても無く空を飛んでまわる事にした。
そうだ。帰りには『連峰』にでも寄って、お財布の許す限りスィーツを味わうのも悪くない。
多分、店長の香苗さんはあたしを嫌がるだろうけど、其処のスィーツが美味しすぎるからいけないのだ。
――ふと、鼻に感じる潮の香りが変わった事に気付き、あたしは下を見下ろす。
「あれ? 風に乗ってここまで来ちゃったのかしら?」
どうやら、物思いに耽っている内にあたしは古浜海岸の辺りまで飛んで来ていたようだ。
今日は風が強い影響で波が高いのか、海岸近くでは波の上に乗ろうと悪戦苦闘しているサーファー達の姿が見える。
海水に毛皮をビショビショに濡らした彼らの姿は、ある種の滑稽さを感じさせる。
けど、彼らは遊んでいる様で大真面目、今日も来るかどうかも分からないビックウェーブを待ち続けるのだろう。
ほらほら、大きな波が来たわよ、其処のイヌの人、早く波に乗る準備をしないと。
あ〜あ、言わんこっちゃ無い、波に乗るどころか逆に弄ばれちゃってるじゃない。耳の毛までビショビショよ?
こんな調子じゃ、折角のサーフボードも不満顔ね?
そんな地上?の様子を見ていると、あたしはなんだか微笑ましく感じて笑いが漏れてくる。
けど、それでもあたしの心の隅に圧し掛かっている嫌な気分は頑固らしく、
古くなったガムテープみたいに、剥がしても剥がしてもべったりと張り付いて中々消えてくれない。
こう言う時ほど、あたしは利里君を羨ましく思えてくる。
利里君はどんなに嫌な事があっても、およそ1時間も経たない内にけろっと気分を切り替えてしまう。
そういえば、以前に利里君は「いやな事は直ぐに忘れてしまうんだー」とか言ってたっけ?
多分、トカゲの血がそうさせるのだろうか? 流石にこれだけはあたしには真似できない。
恐らく、あたしが利里君の真似しようとしたら、嫌な事どころか大事な事まで忘れてしまいそう。
いけないいけない、あたしはその嫌な事を空の向こうへ放り捨てるために空を飛んでるんだ。
こんな事で自己嫌悪に陥ってどうするのよ。しっかりしなさい、飛澤 朱美!
とか考えていたあたしの視界の先、水平線の少し上辺りにぽつねんと見え始めた二つの小さな影。
その影は見る見るうちに大きくなり、その影の正体をあたしへ知らせてくる。
「あれって……空子ちゃんと惣一君?」
そうだ間違い無い。大きな翼で悠然と滑空するのは頭の白い羽毛が特徴的なハクトウワシの空子ちゃん。
そして彼女の横で、巧みな操作で機械の翼を並べているのは飛行機同好会部長の惣一君。
こうやって並んで飛んでいるところを見ると、種族の壁だなんてベニヤ板ほどの厚みしかないと思えてくる。
そうやって二人の様子を眺めていると、どうやらあちらもあたしの存在に気付いたらしく、
二人はゆっくりと大きく翼を旋回させて、あたしの横へと並ぶ。
「こんにちわ、飛澤さん。 今日はこんな所まで来てどうしたの?」
「ん〜、今日は良い天気だから、ちょっとあても無く空のお散歩って所」
「んで、その後で『連峰』のケーキでも食いにでも行くって所だな。
まあ、飛んでいきゃカロリーも消費されるだろうし、太るの気にしなくて良いよな」
ちょいと冗談のつもりで言ったのだろう、飛行服姿の惣一君がハハハと笑う。
けど、空子ちゃんにとっては冗談には聞こえなかったらしく、あたしが何かを言う間も与えず惣一君をキッと睨みつけ、
「ちょっとソウイチ! 女性に対してそんな事を言うなんてデリカシーが無さ過ぎよ!」
「へいへい、俺が悪うござんすた」
「ちょ、ふざけないで真面目に答えなさいっ! このチビ助っ!」
「だっ、誰が超絶マイクロドチビだっ! この白髪頭!」
そして、あたしの視線の先で始まる惣一君と空子ちゃんによる何時もの夫婦漫才、この二人は相変わらず仲が良い。
けど、あたしがその事を言ったとしても、この二人に即座に全力で否定する事だろう。それも二人で口を揃えて。
其処が蚤の夫婦だとかからかわれる大きな理由だと言うのに、この二人はそれに全く気付いてないし。
取りあえず、何時までも横で夫婦漫才をされてちゃあたしも困るし、とっとと窘めますか。
「まあまあ、落ちついて空子ちゃん。
あたしは惣一君の言う通り後で『連峰』に行くから。其処まで怒らなくても良いわよ?」
「で、でも……」
「それに、くだらない事でトサカ立ててたらせっかくの美人が台無しよ? 空子ちゃん」
「…う…わ、分かったわ。 もう……」
うんうん、素直で宜しい。 お姉さんは聞き分けの良い子が好きよ?
でも、空子ちゃんも惣一君も、どうもお互いに対してだけは素直になれないみたいなのよね……。
なんというか、二人とも似た物同士だから、磁石のS極同士が反発しあってる様な感じなのよね。
これでどっちかがN極に変わってくれれば、二人はがっちりとくっ付いてくれるのに。世の中は上手く行かない物ね。
「所で、逆に聞くけど、空子ちゃんと惣一君はこんな所で何しているの? 何時もの飛行機の試験飛行って所?」
「まあ、そうだな。昨日しがた『ブルースカイ]U』のモーターをより高出力な物な物に交換したから。
今回はそれの慣らしの為の試験飛行って所」
「それで、アタシはその試験飛行の際に、ソウイチが事故を起こさない為のお目付け役って所」
「……ンなお目付け役なんて要らないんだけどな」
「何 か 言 っ た か し ら !!」
ボソッと言った惣一君の一言にクワっ、と嘴を開いて威嚇する空子ちゃん。
しかし、当の惣一君はそっぽ向いて口笛を吹くばかり。
青空に浮かぶ太陽も風を受けて流れる白い雲も、このある種お似合いの二人を微笑ましく眺めている。
……それにしても、惣一君は本当に凄い。
過去に受けた精神的なショックで飛べなくなった空子ちゃんを再び空へ飛ばす為、
幾ら他人に馬鹿にされようとも、幾ら失敗して怪我をしようとも、決して諦めず自力で飛行機を作り上げ。
遂には空を飛んでみせて、更に空子ちゃんの心の傷を克服させるまでに至らせた。
それに比べて、あたしは何と小さい事か。……いや、身長的な意味じゃなくて、精神的な意味で。
ちょっとした些細な事で卓君と喧嘩して、そのまま謝る事も出来ずにこうやって宛ても無く空を飛んでいる。
挙句に、その嫌な事を空の向こうへ捨てに出ておいて、その嫌な事を余計に膨らましちゃっている。
う〜ん、何だか今日のあたしはネガティブね……。
「どうしたの? 飛澤さん…なんか表情が暗いわよ?」
「そうだぜ? なんだか何時もピンと立ってる耳も伏せてるっぽいし……何かあったのか?」
「あ…いや。何でも無いわ、大丈夫。空子ちゃんも惣一君も気にしないで」
ここであたしは迂闊にも表情に出してしまったらしく、空子ちゃんも惣一君もあたしへ心配げに声を掛けてくる。
嫌な事を心に抱えるのはあたしだけで充分。そして青い空へ暗澹とした気分を放り捨てるのもあたしだけで充分だ。
こんな『くだらない事』で他の人にまで迷惑をかけたくない。
「飛澤さん。何か困った事があれば、あたしが相談に乗るわよ?」
「そうそう、一人で抱え込んでいるより誰かに話せば楽になれるからさ」
しかし、そんなあたしの願いとは裏腹に、
空子ちゃんも惣一君も、あたしに何かあったのかとばかりにお節介を焼いてくる。
惣一君と空子ちゃんの親切は痛いほど分かる。けど、あたしのくだらない悩み程度で二人を困らせたくはない。
「い、良いわよ。別に他人に相談する程の物じゃないし。あたしの事は気にしないで頂戴。
それじゃ、あたしはこれから用事があるから、また明日!」
だから、あたしは誤魔化し笑いを浮べながら適当にはぐらかして答えると、
心配する二人を振り切る様に、翼を翻して飛び去っていったのだった。
「はぁ……あたしとした事が何やってるのよ……」
そのまま当て所も無く飛び続けた後、あたしは海岸線の上を飛行しつつ独り自己嫌悪する。
さっきのあたしのとった行動、アレは確実に二人に心配掛けさせる別れ方じゃないのよ…。
心配掛けさせない様にしておいて、かえって心配掛けさせてしまうなんて、本当、今日のあたしは如何にかしてる。
そう考えているとなんだか、この青い空もどんよりと雲って見えて……
「アレは……」
ふと見上げた水平線の向こう、其処に見えるは大きな翼を広げて滑空する、学園指定のジャージ姿の鷲人の姿。
それはあたしにとって嫌な位に見慣れた物であり、そして今の状況ではもっとも会いたくない人の物だった。
「うわぁ…最悪。宮元先輩じゃない……」
『お前なら世界を取れる!』とか言ってあたしを大空部へ勧誘しつづける、やたらと声の大きな大空部の部長。
今年始めに起きたある事件を機に、その勧誘もある程度は落ち付いてくれたけど、
それは飽くまで落ち付いてくれただけ。この先輩はまだあたしの事を諦めてくれてはいないのだ。
今でも、先輩はあたしと顔を合わせる事があれば、決まってあたしに大空部への入部を勧めて来る。
あたしは鉄道研究部をやってると言っても、『なら掛け持ちすれば良い』とか言い出して聞いてくれないし……。
多分、この先輩は空を飛べるケモノならば誰彼構わず勧誘しているのだろう。
只でさえ今のあたしはどんよりと曇り空な気分だと言うのに、
これで先輩に見つかってしまったら、忽ち気分はバケツをひっくり返した様などしゃ降りになるに違いない。
取りあえず、彼女に見つかる前に適当な場所に隠れる事にしようっと。
「良い場所見っけ」
何処か隠れる良い場所は無いかと探すあたしが見つけたのは、海沿いの崖に防風林として並ぶ木々
すかさず其処へ降下すると、適当な枝に足の爪を掛けて、枝葉の間へ身を潜める様にぶらりと逆さまにぶら下がる。
端から見れば頭に血が上りそうに見える光景だけど、蝙蝠のあたしにとっては人間が立つのと同じ位に普通な事。
皆は知らないと思うけど、あたし達、蝙蝠のケモノが眠る時はこの『逆ぶら下がりスタイル』が一般的なのだ。
さて、これで先輩があたしに気付く事無く通りすぎてくれれば良いけれど……
…………。
そろそろ良いかしら? もう通りすぎてても良い頃だと思うけど……大丈夫かな?。
あたしは安全を確認しようと翼の鉤爪を枝に引っ掛けて、身を隠していた枝葉の間から頭をひょっこりと覗かせた。
うん、右よし、左よし、下もよし、そして上も……
「かくれんぼはもう終わりかな? 飛澤」
「――っ!?」
うげっ! あたしの止まっている枝の上に止まってた! というか、何時の間に!?
こりゃ本気で拙いわ、もうこうなると今更飛んで逃げた所で、宮元先輩の飛行能力なら容易く追いついてしまう。
八方手塞がり、成す術無しとはまさにこの事、今日のあたしは本当に運が無い。
……ああ、もう勧誘でも何でもしちゃって頂戴。今回は蚊にでも噛まれたと思って諦めるわ。
「……飛澤、お前、何やら悩みがあるようだが……話くらいなら聞くぞ?」
しかし、諦め切ったあたしの予想とは裏腹に、彼女の嘴から飛び出したのは、意外な言葉だった。
……あれ? 勧誘されなかった? しかも悩みを聞くとはどゆ事?
「あの……あたし、悩みがあるとか、先輩には一言も言ってないけど?」
「いや、ちょっとな、飛澤が何かで悩んでいるようだと白頭と風間から聞いたのだ」
なるへそ、どうやら惣一君と空子ちゃんがあたしと別れた後、偶々出会った宮元先輩にあたしの事を話したって所か。
う〜ん……この先輩の事だし、悩み相談にかこつけて大空部に入れと言い出すかもしれない。
「そんなに警戒しなくても良い。今回は勧誘とは無関係で相談に乗ってやろう言うのだ。
もし、これで私が約束を破ったなら、一回だけ飛澤の言う事を何でも聞いてやるさ」
「……本当に?」
「ああ、本当だって」
そんな警戒の眼差しを送るあたしの視線に気付いたのか、宮元先輩は両の翼手をパタパタと振って言う。
しかし、先輩は今までが今までだったから、ひらりと抜け落ちる羽毛でさえも何処か疑わしく感じる。
「先輩はどうも信じ難いのよね……」
「約束は守るさ、これでも部長をやっているんだ、私を信じてくれ」
遂には頭を下げて頼みこんできた宮元先輩。
この時、あたしは「だが断る!」と先輩へ言って、とっとと逃げ出すつもりだった。
けど、心の内を満たしたモヤモヤが、逃げようとするあたしの心に重く圧し掛かってきた。
お前はまた逃げるつもりなのか? 逃げても何も変わらないぞ、と。
……だから、あたしは逃げない事にした。
「……分かったわ。けど、約束は守ってね?」
「む、話してくれるのか……?」
「ええ……けど、これから話す事は本当にくだらない事よ?」
もし約束を破ったら、『連峰』のスィーツと言うスィーツが無くなるまで奢らせるまでよ。
そんな考えに至ったあたしは逆さまにぶら下がった体勢のまま、宮元先輩へ事情を話し始めた……。
しえん
「――と、言う訳。 本当にくだらない悩みでしょ?」
あれから、あたしがその話をしている間中、宮元先輩は余計な事を言わずに話を聞いてくれていた。
何時もの空気の読めない先輩とは違う、猛禽特有の鋭く真摯な眼差しがあたしをじっと見据える。
……やっぱり、先輩も「なんだ、そんな事か」とでも思っているのだろうか?
それとも、「天真爛漫で通っているお前にしては珍しい」とも思っているのだろうか?
「……ふむ、その悩みの何処がくだらないと言うのだ。飛澤。
お前のその話、それは悩みとしては充分過ぎる物だ」
「……へ?」
余りの意外な言葉にあたしは思わず耳を立てて硬直。
最悪、笑われてしまう事を覚悟して居たと言うのに、この反応は一体……?
「実は言うと、私もな、大空部の部長をやっている関係上、部員との衝突が絶えなくてな…
大空部に集まる鳥人の大半が猛禽族なのもあって、他から見ればごく瑣末な事で言い争う事は多いんだ。
私としても、部長として部員には優しく接したいのだが、反抗的な態度を取られるとつい頭に血が上ってな……」
少し顔を俯き加減に、声のトーンを下げて話し始める宮元先輩。
其処には、何時もの豪気なイメージの先輩の姿は無かった。
「……それで……?」
「酷い時となると、それこそここでは言えない位の酷い暴言を部員にぶつけてしまっているんだ。
それで私がしまった、と気付いた時には、部員が涙を流しながら部室の外へ飛び出してしまった後。
……これで考え直して帰ってきてくれればまだ良いのだが、最悪、退部届だけが部室に届けられる事もあってな、
そのたびに、私は自分の不甲斐無さと自制心の無さに自己嫌悪してしまうんだ……」
……知らなかった。
宮元先輩は何時も部員獲得だけに勢力を注いでいるだけの人かと思ってたけど。
こうやって部員の事とかで思い悩む事もあるんだ…。
きっと、先輩はあたしの知らない所で、独りで悩み、苦しんでいた時もあったのだろう。
駄目だなぁ、あたしは。なんだかんだ言って結局はうわべだけでしか物を見ていないなんて。
「先輩、そう言うときは……何時も如何しています?」
「ん? ああ……そうだな、少しでも自分が悪いと思っているなら、先ずは相手に謝る事だ。
例え恥かしくて言い辛くても、そして相手が許してくれなさそうだとしても、謝る事が一番大事なんだ」
「謝る、事……」
「そうだ、例えば口喧嘩した時は『あの時は言いすぎて悪かった』と、頭を下げて真剣に謝るんだ。
そうすれば、多少なりとも険悪だった関係は改善される……と、私は思っている」
そう言えば、宮元先輩は自分が悪いと思ったときは、
例え下級生が相手だったとしても、しっかりと頭を下げて謝っていたのを思い出す。
端から見ればプライドの無い行動に見えるけれど、それは先輩の持論があってこその物。
むしろ、頭を下げるべき時は躊躇せず下げる事の出来る先輩は、在る意味誇り高い。
こんな事、他のケモノに真似をしろと言っても、そう簡単には出来ない事だろう。
「それともう一つだが、それ相応のお詫びをやっておくのも忘れない事だ。
だが、こうすれば喜ぶだろうと自分勝手に思うのではなく、本当に相手が喜ぶ事で誠心誠意のお詫びをするのだ。
それだけでも、壊れてしまった関係修復への一歩となる……と、私は思ってる」
「お詫び、ね……なるほどなるほど」
……そういや、卓君が喜びそうな事ってなんだろ?
ああ見えて卓君、何が好きなのか殆ど分からないのよね。本人も何が好きかとか言ってくれた事無いし。
去年のハロウィンの時に卓君の部屋へお邪魔した事があったけど、本がやたらと多かった位しか印象が無かったし。
けど、その割にヒカル君の様に本が好きだって言う雰囲気も無いし……本当、卓君は何が好みなのかしら?
……うーん、考えたって仕方ないし、こうなればぶっつけ本番でいくかな? 終わり良ければ全て善しって所で。
「私から出来るアドバイスはこれで以上、だな。
このアドバイスが飛澤の役に立ってくれれば良いのだが……」
「うん、有難う。必ず役立てるわ。宮元先輩」
「うむ、良い返事だ。友人達と仲直りできる様に頑張るのだ、飛澤!」
言って、ハッハッハと豪快に笑う先輩は、今のあたしにとってはまるで雨雲払う太陽のよう。
今まで勧誘ばかりで鬱陶しいケモノだと思ってたけど、先輩にはこう言う一面もあったのね。
先輩の事、ホンのちょっとだけ見直した。……まあ、本当にホンのちょっとだけ、なんだけど。
なんだかんだあったけど、これで明日は気分良く学校へ行ける筈!
……と言いたい所なんだけど、あたしの心の隅には、まだ暗澹とした気分がしぶとく張り付いていた。
それは不安。謝っても卓君が許してくれるかどうかと言う、根拠の無い雑然とした物。
そんなあたしの気分を知ってか知らずか、先輩は更に続ける。
「そうだ。どうせならばお前の心のモヤモヤを晴らす為にスポーツに打込んで見ないか?
わが大空部は何時だって大歓迎だ。飛澤ならば部員達も温かく迎えてくれる筈だ!」
「…………」
……あたしが馬鹿だった。少し見直したそばからあっさりと約束破ってるしこの鳥頭。
なんだか、こんな先輩信じたあたし自身の馬鹿さ加減に、どんより曇り空の気分がどしゃ降りに変わってしまいそう。
そう、思っていた矢先、宮元先輩はやおら素っ頓狂な声を上げて
「あ、しまった! かんゆうしないと飛澤とやくそくしたのに、かんゆうしてしまったではないか!、ああ、しまったなぁ……。
そう言う訳でだ、飛澤。お前との約束を破ってしまった以上、
私は一回だけ、お前の言う事を何でも聞かねばならなくなった!」
「……へ?」
宮元先輩が突然言い出した事に、あたしの頭の上でぴょこんと上がる疑問符。と言うか、何故棒読みだったの?
今の体勢が体勢だから、頭の上に浮かんでいるクエスチョンマークも逆さまになっている事だろう。
「いや、『へ?』じゃなくてだな、私はお前との約束を破ってしまったから。
そのお詫びとして、私に出来る事なら何でも頼んでくれと言ってるんだ。
例えば、そうだな……お前が欲しい物を買ってくる、とか」
……この言葉で、あたしは何となく宮元先輩のやろうとしている事が読めてきた。
彼女は彼女なりに、暗い気分なあたしの明るくしてやろうとあんな事を言い出したんだ。
そう、先程の見事なまでな棒読みから見ても、それは間違い無いわね。
……何と言うか、この先輩、不器用にも程がある。
「本当に何でも良いの?」
「ああ、勿論だとも。もし飛澤がもう二度と勧誘しないでくれと言うなら、
私も部員も二度とお前を勧誘しない事にするつもりだ。
だから飛澤、私に何を頼んでくれても構わん。これは私の蒔いた種だからな!」
先輩、あたしを励ます為に精一杯虚勢を張っている様だけど……こりゃ、完全に無理しているわね?
だって、尾羽がこれまでに無いくらいに広がっているもの。かなり緊張しているに違いないわ。
「ん〜、それじゃあ、何を頼もうかなぁ……?」
「……」
緊張の余り、思わず唾を飲んだのか喉をごくりと鳴らす宮元先輩を前に、あたしはわざとらしくもったいぶって見せる。
ちょっぴし酷い様にも思うかもしれないけど、あたしは今までこの先輩に散々といって良いほど困らされてきたのだ。
偶にはこれくらいイジワルしてやっても誰も文句は言わないかな?……多分。
ま、イジワルするのもこれくらいにして、とっとと頼みたい事を言ってしまいましょ。
「んじゃあ、そうね、宮元先輩にはこれから色々と奢ってもらおうかしら?」
「……な!? そ、それで良いのか? 飛澤」
「ええ、そうよ? 文句あるかしら?」
あたしの提案に、酷く意外そうに目を見開かせて嘴をぱくつかせる宮元先輩。なんだかちょっぴしカワイイ。
「いや、お前は今まで私の事を散々煙たがっていたから、てっきりもう勧誘しないでくれと言うのかと……」
「それとこれとは話は別よ? そりゃ確かにあたしは、今の今までしつこくしつこく勧誘してくる先輩を鬱陶しく思ってたわ。
けど、先輩は決して悪気があってあたしを勧誘してた訳じゃないんでしょ? そうなんでしょ?」
「……う、まあ、そうなんだが……」
知らず知らずのうちにあたしのペースに乗せられ、彼女は大きかった声を徐々に萎ませて行く。
くっくっく、もうこうなってしまえば、ずっとあたしのターン! けど、あたしはまだまだ容赦しないわよ?
あたしは身体を仰け反らせて勢いをつけて、逆さまの体勢から鉄棒の要領でクルンと半回転し、枝の上に立つ。
その流れで宮元先輩の横へと並び、その羽毛に覆われた翼をぐいよと掴んで
「それじゃあ、善は急げと言う事で早速、行くとしましょうか?」
「え?……何っ!? ちょっと待て! 今直ぐに行くというのか!?」
にっこりと微笑むあたしを前に、頭の羽毛をぶわっと逆立てておおいに戸惑う宮元先輩。
「何言っているのよ宮元先輩、当たり前でしょ? あたしは即断即決即実行をセオリーにしてるのよ?」
「いや、だが、何も今日でなくとも……」
「あのね? 先輩。あたしは今直ぐスィーツを食べたい気分なの。そう、何と言われようともね?
それに、先輩はあたしの言う事を何でも聞くと言ったんでしょ? それを今日は都合が悪いからと聞かない訳?」
「う…それは、そうだが……」
暫しの押し問答の末、あたしに押されまくった先輩は遂にぶつぶつと呟くだけとなった。
そんな今の彼女の気持ちを表してか、プルプルと左右に振られる尾羽。
そして、先輩は暫しの逡巡の後、もうヤケクソとばかりに叫ぶ。
「え、ええい、もうっ、分かった! お前の言う通りスィーツでもなんでも奢ってやるさ! これで良いのだろう、飛澤!」
うっしゃ! これでスィーツタダで食べ放題Get!
と、喜びの余り思わずガッツポーズを取ったら、広がった翼膜に風が当りバランスを崩して枝から落ちかけた。
しかし、幸いにも。その時には先輩はがっくりと項垂れており、あたしの様子に何ら気付いてなかった。
支援
※ ※ ※
「ここよ、ここがあたしの言うスィーツショップ『連峰』」
「噂は部員から何度か聞いてはいたが……随分と小ぢんまりとした店だな」
ややあって、宮元先輩を連れ立って飛び立ったあたしは、港通り沿いにあるスィーツショップ『連峰』の前へ降り立った。
見た目は赤い三角屋根の小さな喫茶店、けど、その中はバニラの香り漂う、女性にとっての甘い天国が広がっている。
時刻はそろそろ夕暮れ時、けど看板のネオンが羽虫の様な音を立てて、今晩の職務を少しばかり早く始めていた。
店の換気扇からほんのりと鼻腔に感じるは、馨しいばかりのスィーツの甘い香り。ああもう待ちきれない!
無論、あたしは逸る心を抑えきれず、未だに店を観察している宮元先輩を置いてさっさと店内へ突入する。
「ヤッホー、てんちょーさんいるー?」
店内に入ったあたしは早速とばかりに、店長の香苗さんに向けて声をかける。
けれど、香苗さんはケーキでも作っている最中なのか、店内にその姿は無く。
代わりに、床にモップ掛けをしている最中だったキジトラのネコのウェイトレスがこちらに気付いた。
「あ、いらっしゃ……て、てんちょー!! またあのコウモリの子g――ヘベッシ!?」
しかし、その客があたしと知るや否や、
頭の上にピンとエクスラメーションマークを立てた彼女は、尻尾を丸めて全身の毛を逆立てて悲鳴を上げて走りだし、
挙句、置いてあったバケツに足を引っ掛けて見事にすっ転び、それでひっくり返ったバケツの水をモロに引っ被った。
……うん、どうやら驚かせちゃったみたい。ごめんね?
「うー…服と毛皮がぐしょぐしょ……」
「あらあらぁ……真央さん、いきなり転んで如何したんですかぁ?」
ずぶ濡れになったのが余程嫌だったのか、キジトラのウェイトレスはその場でがっくりと膝を付く。
その様子に、角のリボンが可愛らしい羊のウェイトレスが気付き、掃除をしていた手を止めて心配げに駆け寄る。
それに気付いたキジトラの子はバケツの水と涙で顔の毛皮を濡らしながら、あたしの方へと指差し
「未井さぁん、あのコウモリの子が……」
「こ、こんばんわ…今日もスィーツを食べに来たわよ?」
「――っ!!」
羊のウェイトレス、もとい未井さんは挨拶するあたしの姿を確認するや、ふわふわの毛を1割ほど膨らませて硬直。
そしてあたしもまた、その羊のウェイトレスの反応に一体何事?と思わず硬直。
「て、店長っ! き、緊急事態発生、メーデー! メーデーですぅっ!」
「ああっ! 未井さん!? 私を置いていかないでぇっ!!」
未井さんはやおら叫びながら走りだし、身体をテーブルやイスにぶつけつつ店の奥へと引っ込んで行く。
そしてその後に続く様に、キジトラのウェイトレス、もとい真央さんも濡れた尻尾を振りながら店の奥へと引っ込んで行った。
シンと静まり返った店内の静寂が、妙に耳に痛いのは決してあたしの気の所為じゃない。
「……飛澤、お前はこの店で一体何をやらかしたんだ……?」
そうしてあたしが呆然と佇んでいると、何時の間にか店内に入っていた宮元先輩が呆れ混じりに問い掛けてきた。
ちょっぴしこっぱずかしい物を感じたあたしは耳の裏をぽりぽりと掻きつつ、質問に答える。
「えっと……あたしはこの店のスィーツを何度か楽しんだだけなんだけど……」
「何度か、か。……じゃあ、お前は一度の来店でどれくらい食っているのだ?」
「んーと、あの陳列棚の右端から左端まで全部……位かな?」
「…………」
あたしの照れ混じりの返答に、陳列棚へ目を移した宮元先輩は遂に言葉を失った。
なによぉ、別にスィーツをあれくらい食べる事程度で驚かなくても良いじゃないのよ!
そりゃ、偶にちょっと食べ過ぎかなって思う事はあるけど……。
「ふふ、どうやらまた戦いの時が訪れた様ですね……」
あたしが独り心の中で憤慨していた矢先、
『連峰』の店長兼パティシエの香苗さんが未井さんを伴って店の奥から出てきた。
其処に真央さんの姿がない所から見て、彼女は只今濡れた制服のお着替えの真っ最中なんだろう、多分。
如何言う訳かあたしに対して対抗心剥き出しの香苗さん。その後でフレーフレーと手を振って応援する未井さん。
「飛澤 朱美! 今度こそあなたに『もう、お腹一杯』と言わせますよ!」
「店長ぉ、頑張ってくださぁい」
香苗さんは相当やる気なのか、尻尾は天を突かんばかりにピンと立ち上がり、おまけに瞳には闘志の炎が揺らいでいる。
……というか。何だか知らないうちにあたしは香苗さんのライバル認定? つか、そもそも何の戦いなの?
ふと、横を見やると、どうやら宮元先輩も話を自慢の鉤爪で掴めなかった様で、只々嘴をポカンと空けて立ち尽くしてる。
そんなあたしと宮元先輩の気なんてつゆ知らず、自信満々と仁王立ちした香苗さんがあたしへ挑戦状を叩きつける。
「今回こそあなたを打ち負かす為に、私は今までの集大成であるスィーツマウンテンEX改を考案しました!
そして、スィーツファイターであるあなたならば、私のこの挑戦を受ける筈! さあ、勝負を…」
「あの、あたしは今日、この人の奢りで食べに来ただけで……勝負とかするつもりは無いですけど?」
「……なに?」
言いきる間も無く、即座にあたしから挑戦状を突っ返された香苗さんは間の抜けた声を上げて硬直する。
話を振られた先輩の方も、へ? と言いた気に目と嘴を大きく開かせる。 先輩、話を聞いてなかったの?
香苗さんは人差し指の先を額に押し当てて、しばらく考えると勝手に自己完結したのか、
「……と言う事はここは私の不戦勝、つまりは私の大勝利と言う事ですか?」
「店長ぉ、そもそも相手が勝負を引き受けてないのでぇ、不戦勝云々以前の話じゃぁ?」
「う゛……言われてみればそうでしたね……」
しかし、即座に入った未井さんのスルドイ突っ込みに、
完膚なきまで意気込みを挫かれた香苗さんの尻尾が力なく垂れ下がる。闘志の炎もシュンと鎮火した。
そりゃ、スィーツマウンテンEX改とやらを食べてみたいとは思うけど、今は宮元先輩に奢ってもらいに来たのだ。
だから香苗さんには悪いけど、今回の勝負はまた時間の空いた時に延期と言う事で。
「となると、飛澤 朱美。あなたは普通のお客様として当店にご来店された、と言う訳ですか?」
「うん、そうよ♪」
冷静さを取り戻した香苗さんの問い掛けに、あたしはにっこりと微笑んで答え、宮元先輩は無言で頷く。
香苗さんはそうですか、と答えた後、尻尾を訝しげに揺らして隣の未井さんへひそひそと話し始める。
「……金森さん、どうおもいます?」
「店長、如何思いますといわれてもぉ、私は何か裏があるとしか思えないですぅ」
「そうですね…これは一応警戒しておいた方が良いみたいですね……あの鷲人も怪しい事ですし」
こらまて、其処の店長とウェイトレス。あなた達はあたしを何だと思ってるのよ?
――と、聞きたかったけど、聞いたら聞いたで口を揃えて何かヤな事を言われそうな予感がしたので、
咄嗟に喉元まで出かけていた言葉を出さずに留めておいた。
と、店の奥からこちらへやって来る足音が一つ。濡れたメイド服を着替えに店の奥へ引っ込んだ真央さんだった
「店長、着替え終わりました―!」
「真央さん、着替えるのが遅いですよ!……って、なんですか、その格好は?」
「なんですか、って言われても、これしか換えの服がなかったんですよぉっ! 店長!」
ジャージ姿の真央さんを見て思わず呆れる香苗さんに、尻尾を立てた真央さんは涙目で抗議する。
えっと、何と言うか、凄く罪悪感を感じちゃうなぁ……。彼女の服を濡らしたそもそもの原因はあたしだから……。
「ま、まあ気を取り直して、先ずはご注文をどうぞ!」
「飛澤、一応奢ると言った以上は何を頼んでも構わんぞ?」
ををっ、宮元先輩は何と太っ腹! それじゃあお言葉に甘えて遠慮なく、
「んっと、あの棚の右端から左端まで全部♪」
「「「「…………」」」」
「じょ、冗談よ冗談!」
――と行こうとしたら、あたし以外の四人全員から死んだお魚さんのような濁った眼差しを向けられ、
薄ら寒い物を感じたあたしは即座に注文を撤回せざる得なかった。何と言うか、ゴメンナサイ。
しえ
「んぅ〜、やっぱりここのスィーツは最高!」
熟した林檎の甘酸っぱい芳醇な香りと味が鼻腔と舌を優しく蕩かす林檎のタルト。
完熟苺とさくさく生地と濃厚生クリームとの甘い出会いが織り成す三重奏が光る苺のミルフェイーユ。
お互いを協調し合うカカオの香りとブランデーの香りにほんのりほろ苦い後味が飽くまで心地よいガトーショコラ。
あたしはテーブルに居並ぶそれらを口に入れ、その甘美たる味のひとときの虜となっていた。
そんなあたしへ、テーブルの向かいから冷めた眼差しを投げ掛ける宮元先輩。
「オオコウモリ族は甘い物に目が無いとは聞いてはいたが……本当に良く食うよな?」
良く食うって言うけど、これでもまだまだ全力の10%程も食べていないのよ? 見縊らないで欲しいわ!
因みに、あの時のあたしはあの濁った目を向けられるのが恐くて、何時もよりも大分少ない量しか注文できなかった。
嗚呼、あたしのスィーツ食べ放題タダGetが夢幻に……。こんなに悲しかった事は他にはないわ!
こうなればヤケ食い……と行きたいけど、そのヤケ食いが無理な以上、ここは涙を飲んで諦めるしか無いわね……。
そんな悲しい気分を感じつつ、残りのスィーツをあたしなりに大事に大事に食べていたその矢先。
「……あれ? 朱美か? それに宮元先輩? 何でここに?」
背に掛かった聞き間違え様の無い声にあたしが振りかえり見れば、
其処には意外そうな表情を浮べる卓君の姿。いや、『何でここに?』と聞きたいのはあたしの方だ。
なんてこったい。 心の準備云々をする以前の時に会ってしまうなんてあたしは何て運が無い。
卓君から見れば、あたしは反省も無くスィーツに齧り付く食い意地の張った蝙蝠にしか見えない事だろう。
しかし、あたしの予想に反して、卓君が猜疑心丸だしの眼差しを向けたのは宮元先輩。
「ひょっとして、宮元先輩……朱美を如何しても勧誘したいが為に食い物で釣ろうとしたな?」
「そ、それは違うぞ! 御堂! 私はごく純粋に飛澤へケーキを奢ってやろうと思っただけで、やましい気は……!」
ばたつかせた翼から羽毛を何枚か抜け落ちさせつつ、慌てて卓君へ弁明する宮元先輩。
しかし、必死な先輩の願いも虚しく、卓君は「へー、そうなの」と、全く信じていない様子で冷めた目で頷くだけ。
と、先輩がちらりとこちらを見た、しかし、その眼差しは『お前も何か弁論してくれ」と言う感じの物ではなく、
『今のうちに早く言うんだ』と、あたしの背中をそっと押すような優しげな眼差し。
「……?」
あたしは最初、宮元先輩の向けた眼差しの意が読み取れず、思わず困惑してしまったが、
それに気付いた先輩が卓君に向けて一瞬だけ、くいと嘴を振った事で、何とかその意を察する事が出来た。
―ーそう、今こそが卓君へ謝るチャンスなんだ。
しかし、ここまで来ておいて、あたしは卓君へ声を掛ける勇気を出せなかった。
ひょっとしたら謝っても許してはくれないのでは、と言う漠然とした根拠の無い不安があたしの勇気を止めていたのだ。
ああ! こんな時に限ってあたしの意気地なし! あたしは何処まで他人に迷惑をかければ気が済むのよ!
そんな自分に情け無さと悔しさを感じている間にも、卓君と宮本先輩の押し問答は続く。
「にしても、大空部の部長とあろう者が、ずいぶんと狡い(こすい)真似をする様になったもんだな?」
「だから違うといっているだろう! そりゃ、端から見れば飛澤を食い物で釣っている様にしか見えないが……」
「『様にしか見えない』じゃなくて、如何見てもその物としか思えないがな?」
「だから御堂、私を信じてくれっ! 本当に私は飛澤を食い物で釣るつもりなんて毛頭無いんだ!」
これでもかとばかりに卓君が突き立てる言葉の槍を、宮元先輩は弁明の盾で必死に防ぐ。
しかし、何処から如何見ても状況は宮元先輩が劣勢に追い込まれている状態。落城は目に見えている。
このままでは、宮元先輩は『生徒を餌で釣ろうとした大空部部長』と言う不名誉なレッテルを無理やり張られてしまう。
……ええぃっ、何やってるのよ、あたしは! こうなれば当初の予定通りぶっつけ本番よ、ぶっつけ本番!
意を決したあたしは、押し問答が一瞬途切れた隙を突いて卓君へ声を掛ける!
「あの、卓君!」
「んお? なんだよ、朱美……?」
いきなり話し掛けられた卓君は驚いた様に振り向き、不思議な物を見るような目であたしを眺めた。
あたしに向けられた何気無い眼差し、けど、今のあたしにとっては鋭い槍を突き立てられている様に感じてしまう。
けど、もうあたしは怖気付いてはいられなかった。もう、後は野となれ山となれよ!
「先週は本当にゴメンナサイ! あの時は本当にあたしが言い過ぎてたわ!」
「……??」
頭を下げたあたしの行動の意図を掴めなかったのか、目を丸くしてキョトンとする卓君。
そして、暫しの間、あたし達三人を沈黙が支配する。宮元先輩は不安げに視線をあたしと卓君の間を往復させる。
気付けば、『連峰』の店員達もあたし達の様子を興味深げにじっと眺めていた。あたし達は見世物じゃないんだぞ。
やがて、あたし達を支配した沈黙を打ち破ったのは、困った様に後頭を掻く卓君だった。
「えっと……先週って言うと、ひょっとして先週の金曜日の放課後の事か?」
「う、うん、そうよ……?」
我ながら何と間抜けな返答。あたしはバカか?
恥かしさの余り、翼膜が熱くなる感覚を感じる。あたし達コウモリは翼膜に細かい血管が多いのだ。
だから人間が顔を赤くする様に、ウサギが耳を赤くする様に、コウモリは恥かしくすると翼膜を赤くする。
けれど、恥かしがるあたしに、卓君はふっ、と優しく笑って言う。
「別に気にしなくても良いよ、朱美。
あの時は俺の方もちょっと強情だったかなって思ってたくらいだし。
朱美も自分が悪かったと思ってるなら、それはそれで良いじゃないか。
そう、俺と朱美の考えがちょっとだけ擦れ違った。それだけの話だからな?」
「卓君……」
「まあ、そんなくだらない事はとっとと忘れて……って何で泣き出すんだ!?」
「……ごっ、ゴメン! あたしにも良くわかんない……」
卓君に許してもらって嬉しい筈なのに、何であたしは泣いているんだろう?
何と言うか、心がじんわりと暖かくなって、その暖かい物が目から溢れ、零れ出している様な感じ。
そう、それはある事件が元で怪我をして意識を失った卓君が、やっと目を覚ましてくれたあの時。
その時に感じた、あの暖かく何とも言えない気持ちに似ていた。
「お、おい? 他の人が見てるんだぞ? 朱美。と、取りあえずこれで涙ふけよ」
いきなり泣き出したあたしに、意味も分からずただただ慌て、戸惑いつつティッシュを差し出す卓君。
その様子を見て、胸の前に翼を腕組みさせた宮元先輩がはっはっはと豪快に笑って言う。
「女を泣かせる様になるとは、随分な色男ぶりだな? 御堂」
「宮元先輩。からかわかないでくださいよ!?」
「や〜い、色男〜」
「色男さんですねぇ」
「ふん、この色男め」
「ちょwwww!? 店員さん達まで!? ちょ、恥かしいっての!」
更に様子を見ていた『連峰』の店員さん達にまでからかわれ、
かなり狼狽した卓君は、羞恥心で顔を完熟苺の様に真っ赤に染め上げて、おおいに慌てふためく。
その余りにも滑稽な光景を前に、あたしは可笑しさを感じ、思わず『ふふふ』と笑い声を漏らしていた。
……そう言えば、今気付いた事だけど。
あれ程あたしの心にしぶとく張り付いていた暗澹とした気分、それは流した涙と共に綺麗さっぱりと消え失せていた。
ひょっとすれば、これも宮元先輩のお陰なのだろう……けど、それを彼女へ言うつもりはなかった。
もし、ここで言ったら宮元先輩の事だ、それこそ恩着せがましく勧誘してきそうだったし。
この事はあたしの胸の内に密かに仕舞っておくとしよう。
「さて、と、ケーキも買った事だし、とっとと帰るかな……」
ややあって、あたしから貰ったケーキを食べ終わり、卓君が席を立つ。
其処でちょっとした事を思いついたあたしは、にっこりと微笑んで卓君へ切り出す。
「あ、卓君、ちょっとケータイ貸して」
「……? 良いけど。 何するんだ?」
不思議そうに首を傾げながらも、あっさりと携帯を寄越す卓君。
クックック、まんまとあたしの策略にはまってくれたわね? 卓君。もうあたしは止められないわよ?
頭の中でほくそえみつつ、あたしは卓君の携帯を手早く操作し、卓君の家へと電話を繋げる。
「もしもし? 卓君のお母さん? あたし、卓君のガールフレンドの朱美よ。
これから3時間ほど卓君を借りるけど良い? そう、良いのね? 分かったわ。じゃーねー!」
「ちょ、まて! 朱美!? おまっ、いきなり何してくれてるんだ!?」
電話を切ったあたしに血相を変えて詰め寄る卓君。
けど、何時もの明るい自分を取り戻したあたしは、にっこりと微笑を返して卓君へ言う
「何をって? 卓君のお母さんに卓君を借りる事を伝えただけよ? はい、携帯返すわね?」
「あのな……いや、もう良い。 もう、こうだと決めた朱美に何言ったって無駄だもんな」
そうそう、分かってくれれば宜しい。お姉さんは物分りの良い子も好きよ?
そして、何処か諦め切った表情を浮べた卓君は、何処かわざとらしいくらいに礼儀正しく、
「それで、お嬢様。このわたくしめを連れて何処へと向かわれるのですか?」
「んーとね、卓君との仲直りの記念にカラオケでも如何かなーって」
「カラオケねぇ……どうせ俺が反対した所で、朱美は無理やり俺の手を引っ張ってでも行くつもりだろ?」
「うん。当然じゃない!」
ぴしぃっとサムズアップして見せるあたしに、卓君は「さいですか」と呆れたかの様に笑って見せる。
其処には、何時ものあたしと卓君のごく他愛のなくありふれた、それでいて幸せに溢れた関係があった。
この関係を失いたくないと願うなら、これからはもう二度とくだらない事で喧嘩しない、いや、したとしても直ぐに謝ろう。
――そう、あたしは心の中で誓うのであった。
「ん? 飛澤に御堂、お前らは何の話をしているのだ?」
声に振り返ってみれば、先程小用を終わらせて来たであろう宮元先輩の姿。
其処で名案を思いついたあたしは、早速とばかりに宮元先輩へと切り出す。
「ねえねえ、宮元先輩! これから暇だったらカラオケにでも行かない?」
「ん? カラオケか……そうだな、私もどうせやる事がないし。一緒に行ってやっても良いかもな」
ふっふっふ、良いんですか? 先輩。そんな簡単に安請け合いしちゃって。
先輩はまだ気付いていない、あたしとの約束を破った『お詫び』はまだまだ終わっていないと言う事を。
作戦が上手く行った事にあたしは心の中でガッツポーズを取りつつ、卓君へ明るい声で言う。
「良かったわね、卓君。先輩がカラオケ代奢ってくれるんだって!」
「ほぅ、そりゃありがたい話だな? だったらその宮元先輩のご好意に甘えるとするか」
「……??」
対する宮元先輩はというと、いきなり始まったあたしと卓君の会話に付いて行く事が出来ず、
意味の分からぬまま不思議そうに首を傾げるだけ。
「んじゃ、ケーキ代の支払いはお願いね、宮元先輩? それじゃお先に」
言って、呆然と立ち尽くす宮元先輩へ翼の先を振り、あたしは卓君と歓談しながら共に歩き出す。
其処で先輩はようやく我が身に降り掛かった状況に気付き、
店の外へ去り行くあたしと卓君の背を追いながら溜息交じりに漏らした。
「……やれやれ、飛澤の悩みを解決したのは良いが、今度は私の方がどんより曇り空になりそうだな」
――――――――――――――――――了――――――――――――――――――
以上です。
そう言えば、ここ数年はプールに入ってないなぁ……。
訂正orz
×店の外へ去り行くあたしと卓君の背を追いながら溜息交じりに漏らした。
○店の外へ去り行くあたしと卓君の背を見やり、溜息混じりに漏らした。
乙〜
おぉう宮本先輩なんというナイスガイ…あ女か
いいねえ青春だねえ
?シ代せ繝ャ逶ョ縺ョ繝輔こ繝?迢シ縺上s縺ィ縺雁ャ「縺輔s縺ァ縺吶°縺ュ?シ?
鄒弱@縺?縺ァ縺吶?ョ縺?
1スレ目のフケツ狼くんとお嬢さんですか?
美しいですのう
>>43 風景描写が気持ちいいね。空飛べるっていいなぁとつくづく感じたよ。
しかし某教師ほどじゃないけど、なんだかんだ言って朱美はかなり女の子女の子してるよな。
有休を消化している俺が通りますよ……
よくよく見直してみたら重大なミスを発見!
>>40-41の間に入れるべき文章が抜け落ちてた! もう死にたい('A`)
以下、その抜け落ち分
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「ったく、あそこまでからかわなくても良いじゃないか……」
「アハハ、迷惑かけてゴメンね、卓君。 お詫びにケーキあげるから」
それからしばらくたった後、時折通る路面電車の釣りかけモーターの音だけがBGMとなった『連峰』の店内。
小用で席を立った宮元先輩に代わってあたしの向かい側の席に座ったのは、ちょっぴし不機嫌にぶーたれた卓君。
あたしは軽く笑って卓君へ謝りつつケーキを差し出した後、少し気になった事を聞いてみる。
「所でさ、話は変わるけど、卓君は何でここに来たの?」
「そうだな、俺が何でここに来たかって言うと。
明後日が親父の誕生日でな、その誕生日のお祝いの為のケーキを買いに来てたんだよ」
「へ? ちょっち待って? 卓君の家じゃお祝い事のケーキって卓君のお母さんが作るんじゃなかったっけ?」
「ああ、本来だったらそうなんだけどな……」
「……そうなんだけどな?」
思わずオウム返しに問うあたしに、
卓君はあたしから貰ったケーキを口に運び入れつつ、はあぁぁ…とマリアナ海溝よりも深い溜息を付いて言う。
「その義母さんがな、あろう事か四十肩になっちまったもんで、ケーキを作るどころの話じゃなくなったんだよ」
「ありゃりゃ、そりゃ大変ねぇ」
卓君のお母さんはクールなイメージを感じさせる黒豹。だけど妙にそそっかしい所がある。
今から2週間ほど前、家に遊びに来た友達へ食べきれない量のホットケーキを作ってしまい、
食おうとしたけど食べきれず結局はあたしにその処理をお願いする羽目になった事があったし。あの時はご馳走様。
そう言えば、その時に卓君の家に来た友達って誰なんだろう? 卓君に聞いても誤魔化すばかりで教えてくれないし。
あたしにまで秘密にするなんて、これはその『友達』にとやらを調べて見る必要があるわね。なんか凄い発見がありそう。
と、そんな事をあたしが考えているとはつゆ知らず、卓君は話を続ける。
「んで、そのちょっと前にな、義母さんが四十肩だって俺に嘘付いた事があったんだけど。
まさかその後で、本当に義母さんが四十肩なってしまうなんてなぁ……世の中、何があるか分かったもんじゃないよ」
「ふふ、卓君を騙した天罰があたったのね?」
「天罰か…そりゃ言えてる。 けど、それでこっちまで迷惑が掛かるってのはちょっとなぁ。
ま、そんな訳で、ケーキを作れなくなった義母さんの頼みで、俺は親父のバースディケーキを買いに来てたって訳。
本当に困った義母さんだよなぁ?」
言って、「やれやれ」と外人が取るような大げさなジェスチャーをとって見せる卓君。
そういや、卓君の座るイスの横に『連峰』のケーキ箱を入れたビニール袋が置かれているけど、多分あれなのだろう。
あの中には香苗さんが腕によりを掛けたケーキが入っている。けど、卓君のお母さんのケーキには敵わないかも?
だって、一度だけ卓君のお母さんのケーキを食べた事があったけど、あれは本当に美味しかったし。
また機会があれば、卓君と一緒にお母さんの手作りケーキを食べてみたいわね。
>>47 狼の野性っぽい不潔さとか舌足らずな喋り方好きだったな
色つきとはもうたまらんぜ。狼の愛嬌が半端ない
ふされ!
もふもふ
またまた訂正点が出てきたよorz
>>27 ×「まあ、そうだな。昨日しがた『ブルースカイ]U』のモーターをより高出力な物な物に交換したから。
↓
○「まあ、そうだな。昨日しがた『ブルースカイ]U』のモーターをより高出力な物に交換したから。
>>37 ×「……金森さん、どうおもいます?」
↓
○「……未井さん、どうおもいます?」
>>39 ×完熟苺とさくさく生地と濃厚生クリームとの甘い出会いが織り成す三重奏が光る苺のミルフェイーユ。
↓
○完熟苺とさくさく生地と濃厚生クリームとの甘い出会いが織り成す三重奏が光る苺のミルフィーユ。
もう、土井君に穴でも掘ってもらってその中に埋まりたい気分だよ!
>>57 うおかっけぇ! そして凄く気持ち良さそうだ
多分、これくらいの物となると、組み付けとかの力作業は惣一だけじゃ無理っぽいから他の人も手伝っていそう。
例えば虎宮山さんとか虎宮山さんとか虎宮山さんとか
>>57 サン・スーシせんせが設計手伝ったりしてないかなぁとか考えてみたり
>>57 いいなあかっこいいなあ
こんなの憧れるわ
>>59 獅子宮「お? なんだ、ちっちゃいものクラブかw」
>元々空子とランデブー飛行するための
ぐっ!?
やたら心に来るこの黒い感覚は何なんだ畜生!
風になっちまえ
ケモ学に人間の生徒が入学するとフラグが立つのか
俺も高校時代からやり直してぇ・・・!
>>62 なるほど、確かにランデブーすることを考慮すればプロペラは惣一の居るコクピットから離したほうが
安全ですね。
にしても、単身で空を飛ぶことが出来る鳥人のいる世界じゃ航空機のデザインも奇抜なものが多そうだw
業務連絡。
当スレwikのコメント欄に再三に渡ってスパムアドレス(ソースチェックした結果そうだった)へ誘導する書き込みが続いた為。
やむを得ずコメント欄を停止しました。
以後、何らかの対策が施されるまでの間、意見・感想のある方は意見・要望所へお願いします。
尚、事後報告となってしまった事はゴメンナサイ。
コメント欄、必要ないと思うんだ。
感想ならこのスレでもいいし
うん。そだねー。
管理人に連絡できるのなら
wiki管理人です
該当のスパムを削除し、IPのアク禁処理を行わせていただきました。
対応が遅れて申し訳ありません。
コメント欄の停止に関しては一切異存ありませんのでお気になさらずー
また広告が来ていたら意見,要望所内にてコメントして頂ければアク禁処理を行いますので、
よろしくお願いします
管理人さん超GJです!
好きな人の尻尾をモフモフしてもいいよ!
>>68-69 そりゃ投下された直後の感想だけならここでも充分だと思うけど、
ウィキに掲載されている以前に投下された作品などに関する感想や、誤字などの間違いの指摘の為に必要だと思うんだ。
本当、感想とか意見とかがあるなら遠慮する事無くコメント欄を活用して欲しい。
この作品のここが面白かったよーとかの一言だけでも、作者の励みに繋がるなるから。
取りあえず、もうスパムの心配が無い様なのでコメント欄を復帰させてくるノシ
wiki作業&管理のみなさま、いつも有り難うございます。
スパムといえば、ずいぶん以前に同僚から貰った沖縄土産の「PLUMROSE ポーク
ランチョンミート」を、先日賞味期限2年越えで食べました。
「これはお前さん向きだ」言われた缶には、“妙に色っぽい豚さん”が印刷さ
れておりました…
ところで朱美ですが、実はコウモリって足が前後逆になってるのですが、今ま
でわざと人間と同じ方向に描いてました。 週末ずーっと『どうしようかなぁ』
と悩んでおり、やっととりあえず今までと同じ方向で描き始めましたが、まだ
揺れてます。 そもそもコウモリの足は自分の体重を支えられないらしいし…
…まぁいいかな?
と言う事で
>>29 ttp://loda.jp/mitemite/?id=113&img=113.jpg
>>72 世の中にはチスイコウモリの様に4本足で立って歩くコウモリも居るし、余り深く気にしない方が良いとオモ
にしても、お互いに覗き込むポーズといい正対象な構図といい、なんだかアーティスティックだ
所で、下を覗き込む宮元先輩の姿が可愛く見えたのは俺だけ?
>>73 是非ともパシパシとしてください!
そーなんだよね
コウモリってやつは足が弱くて立ち上がれないからぶら下がるようになってる
でもまあ朱美は健脚でいいんじゃないかな
逆さま状態はコウモリっぽく特徴的でおもしろいね
そう言えば皆さん、宮元先輩はまだフリーですよー(笑) フラグを立てるのは誰?
足はとりあえず人間足で行くことにしましたです。鳥ひとに関してはまだ鳥足に出来
るように明確に描いてなかった…と思って見返したら惣一の頭を掴んでる空子の足で
しっかり描いてしまってました。 ケモ学は全員関節は人間型で行くことにしました。
見返してる最中に気づきましたが、利里の尻尾を卓が踏んでる入学式の画で、卓の
母親を人間に描いてましたが… いいんだっけ?
で、さらにwikiを見てたら、いつの間にか「スレ埋め」が独立シリーズになっていて
ニッコリしてしまいましたですよ。
宮元先輩にフラグ立てたらなんだか振りまわされそうなのは俺の気の所為?w
足に付いてはケースバイケース。
人間脚の人が居ればサン先生や犬太の様にケモ脚の人も居るから、別に統一する必要はないのでは?
人間脚なのは先祖の中に人間の血が混じってるとか、子供の頃はケモ脚だけど大人になるにつれて人間型に落ち付いていくとか、
そう言う風に妄想するのもありだ
それと、卓の母親云々は多分、wikの俺とアイツの馴れ初めってタイトルの絵の事かもしれないけど、
卓の母親の部分はうっすらとだけではっきりと描かれていない様だし、別に大丈夫かと?
それで如何しても気になるなら描き直せば良い……ってSSと違ってそう簡単にはいかんわな……
宮元先輩はムズいな…
っついうか行動が派手なキャラって準主役とか背景としては出しやすいけど
主人公にして内面描写してみようとすると難しいんだよなー
宮元先輩はまさにそれ。サン先生もそれだな。
個性が強すぎるから動かすのが難しいのかね
個性が強いキャラクタ=内面を掴みづらくてどうしたらいいか分かんない=むずかしい
こんな感じですか?分かりません><
そこを悩みつつ書いていくのがモノカキってもんだとおもう剣
モノカキに限った話でもないけどねー
絵でも漫画でもSSでも、そのキャラをどう動かすか悩むのは同じだよ
下手に動かして、損するのもいかんしね。
逆に書き易いキャラって誰だろう。
誰と誰のからみが面白いんだろう。現実のドラマや映画にもいえるけど。
主人公タイプのヤツじゃね?卓や康太
馬みたいなネタ要員も動かしやすいよ
>>84 せっかくなんだからキャラ名使おうよw
誰と誰の〜って個別にしちゃうより、大勢絡めて話広がる方が俺は好きだな
話作りやすいし
そういえば、人間♀×獣♂のカップルっていなくね?
シマリス君とおんにゃの子の入学試験のSS、
ケモ学じゃなけどリツ君がいたな。
ヘビくんと委員長、あと猪田家に帆崎家か
>>86 wiki見ればわかるけど、カップルじゃなくても割と人間♀×獣♂の絵もあるよ
>>76-78 >>89 宮元先輩のかっこよさは至上、そこに惚れる憧れるぅ!!
こういう面倒見が良くてさっぱり気質のヒトの場合、同年代より後輩から熱烈に慕われるっぽい
でも年下には興味無さそうな感じだなぁ
>>77 >宮元先輩にフラグ立てたらなんだか振りまわされそうなのは俺の気の所為?w
振り回される人ではフラグは立てられない予感
なんてこった、攻略方法が見つからないぜ
まぁ恋愛ばっかじゃ飽きるからずっとフリーのキャラが居てもいんじゃね?w
ものっそい今更ながら思ったんだが、ケモ学シリーズって学園物なんだな
しかも小中高一貫のマンモス学園っていう見事な王道設定
そこらへんまったく意識してなかったぜ
ああしまった、ネ実と同じノリで書き込んでしまったたた。
「肩の力抜けよ」と脳内変換よろしく……
いや、そこは「尻尾の力抜けよ」にしたほうが良いかも(笑)
余計いやらしいわw
98 :
創る名無しに見る名無し:2009/06/10(水) 14:27:46 ID:kUT/P8ob
マンモス学園で思い出したけど、校舎の並びとか職員室や教室の
並びも考えると妄想が広がる。地下とかもあるんだろうかね。
使われてない教室に肝試しとかも面白そうだ。
ここが聖地か……
初等部と中等部が同じ校舎で高等部が別棟みたいな話があったような
しかしあまり明確に建物を設定してしまうと、
他学年や先生との絡みが制限されてしまう罠
過疎地の学校みたいに人口少ないから混ぜ混ぜでやってるのかと思ってた
>過疎地の学校みたいに人口少ないから混ぜ混ぜでやってるのかと思ってた
今までのSSとか読んでても流石にそれはないだろうw
ヒカル「ペラ……(小説)」
委員長「ペラペラ(若頭)」雅人「……(SF)」
山手「カタカタ(携帯)」鎌田「……(昼寝)」
兜山「……(放心)」
和賀「……(瞑想)」
竜崎「カチカチカチカチ(PSP)」
御堂「ガガガガ(PSP)」康太「……(疲労)」
烏丸「サ……(視察)」
惣一「かりかり(設計図)」
ハルカ「サラサラ(予習)」
かるかん(何もしてこない奴もウゼー)
学園の機器・設備を知り尽くし、トラブルの備えを常に怠らず
ここ一番で頼りになる男
むしろ"真田さん"ではないのか
ベンじいイイ感じだなー
職業能力開発大学校で腕を磨いて技能五輪に出場して見事メダルを獲得したのち、
当時公務員だった用務員になるために公務員の技能職を受けてでも試験に滑って、
校長と知り合いだったから民間委託の形で裏口的に雇ってもらって早20年て感じがする。
>>106 ベンじいは真田 勉って名前なんだろう、多分。
そして「こんなこともあろうかと」が口癖に違いない(ヲイ
109 :
創る名無しに見る名無し:2009/06/11(木) 02:21:56 ID:16KkElW0 BE:54953287-PLT(15000)
>>106 大人の貫禄がありますね。
名前と容姿で、名探偵ベンジーを想像しちゃった。
校舎に住み込んで勤めてる用務員さんは勇気があると思う。
ご賢察どおり元ネタは「ベンジー」です(笑) 少し前にどなたかのSSで用務員さん
に言及されていたので、考えていたらこんなの出来ました。 ベンジー自体が老犬だ
ったし風貌もあれなんで、定年間際の老じんにしてみましたが如何でしょう?たぶん
定年後再雇用で学園に残る元気はつらつ爺さんだと思うけど。
用務員さんって私の憧れの職業のひとつですね。でも、そうか、真田さんってのも或
る年齢層には憧れだよなぁ(笑) じゃココはひとつ「真田勉(さなだつとむ)」っ
て方向で(ベンジーの本名「ヒギンス」をもじろうと思って上手くいかなかった…)。
たぶん、惣一の格納庫兼部室の電気配線とかもやってくれてると思う。
やっぱり電動「ドリル」もったら人がかわるとか……
スミマセン。
真田さんとやらの元ネタがわからない
一体なに?
宇宙戦艦 真田 でググってみよう。その元ネタが直ぐ分かる筈だ。
ヤマトすか
知らんわけだ
おかえり創発
落ちたのかと思った
何があったのだ
板が落ちてた
(良い意味で)宣伝乙
せまw
飛べねーだろこれww
つーか惣一はこの前の椅子に比較的ゆったり座ってんのか…やっぱすげーチ(ry
あれ? こんなところに黒こげの人間が……
>>120 飛行するときはキチンとシートベルト締めた上で、体育座りでちょこんと座席に収まる鈴鹿さんを想像したw
そういや、その座席だと尻尾とかは邪魔にならないのだろうか?
ひょっとすると尻尾のあるケモノが座席に座る時は尻と座席の隙間へ尻尾を逃がすのか?
124 :
代理:2009/06/15(月) 21:15:37 ID:+xNE7VGp
>座席と尻尾
リザードマンとかカンガルー人とか、尻尾太い系の種族は座席に座るの大変そうだね
背もたれの腰の辺りが片方切り欠かれてるとかあるんじゃない?
車だと q p ←こんな感じで車体の外側が切り欠かれてるかんじで
もしかして規制されてる人多い?
って避難所じゃなく本スレで書いても意味ないかもしれんけどw
なるほどイスの形も変わってくるのか…その発想はなかった
太長尻尾用はもう背もたれの意味が・・・
むしろ背もたれの支柱を片側に寄せて太長尻尾でも大丈夫とか・・・
いや、それもな・・。
学校の椅子でこれなら、映画館とか飛行機のシートとかどうなるやら
>>126 クルマ用のバケットシート流用なのかな? この仕様で俺も欲しいw
尻尾の左出し、右出しなんかの好みもありそう
この世界のプロダクトデザインの本見てみたい、凄い面白そうだ
>>128 長太尾用すげぇw
クルマや映画館、教室的な席配置だと、後ろの人の足とぶつかりまくるだろうし
尻尾の下側が汚れ易いから大変な気がする
わかりにくいAAでごめんだけど、
背もたれの棒の左右どちらかを無くせば横から入れられるんじゃないかな?
rー―――┐
|。 |
|。 /
| r―‐ '´
|_|_ _
/゚' └―┘ ゚\
/_______ \
}┬rー―─┬n:┤
| |::| |::l | |
| |┘ └' | |
凵 凵
尻尾の可動性にもよるけど台座の真ん中を凹ませて尻尾を前に持ってこさせるってのは…邪魔か。
座面をへこませるってのは左右どちらからでも座れるし後ろの人の邪魔にならなくていいとは思うが
いかんせん見た目が……アレだしなぁ……
メキメキ折る生徒が絶対いる
※プリンに切り替えてアクセス中。なんとも不便ですがこれでお返事が出来そうです。
代理投稿してくれたかたがた、ありがとうございます。
教室椅子ですけど、前提として「安くて簡単で丈夫」ってのと「積み重ねられる」っ
てのが有るとしました。と言うことで、短無用は通常の椅子から座面の後端を少しえ
ぐった感じ。長細用は背もたれパイプの一方を曲げることで尾が通りやすくし、着座
後に尻尾を後ろに逃がせる構造にしました。長太用は上から挿し込む感じで、背もた
れとしては使い難いですが、パイプの曲げを工夫して強度は確保しております。
細長用のパイプは斜め後ろに曲げることで、長太用の下に曲がったパイプは座面後端
のえぐりで逃げることで、全て一緒に積み重ねが可能です。
背もたれの片持ちも考えましたが、学校用と考えるとねじれ強度が問題になりそうで
したの今回は不採用と。でもたぶん、一般的には片持ち或いは横座り的な構造の椅子
が多そうです。
座面をえぐり尻尾を尻下に回すのも考えましたが、積み重ねが出来なくなりそうなの
と、勉強用なので前傾が多くなるため、尻尾が窮屈になるだろうと思いこれも残念な
がら。リクライニングしてよいなら下収納構造も有りですよね。劇場等では下に仕舞
わないとおっしゃる通り後ろに迷惑ですし(笑)
ちなみに、ブルースカイのバケットシートが横出しなのは、重心を下げるために下に
収納できないからでした。オプションの詰め物を取り換えることで尻尾毎にフィット
させるもんだと思ってください。高級なのだと内蔵ポンプでエアマットを膨らませて
フィッティングかな?
おぉー…すげえ考えんなー
尻下に尻尾を収納ってソープのエロ椅子みたいな形になりそう
そういえば普通の椅子に尻尾あり女子が尻尾を前に出して座ったら、
お股のIラインに尻尾がフィットしてしまう
尻尾ってエッチいな
もふもふ
>>136 がパソコンにプッチンプリンをUSB接続してるかとオモタ
モエのプッチンプリンが見当たらないと思ったら、
>>136が持って行ったのか。
タスクが代わりにボコられてたぞ。
なんかエロいぞww
艶めかしい
なんだか昨日から椅子のデザインが止まらなくなって、色々考えていました。
あまりそっちだけに行ってもアレなので、後は画の中に反映できればと思いま
す。
って、規制解除されたみたい(笑)
背もたれがあると利里あたりが「起立!」って言われた時に
尻尾引っ掛けてガタン!とかやりそうw
ぶっちゃけ丸椅子で充分だと思う
>>147 想像で成り立ってる世界なのに妄想すんの止めてどーすんのさ
物も、色も何も無い世界。
雪のように真っ白な彼女だけが一人、ぽつんと立っている。
「貴方の想いで、貴方が私達の事を想い描く力で、
私達の世界は成り立っている……」
彼女が消えていく。
「貴方が名前をくれたから、私は**としてこの世界に生まれることができた。
でも今は……大好きだったその名前も思い出せない」
彼女が消えていく。
「貴方が必要としてくれたから、私は私になることができた。
貴方が想いを馳せる度に、私達の世界に人や物が生まれ、大きく広がっていった」
彼女が消える。
「もう……私達は必要ないの?」
>>149 妄想やめろっていってるんじゃないよ
ケモ世界でそういう椅子を考案する必要がないってことよ
丸イスじゃもたれかかれないじゃん
>>149>>151-152 ベンじい「丸椅子? ああ、確かに昔、生徒達の使う椅子はそれで良いのじゃないかと数ヶ月ほど使った事もありましたな。
しかし、一度丸イスにしたものの、今まで使っていた椅子と違って背もたれがない物ですから、
背伸びをしようとして椅子ごと後へすっ転んで怪我をする粗忽者が何人も出ましてな。
結局は元の背もたれのある椅子に戻さざるえなかったそうです」
校長「チョー高値いんだよ、背もたれ椅子!」
教頭「私は丸椅子でも良いと思いますが」
校長「でも」
教頭「椅子としての機能を果たしていればいいんですよ」
校長「って尻尾無いよう八木ちゃんが言っちゃっていいの?」
教頭「……尻尾の長い種族を考慮して発言したつもりでしたが」
校長「他の先生は、どうなの?」
サン「描き手さんにまかせると良いとおもいます」
帆崎「身も蓋もねぇ」
>>156 丸イス…丸イース…丸チース…マルチーズ! バンザーイ、バンザーイ!
って、駄洒落かいっ!w
159 :
創る名無しに見る名無し:2009/06/18(木) 21:14:24 ID:IIxHVnAa BE:48084277-PLT(15000)
丸椅子とマルチーズ…。
一発ギャグが絵になってしまうなんて…
とにかくすごい情熱を感じた!
俺も獣人が描けるようになりたいな
規制中だウェーイ!
かなりタイミング外したが、
>>74見てちょっと気になって調べてみた。チスイコウモリっておもしろい生態してるんだな。
その勢いでこんな小ネタ書いてみた。小ネタのつもりが思いの外長くなってしまった。
ある日の帰り道。高等部のお馴染みの三人組が並んで歩いていた。
他愛のない会話の中、ふっと思い出したように人間の少年が隣を歩く蝙蝠人の少女に質問する。
「…あ。なあ朱美、チスイコウモリっているじゃん?」
「な、なによ藪から棒に。あたしオオコウモリよ?」
蜥蜴人の少年もはっと思い出したような顔を見せて、卓の頭越しに質問に加わる。
「わかってるってー。そうじゃなくてチスイコウモリっているよなー?」
「いるわね。あたしの親戚にもいるわよ」
「…ってええっ!?」
「いるのかよ!?」
二人の意外な驚きように朱美も少し驚きながら、二人に説明する。
「今は結婚して名字変わってるんだけどね。
昔から親戚で集まるときはよく遊んでもらったわ。とっても綺麗な人なのよ」
「…へぇー」
卓はどこか困ったような顔をしていた。利里はそんな卓の様子になんて気付かない。
「その人って実際噛みついて血を吸ったりす」
「ばっおまっ!?」
利里の純粋すぎる質問を卓は大声で止める。が、遅すぎた。内容はほとんど朱美に伝わってしまっただろう。
「お前もうちょっと歯に衣着せるとか!!」
「へ?は?歯に服着せてどうすんだー?」
いつもの調子で純粋すぎる利里。彼の欠点であり、そして魅力でもある部分だ。
気の置けない仲間である三人にとっては彼のこんな発言は日常茶飯事。朱美もそう気にすることはなかった。
「お前な……もういい。ごめんな朱美」
「全然気にしてないわよ」
「…で、実際のとこどうなん? 俺も気になってたとこなんだが」
朱美はあははと軽く笑ってみせる。
「やだぁ、しないわよそんなことー。ドラキュラ先生じゃあるまいしー」
「いや伯爵もしないと思うが……あ、でもトマトジュースは好きだったりして」
「あ、実はそれ正解。なんか特製トマトジュースってやついつも飲んでるの」
「…そっかートマトジュースかー」
黙っていた利里が不意に口を開く。
「それ本当はトマトジュースじゃなくt」
「あーあーあーちょっと止まろーなー利里君!!ちょっとあっち行ってみよーな!」
卓が利里の両肩をズンズンと押して朱美から離れた。
朱美は頭にクエスチョンマークを浮かべながらそれを見送った。
三人は確かに、何を言っても大抵問題ないような仲ではあるが、
純粋にまかせて無神経な発言を言いたい放題な環境は利里自身のためによろしくない。卓はそう考えた。
朱美に聞こえないように顔を近づけて小声だ。
「お前な!朱美の親戚のお姉さんだってんだからちょっとは気ぃ使え!」
「でも朱美に聞こうって言いだしたのは卓だったぞー」
「う…それは悪かったよ。俺だってまさか親戚にいるとは思わなかったんだ」
「あぁ、びっくりだよなー」
「もうこの話は切り上げよう。利里も余計なことは言うなよ」
「う…おぉ、わかったぞー」
二人で元の位置に戻ると、朱美は少しニヤニヤしている。
「男と男のお付き合いはおしまい?」
「おまっ!! …うん、まあ…うん」
朱美の言葉は表情と相まって妙な意味合いにとれるが、言葉は間違ってないのだから仕方ない。
「どこまで話してたんだっけ」
話を切り上げようとしていた矢先、朱美から続きの言葉が出て、卓は慌てて止めようとする。
「いやっ!? もう十分だありがとう!」
疑わしげな眼差しで二人を見る朱美。
「お二人さんねぇ…チスイコウモリにおっかない印象もってるでしょ」
「えっいやっそんなことないって!」
そんなことない。最初に聞いたのは純粋に好奇心から。
話を打ち切ろうとしたのは予想外に朱美に近い人物の話になってしまい、その人に悪い気がするからだ。
「実際は全然そんなことないのよ。あたしたち獣人が普通の動物だったずぅっと昔からも
噛みついてチューチュー血を吸うなんてことはなかったの」
「え?そうなのかー?じゃあどうやって?」
「ちょおまっ!?」
構わず続ける朱美と、空気を読まない利里の質問に、卓は内心やれやれとため息をついた。
朱美は得意顔で講義を続ける。
「いい?チスイコウモリっていうのはね。寝ている動物に静かに近づいて、皮膚近くの血管を探して、
剃刀みたいに鋭い歯でちょこっと噛んで傷をつけるの。寝てると気付かないくらい、全然痛くないのよ」
「…ふーん」
卓も本格的に朱美の講義に耳を傾けた。元々聞きたかったことではあるのだ。
「で、傷口から出た血をなめさせてもらうってわけ。ね、恐くないでしょ?」
「はー…ちょっと傷かー……」
利里は少々ポカンとした様子でそれを聞いていた。その光景がいまひとつ想像できないのだ。
なぜか。それは彼が蜥蜴人だからである。彼ら蜥蜴人は生まれつき身体の大部分が硬い鱗で覆われており、
それ以外の部分も人間などよりはるかに丈夫だ。故に、彼らが小さな傷を受けて出血すること等はほとんどない。
転んでもへっちゃらだし、包丁で指先を切るなんてこともない。まあ、さすがに大剣で斬りかかられればただではすまないが。
ともかく、小さく噛まれて血が出るという状況は、蜥蜴人の彼にとっては完全に他人事だった。
「でもそれだとすぐ血が止まっちゃわないか?」
一方で、鱗も体毛もない人間、卓は極自然に浮かんだ質問を投げかける。
「大丈夫♪ なめるときの唾液には血を固まらなくする成分が含まれてて、傷口をなめてる限り血は止まらないの。
それに皮膚感覚を麻痺させる成分もあるから相手は気付かないで眠ったまんま♪」
「……へぇ…」
なぜか上機嫌な朱美と、対照的にトーンが下がる卓。
「朝に残るのは小さい傷だけ。少し血が減ったなんて誰も気付かないでしょ?
誰にも気付かれず迷惑もかけず、ちょこっと血を貰ってはいさよなら。明日もまた来るよー、ってね♪」
「………」
その様子を、卓はありありと想像していた。
静寂の夜。深い眠りについている自分に忍び寄る影。そいつは腕の一部に狙いをつけ、シュッと小さな傷を付ける。
傷口に生まれる真っ赤な血の球。球は少しずつ大きくなり、やがて一筋の跡を残して腕を流れる。
その傷口を舐める。舐め続ける影。いつまでも止まらない血。少しずつ、確実に失われていく、血。
「……………」
恐えええぇぇ!!
むしろ怖ええええぇぇぇぇ!!
彼の素直な感想だった。
何だよ血が止まらなくなるってええぇ!
気付かないってすげータチ悪いだろーがああぁぁ!
「でも毎日来られたら血が足りなくなるんじゃないかー?」
利里の純粋な質問に、朱美は笑って答える。
「だーいじょーぶよー。利里君の手の平に乗るくらい小さかったんだから。貰うのはホントにちょこっとよ」
「そっかー。じゃー恐くないなー」
今は人間サイズじゃねーかあああぁぁ!!
楽しげに笑う二人に、卓は内心激しく突っ込みを入れるのだった。
そんな卓を尻目に、話はコウモリの生態からその人本人について移っていった。
「あたしもちっちゃい頃、会う前は誤解しててちょっと恐かったんだけどね。
本人に会ったら全然気にならなくなったわ。とってもいい人よ」
「へぇーそうかー。結婚してるんだっけ。旦那さんもコウモリなのかー?」
「ううん。旦那さんは人間なの」
「おぉ!そっかそっかー! よかったな卓ー!」
利里は心底嬉しそうな様子で、反対側で何か考え込んでいた卓の背中をバシンと叩く。
「ぶっ!? へ!? なに?なんだ利里?」
一人考え込んでいて話を全く聞いていなかった卓は、突然の衝撃に目を白黒させた。
「だからーそのコウモリお姉さんの旦那さんは人間なんだってさ! よかったな卓!」
「えっちょっ何言ってるのよ利里君!」
朱美があたふたと利里の言葉を否定しようとする。
パタパタと揺れる翼膜が赤みを帯びる。人間が顔を赤くするのと同じ原理だ。
そんな朱美の様子を見て、遅れて卓も利里の言う意味を理解した。途端に顔がかっと赤くなる。
「ばっ、ちょっ何言ってんだ利里!」
「やっやめてよ利里君!」
「はははー二人とも息ぴったりだなー」
稀ではあるが、利里もときには人をからかったりする。
同じように真っ赤になりながら全力で否定するお似合いの二人を、利里は笑いながら満足げに眺めていた。
やがて、朱美が別れる駅が近付く。
卓の懸念はいつの間にやらすっかり忘れ去られていた。
「あっ! そういえば!」
朱美が思い出した様に声を上げる。
「来月なんだけど、ちょうど近くに来る用事があるみたい。折角だから二人に紹介するわよ。きっと仲良くなれるわ」
「おー!そりゃ楽しみだー」
「なんというベストタイミング」
「旦那さんも一緒にね」
「旦那さんはどんな人なんだー?」
「んー?ちょっと貧血気味」
目前ある駅に電車が滑り込むのが見える。
「あっあたし乗る電車だ!じゃ行くわ!ばいばい、二人とも!」
「おっ、じゃまた明日ー」
「じゃーなー」
改札へ走っていく朱美を軽く手を上げて二人は見送った。
「………あれ?」
何かひっかかるものは気のせいだろう。きっと。たぶん。おそらく…。
おわり
おことわり。
避難所に投下されたものと、ここでの改行規制のためレス数が増えています。
投下主さま、よろしいでしょうか。
代理投下おしまい。
チスイコウモリの奥さんは絶対に吸ってそうだw
夜中に小腹が空いたとか言って寝てる旦那からこっそりとw
あぁ、たとえほんのちょっとのグロだとしても投下すべきじゃなかったかもな。某氏に荒らされるかも……
別にグロじゃないだろう。「SSがあってこその絵」なんだし、
何でいちいち他スレの事を出す必要があるんだ…
キチには反応しないのが吉です(ダジャレ)
>>168 流石にグロがあった位じゃ荒らしませんよ。
こういう喧嘩売る書き込みするバカが現れない限りね!
皆が悪者にするのなら私が冒涜されて来たように同じ事をする。
840 :助けて!名無しさん!:2009/06/21(日) 04:49:12 ID:/Xy83rbd
▼・ェ・▼
うざ
なにこれ
キチには反応しないのが吉です(ダジャry
>>172 すこし煽られたぐらいでこうやって現れて荒らすから嫌われるんだって。
創作発表板的には喧嘩売ってるのは馬のほうだし
リザードマンがOKならきっと
恐竜獣人もこのスレ的には大丈夫でしょうか??
利里はどうみても恐竜
ていうか竜
歴史の先生に恐竜系獣(?)人とかいいかも
>>176 じゃあ、私は一方的にこう言われなきゃいけないわけ?
だからこうやって現れてやってんのよ。
ていうか私が好きな人なんて居ないじゃん・・・既に悪意があったわけじゃないのに嫌われまくっているんだから好かれようが無いだから現れたの。
古代生物+豪傑なイメージだからって安直すぎかもしれないけど、
昔気質でてやんでぇ口調、甚兵衛ハラマキ下駄キセルみたいな
酒と女には弱くて、情には厚い。カミさんには頭が上がらない。
ってか。
恐竜は無理だろう。ゲッター線のせいで地上に出られないし
ちょい不謹慎だが
ホットドリンクと称して学校でコソーリ酒を飲む先生
↓
英先生に見つかって怒られる
というイメージ
むしろ爬虫類の方が好きだぞ!俺は!
跳月「消毒用エタノールより濃度の高いウイスキーをのんだりしてるんですよ」
利里はどっちかと言うと蜥蜴人だと考えている俺が通りますよ……
この世の中にはリオレウスに少し似たトカゲが居るとか居ないとか。
と、話は変わって
>>161-164の話からキャラをお借りした話を投下しますよ。
注意点は二つ。
・かなりえっちいです。 夜の大人の関係が出ますので注意です。
・話中に血が出ます。文章内ででも出血が嫌な人は注意です。
では、次レスより投下。
「痛っ!」
手に感じる異質な感覚と共に、有らぬ方へ滑るアートナイフ。途端に指先に走る鋭い痛み。
しまった! と自分の手へ目をやった時には、左の人差し指の先にルビーにも似た真紅色の珠が膨らみつつあった。
慌てて側に置いてあるティッシュを数枚取って指先を包むと、忽ちその部分が朱に染まっていった。
「……あ〜あ、やっちゃったか」
血の赤を見て、彼の脳が指先の傷を認識したのか、ズキズキと人差し指が痛み始める。
全く油断していた。久々の有休は趣味の模型三昧と決めこんだ矢先にこれだ。
模型を作る時は、あれ程アートナイフは慎重に扱えと自分へ言い聞かせていたにも関わらず、
プラのバリを削っている最中にうっかりテレビに気を取られて、アートナイフに掛ける力の加減を間違ってしまった。
後悔後先に立たず。考えている間にも指先を包んでいるティッシュは赤の面積を広げつつある。早く手当てをしないと。
「あら、如何したのあなた?」
救急箱を探そうと自分の部屋を出た所で、彼は誰かに声を掛けられ思わず振り向いた。
其処にいたのは彼の妻であるコウモリ族の女性の姿。エプロンをしている所から見て料理の最中だったのだろう。
妻に対して急に申し訳無いものを感じた彼は、少し苦笑いを浮べながらティッシュで包んでいる指先を彼女へ見せて言う。
「いや、ちょっと模型作っている最中に油断しちゃってね…」
「それは大変! ちょっと傷を見せて」
言って、側に駆け寄った彼女は彼のその手を取って、傷口を包んでいるティッシュを剥ぎ取る。
しかし、血はまだ止まっていないらしく、ティッシュから開放された指先の傷口に再び真紅色の血の珠が形成されて行く。
それを前に、彼女は嫌悪を抱くどころかむしろ恍惚の表情を浮べ、真紅の珠が膨らむ指先へそっと顔を近づけ、
「いただきます……」
「あっ、ちょっ…おい!?」
自分の指先を咥え、舌先で傷口をねっとりと舐め始めた妻の行動に彼は困惑し、思わず彼女から指先を離そうとする。
しかし、彼の手を掴む彼女の翼手の先の鉤爪の付いた指の力は意外に強く、幾ら振り払おうとしてもビクともしない。
それでも暫くは振り払おうと試みたが、結局は抵抗が無駄だと悟り、彼は彼女のされるがままになるしかなかった。
「ん…おいひい…」
彼女の唾に含まれる麻酔成分のお陰か、ずきずきとした痛みこそ無くなったものの、
代わりに、血を舐め取ろうとする彼女の舌の、傷口をじっくりねっとりと執拗に舐めまわす動きがこそばゆく感じてきた。
舌全体を指先に巻き付ける様にうねったかと思えば、切り傷の線に沿う様に舌先が這いまわる、
それは目的こそ違うが、これは愛撫と言っても何ら変わりの無い動きだった。
「おい、もう良いだろう……?」
「ちゅ……まだちょっと……」
そろそろ恥かしい物を感じ、彼がやめる様に言うも、
血の味に夢中になった彼女は全く止める様子も無く舌を更にうねらせ、より多くの血を舐め取ろうとする。
指先に感じる彼女の体温、ぬるぬるぐねぐねと傷口を艶かしく這い回り続ける彼女の舌、しっとりと湿った彼女の口腔。
その感触に、彼の姿勢が自然と中腰になるのは如何しようも無い男のサガと言うべき物か。
「ふぅ、ご馳走様」
「……全く、少し怪我をしたら直ぐこれだな、君は……」
暫く後、満足したのかようやく彼女が指先を開放した所で、何とか佇まいを正した彼は呆れ混じりに言う。
先祖が血を糧としていたチスイコウモリ族である彼女は、血を見ると舐めずには居られない習性?を持つ。
特に、傷口から溢れ出る新鮮な血は彼女にとっては極上のスィーツと同位なのだ。見れば堪らず飛び付いてしまう。
そんな本能に一瞬だけ支配された事に、彼女は少しだけ申し訳なさそうに笑って言う、
「だって、こう言う時じゃ無いと正々堂々と血を舐める事が出来ないじゃない?」
「まあ、そりゃそうなんだろうけど……って、ちょっと待て」
言いかけた所で、彼はふと有る事に気付き、その疑問を彼女へぶつける。
「正々堂々…って事は、こっそりとなら何度か舐めた事はあるのか?」
「――っ!? そ、そんな事無いじゃない? ね、ねえ?」
ああ、完全にクロだな、これは。 彼は彼女が嘘をついていると心の中で確信した。
何故か? それは疑問をぶつけた瞬間、彼女の大きな耳がびくりと震え、紅の双眸がすっと横へ逸らされたのだ。
夫婦の関係を続けてきたからこそ分かる、都合が悪い事を聞かれた時に妻が見せる些細な変化。
「そう言えば最近、身に覚えの無い小さな傷が増えたなと思ったら……」
彼は彼女へジト目を向けながら、自分の顎の下へ手を当てて言う。
しかし、彼女はそれ以上の追求を避けようとしたのか、微妙に赤く染めた翼膜をばたばたと振って
「そ、そう言えばお鍋をかけっぱなしだったわ! いけないイケナイ」
「…………」
スリッパをパタパタと鳴らしながら台所へと逃げて行くその背を見送って、彼は独り考える。
道理で、先週の会社の健康診断で貧血気味と診断された訳だ。
知らない内に妻に血を舐め取られていれば、そうなってしまうのも当然と言う訳か。
自分の身体の不調の原因を突き止めてしまった彼は、何処までも深い溜息を漏らすと、
妻の唾液の所為で血が止まらなくなった傷口をティッシュで包みながら、救急箱を探しに行くのだった。
* * *
夜、日光注ぐ昼を生きる者が等しく眠りに身を任せる時刻。
空に輝いていた太陽が地上へ暫しの別れを告げて、その空を宇宙本来の色へ変える時刻。
「…………」
月と星の輝きが梅雨の雨雲で覆われ、その闇の色をより一層濃くした部屋。
蒸し暑い熱帯夜を凌ぐ為に開け放たれている窓に、すっと唐突に一つの影が現われ出る。
影は二度三度周囲を見やると、慣れた動きで音も無く部屋へ降り立ち、その大きな耳と敏感な鼻で有る物を探し始める。
それは生き物が立てる寝息の音、そして寝息と共に放出される二酸化炭素の僅かな匂い。
「……!」
部屋の中心から少し南の辺りのベッドの上。
其処に目的の物――熟睡している彼がいると感じ取ると、
影は四つん這いになって目的の物の方へ飽くまで慎重に、そして大胆に忍び寄って行く。
「――――――――」
ある程度まで近づいた所で、影は人間には知覚出来ない声を出し、その反響音で彼の身体を探る。
エコーロケーションと呼ばれるそれは、例え闇の中であっても物の形状を正確に読み取る事が出来るのだ。
そして、その計測結果から一番都合の良い場所を探り出した影は、笑みを深めてその方へ顔を寄せる。
「…久しぶりに血を舐めさせたあなたが悪いのよ?」
ポツリと、眠っている筈の彼へ呟く影、その正体は彼の妻だった。
そう、彼女は昼頃に久しぶりに血の味を味わった所為か、チスイコウモリとしての本能が騒ぎ始めてしまった。
しかも、その時は彼の追及を逃れたい余り晩御飯をあまり食べずに済ませたので、お腹の虫も騒いでいるのだ。
だから、彼女は彼が寝静まっているであろう時を見計らい、こっそりと彼の血を舐める事にした。
さっき起こられたばかりだけど、騒ぎ出す本能と空腹だけはどうしようもない。
「良し良し、ぐっすりと寝ているわね……」
未だに熟睡しているであろう彼の様子に彼女は笑みを浮べると
そっと彼の首元に顔を寄せて口を開き、狙いをつけた場所へ自分の牙を向ける。
下手な剃刀より鋭い彼女の牙は、彼に何ら痛みを感じさせる事無く皮膚へ小さな傷を付ける事だろう。
後は、傷口から溢れ出した血を心行くまで味わうだけ。その味を想像するだけで涎が口腔を満たす。
ああもう我慢できない。その無防備な首元、頂きます!
「――きゃっ!?」
――牙を突き立てようとしたその矢先。唐突に灯される部屋の蛍光灯。
闇に慣れていた網膜を突き刺す蛍光灯の光りに、彼女は立ちくらみにも似た感覚を感じつつ戸惑いの声を漏らす。
「…案の定って所か」
かかった声に彼女が驚き振り向いて見れば、其処にはベッドに身を起こした呆れ顔の彼の姿。
彼のその手には蛍光灯のリモコンスイッチが握られていた。
恐らく、彼は彼女が近づくのを待って、リモコンを操作して蛍光灯を灯したのだろう。
「…あ、あなた、起きてたの!?」
「ああ、お前が窓からこっそりと入って来る以前からな」
どうやら、彼はあらかじめ彼女が来ると見越した上で、寝たふりをして待っていた様だ。
彼女は騙されたと心の中でホンの少し憤慨すると同時に、彼に黙って血を舐め取ろうとしたのを申し訳無く思った。
多分、彼の事だ。これから自分が黙って彼の血を舐めようとした事でたっぷりと説教するに違いない。
そう、こう言う事に対して彼が厳しいと言う事は、彼と夫婦生活を続けている彼女が良く分かっていた。
「あの、ゴメンナサイ……」
「ったく、仕方ない奴だな、君は……」
その彼の言葉に、説教が来る、と彼女が思わず正座して身を竦めるも。何時まで経っても説教が来る様子が無い。
それを不思議に思いつつ彼女が顔を上げて見ると、彼が絆創膏を巻いた指先を差し出している所だった。
いよいよ彼の行動が理解出来なくなり困惑している彼女へ、彼は不思議そうな目を向けて言う。
「……如何した? 呆気に取られた顔をして……僕の血を舐めたいんだろう?」
「え? いや、あの……あなた、怒らないの?」
てっきり説教される物だとばかり思っていた彼女は思わず彼に聞き返す。
彼は、フゥ、と溜息を漏らすと、穏やかな笑みを浮べて答える。
「どうせ、ここで僕が怒った所で、君の血に対する本能的な欲求は止められないのだろう?
君が幾ら本能を抑えようとも抑え切れないのは良く分かるよ。なにせチスイコウモリって呼ばれている位だしね?」
「あ、う、うん……」
ここで彼女はふと、自分の学生時代のことを思い返す。
学生の頃、同級生達は皆、自分がチスイコウモリ族と知るや、危険な物を見るような目を向けて避けていた。
そんな彼らに対して、彼女はチスイコウモリ族なだけで忌避する彼らの単純さに呆れ、自ら距離を取っていた。
しかし、彼らが忌避するのも当然だと思う。何せ、自分は今さっき、本能に身を任せて彼の血を舐めようとしたのだ。
これでは他人に避けられてしまっても文句が言えない。自分がチスイコウモリであるのが嫌になる。
そうやって自己嫌悪を陥っている彼女を知ってか知らずか、彼は彼女の両肩に手を置いて優しく言う。
「言っておくけど、僕はね? 君がそう言う習性を持っていると分かっている上で君と婚約したんだよ?
今、君が血を舐めたいと言うなら、僕は喜んでそれに応じるまでさ」
「あ…あなた…」
嬉しかった。彼の言葉が如何しようも無く嬉しかった。
彼は自分の性癖を知った上で、敢えてそれを受け入れてくれているのだ。
それを愛と呼ばずして、何と言うべきだろうか?
この時ほど、彼女は彼と結婚して良かったと深く感じた事は無かっただろう。
「さて、と。話を戻すけど、如何するんだい? 血が欲しいんだろう?」
「う、うん。…けど、あなたの指からは貰わないわ」
「……?」
再び指を差し出した所で彼女に頭を横に振られ、彼は思わず首を傾げる。
そして彼女はクスリと彼へ微笑みかけると、
「今、私が血を舐めたい場所はね……ここ」
「――――っ!?」
視界一杯に彼女の顔が迫ったと同時に、舌先にちくりと感じる小さく鋭い痛み。
舌先を噛まれた、と彼が感じた時には、血の塩味を共に彼女の舌が自分の舌へ絡み付く所であった。
そして暫くの間、舌と舌を絡ませる形で血を舐め取った彼女は顔を離し、彼へ妖艶に微笑む。
「あなた。今夜は血液以外にもいろいろと欲しくなっちゃったから。覚悟して頂戴ね?」
「血液以外って……まさか――――うむぅ!?」
彼が言葉を言いきる間も無く、再び彼女に唇を塞がれ、彼の声はくぐもった声に変わった。
そして、彼はそのままベッドへ押し倒される、気がつけば彼女の翼手が彼のズボンへと伸びようとしていた。
そんな状況の最中、彼の思考の中で冷静な部分はある事を考えていた。
……自分の予想が正しければ彼女の言う血液以外の物と言うのは、多分、『アレ』の事なのだろう。
そうなると、これからより仕事を頑張らなくては行けないだろう。――いや、頑張らなければならないのだろう。
――そう考えた所で、彼の意識はピンク色に染め上げられ、やがて何も考えられなくなった。
※ ※ ※
そして翌日
「久しぶりね、朱美。元気にしてた?」
「うん! 言われるまでも無くアタシは元気よ♪
……で、それで旦那さん、如何したの? なんだかげっそりとしてる様だけど」
「あ〜…ちょっと、頑張りすぎたと言うか何と言うか……」
「……?」
久しぶりに会った親戚の少女の前には
妙に毛並みをつやつやさせた彼女と対照的に、妙にげっそりとした様子の彼の姿があったと言う。
―――――――――――――――――――――終われ―――――――――――――――――――――
以上です。
こうなったのもえっちい絵を描いた
>>167が悪いんだと責任転化してみる。
……いや、如何見ても俺が悪いんですね? ゴメンナサイ。
板的には全然セーフなんだろうけど、個人的には自重してほしいなぁ…
朝チュンにするくらいなら、エロパロに行為も書いて投下して報告して欲しい
エロ方面の描写が増え過ぎるとスレ自体の方向性が揺らぎそうで怖い
アウ…セフセフ!判定際どいなw
ともかくやべぇこれはエロい
生々しい描写はさすがの一言につきるわ
今更ながら、あんさんエロパロ板でも結構書いてたクチだな?
さすがにちょっと……うーん。
そこまで書くなら、やっぱり他板で描写書いて報告してくれた方が
読んでる方も生殺しにされずに済むw
需要ないと思うけど、エロパロ避難所にスレたてる…?ほとんど使われないと
思うけど。
みんなエロイですね
別に朝チュンくらい少年誌にも普通にあると思うが…
毎回パンツや着替えシーンが出てくるとかそういうのだったら
確かにあざといし、もうエロに逝けよって感じにもなるだろうけど
これくらいなら別に…
242 名前:◆YGvZTkqXsE 投稿日:2009/06/22(月) 13:51:38 ID:an4SXjmL0
獣人スレの糞虫
>>196 エロパロ板の人外スレの避難所使ったら?
よく考えると白倉先生ってかなり斬新なデザインじゃね?
パンダなのにスラッとしてるし
朝チュンなら普通に
>>1にある避難所でいいんじゃない
>>187-193 奥さんマジでかわいい、すんげー好みw
献血大好きな俺は毎日だってサービスしちゃうぜ
……獣人のお嫁さん、どこかにいないかなぁ……
…ふぅ
投下しますよ。
ちょい長いので支援できればよろしくお願いいたします。
「何もお休みの日まで会議をしなくたっていいのに」
日曜日の夕方、いつもより重く感じるトートバッグを肩に泊瀬谷スズナは自宅に帰ってきた。
いつもは口にしない愚痴がポロポロこぼれ、できることなら童心に返って柱に爪を立ててやりたい気分である。
しかし、理性あるオトナはもう爪を柱で研ぐことはない。玄関の扉を閉めると、湿った木の音だけがあたりに残った。
朝方降っていた雨も止んで、水無月の街にひとときの安らぎが訪れる。
トン!トン!トン!
玄関のマットにしゃがみこみ、雨の日のために出したブーツを脱ぐと泊瀬谷が奏でる尻尾の音が響く。
「あーあ。疲れたな…」
話し相手の居ない部屋の中では幾ら愚痴をこぼしても変化はない。待っているのは家財道具と、白いイヌのクッションだけ。
諦めがついたように泊瀬谷は、玄関から立ち上がり六畳の居間に歩き出すと、
尻尾が床を叩く音は消えていた。むしろ、尻尾が宙を切る感覚だけが泊瀬谷を笑っていた。
夕飯の準備をしなきゃと冷蔵庫を開くと、ささやかながら幾つかの食品が目に入った。少々の野菜、魚、調味料、そして缶ビール。
つい先日、実家に戻ったとき母親から「ウチで余っているから持っていきなさい」と持たされたもの。
「わたし、滅多に飲まないから」と断ったものの、父親が「折角、母さんが言うんだから持ってきなさい」と
帰りのお土産として、やって来た数本の缶ビール。それ以来泊瀬谷家の冷蔵庫内の一員を担う彼の存在を泊瀬谷はすっかり忘れていた。
「ちょっとぐらい…いいかな?いいよね?」
泊瀬谷の肉球が冷え切った缶ビールを包み込むと、思わず爪を指からぬっと伸ばしてしまう。
普段着に着替えた泊瀬谷は何かおつまみでもと、スナック菓子を溜め込んだ籠に手を伸ばした。
これじゃあ、太ってしまうかな。猪田先生の苦労がなんだかひしひしと分る気がしてきたとき、泊瀬谷の携帯が鳴る。
発電主は実家で暮らす、弟・ハルキであった。
「姉ちゃん?おれ、おれ!」
「お金なら、母さんから無心しなさい」
左手で携帯、右手でお菓子の袋を持って、小さな部屋を歩き回る泊瀬谷は弟から電話が架かってくるということは
何か下らないことわざわざ時間を割いているのだろう、と薄っすらと疑いながら返事を返す。
「べ、別に用はないんだけどさ。ほら、父さんが姉ちゃんに電話しろってうるさくって」
「また?父さんが架ければいいのに」
「しないよ、あの人多分。でさあ、姉ちゃん一人で寂しくしてないかって」
疲れきったこの体には弟の言葉が厳しく聞こえる。
父親からならまだしも、弟からそんなことを言われるとは。白いイヌのクッションにぴょんとしゃがみ込んだ泊瀬谷は
弟を「憎たらしいヤツだ」と顔の見えない電話だということをいいことに、ふさーっと毛を逆立てた。尻尾の音が再び響く。
「寂しさ余って飲んだくれないようにね。だって姉ちゃんさ、酒癖悪いし」
「なによ、ハルキ。わたしは飲んだくれじゃありません!」
「この間実家に帰ったときだって、父さんから『たまにはちょっと付き合いなさい』ってマタタビ酒飲んだときさ、
おれの部屋に入り込んできて『ハルキ?たまにゃ女の子でも連れてこんかぁ!?』ってからみ出したじゃん」
以前、サン先生の持ち込んだマタタビのお陰で泊瀬谷をはじめ、帆崎先生、獅子宮先生一同ネコ族が大トラへ変身したときのこと。
ヨハン先生の髪の毛を引っ張り回す、という二度と思い出したくもない騒ぎと重なって泊瀬谷の脳裏にこの間の帰省の事件が蘇ってきた。
「おれのセーター引っ張るわ、イスを蹴飛ばすわ…あのときは姉ちゃん寝かせつけるので大変だったんだから」
「はいはい!ハルキの記憶力は今度誉めてあげるから!もう、用がないなら切るよ」
「はーい」
お菓子の袋を持ったまま、携帯の通話ボタンを切るとスナック菓子を開けずに、籠に返してしまった。
同じように、缶ビールも冷蔵庫の所定位置に戻ることになってしまったのだ。
「ハルキのバカー」
叩きつけるように閉ざされた冷蔵庫が物悲しい。おなかの音だけがマイペースに響く。
ご飯作るの面倒くさいな、と考えつつ、このすきっ腹をどうにかしたい泊瀬谷はご近所用のつっかけに履き替えて表に出た。
かるーく喫茶店でコーヒーでも…と考えながら人通りのない住宅街を歩くと、一軒の鯛焼き屋を発見した。
近所のことなのに、知らなかった。つい最近出来たばかりであろうこの店はお客もいなく、ひっそりと駅前で主人を待つ忠犬のように
来るべき人を待ち続けていた。泊瀬谷はまるで自分が初めて見つけた宝物のように、この店を独り占めしたくなった。
皮の焼ける香りに誘われ、引き寄せられた泊瀬谷はついついカウンターのお兄さんに一言。
「ふた…いや!ひとつ下さい!」
本当はふたつ食べたかった。ふたつ食べたいのだった。でも…乙女心は食欲に勝る。乙女心と猫の目は変わりやすいと、
昔からよく言うではないか。古人の残した言葉が泊瀬谷の味方をしてくれたことに感謝。
しかし、目の前で焼きあがる鯛焼きを見つめながら「ふたつにしとけばよかった」とすこし後悔する。
猪田先生のシェイプアップ作戦の苦労を考えれば、やはり一つでよかったのかな。
天秤に鯛焼きと体重計がかけられ、ゆらゆらと目盛りが往復している間に鯛焼きが出来上がる。
「へい、お待ち」
白い包み紙からは湯気の立った小麦色の魚が顔を見せていた。
お店の人が「あつあつが美味しいよ」と言うので、猫舌なのだがちょっとこの場でいただきます。
鯛焼きを大胆に真ん中から割ると、ぎゅうぎゅうに詰まったあんこが見るからに甘く輝き泊瀬谷の口に早く入れるようにと
文字通り『甘い誘い』があふれ出ている。どちらから食べようかと迷いつつ、頭の方を口にする。
買ってよかった。じわりと広がるあんこの甘さは、まことに品がよい。着物の似合う女学生のような甘さかと。
もっとも、泊瀬谷の場合は書生姿の白いイヌの学生さんに一目惚れした甘さに、似ているのかもしれない。
一日の疲れを吹き飛ばすあんこの甘みが、泊瀬谷の顔を緩ませていると、ふと、泊瀬谷は気付いた。
「確か、あの子って」
短刀のごとく尖った耳、けっして優しいと言えない目つき。その名はルイカ・セトクレアセア。人呼んで『かるかん』。
この春、泊瀬谷の勤める佳望学園高等部に編入してきた、カルカラの少年である。
その少年は遠くから電柱に隠れ泊瀬谷と鯛焼き屋を見つめている。が、泊瀬谷と目が合ったと思いきや脱兎の如く走り去ってしまった。
「待って!ルイカくん!!」
と、言ったつもりで鯛焼きを口に咥えたまま泊瀬谷は追い駆ける。時刻は日曜六時半、夜は近い。
置いてきぼりの泊瀬谷を残して、ダッシュで逃げたルイカは闇に消えて行った。
―――からっと晴れた翌日。梅雨の季節も空は飽きてきたのだろうか。それとも雲の気まぐれか。ネコの目以上に変わりやすい夏の空。
わさわさとざわつく授業前、職員室では職員一同で鯛焼きを囲んでいた。どうやら、サン先生が自宅で作ってきたらしい。
サン先生曰く「分量さえ間違えなければ、楽勝さ」と。しかし、どう見てもプロ並のクオリティではないか。
そんな言葉はさておき、昨日今日と鯛焼きの日々である泊瀬谷。自分の周りを鯛焼きが囲んでくるくる泳いでいる、と錯覚する。
輪になって泳ぐ鯛焼きたちは、泊瀬谷をまたもや食欲の渦へと引きずり込もうとしていた。
「せんせ、せんせ。おいしいよ」
「ぼくたち鯛焼きおいしいよ」
そんな呑気な歌声が、泊瀬谷のネコミミだけに繰り返されていた。
(ここで一口…でも、甘いものは)
「ほら、泊瀬谷先生もどうぞ」
サン先生の少年のような瞳はサン先生を知る者なら、この後どうなるかは簡単に予想がつく。
折角のご好意だからと、戸惑いながらもどれにしようかと迷い、ぷっくり膨らんだ一つを摘もうとした矢先のこと。
泊瀬谷を英先生が回りで泳ぐ鯛焼きを蹴散らす。泊瀬谷の足元に泊瀬谷だけに見えた鯛焼きたちがぽろぽろ墜落して、床で跳ねていた。
「泊瀬谷さん、もうすぐホームルームですよ。お仕事でしょ」
「ごめんなさい!はい!ただいま」
出席簿を両手で抱え込み、英先生に続いて職員室を後にすると教頭先生が入れ違いで職員室にやってくる。
泊瀬谷と英先生は教頭にお辞儀をすると、それぞれの教室に向かった。
職員室から響き渡る、今まで聞いたことも無い教頭の断末魔を聞きながら。
何でもない午前を過ごした学園のお昼休み、購買部ではちょっとした奇妙な光景が繰り広げられていた。
未だ制服の届かぬルイカがパン売り場にて、購買部の主・タヌキのおばちゃんと言い争いをしているのだ。
「だからねえ、あんた。ここにゃ、鯛焼きはないんだよ。聞き分けのない子だねえ」
「なんでもあるのが唯一の自慢だろ?葉っぱで化かすぐらいして揃えとけ、悪徳購買部」
「こちとら遊びで商いやってるんじゃないよ、クレーマー糞野郎。買わないんだったら帰りやがれ」
騒ぎを聞きつけたのか、メガネのウサギ娘・因幡が間を割り、メタルのフレームを指で突き上げながら、ルイカを諌める。
「おばちゃんが困っているでしょ?放課後好きなだけ鯛焼きを買えばいいじゃない。それに、おばちゃんも客商売なんだから」
「おい。どうせ点数稼ぎでやって来たんだろ、メガネのいい子ちゃんウサギ。穴掘って巣にでも篭っとけ」
「因幡さんも買わないなら、帰った帰った!書き入れ時なんだから、あんた商売の邪魔だよ」
かえって火に油を注ぐ結果となってしまったのは、まわりの者も当然の結果だと思っているだろう。
周りがあきれ返る中ただ、一人ほくそえむ黒い影が一羽。
「これは、美味しいネタが出来そうやおまへんか?ルイカはんから目がはなせられへんわあ」
音も立てずに、ふわりと上方へ消え去った一羽のカラス。鳥類独特の首をかしげる姿は愛くるしいが、
腹の内は彼女の羽根のように漆黒である新聞部・烏丸京子。誰にも気付かれることなく彼女は、校舎の外へ舞って行った。
「金があっても、なんで欲しいものが手に入らないんだよ!ちくしょう!バカ!」
騒然とする購買部をルイカは、人だかりの収まらない購買部を後にした。
空腹のルイカは中庭の池のほとりにたたずんでいた。タスク、ナガレ、アキラと、ちらほら生徒たちも見受けられる。
それぞれ自由なときをすごし、つかの間の休息を楽しむがルイカだけはすこしわけが違う。
誰もが楽しく過ごしているときほど、ルイカは腹の底からの黒い泥が湧き立つのである。
泡を立てて沸騰しきった黒い泥は、のどを過ぎて遂にルイカの脳天にまで届く。
じっと池のみなもに自分の姿を映し、まじまじと見つめる。ゆらゆらと歪む姿はルイカの心情を描いているのか。
「くそっ!」
ポケットから十円玉を取り出すと、みなもに映える自分の姿目掛けて、力の限り投げつけた。
あかがねが跳ねる水音に周りは一瞬息を飲むが、さほどことも広がらずに落ち着きを取り戻す。
十円玉はみなもに描かれる若者を容赦なく歪め、ルイカはまるで自分の腹の内のようだと奥歯をかみ締める。
一度、歪みきった池のルイカは再び何事もなかったように、元の姿を映し出し静かな昼休みが続く。
「金なんかで何にもならねえじゃねえか。ちくしょう」
―――幼い頃、母に連れられ街に買い物に出かけたことがあった。
資産家ゆえ、高貴な家ゆえ、世間さまの目を気にすることは当然のように考えられていた。
「お母さん、アレ食べたい」
母親に手を引かれたルイカは遠くにて、鯛焼きを頬張る見た目同い年ぐらいの子供を指差した。
しかし、暖かい鯛焼きとは相反して、母親は冷たく一言でルイカを突き放す。
「あれは庶民の食べ物よ」
「しょみん?ぼくはしょみんじゃないの?」
「そうよ。セトクレアセア家の者はあんなものは口にしないの。庶民の食べ物は庶民が食べるんだからね。
それに、ルイカにはちゃんと美味しいお菓子を買ってあげるから。マカロンがいいかしら?」
幼きルイカは母の言葉を無条件に納得するしかなかった。無論、疑う余地もない。
鯛焼きの姿は幼いルイカからだんだんと遠ざかる。母の爪がルイカの手に優しく突き刺さる。
ルイカと母親とのすれ違いざま、世間に揉まれ金の喜びを感じ始めた若者が、ぼそっと呟いた。
「鯛焼き、食いたいな…。でも、100円足りねえ」
自慢の鼻はひくひくと鳴るのに、尻尾だけはだらりとしな垂れている若者。
アイツと違って、セトクレアセア家には金はある。
なのに、鯛焼きを口に出来ないのは何故か。ルイカは幼心に既に小さくなった鯛焼き屋を見つめていた。
そう、あの日曜の夕方の時のように…。
「たいやき食べたいよう」
「また今度ね」
母の顔が池のみなもに浮かび出される。しかし、母はもう側にはいない。
「くそっ!鯛焼きなんかいるか」
ルイカはもう、子どもの頃と違って金の使い方も自由なはずである。血の教え故に意固地なのは誰のせいでもない。
庶民の食べ物。近いようで、何気に遠い。池の向こう側では、本を読んでいたヒカルが泊瀬谷と何かを話していた。
その日の夕方も泊瀬谷は、自分が見つけた鯛焼き屋で何匹か買い込んでほくそえんでいた。
一度食べたら辞められぬ、それほどの魅力を持つこの甘さ。きょうは余計に多く買いすぎてしまったことを
買った後に泊瀬谷は後悔している。一人暮らしじゃ食べきれない。だって食べたいんだもん、
って理由は理由になりますか。そうだ、理由は食べた後でつけてしまえ。それじゃあ、こうなったら食べるしかないね。
そうやって泊瀬谷は自分を弁護していた。あしたに残して今度食べるときにチンするかな、と考えていたとき。
見覚えのある尖った耳が、ちらと泊瀬谷の目に入った。
「ルイカくん?」
「……」
電柱の影から覗くルイカが、泊瀬谷をじっと見つめていた。
ぱたぱたとルイカの方へ駆けつける泊瀬谷は、抱えている鯛焼きを一つすすめてみた。
どうせ多く買いすぎたんだから、かわいい生徒に還元しなきゃいけないよね、と顔を赤らめる。
しかし、ルイカは泊瀬谷の気持ちなんか知るよしもない。それどころか、かわいいはずの生徒から毒の塗られた牙を向けられた。
「犬上にやれば?オレなんかよりさあ」
「…え?だって、どうして…いきなり、ヒカ…犬上くんのことを言い出すの?」
「オレを喜ばすより、白いワン公の尻尾を振らせる方がいいんじゃね?」
「そんなことありません!!」
理性より感情を先に出してしまうのは、泊瀬谷の悪い癖だ。
こんなことで声を荒らげるなんて、まるで自分が白いワン公の尻尾を振らせることが楽しみのように見えてしまうじゃないか。
覆水盆に帰らずという言葉を何度も頭の中で繰り返しながら、暖かい鯛焼きの入った袋を握り締める。
ルイカが踵を返す。跳ねるようにその場を立ち去る。遠くで何かを言っているようだが、聞こえない。いや、聞きたくもない。
泊瀬谷はルイカをけっして追い駆けようとはしなかった。遠くを見つめる泊瀬谷の目の前が、いきなり真っ暗になる。
比喩ではない。漆黒の羽根がふわりと舞い降りる。まるで命の灯の終わりを告げる死神のよう。
その名は、烏丸京子。
「いやあ、泊瀬谷せんせ。おもろい記事が書けそうですわあ」
「烏丸さん!」
「ほら、このデジカメにきちんと写ってるさかい、今度の学園新聞を楽しみにしてはってなあ。
見出しは『悩む泊瀬谷先生、かるかんと白い尻尾の狭間で…』とか、いかがですか?特ダネやね。あざーっす」
「烏丸さん!!もしかして…?」
「泊瀬谷せんせ、その特ダネ隠さへんでも、ええんやない?バレバレですわあ」
意味深な言葉を残し、やれやれと頭を押さえて会釈する烏丸。夕方の弱い光に反射したデジカメのレンズが、怪しげに泊瀬谷の目に映った。
泊瀬谷が烏丸に何か話しかけようとした瞬間、烏丸の羽根が広がると同時に、泊瀬谷の髪を揺らす。
気がつくと、烏丸は赤い夕日に向かって風を切っていた。心もとない証拠に泊瀬谷の尻尾は地面を叩いていた。
わたしも烏丸京子のように羽根があれば、嫌なことなんか吹き飛ばすことができるんだろう。
どうしてネコに羽根を与えてくれなかったのだろう。それは、ネコは嫌なことをすぐに忘れられるからだ。
でも、そんな昔話は嘘っぱち。ネコにだってずっと悩みごとはあるんだぞ。神さまのバカー!って、言ってもバチを与えないで下さいね。
だって、ネコに与えられたものといえば…手に隠された小さな爪だけですから。許してくださいね。
素直すぎる自分の尻尾が恨めしい。泊瀬谷は、尻尾を揺らしながら冷めかけた鯛焼きを抱え、アパートに向かう。
誰も居ない、六畳の部屋。テーブルには数冊の読みかけの文庫本。天井からは蛍光灯の紐が垂れ下がる。
白いイヌのクッションにどっかと飛び込むと、愛用のトートバッグから携帯が転げ落ちる。よくよく見ると、着信履歴が残っているではないか。
「ハルキ?また…。ったく、あいつったら」
履歴の時間からして、丁度ルイカに激昂していた頃に架かってきたらしい。全く気付かなかった泊瀬谷は、兎に角弟に電話を返す。
「何よ!ハルキ。用事は何?」
「何よとは、何だよ。姉ちゃんさ、今度は母さんが荷物を送ったから電話しろって言うんだよ」
「…それだけ?それだけで架けてきたの?電話代返しなさいよ」
「返すもんか!ケチ」
口げんかと鯛焼きほど中身がないと空しいものはない。泊瀬谷は知らず知らずのうちに蛍光灯の紐を軽くネコパンチを食らわせていた。
ゆらゆら揺れる紐は、まるで泊瀬谷とルイカのよう。お近づきになろうと手を伸ばしてもぶつかって遠くに逃げてしまう。
やがて、戻ってきたかと思っても自の手に絡み付く。絡み付いてしまうと、解くのに骨を折る。
絡まった紐を片手で外そうと四苦八苦しているうちに、急に弱気になり弟に相談を持ちかける。
「あのさ…ハルキ、ちょっといいかな。女の子としての質問」
「はあ。あんた、センセイでしょ」
「わたし、男の子のことが分からなくなってきたの…」
弟の呆れた返事を無視して泊瀬谷は続ける。
「男の子って、あんまり女の子の方から仲良くなろうってするの…嫌なのかな」
「基本的には嬉しいけど、しつこい子は嫌い」
「……」
もしかして、ヒカルも同じことを考えているのだろうか。
たった、あのとき自転車の後ろに乗せてもらっただけで、自分は勘違いをしてしまったのだろうか。
それなら、ヒカルに悪いことをしてしまったんじゃないのか。自分の思い込みだけで、白い尻尾を捕まえようだなんて、
鯛焼きを欲しくもない生徒に鯛焼きを勧めるようじゃないのか。そんな勘違いなネコは鯛焼きに食われてしまえ。。
「姉ちゃん、聞いてる?」
「…切るよ」
「姉ちゃ…」
弟が何か言おうとしているのにも関わらず、電話を切ってしまう泊瀬谷は口をつぐむ。
外の窓は、烏丸京子の羽根のように真っ黒に塗りつぶされている。さっきまで絡み付いていた蛍光灯の紐を引くと、やけに明るく部屋が見える。
今夜はどうしても一人になりたい。買ったばかりの鯛焼きを机の上にほっぽりだして、よそ行きの服のまま畳の上で丸くなる。
見上げると、天井に向かって伸びる木の柱。傷一本も入っていない柱は、いつもならどうってこともないのに、
このときだけは傷が入っていないことが、妙に気に食わない。泊瀬谷は大人になって初めて柱で爪を研いだ。
今まで無傷でいた柱に、泊瀬谷の爪あとが残る。どうして、お前はどんなことがあっても傷付けずにいられるのか。
そんなことを言っても仕方がないのは、百も承知。でも、子ネコの頃のように柱に傷をつけてしまったことは、今なら許されると思った。
柱がぼやけて瞳に映る。尻尾はいつの間にか白いイヌのクッションを叩きつけていた。
―――翌日、いつもより重く感じる自転車を漕ぎながら泊瀬谷は登校する。仕事だけはしなければ、という教師の使命感と、
まだまだ若い一人のネコという狭間に挟まれながら。兎に角午前中は『仕事だけ』に集中することにした。
昼休み、午前を無事に過ごした泊瀬谷は学園内の掲示板に人だかりが出来ているのを発見した。学園新聞が発行されたのだ。
新聞は無料配布されるのはもちろんのこと、同じものが掲示板に張り出されるのだ。
そして、それに人だかりが出来ることは、佳望学園の者なら誰で知っていること。
(もしや、烏丸さんが昨日言ってたことを?)
夢中で生徒たちの波を掻き分けて、張り出されたばかりの新聞を見る。
「…あれ?」
トップ項目は『大空部、天秤町学園との練習試合に圧勝』。その他、『英先生、カラオケで「空と君のあいだに」を熱唱』、『サン先生、台車でコケる』と、
何でもない記事のオンパレードである。そして、最後に一つ『美味しい鯛焼き屋さん、オープン』の記事。文責は、烏丸京子。
「美味しそうだね」「帰り道に寄っていこうよ。『クーポンを切り取ってお店に持っていくと100円引き!』だって!」と、
鯛焼きに恋するモエとハルカの声を聞きながら、泊瀬谷はその場を後にした。
「…載ってなかった」
『白い尻尾』の『し』の字も載っていない。『泊瀬谷』の『は』の字も見うけられない。
でも、次の発行で載せられるんじゃないかと、思いつつ職員室に向かう前に新聞部部室に泊瀬谷は入った。
部室では、一人でPCに向かい早くも次号の準備の為に、慌しくキーボードを叩く烏丸京子の姿があった。
「おや、泊瀬谷せんせが遊びに来るなんて、お珍しいわあ。お茶でもどーぞ」
執筆中の記事を見られぬようにモニタに布を被せ、くるりと泊瀬谷の方に抜きを変える烏丸。泊瀬谷はすぐ帰るからと、お茶を断って話を切り出す。
「烏丸さん、あの…新聞のことで」
「せんせ、うちはなあ、せんようにしとることがあるんや。裏の取れへん情報で記事を書くことと、捏造や。
それにうちの言っとった特ダネは……、泊瀬谷せんせならもうお分かりやろ」
「……そうね。ごめんなさい」
「そこまでして、せんせにいけずしてもビタ一文も儲からんしな。さっきな、ひとっ飛びして買うてきたんやけど。ま、せんせもお一つ」
ほかほかの鯛焼きを烏丸に勧められて一口。この間食べたときよりも、何故か甘く感じる。
そろそろネタ探しにいかんとなと、烏丸はPCをシャットダウンさせながら取材道具を抱えて部室を後にする準備を始めた。
「あ、せんせ。一つ余らすのもなんやから、鯛焼きも一つどうぞ」
紙袋のまま、烏丸京子は泊瀬谷に人肌に冷めた鯛焼きを差し出した。
泊瀬谷はその後、中庭の池の側で食べようと外に出ると、いつものようにヒカルが本を読んでいるのを見つけた。
池の向こう側には、ルイカが相変わらず人と群れることなくたたずんでいた。
「ヒカルくん!」
顔を上げたヒカルは鯛焼きの入った紙袋を見て、くんくんと鼻を動かす。
「……」
「鯛焼き、食べる?」
否定も肯定もしないヒカルは再び本の続きを読もうとしている。それでも、気を引かせようと
泊瀬谷が紙袋から一匹の鯛焼きを差し出そうとしたときのこと、弟・ハルキの言葉を思い出した。
「基本的には嬉しいけど、しつこい子は嫌い」
ぱくっ!!
「へへ。ヒカルくん、食べちゃった。ごめんね」
口から尻尾をはみ出しながら、泊瀬谷はニシシと照れ隠しをしていた。
揺れるヒカルの尻尾が中庭の池のみなもを叩く。泊瀬谷はその光景を見ながら嬉しそうに耳を回す。
いたずらっ子のように駆け出す泊瀬谷。しかし、側を歩いていたルイカと出会い頭にぶつかりお互い転んでしまった。
「!!!」
「大丈夫?ごめんなさい!」
「気をつけろよ!トロネコ」
一切れの紙がふわりと舞う。風に載せられ、ゆらゆらと中庭の池に吸い込まれてゆく。その紙切れが池の中央に流される。
よくよく見ると、本日発行されたばかりの学園新聞に載っていた『100円引き』の鯛焼きクーポン券だ。
残念そうに見つめるルイカは、クーポン券が印刷された部分が雑に切り取られた学園新聞をぎゅっと握っていた。
おしまい。
あ、無事投下できました。
6スレ目になって初めての投下です。夏に向けていろいろ書きたいッス。
投下おしまい。
はせやんがいちいちかわいくて和む。いつまでも新米教師だな。
しかし妄想部分見てると本格的に不思議ちゃんになってきてないかはせやんw
かるかんは相変わらず難しいやつだ。問題児と新米教師って王道パターンだけに、今後も期待。
烏丸さんがちゃんと登場してて嬉しかった。いろいろ暗躍はしてるんだろうけど出番少ないからなー。
説教で済む話とか成立した関係とかはネタにするけど、本格的に問題になったり悪影響を与えるような記事は書かない
…って信念があるんじゃないかな。個人的な脳内設定。そうあってほしいというかなんというか。
いやしかし登場人物多いね。それもみんな有効に動いてるのはさすが。
久々に佳望学園に来た気分になったよ。
いろいろかわゆいですな。かるかんもはせやんも
すさまじく泊瀬谷せんせと同居してぇ
テラらぶりーwww
ヨハンがだんだん品川庄司の庄司みたいに見えてきたw
白倉先生メンヘラっぽいしw
つーか、 バ ナ ナ wwwww
スリムだけどルチャ同好会出身で
模様が変で、メスマニアで、白衣で、
さらにメスで毛を剃ってる設定なんて……
はづきち「僕の影が薄くなるばかりじゃないですか」
投下するとキャラがメンヘラっぽいとか言われるのかこのスレ
冗談を(ry
これからはエロいのは自重する事にした俺が通りますよ……
>>218 バナナくすねたくらいで……りんごが恐すぎるw
……と、その漫画からリレー?した話を投下します。気になる方はスルーを。
なんというスチームパンク
ウサギは毛が細かいから夏は大変だろうな
昔飼ってたウサギは夏場はタイルの上で長くなってた
その日は梅雨の晴れ間広がる、とても静かな、そして平和な一日だった。
しかし、それは昼前の家庭科の調理実習において、唐突に崩れ去る事になる。
それは塚本、来栖、そして猛の三人が面白みの無い調理実習をサボろうと、
先生を含む生徒達が調理に夢中になっている隙にこっそりと家庭科室を抜け出そうとした事から始まった。
何時もならば、常日頃から素行が余り宜しくない彼らが抜け出した所で、
『あれ?誰か居なくね?』『またあいつらでしょ? 放っときなさい』のやり取り程度で見過ごされる筈であった。
だが、その時は猛が何を思ったか、調理に使うバナナを一本くすねてしまっていたのだ。
もし、これが別のクラスの事であれば、バナナが一本無くなった所で別に如何って事も無い事で済まされていたのだが。
生憎、彼らの居るクラスには、自他共に認める料理の鉄人、星野りんごの姿があった。
誰かが背筋に走る寒気に気付いた時、全ては遅すぎた。
ヒュ、と空気を裂く音を立てて、猛らが隠れていた机の脚に深深と刺さる包丁。
背中へ氷水をぶっ掛けたような寒気を感じた彼らが振り向いた先には、精神異常者の如くぶつぶつと呟くりんごの姿。
彼女のその右手には、牛肉のブロック塊を骨ごと両断できそうな幅広の肉切り包丁、
そして左手には、長さ一尺を超える鍛え抜かれた日本刀を彷彿とさせるマグロ切り包丁、
それは猛が食材であるバナナをくすねたと言う行為に対し、彼女が料理の鉄人モードへと移行している証拠であった。
「やばい! ズラかれっ!!」
塚本の悲鳴に近い叫びを切っ掛けに、猛らは脱兎の如く家庭科室の入り口へと走る。
だが、その目の前を何かが横切り、すこんっ、と壁へ突き刺さった事で彼らは足を止めざるえなかった。
コンクリートの壁に刺さっていた物、それは何処にでもある竹串だった。
「ま…マジかよ…コレ、コンクリだぞ…?」
余りにも有り得ない光景を前に、思わず呻きに近い声を漏らす猛。
無論、塚本も来栖も只、絶句するしか他が無い。
「トカゲの肉は鶏肉に似たクセの無い食感で、
高タンパク、高カロリーでありながら脂肪分が少なく、余計な油を取りたくないダイエット中の女性などにおすすめ……
料理法としては、鶏肉と同じ様に串焼き、唐揚げ、炒め料理などの他に、鍋料理やマリネなども美味しく頂ける……」
はと三人が振りかえると、其処にはぶつぶつとトカゲ肉の特徴(多分、猛の事)を呟きながら迫るりんご。
どす黒い気を身に纏い、両手に持った包丁をゆらゆらとぶらつかせながらゆっくりと近づく彼女のその姿は、
某大作RPGに出てきたカンテラと包丁を手にした恐るべき半魚人を彷彿とさせた。
「ま、待てっ! 俺は関係無いぞ!? バナナくすねたのはこいつだけだからな!」
「そ、そうだ! 俺もこいつと違って”今回は”食材を無駄にしたりとかしてないぞ!」
「あっ、てめぇっ! 二人して俺を売るつもりか!?」
追い詰められた塚本と来栖は、ここぞとばかりに猛を前面に押し出して盾にしようとする。
無論、後で猛の恨みを買うのは塚本、来栖にも分かりきっている事ではあるが、
今は猛よりも、目の前に迫るウサギの少女の方が万倍恐ろしかった。
「うん、そうね…?」
そんな塚本と来栖の説得?が通じたのか、はたと足を止めて考えるりんご。
身の安全を確信し、心の内でほっと胸を撫で下ろす塚本と来栖。
―――しかし、世の中はバナナの様に甘くは無かった。
「ここはトカゲと馬肉、鹿肉のフルコースと行きましょう…」
「「「い…いぃぃぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?!?」」」
りんごから死刑判決にも等しい事を笑顔で言われ、三人は恐怖の余り思わず抱き合って悲鳴を上げる。
―――そして、家庭科室を舞台にした恐怖の騒乱劇は始まった。
どがらがしゃーん! ばりーん!
「きゃー! りんごちゃんが――――!!」
「刃物しまえ! 刃物―――!!」
「ぎゃぁぁぁぁぁっ!? 調理されるぅぅぅぅぅっ!」
「待ちなさい…食材が逃げちゃダメでしょ? 素直に料理されないと…!」
空気を切り裂いて飛来する包丁。横倒しになるテーブル。床へぶちまけられる皿と食材。割れる窓ガラス
猛獣の如く目をぎらつかせ、両手の獲物を振り上げ跳躍するりんご。悲鳴を上げて教室を逃げまわる猛ら三人。
悲鳴を上げるハルカ。何故かりんごを応援するモエ。止め様にも巻き添えが恐くて動けない委員長。
パニックに陥る空子。それを宥めようとする惣一。こっそりと教室の隅に退避するルイカ。
ボウルに入ったシロップを頭から引っ被る卓。それを見て笑う朱美。テーブルの下で恐怖で尻尾を丸めるヒカル。
吹き飛ぶ丸椅子。その直撃を食らって気を失う堅吾。慌てて堅吾を介抱しようとする保険委員。それを前に呆れる優。
必死にりんごを止めようとする翔子。それを心配気に見守る悠里。さり気に巻き添えを食って吹き飛ぶ鎌田。
……教室は最早、カオスと化していた。
もう調理実習どころではない状況の中。
他の生徒達は自身に巻き添えが及ばぬ様に物陰に身を潜め、一刻も早い事態の収拾を待つしかない。
しかし生憎、収拾の頼みの綱である家庭科の教師は早々に騒乱に巻きこまれ、目を回して気を失っていたりする。
そしてりんごを止められそうな友人の翔子もまた、教室を縦横無尽に跳躍するりんごを追いかけるので精一杯。
それを前に、この場の誰もがこの騒乱がまだ続きそうだと絶望した。
「…………」
だがしかし、そんな状況を別世界の事の様に、全く気にする事も無く一人黙々と料理をし続ける少女の姿があった。
後ろ髪のレースのリボンと共に兎族特有の長い耳を揺らし、静かに食材を調理する彼女の名は兎宮 かなめ。
竜崎 利里へ密かに思いを寄せる、余り目立たない物静かな兎族の少女である。
「利里さん、喜んでくれると良いな」
着々と出来あがりつつある料理を前に、自分の料理の味で想い人が喜ぶ姿に想いを馳せるかなめ。
その直ぐ横のテーブルの天板にスコンッ、と飛んで来た果物ナイフが突き刺さるが、彼女は全く気にも止めない。
いや、それどころか直ぐ後を吹っ飛んできた椅子が通り過ぎようとも、耳元をフォークが掠めようとも一切気にしない。
そして周囲の生徒ですらも、危険な状況の中で平然と料理を続ける彼女に気付きもしなかった。
――そう、彼女は本当に、そして文字通り目立たなかった。
それも単に存在感が無い、影が薄い、と言う程度の話ではなく。
直ぐ側に彼女が居ても、彼女から声を掛けられるその時まで誰もその存在に気付かない位に目立たないのだ。
無論、佳望学園において彼女の名を知る者は、教師を含めて五、六人ほどしか存在しない。
恐らく、学園の教師に彼女の顔写真を見せて「この子は誰?」と聞いても、教師の大半が首を傾げる事だろう。
しかし、朝の出席の時だけはしっかりと存在を誇示している辺り、彼女は几帳面と言うべきだろうか?
まあ、それはさて置き。つまりは彼女――兎宮 かなめはそれだけ存在感をステルスしている少女と言えた。
「うわぁぁぁぁぁっ!! 俺は美味くねぇぞぉぉっ!?」
「そ、そうだっ! 前も言ったけど俺達は不摂生な生活をしているから美味しくないって!」
「あ、ああ、塚本たちの言う通りだ! 俺も身体がガチガチに筋張ってるから不味いだけだって!」
黙々と調理する彼女の直ぐ後ろを、猛らが悲鳴と怒号と共に通り過ぎる。
其処でかなめは何かに気付いたのか、長い耳をぴくりと動かし、両手に調理中の食材と器具を持ってさっと飛び退く。
「猛君は大きいからいろいろと調理のし甲斐があるわね…塚本君と来栖君はその添え物で行こうかしら…」
「「「うひぃぃぃぃぃぃっ! 全然聞いてねぇぇぇぇぇっ!!」」」
――その直後、先ほどまで食材があったテーブルに跳躍してきたりんごが降り立ち、再び猛らへ向けて跳躍する。
それを確認したかなめは鼻をヒクリとだけ動かすと、両手の食材をテーブルへ戻し、何事もなかったかの様に調理を続ける。
そんな見事な回避行動があったにも関わらず、それに誰一人として気付いていないのは流石と言うべきか?
彼女はこんな調子で、周囲の状況を気にする事無く、直撃する物だけを回避して黙々と料理を続けていくかに思われた。
「……!」
――しかし、かなめはある物を目にし、
果物ナイフ(先程テーブルに刺さった物)でバナナを切っていた手を止める事となる。
「な、何で無関係な俺まで追いかけられてるんだぁぁぁぁっ!?」
「んなの知るかよっ、竜崎! お前も俺と同じトカゲ族だからだろっ!」
「そうだ、こうなったら利里! ここは何かの縁と言う事で俺達と一蓮托生だ!」
「そんな一蓮托生ヤだぞぉぉぉぉぉっ!!」
それは何時の間にか、猛らと共に追い掛け回されている利里の姿であった。
どうやら、騒ぎが起こる前、彼は急にもよおしてきて先程までトイレへ行った後、、
何も知らずに家庭科室に戻ると同時に、騒乱に巻きこまれたと見て良いだろう。
「何時の間にか食材が増えてる…? まあ良いわ、気にしない…」
「き、気にしてくれぇぇぇぇぇっ!?」
しかも、どうやらりんごは無関係な利里も食材と判断したらしく、逃げる彼の背へ容赦なく包丁を振う。
その際、包丁がシャツを掠めたのか、ハラリとシャツが裂けて利里の背中の赤褐色の鱗が露わとなる。
「あ…利里さんの背中、逞しいな…――じゃなくて、助けないと」
一瞬だけ利里の背中に見蕩れた後、直ぐに気を取り直したかなめは、利里を助けるべく行動に入る。
「ターゲットは動きが早い…よって、チャンスは一瞬のみ」
ぶつぶつと呟きながら胸元から取り出したのは、一本の木から削り出した直径数cm長さ15p程の筒。
それを手に、彼女はパンツが見えるのも構う事無くテーブルの上へと跳び乗ると、
立て膝を付いた姿勢を取り、小さなケースから取り出した何かを木筒の中へ装填する。
「りんごさんの行動パターン計測開始。
…数歩走って右前方へ1メートル跳躍、サイドターン、攻撃動作、左斜め前方へ3メートル跳躍、レフトターン、攻撃動作…
――計測完了、行動パターン把握。直ちに射撃体勢へ移行」
かなめは一見、アットランダムな動きを見せるりんごの動きを、猛らの動きから先読みして把握して見せた後、
計測結果を元にりんごの動きを確実に目で追いながら、両手に保持した木筒を口に咥え、木筒の先をりんごへと向ける。
「…………」
周囲の雑音や景色を意識から切り離し、必要な情報のみを脳へと取り入れる。
そして、灰色の静かな世界の中、跳躍するターゲットのある一点のみを意識に捕らえつづける。
彼女の双眸は何時しか、大人しい草食獣の物から、狙った獲物を逃さぬ冷酷な狩猟者の物へと移り変わって行く。
しかし、その様子に気付く物は誰一人として存在しない。そう、狙われているりんご自身ですらも。
「…………」
逃げる四人へ向けてりんごが跳躍、降り立った先で四人へ振り向き、包丁を振う。
シャツを切り裂かれ驚愕の声を上げる塚本。角の先端を斬り飛ばされ悲鳴を上げる来栖。それでも逃げる四人。
彼らが逃げる方向へ再度跳躍するりんご、四人の直ぐ側へ降り立ち、その方へ振り向き、包丁を振り上げ――今!
ぷっ さすっ
耳の良い種族ならばそう聞えていたであろう、ごく小さな音が家庭科室に響く。
それと同時にりんごの身体がビクンと震え、ぐらぐらと身体を揺らした後、唐突に体勢を崩す。
「うわっ、ちょ! りんご!?……って、寝てる?」
それに気付いた翔子が倒れかけたりんごの身体を支えた時には、りんごはすぴょすぴょと寝息を立てている所だった。
何事かと思いつつ翔子がりんごの身体を探ってみると、彼女の首筋に何かが刺さっているのに気付いた。
「……これは……」
それをりんごから引き抜いて確認してみると、それは羽飾りのついた吹き矢だった。
多分、りんごを眠らせたのは、この吹き矢に塗られた即効性の眠り薬による物なのだろうか?
「よ、良く分からんが…俺達は助かった、様だな…?」
「ま、マジで馬刺しにされるかと思った…もう調理実習でサボったりしねぇ!」
「全くだ…あんな恐ろしい想いは、もう二度とゴメンだ! これからは調理実習だけは真面目にやるぞ!」
「おーい、さっきから鎌田が痙攣起こしてるけど、放っておいていいのか?」
「鎌田…ライダーだったら保健室で暖めておけ。そのうち目が覚める」
「くっそ、頭がべとべとする…誰かタオル――って、朱美、さり気に雑巾渡すな」
「先生、目を覚ましてください……ってダメだこりゃ、完全に気を失ってるわね」
「ぬぉぉぉぉっ! 堅吾君滅茶苦茶重いっス! でも、保険委員の名にかけて救護するッス!」
「皆さん! まだ授業は終わってないから勝手に教室から出ないで!」
騒乱の大本であったりんごが眠りに落ちた事で、
事態の収束を見て取ったか、それぞれ思い思いに動き始める生徒達。
「たしか、あの方向から吹き矢が飛んできてたけど……あれ?」
その最中、翔子は眠りこけたりんごを悠里に任せた後。
吹き矢を放った人物を探し始めたのだが、幾ら探してもそれらしい人物は全く持って見つからなかった。
「なんだか知らないけど、本当に助かったぞ……」
翔子が見つからぬ狙撃手探しに明け暮れているその頃、
訳の分からない内に騒乱に巻き込まれ、そして訳の分からない内に助かった利里がほっと胸を撫で下ろす。
彼はあわや尻尾を切断されてしまう寸前であった事だけに、その安堵の度合いは相応な物であろう。
それにしても、極限状況から介抱された所為かお腹が空いてたまらない。
「あ〜。昼休みまで後20分かぁ……」
ぐうぐうと騒ぐお腹の虫を宥める利里が見た掛け時計は、まだ授業が終わっていない事を無言で知らせていた。
昼休みまでまだ時間がかかる事を知ってか、腹の虫が腹減ったとばかりにギュルギュルと余計に騒ぎたてる。
こうなる事なら調理実習があるからと朝御飯を抜いて行かなければ良かったと、利里は後悔の溜息を漏らす。
「あの……」
「んお? 誰だ―?」
と、空腹を抱える背を叩く誰かの手に利里は気付いた。
振り向いてみてみれば、其処に居たのはフルーツポンチを盛った皿を手にしたかなめの姿。
彼女は何処か恥かしそうに鼻をヒクヒクとさせながら、両手に持ったフルーツポンチの皿を利里へと差しだして言う。
「…良かったら、これ、食べてください」
「おおっ、良いのかー!?」
「…は、はい!」
フルーツポンチを渡された利里は渡りに船とばかりに、喜び勇んで掻き込む様に食べ始める。
大皿一杯に盛られたフルーツポンチではあったが、空腹の利里の前では数分を持たずに綺麗に食べ尽くされた。
そして、かなめは利里がフルーツポンチを食べ終えるのを待って、何処か不安混じりに問いかける。
「あの…お味は、如何ですか……?」
「うん、すっごく美味しいぞ―!」
さっきまで空腹だった利里にとって、このフルーツポンチはどんな高級料理よりも格段に美味しく感じられた。
もう余りの美味しさに、思わず皿まで舐めてしまいそうだ、というか、既にべろべろと舐めてしまっている。
無論、舐めおわった利里は直ぐ様、空腹を解消してくれた恩人へ礼を言おうとその方へ振り向いたが…
「……あれ? 居ない?」
しかし、其処にはもう彼女の姿はなく、落ち着きを取り戻しつつある家庭科室の風景だけが広がっていた。
そう、この時には既に、かなめは恥かしさの余り、答えを聞く事も無くその場から逃げ出してしまった後だったのだ。
そして、ふとある事に気付いた利里は、独り、その疑問を口にする。
「……あの子、誰だったっけ?」
……かなめの思いが届く日は、まだ遠い。
―――――――――――――――――――――――終われ―――――――――――――――――――――――
以上です。
やっと利里に想いを寄せるこの名前が決まりました。でも、目立ちません。
>>216 ばたばたと振ってる尻尾から不貞腐れっぷりが良く分かる。
昔、親戚が飼ってたネコもそうだった様なw
>>223 そろそろプール開きの季節ですよ、はづきち先生!
>>223 はづきちせんせ、ギャランドゥがセクスィーっすw
お、来栖と同じ名前の女の子。しかしリアルステルス…だと…!
234 :
1:2009/06/26(金) 02:23:31 ID:EDgpQ1MJ
「ひやぁー助かった助かった」
「保健室送りがけっこう出たな……」
「あれ? ライダーは?」
「ライダーも保健室」
「まじか」
鹿と馬は、いつもと同じ静かな教室で昼食をとる。
開け放たれた窓から吹き込む風に踊るカーテン。
読書をする者。宿題に着手するもの。昼寝をする者。携帯をいじる者。
こういう何気ない時間が幸せなのかもしれないと鹿は思った。
調理実習の戦慄を乗り越えたいまだから言える。 平和だ。
「噂によると俺とおなじ名前の奴がいるらしいぜ、どっかのクラスに」
「くるすちゃん?」
「かなめだよ、来栖は苗字だから」
「おまえ、かなめって言うのか」
「ん、意外と知られてない」
「ライダーの名前知ってっか? 2ちゃんねるの管理人と同じなんだぜ」
「違うだろ、それはひろゆき。ライダーはゆきひろ」
得意げに間違える馬に呆れつつ、鹿は先端が少し欠けた角をさする。
毎年思う。自分はいつもどおりの食事しかしていないのに、春に抜け落ちたはずの角がこうやってちゃんと生えてくる。
飯がどうやって胃で消化されて、体内でどんな化学変化が起こって角を生成するのか、まさに神秘だ。
その神秘のたまものが欠けてしまって、ちょっと悲しい。
「かなめ」
「……」
「おい」
「なに?」
「名前で呼んでも返事しねぇじゃん」
「すまん、気づかなかった」
夏が暑すぎてボーっとしていることが最近多い。
涼しそうな塚本(シャツが破けてはだけている)や、この気温ですら寒がっている鎌田がうらやましいときがある。
ただ、先ほどの調理実習のような惨事で肝を冷やすのは嫌だ。
恐怖で本当に嫌な汗をかき背筋が凍った。
実は、この夏の暑さのほうが幻覚で、あのとき感じた温度が本物かもしれない。
だとしたら、鎌田が寒がりなのは、いつもあの「本物の寒さ」を味わっているからで……
235 :
2:2009/06/26(金) 02:25:02 ID:EDgpQ1MJ
「大丈夫か、おい、来栖?」
「ん? 呼んだ?」
「目が死んでたぞ。 具合悪いのか? 吐くのか?」
「なんでもないよ」
「まさか、恋!」
「いや、それはない」
「わかった!」
塚本がいやらしい馬面になった。何を考えている。
嫌な予感がする。
調理実習も悲惨だったし、宿題もやってないし。
弁当の卵焼きもすこし納豆みたいな臭いがしたし、きっと今日は厄日なんだ。
厄日のときは、むやみにあらがわず、運命に身を任せよう、そうしよう。
「来栖、その『かなめ』って子が気になってんだろ」
「え? 気になってないよ別に。顔もしらない。性別もわからない」
「おうおう、わからねぇから気になってんだろう〜?」
「いや……」
語弊があるが、気になっているのは図星である。
「かなめ」という名前は珍しい。
自分と同じ名前をつけられた奴がどんな奴なのか、どんな種族なのか。
「よし、その『かなめ』って子を探してやる!」
「ちょっやめてくれ、仮に見つかったとして、どうすんだよ、失礼だろ」
「はずかしがんなよ、行動しようぜ」
まずい。この馬はなにをするつもりなのやら。
でも、ほんの少しだけ「かなめ」という奴について調べてみたい気もする。
本来なら、引っ込み思案の自分は、思い立っても悩んでいるうちに機会を失うか飽きるかして、結局やらずじまいになる。
実を言えば、塚本がいなければ自分は何も行動できない性格かもしれない。
失敗が怖いのか、それとも能が無いのか。考えすぎなのか。
なんの話してるの?」
鎌田が戻ってきた。
助かった。三人いてこそカマロだ。
自分には、この暴れ馬を抑制する技量が無い。
こういう面で常識人の鎌田に頼りっぱなしかも知れない。
「ライダー! 無事だったか!」
「鎌田、シロップくさいぞ」
「御堂がベトベトだったんだよ、それで保健室とか掃除手伝わされた」
「大変だな」
236 :
3:2009/06/26(金) 02:26:24 ID:EDgpQ1MJ
鎌田も幸が薄いな。でも、直面するどんな問題にもひたむきに立ち向かう姿は健気だ。
見習わなければ……
「角大丈夫?」
「こんなの平気だよ」
うそです、へこんでいるんです、内心。
「ライダーよぉ、こいつ、好きな子ができてモジモジしてんだよ」
「なんだってー? 花子先生じゃなくて? だれ?」
曲解してる、話が飛躍してる。
何でも面白いように話を持っていく馬、止められない自分鹿、あわせて馬鹿。
カマキリよ、どうか助けてくれ。
「来栖! だれに恋したの!」
「それはね『かなめ』っていう子なんだよ」
「誰、だっけ? なんかどっかで聞いたことあるような名前な気がする」
「来栖の下の名前とおんなじなんだ、これが!」
「あ、そっか」
声がでけえ。教室中にこの誤解が知れ渡ったら厄介なことこの上ない。
恥ずかしい、やめて。
「来栖、赤くなってる! 本当なの?」
「ひゃっははは、ウブな鹿のためにも協力しようぜライダー」
「よし、正義のために! 協力するよ来栖!」
「まずはだな、校内掲示板に『かなめへ』って感じで、ぐへっへへへへwww」
「名前が同じってロマンチックだね。結婚したら同姓同名になっちゃうよ!」
「おっ、ガキが生まれたら大変だな、ママもパパもおんなじ名前って傑作ぅひゃっひゃっひゃwww」
「でも字が違うかも。女の子だったらひらがなかも」
「何を楽しそうにしているのかは知らないが」
大柄なリザードマンが鹿と馬の背中に手をかけた。
ゴツゴツと鍛え上げられた腕の重みがのしかかる。
握力がハンパなく痛い。猛は怒っている。
「友達を裏切って、自分たちだけ助かろうとしたよな」
「……っはい」
「俺は怒ってないよ、昔のことをネチネチ言うほどつまらない男じゃないけれども」
「……う」
「友達として言いたい事があるから、いまからトイレ行こうぜ」
胃が凍るようだ。
寒い。全身が助けを求めている。
夏なのに体温がどんどん下がっていく。
小便に行きたい。でも、このままトイレにつれていかれたくない……
猛はきっと、友達として大切なことを教えてくれるのであろう……、拳で。
237 :
↑:2009/06/26(金) 02:35:54 ID:EDgpQ1MJ
・『かなめ-->かなめ→利里』の擬似三角関係が出来上がりました。
・兎宮かなめステルス解除フラグを立ててみました、後の展開は他の書き手様にお任せします。
・鹿、萌え。
誰に狙われてんだよライダーw
>>238 カマキリのメスはオスを以下略
ライダーにも春が…ただし沈黙の春だが
はづきちせんせカワユス
チラシの裏ってドコー?
テラエコロジーww
>>241 >チラシの裏
避難所の方っす、こっちの板ではスレ無くなってしまったので(´・ω・`)
そういや寒中限定水泳部あたりのメンバーは夏はどうしてんだろうな
鎌田と逆で寒さには滅法強いけどみんな暑さには弱そうだ
厚着で対策ってわけにもいかんし、水島先生とか比取君とか大丈夫なんだろうか
寒中水泳部アラスカ留学→帰りにトナカイの先生と合流→???
こんなデンパを受信
水着の考察はしたっけ?
普通の服と変わらんだろ。
虫人とリザードマン達は水入ると死ぬの?
>>248 リザードマンは死ぬ事は無いだろう、むしろ尻尾くねらせて上手く泳ぐかも?
けど、虫人の場合は呼吸する部位次第だろうな。
腹部の呼吸器でしているのなら、水に入ったら完全に浸かっちゃうし水泳は殆ど無理かと。
海イグアナとか居るしね
虫人はファンタジー補正でw
体毛のある子達は水に入ったらあられもない姿ににににに
むぅう……いのりん微妙に痩せたか?ダイエットの効果あったんだな
ほんとだwおなかがw
>>252 努力の甲斐あったな、いのりん……
けど、それで油物取ったらリバウンドしちゃうから気をつけるんだぞ!
あ、それと、水着についてだけど、かなりきわどい物でなければ大丈夫と思う。
健康的でゴー。
きわどくない水着…スク水だな!
水着はおkだと思う。
海水浴はけっして猥褻物のあつまりではない。
不安なときは避難所だ。
性描写さえなけりゃポロリとかでもOKじゃね?w
そういうのはとりあえず自分で描く作業に戻るんだ
グロはかくなよ
逆に水着のグロって何? と聞きたい
老婆の水着姿
マーシャのビキニならOK
英先生と白先生の水着姿は規制対象?w
ん?なんか消毒液くせぇな
>白先生の水着姿は規制対象?
おい夜道に気をつけろよ!
>>267-268 それを言うなら一番先に水着姿を披露した利枝ママンも規制対象……
……あれ、こんな時間に宅配便かな? ちょっと行って来る
泊瀬谷先生一人勝ち
はせやんに
「ヒカルきゅんが海にもプールにも来なくて水着を見て貰えないの巻」
っていう呪いを掛けておいた
ヒカル君は真夏はクーラーガンガンかけて読書派だろう
そういや学校でクーラーかかってそうな所って図書館くらいしか思いつかないな。
あとは職員室とか?最近の学校は教室にもクーラーあるのかな…ははは…
まぁ夏休み開放されてるであろう図書室に篭ってるんだろうなw
夏休みが終盤に入ると宿題やってない組が図書館にたむろし出して居心地悪そうにしてる姿が容易に想像できるな
宿題やってない組…塚本、来栖、鎌田。そして…。
委員長「あんたたち、日頃から宿題やってないからそうなるのよ」
塚本「なんで、因幡はここに居るんだ?」
委員長(…「こみけ」に出かけてて、宿題が残っちゃたんだよ!)
ミルクプールになってしまうw
>>276 来栖は割と勉強できるキャラだったような。
リオ、まさかコミケには更紗と行ったのでは…!?
>>277 おぉお英先生が素足だ。いいなぁ実にいいなぁ。
こういうの羽織ってるほうがしっくりくる。むしろグッとくる。
しかし
>>278の発言こそ問題だと思うんだぜw
水泳は種族的どうしても難しいって人結構いそう。そこらへん融通利かせてくれるんだろうね。
あるいは種族を言い訳にする人とか…
ルル「やっほー!せんせもおいでよー!きもちーよ!」
帆崎「いや俺はいいよここで荷物見てるから」
ルル「ほらせんせ!せっかくだからプール入ろーよ!」ガシッ
帆崎「いいって!俺はいいって!!」
ルル「ほらほら」ズルズル
帆崎「待ってほら俺猫だから!水とか苦手なんだよ猫だから!!」
ルル「泳いでる猫さん結構いるじゃん」グイグイ
帆崎「ちょっ待っやめっ」
ルル「どーん」
帆崎「フギャアアアァァ!!」
みたいなビジョンが。
センセー 鎌田君が沈んでまーす
>>282 優「あ〜あ、言わんこっちゃない…虫人が何の対策も無しに水に入るのは自殺行為だってのに、何で分からないのかなぁ?
――って、そう言えば、さっきから堅吾の姿がないけど…あのバカは何処に行ったの?」
卓「堅吾? アイツだったらついさっき、『情け無いな鎌田! 俺様が泳ぎと言うものを見せてやる』とか言って、プールの中に…」
優「保険委員さーん、保健室送りもう一名追加でお願いしまーす」
ハリガネムシ出てきたりは流石にないよな
そういうネタは別板でどうぞ…
コレッタ「プール嫌にゃ…」
白先生「またかよ」
▼・ェ・▼・ェ・▼・ェ・▼・ェ・▼・ェ・▼・ェ・▼・ェ・▼・ェ・▼・ェ・▼・ェ・▼
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288 :
創る名無しに見る名無し:2009/06/30(火) 21:48:54 ID:zVgPY9Z4
またウマタンか
>>286 白先生、たしか1スレ目辺りでコレッタのあまりの可愛さに
押し倒していた記憶があるのだがw
そこまで行ってねぇよw
あ、ほんとだ。
抱きついてカーテンから覗きしてるのを勝手に、押し倒しへ脳内変換
していたようだ。サーセンw
今更ながら「自衛隊がファンタジー世K...」の分家で
日本が獣人を助ける話を掘ってたら
くろべえという作者の転移男を呼んでみたがハマったわ
女性は完全獣化できないという設定がツボにはいった
あの反応のせいで最初白先生はそっちの気があるのかと思ったよw
白先生は「苺ましまろ」の伸恵おねぇちゃんをイメージして書いたので、
伸恵同様可愛い娘には目がないのです
幼女萌え的な属性を持ち合わせて居るという脳内設定だったり
>幼女萌え的な
そのSSが投下された後の、ザッキーが保健室のベッドから叫びながら
登場した絵思い出してふいた
水着いらなそうw
普段は下半身裸でプールのときは上半身裸なのか! やるなっ!
そして風呂ではタオルで隠してます
ひとりちゃんセクシー
男同士の入浴シーンほど色気の無い場面はそう無いな
そういえば7月といえば七夕もあるし終業式もあるし、終盤になれば
夏祭りの準備もある。ネタの宝庫!
ちなみにもう終わってしまったが、6月は教育実習の季節でもある
理系で高校教師だからほかの場合は知らんけど
最近の小中高校はほとんどが二学期制って本当だろうか
>>295 そんな設定のお陰で、こんなものを書いてしまった。
今じゃ白先生は生田目ボイスで脳内再生ですわ。
〜Attention〜
というわけで、ちょい百合かも。
『白せんせー、プールいやニャ…』
『なんだ。まだそんなこと言ってるのか』
『水着なんてやだニャ』
プールでひと泳ぎしたいぐらい暑い、梅雨の晴れ間。学校への坂道の途中の朝の一こま。
初等部ネコ三人娘のクロは、くすくすと笑いながら肩を小さくするコレッタの耳をつねった。
一方、コレッタは恥ずかしそうにうつむいて、ランドセルの肩紐をぎゅっと握る。
「だって泳ぐのは苦手だニャ…。でも、そんなこと言わないニャよ」
小さなコレッタの祈りは届かず、クロとミケは校門に向かって歩きながら、一緒に歩く二葉葉狐をはやし立てる。
『コレッタの水着は…全然、せくしーじゃないねんニャ』
「ねん?ニャ」
『コレッタよりもヨーコちゃんの方がせくしーやねんニャ』
「こらー!葉狐ちゃん!!私的事情を入れるなー!」
クロは葉狐に軽く手で突っ込み、一方葉狐は葉狐でコレッタの物真似を続ける。
ちょっとデフォルメされたコレッタと白先生のパペットをそれぞれ両手にはめて、葉狐は得意の物真似を披露している。
右手にはめたコレッタのパペットをぱくぱくと動かして、『男子どもの目を釘付けにしたいニャ』と気弱な声を演じ、
左手にはめた白先生のパペットをあんぐりと口を開けさせて、『わたしも、そんな風に考えていたときもあったぞ』と気だるい声を真似て見せた。
そのたびに、通学路はちょっとした笑に包まれる。葉狐もクロ、ミケが笑えば笑うほど調子が上がる。
「それにしても、よくできてるね」
「狗音姉ちゃんが作ってくれたんだって。ほら、犬太の姉ちゃん」
「かわいいニャ」
夏服に包まれた四人は、夏の風を感じながら校門を潜る。
風に負けじと、爽やかなあいさつが佳望の丘にこだまする。
「おはようございますー」
「…おはようございますニャ」
「おはようございます」
校門では風紀委員の因幡リオが登校してくる生徒にそれぞれにあいさつ。
側では生活指導の帆崎が懐中時計片手に、彼女らを見守る。
「今週は『あいさつ週間』だから、朝来たら元気よくあいさつしましょうね」
優しいお姉さんの顔をしたリオは、彼女らの目線に腰を下ろし長い耳を風に揺らした。
隙を突いて、葉狐は白先生のパペットでリオの耳にぱくっと噛み付く。驚いたリオは思わず声を上げるが、
葉狐は計算通りとほくそえみ、リオの目の前で白先生のパペットを操る。
『因幡はどうも色気が足りんな。水着姿はわたしの方が勝ったかな』
「うっ…」
「わー!葉狐ちゃん、似てる!!白先生言いそう!!」
どっと沸く子どもたちに、帆崎も苦笑いをしているではないか。
白先生の声真似とはいえ、リオの自慢も出来ない胸のうちにずしりと重いものを感じていた。
初等部の子どもたちにバカにされたリオは、それでも笑顔を続けてあいさつ運動に勤しんだ。
(ちくしょう…夏のこみけでオトナ買いしてやるー)
―――お昼休みも彼女らはパペット遊びに興じていた。
学園内のロビーのソファにクロ、ミケ、コレッタはちょこんと座り、葉狐の物真似ショーが開演する。
「わ、わたしはそんなこと言わないニャ!!」
「コレッタそっくりだ!」
どちらが言ったのか分からないほど完璧にコピーされた葉狐の芸に、コレッタは恥ずかし気になっている。
『白せんせー、びきに姿が似合う、せくしーなばでぃになるにはどうしたらいいかニャ』
『うーんそうだな。まずは牛乳を飲んで、にぼしをいっぱい食べるんだ』
『牛乳は苦手ニャ』
「コレッタ、牛乳ぐらい飲めよ」
「飲んでるもんニャ!」
人目を気にしながら通りかかるリオを見つけた葉狐は、わざと間を溜めて白先生のパペットを揺らす。
『少なくとも、因幡よりかビキニは似合うから安心しろ』
『そうだニャ。海に並んだワニさんたちも振り向かないニャね』
どっと笑い転げるクロとミケ、耳の大きいリオはその物真似を聞き逃さない。
冷や汗をかいて、思わず手にしていた資料を落としそうになる。
コレッタのスカートは揺れるクロの尻尾で叩かれ、ふわりとなびく。それに反応したコレッタはクロの頭を軽く小突くが、
ミケから仕返しばかりだと尻尾を引っ張られた。葉狐もそれをみてコレッタの声で笑う。
しかし、その光景を遠くからにやにやと笑う者がいた。その子は離れたソファでくつろいでいる。
クロと同じ毛並みを輝かせ、大人の色香の花びらを振りまくネコがぽつんと一人座っている。
彼女は販売機のマンゴージュースを飲みながら、つまみ食いするように時々ちらと初等部娘たちを覗き見る。
「こんなにかわいい子ネコたちを堪能できるなんて、狗音さんのお陰ですわ。狗音さんに頼み込んでよかったですね。
ハニートーストよりも甘く、チョコレートよりもビターなおやつをごちそうさま。コレッタちゃん、もー、尻尾を揺らさないでぇ」
その名は佐村井御琴、学園高等部。大好物を間近で頂いた彼女は「計画通り」と頷き、照れ隠しに手首を舐めた。
とき、同じくして白先生が保健委員を携えて、ふらっと通りかかる。相変わらず保健委員はやかましいが、白先生慣れたもの。
『わたし、好きな人がいるんだけど…どうしたらいいかわかんニャいニャ』
『…っふ、お前も大人になったな。この間まで給食を食べこぼしていたくせに』
「それはミケのことだニャ!」
顔を赤らめるコレッタは恥ずかしくなり、御琴と同じように手首を舐めていた。
「白先生!コレッタたちッスよ」
「見れば分かるよ」
保健委員が振り向くと、白先生がいない。先に保健委員が追い越してしまったのだろうか。
葉狐の物真似は続く。
『随分と好きな人のことなんて考えたことが無いな。今年も一人で夏を過ご…』
葉狐の背後に白先生の影が迫り、クロとミケは「葉狐!後ろ!後ろ!」とジェスチャーをする。
コレッタはと言うと、余りにも手首を舐めるのに集中している為、白先生に気付かない。
「わたしは…、今年の夏も独り占めだな」
『へー。白せんせー、ぽじてぃぷだニャ』
振り返ると白がいた。葉狐はこめかみに大粒の汗を垂らす。
まさか白先生、自分がパペットになるとは思っていなかっただろう。
「白せんせー、いきなりやって来るなんてあかんわ!」
「それにしても…わたしはこんなにへんちょこりんな顔ではない!」
両手にパペットをはめた葉狐は、静かにその『へんちょこりん』な二人の口を動かした。
すっと、葉狐の両手が窓からの風に晒され、たわわな尻尾をピンと立てる。
パペットは白先生の手に収まっていた。
葉狐の手の温もりがパペットを介して肉球で感じる。
きっと白先生、羽根があったら天高く飛び上がっているだろう。
イヌ族だったら尻尾が振りきれるだろう。
物静かなネコ族は感情を内に秘めるしかなかった。
どうして、この子たちはわたしを困らせるんだろう。それは嬉しくもあり、迷惑でもあり、そして…白先生のささやかな願望でもあった。
同期の子たちは立派な大人を演じている。ちょっとでも追い抜かれたくないから、もっと立派な大人を演じてみせる。
でも、大人を演じるのは結構疲れる。このパペットみたいに楽しく遊ぶことが出来れば…。
ふと、白先生の脳裏に魔がさした。
(しばらく、コレッタの方をはめていたいな…)
不埒な感情はやがて神が与えたような贈り物として実現する。
「そろそろウチにそれを返してくれへんか?」
「あ、ああ。わかった…あれ…?」
いけない。余りにも高ぶった感情のせいでいつの間にか白先生は指の爪をあらわし、パペットの生地に食い込んでいた。
引っこ抜こうとすればするほど生地が絡み付き、焦れば焦るほど爪が食い込む。
いつの間にか駆けつけた保健委員も白先生の不穏な動きを感じ取り、白先生の顔を覗き込む。
いくら手を振ってもパペットは絡み付いたまま。無情にもお昼休みの終わりは刻々と近づく。
「コレッタ、ミケ、葉狐。次は水泳の時間だから早めに教室に帰らないと…」
「水泳…やだニャ。きょうはビート板で泳ぐ練習だニャ…」
「白先生、どないしたんや?早く返してくれへんと因幡さんにいいつけたるねん」
「ちょっと待ってな…いかん…」
「白先生!保健室に緊急搬送するッス!」
「バカ!!せんでいい!!葉狐、後で返すからな…」
初等部の子どもたちはぱらぱらと教室に戻っていき、よせと言うにもかかわらず保健委員はどたばたと保健室に走っていった。
一人取り残された白先生は両手にパペットをはめたまま、窓から入り込む夏風に白衣を揺らしていた。
白先生、一人身の三十ウン才。今後の予定、これといってなし。
「……」
白先生は葉狐がさっきまでやっていた遊びを真似て、パペットを操り始める。
誰もいないから、誰もいないから…と言い訳しながら。
『白せんせー、プールやだニャ』
『コレッタ、プールは人を何倍も美人に見せると言うんだ。コレッタならその倍かわいい…ぞ』
『そうかニャ?』
『そうだ。コレッタは…』
アドリブとはいえ、自分のセリフにためらいながら内心喜んでいた白先生。
コレッタ(のパペット)は白先生(のパペット)の胸に飛び込み、ぶんぶんと金色の髪を回す。
白先生(のパペット)の手は柔らかい金色の髪を撫で、白先生(のパペット)の頬はコレッタ(のパペット)の頭をさする。
本物だったらいいのにな、と悪しき考えが白先生の白衣を黒くする。ついつい、舌でコレッタ(のパペット)の頭を毛繕いしかける。
『白先生、暖かいニャ…。ずっとこうしてていいかニャ』
『もうすぐ授業だぞ』
『だって、クロたちにいじめられるニャ』
コレッタ(のパペット)はもじもじと手を縮ませ、スカートを押さえつける。
白先生(のパペット)はぽんとコレッタ(のパペット)の背中を軽く叩く。
『白せんせ…、みたいになりたいニャ』
「あの…白先生。何してるんですか」
リオは雑誌を抱えて、金も名誉もあるいい大人を見つめていた。
三十路を過ぎて、お人形遊びにのめり込む女なんてそうそう見られない。リオはそんな気持ちで白先生を見ていた。
リオは昼休みに図書館で幾らかの雑誌を借りて、教室に戻る途中のことだった。
夏真っ盛りの海を背景に、水着姿のモデルが表紙のティーン誌数冊抱えている。
固まる白先生は何も言わなかった。リオも同じく何も言わない。
間にアニメ誌を挟んでいることを悟られないように、こそこそとその場を去ろうとする。
メガネが曇るほど赤くなった白先生は、コレッタのパペットを動かす。
『因幡さんとわたし、どっちがせくしーかニャ?あ!聞くまでも無いニャ』
「せんせ…似てないです。それにコレッタにまで言われたくないです…」
後姿のうさぎは寂しい。
白先生には負けたくない。リオには負けたくない。女にはぜったいに負けられない戦いがあると両者は自分勝手に信じ、
リオと白先生の一人身女の夏が始まった。
「コレッタちゃんの水着姿もスイカのような上品な甘さなんでしょうね…。玄子を誘って今年も海の子どもたちと…」
一方、佐村井御琴はコレッタたちが帰ってしまったので、寂しそうな顔をしていた。
おしまい。
深夜にこっそりと…。投下終了。
GJ!
やばい、ニヤニヤが止まらんw
なんて可愛い娘達&三十路www
同じく深夜にさくっと読ませていただきました。
いつも素敵な話をありがとうございます>わんこ氏
なんか白先生がすごく可愛く見えてしまったのですが目の錯覚でしょうか?
んでもって因幡容赦無いしw
あらこの学園、意外とキツネの人が多いザマス
一年越しで素晴らしい設定が付いたなぁ白先生。いいよいいよー。
つーかコレッタ保健室に避難しに来るけどむしろ危ねえw
ひとことで説明する教師陣
歴史:いのりん→パパ
保険:白→ロリコン
古文:ざっきー→リア充
音楽:ヨハン→ナルシスト
体育:花子せんせ→胸
英語:英→ハイミス
現国:はせやん→おとめ
数学:サンスーシ→台車
地理:マーシャ→登山
現社:獅子宮→すけばん
物理:はづきち→磁石フェチ
生物:黒ちゃん→メスフェチ(刃物のほう)
国語:佐藤→アイアンクロー
公民:大稲荷→ザマス
美術:水島→海パン
司書:織田さん→図書館
常識人が半数を超えなかった!絶望した!
生徒の個性を(必要以上に)尊重する校風なので教師陣も個性的な人が多いんです
猫小学生から始まって、拡張に次ぐ拡張で今のマンモス学園になった。
故に生徒も教師も比較的猫が多く、校長も猫が務める確率が高い。
全体的に猫の性格が色濃く反映されており、獣の本能部分も大きく尊重されるため、校風はかなり緩い。
…って感じの脳内設定があるな
種族の多少で境遇が左右されるのはギスギスしてやだな。
しかしヌコのケモロリは良いものですな。
>>322 境遇とか堅いイメージじゃなくて、単に「猫だから緩いだけ」って
漠然とした感じじゃないの、か
少なくとも種族間で縛るってものではないだろうし
サン先生→悪童
ロリコンが居るならショタコンもい(PAM
お断りします
ハハ
(゚ω゚)
/ \
((⊂ ) ノ\つ))
(_⌒ヽ
丶 ヘ |
εニ三 ノノ J
教頭→オープンカー
校長→噴飯
校長は一見すると天然だけど、曲者ばっかのケモ学教師陣を巧いことまとめてるやり手なんだぜ
学祭の準備忘れてたけどなw
330 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/04(土) 22:25:32 ID:BWzKXPJ0
某氏へのあてつけであえてほのぼのしまくった作品ばかり書いてないかい?
グロかけばいいだろお前らの大好きなグロをよ!
>>328 将棋は上手くなった思い出もあるぞwww
>>328 夜会に訪れた獅子宮先生を眼光で一度たじろがせたくらいだからな。
多分、校長は只者ではない。
校長って何っ獣人? いぬ?
詳しくはwikiに色々な伝説もあがってるぜ!
田中太郎
あまりにも平凡な姓名なので「タナカ」とか「タロー」とか呼ばれる
のが嫌いで、小さいころから『肩書きの有る偉い人になろう』と思っ
ていたので、今は「校長先生」と呼ばれてシヤワセ。
3スレ目より。今書かないと永遠に忘れ去られてそうなんで
109 名前:名無しさん@避難中 投稿日: 2009/06/22(月) 18:17:43 ID:UBLPL/cYO
今199が吉を挑発してるけど
これ自演ぽいな……
誰も相手してくんないから自分で自分を挑発してスレに現れるとか……
110 名前:名無しさん@避難中 投稿日: 2009/07/04(土) 23:59:19 ID:dM3Yv/0.O
>>330は触れない方が良い?
>>336 余りにも平凡そのものな名前過ぎて吹いたw
と言うか逆に珍しいようなw
そろそろ登場人物の設定書き足したり追加したりする頃合かなー
こんなときも他力本願な俺だけど
丈「りんごは定着してるのに、俺は忘れ去られてるんだぜ・・・」
悠里「丈くん、身長はかなり目立つのに、猫背だからじゃない?」
丈「関係ねぇと思うんだけど」
悠里「あ、おとこくさいから需要ないのかも☆」
丈「そりゃないぜ小野さぁーん!」
水島(……)
祥子「おうおう、あたしなんてスレチだぜ?」
悠里「祥子はかなり目立つと思いきや、性格が獅子宮先生と思いっきり被りそうなキャラですものね」
祥子「まじヘコムわー」
透「みんな生きろ!」
342 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/05(日) 05:00:52 ID:wmJQSU24
やばいなんか笑っていられん
水島先生は唯一のアザラシでガチムチ海パンで美術担当で部活顧問という
設定自体はこれ以上ないくらい強い人なんだけどなー
344 :
代理:2009/07/05(日) 10:06:18 ID:90bXfafO
人はだいぶ増えてるからなー。
紹介SSで初登場してモブとして何度か登場しないと定着しないぜ。
主要人物に絡みやすいというのも1つの手か。宮元先輩なんか嫌でも絡んでくる。
バンドメンバーは4人同時に出て、交友関係も内部でほぼ完結してるのがネックだな
このスレのおかげですっかりケモナーになった俺が
ケモ学キャラ一覧を作成してみた。
http://loda.jp/mitemite/?id=197 男女比がほぼ1:1ですんばらしい。
平均身長すらも男女比1:1になりそうだ。
かなめちゃんが何度も過去SSに出てきてるのに利里ときたらっ!
抜けがあったら補完してくだされ
>>345 すげえ!GJ!!
それにしても改めてすごい人数だよなww
そして
>>331は
×上手くなった
○上手くなかった の誤字ということで……
>>344 あとあの4人組は作った本人である俺が全くSS書けてないのも原因のひとつね。
頭の中では設定とかストーリーとか妄想しまくってるのに、全然文に出来ない。
職人さんたちがどうやって書いているのかマジで不思議。
いま見返してみたら描きかけの文章設定冬だよ。
どんだけ放置してるんだよ、俺……。
>>347 まぁ焦らずまったりゆっくり、書きたい時に書けばイインダヨー
もちろんSS楽しみにしています。
とりあえずお茶どうぞ!つ旦旦旦旦旦毒旦旦
毎回毒とか毛とか混ぜやがるんだよなここのお茶汲みはw
稲荷「あら、おいしそう。お茶頂くザマス」
つ毒
保険委員が陰から見てるぞ
名前朗読してたら卒業式思い出して涙腺が緩んできた
>>345 うわすっげ!マジでGJ!
まさかこんなにいたとは…一人一人紹介書こうにも途中で挫けそうだな
難解シリーズと、名前・設定だけ登場者と、名称不明のチョイ役抜いても100人近いとかパねえw
>>345 まとめありがとうございます、こんなに居たのですね。
数えてみたら、意識して描いているのでリスト中87にんでした。 豚娘さんが居ない
ですがけも学にカウントされてないのかしら? あとリストに無いけど描いたじん物
なら猪りんの奥さんとかマーシャ旦那と息子とか。 名前が無いちょい役まで含める
と百にん近くも描いたのかぁ。
教頭は「八木権乃介(やぎけんのすけ)」ってのを前に勝手に考えたけど…
87とかw
すげーなぁ
今の小等部、中等部、高等部、そして教師の集合写真を書くとなると大変な事になりそうだなw
いかんせんキャラが多すぎるw
書く、じゃなくて描く、だったな
八月七日の七夕は、北海道でも地方によるそうな。
自分ところは普通に七月七日でしたな〜。
北陸はひな祭りが四月三日だったりするよ
椅子の背もたれが!
さりげなくデカ尻尾用椅子が導入されてるだとっ!!!
がんぎつねww
>>358 これはよいほのぼの。和ませてもらった。
>>363 姐さんかっけえ!腹のモフモフもいいなあ
狐さんテラかっこよす!
なんかSFっぽいよSF
お、きつねえさん!
茜 「……たすくん」
タスク「え、何?」
茜 「皆既日食、いっしょに見ようね」
タスク「……うん?」
教頭 「おや、短冊がおちてますな」
校長 「なになに『背が高くなりたい、切実に』とな」
教頭 「ひとの短冊を読むとは趣味が悪いですぞ」
校長 「八木ちゃん」
教頭 「……なんですか?」
校長 「皆既日食、いっしょに見よう」
教頭 「無理でしょう」
跳月 「白先生」
白倉 「なんスか」
跳月 「白倉先生を呼んだんじゃないです」
シロ 「お、なんだ? はづきち」
跳月 「天文学に、興味はおありですよね?」
シロ 「いや、まったく」
跳月 「もうご存知かもしれませんが二週間後に」
シロ 「断る」
跳月 「……実は天文部で皆既日食を見ようという話だったんですが、
生徒が一人欠席するんで飛行機の席が一個空いてるんですよ」
シロ 「白倉先生を連れて行けば?」
跳月 「いやです」
白倉 「ちょ、なんスか、いじめスか?」
山野 「今年も行くわよ」
猪田 「海ですか?」
山野 「島ですよ」
猪田 「……ほ?」
>>368 かわいすぎる三十路ww
>>368 うお、かわええ!白せんせいいなあ
そういや初期のサン先生お説教役は白先生だったんだよな
ババアー!俺だー!結婚してくれー!
……ハッ!後ろから殺気が…
あ、七夕専用テンプレ発見したので置いておきますね
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─┼ ここに願い事!
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他キャラとの接点が白先生と康太ぐらいしかないんで可愛いのに誰とも絡ませられない佐々山先輩が
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─┼ 友達が出来ますように
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とか書いてたら死ぬほど萌える
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─┼ 今の悩みが全て無くなります様に
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と、短冊に願いを書いた俺が通りますよ……
今回は七夕の夜におきたちょっと不思議な話を投下します。
今回もかなり長いので暇な方は支援をお願いします。
では、次レスより投下。
「ホント、この時期って嫌になるわよね。羽毛がべた付いて仕方ないのよ。空も飛び難いし」
部室の窓の外でざあざあと降り続く梅雨の雨を眺め、空子が愚痴を漏らす。
放課後、飛行機同好会部室兼作業小屋での一コマ。梅雨の湿った空気の所為か、空子の尾羽の振りも今一つ。
そんな空子の愚痴を聞いて、鈴鹿が両手のダンベル運動を止めて言う。
「空子先輩、今は高温多湿の梅雨の時期なんだ。今は梅雨が過ぎるまで我慢するしか無いですよ?」
「そうは言われてもねぇ? やっぱり鬱陶しい物は鬱陶しいのよ。鈴鹿さんだって雨の日は嫌でしょ?」
「まあ、確かにそうだな……」
逆に空子に問い掛けられた鈴鹿は尻尾を軽く揺らして頷く。
雨足の強くない雨が長々と続くこの時期は人間だろうがケモノだろうが、鬱陶しく感じるのは同じである。
ただ、人間とは違ってケモノの場合、全身を覆う毛皮が空気中の水分で湿って鬱陶しいと言う意味であるが。
「こう言う日は外での作業もやり辛い上に、悪天候では飛行機も飛ばせないからな」
「そうなのよね。飛行機を飛ばしてナンボのこの同好会も、雨の日は休部と同じなんだから。ねえ、ソウイチ?」
空子が作業台で新たな『ブルースカイ』の設計の真っ最中の部長へ話を振ろうと、その方向へ嘴を向ける。
「ふぇ! あ? ああ…」
――が、しかし、其処から返って来たのは素っ頓狂な声一つ。
見れば、声を掛けられた張本人は何が起きたのかも分かってない様なきょとんとした顔をしていた。
ぽかんとした表情を浮べつつも、惣一は自分が今さっき、睡魔に夢の世界へ連れ込まれ掛けた事を理解した。
その間の抜けた部長の様子に、空子は僅かに尾羽を広げつつ
「もう、ソウイチはまた徹夜したの? 授業中でも寝てたじゃない」
「ああ、昨日は朝まで『ブルースカイ]U』の改良点の洗いだしをしててな……うん、まだ眠い」
言う惣一の瞼は、今にもぴしゃりと閉じられそうにも感じられる。
昨晩は家での”部活動”に夢中になる余り、結局一睡もしないままに朝を迎えてしまった惣一。
当然、彼が寝ぼけ眼で迎えた翌日の学校の授業は本当に散々な物だった。
英先生には怒られ、そして泊瀬谷先生には苦笑され、おまけに帆崎先生からチョークを投げ付けられた。
そんな惣一の頭に巣食ったサン先生の姿の睡魔は今も尚、尻尾を振りながら惣一へ甘く囁き続けているのだろう。
無理しちゃ駄目だよ? 本能に身をまかせて見ようよ。ほら、眠ってしまえば楽になれるよ? と。
それを重く見た空子は、やれやれとばかりに溜息を付いて言う。
「仕方ないわね、ちょっとコーヒーでも淹れて来るわ。アンタの眠気覚ましのためのね?」
「ああ、済まない、白頭……」
作業小屋にある台所へ向かって行く空子の尾羽を見送って、惣一は再び製図ペンを手に取る。
そして惣一の頭の中で再度始まる睡魔と意識の壮絶な争い、意識は製図ペンを武器に睡魔へ必死に応戦する。
しかし、一睡もせずに一晩を明かした事によって、惣一の頭に巣食った眼鏡の睡魔は相当に手強い相手らしく。
眠るんじゃない、眠るんじゃないと気を持たせようとする惣一の意識を執拗に眠りへと誘う。
「風間部長、こう言う時は素直に寝た方が……」
「そうしたいのも山々なんだけど……中途半端で終わるのもなんだと思って……」
うつらうつらと頭で舟を漕ぎながらも設計図を書く惣一を前に、鈴鹿は困った様に苦笑する。
惣一の様子は、まるで食事の最中に眠気を催したイヌの子の様、いや、その物といっても良い感じである。
このまま放っておけば惣一は食器、もとい書き掛けの設計図に顔を押し付けて寝てしまいそうである。
そんな惣一を前に、鈴鹿は彼が寝ない様に声を掛けるべきか、それかそのまま放っておくべきかと考えたものの、
結局は結論が出せず、うつらうつらとする惣一の様子を見守るしか出来ないでいた
「もう! こう言う時に限って何で上手く行かないのよっ!!」
突如、台所の方から作業部屋まで響くは空子のソプラノボイス。鈴鹿は声に耳を向け。惣一は一瞬だけ目が覚める。
憤慨する空子の声の様子からすると、どうやら肝心のコーヒーメーカーがハンストを起こした様である。
部室にあるコーヒーメーカーは元の持ち主の白先生に似て気難しいらしく、ちょっとした手順の違いでも直ぐにへそを曲げる。
へそを曲げたコーヒーメーカーに空子は苛立ち更に手順を間違え、そしてコーヒーメーカーも更にへそを曲げる。
なんと言う悪循環、これでは何時まで経ってもコーヒーは出来上がらない事だろう。
「仕方ないな、空子先輩は……風間部長、ちょっと手伝いに行ってきます」
「ああ、頼んだ…」
台所へ向かって行く鈴鹿の白黒の縞縞尻尾を見送って、
惣一は後もう少しでコーヒーが出来上がる事に安堵の溜息を漏らした。
鈴鹿は大きな身体に似合わず意外と繊細で、実は言うと白先生も顔負けな位にコーヒーを淹れるのが上手い。
彼女の手によって美味しいコーヒーが作られれば、あのコーヒーメーカーもさぞ満足顔であろう。
それで安心した所為か、余計に眠気が増したような気がする。これは拙い。
「う…寝るな寝るなって、俺……」
瞼を擦り、頭を掻き毟って必死に眠気を堪える惣一、しかし、睡魔と戦う彼を嘲笑う様に周囲の環境は睡魔へと味方する。
ざあざあと窓を叩く雨音は心地の良い子守唄。梅雨特有の湿った空気も眠りへ誘う絶好のスパイス。
何でこう言う時に限って、風が涼しく優しいのだろうか? なんでこう言う時に限って、周りが静かなのだろうか?
その心地よさに彼は一瞬だけ夢の中へ入り掛けては、眠っちゃいかんと顔を上げる。
かっくんかっくん、奇妙な体操は続く。しかし、そんな抵抗も長くは続かず、惣一の眠気は遂に限界へと達した。
「……ちょっとだけ寝ようかな?」
ポツリと漏らした惣一の独り言を、チャンスと取ったサン先生の姿の睡魔はすかさず睡眠許可申請書を作成。
その申請書を片手にした睡魔は惣一の起きようとする意識をあっさりと振りきって、脳の行動決定所へと提出。
起きようとする意識の願いも虚しく、申請書はあっさりと可決され、惣一の意識はゆっくりと眠りへと傾いて行く。
その意識の横で、サン先生の姿の睡魔が尻尾を振りつつニシシと勝ち誇った笑みを浮かべている事だろう。
「…おやすみ……」
だらりと下がった手からぽろりと零れ落ちる製図ペン。だけどそれを気にする余裕は無い、だって眠いから。
気が付けば惣一の小さな身体は丸まり、腕を枕にして寝息を立て始めた。
――白頭、コーヒー無駄にしてゴメン、などと頭の中で謝りながら。
* * *
「―――ふぇっ!?」
――暫く経って、眠っていた惣一はがくんと自分の身体が揺れる感覚で、驚きと共に一気に目が覚めた。
どうやら、眠っている内に少しずつ座っている体勢がずれて、なんかの拍子にそれが一気にガクンと来たのだろう。
その恥かしい様子を空子に見られてやいないかと、惣一はキョトキョトと周囲を見まわしてみる。
「あれ……? 誰もいない?」
しかし、見まわしたその先には空子の姿はおろか鈴鹿の姿も無く、
シンと静まり返った薄暗く雑然とした部室兼作業小屋の光景だけが広がっていた。
ふと、窓へ目を移し、その外の景色が暗くなっているのに気付いた惣一は思わず時計へと目をやる。
「げっ、もうこんな時間かよ!?」
抗議の声を向けられた古時計は惣一へ怒る事も無く、コチコチと音を立てながら今が深夜である事を知らせていた。
おいおい、まさかとは思うけど置いてかれたのか? ちょっと眠っただけなのにそれは無いだろ?
いや、白頭なら有り得る、折角コーヒーを淹れてあげたのにそれを無駄にされたのだ。アイツなら怒る、それも確実に。
多分アイツの事だ、起こそうとする鈴鹿さんに『好きに寝かせておけば良いのよ』とか言って勝手に帰ったに違いない。
「ったく…幾ら何でもさ、んっ…んぅ…ちょっぴし睡魔に負けた位で、何も言わずに帰る事無いだろうに……」
ぶちぶちと返答を期待しない文句を言いつつ背伸びした後、惣一は部室を見まわす。
テーブルの上には先ほど鈴鹿が運動に使っていたダンベルが一組。片付けずに帰ったのかよ、鈴鹿さん。
独り取り残された薄暗い部室。じじじ、と音を立てる蛍光灯のか弱い明かりが妙に不安を掻き立てる。
「さて、どうした物か…」
ひとときの寝床とした席を立ち、困った様に呟き一つ。
一頻り寝たお陰でサン先生の姿の睡魔も満足したのか、眠気は欠片も残ってはいなかった。
だが、こんな幽霊でも出そうな状況で設計を続ける気にはとてもなれない。それに設計はまた明日でも出来る。
一時、惣一はここで泊まる事も考えたが、その考えは直ぐに却下。この部室は風呂とトイレはあれど布団がないのだ。
こうなる事なら布団の一組でも持ってこれば良かったかと考えても後の祭、今は帰る以外に選択肢はない。
「こりゃ、帰ったほうが良いな」
そう言う訳で、惣一は取りあえず書き掛けの設計図もそのままに、
床に転がっていた製図ペンをポケットへ仕舞い、カバンと傘を手にとっとと自宅へ帰る事にした。
多分、今頃は家で父さんが心配している頃だろうなぁ、などと思いつつ。
「あれ? 雨が止んでるや……」
部室兼作業小屋を出て見上げた空には、じめじめと泣き続けていた雨雲の姿は既に無く、
代わりに、宝石箱の中身を一面に散りばめたような満天の星空がどこまでも広がっていた。
確か、部室のラジオで聴いた天気予報では『雨は朝まで降る模様』と言っていた筈である。
「ったく、天気予報もアテにならねーな」
用無しとなった傘を片手でくるくると回し、惣一はぼやきを漏らす。
しかし、彼が見上げる星々は煌くだけで何も答えない。まあ、星が答えたら答えたでそれはビックリだが。
そんな無口な天の川を見上げ、そう言えば今日は七夕だったかな? などと取止めの無い事を考えつつ、
惣一はカバンと傘を手に、部室を後にして帰路へ就く。
「さて、このまま真っ直ぐ学園を突っ切っていくか、それとも迷うの覚悟で大回りして行くか」
部室のある河川敷沿いから学園裏門へ続く階段を見上げ、惣一は腕組みをして難しい顔。
彼が悩むのは学園の向こう側にある自分の家まで、帰り道は何処を通っていくべきかの事。
何時もならばこのまま学園内を突っ切っていくルートが一番の近道で、尚且つ安全なルートではあるが、
もう定時制ですらも終わっている今のこの時間だと、流石に門が閉まっている可能性も高い。
しかし、かといって学園内を通らずに大回りして行くルートの場合、時間が掛かる上に下手すると迷う可能性もある。
しかも昼間の明るい時間ならばまだしも、周囲は完全に真っ暗闇の深夜、迷ってしまったら心細い事この上ないだろう。
「やっぱ、ここは安全なルートで行くとするか…」
暫くの逡巡の末、惣一が選んだのは学園内を突っ切るルートであった。
深夜の街中を闇雲に進んで迷ってしまうより、やはり通い慣れた所を通っていく方が危険も少ない。
まあ、もし門が閉まっていたとして、こっそりと門を乗り越えていけば良いだけの話。
「いや、ちょっと待て。もしベンじいに見つかったら如何しようか?」
しかし、ここで学園に長年勤めるイヌ族の用務員、真田 勉、通称ベンじいの事が思い浮かび、惣一は少し躊躇する。
惣一にとってベンじいは師匠の様なケモノで、飛行機を作り始めた頃は電気配線等の機械関係のイロハを教えてもらったり、
その他に祖父の道場を飛行機同好会の部室兼作業小屋へ改装する際、電気配線の工事を行ってもらうなど、
色々と返しても返しきれないほどの恩義があり、何かと頭の上がらない人物である。
「ま、その時はその時で、事情を話せばベンじいも許してくれるだろ」
しかし、同時に惣一とベンじいは互いに気心の知れた関係でもある訳で。
惣一はそんな調子で軽く決めてしまうと、とっとと学園の裏門へ続く階段を上り始めたのだった。
「案の定って所ですか…よっ…こらしょっと」
階段を上りきった惣一を待っていたのは、誰も通しませんと鋼鉄製の門を閉ざした学園の裏門。
しかし、それを予想していた惣一は何ら慌てる事無く横の柵へ手を掛けて、ネコ族顔負けの身軽さでひょいと乗り越える。
その姿はさながら『片耳のジョン』のライバル、ネコの怪盗ツキカゲを彷彿とさせる。
しかし、彼はツキガゲの様に尻尾も無ければ盗みもしないし、その上、背も高くは無いのだが。
「夜の学校に入るのって初めてだけど……かなり不気味だなぁ……」
学園内に易々と侵入した惣一は周囲を見まわし、どこか不安を入り混じらせた呟きを漏らす。
何時も見慣れている学園のコンクリート製の校舎、だけど夜の闇に支配された今は黒く、不気味に聳え立っている。
昼間なら何てこと無い暗がりさえも、闇の濃さを増した今は何か恐ろしいモノが潜んで居る様にすら感じられる。
一瞬、あの窓にお化けでも居るんじゃないか?と嫌な物を想像してしまい、惣一はぶるるっと背を震わせる。
だけど、だからと言って何時までもこの場で立ち尽くしている訳にも行かない。
「ま、まあ、別に何かを取りに校舎へ入る訳でもないし、ただ通りすぎるだけの事じゃないか。うん」
惣一はわざと大きく独り言を言って心を奮い立たせ、学園の中を進み始める。
何時もなら、暇を持て余した生徒でわいわいと騒がしい中庭も、
部活に励む部員たちの熱気を感じさせる校庭も、
腹を空かせた生徒達でにぎわう購買部前も、
今はシンと静まり返り、月と星空の光を受けて淡く輝いているだけ。
その光景は何処までも幻想的で、同時に恐ろしく不気味でもある。
「今宵、星のかけらを探しに行こう〜、舟はもう銀河に浮かんでる〜」
気がつけば、惣一は闇に対する恐怖心を紛らわす為、歌を口ずさみ始めていた。
幼稚園の頃に母親が良く口ずさんでいた物。幼心にどこか幻想的な雰囲気を感じさせるこの歌が惣一は好きだった。
「願い忘れたことがあったから〜、もう一度 向かい合わせで恋しよう〜♪」
それが恋愛の歌だと惣一が知ったのは最近の事、空子の事を意識し始めた頃であった。
しかし、それを知った惣一はこの歌がもっと好きになった。まるで自分と空子の事を歌っている様だったから。
以来、惣一はどこか心細くなった時、自分自身を励ます為にこの歌を口ずさむ様になった。
「二人、夏の星座をくぐり抜けて〜、光の波間に揺られてる〜♪」
手を伸ばせば届きそうな星空の下、人気の無い静かな学園を惣一のアルト・ボイスが響き渡る。
独奏会の観客は空に輝く星々と上弦の半月だけ。彼らは歌を演出する様に惣一へ淡い光を注がせる。
何時しか、惣一の心から闇に対する恐れは消えて無くなり、代わりに星空の下で歌う事を楽しむ様になっていた。
「話し足りないことがあったから〜――うわっ!?」
しかし、そんな独奏会を唐突に終わらせたのは、惣一の顔を照らす懐中電灯の不躾な光。
驚きつつその方へ顔を向けてみると、其処に居たのは懐中電灯を手にした作業服姿のイヌのケモノの姿。
彼は酷く驚いた様に尻尾を股の間に丸め、惣一へ声を掛ける。
「だ、誰だい! こんな夜中の学校で歌っている子は?!」
「あ、ゴメン、ベンじい……って、あれ? 違う?」
一瞬、惣一はそのケモノの事をベンじいだと思ったのだが、
光に慣れた目で良く見てみると、そのケモノは毛並みこそ同じだがベンじいに比べて大分若く見えた。
「ベンじい?……確かに僕の祖父はベンじいって呼ばれてるけど……君、一体何者なんだい? ひょっとしてお化け?」
「い、いや、俺はお化けじゃなくてここの生徒です。ちょっと近道しようと思って通ってただけで…。その、ゴメンナサイ」
「な、なんだぁ…誰も居ない筈の学校で聴き慣れない歌が聞えて来るもんだから、ついお化けかと思っちゃったよ…」
惣一がお化けじゃないと知った彼は思わず安堵の息を漏らし、丸めていた尻尾を軽く振って見せる。
……にしても、話からすると目の前の彼はベンじいの孫なのだろうか? 惣一は心の中で首を傾げる。
まあ、多分、彼はベンじいの孫で、この日は何かの都合で来れなくなったベンじいの代わりを彼がしているのだろう。
それに、良く見れば作業服の胸の辺りに『真田』と名前が刺繍されている様だし、その可能性が高いかもな。
そう、惣一は頭の中で彼の事をそう言うものだと勝手に結論付けた。
「いやぁ、今日が僕にとって初めての夜勤なんでね。
ここの学校、結構古くからあるでしょ? だからお化けが出るって噂が絶えなくてね。
それでお化けが出やしないか本当、ビクビクしてたんだよ……」
言って、彼はどこか恥かしそうに尻尾を揺らして笑って見せる。
確かに、この佳望学園は創立から軽く百年は越えている。多分、その手の噂が一つや二つあってもおかしくもないだろう。
しかし、それでもベンじいの孫ともあろう人がお化け程度でビクビクしているのが妙におかしく思えて、
惣一は思わずクスリと笑いを漏らしてしまった。
「あ、君! ちょっと笑わないでくれよ…君の歌が聞えて来た時、僕、本当に気絶しそうなほど恐かったんだから…」
「いや、ワリィワリィ。大の大人がお化けで怯えているのが余りにおかしくてさ」
「もう、だからといって笑う事無いだろ? 一応、僕は自分が臆病な事を気にしているんだから」
謝る惣一へ彼は怒った様に頬をプウッと膨らませた後、急に深い溜息を漏らして言う。
「でも実際、僕は笑われても文句言えないんだよね。よりによって夜勤の用務員が夜の学校で怖がってるなんて……。
初日からこんな調子じゃあ、僕、この仕事をずっと続けて行ける自信が持てないよ……」
もう一度溜息を漏らす彼の尻尾は、彼の自信の無さを表す様に力なくだらりと垂れ下がり、
そしてその耳もまた、彼の今の不安を表すかの様にぺたりと伏せられていた。
今の彼にとって、空に煌く天の川も淡く輝く月も、夜に対する不安を助長する物にしかならないようである。
一頻り溜息をついた後、彼はふと顔を上げて、惣一へ言う。
「ねえ、君は…えっと……」
「惣一です。風間 惣一」
「じゃあ、惣一君。君はこんな夜遅い時間でも平気で歩いていた様だけど……怖くないのかい?」
「ん〜……ここで怖くないって言うと嘘になるな。
実は言うと俺も、さっきまであの影から何かお化けでも出るんじゃないかとちょっぴしビビってましたし」
「なんだ、って事は君も僕と同じじゃないか」
言って照れ笑いする惣一に、彼も尻尾を揺らしながら苦笑する。
「ならさ、惣一君はこう言う時、どうやって不安を紛らわせてるかな?
ちょっと、次の夜勤の時の参考にしたくてさ」
「ん、そうだな……こう言う時はさっき、俺がやってた様に何か歌えば良いんですよ」
「歌う……例えば、どんなのを?」
「まあ、とにかく、自分が好きだと思っている歌なら何だって良いかと」
「なるほど…」
惣一のアドバイスに彼は一頻り頷いた後、軽く息を吸って歌い始める。
「見上げてごらん 夜の星を
小さな星の 小さな光りが
ささやかな幸せを うたってる」
彼が歌い始めたのは今から四十六年前に放映された映画の主題歌。
歌い始められてから長い時間が経ち、歌惣一達が生きる現代においても歌い継がれている名曲でもある。
彼にとってこの歌が余程好きなのだろうか、その歌声には何処までも感情が篭り、
まるで空の星々の一つ一つに聴かせるかの如く遠吠えしている様にも思える。
その熱唱を前に、惣一は思わず手を叩き、彼を励ます。
「上手い上手い、その調子だよ!」
「そうかい? それならいっしょに歌ってくれるかな?」
「良いぜ。その曲なら俺も知ってるしな」
彼の誘いに乗って、惣一もサンハイと彼の声に合わせて歌い始める。
『見上げてごらん 夜の星を
小さな星の 小さな光りが
ささやかな幸せを うたってる』
独奏から二重奏となった歌を聴くのは物言わぬ校舎と歴代校長の銅像。そして空に輝く星々と上弦の半月。
静かな中庭は二人だけのステージ。淡く注ぐ月明かりは二人を照らすスポットライト。
その中を惣一のアルト・ボイスと彼のバリトン・ボイスが交じり合い、えもいわれぬ響きをみせる。
『見上げてごらん 夜の星を
ぼくらのように 名もない星が
ささやかな幸せを 祈ってる』
歌を歌う事がこんなに楽しいと感じた事があったのだろうか?
見上げる星空がこんなに綺麗だと思った事はあったのだろうか?
夜の学校がこんなに幻想的に見えた事があったのだろうか?
『手をつなごう ぼくと
追いかけよう 夢を
二人なら 苦しくなんかないさ』
歌声と共に不安は氷が溶ける様に消え失せ、彼の尻尾は星々に見せる様に左右へ振られる
例えあの暗がりにお化けがいたとして、あの窓の骸骨が動いたとして、今は自分の歌の観客、恐れる事は何も無い。
むしろ、ここまでのびのびと歌える事が楽しく、そして嬉しくもある。夜の学園は何と素晴らしい物か。
そして、星空の下の二重奏は、夜の学園中へと余す事無く響き渡って行った。
「なんだか君の言っている通り、歌っていると不安が紛れてくるような気がするよ」
「だろう? でも、コレをやるのは一人での時にしろよ? 端から見ると馬鹿みたいに見えるから」
「はは、そりゃ言えてる」
そして、歌いおわった惣一と彼は互いに笑い合いながら学園の正門へと到着する。
何時までも歌っていたかったが、惣一も彼も本来の目的を忘れる訳には行かなかった。
「有難う。君のお陰で、僕、この仕事を続けていけそうな気がするよ」
「ああ、コレからも頑張れよ? また一人が不安に感じた時は俺の言った通りにするんだぜ?」
「うん、そうするよ! とにかく有難う。このお礼は何時か必ず!」
「礼なんて良いよ。勝手に夜の学園に入った事を見逃してくれただけで充分だ」
「そうかい? なら、後で何かあった時は遠慮なく僕に言ってくれよ。何でも手伝ってあげるから」
「はは、手伝える事があったならな」
尻尾を振りながら言う彼に惣一は苦笑して見せた後、ふと、思い出したかのように言う、
「あ、それと、今夜の事は皆には内緒にしてくれよ?
勝手に夜の学校に入った事がばれると、後で先生が怖いからな」
「大丈夫、僕は口が堅いから心配しなくても良い。絶対に内緒にするよ?」
言って、彼はマズルの先へ指を当てて右目をウィンクして見せる。
恐らく、このウィンクは彼の約束する時の癖なのだろう、そう思いながら、惣一は確認する様に頷いた。
「それじゃ、また明日!」
「ああ、また明日!」
開けてもらった正門を通った惣一は彼へ手を振って別れを告げると、気分良く歩き始める。
「見上げてごらん、夜の星を〜♪
星空を見上げながら歩く惣一の口から漏れるは、彼と共に謡った歌。
……気がつけば、惣一はこの歌も好きになり始めていた。
※ ※ ※
「―――起きてください。起きてください、部長」
「小さな星の…小さな光りが…むにゃ…――…ふみゃっ!?」
唐突に身体を揺り動かされ、惣一は驚きと共に身体を跳ね起こす。
寝ぼけ眼で周囲を見やると、其処は何時もの飛行機同好会の部室兼作業小屋の中だった。
「やれやれ、やっと起きましたか…。風間部長、コーヒー、出来ましたよ?」
「全く、アタシ達が折角コーヒーを作ってあげたのに、ソウイチはなに寝言で歌っちゃったりしてるの?」
左脇の鈴鹿が苦笑しつつコーヒー入りのマグカップを惣一の前に置くのを前に、
右脇の空子はやれやれと翼手で大げさなジェスチャーを取りながら呆れた感じで文句を言う。
「……あれ、ベンじいは? 学校は?」
「は? ベンじい? アンタ、何を寝ぼけてるのよ? 夢でも見たんじゃない?
と、そんな事より。ソウイチ、アタシ達が淹れたコーヒー、早く飲まないと冷めちゃうわよ」
「あ、ああ、ワリィ…」
あれは只の夢だったのだろうか? それにしては妙にリアルな夢だったな。などと思いつつ、
惣一は眠気覚ましのコーヒーを啜る。恐らく鈴鹿が淹れてくれたのだろう、コーヒーは適温で程よい味であった。
「なあ、白頭。あれから俺、どれくらい寝てたんだ?」
「ん? そうね…コーヒーを淹れている間くらいだったから、10分も経ってないかしら?」
「……あれ? それくらいしか経ってないのか?」
「そうよ? 如何しても疑うんだったら時計を見れば良いじゃない」
空子に言われて惣一が古時計へ目をやると、彼は無言で空子の言っている事が正しい事を知らせていた。
妙に腑に落ちない気分を感じ、惣一は頭をぼりぼりと掻きつつ、なに気にポケットをまさぐる。
(ありゃ? ポケットに仕舞った筈の製図ペンが……無い?)
その製図ペンは去年の誕生日祝いに父親から貰った「SOUITH」のロゴが刻まれた特注品。
無論、惣一にとっては大のお気に入りの品。それが万が一、無くしてしまったら大変な事である。
ひょっとしたら夢の中でポケットの中に仕舞ったつもりで、まだ床に落ちてるんじゃないかと直ぐ様、探してみたものの、
部室の床や椅子の下、テーブルの下を探しても、必死な惣一を嘲笑うかのように製図ペンが見つかる事は無かった。
無論、ごそごそと何かを探し始めた惣一に気付いた空子は、首を傾げながら問いかける。
「如何したの? さっきからごそごそと…何か落としたの?」
「いや、何時も使ってるペンが見つからなくてな……」
「ソウイチ、テーブルの下とか、ちゃんと探したの?」
「ああ、でも見つからないんだよ……何処行ったんだ?」
「風間部長、私も一緒に探しましょう。ひょっとしたら変な所に転がっていってる事もありますから」
「仕方ないわね…だったらアタシも探すわ」
空子と鈴鹿も加わり、行方不明となった製図ペンの捜索が再開された物の、
結局、三人が何処を如何手分けして探しても、行方知れずとなった製図ペンは見つからないままであった。
「しっかし、製図ペン、何処行ったんだろうな……」
「もう良いじゃない、製図ペンは明日ゆっくりと探しましょ? 多分、部室の何処かに転がってる筈だしね」
「……そうだな。別に誰かに盗られる訳でもないし、探すのは明日でもいっか」
あれから、製図ペン捜索を明日へ持ち越す事に決め、片付けをした惣一達は部室を後にする。
無論、キチンと鍵をしておくのも忘れない。
そう、この学園には鍵をしないで置くと勝手に部室に上がりこむ人が多いのだ。
支援
しえ
「風間部長、空子先輩。どうやら雨、上がったみたいですよ?」
「あら本当ね。星空が綺麗じゃない。やっぱり天気予報も当てにならない物ね?」
「ああ、そうだな……」
鈴鹿に言われて二人が空を見上げると、
さっきまで雨が降っていたのが嘘の様に、雲一つ無い満天の星空が広がっていた。
それは惣一にとって、まるであの時の夢を再現した様にも見え、嬉しそうに言う白頭へ生返事を返すしか出来なかった。
「にしても、雨が止んで良かったわ。あんなじめじめした天気の中で歩いて帰りたく無いもの」
「確かにそうだな。あの雨の中では流石に帰る気は起きませんよ。泥で毛皮が汚れたら後が大変だ」
帰り道、惣一は自分の頭ごしの空子と鈴鹿の談話を聞き流しながらぼんやりと考える。
本当に、あの時に見た夢は只の夢だったのだろうか?
もし夢じゃ無いとするなら、あの時に出会ったベンじいの孫?は一体誰なのだろうか?
考えてみれば考えるほど、逆に分からない事が多くなる。いっその事、考えない方が楽なのだろうか?
と、惣一が物思いに耽っているうちに、三人は岡の上の佳望学園の門へとさしかかる。
「こんな時間でも学園の門は開いてるのね?」
「ええ、定時制の学生の為に学園の門は深夜の十一時まで開いているそうですよ?」
「へぇ…学園に定時制があるなんて知らなかったわ。……ねえ、ソウイチ? アンタは定時制があるのを知ってた?」
「あ、ああ……以前にベンじいから教えてもらったからな」
惣一の答えに、空子はふぅん、と冷静に返しながらも何処か少し悔しそうにに尾羽を広げて見せる。
まあ、定時制がある事を彼女だけが知らなかったのだから、当然と言えば当然か。
「おや? 其処に居るのは惣一君に空子さんと鈴鹿さんじゃないですか。今夜は部活からの帰りで?」
惣一が名前を出したからなのだろうか、
ちょうど校内の見回りしていたベンじいが惣一達に気付き、声を掛けてくる。
「こんばんわ、ベンじい。今夜はもうちょっと早く帰りたかったんだけど、ソウイチがね?」
「おいおい、俺の所為にするのかよ……?」
「当たり前じゃない、ソウイチが眠ったりしなきゃもうちょっと早く帰れたはずよ?」
「だからってなぁ……」
さっきの事の当て付けの様に自分の所為にする空子へジト目を向けながら、惣一は不満ありありに漏らす。
そんな二人の微笑ましい様子に苦笑しつつ、ベンじいは空を見上げて言う。
「しかし、今夜は良い天気になりましたな。こういう夜は初めての夜勤の日を思い出しますよ」
「…その時も今日の様に綺麗な夜空だったの? ベンじい」
「ええ、そりゃあもう、あの時の空は小粒の宝石を空一杯に散りばめたような綺麗な夜空でした」
それも夏の大三角形も簡単に見付けられる程でしたよ、と言った後、
ベンじいは何処か恥かしそうにケモ耳の裏を掻きながら言う。
「あの頃の私は、どっちかと言うと臆病な方でして、情け無い事にお化けとかは大の苦手だったんですよ」
「へぇ…今の何事に対しても落ち付いているベンじいから想像出来ないわね……」
「確かに、私にも想像出来ないな…ベンじいにもそんな頃があったとは」
「まあ、そうでしょう。何分、あの頃はかなり昔の事でしたから…」
空子と鈴鹿へ照れ笑いを浮べつつベンじいは答える。
「あの日、若い頃の私――勉は夜の暗がりに怯えながらも、何とか職務を果たそうと必死でした」
そして、夜空を眺めながらベンじいは静かに語り始めた。
ひょっとしたらお化けが出るんじゃないか? それとも幽霊が出るんじゃないか?
そんな不安に怯えつつも、私は懐中電灯のか細い明かりを頼りに、学園の施設などを見て周っていた。
時折、懐中電灯の明かりに寄って来た蛾を、人魂だと勘違いして悲鳴を上げそうになったり。
懐中電灯の明かりに不意に照らし出された歴代校長の銅像を前に、思わず気を失いそうになったり。
理科室の窓際に置かれている骨格標本が動いている様に見え、パニックになりそうになったり。
そんな事がある度に、私はこの仕事は自分には向いていないんだと言う想いを募らせていった。
「へ? って事はベンじいはその時、用務員を辞めようと思ってたの?」
「ええ、今思えば、我ながら情け無い話ですよ」
それでも、私は一応は自分に与えられた職務を果たそうと、勇気を振り絞って見回りを続けた。
しかし、深夜の学園の中を自分独りだけと言う状況に、根っこから臆病な性格の私の勇気はそう長くは持たず、
次第に私の心の中で、こんな場所に居るより早く家に帰って寝てしまいたい、と言う想いが強くなってきていた。
「確かに、誰も居ない夜の学校で自分独りだけ、と言う状況は臆病でなくともきつい物があるな」
「それが臆病な人となったら…仕事を放り出して帰りたくなるのも何となく分かるわ」
「まあ、その時の私もそんな気分だったと思ってくれれば」
空子、鈴鹿とベンじいとのやり取りを横に、惣一は何か引っ掛かるものを感じていた。
そう言えば、あの夢に会ったベンじいの孫?もかなり臆病だった様な? と。
そんな惣一を置いて、ベンじいは更に話を続ける。
「そんな感じで、もう帰ろうか、いや、何とか頑張らなければ、と心の中で葛藤しつづけていた時の事でした。
―――何処からか、誰かの歌声が聞えてきたのは」
「歌声?」
「ええ、最初は自分自身の恐怖心が見せた幻聴かと思いましたが。
どう聴いて見ても、それは聞き間違い様も無く、現実に聞えて来る歌声でした」
「何だか…怖いな。それは」
「ええ、そりゃあ恐ろしかったですよ。何せ今の学校には自分以外の誰も居ない筈でしたから。
もう、お化けかその類の物じゃないかと私は戦々恐々でした。しかし……」
しかし、こう言う時、人間もケモノも不思議な物で、
恐ろしさが限界を超えると、逆に正体を探ってやろうという考えが浮かび始める物。
幽霊の正体見たり枯れ雄花、と言う言葉があるから、ひょっとすれば大した事が無いかも、と言う想いもあったのだろう。
とにかく、意を決した私は懐中電灯を握り締め、歌声の正体を確かめるべく歌声が聞えて来る方へと足を向けた。
「若い頃のベンじいも良くやるわねぇ……アタシだったら、もう何も見なかった事にして逃げ帰るわよ?」
「私は…そうだな、取りあえず近づかずに置いて、後でこんな事があったと報告する様にするかな?」
「まあ、普通ならばそうするのが当たり前ですな」
ベンじいと空子、鈴鹿の話を聞いていた惣一は何も言えなかった。
もし、ベンじいの話が正しいとするなら、それはどう考えてもあの時の夢に似た状況である。
こんな偶然、他にもあるのだろうか? そう、惣一は考えては見たが、結論が思い浮かぶ筈も無かった。
「ねえ、それで向かっていった先で何があったの?」
「私も気になるな…それで、歌声の正体は何だったんだ?」
まあ、そんなに急かさなくとも話しますよ、と話の続きをせがむ二人へ笑いかけた後、ベンじいは話を続ける。
歌声の正体を確かめに向かった私が見たもの、それは幽霊でもお化けでもなく、中等部と思しきイヌの少年であった。
彼へ如何してこんな所で歌っていたのかと問い質してみると、何も明日の音楽の歌唱のテストの為に練習していたとの事。
驚かせてゴメンナサイと謝る彼を前に、私は怯えていた自分が馬鹿らしく思えてきたのだった。
「なぁんだ、本当に幽霊の正体見たりなんとやらって奴だったのね?」
「それで、その少年は如何しました? まさか…気がついたら消えてしまっていたりとか?」
「いえいえ、そんな事はありませんでしたよ。 ちゃあんと親御さんに迎えに来させましたよ。
まあ、そんな事もあって、私は恐い物なんて調べてみれば意外に大した事無いと思える様になり。
それ以来、何にも怯える事無く、夜勤をやれるようになったと言う事です」
「なんだ…本当、如何なるかと思ったよ…」
「はは、凄い展開を期待させてしまって済みませんね、惣一君」
なぁんだ、と安心するやら残念がるやらな空子と鈴鹿を余所に、惣一は別の意味で安堵の息を漏らしていた。
結局、あの夢は只の夢だった訳で。それがたまたま、ベンじいの昔にあった出来事に似ていただけの事だった。
そもそも、夢の中でベンじいの若い頃へタイムワープしていた、なんて事、有り得る訳無いよな。
と、惣一は安心すると同時に、少し残念な気分も感じていた。
「さて、年寄りの昔話はここまでにしておきましょう。
私なんかの長話で皆さんを引き止めていたら、それこそ皆さんの親御さんに申し訳無いですしね」
「あ、ああ、そうだな…」
「ベンじい、面白い話、聞かせてくれてありがとう」
「ベンじい、また何か面白い話があったら、今度はゆっくりと聞かせて欲しい」
「ええ、その時はご期待に添える様にしますよ」
「それじゃ、ベンじい、また明日ね!」
「それでは、また明日」
それぞれ別れの挨拶を告げて行く空子と鈴鹿に遅れまいと惣一が行こうと所で、
尻尾を揺らすベンじいが惣一の肩を叩く。
「ん?…なんだよ? ベンじい…」
「惣一君、忘れ物ですよ」
「……え? 忘れ物?――ってコレは!?」
ベンじいから渡された物を前に、惣一は驚きを隠せなかった。
そう、それは無くなった筈の、「SOUITH」とロゴが刻まれているお気に入りの特注製図ペンだった。
只、一つだけ違う事を挙げるとすれば、無くす前の物はそれこそ新品同様だったのだが。
ベンじいから渡された物は、まるで何十年も経ったかの様な状態であった。
「ベンじい、コレは一体……?」
「あの時、言ったじゃないですか。『絶対に内緒にするよ?』って」
驚く惣一に向けて、ベンじいはマズルの先へ指を当てて右目をウィンクして見せる
そう、それは紛れも無く、あの時、夢の中で会った彼が別れ際に見せた物であった。
「いやいや、話している最中に急にその事を思い出したもんで、話のオチを変えるのに必死でしたよ。
何せ、背の低い人間の少年と言ったら、どう考えても君の事を連想してしまいますからね」
言って、尻尾を揺らしながら昔からの親友に向ける様に笑って見せるベンじい。
この時、惣一は自分の頭の中で、未完成だったパズルに欠けていた最後のピースがぱちりとはまり込むのを感じていた。
確か、ベンじいの祖父の名は勉三(べんぞう)と聞いた気がする。多分、その祖父もベンじいと呼ばれていたのだろう。
それにそう言えば、飛行機同好会を始めた一番最初の頃、機械工学の機の字すら知らなかった惣一へ、
誰に頼まれた訳でもないのに、率先してベンじいが機械の事を教えてくれる様になった事を思い出す。
彼は『あの時』の約束をキチンと守っていたのだ、あの時に交わした、『何でも手伝ってあげるから』と言う約束を。
イヌ族はケモノの中で一番義理堅いと聞く。そう、大切な誰かとの約束は、時が幾ら経とうとも必ず守るのだ。
「ソウイチ〜! 何ぼさっとやってるの! 置いていくわよ〜!」
「風間部長! 早く行かないと市電の時間に間に合わないですよ〜!」
「ほら、惣一君、遅れている君の事を連れの子達が待ってますよ。早くお帰りなさい」
「あ、ああ……」
ソウイチの感慨を打ち消して、門の向こうから聞えて来るのは待ちくたびれた空子と鈴鹿の呼び声。
それを聞いて、何時もの用務員の顔へと戻ったベンじいに促され、惣一は学園の正門を後にする。
「もう、ソウイチは何やっていたの? 忘れ物でもあった?」
「そうですよ、風間部長。もう夜も遅いと言うのに、何をやってたんですか?」
「ああ……いや、何だか無くしたと思ってた製図ペンをベンじいが拾ってくれてたらしくてな。
道理で部室に無いと思ったら、知らない内に校内に落としてたみたいなんだよ、探しても見つかる筈無いよな」
惣一は一瞬、二人へあの出来事を話そうとしたのだが、直ぐに思いなおして誤魔化す事にした。
嘘は言ってはいない。ベンじいが校内で拾ったのは事実である。只、何時拾ったかに付いてだけ異なるだけで。
「何と…それは見つからない訳だ。拾ってくれたベンじいには感謝しないと行けませんね」
「へぇ、良かったじゃない。ソウイチ、ちゃんとベンじいにはお礼言ったの?」
ああ、勿論だよ。と二人へ返し、惣一は空子と鈴鹿と共に帰路へと就く。
多分、あの星空の下で起きた事を二人に話した所で、信じてくれる筈も無いだろう。
あの不思議な出来事は、俺とベンじいの心の中へそっとしまっておく事にしよう。
その事を誓う様に、惣一は彼と謡った歌をそっと口ずさむ。
「見上げてごらん 夜の星を
小さな星が 小さな光が
ささやかな幸せを うたってる」
そんな彼の姿を、空に輝く小さな星々は静かに、そして優しく見守っていた。
――――――――――――――――――――――了――――――――――――――――――――――
しえーん
以上です。
七夕が過ぎればそろそろ梅雨明け。涼が恋しい季節となりますな……。
ケモ学では眠ると時間軸がズレるようですね
>>394 SF(少し、不思議)な話はいいですな。
>>368 こんな白先生に惚れてしまうやろー!!
>>368 カワイイナー
あえてオバサンと読んでオキシドール掛けられたい!
夕方から深夜にかけて、机で眠るとタイムスリップします
途中までの展開がわんこ氏のSSと似ててびっくりした
ケモ学7不思議なるものがありそうだな
>>375-394 なんという時をかける用務員さん、ベンじいカッコ可愛いよベンじい!!
しかし惣一は誰彼かまわずフラグを立てるなw
劇中で惣一とベンじいが口ずさむ両歌、どっちも久し振りに聞いた、懐かしい!!
歌と絡んで定時制の設定とか深いなーと思ったり
なにはともあれ投下乙でした
いろんなところにいろんな設定組み込んであってすげぇや。
片耳のジョンが無性に読みたいww
ベン爺なんといい人や。睡魔のサン先生とかかわいいなw
わんこ氏のと展開は似てても雰囲気はやっぱ違うよな。
ふと個人的に思ったんだが、作品全体的に通りすがり氏はディズニーでわんこ氏はジブリな匂いがする。
わんこ氏は文章が柔らかくて大好きだなー。
文章の時点で既にモフモフ感が漂ってる。
基本、ここのSS書きは総じてキャラ描写がカワイイから好き
キモイとか言うなよw
ソニックのようなホームズのような、とにかく可愛いな
う〜ん…絵のレベルがちょっと…
他の絵師のとか見て勉強しような?
そんな下手か?
シッ!新参には優しくしなさいってばっちゃが言ってたでしょ!
なんという妖精さん^o^…
よもや砂男で来るとはw
絵師のセンスには何時も脱帽される。俺も絵が描けるようになりたいぜ!
真似ってどゆこと?
ディズ○ーっぽいて話が出てたからそれ風に描いてくれてたんじゃないの?
えとID変わっちゃったけど…
403で「通りすがり氏はディズニーでわんこ氏はジブリな匂い」と書かれてい
たので、夫々の時間遡りネタのキャラのベン爺とひかる君を夫々デズニー風と
ジブリ風で描こうとして、失敗した…と…… あぁ、ネタを説明するのは恥ず
かしいです。 判り難くい上に下手で更に難解にしてしまい申し訳ないです。
失敗は次の成功の種と言うし、その失敗を次に生かせば良いじゃない?
だから気にスンな! 俺は絵師の絵が好きなんだから
>>406 >>419 ベン爺>グー◯ィ
ひかる君>ホームズ
見て一発で判ったよ、逆によく雰囲気で出ると感心した。
>>414 サン先生のレプラコーンカワユス
俺の所にも砂巻きに来てください。
422 :
1:2009/07/09(木) 06:51:01 ID:W5ZtVqzw
「シロ先生、ヨハン見なかった?」
「あ? 腹痛でトイレに篭りっきり」
「ほう、ちょっと冷やかしに行ってくる」
「おーい、食あたりか?」
「ちょ、ざっきー! 個室の扉越しにおもむろに話しかけるなよ!」
「お取り込み中わりぃな、大丈夫かよ」
「大丈夫さ、僕はこう見えて和式便所派なのさ」
「そこかよ! 腹は大丈夫なのかって?」
「ふっ、おかげさまで大分おちついてきたよ」
「そうか、じゃあな」
「え、待ってよ、心細いよ」
「おい、授業始まんぞ?」
「ああ、もうそんな時間なんだね……」
「なんだ? 便器と友達になって別れが辛くなったか?」
「不覚にもそのようだ。 僕のおなかは荒らぶる激流のごとくトイレへの愛を滾らせているよ」
「とうとう壊れたな」
「いつもの、ことさ」
「あれ? ざっきー?」
「いるよ」
「黙らないでよ、見捨てられたかと思った」
「話題がねぇよ、扉越しに何を話せと」
「あ、そうだ。 ここの個室、消されずに残ってる落書きがあるんだけど」
「落書き?」
「そう、サン先生の絵が描かれてるの。 今日見たら消されるどころか着色されてるだわ」
「おおマジか、ちゃんと清掃しないとな」
「えー、もったいないから残しておこうよ」
「いやいやいや、教員トイレに落書きがあるなんて生徒に示しがつかんだろ」
「そうだけど」
「ってか絵を描きそうな教員って、おまえしかいないじゃんか」
「ちょ、僕を疑わないでよ。サン先生や水島先生だって絵を描くじゃないか」
「お、疑わしいメンツだ……」
「それに、ちょっとシャイでお腹の弱い生徒は教員トイレをこっそり使うもんだよ」
「それは黙認する。生徒指導員として」
「ざっきーは優しいね、そういう生徒が落書きしてるかもしれないのに」
「疑わしきは罰せず、だ」
「なるほど」
423 :
2:2009/07/09(木) 06:52:40 ID:W5ZtVqzw
「ところでおまえ、何を食って下痢になったんだ?」
「朝、たい焼きの残りがなぜか置いてあったんだよ。 たぶんそれ」
「あ゛! ちょっとまて、それ、俺も食ったぞ」
「ご愁傷様」
「……なんか、俺も腹が、痛くなってきた気がする」
「隣の個室が開いてるよ、洋式だけど」
「洋式でかまわん」
「洋式なんて信じられないね。どこの馬の骨とも知れない野郎と間接お尻合いなんだよ」
「どんだけ潔癖症よ」
「洋式しか使えないなら、女装して女子便所入ったほうがまだマシ」
「ヨハン! 見そこなったぞ」
「だって変でしょ。 女が男子トイレ進入してもお咎め無しだけど、男が女子トイレ侵入したら変態だなんて」
「その理屈は明らかにおかしい、ベンじいは変態じゃないだろ」
「え、ベンじいって女子トイレ使ってるの?」
「用務員だから、学園のいかなる隙間にも進入可能だろうな」
「ざっきー、お腹大丈夫?」
「人の心配より自分の心配をしろよ、俺はただ、ちょっと痛くなったような気がしただけだ」
「気をつけてね、シロ先生は正露丸くれないから」
「おう、食中毒の時は下痢止め飲まないほうが良いんだぞ」
「そうなの?」
「吐き気がないならスポーツ飲料を飲め、水分補給だ」
「へぇー、なんか勉強になるわー」
「病院いけよ」
「わかってるよ」
「じゃ、授業行ってくる」
「……あ、あれ、いっちゃうの?」
「え、いっちゃったの?」
「え、本当に行っちゃったの」
「あ! 紙がない」
キャラへの愛が感じられない
馴れ合いが過ぎるとレベルが下がるのは必然でしょ
こんなスレに期待しているほうが悪い
おとぼけにくすりと笑えたけどな
最近妙に敷居がたかいな
元からこのスレにはアンチ居たでしょ。角煮のスレからだって
馴れ合い酷いって言われてるし。
でもそれを気にしないのがこのスレの良い所であって悪い所だと思ってたけどな。
>>422-423 確かにちょっとキャラ同士の呼び方が違って妙な違和感w
正直殺伐としたスレはやだな
>>345 ヘビくん
マーシャの旦那
マーシャの息子
塚本の伯父
アキラの兄
アキラの姉
豚姉さん
まだ埋もれてる子がいる気がする
荒れかけたらこの呪文を唱えよう
もふもふ
433 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/09(木) 15:04:06 ID:miBPOZ8S
ぬこぽ
にゃ!
にゃふにゃふ!
俺ふさふさ派
>>428 悪いところ・・・?
たんに文も絵も交流もできないやつが僻んでるだけじゃね?
とりあえず名前欄みろ
なんで悪いところなの?
もふもふ
角煮なんか見ないし
どこを見ていようが自由ですにゃ
手相占いに相当する「肉球占い」が流行っている、という電波を受信した、どうぞ
いちいち話を蒸し返してる奴ら何なの?馬鹿なの?きちがいなの?
>>442 そういえば肉球って人間みたいな手相ないよな。やっぱり雑誌とかにでも
肉球占いコーナーとかあるんだろうか。
>>442 「アナタの不幸で肉球がこんなにカサカサになっていましてよ」とか言われて
街角でうさんくさい肉球クリーム(開運ポット60g入り4万9800円)とかを売りつけられたり
塚本「知ってっかライダー。手相占いならぬ肉球相占いが流行ってんだってよ」
鎌田「ふーん」
来栖「……お前ら肉球ないだろ」
塚本「バッカおめー、占いとか出来たらそれ口実に女子とお近付きになれるかも知んねーだろが」
鎌田「梅雨は翅が湿気ってヤダなー」
塚本「少しは興味示せやライダー」
来栖「で、肉球占いの教本とかあんのか?」
塚本「おうよ。この雑誌に肉球相の見方が載ってた」
来栖「ほう、これ図書館のラベル貼ってあんな。図書館て雑誌とか貸し出してんだな」
塚本「知らん。因幡の席に積んであったからくすねて来た」
鎌田「窃盗じゃないか!」
塚本「え、マジで?許可取らないで借りっとセットウになんの?」
来栖「民法だと貸借物は他主占有と見なされるから因幡は占有訴権に基づく占有回収の訴えが出来る」
塚本「なに、俺ムショ行き?」
来栖「訴訟経済上効率が悪いから、返せって言われたとき返せば示談成立が多い」
塚本「なんだ、返せば良いんじゃねぇか。脅かすなよライダー」
鎌田「うーん……なんか納得いかないけど、ちゃんと返しときなよ?」
塚本「おKおK。じゃあ早速、本見ながら誰か占ってみっか」
来栖「クラスの女子は仲良いからもう皆で占いあってるだろうな」
塚本「うーむ。じゃあ保健室のオバハンでもからかってくっか」
来栖「俺、行かねー」
鎌田「僕も遠慮しとく」
塚本「ノリわりぃなお前らは。俺ゃ休み時間終らない内に行ってくる」
(以降、保健室にて)
塚本「と言うわけで、肉球を見せたまえシロ先生」
シロ「お前は本当に暇人だな。見たらすぐ帰れよ」
塚本「わかったわかった分かりましたよーっと。ふむふむ……むむっ!こ、これは!」
シロ「どうした?」
塚本「結婚運がゼロだな」
シロ「オキシドール持って来るからちょっと待ってろ」
塚本「わ、よせ!自慢のタテガミを脱色すんな!帰るから、帰るから!」
シロ「はぁ……」
シロ「開運クリーム……買おうかな」
終
獅子宮「馬油って肌に良いらしいぜ」
白倉 「α‐リノレン酸っス」
シロ 「火傷にもきくぞ」
リオ 「ほんとうですか」
モエ 「まじ!?」
ハルカ「毛並みにも良さそう」
保健委員「みのがせないっス」
塚本「……ん?」
>>447 女子に(変な意味で)モテモテなんですねわかります
「らしいぜ」より「らしいぞ」の方がいいと思
おk!
そういえば購買のたぬき(だっけ?)のおばちゃん忘れられてカワイソす
>>451 スキンケアならぬファーケアかな? 毛のない人より手間かかりそうw
雑誌の特集で「誰でも簡単! オトナな女性の目元トリミング」とか
>>453 『頬の毛並みの艶を保つフェイスケア法』
『気になる顔の白髪を防止! 秘訣はOOエキスにあり!』
『プロのエスティシャンに聞く、美しい毛並みを作るマッサージ』
「若さを保つのって本当、大変なのよねぇ…」
「……義母さんは全然若くねーじゃん」
「卓ちゃん…何 か 言 っ た か し ら ?」
「ナンデモナイデース」
>>451 英先生は伸びる前に鑢かける派っぽいと思ってたけど違ったw
>>451 洗って毛を濡らす事を嫌がりそうだから、絞ったタオルでかるく拭く感じ?>洗顔
男女共に顔周辺のトリミングは大変そう、電気ひげ剃りみたいな電気トリマーがあったりして。
毛や爪のケアほど目立たないけど「歯」のケアはどうしてるんだろう?
虫歯治療とか歯並び矯正、牙の差し歯に種族別の入れ歯など、この世界の歯医者さんには
面白そうなネタがゴロゴロしてそう。
>>454 利枝さん、今日もお美しいですよ!!(*゚∀゚)=3ハフンハフン
卓は利江さんと同世代なおば……ゲフン、おねいさまの実態についてもっとレクチャーされるべき
457 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/11(土) 04:00:24 ID:kw4w6j/X
きもいな
日用品とか医者の仕事とか雑誌の記事なんかも半端なく多くなるよなこの世界
まさに人種のサラダボウル
哺乳類ー象人ー皮膚科とか
爬虫類ー蛇人ー呼吸器科とか
鳥類ーペンギン人ー小児科とか
医者足りんねこりゃw
眼科 ※複眼は対応いたしかねます
医師免許に自動車免許みたく対応可能な人種の記載があったりね
必然的に様々な種族の生徒を診る必要があるシロ先生あたりは案外フルビット免許持ちの猛者だったりして
医者はいても獣医はいないかも
>>462 あーそうか、気付かなかった。
何の気なしに保健室のおば…お姉さんと考えてたシロ先生だけど実は結構すごい人なんだな。
現実以上に医者の難度と地位は高そうだ。
ググッたら養護教員に医師免許は要らないらしいよ。
シロ先生は短大か専門学校で二種養護教員免許を取って就職した割と普通な人だと予想。
それにしたって多くの知識が必要だから大変だと思うんだぜ
保健委員の夢は茨の道だな
これは、医者キャラが誕生するフラグですか?
シロ先生って大学卒なんだっけ
過去話書こうと思ったんだけど、大学時代の同級生が居たような居なかったような……
誰ぞ覚えてませんか?
そんな時のためのwikiだろう
1スレめのSSだったような
>>469 シロ先生の周りのキャラも複数登場してたよ。wiki内で「シロ」と検索
かけると結構出てくるので参考までに。ただヒット数がちょっと多いけどw
シロ先生のシロって名前? 苗字?
ありがとう。1スレ目でしたか。
WIKI見て書きますね。
>>472 まだ一切決まってないはず。
毛色から付けられたニックネームとかかな?
474 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/11(土) 20:55:33 ID:kw4w6j/X
ゆるせん
天候制御は必ずここにいるはずだ
出てこいうらぎりもの
475 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/11(土) 21:16:22 ID:kw4w6j/X
このスレは潰れる運命なのです奴に笑っていられる場所を残すわけにはいかぬ
さーていつまでスルー出来るかしら
今思えばシロ先生が佐々山先輩を気にかけた理由って……!
気付いてはいけない事に気付いてしまったようだな……ッ!
>>479 何言ってるんだ、既にオキシドールの匂いがうわなにをするやめ
なぜかここに白熊と白い犬と白い鳩と白兎が転がってんだけど
なんかあった?
483 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/12(日) 01:26:28 ID:AjRb33ZQ BE:13738272-PLT(15000)
ここで、ロゼット化粧品のパロディが来るなんてッ!
激しくレトロです。
元ネタ分からんww
後ろの白先生?が怖すぎるww
男も美白する時代ざますわね
>>482 先生、背後でなにしてるんですかwww
自分も元ネタは初めて見たなぁ
>>464-465 免許持ちかどうかは全校一斉健康診断があった時に明らかにされる訳ですね?
……なにこの背後から突き刺さる女の殺気、ちょ、君たち、待て、何をし
>>482 前二人の造形が印象的すぎて何度も見てしまう
不思議な中毒性があるますねw
昨日白先生がオキシドールで真っ白になった生徒達を
操って学校を占拠するという夢を見た
ん?誰だこんなあさっぐえっ
それじゃあ脱色される前から既に白いヒカルきゅんが参加出来ないw
教頭「最近、保健室の配置薬請求が増えてますが、白先生」
白先生「は、はあ」
教頭「特にオキシドールの消費量が激しいんですよね。どうしたことでしょうか」
白先生「生徒たちの…、どうも怪我が多くて…」
>>492 保険委員「白先生、嘘言っちゃイケないっス! この前、僕は見たっス!
爆弾テロ(?)に巻きこまれて運び込まれた御堂の頭へオキシドールを思いっきりぶっ掛けムググ……」
白先生「ああそうだ、これから部活が始まるから忙しくなりそうだな! さぁ行こうか!」
(アームロック掛けた保険委員をずりずりと引き摺って逃げる様に立ち去る)
卓「くそ……なんかおかしいと思ったら髪が一部脱色されてるし……」
…あっれ!?
シロ先生って実はすごいんじゃね?って話振ったのに1日ぶりに来たらおかしなことになってるw
保健室の丸椅子に座ってるよ。コーヒーのみながら。
そして机の中にクッキーが入っていて「ふとる」と言いながらたまに食す。
で、コレッタや保険委員が物欲しそうに見てるのを見て
「ほれ」とか言ってひとつあげる。
美味しそうに食べてるのを見てなんとなく幸せになってくる。そんな三十路
「クロとミケには内緒だぞ」とコレッタに口止めして、コレッタは保健室から帰す。
が、食べこぼしたクッキーのかすがスカートに付いているのをクロミケに発見される。
「コレッタ、オバサンから何かいいものを貰ったニャ?白状しろニャ」とクロはコレッタの尻尾を掴む。
空には夏の雲が遠慮なく描かれ、地上ではコレッタはパタパタと走る、午後の学校帰り。
自分の仕事部屋の窓から三十路の保険医は、そんな光景を見ながらコーヒーを沸かす。
×コレッタは保健室から帰す。
○コレッタを保健室から帰す。
だったorz
白先生の独壇場ですねわかります
チューペットを凍らせて常備しているけど、
準備室に生徒が滅多にこないから微妙に寂しさを感じているはづきち
獅子宮「おい、はづきち。 冷蔵庫にチューペットあるだろ、それ寄越せ」
跳月「え…ええ!? ちょ、困りますよ、獅子宮先生! それは生徒に渡す分なんですから!」
獅子宮「けち臭い事言わずとっとと寄越せ。今日は暑くてかなわんのだ」
跳月「ダメと言ったらダメです! 幾ら獅子宮先生でもやって良い事と悪い事が…」
獅子宮「……そうか。分かった」
跳月「……え?(あれ? あっさり諦めた?」
獅子宮「実は言うと、私ははづきちからチューペットを貰って来て欲しいと白の奴に頼まれたのだ。
だがしかし、お前が其処まで断るのであれば諦めるとしよう……白の奴には、はづきちが断ったと言って……」
跳月「わーわーっ! 分かりましたよ! 獅子宮先生、二本ですね? 二本で良いんですね!?」
獅子宮「おお、中々太っ腹じゃないか(ニヤリ)」
獅子宮「白。暑い中ご苦労様だな。 私からの差し入れだ」
白「ほう、チューペットか……所で怜子、これ、何処から貰ってきたんだ?」
獅子宮「ああ、はづきちからせしめてきた」
跳月「あれ? …なんか、うまい事言い包められたような気が……?」
業務用冷凍庫だからガッチガチに凍ってるんですねわかります
>>501 そこにはチューペットを頼んでいたアキラ達3人に、数が足りなくなってると
怒られて自腹を切るはづきちが
シロ「なぁ、なんで『はづきち』なんだ?」
帆崎「なんか由来でもあるんですか?」
跳月「知りませんよ、昔からこう呼ばれていたんです」
白倉「帆崎先生だって『ザッキー』じゃないスかぁ」
帆崎「いつのまにか『ザッキー』だったんだよ」
白倉「『ほざきち』とか、どうっスか?」
帆崎「……ほざきち?」
シロ「おう、ほざきち良いじゃんか」
白倉「こんどから帆崎先生は『ほざきち』って呼ぶっス」
帆崎「なんでだー?」
跳月「帆崎先生が『ほざきち』なら、僕は『づっきー』でしょうか?」
シロ「……」
帆崎「……づ、づっきー?」
白倉「づっきー!」
シロ「なんだ、その、なんだ、この違和感は」
白倉「きもちわるいっス。いっそのこと『ヅッキーニ』でいいんじゃないっすか?」
帆崎「そういう問題か?」
白倉「ヅッキーニっぽいっす、跳月先生ヅッキーニっぽい!」
シロ「わからん」
跳月「……」
505 :
ななしのよっしん:2009/07/13(月) 21:51:00 ID:wHB+Iy18
なんかここグロイ
506 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/13(月) 22:36:45 ID:gDm6yOXB
さいきんレベル下がりすぎ。
レベル低いのは構わないが、キャラが引き立ってないしキモい。
キャラ作者に失礼だとおもわんのかねえ……
>>506の超絶技巧はまだ?
キャラの名前付きの作品はSSというより、コミックスのカバー裏にある
おまけっぽい感じで読んでるから楽しいけどな
潰れなさい
このすれは気違いの温床
よし皆、よく聞け
ぬこぽ
わん
>>510 ちょwwwww其処でわんかよwwww
>>511 はづきちにサン先生、実験器具で何やってるんですかwww
>>511 ガラスでそれやるとほんとに割れかねないwww
>>511 実験器具って調理に使いたくなりますよねwww
アルコールをコーラで割って飲んで授業中に泥酔した事があります
>>515 教師か生徒か分からんけど、授業中に酒(のような物?)を飲むなよww
流石に実験用のアルコール飲んだことはないな
オートバイ走らせたことはあるけど
武勇伝語りはほどほどにねっ☆
そーね
それにしてもはづきちの垂れ耳は反則級のもふっぷりだ
掴んでばさばさ揺すってみたい
流石ヨハン。震えるぞ図々しさ!燃え尽きるほどKY!
「くっそー、あの糞兄貴め……」
日増しに強くなる夏の日差しを実感させる昼頃。
中等部の教室の片隅で、アキラが机の上に置かれた弁当箱を前に怒り混じりに愚痴を漏らしていた。
彼が尻尾をピンと立てて怒るのも無理もない。何せその弁当は白御飯の上にエビの尻尾ばかりと言う適当極まる代物。
こんな物を食うくらいならば、自腹切って購買部でパンなり何なり食った方が百倍マシなのであるが、
かといって、食わずに置くと余計に酷い弁当を出されかねないので、彼は仕方なくこの酷い弁当を食わざる得なかった。
と、其処へ同じクラスのネコ族の少女、三島 琉璃が弁当包み片手に通り掛り、彼の弁当にごく当然の感想を漏らす。
「うっわ…エビ尻尾弁当だニャ…アキラ、またアニキと喧嘩したかニャ?」
「ちげぇよ。多分、また糞兄貴のジョークだろうと思うけど……幾ら何でも酷いにも程があるだろ?」
「うん、酷いにも程があるニャ! だからあたしがウィンナー分けてあげるニャ。感謝するニャ」
「うぉぉぉぉっ! サンキュー! 琉璃ちゃんの優しさに涙が出そうだぜ!」
琉璃からタコさんウィンナーを分けてもらった嬉しさの余り、思わず尻尾の回転を全開にしてガッツポーズを取るアキラ。
と、その二人の前に、妙にげっそりとした様子の加奈が通り掛った。
無論、加奈の親友である琉璃は直ぐにそれに気付き、何事かと加奈へと声をかける。
「如何したんだニャ? なんだか妙に元気がなさそうだニャ……耳もべったりと伏せられてるし、何かあったかニャ?」
「あ、ああ……琉璃ちゃん、何でもないニャ。別に心配されるほどの事じゃないニャ……」
そう言うものの、今の加奈は何処から如何見ても心配されて欲しいオーラ満々である。
むろんの事、アキラも一端のイヌの男として黙ってみている訳にも行かず、尻尾をピンと立てて声を掛ける。
「如何したんだよ。何時もの元気一杯な加奈ちゃんらしくないぜ?」
「そうだニャ。エビ尻尾弁当出されたアキラでもこの通り元気なんだから元気出すニャ!」
アキラに続けて加奈を励ます琉璃に、アキラは『その一言は余計だろ』と頭の中で突っ込んだ。
しかし、二人の励ましにも関わらず、耳を伏せたままの加奈はハァ、と重苦しい溜息を漏らし
「エビ尻尾弁当なんてまだ良いニャ…」
『へ?』
アキラのエビ尻尾弁当を見やりつつ溜息混じりに言う加奈に、思わず首を傾げる二人。
「昨日、ボクはお姉ちゃんと喧嘩したんだニャ…
お姉ちゃんは仕事が休みの日はボクの弁当を作ってくれるんだニャ、だけど姉ちゃんの弁当は味付けが薄いんだニャ。
だからその事をジカダンパンしたら、ボクの言い方が悪かったのかお姉ちゃんが逆ギレしちゃって、そのまま大喧嘩ニャ。
そして、その翌日の今日……姉ちゃんが満面の笑顔で出してくれた弁当がこれだったニャ……」
言って、加奈は二人の前に持っている弁当箱を差し出す。
二人は何気にその弁当箱を覗き込み―――そして、そのまま硬直した。
そして、数秒ほどの間を置いて、二人は錆付いた人形の様にぎぎぃと顔を見合わせて確認する。
「な。なあ……俺の見間違いじゃなければ、加奈の弁当……中身がトマトケチャップで一杯なんだが……?」
「い、いや、これは…アキラの見間違いじゃないニャ。
あたしから見ても、弁当の中がケチャップで満たされている様にしか見えないニャ」
そう、二人の前の加奈の弁当はトマトケチャップの赤一色だった。
それも、ケチャップの下に御飯が敷かれている生易しい代物ではなく、もうケチャップ以外に何も入っていないのだ。
多分、加奈の姉である真央が、加奈への怒りととびっきりの悪意を込めてこの弁当を作り上げた(?)のだろう。
そんな姉の怒りがひしひしと伝わる弁当に比べれば、アキラのエビ尻尾弁当はまだ食える分、百倍はマシといえた。
何とも言えない気分を感じたアキラは、加奈へ弁当を差し出して言う
「え、えっと……エビの尻尾と御飯で良いなら、食うか?」
「済まないニャ…感謝するニャ」
世の中には上には上がいる事を痛烈に思い知らされた、夏の昼休みの事だった。
――――――――――――――――――――――終われ―――――――――――――――――――――
>>520を見て書いて見た、少し反省している。
何時も弁当を作ってくれている人には感謝するべきです。
悪口を言うなんて持っての他です。その翌日に酷い弁当を出される事になりますから……
525 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/15(水) 05:13:08 ID:GlwgqLZ+
なぜ荒れぬ
このスレは埋められなければならない
ひょっひょっひょ復讐は続くのじや!
526 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/15(水) 05:15:37 ID:GlwgqLZ+
なんで私だけ省かれてわらわれるのか
頭が痛い苦しめ
527 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/15(水) 05:19:05 ID:GlwgqLZ+
とりあえず某氏は覚悟しておけ
このスレ含めてグルになってる爆弾の取り巻きには苦死んでもらわねばな!
>>520 頭にしっかりとアホ毛が作られててワロタw
530 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/15(水) 06:56:20 ID:GlwgqLZ+
私のおかげでレスが増えてさぞかし作者も嬉しかろう
ここにはMの関係者も潜んでるからな!
531 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/15(水) 06:58:16 ID:GlwgqLZ+
次スレはここです皆さん。
私は天候制御です。馬を叩きましょう〜
>>524 昔飼っていた犬に同じ事したら、何か言いたげな眼差しを向けられた事があったなぁ。
それで、流石に嫌だったのかな?と思ったら、もっとやれと頭を擦り寄せてくるし……。
犬の思考回路って……。
>>524サン先生なら獅子宮先生にもきっとやってくれるはず!
>>511見ると、教頭けっこうデカいんね。
身長と存在感が比例しない学園だw
今、盗聴しています▼・ェ・▼
537 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/15(水) 16:41:15 ID:GlwgqLZ+
盗聴器を通して呪いを送ってやった
ここの絵師も不幸になるのよ
538 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/15(水) 16:42:50 ID:GlwgqLZ+
荒らす気満々の奴がいる望み通り暴れてあげるわよ
全ては馬を苦しめるため〜
539 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/15(水) 16:46:27 ID:GlwgqLZ+
ぎぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼべぼぼぼぼぼぼぼ
ぼぼぼぼぎぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼべぼぼ
ぼぼぼぎぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼ
ぼぼぼぼぼべぼぼぼぼぼぼぼぼぼ
ぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼば
ぼぼぼべぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼ
ぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼ
ぼばぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼ
俺も今から康太を呪うところ
頼むからハーレムプレイには相応のペナルティを設けてくれ
ペルソナ状態になると俺が発狂する
ペルソナ4のシステムならよしんばそうなっても修羅場くらいあるさ
542 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/15(水) 17:18:40 ID:GlwgqLZ+
いい気味だ。
このスレの字書きの一人は私なの皆騙されてマンセーしてやんの。
543 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/15(水) 17:29:29 ID:GlwgqLZ+
本当は荒らして悪いと思ってる。
でも私ばっかり悪者にされるのは監視してる奴がいるから
私は仕返しをしているだけ
跳月「体を鍛えようかと」
白倉「跳月先生、マッチョになるんスか?」
水島「お?(´ω`)」
>>543 元気出してね
わたしはあなたの作品好きだよ
どれか分からないけどどの作品も好きだから
また書いてほしいな
>>546 そのウシと違うwww
>>522 そのケチャップで「チキンライスのチキン抜き」を作るんだ。
>>546 つーかエロい
獅子宮先生エロい
けしからん格好でけしからんポーズしおってからに
550 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/15(水) 23:46:37 ID:lt7kkkwb
お、住人がついに絵師に興味を持ち始めたか
551 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/16(木) 00:15:39 ID:TX4MLG2m
>>546 そういや土用の丑の日が近かったな……ここ最近は鰻なんて食べてないや。
>>549-551 確かに気になるのは分かるけど、一応、絵師にもプライベートと言う物もあるから質問は程々にした方が良いぜ!
>>546 不安定な体勢の獅子宮せんせの肩をザッキーが上から押さえて
ザッキー「お茶の借りを返す時がきたようだな……」
>>553 また懐かしいネタをwww
……いや借りを返すのはもう一人メスフェチが居たような!?
>>554 助ける所か事態を更に悪化させたあの人か……
けど、その他にトドメを刺したトリックスターもいるじゃないか!?
まあ、あれは狙ってやった訳じゃなく、本当に只の事故だったけどw
556 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/16(木) 00:33:15 ID:4RDTi8rV
きもい
ところで獅子宮先生って加えてるだけタバコの設定とか無かったっけ?
>>557 確か、何時も咥えているタバコに関する詳しい設定とかは無かったな。
まあ、銘柄はラッキーストライク辺りが似合ってそうだとは思う。主にネーミング的な意味で。
葉巻とかキセルもたまにはどうか
健康的にシガレット
夜会での鰹節事件に巻き込まれた時がタバコ買いに行った時じゃなかったっけ
ラッキーストライクだったらなかなか自販機でも売ってないしな
猛はピースとか吸ってそうな気がする。タール・ニコチン量的に。
>>546 獅子宮先生カッコでその姿勢はヤバすぎますw
うなぎ〜!! つーか丑つながりで土曜日は焼き肉食べに行く予定、待ちどうしいぜ!!
そういえば今年の土用の丑の日って一学期の終業式の日じゃね?
先生方も飲み会とかで盛り上がるんじゃなかろうか
サン先生「猪田先生、ダイエット成功のご褒美に冷えた生ビールと焼肉なんてどうです?」
そして歴史は繰り返す
565 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/16(木) 14:27:58 ID:tcLGJ/cv
どいつもこいつもベタベタ馴れ合いやがって
ベタベタ……毛皮組は汗かかないからベタつかなくてよさそうだ。
しかしみんな舌出してハァハァしまくるだろうから授業どころじゃないかも。
獣人が汗かくかは非常に気になる
汗で毛皮がべったりなってる獣人とか萌えるし
>>566-567 一応、毛皮のある動物でも汗腺は存在する、
けど、犬などの毛皮に存在する汗腺の殆どがアポクリン汗腺と呼ばれる物で
人間の汗腺の殆どを占めるエクリン汗腺と違ってその分泌量はかなり少なく、余り目立たない。
(犬猫等にもエクリン汗腺は存在するが、肉球にしか存在しない)
因みに、アポクリン汗腺はエクリン汗腺と違って臭いが強く、獣臭の原因となっている。
無論、人間にもアポクリン汗腺は脇などに存在し、いわゆるワキガの原因となっている。
569 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/16(木) 16:26:22 ID:tcLGJ/cv
天候制御乙
>>568 へぇ、そうなのか。知らなかった。
となると消臭デオドラントが流行るか、それとも欧米みたく個人の魅力の一部として
あまり手を着けずそのままにしておくのかが気になるところ。
学校じゃフェロモン振りまいてる生徒は頭髪チェックよろしく見つかり次第消臭剤ぶっかけられそうだけどw
そこで女子高生や若い女性に人気のブランド香水やらが出てくるんですね
そもそも人間は体臭が少ないからワキガを気にして香水やデオドラントを発達させた
臭わないことが人間の体質としてのスタンダードだからだ
獣はそもそも臭うものだからスタンダードが違うだろうと予想
惚れ薬作りが容易だ
鼻が利くから後付けの香りは嗅ぎ分けられてしまうかも
だから逆に難しいかも>香水や惚れ薬
その鼻の良さを利用したピンポイントの麻薬のような惚れ薬
ふむ・・・・・・
・・・白先生!どうも私はお脳が病気なようです!
エロパロ向けなイメージしか浮かびません!
>>576 それはそれで、専用の所に投下してこっちに報告しても問題ないと思うけどねw
「さて」
「は!はいっ!」
「それではセンセ、説明を聞きましょうか?」
「はい…
えと、奥さんが子供らと御義両親とで連れ立って、
毎年恒例の『梅雨なんかだいっ嫌い!お日様サンサン旅行』に
行ってしまいました」
「今年はラベンダー畑を満喫してきました」
「僕は雨の日の送り迎えでサン先生と一緒に学校に行ったので、
概ね晩ご飯も一緒に食べのですけど、サン先生は安くて美味し
くてその上とてつもなく量の多い店を沢山知っていてですね…」
「…気がついたらその有り様ですか?」
「はい…
とても美味しそうに食べるのを見てると僕もついつい食べ過ぎて…
何故か僕より沢山食べていたのにサン先生はちっとも太らないし…」
「……」
「……」
「〜…(溜息)」
ttp://loda.jp/mitemite/?id=229.jpg
>>578 あ、案の定リバウンドしちゃったか、いのりんw
こうなったら太り難い体質を作るべく筋肉をつけるんだ!
奥さん綺麗だのう
自転車通勤から徒歩通勤になるというオチだと思ったら…
例の坂道を毎日歩けば確実に痩せるはずだが流石に酷かな
>>578 いのりんには悪いけどやっぱこっちのが落ち着くわw
やはりここでもサン先生は常識外か……
体小さいのに大食いなやつって以外にいるよな
佐倉家にて。
人間友人の海外旅行のお土産に貰ったお香を早速薫いてみる母さん。
何故か変な気分になる姉、美希奈と妹、舞。
そのお香は実は、人間は気付かないが、嗅覚に優れるケモノには
催淫効果を発揮するという非常に嬉し…困った代物だったのだ!
我らがギャルゲ主人公康太の運命や如何に!?
※選択肢を誤ると父ルートに入ります
「とってもいい匂いのお香なんですよ、御堂さんもどうぞ!」
「あら、いいの? ありがとうございますー」
正直ギャルゲネタはもうお腹いっぱいッス……
588 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/17(金) 19:29:41 ID:ZPEgDhWY
検索用
うまたん ウマタン 馬 メンヘラー キチガイ 獣人 ケモノ バトロワ
糞女を殺してやりたい コケシ バセンジー 偽善者 天候制御
小枝 ホモ ケモホモ チンコ 画像 資料 獣 レオ
ボム bomb ふたば 小説 自演 被害者
>>585 どう考えても父ルート一沢
>>584 超高速消化と伸縮自在胃袋か…
サン先生のスペックどこまであがるんだ
>>578 いのりんの薬指見ながら思ったが結婚指輪何されても抜けなさそうだ
(
>>586の数時間後……)
「ただいま―……って、あれ?」
色々あってようやく家に帰りついた俺を待っていたのは、不気味なまでに静まり返った玄関であった。
何時もならば、足音で俺が帰ってきた事に気付いた義母さんが出迎えてくれる筈なのだが、それが無い。
無論、何かをしているのならば、それなりの生活音がしていてもおかしくないのだが、今回はそれすらも無いのだ。
そして、親父も義母さんも出掛けている、にしてもおかしい話だ。
何せ、玄関の鍵は掛かってなかったし、更に言えば二人が出掛ける際に何時も履いている靴もそのまま置いてあった。
……これは二人に何かあった、としか思えないだろう。
「……まさか、強盗?」
―――最悪の予想が俺の脳裏を過ぎる。
そう言えば朝、学校へ行く前に見たテレビニュースで、ここの近くの質屋が強盗に襲われたとか言っていたような……。
まさか、その強盗が俺の家にも来たと言うのだろうか?
……有り得る話だ、俺の親父はそれなりに有名な小説家。結構稼いでいると思われても仕方ないだろう。
恐らく、何かしらの情報で親父の事を知った強盗が、次のターゲットに親父を選んで……。
「何をバカな事を! くそっ、そんな事あってたまるか……!」
浮かんでいた想像を振り切る様に乱暴に頭を振った後、俺は意を決して家の中を進み始める。
もし、何かが出ても直ぐに対応できる様に、心の準備をした上で。
「……なんだ? この匂い……?」
家の廊下を進み始めた所で、俺は鼻腔に嗅ぎ慣れない匂いを感じた。
何と言うか、線香などとは違う種類の香を焚いた様な、甘ったるい物が混じった匂い。
はて、この匂いは一体……? 義母さんが焚いた物なのだろうか?
嗅ぎ慣れぬ香の薫りに妙な物を感じつつも、俺は慎重に居間の方へと歩を進める。
「ん……あれは……?」
そして、居間に到着した所で、俺はソファとソファの間に転がる奇妙な物に気が付いた。
電気が点いてないから良く分からないが、それはまるで大きなボロ雑巾の様にも―――って、
「親父!?」
それはボロ雑巾ではなく、床へ力無く倒れ伏している親父だった!
全身の灰色の毛並みがヨレヨレになっている上に、着ている服もボロボロになっているからそう見えたのだろう。
むろんの事、俺は慌てて倒れている親父へ駆け寄り、身体をゆさゆさと揺り動かしながら呼び掛ける。
「おい、親父! 一体如何したんだ!? 何があったんだ?!」
「……す、卓…か?」
揺り動かされた事で意識を取り戻したのか、
親父は目をゆっくりと開き、弱弱しく尻尾を揺らしながら何処か億劫そうに口を開く。
「ああ、そうだよ、俺だよ! 親父、一体何があったんだ!?」
「……と、利枝が……」
「え? 義母さんが如何したんだ? おい、親父!?」
「…………」
しかし、俺の呼びかけも虚しく、親父は其処まで言った所で力尽きたらしく、揺らしていた尻尾をパタリと倒した。
見た所、規則正しく呼吸をしている所から、ただ単に気を失っただけで大した事は無さそうだが……。
しかし、親父がここまで衰弱するなんて、一体、親父の身に何があったんだ? それに義母さんの身に何が……?
と、俺が様々な事に対して思考を巡らせていたその矢先―――
ごと、ごとん!
「――――!?」
唐突に2階から響く物音、俺は咄嗟に身構えた。
音が聞えた位置から見て、音の出元はどうやら俺の部屋からの様である。まさかとは思うが……。
再び、嫌な想像が脳裏を過ぎる。―――くそっ、そんな事、あって欲しくは無いぞ!
「親父、俺はこれから二階に行って来る。だから其処で大人しくしてくれよ!」
長ソファのクッションの上に寝かせた親父へそれだけを言うと、俺は急ぐ様に二階へと向かう。
どうか、頼むから俺の想像通りの事態にはならないでくれよ! と、様々な存在に対して祈りながら。
自室へ到着した俺の前で、再び響く物音。
音の度合いからして、如何考えても部屋の中で人が暴れている様にしか聞えない!
「ちっ、間に合え――いや、まて」
俺は慌ててドアを蹴破ろうとして――その寸前で思い止まり、蹴り出そうとした足を止めた。
もし、ここでドアを蹴破ったら、その音で犯人を刺激してしまって事態を最悪な方向へ向けてしまう可能性がある。
ましてや、相手はあの親父を気絶するまでに追いやっている犯人だ。行動は慎重さを要する。
ここは先ず、犯人に気付かれない様に静かに、かつゆっくりとドアを開けて部屋の状況を確認するとしよう。
……本当は今直ぐにも部屋に飛び込みたい所だが、義母さんの為を思うならここは我慢だ!
「……」
ドアノブへ手を掛けて、慎重に手に力を掛ける。
どうやら鍵は掛かってなかったらしく、ドアノブを捻ると同時に小さな金属音が響き、ドアがゆっくりと開いて行く。
その開いた隙間へ覗き込むように、俺は物音が鳴り続ける自室の状況を確認し始め――
バタン
それを見た俺は何も言わず、ドアをそっと静かに閉めた。
……えっと、この場合、義母さんが犯人に乱暴されていた方がまだマシだったかもしれない。
いや、まあ、確かに乱暴されている方もかなり大事言っちゃあ大事なのだが、、
少なくとも、先ほど俺が目にした物に比べれば、そのショックの度合いはまだ少ない筈だ。
―――俺が見た物、それは義母さんが犯人に乱暴されている姿、では無く
「ああ、卓ちゃんの匂い、もう嗅いでいるだけで身体が火照ってきちゃう! あぁぁ、卓ちゃぁぁん!」
抱き枕の様に俺のベットの掛け布団へ抱き付き、恍惚とした表情で床をゴロゴロと転がる義母さんの姿だった。
しかも、その時の義母さんの格好は、薄手のネグリジェ一枚だけと言う何ともあられもない姿。
自室でそんな物を目にしてしまったら、何も言わずにドアをそっと閉めたくなるだろ、普通は!
――って、もしあの時、俺が思い止まらずそのままドアを蹴破ってたら、一体如何なってた事か?
……正直言って、考えたくも無い。
……その後、意識を取り戻した親父の証言により、
義母さんの痴態の原因が、先程から焚かれているお香による物だと判明。
どうやら、そのお香には、人間には大した影響が無い代わり、
嗅覚に優れるケモノには、ある本能を暴走させる効果を発揮するという、はた迷惑な効果があるそうで、
その事を知った俺が直ぐ様、台所で焚かれていた原因であるお香を処分した上で部屋の換気を行うと、
それから程無くして、義母さんは正気を取り戻したのだった。
その後、義母さんに聞く所によると、お香を焚き始めてからの記憶が無いらしく、
その上、親父自身もまた、その間の事を決して喋ろうとはせず、
結局、そのお香によって暴走した義母さんはあの時、親父へ何をやったのか、
そして何故、俺が発見した時には親父が憔悴しきっていたのかは、最後まで判明しなかったのだった……。
―――――――――――――――――――――終われ―――――――――――――――――――――
以上です。
もし、卓が1時間早く帰宅していたらどうなっていたか……それは皆さんの想像にお任せします。
すぐるんちは仲が良いなw
595 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/17(金) 21:17:10 ID:ZPEgDhWY
あーID変わってない、せっかく溶け込めると思ったのにやられた。
みんな荒れてしまえ
596 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/17(金) 21:18:07 ID:ZPEgDhWY
172 名前:名無しさん@避難中 投稿日: 2009/07/13(月) 01:12:51 ID:5fEzPrro0
(´゜゜)左腕を怪我したら血が止まらなくて病院行ったしもー
173 名前:名無しさん@避難中 投稿日: 2009/07/13(月) 01:13:31 ID:5fEzPrro0
(´゜゜)包帯巻いて帰ってきたら、知人に邪気眼って言われたわん
174 名前:名無しさん@避難中 投稿日: 2009/07/13(月) 01:14:01 ID:5fEzPrro0
(´´`)厨二病なのは図星だ。包帯してる自分、ちょっとイイかもす。
175 名前:名無しさん@避難中 投稿日: 2009/07/13(月) 01:14:43 ID:5fEzPrro0
(´゜゜)愚痴ったらすっきりしたしもー。 ぐっない!
ひょっひょっひょhっひょ呪いは効いたんだわ
597 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/17(金) 21:19:13 ID:ZPEgDhWY
>通りすがり
名前変えれば? じゃないと荒らされるよおまえのせいで。
598 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/17(金) 21:22:52 ID:ZPEgDhWY
さる
どうやら雨の日に男友達と下校するとサブイベのフラグが立つようです
凄い久しぶりの投下になってしまった。無理かもしれないがいつかエンディングまで持って行きたいです
「うっわー……傘差してたのに靴下までグショグショだ」
「こんな土砂降り久しぶりだね。梅雨に入ったって実感するよ」
膝下をぐっしょり濡らしながらも商店街のアーケードへと辿り着いた俺と雅人は、傘を畳んで一息つく。
今朝から降り続けていた雨は、ぽつぽつと長時間続くだけの小雨だったのだが、俺達が学校から帰る途中、突如として土砂降りへと変じたのだ。
いくら傘を差していても大きな雨粒は地面に降り注ぐたびに跳ね、制服の膝下を濡らし、靴へと染み込み、その中の靴下さえも水浸しにしていた。
この状態の靴を玄関に放置してしまうと、鼻の敏感な狼の皆さんから翌朝苦情が来るのだ。
だが、俺は毛皮が無いだけマシだろう。雅人の方が全身の毛皮がじっとりと湿り、非常に居心地の悪そうな表情を浮かべている。
「今アーケードから出てもまた塗れるし、小雨に戻るまで時間つぶさね?」
「うん。そうしよう。またあの土砂降りの中へ飛び込む気にはなれないや」
一歩踏み出すたびに、ぐじゅぅ、と濡れた感触が靴の中から伝わってくる。
俺も雅人に負けず劣らず居心地の悪そうな表情を浮かべながら提案した。雅人も同意する。
俺達はすぐに互いの財布の中を確認し合うと、その軍資金に見合った店を探して、アーケードの中をぶらついた。
軍資金は、俺の財布に1000円、雅人の財布に1300円。ファーストフード店のセットぐらいなら充分に足りる。
となると、俺達が目指すのはただ一点。30メートル先に見える、『M』の文字の看板を掲げた二つの店だ。
アーケード中央の交差点には、二つの大手のファーストフード店が対立するように向かい合わせに店を開いていた。
「雅人はどっち行くつもりだ?」
「僕は特にこだわり無いし、康太に合わせるかな。
強いて言えば、同じ料金で多く食べたい……かも」
「ああ、俺と同じだな」
雅人は顎を右手の人差し指で掻きながら、思案顔で答えるが、それほど考え込むところでもないだろう。
近くで接していると分かるが、雅人は基本的に根の優しい良い奴だけど、底抜けに神経が図太いかと思えば、時にどうでもいい事に深く考え込んだりと、少し変わったところがある。
おっとりして物静かな印象に反して、友達として付き合っていて、あまり退屈をしない。
俺達は、黄色い『M』を掲げた店へと向けて、好きなバーガー談議に花を咲かせながら進んでいく。
他愛も無い会話を続けながら、店の入り口は目の前と迫った時に、不意に女性の声が俺達を呼び止めた。
「あら、雅人君」
透き通った良く響く声だ。雅人と同じように声のした方を見つめると、人間のお姉さんが立っていた。
金髪に染めたパーマをかけたロングヘアーに、露出が多く背中や胸のラインを強調した服装、ブランド物のバッグに綺麗なアクセサリーと、随分派手な格好をした人だ。
明るい色をした化粧は、素材の良さを引き立てていて、何だか凄い美人だ。
帰宅部で読書家。趣味はテレビゲームに映画鑑賞という、地味な男子の代名詞のような生活を送る雅人と、一体どんな接点があるのか不思議なほどである。
「知り合いか?」
「うん。うちのお得意様のトモエさん」
俺がそう尋ねると、雅人がすぐに説明してくれる。するとトモエさんは苦笑交じりに話しながら、こちらへと歩み寄ってきた。
「こーら。オフの時まで源氏名じゃ堅苦しいわよ」
「あ、すみませんユミさん……。今日こちらにいらしてるのは、やっぱり?」
「堅苦しいから敬語もいらないってーのー。
で、こっちに来た訳だけどそのとーり。いつも通り即転売してOKだから」
少々置いてきぼりをくらってしまったが、二人の会話を聞いていると、大体ユミさんがどういう人か分かってきた。
アーケードを抜けて信号3つほど先に行くと、雅人のじいちゃんが営む質屋がある。
こじんまりして目立たない店だけど、雅人曰く常連さんが多いそうで、食べていく事には困らないらしい。
そして派手な格好をして源氏名があって美人がユミさんが、見たところ二十代前半の歳なのに、質屋のお得意様だというのだから、一つしか思い浮かばない。
もっとも、それを堂々と言うきにもなれないのだが。そんな風に考えていると、笑顔で雅人と話していたユミさんが、不意に俺の方を向く。
「君は……雅人君の友達?」
「あ、はい。雅人のクラスメイトの康太です」
「うんうん……。いいねぇ、青春時代の友情!
中卒から速攻キャバ嬢になって6年以上も代わり映えしない日々を送ってきたきた身にしたら、
君達高校生が羨ましくて堪んないわよもう」
「ゆ、ユミさん、あんまりそう言う話するもんじゃないですって……!」
「いいのよいいのよ。ほら、これお近づきの印にどう? 雅人君とこれからも仲良くしてあげてね」
「えっ、えっ?」
ユミさんは思った以上に随分とさばさばした性格で、身の上に何も負い目を感じている様子もなく快活に笑っている。
かと思うと、ブランド物のポーチから箱に入った腕時計を取り出して俺に差し出してくる。
「30万円するんだって。馬鹿よねー。キャバ嬢に貢いでも転売されるだけなのに」
「さ、さんじゅ……!?」
俺が30万円の腕時計に眼を奪われている側で、雅人は複雑な表情で頭を抱えていた。
おっとりしていて、物事にあまり動じない雅人が、こうも焦ったりする姿もあまり見れる光景ではないな。
「ユミさん、人前でそう言う冗談は……!」
「冗談なんかじゃないわよー。純粋に二人の青春を祈って!」
雅人が慌てるほど、ユミさんは熟練した男のあしらい方を見せて雅人をおちょくっていく。
見ているこっちが同情したくなってくるが、案外と雅人もまんざらではなさそうに見える。
雅人は途中からツッコミを入れることにも疲れたのか、大きな溜め息を吐いて、俺へと愚痴をこぼした。
「ユミさんもだけど、貢物を転売しにキャバ嬢さんが結構来るんだよ。
だけどみんな僕を子供扱いして面白そうにからかってさー……」
心底疲れた様子で雅人がぼやく。確かに来る人来る人におちょくられ手玉に取られていては、雅人も疲れるだろう。
温厚なこいつの事だから、多少のからかいやおちょくりはスルー出来ても、相手は男を手玉に取ることで生計を立てている女性だ。健全な男子高校生が対峙するには分が悪すぎる。
「ま、まあさ、好意的な感じだしいいんじゃないか。雅人がいるから店に来てくれるかもしれないだろ」
「そうよー。仕事柄オヤジやチャラ男ばっか相手にしなきゃなんないからさー。
雅人君みたいな真面目な年下の男の子と接する機会がないのよね。私も雅人君をからかうの楽しみにしてるし」
「もう……ユミさんに康太まで……ハァ…」
悩むな雅人。真面目で気が優しくて太めで、おまえは弄られキャラの星の元生まれている。俺は哀れむような視線を雅人へと向けながら、心の中で呟いた。
弄ってくれる相手が綺麗なお姉さんなだけでも儲けもんだろう。俺だって伊織さんが男だったら速攻で陸上部を退部している。
俺は軽く笑いながら、雅人の方をポンッと叩いて、「頑張れよ」と呟いた。女性に振り回される苦労を知っている奴がこんなに身近にいたとは、友達として共感できる部分が増えたというものだ。
「あはは、康太君、私だってちゃんと気を使って弄るわ。雅人君に嫌われたら困るもの」
「じゃ、じゃあやめてくださいって!」
ユミさんは、少し背伸びをして雅人の耳に手を伸ばし、楽しそうに弄くっている。女性にしては長身だがが、熊らしく大柄な雅人ほどではない。
雅人は分かり易すぎる反応をして毛皮を逆立てながら照れるが、言葉の割りに強引にユミさんの手を振り払ったりはしない。
まあでも、こんな人通りの多い場所でそれは、確かに恥ずかしいかもしれない。俺は、一歩だけ後ろに下がり、この二人とは関係ありませんよ、と言う振りをしてみる。
雅人が“逃げるつもりなのか”と恨めしそうな視線を投げかけてきたが、俺の関与するところではない。
「ゆ、ユミさん……、もうやめてぇ……」
「ふふ、可愛いー。びっくりするぐらい純なんだから」
いや、純も何も、男子高校生と言うのはそんなものです。普段イケイケ装ってる奴だって、実際に美人のお姉さんにおちょくられたら、今の雅人みたくなっちゃうものです。
嘘だと思うなら塚本君辺りをおちょくってみてください。確実に物凄い勢いで慌てだして混乱し始めるはずですから。
強調された胸の谷間を雅人の背に押し付け、純な青年を弄びながら、ユミさんはとても楽しそうに笑っている。
やがて雅人も、いつまでもここにいたって、果て無きおちょくりがあるだけだと気付いたらしい、大きな溜め息をついて、心の底から疲れた様子を顔に出すと、ユミさんを連れて、商店街の向こうへと歩いていく。
俺も、そんな二人を邪魔する気はないので、少々雅人を不憫に思いながらも、笑顔で手を振って二人を見送った。
さあ、買い食いも未遂に終わって金も余ったし、晩飯のおかずでも買って帰るか。
ああいうのを見せられた後だと、一人の下校が妙に寂しく感じる。いつのまにやら雲間も晴れて、夕焼けに照らされる商店街を、俺は買い物袋を片手に、一人立ち去るのだった。
続く
短いですがこれで。このシリーズはイベントを消化する感じなので一つ一つの投下は短いかもです
ひさぶーですね
投下乙です
康太、俺たち友達だろ?今日は一緒に帰ろうぜ
人妻っていい響きだよね
夏休みですねえ。 投下します。
「ところで、なんでサンがいるのよ」
「ちょっとしたミナへのプレゼントかな…」
「いらないよ。どうせ、イタズラでも仕込んでるんでしょ?」
田舎道を走る軽トラックの窓から吹き込む風が、小さな身体のサン・スーシの毛並みを揺らす。
助手席でのんきにお菓子をぽりぽりとかじっているサンに、時々ちょっかいをだすのは大学の同級生・杉本ミナ。
ハンドルを片手に隙を見て、サンのイヌミミをちょこんと軽く爪立てると、サンは反射的に尻尾を丸める。
荷台のバイクを気にしながら、ネコの毛を風いっぱい受けてミナは、サンと同じように夏の光をガラス窓から感じる。
じっとしていることにしびれを切らしたのか、軽トラがカーブを曲がるとゆっくりとバイクは揺れて存在をアピールした。
ミナがちょっとしたバイクの旅をしている途中、相棒が急に駄々っ子をこねた。スロットルを回しても、うんともすんとも動かない。
幸い街からは遠くなく、軽トラックをよこすようにミナは自宅のバイク屋に連絡をして、日陰で到着を待っていた。
現れたのは店主・ミナの父親と、おまけのサン・スーシ。ヤツは「たまたまだよ」とお菓子を頬張りながら澄ましていると、ミナは眉を吊り上げた。
「オヤジさんさ、この近所の家で人に会う約束してるっていうから、帰りはミナが運転しなよ」
「うん、旅館のおじさんでしょ。サン・スーシ、わたしの運賃は高いから覚悟しなさいよ」
荷台にわがままを言っているバイクを載せる。オヤジさんが約束している人の家に着くまでは、荷台でサンがバイクと共にする。
やがて、オヤジさんを約束の家まで送ると、車内に戻ってきたサンとミナの二人きりになった。
「ミナのエストレヤはよく磨かれてるね。エンジンにぼくの顔が映るよ」
「そうね、しょっちゅ磨いてるしね。そういえば、何年コイツに乗ってるかなあ…」
「長いよね」
「マーキングしたくなっちゃうくらい、お付き合い長いよ」
サンはミナの被っていたヘルメットを抱えて、相変わらずお菓子を頬張っている。ミナに差し出すと、ぱくっと指ごと噛み付いた。
「食べかすをメットに落とすな」と憤るミナは、お菓子の袋から一口分失敬した。
Tシャツにジーンズ姿でさばさばとした口調のミナは、金色の髪の毛と白いネコの毛並みから甘い女の子の香りを風にのせる。
くんくんとサンがその香りを嗅ぎつけると、それを察知したミナはサンの濡れた鼻をぴしゃりと軽く小突く。
しかし、サンもミナもまんざらではないというのは、大学の同級生だから…だろうか。
サンは仕返しとして、軽トラが信号待ちをしている間、シートからはみ出したミナの尻尾を軽く掴もうと画策するが、
ミナはサンのことなら何でもお見通しなんだから、と言わんばかりに尻尾を反対側にするっと避難させた。
「サン・スーシ、まだまだだね。これはイヌの浅知恵って言うのかな…?」
「浅知恵言うなよ」
逆上したサンは、ミナのわき腹に優しく人差し指でつんと突付く。これでも教壇に立つ教師なんだぞ、と憤慨したからでもあるし、
身長のせいで自分には出来ないミナのアクセル捌きを羨ましく思うことも、子どもじみた仕返しの理由だった。
床に届かない足をバタつかせながら、サンは諸手を挙げて背伸びをし、一方慣れた手つきでギアを操るミナは、ペロリと手首を舐める。
ルームミラーに透き通った空色が広がり、白い雲が天に向かうようにそそり立つ。
「あの雲、サンにそっくりだよ。マヌケなところが」
流れの速い夏の雲は空飛ぶ鳥よりも早く、どこぞかへと流れていった。
車が順調に彼らの街に向かっている中、サンは思い出したかのようにミナにナビゲートを始め、自分の足元のリュックを気にする。
そして、サンの荷物の横には一泊分の旅するミナのリュックが並んでいた。
「ミナ、次の交差点を左に曲がってくれる?」
「え?県道から外れるけど?」
「近道、近道。高性能の『サンナビ』はウソつきません」
空になったお菓子の袋に手を突っ込んでかき回すサンの指示で、ミナはハンドルを左に回す。
ミナは元々のルートから外れることにいぶかしげな顔をしながら、素直にサンの言うとおりに細い農道に軽トラを進める。
きちんと整備された県道から外れただけで、周りは畑ばかりの田舎の風景に変わっていた。
初めて来る土地だというのに、なぜか懐かしくもある風景にミナは飲み込まれ、そして今頃、父親は
昼まっから呑んだくれているのだろうか、とサンとは違う意味で心配していた。
車窓を眺めながら再び足を浮かせてバタつかせるサンを横目に、ミナはギアを上げると
荷台にバイクを載せた軽トラは、踏み込んだアクセルと共に気合を入れて音を上げた。
『サンナビ』は相変わらず、ミナの不思議そうな思いとは裏腹にマイペースな案内を続けている。
「ピンポーン。この先…まっすぐ、まっすぐ」
「この先って、坂道だよ…。ねえ、目的地はまだ?『サンナビ』ってポンコツじゃん」
「そんなことないよ。そのうち分かるって」
周りに畑ばっかりだった細い道を進むと、いつの間にか松林が道の両脇に生え揃う。
ギアを一段下ろし、ゆるい坂を登る軽トラはこの先の風景を知らない。無論、ミナもそうである。サンはイタズラを思い付いたような顔をして、
空になったお菓子の袋をくるくるっと丸めた。坂の頂までもう少し。細い道の両脇には松林が並ぶ。
「海だあぁ!」
窓から潮の香りがお邪魔する。天から太陽が笑い出す。波のざわめきも賑やかに、二人の五感に訴える。
坂の頂を過ぎると松林の隙間から、青い空と、白い波しぶき、そして砂浜が見え隠れし始めたのだ。
ここまで来ればあと一息。一気に軽トラは坂を下り始め荷台のバイクと共に、サンの待ちきれない気持ちと同じように二人を揺らしている。
「ふーん。そうゆうことね」
白い雲の変わりに、波が砕ける白い泡。まだ誰もいない、夏の始めの白い砂浜。星の丸さが嫌でも目に焼きつく水平線。
夏の香りがサンの目を輝かせる。彼のメガネにはきっと、ソフトクリームか何かが映っているのだろうか。
ゆっくりと軽トラは松林のトンネルを潜り抜け、砂浜の入り口で歩みを止めた。
真っ先に軽トラから小さい影が飛び降りた。
「ひゃっほー!いちばん乗りだ!!」
「海に行きたいのなら、はっきり言いなさいよ。サン・スーシ」
まだ何も知らない砂浜にイヌの足跡をつけて、一直線に波打ち際に駆けて行く一人のイヌ。
子どものような声をあたりに響き渡らせ、ミナが軽トラから降りたときには既にサンは浅瀬に立っていた。
「ミナも来いよ!!」
「やだね」
「気持ちいいってば」
ゆっくりとサンの残した足跡を辿り、波と戯れるサン・スーシを羨ましそうに見つめるミナは海に入れない理由を言いたがらない。
ミナが三歩近づけば、サンは六歩遠ざかる。かごから逃げた小鳥のように、サンは体いっぱいに外の光を受ける。
両手で海水を掬い上げ、あたりにまき散らせるサン・スーシの姿はどう見ても子どもであった。
波打ち際まで近づいたミナは、尻尾を下ろして歩みを止める。尻尾の先が砂に線を描く。
ざざあ、ざざあ…と続けて緩くミナの足元まで波が来るものの、不意に大きめの波がミナの足に飛び掛る。
「もー!!濡れちゃったじゃないの」
ミナは白い毛並みから海の水が垂れる尻尾をニ、三度振りながら、必死に水気を振り飛ばす。
波が落ち着いた隙を狙って、浅瀬ではしゃぐサンに少しでも近づこうと、再び波打ち際まで近寄ると、
海原にからかわれているのか、またも大きめの波に不意打ちをされる。ミナは尻尾が海水にずっと浸っているのに気付かない。
「『なつ』い『あつ』には、海ではしゃぐに限るよね!」
「サン・スーシ!!こっちに戻って来なさい!!海に投げ飛ばしてやるんだからね」
「それじゃあ、ミナがこっちに来いよ」
海風に金色の髪をなびかせながら、ミナはぐっと両手を握り締め、流れ着いたイカの甲羅をサンに投げつけた。
サンの膝ほどの深さの浅瀬さえ、ミナは海に入ることが出来ない。
ミナなら脛ほどの浅さであろうものだが、海を拒む理由はただ一つ。
「わたしがネコだからって…サン・スーシのばかぁ!!」
「ん?聞こえないなあ、はは。ぼくの耳の元で言ってくれなきゃねっ」
砂の中に潜り込むシャコを捕まえながら、サンは尻尾をミナに向かって振る。
海に入ると、何もかも許され子どもに戻るような気がする。
それはまるで胎内に戻ったかのような錯覚を起すからだろうか。そんな小難しい理由はサン・スーシには通用しない。
行くところ訪ねるところ、場所を選ばず遊び場に変えてしまう小さなイヌを言葉で説明することなんか、誰もできやしない。
「うはあ!!海の水、しょっぱああ!!」
跳ねた海水がサンの口に入る。母なる海からのお説教なのだろうが、それでもサンは堪えない。
突如として、サンの足がひんやりと海風にさらされる。急に空に近づいたような気がする。
「ほら…。サンの耳元まで来たよ。脇に爪立てちゃおっかなあ」
海で足が濡れるのを覚悟で、ミナがサンの背後にやって来た。だが、声はいかにも「ガマンしてます」という響きである。
サンの両脇を抱え、ひょいと持ち上げるとイヌの表情は、水をやり忘れた朝顔のような顔になった。
「それっ!」
小さな体が青空に舞う。太陽の光を浴びてメガネが光る。逆光になって尻尾をくるんと丸めるサン・スーシ。
空は遥かに高く、下には冷たい海が広がる。海風に乗ってそのままどこかに飛んでいってしまおうか。
鳥たちに空を独り占めさせるなら、一口ぐらいは分けて欲しい。もしや、サンの背中に羽根が生えてしまうんじゃなかろうか。
そして、ひらりとどこぞへと飛んでゆき、地上だけならず、空をも征してしまうんじゃなかろうか。
いや、天下無敵のサン・スーシもさすがにそれは無理なこと。いちにのさんを数える前にもんどりうって、地上のケモノへ戻ろうか。
青い星の引力に誘われて、水しぶきの音を耳にしたサン。ところが、激しい音のわりには濡れているのは足元だけとは、これいかに。
「もう、最悪!!びしょびしょじゃないの!!」
「…ミナ、自分でコケたくせに」
髪から塩っ辛い水をたらして、しりもちをついたミナは半分海に体を沈め、不機嫌そうに尻尾を揺らす。
そのたびに水しぶきが飛び散り、男勝りなミナの隙をサンは垣間見た気になる。ニヤリと見つめるサンが気に食わなかったのか、
ミナは濡れたついでだからと手で海水をすくい上げ、えいっとサンに浴びせつけた。
―――旅の途中ということもあって、余分にミナは下着の着替えを持っていたことがなによりも幸いであった。
「悪いけど、わたしの着替え…もうないよ。昨日着たのなんか、やだからね!」
「はいはい、ぼくのを貸してあげますよ。しっかし、さっきの着地はよかったなあ。おかげで服を濡らさず…」
「叩くよ」
浜辺近くの松林に建つお手洗いで全身を真水ですすぎ、ミナはタオルで拭きながらの陰から叫んだ。
ミナのまた水に濡れるのを嫌がる姿が、サンの脳裏に映るではないか。それを悟られたのか、
「覗いたら、ビンタをもれなくプレゼント」と、中からミナの低い声がしたが、サンは邪な考えは毛頭ない。
サンはミナと自分のリュックをお手洗い入り口まで運び、ミナが再び戻ってくるのを待っていた。
しばらくすると、濡れた自分の服をビニル袋に入れて手にし、サンの短パンとTシャツを借りたミナがサンに向かって跳んできた。
「あのさ…このシャツさ、丈が小さいんだけど」
「ぼくには丁度いい大きさだよ」
「そんなことを言ってるんじゃないの!わたしのおなかが見えてるじゃない!!尻尾もスースーするし」
「イヌ用の尻尾穴だからちょっと大きめなのかな」
サンより背の高いミナには、サンのTシャツはお子さま用のようである。
恥ずかしげにシャツの裾を延ばすミナの姿を見て、サンはニッと笑うが癪に触ったのか、げんこをサンの頭にぐりぐりとねじり込む。
「サンはいっつもわたしの邪魔ばかりする!」
「そんなことしてません!」
「だって、わたしが教師になるのをあきらめたのは…。サンのせいだからね」
「…知らないよ」
一瞬、波の音だけが二人の間を通り抜ける。
風がミナの髪を揺らすが、甘い香りはそれほどしない。
照れ隠しにミナは手首を舐めるが、もはや遅い。
「サンと一緒に行った教育実習を見て思ったの。『わたし、この人にはかなわない』って。わたしが頑張っても、サン先生以上になれないって」
「そんなのやってみなきゃわかんないじゃん」
「同じぐらい…いや、それ以上頑張ったんだから、そう言ってるんじゃないの!理屈チビ!!」
「すーがく教師は理屈チビじゃなきゃ務まりません!!」
おなかから出した白い毛並みを揺らしながら、飛ぶように軽トラに駆け込んだミナ。エンジンを掛けるとUターンさせて砂煙を上げる。
残されまいと必死に追い駆けるサンは、海との別れをちょっと寂しく思うのであった。
「サン先生!置いて帰るぞー」
「ねー。もうちょっと、遊ぼうよ!」
―――「サン先生、遊びに来たんじゃないんですよー」
「海だあぁ!ひゃっほー!いちばん乗り!!」
猪田先生の運転する車の中で、サン先生は歓喜の声をあげる。
泊瀬谷先生は少し困った顔で、無邪気なコドモな先生をやんわりとたしなめる。
松林を抜け、白い砂浜を見渡す夏の海。さんさんと輝く太陽は、つい先日と変わらない。
車が止まると、真っ先に飛び出したのはサン先生だった。
「サン先生の知り合いのお父さまの紹介の旅館、本当にありがたいです!」
「ええ、ロケーションもバッチリですな。うちの子どもたちにも見せてあげたいくらいの絶景だね」
「こんな素敵なところで林間学校ができるなんて、この夏が楽しみですね」
続いて猪田先生と泊瀬谷先生は周りを見渡しながら、夏風に吹かれていた。その頃、サン先生は既に浅瀬でシャコと戯れていた。
下見そっちのけであるサン先生が、海の中から大きな声で浜辺に向かって叫ぶ。
「ほら!泊瀬谷先生も早く!早く!」
「ええ?わたし…水が苦手なんですよお」
尻尾をたらし、眉を下げて泊瀬谷先生は手を振った。
その答えを聞いてニヤリとサン先生は笑うが突如として、サン先生の足がひんやりと海風にさらされる。急に空に近づいたような気がする。
「サン先生、ここまで来ましたよ。脇に爪立てちゃおっかなあ」
サン先生の背後には、ガマンしながら浅瀬に立っている泊瀬谷先生の姿があった。
泊瀬谷先生はサン先生を抱え上げ、ぽーんと放り投げる。小さな体が青空に舞う。太陽の光を浴びてメガネが光る。
逆光になって尻尾をくるんと…と、この間のような華麗な技は飛び出さなかった。なぜなら泊瀬谷先生、サン先生を投げ飛ばせなかったのだから。
その結果、サン先生はほとんど飛ばずに尻もちついて、水しぶきを上げて被害をこうむる。
「わーん!びしょ濡れだ!!」
―――「早く乾かないかなー」
自宅の庭で青い空に並んでなびく洗濯物を杉本ミナは、自宅の畳の居間から眺めていた。
相変わらず太陽は青い星を照らし続け、地上のケモノたちにも夏をお裾分け。風鈴がチリンと小さな音を奏でる。
おかげで洗濯物は乾くのだが、ミナは暑い日差しに心なしか閉口していた。一方、父親はビール片手に夏を楽しんでいる。
庭と繋がっているガレージに止めたミナのバイクは、すっかり元気を取り戻し、ミラーは光を反射させている。
ちらと、ミナは相棒を見つめ呟いた。
「また、サンと海に行きたいな…」
おしまい。
投下終了です。
あーもーかわいいなぁ、乙。
やっぱなんか一味違う文章だよね
なんか、なんて褒めたら良いか分からんけど大好きだ!
GJ様!
おぉ、ミナ視点だ。本当に水ダメなんだな。そしてやっぱ好きなんだなぁ、サン先生のこと。
しかし相変わらず描写能力すげー。読んでるだけで海行って気持ちいい気分になったわ。
サン先生、シャコと戯れるのは良いけど、シャコはカニ以上に危ないから気をつけるんだぜ?
何せ、シャコの爪から放たれるシャコパンチは二枚貝の殻を簡単に叩き割る威力があるからな。
高校の頃、修学旅行先の海岸で見つけたシャコを捕まえようとしたら、
シャコパンチの一撃で指の爪が割れて悲鳴を上げる事になった俺からのアドバイスだ。
>>620 綺麗な景色だなぁ……去年辺りに住んでた家近くの海を思い出すよ。
それとサン先生、海で遊ぶのは良いけど後でシャワーを浴びるのは忘れないでね?
毛皮に付いた塩水が乾燥してとっても痒い事になるから
おかしい、なぜグロを書かない?
623 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/19(日) 10:44:49 ID:9intH1PG
出来たよ(+o+)
俺の名前は佐藤。狼獣人だ。
俺はギルドの仕事を終え歩いていた。腰にはダガー「赤の血飛沫」。
その時地面が揺れ触手が飛びだしてきた。
俺は赤の血飛沫を構え斬撃を加える・・・手ごたえが無い。
切っても切っても即座に復活しているのだ。
いつの間にか俺は全裸にされ犯されてしまった。
尻がうずいて仕方がない。そこに人間の男が現れる。
「この実験生物はどうだった?淫乱な冒険者さん」
「うう・・・もっと犯してくれ」
「この口調で言う事かな?奴隷は奴隷らしい口調で言ってごらんよあはは♪」
「犯して下さい」
俺の尻に男の肉棒が入れられた。
こうして俺は男の奴隷となってしまった、快楽で俺は気が狂った。肉奴隷(笑)
625 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/19(日) 19:03:51 ID:a1Fec8Ii
うざいねえ
626 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/19(日) 19:31:34 ID:a1Fec8Ii
623は私ではありませんよ
627 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/19(日) 20:01:58 ID:a1Fec8Ii
このスレは滅びなければならないのです。
悪いのはあいつ。
削除依頼してきました。
依頼乙。
>>613 林間学校が出てくるとは思わなかった!またネタが広がっていきそうだ。
依頼おつん
なんか読んでると林間学校ってより臨海学校って感じだなw
この調子で林間学校ネタも書いてくれるんなら楽しみにしてようかな
明日は家の近くで夏祭りがあるんだなあ、と思いつつ俺が通りますよ……
これより
>>613からリレー?した話を投下します。
「ひゃっほ―、海だぁぁぁ!」
空に真夏の日差し煌く白亜の海岸、子供の様にはしゃぐサン先生の声が波音を一瞬だけ打ち消す。
その後に少し困り顔で付いて来るのは泊瀬谷先生、そして猪田先生。
そして更にその後には、ビーチマットとビーチパラソルを両脇に抱えた獅子宮先生の姿があった。
今日は佳望学園高等部の臨海学校の下見。海に危険が無いかを確める為に彼らはここに訪れたのだ。
「ほら! 泊瀬谷先生も早く! 早く!」
「ええ? わたし…水が苦手なんですよお」
早速波打ち際で遊んでいるサン先生と泊瀬谷先生を横目に、
獅子宮先生は波打ち際から少し離れた場所にビーチマットを敷いて、その側にビーチパラソルをしっかり立てると、
パラソルを開いてその影にビーチマットが入っているのを確認し、ビーチマットへごろりと横になる。
そして、咥え煙草へ火をつけた獅子宮先生は、空の青と海の蒼の触れ合う水平線を眺めて心地良さ気に呟く。
「……こう言う所で吸う煙草も、一興だな」
「おや? 獅子宮先生も海に入らないのですか?」
「いや、私は結構だ。私は海に入ってキャイキャイと遊ぶ様なガラじゃあないんだ」
隣に座った猪田先生へ言って獅子宮先生は煙草をプカリ。煙は夏風に吹かれて消えていった。
目の前では、勇気を振り絞って海に入った泊瀬谷先生の逆襲によって浅瀬へ尻餅を付いたサン先生が喚く姿。
相当派手に水飛沫を上げたらしく、サン先生は服はおろか尻尾も耳の先もずぶ濡れ。
それを目にした獅子宮先生と猪田先生の顔に、自然と笑みが零れる。
と、其処へ一旦海遊びを切り上げたサン先生と泊瀬谷先生が談話しつつ戻ってきた。
「あーもう、酷い目にあったよ……」
「つまらない事をするからそうなるんですよ? サン先生」
「ふふ、濡れ鼠ならぬ濡れ犬か。中々似合ってるじゃないか、とっつあんぼうや」
「もう、獅子宮先生まで! ちょっと着替えてくる!」
獅子宮先生にからかわれてぷうっと頬を膨らませたサン先生は、
着替えの服でも取りに行くのか浜辺へ止めた猪田先生の車へ一直線。
夏風の様に去り行くサンの尻尾を見送った獅子宮先生はクスリ、とだけ笑うと、再び煙草をぷかぷかと吸い始める。
その横に座っているのはかつての恩師。高校生の頃だったら煙草を咥えるなり即座に注意をされて居た事だろう。
しかし、今の獅子宮先生は毛並みもそろった立派な大人、煙草を吸うかつての教え子に猪田先生も苦笑いを浮べるしかない。
「獅子宮先生、煙草を吸うのも良いですけど、程々にしておいてくださいね?」
「分かってるさ、泊瀬谷。…だが、こう言う時、こう言う場所じゃないとのびのびと煙草を吸えなくてな」
悪く思わないでくれよ? と笑う獅子宮先生に、泊瀬谷先生も仕方ないですねと返す。
近頃、健康増進法のお陰で煙草が吸える場所が減ったと、獅子宮先生は至極残念そうにぼやいていた。
そんな姿を目にしていたら、たまには思いっきり煙草を味あわせてやっても良いかな、と泊瀬谷先生が思うのも無理も無い。
「やはり、こう言う場所で吸う煙草もいい物だな」
純白の言葉をそのまま体現したような白亜の砂浜。
波と共に涼しく優しい海風を送り続ける母なる青い海
眺め続けていたらそのまま吸い込まれてしまいそうな蒼い空。
一つまみして口に入れたら甘い味が広がりそうな白く大きな入道雲
こんな爽快な環境の中でのびのびと吸う煙草は、何時もの肩身の狭い想いをして吸う煙草とは一味も二味も違う。
そう、心地良い気分を味わいながら、獅子宮先生がもう一息煙を吸おうとした矢先。
ばしゃ
―――その顔へ不意に掛かる水飛沫。
獅子宮先生は何が起きたのかも分からないまま、咥えている煙草へ目を移すと
すっかり濡れてしまった煙草が途中からボロリと崩れ落ちる様子が見えた。
「やったぁ! 命中ど真ん中!」
「…………」
突然の事で猪田先生と泊瀬谷先生が硬直する中、
獅子宮先生がぎぎぎっ、とまるで長い間手入れされていないブリキ人形の様に水が飛んで来た先へ振り向く。
其処には、肉球のアップリケをあしらった水着に水玉模様の浮き輪、そして片手に水鉄砲と言うフル装備のサン先生の姿。
どうやら、着替えに行ったと見せかけて、猪田先生の車の中で水遊び装備へフォームチェンジを行い、
そして、こっそりと獅子宮先生の死角へと接近し、その手にした水鉄砲で咥え煙草をスナイプした、と言った所だろうか。
心地良くなっている所で文字通り水を差され、呆然とする獅子宮先生へサン先生は尻尾を振りながら勝ち誇った様に
「へっへん、ボクの事をバカにしたお返しだよ! 獅子宮センセ」
「……やってくれたな、とっつあんぼうや」
「うわ、怒った! やっベー、逃げろー!」
ようやく自分に起きた事を理解した獅子宮先生が、全身に怒気を纏わせつつゆっくりと立ち上がった頃には、
サン先生は子供の様にふざけながらくるりと踵を返し海の方へダッシュ。そのままざぶざぶと海の中へと入る。
そして、浮き輪でぷかぷかと海面に浮かびながら、サン先生は波打ち際で尻尾を振りまわす獅子宮先生へ囃し立てる。
「ほらほら、獅子宮センセ! 悔しかったらこっちまでおいで!」
「……」
しかし、獅子宮先生は隻眼の瞳で睨むだけで海に入ろうとしない。
そう、獅子宮先生の種族である獅子族はネコ族の親類だけあって、水が苦手。
その上、今、サン先生が居る浅瀬は獅子宮先生の胸の辺りの深さがある。
これならば、幾ら獅子宮先生といえど追ってくる事は出来ない。……そう、サン先生は考えていた。
「サン先生、悪い事は言いませんから今直ぐ獅子宮先生へ謝った方が良いですよー?」
「そ、そうですよう? 早く謝らないとこの前みたいに髭を全部抜かれちゃいますよー?」
砂浜の方から必死にサン先生へ呼び掛ける猪田先生と泊瀬谷先生。
むろんの事、トリックスターなイヌの教師は全くもって聞く耳持たず、更に獅子宮先生へ囃し立てる。
「ほらほら、海に入ったら気持ち良いよ―? まあ、獅子宮センセには無理だと…思う…けど…?」
しかし、そのサン先生の言葉は途中から波の音にかき消される事になる。
全く躊躇する事無く、ざぶざぶと海中へ入って行く獅子宮先生の姿を前にした事によって。
「あ、あれ? 嘘でしょ? 獅子宮センセ、無理しちゃダメだって、ねえ?」
サン先生の言葉を耳にも止めず、海中を行く大魔神の如くサン先生へ迫ってくる獅子宮先生、
当然、激しく狼狽したサン先生は慌てて沖の方へと逃げようとするが、
海は悪戯者の味方にはなってくれず、押し寄せる波は必死に泳ぐ小さなイヌを海岸の方へぐいぐいと押し流す。
それでもサン先生は必死に泳ごうとした所で、手足に感じていた海水の手応えが急に消えたのを感じた。
「よう、とっつあんぼうや。ずいぶんとご機嫌な様だったな?」
直ぐ後にいた獅子宮先生が片手でサン先生の頭を掴み、天高く持ち上げていた。手足が空を切るのも当然である。
その声はどちらかといえば我慢していると言うより、身体の内で煮え滾った怒りを堪えている様な響き。
ポタリ、ポタリ、とサン先生の身体から落ちる水滴の中に、彼の冷や汗が混じっていてもおかしくはない。
「さては、私が水の中に入ってこれないとかハッピーな事を考えていたんだろうな?」
獅子宮先生は掴んでいるサン先生を自分の方向へ向けると、ギタリと牙を見せて笑って見せる。
その時、サン先生の背筋に走った寒気は、決して海水の冷たさだけの物ではないだろう。
ふと海岸の方を見れば、其処には指で十字を切っている猪田先生と、何かに祈る泊瀬谷先生の姿が見えた。
「そんなハッピーな思考のお前に一つだけいい事を教えておいてやる」
「え、えっと、それってナにかな?」
ようやく喉から搾り出したサン先生の問い掛けに、獅子宮先生は「それはな…」と呟くと、
「私は中学の頃に、水は克服済みだ!!」
吼える様に叫びながらサン先生を沖の方へブン投げた!
乱暴な子供に投げられた玩具の様に宙を舞うサン先生、太陽の光を浴びてメガネが煌く。
逆光になって尻尾をくるんと…と、其処までした所でサン先生はふと気付いた。
(あ……そう言えば、海のど真ん中で着地なんて出来っこないじゃん!?)
ざぽばーん!!
しかし、其処まで考えた所で、サン先生は派手な水音と共に意識を失った。
「ん……あれ、ここは?」
「あ、サン先生、大丈夫ですか? 体の具合は如何ですか?」
「あ、うん、何とか大丈夫…」
――次にサン先生が意識を取り戻した時、
サン先生は海岸のビーチマットの上で泊瀬谷先生に介抱されている所であった。
どうやら、溺れてしまう寸での所で誰かに救助されたらしい。
「全く、獅子宮くん…幾ら頭に来たからってあそこまでする必要はないだろう?」
「………」
ふと、サン先生が横を見ると、其処には猪田先生に正座で説教される獅子宮先生の姿があった。
その様子の余りの滑稽さに、サン先生が思わず笑いを漏らそうとした矢先。猪田先生は衝撃的な事を言った。
「僕が人工呼吸しなければ、危うくサン先生は死ぬ所だったんですよ? 分かってるんですか?」
「…す、すまない…」
(……え゛? じ…じんこうこきゅう? い、猪田先生が、ボクに?)
この時、サン先生は自分の心にピシリと大きな亀裂が入るのを感じていた。
つうこんのいちげき サンの心に875のダメージ、サンは力尽きた。
と言う声が心の何処かで響くと共に、サン先生は再び意識を失った。
「――――」
「ちょ、サン先生? 何でまた気絶するんですか? サン先生!? サン先生!?」
「敬語を使いなさい! 獅子宮くん。今、君は教師じゃなくて生徒として僕に叱られている事、分かってるね?」
「ご、ごめんなさい……」
―――そして、真夏の太陽が輝く海岸にて。
かつての恩師に叱られる獅子の教師と、衝撃的事実を知って気を失ったイヌの教師の間を
何時もの様に夏の海風が静かに吹き抜けるのであった。
JTの挿絵希望
以上です。
ここ最近は海に行ってないなぁ(´・ω・`)
いのりんテラ命の恩人
639 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/20(月) 01:14:58 ID:QmNiB6xB
いえいえ天候制御の絵が見たいです
「うーむ、完全に挨拶するタイミングを逸してしまった」
サン先生が水際で獅子宮先生を挑発し始めた頃、美術教師水島は少し沖の海に居た。
立ち泳ぎで頭だけ出して浜を観察する姿はさながら海坊主である。
彼はサン先生率いる臨海合宿の前調査とは全く別の目的で、偶然同じ浜を訪れていた。
《夏期休暇限定、黒潮に乗って北上部》の前調査である。
水棲生物な生徒達からは通称《くろのり》で知られる恋の芽生えるチャンス多き人気の
部活だ。
だが水島が実際に泳いでみた結果、一昨年にも増して巨大クラゲが多いため、やむなく
中止を決定したところであった。
夏休みに愛しい生徒達(主に女子)に会えない事を残念に思いながら浜に向かう折、サン
先生一行を見つけた次第である。
水島が浜を見やると、サン先生が獅子宮先生に水を掛けた。
獅子宮先生の毛並みが濡れ、服が濡れ、テラテラと輝く。
「ほほう……」
意味深に呟く水島。
水面下で鼻の下はのびていた。
エロ海坊主である。
サン先生が海へ駆け、挑発する。
獅子宮先生が憤怒し、海へ駆ける。
そして目にも止まらぬうちにキャッチ&スロー。
片腕をぐるりと回した男勝りなピッチングであった。
水島は、外野に高く上がったフライをキャッチするような心持ちで、サン先生の放物線
を眺めていた。
「おー、よく飛んどるのぅ……オーライオーライ」
──ドバチャーーン!
「ぐえっ!」
見事、回転のついた白球(サン先生)が水島にミートした。
ランナーアウト。
ランナーのシャコが悔しがったかは判然としない。
(いててっ!マジ洒落にならんくらい痛かった!)
水島は水中に潜ってサン先生と距離を取った。
が、打ち所が悪かったのか、サン先生は白目を剥いて沈んで来た。
(ちょっ……!起きろ!起きろサン先生!傷は深いか?浅井カー!)
水島はテンパって親父ギャグを飛ばしたが、アザラシの水中話法を犬が解するはずも無
い。
水面に浮上して、サン先生の口をしっかり押さえる。
(戻ってこーい!)
水島はサン先生の口をしっかり押さえたまま、サン先生の鼻先に空気を吹き込んだ。
「ぶはっ!げほっ!し、死ぬかと思った」
サン先生が水を吐いて気を取り戻した。
「大丈夫ですかサン先生?ワシが人工呼吸しなきゃ死んでましたぞ」
「あれ、水島先生?なんでここに……ていうかじ人工呼吸ぅぅ?!せ、先生がやったの?」
「当たり前でしょうが」
「うーん……」
がくっ。
サン先生はまたもや気絶し、水中に沈んでしまった。
水島は慌ててサン先生を引き上げようとしたが、「大丈夫ですかサン先生!今助けます!」
と叫ぶいのりんが猛然とクロールで近付いて来たので、水島はいのりんにサン先生を任せ
て、見つかる前にその場を去ったのだった。
サン先生が獣同士の人工呼吸がマウストゥマウスでは構造的に成立しないのに気付いた
のは、浜辺から帰って口を濯いだ時だったとさ。
お終い
黒幕がいたのかw
猫とか小犬が溺れて水飲んでた場合、脚掴んで思い切り振り回して吐き出させろ、って聞いたことがある
水島先生って使いづらいんだよね
作者のトリが某氏だから・・・
黒い毛の獣人は日光を吸収しまくって暑そう
黒豹とかどうするんだろう……
649 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/20(月) 22:28:48 ID:221KUxE2
焼けただれて苦しんで死ぬ
650 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/20(月) 22:31:06 ID:221KUxE2
こんなに登場キャラが居るんだから一人ぐらい死者が出ても可笑しくないわね。
私も小説書こうかしら。
651 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/20(月) 22:33:32 ID:221KUxE2
誰からも相手にされなくても良い
復讐しなければならないのです。
652 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/20(月) 22:35:07 ID:221KUxE2
ここのスレ民がバトロワスレも見ていることはわかっている。
私に喧嘩を売っていることもな!
なにこれ・・・
荒らしに構うのも荒らしと同じだよ。
あとでレスまとめて削除依頼出してくる。
修行を積み、心を無にすれば、自ずともふもふ感漂うレス以外は見えなくなるのじゃ
>>655 スフィンクスの猫人「あの……それだともふもふじゃない僕は見えないって事ですか?」
ここのスレは荒らしに対するスルースキルかなり良い方で、心強いよw
>>656 すべすべに触られるんですね、わかります。
海ネタで思い出したけど、花火大会や夏祭りネタもまだまだあるよね。
あとは夏休み中の、学校での講習とかもあるなー。
>>656見てくれに惑わされるでない、もふもふ感とは心で感じるものなのじゃ
利里「もふもふだぜ!」
堅吾「おう!」
猛「……」
鎌田「ゴツゴツだね」
奥さん 「ぶよぶよだねー」
お子さん「だねー」
いのりん「……ごめんなさい」
このスレも股間同盟です
▼・ェ・▼
>>660 いのりんのお腹は一年を通して周期的に増減します
しかし歳を重ねるごとに少しずつその総量が増しています
663 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/21(火) 18:29:37 ID:ZAYDYmJQ
地球温暖化の気温変化のグラフのようにな
>>664 相変わらず利枝さんは美人だなぁ……
これで英先生と同い年とは到底信じられnウワナニ
花屋「そろそろ、……結婚したい」
そういえば花屋の枯れてる店長も黒豹だっけか
跳月「晴れろ、晴れろ!」
白倉「跳月先生、空に腕をかかげて何してるんスか?」
跳月「皆既日食が曇りで見られないかもしれないんです、お祈りしてるんですよ、念で」
白倉「天気予報じゃ晴れっぽいッスけど」
跳月「不安なんです」
白倉「跳月先生ともあろう方が、雨乞いだなんて、なんか意外ッス」
跳月「あまごい? 雨乞いじゃないですよ、逆ですよ」
白倉「ん、あれ?」
跳月「そうですよね、こんな非科学的なことをするなんて、僕もどうかしてました」
白倉「いえいえ、一緒にヤりましょう」
跳月「え?」
白倉「晴れろ、晴れろ〜〜」
跳月「晴れろ、晴れろ!」
校長「ブホッ」
シロ「仕事、しろよ」
>>669 「あれ? 獅子宮先生。そんなにてるてる坊主を作って如何したんですか?」
「ああ、泊瀬谷か……なに、滅多に見られない物を見たいと願うのは、誰でも同じって事さ」
「はぁ、そう…ですか?」
671 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/22(水) 02:37:33 ID:Z4KMOORW
なにこの流れ…
雲の隙間から三日月っぽいのが見えた
次は20年後か…
天文部は日食見れたかな
天候を制御しました
▼・w・▼
直前に日食チェック用の遮光レンズを買い忘れた事を思い出し自転車に乗って近所の店を梯子するいのりん
そして辿り着いた最後の店で何とか見つけるも同じ理由で駆けずり回ってきたマーシャが立ちふさがる
壮絶なジャンケンバトルが開始されたが勝負がついたときにはサン先生がお買い上げしていたのだった
お子さんの方にはサン先生のプレゼントとしてちゃんと遮光レンズは届きましたよ
このスレ、クオリティ下がりましたね・・・
とても残念です。
677 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/23(木) 00:50:03 ID:LTFSCC19
「そうは言ってもですね、泊瀬谷先生……。次の皆既は何年後だと思ってるんですか。たしか二十……」
「次は、二十六年後の九月二日ですよ」突然二人の足元から朗らかな声がした。
「うわぁ、そら先生いつの間に!」
三人が驚いて飛びのくと、足元には小柄な狸の女性が盆を持って立っていた。
背の丈は泊瀬谷と同じ年とは思えないほど小さく、サンより一寸ばかり高いか、というくらいだ。
かろうじて開いていると分かる細い目に、柔らかな光が宿っている。
そらと呼ばれた彼女、百武そらはにこやかに二人に湯飲みを差し出した。
「白倉さんも跳月さんもそんなに浮かない顔しないで下さいな。まあ、お茶でも飲んで元気を出してください」
「百武先生、アンタ日食って自分の専門分野じゃないスか。何故そんなに落ち着いていられるんスか。
皆既ッスよ?滅多に見られないんスよ!?」
白倉の怒涛の問にも、百武は何時もののんびりした口調で答える。
「皆既日食なんて、生きていればいつかは見れますよぉ。私は皆既より金環食の方が好きですしね。すぐ三年後に見られますし」
「ああ、そうか。金環ももうすぐですね。たしか皆既よりも金環のほうが珍しいんでしたっけ」
「金環っスか……。まあ悔やんでいても天気がどうにかなる筈がないっスね。三年後に期待しますか」
「へぇ、金環ってのも結構すぐに見られるんですね。その頃には私、教師として落ち着いているのかなぁ」
1番目の文章誤爆した……。
場所変えただけなのに恥ずかしい……。
>>677よりさきにこっちです。
水滴が窓ガラスに当たって弾け、一筋の跡を残して消えていく。
梅雨は明けたというのに、外ではざあざあと雨が降っていた。
「ああ〜、何故こういう特別な日に限って雨が降るんスか!」
「まったくですよ、皆既なんて滅多にないことなのに」
佳望学園の職員室では白倉と跳月が愚痴をこぼしながら窓辺で頬杖を付いていた。
いつもはハードボイルドな獅子宮の顔もどことなく曇っているように見える。
職員室では他にも数名が、仕事の合間に、夏休み最終日の小学生のような顔をしながら外を見つめていた。
「て、天気はどうにもなりませんからね……。お二人ともそんなに落ち込まなくてもいいじゃないですか」
二人の傍へ寄り、泊瀬谷が声をかける。
彼女も数十年ぶりだ、と言われている日食を楽しみにしていたのだが、二人の背中を見て、落ち込んではいられないと感じたようだ。
だが楽しみを潰された二人には泊瀬谷の言葉も功を成さず。
跳月がどんよりとした声で呟く。
百武の言葉に三人はいくらか励まされたようではあった。
その様子を見た百武は胸を撫で下ろしたが、何時もの面子に一人誰かが足りないことに気づいた。
「あれ?そういえばサン先生がいないですね」
「あ、そういえばいないッスね。雨だからプールにはいないはずですし」
「ひょっとしてわざわざ南の島まで見に行ってたりして……」
「泊瀬谷先生、いくらサン先生でもそれはないですよ」
跳月が突込みを入れ、職員室はしばらく暖かい空気に包まれた。
一方その頃、某島にて――
「こんな嵐になるなんて聞いてないよ!こんなんじゃ観測どころじゃ……うわぁぁぁぁ!」
この日、サンは生まれて初めて大空部の力を借りずに空を飛んだという。
支援
日食ブームに乗じて新しい先生(ロリ)投入してみます。
担当は地学。天文部顧問かな?
ちなみに苗字はヒャクタケ。初恋の人はアルタイル。
白先生、なにやってもいいのよ(^q^)
い、いやしかし、それは俗にいうババ……後ろから殺気がうわなにをs
>>681-682 新属性ケモロリババァって事ですね、分かり―――いえ、分かりません、ハイ(滝汗
>>681 書き忘れていたけど、色々な意味でドンマイだぜ!
失敗は成功の鍵と言うからな、気にスンな!
購買のおばちゃん一筋の俺には関係の無い話ですね
687 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/23(木) 03:48:07 ID:58Q6k24+
当て付けか
>>686 「わたしを持ち上げてご機嫌伺うぐらいなら、1円でもいいから購買部の売り上に貢献しなさいよ。
黄色いクチバシでガッコの古狸を騙くらかそうなんて、あんたさぁ100年早いよ」
確かに購買のおばちゃんならこれくらいの勢いないと逆に不安になるなw
熟専で悪いか!
>>629 ありゃ…もう少し年齢を上げて描いたほうがよかったですか?
スイマセン 無駄に叫びたかっただけです…
695 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/24(金) 00:20:05 ID:TH38IHuP
うわ、きもちわる
>>691 何だか二人が血縁関係に見えてきたのは俺だけなのだろうか?
>>692 余りにタイミング良過ぎな書きこみに思わずワロタ
697 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/24(金) 00:33:36 ID:TH38IHuP
ざんねん
日食当日の深夜、ふと思い立って飛行機チケットの予約サイトを調べたら
奄美大島までのチケットが1枚残ってる…思わず衝動に身を任せたくなりました。
きっとサン先生もこんな感じでいっちゃったんでしょうね。
ちなみに復路のチケットは1週間先までありませんでした、あぶねあぶねw
そういえば山野先生もお出かけ中? 二人して同じ島で見てたりして。
>>664 黒い毛並に白のワンピが良くお似合いですよ〜、おっきな麦わら帽子も一緒に
合わせたくなりますね。
>>691 そら先生、笑い顔が素敵じゃありませんか。
おばちゃん、やきそばバンとコロッケパンおくれ。
>>686 >>692 (゚∀゚)人(゚∀゚)ナカーマナカーマ
天候制御きた!
これで勝つる
さもなくばモフモフしてやる
>>699 フラッシュアニメktkr
キャラ、かわええ。それにしてもAくんー!!
もし、俺が、ケモ学以外のシリーズをスタートさせるとか言い出したら、おまえらどうする?
すればいいとおもうよ
全力で応援しつつサイドストーリー書くぜ
>>704 早く投下しろーーー!間に合わなくなっても知らんぞーーー!!
あ、普通に支援しますよ。wktk
>>704 別スレ立てたほうがいいと思う
ここはケモ学スレだからね
>>704 奇遇だな…実は俺もケモ学以外で何か書いて良いものか悩んでたんだ…
つーかケモ学以外でも色んな連載作品あるじゃないかw
単品作品も多いし、あまり気にしないでどんどん投下した方が。
そういえばどっちの作品もいいとこで止まってたな…
夏の日差しがジリジリと照り付ける正午ごろ、大場犬太は下校するべく校門から伸びる
下り坂を歩いていた。
「お、重いぃぃ……」
そして、半ば苦悶していた。
彼を小学生然とした外観たらしめる小学生の象徴“ランドセル”が重すぎるからだ。
無限の未来と夢が詰まっているから、ではない。
犬太のパンパンのランドセルには、休み前に怠けたツケが、大量の荷物となって詰まっ
ていた。
本来の容量を超えて詰め込まれたプリントと教科書の山はなおも大量にランドセルから
溢れ、中に納まらなかった分をランドセルの垂れでムリヤリ巻き止めてある。
ランドセルの厚さを絞めるためのベルトにはソプラノリコーダーが刺さっており、交通
安全の黄色手帳をぶら下げるはずのキーホルダーには体育着袋が縛り付けてある。
右手には絵の具セット、左手には裁縫セット。
首から下げたエコバックには、習字セットと夏休み帳と夏休みのしおりが、これでもか
と言うほどぐちゃぐちゃに突っ込まれている。
ミーンミーンミーンジワジワジワジー。
見た目ばかり涼しげで実感の涼しさが伴わない木漏れ日を形作る街路樹の松に取り付く
蝉さえも、犬太を嘲笑うかのようだ。
蝉に悪意は無かったが、通りすがった級友には悪意、あるいは悪戯心が満ちていた。
「ニャハハハ、荷物が歩いてるニャ!」
「犬太……おまえはホントに“大場カ”野郎だニャ」
ミケが笑って、クロが呆れる。
彼女らは学期末になる以前からロッカーに無駄な物を置いていなかったから、ランドセ
ルには夏休み帳だけがパタパタと鳴っていた。
「うるさいっての!僕は明日できる事は明日に回して遊ぶのっ!荷物無いなら手伝え!」
「やなこったニャ。やーい、駄犬太ー」
「くっそぅ!いちいち腹の立つヤツ!」
いつもならここまで言われればクロにとっ組みかかる犬太だが、今日に限っては合計十
キロ超の荷物に押さえ付けられている。焼けたアスファルトに足の裏を熱されて足踏みす
るだけでも、あっちへふらふらこっちへふらふらする状態だった。
ハタから見れば単なるケンカだが、ミケはちょっと違う事が気になった。
(ミケが、大場のこと、ケンタって呼んだニャ。そんな仲良かったかニャ?)
行商人みたいな犬太とそれを茶化すクロから3歩遅れて、小首をかしげるミケ。
クロと犬太には、人に言えない秘密がある。
それは犬太の姉、狗音と、クロの姉、美琴に関することであり、二人の間に何かがある
わけではなかった。姉らのことについて相談しあうために、二人で会うことが多かったか
ら、ちょっと馴々しく呼び合うようになってしまっただけだったのだが……。
(なんか、あの二人怪しいニャ)
二人の秘密はミケに壮大な勘違いをさせてしまったようだ。
ミケ猫ホームズがむむむとうなる背後から、ゴーーっと何かが駆け抜けた。
「こ、こわいニャ〜! 止めて欲しいニャ〜!」
「そらあかんわ!こっからの坂がいっちゃん楽しいねんから!めざせアイルトンセナ!」
「あはは!走行中にセナは縁起悪いよ!」
サン先生の手押し荷台(浅井カー)が坂を突っ切る。先頭に泣きっ面のコレッタが座り、
その後ろに楽しげな葉狐が膝立ち、最後尾に舵を取るサン先生が立っている。
「どうだいコレッタ、速いだろう僕の愛車!」
「とーめーてー!」
「ほんま、なんべん乗っても楽しいで!」
「そーだろー!楽しいだろー!」
「とめろニャー!」
ゴーー……。手押し台車は騒音を立てながらノンストップ。
坂を駆け抜ける浅井カーを見送り、クロとミケは顔を見合わせる。
「なんか面白そうじゃなかったかニャ?」とクロ。
「まだ追いつくかもニャ。走るニャ!」とミケ。
さっきまで何をしていたのかも忘れて、クロもミケも駆け出した。
残されたのは犬太一人。
「ま、待ってよぅ。待ってよぉぉう!」
七月後半。
夏休みは始まったばかりである。
終
訂正が一ヶありました……
×(ミケが、大場のこと、ケンタって呼んだニャ。そんな仲良かったかニャ?)
↓
○(クロが、大場のこと、ケンタって呼んだニャ。そんな仲良かったかニャ?)
うわ、夏休み前の重たいランドセルとか懐いわ
そーなるんだよなー普段怠慢してると
やっぱ犬太、いろいろ犬っぽくてかわいいな
いのりんの目つきとか遺伝しなくて本当に良かったな
俺今ならロリコンの気持ちがなんだか分かる
良い姉ちゃん持ったなぁ犬太。
百合なのが惜しいようなむしろ付加価値なような複雑な気分w
前から思ってたんだが…
ハーフってどんな条件で生まれるの?
ジョー&ウルフ「俺ら交通課なんで」
ヽ(・ω・)/ ズコー
\(.\ ノ
>>720 両方の種の特性を受け継いだハーフはウン万分の一で産まれる、と俺は勝手に思っている。
警察はまさに国家の犬
犬の能力と人の頭脳を併せ持つこの世界の警察はきっと捜査能力が半端ない
くらえっ!こやし玉!
,ィ⊃ , -- 、
,r─-、 ,. ' / ,/ }
{ ヽ / ∠ 、___/ |
ヽ ヾ、 ' ヽ_/ rュ、 ゙、 / く…クマどもめが…
\ l , _;:;::;:;)、! {`-'} Y あくまで…こ…国家権力に…たて…つくきか…
ヽj ,;:;:;ノ' ⊆) '⌒` !
l ;::)-‐ケ } 全員タイーホだこのアフォどもがッ…!!
ヽ. ;:丿‐y /
__,.ゝ、 ~___,ノ ,-、
>>729 おっとりした婦警さん萌え
しかし拳銃かまえられるって、視点の人物は何をやらかしたんだろう?w
たとたけのピクシブハケーン
この人うまいなぁやっぱ
さんをつけろよデコ助野郎!
おめぇの3時のおやつは1年間おあずけだからな!
>>735 おっとりな上にドジッこかw
多分、書かなきゃ行けない始末書の枚数も大変な事にww
尻尾は基本的に足の間なんですね
やっべ、かーわいいなこの娘
常に丸まってる尻尾萌え
見事に心まで打ち抜くんですね。
いやあ危ない。
たとたけさんの絵を模写するのが日課になりつつある
ああいう絵描けるようになりたいなぁ
いちいち個人名出すのもいかがなものかと
獣人のチャームポインツ
毛
蹄、爪
にくきう
尾
志村ー!マズル!マズル!
耳を忘れるなんてっ!
牙がない…だと…!?
外骨格
つい日常で出てしまう野性の行動
毛繕いしちゃったり
八重歯…八重歯が無い!
全部言われてしまった
空が飛べる
葵「目が、怖いって言われた」
茜「そんなことないよ」
山羊の目、あれは真正面から見ると怖い
山羊じゃなくて羊じゃなかったっけ
羊の目を見ると動物のお医者さんを思い出す
羊とか医者とか聞くと羊スクレイピーを連想してまう
満員電車で獣人にフモ潰されたい
回りが水島先生みたいな水系のおっさんばっかりだったら
もふっていうかぬるってしそうだけどな
それどころか周りが猛や利里の様なトゲトゲゴツゴツした爬虫類な人達ばかりだったら……gkbl
ぬる、もふ、ごつ、
パラダイスだw
昆虫系では鱗のガサガサ感がないな
だがウブウブ生えた硬めの毛が…
基本的に竹みたいな感触だろうか
ひんやりすべすべ、ときどき痛い
電車とか種族別に分かれてそう
女性専用車両とかはなくて昆虫用車両とかはありそうだな
クーラーで微妙な温度調節しないと生死に関わりそうだし
満員電車=蜂球状態だなw
痴漢より捕食が問題に
768 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/29(水) 20:32:04 ID:GBwm1npS
鳥人の女性に暗い夜道で頼られたい
人間でも肉食系獣人に夜道で襲われたらひとたまりも無さそうだけどw
テレビ覧
「海豹人、牛人の角で怪我」
「電車に乗れない毒蛾人への配慮」
「今日の肉球占い」
「特集、流行りの尻尾美容院に密着」
自分ひとりが立ったらニ、三人は座れる状況……
なんか気まずそうな様子だwww
>>770 【社会】 電車に乗れない毒蛾人への配慮を…市町村議会が決議検討
2 名無しさん@十周年 sage New! 2009/07/29(水) 19:57:56 ID:G5td+Ph/0
自分で飛べ
3 名無しさん@十周年 sage New! 2009/07/29(水) 19:59:42 ID:fO/XVkSl0
>>2 毒麟粉撒き散らしは迷惑条例違反
4 名無しさん@十周年 sage New! 2009/07/29(水) 19:59:50 ID:CU4TgUnV0
羽根が生えてる奴は全員電車禁止しろ
>>773 マジネタかと思って一瞬びっくりしたじゃねーかよwww茶ぁふいたわw
sageの後のNew!が萌えポイントだな
>>771 何この小動物専用車w
ガタイの大きな人だったら余計に肩身が狭いだろうなぁ
>>773 こうやって日々、ケモノ世界の2ちゃんねるの言い争いは繰り広げられる訳ですねw
つ【学校裏サイト】
「ケモ学の七不思議!」とか
「サン先生イタズラ対策スレ」とかありそう
もちろんサン先生も見ててまったく意味がないわけですね分かります
>>771 このサイズの人達は満員時に命に関わる事故が起こりそうだぞww
まさかのサン先生が>1とかだったら面白そうだ>サン先生イタズラ対策スレ
げえっ!IDがGGGだ!どっかに書き込んでこよう!
ゴキブリ人の園においでw
ちっちゃい人達可愛いなー
何て動物だろう
プレーリードッグじゃないのかい?
>>771 こういうファンタジーがあってもいいじゃない
時期のタイミングずれたー。も少し早く書けたらよかったんだが…
またキャラ崩壊してるかもしんないです。今回はバイク屋の娘。
相当長いのでよければ支援お願いします。
787 :
夏の日の邂逅:2009/07/30(木) 18:53:18 ID:UFjLyQqg
『夏の日の邂逅』
青々と茂る街路樹の道をバイクで駆け抜ける。
夏の空気がさわやかな風となって、純白を保つわたしの尻尾を吹き抜ける。
大人達はまだまだ仕事に勤しみ、学校を終えた子供達が遊びの計画を立て始める、そんな時間帯。
今日の修理の仕事は予想外に早く終わった。難航すると予想していただけに、とても気分がいい。
さて、これからどうしよう。街に繰り出してみようか。
少し遠出をして、海沿いの道を走るのも気持ちいいだろうな。
アイツと行った、あの海沿いの道。
よし、アイツに会いに行こう。
昨日の今日会ったばかりだって?
いいじゃない。大学時代は毎日のように顔を合わせてたんだから。
あの学園には、アイツからバイク関連の呼び出しを受けて行くのがお決まりのパターンだけど。
用事がなくても、たまにはわたしから会いにいってもいいよね。
アイツってば全然こっちの仕事場には顔を出してくれないんだから。
まあ、それだけ教師の仕事も忙しいんだろうけど。少し待ってみて会えないなら別に何か考えよう。
ふふ、アイツは元気にしてるかな。この暑さにばててたりしないだろうか。
弾むような気分で、わたしは佳望学園へとバイクを走らせた。
788 :
夏の日の邂逅:2009/07/30(木) 18:54:17 ID:UFjLyQqg
学園に人影はまばらだった。本来なら下校を始めているであろう子どもたちの姿も見えない。
おかしいなと疑問に思ったが、すぐに気付いた。そうか、学生はもう夏休みなんだ。
いつもよりだいぶ少ないとはいえ、学園に人の気配は十分に感じられた。
校舎からは管楽器の演奏が、グラウンドからはバットにボールが当たる小気味の良い音が聞こえてくる。
何度かお世話になっている自転車置き場に愛車を止めて、誰かいないかと見回しながら学園の敷地内を歩く。
用もないのにいきなり訪ねていって、アイツの仕事の邪魔をしちゃいけない。
アイツに知られず確認するなら、生徒の誰かに聞くのがいいだろう。
お、あの子は…ちょっと小さいな。あれは…いやもっと真っ白で…
……あれ?
見知った顔を探していたつもりが、いつのまにか白いふさふさの尻尾を探していた。
そんな自分に気付いて苦笑する。わたしったら、あの子にも会いたかったのかな。
毎回毎回、そう都合よくは会えないだろう。
やがて、グラウンドを外れた広場でキャッチボールをする知った顔を見つけた。
あの子達は確か…
「おーいタスクくーん!ナガレくーん!」
投げようとした手を止め、振り返った犬の少年が驚いた声を上げる。
「あれぇ?えっと…すぎも」
「ミナでいいよ!」
前にもこんなやりとりしたなあ。あの少年の真っ白な毛並みを思い出してクスリと笑う。
「いいなあ、夏休みかー。君たち今日はどうしたんだい?」
「今日が終業式だったんです。半日でしたけどまだ残ってる人はいますよ」
「ふーん。あれ、もう一人の…アキラ君は今日は?」
「ああ、それがあいつ…期末の数学でひどい点とって、今サン先生の
『数学の苦手を吹っ飛ばせ!サンのスーパー補習講座!』受けてるんです」
「ははは、そっか。じゃあサンは今忙しいのか」
「えっと、サン先生に用事ですか? できるまで徹底的にやるって言ってたからいつ終わるのかわかりませんよ」
「ん、わかった、ありがと。こっちも大した用事じゃないんだ。ちょっと待っててみるよ」
「待つならあそこのベンチがいいと思いますよ」
タスク君が指さした先には並ぶ植木と、その下にベンチが一つ。あそこなら校庭全体がよく見えそうだ。
「おっ、いいねえ! 気が利く男子は女の子にもてるぞタスク君!」
「やっ、やだなあ…何言ってるんですか」
恥ずかしそうに否定するタスク君とナガレ君に軽く別れを告げて、わたしは彼が教えてくれた場所へ向かった。
普段から多くの人が使っているであろう、空色のベンチ。木陰に吹き抜ける風は涼しく、夏の暑さを感じさせない。
近くに自販機もある。校庭が一望できて、人の出入りも確認できる。いい場所を教えてくれたタスク君に感謝しよう。
さてと、どれくらい待ってみようかな…
789 :
夏の日の邂逅:2009/07/30(木) 18:55:01 ID:UFjLyQqg
「……来ない」
何度思ったかわからない心の声が、つい口から出ていた。
傍らのグローブとボールを見やり、小さく息を吐く。これを使っていた二人はもう帰ってしまった。
返却は運動用具倉庫の隙間から放り込んでおけば問題ないらしい。アバウトな学園だ。
高かった太陽は今は大きく傾き、学園は夕暮れの雰囲気に包まれていた。
吹奏楽部や野球部の音もやがて消え、教師の帰る姿も見られる。
それでもアイツの姿は見えない。
わたしも最初はこんなに待つつもりはなかった。ここに来る前から決めていたことだ。
ある程度時間を決めて、それで会えなかったら今日は諦める。そう決めていたのに…
時間になった。アイツも忙しいんだな。仕方ない、今日は帰ろうか…
でも、もう少し待ってみよう。もうちょっと待てばアイツがひょっこり顔を出す気がする。
いやいや、もう少し。あと十分。あと五分…
そんな感じでもう少し、もう少しが重なって、結局こんな時間まで待ってしまった。
まるで煮え切らない情けない自分に苦笑する。
…なんでだろ。わたし、こんなにもアイツに会いたかったのか。
目をつぶり、大きく息を吸って、吐いた。このもやもやした気持ちごと吐き出すように。
何をやってるんだ、杉本ミナ! お前はもう大人の女なんだろ。
いつまでもうじうじしてるなんて大人失格だぞ!
「よしっ、帰ろう!」
自分を叱咤して、勢いをつけて立ち上がった。暗くなる前に帰ろう。今日はさよならだ、佳望学園。
大きく伸びをして、最後の挨拶のつもりで学園を見やった。
ふと、ある一点で目が止まった。教職員出入り口辺りに佇む人影がひとつ。
アイツではない。スラリと背筋の伸びた犬の女性。実際に会ったことはないけど、わたしはその姿に心当たりがあった。
そうだ、あの人は…
自然と、わたしの足はそちらへ向かっていた。
支援
792 :
夏の日の邂逅:2009/07/30(木) 18:56:33 ID:UFjLyQqg
近づく背中。はっきりしていく姿。
結わえた後ろ髪に、ゆったりと揺れる尻尾。
「………」
「…あ、あの、はじめまして!」
少しの間躊躇ったが、思い切って声をかけた。
耳を倒さないよう、尻尾を太らせないように強く意識する。
振り返る彼女の前髪がふわりと揺れる。
「あら、あなたは…」
「無断で学園に入って申し訳ありません!
あのわたしサン…先生の知り合いで杉本ミナっていいます、はじめまして」
正直緊張していたわたしは、必要なことを一気にまくしたてた。
大丈夫だよね。言ってること間違ってないよね。
「前にも学園に来てたわね。はじめまして杉本さん、私は教師の英です」
やっぱり。この人が英先生だ。
部外者のわたしが学園にいることで注意されないか不安だった。
柔らかく微笑む英先生の姿に、わたしは心の底から安堵する。
「サン先生に用事かしら? 生憎彼はまだ仕事中なのよ。そろそろ終わるころだと思うんですけど…」
「いえ、いいんです。大した用事ではないので」
「もう終わってるかもしれないわね。職員質に帰っているようなら呼んできましょうか?」
「いえいえ! お仕事を邪魔してはいけないので!」
「そう…わざわざ来てくださったのに悪いわね」
「わたしは大丈夫ですので…その…」
言葉に詰まる。今言うべきことがあるのに、その言葉が出せない。
初対面のこの人に失礼にあたるのではないか。迷惑をかけてしまうのではないか。
でも、今を逃したら次のチャンスはいつになるかわからないのだ。
今だ。今言わなければ…
「…あ、あの!」
意を決して声を出した。英先生は少し驚いた顔を見せる。
「なにかしら?」
「英 美王先生…ですよね」
「あら…?名前まで言ったかしら?」
「その…あなたのことは前から知ってたんです。サン先生に聞いてました」
「あら、そう、彼が…」
「それでずっと、直接お会いして話してみたいと思ってたんです」
今言うべきことは言った。わたしは不安に押しつぶされそうになりながら、黙って答えを待つ。
「そうでしたか…」
英先生は少し考えた後、わたしの隣を抜けて歩きだした。慌てて目で追う。
「え? あの!」
「ここで立ち話もなんですから。そうね、あそこのベンチでいいかしら?」
「あ、ありがとうございます!」
「いえいえ、私も少し休憩しようと思っていたのよ。ちょうどよかったわ」
794 :
夏の日の邂逅:2009/07/30(木) 19:00:13 ID:UFjLyQqg
英先生を先に少し歩いて、先程まで座っていたベンチに今度は二人で座った。
どう切り出せばいいか困っていたわたしに気付いて、英先生が先に口を開いてくれた。
「改めてはじめまして。英語教師の英美王です」
「あ、はい、はじめまして。サン先生の知り合いの杉本ミナです。父とバイク屋をやってます」
「サン先生と知り合ったのはバイク関係で?」
「いえ、大学時代からの友人です」
「え…あなたは…?」
「…?」
何か疑問を感じたようで、英先生の言葉が止まる。わたしはなんのことかわからず首を傾げる。
「…あ、いえ、なんでもないわ。ごめんなさい、忘れてちょうだい」
「あ、はい」
少し考えて自己解決したようだった。
「それであなたは…サン先生から私のことを聞いていた、と?」
「はい。結構よく話してました」
「厳しくて口うるさい人?」
「えっ、ええっとその……はい。そんなことも言ってましたけど…
でっでもその全然そんなことないですよ!わたしはとっても優しくていい人だと思ってます!」
慌てて否定するわたしを見て、英先生は優しく微笑む。
「ふふっ、ありがとう。でもいいのよ、その通りなんだから。
何が良くて何が悪いかなんて、結局その人の価値観でしかないわ。
彼の判断で良かれと思ってやっていることも、私はきっと否定してしまっている。
そんな私ですもの、嫌われても仕方ないと思うわ」
「そんなことありません!!」
思いもよらない一言に、つい声が大きくなってしまった。英先生ははっきりと驚いた顔でわたしを見ている。
「あっ、ごめんなさい…」
「そんなことって?」
「その…英先生が嫌われているなんて…そんなことないです」
そんなことない。
アイツはこの人のことを悪く言わない。直接話してこの人から受けた印象は、アイツの話から受けた印象のままだった。
話の内容こそ愚痴でも、どこか嬉しそうな調子を感じる。
サンは英先生のことを決して嫌っていない。いや、むしろ………
しえーん
797 :
夏の日の邂逅:2009/07/30(木) 19:02:24 ID:UFjLyQqg
「英先生は…サンのことをどう思ってるんですか?」
ほとんど無意識に、ポツリと言葉が出た。
「え…?」
言葉が出て、英先生の小さく驚く声を聞いて…やっと気付いた。
「あ…!」
耳がカッと熱くなるのを感じる。なんてこと聞いてるんだわたしは。
確かに聞きたかったことではあるが、これはさすがに直接的すぎる。
「あ、いえあのそのっ! サッ、サンの仕事って直接見たことないので!
教師としてのサンはどんななのかなって思って!」
慌てて手を振りながら、なんとかフォローした。
英先生は、ふふっ、っと小さく笑って答えてくれた。
「そうね…たまに提出が遅れたりするけれど、基本的に仕事は真面目にやってるわ。
関係ないことをやっているように見えても、ほとんどの場合期限までにはきっちり仕上げてくる。仕事の効率がいいのね。
初中高等部を兼任していて誰よりも忙しいはずなのに、そんな様子は全く感じさせない。
授業もわかりやすいって生徒にも大人気。私よりもずっと優れた教師よ、彼は」
「そう…なんですか…」
サンがすごいヤツということは大学時代からよく知っていた。
そう、わたしがどうやってもこの人には敵わないと、教師になることを諦めるほどに。
しかし、わたしとは経験が違う現役のベテラン教師からも、そこまで評価されていたとは…
「…驚きました」
「ふふっ、そうね。私も最初はそう思ったわ。
あ、私がこう言っていたことはサン先生には内緒にしてね。あの人きっと調子に乗っちゃうから」
「あはは、そうですね。サンには内緒にしておきます」
改めて思った。すごいヤツだったんだ、アイツ。
「彼のことは……そうね、尊敬、してるわ」
「尊敬…ですか」
「ええ」
尊敬…か。
どこかほっとしたような、嬉しいような気持ち。驚きと、ほんの少しの疑惑。
それらの感情がぐるぐるとわたしの中で渦を巻く。
799 :
夏の日の邂逅:2009/07/30(木) 19:04:50 ID:UFjLyQqg
「…不思議な人」
「…え?」
考え呆けていたわたしは、英先生が続けて発した言葉に反応するのに、少しの時間を要した。
それに気付いていたんだろう、英先生は一呼吸おいてから、言葉を続けた。
「普段の彼とは違う別人のような一面、感じたことはあるかしら?」
「あ…あります!」
想定外の言葉に驚いたが、確かに、そういうことがあった。
何度か感じたことがある。例えば、中睦まじい母子を見たとき。若いカップルを見たとき。
それ以外にも時折。アイツの顔が、言葉が、まるで別人のように感じることがあった。
わたしの答えを受けて英先生は、そうね、彼は…と続ける。
「子供みたいな人かと思えば、不意に別の…大人の顔を見せることもある。
まるで別人のようだけれど、それもまた紛れもなく彼自身で。
まだ若いのに、私よりもずっと深く複雑な人生を歩んでいる…」
英先生。この人…
「彼のことを、もっと知りたい。私はそう思っているわ」
この人は…もしかして…
「…どう? 質問の答えになったかしら?」
「あ…」
そこまで言われてはっと気付く。英先生はつい出てしまった最初の質問に答えてくれていたんだ。
「は、はい! ありがとうございました!」
またしても耳に熱が集まるのをわたしはじんじんと感じていた。
「その…すみません。失礼なことを聞いてしまって…」
「ふふっ、いいのよ。なんだか学生時代を思い出したわ」
「そう…ですか…」
この状況でまた聞くというのは気がひけた。
でもそれ以上に、新たに生まれた疑問を聞かずにはいられなかった。
「英先生。あなたは…」
「…?」
「あなたはサンの過去…フリードリヒのこと…知っているんですか?」
わたしは知らない。噂はいくつかあったけど…
ドイツ出身。本名はフリードリヒ。確かなのはそれだけだ。
わたしが何度聞いてもはぐらかされてしまう。たぶん誰にも話していなかった、サンの過去。
この人はもしかして、それを知っているんじゃないだろうか。
801 :
夏の日の邂逅:2009/07/30(木) 19:06:01 ID:UFjLyQqg
しばらく考えていた英先生が、やがて口を開いた。
「……知っているわ」
「それは…サンから…?」
「ええ。彼から聞いた話よ」
…やっぱり。
この人はわたしとは違う。サンにとって、特別な人なんだ。
予想はしていたので、驚くことはなかった。しかし…
「そう…ですか…」
感じた落胆は小さくなかった。
俯いていたわたしの耳の付け根に何かが触れる。
柔らかく頭を撫でるそれは英先生の手だった。
「あなたは…本当にサン先生のことが好きなのね」
顔を上げると、微笑む英先生。まるで母のようだ、そう感じた。
「えっ…と…その…」
「わかるわよ。私だって元、女の子ですもの」
「…はい」
わたしを撫でる手から、英先生の優しさが伝わってくる。気持ちいい。心が安らぐ。
「大丈夫よ。あなたの気持ちはきっと彼に届くわ」
「………」
わたしはしばらくの間、彼女の優しさに身を委ねていた。
803 :
夏の日の邂逅:2009/07/30(木) 19:08:07 ID:UFjLyQqg
少し経って、わたしを撫でていた手がピタと止まった。
その手を口元に当てて少し考えた後、英先生はポツリと呟く。
「最終的にはちゃんと言わないとわからないかも…」
「やっぱり…そうですかね」
「あの人そういうことには鈍感っぽいもの」
「英先生もそう思うんだ…」
ベンチに置いていたわたしの手に、英先生の手が重なった。
口調が、わたしに向けたものに変わる。
「でも焦ることないわ。あなたたちはまだ若いんですもの」
「そんな、英先生だって」
「いいのよ。私のことは気にしないで」
わたしの手が持ち上げられ、英先生の両手に包みこまれる。
「過去の話だって、いつか彼の方から話してくれるわよ」
「そう…ですかね」
「ええ、きっと。あなたを応援してるわ、杉本さん」
「ありがとうございます…英先生」
沈んでいた気持ちは、わたしの中からすっかり消え去っていた。
805 :
夏の日の邂逅:2009/07/30(木) 19:09:14 ID:UFjLyQqg
空に一番星が輝きだした。英先生がベンチから立ち上がる。
「さてと、そろそろ仕事に戻らなくちゃ」
しまった。英先生がまだ仕事中だということを完全に失念していた。
英先生に続いてわたし慌てて立ち上がり頭を下げた。
「仕事中に長く付き合わせてしまって申し訳ありません!」
「そんな気にしなくていいわよ。私もいい気分転換になったわ」
わたしの体を起こして、英先生は言葉を続ける。
「そんなにかしこまらないで。私たち、せっかくこうやって知り合えたんだから」
ね、杉本さん。そう言って英先生は微笑む。
そっか。そうだよね。それじゃあ…
「ミナでいいですよ!」
わたしは返す、いつもの言葉。
「そうね。私も美王でいいわ、ミナさん」
「美王先生!」
わたしはもう一度頭を下げる。心の底から示す、感謝の気持ち。
「今日は本当に…ありがとうございました。美王先生と会えてよかったです」
「ええ、私もよ。ミナさんと会えて嬉しかったわ」
極自然に、わたしたちは握手を交わした。
「よかったら、また後でゆっくり会いましょう。今度は仕事中じゃないときにね」
「そうですね。嬉しいです、美王先生。またどこかで」
しえん
807 :
夏の日の邂逅:2009/07/30(木) 19:10:24 ID:UFjLyQqg
別れを告げた後は、その姿が校舎内に消えるまで、わたしはずっと美王先生の後ろ姿を見つめていた。
あの人が英美王先生。サンにとって特別な人。
すごく美人で、わたしよりもずっと大人で。
その姿から。立ち振る舞いから、言葉から、「気品」というものを感じさせる。
わたしもいつか、あんな人になれるだろうか…
ぼんやりと見つめていた校舎から、新たに現れる小さな影。
タタタッと、まっすぐこちらへ駆けてくるその影は…
「あ…」
「や、ミナ!」
今日のわたしがずっと待っていた、サンその人だった。
「どーしたのさ今日は。バイクは問題ないよ?」
「ん…いや別に…若い少年たちに会いたくなってさ。何となくよってみただけだよ」
「またうちの生徒をかどわかしに来たのかー、悪い大人だなー」
「失礼な! いいじゃないたまには」
「でも残念でしたー、終業式で全然生徒いなかったでしょ」
「いいもん! タスク君には会えたもんね!」
「ええっまた!? タスク危ないなー。そろそろミナの魔手から守ってやらなくちゃ!」
「うっさい!」
放った猫パンチはサンの頭の跳ねっ毛に吸い込まれて、ポスン、と期待はずれな音を立てた。
809 :
夏の日の邂逅:2009/07/30(木) 19:11:31 ID:UFjLyQqg
「ミナさあ…実は相当長くいなかった?」
「う…いや…」
はたと止まったサンの目線の先には、わたしが時間を持て余して飲んでいた、三つ重なった空き缶があった。
うーん…失敗した。怠慢しないでちゃんと捨てておくべきだった。
「こんな真夏に何やってんだよ、熱射病になるぞ」
「お生憎様、猫は寒がりなんです。その分暑いのは結構平気なんだよ」
「っていうかホントに長い間何してたわけ?」
「えー…っと…」
言い訳を探すわたしの頭に、不意に
――ちゃんと言わないとわからないかも…――
美王先生の言葉がよぎる。
そうだよね。逃げてばかりじゃ何も変わらない。ですよね、美王先生。
「サンをさ、待ってたんだよ」
「…え?」
「サンに会いたくて、ずっと待ってたんだ、わたし」
「…何でさ?」
「………ふぅ」
お見事。素晴らしい鈍感っぷりだ。
わたしの気持ちに気付かないまでも、何か感じるものはないのかコイツは。
君が好きだからだよ、サン。
好きな人に会いたいっていうのに、何か理由がいるかい?
こんな何かのついでのような場面で、さすがにそこまで言うことはできなかった。
支
813 :
夏の日の邂逅:2009/07/30(木) 19:12:48 ID:UFjLyQqg
ベンチに置いてあったグローブを、後ろ手にサンに向けてポンと投げる。
もう一つのグローブをはめてボールは右手に、サンに振り返った。
「サンとキャッチボールがしたかったんだよ! ほら行くよ!」
「えっわっ、ちょっと!!」
サンは慌ててグローブをはめると、わたしの球をパシンと受け取った。
「いきなり何するんだよう」
愚痴を言いながらも、サンはいい球を投げ返してくる。
「ハハハ、油断してるサンが悪い」
そうやって話しながら、少しずつ距離を開けていった。
夕暮れの校庭で、サンと二人。ボールと言葉のキャッチボールが続く。
言葉を投げて、ボールを投げる。
「さっきね、美王先生と話したんだー」
「えー、英先生とー?」
「うん。綺麗な人だねー」
「でしょー」
「すごく大人だよね。サンとは大違いだ」
「うるさいよ!」
「アハハハ!」
こうやってサンをからかって笑っている、これがわたしなんだ。
わたしはたぶんこれからも、美王先生のようにはなれないだろう。
でも、これでいい。そう思う。
わたしは変わらない。変わらずに想い続けていれば、この気持ちは届くさ。届かせてやる。
いつかアイツを振り向かせてやる。
814 :
夏の日の邂逅:2009/07/30(木) 19:13:39 ID:UFjLyQqg
グローブの中のボールを、ギュッと握りなおした。
「サン! 覚悟しときなさいよー!」
大きく振りかぶって思い切り投げた速球は、サンの胸の正面でバシンとグローブに収まった。
「…へ? 今何か違った?」
「あ、ひどーい! わたしの思いの丈を込めたボールだったのにー」
「えー、ちょっと速いだけで何にも変わんなかったよー」
「ちぇー、残念」
今はまだ、わたしの気持ちは届かない。
でも、いつかきっと、ね。
やがてキャッチボールの音は止まり、一学期の仕事を終えた佳望学園は、夏の星空に包まれていった。
<おわり>
書いてる途中で
>>609の投下があって慌てていろいろ書き直したのはここだけの話。
ちょっと苦労した反面、ミナ視点第一号にならなくてほっとしたのもここだけの話。
好きだ英先生。
投下乙。
ミナっちの内心が遂に明らかにw
くっそ、サン先生め、とっつぁんぼーやのクセにスケコマシだな
俺の中でミナさんのCVは朴ロ美
817のせいで、パク氏の声で脳内再生されるようになった・・・
>>814 ミナの想いは果して届くかどうか、今後に乞うご期待!
>>818 バスケットボール抱えて涙ぐむ神楽、それを見下ろす若かりし頃の英先生
なんか色々な話が出来そうなシュチュエーションだなぁ……
>>817 そういや、佳望学園の人達にCVを宛てたら如何言うキャスティングになるんだろう?
>>820 声優云々の話は荒れやすいのでやめたほうがいい希ガス
声優あて云々も面白いとは思うけど、非難所でやった方が無難かもね。
あっちなら荒れても対処してくれる管理人いるし。
声優とかあてなくても読んでるうちに自然と声のイメージもついてくるだろJK
>>823 うんまぁだからそうやって荒れる要因になるから避難所で
話せばいいと思うよ
どうも最近荒らしたい人がいるらしい
荒れかけた時こそこれの出番!
ぬこぽ
ぬことか言うの愛誤っぽいからやめたほうがいいよ
ねこぽだとなんか違和感あるよ
もふもふ
もふもふしているには違いないが、3次はスレ違いだw
鳥人ww
>>814 ミナも英センセもタスクもキャラがいきいきしていていい雰囲気だ。
さて、ケモ学以外のお話をちょっと書いてみました。
設定は某スレで、かつて投下したものです。
一年の中でいちばん白い雲をウチの葉月が窓から眺めている。彼女は両腕を窓辺に置き、遠い目で流れる雲を琥珀色の瞳で追い駆けている。
わたしの住むアパート二階から西の空を眺めることを葉月はお気に入りらしい。飽きもせず、雲と風を見つめている毎日だ。
崩した脚が水色のワンピースからはだけている毛並みは色っぽく、ボブショートの髪は無邪気さをあらわす。
わたしの住む小さなアパートの窓さえも、高級な風景画の額縁になってしまうのはきっとこの葉月のせいかもしれない。
甘酸っぱいお年頃の葉月はふわりと尻尾を揺らしていた。頭に生えた大きな耳も光がまぶしいのか平たくなっていた。
一方、わたしは一人でちゃぶ台の前で、季節外れの雪原のように真っ白なケント紙に向かってGペンを滑らせながら
「きっと誰かが喜んで読んでくれるはず」と、ひたすらマンガを描き続ける。ぽたりと汗がケント紙に落ちて、意図もしない点を描く。
物描きの世界に踏み込んではや6年。鈴代ゆうかの名前が知れ渡るのは、何度この暑い日を過ごしてからなのだろうか。
「葉月、暑いね…」
「あつい?」
「人間のこと、ネコ少女にはわかんないかなあ」
「…ゆうか…」
「…うん。それにしても、扇風機欲しいね」
わたしは汗だくと言うのに、羽毛に包まれた葉月は汗をかくこともなく、冷たい畳にだらりと伸びることで体を冷やしていた。
ニッと微かに残された野性の象徴、彼女の牙を見せて、両腕を伸ばす葉月は自由気まま。理由は一つ、彼女は『ネコ』だから。
わたしの部屋の玄関先でうずくまっているところを発見して、一緒に彼女と暮らし出して半年が経つ。
しがないマンガ描きの鈴代ゆうかは、自分は空を飛べるんだとうぬぼれて、潮風に流され大洋に落っこちて、
さらに都会の波に溺れて打ち上げられたあげく、誰からも救って貰えずに砂浜に放り出されていた。
描いては東の出版社に送り、けなされては西の先輩のアシスタントをこなしながら、たくましく生き延びたつもりだ。
わたしの努力が報われないのか、収入自体は苦しいもののネコでも少女でも一緒に時間を共有できる存在がいることは、
わたしにとって収入以上の価値がある。もちろん、本物の現金も欲しいんですけどね。
「ゆうか!ごはん!!」
「はいはい、ねこまんまでいいかな。今月ピンチだから堪忍ね」
「ねこまんま!ねこまんま!」
両手を挙げて、部屋中走り回る葉月の姿を見ているだけで、一日の疲れも忘れてしまう。彼女の尻尾がピンと立ち上がる。
コンロの前で朝の残りのおみおつけを温めていると、走りつかれた葉月がわたしのTシャツの裾を引っ張りながら、頭を摺り寄せてきた。
部屋着のTシャツならネコの毛だらけになっても、わたしは大丈夫。
くすぐったい葉月の両腕。
シャンプーの香り漂う髪。
柔らかい少女の身体。
葉月の全て…。
一生、この時間のままならいいのに。でも、一生、夏なのは…ちょっといやかな。
おなかをすかせた葉月は「ゆうか、ごはん…」と小さく呟く。
わたしに抱きついた葉月はわたしのださださのTシャツをくんくんと嗅ぎながら、ささやかな昼食を取った。
暑い夏は始まったばかり。今度はちょっと奮発してそうめんにするからね。
さらに太陽も本気を出して、汗腺の労働量も増え出した最近。
太陽の本気に負けたのか葉月はいつものように窓を眺めず、部屋の隅っこに出来た日陰でねっころがっていた。
「ふにゃあ」
足がつりそうなぐらい背伸びをする葉月は、くんくんと畳のいぐさの香りで気を紛らわせる。
わたしはわたしで相変わらず、もっともらしいデタラメを白い紙の上で繰り広げさせていた。
貧乏暇なし、貧乏暇なし…。昔の人は非常に的確なことを言うので腹立たしい。発作的に何かを壊してしまう前に、そっと葉月を眺める。
「…今日も暑いね」
「あつい?」
「暑いね」
そもそも、葉月は『暑い』と言う言葉を理解しているのかどうかも分からない。わたしの名前さえも理解しているのかどうか怪しい。
わたしのことを『ごはん』と思っているかもしれない。ただ、口以上に尻尾がお喋りするので、だいたい彼女の思っていることは理解できる。
アパートを囲む生垣が、夏の風で鳴いているのが聞こえる。
突然、わたし携帯電話がけたたましく鳴り響く。驚いた葉月が部屋の角に転がる。
無理もない、一月ぶりに携帯が鳴ったのだから。発信元はお世話になっている出版社の某女史。
誰もいない都会の砂浜に打ちひしがれたわたしに、もう一度生を与えてくれた神さまのようなお方だ。
某女史との会話は面と向かってならよくあるのだが、面構えの見えない電話では、上手く話せるのかどうかと不安が募る。
恐る恐る電話を取って、耳を傾ける。無駄に汗が流れる。興味なさ気に葉月は大きな耳を掻いていた。
わたしの汗が一瞬止まる。そして、次の言葉が来る前にこれまでと違う汗が沸いてきた。
こんな汗をかくのは何時振りなんだろう。とにかく、某女史の声だけを聞き逃しまいとする。
「はい!はい!がんばりますっ」
「がんばる?ゆうか!」
「はい!ありがとうございます…」
心地よい言葉を聞いた。
人から認められる喜びが蘇る。
決定だ。連載決定したのだ。
こつこつ描いて、たびたびゲストで載せていただいた雑誌にこれから毎月描かせていただくことになった。
読者の評判がすこぶるよいのだという。思わず葉月に抱きつき、仕返しばかりにくんくんと彼女の髪の香りを嗅ぐ。
ぽんっぽんっ!と、葉月は尻尾を畳に叩きつけて不満を示していた。
「毎月、お金が入るんだよ!よかったねえ、葉月!」
「おかね?ゆうか、ごはん!」
するりと葉月はわたしの腕から抜け出しぴょんと片足立ちすると、ぺろぺろと自分の足を舌で舐めまわしていた。
わたしの両手に、葉月の匂いがした。
後日、打ち合わせのために喫茶店で某女史と会う。
葉月以外の人と話して心躍るのは何ヶ月ぶりなのだろう。もっとも葉月は人なのだろうか、ネコなのだろうか。そんなことはどうでもいい。
ネコのような毛並みをもち、人のように走り回り言葉を操る葉月。まだまだ世界には不思議なことがある。
今頃、葉月は一人でのんびり風に当たりながら外を見ているのだろうか。それとも、ちゃぶ台の下で丸まっているのだろうか。
「大人しく、お留守番ね」と、釘を刺しておいたのだが、保護者としてはやはり気にかかる。
冷房の効いた喫茶店は本当にわたしの住むアパートと同じ世界を過ごしているのだろうか、とふと疑問に思う。
ストローでちびちびとオレンジジュースを飲み姿は、他人からは子どものように見えているのだろう。
窓ガラスに白い雲が浮かんでいるのが映る。しばらくわたしも葉月と同じように、その雲を眺めていた。
涼しそうだ。一口ぐらい、食べてもいいかな。最近、甘いものを食べてないんです。
あんぐりと情けなく口を開くわたしに閉口しているのは、対面に座る某女史。
ドンと彼女は机を拳で叩くと、わたしのオレンジジュースが波打ちこぼれた。
「鈴代さん、聞いてる?ここ、大事なところよ!!」
「は、はい!ごめんなさいっ」
某女史の声が、上の空だったわたしを地上に突き落とす。地上は想像以上に痛かった。
わたしのため、読者のため、某女史のため。そして、葉月のために打ち合わせを続けた。
身のある時間を過ごしたわたしは、まだ蒸し暑い夕方の頃、葉月の待つアパートに戻る。
「連載かあ。すごいな、すごいぞ!」
取らぬタヌキの皮算用と言う言葉は、今は何処かへ放っておこう。
お金が入る!新しいワンピースが欲しい。おしゃれなパンプスも買える。ちょっと洒落てワインでも嗜んでみようかな。
オレンジジュースなんてお子さまの飲み物だよね…。わたしの頭の上ではぐるぐると淡い色の物欲が浮かんでいる。
これでやっと人から認められたんだ。欲しいものは何でも買ってやる。お金こそがこの世の正義だ。
正義にひれ伏す貧乏神よ、そろそろ荷物をまとめておいていた方がいいんじゃないのか?
だって、わたしと葉月はもうすぐ『おかねもち』になるんですからね。きょうこそ青い空を飛べそうな気がする。
しかし、いいニュースの後に来るのは、誰が言ったか悪いニュースが来るという世の常をすっかり忘れていた。
葉月がいない。
何処にもいない。
帰ったときには扉が少し開いていた。きっと、何処かに行ってしまったのだろう。
居間、台所、ちゃぶ台の下、トイレ、風呂…思い当たるところは全て探した。道に出てアパートのまわりをぐるっと見渡した。
しかし、見当たるものはわたしの噂話をする、道端の奥さまだけであった。
葉月の姿が見えないだけで、こんなにつらくなるなんて。
あれほど「大人しくしておいてね」と言っておいたのに。
『お金の引き換えとして、葉月を奪う』だなんてひどい。お金は果たして正義なのか、と自問自答を繰り返す。
くすぐったい葉月の両腕は絡まない。
シャンプーの香り漂う髪がなびかない。
柔らかい少女の身体は何処へ行った。
葉月の全てが消えてしまった…。
「わたし、浮かれすぎたのかな」
葉月のいないこの部屋で、連載なんか続けられるだろうか。
調子に乗るなと、きっと誰かが言っている。そんな声は聞こえることはないが、わたしの眼にしっかりと焼きつく。
畳は葉月の爪あとが残っていた。窓は開いていたままだった。
なんだかくやしくて、くやしくて、わたしは咎を受けるはずのないちゃぶ台を蹴る。
「こんなことしても、しょうがないのに…」
わたしの脚には痛みだけが残り、ぽっかりと湯豆腐にできたような空洞ができた気がした。
窓辺に座って、かつて葉月がやっていたように外を眺める。
白い雲が風に乗って流れる。
お日さまはわたしを照りつける。
都会の影がわたしをせせら笑う。
ため息をつきながら、わたしは力なくうな垂れると、アパートの庭で見覚えのある大きな耳が目に入った。ついでに尻尾も見えてきた。
「葉月?そこにいるの、葉月なの?」
「ふにゃあ」
木陰で涼を取る一人のネコ少女。彼女はアパートを囲む生垣に潜り込み、尻尾を丸めて昼寝をしていたのだった。
きっと窓から飛び出して、下の庭で涼を求めていたのだろう。その場所は、部屋の窓からも外からもちょうど死角になっている。
そういえば、この時間はちょうど西日が部屋いっぱいに差し込むとき。日影もほとんど出来ていない。
それを考えると、葉月が部屋から飛び出すのはもっともなことだった。しかし…、何だか疲れた。
夕飯を作るのが面倒だ。
「おーい。葉月、ご飯にするよ…。ねこまんまでいい?」
「ゆうか!!ねこまんま!ねこまんま!」
ひょっこり起き上がった葉月は、アパートの生垣を鳴らし、早めに上った月のように目を輝かせる。
尻尾をぴんと立ち上げる。葉月が何を言っているのか、わたしにははっきりと分かる。
わたしの「ご飯」の一言で、いつものように走り回る葉月を見て、わたしは少し安心した。
が、おそらく原稿料は扇風機に消えるのかな…と、覚悟を決めた八月の黄昏どきであった。
おしまい。
大雨降ったり、暑くなったり夏は大変ッス。
投下終了
¥
質問です
獣ジャンルは♂と♀でほぼ完全に別れていて、両者は敵対関係にある、
もしくは混じることの無い関係だと聞きました。
このスレは暗黙のうちに♀寄りだとおもうんですが、
やはり♂キャラは嫌遠されるのでしょうか?
別にそういうことはないと思うな
荒らしかと思ったけどマジレスしていい、のだろうか。
このスレ自体は♂とか♀とか関係なしに基本的にまったりしてるよ。
完全に新規さんなんじゃないかな
有志が集計してくれたデータだとここのキャラの男女比ってほぼ1:1だったよね
>>839 葉月ちゃんがケモケモしてて良いですね。
二人の出会いの話もよんでみたい
>>846 なんとも気性の違う兄弟w
>>834 内心まではっきり描かれてなかったミナ、これでよかったのかとガクブルしてたところだ。
そう言ってもらえてホッとした。嬉しいな。
葉月かわいー。ケモいなー。ずっと眺めてたい。
いい雰囲気。部屋の光景が目に見えるようだ。
舞台は現実世界かー。こんなのいたら自分の寿命削ってでも全力で養うよ俺は。
>>846 ライオンズ兄が思ったよりかっけぇ
弟は小悪党っぽさが出てていいねw
849 :
創る名無しに見る名無し:2009/08/01(土) 23:04:41 ID:SZdHy7S9
けんす!
弟だけケモ学生で兄は違う学校だっけ
葉月と言われると、「わたるが死んじゃう〜」の葉月を思い出してしまう……
ワインワイン!
おぉこれは良い。
普段接点のない組み合わせってのもおもしろいな。
。
856 :
創る名無しに見る名無し:2009/08/03(月) 01:55:29 ID:5EquH9Mo
で
ん
で
ん
蒸
し
なんだこれwww
目そっちかよwww
864 :
創る名無しに見る名無し:2009/08/03(月) 17:43:46 ID:xm2UPTsu BE:70654098-PLT(15000)
>>861 小さなネタも見逃がさないのが素晴らしい。
まるでお絵かき界のイチローだ。
>>861 おもくそワロタwwwwコーラとキーボード返せwwww
取るに足らないネタでさえも、しっかりと絵にしてしまう絵師を尊敬するw
クソッ。振り分けるフォルダが無い
試しに目の位置を変えたらどうなるのだろうか
レクロコディウム
>>868 【審議中】
_,,..,,,,_ _,,..,,,,_
_,,..,,,_/ ・ω・ヽ/・ω・ ヽ,..,,,,_
./ ・ω_,,..,,,,_ l _,,..,,,,_/ω・ ヽ
| / ・ヽ /・ ヽ l
`'ー--l ll l---‐´
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【死刑】
゚・ *: : *・
*・ ゜゚・ * : .。. .。.: *゜
* ・゜ ゚・ *: . .。.: *・ ゜゚ ・ * :..
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| ./ ‘ω‘ ヽ/ ‘ω‘ ヽ l
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なんという和み空間
葉月を絵にして頂けるとは!和みますぜ。
>>873 ああ羨ましいなぁー本当に和むなぁこんちくしょー、と思ってしまった。
そういえば、猫って暑い季節なのにくっついて来る事有るけど……あの神経が少し理解出来ない。
猫は体温高いから人間はヒンヤリしたものとでも思ってるのだろう
誤爆した…
いや、案外誤爆ではないかも知れんが…
猫って暑いのは割と平気なんだよね
その分とことん寒がりだけど
いくらなんでもネタ違いすぎて酷いwww
ちょwww
ネズミかよ!
あれ、スフィンクスとブルテリアのコンビの絵ってwikiでみれる?
なんのコンビだったかわすれて痒い
確かオードリーだったような
春日がブルテリアのアレだよな?
>>881 俺が好きなコンビきたw
バカルディの頃からおもろかったよなー
はづきちの私生活が気になる。
休日はジャンク屋めぐりとか。
NEO CUBE でググるとはづきちは幸せになれるかもしれない
>>888 持ってるww
なんか東急ハンズで売ってるものが好きそう
跳月「これ! これ磁石なんですよこれ! これすごくないですかこれ! 磁石ですよ磁石!」
百武「あー、跳月さん! おもちゃ持ってきちゃだめですよ! それとも新しい教材ですか?」
白倉「なんスかそれ! めっちゃつぶつぶっス! うは、うねうねッス!!!」
シロ(理系うるせえ)
校長「仕事しろよ・・・」
だれだよ
傾いてもなおさんさん照りの太陽にもまけず、たくさんの色鮮やかな花が咲いている。
心地よい土の香りを含んだ風が、すずやかに風鈴を鳴らす。まだ緑色のススキが柔らかにゆれる。
明るい夕暮れ。途切れることのないセミの声に包まれて、麦藁帽子の子供たちが駆けて行く。
「あちー」
ひとりごちても一人。
店頭には秋に向けた花の苗が並べられる。
季節を先取りした空間の中で、黒豹獣人の巨漢は、その巨体には似合わないオレンジ色のエプロンを身につけて作業している。
剪定と枯葉の処理が終わり、はさみを片付けると、古いパイプ椅子にギシと座る。
溜息を細く吹き、人肌に温まった不味い缶コーヒーを口に含む。
見上げた空の入道雲を見つめていると、自分がゆっくりと流れているような、そんな錯覚におちいる。
規則的にゆっくり首を振る扇風機ごしに時計を見やると、まだ十分明るくとももう夕飯時。
太ももがだるい。今日もこうやって、なにごともなく一日が終わっていく。むなしいようなむせ返るほどの平和。
ふと、自分がなぜ花屋になったのか謎に思う時もある。
汗と筋肉に挟まれてただひたすらにぶつかっていたラガーマンの黒豹が今、その太い手で掴むのは草花。
「おばんでございます」
「はいっ!」
ついうとうとしてしまい、気づくと目の前に浴衣の美しい猫人がたたずんでいた。
清楚な、それでいて鮮やかな紫陽花の模様が、草花の中にいても凛と映える。
丁寧に髪をまとめ上げた毛並みのつややかな女性、その泣きぼくろは官能的ですらあった。
風に揺れる尾と、なめらかな体。 清流のような涼しい印象にとらわれた。
これが、ひとめぼれ。 45歳独身の黒豹、じっくりヴェルダン
「あの」
「……あふっ!」
「大丈夫ですか?」
「すいません、いらっしゃいませ!」
勢いまかせに立ち上がると、パイプ椅子が音を立てて倒れてジョウロを派手にひっくり返した。
その水しぶきが自分の尾とサンダル履きの素足にもろにかかる。
その拍子にチラリと見えた猫人の華奢な素足に、頭が血に上る勢いだった。
「あちゃっこりゃっ、ども申し訳ないっ!」
「なんだか、驚かせてしまって、すいません」
猫人は両手を口に当てて申し訳なくうろたえている。
ものごし柔らかでしなやかで、微笑んだ可憐な表情とあいまって、たおやめぶりな猫人である。
何を考えているんだ、すっかり自分も慌ててしまって、
なにをすればいいかわからず、自分の毛皮とは裏腹に頭の中は真っ白だった。
ほんの数秒の長い沈黙。セミがはやし立てカラスがあざける。どこかで遠雷が呆れた。
「あの、カサブランカの球根って、ありますか?」
「はい、あの、いえ」
「やっぱり扱ってませんか?」
「いいえ、その、カサブランカは一般に春植えですので秋の終わりぐらいから入荷いたします。今は置いてないんです」
「あら、そうなんですか! てっきり秋に植えるものだとばかり」
「お嬢さん、ガーデニングですか」
おくての自分が、自分から話題を振っていることに驚いた。
これは、おおきな第一歩かもしれないかも、しれない。
無表情を装いたいが、はち切れんばかりに高鳴る心臓が血潮をたぎらせ、思わず顔面が緩んでしまいそうだ。
「はい。実は仕事で生け花とかフラワーアレンジメントをやっていまして、ちょっと自分でもお花を育てて見たくなって」
「なるほど」
「でも、よく売られている花は少し派手でございましょう……うちの庭にはちょっと会わなくて、それでユリをやってみようかと」
「わ、和風の庭なんでしょうか?」
「あ、はい」
行き過ぎた質問だったかも、しれない。やってしまった! あせっている自分に焦る。
背中に汗が流れる。こんなにむずむずするのは何年振りであろうか。尾を、ものすごく、振りたい。
「和風の庭でしたら、秋はリンドウやキキョウ、こちらのキクなんかもおすすめです」
「あら! 私ったらぜんぜん見ていなかったわ、てっきり派手なお花だとばかり。 紫で、かわいい」
「もし庭仕事大変だなと思ったら、その、出張もいたしますので!」
「いいえ、主人と息子がいるので」
「そ、そうですか。 あの、小さめのオニユリでしたら今つぼみをつけている苗もありますけれど」
「ユリにもたくさん種類があるんですね。 もう、生け花に使う花以外はサッパリで、お恥ずかしい」
「はい」
はい、じゃねえよ自分……あたふた、という擬音が聞こえそうなほど足ががたがたしそうである。
いままで自分は自分で自分を寡黙で落ち着いた男だと勘違いしていた。 ちがう、動かないんじゃない、動けなかったんだ。
傍目から見た自分はどう映っているだろうか。挙動不審だろうか。四捨五入すると半世紀なのに、なんでこんなに恥ずかしいほど、うぶなのか。
「いろいろ教えて頂きありがとうございます。 それでは、また」
「またのご来店、お待ちしております!」
「ではごきげんよう」
「ありがとうございました」
いつもどおりの営業スマイルで見送った。
気が付けば橙色の空。一番星があかるくきらめく。
黒豹獣人は早々とシャッターを閉めて、エプロンをつけたまま畳の上の万年床にもぐった。
暑いのにもかかわらず汗だくになりながら目をつぶると、自然と涙があふれてきた。
「結婚、してたんだ」
名前すら聞けなかった綺麗な女性。
脳裏にしっかり焼きついた可憐な紫陽花。
もう、会いたくないと心のどこかで弱い自分が音もなく叫んでいた。
「こどもさんも、いたんだ」
巨漢がじめじめ泣いている。異様な光景に時折扇風機が心配そうにこちらをふりかえり、風を送る。
その励ましですら痛々しく悲しい。ティッシュ箱からはみでたやわらかいチリ紙がむげに揺れた。
黒豹はがっちりと丸くなり、行き場のない思いを布団の外に出した尻尾に伝えてクネクネした。
夏バテだ。
「あちー」
暑さに耐えかねて、布団をひっくり返し仰向けになった。
ふいに、エプロンをつけたまま布団で感傷に浸っているのが馬鹿らしくなってきた。
窓の外は、もう夜だった。 部屋の明かりもつけずに、自分は何をしているのかと。 蚊が入ってきている。
風呂に入って、はやめに寝よう。そうしよう。 黒豹獣人はものぐさに立ち上がると、エプロンをくしゃくしゃに脱いだ。
ナガレのかあちゃん綺麗だったもんなw
895 :
創る名無しに見る名無し:2009/08/07(金) 15:03:01 ID:fFKwQEoN
なにこれおっさんきもい
>>893-894 初恋はその日の内に泡と消えた……切ないな。
黒豹の店長、めげるんじゃないぜ? 出会いはまた訪れるって。
・・・
基本的にこのスレ、年齢高いキャラが萌えw
>>898 そ、それはババアも萌え属性にうわなにをするやめ(ry
そういえば、今wiki見て気づいたんだが6スレ目の漫画が保管されてない
のは仕様?
コレッタに萌えないと申すか
英先生の人気に嫉妬。
初めて、英先生メインで書かせて頂きました。
「海だあ!」
潮風薫る田舎道に、大きな甲高い声がこだまする。揺れる尻尾を押さえきれず、バスの窓から乗り出そうとする一人のイヌの姿を見て、
英語教師・英美王はいつも学園でやっているように、小さな影に苦言を呈する。
「先生!バスから顔を出したら危ないですよ!」
「はーい!わかってまーす。はなぶちゃちぇんちぇー」
まるで親から叱られた小学生のようなとぼけた返事に、車中の高等部の生徒一同が声をあげて笑い、尻尾を揺らす。
それでも数学教師・サン・スーシは叱られたことを気にもせず、夏の空から誘われる興奮を抑え切れなかった。
遠くでセミが鳴いている。
そう、林間学校の季節が今年の夏もやって来た。生徒たちは海で遊び、自然に親しみ、そして恋に…と、この行事に全力を注ぎ、
また教師陣は期間中に設けられた学習時間を利用して、生徒たちの気分転換で学力アップを望む、ということに全力を注ぐ恒例行事である。
街の喧騒を離れて、静かな浜辺の旅館へと一同は向かう。バスの中ではそれぞれの夏にかける意気込みがちらほらと。
「ウチはこの夏、どこにも行けそうにないから林間学校に青春をかけるぜ!」
「学習時間さえなければなあ」
「ホントかな…出るって…」
目的地の旅館の車中、生徒たちは心弾ませながら、まだかまだかとざわつき始めていた。
細い田舎道を通り抜け、巨体は広場へと抜け出す。ここの旅館でしばらく佳望学園の生徒はお世話になる。
遊び盛りの若人を乗せて、バスは旅館の門の前でゆっくりとその足を止めた。
古い民家を改装した趣あるたたずまいを見せる旅館は、佳望学園の生徒教師らを懐広く迎えてくれる。
バスの中でも心地よい木の香りが届いてくるのではないかと、生徒一同古い建物に食い入るように見ている。
人間で言ったら人生の何もかもを知り尽くした余生を楽しむご隠居が、第二の人生を歩みだしたと言ったところか。
貫禄が漂う旅館は孫の顔を久しぶりに見た老人のように、優しく声を返してくれるようにも見えた。
バスが止まるとガイド席で猪田先生のポケットからくしゃくしゃになったメモ紙を取り出して、汗を掻きながらメモを読み上げる。
メモ紙には猪田先生が書いたであろう小さな字で、びっしりとこの旅での注意事項が書かれていた。
「今回、サン先生のお知り合いの方からの計らいで、この旅館を使わせて頂いています。
みなさん、旅館の方に失礼のないように」
「はーい」
「特に、サン先生はふすまを破ったり、屏風を壊したりしないように」
思いのよらない英先生の付け加えにバスが揺れる。
しかし、既にサン先生はバスから降りて、いつの間にか麦わら帽子に虫取り網、浮き輪を携えて旅館に走っていた。
そして、こけた。
今年も夏が、始まる。
大広間での猪田先生からのお話に、旅館の方のごあいさつ、クラスごとの注意事項…と、一通りのお約束を済ませた生徒たちは、
それぞれ各自の荷物を持って宿泊部屋に入ってゆく。古い建物は、ミシミシと音を立てて大勢の若い客たちを満足そうに歓迎した。
生徒たちは二階の階段を上り、班別に振り分けられた部屋に入ってゆく。
懐かしいふすまを開ける音、畳の柔らかい香り、そして窓一面に広がる青い世界。
「うおおお!この部屋、景色が目にしみるぜ!」と、雄叫びを上げる利里。
「この窓から滑空したら、最っ高かもね!」と、手を組んで目を輝かせる朱美。
「こんな部屋で養生したら、どんな病気もすぐに完治するッスね!」と、保健委員。
それを聞いて「……」と、ヒカル。
それぞれ言葉は違えど、生徒たちは部屋に笑顔で感動。
一方、教師たちの宿泊するのは『楓の間』と『椛の間』という、窓のない一階にある座敷だ。
男性教員は『楓の間』、女性教員は『椛の間』に集い、初日の行動予定である、浜辺での自由時間までそれぞれくつろいでいた。
「…そら先生は、寝かせときなさいね。夜空が楽しみって言ってたからね」
椛の間の隅に、昼の弱い百武そら先生の小さな身体が転がる。中央では姿勢よく英先生が正座している。
「ふう…」
「英先生、どうしました?お疲れで?」
「いや。泊瀬谷さん、なんでもない」
お茶を入れながら英先生を心配する泊瀬谷先生は、もしや昨晩からの仕事で疲れたまま、この林間学校に臨んでいるのでは?と、
耳を折りたたむ。潤んだ瞳に英先生のお茶を味わう姿が映る。だが、「心配ない」と安心さまいと英先生は軽く答えた。
「昔を思い出してね」
「そうなんですか」
「まったく…、サン先生ったら」
きょとんと首をかしげる泊瀬谷の横では、百武そら先生は引き続きタヌキ寝入りをしていた。
いや、タヌキ寝入りではなく本当に寝ているのかもしれない。それもそのはず、寝言と言う、そら先生の呟きが聞こえるのだ。
「うーん…、夏の大三角形が見えるね…。白鳥座に乗りたいよー」
わたしだって、空を飛んでみせることが出来るはず。そんな時代も、わたしにもあったのね…
と英先生、そら先生の寝顔を見ながら旧友の言葉を思い浮かべた。
そら先生の声を掻き消さんばかりの大声が、『楓の間』から聞こえてくる。
「お坊ちゃま?大叔父さまのお怒りをご理解できないの?」
「自分は、自分で自分の伴侶を見つけた次第です!大叔父さまには関係のないお話です」
「この青二才!ウチの敷居を二度と跨ぐな!!!」
旧家のお屋敷の雰囲気に飲み込まれたのか、昼ドラごっこに興じる帆崎、猪田そしてサン先生の姿。
掛け軸を背に、恰幅よく座る猪田先生は大叔父さま。その脇にちょこんとサン先生が女形よろしくおばさまになりきり、
血気溢れる若き世間を知らない、とある家の跡継ぎを帆崎が熱演していた。
舞台背景は昭和初期の田舎のお屋敷、封建社会色濃く残る家制度と言ったところであろう。
学園祭でやれば拍手喝さいだが、そもそも演じる場所が間違っている。余りの迫力と熱演に、昼寝をしていたそら先生が起きてしまった。
「うーん、オリオン座が昇るにはまだ早いよお」
「お静かになれませんの?先生方!」
英先生が勢いよく楓の間のふすまを空けて、カットのカチンコを鳴らす。本番はおしまい、そして今日の芝居の反省会。
そら先生は英先生をやんわりとたしなめるが「生徒に示しが付かないから」とお構いなく、仲良く男連中は廊下に正座させられたのであった。
「さ、次は浜辺での自由時間ですよ。先生たちもご準備を」
「待ってました!!」
足をしびれさせながら張り切るサン先生をよそに、英先生は椛の間に戻った。
(…やっぱり、似てるのかしらね…)
サン先生の小柄な身体に重なる、もう一つの体。
××××××××××××
「次は体育の時間ですから、皆さん準備を」
「待ってました!!」
夏色に染まる桜女学院中等部。担任の萩野が次の授業を伝えると同時に、クラスいちばんの元気ものの神楽が飛び跳ねる。
さっきまで身体に似合わない大きな尻尾をもたげさせえていたのにもかかわらず、体育と聞いて水を得た魚のように、
神楽は目を輝かせて体操服に着替える。一方、美王は未だトントンと教科書を片付けていた。
美王の顔は、若さのわりには少し憂いた表情をしていた。
「美王は体育、苦手?」
「うん、あまり得意じゃないな」
「そっかあ。天は二物を与えずってね。美王に運動までこなされたら、わたし天の神さまに猛抗議しちゃうかも」
「そんな。わたしは勉強も得意じゃないし…」
「すーがくだけは、でしょ?」
美王がブラウスのボタンを外し始めた頃には、神楽は既に体育のスタンバイOKであった。
ブルマから生えた大きな尻尾の毛並みはこの日いちばんに美しかった。
「よーし!きょうの体育はバスケだって!3組に勝ったら萩野センセからアイス奢ってもらおうね!!」
「やったー!よし」
クラス全体が雄叫びが上がる中、ゆっくりとブルマに足を通す美王であった。
教壇に立ち、クラスメイトの前で拳を上げる神楽、元気もので、みんなの中心に自然となることが出来る彼女に美王は、少し嫉妬した。
××××××××××××
「ぼくと遠泳で勝てたら全員にアイスを奢ってあげるよ!!」
「あまり思いつきで言葉を出さないでくださいよ、サン先生」
「はは…。それは冗談として…」
松林の控える浜辺で、海の自由時間での注意事項をサン先生が伝えていた。横には帆崎先生が呆れて立っていた。
「という訳で、海に入るときは十分気をつけて…解散っ!」
歓声とともに生徒が散る。
康太と雅人は海に飛び込み、クロールで技を競う。
卓は朱美の足に捕まり、海原の上空を颯爽と散歩した。
鎌田と甲山は松林の日陰で寝ていた。
モエとハルカ、そしてリオは渚でビーチボールと戯れようとしていた。
ティーン誌の読者モデルにでもなった気分で波打ち際を駆けはねるモエ。足が波で濡れることを気にしているハルカ。
そして地道にリオは、キコキコとエアポンプでビーチボールに命を吹き込む。
モエとハルカは、スクール水着姿でお互いのプロモーションを自慢しあう。
「折角だから、かわいいビキニで来たかったよね。クラスの男子をどぎまぎさせたかったのに!」
「学校の行事だもんね、モエ。今度、みんなで行くときは水着の見せっこだよ。ね、リオ」
自慢するほどのない胸と水着しかないリオは、無難な顔で黙って空気を入れ続けた。これ以上、首を突っ込むのは自滅行為。
触らぬ神に祟りなし。だが、恐れを知らぬ芹沢モエは、リオを元気つけようと笑ってポンとメガネっ子の背中を叩く。
「リオはさあ、明るい系の色でフリルの付いたかわいいヤツとか、ちょー似合うと思うんだけど!」
「そうだよね。今度、一緒に買いに行こうよ!湊通りのアウトレットにいいお店が出来たんだって!」
(やめて!わたしは、人さまに見られるためのバディじゃないんです!)と、メガネの乙女は無邪気な夏の雲に祈る。
その頃、木陰にシートを敷いてサン、英、泊瀬谷先生らが、文字どおり陰ながら生徒を暖かく見守っていた。
英先生は泊瀬谷から勧められたイヌハッカのハーブティを味わいながら、遠い空を眺める。
「英先生、どうしました?」
「うん。わたしにも、あんな頃があったのかな…ってね」
「見てみたいなあ、英先生の高校のときの写真」
「お恥ずかしい」
ニヤニヤとサン先生はシートに転がった。泊瀬谷先生は生徒たちをじっと体育座りで見ている。
仕事なんか忘れて、昼寝でもしたい気分だ。海風が心地よすぎて、ちょっとまどろむ。
この時間がいつまでも続けばいいのに、との泊瀬谷先生の思いは風で吹き飛ばされてしまった。
「きゃあ!!」
サン先生の麦わら帽子が泊瀬谷先生の顔目掛けて飛行する。
「ほら!モエ、いくよっ。そーっれ!」
「リオ!!風向きが!!」
リオのサーブでビーチボールが風に吹かれて、昼寝していた甲山目掛けて飛んでゆく。
三人が追い駆けるが、マイペースなビーチボールは風に流され松林の方向へ。
「うおっ!いてえ!」
「なに?怪人が現れただと!!」
ビーチボールは甲山の角に弾かれて、さらに高く舞い上がり松林に消えて行った。鎌田はいもしない怪人を探していた。
結局、ビーチボールは松の木の枝で一休みしながら、女子三人を見下ろしながらくつろいでいた。
残念ながら、これでは女子三人には取れそうにもない。モエが足元の小石を投げてみたが、無駄な行為に終わった。
松の木も松ヤニを搾り出して、ビーチボールの味方をしている。三人そろって、上を見上げることしか出来ない。
と、松林から小さな影が現れる。その名は、ご存知サン・スーシ。
「どした?可憐な女子高生三人組」
「あの…」
「話はわかった!よーし。先生、頑張っちゃうぞ!」
一人のイヌが松に飛び掛り、よじ登る。みなさんは、イヌが木に登るところを見たことがあるだろうか。
しかし、サン先生は常識を覆すことに命を懸けるようなヤツだ。あれよあれよと言っている間にビーチボールの引っかかった枝まで
サン先生はたどり着いた。得意気に歯を見せるサン先生を英先生は黙って見ていたのだった。
(やっぱり…似てるのかな…あの子と)
××××××××××××
美王にとっては退屈な体育の時間が始まった。一方、神楽はグラウンド狭しと駆け回る。
夏の風に吹かれて、グラウンドの大樹の木葉が揺れながら、思春期真っ只中の彼女らを見守っていた。
きょうの体育はグラウンドでバスケットボールのクラス対抗戦。小さな身体の神楽にとって、すばしっこく動き回る運動は、
得意中の得意であった。神が与え誌才能かもしれない。神楽がボールを掴む、ドリブルしながら相手をかわす。
どれをとっても、神業としか言うしかない。ここまで神に愛された娘を見たころがあるだろうか。
「美王!パス!それっ!!」
「え、ええ!!」
相手チームに囲まれた神楽は、美王にボールをパスしてゴールへ託す。腕を天に伸ばし、ゴール目指して力いっぱいボールを投げる。
長身の美王から青空に放たれたボールは、籠から放たれた小鳥のように美しかった。
しかし、ここはゲームの最中。感傷的な雰囲気に浸る暇はない。ざわざわ、と生徒一同が天を仰ぐ。
待てど待てども、ボールは帰ってこない。おかしい、何かがおかしい。
「いけない…。引っ掛かった?」
「みたいだねえ」
美王が幾ら悲しげな顔をしても、大樹の枝に引っ掛かったボールは落ちてくることはなかった。
ゆすっても、小石を投げても暖簾に腕押し、ぬかに釘。
「仕方ないね、先生を…神楽???」
「よーし。わたし、頑張っちゃうぞ!」
気が付くと、美王の目線よりも上に神楽はいた。
気が付くと、神楽の尻尾が美王の頭をかすめた。
大樹の上から甲高い声がする。するすると枝を難なく伝って、ボールが引っ掛かった場所まで
神楽が登って行っていたのだ。クラスメイトが止めようにも、神楽の行動は案ずるよりも早い。
「木登りの苦手なリスって、聞いたことある?」
ボールをクルミのように両手で抱え、ポンと神楽は軽く投げる。吸い込まれるように、ゴールの網に入っていった。
ぱらぱらと両チームから拍手が起こる。
「へへへ!これって何点ぐらいのシュートかな。美王、分かる?」
「…分からないね」
木の枝に腰掛けた神楽は、夏の風を受けながら高みの見物をしていた。
が、体育の授業の後のこと。神楽はボールを抱えて、瞳を濡らしながら校舎の隅で座っていた。
「気にしないで」
「うん…」
付き添うように美王が神楽の側に立つ。その姿はさっきまで木によじ登っていた神楽とは全く違う、小さなか弱い生き物。
「ほら、体育の吉沢のことなんか気にしないの。神楽はみんなの為と思ってやったんでしょ」
「うん。でも、吉沢が…」
「ま、吉沢も『木から落っこちたらどうするんだ』って、言ってたからって、意地悪で怒ってたわけじゃないわ。
わたしも神楽が無事に降りてきてホッとしてるし。神楽を止めたってムダなことは十分承知だからね」
「はは…」
「ほら、笑って」
神楽の頬を一滴の光るものが伝わると同時に、白い歯を見せながらニコリと微笑み返す。
ちらと美王は小さなリスを一瞥すると、足元の小石をコツンと蹴った。
「でさ…、美王。知ってる?」
「何?」
××××××××××××
「ほら!木登りの苦手なイヌって聞いたことある?」
「あの、サン先生。イヌってそもそも木登りが…」
「あー!あー!聞こえない!聞こえない」
ビーチボールが引っ掛かった松の木の枝から、サン先生は叫びながらモエ、ハルカ、リオを見下ろす。
ポンとビーチボールをサン先生が投げると、ニュートンの法則よろしく地上に落下して、リオの足元に転がった。
転がるビーチボールをリオは追い駆けて、掴み取るが羽毛に寝た付くものを感じた。
「ありがとうございます。でも、先生。松ヤニだらけです」
「ぼくは大丈夫!お風呂に入れば無問題!」
「ボールが、です…」
―――夕食前のふわふわっと身体が宙に浮く時間。
サン先生は一足先に体中に付いた松ヤニを落とすために風呂に入ってきたところだった。
そよ風吹けば、夢の世界へと誘われても自然な心地よい疲れ。元気の固まりのサン先生も例外ではなかった。
一緒に風呂に入った帆崎先生も右に同じ。
「あーあ。一年分、遊びつかれたよ」
「でも、サン先生。夕食の後には学習時間ですよ」
「あー!あー!聞こえない、聞こえない!」
楓の間には、掛け軸を背後にふんぞり返る猪田先生がいた。
猪田先生は昼ドラごっこの続きをする気まんまん、この一瞬のために考えたセリフをここぞとばかりに大砲のような声で熱演した。
「尚武!この縁談は無かったことにするぞ。でなければ、分かっておるだろうな!わが、佳望家の名を守るんだな!」
「猪田先生、何やってるんですか?夕食の準備ができますよ、もうすぐ」
「ええ?ちょ、ちょっと!お、おばさまも切歯扼腕なので、は…?」
「あー、お腹すいたあ…。帆崎センセに猪田センセ、行きますよ」
「わー!サン先生まで!!」
一人相撲を取って赤っ恥をかいた猪田先生を呆れて見ていたのは、英先生だった。
いつも、わたしの側には小さなヤツがいる。
種族も性別も違うけど、一緒にいるだけで心配かけて、笑って暮らせるヤツがいる。
「英先生、どうしました?」
「いや、ちょっと昔のことを」
ジャージに着替えた泊瀬谷先生は英先生の顔をくるっと覗き込む。
にこりと泊瀬谷先生は笑顔を見せると、つられて英先生も笑う。
「ほら!すごいすごい!!夏の大三角形がこんなに見えるなんて!」
夜になって元気いっぱいのそら先生の声を聞きながら、笑顔で英先生は夕食に向かう。
今年も、夏が始まる。
おしまい。
林間学校のおはなしは夜に続く…つもり?
>>818を見てからの妄想でこんなお話を書いてしまったのは反省している。
そろそろあのお嬢さまの出番の時期ですな…。投下はおしまいです。
GJ!
季節感満載センチメンタル満載ですね。
あれはデネブアルタイルベーガー♪
おおお、神楽が動き始めましたね。いいなぁ、いいなぁ。
あまり設定を小出しにするもんじゃないなと反省しつつ…
西神楽(にし・かぐら)
上から長女の聖和(せいわ)、長男の悟了(ごりょう)、神楽、妹の瑞穂
(みずほ)の4にん姉弟。
バスケ部所属。小回りが利く上にシュートの精度が高く一年時から準レギュ
ラー。背が低いことがコンプレックスで、当然面白く思わない先輩等からは
そこを突かれて落ち込むことも。 でも、嫌なことは長いこと覚えていない、
リスだから。基本元気、大食い(笑)
昨日は「バットデテクタ」を入手。 夕方に外を飛ぶコウモリ達の声を聴いて
みました。 いやいや、これは楽しいですね。 こんなに冗舌だったとは。
珠美の様な大型の果実などを食べるコウモリはエコーロケーションをしないそ
うで…
ttp://loda.jp/mitemite/?id=310.jpg 明後日から帰省なのでお嬢様が出てこれるかどうか…
お嬢様方は避暑にお出かけになられるのですね。
お気を付けて行ってらっしゃいませ。
執事の大浦さんにスレの戸締まりをお願いしといてくださいw
バットデテクタって何だろと思って調べてみた。
これの水中バージョンが欲しいなぁ、ドルフィンスイムする時に使ってみたい。
>>908 >林間学校のおはなしは夜に続く…つもり?
wktkが…wktkが止まらねえ!!
おぉ林間学校来た。みんなそれぞれに楽しく過ごしてるのがなんかいい。
なるほど神楽はこんな感じかー。一枚絵から想像してこう動かせるってのはすごいな。
英先生が深まってきたね。ぶっちゃけ生徒より教師のがネタ多いよねケモ学。
臨海学校なんて行った事無かったなぁとか思いつつ俺が通りますよ……。
今回は暑い夏の夜を涼しくする話を投下します。
結構長いので暇な方は投下支援をお願いします。
どんよりとした曇り空によって、月の光すら届かぬ深い深い闇が世を支配する深夜の佳望学園。
定時制も既に終わっている時間帯にも関わらず、学園のある教室には、
火を付けられた数本の蝋燭を中心に輪になって座る教師と生徒達の姿があった。
「私の話はこれで以上です」
その言葉と共に、イヌの少女は目の前の蝋燭の火を吹き消した。
周囲をか細く照らす数本の蝋燭の内の一本が消えた事で、教室はその闇の色を濃くする。
その闇の深さに畏怖したのか、誰とも付かぬ唾を飲みこむ音が小さく響き渡った。
「はい、95話目のお話、芹沢さん、ありがとうございました」
「モエの話、怖かったなぁ……」
「まさかそんなオチで来るとは予想してなかったよー」
神妙な面持ちをした泊瀬谷先生の礼の一言を切っ掛けに、
細々と周囲を照らす蝋燭の周りに座った生徒たちが口々に感想を漏らす。
その感想はどれも、先ほど蝋燭を吹き消したモエの語った話に関する物。
そう、彼らがこんな深夜に学園に集まったのは他でもなく、高等部の夏休み恒例『納涼百物語会』の為である。
この『納涼百物語会』の歴史は意外に古く、その始まりは今からおよそ三十年以上も前に時代が遡る。
最初は数人の生徒が彼方此方から集めた怖い話を持ち寄って、教師に内緒で百話分話し合うだけの内容だったのだが、
時代が流れるうちに参加人数が増え、何時しか安全の為の監視役として教師も加わって、今のスタイルへ落ちついた。
会の大まかな流れとしては、参加者達は予めくじ引きで順番を決め、
その順番通りに怖い話を語った後、蝋燭を一本吹き消し、それを百本目まで繰り返す。と言うシンプルなスタイルである。
語られる話の内容は実際にあった出来事から、友達の友達から聞いた話に都市伝説、はてや作り話等、多種多様で。
どう見ても明らかな与太話に笑いあったり、または全身の毛も逆立つ恐ろしい話にお互いに抱き合ったり、
今やこの『納涼百物語会』は夏の夜を涼しくするよりも、生徒たちの親睦を深める行事となりつつあった。
そんな、生徒たちが各々取っておきの怖い話を携えて臨んだ今年の『納涼百物語会』も佳境を迎える中、
和気藹々と会を進行して行く様子を、何処か面白くないといった感じで見る一人の少年の姿があった。
(なんだよ……芹沢の話、ネットで見た事のある話じゃん)
如何考えても彼女の話はネットの受け売り、全然恐ろしくも面白くもない。
そう、頭の中でぼやきつつ、卓は教室の中心で揺らめく蝋燭の明かりをぼんやりと眺めた。
彼がこうなってしまうのも無理もない。何せ、卓は50話目の段階で既に自分の話を全て語り終わってしまい。
今や他のクラスメイト達の話を聞くだけの状態となってしまったのである。ぶっちゃけ、卓は暇だった。
これで他のクラスメイト達の語る話がどれも面白い(或いは恐ろしい)内容ならば、卓はこうはならなかったのだが。
生憎、その殆どが何処かの本やネットなどの受け売りであったり、
たまにオリジナリティのある話かと思えば、オチが直ぐに読める話だったり、
酷い物となると、ここで話すべき内容なのかと思わず突っ込みたくなるような笑い話だったりと、
そんな話を10話20話と立て続けに聞かされたら、卓の心が冷めてしまうのも無理もないだろう。
(でも、面白くないからと言って、途中で帰るなんて出来やしないしな……)
そんな微妙な立場に立たされた卓は、窓の外の曇り空を眺めながら、ただ、溜息を漏らすしかないのであった。
「それじゃあ次は……」
「あ、私の番です」
「では、永遠花さん。96話目、宜しくお願いします」
次の語り部となったのはモエと仲の良い永遠花。
泊瀬谷先生に促されて立ちあがった彼女は周囲をゆっくりと見回すと、意を決したように話し始める。
「あれは、2週間ほど前、買い物の帰り道の事でした……」
(今度は永遠花か……この子の事だからお涙頂戴系、かな?)
何処か冷めた眼差しで眺める卓を余所に、永遠花は尻尾をゆっくりと揺らしながら語り始めた。
その時、私は頼まれていた物を思った以上に安く買えて、ホクホク顔で自転車に跨り帰宅している最中でした。
しかし、ある場所に来た所で、私は思わず自転車を止めてしまいました。
……生馬川の築堤の道にある踏み切り、知ってますよね? 毎月の様に自殺者が出ると有名な、
まるで築堤の上にぽつんと置かれているような、何処か寂しいイメージを感じさせるあの踏みきりです。
私は昔からそこが苦手でした。ネコの本能というのでしょうか、何故かここを通っては行けない様な気がしてならないのです。
しかし、その時は買い物の荷物も重かった事もあって遠回りする気にもなれず、仕方なしに其処を通る事にしたんです。
まあ、そう電車がしょっちゅう来る訳でもないし、一回通るくらいなら大丈夫かなと気楽に考えて。
しかし、それでも今まで苦手であった事もあって、私はなるべく素早く踏み切りを通りすぎようとした……その時です。
突然、ブレーキを掛けた訳でもないのに自転車が踏み切りの真中で動かなくなったのです!
余りにも唐突な事に、私は半ばパニックになりながらも踏みきりから脱出するべく必死に自転車を動かそうとしました。
しかし、まるで接着剤か何かでタイヤを地面に固定された様に、自転車はビクとも動きません。
そうしている内に、あろう事か踏み切りのアレがカンカンと鳴り始めたのです。
いけない、電車が来る。早く踏み切りから出ないと!
身に迫った危険を前に、私は何とか脱出しようと努力するのですが、自転車は動きません。
成す術も無く周囲を見まわした私は、ふと、ある物に気付きました。
それは、自転車の後カゴを掴む、私と同じネコ族の物と思しき肘から先の部分だけの手でした。
多分、これが後カゴを掴んでいる所為で自転車が動かないんだ。
そう気付いた私は咄嗟に、手にしていた買い物袋を後カゴを掴んでいる手へ何度も叩きつけました。
するとどうやらそれによって手が怯んだらしく、後カゴを掴む手の力が緩んだのを感じました。
無論、その機会を見逃す私じゃありません。空かさず思いっきりペダルを漕いで踏みきりから脱出。
直後、私の直ぐ後ろを電車が猛スピードで通りすぎていきました。……間一髪、危ない所でした。
何とか助かった事に、私は安堵の溜息を漏らしながら電車が過ぎ去った踏み切りへ目をやると、
踏みきりの真中で、片腕、片足のない顔が半分崩れたネコの女の人が立っていました。
『……もう少しだったのに』
そう、彼女は憎憎しげに私へ睨みつけながら呟くと、空気に溶けていく様に消えていきました。
……恐らく、未だにあの踏み切りに自殺者が絶えないのは、彼女の仕業ではと私は思っています。
「それより一番怖かったのは、その後、散々手に叩き付けていた買い物袋の中を確認する時でした。
私の話はこれで以上です」
ぺこりとお辞儀して、永遠花は目の前の蝋燭の火をフッと吹き消した。
(いや、永遠花の話、滅茶苦茶怖えぇぇぇっ!! なにこのスリリングな話!? しかも声真似上手いし!?
つーか、あんな目にあってながら、心配するのは買い物袋の中身かよ!?
というか、その踏切ってあそこだろ? もう絶対にあそこを通りたくなくなっちまったじゃないかっ!!)
永遠花の話にビビリまくった卓の正直な感想だった。
「はい。96話目の話、永遠花さん、ありがとうございました」
数秒の間を置いて泊瀬谷先生が永遠花へ座る様に促す。
なるべく冷静に取り繕っている泊瀬谷先生ではあるが、今、彼女がビビっている事は膨らんだ尻尾で丸分かりであった。
「それでは次は……因幡さん、97話目、宜しくお願いします」
「分かりました」
それでも何とか冷静を保っている泊瀬谷先生の呼びかけに、委員長こと因幡 リオが立ちあがる。
そして、気を落ち着けようとしたのか耳を揺らして深呼吸をした後、語り始める。
「この話は今から数ヶ月ほど前、委員会が終わった後、帰宅している最中に起きた出来事です」
(つ、次は真面目のまー子の委員長の話か……)
卓は永遠花の話に若干ビビっていた心を何とか立て直し、再び話に耳を傾ける。
そして、周囲を静寂が包む中、リオは静かに語り始めた。
その日、委員会が予想以上に長引いた事で、私が下校する頃には日も落ちかけているところでした。
グラウンドで遊んでいた生徒達の姿もなく、部活動を行っている部員達の姿もない夕暮れの学園は不気味なまでに静かで
その不気味さに私の足も心なしか早足になっていました。
そんな時、『もう良いかい?』と、小さな声が私の長い耳に聞えました。
それから数秒の間を置いて、『まぁだだよ』と言う声も聞えました。
声の質からして小等部辺りの子でしょうか。
もう下校の時間だというのに、まだ校内でかくれんぼをしている子が居る様でした。
当然、委員長である私はまだ遊んでいるであろう子へ注意するべく、声の主を探し始めたのですが……。
しかし、声が聞えた場所を幾ら探しても、隠れている子はおろか鬼役の子すらも見つかりません。
私が妙なものを感じ、首を傾げていると、
『もう良いかい?』と、また声が聞えてきました。それも、私が先ほど探していた場所とは全く違う場所から。
そして、数秒の間を置いて『まぁだだよ』の声。無論、それも先ほど聞えた場所とは全く違う位置から。
……明らかに変でした。
先ほどの声はさっき声が聞えた場所とは大分離れた場所から聞えており、
もし、その場所へ移動して声を出すなら、移動する時は必ず私の視界に入ってもおかしくない筈なのです。
しかし、誰かが移動する様子なんて私は見ていません。……なら、この声は何?
そう私が思ったその矢先。
『 も う 良 い か い ? 』
声は、私の直ぐ後ろから聞えてきました。
それも、先ほどまでの小等部の子が出すような可愛らしい声ではなく、地獄の底から聞えてくるような野太い声で。
私がわき目も振らずその場から逃げ出したのも当然の事でした。
今思うのですが、もし、あの『もう良いかい?』の後に、私が『もう良いよ』と返していたら……。
それを考えるだけで、私は全身の毛が毛羽立つのです。
「対して怖くない話でしたが、私の話はこれで以上です」
言って、リオは目の前の蝋燭を吹き消した。
(いや、ちょ、対して怖くないって嘘付けぇぇぇぇぇぇっ!! 滅茶苦茶怖ぇじゃねえか!?
何? どんどん近付いて来る訳じゃなく、前触れも無しに直ぐ後から聞えてくるなんて反則だろ!?
しかも、リオの声真似も凄く上手かったからより怖さ倍増じゃねぇか!!
ああ、もう夕暮れ時の下校は一人で行きたくねぇよ! 畜生!)
リオの話に対する、卓の正直な感想だった。
無論、その想いは周りの皆も同じだったらしく、感想を語り合う事無くただ、シンと静まり返っていた。
「は…はい、97話目のお話、因幡さん、ありがとうございました!」
そのまま十秒程の沈黙の後、ようやく泊瀬谷先生が震えた声でリオへ礼を言い、座る様に促す。
見れば、膨らんでいた泊瀬谷先生の尻尾は既に股の間へと隠れていたりする。
「え、えっと…次は…」
「あー、俺だぞー」
「じゃ、じゃあ、竜崎君、98話目、お願いします」
若干涙目になりつつある泊瀬谷先生の呼びかけに、尻尾揺らして元気よく立ち上がる利里。
そして何故か何も無い方向を一瞬だけ一瞥した後、皆の方へと向き直って話を始める。
「アレは確かそうだなー、俺がまだ小等部だった頃にあった話だったかな?」
(あ…今度は利里か…良かった、こいつの話なら安心して聞けそうだ)
次の語り部が親友の利里だと知った卓は、心の中で安堵の溜息を漏らした。
忘れっぽい上に純粋な性格の利里の事、そう大して怖い話をしてこないだろう、とたかをくくったのだ。
そんな卓を余所に、利里は何時もの調子で語り始めた。
実は言うと、俺の家は玩具屋をやってるんだ。東佳望三丁目の、竜崎玩具店って所。
家が玩具屋だから一杯玩具があって羨ましいと皆も思うだろ? けど、現実はそう甘くは無いんだ―。
俺の父さん、商売に対しては真面目な人だったから、俺がうかつに商品に触ろう物なら即座にゲンコツだ。
だから、父さんが怖かった俺は、家に一杯ある玩具を指の爪咥えて見てるしか出来なかったんだー。
そんな俺を不憫に思ったんだろうなー、俺の母さんが父さんに頼んで家の倉庫から玩具を持ってきてくれたんだ。
確か、その玩具はスイッチを入れると頭をピカピカと光らせながら歩くロボットだったのを憶えてる。
それは売れ残りの玩具だったんだけど、今まで指の爪咥えて玩具を見てるだけだった俺にとってはすっごく嬉しかった。
とうぜん、俺は毎日の様にそのロボットで遊んでたよー。あ、無論、大事に遊んでたぞ。壊したら父さんが怖いからなー。
……その玩具で遊び始めてヘンな事に気付いたのは、それから1週間辺りだったかな?
ヘンな事と言うのは、そのロボットをキチンと玩具箱にしまってても、何時の間にか玄関の前に転がってるんだ。
その所為で、父さんから大事な物はしっかり仕舞ってろと何度もこっ酷く叱られてさー、本当に理不尽な気分だったよー。
挙句にさ、そんなに大事に出来ないならと、父さんにロボットを隠されちゃってさー、もうその時は泣きまくったよー。
……でもな、父さんが念入りに隠した筈のロボットが、翌日にはまた玄関に転がってた。
それで父さんも流石に変だと思ったんだろうなー、その日の夜、父さんは俺と一緒に玩具を見張る事にしたんだー。
勝手に動き出さない様に電池を抜いた上でロボットを部屋の真中に置き、それを俺と親父が物陰に隠れて見張ってた。
そして夜中の2時くらいになった頃だったかな?
なんと驚いた事に、電池を抜いた筈のロボットが勝手に動き出したんだ。頭をピカピカ光らせながらな?
そして、何かに操られる様にロボットは玄関の方へ。無論、俺と父さんは直ぐ様、ロボットを止めようとした。そしたら……
『こ れ は 僕 の だ ! 触 る な !』
ロボットがいきなり振り向いて、何時もの角張った顔と違う鬼のような形相で俺と親父へ叫んだんだ。
それは俺の聞き間違いじゃなかった。その場にいた親父も確かに見て聞いたんだからな。
それで恐ろしくなった俺と父さんは父さんの部屋のベットに逃げ込んで、結局、朝まで震えるしか出来なかったよー。
後で聞いた話だとな、そのロボットは本当なら、ある家の子供のプレゼントになる予定の物だったんだー
でも、プレゼントされる直前でその子供が事故で死んじゃってな、結局渡されずに倉庫に仕舞いこまれたんだとさー。
多分、その子供の幽霊はロボットを独り占めしたかったんだろうなー。俺もその気持ちが分かるなーと思うよ。
それで結局、俺は父さんから代わりの玩具を貰い、ロボットはお寺へ預けられる事になったんだー。
多分、今も、あの子はそのロボットで遊んでるんだろうなー?
「これで俺の話は以上だぞー」
言って、利里は鼻息で蝋燭を吹き消した。
(ごめんなさいごめんなさいごめんなさいどうせ怖くないだろうとたかをくくってた俺が悪かったですごめんなさい。
つーか、話す一瞬前にあらぬ方を見てたけど、その時、何見てたんだ利里!?)
土下座する様に床に突っ伏した卓の、余りにも正直過ぎる心の中での感想だった。
「は…はは、はい! きゅ、98話目のお話、りゅ、竜崎君、あ、ありがとうございました!」
水を打ったかの様な静寂の後、完全に声を震わせた泊瀬谷先生が利里へ座る様に促す。
最早、泊瀬谷先生の身体中の毛皮と言う毛皮は恐怖によって逆立っていた。
「え…えーと、えとえと、次の人は…」
「あ、もう俺の番だったか?」
「そ、それじゃあ塚本君! 99話目、お願いしますね!?」
泊瀬谷先生の今にも逃げ出したい気分を必死に堪えながらの呼びかけに、塚本がよっこらせっと立ちあがる。
そして、塚本は気だるそうに溜息を漏らすと、面倒臭そうに尻尾を揺らしながら話を始めた。
「あー、たしかアレは、新しく中古車を買ったオジキに起きた話だったな…」
(つ、次はおバカで有名な塚本か……流石にこいつは恐い話はしてこないだろう……つか、そう願いたい)
身体中から吹き出る冷や汗を必死に拭いながら、卓は次の語り部である塚本へと願った。
しかしそれと同時に、卓の冷静な部分は、この願いが叶わぬ物だと現実的に感じ取っていた。
そんな卓の願いなんぞつゆ知らず、塚本は後頭をぼりぼりと掻いて語り始める。
その車はとにかく出物だった。物は数年前の人気車種、走行距離2万km未満、オーディオ・クーラーつき。
この内容で値段は何と一万五千円、税金やら保険などその他諸々入れても合計10万ぽっちと言う破格の値段の車だった。
無論、オジキはその車が2台以上の事故車の無事な部分を組み合わせて作った、所謂ニコイチ・サンコイチを疑ったよ。
けど、何処を調べてもそんな形跡は無く。調べれば調べるほどその車が事故歴もない新品に近い車だと分かるだけだった。
俺も一度、オジキのその車に乗せてもらった事あるんだがよ。
本当に一万五千円で売ってた物とは思えないくらいに内装も綺麗で、走りも何ら問題がないんだわ。
でも、その時、俺がこの車に対して気になった事が二つだけあった。
一つは、芳香剤をやたらとガンガンに効かされている事。オジキが言うには、これは買った当初からだったらしい。
そして二つは、CDやラジオなどのオーディオを使うと、どんな時に使ってもプツプツと雑音が入る事。
まあ、所詮は一万五千円で売っていた代物だし、それくらいは当然だと、オジキも大して気にしなかった様だった。
……でも、それから三日くらいして、オジキは突然その車を手放しちまった。
その手放した理由についてなんだが。ここからがオジキから聞いた話なんだけどよ?
その日もオジキは特に宛ても無く、その車で近くの峠道を流していたそうなんだ、時折、走り屋を煽ったりしながらな。
まあ、そんな調子で3時間くらい走りまわって疲れたオジキは、峠にあるパーキングエリアで休む事にしたんだと。
けど、その時は夜中の2時、当然店なんてやってない。無論、峠の真中だから暇を潰せる場所なんて有る筈も無い。
だからやる事とすれば、自販機で買ったコーヒーでも飲みながらオーディオの音楽を聴く事くらいだ。
オジキがオーディオをつける。ノリの良い音楽に混じって聞えてくる何時もの雑音。
周囲が静かなもんだから、オジキはついついその雑音に耳を傾けてみたそうなんだ。
そして暫く聴いてみて、ようやくオジキは気付いた。それはただの雑音じゃないって事が。
……よくよく聴いてみると、その雑音はかなり低い物なんだけど、明らかに人の声なんだよ。
そして、声は音楽に混じって、途切れ途切れに『アツイ、クルシイ』と言っていた。
寒気と同時に、一気に全身の毛皮が逆立つ物を感じたオジキは、即座にオーディオの電源を切った。
けど、オーディオの電源を切ったにも関わらず、『アツイ、クルシイ』と声は聞えてくる。それもオジキの直ぐ横、助手席から。
おまけに、芳香剤の匂いに混じって、何とも言えない焦げくさい臭いまでしてくる。
オジキが言うには、何と言うか煙草に火をつけようとしてうっかり毛皮を焼いてしまった時の様な酷く嫌な臭いだったそうだ。
嫌な予感を感じながらも、オジキはまるで操られたかの様に声のする助手席へ振り向いた。
――其処に奴が居た。……そう、何の種族すらも判らない位に全身が黒焦げに焼け爛れた奴の姿が。
オジキは悲鳴を上げる事すら出来ず、そのまま気を失った。
翌日、通りかかったポリ公に叩き起こされたオジキは当然、その車を運転する気にはなれず。
結局、自分を叩き起こしたポリ公に懇願してパトカーで家まで送ってもらったそうだ。
後でその車を売った中古車屋を締め上げた所、その中古車屋はトンでもない事を白状し始めた。
実はその車、なんと最初のオーナーが借金かなんかの原因で車内で焼身自殺を図ってたらしいんだわ。
けど、火が弱かったのかそいつは死に切れず病院に運び込まれ、『熱い、苦しい』と苦しみながら三日後に死んだ。
で、そいつが焼身自殺を図った車は、焦げた助手席と内装の部分だけを交換して借金取りがうっぱらったんだと。
まあ、それでそのいわく付きの車は彼方此方のオーナーを転々と渡り、そしてオジキの手に渡ったそうな。
無論、オジキはそんないわく付きなんぞイラネと中古車屋に突っ返したのは当然の事だな。
ああ、そう言えば聞いた話だと、その車、今も中古車屋の片隅に置かれているらしいぜ?
気になるなら夕陽丘三丁目の中古車屋に行ってみな? 運がよければ聞けるかもしれないぜ?
そう、『熱い、苦しい』とうめき続ける、自殺者の怨嗟の声がな……?
「俺の話はこれで以上だぜ?」
言って、塚本は目の前の蝋燭をフッと吹き消した。
明かりとなる蝋燭の火が最後の一本になった為か、教室は殆ど暗闇に支配されつつあった。
(え、えと、何でこう言う時に限って何で本当に怖い話を話すんだ!? 塚本、おまえ、本当は頭良いだろ?!
それにその中古車屋の場所をさらりと言うなよ! 気になって見に行くバカが必ず出るぞ! 特に利里とか)
最早恐怖で涙目になりつつある卓の本気で素直過ぎる感想だった。
「ふ、ふぁい、きゅきゅ99話目のお話、つ、つかもと君、ありゅがとうごじゃいましたぁ!」
泥沼の其処の様な深い沈黙の後、泊瀬谷先生が身体の震えの余り台詞を噛みまくりながら塚本に座る様に促す。
全身の毛皮を逆立て尻尾を丸め更に涙目な泊瀬谷先生は、物音がすれば今にも悲鳴を上げて逃げ出しそうだった。
「え、えとえとえっと、ちゅ、ちゅぎの人は誰でしたっけ?」
「あ…ぼくでしたね…」
「え、あ、ひ、ヒカ…犬上君? なら最後のお話、おねがいしましゅ!」
最早半分ほど言葉になってない泊瀬谷先生の呼びかけにスッ、と立ち上がったのは犬上 ヒカル。
一本の蝋燭の火のか細い光だけが暗闇を照らす中、ヒカルのふさふさの白い尻尾だけが妙にはっきりと見えた。
そして、俯き気味のヒカルは静かに、最後の百話目となる話を語り始めた。
「皆さん、この学校の七不思議の一つに有る、『紅い尻尾』の話はご存知でしょうか?」
(最後のトリはよりによってヒカルか……こいつ、口下手だけど恐い話が得意そうだからな……
本当、お願いだからもうこれ以上怖いのは勘弁してくれよ? 只でさえ何か出そうな雰囲気なんだから!)
ガタガタと恐怖で震える身体を必死に抑えつつ、卓は最後の語り部で有るヒカルへと祈る。
その卓の眼差しの先で俯き加減に佇むヒカルは、何故か酷く存在感がないようにも見えた。
そして、全員が息を飲む中、『納涼百物語会』最後の話が語られ始めた……。
しえーん
支援
こんな時間に覗きに来てみればwwwwww
普通に怖い件wwwwwww
もしかして支援入るの遅かったか…?
それは深夜の2時ちょうど、ある場所で『ふさふさの尻尾は何処にある? この場所さ』と唱えると。
『ぼくの尻尾…』と言う声とか細い共に、尻尾を血で紅く染めたイヌの少年の霊が現れ、こう問い掛けてきます。
『ぼくの尻尾は何処?』
この時、何も答えなかったり、正解の答えを言えなかったりすると、彼に尻尾を引き千切られてしまうのだそうです。
無論、尻尾が無い種族の場合はお尻にある尾底骨を引き抜かれてしまう、と言う恐ろしい怪談です。
……実はこれ、かつてこの学園で本当に起きたある事件が元となって作られた話だったりするのです。
昔々、佳望学園の高等部に、純白の長い尻尾をもつイヌの少年が居ました。
彼のそのふさふさの尻尾は他の生徒が羨むくらいに美しく、彼自身も自分の尻尾を自慢に思っていました。
自慢気に自慢の尻尾を振る彼の姿が学園の中では良く見られたそうです。
ある日の休日、学園の中で友達と遊んでいた彼はかくれんぼの最中、
工事中の幕をくぐった先で見なれない物が置かれているのに気が付きました。
それは金属製の壷を斜めに傾けた状態で金属製の台に固定したような奇妙な物体でした。
当時の佳望学園は木造の旧校舎から新校舎への建替えの真っ最中、恐らくは工事をしている人が置いたのでしょう。
これはイヌのサガと言う物なのでしょうか、彼はこの見慣れぬ物体に対して強い興味を抱きました。
取り敢えず匂いを嗅いでみたり、揺らしてみたり突っついてみたりと彼は色々とやってみた後。
彼は何を思ったか、自慢の尻尾を壷のような物の中へ入れて見たのです。
そう、壷のような物の正体が何なのかを知らずに……。
―――悲劇の幕は機械の音と悲痛な悲鳴から上がりました。
それに気付いた彼の友人が駆け付けて見ると、其処には地に倒れ伏し、悲痛なうめきを漏らす彼の姿がありました。
『ぼくの尻尾が、ぼくの尻尾が』と漏らす彼の尻尾は途中から失われ、其処から血が止めど無く溢れ出していました。
その時、尻尾のあった場所から溢れ出る血の所為か、今の彼は紅い尻尾を生やしている様に見えたのだそうです。
そして、彼の側にはゴウンゴウント唸り声を上げる壷の様な物。
そう、彼が尻尾を入れて見た壷の様な物、それは工事に使われる可搬型のコンクリートミキサーだったのです。
恐らく、彼が尻尾を入れる前に、突付いたり揺らしてみたりした事で誤作動を起こしたのでしょうか、
彼が尻尾を入れると同時に、コンクリートミキサーは与えられた職務を全うすべく中の物を掻き混ぜ始めたのです。
その中の物がコンクリートではなく彼の尻尾だったとしても……。
その後、騒ぎを聞きつけた教師の通報によって、彼は病院に運ばれたのですが、
傷口から悪い菌が入ったのでしょう、可哀想に彼は高熱にうなされたまま死んでしまったのです。
そう、意識を失う最後まで『ぼくの尻尾が、ぼくの尻尾が』と言いながら……。
しかし、こんな痛ましい事故が起きたにも関わらず、
工期が差し迫っていた事もあって工事は中断される事も無く、何事も無かったかのように続けられ、
その上、事故を起したコンクリートミキサーも、少し点検された程度でそのまま使われ続けたのです。
……そして、新校舎が完成した後、それから数ヶ月もしないうちに、冒頭で話した噂が流れ始めました。
新校舎のある場所は彼の尻尾の血肉が混ざったコンクリートを使っている、と言う根拠の無い噂と共に。
因みに、皆さんは知ってますか?
彼の亡霊が現れると言われ、同時に彼の尻尾が混ざったコンクリートが使われているとも言われている場所。
その場所は高等部の3階の左端から3番目にある教室……そう、今、ぼく達が居るこの教室なのです。
ひょっとすれば、今、ここで呪文を唱えれば彼が現れるかもしれませんね?
そう、『ふさふさの尻尾は何処にある? この場所さ』 と。
しえ
しえん
支 援
「ぼくの話は以上です」
言って、彼は最後の蝋燭の火を吹き消した。
百本目の蝋燭が消えた事で、深夜の教室は光一つすらない完全な暗闇に包まれた。
生徒も教師も、皆、沈黙を守り通していた。何時もならば騒がしい生徒ですらも、今は只、押し黙るだけであった。
そう、何か物音を立てたら最後、何か恐ろしい物が現れるんじゃないかと言う根拠の無い不安によって。
聞える音とすれば、風に揺れるカーテンが鳴らすカタカタと言う音だけ。
「ー――――っ!!」
その暗闇を打ち消す様に、不意に灯される教室の蛍光灯。
女子生徒達数人がそれに驚き、思わず甲高い悲鳴を上げる。
「ちょ、皆さん!? お、落ちついてください! 私が蛍光灯を点けただけですから!」
その悲鳴に慌てて声を上げたのは泊瀬谷先生。
どうやら彼女は皆が押し黙る状況にしびれを切らし、側にあった蛍光灯のスイッチへ手を伸ばしたのだろう。
怯える生徒達を必死に宥める教師を横目に、その場の誰もが様々な感情を入り混じらせつつも安堵の溜息を漏らした。
「しっかし、今回の『納涼百物語会』の最後辺り、怖い話が目白押しだったなぁ」
「そうそう、私はリオの話が怖かったかな? 最後の『もう良いかい?』のくだりが一番怖かったわ」
「いえ、永遠花さんの話が怖かったと思いますよ?」
「塚本、お前、あんな長い話をキチンと覚えていられたんだな? 感心したぜ?」
「へッ、俺に掛かれば怖い話の一つや二つ訳ねぇっての来栖」
「ねえ、塚本君。なんかポケットからメモが落ちたよ? ひょっとしてこれ、カンペ?」
蛍光灯の見なれた明かりによって、恐怖に染まっていた心も落ち着きを取り戻したのか、
生徒達が口々に百物語の感想を並べ始める。
「卓ー、俺、今回の話を覚えるのすっごく苦労したぞー! どきどきだったぞー!」
「あ、ああ、そうだったな、お前の話、充分怖かったぜ」
「おお、それは良かったぞー!」
尻尾を振り上げて喜ぶ利里に少し苦笑いを浮べた所で、卓ははと有る事に気がついた。
しかし、卓がそれを言い出す前に、恐らく同じ事に気付いた泊瀬谷先生が不思議そうに声を上げる。
「……あれ? ヒカ…犬上君は?」
「え? 犬上だったら……あれ? 居ねぇ? 何処行ったアイツ?」
と、周囲を見やる塚本、ここで生徒達全員がヒカルの姿が無い事に気付き、
まるで静かな水面に小石を投げ打ったかの様に生徒達の間からざわめきが広がり始めた。
――――と、その矢先。こちらへ掛けこむ足音と同時に教室のドアが開いた。
「やっとついた! 皆、遅れてゴメン!」、
教室のドアを開けて入ってきたのは、皆が探していたヒカルだった。
彼は余程急いで来たのだろう、舌を垂らしたマズルから荒い息を漏らしていた。
「もう、行く直前になって父さんに用事を頼まれちゃってさ…とにかく、遅刻してゴメン。百物語はもう終わっちゃった?」
『…………』
「……あ、あれ? 皆、何で黙るのさ……?」
驚いたように硬直する皆を前に、ヒカルは不安に駆られて思わず耳を伏せる。
この時、この場のヒカルを除く誰もが気付いた事であろう、
ヒカルは今さっき到着した。なら先程、百物語の百話目を話していたヒカルは一体……?
それに気付いた皆はほぼ同じタイミングで、百話目を話していたヒカルの立っていた場所へゆっくりと視線を向ける。
……其処には、紅い血溜まりだけが残っていた。
余りにも信じられない物を前に、毛並みを逆立てて沈黙するその場の全員。
(ただし、今しがた来たばかりで事情が飲みこめていないヒカルは除く)
水を打った様に、シン、と静まり返る教室。夏にも関わらずひんやりとした空気が流れ、古い蛍光灯がジジジと音を立てる。
そして――――
『ぼくの尻尾……』
その静寂に滑りこむ様に、何処からか響く悲しげな声。
『うわぁぁぁくぁwせdrftgyふじこlp; !?!?』
当然、それによってその場の全員の恐怖のボルテージが一気にMAXとなり、
皆、全身の毛を逆立てて悲鳴を上げながら土石流の如き勢いで教室から逃げ出したのであった。
【それから数分後】
百物語後の怪異によって生徒も教師も全員逃げ出し、誰も居なくなった教室。
蛍光灯が虚しく教室を照らす中、唐突に教卓がごとりと音を立てて動く。
「ふぃ〜、もう大丈夫かな?」
教卓が二度三度動いた後、其処からひょっこりと顔を覗かせたのは、佳望のトリックスターことサン・スーシ。
ご機嫌に尻尾を振る彼は、何故か頭に白の長髪のカツラを付け、その上に髪と同じ色の付け耳を装着し、
更にその側には先の部分にスニーカーを付けた竹馬まで転がっていた。
「まさかここまで上手くいくとは思っても無かったよ。仕込に苦労しただけあったね」
言って、サン先生は手にしたレコーダーと床の血溜まり?を見やる。
そう、『納涼百物語会』の百話目からの怪異は、このサン先生の仕込んだ手の込んだ悪戯だったのだ。
流れとしては先ず、予めくじ引きに細工をする事でヒカルが百物語の一番最後になるように仕向け。
その後、サン先生はヒカルの父へヒカル本人を会に遅刻させる様にこっそりと頼み、最初の仕込みは完了。
当日、会が始まる1時間前にヒカルに似せた変装をしたサン先生が教卓の下へ隠れ、ある程度会が進行するのを待つ。
そして、蝋燭の光が殆ど無くなり暗くなった所で気付かれない様に参加者達に紛れ、その時が来るを待つ。
後は怖い話をしたサン先生が最後の蝋燭を吹き消し、真っ暗闇になった所で紅いインクを床に垂らして再び教卓の下へ隠れ、
そして遅刻したヒカルが来るタイミングを見計らって、レコーダーから録音した音声を流す。と言う算段。
ここまでした苦労の甲斐あって、悪戯は面白いくらいに成功した。
悲鳴を上げて逃げ出す生徒の顔を思い出すとホントに笑いが止まらない。お陰で尻尾の振りも絶好調だ。
この仕込に協力してくれたヒカルの父には、後で何かしらの礼をしておこう。
そう考えながら、サン先生は身長を誤魔化す為に履いていただぼだぼのズボンを脱ぎ、何時ものサイズのズボンへ履き直す。
「…あ、でも、巻き込んじゃったヒカル君と泊瀬谷先生にはちょっと悪いコトしちゃったかな?」
ポツリと漏らすサン先生の独り言に答える者は無く、代わりに気の早いコオロギの鳴き声を立てた。
と、其処でサン先生ははとある事に気付き、ピンと尻尾を跳ね上げる。
「いっけね! 床に垂らしたインクを拭かなきゃ! これで拭き忘れたらぼくの悪戯だってバレバレじゃないか」
慌ててサン先生は後処理用に持ち込んでいた雑巾で床の紅いインクをふき取り始める。
幸い、床がリノリウム張りな上にインクが水性だった事もあり、殆ど後を残す事無くふき取る事が出来た。
何とか後始末が出来た事にサン先生はホッと胸を撫で下ろし、尻尾をゆっくりと揺らした。
『ぼくの尻尾…』
「―――っ!?」
安心した矢先、不意に聞えた声にサン先生は思わずぎくりと硬直し、全身の毛を逆立てた。
そして、暫くキョトキョトと周囲を見やった後、声の正体に気付いたサン先生はやれやれとばかりに溜息を漏らす。
「……な、なんだ、レコーダーの声か……ビックリさせるなぁ、もう……」
無論のこと、また鳴り出さない様にレコーダーの電源を切るのを忘れない。
もう、最後の最後でぼくまで驚かせちゃって、このレコーダーは持ち主のぼくに似て罪な奴だなぁ。
などと心の内でレコーダーに対する愚痴を漏らした矢先。
『ぼくの尻尾は何処?』
―――再び聞える悲しげな声。
「…………」
サン先生は背筋が凍りつく物を感じていた。
レコーダーの電源はしっかりと切ったのだ。当然、声なんて出す筈が無い。
それ所か録音した音声は『ぼくの尻尾…』の一つだけ、それ以外を録音している筈が無い。
いや、そもそも、さっきの声は背後から聞えたような……?
もうこの時点で声の正体は大体想像がついているのだが、それでも嫌な想像が思考をうめ尽くす。
そして、サン先生は全身の毛がざわざわと毛羽立つ嫌な感覚を感じながら、恐る恐る後ろへ振り返った。
声の正体を確かめる、と言うよりも、思考をうめ尽くす不安を紛らわす為に。
「うぎょわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………」
……そして、深夜の学園にサン先生の悲鳴が響き渡った。
その後、たまたま見回りをしていたベンじいが悲鳴を聞きつけ、教室に駆け付けて見ると。
其処には全身の毛を逆立てて気を失ったサン先生の姿があった。
無論のこと、それによって『納涼百物語会』の怪異がサン先生の仕業だと判明し、
結果、サン先生は幽霊よりも恐ろしい英先生の説教をみっちりと受ける事になったのだった。
ただ……一つだけ、不可解な事がある。
それは悲鳴に気付いたベンじいが教室に駆け付けた時。
気絶しているサン先生の尻尾は何故か大量の赤いインクにまみれ、さながら噂の『紅い尻尾』の様になって居たと言う。
そう、あの時、サン先生は悪戯に使ったインクは全て使い切り、一滴も残していないにも関わらず……。
『ぼくの尻尾は何処?』
―――――――――――――――――――――涼、じゃなく了――――――――――――――――――――――
以上です。
投下する際、キャラ崩壊してないかで常にガクブルだったり。
それと、途中で投下が止まった時は避難所を覗いてみてください。
多分、さるってしまって代理投稿を望んでいる作者の姿があると思うので……
うわすまーん! 携帯で代理できなかったー
うん怖いな普通に。
誰よりびびってるはせやんかわいいよはせやん。
卓って一見冷めてるようでも案外純粋な奴だなw
これ端から見てると怖がってるのが尻尾とか耳とかでわかりやすいんだろうな
全部オリジナル?
そうだったらこれだけの話を書くアンタが怖いわwwwwwwwwww
面白かった!
臨海学校と百物語、作者方のキャラへの愛を感じます、力作乙です!!
しかし、これ読んだら出先でトイレにいけなくなる予感、マジ勘弁してw
サン先生の手間暇かけた半端無い仕込みっぷりとオチに吹く。
臨海学校、自分は山の中で出張授業みたいな事やってました、海いきたかった……。
三泊四日でしたが、宿舎の暑さと飯の不味さは忘れられません。
夜は枕投げと布団プロレス、深夜の猥談に暴露大会と色々盛り上がった記憶がw
一番早く寝た奴は黒マジックで顔面お絵描きの刑、あれは漫画の中だけの話かと思ってたw
恐怖を感じたときはぶわっとなるんだろうね
うわっ怖えw
なんか珍しいな
忘れがちになるけど本来はこういう役回りなんだよね英先生
さんだーぁすとらーーいく!!!!!
ごめんなさい誤爆した。
お目汚し失礼しました
どんな誤爆だよと小一時間w
女子の水着姿と乳揺れ目的にビーチバレー観戦するも
汗だくになりながら頑張るいのりんと動くたびにたぷんたぷん揺れる腹を見せ付けられる展開と申すか
というかなんなんだ来栖その凝りようは
間違いなく美術5だな
ずっと気になってたんだが、
来さんと塚本の身長ってどっちが上?
来さんの身長は角を含むのか?
>女子の水着姿と乳揺れ
りんごたんの出番ですと?
カwwwニwww
いのりん逃げてぇえええええ
英先生、ごもっともすぎます……
そしていのりん逃げろ
職員室を勝手に想像してみたの巻
窓がわ 廊下がわ
壁壁壁壁壁壁壁壁壁壁壁壁壁壁壁壁壁壁
壁 社会科 芸能教科
窓山野■■大稲荷 牛沢■■水島
窓猪田■■獅子宮 ヨハン■□(ごちゃごちゃしてる)
壁 ↓(マタタビのニオイがする染み)
壁 語学科 ● 理科
窓帆崎■■泊瀬谷 百武■□(磁石やら地球儀やら)
窓 英 ■■佐藤 白倉■■跳月
壁
壁 教頭&数学科
窓八木■■サンスーシ □□(来客用or生徒指導用)
窓 □□(デスクトップPC)
壁
壁 □□(お茶汲み用) ↓至コピー室
壁壁壁壁壁壁壁壁壁壁壁壁壁扉扉壁壁壁
(校長は校長室、シロ先生は保健室、べんじいは神出鬼没)
・・・あれ、こんなに少なかったっけ、教師陣って。
文字化けが大量になっているかと思ったww
きっとマンモス学校だから、作品になってないだけでもっと教師もいるに違いないんだよ!
初等〜高等まで一緒になってるとこだしねぇ
同じ教科の教師がいることも考えりゃ3,4倍はいそうだが
まぁそんな事いい始めたら出てきてない生徒が何人いるか(ry
小中高で教員室が別なのが普通だけど、そこまでこだわると面倒だしね
理科準備室みたいに各教科ごとの拠点が別にあると妄想
きたこれ! 御免なさい失礼しました。
なんだ兄弟二人そろってケモナーか
兄弟で話が通じるだけも羨ましいよw
お、良いと思われます。お願いしますです。
お嬢様と大浦執事(バトラー)が来る頃合になったな
おぉ、間に合うのかお嬢様!?
Eタイプのクーペとはまたマニアックな
お嬢様が可愛すぎるどうしよう恋をした
操られてるwww
上から見た大浦さんがなんだかダンディ
思ったw なんか胸板厚いなw
まさかダミー?
大浦執事はどうやって姉君の方を観察してるんだろうw
軋んでるw
ガタが来てるぞwww
大浦一号さんが壊れたら
>>986 一号さん「私が壊れても、代わりがいますもの」
量産型がずらーり並んでる光景を思い浮かべてしまった
お嬢様「大浦シリーズ……?まさか完成していたの……!?」
そろそろ埋め
埋め
もふもふ
埋め
妹君・・・あなた何者・・・
1000ならケモ学全部夢落ちで終了
JTとウマタンに書いてもらおう
今スレでも素敵なお話・絵、職人さんたちありがとう!
1001 :
1001:
/■\
(_´∀`)_ 創る阿呆に見る阿呆!
/,/-_-_-_-_-_\ 同じ阿呆なら
( ( /,, /― ((神輿))―\ 創らにゃソンソン!! //
(。'。、。@,。,。,。,。,。,。,。,。,。,。,。@ ) )
∩ヽヽ∩ヽXXXXXXXX/ .∩
i||i ∩i||i:||::::¥_][_¥::::||. i||i
†人=†††¶┌┐¶†††† このスレッドは1000を超えた!
/■/■\[/■ /■\/■\] /■\■\ 今度は新しいスレッドで
(´∀(匚二二( ´∀( ´∀( ´∀`).□´∀` )Д´)□ レッツ 創作発表!!
|_ | | ノつつ|創)~| |創) ̄||創) ̄|つ ⊂|_((|創)~ノ
〓」 〓_|=|_ 〓__ノ 〓二ノ〓二ノ) ( / (L〓|〓二| 創作発表@2ch掲示板
(_(_ し(_) (_)_)し(_)し(_)(_(_,(_)(_)
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