多ジャンルバトルロワイアル Part.4

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1創る名無しに見る名無し
ここは様々な作品のキャラを使ってバトルロワイアルの企画をリレー小説で行おうというスレです。
みんなでワイワイSSをつないで楽しみましょう。一見さんも、SSを書いたことのない人も大歓迎。
初投下で空気が読めないかもしれない? SS自体あまり書いたことがなくて不安?
気にせずにどうぞ! 投下しなくちゃ始まりません。
キン肉マンのラーメンマン先生曰く「最後に勝負を決めるのは技(SSの質)ではない! 精神力だ! 心だ!」

リレー小説バトルロワイアル企画とは……
原作バトルロワイアル同様にルールなし、特定会場で最後の一人が生き残るまで続くという企画です。
キャラをみんなでリレーし、交わらせ、最後の一人になるまでリレーを行う、みんなで物語を作るスレです。
ここしか書けない、このキャラしか書けないという人も分かる範囲で書けるし、
次どうなるかを期待して次の人にバトンを渡すこともできます。
全ての作品を知りつくてしなければ参加できない企画ではないので、興味が沸いたらぜひ参加を!

詳細ルールに関してはこちらを
ttp://www3.atwiki.jp/fullgenre/?page=%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%AB

〜予約、トリップについて〜

予約する際はトリップをつけてしたらばの予約スレに書き込んでおいてください。
トリップのつけかたは、名前欄に #の後に半角8文字以下、全角4文字以下の好きな言葉を打ち込んで書きこんで。
これは、書いてるのをかぶるのを防ぐためです。分岐制があるため、別パターンの話が2つあっても問題ありませんが、
わざわざ他人の作品にかぶせるつもりもないのに書いているキャラがかぶってしまうのを防ぐためです。
したらばに予約するのは、この「他の人が書いてるから避けよう」という心理を利用し、予約だけして放置することで
企画を妨げる「予約荒らし」という行為を防ぐためです。予約期間は3日(72時間)ですが、
間に合わないからもうちょっと伸ばして!という報告があればさらに2日予約期間を追加(48時間)できます。

したらば(予約などいろいろな時にご利用を)
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/11918/
wiki(まとめサイトです)
http://www3.atwiki.jp/fullgenre/
2創る名無しに見る名無し:2009/05/26(火) 23:11:01 ID:vfuhbLL8
★キャラクター能力制限★

・シャナ(@灼眼のシャナ)、C.C.(@コードギアス)は再生能力を落とす&急所(頭)ぶち抜かれたら即死。
・ルルーシュ・ランペルージ(@コードギアス)のギアス能力は、「死ね」「殺せ」など、
 直接相手や自分の生死に関わる命令は無効。 (「死ぬ気で頑張れ」とかならあり)
・らき☆すたキャラのオタ知識、ラノベ知識は制限。
・仮面ライダー龍騎キャラのミラーワールドへの侵入禁止。
・仮面ライダー龍騎キャラには、自分のカードデッキを支給。(ただし、支給品枠2つ分としてカウント)
・ローゼンメイデンキャラのnのフィールドへの侵入は禁止。
・泉新一(@寄生獣)はミギー付き。
・COMP(@真女神転生)は禁止。
・シャナ(@灼眼のシャナ)の「封絶」は禁止。

★支給品としてのアイテム制限★

・KMF(@コードギアス)などのロボ系は禁止。
・カードデッキ(@仮面ライダー龍騎)は、龍騎キャラには支給品として自分のものを支給。
 (龍騎キャラに支給される際は、支給品枠2つ分としてカウント。それ以外のキャラに支給される場合は支給品1つの扱い)
・デスノート(@DEATH NOTE)は禁止。
・サタンサーベル(@仮面ライダーBLACK)はシャドームーンから没収&世紀王の呼び寄せ禁止。

★その他★
・ひぐらしのなく頃にの雛見沢症候群は、まあ、空気読む方向で。
・新女神転生ifの男主人公の名前は、最初に書いた人におまかせ。
・カードデッキの変身は10分で解除。
3創る名無しに見る名無し:2009/05/26(火) 23:13:19 ID:vfuhbLL8
5/6【コードギアス 反逆のルルーシュ@アニメ】
●ルルーシュ・ランペルージ/○枢木スザク/○C.C./○ロロ・ランペルージ/○篠崎咲世子/○ジェレミア・ゴットバルト
5/6【ひぐらしのなく頃に@ゲーム】
○前原圭一/○竜宮レナ/●園崎魅音/○北条沙都子/○園崎詩音/○北条悟史
5/5【スクライド@アニメ】
○カズマ/○劉鳳/○由詑かなみ/○ストレイト・クーガー/○橘あすか
4/5【らき☆すた@漫画】
○泉こなた/○柊つかさ/●柊かがみ/○高良みゆき/○岩崎みなみ
4/5【るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-@漫画】
●緋村剣心/○斎藤一/○志々雄真実/○瀬田宗次郎/○雪代縁
4/4【仮面ライダー龍騎@実写】
○城戸真司/○北岡秀一/○浅倉威/○東條悟
3/4【ルパン三世@アニメ】
○ルパン三世/○次元大介/○石川五ェ門/●銭形警部
4/4【ローゼンメイデン@アニメ】
○真紅/○水銀燈/○翠星石/○蒼星石
3/3【ガンソード@アニメ】
○ヴァン/○レイ・ラングレン/○ミハエル・ギャレット
3/3【寄生獣@漫画】
○泉新一/○田宮良子(田村玲子)/○後藤
2/3【ゼロの使い魔@小説】
●ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール/○平賀才人/○タバサ(シャルロット・エレーヌ・オルレアン)
3/3【バトルロワイアル@小説】
○稲田瑞穂/○千草貴子/○三村信史
2/2【相棒@実写】
○杉下右京/○亀山薫
2/2【仮面ライダーBLACK@実写】
○南光太郎/○シャドームーン
2/2【真女神転生if@ゲーム】
○男主人公/○狭間偉出夫
2/2【DEATH NOTE@漫画】
○夜神月/○L
2/2【TRICK@実写】
○山田奈緒子/○上田次郎
2/2【バトルロワイアル@漫画】
○織田敏憲/○桐山和雄
1/1【ヴィオラートのアトリエ@ゲーム】
○アイゼル・ワイマール
1/1【灼眼のシャナ@小説】
○シャナ

 59/65
4創る名無しに見る名無し:2009/05/26(火) 23:46:40 ID:3/xY6cE2
>>1
向こうは埋めちゃう?
5創る名無しに見る名無し:2009/05/27(水) 08:35:25 ID:nEMHNiTY
スレ立てしてから24時間以内に10レス付かないと即死するっぽいから、なんかレスしようぜ

というわけで、このロワで一番好きなキャラをどうぞ
俺はカズマ
6創る名無しに見る名無し:2009/05/27(水) 08:46:09 ID:f20EDlrh
東條悟と雪代縁、あの歪んだ信念がいいw
7創る名無しに見る名無し:2009/05/27(水) 10:09:41 ID:C6FUFHME
好きというより期待してるのが北岡と五ェ門。
凸凹コンビになりそうだけど頑張ってほしい。
8創る名無しに見る名無し:2009/05/27(水) 13:44:46 ID:ObaK2C5G
右京さんだな。
このロワで相棒に興味もって、ちょうどやってたシーズン7を見たら好きになった。
9創る名無しに見る名無し:2009/05/27(水) 17:15:58 ID:nEMHNiTY
好きなコンビというか、期待しているコンビはオレンジ&奈緒子だな

ルルーシュ死んだ的な意味で
10創る名無しに見る名無し:2009/05/27(水) 18:59:33 ID:C6FUFHME
オレンジもだけど、ロロもどうなるか分からないな。
発狂するか、優勝狙いに切り替えるか、絶望して自殺してもおかしくないぞ
11創る名無しに見る名無し:2009/05/27(水) 20:06:15 ID:XGKs56xD
東條かなー
どうなるんだろうかw
12創る名無しに見る名無し:2009/05/27(水) 23:26:07 ID:nEMHNiTY
咲世子さんも暴走しそうな気がする
スザク、C.C.にも何らかの影響は残しそうだし、やっぱり主人公死ぬと色んな奴に影響与えるな

放送後が楽しみすぐる
13創る名無しに見る名無し:2009/05/30(土) 01:37:31 ID:4qhxsp6g
マタニティエイト!!
14創る名無しに見る名無し:2009/05/30(土) 01:44:51 ID:4qhxsp6g
そういや気になったところがあったんだが


ギアスはルルーシュの力だ、間違いなく。
仮面ライダーBLACKとシャドームーンのキングストーンと同じく、カズマや劉鳳たちのアルターと同じく。
ただ、問答無用で強すぎるからという理由で弱くするのは気が引ける。
ゆえに一つの制限を課した。
それは死後では絶対にルルーシュのギアスが解けるというもの。
ギアスといっても様々な種類があり、は有効期間も制約も能力もまるで違う。
ルルーシュのギアスが死後有効であるかはルルーシュが死んでいない今は何とも言えない。
だが、死後までルルーシュのギアスの影響が強く出るのを嫌ったのだ。
例えば数人の相手に『優勝しその褒美で自分を蘇生させろ』というギアスをかけるのを良しとしなかった。
ルルーシュはそんな命令をしないだろう。
たった一度きりのギアスをそんな優勝するかも分からない、しかも主催が本当に生き返らせる可能性は少ない。
なにより、ルルーシュがブリタニア皇帝シャルル・ジ・ブリタニアの仲間であるV.V.に膝を屈するわけがない。
とはいえ、万に一つということもある。
さすがに保険を作れるのはあまりにも強すぎる。
強い参加者はいくらでもいるが、どの参加者も殺せないほど圧倒的、というほどではない。
誰もが死んで誰が優勝するのがわからない企画。
それなのにルルーシュの生存が早い段階で確定するのは避けたかった。
それゆえの、ギアス制限。


これはスザクに対してはどうなのよ?
あくまでこの舞台でかけた相手にのみあてはまるって事でいいのか?
15創る名無しに見る名無し:2009/05/30(土) 03:20:27 ID:4EA/ojD2
>>14
それ、たしか前スレで話題になって、
スザクに対するぶんは制限で解除されてても、制限の対象外ってことで継続してても説明はつくから
書き手任せでいいんじゃないかってことになってた気がする。
16創る名無しに見る名無し:2009/05/30(土) 13:10:29 ID:v4lFbQKS
>>13
社長のアルターはエタニティエイトじゃね?
17創る名無しに見る名無し:2009/05/30(土) 20:45:14 ID:7fHtS+QW
多分わざと間違えてるから、まともに反応しないほうがいい
18創る名無しに見る名無し:2009/05/30(土) 21:27:00 ID:v4lFbQKS
わざとでも別に悪い事したわけじゃないし気にしないぜ!

もしスザクのギアスが解除されるとしたら、ギアスの解除でルルーシュの死を感じるって展開になるかな
スザクがルルーシュの死を知ったら、どうなるのかあまり想像出来ない
19創る名無しに見る名無し:2009/05/31(日) 09:45:32 ID:5H2qjgRe
某ぴくしぶで絵が格好いいけどコメの歌詞がヤンデレだったお陰で、
快楽マーダーなクーガーを想像したお。なんか新しいものが垣間見えた…多分多ロワのお陰もある。
ような気がする。ありやとやしたー
20創る名無しに見る名無し:2009/05/31(日) 12:47:16 ID:84ujmr1a
ヤンデレマーダーなクーガーか、見たいような見たくないような
21創る名無しに見る名無し:2009/06/01(月) 02:29:42 ID:YK2k2gTU
まぁヤンデレはないな。葛藤マーダーはまだあっても。
でも昔は悪人だったみたいな話もあるし
22創る名無しに見る名無し:2009/06/01(月) 16:48:34 ID:irSyne2O
別ロワではマーダーになりかけてたな。
結局やめたけど。
23創る名無しに見る名無し:2009/06/01(月) 19:44:42 ID:Hv3caysy
ここでもクーガーマーダー化の条件は揃ってるよな
24創る名無しに見る名無し:2009/06/01(月) 23:41:28 ID:oLNBOpeN
劉鳳が死ねばなりかねないな
25創る名無しに見る名無し:2009/06/02(火) 00:34:23 ID:TAUoA8d2
とりあえず社長が死んでもマーダー化しないことは分かる
26創る名無しに見る名無し:2009/06/02(火) 02:37:46 ID:r9dS7g7y
精神は強靭だから、マーダーになるにはまだまだ不幸が足りない!
どうせなるならヤンデレの方が面白いな。クーガーはどれも対主催精神だし
27創る名無しに見る名無し:2009/06/03(水) 14:00:27 ID:NO8pEDJS
ヤンデレといえば詩音だが、もしも悟史に会えたとしても悟史は詩音のこと知らないんだよな
28創る名無しに見る名無し:2009/06/03(水) 14:58:32 ID:TPIYlo0z
あ、そか、あの時期なら悟史は詩音を魅音だと思ってるのか。
魅音は死んでるから放送の時に悟史が悲しみ詩音には気づいてくれない。
詩音カワイソス
29創る名無しに見る名無し:2009/06/03(水) 17:35:05 ID:refO4CQT
そもそも今の悟史には死亡フラグが立ってるわけであって

詩音カワイソス(´・ω・`)
30創る名無しに見る名無し:2009/06/03(水) 17:56:02 ID:Z1b+ZsN2
最近のここの現状はどう?
31創る名無しに見る名無し:2009/06/03(水) 19:23:44 ID:yCJ+U/8e
最近書いてる書き手は一人しか居ない。
せめてあと一人か二人は欲しいところだな。
32創る名無しに見る名無し:2009/06/03(水) 20:20:46 ID:refO4CQT
でも不定期とはいえ、何人かは書き手さんがいるから前よりはずっとよくなったと思う
33創る名無しに見る名無し:2009/06/08(月) 23:31:24 ID:utq9yp7l
34創る名無しに見る名無し:2009/06/10(水) 15:56:58 ID:0KifxOJD
俺はここは好きだけどな
書き手がもっと増えて欲しいな
35創る名無しに見る名無し:2009/06/10(水) 16:49:34 ID:7UuIGC8h
書き手さんが増えてほしいのは同意

そこで提案なんだけど、作品が投下されたらなるべく感想を書かない?
結構読み手は多いみたいだし、意識して書けば大分変わると思うんだ
36創る名無しに見る名無し:2009/06/10(水) 17:02:35 ID:qwd52tzm
それはあるかもな。
書き手としては、どんな拙い感想でも嬉しいだろうし。
37創る名無しに見る名無し:2009/06/11(木) 01:31:40 ID:ziRJzz3u
乙だけでも嬉しい。
2行目もあると尚嬉しい。
38創る名無しに見る名無し:2009/06/11(木) 19:23:12 ID:BLF1iQ9q
ルルーシュもそうだが、他に死亡者で影響が大きそうなのは、剣心とかがみかな
るろうにキャラは剣心の死を最初は信じなさそうだし、かがみも死んだと知ったら、つかさはどうなるんだろう
39創る名無しに見る名無し:2009/06/11(木) 20:58:02 ID:H/u1MJW8
剣心の場合は元からマーダー多いし、精神面ではあまり変化なさそう
ただ剣心殺した令子は間違いなく嫌な奴らを敵に回した

かがみの場合は逆に精神面での影響はでかいけど、行動に移せるかどうかって感じだな

ルルーシュの場合はすぐさまマーダーに転換しそうな奴が三人もいるし、とても分かりやすい
40創る名無しに見る名無し:2009/06/11(木) 21:10:37 ID:xJysOx7C
>>38
つかさはルルーシュを死なせたのと合わせて、
黒つかさになるかなと思ったな

>>39
ロロたちのグループは危険すぎるな
ひぐらしは圭一の勘違いが続きそうだが、他にマーダーに転換する可能性のキャラはやっぱり詩音かな
北条兄妹も危ういが

41創る名無しに見る名無し:2009/06/14(日) 03:49:20 ID:fg63hr0u
蒼星石がシザースのデッキ持ってるけど、あの体格で変身したらどうなるんだろ?
そもそも変身できるんだろうか?
42創る名無しに見る名無し:2009/06/14(日) 05:26:18 ID:uFIDXZ1c
DCD準拠でいいんじゃね
43創る名無しに見る名無し:2009/06/17(水) 16:09:27 ID:6lxO6MRG
そろそろ投下を期待して雑談の話題を振っておく
ありきたりだがこのロワで好きな話は?
俺はBe Cool!が好きだ
44創る名無しに見る名無し:2009/06/17(水) 17:44:18 ID:JzR1lZ2S
俺もその話は好きだなぁ、意外性があっていいよね

他には悟史が拡声器使う話と、五ェ門の初登場話だな
45 ◆ew5bR2RQj. :2009/06/19(金) 20:32:45 ID:3iGuFoqj
タイトルの元ネタページを作ってくださった方がいたので、せっかくだから自作品のタイトルの元ネタを置いておきます

一晩の悲劇→鬼隠し編の最後とジェバンニ
堕天使の微笑→原作の相馬光子

後のは全部あってます、わざわざありがとうございました

それと近いうちにまた作品を投下しようと思ってます、こうでも言わないとなかなか執筆に移れないので……

それでは今後もよろしくお願いします
46創る名無しに見る名無し:2009/06/20(土) 01:18:56 ID:qXbhjmEp
元ネタを収録しました。
新作も期待しています。
47創る名無しに見る名無し:2009/06/25(木) 23:02:09 ID:yj9gzpvJ
予約キタ━━(゚∀゚)━━!!!!
48創る名無しに見る名無し:2009/06/28(日) 12:42:23 ID:0FQK/q3+
今日は投下か、楽しみだ

wikiの死亡者名鑑にある称号って面白いの多いね
49 ◆U1w5FvVRgk :2009/06/30(火) 19:02:31 ID:/Oyva/Wv
お待たせして申し訳ありません。
何とか完成しましたが、内容に問題があると思いますので、仮投下スレに投下します。
50 ◆U1w5FvVRgk :2009/06/30(火) 19:32:06 ID:/Oyva/Wv
仮投下しました。
誤字・脱字、指摘がありましたらよろしくお願いします。
51創る名無しに見る名無し:2009/06/30(火) 20:09:53 ID:hVnOQxco
仮投下スレに投下があったから規制に巻き込まれたのかと思ったよ

早くこっちの規制も解除されないかなぁ
52創る名無しに見る名無し:2009/06/30(火) 21:29:48 ID:hVnOQxco
投下乙!

なんて言ったらいいか分からないけど、とにかく凄い面白かった
内容も特に問題は無いと思う
53 ◆U1w5FvVRgk :2009/07/01(水) 03:36:29 ID:lKeXcL0U
問題無いようなので、本投下します
54スザク と 銃口   ◆U1w5FvVRgk :2009/07/01(水) 03:38:35 ID:M6LIM0MR
 TURN 1 舞い降りし は 薔薇乙女


 森を駆ける二人組みの姿がある。
 前を行くは、ブリタニアの白い悪魔と呼ばれる少年――枢木スザク。
 一見して何の迷いも無く進んでいるようだが、時折走る速度を落としては背後を振り向いている。
 視線の先には、セーラー服を着た少女――高良みゆきが足を踏み出すたびに、豊かな双丘を揺らしていた。
 彼女の幼馴染である少女が見れば、思わず自分の平たい胸をぺたぺたと触り、
 彼我の大きさの差に項垂れてしまうぐらい、それはもう見事に揺れている。
 ましてや健全な男性諸氏ならば、注目しても仕方ないことだ。
 いや、どうやらスザクの目が向いているのは胸元ではなく、みゆきの顔色のようだ。
 男としてそれはどうなんだ? とも思われるが、それだけみゆきの顔色は悪く、息切れまで起こしている。
 無理はない。男女の差を考慮したとしても、二人の体力差は比べるまでもないのだから。
 片やブリタニアのエリート騎士であるナイトオブラウンズ。片やただの女子高生。
 両者は本来なら比較対照にすらなりはしない。
 今はスザクが走るペースを調整しているので、みゆきも何とか後を付いて来てはいる。
 それでも元々の精神的な疲労も相まって、明らかにみゆきは足手纏いとなっていた。
 そのような状態でも、二人が歩みを止める様子は無い。
 こうまでしてどこに向かおうとしているのか?
 二人の目的地は、地図上で示すならC−7――そこに居ると思われる北条悟史の許だ。
 二人はつい先程まで森を出ようと、コンパスで方角を確かめながら歩いていた。
 そこに悟史の放送が聞こえてきたのだ。
 妹と仲間の身を案ずる気持ちは二人にも分かるが、あのような放送はどう考えても自殺行為でしかない。
 運良く友好的な者が来れば良いが、この場で望むには高望みだろう。
 スザクとしても彼を放ってはおけないが、向かうには一つ問題があった。みゆきの存在だ。
 別にみゆきが反対しているわけではない。むしろ賛成していた。
 だが彼女が同行しては、どうしても到着が遅れてしまう。
 スザクだけで向かうという手もあるが、みゆきを一人にする訳にはいかなかった。
 止むを得ず、みゆきに合わせて出来る限り急いでいるのだが、既にみゆきの体力は底を突きかけていた。
55スザク と 銃口   ◆U1w5FvVRgk :2009/07/01(水) 03:39:49 ID:M6LIM0MR
 いい加減に休憩を取るべきだとは、スザクも理解しているが。

「高良さん。やっぱり少し休んだ方が」
「い、いえ、大丈夫です」

 これ以上自分の所為で到着が遅れるのを、みゆきは良しとしない。
 それ故に、頑として休憩を受け入れなかった。
 とはいえ、もう限界は近いはずだ。

(どうする。無理矢理にでも休ませるか)

 そんなことを考えていたからか、スザクは周囲への注意が散漫になっていた。
 だから、それに気付いたのはみゆきが先だった。

「枢木さん!」

 不意に声を掛けられ、スザクはハッとした。
 前を向けば、こちらに向かって細長い木の枝がゆっくりと迫ってきていた。
 あれぐらいなら、このまま手で打ち払えば事足りる。
 だが、気が付けばスザクは走る勢いを落とさずに、蹴りの体勢に入っていた。
 そのまま右足を振りぬけば、バキリッと小気味良い音と共に、木の枝が圧し折られる。
 俗に言う上段蹴りだ。
 振りぬいた足を地に着け、スザクは静止する。
 枝を折るだけにしては大袈裟だが、咄嗟のことだったので反射的に蹴りを繰り出していた。
 スザクは深い闇が広がる森を見つめる。

「誰か居るのか」

 枝が前から飛んできた以上、誰かが投げてきたと推測したのだ。
56スザク と 銃口   ◆U1w5FvVRgk :2009/07/01(水) 03:41:00 ID:M6LIM0MR
 応答が無いようなら、こちらから行くつもりだったが。

「凄いキックだったわねぇ。惚れ惚れしちゃったわぁ」

 静寂を破るかのように、暗闇から声と共に影が現れる。
 二人が目を凝らしてみると、映ったのは異様な光景だ。
 視線の先に、翼を生やした少女が浮遊していたのだ。
 身長は目測で測っても、スザクたちより一回りほど小さい。
 白銀の髪と黒色の翼。色彩が逆ならば、天使に見えたかもしれない。
 赤い瞳と着用している黒のドレスも、白い肌に映えていた。
 そのような少女を見た、二人の反応は正反対だった。
 みゆきは乱れた息を整えつつも単純に見蕩れ、スザクは警戒心を露にする。
 この場を鑑みれば、この場合はスザクの反応が正しい。
 そんな様子に構わず、少女は二人から数メートル先に着地する。

「君は……何なんだ?」

 警戒心を緩めずに、スザクは少女に話しかけてみた。
 目の前に佇む少女が、人間でないのは明確だ。
 背中に生えている翼がそれを示している。
 スザクもV.V.のような不老不死の存在は知っているが、さすがに翼を持つ人間は知らない。
 何より人間というには、少女は精巧と言えるまでに美しかった。
 そう、人間というよりはまるで、

「私は水銀燈。貴方たちと話がしたいんだけど、いいかしら?」

 人形のような印象を抱かせた。

 ■  ■  ■
57スザク と 銃口   ◆U1w5FvVRgk :2009/07/01(水) 03:41:49 ID:M6LIM0MR
 TURN 2 騎士 の 不覚

 忽然と飛来し、水銀燈と名乗った少女は、自らの素性と今までの行動を僕たちに話した。
 ローゼンメイデン――端的に表すなら、自分は生きた人形だと述べたところで、彼女の話は終わる。
 生きている人形なんてものがあるとは思わなかったが、僕に大した驚きは無かった。
 不老不死や超能力があるなら、生きた人形ぐらいはあってもおかしくはない。
 それに人形だと言われれば、一回り小さい体や翼などの説明は付く。
 とはいえ、彼女の動作はとても人形だとは思えないほど、人間に近しい。
 もしかしたら、ギアスのような超常的な力に拠って作られたのかもしれない。
 いや……そんなことよりも、今は水銀燈の話をどう判断するかの方が重要だ。
 彼女の話を要約するとこういうことらしい。

 水銀燈は元より殺し合いに乗るつもりは無く、協力出来そうな人物を探していた。
 幸か不幸か、近くで一人の男を見つけ、接触を図ったそうだ。
 男は桐山和雄と名乗り、二人は情報交換を行った。
 最初は友好的な雰囲気だったが、交換を終えた途端に、桐山は水銀燈に攻撃してきたらしい。
 水銀燈も応戦したが、桐山の身体能力は驚異的であり、ほうほうの体で逃げるのがやっとだったそうだ。
 そんな状態で途方に暮れていたところに、僕たちを見つけたらしい。

 この話を高良さんはあっさりと信じたようで、水銀燈に同情の篭った眼差しを向けていた。
 対する僕は、正直なところ半信半疑だ。余りにも出来すぎた話だと思う。
 昔の自分なら無条件で信じただろうが……今更ながら捻くれたものだな。
 それとも、水銀燈が人間ではないから信用出来ないのか?
 そうは思いたくない。それに、もしも話が本当だったら見過ごせない。
 襲われた場所がここからあまり離れていないなら、その桐山も悟史君の放送を聞いた可能性は高い。
 殺人者からすれば、彼は絶好の獲物にしかなりはしないだろう。
 もう一刻の猶予も無さそうだが、水銀燈に確認しないといけないことがある。
 詰問じみたことは、僕の得意分野ではないけどやらないわけにはいかない。

「いくつか聞かせてほしいんだけど、いいかな?」
58スザク と 銃口   ◆U1w5FvVRgk :2009/07/01(水) 03:42:30 ID:M6LIM0MR
「ええ、構わないわよ」
「まず、どうして僕たちに接触しようとしたんだ?
 襲われたばかりなら、普通は控えようとするはずだ」
「簡単よ。こういっては何だけど……足手纏いを連れてるようなら大丈夫と思ったの」

 なるほど。確かに危険人物が態々無力な同行者を連れていることは、ほぼ無いだろう。
 そして足手纏いとは、間違いなく高良さんだ。
 彼女がそうかと聞かれれば、残念ながら否定は出来ない。
 それでも、ここまではっきりと言い切らなくてもいいと思う。
 チラリと高良さんの様子を窺えば、苦笑いとでも言えばいいのか、微妙な表情をしていた。
 彼女は自分が足手纏いだと思っているはずだ。
 付いてきてくれるだけでも、僕からすれば十分だが、彼女にとってはそうではないのだろう。
 何か慰めの言葉でも掛けるべきなのかもしれないが、残念ながら口下手な僕には思いつかない。
 ここは水銀燈との会話を優先しよう。

「接触しようとした理由は分かった。それじゃあ、僕たちに枝を投げたのは何故だ。
 あんなことをすれば、悪印象を与えるのは分かるだろ」
「それに関しては謝るわぁ。ただ、貴方がどれ程の実力か試したかったの」

 試す? 僕を試す必要がどこに……いや、あるのか。
 彼女は協力者を求めているとは言った。
 だが誰でもいいとは言っていない。

「つまり、君が求めている協力者とは、実力者限定ということか?」
「はっきりと言えばそうよ。少なくとも、今は貴方みたいに強そうな人としか組みたくないわね」

 随分と勝手な言いようだが、仕方ないのかもしれない。
 襲われたばかりなら、強い人と一緒に居たいと思うのは当然だ。
 話に出た桐山がどれほどの実力かは分からないが、余程のものなんだろう。
 とにかく、今は水銀燈の話が本当かどうか確かめるために、桐山という男との接触しよう。
59スザク と 銃口   ◆U1w5FvVRgk :2009/07/01(水) 03:44:43 ID:M6LIM0MR
 目的地は変わらない。
 放送を聞いているのなら、彼も悟史君の許に向かうはずだ。
 居なければ悟史君を保護した後に探せばいい。
 本当に危険人物のようなら倒し、嘘だとしたら水銀燈を問い詰めればいいだけだ。

「高良さん。僕は彼女と行動しても大丈夫だと思うけど、どうかな?」
「枢木さんがそう判断したのなら、私は構いません」

 高良さんの承諾も得れた。
 彼女の疲労もある程度は軽減されているようだ。もう少しだけ頑張ってもらおう。

「よし。なら行こう」
「ああ、ちょっと待って。私も確認したいことがあるの」

 いざ歩き出そうとしたときに、水銀燈から抑止の声が上がった。
 出鼻を挫かれた形になるが、止めるからには余程の理由なのか。

「何かな。出来れば手短にしてほしいんだけど」
「分かってるわよぉ。ただ、貴方たちの支給品を見せてほしいの」
「……何故だ?」
「お互いに何を持っているか知っておくのは、無駄じゃないと思うけど?」

 確かに一理ある。
 それに水銀燈の支給品は知っておいた方がいい。
 まだ完全に信用出来ない以上、彼女の持ち物は後顧の憂いを絶つ意味でも知るべきだ。
 でも、渡した途端にこっちの支給品を奪われる可能性もある。
 そこまで考えたところで、水銀燈は自分のデイパックを投げ付けてきた。
60スザク と 銃口   ◆U1w5FvVRgk :2009/07/01(水) 03:45:43 ID:M6LIM0MR
 僕は慌てて受け止める。

「私の支給品よ。言い出したからには、私から見せるのが筋でしょう。
 なんなら終わるまで預かってくれてもいいわ」

 まだ返事もしていないのに、見せ合うことは決定したらしい。
 仕方ない。ここで断ってごねられたりしたら、それこそ時間の無駄だ。

「分かった。じゃあ、君の持ち物から検めさせてもらうよ」

 僕は水銀燈のデイパックを開け、中を漁る。
 入っていたのは基本品と、鎌、菓子パンの二つ。
 とりあえず、危険なのはこの鎌ぐらいだろう。
 パンに毒が仕込まれている可能性もあるが、そこまで疑っては切りが無い。
 あまり時間を掛けたくもないので、さっさとデイパックを閉じて僕の足元に置いておく。
 代わりに、僕のデイパックを水銀燈に投げる。

「始めに言っておくけど、武器は入ってないよ」
「確認するだけだから、何が入っているかは期待して無いわ」

 あっさり答えると、水銀燈も僕のデイパックの中を漁りだす。
 今のは警戒していると言外に匂わせているんだけど、気付いていないのか?
 しばらくして、水銀燈はデイパックを投げ返してきた。
 別段に怪しいところは無い。
 後は高良さんの分だけか。
 そういえば、僕も彼女に何が支給されたのかは知らないな。
 高良さんの方を見てみれば、慌てた様子でデイパックを開けようとしていた。

「高良さん、どうしたの?」
61スザク と 銃口   ◆U1w5FvVRgk :2009/07/01(水) 03:47:44 ID:M6LIM0MR
「お恥ずかしながら、まだ支給品を確認していませんでした」

 僅かに頬を染め、彼女は気恥ずかしげに述べた。
 恐らくは友達を心配していて、確認することすら忘れていたのだろう。
 無用心だとは思うが、それを責めるよりも、今は言っておくことがある。

「高良さん。もし武器が入っていたら、除いておいて」
「え? あ、はい」

 これは万が一の時の保険だ。
 これでもし水銀燈が高良さんのデイパックを奪い取っても、水銀燈には武器が無い。
 こんな場所で、武器も持たずにいることはかなり危険だ。
 格闘に自信のある者は範疇に入らないが、水銀燈がそうだとは思えない。

「えっと、銃がありました」

 銃か。殺し合いには打って付けだな。
 高良さんがデイパックから一つの銃を取り出し――それを見た瞬間、僕は驚きを隠せなかった。
 その銃を忘れられるはずが無い。
 何故、どうしてそれがここにあるんだ?
 分からないが、それを誰かに持たせるわけにはいかない。

「高良さん!」
「えっ!?」

 気が付けば、自分でも驚くような大声を出していた。
 高良さんが驚くと同時に、持っていたデイパックが放られた。
 しかし、驚いた所為で力加減を間違えたのか、デイパックは水銀燈の眼前に落ち、衝撃で中身が散乱した。

「す、すいません」
62スザク と 銃口   ◆U1w5FvVRgk :2009/07/01(水) 03:50:45 ID:M6LIM0MR
「大丈夫よ。拾っておくから」

 高良さんが謝るが、水銀燈は気にした風もなく、デイパックに近づいていく。
 僕は構わず、高良さんに頼みを告げる。

「高良さん、その銃を渡してくれないか」
「……どうしてですか」

 高良さんは少し怯んだ様子で問い返す。
 いきなり武器を渡せなどと言われれば、疑問に思うのも当然か。
 だけど、僕もこれだけは譲れない。

「理由は、言えない。でも、それを使わせたくないんだ。頼む、僕を信じて渡してくれ」

 無茶苦茶を言っているのも、僕が冷静でないのも自覚している。
 拒否されたとしても当然だ。
 高良さんは、しばらくの間は僕と銃を交互に見ていたが、やがておずおずと銃を差し出してくれた。
 脅し取ったも同然だな。受け取ったら謝ろう。
 申し訳ないと思いつつ、僕は銃に手を伸ばした。
 その時、何かが僕の側頭部に当たる。
 何かと振り向けば、正方形の石が眩い光を放ち始めていた。

「……石が、光っ――――!?」

 そこで、僕の意識は途切れた。

 ■  ■  ■
63スザク と 銃口   ◆U1w5FvVRgk :2009/07/01(水) 03:51:46 ID:M6LIM0MR
 TURN 4 目覚めは 全てが 終わった後に


 意識が戻ったとき、スザクは現状を理解することが出来なかった。
 ありのままを話せば『石版が光ったと思えば、次の瞬間には全身を黒い物で覆われていた』
 何を言いたいのかよく分からないが、スザクにも何をされたのか分からなかった。
 彼が最後に覚えているのは、石が光を放ったところだ。
 それ以降の記憶は無い。
 もしかしたら、自分は気絶したのではとも考えたが、それなら体勢に問題がある。
 スザクの体勢は、振り向いたときのままだった。
 気絶したら、普通は倒れるはずだ。全く動かないなんてありえない。

(だとしたら、どうして……違う、考えなければならないのはこうなった原因じゃない。
 今僕が考えるべきことは、この状況を何とかする方法だ)

 気持ちを切り替えたスザクは、何とか拘束を解こうとする。
 だが僅かに身動ぎが出来るだけで、まともに動かせそうにない。
 一体何が自分の体を覆っているのかと、よく見てみると気付いた。
 これは黒い羽だと。
 そして、スザクはこの羽に見覚えがあった。

「あら、漸くお目覚め?」

 スザクを覆うものと同じ羽を羽ばたかせながら、水銀燈が目の前に現れた。
 その姿を目にした瞬間、スザクは鼓動が跳ね上がった気がした。
 自分の姿を見ても慌てる様子が無いことから、拘束したのは水銀燈だとスザクは確信する。

「水銀燈……僕に何をした」
「別にぃ。ただ、動きを封じさせてもらっただけよぉ」
64スザク と 銃口   ◆U1w5FvVRgk :2009/07/01(水) 03:52:38 ID:M6LIM0MR
 動揺した様子も無く鋭い視線を向けるスザクに、水銀燈は人を馬鹿にした猫撫で声で答えた。
 ふざけた返答に、スザクの睨みが厳しくなる。
 身動きが取れないとはいえ、その眼には凄みが利いていた。
 しかし水銀燈は意に介さず、スザクを眺めるだけだ。

「騙したのか。さっきの話も嘘だったのか?」
「戦ったのは本当よぉ。襲ったのは私からだけど」

 結局は騙されたと分かり、スザクは不快げに顔を顰める。
 もう話す必要は無いと、口を閉ざそうとするが、何かに気が付いたかのように周囲に目を向けた。
 目に映るのは水銀燈と三つのデイパック、後は森の木々が見えるだけだ。
 自分の同行者の姿が確認できないと、スザクは再度水銀燈を睨み付けた。

「高良さんはどうした」

 抑揚の無い、冷淡とした声だ。
 それでも水銀燈は、ただ薄笑いを浮かべるだけ。
 その笑みが、どことなく自分の親友だった男に似ていたからかもしれない。
 更にスザクの不快感を煽っていく。

(動きを封じたことで安心しているのか。だとしたら甘い)

 スザクの体にはギアスという呪いが掛かっている。
 水銀燈がスザクを殺そうとすれば、どんな手を使ってでも生き延びようとするはずだ。
 スザクとすれば頼りたくはないが、その力を持ってすれば、力ずくで拘束を解けるかもしれない。
 今度は挑発の意味も兼ねて強めの口調で問い詰めようと、再び口を開こうとする。

「もう一度聞く。高良さんはどうし、ッ!?」
65スザク と 銃口   ◆U1w5FvVRgk :2009/07/01(水) 03:53:42 ID:M6LIM0MR
 スザクの言葉は、突如として体内に湧き起こった熱に遮られた。
 熱い、どんどんと体が熱くなっていく。
 また意識が途切れそうになり、動悸は激しく、息も荒くなっていく。
 拘束されていなければ、倒れていたかもしれない。

「あらあら、どうしたの? 何だか苦しそうだけど」

 激変した体調に気を取られそうになりながらも、スザクは水銀燈に目を向ける。
 彼女は相変わらず笑みを浮かべて、スザクを眺めている。
 まるで、予想通りの事が起こったと愉悦に浸っているようだ。

(まさか、毒か?)

 スザクにも原因は分からないが、意識が途切れていたのは確実だ。
 その間に水銀燈が羽を纏わり付かせただけではなく、更に何かした可能性がある。
 まず考えられるのが毒。
 この急激な体調不良はそうだとしか思えなかった。
 もしそうなら、どうしようもない。例えギアスでも、解毒は出来ないだろう。
 身動きが取れずに解毒の当ても無い以上は、もはやスザクには死を待つしかない。
 それでも彼は抗おうとした。
 当然だ、生物なら容易く死を受け入れられはしない。
 嘗てのスザクは、父親を殺した罪を償う為に死を望んでいた。
 今は違う。スザクには絶対に叶えねばならない目標がある。
 騎士の最高峰――ナイトオブワンとなり、植民地化した日本を取り戻すことだ。
 その為に親友まで売った。簡単に諦めるわけにはいかない。

(そうだ、僕は……俺は、こんな所で終われない!)

 何とかしようと、スザクは必死でもがく。
 しかし無情にも、体に蔓延る熱は抵抗を嘲笑うかのように、スザクの体を満たしていく。
66スザク と 銃口   ◆U1w5FvVRgk :2009/07/01(水) 03:54:28 ID:M6LIM0MR
 そして、とうとうその意識まで呑みこもうとしていた。
 視界すら朦朧としていく中でも、スザクは水銀燈から目を離さない。
 自分を殺した相手を、その目に焼き付けようとしたのかもしれない。
 彼女の小憎たらしい笑みを凝視したまま、次第にスザクの意識は薄れていく。

(ユフィ……ルルーシュ……)

 最後に彼の脳裏に浮かんだのは、忠誠を誓った少女と、親友だった少年の姿。
 それも熱に塗り潰されながら、スザクの意識は完全に消えていった。

 ■  ■  ■

 鬱蒼と木々が生い茂る森の中を、みゆきはとぼとぼと歩いていた。
 時々つまずきそうになるなど、その足取りは心許ない。
 顔色も疲労の色が濃くなっている。

(どうして……どうして、こんなことに……)

 彼女の内心では、様々な感情が渦巻いている。
 焦り、悲しみ、混乱、後悔、疑問、自己嫌悪――――
 それらの感情が綯い交ぜとなり、みゆきを責め立てていた。
 何故、彼女はここまで憔悴しているのか。
 原因を知るには、時を少し遡らなければならない。
67スザク と 銃口   ◆U1w5FvVRgk :2009/07/01(水) 03:55:38 ID:M6LIM0MR
 TURN 3 少女 の 不幸


 光が治まり、目を開いたみゆきが最初に目にしたのは、とても奇妙な光景だった。

「枢木さん?」

 みゆきは不思議そうに声を掛ける。しかしスザクからの返事はない。
 今度は体を揺すってみた。やはり反応は無い。
 見たところ、スザクに傷の類は見当たらない。
 それなのに、スザクは動かなかった。
 彼は――まるで彫像のように停止していた。
 ふざけている風ではない。
 本当に瞬きすらせずに、固まっている。
 博識の彼女をしてみても、訳が分からない状態だ。
 もう一度揺すろうとするが。

「お馬鹿さぁん。まだ気付かないの?」

 唐突に声を掛けられ、みゆきは振り向いた。
 そこには、黒い剣を自分に突きつける水銀燈の姿があった。
 顔には笑みを浮かべている。
 思わず息を呑む。
 その剣は、まるで彼女の為に誂えたかのように似合っていた。

(でも、どこから出したんでしょうか? さっきまでは持っていなかったのに)

 疑問に思うが、今はそれよりも優先すべき事に気付く。
68スザク と 銃口   ◆U1w5FvVRgk :2009/07/01(水) 03:56:33 ID:M6LIM0MR
 この様子から、彼女はスザクに何が起こったか知っている。
 それを聞かなければならない。

「あの」
「黙りなさい」

 みゆきの問いかけは、水銀燈に遮られた。
 笑みを消して無表情となった彼女は、みゆきに恐怖を感じさせるには十分だ。

「貴方と問答をするつもりは無いわ。私が言いたいことは一つだけ。
 さっさとこの場から消えてくれないかしら」

 水銀燈の要求は不可解なものだった。
 てっきり殺されるものだと、みゆきは思っていた。
 なのに逃がすとは、意図が分からない。
 しかし、ここで逃げるとはスザクを見捨てるということだ。
 とてもみゆきに出来る選択ではない。
 なので、声を出さずに首を横に振って拒否を示す。
 そんな反応を見ても、水銀燈は変わらず無表情だ。

「聞こえなかった? 私はさっさとどこかへ行きなさいと言ったのよ
 どうしても行かないなら……二人纏めて殺すわ」

 携えた剣が振り被られた。
 みゆきに、初めて死の恐怖が湧く。
 スザクを見捨てたくはない。
 だがここに踏み止まっても、二人揃って殺される。
69スザク と 銃口   ◆U1w5FvVRgk :2009/07/01(水) 03:57:23 ID:M6LIM0MR
 みゆきの足が、自然と一歩下がった。

「あっ」

 後は簡単だった。
 また一歩下がり、更に一歩下がり、次は踵を返して走り出していた。
 みゆきは死の恐怖に屈していた。
 それは生物ならば当たり前だ。
 誰だって死にたくはない。
 彼女を責めようとする者も居ないだろう。

(ごめんなさい、枢木さんごめんなさい)

 それでも、みゆきは胸中でスザクに謝り続ける。
 どのような理由があれ、スザクを見捨てたことには変わりない。
 大き過ぎる罪悪感に、みゆきは耐えられなかった。


 その後はひたすら走っていたが、体力を消耗していたからか、直ぐに歩きへと変わってしまう。
 みゆきには分からなかった。
 自分の行動は正しかったのかも、これからどうすればいいのかも。
 仕方なかったといえばそれまでだ。
 もしもみゆきが拒んでいたら、スザク共々あそこで殺されていただろう。
 それなら、みゆきだけでも生き延びるべきだ。理屈の上ではだが。

(枢木さんはどうなるんでしょうか……)

 残されたスザクがどうなるかは、簡単に想像が付く。
 恐らくは殺されているだろう。
 何故水銀燈がみゆきを見逃したのかは分からないが、スザクを生かしておく理由は無い。
 それなら、自分が殺したも同然ではないか? みゆきにそんな考えが浮かぶ。
70スザク と 銃口   ◆U1w5FvVRgk :2009/07/01(水) 03:58:08 ID:M6LIM0MR
 どこまでもネガティブになっていく思考の中で、とうとうみゆきは座り込んでしまった。
 膝を抱えて、そこに顔を埋める。
 疲れていた。体も、心も、何もかも。
 罪の重さに耐えかね、みゆきは自暴自棄に陥っていた。

 しばらくの間そうしていたら、不意にみゆきの背後から足音が聞こえてくる。
 誰か来ると分かっても、彼女は動こうとはしない。
 今のみゆきは丸腰だ。
 現状で危険人物に遭遇したら、隠れるか逃げるしかない。
 音は段々と近づいていき、みゆきの数メートル後ろで止まった。
 まだ、彼女は動かない。
 このままでは危険だと分かっていても、どうしても動く気力が湧かなかった。
 そんな様子を気にも留めずに、みゆきの背後に立つ人物は声を発する。

「高良さん」

 漸く、みゆきが反応を示す。
 それは、二度と聞くことが無いと思っていた声を聞いた、驚きに因るもの。
 ゆっくりと立ち上がり、振り向いたみゆきの視界が捉えたのは、

「枢木、さん?」

 自分が見捨てたはずのスザクだった。
 何故、という疑問がまず浮かぶ。
 あの状況から、どうやって逃げ出したのか。
 だが、それよりも疑問に思うのは、スザクの表情。彼は――――笑っていた。
 数時間前に見せた、ぎこちないものや作り笑いとは違う。
71スザク と 銃口   ◆U1w5FvVRgk :2009/07/01(水) 04:00:31 ID:M6LIM0MR
 どこにでもある、普通の笑み。

「よかった。見つかって」

 穏やかな声色で安堵しているスザク。
 本当に、みゆきを見つけて喜んでいるようだ。
 なのに、怖い。笑っているのに怖いという、どこか相反する思いがみゆきに湧き起こる。
 みゆきは二度目の恐怖を感じていた。
 一度目は、水銀燈からの死の恐怖に。
 そして二度目は、得体の知れない恐怖だった。

(そういえば、聞いたことがあります。笑うという行為は、獣が牙を剥く動作に原点があると)

 もしかしたら、自分が感じている恐怖はそれに類するものでは?
 恐怖を誤魔化す為か、そんなことを考えていたときだ。
 スザクが笑顔のまま右手に持っていた物――銃をみゆきに向けたのは。

「高良さん。ごめん……彼女の為に死んでくれ」

――――パンッ!

 一切の躊躇もなく引き金は引かれ、軽い音と共に何かがみゆきの腹部を通り抜けた。
 次にみゆきが感じたのは、腹部から発生した熱と液体――自分の血が染み出す感触。

(枢木、さん……どう……して……?)

 力が抜けて、みゆきが後ろへと倒れていき、動かなくなった。
 スザクは何の感慨も見せず、みゆきに一瞥をくれると踵を返して元来た方向へ歩き出した。
 相変わらず笑みを浮かべながら。

 ■  ■  ■
72スザク と 銃口   ◆U1w5FvVRgk :2009/07/01(水) 04:01:19 ID:M6LIM0MR
 TURN 5 二体 の 人形


(少し、焦り過ぎたわねぇ)

 手近な木に凭れながら、水銀燈は溜め息を吐いた。
 一連の自分の行動を振り返って見れば、急ぎ過ぎたという結論に尽きる。

 彼女の目当ては、元々スザクたちの支給品だった。
 悟史の放送にどうすべきか悩んでいたところに、見つけたのがあの二人だ。
 篭絡して協力させようかとも考えたが、進行方向から諦めざるを得なかった。
 二人は放送が行われた方向へ走っている。
 つまり、桐山たちと遭遇する確立が高い。
 水銀燈が直ぐに悟史の所に行かなかったのは、桐山たちも向かうと考えていたからだ。
 痛い目に遭わされたばかりの身としては、会いたいわけがない。
 仮に二人と同行して、桐山たちと鉢合わせすればどうなるか?
 間違いなく、水銀燈の危険性が訴えられるだろう。
 信じられたら両方から攻められ、信じなくても水銀燈への疑念は残る。
 それでは意味が無いが、かといって二人を見過ごしてもおけない。
 このまま合流されても、水銀燈の悪名は伝わる。
 なので、支給品と情報だけでも頂く為に接触しようとした。
 結果は随分と違うものになってしまったが。

 支給品の確認しようとしたまでは、想定内だった。
 確認して、使えるものがあれば道中で奪うつもりだったのだ。
 もし鎌を没収されても、自分の翼から剣を作り出せる水銀燈には問題なかった。
 今彼女の手には二枚の紙が握られている。
 これらはみゆきの支給品の説明書だ。そして、スザクに使用した物の説明書でもある。
 みゆきがデイパックを投げようとした際に、スザクが声を掛けた所為で、
 デイパックの中身は水銀燈の目の前に散乱した。
73スザク と 銃口   ◆U1w5FvVRgk :2009/07/01(水) 04:02:08 ID:M6LIM0MR
 その際に目に付いたのが、石版と小瓶の二つだ。
 支給品を確認した際に、みゆきはこの二つを武器と判断しなかった。
 急いでいたこともあり、説明書にすら目を通していない。
 確かに武器では無いが、ある意味ではこれらの方が、銃などよりも余程危険な代物だ。
 スザクがみゆきに詰め寄っている隙に、水銀燈は拾う振りをして二つの説明書を読むことに成功していた。
 最初は書いてある内容を信じられなかったが、偽の説明書を付属させる理由は無いので本物と判断した。
 一つ目は『時の石版』
 これは簡単に言ってしまえば、ロロ・ランペルージのギアスと同種の効果があるものだ。
 つまり、対象の時間を停止させてしまう効果を持つ。
 これだけを聞けばとんでもない代物だが、もちろん制約もある。
 効果は一枚に付き一人にしかなく、対象に投げ付けねば発動しないという制約が。
 そして、二つ目は『惚れ薬』
 これは名称の通り、飲ませてから最初に見た異性に好意を懐くようになる薬だ。
 人外の存在に対しても有効とも記載されていた。
 二つの効果を理解した瞬間、水銀燈に一つの作戦が浮かんだ。
 それは『時の石版でスザクの動きを止めて、惚れ薬を使い従わせる』というものだった。


(思い返してみれば作戦というより、単なる思い付きね)

 粗末な事を考えた自分に呆れを感じ、再度溜め息を吐く。
 どうして、ここまで性急に事を行おうとしたのか。
 理由は彼女にも分かっている。桐山和雄の存在だ。
 あの男に味合わされた屈辱を、水銀燈は一刻も早く晴らしたかった。
 だから、自分に従い好きなときに切り捨てられる。
 そんな手っ取り早く使える手駒を求めたのだ。
 かなり綱渡りだったが、目論見は成功した。
 だが現在の状況が、いくつもの偶然が積み重なって出来ていることを、水銀燈は理解していた。
 あの時のスザクは、何故か激情に捕らわれていたので時の石版を簡単に当てられた。
 みゆきを遠ざけたのは、誤ってみゆきに惚れられては元も子もないからだ。
74スザク と 銃口   ◆U1w5FvVRgk :2009/07/01(水) 04:04:15 ID:M6LIM0MR
 だが、もしも石版を避けられていたら。
 みゆきがしつこく残っていたか、惚れ薬を飲ませる前に石版の効果が切れていたら。
 水銀燈の企みはあっさりと瓦解しただろう。
 それ以外にも、惚れ薬の分量が書いてなかったので、全部飲ませたらスザクが気絶したことも挙げられる。
 すぐに目覚め、自分に従うようになったからよかったが、死なれでもしていたら元も子もなかった。
 こんな穴だらけの策を考えたことに、ついに苛立ちすら感じそうになったところに、足音が聞こえてきた。
 見てみれば、スザクがこちらに歩いてきている。
 水銀燈は苛立ちを抑えて、役目を果たしたはずの男を出迎える。

「お帰りなさぁい。ちゃんと殺してきたの?」
「もちろん。君の期待は裏切らないよ」

 返答と同時に、スザクは跪いた。
 その様子に水銀燈は満足そうに頷く。

(まあいいわ。手に入れた以上、ジャンクになるまで使い潰してあげるから、覚悟しなさいよ)

 翼を生やした美しい少女に傅く男。
 見ようによっては、神聖な光景にも見えたことだろう。
 実際は悪魔との契約にも等しいものだが。
75スザク と 銃口   ◆U1w5FvVRgk :2009/07/01(水) 04:05:49 ID:M6LIM0MR
 白騎士は意思を捻じ曲げられ、人形に忠誠を尽くす操り人形【マリオネット】と化した。
 それはスザクの親友だった男が最後まで選ばなかった方法であり、彼が最も憎むやり方だ。
 おかげで再び笑えるようにはなったが、そんなものは何の慰めにもならない。
 今回は更にたちが悪いのだから。
 使用された惚れ薬は、例え治癒されても使用中の記憶が残ってしまう。
 水銀燈に忠誠を誓ったことも、みゆきを撃ったことも、何を使って行ったかも全て忘れられない。
 みゆきに支給された三つ目の支給品であり、今はスザクが手にしている銃。
 説明書に記載されていた名称は『ゼロの銃』
 彼の最愛の女性が、射殺された際に使用された銃だ。
 恋人が射殺された銃を目にしたために、スザクは激情に捕らわれ、この結果と相成った。
 もしも正気に戻ったとして、彼はこの罪をどのように受け止めるだろうか。
 父親を殺したときと同じように、受け入れて自棄気味に死を望むのか。
 受け入れられずに、ただただ絶望するのか。
 解けずに、このまま水銀燈に従うままという可能性もある。
 唯一つ確かなのは、どのようになってもスザクに救いは残されていないということだ。


76スザク と 銃口   ◆U1w5FvVRgk :2009/07/01(水) 04:06:48 ID:M6LIM0MR
【一日目黎明/D−8 北西部 森】
【枢木スザク@コードギアス 反逆のルルーシュ(アニメ)】
[装備]ゼロの銃(弾丸を一発消費)@コードギアス 反逆のルルーシュ
[所持品]無し
[状態]健康、『生きろ』ギアスの効果継続中? 惚れ薬の効果継続中
[思考・行動]
1:水銀燈に従う。


[備考]
※参戦時期はシャーリー死亡直後です。
※オープニングのルルーシュを見て、ルルーシュが記憶を取り戻したと確信しました。
※『生きろ』ギアスがまだ掛かっているかは、後続の書き手に任せます。

【水銀燈@ローゼンメイデン(アニメ)】
[装備]農作業用の鎌@バトルロワイアル
[所持品]支給品一式×3、メロンパン×5@灼眼のシャナ、不明支給品0〜3(確認済み、武器では無い)
[状態]両腕に軽症、疲労(小)
[思考・行動]
1:悟史の所に向かい、スザクに桐山和雄の相手をさせる。
2:出会った人間から情報を収集した後、利用出来そうなら利用する。
3:利用出来そうに無い場合は殺害(ローゼン勢は多少の無理はする)、最低でも支給品は奪いたい。


[備考]
※参戦時期は蒼星石のローザミスティカを取り込む前です。
※D−8北西部に、時の石版(砕けている)@ヴィオラートのアトリエ、惚れ薬(中身無し)@ゼロの使い魔
 ルイズの杖(折れている)@ゼロの使い魔が落ちています。
77スザク と 銃口   ◆U1w5FvVRgk :2009/07/01(水) 04:07:32 ID:M6LIM0MR
【支給品紹介】

【惚れ薬】
 水のメイジであるモンモランシーが調合した薬。
 飲んでから最初に見た異性に熱烈な好意を抱くようになる。
 解除には水の精霊の秘薬が必要で、効果が続いている間の記憶は残る。
 秘薬に順ずるものでも解除出来るかもしれない。

【時の石版】
 錬金術によって製作された石版。
 一枚に付き、一人の時間を止める。
 使い捨てで、対象に投げつけなければ発動しない。

 ■  ■  ■
78スザク と 銃口   ◆U1w5FvVRgk :2009/07/01(水) 05:00:12 ID:M6LIM0MR
 LAST TURN 高良みゆき


(私は……死ぬんですね)

 仰向けに倒れた状態で、みゆきは虚空を眺めていた。
 その表情はぼんやりとしており、目も虚ろとなっている。
 聡明な彼女は、もう自分が助からないと理解していた。
 認めたくなく、決して良い事とは言えない事実だが。
 もう起き上がろうとする余力も残されていない。
 今も服を染めていく血も、徐々に湧き出す量が少なくなっていく。

(痛みが無くなってきているのは、脳内麻薬が分泌されて、鎮痛作用が働いているから……
 こんなときに思い出すことではありませんね)

 いつもの癖で、疑問に対する答えを考えていた。
 彼女の脳裏に、こなたやつかさによく質問されていた光景が思い浮かぶ。
 風邪とインフルエンザの違いを初め、今までに様々な疑問に答えてきた。
 答えが分からないものは態々調べて、後で教えてまでいた。
 自身が知識を得るのが好きなのもあるが、こなたたちが感心してくれるのが嬉しかったのかもしれない。
 最初にかがみと友達となり、それが縁でこなたやつかさとも出会えた。
 それからはずっと一緒だった。今では何よりも大切な親友たちだ。

(でも、私は皆さんを疑ってしまった)

 みゆきの心中は後悔で埋め尽くされていた。
 スザクの『親友だと思っているのは、自分だけかもしれないんだから』という言葉。
 聞かせるつもりではなかったのかもしれない。
 彼は視線を逸らし、呟くように言ったのだから。
 どうしてスザクがあそこまで『親友』という単語に反応したのかは、みゆきには分からない。
79スザク と 銃口   ◆U1w5FvVRgk :2009/07/01(水) 05:01:04 ID:M6LIM0MR
 過去に余程のことがあったのかもしれない。
 だが聞こえていたのならば、何故即座に否定しなかったのか。
 スザクが恐ろしかったとしても、きちんと反論すればよかったのだ。
 今となっては、全てが遅いのだが。

(枢木さん……貴方が変わってしまった理由は分かりません。ですが、何か訳があるんだと信じます。
 そうだと信じさせてください)

 みゆきにスザクを恨む気持ちは無かった。
 出会った時に『危なくなったら自分が守るから』というスザクの言葉を、嘘だとは思えなかった。
 そして、人を恨みながら死にたくもなかった。
 結局は自分の都合なのかと、みゆきは苦笑してしまう。
 そこまで思ったところで、視界が少しずつ暗くなってきた。
 もう時間が残っていないようだ。
 おっとりとしている母の姿が脳裏に浮かぶ。
 両親より早く死ぬのが、みゆきにとっては何よりも心残りだ。
 最期に何かできることはないかと、殆ど働かなくなってきた思考で考えていく。
 思い浮かんだのは――言葉。最後に、一つの言葉を口にしたいと思った。
 誰も聞いていないとしても、どうしても言っておきたいことがあった。
 しかし、それすら簡単には出来ない。
 死を迎えようとしている体は、最初は口から無駄に空気が漏れるだけだ。
 それでも必死に、声帯を震わして末期の言葉を紡ごうとする。

「皆さん、ごめん……なさい」

80スザク と 銃口   ◆U1w5FvVRgk :2009/07/01(水) 05:03:40 ID:M6LIM0MR
 みゆきの目から、一筋の涙がこぼれ落ちた。
 それはゆたかだけでなく、自分の死の悲しみまで与えてしまう親友たちへの、
 そんな親友たちを疑ったことへの謝罪だった。
 謝らずに死ぬことだけは出来なかったのだろう。
 それが彼女らしいといえば、彼女らしかった。
 しっかりと言えて安心したのか、みゆきの体から力が抜けていく。
 誰にも届かない謝罪だけを残して、彼女の命は終幕を迎えた。
 もしかしたら、彼女は少しだけ幸運だったのかもしれない。
 親友であるこなたとつかさが殺人を犯し、かがみの死を知らずに逝けたのだから。



【高良みゆき@らき☆すた 死亡】

※みゆきの遺体はD−8に放置されています。
81 ◆U1w5FvVRgk :2009/07/01(水) 05:05:39 ID:M6LIM0MR
投下終了です。
誤字・脱字、指摘などありましたらよろしくお願いします。
Wiki収録時に分割となりましたら、>>63からを後編としてください。
82創る名無しに見る名無し:2009/07/01(水) 23:13:14 ID:DDVSyE7x
改めて投下乙!

みゆきさんも逝っちゃったか……らきすたキャラは初っ端から波瀾万丈だなぁ
二人死んで、二人は人殺しか
それにスザクも可哀相だ、ユフィの姿を重ねたみゆきさんを全く同じ方法で殺しちゃうし、惚れ薬が解けたらどうするんだろ

改めて読み直したけどやっぱり面白い、本当に投下乙でした
最後にみゆきさんお疲れ様、死者スレでかがみんやゆーちゃんと再会してください
83創る名無しに見る名無し:2009/07/02(木) 19:59:34 ID:EeXGm4c2
投下乙
2からいきなり4になったからミスかなと思ったら、そういう構成でしたか。
4でみゆきがどうなったかが分からない所が良かったです。
84創る名無しに見る名無し:2009/07/03(金) 00:40:43 ID:CPXZmOk4
面白い!
投下乙
85創る名無しに見る名無し:2009/07/03(金) 03:49:45 ID:Jr8z41aA
新しい予約入った!
86創る名無しに見る名無し:2009/07/03(金) 20:46:42 ID:vz2U2QoD
おお、本当だ
立て続けに予約が入って嬉しいな
87創る名無しに見る名無し:2009/07/04(土) 12:04:07 ID:4UcE5RYF
乙だぁー!!
みゆきさんがまた死んじまっただと…
今回は残れそうだと思ったんだがね
88創る名無しに見る名無し:2009/07/04(土) 18:00:56 ID:Su0KnOlO
久々の投下乙でした!
とりあえずみゆき殺しておけば良いと思ってんだな糞が
89創る名無しに見る名無し:2009/07/04(土) 21:26:14 ID:IjoVfomS
>>88
ワロタ
みゆきさんに希望なんてありゃしないんだよ
90創る名無しに見る名無し:2009/07/04(土) 21:34:48 ID:bsaUYwIt
>>88
みゆき殺して誰得だよ
91創る名無しに見る名無し:2009/07/05(日) 09:38:50 ID:VuMtDwby
俺得
92創る名無しに見る名無し:2009/07/05(日) 10:00:58 ID:x5FhbzTF
むしろ誰損
93創る名無しに見る名無し:2009/07/05(日) 21:35:04 ID:lFS4sHoX
お前ら面白いなww表出ろ
94創る名無しに見る名無し:2009/07/05(日) 22:19:45 ID:YkqsoHxz
某所にはロワタイトル無視して一話退場させた書き手もいると言うのに……
95創る名無しに見る名無し:2009/07/05(日) 22:22:25 ID:CY6NBuNy
wiki見たけどヴィオラートのアトリエって面白いアイテム多いな
ここに登場してないのだと他にどんなのがあるんだろ
96創る名無しに見る名無し:2009/07/05(日) 22:33:19 ID:AgbWiFli
書いてみたいんだが、新参の書き手は不要?
Wiki見たら結構書き手さんいるみたいだから、
空気読めと言われれば素直に退散する
97創る名無しに見る名無し:2009/07/05(日) 22:37:41 ID:CY6NBuNy
>>96
そんなこと気にせず書け、いや書いてくださいお願いします

wikiにいる書き手さんはあくまで一回でも投下した人達だから、今も残ってる人って少ないんだ
だから新規の書き手さんは喉から手が出るほど欲しい
98創る名無しに見る名無し:2009/07/05(日) 22:37:40 ID:PchaZikU
断る理由は無い。むしろ大歓迎だ
99創る名無しに見る名無し:2009/07/05(日) 22:44:32 ID:AgbWiFli
そうなのか、レスありがとう
構想がまとまり次第予約してくるよ
100創る名無しに見る名無し:2009/07/05(日) 23:13:16 ID:QMwDHhtS
http://www.geocities.co.jp/Playtown-Dice/1349/a5/message.html

>>95
[ テラフラム ]
敵味方同時攻撃爆弾。炎魔人アイゼル伝説の生みの親。
テラフラム投下後、敵も味方も全滅しアイゼルだけが生き残ったという報告例多数有。

[ メテオール ]
ぷに・星・うに・アレが降ってくる。アレが何なのかは不明。うには栗。栗が降ってくる。
ぷにはぷよぷよみたいなモンスター。ドラクエで言うとスライム。スライムが降ってくる。

[ アイゼルの参考書 ]
アイゼルが使ってたのか書いたのか知らんけどヴィオにあげた本。簡単なのと難しいのが混ざってるらしい。

[ 流星の小手 ]
デフォで連続攻撃可能。ただし、ヴィオのアイテムは攻撃回数を変えられるのでいらないという説もある。

[ アルハイルミテル ]
建物専用回復アイテム。蘇生兼用

[ アンヴォルト箱 ]
箱のくせに女を口説いてくるニクイやつ。
http://homepage3.nifty.com/kaakun/siz/atelier/vio/hako.html

[ 時の石板 ]
アトリエ定番だけど、ロワじゃチーと過ぎて使えなさそう。標的の時間が止まるアイテム。
101創る名無しに見る名無し:2009/07/05(日) 23:41:11 ID:CY6NBuNy
>>100
おお、わざわざありがとう、やっぱり面白いアイテム多いね

そして時の石版は既に登場済みであったり
さらにこのロワには制限付きとは言え同じ能力を使える奴もいたり
102創る名無しに見る名無し:2009/07/06(月) 04:35:31 ID:XwDOwkrV
したらばに仮投下されていたので、代理投下をしておきます
夜神月とルパン三世が遭遇してから、およそ数時間。
彼らはD−7から西に移動し、山の三合目辺りに差し掛かっていた。

「ふぅ……山登りは疲れるねぇ」

ルパンの放った軽口が、草木が鬱蒼と生い茂る深夜の山に響き渡る。
会場の四分の一を占める山林部は、舗装されていない斜面に加え、
夜闇という視界の悪さがあり、二人の体力を確実に消耗させていた。
が、彼らは息一つ乱さず、数時間前から一定の速度を保ちながら進んでいた。

(この程度の山道、俺様にとっては楽勝なのは当たり前だけどよぉ……この坊主もやるなぁ)

自らの前を進む月に視線を配りながら、心中でそう呟く。
ルパンの職業は世界を股にかける大泥棒であり、これよりも過酷な状況を何度も潜り抜けてきた。
むしろ深夜の山道程度で疲弊してしまうのであれば、とっくの昔に銭形警部によって監獄送りになっていただろう。

しかし月はルパンとは違い、銃すらまともに握れない普通の人間なのだ。
標準より優れた運動能力を持つ男子高校生でも、数時間登山を続ければ確実に息を切らす。
にも関わらず、月は額に汗を浮かべるだけで、平然と歩き続けていた。

(ただ歩くだけってのもつまらんなぁ、本当はかわいこちゃんと話したいけど……坊主で満足するしかねぇか
 それに……そろそろアレの答えも聞いておかなきゃならんしな、答えはわかりきってるけど)

「お〜い坊主〜」

ルパンの間延びするような声を耳に受けた月は、前を向いたまま「なんですか?」と尋ねる。

「さっきの呼びかけのことなんだがよぉ……今のお前さんの態度が答えか?」

空気の抜けた風船から鋭利な刃物のような声色になったからか、月は立ち止まり振り返る。

「……あの呼びかけは信用できません、それなのにわざわざ会いに行く必要は無いでしょう」
「確かにあの呼びかけは罠かもしれねぇけどよぉ、ひょっとしたら本当に妹を探してほしかったのかもしれねぇんじゃねぇか?」
「だとしてもあれだけ大きな声で呼びかけたら、確実に殺人者も呼び寄せてしまう
 もうすぐC−7は危険地帯になる可能性が高い、だから危険すぎます!」

二人の言う『あの呼びかけ』というのは、北条悟史が拡声器を使用して放った言葉。
妹である沙都子の探索を手伝ってほしい、という旨のものだ。
この呼びかけで問題になのは、悟史が自らの居場所を告知してしまったこと。
彼の思惑としては沙都子や他の友人との再会だったのだろうが、この呼びかけは公平に周囲の参加者の耳に届いてしまう。
これでは自らの居場所を殺人者に報告しているうえに、下手したら呼びかけに乗った友人達すらも危険に晒してしまっているのだ。
なるべく序盤のうちに参加者を殺害して荷物を奪えば、終盤になっても有利に物事を運ぶことができる。
北条悟史とその友人達は、殺人者にとってまさに絶好の獲物だった。
「確かに悟史って小僧はやべぇかもしれねぇな、ここには危ない目をした奴らがうようよいやがるからなぁ」

ルパンはそう言って不敵な笑みを浮かべた後、こう付け加えた。
――――それでも俺は行く価値があると思うぜ、と。

「一体何があるというんですか!? 北条悟史のいる場所に!?」
「まぁ落ち着けよ坊主、そんな大声出したら誰かに見つかっちまうかもしれねぇぜ」

声が上ずっている月とは対照的に、ルパンは不自然なほど落ち着いている。
赤いロングジャケットに付着した木の葉を払い落とした後、乱れた襟元を整え、こう言った。

「あいつの元に行けば、カワイ子ちゃんに会えるかもしれねぇじゃねぇかよ」
「…………は?」

背骨を抜かれたような感覚に陥る月、口を大きく開けたまま硬直している。

「可愛い子ちゃんって……まさか、ルパンさん……」
「なんだよお前、その年で女の子に興味が無いってのか? ひょっとしてお前さんゲイ……」
「違います! ですが今はこんなことを言ってる場合ではないでしょう!」
「おいおい、こんな時だからこそ女の子が必要なんだろうが」

ルパンはデイパックから名簿を取り出し、無駄に素早い動きで月に近づく。

「坊主の言っていたレナに魅音、後は詩音だったかな……それに加えて沙都子ってのもいる
 もしそいつらが暴漢に襲われてた時に、俺様が華麗に救出すればよぉ、キャーおじさまーな展開になるかもしれねぇぜ
 レナって娘は名前が可愛いし、魅音に詩音は姉妹丼で両手に花だ
 でも沙都子は年齢的にちょっと厳しそうだなぁ、とっつぁんにしょっ引かれちまう」

しまりの無い顔がさらにだらしなくなったルパンは、発言も相俟って完全に変質者だ。
月も冷や汗を浮かべながら、一歩ずつ距離を取り始めている。

「おいおい待てよ坊主〜、お前さんも一緒にハーレムを形成しようぜ〜」
「さっきから坊主坊主って……僕の名前は月です、それに男が二人居たらハーレムは成り立ちませんよ」
「こまけぇこたぁいいんだよ坊主、俺たちはもう二人で一人、兄弟みたいなもんだろ?」

離れていく月の傍に走って接近し、肩を回すルパン。
月はニヤケ面のルパンに露骨な嫌悪の視線を送った後、回された手を払い除けた。

「とにかく僕はあの呼びかけには応えません、行きたければ一人で勝手に行ってください
 そもそも貴方が勝手に僕の後を付いて来ただけですしね」

そう告げた月は視線を目の前を伸びる山道に戻し、そのまま前進を開始する。

「お、おい! 待てよ、坊主〜! わぁったって、行かないから!」

すたすたと早足で前進する月の後を、慌てて追いかけるルパン。
そんな姿を後ろ目に見て、月はふと思った。

実はルパンこそ、本当にゲイなのではないかと。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
(いや、だって……あれだけ女の子女の子言ってたのに結局諦めたし……)

飄々とした表情で背後を歩くルパンを尻目に、月は真剣に考察を開始する。
最も、内容は馬鹿らしいものだが。

月の推測は完全な的外れであり、ルパンが少女達よりも月を優先した理由は二つある。
まず一つ目は月の所持する拳銃、M19コンバット・マグナム。
これはルパンの相棒である次元大介の愛銃であり、それを黙って見逃すほどルパンは薄情な人間ではなく、
いずれ回収して、次元と再会した時に返却するつもりでいた。

そして二つ目は夜神月の監視と保護、最初に対峙した時の彼の瞳には得体の知れない何かが潜んでいた。
万人を救う正義の使者へも、万人を裁く邪悪の化身にも変化しそうな何かが。
その何かにどの言葉を当て嵌めればいいのか、ルパンの知識を捻っても言葉が出てこない。
だが月が道を踏み外さないように、自分が監視しなければならないような。
使命感にも似たような感情が、ルパンの中に宿っていた。

それに次元の愛銃を取り返すには、彼を保護する必要も出てくるのだ。
平静を装っているものの、月は一般人であり修羅場など経験したことすらない。
故に動揺を完璧に隠すことは出来ず、発言や態度の節々にそれは見え隠れしていた。
ルパンの実力ならば、月が反撃する前に不意打ちを仕掛けて銃を強奪することも可能だっただろう。
しかしそうしてしまえば、彼が死ぬ確率は上昇してしまうのだ。
ルパンにとってそれは寝覚めの悪い出来事であったし、見殺しにするのは彼の良心が許さなかった。

(そんなわけ無いか、そうだったらとっくに狙われてるだろうし……)
「おい坊主、聞きてぇことがあるんだがいいか?」

「うわぁ!」

意識していない状態で突然声をかけられ、思わず情けない声を上げる月。

「な、なんだぁ? 突然そんな声を上げて……お化けでも見たのかい?」
「違います、少し考え事をしていただけですよ、で、なんですか?」

大声を上げたことに羞恥心を覚えた月は、体裁を取り繕いながら返答する。
そんな月の心情を見抜いたルパンは、やれやれと肩を竦めた。

「いやぁ、お前さんはさっきC−7は危険だから行かないって言ったけどよ、何がそんなに怖ぇんだ?」
「怖いって……結果的にはそうなるか、僕はこれでも普通の高校生なんです」

極度の負けず嫌いである月にとって、恐怖と言う感情は認めたくないものの一つであった。
だがルパンに指摘され、結果的に彼は恐怖を認めていたのだ。
彼の本質は負けず嫌いだが、やはり聡明であり恐怖を認める器量も持ち合わせているのである。

「だから自分の命が狙われているこの状況が怖いんですよ、だからあえて危険地帯に踏み込む真似はしたくないんです」
「でもお前さんは自分に自信があるんだろ? それにいざとなったら俺様がなんとかしてやるよ」」

ニヤッと白い歯を見せながら笑んだルパンは、長刀を掲げる。
正確にはこれは長刀ではなく、二本の小太刀が一本の鞘に収まっている代物だ。
「確かに自信が無いわけじゃないですけど、それでもルパンさんみたいな人種と出会ったら生き残れる自信はありません
 それにルパンさんも僕を庇いながら戦っていては、満足に実力を発揮できないでしょう」

こうは言ってみたものの、自信家のルパンには効果が薄いことは月も分かっていた。
それでもこの言葉を放ったのは、今の問答に特に意味が無いからだ。
仮にルパンの実力が月の予想を上回っていようと、彼は絶対に悟史の許に向かう気は無い。
とにかく今の彼の行動スタンスとしては、生き残ることなのである。
だからどんな発言が飛んでこようと、聞き流すつもりでいた。

「確かにそうかもしれねぇなぁ……魔法使いにでも出会っちまったらな」

再び背骨を抜かれるような感覚に陥る月。
魔法使い、こんな単語が飛び出てしまえば流石に無視するわけにはいかなかった。

「こんな時に冗談は止めてくれって何度も言ってるでしょう!」

怒りを露わにしながら、ルパンに捲くし立てる月。。
またルパンは嫌らしげに笑んでいるのかと、眉間に皺を寄せながら。
しかし彼は笑みを浮かべるどころか、最初に出会った時のような神妙な顔つきを見せていた。

「冗談? 俺達はいきなりこんな場所に連れて来られたんだぜ? そんなこと出来るのは魔法くらいだろうがよぉ」
「発想が突飛しすぎですよ、なにかで気絶させられた時のショックで記憶が抜け落ちているとか……」
「俺たちが二人とも全く同じ症状に陥ったってのか? そいつぁちょっと都合が良すぎるぜ」
「でも現実、僕等は記憶が無いわけですし、魔法よりはよっぽどまともな結論だと僕は思いますよ」

必死で反論する月だが、彼自身この状況の異常性については前から思考を張り巡らせている。
だからこそ自分の意見が相当苦しい事や、不可解な出来事が多い事にも気づいていた。
彼は下校時の校庭でノートを拾おうとした瞬間、この場に連行されているのだ。
反論が正しければ、気絶させられた後に拉致される姿は多くの人間に目撃されているはずである。
この状況下での拉致は困難だろうし、成功したとしても誘拐事件として警察へ通報されているだろう。
そもそも記憶が喪失にしては、拉致される直前の記憶があまりにも鮮明すぎるのである。

(まさか本当に魔法は……いや、有り得ない、そんなものが存在するはずが無い)

「それによぉ、最初にルルーシュって兄ちゃんが妙なことをやってたじゃねぇか
 お前たちは死ね!なんて、まるで言ったら本当に死ぬみたいなことをよ」

ルパンは左目を一瞬手で抑えた後、左方に伸ばして叫ぶ。
これは白い空間内でルルーシュが行った動作と全く同じ物。
それをルパンは、子供の様にはしゃぎながら演じていた。

「はぁ……いいですか、ルパンさん。魔法なんて存在するのは漫画の世界だけなんですよ
 例えば誰かの名前を書いたら死ぬノートととか、死ねと言ったら本当に死ぬ能力なんて存在しないんです、分かりますか?」

諭すような口調で反論する月、その表情には僅かな疲労感が見え隠れしていた。

「……そうかい、お前さんには夢が無いんだな」
「もう夢を見ていられる年でも無いですからね」

それっきり二人の間で会話は無くなり、山は静寂を取り戻した。

だがその静寂は長く続かない。
会話が無くなってからすぐか、しばらく経ってからか。
そんな小さな疑問を吹き飛ばすほどの破裂音が、辺り一帯に響き渡ったのだ。
「な……」

歩みを止めた二人の視線は、揃って同じ方向を指している。
その先にあるのは煌々と揺らめく火柱と、靄のように暗闇を覆う黒煙。
火柱の影響で爆心地の一部が、まるで昼間のように照らされていた。

「誰がこんなことを……」
「ピュゥ〜、やるねぇ」

冷や汗を垂らしながら火柱を見つめる月。
対するルパンは、余裕を示すかのように口笛を吹いていた。

(この人は……ッ!)

キッと目を鋭く細めた月は、隣に立つルパンを睨みつける。
しかしルパンは、火柱を眺めるばかりで振り向くことは無かった。

(ルパンさんは悪くない、ここで当たったら八つ当たりだ……悪いのは爆発を起こした犯人だ
 そうだ、悪いのはそいつだ、ああいうクズがいるから世の中腐っていくんだ)

月は憎々しげに火柱を睨んでいる、正確にはその先にいる爆弾魔を。

(ここでもそうだ、私利私欲でどんどんと普通の人たちが死んでいってる……
 ならば人を殺すような腐った連中は全員死ねばいい、そうだ、そうすれば世界は平和になる)

この後も月は、消滅するまでずっと火柱を眺め続けていた。
隣で哀れむような視線を送るルパンに気付かずに。


「それじゃあ当初の予定通り、このまま展望台を目指します」

山頂に聳え立つ展望台を指差す月、中から光が漏洩しているおかげで麓からも確認することが出来る。
どうやら展望台は巨大な四角形であり、階数は多いようだ。

「あそこに行って何か見れればいいけどよぉ……無かったら骨折り損だぜ」
「何も無いことは無いでしょう、少なくともあそこで何があったかはわかるはずです」

深夜の闇をさらに薄黒い煙が包むかつての爆心地を指差す月。
彼らは一通り情報を交換した後、どこを目指すかを考えた。
最初は月は一人で行動するつもりだったのだが、ルパンが勝手に付きまとってきた。
だから結果的に二人は一緒に行動することになったのだ。

「それでも望遠鏡がショボかったらおしまいだけどな」
「その時はその時です、この辺の状況を確認するだけでも意味はあります」

それでどこに向かうかを相談した際に、反映されたのが夜神月の意思。
彼の考えたバトルロワイアルを生き抜く方法とは、隠れること。
子供たちが行う鬼ごっこと同じように、無駄に動き回って鬼に発見されるよりは、
目立たない場所に隠れている方が効率的であり、体力の浪費も避けられるのだ。

かといって永遠に隠れているわけにもいかないのが、鬼ごっことは違うところだ。
殺人者に襲撃されたり、潜伏場所がV.V.の言う禁止エリアに抵触する可能性がある。
そのような事態に陥った場合は、否応なしに退避しなければならないのだ。
それにずっと隠れていると、周囲で起こった出来事に関する情報しか入手できなくなる。
六時間ごとに流れる定時放送である程度の情報は入手できるが、所詮はその程度。
もし不測の事態に陥り潜伏場所から離れることになった時、生存確率が大幅に下がってしまう。
(だから僕は展望台に向かうことにしたんだ、そうすることで――――)

潜伏しながら、情報を得ることが出来る。
情報と言うのは非常に重要な物で、時と場合によっては剣や銃よりも強力な武器と化すのだ。
誰かを観察し続けることで、危険人物か否かを見極めることが出来る。
危険人物と判明したら、観察し続けて武器や戦法を知ることができるし、
逆に安全な人物だった場合は、遭遇した場合に余計な警戒線を張らずに済む。
それにもし警察が救援に来てくれた場合、この展望台ならばすぐに気付くことが出来るのだ。

(けれど、これの本当の目的は別にある)

月光を反射しながらほくそ笑む月。
彼の言うとおり、本当の目的とは別にあった。

それは、脱出を目論むグループと合流すること。
この場に誘拐されてきた人間の中では、彼のように無理矢理連れて来られた者も多い。
そう考えた彼は、他にも脱出を狙う人間がいるのではないか、という結論に辿り着いた。
同じく脱出を狙う彼としては、他の脱出を狙う同胞との出会いは願っても無いことだ。
脱出を狙う以上、まず最低でも首輪を外さなければならない。
彼は手先が器用だと自負していたものの、この首輪を無効化する自信は無かった。
自称大泥棒のルパンならば可能そうに見えるが、それでも準備が必要になるだろう。
となれば、支給品の集まりやすい大グループと接触する必要が出てくる。
人間というのは危機的状況下であれば、危険を孕んでいても必ず徒党を組むものだ。
中盤辺りになれば、いくつものグループが誕生しているだろう。

しかし、最初から合流を狙うのは間違いだ。
序盤から大グループに所属してしまうと、必然的に目立たざるを得なくなる。
他にもグループの人数が多ければ多いほど、トラブルの火種は増えていく。
もし危険人物が脱出派を装ってグループに侵入していた場合は、全滅も考えられるのだ。
こういった事態を避けるためにも、一人一人を入念に観察し吟味する必要があった。
そして確実に安全だと判明したグループがあったら、接触を図ればいい。
いきなり加入と言うのは難しいだろうが、ここで役立つのが大量に入手した情報だ。
これを提供することを条件に、グループに参加という流れに持ち込めば、
高確率かつ安全に、脱出を狙う大グループに参加することが出来るのだ。

(だが……ここまで上手く行くとは考えない方がいい)

不測の事態と言うのは、いくらでも存在する。
そもそも望遠鏡では建物内は見えないし、展望台を離れる必要が出るかもしれない。
目論見通りに行くことなど、おそらく有り得ないだろう。
しかしそうした場合でも、今まで入手した情報は役立ってくるのだ。
(父さん達が来てくれれば一番いいが……)

理想としては警察がこの島を訪れ、自分達を救出してくれること。
次は終盤になって大グループと接触し、そのまま便乗脱出すること。
妥協案は情報を元に行動し、危険を孕んでいてもどこかのグループと接触することだろうか。

とにかく今は情報収拾に専念したいというのが、月の思惑だった。
そのためにも早く登山を済ませて、展望台に到着したい。
そう考えた月は、再び山道を歩み始めた。
天下の大泥棒、ルパン三世と一緒に。



【一日目黎明/D−6 北西部の山地】

【ルパン三世@ルパン三世】
[装備]小太刀二刀流@るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-
[支給品]支給品一式、確認済み支給品(0〜2)
[状態]健康
[思考・行動]
1:仲間を募りゲームを脱出する。
2:主催者のお宝をいただく。
3:月を見張るため、彼に着いて行く。
4:月の持つM19コンバット・マグナムが欲しい。
5:悟史のこと(というより、他の女の子)のことが少しだけ気になる

【夜神月@DEATH NOTE】
[装備]なし
[支給品]支給品一式、M19コンバット・マグナム(次元の愛銃)@ルパン三世 確認済み支給品(0〜2)
[状態]健康
[思考・行動]
1:仲間を募りゲームを脱出する。
2:D−5にある展望台に向かう。
3:情報収集を行い、終盤になったら脱出目的のグループと接触する。
4:命を脅かすような行動方針はなるべく取りたくない。
5:ギアスのような特殊能力の存在を信じていない。

※1巻冒頭からの参加です。Lのことも知りません
※ルパンと情報交換を行ったため、ルパン勢の情報を入手しました。
ただしLと出会う前ですので、ルパンはLのことを知りません。


【小太刀二刀流@るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-】
四乃森蒼紫の愛刀。
一本の鞘に二本の小太刀を収納しているため、一本の長刀に見える。
以上です。
今回のタイトルはDEATH NOTEの第一期アニメOP。
the WORLDの一節から取りました。

毎回毎回お手数おかけしますが、本スレへの投下をお願いします。
111創る名無しに見る名無し:2009/07/06(月) 05:12:16 ID:XwDOwkrV
代理投下終了です。

投下乙
月は生き延びることを優先か。
てっきり悟史の呼びかけに応じると思ってたから意外だ。
そしてルパンはらしいと言えばらしいけど、沙都子以外も手を出したらしょっぴかれるぞw
もう捕まえる人はもう居ないけどね……
112 ◆ew5bR2RQj. :2009/07/06(月) 20:40:22 ID:Nyspgh2M
代理投下ありがとうございました。
誤字脱字等がありましたら、遠慮なく指摘お願いします。
113創る名無しに見る名無し:2009/07/07(火) 17:23:35 ID:ig49rcUO
今更だけど予約来てるね、情緒不安定なつかさに浅倉と北岡はやばすぎるww

そして>>97-98の時空が乱れてることに気付いた
114創る名無しに見る名無し:2009/07/07(火) 18:09:40 ID:S6ZDxaoV
>>112
遅くなったけど投下乙です
ルパンが実にルパンらしいw
悟史は本当にピンチだな。月たちが行かないなら、もう社長たちしか頼れないぞ

>>113
北岡にすれば、望みは叶うけど死亡フラグだなw
でも浅倉は基本的に戦えない奴には興味ないから、どうなるか分からないか
115創る名無しに見る名無し:2009/07/07(火) 19:10:09 ID:ig49rcUO
>>114
今の浅倉はランペルゥジィ!!を殺されたストレスが溜まってるからやばい
116創る名無しに見る名無し:2009/07/08(水) 01:54:57 ID:2svBWGzS
投下乙っす
他ロワのことになるが、その時にルパンを殺したのは魔法使いだったからな
なんか引っかかるものがあるね
117創る名無しに見る名無し:2009/07/08(水) 01:56:25 ID:pDV6qZ29
悟史は本当に不運過ぎる
最初はマーダーは織田様くらいで対主催多かったのに、気が付いたら辺りはマーダーだらけ
対主催の連中は死んだりくら替えしたり離れてったりしてるし、唯一残った対主催にはステルスが潜んでる

これはもう書き手さん達による悟史へのいじめとしかwww
118創る名無しに見る名無し:2009/07/09(木) 21:36:35 ID:698nXIkk
>>116
あそこのことか
あの時のルパンは魔法知らなくて負けたんだっけか
119 ◆3W1a2LmCis :2009/07/09(木) 23:56:11 ID:NjOlFbt/
>>96で質問させて頂いた者です。
レスありがとうございました。

北岡秀一、石川五ェ門、柊つかさ、浅倉威を仮投下スレに投下しました。
こういったSSを書くのは初めてですので、少し不安です。
ミスや違和感等、何でもご意見をお待ちしております。
よろしくお願いします。
120 ◆3W1a2LmCis :2009/07/10(金) 01:27:39 ID:FpC7jXLQ
仮投下スレにていくつかご指摘いただいた部分を修正しました。
北岡秀一、石川五ェ門、柊つかさ、浅倉威を投下します。
121I'll be Back ◆3W1a2LmCis :2009/07/10(金) 01:30:34 ID:FpC7jXLQ
山中の道路にて、石川五ェ門は頭を抱えていた。
いや、見た目にはむずかしい顔で黙りこくっているようにしか見えないのだが、彼は実際途方に暮れているのだ。

「なあ、いつまでも怒ってたって始まらないだろう。いい加減に機嫌なおして、俺の話聞いてくれない?」
弁護士を名乗る北岡秀一という男。
彼に持ちかけられて「契約」したことを、早くも五ェ門は後悔しつつあった。
「契約」とは、他の参加者と出会った際、殺し合いに乗っているか否かの判断と交渉全般を北岡、
護衛を主とする戦闘を五ェ門が担当するというものだった。
確かにこの男は口八丁手八丁には自信があるのだろう、ついさっき五ェ門自身が手もなく騙されたところだ。
しかしそれ故に、北岡との契約をまともに信じてよいものか、五ェ門はまだ迷っている。

そしてもうひとつの頭痛の種が、その北岡が連れてきたデルフリンガーである。
五ェ門は剣の形をしているものであれば、西洋剣だろうが竹光だろうが自在に扱う自信がある。
錆びているというのも、百歩、いや千歩ゆずっていいとしよう。
しかし、これは。
「おーい、何か返事しろよ兄ちゃん。せっかくお仲間になったんだろ?」
鞘から少しだけ顔を覗かせた剣が、カチカチと金属音をさせて軽快に喋る。
そう、喋る剣なのだ。
今までも散々奇妙な物事に遭遇してきたと思っていたが、まだまだ甘かったらしい。
「そうそう、もうちょっと喋ったら。無口はソンだよ、周囲に誤解を与える。
 世の中で好印象を勝ち取るにはね、むしろ積極的に露出を…」
「もうよい」
そう言って、五ェ門はデルフリンガーを背負った。
本来なら腰に差したいところだが、この刃渡りでは長身の五右衛門でも地面に引きずってしまう。
「拙者はご機嫌を取られるのも謀られるのもごめんだ。
 北岡殿、拙者と契約する以上はもう少し腹を割ってもらうぞ」
122I'll be Back ◆3W1a2LmCis :2009/07/10(金) 01:33:15 ID:FpC7jXLQ
へえ、と感嘆の声をあげ、北岡は笑う。
「最初からそのつもりさ。まずは情報交換といこう」
この反応に五ェ門は多少むっとした。どうも北岡は、五ェ門の洞察力を舐めているきらいがある。
確かにルパンや不二子のような駆け引きはできないが、全くの朴念仁と思われるのも面白くはない。
そう簡単に信用などするものか―――五ェ門は余計に、北岡への警戒を強めることになった。

錆びた剣をエサにし、それが喋るという驚きで怒りの矛先をずらし、有耶無耶に契約を成立させる。
こんな絡め手を使って五ェ門との契約を得たことは、やはり北岡にとって失敗だったのだ。

情報交換をしてみると、二人はそれぞれの常識の食い違いに困惑することになった。
北岡は「ルパン三世」を知らず、五ェ門は「(モンスターによる)連続失踪事件」を知らない。
後者はともかく、ルパン三世といえば世界的に有名な大怪盗だ。
まともに新聞を読んでいれば、嫌でもその名は目に入る。
どうやら、状況は思ったよりずっとややこしいらしい。
そのあたりのことはとりあえず保留にし、話はお互いが知っている人物のことに移った。
しかし北岡は、ライダーのことやデッキについてはまだ伏せておくことにした。
飛躍的に強くなる手段があることを五ェ門に知られて、今以上に警戒されることを恐れたのだ。

一通り話し終わって、北岡は息をついた。
「ああそうだ、水もらっていい?さっき見たデイパックの中にあったと思う」
五ェ門は無言で自分の荷物を探ると、コントレックスのペットボトルを投げてよこした。
「―――と。ありがとう」
封を切り、すぐさま口をつける。
実はこれを切りだすタイミングをずっと窺っていた北岡だった。
この忌々しいイベントが始まってこの方全く水分を口にしていない上、ここまでずっと歩き通しだったのだ。
特に好きでもない銘柄のミネラルウォーターが、今の北岡には命の水に思われた。
「…それを飲んだら、動くぞ。」
「そうだな、まずはもっと協力者を探さないと話にならない」
123創る名無しに見る名無し:2009/07/10(金) 01:34:02 ID:72puSNDZ
誰も居ないかもしれんがそれでも支援
124I'll be Back ◆3W1a2LmCis :2009/07/10(金) 01:34:57 ID:FpC7jXLQ
底に申し訳程度の水を残して、北岡はボトルのキャップを閉めた。
それを手に持ったまま、道路を南向きに歩き出そうとしたその時、


『――この声が聞こえますか。僕の声が聞こえますか。
 僕は……北条、悟史と言います。この声が聞こえている人は―――』


突然聞こえてきたその言葉に、二人は顔を上げた。森の方からだ。
拡声器か何かを使っているのだろう、妹の探索と保護を呼び掛けている。
北岡は隣にいる五ェ門の手前、神妙な顔をして聴いていたが、
その内心は嘲笑と、それ以上の焦りで埋め尽くされていた。
(何てバカな奴だ!こんな事をしてまともな連中が応じるわけがない!
 しかも、すぐそばというわけじゃないが結構近いぞ…下手をするとこの辺りにも…)
彼は知り合いに合流を促す発言をしてから、こう締めくくった。
『僕は絶対――戻るんだ、あの笑顔がある世界に!!』
行動は軽率で、言葉は感情的で、言っていることは全き子供の理屈だった。
北岡は思う。
こんな愚か者に巻き込まれて、せっかくつないだ命を無駄にしてたまるものか。
「五ェ門!他の参加者がこの辺りに集まってくるとまずい、早くここを離れ…」
視線を地上に戻すと、五ェ門の姿がない。
慌てて辺りを探すと、すでに道路を外れて森に踏み入ろうとする後ろ姿を見つけた。
「おっ、おい!どこ行くんだ!!」
「声の主を保護する。
 お主の言う通り『乗っている』者が集まれば、先ほどの声の少年は危険にさらされるだろう。
 無関係な者も巻き込まれるやも知れぬ。放っておくことは出来ん!!」
「待ってよ、俺との契約はどうなる?!」
一瞬、立ち止まった。
「加減はする。ついてくることだ」
125I'll be Back ◆3W1a2LmCis :2009/07/10(金) 01:36:31 ID:FpC7jXLQ
止めても無駄。
北岡はコントレックスの残り一口を流し込み、ペットボトルを投げ捨てた。
茂る草木をものともせず駆けてゆく侍を、しぶしぶ追いかけ始める。
「ったく、めんどくさい奴と契約しちゃったかなぁ…」
誰にともなくつぶやく声に、着物の背中に鎮座する大剣がひょっこり顔を出した。
「同情するぜ、兄ちゃん」



++++++++++++++



C−6にいるという少年を目指す五ェ門は、森の中をかなり速いぺースで進んでいく。
元々体力に自信のない北岡は、その背中を見失わないだけで精一杯だった。
(見も知らぬ奴のためによくやるよ、全く)
しばらく行くと、森の中で突然そこだけぽっかりと開けた場所に出た。
大きな岩が折り重なっていて背の高い植物が生えられないため、ちょっとした広場のようになっている。
朝焼けの中で開きかけた花が揺れ、水たまりにはチョウが集まっていて、
殺し合いの舞台としては少々長閑過ぎる光景だった。

不意に、先を行く五ェ門の脚が止まった。
北岡が眉を寄せる。何かあったのか?
126I'll be Back ◆3W1a2LmCis :2009/07/10(金) 01:37:21 ID:FpC7jXLQ

「ごめんなさい…」

五ェ門の横に北岡が並ぶ前に、蚊の鳴くような声が聞こえた。
セーラー服を着て、ショートヘアの上に黄色いリボンをした小柄な少女だ。
「ごめんなさい、ルルーシュくん、ごめんなさい」
しかしその手には、FNブローニング・ハイパワーという、あまりに似つかわしくない銃が握られていた。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」
しかも、あきらかに錯乱状態にある。
五ェ門が振り返って、無言で目をすがめた。何とかしろということだろう。
交渉担当を自ら言い出した北岡に異存はない。
しかしこちらを向いたブローニングの銃口を見て、多少気が滅入るのはどうしようもなかった。
(あーあ、銃で遠くから狙うのは俺のやり方のはずなんだけどなぁ)
立ち止まった五ェ門を追い越す時に、「ホントに撃ちそうなら頼むよ」と耳打ちした。
「ごめんなさい、ルルーシュくんが、い、いやぁあ!来ないでくださぁい!!」
(!…ルルーシュ君、ね)
その名前には聞き覚えがあった。確か、最初に集められた時に主催者の子供と対峙した少年だ。
何らかの対抗手段を持っている様子だった彼についての情報は、
北岡にとっても他の参加者にとっても喉から手が出るほど欲しい。
何が何でも冷静になってもらって、話を聞かなければ。
恐慌状態に陥っている少女に対し、北岡は暢気にすら見える仕草で頭を左右に振った。
「まあまあ、そんなに頑張ることないじゃない。それより食事でもどう?生憎今はパンと水しかないけどね。
 こっちの怖いカオの奴はほっといていいからさ、二人でゆっくり、ね?」
『怖いカオの奴』が背後から睨みつける視線を痛いほど感じながら、北岡はゆっくりと少女に近付く。
「い、いやああ…」
おぼつかない足取りで、少女が一歩後ずさる。どうも、左足をひきずっているらしい。
「ああ、足を怪我してるんだね?駄目だよ、無理に動いちゃ。手当てしてあげるからこっちに…」
127I'll be Back ◆3W1a2LmCis :2009/07/10(金) 01:40:50 ID:FpC7jXLQ
そう言ってもう一歩前に進もうとした時、幽かだが、北岡は確かにそれを聞いた。


 ――SWORDVENT――

まさかと思ったが、北岡がそれを聞き違えるはずはない、なぜなら―――
「北岡アアア!!」
「浅倉?!」
飛びかかる影。
紫と銀の装甲、そして牙のように歪曲した黄金のサーベル。
人生の最後に決着をつけなければならない因縁の相手、王蛇だ!


ギャリィイッ!!


「きゃあああああ!!」
少女の絶叫。とっさに北岡が銃を握った掌を掴み、覆いかぶさるように地面に引き倒した。
反射的に引き金が引かれるが、弾はあさっての方向に消えていった。
すぐさまこれ以上撃てないように引き金を押さえ、地面に伏したまま振り返る。
浅倉の剣を阻んでいたのは、五ェ門のデルフリンガーだ。
一瞬遅れて、デイパックが北岡と少女の隣に落ちてきた。剣を抜いた時点で、五ェ門が投げ捨てたらしい。
「何だテメェはぁ!」
浅倉の咆哮に五ェ門は答えず、
「お主の知り合いか!」
背後の北岡に向かって質問する。
「…まあね」
128創る名無しに見る名無し:2009/07/10(金) 01:41:32 ID:rtKAo3Pa
>>123
誰もいないなんて言わせない支援
129I'll be Back ◆3W1a2LmCis :2009/07/10(金) 01:42:04 ID:FpC7jXLQ
静を装いながら、北岡の頭脳はめまぐるしく回り始めていた。

浅倉が、王蛇のカードデッキを手に入れている!

参加者がもともと持っていた武器などは、ランダムに参加者に配られると言っていた。
偶然に浅倉が王蛇のカードデッキを支給される確率はゼロではない。
他の参加者の荷物を奪い、その中にデッキがあった、という可能性もなくはない。
しかしそれは都合がよすぎるのではないか。
主催者であるあの子供は、おそらく参加者が積極的に殺し合いをすることを望んでいる。
そのために、ライダーたちにはそれぞれのデッキを支給してあるのではないのか。
(だとしたら、デッキは最初から俺の荷物の中にあったんじゃないのか?!)
北岡はデイパックを捨てたことを本気で後悔した。

「こりゃあおでれーた!こんな鎧見たことねぇ、何系統の魔法だ?」
「戦っている間くらい黙っておれぬのか、お主は!」
重い斬撃だった。五ェ門はそれを一度振り払うが、すぐに再び鍔競り合いになる。
両者の剣は、危ういバランスで拮抗していた。
「北岡ぁあ…」
浅倉の気配は、明らかに狂人のそれだった。
仮面の上からでも分かる。この男は、現在対峙している五ェ門など、これっぽっちも見ていない。
「どうした、変身しろよ北岡ァ!俺と戦え!」
と、言われてもデッキがなくてはどうにもならない。
もとより浅倉とは決着をつけるつもりだが、素直に殺されてやる気はない。
奴と戦うならば、デッキの奪取がまず前提条件なのだ。
「い、今はムリだ!ほら、ただの人間の俺と戦っても面白くないぞ!
 そうだ、ここはひとまず停戦にしないか!」
「…」
130I'll be Back ◆3W1a2LmCis :2009/07/10(金) 01:43:43 ID:FpC7jXLQ
「もしかするとこの戦いも神崎が絡んでるのかも知れない。
 あいつにこんなことができるんなら、もっとライダーを増やして楽しい戦いができると思わないか?
 だから一緒にあの子供を捕まえて神崎を」
ガン!
「ひぃっ!」
浅倉が岩を蹴り飛ばしたのを見て、少女が息を詰めた。
「どうでもいい…イラついてんだ」
「ま、待て待て話を聞―――」
「とりあえず、死ね」
振り下ろされたサーベルを、またしても五ェ門が受け止める。
「てめぇに用はねぇんだよ!」
五ェ門は渋面をつくり、ひとつ鼻を鳴らした。
「拙者は「らいだー」だの「変身」だのが何を意味するのかは知らぬし、お主らの事情も分からぬ。分からぬが、」
王蛇の剣を抑え込んだまま、首を回して北岡を見た。

「お主、恨まれておるな」
にやり、肩越しに笑った。

北岡は引きつった笑みを浮かべる。
浅倉の一件に関しては、奴の逆恨みから始まった因縁だ。北岡に非はない(ないはずだ)。
しかし北岡には、他人に負の感情で執着される要素が確かにある。
「交渉はお主、戦闘は拙者、だったな。契約は契約だ」
五ェ門の言葉は、契約の履行を約束するものだ。
だが彼の浮かべた笑みに、北岡は言外の意味をはっきりと悟った。

よいか、拙者はお主を信用せぬぞ。少しでも非道の行いをすれば、…分かるな?

まるで弱みを握られたような気分だ。
今更ながら、厄介な人物と契約してしまったことを北岡は悟った。
131I'll be Back ◆3W1a2LmCis :2009/07/10(金) 01:46:11 ID:FpC7jXLQ
「確かに俺はそいつと因縁があるし、決着をつけるつもりでいる。でも今はまだできない。それに…この子を」
展開についていけずに放心状態の少女を、北岡は起き上がらせた。
ここはすでに拡声器の少年が言っていたC−7エリアのすぐそばであり、今後危険人物が集まってくる可能性は極めて高い。
少女をこの場に放置して逃げだせば、そんな連中のいい標的になってしまうだろう。
それに少女を見捨てた時点で、北岡も五ェ門から切り捨てられる(もしかすると、文字通り斬り捨てられる)可能性は高そうだった。
「…つまりは?」
「適当に相手して逃げてくれ!」
「承知した」
声も出ないつかさを抱き上げると、北岡は東に向かって斜面を駆け降り始めた。
「逃げてんじゃねぇ!!戦えよ、北岡ぁあ!!」
「北岡殿は今はお主の相手は出来ぬそうだ」
「…どけよ」
「聞けぬ」
「どけ!」
せっかく見つけた標的との間に立ちはだかる着物の男を、浅倉は怒りにまかせて力でなぎ倒そうとする。
大振りの斬撃。しかし、二度、三度と弾かれる。
何とか捌いてはいるが、五ェ門に余裕はない。
初めて扱う剣、しかも、錆びていて強度に自信が持てない。
出来る限り勢いを受け流し、デルフリンガーに負担がかからないよう戦うのは、なかなか神経をつかった。
浅倉は不愉快そうに一旦剣を引くと、相手の鳩尾に前蹴りを繰り出した。
「ッだらぁ!」
「むっ?!…ぐ!!」
とっさに、左手でそれを受け止める。しかし勢いは死なず、五ェ門は後ろに弾き飛ばされる。
つま先で地面を削り、何とか止まった時には、蹴りを受けた場所から10メートル近くも後方にいた。
受け止めた掌を見れば、皮がそげて血がこんこんと湧き出てくる。
「適当に相手をしろだと?無茶を言ってくれる」
敵の男は悠然と、しかし全身から殺気を漂わせて、こちらへ歩いてくる。
五ェ門は傷口に溜まった血を振り払い、デルフリンガーを再び構えなおした。



+++++++++++++++++++++++++++
132創る名無しに見る名無し:2009/07/10(金) 01:50:28 ID:rtKAo3Pa
支援
133創る名無しに見る名無し:2009/07/10(金) 01:51:10 ID:72puSNDZ
私怨
134創る名無しに見る名無し:2009/07/10(金) 01:53:42 ID:ot6J+Sdp
135創る名無しに見る名無し:2009/07/10(金) 01:58:24 ID:rtKAo3Pa
猿?
136I'll be Back ◆3W1a2LmCis :2009/07/10(金) 03:05:47 ID:FpC7jXLQ

「いやあああ!もう嫌ぁ――!!」
「頼むからちょっと静かにしててくれ!」
腕の中で足をバタバタと振り回す少女を何とかなだめつつ、北岡は斜面を下っていた。
少女のデイパックは捨てて身軽になりたかったのだが、少女が力いっぱい握りしめていたために諦めた。
ブローニングは少女の手から引き剥がし、北岡がベルトに差している。
王蛇が追ってきたとしたら気休めにもならないが、ないよりはましだ。
(…五ェ門がどれくらい保つかな)
デルフリンガーが達人と言ってはいたが、五ェ門はあくまで生身の人間だ。
ライダー相手ではすぐに殺されたとしても全く不思議はない。
せっかく手に入れた協力者だが、早くも失うことになるかも知れない。

一定のペースで逃げながら、北岡は考える。
このゲームが始まって以来、自分は不運続きだ。
開始早々他の参加者に出くわすわ、契約した男のわがままで人助けに付き合わされるわ、
錯乱した少女の説得をさせられるわ、…挙句の果てには、何の準備もない状態で浅倉に出くわした。
(不治の病といい、俺って何かに憑かれてんじゃないの?)

しかし実は、彼自身の行動が招いた災難も多い。
北岡の犯した大きなミスは三つある。
一つ目は、デイパックを紛失したこと。
みすみす食料と水、コンパスなどの道具を失い、まだ入っていたかもしれない武器―――具体的には、ゾルダのデッキ―――を失った。
二つ目は、策を弄したことで五ェ門の不信を招いてしまったことだ。
素直に契約を申し入れればそれで済んでいたはずのところを、北岡自らややこしくしてしまった。

そして、三つ目は。
137I'll be Back ◆3W1a2LmCis :2009/07/10(金) 03:07:57 ID:FpC7jXLQ

シュウウウ…シャアアア…


北岡は、ミラーワールドのモンスターに特有の気配を感じ取る。
「これは…まさか…!!」
足もとに、小さな水たまりがあった。
緊張が伝わったのか、つかさは叫ぶのをやめ、奥歯を鳴らして奮えはじめた。
北岡の判断は早かった。気付いた瞬間、方向を変えて茂みの中に逃げ込んだ。
一瞬後、水たまりから不似合いに大きな飛沫が上がった。
「やっぱりアイツかっ!」
姿を現したのは浅倉の契約モンスター、ベノスネーカーだ。
紫色の巨大なコブラがムチのような尻尾をしならせる。
伸びをするように天を仰ぎ、音のない咆哮をあげると、頭部の刃で木々を切り裂きながら北岡達を追って来た。


そう、 三つ目の失敗は、五ェ門にライダーについて話さなかったことだ。
ライダーがモンスターを操れることを知っていれば、五ェ門は浅倉にモンスター召喚のスキを与えなかっただろう。
結果として五ェ門が戦いに敗れたとしても、浅倉が身一つなら時間稼ぎとしては十分だ。
北岡とつかさは浅倉の追跡を振り切り、助かっていただろう。


だが、現実はこうだ。
北岡は五ェ門を信用しなかったために情報を出し渋り、最悪の結果を招いた。
138I'll be Back ◆3W1a2LmCis :2009/07/10(金) 03:12:16 ID:FpC7jXLQ

ライダーに変身していられる時間は10分弱。
このモンスターも浅倉に活動限界が訪れれば消えるが、奴が変身してからまだ五分も経っていない。
北岡は今までは多少なりとも体力を温存しようという頭があったが、もはや計算はかなぐり捨てて全速力で走る。
少女のほうはモンスターの姿を見てからひたすら固まっていてくれるので、さっきよりは随分逃げやすい。
しかしそんなスピードが長く続くはずもなく、北岡はすぐにペースを落とさざるを得なくなった。
仕方なくブローニングを引き抜き、モンスターに向ける。
2発が外れ、一発がかすり、一発が命中した。
多少怯むが、怯むだけだ。牽制にもならない。

極限の疲労で、北岡はついに膝をついてしまった。
上手く息が吸えない。目眩がする…立ち上がれない。

少女のデイパックが地面に転がり落ちる。
今までは、北岡の服の襟と一緒に、指が真っ青になるほど握りしめていたのに。
「…いて…って…」
掠れた声で、少女が何が言った。
「え?」
「わたしを…おいてってください…!」
何を言ってるんだ、と言いたいところだったが、北岡は荒い息を整えるのに必死で、言葉を発することができなかった。
「わたしもう、ひとごろしなんです…お願いです、置いて行ってぇ…ルルーシュ君…」
絞り出すように言葉を継ぎながら、少女はぽろぽろと涙を流す。
北岡は理解する。
少女が「ルルーシュ」という名前を繰り返し呼んでいたのは、彼女が自身の手で彼を殺してしまったからなのだ。
きっと、不慮の事故だ。だがそれでも、おそらく普通の学生でしかない彼女には、耐えがたい事実だろう。
良心の呵責が、小さな少女を追いつめる。
139I'll be Back ◆3W1a2LmCis :2009/07/10(金) 03:14:02 ID:FpC7jXLQ
「お姉ちゃん…助けて…」
少女の願いを掻き消すように、遠い爆音が響き渡る。
森を照らし出したその光は、北岡達のところにも届いていた。


彼女は知らない。
姉である柊かがみが、たった今死亡したことを。
手を下したのが、仲のいい友人だったはずの泉こなただということを。

そして、彼女のところにも、確実な死が迫ってきていた。
ベノスネーカーが、つかさを抱えた北岡の背後に居る。
(助けて…)
ふいに、北岡が少女を抱えたまま再び立ち上がる。
「…俺の話を聞いてくれ」
少女の目を覗き込んで、囁くように言った。
「お願いが、あるんだ」



+++++++++++++++++++++++++++++



時間が多少前後する。

「…」
北岡の姿が見えなくなると、浅倉は突然身を退いた。
男が水たまりをのぞきこみ奇妙なまじないをすると、ロボットじみた紫色の大蛇が姿を現す。
「行け!北岡の野郎を追え!」
140I'll be Back ◆3W1a2LmCis :2009/07/10(金) 03:17:00 ID:FpC7jXLQ
五ェ門が驚愕しているうちに、それは一瞬で五ェ門の頭上を越え、森の中へと消えた。
「何だ!?」
突然出現したモンスターに戸惑うが、北岡たちを追わせるわけにはいかない。
五ェ門は大蛇の後を追おうと、同じ方向へ走りだした。
しかし今度は、浅倉がその前に立ちはだかる。
「俺の相手はお前なんだろ?安心しな、殺さねぇよ…あいつはお前を殺してから、俺が直接やる」
どちらにしろ邪魔するつもりなら、五ェ門を先に潰すつもりになったらしい。
「…今のは何だ。まやかしか?」
「ああん、モンスターのことも知らねぇのかぁ」
浅倉が空気の混ざった聞き取りにくい声で、あざ笑うように言う。
「信用されてねぇんじゃねえのか、お前」
「…」
五ェ門は苦虫を噛み潰したような顔をした。浅倉の言う通りだ。
だが、虫の居所が悪いのは浅倉も同じだ。
「イライラするぜ、お前。なんで本気でやりやがらねぇ」
「さてな」
浅倉は苛立ちを隠そうともせず、何度も何度も岩を蹴り飛ばす。
「イライラする…ルルーシュ・ランペルージは殺す前に死んでやがる…北岡は戦おうとしねぇ…」
型も構えも何もなく、浅倉はただ頭上から剣を振り下ろす。
「邪魔するテメェは俺を殺そうとしねぇ!!」
「ぐうっ!」
金のサーベルを受け止めた大剣が、キリキリと音を立てる。
五ェ門自身は認めたくはなかったが、この男に負けているのは想いの強さ、心の強さだ。
例えそれが、ドス黒い憎悪と純粋な戦闘欲でできた強さであっても、
結んだ契約が信じる価値のあるものか、迷いながら戦うよりは遥かにマシだ。
「全ッ然面白くねぇんだよテメェは!!」
141I'll be Back ◆3W1a2LmCis :2009/07/10(金) 03:24:48 ID:FpC7jXLQ
「!」
ついに、力で押し切られる。仮面の下の素顔が、にやりと笑ったような気がした。
「っ、ぐああああ!!」
王蛇のサーベルが五ェ門の右肩を切り裂く。
さらにたたみかけようと、浅倉が剣を大きく引いた時、


―――ドオン…ゴゴゴ…


「!?」
かなり遠いが、巨大な爆発だった。
浅倉がそれに気を取られた隙に、五ェ門は後ろへ跳んで距離を取る。
紅く燃え盛るそれを、浅倉はじっとりと見つめていた。
「いいな…あの赤い野郎を思い出す…あいつも、いずれ殺す」
「…?」
浅倉の独り言は、五ェ門には意味不明だった。しかしこの間に少しでも息を整えようとつとめる。
炎はやがて真っ黒な煙に変わり、浅倉はそれに興味を失った。
「まず…お前だ。お前を殺して、次が北岡だ」
いかにも簡単に五ェ門を殺せると思っているかのような口ぶりに、五ェ門はぴくりと反応した。
「できるものならやってみるがいい!」

二人は再び斬り結んだ。
しばらく無言で、派手な立ち回りが続く。
圧倒的なパワーとセンスでひたすら押すスタイルの浅倉に対し、
まるで日本刀を扱うかのような型通りの動きながら西洋剣を握る五ェ門。
その戦いは何ともアンバランスで、しかし剣舞のようでもあった。
142I'll be Back ◆3W1a2LmCis :2009/07/10(金) 03:28:45 ID:FpC7jXLQ

やがて、やはりというべきか、既にダメージを受けている五ェ門が押され始める。
「何だ…やっぱ元々大したことねぇの、かっ!!」
「!!」
五ェ門の手から、デルフリンガーが弾き飛ばされた。
「く…」
「終わりだなァ」
その時、どこからか飛んできた銃弾がサーベルに命中した。
「…ああ?」
続けて二発が王蛇の装甲に当たったが、ほとんどダメージはない。
だがその間に、五ェ門は素早くデルフリンガーを拾った。
一体誰が?二人は周囲を警戒する。
「つかさちゃん、今だ!」
声が聞こえてきた方向を、浅倉と五ェ門が同時に見た時、
「はいっ!」
木の上から、小さな影が飛び降りた。
「!?」
浅倉は宿敵の声、五ェ門は目の前に現れた人物の姿に、それぞれ一瞬だけ動きを止めた。
「そなた一体…ぬお!?」
「ごめんなさいっ」
細い腕が、五ェ門の耳と視界を塞ぐ。その勢いのまま、五ェ門は地面に押し倒された。
「浅倉!!」
名を呼ばれ、浅倉が振り返る。
長く張り出した岩の突端に立ち、ブローニングを構える人物を見つけると、その感情がみるみる狂喜に染まった。
「北岡アアアアッ!!」
143I'll be Back ◆3W1a2LmCis :2009/07/10(金) 03:30:05 ID:FpC7jXLQ
剣を構え直し、見下ろす男に向かい跳躍する。
北岡の後ろには、追跡を命令されていたベノスネーカーの姿もあった。
このままいけば挟み撃ちだ。
まともに戦えない生身の北岡を殺すのは勿体ない気もしていたが、
頭に血の上っている今の浅倉には、そんなことはどうでもよくなっていた。
いまならやれる、やれるやれるこの男を殺せる!!
「悪いが、今はだめだ」
北岡は口で『それ』のピンを抜き、迫りくる浅倉に向かって投擲した。

次の瞬間、一帯は強烈な閃光と轟音に包まれる。

「ッアアアアアアアア!!」
浅倉は平衡感覚を失い、地面に落下した。同時に変身がとかれ、契約モンスターも消える。
『それ』の正体は閃光手榴弾。強力な光と音で対象をショック状態にする特殊手榴弾だ。
北岡は口にくわえたピンを吐き捨て、目と耳を開いた。
「いいか、お前との決着は必ずつける。だが、今じゃない」
ふらつきながらも岩を飛び降りた北岡は、相手に聞こえないことを承知でこう言った。
「必ず俺は戻ってくる。それまで待ってろ!」
「北岡ァァァ……!」
目を耳も利かない状態で地面をのたうちまわりながら、浅倉はそれでも標的の名を呼んだ。



【一日目/黎明/C−6 南東端】


【浅倉威@仮面ライダー龍騎】
[装備]なし
[所持品]支給品一式×2(浅倉とルルーシュ)、王蛇のデッキ@仮面ライダー龍騎、
    FNブローニング・ハイパワーのマガジン×1(13発)、ランダム支給品(未確認)(2〜3)
[状態]全身打撲 、目と耳に痛み
[思考・行動]
1:北岡秀一を殺す。
2:大剣の男(五ェ門)を殺す。
3:全員を殺す。
144I'll be Back ◆3W1a2LmCis :2009/07/10(金) 03:31:07 ID:FpC7jXLQ
+++++++++++++++++++++++++++++++++



浅倉が苦しんでいるうちに、二人は全速力で斜面を駆け降りる。
つかさを横抱きに抱えた五ェ門が、先を行く北岡に追い付いた。
北岡はつかさのデイパックに加え、ちゃっかり五ェ門のものも拾って持っている。
「おっ、お主何を考えておるのだ!!あの男の危険を承知していて少女にこのようなことを…」
言うことは立派だが、足取りが怪しい。
いくらつかさに目と耳をふさいでもらったといっても、完璧に遮断することは不可能だった。
特に音のダメージは大きく、まだイヤな耳鳴りがしている。
耳栓代わりに使ったらしい、葉っぱを丸めただけのものを捨てずに持ったままのつかさが、北岡の代わりに答えた。
「ちがうの、私がやるっていったんです」
「何?!」
北岡に向けるのと同じ剣幕でどなられ、つかさはびくっと萎縮する。
「あーほらほら、女の子が怖がってるじゃないの。ごめんねー、こいつ短気だから」
からかうような北岡の口調にも五ェ門は反論せず、ばつの悪い顔ですぐに謝った。
「すまぬ。苛立って女子に当たるとは…修行が足りぬ」
本気で修行が足りないと思っているらしい物言いに、北岡は苦笑した。
単純だとか短気だとかの性格が、修行云々でどうにかなると本当に思っているのだろうか、この男は?
「だが、閃光弾などいつ手に入れたのだ?拙者の荷物の中にはなかっただろう」
145創る名無しに見る名無し:2009/07/10(金) 03:32:26 ID:ot6J+Sdp
 
146I'll be Back ◆3W1a2LmCis :2009/07/10(金) 03:33:05 ID:FpC7jXLQ
「正確には閃光手榴弾。つかさちゃんのデイパックにあったんだよ。
 逃げている最中にジッパーの隙間からチラチラとね」
「あの状況でよく…」
五ェ門が呆れ半分で舌を巻いた。
「ところで」
「!!」
突然話し掛けられ、北岡と五ェ門が跳び上がった。
「そろそろ喋ってかまわんかい、兄ちゃん」
「デルフリンガー!驚かせないでよ」
錆びた大剣がかちかちと笑う。
「悪いね、黙ってろって言われてたもんでな」
「あ」
五ェ門が思い出した。黙っていられないのか、と剣に言ったのは確かに自分だ。
「それで結局、ホージョー・サトシって奴の呼び掛けには応じなくていいのか」
「…この状態の我々では、行ったところで力にはなれぬだろう」
「というか、むしろ足を引っ張りそうだね」
男二人は自分たちの風体を改めて検分した。
二人とも服はボロボロの上、あちこち泥だらけの汗まみれ、ところどころには血までにじんでいる。
「力になる以前に、不審者と思われて逃げられそうだなぁ?」
デルフリンガーが、二人の思っていることをまとめた。
つかさは状況が飲み込めていないようで、さっきからずっときょとんとしている。
「えーと、デルフリンガー、さん?って人はどこにいるんですか?木の上ですか?
 腹話術がお上手で…あっ!もしかして忍者さんですか!?」
「…」
黙れと言われたわけでもないのに、デルフリンガーがまた静かになった。
北岡と五ェ門は思わず顔を見合せて、同時に噴き出した。



++++++++++++++++++++++++++++++++
147創る名無しに見る名無し:2009/07/10(金) 03:39:16 ID:ot6J+Sdp
 
148創る名無しに見る名無し:2009/07/10(金) 03:43:22 ID:ot6J+Sdp
 
149創る名無しに見る名無し:2009/07/10(金) 03:45:02 ID:ot6J+Sdp
  
150創る名無しに見る名無し:2009/07/10(金) 04:04:27 ID:ot6J+Sdp
◆3W1a2LmCis氏
猿規制なら、仮投下スレに投下してもらえれば代理投下致します
151創る名無しに見る名無し:2009/07/10(金) 04:16:05 ID:ot6J+Sdp




背後から、ベノスネーカーが迫ってくる。
茂みをかき分けながら斜面を登り、北岡は五ェ門たちの元へ急いでいた。
「お願い…?」
「なあ、君の友達は、何人この島にいるんだい?」
突然関係のないことを尋ねられ、つかさは面食らった。
「よっ…4人、です」
「その子たちを、助けたいと思う?」
つかさは目を見開いて、北岡の顔を見上げた。
「思います、けど!…わたし、ルルーシュくんを助けようと、して…」
北岡は、その先を言わせなかった。
「助けようとした。助けようとしたんだ」
例えそれが、結果的に少年の命を奪う結果になったとしても。
「あの侍は今、俺たちのために戦ってる。俺達を助けるために、強くて怖い奴に立ち向かってるんだ。
 その上、俺たちが今ここでやられたら、あいつは一人であのヘビと男を両方相手しなきゃならなくなる」
北岡は軽く振り返り、追ってくるベノスネーカーを示した。
「ルルーシュ君のことを、君は救えなかったかも知れない。でも今度こそ誰かを救えるかもしれない。
 だからもう一度、勇気を出すんだ」
少女の瞳に、徐々に正気の光が戻る。北岡は涙声で言った。
「いや、こんな言い方はおかしいな…頼む、この通りだ」
つかさの手を握り、絞り出すように懇願する。
「あいつを…俺の仲間を、助けてくれ!!」



++++++++++++++++++++++++++++++++
152I'll be Back ◇3W1a2LmCis   代理投下:2009/07/10(金) 04:17:37 ID:ot6J+Sdp



「浅倉は俺を自分の手で殺したがってる。
 だからあのモンスターは見失わないためのもので、浅倉ともう一度会うまで俺は殺されないと踏んだんだ。
 だけど俺は、多少大げさにモンスターから逃げて、彼女に危機感を持ってもらった」
といっても、ベノスネーカーが本気で北岡を食い殺すつもりなら洒落にならないので、
実際には必死で逃げていたのだが、それは伏せておく。
「彼女と俺がモンスターに殺されたら、五ェ門、お前の命が危ない、って危機感をね。
 その上で、俺は浅倉とモンスター、どちらも一度に無力化できる方法を考えた。
 彼女が活躍できる場面も組み込んで。
 あの時は、彼女を落ち着かせるためにはこうするのが一番だと思ったんだよ。
 つまり、『自分は必要とされている、自分がやらなければ傷つく人がいる』って義務感を持たせることがね」
北岡は、五ェ門の背中で眠るつかさを見た。緊張の糸が切れたのだろう、ぐっすりと眠っている。
彼女の左足首の捻挫は、五ェ門のサラシとその辺の木の枝を使って、とりあえず固定しておいた。
湿布があれば一番いいのだが、この状況でそれは望めないだろう。
つかさに使ったサラシの余りで、五ェ門は自分の右肩と左掌も止血してある。
「上手くいったから良いようなものの、一歩間違えば全滅していたぞ」
「まあそう言うなよ。終わったことなんだからいいじゃない」
五ェ門がため息をつく。
北岡は笑っていたが、ふいに立ち止まった。
置いて行きそうになった五ェ門が三歩先で振り返ると、彼は真面目な顔をして言った。
「俺は必ず浅倉と決着をつける。必ずだ。だけど簡単に負けてやるつもりもない。
 そのためには、俺もあいつと同じような力を手に入れなきゃならない。
 これは俺の個人的な因縁で、お前には全くメリットのないことだ」
最初から北岡に都合のいい条件だったとはいえ、この契約はあくまでギブアンドテイクが前提だった。
それが崩れるのなら、この話は成立しなくなる。
153I'll be Back ◇3W1a2LmCis   代理投下:2009/07/10(金) 04:18:18 ID:ot6J+Sdp
「契約を破棄するか?」
北岡は少し緊張した面持ちで、五ェ門を見た。侍が、きびしい顔をして口を開く。
「お主がその力を手に入れた途端に裏切るつもりなら、拙者はお主を斬らねばならぬ。…だが」
五ェ門が、自分の背中で安らかに眠るつかさを伺い見る。
その寝顔には、出会った時の狂気はもうどこにもなかった。
「お主はこの少女を立ち直らせた。…お主の言葉、どこまでが真実かは、これから見極めるとしよう」
その答えに、北岡は深く頷く。
ようやく北岡にも、五ェ門の本質が分かってきた。
なんのことはない、城戸の上を行くとんでもないお人好しだ。
「それでいいよ。戦闘は任せたからね、五ェ門ちゃん」
「ど、どこぞの猿のような呼び方をするな!」
猿?と北岡が訊き返しても、ヘソを曲げた五ェ門は、それ以降しばらく返事をしようとしなかった。



【一日目/黎明/D−7 北西端】

【北岡秀一@仮面ライダー龍騎(実写)】
[装備]レイの靴@ガン×ソード 、FNブローニング・ハイパワー(3発)
[所持品]無し
[状態]健康? 、疲労(大)、数か所の擦過傷
[思考・行動]
0:自分の支給されたデイパックにゾルダのカードデッキが入っていたのでは?
1:金髪の男(レイ)からデイパックを奪いかえす。
2:1を達成し、もしデッキが手に入れば浅倉を探し、決着をつける。
3:戦闘は五ェ門、交渉は自分が担当する。
4:つかさをどうするか…


※龍騎出演ライダー全員が、それぞれのカードデッキを持っているのではないかと推測しています。
※五ェ門から話を聞き、ルパン、次元、銭形について知りました。
154I'll be Back ◇3W1a2LmCis   代理投下:2009/07/10(金) 04:19:06 ID:ot6J+Sdp



【石川五ェ門@ルパン三世】
[装備]デルフリンガー(錆び)@ゼロの使い魔
[支給品]支給品一式、水のペットボトル一本を消費、不明支給品0〜2(確認済み、剣・刀では無い)
[状態]疲労(大)、左手のひらに大きな傷、右肩に刀傷(共にサラシで止血済み)
   軽い裂傷が数か所、サラシ無しで腹が寒い…
[思考・行動]
0:やはり北岡殿は信用ならん!
1:北岡、つかさを護衛する
2:浅倉と決着をつける気があるなら、北岡のカードデッキを奪い返す手伝いをしてもいい
3:早急に斬鉄剣、もしくは代わりの刀か剣を探す
4:ルパン、次元、銭形と合流し、脱出の手だてを探す

※錆びた剣であるデルフリンガーを折らないよう、加減して戦っています。
※北岡に話を聞き、龍騎シリーズライダーについてはほぼ正確に把握しました。



【柊つかさ@らき☆すた】
[装備]なし
[支給品]支給品一式、閃光手榴弾@現実を消費、ランダム支給品(確認済み)(0〜2)
[状態]疲労により熟睡、腕と脚に数か所の擦過傷、左足首にねんざ(五右衛門のサラシと木の枝で固定済み)
[思考・行動]
0:北岡、五ェ門と協力する
1:かがみ、こなた、みゆき、みなみに会いたい


155創る名無しに見る名無し:2009/07/10(金) 04:33:41 ID:ot6J+Sdp
代理投下を終了します。

投下乙です。
つかさは何とか持ち直したか。でも放送でどうなるか分からないから、今後に注目したいな。
北岡と五ェ門も一応は落ち着いたから、これから良コンビに成ってほしい。
そして、悟史はもうどうしようもないような気がしてきたw
156 ◆3W1a2LmCis :2009/07/10(金) 04:46:10 ID:FpC7jXLQ
>>155
代理投下ありがとうございました!
お手数をお掛けしました

さるさん規制に引っ掛かり、後半の投下が遅くなってしまい申し訳ありません
多分ルパンのこと猿呼ばわりした呪いだと思います
途中支援してくれた方達ありがとうございます!私怨もwすごい嬉しかった!
初めてだけど勇気出して書いてみてよかったです

>>129でまたアホなコピーミスを…orz
冒頭の「静」は「冷静」の間違いです
157創る名無しに見る名無し:2009/07/10(金) 07:23:16 ID:ZBmXUlB0
乙!
つかさ、今は大分落ち着いたがかがみとみゆきが死んだとわかったら・・どうなるかね。
158創る名無しに見る名無し:2009/07/10(金) 09:00:26 ID:rtKAo3Pa
投下乙!

つかさは何とか持ち直したか、ここのらき勢は悲惨過ぎたから嬉しいww
にしても、北岡は空回りしまくってるな
ベノスネーカーが来た時はもう駄目かと思った

悟史は……うん、マーダー多いから逆に同士討ちしてくれるかもよ!
浅倉のストレスがさらに加算されたとか知らない
159創る名無しに見る名無し:2009/07/10(金) 15:17:07 ID:ruN92lJ/
深夜の投下、二人とも乙です!
予約の時には、メンバー見て
ゴエモンに死亡フラグが立ってそうだったからヒヤヒヤしたぜ…
悟史には間違いなく立ったけどね!
160創る名無しに見る名無し:2009/07/10(金) 23:21:11 ID:HTfyJm/x
投下乙です

五ェ門死ぬかと思いきや嘘だろ北岡死んじゃうのか?
ときてつかさがまさかのアタック
先の読めないバトルお見事です!
161 ◆3W1a2LmCis :2009/07/11(土) 01:38:56 ID:n2HJhrQt
感想ありがとうございます!

全員を格好よく書きたかったんですが、難しいですね
そして結局誰も殺せなかった…

また話思いついたら書きに来ますね
お付き合いありがとうございました!
162創る名無しに見る名無し:2009/07/11(土) 02:10:04 ID:948fY0HK
殺すだけがロワじゃないよww
次も楽しみにしてるよ
163創る名無しに見る名無し:2009/07/11(土) 23:32:24 ID:cgTxddGj
>>161
応援してます!
164創る名無しに見る名無し:2009/07/11(土) 23:58:21 ID:90M4ygia
そして世界は過疎の炎に包まれた・・・
165 ◆ew5bR2RQj. :2009/07/12(日) 00:37:27 ID:fc+sdIY/
突然すいません。
前に投下した作品の中で名簿の順番があいうえお順ではなく作品順になってるのがあったので、修正したいのですが構いませんか?
166創る名無しに見る名無し:2009/07/12(日) 01:21:27 ID:dWx00GA9
いいと思う
167創る名無しに見る名無し:2009/07/12(日) 06:41:08 ID:rg3I6Vwt
問題ないと思います
168創る名無しに見る名無し:2009/07/12(日) 17:09:16 ID:ZaJ5lr9H
ここに期待して待ってます
169 ◆ew5bR2RQj. :2009/07/12(日) 18:28:27 ID:fc+sdIY/
わざわざ投下するほどの物でもないですが、一応変更したのは

堕天使の微笑にある
「オレの知っている人間はここからここまでの三人と織田敏憲の四人だ」

彼の指差した範囲にいる人間の名前は稲田瑞穂、千草貴子、三村信史。



「オレの知っている人間は――――」

彼が指差した名前は稲田瑞穂、織田敏憲、千草貴子、三村信史の四人。
と、

もりのようかんの
「ええ、構いませんよ、この私の名前の下にある亀山薫が私の知り合いです」



「ええ、構いませんよ、ここにある亀山薫が私の知り合いです」
の二つです。

投下からミスをしばらく放置してすいません。
170創る名無しに見る名無し:2009/07/12(日) 18:49:50 ID:rg3I6Vwt
修正お疲れさまです
171創る名無しに見る名無し:2009/07/12(日) 21:26:15 ID:LwAwRRUW
次はどの辺のキャラが来るかな
個人的にはかなみと上田のコンビに期待
172創る名無しに見る名無し:2009/07/13(月) 00:40:31 ID:XOWfELHP
TRICK勢はまだ一話だけだな

俺はみなみんが気になる
他のらき勢が全員悲惨な目に合ってるのに、みなみんだけは蚊帳の外だし
173創る名無しに見る名無し:2009/07/13(月) 00:56:44 ID:7c69tSz5
こなた→妄想マーダー化
かがみ→こなたの爆弾で死亡
みゆき→仲間だったスザクに腹部を撃たれて死亡
つかさ→ギアスの強制力とはいえ人殺し
だもんなあ…

一般人は特に誰に出会うかで運命左右されるよね
みなみはどうなるんだろう
174創る名無しに見る名無し:2009/07/13(月) 01:10:54 ID:XOWfELHP
みなみんはカズマがいるから大丈夫だと思うけど、それはみゆきさんやつかさにも言えたよなぁ

つかさは復活したけど、こなたはもう救いようが無い気がする
175創る名無しに見る名無し:2009/07/13(月) 17:26:36 ID:jcbUI99s
こなたにもサイトが憑いてる
176創る名無しに見る名無し:2009/07/13(月) 19:24:02 ID:/K9EcD6Q
字が違うようで合ってるなw
177創る名無しに見る名無し:2009/07/13(月) 23:29:12 ID:XOWfELHP
確かにありゃ憑いてるなwww

新たな予約かと思って見たら、宣伝だった時の虚しさは異常
178創る名無しに見る名無し:2009/07/13(月) 23:34:43 ID:iNKyH9G2
ルイズじゃなくなったら殺されるんだろうなw
179創る名無しに見る名無し:2009/07/14(火) 02:16:05 ID:mBd2Futv
ちょwwやめてフラグ立てるのww
お願いだかららき勢には一人でも生き残ってほしいよ
180創る名無しに見る名無し:2009/07/14(火) 17:19:14 ID:mL3uriDB
TRICKも相棒も思い入れあるから頑張って欲しい
ただ実写メンツは特に超常現象起こせたりするわけじゃないからなー
上田さんは戦闘中に倒れてもおかしくないしwww

そういえば、アトリエの参戦は一人な上に主人公じゃない人なんだな
最近このロワ知ったから、なんでアイゼルなのか知ってる人いたらちょっと聞きたい
181創る名無しに見る名無し:2009/07/14(火) 18:51:01 ID:9bBoFtaS
>>180
上田さんは悪魔の実の能力者じゃないか
182創る名無しに見る名無し:2009/07/14(火) 23:17:44 ID:oVIJzKJV
劇場版2のあれかw
正に公式が病気だったなw
183創る名無しに見る名無し:2009/07/14(火) 23:25:33 ID:mBd2Futv
>>180
過去ログをざっと見てきたが、
単にヴィオラートよりアイゼルに票が入ったからとしか分からなかった。
詳しい事情わかる人いる?
184創る名無しに見る名無し:2009/07/15(水) 22:03:01 ID:PKbctm1i
ここで興味を持ってるろ剣を読んでみたけど面白い
魅力的なキャラが多いし、出会えて良かった
185創る名無しに見る名無し:2009/07/16(木) 19:07:21 ID:g6VENCEX
確かにるろ剣は面白いな
それゆえに、剣心が死亡第一号だったときは寄生獣って凄いなという印象だった
186創る名無しに見る名無し:2009/07/16(木) 19:44:46 ID:Ml699jWL
俺も死亡第一号はみゆきさんか誰得ピンクか不人気wikiかと思ってたわ
187創る名無しに見る名無し:2009/07/16(木) 22:05:45 ID:3wxT3QJO
みんな巨乳の素晴らしさが分かってない
みゆきさんはらき☆すたの数少ない巨乳キャラじゃないか
188創る名無しに見る名無し:2009/07/17(金) 10:25:49 ID:Dqph/vLA
みゆきさんでなくパティだったら、結果は変わっていたかも
189創る名無しに見る名無し:2009/07/17(金) 11:01:52 ID:0CEbRk8G
パティはもっといらん
190創る名無しに見る名無し:2009/07/17(金) 11:19:44 ID:dFPqzz/h
お前らは巨乳の素晴らしさが(ry
このロワの巨乳ってみゆきさんに園崎姉妹くらいか?
191創る名無しに見る名無し:2009/07/17(金) 23:00:07 ID:KXHl+oY4
アンパンマンだったら
192創る名無しに見る名無し:2009/07/17(金) 23:37:42 ID:IhNGr51y
>>185
寄生獣も神だぜ
193創る名無しに見る名無し:2009/07/18(土) 00:36:02 ID:7bv+rzUN
田村玲子もだが、後藤の怖さがハンパないよな
このロワでの活躍に期待

したらば見てびびった
なんだあれ
194創る名無しに見る名無し:2009/07/18(土) 01:27:26 ID:gPIlliJX
宣伝か荒らしか分からないけど早めに削除して欲しいな
195創る名無しに見る名無し:2009/07/18(土) 04:54:59 ID:JltgWCws
ワロタ>したらば
196創る名無しに見る名無し:2009/07/19(日) 19:18:26 ID:92JRarbA
久しぶりにここ来たけどみゆきさんは何人くらい死んだ?
197創る名無しに見る名無し:2009/07/19(日) 19:29:04 ID:+Eqp2IOo
みゆきさんは1人しか居ないよw
198創る名無しに見る名無し:2009/07/19(日) 20:39:04 ID:hGfJ/DgP
おまえらみゆきさん大好きだな
199創る名無しに見る名無し:2009/07/19(日) 23:54:41 ID:B/68stoV
そろそろみゆきさんネタ自重しろ
ロワに参加していないキャラの話でスレを消費し過ぎるのはよくない
200創る名無しに見る名無し:2009/07/20(月) 00:07:23 ID:sIj71zdm
>>199
敵に洗脳された挙げ句、全裸で学校中を走り回った某アニメの空気を彷彿とさせる
201創る名無しに見る名無し:2009/07/20(月) 18:22:46 ID:FG+xEpzT
この時期は他のロワ含めて予約来ないな
202創る名無しに見る名無し:2009/07/20(月) 18:59:32 ID:sIj71zdm
書きたいキャラならいるけど、把握してないっていうね
長期休暇使って把握するしかない
203創る名無しに見る名無し:2009/07/20(月) 20:21:34 ID:JX72lioO
書いてるけど、まだ予約できる段階じゃない自分みたいなのもいます
204創る名無しに見る名無し:2009/07/20(月) 22:27:55 ID:t70vEYxd
自分も>>203氏と同じ状況です

ところでちょっと質問していい?
「女神の剣@ヴィオラートのアトリエ」の
詳しいビジュアルが分かる資料ってないだろうか。
どう検索かけても攻略サイトあさっても出てこない…orz
もし知ってる人いたらよろしくお願いします。
205創る名無しに見る名無し:2009/07/20(月) 22:39:24 ID:xcioDUt5
ヴィオは攻略本売っちゃったので忘れました。
でも、記憶にある限り、剣の絵はなかったと思うし、あったとしても大きな特徴はなかったような
206創る名無しに見る名無し:2009/07/20(月) 22:52:59 ID:t70vEYxd
おお、早い返答感謝です
適当にぼかして描写するしかないか…
頑張って続き書きます、ありがとうございました!
207創る名無しに見る名無し:2009/07/20(月) 22:53:36 ID:sIj71zdm
>>204
逆に考えるんだ、自分でビジュアルを考えちゃえと
違っても修正すればいいんだから、そこまで気にする必要はないと思う
208創る名無しに見る名無し:2009/07/20(月) 23:23:00 ID:YurN6ae7
絵がないんならパツキン女神の半裸の上半身が柄になってるとか妄想できるな
209創る名無しに見る名無し:2009/07/20(月) 23:40:29 ID:FKRlHphA
現在位置で使われてる宗次朗の画像ってどこの巻にあんの?
探しても見つからないんだが
210創る名無しに見る名無し:2009/07/21(火) 00:00:26 ID:yinkXbkL
15巻 P.167
第百二十九幕「縮地」
211創る名無しに見る名無し:2009/07/21(火) 00:09:26 ID:Bx1CTXC6
>>210
おお、ありがとう
扉絵になってたのか、通りで見つからない訳だ
212創る名無しに見る名無し:2009/07/21(火) 19:22:36 ID:0pCOlacL
てつをの運動能力ってどのくらい凄いの?
100メートルなら5秒くらいで走れるかな
213創る名無しに見る名無し:2009/07/21(火) 19:39:28 ID:GPdW2mK8
昭和ライダーは平成と違って100m1秒くらいがデフォだった気がする
214創る名無しに見る名無し:2009/07/21(火) 20:05:37 ID:xKaWqHrt
アマゾンは100m8秒らしい
ttp://park23.wakwak.com/~murakamiindustry/amazon.htm
215創る名無しに見る名無し:2009/07/22(水) 03:06:16 ID:07nbl4TL
1秒って凄過ぎだろww
幼女連れ去った誘拐犯くらいすぐ追いつきそう
216創る名無しに見る名無し:2009/07/22(水) 14:29:15 ID:lj26c9p3
>>215
翠星石は200歳くらい行ってるぞ
217創る名無しに見る名無し:2009/07/23(木) 16:04:44 ID:MskX6eDZ
前から気になってたんだが、wikiのメニューにあるFGBR2ndってなに?
218創る名無しに見る名無し:2009/07/23(木) 17:20:22 ID:hGmGMd0A
Free Genre BATTLE ROYALEの略だと思う
2ndについては分からない
219創る名無しに見る名無し:2009/07/23(木) 22:14:58 ID:D1tI3+bQ
予約キタワァ.*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!!☆
220創る名無しに見る名無し:2009/07/23(木) 22:57:54 ID:d/QCPeUa
>>219
にゃにーーッ!?
本当に来てるじゃないかwww

みなみんが悲惨な目に遭わないことを祈る
221創る名無しに見る名無し:2009/07/23(木) 23:33:40 ID:MskX6eDZ
>>218
Free Genre BATTLE ROYALEで多ジャンルバトルロワイアルか、納得
確かに本当にFree Genre だよな、アニメ、漫画、小説、ゲーム、実写とごちゃまぜだし

そして予約来たか
ついにこの投下で五十作目なんだなぁ

222創る名無しに見る名無し:2009/07/23(木) 23:44:36 ID:XRxMdMF4
あの面子ならさすがに大丈夫だろ
むしろみなみ以外が心配だ
223創る名無しに見る名無し:2009/07/23(木) 23:56:38 ID:MskX6eDZ
そうは言い切れないのがロワの怖い所、誤殺とかもあるし
224創る名無しに見る名無し:2009/07/24(金) 01:23:42 ID:YSR8kTyv
>>218
wikiのアドレスにはfullって書いてあるけどな
225創る名無しに見る名無し:2009/07/24(金) 01:41:26 ID:zYs1ouha
どちらにしろ、たいして変わらないな
結局2ndの意味はなんなんだろう?
226創る名無しに見る名無し:2009/07/24(金) 02:38:33 ID:ILCNZ8/B
Full Genreの方がニュアンス的には多ジャンルっぽい
2ndは分からんけど、2ってことは1もあったのかな
227創る名無しに見る名無し:2009/07/24(金) 13:00:06 ID:v41PJtil
全ジャンルバトルロワイアルということなら、今のカオスロワがあるけど
228創る名無しに見る名無し:2009/07/24(金) 19:25:21 ID:WJ3E78sg
funinki ganbare
229創る名無しに見る名無し:2009/07/25(土) 08:17:32 ID:tmW8a718
こっちより先に他ロワのみなみが大変な事になりました
230創る名無しに見る名無し:2009/07/25(土) 16:08:29 ID:h5CyvGTL
本当にロワは地獄だぜ……
231創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 22:24:07 ID:eqvOAtJF
今日は投下無しか、残念
予約期間が3日+2日って少し短く感じるんだけど、どう?
232創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 01:05:09 ID:6XKrmGY4
書き手にとってはちょっと短いよな。
純粋な読み手さんはどう思ってるんだろう?
233創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 23:46:19 ID:f+YTzBxF
俺は書き手さん優先でいいと思うけど、俺一人だけじゃ何とも言えない
234創る名無しに見る名無し:2009/07/28(火) 02:22:06 ID:zmQoU1D6
書き手側からすると少し短いかな。
時期にもよるけど。
235創る名無しに見る名無し:2009/07/28(火) 19:14:44 ID:qJZgtGQU
うーん、破棄かorz
やっぱり3日は短いんじゃないかな、長い話を書くためにはどうしても時間が必要になるし
わざわざ書き手さんに延長宣言させるのは手間だし、読み手にとっても待った後の延長は結構来るものがある
236創る名無しに見る名無し:2009/07/28(火) 22:57:58 ID:JyNacRa6
破棄かあ、残念だが次も期待してます

3日が短いとなると、予約期間を例えば5日くらいに延ばす?
それとも延長期間を延ばしたほうがいいんだろうか
意見求む。
237創る名無しに見る名無し:2009/07/28(火) 23:23:25 ID:D+Rsz1jq
延長は>>235の言うとおり、手間がかかるから
それだったら予約期間を伸ばした方がいいと思うよ
238創る名無しに見る名無し:2009/07/29(水) 00:43:26 ID:AkJ0UC8b
今までは延長して当たり前みたいな空気だったけど
これからはあくまで延長は最後の手段にして
正規の予約期間内で書き上げるようにしようってことだよね
それができるような予約期間の長さにしよう、と

7日だとちょっと長い?
やっぱり5日くらいか
239創る名無しに見る名無し:2009/07/29(水) 01:12:38 ID:QJgfP6e7
予約ktkr
新しい書き手さんが来てくれた
240創る名無しに見る名無し:2009/07/30(木) 20:07:58 ID:7V/fZNG8
禁止支給品の中にロボット系は禁止ってあるけど、ナイトメアフレーム以外になんかあったっけ?
241創る名無しに見る名無し:2009/07/30(木) 21:17:05 ID:CY289Tw3
ガン×ソードのヨロイ、ゼロ魔のゼロ戦やタイガー戦車とか
242創る名無しに見る名無し:2009/07/30(木) 22:02:49 ID:7V/fZNG8
ああ、その辺があったか
ロボットっていうとどうしても人型のイメージが強かったから分からなかった

大半の参加者が生身で戦っても勝てそうにないのが禁止、って感じでいいんだろうか
243創る名無しに見る名無し:2009/07/31(金) 00:24:35 ID:8dUfR+sC
良く考えたらドラグレッターとかマグナギガもナイトメア並に酷い支給品だよな
244創る名無しに見る名無し:2009/07/31(金) 00:45:43 ID:zocNhtqS
>>243
確かナイトメアって対戦車用兵器だかで粉砕されてたし、倒そうと思えば倒せるんじゃね?
モンスターも召喚したライダーを潰せば……そのまま生き残ってたな、うん

この一週間で龍騎一気見して、ついに最終回まで来たぜ!
245創る名無しに見る名無し:2009/07/31(金) 07:50:28 ID:bFE1qn1A
真司が最終回前に死んだ時は驚いたな
最終回に主役ライダーが出ないなんて龍騎ぐらいじゃないか?
246創る名無しに見る名無し:2009/07/31(金) 13:25:46 ID:csmD+lsN
ライダーどころか最終回前に主人公が死ぬ作品自体滅多に無いと思う
247創る名無しに見る名無し:2009/07/31(金) 21:41:46 ID:8dUfR+sC
ウルトラマン・・・は違うな
248創る名無しに見る名無し:2009/07/31(金) 21:43:51 ID:JI/1Zse+
仮面ライダーは一回は死んでる奴は案外多い気がする。
光太郎とかマジで死んだし。
249創る名無しに見る名無し:2009/08/01(土) 00:32:36 ID:6Y5zScbM
そろそろ投下かなぁ
250 ◆rrkd3x7lHA :2009/08/01(土) 01:37:44 ID:eJ3+CCvP
初めてなのに、まだ投下できそうにありません。すいません
251創る名無しに見る名無し:2009/08/01(土) 01:50:40 ID:h3n0l3sF
>>250
まだ延長できるから大丈夫だぜ、それよか三日ってやっぱり短い?
252創る名無しに見る名無し:2009/08/01(土) 14:21:09 ID:Hg1vub8t
破棄か。延長しても間に合わないということかな
253創る名無しに見る名無し:2009/08/01(土) 15:08:52 ID:6Y5zScbM
破棄かぁ……
やっぱり予約期間を延ばした方がいいんじゃないかな
254創る名無しに見る名無し:2009/08/01(土) 21:00:18 ID:qFuSSEkB
なぜこうも破棄が多いのだろうか
255創る名無しに見る名無し:2009/08/02(日) 23:18:16 ID:ey7F2qT0
>>246
亀だけどデスノート
256創る名無しに見る名無し:2009/08/03(月) 23:32:49 ID:ZBwVWDDm
wikiに入れないね、メンテ中?
257創る名無しに見る名無し:2009/08/06(木) 01:18:44 ID:L+hWobAI
予約ktkr
新人さんだけど期待したいな
258創る名無しに見る名無し:2009/08/06(木) 08:41:02 ID:dVCOztdV
幼女二人に変人二人か……何もないといいが
259創る名無しに見る名無し:2009/08/06(木) 13:59:26 ID:6l9AXjL3
最近の不穏な流れを断ち切る意味でも、多少時間掛けてもいいから無事投下して欲しいな
260創る名無しに見る名無し:2009/08/06(木) 17:52:28 ID:ZsQF3QIX
何にせよ久々に投下に期待

それまでの話題投下、今、一番の危険地帯ってどこだろう?
261創る名無しに見る名無し:2009/08/06(木) 18:26:39 ID:umP06i26
間違いなく悟史の周囲
262 ◆gry038wOvE :2009/08/06(木) 19:07:28 ID:KmH/qnKj
>>259

大丈夫です。三日以内になんとか無事投下できそうです。
投下を楽しみにしていただいてありがとうございます。
263創る名無しに見る名無し:2009/08/06(木) 19:30:15 ID:dVCOztdV
>>262
早く投下してくれるのは嬉しいけど、あんまり根を詰めないようにな

悟史の周辺だけが注目されてるけど、何げにマーダー密度が高いうえに爆発が起こった遊園地もやばい気がする
264創る名無しに見る名無し:2009/08/06(木) 23:47:22 ID:yYPDjdFH
>>262
無理せずゆっくり仕上げてくれ
楽しみにしてる

>>263
見返してみたら遊園地周辺のマーダー率の高さに笑った
爆発によってキャラが集まるのか、離れるのかで
今後の展開が大きく変わりそうだ
265創る名無しに見る名無し:2009/08/06(木) 23:51:58 ID:ZsQF3QIX
>>262
同じく、無理せずに頑張って

>>264
気になって見に行ってみたけど、地図重くて開けねぇ
266創る名無しに見る名無し:2009/08/07(金) 00:09:59 ID:jupjTxDt
と思ったら開けた

マーダー
こなた&サイト、ロロ、後藤、圭一

対主催
クーガー、斉藤、詩音、次元、三村

死体
かがみ、ルイズ

こんな感じか
後々になって人が集まることも考慮するとやべぇなww
志々雄辺りは絶対に首突っ込んできそう
267創る名無しに見る名無し:2009/08/07(金) 00:31:14 ID:9rMIpwqN
>>266
マーダーの危険っぷりより、タイ主催のあくの強さのがビビる
268 ◆gry038wOvE :2009/08/07(金) 11:07:52 ID:nxK9DCvm
仮投下スレに投下してきました。
修正点、意見、感想、疑問点などがありましたら教えて下さい。
何もなければ、そのまま本スレに投下したいと思います。
期待してくれた方々、応援してくれた方々、本当にありがとうございます。
269創る名無しに見る名無し:2009/08/07(金) 12:03:20 ID:lmWPC1GJ
投下乙です、とくに問題はないと思いますよー
270創る名無しに見る名無し:2009/08/07(金) 14:39:56 ID:jupjTxDt
位置的に沙都子&北条がミハエルと遭遇するんじゃないかと思ったけど、
ミハエルが北に向かったことにしとけば大丈夫か

それよか上田は龍騎キャラじゃないから、インペラーのカードデッキは支給品一つ分としてカウントじゃね?
前の人のミスだと思うけど
271創る名無しに見る名無し:2009/08/07(金) 15:32:26 ID:nYalW2mj
上田のペースすぎてワロタ
トリックは入れてよかった本当
272創る名無しに見る名無し:2009/08/07(金) 20:49:49 ID:rMptReXl
PS2版龍騎の東條を思い出したww
273 ◆gry038wOvE :2009/08/07(金) 21:37:30 ID:nxK9DCvm
特に問題も無さそうなので、状態表だけ修正して本投下したいと思います。
「あなたは知ってる……? 英雄になる方法」

 水族館からしばらく歩いた場所、女の子を連れて立っていた青年の突然の問いに、上田は戸惑った。青年の雰囲気はどことなく暗い。今までに見てきたインチキ霊能力者やその協力者のように、どこか陰を帯びている。
 隣に添えてる少女と比べた身長の落差が目立つ。さすがに親子には見えないが、兄妹には見えなくも無い。

「な……なんだ、君は突然。名も名乗らずに失礼な」

 その暗い雰囲気を警戒し、息を呑む上田。

「ほら……東條さん、いきなりそんなことを訊くなんて失礼ですわよ。お二人も戸惑っているじゃありませんか」

 東條と呼ばれた青年が連れている少女──沙都子は呆れた風に言う。そのお嬢さま的な喋り方には、上田も僅かに「萌え」を感じてしまう。「相手は小学生だ」と念じながら、上田は汗を食い止めた。

「で、君たちは何なんだ?」
「怪しい者じゃありませんわ。私は北条沙都子、この人は東條悟史さんですわ」
「東條悟……」
「失礼。間違えましたわ」

 思わず、兄の名前を口に出してしまって沙都子は恥ずかしそうに頬を染めた。関係ない人を兄と間違えるのはここに来てから二度目になってしまう。

「怪しい者じゃない……つまり、君たちは殺し合いに乗っているわけではないと?」
「……そうですわ」

 沙都子としては、東條が殺し合いに乗っているか乗っていないかを考えると微妙な意見しか出せないのだが、「今のところは」などと付け加えて不信を買うのは避けたい。

「だが、あまり不用意に信用することはできない。私はこれでも空手において素晴らしい腕前を持っている。仮に君たちが襲ってきたとして、私だけなら何とか撃退することができるが……」

 上田の背中の陰から、沙都子とそう変わらない年齢の少女が顔を出した。
「今は生憎、私だけじゃなく、見ての通りの小さな少女が一緒だ。この子が人質にとられたとき、優しいこの私はどうすることもできない」

 かなみの時と同じく、上田は沙都子のような少女相手にも僅かに怯えている。必死に隠そうとしているものの、声には若干の震えが感じられた。そんなときでも自分の力自慢をする辺りが上田らしい。

「……僕たちのこと、信用してくれないの?」
「何もそういってるわけじゃない。何か私を信用させることをしてもらえればそれでいい」
「……どうすれば信用してくれるのかな?」
「……そうだな……まずは武器の類を渡してもらおう。まずは、そのバッグだ」
「奪ったりしないよね?」
「大丈夫。心配なら彼女に持っていてもらおう」

 上田はかなみを指差した。

「でも……あんまり渡せないものもあるから」

 小さい声で呟く東條を見て、上田は突然、声を大きくして笑った。笑いやんだ後の顔もどこかにやけているように見える。

「いかがわしい本でも入ってるのか。安心したまえ、私が持っていてあげよう」
「そうじゃなくて……まあ、見てもわからないだろうから見せるけど」

 東條がデイパックからタイガのカードデッキを取り出す。

「君……それは……」
「これ、大事なものだから持ってていいかな?」

 上田は驚いて口を開けたまま、無言でインペラーのカードデッキを取り出す。東條がそれを見て驚愕した。──それは、自分を助けてくれた恩人・佐野満が持っていたはずのカードデッキだ。
 そして、佐野は東條の裏切りと浅倉の襲撃で手に入れることの出来なかった幸せを嘆きながら死んだ。

「なんで……あなたがそれを?」
「私のバッグの中にはこれが入ってた。君のとはデザインが違うが、これは、変身ができるという何とも非科学的な道具であったはずだが」

 やはり思い浮かぶのは現実か幻想かわからない鎧の騎士である。

「非科学的なんかじゃないよ。これは神崎士郎が作り出した科学の結晶なんだ。……その後、香川先生がオルタナティブのデッキを作ったけど」
「神崎士郎……? 聞かない名前だな……これが仮に本物だとすれば、ノーベル賞ものの発明なんだが」
「ライダーじゃないから、わからないんだね。……神崎士郎には、ノーベル賞なんかじゃない──もっと違う目的があったんだ」
「……? 違う目的? これが仮に本物だとして、なぜノーベル賞を狙わないんだ? そんな馬鹿な科学者がこの世に……」
「そうだね。神崎士郎は馬鹿かもしれない。大切な妹のために、このカードデッキを使って、ライダー同士を殺し合わせていたんだ」

 上田、沙都子、かなみの表情と背筋が凍った。殺し合い──今自分たちが置かれている状況と似ているかもしれない。東條の奇妙な落ち着き方は、慣れたからなのだろうか。
 それと、偉大な発明を殺し合いのために使ったという神崎士郎という男。そのイメージは三人の中で狂気に包まれていた。大切な人のために他者を犠牲にする──それはある意味人間的で、恐ろしかった。

「龍騎、ナイト、ゾルダ、王蛇、シザース、ライア、ガイ、インペラー、タイガ、オーディン……本当なら十三人いるみたいだけど、僕が知ってるのはこの十人。
 それから、香川教授が発明した”オルタナティブ”とオルタナティブ・ゼロ。……僕と香川教授は”英雄”になろうとした──」

 東條と面識があるのは、龍騎=城戸真司、ナイト=秋山蓮、ゾルダ=北岡秀一、王蛇=浅倉威、インペラー=佐野満、オーディンのみである。だが、シザース、ライア、ガイの死は神崎から聞いていた。
「君は英雄になれたのか……?」
「……わからない」

 東條の答え方は辛そうだった。「香川が英雄になれたのか?」と訊かれれば、迷わずに首肯することができたが、自分が英雄であったのかは謎のままだ。
「不思議……アルターでもないのに、特殊な力を得ることが出来るんだ……」

 黙っていたかなみが口を開いた。

「君はさっきもそんなことを言ってたな。……まあ、その話は後だ。今は東條君の話を聞いておこう」

 上田は研究者としての興味で東條の話を優先した。かなみもそちらを聞きたかったのか、東條の方を見た。

「で、君はその戦いの中でどうしたんだ?」
「僕は……最初は神崎の妹を殺して殺し合いを止めようとした……」
「いけませんわ! いくらそいつが悪いヤツでも、妹さんには関係ありませんもの! それに、神崎の大事な家族ですのよ! いなくなることが……どんなに辛いことか……」

 突然、沙都子が憤怒した。

「……でも、神崎の妹が死ねば殺し合いは終わるんだよ? 神崎優衣一人の犠牲で、ライダー全員が救われる。それに、ミラーモンスターに狙われている人々も救われて、人が死ななくて済むんだ。
 ……多くの犠牲を起こさないためには、少数の犠牲は厭わない……それが香川先生の考え方だった」
「そういう問題じゃありませんの! たった一人でも……神崎士郎にとっては何よりも大切な人であるかもしれませんわ! 全てを救う方が英雄的ではありませんの!?」

 かなみと上田が、その口論を黙って見守る。どちらが正しいともいえない、辛い状況だ。だからどちらに加勢することもできない。

「……でも、全員救うなんて、香川先生でも無理だったから……」
「そうやって諦めるからうまくいかないんじゃないんでして!? 殺し合いなんて止まる……そう信じれば奇跡は起こりますの!」
「──それが、本当に英雄的なのかな?」

 どこからか迫力のある声が聞こえた。沙都子は周囲を見回した。そして、東條がその声の主であることに気がついた。それは東條の物静かそうな印象を大きく逆転させるような声であった。
 ここでの返答が、東條の行動方針を決めることになるだろう。そう悟った。
 あまり殺人者の側には立ってほしくない。それは単純に、自分の命が危うくなるからだ。

「……そんなの。我々の知ったことじゃない」

 沙都子が返答する前に、上田が心臓をヒヤッとさせる返答をしてしまった。

「いいか? 一体何が英雄的なのか……そんなの決まっていない。決めているのは自分自身だ。所詮は英雄なんて自己満足だ。私にしれみばヘラクレスもアーサー王も空想上の人物でしかない。
 しかし、時として本当に英雄的な事をする者がいる。……たとえば、車に轢かれそうな親子を助けて死んだ者がいたとする。それを身を挺して庇った者を、私は英雄と呼ぼう」

 東條は口を大きく開けた。そして、心底嬉しそうに笑った。
 自分は彼の想定する英雄と同じことをしていたのだ。だから、自分はこの人間にとって英雄だ。この男なら、自分を好きになってくれる。

「じゃあ、僕は英雄なんだ……」
「……は?」
「だって、僕はそれと同じことをしたんだ。車に轢かれそうな親子を助けて、死んだ」
「……ハッ。バカなことを。死んだ人間が生き返る筈が無い。カードデッキと殺し合いについてはとりあえず認めるが、死者蘇生なんて信じられない。バカは休み休み言いたまえ」

 その呆れたような、半笑いの物言いに、東條は裏切られた。
「何かと思えば、君もインチキ霊能力者たちと同じか……私はこの目で見たことしか信じない。それとも、ただの冗談か?」
「それは……本当のはずだけど。……そうだ、城戸君に聞けば、ちゃんとした答えが返ってくるかも……」
「城戸君……か、そいつも君の仲間か?」
「違うけど……城戸君はライダーバトルを止めようとしてて、神崎優衣を殺すこともしなかったから……半分、僕の仲間かも」
「……私の客観的な考えでは、城戸君の行動の方が英雄的だ」
「……そう……思うんだ……」

 東條は寂しそうに言った。自分は香川教授の意見に合わせたのだから、自分の意見が英雄的でなかったことは、香川教授が英雄的でなかったことに直結するのだ。
 次第に怒りがこみ上げてきた東條の前に、上田が口を開く。

「……だが、東條君。君も殺し合いを止めようと自分なりに頑張っていたなら、……それは英雄的なことかもしれない」
「本当にそう思ってるの……?」
「それが君にとって、最善の手段だったんだろう? 君はベストを尽くした!! ハッハッハッ。私にしてみれば、ベストを尽くす人間こそが英雄だ」
「ベストを……尽くす」
「その通りだ。そういえばこちらの自己紹介がまだだったが……私は実は、全国で二千部ほど売れた『なぜベストを尽くさないのか』の作者で有名な日本科学技術大学の上田次郎教授だ。ハッハッハッ……」
「……一応、大学の教授なんだ……でも、香川先生とは何か雰囲気が違うかな」

 同じ大学教授にしても、香川のような冷静さが欠けている気がする。というか、上田という人物が発言するたびに東條の中で「変人」の度合いが高まっている。

「いいか? 困った時にはこう念じるんだ。『なぜベストを尽くさないのか?』……そう自分に念じ続けろ!! 道は開かれる!! 勇気がみなぎってくるはずだ!!」
「なぜ……ベストを尽くさないのか……」
「そうだ!! そして、ベストを尽くせ!! 前と同じように殺し合いを止めることにベストを尽くすんだ!! Why not the best!!」

 ムキになっている上田を、かなみと沙都子は冷ややかな目で見続けた。

「叫んでみろ!! 東條君!!」
「なぜベストを尽くさないのか!!」
「声が小さい!! 行け!! なぜベストを尽くさないのか!!!」
「……なぜベストを尽くさないのか!!!」
「もう一度だ!!」
「なぜベストを尽くさないのか!!!!」

(これで僕は英雄になれるんだ……)

 しばらく、それを冷ややかな視線で見届けた後、かなみは無視して沙都子に話しかける。年齢が近い分、他の人に話しかけるよりは話しやすい。

「ねえ、沙都子ちゃん……」
「……何ですの?」
「私の自己紹介、まだだったよね。私は由詫かなみ。よろしくね」
「いえいえ、こちらこそよろしくお願いしますわ」

 沙都子は軽く礼をした。あまり深く下げるのも変なので、本当に軽くだ。

「沙都子ちゃん、私この殺し合いの参加者の中に知り合いがいたんだけど……沙都子ちゃんにはいた?」
「え……ええ!! にーにー……お兄様と友達が」

 優雅に振舞うため、言いかけた愛称を訂正する沙都子。

「お兄さんがいるんだ……。私、カズ君と会うまでずっと独りぼっちだったから……」
「そうでしたの……。でも、私も変わりませんわ。両親が事故、お兄様は行方不明だったんですもの。だけど、寂しくなんかありませんわ。
 梨花がいる、みんながいる、お兄様もきっと帰ってくる……実は、かなみさんの声を聞いたとき、少し梨花と間違えそうになりましたわ」
「きっと……梨花っていう人がいないのが少し寂しいんだよ」
「そうかも、しれませんの……でも私がちゃんとしなければ、にーにー……お兄様は帰ってこない。こんな風に、神様がお兄様に会えるチャンスをくれたというのに、私が甘えていては……きっとお兄様には会えませんの」

 沙都子はそっとうつむいた。地面には大して植物も生えていないし、小動物も虫もいない。つまらない光景だった。

「沙都子ちゃん……」

 やはり、声だけを聞くと梨花そのものであった。喋り方の違いもあるが、声はまるで梨花に似通っている。
「私が甘えているから、にーにー……お兄様はどこかへ行ってしまった。だから、私が頑張らなくてはお兄様に会えませんの!!」
「……じゃあ、沙都子ちゃんのお兄さんを捜しましょう!! カズ君はきっと平気だから!!」
「……そんな……にーにーに会うのは、一人前になってから……」
「でも、お兄さんだってきっと沙都子ちゃんに会いたがってるよ」
「そんなはず……だって、私のせいでにーにー……お兄様は……」
「にーにー、でいいと思うよ」
「にーにーは……私のせいで、おばさんに酷い虐待を受けましたの! 全部……私のせい……私がにーにーに甘えてばっかりだったから、にーにーは私を庇って……もっと酷い目に……」

 兄を語る沙都子の目は泣いていた。思い出すだけで悲しくなっていく。
 会いたい……けど、会いたくない。こんな自分を、兄は冷ややかな目で見るんじゃないだろうかという恐怖がある。

「にーにーはきっと……私を庇いきれなくなって……」
「沙都子ちゃん……お兄さんはきっと、沙都子ちゃんの笑顔が見たかったんじゃないのかな? だから、自分が犠牲になって沙都子ちゃんの笑顔を守ろうとした……」
「でも……それなら、どうしてにーにーはどこかへ行ってしまったんですの?」
「わからない……。けど、お兄さんにもきっと事情があったんだよ。沙都子ちゃんのせいじゃないと思うな……きっとお兄さんは今も思ってるよ。『沙都子ちゃんの笑顔がある世界に帰りたい』って……。だから、お兄さんに笑顔を見せに行こう」

 かなみはどこかで、悟史の心を感じていたのかもしれない。なぜか、その言葉は確信に満ちていた。少なくとも、諭すための嘘、という感じではなかった。

「なぜベストを尽くさないのか!!!!!!!!」

 しかし、会話は中断され、かなみと沙都子は、すぐに上田と東條を止めにかかった。

【一日目黎明/G−5 森】
【北条沙都子@ひぐらしのなく頃に(ゲーム)】
[装備]無し
[支給品]支給品一式、ランダム支給品(確認済み)(1〜3)
[状態]健康
[思考・行動]
1:東條、かなみ、上田と共に行動し、悟史を捜す。
2:仲間達と一緒にこのゲームを脱出する
※龍騎のライダーバトルについてだいたい知りました。

【東條悟@仮面ライダー龍騎(実写)】
[装備]無し
[支給品]支給品一式、タイガのデッキ@仮面ライダー龍騎、ランダム支給品(確認済み)(0〜1)
[状態]健康
[思考・行動]
1:沙都子、上田、かなみと共に行動し、殺し合いを止めることにベストを尽くして英雄になる。
2:城戸が英雄か……。
※TV本編死亡後よりの参戦です
※まだかなみの名前を聞いてません。
【上田次郎@TRICK(実写)】
[装備]インペラーのライダーデッキ
[支給品]支給品一式、富竹のポラロイド
[状態]額部に軽い裂傷(処置済み)
[思考・行動]
1:ベストを尽くす
2:かなみと共にカズマの捜索
3:山田は…まぁ、どうでもいい
4:「ベストを尽くすこと」について東條に教える。
※ 龍騎のライダーバトルについてだいたい知りました。カードデッキが殺し合いの道具であったことについても知りましたが、構造などに興味はあるかもしれません。
※ 東條が一度死んだことを信用してません。

【由詫かなみ@スクライド(アニメ)】
[装備]無し
[支給品]支給品一式、ランダムアイテム(1〜3確認済み)
[状態]健康
[思考・行動]
1:沙都子、上田、東條と共に沙都子の兄の捜索
2:カズマの捜索
3:アルターが弱まっている事、知らない人物がいる事に疑問
※彼女のアルター能力(ハート・トゥ・ハーツ)は制限されており
相手が強く思っている事しか読む事が出来ず、大まかにしか把握できません。
又、相手に自分の思考を伝える事もできません
※本編終了後のため、自分のアルター能力を理解しています。
280 ◆gry038wOvE :2009/08/07(金) 21:46:03 ID:nxK9DCvm
以上です。
281創る名無しに見る名無し:2009/08/07(金) 22:12:01 ID:244q+11Z
乙!

上田と東條何やってんだww
これはサトコとかなみが苦労しそうだ
282創る名無しに見る名無し:2009/08/07(金) 22:46:07 ID:mu52XTQs
投下乙です
ダメだこの男たち、早くなんとかしないとw
それに比べて子供二人はしっかりしてるな
283創る名無しに見る名無し:2009/08/07(金) 23:37:29 ID:jupjTxDt
投下乙!
誰か何とかしろよこいつらwww
空手において素晴らしい腕前とか優しい私とか、発言がいちいち暑苦しいwww
幼女二人もさり気なく中の人ネタやってくれるし面白かった

でも状態表の上田の荷物が修正されてないと思うけど……
284 ◆3W1a2LmCis :2009/08/08(土) 08:48:10 ID:8hmMvNLH
Wikiの「I`ll be Back」を編集しました。
編集といっても誤字の修正と、段落ごとの区切りを整えただけですので、
内容の変更点は全くありません。
必要ないかとも思いましたが、一応ご報告まで。
285 ◆gry038wOvE :2009/08/08(土) 15:12:37 ID:it0VwNVN
すみません!状態表の修正を忘れていました!

【上田次郎@TRICK(実写)】
[装備]無し
[支給品]支給品一式、富竹のポラロイド@ひぐらしのなく頃に、インペラーのカードデッキ@仮面ライダー龍騎
[状態]額部に軽い裂傷(処置済み)
[思考・行動]
1:ベストを尽くす
2:かなみと共にカズマの捜索
3:山田は…まぁ、どうでもいい
4:「ベストを尽くすこと」について東條に教える。
※ 龍騎のライダーバトルについてだいたい知りました。カードデッキが殺し合いの道具であったことについても知りましたが、構造などに興味はあるかもしれません。
※ 東條が一度死んだことを信用してません。


これでお願いします。
286創る名無しに見る名無し:2009/08/08(土) 19:17:07 ID:g0fr3akq
この東條はまずいかもなぁ、やっぱり自分で自分のこと英雄って言っちゃったら英雄にはなれない気がする
しかもシャドームーンがすぐ近くにいるうえで、四人の対主催グループ……危険すぎる
287創る名無しに見る名無し:2009/08/09(日) 14:23:28 ID:dzeisvPm
したらば管理人さん、広告消していただけないでしょうか
なんかすごいことになってます…
288創る名無しに見る名無し:2009/08/09(日) 14:49:40 ID:fYl4RTqH
なんでここだけこんなに広告が来るんだろうね
289創る名無しに見る名無し:2009/08/09(日) 14:51:16 ID:nza+G5uN
もう逃亡してるだろ
290創る名無しに見る名無し:2009/08/09(日) 15:31:31 ID:fYl4RTqH
前に広告スレが立てられた時にはちゃんと削除されてたから、まだいると思うよ
291創る名無しに見る名無し:2009/08/11(火) 03:03:44 ID:tk2Gz5uU
今見たらまとめて全部消えてたぞ
292創る名無しに見る名無し:2009/08/11(火) 04:17:26 ID:8UXngO2d
広告全部削除されてるし、IDも変わるようになってる

ベストを尽くしてくれた管理人さんに激感謝
293創る名無しに見る名無し:2009/08/11(火) 20:04:17 ID:5KW8a6rf
管理人さんにGJと言わざるを得ない
294創る名無しに見る名無し:2009/08/13(木) 15:39:27 ID:nv8mscXE
ふと気付いたけど、ここはツンデレキャラで有名なキャラが勢揃いしてるんだなwww
295創る名無しに見る名無し:2009/08/13(木) 23:16:57 ID:JqLw9SwC
かがみ、ルイズ、シャナ、ローゼンと揃ってるな
296創る名無しに見る名無し:2009/08/13(木) 23:30:17 ID:Eds8Y1Wr
でもロワではツンデレキャラは大抵悲惨な目にあうって聞いたことあるような……
297創る名無しに見る名無し:2009/08/13(木) 23:46:47 ID:dWJyLsbZ
ツンデレのジンクスか
実際、かがみとルイズは悲惨な最期だったから当てはまるね
298創る名無しに見る名無し:2009/08/13(木) 23:57:03 ID:Eds8Y1Wr
>>297
かがみはともかく、ルイズはそこまで悲惨じゃなかったような
ルイズが悲惨なのはデレ先のその後

ここまで書いて、かがみの死がルイズの死に連鎖してることに気付いた
299創る名無しに見る名無し:2009/08/14(金) 00:19:45 ID:WtUNch5m
ルイズ→サイト→(こなた)→かがみ→……
300創る名無しに見る名無し:2009/08/14(金) 02:28:04 ID:Ac1s75rG
仮面ライダーディケイドメンバーも参加したいようです
門矢士「やれやれ・・この戦い俺も混ぜてもらうぜ」
海東大樹「この戦い、僕が生き残ってお宝を頂くよ」
小野寺ユウスケ「俺も参加させてもらうかな!士!」
301創る名無しに見る名無し:2009/08/14(金) 03:15:29 ID:3IWIP+MY
てつをに任せて君たちは帰りなさいw
302創る名無しに見る名無し:2009/08/14(金) 06:18:42 ID:3IWIP+MY
予約ktkr
縁が逆刃刀と奈緒子にどんな反応するか見物だな
303創る名無しに見る名無し:2009/08/14(金) 13:57:38 ID:9VHrjq11
士「ここが多ジャンルロワの世界か……ここでの俺の役割は参加者だ」
海東「支給品は僕がいただくよ!」
夏海「これは……予知夢の……このままじゃ士くんが破壊者に!」

こいつら、何気に途中から参加できるかもな。
304創る名無しに見る名無し:2009/08/15(土) 07:00:02 ID:nBhCdr3t
参加するならこっちじゃなくてライダーロワだろw
305創る名無しに見る名無し:2009/08/15(土) 22:22:03 ID:iKLKPxx7
ふと気付いたんだけど、ガイかライアのデッキを支給した場合、王蛇がメタルゲラスとエビルダイバーを吸収してるから同じ契約モンスターが二匹いることになるよね
これってどうなるの?
306創る名無しに見る名無し:2009/08/16(日) 01:30:57 ID:0MJraTQT
出すとしたら、ブランク体にしか変身出来ない状態だろうな
ライダー同士だと相手にならないけど、一般人相手なら十分だと思う
307創る名無しに見る名無し:2009/08/16(日) 02:04:29 ID:8NpUg9OX
それだったら出してもそんな面白くないな
ライダーデッキは他にもあるし多すぎてもあれだから、この二つは自粛した方がいいと思う
308 ◆ew5bR2RQj. :2009/08/17(月) 19:32:35 ID:UVgaYISO
遅くなってすいません。
ジェレミア・ゴットバルト、山田奈緒子、雪代縁を投下します。
309LOST COLORS ◆ew5bR2RQj. :2009/08/17(月) 19:33:50 ID:UVgaYISO
舗装された公道を進む一台の小型車、中には合計二人の人間が座っている。
運転席には顔の半分を橙色の仮面で覆った男、ジェレミア・ゴッドバルト。
そして後部座席には黒く長い髪の日本人女性、山田奈緒子。
二人の間に会話は一切無く、車内は緊迫した空気に包まれている。
だが最初から会話が無かったわけではない、ある事が原因で途切れただけなのだ。
その、ある事とは――――

(なんだよ、なんなんだよ、あの爆発!)

薄暗かった空を真昼のように照らし、落雷に匹敵する轟音を発生させたあの爆発だ。
進行方向の関係上、二人は爆発する瞬間から火が消えるまで、
そして今のなお、黒煙が立ち込める遊園地を見続けさせられていた。
ジェレミアは戦争経験者であり、程度の差はあれ爆発など見慣れている。
しかし奈緒子は何度も怪奇事件を解決していると言え、所詮は一般人。
殺し合いを強制されるという異常事態において目撃したそれは、完全に彼女を錯乱させていた。

「奈緒子」

運転席からジェレミアが奈緒子に声をかけるが、彼女は反応しない。

「奈緒子?」

息を乱しながら目を見開く奈緒子、その身体は身震いしている。

「奈緒子、聞こえているか?」
「ニャッ!」

三度目にして奈緒子は、ようやくジェレミアの声に反応する。

「……………………」
「す、すいません、それでなんですか?」
「いや、貴女の隣に私のデイパックがあるだろう、中に日本刀が入っている、それを貴女に差し上げようと思ってな」
「え、でもいいんですか? せっかくの武器なのに……」
「構わん、どうせ私には必要の無い物だ」

運転の最中のため、後部席からジェレミアの表情を伺うことは出来ない。
それでも彼が、爆発に怯える自分をある程度心配してくれていることが分かる。
ならばせっかくの心遣いを無碍に扱うのは、失礼に当たるだろう。
それに加え、極度の貧乏性である彼女には断る理由など思いつかず、
飛びつくような勢いで、隣に置いてあるジェレミアのデイパックを漁り出した。

(相変わらず意味分からない構造だなこれ……えーと、これか?)

車を出したときと同じように、デイパックの構造に疑問を抱きつつ、
デイパックの中から硬い感触を感じて、無造作に引っ張り出す。
しかし出てきたものは、質素な色をした球体であった。

(違ったみたいだな、これは戻して……と、今度こそ!)

デイパックの中で掴んだ物は細長くて硬い物体、これは間違いなく日本刀だ。

「うりゃぁ!」

そう判断した彼女は掴んだ物体を、勢いよく吊り上げた。
310LOST COLORS ◆ew5bR2RQj. :2009/08/17(月) 19:35:01 ID:UVgaYISO
「……………………」

奈緒子は自分の手に握られている物体を見て、思わず顔を歪める。
口はだらしなく開きっぱなしで、その目はこの世の絶望を目の当たりにしたようだ。
確かに彼女の引き上げた物体は、ジェレミアの言う日本刀、逆刃刀・真打である。
素人目に見ても相当の業物と分かる一品、刀としては最高傑作に部類されるものだろう。
問題はその逆刃刀の先端に引っ掛かった、紺色の布キレ。
それは引っ張ると伸びる素材で出来ていて、中心には白い長方形の布が縫い付けられている。
そこには黒いマジックペンで、こう記されていた。

6−3、泉

(うわぁ……)

そう、逆刃刀に引っ掛かっていたジェレミアの最後の支給品は、
泉という苗字の女児が所持する、紛うことなきスクール水着だったのだ。
考えてもみてほしい、同じ車に乗っていた男性の鞄から小学生のスクール水着が姿を見せたのだ。
異常時ではなかろうと、世間一般の女性はドン引きするだろう。
しかし、それはジェレミアが持ち出した物ではない。
奈緒子のエロ本と同じように、主催者であるV.V.が勝手に支給しただけなのだ。
それを彼女は理解していた、深層意識の奥の奥の奥くらいで。

(忘れよう、私はこんなものは見なかった、うん、見なかったんだ)

彼女が普段絶対に浮かべることのない穏やかな笑みを浮かべて、手に握られた何かをデイパックに戻す。
そして逆刃刀を座席に立てかけ、そのまま全てを記憶の奥底に封印した。

「……どうかしたのか?」
「イイエ、ナンデモアリマセンヨ、ジェレミアサン」
「……そうか」

声の調子に明らかな違和感を感じたものの、運転中のため詳しくは確認することが出来ない。
だから背後で起きた惨劇に気付くことなく、彼はこの事を忘れてしまった。

「……ん?」

と、その時、進行方向がヘッドライトに照らされ、暗闇から一人の人間が姿を現す。
その人物は道の中心でこちらを見据えるように直立していることから、待ち伏せをしていたことが分かった。

「なんだあれは……」

その人物に訝しげな視線を送ったジェレミアは、苛立ちを露わにし警笛を鳴らす。
しかしその人物はそこを動かずに、その場で立ち続けていた。

「自殺志願者か? このままだと引いてしまうぞ……」

殺し合いと言う状況下では、自殺という選択肢も考えられないわけじゃない。
だが奈緒子には、目前の人物がそのような愚かな選択はしないと何故か確信できていた。

車は走り続け、立ちはだかる人物との距離が二十メートルまで迫ってくる。
距離が縮まったことにより、その人物の容姿がおぼろげではあるが映し出された。
その人物は若い男で、髪は白く染まっている。
サングラスのせいで顔は見えないが、背丈や顔の骨格などから端麗な顔立ちであることが伺えた。
311LOST COLORS ◆ew5bR2RQj. :2009/08/17(月) 19:35:58 ID:UVgaYISO
「まだどかぬか、鬱陶しい奴め」

さらに車は進み距離が十メートルまで縮まったことで、男の容姿がより鮮明に浮かび上がる。
車の中から、男と目を合わせられるくらいに。

「……………………ッ!!」

サングラスの奥底に潜む瞳に、奈緒子の視線が吸い寄せられたその瞬間。
男は奈緒子の顔を見返して、笑みを浮かべたのだ。
仇敵との再会を果たしたような愉悦に歪んだ、酷く薄い笑みを。

(やばい! あいつは絶対にやばい!)

すぐに顔を逸らし男を視界に入れないようにしたにも関わらず、全身に広がる悪寒は止まらない。
網膜に焼き付けられた男の笑いが、奈緒子の脳内にこびり付いて離れなかった。

「なにっ!?」

ジェレミアの上げた素っ頓狂な声を聞き、現実に引き戻される奈緒子。
そうして車のフロントガラスから正面を見た時、想像を絶する物を目撃してしまった。

男が右手に刀を構え、空中から飛び掛ってきたのを。

「くっ!」

男の目的は自殺でも何でもなく、車内という狭い空間にいる自分達を襲撃すること。
それに気付いたジェレミアは、苦虫を噛み締めたような表情でハンドルを回し始める。
すると車は振動しながら左に曲がり、そのまま爆進していった。

「うわっ、ジェ、ジェレミアさん!」
「なにかに捕まっていろ!」

暴走する車を止めるため、今度はブレーキを踏みつけるジェレミア。
座席に捕まっていたにも関わらず、奈緒子の身体は揺さぶられる。
数秒間をそれは続き、耳障りな音を残しながら車はようやく停止した。。

「ふぅ……」

とりあえず危機を脱したことに、ほっと胸を撫で下ろす奈緒子。
彼女から見て数メートル隣、数秒前まで車がいた地点には、
白髪の男が剣先を地面に突き刺しながら、無表情で佇んでいる。
あのまま攻撃をされていたら、ただでは済まなかっただろう。
彼女は知る由もないが、ジェレミアは車よりも高度な技術を必要とする兵器を頻繁に搭乗している。
だから今の状況下でも冷静に車を運転して、危険を逃れることが出来たのだ。

「危なかったですね、ジェレミアさ……って、おーい!」

安堵からか恐怖心からかは分からぬが、前に座るジェレミアに声を掛けようとする奈緒子。
しかしジェレミアは返事をする前に、乱暴にドアを開けながら車外へと飛び出していた。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
312LOST COLORS ◆ew5bR2RQj. :2009/08/17(月) 19:37:29 ID:UVgaYISO

車から飛び出したジェレミアは、男の前方に着地する。
その視線の先にいるのは、つい先刻に彼の乗る車を襲撃した白髪の男――――雪代縁。

「俺が用があるのは女だけだ、消えろ」

そう吐き捨てる縁、それを聞いたジェレミアは顔を歪める。

「か弱き女性に手を上げるか、男として恥ずべき行為だとは思わないのか?」
「姉さんがそう言うんだ、俺は姉さんがいてくれればそれでいい」

言動が支離滅裂、この男との会話は不可能。
女性以外は殺す気は無いらしいが、いつその発言を撤回するか分からない。
この様な危険な男を生かしておけば、いずれルルーシュにまで危害が及ぶ。
そう判断したジェレミアは、縁をここで粛清することにした。

「覚悟!」

右腕に仕込まれた剣を突き出すと同時に、ジェレミアは跳躍して縁との間合いを詰める。
縁の頭上に迫る黄金の剣、狙いは上空からの唐竹切り。

「無駄ダ」
「くっ……」

縁は興味なさげにそれを一瞥すると、刀を振り上げそれを裁く。
そして間髪を入れずに、右上から左下への袈裟切りへと転じた。
ジェレミアは咄嗟の判断で後退し、攻撃を回避。
そのまま彼は腕を支柱に数度回転し、さらに後退する。
これによりジェレミアと縁の間に距離が開き、両者が互いの間合いから外れた。

(あの男が持っている刀……あれは真剣ではなく木刀)

真剣による一撃を木刀で防ぎ、攻撃に転じた際には重い一撃を加える。
寸前で回避したため、繰り出された技の真の威力は分からない。
されどもその一撃は、ジェレミアの心に確かな一撃を与えた。

(ただの暴漢かと思っていたが、どうやらその認識を改めねばなるまい)

左腕に付着した埃を払い、間合いの外で待機する縁に目をやる。
その狂気を孕んだ瞳に、ジェレミアの瞳が交差する。
仮面に覆われたそれに宿るは、君主に対する揺るがない忠義。
だからこそ、絶対に敗北を認めるわけにはいかない。
ジェレミアは収納した剣を再び突き出し、疾風の如く荒地を駆けた。
313LOST COLORS ◆ew5bR2RQj. :2009/08/17(月) 19:38:10 ID:UVgaYISO

「ふんッ!」
「哈亜亜亜亜亜!」

鉄の刀と木の刀が交差し、鋭い音が響き渡る。
それは一度や二度ではなく、悠に五十は越えているだろう。
木刀から繰り出される右薙ぎが、ジェレミアの脇腹に直撃する。
一般人であれば致命になりかねない一撃、しかしジェレミアには通じない。
彼の左半身は機械で構成されており、人体の急所である脇腹も完全に鉄に覆われている。
故にその一撃は決定打にならず、剣戟は続行される。
いや、続行されるのは剣戟ではない、死闘だ。

「チィッ!」

剣と剣の間を縫って、縁の拳が迫る。
剣にばかり集中していると、唐突にそれは訪れるのだ。
生身の右半身を狙っているため、防御せざるを得ない。
左腕で縁の拳を防いだジェレミアは、すぐさま前の空間に一閃をくわえる。
しかし縁は紙一重でそれを回避し、回し蹴りを繰り出してきた。

「グアァッ!」

右半身に鈍い痛みが走り、浮遊感が体を支配する。
そのまま慣性に従い、数メートルほど先にある岩に叩きつけられた。

「お前の体……左半身が金属なのカ?
 だが、右半身は生体部分が剥きだしのようだな」

嗜虐的な笑みを浮かべる縁、それは衰弱した獲物を見つめる時のようだ。
ジェレミアには改造された身体に加え、武器の性能に歴然とした差がある。
にも関わらず、その差をまるで感じさせない戦闘技術。
縁の方が戦闘技術で勝るのが、脇腹の鈍痛と共に理解できた。

「それでも!」

負けるわけにはいかないと、自身を奮い立たせる。
土で汚れたマントを翻し、縁に肉薄するジェレミア。
縁も対抗するかのように、木刀を構えて――――

「ならば、右半身だけを狙えばいい!」

曲線を描くような動きで、ジェレミアの右半身に回り込む。
そのまま木刀が、脇腹を抉るかの勢いで猛る。
が、ジェレミアは素早く右腕で振るい、木刀を弾く。

「読んでいたさ」
「ならばこれはどうだ」

残虐な笑みを絶やさない縁の二撃目は、鍛え上げられた左腕による殴打。
狙いはやはり、改造されていない右半身だ。
ジェレミアは体勢こそ縁に向いているものの、無理な姿勢で強引に動かした右腕は使えない。
だからか彼が迎撃に選んだ手法は、縁と同じく左腕による正拳突きであった。

縁は思う、俺を馬鹿にしているのか、と。
超近距離から同じ手段で攻撃すれば、当然初動が速かった方が勝つ。
腕の長さに若干の差異はあれど、この場では致命的な差にならない。
ならば、何故。
その答えを、縁は数秒後に知ることになる。
314LOST COLORS ◆ew5bR2RQj. :2009/08/17(月) 19:38:51 ID:UVgaYISO

「ぐっ……!」
「だから言ったであろう、読んでいたと」

左腕を伸ばしたまま、ジェレミアはほくそ笑む。
その視線の先には、左肩に黄金の剣が刺さった縁の姿があった。

「貴様……左腕からも剣を出せたのカ」
「誰も言っていないだろう、左腕からは剣を出せないなどと」

数センチ程度の差であったならば、あの場では問題ない。
だがそこに刃渡り数十センチの刀剣が加われば、話は変わってくる
突如左腕から出現したそれは、縁が握っていた初動の差を軽々と上回り、
そのまま勝敗すらも、覆してしまったのだ。

「本来なら騙まし討ちなど、騎士道に反するのだがな」

朱に染まった剣を引き抜くと、縁の傷口から鮮血が溢れてくる。
その傷は致命傷とは呼べないが、暫くは左腕を動かせないであろう。
この局面で拳による奇襲を封じられたのは、相当のアドバンテージだ。

「よき体術であった、されどこのジェレミア・ゴットバルトには…………」
「なにをごちゃごちゃ言っている」

サングラスの位置を直し、ジェレミアを見据える縁。
その顔には苦痛に染まるどころか、先ほどと変わらず笑みを浮かべていた。

(この男……)

痛みを全く感じていないのか、ジェレミアはそんな疑問を抱いてしまう。
実際に縁は「精神が肉体を凌駕した状態」にあり、痛覚が麻痺している。
故に傷は負っても、痛みは感じない体質なのだが。

(いや、効いていないはずがない。このまま一気に畳み掛ける!)

姿を現した両剣を交差し、ジェレミアは縁の睨みつける。
その刹那、再び両者は地を駆けた。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


ジェレミアが鉄の剣を振るうと、剣光が残る。
その先には縁がいて、直前で光は消滅する。
すぐさま二本目の光が伸びるが、また同じように途絶えてしまう。
こんなやり取りが、奈緒子の視界で何度も行われていた。

(はは……あの人、本当に戦国時代の人だったんだ)

車窓越しのうえ、この状況に未だ現実感が伴っていかかったからか
奈緒子の脳内には、ずっと前に見た時代劇の映画がフラッシュバックしている。
しかし窓の外で行われているやり取りは、映画ではない。
溢れる光、流れる音、立ち込める空気。
それらは虚構の世界のものではなく、全てが現実に存在するものだ。
315LOST COLORS ◆ew5bR2RQj. :2009/08/17(月) 19:39:56 ID:UVgaYISO

(……………………)

勝負は終わる気配を見せず、平行線を辿っている。
これが映画であれば、飽き始める観客も現れる頃だろう。
しかし奈緒子は飽きもせず、呆然としたままそれを眺め続ける。
そんなことをしていた時に、ふと自らの放った言葉を思い出した。

――――私ももしもの場合はジェレミアさんを囮にして逃げたりしますから

この言葉は、今の状況にしっかりと当てはまっているのではないだろうか。
戦っているジェレミアを囮にして、自分は逃走する。
この場に居てはいつか巻き込まれるかもしれないし、そもそも彼が勝つ保証もない

「よし、逃げよう」

戦場とは逆方向の窓を見て、彼女はそう宣言する。
そうした途端、奈緒子の頭は恐ろしいほどに冴え始めた。
座席から落下したデイパックを背負い、同じように横たわった逆刃刀を握り締める。
逃走の際にデイパックは邪魔になるが、今後も生き残るには必須になるだろう。
それをわざわざ置いていく道理は無い。
自分に支給された車を置き去りにするのは、少々後ろ髪を引かれる気分になるが、
彼女は運転免許証を持っていないし、また会ったら乗せてもらえばいい。
この状況下でなによりも優先すべき対象は、やはり自らの命であろう。

「ジェレミアさん、さようなら、お元気で」

窓の向こうで戦い続けるジェレミアに別れの挨拶を告げ、ドアに手を掛ける。
そして音が鳴らないようにゆっくりと開け、地面に着地した――――その時。

木の枝が折れたかのような、乾いた音が奈緒子の耳に届いた。

「え?」

無音の空間にて反響する、間抜けな声。
音源はどこだ、奈緒子の頭はすぐさまその疑問を浮かべる。
すぐに答えは出る、だがそれを認めたくない。
そう思いつつも、彼女の視線は自らの足元に向いていた。

――――そこにあるのは、自らの足に踏み潰された細い枯れ枝。
316LOST COLORS ◆ew5bR2RQj. :2009/08/17(月) 19:41:44 ID:UVgaYISO

「逃げるな!」

ドスの利いた重苦しい声が、奈緒子の鼓膜を穿つ。
そして次の瞬間、ジェレミアが吹き飛ばされていた。
何の前振りもなく、唐突にだ。

なにが起きた、そんな疑問を抱く前に奈緒子は逃げ出す。
縁が鬼気迫る顔で、彼女の元に駆けて来たのだ。
運動能力は明らかに劣っているが、男とは十メートル近くの距離が開いている。
さらに乗ってきた車が障害物として、縁の前に立ちはだかっていた。
だから、逃げ切れる。
ここで逃げ切れなければ、死ぬ。
彼女に備わった本能が、そう告げているのだ。

「やばい……やばい!」

心臓の鼓動が一気に速くなり、息苦しさが体を支配する。
既に時間の感覚は無く、どのくらい走ったのかすら分からない。
縁から逃げ切れたか、それだけが気になって仕方が無かった。
だから彼女は、顔を上げて周囲を確認する。

(あれ……なにも変わってない……?)

正確に言えば、逃げようと宣言した時よりも少し景色が近くなっている。
それだけだった。

「墳!」

背後で聞こえる声、誰の声かは考えるまでも無い。
奈緒子は反射的に振り向く。そこにあるのは車を軽々と飛び越す縁の姿。
握り締めた刀を天空に掲げ、彼女を斬らんと飛翔している。

(もう戦うしかない!)

彼女は唯一の武器である逆刃刀を構え、迎撃の体勢をとる。
勝てる、勝てないではない。生き残らなければならないのだ。

「うわあああああぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

奈緒子は目を瞑り、滅茶苦茶に刀を振り回す。
その太刀筋は素人未満、刀を握ったことのない一般人が繰り出すそれだった。

「きゃっ!」

そんなものが縁に通じるはずもなく、逆刃刀はデイパックごと弾き飛ばされる。
奈緒子はそのまま体勢を崩し、地面に倒れこんでしまった。
317 ◆ew5bR2RQj. :2009/08/17(月) 19:48:58 ID:p1mnz1bl
猿さん食らっちゃったので、残りのは向こうに投下します。
いい忘れたのですが最近規制が解除されたので、以降は普通に投下できます、多分。
318LOST COLORS ◆ew5bR2RQj. :2009/08/17(月) 23:38:32 ID:UVgaYISO
「………………」

地に伏す奈緒子を見下す縁、瞳はあまりにも冷たい。
顔からは薄ら笑いが消えており、無表情のまま彼女は凝視されていた。

「あんたに怨みはないが、人誅のためだ」

縁は大きく刀を振り翳し、月が割れる。
ここで奈緒子は、ようやく縁の得物が木刀である事に気付いた。
だが結果は変わらない、死はもう彼女のすぐそこまで訪れている。
嫌だ、そう思っても彼女に抵抗する手段は残されていない。
残された道は、死以外に無かった。

「ここで死ね」

木刀が振り落とされる。
一瞬であるはずのそれが、彼女の目には一秒ごとはっきり認識できるように映る。
一秒後に皮膚を裂き、二秒後には骨を砕く。
そして三秒後には内臓を貫き、四秒後には死ぬ。
木刀であろうと、縁――――目の前の男なら可能であろう。
烈風が彼女の身体を駆け抜け、木刀が身体を通る――――その寸前。

木刀が柄と刀身のところで、真っ二つに裂けたのだ。

「ぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

奈緒子は思わず顔を上げる、そこにあるのは白と紫のツートンカラーのコート。
気品を感じさせる緑の髪に、煌々たる輝きを放つ黄金の剣。
見間違えるはずも無い、ジェレミア・ゴットバルトだ。

「とぅッ!」

ジェレミアは間髪入れず、縁の頬に拳を叩き込む。
縁は何故か防がず、勢いよく殴り飛ばされていった。

「ジェレミアさん!」
「掴まれ!」

腰が抜けて座り込んだ奈緒子は、ジェレミアに強引に抱え込まれる。
そのまま一度の跳躍で車まで辿り着き、乱暴にドアを開けると彼女は助手席に押し込まれた。

「ちょ……痛いなぁ!」
「我慢しろ!」

不満を述べる奈緒子を一喝し、ジェレミアも運転席に飛び乗る。
その後エンジンキーを回すと同時にアクセルを踏み、車は全速力でこの場から離脱した。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
319LOST COLORS ◆ew5bR2RQj. :2009/08/17(月) 23:39:22 ID:UVgaYISO

奈緒子が殺されかけてから数分が経過する。
ここまで来れば追ってこれないだろう、ジェレミアはそう判断して車の速度を落とした。

「ふぅ……なんとか生き残れたようですね」
「……そうだな」

心の底から安心したような声を出す奈緒子とは対照的に、ジェレミアの声は重苦しい。
逃げ切れたにも関わらず表情は暗く、不機嫌という単語を具現化したよう。
それもそのはず、彼の本来の目的は逃亡ではない。
雪代縁を、粛清することなのだ。
では彼は何故、逃亡を選択することになったのだろう。
それは奈緒子がとんずらしようとして失敗し、縁がそれに感づいた瞬間にある。
その頃の彼は縁との間にはおよそ五メートルの空間があり、お互いに接近できない状態。
戦況は完全に均衡を辿っており、永久に続くかと思われる鍔迫り合いが繰り広げられていた。

その最中に、木の枝を踏み潰した音が響き渡る。

一瞬だけそれに気を取られてしまったが、彼は警戒を緩めたつもりは無かった。
しかし、彼は攻撃を受けた。
五メートルの距離が開いていたにも関わらずだ。
咄嗟に右腕で生身の部分を庇ったが、縁が攻撃してきたは装甲に包まれた左腕。
通常であれば痛覚すら感じない箇所、しかし未だに痛みが彼の全身を苛んでいる。
衝撃が左腕を突きぬけ、全身を貫いたのだ。
しかも、それだけではない。

「……………………」

ハンドルを握る左腕を見て、彼は苦虫を噛み潰したように顔を歪める。
そこには根本から真っ二つに折れた、かつての仕込み剣があった。
両剣のうち一つが折られれば、戦力の減少は著しい。
その状態であの身体能力を相手にしていたら、おそらく敗北していた。
そう確信していたからこそ、彼はあの場で逃走を選択したのだ。

(ギアスは私には通じない……ならばギアス以外の特殊能力?)

同等だったはず実力の持ち主が、目で捉えられない速度で鋼鉄の剣を叩き割る力を発揮したのだ。
ギアス能力なら考えられないことも無いが、全てのギアス能力を無効化するギアスキャンセラーを彼は所有している。
ならば別の特殊能力か、ジェレミアは聞いた事ないが考えられなくも無い。

(やはりあれがあの男の力の正体)

懐に潜り込まれた際、一瞬だけ目に捉えた縁の姿を思い出す。
鍛え上げられた肉体、それに浮かび上がる禍々しい管。
あれが男の力の正体なのだろう、ジェレミアはそう確信した。
320創る名無しに見る名無し:2009/08/17(月) 23:40:24 ID:Rnb3YVHU
すまない、たった今代理しようと思ってたところなのに……
321LOST COLORS ◆ew5bR2RQj. :2009/08/17(月) 23:40:24 ID:UVgaYISO
「あの男、また追ってきませんよね?」
「おそらく大丈夫だろう、仮に追ってこようと車には追いつけまい」

縁を粛清することは叶わず、自身も甚大な被害を負う形となった。
これは貴族としてあるまじき醜態だ、軍に勤めていたら確実に降格処分が下るだろう。
しかし今のジェレミアが仕えているのは軍ではなく、ルルーシュだ。

「ルルーシュ様……」

かつての彼であれば実力の差を見誤り、意地でも縁の首を狩ろうとしただろう。
だが今は違う、彼には生き残って遂行しなければならない任務があるのだ。
それこそがルルーシュ・ヴィ・ブリタニアを探し出し、護衛すること。
ルルーシュに危害が及ばぬよう危険分子を粛清することも重要だが、あくまでそれは二の次。
とにかくルルーシュを見つけ出し、あらゆる危険から彼を護ること。
それがジェレミア・ゴットバルトの忠義の形であり、
もう二度と自らの管轄内で王族が死ぬことなど、あってはならないのだ。

(待っていてください、ルルーシュ様)

今一度自らの忠義を胸に抱きしめ、ジェレミアはアクセルを踏み締めた。


【一日目黎明/H−4 エリア最西端】

【ジェレミア・ゴットバルト@コードギアス 反逆のルルーシュ】
[装備]ミニクーパー@ルパン三世
[所持品]支給品一式、咲世子の煙球×3@コードギアス 反逆のルルーシュ、こなたのスク水@らき☆すた
[状態]右半身に中ダメージ、疲労(中)、左腕の剣が折られたため使用不能
[思考・行動]
1:ルルーシュを探し、護衛する。
2:ルルーシュに危険が及ばぬよう、危険分子は粛清する。
3:奈緒子にしばらく同行。足手まといになる場合は切り捨てる。
4:V.V.に従う気はない。
※参戦時期はR2、18話直前から。ルルーシュの配下になっている時期です。
※奈緒子と知り合いについて簡単に情報交換しました。V.V.については話していません。
※白髪の男(雪代縁)を危険人物と認識しました。
※ギアス能力以外の特殊能力の存在を疑っています。
※ジェレミアはモールに寄っているため、モール内でなんらかの道具を補充した可能性があります。

【山田奈緒子@TRICK】
[装備]なし
[所持品]なし
[状態]健康
[思考・行動]
1:とりあえず上田を探す。
2:ジェレミアにしばらく同行。危なくなったら逃げる。
3:もう危険な目に遭いたくない。
4:デイパックの仕組みについては……いつか考えたい。
※ジェレミアと知り合いについて簡単に情報交換しました。
※ジェレミアを(色々な意味で)さらに変な人物と認識しました。
※白髪の男(雪代縁)を危険人物と認識しました。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
322LOST COLORS ◆ew5bR2RQj. :2009/08/17(月) 23:41:23 ID:UVgaYISO

「何故だ! 何故殺せない!」

舞台は移り変わり、先ほどの戦場。
頬を腫らした縁が、声を荒げながら地団太を踏んでいた。
理由は山田奈緒子を殺そうとして、失敗したことにある。
ジェレミア・ゴットバルトに邪魔されたからではない、そもそも彼は幼い頃のトラウマから若い女性を殺せないのだ。
最初に異国の女を殺そうとしたら嘔吐、先刻も嘔吐こそしなかったものの殺し損ねたのなら同じだ。
反撃を受けて実力で劣る男にすら逃走されたことを考えれば、まだ嘔吐の方がマシだったかもしれない。
この体たらくでは、天国で待ち続ける姉に申し訳が立たない。
そんな自分が情けなくなり、彼は八つ当たりを続けた。
地面を幾度も踏みつけ、それで鬱憤が解消できないと分かれば今度は拳を振り下ろす。
殴りつけられた地面は少しずつ抉れ、流れ落ちる血液が染み込んで行く。
それでも彼の鬱憤は晴れず、いつの間にか両目からは涙が零れていた。

「クソッ! クソォッ!」

拳の皮が剥け傷口から血が溢れ出すが、それでも彼は殴り続ける。
自らの不甲斐なさを擦り付けるように、何度も何度も。
それを数分続けることでようやく腕を止め、彼は立ち上がる。
しかし鬱憤は、一分たりとも払拭されていなかった。

「これはもう使い物にならんか……ならばいらん」

足元に転がる折れた木刀を不要と判断し、木片になるまで踏み砕く。
彼は重火器類を扱えない訳では無いが、それでも刀剣類の方が断然扱いやすい。
だがあの木刀が支給された唯一の刀であったので、新たな刀剣を調達しなければならなくなった。

「余計なことをしてくれる」

舌打ちをしながら、愚痴を零す。
苛々を抑えられぬまま、何気なく周囲を確認する縁。
すると彼の視界に、強い輝きを放つ代物が飛び込んできた。

「あれは……刀!」

それは、遠くから見ても業物だと分かる最上級の刀。
今の彼が飛びつかない理由はなく、縁は脇目も振らずに駆け出す。
その表情は歓喜に打ちひしがれた時のよう。
だが刀を拾い上げた時、それは一変した。
323LOST COLORS ◆ew5bR2RQj. :2009/08/17(月) 23:42:41 ID:UVgaYISO

「これは――――」

拾い上げた刀は、刃と峰が入れ替わった奇妙な代物。
見たことはない、しかし聞いたことはある。
抜刀斎について調査した際に、耳に入れたのだ。

「――――逆刃刀」

逆刃刀。
それは緋村剣心――――抜刀斎が新井夫妻から受け取った、新井赤空最後の一振り。
そして姉を殺した人斬りの分際で、「不殺」の信念を込めた刀。
縁は思わずそれを投げ捨て、叩き折ろうと足を持ち上げる。

「こんなもの!」

そのまま一気に足を振り下ろすが、寸前で足は止まった。
いや、縁が自らの意思で足を止めたのだ。

(これは使える、殺しにも……人誅にも)

縁は邪念が籠った醜悪な笑みを浮かべる。
縁は抜刀斎への人誅として、一度でも彼に関わった人間を協力者に襲撃させた。
抜刀斎に罪の意識を感じさせ、行き地獄に突き落とすためだ。
それが出来るのであれば、どんな手段であったって構わない。
ならばこの逆刃刀も、それに利用できるのではないだろうか?
「不殺」の信念を込めた刀で、人を殺しまわる。
これで抜刀斎の偽善に満ちた信念は崩壊し、逆刃刀を託した新井赤空やその夫妻の思いまで蹂躙できる。
そして抜刀斎に出会った時に、血に濡れた逆刃刀を投げ渡して、こう言ってやるのだ。

――――この刀は人殺しだ、と。

「フフ、これはいい物を拾った」

逆刃刀を拾い上げ、虚空に目掛けて一閃を放つ。
そして、また笑んだ。
抜刀斎はこの刀に「不殺」を込めた、ならば俺は「殺」を込めてやる。
覚悟を決めて、女を殺してやる。
胸中で誓い、逆刃刀を握り締める縁。
そんな彼の視界に、一冊の本が目に入った。
それは奈緒子に支給されたエロ本、ページが開かれ地面に放置されている。

「…………」

月明かりに照らされ、ページの内容が映し出される。
それは金髪の女が醜悪な肢体を曝け出し、下品に誘惑をしているものだ。
そこに、姉の面影は感じない。

「墳ッ!」

彼が刀を走らせると、本に一本の線が刻まれる。
女性の首の部分に長々と
次の瞬間に本は真っ二つに分解され、女性の首と胴体はバラバラになった。
首が写されたページが宙に舞うが、吐き気は込上げてこない。
当たり前だ、彼が斬ったのはあくまで本なのだから。

「次にこの刀が斬るのは本物の女だ、すぐに血塗れの刀を渡してやる
 だから待っていろ、人斬り抜刀斎!」

そう夜空に宣言し、彼は刀を返した。
324LOST COLORS ◆ew5bR2RQj. :2009/08/17(月) 23:44:15 ID:UVgaYISO

【一日目黎明/H−3 東側】
【雪代縁@るろうに剣心】
[装備]:逆刃刀・真打@るろうに剣心
[所持品]:支給品一式×2、庭師の鋏@ローゼンメイデン、確認済み支給品0〜2個(刀剣類は入っていません)
[状態]:左肩に刺し傷、両拳に軽症
[思考・行動]
1:逆刃刀を使って、女を殺しまわる。
2:抜刀斎に会ったら、血塗れの刀を投げつける。
[備考]
※殺し合いを姉が仕掛けた夢だと思っています。故に女殺しの弱点を克服できれば、それで終了すると思っています。
※ぶっちゃけ、姉と抜刀斎以外のことはあまり考えていません。抜刀斎も人誅まで殺すつもりはありません。
※奈緒子はモールに寄っているため、奈緒子のデイパック内にモール内で補充した道具があるかもしれません。

※H−3の東側に折れたジェレミアの剣が放置されています。


【咲世子の煙球×3@コードギアス 反逆のルルーシュ】
名前通り篠崎咲世子が愛用している煙球。
投げると白煙が立ち込める。
325LOST COLORS ◆ew5bR2RQj. :2009/08/17(月) 23:46:14 ID:UVgaYISO
以上です、今回のタイトルはPS2で出たギアスのゲームタイトルから取りました。

それと可能であれば、この文章の改善点を指摘していただきたいです。
最近なかなか上手く書けないので、皆さんが少しでも違和感を感じた部分等があればどんどん指摘してください。
とくに戦闘の部分についてアドバイスをいただけると嬉しいです。

厚かましいお願いであるのは分かりますが、お願いします。

>>320
全然大丈夫です。
せっかく規制が解除されたので、出来るなら全部一人で投下したいと思ってましたから。
今まで代理投下してくださった方々、ありがとうございました。
326創る名無しに見る名無し:2009/08/17(月) 23:47:00 ID:Rnb3YVHU
縁がいい具合に壊れてきている。抜刀斎がすでに殺されていて、殺したのが女(?)だと知ったらどうするんだろうかな。
どっちにしろ、次こそ期待できそうだね。皿満田ー脱出縁

それはそうと、奈緒子の状態票は奈緒子のところにあった方がいいのでは?
327創る名無しに見る名無し:2009/08/17(月) 23:50:53 ID:Rnb3YVHU
>>325
ざっと見た限り、文章に違和感は感じませんでした。もしも、自分で気になる所があるのなら
うまい人のを見て、参考にして見るなり、某所で批評をお願いしてみたらどうでしょうか。

戦闘シーンは単調になりやすいので、あまり書きすぎない方がかえっていいと思いますし、
この書き方で全く問題ないでしょう
328 ◆ew5bR2RQj. :2009/08/18(火) 00:05:35 ID:rStRLzSg
>>326
奈緒子の状態表を奈緒子のところにっていうのは、>>318の終わり辺りにってことですか?

あとアドバイスありがとうございます。
色々な方のを読んだりしてますが、自分のものにするのはなかなか難しいですね
329創る名無しに見る名無し:2009/08/18(火) 00:19:12 ID:q8ieJxue
>>328
ごめんなさい、奈緒子の話は私の読み違いです。
330創る名無しに見る名無し:2009/08/18(火) 09:02:32 ID:9WC2K35d
投下乙
対照的とはいえ、二人とも信奉するものの為に戦ってるんだよなあ
でも、剣心もルルーシュも既に死んでると知ったらどうなるかが気になる
奈緒子は支給品失ったけど、とりあえず生きててよかった。てっきり死ぬものと思ってたよ

文章に関しては、特に違和感を感じませんでした
十分に読みやすいと思います
331創る名無しに見る名無し:2009/08/18(火) 11:36:38 ID:TRnN/0f7
ジェレミア、見捨てる宣言してるのにしっかり奈緒子を守ってるのな
(一般人だから仕方ないとはいえ)逃げようとした相手に対して…ギアス見たことないけどいい人だ
所持品ゼロ・一般人の奈緒子がこの後どうなるのかも楽しみだ
個人的にはこのコンビが好きなので頑張ってもらいたいけど、どうなるんだろう

そしてジェレミアのスク水所持発覚で変態認識が強まったのに吹いた
気づいた時のリアクションが気になるww
332創る名無しに見る名無し:2009/08/19(水) 22:11:17 ID:U6UCm5Ai
予約スレに宣伝があって萎えてたら、今度は本当に予約北じゃないか
333 ◆EboujAWlRA :2009/08/22(土) 15:05:09 ID:YMuIGrQ5
遅くなりました、今から投下します
334異邦人 ◆EboujAWlRA :2009/08/22(土) 15:07:25 ID:YMuIGrQ5

ここはバトルロワイアルが行われる一つの孤島。
その北西に設立された美術館の一室に居座るのは一人の化け物、人間社会での名を田村 玲子というパラサイトだ。
パラサイトとは人間に寄生することで脳髄を支配し、完全にその人格を乗っ取っとり、寄生先の同種である人間を主食とする怪物ある。
このことから、人間とパラサイトは分かり合うことができないと結論付けてもおかしくはない。
そして、この性質以外にもパラサイトと人間の間には大きな違いがある。
パラサイトは人間から見ると、ひどく自己中心的で冷酷な存在なのだ。
それが生まれてから間もないからか、それとも元々がそういう性質なのかは分からない。
ただ一つ言えることは、彼女たちは人間を殺すことはもちろん時には同種を殺すことも厭わない。
分かりやすく言うのなら、パラサイトとは人間よりも生存を最優先に行動する野生動物に近いのだ。

そのパラサイトの一人である田村玲子は自分以外の誰も存在しない部屋で思考に耽っていた。

(さて、どうするか……)

彼女は眉一つ動かさずに考えていたことは、これからのことに他ならない。
『バトルロワイアル』というものに彼女は巻き込まれてしまったのだ。
バトルロワイアルとはなんでもこの名簿に名前が載ってる人間が殺し合うというものらしい。
田村玲子はそんな普通じゃない状況でこれからどうするかを普通に考える。
まず、最初に思いついたのはこの殺し合いで最後の人になることだ。

(……だが、後藤が居る以上は難しいか)

しかし、勝ち残ることは恐らく難しいと思われる。
その理由として特殊なパラサイトである後藤の存在が立塞がるのだ。
後藤は彼女自身が作り上げたパラサイトであり、普通のパラサイトと違い頭だけでなく五体の全てを一瞬で高質化、変形できる。
作り上げた彼女だからこそ、後藤が並大抵のことでは死なないことを熟知している。

さらに、パラサイトは各々の個体差があると言えど、人間、いや、猛獣をも遥かに凌駕している。
だが、所詮その程度だ。
寄生した肉体が生存不能なほどの重傷を負えば当然死んでしまう。
痛みに鈍くショック死はしないが、内臓を破壊すれば当然その肉体が生きていくことは不可能。
となると、寄生生命体に過ぎないパラサイトだけが生き残れるわけがない。
この場合は別の人間に寄生し直すしかないのだ。
このことから、万が一とは言え死んでしまう可能性は確かに存在するのだ。
その事故が起こる可能性をなくしている後藤という規格外の存在。
殺し合いに生き残るのは難しいと言えよう。

さて、殺し合いに乗るという選択も難しいとなると、どうするか。
彼女はしばらくの間だけ考え込み、答えとも言えない答えを出した。

(……思いつかんな。第一、殺し合いをすることに全く興味が分かん)

殺し合いをするということに田村玲子は全く興味が湧かなかった。
最初に出会った緋色の髪をした男を殺したのは食事のために過ぎない。
これ以後も空腹を感じれば人を食うだろうが、決して殺し合いに乗ったわけでない。
右腕に寄生したパラサイトを持ち、人間のままパラサイト側についた泉 新一。
奇妙としか言いようのない現東福山市市長であり、パラサイトコミニティの発案者である広川 剛志。
彼らを見た時に感じた物が全く心に浮かんでこなかった。

ただ、彼女は何故こんなバトルロワイアルという妙な物を始めた人間の思考については少し興味がわいた。
335異邦人 ◆EboujAWlRA :2009/08/22(土) 15:08:36 ID:YMuIGrQ5

(……何の目的を持って殺し合いを行ったのか、か)

普通のパラサイトならば何も考えずに食事のついでに殺し合いに乗るかもしれない。
だが、彼女はパラサイトの中でも特別に好奇心が高い、いわゆる変わり者だった。
知的好奇心の赴くままに行動する、それは仲間であるはずパラサイトですら理解できない部分もあった。

(殺し合いとなると……見世物か? 理不尽な状況で人が怯え、狂う姿を見て楽しむのか?)

彼女には理解できないが、人間には同種が苦しむ姿を見て愉悦を覚える性質があるらしい。
それの延長線上と考えれば納得できないこともない。
ただ一つ言えることは、殺すこと自体が目的でないと言うことだ。
それならば最初から磔にして嬲るように自身の手で殺していけばいい。
つまりバトルロワイアル、集めた人間同士が殺し合うことが目的なのだ。
恐らく、参加者が死ぬこと自体は二の次と考えていい。
大事なのは殺し合うことだろう。

だが、田村玲子という変わり者のパラサイトにはもう一つの動機が思い浮かんでいた。
その動機とは、人間を観察すること。

(私のようなパラサイトがいるのだ、似たような人間が居てもおかしくない)

人間の性質は個体差が激しいと田村玲子は今までの観察結果から判断していた。
倫理観を重んじる人間も居れば、倫理観なんてまるでないように振舞う人間もいる。
そして、人間ながら人間に興味を抱いている人間が居ても不思議ではない。

人は、危機に陥った時にどのような行動をとるのか。
人は、角を曲った瞬間に殺されるくるかもしれないという恐怖に耐えられるのか。
人は、今まで培ってきた倫理観とやらをたやすく崩すことが出来るのか。

日常では到底観察できない人の姿を観察できる。

田村玲子にも直ぐに承諾する人間は少ないと今までの観察結果から察することが出来る。
今は現実味を感じずに何をするでもなく動き回ってる人間が大半だろう。
あるいは先ほど食した男のように不安から人と接触するかもしれない。
パラサイトと違い十分に一人で生きていけると言うのに、人間を代表とする哺乳類は痛がりで寂しがりだ。

しかし、手段としては中々に上手い。
観察者の心一つで殺せるという首輪をつけたことも、時間制限を設けなかったのも面白い。
制限事項はある程度緩くした方が、参加者それぞれの人となりを観察できる。
時間制限を特に設けずに、しかしながら首輪で何時どんな時でも殺せると言うことを示す。
これによって、時間制限を設けていないにもかかわらず、殺し合いが進まなければ何時か首輪が爆発する、という恐怖を教える。
その恐怖に耐えられない人間は大勢出てくるだろう。
ひょっとすると、これが初めてではないのかもしれない。

田村玲子が僅かな時間で考えた結果では、『娯楽』か『実験』の二択になる。

復讐や誰か一人を苦しめて、という考えは全く出てこなかった。
それは彼女が人間特有の無駄を理解し切れていないパラサイトであるから。
かつ、彼女が人間の観察をしていたからこそ、人間を見ること、が前提である二つをまっ先に想像したのだ。

(……このような場合において人間がどう動くか。それは確かに見たことがないな)

一方的な恐怖に陥った人間は大勢見てきた。
だが、人間同士が殺し合い、赴くままに悪意をぶつける瞬間は見たことがない。
他者に恐怖を与えながらも恐怖を感じる人間の姿、そんな姿を田村玲子は見たことがない。

(動くか……人間が殺し合う姿はまだ私は見たことがない。
 見たことのない人間の一面を見れば、我々が生まれてきた理由も分かるかもしれん)
336異邦人 ◆EboujAWlRA :2009/08/22(土) 15:09:40 ID:YMuIGrQ5
【一日目黎明/A−3 美術館】
【彼女@寄生獣】
[装備]なし
[支給品]支給品一式×2、ランダムアイテム、しんせい(煙草)@ルパン三世、手錠@相棒
[状態]健康
[思考・行動]
1:人間を、バトルロワイアルを観察する。
2:泉新一を危険視。
3:今は満腹。
4:腹が減れば食事をする。
337 ◆EboujAWlRA :2009/08/22(土) 15:10:47 ID:YMuIGrQ5
短いですが投下終了です
誤字脱字展開の矛盾等の指摘お願いします
338創る名無しに見る名無し:2009/08/22(土) 15:28:21 ID:Iu+tim42
3行目 「怪物ある」
339創る名無しに見る名無し:2009/08/22(土) 15:36:52 ID:BvFBCBYY
投下乙です
一応スタンスは対主催でもマーダーでもないけど、
扇動マーダーっぽい思考になりそうだなw
340創る名無しに見る名無し:2009/08/22(土) 17:00:16 ID:nPuWrGt9
見覚えのある酉だと思ったら、Be Cool!書いた人か
久々の投下乙!

剣心倒した奴が恐れるほど強い後藤ってどんだけ強いんだよwww
この人もこの人で考え方危険すぎるし、寄生獣面白いなぁ、今度買ってくるか

誤字なのかどうか分からないけど、状態表の名前が田村玲子じゃなくて彼女になってる
341創る名無しに見る名無し:2009/08/22(土) 18:21:14 ID:ydoHmbeZ
投下乙です
合理的な玲子らしいけど、随分と特殊なスタンスだな
近くに居る参加者は真司だけど、あいつを観察しても仕方ないような気がするw
342 ◆EboujAWlRA :2009/08/22(土) 19:09:39 ID:YMuIGrQ5
感想、指摘感謝です
>>338
×パラサイトとは人間に寄生することで脳髄を支配し、完全にその人格を乗っ取っとり、寄生先の同種である人間を主食とする怪物ある。
○パラサイトとは人間に寄生することで脳髄を支配し、完全にその人格を乗っ取っとり、寄生先の同種である人間を主食とする怪物である。
怪物である、の『で』が抜けていました、ありがとうございます
>>340
ミスです、すみません。正しくは【田村玲子@寄生獣】です

抜けが多く申し訳ありませんでした、指摘、感謝です
343創る名無しに見る名無し:2009/08/23(日) 18:29:59 ID:zF0OwS5L
wikiの更新を初めてやってみたんだけど、特に漏れとかないかな
あとwikiの○が小さくなったり……が下になったりするのってなんとかならんだろうか
344創る名無しに見る名無し:2009/08/23(日) 19:47:27 ID:Pk7OKKFb
管理人に言ってフォントを変えてもらう。もしくは自分でwikiの構文使って変えてみる
345創る名無しに見る名無し:2009/08/23(日) 21:35:52 ID:ET8GZy7/
>>343
編集乙です
特に抜けている部分はありません
346 ◆EboujAWlRA :2009/08/23(日) 21:51:01 ID:vXgmrHcx
>>343
編集感謝です、お疲れ様でした
347創る名無しに見る名無し:2009/08/23(日) 23:41:54 ID:zF0OwS5L
>>344
wikiの構文を使うってどうやるんだ?
編集モードを変えるってのをやればいいのかと思ったけど、ログインユーザー以外不可らしいし
348創る名無しに見る名無し:2009/08/23(日) 23:51:46 ID:Pk7OKKFb
>>347
すまん、今管理者じゃないと無理っぽいって書こうとしたところだ。
管理者がCSSいじってフォント変えない限りは直らん。

344は俺の間違い
349創る名無しに見る名無し:2009/08/23(日) 23:58:51 ID:zF0OwS5L
>>348
な、なんだってー!?
それじゃあどうしようもないじゃないか

管理者の人に問い合わせしてみるか、なんか反応あるかも
350創る名無しに見る名無し:2009/08/24(月) 19:58:03 ID:GMjFtd8I
ていうか、管理人の人て誰?
351創る名無しに見る名無し:2009/08/24(月) 23:38:13 ID:iStuj1mb
投下乙!
天才の田村玲子なら最強生物の後藤と
いい勝負ができそうだけどな。
しかし、観察とは彼女らしいw
ただ、泉新一を危険視って、今まで一番の
観察対象だったのにどうしたのよ。
352創る名無しに見る名無し:2009/08/25(火) 00:13:51 ID:xGf9LMVH
時期によって危険視している時とそうでないときがあるからね。

>>340
訓練を積んだ重火器を持つ兵隊が100人ぐらいいても、かすり傷を負わせるのが精一杯。
353創る名無しに見る名無し:2009/08/25(火) 00:31:09 ID:0rYV8Igs
強すぎだろ……

そんな相手によくルイズは頑張ったなぁ、偉い
そういう奴はもうミラーワールドに閉じ込めるとかしない限り、絶対に勝てない気がする
354創る名無しに見る名無し:2009/08/25(火) 04:52:41 ID:uG/crj14
あと時速60qの車に平然と追いついたりもしたな
ついでに他ロワでは制限あったとはいえサイヤ人に勝ちました
355創る名無しに見る名無し:2009/08/25(火) 11:00:25 ID:MhxWNj/T
なんかるろ剣陣営が霞んで見えるw
356創る名無しに見る名無し:2009/08/25(火) 11:37:41 ID:TPz5pEvU
るろ剣勢が弱いんじゃない、寄生勢が強すぎるだけなんだww
357創る名無しに見る名無し:2009/08/25(火) 12:35:14 ID:FMpt4nNO
ネタバレになるから詳しくは言えないけど、後藤はあれだけ強いから原作での死に方がすげえ印象的だよなw
358創る名無しに見る名無し:2009/08/25(火) 22:10:07 ID:xGf9LMVH
弱点あるけどな。原作で止め刺した?とか、原作で同種を苦しめた??とか
359創る名無しに見る名無し:2009/08/25(火) 23:50:20 ID:0rYV8Igs
後藤はカズヲと同じで名前は平凡なのになぁ
これよりも強い寄生獣っているのか?
360創る名無しに見る名無し:2009/08/25(火) 23:57:53 ID:yJnzQ0Nh
確か後藤が最強の寄生獣だったはず。何しろラスボスだし
361創る名無しに見る名無し:2009/08/26(水) 01:03:53 ID:nDQanTdk
単体勝負ならミギーも相当のもんだと思うが
362創る名無しに見る名無し:2009/08/26(水) 02:23:31 ID:35BGtUno
>>359
後藤は名前も凝ってるんだぞ
363創る名無しに見る名無し:2009/08/26(水) 15:20:52 ID:szYNBGQl
>>362
実は本名がプリーシア・ディキアン・ゴトウだったとかww

……ゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ
364創る名無しに見る名無し:2009/08/26(水) 17:46:45 ID:w0KMTjGw
>>363
聞こえなかったから大丈夫だよ。
365創る名無しに見る名無し:2009/08/26(水) 21:06:42 ID:35BGtUno
そういう意味じゃなくて、名前にストーリに関する意味が込められてるってことなんだが
366創る名無しに見る名無し:2009/08/27(木) 19:56:21 ID:JpmVEm6i
サバイブのカードって龍騎とナイトのデッキに付属してる扱いでいいの?
367創る名無しに見る名無し:2009/08/27(木) 23:13:55 ID:lqKHSQNG
支給品扱いでいいと思う。じゃないと強すぎる
368創る名無しに見る名無し:2009/08/28(金) 00:02:57 ID:zo4g5/iL
確かライダーロワでも別々だったしなぁ、それが妥当か
わざわざどうも
369創る名無しに見る名無し:2009/08/28(金) 00:34:04 ID:wLbm/FjJ
サバイブカードが支給品扱いってことは、つまりシザースさんがサバイブ化する可能性もあるわけだ
370創る名無しに見る名無し:2009/08/28(金) 00:39:07 ID:kahyIOJe
その辺はやめて欲しいなあ……
どうやってもオリジナルライダーになっちゃうし
371創る名無しに見る名無し:2009/08/28(金) 00:49:23 ID:+hwQVE+x
設定だけならライアのサバイブがあるけど、契約モンスターが浅倉に渡ってるから無理だな
ttp://ga.sbcr.jp/mfigure/010361/

龍騎とナイト以外はサバイブ使ってもエラーということにすればいいだろ
372創る名無しに見る名無し:2009/08/28(金) 00:57:23 ID:zo4g5/iL
それだとサバイブカードが龍騎とナイト専用になっちゃうし、支給品としてはおいしくないと思う
ライダーロワだとどうしてたんだろ
373創る名無しに見る名無し:2009/08/28(金) 01:00:29 ID:wLbm/FjJ
>>371
おおお、かっこいいな

やっぱりオリライダーはきついか……
しかしサバイブ使ってもシザースはAP5000で龍や蛇と一緒なんだな
374創る名無しに見る名無し:2009/08/28(金) 04:05:34 ID:+hwQVE+x
>>372
ライロワNEXTでガイや東條が烈火のサバイブを手にしたけど、龍騎のデッキにしか使えないという扱いだった
375創る名無しに見る名無し:2009/08/28(金) 07:52:15 ID:zo4g5/iL
前例があったならしょうがないか
サバイブカードを読み込んだ場合は二枚目のファイナルベントになるとか考えたけど、ごちゃごちゃになるしな
376創る名無しに見る名無し:2009/08/28(金) 09:27:28 ID:LD9jBE86
龍騎、ナイトのほか、S.I.Cで王蛇とリュウガもサバイブあるけど。
377創る名無しに見る名無し:2009/08/28(金) 12:00:55 ID:3qcZsJBW
S.I.Cはあくまでパラレルワールドの話だから、把握を考えても止めておいた方が無難だ
378創る名無しに見る名無し:2009/08/28(金) 20:15:09 ID:RPSgNYlI
wikiのGROOVE ON FIGHTのメガテン主人公ってなんなの?
名簿にもないけどボツネタを間違えたのか?
379創る名無しに見る名無し:2009/08/28(金) 22:46:42 ID:3qcZsJBW
あれは分岐制だったときの名残
今も一応は分岐制だけど、誰も繋がないから自然消滅した
380創る名無しに見る名無し:2009/08/30(日) 03:03:39 ID:xvhMh1kW
死亡者名鑑ってもう更新されないのかな
あれすごい好きだったんだけど
381名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 14:05:03 ID:xvhMh1kW
おお、更新されてる!
称号が的を突きすぎてて面白いww

本当にありがとう〜
382創る名無しに見る名無し:2009/09/03(木) 23:33:59 ID:cbEvzoHo
対主催
泉真一、劉鳳、翠星石、咲世子、てつを、右京、L、カズマ、みなみ、亀山
真紅、レナ、ヴァン、C.C.、アイゼル、タバサ、男主人公、三村、貴子
悟史、月、ルパン、蒼星石、橘、北岡、五ェ門、つかさ、斉藤
クーガー、ジェレミア、奈緒子、次元、上田、かなみ、東條、沙都子

危険人物
シャナ、志々雄、稲田、城戸、狭間、玲子

マーダー
宗次郎、織田様、ミハエル、後藤、圭一、レイ、浅倉、桐山、銀様、スザク
シャドームーン、こなた、才人、縁、ロロ


死体を除くとこんな感じか、やっぱり対主催多いね
383創る名無しに見る名無し:2009/09/04(金) 13:04:22 ID:gqPgN1Va
いきなり新キャラだな
384創る名無しに見る名無し:2009/09/04(金) 20:44:33 ID:Ze6v5Ga+
織田様は1人で超人級を10killできるスペックの持ち主だし大丈夫だろ
385創る名無しに見る名無し:2009/09/04(金) 21:25:22 ID:Z5InxYBJ
だけどプリ(ryが近くにいるのが怖いな
あいつも織田様並のスペックだし、下手したら負けるかもしれない
386創る名無しに見る名無し:2009/09/05(土) 00:28:28 ID:kWmJDZgH
つ制限

織田様でも仮面ライダーと3vs1ぐらいになったらキツイよ
387創る名無しに見る名無し:2009/09/05(土) 00:55:04 ID:qk9l1ciB
とんでもないことに気付いた
織田様のすぐ近くにあのチートで有名なシザースのデッキがある
これを手にしたら3vs1程度じゃ全く意味が無い
388創る名無しに見る名無し:2009/09/05(土) 04:04:16 ID:5VUvZslD
ネタが分からない……
389創る名無しに見る名無し:2009/09/05(土) 15:30:57 ID:jALJg6uz
>>381
確かに死亡者名鑑は面白いなw
今まで存在に気がつかなかったわ。
390創る名無しに見る名無し:2009/09/05(土) 20:58:39 ID:TiLuEYZv
>>389
あれって同じ人が書いてるのかな?
なんにせよ面白いww
391創る名無しに見る名無し:2009/09/05(土) 22:15:32 ID:qk9l1ciB
>>388
つ 漫画版バトロワ
392創る名無しに見る名無し:2009/09/06(日) 18:46:13 ID:RJ1Tc+JK
絶影第二形態の鞭ってどうなってたっけ?
尻尾がその代わりだったっけか?
393創る名無しに見る名無し:2009/09/06(日) 19:16:22 ID:Q6+P6hpJ
柔らかなる拳・烈迅でしょ
394創る名無しに見る名無し:2009/09/06(日) 19:27:15 ID:RJ1Tc+JK
>>393
名前は覚えてるんだけど、その鞭は体のどこにあったか忘れちゃって……
395創る名無しに見る名無し:2009/09/06(日) 19:34:52 ID:bOeo347R
確か尻尾の部分だったはず
396創る名無しに見る名無し:2009/09/06(日) 23:02:29 ID:RJ1Tc+JK
確認してみたら尻尾じゃなくて、首飾りっぽいのから放ってた
397創る名無しに見る名無し:2009/09/07(月) 19:22:22 ID:m6Vgm7Fa
ライダーデッキは一度の変身で10分間戦えるみたいだけど、その後の変身制限ってないの?
398創る名無しに見る名無し:2009/09/07(月) 19:41:43 ID:CUs6ScST
変身制限か
ライダーロワでは一回の変身で2時間変身不能だったけど、それだとI'll be Backとかと矛盾するから、制限あるとしても30分ぐらいだな
399創る名無しに見る名無し:2009/09/07(月) 20:51:22 ID:foih6HfX
真司はマーダー的な思考だけど、結局原作でもそれで人は殺せなかったわけだし、あんまり危険人物っていう感じはしないな〜。
400創る名無しに見る名無し:2009/09/07(月) 22:01:39 ID:m6Vgm7Fa
>>398
一時間が妥当じゃね?
どっちも大差ないような気がするけど、こっちのほうが計算しやすい

>>399
真司は人殺しはできなくても、喧嘩を売ることはできるから、
スタンスがライダー倒すな以上、危険人物がちょうどいいと思う
401創る名無しに見る名無し:2009/09/07(月) 22:08:14 ID:LgTbnpoC
まあ書いたもの勝ちでいいんじゃね
もちろん、これまでのと矛盾しない範囲で
402創る名無しに見る名無し:2009/09/10(木) 15:08:00 ID:cwgIWGPo
唐突だが支給品に車ってありなんだよな?
403創る名無しに見る名無し:2009/09/10(木) 15:16:04 ID:WMpmBwia
乗用車や軽トラぐらいなら大丈夫だよ
404創る名無しに見る名無し:2009/09/10(木) 16:07:33 ID:cwgIWGPo
>>403
反応早いなw

把握した
405創る名無しに見る名無し:2009/09/10(木) 18:07:52 ID:ocHmvGxn
>>404
おお、執筆中か、頑張って
車は確か奈緒子とクーガーに支給されてたな

406創る名無しに見る名無し:2009/09/10(木) 19:07:35 ID:hw5qdRmg
書いてくれる書き手さんはみな神様です
407創る名無しに見る名無し:2009/09/12(土) 01:53:24 ID:VlF4PJis
今日はやけにwikiの訪問者数伸びてるなぁ
408創る名無しに見る名無し:2009/09/12(土) 14:17:33 ID:P8ZFliWh
休みだからじゃないか?
409創る名無しに見る名無し:2009/09/12(土) 22:57:53 ID:VlF4PJis
なんか二時くらいで100越えてたんだ、どっかに晒されたのかな
410創る名無しに見る名無し:2009/09/13(日) 18:51:07 ID:bNUl2CMF
俺もそれ見てびっくりした<二時くらいで100
特に荒らされたりっていうのはなかったが、
突然カウンターが回りだすと怖いよな、何か起きそうで

ところで、予約期間云々の話は現状維持でいいのか?
411創る名無しに見る名無し:2009/09/13(日) 23:18:52 ID:Eaw4TwYX
>>410
数人で勝手に決めるわけにもいかないしなぁ
もう少し人が集まればできるんだが

今、何人くらいいるんだろう?
412創る名無しに見る名無し:2009/09/14(月) 23:15:27 ID:f2akj4Z3
……OK分かった
人がいないということがよーく分かった
議論はまた今度にしよう
413創る名無しに見る名無し:2009/09/14(月) 23:29:05 ID:u5KSzBC7
とりあえず予約日数を増やした場合の長所は
・期限切れによる破棄を防げる
・早い段階での予約が可能になり、安心して執筆が出来る(キャラ被りが減る)
・長時間かけることにより、作品のクオリティが上がる

逆に短所は
・破棄になった場合、最悪一週間近くキャラを拘束することになる
・全体的に長文になる(書き手の敷居が上がる)

ぱっと思いついたのがこんなところ
個人的に重要とだと思うのが、
長所だとキャラ被りが減るで、短所だと書き手間の敷居が上がるかな
414創る名無しに見る名無し:2009/09/14(月) 23:43:58 ID:f2akj4Z3
なるほど。
現在の過疎状態からすると、
どちらかと言えば敷居が高くなるほうが問題な気がするな。
新規の書き手さんが尻込みするような雰囲気はちょっと…
415創る名無しに見る名無し:2009/09/15(火) 00:10:52 ID:t1IouMle
でもこれは俺一人がとりあえず思いついたのを上げただけだし、本当かどうかは分からない
ぶっちゃけキャラ被りさえ気をつければ、今の状態でも長文を書くことだってできるし
416創る名無しに見る名無し:2009/09/15(火) 00:52:45 ID:3WbhQhJl
リレー形式である以上、キャラ被りは仕方ない気がするな。
個人的な話だが、自分は超遅筆で一万字書くのに3週間とかかかる。
キャラ被りを気にしていたら書き始められない。
三日間の予約期間は殆ど推敲に費やして…ってこんな遅いの俺だけ?
皆は予約期間をどんなふうに使ってる?

予約期間が7日あれば一本書きあげられる書き手もいるだろうから、
そういう人が多ければ長くしてみるのも一つの手かもしれない
417創る名無しに見る名無し:2009/09/15(火) 01:11:15 ID:t1IouMle
>>416
俺は構想の7〜8割くらい完成したら、そこで予約してる
なんだかんだでキャラ被りするの怖いし
418創る名無しに見る名無し:2009/09/15(火) 01:20:31 ID:3WbhQhJl
そうか、やっぱり構想の時点で予約する人のほうが多いのかもな
うーん、ここで二人で話しててもどうしようもないな
意見がほしい
419創る名無しに見る名無し:2009/09/15(火) 01:33:04 ID:t1IouMle
そうだなぁ、他の方の意見も聞きたい
というわけで、読み手書き手問わず色々とレスをくれるとありがたいです
420創る名無しに見る名無し:2009/09/15(火) 01:34:58 ID:05NWvpV0
今居る書き手さんのやりやすい期間が良いんじゃないかなぁ
ゆっくり進行だから、7日間でも良いと思うですよ
421創る名無しに見る名無し:2009/09/15(火) 03:45:33 ID:F1ccQ2ru
1万字ってつまり5KBくらいだろ?
それで3週間はちょっとな…書きながら考えてんのか?
俺は休みの日半日くらい使えば25KBくらいなら書けるよ。
もちろんプロットは全て考えた上で文章化のみでの時間だが。

プロットを考えるのは日常生活送りながら溜まったアイディア次第だからどんくらいかかるかは不定期。

まぁ、書く時間そのものが取れないって人もいるだろうし、そういう人にはちまちま書き続けてくれと
言うしかないけどね
結局のところ人それぞれだよ
422創る名無しに見る名無し:2009/09/15(火) 03:49:36 ID:F1ccQ2ru
どういう計算だよw
1KB=500文字だから20KBじゃねーかw
酒入りすぎw
423創る名無しに見る名無し:2009/09/15(火) 16:58:39 ID:0+KfeRJP
1KBでだいたい500文字だったんだ

執筆時間か……最近ポケモンにはまって(ry
424創る名無しに見る名無し:2009/09/15(火) 22:47:19 ID:3WbhQhJl
>>421-422
どっちにしろほっとけww
書くの遅いのは自分でも気にしてるんだからww
でも半日で25kbはすごいな。見習いたい
425創る名無しに見る名無し:2009/09/16(水) 00:45:51 ID:PAgd3w2d
執筆は性欲との戦いな気がする今日この頃
426創る名無しに見る名無し:2009/09/16(水) 01:29:11 ID:r1DTgwIT
確かに。行き詰まるとそっちに走りたくなるな
427創る名無しに見る名無し:2009/09/16(水) 11:07:55 ID:PPk3sQec
足でキーボードをたたきながら手であんあんあんすればいいんじゃない?
428R-0109 ◆eVB8arcato :2009/09/16(水) 11:41:54 ID:QgLjl9Mc
どうも、こんばんは。遅れて申し訳ございません。
「バトルロワイアルパロディ企画スレ交流雑談所(以下交流所)」の方でラジオをしているR-0109と申します。
現在、交流所のほうで「第二回パロロワ企画巡回ラジオツアー」というのをやっていまして。
そこで来る9/23(水)の21:00から、ここを題材にラジオをさせて頂きたいのですが宜しいでしょうか?

ラジオのアドレスと実況スレッドのアドレスは当日にこのスレに貼らせて頂きます。

交流所を知らない人のために交流所のアドレスも張っておきます。
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/8882/1243687397/ (したらば)
ttp://www11.atwiki.jp/row/pages/49.html (日程表等)
429創る名無しに見る名無し:2009/09/16(水) 17:32:24 ID:/jwxQEFk
おお、ここのラジオやるのか!
俺が勝手にきめちゃっていいのか分からないけど、やってくれるなら是非お願いします
430創る名無しに見る名無し:2009/09/16(水) 17:57:45 ID:B3kRlj+O
まさかやるとは思ってなかった
自分も構いません
431創る名無しに見る名無し:2009/09/17(木) 00:32:38 ID:0I61yjcj
どうぞどうぞ、ラジオってどんなこと話すんだろ
432創る名無しに見る名無し:2009/09/19(土) 21:46:13 ID:BpB84mck
今日過疎ロワチャットやってるから、来れる人がいたら一緒に話そうぜ!
433創る名無しに見る名無し:2009/09/19(土) 21:52:16 ID:B0EOwV0R
チャットってやったことないんだよな…
見てるだけでも存在バレるんでそ?
ROMが出来ないから敷居が高そう
434創る名無しに見る名無し:2009/09/19(土) 22:00:22 ID:BpB84mck
あれ、普通にROMできるけど……
435創る名無しに見る名無し:2009/09/19(土) 22:02:39 ID:B0EOwV0R
そーなんだ
何人がいますとか出るんじゃね?
436創る名無しに見る名無し:2009/09/19(土) 22:14:53 ID:PHzytCly
場所どこ?
437創る名無しに見る名無し:2009/09/19(土) 22:22:58 ID:0AL+eTzl
438創る名無しに見る名無し:2009/09/19(土) 22:27:18 ID:PHzytCly
>>437
シャンクス
439創る名無しに見る名無し:2009/09/21(月) 02:10:07 ID:/7nTYGP+
過疎だなぁ
440創る名無しに見る名無し:2009/09/21(月) 14:08:50 ID:v2IR4HdS
ラジオはここの住人じゃない人も聞くだろうから、そこでアピールすれば……!
とか考えてたりする。
盛り上がるといいなぁ。
441創る名無しに見る名無し:2009/09/21(月) 15:17:53 ID:ItcGNtEC
ラジオで話すことはだいたい作品とか書き手についてだよな
せめてラジオ前に一作でも投下が来てほしい
442創る名無しに見る名無し:2009/09/21(月) 15:35:04 ID:mzzG8cVU
ラジオが23日の21時だから、今から本気出してギリギリ間に合うかって感じだな……
443創る名無しに見る名無し:2009/09/21(月) 16:13:30 ID:xbqDxSHt
(ラジオの話題で盛り上がる…すごい羨ましい…)
444創る名無しに見る名無し:2009/09/21(月) 16:20:05 ID:GJwomB0g
大丈夫、今のところ過疎ロワ含めてどこも盛り上がってるから
乱入者出れば一層盛り上がるしね
445創る名無しに見る名無し:2009/09/21(月) 16:26:58 ID:mzzG8cVU
スカイプあれば乱入できるんだっけ?
でもうちには無いんだよなぁ
446創る名無しに見る名無し:2009/09/21(月) 23:04:12 ID:v/hV3thu
予約ktkr
初見の書き手さんだな
447創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:13:08 ID:jwAvPcEG
今日も予約ねぇだろうな……と更新したら

予約キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
448創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 14:31:02 ID:5hLE6pbB
パロロワWiki見て気付いたけど、明日でちょうど多ロワ一周年なんだな
449創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 19:50:38 ID:93K2CsgT
一年か。だから明日ラジオやるんだろうな
450創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 21:22:34 ID:/+1oI+zV
偶然じゃないかな……w
でもいい話題が手に入ったぜ!w
451 ◆fG7rJLlLFE :2009/09/22(火) 23:55:47 ID:ua0jVZE0
カズマ、岩崎みなみ、杉下右京、L
投下します
452神経質な者、単細胞な者 ◆fG7rJLlLFE :2009/09/22(火) 23:57:32 ID:ua0jVZE0
暗い森の中を歩き続けること、それはカズマにはまったく苦にもならないこと
アルターの森を進むことに比べれば何も問題は無いこと。しかし、それはカズマだけの話だ。

「……すいません」

木のそばに腰を下ろし、座りこんでいるみなみが済まなそうに呟いた。

「別に……俺は俺が疲れたから止まってるだけだ」

「すいません……」

明らかに疲れていないカズマにそう言われたため、みなみはもう一度謝った。
ただ森を進むだけならば、みなみもすぐに座り込むような自体にはならかっただろう。
静寂が支配する真っ暗な森、いつ誰に襲われるかわからない不安、そして今だに頭から離れない親友の死
肉体的な疲労より精神的に疲れている。

カズマはそれを少し苛立ったように、だが責める様子もなく木にもたれ掛かっていた。彼にも友を失った時の気持ち、それがわかっているからだ。

「……もう大丈夫です」

「……そうかい、じゃあ俺も行くとするか」

だからこそカズマは手を差し延べない。自身が介入できることではないを知っているから
どんなに辛そうな顔でも本人が行くというならば、前に進むというのならば止めはしない。


みなみの少し前をカズマは歩く。そんなカズマの存在は、みなみにとってこの場所で唯一の支えだった。慰めるわけでも一緒に悲しんでくれるわけでもない。
だが、そばにいる。ただ黙ってそばにいてくれる。この殺し合いの舞台でそれはとても心強いもの。みなみが初めにあったのがカズマだったこと、それはとても幸運なことだったのかもしれない。


「あっ……」

「んっ?なんだ?」

突然声を上げたみなみの視線の先をカズマが追う。そこには、木々の間から僅かに見えた人工的な作りの建物あった。
カズマはその方向に進路を変え、木々の間を抜けて行く。そして木々の間を抜けると、そこにはいかにも不気味な洋館がそびえ立っていた。

「へっ、ちょうど良いあそこに入るか」

「えっ……でも……」

夜の森の中にある洋館
それだけで不気味さは充分であるというのに、こんな殺し合いという状況の中。みなみがもし一人で来たなら、とてもあそこに入ろうなどとは思わないだろう。

「かなり不気味……です」

「不気味なくらいがちょうどいい。何か出たらぶん殴ればいいだけだ」

「いや……あの……」

カズマは躊躇なく洋館の入り口に進んで行く。そしてその玄関を壊れるかもしれないというような勢いで、蹴り開けた。

「(さて何が出る……)」

アルター化させた右腕をすぐ動かせる体制にしながらカズマは洋館に入る。

「ま、待ってください」

みなみはそんなカズマに驚きつつも、取り残されないためにそれに続いて洋館に入って行った。
453神経質な者、単細胞な者 ◆fG7rJLlLFE :2009/09/22(火) 23:58:38 ID:ua0jVZE0
それは右京とLが地図を広げ、どういうルートで警察署に行くかを模索していた時だった。
ドンッっという大きな音が洋館内に響き渡り、何者かが中に入ってくる足跡が聞こえてきた。

「誰か入って来たようです。……この乱暴な開け方……先程の方でしょうか」

「ええ、おそらく。……近くにいる以上ここに来る可能性も充分にありましたから……来てほしくはありませんでしたが」

「……しかしLさん、足跡は二つのようですよ」

「……たしかにそのようです。ということは私たちと同じで、二人一緒に行動しているということでしょう。……どうしますか、右京さん?」

二人は小声で話ながら音を立てないように窓を開き、机の上にある所持品をデイパックへと詰め込む作業を行った。そしてLは仮面を右京は万が一のために銃を握る。

「姿を見ないことには断定は出来ませんが、二人……ということは殺し合いに乗っている可能性は低いでしょう。しかし……」

右京がその次を言う前にLが口を開いた。

「殺し合いに乗った者が乗っていない者を利用しているか、何らかの手段で操っているか、それとも別の要素か……それらの可能性は捨てきれません。ここは様子を見ましょう」

「わかりました」

銃は有る、しかしそれを使うのは本当にどうしようもなくなった場合のみ
それに自分達と同じように、打倒V.V.という目的で組んだ二人という可能性の方が高い。
上手くすれば仲間が増えるのだ。二人にして見れば下手なことはなるべく避けたかった。

警戒する二人に対し、片方の足音はズカズカと片方の足音はソロソロといった感じに洋館を探索し出した。
その足音が二階への階段に差し掛かった辺りで二人は扉の隙間から外を覗き始めた。右京は銃を片手に、Lは仮面を被った状態で……
もしそれを後ろから見る者がいたとすれば、その人物はその光景を奇妙や不可思議などの言葉以外で表現することはできないだろう。

「あんまりビクビクするな、下には何もいなかっただろ?」

「はい、でも上には……いるかもしれません……」

そんな二人に聞こえてきたのは、少年と少女の声。

「(子供達ですか……なら……)」

その声は少なくとも騙したり、操ったりしている感じの会話でも声色でもない。右京はそう感じとった。

「右京さん」

そんな右京に、Lの小さいが迫力のある声がかけられた。

「油断しないでください」

「……しかし、僕は彼らが何か企んでいるまたは殺し合いを望んでいる、とは到底思えません」

姿はよく見えないが、相手は警戒している少年と怯えている少女の二人。そんな二人はこんな殺し合いの中、警察官にとっては当然保護するべき対象だ。

「あなたが持った印象は私にもわかります。しかしそれくらいの演技を、平気でこなす相手を私は知っています。ここは……まだ待ちましょう」

慎重すぎる。事情を知らない人間から見ればLの行為への感想はこうだろう。しかしそのくらいでなくてはならない。
慎重すぎるほどに警戒し、推理し、接したはずの相手にさえ殺されてしまったのだから
そのLの慎重さを右京も理解し、二人をもう少し観察することにした。



二人は頭が切れるからこその行動を取っている。しかしそれは果たして、本能で生きる少年……カズマは理解するだろうか。
454神経質な者、単細胞な者 ◆fG7rJLlLFE :2009/09/22(火) 23:59:27 ID:ua0jVZE0
「(誰かがこっちを見ていやがる……)」

二階に上がった辺りからカズマは妙な違和感を感じていた。以前にもあったような嫌な感覚
それがいけ好かない本土側のアルター使い、無常矜持に初めてあった時に感じた、観察するような他者からの視線
そうであることに気づいたのはつい先程だった。

「(めんどくせぇ、やるならやるで出てくりゃ早いのによぉ)」

カズマは真っ正面から来ない相手はとことん嫌いだ。作戦とか兵法とかそんなの関係ない、ただ殴ればいい自分の自慢の拳で――カズマはずっとそうしてきた。

「……どうかしたんですか?」

そんなカズマの苛立ちを察したのか察しなかったのか、みなみがそんな問い掛けをした。

「……」

それにカズマは答えない。今のカズマにはこそこそと人を品定めする観察者は敵。敵が目の前にいるならばどうするか?そんなことは決まっている。


「(情報?そんなことは今は関係ねぇ。ただ今やっていることがきにくわねぇ。どうするかはとりあえず殴ったあと決める。ああ、今はとりあえず……)」

「……?」

返事もせず少し固まっていたカズマが、突然近くの部屋に入って行く。それに付いて行こうとしたみなみにカズマは離れていろっと左手でジェスチャーした。
それがどういう意味であるか。それを理解したみなみは、こくりと頷き階段の中間辺りまで走り始めた。

「(へっ、とばっちりがいっても勘弁しろよ)」

それを見送ったカズマは右腕を壁に向かって構える。

「……衝撃のファーストブリット」

カズマがそう呟くと同時に、右腕の後ろにあった三つの羽の一つが、虹色の輝きとともに空中へと胡散した。






「右京……さん?」

Lと右京は同時に顔を見合わせた。少年と少女が分かれたのは足音でわかる。
少年は自分達の二つ隣の部屋へ、少女は階段辺りへ。
それだけなら問題はない。ただ嫌な予感がした。それも強烈な

人間が持つ……いや、生き物ならば必ず持っているであろう危機察知能力。自分のそれがフル稼動しているのを二人は感じとったのだ。

「伏せてください!」

いつも冷静な右京が叫んだ。もしここに亀山薫がいたならばそれだけで、心底驚いていただろう。

「うおぉぉぉぉらああぁぁぁぁぁ」

しかしLが驚くのはこの後だった。叫び声とともに隣の部屋から轟音が響いた。それは破壊の音、なにもかもぶち壊す暴力以外の何物でもない力。
そしてその力はすぐに二人がいる部屋までやってくる。右京は伏せた。
しかしLは右京より数瞬遅れてその動作に入った。それは本当に一瞬、しかしその一瞬が命取りとなることもある。
Lは伏せたというには不完全な状態で、その衝撃を受けてしまったのだ。
455神経質な者、単細胞な者 ◆fG7rJLlLFE :2009/09/23(水) 00:00:33 ID:ua0jVZE0
そんなLに衝撃によりぶち破られた壁が降り注ぐ。当然、それは右京にも乗しかかってくる。衝撃が止んだ今、その場に立っているのは破壊を行った張本人だけだった。





「こそこそ隠れて俺達を見てたのは、てめぇらか!」

「……」

軽く意識を失っていた右京が覚醒したのは、そんな怒気を含んだ声をぶつけられた瞬間だった。

「俺になんの用だ?喧嘩って言うんなら買ってやるぜ?」

右京はその声の主、右腕をなにかに覆われた少年―――カズマに左手で胸倉を捕まれ、持ち上げられている。

「落ち着いてください。私は貴方に危害を加える気はありません」

右京は出来る限り相手を刺激しないような声ではっきりと、戦う意志が無いことを伝える。

「じゃあなんでこそこそと隠れてやがったんだ?んであそこに落ちてる物はなんだ?」

カズマが示した先に落ちていたのは銃。右京はさっきの騒動の時に落としてしまったのだ。

「こそこそしていたのは、貴方達が危険でないかを確かめるためです。……それはあくまで護身用の銃です。使うつもりはありませんでした」

「へっ、どうだか。本当はそれで撃つタイミングを探してたんじゃねぇのか?」

「私は警察官です。そんなことは絶対にしていませんし、しません。信じては……もらえないでしょうか?」

右京の目はまっすぐカズマの目を見て喋っていた。目は口ほどに物を言う。
本能だけで生きてきたカズマにも、いやだからこそ右京の言っていることが真実であることが窺い知れた。

「わかった、オーケー。信じてやるよ。だがな、もし気が変わってあんたが俺とやるってんなら俺は容赦しねぇ。絶対にだ」

そんな右京に戦う気を完全に無くし、どこかいらついた様子でカズマは掴んでいた胸倉を放した。

「ありがとうございます」

右京は服に付いた埃や木の破片を払う、そして思う。先程の破壊、それを行ったのは目の前の少年だという事実。
吹き飛んだ壁はまるでバズーカーで打たれたような損害状況だった。

「カ、カズマさん何が!?」

その場所から心配そうな顔をした少女――みなみがやってきた。

「ああ、このおっさんは大丈夫だ」

「そ、そうなんですか……」

みなみが思っていた疑問とは少し違った解答ではあったが、頼りになりそうな人間と合流できたことに少し安心した様子だった。

「お二人が殺し合いに乗っていないようで安心しました。私は警視庁特命係の杉下右京です。あなた方は?」

「あっ、岩崎みなみ……です」

「……名前なんてどうでもいいけどよぉ。あいつ大丈夫なのか?」
456神経質な者、単細胞な者 ◆fG7rJLlLFE :2009/09/23(水) 00:01:28 ID:ua0jVZE0
カズマが指差した方向にはLが倒れていた。自分でやっておいて大丈夫なのかっと言うのは酷い話である。

「……僕としたことが!Lさん、大丈夫ですか!?」

「…………大丈夫です、右京さん」

右京がLに駆け寄ろうとしたところでLがゆっくりと起き上がり始めた。

「この仮面が無ければ即死でした。……まあそれは言い過ぎですが……頭がかなり痛いです」

「……そうですか。無事でなによりです。彼らは……」

「いえ、いいです。実は少し前から起きていましたから…………しかし驚きました。その右腕はどうなっているんですか、カズマさん?」

Lは先程のカズマの破壊行為をまるで咎める様子もなく、興味深そうにカズマの右腕を見つめた。

「そんなことてめぇには関係ねぇだろ。偉そうに顔隠しやがってよぉ」

「(……やはりチンピラのような性格をしている。考えるより前に手かでるタイプか。あまり突かからなくて正解だった……。しかしあの右腕の力……)」

「私も興味があります。Lさんの言っていた超能力の類なんでしょうか?」

「……ええっ……と私も聞きたいです」

全員から興味津々といった感じで目を向けられたカズマは、バツが悪そうに頭を掻いた。

「…………って言われてもなぁ。俺だってよくわかっちゃいねぇんだよ。こいつのことはなぁ」

実際の所、カズマはアルター能力について詳しく知っているわけではないのだ。使えているから使っている。カズマがアルターを使う理由などただそれだけだ。

「ということはそれは支給品の中の何かなのですか?」

「……あっ!」

よくわからないっというカズマの解答に、右京がそう言うと突然みなみが声を上げた。

「どうしたんですか、みなみさん?」

「……まさかあなた達……ここまで支給品も見ずにやって来たんですか?」

Lにそう言われみなみが恥ずかしそうにこくりと頷いた。カズマも、そういえばそんなものあったなぁ。などと言いつつ背負っていたデイバックを手に取った。

「ここまで単純な人間にあそこまで思考を巡らせていたと思うと、馬鹿馬鹿しくて恥ずかしくなります……」

Lは誰にも聞こえないように仮面の奥でそう呟いていた。




四人は壊れた部屋を移動し、一階の部屋へと移った。

「つまりそれはロストグラウンドと呼ばれる地域で生まれた人間にのみ現れる特異体質っということですか?」

「あぁ、確かそんな感じた。じゃあこのおはぎは貰うぜ」

そこでカズマについて聞くL。あまり使いたくない手段だったが、おはぎと情報の交換という提案をした。

「あとは特にねぇなぁ。おっ、うめぇなこれ」

「(貴重な甘いものをこんなことに使うとは……。しかしアルター……進化か……)」
457神経質な者、単細胞な者 ◆fG7rJLlLFE :2009/09/23(水) 00:02:16 ID:3HP8rl2F
Lにとって甘いものは思考するに当たってなくてはならないものだ。わざわざ右京に頼み、譲ってもらった物。
つまりカズマの右腕はそれを使ってでも、得たい情報。しかしあまりにも自分の特異体質について知らないカズマに、Lは少々がっかりしていた。

「んじゃ。こっちからも質問するぜ、あの糞餓……」

「すいませんが、V.V.については何も知りません」

「……んだよ。また外れか……」

カズマもまた自分の期待していた情報が無いことにがっかりしていた。


「なるほど、陵桜学園の学生さんですか。私は聞いたことが無い学校です。しかし……服装から察するに最初に犠牲となった……」

「……ゆたか」

「いえ、すいません。あなたに対してこの質問は失礼すぎました」

「ゆたかは……ゆたかは私の数少ない友人でした……」

右京はそうですか。っと小さく呟いた。悲しみながらそう言ってくれたみなみの姿にV.V.への怒りが、再び沸々と沸いてくる。

「話を変えましょう。デイパックの中身を確認します」

それを押さえるように右京は、机の上にあったカズマのデイパックへと手を伸ばした。そしてそれをみなみの方へ寄せる。
カズマは面倒だから勝手に調べろっと、みなみ達にデイパック渡していた。もちろん出てきた物を渡す気はカズマにはない。

「あなたとカズマ君のものですから、あなたが確認した方がいいでしょう」

「……わかりました」

みなみはまずカズマのデイパックの中身を探る。地図や食料など基本的な物以外で出てきた物は二つ。一つは暗視ゴーグル。一つはとても大きな杖。

「これは暗視ゴーグルのようですね。しかしこれは……?」

「……魔法使い……」

「……なるほど……魔法の杖ですか」

カズマの力、アルターを見た後ならばそれがあったとしてもおかしくはない。右京がそう思えてくる品だった。

「暗視ゴーグルは使えそうですが、こちらは持ち主がいるんでしょうか?……それは後で考えましょう。今度はみなみさんの方の支給品を見て見ましょう」

「はい」

カズマの支給品をデイパックにしまい、続いてみなみが自分のデイパックを開ける。

「あれ?」

みなみの手に固いものが当たる。それは今までの物と違い、かなり力を入れなければ動かなかった。そして……

「えっ……」

「こ、これは驚きました」

「驚きましたじゃねぇ、さっさとこいつ退けろ!」

「……まったくこのデイパックもかなり奇妙な品です」

みなみの引き抜いたのは車。それは部屋一杯に体積を広げ、全員を隅へと追いやった。
458創る名無しに見る名無し:2009/09/23(水) 00:02:17 ID:3GZAhNsc
 
459神経質な者、単細胞な者 ◆fG7rJLlLFE :2009/09/23(水) 00:06:35 ID:3HP8rl2F
車を入れても人が動けるだけの隙間がある部屋であったことと、ここが一階であったことが幸いし、四人はなんとか無事だった。

「だぁーめんどくせぇ!」
いきなりの狭い空間にイラついたカズマが、そう叫びながら部屋の壁を右腕で吹き飛した。壁に張り付く体制で逃げていたL、そして壁殴ったカズマが外に投げ出される。

「……本当にあなたは単純な男ですね」

「うるせぇ!てめぇはさっさとその変な仮面脱ぎやがれ。イラつくんだよ、それ」

「いやです。私はあなたが怖い」

「その態度、ちっとも怖がってねぇだろうが!……っておいこいつは……」

カズマがLに突っ掛かろうとした時、車の全体をLが照らした。そしてその車を見てカズマが固まる。

「あまり見たことのない車ですね。っというより私は見たことがない」

「君……島……」

それは小さな呟きだった。Lが聞き間違いかと思うほどに静かで小さな呟きだった。
……その車はカズマの唯一にして最高の友、君島邦彦の最後に乗っていた物。カズマがホーリーから奪い返し、死んだ君島を乗せたはずの車だった。

「……でこいつをどうするんだ?こっから出すか?」

「できますか?ならお願いします。右京さん達も窮屈でしょうから」

カズマは今までのことが嘘のように、とても丁寧に車をその右腕で外に出した。

「その車、何か思い入れでもあるんですか?」
「いや、別に……」

頭をかきながら何かが抜け落ちたようにカズマが答えた。Lも、これ以上追求できる雰囲気では無いことを悟り他の話題へと移行する。

「車はかなりの収穫ですね。運転するのは私か、Lさんですが」

「右京さんにお任せします。私も運転は出来ますが、あまり乗ったことが無いので。いいですか、みなみさん?」
「あっ、はい。構いません」

そのやり取りの中、カズマは何も言わなかった。ただ車を、車の運転席を静かに見つめていた。



「みなみさんの知り合いは、泉こなたさん、柊つかささん、柊かがみさん、高良みゆきさん、この四名ですね?」

「はい」

再び部屋を移動した四人は、続いて自分達の知り合いについて話し始めた。

「四人共ただの学生ですか。会ったらすぐ保護すべきでしょう」
「……わかりました」

Lは少し渋ったように右京に返事を返した。

「それではカズマ君、次はあなたの……」
「カズマさん……劉鳳、この人はあなたの知り合いですか?」

右京が質問しようとした時、Lがゲーム機を操作しながらカズマにこう問い掛けた。

「なに!?劉鳳の野郎が来てんのか!?」
460神経質な者、単細胞な者 ◆fG7rJLlLFE :2009/09/23(水) 00:07:55 ID:3HP8rl2F
「職業があなたと同じアルター使いの人間を上げただけです。他にもいるかも知れませんが……」

そうLに言われ、カズマは右京が差し出していた名簿を引ったくる。素直に答えそうにないカズマにLが取った行動だったのだが、効果はかなり高かったようだ。

「クーガー……………。橘あすか、ええっと確か、んなやつがいたような……。……かなみ!かなみだと!?かなみまでこんなところに呼ばれてんのか!?」

カズマはかなみの名前を見つけた途端、立ち上がり部屋の出口へと歩き始めた。

「カズマ君、どうしたんですか?」

「どうしたじゃねぇ、かなみのやつがいるんだよ、この殺し合いの中に!だからかなみを捜しに行くんだ!」

「待ってください。まだ外は真っ暗です。朝を待ち、私達と一緒に捜した方が見つかる確率は……」

「知ったことかそんなこと!俺は約束したんだ。かなみが危なくなったらどこに行ようが助けに駆け付けるってなぁ!!今がその時だろぉ?だから俺は行く!行かなきゃなんねぇんだよ!」

「あ、あの……」

もの凄い剣幕で右京にそう言い放ったカズマ。そのまま部屋を出ようとするカズマに、みなみが近付き腕を掴んだ。

「これ……」

「あぁっ!?なんだよ!?」

いらつきの最高潮といったカズマに、みなみが差し出したのはカズマのデイパック。忘れています。っと続きそうになった言葉をカズマに邪魔され、手が震えていながらもデイパックを差し出していた。

「……すまねぇ、悪かった」

みなみもカズマに居てほしい。しかしもしカズマの捜したい人が、一人で震えていたとすれば?
自分もカズマに出会わなかった場合どうなっていたかわからない。そう考えたみなみにカズマを止める事など出来なかった。

「いえ……」

そんなみなみの姿に罪悪感が沸いたのか、傍目から見てもカズマの燃えるような勢いが鎮火していくのがわかった。

「……カズマさん。どうしても行くというのならこれを持って行ってください」

「なんだこりゃ?」

Lがカズマに差し出したのはちぎったメモ用紙。そこには人の名前が幾つか書いてあった。

「みなみさんと右京さんの知り合いを、それぞれ分かりやすいように書いておきました。夜神月のことも書いてあります。外はまだ暗い。折角、暗視ゴーグルがあるんです。使える物は使った方がいいですよ」

「……あぁわかった」

Lとしてもカズマに残ってほしい。しかしLはカズマの性格を考え、引き止めるのは不可能っと判断した。

「それからあなたの知り合いですが……」

「……全員、殺し合いに乗るような連中じゃねぇよ。んで全員強い。まぁ俺にはおよばねぇがな」
461神経質な者、単細胞な者 ◆fG7rJLlLFE :2009/09/23(水) 00:08:47 ID:3HP8rl2F
メモ用紙をポケットに入れ、デイパックから暗視ゴーグルを出しながらカズマが部屋の出口に進んで行く。

「あとこれを」

「まだあんのか!?」

怒鳴りながら振り返ったカズマに投げられたのは、おはぎだった。

「あぁ、プレゼントではありませんよ。今は現金が無いのでそれで我慢してください」

「こんなところで依頼ってわけか?まあいい内容は?」

「かなみさんを見つけ出したらでいいです。警察署に来てください。そこで合流できればしてください」

「できれば……か。オーケー、わかった」

そう言いながら今度こそカズマは、部屋から出て行った。

「カズマさん……」

その背中を見ながらみなみが、寂しそうな顔で呟いた。




「じゃあな。君島……まぁなんだ……あいつらのこと頼んだぜ」

外に出たカズマは、もう一度車の近くまでやって来た。今は無き友にそう告げると暗視ゴーグルを付け、右腕を地に撃ち空へと高く飛び上がった。


【一日目黎明/Cー4廃洋館付近】
【カズマ@スクライド(アニメ)】
[装備]シェルブリット第一形態、暗視ゴーグル
[支給品]支給品一式、タバサの杖@ゼロの使い魔、暗視ゴーグル、おはぎ@ひぐらしなく頃に
[状態]健康
[思考・行動]
1:何が何でもかなみを見つけ出す
2:他は後だ後
[備考]
カズマはCー4から全速力で移動中です。
無職のカズマ、劉鳳の職業はアルター使いになっています。
カズマが食べたおはぎ、カズマが貰ったおはぎ、Lの手に残ったおはぎのアルファベットはわかっていません。
カズマは衝撃のファーストブリッドを撃った状態です。
462神経質な者、単細胞な者 ◆fG7rJLlLFE :2009/09/23(水) 00:10:08 ID:3HP8rl2F
「行ってしまいましたねぇ」

「えぇ、しかしかなみという女性は……まだ八歳ですよ」

Lがまたゲーム機を操作しながら右京に呟いた。

「八歳ならなおさら早く助けに行かなくてはなりませんよ」

「いえ、なんというか……」

Lはそういいながらみなみをチラッと見た後、再びゲーム機に視線を落とした。

「?」

「(単細胞な上にロリコンとは……)」

Lは殺人犯とはまた違う意味でカズマが危険では、ないかと思い始めていた。

【一日目黎明/C−4 廃洋館】
【L@デスノート(漫画)】
[装備]無し
[支給品]支給品一式、ニンテンドーDS型詳細名簿、アズュール@灼眼のシャナ、ゼロの仮面@コードキアス、おはぎ×3@ひぐらしのなく頃に
[状態]健康、頭部に軽い衝撃
[思考・行動]
1:協力者を集めてこの殺し合いをとめ、V.V.を逮捕する。
2:早朝になるまで廃洋館で待機
3:早朝になったら右京、みなみと共に廃洋館を出て、警察署に向かう

※カズマがロリコンだと思っています

【一日目黎明/C−4 廃洋館】
【杉下右京@相棒(実写)】
[装備]無し
[支給品]支給品一式、S&W M10(6/6)、S&W M10の弾薬(24/24)@バトル・ロワイアル
[状態]健康
[思考・行動]
1:協力者を集めてこの殺し合いをとめ、V.V.を逮捕する。
2:早朝になるまで廃洋館で待機
3:早朝になったらL、みなみと共に廃洋館を出て、警察署に向かう
4:カズマの知り合いに出会った場合、保護を頼みたい

※おはぎはLに譲りました。

【一日目黎明/C−4 廃洋館】
【岩崎みなみ@らき☆すた(漫画)】
[装備]無し
[支給品]支給品一式、君島の車@スクライド
[状態]健康、ゆたかを失ったことに深い悲しみ
[思考・行動]
1:L、右京と行動を共にする
2:ゆたかの仇を取りたい
3:他の知り合いが心配
4:カズマともう一度会いたい
5:V.V.の言葉も頭の片隅に留めておく
463 ◆fG7rJLlLFE :2009/09/23(水) 00:12:01 ID:3HP8rl2F
投下終了です
464創る名無しに見る名無し:2009/09/23(水) 00:53:13 ID:A3MaaKjm
投下乙!
ラジオ前に投下が来てかなり嬉しいww

カズマはニートでロリコンなのですね、分かります
他の連中だと橘は社長、クーガーはHOLY隊員って感じか
今回は出なかったけど、タバスコおはぎが誰の手に渡ったのか気になるなww
カズマの手に渡ってたら最悪すぐる
465創る名無しに見る名無し:2009/09/23(水) 01:05:14 ID:kSDhA1od
投下乙
カズマは単独行動か
かなみが参加していると分かったら仕方ないな
右京たちも詳細名簿や車が手に入って順調だけど、その分の反動が怖い
466創る名無しに見る名無し:2009/09/23(水) 01:08:51 ID:3GZAhNsc
読み終わった!投下乙です!
ニートでロリコンの甲斐性なしなのは事実だから仕方ないな!w
右京さんたちもカズくんもこれからどうなるか楽しみだ!
467創る名無しに見る名無し:2009/09/23(水) 01:21:10 ID:moFGCmHu
投下乙!
さり気なくカズマが月に警戒線張ってるんだよなぁ
この情報が外部に漏れたら、月は何も知らないのに極悪人になってるわけだ
月カワイソス(´・ω・`)

少し細かいかもしれませんが、カズマの状態表にて暗視ゴーグルが重複していること
後はLからもらったメモについて多少は触れておいた方が、さらに分かりやすくなると思います
いきなり指摘ですいません、初投下お疲れ様です
468 ◆fG7rJLlLFE :2009/09/23(水) 01:57:33 ID:3HP8rl2F
指摘どうもです
そこだけ直して投下した方がいいでしょうか?
469創る名無しに見る名無し:2009/09/23(水) 02:04:31 ID:moFGCmHu
>>468
その方が確実だとは思いますが、面倒であれば収容時にこちらで修正しておきます
470 ◆fG7rJLlLFE :2009/09/23(水) 02:18:58 ID:3HP8rl2F
カズマの状態表の部分だけ修正しました

【一日目黎明/Cー4廃洋館付近】
【カズマ@スクライド(アニメ)】
[装備]シェルブリット第一形態、暗視ゴーグル
[支給品]支給品一式、タバサの杖@ゼロの使い魔、おはぎ@ひぐらしなく頃に、Lのメモ
[状態]健康
[思考・行動]
1:何が何でもかなみを見つけ出す
2:他は後だ後


[備考]
カズマはCー4から全速力で移動中です。
無職のカズマ、劉鳳の職業はアルター使いになっています。
カズマが食べたおはぎ、カズマが貰ったおはぎ、Lの手に残ったおはぎのアルファベットはわかっていません。
カズマは衝撃のファーストブリッドを撃った状態です。
Lのメモには右京、みなみの知り合いの名前と簡単な特徴が書いてあります。夜神月については他より具体的に書いています。
471創る名無しに見る名無し:2009/09/23(水) 02:47:52 ID:moFGCmHu
修正乙です
472創る名無しに見る名無し:2009/09/23(水) 02:58:40 ID:p2uu4Z+X
投下・修正乙です!

カズマロリコンなのかww熱血キャラかと思ってた
みなみは右京さんとLと一緒なら安泰と思いたい
473創る名無しに見る名無し:2009/09/23(水) 03:13:45 ID:moFGCmHu
カズマは甲斐性なしのろくでなし
右京さんとLは頭脳的にはロワ内最強だけど、戦闘力的にはちょっと強い一般人程度
だけど近くにマーダーもいないし、当分は大丈夫……とは言い切れないか
474創る名無しに見る名無し:2009/09/23(水) 10:47:54 ID:/PDnEtpx
また新しい予約が!
475創る名無しに見る名無し:2009/09/23(水) 20:41:46 ID:A3MaaKjm
ラジオもうすぐか、とりあえず一周年おめ
476R-0109 ◆eVB8arcato :2009/09/23(水) 20:58:57 ID:KFCZO59F
477創る名無しに見る名無し:2009/09/23(水) 21:06:47 ID:moFGCmHu
ウィンドウズメディアプレイヤーのファイルってどこにあるの?
478R-0109 ◆eVB8arcato :2009/09/23(水) 21:07:32 ID:KFCZO59F
お使いのプレイヤーの「URLから開く」で

http://r-0109.ddo.jp:8000/を入力していただいても大丈夫です
479創る名無しに見る名無し:2009/09/23(水) 21:08:09 ID:3GZAhNsc
スタートの全てのプログラムのところにあるはず……そこから上のバーを右クリックでファイル→URLを開くでー
480創る名無しに見る名無し:2009/09/23(水) 21:12:09 ID:moFGCmHu
聞けた聞けた、ありがとう!
481創る名無しに見る名無し:2009/09/23(水) 21:53:46 ID:moFGCmHu
DSでここまで話が広がるとは思わなんだww
482創る名無しに見る名無し:2009/09/23(水) 21:58:15 ID:XVHwT902
実況スレでみんなで話そうぜw
483創る名無しに見る名無し:2009/09/23(水) 22:28:31 ID:moFGCmHu
昨日の話を収容しちゃっても大丈夫かな?
24時間経ってないけど、修正とかも済んでるし
484創る名無しに見る名無し:2009/09/23(水) 22:29:58 ID:XVHwT902
いいと思うよ!
485創る名無しに見る名無し:2009/09/23(水) 22:32:00 ID:moFGCmHu
おk、収容してくる
486創る名無しに見る名無し:2009/09/23(水) 22:58:15 ID:moFGCmHu
収容してる時にふと気になったんだが、
カズマとみなみの不明支給品枠ってもう消えた扱いでいいのかな?
487創る名無しに見る名無し:2009/09/24(木) 00:37:40 ID:IPBhHdf3
ふぅ、ラジオ楽しかった
488創る名無しに見る名無し:2009/09/24(木) 01:31:39 ID:UqCSDs10
うん、面白かった
そしてブラフマーストラの怖さが分かったw
489創る名無しに見る名無し:2009/09/24(木) 01:38:45 ID:iCiyLYTc
貴子はあの武器持ってるけど
縁と遭遇したらヤバイな・・・
490創る名無しに見る名無し:2009/09/24(木) 01:41:09 ID:2/3G8QJ0
しかしDSであそこまで盛り上がるなんてw
いやあ、結構レス行ってよかったw
491創る名無しに見る名無し:2009/09/24(木) 01:50:06 ID:IPBhHdf3
DSは偉大だなww
明日から護身用に持ち歩くかww
492創る名無しに見る名無し:2009/09/24(木) 02:12:25 ID:2/3G8QJ0
ラジオにおいて最初の盛り上がりを作ってくれたのは、間違いなくDSだったw
普通に感謝してるw
493創る名無しに見る名無し:2009/09/24(木) 22:41:27 ID:HnlLiE7X
Wikiの閲覧者数がすごいな、これがラジオ効果か
494創る名無しに見る名無し:2009/09/27(日) 19:21:13 ID:5S/SYcL7
投下は今日か明日だな
wktk
495 ◆ew5bR2RQj. :2009/09/28(月) 00:01:01 ID:uf+5Pn0h
劉鳳、翠星石、城戸真司、篠崎咲世子を投下します。
496創る名無しに見る名無し:2009/09/28(月) 00:01:16 ID:TwGr0xkc
sien
497創る名無しに見る名無し:2009/09/28(月) 00:03:06 ID:62uRIQKm
支援
498 ◆ew5bR2RQj. :2009/09/28(月) 00:03:39 ID:Tzx8fI3i
薄暗い森の中に忽然と存在する広場で、月光に照らされる男が一人。
名は城戸真司、彼の顔色は蒼白に染まっていた。

「なんだよ、これ……うっ」

彼の足元に転がっているのは、首の無い女の死体。
込上げてくる吐瀉物を、口元を抑えることで押し留める。
血塗れで首の無い惨殺死体、吐き気を催すのも無理は無いだろう。

「一体、誰がこんなことを……」

真っ先に思いつくのは、殺人犯である浅倉威の顔。
東條悟が手に掛けた可能性も、十分考慮できる。

「やっぱりライダーは倒さないと駄目だ、倒さないと……」

自らに言い聞かせるように復唱する真司、その表情から余裕は伺えない。

「とりあえずこの娘をなんとかしてあげなきゃ、このままじゃ可哀想だ」

彼は少女の死体に手を伸ばしながら、そう言った。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


同時刻。
死体に手を伸ばす真司を、劉鳳は真・絶影の背中から観察していた。

「……あの人間は殺されたのですか」

真・絶影のもう一人の搭乗者、翠星石が搾り出すように呟く。
彼女は死体を見ること自体が初めてなため、受ける衝撃も大きかった。

「……ああ、そうだ」

一方、劉鳳は死体を見るのは初めてではない。
ロストグラウンドは治安が悪く、そこを取り締まるHOLYに所属する彼は何度か死体を見ている。
だが何の感慨も無いわけではない、むしろこの中で一番感情が揺れ動いていた。
499創る名無しに見る名無し:2009/09/28(月) 00:04:35 ID:Eeahh/jM
支援
500 ◆ew5bR2RQj. :2009/09/28(月) 00:05:07 ID:Tzx8fI3i
「これを持って、しばらくどこかに隠れていろ」

自らのデイパックを翠星石に押し付けながら言う劉鳳。

「や、藪から棒になんなんですか、お前は!?」

翠星石の反応も当然のものであるが、彼がそれを気に留めることはない。

「これから俺はあの男を見定めなければならない、断罪するべきか否か」

彼の視線が鋭さを増し、呼応するかのように真・絶影が猛る。
そこから自らに拒否権が無いことを、翠星石は理解した。

「……分かったです、お前はそういう奴ですからね」

憎まれ口を叩きながらも、デイパックを受け取る翠星石。
彼女は能力の性質上、人間の本質を見抜くことに長けている。
だからこそ出会ってから数時間の劉鳳でも、その本質を理解できるのだ。

その後劉鳳は真・絶影を広場から離れた位置に着陸させ、無駄の無い動きで降りてゆく。
そして翠星石が降りると同時に、真・絶影を分解。
粒子になったそれを再び再構成し、拘束着によって真の力を封印する第一形態へと戻す。

「すぐに戻ってくる、だから絶対にここを離れるな」

そう言い放ち、足を踏み出す劉鳳。
その姿はやはり強引、他者が横槍を挟む余地など存在しない。

(また、俺は何も出来なかった……)

最初に赤毛の少女が殺された時、彼はただ見ていることしか出来なかった。
そして今回もまた一人、犠牲者を出してしまった。
だが今回は違う、仇かもしれない男がすぐそこにいるのだ。
こんなことをしても、殺された少女が戻ってこないのは分かっている。
それでもこれ以上の被害を食い止めることは出来るのだ。

せめてもの弔いを、その思いを胸に抱き
劉鳳は、広場に入る。

「そこの男、なにをしている」

目の前で死体を持ち上げる男、城戸真司に声をかける。
その声を聞き、真司はゆっくりと顔を上げた。

――――ここで劉鳳は、絶影を発現させておくべきではなかった。
何故なら真司から見れば、異形の姿を持つ絶影はモンスターにしか見えないのだから。
501 ◆ew5bR2RQj. :2009/09/28(月) 00:06:14 ID:Tzx8fI3i
「お前……」

モンスターを従えている人間は、真司の中でライダーに直結する。
他のライダーは彼にとって倒すべき対象なのだ、たとえ本心がそれを否定していたとしても。

「変身!」

カードデッキを前方に翳した後、腰に現れたバックルに差し込む。
すると真司は一瞬のうちに、仮面ライダー龍騎へと変身した。
普段の彼であれば相手に確認くらいは取っただろうが、直前の思考が祟って冷静な判断力を失っている。
むしろ唐突に現れたこの男が、先ほどの少女を殺した犯人ではないかとすら思っていた。

「ぶっ倒してやる!」

真司はバックルに収納されているカードを取り出し、左腕に装備された召喚機に装填。
夜空から剣が現れ彼の手に納まり、そのまま突進を開始した。

「毒虫が」

その姿を捉えた劉鳳は、歯軋りをしながら腕を伸ばす。
すると待機させていた絶影の首から、二本の触鞭が進行する。

(こいつで間違いない、こいつがあの少女を殺したんだ!)

声を掛けた直後には、既に剣を構えていたのだ。
おそらく少女の命も、このようにして不意を打って散らせたのだ。

「故に断罪するッ!」

剣と鞭が何度も衝突し、火花を散らす。
防ぎきれないものもあるが、真司は止まらない。
劉鳳も防がれるたびに鈍痛が襲うが、決して攻撃を止めない。
そこに乗せられているのは、燃え滾るような敵愾心。
完全な誤解から生まれた、勘違いの敵愾心だ。

劉鳳は真司を少女の仇だと思っている、しかし彼は少女の仇ではない。
真司は劉鳳をライダーだと思っている、しかし彼はライダーではない。

誤解は複雑に絡み合い、双方を死闘への誘う。
意味の無い、空虚な死闘へと。

――――GUARD VENT――――

真司が新たに装填したのは、両腕を覆うように装着された盾。
これで劉鳳は、側面からの突破が困難となった。

「ならば! 正面から切り開く!」

絶影は二本の触鞭を束ね、真司へと直進させる。
自らを切り刻まんと迫るそれを、真司は勢いよく薙ぎ払う――――が。
寸前で上下に分離され、失敗に終わると共に体勢を崩す。
そして隙を見せた真司の体を、容赦なく切り裂いた。
502創る名無しに見る名無し:2009/09/28(月) 00:06:19 ID:Eeahh/jM
支援
503 ◆ew5bR2RQj. :2009/09/28(月) 00:07:01 ID:Tzx8fI3i
「ぐあぁっ……くっ……うおおおおぉ!」

腹部の鋭い痛みを堪えつつ、剣を構え飛翔する真司。
ダメージは決して小さくないが、彼は屈するわけにはいかなかった。

「ちぃっ!」

防御に失敗した絶影は斬撃を直に受け、劉鳳は苦悶の表情を浮かべる。
しかし彼に休んでいる暇は無い、すぐそこに真司は迫っているのだから。

「ふんッ!」

振り下ろされた剣を、触鞭を交差させて受け止める。
力は完全に均衡、一進一退の攻防が展開されていた。

「なんで……変身しないんだよ!」

柄を強く握り締め、押し出すように問う真司。
絶影の――劉鳳の足が地面にめり込み、一歩後退させられる。

「何を訳の分からぬことを……言っている!」

真司を押し返すため、大地を強く踏み締める劉鳳。
真司の疑問に対する答えは単純明快、劉鳳はライダーではないからだ。
二人が僅かでも意思疎通が出来ていれば、すぐにこの答えを導き出せたであろう。
剣と触鞭は十数秒間の押し合いを続け、やがて完全に静止する。

「うわぁっ!」

勝利したのは劉鳳、弾き飛ばされたのは真司であった。
このまま押し合っても埒が明かないと判断した劉鳳は、触鞭を一本だけ防御から攻撃に転じさせる。
二本で互角だったものに一本で敵うはずもなく、押し合い自体は彼の敗北に終わった。
しかし押し切られるよりも速く触鞭で切り裂き、結果的に勝者は劉鳳となったのだ。

「くそっ! なら次はこれだ!」

剣を弾き飛ばされた真司は、三枚目のカードを装填する。

「次は何が来る!」

絶影を付近まで回収し、真司に対し警戒線を張る。
次々と武器や防具が現れるあの能力、次の一手が全く読めないのだ。
故に警戒、何が来ても対応できるように真司から目を離さない。

「なんだ、あれは!?」

ここで劉鳳は、大きな判断ミスを犯していた。
それは、カードデッキが呼べるのは武器だけでは無いということだ。
504創る名無しに見る名無し:2009/09/28(月) 00:08:12 ID:9h/KJzz3
支援
505 ◆ew5bR2RQj. :2009/09/28(月) 00:08:13 ID:Tzx8fI3i
「ウオオオオオォォォォォ!!」

全身を紅蓮色に染めた巨大な龍が、夜空に咆哮を轟かせながら迫ってくる。
龍騎の契約モンスター、ドラグレッター。
アドベントにより使役されるそれは、同種の中でも上位に君臨する攻撃力を持っていた。

「くっ……絶影!」

鋭い眼光、研ぎ澄まされた牙、荒れ狂う爪。
これらが一斉に劉鳳に向けられ、蹂躙せんと襲い掛かる。
生身で挑むのは自殺行為、ならば残された手段は一つしかない。

絶影を囮にし、この場を凌ぐことだ。

巨大な口に銜えられ、絶影の身体に亀裂が走る。
そのままドラグレッターは夜空へと駆け上がり、ある一点を境目に急降下。
その勢いのまま絶影を解放し、地面へと叩き落した。

「ぐっ……貴様……」

全身に鋭い痛みが走り、苦悶の表情を浮かべる劉鳳。
絶影が受けたダメージは、微量であるが使用者にも還元される。
だが上空から叩き落され還元されるダメージは、微量とはいえ生半可では済まない。
全身を苛む激痛を受け、彼はもがき苦しんでいた。

「っしゃぁ! このまま押し切ってやる!」

その一方で、真司は歓喜に打ちひしがれながら一枚のカードを取り出す。
それは龍の紋章が描かれた最終兵器、ファイナルベント。
使用すれば確実に相手を仕留めることのできる代物。
真司は左腕の召喚機にそれを押し当て、ふと静止した。

(これで……いいのかよ?)

かつて散っていったライダー達の最期が、脳内で再生される。
とどめを刺すには今が絶好の状態、モンスター相手であればこの機会を逃す術はない。
しかし今、戦っているのはモンスターではなく人間。
ファイナルベントを使用すれば、その相手の命は潰えることになる。
散っていったライダー達と同じように。
506 ◆ew5bR2RQj. :2009/09/28(月) 00:09:25 ID:Tzx8fI3i
「わあああぁぁぁぁぁぁっ!」

目を瞑り、雄叫びをあげる真司。
カードを持ち上げる動作はあまりにも緩慢、劉鳳に絶影を再構築させる隙を与えるほどに。

「柔らかなる拳、烈迅!」

再構築された絶影の触鞭が、真司の懐に潜り込む。
気付いた時にはもう遅い、彼は両腕を絡め取られ拘束されてしまう
モンスターは消滅すれば二度と復活しないが、アルターは使用者が力尽きぬ限り何度も再生する。
ここに来て、彼が劉鳳をライダーだと誤解している事実が影響を及ぼした。

「くそ! 離せよ! この!」

必死に抵抗するが、絶影の拘束が解けることはない。
真司は顔から下を触鞭に締め付けられ、宙に押し上げられた。

「ようやく観念したようだな、この社会不適応者が」
「誰が社会不適応者だよ! 人を見下しやがって!」
「貴様以外に誰がいる、耳障りだ、黙っていろ」
「なんだよ、さっきから偉そうに……」

言い合いを続ける劉鳳と真司、その内容は不毛と言っていいだろう。
劉鳳は顔を歪めながら真司を見上げ、口を開く。

「貴様に確認したいことがある、そこにいる少女を――――」

魅音の死体を指差し、発せられる言葉。
もしこの言葉が最後まで紡がれていたならば、ここで二人の勝負は終わっただろう。
しかし言葉は紡がれなかった。

白鳥のように舞う、第三者の乱入によって。

「な……にぃ!?」

純白のマントを翼のように広げ、空から降下してくる乱入者。
名をファムと言い、龍騎と同等の力を得た仮面ライダーの一人だ。
ファムは右手の細長いサーベルを用いて、劉鳳の背を切り裂いた。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


507創る名無しに見る名無し:2009/09/28(月) 00:10:01 ID:Eeahh/jM
支援
508 ◆ew5bR2RQj. :2009/09/28(月) 00:10:06 ID:Tzx8fI3i
仮面ライダーファムの動向を語るには、まず正体から明かさねばならない。
その正体は篠崎流の三十七代目を継いだメイド――――篠崎咲世子。
彼女は支給されたファムのデッキを使用するため、鏡かそれに準ずる物を探していた。
しばらく森の中を駆け回り、やがて不法投棄されたであろう家具の山を発見。
その中から割れた鏡を見つけ出し、付属していた説明書通りの動作を行う。
すると彼女の体は白を基準とした騎士の仮面と鎧に包まれ、仮面ライダーファムとなった。
最初はその変化や身体能力の上昇に戸惑っていたものの、先天的な才能からすぐに順応。
むしろこれはルルーシュ探索に役立つと判断し、すぐに行動に移していたのだ。

そんな時に出会ったのが、緑髪の男が奇妙な生物を従えて誰かを拘束する場面。
拘束されているのは自らと同種の力を持つ、仮面ライダー龍騎であった。
救援に向かうべきか否か、それを思案する咲世子。
仮面ライダーに変身している状態だと、中の人間が誰か分からない。
もしあれがルルーシュだった場合、救援に入らねば取り返しのつかない事態になる。
仮に龍騎がルルーシュではないとしても、大きな貸しを作ることができる。
緑髪の男は自分に気付いていないため、ファムのデッキの戦闘能力を試すにも絶好の機会。

攻め込むなら、今しかない。
そう思い、緑髪の男――――劉鳳の背中をサーベルで切り裂いた。

絶影の触鞭が緩まったため。龍騎の拘束は解かれる。

(後は協力して、あの男を倒せば……)

劉鳳に与えた傷は致命傷には達していなかったが、背中の傷からの出血は激しい。
龍騎と連携して戦えば、確実に勝利を掴むことはできるだろう。

「次から次へと……まとめて断罪する!」

高速を以って進行する触鞭
しかし直線的過ぎるが故に、咲世子が回避するには容易い。
舞うように跳躍し、触鞭が地面を通過するのを見下ろす。
このまま反撃に移り、今度こそ仕留めてみせよう。

――――そう思っていた時に、彼女は予想外の光景を目撃する。

「くらえッ!」

助けたはずの龍騎が、何故か自分に拳を向けていたのだ。
呆気に取られた彼女は腹に拳を受け、地上へと落下してしまう。

「っ……つぅっ……」

土煙が巻き上がり、純白の鎧が土色に汚れていく。
彼女は龍騎が攻撃してきた理由を思案しようとするが、劉鳳はその時間を与えない。
起き上がった瞬間には、彼女の身体を触鞭が刻み込む。
追撃を受けた彼女は、悲鳴を上げながら再度地面に倒れこんだ。
509創る名無しに見る名無し:2009/09/28(月) 00:10:08 ID:9h/KJzz3
支援
510 ◆ew5bR2RQj. :2009/09/28(月) 00:11:24 ID:Tzx8fI3i
(まずい!)

彼女は直感で理解する。
今すぐ体を起こさなければ、また龍騎に攻撃される。
蠢く痛みを堪えて強引に立ち上がり、周囲の確認もせず背後に飛び下がる咲世子。
だが龍騎が攻撃対象に選んだのは、アルター使いの劉鳳であった。

「この毒虫が!」
「人を見下すなって言ってんだろ!」

拳と触鞭が空中で衝突し、大気を震わせる。
お互いに一歩も譲らないせめぎ合い、展開される拮抗。
そして数秒後に双方は弾け飛び、引き分けと言う形で幕を閉じる。
これにより劉鳳、真司、咲世子の位置関係は、綺麗な正三角形を結べる形となった。

(どうやら……判断を間違えたようですね)

恩を仇で返すという諺があるが、まさにこの事だろう。
危険な所を助けてやったのに、そのお礼が拳とは笑えない。
少なくとも龍騎の正体が、ルルーシュでないのは分かった。
劉鳳に弁明するのも今更不可能だろう、一度攻撃を仕掛けた相手を許すはずがない。
同等の戦闘能力を持つ龍騎に、未知なる存在の絶影。
その二体と同時に相手にするのに、徒手空拳ではあまりに心もとない。
故に彼女は、武器を取り出す。

――――SWORD VENT――――

握り締めたサーベルの柄の翼を展開し、一枚のカードを装填。
そして現れたのは、彼女の身長ほどもある巨大な薙刀。
彼女はそれを空中で数度回転させ、対峙する二人に突きつけた。

(こいつらはアルター使いなのか……?)

最初に変身した能力は、カズマやクーガーが有する融合装着型に近い。
だが龍を召喚した能力は、どう見ても劉鳳自身が操る自立稼動型のものだ。
ファムもおそらく同じような芸当が可能なのだろう。
複数の能力を擁するアルターは有れど、複数のタイプに属するアルターは見たことがない。
やはりこれはアルターではなく、別世界の技術なのだろう。

(だがそれでも、俺は負けるわけにはいかない!)

未知の能力が相手だろうと、敵が二人になろうと。
彼は立ち止まるわけにはいかない、立ち止まっている暇もないのだ。

「もう温存などしてる場合ではない! 真の姿を解き放て、絶影!」

劉鳳の言葉と共に、絶影が淡い光に包まれる。
それはどんどん輝きと大きさを増し、それに併せて絶影自身も巨大化していく。
拘束服に包まれた両腕は解放され、劉鳳の半身ほどの大きさを持つ尾が姿を現す。
これが絶影の力を全て解放した形態、真・絶影。
その姿は、対峙する二者に畏怖の感情を抱かせた。
511創る名無しに見る名無し:2009/09/28(月) 00:11:47 ID:Eeahh/jM
支援
512創る名無しに見る名無し:2009/09/28(月) 00:13:25 ID:9h/KJzz3
支援
513創る名無しに見る名無し:2009/09/28(月) 00:13:39 ID:Eeahh/jM
支援
514創る名無しに見る名無し:2009/09/28(月) 00:14:56 ID:9h/KJzz3
支援
515真実の果てに ◆ew5bR2RQj. :2009/09/28(月) 00:15:03 ID:Tzx8fI3i
(またライダーかよ……一人でも精一杯だっていうのに)

視界の中に君臨する二人の敵を見据え、心中で呟く真司。
彼が咲世子を攻撃した理由は、彼女が仮面ライダーファムだったから、の一言に尽きる。
彼にとって全てのライダーは敵であり、対峙する二人もその例に漏れない。
が、今の彼は満身創痍な上に疲労も大きく、二人を倒すのは困難だろう。
しかし彼には、この状況からの逆転を可能とする最後の切り札がある。
それはサバイブと名付けられ、使用すれば戦闘能力は格段に上昇。
ドラグレッターも進化し、消費した武器すらも元通りになる。
この絶体絶命の状況下で使わない理由など存在しない。
真司は迷わず腰のベルトに手を伸ばす――――

「あれ?」

――――が、目的のカードを掴むことはなかった。

(無い! サバイブが無い!)

切り札の喪失という事態に、真司は動揺を隠すことのできない。
そして発生した隙は、残りの二人に動く切欠を与える。

「消えてなくなれ!」

最初に動いたのは、劉鳳の使役する真・絶影。
一瞬で真司の正面に移動し、巨大な尾を振り回す。
刹那の出来事の抗う術は無く、跳ね飛ばされる真司。

それから一秒後、真・絶影が影に覆われる。
真・絶影は無機質な瞳で空を仰ぐと、そこには飛来する咲世子の姿があった。

「柔らかなる拳、烈迅!」
「なッ!?」

咲世子が飛来した目的は、真司を薙刀で切り払うためであった。
だが今は違う、今の目的は何故か目の前にいる真・絶影の触鞭を防ぐことだ。

薙刀を大きく振り回し、触鞭を弾く。
反撃に転じようとした瞬間、背後に何者かの気配が忍び寄る。
正体を確認しようと振り向いた時、背中に鋭い衝撃が走った。

「あああぁぁぁっ!!」

受身も満足に取れず、地面に叩きつけられる咲世子。
全身を痛覚が支配する中、彼女は気配の正体を見た。

それは上半身が人間、下半身が蛇の化物。
直前まで正面にいたはずの、真・絶影。

「は、速すぎる……」

僅か数秒で音も立てず、正面から背後に移動する俊敏性。
その速度は、ライダーの力を得た咲世子でさえも追随を許さない。

「この俺の、絶影の裁きを受けろ!」

空中で待機していた真・絶影が、残像を従えて急降下を開始。
咄嗟に薙刀を構えようとするが、真・絶影は既に咲世子の頭上まで迫っている
巨大な尾が鎌首をもたげ、振り落とされる、が。

寸前に火炎弾が真・絶影を貫き、攻撃が届くことはなかった。
516創る名無しに見る名無し:2009/09/28(月) 00:16:20 ID:Eeahh/jM
支援
517創る名無しに見る名無し:2009/09/28(月) 00:17:53 ID:9h/KJzz3
支援
518創る名無しに見る名無し:2009/09/28(月) 00:18:08 ID:Eeahh/jM
支援
519真実の果てに ◆ew5bR2RQj. :2009/09/28(月) 00:18:30 ID:Tzx8fI3i
「ぐあああああぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

灼熱の炎にも勝る熱が劉鳳を包み、その苦痛が悲鳴として現れる。
実際に火炎弾を被弾したわけではないが、真・絶影が受けたダメージは劉鳳が受けたも同然なのだ。

「俺を忘れられちゃ困るんだよなぁ」

火炎弾を放ったのは、先ほど吹き飛ばされた真司。
否、彼の使役する紅蓮の無双龍、ドラグレッターであった。

真司が使用したのは、ストライクベント。
龍の頭部を模した手甲を右腕に装着し、攻撃対象に突きを入れる。
すると上空のドラグレッターが、高熱の火炎弾を吐き出す技だ。

「ぐうっ……これが貴様の炎か……だが――――」

炎は劉鳳を両脚、胴体、両腕、顔面を焼き尽くし、彼を苦痛の世界へと引きずり込む。

「俺は立ち止まるわけにはいかない! この場で舞い散れ!」

だが彼は膝を折らない、全身を焦がす炎をそのままに真・絶影を進行させる。
熱くないのか――――当然熱い。
しかしそれ以上に、彼の心に滾る炎の方が何倍も熱かったのだ。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「砕け散れ!」

眼前に迫る触鞭を紙一重で回避し、すぐさま臨戦態勢を取る真司。
逡巡している暇は無い、敵は背後に迫ってきている。

「くらいなさい!」

真司の首を刈り取らんと振るわれる薙刀。
それを右腕の手甲で受け止める、だが両者はすぐに戦線を離脱した。
何故なら真・絶影の触鞭が、彼らの身体を刻もうとしていたからだ。

先刻から展開されているのは、この繰り返しだ。
三者ともに致命傷を負うこともない小競り合い。
実力が拮抗しているからか、単純に人数が多いからか。
理由を挙げていけばきりが無く、そのどれもが正答とは限らない。
理由を枚挙していくなど、まさに不毛な行為だ。
だが展開されている小競り合いは、決して不毛ではない。
少しずつではあるが、確実に勝敗を左右しているのだ。

「ゼェ、ゼェ……うおぉっ!」

真・絶影の速度に対応するには、全速力を以ってしないと到底不可能。
さらに眼前の敵にのみ意識を集中していれば、背後から狙い撃ちにされる。
こうした状況下で戦闘を行えば、短時間でも体力の消費が激しい。
520創る名無しに見る名無し:2009/09/28(月) 00:20:27 ID:9h/KJzz3
支援
521創る名無しに見る名無し:2009/09/28(月) 00:20:34 ID:Eeahh/jM
支援
522創る名無しに見る名無し:2009/09/28(月) 00:20:39 ID:1GxHlPNo
支援
523真実の果てに ◆ew5bR2RQj. :2009/09/28(月) 00:20:47 ID:Tzx8fI3i
「あぁ……もう、逃げずに戦えよ!」

そして体力の消耗速度は公平ではない。
咲世子は途中から戦闘に乱入したため、他の二人に比べてもまだ余裕がある。
劉鳳も真・絶影の維持には相当の集中力を要するとはいえ、他の二人ほどではない。
だが真司は最初から戦闘に参加していて、なおかつ真・絶影の対応に追われている。
さらに戦闘場が狭すぎるが故に、ドラグレッターは満足に力を発揮できず、
拘束された時にファイナルベントを落としてしまったため、もう残されている札も無い。

「くそっ……俺ばっかり集中攻撃しやがって!」

咲世子は、先ほどから攻撃対象を真司に絞って猛攻を仕掛けている。
何故なら彼女には劉鳳を攻撃する理由がないからである。
こうした悪条件が重なり、真司の体力は他の二人に比べ消耗が早かった。

胴体に迫る巨大な尾を、手甲で弾き飛ばす。
背中を狙った薙刀を、体を捻って躱す。
その瞬間、刃と化した触鞭が顔面を掠めていく。
そして――――

「ぐあああぁぁっ!」

足元に向けられた薙刀が、真司の身体を転倒させた。
ヤバい、彼がそう直感した時には咲世子が薙刀を振り下ろしている。

「貴様も消え去れ!」

真・絶影の体当たりを受け、跳ね飛ばされる咲世子。
そのまま何度か地面を撥ね、最後に大木に激突して停止した。
結果として薙刀が真司の身体を貫くことはなく、彼は難を逃れた形となる。
さらに二人の注意が真司を逸れた今、彼に反撃を行う絶好の機会が訪れていた。

「うおぉぉぉぉ!」

手に装備された手甲を構え、真司は猛進する。
真・絶影の妨害も入ることなく、手甲が咲世子に達しようとした瞬間。

――――GUARD VENT――――

彼女の腕に白鳥の翼を模した盾が装備され、同時に大量の羽が巻き上げられる。
手甲はそのまま盾と接触するが、彼女の身体は蜃気楼のように消失してしまった。

「どこだ!?」

消失した咲世子を探すため真司は周囲を見回すが、大量の羽に視界を塞がれ発見できない。
躍起になって羽を叩き落すが、途切れることなく羽は纏わりつく。

「はぁ!」

そうしている間に背後から咲世子に切り裂かれ、彼は地面に伏した。
524創る名無しに見る名無し:2009/09/28(月) 00:22:01 ID:9h/KJzz3
支援
525創る名無しに見る名無し:2009/09/28(月) 00:22:02 ID:lZqvEVPI
支援
526創る名無しに見る名無し:2009/09/28(月) 00:22:22 ID:TwGr0xkc
支援
527創る名無しに見る名無し:2009/09/28(月) 00:22:27 ID:Eeahh/jM
支援
528真実の果てに ◆ew5bR2RQj. :2009/09/28(月) 00:22:46 ID:Tzx8fI3i
「あっ……くあぁ……」

完全に不意を突いた一撃。
真司は起き上がることができず、無抵抗のまま激痛に喘いでいる。
今度こそとどめを刺す、彼女がそう決意する、が。

「剛なる右拳・伏龍!」

沈黙していた真・絶影が稼動、右脇に装着されたミサイルが発射される。
速度は真・絶影と同等、後部から火を噴きながら推進している。
真司への攻撃を中断した彼女は、薙刀を両手に持ち替えて迎撃。
ミサイルの先端と薙刀の刃先が衝突し、金属音と火花を散らす。
お互いに一歩も譲らんとする気迫、だがすぐに決着は着いた。

空中を旋回する薙刀、華奢な身体を撃つミサイル。
敗北したのは、咲世子の方であった。

咲世子はミサイルの推進力に逆らえず、森林の奥へと吹き飛ばされる。
伏龍は大岩を容易く貫通する威力を持つ、真・絶影の必殺技。
それを受け止めるのは、決して容易くはないのだ。

(また、助けられたのか……?)

先と今、真司は窮地に陥った所を二度も劉鳳に助けられている。
これは劉鳳が意図的に行っているのだろうか。

「剛なる左拳・臥龍!」

いや、違う。
劉鳳の目的は真司と咲世子の断罪。
一刻も早く目の前の毒虫を倒すという思いが、効率よりも優先されただけの話だ。
その証拠がたった今、真司に向かって発射された二発目のミサイル。
伏臥する龍は回転しながら地を駆け抜け、無抵抗の真司の身体を跳ね飛ばした。

「ぐあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

耳を劈く絶叫が彼の口から漏れだし、森林の空気を震撼させる。
肩に盾が装着されていなかったら、ミサイルによる一撃は致命傷に成りえただろう。
真司は装着された両の盾と引き換えに、ようやく一命を取り留めるに収まったのだ。

倒れ伏せたまま動けない真司、吹き飛ばされ姿の見えない咲世子。
その中で劉鳳は、大地を両の脚で踏み締めている。
衣服はところどころ焼け焦げ、彼自身も肩で息をしている状態。
それでも彼は、しっかりと立ち続けていた。
529創る名無しに見る名無し:2009/09/28(月) 00:23:42 ID:1GxHlPNo
しえん
530創る名無しに見る名無し:2009/09/28(月) 00:24:11 ID:Eeahh/jM
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531創る名無しに見る名無し:2009/09/28(月) 00:24:15 ID:9h/KJzz3
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532真実の果てに ◆ew5bR2RQj. :2009/09/28(月) 00:24:24 ID:Tzx8fI3i
「ハァ……ハァ……貴様らの……負けだ!」

真・絶影を近くに呼び寄せ、劉鳳は前を見据えながら宣言する。
――――その瞬間、無機質で機械的な音声が彼の耳に届いた。

――――FINAL VENT――――

数本の樹木が削り取られたかのように消失し、中心から人影が姿を見せる。
正体は篠崎咲世子、いや仮面ライダーファム。
その姿を劉鳳が視認すると同時に、背後から烈風が吹き荒んだ。

「なんだ……これは!?」

吹き飛ばされるのを寸前のところで押し留まり、背後を確認する劉鳳。
彼の視界に映ったのは、純白の翼を羽ばたかせて烈風を巻き起こす巨大な白鳥、ブランウイング。

「こいつはあの龍と同じ存在……だが何かが違う」

前方で薙刀を用いて、飛来する障害物を斬り続ける咲世子の姿を見て叫ぶ。
それもそのはず、彼女が使用したのはファイナルベント。
従来の武器の威力とは段違いの、各ライダーに一枚ずつ与えられた最終兵器だ。

「くっ、なんとかこの風を切り抜けなければ……だが、手段が無い」

真・絶影は烈風に煽られ機敏性を活かせず、風除け程度にしか活用できない。
だがその役目が解かれるのも、もはや時間の問題であった。

(俺は……死ぬのかな)

その一方、薄れてゆく視界の中で真司はふと考える。
彼のいる地点はブランウイングから離れているため、劉鳳ほど強い風には煽られていない。
しかしそれも時間の問題、劉鳳が吹き飛ばされたら烈風は即座に彼に向くだろう。
彼に抵抗の余力のなく、死はすぐそこまで訪れている状態だ。

(なんとかしなきゃ……でも、どうやって)

朦朧とする頭を必死に回転させる真司。
そんな彼の視界に、見覚えのある物が映りこんだ。
それは絶影に拘束された時に、手から零れ落ちたファイナルベントのカード。

(でも、これを使ったら……)

自分も、加害者になってしまう。
しかしこれ以外の手段はもう彼には残されていない。

(俺が死んだら、優衣ちゃんは……)

彼の脳裏に浮かぶのは、神崎優衣の笑顔。
ここで死ぬことは、戦いをやめることに直結する。
もしライダーバトルが終了する前に優衣が誕生日を迎えたら、彼女は消滅してしまうのだ。
533創る名無しに見る名無し:2009/09/28(月) 00:25:11 ID:1GxHlPNo
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534創る名無しに見る名無し:2009/09/28(月) 00:25:29 ID:TwGr0xkc
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535創る名無しに見る名無し:2009/09/28(月) 00:25:32 ID:9h/KJzz3
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536創る名無しに見る名無し:2009/09/28(月) 00:25:42 ID:Eeahh/jM
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537創る名無しに見る名無し:2009/09/28(月) 00:27:05 ID:lZqvEVPI
支援
538真実の果てに ◆ew5bR2RQj. :2009/09/28(月) 00:27:09 ID:Tzx8fI3i
(俺はどうしたらいいんだよ……)

ライダー達と最期と、神崎優衣の笑顔。
それらが脳内で交互に浮かび上がり、交錯していく。
彼が苦悩している間も、刻々と死は迫ってきている。

(俺は……俺は……ッ!)

苦悩する真司、迫る時間。
烈風が吹き荒ぶ中で、彼の視線にある物を捉える。
それはこの乱戦の発端となった、首を斬り落とされた園崎魅音の死体。

(俺は――――)

悲鳴を上げる体を持ち上げ、ふらつきながらも立ち上がる真司。

(ライダーを倒す、ライダーは……倒さなきゃいけないんだ!)

そうしないと魅音のような被害者がもっと出てきてしまう。
そう考えた彼は、最後に残されたカードを召喚機に読み込ませた。

――――FINAL VENT――――

上空へ舞い上がる真司、地上へ下降するドラグレッター。
そうして二つの身体が交差した瞬間、ドラグレッターの口から炎のエネルギーが真司へと照射される。
そして真司は飛び蹴りの体勢をとり、咲世子目掛けて突っ込んだ。

「うわあああああぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

上空から降り注ぐ彼の姿からは、投擲された槍が連想される。
紅蓮色の軌跡を描くそれが誇るは、圧倒的質量と速度。
全てを撃ち貫く炎の槍と、風の加護を得た薙刀。
二人のライダーの最終兵器が、満月の見守る中で合間見えようとした瞬間。

「え?」

咲世子の姿が、真司の視界から掻き消えた。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

539創る名無しに見る名無し:2009/09/28(月) 00:28:06 ID:9h/KJzz3
支援
540創る名無しに見る名無し:2009/09/28(月) 00:28:09 ID:1GxHlPNo
しえん
541真実の果てに ◆ew5bR2RQj. :2009/09/28(月) 00:28:18 ID:Tzx8fI3i
時間は数分ほど遡り、戦場と化した広場から十数メートルほど離れた地点。
そこに聳え立つ木陰に隠れながら、翠星石は体を震わせていた。

「あああああああんな戦いありえないですぅ!」

薄暗い森林内で十数メートルも離れていれば、内部の様子は殆ど目視できない。
だが森林の上空、それも巨大な龍となれば話は変わってくる。
彼女の両目に映ったのは、巨大な龍が火炎弾を発射する姿だった。
さらに彼女の耳には、火炎弾を受けた劉鳳の悲鳴も届いている。
薄暗い森の中であろうと、音は関係なく届くのだ。
そして一番恐ろしいのは、あれだけ高密度の火炎弾を被弾したにも関わらずまだ劉鳳の声が聞こえることである。

「あんなのを受けたら翠星石は死んでしまうですよ」

自分達を遥かに上回る能力を持つ人間が、ここには何人も存在する。
先ほどの光景は、その事実を彼女にはっきりと認識させたのだ。

「ここはさっさと逃げるに限るですね」

急に身の危険を彼女は感じ始め、傍に置いてあったデイパックを抱える。
そうして踵を返した時、彼女の右手に握られていた杖が感触を訴えてきた。

「真紅……」

心細さからか、翠星石は杖の持ち主の名を呟いてしまう。
そしてふと、真紅がこの場に居たらどうするかを考えた。

「逃げるなんていうのは、まずありえないですね」

自嘲的に微笑む翠星石。
プライドの高い真紅のことだ、逃げるくらいなら死んだ方がマシとでも言うのだろう。
同様の理由でこの場で待機もありえない、となれば残された選択肢は一つしかない。

「キザ人間を助ける」

姉妹の中で最も面倒見のいい真紅であれば、間違いなくこの選択肢を選ぶのだろう。
だったら杖と一緒に彼女の信念も受け継いだ翠星石が、窮地に陥った劉鳳を助けに行くのも当然の話。
怖くないわけではない、ただ劉鳳を失うことが何故かそれ以上に怖かったのだ。
翠星石は木々に見守られながら森林の中を駆けはじめる。

「ま、全くキザ人間はしょうもない奴ですねぇ! 翠星石がいなくちゃなんもできないです」

自らを奮起させるためか、強がりを言い放つ翠星石。
端から見れば痛々しい姿だが、それでいい。
劉鳳を助けに行ったという、その事実が重要なのだ。
小柄な体を必死に動かし、一分、一秒でも早く劉鳳の下へと彼女は走る。
そうして数十秒、彼女は肩で息をしながら広場へと辿り着く。

「劉鳳!!」

――――そう叫んだ時、彼女は二つの物を見た。
一つは自らの目の前でジャンプし、上空に飛び上がった白い戦士の姿。
そしてもう一つは、脚部に炎を宿らせて自らに迫る赤い戦士の姿だった。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


542創る名無しに見る名無し:2009/09/28(月) 00:28:49 ID:Eeahh/jM
支援
543創る名無しに見る名無し:2009/09/28(月) 00:29:38 ID:1GxHlPNo
支援
544創る名無しに見る名無し:2009/09/28(月) 00:30:02 ID:Eeahh/jM
支援
545真実の果てに ◆ew5bR2RQj. :2009/09/28(月) 00:30:02 ID:Tzx8fI3i
真司のファイナルベントが失敗に終わった原因は、彼自身の経験にある。
ライダーバトルの参加者は真司を含め、力を手にするまではただの人間であった。
故に咲世子のような、超常の力が無くとも十分な戦闘能力を持つ者の存在を彼は想定できなかったのだ。

「ハァ……ハァ……そんな……」

真司にも先ほど何があったのか、おおよその事は把握できていた。
ファイナルベントは咲世子に避けられ、たまたま現れた無関係の少女に当たってしまった。

「……俺は……なんの関係もない女の子を……」

殺してしまった。
間違いなく彼の脚には、少女を蹴り飛ばした感触があった。
その業の深さに嘆き、崩れ落ちようとする真司。
その時、背後から甲高い声が響いた。

「は、はぁ〜、び、びっくりしたですぅ!」

それは彼が殺してしまったはずの、翠星石の声であった。
背後を振り向くと、そこには傷一つない彼女の姿がある。
つまり彼は、翠星石を殺していなかったということだ。

「よかった……」

安堵から脱力した真司は、そのまま地べたに座り込む。
翠星石が自分に野次を飛ばしていたが、今はそれすらも心地よい。
そうして数秒が経過した時、彼は奇妙な疑問に気付く。

(あれ、でもなにかを蹴ったよな、俺)

確かに彼は、何かを蹴り飛ばす感触を感じていた。
ならばその感触の正体は、何だったのか。
疑問を深めた瞬間、ばたん、と何かが倒れる音がした。

「劉……鳳?」

音の聞こえた方向に、首を向ける真司。
そこで彼は、蹴り飛ばした物の正体にようやく気付いた。
周辺に散らばる焼け焦げた部品、その中は見覚えのある腕や触鞭、そして顔面がある。
そう彼が蹴り飛ばしたのは、真・絶影だったのだ。

「劉鳳ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

翠星石は脇目も振らずに劉鳳の下に駆け寄る。
そうして見た彼の体は、あまりにも悲惨な状態だった。
腹部は貫通したかのように穴が空き、そこを中心に全身の至るところへ広がっている火傷。
穴からは夥しい量の血液が溢れ、地面に染みこんでいる。
どう見ても、致命傷だ。

546創る名無しに見る名無し:2009/09/28(月) 00:30:55 ID:Eeahh/jM
支援
547創る名無しに見る名無し:2009/09/28(月) 00:31:02 ID:1GxHlPNo
しえん
548真実の果てに ◆ew5bR2RQj. :2009/09/28(月) 00:31:32 ID:Tzx8fI3i
「なんで……なんで、劉鳳を殺したですか!?」

真司に背を向けながら、翠星石は問い掛けてくる。

「そこの人間を殺して、劉鳳を殺して、今度は翠星石も殺すですか? だったら相手になるです!」

翠星石は体を反転させ、言葉を叩きつける。。
だがその中に、身に覚えの無い物が一つ存在した。

「ちょ、そこの女の子を殺したのは俺じゃ無いよ!」
「嘘です! お前の言うことなんか信じられないです!」

体を震わせながらも、必死で反論する翠星石。
完全に聞く耳持たずと言った様子であり、真司の言葉を頭ごなしに否定し続ける。
その姿を見て、真司はある疑念に駆られていた。

劉鳳がライダーであるなら、小さな少女を連れ歩くのだろうか。
劉鳳が悪人であるなら、こんなにも好かれるのだろうか、
そもそも劉鳳は、本当にライダーだったのだろうか。

「あ……あ……」

ここでようやく真司は気付いた、自らの抱いた勘違いに。

「ああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!!!」

轟く叫び。
同時にライダーの変身が解け、真司と咲世子の姿が晒される。

「ッ!」

自らの姿が晒されるのを嫌ったのか、咲世子は逃げるように森の中に消えていく。

「ごめん! 俺、俺……!」

真司は涙を流しながら、劉鳳の下へ駆け寄る。
劉鳳は辛うじて息をしているものの、致命傷を負った事には変わりない。

「早く起きるです! 死んじゃ嫌です! 劉鳳!!」

傷だらけの劉鳳の体を揺り動かす翠星石。
その必死さあってか、劉鳳の瞼はゆっくりと開かれた。
549創る名無しに見る名無し:2009/09/28(月) 00:32:17 ID:9h/KJzz3
支援
550創る名無しに見る名無し:2009/09/28(月) 00:32:26 ID:Eeahh/jM
支援
551真実の果てに ◆ew5bR2RQj. :2009/09/28(月) 00:33:14 ID:Tzx8fI3i
「劉鳳!」
「……無事だったか、翠星石」

劉鳳の吐き出す声は、先刻と比べると余りにもか細い。
もう死期が近いことを、嫌でも悟らされた。

「ごめん、ごめん! 俺……俺……!」
「……お前は……一つ問おう、本当にあの少女を殺してないのか?」

魅音の死体に目を向けながら、真司に問う劉鳳。

「俺じゃない、俺じゃないよ! 俺が来た時にはもう……」
「……そうか……なら、すまなかった……ごふっ!」

劉鳳の口から鮮血が濁流し、口元から零れ落ちる。
ようやく双方の誤解が解かれるが、それはあまりにも遅すぎた。
致命的なまでに、遅すぎたのだ。

「お前……名は何と言う?」
「俺は真司、城戸真司……」

嗚咽交じりの声で、真司は自らの名を告げる。

「そうか、城戸というのか……お前に頼みがある
 ……この先、翠星石を護ってやってくれないか?」

本来の劉鳳という男は、一度決めたことは他者を頼らず自らの命を賭して実行しただろう。
だが今の彼には、もう賭すための命が無いのだ。

「嫌です、死んじゃ嫌です、劉鳳、劉鳳ぉ!」

翠星石は劉鳳を手を握り締め、何度も何度も彼の名を叫ぶ。
真司も涙を流しながらしきりに頷き、また涙を流す。

(よかった……)

真司の返事を聞き、劉鳳は笑む。
その表情は死を直面したにしては、あまりにも穏やかだ。
最期に夜空に煌く星達を掴もうと手を伸ばし――――

――――そのまま、地に落ちた。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

552創る名無しに見る名無し:2009/09/28(月) 00:34:03 ID:9h/KJzz3
支援
553創る名無しに見る名無し:2009/09/28(月) 00:34:45 ID:Eeahh/jM
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554創る名無しに見る名無し:2009/09/28(月) 00:35:27 ID:Eeahh/jM
支援
555真実の果てに ◆ew5bR2RQj. :2009/09/28(月) 00:35:32 ID:Tzx8fI3i
劉鳳が致命傷を負ったのは、真・絶影が翠星石を庇った時に受けたダメージが還元したからである。
しかしここに一つの疑問が生じる、真・絶影から還元されるダメージが大きすぎる事だ。
その原因は、主催側が課した制限にある。
自立稼動型のアルターである絶影は、使用者が倒れぬ限り何度でも復活する。
仮の姿ですら相当の実力を持つ絶影が何度でも再生可能、という状況を不公平と主催側は判断したのだ。
それ故に絶影には使用者に還元されるダメージの増加、という枷がかけられていた。

彼は、それに気付かずに庇ったのだろうか。
答えはノー、気付く機会など戦闘中にいくらでも存在していた。
ならば彼は死を覚悟してなお、翠星石を庇ったのだろうか。
それも違う。
彼は何かを考える前に、気が付いたら体が動いていたのだ。

最初に小早川ゆたかの死を防げず、園崎魅音の死も見過ごしてしまった。
だからあれこれ考える前に、体が動いていたのだ。

結果として、彼は命を落としてしまった。
後悔がないといえば嘘になるだろう。
だが彼は翠星石を庇ったことを、決して後悔はしていない。

【劉鳳@スクライド 死亡】


【一日目黎明/B−2 森】
【翠星石@ローゼンメイデン(アニメ)】
[装備]真紅のステッキ@ローゼンメイデン
[支給品]支給品一式 確認済支給品(0〜2)
[状態]健康 
[思考・行動]
1:殺し合いから脱出。
2:真紅、蒼星石、クーガー、あすか、かなみとの合流(蒼星石を最優先)、水銀燈は警戒。
3:劉鳳の死に対する深い悲しみ。
4:真司のことは信用していない。
※スイドリームが居ない事を疑問に思っています。

【城戸真司@仮面ライダー龍騎(実写)】
[装備]無し
[支給品]支給品一式、龍騎のデッキ@仮面ライダー龍騎(二時間変身不可)、確認済み支給品(0〜1)
[状態]ダメージ(大)、疲労(大)
[思考・行動]
1:劉鳳を殺してしまったことに対する深い罪悪感。
2:翠星石のことは守り抜きたい。
※翠星石、真司共にメイド服の女(咲世子)を危険人物だと思ってます。

【篠崎咲世子@コードギアス 反逆のルルーシュ(アニメ)】
[装備]無し
[支給品]支給品一式 双眼鏡@現実、ファムのデッキ(二時間変身不可)、確認済支給品(0〜1)
[状態]ダメージ(中)、疲労(中)
[思考・行動]
1:ルルーシュと合流する。
2:ルルーシュが殺し合いから脱出する方法を探す。
[備考]
※赤髪の少女(シャナ)、茶髪の男(真司)を危険人物だと思ってます。
※どの方向に進んだかは、次の書き手さんにお任せします。

※劉鳳のデイパック(支給品一式、不明支給品1〜3)は付近の森に放置されています。
556創る名無しに見る名無し:2009/09/28(月) 00:35:54 ID:lZqvEVPI
支援
557創る名無しに見る名無し:2009/09/28(月) 00:37:17 ID:Eeahh/jM
支援
558 ◆ew5bR2RQj. :2009/09/28(月) 00:38:16 ID:Tzx8fI3i
以上です、たくさんもの支援ありがとうございます。
ライダーデッキの変身時間は

普段は一時間で、ファイナルベントを使用した場合+一時間というのを考えてみました。
計算するのが面倒であれば、普通に一時間に修正します。

誤字脱字矛盾等があれば、遠慮なく指摘してください。
559創る名無しに見る名無し:2009/09/28(月) 00:56:07 ID:9h/KJzz3
投下乙です
この早とちり、喧嘩っ早さ、鈍さ、どれを取っても真司だ、悲しくなるぐらい真司だ
劉鳳、逝くには早すぎる男だったぜ……らしいと言えばらしい死に方だった
とにかく乙!
560創る名無しに見る名無し:2009/09/28(月) 01:22:15 ID:Eeahh/jM
投下乙です
劉鳳ォォォォ!お前らしい死に様だけど、無茶しやがって
真司は殺すとしたら誤殺だと思ってたけど、やっぱりやらかしたか
今後は信用されてない翠星石とどう接するのか興味深いな
咲世子も無駄に敵を作っちゃったし、正に誰の特にもならない戦いだった
誤解が積み重なった戦い、お見事でした

指摘は細かいですが>>501で真司が変身時にカードデッキを反射させている描写がないことぐらいです
制限に関しては他の話との矛盾も無いので、個人的には今回のものでいいと思います
561創る名無しに見る名無し:2009/09/28(月) 01:53:42 ID:lZqvEVPI
投下乙です

劉鳳……あんたよくやったよ
こうなった以上、真司には翠星石をしっかり守ってほしいな
562創る名無しに見る名無し:2009/09/28(月) 11:02:51 ID:NU/Yub5W
スクライド知らなかったけど、
参戦しているのはいい人ばっかりだw
563 ◆ew5bR2RQj. :2009/09/28(月) 16:24:22 ID:Tzx8fI3i
たくさんの感想ありがとうございます。

>>560
実は森の中で簡単に見つかる反射物が思いつかなくて、あえてぼかしてたんですよね。
魅音の死体から流れた血溜まりとかでなんとかなるでしょうか。

あといくつか分かりづらいと思う所を見つけたので、修正させてください。
>>545
故に咲世子のような、超常の力が無くとも十分な戦闘能力を持つ者の存在を彼は想定できなかったのだ。

故に咲世子のような、超常の力が無くとも十分な身体能力を持つ者の存在を彼は想定できなかったのだ。

>>555
後悔がないといえば嘘になるだろう。

心残りがないといえば嘘になるだろう。

状態表の最後に
※魅音のデイパック(支給品一式、不明支給品1〜3)が
 シャナに持っていかれたか、その場に残されているかも次の方にお任せします。
の一文を追加。

以上です、投下後の修正申し訳ありません。
564創る名無しに見る名無し:2009/09/28(月) 17:02:52 ID:Eeahh/jM
魅音は首を切られてますから血溜まりが出来ていてもおかしくありませんね
それでだめなら基本支給品にペットボトルもありますし
565 ◆ew5bR2RQj. :2009/09/28(月) 23:39:03 ID:Tzx8fI3i
>>564
よく考えてみると魅音が殺されてから数時間は経過しているし、
血溜まりで変身は真司っぽくないので、足元に水溜りがあったということにしておきます。

カードデッキを前方に翳した後、腰に現れたバックルに差し込む。

カードデッキを足元の水溜りに翳したあと、腰に現れたバックルに差し込む。

これに差し替えます。
何度も何度も修正して本当にごめんなさい。
566創る名無しに見る名無し:2009/09/29(火) 19:21:37 ID:RSzbplx4
しばらく見てない間に二作も投下が……二人とも投下乙!!

>神経質な者、単細胞な者
タイトル通りに神経質な頭脳組と単細胞なカズマの組み合わせが良い!
右京さんは一般人なのにカズマにも怯まないのは凄い、流石は警察官

>真実の果てに
劉鳳……まさかこんな早くに死ぬとは思わなかった
運が悪いというか何というか、とにかく南無
まさか浅倉より早く真司が殺しちゃうとは、これからどうすんだろ
567創る名無しに見る名無し:2009/10/04(日) 15:31:51 ID:0GoC1kaa
相棒のCMで亀山君の姿が見当たらなかったんだけどクビになったの?
568創る名無しに見る名無し:2009/10/04(日) 15:48:29 ID:jo9QPjdh
亀は二期ほど前に引退したぜ〜
569創る名無しに見る名無し:2009/10/04(日) 22:05:18 ID:0GoC1kaa
相棒って亀山君と右京さんがいるから、相棒なんじゃないの?
なんか違う気がするな
570創る名無しに見る名無し:2009/10/05(月) 07:32:46 ID:bqnHjD81
亀山が止めたのはシーズン7の中盤
二期も前じゃないよ

亀山がいない相棒はすでに相棒じゃないから見てないな
まあスレチか
571創る名無しに見る名無し:2009/10/05(月) 17:42:55 ID:64gKFyK8
ところでシャナって作品読んだことないけど
かなり強そうw戦闘力では女キャラ最強かな・・
572創る名無しに見る名無し:2009/10/05(月) 19:18:54 ID:zmBKX6HR
女性で他に強いのって咲夜子さんと玲子くらいじゃね?
後は銀様とか
573創る名無しに見る名無し:2009/10/05(月) 19:56:25 ID:64gKFyK8
C.Cと貴子が心配w
縁の付近にいるから
574創る名無しに見る名無し:2009/10/05(月) 20:16:06 ID:PsbUw4LL
玲子は女性なのか?
575創る名無しに見る名無し:2009/10/05(月) 23:28:47 ID:/tQIVsVQ
意外と後藤が男だったりするかもしれん
576創る名無しに見る名無し:2009/10/06(火) 01:40:14 ID:PfSUNj0i
意外と後藤が女だったりするかもしれん
577創る名無しに見る名無し:2009/10/06(火) 08:39:08 ID:n9u4b6v+
タバサとかは。そんなに強くないの?
578創る名無しに見る名無し:2009/10/06(火) 12:40:01 ID:pvaXIV26
タバサは杖あればかなり強い方じゃない
女の中では
579創る名無しに見る名無し:2009/10/06(火) 14:05:45 ID:fDkfyRn7
志々雄に下克上できるかもな>杖あれば
580創る名無しに見る名無し:2009/10/06(火) 16:49:48 ID:k3iV2Mp5
ラジオ実況によるとアイゼルも強いらしいが
581創る名無しに見る名無し:2009/10/06(火) 20:09:16 ID:25xZdntd
光の戦士も光の剣(本物)があれば最強クラス
582創る名無しに見る名無し:2009/10/06(火) 21:31:01 ID:p0QqUtPP
タバサが強いのは分かってるけど、あんまり強く感じないのは何故だろう
583創る名無しに見る名無し:2009/10/06(火) 21:39:08 ID:n9u4b6v+
アイゼルは縁が相手だったから、あんまり強く見えなかったw
584創る名無しに見る名無し:2009/10/06(火) 21:51:16 ID:p0QqUtPP
おい、右京さんが痴漢冤罪で逮捕されてるぞ
585創る名無しに見る名無し:2009/10/06(火) 23:15:59 ID:NqFwXfn2
>>584
右京さんの前世は歌麿だったんですね。わかります
586創る名無しに見る名無し:2009/10/06(火) 23:31:59 ID:feKi+78g
>>583
あれだ
三村や杉村は中学生クラスじゃなかったけど、桐山は人間クラスじゃなかった
それと同じ
587創る名無しに見る名無し:2009/10/07(水) 00:21:32 ID:duAoDcX2
>>583
炎の魔人アイゼルという伝説があってだな……
588創る名無しに見る名無し:2009/10/07(水) 08:27:07 ID:vGbX55xk
縁はシャナが相手だったらいい勝負になりそう。
589創る名無しに見る名無し:2009/10/07(水) 16:49:55 ID:zLRaEFTx
ロリの気はないっぽいしな
590創る名無しに見る名無し:2009/10/07(水) 18:34:26 ID:bdxxLkeo
縁はいつ吹っ切れるかが鍵になりそうだな
一回でも殺せたら、後は順調に行きそう
591創る名無しに見る名無し:2009/10/07(水) 20:29:39 ID:duAoDcX2
どこまでが女なんだろうな。
シャナは一応高校生だから女と認識されるか?
592創る名無しに見る名無し:2009/10/08(木) 00:28:00 ID:0T1F0i1m
神谷薫も高校生ぐらいの年齢だから
シャナも女と認識されるのでは
593創る名無しに見る名無し:2009/10/08(木) 02:27:42 ID:adgqXSuP
>>592
シャナの外見は12〜13歳程度らしい
巴が死んだ当事の縁より年上の若い女性だったら、縁にとって女になるんじゃないかな
594創る名無しに見る名無し:2009/10/08(木) 02:34:21 ID:vvl/K0CV
ロリの気がない縁
本気で闘わないと危ないかもしれない相手
相性抜群だな
595創る名無しに見る名無し:2009/10/08(木) 12:46:53 ID:rsQzRDyM
剣術だけでもジェレミアよりは善戦できそう
シャナは
596創る名無しに見る名無し:2009/10/08(木) 20:30:47 ID:yTUhlIX2
そもそもシャナのスペックってどんなだったっけ?
アニメ見たのがかなり前だから思い出せない
597創る名無しに見る名無し:2009/10/09(金) 18:08:52 ID:iKwneH8R
るろ剣勢よりは普通に強いと思ったてた。
598創る名無しに見る名無し:2009/10/11(日) 03:02:12 ID:MEmEeFE+
C.C「若い女性というのは当然私も入るんだろうな?」
599創る名無しに見る名無し:2009/10/11(日) 09:27:51 ID:sq+8i7GU
ホント女の敵だなw縁は
600創る名無しに見る名無し:2009/10/11(日) 13:53:42 ID:jhicAJ26
多分、蒼星石は女と認識されないんだろうなw
そもそもローゼン勢は人形だから微妙だけど
601創る名無しに見る名無し:2009/10/11(日) 17:36:28 ID:ESgfF56r
今後の縁はデリカシーが命運を分ける気がする
602創る名無しに見る名無し:2009/10/12(月) 00:07:19 ID:Sjs1GpnS
縁とまともに戦えそうな女って
シャナや玲子や咲夜子さんぐらいかあ・・
603創る名無しに見る名無し:2009/10/12(月) 00:58:19 ID:x9qHCUzb
後藤が女なら、後藤が女なら、余裕で勝てる!
604創る名無しに見る名無し:2009/10/12(月) 01:25:51 ID:9G1NXzLT
>>602
銀様なら本人も強いし、スザクもいるから戦えんじゃね?
605創る名無しに見る名無し:2009/10/12(月) 09:44:32 ID:AySzrOlN
意外にも一般人に始末されるかもw
ブラフマーストラ直撃とか
606創る名無しに見る名無し:2009/10/12(月) 19:29:32 ID:d5EH5s5M
死者スレに投下きてるー
剣心ww可哀想だけど事実だからなwww
607創る名無しに見る名無し:2009/10/12(月) 21:49:11 ID:9G1NXzLT
三回殺されてるってどういうこと?
608創る名無しに見る名無し:2009/10/14(水) 01:16:26 ID:u3UXi8kh
ちょwwゆーちゃんの死亡者名鑑が来てるwww
名鑑の人乙すぎるwww
609創る名無しに見る名無し:2009/10/14(水) 01:48:18 ID:eXQ6aExf
ゼロの使い魔ってあんまり強力な魔法とか
ない印象がする。

610創る名無しに見る名無し:2009/10/14(水) 07:54:51 ID:WqquuKz8
>>607
多分分岐してるのと、オールロワの話を合わせて3回だと思う
611創る名無しに見る名無し:2009/10/15(木) 00:14:39 ID:rQq21Qzr
>>609
アンリエッタとウェールズが協力して繰り出した魔法は、サイトの耳がちぎれとぶくらいの威力だった
他にはルイズが一年分くらいの魔力を消費して放ったエクスプロージョンとか
612創る名無しに見る名無し:2009/10/15(木) 02:54:19 ID:RjDF69xN
後藤にエクスプロージョンが直撃すれば
流石に致命傷ぐらいにはなるだろうか
613創る名無しに見る名無し:2009/10/15(木) 03:18:59 ID:0qlkqrak
内臓を吹き飛ばせば死ぬな
本人はマシンガンでも真正面から受けたら危険だと言ってたし
614創る名無しに見る名無し:2009/10/15(木) 03:42:24 ID:rQq21Qzr
一期アニメの最後のエクスプロージョンは、巨大戦艦を壊滅させる規模だったしなぁ
だけど唱えるのに異様に時間掛かるし、そもそもルイズ死んでるしで実用性は無いな

個人的なイメージだけど、ゼロ魔はの魔法は手数はあるけど決め手に欠けてる気がする。
615創る名無しに見る名無し:2009/10/15(木) 08:41:03 ID:uH0Ka4cK
>>613
ショットガンは全方位から複数直撃しても無傷だったのになww
616創る名無しに見る名無し:2009/10/15(木) 14:10:28 ID:4FY5rJI3
後藤って空飛べたりしないよね?
617創る名無しに見る名無し:2009/10/15(木) 20:51:09 ID:nLf9kF78
>>616
その気になれば飛べる
一巻で犬に寄生した奴が飛んでいたし、
最終巻の後書きに始めは後藤を飛ばすつもりだったと書いてあるから
618創る名無しに見る名無し:2009/10/15(木) 21:26:48 ID:e6PTgpsN
追跡シーンでは走るほうを選んでたから飛ぶよりは走った方が速いんだろうな
619創る名無しに見る名無し:2009/10/16(金) 00:32:24 ID:T++wdDdo
空も飛べるとか本当になんでもありだなwwww
620創る名無しに見る名無し:2009/10/16(金) 00:50:56 ID:W0ahCIZp
一巻の犬は寄生部分が翼に変形して飛んでたんだから
その気になれば田村玲子も(ミギーが翼になれば)新一も飛べる。
621創る名無しに見る名無し:2009/10/16(金) 01:38:42 ID:6qBFKjTT
でもミギーは翼になったパラサイトを馬鹿にしてたからな
本体自らが翼などに変身したため注意力が散漫になり死角を作った。不勉強な奴とか
だから好んで飛ぼうとはしないと思う
622創る名無しに見る名無し:2009/10/16(金) 02:03:28 ID:8b8qhXPT
後藤ってどこまで自分の能力把握してるんだろう?
把握しきれてない感じがするんだよなぁ
623創る名無しに見る名無し:2009/10/16(金) 09:41:33 ID:ycRAhrWk
後藤は女の姿にすらなれそうw
624創る名無しに見る名無し:2009/10/16(金) 15:05:24 ID:i27yJER9
後藤vs縁
スピードは互角か
625創る名無しに見る名無し:2009/10/16(金) 17:57:54 ID:ycRAhrWk
そんなに縁ってすごかったけ?
るろのラスボスではあるけれど
626創る名無しに見る名無し:2009/10/16(金) 18:23:28 ID:x36JUxSh
狂経脈が発動すれば、神速と言われた剣心の動きに見てから余裕でした^^できる
627創る名無しに見る名無し:2009/10/17(土) 09:27:35 ID:v5tuStU/
タバサでも杖あれば縁と戦えるかも
628創る名無しに見る名無し:2009/10/17(土) 13:16:58 ID:xSaPBsWV
タバサじゃ目視する事も出来ないんじゃね?
629創る名無しに見る名無し:2009/10/17(土) 15:54:16 ID:i+GXTaLT
縁の知らない魔法を使えるのがタバサの利点になるな
剣心の敗因もそこにあったし
630創る名無しに見る名無し:2009/10/17(土) 22:38:20 ID:ebnXdns9
空飛びながら魔法撃つとかできればな
631創る名無しに見る名無し:2009/10/18(日) 12:59:14 ID:mW1jgEzu
縁の動きはアイゼルでは目視できなかったけど、
ジェレミアぐらいまでいくと目視できるんだな
632創る名無しに見る名無し:2009/10/18(日) 20:48:49 ID:yhdHEbMM
狂系脈出して動きまわったら、分からんぞ。一瞬しか出してなかったんじゃないっけ?
633創る名無しに見る名無し:2009/10/19(月) 13:57:11 ID:jLd6HBt6
狂系脈出しながら女追い回す縁
怖いなw

634創る名無しに見る名無し:2009/10/21(水) 08:43:27 ID:uWI4KocQ
ローゼン勢って強力な魔法使えるの?
635創る名無しに見る名無し:2009/10/21(水) 10:42:30 ID:dcmuT2hj
ローゼンは契約してくれる人間と人工精霊がそろえばまあまあってところじゃない?
契約不要のやつや固有武器持ちもいるけど
ただバトルロワイアル的な経験は他よりずば抜けてあると思う
636創る名無しに見る名無し:2009/10/21(水) 18:30:22 ID:uWI4KocQ
ローゼンは人形だから
寄生獣たちの食事ならんで済むのかな。
637創る名無しに見る名無し:2009/10/21(水) 21:04:10 ID:kcvCFDgg
殺った後で人形に気付いたら悲惨過ぎる
638創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 11:12:49 ID:p/8oNHX/
男主人公って普通の高校生?
だとしたら一般人の高校生と中学生のコンビか
近くにマーダーもいるし危険だ

639創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 15:19:54 ID:xdcwEAWi
男主人公は元々は普通の高校生だったと思う
ただRPGの主人公な上にED後からの参戦だからかなり場数は踏んでるはず
640創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 23:44:12 ID:+IaHPHAv
・剣と銃を扱える。
・戦闘経験豊富。
・人外に耐性あり。
・何回か死んでる可能性がある。

男主人公のスペックはこんなところだな
641創る名無しに見る名無し:2009/10/23(金) 02:46:29 ID:HH0/lCi4
じゃあ狭間は?
ラジオで聞く限りかなり高スペックみたいだが
642創る名無しに見る名無し:2009/10/23(金) 04:06:56 ID:EOQjMZVb
性格は根暗で誇大妄想。でもIQ256で頭は凄く良く、悪魔召喚プログラムを実用化した。
魔界にある無限の塔を攻略した。

・ゲームでのHPは2万、MPは2000
・使える攻撃魔法は敵全体に火炎、氷結で攻撃する2種類。
・後は敵全体と、敵一体にそれぞれ拳で攻撃(これが一番威力が高い)
・補助魔法として魔法反射、味方全体の攻撃力と命中率上昇、敵全体の攻撃力、防御力、命中率を下げるものがある。

チート以外の何ものでもないなw
643創る名無しに見る名無し:2009/10/23(金) 11:49:58 ID:qjvauah3
ブラフマーストラの威力とかは?
狭間の攻撃魔法より強いんだろうか・・
644創る名無しに見る名無し:2009/10/23(金) 12:51:26 ID:gXIstyYZ
銃と魔法だから単純には比べられないけど、ブラフマーストラの攻撃力が199、狭間が使う火炎が威力85、氷結が威力65だ
ちなみにブラフマーストラの攻撃力は銃だけなら三番目だけど、剣も含めればベスト10にも入らない
645創る名無しに見る名無し:2009/10/23(金) 13:21:16 ID:+VBRvduC
>>637
魚釣った後で、食おうと思ったら、金属だった……みたいな感じかな?
646創る名無しに見る名無し:2009/10/23(金) 19:34:03 ID:xJqS2ggq
「ンだよ食えねーのかよ使えねー、いらんわこんなん」ぽいっ

クッソ迷惑だなw
647創る名無しに見る名無し:2009/10/23(金) 20:08:21 ID:+VBRvduC
でも、寄生生物たち(田村・ミギー除く、後藤も?)にとってみれば、
餌だと思って狩った獲物が、実は食べられませんでしたって、そんな感じじゃね?
寄生生物たちにしてみりゃ、迷惑なのは人形の方だろうよ。

まぁ、食い物とパチモンの区別ぐらいつくだろうけど
648創る名無しに見る名無し:2009/10/23(金) 20:14:56 ID:xJqS2ggq
>>647
そういう感覚の違いって、なんかいいよねー
色んなキャラが参加しているからこその面白さだぜ
649創る名無しに見る名無し:2009/10/24(土) 00:06:26 ID:9Dppx3eb
ローゼンメイデンって肌の触感も人間と同じらしいし、球体関節くらいしか見分けがつかないかもしれない

……誰でもいいからうちに来ないかな
650創る名無しに見る名無し:2009/10/24(土) 00:31:50 ID:HB8h9Xi1
みんなオタロワにいってるからしょうがない
もすこししたら帰って来るさ
651創る名無しに見る名無し:2009/10/24(土) 00:58:17 ID:9Dppx3eb
言えない、ローゼンメイデンの誰でもいいから来てくれないかなという意味だったなんて……
652創る名無しに見る名無し:2009/10/24(土) 01:12:14 ID:HB8h9Xi1
えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ
653創る名無しに見る名無し:2009/10/24(土) 02:31:20 ID:+lJHi15h
このやり取り、悪いけど吹いたwwww
654創る名無しに見る名無し:2009/10/24(土) 08:22:30 ID:WcqGxkeC
気持ちは分からなくもないけどそっちだったとはwww
655創る名無しに見る名無し:2009/10/25(日) 01:21:14 ID:kLG7DNOb
予約キタ━━(゚∀゚)━━!!!!
656創る名無しに見る名無し:2009/10/25(日) 13:15:56 ID:BZ9Rq7u8
レナと真紅に大きすぎる死亡フラグが立ったか
657創る名無しに見る名無し:2009/10/25(日) 13:18:24 ID:BZ9Rq7u8
スマン、ageてしまった
658創る名無しに見る名無し:2009/10/26(月) 18:07:09 ID:5PFTqExR
栄養価満点
659創る名無しに見る名無し:2009/10/26(月) 23:00:27 ID:ncVk33Ib
栄養価満点でおやつ(犬)と玩具(真紅)付きのお子様ランチか
660創る名無しに見る名無し:2009/10/27(火) 12:52:33 ID:TnZkiTOo
おもちゃを間違って食べたら、消化不良で体壊すな
661創る名無しに見る名無し:2009/10/27(火) 23:16:40 ID:FEmkJnFM
また予約来たぞ
662創る名無しに見る名無し:2009/10/27(火) 23:36:14 ID:+biAsR9c
ついにロワの運命を左右するメガテン勢に予約が入ったか……
663 ◆U1w5FvVRgk :2009/10/29(木) 20:13:50 ID:fV1FxzTr
仮投下しました。
問題点についても記載しましたのでご意見をお願いします。
664創る名無しに見る名無し:2009/10/30(金) 17:06:59 ID:dNnLBJXB
また規制か
665 ◆EboujAWlRA :2009/10/30(金) 22:52:43 ID:g8nZFWJW
規制中のため、仮投下スレに投下しました
666創る名無しに見る名無し:2009/10/31(土) 12:42:17 ID:NYBE4Z4N
代理投下したいんだけど規制中……誰か規制中じゃない人いない?
667創る名無しに見る名無し:2009/11/03(火) 13:53:46 ID:3DDNv9Z5
きせい
668◇U1w5FvVRgk 代理:2009/11/03(火) 13:59:30 ID:3DDNv9Z5
犬にじゃれられる乙女と、それを陶酔状態で写真に収める少女。
 バトルロワイアルの会場と言えど、これほど珍妙な出会いを果たしたものは他に居ないだろう。
 幸いにも乙女――真紅の一撃で少女――竜宮レナは正気に戻り、会話をするには至った。
 元々聡明な二人故に一度落ち着いてしまえば理解は早い。
 その後の情報交換はすんなりと行われた。若干の問題は発生したが。

「ねえ、レナ。貴方、ちゃんと聞いてるの?」
「うん、聞いてるよ〜翠星石ちゃんに蒼星石ちゃんか。かぁいいんだろうなぁ〜」
「…………」

 一言で表そう。現在の竜宮レナの顔はだらしない。
 真紅と出合った時に戻ったとも言える。
 始めはまともだった。
 自分は殺し合いをするつもりはなく、友達を探して脱出するのが目的だという事。
 もし真紅も殺し合いに乗っていないなら協力してほしい事など、自分の意思を明確に伝えていた。
 真紅としても目的はレナとさして変わらないので、同行を断る理由は無かった。
 次は真紅が話し出したのだが、問題は真紅の姉妹の話になった際に起きる。

 一人目、危険性の高い水銀燈の話をしたとき、レナはまだ真面目な顔付きだった。
 二人目、仲間である翠星石の話をしたときは目が輝きだした。
 三人目、翠星石の双子の妹である蒼星石の話になったときは頬が緩んでいた。

 必要な事とはいえ、レナにその手の話をするのは不味かったようだ。
 聞き終えた後は、すっかりまだ見ぬかぁいいものの虜と化してしまった。
 レナの緩みきった顔を見れば、こんな時に不謹慎だと怒る者も居るだろうが、
 真紅は溜め息を一つ吐くだけだった。
 殺し合いの最中に能天気な顔を晒すレナに対しての呆れはある。
 それでも、真紅はレナを侮りはしない。
 根拠としては、異常事態に巻き込まれながら冷静である点が挙げられる。
 真紅はアリスゲームを経験しているので、殺し合いにそれほど動揺は無かった。
 何しろ数百年の間を姉妹同士で争ってきたのだから年期が違う。
 だが、見たところレナはただの人間だ。
 普通は殺し合いに参加などさせられれば、錯乱してもおかしくはない。
 それなのにレナは冷静であるばかりか、自分の趣味について考える余裕まである。
 少なくともこの点を真紅は評価していた。今のところはこれだけとも言えたが。

「はぅ〜」

 さすがにいつまでもこんな状態では困る。
 つい先ほど、同様の状態となったレナを真紅は元に戻した。
 ならば今度もそうするまでと、真紅は上体を右に捻る。
 すると、ツインテールにしてある髪の片方が宙に揺れて、月明かりを反射した金髪が力強くしなる。
669◇U1w5FvVRgk 代理:2009/11/03(火) 14:01:05 ID:3DDNv9Z5
いくら至近距離とはいえ、真紅はこの髪で自身の倍以上の大きさがあるレナを一度ぶっ飛ばしている。
 それと寸分違わない鋭い一撃が、無防備なレナの横っ面に打ち付けられた。
 パァン、という小気味良い音が鳴った。
 今度はレナの身が宙を舞うことはなく、首だけが真横に曲がった。

「はぅ!?」
「目は覚めた? それなら話の続きをしたいんだけど」
「う、うん。分かった」

 ようやく正気に戻ったのか、レナは左頬を擦りながら頷く。
 真紅はレナを見つめながら髪に触れている。
 まただらしない顔になったら叩く、とアピールしているようにも見えた。

「といっても、後はそれほど話すことも無いから移動しましょう」
「うん……」

 どことなくしょんぼりとした様子で、レナは傍らに突き立つ剣を持つ。
 柄の部分に拳を保護する為の護拳がある、一般的にはサーベルに分類される剣だ。
 柄は金色で、剣身は真紅のドレスと同じく真っ赤に染められている。
 色合いだけなら悪趣味だが、どこか禍々しい威圧感が感じられた。
 重厚な外見を見れば小柄な真紅はもちろん、平均的な成人男性ですら持てるかどうかの重量はあるだろう。
 しかし、レナはそれを軽々と持ち上げていた。それも片手で。
 真紅はレナをただの人間と判断した。
 だが、あの剣を携えているところを目にすればその判断が揺らいでしまう。

「よくそんなものを平然と持てるわね」
「ちょっと重たいけど、いつも斧とか鉈を持ってるから平気だよ」

 レナはあっさりと言うが、内容の方はあっさりと聞き逃せないものだ。
 当然だ。レナのような女の子が、どうしたら常日頃から斧や鉈を持つ生活を送るのか。
 少なくとも簡単に想像できるものではないだろう。

「どうして、いつも斧や鉈を持ってるの?」
「かぁいいものを探すのに使うんだ」
「意味が分からないのだわ。貴方の言うかぁいいものを探すのにどうして鉈が必要なの」
「掘り出す為には必要だよ。例えばゴミ捨て場とかから」
「そんなところに何があるというの。ただのゴミでしょ」
「そんなことないよ」

 真紅の言葉を、レナは即座に否定した。
 見れば、その顔付きは先ほどのふざけたものやしょんぼりしたものではなく、真剣なものとなっていた。
 二人の青い瞳がじっと見詰め合う。

「一度壊れて捨てられても、必要としてくれる人が居たら、それはゴミなんかじゃないんだよ」

 そういうレナに真紅は驚きに目を見開き、思わず右腕の付け根の辺りを押さえた。
 以前、真紅は水銀燈との戦いで右腕をもぎ取られたことがある。
670◇U1w5FvVRgk 代理:2009/11/03(火) 14:01:48 ID:3DDNv9Z5
完璧な少女【アリス】を目指すローゼンメイデンにとってパーツの欠損は致命的だ。
 壊れた人形などジャンクでしかない。それが真紅の認識だった。
 当然ながら真紅は悲観に暮れたのだが、真紅のミーディアムである桜田ジュンは言った。
『僕はお前を何かが欠けた人形だなんて思ってない。
 例え足り無いものがあったとしても、それは僕が埋めてみせる』と。
 さっきのレナの発言は、真紅にその時のジュンを思い起こさせた。

「そう……そうね。レナ、貴方は正しいのだわ。そして、とても優しい」
「えへへ、そうかな? かな?」

 照れ臭そうに笑うレナに、真紅は頷いた。
 少なくとも、今のレナは好印象だった。
 これなら同行しても問題ないと真紅も思う。
 されど、問題はまだ残っていた。

「レナ。貴方は私に渡す物があるわ」
「え? 何かな?」
「とぼけないで。カメラよ」

 真紅の要求に、レナの表情が固まった。
 インスタントカメラ。
 レナの支給品の一つであり、真紅の痴態が収められている品。
 あんな写真を現像でもされたら、ローゼンメイデンのプライドは木っ端微塵になってしまう。
 だから、何としても渡してもらいたかったが、

「やだ」

 レナは一言で拒否を表した。
 かぁいいもの命のレナに、譲渡を求めるのが無理である。
 真紅から表情が抜け落ちた。
 無表情となった顔は、夜の雰囲気と相まってかなり怖い。

「渡しなさい」
「やだ」

 真紅が一歩迫ると、レナが一歩下がった。

「渡しなさい」
「やだ」

 繰り返す。

「渡しなさい!」
「やだ!」

 等々怒鳴り声にまで発展した。
 女の機嫌は変わりやすいと言うとはいえ、先ほどまでの和やかな空気はどこにいったのか。
 今や一触触発にまで行きそうだ。

 ピシュン、ピシュン

 二人の耳に聞きなれない音が届いたのはそんな時だった。

 ■  ■  ■

 後藤は飢えていた。
671◇U1w5FvVRgk 代理:2009/11/03(火) 14:02:43 ID:3DDNv9Z5
それは食事としての意味もあったが、もう一つの意味もある。
 戦闘だ。後藤は戦闘にも飢えていた。
 戦いこそが自らの存在意義としている後藤にとって、食事と同様にとても重要なものだ。
 先程のルイズはどうみても餌にしかならないので三木に任せたが、今では間違いだと思っていた。
 支給品を使い思わぬ反撃をしてきたルイズは、後藤が戦ってもいい相手だった。
 もし最後のロケットランチャーが胴体に直撃していれば、勝敗は逆転していたのだから。
 もっとも、後藤が最初から戦っていれば出会い頭の一撃で仕留めていたかもしれないが。
 そのルイズを食した後は街中を徘徊してみたものの、次の餌は一向に見つからない。
 後藤は北に向かって歩いていたのだが、この選択が間違っていた。
 もし後藤が西か南に進んでいれば、今頃は餌にありつけていた。
 西なら斎藤一と泉こなた、南の遊園地ならストレイト・クーガーと柊かがみに遭遇していただろう。
 その場を動かずに留まっていても、平賀才人がやってきていた。
 これまでは人間など腐るほど居たために、捜索するのに慣れていないのもあるとはいえ運が無い。
 そうこうしているうちに、後藤は街の北辺まで着いてしまった。
 眼前には道路と草原が見える。
 後藤は西を向き、次は東を向くと、頭を捻った。

(この街に何人の人間が滞在しているのかは知らないが、隠れたりしていたら面倒だな。
 それなら、一度外に出てみるか)

 どちらかといえば、後藤は室内や森などの密集した地形での戦闘が得意だ。
 広い場所での戦闘は三木の方が適している。
 とはいえ、餌が見つからねばどのみち意味がない。
 遮蔽物の無い場所なら餌を見つけるのも難しくはない。
 後藤が僅かに屈むと、足の皮膚や肉が圧縮されて硬質化していく。
 足先も二つに分かれてウサギの足のような形となった。
 変形が終わると後藤はしゃがみ、足のバネの反動を使って駆け出した。
 ピシュン、ピシュン、と独特の風切り音が辺りに響く。
 見る見るうちに速度は上がっていくが、エリアE−10の中程で後藤は止まった。
 いや、止まらざるを得なかった。
 思いがけない肉体の不調によって。

(どういうことだ? 普段ならもっとスピードが出るはずだが)

 いつもの後藤なら、自動車と同等の速度は余裕で出せる。
 しかし、今は精々が時速四十kmに届くがどうかがやっとだった。
 これが後藤に科せられた制限である。
 さすがに常時乗用車並みのスピードで動き回られるのは、他の参加者と差がありすぎると判断されたのだ。

(おかしいと言えば、こっちもか)

 後藤は右腕を刃に変形させて、振るってみる。
 高速の刃が鞭のようにしなり、空気を切り裂いた。
 もし人間が立っていたなら、間違いなく真っ二つになっているだろう。
 一見した限りでは問題ないようにみえるが、後藤は物足りない様子だ。

(やはり遅い。原因は不明だが、俺の体に何かが起こっているようだな)

 攻撃速度の低下。後藤のもう一つの制限だ。
 参加者の大半が普通の人間である以上、人間が認識できない速度で攻撃させるわけにはいかなかった。


672◇U1w5FvVRgk 代理:2009/11/03(火) 14:04:47 ID:3DDNv9Z5
確認を終えると、後藤は右手と足を元に戻した。
 別に腕の速度が落ちても後藤は十分に戦えるが、足の速さが落ちているのはいただけない。
 これでは餌を探すのが遅れるからだ。
 パラサイトとて動けば腹が減る。
 空腹のまま餌を見つけるまで走り続けるのは、後藤としても多少は堪える。
 さて、どうするかと考え出して、ここで後藤はようやく気付いた。
 東に数十メートル先から、こちらを唖然と見つめる二人の少女に。
 片方は茶色の髪に、青と白の二色を基調としたセーラー服を着ている。
 身長は百六十cmほどで、肉付きはそれほど悪くないが、まだまだ発展途上だろう。
 右手には赤い剣を携えていた。
 もう片方は艶やかな金髪に、真紅のゴシックロリータ風のワンピースを纏っている。
 こちらは四十cmほどの大きさしかない。
 二人を一見して、後藤が思ったことは失望と疑問の二つ。
 失望の原因は、茶髪の少女程度の体型では食しても物足りない事に。
 疑問の原因は、金髪の少女に全く食欲が湧かない事に。

(あっちの金髪は……まあいい、確かめればいいだけだ)

 少女たちとの接触を決めた後藤は、少女たちに向けて歩き始めた。
 全ては、金髪の少女が獲物として足りえるのか確認するために。
 そして、もう一人の少女を食らうために。

 ■  ■  ■

「真紅ちゃん。あの人、何だろう?」
「判らないわ。でも、一つ訂正しなさい。あれはおそらく人ではないわ」

 レナの怯えを含んだ声に、真紅ははっきりとした声で返した。
 真紅としても、こちらに近づいてくる男が何者なのか検討が付かない。
 道路を走って表れたかと思ったら、いきなり右腕を刃に変形させたのだ。
 ここから見ても、その刃の鋭さは理解できた。
 それが高速で振るわれたのを見たときは、寒気すら感じた。
 真紅もアリスゲームを通して様々な時代を巡ってきたが、あんな生物は見たことがない。
 外見だけなら間違いなく人。しかし、中身は人に在らず。
 まさに得体の知れない存在だが、それでも真紅には分かることがあった。
 あれが警戒対象であり、このまま近づかせてはいけないということだ。
 真紅はデイパックを背から降ろすと、中から球状の物体を取り出した。

「止まりなさい!」

 凛とした声が響き、男は歩みを止めた。
 真紅としては本当に止まるとは思ってなかったので、少し意外だった。
 男は真紅の声に動じた様子もなく、ただ真紅を見ている。
 まるで観察でもするかのように見つめられ、真紅は不快感を感じた。

「レディをジロジロと見るなんて、失礼な男ね」
「お前は何だ?」

 真紅の言葉に反応せず、男は不躾な質問をしてきた。
 少なくとも、初対面の相手に掛ける言葉ではない。
 真紅は益々不快感を募らせた。
 レナは様子を窺うように両者を見比べている。

「相手に質問する前に、まず名乗るべきよ」
「そうか。俺は後藤と呼ばれている」
673◇U1w5FvVRgk 代理:2009/11/03(火) 14:07:23 ID:3DDNv9Z5
「そう。それじゃあ後藤。私が何だとはどういう意味かしら?」
「簡単なことだ。お前は人間なのか?」

 後藤の言葉に、真紅は得心が行った。
 確かに初めてローゼンメイデンを目にすれば、大抵の者は驚く。
 それだけ真紅たちは精巧に出来ているということだ。
 この男もその例だと思い、真紅はいつもどおりに名乗った。

「私はローゼンメイデン第五ドールの真紅。要するに人形よ」
「人形……人間の作った玩具か」
「っ! 取り消しなさい!!」

 後藤の発言に、真紅は再び大声を出した。
 ただし、今度は怒気が大量に込められていたが。
 真紅たちローゼンメイデンは一様に高いプライドを持つ。
 それは自分たちが特別な人形であるという自負と誇りを持つからだ。
 その誇りを、後藤は無神経にも傷付けた。

「私は真紅。究極の少女アリスとなるためにお父様がお作りになったローゼンメイデン!
 決して玩具なんかじゃないわ!」
「それがどうした。誰が作ろうが、どんな目的があろうが、人形は人間の玩具だ」

 激昂する真紅に対し、後藤はどこまでも冷ややかだ。
 まるで機械のように、答えや淀みに変化はない。
 それが何にも勝る侮辱となり、真紅の怒りを増幅させていく。

「いい加減に」
「真紅ちゃん、ちょっと待って」



674◇U1w5FvVRgk 代理:2009/11/03(火) 14:08:22 ID:3DDNv9Z5
更に怒声を発しそうになった真紅に、背後のレナから静止の声が掛かる。
 真紅は無言でレナを睨み付けた。止めるな、と目が語っていた。
 そんな真紅に、レナは諭すように話す。

「レディはそんな大声を出さないんじゃないかな? かな?」

 穏やかに告げるレナに、真紅は憮然とした表情となり顔を逸らした。
 多少なりとも頭が冷えたのだろう。
 その隙を突いて、レナは後藤に話しかけた。
 表情は打って変わり真剣そのものだ。
 
「後藤さん。私も貴方の言葉に納得できません。言いたいこともある。
 けど、その前に聞きたいことがあります」
「何だ」
「貴方は殺し合いをするんですか」

 単刀直入だった。
 質問というより、確認の意味合いが強い。
 レナにしろ真紅にしろ、後藤は殺し合いに乗っていると確信していたのだから。

「俺に殺し合いをするつもりはない」

 後藤は躊躇せずに即答した。
 意外な返答にレナはもちろん、怒りを露にしていた真紅ですら驚く。
 いや、後藤の話にはまだ続きがあるようだ。

「だが」
「だが?」
「腹は減っている」

 空腹。生物としては当たり前の現象だが、後藤の言葉は何故か聞く者に悪寒を感じさせた。
 女の感とでも言えばいいのか、レナはこれ以上話すのを躊躇する。
 まるで禁忌を犯そうとしている心持ちだった。
 一度、深く息を吸い込む。それである程度落ち着くと、意を決して言葉を口にした。

「後藤さんは……何を食べるんですか?」
675◇U1w5FvVRgk 代理:2009/11/03(火) 14:09:31 ID:3DDNv9Z5
「人間だ」

 答えると同時に後藤の口が釣りあがり、レナをその場に硬直させた。
 まるで肉食動物に出会った草食動物。
 狩るものと狩られるものの立場が、ここに出来上がってしまう。
 後藤の笑みは、同時に会話の終了と戦いの開始を宣告する合図となった。
 後藤の右腕が伸び、一瞬で鎌の形に変化する。
 刃はそのまま振り上げられ、レナに向かって振り下ろされた。
 通常なら認識できない速度の攻撃だが、制限のおかげでレナは目の端で腕が振るわれるのを捉えた。
 でも、そこまでだ。
 初動が見えても、体はピクリとも動かなかった。
 恐怖という原初の感情が、レナをその場に縛り付けていた。
 サタンサーベルを盾とすればまだ助かったかもしれないが、もう遅い。
 自分の命を刈り取る刃が迫るのを認識して――ドサリ、とレナの体は後ろに倒れた。

「何とか、間に合ったのだわ」

 自分の胸元にしがみついた真紅の声を、レナは星空を眺めながら耳にした。
 彼女が自分を押し倒したと理解して、そちらに目線を向けた。
 見れば後藤が振り抜いた刃を引き戻し、自分たちに振り下ろそうとしている。
 しかし、動きは真紅の方が早い。
 後藤が追撃をする前に、右手に握っていた物を放り投げていた。
 黒い玉が空中を、後藤に向かって一直線に飛んでいく。
 爆弾。そんな単語が咄嗟に思い浮かんだ。
 後藤もその可能性に気付いたのか右腕を振り下ろすのを中断し、すかさず左腕を胴体の前にかざす。
 左腕は瞬時に薄く伸びて盾状となり、ほぼ同時に黒い玉が後藤の眼前で炸裂した。

 ■  ■  ■

(煙幕か……)

 後藤の周囲には大量の煙が立ちこめていた。
 投げつけられた物体を見た瞬間、後藤の脳裏にはルイズに撃たれたロケットランチャーのイメージが浮かんだ。
 もし爆発物で、内臓にダメージを受ければ致命傷になりかねない。
 故に攻撃を中断して、左腕での防御を優先したのだ。
 結果は杞憂に終わったが。

(この煙に乗じて攻めてくるつもりか? それなら・・・・・・嬉しいな)

 後藤にしてみれば、戦う工夫は大歓迎だ。
676◇U1w5FvVRgk 代理:2009/11/03(火) 14:10:35 ID:3DDNv9Z5
一方的な殺戮よりもそちらの方が楽しめる。
 だからといって、黙って攻撃されるつもりもない。
 攻撃される前にこちらから近づくまでと、後藤は足を変形させて走りだした。
 煙りさえ抜けてしまえば、居場所は特定できる。
 更に後藤の脚力をもってすればこんな煙など――

 一分経過。まだ抜けない。

 二分経過。徐々に煙が薄くなっていくがまだ抜けない。

 さすがにおかしいと後藤も思い始める。
 そして三分が経過して煙が消え去った時、後藤は目を見開く。
 地面に無数の足跡が円上に付いていた。
 そう、後藤は同じ場所をぐるぐると回っていたのだ。差し詰め自らの尾を追いかける犬のように。
 これがあの煙の効果だと気づくがすでに遅い。
 いくら四方に目を凝らしても、真紅たちの姿はない。
 後藤は思い違いをしていた。煙幕は攻める為ではなく、逃げる為に使われたのだ。
 戦う工夫をせず、逃げる工夫をした二人に後藤の顔が怒りに歪む。
 とはいえ、思考の一部はまだ冷静だった。
 いくらなんでも、僅か数分でパラサイトの視力から逃れる範囲に逃げたとは考え難い。
 なら、二人はどこにいったのか?
 地に居ないのなら、あとは一つしかない。
 後藤は顔を上方に向けて、改めて四方を見渡す。
 北、居ない。西、居ない。南、居ない。東、見つけた。
 後藤から数百メートル先を二人は飛んでいた。しかも、ホウキに跨って。

 ■  ■  ■

「どうやら、気づかれたようだわ。レナ、急ぎなさい」
「ごめん。これ以上は無理みたい」

 申し訳なさげなレナの声に耳を傾けながら、真紅は前方を見据える。
 遠くからこちらに近づいてくる影があった。言うまでもなく後藤だ。
 かなりの速さで走っているので、このままでは追いつかれることは請け合いだ。
 現在、真紅たちはホウキに乗って飛んでいる。
 字面だけなら突拍子もないものだが、事実だから仕方がない。
 先ほど、真紅の支給品である煙幕弾を使用したあと、二人は一目散に逃走を図っていた。
 どう足掻いても、彼我の実力差にはどうしようもないものがあるからだ。
 とはいえ、数分しか効果のない煙幕弾が効いてる間に逃げきれるとも言い切れない。
 真紅だけなら飛行すればいいが、それではレナを置いてきぼりにしてしまう。
 そこでレナが取り出したのがこのホウキだった。
 名称は単純明快に『空飛ぶホウキ』
 どうみても眉唾物だが、最早このホウキにレナの命運を賭けるしかなかった。
 前に操縦担当のレナが、後ろに見張り担当の真紅が背中合わせに座り、ホウキを発動させた。
 結果は、この通り無事に機能している。
 安心するには早いようだが。

 ピシュン、ピシュン、ピシュン、ピシュン

「逃げるな!」

 風切り音と共に後藤の怒声が轟く。


677◇U1w5FvVRgk 代理:2009/11/03(火) 17:17:35 ID:3DDNv9Z5
真紅たちとの距離はまだ離れているが、そこからでも顔を鬼のようにしているのが容易に想像できた。
 背中で聞くレナはかなりの恐怖を感じているようだ。顔は強ばり、全身に力が入っている。

「レナ。貴方は前だけを見なさい。海まで行けば、さすがにあれも追ってこれないはずだわ」
「う、うん。分かった」

 そんなレナを励ましてはいるものの、真紅もまた緊張していた。
 海面に出ても、後藤が追ってこない保障はない。
 付け加えて追う者と追われる者なら、精神的には追う者の方が有利だ。
 しかも、追われる側は一度追いつかれたらそれまでなのだから尚更だろう。
 両者の距離は段々と縮まっていく。
 三分のハンデなど、後藤にすれば微々たるものらしい。
 されど、真紅とて黙っていない。
 両手を後藤に向けると、手の平から無数の薔薇の花弁が飛び出した。
 桜吹雪ならぬ薔薇吹雪が後藤に迫る。
 しかし、後藤は盾状にした左手をかざすと、勢いを落とさず薔薇吹雪に突っ込んでいった。
 真紅はその姿に呆気に取られるが、その後は愕然と息を飲んだ。
 後藤は花弁が刺さっても、全く意に介していなかった。
 肝心の頭部や腹部は左腕で守り、それ以外に刺さってもまるで利いていないかのように突き進んでいる。
 自分の攻撃が足止めにすらならない事実に、真紅は歯噛みするしかなかった。
 だとしても、花弁を放つのは止めない。
 距離は縮まり続ける。

 五十メートル、四十メートル、三十メートル、ここで真紅は潮の香りを感じた。
 真下に目を移せば、夜と同じ暗い海が見えた。

「真紅ちゃん、海に出たよ!」
「そのまま進みなさい!」

 二十メートル、十五メートル、放たれ続ける花弁に構わず、後藤が鎌状の右腕を降り被る。
 本体に代わり、今度は薙ぎ払われた右腕と真紅たちの距離が縮まり始めた。
 
 十メートル、放物線を描きながら迫る右腕に幾多の花弁が刺さり、薔薇色と肌色の斑模様としていくが、
 勢いは衰えず、刃の部分に当たった花弁は全てが切られていく。
 五メートル、真紅は花弁を打ち止め、薔薇色の障壁を展開した。
 防ぎ切れるかは完全に賭けだった。

 そして、後藤の右腕と真紅の障壁が衝突し、直後に真紅の視界は歪んだ。

 ■  ■  ■

「消えただと……」

 目の前で起きた現象を、後藤はそのまま呟いた。
 後藤の右手が薙いだ瞬間、ホウキで飛んでいたレナたちは忽然と姿を消してしまった。
 海に落ちたり、超高速で飛び去ったわけではない。
 文字どおり消失したとしか言いようがない、一瞬の出来事だった。
 予想外の事態だが、後藤にも一つだけ判る。
 自分の右腕は少女に届かなかったことだ。
678◇U1w5FvVRgk 代理:2009/11/03(火) 17:20:39 ID:3DDNv9Z5
慣れ親しんだ人間の肉を切り裂く感触を、後藤は味合わなかった。
 忌々しげに一つ舌打ちをすると、踵を返して歩き出す。
 刺さっていた花弁は、歩いている内に落ちていった。
 後藤にしてみれば、レナたちが消えた理由などどうでもいい。
 重要なのは、折角見つけた餌を取り逃がしたという事実だけだ。
 戦闘を行ったこともあり、空腹感は更に増している。
 これでまともな戦いをしていればまだマシだったが、相手が逃げるだけでは全くの無駄骨だ。
 このままでは、ルイズを食べた分のエネルギーを消費しきるのも近いだろう。
 早急に次の餌を探そうとして、後藤は自分が背負っているデイパックに気付いた。
 自らの肉体を変化させて戦う後藤にとって、武器は必要ない。
 故にデイパックの確認はしていなかったのだが、後藤はある事に気付いた。
 これに人間が数日を生き抜くための品々が入っているのなら、食料もあるのではと。
 パラサイトは基本的に寄生した生物しか餌としない。
 これは寄生生物の本能であり、殆どのパラサイトはこの本能に従い行動する。
 しかし、食そうと思えばそれ以外も口にできる。
 基本的に満足感は得られず、空腹を紛らわせるだけだが。
 それでも今の後藤には十分なので、ためらわずにデイパックの中を漁りだした。
 最初に出てきたのは参加者の名前が記された名簿。
 興味も無いのでさっさと戻そうとしたが、泉新一と田村玲子の名が後藤の目を留めた。

 
679◇U1w5FvVRgk 代理:2009/11/03(火) 17:23:24 ID:3DDNv9Z5
泉新一。
 市役所での戦闘に関与し、後藤たちパラサイトに甚大な被害をもたらす一旦となった存在。
 後藤が最優先に狙う獲物でもある。
 この場に居るなら都合が良いので探し出して殺すだけだが、問題はもう一つの名前だ。
 田村玲子。
 後藤を作り出したパラサイトで、既に死亡したはずの存在。
 珍しい名前でもないので同名の別人の可能性は高い。
 だが、もしパラサイトの田村玲子だとしたら、彼女の生存は後藤にとって好ましい。
 生みの親だからではない。後藤は彼女とも戦ってみたかったのだ。
 パラサイト随一の頭脳を誇る玲子なら、自分を十分に満足させてくれると後藤は思っていた。

 二つの獲物との戦いに思いを馳せながら、後藤はデイパック漁りを再開した。
 今度は一個の寸胴鍋が出てくる。
 ずっしりとした重みからは、何かが入っているのを確信させた。
 蓋を取ってみると、中には後藤の目的である食料が入っていた。
 大根、人参、厚揚げ、カリフラワー、タコなどがごった煮となっている煮物だ。
 一見すれば美味しそうに見える――スープがピンク色の点さえ除けば。
 古今東西を探しても、ピンク色の煮物など滅多にお目に掛けれないだろう。
 普通は食べることを躊躇しそうだが、寄生生物である後藤に戸惑いはない。
 食器は無いので素手で鍋に手を突っ込み、熱さを気にせず適当に具を掴む。
 掴んだのはピンク色に色付いた大根。
 ポタリ、ポタリ、と汁が滴るそれを口に運び、しばらく咀嚼すると飲み込んだ。
680◇U1w5FvVRgk 代理:2009/11/03(火) 17:25:06 ID:3DDNv9Z5
「……悪くないな」

 食しても問題がないと確認すると、後藤は頭部を大口に変形させて、そこに煮物を流し込んでいく。
 人間が丸呑みされるときと変わらず、鍋一杯の煮物はまたたく間に後藤の体内に消えていった。
 全てを飲み込むと、後藤は用の無くなった鍋を放り投げる。
 まだ物足りないのか、またデイパックを探ろうとした途端――唐突に南方が明るくなった。
 そちらに目を移せば、闇夜を照らす炎と大量の煙が上がっている。
 一見しただけで、何物かが爆発物を使ったと分かる。
 人間なら恐れるか、興味を持つか、知り合いが巻き込まれていないか心配などするだろう。
 生憎にも、ここに居るのはパラサイトである後藤。
 爆発を見て興味を持ったことは、あそこになら餌になる人間が居るの一点のみ。
 寄生生物は爆心地におもむく。
 餌を求める種としての本能と、戦いを求める個としての本能に従って。



【一日目黎明/E−10 北部】
【後藤@寄生獣】
[装備]無し
[支給品]支給品一式、不明支給品0〜2(未確認)
[状態]疲労(小)、空腹(中)
[思考・行動]
1:爆心地に向かい、餌を探す
2:強い奴とは戦いたい
3:泉新一を殺す
4:田村玲子が本物なら戦ってみたい

[備考]
※参戦時期は市役所戦後。
※後藤は腕を振るう速度が若干、足を硬質化させて走った際の速度が大幅に制限されています。
※E−10 北部に空の寸胴鍋が落ちています。

【支給品紹介】

【美和子スペシャル】
 亀山薫の妻である亀山美和子が作った料理。
 見た目は完全なゲテモノで味はかなり微妙らしい。

 ■  ■  ■

「どうなってるのかな?」
681◇U1w5FvVRgk 代理:2009/11/03(火) 17:27:18 ID:3DDNv9Z5
「分からないけど……とりあえずは、助かったようだわ」

 助かったと言われても、レナはいまいち実感が湧かなかった。
 ホウキに乗って逃げていたら、いきなり別の場所を飛んでいたのだから無理も無い。
 先ほどまで眼前には海しかなかったのに、今は海の先に陸が見える。
 Uターンした覚えもなく、もししていれば後藤に攻撃されているはずだ。
 どうやって現在地に移動したのか、レナには検討が付かない。

「ねえ、レナ。大丈夫そうなら……陸に降りてくれない?」
「え? うん、分かった」

 真紅の申し出は、レナにとってもありがたい。
 当たり前の事だが、ホウキに乗って飛行した経験などレナには無い。
 今は安定して飛んでいるものの、一歩間違えれば墜落する恐れがあるので気が気ではなかった。
 突然とホウキが止まる可能性もある。
 高度はそれほど高くなく、下は海なので落ちても即死はしないだろう。
 だとしても、陸から遠い地点に落ちれば溺死は免れない。
 このまま神経をすり減らしながら飛び続けるよりも、一度は陸に降りた方が賢明だ。
 レナがホウキの柄を少しだけ下げると、空飛ぶホウキは緩やかに降下を始めた。
 このままのペースで降り続ければ海に落ちず、無事に着陸できるだろう。
 ようやく一息付けると、レナの心中に安堵感が広がる。
 そんな時だ。

「レナ……立派なレディになりなさい」
「え?」

 不意に聞こえてきた声に、レナは反射的に振り向いていた。
 目に映ったのは、ホウキから滑り落ちようとしている真紅。
 レナは心臓が一瞬だけ止まった気がした。

「真紅ちゃん!」

 驚くと同時に右手を伸ばす。
 操縦中に危険だが見捨てるわけにはいかない。
 間に合えと願うが、無情にも真紅の体はホウキから落ちた。
 それでも、伸ばされた手は間一髪真紅の左足を掴む。
 冷や汗が噴き出しそうになるんかでレナはホッとして――軽い音が鳴った。

「あ……」

 間の抜けた声がレナの口から漏れた。
 呆然と眼前の光景を凝視する。それしかできなかった。
 そんな彼女を尻目にホウキは粛々と己の役目を果たし、遂に持ち主を陸に辿り着かせる。
 しかし、地面に足が着いた瞬間にレナはつんのめり、綺麗に半回転した。
 地面に叩き付けられ、衝撃が背中を突き抜けても、彼女は反応を示さない。
 数瞬後にはのっそりと起き上がるものの、まだぼうっとしている。
 そのまま右手を目の前まで上げて、自分が握っている物を見た。
682◇U1w5FvVRgk 代理:2009/11/03(火) 17:30:10 ID:3DDNv9Z5
薔薇を模した飾りがあしらわれている靴、滑らかな白い肌と赤いワンピースが目に映り――腹部から先は無かった。
 胸に飾られた緑色のリボンも、端正な顔も、艶やかな金髪も無くなっている。
 当たり前だ。今しがた真紅の体は上下に分かれて、上半身は海中に消えてしまったのだから。

「う……ぁ……」

 呻くような声が出て、次いで右手が震えだす。
 確かに、確かにレナは落下した真紅を掴んでいた。
 だが、次の瞬間には腹部が開いていき、あっさりと二つに分かれてしまったのだ。
 半分の大きさになった真紅が暗い海に落ちていくのを、レナは見ざるを得なかった。
 レナは聡明な少女だ。現職の刑事が感心するほど、その頭脳は切れる。
 だから、後藤の最後の攻撃が真紅に届いていたのも何となく察しがついた。
 だとしても、それがどうしたというのか。
 助けたと思った相手がこのような姿になってしまった衝撃は、真紅の状態に気付けなかった後悔は、

「あ……あああ……ああああぁぁ」

 彼女にとっては余りにも大きく、ただ嘆きと涙をこぼれさせるしかなかった。


【一日目黎明/E−01 中央部】
【竜宮レナ@ひぐらしのなく頃に(ゲーム)】
[装備]無し
[所持品]支給品一式、インスタントカメラ(数枚消費)@現実、サタンサーベル@仮面ライダーBLACK
    空飛ぶホウキ@ヴィオラートのアトリエ、真紅の下半身@ローゼンメイデン
[状態] 健康、悲しみ
[思考・行動]
基本思考:元の世界に帰る。
0:???
1:圭一、魅音、詩音、沙都子、悟史と合流する。
2:翠星石と蒼星石も探す。
3:水銀燈、後藤を警戒。

[備考]
※真紅と情報交換をしました。
※この会場の西端と東端、北端と南端は繋がっています。
 どこかの端からエリア外に出ると、逆の端の対応する位置へとワープします。

【支給品紹介】

【煙幕弾】
 魔界にて売られているアイテム。値段は600マッカ。
 ゲームでは使えばボス以外の敵から確実に逃げられる。
 このロワでは数分間煙幕を張り、その間は方向感覚を狂わせる効果があるとした。

【空飛ぶホウキ】
 その名のとおり空を飛ぶホウキ。
 効果はフライングボードと似ているが、こちらの方が高性能である。

 ■  ■  ■

「どうなってるのかな?」
683◇U1w5FvVRgk 代理:2009/11/03(火) 17:33:32 ID:3DDNv9Z5
「分からないけど……とりあえずは、助かったようね」

 助かったと断定したのは、先程まであった後藤の威圧感が綺麗さっぱり消え去ったからだ。
 安心したが次に自らの傷口を見て、真紅は諦観の混じった溜め息を吐いた。
 自慢のワンピースは真一文字に切り裂かれ、体は半分以上が切られている。
 風が吹くたびに傷口を通り抜けて冷えた。
 展開した障壁が紙のように破られ、自分の体を刃が通過する感触は案外あっさりとしていた。
 真っ二つにこそされなかったので即死こそしなかったが、どのみちこの傷では長くはないだろう。
 不幸中の幸いは、レナまで届かなかったことか。
 もし切られていれば、今頃は二人とも海の中だったろう。
 もっとも、真紅はこれからそうなりそうだが。

「ねえ、レナ。大丈夫そうなら……陸に降りてくれない?」
「え? うん、分かった」

 レナに陸に降下するように頼むが、真紅はそれまで耐えられそうもない。
 目は霞が掛かり、頭はどこか眠たそうに上下している。
 レナはまだ真紅の状態に気付いていない。
 取り乱されても困るから、真紅も言わない。
 高度が下がっていく中で、真紅はぼんやりと考えていた。
 最後にレナに何か伝えたかったのだ。
 付き合いは数時間にも満たない。
 それでも彼女がとても優しい性格をしているのは知っている。
 自分が停止すれば、レナがとても悲しむのを想像するのも容易い。
 これからも殺し合いを生き抜かねばならないのに、あまり一人の死に捕らわれるのは好ましくない。
 せめて、何か餞別の言葉を言いたかった。
 瞬間的に真紅が思い浮かんだ言葉は一つしかなかった。
 それは、かつてのミーディアムである少女と別れる際に呟いた言葉だ。
 もう一度使うとは思っていなかったが、友人に送る物としてはこれが相応しいと真紅は思った。

「レナ……立派なレディになりなさい」
「え?」

 そこで、真紅は自分の体が傾いていくのを感じた。
 無念はいくらでもある。
 まだ水銀燈に謝っていない。翠星石や蒼星石のことも心配だ。
 自分を待っている者たちも居る。
 何よりも、最愛の父とまだ再会していない。
 それでも、真紅は襲い掛かる眠気にその身を任せた。
 抗うだけの余力は残されていなかった。

 最後に幻視したのは父の姿ではなく、いつも賑やかだった桜田家の日々。
 最後に聞こえたのはレナの自分を呼ぶ声と、

 パキリ!

 自分の体が泣き分かれる軽い音だった。

 薔薇乙女は少女に言葉を送り、海中に没した。
 せめて、優しい少女が困難に立ち向かえるようにと願いを込めて。
 ボディの半分は沈み、後に残るは残光のように輝く赤い宝石だけ。


【真紅@ローゼンメイデン 死亡】

※真紅の上半身とデイパック(支給品一式、手鏡@現実)はE−01 西部の海中、
 真紅のローザミスティカは海面を漂っています。


684◇U1w5FvVRgk 代理:2009/11/03(火) 17:34:34 ID:3DDNv9Z5
代理終了
685 ◆U1w5FvVRgk :2009/11/03(火) 21:00:03 ID:kzvNqdru
代理投下ありがとうございました
686創る名無しに見る名無し:2009/11/03(火) 21:10:19 ID:3DDNv9Z5
>>685
タイトルは何ですか?
687 ◆U1w5FvVRgk :2009/11/03(火) 22:40:59 ID:kzvNqdru
すいません。タイトルは「少女と獣」です
688仇敵 代理投下:2009/11/04(水) 00:56:54 ID:g5piXDnT
病的なまでに白い肌を真っ白な特注の制服で包んだ少年、狭間 偉出夫は鉄製の橋を渡っていた。
月と星が煌く、絵画のような美しさであるためにあるプラネタリウムの星空のようにすら思える夜空の下を歩く。
片手に持つ白鞘に収納された太刀は杖にも見え、身を包んだ白い制服と相まってその姿は答えを追い求める求道者のようだ。
だが、その印象はある意味では間違っていない。
狭間 偉出夫という少年は答えを求めていた。
その答えとは、何もない吹きとおしの心を埋めるものか、それとも何も存在しない心ごとを吹き飛ばすものか。
何を求めているのか、それがハザマ自身にも分からない。
だが、彼は確かな答えを求めていた。
魔界の支配者となっても、ハザマの心には誰もいなかった。
人と魔物の上に立つことはできても、何もかも超越した神にはなれなかった。
つまり、彼にはまだ【誰もいない心】を空しく思う気持ちが残っていた、ということだ。


その誰もいない人間の心の中を、何も隠せない裸の心を赤根沢 玲子と蒼嶋 駿朔の二人に知られてしまった。
彼の屈辱と苦渋の日々、それを見られたのだ。

知られたくはなかった、妹だけには。
知られたくもなかった、何も知らない他人にだけには。

そんな心を、文字通り土足で踏み込まれたのだ。
生かしてはおけない。
自らの心を知ってしまったあの悪魔、アモンのように自らの手で始末しなければいけない。
そうだ、蒼嶋との問題はハザマ自身の手で解決しなければいけないのだ。

そんなことを考えながら歩いていると、気づけばハザマは橋を渡り切っていた。

「……」

北東の島の南端部、島と島とを繋ぐ橋の目前まで着くと狭間は歩みを止めて橋の手すりにもたれかかる。
夜空に浮かぶ月を奇麗に写した海面と、人の気配を感じさせない整備されつつも退廃的な印象を与える島と島を繋ぐ真夜中の橋。
まるで映画のワンシーンのように幻想的な雰囲気を醸し出したこの場所は、陰鬱そうに顔を俯かせたハザマとひどくマッチしていた。

そんなひどく絵になる状況で、ハザマは制服のポケットから不釣り合いな一つの機械を取り出す。
折りたたむような形式の機械で、それを開くと上下に分かれた二つのディスプレイが見える。
開いた際に、書かれた文字から判断するに下部に当たるだろう場所にボダンと十字のキーが付いてある。
右側に十字が描くように四つ、離れた場所に二つ【START】と【SELECT】と書かれたボタンがあり、左側に十字のキーと【POWER】と書かれたボタンが一つ。
ハザマには見たことがないものであったが、説明書きと【POWER】を
そして、ハザマが先ほど起動させた際に【POWER】を押さなかったためか、まだ起動している。
恐らく起動した状態で折りたたむとフリーズ状態になるのだろう。
付属されてあったタッチペンと十字キーを使い、画面を滑らせていく。
画面に記されているのは65の名前が記されている。
その名前の一つ――――蒼嶋 駿朔の名をペンでタッチする。
すると、上部の画面にH-2と表示される。
その文字を見てハザマはニヤリと笑う。
こちらへ向かって来ている。
先ほどはJ-1、つまりハザマの居たA-10とは最も遠い場所に居た。
それが今ではお互いが僅かにではあるが近づいてきている。

そう確認した後に、ハザマは白鞘に収まった刀――――斬鉄剣をゆっくりと引き抜く。
689仇敵 代理投下:2009/11/04(水) 00:59:40 ID:g5piXDnT
月の光に照らされた刀身は鋭く美しく、その輝きは人を切り殺すための物であることを忘れさせる。
だが、その太刀がどんな業物であろうと、ハザマには足場の悪い場所で使う杖程度の価値しかなかった。
彼が魔界で手に入れた“力”は人間どころか悪魔すらも十二分に殺しえる能力を持っている。
物理的な攻撃は要らない、彼が一言呟くだけで目の前の生き物は傷つくか死んでしまう。

それほどの力があるからこそ彼は魔神皇を名乗り、魔界の生き物はそれを認めているのだ。
故に中距離での攻撃にしか向かず特別な武術の心得も持たない狭間にとって太刀は、本来なら必要のないものである。
だが、今の状況は別だ。
刀、剣は狭間にとって特別な意味を持つ。
彼の胸を貫いた、天津神ヒノカグツチの力が秘められた最強の剣ヒノカグツチ。
胸をさすると、刺された時に感じた激痛と、痛みとは別の妙な感覚が蘇る。
これを使って、蒼嶋の胸を貫く。
いわば意趣返し、蒼嶋にされたことをやり返すのは面白いだろう。

「この太刀で、私は奴を……」

そこで、言葉を止める。
殺すことに何の躊躇いもないはずなのに、胸に覚えた妙な感情が踏ん切りをつかせない。

何かを期待しているのだろうか。

馬鹿馬鹿しい、ハザマは自身でもそう思う。

ハザマに人を期待するなんて感情はもう存在しない。
魔神皇となる際にそんな甘いものを捨てたのだ、少なくともハザマはそう自負している。

だからこそ、ハザマはしっかりと口にする。
誰に聞かせるでもなく、自分に言い聞かせるために。
捨てたくないと僅かにでも思っているものをハザマ自らの手で捨てることにより、ハザマは完全になれるかもしれないのだ。
そう、神の力を持った人間ではなく、今度こそ正真正銘の本物の神に。
最初はちっぽけだった蒼嶋 駿朔という男がここまで大きくなるとは思いもしなかった。

たとえそれがどんな感情であれ、蒼嶋は既にハザマの中で特別なものになっている。

仇敵、二人はまさしくその言葉が似合う関係だ。

誰とも知れず、誰に言うでもなく。
楽しそうに唇を吊り上げながら、ハザマは呟いた。


   ◆   ◆   ◆
690仇敵 代理投下:2009/11/04(水) 01:02:21 ID:g5piXDnT
「結局、ここに来るまでルルーシュって兄ちゃんやあのセクシーな姉ちゃんどころか、誰とも会わずじまいかよ……」

あーん、と擬音が付きそうなほど口を大きく開けて蒼嶋 駿朔は16分割されたスイカを一口にする。
ここは大量のスロットとテーブルの並ぶ、上等な絨毯の敷かれたカジノの広間。
ブラックジャックやポーカーなどのトランプギャンブルで使うのだろう大きな台に皿も置かずに切り取ったスイカを並べている。
そこそこの距離を歩いた貴子と蒼嶋の二人は、二玉目となるスイカを口にしながら休息を取っているのだ。
ブラフマーストラと言う強力な武器は持っているが、防御には不安が残る。
そんな状態で周囲を警戒しながら動いていた所為か、二人の精神的疲労は大きかった。

さらにルルーシュと蒼嶋の言うセクシーな姉ちゃんの居所を掴めていないことも二人の気を滅入らすことの一つである。

というわけで、カジノで一服。
鉈でスイカを不格好ながらも16分割し、それを口にしていく。
どうせ食べ物はこの先のモールかホテルで手に入るだろう、スイカを後生大事に取っておく必要性はない。
しかし、スイカを食べるだけと言うのも味気ない。
カードを使って遊ぶにも食事中となるとそうもいかない。
貴子がそう思っていると、スイカを大きくかじった後に蒼嶋が問いかけてきた。

「ついでだ、世間話でもするかい?」
「世間話?」
「そ、時間つぶしにでもよ。今まではちぃちゃんのこと聞いてばっかだから、今度はオレのことだ」

堅苦しい空気を変えたかったのか、蒼嶋が笑顔のままでそんな提案をしてくる。
蒼嶋のことはそれほど悪い印象も抱いてなければ断る理由も特にないので、貴子はその世間話に乗ることにした。
もしも下世話な話や不謹慎な話ならばすぐに打ち切ればいい。

ちなみに『ちぃちゃん』と言う呼び方は、何時まで経っても蒼嶋がやめようとしないので放っておくことにした。

「ちぃちゃんはよ、もし大勢で遭難したらどうする?」
「遭難?」

貴子が聞き返すと、蒼嶋は「そう、遭難」と言いながら頷く。
いきなりの質問に戸惑うが、一応真剣に考えてみる。
と言うのも、蒼嶋の顔に飄々としたおふざけの色が薄れているように思えたからだ。
そこで貴子は数瞬だけ考えたのちに、一応無難に思える、けれど自分なりの答えで返してみた。

「そうね、とりあえずそこから助かる方法を探すでしょうね」
「……一人で、かい?」
「全員で、よ。そこまで薄情じゃないわ」

その言葉に蒼嶋は嬉しそうだけど少し罰が悪そうという複雑な表情をする。
貴子にはイマイチ蒼嶋の言いたいことが掴めない。
蒼嶋が「そうか、そうするか……」と呟いている間、貴子は考える。
プログラムのように完全に退路を断たれた、と言うわけでなければとりあえず全員で脱出できる道を探すだろう。
妥協して自分に負けることだけはしたくない、それが貴子の本心だ。
それに何よりも、自分だけが生きて帰ると言うのは後味が悪いではないか。

「……ホント、ちぃちゃんはユミとなんか被るわ。ああ、ユミってのはオレの知り合いな」
「あたしの男友達とアンタは全然似てないけどね」

蒼嶋の笑いと共に放った言葉を、貴子は軽く切り捨てる。
どうやら、これはただの世間話ではないようだ。
少なくとも蒼嶋にとっては重要な何か、ひょっとするとこれからを左右する大事な話なのかもしれない。
691仇敵 代理投下:2009/11/04(水) 01:04:09 ID:g5piXDnT
「オレはその時に逃げちまったんだよ、全員で脱出するって考えから」
「……」
「ユミが、皆を助けようって提案してきた時、オレは答えを後回しにした。
 チャーリーって奴が、自分たちだけで逃ないかって誘ってきた時、オレはチャーリーの力を信頼できなくて断った。
 赤根沢って後輩が、手遅れになる前に解決するから手伝ってくれって頼んできた時、オレは責任を負うのが怖くて受け入れなかった」

先ほどまでの軽薄さは消え失せ、蒼嶋は真面目一辺倒の表情。
貴子は何も言わずにその言葉を聞き続ける。

「結局、オレはあの中で一番頼りになりそうだったアキラって奴の言葉に乗ったのさ。

 オレとアキラだけで脱出するって言うアキラの言葉に、な。
 チャーリーと同じことを言ってるのに、オレはアキラに乗ったんだ。
 しかも、そのアキラも訳あって帰らず、オレだけが帰還して罪悪感を感じてるってわけさ」

バカだろ、と蒼嶋は自嘲と共に貴子に問いかける。
その笑みを見て、貴子は本心を偽らずに応えることにした。

「ええ、バカね」
「……だよな」
「何時までも後悔してるのなら、アンタは馬鹿ね。脱出できたってことは何かしらの解決はしたんでしょ?
 それに……もしアンタが本当にバカなら、バカに出来たことが他の人間に出来ない訳がないわ」

そう言うと、蒼嶋は目を丸くして貴子を見つめる。
貴子はその呆気にとられた風な蒼嶋を無視する形で言葉を続ける。
とりあえず、蒼嶋は何だかんだでまじめな男だと言うのが分かった。
不器用、と言い換えてもいいかもしれない。

「本心は結果的に見捨てる形となった同じ学校の人たちに罪悪感を抱いている。
 しかも、下手に脱出できてしまっただけにそれは余計大きいんでしょうね。
 だから、似たような状況の今回はちゃんとしたい、後悔したくない……そう言うことでしょ?」
「……すげえな、そこまで分かるのか。ちぃちゃんホントに中坊か?」

乾いた、だけど嬉しそうな笑いと共に蒼嶋は呟く。
その顔は何処か安心そうな色が見える。
誰かに話したことで楽になったのか、貴子が蒼嶋の眼鏡にかなったのか、それは当人ならぬ貴子には分からない。
ただ、蒼嶋が嬉しそうに見えるのは確かだった。

「で、それにハザマって奴も関係してるんでしょう?」
「あー、あんだけハザマに注意しろって言ったら、それもさすがに分かっちまうか。
 まあ、そうだな、オレの言ってる件についてはあいつが主犯だよ。
 ……んで、こっからも真面目な話だ。冗談でもからかいでもなく、本気で話す。それを分かって欲しい」

バツが悪そうな、少し話すことを躊躇うように口ごもる。
何だと言うのだろうか、ハザマが爆弾でも仕掛けて学校を閉じ込めたというのだろうか。

やがて、意を決したかのように蒼嶋は口を開く。
口ごもっていた間に目線をあたしの手元へとやったように見えたのが、少しだけ気になったが。

「アイツはな、悪魔の力ってとんでもねえ物を持ってる」
「……………………はあ?」
692仇敵 代理投下:2009/11/04(水) 01:08:35 ID:g5piXDnT




悪魔、いわゆる神様と敵対してる、人間に害をなす存在。
えてして人は良いことを神様に感謝し、悪いことを悪魔のせいにする。
宗教の自由は一応は認められている共和国なので、ある程度の逸話は貴子も知っている。

悪魔のお陰で助かった、なんて話を貴子は知らない。
あるにしても、貴子のような興味のない人間が知らない程度にはマイナーな物のはずだ。


そして、蒼嶋はハザマという男が悪魔の力を持っている、と言ったのだ。

蒼嶋もさすがに簡単に信じてもらえるとは思ってなかったのだろう。
頭をかきながら上手い言い回しを考えているようだ。

「いや、わかる。ちぃちゃんの気持ちはすっげぇーわかる。
 コーラを丸ごと一気飲みしちまったら、げっぷが出ちまうってことぐらいにはわかる。

 だけど冗談じゃねえんだ、割とマジで本気に聞いてくれ。ちなみに、すぐ示せる証拠もある。
 ちぃちゃん、そのブラフ……ボーガンを壁に目がけて撃ってみてくれよ」
「これ? でも、矢がないわよ?」
「なくていいんだ、最初に会った時に言っただろ?」

蒼嶋の真剣な表情に押されるように、貴子はボーガンの先端をスロットへと向ける。
出るわけがない、そんな風に思いながらも蒼嶋の表情を見る。
蒼嶋の顔にはからかいの表情が一つもない、真剣そのものだった。
やがて、その雰囲気に気圧されるように、貴子はボーガンのトリガーを引いた。

その瞬間、目に見える何かがボーガンの先から三つ飛び出し、そのどれもが堅固な壁を貫いていった。

「なっ……!?」
「そいつも、悪魔の力が生み出したもんだよ。ちなみに場合によっちゃ七つ矢が飛び出す場合もあるぜ」
「……」

貴子は黙ってボーガン―――ブラフマーストラを眺める。
693仇敵 代理投下:2009/11/04(水) 01:09:36 ID:g5piXDnT
蒼嶋の『捻り出すと三、四発は出る』という言葉は訳が分からなかったため流していたが、まさか本当に嘘偽りのない言葉だとは思わなかった。
ブラフマーストラに触れていたのは貴子だけだ、蒼嶋が何か細工を施せるわけがない。

つまり、これは本物の不思議ボーガンと言うことになる。
それも威力も折り紙つきのトンデモナイ物。

「悪魔ってのは実在する、ちぃちゃんにはそれを何となくで良いから分かってほしい。

 そして、ここからが一番大事なことだ」

そこで言葉を区切り、より一層表情を引き締めた。
すぅっと息を吸い、しっかりと貴子の目を見て蒼嶋は口を開く。
今までの真面目な雰囲気をさらに重くなった気がした。

「ちぃちゃんがさっき言ったとおり、オレはもう逃げねえ。
 殺し合いなんて強制するイカレた連中にカウンター喰らわしてやる。
 ハザマの時はそう思うのが遅かったが、今度は最初から最後まで逃げねえ。
 んで、ハザマもだ、殺しても死なねえのなら何度だって殺してやる。
 あの時、ヒノガクツチで奴の胸を刺したようにな……!」

それは決意の言葉だ。
たとえ、相手がどんな力を持っていても今度こそ逃げない。
単純だけど、はっきりと言葉にして行動に移すのはこの上なく難しい決意。
それを、蒼嶋は確かに口にする。
694仇敵 代理投下:2009/11/04(水) 01:12:16 ID:g5piXDnT
「そのためなら、全員で脱出するためなら初めて会った中坊にだって頭を下げてやるさ。

 解決するためなら形振り構わない、それが会えなくなっちまった皆へのけじめってもんだ。
 一人じゃ何もしない卑怯者とでも臆病者とでもバカにしてくれて構わねえ。
 だからよ、協力してくれ。この通りだ」

椅子から腰を上げ、頭を下げる蒼嶋を見ながら貴子はすっと心で理解した。
結局、蒼嶋はそれが言いたかったのだろう。
このカジノに来るまでの間、ずっと話しかけてきていたのは貴子を計っていたのだ。
信用できるか、体力はあるか、度胸は確かか。
結果、貴子は蒼嶋の眼鏡にかなったのだろう。それは最低ラインかもしれないが。
そして、そのために蒼嶋は自分の恥部を話した。
蒼嶋は貴子の幼馴染とは容姿は似ても似つかないいない。
だけど、芯の部分は少し似ているのかもしれない。
蒼嶋 駿朔という男は軽い雰囲気と冷静な洞察力はあるが、根っこは不器用な男だ。

「……ええ、いいわよ」
「ホントか?」
「あたしも死にたくないし、殺し合いに乗るなんて馬鹿げたことはしないしね。
 その代わり、やるのなら確実に頼むわよ」
「素直に礼を言っとくよ。サンキュ、ちぃちゃん。
 仲間になったってことで、今から俺たちは対等だ。アンタとか言うのやめようぜ、シュンで良い」
「……まあ、『蒼嶋さん』なんてのよりはしっくり来るわね。遠慮なく呼ばせてもらうわ。
 で、具体的にはどうするつもりなの?」

貴子にも案がないわけではないが、一先ずはシュンの提案を聞きたかった。
何故なら、シュンは他人の前で決意を口にしたから。
過去を後悔しながらも、心を折らずに動く男は見ていて悪いものではない。

(それにしても、どのタイミングで話すべきかしらね。
 修学旅行中にクラスがプログラムに選ばれて、しかも死んだはずだってこと)

それは突飛もない話だから、今までは蒼嶋には何も言わなかった。
自分はあの悪名高い(表立っては誰も口にしないが)人殺しプログラムに選ばれて、死んでしまった。
そんな話をしても頭は疑われるだろう。
だから、自分は普通の中学生で修学旅行の最中にこの殺し合いってふざけた事件に巻き込まれたということにしてある。
だが、シュンも貴子に負けず劣らず奇妙な体験をしているようだ。
ならば言うとしたらここかもしれないが、それはシュンの決意に水を差すような形になるかもしれないと思ったので後回しにした。

「まずは、今までと同じようにルルーシュってひょろい兄ちゃんとその知り合いのセクシー姉ちゃんを探す。
 多分だけど、ブイツーとか言うクソガキのことを知ってるのはこの二人ぐらいだろうからな。
 んで、その二人のどっちかと合流出来たら、二人が持ってる情報を中心に動こうと思う。
 その後は協力できそうな仲間を増やしながら、ハザマも探す。
 アイツは危ねえからな……それに、今までの落とし前をつけるって意味もある。
 ハザマが相変わらずふざけた考えでこの殺し合いに乗っているって言うのなら……!」


蒼嶋は逆刃刀を手に取り、その鞘を取り出す。
峰と刃が逆の独特な刀、刃先まで峰だ。
これでは何も切れまい。
それでも、蒼嶋はその刀から目を離さずに口を動かす。

「今度はヒノカグツチみたいな上等で妙な力を持った得物じゃないけどよ。オレはもう一度……」
695仇敵 代理投下:2009/11/04(水) 01:14:54 ID:g5piXDnT
そこで言葉を区切り、蒼嶋は目を閉じた。
恐らく、今までの記憶を思い浮かべているのだろう。
学校を魔界なる場所に落とされた時のことを。
アキラと言う友人とともにハザマと戦った時のことを。
魔界から脱出してこの現実に戻ってきた時のことを。
そして、その全ての原因が狭間 偉出夫という男にあると言うのだ。

仇敵、二人はまさしくその言葉が似合う関係だ。

貴子は蒼嶋が自然に口が動いた瞬間を見た。
憎々しげに眉を吊り上げて、蒼嶋は呟いた。


   ◆   ◆   ◆


『躊躇いなく、奴の胸に突き刺す……!』

その言葉を、一句の音も変えず、島と島の果て、最も離れた位置に居る宿敵同士が、同じ時間に口にした。


【一日目/早朝/D−10 橋の南端】
【狭間偉出夫@真・女神転生if…】
[装備]:斬鉄剣@ルパン三世
[所持品]:支給品一式、ニンテンドーDS型探知機
[状態]:軽度の疲労
[思考・行動]
1:蒼嶋駿朔(男主人公)を殺す。
[備考]
※参加時期はレイコ編ラストバトル中。
※人間形態。


【一日目/黎明/H−2 カジノ内】
【蒼嶋駿朔(男主人公)@真女神転生if…】
[装備]:逆刃刀@るろうに剣心
[支給品]:支給品一式、どんと来い超常現象全巻セット(なぜベストを尽くさないのか付)@TRICK、スイカ(残り4玉)@スクライド
[状態]:健康
[思考・行動]
基本:ブイツーだかなんだか知らんがムカつく野郎はぶっ飛ばす。
1:千草と行動。ルルーシュかセクシー姉ちゃん(C.C.)を探す。
2:狭間は相変わらずの様子ならもう一回ぶっ飛ばす、つーか刺す。
3:一緒にブイツーだかをぶっ飛ばす仲間を集める。

【千草貴子@バトルロワイアル(小説)】
[装備]:ブラフマーストラ@真女神転生if、鉈@ひぐらしのなく頃に
[支給品]:支給品一式、織田のバイオリン@バトルロワイアル
[状態]:健康
[思考・行動]
基本:殺し合いに乗るつもりはない……?
1:シュンとひとまず行動。ルルーシュ、蒼嶋の言うセクシー姉ちゃん(C.C.)を探す。

2:三村と合流するべきか?
3:折を見て、シュンに生き返ったことを話す。
[備考]
※本編死亡後より参戦。
696仇敵 代理投下:2009/11/04(水) 01:16:50 ID:g5piXDnT
【ニンテンドーDS型探知機】
見た目は【ニンテンドーDS型詳細名簿】と同じだが、その中身は参加者の居場所を探知できる探知機。
一度に見れる情報量は少なく、指定した相手が現在居るエリアが分かるだけ。
しかし、別のカセットやカードがもしもあり、それを差し込めば情報量は増えると思われる。
697仇敵 代理投下:2009/11/04(水) 01:19:08 ID:g5piXDnT
投下終了です
誤字脱字、キャラが違うなどありましたら指摘お願いします


代理投下を終了します
698 ◆EboujAWlRA :2009/11/04(水) 01:37:23 ID:r+o38J/A
代理投下ありがとうございました
699創る名無しに見る名無し:2009/11/04(水) 01:37:36 ID:g5piXDnT
投下乙
狭間は真司みたいに対象限定のマーダーか
期待したいけど、一番近くに居るのが前の話で移動してきた後藤というのも妙な巡り合わせだな
そしてDSは頭が良い奴にしか渡らないのかw
700創る名無しに見る名無し:2009/11/04(水) 09:28:45 ID:AiEynJcQ
人とも投下乙!

>少女と獣
あまりにも……あっけなさすぎる
真紅だって薔薇乙女の中では強い方なのに一発で退場とは
後藤の恐ろしさがよく分かる話でした、本当に倒せるのかこいつ
そしてレナはせっかく仲間の近くにいたのに、一気に離れちゃったんだなぁ
でも圭一は乗ってるし変わらんか

>仇敵
男主人公かっこいいww
多ロワの主人公みたいに感じた
前途多難だけど貴子と一緒に頑張ってほしい
そして二台目のDSが登場とはwwww
これでラジオで言ってたピクトチャットにが可能になったのかww
701創る名無しに見る名無し:2009/11/05(木) 12:39:39 ID:yRsQ4DGI
テスト
702創る名無しに見る名無し:2009/11/05(木) 15:33:22 ID:jy9GcJUT
男主人公こんなに熱いキャラだったんだな〜
このコンビ好きだけから頑張って欲しい。
あと縁が隣にいるからかなりやばそうw
703創る名無しに見る名無し:2009/11/07(土) 13:48:07 ID:Hv5mKnjD
この話で一番立場が悪くなったのは間違いなくチェリー
知り合い全滅、近くに後藤とか……
704創る名無しに見る名無し:2009/11/07(土) 13:48:11 ID:WDMjXoX7
そういえば、東に後藤と狭間が移動したから社長包囲網が完成したな
705創る名無しに見る名無し:2009/11/07(土) 15:50:48 ID:3hAaZPzb
何も悪いことしてないのにこの四面楚歌
どう移動しても次かその次で戦闘が避けられない状態だな
さすが社長と言わざる終えない
706創る名無しに見る名無し:2009/11/07(土) 23:06:15 ID:Hv5mKnjD
レイ
                   織田

              
         \(^o^)/桐山\(^o^)/
浅倉            
            銀様、スザク       狭間



                           後藤


社長包囲網作ってみた
707創る名無しに見る名無し:2009/11/07(土) 23:06:59 ID:wjoyaTBI
社長wwwwwwwwwwwwww
708創る名無しに見る名無し:2009/11/08(日) 07:35:48 ID:tVLxXWoo
たまには蒼星石の心配もしてあげてwww
709創る名無しに見る名無し:2009/11/08(日) 17:54:44 ID:r7da8w/z
北に逃げればなんとかなりそうだけど、悟史のところ行っちゃいそうだなww
東西南北囲まれたうえにステルス侵入済みとかwww
710創る名無しに見る名無し:2009/11/08(日) 22:09:18 ID:7B6AXojQ
いまいちばん平和なのは三村とレナか…
711創る名無しに見る名無し:2009/11/09(月) 14:15:41 ID:DF3vkLId
社長達の何が一番まずいかって、それぞれの作中最強のジェノサイダーが三人もいることだよね
712創る名無しに見る名無し:2009/11/09(月) 19:45:15 ID:C1ixSFkk
銀様、イデヲ、後藤、浅倉、桐山……
なにこのラスボス軍団
713創る名無しに見る名無し:2009/11/09(月) 22:28:24 ID:NhIRXapA
対するは噛ませ体質な二人

さらに拡声器の効果範囲
しかもその真ん中に進行中

なんか話進むと周りの味方になりそうな人間も離れていきそうだしwww

絶望的状況だなw
714創る名無しに見る名無し:2009/11/11(水) 10:35:38 ID:XrRGRwji
二番目にやばそうなところって
かなみ達のグループかな
715創る名無しに見る名無し:2009/11/11(水) 10:53:41 ID:s8u+N2sP
対主催が四人集まってるからね
しかもシャドームーンが向かってるし、下手したらプリーシアと亀山とも遭遇するな
716創る名無しに見る名無し:2009/11/11(水) 22:14:44 ID:oxit3Fhp
それに東條がいつ心変わりするか分からんしなぁ
717創る名無しに見る名無し:2009/11/12(木) 15:06:40 ID:Y8uZiGIU
幼女二人だしね
718創る名無しに見る名無し:2009/11/12(木) 23:55:37 ID:UPgFq0I/
タイガとインペラーじゃベストを尽くしても勝てないよなぁ
719創る名無しに見る名無し:2009/11/13(金) 20:18:14 ID:v3kTxBjM
予約キテル━━━━━!!
720創る名無しに見る名無し:2009/11/16(月) 04:34:59 ID:yHvzwLiD
ミハエルの投下って今日だよな?
721 ◆U1w5FvVRgk :2009/11/16(月) 04:47:20 ID:P2X+Kfnw
すいません。6時までには投下できるのでしばらくお待ちください。
722 ◆U1w5FvVRgk :2009/11/16(月) 05:40:07 ID:P2X+Kfnw
お待たせしました。短いですが投下します
 エリアF−4の橋。
 そこから直進した森の入り口付近に一人の少年がいた。
 生い茂る木々の一本に背を預けているのは、オリジナル7が一人ミハエル・ギャレットだった。
 参加者たちを『救う』という目標を考えれば、こんな所で座り込んでいる暇は無い筈だ。
 しかし、彼にはこうする理由があった。
 情けない話ではあるが、ミハエルに扱える武器が無いのだ。
 いま、ミハエルの傍には三つの代物が置かれている。

 一つ目はナイトのカードデッキ。
 使えば超人的な力を得られるが、一度使用すれば一時間は再使用できないデメリットがある。
 ミハエルは先ほど使用したばかりで、まだ再使用できるほど時間は経過していない。
 なので、ライダーデッキが再使用できるまでミハエルは身を潜めることにしたのだ。
 二つ目は細い白木の杖。
 説明書に拠ると内部に刃が仕込まれているそうだ。
 これなら奇襲に使えそうだが、強度がそれほど高くないという問題点があった。
 そもそも、ミハエルには剣の扱いに慣れていない。
 これでヴァンのような実力者と戦えば、あっという間に倒されるだろう。
 彼には目標があるが、それは最優先ではない。
 ミハエルの目的はあくまでカギ爪の男の下への帰還だ。
 カギ爪の男の計画には、サウダーデを操縦するミハエルは欠かせない。
 だから、彼は死ぬ訳にはいかない。
 故にこの杖を使うのは止むを得ない場合のみとした。
 三つ目は羽の生えたサーフボード。
 これは元々ミハエルに支給された物ではない。
 森に隠れる際、橋の周囲に浮かんでいたのを回収したものだ。
 信じられないことに、このボードには空中に浮遊する機能がある。
 発見したときにはミハエルも驚きはした。
 が、カードデッキのような物があるならおかしくはないと思い直し、移動手段として回収したのだ。 
 他にもデイパックには一応武器になりそうなカギ爪が入っているが、ミハエルに使うつもりはない。
 信奉する同士の義手を血に染めることなど、彼に出来るわけがなかった。

 せめて銃火器が支給されていればもう少し積極的に動いただろうが、無いものは仕方がない。
 慎重かつ迅速に参加者を『救い』、帰還する。
 難しい課題だが、ミハエルは何をしても成し遂げるつもりだった。
 それが今のミハエルにとって唯一のことわりだから。
 その為にも時よ過ぎろと急かすように、じれったそうに何度となく支給された時計を確認していた。

 足音と話し声が聞こえてきたのは、そんな時だ。
 ミハエルの全身に緊張が走った。
 もしこちらに向かってくるようなら対処しなければならない。
 仕込み杖を手にしながら、木の影からこっそりと顔を出す。
 見えたのは二つの人影。
 幸いにも森に向かってくる様子はなく、ミハエルは一つ息を吐いた。
 月明かりが照らしているとはいえ、その姿ははっきりとは窺えない。
 察するに一人は中肉中背の男性、もう一人は十歳ぐらいの子供だろうか。
 二人は橋の手前まで歩くと、何やら話し込んでいる。
 大方、北に向かうか橋を渡るかを相談しているのだろう。
 しばらくして、二人は橋の方に歩き出した。
 二人に接触すべきかとミハエルは思案して、すぐに諦めた。
 北に向かっていればまだ余地があったが、東にはストレイト・クーガーが居る筈だ。
 カードデッキが再使用できない状態でクーガーと遭遇するのは好ましくない。
 歯痒い思いを抱きながら、ミハエルは二人が橋を渡るのを黙ってみているしかなかった。
 後で必ず『救う』と決意しながらだったが。

 それからは特に変わった事もなく、ミハエルは相変わらず時計を確認しながら過ごした。
 そして、隠れてからきっちり一時間が経過したと確認すると、辺りを確認してから森を出てきた。
 周囲に人影は無く、ひたすらに道路と草原が見えるだけだ。
 それを少しだけ残念に感じながら、ミハエルはサーフボードを空中に浮かべる。
 やはり、いざ使おうとなると躊躇するものなのか、若干躊躇いがちにミハエルはボードに腰掛けた。
 最後に足を離すと、ボードはゆっくりと前進していき、先端を上に向けると空に悠然と舞い上がった。
 サウダーデに乗って飛行した時とは違い、直接肌身に感じる風は不思議な感触だった。

「だけど、悪くは無いな」

 人々に『救い』を与える為に少年は夜空を進む。
 それが独善に過ぎず迷惑以外の何ものでもないと気付くことは――恐らくは無いだろう。




【一日目黎明/F−4 南部】
【ミハエル・ギャレット@ガンソード】
[装備]:フライングボード@ヴィオラートのアトリエ
[所持品]:支給品一式、カギ爪@ガンソード、ナイトのデッキ@仮面ライダー龍騎、
     仕込み杖@るろうに剣心
[状態]:疲労(小)
[思考・行動]
0:どこに向かおうか?
1:同志の下に帰る。
2:1人でも多くの人を『救う』、だが無茶はしない。


【支給品紹介】

【仕込み杖】
 斉藤一が初登場時に使用した杖型のサーベル。
 携帯性に優れているが、強度は玩具と変わらないらしい。
725 ◆U1w5FvVRgk :2009/11/16(月) 05:49:48 ID:P2X+Kfnw
投下終了。誤字・脱字などありましたら指摘してください。
お手数ですが、この話を時系列順に収録する際は「男なら、ベストを尽くして強くなれ」より前でお願いします。
最後に短い話なのにお待たせしてすいませんでした。orz
726創る名無しに見る名無し:2009/11/16(月) 08:55:15 ID:yHvzwLiD
投下乙!
マーダーにしては装備貧弱だなぁ、でもサバイブ烈風見つけたら一気に強くなりそう
でもやっぱり時間制限が付き纏うから、武器の調達が課題になるな
727創る名無しに見る名無し:2009/11/17(火) 19:49:23 ID:hFwLHeGk
投下乙ー
ミギャー、フライングボート入手とはラッキーだなw
デッキもあるし、これでもう一つわかりやすい武器を手にぃれたら怖いマーダーになりそうだ
728創る名無しに見る名無し:2009/11/17(火) 20:28:29 ID:SzD3DimE
装備が貧弱なマーダーといえば
縁もそうだな。
729創る名無しに見る名無し:2009/11/17(火) 23:05:30 ID:SnpUwIjQ
まともな武器が鎌だけの銀様に比べりゃマシ
730創る名無しに見る名無し:2009/11/17(火) 23:53:54 ID:xnnHipkS
銀様は羽で剣を作れるじゃないか
731創る名無しに見る名無し:2009/11/18(水) 10:52:42 ID:UfAUQE9d
男主人公たちは次あたり縁と
遭遇しそう
ブラフマーストラが強力とはいえやばそうだな
732創る名無しに見る名無し:2009/11/18(水) 17:41:50 ID:t0zjz/72
縁の思い込みを舐めたらいけない
逆刃刀をボロ雑巾になるまで酷使してくるぞww
733創る名無しに見る名無し:2009/11/18(水) 18:22:15 ID:1whv7nBL
男主人公の強さがよくわからない
達人並なのかそうでもないのか
734創る名無しに見る名無し:2009/11/18(水) 22:40:42 ID:cyoMoJ4a
>>729
銀様はみゆきさんから最強の武器を寝取ったじゃないか
735創る名無しに見る名無し:2009/11/18(水) 23:36:46 ID:damu6dLL
>>733
個人的にはジェレミアや咲世子さんと互角ぐらいだと思ってるけど、微妙なところだな
736創る名無しに見る名無し:2009/11/19(木) 06:07:06 ID:gk5RN6fJ
予約キター!
737創る名無しに見る名無し:2009/11/19(木) 14:51:14 ID:EdeYoGKg
おお、予約来た!
738創る名無しに見る名無し:2009/11/20(金) 05:13:56 ID:k985zhBT
他ロワでやってたのが面白かったので、書き手のトリップを二つ名メーカーに入れてみた
対象は三作以上書いた人

◆ew5bR2RQj.→奈落(ジェノサイド)
◆U1w5FvVRgk→歌う警報(ディアボロ)
◆KKid85tGwY→空笑脳髄(インナーランチャー)
◆EboujAWlRA→灼熱亡命者(フレイミングリップス)
◆xmy4xBA4UI→貫通少年(ペネトレイトライオット)
739創る名無しに見る名無し:2009/11/20(金) 08:53:59 ID:tDsUtbzw
あいたたたた…
740創る名無しに見る名無し:2009/11/20(金) 09:32:33 ID:G3aEfADK
二つ名メーカーは、相変わらずスゲーなw
灼熱亡命者って、どうなんだww
741創る名無しに見る名無し:2009/11/20(金) 13:29:58 ID:1BQV0fvW
二つ名メーカーなんてあるんだな。ぐぐってみたけど、面白そうだw
しかし歌う警報って、なんかおかしくねーかww
742創る名無しに見る名無し:2009/11/20(金) 13:30:37 ID:QRR/9UL/
なんか一周してカッコいいよwww>歌う警報
743創る名無しに見る名無し:2009/11/20(金) 17:42:11 ID:2yvdZvNz
虚無物語だった…orz
744 ◆EboujAWlRA :2009/11/20(金) 21:19:12 ID:QRR/9UL/
志々雄真実、タバサ、三村信史、投下します
745 ◆EboujAWlRA :2009/11/20(金) 21:20:06 ID:QRR/9UL/

スゥ――――カーン!

スゥ――――カスッ……

スゥ――――ガン!

スゥ――――カキン!

「ハッ!っと。こいつは中々……っ、奥が深いじゃねえか」
「……」

月が夜空に輝く草木も眠る真夜中、全身に火傷を負った怪人が、金属バットを持ちボールと一人で対戦していた。
金属バットの握りは辛うじてセオリー通りだが、腰だめに低く構え近づいてから小さく振る変則打法が目につく。
それでいて110km/hのボールに負けることなく、それどころか完全に力だけで弾き返していた。
技術も何もあったものではないため、当たらないことや芯を外していることが多いため醜い音を響かせている。
だが、それも確実に変化が生じ始め、ボールをバットの芯で捕え始めている。
それが会心の一打だと悟ったのか怪人は口元を歪にゆがめて興奮を表す。

金属を撃つ甲高い音とかすれた音とくぐもった音が不規則に響くここはバッティングセンター。
緑色のネットが周囲を囲み、北に広いコンクリート詰めの敷地、その南に横長に広がった屋根のあるマシンを置いた小屋。
さらに南へと行くとまたコンクリート詰めの敷地が広がり、その南にはネットで仕切られた五か所のバッターボックスがある。
つまり、コンクリート、ボックス、コンクリート、ボックス、廊下と続いているのだ。

広さとネットの緩み具合からあまり本格的なバッティングセンターではないことが分かる。

そこに包帯で全身を包んだ上に着流しを着た体格の良い怪人と、その後方で分厚いファイルを読む背丈の低い少女が居た。
包帯の怪人は口元を愉快だと言わんばかりに吊り上げ、少女は表情一つ変えず視線だけを動かして本を読み続ける。

着流しを着崩した包帯の怪人の奇天烈加減に隠れているが、少女の出で立ちもまた変わったものだ。
肩から掛けた踵まで届く黒い外套と空のように透き通った水色の髪とメガネの奥の宝石のような蒼色の目。
まるで童話から飛び出してきた魔法使いの弟子のような格好。

包帯の怪人と魔法使い見習い、童話のような二人組がバッティングセンターに居る。

なんともまあ、シュールな光景だ。
せめてここが廃退した城か暗黒に包まれた森の中ならしっくりと来ると言うのに。
とは言え、一番シュールなのは別のことなのだが。

「で、なんか分かったか坊主?」

そう、一番シュールなのは、頭と顔と運動神経の良いだけの中学生である三村信史がこの二人とチームを組んでるということなのだが。

「いや、少し見ただけでは特に変わったところはないな。
 データの入っていない、空のまっさらなノートパソコンとしか言えない」
「……つまり何も分からなかったんだな、坊主」
「このノートパソコンに何も入ってないってことはわかったぜ、ゴシュジンサマ」

傷ついた左耳をタオル(バッティングセンターに蓄えられていた物)で抑えながら信史は言い返す。
主導権は志々雄に握られた形になったが、ゴマをする必要は感じない。
志々雄に持っていない技能を持った使える人間だと思わせてるうちは、よほどのことがなければ命は取らないだろう。
逆に言えば、志々雄は役立たずだと判断した瞬間に信史を殺しにかかってくるということだが。

それは最初に志々雄真実と言う男と出会った時に直観的に理解した。


   ◆   ◆   ◆

 
746カッキーン☆ 悪魔の怪人軍団! ◆EboujAWlRA :2009/11/20(金) 21:21:19 ID:QRR/9UL/

陸上競技場から立ち去った後、信史はこのバッティングセンターに立ち寄った。
何かしらの武器になる物が欲しい、と思っての行動だ。
と言うのも、支給された武器がマハブフストーンなる奇妙な石を五つだったことと、モップ程度の武器しか競技場では見つからなかったからだ。
何でもこの石を使うことで、広範囲にわたって氷結系の魔法が繰り広げられる、ということらしい。
魔法、実に馬鹿馬鹿しいが蘇ると言う超現象を通り越した出来事を信史自身が経験してしまったのだ。
このことを考えるとマハブフストーンなる石も、非現実だと馬鹿にはできない。
とは言え、支給された数は五つだけ。
無限にあるならともかく、五つしかないのならば物は試しとばかりに簡単に使うことはできない。

だから、目についたこのバッティングセンターに立ち寄った。
ここならば金属バットがあるだろうと踏んだのだ。
金属バットはリーチが長いだけに、身を守るためならば包丁よりもよっぽど使いやすい。
しかも、鉄パイプなどよりもよっぽど軽量な上にグリップテープで手から滑る心配もない。
武術の心得のない信史にとって最も扱いやすい武器だ。

「おっ、あるある」

小さなバッティングセンター(壁代りにネットを張っているだけなので外から簡単に中の様子が窺える)だ。
マシーンも軟球専用しかないが、バットは確かに置かれていた。
数はちょうど五本、ボックスの数と一緒だ。
その中でもグリップが細く先が太いバットを選ぶ。
二、三回ほど軽く振ってみて十分に扱えることを確認する。
他にも何か武器になるものはないか、と考えてボックスと廊下を挟んである事務室に立ち寄る。
ひょっとすると何か面白いもの、たとえばパソコンか何かがあるかもしれない。
すいすいと進んで行き、蛇口をひねる。
すると簡単に水が出てきて、信史は軽い驚きを覚える。
前のプログラムでは水は止められていた、だがこのプログラムでは水道が通っている。
この様子だと電気も通っているかもしれない、危険なためつけたりはしないが。

現地調達は二度目となるためか、何となく手際が良くなっているのではないか?、と信史は思えた。
実際はそうではなく、経験したことがある、という自惚れから大胆になっていただけだが。

恐らくそれは、銃弾を身体中にばら撒かれた自分が無傷でここに立っていること。
そして、全くの暗闇の中で宣言された異端のプログラム、その空間からの会場への瞬間移動。
この『プログラムの経験者』というアドバンテージが全く生かされない状況に僅かながら苛立ちを感じていたのだろう。
その中で唯一活かせる現地調達というスキルが信史に安心をもたらしたのかもしれない。
呑気な無警戒だったのではなく、以前よりも少し大胆に行き過ぎた程度のミス。

だが、得てしてその手のミスとは天を仰いで嘆きたくなるほど間が悪い時に訪れるものである。
そして、それは今回も例外ではなかった。


「よぉ、コソ泥。景気はどうだ?」


いつの間にかそこに腕を組み仁王立ちした包帯の怪人と黒いマントをつけた背の低い少女が居た。
その二人組に奇妙さを覚えるよりも早く、おかしい、という言葉が信史の頭に浮かんでいた。
確かに今思うと大胆に動いた部分が大きいが、入口付近には最大の注意を払っていた。

しかし、怪人の手を見て直ぐに気付いた。
この怪人は手に緑色の糸、ネットの切れ端を持っている。
つまり、マシーンの奥にあるネットを切って強引に侵入してきたのだ。
ネットの切れ端を持っているということは、まさかナイフを使わずに手で引きちぎったのだろうか?
だとしたら、幾らボロボロのネットとは言え尋常でない膂力の持ち主だ。
747カッキーン☆ 悪魔の怪人軍団! ◆EboujAWlRA :2009/11/20(金) 21:22:11 ID:QRR/9UL/

「ボチボチ、かな。そっちはどうだい?」

心の中は驚愕で満たされているが、それを悟らさないようにいつものようにおどけた調子で言葉を返す。
念のために左袖に一つだけ仕込んだマハブフストーンを確認し、右手に握った金属バットをより強く握りしめる。
そして、慎重に相手の出方を窺う。

「まあまあ、かな。何せ獲物が見つかったからなぁ」

獲物、見つかった。

その言葉を聞いた後の信史の行動は素早いもので、バットを思いきり薙ぎ払うように振っていた。
だが、怪人の行動はもっと素早かった。
薙ぎ払う形に振るった金属バットを距離を詰めることでダメージを薄いものにして、信史の腕をつかむ。
後は、腕を掴んだ手とは逆の手で首を掴んで壁に押し付けてくる。
その瞬間にドシッと鈍い痛みが背中に走る。
痛みに思わず眉をしかめてしまい、その僅かな気を抜いた瞬間に手首をひねられる。
今度は鈍い痛みではなく、鋭い痛みが手首から伝わってくる。
眉をしかめるどころではない、思わずその手に握った虎の子のバットを落としてしまう。
マズイ、こいつはチェックメイトをかけられた。

「良い度胸だが、腕と釣り合ってない場合は無謀って言われるもんだ」
「くっ……つぅ……」

怪人の首に掛けた手に力を込められる。
凄い握力だ、信史も身体能力は優れているもののこの怪人と比べれば大人と子どもほどの違いがある。
そして、怪人は片方の腕で三村の左耳を触り始める。
ピアスに興味を示したのだろうか?

「耳飾りか……知ってるか、坊主? 耳ってのは簡単にもぎ取れるんだぜ?」
「ッ!?」

不味い、これは不味すぎる。
例えるならビデオゲームでバグによって開始早々に最終ダンジョンに紛れ込んでしまったようなものだ。
この男はヤバすぎる。
人を傷つけるという行動を、朝食の後に歯を磨くことのように自然に行える狂った男だ。

「ふん、イカシてるじゃねえか……坊主、俺にくれねえか?」
「や、安物だぜ旦那……旦那のイカした姿ならもっと派手な方がっぅ!」

左耳のピアスを強引に、力づくでもぎ取られた。
血に染まったピアスをニヤけながら見る男。
信史は自由な左手で耳を抑えながら眉をしかめる。

だが、痛みと共に信史の脳裏に疑問が湧いてくる。
容赦がない。容赦がないが、この男の行動は不自然だ。
何故直ぐに殺さないのだろう?
下手に甚振って悲鳴を出させれば、強力な武器を持った人間が来るかもしれないというのに。

「……やっぱり細工物ってのは血が映える。血で彩ったこいつをつけ直せば男に磨きがかかるぜ」
「そ、そいつは……どうも御丁寧に」

どうしてこいつは嬲るように痛みを与えてくるのだろうか。
殺すならさっさと殺せばいいと言うのに、何故こうも甚振るのだろうか?
そう考える信史に対して包帯の怪人は問いかけてくる。
748カッキーン☆ 悪魔の怪人軍団! ◆EboujAWlRA :2009/11/20(金) 21:23:14 ID:QRR/9UL/

「テメエ、名前は?」
「三村、信史……」
「ほぉ、三村信史ってことは同郷みてえだな。
 とは言え、珍妙な格好と髪型をしてるからにはまだ何かしらのタネがあるようだが」

こちらは名乗ったと言うのに向こうは名無しのままだ。
完全に主導権を握られているが、この状況なら仕方がない。
なんとかしてこの状況を打破するために、とにかく会話を長引かせなければ。

「同、郷……?」
「異世界ってのを信じるか、三村」

突然の言葉に三村は眉をさらに深くしかめる。
異世界、異なる世界と言うことだ。
だいたい自分の常識とは違う光景を見た時に使われる言葉。
外国の文化を目の当たりにした時や新しい音楽を聞いた時や麦茶に砂糖を入れる人間を見た時などに、使われる比喩表現。
だが、怪人の『異世界を信じるか?』と言う問いはそういう比喩表現の『異世界』とは全く違うように聞こえる。
信史が何も言わないことをどう判断したのか、ヒントを出すクイズの出題者のような調子で言葉を放った。

「俺は日本、こいつはハルゲギニアから来た……いや、連れてこられた」
「……ハルゲ、ギニア? それに日本?」

指差した先で野球用具のカタログを読んでいる少女。
信史の命の危険などまるで気にもしていない風だ。
その少女はハルゲギニアという国から連れてこられたらしい。
確かに見る限り共和国の人間ではない。
だが、ハルゲギニアなんて国、今も昔も聞いたことがない。

「厳密に言えばハルゲギニアは国名じゃねえらしいが……まあどうでもいいことだ。
 分かるか? 異世界だ、常識なんてつまらねえものは捨てることをお勧めするぜ」
「異世界って……まさか?」
「そういうことだ、常識が違う世界さ。魔法も使えるらしいぜ」

普段ならば馬鹿馬鹿しいと一蹴するような話だが、今の状況ではそれも簡単に捨てることが出来ない。
魔法、なるほど魔法か。
確かにワープや死者蘇生(傷の再生ではなくこっちの方がしっくりくる)は物語で出てくる魔法の本領だ。
マハブフストーンにも魔法と書かれていたし、本当に魔法もあるのかもしれない。
だがそれ以上にこの話は交渉に使える。
もし、この怪人がファンタジーでメルヘンな世界の住人でならば。
もし、着流しから察せられる文化レベルの人間ならば。
もし、火傷を整形手術で治していないのならば。
十分に交渉の余地はある、機械はファンタジーを蹂躙出来る。

「……それじゃアンタら一生無理ってものだぜ?」
「ほぉ」

このままでは助からない。
だから、三村は一世一代の賭けに出た。
不確定要素が強すぎるが、座して待てば死ぬだけだ。
皮肉にも信史の学んだコンピュータ技術でない魔法なんて曖昧なものに縋ることになるが。

「機械を解体するのはファンタジーの住人じゃ無理だって言ってんだよ。
 この首輪の仕組みには見覚えがあってな、俺の世界の技術を使われている可能性が高い。
 詳しいことは知らねえのは俺も一緒だ。だが、土台の分で首輪を解除できる可能性は比較にならないぐらい高いぜ」
「……知らねえものを知るのは時間がかかるもんだ。基礎もねえ俺たちには無理ってのはなるほど道理だ」
「だろ? だから」
「俺を助けてくれ、って?」
749創る名無しに見る名無し:2009/11/20(金) 21:25:59 ID:S/rjRh/+
支援
750カッキーン☆ 悪魔の怪人軍団! ◆EboujAWlRA :2009/11/20(金) 21:26:13 ID:QRR/9UL/

その言葉とともに信史の首に掛かった手に力が込められる。
満足な呼吸も出来なくなるが、ここが正念場だと萎えそうな意志に鞭を打つ。

「そいつは負け犬根性ってもんだぜ? 俺は擦り寄ってくる弱った犬は蹴り殺す性質だ」
「ま、負け犬はどっちだ? V.V.に首輪をかけられたアンタは負け犬じゃねえってのか?
 犬が犬飼っても負け犬の事実は変わらねえぜ。
 ……負けるってのは、勝つまでは負け続けることだぜ?
 V.V.と勝つためには俺と手を組むのが……」
「負け犬ってのはよく吠えるもんだ……言ってることは正しいのがまた腹が立つぜ」

ふっと笑いを深め、一瞬だけ力を緩める。
ここで助かってなんて思わない、この怪人はそれほど甘い人間ではないことは目で分かる。
恐らく一度上げてから落とすつもりだ。
だから、志々雄が全身の力を抜いて筋肉を弛緩させるその瞬間。
信史はそれを、それこそを待っていた。


「ほら、プレゼン……っ!?」


袖に隠しこんだマハブフストーンを取り出し、志々雄へと向かって投げつける。
説明書きによればマハブフストーンは、氷結系、つまりかなりの冷気を発するのだろう。
当たれば必ず隙が出来る、隙が出来ればやりようがある。
荷物を放り出すことになるが、逃げるぐらいならば出来るだろう。
魔法と言う言葉が本当ならば、逃げれる。

だが、それは予想以上に簡単に塞がれた。

「よっ、と」

【学生服の袖に仕込んだ石を手の中へと持って行き、手首を使って怪人に向かって投げつける。】
これだけの一瞬で終わる動作を、石を手の中に持ってきた瞬間に手首をつかまれることで簡単に防がれた。
怪人がギュッと強く握らるだけで、信史は指先に力が入らず石を取りこぼす。

「……っぅ」
「石……か。こいつもまた異世界の武器か?
 あと奇襲する時は腹芸も出来なきゃ意味がないぜ、目をぎらつかせ過ぎだ」

ニヤニヤと嫌味な笑いを消さない怪人を眺めながら、必死で頭を働かせる。
元よりカードの少ない信史にはもう手が残されていない。
だが、諦め悪く必死に頭を回し続けなければいけない。
信史は簡単に死を受け入れるような性質ではないのだ。
口で言いくるめられる相手ではないのは確かだ。
殴り合いで勝てるようにも見えない、バットを持っていても負けるような気もする。
何と言うか、この怪人は血生臭いことを生業にしているような雰囲気を持っている。

(どうする? どうすればいい? 今の俺に出来ることはなんだ?)

そんな信史を無視するように怪人は言葉を続ける。

「悪くねえよ、強者に縋らずに強者になろうとする根性は悪くねえよ。
 ……それだけに無力ってのは悲しいなぁ、三村。
 度胸と知恵は十二分だが、奈何せん経験と実力が残念だ」
「っ!」
751カッキーン☆ 悪魔の怪人軍団! ◆EboujAWlRA :2009/11/20(金) 21:28:19 ID:QRR/9UL/

これからどうなるか。
信史は間違いなく怪人に歯向った。
尊大な口調の怪人がそれを見逃すとは思わない。
この男が信史を見逃すにしろ殺すにしろ、簡単にケリをつけるとは思えない。
生き残れたとしても、骨を何本も折られるぐらいは覚悟をしなければいけないだろう。
だが、必ず隙を見つけてカウンターを返してやる。


そう覚悟を決めた信史に対し、怪人は――


「三村、もう少しばかり弱肉強食の世で揉まれてみな」


――その言葉と共に、信史の首から手を離した。


「……え?」
「今からお前は犬は犬でも負け犬じゃねえ、俺の犬だ。生きることを許してやるよ」
「……」

唐突な展開に思考が追い付かないが、どうやらこれで生き残ったのだ、と言うことは理解できた。
だが、どうして?
見逃すのなら最初から見逃せば良かったでは良いか。

「俺は志々雄真実、精々二匹目の飼い犬として働きな。そっちのガキはタバサだ」
「飼い犬、か……」

癪に障る言い方だが、何の力もない信史にはぴったりの表現だ。
生き残るためには怪人――志々雄を喜ばせるために芸をするしかないのだろう、わん。
タバサなる少女がどうして志々雄と共に居るのかも気になるが、今はそれよりも耳の手当てだ。
汗をふくタオルが事務室には置かれていたので、それを手に取って耳に当てる。

「よろしく、可愛らしいお嬢さん」

そう言ってタバサに話しかける。
タバサは無視するように本を読み続けるが、ふと思い出したように顔を上げて口を開いた。

「杖」
「……杖?」

その言葉は、鈴が鳴るような、なんて表現がしっくり来るほど綺麗な声だった。
だが、言葉が全く分からない。
杖とはどういう意味だろうか?
ああ、やっぱり魔法使いだから杖は居るのか?
そんな風に若干混乱した信史を急かすようにタバサはもう一度綺麗な声で尋ねた。

「杖」
「俺が杖を必要とする爺さんに見えるかい、お嬢さん?」
「ないなら、良い」

それだけを言ってカタログに視線を戻す。
落ち付いたものだ、目の前に耳から血を流す男がいると言う。
志々雄同様タバサも中々変わった人物なようだ。
色々と前途多難だが、頼りにはなりそうだ。

……志々雄という信史ごと敵を吹き飛ばす爆弾とそばに居ることになったのが、非常に危険ではあるが。
752カッキーン☆ 悪魔の怪人軍団! ◆EboujAWlRA :2009/11/20(金) 21:29:49 ID:QRR/9UL/

   ◆   ◆   ◆


しかし、よく生きているものだと信史自身も思う。
下手をしなくても、殺されていても全く不思議ではないのだ。
志々雄の言った弱肉強食の世の中。志々雄の胸一寸で生死が逆転したかと思うとぞっとする。
この魔法使いのような少女、タバサもまた怪人と何かしらの交渉に成功したのだろうか。
二匹目……つまり、タバサが一匹目ということだ。
まあ、それはどうでもいいことだ。
大事なのは生きるためには志々雄と手を組んで最短でこのクソゲームを攻略すること。

ちなみにこのノートパソコン。
信史がタバサとマハブフストーン二つと物々交換したものだ。
その時もタバサは一切言葉を口にせず、『魔法の石』と言う言葉に釣らて本から目を離した。
ただ、幼く見える容姿に似合わない冷たい目がひどく印象的だった。

そして、本から説明書きに書かれた文章に目を通し、何も言わずにノートパソコンを指差しただけだった。
取っていい、というシグナルだろう。信史は肩をすくめながらも遠慮なく頂いておいた。

ちなみに、志々雄はパソコンを待つ間にバッティングセンターを堪能していた。
初めて見る施設に興味を示したのか、信史に「ここは何をやる場所だ?」と尋ねたのだ。
信史は素直に野球と言う球技の練習場だと答えた。
厳密にはストレス発散の場でもあるので違うが、まあそう間違ってはいないだろう。
そう言うと志々雄は「ほぉ」と呟いて、「どうやってやるんだ?」とも訊ねた。
二百円入れれば向こうの機械からボールが飛んでくるから、より遠くにこのバットで弾き返せばいいと答えた。
そう聞いてからの志々雄の行動は早かった。
その二百円はどこにあると聞いてから、事務室の持ち運び型の小さな金庫を指差すとそれを金属バットで破壊した。
後はご想像の通り、百円玉を山ほど持ってボックスの中へと入っていった。
信史に「その、のーとぱそこん、ってのを調べときな」とだけ言って。

と言うわけで信史と言う名の奴隷は優雅に戯れるご主人様の背後でカタカタとキーボードを打っていた、というわけだ。

で、結局このノートパソコンは新品同様まっさらなままだと分かったのだ。
主催者側の弱点どころか、プログラムを勝ち抜くためのめぼしい情報は与えられていない。
志々雄は僅かに眉をしかめたが、あまり当てにもしていなかったのかそれほど落胆したようには見えなかった。

「で、これからどうするんで?」
「当面の問題は首輪だな」

それだけを言って志々雄は顎を指で触る。
しかし、全身火傷の痛々しさと包帯で捲いただけの無造作な姿が不気味だ。
そのくせ目はギラギラと野望に燃えている。
何時までも志々雄と共に居れば危険かもしれない。
腕は確実に立つだろうが信史を守る気など一切なく、まず間違いなく火種を嗅ぎ取ればそこに直行する。
そんな男と一緒に居たら命が幾つあっても足りやしない。
だが、単独行動のチャンスを得れる可能性があるかどうか。
信史はそう考えながらパソコンの電源を落とす。
これ以上見ていても何も変わらない。
休憩はここで終わりにして、探索の再開に移るべきだ。
それは志々雄も分かっていることだろう。

そう思って、移動を提案しようとした瞬間だった。
753カッキーン☆ 悪魔の怪人軍団! ◆EboujAWlRA :2009/11/20(金) 21:31:40 ID:QRR/9UL/

「なっ!」
「ほぉ……こいつはまた分かりやすい花火だな」

北東から僅かに火柱が上がったのを目撃した。
パソコンを見ていたら気付かなかっただろうが、タイミングよく電源を落としたところだ。
素早く地図を開き、あの方向に何があったかを確認する。
あの方向だと警察署、いや遊園地か?
いずれにせよ、そこで大々的な戦闘があったのだろう。
ここから見れるほど高く火柱が上がるとはとんでもない爆発物だ。
そんな強力なものが支給するなんてV.V.は何を考えているのだろうか、と考えてふと気づいた。

『そういうことだ、常識が違う世界さ。魔法も使えるらしいぜ』

魔法が使える、という志々雄の言葉。
まさか魔法を使える人間は武器を使わずにあの威力の魔法を扱えるのだろうか?
童話などでは悪い魔女一人で国を潰したりする、魔法と言うぐらいなのだからそれぐらいしてもおかしくないように思える。
知らないから判別できない。無知とは歯がゆいものだ。
ふと、見ると志々雄もタバサもさほど衝撃が受けているようには見えない。
タバサに至っては四冊目となるカタログに未だに目を通したままだ、良く見るとリンゴも食べている。
信じられない冷静さ、それだけでタバサの奥が見えない。

本当のところはいつもの行動をすることで、タバサなりに頭を落ち着かせようとしているだけなのだが。

「火柱に、煙……どんな強力な武器が?」
「はん、どうせあそこでもこの世の理通りに人間が動いてるだけだ」

そう言いながら、志々雄は再び百円玉をカウンターに差し込み、バッティングを開始する。
正直、志々雄の反応には驚きを隠せなかった。
剣呑とした雰囲気を常に纏った、戦うために生きているような男だ。
威力云々はともかくとして、明らかに戦いの火種と思える火柱に何の興味も抱かないのは意外だった。

それと同時に、志々雄の漏らした『この世の理』と言う物にも僅かながら興味を抱いた。

「この世の、理?」
「所詮この世は弱肉強食……弱いものが死に強いものが生きる、絶対の理だ」

それだけを言うと、もう一度バットを構えてピッチングマシーンへと目をやる。
110km/hのボールが志々雄へと向かって――――

スゥ――――カッキーン!

志々雄がバットで弾き返したボールは、ネットの最奥に供えられた『ホームラン』と描かれた的に見事突き刺さった。
それが、何の意味を指しているのか志々雄も察したのだろう。
バットを肩で担ぎ、口元に笑みを浮かべながらネットを潜り、まだ球も残っていると言うのにボックスから出る。
底の知れない不気味な、それでいて妙な信頼感を覚える笑みを浮かべながら、だ。

「とは言え、骨のある奴は多そうだな。さて、どうするか……」

行くか行かないか。
当然、信史としては危険な場所に行くのは避けるべきだ。
ならば志々雄と別行動するのも手かもしれない。
何処かで落ちあう約束をして信史だけ単独行動。
だが、志々雄と共に居るのもまたアリかもしれない。
この男は信史と違い狂っている。
狂っているからこそ、共に居て見えるものもまたあるのではないか?
志々雄ではないが、信史もまた「さて、どうするか……」と考え始めた。

754カッキーン☆ 悪魔の怪人軍団! ◆EboujAWlRA :2009/11/20(金) 21:33:46 ID:QRR/9UL/

【一日目黎明/H-08 バッティングセンター】
【志々雄真実@るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-(漫画)】
[装備]:リュウガのデッキ@仮面ライダー龍騎
[所持品]:支給品一式、不明支給品0〜1
[状態]:健康
[思考・行動]
1:自分の束ねる軍団を作り、ぶいつぅを倒す。
2:首輪を外せる者や戦力になる者等を捜し、自分の支配下に置く。
3:北東に向かうか、それとも別の場所に向かうか……

【タバサ@ゼロの使い魔(小説)】
[装備]:鉄の棒@寄生獣
[所持品]:支給品一式、林檎×9@DEATH NOTE、マハブフストーン×2@真・女神転生if…
[状態]:健康
[思考・行動]
1:何としても生き残る。
2:とりあえず志々雄に従う。
3:一先ず、いつも通りに本を読んで落ち着く。
※1巻終了直後からの参加です。
※支給品の鉄の棒は寄生獣10巻で新一が後藤を刺した物です。

【三村信史@バトルロワイアル(小説)】
[装備]:金属バット(現地調達)、マハブフストーン×3
[所持品]:支給品一式、確認済み支給品0〜2(武器ではない)、ノートパソコン
[状態]:左耳裂傷
[思考・行動]
1:単独行動を志々雄に言うか、このまま志々雄についていくか……
2:『ルルーシュ』か緑色の髪の女に接触し、V.V.の情報を聞き出す。
3:今回のプログラムに関する情報を集め、最終的に殺し合いに乗るか乗らないかを決める。

【マハブフストーン@真・女神転生if…】
氷結系の魔法攻撃を範囲広く仕掛ける。
魔法の使えない主人公にも使えるので、誰にでも使うことが出来る。
出来るだけに威力はそれほどでもない。
魔力の高い人間が使った方が威力は高くなる。
5個セットで支給。
755 ◆EboujAWlRA :2009/11/20(金) 21:38:30 ID:S/rjRh/+
投下終了です
誤字脱字矛盾がありましたら指摘お願いします
756創る名無しに見る名無し:2009/11/20(金) 23:24:23 ID:bUvJu+T7
投下乙
志々雄は色んな意味で楽しんでるなぁ
遊園地に行くなら後藤と遭遇するだろうけど、リュウガなら何とか対抗できるかな
三村は志々雄の配下入りか。果たして方治みたいになるのかどうか
そして爆発の原因はお前の作った爆弾だw

誤字は細かいですが>>745
志々雄に持っていない→志々雄が持っていない
>>750
ここで助かって→ここで助かった ぐらいかと
757創る名無しに見る名無し:2009/11/21(土) 00:15:46 ID:7ltpM5U7
投下乙!
何気に志々雄は遭遇相手に恵まれてるなぁ
魔法世界の住人に、ロワ経験者と情報面でかなり得してる
本人の実力も参加者内でトップクラスだし、戦況的には一番有利だ

そして爆弾の威力に怯える三村が皮肉にしか見えないwww
758創る名無しに見る名無し:2009/11/21(土) 11:55:49 ID:enN81AOU
というか志々雄とか縁って
実力は参加者内でトップクラスだったのか・・
後藤や狭間の印象が強いから
759創る名無しに見る名無し:2009/11/21(土) 12:28:07 ID:eQTz4sEt
志々雄はリュウガのデッキを持ってるし、本人の実力も考慮すればトップクラスなんじゃないかな
760創る名無しに見る名無し:2009/11/21(土) 12:54:14 ID:eQDr8UQo
このロワって強い奴多いよなー
後藤とかイデオとかシャドームーンとかカズマとかクーガーとか僕らの光太郎さんとか
ロロとかシャナとかるろ剣勢とかルパン勢とか……あと前衛の仲間手に入れたらアイゼルがマジやべえことになりそうだし

さて、漫画出展のカズヲがこのロワでどんな技をラーニングするか妄想でもするか……
761創る名無しに見る名無し:2009/11/22(日) 03:08:53 ID:vXbe8A10
ジェレミアはロロギアス効かない、銃弾跳ね返す、KMFの爆発に巻き込まれても無傷
ギアス世界では充分強い(むしろチート)なんだが、このメンツの中だと霞むな

このまま進むとアイゼルと接触かな?
762創る名無しに見る名無し:2009/11/22(日) 04:02:05 ID:5fiAleJS
桐山は中堅上位辺りなのかなぁ
一般人だけど社長とかに負ける姿が想像できない
763創る名無しに見る名無し:2009/11/22(日) 05:00:50 ID:sg2vMfDc
男主人公は強力な魔法とか
使えないのによくイデオと戦おうとしたな
764創る名無しに見る名無し:2009/11/22(日) 05:07:59 ID:QreypUO4
最近読み始めたんだけどなんだかシャナのキャラが違わないか?
確かに目的の為には手段を選ばないところはあるが、いきなり初対面の一般人を殺すなんてありえないと思う
作中でも無茶はしていたが、封絶をかけていて後から修復出来たり被害がトーチの時のみだったはず
既にリレーされてるから今更修正するのは難しいだろうけどさ
765創る名無しに見る名無し:2009/11/22(日) 15:20:14 ID:He5dFzSJ
>>764
もっと早く読み始めてたら良かったのにね
766創る名無しに見る名無し:2009/11/22(日) 16:38:17 ID:5fiAleJS
言われてみるとそんな気もするけど
初期のシャナはドライなイメージが強いから、そこまで酷い違和感は感じなかった
学校が襲撃を受けたときも、傷付いた生徒を修復に使おうとしてたし
それにここだと封絶は制限されてる

767創る名無しに見る名無し:2009/11/22(日) 17:38:16 ID:iBUxnZln
初期はあんな感じだよ。
768創る名無しに見る名無し:2009/11/22(日) 23:10:26 ID:wVhLOW6j
キングストーンフラッシュ
769創る名無しに見る名無し:2009/11/23(月) 00:24:40 ID:UbfSghxB
>>760
アトリエシリーズやってないからググってみたんだが、アイゼルのキャラとか強さがいまいち分からん
アイゼルって強いの?
770創る名無しに見る名無し:2009/11/23(月) 10:43:49 ID:CzizcJlR
ただの女には見えなかったけどw
771創る名無しに見る名無し:2009/11/24(火) 08:32:12 ID:VwgcCFiV
るろ剣勢は女キャラいなくて
作中でもトップクラスの実力者ばかりだ
772創る名無しに見る名無し:2009/11/25(水) 02:47:14 ID:vLsd1Llf
言われてみるとそうだな
他に強いのは蒼紫と師匠辺りか、師匠はチートだがww
773創る名無しに見る名無し:2009/11/25(水) 02:58:03 ID:hHs7wHdy
るろ剣は女キャラ地味だしな。
剣心と縁がいるなら、薫か巴が参戦したら面白いことになりそうだけどw
774創る名無しに見る名無し:2009/11/26(木) 18:01:14 ID:1Na25eaS
そういえば回復系の能力を持った人物がいないな
シャナぐらいかな
775創る名無しに見る名無し:2009/11/26(木) 23:02:57 ID:QOWnn3tE
言われてみればそうだな
自己再生ならてつを、シャドームーン、寄生獣あたりも出来るけど
776創る名無しに見る名無し:2009/11/27(金) 00:26:44 ID:qxzfvXd/
おいおい、社長が回復能力持ってるの忘れたのかよ!
攻撃防御洗脳移動飛行になんでもできるんだぜ!
777創る名無しに見る名無し:2009/11/27(金) 00:29:27 ID:Nun5bmI+
何だろう
頼もしいはずなのに、死亡フラグにしか聞こえない不思議
778創る名無しに見る名無し:2009/11/27(金) 17:07:55 ID:adbc1ghp
色々出来ても全部中途半端だからな社長w


てか社長は回復というか洗脳で痛み和らげた的な感じじゃなった?
779創る名無しに見る名無し:2009/11/27(金) 17:27:13 ID:q3/Ac+I1
ベホマみたいな本格的な治療ではなさそうだけど
780創る名無しに見る名無し:2009/11/27(金) 19:46:49 ID:TW7QkfEN
市民の治療やってなかったっけ?
まー完全回復とかは無理っぽい
781創る名無しに見る名無し:2009/11/28(土) 03:03:48 ID:f/756ISC
アレはエタニティエイトで自然治癒力を強化してるんじゃなかったっけ?
うろ覚えだから間違ってるかも知れないけど
どちらにせよ器用貧乏という言葉がよく似合うw>社長
782創る名無しに見る名無し:2009/11/28(土) 03:24:50 ID:AhFkcpkH
確か洗脳能力の応用で治癒力を促進してた気がする
前半はしょうもなかったけど、後半だとラスボス戦後にカズマと劉鳳を救出してるし
社長だってやる時はやってると思うんだけどなぁ
ただ同じ万能系の瓜実と比べると、天と地ほどの差が有るなww
783創る名無しに見る名無し:2009/11/28(土) 04:36:21 ID:4riDm1lY
予約ktkr
784創る名無しに見る名無し:2009/11/28(土) 14:08:22 ID:k9dbUoTK
お、本当だ
プ(ryに普通に出番があるのに違和感を感じるのは俺だけだろうかww
785 ◆EboujAWlRA :2009/11/29(日) 03:14:04 ID:rDwhElO7
亀山薫、前原圭一、プリーシア・ディキアン・ミズホ改め稲田瑞穂
投下します
786月の残光 ◆EboujAWlRA :2009/11/29(日) 03:14:54 ID:rDwhElO7

白のカッタシャツと黒のズボンを着た少年、前原圭一は図書館で『北条悟史』を探していた。
圭一は悟史の容姿を全く知らない。
知らないが、兄妹なのだから妹の北条沙都子に似ているのだろうと漠然に考えていた。
そして、悟史に会って雛見沢の謎と、どうして悟史が雛見沢から姿を消したのかを聞こうと思っていた。
だから、圭一は臆病に思えるほど慎重にではあるが歩きまわっていた。
最初に病院を大雑把にではあるが見回り、悟史が居ないと分かると次は近い施設の図書館へと向かっていた。
警察でも教会でもなく、図書館を選んだのは一番慣れ親しんでいる場所だったからだろう。
結果的には遊園地からの煙が上がった様子が見えたことから、その行動は正解だったと圭一は胸を撫で下ろした。

だが、今はどっちに行っても同じだったかもしれないと思い始めていた。
その原因は探索を始めた図書館の一隅から漂ってくる、異様な悪臭。
鉄が酸化した際に生じる、鼻の奥どころか脳にまでツンと来るような刺激的な悪臭に溢れていた。
なんとなく、その先にあるものが圭一にも想像が着き始めた。
得てして嫌な推測というものは簡単に浮かぶものである。

「うっ……!」

そして、その想像通り圭一は死体を発見した。
テンガロンハットと大きめのコートを身に纏った中年の男性の死体だ。
仰向けに倒れた身体と、切り落とされた首。
それはちょうど最初の不思議な場所で見た、小さな女の子と同じだった。
いや、あの時はこれほど近くで見てはいなかっただけに、今回の方が何倍も不気味で恐ろしい。

「うっ……! あ、ぁぁあ!」

その恐怖と驚愕と、首のとれた女の子の姿を思い出してしまい吐き気が込み上げてくる。
堪えようとして上を向くが、目の前の死体から漂う刺激臭が鼻から脳へと昇ってきて吐き気をより増進させる。

「くぅ、は、はあ、はあ……」

だが、それをなんとか堪える。
死体を見るのはこれで四度目ということもあったし、そして嘔吐物で死体を汚すのは躊躇われたからだ。
死んでから遺体に汚物をかけられる、もし圭一が遺体なら耐えられないだろう。
一度死んだと思った圭一だからからこそ、そんなことを思ったのかもしれない。
とにもかくにも腹の奥から込み上げてくる吐き気を圭一は堪えた。

「と、とにかく、この近くに人がいるってことか? それも殺し合いに乗った?」

この島に来てから、いや殺し合いに連れてこられてからまだそれほどの時間は経っていない。
精々が二時間程度であり、その僅かな間で人が死んでいるのだ。
恐らく死んだのはこの人だけではない。もっともっと多くの人間が死んでいる。
見れば、この男だって銃を持っている。
男だって殺し合いに乗っていて、それが逆に襲おうとした人間に殺されただけだ。

そうだ、誰が殺し合いに乗っているかなんてわからない。
ずっと仲間だと思っていたレナや魅音だって、殺し合いでない普通の日常で圭一を殺そうとしたのだ。
恐らく殺し合いに乗っている人間は圭一が考えているよりも多い。
それも殺されている人間の中にも殺し合いに乗った人間も居る。
戦わなければ生き残れない、そんな言葉が圭一の頭に浮かびあがる。
そして死体の傍にある銃を眺めて、鼻を押さえながら屈んで銃を拾う。
これで圭一は鉄パイプ以上の戦うための力を、殺すための暴力を手に入れた。

「どうする? これで、どうするってんだよ?」

何度目かになる独り言をつぶやく。
思わず拾ってしまったが、これを持ってどうするのだ。
人を殺すのか、レナや魅音たちにしたように。ノートにレナや魅音の名前を書いたように。
襲ってくる人間でなく、怯えている人間も殺すのか。
787月の残光 ◆EboujAWlRA :2009/11/29(日) 03:15:52 ID:rDwhElO7

「とにかく、悟史を探すか……」

圭一は銃をベルトに差し込んで、その答えを先延ばしにする。
とにかく、まず最優先で悟史と会うと決めた。
一年前に雛見沢に何が起こったのか、そして悟史は何故居なくなってしまったのか。
悟史に出会ってそれを調べなければいけない。

そこまで考えて、ふと不吉な考えが頭によぎる。

「でも、もし悟史も殺し合いに……」

だが、その言葉を最後まで言い切ることなく、飲み込む形で打ち切る。
それを最後まで言ってしまえば、悟史と対面する勇気すらなくなってしまうような気がしたから。
今は悟史を探そう、全てはそれからだ。
だが、その最中に他の人間を見つければ……殺すことも考えなければいけないかもしれない。
圭一は人を殺したくたくてしょうがないわけではないが、何より死にたくないのだ。
そのためには無茶な接触は避けるべきだろう。
幸いと言うべきか拳銃を見つけた。
その強力な武器を手に入れたことで、ある程度ではあるが心にゆとりが出来た。
これで具体的にどうするか、という答えは出ていないがとにかく強力な武器を手に入れたのだ。

「気は抜けないな」

僅かに振りむき、死体を横目で眺める。
圭一もいつああなってしまうかは分からない、ここは殺し合いの会場なのだから。
逃げ回る形になってでも、慎重に行かなければ。
死体の傍に会ったデイパックを拾っておく。
そして汚れていないことを確認すると、デイパックを手元に手繰り寄せる。
中身に手をやってそのままになっていることを確認する。
ひょっとするとこの男を殺した人間が戻ってくるかもしれない。
ゆっくりはしていられない、デイパックに全てを移しかえるとすぐに圭一は図書館から立ち去った。


   ◆   ◆   ◆


「……ひでえことしやがる」

短く刈り込んだ髪を弄りながらジャケットを着こんだ体格のいい男、亀山薫はポツリと呟いた。
軽く振り返ると、セーラー服を身にまとった切り揃えた髪が特徴的な少女、稲田瑞穂が何とも言えない表情でこちらを眺めている。
遠目からだが人が死んでいることを察したのだろう。
棚に隠れているとはいえ、死体の放つ存在感とは異様に目立つものだ。

前原圭一が図書館から出てからおよそ十数分後、入れ替わりになる形で亀山薫と稲田瑞穂が図書館へと足を踏み入れた。
山道と整備された街道、瑞穂による襲撃と情報交換。
この二つが原因で圭一と亀山たちに時間差が出来たのだ。
若干錯乱した圭一と出会わなかったのは二人にとって幸運だった。
圭一が出る時に裏口から出たことも幸いして、行きあわなかったのだ。
そして、二人は安心して人が居るか居ないかを確かめる程度の軽い探索。
それを初めてからほどなくして亀山が死体を見つけた。

亀山は眉をしかめながら、その床に転がった死体を眺める。
亀山も刑事、解剖医ほどではないが死体なら見慣れている。
だが、目の前の転がった死体の惨状にはかける言葉が見つからなかった。
とにかくひどい、こんな単純な言葉が出てこない。

その死体は首を『捩じ切られて』いた。
788月の残光 ◆EboujAWlRA :2009/11/29(日) 03:16:49 ID:rDwhElO7

まるで電車に引かれたかのように、見事に捩じ切られている。
こんな狭い場所では車は使えない。
精々バイクぐらいだが、どちらにせよ床に何かしらの痕跡が残るはずだ。
それがないとは、なんとも不思議な状況だ。
この手のトリックを考えるのは見慣れているが、明らかにするのが得意なわけではない。
考えすぎても仕方がない。

しかし、これはとんでもない痛みだったはずだ。
正当防衛としても過剰だ、明らかにこの男は被害者の側。
さらに、デイパックが周囲に見当たらないことから追剥ぎまでされたようだ。
亀山はそう思うと、自然と目を閉じて両手を合わせる。

(墓すら作れなくてすいませんね。せめて、人として安らかに眠ってください)

首を持ち上げ身体にくっつけるように置き、遺体の瞼を閉じさせる。
そして、カーテンをちぎって死体の上にかけてその姿が人目に触れないようにした。
何の意味もない行動だとは思うが、ゴミのように横たわった姿ではなく人らしい姿で眠らせてやりたかった。

ここに稲田瑞穂を置いて行くのは、あまりよくないだろう。
死体の傍でいつ戻ってくるかも分らない亀山をこんな惨死体と一緒に待つなど大の大人でも頭がおかしくなる。
しかも、先ほど南東の方向に煙が上がっていたのが見えた。
あの騒ぎを避けた人間がこちらに向かってくるかもしれない。
面倒ではあるが、別の腰を落ち着けれる場所を探した方がいいだろう。

「ここにあるのは、その、なんだよ、死体だけだ。別の所に行こう」
「……そうですね。本を読むなんてゆっくりするわけにもいきませんし、長居をする理由もありません」

亀山のその言葉に瑞穂は丁寧な言葉遣いで答えた。
僅かに動揺はしているようだが、目に見えて怯えているわけではない。
思ったよりも体力があるし、この異常事態にも動じていない。
ただ、死体を見ても驚かないのはプログラムとやらで死体を見慣れた結果か、とも思うと空しくなる。
実感は湧かないが、プログラムとやらは良くできた話だしこの状況に動揺しないことと酷似し過ぎている。
瑞穂が思春期特有の特別意識からの妄想にしては、身勝手な行動が少なくしっかりし過ぎている。
それに加えて向こうの意思次第で爆破出来る首輪やランダムに武器を配るなど、V.V.の殺し合いの進行に手慣れている。
瑞穂の言うプログラムとやらを模倣した可能性が高いと亀山は考えていた。
オリジナルのプログラムとの大きな相違点は対象が中学生だけではなく老若男女問わなくなったことか。
このことから全くのデタラメと切り捨てるのは躊躇われる。

相変わらず謎は多いし、パズルのピースも揃いきっていない。
それでもこのままここで蹲っているわけにはいかない。
今、亀山が優先すべきことは杉下右京との合流、その際に手土産になるパズルのピース。
ある意味ではこの瑞穂は重要参考人、パズルの重要なピースである。
重要参考人にして守るべき一般人、その存在が亀山の気合いをより強くしていた。

と、そんな時に瑞穂が亀山に話しかけてきた。

「……悔しいんですか?」
「何が、だ?」
「人が死んで、悔しいんですか? 悲しいんですか?」

反応を窺うような、疑心に満ちた目で瑞穂は亀山を見つめてくる。
最初に警察だと名乗った割には、あまりにも信頼は薄いようだ。
そう言えばあの時から妙に怯えたような、それでいて汚いものを見るような眼になっていた。
「事件を解いた」という亀山の発言の後に「探偵?」と尋ねた。
普通は事件を解いたと聞けば、探偵よりも先に警察が頭に浮かぶはずだ。
ひょっとすると、何か警察に嫌な思いがあるのかもしれない。
789月の残光 ◆EboujAWlRA :2009/11/29(日) 03:17:32 ID:rDwhElO7

「当たり前だ、俺は絶対に許せないことがあるから警察官になった。
 ……警察を絶対に信用しろとは言わない。ただ警察でなく俺を信じてくれ、今だけでいい。
 右京さんと合流出来りゃ絶対なんとかなる、出来なくても君を守ってみせる」

心の中で「俺は刑事だからな」と付け加えておく、瑞穂が警察に。
亀山は瑞穂に向ってあやす様に言い聞かす。
警察に信頼を抱いていなくてもいいが、そのあまり身勝手な行動をとられては困る。
亀山が困るのではなく、瑞穂が危険になるのだ。

その言葉を虚を衝かれたように目を丸くしたが、すぐに落ち着いた目へと戻る。
ただ気のせいかもしれないが、少し亀山を見る目が柔らかくなったように見える。
それでもまだ距離を取ったまま近寄ろうとはしないが。

「じゃあ、行くか。何時までもぼさっとしているわけにもいかないしな」
「ええ、水の戦士・マウンテンカメール。光の加護の下で闇を討つために動きましょう」

……ただ、このあだ名だけは止めてほしい、と言うのが亀山の本音ではあった。

【一日目黎明/G−8 図書館周辺】
【前原圭一@ひぐらしのなく頃に(ゲーム)】
[装備]:鉄パイプ@現実、ベレッタM92F(12/15)@バトルロワイアル(小説)
[所持品]:支給品一式×2 デスノート(偽物)@DEATH NOTE、予備マガジン4本(60発)
    雛見沢症候群治療薬C120@ひぐらしのなく頃に、不明支給品0〜2(銭型に支給されたもの)
[状態]:健康、雛見沢症候群L3
[思考・行動]
1:どんな手段を駆使してでもこのゲームを生き残る。
2:悟史に会う。
3:悟史以外のひぐらしメンバーを警戒、他の人間も信用ならない。
4:デスノートについては半信半疑だが、どちらかといえば信じている。
[備考]
※参戦時期は鬼隠し編終了後です。
※C120はあくまで雛見沢症候群の症状を抑えるだけで、完治させることは不可能です。
ちなみに健常者に使用すると10分以内に全身の発疹、発熱、瞳孔の拡大、妄想を引き起こすとされています。


【一日目黎明/G−8 図書館内】
【亀山薫@相棒(実写)】
[装備]:なし
[支給品]:三味線糸@バトル・ロワイアル、小型液晶テレビ入りポテチ@DEATH NOTE、タオル@現実、支給品一式
[状態]:左腕に打撲
[思考・行動]
1:民間人を保護しながら何とか右京と合流し、この事件の解決を図る。
[備考]
※瑞穂に『水の戦士マウンテンカメール(仮)』と一先ずの真名を与えられました。

【稲田瑞穂@バトルロワイアル(小説)】
[装備]:模擬刀@現実
[支給品]:シアン化カリウム@バトル・ロワイアル、本人確認済み支給品×2、支給品一式
[状態]:健康。アフラ・マズダ様のお声が聞けないため若干落ち着かない(´・ω・`)
[思考・行動]
1:神秘の水晶を奪還し、アフラ・マズダ様と再び交信する。
2:悪は討つ。
3:亀山は……悪い人間では、ないかもしれない?
4:右京と言う人間は……?

※遊園地の火柱と煙を三人とも目撃しました。
790 ◆EboujAWlRA :2009/11/29(日) 03:18:16 ID:rDwhElO7
投下終了です
791創る名無しに見る名無し:2009/11/29(日) 06:06:59 ID:yOQ+vhm0
投下乙です
圭一はこの精神状態で銃を手に入れたのは良かったのか悪かったのか…
亀山さんは刑事なだけあって正統派対主催だね。あだ名はともかくw
あと瑞穂は変な妄想していが、今のところ落ち着いてるのかな?
自分は漫画版しか見たことないけどかなりぶっ飛んでたからなぁw
792創る名無しに見る名無し:2009/11/29(日) 09:26:09 ID:w0+F75bJ
投下乙です
KOOLは銃を手に入れたけど擦れ違ったか。刑事の亀山ならまだ信用したかもしれないのに
瑞穂と亀山の仲も改善されてきたけど、このままだと3人共シャドームーンと遭遇する恐れがあるから油断は出来ないな
でも、もし瑞穂がベレッタを拾ってたら最大の皮肉だったな
あれ、原作で瑞穂が殺された時に使われた銃だし

>>791
原作と漫画版は殆ど別物だからなw
キャラの名前と設定は同じだけど、性格だけ見れば別人と言ってもいいぐらいだ
793創る名無しに見る名無し:2009/11/29(日) 14:50:13 ID:i8BYUTps
投下乙です。
瑞穂がこれから出会う人物にどんなあだ名をつけるか
楽しみだw
794創る名無しに見る名無し:2009/11/30(月) 00:25:05 ID:3djrUvRh
投下乙。
KOOLもったいないな…
一般人で情報の行き違いもあんまり起きないだろうから
出会ってたら一緒に行動できたろうに…

カメールは気持ちいくらいの正統派対主催だなー。
だが正統派対主催ってだけで死亡フラグなんだよなー…

>>793
確かに楽しみだwww
795創る名無しに見る名無し:2009/11/30(月) 02:46:10 ID:v/Vl2N4d
投下乙!
圭一に銃か、モデルガンで幼女襲撃してたの思い出した
もしかなみを撃ったりしたら、同じ声の奴の逆鱗買うぞwwww

小説版を見てプ(ryは可愛い子だと思ってた
だが漫画版を見て絶望した
そして巨乳にときめいてしまった自分にさらに絶望した

>>791
プ(ryの魅力は原作に詰まってる
漫画版と違うところもあるし、読む価値はあると思うよ


796創る名無しに見る名無し:2009/11/30(月) 10:09:25 ID:YTMYfUSY
しかし今さらだが、このバトロワのロリと実年齢ババ(な、なにをするきまらー

率の高さは異常だな
797創る名無しに見る名無し:2009/12/01(火) 23:16:43 ID:MqNV2lBt
ロリババァ……ローゼン勢のことですね、分かります
798創る名無しに見る名無し:2009/12/02(水) 02:50:21 ID:aaCDsD4R
799創る名無しに見る名無し:2009/12/02(水) 07:46:56 ID:VF1KX4gN
コラ。だけど、王蛇サバイブはマジであるw
コラ→ガチになったかなり特異なお方だから、 SIC 王蛇サバイブ でググるとマジで出てくるぞw
800創る名無しに見る名無し:2009/12/02(水) 08:42:37 ID:RQnj0d54
予約キター
801創る名無しに見る名無し:2009/12/02(水) 10:21:59 ID:QATRYd81
おお!本当だ
全員強いやつらだw
802創る名無しに見る名無し:2009/12/02(水) 22:45:05 ID:aaCDsD4R
漢字にルピも振ってあったし本物かと思ったww
王蛇サバイブ見てきたが、ジェノサバイバーやばいな
ほとんどのモンスターを取り込むとか流石王蛇さん
803創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 01:19:53 ID:9RthJBZe
これは…
どんな流れになるか想像しにくい組み合わせだなw
804創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 03:06:17 ID:5+yHAsz8
また予約がきた、最近多くて嬉しいなww
805創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 04:13:13 ID:1+IwYNq0
更にもう一つ来たけど、月が危ないな
806創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 10:04:29 ID:XYxGgz4V
月が危ないな。ルパンのフォロー次第か

しかしカズマはまた天才のペアと当たるんだなw
807創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 12:37:51 ID:UISVR7oj
でも月もマグナム持ってるからな
ひょっとしたら大番狂わせもあるかも
808創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 16:27:59 ID:Qw74vFjz
月のマグナムと聞いてあっちの方を想像してしまったのは、間違いなく立浪のせい
809創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 16:42:20 ID:aLsEYW7l
俺のも、だ
810創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 17:01:39 ID:L9pF7tyJ
月のマグナムと言われても貧相に聞こえる
811創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 17:25:26 ID:XYxGgz4V
月「細いんだよ!柔いんだよ!!縮れっぱなしなんだよ!!」
812創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 21:54:06 ID:5+yHAsz8
なんで月がカズマに会うと危険なのかと思ったら、Lが月を危険人物だと吹き込んでたのね
もうLは完全に迷惑な人になってるなww 
月は悲惨すぎる、全く知らない奴に警戒された上に粗チン扱いされるとかwww
813創る名無しに見る名無し:2009/12/04(金) 01:18:34 ID:Y4/fmypo
もう一つ予約来た!
しかし◆EboujAWlRA氏は最近執筆速度速いな
ロワとしてはありがたい限りだが
814創る名無しに見る名無し:2009/12/04(金) 01:35:10 ID:GVvVcCiF
予約四つだとぉ!?

◆4Er6hgpSa6氏の予約メンバーは全員縁の被害者だな
縁の対策会でも開くんだろうかww
815創る名無しに見る名無し:2009/12/04(金) 08:33:31 ID:i9cZ3aax
まあ被害者といっても
たいした怪我はしてないが
816創る名無しに見る名無し:2009/12/04(金) 10:06:09 ID:Ih3R4+05
月はマグナムで抵抗した方が危険な気がするな
月が危険人物な理由も月自身に力があるからではないし、カズマがLを完全に信用してるわけでもなさそうだし


てか予約すげぇきてるなw
嬉しいかぎりだ
817創る名無しに見る名無し:2009/12/05(土) 12:44:11 ID:bHrrIe54
延長か、残念
でももうすぐ4つも投下あると思うと嬉しくてしょうがない
818創る名無しに見る名無し:2009/12/05(土) 17:54:36 ID:+NzyXG9x
ギアスの新作確定したみたいだな
819創る名無しに見る名無し:2009/12/05(土) 17:56:37 ID:Vxdl9EWM
マジでか、あれからどう続けるんだ……?
820創る名無しに見る名無し:2009/12/05(土) 18:51:17 ID:1gGC/45w
調べたけど出ないぞルルーシュ新作
821創る名無しに見る名無し:2009/12/05(土) 19:19:44 ID:+NzyXG9x
ttp://m-pub.channel.or.jp/geass/

携帯の公式サイトに載ってる
822創る名無しに見る名無し:2009/12/05(土) 21:30:53 ID:EZIWgFBx
これか
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org424675.jpg

新コードギアスとはあるがルルーシュの名は出ていないな
823 ◆EboujAWlRA :2009/12/05(土) 23:46:40 ID:Vxdl9EWM
甘寧一番乗り!
短めですがヴァン、C.C.投下します
824相乗りヘブン ◆EboujAWlRA :2009/12/05(土) 23:47:25 ID:Vxdl9EWM

「ふう……」

C.C.はナイフでピザを切り取りながら目の前の男を眺めていた。
タキシードを身にまとったこの男は夜明けのヴァンと名乗り、C.C.から渡されたピザを何の躊躇いもなく食べている。
毒が入っているかもしれない、なんて考えが頭にもないような食べ方だ。
いや、これほど不気味なトッピングをすれば毒もなくなるのかもしれないが。
とにかく、黙々とピザを食していたヴァンが突然顔を上げて、ようやく声を発した。

「ミルクはないのか?」
「……あるのは水だけだ、お前のデイパックにも入っていただろう?」
「あー……じゃあ水で良い」
「自分で取れ」

先ほどから、荒っぽい口調と時々入る全くこちらを敬っている様子のない敬語を規則性なく使ってくる。
しかも、その敬語も何処か文法的に怪しいところがある。
口調一つを取っても掴みどころのないヴァンにC.C.は頭を抱えてしまう。
おまけに目の前の惨状だ。
そう、C.C.にとってヴァンの食したピザの乗っていた皿は惨状と言って差し支えないものだった。
C.C.の愛するピザは少なくとも食した後に緑色の粘液などは残らない。
なのに、現実問題として目の前のケースにはその緑色の粘液が残っている。
これを惨状と呼ばずにいられるだろうか、いや呼ばずにいられない。

そんなC.C.の嘆きと悲しみをまるで気付かずにヴァンはペットボトルに口をつけてガブガブと飲み干している。
タキシードという正装に身を包んでいる癖に礼儀も行儀も作法も何一つ感じない無作法な男だ。
まあ、それは最初に見た時から何となくわかっていたことだ。
それにこの緊急事態で気取っていてもしょうがないというのもあるだろう。
C.C.はそう考えながら、まだ残っているピザを口を含みつつデイパックから名簿を取り出す。

「早速だが、この中に知った名はあるか?」

そう言えばC.C.も名簿をじっくりと見るのは初めてだ。
晒した名簿を自分でも目で追ってみる。
漢字が多いことに加えて語感から日本人が圧倒的に多い、半数は日本人で構成されているようだ。
一方でシャドームーンやLのように本名ではなく何かのコードネームと思える名も乗っている。
後藤やカズマやヴァンと言ったファーストネームだけラストネームだけと言う名も妙に目を引く。

そのことがふと気になり、ヴァンを見つめる。
一方のヴァンはナイフでピザのようなものを切り取りながら、目を細めて名簿を見ている。

「そう言えばヴァン、お前のミドルネームとラストネームはなんだ? この名簿にも載っていないが」
「…………………俺は夜明けのヴァンだ」

少し考えた様子を見せた後に、それだけを返す。
ミドルネームとラストネームの意味が分からないと言うことはあり得ないはずだ。
本名を明かしたくない、ということだろう。
自身もC.C.という明らかに本名ではない名を名乗っているので、そこを強く問いただすつもりはない。
そう思ってこのことは一先ず流して、次の作業へと移す。

「私が知っている名は……この5人だ。ジェレミアには一応気を付けておいた方がいいだろうな」
825相乗りヘブン ◆EboujAWlRA :2009/12/05(土) 23:48:31 ID:Vxdl9EWM

ルルーシュ・ランペルージ、ロロ・ランペルージ、篠崎咲世子、枢木スザク、ジェレミア・ゴットバルト。

デイパックからペンを取り出して先の三人の名前の横に丸を、枢木スザクとジェレミアに三角をつける。
枢木スザクはブリタニアサイドの人間だが、V.V.が動いているならば関連性は低いと思われる。
V.V.は神聖ブリタニア帝国の暗部中の暗部、いくら枢木スザクが皇帝の騎士であろうとこれに絡んでいる可能性は低いだろう。
だが、ジェレミア・ゴットバルトはあのブラックリベリオンで奇妙な言動が目立った。
さらに、あの時に神根島周囲の海域で海底に引きずり込んだのだ。
C.C.だからこそ助かったあの状況で、ジェレミアは生き残っていた。
そしてそもそもの原因としてあそこにはV.V.とナナリーもいた。
となると、V.V.にシャルル・ジ・ブリアニア皇帝も絡んだギアス嚮団の仕業と考えるのが自然。
つまり、ジェレミアはその二つと何かしらの関係がある、ということだ。
だが、それだけで危険人物と決めつけるには早計でもある。
故に枢木スザクとジェレミアを○でも×でもなく、好意的とも危険信号とも取れる△をつけたのだ。

ヴァンはそれを興味があるのないのか、なんとも意図の読み辛い目をして眺めている。
そして、相変わらず気怠そうな目をしながらC.C.へと向かって手を差し出す。
ペンをよこせ、と言外に言っているのだ。

「ほれ」
「……こいつとこいつだよ」

やはり気怠そうにペンで丸をつける。
レイ・ラングレンとミハエル・ギャレットという二人だけだ。
直ぐに丸をつけたレイ・ラングレンとは対照的に、ミハエル・ギャレットには後から気づいたように丸をつけた。
そのことからレイの方がより近しい人物、ということなのだろう。

「危険人物か?」
「さあな」
「ふむ……で、ここからが本題だ。お前はピザ……を食べたな?」
「見りゃあ分かるだろ」

C.C.は少し顔をしかめながら、ヴァンの食べたピザだったものを見つめる。
正直な話、あまりこれをピザだと呼びたくないがヴァンはピザのつもりなのだからピザと呼ぶしかない。
交渉に重要なのは相手とのスムーズな会話なのだから。
そのヴァンはと言うと相変わらず間の抜けた顔でC.C.の疑問に受動的に答えるだけだが。

「ならば、共に来い」
「……あん?」
「働かざる者食うべからず、ならば食べた者は働くべきだと言えるだろう」
「…………ああ、そういうことか」
「そういうことだ、協力してもらうぞ」

働く、という言葉でようやく得心したようで、相変わらず表情の読めない顔で頷いた。
やたら反応の鈍いヴァンだったが、こうも承知するとなると元はそういう仕事をしていたのかもしれない。
要人警護のSP、あるいはそんな上等なものではなく金を貰って誰かを傷つけるチンピラ、あるいは傭兵。
少なくとも警察には見えなかった、頭の回りが悪いように思えたからだ。
まあいずれにせよ、ヴァンの言動から察するに身体能力や対人戦には優れている可能性が大きい。
相手の姿が見えてくることで、C.C.の頭も段々と落ち着いてくる。

「俺もやることがあるからな……ここから出れるのなら別に構わない」

予想外に素早くまとまった交渉となった。
元々ヴァン自身がバトルロワイアルに乗り気でなかったこともあるのだろう。
もちろん、今までの全てが演技で後ろを見せた瞬間にズブリと刺されるかもしれない。
だが、それはそれで問題がない。
C.C.は不死身の女、ヴァンが背中を見せるまで死んだふりでも続ければいい。

「……ああ、そうだ。聞いておきたいことがあるんだが」
826相乗りヘブン ◆EboujAWlRA :2009/12/05(土) 23:49:18 ID:Vxdl9EWM

C.C.がこれからの方針を頭の中で整理しているところをヴァンが突然声を掛ける。

「カギ爪をつけた男を、見なかったか? あのホールのところでも見かけた程度でもいい」

その瞬間だけ、ヴァンの目つきが鋭くなった。
先程までの気の抜けた目ではなく、人をそれだけで射殺せるような鋭い目付きだ。
ヴァンにとってそのカギ爪をつけた男は重要な人物なのだろう。
C.C.もあのホールに居た人間は大雑把にではあるが、その姿を眺めている。
そしてその中にカギ爪を付けているような男は居なかった、と思う。

「いいや、見ていないな」
「……そうか」
「お前は見てないのか? よほど因縁のある人物に思えるが」
「見ていない。だが、ひょっとするとひょっとするかもしれない……居ないだろうがな」

その言葉に、ヴァンは目の鋭さをなくす。
穏やかな間柄ではないようだ、ここに居ないのならわざわざ掘り下げて聞く必要もないだろう。

「全員を見渡したつもりだ、アンタも見てないならここには居ないんだろう」

ヴァンはそう言って目深に被った帽子をさらに深くする。
それはC.C.に言ったと言うよりも自分に言い聞かせるような言葉だった。
下手につついてせっかく手に入れた主導権を握っている今の関係を無くすのもバカらしい。

「となると、話は早いな。まずは私の用を済まさせてもらうぞ」
「はあ」
「ルルーシュ・ランペルージ、あのヒョロヒョロのもやしっ子をまず探させてもらう」

一先ずの方針はルルーシュの探索で構わないだろう。
首輪の解除方法やこの島からの脱出方法などは同時進行で進めていけばいい。
他にもロロや篠崎咲世子とも合流できるならば合流しておきたい。
ルルーシュの共犯者であるC.C.ならばこの二人と衝突することはないだろう。

「では、行くか。詳しいことは動きながら決めればいい」
「ああ……」

ヴァンはピザのケースを残したまま立ち上がる。
相変わらず見るも悍ましいケースだ、素早くC.C.は視線を外した。

さて、ここから出る前にこの小屋を軽く見まわっておこう。
なにか面白いものがあるかもしれない、車などがあれば最高だ。
そう思いC.C.は小屋を正面から出た後に裏側へと回る。
見つからなくても別に構わない、微に入り細に入った探索をするわけではないのだから。
大雑把に周辺を見てまわるだけだ、そう時間のかかる作業ではない。

「っと、ほう。これはいいじゃないか」

C.C.が小屋の側を回って早々に見つけたものは、恐らく農作業に使うのであろうフォークリフトだ。
通常の前に荷物を置くものではなく、後ろに積むものであるところが少し奇妙ではある。
一人乗りだが後ろに農具か作物を積んだ箱を置くのだろう荷台がある、運転する者と後ろに乗る者で十分に二人で移動できる。
スピードはでないがこれは有り難い。
音は出るがC.C.は不死身だ、問題ない。ヴァンはヴァンでなんとかしてもらおう。

「鍵は……付きっぱなしか、無用心だが有り難いな」

そう言って次はキャタピラへと目を移す。
傷んでいる様子もなく危険は少ないだろう。
これは良い、むき出しなのがマイナスだが乗り物がないよりは何倍もマシである。
827相乗りヘブン ◆EboujAWlRA :2009/12/05(土) 23:51:18 ID:Vxdl9EWM

「ヴァン、運転は任せたぞ」
「ああん?」
「なに、ほとんど一本道だ。ハンドルを持って前を見ていればいいだけだ」

そう言ってフォークリフトの荷台に腰をかける。
人が一人乗るぐらいな広々としていて良い加減だ、三人、いや詰めれば五人は乗れるかもしれない。
C.C.は腰掛けた横にデイパックを置き、その中からピザを取り出した。

「私はピザを食べる、前方の見張りは任せたぞ。ああ、間違ってもライトはつけるなよ」

そして、脚を投げ出しながらピザを頬張る。
ようやくヴァンの『特製ピザのようなもの』の姿が頭から薄くなってきたのだ。
頭のお口直しと言わんばかりにC.C.はピザを美味しそうに頬張る。
ヴァンはそれを見て、僅かにため息をついてむき出しのトラクターのハンドルを握り、付けっぱなしの鍵を回してエンジンを蒸す。
そして、ハンドルを握ってトラクターを動かし始める。

気が遠くなる年月を過ごした魔女とやっと掴んだ幸福を奪われた復讐鬼が動き出す。
魔女は自身の死へと近づくために、復讐鬼はたった一人の男を殺すために、それぞれが探し人を求めて動き始めた。

【一日目 黎明/F−1 小屋】
【ヴァン@ガン×ソード】
[装備]薄刃乃太刀@るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-、菊一文字則宗@るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-
[所持品]支給品一式、調味料一式@ガン×ソードフォークリフト@ガン×ソード(運転中)
[状態]健康
[思考・行動]
1:カギ爪の男に復讐を果たすためさっさと脱出する。
2:レイが気にならない事もない。ミハエルは出会ったら倒す。
[備考]
※23話「みんなのうた」のミハエル戦終了後より参戦。
※ヴァンはまだC.C.の名前を覚えていません。

【C.C.@コードギアス 反逆のルルーシュ R2】
[装備]ブリッツスタッフ(アイテム効果:炎・中ダメージ、MP消費小 品質:最高魔力)@ヴィオラートのアトリエ
[所持品]支給品一式、エアドロップ(アイテム効果:水中呼吸が出来る)×3@ヴィオラートのアトリエ、ピザ@コードギアス 反逆のルルーシュ R2
[状態]健康
[思考・行動]
0:ピザを食べる。
1:生還し、不老不死のコードをルルーシュに譲渡することで自身の存在を永遠に終わらせる。
2:ルルーシュと合流する。
3:利用出来る者は利用するが、積極的に殺し合いに乗るつもりはない。
[備考]
※TURN11「想いの力」終了後、日本に戻る前から参戦。
※不死でなくなっていることに気付いていません。

【フォークリフト@ガン×ソード】
第一話でウェンディが気絶したヴァンを街に運ぶ際に乗っていたもの。
広々とした場所ならば問題なく通れる、ただしスピードはかなり遅い。
支給品ではなく小屋の周辺に置かれてあったもの。
828 ◆EboujAWlRA :2009/12/05(土) 23:52:16 ID:Vxdl9EWM
投下終了です
誤字・脱字・展開への指摘ありましたらお願いします
829創る名無しに見る名無し:2009/12/05(土) 23:57:40 ID:NLEaa13d
うぉっしゃ! きた!!
どっちも知らないキャラだけど。いいね
830創る名無しに見る名無し:2009/12/06(日) 00:05:05 ID:zZCGMExG
投下GJ!
原作知らないんで突っ込んで言えないんだが、ワガママCCと気だるげなヴァンのコンビがどう立ち回っていくのか楽しみだぜ
ルルが死んだことを知ったらCCはどう動くんだろうか……?
831創る名無しに見る名無し:2009/12/06(日) 00:43:58 ID:zN7PGr5k
投下乙!
こう見るとやっぱりギアス勢にとってルルーシュって大きかったんだなぁ
主人公だけあって、周囲への影響がでかそうだ
しかしC.C.の嫁とも言えるピザはヴァンに陵辱されちゃったんだなww
なんというか昔、ご飯にマヨネーズかけてた奴思い出した

そして今日はもう一つ投下くるのか、楽しみ
832創る名無しに見る名無し:2009/12/06(日) 00:55:13 ID:dggiQzLh
投下GJ!
なんかいいなあ、この凸凹な感じ
いいコンビになってほしいが、
ルルの死が放送された後どうなるのか怖くもあるな
833創る名無しに見る名無し:2009/12/06(日) 01:12:12 ID:BaejgEy5
投下乙
ヴァンはC.C.に振り回されそうだなぁ
ピザの代金は高く付いたというわけだw
834創る名無しに見る名無し:2009/12/06(日) 05:10:41 ID:iC7PwtT2
投下乙です
とりあえず2人とも生き残り優先かな?
両方とも原作は知らないけどヴァンはマイペースっぽいな
そしてC.C.はピザにこだわりすぎw
835創る名無しに見る名無し:2009/12/06(日) 05:49:13 ID:y4zPO42p
延長か
残念だが仕方ないな


そして新しい予約が!
ついに社長の運命が決まるわけだww
836創る名無しに見る名無し:2009/12/06(日) 10:39:17 ID:Cn36imDU
織田様だ、織田様が来るぞ
837創る名無しに見る名無し:2009/12/06(日) 12:08:39 ID:BaejgEy5
レイ兄さんと銀様たちは間に合わないか
悟史より桐山と再開する織田様の方が可哀想だw
838創る名無しに見る名無し:2009/12/06(日) 16:07:14 ID:haBpK886
なんだこの予約ラッシュは……。読み手としては嬉しい事この上無いが、一体何があった?
839創る名無しに見る名無し:2009/12/06(日) 21:45:32 ID:2dejvnPX
やっぱり書き手さんが恒久的に投下してくれたからだと思う、本当に感謝
840創る名無しに見る名無し:2009/12/06(日) 22:38:24 ID:dggiQzLh
だよな
支援くらいしかできん読み手だが、いつも楽しませてもらってるよ
書き手の皆さんはあんまり無理せず自分のペースで書いてほしい

……改めて言うのもなんか照れ臭いがww
841創る名無しに見る名無し:2009/12/07(月) 01:08:58 ID:8Ab2ozG+
投下あるまで全裸待機
842創る名無しに見る名無し:2009/12/07(月) 02:14:50 ID:Y38VwSx2
全裸に靴下で待機
843 ◆U1w5FvVRgk :2009/12/07(月) 02:55:49 ID:DSOHaIJ3
>>841-842
すいません、またギリギリになっちゃうと思うので、服を着てて待機してください。
844創る名無しに見る名無し:2009/12/07(月) 03:04:07 ID:E8xOOm8y
ワロタ
845 ◆U1w5FvVRgk :2009/12/07(月) 05:59:18 ID:DSOHaIJ3
お待たせしました。投下します
846フレイムヘイズ×矛盾×雌伏  ◆U1w5FvVRgk :2009/12/07(月) 06:00:38 ID:DSOHaIJ3
 ホテルとはサービスを売りにする場所だ。
 客に不愉快な思いをさせないため、外観のデザインや清潔さにも気を払わなければならない。
 その点からすれば、エリアB−1のホテルは失格だと断言できる。
 何しろホテル正面のガラスは砕け、ロビーのあちらこちらに弾痕が刻まれているのだから。
 ここだけ見れば、既に廃業しているとも思えるだろう。
 そんな荒んだ場所にて、泉新一は頭を悩ませていた。

「どうしようかなぁ……」

 左手で頭を掻きながら、新一はホテルのロビーにて唸る。
 チーズのように穴だらけのソファに身を沈める姿は、一見して気だるげだが顔だけは真剣な面持ちだ。
 隣に目を向けてみれば、そこには穏やかに寝息を立てる青年が一人。
 新一の知っている限りでは、テレビによく出るそこらのアイドルよりも整った顔立ちをしていた。
 毛布代わりに、その身には新一に支給されたゼロのマントが掛けられている。
 新一は彼の名前を知らない。
 そんなことを聞く暇も無く、二人は先ほどまで戦っていた。
 サブマシンガンを携えた青年が襲撃してきたのがほんの一時間程前。
 結果は新一が何とか青年を気絶させて終わったのだが、その後が問題だった。
 青年をどう扱うか、新一は決めかねていたのだ。
 普通に考えれば、自分を襲ってきた相手など捨て置けばいい。
 この場が殺し合いであることも考慮すれば、殺すという選択もある。
 が、新一はどちらの行動も起こしていない。
 殺すという選択ははなから論外であり、気になる事があるので放ってもおけなかった。
 新一の脳裏に引っかかるのは、青年の言葉。
 青年は言った。『所詮この世は弱肉強食、強ければ生き弱ければ死ぬ』と。
 自分と同年代の青年がそのような価値観に至るのが、新一には理解できなかった。
 それでも想像力を働かせて行き着いた結論は、青年が虐げられる立場にいたというものだった。
 具体的にはイジメや虐待、あるいは両方かその他の原因かもしれない。
 新一自身は平凡な家庭で育ったので、想像するしかない。
 もし、そのような環境を青年が過ごしたなら、弱肉強食という価値観に至るのも無理は無いのか?
 そう考えたものの、この考えには穴があった。

(仮に俺の推測が当たっていたとして、ああまで殺人を躊躇しなくなるか?)

 殺人とは人間にとって最大の禁忌。少なくとも新一はそう思っている。
 だというのに、少年は殺人を当たり前のように行おうとしていた。
 いくらなんでも、現代に生きてる人間として当然の論理観を捨てれるだろうか。
 新一には、どうしてもそこらへんが分からなかった。

(こいつならどうするんだろうな)

 気が付くと、新一は右手を眼前まで上げていた。
 こんな時ミギーならどうするだろうかと考えて……すぐに止めた。
 考えずとも、新一には答えがおのずと想像できたからだ。

『彼がどのような事情を抱えていたとしても、わたしや新一には関係ないだろ。
 どうしても聞きたいなら、彼の持ってたマシンガンでも突きつけたらどうだ。
 きっとすぐに話してくれるぞ。
 それが嫌なら、さっさと彼を置いてどこか別の場所に行こう』とでも言うのだろう。

 実に合理的かつスマートな回答だ。
847フレイムヘイズ×矛盾×雌伏  ◆U1w5FvVRgk :2009/12/07(月) 06:01:24 ID:DSOHaIJ3
 実際そのように答えられたら、新一はミギーらしいなと呆れが混ざった溜め息を吐くだろう。
 確かに青年を叩き起こし、サブマシンガンを向けながら無理矢理事情を話させるのが、
 この場では最も手っ取り早い方法だ。
 だが、そんな強盗同然のやり方を新一が出来るはずもないし、やりたくもない。
 一応、少年のサブマシンガンと、他の武器になりそうな支給品は新一のデイパックに移してある。
 最初は盗むようで気が咎めたものの、最後は元々主催者が配った他人の物だと自分を納得させた。
 それでも、食料などの基本支給品に手を付けてないあたりは甘いのかもしれない。
 さて、どうするかと再び堂々巡りの思考を始めようとして、新一の正面から夜風が吹きつけてきた。
 寒さに一度身を震わせる。
 新一の正面、ホテル入り口脇のガラスは青年が破壊している。
 そのため肌寒い風が時折吹き付けるのだが、今のは特に冷えていた。
 だからか、何気なしに新一がそちらに目を向けると、一時間程前を再現するかのように人影があった。
 瞬間、新一は自分の心臓に直接冷風を当てられた気がした。

(やばい!)

 直後に青年が突撃してきた情景を思い出して、慌てて傍らに置いてあるデイパックを掴む。
 新一の所持品の中で一番役立ちそうな物は、やはりサブマシンガンだ。
 が、新一はこれを手にしない。
 こんな状況とはいえ、人を殺す銃器に嫌悪感を懐いたのだ。
 なので新一の選択は少年を抱えながらの逃走。
 普通なら難題だが、常人以上の力を持つ新一なら決して不可能ではない。
 以前に島田というパラサイトから人を抱えて逃げたこともあるのが、この選択を選ばせた。
 ミギーが起きていればと愚痴を漏らしたくなるが、そんな暇も無さそうだ。
 新一が青年を抱えようと手を伸ばしたところで、

「待ちなさい!」

 女性のものと思われる鋭い声が動きを止まらせた。
 思わず新一が振り向くと、こちらに向かって少女が歩いていた。
 見た目はまだ12、13歳ぐらいで、背丈は140センチ程。
 腰まで伸びた黒髪が艶やかで、幼いながらもその顔は凛々しく、間違いなく美少女と形容できる。
 着ているセーラー服から学生だと察せられた。
 途端に新一の体から力が抜ける。

(こんな子供相手に俺は取り乱してたのかよ。
 そうだよな。さっきみたいにいきなり襲ってくる奴の方が珍しい……ん?)

 人影の正体に安堵していた新一だが、少女の携えている物に違和感を覚えた。
 少女の右手にあるのは、どうやら金色の剣のようだ。
 薄暗いホテルの中でもうっすらと判るぐらいに輪郭が浮かんでいる。
 随分と装飾されているようだが、一箇所だけおかしい箇所があった。
 刃の部分に何故か赤黒いシミが滲んでいたのだ。
 何か付着した液体を強引に拭ったのか、それは剣の外見を損ねていた。
 あんなところに付着する赤黒い液体とは何かと新一は考えて、嫌な予想が付いた。

「ま、待て!」

 今度は新一が少女に静止の声を掛けた。
848フレイムヘイズ×矛盾×雌伏  ◆U1w5FvVRgk :2009/12/07(月) 06:06:19 ID:DSOHaIJ3
 幸いにも、少女は歩みを止めてくれた。
 眉間に皺を寄せ、不満げな様子をありありと示していたが。
 知らず、少し冷や汗が出てきていた。
 できれば、剣については見間違いであって欲しかった。
 だが、見てしまった以上は確認しないといけない。

「なに?」
「な、何だよそれ。その剣に付いてるの」

 少女はちらりと剣に目を向けて、あっさりと返答した。

「血液よ。人間の血液」

 何の戸惑いもなくシミの正体は明かされた。
 新一は、その答えを上手く呑み込めない。いや、理解したくなかった。
 まさか、こんな子供が……そんなことは考えたくもない。
 だから、違う予想を立てる。
 それが当たっている可能性が低いと分かりながら。

「何で、そんなものが……最初から付いてたのか?」

 そうだと言ってくれ、と新一は願った。
 しかし、少女はどこか小馬鹿にした視線を新一に浴びせると、事も無げに告げる。

「それならもっと変色している。これはさっき、私が斬った人間の血。
 こびり付いたからこれ以上は拭えなかった」

 淡々と事務的に報告する少女に、新一は頭痛がしてきた。
 異常だ。十代前半の子供が平然と殺人の事実を口にする光景は、間違いなく異常だ。

「どうしt」
「待って。さっきからお前ばかり質問してる。私にも聞きたいことがあるんだけど」

 理由を問おうとしたところで、再度待ったを掛けられた。
 無視したいところだが、そうしたらこちらの質問にも答えてくれないだろう。
 言ってること自体は間違ってないので、新一は首肯した。

「聞きたいことは二つ。まず、赤い宝石が付いたペンダントを知らない?」
「知らないな」
「そう、ならこのホテルを襲ったのは……お前?」
「俺じゃねえよ!?」
「じゃあ、そっちで寝てる方ね」
「それは、違う」
「へたくそ。自分すら誤魔化せない嘘は滑稽なだけよ。
 どうしても嘘だと言うなら、荷物を見せてくれればいい。
 それでここにある弾痕を刻むような銃が無かったら、違うと認める」

 これほど誤魔化すだとか嘘を吐くのが苦手な自分を恨めしく思ったことはなかった。
849フレイムヘイズ×矛盾×雌伏  ◆U1w5FvVRgk :2009/12/07(月) 06:07:01 ID:DSOHaIJ3
 間が悪いことに、新一のデイパックには物的証拠となるサブマシンガンが入っている。
 言い逃れは出来そうになかった。

「そっちがやったのね」
「……ああ、そうだよ」

 新一の答えに少女は一つ頷くと、自分の番は終わりと新一に話す権利を譲った。
 苦い気持ちを味わいながら、新一は殺人の理由を問い掛けてみた。
 せめて、これぐらいはマシな答えを期待したかった。

「どうして、殺したんだ? 危ない奴だったのか?」
「それは分からない。会話する間も無く首を切ったから。
 殺した理由は、首輪が欲しかったからよ。これを解除するとしても、サンプルが必要でしょ。
 だから、仕方なかった」

 今度こそ、新一は目まいを起こしそうになる。
 目の前の少女はパラサイトでは? とも考えたが、可能性は限りなく低い。
 パラサイトならまず武器を使わないし、第一に首輪など取らずに人間を喰らう筈だ。
 それが彼らの本能なのだから。
 それでも、少女の無感情な有様は、新一にパラサイトを彷彿とさせるのに十分だった。
 新一の様子に構わず、少女はこれで話はお終いとばかりに近づいてくる。
 そして、新一のすぐ傍まで歩くと、右手に持つ剣を突きつけてきた。

「退きなさい」

 ただ一言。
 恐らく、新一が退けば少女は後ろで眠っている青年を殺すだろう。
 首輪解除の障害にしかならないだとかそんな理由で。
 新一は――――


【フレイムヘイズ】
《紅世の徒》による『世界の歪み』の発生を防ぐために彼らを討つ異能の遣い手たち。
《紅世の王》と、《王》と契約した元人間の、二人で一人を指す。
 不老の肉体を持つため、生きた年月に比べて精神的な成長が遅い。

 もしコキュートスがあれば、アラストールが短慮を諌めて、魅音を殺すことを防げたかもしれない。
 シャナがもう少し未来から呼び出されていれば、新一ともコミュニケーションができたかもしれない。
 どちらも起こらなかったばかりにこの状況。
 まだ炎すら出せない未熟なフレイムヘイズは、自らが正しいと思う合理的な判断に従った。
 それが人間からすればどれだけ冷徹に見えるかは考えずに。

 ■  ■  ■

「……は?」

《炎髪灼眼の討ち手》シャナは突然右手に走った衝撃に、思わず呆けた声をこぼす。
850フレイムヘイズ×矛盾×雌伏  ◆U1w5FvVRgk :2009/12/07(月) 06:08:40 ID:DSOHaIJ3
 直後、何か硬い物が床に落ちる音が聞こえた。
 右方に視線を動かしてみれば、自分の右手はしっかりと黄金の剣を握っている。
 ただし、刀身は半分の長さになっていたが。
 眼前の少年が、素手で叩き追ったのだと理解すると同時、後ろに跳んで距離を取った。
 少年はしばし右手を振りぬき、顔は俯けていたが、やがてゆっくりと上げた。
 浮かべている表情は怒り。先ほどまでの動揺を露にしていた様子は見受けられない。
 本気で怒っているとアピールするように顔を歪めて、シャナを睨んでいる。
 そこいらのチンピラなら恐怖のあまり逃げ出す凄みが、その顔にはあった。
 シャナは少年への認識を改める。
 さっきまでは間違いなく平凡な人間だった。だが今は断定できない。
 こんなときコキュートスがあれば、アラストールが有益な助言を授けてくれるはずだ。
 現状では無いものねだりだと分かっていても、長年の相棒と話せないのは違和感があった。

「ふざけんなよ! 何が仕方ないだ……そんな簡単に人を殺すなんて、お前は」
「お前は」

 だから、自分で確かめる。

「本当に人間なのか?」
「本当に人間なの?」

 偶然にも、二人の問いが重なる。
 互いが人であるかどうか、図りかねた故の質問。
 シャナの問い掛けに、少年は即答はせず僅かに言いよどんだ。

「俺は、俺は人間だ!」
「普通の人間にこんなことは出来ない」

 真ん中で折れてしまった剣を見せる。
 すると少年は口を噤んでしまう。
 シャナもこの剣がかなり脆く、劣悪な品だとは解っている。
 実用性を重視するならば、宝石などで華美な装飾を施したりはしない。
 まさに見掛け倒しの玩具と言ってもいい剣だ。
 それを差し引いても、鉄で出来た剣を素手で叩き折るなんて芸当は異常である。
 シャナを残った黄金の剣を横に捨てると、背負っていたデイパックを降ろした。
 どうでもいい対象から、警戒対象に引きあがった少年に折れた剣では力不足。
 なので、自分に支給された最強の武器にて相対することにした。
851フレイムヘイズ×矛盾×雌伏  ◆U1w5FvVRgk :2009/12/07(月) 06:10:11 ID:DSOHaIJ3
 デイパックから出てきたのは、シャナの身の丈よりも長い白い槍。
 手にした瞬間、体に力が湧いてくる感覚を覚えた。
 槍の名は『ゲイボルグ』
 ケルト神話において、クー・フーリンが扱ったとされる槍だ。
 もちろん、本物では無いだろうが、それでもかなりの名品なのは確実。
 武器としては、この槍の方が黄金の剣より数段上である。
 ならば最初から使えばいいのだが、シャナには槍を扱った経験が無かった。
 それゆえ性能が劣るとはいえ、使い慣れた大太刀に近い剣を選んだのだ。
 その剣が折れてしまった以上、代わりに使える武器はゲイボルグしかない。
 確かに扱った経験は無いが、それでも、突いて、掃って、振り上げれば何とかなると当たりをつけた。
 経験の足りないところはセンスで埋めるしかない。
 槍を適当に持ち、シャナは先端を少年に向けながら最後通告を行う。

「もう一度言うわ。退きなさい。退かないと……」

 その先は口にしない。
 言わなくとも分かると思ったからだ。
 対する少年の返事は、シャナと同じくデイパックから武具を取り出すというものだった。

「そう。あくまで、邪魔するのね」
「黙って見逃せないだろ」
 
 少年が取り出したのは盾。
852フレイムヘイズ×矛盾×雌伏  ◆U1w5FvVRgk :2009/12/07(月) 06:13:00 ID:DSOHaIJ3
 表面に蛇を模った紋章があり、蛇の口先にはルビーのように赤い宝玉が埋め込まれていた。
 生半可な強度なら、ゲイボルグは易々と貫く。
 そう確信させるだけの力強さを、この槍は備えている。
 しかし、あの盾は不味いと、シャナの直感は訴えていた。
 邪気、あるいは妖気とでも言えばいいのか。
 自分の宝具、贄殿遮那に近しいものを感じた。
 だとしても、所詮は盾だ。守ることは出来ても、それだけでは勝てない。
 迷わず攻め込む。それがシャナの選んだ戦法だ。

「そういえば、さっきの質問に答えてなかった。
 私は……厳密に言えば人間じゃない」
「え?」

 告げると、シャナは突撃するため、体を右に捻った。
 扱いは分からなくとも、槍の基本が突きだとは推察できる。
 出来ることなら、一撃で仕留めたい。狙いを付けながら、シャナはそんなことを思った。


【矛盾】
 一般的には辻褄が合わない、物事の道理が一貫しないなどの意味で使われている言葉。
 由来は【どんな盾でも貫く矛】と【どんな矛でも防ぐ盾】を売っていた商人と、質問をする客の話。
 客の質問は『ではその矛で盾を突いたらどうなるのか?』というもの。
 もちろん、商人は答えられなかった。
 矛が盾を貫いても貫かなくても、辻褄が合わないからだ。
 ちなみに、この言葉には日本でだけ使われるもう一つの意味が存在する。
 辞書いわく、『武器を取り戦うこと』とある。

 二人が手にしているのは偶然にも槍と盾。
 槍と矛は別種かもしれないが、一緒くたにしている地域もあるので構わないだろう。
 さて、神話にも名が残る魔界で二番目に強い槍と、ライダーキックすら防ぐ盾。
 この二つがぶつかったらどうなる?

 ■  ■  ■

(馬鹿な人だなぁ。女の子の言ってることが正しいのに)

 瀬田宗次郎は既に目覚めていた。
853フレイムヘイズ×矛盾×雌伏  ◆U1w5FvVRgk :2009/12/07(月) 06:16:34 ID:DSOHaIJ3
 といっても、意識を取り戻したのはほんの数分ほど前、シャナがホテルに来訪した辺りだ。
 とりあえず目を開けず、状況を把握しようと狸寝入りをしていた。
 それで待った結果は、新一へのわだかまりが募っただけだった。
 どうやら、新一はどうあっても弱肉強食の理念に逆らうつもりらしい。

(この人は甘すぎる。
 僕を気絶させたなら、その時に殺せばいいし、今だってさっさと僕を見捨てて逃げればいい。
 それに、あの機関銃を使えば有利になるのに)

 この場から逃げるのは容易い。
《天剣》とまで評される抜刀術は、天賦の剣才に加えて、人並み外れた脚力があればこそだ。
 逃げに徹すれば、追いつかれはしない自信が宗次郎にはある。
 新一の様子からすれば、サブマシンガンで撃たれもしないだろう。
 とはいえ、懸念が無い訳ではない。
 新一はともかく、シャナはかなりの使い手だと宗次郎は思っていた。
 似ているのだ。
 志々雄や十本刀といった強者の気配に近しいものを、彼女は持っていた。
 そして、耳にした限りでは徹底的に合理的なところも。
 拳法の心得などない宗次郎では、無手ではどちらと戦っても勝機が薄い。
 だから、隙が出来るまで待たねばならない。
 あるかどうか分からない隙を。

(それまでは……とりあえず寝たふりを続けようかな)

 この状況で一片の動揺も見られないあたりに、彼の豪胆が窺えた。


【雌伏】
 本来は、雌鳥が雄鳥に服従することを指す。
 転じて、強い力を持った人や組織などに屈服すること。
 またはそのような状況で、いずれ訪れるであろうチャンスをじっと待つなどの意味で使われる。

 この会場において、宗次郎は間違いなく運が良い方に分類される。
 彼の支給品は三つ。
 イングラムM10、ビルテクター、そしてラジコンカー型爆弾。
 使い慣れた得物である刀こそ無いが、どれも大当たりな品々だ。
 更に、ラジコンカー型爆弾は新一のデイパックではなく、今も宗次郎のデイパックに入っている。
 支給品を検めた際、新一はそれを単なる玩具だと判断してしまったのだ。
 説明書は宗次郎が一度読んだあと捨ててしまったので、判れというのが無理かもしれないが。
 これもまた、彼の幸運。
《天剣》が雄飛できるのかは、たった一つの爆弾次第。


854フレイムヘイズ×矛盾×雌伏  ◆U1w5FvVRgk :2009/12/07(月) 06:23:25 ID:6bTnlR+t
【一日目黎明/B−1 ホテルのロビー】
【泉新一@寄生獣(漫画)】
[装備]ビルテクター@仮面ライダーBLACK
[所持品]基本支給品(水を一本消費)、拡声器@現実
    イングラムM10(32/32)@バトルロワイアル
[状態]疲労(小)
[思考・行動]
1:宗次郎が起きるまでシャナを止める。
2:宗次郎を監視。起きれば事情を聞く。
3:生き残る。

※ミギーは後数時間(早朝まで)は完全な睡眠状態にあります。
※ラジコンカーが爆弾だと気付いていません。



【瀬田宗次郎@るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-(漫画)】
[装備]なし
[所持品]ゼロのマント@コードギアス 反逆のルルーシュ
[状態]全身打撲、狸寝入り
[思考・行動]
1:どう動く?
2:新一にイライラ。
3:弱肉強食に乗っ取り参加者を殺す。志々雄に関しては保留。

※宗次郎の傍にデイパック(基本支給品、ラジコンカー型爆弾@相棒)が置いてあります。


【シャナ@灼眼のシャナ】
[装備]:ゲイボルグ@真・女神転生if...
[所持品]:支給品一式、確認済み支給品0〜1(武器ではない)、首輪(魅音)
[状態]:健康、力と運が上昇
[思考・行動]
1:新一を倒して、宗次郎を殺す。
2:コキュートスを探す。
3:危険人物には容赦しない。
4:首輪の解除ができそうな人間を探す。解除が無理なら殺し合いに乗る。

※シャナの傍に黄金の剣(折れている)@ゼロの使い魔があります。

【支給品紹介】

【ビルテクター】
 ゴルゴムの戦士、剣聖ビルゲニアの盾。
 ライダーキックを弾き返すほど頑丈だったが、サタンサーベルには一撃で真っ二つにされた。

【ゲイボルグ】
 魔界の妖精、クー・フーリンの持つ白い槍。
 攻撃力95、装備すれば力+2と運+1の効果がある。
 何故か女性しか装備できない。

【ラジコンカー型爆弾】
 相棒−劇場版−に登場したラジコンカー型の爆弾。プロポとセットで支給。
 少なくとも、車を一台吹き飛ばす程度の威力があると思われる。
855 ◆U1w5FvVRgk :2009/12/07(月) 06:24:45 ID:6bTnlR+t
投下終了です
誤字脱字、指摘などありましたらよろしくおねがいします
856創る名無しに見る名無し:2009/12/07(月) 12:35:45 ID:Y38VwSx2
靴下一丁で投下乙するぜ
そりゃシャナの行動は傍から見たら恐ろしいわなww
さてさて、あまり戦闘に夢中になってると横からグサリとやられそうだが果たしてどうなるか。
857創る名無しに見る名無し:2009/12/07(月) 15:59:04 ID:g4iZHVbD
投下乙!
新一はかっこいいなぁ
858創る名無しに見る名無し:2009/12/07(月) 16:17:14 ID:ec38XjkO
投下乙でした!
シャナ、新一が一番気にしてる人間かどうかをついちゃったw
ミギーもまだ眠っているし、カッとなってる頭では宗次郎の狸寝入りには気づかないだろうなー
これからどうなるのかめっちゃ楽しみな引きだw
859創る名無しに見る名無し:2009/12/07(月) 17:00:20 ID:pB8qadee
投下乙!
シャナは詳しくは知らないんだけど結構冷徹な時期から呼び出されたっぽいね
宗次郎も文字通り爆弾抱えて機を窺ってるし、新一は危ない奴ばかりに出会ってるなw

そういえばミギーもどっちかっていうと新一よりもシャナに近い思考回路なんだよな
まあ、新一の意見も尊重する分まだ融通が利くけど…
860 ◆YYVYMNVZTk :2009/12/07(月) 21:21:32 ID:Vtpdnuay
投下GJ!
この中じゃ一番人間やめちゃってる新一が一番人間らしいって格好良すぎるw
シャナは邪魔する奴は殺す気満々だし、宗次郎はいつ事を起こすか分からないしどう転ぶか楽しみだ。
凄く続きが書きたくなる引きでした。もう一度GJ!

遅くなりましたが、ただいまから投下させていただきます。
861 ◆YYVYMNVZTk :2009/12/07(月) 21:22:19 ID:Vtpdnuay
月とルパン、二人は展望台に到着し、即座に周囲の安全を確認。周りには誰もいないようだ。
月明かりに照らされた展望台の姿は、麓から確認した通りの四階建て鉄筋コンクリート造り。
全階に渡って明かりが灯ったままなのは、元からの仕様のようである。
慎重に、しかし鈍重さは微塵も感じさせずに二人は玄関口から内部へと入っていく。
入ってすぐに二人を出迎えたのは施設内部の地図だった。
各階の見取り図に記されたところによると、ここは単なる展望台ではなく、レストランや温泉なども兼ね備えた、総合型宿泊施設……であるらしい。

「温泉かぁ〜。カワイコちゃんとのラッキースケベがあったりして……グシシ」

下卑た笑いを浮かべるルパンを無視し、月は目的の望遠鏡――展望スペースが最上階に設置されていることを確認する。
念のため他の施設についても、大まかな位置と機能を頭の中に入れておくのは忘れない。
特に職員用事務室や厨房などは、有用なものが残されている可能性も高い。
まずは展望台にて周囲の状況を把握することを優先すべきだが、その後には施設全体の探索も忘れずに行おうと目下の方針を定め、月とルパンは最上階へと移動する。
望遠鏡がコイン投入型のものではなく、常時無料開放されているものだったことは幸いであった。
常日頃ならいざ知らず、着の身着のまま連れて来られた両者ともに小銭の一つも持ってはいない。
殺し合いの状況下で数枚の貨幣のために家捜しをするというのもナンセンスな話だ。
だが、いくら今宵の月が煌々と輝いていても島の全景を眺めるにはあまりにも心細い光量である。

「どうやら……まだ早すぎたようですね」

レンズ越しに映る景色はやはり黒一色のままであり、人探しどころか支給された地図と実際の施設分布を見比べることさえもままならない。
おおまかな島の形は地図と一致するようだが、地図上に書かれた施設名――図書館や病院、ホテルといった建築物が表記通りに存在するのかまでは確認することも出来ず。
二人の出した結論は、日が昇るまでこの場所で待機し、明るくなってから再び島の全景を確認した上でこれからの行動方針を固めるべきだという至極無難なものだった。

「それまでは気楽に待つしかないなぁ。ま、ただ待つってのも暇だ。
 ここいらでちょっくら、更なる相互理解……と洒落込むのはどうだい?」

ともすれば着る者のセンスを疑われる、見目にも派手な赤いスーツをさらりと着こなす大泥棒は展望台備え付けのベンチに腰を下ろし、傍らの少年に声を掛ける。
ぽんぽん、と自身の隣、空席のベンチを手で叩く素振りをし、月にも座るように促す。
特に断る必要もないと判断した月は、誘われるままにルパンの隣に座り、山登りの疲れを吐き出すように大きく息をついた。
足元のおぼつかない山中を深夜に歩きまわった肉体的疲労と、いつ自らの命を狙われてもおかしくないという極度の緊張からくる精神的疲労。
その二つは月が自覚しない内に大きく彼の体力を削っている。
ルパンが休息を兼ねた雑談を持ちかけたのは、月の表情に疲れが色濃くにじんでいたからだ。
疲労は精神を擦り減らす。磨り減った精神は簡単にバランスを崩してしまうということを、ルパンは経験として知っているのだ。
死線を幾度もくぐり抜けたルパンは、己の直感が時に何よりも鋭敏な危険感知器になりうると自負している。
初見で感じた月の危険性は、この数時間の同行を経ても未だ払拭されないまま――ならばそれが暴走しないうちに、月の負担を少しでも軽くしてやるのが、己の仕事というものだろう。

「で、だ。坊主……まずはお前ぇに聞いておきたいことがあるんだがよ」
「何ですか?」
「ズバリ! ……コレはいるかい?」

そう言って、小指をクイクイと動かすルパン。
指し示すのは月の女性関係。突然恋人はいるのかと聞かれ、それでも狼狽することなく月は答える。

「年相応に……と答えておきましょう」
「あぁー、そりゃあそうだろうな。そ〜んな男前じゃ、周りの女の子が放っておかないだろうしなぁ〜
 まったく、羨ましい話だぜぇ。そんな若いのに女を取っ換え引っ換えたぁ、良い御身分ですこと」
「年相応に……と言ったでしょう。そんな奔放な付き合いはしていませんよ」
「おっ、若いのに良い心がけだねぇ。そうそう、若い時から女遊びなんか覚えちゃあろくな大人になれないぜ?
 時には慎ましく……しかし時には大胆にいくのが、遊びにおいても人生においても大事なことだからな」
862 ◆YYVYMNVZTk :2009/12/07(月) 21:23:19 ID:Vtpdnuay
ニヤリと笑い自らの経験則を語るルパンには、未だ若輩者に過ぎない月が持たない、豊富な人生経験に裏打ちされた自信というものがあった。
それでいて、嫌味がない。世間には年上だというだけで驕り高ぶる大人が少なからずいる。いや、それらが大半と言ってもいいかもしれない。
だがルパンは、己の価値観を絶対としながらも月の言葉をただ否定するだけではなく、まずは受け入れ、そして柔軟に対応している。
下品なネタの連発と特徴的な喋り方は個人の好き嫌いが別れる点だろうが、月個人としてはルパンは気持ちのいい人間だと評価していた。
少なくとも、今までの人生の中で触れたことのない人種であることは確かだ。

「分かりました、覚えておきますよ」
「よーしよし、そのくらい物分りが良ければ可愛がる甲斐もあるってモンだ」
「……さっきから、女性関係について聞いてきたり、可愛がってやるだのと発言の一部に作為的な何かを感じるんですが……」
「そ〜いつぁ気のせいってやつさぁ」

もしかしてこの人は、性癖もまた、月が接したことのない人種なのではないのか……?
そんな、とても口に出せたものではない疑念と一抹の不安を抱える月。
月の懸念を知ってか知らずか、ルパンは突如立ち上がり、大仰に両手を広げる。

「帰りを待ってくれているカワイコちゃんがいる……そんなら、こんなところからはさっさとおさらばといこうぜぇ?」

全く不満が無いわけではない。気に入らないところも多々ある。
だが、この男ならば或いは、と思わせる何かを持っている。
――最初に出会えたのがこの人で良かったと、素直にそう思える。
出来れば、次に会う人物もまた、このような好人物であれば――ドンッ!

「え?」

月の思考を遮るように、地鳴りが響く。地震? いや、違う。
これは――“何かが地面を叩く”音だ。
初めは、聞き間違いかと思えるほど小さな音。だがそれは次第に大きく、そして近くなってくる。

「坊主、こいつは――!」
「――下へ!」

音の正体に気付き、ルパンと月が対処のために階下へと向かおうとした、その瞬間。
衝撃音が展望台のすぐ傍で響き、一瞬の空白ののち――天井が、崩壊した。

「……こいつぁおでれーた。まぁさかこぉんなヤツとも殺し合いをしなくちゃいけないだなんてよぉ」

口調こそ、いつもの軽いもの。だが声音からは緊迫、緊張の空気が溢れている。
突然の乱入者は、右手に金属装甲のような、手甲に類似した何かを装着している。
装甲は腕全体を覆い、肩、そして右顔面まで包んでいた。
恐ろしいのは、その手甲を除くと武装らしい武装は見あたらないことだ。
つまりこの男は、その身一つで四階建ての建物よりも高く跳び、そして鉄筋コンクリートで作られた壁を容易くぶち抜いたということ。
年の頃は月とそう変わらない。月のほうがやや大人びているといったくらいか。
だが、纏う雰囲気は月のそれとは正反対と言えよう。
無造作に伸びた髪。薄汚れ、所々破けたままのジャケット。その全てが、荒々しい。
男は装備していたゴーグルを乱雑に外し、理知という言葉とはかけ離れた、まるで獣のような眼光をルパンと月の二人に向ける。
数秒の睨み合いの後、乱入者は口を開いた。

「あんたら……かなみって女の子を見なかったか?」

ルパンと月は顔を見合わせる。ここに連れてこられてから遭遇したのは互いに一人だけ。
その他の参加者といえば、例の呼び掛けを行っていた北条悟史の声を辛うじて知っているだけだ。
無論、元からの知り合いなどでもない。
首を横に振り、質問への答えとする。

「そうか……邪魔したな」

返答を確認するやいなや、男は踵を返し、望遠鏡へと歩を進めレンズを覗き込む。
まだ日が昇るまでに時間がある。月たちと同様に、男もまた満足出来る結果は得られなかったようだ。
863 ◆YYVYMNVZTk :2009/12/07(月) 21:24:08 ID:Vtpdnuay
「おーいおいおい、いきなり派手な登場をしてくれちゃったじゃないの。
 挨拶もなしってぇのは、少しばかり礼儀がなっちゃいないんじゃないかぁ?」

二人をまるで空気か何かのように扱う男に対し、ルパンは気圧されることなく言葉を投げる。
男は振り向き、再度二人を睨みつける。

「……カズマ。シェルブリットのカズマだ」
「カズマねぇ。俺様の名前はルパン三世。ちょ〜っとは名の知れた有名人だと自分では思ってるんだが……俺の名前に聞き覚えはあるかい?」
「ねぇな。……かなみに会ったら、カズマが探していたと伝えてくれ。何があっても、必ず迎えに行く。待ってろってな」
「かなみちゃんねぇ。了解だ。……で、カワイイのかぁ? カワイイってんなら、俺様がんば……」
「もしかなみに手を出してみろ。そしたらその時は――この俺の自慢の拳で、思い切りぶん殴ってやる」

はははははと笑いながら、冗談だと冷や汗を流すルパン。
その様子を眺め、ひとまずは突然戦闘になることもないだろうと月もまた口を開いた。

「夜神月です。僕はこの殺し合いに乗るつもりはない――」
「月……だと?」

月が名前を言った途端、カズマが月を見る目が、明らかに変わる。
友好の方ではなく、その逆。視線に込もるのは敵意だ。
カズマはジャケットのポケットに手を突っ込むと、一枚の紙を取り出した。
折りたたまれたそれを開き、黙ったまま読み進めていく。
読み終えると再び小さく畳み、ポケットの中へ。
つかつかと、月の方へ歩み寄っていく。

「悪いがあんたのことは信用出来ねぇ」
「……? それは一体どういうことなんだ」
「凶悪殺人犯キラ――聞き覚えあるだろ?」

カズマの真剣な顔を見るに、適当に法螺を吹いているわけではないだろう。
だが……キラなどという名前は、今までに聞いたことのないもの。
名簿の中にもそのような名前の人物はいなかったはずだ。

「……いいえ。その、キラという名前は誰から?」

対してカズマは、何も言わずにメモの下半分――夜神月に関する記述部分を破り取り、月とルパンの二人に渡す。

「ふっふ〜ん。確かに坊主の格好やらなんやら、俺が聞いたもんとも一致するなぁ〜
 ……この、キラに関することを除けば、なんだが」
「……事実無根の中傷です」
「そうばっさりと切り捨てるにしちゃあ、その他の部分が詳し過ぎる。坊主、これを書いたやつに心当たりは?」
「先程も話したように、名簿を見る限り僕の知り合いはここにはいません。だから……僕を知る人間も、いないはずなんですが……」

とは言っても――夜神月は全国模試一位の常連であり、父は警察庁幹部と、一般よりかは多少知名度のある人間であると自覚している。
月のほうが知らずとも、向こうが一方的に知っている可能性もゼロだとは言い切れない。
だが、たとえ月の風貌や経歴を知っていたとしても――月が世間を騒がせる連続殺人事件の犯人などと、よくもまぁぬけぬけと書けたものだ。

「これを書いた人物について教えてくれないか? 僕はキラなんかじゃない……これは完全な誤解だ」
「嘘をつくヤツ、言い逃れをするヤツはみんなそう言うのさ。月さんよぉ、あんたがキラじゃないって証拠はあるのかい?」
「……証拠はない。僕と、そのメモを書いた人物と、どちらが信用出来るのか君に選んでもらうしかないな」

しばらく考え込むカズマ。そして、とある可能性に気付き、それを口にする。

「そういえば……あいつが持っていた変な機械。アレに俺たちのことが書いてあったはず……」
「――! それについて詳しく教えてくれないか!?」

カズマは話す。このメモを書いた男――Lが持っていた手のひら大の機械には、ここにいる人間の名前と、その詳細データが入っていたようだと。
864 ◆YYVYMNVZTk :2009/12/07(月) 21:25:12 ID:Vtpdnuay
「つっても、俺も実際に中身を見たわけじゃないからどこまで書いてたのかは分からねぇがな……
 だが、あいつはアレを使って、俺とその知り合いを言い当てた。そのくらいのことは出来るってことだ」
「つまり僕に関する情報も、その機械から手に入れた可能性があると……そういうことなんだね?」
「難しいことは分かんねぇよ。これ以上は俺に聞かれても困るぜ」
「もう一つだけ。その人物の名前は?」
「……『L』だ」

ここまでに得た情報から――月は、一つの仮説を立てる。
全ては月を貶めるための、Lの策略なのではないだろうか?
何故そんなことをするのか……それは、盤上の混乱を狙ってのことだろう。
ここに集められた人間は、その殆どが互いの素性を知らない。
当然、初見の人間をすぐに信用することは出来ない。何せここで行われているのは殺し合いなのだ。
相手の言葉を下手に信じてしまえば、寝首を掻かれてお陀仏だなんてことも十分にありえるのだ。
そんな中、危険人物の情報を手に入れれば人はどうするだろうか?
接触を回避するにしろ、積極的に排除するにしろ……情報を流された者にしてみればたまったものではない。
無論、嘘八百を並べ立てたところでその誤情報をそっくりそのまま信用する人間ばかりではないだろう。
だが、Lに支給されたという詳細データがあれば、真実の中にそっと嘘を紛れ込ませることも難しくない。
その先にあるのは――疑心暗鬼の蔓延る、誤解と策謀渦巻く陰惨な殺し合い。
そして、情報を流すだけに留めておけば――L自身が殺し合いに参加する必要はない。
いうなれば、扇動型プレイヤーといったところだろう。
何故月がその対象として選ばれたのか。
恐らくは、その詳細データから他参加者との繋がりが細い者をピックアップした際に、候補として挙がったのではないだろうか。
以上の推測を、月はルパンとカズマの両者に話す。

「成程ねぇ……坊主の考えも十分に有り得そうではあるなぁ〜」
「確かに、あのLって野郎も何考えてるのか分からねぇ薄気味悪い奴だったが……
 だからといって、はいそうですかとあんたのことを信用するわけにもいかねぇな」
「僕だって、今すぐに信用してもらえるとは思っていない。でも、誤解をそのまま広められても困る。
 結局は君に判断してもらうことになるけれど……出来る事ならば、僕が凶悪殺人犯だなんて言いふらすことはやめてくれないか?」

月の言葉に、カズマはしばし考え込む。
理屈は分かる。しかし……どこか納得がいかない。
それが一体何なのかは分からないが、思考のさらに奥、本能に近いレベルで何かが引っかかるのだ。
恐らくは、馬鹿な自分ではいくら考えたところで答えは出ないのだろう。
すぐに考えることをやめ、月とルパンに背を向ける。

「あんたが悪人か善人かだなんてどっちだとしても俺には関係ない話だ。
 ――だけどそれは、Lのヤツも一緒だ。今は何が正しいのか、俺には分からねぇ。
 だったら俺は進む。進み続ける。今の俺が何よりも優先するのは――かなみを見つけることだ!」
「ま〜ったく、会話になりやしねぇ。ま、坊主については俺の方からもよろしく頼む。
 パートナーが殺人鬼だなんて噂が広まっちゃあ、カワイコちゃんたちもみ〜んな俺たちから逃げちまうからな〜
 その代わりと言っちゃあなんだが、かなみちゃんの行きそうな場所についてちょいと心当たりがあるんだが」

ルパンの言葉に、カズマはぴくりと眉を動かす。

「お〜っとっと、そう慌てるなって。慌てるなんとかは貰いが少ない……って言うだろ?
 まずは約束してくれ。坊主が危険人物だなんて噂を流すことはやめるってな」
「……分かった。それで、かなみは!」
「俺たちがここにくる前に、とある呼び掛けを聞いた。それをやったのは北条悟史。呼び掛けの対象は妹である北条沙都子と友人たち……
 場所はC−7だったが、あの調子じゃあその周りのエリアにも丸々聞こえてるだろうなぁ。
 あれじゃあ探してる奴だけじゃなく、色んな奴を呼び寄せちまう……もしかなみちゃんが聞いてたとして、悟史のところに向かうのかは知らねぇが……」
「……! ありがとよ」

カズマはルパンの言葉を聞くやいなや、自分が開けた大穴から再び外へ飛び出した。
北条悟史の放送を聞いていれば、かなみは必ず悟史のところへ向かう。
それが由詑かなみだ。誰よりも優しいかなみがすることだ。
865 ◆YYVYMNVZTk :2009/12/07(月) 21:26:00 ID:Vtpdnuay
「待ってろよ、かなみ……!」

変質化した右腕――シェルブリットを地に撃ちつけ、反動で飛翔。
カズマは目指す、真っ直ぐに。邪魔は全て、この拳で払いのけ――家族を、愛する少女を守るために。



【一日目早朝/D−5展望台付近】
【カズマ@スクライド(アニメ)】
[装備]シェルブリット第一形態、暗視ゴーグル
[支給品]支給品一式、タバサの杖@ゼロの使い魔、おはぎ@ひぐらしのなく頃に、Lのメモ
[状態]健康
[思考・行動]
1:何が何でもかなみを見つけ出す
2:他は後だ後

[備考]
カズマは衝撃のファーストブリッドを撃った状態です。
Lのメモには右京、みなみの知り合いの名前と簡単な特徴が書いてあります。夜神月について記述された部分は破られました。



「ふぃ〜。いきなり天井をぶち破られたときは焦ったが、どうにかなって良かったなぁ〜」

大きく息をつき、ルパンは月の方へと向き変える。
月の額にはうっすらと汗がにじんでいる。それは緊張から来たものか、不安に対してなのか。

「このメモ……あなたはどう思いますか、ルパンさん」

その手にはカズマの残したメモ用紙の半切れが握られていた。
月自身はそれが嘘っぱちだと分かる――が、出会って数時間のルパンが月とこのメモと、どちらを信用するのか。
もし月がルパンの立場ならば……この状況でどちらを信じるべきか判断は出来ない。
ならば少しでも危険から遠ざかるべく、月とL、その両方から距離を取ろうとするだろう。

「まぁだ俺にゃあ分からないなぁ。だから……坊主がどんな人間か見極めるまでは仲良くやらせてもらうつもりだぜ」
「……僕は、このメモの通り人を人とも思わない殺人鬼かもしれないんですよ?
 それでも一緒にいようって言うんですか?」
「坊主は違うと言ってるじゃあねぇか。それに俺様、坊主如きに殺されるつもりはないしなぁ。
 それに坊主から貰いたいもんもある。そのマグナムだ」

言って、ルパンは視線で月の手に握られた相棒の愛銃を指し示す。
もしこれが先程カズマに向けられていたならば、事態はもう少しややこしくなっていただろう。

「そいつは俺の相棒のもんでよぉ。出来る事なら会って渡してやりたいのさ」
「……僕も、ルパンさんが一緒にいてくれるのなら心強いです。
 もしルパンさんの相棒――次元さんでしったけ――と会えたなら、このマグナムを渡しても良いかもしれない。
 でも……ルパンさんがどうしてここまで尽くしてくれるのか、僕には分からない」
「ああ〜、そんなの簡単だ。坊主、ちょっとこっちに来てみろ」

それで疑問が解けるのならば、とルパンに近づく月。
そしてルパンは――月の、月自身のマグナムをむんずと握りしめた。

「おーおーおー、え〜らく縮こまっちゃってこりゃ。色男がそんなんじゃあ彼女が泣いちゃうぜ。
 男はな、女を泣かせれるくらいのモンを持ってなくちゃあ」
「な、な……! いきなり何をするんですかっ!?」

咄嗟に振り解こうとするも、そのまま肩を掴まれる。
唇の位置を意識せざるを得ないほど近い位置にルパンの顔があった。
866 ◆YYVYMNVZTk :2009/12/07(月) 21:26:46 ID:Vtpdnuay
「いくら口で強がっていてもな、体は正直だ。こんなになっちまってるやつを放っておくほど……」
「顔が……近いですっ! 台詞がいちいち卑猥ですっ!」
「ハッハッハ、そいつぁ失礼。俺だって野郎の股ぐらなんて握りたくないのによ、坊主がやけにしつこいから……」
「だからそんな言い方はやめてくれと言ってるでしょうが!」
「で、答えだがな。坊主みてぇに怖がっている奴を一人にするほど俺は人でなしじゃないってことさ。それじゃあ満足出来ないかい?」

ようやく月にも理解出来た。
ルパンは純粋な善意から、自分と同行しているのだと。
なにか裏があるのではないか、計算した上での同行なのではないかと疑っていた自分が恥ずかしくなる。

「……すいません。そして、ありがとうございます」
「なーに、分かってくれりゃあいいさ」

浮かんだ感謝を素直に言葉にした。
……もうすぐ日が昇る。日が昇れば、展望台から島の全景を確かめることも出来るだろう。
そして……最初の放送が流れる時間だ。
死者の名が呼ばれることになる――そう言っていた。
ルパンもカズマも、無闇に人を殺すような人間ではない。接した時間、話した時間は短かったが、それくらいは分かる。
だが、連れてこられた人間全てがルパンやカズマのような人間であるとは思えない。
自分が生き抜くために他者に危害を加える者も、少なからずいるだろう。
もしそんな人間と出会ったとしたら――自分は一体、どうする?

「L……か」

自分を陥れようとした人物の名を呟く。
Lは、この殺し合いに乗っているのだろうか?

(もしそうだったとしたら……L、お前は相手を間違えた)

奇しくも、Lと月の基本行動方針は情報を武器にすると言う点で軸を同じくする。
そして、月はこの情報戦において後れを取るつもりなどさらさら無い。
Lが策謀渦巻く頭脳戦を仕掛けてくるのならば、同じ土俵に立った上で完璧に打ちのめす自信さえある。
幸いにして、心強い味方もいる。
少しばかり、いや、かなり……その性癖については、注意しておかなければいけないような気がするのだが。
登山による発汗で、制服の中は随分と蒸れている。
出来れば展望台備え付けの温泉にでも入ってゆっくり汗を流しておきたいところだが……ルパンと一緒に入るのは止めておいた方が良いだろう。

(父さんたちが助けに来るまでただ待つだなんて悠長なことは言ってられない……
 僕たちの手でこの殺し合いを止め、脱出する……出来る出来ないじゃない、やるしかないんだ)


これを宿命と言わず、何といえば良いだろう。
夜神月とL。人類最高の頭脳を持つ二人の宿命の炎は――今ここに、再び燃え上がる。


【一日目早朝/D−5 展望台】

【夜神月@DEATH NOTE】
[装備]なし
[支給品]支給品一式、M19コンバット・マグナム(次元の愛銃)@ルパン三世 確認済み支給品(0〜2)、月に関するメモ
[状態]健康
[思考・行動]
1:仲間を募りゲームを脱出する。
2:Lに注意する。ルパンについても(性的な意味で)警戒。
3:情報収集を行い、終盤になったら脱出目的のグループと接触する。
4:命を脅かすような行動方針はなるべく取りたくない。
5:ギアスのような特殊能力の存在を信じていない。だが、カズマの身体能力は……?
867 ◆YYVYMNVZTk :2009/12/07(月) 21:27:44 ID:Vtpdnuay
(まったく……どうせ触るんならボインちゃんが良かったのに、な〜にが悲しくて♂なんて握らなきゃいけないんだか)

エンガチョエンガチョと握った右手をズボンの尻ではたくルパン。
ルパンが愛するのはボンキュッボンな美女であって、月のような優男ではないのだ。

(それにしても、坊主が殺人鬼ね……)

カズマが残したメモ――ルパンはそれを信じてはいない。
確かに月には、何時暴走してもおかしくない危うさがある。だがそれは、あくまで可能性がある――という話だ。
今現在の月が極悪非道の凶悪殺人鬼だなんて言われても、すんなりと受け入れることは出来ない。
本当の悪党というものは、こんな状況下であろうと怯えた素振りなど見せはしない。
ルパン自身が超一流の悪党だからこそ分かる。月はメモの指すキラなどではない。
ならばこのメモを書いたというLの狙いは、月が唱えた仮説の通り殺し合いの加速なのだろうか。
それもまた、どこか的を外した考えであるように思える。
何か……足りない。この違和感を繋ぐ糸口があるはずなのだ。

(ええい、こんな時だってのに頭が働かねぇ)

いずれにせよ決まっているのは、このまま月の行く末を見守る必要があるということ。
機会があれば直接Lを問い質してやりたいものだが、そう上手く遭遇できるかは分からない。
殺し合いが始まってからの経過時間から考えるに、そう遠くない場所にいる可能性が高いが、不用意にLを探して山道を歩きまわるのは危険だろう。

(あの調子なら、北条悟史の方はカズマに任せても良さそうだが……呼び掛けからもう三時間は過ぎてる。
 間に合えばいいんだが……)

大泥棒の悩みの種は尽きず――夜は白み始めた。
間もなく、最初の放送が流れる。


【ルパン三世@ルパン三世】
[装備]小太刀二刀流@るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-
[支給品]支給品一式、確認済み支給品(0〜2)
[状態]健康
[思考・行動]
1:仲間を募りゲームを脱出する。
2:主催者のお宝をいただく。
3:月を見張るため、彼に着いて行く。
4:月の持つM19コンバット・マグナムが欲しい。
5:悟史のこと(というより、他の女の子)のことが少しだけ気になる。
868 ◆YYVYMNVZTk :2009/12/07(月) 21:29:14 ID:Vtpdnuay
以上で投下終了です。
誤字脱字、矛盾点など見つけられましたら御指摘お願いします。
869創る名無しに見る名無し:2009/12/07(月) 21:32:47 ID:2KEg4+XV
投下乙!
誤解のママ月VSLの頭脳戦フラグか
870創る名無しに見る名無し:2009/12/07(月) 22:40:40 ID:g4iZHVbD
投下乙!
月のマグナム来たwww
871創る名無しに見る名無し:2009/12/07(月) 22:42:14 ID:ZpwOxqdq
投下乙
月とLの頭脳戦再来か。どっちも相棒が頭いいからどっかで差異が埋まれば良いんだがなぁ



てかカズマが一番行かない方がいい場所に行っちゃったw
いっそアニキもあっちに行かせれば面白そうだなw
872創る名無しに見る名無し:2009/12/07(月) 23:45:48 ID:ec38XjkO
投下乙です!
おお、綺麗な月とLの頭脳戦フラグ……これは面白そうだ!
カズマは悟史の方の向かったが時間帯的に惨劇終了後とかになりそうだなw
そしておちゃらけながらも話をうまい具合に進めるのがルパンっぽいなw
873創る名無しに見る名無し:2009/12/07(月) 23:49:18 ID:E8xOOm8y
どっちも乙だぜ!

>>シャナ、瀬田、新一
最強の盾と最強の槍、そして互いの手腕
普通に考えりゃシャナが一歩リードか…?
もう早朝が近かったとして戦いが長引けば、ミギーが目覚めて新一ミギーコンビが勝つかも…
しかし惣次郎も加わってきたら…と考えるとかなり壮絶な戦いになりそうw

>>月、ルパン、カズマ
ややこしいことになりそうだなと思ったら、さすが月
取り乱すことはなかったか。
つーか、いろいろと思ったものはあったのに、月の縮んだマグナムのせいで全部吹っ飛んだわwww
874創る名無しに見る名無し:2009/12/07(月) 23:58:04 ID:8Ab2ozG+
お二人とも投下乙!

>フレイムヘイズ×矛盾×雌伏
すごい良いところで切ったなぁ、この後どうなるんだろww
しかしシャナは新一の気にしてることをズバッと言っちゃったな
父親からは鉄でできてるとか言われるし、結構悲惨な人生送ってるんだな……
シャナはもう少し配慮があれば、色々と円滑に進むのになぁ
このままじゃどう見てもマーダー一直線
宗次郎の乱入も十二分に考えられるし、シャナはまた死体作りに貢献することになりそうだ

>……ってタイトル無いのか
月とLの誤解フラグがどんどん深まっていくなぁ
参戦時期を弄るだけで、ここまで面白くなるとは思わなんだ
結構シリアスな話だったのに、ルパンが面白すぎるww
月のマグナムネタが出てくるとは思わなかった、ここの清涼剤って感じだな、ルパンはww
どうでもいいけどおでれーたって言った時、デルフリンガーが現れたのかと思ったww
ルパンのデルフって口調似てるのね、五エ門と再会したらややこしくなりそう
そしてカズマーッ! かなみがいる方向は全然違うぞ!
シャドームーンに東條が近くにいて危険だから、早く助けに行けww

あと最後にお手数お掛けしますが、この作品にタイトルをつけて頂けると助かります。
最後にもう一度、ふたりとも乙!
875 ◆YYVYMNVZTk :2009/12/08(火) 00:09:18 ID:y10V8Rjs
>>874
っとと、失礼しました。
タイトルは「接触」でお願いします。
876創る名無しに見る名無し:2009/12/08(火) 01:09:21 ID:KrSWtsO8
今日も投下まで全裸待機
877創る名無しに見る名無し:2009/12/08(火) 01:13:25 ID:8p24xCFe
お前だけに良いかっこさせるかよ!
878創る名無しに見る名無し:2009/12/08(火) 01:26:14 ID:t7evskTQ
全裸はいい格好と言えるのだろうか

という事で全裸にロングコートで待機
879創る名無しに見る名無し:2009/12/08(火) 01:26:59 ID:KrSWtsO8
仮投下の方に来てる、ネクタイ付けたら読みに行こう
880創る名無しに見る名無し:2009/12/08(火) 01:39:57 ID:B41Vdm4n
二人とも投下乙です
>フレイムヘルズ×矛盾×雌伏
シャナは新一に本当に普通の人間なのかと尋ねたけど
それは新一が原作でもずっと悩んでいたことなんだよな
しかしミギーが寝てる時に次から次へと戦う羽目になるなんて新一もついてないw
シャナは首輪解除の邪魔になりそうだから宗次郎を狙ってるっぽいけど、そのせいで
新一とぶつかることになってるし、その宗次郎は狸寝入りで機会待ちっていう
複雑というか不毛な争いになっているようなw
三人ともそれなりに強いからどんな流れになるか想像出来ないな

>接触
>月自身のマグナムで吹いたwルパン自重ww
とりあえず大惨事にはならなかったけど月とLの間に誤解フラグが…
カズマはルパンからの情報で悟史の所へ向かったし
なんとなくロワっぽい感じがして良いね

それにしても最近投下が多くてうれしいねw
自分は感想くらいしか書けないけど
書き手さんもを無理せずに続けて欲しい
881オレンジ焦燥曲 ◇4Er6hgpSa6:2009/12/08(火) 02:04:34 ID:KrSWtsO8
作者の方が規制中のため、代理で投下します
882オレンジ焦燥曲 ◇4Er6hgpSa6:2009/12/08(火) 02:05:54 ID:KrSWtsO8
――どうしてこうなった?

 深碧の髪の仮面の男、ジェレミア・ゴットバルトは車の運転を続けながら考える。

「それで、先程おっしゃっていたサクラダイトとは?」

 問いの主はつい先刻この車に同乗することになった女性、アイゼル・ワイマール。
 目を輝かせて後部座席から身を乗り出してくる姿は少女のようだが、年齢は22と言っていたか。

「高温高圧の極限状況下でも、電気抵抗がほぼゼロの超電圧状態を維持する鉱物資源だ。
 その特性故に非常に大きな電気を蓄積でき、また発熱が少ないので冷却装置の簡略化が可能になる。
よって蓄電池としても回路の素材としても極めて優秀な物質と言え――
 ……奈緒子、興味がない話題だからといって寝るんじゃない」
「ニャッ」

 奇妙な声と共に目を覚ましたのは黒髪長髪の地味な女性。山田奈緒子は助手席で舟を漕いでいた。
 一度殺されかけているというのにうたた寝とは、ジェレミアからすれば信じられない図太さだ。

「話が難しくて。要約すると?」
「……回路や電池に使うと便利だ」
「じゃあ携帯電話とかにも使えるんですか?」
「うむ」
「ケータイデンワ?」
「む……まず電話というのは……」

 ジェレミアは矢継ぎ早に出される質問に順番に答えながら考える。
 緊張感のある情報交換の場だったはずの車内が、今や妙に毒気を抜かれる情報提供の場となっている。

――どうしてこうなった?

◇◇◇◇◇

 車がH-6の橋に差しかかった頃、助手席に座った奈緒子はジェレミアに話しかけた。
 白髪の男に襲われて以降ほとんど会話はなく、いい加減重苦しい空気に耐えかねたのだ。

「何でさっき、私を助けたんです?」

 彼は僅かに身じろぐが、返答はない。
 奈緒子は言葉を続ける。

「足手まといになったら見捨てるって言ってましたよね。
 実際その通りの状況になって、しかも私はあなたを囮にして逃げようとしたのに、あなたは私を助けた。
 あなた自身にとっても余裕のある状況とは思えませんでしたけど、何でですか?」

 まず助けてもらった礼を言うべきだというのに、何だか責めるような口調になってしまった。
 そのことを咎められるかと思ったが、彼は怒るどころか居心地悪そうにするばかりだ。

「……そ、それは……その……あれだ。偶然だ。
 あの男に何とか反撃しようと思っていたら、タイミングよくそこに貴女がいたのだ。
 べ、別に助けようと思って助けたわけではないからな」
「そうですか」
「そ……そうとも」
「……」
「……うむ」
883オレンジ焦燥曲 ◇4Er6hgpSa6:2009/12/08(火) 02:06:42 ID:KrSWtsO8
 ツンデレぶっても嘘を吐いているのはバレバレである。
 その自覚があったのか彼は言い訳がましくぽつりと漏らした。

「……ああは言ったが……自衛手段を持たない一般人を、そう簡単に見捨てるわけにはいかんだろう」
「……」

――やっぱりこの人、いい人だ。

趣味の悪い派手な仮面とか格好とか忠義とかデイパックの中身のことはひとまず置いておくとして。
こんな殺し合いに放り込まれたことは不運以外の何物でもないが、最初に出会ったのがジェレミアだったことは不幸中の幸いと言えた。
何だかんだでこちらの心配をしてくれているし、意外と表情豊かで分かりやすい。
生真面目な性格のようだし、マジックを見せたら面白い反応をしてくれそうだな、と思う。

奈緒子が改めて礼を言おうとした時、車が停車した。

怪訝に思い前方に目をやると人影があったが、ヘッドライトが届かない距離で背格好は分からない。
 どうしますか、と聞こうとした時には既にジェレミアはドアを開けて外に出ていた。

「さっきみたいに危ない人かも知れませんよ?」
「あの男のような危険人物なら、車に乗ったまま対処するのはむしろ危険だ。
 危険人物でないなら、こんな状況下で無視して行くのは気が引ける。それに今は情報も欲しい。
……遠目で見ていて危険だと判断したら、私のデイパックを持って逃げて構わんぞ」
「え、ちょ、ジェレミアさ――」

 早口の返答と共に、小気味いい音を立てて運転席のドアが閉まる。

(いい人なんだけど……何だかなぁ)

 とりあえず彼の好意に甘えて、助手席から手を伸ばし後部座席に置いたままになっていたデイパックを手繰り寄せた。助手席のドアも半開きにしておいて、地面に小枝が落ちていないことを確認する。
 助けられた矢先にまた逃げるというのはあんまりだと思うが、仕方ない。命は大事なのだ。

 デイパックを抱えて様子を見ていると、幸い何事もなく話は済んだらしく十分ほどで彼は戻ってきた。後ろに女性を連れているのが見える。

(一緒に来ることになったのか……な――?)

奈緒子はジェレミアの後ろにいる女性――アイゼルの姿を間近で見て、目を丸くした。
茶色く長い髪に、地味な奈緒子のものとは対照的に際立った淡紅色の服、チョーカー、髪飾り。
その結果二人の最初の会話は

「……劇団の、人?」
「……違うわ」

 奈緒子にとっては何となく覚えのある、アイゼルにとっては不本意極まりないものになった。

◇◇◇◇◇
884オレンジ焦燥曲 ◇4Er6hgpSa6:2009/12/08(火) 02:07:33 ID:KrSWtsO8
友達を得て少し心に余裕ができてもアイゼルの指針は定まらないままで、橋の下でこの殺し合いが勝手に終わるのを待つことさえ考えていた。
そのアイゼルが橋を渡り東に向かうことを選んだのは、その方角から爆音が響き、火の手が上がるのが見えたからだ。
この場で爆発が起きたということは、本格的に殺し合っている者たちがいるということ。
それでも向かうのは懐かしさからか、好奇心からか。とにかくじっとしてはいられなかった。

次に誰かに会ったらどうしようか。
うにと一緒にここから脱出するということは……その誰かを殺さなければいけないということ?

結論を出せないまましばらく歩いていると、後方からの地鳴りのような音が響き思わず身構えた。
まず目に入ったのは、眩い光を放つ二つの目。全体像は……馬に引かれることなく自ら走る馬車があったら、こんな形かも知れない。スピードも馬車と同じかそれ以上で、こちらに向かってきていた。
アイゼルの十メートルほど手前でそれは止まる。

そこから降り立った人物を見て、やはりそれが乗り物なのだと分かった。そしてその人物は迷いなくこちらに歩いてくる。
 ヘッドライトが逆光となり顔立ちは判別できないが、アイゼルよりも頭一つ分以上は背の高い男性。
アイゼルは目線を男に向けたままデイパックに手を入れ、剣を取り出す。

「……止まりなさい」

精一杯の虚勢と共にそう言うと男はあっさり歩みを止めた。
だがそれは決して怯えによるものではなく、むしろ余裕あってのもののようだ。
男は優雅に一礼し、名乗る。

「私はジェレミア・ゴットバルト。さる方の騎士を務めている。今は人探しの途中だ。
……貴女もこの殺し合いに巻き込まれた参加者とお見受けする」
「……そう。突然ここに連れて来られたわ」

 剣を向けられても焦った様子はなく、ジェレミアと名乗る男は淡々と言葉を紡いでいく。
多分見えているのだろう。いくら気丈に振舞って見せていても人と殺し合うだけの覚悟は足りず……剣を握る手が震えているのが。

「こちらに危害を加える意思はないし、そもそも殺し合いなどというものに加わる気もない。
できれば互いの身を守るためにも、他の参加者と協力し合いたいと思っている」
「……?でも、殺し合わないと……首輪が」
「首輪?……ああ。
私は殺し合いに参加した覚えはないが、今のところ首輪に異常は見られないな」
885オレンジ焦燥曲 ◇4Er6hgpSa6:2009/12/08(火) 02:09:26 ID:KrSWtsO8

 男の返答に、彼女は少し考える。
 確かにこの人物から、敵意や殺意といった意思は読み取れなかった。
 それに殺し合わなければ首輪が爆発するのなら、あの白髪の男を殺さなかった時点で爆発していてもおかしくないはずだ。戦わないことが首輪の爆発に直結するわけではないのかも知れない。
 だが相手が信用に足るかどうかはまだ分からないのだ。一瞬下ろしそうになった剣を構え直す。

「信用できないというのは分かる。私も貴女と同じ立場なら信用しないかも知れん。
 協力できないと言うなら無理強いする気もない、ここで失礼しよう。
……ただ今後も一人で行動するつもりなら、白髪の男に気を付けた方がいい」
「白髪の……?会ったんですか!?いつ!?」

 身を翻し引き返そうとしていた男を引き止める。
 突然声を荒げたので男は驚いているようだったが、それを気にしている余裕はない。
 もし自分が遭遇したのよりも後だとしたら、

「……その様子では、既に接触しているようだな。
私が会ったのはつい先程だ。何とか逃げられたが……」

 「逃げられた」……つまり、あの男に襲われたということだ。

――……私のせいだ。

自分があの時躊躇ったために、あの人物は他の参加者を襲った。
 ここは戦いの場なのだから、その結果は当然のことだ。
 全身から血の気が引いて、つい剣を下ろしてしまう。

「……私も、その人に襲われたわ。
 その時……拘束することも殺すこともできる機会があったのに、私は何もしないで逃げた」
「……そうか」

 男はアイゼルを責めもしなければフォローもせず、ただ頷く。

「……」

少しの間逡巡するが、やがて彼女は剣をデイパックにしまって男に歩み寄り、相手の目を見据えて名乗る。

「私はアイゼル・ワイマール。
……協力させて戴きますわ」
「アイゼルか。……よろしく頼む」

 彼は片方だけの目を細め、口の端を少しだけ持ち上げて手を差し伸べてくる。
 信用するには早急だったかも知れない。
それでも、自分の過失で他人の身を危険に晒しておきながら、何の責任も負わずにのうのうと生きる自分は許せない。
そしてそれ以上に……この場所に来て初めて会話できる相手に出会えたことが、純粋に嬉しかったのかも知れない。

 結局アイゼルは、その手を振り払うことができなかった。

◇◇◇◇◇
886創る名無しに見る名無し:2009/12/08(火) 02:11:20 ID:LabjEDRD
支援
887オレンジ焦燥曲 ◇4Er6hgpSa6:2009/12/08(火) 02:12:12 ID:KrSWtsO8
 アイゼルとこの場所に連れて来られてからの経緯を簡単に説明し合うと、彼女は同行を求めてきた。今後何かあった時には協力を惜しまないという。
 あの白髪の男をやり過ごしたのだから奈緒子と違って自衛手段ぐらいは持っているだろうし、そもそもこんな所に女性を一人放置していくわけにはいかないと思っていたのだから、ジェレミアにとっては好都合な申し出と言えた。

 問題はその先、車内での情報交換の最中にアイゼルが車の仕組みに興味を持ったことから始まった。

彼女の住む場所……世界と言った方がいいのかも知れないが、そこには車もアスファルトも無かったらしい。
 ジェレミアの知る車はサクラダイトを使う――つまり電気で動くのだが、奈緒子が言うにはこの車はガソリンで動いているそうだ。よってジェレミアにもこの車の動く仕組みは分からない。
 彼女にそう告げると、彼女は電気についての詳しい説明を求めてきたのだ。
 適当な説明であしらっても良かったのだが、それでは食い下がってきそうな雰囲気だったため。
 それに事前知識もなしに口頭で理解できる内容ではないので途中で諦めてくれるだろうと、彼女の理解力と柔軟性を甘く見ていたため。
 その二点から、彼は言われた通り詳しく説明した。ジェレミア自身も専門ではないので、あくまで学校などで学ぶ範囲でだが。
そして彼は早々に後悔することになった。

「つまり電源は静電エネルギーを供給することによって電子を電位差に逆らって移動させる働きをし、
電子は電源の負極から出発して回路内を正電荷の濃い方に進んで電源の正極に到着するのですね。
分かりましたわ。それで電圧についてですが――」

以下問答の繰り返し。ジェレミアも負けず嫌いな部分があり、後になってから「分からない」とも言えず、半ば意地になって説明を続けることになってしまったのだ。
お陰で奈緒子は話題に置いてけぼり、時間を食ったので橋の終着点は間近である。「どうしてこうなった」という問いに明確な回答を付けるなら、「ジェレミアの判断ミス」と言って差し支えなかった。
 努力の甲斐あって満足してもらえたようだし、初めは警戒していた彼女が打ち解けてくれたのは結構なことだが……無駄な時間と体力を使った気がしてならない。
888オレンジ焦燥曲 ◇4Er6hgpSa6:2009/12/08(火) 02:13:36 ID:KrSWtsO8
だが今は他に考えなければならないことはいくらでもあるのだと、ジェレミアは気を取り直した。

まず一つはルルーシュの現在位置だ。
あの爆発を見た上で、彼はどちらに向かうのか。
ジェレミアが贔屓目に見ても少々残念な彼の身体能力を考慮すれば、危険な地域に敢えて足を踏み入れることはない。しかし彼がギアスによって配下を増やそうと考えているなら話は別だ。
合流が遅れればそれだけ彼の身が危険に晒される。慎重に判断せねばならない。

一つは三者の持つ常識レベルの情報がそれぞれ食い違っていること。
奈緒子は「ブリタニアなんて国は知らない」「日本は占領などされていない」などと言い出すし、アイゼルの話に至っては……食い違うと言うより、異世界と言った方がふさわしいかも知れない。二人とも嘘を吐いているように見えないというのが尚更厄介だ。
 異世界だの並行世界だの、小説や映画でもあるまいし……と普段なら鼻で笑っているところだが、そうもいかないらしい。
理系の話題のお陰で中断してしまったが、これも放って置いていい問題ではない。
特にアイゼルに関しては、改めて詳細を聞いておいた方がいいだろう。

一つは、……V.V.のこと。

 ジェレミアは海底に沈められ、V.V.率いる嚮団に救出されてから一年はV.V.の下にいた。
 その後ルルーシュを主君と定め離反し、その命に従って嚮団殲滅にも参加したのだが……その際死んだものと思っていた彼が、何故このような殺し合いを始めたのか。

そしてそれ以上に気に掛かるのは、最後に相対した時の会話だ。
889オレンジ焦燥曲 ◇4Er6hgpSa6:2009/12/08(火) 02:14:59 ID:KrSWtsO8
「ジェレミア。君はゼロを恨んでいたよね?」
「然り。これで皇族への忠義を果たせなくなったと考えたからな。
 されど、仕えるべき主がゼロであったなら。マリアンヌ様の為にも!」
「……お前まで、その名を口にするか!!」

 シャルル皇帝の実兄であるV.V.から見れば、マリアンヌは数多くいる皇妃のうちの一人に過ぎないはずだ。
 あの豹変ぶりは、何だったのか。
 V.V.とマリアンヌの間に確執……どころか関係があったことすら、ジェレミアには聞かされていなかった。

――知っているのだろうか。マリアンヌ様が暗殺されたあの日の真相を。
――もしくは何らかの形で関わって……?

 ハンドルを握る手に力が篭る。
 
――V.V.には借りがある。情もある。引け目もある。されど私はV.V.を裏切った身、今更躊躇いはない。
――もしマリアンヌ様の死に関わっているのだとしたら。例えV.V.が不死であろうと、その時はこの手で……。

「ジェレミアさん、お腹空いたんですけどデイパックの中身もらっていいですか?
あとアイゼルさんも何か持ってたりは……」
「私はうにぐらいしか。でもこの子はホムンクルスだし……」
「うに!?」

――ええい、何の話をしているのだ!集中できん!!

 橋の終着点近く、緊張感の薄い車内で彼の焦燥感は募るばかりだった。


【一日目黎明/ H-6 橋の上】

【アイゼル・ワイマール@ヴィオラートのアトリエ】
[装備]:無限刃@るろうに剣心
[所持品]:支給品一式、未確認支給品0?2個、うに(現地調達)
[状態]:軽傷
[思考・行動]
1:うに、ジェレミア、奈緒子と一緒に脱出!
2:ジェレミアと奈緒子に協力を惜しまない。
3:次に白髪の男(雪代縁)に会うことがあったら見逃さない。
[備考]
※自分たちが連れてこられた技術にヘルミーナから聞かされた竜の砂時計と同種のものが使われていると考えています。
※うにのことをホムンクルスだと思っていますが、もちろん唯のウニです。
※ジェレミアの説明で、電気や電化製品について一定の理解を得ました。
※白髪の男(雪代縁)を危険人物と認識しています。
※ジェレミアと奈緒子の知り合いに関する情報を聞きました。
890オレンジ焦燥曲 ◇4Er6hgpSa6:2009/12/08(火) 02:16:14 ID:KrSWtsO8
【ジェレミア・ゴットバルト@コードギアス 反逆のルルーシュ】
[装備]ミニクーパー@ルパン三世
[所持品]支給品一式、咲世子の煙球×3@コードギアス 反逆のルルーシュ、こなたのスク水@らき☆すた
[状態]右半身に中ダメージ、疲労(中)、左腕の剣が折られたため使用不能
[思考・行動]
1:ルルーシュを探し、護衛する。
2:ルルーシュに危険が及ばぬよう、危険分子は粛清する。
3:奈緒子とアイゼルにしばらく同行。足手まといになる場合は切り捨て……る……?
4:V.V.に九年前の事件について聞く。返答によっては……。
5:アイゼルが住んでいた世界について聞く。
[備考]
※参戦時期はR2、18話直前から。ルルーシュの配下になっている時期です。
※奈緒子とアイゼルに知り合いについて簡単に説明しました。V.V.については話していません。
※白髪の男(雪代縁)を危険人物と認識しています。
※ギアス能力以外の特殊能力の存在を疑っています。
※モール内で食糧を補充していたようです。他にも何かあるかも知れません。

【山田奈緒子@TRICK】
[装備]なし
[所持品]なし
[状態]健康
[思考・行動]
1:とりあえず上田を探す。
2:ジェレミアとアイゼルにしばらく同行。危なくなったら逃げる。
3:もう危険な目に遭いたくない。
4:デイパックの仕組みについては……いつか考えたい。
5:お腹空いた。うに?
6:ジェレミアにお礼を言いそびれた。……まあいいか。
[備考]
※ジェレミアとアイゼルに知り合いについて簡単に説明しました。
※ジェレミアを(色々な意味で)凄く変な人物と認識しています。でも多分、いい人?
※白髪の男(雪代縁)を危険人物と認識しています。
891オレンジ焦燥曲 ◇4Er6hgpSa6:2009/12/08(火) 02:20:50 ID:KrSWtsO8
以上です。
>>887なのですが一部長すぎて書き込めなかったため、
キリの良さそうなところで改行させていただきました。
892 ◆4Er6hgpSa6 :2009/12/08(火) 02:26:11 ID:JXot56ps
携帯より

代理投下ありがとうございます。
>>887含め、お手数をお掛けして申し訳ありませんでした。
893創る名無しに見る名無し:2009/12/08(火) 02:55:10 ID:LabjEDRD
お二人とも投下乙&代理投下乙です
>接触
いきなり天井をぶち抜くなんて豪快過ぎるぞカズマw
悟史のところに向かったけど、待ってるのはかなみじゃなくて社長だから運が悪い
ここでも月とLに因縁が出来たか
やっぱり、この二人はどんな状況でも宿敵になる運命なんだろうな
そしてマグナムと性的に警戒されたルパンには吹いたwww

指摘としては>>862
そして右顔面まで包んでいた
シェルブリット第一形体なので右顔面に装甲はありません

>オレンジ焦燥曲
ジェレミアは真面目だな。でもルルーシュはもう死んでるのが悲しい…
女性陣二人も真面目なんだろうけど、脳天気にしか見えないのは何故だw
894創る名無しに見る名無し:2009/12/08(火) 03:03:10 ID:KrSWtsO8
改めて投下乙!
アイゼルの優先順位はまずうになのねwww
うには生で食うと美味いって前の作品にも書いてあったな
貧乏人の奈緒子が狙ってるぞww
しかし奈緒子は今までロクな人物に会ってない
原作でも変人ばかりだし、きっと宿命なんだろうなぁ

和気あいあいとしてるけど、放送が流れたらジェレミアが暴走しそうだ
賑やかなグループだけに壊滅して欲しくはないが……うん

後は細かいですけれども、
移動距離と経過時間を考えると、今は黎明ではなく早朝に当たるのではないでしょうか?

895 ◆4Er6hgpSa6 :2009/12/08(火) 03:23:43 ID:JXot56ps
ご指摘ありがとうございます。
早朝=放送のイメージが固まっていました。まだですね。

【一日目早朝/ H-6 橋の上】でお願いします。
896創る名無しに見る名無し:2009/12/08(火) 13:59:39 ID:4rj31VaT
投下乙!
三人とも文化が違うから、話を合わせるのに苦労するなwwww

容量も無くなってきたし、そろそろ次スレの季節だな
897創る名無しに見る名無し:2009/12/08(火) 14:36:57 ID:QzTchuwM
やっべーーwwwうにがピンチだwwww
アイゼルと早速仲間割れの危機!!
898創る名無しに見る名無し:2009/12/08(火) 14:49:39 ID:lsv0Fmai
899創る名無しに見る名無し:2009/12/08(火) 15:46:37 ID:KrSWtsO8
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|.....||__|| (     )  どうしてこうなった・・・
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|.....||__|| ( ^ω^ )  どうしてこうなった!?
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|.....||__|| └‐、   レ´`ヽ   どうしてこうなった!
| ̄ ̄\三  / ̄ ̄ ̄/ノ´` ♪
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|.....||__||         /`ヽJ   ,‐┘   どうしてこうなった! 
| ̄ ̄\三  / ̄ ̄ ̄/  ´`ヽ、_  ノ    
|    | ( ./     /      `) ) ♪
900創る名無しに見る名無し
          __             __
        ∠       ̄`ーァ.,ィ个ー、ァ'´     ̄`ヽ、
      r┴―- 、_.    r' r.、 }= ,ィ { ______ヽ
      ゝ、       ̄ ̄「「,r―〈〉r―ォ)) ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ }
        >、ヽ、 ̄ ̄ ̄ l l!: : :ム オ: : :!l:ノ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ノ
           `ヽ、:.:.:.:.:.:.:.l :{: : : ll: : : :l.!: :.:.:.:.:.:.:.:.:.:., - '´
              ヽ:.:.:.:.:.l `、: ::!!: : :ノ.j: :.:.:.:.:.:.:.:/
               `ヽ:.:!ハヽ、j_,、/ レ:.:.:.:.:../
                 ヽ ト _ イ、:.:.:.:./         
                  _rイ「  「`ヽヽ/          
          _     ,r‐=.}、〈〉 〈〉 アォ┬┬ァ
      ,rァ―ケr_ヘー‐ヘ  「ヘ个ミ」彡イr、! l. l/‐ァー-‐rォ、_
.   ,イ三´ }{__r'`ーヘ_、`ヘ ヘ{`ヽr===ォムイノ/,r={__}{イー' ノ }'{`ー、
  〈/´ ̄}ノ´    ̄     〉 `ー{三三}= ォ       ̄ ̄`ヽ「ヽ,}
                 込ー 、 _ rォ={
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                  l:.:.:.:.:.:} ヘ:.:.:.:ノ

                                   ノ ̄ ̄ア
.         /ア                      /  rイ
        〈. {                   , -一'ー-、/
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.       j:.:.:.:.:.!      >==、==ァイ___,ィ、 ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ   }
       ト、:.:.:.:.j         `tォ、 ̄  ,r勿ヽ ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l   !
.      爪し:.:.(         / !:.:ヽ、rく彡イ ヽ ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.l.   l`ー
      L、:「二`{!        」  l:.:.:.:.ヽ ヽ. r=={=ヘ:.:.:.:.:.:.:.l   !ー、_
     氏〉イ 、:.:..:|`      rイ. {:  l:.:.:.:.:.:.:ヽrケ   l.  l:.:.:.:.:.:.l  ノ
    }‐7、ゝj`ヽ、!      レ-'´ヽ  !:.:.:.:.:.:.:.ヘ l   !  !:.:.:.:./  ∧
.    ハ{`ー===ヲ           > ヘ:.:.:.:.:.:.:.:.}'´ ̄``ト、.」:.:./ /ヽ、!
  爪ム`ーォ一'           イ ゝ、ヽ:.:.:.:.:.:.!      /ン/
  弋」rォソ´              レ´  ヾ、:.:.:.:.:}__    //
                         ∨>´ケイ`ト、イ
                          ムイ ノノ}ー1
                          ムイ ,イム{∨
                          ケ // {::}`'

                 ト、{ { !      }   l
                 「`.}、!r{      l __」
                イl:.:.:.「`ヘ      !.Y三!
               ム/ ト、弋rへ     ト 二ノ
               `ヽYフlア二ィ彳,rァくフ,r{ハノ
 f⌒ヽfj            }く〉:.:.:.:.:.:.:レヘヽ、ケァ.「
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  弋 /ヽ      _}==ル、l:.:.:.:.:.:.:.ト::::::_」rォ{´ ̄`ヘ
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