【第一部:ファントムブラッド】11/11
○ジョナサン・ジョースター/○ディオ・ブランドー/○ロバート・E・O・スピードワゴン/○ウィル・A・ツェペリ/
○エリナ・ペンドルトン/○ジョージ・ジョースター1世/○ダイアー/○黒騎士ブラフォード/○タルカス/○ワンチェン/
○ジャック・ザ・リパー
【第二部:戦闘潮流】10/10
○シーザー・アントニオ・ツェペリ/○シュトロハイム/○リサリサ(エリザベス・ジョースター)/○スージーQ/
○ドノヴァン/○ストレイツォ/○サンタナ/○エシディシ/○ワムウ/○カーズ
【第三部:スターダストクルセイダース】15/15
○ジョセフ・ジョースター/○モハメド・アヴドゥル/○花京院典明/○J・P・ポルナレフ/○イギー/
○ホル・ホース/○ラバーソール/○J・ガイル/○エンヤ婆/○ンドゥール/
○オインゴ/○マライア/○アレッシー/○ダニエル・J・ダービー/○ヴァニラ・アイス
【第四部:ダイヤモンドは砕けない】12/12
○東方仗助/○空条承太郎/○虹村億泰/○広瀬康一/○岸辺露伴/○山岸由花子/
○矢安宮重清(重ちー)/○トニオ・トラサルディー/○川尻早人/○片桐安十郎(アンジェロ)/○音石明/○吉良吉影
【第五部:黄金の旋風】15/15
○ジョルノ・ジョバァーナ/○ブローノ・ブチャラティ/○グイード・ミスタ/○レオーネ・アバッキオ/
○パンナコッタ・フーゴ/○トリッシュ・ウナ/○サーレー/○ホルマジオ/○ペッシ/○プロシュート/
○ギアッチョ/○リゾット・ネエロ/○ティッツァーノ/○チョコラータ/○ディアボロ
【第六部:ストーンオーシャン】 15/15
○空条徐倫/○エルメェス・コステロ/○F・F/○ウェザー・リポート/○ナルシソ・アナスイ/
○エンポリオ・アルニーニョ/○ロメオ/○グェス/○サンダー・マックイイーン/○ラング・ラングラー/○ケンゾー/
○ヴィヴィアーノ・ウエストウッド/○ミュッチャー・ミューラー/○ドナテロ・ヴェルサス/○エンリコ・プッチ
【第七部:スティール・ボール・ラン】 10/10
○サンドマン/○マウンテン・ティム/○リンゴォ・ロードアゲイン/○マイク・O/○オエコモバ/
○スカーレット・ヴァレンタイン/○ブラックモア/○フェルディナンド/○ミセス・ロビンスン/ ○ベンジャミン・ブンブーン
【計 88名】
【基本ルール】
全員で殺し合いをしてもらい、最後まで生き残った一人が勝者となる。
勝者のみ元の世界に帰ることができる。
ゲームに参加するプレイヤー間でのやりとりに反則はない。
ゲーム開始時、プレイヤーはスタート地点からテレポートさせられMAP上にバラバラに配置される。
プレイヤー全員が死亡した場合、ゲームオーバー(勝者なし)となる。
開催場所は、荒木のスタンドで作られた異次元世界であり、外に逃れることは不可能である。
開催場所は、杜王町ベースのJOJOワールド。
MAPはこちら>
http://rowvj6pbm.ame-zaiku.com/index.html 【首輪と禁止エリア】
プレイヤーは全員、荒木のスタンドで作られた首輪を取り付けられている。
首輪の爆弾が発動すると、そのプレイヤーは死ぬ。(例外はない。爆発後にC・ダイヤモンドで治す等は不可能)
この首輪はプレイヤーの生死を常に判断し、荒木にプレイヤーの生死と現在位置のデータを送っている。
また、プレイヤーには説明されないが、実は盗聴機能があり音声・会話は荒木に筒抜けである。
首輪が爆発するのは、以下の条件の時である。
* 荒木が放送で指定した禁止エリア内に、プレイヤーが入ったとき。(首輪が自動で爆発)
* 首輪を無理やり取り外そうとしたとき。(〃)
* 24時間で、一人も死者が出なかったとき。(全員の首輪が一斉に自動で爆発)
* プレイヤーが、荒木に不利益な行動をとろうとしたとき(荒木本人がスイッチを押すことで、手動の爆発が可能)
【主催者】
荒木飛呂彦。ジョジョロワ1stの荒木飛呂彦とはまた違う荒木である。
【参加者】
参加者は、上記の通りこれ以上の増員は絶対に認められません。
参加者の容姿、記憶、能力は、そのキャラクターを最初に書いた人に委ねられます。
(例:ディオ・ブランドー:ラグビー終了後 ジョルノ・ジョバーナ:ブチャラティに会う前)
そのキャラクターを最初に書く人はいつから来たのか明言を、
続けて書く人は前の話をよく読み時間軸の矛盾が起こらないように注意してください。
また、「作中で死亡したキャラクターが生き返った」は無しです。
あくまで死亡する前の時間軸から連れてきただけになります。
(例外として、殺されたのに永遠に死ねないディアボロがいます)
【能力制限】
スタンドは、スタンド使い以外でも視認可能。ただし、接触・破壊はできない。
柱の男は、頭を潰されれば死ぬ。
肉の芽、GER、バイツァダスト、メイド・イン・ヘブンは使用不可能。
カーズの究極生命体化も不可。
【支給品】
プレイヤーがあらかじめ所有していた武器、装備品、所持品は全て没収。
ゲーム開始直前にプレイヤーは開催側から以下の物を支給される。
「食料(パン数個)」「飲料水」「懐中電灯」「開催場所の地図」
「鉛筆と紙」「方位磁石」「時計」 「デイパック」「名簿」「ランダムアイテム」
以上の9品。
【ランダムアイテムについて】
「ランダムアイテム」は『ジョジョ作中に登場するアイテム』『日用品』『現実の武器』等から選択。
猫草、ココ・ジャンボなどのスタンド能力を持つ支給品を登場させてもOK。
『参加者に能力を付与してしまう可能性』のあるアイテム、
つまり石仮面・弓と矢・聖人の遺体などは不可。
【予約】
キャラ被りを防ぐため、自分の書きたいキャラクターを予約することができます。
例 【予約】:空条承太郎、ディオ・ブランドー
期間:予約当日から3日間。予約期間後は、他の人が予約または投下してもOKです。
予約しなくても投下することはできますが、
その際は他に予約している人がいないか十分に確認してから投下しましょう。
延長制度
@期間→1週間。その後は他の人が投下してもOK(一言断って貰えると助かる)。
A権利→本編で2作以上採用されている作者のみ。新人はまず2回採用を目指そう。
B途中報告→2〜3日目に1回と、5〜6日目にもう1回。
C間に合わなかったときのペナルティ→次回だけ予約の期限が3日以内に。
{間に合わなくても、投下しても構わない。その代わり、なるべくお早めに。
その際も、途中報告をちゃんとする。}
【トリップ】
投下後、作品に対しての議論や修正要求等が起こる場合があります。
書き手は必ずトリップをつけてください。
【投下宣言】
投稿段階で被るのを防ぐため、
投稿する前には必ず議論スレで 「投下します」 と宣言をして下さい。
いったんリロードし、誰かと被っていないか確認することも忘れずに。
【キャラクターの参加時間軸】
このロワでは登場キャラクターがいつの時点から召集されたかは
「そのキャラクターを最初に書いた人」にゆだねられます。
最初に書く人は必ず時間軸をステータスにて明言してください。ステータスについては下記。
【ステータス】
投下の最後にその話しに登場したキャラクターの状態・持ち物・行動指針などを表す
ステータスを書いてください。
テンプレはこちら。
【地名・○○日目 時間(深夜・早朝・昼間など)】
【キャラクター名】
[スタンド]:『名前』
[時間軸]:ここはキャラの登場時間軸。できるだけわかりやすく
[状態]:(ダメージの具合・動揺、激怒等精神的なこともここ)
[装備]:(武器・あるいは防具として扱えるものはここ)
[道具]:(ランタンやパソコン、治療道具・食料といった武器ではないが便利なものはここ)
[思考・状況](ゲームを脱出・ゲームに乗る・○○を殺す・○○を探す・○○と合流など。
複数可、書くときは優先順位の高い順に)
【作中での時間表記】
深夜:0〜2
黎明:2〜4
早朝:4〜6
朝:6〜8
午前:8〜10
昼:10〜12
日中:12〜14
午後:14〜16
夕方:16〜18
夜:18〜20
夜中:20〜22
真夜中:22〜24
〈side D:チョコラータ〉
死亡者が呼ばれるたびに震えが走る。三半規管に心地良くその声が轟く。
この死亡者はなにを見た?聞いたところ女性名だ。どうやって死んだ?
辱めを受けた後、ボロ雑巾のように捨てられたか?自らの体を売り、逆に裏をかかれたか?
僅かな勇気を振り絞り、自らを奮い立たせ死地に飛び込んでいったか?
惨めに泣き崩れ、恐怖に震えるところに現実を突きつけられたか?
これだ…ッ!この感覚………ッ!!
俺自身が望んでいたもの!どこまでも純粋な恐怖、絶望!
それのひとつひとつの結晶がこの結果…!
26人!最高のショーだッ!どこまでも充実した6時間、いまからでもそのテープが待ち遠しい…!
明るくなりかけた空の下、響く歓喜の放送は止まらない。
そして俺自身の興奮も留まることを知らない。
幸い自分がいるところは禁止エリアに指定されなかった。
死亡者?誰が忘れるようなことがあるか。空にいえる。メモを取るまでもないことだ…ッ。
あの駅から西に向かう途中に流れたこの放送は俺を最高に興奮させた。
こんなにワクワクしたのはいつ以来だろうか?
看取った老人の顔が絶望に染まったの見た時だろうか。初めて患者を殺したときだろうか。
今、俺は柄にもなく年を忘れて遠足を楽しみにする子供のようにスキップで移動中だ。
その俺の足も止まった。こうして壁に背を当てじっと気配を殺す。
いくらテンションを限界まで飛ばしたからといって自分を見失うようなことはしない。
霞む朝日の下、なにやら動く人影を見ればこんな状況だ。冷静さを取り戻すなんてわけない。
…落ち着きを取り戻した俺は冷静に脳を回転させる。
観察する相手の様子を伺う。
幸いなことにこっちには気づいていないよう。気を配ってるのは伝わるが…集中力を欠いてるのか。
今の俺の集中力ではそれがおもしろいほど手にとってわかる。
それがさっきの放送が原因だとしたら…おもしろい。
そして気づく。
知らず知らずのうちに自分は笑みを浮かべていただろう。
あれは…俺の目と脳が正常なら、ブチャラティの一味のレオーネ・アバッキオじゃないか……ッ!
そうわかったからこそなお一層冷静になれ、と呼びかける。
ここでの選択肢は外すことが出来ない。自分が一番わかってる。
そろそろ恐怖を生で見たい…!脅え、叫び、逃げ惑う参加者…!
突き落とされる絶望に…震え、命乞いをする弱者…!
「いやしんぼめ………ッ!」
いつもの口癖を呟く。セッコにいつも言い聞かせていた言葉は何より貪欲な自分に言っていたのかもしれないな…。
判断材料は三つだ。
ひとつはアバッキオの隣にしゃがむ人影。未知数のあれ、死体か?手を組んでる相手か?はたまた支給品か?
不確定要素に対してこの俺はどう動くべきか。
ふたつは奴の精神状態。スタンドは己の精神力。トリッシュが死んだ今、及ぼす影響はどの程度だろうか?
人によっても及ぼす影響は違うからな…。激昂する奴、我を忘れる奴、呆然とする奴…。
さてさて、奴の場合はどうかな?
みっつめは転がるデイバッグ。支給品、あの荒木のことだ。
自分だって意味のない物は入れない。奴の思考回路は俺と似てるからな…。
そう考えると最高のエンターテーメントを演出する何かが入ってもおかしくはない。
さぁ、どうしようか?とてもこの昂ぶりは収まりそうにないが…。
そうして俺は笑みを広げ思考を続けた。
【チョコラータの場合】
1.不意討ちでアバッキオを襲う
2.素性を隠して手を組む
3.このまま西に向かう
◇ ◆ ◇
〈side E:ホルマジオ〉
さぁて、 困ったことになっちまった…。
支給品を安全に確認しようと民家に向かったはいいが…どうしてこんなことになったんだが・・・。
溜息を吐きながら刈り上げた坊主頭をぼりぼりと掻く。
そうしながらさっき流れた放送の内容をもう一度呼び起こす。
幸い禁止エリアと死亡者はチェック済みだ。放送を聞き逃すなんて間抜け以外の何者でもないぜ。
と、言ってもそんなことをしそうな奴が俺たちチームにいるんだけどな。悲しい現実だぜ、やれやれ。
最もそいつの名が呼ばれなかったってことは喜ばしいことだ。他の奴らも無事生き残ってるようだしな…。
目つきの悪い男達を脳裏に浮かべながら俺は知らず知らずのうちに苦笑いを浮かべる。全く頼りになる奴らだよ…。
それでも、全員が全員無事、ってわけにはいかなかったがな。
線が引かれてる名前をなぞる。さっきとは違う種類の溜息。
まったく喧嘩する相手を考えろ…。お前の性格だとここじゃ危ないとは思ってたけどよォ…。
しょうがねぇな、じゃ済まされないんだぜ。リーダーの身になってみろってんだ、あの馬鹿野郎…ッ!
そうして怒りに我を忘れた俺は一瞬だけ自分の状況を忘れちまった。
危うく窓から転落死しかけた俺は慌ててスタンドでサッシをつかみ体を元の状態に戻す。危ねえ、危ねえ…
うん?今の状況?
それがまた厄介の種でよォ、支給品を確認できない理由なんだよ。
西急いだ俺は支給品の確認、それに加えて放送もあることもあり、身を潜める民家を探していた。
所が偶然聞える人の声。押さえ気味とはいえ、こんな状況、軽い口論であるその声は俺の耳にもばっちり届いていた。
そうして、俺はそいつらの情報を手に入れるためにも体を小さくして窓のサッシで聞き耳を立ててる、ってわけよ!
おっと、玄関の扉の音だ。どうやらアイツは出て行ったか。
さてこっからは仕事人、ホルマジオでいかねぇとな。
頬を軽く叩いて気合を込める。うし、行くか。
ギャングになった以上、俺は外道だろうと人外だろうとなんだろうと汚名を被る覚悟は出来てる。
どれだけ非難されようと、卑怯だといわれようと、俺は…俺たちはそれでもやらなければならないことがある!
女子供、無関係な奴らを踏み台にしようともな!
ターゲットは女一人。傍に犬一匹か。
状況が状況だ、スタンド使いの可能性も高いな。
そうなると選択肢は三つだな。このまま指をくわえて待ってるなんてことは有りえねェ。
当然二人+一匹より、一人+一匹のほうが遥かに楽だからな。それに俺のスタンドは奇襲向けだ。
…だが無理に襲撃するメリットもないんだがな。話し合い・・・ですむって考えるのは甘ちゃんか…?
さて、時間制限つきだ。さっさっと決めて行動しちまうか。
なんたって俺たちは『行動したと思ったときには行動し終えてる』んだからな。
…ほんと、しょうがねぇ〜〜〜なぁ〜〜〜〜………!!
【ホルマジオの場合】
1.体を元に戻し、接触 情報を入手する
2.自らのデイバッグに身を縮ませ、拾ってもらう
3.問答無用で襲い掛かり、拷問する
◇ ◆ ◇
人生はいつだって重要な選択の連続だ。それも制限時間付きだから厄介この上ない。
しかし、だからこそ人生は おもしろい。
【E−6 北の現場(戦闘があった場所)/1日目 朝】
【レオーネ・アバッキオ】
【時間軸】:トリッシュ護衛任務を受けた後、ナランチャがホルマジオの襲撃を受ける前。
【状態】:健康、苛立ち
【装備】:なし
【道具】:なし
【思考・状況】
基本行動方針:トリッシュの仇を討つ。それ以外のことは仲間と合流してから考える。
1:決断する
2:現場から支給品、リプレイともに出来るだけの情報を集めたい。
3:近距離パワー型スタンドのラッシュは柱の男達に効きそうにないので、対抗策を模索する。
4:チームの仲間、あるいは、組織のメンバーの誰かと合流して協力を要請する。
5:サルディニア島で自分が死んだ? ボス=ディアボロを倒した? ボスに警戒?!何のことだ?! (とりあえず置いておく)
[備考]
※名簿に目を通しました。
※サンタナの名前と容姿、『露骨な肋骨』『憎き肉片』の2つの技の概要を知っています。
※参戦時期の関係上、まだディアボロを敵と認識していません。
※トリッシュの遺言を聞き若干混乱しています。
※近くにサンタナの首輪、ブンブーンのデイバッグ(不明支給品が0〜2個入り)、拡声器、が落ちてます。
【チョコラータ】
[時間軸]:本編登場直前
[状態]:最高にハイ
[装備]:ミスタの拳銃、
[道具]:顔写真付き参加者名簿、チョコラータのビデオカメラとテープ、支給品一式×2
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いを楽しみ、優勝して荒木にロワの記録をもらう
1:決断する
2:中央(繁華街)を通り西を目指す
3:ディアボロを拷問してボスの情報をはかせる
4:参加者に出会ったらどうするかはその場で考えるが、最終的には殺す
[備考]
※グリーンディの制限はまだ不明
※参加者が荒木に監視されていると推測しています
※思考3については、「できれば」程度に思っています
【E−6南東の民家/1日目 黎明】
【空条徐倫】
【時間軸】:「水族館」脱獄後
【状態】:健康。アバッキオに殴られた腹が少し痛い(戦闘、生活には支障皆無)大きな焦り、強い心配。
【装備】:なし
【道具】:なし
【思考・状況】
基本行動方針:打倒荒木! これ以上自分のような境遇の人を決して出さない。
1:決断する
2:アバッキオとともに“現場”に行き情報収集する?
3:あいつ(空条承太郎)、他の協力者を捜す。
[備考]
※名簿に目を通しました。
【イギー】
【時間軸】:エジプト到着後、ペット・ショップ戦前
【状態】:健康。アバッキオに蹴られた所と落下の衝撃で少々痛い(戦闘、生活には支障皆無)。
【装備】:なし
【道具】:なし
【思考・状況】
基本行動方針:とりあえずこいつらに付き合うとするか
1:決断する
2:二人についていく。ただしアバッキオは警戒
3:承太郎たちも参加してるのか……
[備考]
※空条承太郎と空条徐倫の関係はほとんど気にしていません。気付いてないかも?
※名簿に目を通しました。
※二人の近くには【食糧の入ったデイパック】【地図など情報交換用のもの及び共通支給品が入ったデイパック】【上記の不明支給品の入ったデイパック】 が転がってます。
詳しくは59話「わらしべ長者」参照。
【ホルマジオ】
[時間軸]:ナランチャ追跡の為車に潜んでいた時。
[状態]:健康。
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、万年筆、ローストビーフサンドイッチ、不明支給品×3
[思考・状況]
基本行動方針:ボスの正体を突き止め、殺す。自由になってみせる。
1:決断する
2:ディアボロはボスの親衛隊の可能性アリ。チャンスがあれば『拷問』してみせる。
3:ティッツァーノ、チョコラータの二名からもボスの情報を引き出したい。
4:もしも仲間を攻撃するやつがいれば容赦はしない。
5:仲間達と合流。
[備考]
※首輪も小さくなっています。首輪だけ大きくすることは…可能かもしれないけど、ねぇ?
※サーレーは名前だけは知っていますが顔は知りません。
※死者とか時代とかほざくジョセフは頭が少しおかしいと思っています。
※現在、ジョリーンのいる民家の窓に体を小さくして張り付いてます。
※不明支給品は本来ジョセフのものです。いまだ未確認です。
トウカ カンリョウ モウスグ フッカツ ジコ ツライ イタイ
投下、乙、取り合えず、現在人数の、名簿も、貼って、おく
【第一部:ファントムブラッド】7/11
○ジョナサン・ジョースター/○ディオ・ブランドー/○ロバート・E・O・スピードワゴン/●ウィル・A・ツェペリ/
○エリナ・ペンドルトン/○ジョージ・ジョースター1世/●ダイアー/○黒騎士ブラフォード/○タルカス/●ワンチェン/
●ジャック・ザ・リパー
【第二部:戦闘潮流】4/10
○シーザー・アントニオ・ツェペリ/●リサリサ(エリザベス・ジョースター)/○ルドル・フォン・シュトロハイム/
●スージーQ/●ドノヴァン/●ストレイツォ/●サンタナ/●ワムウ/○エシディシ/○カーズ
【第三部:スターダストクルセイダース】11/15
○ジョセフ・ジョースター/●モハメド・アヴドゥル/○花京院典明/○J・P・ポルナレフ/○イギー/
○ホル・ホース/○ラバーソール/○J・ガイル/○エンヤ婆/●ンドゥール/
○オインゴ/●マライア/○アレッシー/●ダニエル・J・ダービー/○ヴァニラ・アイス
【第四部:ダイヤモンドは砕けない】9/12
●東方仗助/○空条承太郎/○虹村億泰/●広瀬康一/○岸辺露伴/○山岸由花子/●矢安宮重清(重ちー)/
○トニオ・トラサルディー/○川尻早人/○片桐安十郎(アンジェロ)/○音石明/○吉良吉影
【第五部:黄金の旋風】12/15
○ジョルノ・ジョバァーナ/○ブローノ・ブチャラティ/○グイード・ミスタ/○レオーネ・アバッキオ/
○パンナコッタ・フーゴ/●トリッシュ・ウナ/●サーレー/○ホルマジオ/○ペッシ/○プロシュート
●ギアッチョ/○リゾット・ネエロ/○ティッツァーノ/○チョコラータ/○ディアボロ
【第六部:ストーンオーシャン】 10/15
○空条徐倫/●エルメェス・コステロ/○F・F/○ウェザー・リポート/○ナルシソ・アナスイ/
●エンポリオ・アルニーニョ/●ロメオ/○グェス/○サンダー・マックイイーン/●ラング・ラングラー/●ケンゾー/
○ヴィヴィアーノ・ウエストウッド/○ミュッチャー・ミューラー/○ドナテロ・ヴェルサス/○エンリコ・プッチ
【第七部:スティール・ボール・ラン】 8/10
○サンドマン/○マウンテン・ティム/○リンゴォ・ロードアゲイン/○マイク・O/●オエコモバ/
○スカーレット・ヴァレンタイン/○ブラックモア/○フェルディナンド/○ミセス・ロビンスン/
●ベンジャミン・ブンブーン
【残り61人】
小説版、参戦の、ロワを、夢、見て
おおっ、投下きてる!!
超GJ!!!
相変わらずクオリティー高ぇ……
綺麗に自然な形で火種がばらまかれてる……!
各々の3択を敢えて箇条書きにしてるのが斬新ですごく感心した。
確かに多人数でこれやるとどれとどれ組み合わせようか夢が広がって面白い……!!
改めて投下乙でした!!
スレ立て&投下乙です。
五者五様の考えが入り乱れていることが箇条書きの三択で分かりやすく表わされていて、とても斬新でした。
面白かったです!
経過報告を。
8割ぐらい完成しているのですが、時間がそんなに取れないのでちょっと急ぎます(推敲もしたいし)。
被ってる書き手さんいたら別ですけど、ちょっとぐらい遅れてもいい……よね?
ダブルオーって聞くとガンダム思いだしますよね。え? そうでもない? まあいいや
虹村億泰、オインゴ投下します。
【億泰の場合】
「―べートーヴェン交響曲第九番の第四楽章「歓喜の歌」
う〜ん、じつに素晴らしいね。心が震える、そんな曲だ」
一度聞いたら忘れやしない、荒木とかいうクソッタレ野郎の声。
どっから聞こえるのかわかんねーんでビックラこいたが、承太郎さんの足も止まったからまあ良しとしよう。
「いやぁ〜、それにしても…それにしてもだよ…。
本当に君たちは良く生き残った! 素晴らしい、心の底から思うね!」
知るかこのダボ。こんな杜王町紛いの町で早々に死ぬわけにいくかよ。
「午前六時、第一回放送までの六時間で脱落した参加者は…」
それは仗助――あの殺人鬼、吉良吉影をブッ倒したダチだって、同じはずだぜ。
そうやすやすと死ぬようなタイプじゃあねえことは、今までの付き合いでよーく知ってるからな。
康一もそうだ。
兄貴の目的のために殺しかけたこともあったが、今ではあのときとは比べ物にならないほど頼もしくなった。
本調子ではねえらしいが、既に承太郎さんもここにいる。
トニオさんや早人は戦う力はねーが、心優しい人に会ってることを願うぜ。
重ちーが何で生きてるのかはわからねぇ。本当に生きてたら、いつかのように調子乗って人様に迷惑かけてそーだな。
露伴はまあ、取材とか言って変なことしてなきゃあいいんだがよぉ……チョッピリ心配だ。
由花子は……殺される姿が想像つかねー。逆ならありそうなんだが。
「……ワンチェン……モハメド・アヴドゥル……ギアッチョ……」
とにかく。俺たちが死んでたまるかっつー話だぜ、荒木。
ご親切に死人の名前読み上げてるとこ悪いがよぉ、お天道様も上がったわけだし、テメーの話が終わったらすぐにでも――
「…東方仗助」
そう、仗助と合流して……
え?
今、荒木の野郎は何て言ったんだ?
いや。まさか。そんな。
「仗助」の名前が呼ばれただなんて。さっきも言ったろ、そう簡単に死ぬ奴じゃねーって。
これはアレだ、アレ。空耳ってやつだなきっと。
あるいは俺の勘違いか? じゃあ実際何て言ったんだろうな。
……そうだ、承太郎さんだ。荒木の言ったことメモしてるみたいだし、承太郎さんに聞けばきっと――
「…広瀬康一」
……え?
★
「それじゃ改めて、君たちの健闘を願って…」
気づいた時には、荒木のご丁寧なあいさつで締めくくられたみてーだが、耳に入ってこなかった。
クソッ……妙にイラつくぜ。
重ちーが死んだ時も、こんな感じだった。
あの時はわからなかったが、今なら分かる。死んだってのが信じられないんだろうな。
明日にでもひょっこり目の前に現れて「おはよう」と言ってくるんじゃねーかって、そんな希望を抱いてしまう。
本当はこういう時は、
「仇討ってやんぜコンニャロオオオオオ!!」とか言って怒鳴り立てたり、
「何でお前らが死んじまうんだよ……」とか言って泣き崩れたり、するもんなんだろーが、
こればっかりは今でも、どうしたらいいか分からない。
あの時みたいに、涙一つ流してやれないなんてな……
「億泰……」
荒木の声をメモし終えた承太郎さんが、声をかけてくる。
今の俺の姿は、承太郎さんからすりゃあ、空気の入ってない風船みたいにしおれて映ってんだろーよ。
自分のことだが、情けないったらねえぜ。
少し前から承太郎さんがいつもより若い気がしていたが、どうでもいい。
正直言って、承太郎さんが俺のことをケーベツしてもおかしくないことを、しようと決めたんだ。
俺は馬鹿だがよぉ、これからしようとしてることは、どうしようもなく馬鹿げていると、自信を持って言えるぜ。
「億泰、今後のことだが……」
「スイマセン、承太郎さん。ここでお別れです」
言い切るのと、地面に置いといたデイパックを担いで走りだすのと、どっちが早かったか。
陸上選手のように、脇目も振らず猛ダッシュ。
いや、実際のところ振れなかっただろうな。目ェつぶってたからな。
とにかく、俺は一人で行動することにした。
――夢の中で、死んだ兄貴に会ったことがある。
そこで俺が「兄貴についていく」と言ったら、「行き先を決めるのはお前だ」と、言い返されたんだ。
おれは「杜王町に行く」と答えた。
「自分の人生は、自分で決める」と、あの日決意したはずだった。
だが、殺し合いが始まってからの俺はどうだ。
ダチを救うこともできずに。承太郎さんに言われるがままに行動して。
何もできないままでいた。誰も救えないままでいた。
あの日、兄貴に誓ったはずなのに。
ちらりと後ろを見るが、承太郎さんが追ってくる様子はない。
意をくんでくれたのか、呆れているのか、馬鹿な俺には分からない。
説得しようにも、どんな状況であれ承太郎さんは理にかなった行動をするだろうし……話をしているうちに心が揺らいじまうかもしれねぇ。
だから、こんな形で別れることを決断したんだ。
……いや、決断とは言えねえな、こんな「逃げる」かのような行動はよぉ。
やっぱり決断は苦手なままだったみてえだ。全然成長してねーな、俺。
ですがね承太郎さん、考えるより体が先に動く、バカってのはそういう生き物なんだ。
もうこれ以上、動かず何もできないままじゃあダメなんだ。
殺し合いや荒木を止める、具体的な案だとか策だとかがあるわけじゃあない。
だがよぉ……これ以上、誰かに自分の行き先を委ねていちゃいけねえ。
自分の人生は、自分で決めるんだ。
「兄貴……俺、自分の道も決められねー馬鹿だったよ。大馬鹿野郎だったさ。でもよ、今から変わってみせる。だから……」
――だから、せめてその時までは、見守っててくれよな。
【オインゴの場合】
「―べートーヴェン交響曲第九番の第四楽章「歓喜の歌」
う〜ん、じつに素晴らしいね。心が震える、そんな曲だ」
一度聞いたら忘れやしない、荒木とかいう奴のふざけた声。
どっから聞こえてきたのか分からないんで、素っ頓狂な声を上げちまいそうだったが、今の俺は「空条承太郎」、クールに振る舞う。
と言っても、「スタンド攻撃だァーーーッ!」だなんて言って走りだした時点でCOOLどころかFOOLだがな。
あれから先が大変だったぜ……
顔を見られないようにしながらずっと歩き続けてたからな。
ポケットに鏃を隠して、他人と一切会わないようにしたしよ。
なんで人がいたであろう駅方面なんかに走っちまったんだ俺は。
「今まで南下してきた以上、敵が北にいる可能性は低い。ここは南西に向かうぞ」
って言い訳をひらめいた時は、自分の聡明さに涙が出そうだったね。
まあ、この億泰が天然記念物レベルの馬鹿だったから、この奇跡的方向転換が出来たんだが。
そんなこんなで、今は地図でいうところの【F‐8】、線路沿いにいるわけで。
あれからほとんど口きかなかったから、今までの無茶で疑いが強まってんじゃあねえかって内心ビクビクしてたところで、荒木の声が聞こえてきた。
正直言ってありがたかったさ。俺に対する注意が削がれるからな。
億泰はキョロキョロして、声がどっから聞こえてるのか不思議がってる。
十中八九、荒木のスタンド能力によるものだろうが、そんなことも分からない億泰は未だ虚空を見上げてやがる。
「いやぁ〜、それにしても…それにしてもだよ…。
本当に君たちは良く生き残った! 素晴らしい、心の底から思うね!」
いや全くもってその通りだ。この6時間、俺はまるで生きた心地がしなかった。
半端ないストレスで胃が痛みっぱなしだったし。
「午前六時、第一回放送までの六時間で脱落した参加者は…」
ご丁寧なことに死人の名前を教えてくれるらしい。
億泰はメモする様子なさそうなんで、急いで紙と鉛筆を取り出し、読み上げられる名を綴る。
知っておくに越したことは無いしな。
「……ワンチェン……モハメド・アヴドゥル……ギアッチョ……」
アヴドゥルが死んだのか……砂漠で怪我を負ったらしいが、その傷がたたったんだろうか?
まあ何にせよ、俺とDIO様にとっちゃあ喜ばしいことだぜ。態度には表わさないがな。
「…東方仗助」
ん? 仗助って言うと確か億泰の仲間だったな。
早死にしたってことは、そんなに強いスタンド使いじゃあなかったらしいな。気にせずメモを続けよう。
「…広瀬康一」
……ん?
★
「それじゃ改めて、君たちの健闘を願って…」
そんな言葉で、荒木のスピーチは締めくくられた。
紙と鉛筆をしまいこみながら、俺は自分の生の実感を噛みしめていた。
26人……! ありがてえ! もうそんなに死んだのかよ!
億泰の仲間が3人ほど死んだらしいし、九栄神も2人ほどやられたようだが、どうせ使えないやつらだったんだろう、同情の余地ないぜ。
荒木が禁止エリアを言い忘れかけたことに対する怒りも吹き飛ぶくらいのこの僥倖。
何か考え込むように口元を抑えてはいるが、実際のところニヤケ顔を隠すのに必死だ。
億泰は、塩撒かれた青菜みたいにしおれてやがる。
俯いてるから表情はわからないが、弱いお友達が死んだことにショック受けてることは明白だ。
無関係のこっちからすりゃあ、黙祷の一つでもささげてれば? って感じだ。
……だが待てよ。
「億泰……」
返事は、ない。
当然だな。この件に関する衝撃は相当にデカいはず。
だからこそ、こっから俺が行動の主導権を握るのは後出しでジャンケンに勝つぐらいに簡単だ。
「今回のことをずっと悔やんでいても仕方ない。今は俺たちができることをしよう」
とか、そんな感じのいかにも正義感満ち溢れるクッサイ台詞を言ってやりゃあ、この馬鹿はついてくる。
また言い訳しながら他人との合流を避けることになっちまうが、こうでもすりゃあ少なくとも俺への疑念は晴れるだろ。
「億泰、今後のことだが……」
「スイマセン、承太郎さん。ここでお別れです」
そう言って億泰は、俺のほうに向かっていった。
――お別れ……だと? ま、まさかコイツッ!
自棄になって皆殺ししようとしてんのか!?
ま……待て、落ち着けオインゴ! 今の俺は承太郎の姿。
奴のスタンド「スター・プラチナ」はかなりの強さだと聞く。
ここはハッタリで乗り越えるしかないッ!
「フザけたこと言ってんじゃあねえぜ、億泰」とかそんな感じのを、ドスをきかせた声で……
「……って、あれ?」
気がついた時には、億泰の姿は遥か彼方。
★
まあ、なんだ、その。
「ここでお別れ」っていうのは、言葉通りの意味だったわけで。
俺の近くにデイパックがあったから、殺る気だったと誤解しちまったぜ。
ただ、自棄になったってのだけは正解だろう。頭を抱えて伏せた情けない姿の俺を無視しているのがその証拠。
とにかく、億泰はデイパックを持って一目散に西に駆け出したらしい。
――『俺の』デイパックを持って、だ。
「散々馬鹿馬鹿言って悪かったな、億泰。最後の最後で、お前は役に立ってくれたよ」
戦闘向きのスタンドを持たない俺にとって最大の武器になり得る、「青酸カリ」の入っているデイパックを、億泰は置いて行った。
喉から手が出るほど欲しかったが、幾ら承太郎の姿をしているとはいえ、これを譲ってもらうのは難しいと考えていた。
だが、何を勘違いしたのか、自分のデイパックを置いて行ったんだから世話ない。
こういうの窃盗っていうのかもしれないが、自衛のためと割り切らせてもらうぜ。
億泰の姿が見えなくなったころに、辺りに誰もいないことを確認してから、顔を元に戻す。
いい加減胃痛から解放されたかったからな。要は気持ちの問題。
更に億泰のデイパックを物色しはじめる。まだ中身の全てを見せてもらったわけじゃあねえからな。
「なんだこれ? 紙?」
出てきたのは、何の変哲もない、小さく折りたたまれた紙。
せっかくだから、広げてみる。
「よっと……なんだ、ただの紙……」
足下に、何かが落ちてきた。
落ちてきたといっても、特別重いもんじゃあない。むしろこれは軽くて、触れた感じでは布か何か――
――もしかしてこれはッ!
足下に落ちたそれを持ち上げ、砂を落とすため数回叩く。
上下揃った黒衣。黒い服と言ったら――学ランだ。原理は知らんが、紙から出てきたらしい。
「億泰ッ! お前マジにサイコーだぜッ!」
「クヌム神」最大の弱点は、服装まで変化しないこと(帽子ぐらいなら髪型で何とかできるがな)。
その弱点を埋める支給品が手に入った。
顔と服装、外見で他人を判断するのにこれ以上に必要なものがあるだろうか。
今の服ではできなかったが、学ランを着て承太郎の顔をして悪さしまくれば、承太郎の悪評を振りまくことだってできる。
うまくいけばこちらが名乗らずとも、「学ラン姿のあいつが……」という感じで、風のように噂は広まっていくだろうよ。
……いや、同じ学ラン姿の億泰の悪評を振り撒くのもありだな。
あんな形で別れた以上、向こうも合流するつもりねえだろうしな。
6時間も一緒にいたんだ。あのアホ面は嫌でもよーく思いだせる。
「とは言え、まずは誰かに会わなきゃな」
顔を借りて悪行するにしろ、強い参加者に保護してもらうにしろ、誰かに会わないことには話が進まない。
だがそんな問題も、今の俺にはまるで問題ではない!
「鏃だッ!」
ポケットから取り出した鏃は、カジノのルーレットみたく回転したのち、南南西方面を指した。
参加者を探知する鏃がある現状、今まで避けていた他の参加者との合流は非常に楽だ。
指した方向も、運良く億泰が走った西方面とは異なっている。
完璧だ。間違いなく俺は『絶頂』真っ只中にいる!
「待っていてくれ、ボインゴ。兄さんは必ず帰ってくる。だから……」
――だから、もう少し孤独に耐えていてくれ。
★
弟は、兄に自分で道を選ぶことを誓った。
兄は、弟に自身の生還を誓った。
兄と弟は、誓いを立てる。
【F-7/1日目 朝】
【虹村億泰】
[スタンド]:『ザ・ハンド』
[時間軸]:4部終了後
[状態]:健康 。自分の道は自分で決めるという『決意』。承太郎(オインゴ)への疑惑(今はあまり気にしていません)
[装備]: なし
[道具]: エルメェスのパンティ(直に脱いぢゃったやつかは不明)、支給品一式。(不明支給品残り0〜1)
[思考・状況]
基本行動方針:味方と合流し、荒木、ゲームに乗った人間をブチのめす(特に音石は自分の"手"で仕留めたい)
1.承太郎さん、すまねぇ……
2.西に向かい、犠牲者が出る前に行動する。
3.仗助、康一……何でお前らが……
4.承太郎さん、なんか変なんだよなぁ。服はともかく、若返った? まあ今はどうでもいいや。
5.なんで重ちーや吉良が生きてるんだ……!?
※西に向かってひたすら走っていますが、具体的な目的地があるわけではありません。
方位は気にしていないので、多少南や北にそれる可能性もあります。
※オインゴが本当に承太郎なのか疑い始めています(西に向かうことで精一杯で、今はあまり気にしていません。冷静になったら……?)
※オインゴの言葉により、スタンド攻撃を受けている可能性に気付きました。ただし確信はありません
(西に向かうことで精一杯で、今はあまり気にしていません)
※名簿は4部キャラの分の名前のみ確認しました。ジョセフの名前には気付いていません。
※放送をほとんど聞き逃しましたが、仗助、康一は死亡したものだと思っており、生きている可能性は無いと考えています。
矢安宮重清の名前が呼ばれたことは気が付いていないようです。
※オインゴのデイパックを間違えて持っていったことに気が付いていません。
【F-8 駅周辺、線路沿い/1日目 朝】
【オインゴ】
[スタンド]:『クヌム神』
[時間軸]:JC21巻 ポルナレフからティッシュを受け取り、走り出した直後
[状態]:胃が痛い(若干和らいだ)、ややハイ。
[装備]: 首輪探知機(※スタンド能力を発動させる矢に似ていますが別物です)
[道具]: 青酸カリ、学ラン、支給品一式。(不明支給品残り0〜1)
[思考・状況]
基本行動方針:積極的に優勝を目指すつもりはないが、変身能力を活かして生き残りたい。
1.鏃が差した北方面に向かい、他の参加者に接触する
2.承太郎か億泰の顔と学ランを使って、奴らの悪評を振り撒こうかなぁ〜
3.億泰のスタンド能力を聞き出したい(とりあえず戦闘型ではないかと推測)
※現在はオインゴの顔ですが、顔さえ知っていれば誰にでも変身できます(現在承太郎、億泰の顔を知っています)。
スタンドの制限は特にありません。
※億泰の味方、敵対人物の名前を知っています。
【ダブル"O"ブラザーズ 解散】
【学ラン】
現実世界からの出典。黒い男子生徒用の学ラン。サイズは結構大きく、承太郎でも着れる。
ただし、3部承太郎の学ランにある鎖や、億泰の学ランについてる「$¥」のバッジなどの装飾は無い。ごくごく普通の学ラン。
投下完了。
誤字脱字、矛盾点、その他指摘、感想ありましたらどうぞ。
投下GJ!
一瞬俺もおくやすが殺し合いに乗ったかと思って焦ったぜ……w
おくやすもオインゴもこれで覚悟完了か
オインゴは学ランと毒物で一気に装備が充実したなw
ラバーソールが即殺タイプのステルスっぽいから、オインゴには期待したいぜ
感想ありがとうございます。あとセルフ突っ込み。
>1.鏃が差した北方面に向かい、他の参加者に接触する
とありますが、南南西方面の間違いです。ちゃんと推敲しないからこういうことになるんだ……
あ、あと億泰がデイパック置いた描写がないので、付け加えてwikiに掲載します
投下乙ッ!
そうか・・・億泰はマブダチ二人失った事になるもんな・・・
オインゴの首輪探知機は「矢」にそっくりっていうのがアレだよな
勘違いしそうな奴らがでてきそうだ
地図の人乙ッ!
今気付いたけど、
>>1のテンプレ前スレのやつそのままだね
立てるのに必死な人間の作業なんてそんなもんだ
33 :
創る名無しに見る名無し:2009/04/26(日) 11:27:49 ID:S3l1auy5
>>30 リーダーのチームの名前がゾット、リペッシになってますよw
――鳴り止まぬ、拍手。
「……もう演劇の時間は終わりましたよ。次の公演の日程は未定です」
――鳴り止まぬ、喝采。
「いずれこちらからお達ししますので、ご容赦を……今後の彼の運命は神に祈るほかないのです」
――鳴り止まぬ、歓声。
「そろそろお時間を頂けませんか。私にはすべき所用がございまして――後回し? それは無理な話」
――鳴り止まぬ、アンコール。
「それより、あの孤独な人々をご覧ください」
ピエロは壇上を降りて闇に溶ける。己が与えられた任務をこなすために。
その事実は彼がただのピエロではなく、立派な一員――このステージにおける大事な歯車を意味する。
決して欠けてはならない歯車。それとも、そこにいずとも構わぬ末端の歯車か。
「悲劇のあった屋敷で床に滴る血をすくう、夢の世界に生きる少女」
奥で白く輝くスクリーンに映し出された、淑女と紳士。
「待ち人は、誰でしょうか? 」
時刻は――ブラフォードとジョナサンがジョースター邸を後にする、少し前のことである。
邸内の大広間で悪戯に時間をすごしていたエリナ・ペンドルトン。
そして彼女の胸元で死を謳歌していたジョージ・ジョースター。
「お願いしますッ! どうか、どうかこの方に安全な処置をッ! このままでは……」
カーペットには大量の出血が広がり続け、ジョージの力は完全に抜けていた。
エリナ・ペンドルトンが助けを求めるのは――至極真っ当な行為。
2人の前に現れたのが顔も知らぬ来客……いや、刺客であろうとも。
「……積もる話はさておき。まず私のお誘いに、あなたが『YES』とお答えしていただかなければ」
赤い長帽子、鼻筋にTATOOを走らせる顔。
物腰柔らかな男の登場。エリナの理解を越えた範疇である。
彼女はスタンドの存在を知らない。スタンド使いを知らない。
バトルロワイアルへの恐怖もおぼろげであり……荒木飛呂彦への素性も何も知らない。
ただの人間にとって、紙の中から人間が現れることが、どれほど神がかりに見えるだろうか。
「そ、それは、私にジョナサン・ジョースターを裏切れ……ということですか」
「EXACTLY(その通りでございます)――と言いたい所ですが、安心してください。
私は年下に趣味はありませんし、他人の女を寝取ろうとするクズではありません。
あなたがYESと言っていただければそれでいい。私と接触するには、あなたの同意が必要だ」
エリナ・ペンドルトンが開いた支給品、この場合は『招待状』と言うべきか。
“ダービーズ・プレイアイランド(ダービーの遊技島)行きチケット”+“遊熟者(ゲームマスター)”。
この2つが閉じ込められた『エニグマの紙』を開いたものは、荒木に通じる遊熟者と接する権利を得られる。
「YES! 許可しますッ! あなたにはジョナサンと同じく只ならぬ力を感じます。協力が欲しいッ!」
遊熟者の名前はテレンス・T・ダービー。稀代のギャンブラー、ダニエル・J・ダービーの実弟。
命を賭けた究極の遊びを通じて――……対戦者との勝負を好む男。
「ようこそ、我が島へ」
「――えっ!? 」
刹那。
エリナ・ペンドルトンはダービーの神業を再び垣間見た。
自分たちの周りの風景が古風な屋敷から一瞬に常夏を連想させる小島になったのだ。
ジョースター邸にいたはずの自分達がどうして――エリナは口を開いたままだ。
「ちなみにこいつは私のゲームソフト。理解できないのでならば、質問は結構」
エリナは当然知らないことだが、この不可思議現象は奇跡ではない。テレンス本人の力量でもない。
「ゲームで私と勝負をすれば、あなたに有益なことが起こります。その男を助けることができるかもしれません」
テレンスの仕事は対戦者とゲームをすること。
お互いの命をチップとして賭け勝負する。敗者にはダービーからの制裁。
この催しの主である荒木飛呂彦から、テレンスは一種の“囃屋”を任かされていた。
『君とゲームをして勝った者は何らかの報酬を僕から与えようと思う。生唾ゴックンなボーナスをね』
ダービーズチケットを持つものは、遊熟者(テレンス)の申し出にYESと答えれば招かれる。
遥か海原、G-10北西部に鎮座する小島。地図には記されていない幻の存在。
荒木飛呂彦が、テレンスが待機する場所へ参加者を転送させるのだ。
「さて、エリナ・ペンドルトン様……賭けますか?賭けませんか?」
「賭けます。本当に助けてくださるんですね? 執事様」
「GOOD! さてエリナ様、そろそろ第一回放送が始まりますが、勝負は放送の後でも構いませんよ」
「時間がありません! “後”は“今”です! 」
エリナ・ペンドルトンは――テレンスを信じきってはいなかった。
彼女が信じていたものは己の診断。すなわちジョージ・ジョースターの容態が手遅れだったこと。
エリナはジョージを救うことを諦めていた。彼女にしては、首を傾げたくなる思考だ。
「この“リバーシ”で勝負しましょう。ルールも単純。早くケリがつく」
「よろしくて、説明は手短にお願いします」
彼女は自分自身の常識を基盤とすることを諦めていたのだ。
“ジョージはこのままでは助からない”は常識か。
“紙の中から人が現れる”“突然見たこともない海原に人を移動させる”は非常識か?
有り得た。可能だった。事実だった。非常識ではなかった。
ざざあと耳を叩く波うち際の音に意識をよせて、エリナは考える。
(“ジョースター卿が助からない”という非常識をこの方は変えてくれるのかもしれない)
かつてジョナサンの骨折を治したツェペリのように。
エリナは奇跡の存在、その可能性を信じていたのだ。
もっとも、彼女の直感が正かったのかどうかは……。
▽
リバーシとは8×8の盤上で対戦するゲーム。黒と白の駒で対戦する、いわゆるオセロだ。
将棋やチェスといった駒を取り合うゲームの中では、おそらく最も容易。
上級者の試合では『いかに駒を取り合うか』より『いかに相手が望まない場所へ駒を置かせるか』が鍵になる。
一番端っこ――4スミの角を通るラインには合計28個のマスがある。
64マスを争うリバーシでは端を全て取るだけで、申し分のない有利をつかむ。
「端のラインを相手に譲らざるえない配置にすることは、難しいことではありません」
テレンス・T・ダービーが白の駒をパタパタと倒す。
全ての駒が黒く染まる盤上を、エリナの目は悪戯に追っていた。
「全てのマスが埋まる前に決着をさせることのほうが、難しい」
最後の1つをひっくり返すと、テレンスはニッコリと笑った。
がっくりと肩を落とすエリナは、酷く憔悴している。
「約束のお時間です。対局中にお話ししましたとおり、『魂』を頂きます」
「……あ、あ、う、うあ」
テレンスには与えられた使命がある。自分と勝負して敗れた者にはちゃんと制裁を与えること。
彼のスタンド・『アトゥム神』は人間から魂を抜き取り、人形に閉じ込める。
対戦相手の魂、あるいは賭けの報酬対象になった魂に、永遠の孤独を与えるのだ。
「これで私のコレクションがまた1つ増える……ハハハハハハ」
エリナにとって、幸運は――彼女の口約束にあった。
彼女はルールを知った上で勝負を受けはしたが、自分の魂を賭けると宣言していなかった。
「ジョージ・ジョースターの魂はこの人形の中で永遠の刻を受けるのです」
「あ、あの、あたし、そ、そんな」
「卑怯とは言うまいね? 私はぐ・う・ぜ・んジョージの魂を取り立てただけ。
『私の魂を取り立てて』と言ってくださればよかったのに。本当に卑しいのは、どっちでしょうね。
この場で私を殺しますか? ジョージの魂も開放されますよ? あの世へね」
テレンスはエリナの魂を取り立てようとはしない。『面白くないから』だ。
エリナ・ペンドルトン自身は気づいていないようだが、この現状は彼女にとって最良の選択だった。
ジョージの魂はテレンスが生きている限り人形に閉じ込められる。逆に考えれば、ジョージは死の危険を免れたのた。
(私に勝ったところで、どうせ荒木はジョージを救う真似はしない。
生贄として殺し合いをさせられている兄と私は立場が違うが、しもべという駒には変わらない。
私にはそんな権限はないだろう……だからこそ、参加者の一時的な救済――ちょっとした反抗をしたくなる)
エリナはテレンスに負けることが最良。テレンスはそれを理解していた。
険悪な仲だったとはいえ、兄をコケにされるのは、自分もコケにされているようで嫌だったのだ。
「そのチケットがある限り、あなたが念じればいつでも私の島にこれますよ。
腕利きのギャンブラーを連れてくるのもいいです。『ジョージを身代わりにして帰ってきた』と白状できるのならね。
本当ならあなたの魂も取り立ててもよかったのですから。あなたは私に2度勝たねばならないのです」
「う、う、ううっ……ううう…………」
ただ一方でエリナに対する怒りもあった。
ジョージの魂が人形に閉じ込められた以上、残された肉体が修復されればジョージの生還もありえる。
すでにカビまるけになり、回復不可能な状態になった自分の兄と違い、この女はなんと悪運の強いことか。
「エリナ様、もう1勝負しますか? 」
ブラブラと首を振るエリナ。絶望しているのがひしと伝わってくる。
「ではジョースター邸へ一次退却ということで、よろしいですね。アディオス」
客人が消え、島は再び静寂に戻る。
残されたのは、血の抜けたジョージの肉体とテレンスと人形コレクション。
(不条理を受け入れろエリナ・ペンドルトン! 私の優しさをありがたく思え! )
潮風は第一回放送を運んでいる。
テレンスは早速ジョージの人形に予め付けられている首輪をチェックした。
【ジョージ・ジョースター1世 再起不能?】
【G-10北西部 小島(ダービーズアイランド)/一日目/朝】
【ジョージ・ジョースター1世】
[時間軸]:ジョナサン少年編終了後
[状態]:肉体の右わき腹に剣による大怪我(貫通しています)、大量失血で血はほとんど抜けました
[装備]:なし
[道具]:
[思考・状況]
基本行動方針:ジョナサンとディオの保護
1.………………………………(気絶中?)。
※ジョージの魂はテレンスの作った人形に閉じ込められています。死んではいません。
※ジョージの人形には参加者と同じ首輪がつけられています。禁止エリアに入れば爆発します。
※テレンスに一回勝利しないとジョージの魂は開放されない。
【テレンス・T・ダービー】
[時間軸]:承太郎に敗北した後
[状態]:健康
[装備]:人形のコレクション
[道具]: 世界中のゲーム
[思考・状況]
1.参加者ではなく、基本はG-10にある島でしか行動できない。
2.荒木に逆らえば殺される。
3.参加者たちとゲームをし、勝敗によっては何らかの報酬を与える(ように荒木に命令されている)。
『アトゥム神』
テレンスのスタンド。
ゲーム勝負で負けた相手を人形の中に閉じ込めることができる。テレンスが死ぬと魂は開放される。
原作でテレンスが承太郎に敗北したとき、開放されたのは花京院だけだった。
1人の魂を開放するごとに1回勝負でテレンスを負かす必要がある?
相手の心を「YESかNO」で調べることができる。
転送能力はないので、エリナのワープは荒木がやった模様。
▽
「あの孤独な方はどこから来たのでしょう。誰にも気づいてもらえない」
エリナ・ペンドルトンは注がれる朝日に降伏するように伏す。
ほんの僅かな木陰が今の彼女にとってはありがたい。
物物しい態度だった若き青年は、もういなかった。
「私も孤独」
あれほどの致命傷を受けていながら、ジョージは死んでいなかった。
喜ばしいことこの上ない。
どうして? 魂? 人形? リバーシ? わけがわからない。
ジョースター邸には血たまりのカーペット。これは事実。
こつぜんと消えたジョージの肉体。これも事実。
奇跡なのか? 人形で永遠の時を刻む? それは死んでしまったのと変わらないのでは?
そして戦うことを拒否した自分。恐怖に駆られ――逃げた自分。周囲に流された自分。
「私は孤独」
エリナの耳には第一回放送の内容が入っていない。彼女にはそんな余裕がない。
心を支配するのは漠然とした罪悪感。“してはいけないこと”をしてしまった呵責。
この過ちは他人に話したところで、理解してもらったところで清められるものではない。
「孤独」
最初から。最初からすべきだったのだ。
ジョージの死を受け入れてしまえば……“そうなるところへ従えばよかった”のだ。
奇跡を安直に頼らず、真っ直ぐに事実を受け止めるべきだったのだ。
「こどく」
エリナは誰にも聞いてもらえない愚痴をつぶやく。
彼女のそばにいる者はない。誰もいない屋敷で服を繕う彼女の姿
何も変わらないというのに。
「こ、ど、く、うぇ」
エリナ・ペンドルトンは吐きながら、二階につながる階段を登った。
目指すは誰もいない寝室。胃液で汚れた手を拭きながら、全てをそのままにして。
「こ、ど、く……」
数分後、エリナは寝た。ベッドに入りすやすやと寝た。
現実逃避、エリナ・ペンドルトン。
何も変わらないというのに。
ジョージを助けようとしたら、魂と肉体を分けられて、その恐怖に戦慄して逃げた。
そんなこと誰が信じるものか。
少なくともエリナ・ペンドルトンは信じていなかった。信じられなかった。信じたくなかった。
信じてしまえば、自分の薄汚さを受け入れなければならないから。
貞操や身分や誇りを守ることより、はるかに辛い現実。自分のことじゃないから。
愛する夫の父をこんな目に合わせて、どう生きろというのか
「おやすみなさい」
孤独な人々はどこから来るのだろう。
孤独な人々はどこに身を置くのだろう。
おやすみなさいペンドルトン。
【G-2 ジョースター邸 二階寝室/一日目/朝】
【エリナ・ペンドルトン】
[時間軸]:ジョナサンと結婚後
[状態]:精神疲労(限界)、身体疲労(中) 就寝
[装備]: ドレスの裾が破れてSexy 手は血塗れでgrotesque
[道具]:木刀(元々はアレッシーの支給品)。支給品一式。不明支給品残り0〜1(確認済)。靴(脱いでデイパック内にしまいました)
サブマシンガン(残り弾数不明) 。不明支給品0〜2(未確認)、ダービーズチケット
[思考・状況]
1.………………………………………現実逃避
2.ジョナサンを守るための戦いの覚悟はできていた。でもジョナサンには会いたくない。
3.でもなるべく人は殺したくない。
4.もし再び会えるのならば、あの男性(ミスタ)に謝罪をしたい。
[備考]
※アレッシーを、「危険人物」と認識しました。アレッシーの支給品には武器が無いと判断しました(あくまでエリナの判断です)
※自分の支給品、アレッシーの支給品を確認しました。
※不明支給品1〜2(未確認)とダニーについて書かれていた説明書(未開封)が入ってるジョナサンのデイバッグ、
タルカスの剣、ジョージのデイバッグの三つがジョースター邸内(C-2)に放置されてます。
※ジョージの魂が奪われたことが真実であろうと嘘であろうと、ジョナサンに合わせる顔がないと思ってます。
自分のせいで穏やかに死ぬ運命だったジョージを永遠に苦しめる結果にしてしまったからです。
『ダービーズチケット+テレンス・T・ダービー』
ダービー弟のテレンスがいる遊戯島(ダービーズプレイアイランド)へ行けるチケット(ワープは荒木が担当?)。
小島ではダービーとゲーム勝負ができる。島の概観はJOJO3部25巻参照。位置はG-10北西部。
敗者は賭けた魂を取られ人形に閉じ込められる。勝者は何らかの報酬が荒木から与えられる。
希望すれば元の場所へ帰してくれる。実はイイやつ。
投下完了しました。題名は リグビーズ・タイム です。
今回、予約期間を大幅にいただくこととなり、誠に申し訳ありませんでした。
今後はSSが完成してから予約を取る方針にします。
投下乙
エリナさん生き残って良かった……
投下乙ッ!
予約期限が過ぎてるじゃねーかよ、このど抵脳がーーーッ………
って言いたいところだがよォ、こんなSS見せられたらそれも言えねえェじゃねーかッ!
崩れ落ちるエリナの心情がリアル過ぎる…見てて悲惨だ…
周りに頼りになる人もいないしこれはどうなるか…。
ただ二階に向かった後、自殺するかもと思ったのは内緒だ
それにしても今回の荒木は自分では動かないが沢山種をまいてるな
G-10、海に島を浮かべるっていう発想はなかった
テレンス自身のスタンスも気になるところ。花京院や承太郎との再戦も非常に楽しみィ!
エリナ、テレンス、そして近くにいるジョナサン達。
それぞれがどう絡んでくるか、繋がりがとても気になるゥ!
改めて投下乙、GJ!
指摘、というか質問を一点だけ
テレンスに首輪は付いてるんでしょうか?
投下乙です
生きた心地のしないエリナを見ていられない
この先が心配だ
自分もテレンスの首輪の有無が気になります
そして、FFに乗っ取られた兄との再会はあり得るのだろうか…
投下乙です
エリナ死んじゃいないけどさ、立ち直れんのかこれ?
テレンスの今後も気になるぜ
指摘ですが、エリナが放送を聞き逃したのなら、そのことを状態表に加えるべきです
あとはテレンスの首輪の有無ですね。荒木に生殺与奪を握られているのだから付いてるんでしょうけど
今さらだけど投下乙!!
支給品含めて荒木はホントに自重しねえなあwww
YES・NOを読む能力は制限なしかな?
兄ほどの狡猾さはないし、そこに付け込めば何とかなりそうな感じが程良いジョーカーっぷりで良いねw
しかしまあ、分かっちゃいたが荒木人望全然ねえなw
荒木に好意的で協力するってやつ0じゃねか?w
>>46 いつも乙です!
っていうか絵UMEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!!!!!
格好良すぎなうえに仕事速すぎだろJK……
48 :
創る名無しに見る名無し:2009/04/28(火) 22:08:56 ID:fD8m0vh7
>>46 だからリゾット&ペッシを…
修正お願いします…
地図氏、相変わらずハイクォリティな支援絵GJです
ダービー兄弟の落差には流石に吹いたww
特に兄貴のほうのいい笑顔のおっさん+半そで半ズボンは破壊力がありすぎるww
さて、予約していたSSですが
たった今完成したので、今から推敲し明日の午前11時40分頃には投下したいと思います
メモ帳換算で34kという分割がいるかいらないかの微妙な長さなので是非とも支援してやってください
っていうか、この分量ならwiki収録時に分割しなきゃ無理かな?
では、大体予約通りの時間で黒騎士ブラフォード、ジョナサン・ジョースター、グイード・ミスタ、ブローノ・ブチャラティを投下します
あぁ……もう手遅れなのだろうな……。
終焉の足音が背後から聞こえるのをはっきりと感じたにもかかわらず、彼の心は不思議と平穏だった。
鬱蒼と茂る木々により日光が届きにくくなっているものの、確実に日差しの下に体を晒す事になる。
間も無く昇ってくる太陽が彼の命のタイムリミットを無常にゼロへと変えるだろう。
しかし、決して彼はジョナサン・ジョースターを追う足を止めたりしない。
民家を探そうと思えばまだ可能性は残っている時間帯だ。
けれども彼はジョナサンを止める事を優先した。
頭と心が思い浮かべるのは今まで歩んできた二つの道程。
後悔と怨恨に塗れて終わった一度目の人生。しかし、騎士として生き死んでいった俺の生き方を恥じることはない。
友と鍛錬に明け暮れた日々。
敬愛して止まなかった女王、メアリー・スチュアート。
守り抜くと誓った、果たせなかった苦悶の最期。
彼と戦友のタルカスは憤怒と憎悪の渦中で人生を終える。
甘美でありながらも、苦渋を幾たびも舐めさせられた激動の生涯。
しかし、彼は自分の人生を誇っていた。
……がっ! もう一つの人生は何であったのだろうか!?
一瞬の暗黒の後に訪れた二度目の生。
この世への恨みと夜族としての本能のみで動いてきた生。
傍らには相変わらず友がいた。それでいいと思っていた。
人を殺し、血を喰らい、ディオ・ブランドーへと忠誠を捧げる。
女王に仕えた騎士と比べるとどれだけ唾棄すべきことなのだろうか?
今の彼は確信を持ってそう言うことができる。
そう。三百年後の友、君のおかげでだ。
彼の波紋のおかげで黒騎士ブラフォードは自分を取り戻すことができた。
屍生人でもなく、怨嗟に突き動かされる復讐者でもなく誇り高き騎士であった頃の自分の姿をだ。
体が消滅していく事に恐怖や苦痛はなかった。
むしろ、心を取り戻したことへの歓喜が全身を包んでいた。
温もりを全身に感じ、死に行く最中にも関わらず体を生気が満たしていたことを思い出す。
そして……そして俺は共に剣と二つの言葉を託すことができたのだ。
後悔はない。満足感と安らぎを抱きながら別れを告げることができた。
しかし第三の生が彼に突如訪れる。
既に彼には人生への悔いは染み一つとて残っていない。
屍生人の自分がこの世にいてはならぬ存在というのは分かっていたからこの殺し合いからの脱出に命を懸けることにしたのだ。
ならば、遅かれ早かれどこかで使う命を今、友の為に使ってやろうではないか。
自分はジョナサンに心を救ってもらった。
そして今は彼の心が曇り、乱れてしまっている。
奇妙な縁もあったものだな……。
かつてお前を殺そうとした俺がお前に魂と心を救われ、今、ついさっき俺のことを殺そうとしたお前を何とかするために俺は力を尽くしている。
疲れの知らぬ体で彼はジョナサンを追う。
屍生人の超筋力と無限のスタミナを以ってしても、波紋を極めたジョナサンに追いつくのは用意ではない。
だが……追いついたところで俺はヤツを止めることが出来るのか?
脳裏を過ぎる不安。
以前よりも遥かに強力な波紋の力を付けたジョナサンに手負いの自分。
自分が負けて殺されてしまったら? 今よりも酷い有様となったジョナサンの姿が目に浮かぶ。
それだけは止めなくては。しかしできるのか?
彼の苦悩を他所に無常にも放送は鳴り響く。
★ ☆ ★
「うわ……うわあああああああああああああああああああああああああああああ」
荒木飛呂彦による放送の後、森にジョナサンの叫び声が木霊した。
死者として呼ばれた戦友のダイアー、ストレイツォの名。
そして、師であり、友であり、父であったウィル・A・ツェペリの死も。
彼らが死んだという報告は父を刺し、ブレ続けているジョナサンを追い詰めるのには十分すぎる効果があった。
そう、ジョージ・ジョースターの名が呼ばれていないことを不思議に思わせないほどに。
「違う! 違う! 違うんだ! 彼らは偽者だ、僕の父さんも偽者なんだ!」
―――気にするな、ジョナサン……。そうなるべきだったところに、戻るだけなんだ。元に戻るだけ……ただ元に…。
「あっ、ああああああああああああああああああああああああああああああああ」
少年時代、エリナとの出会い、ディオとの出会い、ダニーの死、大学での生活、石仮面、スピードワゴンとの出会い、父さんの死、怪物になったディオ、
ツェペリさんとの出会い、波紋の修行、戦いの日々、勇気と幸運を込めた剣を託してくれた友、最後の力を振り絞って力を授けた師との永別、
ディオとの決着、青春の終わり、エリナとの結婚、新婚旅行、殺し合いの会場、死んだはずのダニーの姿。
頭の中でコマ送りのように断片的な記憶がグルグルと再生する。
そして最後に辿り着いたのが――――。
冷たくなったダニーの骸と父の体。
自分が殺したのが本当の愛犬なのか、本当の父親なのか。
それはジョナサンにとって重要なことではなかった。
放送で呼ばれた三人の波紋使いが自分の仲間本人かどうかなどどうでもいい。
ただ、彼らの姿と声、振る舞いと名前が見知った関係の者と同じだったことが問題なのだ。
「ダニー……父さん……ツェペリさん……ダイアーさん……ストレイツォさん……」
無意識の内に唇が動き、声帯から五人の名を零す。
乾いた頬に再び涙の河が伝っていった。
自分の犯した所業に耐え切れず走り出した逃避行。
その終わりは三人の男によって告げられる。
奇抜なファッションをした2人組みと、人の形をした異形。
普段ならば冷静に見極めるところなのだろうが、生憎彼にはその冷静さが足りていない。
異形の姿を見た瞬間に、それが吸血鬼や屍生人の類であると判断してしまった。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
故にジョナサンは波紋を練り上げ、それを込めた拳を振り上げる。
あくまでも人類の敵を滅するために。
仲間や恋人の命を救うために。
……屍生人であったが、最後には人の心を取り戻した三百年前の友人に気が付くことなく―――――。
★ ☆ ★
「おいミスタ」
「あぁ、分かってるぜブチャラティ」
東から聞こえてくるのは人間の足音。
常人と比べたら明らかに早く走っているのが分かり、二人は警戒を深める。
ブチャラティはスティッキィ・フィンガーズを傍に立たせ、ミスタは手榴弾のピンに手をかけた。
近付いてくるにつれて音源が明らかとなってゆき、二人は対象が出てくるであろう茂より距離を取る。
張り詰めた空気の中、巨大な質量が近付いてきているのを二人は感じ取った。
そして現れる1メートル90以上の巨躯に限界まで筋肉をつめたような青年。
振り上げた拳にはスタンドのヴィジョンが被っている様子はない。
二人は一瞬であったが油断してしまった。
飛んでくる右拳、ブチャラティはそれを防ごうとし……。
「なっ、拳が伸びてきた―――」
手元で急激に腕が伸びてきて完全に意表を突かれた。
スティッキィ・フィンガーズの顔面に叩きこまれる強烈な一撃。
意識が一瞬だけ刈り取られ、ついつい膝をつきそうになってしまう。
「チッ、またしても乗ってる野郎の登場か!」
ピンを左手で引き抜き、ジョナサンへ投げつけようとするミスタ。
しかし、放り出された腕が頭上を通り過ぎたところで急に呼び止められる。
「待て! できる限り殺すんじゃない!」
慌てて開こうとした指を閉じ、再度ピンを挿し直す。
どうしたんだよ! 抗議の声を送ろうとするも、ブチャラティへと飛び掛るジョナサンの様子を見て合点が行った。
(明らかに錯乱してやがるな……。放送で何かあったか?)
先刻の放送では自分も冷静さを失いかけてしまった。
知り合いが死んだというのを聞けば、呆然自失としてしまうのも仕方がない。
だからブチャラティは極力影響を与えずに落ち着かせようとしているのだ。
ミスタは待つ。ブチャラティの指示を。
今の自分が戦闘に参加したところで精々足手まといになるのが落ちだと分かっていたから。
指示から一瞬の遅れもないように彼は待ち続ける。
ブローノ・ブチャラティはこの戦いにおいて明らかに不利であった。
最初に貰った一撃のダメージと共に残る謎の痺れ、それが彼の動きを鈍くしている。
近距離パワー型である彼のスタンドを以ってしてもジョナサンの一撃を食い止めるのが精一杯であった。
しかし、ジョナサンはガードをされたとしても波紋を流し込むことができるので、受け止める事すらダメージに繋がる。
結果、ブチャラティはジッパーによるトリッキーな回避に終始し、なかなか攻撃に転ずることができない。
何発目の攻撃を避けただろうか? 波紋の痺れによりブチャラティの体が止まる。
「しまっ―――」
言い終わるか、言い終わらないかも分からないうちに飛んでくるジョナサンの攻撃。
咄嗟にしゃがむ事で頭上を掠めただけに留まるが、これで上のジョナサン、下のブチャラティの構図がはっきりとした。
地面に這い蹲るブチャラティに対してジョナサンは一片の慈悲もない。
吸血鬼だから、屍生人だから倒さなくてはならない。
思い込みが晴れることがないままに生身の人間が胴体に喰らえば即死するであろう一撃をなんの躊躇もなく振り下ろす。
狙うのは顔面。
当たればブチャラティの端正な顔はトマトのように容易く潰れるだろう。
必死の思いで地面を転がり、迫り来る拳から逃げる。
白いスーツに土ぼこりがつき、所々に擦れた傷がつく。
「やれやれ……殺さずに生け捕りにするというのはやはり難しいな。
なぁ、お前もそう思うだろミスタ?」
体の回転を利用して瞬時に体制を整え、ミスタへ問いを投げかける。
ジョナサンはすぐ近くへと駆け寄って来ていた。
「確かにな、ここまでやってようやく一度だろ? よしっ、ドボン!」
ミスタの叫びと共に何かに躓き大きくよろめいたジョナサン。
足に引っかかったのは地面にポッカリと空く大穴。
さっき転がった際に、コッソリと取り付けておいたジッパーだ。
タイミングを読んでいたブチャラティは既にジョナサンに拳が届く距離にいた。
頭を軽く掴み、前につんのめる力に加えて自身の腕力で加速を付け、膝に顔面を叩きつける。
鼻から血を噴出し、蹲りそうになるジョナサンの顎に軽いジャブを一発。
あえてジッパーはつけなかった。
首の付近にジッパーをつける覚悟はまだ出来ていなかったからだ。
そして脳が揺れた事により地面へ崩れ落ちるジョナサンに―――――
前蹴りをお見舞いして森の中へと吹き飛ばしていった。
数本の木に激突し、折れた木にもたれかかるような体勢で動かないジョナサン。
「投げろッ!」
指示語も何もないたった三文字の言葉、それだけでミスタは全てを察した。
手榴弾のピンを引き抜き、大きく右腕を振りかぶり、前方へと腕を投げ出す。
そしてミスタの指は緑色のパイナップルを手放した。
飛んでいく先はブチャラティ。
完全に味方を狙った一撃だがミスタの顔からはこの軌道が完璧であるという事を読み取ることができる。
ブチャラティの背に死をもたらす爆弾が迫ってきた。
しかし彼は動じない。
木を支えに立ち上がろうとするジョナサンの挙動を隙なく観察する。
そして手榴弾はブチャラティに当たることなく彼の体に突如できた空洞を通り抜けていった。
「ベネッ! 流石だミスタ!」
腹部に取り付けられたジッパーを閉ざしながらブチャラティはミスタに賞賛の言葉を送った。
手榴弾はジョナサンの元へと飛んでいく。
有効射程は約10メートル前後、そして男の肉体を持ってすれば至近距離で爆発しない限りは重傷を負うことはないと踏んでいた。
同時にスタンドの脚力を生かし後ろへ飛びずさるブチャラティ。
手榴弾は目的どおりの場所へと辿り着いた。
「3、2、1。よしっ、こいっ!」
ミスタが思わず叫んだ。
ジョナサンは未だに動かない。
もしも逃げたとしても既に木などの遮蔽物のない唯一の逃げ道はブチャラティが塞いでいる。
勝った!
おそらく殺さずに済むだろう。
ミスタの口角が軽く持ち上がる。
しかし何かを忘れている気がした、そう非常に大事な何かを。
そして手榴弾は――――――爆発することなく、ジョナサンの脇を掠めて森の中へと吸い込まれていった。
「ふ、不発だとぉ!?」
ミスタは思い出した。
手榴弾の残り段数が残り四発だった事を。
不吉だとは思っていた、しかし貴重な武器を捨てるのも忍びないのでそのままにしておいたのだ。
「四……やっぱり残り四発にしたのは間違いだったな畜生!」
唇を噛み締めるももう遅い。
既にジョナサンは起き上がり、ブチャラティへと飛び掛っていた。
迎撃に移ろうとするも、塞いでいた逃げ道の方に気を向けすぎていた彼の対応は遅い。
辛うじて胴体への直撃は避けた物の、腕にジョナサンの拳が衝突し、嫌な音が辺りへと響き渡った。
「クソッ、クソッ!」
ミスタは焦燥の声をあげる。
最悪の事態になった。
ブチャラティの右腕は垂れ下がったまま、動く様子を見せない。
荒い息から判断するに、最低でもヒビは入ってしまっているのだろう。
不発の手榴弾が当たるなんて何分の一の確立なのだろうか?
元の世界では、多量の手榴弾の同時の爆発による誘爆で作動したもも、今回は完全な失敗。
『四』という数字と自分のかみ合わせの悪さを再確認する事になった。
残った左手でジョナサンを攻撃を捌くブチャラティ。
手数の圧倒的な差からもたらされる劣勢。
防御に専念してもそれが何時まで持つかという状況だ。
進まない状況、いや、追い込まれていく状況下でブチャラティは叫ぶ。
「ミスタ! もう一発だ! もう一発投げろ!」
「だがブチャラティ! その距離で投げれば!」
「いいからやるんだミスタ!」
一か八かの状態。
チッ、と舌打ちをするのと同時にピンを引き抜く。
これから爆発するまでにかかる時間は十秒。
――――――10
ブチャラティのガードの一瞬の隙を突いてジョナサンが腹部に拳を叩き込む。
ミスタの叫び声も空しく、ブチャラティは後方へと吹き飛ばされた。
――――――9
ミスタに接近するジョナサン。
バックステップで間合いを取ろうとするも相手のほうが速い。
手汗が手榴弾の溝に吸い込まれる。
――――――8
ブチャラティが起き上がったのをミスタが視認する。
しかし、右腕はあらぬ方向に曲がり、骨が飛び出ているのが見えた。
右手を犠牲に距離を稼いだのだろう。
――――――7
ブチャラティが森と反対の方向へと走る。
ミスタは自分が手榴弾を投げるべき方向を一瞬で把握した。
避けた相手が爆風でバランスを崩した瞬間に叩く。
――――――6
ミスタの焦り。
後二秒、後二秒したら投げよう。
そうすれば先刻ほどよい状況ではないが少なくとも勝利はするだろう。
――――――5
ブチャラティが止まった。
あの激痛と使用不可能になった右腕では一瞬の決着が望ましいはずだ。
だから自分に危険が及ぼうともギリギリまで粘る。
―――――――――――4
ミスタが大きく腕を振りかぶり、鞭のように全方へ振り下ろす。
爆発まで残り四秒。
知ってか知らずか、投擲されたのは忌み嫌う四秒前だった。
ミスタの掌から滑るように飛んでいった手榴弾。
汗や緊張で多少のズレはあるかもしれない。
だが。ミスタは構わずに手榴弾を投げた。
―――――――――――3
No.5が一度だけ手榴弾を蹴り、ジョナサンの元へと手榴弾は飛んでいく。
しかし、ジョナサンは避ける気配を見せない。
嫌な、なんとなくだが嫌な予感がミスタを襲った。
―――――――――――2
ジョナサンは、手榴弾を避けるどころか、まっすぐに突っ込んでくる。
構えた右手の意図が何となく読み取れたミスタ。
やめろ、おい、やめろよ
心の中で呟くもジョナサンには届かない。
脇でブチャラティが苦虫を噛み潰しているような顔が見えた。
―――――――――――1
「避けやがれバカ野郎おおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
ミスタの叫びもジョナサンには届かず、ただ空しく響き渡るだけ。
彼は右手が手榴弾へと迫る。
一瞬後の無残な姿を連想するもミスタには既にどうしようもない。
――――――――――――――――― 0
閃光が彼の目を迸った。
思わず目をつぶってしまうミスタ。
ブチャラティはどうなったのだろうか?
霞む視界で確認できた彼は大地に日本の足をつけて立っていた。
しかし男の方は……ミスタの心を黒い物が覆う。
別に殺し自体に抵抗があるわけではない。
事実、この殺し合いの場において“乗って”いるヤツを殺すのに躊躇いはない。
しかし、今回は違う。
ただの錯乱した男、恐らく放送で知り合いが死んでしまったのだろう。
自分もトリッシュが死んだ時、冷静さを失ったから気持ちは分かる。
そう、もしかしたら仲間となりえたかもしれない人物を爆殺してしまったのだ。
(そういえば、コイツが出会った四人目の参加者だったな……)
改めて呪われ数字が自分の身を取り巻いているのを感じる。
そして、その呪いが他人に感染する物であったことも。
視力が戻り、男の死体を確認しようと視線を向けた。
手榴弾の破片が彼の体を引き裂き、火薬が彼の体を焼く無残な姿が見えたと思った。
がミスタが見たのは―――――――――
何もない焼け焦げた大地だった。
「いない……?」
小さなミスタの呟き。
手榴弾には人を欠片も残さずに吹き飛ばす火力はないはずだ。
彼の疑問に答えたのはブチャラティであった。
「誰かが飛び込み……突き飛ばしたようだな。
向こうにヤツは飛ばされていった。そして突き飛ばしたほうは……」
残念そうに首を振るブチャラティ。
そして爆心地から離れたところにイルジョナサンへと近寄っていた。
「申し訳ないが……手足は頂いていこう。
正気に戻るまでは危険すぎるからな」
スティッキィ・フィンガーズの能力でジョナサンの肩と腿にジッパーを取り付け、足を取り外す。
芋虫の様になった彼の姿を見てブチャラティは一息つく。
安全を確保した事を悟り、ミスタもブチャラティの元へと駆けつけた。
「大丈夫かブチャラティ? 腕は完全に使い物にならねぇだろ!?」
「何とかする、最悪死体やゲームに乗ったヤツから奪う事になるかもしれんがな。
それよりもミスタ。お前には頼みたいことがある」
顔色と吐息の様子がブチャラティが重傷であるということを告げる。
しかし、命に別状があるという訳でも無さそうだ。
安堵したミスタはブチャラティの要求に答える。
「何だ? なんだってやってやるぜ?」
「簡単な人探しだ。コイツを突き飛ばしたやつを探して欲しい。
わざわざ身を挺して助けるぐらいだ。殺し合いに乗っているわけじゃなかろう」
OKと軽い返事を残し、ミスタは去っていく。
木々に囲まれた場所や、茂みの中。
人が隠れうるサイズのスペースは全て洗い出す覚悟で彼は探索を続ける。
「うげっ!」
背の低い木の枝と葉で完全に覆われている場所、そこで目的の人物を見つけた。
ミスタから最初に漏れたのは嫌な物を見てしまったという声。
見つけたのは下半身が完全になく、残った上半身も手榴弾で無残に傷ついた死体。
あまりの惨劇に死体を見慣れたミスタもついつい声をあげてしまった。
「すまなかった……」
が、あくまでも目の前に居る死体がこんなことになってしまった原因は自分。
謝罪の辞を述べ、胸の前で十字を切り、ブチャラティの元へ報告しに行く。
「待ってろよ。もっといいところに埋葬してやるからな」
「おい……待ってくれ。俺はまだ死んでいない」
呼び止める声にギョッとしつつ、ミスタは後ろを振り返る。
確かに生きていた。髪の毛で体を支えつつ、上半身だけのを起こし男はミスタを見据える。
「生憎死ににくい体でな、下半身が吹き飛んだぐらいじゃ死にやしない」
まぁ、太陽光には弱いんだがな。と自嘲的に笑い、男、ブラフォードはミスタに話しかける。
「こんな所で話すのもあれだ。申し訳ないが君の仲間と、さっき俺が庇った男と話がしたい。できれば日光が当たらないような場所でな」
支援
★ ☆ ★
ブラフォードに頼まれたとおり、ミスタはブチャラティを呼びに行き、ブチャラティもそれに応じた。
そして、現在ブチャラティの能力により三人と一人は決して日光の届かない場所、地下に潜っている。
「まぁ、現在に至るまでの経緯はこんなものか」
一通りの事情を話し終えたブラフォード。
自分とジョナサンの関係、この殺し合いに巻き込まれてからの自分の経緯、そして妄執に囚われた友を追って走ってきた事。
ちなみにミスタがジョナサンに警告を送ったことから彼らは敵ではないと咄嗟に判断することができたらしい。
「なるほど……屍生人に吸血鬼。そして波紋使いだったな。
奇妙な事だけどよう、俺たちのような波紋使いがいることだし疑えねーよ」
「理解していただき感謝する」
半身を吹き飛ばされたにも関わらず平然としている人間が居る以上は疑うことはできない。
ミスタが質問をし、ブラフォードはそれに答え、ブチャラティは黙ってそれを聞いている。
ブチャラティには一つだけ気になっていた疑問があった。
不死さ、生身ではありえないスピードとパワー。
一つだけ彼には覚えがあった。
ブラフォードの体から漂う腐り水のような臭いを彼の鼻は確かに記憶していた。
「一つだけ聞かせてもらおう。その屍生人とやらに長く伸ばした口髭を二本に纏め、
逆立った銀髪をしている黄色人種……チャイニーズのような男はいなかったか?」
ブチャラティが思い出すのはスージーの敵である男。
下卑た笑いを浮かべながら殺しの成果を嬉々として話したアイツ。
そして自分がこの手で解体してやったゲス野郎。
ブチャラティの期待にブラフォードは沿うことができた。
「あぁ知っている。確か……ワンチェンという名だったかな?」
「そうか……つまりスージーの敵はまだ残ってるって訳だ」
ブチャラティの全身から溢れ出る怒気に二人は怯む。
「ディオ……ディオ・ブランドーといったな? 吸血鬼か。そして、性格的には間違いなく殺し合いに乗っている。ならば俺はヤツを――」
そこまで言いかけたブチャラティの口をミスタの掌が覆う。
何だ? 今にも掴みかかりそうなブチャラティを制しながらミスタは言った。
「ぶっ殺すじゃねぇ。ヤツを倒して初めてぶっ殺したって言うんだ」
落ち着かせるために言ったのだろう。
ついつい我を忘れそうになった自分に溜息を吐く。
不穏になった雰囲気を変えるためにブラフォードが二人に質問を振った。
「ところでお前達はこれからどうするつもりだ? 俺はジョナサンの説得が完了次第ジョースター邸に戻るつもりだが」
「そうだな、ジョースター家に行こうと思ったのはジョースター姓を持ったものと接触を持つためだったが、
ジョージ・ジョースター氏が荒木と関係がなく、ジョナサンも恐らく関係がないのなら行くメリットも薄い。
それに波紋さえあれば重傷の患者だって何とかする事ができるんだと聞いたしな」
心の中でジョセフ・ジョースターもいないようだしなと呟いた。
「それにジョージ氏を助けるために急ぐのだろう?
ならば、さっきジョージ氏と、もう一人の貴婦人に俺達の存在を教えておくだけでいい。
俺達はジョースター邸は通らずまっすぐにC−1に行くとしようか」
★ ☆ ★
うぅ……ここはどこだ?
さっき変な爆発に巻き込まれてしまったのは覚えている。
まさかあんな小さな手投げ爆弾があるなんて思わなかったけれども……。
でも、何故僕は生きてるんだ?
いや、それとも死んでしまって死後の世界にいるのか?
それも悪くない。父さん、ダニー、ツェペリさん、ブラフォードに合えるなら死後の世界も……ブラフォード?
何故だろうか。彼の名が頭に染み付いてはなれない。
「ハッ!」
目が覚めたジョナサンが最初に確認したのは三対の目。
三者がそれぞれ違った感情で自分を見つめていることがジョナサンには理解できた。
少しの間とはいえ、眠っていた事で精神的な落ち着きを多少ではあるが取り戻すことができている。
「な、なんなんだこれは?」
死んだと思いきや、四肢の自由を奪われて薄暗い場所に放置されている。
ジョナサンが驚くのは当然だっただろう。
薄暗い景色、ブラフォード、先刻の屍生人を操った吸血鬼、そしてその仲間。
この状況からジョナサンが導き出した答えはひとつであった。
「そうか……僕は殺されるのか……。だが、僕の誇り高い魂は屍生人程度には負けない!
殺すならば殺せ! 例え手足が動かなくとも僕は最期まで――――――」
狂気を瞳に宿したまま唾を飛ばすジョナサンの演説は終わりを告げた。
グイード・ミスタ。彼がジョナサンの腹部へと叩き込んだ蹴りのおかげで。
込み上げてくる吐き気をこらえながら気丈な瞳でミスタを見据えるジョナサン。
その態度にますます怒りが増したのか、両腕でシャツの襟を掴み、持ち上げつつ怒鳴りつけた。
「あぁ!? テメェは一体何いってやがんだゴルァ! ブラフォードの体を見て見やがれ!」
あまりの剣幕に気圧され、ジョナサンはブラフォードへと視線を向ける。
下半身がない。誰がやったのか? 僕がやったのか? いや、記憶はない。
それに残った上半身も所々にジッパーが付いている。
再度、ミスタの瞳を見据えた。
怒りに燃えながらも、その瞳はどこまでもまっすぐで澄み渡っていた。
「まずこの下半身はな、太陽にやられて消失したんだ。それに、この体のジッパーは傷だらけだったコイツの体をブチャラティが治療したあとだよ。
痛そうに見えるだろ? まさか屍生人は痛みを感じませんだなんて言う訳ねぇだろ? 言う訳ねぇよなぁ!?
テメェとの戦いでブラフォードは痛みと心を取り戻したって言ってんだ。そして、命懸けでテメェのことを守ったんだよ!」
ここで一息つくミスタ。
熱くなり過ぎて所々がおかしくなっているが伝えたいことは分かる。
ジョナサンの瞳が僅かに揺れた。
「なのにテメェは一体なんなんだ? 屍生人に屈しないだぁ!? 馬鹿いってんじゃねぇよこのクソ野郎!」
「ミスタ、そろそろやめとけ」
ブチャラティの静止の言葉も今の彼には届かない。
所謂プッツン状態というヤツだ。
ブラフォードはただ三人の事を見ているだけ。
止めたり、便乗したりして責めたりすることをしない。
ただ、嬉しさと悲しさの入り混じったような目で彼らを見るだけだ。
「ブチャラティ! あんたの命令であってもこればっかりは譲れねぇ!
最後に一つだけ、これだけは言わせて貰うぜ!
アンタはコイツや父親を紛いもんって言ったなぁ! 言ったんだよなぁ!
テメェの親は戦いを止めるために無理矢理割り込んだんだ……自分の命を賭けてな。
そしてブラフォードはテメェの事を守るためにこんな姿になっちまった。
それでもテメェはコイツラを紛いもん呼ばわりすんのか? そいつらを侮辱してるのは荒木じゃねぇ!
ジョナサン・ジョースター! テメェがそいつらの命を……覚悟を侮辱しちまってるんだ!!」
長々とした話を一つも噛むことなく一気に言い切ったミスタ。
ジョナサンは震えていた。
ブチャラティはただ立ったまま俯ている。
ブラフォードの瞳が懐中電灯の光を反射した。
「うぇっ、うっ、ひぐっ」
子供のように嗚咽を上げるジョナサン。
ミスタは乱暴にジョナサンを地面へと落とし、彼に背を向けた。
離れていく彼の肩をブチャラティが叩く。
「すまねぇ。熱くなり過ぎちまってた」
ブチャラティは無言であった。
静寂の洞窟の中、ブラフォードがミスタに頭を下げた際に鳴った鎧の音がやけに印象的に聞こえる。
そしてしばらく続く、ジョナサンのしゃくり上げる声と鼻水を啜る音。
「申し訳ない……皆には本当に迷惑をかけてしまった。
特にブラフォード。君には心の底から謝罪を申し上げたい……」
消え入りそうなジョナサンの声。
しかし、音量に似合わず、込められた意思の硬さは相当なものだと思わせるものがあった。
「そして父さんにも……エリナにも謝らなくっちゃ。
特に父さんは……父さんはっ! そして、ダニーもっ!」
拳を握り締めようにも肝心の拳が存在しない今、彼は自分の唇を噛み締める事となる。
自分の犯したことに悔いばかりが残った。
父を殺し、愛犬を殺し、そして友までも殺してしまいそうになった。
襲い来る現実の重みに耐え切れず何処かへ逃げ出してしまいそうになる精神。
それを、父の最期の言葉と、ブラフォードが見せてくれた覚悟で必死に押し留める。
全身が震えていた。
涙の河は途切れることがない。
前に進まなくてはいけないのだ。
殺してしまった二人の為に、庇ったせいで下半身を失った友の為に。
だけれども彼の体は言う事を聞いてくれない。
当然、手足がないので動けないのだが、もしもあったとしても動けるのだろうか?
正直に言ってしまうならば自身がない。
絶望なのか諦観なのかよく分からない気持ちが彼の心を覆っている。
悲しそうな表情でブラフォードはジョナサンの表情を窺う。
果たしてこの男は再起可能なのだろうか?
一つだけ秘められた鍵。
それをブチャラティが解き放つ。
必殺・チャイニーズの下半身
「『スティッキィ・フィンガーズ』、ジッパーで俺のディバッグとミスタのディバッグを合わせて巨大な袋にした。
ブラフォードをここに入れてジョースター邸まで運んでいくがいい。早く行けばまだ間に合うかもしれんからな」
唐突の発言と共に差し出された巨大な一つの袋。
真意を測りかねたジョナサンが不思議そうな顔でブチャラティを見つめる。
「結論から言わせて貰おう。君の父君は放送で呼ばれなかった。これが意味するのが何か分かるだろう?
が、ブラフォードを置いていくわけには行かないし、俺たちが運んでいくわけにもいかない」
ここまで言われてジョナサンはやっと真意を理解した。
父が生きているという可能性に別の涙が溢れ出す。
「エリナは……医者なんだ。最低限の応急処置はしてあるだろうからもしかしたら僕の波紋で……」
目の前に現れた希望にそわそわと落ち着きをなくしたジョナサン。
視線で必死に訴える。早く行かせて欲しいと。
軽く溜息を吐きながら冷静にブチャラティが返す。
「ちょっと待っててくれ。じゃあ、今から貴方を解体することになる。
首輪に触れるのは危険だからまだ試したくないから鎖骨の辺りで頭部を切り取るが、肉体のほうはバラバラにさせてもらう。構わないか?」
「あぁ。なんなら首輪の部位をやってくれても構わん」
「いや……よしておくよ。もう少し資料が欲しい、本格的な決断を決めるのは禁止エリアを見てからにしたいんだ」
これはブチャラティの本音である。
しかし、これにはもう一つの真意が含まれていた。
万が一失敗したとしよう。
そうすればジョナサンの精神は一体どうなるのか?
せっかく正気を取り戻しつつあるのに元の木阿弥に戻すほど馬鹿らしいことはない。
ブラフォードの体にジッパーを取り付け解体しつつブチャラティは考える。
徐々に細切れとなっていくブラフォードの体。
不安げに眺めるジョナサンに『大丈夫だ』とだけ告げてブラフォードはブチャラティに身を委ねる。
そしてそれから十秒経たないうちに、ブラフォードはブチャラティの用意した袋にギリギリ収まる大きさとなった。
「じゃあ……少し狭いかもしれんが我慢していてくれないか」
「構わんさ、むしろ感謝の言葉を贈らせていただこう」
そしてジッパーが閉じ……ブラフォードは完全に袋詰めにされた
「さぁ、あんたの手足も繋ぎ合わせるから大人しくしていてくれ」
「あぁ……」
外された体のパーツが再度繋ぎ合わせられるという奇妙な感覚を味わいながらジョナサンは父のことを考えていた。
救える、僕は父さんを救えるんだ。
妄信的なまでにこの言葉を頭の中で繰り返し、一刻も早い出発を願う。
彼は本当に正気を取り戻したのだろうか?
もしかしたら思い込みが消えただけで妄信的な何かは変化していないのではないのだろうか?
ブチャラティたちは急いでいた。
それ故にジョナサンのアフターケアまでには手が回しきれない。
信用できるのは彼の精神とブラフォード。
本当に良かったのだろうか?
手足を繋がれ終えたジョナサンが立ち上がり、軽い運動で感覚を確かめる。
「うん、大丈夫そうだ」
そういうや否や、ブラフォードの入った袋を背負ってブチャラティとミスタに頭を下げる。
「本当に迷惑をかけてしまった、申し訳ない。だけど……次に会ったときは共に協力しよう」
返事はなかったが、二人の笑みを肯定と受け取りジョナサンはブチャラティの開けた穴から外界へと走り去っていった――――。
★ ☆ ★
ジョナサン・ジョースターは超一流の波紋使いである。
宝くじの一等が当たるよりも低い確率で存在する波紋の呼吸を覚える資質を持った人間、
その中でも類まれなる才能と、短いながらも厳しい鍛錬に努力を惜しまなかった天才。
彼は既に無意識の内でありながらも波紋を練れるほどに成長していた。
そう、屋敷へ向かう現在も意図せぬうちに波紋を発生させることができるほどに。
ジョナサンは急いでいた。
屋敷に残して来た父の命は今にも尽きそうな風前の灯。
しかし、自分の波紋さえあれば、骨折すら治す波紋さえあれば何とかなるかもしれない。
走る、走る、走る
急ぐから体があらん限りの波紋力を無意識の内に体に込め、行きよりも更に早く。
ジョナサンの視野は致命的なまでに狭まっていた、ディバッグ内に収まる友の弱点が完全に頭から抜け落ちるほどに。
父を救うために急げば急ぐほど、友の命が消え去っていくことに気付かぬほどに。
さらり、さらり、さらり
ジョナサンの視界には決して入ってくることはない。
ディバッグより聞こえてくる押し殺したような小さな呻き声。
ちょっとした隙間より零れ落ちる砂のような粒子。
朝日に照らされて光るそれは生命の欠片。
黒騎士ブラフォードの末期は誰にも見取られることなく訪れた。
(そうか……)
鎖骨辺りにある断面や髪の毛の末端。バラバラに入れられた体のパーツが泡を出しながら蒸発していった。
ブラフォードは静かにやってきた死を穏やかに受け入れる。
もしも大声で助けを呼べば、ジョナサンは気がついて助けてくれただろう。
しかし、彼はそれをよしとはしなかった。
確かに波紋の呼吸さえやめればブラフォードの生命は助かっただろう。
けれども波紋の助けがない走りでは間違いなくジョージが手遅れとなる。
カバンを置いていかせるにしても、ジョナサンは間違いなく首を振るはずだ。
もしも置いていき、自分に何かがあればこの心優しき英国紳士は自分を責めるはずだ
負い目のせいで波紋に集中できない可能性だって十分ある。
一分のミスすら許せない状況で集中力を欠くことがあってはならない。
そう、これはどちらかの命を拾い、どちらかの命を捨てるという選択であった。
ブラフォードはジョナサンに後悔が残るような選択をさせたくなかった。
(そう……俺が死ねばいいんだ。ジョージさんは今後対荒木に必要な人物になるだろう。
だが、夜中しか動けない自分は足手纏いだ。
それに、俺は既に二度生きた人間だ。譲るべきならば間違いなく俺のほうだろう?)
波紋傷が首まで侵食し、首輪がカバンの底へと抜け落ちる。
(気にするな、ジョナサン……。そうなるべきだったところに、戻るだけなんだ。元に戻るだけ……ただ元に…)
ジョージが言った言葉を一字一句違わずに思い返す。
奇妙な満足感に抱かれながら、失いつつある唇と舌で呟いた。
『 GOOD LUCK 』
誰にも聞かれることも無い言葉と共に彼の肉体は完全に灰となり消え去る。
ジョナサンはまだ彼の死に気が付いていない――――――――――。
支援
まぁ・・・1stみたいに喰いだらけではないが・・・うう・・・
ここでブラフォードが死んだら…ジョナサンはブチャラティ達の事を…ゴクリッ
「なぁ、ブチャラティ。あいつらと再会できればいいな」
「できるさ……必ずな」
穴倉から出てきた二人はC-1へと足を向ける。
ブチャラティは気が付かなかった。
波紋が全身のどこからも伝わりうる能力であるという事に。
彼は能力は拳から伝わるというスタンドの一般論に囚われていた。
それが致命的なミスになったことに彼は気が付かない。
ミスタは気が付いていなかった。
『四人目の参加者』のジョナサンに完全に気を取られていた事により。
ブラフォードが彼にとってどのような人物であるのか。
……アレッシー、ブチャラティ、ジョナサン、そしてブラフォード。
そう、彼はミスタにとって『会場で出会った四人目の男』だった―――――――
【黒騎士ブラフォード死亡 残り60名】
【B-2 一日目 朝】
【ジョナサン・ジョースター】
[時間軸]:エリナとのハネムーンでアメリカに向かう途中の船上でワンチェンと遭遇する直前
[状態]:唇と右手から少量の出血(生活、戦闘に支障無。未治療)、精神疲労(大)、身体疲労(小)、顔と胸が血塗れ、鼻の骨折、判断力の低下
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
基本行動方針:ゲームを止める。
1.父さんを助けるために一刻も早くジョースター邸へと帰る
2.荒木を倒すために仲間を探す
3.偽者なんて……いなかったんだ
4.ダニー、父さん、そしてブラフォード。ゴメン、本当にゴメン
5.ブチャラティとミスタ。彼らは信頼できるみたいだな
※ブラフォードの死に気が付いていません
※ブチャラティ達が得た情報は後にブラフォードから詳しく聞くつもりでした
【チーム・ブチャラティ】
【ブローノ・ブチャラティ】
[時間軸]:護衛指令と共にトリッシュを受け取った直後
[状態]:肩に切傷(血は止まっている)、左頬の腫れは引いたがアザあり、右腕の骨折、トリッシュの死に後悔と自責
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、荒縄、シャーロットちゃん、スージーの指輪、スージーの首輪
[思考・状況]
基本行動方針:打倒主催、ゲーム脱出
1.禁止エリアC−1に向かう。 その道中にミスタに後述の仮説を聞いてもらおうと思っている。また、可能ならワンチェンの支給品および首輪の回収を行いたい。
2.C−1確認後北・西の地図の端を見に行く。その後は北端に沿って東を見に行く。
3.絶対にジョセフと会い、指輪を渡す。彼にはどう詫びればいいのか…
4.チームの仲間に合流する。極力多くの人物と接触して、情報を集めたい。
5.“ジョースター”“ツェペリ”“空条”の一族に出会ったら荒木について聞く。特にジョセフ・ジョースター、シーザー・アントニオ・ツェペリ(死亡したがエリザベス・ジョースター)には信頼を置いている。
6.ジョナサンとブラフォードを信頼。できれば他のジョースターにも出会いたい
7.スージーの敵であるディオ・ブランドーを倒す
[備考]
※パッショーネのボスに対して、複雑な心境を抱いています。
※ブチャラティの投げた手榴弾の音は、B−2の周囲一マスに響きわたりました。
※波紋と吸血鬼、屍生人についての知識を得ました
※ブチャラティが持っている紙には以下のことが書いてあります。
@荒木飛呂彦について
ナランチャのエアロスミスの射程距離内いる可能性あり
A首輪について
繋ぎ目がない→分解を恐れている?=分解できる技術をもった人物がこの参加者の中にいる?
首輪に生死を区別するなんらかのものがある→荒木のスタンド能力?
スティッキィ・フィンガーズの発動は保留 だか時期を見計らって必ず行う。
B参加者について
知り合いが固められている→ある程度関係のある人間を集めている。なぜなら敵対・裏切りなどが発生しやすいから
荒木は“ジョースター”“空条”“ツェペリ”家に恨みを持った人物?→要確認
なんらかの法則で並べられた名前→国別?“なんらか”の法則があるのは間違いない
未知の能力がある→スタンド能力を過信してはならない
参加者はスタンド使いまたは、未知の能力者たち?
空間自体にスタンド能力?→一般人もスタンドが見えることから
【グイード・ミスタ】
[時間軸]:54巻、トラックの運転手を殴った直後(ベイビィフェイス戦直前)
[状態]:健康、左頬が腫れている、トリッシュの死に深い動揺とゲームに対する怒り
[装備]:ナランチャのナイフ、手榴弾2個
[道具]:不明支給品残り0〜1(あるとしたら武器ではないようです)
[思考・状況]
基本行動方針:ブチャラティと共に行動する。ブチャラティの命令なら何だってきく。
1.スッキリしたぜ、できればあの二人と再会してぇな
2.エリナの誤解を解きたい
3.アレッシーうざい
4.あれこれ考えずシンプルに行動するつもり。ゲームには乗らない
[備考]
二人がした情報交換について
※ブチャラティのこれまでの経緯(スージーとの出会い〜ワンチェン撃破まで)
※ミスタのこれまでの経緯(アレッシー、エリナとの出会い〜ブチャラティと合流まで)
※波紋と吸血鬼、屍生人についての知識を得ました
ブラフォードがブチャラティの仕業(と思い込んでもおかしくない)な状況で死亡
そして館につけばエリナがジョージがお人形さんになっちゃったと言うだろう
ジョナサンはどう考える…?
いやいや、いくらなんでも消滅した所を見れば気づくだろう。
投下完了です
これは私の第14作目であり、ジョナサン、ブラフォードの四回目の話でもあります
でも当のミスタは『5話』目ww
四話目だったらミスタもぶっ殺す気でしたが自重しときました
指摘、感想、死者への嘆きがある方は遠慮なくどうぞ
あっと、書き忘れましたが説教ネタが嫌いな方には苦い思いをさせてしまいました
ジョナサンを一時的にでも元に戻す必要があったのでやってしまいましたが
不快感を感じてしまった人には本当に申し訳ありません
76 :
創る名無しに見る名無し:2009/04/29(水) 12:44:28 ID:0b3sGf12
投下乙です
ジョナサンが少し回復したようでよかった…
ブラフォードと親父の件を知ってももう大丈夫なんじゃないか?
>>58 そして爆心地から離れたところにイルジョナサンへと近寄っていた。
イルがカタカナになってます
>>60 奇妙な事だけどよう、俺たちのような波紋使いがいることだし疑えねーよ」
波紋ではなくスタンド使いでは…?
波紋=幽波紋
ジョナサンの波紋をスタンドだと思っての比喩だろ
>>76 誤字の指摘ありがとうございます、ウィキ収録時に直しときますね
>>77 すまない、そんな深い意味は込められてないんだ
ただ単純なミスってだけです
良作きてた!これで勝つる!
ジョナサン……正気に戻ったけど、こっから先が山場だよなあ
ブラ死んだし、オトンもコインになっちゃったし……
ブラフォードは切なすぎる……
でも今までのロワの死者を想うと満足して逝けただけ幸せなのかもしれないなあ
新作きてたか…乙
ディオの敵がどんどん増えてるwww
でもそのディオサイドにジョルノもいるから複雑なことになりそうだな…
したらばの「三行状態表作成スレ」で人気投票やってるぜ、とこっちで宣伝してみる
投下おつかれさま
ブラフォードがとても綺麗に死んで驚きました。
1stと同じく早期退場だったけれど、前回よりも輝いていたと思う。
割とノータリンなミスタが説教するのは少し疑問に思ったけど、これもシンプルゆえか。
ジョナサンの試練はまだまだ始まったばかりなんだね……ブチャもどこまで頑張れるか
>>48 (´д`)!おおお非常に申し訳ない!訂正してきます
>>48の訂正
>>70◆xrS1C1q/DM氏『四個の手榴弾/残り四秒/四人目の参加者/四人目の男』
【ジョナサン・ジョースター】【ブローノ・ブチャラティ】【グイード・ミスタ】
以上を現在地地図に追加しました
http://rowvj6pbm.ame-zaiku.com/index3.html ジョナサンの状態表で
>>[状態]:唇と右手から少量の出血(生活、戦闘に支障無。未治療)
とあったので状態を赤から水色にしています。
健康か重傷かの判断は独断でしているので
これはちがう、と思ったら遠慮なく言ってください。
あとリッゾとリペッシすいませんでした。
気づいたときめっちゃわらいました。
じょなさーーーーーんんあああああ
ついにキターーーーーーーーーーーーーーーーーー
超楽しみにしています
「テスト週間だ」「ラジオもある」
つまり挟み撃ちの形になるな………
楽しみに待ってます!
( ゚∀゚)o彡 ラジオ! ラジオ!
では、空条承太郎、山岸由花子、吉良吉影投下します
荒木飛呂彦の放送によって告げられた三人の死は白金の心を融解させた。
空条承太郎は冷静な人間ではあるが冷徹な人間ではない。
表情を表す事が少ないだけで、友との別れの際には涙を流し、素晴しき出会いに笑みを浮かべる普通の人間だ。
近しい者達からは完璧超人のように扱われている彼にとて弱点は存在する。
『消え去った炎』
最初に呼ばれた友の死は俺の心に大きな穴を残していった。
いや、炎が消えてしまったような寒さと不安を残していったというべきだろうか?
全ての始まりという『炎』に相応しく自分の全ての原点だった男。
堅物と思いきや、案外茶目っ気のある性格をしていた50日を共にした友
彼は一度目の死の時にも、二度目の死の時にも別れを告げることができなかった。
冷め切った心に矛盾して白金は溶ける、融ける、熔ける。
『ダイヤモンドは砕け散る』
ダイヤモンドは砕けない。その幻想は東方仗助の死と共に砕け散った。
礼儀正しいかと思えば、髪のことを言われただけでイカレてしまう。
まるで、光の反射によって違う輝きを見せるダイヤモンドかのように。
だが、根底には決して砕けることのない熱い心と正義を持っていたことを思い出す。
砕け散った破片は心に深い傷を作る。
硬度に比例するかのような鋭さで。
『音はやんだ』
今でも響いてくる幼さを残した、しかし芯の強さを感じ取らせる声。
心の中で幾たびも彼の声が反芻し、染み込んでいく。
自分をいつも慕ってくれる良い友人であった。
そう、殺人鬼を追い求める中で出会った友人であった。
カイロまでの旅路で出会った彼らと同様に。
心にのしかかった重圧は消えることはない。永彼の心の中に残るのだろう。
五日経とうと、五ヶ月経とうと、五年経とうと。
『星屑の欠片達』
祖母も亡くなってしまった。
明るく、周りの雰囲気を大きく引っ張っていく彼女ももう帰ってこない。
盲目の男もいなくなった、
敵でありながらも最後まで誇り高く生きた彼は最後まで忠義を貫いたのだろう。
そして20名以上もの人間がこの短時間で命を散らして行った。
『錆付いた白金』
白金、金と同様に錆びず、酸による腐食もせず、永遠の輝きを約束された鉱物。
揺るがぬ意思を秘めた彼の精神を指し示すのにまさに相応しい言葉だろう。
それに白金にはもう一つ、物質の反応を促進する触媒としての作用もある。
数多くの人々と交わり、人生すらも変えるような変化を促してきた彼にはこれまた当てはまるのではないだろうか?
……一見完璧な鉱物であるかのような白金にも弱点は存在する。
濃塩酸と濃硝酸を三対一で混ぜ合わせた混合物、いわゆる王水に溶け出してしまうのだ。
彼にとっての王水は、家族と友。
己の命を捨ててでも救いに行くであろう彼らの死は承太郎の白金の心を溶かした。
涙は流れない。
心の雫は外へ零れだすことはなく、内側をなみなみと満たしていく。
固体に比べたら遥かに揺れやすい液体。
揺れる、震える、壊れる。
空条承太郎は一人立ち尽くす。
今にも外へ出て行こうとする心の欠片を押し戻しながら。
そして彼は惑う。これからの行く先を定める事ができずに。
「やる事……それだけは変わらねぇ。殺し合いには乗らず、荒木飛呂彦をブチのめすだけだ」
だが……その過程で何人が倒れ、傷ついていくのだろうか?
自分のやり方は間違えていないのだろうか?
今更考えた所でどうにもならない思考が水面を乱し、凪ぐ。
吉良吉影と過ごした六時間に自由に動いていれば誰かは助けられたのではないか?
こそこそと民家に隠れて計画を練るよりも歩いていたほうがよかったのではないか?
携帯電話で積極的に連絡をとれば誰かには通じたのではないか?
そもそも、劇場に呼ばれた時点で時を止めていれば彼女は助かったのでは?
いや、スタンド使いでなければ荒木に目をつけられなかったのかもしれない。
如何に固い金属であろうとも液体となれば容易く形を変える。
浮かび上がる波紋が更なる波紋を呼び、彼の心をかき乱していく。
表情には一切出さないが、一皮捲れば男の弱い部分がありありと見て取れるだろう。
渦巻いていく感情の中、自分があるべき場所を必死に探しもがく。
「吉良吉影……アイツを生かしていたのは俺のミスだった……。
確実に、再開した時にはアイツもぶん殴る……いや、アイツを生かしておく気はねぇ」
危険人物の排除。
自分が最もやるべき事はこれなのだと彼は“思い込んだ”
守ることよりも、救うことよりも、消し去るべきだと彼は考えてしまった。
アブドゥルを、仗助を、康一を殺した殺人鬼にしかるべき報いを与える。
悲しみを心から追い出すため新たな感情を心へと注ぎ、悲しみを薄めていく。
「そして……荒木飛呂彦。最後はテメーだ」
小さく、あらん限りの憎悪を込めて発した声。
人生において烈火のような怒りを噴出させた時は幾度もある。
だが、ここまで人を憎いと思った事は一度もないだろう。
そしてこれからも……。
怒りは瞳を曇らせてしまう。
ならば憎しみは彼をどのように変えてしまうのだろうか?
復讐を誓いながら、悲しみを背負った男は歩く。
彼の頬にある一本の筋は乾ききっていた。
心は憎しみという名の塊が投下された事により―――――歪な形に固まった。
☆ ★ ☆
荒木飛呂彦の放送は吉良吉影にとっては大いなる喜びをもたらした。
平穏を乱す元となる自分の能力を知った三人の死を知ったこと。
吉良吉影は込み上げてきた笑いを抑える。
隣にいる女性は崩れ落ち、焦点の合わない目でアスファルトを見つめていた。
(ふふふ、これで我が本性を知った四人目の死者か……。
承太郎を殺せないのは痛いがな、まぁそのへんは追々考えていけばいいだろう)
自分の平穏を乱すきっかけとなった矢安宮重清の死。
最終的には承太郎よりも厄介だと判断した東方仗助の死。
見事に一杯食わさせられたムカつくガキ、広瀬康一の死。
(全てが好転している! そう、運命は私の味方をしているのだ!
荒木飛呂彦には感謝するべきかもな。
一時はどうなるかと思ったが、この殺し合いが終わったら真の平穏が待ってるはずだ!)
――――――そして川尻しのぶと二人で暮らす。
ふと脳裏に過ぎった考え。
殺害し、顔と身分を奪い取った川尻浩作の“妻”である女。
彼女といても自分の性癖が変わるわけでもない、むしろ、鬱憤は溜まる一方だった。
だが……確かに猫草との戦いの最中で自分が彼女の様態を気にしたのは確かだ。
(いや、あれはあくまでも承太郎にばれるのが気になっただけだ)
下らない思考を軽く流そうとし、どうしても意識している自分に気が付いた。
殺し合いに乗った男、空条承太郎。
ここに来てから自分の精神はずっと張り詰め続けていた。
しかし、ここに来て多少の余裕ができたのだ。
(寝不足なんだろう、本来ならゆっくりと布団の温かみを味わってる時間だからな。
私が好きなのはあくまでも美しい“手”だ、川尻しのぶもたまたま美しい手を持っていただけだろう)
軽く頭を抑えつつ、溜息を軽く吐く。
こんなことになるならば承太郎という時に仮眠でも取っておけば良かったかもしれない。
空条承太郎という男は敵には回したくないが、味方にすればこれほど頼もしいヤツもいなかっただろう。
それに、私が寝てたほうがヤツも安息の時を過ごせただろうしな、軽く呟きながら隣にいる由花子を見下ろした。
相変わらず、動きもしなければ涙を流すことすらない。
(まぁ……無理もないかもな。狂おしいほどに熱狂してた相手が死ねばこうなるだろう)
多少の哀れみはあるが、別にこれからの行動に支障をきたすことはない。
彼女が使い物にならない以上は連れたっても仕方ないだろうから。
(魂はアイツの元へと送ってやろう。だから、容れ物の一部くらいは持っていって……いいだろ?)
ゆっくりと女王の右腕を頭部へと持っていく。
白い絹のような手に目が釘付けになり、下半身に血が集まっていくのを確かに感じる。
久しぶりだ! 実に久しぶりだ!
キラー・クイーンの指先が彼女の髪の毛に触れようとして―――――――
☆ ★ ☆
荒木飛呂彦が何を言ったか分からなかった。
だけど私の膝からは勝手に力が抜けて、力を入れようとも立ち上がれなくて。
『広瀬康一が死んだ』
一秒あるかないかの短い言葉と共に突きつけられた事実は…… 。
声も出ない、耳も聞こえない、視界が霞む。
だけど私の目には涙すら滲んでこない。
立ち上がれない、膝がアスファルトに接着されたとしか思えないほど足が重い。
「康一……君?」
霞んだ声は私の頭蓋骨内で反射され、誰にも聞かれることなく消えていった。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い
頭が痛い、眼球が沁みる、喉が引き攣った、口が渇く、首輪が気管を締め付ける。
胸が刺されたかのように痛む、吐き気が込み上げる、胃酸が内臓を犯す、関節が熱い。
いや、全身が熱い……冷たい?
胃酸が喉を焼く感覚がやけに鮮烈だった。
目の前に康一君の笑顔が浮かぶ。
怒った顔、苦々しげな笑顔、覚悟溢れる勇ましい表情、怒った顔。
幾人もの康一君が私の前で彩り溢れる表情を見せてくれる。
康一君、かわいい顔をしている普通の男子高校生。
康一君、時折見せる勇気と信念を持った表情が素敵な男の子。
康一君、あんなことをしても私を受け入れてくれた一人の男性。
康一君、たった一人の大事な恋人。
康一君、康一君、康一君、康一君、康一君、康一君、康一君、康一君。
「あ……ぁ……」
一人、とても悲しそうな表情を見せて康一君は煙のように消えた。
そしてそれを皮切りに、一人、また一人と康一君が消えていく。
「いやあああああああああああああああああああああああああああああ!」
絶叫と共に彼に手を伸ばすも一向に届かない。
最後に一人だけ残った康一君はとても……とても残念そうに首を振って涙を拭った。
いやだ、消えないで、お願いだから消えないで。
だけど……最後の康一君も靴から徐々に消えていく。
名前を叫んでいた。届いている、私の言葉は確かに届いている。
だけど、あなたの声はどうして私に届かないの?
ねぇ……どうして康一君?
私たち……何がいけなかったのかな?
あなたの為に誰かを踏みつけてでも優勝しようとしたのが悪かったのかな?
手を伸ばせば届きそうな、だけど果てしなく遠くにいる康一君は答えてくれない。
既に学ランの襟が消えつつあった。
やめて、これ以上は消えないで!
第二の手である、ラブ・デラックスを康一君へと伸ばす、伸ばす、伸ばす。
何メートル伸びたかは分からない、だけど……なんで届かないのかなぁ?
あたし、駄目だったのかな?
涙が一滴零れ、スカートの生地に濃度を足した。
康一君はもう見えない。
もう見えない。私の記憶に残るだけだ。
死にたい、もう死んでしまいたい。
康一君のいない一人ぼっちの世界では生きていたくない!
だけど……康一君を殺したやつは。
康一君を殺したという単語を聞いただけでめまいがする。
復讐……するの? あたしは?
彼を掴み損ねたラブ・デラックスはもう動かない。
無敵の愛は……相手を失うと途端に崩れていった。
いや、康一君への気持ちは永遠に揺るがない。
だけど、どうやってスタンドを操っていたのか全く思い出せないんだ。
許せない、許せない、許せない、許せない。
康一君を殺したやつが、康一君を差し置いて生きてるヤツが……そして私が。
殺すの? あたしは皆殺すの?
でも、死んだら康一君に会えるのかもしれない……。
杜王町に幽霊がいるのは知っている。
だったら彼も幽霊になったんじゃないだろうか?
ならば私も死ねば彼と永久を共にできるんじゃないだろうか?
どうすればいいの? あたしはどうすればいいのよ!
教えてよ康一君! お願いだから教えて頂戴!
私……どうすればいいかわからないの。
康一君……。
ねぇ……。
もう何もしたくないわ。
だけど、あなたを殺した相手は許せないの。
最初は少し取り乱しちゃったけど、ようやく分かったわ。
あなたがいなくなって知らされて思い知らされたの。
あたしは空虚なんだって。
涙を流すかと思ったけど、私はこんなに空虚なの。
でもねカラッポっていうのが一番辛いって分かったわ。
私っていう部屋には小さな憎しみの炎が隅っこの方で燃え盛っているだけなの。
微風も、小雨すら私の心に降ることはないわ。
だって空がなくなっちゃったんですから。
やってきた嵐がみんなもっていっちゃったの。
喜びも……悲しみも……。
だけど貴方への愛だけは絶対になくならないで。
私は永遠に彷徨い続けることになりそうなの。
ねぇ、あたしといて康一君は幸せだった?
あたしは幸せだったの
出会いから、付き合い始めるまでずっと
康一君の彼女になってからもずっと、ずっと
色々とあったよね? 本当に色んなことが……
苦い出会いも、甘いキスも、全部、全部覚えているのよ?
康一君が傷ついたって話を聞くたびにあたしは不安で胸が張り裂けそうになったの
あなたはどうってことなかったかのように話してくれるけどね
何気ない話がとても楽しくて、幸福だったの
あなたの顔を見るだけで、声を聞くだけで、それだけで日々に充実感が溢れていたの
だけど……本当にあなたとは会えないの?
私が死ねばその先にあなたはいるの?
康一君……あたし……もう休んでもいい?
あなたは悲しむかもしれないけれど……私、もう我慢できない!
ごめんね、最初から最後まで私のわがままで振り回しちゃって
あぁ、私の死が見えたわ
吉良吉影も随分と無駄の無い性格をしてるみたいね。
どうでもいいわ。
手を持ってかれるのは癪だけど、貴方にまた会えるなら……ね。
向こうはどんな場所なのかしら?
私はまだ誰も殺してないから、一応許してもらえるの?
康一君は…分かってはくれないだろうけども、許してはくれるはずだわ。
死んだら取り返しはきかないけど、私がやったのはお婆さんを恐喝―――――
待って、死んだら取り返しがつかない?
ならば私の頭に触れようとしているこの手は何?
吉良吉影のスタンド、キラー・クイーンの手。
忘れてたわ……とても大事な事を。さっきも全く同じことを思ったのに。
正確に言い直しましょう。
救急車に轢かれて死んだ吉良吉影が、確かにスタンドを出してあたしを殺そうとしてる。
死んだ吉良吉影がいるのは何故?
誰かが蘇らせたから。
じゃあ、その人間は一体誰なの?
一人しかいないわ。
荒木飛呂彦――――――――
☆ ★ ☆
「なっ……山岸由花子、お前は再起不能じゃなかったのか!?」
触れようとしたキラー・クイーンの指、手の甲、腕、肩口にかけてが黒く染まった。
一瞬でも力を抜けば腕を潰されかねないほどの拘束具の正体は髪の毛。
右手を解放しようと動かした左腕をも髪の毛は瞬時に絡めとり、動きを止める。
近距離パワー型が本気を出して抵抗するも千切れる気配さえ見えない黒。
シアーハート・アタックを出そうとするも左手の射出口が塞がれていて出せない。
確実に、しかししっかりと近寄ってくる漆黒に吉良吉影は死を見た。
いや、髪の毛よりも死をはっきりと感じさせたのは一瞬見えた山岸由花子の瞳。
冷たかった、ただひたすらに冷たかった。
内に秘められた思いを読み取ることができず、ただひたすらに空虚な瞳。
心底ゾッとし、背筋を冷たいものが伝う。
大きく開けられた口から漏れた声は―――――外に出る事はなく止まった。
「殺しはしないわ……ただ、あなたは一つだけあたしに情報をくれればいい。
その後は自由ね。協力してくれるなら構わないけど、拒んだからって殺す気はないわ」
「質問だと? 今更私に何を聞きたいんだ? この殺人鬼吉良吉影にな」
未だに痛みの残る両腕を摩りながら自嘲的に聞き返す。
命を“見逃された”という屈辱は彼の心に怒りを残していった。
明らかに苛立っている彼に微塵の興味も示さず、由花子は淡々と要件を告げる。
「非常に簡単な質問よ。あなたは“何時”ここに連れて来られたのか、それが知りたいだけ。
貴方の切り札は知っているわ、だから隠す必要なんてないでしょう?」
確かに答えるのは簡単な質問だった。
だが、裏があるのはほぼ間違いないだろう。
いや、そんな質問よりも吉良は由花子の“切り札”という発言に着目する。
確信の秘められたその言葉、間違いなく、アナザー・ワン・バイツァ・ダストの事を知っている。
ならば……先刻承太郎が言った事は?
自分が死んだということは、真実なのか?
無敵の能力は本当に敗れてしまったのか?
最後に押そうとしたスイッチの行方はどうなったのか?
しかし、存在が知られているということはつまりそういうことなのだろうか……。
眉をひそめながらも吉良は正直に自分の経緯を由花子へと伝えた。
「空条承太郎、東方仗助、広瀬康一、虹村億泰、この四人に追い詰められたところだ。
本当に助かったと言うべきだろうな……ここも大差ないかもしれないけれ」
「あなたの感想なんてどうでもいいの、一応情報の提供には感謝しとくわ」
「で、この質問に一体何の意味があったというのだ?」
「教える必要はないでしょ?」
話を遮った由花子に表面上は肩を竦めつつも、青筋が立つのをはっきりと感じ取った。
爪が伸びる、白い首筋に手を伸ばしたいう要求に駆られる、嫌でも視線が手首へと向く。
出会った時の余裕はもうない、今の彼にあるのは二つの道を選ぶ権利だけ。
「しょうがない……承太郎を殺すまでの同盟は破棄しないことにしよう。
だが、この二人で行くには心ともないな。いるんだろう? 霧を操る仲間が」
隙を晒している状態だったので完全に手玉に取られる事となってしまうも、今ならさほど脅威ではない。
頭でははっきりと分かっていることであるにも関わらず、由花子の瞳が吉良の理性をすり減らしていく。
霧のスタンド使いを仲間にしたいのは戦力の増強のみが理由ではない。
一対一で彼女と相対すことが耐え難いことだったからだ。
そして今度は逆に、吉良が由花子へと質問を投げかける。
自分の情報を曝け出したとしても得たかった一番気になっていた事案を。
「それに、そちらの質問に答えてやった代わりに私の質問にも答えてもらおう。
『どうして私は敗れてしまったんだ?』これだけは教えてくれないか?」
★ ☆ ★
吉良吉影に本当のことを教えちゃったのは失敗かしら?
急に青褪めて「休ませてくれ……」って言って、民家に行ったっきり帰ってこないなんて思わなかったわ。
もしかしたら何か企んでるのかもしれないけど……あの狼狽は演技とは思えないしほっときましょうか。
動揺しきってる状態で空条承太郎とぶつけるなんて厄介どころか危険ですもの。
さて、これからどうしましょうか?
あのお婆さんのところに戻って一緒に承太郎を殺すように誘いましょうか?
ここで、由花子が何を思っているかを説明させていただこう。
吉良吉影は由花子に対して荒木飛呂彦の能力に関する仮説を話していない。
そして山岸由花子は吉良吉影が死亡した後の時間軸からこの殺し合いに呼ばれた。
この二つの事実が由花子にある仮説を立てさせた。
……本人は真実であると思い込んでいるが。
『荒木飛呂彦の能力は死者を蘇らせることだと』
しかし、それではどのようにして自分たちをここへと連れてきたのか?
それも吉良吉影の話を聞いたことによって全ての謎が氷解した。
吉良吉影は救急車に轢かれて死ぬ本当の寸前に来たらしい。
つまりそれはどういうことなのだろうか?
由花子はこのことをこう解釈した。
『荒木の能力によって蘇った人間は死の直前までの記憶しかない』
つまり、吉良吉影も、自分も、空条承太郎も、広瀬康一も一度殺されてから殺し合いに参加させられたのだ。
恐らくある程度時間が経っても大丈夫なのであろうということは、吉良吉影と自分の連れてこられた時期のズレから判断できる。
そう、抵抗しない死体であればつれてくるのだって無理はない。
一度思い込むと周りが見えなくなる由花子の性格も手伝い、彼女の中で仮定は事実と変わった。
そして、荒木飛呂彦の能力ならば愛しの彼を再び蘇らせることだって可能だろう。
それも苦痛の記憶の一切ない状態で。
だから、彼女は優勝する決意を固めた。
……先刻とは違い、優勝するのは自分であるという決意であったが。
そして、荒木飛呂彦に広瀬康一を復活させるように懇願する。
山岸由花子は再び殺し合いに乗ることを決意した―――――――
「山岸由花子だな?」
脳髄の底に響きそうな深い声を由花子の耳は捉えた。
間違いない、この男は、この声の主は空条承太郎だ。
鉄仮面に覆われた表情を取り繕うともせずに由花子は声の方向へと振り向く。
「そういうあなたは、空条承太郎ね」
「あぁ、しかし……広瀬康一が死んだという放送を聞いた割には冷静すぎやしないか?」
由花子の心情への配慮をかなぐり捨てた冷徹な一言。
変身するスタンド使いを直に見た身、そして今の歪んだ彼にとっては少しでも怪しいサインを出したらただじゃ済まさないという気迫があった。
押しつぶされような重圧を由花子は柳の葉のように受け流し、
何となく、非常に勘任せな物であるが、承太郎の中に自分と同じ虚無を感じ取る。
そして、怪しまれぬように予め考えておいた受け答えをそのまま返す。
「悲しいわ……悲しくないわけないじゃない。だけどね、今は犯人が許せない気持ちで一杯なの。
だから私は犯人を殺して……その後は死ぬわ。康一君の居ない世界で生きていく意味が見つからないもの」
俯き加減な表情からは何も読み取ることが出来ない。
ただ、承太郎は彼女の瞳に自分と同じ種類の闇を感じ取った。
そして、自分とよく似た境遇も。
愛したものの復讐を果たす、そしてその後に自ら命を絶つ
ゆっくりと、しかし強き意志を込めた由花子の言葉に承太郎の心は揺れる。
普段ならば馬鹿馬鹿しいと一笑に臥すことが出来た発言。
だけど、今の承太郎には、愛するものを失った承太郎には深々と突き刺さる。
由花子には何と言ってやればいいのだろうか?
『自分の心とどのように決着をつけるのか?』
自分は由花子を止めても本当にいいのだろうか?
『自分は荒木を倒した後、彼女のいない世界でどのように生きるのか?』
これから先、復讐を果たすまでの由花子は……復習を果たしても彼女は救われるのだろうか?
『俺は……喪ったものを抱えきれるのだろうか?』
既に由花子が偽者であるという可能性は捨て去っていた。
たった少しの言葉で自分にまで影響を及ぼすような感情を出すのは偽者には不可能だろうから。
康一を失った由花子が狂気に走って殺し合いに乗るのでは? という懸念も自然と忘れ去っていた。
自分と同じような臭いを彼女から嗅ぎ取ったから。
――――それが腐臭である事に気付かずに。
そして承太郎は由花子に対して切り出す。
「いっしょに……行動しないか? 敵討ちを止めたりはしない。
だが……お前には死んでもらいたくない。これは俺の本音だ。
今すぐ考え直せとは言わない、ただ……少しでいいから今後について考えてもらいたい」
承太郎にしては長々と話したものだと由花子は感嘆する。
そして、何も分かってない彼に対する哀れみと嘲笑を。
あなたを殺せる力が“今は”ないから大人しく着いていってあげるわ。
康一君、待っててね。あたしがあなたを蘇らせてあげるから。
★ ☆ ★
個室の内より青褪めた顔をして出のは吉良吉影。
話を聞いている内に怒りで、衝撃で、胃液が喉元へせり出してきたのだ。
しかし、空腹の状態で便器に向かい合い、純白に向かって吐き出されたのは胃液のみであった。
ペットボトルの飲み水で喉と口内をゆすぎ、喉を焼く酸を洗い流す。
「ふふふ、はっははははははははっははははははははははは」
口に含まれた水を台所のシンクへと吐き出すと共に出てきた笑い声。
「そうだ、私は負けたのだという事実は認めてやるとしよう。
だが根源の広瀬康一は死んだ! 東方仗助も! 重ちーもだ!」
やり直す、死んだという未来を覆すために。
この殺し合いで“生き残り”杜王町で新たにやり直す。
未だに頭をちらつく川尻しのぶの姿は今は意識しない。
意気揚々と出て行った彼が民家のドアを空け、通りの角を曲がろうとし―――――
空条承太郎と話し込む山岸由花子の姿を見た。
【E-4 中央部/1日目 朝】
【吉良吉影】
[時間軸]:限界だから押そうとした所
[状態]:掌に軽度の負傷、ハイ、爪の伸びが若干早い
[装備]:爆弾にした角砂糖、ティッシュケースに入れた角砂糖(爆弾に変える用・残り5個)
[道具]:ハンカチに包んだ角砂糖(食用)×6、ティッシュに包んだ角砂糖(爆弾に変える用)×8、未確認支給品×0〜2個、支給品一式 、緑色のスリッパ、マグカップ,紅茶パック(半ダース)、 ボールペン三本
[思考・状況]
基本行動方針:植物のような平穏な生活を送る
0.承太郎と由花子にどう対処するか?
1.由花子を利用できるだけ利用する。
2.手を組んだ由花子と協力して承太郎を暗殺する。ただし無茶はしない。
3.当面はおとなしくしていて様子を見る。そのためにまず情報の入手。
4.自分の正体が吹き込まれた携帯電話を破壊したい
5.他に自分の正体を知る者がいたら抹殺する
6.危険からは極力遠ざかる
7.2が終わった後、または利用価値がなくなったと思ったら由花子を殺して手を愛でる。
8.なんとしても“生き残り”杜王町で新しく平穏を得る
[備考]
※バイツァ・ダストは制限されていますが、制限が解除されたら使えるようになるかもしれません。
※荒木のスタンドは時間を操作するスタンドと予想しました。が、それ以上に何かあると思っています。
※場合によっては対主催に移っても良いと考えてます。
※平穏な生活を維持するためなら多少危険な橋でも渡るつもりです。
※スイッチを押すことが出来ずに自分が死んだということを知りました
101 :
創る名無しに見る名無し:2009/05/14(木) 23:03:48 ID:PuqUMjjn
【山岸由花子】
[時間軸]:4部終了後
[状態]:健康、強い覚悟
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品1〜3
[思考・状況]基本行動方針:優勝して広瀬康一を復活させる。
0.承太郎を利用、もしくは暗殺したい
1.吉良吉影を利用できるだけ利用する。
2. エンヤがたくさん人を殺すことに期待
3. DIOの部下をどうにか使って殺し合いを増進したい。
4.正直知り合いにはなるべくあいたくない。けど会ったら容赦しない。
5.今夜10時にD-4のスペースシャトルにてエンヤと合流。残り人数次第でそこで始末する。
[備考]
※エンヤの頭部に髪の毛を植えつけました。
※エンヤの能力が死体操作であることを知りました。生きた人間も操れると言う事はまだ知りません
※荒木の能力を『死者の復活、ただし死亡直前の記憶はない状態で』と推測しました。
そのため、自分を含めた全ての参加者は一度荒木に殺された後の参加だと思い込んでます
【空条承太郎】
[時間軸]:4部終了後
[状態]:健康、精神疲労大
[装備]:なし
[道具]:支給品一式 携帯電話 折り畳み傘、手に収まるサイズの手鏡二つ、クリップ二つ
[思考・状況]
基本行動方針:徐倫を自分の命にかけても守り、荒木をぶっ飛ばす
1.とりあえず荒木をぶっ殺す
2.吉良吉影を含む危険人物は問答無用で殺す
3.激しい精神的動揺による判断力、精神力の著しい低下
4.由花子に強い同情
[備考]
※荒木のスタンドは時間を操作するスタンドと予想しました。が、それ以上に何かあると思っています。
※吉良の参加時間軸を知りません。
※携帯電話に吉良との会話が録音されています。通話相手に聞かせる機能があると言うのは承太郎のハッタリです。
※妻との遭遇が承太郎にどのような影響を与えたかは次の書き手さんにお任せします。
※スタンドの状態は不明です。
※今後何処に向かうかは次の書き手さんにお任せします。
投下完了です
感想、指摘、その他諸々があればどうぞお願いします
103 :
創る名無しに見る名無し:2009/05/14(木) 23:33:55 ID:23lRqT0e
投下乙です
素晴らしい心理描写、感嘆しました。
承太郎と由花子とはまた面白い組み合わせ…。
DIOの館やジョースター邸が、そう遠くない距離にあるのも気になりますね。
気付いた点は
>>92 承太郎という時に仮眠でも取っておけば良かったかもしれない
承太郎と「いる」時 ですね。
それと承太郎の備考欄の「妻との遭遇」というのは「由花子」のまちがいでは?
投下乙ッ!
最初の死者一人一人に対する承太郎の心理描写に心震えた。
ここまでプラチナを動揺させたことはいまだかつてあったろうか?
親子揃って冷静じゃなくなってる今後にやれやれだぜ…
これはジョセフか花京院が目ぇ覚ませるかしかないか…ってあれ三人ともダメじゃね?
由花子の壊れ具合もべネ!ステルス奉仕なんていいんじゃないかぁ…
あと吉良涙目wwwww
これは酷いリンチになりかねないwwww
俺は仮投下をやめるぞーーッ!ジョジョーーッ!!
【ヴァニラ・アイス、川尻早人】投下します。
午前6時、サンタルチア駅。
歴史を蓄積した古めかしい外見をしているが、駅の内部は意外に綺麗である。
真新しいというよりは、誰一人としてこの駅を利用した事がないような不自然な綺麗さだ。
今は四方に取り付けられたスピーカーから、ザリザリという音をまじえながら一回目の放送をながしている
今、早人とヴァニラ・アイスがいるのはサンタルチア駅構内にあるフードコート。
吸血鬼となったヴァニラ・アイスの天敵である日光が差し込まない、という理由でここにいるようだ。
もっとも今フードコートに陳列されているのは、知恵の輪にコーヒーガムにペンライト、毛穴パックにカルピスの原液といった
一体この状況で誰が得をするんだ、と突っ込みをいれたくなるような品物しかない。
飲料水や食料品のたぐいは取り除かれているようだ、
荒木飛呂彦は食料品や水をめぐって参加者が対立するように仕向けるつもりらしい。
ちなみにフードコーナーの横にあるフラワーコーナーの方は手つかづの様である。
花の優しい香りが早人の鼻腔をくすぐるが、今の彼にとってはこの匂いはストレスを増やすだけのものでしかない
早人は自身の失われた右足に目をやった、ヴァニラ・アイスの『クリーム』によって失われた右足だが
まるで存在を訴えるかのようにジクジクと傷んでいる。これが幻視痛というやつなのだろう。
だが、今の早人にはその痛みを気にかけてる余裕など無かった。
体中の痛みを補って余りある絶望感が心の中を埋め尽くしているからだった。
(仗助さんと康一さんが死んでしまった)
あれほどたのもしかった二人が
仗助さんはおそらくはラバーソールのデイバッグに自分が送ったはずの鳩が入っていたことを考えて、そいつに殺されたのだろう
不思議と涙は出なかった。
心がもう許容できる範囲の悲しみを受け止めきれないからかもしれない。
一方のヴァニラ・アイスは死亡した者の名前に×をつけ終わると、あることに気づき舌打ちをした。
窓から差し込む日光がここまで届こうとしているのだ。
先ほども書いたが、吸血鬼になってしまったヴァニラにとって、日光は天敵以外の何物でもない。
同じ吸血鬼である彼の主DIOも、日中は日光が差し込む階には絶対に降りてこようとはしなかったほどだ。
ブラックモア達と同盟を結び、彼らを見送った後。
日光が入らない場所を、と思ってこの奥まった所にあるフードコートを選んだのだが、誤算だったようだ。
このサンタ・ルチア駅、夜中以外は出来る限り自然光に光量を求める造りになっていたらしい。
上を見上げれば、かなり高い位置に窓が一列にそって並んでいる。
さきほどまでは暗かったので、日が昇るまでこの窓の存在に気付けなかったのだ。
今は『ウェザー・リポート』の能力によって外が曇っているため日の光自体は弱いが
ウェザーも移動しているのだろう、雲は彼らが去った東の方へ移動し始めている。
あと数時間もすればこの辺りの雲は無くなってしまうだろう、そうなれば日光を遮る物は何も無い
ここでぼやぼやしていれば吸血鬼の丸焼き一丁あがり、という間抜けな事態にもなりかねないのだ。
ヴァニラ・アイスは膝をはらうとその場から立ち上がり、未だ蹲ったままの早人に声をかけた。
「移動するぞ。」
返答が返ってこない。
一瞬死んだかと思い、首根っこを掴むと呻き声があがった。ただ放心していただけらしい
幼い声で「仗助さん・・・・康一さん・・・・」と何度も繰り返して言うのが聞こえてくる。
どうやら知り合いの名前が死亡者の中にいたらしい、ちなみにヴァニラの知り合いも死にまくっているのだが
DIO以外の事は眼中にない彼にとってはどうでもいいことのようだ。
ヴァニラにとって今優先すべきことは、早人の心中よりも日光から身を隠す事。
この少年も連れていかないといけないだろう、まだ人質としての利用価値はある。
「いいから、とっとと立て!」
ぐにゃりと体を投げ出したままの早人に焦れ、ヴァニラは声を荒げた。
ついでにとばかりに首を掴んだままグラグラと体を揺さぶる
これはさすがに苦しかったのか、早人は虚ろな顔のまま声を発した。
「・・・立てるわけないだろ・・・あんたが僕の足取っちゃったんじゃないか」
そういえばそうだったな。
* * *
早人は早人で驚愕していた。
(今、忘れてたって顔しなかったかコイツ!?)
最低である。
他人の足を奪っておいてそれを失念するとは一体どういう心情なのか、早人にはわからなかった。
裏を返せば、この男が子供の足一つ消し飛ばすことでは罪悪感を感じないくらい、人を殺してきた証明なのかもしれない。
この男は危険だ、と早人はあらためて実感する。
一応、第二回放送までは自分を殺さないと約束してはいたが、いつ反故にされるかわからない。
早人は後ろ手に持ったライターを握りしめた。
『殺られる前に殺れ』、人間が猿から人に進化する前からの自然の摂理である。しかし、
(僕に人殺しが出来るのだろうか?)
川尻早人は普通の小学生である。
「ぶっ飛んでる」と仗助に表現されるような性格ではあるが、
人を殺す、といったような道徳に反するような行為を行うには抵抗感があった。
だがもうそんなことも言っていられないのかもしれない。
ここに来るまでに目撃したのだが大柄な男性が一人、エンポリオと同じような傷口を見せて死んでいるのを確認している。
少なくともヴァニラ・アイスはこの数時間のうちに最低二人を殺害している計算になる。
いや、アヌビス神とヨーヨーマッをカウントするなら四人だろうか。
(なんとかしないと・・・!)
早人が必死になって頭を働かせていると
立ち上がる事の出来ない様子を見かねたのか、ヴァニラが自分を担ぎあげようと手を伸ばしてきた。
まずい!今ここで担ぎあげられてしまってはライターの存在に気づかれてしまうかもしれない。
気がつくと、早人は反射的にヴァニラの手を払っていた。
ぱしん、という軽い音がフードコート内に響く。
早人はどっと汗が背中に流れ落ちるのを感じた。
ライターの存在を知られたくない一心で、自分からこの男を怒らせる材料を作ってしまったのだ。
自らの首を絞めてしまった行為に、早人が脅えヴァニラの様子を伺うと。
そこには意外な光景があった。
「痛ッ!?」
ヴァニラが叩かれた右手を抑えている。
ヴァニラの右手には細い蚯蚓腫れのような水ぶくれがあった。
(何?どういうこと?)
超展開でいきなり早人の力が百倍になったとか、スタンド能力が目覚めたとかいうオチではなさそうだ
自分は軽く手を振り払っただけである、何か別の要因がこの事態を引き起こしたのだ。
早人はあたりを見回した、特に変わった物は何も無いが。
(探せ!探すんだ川尻早人ッ!!絶対に何かある!!)
この男が回復し終わるまでに見つけなければならない、自分の命がかかっているのだ。
すると早人の目に一筋の光が映った、壁の隙間からもれる細い日の光。
そういえば・・・この場所に来るときも、この男はわずかな明かりでも避けるように歩いていた気がする。
と、いうことは?早人はひらめいた疑問をヴァニラに投げかける
「ねぇ・・・もしかしておひさまの光がダメなの?」
ぴくっと体を震わせてヴァニラは動きを止めた、正解だったようだ。
この男はTVゲームにでてくるような「アンデット」のような物なのだろう。
日光によってダメージを受けるのも、ウェザーによって受けたはずの傷が無くなっているのも、それで説明がつく。
(つまり、こいつは完全には無敵じゃないってことだ。)
早人が隠し持っている「自動攻撃型のスタンドを出す能力」を持つライターと、日光に弱いという弱点、
それに以前エンポリオとこの駅を探索した時に見つけていたあの部屋なら、いけるかもしれない。
かねてより早人には懸念していることがあった、自分の出身地である杜王町を震撼させた殺人鬼、吉良吉影の存在。
なぜ倒したはずのあいつが生きているのかはわからないが、もしが脱出し杜王町に舞い戻るような事態になれば
・・・母さんが危ない。
それだけは、なんとしてでも回避しなくてはならない。
承太郎さんや億泰さんが簡単に負けるような人間ではないことは知っているが、
すでに二人死んでいるのだ。万が一ということもある。
いや、もう人にたよるのでは無い。自分の手で吉良吉影を殺す!
道徳や罪悪感など捨ててしまえ、川尻早人。殺さなければ殺される、ここはそういう場所だ
ここでへばっている場合ではないのだ。
早人の心に決意の炎が灯る、だがその色は今まで灯っていた黄金色の光ではない、沈み込むような漆黒だ。
(ねぇ覚悟はいい?吉良吉影)
早人はライターを取り出すと、手を抑えたままのヴァニラに向け
ゆっくりと、しかし確固たる意志を持ってスイッチを押した
(僕は出来ている)
* * *
『再点火を見たなァーーーーッ!!』
奇妙な格好をした大男が掴みかかってくる、捕まってしまえばひとたまりもないであろう。
だが、ヴァニラはあわてずさわかずスタンドに指示を出す。
「ゆけ『クリーム』!」
ガ オ ン ッ !!
独特の効果音と共に『ブラック・サバス』の頭部が消滅する。
しかし次の瞬間、スタンドは何事もなかったかのように再生し始めた
「一体何なんだコイツは、本体にダメージのフィードバックが無いスタンドなんて聞いた事がないぞ!」
そう、さっきからずっとこの調子なのである。
『クリーム』でガオンする→『ブラック・サバス』復活→『クリーム』でガオンする→『ブラック・サバス』復活といったように。
早人にこのスタンドのことを問いただそうにも、すでに逃げられてしまっている。
床に残った血の跡から見るに這って逃げたのだろう、立ち上がれないと言っていたのは本当らしい。
「おっと」
『ブラック・サバス』の腕がヴァニラの顔をかすめた。
軽く舌打ちをする、日中でなければ『クリーム』に潜りこみ手当たりしだいに攻撃を加えたいところだが
今は日中、しかも室内である。この状況でそんな事をしようものなら、
いつのまにか外に出てしまう事になる。そうなれば顔を出した瞬間に日光に顔を焼かれるのは確定だろう。
しかも、さっき気がついたのだがこのスタンドは影に潜んで移動しているらしい
このスタンドから逃げ切るには光の中、つまり外に出なければならないのだが吸血鬼である自分にはそれが出来ない
まさに八方塞がりというやつである。
あの少年がここまで考えて行動したのならばたいしたものだ。
だが、ヴァニラとて百戦錬磨の戦士である、無駄に攻撃を加えていたわけではない。
『ブラック・サバス』の攻撃を自身の腕で受け止めながら、冷静に『クリーム』に指示を飛ばす。
「今だ!やれッ!!」
ガ オ ン ッ !!
忠実なスタンドは主の命令どおり対象物を消し飛ばした。
狙ったのは『ブラック・サバス』ではない、フードコートの陳列棚下部!
自らを支える脚を失った陳列棚はグラリと傾くと
ガムやパックや瓶などをまき散らしながら『ブラック・サバス』のいる方に落下していく
ガシャーーーーンッ!!
すさまじい音がフードコート内に響き渡った。
大男がこちらに向かって拳をくりだしてくる、だがもうヴァニラに届くことはない。
『ブラック・サバス』は「影にひそんで移動する」性質を持っている、
逆に言えば『ブラック・サバス』の潜んでいる影の周りに、何の影もなければ移動が出来ないのである。
今『ブラック・サバス』がいるのは散らばった品物の影、当然まわりには何の影もない。
陳列棚を倒したことにより大きな影が無くなったのだ。これでこのスタンドは無力化できた。
「やれやれだな。」
ヴァニラは一息ついた。
やっかいなスタンドだったが、パターンに嵌めてしまえばどうということもない。
(それよりも、だ)
ヴァニラは水ぶくれが出来たままの手を見る、日光によって受けた傷が治っていない。
吸血鬼の力は物理的な怪我は治せても、日光によるダメージまでは治してくれないようだ。
右手に少し光があたっただけでもこれなのだ、全身に日光をあびるとどうなるのか、考えただけでも怖気が立つ。
ヴァニラはぶるっと肩を震わせた。
寒い、日光をあびる恐怖に震えたのではない、室温が下がっているのだ。
壁を見れば取り付けられたエアコンがフル稼働で冷風を送っている、地球に優しくない事この上ない。
今こんな事が出来るのは早人しかいない、一体何のつもりなのか。
その疑問はすぐに解消されることとなった。
ヴァニラの横にあった、なにも入っていない自動販売機の電源がついたのだ、それだけではない。
ロビーにある電光掲示板が、不思議と清潔なトイレの電気が、非常灯が、蛍光灯が、電飾が、
サンタルチア駅にある、ありとあらゆる電源がついてゆく。
「まずいっ・・・・!」
ヴァニラは早人の狙いを理解した。
「明かりがつく」それすなわち「影の形が変わる」ということ。
しかもこれだけの明かりの量だ、影はいたる所に出来放題である。『ブラック・サバス』の移動手段となる影が。
『おまえ……!再点火を見たな! 本当ならチャンスをやるんだが……向かうべき2つの道を……!!
チャンスとは…おまえが向かうべき2つの道。 ひとつは、生きて選ばれる者への道。 もうひとつは!! 死への道……!!
だが、今はチャンスなどない……! 再点火を見たのだ!死んでもらうぞッ。』
かくして、またヴァニラ・アイスは『ブラックサバス』と戦うはめになった
「あんの小僧ッーーーーーーーーー!!」
* * *
サンタルチア駅2階、電気制御室
早人が出鱈目にスイッチを押したため、制御盤のパネルは血の手形で埋め尽くされている。
床も同様に血で斑模様を描いている、その中でもひときわ大きな血の池に沈みこむ早人の姿があった。
ウェザーが止血のため結んでくれた布は、ここに来るまでにどこかに行ってしまった。
早人は再び血を滲ませ始めた右足を見る。貧血のためか頭がふらつく、さっき腹に入れた物をもどしてしまいそうだ。
エンポリオも、こんな風に辛い思いをしながら死んでいったのだろうか?
エンポリオと一緒にいた時間は少しの間だけだったのに、ずっと前から友達だったような気がする。
もっと彼と色んな話をしたかった。
仗助さんや康一さんの事、いや、この殺し合いに有利になるような情報では無い、もっとくだらない話をしたかった。
「うっ・・・」
頬が濡れている。
自分は泣いていたのかと思って頬に手をやったが、手には血がついただけだった。
顔に垂れる血を涙だと勘違いしたのだ。
(涙・・・出なくなっちゃった・・・)
自分は仗助さんや康一さんが死んだと知った時も泣けなかった。
でも、それが今の自分にふさわしいような気がして、早人は乾いた笑い声を上げた。
ひとしきり笑うと喉に血が引っ掛かってむせた、すでに血の味でいっぱいの口内にまた血がたまる。
おかしいなぁ、血は体の至る所から滲むのに目からは何も出てこない。
カチン。
何か硬いものが床に落ちる音がして早人は目をやった、むせた時にライターが手から落ちたのだ
ライターはそのまま磨き上げられた床の上を滑り、窓際の壁にぶつかって静止した。
ここからライターのある壁まで10mは距離がある、また這ってあそこまで移動しないといけないのか
早人はふらつく体をもち起こし手をのばした。
だが、早人の手がライターに届くことはなかった。
「探し物はこれか?」
『クリーム』から半身身を乗り出したヴァニラ・アイスは、ライターを手の中で弄びながら声をかけた。
声をかけられた早人の方は茫然自失といった顔で突然の闖入者を見ている。
何故、『ブラック・サバス』に足止めされているはずのヴァニラがここにいるのか?理由は簡単である
再び出現した『ブラック・サバス』の攻撃をかわしながらヴァニラは考えたのである。
いつものように『クリーム』に潜りこんで手当たり次第に攻撃を行うのは不可能、
ならば手当たり次第ではなくゆっくりと攻撃すれば?
つまり、『クリーム』に潜りこみ顔だけ出して日光の当たらないルートを確認した後、顔をひっこめてゆっくり進み
また顔だけ出して日光の当たらないルートを確認し、顔をひっこめてゆっくり進む。
『クリーム』の中に入ってしまえば日光はあたらない、道中うっかり壁に穴を開けてしまうようなミスもあったが
ゆっくりではあるが確実にヴァニラは歩を進める事が出来たのである。
ちなみに『ブラック・サバス』は先ほどと同じように封じこめてきた、今頃は一人虚しくフードコートに取り残されているのだろう
「おどろいたぞ、あのスタンドはお前の能力ではなかったのだな」
ぴらりと取り出された紙切れを見て早人は目を見開いた、
『コレはいざという時に便利かもしれませんよ?点火するだけで勝手に敵を攻撃してくれるから』と書かれた紙。
「スタンドが支給品・・・ あのアラキとか言う男はずいぶんとふざけた奴のようだな
さっきのスタンドはこのライターを再点火すると出現するのだろう?」
112 :
創る名無しに見る名無し:2009/05/15(金) 17:21:10 ID:pw8SrFIT
>一'''==‐ュ、,,_ ,、='' ̄::::::::::::::: ゙̄'''ヽ、
あぁ ./ . : : : : : : : : : : \ /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
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ム≠ー'" ̄~'''ー_\: : : : : /::::/~ヾ,}::::j| 。 }::::::::::::::::::::::::
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l、_ イ__,,,_.._、_ |l: : |::/ ヾ≦ヘ,_ノヽ \:::::
l}=、 `チC ̄`ヽ |: : |Y l| ヽ
{ lト {! ,} |: :|ノ〆 l| ー- | 保守してやるか・・・
゙t,,_.j くミ、二,,ノ 7_/| / l| ー- |
| ノ ゙" 'l / r 」{, ヽ |
| ゝ,‐ l, ヘ_ _,,>ー=、_ /
∧ =ー--、 ∧ `Σ,,、-‐─゙ゝ=´ /
ヽ ヾ≧ ′ ヘ ===一 ノ
ヘ´ / | ∧
ゝー┬イ'''" |_ \≧≡=ニー ノ 、
|、′ /´ ]、 ̄ _ニ=、 ,,..
/ヽ_/>'" 〃/」,,廴 / ヽ \-‐ニ´
/ 「 ヘ ≦〆 / /_ο _z
\ / / {二=ー '"´
/ \、_..,、_
言いながらヴァニラはライターを持つ手に力をこめる。ギヂィッとありえないような音が室内に響き渡った。
「や・・・やめッ・・・!ゴホッゲホッ!!」
ヴァニラが何をしようとしているのか理解した早人は悲鳴をあげようとし
自らの胃からせりあがってきた血液に口を塞がれた。
人間は体の何パーセントの血液を失えば死にいたるのだろう、少なくとも早人が吐いた血の量は致死量に近い。
けいれんを始めた早人の体を見降ろしながらヴァニラはとどめの一言を言う
「つまりお前はこのライターがなければタダの子供というわけだ。」
バ ギ ン っ!!
信じられない、ライターはヴァニラの握力で握りつぶされてしまった、バラバラとライターの部品が床に落ちてゆく。
早人の方はもう声にならない、ひゅーひゅーと喉の奥から息が漏れだすだけである。
ヴァニラは『クリーム』から出ると壁にもたれかかり息をついた。
「いや、実際お前はたいしたものだったぞ?ここまで追い詰められたのも久しぶりだしな、
なぁ・・・早人とかいったか、お前我が主DIOの僕にならないか?」
部屋のライトが点滅し、くっきりとヴァニラの横顔を浮かび上がらせる。
「その年で俺の『クリーム』の弱点を見破った洞察眼といい、俺の攻撃を受けながらも立ち向かってきたその勇気といい
本当に感心しているんだぞ?」
蛍光灯が切れかかっているのだろうか、ライトの点滅は激しくなってゆく
「そうだ、お前を吸血鬼にしてやろうか?その怪我もきっと治るだろう」
『クリーム』を早人の傍に出現させ、髪をつかんで頭を持ち上げさせる
ヴァニラ自身はこの返答がYesでもNoでもどちらでもよいのだ、
この少年がどんな風に自分に命乞いをするのか、それが聞きたいだけなのである
「・・・・っく・・・と」
早人の声は掠れて聞き取りにくい、もはや息をするのも苦しいのだろうか
返答など聞かず殺すか、ヴァニラは右手を振り上げた、
この腕を振りおろせば『クリーム』は即座に早人の頭を亜空間に送りこむだろう
「聞こえんなぁ?もう一度言ってみろ」
早人は顔を持ち上げると今度は、はっきりと、告げる。
「チェックメイト、と言ったんだよヴァニラ・アイス」
その言葉が合図になったかのように部屋の電源が一斉に落ちた、この部屋だけではなく駅全体の電源が落ちてゆく
電力を使いすぎてブレーカーが落ちたのだ
「・・・何のつもりだ」
死ぬ直前の最後のあがきか
真っ暗になった室内にヴァニラの声がひびく、その時視界にぼんやりとした光が飛び込んできた、
自分の傍にペンライトが落ちている、一本や二本ではないヴァニラの影をしっかりと形作るほど大量にだ。
影?、まさか!?
「ぐおッ!?」
突然背後から体を締め上げられてヴァニラはうめいた
「馬鹿な!ライターは破壊したはずだぞ!?」『再点火を見たなーーーーーッ!!』
ヴァニラ・アイスは知らなかったのだ、
『ブラック・サバス』の消滅条件は「何らかの方法で『ブラック・サバス』の潜む影を消すこと」
ライター自体はただのスイッチにすぎない、スタンドの本体であるポルポはまだ生きている
つまりライターを破壊されても『ブラック・サバス』は「再点火を見た者を殺すまで」存在しつづける。
この事は、同じ遠隔操作型であるヨーヨーマッから確認ずみである
「だが、それがどうしたッ!!」
ヴァニラは体を拘束されたまま答える、『クリーム』をこちらにもどして『ブラック・サバス』を攻撃すれば何の問題もない
そう、何の問題もないはずだった、
立ち上がれないはずの早人が、パワーウィンドウのスイッチに手を伸ばしていなければ
「もう一度言うよ?お前はチェスや将棋でいうところの詰みにはまったんだ」
そういうと早人はパチンとスイッチを入れた、駅など公共施設の窓は火災対策のためたとえ停電になっても
開くようにと別に電気を使っているのだ、サンタルチア駅も例外ではない
ウイイインと音を立ててパワーウィンドウが開き始める。
ウェザーはだいぶ離れていったのだろう、外は快晴だった。激しい日差しが室内に広がってゆく。
「お前・・・!動けなかったんじゃないのか!?」
何故だ?早人は瀕死の状態で動けないはずだった!あれだけの血を吐けば立ち上がることもできないはずだ
現に、今も早人の体は血潮にまみれている。
「ねぇ・・・」
ヴァニラの疑問に答えるかのように
早人はくるりと振り返ると未だ血があふれ続ける口元を歪めて言い放った。
・・・・・・・・・・・・・
「誰が自分の血だっていったの?」
ここに来るまでに見た、自分が殺したであろう男の姿、あの死体・・・臓物が引きちぎられたようになっていた
こいつまさか、死体を。
その間にもどんどん窓は開いてゆく
全部最初からそのつもりで
ここに逃げ込んだのも、ライターを落としたのも、ヒューズを飛ばしたのも、瀕死のふりをしたのも!
おびえた演技も、このペンライトも、ライターの説明書が落ちていたのも!這って逃げたのも!
いやそれどころか、一番最初にライターを点けたあのタイミングさえッッッッ!
何から何まで全部!全部!全部!全部!全部!全部!全部!全部!全部!
全部!全部!全部!全部!全部!全部!全部!全部!全部!全部!全部!
全部!全部!全部!全部!全部!全部!全部!全部!全部!全部!全部!
全部!全部!全部!全部!全部!全部!全部!全部!全部!全部!全部!
全部!全部!全部!全部!全部!全部!全部!全部!全部!全部!全部ッッ!
全てが計算づくの行動だったというのかっ!
「うおおおおおおおおおおおおおおォッ!!『クリーム』ッ!!」
だがもう間に合わない。
ブラック・サバスに体を拘束されたままではクリームに逃げ込むこともままならず。
情け容赦なく日光はヴァニラ・アイスの体を照らし出した。
「ギャアアアアアアアアーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!」
体中の細胞が炎を上げて噴き出したかのような痛みだ。
火を着けられたガスコンロの上に乗せらるとこんな感じになるのだろう。
体がブスブスと煙を上げながら崩れていくのが見なくてもわかる。
「小僧オオッ!!貴様あああああああぁぁぁッーーーーッ!!」
霞むヴァニラ・アイスの視界に早人が写る。
策略が成功した喜びで優越感に浸っているのか、それとも殺人をおかしてしまった罪悪感に震えているのか?
せめて最後に見てやろうとボロボロと崩れる腕で必死に体を支え、頭を持ち上げ、早人の顔を見た瞬間
「ッ!?」
ヴァニラの背に戦慄が走った。
早人は無表情だった。
口元から未だ流れ続ける血をぬぐおうともせず、ただじっとこちらを見据えている。
顔には何の表情も見当たらない、ただ瞳だけが殺意によって黒々と揺らめいている。
まるで、炎のように。
(あぁ・・・そうか・・・)
ポルナレフに「どす黒い暗黒のクレバス」と形容された自身の闇より黒い光を見てヴァニラは理解した。
自分はこの小僧よりも捨てきれていなかったのだ、人間性というやつを。
ゆえに自分は負けるのだ。
この少年と自分とでは「捨てる事への覚悟」が違ったのだ
走馬灯に浮かぶのは敬愛する主の姿。
ーーーーもうしわけありません、私はここで死ぬことよりも、貴方のお傍で死ねない事の方が辛いのです。
GYAAAAAAAAA!!という声が耳元でする。
どうやら『ブラック・サバス』もヴァニラの体が消滅し体が消えることで、影ごと消えてしまうらしい。
「DIO・・・・様・・・・」
それを最後にヴァニラ・アイスの意識は闇へと落ちて行った。
【ヴァニラ・アイス 消滅】
* * *
赤、白、黄色、紫。
ばさっという音を立てて、サンタ・ルチア駅の床に花びらが舞う。
その様子をみながら、早人は手に持った花束を次々にエンポリオの遺体の横に並べてゆく。
花はエンポリオの体を包みこむにはまだ少し量が足りないようだ、
もう少しフラーワーコーナーから持ってこないといけないだろう。
やれやれと頭を振ると早人はふらりと立ち上がった。
ここで特筆しておかなければいけないことがある、今の早人には右足があるのだ。
ヴァニラ・アイスの持っていた「ゾンビ馬」
「バラバラになった肉片を縫い合わせる程度の能力」を持ったそれは、すなわち自分の肉体だけではなく
他人と肉体と、自分の肉体をも縫い合わせることが出来る事を意味する。
つまり川尻早人は自分の失われた部分を、死体であるエンポリオの右足で補ったのだ。
もっともそのままでは長さが違ったので、要らない部分は石で叩き潰さなくてはならなかったが。
「エンポリオ・・・君の足貰っちゃったけどいいよね?ちゃんと後で返すからさ、あいつを・・・
吉良吉影を殺した後に、ね。」
誰に聞かせるわけでもなく呟きながら、早人はフラワーコーナーにある花をどんどん手に抱えてゆく。
さっきからずっとこの行為を繰り返しているので、フラワーコーナーのバケツにはもうほとんど花が残ってない
「花の無い花屋」というドラマがあったらしいが、今まさにそんな感じだ。
「ん?」
早人は手を止めた。
奥の方のバケツにまだ一本花が残っている。
まっすぐに背筋を伸ばして立つ太い茎、幾重にも重なった柔らかな白い花弁、
そして鼻をつくこの独特の水水しい匂い。花の種類にうとい早人でもこれはわかる。
「・・・・・菊だ」
菊、日本においては冠婚葬祭に最もよく使われる花である。
ちなみに菊を葬儀の花とするのは元々欧米の習慣であり、日本では至上の敬意を示す意味で葬儀に用いる
閑話休題。
なんだか懐かしいな、と早人は思う。
このゲームに巻き込まれて一日たっただけのはずなのに、もう一週間以上日本にいないような気がする。
早人はそっと菊を手に取ると、元来た道を引き返していった。
エンポリオの遺体の傍に戻ってきた早人は、先ほどと同じように花を遺体の周りに並べてゆく。
どうやらこの量で足りるようだ、完全に遺体を包んだ花を見ると、仕上げにエンポリオの手に菊の花を握らせた。
早人はその出来に満足すると、自分もエンポリオの横にごろんと寝転がる。
床に頭をつけた瞬間、胸いっぱいに花の香りが飛び込んで来た、
その匂いがスイッチになったかのように早人のまぶたは下がり始める。
ヴァニラ・アイスとの戦闘は肉体だけでなく精神も酷使させていたらしい。
ーーーーー早人は気づいているのだろうか?
友を埋葬するという行為と、遺体の足をもぎ取る行為が矛盾してしまっていることに。
早人は体を蝕む眠気に無駄な抵抗をしながら虚ろに呟く。
「エンポリオ・・・君をかならず故郷に連れて帰るよ」
いつもの早人なら、殺人を犯してしまった罪深さで震えているだけだったろう。
早人の価値観はこの一日で変わってしまった。
今の彼にとっては吉良吉影を殺す事が全てであり、それ以外の事はもう何も感じ取れないのだ。
早人は呟き続ける。
「アメリカって・・・お小遣いで行ける距離かな・・・お年玉もくずさないといけないかな・・・」
ねぇエンポリオ君はどう思う?
そう呟くと少年は瞳に燃える炎を隠すように瞳を閉じた。
【H-3サンタ・ルチア駅/1日目 朝】
【川尻早人】
[時間軸]:吉良吉影撃破後
[状態]:気絶中、精神疲労(大)身体疲労, 腹部と背中にダメージ大、漆黒の意思殺意の炎、血まみれ
[装備]:なし
[道具]:支給品一式 ×2、ジャイロの鉄球、鳩のレターセット、メサイアのDISC
ヴァニラの不明支給品二つ(確認済み)
[思考・状況]
基本行動方針:荒木を倒したい。吉良吉影を殺す。殺し合いにはのらないけど、乗ってる参加者は仕方ない。
1.吉良吉影を殺す。邪魔をするような奴がいたらそいつも・・・
2.なんとかして鳩を取り戻し、承太郎に手紙を送る。
3.荒木の能力を解明したい
4.死んだ人達にはどう接すればいいんだろうか?
5.他の知り合いにも会いたい…。
6.エンポリオの遺体をアメリカに埋めてあげたい
[備考]
※吉良吉影を最大限警戒、またエンポリオの情報によりディオ、プッチ神父も警戒しています。
※ゾンビ馬によって右足はくっついていますが、他人の足なので一日たてば取れてしまう可能性があります。
歩いたり、走ったりすることはできるようです。
※血まみれの子供が二人花の中に倒れています。ぱっと見どちらも死体に見えるでしょう。
以上で投下完了です。
指摘、感想など遠慮なく言ってください
結局「人間辞めても」とは全然違った話になってしまいましたorz
バトルなんて初めて書いたので色々おかしいかもしれません大目に見て下さい
タイトルのブラックロックシューターの意味は
殺意の炎ってブラック★ロックシューターの目と似てるよね?ってことです
これは余談ですが白い菊の花言葉は「真実」「安らぎを下さい」です
120 :
創る名無しに見る名無し:2009/05/16(土) 01:45:14 ID:bpR5Dzc5
投下乙!
こういういかにもジョジョな戦闘がジョジョロワの醍醐味だよなあ
氏に、あの「吸血鬼化議論」を乗り越え、素晴らしい作品を書き上げたことに敬意を表する。
しかし、貴重な凶悪マーダーがまた一人…
ディオは人間、ディアボロは腑抜け、エシディシ&プッチはとりあえず中立、となると
現在ロワでマーダーであり、かつ実力も高いのは、
カーズ、吉良、ラバーソール、アンジェロ、チョコラータ、リンゴォ、タルカス
この7人くらいか…?
次点でJガイル、ブラックモア、エンヤ、由花子、フェルディナンドか?
どうも頼りない顔ぶれだなwこのロワいつ終わるんだ?wwww
指摘などは特にありません
投下乙です。
悪魔の虹最初の脱落者がヴァニラとは自分の予想外。そしてこんなところにコーヒーガムw
早人が漆黒の殺意を持ちつつ眠りについたところでブラック・サバスの邦題が「黒い安息日」というのを思い出しました。
誤字について指摘させていただくと
>>105 手つかづ→手つかず
>>108 さわかず→騒がず
>>111 半身身→半身
>>115 乗せらる→乗せられる
>>116 フラーワー→フラワー
>>117 他人と肉体と→他人の肉体と
があります。
それと、
>>108で早人は母親を「母さん」でなく「ママ」と表現すると思います。
投下乙!
初めてとは思えない素晴しい戦闘描写乙でした!
確かにヴァニラは惜しいな……
実力のある凶マーダとしての活躍にはまだまだ期待してたし
>>120 F・F、オインゴもマーダーだし危険人物もまだまだたくさんいるけどなw
>>121氏の指摘に修正を加えた物をwikiに載せます
誤字脱字多過ぎてワロタwwwww
そして今日はラジオの日ですね!wktkしながら聞きます
124 :
創る名無しに見る名無し:2009/05/17(日) 11:11:12 ID:dSirxoaB
ラジオは私用で聞けないので、誰かがミラーをうpしてくれることを願う
125 :
創る名無しに見る名無し:2009/05/17(日) 21:03:06 ID:RzcUEyKt
ラジオきてる?
127 :
創る名無しに見る名無し:2009/05/18(月) 01:57:01 ID:tRsoV2XE
ラジオ終わったー
充実した5時間だった
ああ
どうも、こんばんは。
聞いてくださった皆さんありがとうございました。
すかさず告知です。テンプレは
>>86の通りなのですっ飛ばすとして
来る5/24(日)の21:00から、ジョジョロワ2ndを題材にラジオをさせて頂きたいのですが宜しいでしょうか?
ラジオのアドレスと実況スレッドのアドレスは当日にこのスレに貼らせて頂きます。
ああ、了解
ああ、が流行語になったwwww
ああ、つまりあれだろ? ああ
ああ、あれだな
ああ、ガムやるよ
ああ、みんな久しぶり
パソコン壊れてました
今日明日くらいに地図編集してきます
ラジオも後ほど聞かせていただきます
たのしみだー
ああ、PCドンマイです
ああ、地図氏いつもお疲れです。
>>135 ああ、どうもです
なんか失礼な気がしますが、流行なのでお許しをw
ああ、かまわんよ
ああ、頑張ってください
>>100◆xrS1C1q/DM氏『LOVE LOVE LOVE』
【吉良吉影】【山岸由花子】【空条承太郎】
>>118◆bAvEh6dTC.氏『ブラックロックシューター』
【川尻早人】
以上を現在地地図に追加しました
http://rowvj6pbm.ame-zaiku.com/index3.html 18日に「今日明日くらい」って言っておきながらごめんなさい
ギコナビのログもふっとんで泣きそうですがSS読み返して元気もらっています
みなさん本当にありがとうがざいます
承太郎って辞書登録してたのも消えているぞ!おおお
うおおおお、乙です、超乙です!
ところでwikiを勝手にちょこちょこいじってるんだけど、よかっただろうか
不便になったと感じたらごめん
予約から時間が立って申し訳ありません。
修正の見直しと確認、推敲をして半ぐらいに投下したいと思ってます。
支援してくださる方、おられましたらよろしくお願いします。
すみません、もう少し時間をください orz
必ず今夜中には投下しますのでどうかお許しを…
頑張って!
色々と直前にバタバタしてしまいました。申し訳ないです…。
それでは パンナコッタ・フーゴ、花京院典明、グェス、荒木飛呂彦
投下します。
昇り始めた太陽が恨めしい。
今の今まで僕を照らすことなく日陰者にしてきた張本人はしたり顔でスポットライトを当て、表舞台に引きずり出した。
睨み付けるように顔をあげるとそんな僕を非難するように容赦ない光が脳をチリチリと焦がす。
立ちくらみを感じ思わず立ち止まる。
すべてのものに公平なはずの太陽さえも僕に圧力をかけているかと思うのは被害妄想だろうか?
そう思い、惨めであろう自分の姿を想像すると自虐的な笑みがこぼれた。
第一回放送を聞いてから一時間ほど。現在僕は進路を西にとり、線路か政府公邸を目指して歩き続けている。
先ほど存在に気づいた写真の同行者、吉廣氏には申し訳ないが彼にはポケットの奥底で黙って貰っている。
正直なことを言うと僕はまだ結論をだしてない。将来協力者になる可能性のある彼の機嫌を損なうのは頂けないがそれでも慎重な判断をすべきだと僕は思った。
それは吉廣氏が述べたことがあくまで彼『だけ』の話であり、あくまで彼の主観的な話であること。
吉廣氏が言った絶対に殺しあいに乗らない仲間、吉良吉影。
幸運なことにこの世界に来てから僕はいかに『絶対』というものが脆いか思い知ることができた。
そう考えると吉良吉影という人物が吉廣氏の言ったとおり『殺し合い』に乗らないか、どうか怪しいものだ。
仲間一人の証言をどこまで信じられるかだろうか。それこそ吉廣氏の言葉しか信用すべきものがないのにそんな相手に命を任せるなんて愚の骨頂だ。
何処の誰かのように生き残ることを強いられ、頼るものもなくし、仲間を失った者はこの舞台では容易く変わる。
なぜならこの僕、パンナコッタ・フーゴがそうだから。
そしてもう一方。
強盗、殺人、横領、暴行などなど…。彼の話を信じるならご対面はぜひとも遠慮したい。
吉廣氏が被害者側であり、多少の誇張表現が含まれていたとしても犯罪という分野に関わってることは間違いない。
危険人物である空条承太郎、及びその仲間たちがたとえチンピラのような分際であったとしても僕としてはそんな野蛮な人間に関わるのはゴメンだ。
…だからと言ってその集団が必ずしもこの舞台では『悪』とは断定できないけれども。
なぜなら僕たち、パッショーネのギャングだってそうだから。
ブチャラティ、アバッキオ、ミスタ、ジョルノ、ナランチャ…。
彼らは僕と違う。困難が立ち塞がろうとそれから逃げることなく向かっていく。それがどんなに巨大な壁であろうと。
彼らは僕と違う。正しいと思う道を、進むべき道を切り開いていく。それがどんなに困難なものであっても。
『オレは“正しい”と思ったからやったんだ。後悔はない……こんな世界とはいえ、オレは自分の“信じられる道”を歩いていたい!』
『“鍵”を渡すことはない。そしてフーゴもアバッキオも無事でみんなのところに帰る!』
『この国の社会からはじき出されてよォーー…。俺の落ちつける所は………ブチャラティ、あんたといっしょの時だけだ………。』
『よお………オメーか、フーゴ』
『オレに“来るな”と命令しないでくれーーーーッ!トリッシュはオレなんだッ!オレだ!トリッシュの腕のキズはオレのキズだ!!』
痛む頭を押さえる。直射日光から守るように目を日陰で覆うと僕の足はまた動き始めた。
時々僕は自分の頭脳が恨めしくなる。IQやらなんやらで人の可能性を決めつけるのは嫌だが、客観的に見たら僕は賢い部類に含まれるのだろう。
だったら、と願う。
僕はどうしてもっと聡明じゃないのだろうか?
或いはどうしてもっと間抜けじゃないのだろうか?
ああ、わかってるさ。悪態を吐きたくなるのを堪える。ここで言ったらそれは即ち自己否定になるだろう。
それでもわかってしまう。本心を客観的に見つめてしまう。
それが見えなければいいのに。
それが客観的でないと心底否定できればいいのに。
結局の所僕は脅えてるにすぎない。
決断を先伸ばしにしたのはどちらにでも都合が良いときに付けるようにとの下心からだ。
都合がいいほうに味方できるようにだ。
決断してしまったら……ゲームに乗ったとしたら……もう戻れないのだから。
一ヶ所に留まって参加者最後の二人になるまで待つという選択肢を取り上げられた僕はもうどうすればいいかわからない。
それが唯一の道だと、なけなしの勇気を振り絞った僕にはその道しか選べないように思えたのに…。
それを荒木は許してくれなかった。
殺すことも殺されることも御免だ。
人影に脅えてビクビクするのも勘弁だ。
それでもそうするしかないんだ……。
堪えきれなかった感情は溢れて口をつく。
「僕は……死にたくないんだ………」
歩くことに取りつかれたように僕の体は動き続ける。
意図せずとも漏れた呟きは誰に届くこともなく消えた。
嫌なんだ。
恐いんだ。
死にたくないんだ。
誰か助けてくれ。
不意に聞えたその声は天使の助けか、悪魔の囁きか。
「やあ」
ああ、確かに求めたさ。
「死にたくないんだ、って?」
助けてくれ、と願ったさ。
どうにかしてくれ、と思ったさ。
「それだったら…取引しようか?パンナコッタ・フーゴ君…」
けどこれは冗談キツいだろ?
目の前に聳え立つ政府公邸を背景に突如現れた男。
ゲームマスター、荒木飛呂彦。
選択する権利さえ奪われた僕はもう、乾いた笑いを漏らすしかなかった。
◇ ◆ ◇
「そう急かさないでください。警戒を緩めるにはここは危険すぎます。常に気を張って、ほんの少しの気配でも感じたら……」
「わかってるって、花京院。それにしたってこんな時間に襲いかかってくるような奴はいないと思うぜ?せっかくのお天道様だってのに…もっと楽しまないとなッ!」
「ちょっと、グェスさん!…まったく………」
ため息と駆け出したあたしのあとを追いかけるような靴音が聞こえて思わず頬が緩む。
だらしない表情を曝してると頭で理解しながらもあたしはそれを変えることができなく、ただ花京院にそれを見られないようにまた少し足を速めた。
まったく…ハイスクールの女生徒じゃねーんだからと、今まで散々馬鹿にしてきた極めて『女の子』らしい行動に我ながら呆れる。
家族や知り合いにこんな光景を見られようものならそれこそこめかみにトリガーを突きつけてバン!だ。
言うまでもなく突きつけるのはあたし自身のこめかみだけど。
後ろからやって来た人影を横目で確認する。ちらりと視界に映った男…青年は息を弾ませながらあたしの横に並んだ。
平均身長よりやや高い、それでいて華奢な体。
呆れと心配からかすこし皺をよせた顔は男と言えどどこか美しくある。
なによりもその気高く孤高に輝く瞳はあたしにエメラルドを思い起こさせた。
「……?どうかしましたか?」
ばっちりとあたしと目があった花京院が聞いてくる。
キラキラ緑色に輝くお前の眼に見とれてた、なんてことを初なあたしが言えるわけもなく慌てて取り繕ったような言葉を返した。
「ああぁ…と…、えぇと…。そーいえばまだ朝食をとってないなぁー…ってな、思って。それで……」
上ずった自分自身の声を聞いてあたしはますます焦った。
こんな調子じゃ顔も赤くなってるんじゃないかと思い、それを隠すために平静を努めてに俯いた。
それでも花京院の奴は話しかけてくる。石を蹴飛ばし妙にぎこちないあたしに気を使って話しかけてるんだとしたら……くそ、意外に鈍いやつなんだな………。
あたしたちは今、政府公邸を目指して向かってる。
日記をパチったあたしの行動に花京院は最初、おおいに怒りを示した。
曰く『なんて危険な真似をッ!こんなことをしたら今すぐにでも荒木が取り返しに行動を起こすかもしれない……!』とのこと。
ただその一方で『貴女の行動は気高く勇気ある行動でした。誇りを持つべきでしょう。』とのこと。
別に誉められたかったからパチったわけじゃないし…ただ自分の手癖の悪さが出たっていうか…。
まぁ、誉められて嫌な奴はいなく、あたし自身もその大多数と一緒で満更でもなかった。
日記は荒木のスタンドによって細工が施されたのか開くこともできなかった。
そして花京院が言うにはだからこそ良いらしい。
『それだけ必死に荒木が隠したいものとは…』
そう言ってぶつぶつ呟いた後、最も近くにある施設、政府公邸で詳しく調べたいとの事をあたしに言ったわけ。
でもあたしとしても政府公邸に行くこと自体は大賛成だった。
そこに行けば食事も取れるだろうし、どっしりと腰を据えての情報交換もできる。
他の参加者に合う機会でもあるし、なにより体を休めるに最適な温かいベットだってあるだろうし…。
い、言っとくけどベッドっていうのは…その…イメージの中でもシングルベッドだからな!
キングサイズだとかツインベッドだとかあたしがこいつとチョメチョメだとか………。
そんなことは断じてないんだからな!
「そうだ、絶対ない………ッ!」
「???」
唐突なあたしの言葉に花京院は頭上に疑問符を浮かべる。
あたしはそれを気にかけずずんずんと足を進めた。
不意に喉の乾きを覚えた。
それもそうか…。なんてたってもう六時間も動きっぱなしだ。
この緊張状態…殺し合いの緊張状態は簡単に人の体力を奪う。
そう考えたとき、さっきのあたしが口走った『まだ朝食をとってない』っていう提案が現実味を帯びてきた気がした。
まぁ、それでも流石にここで鞄を広げてピクニックってわけにはいかねーな。
そう思って鞄を体の前に回す。中を手探りで物色するとお目当てのペットボトルが出てきた。
歩き食いする気分じゃなかったし、事実あまり腹は減ってなかった。
喉を潤す水の冷たさを感じるとあたしの体は満足したのか、欲求をようやく押さえた。
それでもそれはペットボトルの半分までもを消費するには充分で、あたしはふと補給ができなかったらどうしようと思った。
きっとそうやって別のことを考えてたからだろう。
あたしがペットボトルの蓋を絞めきる前に、デイバッグそれごとを落としてしまった。
慌てて拾おうと身を屈めたがそこには水でふやけた物を口からぶちまけたデイバッグがあるだけで、仕方なく使い物になるか微妙な用具を集め始めた。
この時ドラマでよくありがちな物を拾おうとして男女の手が重なり『あッ………』っていうワンシーンを思いだしてしまったのは内緒だ。
先に言うが期待なんてこれっぽちもしてないからな!
ただこういうシチュエーションはあたしにしては珍しいかなァ……って思っただけ。
結果としてあたしの手を花京院が包みこむなんて幻想は妄想に終わり、あたしは無事ふやけた地図と名簿に向かい合うことができたというわけ。
ただひとつを除いては。
「花京院………」
あたしの声の低さに何か読み取ったのか、花京院も柔らかな表情だったものを険しくするとあたしを見つめる。
黙ってあたしはそれを渡した。デイバッグの中で唯一濡れずにすんだ、正確にはなぜだか『濡れてない』日記を。
「これは………?」
「ああ、それだけじゃない。」
顎で促すように示すと今まで頑なに閉じていた表紙に力を込める。
すると、どうだろう。今までは開かなかった日記は急にその拘束を放ち、中身を曝し始めた。
真っ白な中身を。
「こ、これは………?!」
「何か条件があるんだろうな。とにかく思った以上にこいつはヘビーそうだな…。」
「急ごうぜ、花京院。そうとわかったらグズグスしてねぇで一刻も早く政府公邸に行かねえと。」
明らかに流れ出した緊迫感。
そこにはさっきまであった余裕は消え失せ、黙ったまま小走りになるあたしたちしかいなかった。
さっきまでの下らない妄想の数々を打ち消すように頭を振るとあたしは足を動かすことに集中する。
この雰囲気が好きかと言ったらもちろん好きじゃねーさ。
もっと緩くてダルそうな感じがあたしには合ってると自分ながらに思ってる。
大体こういうシリアスってのはキャラに合わないんでよォ。
そう思ってもあたしは今、たった今、この状況にはこれっぽちも不安を感じなかった。
なぜならあたしの横にはコイツがいてそしてコイツは言ってくれた。
『僕と友達になってください』ってな。
柄にもなく太陽が明るく見える。いつもと違う、あたしを優しく温かく包んでくれる太陽。
隣に並んでくれる奴がいる。それがこんなに嬉しいことなんて知らなかった。
それでも今だけは、この一瞬の幸せな時間に浸っていたいと思った。
◆
入り口に設けられた鉄門を慎重に開いていく。
いつもだったら気にならないであろう、それが軋む音に冷や汗を流しながらも二人して庭園に入る。
閉めるべきかどうか、少しの間悩んだが庭園内に警戒を張る花京院に聞くのも気がひけて、結局あたしはゆっくりと後ろ手に門を閉めた。
移動中に知ってびっくりしたがあたしのグー・グー・ドールズのような不思議な力は『スタンド』と言い、花京院もスタンド使いらしい。
運命を感じるだとかそんな狂言を吐いてる余裕はなく先行させたグー・グー・ドールズの視界に何か写らないか意識を集中させる。
……特に不審なものはなし。隣にいる花京院に頷きでそれを伝えると花京院も同様に頷きを返してくる。
それを合図に庭園内を疾走する。政府公邸の入り口まで全速力でかけていく。
あたしたちが呼吸を整え安堵の息をついたのは扉にあたしたちの体を滑り込ませた後だった。
ほっとあたしを戒めるかのように花京院が手を挙げる。反射的に視線を向けるとその指が広々とした玄関ホールの脇にある一室のドアを指していた。
依然スタンドを出し警戒を解かないまま扉の前にたつと、花京院のスタンドが扉の下より滑り込んだ。
幾分か経過した後、中の安全を確認できたのか、花京院が扉を開くとそこは小さながらも政府公邸の名に恥じない立派な一室があった。
「…ふぅ」
「とりあえずは大丈夫そうですね」
そう言って互いに椅子に腰を下ろす。中央に置かれた背の低いお茶用の机を挟んで向かい合うようにあたし達は座った。
うお、柔らけぇ。いい椅子使ってんな…。
「大きすぎる施設ってのも考えもんですね。これ程だと中に誰がいるかどうかもわからない」
「あたしたちはゲームに乗ってないッ!……なんて大声で主張するのも間抜けだしなぁ」
あたしの言葉に頷きなから花京院は自分のスタンド、法皇の緑を展開していく。
イソギンチャクみたいに触手を伸ばしてく様は見ていて気味が悪いが口に出すとなんだか悪いのでやめといた。
細切れになった緑の網は部屋中に広がりさらに隙間から外に出ていった。
「法皇の結界…僕のスタンドで簡単ですが警戒ラインを敷きました。これで安心して情報交換ができますね…。」
ソファーに座り直し、顔の前で手を組む。
花京院はそうした後、組んだ手の向こう側から覗きこむようにあたしと目を合わせてきた。
この殺し合いに巻き込まれてからのことは歩きながらある程度は話終えていたから主だったものは自分達の境遇と互いの知り合いについてだった。
花京院の話を聞いて真っ先に考えたことは花京院にあたしが犯罪者であることを言うべきかどうかだった。
花京院の正義感の強さは話だけでなく実際に荒木の部屋でもあたしは目撃している。
そしてその過酷という言葉が生ぬるいほどの冒険とその発端。
…普通友達のお母さんのためとは言え命をかけれるか?
あたしだったら少なくとも二つ返事で答えることも、躊躇いもなく首を縦に振ることもできないだろう。
そんな正義馬鹿…とまではいかないが、とにかくこいつがあたしが犯罪者であることを知ったらどうだろう…。
あたしは悩んだ。
相槌をうち、話を聞きながら必死で考えた。
適当な質問で話を引き延ばしながら脳みそをフル稼働させた。
そうして大袈裟なリアクションをとり時間を稼ぎ、あたしは結論を出した。
「――――…と、まぁ僕の話はこんな所でしょうか。」
「それじゃ、次はあたしの番だな。」
ソファーに改めて座り直す。姿勢を良くして背筋を伸ばす。
緊張で顔が強張ってないか不安だったが仕方ねぇ…。
いや、むしろ自分の過酷な『運命に』ついて語るんだ。少しぐらい緊張が伝わったほうが良いだろう。
唇を舐め、唾を飲み込んだあたしは花京院に向かって口を開いた。
「まず最初に、花京院だから話しておく。あたしはアメリカにあるグリーン・ドルフィン刑務所に服役中の犯罪者だ」
重々しい口調を意識した。
驚愕に見開かれた目に構わず言葉を続ける。
「……はめられたんだ、あたしは。たぶんこんなこといっても信じてくれないだろうけど…信じてくれ、花京院。あれは確か夏だったかな…?」
正義感が強い花京院、だからこそなのか、こいつは甘ちゃんだ。それもあたしがびっくりするぐらいの。
だからきっとこいつはあたしを信じる。
気の毒でしたね、なんて同情を示して。あたしが正真正銘の犯罪者なんてこれっぽっちも思わないだろう。
……罪悪感がないかって?友達を裏切ることにならないかって?
…それじゃなんて説明すればいいんだよ。
あたしは放火に殺人未遂に仮釈逃亡を重ねて刑期が12年あるベテラン囚人です、って言えばいいのかよ?
小心者で他人に嫌われるのが嫌で人生失敗してきました、なんて言えばいいのか?
……そんなこと………そんなこと言えッかよォ!
偽りの表情を貼り付けながらあたしは胸を痛めた。
きっと花京院はこの話を信じ、いもしない犯罪者に怒り、ありもない冤罪を被ったあたしを慰めるだろう。
罪悪感で胸が張り裂けそうだった。
それでも、あたしは初めてできた『友達』を失いたくなかったんだ……。
◆
しえん
「それにしても不思議ですね。『空条』なんて苗字はそうざらにあるものじゃないんですよ」
「でもあたし自身、あいつのフルネームは知らないからな…。かもしれない、だけであって違うかも」
「それでもなにか運命的な物を感じますね。同じ知り合いが同じ苗字…もしかしたら親戚かもしれない」
小声だが二人の会話は続く。
驚きと旧友の名前を聞いたからか、若干饒舌になった花京院の言葉に愛想笑いを浮かべ相槌を打った。
憂鬱な気分だったがそれをおくびにも出さずあたしは花京院の後に続く。
警戒を怠らずに次々と部屋を回っていく中で、あたしは気分を落ち込ませまいと無理に振舞っていた。
幸い状況が状況だったから、幸いにもいつもと違うあたしでも怪しまれることはなかったようだけど。
部屋の扉を開く。
相も変わらず高価な机やらソファーやらで部屋は快適に過ごせそうだ。
あたしには全部一緒に見えるが隣にいる花京院が言うにはその部屋その部屋で応接室、来客室、従者室等々……。
とにかくあたしが言いたいのはここが安全だと主張するにはまだ早い、ってことだ。
それだけ部屋があるってことはそれだけ隠れる場所が多いわけだからな。
とはいってもあたしは途方もなくある部屋の多さにいい加減勘弁だった。
ただでさえさっきのことがあって気持ちが落ちてるあたしには、部屋で隠れてる参加者をひたすら探すのはキツい作業だった。
まったくもういいだろ…。
少し投げやり気味に入り口から死角になった物陰を覗きこむ。
いなかったことにほっとしながらもあたしはうんざりし、隣に繋がる扉に手をかけた時だった。
花京院があたしの肩を掴む。
普段物腰が柔らかいコイツにしてはやけに強い…というか強引過ぎる。
そのまま部屋の壁際まで押し込まれるように移動を強制された。
少し痛む肩に顔をしかめつつ、見上げる花京院の顔は何処までも強張っている。
何かを言おうとして視線をさ迷わせ、花京院はそれでも黙ったままだ。
…あたしは覚悟した。
ああ、きっとさっきの嘘がバレたんだな。いや、もしかしたら最初から気づいてたのかもしれない。
それでも優しい花京院は口に出せなかっただけで。あたしがこうやって気持ちの整理をすることを見越していたのかもしれない。
でも…だからこそあたしは花京院が許せなかった。
お前が言ったんじゃない、友達だって。自分の言葉に責任とれよ、お前は。
お前がいう友達ってのはそんな軽いものなのか?気を使い合う必要があるのかよ。
空条ってヤツの母親のため、飛び出したお前と空条の間にはそういう遠慮があったのかよ。
八つ当たりだって……?
矛盾してるんじゃないかって?
そんなの知ったことかよ…ッ!
あたしの感情の昂りに合わすようにグー・グー・ドールズは姿を現す。
顔を歪めまいと堪える気持ちはきっと自分の傲慢な気持ちなんだろう。
それでも押さえきれなかった。耐えることなんてできなかった。
花京院…お前が言った『友達』が偽りだっていうなら……あたしは……あたしは…………ッ!
甲高い奇妙な音と銃撃音。
二つがあたしの耳に入った瞬間、体は突き飛ばされバランスを崩ししこたま頭をぶった。
振り返ったあたしの眼に映ったのは肩から血を流して崩れ落ちそうになる花京院。
そしてその向こうには部屋の切れ目から体を半身だけ出し片手に銃を持った青年。
瞬間身体を動かした。
怖いという気持ちが自分の中で湧き出る前に這いずるような格好で花京院に近づく。
歯をガチガチぶつけ合う音が自分の物とは思えず、それでも花京院の身体を無理矢理引っ張っていく。近くのソファーの裏側まで行かないとこのままじゃいい的だ。
もちろん襲撃者がそんなことを許してくれるはずがない。青ざめやけに若い、少年といっても通ずるようなそいつは今度は身体を完全に乗り出させて銃を持ち上げる。
あたしの脳裏に浮かんだのは一瞬で命を刈り取られた老人の最期。
あいつは直前まで自分の死に気づかなかった。痛みもなく、でも髪の毛一本も残さず瞬きする間に文字通り消された。
走馬灯のように駆け巡る映像の中でもあたしが感じた感情はひとつだった。
死にたくない。
少年がそうしてるのか、脳内に分泌された何かがそうさせているように見せているのか。
やけにゆっくりと狙いをつけている間にもあたしは命を諦めれなかった。
死にたくない。死にたくない。死にたくない。
這い出る恐怖と諦めきれない後悔。
いったいあたしが何やったんだって言うんだ…ッ!
なんだよ、殺し合いって!
何であたしが殺されないといけないんだよ…ッ!
なんで……誰もあたしを助けてくれないんだよッ!
少年が引き金に指をかけたのとエメラルド色の閃光が走ったのは同時だった。
不意をつかれたのか、少年は顔をびっくりさせ眼を見開く。
それでも反射的にスタンドを出現させるとものすごいスピードで宙を舞う宝石を叩き落とす。
視線を固定されたまま首根っこを捕まれ、あたしは後ろに引っ張られる感覚に身を任せた。
あたしを庇うかのように広げられた手。
細身の身体をそらすようにして胸を張る。
傍らに並び立つはその気高い精神を象徴する叡知のエメラルド。
「法皇の緑ッ!」
多方から無数に飛びかかってきた射撃に流石の少年も対応しきれない。
一発、二発をスタンドの両の手で弾くのが精一杯。
三発目を射軸上から身体をずらした後は後退しながらなんとか直撃を免れるように部屋の扉から出ていった。
「グェスさん…」
花京院が振り向きあたしに語りかける。出血が続く肩を押さえながらも視線を合わせようとその場で片膝をついた。
「貴女のおかげです…。貴女が僕をこのソファーの後ろに導いてくれた。その行動が僕の命を救ってくれたのです。
たったそれだけ……、と貴女は謙遜するかもしれません。
でもそのたったそれだけが僕と貴女の命を救ったんです。あの少年の襲撃から僕たちを救ったんです。」
肩に温かみを感じた。
なぜだか狭まった視界だが今は気にならない。
遠くでぼやけたように見える花京院の姿と声を必死でかき集める。
「貴女は誇るべきだ。友達の危機を救ってくれた、僕の最高に頼れる友達だと胸を張ってください」
少年はまだ隣の部屋にいる。
安心が慢心に繋がりかねない状況にも関わらずあたしはそれでも込み上げてくる何かに身を任せて眼を瞑った。
友達、か…。
「だったらよォ、花京院…。」
見開いた瞳で花京院を見つめ返す。今度はあたしが肩に手を置く番だった。
怪我をしてないほうの肩にあたしの手を重ねるとほんのりと花京院の体温を感じた。
力強いその目線に押し負けそうになるがそれでも目を逸らすことなくことなくあたしは言い切った。
「あたしにも助けさせてくれ。さっきみたいにお前の危機を救わせてくれよ…」
あたしが先に立ち上がる。花京院の手を引っ張って立ち上がるのを助けてやった。
手を握ったままあたしはまた言葉を重ねた。
「友達なんだから」
控えめながらも笑みを浮かべ頷く花京院を見てあたしは本当に嬉しかった。
◆
グェスさんが戦力として計算できるのは嬉しい誤算だった。
情報交換の段階でスタンド使いになったのも最近で戦闘の経験が皆無に近い彼女にあまり負担が大きいようのことは任せれないがそれでも一人より遥かに戦略が広まった。
廊下側の警戒を彼女に任せると僕はするすると法皇の緑を潜行させる。
不安がないと言ったら嘘になるが一直線で死角もなく、視野も通ずる廊下なら彼女でも大丈夫だろう。
なにより彼女はさっき僕の危機を救ってくれた人だ。ここで信頼しなきゃいつする?
中庭は僕自身の視覚で確認する。隣の部屋がどうなってるか、わからないが庭に面してる以上そちら側からの襲撃にも警戒を怠ってはならない。
なんせ敵は少年だけじゃないんだ。最悪他の参加者が襲い掛かってくるパターンもある。
なにより銃を持ってる彼に対して位置を把握してないのは致命的だ。今の僕の最優先事項は少年の位置を把握すること。
最大の利点、射程距離に自信のある僕のスタンドを広げ進めていく。この状態なら最悪塊になっている頭部の法皇さえ攻撃されなければ重症には到らないだろう。
隣の部屋は…バスルームか。政府公邸に恥じない広々とした優雅な空間も今の僕には厄介なものでしかない。
天井を伝って少年の姿を探る。気配を消して部屋中、それこそバスタブの中も、便座の内部も覗きこんだが彼を見つけることはできなかった。
こうなると彼はもうひとつ隣の部屋ということになるか…。
扉はガラス張りで閉めきったその状態でも僕のスタンドには充分な隙間だった。
音をたてることなく忍び込むように身体を捩じ込んでいく。もちろん、少年の捜索と警戒は怠ってない。
グェスさんが何の合図を出さないことを考えるとやはりこの部屋に潜んでいるな……。
部屋はベッドルームだった。
英国風の四隅の柱が高い、いかにも高級感漂うベッド以外にこれといった家具はなく隠れそうなスペースもなかった。
…しかし中庭に人影はない。廊下にも少年はいない。となると…。
馬鹿らしいが隠れれるスペースは子供の遊びで一番候補になりそうなベッドの下しかないか。
覚悟を決めて攻め込む。
ここでエメラルドスプラッシュは使わない。仮に射つ瞬間と少年が飛び出るタイミングが重なりようものなら、僕のスタンドは射撃の後の無防備な姿をさらすことになる。
そして法皇の緑を細くベッドの下に潜りこませるという手段もとれない。
僕が思い出したのはさっきの僕のエメラルドスプラッシュを弾いた時の少年のスタンド。
可能性でしかないが、見たものは確かだ。
弾いた両の手の甲にあった玉のようなものから煙が漂っていた。そして僕の戦いの勘があれは危険だと警報をならしている。
スタンドの能力がわからない以上迂闊には攻めれない。そうなると僕がとるべき手段は…。
意識を集中させて紐状になっていた法皇の緑を集結させる。人型に形づくっていくそれを臨戦態勢にすると僕は声を伝えた。
「抵抗するなら容赦しないッ!ベッドの下にいる少年、今すぐ出てこいッ!」
エメラルドスプラッシュを放てる態勢をとる。
頭の片隅ではベッドの周りに法皇の結界を張るという選択肢も浮かび、とにかくどのタイミングで少年が出てきても対応できるよう神経を集中させた。
数秒も経たない間に、驚くことに少年は簡単に姿を現した。
匍匐全身のような状態から立ち上がると降伏を示す態度を微塵も見せず、堂々と僕のスタンドの前に立った。
「…なんの真似だ?」
法皇の緑が僕の言葉を繋ぐ。少年は気だるそうに黙ったままいると、次に両手を挙げて克服の姿を見せた。
…不可解な行動だ。どうしてだ?
最初ベッドの下から這い出てこなかった理由は?すぐに降伏の意を示さなかったのは?
そして僕はその理由をこの身をもって知ることになった。
両手が少し閉じられるようになっていたのはその理由か。指に引っかけられた二つの爆弾が宙を舞った。
僕が最後に視認できたのは少年の口角が皮肉げにつり上がったことだった。
轟音と閃光。
「ぐぅ………ッ!!」
手榴弾でなかったのは彼が持ってなかったからか、或いは自分のダメージを考えてか。
スタンドを経由して本体の僕も視覚と聴覚を失い、頭を抱える。
法皇の緑を自衛のため呼び戻した僕に僅かだが扉を開く音と人間が走るような音が耳に入った。
「――――………い、花京……――!廊下から…――」
グェスさんの言葉が耳に入るが事態はそう暢気にしてられない。
聴覚に直結している三半規管もやられバランスがとれない僕はふらつきながらも廊下側の扉に静態した。隣にいるグェスさんを引き寄せて襲撃に備える。
扉が吹き飛んだ。狂暴なスタンドを携え銃を片手に少年が乗り込んで来た。
瞳孔は大きく開かれ顔には恐怖を浮かべている少年。狂気が走るその顔に僕はゾッとした。
明確な殺意を持った彼の瞳が僕らが捕らえる。獲物を前にした狩人かのように彼は躊躇いなく踏み込んできた。
だがそれも予想通り。
僕があらかじめ扉前に張った、法皇の緑の結界その中に。
「食らえ、このエメラルドスプラッシュをッ!」
範囲を広げることなく集中させた緑の弾幕が360度より飛来する。その密度の高さは僕の最高の攻撃ッ…!
相手のスタンドのスペックは恐るべきものだ。パワーとスピード。承太郎のスタープラチナには及ばないが、それでもその水準の高さでも僕の攻撃は捌ききれない…ッ!
弾かれた光弾は無数。それでも襲いかかる弾数は数知れない。致命傷は与えることができないのも計算の内。
僕はふらつく視界のなかで法皇の緑が床を這うように少年に向かっていくのを見て勝利を確信した。
カラン、と乾いた音を立てて拳銃が転がる。
弾幕が消え失せた時、そこにいたのは僕のスタンドが右手に巻き付き、拳銃を叩き落とされた少年がいるだけだった。
幾つか直撃を避けたものの僕の結界は少年に確実にダメージを与えていた。
青痣が額に浮かんでいる。咄嗟に僕の攻撃から身を庇ったのか、右腕は力なくぶら下がるのみ。
それでも僅かにそれだけだ。
あれだけのエメラルドスプラッシュを致命傷なく弾いた彼のスペックに感嘆すると共に無力化できたことを喜ぶ。
警戒を以前より強めながらもゆっくりと距離を縮め、唇を切って血を流している少年に僕は語りかけた。
「…さぁ、大人しくしてもらおうか。肩にかけてるデイバックをお「チェスの駒……」
言葉を遮られたことに眉を潜める。幾らか拘束を強められながらも少年は息を乱し言葉を続ける。
「ポーンって哀れな駒だと思わないかい…?大抵のポーンはオープニングゲーム、中盤の中央の支配権争いで散ってく。
生き残ったと安心した終盤にはそれでも足を動かすことを強制されてしまいには終着点にたどり着いても、今度は更なる働きを要求される…。
哀れな駒だよ、ポーンって奴は」
右腕は…緑の法皇が絡め取っている。銃は彼と僕の中間点近い位置。
スタンドにも絡みつき、獰猛なその紫の肉体を駆使しても解けないように比重は割いてある。
それなのにこの余裕はいったい…?
「何が言いたい…?」
「勝負には何が必要かって話さ…。結局最後に勝負を決めるのは感情じゃないし、覚悟でもない…。」
「勝負を決めるのは犠牲にするものが何かってことさ」
少年の左手が持ち上がる。僕の視線はそれを追い、凍りつく。
法皇の緑は全身に巻き付いているとは言え、彼自身、そしてスタンドの無力化を主にして配置を割いている。
つまり僕は彼の攻撃手段の拳銃とスタンドを完全に押さえ込んでいた。
だが。
少年の左手には二丁目の拳銃が握られていた。
法皇の緑の力じゃ彼の身体を絞め殺すことや、骨を粉砕させることは不可能。
加えて彼は指の引き金を引くだけでよくて、僕は意思を伝えスタンドを操らなければならない。
血液が凍りつくような感覚。ゾワッと全身の毛が逆立ち、警戒信号という形で存在を主張する。
視覚から入った情報はただ事実だけを述べた。僕はやっと動き始めた。
けれども間に合わない。
さらに狙いは僕じゃない。
グェスさんだ。
スローモーションのように少年が拳銃で狙いを定めるのを脳が処理した。
揺れる視界の中、身体をなんとかグェスさんの前に入れようとする。
射軸上に遮蔽物である僕を入れて彼女を助けようとする。
だが………くそ、間に合わない…ッ!
そう思った時だった。
何かの力が僕に作用する。
横っ飛びで足りなかったベクトルは補われ、僕の身体はちょうどグェスさんの前に着地した。
少年の顔が驚きに染まる。驚いてるのは僕自身もだ。
いったい何がおきてこうなったんだろうか。
尤も答えは僕の身体自身が知っていた。
両肩にかかるか細い腕。さっき僕の肩を震えながらも支えた手。
答えはシンプルだ。僕の身体はグェスさんによって引っ張られ、足りない力的エネルギーを補った。
信じられない思いで顔を真後ろに回す。少年が手にした凶器に引き金をかけないのはなぜだろうか。
そして振り返った僕は後悔した。
そこにいたグェスさんは醜かった。誇り高き僕の友人は堕ちたゲス野郎の顔をしていた。
己の誇りより醜い生に執着する人物がいた。
瞳孔が収束し揺れた。
罪悪感があるのか…。僕を盾にしたことに背徳感があるのか…。
心底残念だ。
僕は友人を庇い死なず駒のように使い捨てられ死ぬことになった。
甲高い銃声が政府公邸に尾を引いた。
◆
カランと無機質な音が響いた。
まったくの無というほどの静寂が部屋にこだまして沈黙が降り立つ。
飛び散った薬莢から煙が一筋漂う。
動いたのあたしじゃなかった。
崩れ落ちたのは花京院じゃなかった。
少年は左手に持っていた拳銃を取り落とすと、呆然とした表情のまま膝から崩れ落ちた。
顔は地を向き見えないが、その後から微かに聞こえる啜り泣く少年の声が悠然と彼の状態を物語っていた。
花京院がなにかをしたわけじゃない。無論あたしがなにかをしたわけでもない。
銃弾は花京院の足元に撃ち込まれていた。何が少年をそうさせたのか。何が銃撃を外す要因となったのだろう。
ただ最後の瞬間に彼が意図的に外したのは確かだろう。
真っ先にあたしが思ったことは安堵だった。そしてそう思った自分が恐ろしかった。
恐る恐る顔を挙げる。大きな背中はなく学生服のボタンが並んでいることで花京院があたしと向かい合ってることがわかった。
あたしの視線を捉えた花京院の瞳は靴底に張り付いた汚物を見るようだった。
「ッ!!」
ドンと突き飛ばす。傷口がある肩の辺りに触れたが、花京院は二、三歩よろけただけで表情を変えずに冷めた目付きのままだ。
自分がわざと傷口を狙ったという行為に狼狽しつつも、どこかでそれでも表情一つ変えず冷めた目付きの花京院が憎かった。
なんだよ…その顔は……なんだって言うんだよ………?
あたしは良くやったと思う。今の今まで命を賭けた戦いなんてしたことなかったのに自分の役割を果たせたと思う。
そもそも花京院が死なずに済んだのもあたしのおかげじゃねーか…。
あたしがソファーの後ろに引っ張ったってことがあったからこそお前は生きてられるんだぞ?感謝はされても非難はされる覚えはない………。
言い聞かせても歯軋りは止まらない。悔しいのか、憎いのか。
ただごちゃ混ぜになったどす黒い感情が込み上げる。
しえん
くそッ…なんだって言うんだよ…。
その眼を止めろッ……!そんな目で…あたしを見んなッ!
あたしを……………哀れむんじゃねえッ!!
可哀想な物を見る目付きになった花京院をその場に残してあたしは飛びようにその場を去る。
廊下側じゃない扉を潜り、バスルームを脇目も触れず駆け抜けると勢いのままにベッドに身を沈めた。
くそッ、くそッ、くそォ………!
悪いのはあたしなのかよ?この臆病者のあたし?
なんでだよ、誰だって死にたくないだろうが…。助かる可能性があるならそれにすがり付くことは悪なのか?
ぼふっ、と枕が音をたてる。あたしが感情から、怒りに任せて拳を叩きつけたからだ。
罪悪感はある。
自分を友達と言ってくれた花京院の気持ちを裏切ってしまったとも思ってる。
そうだ、悪いのはあたしじゃない。花京院でもない。
あの襲撃者の少年だ。あいつがここにいたから何もかも台無しになっちまった…。
そうだ、あいつが………。
そこまで考えてあたしは考えるのを止めた。言い訳を考えるのも疲れたし、なによりあたしが行動したことは変えられない。
あたしは花京院の気持ちを裏切った。自分の命惜しさに咄嗟にあいつを盾にした。
銃弾が外れた時、自分に害がなかったことに最も安堵した。
…なんだよ、そういうことかよ。
ちくしょう、最初から答えは出てたんじゃねーか…。
「あたしが一番悪いんじゃねーか………」
言い訳してるのもあたし。
裏切ったのもあたし。
殺す覚悟も殺される覚悟もないのもあたし。
ないない尽くし、ははは、情けねぇ……。
でも。
それでも…それでもあたしは、あたしは………
「死にたくない………」
ごろりと体の向きを上にした。天井は無表情のままあたしを見返し、なにもかも忘れようとあたしは右腕で顔を覆った。
◆
恥も外聞も捨てて僕は号泣を続けた。
子供の様に泣きじゃくり、口からは嗚咽が、鼻からはみっともなく鼻水を撒き散らしてる。
女性は何処に行ったのだろうか。というかいつの間にいなくなったのか。
潤んだ視界で周りがぼやけ、この場を去ったことにも気づかなかった。
そんな僕を目の前にして青年は冷酷な眼をしていた。しかし、戸惑いを感じているようでもあった。
それもそうだろうな。襲い掛かってきた狂暴な殺戮者は突然殺意を失い、惨めな姿を晒している。
親を亡くした子供のように泣きじゃくり、拠り所をなくしたかのようだ。
…どうしてこんなことになったんだろう。
僕の記憶は遡る。政府公邸に入る直前、男と交わした会話を思い起こした。
『いや、なに取り引きなんて言ったけどねぇ…うん、実際にはお願いって言った方がわかりやすいかな?』
『いやいや、具体的なことじゃないんだ。あーーでも……うん、そうなるとお願いじゃないなぁ……』
『何、そんなに怯える必要はないさ。プレゼント、どうだい?そう聞いたら幾分受け取り方も変わるだろう?』
『そうだなァ…………。ひ・み・つッ!そう言ったほうがおもしろいでしょ?…じゃ、アリーヴェ・デルチ…!』
僕は渡された物と渡された者としてヤツの狙いを考えた。
そして僕はこれがヤツからのテコ入れと受け取った。
未だ自分の道を決めていない僕に業を煮やしたのだろう。あんな大胆な行動の裏には僕に選択の余地がないと言うことを伝えたいのだと思った。
だけどそれもどうやら違ったようだ。
全てはアイツの想定どおり。思い通りの計画通り。
僕が殺し合いに乗ることも。政府公邸で参加者を待ち伏せすることも。
参加者二人と遭遇することも。躊躇いながらも二人を殺そうとしたことも。
そして…僕が荒木に反抗しないこともヤツの計算のうちなんだろう。
思い出すさっきの戦闘。
二人を追い詰めた瞬間、僕の中にはきっと漆黒の殺意が宿っていたと思う。
引き金は引くつもりだったし、そしたらもう振り返らないつもりだった。
けどそんなことはなかった。荒木飛呂彦、あいつにとって見れば僕は最高に滑稽で哀れなピエロだ。
女性に狙いを定めた瞬間、視界に映った荒木飛呂彦。わざとらしい仕草で抜き足指し足で彼女たちのデイバックに近づき中から何かを取り出した。
そして僕に向かって飛びっきりのウィンクをした。
わかっていたんだ、ヤツは。
僕が拳銃の狙いをずらしてヤツを狙撃しないということを。
襲撃者である有利な立場を投げ捨ててでも主催者殺しという大チャンスにチャレンジしないことを。
そして結果はこの様さ…。情けなくて涙が出てくるのも仕方ないだろ?
本当に滑稽だ、自分自身でも思う。ならば荒木から見たら尚更だろう。
今頃何処かで高笑いでもしてるのだろうか。
僕は所詮半端者で燃えるような正義感もなく、美しいまでの勇気もない。
青年に言ったポーンの件。ははは…なんてこったい。一番の歩兵は僕じゃないか。
荒木に言いように扱われ、中盤戦でポイッと捨てられた惨めなポーン。
あんな大口叩いて、僕はなんもわかっちゃいないんだ…。
情けない。
不甲斐ない。
そして何より…僕はまた選べなかった。
荒木という絶大なる強者。
パッショーネという巨大な権力を持つ支配者。
そう、何時だってそうなんだ。僕は眠った奴隷なんだ。
いつまでも正義に目覚めることなく、自分に不利なことには関わらない。そんなとんだチキン野郎さ…。
利益だけ考えて行動する。
上手く立ち回ってなんとか位置を確保する。
無理してだって保身と安全を最優先。
そうだ、僕は嘘と偽りで固められたパンナコッタ・フーゴっていう情けない男。
でも。
それでも…それでも僕は、僕は………
「死にたくない………」
しゃっくり混じりのしゃがれた声が出る。
返してくれる相手がいるわけもなく、涙が頬を伝っていく冷たさがやけに生々しかった。
◆
セフル支援
溜息を吐きながらも自分のスタンドを使う必要がないことを確認する。
少年のスタンドは本人の精神力がやられたのか、すっかり飼いならされた犬のように大人しくなり、終いには姿を消してしまった。
床に落ちてある拳銃も二丁、しっかりと回収済みだ。
けれでも僕の悩みは尽きない。
この少年は何があったのだろう。どうして急に襲撃をやめたんだ?
説得は可能なんだろうか?そもそも本当に殺し合いに乗ってるのか?
そして…もう一人のほうも同様だ。
彼女は…悪い人ではない。
スタンドも最近知った彼女からしたらこの舞台は些か刺激が強すぎた。
精神を消耗した彼女が保身に走ることは仕方ないだろう。
フゥ、とため息が口をついた。
…素直になれよ、花京院典明。
本音は違うということは誰より自分が一番わかっていた。
彼女なら…スタンド使いになれたほどの彼女なら乗り越えてくれると信じてた。
信じてたからこそ、今も信じたい。そう僕は思ってる。
それでもそんな贅沢は言ってられないようなんだ…。
甘すぎた自分自身。でも僕の仲間もこうしたと思う。
グェスさんを信じて、そして同じように彼女の危機には身を挺してまでも助けるだろう。
そうだ、それがいいと思ってた。それでいいと思ってたんだ…。
でも駄目だ。僕にはその甘さを貫き通す程の強さがなかった。
だからもう止めだ。
甘いことが悪いことではないと思う。僕達はそうやって捨てきれなかったからここまで来れたのだから。
だけど…この場ではそんなことを言ってられそうにないと思った…。
名簿にあるモハメド・アヴドゥルの文字がそれを忠実に物語る。
アヴドゥルさん…僕はどうすればいいんでしょうか………?貴方なら、貴方ならどうしてる?
火の化身、不死鳥のようにまた舞い戻ってくるわけがないとわかっていても僕は彼の答えが気になって仕方なかった。
はぁ………悩んでてもしかないな。重くなった意識にかかった靄を振り払うように頭を振ると僕はほかのことを考え始めた。
まず終わったこと、目の前の結果から処理しようか。
グェスさんは…もう信用できない。少なくとも命を預けるようなことは出来ない。
彼女は僕を捨てゴマにした。
変えることのできないこの事実は慎重に判断を下さないと…。
彼女自身が何を想っているか、それも後で話し合わないといけない。
ここは地図の端で参加者も好んでここにやって来るとは思えない。場合によっては、彼女が身の安全を最優先するというなら彼女の意思を最大限尊重したい。
そしてこの少年。
今はまだ大人しい。涙や抵抗を一切見せないことからきっと殺意はもうないだろう。
けれど彼が明確に僕達を殺しにきたのは確かだ。拳銃を向け、スタンドの拳を振るという判断を下したのは彼が自身だ。
思うに修羅場も多く潜ってきたんじゃないだろうか?そうなると勝ち残る自信や覚悟もあるっていうのか…?
ならばこの涙はなんだ?何が彼をそうさせた?
…焦ることはないか。情報を聞き出し理由も聞こう。
そして……場合によっては…殺すしかない………のだろうか………?
「死にたくない、か」
少年がぽつりと吐いた言葉が耳をうつ。
きっと本心からの言葉なんだろう、そう思わせるほど少年の声は憐れみを含んでた。
僕は駄目だと思っていながらも同情心が沸き上がってくるのを抑えれなかった。
それを打ち消すため懐に手を入れる。ずっしりと感じた黒光りする武器が僕に現実を思い起こさせた。
ふと僕はどうなんだろうと思った。目まぐるしく、事が起きすぎた僕は改めて考えてみる。
けれどそれを考えると先の誓いが揺らぎそうだった。
少年やグェスさんを冷静に判断できなくなりそうで、僕は自分の呟きを打ち消すようにそっと息を吐いた。
早く仲間に会いたい。信頼できる彼らと合流したい。
疲れに眼を擦りながら、とりあえず止血のため僕は辺りを見回した。
せるふ支援
【C−8 政府公邸 /1日目 午前】
【グェス】
【時間軸】:脱獄に失敗し徐倫にボコられた後
【状態】:精神消耗(大)、花京院に屈折した思い(嫌われたくない/認めて欲しい)、罪悪感、現実逃避
【装備】:なし
【道具】:支給品一式(地図・名簿が濡れている 水全消費)
【思考・状況】基本行動方針:?????
1.死にたくない
【備考】
※グェスは、エルメェスや他の刑務所関係者は顔見知り程度だと思っています。
※空条承太郎が空条徐倫の父親であると知りました
※花京院と情報交換をしました。
※花京院に自分ははめられて刑務所に入れられた、と嘘をついています。
【パンナコッタ・フーゴ】
[時間軸]:ブチャラティチームとの離別後(56巻)
[状態]:苦悩と不安、重度の鬱状態、傷心、人間不信、精神消耗(極大)額に瘤、右腕に中程度のダメージ
[装備]:ミスタの拳銃【リボルバー式】(5/6)、ミスタがパくった銃【オートマチック式】(14/15)吉良吉廣の写真
[道具]:支給品一式、ディアボロのデスマスク、予備弾薬42発(リボルバー弾12発、オートマチック30発)閃光弾×?、不明支給品×?
[思考・状況]
基本行動方針:「近付くと攻撃する」と警告をし、無視した者とのみ戦闘する?
0.死にたくない
1.?????
[備考]
※結局フーゴはチョコラータの名前を聞いていません
※荒木の能力は「空間を操る(作る)」、もしくは「物体コピー」ではないかと考えました(決定打がないので、あくまで憶測)
※地図を確認しました
※空条承太郎、東方仗助、虹村億泰、山岸由花子、岸辺露伴、トニオ・トラサルディー、ジョセフ・ジョースターの能力と容姿に関する大まかな説明を聞きました
※吉良吉影の能力(爆弾化のみ)を把握しました。しかし、一つしか爆弾化できないことや接触弾、点火弾に関しては聞いていません。
また、容姿についても髑髏のネクタイ以外には聞いていません
※吉良吉廣のことを鋼田一吉廣だと思い込んでいます
※荒木がほかになにか支給品をフーゴに与えたかは次の書き手さんにお任せします。
また閃光弾が残りいくつか残ってるかもお任せします。
【花京院典明】
【時間軸】:ゲブ神に目を切られる直前
【状態】:とても喉が渇いている、中度の人間不信、精神消耗(中)、グエスに落胆、フーゴに戸惑い、右肩に銃撃(出血中)
【装備】:なし
【道具】:ジョナサンのハンカチ、ジョジョロワトランプ、支給品一式。
【思考・状況】 基本行動方針:打倒荒木!
0.二人に対処。どうすればいいんだろうか…?
1.自分の得た情報を信頼できる人物に話すため仲間と合流しなければ…
2.甘さを捨てるべきなのか……?
3.巻き込まれた参加者の保護
4.安心して飲める水が欲しい。
5.荒木の能力を推測する
【備考】
※水のスタンド(=ゲブ神)の本体がンドゥールだとは知りません(顔も知りません)
※ハンカチに書いてあるジョナサンの名前に気づきました。
※水や食料、肌に直接触れるものを警戒しています。
※4部のキャラ全員(トニオさん含む)を承太郎の知り合いではないかと推測しました。
※1で挙げている人物は花京院が100%信頼できて尚かつ聡明だと判断した人物です。
決してポルナレフやイギーが信頼出来ないという訳ではありません。
※荒木から直接情報を得ました
「脅されて多数の人間が協力を強いられているが根幹までに関わっているのは一人(宮本輝之助)だけ」
◆
セルフしえん
「いやぁ、安心安心…。ほんと良かったよ」
パタン、と小気味いい音が響く。日記の中身を確認した男は安堵の息を鼻からゆっくり吐き大きく伸びをした。
芝の匂いと朝日の香り。爽やかな一日を感じさせるその芳醇さに酔いしれるかのように目を瞑ると誰かに言い聞かせるかのように独り言を続ける。
「日記をパちられた時はどうしようかと思ったけど…いや、良かった良かった。
それに…彼もやっと動きだしたしね、一石二鳥だ。まぁ、動き出したっていっても何ともいえないけど…。
ただ…おもしろくなりそうではあるね、フフフ………!」
線路の砂利が足の裏で擦りあわされ音を奏でる。視線を下にすると陽光に反射し、レールがきらりと輝いた。
男はのんびりと散歩を続ける。
再び歩き出した男が少し小高い丘に着くと、振り返り彼は息を呑んだ。
「………綺麗だ」
なんでもない田舎の一風景。
昇り始めた朝日がその姿を海と鏡写しにし、揺らめく光源をもうひとつ作る。
海鳥が空に吸い込まれそうな青さに染まり、白く壮大な近くの建物がやけにちっぽけに見えた。
感激に胸をいっぱいにしそうになった男はふと閉じられたままの自分の左の拳を見た。
そうして何かを思い出したかのように顔をパッと輝かせた彼はもうひとつの手を重ねるとそっと両手を開いた。
宝石を扱うかのように丁重な送迎のもと入り口から一匹が出発していく。
その翼は力強く羽ばたかれ大空に舞う。あっという間に高度を上げるとそれは海の風に乗り何処とも知れず消えていった。
何事もなく飛び出ていったそれをじっと男は見つめた。
朝日を背に受け飛び立つ一匹に、背景である自然が妙にマッチしてるよう思え、男は思わず涙ぐむ。
ノスタルジアを思い起こさせたその光景に感銘を受けしばらく飛び去ったその方向から目が離せなかった。
自然の雄大さと生物の力強さに改めて感じた人間のちっぽけさに男は一人頷きを繰り返した。
そのままどのぐらいか、その光景を目に焼きつけようと男はじっとそのままでいた。
そして満足気に笑みを浮かべると腕時計を覗き込む。
もう朝食の時間じゃないか、そう言うと男は慌て始めた。
手元に開いた日記のようなものに走り書きをする。トン、と句点を打つような音を合図にパタンと日記を閉じる音が辺りに響いた。
そして後にはなにも残らなかった。
木から落ちた木の葉がひらりと舞うと唐突な風に運ばれ、またそれも消えていった。
【備考】
※日記は取り戻しました。
※日記は何らかの条件下で『開く』ようです。
※フェルディナンドの恐竜がこの後主の元に戻るのか、南に向かうかは次の書き手さんにお任せします。
※恐竜がどの程度政府公邸での出来事を見たのかは次の書き手さんにお任せします。
また荒木の言葉をどの程度聴いたなどもお任せします。
投下完了しました。
誤字・脱字、矛盾点・修正すべき点、他気になる点などありましたら指摘お願いします。
一時投下スレにて指摘を下さった方々、ありがとうございました。
そして長い期間、修正を行って申し訳ありませんでした。
更に更にまたもや代理投下の方に迷惑をかけてしまって申し訳ありません…。
すみません。
容量的に二編にわたりそうなのでタイトルは
前編「Friends Will Be Friends」
後編「Save me」
にしたいと思ってます。
修正を加えた部分は
・荒木の台詞
・花京院の思考
・フーゴの怪我状態
以上です。続きをかかれる方は気をつけてください。
ではよろしくお願いします。
***
初めての代理投下ドキドキしたぜ
途中までしか読ませてもらってないのでこれからじっくり後半楽しませてもらいます
◆Y0KPA0n3C.氏お疲れ様です
なにかミスってたらすみません
携帯駆使してのセフル支援でした
深い深い螺旋階段の底に、すやすやと眠るお姫様。
さりとて職業は、姫を茨の壁に閉じ込める魔女。
女看守長ミューミュー(ミュッチャー・ミューラー)は、無防備をさらけだしていた。
「……ん、う〜〜〜〜〜〜〜〜ん」
右手は重たい瞼をこすり、左手は筋肉を緊張させながら天高く伸ばす。
3時間ほどの睡眠も、激務の彼女にとっては貴重なカンフル剤だ。
しかし彼女は知らなかった。
手のかかるお転婆ファーストレディ、スカーレットがいなくなっていることに。
スカーレットが『ジェイル・ハウス・ロック』の呪縛から逃れたことに。
「――ん? ハッ!」
ミューミューのスタンド『ジェイル・ハウス・ロック』は相手の記憶能力を3つまでに束縛する。
痴呆と化した人間は、3つの思考を堂々巡りにして生き続けるのだ。
その能力は永遠に気づかれない絶対の非戦闘系最強スタンドの一角……のはずだった。
「あたし何で眠……あの女? ――まさかっまさかこの私にッ!? 」
バトルロワイアル主催者、荒木飛呂彦は彼女の知らないところで待ったを掛けた。
圧倒的なな力……このロワイアルに水を差す能力を、健全な状態で修羅場に巻き込ませるのは好ましくない、と。
今のジェイル・ハウス・ロックは欠陥品。ある条件下で自動的に解除されてしまうのだ。
例えば――本人が眠ってしまった場合。
「一服盛りやがったのかァァァァァァァ!!! 」
吼えるミューミューの膝元には、丁寧に置かれたウェッジウッドのティーポットセットがある。
彼女の支給品であり、美味しい紅茶が何杯かいただける優雅な食器家具だ。
わがままを言うスカーレットを宥めるために、何度も煎れてあげたというのに。
当のスカーレットは外出を静止していたミューミューを見限っていたのだ。
「あたしが隕石を見に行ってる隙に……クソッ、完全に油断してたッ!! 」
ちなみにミューミューが飲んだ睡眠薬は2分間で目が覚める程度の代物なのだが……。
スカーレットに付き合わされた精神的ストレスと紅茶の温かさが彼女の睡眠欲を増やしたことを、知る由も無い。
……だがミューミューは己に置かれている恐ろしい状況を理解し始める。
自分の意思でしか解除されない『ジェイル・ハウス・ロック』、その謎の不調。
そして第一回目の放送を聞き逃すという致命的なミスに。
■ ■ ■
川尻早人の頑固さに呆れ、説得を断念してから、はや数十分。
進路はH-3サンタ・ルチア駅から真っ直ぐ北に。
途中リゾット・ネエロとペッシの戦闘を遠目に確認し、現在地はF-3。
(仗助が死んで、重ちーが死んで、早人が生きてて……)
馬の胴にもたれて名簿にト書きをする男、ラバーソール。
彼の足元から首元に纏わり着くスライムのスタンド『黄の節制』は、縦横無尽に形を変化させている。
他人に成りすませるラバーソールにとって、他者の生死のチェックの比重は誰よりも重い。
うっかり死者に変装するようでは、この状況で生き残れはしない。
(次の変装に相応しい相手、よく考えねぇとな)
ラバーソール本人→空条承太郎に割れている→却下
ヴァニラ・アイス→外を歩けない→論外
片桐安十郎→どこかで殺人を犯しているはず→危険人物に化ける→却下
J・ガイル→片桐と同じ(特定の相手には使えるかもしれないが)→却下
川尻早人→本物が負傷して動けないのでアシがつきにくい(オイシイ!)→1人で馬に乗る小学生→微妙、馬を捨てるか?
(仗助のときは上手くいったが、アイツは俺の能力を知らなかったからな)
承太郎たちが俺の能力を誰かに話しているかもしれない→ジョースター一行に化けるのは危険
もし接触した相手が化けた奴の知り合いで、“スタンドを出してくれ”と言われたら→ウェザー・リポートも危険
近くでウロウロしている参加者(ペッシ)に化ける→あいつスタンド使いなのか?
(となると、こいつしかねぇよなぁ、『今』は)
『黄の節制』は大振りのマントに形を変え、悩ましげな顔を象り、長い一束の前髪に曲がる。
その姿はサンタ・ルチア駅で出会った策士ブラックモア。
雨が無ければスタンドが使えないと語っていた彼ならば、誤魔化しはききそうだ。
(ブラックモアの知り合いは、会いたくねぇな……)
ブラックモアがアメリカ大統領の護衛官の1人であること。17世紀生まれの人間であること。
彼の素性のほとんどをラバーソールは知らない。他人の身辺調査は変装を趣味とする人間の宿命なのに。
もっとも、彼の知る『他人』のほとんどが、素性の知れない者たちなのだが。
「――ひぃっ! 」
大きく開けそうになった口を慌てて抑えるも、防ぎきれず。
そんな印象を与える叫び声だった。
ラバーソールは有無も言わず、馬に飛び乗って手綱を揺らした。
馬の頭を声の主に合わせて、力いっぱい腹を蹴る。
自分のスタンドがぐねぐねと変身する姿を見られたと、ラバーソールは考えていた。
「ま、待って! そんな、ブラックモアなの? どうしてあなたが……死んだはずじゃ」
微かに聞こえた一言は、ラバーソールの手を強く動かした。
手綱を引かれた馬が、4本足を必死に踏ん張って勢いを止める。
(放送は、聞き間違えちゃいねぇ)
ラバーソールには天地がひっくり返っても気づかぬことだが、この言葉は真実である。
そして彼と邂逅した女性――スカーレット・ヴァレンタインの言葉も真実である。
彼女はブラックモアが死んだ後の世界からバトル・ロワイアルに召還されたのだから。
このブラックモアが本物であろうとなかろうと、スカーレットは同じ質問をしただろう。
「……すみませぇん」
ラバーソールは――真実には辿りつかぬが――彼の口癖をつぶやいた。
ブラックモアが早朝まで生きていたのは、彼の目が見た紛れもない真実。名簿にも認められている存在。
サンタ・ルチア駅から遠く離れたこの地にいた女に、何がわかるというのか。奴の死を語るとは。
この女が一杯喰わそうとしているのか、ブラックモアが己に何らかの形で一杯喰わしていたのか。
「心中お察ししますがぁ、私はこの通り健在でございます。申し訳ありませぇん」
ごくごく当たり前の気持ちを、ラバーソールは吐露した。
演技であろうと無かろうと、向こうが己をブラックモアとして扱うのならば、こちらもその様に振舞う。
「――お気持ちはわかりますが、ファンタジーやメルヘンのような物、ではない世界です」
例え、女の付き添いの男(マイク・O)が怪しげな風船を金属から作り始めても。
例え、女の付き添いの男(マイク・O)が怪しげな風船を鳥に型を取り始めても。
例え、女の付き添いの男(マイク・O)が怪しげな風船を犬に型を取り始めても。
「大統領夫人(ファーストレディ)に挨拶も無しとは大統領補佐関係者失格の世界だ。
我が風船はお前が何者なのか調査し、かつ偽者ならば危険人物として処刑する世界を兼ねたッッ!! 」
ラバーソールは……7人同盟を結んだ時の行動を少し後悔し始めていた。
物騒な雰囲気から人様に話せない職業を持つ連中の集まりと先入観を持っていたことに。
まさか全身をコートに包んだ卑屈な男が、政府関係者と誰が考えるだろうか。
「お気持ちはわかります。礼を怠った事実は誠に申し訳ありませぇん。責は後ほど受けましょう。
しかし……私にも解せない世界です。名簿をご覧になられましたか。私は確かに存在(い)ますよ? 」
いつものラバーソールならば、即座にこの2人を始末していただろう。
彼がわざわざ問いただしたのは、『ブラックモアが死んでいる』を疑わない人間の存在。
何を持ってこの2人は確証を得ているのか。
断っておくが、ラバーソールはこの謎が荒木の仕業である――例えば並行世界の統括――とは考えていない。
『他者の生死確認が彼の能力にもっとも重要である』ゆえに、ブラックモアの謎をはっきりしておきたかっただけ。
「ちょっとマイク・O! 名簿ってこれのこと!? どうして話してくれなかったのよ! 」
「既にあなたが読了している世界かと。名簿は不可解な世界です。確かにブラックモアの名が載っています」
「死人なのに……この世界に、どうしてあなたはいるの? あなたはいったい誰なの? 」
彼らの言う『ブラックモア死亡』は、この世界で起こった事実ではない。この世界に招かれる前の出来事。
ラバーソールは……この事実を(推測の域を出ないが)理解した時点で考えるのを止めた。
ブラックモアに関しては謎が残るが、早い話が『ブラックモア変装はリスクが高い』だけ。
ラバーソールの思考回路にある最優先事項決定は、まったく別の方向へとシフトし始めていた。
「私は何者であろうと大統領に使える身。必要とあらば大統領夫人(ファーストレディ)にお供しまぁす。
怪しいと感じるのならば、今すぐ立ち去ります。我がスタンドは……雨が無ければ何もできませぇんので」
「そうだな……所詮、貴様は雨がなければ何も出来ない世界だ」
パカラパカラと踵を返し、北へ進むラバーソールの馬。
いぶかしむ2人に完全に背中を曝け出している。隙だらけだ。
マイク・Oの野次に振り向くことなく、ラバーソールは背中を見せ続ける。
捨てられる者の悲哀を背中で語ろうというのか。
「つまり雨が降る南に向かわない貴様は、偽者の世界ッッ! 」
しかし対応者はその背中に容赦なく鞭を奮う。
マイク・Oの『バブル犬』と『バブル鳥』の群れは一斉に巨大な得物へ襲い掛かった。
一度得物に触れれば、体内に入り込み、中で破裂を起こす。
風船は相手の体内を突き破り、まるで水風船が破裂するように、血を撒き散らす。
盛大に破裂する風船たちの断末魔に耳を傾ける、それがマイク・Oの日課。
「いいぞ!我がスタンド『チューブラー・ベル――」
今日も、日課は守られる。
「ううっぷぷ!? 」
聞きなれた破裂音のせいで、マイク・Oは判断が一瞬遅れていた。
風船は確かに割れた。ブラックモアに化けたラバーソールのスタンド『黄の節制』に食い込んで割れた。
ところが割れた場所は本体であるラバーソールの体内ではない。
「エメラルド・スプラッシュならぬ、イエロー・スプラッシュかね。警戒を解かなかったのは見事だ。
さすがSP……気にすんな、背中からスライムの散弾が飛んでくるなんて普通わからねぇよ」
マイク・Oは自分の風船たちが『黄の節制』の飛沫にくっ付いて割れたことを理解した。
ラバーソールの匂いがついていれば『バブル』たちは本体以外も追尾して割れてしまう。
たとえ金属による開放があれど、『黄の節制』には痛みも何もない。
顔に纏わりつくスライムを必死に取り除こうとするが、もがけばもがくほど深みに嵌ってしまう。
「やめろよ……お前はそのまま楽に気が遠のいて『逝く』だけ――だっ!? 」
そのとき、着々と集まり得物を絡め取っていた『黄の節制』が突然爆発と共に吹き飛び、周囲に飛散した。
爆発は一度だけに収まらず、何度も何度も地面や壁を破壊していく。破壊はラバーソール本体付近にもかすった。
「あんたウチの護衛官に何してんのよォォォーーーーーッッ!! 」
■ ■ ■
「このすけこましがァァーーーッポ○コチン削りとってやるッ! 」
まさかの反撃にマイク・Oは驚きを隠すことが出来ない。彼の想像を雄に越えていた。
その正体はスカーレット・ヴァレンタインの持つエイジャの赤石。
赤石が通した太陽光は威力を増幅させ、船のエンジンを破壊するほどの怪光線になる。
スカーレットは無我夢中で赤石の秘密を使い、手当たり次第に光線を撒き散らしていた。
「おかげで顔にくっ付いていたスライムがほとんど取れた世界だ」
マイク・Oの顔に覆われていた『黄の節制』は本体ラバーソールの援助のために撤退したのだ。
じゅるりと地を這う姿がなんとも情けなく、マイク・Oはいつの間にか笑い始めていた。
これではどちらが守られているのかわからない。護衛官としては名折れである。
とはいえ、スカーレットのお転婆ぶりを見て、マイク・Oはそれでもいいと思い始めていた。
「あれこそが、我らが大統領夫人(マイ・ファースト・レディ)」
スカーレットと早朝に合流したとき、彼女はマイク・Oの怪我を心配していた。
そっと傷口に触れる手は震えていたのを覚えている。彼女は恐怖してたのだ。
己の身に起こる事実が、夢ではなく現実だと受け止めねばならないことに。
今、目の前の敵を追い払っているが、内心はこの上なく怯え、逃げ出したいはずなのだ。
「野放しの暴力に屈せぬ毅然とした誇り、たれ。流石はあの方が見初めた女性ッ!! 」
スカーレットに、そして彼女の下で働いてる自分に誇りを馳せるマイク・O。
懐にあった金属の束を五指に挟み、口一杯に空気を吸いこむ。
ぷううーーっと膨らむ風船が、彼のやる気を比喩するかの如くムンムン拡大していく。
「ひっひィイイイイああああああああああああ……!! 」
スカーレットに追いかけられているブラックモアは、間抜けにもマイク・Oの射程距離に飛び込んだ。
飛び散るスライムに触れないよう、絶妙な距離をとってバルーンアートを象るマイク・O。
その形はアメリカに、アメリカの主たる女に捧げる特注の薔薇。
「拷問の世界は無い! 今ただちにッ! 処刑するうぅぅぅぅーーーーッ!! 」
薔薇は『黄の節制』を全て覆うほどの特大サイズだった。もはや逃げ場はない。
必死に逃げようともがくも、獲物は薔薇に押しつぶされて動くことができない。
これでは流石の『黄の節制』も中にいる本体ごとまとめて始末してしますだろう。
息切れを起こすスカーレットを抱えて、マイク・Oは風船から離れる。
バンッ
張り裂けた後の残ったのは
緋色に染まる地面とスライムだけだった。
「お疲れ様、マイク・O」
「お疲れ様でした、大統領夫人」
仰々しく改まるとマイク・Oは静かに立膝をつく。
家臣の礼に答えるかのように、スカーレットはしゃがみ、マイク・Oと目線を合わせた。
ゴキッ
そして優しくマイク・Oの首を折った。
天高く伸びる向日葵の茎をねじるように、大きく歪曲させて。
曲がった顔でマイク・Oが見たものは、先ほど自分が生けた薔薇の金属風船による残骸。
その中にある、スライムの塊から見える、長い黒髪の女。
「ガハッ……『彼女』は、ぞごのぞの『死体』は……何だど?……まざが…まざが……」
マイク・Oは知らない。
ラバーソールの『黄の節制』は単なるスライムではなく、変身能力も持ち合わせていることを。
ブラックモアが大きなマントを被っただけの服装なので、彼は気づけなかったのだ。
ブラックモアの全てがスライムから作られているということに。
「ぎざま夫人に何をじだぁぁぁぁぁーーーーー! 」
「とっくに入れ代わってたんだよ。お前が顔のスライム取ろうと必死になってる間にな。
何のためにお前の顔を覆ったと思う? 一瞬でも目と耳の情報を奪うためだろーが」
スカーレットの反撃は完全にすり替わっていた。
エイジャの赤石の光線も、エイジャ自身が『黄の節制』に包まれてしまえば、太陽光を取り入ることができない。
赤石をスライムで包んだ後、スカーレットの身体全体を覆ってしまえば、呻く人形となる。
ラバーソールはスカーレットに成りすまし、赤石で追い詰めれば、スライムから逃げ惑う餌がマイク・Oに接近する。
マイク・Oに『ブラックモアらしき者』が近づいてきたのは至極真っ当な行為だったのだ。
「てめーでてめーの主人サマ殺しちまったら……世話ないよなぁ!? ヒヒヒヒヒヒヒヒ! 」
「う゛お゛お゛お゛お゛ーーーーーーーーっ」
「ゆっくり寝てな」
スカーレットは部下に助けを求めていた。懸命の抵抗していた。
それなのに家臣は主人を――。
ゴキャリ
「……かはー……」
任務はこれにて終了。護衛官はうめき声を上げて地に伏した。反転させた首が虚ろに宙を仰ぐ。
「さ〜て、このままDIOの館に行くか、駅に戻るか」
緋色に染まる2つの物体を、スタンドに食べるよう指示させて、ラバーソールは考える。
サンタ・ルチア駅で悪態をついた川尻早人のふんぞり返りっぷりを。
“余計なことをしてみろ! 僕が死んだらウェザーさんが黙っちゃいない!”――と。
あの時は渋々引き上げたものの、激化するスタンド使いとの戦いに、ラバーソールの不安がよぎる。
マイク・Oやスカーレットに変装せず、川尻早人に変装を選んだのも、極端な戦闘を避けるためだ。
大統領護衛任務の関係者は、マイク・Oの偽者とあらば、容赦なく襲ってくるのだから。
「ケッ足元みやがって。だが敵の情報は多いに越したことはねぇんだよなぁ。
……俺の能力に弱点はない。けど面倒くせーなぁ、選択肢が削られていくこの感じ……イラつくねぇ」
【市街地(F-3北東部)/1日目/日中】
【ラバーソール】
[時間軸]:承太郎と戦闘中、ザリガニ食べてパワーアップした辺り。 川尻早人に変装中。
[状態]:健康。仗助、重ちー、マイク・O、スカーレットを食べてパワーアップ!?
[装備]:ヨーロッパ・エクスプレス
[道具]:支給品一式 ×5(内一食分食料と方位磁石消費)、ギャンブルチップ20枚、ランダム支給品×1 (未確認)
スーパーエイジャ、サブマシンガン(消費 小)、巨大なアイアンボールボーガン(弦は張ってある。鉄球は2個)
二分間睡眠薬×1、剃刀&釘セット(約20個)
[思考・状況]
基本行動方針:勝ち残り、優勝。溺れるほどの金を手に入れる。
1.やっぱり早人から承太郎についての情報を聞きだすべきだったか?
2.参加者をできるだけ減らす。
3.状況によっては誰かに化ける(ブラックモアは死んだら使うのやめればいいかね、気になるけど)。
4.20時にDIOの館に向かう
5.この鳩、いったいどうしようかねぇ…?
[備考]
※ラバーソールは承太郎、花京院とロワで会った人間に変装できます(その場の状況で考えるようです)。
偽のスタンド像も出せますが性能はイエローテンパランスです。
死者の変装は“特殊な状況”にならない限りやらないようです。
※ラバーソールは仗助が自分自身の怪我も治せると勘違いしています。
※鳩は早人が同封した返事分、一回分の便箋を持っています。
※J・ガイル、アンジェロのスタンドについては理解し切れていません。水、及びそれに順ずるものを媒介とするとだけ把握しています。
※悪魔の虹メンバーとほとんど情報交換を行っていません。お互いの名前と姿ぐらいしか正確には把握していません。
※また、駅にいた悪魔の虹メンバーはイエローテンパランスの能力を「顔を変える」と誤解している可能性があります。
※ラバーソールは川尻早人の顔です。素顔を承太郎以外に見せていません。馬を乗り捨てるかどうかは保留。自分より小さい人間にも変装可能のようです。
【二分間睡眠薬】
スカーレットの支給品その1。SBR出典。13巻登場。
ホット・パンツがルーシー・スティールに渡したもの。
飲めば誰でも最低2分間は眠る。スカーレットが原作で飲まされた。
ミューミューが2分間以上寝たのは、この薬+ストレス+紅茶の温(ry
薬は2つあり、うち1つが消費。
【ラング・ラングラーの金属片】
スカーレットの支給品その2。第六部出典。68巻登場。
ラング・ラングラーが無重力による遠心力弾丸の補充用に用意していたもの。
マイク・Oがラバーソール戦で使った金属はこれ。
マイク・Oがラング・ラングラーから奪い取った物ではなく、偶然によるめぐり合わせの模様。
【スカーレット・ヴァレンタイン 死亡】
【マイク・O 死亡】
※マイク・Oとスカーレットの死体はほとんど食べられました(金属が邪魔したせいで丸飲みは面倒だった模様)。
オエコモバと同じような状態です(死体の残骸がかろうじてわかる程度で、個人特定は不可能)。
■ ■ ■
ミューミューが覚醒し、ことの現状に慌てふためいているうちに、時計は午前八時を過ぎていた。
その同時刻、同場所にて……探る者が2人。
会話はしない。物音はたてない。目的は施設の調査。
リゾット・ネエロとペッシ両名は、ナチス研究所地下の侵入に成功していた。
正確にいえば、彼らが施設に侵入したのはミューミューが覚醒するずっと前の話だが。
(あの女はただの馬鹿か、自分に自信タップリのどっちなんだろうな)
慎重に慎重を重ねて行動しているが、自身が偶然によって助けられているとは、思いもしないだろう。
もし『ジェイル・ハウス・ロック』が発動し続けていれば、彼らも痴呆の海に飲み込まれていた。
リゾットたちは眠るミューミューを警戒し、接触を後回しにしたのだ。
彼女が眠っているフリをしてこちらの様子を伺っていたとしたら。強力な戦力としてスカウトできる。
今になっても襲われる気配がしないことにも、リゾットはミューミューに対する評を高めていた。
必要以上の戦いを進んで行わない者は、死に急がない。短気だった仲間のギアッチョのようなヘマはしないだろう。
(それにしても……先に調査を優先して正解だった)
いずれにしろ、彼らは今、ナチス研究所の最下階の大きな空洞にいる。リゾットはその異様さに唾を飲んでいた。
『F-2・ナチス研究所駅』と説明のついた時刻表。
エリア中に点在する駅ととここの施設は地下鉄でつながっていたのだ。
(E-7のネアポリス駅と、H-3のサンタ・ルチア駅は地図で確認していた。この駅も経由先の一つか?
暗い構内を調べたいところだが、灯りを点けるわけにはいかない……まだ見ぬ同居者を探さないとな)
その矢先だった。
片手をバタつかせジェスチャーするペッシに、リゾットが気がついたのは。
ただ、その行動は言葉に表しにくい印象を与えていた。
(ペッシ……俺はお前に近づかない)
リゾットは地下鉄の駅を調べる前に、ペッシに以下の3つを命令していた。
1つ、ナチス研究所と地下鉄駅をつなぐ扉のノブに、スタンド『ビーチ・ボーイ』の釣り針を常に仕掛けておくこと。
1つ、『ビーチ・ボーイ』の針に誰かが触れたらすぐにジェスチャーで伝えること。
1つ、釣竿のスタンド『ビーチ・ボーイ』のパワーとテクニックで、得物を大人しくさせること。
ペッシはこの3つの動作を終える度に、まるでコンセントを抜いた掃除機のように脱力するのだ。
そして一時的な挙動不審になり、再び任務を繰り返す。鸚鵡返し鸚鵡返し鸚鵡返し鸚鵡返し。
……もう、おわかりだろうか?
ペッシが釣り上げた得物は、ミュッチャーミューラーその人。
釣り針に『ジェイル・ハウス・ロック』をかけながらも、暴れるリールに悶え苦しむスタンド使いであった。
「ぶげえぇッ! ば、ばたしが、ばるがっだ……だのぶ、ごろざないべ……」
数分後、ミューミューは『ジェイル・ハウス・ロック』を解除し、正気になったペッシに束縛されることとなる。
強くぶつけた赤い顔を無様に晒す女に、リゾットが真価を見抜くのは時間の問題だろう。
2人とも奇襲タイプのスタンド使い。直接的な戦闘には向いてはいない。初手で全てが決まる。
一歩間違えば、彼らは血を交えながら命を散らしていたかもしれない。
「お前は一人か? この施設にいるのはお前だけか? 返答次第では容赦しない」
痣をさすりながら半ベソをかくミューミューは、少し考えて返答した。
「わだじは、ひどりでず。ごごには、だれぼ、いばぜん」
ミューミューはリゾットにスカーレットのことを話すつもりは無いだろう。
ミューミューもまたスカーレットを見捨てていたのかもしれない。
互いが裏でこっそり三行半をつけて、別れた。お互い損得はなかった。
【ナチス研究所地下鉄駅ホーム(F-2)/1日目/日中】
【暗殺チーム(現在メンバー募集中)】
【リゾット・ネエロ】
[スタンド]:メタリカ
[時間軸]:サルディニア上陸前
[状態]:頭巾の玉の一つに傷、左肩に裂傷有り
[装備]:フーゴのフォーク
[道具]:支給品一式
[思考・状況] 基本行動方針:荒木を殺害し自由を手にする
1.ナチス研究所を拠点として確保するか考え中。ミューミューをどうする?
2.首輪を外すor首輪解除に役立ちそうな人物を味方に引き込む。
3.暗殺チームの合流と拡大。人数が多くなったら拠点待機、資材確保、参加者討伐と別れて行動する。
4.ブチャラティチームとプッチの一味は敵と判断、皆殺しにする
5.荒木に関する情報を集める。他の施設で使えるもの(者・物)がないか、興味。
[備考]
※F・Fのスタンドを自分と同じ磁力操作だと思いこんでいます
※F・Fの知るホワイトスネイクとケンゾーの情報を聞きましたが、徐倫の名前以外F・Fの仲間の情報は聞いてません
※荒木=パッショーネのボスを倒す。
※リゾット、及びペッシのメモには以下のことが書かれています。
[主催者:荒木飛呂彦について]
荒木のスタンド → 人間ワープ…見せしめの女の空中浮遊、参加者の時間軸の違い(並行世界まで干渉可能)
→ 精密機動性・射程距離 ともに計り知れない
開催目的 → 不明:『参加者の死』が目的ならば首輪は外れない
『その他』(娯楽?)が目的ならば首輪は外れるかもしれない
※荒木に協力者がいる可能性有り
【ペッシ】
[時間軸]:ブチャラティたちと遭遇前
[状態]:頭、腹にダメージ(小)、喉・右肘に裂傷、強い悲しみと硬い決意
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品(数不明)
重ちーが爆殺された100円玉
[思考・状況] 基本行動方針:『荒木』をぶっ殺したなら『マンモーニ』を卒業してもいいッ!
1.誰こいつ?
2.誰も殺させない。殺しの罪を被るなら暗殺チームの自分が被る。
3.チームの仲間(特に兄貴)と合流する
4.ブチャラティたちを殺す?或いは協力するべきなのか?信頼できるのか?
[備考]
※100円玉が爆弾化しているかは不明。とりあえずは爆発しないようです。
※暗殺チーム全体の行動方針は以下のとおりです。
基本行動方針:首輪を解除する
1.首輪解除のためナチス研究所を拠点として確保する。
2.首輪を分析・解除できる参加者を暗殺チームに引き込む。
3.1・2のために協力者を集める。
4.荒木飛呂彦について情報収集
5.人数が多くなれば拠点待機組、資材確保組、参加者討伐組と別れて行動する
【ミュッチャー・ミューラー】
[スタンド]:『ジェイル・ハウス・ロック』
[時間軸]:幽霊の部屋から出た直後
[状態]:全身に軽い打撲。腫れ上がった顔。
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、フーゴの辞書(重量4kg)、ウェッジウッドのティーセット一式
[思考・状況]
1:ゲームには極力乗らない。身の安全を最優先。 ごめんなさい勘弁して。
2:他のスタンド使いを仲間にして、アラキを倒したい。
3:もうスカーレットを仲間だと思うようなことはしないよ(鉄塔に行ったのだろう。勝手に行け)。
[備考]
※ジェイル・ハウス・ロックは特定の条件下で自動的に解除されるよう制限されています。
ミューミューが寝ると解除されるのは確定しました。
※荒木のスタンドを「ホワイトスネイク」だと思っています。
※スカーレットがどうやってジェイル・ハウス・ロックから逃れたのか、焦っています。
※第一回放送を聞き逃しました。
【ウェッジウッドのティーセット一式】
第四部に登場する川尻早人のママ、川尻しのぶのお気に入り。
おいしい紅茶を味わえる高級品質。カップ、ポッド、茶葉が揃っています。一杯飲むと気分が落ち着くぞ。
スカーレットはこれに睡眠薬を盛った。ミューミューはキチンと洗浄してディバッグにしまった模様。
【女看守と大統領夫人 双方の合意の下、解散】
988 :Whatever she brings we... ◆em4fuDEyHM:2009/05/15(金) 22:19:18 ID:???
タイトルは「Whatever she brings we...」です。
指摘のあったとおり、誤字脱字etcの修正。
ラバーソールは早人の変装も可能に。馬を捨てるかどうかは保留としました。
192 :
創る名無しに見る名無し:2009/05/23(土) 19:03:08 ID:To5FUutl
代理投下完了&御ふた方投下乙!
ミスがあったら本当に申し訳ありませんorz
「Friends Will Be Friends」 「Save me」
相変わらずの繊細な心理描写乙です
フーゴは相変わらず欝ってるなぁww
荒木の介入のせいでかなり酷い事になったのでは?
三行状態表のフーゴ欝すぎワラタの部分では俺も笑っちまったよww
それに……グェスは可哀想だな
友達は失いたくないけど死にたくもない
天秤に掛けて結果自分の方を取っちゃって後から後悔する
花京院は許してやれよ……
いや、本人も色々あったし、恐怖を克服する前の参戦だったからしょうがないかもしれないけどさぁ
十字軍メンバーは心が強すぎるし、友達がいなかった典明には難しいのかねぇ……
今後、この三人がどう転ぶのか非常に楽しみな幕引きでした
荒木wwwwwwwww自重しろオッサンwwwwwwwwwww
風景見て涙流したっていう新たな面が明らかになり、これからが期待できますww
今日のチャットで彼がどんな方向に向かうのか今からwktkだぜ!
「Whatever she brings we……」
何という欝展開、これは間違いなく書き手氏がドS
スカーレットもマイクOも本当に運がなかったなぁ……
前のマイクの生い立ちと、戦闘中のスカーレットへの感情
生きてたらまた面白い一面が見れたかもしれないけどこれがバトルロワイヤルというものだ
マイクはある意味即死させられて幸せだったかもしれないけどね
スカーレットの死に様も相当えぐかったし
まじでラバーソウルは外道ww
スタンドは相性って言うけど天敵になりそうなリーダーやペッシに合わずにすんだのは幸運だったねw
これからヤツと一緒に予約されたキャラがいたら緊張感溢するだろうな、よりによって馬持ちだしww
それとミューミューwwwww
リーダーも何勘違いしてるんすかww
さっきのグェスやスカーレットにミューミュー
まじでこのロワ女性に容赦しない展開が多すぎるwww
男の世界自重wwwwwwwwwwwww
乙
ここが少々無理があるかな、と思った
>マイク・Oは知らない。
>ラバーソールの『黄の節制』は単なるスライムではなく、変身能力も持ち合わせていることを。
>ブラックモアが大きなマントを被っただけの服装なので、彼は気づけなかったのだ。
>ブラックモアの全てがスライムから作られているということに。
ラバソえげつないのうw
このまま頑張っていただきたいところだぜw
面白かった! GJ!
test
>>176 花京院……グェス……
そうだよなあ、黄金の精神を持つ者ばかりじゃないんだよなあ
原作のフーゴがそうであったように、弱い奴がいて当然なんだよなあ
いい意味で鬱だ、GJです
>>180 マイク・Oとマダオオオオオオオオオオ
またマイクは自らの手で殺しちゃったのか……
誤殺はロワの名物だし、お前は立派にやった世界だよマイク・O
「なんかこいつ名前がバイク王みたいでダセェ」とか思っててごめんね
投下します。
マライアを撃退したシュトロハイムが、左足と義足代わりの木片で地面を蹴る。
あまりに騒音を立てすぎてしまったため、先の戦場から遠ざかっているのだ。
殺し合いに乗り気な参加者が戦闘音を聞いて駆けつければ、一たまりもないから。
しかし……――――
「まァァさかァァァ! 最初に会ったプロシュートが同盟国の者だったとはなァァァァァ!!」
こんなに大きな声を出していては、意味がないような気がしてならない。
とは言っても、生憎なことにこの場には彼にツッコミを入れる人物はいなかった。
いや、彼が右手で抱える亀の中には一人いるのだが。
「やかましい野郎だぜ……」
辟易とした表情を隠すことなく、プロシュートは亀の中で一人ごちる。
負傷と疲労のために眠りにつこうとも考えていたのだが、天井から確認できる外部の光景を見てしまえばそうもいかなかった。
この地で他人に居場所を教えるのは愚作、何度そう教えれば覚えるのだろうか。
テーブルクロスを巻いて止血した左手で金の髪を掻き揚げ、プロシュートは命を犠牲にして自分を助けた女性の姿を思い出す。
彼女もまた、何かあるごとに叫んでいた。出会ってすぐの時も、交戦中も、共闘中も、仲間を逃がした時も。
プロシュートが思い返してみれば、彼が出会った襲撃者――カーズやマライアも結構声を張り上げていた。
意図せずプロシュートから嘆息が漏れ、続いて浮かんできた疑問までも飛び出す。
「もっと落ち着いた奴ァ、いねェのか」
吐き捨てられた願望じみた呟きは、しかし虚空より流れる交響曲に掻き消されてしまう。
音楽が終わったかと思えば、この殺し合いの主催者――荒木飛呂彦の声が響く。
忘れるはずもない声質に、プロシュートの整った顔が険しくなる。
喚いていたシュトロハイムも足を止めて、亀を地面へと解放してデイパックから名簿を取り出す。彼にしては珍しいことに口を閉ざしたまま。
聴く者を小馬鹿にしているとしか思えない演説の後、荒木は淡々と告げる。
二十六の死者、そして三の立ち入り禁止区域を。
◇ ◇ ◇
三度目の交響曲が終わり、再び辺りに広がるのは無音。
もう言い忘れたことはないらしく、数刻が経過しても静寂を崩す声は聞こえなかった。
ゆっくりと呼気を整えると、プロシュートは天井に頭を押し付ける。
結果、プロシュートの上半身だけが亀の外部へと飛び出す形になる。
「これからの行動について、もう一度話す」
柱の男と波紋戦士――強敵と同志の両方が倒れて呆然としているシュトロハイムに対し、プロシュートは冷静を保ったままで切り出す。
彼とて、何も喪っていないワケではない。
仲間の復讐のために見つけ出すべきトリッシュ、同じチームに所属するギアッチョ。
その二人の死は、プロシュートにとって軽いものではない。
互いに意味は違えど、彼と彼のチームにとって大きな損害である。
だが……それでも、プロシュートは嘆かない。
ギャングの世界に生きる彼には、仲間やターゲットの死など日常茶飯事であるし――何より知っている。
『死んだ以上はどうしようもない』のだ。
悔しがったり悲しんだりする暇があれば、前に進む。
『成長』するのだ。
そうじゃなきゃあ、『■■』は掴めない。
暗殺チームの一員であるプロシュートは、そのことをよく理解していた。
ああ支援
201 :
創る名無しに見る名無し:2009/05/24(日) 23:53:13 ID:c3eB6Ler
支援
「あ……ああ、すまないな。少々取り乱した」
うろたえていたシュトロハイムも、眼前に出現したプロシュートを視認して平静を取り戻す。
軍人である彼もまた、一度死ねば手の取りようがないことを理解している。
だというのに狼狽していたのは、ひとえに彼が呼ばれた名のうち三つをよく知っていたからだろう。
サンタナにワムウにリサリサ・エリザベス・ジョースター――前の二人は後者は柱の男、残り一人は波紋の師範。
後ろ二人の戦闘を目にしたワケではないが、シュトロハイムは両者ともカーズと肩を並べるレベルと推測していた。
その二人が死んだというのだ。シュトロハイムが焦ってしまうのも、無理はない。
だが強者二人の早期退場にもかかわらず、シュトロハイムは放送の真偽を疑いはしない。
死亡を確認したエルメェス・コステロやマライアの名が呼ばれたし、何より荒木に虚構を流す理由がない。
ゆえにシュトロハイムは放送を真実と断定し、手刀を作った右手を胸の前で水平に構える。
「お前の話じゃあ、ヤツらは太陽光――正確には紫外線に弱い。
ってことは、日の出ている間は室内に潜んでいるんだろうが……隠れられる場所があまりにも多い。
要するに、ヤツらがどこにいるか分からねェってことだ。だから結局のところ、行き先に変更は――――」
シュトロハイムからうろたえが消えた時点で、亀の外に取り出した地図に視線を動かしていたプロシュート。
だからこそ、彼はすぐ近くにいる男の動きに気付かない。
シュトロハイムは、胸の前で固定していた右手を思いっきり右斜め上空に振りかざす。
サイボーグの肉体から生み出された神速の凪ぎに、空気が斬り裂かれるような高音が生み出される。
唐突に鼓膜を刺激され、プロシュートは首を上げる。
怪訝な顔をしたプロシュートをよそに、シュトロハイムは喉を痛めつけるような絶叫。
「ジィィィィイイク・ハイル!!」
それは、柱の男打倒という志を同じくした戦士に捧げる敬礼。
「いきなり……ッ。オメー、話聞いてんのか?」
亀から上半身を出しているプロシュートとシュトロハイム、その間隔は一メートルにも満たない。
そんな距離で、大の男に全力絶叫されてみろ。
うるさい、などという生半可な物ではない。『痛い』の領域に入ってしまう。
両掌で耳を押さえようにも、プロシュートには左手首から先がない。
左耳に痺れるような感覚を抱いた状態で、片耳を塞いだプロシュートが尋ねる。
その問いかけを把握していながらも、シュトロハイムは二度目の敬礼。
「ジィィィィイイク・ハイル!!」
「…………ッ、だから――」
三度目の。
「ジィィィィイイク・ハイル!!」
「お前は…………ッ」
四度目の。
「ジィィィィイイク・ハイル!!」
「……何、を……!」
五度目の。
「ジィィィィイイク・ハイル!!」
「……して、やが…………」
結局、シュトロハイムは計十回の敬礼を行った。
七度目からプロシュートは静止を諦め、耳を押さえることだけに集中していた。
満足して視線を落としたシュトロハイムを、プロシュートは鋭く睨み付ける。その視線、さながら氷塊。
そこらのチンピラでは背筋を凍らせてしまうだろう――が、シュトロハイムは風でも浴びているかのように受け止める。
「それで、話とは何だ?」
軽く微笑みながら尋ねてくるシュトロハイムに、プロシュートはうんざりした様子で睨むのをやめる。
敬礼をやめろと言っても聞かないだろう、プロシュートはそう判断し――――
「…………次からは、敬礼する前に連絡をしろ」
「ぬう? 意味が分からんが、心得た」
安堵の溜息を漏らし、やとプロシュートはこれからの予定を話し出す。
変更はないと伝えるだけだったはずなのに、既に放送が終わってから秒針が七周はしてしまっていた。
◇ ◇ ◇
彼らの向かう場所は、依然変わりなく食屍鬼街。
亀の中にプロシュートが戻ったのを見届けて、シュトロハイムが亀を小脇に抱える。
「さァて! 向かうとするかッ」
シュトロハイムは、迷うことなく前進する。
マライア戦後からずっと行ってきたように、まっすぐと西へと向かう。
それ以外の行動を取るのは、ありえないことなのだ。
その理由――死者数/二十六名/約四分の一。
意味すること――殺し合いに乗ったものの多さ/強靭さ/迷いのなさ。
そして予想――次に日が昇る時が来るかは不明/おそらくはない=この太陽が沈むまでがファーストでありラストチャンス。
導き出される結論――柱の男を倒すまでのリミット=日の入まで=残り約十二時間。
ゆえにシュトロハイムは直進しか選べないし、そもそも――――彼の誇りが他の選択肢を選ぼうとしない。
【G−6 路上/一日目 朝】
【独伊二国同盟】
【プロシュート】
[時間軸]:ブチャラティに列車から引きずりだされた直後
[スタンド]:『ザ・グレイトフル・デッド』
[状態]:背中に傷、左手首喪失、左肩に銃創、右足骨折、全身打撲、貧血気味、止血済み、マンモーニ
[装備]:スタングレネード、フルフェイスヘルメット
[道具]:基本支給品
[思考・状況]基本行動方針:『カーズ』を倒したなら『マンモーニ』を卒業してもいいッ!
1.どんな手段を使ってでも自分の手でカーズを倒す。
2.亀の中で少し休む。
3.暗殺チームの仲間を探す。
4.邪魔する者は倒す。
[備考]:亀の中にいます。
【シュトロハイム】
[時間軸]:スーパーエイジャを貨物列車から奪取した直後
[能力]:ナチスの科学力
[状態]:左腕喪失、右足全壊、重機関砲大破、右目完全失明(紫外線照射装置大破)、左半身に軽度の打撲
[装備]:スタングレネード×2、レミントン・ダブルデリンジャー
[道具]:ココ・ジャンボ(プロシュート入り)、基本支給品
[思考・状況]基本行動方針:ゲームを脱出
1.ナチスの科学力は世界一イイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ
2.放送の後、食屍鬼街へ移動しカーズを倒す。
3.『柱の男』に警戒。
4.出来ればすぐにJOJO、シーザーらと合流したい。
205 :
創る名無しに見る名無し:2009/05/24(日) 23:54:45 ID:c3eB6Ler
ああ
投下完了です。
誤字、脱字、その他アレ? と思う点ありましたら、指摘してください。
支援感謝です。
……ラジオ、面白いですねw
ああ投下乙
何なんだこのシュトロハイムのテンションwwwww
ああ投下乙
熱いシュトロハイム、クールな兄貴の
コンビネーションがいい!
投下乙です
ナイスコンビだなこいつらw
それにしてもこのシュトロハイム、KYであるw
昨日投下で今日予約…早ッ
>Whatever she brings we…… ◆em4fuDEyHM氏
ラバーソール無双どこまで続くんだこれwwww
本当に便利なキャラだよなぁ。相性で考えても絶対に負けるか絶対に勝つしかねぇw
マイク・Oとスカーレットは予約で死亡予想余裕でしたw
タイトルの元ネタマイク・オールドフィールドだしw
それでも原則なぞって死ぬのは読めんかったなぁ。
>まっすぐ ◆hqLsjDR84w氏
いいねぇ!こういう非日常の中にある日常っつーかよぉ〜〜
カーズ戦をなんとか乗り切ってるから、安泰だよなぁーwそろそろ日本を加盟に(ry
まさかオウガストリートの地下鉄に気がつくのかな……?
ショートストーリーをサッと書ける力が羨ましいぜ。
>◆Y0KPA0n3C.氏「Friends Will Be Friends」 「Save me」
これは読んでてかなり唸るSSだぜ。
原作から解釈できる描写を"孤独"と"寂しさ"というスタイルで絡める発想がいい。
グェスは仲間が誰もいない孤独。
花京院は仲間いるけど、かつてのグェス。
フーゴは仲間を捨てた、かつての花京院。
仲間の有無関係無しに孤独になりえる可能性を、花京院を中心として対比させてる。
氏が狙って書いたのかわからんが、あなたの心理描写の執筆スキル、成長性A。
>ブラックロックシューター ◆bAvEh6dTC. 氏
ヴァニラ・アイスがもう退場してしまったのに、それを超える面白さ。
第一回放送直後、ブラック・サバス使用、エンポリオの敵討ち、まさかの大物取り。
状況の全てがあなたに味方してた。「ただの超展開」とは言わせない説得力がある。
ここまでのレベルと同じようなフラグ昇華状況が、あと何回このロワで出来るか……。
>兄と弟は誓いを立てる ◆0ZaALZil.A
これが双方の死亡フラグとなるか生存フラグなるか……。
今まで空気だったけど単独になった分、応用性のある動かし方ができるようになった。
「ロワ」という視点でキャラを動かした氏だが、間違ってない。
やっと規制が解除されたから、感想を書いちゃったぜ!
みんな乙ってやつだぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーー!!!
どうか、また規制されませんように。
マイク・Oは生まれて間もない頃から『枷』を与えられた人生だった。
彼は子供のころから朝一番から外へ出て活発に遊び、ヘトヘトになりながら家に帰るのが日課だった。
家に帰れば母親がつくったスープを飲み干し、父親に今日の出来事を話す。
どこにでもあるような子供時代を送る、1人の少年だった。
「おいみんな、どうしたんだよ! 遊ぼうぜ?」
彼が最初に枷の洗礼を受けたのは、いつもと変わらない日曜日だった。
いつも遊んでいたはずの仲間たちが露骨にマイクから離れ、無視を決め込んだ。
マイクは『あいつの家のおやつを勝手に食ったのがバレたのか?』と唾を吐きながら家に帰った。
次の日、マイクはお小遣いを全額はたいて買った飴を友人に渡した。
マイクは仲直りの証のつもりだったのだが、友人は口を聞こうとしなかった。
口を聞こうとしなかったのは友人だけではなかった。
学校の先生も、近所のオヤジも、ボケ気味の婆も、マイクと口を聞こうとしなかった。
「ねぇパパ! どうしたらみんなと仲直りできると思う?」
マイクは晩御飯中に父親に相談するが、父は首を横に振るだけであった。
事情はわからなかったが、涙を流しながら抱きついてきた母をみてマイクは思った。
(ぼくはみんなと一生仲直りできないのかもしれない。ぼくがこの世界をそんな風にしてしまったんだ)
それからマイクは誰とも会話することもなく、青春時代をすごした。
両親とは毎日楽しく会話しているので寂しくはなかった。
周囲が冷徹な視線を送るのも、自分が招いた罰の結果と考えていた。
友人のおやつを勝手に食べなければ、もっとみんなと仲良くできたから。
(この世界にも大分慣れてきたな。絶えられない世界ではなかったんだ)
両親を愛し自然を愛し育ったマイクが、成人になったある日のことだった。
村で一番偉い長老に一家全員呼びだされたのだ。
「お前さんたちには悪いと思ってる。だがもう限界じゃ」
長老は自分たちに村を出て行く要求をしてきたのだ。
マイクには何がなんだかわからなかった。
わからなくて当然だった。
彼の故郷はとても閉鎖的で、情報が中々入ってきづらい場所だった。
“肌の色を問題視する”風潮が完全に広まってはいなかった。
だからこそ誰もが得体の知れない恐怖にかられて、マイク一家と距離をとっていた。
「若い衆が町まで行って調べてくれたんじゃ。お前さんたち一家はワシらを不幸にする」
謂れのない非難や風評が“事実”としてはびこる時代に、マイクは生まれていた。
どうして村を出て行かなければならないのか、マイクは納得できなかった。
この村の全てを愛しているというのに。この村の全ての敵意に耐えて生きていく世界を選んだというのに。
マイクの思いとは裏腹に、両親はあっさりと頭を垂れ、長老の指示に従った。
(今度は、故郷が無くなった世界に、耐えて生きなければならない世界なのか)
旅支度をすませ、村を後にしようとした時、1人の少女に話しかけられた。
「おにいちゃんは***なの?」
その少女はマイクのよく知る友人の娘だった。
聞いたこともない言葉を受けたマイクには、笑って答えるしかなかった。
少女は、金きり声を上げて走ってきた母親に連れられて、家の中に入っていった。
「マイク・Oです。なんでもやります」
それからのマイクの人生は、己の枷で実に苦しめられる人生だった。
就職はロクな働き口がなく、職についても真っ当と呼べる仕事は無かった。
昼は話したくもない中年女の罵声を浴び、夜は不当な理由で男からリンチを受ける。
全身を布で覆い隠しながら裏道を歩き、酒場のごみ箱を漁る毎日。
優しかった両親はすでに事故でこの世を去っていた。
(どこまで耐えればいいのかわからない世界だ。どうしていったいこうなった!? )
町に捨てられた新聞紙や、初老が営む古本屋で書を盗み、知識を蓄えた。
自分がなぜこんな境遇になってしまったのか。それを理解するには、全てが遅すぎた。
子供時代とはかけ離れた惨状に、マイクの怒りは勢いを増していた。
来る日も来る日も書物を漁り、ときにはページを破り食事の代わりにするほど、彼は没頭した。
すべては、この国に復讐するために。奴らのルールを知り尽くして優位に立つために。
(法とやらを仕切り、支配者気取りの世界にすむ政治家。今の俺は奴らを始末する世界にいるッ! )
極限にやせほそった身体と持ち前の知識を活動させて、マイクはとある政府関係舎に忍び込んだ。
マイクの目に最初に止まった高官らしき男の首に、ナイフを突きたてようと飛び掛った。
「見事だ。目前に接近するまで、まったく気配を感じ取らせないその動き。恐怖のかけらも感じられない」
しかし――暗殺は失敗した。確かに彼の両手はナイフを刺したはずだったのに。
マイクは捉えられ、逆に首筋にナイフを立てられてしまった。
「く……やはり栄養失調でまともに動けない世界だったのか」
「む? 随分と流暢な英語じゃあないか。***」
「その名で俺を呼ぶなッ! 貴様らがそんな風に呼ぶから俺はこんな生活を――」
「嘘をつけ。この屋敷は最新鋭の防犯措置をとっている。どうやって進入した? どこぞのスパイか?
よほどの教養がなければこの建物は突破できない。力だけの粗暴な奴らには無理だ」
「教養は大学に行かなければ身につかない世界か? 違う。本人の努力で身につく世界に教養はある」
「……名前を教えろ。私はファニー・ヴァレンタイン。議員の端くれだよ。少しお前に興味が湧いた」
ナイフは首筋を切ることは無かった。
代わりに、興味という名のナイフがマイクの心臓に刺さっていた。
この夜のマイクは久しぶりに暖かい暖炉の前で寝た。ゆらゆらと燃える火はマイクの心を溶かしていった。
(こんな夜もある……世界なのか)
数年後、マイクはアメリカ大統領専属SP部隊の長、および大統領夫人の護衛を一任されることとなる。
■
(あの方は周囲の目にも気にせず、私を重宝してくださった)
F-4から西へ。マイク・Oは身体に鞭を打たせる。
目指す当ては無い。あるのは忠義の思いだけ。
見た目で優劣を選ばない――まさに我が祖国の根底に流れる精神。
差別と偏見が渦巻いた世間に長い間、置かれていた青年は、このとき思い出したのだ。
そういえば自分が生まれた国は、自由の名の下に生まれた世界だった。
それを貫くのに、どれほどの理解と、どれほどの時間と、どれほどの心血を周りに注いだか。
ヴァレンタインは世の中をチェンジできる力とカリスマを持っていた。
(悪魔の手のひらへ探索を命じられたあの日のことは、忘れもしない)
とはいえ失脚を狙う過激な反対勢力の視線を感じ取れば、すぐに表舞台から舞台裏を回す配慮もあった。
ファニー・ヴァレンタインはマイク・Oにスタンド能力を授けることで、秘書から護衛官として代わる道を与えた。
チューブラー・ベルズによる大統領護衛の功績は反対勢力も黙らざるをえなかった。
持ち前の知能と言語能力も相まってか、理解者も増えていった。
“マイク・O、お前はあの夜このファニー・ヴァレンタイン大統領を殺したのだよ。重罪人だ。
だからお前が望むのなら、いつでも俺の元を去っていい。できるのならな、フフフフ”
叩かれる憎まれ口がいつも嬉しかった。
家族のように話し合っていた晩のような楽しさがマイク・Oに戻っていた。
己が大統領に尽くすのは忠義なのか、それとも親愛からなのか。
「――あ、マイク・Oじゃな〜い! おッはー、 ごきげんよう♪」
それは、今の彼にはどうでもいいことだった。
地から登る朝日とは逆に地に沈む大粒の涙。
「お、お、お……」
「ちょ、ちょっとマイク・O!? 」
「お会いしとうございました、大統領夫人(ファーストレディ)……ごきげん、麗わしゅう」
マイク・O――彼の出身はアメリカ合衆国だ。
【市街地(F-3北西部とF‐2北東部の境目)/1日目/早朝】
【マイク・O】
[時間軸]:SBR13巻、大統領の寝室に向かう途中
[状態]:左足に銃撃による傷が複数。全身に打撲。右肘に擦り傷。疲労
[装備]:金属片(方位磁針の外殻)
[道具]:支給品一式(方位磁針を除く)
[思考・状況]
基本行動方針:大統領夫人(スカーレット・ヴァレンタイン)を護る。
1.!!!
2.大統領夫人を命を賭けてでも護る。 無用な戦いは避けたい
3.自分の身は護るが自分から襲ったりはしない(下手な逆恨みで大統領夫人を危険に晒さない為)
4.襲ってきた相手には容赦なく反撃する。
5.大統領夫人を襲ったりしないのなら別に誰かに協力するのもやむを得ない。
6.できるだけ大統領夫人と共に脱出したいが無理そうなら大統領夫人を優勝させる為最後の二人になったら自決する覚悟。
7.マウンテン・ティムとナルシソ・アナスイの二人を警戒。
8.マウンテン・ティムをはじめ、どういうわけか死人ばかりだが気にしない。大統領夫人を襲うつもりなら元同僚でも容赦しない。
[備考]
※名簿はチェック済みです。一通り目を通しました。
※マウンテン・ティムが「裏切り者」(ルーシー・スティール)をかくまった謀反人であることは知っているようです。
※ナルシソ・アナスイのスタンド能力『ダイバー・ダウン』の一部(罠の作成)を知りました。
※マイク・Oが進んでいる方向は次の書き手さんにお任せします。
【スカーレット・ヴァレンタイン】
[スタンド]:なし
[時間軸]:ルーシーに眠らされた後
[状態]:健康、多少の動揺、仮眠中
[装備]:スーパーエイジャ(首飾りとして)
[道具]:基本支給品一式、不明支給品0〜1(本人は確認済み、武器ではない)
[思考・状況]
1:マイク・O、見つけた! 少し疲れた……
2:政府公邸に行けば、誰か助けてくれるかも? もしくは鉄塔に行く?
[備考]
※ジェイル・ハウス・ロックは制限されていました。ミューミューが仮眠をとったので能力が解除されたようです。
230 :ぼくの故郷はアメリカだった ◆em4fuDEyHM:2009/05/07(木) 20:38:15 ID:???
規制されているので、一時投下スレに投下しました。
まずは、マイク・Oとスカーレットの早朝(つまり第一回放送より前の時間軸)の話です。
この2人にリゾペシ、ミューミュー、ラバーソールが加わった話を後日投下します。
なぜスカーレットがマイク・Oと再会できたのかも、その話でちゃんと説明します。
その話の時間軸が放送後なので、今回のように分けました。
wiki収録の際には、放送前のカテゴリに収録する予定でございます。
220 :
◆33DEIZ1cds :2009/05/28(木) 20:19:31 ID:NgTCXqxD
エリナ投下します。
夜を刳り抜く獣の眼のような月。
冷やしては水に浸け、繰り返す、擦り切れた自分の手。
彼が目覚めた瞬間、胸を満たしたあの安堵。
骨折した腕で自分を支えてくれた、あの時の感覚。
彼は優しい声で囁いてくれた。
「いつだってささえるさ」
ハネムーンで乗り込んだ客船で、群れからはぐれた鳥を迎えに来た仲間鳥を見て涙していた自分。
誇り高い彼の腕の中にいることに、自分は幸福の極みを味わっていた。
ああ、これは夢、夢なのだ…
でも。
(夫は私を満たしてくれた、私も彼を慈しんだ。
それだけは、今の私にはよく分かっている。私の心が、語ってくれるのだから。)
ベッドを自らの涙で濡らしつつ、エリナ・ペンドルトンは覚醒した。
意識が曖昧なまま、髪をかき上げると、自分の手が凝固した血で覆われていることに気づき、完全に意識がはっきりとした。
外はすっかり日が昇っている。
(なんてこと、先ほどの何もかもを包み込んでくれるような幸福の感覚が夢で、私が弱さ故に起こしてしまったすべての血腥い罪が現実だなんて…)
(私は孤独…)
しかし、先ほどの夢の曖昧な残像に、ジョナサン…と呟くだけで心臓が持ち上がるような硬い緊張がゆっくりとほどけるのだった。
大きすぎる不幸の連続に、錯乱していた思考が、徐々に、徐々にまとまってゆく。
昨夜のジョナサンは、一体なんだったのだろう?今、彼は何をしているのだろう?孤独に酔いしれ、あてどもなく彷徨っているのだろうか?
誰が彼を、癒してあげられるのだろう?
私が犯した全ての罪悪を、彼はどう思うのだろう?
(軽蔑するだろうか、彼は?それだけは耐えられない、心が折れてしまう…)
ぎゅっと目をつぶり、シーツを握りしめて思う。
(冷静さを取り戻すのですエリナ、お義父さまのこと、逃げてはいけない。考えて考えて!)
今!お義父さまを助けられるのは、宇宙で私だけ。
必死に記憶を手繰り、逃げていた昨夜の記憶を、今度は追いかける。
確かに義父の体には死の実感があった。
(ではあの奪われた魂は…?私が何もしなければ、今人形に閉じ込められている義父の魂は、永遠に苦しみ続けるだろう…
こんなことは無実に対する不当な仕打ちだわ!彼が何をしたというのです…でも、私がそのきっかけを作ってしまった。)
しかし、そこでふと気が付く。あのテレンスという執事の男性は、彼(テレンス)を殺すと、義父の魂も天に召される…と言っていた。
つまり、現状ではエリナがチケットを使わない限り、誰にも気づかれないテレンスが無事ならば、義父の命はひとまずは安全…
もしそうだとすれば、彼(テレンス)は…
「まさか!”敢えて”!!」
義父の魂を傷ついた肉体から離し、人形内に確保することで、ひとまず命を預かってくれたのでは!?
しかし何のために?控えめに見ても、そのような慈悲心を持っている人間には見えなかった。
義父を助けることが何か彼のメリットになるのだろうか…
(彼とは必ず再会しなくては。お義父さまを助けて、聞きたいことも山ほどあるのですもの…)
肉体から離れた魂を元に戻すにはもう一度、あの奇妙な執事の男性・テレンスと賭けをし、勝つこと。
しかしエリナにそんなギャンブルのスキルはない。自分には「”勝つ”ために何をすればいいのか」というギャンブルの基本的な精神の問答がわからない。
そんなものとは無縁の世界で生きてきたのだから。
自分は無力ということを受け入れ、無茶な事をして事態を悪化させないことが最良…
つまり、プレイを請け負ってくれる人物を探し、自分の魂をチップにしてもらい、もう一度挑む。
しかし、そもそもこの状況下、自分のように訳もわからず、錯乱している者の方が普通なのではないのか?
そのような中で見ず知らずの他人に、協力を仰げるのだろうか…
ましてや、自分の身に起こったファンタジーやメルヘンのような出来事を誰かに話して、信じてもらえるのだろうか?
(信じてもらえるようにしよう。協力してもらう、そのためになら何でもしよう。私の軽率な行動のために、義父を悠久の苦しみの中へ落とし込んでしまったこと、
私が弱さ故に流され、犯してしまった罪、包み隠さず話そう。それでお義父さまを助けられるのならば、自らの薄汚さを告白しよう…)
誇りある淑女として生きてきた彼女には、つらい選択であったに違い無い。
彼女を支えるのは愛=希望!しかし希望は常に、暖かな太陽の光を連れてくるとは限らない。
「ああ、もう私の心は決まってしまった。地獄が始まったのだ!でも、生き抜いて見せましょう。お義父さまの魂を解き放つ
その時まで、決して躊躇はしない…」
ジョナサンには再び会えるのだろうか?あの柔らかな抱擁を、取り戻せるだろうか?
(そしてお義父さまをきっちりと責任を果たして助けることができたなら、ジョナサンにもう一度会って、すべてを打ち明けて…許してもらいたい。
でも今はそのことにはこだわらない。)
「私はジョナサン・ジョースターの妻!彼への愛、これは真実・・・愛とは今この心を鼓舞し、先に進むことを許してくれるものすべてのことよ!
Mr.アラキ、たどり着くことさえ出来たのなら、私の全存在を懸けても、この言葉の意味を教えて差し上げるわ。」
彼女の瞳に燃えているのは、愛を溶かしこんだ漆黒の意志。
そして賭けるは、朧げなれど滅すること無き愛の約定。
混沌たる業を背負うは迷い道、迷いし果てる、その先は…
その先は?
G-2 ジョースター邸 二階寝室/一日目/午前】
【エリナ・ペンドルトン】
[時間軸]:ジョナサンと結婚後
[状態]:精神疲労(限界)、身体疲労(中)
[装備]: ドレスの裾が破れてSexy 手は血塗れでgrotesque
[道具]:木刀(元々はアレッシーの支給品)。支給品一式。不明支給品残り0〜1(確認済)。靴(脱いでデイパック内にしまいました)
サブマシンガン(残り弾数不明) 。不明支給品0〜2(未確認)、ダービーズチケット
[思考・状況]
1.現実を受け入れた。しかし罪を背負った自分は薄汚い。それが悲しい。
2.漆黒の意思(しかし愛が溶け込んでいる)
3.責任を果たすために、自分がどんなに汚れても義父を助ける。そのための協力者を探す。
4.でもなるべく人は殺したくない。
5.ジョナサンを守るための戦いの覚悟はできていた。でも今はジョナサンには会いたくない。ジョージをきちんと助けたらきっと…
6.もし再び会えるのならば、あの男性(ミスタ)に謝罪をしたい。
[備考]
※アレッシーを、「危険人物」と認識しました。アレッシーの支給品には武器が無いと判断しました(あくまでエリナの判断です)
※自分の支給品、アレッシーの支給品を確認しました。
※不明支給品1〜2(未確認)とダニーについて書かれていた説明書(未開封)が入ってるジョナサンのデイバッグ、
タルカスの剣、ジョージのデイバッグの三つがジョースター邸内(C-2)に放置されてます。
※ジョージの魂が奪われたことが真実であろうと嘘であろうと、ジョナサンに合わせる顔がないと思ってます。
自分のせいで穏やかに死ぬ運命だったジョージを永遠に苦しめる結果にしてしまったからです。
※半信半疑ながらも、テレンスの親切に気がつきました。→テレンスが実はジョージを助けるために、魂を一時預かってくれたのでは…?
※第一回放送を聞き逃しました。
※何時ごろに起きたかは不明。後の書き手さんにお任せします。6〜8時の間で、少なくとも日は昇っています。
※行動方針は決まりましたが、どこかへ移動するべきか等、具体的な事まではまだ考えていません。
目アド
以上です。よろしくお願いします!
乙
セリフ回しがそれっぽくていいね
あとメールアドレス欄にはsageって入れてね
投下乙です!
エリナさんかっけえよ、エリナさん
この人二部のエリナさんと同一人物だったなぁ、と今更w
ロワ内であそこまでかっこよくなれるかな……?
これからに期待したくなるSSでしたっ!
あ、メール欄にはアドレス入れないほうがいいですよ
>226
>227
メール欄
うわあああああああ
すいません…
ありがとうございます
五分くらいしたら投下します。
バトル・ロワイアル開始から六時間が過ぎ去り、途中経過が会場全体に報告される。
参加者の大多数が何らかのショックを受けるであろう内容なのだが、この民家内でただ一人放送を聴いていた男の場合は別であった。
丸太のような両腕を組んだままで、立ち入り禁止となるエリアだけを脳内に刻み込む。
呼ばれた二十六の死者の中に、彼の知っている名前がなかったワケではない。
幾らか聞き覚えのある名前はあった。そう、あったにはあったのだが――別に悲しんだりはしない。
むしろ彼は、『ザマァ見やがれ』だとか『死んだ方がこの世のためだぜ』とか考えている。
冷酷すぎると思うかもしれないが、しようのないことなのだ。
彼の知る名のうちの全てが囚人であり、彼自身はそれを監視する人間なのだから。
白い制服に身を包んだ彼の名は、ヴィヴィアーノ・ウエストウッド。
グリーン・ドルフィン・ストリート刑務所の看守であり――――『最強』を自負する男。
ややあって、ウエストウッドがソファから腰を上げる。
なぜだか『治療せねばならない』気がする岸辺露伴の様子を伺うためだ。
乱雑に床に転がしたままのシーザー・アントニオ・ツェペリを跨いで、ウエストウッドは露伴を横たわらせたベッドへと向かおうとする。
民家自体が脆いのか、はたまたウエストウッドのガタイがいいためか、彼が足を動かす度に僅かに床が軋む。
数刻前の放送でも目覚めなかったシーザーだが、自身が密着している床を伝わる衝撃が彼を現実へと呼び戻した。
「…………っ、うぅん……?」
不意に、シーザーが殺し合いの場に相応しくない呻きを零す。
声量は微かなものであったが、まだ部屋を出ていなかったウエストウッドの鼓膜を刺激するには十分すぎる。
まだ焦点の合わさっていないブルーの瞳で状況を見定めようとしているシーザーの許に、犬歯を覗かせたウエストウッドがゆっくりと歩み寄っていった。
◇ ◇ ◇
(――ここはどこ、だ?)
ぼやけた視界と曖昧な思考の中、シーザーが最初に抱いたのは疑問だった。
祖父の仇を取った後、意識が朦朧とした状態でオウムに導かれ――――
そこまで思い返してシーザーは上体を起こすと、恐る恐る視線を自身の左側へと向ける。
喪失したはずの左腕が健在なのを認識し、彼は安堵のため息を吐いた。
(嘘みてェな話だが、どうやら夢じゃあなかったらしいな。
波紋使いである以上、腕が潰れても代わりとなる物があれば即座にくっつくのは理解できる。
だがどうして、『俺のとピッタリ同じサイズ』の腕があんなところに? 最初にあったヤツも、『銃弾を背後で回転』とかワケの分からねえことを言っていたが……)
「オイ、お前」
かつて吸血鬼・ディオが使ったという気化冷凍法に、柱の男が操る流法、そして自身の扱う波紋。
殺し合いに呼び出されてから味わった異常体験の連続は、それらを知るシーザーの理解の範疇をも超えていた。
思案を巡らそうとするが、それは唐突にかけられた言葉によって中断される。
声のした方へと振り向いたシーザーの瞳が映したのは、既に手が届くほどの距離まで接近していたウエストウッド。
その奥にあるベッドに寝ている露伴の姿も確認し、シーザーは眼前の男が自身を介抱したものだと判断する。
バンダナで掻き揚げた金髪を整えながら、気恥ずかしそうにシーザーがウエストウッドに視線を向ける。
「どうやら、アンタが道端で寝てた俺を運んでくれたみてェだな。
そこで寝てるヤツもいるってのに、迷惑かけちまってすまなかった。礼と言っちゃあ何だが――」
「あれだけ血まみれで傷がねえってことは、他人を治療できるんだろ。早くアイツを治せ」
シーザーの感謝の言葉は、ウエストウッドの指令によって遮られる。
暫し目を見開いて唖然として、すぐにシーザーが歯を軋ませる。
指令の内容自体は、受け入れられないような無茶苦茶ではない。
というか、はっきり言ってシーザーは自らそう提案するつもりだったのだ。
――が、である。
恩人であるとはいえ出会って間もない人間による、有無を言わさぬ口調での言い付け。
元よりプライドの高いシーザーにとって、それに易々と従うのは到底納得できることではなかった。
ゆえに、シーザーは憎まれ口を叩いてしまう。
「何、俺に命令してんだァ?
確かにアンタにゃ助けられたが……それで俺の上に立ったつもりか、テメーは。従う理由なんてないね」
この発言は、シーザーの真意ではない。
ほんの少しでも頭を下げられれば、すぐに露伴の傷に波紋を流してやるつもりだった。
されど、ウエストウッドがそんなことを知る由もない。
『岸辺露伴の身を守るため』に連れて来た男が、治療をしないと言うのなら――
「シャああッ!!」
力づくでさせるだけの話である。『岸辺露伴の身を守るため』に。
「くッ!?」
ウエストウッドが放った左の下段蹴りに、上体だけを起こしていたシーザーは目を見開く。
全く抜けていない疲労やダメージを意に介さず、とっさに座ったままの姿勢でジャンプ。
刈り取るような蹴撃は空を裂くに終わるが、ここまではウエストウッドの予想通りの展開。
そもそも、彼の肉体で強い部位は右腕と右脚。
その他の場所からの攻撃は、基本的に繋ぎにすぎないのだ。
振り抜いた左脚が地面に接触し、大きく足を開いた体勢となるウエストウッド。
攻撃に使用した左脚を軸へと転じさせ、身体を独楽のように回転。
一度捻りが生まれれば、その一撃の間は軸は不要。ウエストウッドは左脚に力を篭め――跳躍。
屋根に触れない高さまでしか上昇できかったシーザーに、ウエストウッド渾身の飛び廻し蹴りがヒットした。
「見たかァァーーー! 俺は、最強だぁぁあーーーーッ!!」
シーザーが激突したことにより砕かれた壁を一瞥して、着地したウエストウッドが勝鬨の声を上げた。
◇ ◇ ◇
強烈な衝撃により吹き飛んだシーザーは、地面に仰向けになって空を眺めていた。
まだ昇りきっていない太陽に横合いから照らされ、そよ風が疲労の溜まった肉体を撫でるように流れている。
そんな状況ながら、シーザーは眩しさや心地よさを感じてはいなかった。
ウエストウッドの一撃による負傷が、彼の思考を埋め尽くしているのでもない。
はっきり言って、先刻の飛び廻し蹴りがシーザーに与えたダメージは皆無。
キック自体は脇腹に波紋を纏わせて受け止め、壁を突き破った際は背中に波紋を集中させておいたのだ。
つまり、いまシーザーは苦痛に耐えているのではない。
ならば、何が彼の中に蠢いているのか。それは……――――
(野郎! 加減しやがった……ッ)
純粋な怒りである。
ウエストウッドは『岸辺露伴の身を守るため』に、シーザーが露伴を治せなくなってしまうような攻撃をしなかった。
仮にやったところでシーザーは波紋でガードしただろうが、顔面や股間など致命傷を与えることができる部位も攻撃可能であったのに。
そのことが、シーザーには許せなかった。
シーザーが何よりも誇るツェペリの血を流す男が、何千年も受け継がれてきた技術を扱う波紋戦士が、手加減をされたのだ。
――――さらに、一つの勘違いがシーザーの苛立ちを加速させる。
(それも、アイツは吸血鬼や柱の男じゃあねえ……!
波紋を使うワケでもッ、荒木や最初に会ったヤツの能力を持っているワケでも!!)
ウエストウッドがスタンド使いであることなど露知らず、シーザーは相手を喧嘩慣れしただけのチンピラだと判断する。
赤錆じみた液体が口内に染み出るのさえ気付かずに、下唇を噛み締める。
『チンピラ如きに格下に見られた』――そう認識する度に、シーザーの怒りは増大する。
言っておくが、対象は決してウエストウッドではない。
シーザーは、適当にあしらわれた自分自身が許せないのだ。
ツェペリの血筋と波紋を誇るがゆえに、その二つをチンピラに軽視されたのが不甲斐なかった。
これまで以上の力をシーザーが顎に篭め、水ぶくれを潰した時のように唇から赤黒い液体が噴出する。
繊維が千切れる音が頭の中に響き、やっとシーザーは自身が無意識下で行っていた自傷行為を知る。
「…………情けねェ」
自嘲気味に呟くと、時間をかけながら立ち上がるシーザー。
口内に溢れる血液を唾と共に吐き捨て、冷たい笑みを浮かべる。
(俺を移動させてくれたのには感謝するが、あの野郎は俺の誇りを卑下しやがった。
……やっちゃあいけねえことをしたッ。一発ブン殴らせてもらうぜ、正面からな!)
デイパックは民家に置いたままなので、現在のシーザーに石鹸水を用いた技は使用できない。
それを理解していながらも、シーザーは臆したりしない。
ツェペリの血筋に、長い時をかけて鍛えた波紋。
二つの誇りが彼には残っているのだから、気後れする理由なんてどこにもない。
シーザーは拳を握り締めて、目を見開く――その瞳の中には炎が宿っていた。
「中にいるテメー、俺はまだピンピンしてるぜ!
今から入るが、ハッキリ言っておく! さっきみてーに俺をナメてたら痛い目見るぜ!」
声を張り上げて、民家へと襲撃宣言。
それからたっぷり一分が経過してから、シーザーは自身が空けた壁の穴をくぐった。
上下左右の全方向を素早く見渡そうとして、それをやるより前に気付いてしまった。
――足元で倒れ臥しているウエストウッドに。
「何ィィィッ!?」
驚愕しながらも、状況を見定めようとするシーザー。
彼の元に、足音を立てることなく人影が接近する。
「バレてねーとでも思ったか?」
シーザーが告げるよりも早く、波紋を纏わせた裏拳が人影を貫いた。
反射的な行動のために波紋は不十分だが、勢いだけでも常人の域を飛び出した一撃。
であったのだが――
「ッ? やっていない!?」
シーザーの手元には、攻撃を与えたという感触がない。
すぐさま二撃目を入れようとするシーザーだったが、それよりも早く人影が手を伸ばした。
「っ、あ……ぅ」
人影に触れられた瞬間、気合の抜けた声を漏らしてシーザーはくず折れる。
倒れた衝撃で『ページ』が何枚かめくれたシーザーを確認して、ベッドに寝ていた岸部露伴が身を起こす。
彼が覚醒したのは、飛び廻し蹴りを決めたウエストウッドが吼えた時であった。
壁に空いた巨大な穴、勝ち誇るウエストウッド、床に置かれている三つのデイパック。
それらから露伴は、『ウエストウッドが何者かに攻撃を加えた』のだと予想。
決して五体満足といえない状態でありながら、直ちに彼はスタンド『ヘブンズ・ドアー』を発現。
書物となったウエストウッドを確認して、意識を落としていた間に何があったのかを確認しようとしたのだが……
そこにシーザーから宣戦布告が浴びせられた。
その内容から説得を不可能だと判断した露伴は、ベッドにて寝たフリをしていたのである。
一度この場に侵入させて、ヘブンズ・ドアーで無力化させるために。
◇ ◇ ◇
(『ヘブンズ・ドアー』に触れられた瞬間、痺れるような感覚が身体に走ったが……それがアイツのスタンドか?)
スタンドはスタンドでしか攻撃できない。
波紋はそのルールを覆すエネルギーであるのだが、露伴はそのことを知らなかった。
ゆえに、彼はシーザーをスタンド使いと判断する。
傷口を隕石で焼かれて止血済みとはいえ、肉体自体を抉り取られているために露伴の足取りは重い。
応急処置はされているし、ある程度睡眠は取ったが、それでもだ。
ふらついた足取りでシーザーまで辿り着き、体勢を仰向けにさせる。
(む? あれは……)
露になったページに載っていたマーク――既に壊滅したナチスを表す鉤十字が、露伴の興味を引いた。
本来の目的である『シーザーが殺し合いに乗っているかの判断』より先に、その付近のページを黙読し始める露伴。
血の気が引いて顔色が悪くなっているにもかかわらず、彼はどこまでも好奇心に忠実であった。
(『1938年』ン〜〜〜? オイオイ、何の冗談だ?
それに、胸糞悪い仗助に似たコイツが『ジョセフ・ジョースター』? 1938年にこの見た目なら、確かに辻褄は合うが…………)
行を追うごとに、露伴は腑に落ちない感情を募らせていく。
しかし彼は『ヘブンズ・ドアー』の能力を誰よりも信頼している――だからこそ、余計に釈然としないものがあった。
同じページに載っている青年の写真と説明文が、なおさら露伴を疑問の螺旋に巻き込んでいく。
生唾を呑みながら、付近の文章に目を通していく。
「『波紋』、『吸血鬼』、そして『柱の男』……!?
これは『スタンド』じゃあないぞッ! 全く異なる別の能力!」
記されていた突飛すぎる内容に、露伴は意図せず言葉を零してしまう。
走り読みしてしまった箇所も、時間をかけてもう一度読み返す。
文字を追うごとに、露伴の表情が嬉々としたものに。
青白かった顔色は、はつらつとしたピンク色へと移り変わっていく。
「何だ、これは!? とにかくものスゴいぞ!
康一君の記憶を読んだ時の全身が痺れるような感覚! それを再び抱けるとは!」
毛穴から分泌された汗を全身に伝わせて、両の瞳を輝かせる露伴。
動悸が激しくなっているのを自覚しながら、通読していく。
「素晴らしい! 実に秀逸な題材(ネタ)だッ! 『読んでもらえる』作品を書くための!
この『リアリティ』を逃す手はないぞッ! フ、フフハハハハハーーーーッ!!」
資料となったシーザーが、露伴の漫画家としての性に火を点けてしまった。
少し前まで考えていたことなど、もはや頭の片隅へと追いやってしまっている。
彼にとって、全てのことは『漫画と比較すれば』取るに足らないことなのだから。
露伴は転がっているデイパックに手を突っ込んで、鉛筆と紙を取り出す。
本となったシーザーのページを引き千切ってもいいのだが、かつての一件以来露伴はそれをしないようにしていた。
隕石に肩を貫かれたというのに、鉛筆を掴む力に限っては普段と遜色なかった。
スゴいね、人体。スゴいね、漫画家。
「この岸辺露伴が、震えてうまく物が書けないなんて! こんなのは何年ぶりだろうなァ〜〜。
康一君が……いや、この際クソッタレ仗助でもこの場にいてくれれば! この手じゃあ、メモもうまく取れないぜ!」
挙げた二つの名が先刻読み上げられたことを、露伴は知らない。
そして彼が本としたシーザーもまた、放送を聞いておらず。
――――友人の死を露伴に告げるものがおらぬまま、彼の取材は続く。
【D−3(北部) 民家/一日目 朝】
【岸辺露伴】
[スタンド]:ヘブンズ・ドアー
[時間軸]:四部終了後
[状態]:右肩と左腿に重症、貧血気味、テンション上がってきた
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜3
[思考・状況]
基本行動方針:色々な人に『取材』しつつ、打倒荒木を目指す。
0.もう他のこととか心底どうでもいいから、今は取材取材ィ! メモを取るぞ!
1.怪我を治したい。
2.あとで隕石を回収しに来よう。
[備考]
※まだ名簿・地図・不明支給品を確認していません。
※プッチ神父と徐倫の情報は得てません。
※傷の出血は止まり、包帯で応急措置済み。右腕左足ともに動かすのは可能。どの程度まで激しい動作が可能かは、以降の書き手さんに任せます。
※第一放送を聞き逃しました。
【ヴィヴィアーノ・ウエストウッド】
[スタンド]:プラネット・ウェイブス
[時間軸]:徐倫戦直後
[状態]:左肩骨折、ヘブンズ・ドアーの洗脳 、『ヘブンズ・ドアー』の能力により本化
[装備]:なし
[道具]:基本支給品(飲料水全て消費)、不明支給品0〜3
[思考・状況]
0.気絶。
1.スタンド能力を持っている男(シーザー)に男(露伴)を治療させる。
2.露伴を治療する
3.露伴の命令に従う。
4.出会った人間は迷わず殺す。
[備考]
※怪我の応急措置は済ませました。戦闘などに影響が出るかどうかは次の書き手さんにお任せします。
※支給品を一切確認していません。
※自分の能力については理解しています。
※ヘブンズ・ドアーの命令は以下の二点です。
1.『人を殺せない』
2.『岸辺露伴を治療ができる安全な場所へ運ぶ。なお、その際岸辺露伴の身を守るためならスタンドを行使する事を許可する』
※ヘブンズ・ドアーの制限により人殺しができないことに気づいていません。
※鉄塔の戦いを目撃しました。プッチとサーレーの戦いは空のヘリで戦闘があった、地上では乱戦があった程度しかわかっていません。
また姿も暗闇のため顔やスタンドは把握していません。
※館から出てきたジョナサン、ブラフォードを見ました。顔まで確認できたかどうかは次の書き手さんにお任せします。
【シーザー・アントニオ・ツェペリ】
[時間軸]:ワムウから解毒剤入りピアスを奪った直後。
[状態]:首に若干の痛み(戦闘には支障無し)、疲労(大)、ダメージ(大)、『ヘブンズ・ドアー』の能力により本化
[装備]:スピードワゴンの帽子。
[道具]:支給品一式、エリナの人形、中性洗剤。
[思考・状況] 基本行動方針:ゲームには乗らない。リサリサ先生やJOJOと合流し、 エシディシ、ワムウ、カーズを殺害する。
0.気絶。
1.ウエストウッドをブン殴る。
2.荒木やホル・ホースの能力について知っている人物を探す。
3.スピードワゴン、スージーQの保護。
4.ストレイツォは出来れば殺したくない。
5.女の子がいれば助ける。
[備考]
※第一放送を聞き逃しました。
投下完了です。
誤字、脱字、その他アレ? と思う点ありましたら、指摘してください。
支援感謝です。
ラジオ実況スレ見てみたら、俺が寝てから地図の人が来てたらしく勿体無いことしたなぁ……
うげ、支援感謝っての残ってる。コピペしたの丸バレだ。
気にしないでください。
投下GJ!
露伴の能力は情報収集って点で本当に優秀だなおいw
放送聞き逃しイベントが後々どう響いてくるのか・・・
あとウエストウッドはもうちょい落ち着けw
露伴・・・なんとういう依然変わりない状態なんだwww
ともかく投下乙!!
【J・P・ポルナレフ、トニオ・トラサルディー、サンダー・マックイイーン】投下します
「バトル・ロワイヤル」、荒木飛呂彦が主催する殺人ゲームが開始してからもう6時間はたとうとしている。
その中でも参加者の動向は様々である、絶望する者、決意を固める者、逃げる者、戦う者。
その中でも、ここイタリアンリストランテ「トラサルディー」に決断の時はせまっていた
「クリームスターター」、制限により今は「負傷者の傷を塞ぐ程度の能力」しかもちあわせていないが
このロワイヤルでの基調な回復アイテムであるといえるだろう。
これを使い地震の回復を優先するのか、それとも他の参加者のために残しておくのか。
残り少ない回復アイテムを目の前にして、目を覚ましたトニオ・トラサルディーが取った行動とは?
「それではこのクリームスターターを使って料理を作りたいと思いまス。
シェフは私ことトニオ・トラサルディーと」
「アシスタントのサンダー・マックイイーンです!死にたくなっ・・・いや頑張ります!」
「・・・解説のジャン・ピエール・ポルナレフだ・・・何やってんだ俺」
以外ッ!!それは調理ッ!!
〜フランス風クリームスターターとパールジャムのミルフィーユ仕立て季節のソースを添えて〜
材料(四人分)
・クリームスターター ・砂糖40g(20gずつに分けておく)
・パールジャム ・レモン汁 小さじ1
・バゲット(一本全部) ・シャンパン・ドライ 2/1カップ
・生クリーム200cc(100ccずつ分けておく) ・ブランデー 小さじ1
・固形ゼラチン ・セージ・カモミール
・花梨 (皮だけ) ・水 1カップ
・根性 ・塩・ブラックペッパー 少々
[賞味期限 36時間]
「いつもは熱い内に食べていただくのが私のモットーなのですが
このような状況ですので日持ちのする作りにさせていたただきまシタ。」←トニオ・トラサルディー
「36時間を超えたらどうなるんだ?」←ジャン・ピエール・ポルナレフ
「自分はお客様に賞味期限を超えた物をお出ししたことが無いのでわかりまセンが・・・美味しくないことは確かでしょうね
と、そろそろですね。マックイイーンさんオーブンは温まりましたか?」←トニオ
「できました〜」←サンダー・マックイイーン
「では、このクリームスターターから取り出した肉に、塩とブランデーを振りかけてオーブンで20分ほど湯煎させていただきマス。
しばらく時間がかかりますのデ、この間に別の作業を行いましょう」←トニオさん
「質問なんですけど〜湯煎することで何かいいことでもあるんですか?」←マックイイーン
「肉を裏ごしする時、柔らかいほうがやりやすいからデスよ。
また脂肪を取り除き、ふわっとした食感にすることが出来ますね」←料理人
「へ〜」←36へぇ
「へー」←15へぇ
「ご理解いただけたようでなによりデス、それではこの料理にフランス風と名付けた理由も御説明いたしましょう
お二人ともこれは何だと思いますか?」←ドンッ!
「シャンパン?」←アメリカ人
「シャンパーニュ?←」フランス人
「イタリアではスプマンテともいいますね、そうお察しの通りスパークリングワインです。
これはシャンパーニュ産のものですので、ポルナレフさんの言うとおりシャンパーニュと呼ぶのが正解ですかね」イタリア人
「まーな、ってちょっと待て。これミレジメじゃねーかッ!!」←ポルナレフ
「ミレジメ?」マックイイーン
「ヴィンテージの付いたシャンパーニュの事だッ!こいつはドンペリニョンのレゼルヴ・ド・ラ・ベイ!
辛口で肉料理によく合うが・・・少なくとも料理にほいほい使っていい値段のシャンパーニュじゃねぇッ!!」思わず阻止
「アマダイのシャンパン煮に瓶一本使う国の人が何いってるんデスか」←かまわず投入
「うおおーッ!もったいねぇ・・」←orz
「後で注ぎますので今はもう少しお待ち下さい、マックイイーンさん生クリームの泡立ては終わりましたか?
すくってみると少し絡み付いて落ちるくらいが良いのデスが」←ト
「六分立てってやつですよね〜このくらいだと思うんですけどどうですか?」←マ
「ああ、丁度いい感じデス。私の腕がまだ動かしにくいので助かりマスよ、マックイイーンさん」怪我人
「いやぁ〜俺はトニオさんの役に立ちてぇだけですから、何でも言って下さい
それに・・・今まで料理作んのが、こんなに楽しいなんて思わなかったし・・・
つかポルナレフも働けよ、トニオさんに怪我させたのあんたじゃねぇか」
↑まっくいいーん は ざらき を となえた !
「うっ」←つうこん の いちげき!
「まぁまぁ私は大事にはいたっていませんし、ポルナレフさんの行動もマックイイーンさんを思ってのことですから
もういいじゃないデスか」←とにお は なだめる を つかった
「トニオさんがそう言うなら俺はいいですけど・・・
もうこの生クリーム、シャンパンの所に入れていいんですかい?」←こうか は ばつぐんだ!
「ええ、こうやって混ぜると・・・はい。シャンパーニュのムースの出来上がりデス」←とにお の れべるが あがった
「おおー!ブラボー!!このムースも食べるとさっきみたいに体が治ったりするのか?」←ポルポルくん
「いえ、これだけでは効果はありまセン。これから作る肉のムースとバゲットとソースを組み合わせる事によって
この料理は『体中の傷を治す料理』となるのデス。ただ・・・」←うつむく
「「ただ?」」←はもり
「億泰さんという私のお店によく来て下さる方がいるのですが、
その方のお父様が病気ではないのですが・・・ずいぶんと体を悪くしてらっしゃるのデス。
このような食材が他にもあれば、治す事が出来るかもしれないと今思ったものですから」←料理人
「トニオさんでも治せないもんがあるとは驚きだぜぇ〜ん?オクヤス?名簿にもそんな名前が書いてあったような」
「ええ、仗助さん、承太郎さん、億泰さん、康一さん、由花子さん、露伴さん、早人さん。
私の店に食べにきて下さった方ばかりです、みなさん御無事でいらっしゃればよろしいのデスが」←調理してる
「承太郎まであんたの店に食べにきてたとは驚きだぜ。
承太郎は俺達の仲間なんだよ、ジョセフにアヴドゥルに花京院に承太郎、んで俺。
何で死んだはずのアヴドゥルと花京院の名前が載ってんのかは、よくわからねえがこれだけは確実にいえるぜ
全員この糞ったれなゲームには乗ってねえってな!」←解説してる
「あの〜」←手伝いしてる
「何だよ」←解説してない
「放送聞き逃したじゃないですか俺達、放送で死んだ奴の名前とか呼んでたみてえだし
もし二人の知り合いがよばれてたらどうするんだよぉ〜?」←一時間前、放送をメモしようとしていた人
「放送・・・」←一時間前、目が覚めると同時にトニオに襲いかかった人
「ありましたネ、そういえば」←一時間前、目が覚めたらポルナレフを止めてるマックイイーンを見た人
「あん時ほんとゴタゴタしてたからよう、結局誰も聞いてなかったんですよねぇ〜」
↑一時間前、ポルナレフに自分が攻撃されたわけではないことを必死で説明した人
「まぁ・・いいじゃないデスか、放送の事は他の方から聞くことにいたしましょう
肉のムースも完成しましたし」←一時間前、二人を止めるため料理を口にした人
「「早ッ!?」」←一時間前、正座でトニオに説教くらった人達(主に店内の惨状について)
「これに軽くあぶったバケットに、肉のムースとシャパーニュのムースをサンドしてしばらく冷蔵庫でひやしマス。
時間がたつごとにムースがバケットに染み込んでいく、というわけデス。」
↑一時間前、喧嘩両成敗で二人に店内の清掃を言い渡した人
「おお旨そうだ〜でもこれ他の怪我した奴がたべるんだよなぁ〜ちょっと羨ましいよなぁ〜」
↑ついさっきまでポルナレフと掃除してた人
「ふふ・・・そうおっしゃると思ってこちらに、スタンドを入れていない料理をご用意させて頂きまシタ。」
「「うおおおおおおおおおおおッ!!」」←ガッツポーズ
「ちょっとお待ち下さい、食べる直前に花梨で作った赤いソースをかけて・・・どうゾ!!」←ドンッ!!
「「ンまぁーーーーーーーーーーーーーいッ!!」」←終
【最強のシェフと最狂の囚人と最凶の剣士】
【E-5(レストラン・トラサルディー)・1日目 朝6時】
【トニオ・トラサルディー】
[時間軸]:4部終了後
[状態]:右腕・左肩・右足太股・脇腹に一ヵ所、右肩に二ヵ所の刺し傷(いずれも割りと深い。料理で一応は処置済み)
[装備]:フランス風クリームスターターとパールジャムのミルフィーユ仕立て季節のソースを添えて
[道具]:無し
[思考・状況]
1.マックイイーンを励ましながら、彼と共に対主催の人に振る舞う料理を作る
2.対主催の皆さんに料理を振舞う
[備考]
1.レストランにある食材のうちいくつかが血液でダメになった可能性があります
2.服は着ました
【サンダー・マックイイーン】
[時間軸]:エルメェス戦中
[状態]:精神的に不安定(現在は若干安定)、トニオ(の料理)に依存
[装備]:無し
[道具]:無し
[思考・状況]
1.オレはトニオさんの下で幸せになる
2.トニオさんのためになることなら“なんでも”する
3.料理美味しいよ料理
4.こいつ(ポルナレフ)どうしようか?トニオさんがいいっていうんなら俺はそれでもいいけど
[備考]
0.ンまぁーーーーいッ!!
1.マックイイーンはトニオの存在を心の支えにし、死ぬのをやめようと考えていますが
まだ不安定なため何かの切っ掛けがあると反動で一気にネガティブになる可能性があります
料理することへの楽しさを覚えました
2.マックイイーンは『ハイウェイ・トゥ・ヘル』の能力を把握しています
【J・P・ポルナレフ】
[時間軸]:3部終了後
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:不明(戦闘や人探しには役に立たない)
[思考・状況]
[基本思考] トニオとマックイイーンを守りながら脱出する、承太郎達とも合流したい
0.ンまぁーーーーいッ!!
1.トニオとマックイイーンと共に仲間を集める
2.死んだはずの仲間達に疑問
3.J・ガイルを殺す
4.料理美味しいよ料理
【レストラン・トラサルディー店内】
厨房:綺麗になった。備品・食材がどうなったかは不明(マックイイーンは食材を未確認)
店内:清掃完了
店内の隅に、『LUCKとPLUCKの剣』『ローリング・ストーン(ズ)』『トニオのデイパック』『ポルナレフのデイパック』が置かれています
店内テーブル上に『携帯電話』が置かれています
[ローリング・ストーンについて]
能力と制限:能力は完全に制限されておりただの馬鹿デカい文字入りの石。マックイイーンは『凶』を『区』と読み間違えた。
[携帯電話について]
もともとはトニオの支給品。
現在、留守電状態。録音の音声対応はマックイイーンの声に変っている。
マックイイーンの推測では『電話帳登録以外の携帯がもっとある“かも”』とのこと。携帯の存在については以降の書き手さんにお任せします。
「フランス風クリームスターターとパールジャムのミルフィーユ仕立て季節のソースを添えてについて」
「体じゅうの傷を治す」ことが出来ます。賞味期限36時間。タッパーに入ってる。
トニオが死亡すると効果を失います(ただの料理になります)
肉の旨みとシャンパンの酸味が絶妙に融け合い、そこにカリカリのバケットの食感と甘〜いソースが絡まって・・・
ンまぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーいッ!!
※結局誰も放送を聞いていませんでした。
※タッパー、食材は店にあったものです。
以上です、ちょっと読みにくいこもしれませんが勘弁を
指摘、感想等お待ちしております
投下乙ッ!!
なるほど、回復アイテムが増えた代わりに制限がついたのか
ググッたらレゼルヴ・ド・ラ・ベイってドンペリゴールドだったんだな
細かい料理ネタを挟み込む氏に脱帽なんだぜ
後、今回放送聞いてない奴多すぎwwww
意外!それは調理!w
>>240で「自身」が「地震」になってますよ。
投下乙です。
指摘が二つほど、ポルナレフはジョセフの事をジョースターさんと呼びます。
それとイギーがスルーされてるのはわざとでしょうか?
投下乙です
が、この話には待ったをかけさせて頂きます
ポルナレフが誤解を解く微妙があってないようなものだったりするのも気になりましたが
トニオが人肉を料理に使うというのは絶対にありえないとこだと思います
また、説明書に人肉と書かれてなくても衛生には異常なまでの執着を見せるトニオは謎の肉を使いたがりはしないだろうと思いました
かなり独断と偏見が入りますが氏はいわゆる超展開を作るのにこだわりすぎてる節があるのかと
確かに意外な展開等を入れるのは、作品の面白さにも深い所で繋がります
しかし、氏の場合はそれよりも優先すべき事がいくつもあると思われます
キツメの意見なので気にくわなければ聞き流してくれれば幸いです
249 名前: 創る名無しに見る名無し [sage] 投稿日: 2009/05/29(金) 21:30:01 ID:ckAl8z9G
投下乙です
が、この話には待ったをかけさせて頂きます
ポルナレフが誤解を解く微妙があってないようなものだったりするのも気になりましたが
トニオが人肉を料理に使うというのは絶対にありえないとこだと思います
また、説明書に人肉と書かれてなくても衛生には異常なまでの執着を見せるトニオは謎の肉を使いたがりはしないだろうと思いました
かなり独断と偏見が入りますが氏はいわゆる超展開を作るのにこだわりすぎてる節があるのかと
確かに意外な展開等を入れるのは、作品の面白さにも深い所で繋がります
しかし、氏の場合はそれよりも優先すべき事がいくつもあると思われます
キツメの意見なので気にくわなければ聞き流してくれれば幸いです
投下乙です!
料理知識半端ねえな……
舌が肥えてない俺には、正直何のこっちゃ分からない単語がたくさん出てきたが、何かすごいなw
でも、トニオさんが得体の知れない肉を使うかは……確かになぁ
投下乙です。
ちょっと変わったSSですごく新鮮でしたw
料理描写はいいですね。こういうのが書けるのは羨ましい限り。
ポルナレフの誤解は、トニオたちにその場の勢いで流されるのがポルポルだし。
>[基本思考] トニオとマックイイーンを守りながら脱出する
でもこれはなぜ? いつの間に戦友になってんのーーッ!?
素性も全くわからないし、わかっても2人はポルのとって未来人だから普通は疑問に思うのでは?
仗助億泰みたいに「こいつら悪い奴じゃないかも」で一緒に料理する思考は問題ないと思うんだけど。
・トニオの人肉調理
クリームスターターが普通の食肉も使用可能ならいいんだけど。
使えるんならHPやってるだろうし、出来ないんだろうな。
最初から「冷蔵庫ならぬ冷凍庫に肉がありました」のほうが、まだいいかも。
パール・ジャム効果も加わって怪我の回復になるかもしれない。
話はすごく面白かった。マジ乙!
いま気付いたけど、もう一作投下されてた
なんという投下ラッシュ
>>236 自分のせいとはいえ、シーザーは手加減されたらキレるよな。
スタンドについても感づき始めたし、これからが楽しみだ。かっこいいぜ
そしてVSウエストウッドくるーと思ったら、露伴wwww
お前結構重症だろうがwwだが漫画のネタを前に倒れてるやつじゃないなw
しかしタイトルとか「すごいね人体」とか、なんでバキだw
GJ!
突然ですみませんが、皆さんに検討していただきたいことがあります。
したらばの方でも相談させてもらい、そちらととほぼ同じ内容ですが…
去る5/14と5/24にパロロワラジオツアー内で行われたジョジョロワ1st及び2ndのラジオの続きというか、
支援の一環としてラジオ放送をしたいと考えてます。
ちなみに私はラジオツアーのジョジョロワ1st&2ndラジオの両方にゲストで喋らせていただいていた
地図の人さんじゃ無い方の女です。その時に戴いた名前は、名乗っていいかわからないので…
わからない方は申し訳ありません…。
まずは告知放送の宣伝(放送URL等)を書き込む許可を住民の方に戴きたいです。前後篇の前篇が今回の告知放送、みたいな感覚です。
告知放送後、メインである後編を放送しようと思っています。告知で募集したいこととかあるので…予定は下記の通りです。
●前篇・告知放送(30分くらいを予定)【6/1(水)・22時〜】 告知中も乱入歓迎です。放送URLや実況などは当日お知らせします。
●後篇・メイン6月後半【6/24(水)・21時〜(仮)】
本編については、日付が平日なんですが、聞いてやろうじゃあないかッ!って方たちの中で平日はちょっと…的な意見が多数出たら変更したいと思ってます。
告知は一応このままで…。
やるからにはきっちり盛り上げたいと思ってます。検討お願いします!
うわっ告知放送の日付違う…
●前篇・告知放送(30分くらいを予定)【6/3(水)・22時〜】です。
ごめんなさいいorz
ああいいんじゃあないか?
ああ、ひゃっほぅ! たのしみー
ああ、いいんじゃあないか・・・
すごく・・・期待が大きいです
ああ、楽しみだ待ってるよ
皆様、指摘ありがとうございます
・ポルナレフの話にイギーを追加、ジョセフ→ジョースターさん
・クリームスターターをトニオが味見していけると判断したという説明
・ポルナレフの思考の変更
・誤字修正
で修正をかけたいと思います
>>249氏 おっしゃる通り自分は超展開が好きなのかも知れません・・・
以後気をつけますorz
ポルナレフが目覚める前後の描写も欲しいです
>>260 クリームスクータを味見したらトニオさんは中の肉が何か普通とは違うって事に気づくんでないでしょうかね?
上で出た通り、無難に冷蔵庫に入ってた肉とかでいいのでは?
投下乙です
今までにない作風で読むのが楽しかったです
トニオさんならではの作品だと思います
上でも出ている意見ですが
不調だった身体を健康にするのがパール・ジャムの能力なので
クリーム・スターターでなく普通の肉で良いと思います
トニオさんならニオイを嗅ぐか触れるだけで
クリーム・スターターの本質に気がつくと思われます
マックイィーンはともかくポルナレフも多少は謎のスプレーを不審がるのでは?
264 :
225:2009/06/01(月) 02:24:24 ID:MDtLlqMk
ラジオの者です。
みなさんありがとうございます!では予定の通りで進めさせてもらいますv
そして告知でもスカイプで参加してぇーッ!寂しいよぉーッ!
どの新作も楽しいッ!とにかく楽しませていただいたッ!乙です!
ついにきた!
これで勝つる!
全裸待機で待ってるよ!
本投下をラジオ中にも関わらず開始します!
はぁはぁと息を切らしながら走り続ける学ランの男――虹村億泰。
その顔は汗やら何やらで見るに堪えないものになっていたが、瞳には一筋の光が確かに宿っている。
彼はまだ堕ちていない。だが―――
(俺は本当に自分の道を自分で選べるのか……?
選んだ答えが間違っていない保証はあるのか……?)
その光は濁っていた。不安が不安を呼び頭が狂いそうになる。
だから今まで不安を脳裏に浮かべないようにとがむしゃらに走り続けていたのだ。いや、今なお走り続けている。
「こんな時に誰かに会っちまったら……まともに戦えねぇ。
スタンドは……バイクに乗るようなもんだからな。なぁ、兄貴?」
自分の心の弱さを誰に吐く訳でもなく呟き俯く。足元には朝日で照らされた自分の影が映っている。
何の気無しにその影を追うように目線を上げていったその先には自分と同年代くらいの半裸の青年が立っていた。
この状況、取るべき行動は決まっている。
(ありゃ……インディアンとか言うんだっけか?荒木のやつは手当たり次第参加させてんだな……
いや、相手が誰だろうと構いやしない。とにかく今は逃げ、だな)
しかし思考に反して億泰は走りを止めない。
逆にスピードを上げて突っ込んでいった!
同時に自身の“手”を大きく振りかぶる。狙うは自分と相手の間の虚空。
青年が身構えるのを無視して思いきりよく右手で空間を薙ぐ。
「おおおぉぉぉぉらああぁぁぁぁッ!どけえぇぇぇぇえッ!」
どけと言ったものの相手がどうしようが関係ない。
自分は削り取った空間が元に戻る力を利用して相手の脇をすり抜けて走り続けるだけなのだから。
敵に背を向けるだとか言ったことも今は考えない。
気持ちが落ち着くまで走り続けることしか今の億泰には選択肢がないのだ。
パッと目の前の男が消える。計画通りだと安心し力強く右足を踏み出そうとした。その時―――
グアァンと言う衝撃が億泰の脳を揺さぶる。後頭部をやられたのだと認識した時には遅かった。
続けて踏み出すはずだった左足が思うように動かない。ふらふらと前のめりに倒れ伏す。
「くぅッ……!くそ……こんなところで……でも―――
仗助……康一……重ちー……兄貴……俺もすぐ行くよ―――」
ああ支援
支援だよ!
支援
「白人の本に書いてあったことだが―――」
意識を失った億泰のもとに歩み寄る青年の名はサンドマン。
「耳というのは音を聞くためだけのものではないそうだ」
目の前の男が分身(おそらくスタンドだろう)を繰り出した時に叩きつけたのはツェペリがワムウに向けて放った聖氷の落下音。
「耳の奥深くの神経たちは平衡感覚や何やらを感じ取るレーダーのような役割を果たすそうだ」
音を形にするスタンド、イン・ア・サイレント・ウェイは先の戦闘で発生した音をその体内に取り込んでいたのだ。
「そこに大きな音を叩きつけてやれば意識を失うのも当然だろうな」
そしてその音は伝達した終着点で効果を発揮する。今回は億泰の鼓膜を通り越してその内耳で伝達を終えた、という事である。
「と言ったところで最早聞こえてはいないか。さて……」
細い腕に見合わず軽々と億泰、そしてそのデイパックを担ぎあげキョロキョロと周囲を見回す。
そして目についた建物に向かって歩き出した―――
* * * * *
支援
ふわふわとした浮遊感。波に揉まれるようなゆらゆらとした感覚。布団の中にいるような温かさ。
どれもが億泰にとってとても心地のいいものであった。
「ん―――」
ゆっくりと目を開けるとその先には友が、兄が立っていた。
「じょ……仗助!康一に重ちー……兄貴も……」
言葉が詰まる。もう二度と会えないと思っていた相手との再会に笑えばいいのか泣けばいいのか分からなかった。
「お……俺は―――」
言いかけて気が付く。
兄は“あの時”のような寂しげな頬笑みを見せ、康一は眼を閉じて首を振っている。
仗助に至っては背を向けて肩を震わせている。泣いているのが背後からでも良く分かった。
重ちーはそんな三人と億泰の顔を交互に見やっていた。
それらが意味する事を億泰が理解できなかった訳ではない。いや……理解したくなかったのだ。
言葉を選んでいるうちにも次第に四人の姿は小さくなってゆく。
「おい……待ってくれよ。俺を一人にしないでくれよ……!
仗助ええぇぇぇぇ!
行くよッ!俺も行くッ!行くんだよォ―――ッ!!」
駆け出して彼らの後を追おうとする億泰。
しかし……その行為は背後からガッチリと手首を掴まれたことで阻止されてしまった。
ゆっくりと後ろを振り返る。
そこには―――少年のように無邪気に笑う荒木飛呂彦の姿があった。
「う……うわあぁぁぁぁッ!!」
四人の影は―――消えてなくなっていた。
* * * * *
SHIEN
支援ッ!
「あぁぁあぁぁッッ!!…………ハッ!?」
まず目に映ったものはのっぺりとした天井。
次第に覚醒する意識によって、自分が今ソファーだかベッドだかに仰向けに寝ていた事を理解する。
「夢か―――」
「起きたか」
息を付くと同時にかけられた声にびくりとして上体を起こす。
そこには椅子に腰かける先程の青年の姿があった。
「あ、んたは?」
カラカラに渇いた喉で必死に声を絞り出す。
しかし、帰ってきた言葉は質問の答えではなかった。
「その答えは後だ。まずは聞かせてもらおう。“コーイチ”という男の事を」
「……え?」
億泰は頭が悪い。それは自分でも自覚している。
だが、その言葉がおおよそどういう意味を持った一言か、それは十分に理解できた。
億泰はゆっくりと話し出した。彼とどういう経緯で出会い、どういう会話をし、何と闘ったのか。
涙は不思議と流れ出てこなかった。懺悔をするように淡々と、しかし一片の言い残しをせず話していたせいであろう。
そしてその後、サウンドマンと名乗った男から事の顛末について聞かされた。
康一がこのゲームでどんな出会いをし、どんな戦いをし……どうやって死んでいったのか。
この時にも涙は流れない。夢の中で出会った康一の表情が脳裏にべったりと貼り付いて、月並みな表現だが……心の中にぽっかりと穴をあけられたような気持だった。
全てを聞き、二人して息をつく頃には放送後からおよそ一時間半ほど経っていた。
* * * * *
278 :
創る名無しに見る名無し:2009/06/03(水) 23:23:03 ID:SaxEaICq
ああ
支援支援ッ!!
「それで……あんたはこの後どうする気だ?」
建物……特別懲罰房を出たところで億泰が重く閉ざしていた口を開く。
「さぁな……俺はとにかく頼まれた言葉を伝えるべき相手に伝えただけだからな」
あっさりと返ってきた言葉に意を決して提案する。
「じゃあ俺と―――」
「それは断る」
しかし、その提案は言い終わる前に遮られてしまった。
「我がイン・ア・サイレント・ウェイの能力は話しただろう?
それでお前が俺にコーイチの面影を重ねないと言い切れるのか?」
もっともな意見である。彼は彼、康一は康一なのだ。
自分が同じ立場に立たされたら間違いなく「御免だね」と言うだろう。
しかも今の自分の精神力ではきっと足を引っ張ってしまう。
「……そうか。そうだよな」
「分かってくれたなら良い。だが」
「?」
「次に出会う事があれば行動を共にしよう」
「……え?」
「目的は同じなんだから敵対する理由はないだろう?
後はお前の心次第だ。しっかり答えを見つけておけ」
思わぬ申し出に思わず表情が緩む。
「……分かった。ありがとよ」
「礼を言うのは少々違うな。俺自身の目的のためでもある」
「ハッ。言うねえ」
言いながら思わず笑みがこぼれる。
ひとしきり笑った億泰にはもはや不安の影は浮かばなくなっていた。
「それじゃあ」
今度ははっきりと口を開く。最後の確認のためだった。
「ああ。お前は西だ。俺は北の……DIOの館とやらに向かおうと思う。
別人だろうが同名の知り合いがいるものでな。何かしらの情報が得られるだろう」
「そうか。俺はコロッセオに向かってみるよ。目立つ建物だから誰かしら集まるだろうしな」
「よし」
「俺が言えることじゃあないが、気をつけてな」
「お前もな」
がっちりと握手をした二人。そしてお互い振り返ることなくそれぞれの目的地に向かって走り出した。
支援しますが構いませんねッ!
【F−5・特別懲罰房前/1日目 午前(九時前後)】
【虹村億泰】
[スタンド]:『ザ・ハンド』
[時間軸]:4部終了後
[状態]:健康 (耳の後遺症はない?)。自分の道は自分で決めるという『決意』。承太郎(オインゴ)への疑惑(今はあまり気にしていません)
[装備]: なし
[道具]: エルメェスのパンティ(直に脱いぢゃったやつかは不明)、支給品一式。(不明支給品残り0〜1)
[思考・状況]
基本行動方針:味方と合流し、荒木、ゲームに乗った人間をブチのめす(特に音石は自分の"手"で仕留めたい)
1.コロッセオ方面に向かう
2.仗助や康一の意思を継ぐ。絶対に犠牲者は増やさん!
3.承太郎さんにはすまないと思っているが何だか変だと思う。今は深く考えない。
4.もう一度会ったならサンドマンと行動を共にする。
5.なんで吉良が生きてるんだ……!?
【備考】
※オインゴが本当に承太郎なのか疑い始めています(今はあまり気にしていません)
※オインゴの言葉により、スタンド攻撃を受けている可能性に気付きましたが、気絶していた時間等を考えると可能性は低いと思っています(今はあまり気にしていません)
※名簿は4部キャラの分の名前のみ確認しました。ジョセフの名前には気付いていません。
※放送をほとんど聞き逃しました。(ただし、サンドマンから内容に関して聞きました。下記参照)
※サンドマンと情報交換をしました。
内容は「康一と億泰の関係」「康一たちとサンドマンの関係」「ツェペリの(≒康一の、と億泰は解釈した)遺言」「お互いのスタンド能力」「放送の内容」です。
※オインゴのデイパックを間違えて持っていったことに気が付いていません。地図と名簿を取り出しましたがデイパックの奥の方を見なかったためでしょう。
【サンドマン】
【時間軸】:ジョニィの鉄球が直撃した瞬間
【状態】:健康
【装備】:なし
【道具】:基本支給品×2、不明支給品1〜3(本人確認済み) 、紫外線照射装置
【思考・状況】 基本行動方針:元の世界に帰る
1.北(DIOの館)へ向かう(他人との接触等により元の世界に帰る情報を得るため)
2.ツェペリの『荒木は死者を復活させて命を弄ぶ』論に少し興味。荒木の言葉の信憑性に疑問。
3.名簿にあるツェペリ、ジョースター、ブランドーの名前に僅かながら興味
4.遺言は伝えた。その他に彼らを知る人間とも一応会ってみたい(優先はしない)
5.もう一度会ったなら億泰と行動を共にする。
【備考】
※7部のレース参加者の顔は把握しています。
※スカーレットが大統領夫人だと知っています。
※ンドゥールに奇妙な友情を感じています。 康一、ツェペリにも近い感情を持っています。
※億泰と情報交換をしました。
内容は「康一と億泰の関係」「康一たちとサンドマンの関係」「ツェペリの(≒康一の、と億泰は解釈した)遺言」「お互いのスタンド能力」「放送の内容」です。
※康一、ツェペリ、ヴァルキリーの死骸はI-7中央部の果樹園跡(ワムウは消滅)。
※聴覚補助に用いる杖が突き刺さった、ンドゥールの死体はI-7 リンゴォの果樹園北部。
※チーム・ザ・ウェーブの遺志は億泰に託しました。
※ツェペリの支給品は火炎放射器と聖氷(SBRコミックス1巻)でした。
※リサリサの支給品はワムウVSツェペリ戦で爆散。ワムウの所持品と一緒に消滅しました。
※果樹園はほぼ壊滅。火事がまだ収まっていませんが、遠くからは見えないでしょう。
以上で投下終了です。
耳なし芳一はラジオでのリクエストしたタイトルですが
「耳を奪われても(今回は結果的に奪われなかったけど)信じるものがあれば救われる」っていうイメージで書きました。
仮投下時からサンドマンの口調など少々変更しましたが話の流れは変わっていません。
では感想お待ちしております。。。
最後になりましたが支援ありがとうございました!
投下乙です!
感想は後ほどゆっくりと
投下GJ!
サンドマン、男前だな……
一気に一人になった億泰が見ていてせつねえ……
露伴や由花子がいるっちゃいるが、仗助達と比べたら疎遠だもんなあ
果たして彼らが再開するときは来るのやら
あんなリクエストなのにどうもありがとう!
どう捌くと思ったらこんなに綺麗な感じに…
世にも非情なロワだから難しいとはわかってるけどもこれから彼等がまた再会出来ると良いなあと思える話しでした。
投下乙!
サンドマンかっけえなぁ
億泰には頑張ってもらいたいものだ
四部味方側は、取材してたり、奉仕マーダーしてたりだがw
乙です。
サンドマンは4部勢と接点が増えてくなw
この出会いは両者にとってプラスだね。意外な2人組みが面白かった!
今回の億泰は長生きしそうかね?w
ラジオを聞いてくださった皆さん昨夜はありがとうございました!
個人的にはまさにゴールド・エクスペリエンスでした…
実況スレに録音を用意したので良ければお聞きください。
本篇の24日は色々コーナーをご用意していますので、是非お越しくださいw
新作楽しく読ましていただきました!乙でした!
◆bAvEh6dTC. さん
>>260で言っていた修正案と >>261-
>>263で出てきた指摘のへの回答がまだなので見ていなければ早めにお願いします
また、トニオのスーパーお料理教室ですが既にwikiに登録されているようですが、修正することになればwikiに乗ったほうも修正してください
色々と考える必要があると思うので修正にはお時間が掛かるかもしれませんが、やっていると言う意思だけは伝えてくれれば幸いです
万が一、このまま返答が無ければ最悪の事態にもなりかねないので、早めのお返事お待ちしております
それと……本作を収録してくれた方、収録してくれるのは非常に助かります。一書き手として手間が減るので感謝もしています
ですが、今回みたいに指摘が来た作品は、作者様からの返事が来て一段落するまでは収録を見送っててください
何も無い状態から数日後に出た指摘ならば仕方ないかもしれませんが、今回の場合は指摘が来て修正すると言う意思を作者さんが既に示した後でした
こういう場合は後でwikiの方も修正することになって微妙に手間がかかるので今度からはお気をつけください
御ふた方にはなんかエロそうな事を言ってしまいましたが前で言ったとおり作品もwikiの収録もロワの進行にとして大きな励みになっております
自分がこんな文章を書くとどうしてもキツイ感じになってしまうのは悪い癖であり、一切の悪意を持っていないことだけは伝わってくれれば幸いです
では、これからもこのロワの発展と完結を願って
回答を書きこまないで本投下してしまってすみませんでした・・・
wikiいじってきます・・・
こちらの修正としては
>>261目覚める前後の描写→すみません文章的に無理でしたorz
>>262>>263クリームスターターの中身は牛肉でした
トニオがそれに気付く描写を追加
>>291 対応乙で〜す。
そう深く気にしなさんな!トニオの話面白かったよww
フェルディナンド博士、ミセス・ロビンスン、リンゴォ・ロードアゲイン、タルカス
投下します。
あなたよ なぜ戦いを恐れるのか。
戦うことは美しい!
恐ろしいのは戦いもせずに負けることだ。
鬱々と時間は過ぎて行った。
フェルディナンドにとっては生き残るための様々な思考を巡らせた休みのない暗欝な時間。
ミセス・ロビンスンにとっては屈従の連続である、実にくそったれな長い長い時間だった。
フェルディナンドが西に向かわせた翼竜が情報をキャッチした。
「ブチャラティとミスタと言う男がC−1に向かい、その後北西の端、北端沿いに東へ向かう」と。
ちなみに、ミセス・ロビンスンにはその情報の出所(フェルディナンドと視覚を共有している翼竜の存在)は全くわからなかった。
聞いたところで教えてくれるとも思えない。
よって彼は黙って付き従う道を選ぶ。
この様子を認めて、フェルディナンドは小馬鹿にしたような、従順さに満足したような笑みをこぼした。
フェルディナンドは翼竜から得た彼ら(ブチャラティ・ミスタ)の様子からして、心から打ち解けているような印象を覚えた。
信頼の漂う、独特の空気だ。
この情報のみから判断するに、彼らはおそらく、状況が望めば死までも共にするだろう。
それともう一つ、手元に戻らせる途中で翼竜はもう一人物を認めた。
地図上は『DIOの館』の門前で座り込み、うなだれている男。
どうやら怪我を負っているようだ。
フェルディナンドはそれを元に行動方針をたて、ミセス・ロビンスンはただ盲目的にそれに追従するしかなかった。
フェルディナンドが建てた行動方針とは____
まずはジョースター邸に向かいついでに、DIOの館に寄り、門前の男がまだそこにいれば接触。
いなかった場合、もしくはその男から有益な情報を得られない場合は、DIOの館の中を捜索。
情報を収集・参加者がいれば接触。
(しかし、これはミセス・ロビンスンに担当させる。DIOはアヴドゥルと戦っていた危険人物なのだ。そんな者の館…
フェルディナンドは危ない橋を渡るつもりは毛頭ない。)
当然、ミセスロビンスンに全てを任せるつもりもない。どこでずる賢く欺かれるかわからない。
フェルディナンドは移動途中、秘密裏に西に向かわせていた翼竜の一匹を回収。
ミセス・ロビンスンの館捜索にこっそり付いて行かせるつもりだった。
その後、ジョースター邸に向かい、また情報を収集。誰かいれば接触を図る。
ブチャラティ・ミスタという二人は、あの信頼感漂う雰囲気の中に自分達が取り入ることができるかどうかがいまいち心もとない。
…とりあえずは保留だ。ジョースター邸での情報収集の如何によって決めよう。
フェルディナンドはその男(リンゴォ)がアヴドゥルの伝言を伝えたい相手(ジョセフ・ジョースター、花京院典明、J・P・ポルナレフ、イギー、空条承太郎)
を知っているかもしれないし、DIOの館に以上の人物達がいる可能性もあると考え、この予定を立てた。
しかし、メインはあくまでジョースター邸。
探し人達は、彼らにとっては仇敵であるDIOの館よりは、ジョースター邸にいる可能性のほうがある。
加えて気になるのは、『DIO』とディエゴ・ブランドーとの関係だが…
これについてはディエゴ・ブランドー本人もここにいない以上、優先順位的にはかなり下と言わざるを得ない。
方針決定後、ただひたすら歩く。第一回放送の時、一度足を止めてチェックするために休息のような状態になったが、
睡眠はお互いに取れなかった。
寝首をかかれるかもしれない。という危惧により。
第一回放送では、死亡者および禁止エリアの把握を行ったが、それ以外はたいして良い情報も得られなかった。
それから後は、ただひたすら歩いた。
ようやくDIOの館が見えてきたとき、、二人は翼竜の情報の通り一人の男を認める。
男もこちらに気づき、ゆるゆると立ち上がり、数歩前へ歩み出た。
フェルディナンドがまず声をかけようと思った刹那、相手が恭しく頭を下げ、先に発言した。
「…よろしくお願い申し上げます。」
フェルディナンドは不審がりながらも、視覚を共有していた翼竜が見た男に間違いがないことを確認した。怪我の状態もほぼ変わっていない。
「…主語がないのでわからないな。何をお願いしているんだ、我々に?我々は君に聞きたいことがあるのだが…」
その男は、恐竜の姿にも狼狽の色を示さなかったばかりか、それが人語を発したことすら意に介さない様子で言葉を続ける。
「遅れましたが自己紹介させていただく…
オレの名はリンゴォ・ロードアゲイン。
オレがこの戦いに使う武器はこのボウィーナイフ。
そして『スタンド』は『マンダム』そう認識していただきたい。ほんの「6秒」。
それ以上長くもなく短くもなく…きっかり6秒だけ時を戻すことができる。それが能力。」
時間を戻す、という驚異的な能力に、二人とも少し反応する。厄介な能力だ。
しかしフェルディナンドは、あくまでイニシアティブを自分が持ちたい。
動揺などもっての他…冷静を装って言葉を投げかける。
「質問の答えになっていないな…。
それは、なんだね、君は殺しあいに乗っていて、我々を今から殺しにかかる、と、こう言いたいのかな?」
「違う。」
「?」
「殺しあいのゲームなどはほかの者達で勝手にすればいい…。俺の目指している場所はいつもひとつ…男の世界。
『公正』なる戦いは内なる不安を取り除く。 乗り越えなくてはならない壁は『男の世界』。
能力を説明したのは、この俺を殺しにかかってほしいからだ。公正なる果たし合いは自分自身を人間的に成長させてくれる。」
リンゴォは少し焦っていたかもしれない。ここに来てからは、心が砕かれっぱなしだった。
タルカスとの交戦後、今までの数時間、休息はとりつつも失意に暮れながら第一回放送を聞きはしたものの、大した収穫も得られなかった。
怪我の手当ても大したことはできず、ほぼ放り放しだった。
そんな中、男の世界を証明するチャンスが、今やってきたのだから。
しかし、彼に油断はない。今は相手を見極める。果たして、目の前の二人は、自分にふさわしい相手か?
「フーッ、ただ単にコミュニケーションを取ろうとしただけだったが、こんな世知辛い歓迎を受けるとは…
しかし質問に質問で返すどころか全く意味のわからない返答をするゲス物とはいえ私から礼節を欠くのもなんだな。
名前は訳あって言えないし、こんな状況下で能力も話す気はないが…
『確実に勝てると思われる戦いのみを選び、 その他の危険からは極力遠ざかる。
生き残る為の唯一の方策は、それでしかあり得ない。』
これが私の方針だ。唯一無二の信念だ。
聞くが、君の言う決闘ののち、男の世界を乗り越えるだか何だか知らないが、もし負けて死んだらどうする…?
死後の世界で自分の行いを思い返して浸りたいのか?死後の世界が無かったらどうするつもりだ?」
この言葉を受けてリンゴォは背を向けて門の前までゆっくりと歩き、どさりと座り込んだ。
「何だ?我々の質問に答える気になったのか。私の言っていることが分かったのか?」
「良く分かった。おまえたちが女の腐ったような男だということが。」
「何?」
博士とミセス・ロビンスンには、目の前の男から発せられた言葉の真意がつかめない。
「…汚らわしいぞッ!そんな生への醜い執着からくる発想では俺を斃すことなどできない!
しかもお前は、そのいで立ち、中に人間が入ってるな?言葉を発しているのにその獣の舌が動いていない。
そんな着ぐるみに身を隠して偉そうな口を叩いてんじゃあないぞ!
それからそっちの彼…お前は何を考えて今ここにいる…?その貧弱な眼の色はなんだ。そこの着ぐるみ男に服従しているのか?
お前のような人間が…今の時代、価値観が『甘ったれた方向』へ変わってきたことの証明だ。」
今までは静観を決め込んでいたミセス・ロビンスンの顔が、唐突な相手の指摘に少し歪んだ。
「なんだと」
この感覚はなんだろう。そうだ。怒りだ。水の中に墨を落としたように、心の中に広がっていくあの怒りの感覚…
「もう少し話をしてやろうか…?
特にお前は俺がここに放り出されてから戦ってきた3人の者たちと比べれば、漆黒の意思などとは程遠い…十把一絡げの二束三文だ。
実に汚らわしい…お前たちなんかには殺す価値すらない…。さっさとどこかへ行け。」
博士は鼻白んだ様子で、かぶりを振った。
「やれやれ…話にならないし、彼との会話は気分が悪いな。ロビンスン、もういいから打ち合わせ通り館の中を見てきてくれたまえ。」
ミセス・ロビンスンは考える。
いま、フェルディナンドの言葉は彼の耳には入らない。彼は思い出す。ひたすらに。リンゴォの言葉が今、胸に響いて、心に溶け込んでゆく。
恐怖と混乱の連続、未知の力を振りかざされて押さえつけられ、従わされ、その上さらに積っていく疲労の為に、
投げていた思考が怒りによって眼をさましつつあった。
思い出していたのは砂漠の村…
昔、砂漠の砂でかかとの角質を痛めながらも、虫を操り、サボテン「チョヤッ」の針を操作できるようになるまで…
苦しかった。何度操作を間違え自分に刺さってしまったことか…。しかし自分は極めたのだ。
この技と共にSBRに参加したのは、自信があったからだ。この自分の、人にはできない技。
この殺し合いに連れて来られる前にその技もむなしく打ち破られ、ここではさらにその核である虫が全滅して、確かに心細かった。
訳のわからない怪物のような全裸男や、見たこともない恐竜を操る謎の人物に翻弄されて…
流されるままになってしまった自分はいったい何者…
「……」
「なにをしている?早く行ってくるんだ。」
「…なんかよぉーっ、気のせいかずいぶん上から見下されてる気がするんだよなぁー!
しかしよ…リンゴォ。なんかあんたの話は…すごい話だ…すごいリッパな話で…でもかなり頭がいかれてる…
だがなぜか感動している俺がいるっ!
あの虫は、人に支配されねえように身につけた技だったが、今はもういない…
だが!『人に支配されない』と決心した時の精神は!今俺の心に戻ってきた!今から俺はお前を殺しにかかる!」
フェルディナンドは焦った。こんなことは予定には無い!何なんだ、こいつら?リンゴォとかいうこの男の狂気が伝播してるのか?
「おい!君は無能に加えて脳味噌がクソになってるのか?ここでそんなことをして何になるッ。状況の判断もできないのか!」
「フン、あんた、渋くないねぇ。野暮なことだぜ、状況の判断なんてなぁ…。
確かに死ぬのはすごく嫌だ…だが俺には分かった。最も忌避すべきなのは、何が何だか分からないまま、自分が何だったのかもわからないまま
あの世に行かなきゃならない事だッ!
あの過酷な砂漠の村で身に付けたのは、虫だけに頼り切った貧弱な精神ではない!それを今から示すッ!
そしてダイナソーよ、あんたとも決別する。俺は生き残って、もう一度走るぞ…俺の愛馬とともに、あのレースを!
俺は行く、男の世界へ!この拳でな…。リンゴォ!お前がどれ程嫌でも付き合ってもらうぜぇー!」
リンゴォはこの言葉を受け、ゆっくり立ち上がる。
「お前に俺は殺せないと…言っているのに…」
しばしの沈黙。2人は、互いに睨めつけ合う。
ゆっくりと接近し、お互いが間合いに入る。
2人が動いたのは同時だった。
素手とナイフでは、リーチの違いは明白だ。
リンゴォのナイフは美しい軌跡を描き、ロビンスンの急所へと吸い込まれて行くかに見えたが…
ロビンスンは、避けようともせずにボウィーナイフを腕に刺して受け止めた!
「なあああめェえエエるゥううなあAAAAああ!」咆哮し、固い決意と共に握った反対の腕の拳で思い切りリンゴォを殴る。
「がッは!…ぶふッ!」リンゴォは後ろによろめき、すぐさま腕時計に手を伸ばす…ロビンスンはさらに殴りつけようと詰め寄りながら叫ぶ。
「目線で首を狙ってるのがばればれなんだよ!ナイフの扱いは不得意かッ?」
「そうかもな…俺は元々ガンマンだ…!」
答えつつもつまみをひねる。時は六秒戻る。
「…付き合ってもらうぜぇー!…ハッ!?これはっ!」
ロビンスンが気づいた時には、自分が殴ったはずのリンゴォが何事もなかったかのよう眼前ににたたずんでいる。
自分が腕で受けたはずのナイフの傷も、跡形も無い。
「…戻したな。本当に6秒戻す能力か。で、どうする?再びか?再びかぁーッ!」
特異な能力を体験しても、彼の闘志は萎えない。
「…少しいい眼光になったッ!
だがまだだ!漆黒の殺意が見えんぞッ!
行動に移して確認しろ、男の世界をッ!」
もう一度、お互い接近していく。
ミセス・ロビンスンンはまた必死にリンゴォの視線を追う。
(なぜだ!?また首元を見ている…だがこいつは当然、同じ場所を狙うなんてそんな間抜けな奴じゃない!
しかし、あの低い位置に構えたナイフ…)
お互いの距離が近づく、
(!足か!?動けなくしてから確実にとどめをさすって腹か…!視線はブラフ…ならばそのままナイフを蹴り飛ばし、殴りぬけるッ!)
神経を足に集中させる。当然急所である首はノーマークだ。
…彼は不手際だった。彼はリンゴォを『出来る』人間だと高く買っていた。これをリンゴォも承知していたのだ。
ところで、賭けごと等では一番大切な大原則がある。このような戦いの場合にも当然当てはまる原則…
『思い込みは危険』
ルーレットで赤が連続二回出たから次は黒が来るとか、狙った数字に玉を落とせるディーラーなんていないはずとか…
『出来る』人間なら、一度失敗した攻撃を繰り返してやるはずはないとか。
要するにミセス・ロビンスンは裏の裏をかかれたのだ。
リンゴォは目線の通り首を狙い、さも足を狙うかの如く、低く構えたナイフこそがブラフだった。
ボウィーナイフは、蹴り上げようと迫る彼の足を掻い潜り…
なめらかにミセス・ロビンスンの首を切り裂いた。
巨大な異国風の建物の門前、明るい日光が照りつける場所で。
一人の男が首から血を流して倒れている。男は考えている。
…ここは、どこなのかもわからない。意味のわからない状況。果ての見えない殺し合いの中に、自分は生きていた。
無意味だったのだろうか、自分の生は?でも、今、自分が選択したこの行為の結末。
もうレースにも戻れそうにない。俺の可愛い馬と、虫たちには申し訳ないが、全く後悔はない…
リンゴォが、今にも息絶えてしまいそうなミセス・ロビンスンに向かって、水がよどみなく流れるように、滔々と語りかけた。
「お前はまだ未熟だ。だがこの短時間で成長はした。もっと生きていれば、きっと…男の世界に行けただろう。
しかし、今は俺とお前の命のやり取りに決着をつけなくてはならない。お前は今、死ぬ。
だが俺がお前の心を持って先へ進もう。…預けてくれるか?」
「ッ…がッ…ぁあ…頼んだ。」
ミセス・ロビンスンはフェルディナンドの方へ目線を移す。
そこには恐竜の中で見えはしないものの呆然、不満、苛立ち、理解不能…様々な彼の感情が立ち上ってくるようだった。
ミセス・ロビンスンは誇らかに言い放つ。
「フッ、フフ…見、たか…着ぐるみ、野…郎…!!」
「…!」
こうして、ミセス・ロビンスンのバトルロワイヤルは終わった。
「何やら騒がしいな!リンゴォ・ロードアゲイン?!」
門より小道を少し入った場所にある、扉の陰から重々しい声が響いた。
声の主は、戦士タルカス。日に当たらぬように扉の中より状況を見極めようとする。
「戦っていたのか。…忌々しい日光さえなければ俺も参加したものを。貴様、なかなか門番の仕事に精が出るではないか。
何者だそいつは?」
その影に向かってリンゴォは答える。
「休息をしていただけだ。門番のつもりではない…状況は見ての通りだ。邪魔はしないでいただこう。…だがまあ、もう終わったようなものだ。
2人いたが、もう一人は逃げて行った。この彼は…完全に成熟したとは言えなかったが、確かに男の世界を垣間見た人間だ。
今は土に埋めてやることができないが…」
リンゴォは門の中に死体を移動させる。
生い茂る植物の間、柔らかな土の上に寝かせて、深く礼を。最後の言葉をかける。
「感謝いたします。」
負けることは恥ではない。
戦わぬことが恥なのだ。
【ミセス・ロビンスン 死亡】
【残り 56名】
【C-4 DIOの屋敷/1日目 午前】
【リンゴォ・ロードアゲイン】
[スタンド]:マンダム
[時間軸]:果樹園の家から出てガウチョに挨拶する直前
[状態]:全身にラッシュによるダメージ(中)身体疲労(大)精神疲労(中)右上腕骨骨折、軽い高揚感、ジョルノに裏切られて少しショック
[装備]:ジョニィのボウィーナイフ
[道具]: 基本支給品 不明支給品0〜2
[思考・状況]
基本行動方針:参加者達と『公正』なる戦いをし、『男の世界』を乗り越える
1.タルカスに従い、門番をする…のか?→今のところ門番になっているつもりはない。でもタルカスに悪感情を抱いているわけでもない。
2.「男の世界」に対する自信・決意が大方回復。
3.ミセス・ロビンスンの心を自身の信念と共に先へ進める。
4.とりあえず休息と怪我の手当てがしたい。
5.ディオ・ブランドー…だと?
[備考]
※骨折は気力でカバーすれば動かせます。
※タルカスとの情報交換は上のと同様です。それ以外は行っていません。
※ディオに会ったことをタルカスに言っていません。
※リンゴォがどう動くかは次の書き手さんにお任せします。
※ミセス・ロビンスンのこともあり、男の世界を証明したいという願望がさらに強くなってます。
【タルカス】
【時間軸】:ジョナサン達と戦う直前
【状態】:身体疲労(小)精神疲労(小) 挫折感、戦士としての誇り、ちょっとセンチメンタル
【装備】:大型スレッジ・ハンマー
【道具】:基本支給品
【思考・状況】基本行動方針:ディオ様と部下と一緒に荒木をぶっ殺す
1.館でディオのもとに集う仲間を待ち受ける。
2.ディオとその部下以外が館に侵入してきたら殺す。
3.自分の強さに疑問
4.出来れば鎖が欲しい…
5.男の世界、か…戦士であった頃の自分が懐かしい………
[備考]
※挫折感は幾らか和らぎました。
※リンゴォに以下のことを伝えました。それ以外は情報交換していません。
自分の主はディオであること
ディオと共に荒木をぶちのめそうとしていること
部下達がここに集まってくること
昼出歩けないこと
門番を頼みたい
※リンゴォのスタンド『マンダム』について把握しました。
※フェルディナンドの姿・声等は何も把握できませんでした。この後、リンゴォが詳しく説明するかどうかは後の書き手さんにお任せします。
支援
メインの目的であるジョースター邸へ向けて、フェルディナンドは歩を進めながら考える。
彼はロビンスンの最後の言葉を受け、全てに見切りをつけてあの場所を去った。
DIOの館はついでのつもりだったが、とんだ目にあった。手駒を失い、時間もロス…
しかしミセス・ロビンスンの最後は彼に強烈な印象を与えた。
(館から何やらまた他の男の声が聞こえた。誰かいたということは、情報を逃したかもしれない。
あるいはあれが探しているアヴドゥルの仲間だった可能性も…なんというミスだッ!
利用する人間の選択を間違ったようだ…しかしあんな狂人ばかりなのか?
まともなのは私だけか?)
フェルディナンドはなぜアヴドゥルを”着ぐるみ”等と揶揄されて怒りを露わにしないのか?
彼はひたすら考えている。
(着ぐるみ…着ぐるみね。そんな安っぽい言葉でいちいち私が激高するか!私だけが、わかっていればいいことだ…
アヴドゥルの最後の言葉を伝えればいい。あんな狂人に何を言われようと私の目的は揺らがない。伝えることと生き残ること。
この目的を見失ってしまえば木偶同然になる。)
『自分の目的のために自分自身を捨て去る漆黒の決意で生き残る』
彼の心は決まっている。
【C-4 DIOの屋敷より少し西に進んだところ/1日目 午前】
【フェルディナンド】
[スタンド]:『スケアリーモンスターズ』
[時間軸]:ロッキー山脈への移動途中(本編登場前)
[状態]:恐竜(元アヴドゥル)の中にいる。健康。予定と違う状況にいらだち。
[装備]:なし
[道具]:支給品一式 ×4、麻薬一袋、ダイアーの未確認支給品×0〜2個、スティックス神父の十字架、メス(ジャック・ザ・リパーの物)
[思考・状況]:基本行動方針:優勝する。過程や方法などどうでもいい。
1.優勝する
2.ジョースター邸へ向かう
4.二体の『翼竜』で南方と西方を偵察する→西に向かわせた一体は今手元にいます。この一体の今後の使い道は決まっていません。
5.ジョセフ・ジョースター、花京院典明、J・P・ポルナレフ、イギー、空条承太郎にアヴドゥルの最後の言葉を伝える。協力する気はないが、利用できるならば利用する。
6.荒木に対する怒り
7.ジョースター邸で得た情報の如何によって、翼竜から得た情報であるブチャラティとミスタという男たちと接触を図る・追尾する・スルーする等の対応を決める。
8.リンゴォ(とミセス・ロビンスンの最後)に強烈な印象。こいつは狂人か?関わりたくない。
支援
※DIOの館は取り合えずあんな人間(リンゴォ)がいる以上は厄介なので捜索は辞めておくことにました。
※フェルディナンドは、 『ジョセフ・ジョースター、花京院典明、J・P・ポルナレフ、イギー、空条承太郎』 の姿と能力を知りました(全て3部時点の情報)。
※フェルディナンドは恐竜(元アヴドゥル)に入っています。
※フェルディナンドは【D-6】に大型トラックを放置しました。
※アヴドゥルの首輪はついたままです。機能自体は停止していますがなかに爆薬はまだ入っています。
※フェルディナンドはミセス・ロビンスンを「虫を操るスタンド使い」だと思っています。
※タルカスの声をうっすら聞きました。つまりリンゴォ以外の人間がDIOの館にいると把握しました。姿は見えていません。
※「スケアリー・モンスターズ」は制限されています。
解除後は死亡
恐竜化してもサイズはかわらない
持続力、射程距離、共に制限されています。ある程度距離をとると恐竜化は薄れていきます。細かい制限は次の書き手の皆さんにお任せします。
恐竜化の数にも制限がかかっています。一度に恐竜化できるのは三体までです。
※フェルディナンドは制限の一部に気付きました(『三体まで』の制限)。
【翼竜A】
[思考・状況]
1.南に移動し、状況を観察する。まだフェルディナンドは未回収。
【翼竜B】
[思考・状況]
1.西に移動し、状況を観察する。現在はフェルディナンドの元へ帰還。
※翼竜は、ミセス・ロビンスンの虫の死骸にスタンド『スケアリーモンスターズ』を使い生み出されたものです。
※翼竜の大きさは本来の虫と同じ(数mm〜1cm)です。
※翼竜はフェルディナンドが命令し操作できます。
※翼竜は視聴覚をフェルディナンドと共有します。
以上です。
したらばでご指摘いただいた部分の修正と、翼竜についての描写を付け足しました。
何度か見直し、確認はしていますが、もし何か不備がありましたらご指摘お願いします。
支援ありがとうございました!
投下GJ!
ロビンスンは最期の最後に男を見せたな……
ブンブーンといいマイク・Oといい、SBRの脇役勢は熱いなあ
オエなんとか? ああ、そんなのいたね(笑)
えー、耳なし芳一をwikiに掲載しましたので報告します。
一応追跡表・投下順・時系列順・書き手ページ・ssタイトル元ネタのページもそれに伴って更新しました。
それと、「ぼくの故郷はアメリカだった」に関しての更新がなかったので掲載しておきました。
作者の方、不具合がありましたら連絡お願いします。
その他wikiで不具合があれば指摘してくださると幸いです。では。。
代理投下します
死者に対する追悼の意など欠片もない放送は、終わった。
「……」
「……」
沈黙が、続く。
「エンポリオは、いけすかねえガキだった」
先に沈黙を破ったのは、中性的な顔立ちに長髪、網上の衣服を纏う男――ナルシソ・アナスイ。
中性的と言っても、男性に見合った長身と体格の持ち主であり、女性と見間違うことはないだろうが。
「……」
未だ口を閉ざしているのは、庇面の保安官、マウンテン・ティム。
端正な顔つきは傷跡が付いて尚健在で、むしろワイルドというか、男らしさを引き立てている。
「エルメェスのことは、正直言ってよく知らない。徐倫の友達らしいが、深い付き合いがあったわけじゃあない」
男性として魅力的なこの二人組、並んで歩けば同性異性問わず注目を集めるに違いない。
だが現状彼らは、女性をお持ち帰りしようとかいう思惑があって同行しているわけではない。
彼らがともに行動するのは、殺人遊戯を破壊し、共に過ごすことを望んだ者と再会し、愛と祝福の物語を綴るため。
「非情だろうが、仮に二人が危機に瀕していたとしても、命を懸けれるかというとそうでもない。
死を悼みはするし、たら、ればを言ったってどうこうなるものでもないしな。
だがな……」
一呼吸分の間がおかれる。
「死んでいたオレを生き返らせてくれたもののためには、命を懸けれる。急ぐぞティム。状況は一刻を争う」
「行き先について提案があるんだが、いいか?」
ここに来て口を開くティム。まるで、タイミングを窺っていたかの様な返答速度。
「今俺たちは都市部、地図からして中央付近にいる。だが、他の参加者にほとんど遭遇していない。
双眼鏡があるし視界も開けた今なら、高所からその徐倫ってコを探すことは夜より楽にできるだろうが、地理的に人が寄るから身の安全は確保したい。
そこで、だ……」
地図の一点を指さす。
「特別懲罰房か」
「ここからそう離れていないし、お前の話が確かなら拠点にするには最適だ」
厳正懲罰隔離房(ウルトラセキュリティハウスユニット)。
アナスイが元いた世界において、高齢者などの弱者の収監もだが、更生意思が見られない囚人を矯正するためにある施設。
当然内部は、暴動、脱獄などを起こしかねない者たちが収監される以上、堅く守られている。
抜け道がない、とエンポリオが評したのだ。外部からしてもそれは同じだろう。
出来るかどうかは別として、房内のシステムを掌握してしまえばなおのこと。
ティムがこのような考えに思い至ったのはアナスイが『グリーン・ドルフィン・ストリート刑務所』の囚人であり、
彼の口から施設の説明を聞いたからだが、これに関連して、アナスイは殺人罪という罪状にも触れた。
背信行為と思いつつ、アナスイはそれまで己の罪についての説明を出来ずにいた。
自分が殺人鬼だという自覚はあるし、その過去によって心が呪われているとも感じる。
だがここで、ティムのそのことを話せば築いた信頼は容易に瓦解するだろうとも考え、なかなか話せなかった。
ましてティムの本職は保安官。殺人犯プラス脱獄犯に対して容赦ない立場。
現にちょっと前には男囚を殺害した犯人を逮捕しようともした。
過去の告白をためらいはしたが、もともと犯罪者が信頼を得るなどと言うほうがおかしいのだ。
それに、荒木の打倒を誓ったものの、アナスイにとって最優先すべきは空条徐倫の保護。
そのためなら、一人や二人敵に回したって構いやしない。
そういった覚悟もあって、アナスイは過去を打ち明けた。
返事は、意外なものだった。
『確かにお前が殺人犯だということは確からしいな。保安官相手に言っていい冗談じゃあない』
『だがアナスイ、『お前が空条徐倫を愛している』のも確かだ。
自覚があるかはわからんが、そのコの話をするとき、お前の眼は星でも見てるかのように輝いていたぞ』
『お前は徒に他人を傷つけはしないはずだ。
マイク・Oを逃がした時、お前は『他の『参加者』を殺し回る気なら、放ってはおかない』と言ったろう?
その思いが本心なら、お前は呪われた心になんか屈しない』
アナスイは安堵したが、ティムは念を押すようにこう付け加えた。
『だがお前が、他の参加者を皆殺しにしてでも徐倫ってコを救うと言いだしたら……』
『俺がお前を止める。生死を問わずだ』
放送数分前の話である。
★
「問題は、すでに何者かが入っている場合だが」
「ノープロブレムだ。『ダイバー・ダウン』を『潜行』させれば、房内部を調べることはできる。
既に徐倫以外の誰かがおジャマしているようなら即退散、だ。施設が施設だからな、用心するに越したことはない」
着々と、滞りなく計画を立てる二人。
守りの堅い施設ゆえ、何者かに占拠されている事態も想定できる。
そのため、戦略的撤退も視野に入れなくてはならない。
(最悪のケースは、プッチという男が部下を引き連れてそこにいる場合。アナスイの選択は妥当だ)
放送を聞く限り、エンリコ・プッチはいまだ生存している。
アナスイの話によれば、危険人物である上に、人にスタンド能力を与え従わせる厄介なスタンドを持つとのこと。
更に、彼ら以上に施設の性能、ひいてはアドバンテージを理解する人物、既にいる可能性は無くはない。
下手をすれば、自らの能力で新たな部下を使役して立て篭もっているかもしれない。
二人で悪の根城に向かうのは無謀の極み、戦力は心許無く、保身に回るしかないのが現実なのだ。
「それと、懲罰房に行く前に寄りたい所があるんだが、いいか?」
「構わないが、いいのか?」
「……どういうことだよ?」
「死亡者26名、実に4分の1以上だ。一刻も早く徐倫ってコを見つけたいのが心情じゃあないか?」
死者の多さは、それだけの危険人物がいることを意味する。
同時討ちの可能性を考慮しても4分の1は多すぎる。
はっきり言ってティムも想定外の多さと感じており、殺し合いを阻止しようとする彼らは早急な対応を迫られている。
「わかってる。出来る限りすぐに済ませたいとも思う。だが、これからすることは徐倫のためでもある。
せっかく脱獄したのに、また束縛される羽目になっちまったんだからな。再会した時のために、何とかしときたいのさ」
一拍置いて、ティムはアナスイの言わんとすることを把握した。
支援
★
「『ダイバー・ダウン』!」
傷ついた無人のビルにて響く声。
アナスイは己が化身、『ダイバー・ダウン』を発現し、数刻前に見た死体の首に『潜行』させた。
正確には、『潜行』したのは死体の首ではなく――
「……よし、機能は停止している。取り外しても爆発はしないだろう」
――首輪。
「確かに、脱獄した後に首輪が付いてたら、いい気分しないだろうな」
「だろう? それに徐倫に首輪は似合わない。どうせなら首輪の代わりに指輪をプレゼントしてやりたいねオレは」
荒木の打倒のためにいずれ必要になる首輪の解除。
アナスイは、ちょうど死体も見かけたので、首輪のサンプルを調達することにした。
首周りに傷が多数あった死体だったが、幸い――本来そういった表現は似つかわしくないが――首輪に目立った傷は無かった。
死体があったのはビル屋上で、階段を昇る手間はあったが(あまり目立ちたくなかったので、スタンド能力を使って登ることはしなかった)、見返りは大きかった。
『死亡者の首輪は機能が停止する』、これは首輪を外す際に大きなヒントになり得る。
「しかし、爆発しなかったからいいものの、片腕を失いかねなかったぞ?」
「何も最初から外そうとしてたわけじゃあねえ。機能が停止してるかどうか確かめただけだ。
まあ、俺やお前の首輪で試すわけにはいかなかったがな」
「屁理屈だろ。それに、死ぬほど痛いぞ。爆発は」
「分の悪い賭けってことは重々承知してたさ。だが徐倫のためならこれくらいのことわけない。
よし、首輪を手に入れて早く懲罰房に向かうぜ!『ダイバー・ダウン』! 首の骨を『分解』してねじ切れ!」
『ダイバー・ダウン』が右腕を死体の首に『潜行』させ頸椎を『分解』、左腕は頭を抱えて蛇口を捻るかのように軽く回す。
ボキリという音には似つかわしくない、花を摘むかのように優しい挙動で、分解作業は完了した。
カランと乾いた音が響く。
「死体をいたぶるのは人道に反するだろうが……必要悪として見逃してくれ」
アナスイがティムに向かって一礼。
「頭をあげてくれ。首輪を外すとなるといずれ必要になることだ」
(少々大胆だが、アナスイはある程度は周りが見えている。マイク・Oのように妄信的な行動はとらないと願いたいが……)
マウンテン・ティムは、マイク・Oとの邂逅以来、アナスイの行動方針に懸念を抱いていた。
“参加者の誰かを見つけ、守ろうとしている”
推測にすぎないが、これがマイク・Oの基本行動方針。
立場は違えど、それはアナスイとて同じなのだ。
一歩道を踏み外せば、マイク・Oが男囚にやった以上に他人を傷つけてしまうかもしれない。
だからこそティムはアナスイに言ったのだ。『周りが見えなくなればお前を止める』と。
愛とはすばらしいものだ。慕い、大切にする心は、強大な敵を前にしても勇気を奮い立たせてくれる。
だが、独りよがりな愛は愛とは言えない。
14歳の女性に恋をした身だが、彼女は既婚者だった故に、叶わぬ恋として身を引いた。
役に立ってあげたいと、この世のあらゆる残酷さから守ってやりたいと誓いはしたが、伴侶から奪い取ろうとは決してしなかった。
慕わず、大切にせず、無理やり奪い取り、心を真正面から受け止めようとせずして、なにが愛か。
愛した女性の気高さ、純潔さに敬意を払っているからこそ、ティムはそう心得ている。
(アナスイ、お前には『愛』を履き違えてほしくない)
マイク・Oと戦ったが故に、姿が重なるが故に、ティムはアナスイのことを心配していた。
いつか、アナスイは徐倫というブレーキが壊れた時、制御できない暴走機関車になってしまうのではないか、と。
「愛する者のため」と、その思いを盾に殺人を正当化し必要以上に手を汚してしまうのではないか、と。
荒木の能力を『死者の蘇生』と考えていることもあって、乗ってしまう可能性は、杞憂とは言い切れないのだ
司法権を持つティムとしては、出来ることならアナスイを法に沿った方法で更生させたいと思っている。
(だが、殺人鬼としての本性を蘇らせるようなら、俺はお前を……)
「何やってんだティム、用はもう済んだんだ。とっととずらかるぞ」
「……ああ、すまない。ちょっと、考え事をな」
「おいおい、ボーっとしてんじゃあねーぜ。ここで敵にでも襲われたら」
「男だったのかよお前えええええええええええええええ!!!!!」
アナスイの言葉を遮るように、轟き渡る男の声。
「……どういう状況だ?」
「オレに聞かれても困る。さっさと懲罰房に向かうぞ」
「徐倫ってコを知ってるかもしれないぞ?」
「おいおい、徐倫はタフだが、誰がどう見たって女の子だぜ」
「あの様子だと、女性らしき者になりふり構わず付きまとう輩かも」
「急ぐぞティム! 野放しにしてたら徐倫が危ない!!」
目立つことを恐れていたとは思えぬほど、アナスイは華麗に、素早く建造物の外壁を駆け抜ける。
ティムは見逃さなかった、アナスイがマジに焦った目つきをしていたことを。
(男と女を見分けられないような奴が、女をたぶらかせられるとは思えんがな)
心の内にそんな思いを秘めつつも、含み笑いを浮かべティムは後を追う。
★
男が男に押し倒されている。
そんなシチュエーションは、そのテの方々なら泣いて喜ぶだろうが、生憎と彼らはそういった間柄ではないし、かと言って眺めて喜ぶ者もいない。
「いい加減離れてくださいよ、ヴェルサス。あなたが大声出したもんだから、他の参加者が寄ってくるかもしれない」
押し倒されている男はティッツァーノという。
普段のような敬語口調ではいるものの、声色は怒り心頭といった感じだ。
女と勘違いされていたことよりまず身の危険を案ずるのは、彼がギャングの一員という身の上であるからか。
「う……うるせェ! テメーみてーな雑魚なんざスタンドの力がなくったって!」
押し倒している――と言うと語弊があるだろうが、事実なので仕方ない――男はヴェルサス。
更生施設に送られ、不幸な生活を送った彼だが、不幸というには規格外な衝撃的事実(と言ってもほとんどヴェルサスの早とちりだが)を目の当たりにして尚、
ティッツァーノに攻撃を加えようとしている。
「雑魚? 雑魚と言ったんですか? このティッツァーノに対して二度もッ!」
「その女みてーなツラを修正してやらあ!」
「ギャングの私が、ただの一般人に屈するとでもお思いですか!?」
「見下してんじゃねえええええ!」
取っ組み合いの喧嘩までし始めた。
ヴェルサスの勘違いを皮切りに、互いの怒りは燃え盛る炎のように抑えられなくなったのである。
スタンドが戦闘向きでないこともあり、喧嘩は素手による格闘で行われたが、血ヘドブチ吐く修羅場かというとそうでもなく、
髪の毛や服を引っ張り合うといった、なんというかこう、微笑ましいものであった。
この程度のきっかけで殺し合いに発展しようものなら、ストレスに対する抑圧がきかないどころの話ではないので、当然と言えば当然だが。
「グッ……ヴェ、ヴェルサス! ストップです! 上から人が!」
「その手には乗らねングゥッ!」
しかしそんな彼らの小競り合いも、第三者の介入によって一時休戦となる。
喧嘩を中断させた第三者といっても、彼らの保護者が仲裁に現れたというわけではない。
そもそも彼らは結構いい年いってる。ヴェルサスに至っては25である。
そしてそのヴェルサスは、地面に埋まる腕に口を押さえつけられ、仰向けになって拘束された。
「男女構わず喰っちまおうとするゲス野郎はテメーか?」
質問の意図は見えてこないが、顔を確認するため視線を来訪者に向けるヴェルサス。
(その顔は……ゲェーッ! アナスイッ!)
ナルシソ・アナスイ。
敵対した空条徐倫の仲間であるが、それ以上に、全米を震撼させた殺人鬼という肩書のほうが、ヴェルサスにとって恐怖だった。
しかも報道された限りでは殺害方法は全身分解。
気まぐれ一つで腕が、足が、胴が、首が、切り離されてしまうのではと思うと震えが止まらない。
ティッツァーノはたぶん彼が殺人鬼であることを知らない。国籍が違うから。
だが、ギャングとしての経験がものをいうのか、只者ではない空気を感じ取っていることは見て取れた。
ティッツァーノは焦りを顔に浮かべるだけで、うかつに動けないでいる。
(『アンダー・ワールド』でラバーソウルに殺された男の記憶を掘り起こして、隙を作れば……ダメだ! ヴィジョンを出した時点でやられる!)
自分で活路を切り開いていこうとするが、策がない。
制限下にある『アンダー・ワールド』では、やれることといったらせいぜい隙を作る程度で、形勢逆転とはいかないだろう。
スタンドのスピードを考えれば先に拳をたたきこまれるだろうし、その隙さえ作れない。
殺し合いの舞台に来る以前なら、飛行機事故の記憶を掘り起こしただろうが。
(オレとアナスイとでは直接の面識がねえはずなのに、何で襲いかかってくるんだよォォォ! チクショウ! オレを助けろよティッツァーノ!)
さっきまで喧嘩していたくせに、助けを請うヴェルサス。
だが、助けるにしても手段がない、現実は非情である。
武器となるテイザー銃も、デイパックの中にしまっており、取り出す暇を与えてくれはしないだろう。
誰とも会わなかったせいか、殺し合いに対する危機感が足りなかったのだ。
そもそもティッツァーノを最初に殴りつけた時に銃を使っていればよかったものを。
「すまないが、君も拘束させてもらう」
「なッ……ロープに腕が! くっ」
そしてヴェルサスにとって唯一の希望だったティッツァーノも、新たな来訪者によって束縛された。
人を縛るには短いロープだったが、おそらくスタンド能力だろう、分裂した両手足がロープ上でスルスルと動き、ティッツァーノの四肢と口は瞬く間に抑えられた。
「首を動かして答えろ。余計な動きを見せたら、わかってるな?」
アナスイの問いかけは冷淡なものだった。
先の発言、その意味するところが分からないこの状況は不快極まりない。
「知っててほしかったり、知っててほしくなかったり、複雑な気持ちだが……殺し合いが始まってからどこかで、空条徐倫という子に会ったか?」
ヴェルサスがブルンブルンと首を振る。ティッツァーノもそれに続く。
ヴェルサスはここに来る以前なら彼女との面識はあったが、今の所在は知らない。
「チッ、まあいいさ。ハナから期待しちゃいない」
「俺からもいいか? 君たちはこの殺し合いに乗っているか?」
即座に首を振る二人。方針は特に定めていなかったしそもそも戦力的に積極的介入なんかできやしないのだが。
これで解放される、とヴェルサスは安心しきっていた。が。
「そうか。ではもう一つ聞こう。『乗っていないのだとしたら、その死体は何だ?』手短に説明願おうか」
死体、ラバーソウルに殺された男のものだろう。
取っ組み合いは転がるくらい激しく行われたので、死体とは距離ができたのだが、視界に入らないほどではない。
近くにそんなものがあればこの質問は当然だが、新たな疑惑の浮上にヴェルサスは若干涙目になっていた。
ティッツァーノは口を覆う腕が退いたところで、まるで面接でもしてるかのように、冷静に事実を話した。
「あれは私たちがやったものじゃあありません。手を下したのはラバーソウルという男。
彼なら、ヴェルサスのスタンド能力なら実証できます。どうか彼の拘束を解いてやってください」
「アナスイ、その手を外してやれ」
「わかったよ。あと言っとくがな、徐倫に手ェ出したらただじゃあおかねえぞ」
『ダイバー・ダウン』の腕の拘束が外れた途端、ヴェルサスは咳きこんだ。
相当な力を加えられていたのだ。
「ガハッ、別に徐倫……とかいう人になんかしようなんて考えちゃいねえよ」
襲うつもりがないと分かった今ならと、ヴェルサスは弁解し始めた。
「じゃああの『男だったのかよお前』って叫んでたのは何だったんだ? 今まで女になりふり構わず接してたんじゃあねえのか?」
「おそらくこの、ああっと……」
「ティッツァーノです」
「このティッツァーノを女かなんかと勘違いしただけとか、そんなところだろう」
「うっ」
「その話は後にしてくれませんか? ヴェルサス、さっさとスタンドを」
「……『アンダー・ワールド』」
★
無罪の証明を終えたのち、ティッツァーノは痴話喧嘩の経緯を話すついでに、情報交換としてこれまでのいきさつを話しあうことを提案した。
話し合いはティッツァーノの落ち着いた物腰もあって、さっきまでの緊迫した雰囲気は影もなく、円滑に進められた。
その中でも特に危険人物の情報は互いにとって有益なものだった。
変装もでき、肉体を消化し食らい尽くす肉のスタンド『イエローテンパランス』、使い手ラバーソウル。
鉄に息を吹き込み、風船のようにして炸裂させるスタンド、使い手マイク・O。
対抗できるかはともかく、対策ができるのは大きい。
そして、一通り話すべきことは話し終え、誤解は解けたのだが。
「要するに、同行していた彼を女と勘違いして、自分の命惜しさに襲ったというわけか」
「そんなとこだ……あんたらだって言われなきゃそう思っただろう?」
「あ、ああ、そうだな」
「か、勘違いしたなら、仕方ないな」
ヴェルサスにはわかった。この二人は本心からではなく、自分の名誉を保たせるためこう言っているのだと。
彼はスタンド能力に目覚めてから自尊心で前を向けるようになったが、そのプライド故に人に見下されたり偉そうにされたりするのを嫌がった。
嫌なのだが、あの一件はどう考えてもヴェルサスに非がある。
もはやこの不愉快な『カワイソーなものでも見るかのような視線』を甘受するしかないのだ。
「しかし、よく死体に気がついたな」
「近くにあっただろ……それに一応知り合いだったからな。服装で分かった」
「知り合い?」
「大した間柄じゃあないさ。顔に傷をつけた張本人ってだけだ」
3人が違う話題に切り換えても、ヴェルサスはだんまりだった。
その表情は憔悴しきっていて、この場にいるのが耐え難くて仕方がないという感じだ。
それに、殺人鬼、その同行者、ちょっと前に殴ったティッツァーノの中に割って入って話し合えという方が無理な話。
「今後何か予定は?」
「食屍鬼街というところに向かう予定でしたが……人探しが目的だったので、そちらと同行できるならお供します」
「さっきも言ったが、徐倫って女の子を探しててな」
「双眼鏡を生かすために特別懲罰房に向かおうと思ってる」
「構いませんねヴェルサス?」
「……あぁ」
さっきまで罵声を浴びせていたとは思えない、覇気のない声で答えるヴェルサス。
2人が戦力として魅力的なのは承知しているが、あてがないものの徐倫に会おうとしているのがマズイ。
そのことをティッツァーノに伝えようとしても、同行しない理由が嘘でも言い訳でも見当たらない。
「徐倫は敵なので会いたくない」などと言おうものなら、先の様子からしてアナスイがタダでは済まさないだろう。
「話が逸れるが、死体の近くにあるデイパック、まだ回収してないのか?」
「ええ。回収しようとしてヴェルサスに殴られましたからね」
「アナスイ、中を調べてみてくれ。今持ってるのより長いロープがあればそれを譲ってくれればいい」
「死後しばらく経ってるみたいだし支給品は奪われてると思うぞ。ま、水や食料も持ってて損は無いか」
指令を受けたアナスイが、死体の傍らにあったデイパックの中身を調べるついでに、中身を自分のデイパックに移し入れる。
わざわざ移し入れたのは、今後『4人なのにデイパックが5つ』という、傍から見ればいらぬ誤解を招きかねない事態に発展する恐れがあるからだ。
そして、水と食料をしまい終えたその瞬間。
「冷たッ……」
首元を抑えるアナスイ。
気がつけば、周辺では水が上から下へ落ちるという、言葉にしてみればごく当たり前の自然現象が起きていた。
「雨ですね。さっきから降ってましたけど、勢いがちょっぴり増したかも」
「雨だと? 確かに降っているが、屋上にいた時は降っていなかったのに……奇妙だが、『この雨は局地的に降っている』のか?」
「局地的な雨……まさかウェザーの奴がッ!」
跳ねるように立ち上がったアナスイ。
「『ウェザー・リポート』、お前の仲間の能力か」
「ああ、天候操作、前に説明したとおりだ。目的は人集めだろう」
ウェザー・リポート。
その名を聞いたヴェルサスは、背筋が凍るような思いだった。
降り注ぐ雨によって体温が奪われたとかそういう意味ではない。
ヴェルサスはこの世界に来る以前、ウェザーに向けて記憶DISCを投げつけようとしたことまでは記憶している。
虹が出ていないし、カタツムリ化は無差別広範囲の攻撃だからウェザーの記憶が戻っていないのは確かだ。
では、ヴェルサスがブルっている理由とは何なのか。
(いる……近くに! 来やがっている! 神父に近い感覚を感じるッ!)
同じ血族の身、具体的な場所はわからないものの何となく存在を感じ取っていたのだ。
もしかしたら既に近くにいたのかもしれないが、幸か不幸か、ウェザーがいると意識して感覚が研ぎ済まされたと言うか、敏感になってしまった。
ウェザーの記憶が戻っているなら徐倫のことなどお構いなしだろうが、記憶のない今徐倫の敵だとバレたら土下座してでも生き延びれそうにない。
(頼むぜティッツァーノ……さすがに今ウェザーには会いたくない。近くにいるってわかってる分尚更な)
ちらとティッツァーノのほうを見やるヴェルサス。
「雨の勢いが強い方に行けば会えるかもしれませんよ? そのウェザーって人に」
(余計なこと言ってんじゃあねえええええええええええ!)
ヴェルサスの懇願もつゆ知らず、ティッツァーノはアナスイの方を見てそう言った。
そもそもヴェルサスが見ていたことさえ気が付いていなかったらしい。
「アナスイ。徐倫を優先するか、ウェザーを優先するかの判断はお前に任せる」
「……ウェザーを探そう。特別懲罰房に行っても徐倫を探すあてがあるわけじゃあないし、もしかしたら徐倫も雨の降る方へ向かっているかもしれない」
(何してくれてんだよティッツァーノオオオオオ!)
★
(急げよアナスイ。叶わぬ恋など俺以外にあってほしくは無いからな)
(良し。過程はどうあれアナスイとかいう男に『仕込みの入った水』は渡った。
まあ乗ってないのは事実でしょうけど、裏を取るぐらいには役に立ちますかね。状況次第ですが、嘘をつかせる能力で同士討ちも狙えるかも)
(マズい、マジヤバイ。どっちにしたって俺がブチのめされるのが早いか遅いかの違いしかねーし!
つーかさぁ、何で俺の周りは敵ばっかなんだよチクショオオオオオ!)
(徐倫を優先したい気持ちはある。だが、徐倫が建物内にいれば双眼鏡を用いても見つからないかもしれない。
それにウェザーは『何となくだが徐倫の位置が分かる』らしい。戦力としてだけじゃあなく、徐倫を探す分にも役に立ってくれるだろう。
愛する者の元へすぐさま駆けつけるのが男ってもんかもしれないが、ウェザーに会うまで辛抱していてくれ、徐倫)
それぞれの思いを胸に秘め、愛の戦士は歩みだす――――
【G-4オエコモバ の死体の傍/一日目 午前】
【いろんな意味でこれといったあてがない4人組】
【マウンテン・ティム】
[時間軸]:SBR9巻、ブラックモアに銃を突き付けられた瞬間
[状態]:左肩と腹部に巨大な裂傷痕(完治)。服に血の染み。やや貧血
[装備]:物干しロープ、トランシーバー(スイッチOFF)
[道具]:支給品一式×2、オレっちのコート、 ラング・ラングラーの不明支給品(0〜3)
[思考・状況]
基本行動方針:ゲームに乗った参加者の無力化、荒木の打倒
0.ウェザーを探す
1.アナスイの仲間を捜す
2.事情を察したのでマイク・Oは追わない
3.「ジョースター」、「ツェペリ」に興味
4.特別懲罰房を拠点にしたい
5.もしアナスイが再び殺人鬼になるようなら止める。生死を問わず
6.アラキを倒す
[備考]
※アナスイと情報交換しました。アナスイの仲間の能力、容姿を把握しました。
(空条徐倫、エルメェス・コステロ、F.F、ウェザー・リポート、エンポリオ・アルニーニョ)
※マイク・Oのスタンド能力『チューブラー・ベルズ』の特徴を知りました。
※マイク・Oの目的(大統領夫人の護衛)を知りました。
※ラバーソールの『イエロー・テンパランス』の能力と容姿を知りました。
※ヴェルサスの『アンダー・ワールド』の能力を知りました。
※アナスイが愛のために暴走してしまわないか心配しています。もし暴走するようなら、アナスイの生死を問わず止める覚悟はできています。
【ナルシソ・アナスイ】
[時間軸]:「水族館」脱獄後
[状態]:健康
[装備]:トランシーバー(スイッチOFF)
[道具]:支給品一式(食料、水2人分)、点滴、クマちゃん人形、双眼鏡、首輪(ラング)
[思考・状況]
基本行動方針:ゲームに乗った参加者の無力化、荒木の打倒
0.ウェザーを探す
1.仲間を捜す(徐倫は一番に優先)
2.殺し合いに乗った奴ら、襲ってくる奴らには容赦しない
3.特別懲罰房を拠点にしたい
4.徐倫に会った時のために、首輪を解析して外せるようにしたい
5.アラキを殺す
[備考]
※マウンテン・ティムと情報交換しました。
ベンジャミン・ブンブーン、ブラックモア、オエコモバの姿とスタンド能力を把握しました。
※マイク・Oのスタンド能力『チューブラー・ベルズ』の特徴を知りました。
※アラキのスタンドは死者を生き返らせる能力があると推測しています。
※ラバーソールの『イエロー・テンパランス』の能力と容姿を知りました。
※ヴェルサスの『アンダー・ワールド』の能力を知りました。
※デイパックには『トーキング・ヘッド』入りの水が入っています。
※首輪は『装着者が死亡すれば機能が停止する』ことを知りました。
ダイバー・ダウンを首輪に潜行させた際確認したのは『機能の停止』のみで、盗聴機能、GPS機能が搭載されていることは知りません。
※ヴェルサスの首筋に星型の痣があることに気が付いていません
※仲間を探す(徐倫は一番に優先)とありますが、ウェザーを探すことが徐倫を探すうえで意義があると考えているためそちらを優先しました。
【ドナテロ・ヴェルサス】
[時間軸]:ウェザー・リポートのDISCを投げる直前
[状態]:ストレス(大)、髪がボサボサ、服がしわくちゃ、ヤバイマジヤバイ
[スタンド]:アンダー・ワールド
[装備]:なし
[道具]:テイザー銃(予備カートリッジ×2)、杜王町三千分の一地図、牛タンの味噌漬け、基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:絶対に死にたくない。
0.徐倫にもウェザーにも会いたくねえええ! でも一人じゃ生き残れないし付いていくしかない……
1.どんな事してでも生き残って、幸せを得る。
2.プッチ神父に会ったら、一泡吹かせてやりたい。
3.この先不安。アナスイマジ怖いんすけど
4.ティッツァーノムカつく、っていうか空気読めよお前!
[備考]
※ティッツァーノの『トーキング・ヘッド』の能力を知りました。
※ティッツァーノ以外のマフィアについてはまだ聞いていません。
※荒木のスタンドを「物体をコピーする」能力だと思っています。
※荒木の能力により『アンダー・ワールド』には次の2点の制限がかかっています。
・ゲーム開始以降の記憶しか掘ることはできません。
・掘れるのはその場で起こった記憶だけです。離れた場所から掘り起こすことはできません。
※『アンダー・ワールド』でスタンドを再現することはできません。
※ラバーソールの『イエロー・テンパランス』の能力と容姿を知りました。
※マイク・Oの容姿とスタンド能力『チューブラー・ベルズ』の特徴を知りました。
【ティッツァーノ】
[時間軸]:ナランチャのエアロスミスの弾丸を受けて、死ぬ直前。
[状態]:健康、ヴェルサスに対する軽いストレス、背中に痛み、髪がボサボサ、服がしわくちゃ
[スタンド]:トーキング・ヘッド
[装備]:ブラックモアの傘
[道具]:岸辺露伴のサイン、少年ジャンプ(ピンクダークの少年、巻頭カラー)、基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:生きて町から出る。
0.アナスイの決断を待つ
1.当初の予定とは異なるけど、『トーキング・ヘッド』入りの水をアナスイが飲み込んでくれたらいいな
2.『トーキング・ヘッド』が舌に張り付いたら、ゲームに乗っていないという裏を取る。嘘をつかせることも考慮に
3.この名簿は一体?なぜ自分はここに呼ばれたんだ……?
4.この先不安……だったけど頼もしい同行者ができて嬉しいです。ヴェルサス? そんなのもいましたね
5.ヴェルサスムカつくけど、静かになったからいいや
6.アラキを倒し、生きて町から出る
[備考]
※ヴェルサスの『アンダー・ワールド』の能力を知りました。
※ヴェルサスの知り合いについてはまだ聞いていません。
※荒木のスタンドを「物体をコピーする」能力だと思っています。
※ラバーソールの『イエロー・テンパランス』の能力と容姿を知りました 。
※トーキング・ヘッドを操作できる射程距離に制限がかかってる可能性がありますが、
本人は気づいてないようです。(ちなみに原作の射程距離はB)
※マイク・Oの容姿とスタンド能力『チューブラー・ベルズ』の特徴を知りました。
※二人はしばらくするとE−5に向かう予定でしたが、同行者ができたので中止しました。
※オエコモバの支給品はヨーロッパ・エクスプレス、タバコのみでした。
==============
以上で代理投下終了です。
乙ッ!!
>>174 ◆Y0KPA0n3C.氏『Friends Will Be Friends』『Save me』
【グェス】【パンナコッタ・フーゴ】【花京院典明】
>>187 ◆em4fuDEyHM氏『Whatever she brings we……』
【ラバーソール】【リゾット・ネエロ】【ペッシ】【ミュッチャー・ミューラー】
>>204 ◆hqLsjDR84w氏『まっすぐ』
【プロシュート】【シュトロハイム】
>>223 ◆33DEIZ1cds氏『明けてさだめに身をやつし』
【エリナ・ペンドルトン】
>>235 ◆hqLsjDR84w氏『性/さが』
【岸辺露伴】【ヴィヴィアーノ・ウエストウッド】【シーザー・アントニオ・ツェペリ】
>>244 ◆bAvEh6dTC.氏『トニオのスーパー料理教室』
【トニオ・トラサルディー】【サンダー・マックイイーン】【J・P・ポルナレフ】
>>282 ◆yxYaCUyrzc氏『耳なし芳一』
【虹村億泰】【サンドマン】
>>299 ◆33DEIZ1cds氏『彼は誰』
【リンゴォ・ロードアゲイン】【タルカス】【フェルディナンド】
>>322 ◆0ZaALZil.A氏
【マウンテン・ティム】【ナルシソ・アナスイ】【ドナテロ・ヴェルサス】【ティッツァーノ】
以上を現在地地図に追加しました
ミス等ありましたら指摘してもらえると助かります
地図乙です!いよいよ市街地が混みだしたな。今後の展開に期待せざるを得ないw
【第一部:ファントムブラッド】6/11
○ジョナサン・ジョースター/○ディオ・ブランドー/○ロバート・E・O・スピードワゴン/●ウィル・A・ツェペリ/
○エリナ・ペンドルトン/○ジョージ・ジョースター1世/●ダイアー/●黒騎士ブラフォード/○タルカス/●ワンチェン/
●ジャック・ザ・リパー
【第二部:戦闘潮流】4/10
○シーザー・アントニオ・ツェペリ/●リサリサ(エリザベス・ジョースター)/○ルドル・フォン・シュトロハイム/
●スージーQ/●ドノヴァン/●ストレイツォ/●サンタナ/●ワムウ/○エシディシ/○カーズ
【第三部:スターダストクルセイダース】10/15
○ジョセフ・ジョースター/●モハメド・アヴドゥル/○花京院典明/○J・P・ポルナレフ/○イギー/
○ホル・ホース/○ラバーソール/○J・ガイル/○エンヤ婆/●ンドゥール/
○オインゴ/●マライア/○アレッシー/●ダニエル・J・ダービー/●ヴァニラ・アイス
【第四部:ダイヤモンドは砕けない】9/12
●東方仗助/○空条承太郎/○虹村億泰/●広瀬康一/○岸辺露伴/○山岸由花子/●矢安宮重清(重ちー)/
○トニオ・トラサルディー/○川尻早人/○片桐安十郎(アンジェロ)/○音石明/○吉良吉影
【第五部:黄金の旋風】12/15
○ジョルノ・ジョバァーナ/○ブローノ・ブチャラティ/○グイード・ミスタ/○レオーネ・アバッキオ/
○パンナコッタ・フーゴ/●トリッシュ・ウナ/●サーレー/○ホルマジオ/○ペッシ/○プロシュート
●ギアッチョ/○リゾット・ネエロ/○ティッツァーノ/○チョコラータ/○ディアボロ
【第六部:ストーンオーシャン】 10/15
○空条徐倫/●エルメェス・コステロ/○F・F/○ウェザー・リポート/○ナルシソ・アナスイ/
●エンポリオ・アルニーニョ/●ロメオ/○グェス/○サンダー・マックイイーン/●ラング・ラングラー/●ケンゾー/
○ヴィヴィアーノ・ウエストウッド/○ミュッチャー・ミューラー/○ドナテロ・ヴェルサス/○エンリコ・プッチ
【第七部:スティール・ボール・ラン】 5/10
○サンドマン/○マウンテン・ティム/○リンゴォ・ロードアゲイン/●マイク・O/●オエコモバ/
●スカーレット・ヴァレンタイン/○ブラックモア/○フェルディナンド/●ミセス・ロビンスン/
●ベンジャミン・ブンブーン
【残り 56人】
【その他:主催者側】
○荒木飛呂彦/○エニグマの少年(宮本輝之助)/○テレンス・T・ダービー
※協力者は他にもいる?
【その他:支給品関連】
●ブラック・サバス(本体のポルポは生存?)/○サヴェジ・ガーデン鳩/○ココ・ジャンボ亀/●ヨーヨーマッ
○モハメドアヴドゥ竜/○ロビンスン翼竜A/○ロビンスン翼竜B/○ヨーロッパ・エクスプレス馬/●ダニー犬
>>329 まとめ乙!
モハメドアヴドゥ流わらたwww
間違えたorz
アヴドゥ竜。
>>329 まとめ乙です
生存率は5部>4部>3部=6部>1部>7部>2部か
5部勢の生き残りっぷりがすごいなと思ったら
今回の予約で減りそうな予感・・・・
削れるなら削ったほうがいいだろ。
もうちょっとで1stくらいの話数になるが残り人数はまだ1stより多いんだぞ?
5部が生き残りまとめてみた
見ろよこの安定感↓
『これからの人』
ブチャラティ・ミスタ エンカウント超低め 考察系 会場の調査
フーゴ 孤立気味からようやく動いた
リゾット・ペッシ エンカウントやや低め 考察系 施設の調査
『落ち着いた人』
プロシュート 戦闘二回 独伊同盟でVSカーズまでは乗り切った?
ジョルノ チームメンバーがアレで戦闘どころじゃない
ティッツァーノ 標準 最初から低空飛行
ディアボロ ジョセフが頼りになる メタ的なおいしさ 投げやりステルス
そのメンバーの中で一番死にそうなのはブチャラティかな
ポロシュート、リゾット辺りもちょっと危ないかも。
ティッツァーノは原作通り、誰か庇って死にそう。
5部勢は知人とのチームが多いから同時に死んだりかばって死んだりが多そうだ
そう考えるとフーゴが案外一番安全圏なのかもしれんね
どのキャラも今後どうなるかやっぱり気になるなぁw
>>340 個人的にフーゴは死ぬよりもしんどいことが立て続けにおこってってほしい
生き残りフラグ立ちそうなのは
グェス(ポコロコ状態)
早人(子供、非スタンド使い、強力アイテム無し、対主催とメタレベルでフラグ立ち過ぎ)
ぐらいかな。
しかし今回の予約はどれもこれも結構な人数だな
◆xrS1C1q/DM氏が六人、ネッシーが五人、スナイプさんも六人
本当に投下が待ち遠しいなw 日程からしてラジオ前後にラッシュかw 来週が楽しみだ
344 :
創る名無しに見る名無し:2009/06/21(日) 23:35:08 ID:7x6JhIYJ
五部で一番危険なのは多分プロシュート
左腕喪失に加え全身ボロボロ
しかも方針が打倒カーズ
無理だろ
なんで断定するの
一般人が吸血鬼倒すんだぞ
一般人が吸血鬼を倒す
スタンド使いと波紋使いが柱の男を倒す
カーズだって究極じゃないなら勝ち目はある
相性最悪だが
兄貴の覚悟ならなんとかやってくれる!
と言ってみたが、相性が…しかも重傷なのもあるし
兄貴がいなくなったらペッシが…
そして俺が…
がんばれ超がんばれ
トニオ・トラサルディー、サンダー・マックイイーン、J・P・ポルナレフ、エンヤ・ガイル
サンドマン
10分後に投下します。
これは…支援するしかねえぜ!
――良くも悪くも、烈しい怒りが未来を創る。
ラッセル・バンクス『この世を離れて』――
第1回放送を聞き、大した感慨もなく必要事項の確認をし終えると、DIOとJ・ガイル以外にさして興味もないエンヤは、民家を出た。
彼女はスタンドの消耗を避けるため、最小限のエネルギーで女の遺体を動かし、自分の前を歩かせ行動することとした。
そして老体に鞭打ち、食料・武器調達に人が集いそうな繁華街方面へ南下する。
リスクも高まるが、背に腹は代えられない。
あの忌々しい少女に課せられたノルマを果たすためだ。(放送で名が呼ばれることを期待したが、叶わなかった)
2人殺して待ち合わせ場所に行かなくては、あの美しい髪の毛が、彼女の身を容赦なく食らうだろう…。
しばらく歩くと、一軒の建物が見えてきた。人がいるかもしれないと、警戒しつつ近寄って様子を確かめる。
壁に耳をあて、中の様子を探ると、途切れ途切れながらも焦がれに焦がれた名前を聞き取ることができた。
「…ポルナレフさん…ろよ…それ…」
「ポ・ル・ナ・レ・フ・サ・ン〜!!??」
老女は身を掴み上げるような憎悪と、同じくらい激しい喜びに一切を忘れた。
彼女はえもいわれぬその感覚に落ち窪んだ眼窩のなかで瞳を爛々と輝かせながら、即座に行動を起こす。
「『正義』…!!」
霧はみるみる立ち昇り、辺り一帯を包んだ。
恐ろしい霧は老女に手によって舞い踊り、今日もまたかわいそうな犠牲者をその薄ら暗い腹の中に飲み込んでしまうのだろうか?
※
「だからぁ〜ポルナレフさんやめろよ!それ俺の分だろうが!あんたもう自分の食べ終わったんだろぉ〜後片付けでもしなよっ!」
「けっばれたか。ケチくさいぜ、まったくよぉ」
「人のもん食おうとしといて何言ってんだ!頭おかしいんじゃねえの?!」
「んだとォ!」
「やめてくだサイ!もう!」
場所はレストラン『トラサルディ』店内。
彼らは『フランス風クリームスターターとパールジャムのミルフィーユ仕立て季節のソースを添えて(ただしパールジャム抜き)』に舌鼓を打ちながら、殺伐としたゲームの中、おいしい料理で英気を養っていた。
軽口をたたき合いながら食事も終盤に差し掛かっっていた…
が、その時、異様な気配が店内を満たした。
日の高い時間だというのにゆっくりと暗くなり、不吉な霧状の粒子が彼らを取り巻いた。
「これは!?」
「何事でスか…不気味な…!」
「この霧…まさか!まさか…あのばばあか!?」
この言葉と同時に、店の入り口横にあるガラス戸が破られ、黒い塊が2つ、中に飛び込んできた。
姿を現した侵入者の一人は間髪いれずに、叩き割ったガラスのかけらを拾い上げるとポルナレフに向かって鋭く投げつけた。
「うおっ!くそ!」
不意の攻撃を避け切れず、ポルナレフの右手の甲にガラス片が深々と刺さる。
次の瞬間には、『ボゴン!』という音と共に、きれいな丸い穴が彼の手の甲を貫通していた。
その穴にさらさらと素早く霧が潜り込んでゆく。
乱入者は『正義』のスタンド使い、エンヤ・ガイル。
そして彼女に操られる『空条承太郎の妻の遺体』。
これでポルナレフの右手は完全に『正義』の支配下に入った。
彼はピクリとも動かなくなった右手に焦りながら叫ぶ。
「やっぱりかよ!こんのばばあ〜!なんでまだ生きてやがる!?」
自らの眼で確実に死を見届けたはずの敵の登場に、心底驚愕しながらポルナレフは叫ぶ。
ここで少しだけ考えていただきたい。
エンヤが痛む心を抑え、復讐の直情に駆られる前に、もっとも今何を優先するべきか、冷静に考えられていたら…
お互いがお互いの恨みを沈め、もっと冷静に考え行動出来たら…
あるいは違う結果を生んだかもしれない。
しかしそんなことは事実上不可能だった。エンヤにとってポルナレフは息子の仇で、ポルナレフにとってエンヤは憎い憎いDIOの配下にして、妹の仇の母親なのだから。
彼らに共通して言えるのは、"お互いがお互いを前にすれば、とても冷静でいることなど不可能"という事だ。
要するにここバトルロワイヤルとはそういう世界、不条理と後悔と皮肉に満ちた殺戮の大パノラマなのだ。
こうして、小粋なイタリアンレストランを舞台にスタンド『正義』がその血なまぐさい悲劇を開幕した。
紅蓮の炎をその眼に宿しながら、ポルナレフの言葉など耳に入らないかのようにエンヤは叫ぶ。
「ここで会ったがなんとやらッ!!…アラキというもののスタンド能力の為か、息子は生き返っておる様子!それについては非常に良い事じゃ!
だがお前らが我が息子に対し犯した悪意ある仕打ちの数々!
あんな善良な子に良くも…!わしの可愛い息子に良くも…ううう。
そしてさらにDIO様にまでたてつくとはっ!許し難いわその所業!
ポルナレフ…そしてホルホース、あいつもよ…お前らを地獄の業火の中にたたき落とすその時まで、この体は…!天にも地にも寄る辺なき魂の頭陀袋よ!
わしは絶対に、ぜぇぇええったいにこの恨みを晴らす!あの世で腐り果てろぉぉぉッ!」
老婆は、溜まりに溜まった恨み言をぶちまけ、まず動けないポルナレフに攻撃を仕掛けるつもりか、霧で操った不気味な挙動の女をポルナレフに近づける…
ポルナレフはチャリオッツを発現させつつも、おそらくこんなゲームとはなんの関係もなかったであろう見知らぬ女性に危害を加えることをためらい、
自分も恨み言を返そうと叫びだす。
「てめえー!この逆恨みばばあ!てめえの息子が…」
「だぁまぁれぇええポルナレフぅぅ!最後の言葉なぞ許可しないぃぃぃい!!!!
その女の手ですこぅしずつ、すこぅしずつ腹の肉をちぎり取ってやる!ハラワタぶちまけやがれエー!」
悩ましい動きの女の青白い手が、ポルナレフの腹を裂こうと素早く伸ばされた瞬間、女とポルナレフの間に、影が一つ飛び出した。
その影は自らの身をポルナレフと向かって来る女ゾンビとの間に滑りこませ…
「トニオさんッ!」
ポルナレフが叫んだ瞬間、女の冷たい手が踊り出たトニオ・トラサルディの腹部に、
「ギャアアア!!!!!!」
抉り込もうとした瞬間、しゃがれた声の絶叫と共に、女ゾンビの動きが止まった。
見れば、先ほどまで勝利と報復の結実に沸いていたエンヤ・ガイルが手首から血を流し、突然の痛みにわななきながら床を転げまわっていた。
女ゾンビはそのままの状態で停止している。
床に滴った自らの血液を体に塗りたくる様にゴロゴロと転がる年老いた女を、トニオ・トラサルディとJ・P・ポルナレフは茫然と見つめた。
一体何が起きたのか?
その疑問に対する答えはこの部屋の隅、彼らのデイパックが転がっている場所へ目を向けていただくことで明白となる。
そこには、支給品「LUCK&PLUCK」の剣で自らの手首を深く切りつけているマックイイーンが座り込んでいる。
そしてもう一度、復讐に沸き、その成就を目前としながらも転げまわって悲鳴をあげているかわいそうな老婆の方を見ていただきたい。
彼女の手首付近に発現しているスタンドが見えるはずだ。名は「ハイウェイ・トゥ・ヘル」。本体と同じ方法で、相手を死に追いやるスタンド。心中を強制するスタンド。
「まだ、動けるのかその婆さん…!くそ!いてえなあ!これ以上自分で切れねえんだよ!
手がブルっちまって…心臓刺したら即死だったんだよなあ〜失敗したかなあ〜…今さらやり直すのもな〜…
この痛みが無駄になっちまうしよお〜…トニオさん!その婆さんを抑えててくれよぉ!」
がくがく痙攣する腕で、マックイイーンはさらに切りつけようと剣を腕へあてがう。
「縦に切ろう今度は…そのほうが血管を切った面積が広くなるもんな…うん。
いや違うな…動脈を切らないとだめなんだっけ…動脈ってどこにあんだ?首かな?」
腕を切りかけたマックイイーンはぶつぶつと虚ろに呟き、剣を持ち直すとためらい無く首筋に刃を入れた。
ぽたぽたと断片的に流れ出した血液が、やがてものすごい勢いで彼の体から流れ出していく。
それを見て驚愕し、駆け寄ろうと身を浮かせるトニオに、叱責が飛んだ。
「ごっ、…こっちに来るなっ!!その婆さんを抑えてろ!頼むから!!このままじゃ全員殺されちまうんだよッ」
トニオ・トラサルディは突然の事態に思考が追いつかないのか、茫然としたような表情で、エンヤを押さえ込もうと動く。
一方エンヤの体にもマックイイーンのスタンドが全く同じダメージを与えていた。
ただでさえ混乱していた彼女は更なる攻撃に右も左もわからない、といった様子で転げまわっていたが、その時やっと出血している部分を手で押さえようと身を捩る。
とにかくトニオはバタつく彼女の動きを止める為、飛びかかって上から抑えつけるが、エンヤはものすごい力で暴れまわり、大の男の力を振り切ってしまいそうなほどだ。
支援
支援
支援
「おおぉぉぉおお!はなせぇぇ!!詫びろっ!血反吐ぶちまけながらあぁぁ!!!詫びろぉっ…わしの、息子とォ…DIO様にぃぃい!!!!」
「こっ、この方も!助けっ、なければなりま、セン!落ち着いて、話し合えば分ってください、マスッ!」
トニオ・トラサルディは暴れるエンヤを押さえけながら、他の二人に向かって途切れ途切れに叫ぶ。
ポルナレフは『正義』の拘束から逃れようと足掻きつつも敵わず、もどかしそうに叫ぶ。
「このばばあ!その出血でなんでそんなに動けるんだ!…くそ!この霧を何とか…!!スタンドを解除しやがれ!くそッ!
トニオさんよ!甘すぎるぜ!『わかる』とか『わかってくれる』とかは違うんだよ!こいつらはそういうのとは違う…
こんなゲームにぶち込まれる前は、そのばばあに同情のようなものを感じたことも確かにあったが!
根本が、頭の大事なところがイッちまってるんだよ!俺達とは思考の拠り所が違うんだよ!」
「そんな、はず、はずはありまセン!理解して、い、いただけないのは、説明が、足りない、足りないだけ、デス!私が、説得し、しマス!
シニョーラッ(奥さん)!暴れるのをやめて、やめて下サイ!そうすれば手を、放し、マス!」
意外にも、その言葉を受けてエンヤは糸の切れた人形のように、地面に伏し、一切の動きを止めた。
まさに観念した、話を聞く気がある、とでもいうかのように。
今までその暴虐をほしいままにしていた『正義』も、ゆっくりと引いてゆき、なりを潜めた。
トニオはうれしそうな顔をし、すぐに拘束を緩めようと身を起しかけた…
しかし。…残念ながら『しかし』だ。
トニオが抑える手を緩めた瞬間、エンヤは狂ったようにトニオに覆いかぶさり、彼の負傷したばかりで治りきっていない左肩に傲然と掴みかかった!
「……ッ!!!」激痛のために声もあげられず、圧し掛かられるままに地面に倒れかけた彼の瞳の端に移っていたのは、焦り顔でチャリオッツと共に駆け寄ろうとするポルナレフ…
そしてもう一つ。
のけぞりながら空中を見上げたトニオ・トラサルディには、目の前の出来事が嫌にゆっくりに見えた。その時彼の瞳が捉えたものは…
(割れた窓から何かが…投げ込まれた…あれは…石…?何か、文字が…『ビュンッ!』…?…??)
親指ほどの石がエンヤの頭部にゆっくりコン、と当たった次の瞬間、彼女の小さな体はは壁際まで吹き飛んでいた。
(!!?これは、まさかコーイチさんの…?イエ、ともかく今は先にマックイイーンさんを!)
トニオは倒れかかった身を即座に起こすと、痛みも気にせずにマックイイーンの安否を確かめるため動く。
「いっ今のはなんだ!また敵かよッ!?くそが!ともかく霧が消えたぜッ。ばばあはくたばったのか?ああいやっ!その前にマックイイーンを!トニオさん!」
立て続けに起こる異常事態に錯乱しつつ、ポルナレフは同じく錯雑とした表情のトニオと共にすでに壁にもたれかかり動かないマックイイーンのもとへ駆け寄った。
二人とも混乱が収まらないまま、目の前の出来事に対応しようと右往左往した。
「マックイイーンさんッ!まだ息はありマスねッ!ああ…でもひどい顔色デス…血液が足りないッ。ああ、どうすれば…
ハッ!さっきの!パール・ジャム入りの料理を食べれば、助かるかもじれまセン!持って来ます、飲み込んでくだサイ!」
「……いや…無理だ。飲み込めないよ…ありがたいが、俺はもういい。…なんか、すげえ眠いんだよ。こういう死に方は最後眠いって…聞いてたとおりだ、ハハ…」
「ッ!水を持ってきマス!そこに私のスタンドを込めれば助かるかもしれま「聞いてくれ、トニオさん。」
「!?放しなサイっ!本当にあなた死んでしまいマすよ!」
マックイイーンはトニオの腕をつかみ、引きとめていた。
「…ッ、俺が取ってくるぜッ!」
ポルナレフはそれを見てつらそうな顔をし、すぐに駆け出す。
それを見送ったトニオは振り返ってマックイイーンを見、戦慄した。
マックイイーンの眼を見た彼には分ってしまた。
この眼は、今からこことは違う場所に行ってしまう人間の眼だという事が痛いほどよくわかってしまったのだ。
「…心臓を刺して即死をしないでおいたのは、最後に言いたいことがあったからなんだ…
俺が…もっと早くにあんたと出会えていたら、あんなに何回も死のうとしたりしないでも済んでいたんじゃないかって気がちょっとするよ。
だが、そう簡単にはいかなかったかもな…俺は27年かけて、こういう人間になったんだ。一瞬で黒から白に戻ろうったって、そうはいかないよ…
……しかし不思議だね、トニオさん…あんたみたいな人がどうして俺なんかを好いて、あんなに良くしてくれたのか…
俺自身ですら、こんなにも俺を嫌ってるっていうのに。でもあんたのおかげで、幸福ってやつをちょっと味わえた気がするんだ…
レストランでちゃんと働けなくてごめん…料理楽しかったよ。うまかった。また食いたい。また……」
朴訥な彼の言葉を聞きながら必死に腕を引き離し、諦め切れずに厨房へ向かおうとしていた誇り高い料理人である、
「マックイイーンさん!わかりまシたから、腕を、……!?」
トニオ・トラサルディは、
「離、して…」
サンダー・マックイイーンの呼吸が永遠に止まった事を知った。
「下…さい……お願い…しマす……」
マックイイーンの腕は既に床に崩れ落ちていた。
これは『ハイウェイ・トゥ・ヘル』の標的となっていたエンヤ・ガイルの死を、同時に意味するものである。
戦闘は去った。
誰も得をしない、無意味で悲しい戦闘だった。
それは、生き残った者たちに何を残したのだろう?
「あ、あの…支給品…『クリーム・スターター』を残しておけば傷が、塞げたかもしれないのに私は…」
目の前の人間の死を今だに現実として受け入れられないかの様子で、トニオ・トラサルディは誰にともなくつぶやいた。
そのつぶやきに、マックイイーンの死体を見下ろしながら水の入ったコップを片手に、二人の傍らに戻っていたJ・P・ポルナレフは答えて言う。
「…トニオさん、厳しいようだが、あえて俺は言うぜ。その『クリーム・スターター』で傷は直せても、出血した血液まで回復出来たかどうかは疑問だと…
そしてあんたのスタンドを使った場合も同様だ…致死量近くまで流れ出た血液はヘヴィ過ぎるぜ…貧血どころの騒ぎじゃないからな。
気にするなとは流石の俺にも言えねえが、ひとつこいつの目線で考えてみてくれ…こいつは料理を楽しんでた。
『自分自身が嫌い』ってのはたぶんすげえつらいことだったと思うぜ…なにも楽しくなんて思えねえよ、たぶん。
そんな奴が楽しかったって言ったんだ、あんたは間違ってない。こいつを救ったのはあんただよ。」
「……」
トニオはうなだれ、言葉を無くしていた。
ポルナレフはつたないながらも言葉を続け、崩壊しそうな様子のトニオ・トラサルディの心をつなぎとめる。
支援
「……」
トニオはうなだれ、言葉を無くしていた。
ポルナレフはつたないながらも言葉を続け、崩壊しそうな様子のトニオ・トラサルディの心をつなぎとめる。
「…わかるよな?いや、あんたはもう理解できてるはずだ。俺だってあの婆さんとは色々あって複雑だが、今は不思議と憎くないぜ…
死んじまったからって同情なのかもしれないが…、この婆さんには息子が大事で…まあ、その息子は俺にとっちゃ許すことなんて永久にありえないクソ野郎だが…
この婆さんに対しては、とにかくもうちょっと複雑なんだ。おれの気持ちは。なんか、うまく言えねえし…今となっちゃあもう遅い話だが…」
トニオ・トラサルディはその言葉を受け、顔をあげた。彼の眼は涙で濡れていたが、その眼はビー玉のように純粋に、しっかりとポルナレフを見据えた。
「…ハイ。お二人とも安らかに…。マックイイーンさん…あなたの『幸福の味』が…どんなものかお聞きしたかったデス…」
「ああ、俺もだ…二人とも、いい夢見な。」
物言わぬ死骸に声をかけ、召された魂に祈る。
君を傷つけるものはもう何もない。安らかに、ただ安らかにと。
そしてすぐにポルナレフは伏せた眼をキッと上に向けると、あたりを見回しつつ、どこにいるともわからぬ乱入者に向かって叫ぶ。
「さて…、今!!婆さんを攻撃したやつッ!出てきやがれ!近くにいるなッ?!」
といっても相手が出てくる保証はない(そんな馬鹿正直な奴いるのか?)。
すぐに追加攻撃が無いことを見ると、敵意は無いのか…それも現時点では明白では無い。
ずっと警戒のため発現させていたチャリオッツにさらに意識を集中させ、戦闘態勢で待つこと数秒…
ギィ…という少々気味の悪い音と共に店の入り口から一人の青年が姿を現した。
ポルナレフはまず相手が自分の言葉通りに素直に出てきたことに驚いた。
さらにそれが彼の時代では到底見慣れない、インディアンの恰好をした青年であるということに少々面食らいつつも、思考の整理がつかぬまま興奮気味にまくしたてた。
「…よ、よしっ!まずてめえはなにもんか話してもらう!何しにきた?いや、その前にゲームに乗ったか乗ってないか言えッ!」
少々の狼狽ぶりを示しつつも、ポルナレフは相手に大量の質問を投げた。
インディアン姿の青年は少々考えるような素振りの後、ゆっくり口を開いた。
「…確かにここでは侵入者は俺の方…説明する義理はあるというところか。
質問に一つずつ答えよう。
まず、俺の名はサウンドマン…意味は『音を奏でるもの』。
次に俺はこのゲームには乗らない。
乗っていたらわざわざ姿を現さない。
元居たところに戻りたいだけだ…正直に出てきたことで証明になるだろう。
不意打ちなんていくらでもできたんだからな。
そして、ここに近付き、侵入しようとしたのは食料を頂くつもりだったからだ。
北に向かい途中にこの建物の近くまで来たとき、風向きもあったのだろうが付近には何かの料理の香りが充満していた。
初めは罠かと思った…この状況で音・光・食料の匂いはそこに人がいるということを他人に知られる要素…人を集めるからな。
主にゲームに乗ったやつを。
故に中には余程の間抜けがいるか、ゲームに乗ったやつが張った罠が待ち受けているはず…そう考えた。
しかし俺にとって食料は重要だ。量は多目に確保したい。
それに我がスタンドはとても使える…少し中の様子を探ってみても損にはならないと判断した。
そこでお前たちがその老婆相手に大立ち回りを演じていたと言うわけだ。
しばらく観察させてもらったところ、その老婆を静かにさせれば事が簡単に運ぶと思い、スタンドを使ったのだが…事切れているのか?
殺すつもりではなかったが。それともスタンドを発現させながら死んだそっちの男の能力か?…とにかく以上だ。
争うつもりはないが、食料は分けてくれ。」
"食べ物の匂い"
…彼らは考えていなかったのだろうか?しかしそれは彼らが間抜けというよりも、善意で動く人間だったからだ。
トニオ・トラサルディが、『傷ついた参加者を救う』この一念に全てをささげる一途な料理人であったために。
これは『甘さ』だろうか?しかし同時にこんな事実も含んではいないだろうか?
『こんな殺伐とした状況の中でも自らの信念を保ったまま、それに則した行動ができる人間もいる』
この事実、それはここに佇む3人に限って定義するならば、こんな殺伐としたゲームの中でも、気高く咲き出でる花のような美しさに溢れている、と言えないだろうか?
しかしこのインディアンの青年は今だに得体の知れない突然の侵入者…J・P・ポルナレフは彼の申し出に、苛つきを隠すこともなく立て続けにまくしたてる。
「ゲームに乗ってねえことは信じてやるとして…突然来て食いもんよこせだぁ〜?!食いたきゃ金払いなっ!図々しいぞてめぇ!」
サウンドマンと名乗った男は、ポルナレフの挑発的な言葉にもさして感情を表すわけでもなく、淡々と答える。
「…常々思っているが、白人にとっては金が全てなのか?
そういう時代だというならべつに俺は何も言わないが…この状況で金なんか持っていない…あんたは持ってるのか?
まあなんでもいいが、この老婆を止めたことに免じてわけてくれ。」
なおも食い下がるサンドマンに、ポルナレフは噛みつくように怒鳴る。
「てめ!この、いけしゃあしゃあと…!!」
「…食料、料理を差し上げることは構いまセン…助けて頂いたわけでスし、たとえそのような事実が無くとも差し上げマス。」
まだ悲しみの冷めない様子ではあるが、トニオ・トラサルディは前へ進み出てそう言葉を投げた。
「トニオさんっ!だから、もうちょっと…その、探りを入れてから、だな…」
ポルナレフはトニオの率直すぎる返答に、さらに混乱しながらもささやかな反抗の意思を示しかけるが、
次の言葉にかき消されてしまう。
「感謝しよう。うまそうな匂いだと思っていたんだ。異文化の料理、俺は食べてみたい…」
「そうデスか、おいしいでスよ。…もちろん差し上げまスが、その前にお願いがあります。…この二人を埋葬したいのデス。
この店の隣には立派な霊園がありましたが、今はただの草むらになっているようです…そこに埋めようと思っていマす……手伝って下さいマスね?
それと申し訳ありませんが、もうひとつ…我々は止むを得えぬ事情で第一回放送を聞き逃してしまったのデス。内容を教えていただきたいのデスが…」
サウンドマンと名乗った男はその申し出にそれまでの無表情を少し砕けさせ、肩を竦めつつもこう答えた。
「…やれやれ…労働と報酬という奴か?白人の社会に染まってしまうようで気分が良くないが、うまそうな料理に免じて協力しよう。」
「ありがとうございマス…!ポルナレフさんもいいデスね?」
ようやく思考の整理が付き出したのか、ポルナレフも幾分落ち着いた様子で答えた。
「…フゥ〜。まあ、いいぜ!あんたの料理がうまそうだって言う人間に悪い奴はいないような気がするからなあ!」
「それは光栄でスね…では悲しい作業ですが…、それでは彼らが浮かばれまセん…!
我々は、このような残酷なゲームには乗らないという決意を彼らへの手向けとして、一緒に埋葬しまス!
私たちはあなた方を忘れないと、誓いながら…。」
「死者を尊ぶ…というのは、我が部族の風習にもあった…面識の無い人間でも、敬意を払おう。」
「いいぜぇ〜!シメッぽいのは柄じゃねえしな。……ところでサウンドマンよ、お前なんていう部族なのぉ〜?俺でも知ってるような有名なやつか?アボリジニとか?」
「?違う。」
支援
立て続けに起こる悲劇の中でも、彼らの心は砕けない。
彼らは心の中に悲しみを乗り越える覚悟を秘め、また荒木に対する怒りを渦巻かせ、それらを行動へと昇華させる事が出来る戦士たちだ。
しかしこの後も彼らを襲うであろう悲劇にはどうだろうか?親しい人間の死を聞かされても、決然とした意思で立ち向かえるのか?
吐き気を催す邪悪は、良きにつけ悪しきにつけ、人の心に強く訴えかける。
強力な『悪』は、それ自体がすでにカリスマなのだ。主催者荒木はカリスマなのだ。
彼らは一方的に試されるだろう。その心の本領を。
【サンダーマックイイーン 死亡】
【エンヤ・ガイル 死亡】
【残り 54名】
【E-5(レストラン・トラサルディー)・1日目 午前】
【トニオ・トラサルディー】
[時間軸]:4部終了後
[状態]:右腕・左肩・右足太股・脇腹に一ヵ所、右肩に二ヵ所の刺し傷(いずれも割りと深い。料理で一応は処置済み)
[装備]:フランス風クリームスターターとパールジャムのミルフィーユ仕立て季節のソースを添えて
[道具]:無し
[思考・状況]
0.2体の亡骸を店の横に埋葬する。サウンドマンに第一回放送内容の提供を受ける。
1.色々ありすぎて悲しいけど、料理で人を癒すことはやめない。
2.マックイイーンとエンヤ婆の悲しい死に誓って、ゲームには乗らない。
3.対主催の皆さんに料理を振舞う
4.荒木に対してはっきりと怒りを感じ始めている
[備考]
※レストランにある食材のうちいくつかが血液でダメになった可能性があります
※服は着ました
※服にはエンヤ婆とマックイイーンの血液が大量に付着しています。
【J・P・ポルナレフ】
[時間軸]:3部終了後
[状態]:右手にガラス片による負傷(物を持ったりするのには難儀かも)その他は健康。
[装備]:無し
[道具]:不明(戦闘や人探しには役に立たない)
[思考・状況]後悔(トニオの言葉で緩和されています)、マックイイーンとエンヤに対しては追悼の気持ち。でも湿っぽい気分にはならない。
[基本思考] 、承太郎達と合流したい、J・ガイルを殺す 、殺し合いに乗ってない奴は守りたいと考えている
0.2体の亡骸を店の横に埋葬する。サウンドマンに第一回放送内容の提供を受ける。
1.トニオと共に仲間を集める
2.死んだはずの仲間達に疑問
3.J・ガイルを殺す
4.サウンドマンは多分いい奴
5.荒木に対してはっきりと怒りを感じ始めている
[備考]
※マックイイーンとエンヤの死に対しては、ショックですが2人の死に敬意を表し、湿っぽくならないように振る舞う、と決めています。
※自分の勘違いでトニオを攻撃してしまった事を後悔しています。
※すぐにでも承太郎達と合流したいが、トニオとサウンドマンも気になる。
【サンドマン】
[スタンド]:『イン・ア・サイレント・ウェイ』
【時間軸】:ジョニィの鉄球が直撃した瞬間
【状態】:健康・ちょっと空腹
【装備】:なし
【道具】:基本支給品×2、不明支給品1〜3(本人確認済み) 、紫外線照射装置 、音を張り付けた小石や葉っぱ
【思考・状況】 基本行動方針:元の世界に帰る
0.2体の亡骸を店の横に埋葬し、第1回放送の情報を2人に提供する。その対価として食料をもらう。
1.北(DIOの館)へ向かう(他人との接触等により元の世界に帰る情報を得るため)
2.ツェペリの『荒木は死者を復活させて命を弄ぶ』論に少し興味。荒木の言葉の信憑性に疑問。
3.名簿にあるツェペリ、ジョースター、ブランドーの名前に僅かながら興味
4.遺言は伝えた。その他に彼らを知る人間とも一応会ってみたい(優先はしない)
5.もう一度会ったなら億泰と行動を共にする。
【備考】
※7部のレース参加者の顔は把握しています。
※スカーレットが大統領夫人だと知っています。
※ンドゥールに奇妙な友情を感じています。 康一、ツェペリにも近い感情を持っています。
※億泰と情報交換をしました。
内容は「康一と億泰の関係」「康一たちとサンドマンの関係」「ツェペリの(≒康一の、と億泰は解釈した)遺言」「お互いのスタンド能力」「放送の内容」です。
※チーム・ザ・ウェーブの遺志は億泰に託しました。
※情報提供が決定しているのは第1回放送の内容のみで、今まで出会った人物や自分のスタンド能力等について伝えるかどうかは分かりません。次の書き手さんにお任せします。
※エンヤ婆を攻撃した石は、I-7 中央部(果樹園跡)での大規模な戦闘中に集めて小石や葉っぱに張り付けて置いた音の残りです。まだ余りがあるようです。
何の音を保存しているかは、次の書き手さんにお任せします。
以上です。
一個目タイトル忘れたorz
しかも投下しながら見てたら何箇所か誤字脱字発見…申し訳ありません。
すぐ直します…
矛盾点等のご指摘が何かありましたらよろしくお願いします。
支援に感謝!
乙です!
今日ラジオかー早いな…
最初から聞けないのは残念だが 必ず馳せ参じますぜ!
投下乙!
まさかマックイィーンでここまで胸が熱くなるとは……
自殺癖持ちのマックイィーンが自殺を一瞬躊躇して、そして意を決して自殺をする
今までの弱い自分を乗り越えたって事なんだろうなぁ
それはさておき、仗助、康一が死んだ事やアヴドゥルが死んだ事に二人はどう向き合うんだろうな
何だかこの二人ならへこむことなく乗り越えそうだが
いい、非常にいい……マックイィーンもエンヤも実にいい死に際だ
マックイィーンは真の邪悪だった自分から成長して人の為に死ねる人間に成長したし、
エンヤもプッツンの操り人形から脱却できた……この二人には埋葬される資格がある
ここで一つ訂正して頂きたいのは……承太郎のワイフも埋葬してやっちゃくれんものかw
>>370 さっっっぱり忘れてましたあぁぁ!
すいません。
wikiに入れるときに直してもいいですか?
1・2行で説明します…
感想ありがとう!
ネッシーの投下がある、俺の投下もある、つまりスレの容量が持たない形になるな
絶対にオーバーするから予め新スレ立てて容量切れたら即座にそっちに移れるようにしちゃっていい?
スレ立ての準備しとく。
もう立てちゃってもいいかい?
お早い返事、本当にありがとうございます
今立てても……いいですよね? 今晩中にはこのスレは確実に埋まりますし
では、私が立てる
それが最良
投下GJ!
マックイイーン……お前は立派にやったのだよ……
トニオさんが誇りに思うくらい、立派に……
なんかもうサンドマンがジョジョロワ2ndの主役な気がしてきた
真実の口。
僕の祖国イタリア、ローマにある有名な彫刻。
手を口の中に入れると、偽りの心があるものはその手首を切り落とされるか、あるいは手が抜けなくなるとかいう伝説がある。
だけど、所詮伝説。
あの神父の腕がなお顕在であるからといって、嘘をついていないという確証になるわけじゃあない。
「ローマの休日」みたいな伝説の再現をされても、状況が状況なので笑えないけど。
しかし、教会にあるものをコロッセオに持ってくるなんて、荒木は一体どういう神経をしているのか。
真実の口から、コロッセオ地下へ通じるギミックも奴によって付け足されたものなのだろうか?
疑問は尽きない。
「エシディシ……」
「気にするな。奴も戦いの中で死ねて本望だろう」
巨漢――エシディシと言ったか――がそう答えた時、彼の目線は神父の方へ向いていなかった。
おそらく、放送で知人の名が呼ばれたのだろう。態度で察することができた。
僕も、ボスの娘――トリッシュの死を放送で知らされたのだが。
このジョルノ・ジョバァーナには夢がある。ギャングスターになることだ。
そのために、パッショーネのボスを倒し、町を乗っ取ろうとした。
トリッシュ護衛の任務はその点に関して重要な意味を持っていたかもしれない。
だが、僕は『上へのし上がるための手段』としてトリッシュの護衛を行っていたなんてことはない。
自分たちの利益のため、子供にさえ麻薬を売るような奴らは、関係のない者を巻き込むような奴らは許せない。
そんな思いからなる夢だった。
トリッシュだって、ボスとの血の繋がりはあったが、数日前まで平穏な日常を過ごしてきた女の子。
そんな普通の女の子を襲う組織の連中に容赦はしなかった。
でも、好きな音楽も知れなかった子を相手に、そんなことがいえた口だろうか。
どこにいたか分からないから助けられなかった、というのは正しい意見だろうし、実際そう信じているけれど、
心の内では、階段を掃除していた爺さんを死なせたときのようにドス黒い気分を感じてしまう……。
支援ッ!
「さて。各々思うこともあるかもしれないが、まずは私の話を聞いてほしい」
頭部に独特の剃り込みのある神父、エンリコ・プッチが言う。
僕の父親の友人らしいが、エシディシが好戦的な人物であった以上、おいそれと彼を信用できるはずもなく。
父の話を聞きたいのは山々だが、今は監視を続けるしかない。
「私たちは『時を越えて集められた』。これはまぎれもない事実と言っていい。
荒木の能力か、あるいは協力者というのも考えられるが」
「記憶を操作しているという可能性は無いのか? 波紋使いでも軽い催眠術なら出来るぞ」
エシディシが反論する。
波紋というのが何なのかはおいといて、確かに僕も記憶操作は候補の一つとして見ていた。
だが。
「僕はないと見ています」
「MM? 何故だ? 俺がスタンドの知識に乏しいのは認めるが、そう言いきれるものでもあるまい」
「荒木の目的は知りませんが、そんな能力なら、仮に『参加者が殺し合うこと』それ自体を目的としていればですが、
最初から参加者全体を敵視するような記憶を植え付ければいいだけのことです。
僕たちのように荒木に抗おうとする者たちが集っていること、それでいて尚首輪を爆破するなりして殺そうとしないことからその線は薄い。
娯楽的な目的なら……観客の思う通りに展開し過ぎる舞台は見ていて楽しいのか、とでも言えばいいでしょうか」
エシディシがフム、と感嘆の息を漏らすのが聞こえた。
「要はそんな能力なら保身に使えばいいということだろう。何を長々と」
先ほどまで押し黙っていたディオ・ブランドー――将来僕の父親になる人らしい――が、存在を主張するかのように声を上げる。
常識を逸脱した能力を持たず、数時間前までその存在をも知らなかった者が、こうも早く順応してくれるのはありがたい。
当人からすれば、嫌味以外の何物でもないのだろうけど。
「その時間のズレ、とでも言えばいいだろうか。たとえば、私とディオの時間のズレは実に一世紀以上ある」
「俺からすれば初対面の貴様に、馴れ馴れしく名を呼ばれたくはないがな」
「……すまない」
彼の苛立ちも、あながち分からないものではない。
見ず知らずの他人に、自分の未来を知っているだなんて言われて、いい気分する人はいないだろう。
そして支援ッ!
「で、何が言いたいのだプッチよ。その仮説、いや、もはや事実に近いだろうが、既にこの二人は聞いているだろう」
「ああ、本題はここからだ。一世紀以上のズレは特例と取りたいところだが、そうでなくとも、
知っている者同士に時間のズレが見られる可能性がある、ということだ。私のように、自分の常識が通用しない場合もあるだろう」
知っている者同士の時間のズレ、そのことから想定されるケース。
かつて僕は「涙目のルカ」をブッ倒した報復として、ブチャラティと戦ったことがある。
仮にもし、ブチャラティがその時、この世界に来ていたら?
そもそもチームのみんなが集められたのが、僕と知り合う以前でないという保証はない。付きあった時間を考えれば。
神父はそのことを言いたいのだろう。
「一旦話をそらすが、我々は元の世界、時代に戻ることを目標としている。さしあたって必要なことは何か?
荒木打倒の筋道は置いておくとして、まずは『コレ』をどうにかしなくてはならない」
コンコンと、神父は自らの枷をつついた。荒木が生殺与奪を握るカギ、首輪だ。
「解除のあてはあるのですか? 工学知識とか」
「残念ながら専門外でね、人任せになりそうだ。技術者を探したいが、そう都合よくいくものでもない。
だが、外せる者ならどこへ向かうかは……分かるね?」
「ナチス研究所ですね」
首輪を外す機材を揃え得るのは地図を見る限り【F-2】、ナチス研究所くらいだろう。
もっとも、ナチスは敗戦に伴い消滅したから、当時の工具が首輪の解体に通用するかは微妙なところだ。
「そう、ナチス研究所。繁華街というのも考えたが、そこでは手に入らない専門的な機材が必要になるかもしれない。
これは実際行ってみないと分からないことだがね」
「それに研究所にはここからなら向かいやすい。そうだろうプッチ?」
「ああ。電車……まあ機関車やトロッコが発展したようなものとさっき説明したね? それならすぐだ」
真実の口が地下への入り口(洒落のつもりだろうか)になっていたこと以上に、地下にも線路があった事実は僕たちを驚愕させた。
路線図を遅れて発見し、『ネアポリス駅』、『食屍鬼街駅』、『ポンペイ遺跡駅』、『サンタ・ルチア駅』、『ナチス研究所駅』、
そして『コロッセオ駅』というルートが明らかになった。コロッセオを縦断する線路に意味があるかは分からない。
余談だが、ディオはともかくエシディシに『電車』の説明をするのには手間を取られた。
これまでの話を聞いて、僕は大方研究所を拠点にするつもりなのだろうと思っていた。が、
「そこで今後の方針だが、一旦エシディシ以外の全員でコロッセオ付近を捜索。技術者は最優先で保護。
出来れば第三回放送までに戦力を整え……ナチス研究所を襲撃する」
想定外の提案を言い放った神父。
その眼に光は無く、黒ずんでいるようにさえ見えた。
★
「僕の仲間がそこにいる可能性があります」
「さっき話しただろう? 『知っている者同士に時間のズレが見られる可能性がある』と。
君の知人でも、相手は君のことを知らないかもしれない」
「それは今断定できる段階じゃあないです。そうやって、むやみに敵を増やすつもりですか?」
「何も殺そうなどとは言っていない。有事に備えての戦力確保だよ。それに技術者は必要だから、見敵必殺だなんて殺伐としたことはできない」
この反応は予想の範疇だった。
ジョルノは冷静に振る舞ってはいるが、根本はお人好し。
『時を6秒戻すスタンド使い』リンゴォに止めを刺さず放置するくらいには、な。
このディオにそれは無い。今の話を聞いてもせいぜいジョージが犠牲になることを危惧する程度だ。
いればだが、ドサクサ紛れにジョナサンを始末することだってできるかもしれないチャンス、逃すわけにはいかない。
他人の策に乗っかるのは癪だがな。
「地下鉄を通る以上、罠を仕掛けられている可能性があります。狭い車内に閉じ込められれば全滅の危険性もある」
「二手に分かれるというのは? 地上と地下、挟み撃ちの形にすれば全滅は避けられる。そもそも地下鉄にこだわる理由もない」
「……協力という形は、どうしても考えられませんか?」
ジョルノの攻勢がわずかに弱まる。
間違いなく、ヤツは知人の死に――素振りに表われないくらい僅かにだが――負い目を感じている。
初めて俺の傷を治した時に見せた減らず口が影もなく、プッチとやらの論に押されているのだから。
「……既に話した通り、エシディシの次に会ったのが、黴に感染して四肢をもがれた男だったんだ。
その次に会ったのが明らかに殺し合いに乗った男、ヘリを襲撃された。教戒師失格だと罵ってくれてもいいが、
既に『みんなで手を取り合い仲良くしましょう』と悠長なことを言っていられない場だと思わせるには十分な仕打ちを食らった身でね」
「荒木打倒のための戦力は多いに越したことはありません。それに、襲撃した後協力するとなると、信頼を築くのが難しい」
しかし、こうも粘られると厄介だ。
そうこうしている間にもジョージが危険な目に晒されているかもしれないのだ。
チンタラ議論を続けてる場合か。
支援だッ!
「もういいだろう、ジョルノ。貴様が嫌ならその件は保留とでもしておけばいい」
「ッ! ですが……」
「無為に時を過ごすのは無駄な事だ」
ジョルノは反省の表情を浮かべ下を向き、同時にプッチが心底驚いたような顔をしてこちらを見つめる。
何を勘違いしているというのか、こいつは。
「ディオ……」
「馴れ馴れしくするなと言ったはずだ!
貴様のためではない、貴様とて無駄な事をしている場合か、と言いたいのだ!」
怒号を上げると、プッチは委縮した。
デカブツ、エシディシが感心しているかのような視線を向けているがこの際無視する。
これでいい。
スタンド使いにスタンドなしで対抗するのは不可能、これは認めざるを得ない。
既に二度、身をもって痛感したことだ。
ならば俺はこいつらに対して、主人に従う犬のようにへーこらしていなくちゃあならないのか?
否ッ! そんなのは断じて認めん!
プッチからまだ未来の俺の話を聞いていないが、様子を見るに少なくとも俺を騙して襲うとかするような奴ではない。
騙さずとも俺を殺し、エシディシと二人でジョルノと戦えばあちらが圧倒的に優勢。
そう考えれば、嘘をついて同行するメリットは無い(ジョルノが未来の息子というのは信じがたい話ではあるがな)。
だからこそ、自称未来の友を筆頭にスタンド使いを『上に立って利用してやる』のだッ!
そのために、さっきのようにわざわざ信用を得るためプッチの案に『乗っかってやって』いる。
軍における指揮官のように二人をまとめ上げたのも、俺に従わせるためでしかない。
友情だとか信頼だとか、そんなきれいごとを並べてニコニコする気は毛頭ないがな!
スタンド使いであろうと何であろうと、俺の前でイバらせはしないッ!
ああ、そうだ。上に立つための過程や、方法なぞ……どうでもよいのだ!
「もういいだろう、ジョルノ。貴様が嫌ならその件は保留とでもしておけばいい」
「ッ! ですが……」
「無為に時を過ごすのは無駄な事だ」
ジョルノは反省の表情を浮かべ下を向き、同時にプッチが心底驚いたような顔をしてこちらを見つめる。
何を勘違いしているというのか、こいつは。
「ディオ……」
「馴れ馴れしくするなと言ったはずだ!
貴様のためではない、貴様とて無駄な事をしている場合か、と言いたいのだ!」
怒号を上げると、プッチは委縮した。
デカブツ、エシディシが感心しているかのような視線を向けているがこの際無視する。
これでいい。
スタンド使いにスタンドなしで対抗するのは不可能、これは認めざるを得ない。
既に二度、身をもって痛感したことだ。
ならば俺はこいつらに対して、主人に従う犬のようにへーこらしていなくちゃあならないのか?
否ッ! そんなのは断じて認めん!
プッチからまだ未来の俺の話を聞いていないが、様子を見るに少なくとも俺を騙して襲うとかするような奴ではない。
騙さずとも俺を殺し、エシディシと二人でジョルノと戦えばあちらが圧倒的に優勢。
そう考えれば、嘘をついて同行するメリットは無い(ジョルノが未来の息子というのは信じがたい話ではあるがな)。
だからこそ、自称未来の友を筆頭にスタンド使いを『上に立って利用してやる』のだッ!
そのために、さっきのようにわざわざ信用を得るためプッチの案に『乗っかってやって』いる。
軍における指揮官のように二人をまとめ上げたのも、俺に従わせるためでしかない。
友情だとか信頼だとか、そんなきれいごとを並べてニコニコする気は毛頭ないがな!
スタンド使いであろうと何であろうと、俺の前でイバらせはしないッ!
ああ、そうだ。上に立つための過程や、方法なぞ……どうでもよいのだ!
支援!
容赦なく支援ッ!!
ごめん名前のこってた
★
(これは『試練』だ、『天国』へ到達するための。ただそれだけのこと。荒木の目的などどうでもいい)
先ほどジョルノが触れた、荒木の目的。
私は最初、荒木は『天国に到達する』ためにこの殺し合いをしているのではないか、と考えた。
私が肌身離さず保管していたDIOの骨が没収されていたからだ。
更に天国に到達するのに必要な『極罪を犯した36名以上の魂』を、この殺し合いで得ようとしているならば辻褄は合う。
だが、私はこの可能性を暫しの熟考を経て却下した。
非効率的すぎる。
もし残り人数が35人以下になった場合、その計画は言うまでもなく破綻するからだ。
そもそも、都合よく極罪を犯した人間が最低でも36人も残るものだろうか?
条件に見合う魂を得たければ私のように教戒師をやればいいものを、こんな回りくどいことをする必要はない。
『極罪』の定義次第だから断定はできないが、他にやりようはあっただろう。
天国へ到達しようというのなら荒木に協力したかもしれないが、邪魔するようなら容赦しない。
生きて元の世界に帰るのが先決だ。
「では、僕たち三人がまとまってコロッセオ東側周辺を捜索。出来る限り交戦は避け、仲間ができるできないにかかわらず、
第二回放送前に一旦ここに戻ってくる。その後の方針は放送次第。ですね?」
「そうだ、二度も言わせるんじゃあないぞ」
一人そんな思索にふけっている間、ディオが私たちに代わって今後の方針を上手く折り合いをみつけてまとめてくれた。
ジョルノはエシディシ一人を置いていくのに反対したが、ディオが一旦様子を見に戻ることを提案し、しぶしぶ合意。
彼は未だエシディシを信頼していない。あんな出会い方をすれば当然なのだが。
そして、禁止エリアになることもありうるからだろうが、『放送次第で動きを決める』と上手くぼかすことで、
それがジョルノの苦情を抑えるのに一役買っている。
彼自身がどう思っているかは知らないが。
それにしても、私と知り合う以前の彼だが、DIOはこの頃から人を引き付ける何かを持っていたらしい。
そう、まるで星々を照らす太陽のような力を。
いずれ太陽の光に弱い体質になるのに、太陽のようだなんて実におかしな話だが。
私のせいで少々苛立たせてしまったみたいだが、今はさっきより機嫌がいいはずだ。
「ではエシディシ、行ってくるよ。誰か来たら無理にとは言わないが……」
「人材を確保したいのだろう? 考えておこうじゃあないか。だが、厄介な波紋戦士どもは始末させてもらうぞ」
「……頼む」
勢い余って殺してしまうかもしれないが、太陽の下を歩けない以上同行できるわけがなく、エシディシとは口上の約束を交わすだけとなった。
ディオとジョルノの後を追うように、私もコロッセオ地下を出た。
『人はなぜ、肉を食べるのか?』
生きるためだ、と言う者もいるだろう。
実際それは間違っていない。鶏、豚、牛などの肉は今や広く食されているのだから。
だが、実のところ飼料として家畜に与えられる穀物を人間に与えれば、度々問題視される飢餓は理論的には発生しない。
ではそれでいて尚、人はなぜ肉を食べるのか。
――味を覚えたから。
習慣というのは恐ろしい。
このように、身を滅ぼすことにつながってしまうこともあるのだから。
覚えた以上、それを忘れ去るのも難しい。
そして誰の言葉だったか。『常識とは、18歳までの間に身につけた偏見である』というのは。
ことスタンド使い同士の戦いは、常識という名の偏見が重大なミスとなり得る。
更にこの場は、『知り合いとの時間のズレ』の存在があり、習慣を用いて痛い目に会うこともあるだろう。
習慣や常識のために死ぬのは避けねばならない。
イザというときジョルノは習慣を捨てされるのか、目的のため知人を手にかけるという『運命』を乗り越えることができるのか、
あの一言で試すつもりだった。
結果としてディオの機嫌を損ねてしまったし、あの様子では厳しいという評価を下すほかないがね。
「ところで、僕の父親の話、聞かせてもらえますか?」
「すまないが、機を見図らせてくれ。ここじゃあいつどこで襲われるかしれないからね」
三人並んで歩くようになってから、突き付けられたジョルノの要求を却下する。
ジョルノに父親、DIOの話をすれば、ディオに「この会場に君を殺害した者がいる」と間接的にだが伝えることになるのでためらってしまう。
だがいずれ話さねばなるまい。ジョースター家抹殺のためにも、ジョルノが『運命』を乗り越えるためにも。
支援
懸念事項はまだある。
エシディシ、ディオに与えるスタンドDISCの確保。
何せ片っ端から集めるわけにもいかない。入手にはリスクを背負うことになるし、手に入れても扱うには相応の素質が必要だからだ。
素質というと、ディオに扱えそうなスタンドはやはり……
『スター・プラチナ』
本来あるべき未来において、彼が扱うことになる『ザ・ワールド』と同じタイプのスタンド。
素質という点で言えば、これ以上なく適しているだろう。
だが、空条承太郎の場所も分からないし、『スター・プラチナ』と真っ向から立ち向かえるスタンドなどそうそうあるものではない。
まあ、妻や仲間の死に動揺しているようなら、やってみる価値はあるかもしれないな。
更に、首輪の解析・解体もしなければならない。
専門家がいない以上、機材よりも人材の確保の方が大切だ。死んだ者は生き返らないからな。
『首輪を爆破させずに解体する』という命令のDISCを作ることも考えたが……そんな複雑な命令を下したことは無い。
『10メートル飛んだら破裂しろ』などのような、多少無理な命令でもこなせるが、これは無理がありすぎる。
そういえば、分解癖のある男囚がいたな。彼ならあるいは出来るかもしれない。
『ホワイトスネイク』の正体を知られるリスクがあるが、その時は始末してしまえばいい。
さて、どこへ向かったものか。一度戻る以上、あまり遠出はできないからな。
★
放送を聞いたのち、ホルホースと別れを告げた俺は、繁華街へ向かおうとした。
不意に足が止まる。
ストレイツォ、ダイアー、そしてツェペリのおっさんの三人は死んでしまった。
決意したところで俺はやっぱり傍観者よ。何も出来ねェし、してやれなかった。
ならいっそこのまま傍観者として立ち止まるか? いいや、動かなくちゃあならねえ!
俺なんかよりはるかに強い波紋使いが既にやられちまった。
ジョースターさんならきっと何とか……なんて甘えことを言ってられる状況じゃあねえのは明らかだ。
出来ることは限られるだろーが、生憎おれぁおせっかい焼きのスピードワゴン! やれることなら何でもすんのよ!
いいか荒木、決意ってのはな、揺らがねえから決意なんだ!
宣言もビシッと決めたことだし一刻も早く弱者の救済を、といきたいところだったが、そうもいかなくなっちまったらしい。
コロッセオからこちらに向かう人影三つ。
集団で襲われちゃあ逃げることもできねえ。俺は隠れて様子を見る。
するとなんと、消滅したはずの、吐き気を催す邪悪の化身が歩を進めていたのが目に入った。
「ディオッ!? そんな……ジョースターさんは確かに止めを刺したハズッ!」
見紛うはずもねえ、生まれついての悪、ディオ・ブランドー。
面食らい、つい口が動いちまった。そんなことして場所を悟られた日にゃあ目も当てられねーってえのに。
名簿でその名前は見たが、目の当たりにするまで信じられるはずがねえし、こうも早く再会するたぁ思わなんだ。
だが、奴がなぜ生きているかは一先ずおいといて、様子がおかしい。
何故吸血鬼であるにもかかわらず、日が照る中ああも堂々と歩ける?
特に日除けとなる道具を用いているわけじゃあなさそうだ。引き連れている二人も屍生人とは考えられない。
じゃあ何か?『波紋で清められた結果ディオは人間として蘇りました』なんて童話みてーな事が起きたとでも?
あり得ねえ。黒騎士ブラフォードは波紋で人間の魂を取り戻したが、肉体が崩れるのを止められはしなかったんだから。
だが現にディオは生きて太陽の下を歩いている。これをどう説明する?
「後をつけるしか、ねえようだな」
が、ディオを見つけちまった以上は放っておけねえ。
最悪、誰かに『ディオ・ブランドーは危険人物である』と伝えなければなるまい。
「ごちゃ混ぜの地図といい、太陽の光に強いディオといい、この世界は一体どうなってやがんだッ!」
悪態をついて、後を追う。
ったく、あいつが石仮面をかぶってから、おれっちのまわりじゃ信じらんねー超常現象がいっぱい起こりすぎだぜ!
確かな事はただ一つ。奴の存在が何であれ、『ディオ・ブランドー』であることに、変わりはねえってことだ。
★
放送を聞いたのち、ホルホースと別れを告げた俺は、繁華街へ向かおうとした。
不意に足が止まる。
ストレイツォ、ダイアー、そしてツェペリのおっさんの三人は死んでしまった。
決意したところで俺はやっぱり傍観者よ。何も出来ねェし、してやれなかった。
ならいっそこのまま傍観者として立ち止まるか? いいや、動かなくちゃあならねえ!
俺なんかよりはるかに強い波紋使いが既にやられちまった。
ジョースターさんならきっと何とか……なんて甘えことを言ってられる状況じゃあねえのは明らかだ。
出来ることは限られるだろーが、生憎おれぁおせっかい焼きのスピードワゴン! やれることなら何でもすんのよ!
いいか荒木、決意ってのはな、揺らがねえから決意なんだ!
宣言もビシッと決めたことだし一刻も早く弱者の救済を、といきたいところだったが、そうもいかなくなっちまったらしい。
コロッセオからこちらに向かう人影三つ。
集団で襲われちゃあ逃げることもできねえ。俺は隠れて様子を見る。
するとなんと、消滅したはずの、吐き気を催す邪悪の化身が歩を進めていたのが目に入った。
「ディオッ!? そんな……ジョースターさんは確かに止めを刺したハズッ!」
見紛うはずもねえ、生まれついての悪、ディオ・ブランドー。
面食らい、つい口が動いちまった。そんなことして場所を悟られた日にゃあ目も当てられねーってえのに。
名簿でその名前は見たが、目の当たりにするまで信じられるはずがねえし、こうも早く再会するたぁ思わなんだ。
だが、奴がなぜ生きているかは一先ずおいといて、様子がおかしい。
何故吸血鬼であるにもかかわらず、日が照る中ああも堂々と歩ける?
特に日除けとなる道具を用いているわけじゃあなさそうだ。引き連れている二人も屍生人とは考えられない。
じゃあ何か?『波紋で清められた結果ディオは人間として蘇りました』なんて童話みてーな事が起きたとでも?
あり得ねえ。黒騎士ブラフォードは波紋で人間の魂を取り戻したが、肉体が崩れるのを止められはしなかったんだから。
だが現にディオは生きて太陽の下を歩いている。これをどう説明する?
「後をつけるしか、ねえようだな」
が、ディオを見つけちまった以上は放っておけねえ。
最悪、誰かに『ディオ・ブランドーは危険人物である』と伝えなければなるまい。
「ごちゃ混ぜの地図といい、太陽の光に強いディオといい、この世界は一体どうなってやがんだッ!」
悪態をついて、後を追う。
ったく、あいつが石仮面をかぶってから、おれっちのまわりじゃ信じらんねー超常現象がいっぱい起こりすぎだぜ!
確かな事はただ一つ。奴の存在が何であれ、『ディオ・ブランドー』であることに、変わりはねえってことだ。
【E-4 コロッセオ前/1日目 朝】
【崩れかけた帝王の城】
【ディオ・ブランドー】
[時間軸]:大学卒業を目前にしたラグビーの試合の終了後(1巻)
[状態]:内臓の痛み、右腕負傷、体力消耗(小)、プライドがズタズタ(悪化)、スタンド使いへの激しい嫉妬、ジョルノ、シーザー(と荒木)への憎しみ、自分に対する無力感、ストレス(軽減)
[装備]:なし
[道具]:チャーイ(残量1.5g)、基本支給品 不明支給品0〜1
[思考・状況]
基本行動方針:なんとしても生き残る。スタンド使いに馬鹿にされたくない。
1.コロッセオ周辺で協力してくれる人物を探し、第二回放送までにコロッセオ駅に戻る。その後は放送の内容次第で決める
2.スタンド使い(特にプッチ)を『上に立って従わせる』。従わせてみせる。だが信頼などできるか!
3.ジョルノが憎いが、借りを返すまではジョルノと行動を共にする。返した後は不明(現在は腹を立てているので借りについては保留)
4.勿論ジョルノとの行動の途中でジョナサン、エリナ、ジョージを見つけたら彼らとも合流、利用する
5.なるべくジョージを死なせない、ジョナサンには最終的には死んでほしい(現時点ではジョルノにジョナサンを殺させたい)
6.ジョルノが……俺の息子だと!?(半信半疑)
7.プッチとやらはスタンドを与える能力を持っているようだが、頼むのも癪だ!
[備考]
1.見せしめの際、周囲の人間の顔を見渡し、危険そうな人物と安全(利用でき)そうな人物の顔を覚えています
2.チャーイは冷めません
3.着替えは済んでいます
4.ジョルノからスタンドの基本的なこと(「一人能力」「精神エネルギー(のビジョン)であること」など)を教わりました。
ジョルノの仲間や敵のスタンド能力について聞いたかは不明です。(ジョルノの仲間の名前は聞きました)
5.ジョナサン、ジョージの名前をジョルノに教えました。
エリナは9割方死んでいるだろうと考えていたのでまだ教えていません。(万が一見つけたら合流するつもりではいます)
6.シーザー戦で使用したロードローラ(3部のあれ)はD−3南部に放置されています。
壊れたか、燃料が入っているかは不明です。
7.参加者が時を越えて集められたという説を聞きました(本人は信じざるを得ないと思っていますが、実感はありません)
【ジョルノ・ジョバァーナ】
[スタンド]:『ゴールド・エクスペリエンス』
[時間軸]:メローネ戦直後
[状態]:健康、トリッシュの死に対し自責の念
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜3
[思考・状況]
1.コロッセオ周辺で協力してくれる人物を探し、第二回放送までにコロッセオ駅に戻る。その後は放送の内容次第で決める。
2.トリッシュ……
3.ディオに変な違和感(父という事には半信半疑)
4.ジョナサンの名前が引っ掛かる
5.プッチとエシディシに対して不信感
6.プッチとエシディシを警戒。エシディシを放っておくのはまずいが、仕方あるまい
[備考]
1.ギアッチョ以降の暗殺チーム、トリッシュがスタンド使いであること、ボスの正体、レクイエム等は知りません。
2.ディオにスタンドの基本的なこと(「一人能力」「精神エネルギー(のビジョン)であること」など)を教えました。
仲間や敵のスタンド能力について話したかは不明です。(仲間の名前は教えました)
3.彼が感じた地響きとは、スペースシャトルが転がった衝撃と、鉄塔が倒れた衝撃によるものです。
方角は分かりますが、正確な場所は分かりません。
4.ジョナサン、ジョージの名前をディオから聞きました。ジョナサンを警戒する必要がある人間と認識しました。
5.参加者が時を越えて集められたという説を聞きました
(他の可能性が考えられない以上、断定してよいと思っています。ただし、ディオが未来の父親であるという実感はありません)
【エンリコ・プッチ】
[時間軸]:JC6(69)巻、ヤドクガエルに“破裂する命令”をした直後
[状態]:健康 腕の辺りの服がちょっと燃えてる
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、ヘリコの鍵(ヘリコプターはコミックス60巻でチョコラータが乗ってたもの)、ウェザーの記憶DISC
不明支給品0〜2(確認はしてます)
[思考・状況]
基本行動方針:ディオ&ジョルノのもとへ、天国へ
1.コロッセオ周辺で協力してくれる人物を探し、第二回放送までにコロッセオ駅に戻る。その後は放送の内容次第で決める
2.首輪解析のため、ナチス研究所を手に入れたい
3.ジョルノが『運命』を乗り越えられるか不安
4.エシディシは良い奴のようだ。しばらく一緒にいてみよう。もっと情報交換をしたい。
5.ディオが違う時代から来ていたことに少しショック。
6.ジョースター一族はチャンスがあれば抹殺(無理はしない)
7.DISCの確認
8.エシディシ、ディオに相応しいスタンド探し(ディオ優先。ディオはスター・プラチナを使いこなせるのでは?)
[備考]
※エシディシとはお互い「気が合う、面白い」といった理由で手を組んでいるので利用する等の発想は現段階ではありません。
※時代を越えて参加者が集められていると考えています。
※C-10、特に隠れ家の周りはダービーの手足と周りの植物を基に繁殖したカビが広がってます(大体はエシディシに焼かれました)。
※スタンドが誰にでも見えると言う制限に気付きました。彼らはその制限の秘密が首輪か会場そのものにあると推測しています
※『ジョースター家とそのルーツ』リストには顔写真は載ってません。
※ヘリは墜落しました。残骸はD-2の南部にあります
※影響を恐れ、ジョルノ、ディオにディオの未来に関する情報を教えていません。
※ジョルノは『運命』に対する恐れ持っており、それを克服するべきと考えているため、今のところジョルノに対する不信感は持っていません。
※ディオは『スター・プラチナ』を使いこなせるのではと考えていますが、実際のところは不明です。
【ロバート・E・O・スピードワゴン】
[スタンド]:なし
[時間軸]:コミックス五巻「悪鬼の最期」にて、ジョナサンとエリナを発見した直後。
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:支給品一式(不明支給品1、確認済)、リサリサのマフラー、民家で見つけた包帯。
(※時計と方位磁石は、ジャケットのポケットに入っています)
[思考・状況]
基本:ジョナサン一人に負担をかけぬよう、自分も弱者を守る。
1.ディオだと!? 後を追いかけるしかねえ!
2.最悪、誰かにディオ・ブランドーの危険性を伝える
3.ホル・ホースを警戒しつつ、共に目的を同じくする者との合流を図る。
4.ホル・ホースと分担で仲間を探す。繁華街に向かいたかったがディオを追いかけるのを優先
5.地図が正確か確認する(それほど疑っているわけではない)
6.食料・武器の調達もしたい
7.ホル・ホースは信用しきれない。そのために保険をかけた。だが心の奥底では信用してやりたいとも思っている。
8.あの隕石は自然現象か、それとも……?(一応確認したいかな、程度の思考です)
[備考]
1.ホル・ホースが戦ったのは波紋使いではないかと薄々考えています。
2.スタンドについて未だ知りません。
3.ネズミについての真相はスピードワゴンしか知りません。
4.向かった方向が違うので、ホルホースはコロッセオから出た三人組に気が付いていません。
5.ディオが太陽の下を歩いているのに疑問を感じていますが、悪人であることに変わりは無いと考えています。
また、同行者二人は間違いなく人間と考えています。
※三人がどの方向へ向かうかは次の書き手さんにお任せします。
★
「幼少から共にいた……あの『戦闘の天才』ワムウが……こうも簡単に……」
悠久の付き合いの幕切れは、アッサリとしすぎていた。
「うう……あんまりだ……
あああああああああああああんまりだあああああああああああああああああああ」
慟哭が、狭い地下で反響しているのが自分でもわかる。
「HEEEYYYYY AHYYYYY AHYYYYY」
涙が、鼻水が、滝のように流れていることだろう。
「AHYYYYYYYYYYYYYYYYY」
時に声が裏返っても、喉に焼けるような痛みが走っても、構わず叫ぶ。
「WHOOOOOOOHHHHHHH!」
泣くのをやめた。叫ぶのをやめた。だが、溢れんばかりの激情に、身を任せざるを得なかった。
「……あえて認めてやろうじゃあないか、人間の強さを」
自分が荒っぽい性格なのは認める。トチ狂った際、泣きわめいて頭を冷やす必要があるくらいには。
だが、力量からして赤ん坊程度の者含め、4人しかいなかった同族2人の死をそう簡単に受け入れることができようか。
友情とも愛情とも言えぬ形容し難い、しかし固い絆で結ばれていたのだから。
動揺が伝わってはまずいと、さっきまで落ち着いて振る舞ってはいたが、許容量をはるかに超える思いに頭がパンクしそうだった。
「プッチにはああ言ったが、事が起きた以上、その脅威認めるしかあるまいッ!」
把握しきれていない未知の能力、『スタンド』もある。
波紋を使えぬスタンド使いがワムウを仕留めたとは到底思えないが、プッチの言う通りだ。『常識は捨てるべき』。
仇討ちなどというつもりはないが、ここに向かってくる者が我々一族にとって脅威になるようなら始末は必要だ。
将来成長する可能性のある波紋戦士のように!
「来るなら来い! 波紋戦士ッ! そしてスタンド使いッ! この「炎のエシディシ」容赦せん!」
支援よッ!
【E-3 コロッセオ地下/1日目 朝】
【エシディシ】
[時間軸]:JC9巻、ジョセフの“糸の結界”を切断した瞬間
[状態]:右手の手の甲が粉砕骨折(回復中)、ワムウとサンタナの死にやや動揺(戦闘に支障が出る?)、あえて人間の強さを認めた
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、『ジョースター家とそのルーツ』リスト(JOJO3部〜6部コミックスの最初に載ってるあれ)
不明支給品0〜2(確認済み)
[思考・状況]
基本行動方針:生き残る(乗る乗らないは現段階では不明)
1.プッチにはああ言われたが、脅威となる人間は始末するつもり
2.常識は捨てる必要があると認識
3.プッチはなかなか面白い。しばらく一緒にいてみよう。もっと情報交換をしたい
4.太陽に弱いという意味で無理に出歩く必要はない。
5.自分のスタンドを探す
[備考]
※プッチとはお互い「気が合う、面白い」といった理由で手を組んでいるので利用する等の発想は現段階ではありません。
※時代を越えて参加者が集められていると考えています。
※C-10、特に隠れ家の周りはダービーの手足と周りの植物を基に繁殖したカビが広がってます(大体はエシディシに焼かれました)
※スタンドが誰にでも見えると言う制限に気付きました
彼らはその制限の秘密が首輪か会場そのものにあると推測しています
※『ジョースター家とそのルーツ』リストには顔写真は載ってません。
※波紋使いやスタンド使いに対して、自分やカーズにとって脅威となるなら容赦するつもりはありません。
ただし、ワムウやサンタナの仇討ちのために戦うつもりはありません
『地下鉄の駅』
地下に駅があるようです。駅は地上と繋がっているのかもしれません。
他にも駅があるのかどうかはわかりません。
※確定しているルート
『E-9・サン・ジョルジョ・マジョーレ島駅』→『E-7・ネアポリス駅』→『G-6・食屍鬼街(オウガーストリート)駅』→『H-5・ポンペイ遺跡駅』→『H-3・サンタ・ルチア駅』
→『F-2・ナチス研究所駅』→『E-3・コロッセオ駅』
93 :太陽(ザ・サン) ◆0ZaALZil.A:2009/06/24(水) 21:37:10 ID:???
投下完了。誤字脱字矛盾点などあればどうぞ
プッチが参戦時期的に運命だの覚悟だの幸福だの言わない頃なのでちょっとその辺が気になります
代理投下終了です
ミスが多すぎて本当にゴメンナサイ
わああああああああ
承太郎逃げてえええええええああああああああ
改めて投下乙でした!
感想などは後に
ってわけで俺のほうも投下します
「ひぃああああああああああ、たすっ、かかか、うわああああああああああああああああああああああああああ」
東からやって来た叫び声にアバッキオ、そしてたった今ここへ辿り着いた徐倫とイギーは顔を向け警戒を深める。
男、声から辛うじてそれだけは理解することが出来た。
けれどもそれ以外のことは一切知ることが不可能である。
眩しい太陽の光が届いているにも拘らず、徐倫たちは男の顔も髪型も、体型すらも分からなかった。
白日の下へと晒された男の体、それはおぞましい緑色に包まれていたから。
二人と一匹はスタンドを出すことすら忘れてその場に立ち尽くす。
そしてアバッキオの2m位手前で男は崩れ落ち、それでも手を伸ばそうとする。
助けてくれ……その断末魔と共に彼の手は地に墜ちた。
もう手遅れだ。無残にも散っていった命に徐倫は唇を噛む。
悔しさを噛み締める徐倫とは対照的にアバッキオはあくまでも冷静を保っていた。
隣のイギーへと視線を落としてみる。
唸り声を上げながら死体を睨んでいた。アバッキオの背筋に冷たいものが走る。
(コイツは……カビなんだよな? あぁ、見た目からして一発で分かるな。
だが問題はそこじゃねぇ、カビのスタンド使いの本体はどうしてこいつを逃がした?)
スタンド使いは極力能力を隠し通すというのは常識。
アバッキオが現在進行形で行っていることでもある。
それだけに正体を丸出しにしているこのカビに塗れた死体の存在に疑惑が纏わりつく。
ここまで追い詰めていたのならばトドメを刺すのに一手間すらかからない。
ならば何故? アバッキオの推理は続く。
(相打ちみたいな形でスタンド本体がやられちまったのか?
いや、それはないな。そうだったらスタンドであるだろうこのカビは消えるはずだ。
本体があえて逃がした? 逃がしても大丈夫な何かがあった?)
ここでアバッキオは顔を上げる。
依然呆然と突っ立っている徐倫と、嫌な予感に唸るイギーへと叫んだ。
「ここから離れろ! 詳しくは後で話してやる!」
スタンドの視界で後方を確認しつつアバッキオは走り出した。
咄嗟の事に面食らった一人と一匹も遅れて走り出す。
2、300m程離れた民家へと辿り着き、肩で息をしつつ鍵の閉まっていないドアを開ける。
玄関に踏み込み、土足という事を気にもせずに三人は住民のいない家屋へと侵入した。
全くと言っていいほど疲れを見せないイギーは直に居間へと駆け出しソファーに飛び込んだ。
一方、アバッキオは居間を無視してフローリングの廊下を歩き続ける。
「もういいでしょアバッキオ。そろそろ説明をしてくれないかしら?」
「ちょっと待ちな、ゆっくり話すのはまだだ。今は風呂場がどこにあるか探させてもらう」
「風呂場ァ!? あんた一体何考えてんのよ?」
素っ頓狂な声をあげる徐倫。
軽く舌打ちをしつつもアバッキオは自身の仮説を簡潔に伝える。
「さっきの男の死体はカビに覆われていただろ?
俺が本体だったら自分の能力を触れ回っているようなヤツを放っておいたりはしねぇ」
「つまり、本体があの人を放置したって言うのは何か狙いがあったってこと?
……分かったわ。感染、カビの感染をあなたは危惧していたのね」
「意外と物分りがいいな。後で全身隈なく確認するぞ」
程なくして二人は脱衣所を見つける。
「カ○キラーっていうのがここにあるわよ、名前からして間違いなく殺黴剤ね。スタンド相手にどれほど効果があるかはわかんないけど」
徐倫の指先にあるプラスチック製のボトル。
何故日本語が読めるのか? 喉元に競り上げる疑問をグッと抑えた。
そしてアバッキオはそれを掴むために軽く腰を曲げようとし――――――――――彼の右手の先から緑が噴出した。
変わりなく支援ッ!!
まだまだ支援
「ちっ、やっぱり感染してやがったか!」
さっきよりもより大きく舌打ちをし、伸ばしかけた腕を即座に引っ込める。
瞬時にして黴により“食い散らかされた”指を顔の前にかざし観察してみた。
が、さほど植物に詳しいわけでもないアバッキオはすぐに視線を外し、徐倫と向き合う。
目線でアバッキオの意図を理解し、徐倫はイギーのいる居間へと足を運び、アバッキオもそれに倣った。
二人がたどり着いた時、相変わらず彼は柔らかなソファーの上でくつろいでいた。
カビにやられてなかったことに安堵する徐倫と、彼の暢気さにあきれ返るアバッキオ。
「ゆっくりしているところ悪いが非常事態だ、お前にも協力してもらうぜイギー」
彼の言に胡散臭そうな顔を上げるイギーであったが、差し出されたアバッキオの右手の異常に自体の火急さに気がつく。
(なるほど、俺様の鼻に頼りたいってことか。いいじゃねぇか、不快な臭いがぷんぷんするけどやってやるぜ。
コイツはともかくジョリーンと俺の命がかかってる以上はキッチリいかねぇといけねーしな!)
軽く頷きソファーから飛び降りようとする小さな体を、女性らしい美しい手が制した。
「追跡にはまだ早いわアバッキオ、イギー。私達が最初にやるべき事。
それはこのカビの発動条件、発生条件といったほうがいいかしら。
とにかくそれを探り出すことよ」
「カビの発生条件か……確かに現在だと発生したのは俺の右手だけだ。
その時の侵食速度を考えれば右の指だけで被害が収まっているのが不思議なくらいだな」
アバッキオが相槌を打ち、イギーが唾を飲む。
(こいつら……かなり戦闘慣れしてんじゃねーかよ!
水のスタンドやNYの野良犬どもとしか戦った俺よりも遥かに!)
「死体からの距離はそう変わらなかったし、風も無かったんだから私たち全員が感染しているはずだわ。
アバッキオだけにカビが発生したのは、ボトルを拾うときに何らかの条件を満たしてしまった事。
私が以前戦った“ヨーヨーマッ”ってスタンドが二人きりになった時にだけ謎の攻撃を仕掛けてきたように」
徐倫と二人の視線が同時に合った。
そして彼らは彼女の瞳より黄金の意思を見出す。
時、場所は違えども仲間たちが変わらずに持っていた星屑の輝きを。
怒りに震える唇と共に彼女は言の葉を紡ぐ。
「カビのスタンド使い……会った事もないけれどもこれだけは分かるわ……そいつがとんでもない糞野郎だってね。あんな……あんな残酷な死をッッ!」
徐倫の肩が震える。
「更にそいつのカビは周りの無関係な人にまで厄災を撒き散らす!
自分は遠くの場所でのうのうとしながら! そんなヤツを許すわけにはいかないの、私が……私が裁く!」
最後は半ば叫ぶかのような形で彼女は胸の内を吐露した。
そして何故かイギーは彼女の中に空条承太郎の姿を見出す。
(何でアイツの姿が浮かんでくるんだ? 姓が同じだからか? かといっても、全然似てないだろうが。
あれの鉄面皮っぷりとジョリーンのコロコロ変わる表情を比べたら血のつながりどころか、同じ種族であるかすら怪しいぜ?)
首を横に振り、あまりにも唐突な考えを頭から振り払う。
隣ではアバッキオがソファーに腰掛けようと体を投げ出し―――――――その背中からカビが湧き上がった。
「ストーン・フリー!」
徐倫の腕の一部が糸へと変わり、糸は縒り合って綱となる。
アバッキオはムーディ・ブルースの右手でそれを掴むも、勢いの付いた体はなおも後ろへ倒れようとする。
死を覚悟するアバッキオであったが、彼の体はすぐに柔らかい何かで受け止められた。
視線を後ろにやってみると、自分の身を支えているのは砂の塊。
徐倫の糸を頼りに立ち上がり、彼は二人に礼を述べる。
「助かったぜ。こればっかりは礼を言わないわけにゃあいかないよな」
「仲間なんだから助けるのくらいは当たり前じゃないの。
それに敵の能力の条件も分かったしね、『下に行った事』これが原因でしょ?」
怪我の功名ね、と言って意地の悪い笑みを浮かべる彼女の指先にもアバッキオと同様のそれが。
僅かにだけであるが苦笑いを浮かべ、彼はイギーにも謝礼する。
大した事やってねぇよと言わんばかりにスタンドの前足を軽く振り、イギーはザ・フールの砂を動かす。
隣接する形で積まれた砂の土台は少しばかりソファーよりも低かった。
しかし、イギーは躊躇せずにソファから砂の山へと足を踏み出す。
息を呑む徐倫であったが最悪の事態は訪れない。
何食わぬ顔でイギーは現在の足場よりも更に低い足場を造る。
十秒かそこらだけ待ち、新しい足場へと足を掛けるイギーの行動に疑問を感じたがそれはすぐに氷解した。
「なるほどな……確かに歩く際も多少の上下はあったが足や全身にカビが生えることは無かった。
要するにこのカビの感度にはある程度の限界があるみたいだな。俺たちが小さすぎる音を聞き取れない様に」
「それだけじゃないわ、ただゆっくりと下げていくだけじゃその内カビの方も感知する。
イギーは新しい足場で少しだけ時間を置いてカビの基準をリセットしてから降りてるのね」
改めてイギーの知力に舌を巻くと共に、二人は彼の行動に込められた意味にも気がついた。
カビの能力に存在する穴、とても大きなヒントを彼は伝えてくれたのだ。
(しゃべれねーってのは厄介だぜ本当。
だがな、俺だってあのまんま寝転がりっぱなしってわけにもいかなかったし、ついでってヤツだ)
イギーが無事に床へと足を乗せスタンドを解除する。
それと同時にこの場の全員の頭を違和感が過ぎった。
何か、何か大切なことを見逃してしまっている気がするのだ。
けれどもそれが何であるかには気が付くことができない。
モヤモヤしたものを抱えながらアバッキオは話を切り出した。
「なぁジョリーン。お前がこのスタンド使いだったらお前は上に行く? 下に行く?」
「下に行って発動するんだから下に行きたいわね、最もここに“下”があるかは疑問だけど。
それに、地下に潜ったら多分地表までカビを蔓延させるのは不可能になるでしょうしね」
「そう、だからこそこの辺りに存在するかどうかは置いといて俺はヤツが“上”へ向かうと考えたんだ。
襲撃された時も突き落とすだけで瞬時に決着だ。なんせあのスピードで食われるんだしな」
「下に落とせばカビに塗れて死ぬ?」
徐倫が顔を伏せて訝しげな表情をする。
歯車が噛み合い、彼女の頭上で電球が光った。
「そうよアバッキオ! 最初の男の存在、そもそもそれがおかしかったの!
ほんのちょっとだけど私も食われたから分かるわ! あれだけ覆われてちゃ動けるはずなんて無い!
あれだけカビまみれになるにはある程度の高さから降りないといけないわ、
だけどそしたら何もかもを食われてあっという間に死ぬはずだもの!」
気がついた事実に熱くなる徐倫の言葉を受け、アバッキオとイギーは目を丸くする
「分かったぜジョリーン。つまりは最初の男がスタンド使い。お前はそう言いたいんだろ?」
支援よぉぉ〜!!
冷や汗が徐倫の額を伝い、顎を伝って床へと落ちた。
居ても立ってもいられない、そんな感じの様子で彼女は外に飛び出そうとする。
しかし、彼女の動きは大きな掌に肩を掴まれた事で強制的に止められた。
「アバッキオ、焦るなって言うなら無駄よ。掴みかけた敵の手がかりを逃す趣味はないもの」
「大丈夫だ追跡は始める。ただし、やるのは俺だ。お前は安全な所にいってこのスタンドの概要を伝えろ。
俺のスタンド“追跡に特化している”さっきスタンドを見せてくれたお礼だ。これは教えておいてやるぜ。
ここで一番まずいのが俺たちが全滅して、相手が一人勝ちになる事だ。さぁ、お前はイギーと安全な所に避難してな」
アバッキオを一人にさせておきたくはない。
けれども彼の言う事も正論だ、自分のストーン・フリーには追跡への確実性はない。
相手も馬鹿ではないだろう。今頃はどこかに隠れているか、離れたところで何食わぬ顔をして被害者ぶっているかのどっちかだ。
こういって躊躇っている間にも時間は過ぎ去っていく。
アバッキオは無言で彼女の前を通り過ぎて玄関へと向かう。
ふと、彼女の胸に痛みが走った。
母親を、エルメェスをエンポリオを失った時のあの痛みを。
追跡をするという事は敵スタンドと対峙すると言うことに直結する。
そして、戦闘になれば彼が生きて帰ってくる保障はどこにもない――――
「待って!」
今度は徐倫がアバッキオを肩を掴んだ。
少し怒ったような表情で振り返るアバッキオに徐倫は言葉を失う。
自分だったら、自分であってもスタンドがそうであれば死地へと向かってしまうだろう。
彼の瞳には覚悟が宿っていた。自分の詭弁じゃ突き崩せない覚悟が。
けれども彼女は口にせずはいられない。
「あなたのスタンド……さっき私の紐を掴む時に出したでしょ? あの時気付いたの。
人型ではあるけど近距離パワー型ではないって。能力も実は戦闘向けじゃなかったりしない?
そんなんじゃ無理よ! 私はアンタに死んで欲しくないの!」
徐倫の制止もアバッキオに届く事はない。
ただ、小さく心配するなと言ったっきり徐倫を引っ張ってでも進もうとする。
涙すらも浮かべそうな彼女に不安を覚えつつも、アバッキオは的確な判断をしようとした。
「イギー。ジョリーンの事は頼む」
支援ー
この言葉には他意はない。
だが、何気ない一言は徐倫の心を確実に抉り取った。
自分は守られる存在だと思われているのだと分かってしまった。
悔しさに顔が歪む。
しかし、空条徐倫は悔しさに挫折してその場に倒れ臥すような人間ではない。
例え時間がかかろうとも己の足で立ち上がり、より高みへと登ってゆく人種だ。
彼女の目に炎が宿る。
そしてカビが付着する事を覚悟しながらメモ帳に手を伸ばし―――――砂によってその手を止められた。
砂の正体を知る彼女はイギーの瞳を見た。
“自分が行く”はっきりとした決意が彼の目からは感じ取れる。
「よしイギー、お前が来い。能力がばれても喋れないお前なら問題ないしな。
命を懸けることになる、死んでもおかしく無い。覚悟は決めてるんだろ?
それにそっちもお守りは無くても大丈夫だなジョリーン?」
「ええ、それでいいわ」
正直に言えば自分が行きたかった。
イギー、傷ついた彼女を慰めてくれた彼を死地へと送りたくはなかった。
けれども、覚悟を決めたものに対して言う言葉はない。
さっきとまったく同じ感想。
さっきとまったく違う意思。
仲間だから、信頼できるから彼らを送り出す。
だからこそ徐倫は泣き顔も、怒り顔も見せたりはしない。
ただほほえんで、微風の中で静かに佇んでいるように柔らかにほほえんで。
これから戦場へ赴く戦士を見送る。
「私も誰かに情報を渡したらすぐに戻るわ。だから、二人とも」
無茶をしないでねとは言わない。
敵スタンド使いと戦う以上は無茶を通さなくては勝利を掴むことはできないから。
いざとなったら逃げてとも決して言わない。
彼らの覚悟を踏み握るようなことを言うのは許されないから。
勝ってきてねとも言えない。
勝つだけじゃ意味が無いから。
だからこそ彼女はこう言う。
「絶対に勝って……帰ってきて」
勝つだけでもなく、生き残るだけでもなく、勝って生きて帰る。
自分のディバッグに最小限の食料と水、地図に名簿だけを詰め支給品やその他の荷物をアバッキオへと渡す彼女の手はもう震えてはいなかった。
(面倒な事を押し付けやがるぜ! が……帰ってきてやるよジョリーン。
お前の泣き顔なんてもう二度と見るのは勘弁だからよ)
一度だけ振り返り、ワンと鳴くイギー。
それとは対照的にアバッキオは振り返りもせずに歩いていく。
徐倫には分かる、彼にも自分の願いは通じてくれたことを。
あえて無視するのは照れているのだろう。
「じゃあ、いってきます。そしていってらっしゃい」
彼らの出発を一陣の風が後押しした。
☆ ★ ☆
支援
しえんー
風が吹いてきやがった、どうやら自然さんまで俺を急かしているみたいだ。
本当にしょうがねぇ〜な〜。とっとと決断するとすっか。
……よし! 大人しく出てって話し合うことにしよう。
そもそも“まだ”俺たちには対立する必要はねーんだ。
この女にも、犬っころにも、アバッキオとすら俺は戦う必然性がねぇ。
まぁ、後数時間遅く着てたら血みどろになるのは間違いなかったけどよ。
俺達暗殺チームの存在はばれてるだろうが、細部の情報までは与えてねぇ。
それに火種の元だったトリッシュも死んじまった。
今ならブチャラティチームの面々とだって友好的になる機会はある。
ああ、弱気になってるのは分かってるさ。
だけどなぁ、ギアッチョは間違いなくそれで死んだんだぜ?
むやみやたらに殺ったって何時かは限界が来るさ。
優勝を狙うにしたって、チームの野郎どもがいる限りはできねぇしよぉ。
頭を使う。
戦闘だけじゃなくって立ち振る舞い全てに、これができないやつからこの殺し合いでゲームセットってヤツだ。
でだ、決断したところでここからが頭の使いどころだぜ〜。
どうやってアイツらに俺を信用させるか、それが問題だ。
見ず知らずの上に明らかに人相の悪い男、これを信頼できる聖人君子がいたらそいつだけは仲間にしたくないね。
そんなヤツが許されるのはガキの内さ。表でも、裏では特にそんなヤツはいい餌だ。
まぁいい、それは置いとくとするか。
別の問題としては勘がいいヤツっていうのは俺が堅気じゃねー事に気がついちまうんだよな〜。
隠そうとしても隠し切れない何かっていうのは案外気がつかれやすいってんだから本当に厄介だぜ。
んっとうにしょうがねぇ〜な。
ポルポのデブは確か口癖みたいに信頼が最も大事とか言ってやがったんだよな。
ちっ、テメェが一番信用できねぇ外見だってのに調子こいたこと言いやがって。
っと変な方向に逸れちまったな。考えを元に戻すぞ。
襲撃しない以上は“機”っていうのはいくらでもある、むしろ自分で作る必要があるからな。
絶対に他者を信用しない連中って言うのはありえねーんだ。
現にアバッキオやもう片方と行動を共にしてるんだからな。
けれども信用を勝ち得るためには現状で二つの条件がある。
一つはこの殺し合いが始まってからずっと行動していたってこと。
もしかしたら裏でコッソリとって連中もいるかもしれねーが、時間と共にくる信頼ってのも意外と馬鹿に出来ねぇ。
殺し合いの恐怖は誰にだって存在するだろう、実際俺だってちょっとはビビッてるさ。
だからこそある程度の会話と同伴したって事実だけでコロッと言っちまっててもおかしくない。
むしろそっちのほうが自然なくらいだ。
そして二つ目が他人の為に命を張って行動する事だ。
これをやられてまだ相手を信用できないヤツがいればそれは相当な根暗ってヤツしかねぇ。
少なくとも俺は一応だが信頼を置くだろうな。
計算高いヤツでも自作自演じゃない限りは命を危険に晒したりはしないだろ。
それに計画を立ててやったとしても、そんな無茶をやれば確実にどっかで確実に綻びが出る。
だが、一番手っ取り早い行動であるってことも確かだ。
っていっても支給品確認すらできない今は自作自演が不可能なのは分かりきってるんだよな。
この際、自分の素性から何から全部ぶちまけてみるか?
トリッシュがいない今は殺しあう必要がないってな。
……馬鹿か俺は。相手は“ボス”の部下、何があっても俺達の“敵”には違いない。
どうしろってんだ畜生! しようがねぇよ本当に。
この際時間はかかっても時間を掛けて信頼を勝ち得る戦法を取るか?
ああ、それしかねぇな。
っておい! いきなりどこへ行こうってんだよ!
アバッキオのところか? まったくしょ〜〜がねぇ〜〜〜なぁ
んで、元のサイズに戻って女たちを追跡したのはいいんだけど何でターンするんだよ!
気配消してようと実際に肉眼で見られちゃどうしようもねぇだろうが!
しょうがねぇ〜なぁ〜。自分の体をリトル・フィートで縮小。
植え込みの陰に隠れて事無きを得たぜ。
まぁあんだけ焦ってちゃ普通に道路にちっさい人間がいても気付くかどうかは微妙だがな。
って事で俺はまた窓のサッシの上で奴らの会話を盗み聞きしている。
これで分かったのは、カビを操るスタンド使いがいる事。
そのスタンドのカビは人から人へと感染する事。
そして、そのカビは低いところへ行くと感染することが分かった。
………ヤバイ、ヤバイぞ
この状況は非常にやばすぎる。
感染するってことは俺も十中八九アウトだ。
しかし俺が今いるのは窓のサッシの上、明らかに地面よりも高いところ。
飛び降りれば間違いなく死ぬ。話を聞いた限り間違いなくカビまみれだ。
「しょ〜がねぇ〜なぁ〜」
溜息と共についつい心の苦しみを声に出してしまった。
このまま飛び降りてホルマジオ、カビに包まれてリタイアってのだけは絶対にゴメンだ。
ってよりも戦いからリタイヤどころか命がリタイヤする。
かといってこのままサッシの上でカビ使いの本体が死ぬか、殺し合いが終わるのを待つってのはあまりにも馬鹿らしい。
……カビの胞子って言うのは自分よりも小さい物質にはつくのか?
流石に自身よりも小さい物質に取り付いてってのは……ないよな?
これからやることは賭けだ。
サイズ的にしくじったら確実に死ぬ。もしかしたら縮む際に“下がる”ことで死ぬかもしれない。
が、俺は相棒の縮小スピードに賭けるぜ、ああ賭けてやるぜ。
てめぇらはいつもくだらねー能力だって言うけどな、やってやろうじゃねぇか。
小細工無しの純粋な能力勝負だ。
「リトル・フィートッッ!」
縮む俺の体にカビが纏わり付く。
咆哮をあげながら俺は自分の体を縮める。
そして、俺は賭けに勝った。
周りには幾つもの気持ち悪りー緑色の粉がぷかぷかしてやがる。
嫌なもんを見てげんなりしながら、俺は自分の体をチェックしてみた。
異常はない、表面の所々がカビにやられて出血したが俺的には軽症の範囲だ。
案外無事に済んだことにホッとしつつ、電車で使ったようなパラシュート戦法を再度使って草地へと軟着地。
そしてスタンド能力を解除して軽く一息。
「さぁて、俺はアバッキオ達の方を追おうかね」
盗み聞きした会話からアバッキオと犬(イギーだったな)が本体を叩きにいくと知った。
内容は知らないが、追跡には非常に向いている能力らしい。
さっきから見ていて頑なに見せるのを拒んでいたアバッキオのスタンド能力を知るチャンス。
今後戦うかもしれない相手の能力を確認しとくってのは決して悪いことじゃねぇ。
それに、カビのスタンドのほうも中々厄介だしな。
☆ ★ ☆
支援
食われないとは言っても自分の体をカビ塗れにするってのは気持ちいいものじゃないな。
それにあんな無様な悲鳴を上げるのは俺の趣味じゃない。
やはり悲鳴というものは他人の物を聞くのが最高ってヤツだ。
俺の笑みは張り付いたまま取れようとしない。
楽しみだ! 実に楽しみだ! レオーネ・アバッキオと仲間の二人が死んでいくのが!
さて、そろそろ連中を追いかけるとしよう。 と言ってみてもそんなには離れてないんだがな。
茂みの目立たない位置に置いておいたビデオカメラが奴らの行く先を示してくれる。
それにしても……この女、空条徐倫とやらは実にいい表情を見せてくれる!
追い詰めていくならばこういう女が一番楽しいんだろうな。
おっと、それにもう一つ思わぬ収穫って奴だ!
確かこいつはホルマジオ……暗殺チームの一員だったか?
ヤツもアバッキオを狙っているのか。フフッ、人気者ってのは本当に辛いなぁアバッキオ。
そろそろ行動に移るとしよう。
向こうにはイギーとかいう犬がいたはずだがなんら問題はない。
我がグリーン・ディの胞子が舞っている以上は嗅覚などあってないようなもの。
奴らが入っていった民家の向かい側へと行って玄関を観察する。
待ち時間など苦にならん! これから何が起こるのか? 考えるだけで胸が踊る!
さぁ出て来いアバッキオと仲間どもよ! まさか民家で全滅してるとなどは言うまいな!
そして向かいのドアがゆっくりと動く。
どうやらまだカビで死んだやつはいないようだな。が、感染はキッチリしてる。
これから連中はどう動く?
やみくもに本体である俺を探すのか?
それとも俺の正体に気がついて俺を追跡するか?
……後者のようだな。ならば俺のグリーン・ディの能力には気がついたのか?
アバッキオと犬は“俺”が倒れていた所へ、もう一人の女は保険かしらないが西へと走っていった。
恐らく万が一の事があっても全滅だけは避けて俺のスタンドの情報を誰かに託すってやつだな。
間違ってはいない、むしろ限りなく正解には近いのだろう。
「……だがな」
口元がまた緩んでしまった。まったくここへ着てからというもののずっと笑いっぱなしじゃないか。
あぁ、なんて素晴しい世界! 実に楽しい環境だ!
次の放送で、もしくはここに帰ってきたとき仲間の死を知ったらあの女は如何なる表情を見せる?
間違いなく言えるのは、女が素晴しい反応を見せてくれるってことだな。
まぁ、それは後の楽しみ。いわゆるメインディッシュってやつだ。
アバッキオのムーディ・ブルースは本体を狙われると弱い俺にとってはかなり厄介。
今頃は“あの死体”をリプレイしているんだろう。
そして俺の素顔と行く先を暴いてヤツは俺の元へとやってくる。
この家に長居するのは少々よろしくないな。
とりあえず外に出てみたものの、特に行く当てがあるってわけでもない。
目的ならばハッキリとしているんだがな。
『アバッキオと犬をこの場で逃がさずに始末する』
俺が逃げるんじゃない、逃げられないように確実に勝てるように適度にひきつけるだけだ。
それに―――――――
網にかかった獲物をみすみすと逃がしてやる間抜けな蜘蛛などこの世にいまい
リボルバーに込められた玉を確認し、右手に携える。
さぁ来いアバッキオ。
俺を追跡して討伐しようとした事を後悔させてやろう。
貴様の、自身の無残な死でな。
☆ ★ ☆
くそっ、気分が荒れる。一体何なんだこの苛立ちは!
使えない、それどころか狂っているヤツが一人死んだ。ただそれだけじゃないか。
男の世界だと? そんな狂人どもの価値観を私は断じて認めんぞ!
生き残ったものこそが勝者、どんなに格好のいい死に様を晒したとしても負けは負けだ。
じゃあ、炎の魔術師モハメド・アヴドゥルは負け犬なのか?
下がりかけた頭の血が逆流するのを感じた。
どいつもこいつもあの狂人どものせいだ。
そうだ、私が、私こそが正しいに決まっている。
この殺し合いに勝ち抜く事で証明してやろうではないか。
む……南に飛ばした翼竜も帰ってきたようだな。
西から来た方に気を取られすぎていてまったく気がつかなかった。
さて、こっちのほうは近かったから迂回させて東も回らせてみたのだがコイツは一体何を見た?
向こうから送られてくる記憶を元に視覚を同調させ、彼が持ち帰ってきた情報を私は確認する。
行きは特に何もなかったそうだ、不毛な様子に嘆息した。
しかし、政府公邸で見た情報は私を満足させるに足るものであった。
学ランと呼ばれるらしい制服のような黒い衣服、特徴的なウェーブのかかった赤い頭髪。
そして、緑色に光り輝くスタンドのヴィジョン。
間違いない。この青年こそアヴドゥルの仲間、花京院典明だ。
方向転換して東に向かうべ―――――何ぃッ!?
我が翼竜を捕らえたのは、東洋人のような顔立ちに柔らかそうな笑みを携えた男。
この殺し合いの主催者、荒木飛呂彦であった。
まるで大切なペットを扱うかのごとく翼竜を軽く掴み、そして解放する。
何故わざわざ本人が会場に足を運んだ?
そして私は東へ行くのか? 西へ行くか?
よし、メリットとデメリットをまとめてみるとしよう。
まずアヴドゥルの仲間と合えるのは何事にも代え難い利点だ。
一段落ついたとは言ってもあそこは依然として修羅場。
花京院本人がいつ死んでしまってもおかしくない今、早い段階で彼を発見できたのは僥倖だ。
本人に伝言を伝えるにしても、死体に言っては意味がない。
それに、可能性は極僅かだが荒木と対面できる機があるというのも大きい。
上手く事を運べば有意義な情報を聞きだせるやもしれないからな。
政府公邸の戦いを観戦するだけで手を出さなかった所からすると参加者に直接手を下す気はないのだろう。
ヤツを一言で言ってしまえば趣味の悪い感染者。
ならば参加者、特に“殺し合いに乗った”私は少なからず気に入られるはずだ。
花京院にブチャラティ達。そしてアヴドゥル。
他にも殺し合いに抵抗するヤツは中々な人数となっているのだろう。
つまり、私のように円滑に殺し合いを進める駒は重要なはず。
荒木のほうもそれが分からぬほど愚暗ではあるまい。
しかし、去り際に荒木が見せた涙は私の幻覚か?
美しい風景に感動してという事ならば……ヤツも“大地”を敬っているということなのか?
荒木に対しての奇妙な共感が芽生えかけるがそれは一旦置いておこう。
逆に私にとって都合の悪い要素というのは一体なんだ?
一番大きいのは自らの命を危機にさらしてしまうということだろう。
あそこで何があったかは定かではないが、戦闘があったということだけは明白。
花京院と対峙していた少年は急に泣き崩れたがこれからどうなるかは分からない。
元気を取り戻し再び襲うことは決してないと言い切るだけの保証は全くないのだから。
私の“スケアリー・モンスターズ”にしても多少の自信はある。
あるのだが、アヴドゥルや彼と戦った男のように規格外が多数存在しうるのも事実。
迂闊に攻めに出て死ぬのだけはゴメンだ。
悩む私の脳になおも流れ込んでくる情報。
私は東へ向かうことを決断した、決断せざるをえなかった。
政府公邸から再び南を回って私の元を目指した翼竜の目にボストンテリア犬、イギーの姿が映ったからだ。
運命というのは案外人と人の出会いを言うのかもしれない、私は素直にそう思った。
同時に厄介事は続けてやってくるという事も。
花京院が戦闘を終結させた一方で、イギーは新たな敵の襲撃を受けている。
相手の全身をカビで覆い尽くすスタンド使い。
あまりのおぞましさに私は拳を握り締めていた。
地衣類と呼ばれる植物が存在する以上はたとえ気色の悪いカビであっても私はそれを否定する気はない。
だが、あれは別だ。
スタンドと不自然なものによる大地への侵略。
気がつけば私の全身は鳥肌で覆われていた。
顔すらも知らぬスタンド使い、そいつへの怒りが身を震わせる。
けれども自分の中の冷静な部分はしきりと語りかける『放っておけば数減らしには最適だ』と。
あぁ、そういえば私は此処へ来て一人も殺していないのだったな。
積極的にサーチアンドデストロイを行っていこうというわけではないが、
優勝するためには最低でも一人は殺さなくてはならないのに。
そうだ、勝ち残るためならばアヴドゥルの仲間であろうとも殺さなくてはならない。
なのに私は彼らに伝言を託そうとしている。なんという矛盾だろうか!
誇り高き男を、尊敬心の欠片すら持ち合わせていないケダモノに変えたのは私だ。
もう戻る事はできない。
やって見せよう、私の覚悟を照明して見せるのだ。
最初のターゲットはイギーともう一人の男から離れて単独で動いているあの女。
イギーを狙わないのは決して下らない感傷というヤツではない。
仲間が傍らにいる上、面倒な相手と交戦中のようだから近寄らないだけだ。
そう……私はロビンスンのようなアホ頭ではない。
何が誇りだ。何が進むべき男の道だ。
あの満足げな死に顔が本当に気に入らない。
死ねばそこでおしまいというのに、あの達成感の溢れる表情はなんだ。
そうだ、あんなクソ以下の脳みそしかないようなヤツだから早々と死んでしまうのだろう。
大地を敬うことができずに滅びていった恐竜のように。
因果応報、自業自得ってヤツだ。
本当にストレスが溜まる。
しかし、眼の前にある繁華街とやらは一体何なのだ?
大地に対する一切の敬いがない建物の山は!
見ているだけでも吐き気が込み上げてくるぞ、本当に汚らわしい。
私が順調に南東へと向かっている手がかりにはなったが、こんなものは一秒たりとも見ていたくない。
が、思わぬ収穫はあったようだ。
アヴドゥルの視界越しに私の脳へと入ってくるのは道に飛び散った肉片達。
それに醜く変形した頭部であったであろう肉塊。
普段ならば不気味さを感じさせるであろうそれは、不思議な事に今の私にはなんら影響を与えなかった。
恐竜から這い出し、西から帰ってきたほうの翼竜を甲虫の死体へと戻す。
そしてそれをディバッグの中の開きスペースに入れ、潰れない様に周りの道具を移動させた。
東から帰ってきたほうは引き続きイギーの監視を続けされることにする。
その後、人間の頭部だった物体にメスを突き刺す。
私の手に伝わってくる嫌な感触。
スタンドエネルギーを注ぎ込むと近くの肉片達が一番大きな塊へと集まり、新たな命を生み出した。
遠くにある欠片までは力が作用しなかったのでアヴドゥルよりも二周りほど小さいが我慢しよう。
まずはこいつを斥候としてあの女に当てる。
勝機があるのならば即座にアヴドゥルも投入して一気に押しつぶす。
万が一相性が悪ければコイツを囮として私たちは安全に逃げ切る。
そこらで拾った死体だ、未練などはさらさらない。
「では、向かうとしようか」
「リプレイする前に一つだけ言っておく。これから俺のムーディ・ブルースは完全に無防備になる。
敵の本体も俺のスタンドを知ったら積極的に消しにかかるに違いない。だからこそお前に命を預ける、分かるな?」
幼子に言い聞かせるような柔らかな言い方ではなく、隣にいる戌を一介の戦士として見た信頼を示す厳しい一言。
小さく鼻を鳴らしたものの、イギーは素直にザ・フールを出して周りからの攻撃に備える。
素直じゃないヤツだと唇を曲げるも“死体”のあった場所に辿り着くと共に真一文字に締め直した。
「やっぱり俺達の予想はあってたみたいだな。ムーディ・ブルースッ!」
アバッキオの体から湧き出るのは暗い水色のゴムのような表皮を纏った人型のスタンド。
民家にいたときとは違い、イギーにも完全にその姿を晒すこととなった。
そして死体のあった場所まで誘導させた後、アバッキオは能力を解放する。
ビデオテープを巻き戻す時に出てくる独特な音が辺りを埋め尽くした。
彼のスタンドは一度だけ熔けたかのように崩れ、再び人の姿を模っていく。
これが彼の能力の一端“リプレイ”。
過去に起こった事象を再現する能力を持ったスタンド。
これがパッショーネの構成員にしてブチャラティチームの古参、レオーネ・アバッキオの牙。
巻き戻しを開始して僅か十秒もたたないうちに彼は目的の人物を捉える事に成功した。
カビに覆われた死体、最初に見たときの同情心がより彼の心へと油を注ぐ結果となる。
虚仮にされたという憤りを持ったまま、アバッキオは再生を開始した。
(なるほど、完全に動きをトレースするからこそいざという時に動けないってヤツか。
死体もなくなってカビクセーのも消えたから奇襲は通じねー。お前の事は気に食わねぇがしっかりと守ってやるよ!)
死体は立ち上がり、全身にこびり付いたカビを解除する。
そして大きく笑みを浮かべ、近くの茂みへと向かう。
何かを拾ったのが分かったが彼が拾った物体までは再生できない。
なにやら覗き込むような形から何かを見ていることはうかがい知れる。
少し時間がかかるようなので早送りで時間を進め、ターゲットが動くのを待つアバッキオ。
見ていた何かを左手に掴み動き出す男。
アバッキオは彼の向かっていく方向に心当たりがあった。
今しがた出たばかりの民家がある方角。
つけられていたのに全く気配を感じなかったことがアバッキオの誇りに傷を付ける。
彼が入っていったのは大胆なことに自分達が入った場所の真向かい。
アバッキオの拳が赤紫色に変色する。
男、ムーディ・ブルースがドアを開けるのに従って一時停止。二人が家屋に入った後に再生。
カーテンなどで作り上げた死角越しに外の様子を窺っていることがよく分かった。
ニタァ
アバッキオの全身を冷たいものが走る。
笑み、そう表現するしかないがそう表現してはいけない何か。
ハッキリと言えば彼は恐怖した、得体の知れない何かに対して。
イギーも同様だった。一瞬だが彼の体が硬直し、心の鼓動が増した。
しかし彼らは一流。
一時の感情を後々にまで引きずらずすぐに平常心へと戻る。
手の動きから男が右手に銃を構えていることを確認した。
「拳銃か? 少なくともライフルみたいな高威力の火器じゃぁないみたいだな。
お前の砂だったらいけるのか? 出来るかもとか頑張るじゃなくって、正直なところを答えな」
(薄い膜状にしてても小火器ぐらいならいけるな。流石にライフルなら集中しないとキツイけどよ。
そもそも火薬の臭いを嗅ぎ分けれる俺に銃の奇襲は通じねぇ)
頭を縦に振り肯定の意を伝えるイギー。
丁度同時にリプレイ中の人間が立ち上がり玄関へと向かった。
アバッキオ達もそれに続く。
―――――――乾いた音、それと同時にディバッグを持っていたアバッキオの右掌に紅が散る。
民家から出た直後、数歩歩き出すか出さないかの内にやって来た襲撃。
前触れ無しにやって来た銃撃はアバッキオを正確に貫いた。
思わず蹲ってなりそうになるも命がかかっていることを思い出し、反射を意思でねじ伏せる。
が、ディバッグはアバッキオの手から零れ落ちてしまう。
地面に落ちた支給品の詰まった財産。
(なっ! 確かに火薬の臭いはしなかったはず!? 事実硝煙の臭いはこうやって感じ取れてるぞ!
……いや、弱すぎる! 距離じゃない。拳銃の射程から考えてこんなかすかな臭いしか感じ取れないのはありえないんだ)
自慢の鼻が利かなかった混乱と衝撃がイギーの判断力を奪う。
スタンドを使って地に落ちた荷物を拾い上げようとした所に相方の怒号がとんだ。
「何してやがる! ディバッグはいいから俺らの周りを守りやがれ!」
咄嗟に目を上げてスタンドの砂を硝煙の臭いがした方角へと収集。
先程と同じ音が三発響き、ほぼ同時に砂の壁から弾丸が落ちる。
コンクリートとぶつかり甲高い音を立てる小さい金属の塊。
やりゃあ出来るじゃねぇかと呟きつつアバッキオは歩を進める。
自分の非を責められなかった事が逆にイギーのプライドを刺激した。
再び音が二度鳴るものの一分の無駄ない砂の壁がもたらされる死を遮る。
(あぁ、分かっちまったよクソッタレ。俺の鼻は完全にカビの臭いに慣れちまってたんだ。
嗅覚は五感でも最も“慣れやすい”って言うしな。
アバッキオやジョリーンから体臭を感じなかった時点で気がつくべきだったぜ。
だが……集中すれば火薬の臭いも、お前の臭いも、そしてコソコソしてる野郎の臭いも丸分かりだ!)
いまだ姿を現さない敵に対して両足を前に突き出し、臀部を高く上げ威嚇の唸り声を上げる。
そして凶弾から身を守るのに十分な砂を残し、もう一人が隠れているほうへ砂の矢印を作った。
「これは? なるほど、そういうわけか。そこにいるお前、自分でそうだと思うならばお前の事だ。
今から三つ数えるうちに出てくれば敵対心はないと判断しよう。しかし、出てこないならばお前の命に保証はない」
意図を掴み取り、即座に脅しを交えた要求をだす。
剃り込みを入れた男、ホルマジオは不自然なほどにあっさりと姿を見せ、降伏の証として両腕を上げようとしてやめた。
ディバッグも下に落とすつもりだったが辺りを取り巻くカビがそれを許さない。
「おいおい物騒な事言ってないで落ち着けよ。俺だってこんな環境で誰かとドンパチする気はないぜ。
なんせ自分の命がかかってるんだからよぉ〜。とは言っても元からこの殺し合いに乗り気って訳でもないがな〜」
よく観察すると男の全身からは所々に出血が見られ、彼らと同じ状況であることは用意に推測できた。
そもそもカビのスタンド使いの素顔は把握しているのだから騙しようがない。
能力的にも顔を変えることは無いとアバッキオは判断する。
「じゃあもう一つ聞かせてもらおうか。お前の名前とスタンド能力をな」
「名前を聞くときは自分から名乗れって言うじゃねぇか。しょうがねぇな〜、答えてやっか。
俺の名はホルマジオ。だが、俺が教えられるのは名前までだな。スタンド能力は……本当に切羽詰まったら教えてやるよ」
返事はある程度アバッキオの期待していたものと同様だった。
スタンド能力を教える気はない。アバッキオも似たような考えを抱いていたのでそれには不安はない。
カビのスタンド使いを倒すまでか、これからずっとになるかは分からないが一時的に手を組んでもいいと判断する。
「俺の名はレオーネ・アバッキオ。お前と同じでスタンド能力を明かす気はない。
んでもってこっちの犬がイギー、スタンド使いだってことだけは教えておこうか」
どうせイギーのほうの能力はすぐに割れるんだろうけどな、と小さくぼやく。
彼の背を海からやって来た冷たい風が撫でた。
(さっきはくだらねーことに引っかかっちまったが鼻に集中すればテメェの臭いなんざ幾らでも追跡できるぜ!
俺をまんまと騙してくれたお礼は今からキッチリつけてやるから覚悟しな!)
イギーがホルマジオの出てきた方とは別の向きに体を動かして吼える事二回。
彼らが真意を測りかねている内に彼は勢いよく飛び出していった。
牙を剥き出しにしながら怒りを昂ぶる闘争心へと変える。
(虚仮にされた以上借りは返させて貰うぜ! まだ反応できてないか? 動きが鈍いぞ!)
アバッキオ達がちゃんと後ろから着いてきているのを確認しつつ更にスピードを上げた。
今はホルマジオとやらがいるし、再生中でもないからある程度は自衛が可能だと判断しての事だ。
最初にアバッキオは“命を懸ける”と言った。
それはイギーだけでなく自分自身にも念を押したのだろう。
だから彼は守りよりも向こうにいる敵へ一刻も早く辿り着くことに専念した。
硝煙の臭いだけではない、本当に本当に微かであるが人間の体臭も感じれる。
それともう一つ消毒液や麻酔と言った医薬品の独特な香りも。
(消毒液? 確かに目立つ臭いだが早々染み付くようなもんじゃねぇぞ?
もしかして……ヤツは医者だったとか? あんな物騒な医者なんて真っ平ゴメンだぜ)
香りは先程から殆ど動かずに数メートル動いて止まると言うのを繰り返していた。
誘っているのか、それとも逃げては回りを確認するほどの臆病者なのか。イギーには判断がつかない。
しかし一つだけ分かった事はある。
(奴さん、俺が来ているのに気がついて銃を捨てやがったな。
最初は分からなかったが徐々に硝煙とヤツの臭いが離れて行ってるのは分かるぜ。
あんまり動いてないみたいだがどっかの民家にでも隠れたか?
どうやら最初の奇襲の成功で伸びきっていた鼻を急にへし折られて焦ってるのは分かるぜ、それに自分の能力を過信しすぎている事もな)
そこで急に臭いが薄くなった。
(カビを使って臭いを隠そうとしてるな! だがテメーの臭いは覚えたッ!)
残り数メートル。ザ・フールの爪先を硬化して腕の部分を伸ばす。
カビでは砂を傷つけられない、この算段からイギーは攻めに出た。
(此処のT字路を右に曲がって数メートル!)
臭いを頼りに攻撃を仕掛ける。
スタンドの視界からは腕から血を流す男の姿が映った。
少し遅れてイギーも角を曲がり男と対峙する。
「驚いた、あぁ驚いたよ。正直言って犬の嗅覚を舐めていた。
そして今ココに来ている“裏切り者二人”とお前を相手にするには私じゃ少々荷が思い」
右腕から流れる血液を意に介さず、男は淡々とした口調で言った。
どこからこの余裕は湧いてくるのか? イギーの疑問はすぐに解ける事となる。
「グリーン・ディ」
スタンド名を呟いた男が走り去る。
イギーは男を追いかけることは出来なかった。
苦し紛れに放った腕も男のスタンドが全て捌ききる。
こうして男、グリーンディの本体、チョコラータは下り坂を駆け下りていった。
★ ☆ ★
sien
(危なかった、あぁ本当に危なかったぞ。あの犬っころめ! よくもやってくれたものだ!)
先程イギーからの手痛い一撃を受けたチョコラータは右腕の出血をカビで覆い最小限に抑えながら歯を食いしばる。
ハッタリとして余裕を見せたが正直に言ってしまえばかなりの深手であった。
骨に達する一歩手前、要するにギリギリ腕が千切れなかったという状態。
神経もやられてしまい、カビのサポート無しでは動かないだろうというところまでなった。
憎悪の炎を瞳に宿し、呪詛の言葉を吐き出す。
「銃弾程度の攻撃では奴らを仕留められん事ってことか。しかしやりようなら幾らでもある。
奴らは我が手で殺す。甚振るよりもなによりも殺すことを優先だ! 野郎どもを絶対許さねぇ!」
余裕の笑みは崩れ去り、殺意のみを込めた表情が前を見据える。
足取りは重いものの行く先は決まっているようで向かう足は力強い。
血痕に関しては一切気にしない、下り坂のココへと追跡されないという保障もあるから。
緩い坂道を彼はさほど急がずに歩く。
脂汗が彼の額に滲み出し、顔色は悪い。
「砂のスタンド……リーチがある上に殴ったり切ったりしても死なないというのは厄介だな。
コイツは本体を狙うしかない。いや、むしろそれこそが俺の戦い方なのだな」
本来チョコラータのスタンド『グリーン・ディ』は格闘戦には向いていない。
それは彼自身が最もよく知っているはずである。
にも関わらずイギーの接近をまんまと許し、攻撃を許してしまった。
これにはチョコラータ自身の経験不足も関係している。
今までずっとポッショーネのボスは彼に戦闘に関わる任務を言い渡したことがなかった。
彼の人格上、被害がターゲット及びその近辺のみでは済むことがありえないからだ。
だからこそボスはいざという時の切り札、いや、諸刃の剣的な存在としてチョコラータを飼い殺しにしていた。
故に彼に戦闘の経験はない。あるのは虐殺と拷問の歴史だけ。
その経験のなさが戦いにおいて大きな差となる事を彼は表面上理解しつつも、真の意味で理解することはなかった。
初めて戦いの緊迫感を知った、初めて命を狙われる敵の存在に出会った。
ダービーのギャンブルとは違い直接的に生命のやり取りをしている点が彼に大きな刺激をもたらす。
「……ギャンブル的な要素が強くなるがあれを使うとしよう」
ただ目的のない逃避行が明確な意思をもった進軍へと変わる。
相変わらず顔は蒼白のまま、しかし足取りはゆっくりながらも一歩一歩が重い。
血を失った事によって意識に微かではあるが霞がかかる。
けれども彼は目的地に辿り着くことが出来た。
どす黒い染みが点々と散らばるアスファルト。
レオーネ・アバッキオが撒き散らした紅い花は太陽に熱されて枯れかけている。
そしてすぐ傍に落ちているのが血しぶきのこびり付いたディバッグ。
彼の銃撃によってアバッキオが取り落としたディバッグをチョコラータは拾い上げる。
そこで開けることも考えたが、イギーに不覚を取ったこともある。
念のために警戒するべきだろうと判断し、民家へと足を進めた。
カビで全身を、先程よりも遥かに多量のカビで一分のすきもなく全身を覆って。
(さっき俺が臭いを隠すためにカビを纏った時、少しだったが犬の足音が止まった。
つまりはあれ以上のカビを付着させれば気がつかれる事はないんじゃないのか?
どっちにしろあの犬の嗅覚は異常だ。どんな些細な香りでも探知されかねん)
チョコラータは民家へと最初の進入しアバッキオをディバッグを確認する。
彼は笑った。
先程までの加虐性に満ち溢れた笑みではない。
勝利を確信した笑みを彼は浮かべた。
★ ☆ ★
「逃がしたみてーだな」
事実だけを見据える淡々としたアバッキオの瞳が伸びていく血痕を追った。
取り逃がしたイギーを責める気はない。
この下り坂という相手の為に存在するような地形で手傷を負わせただけでも満足だ。
「どこに行っちまったんだろうな。本当にしょうがねぇ〜なぁ」
しょうがないと言いつつも口調にとげとげしいものはない。
ホルマジオもまたこの結果には満足したとは言わないものの不満もない。
暗殺チームの仲間ならカビで死のうと追撃をやめなかったかもしれないが、生憎隣にいるのは頼れる仲間達ではない。
「んで、どこに行くとするか?」
気分を転換するために話題を振る。
カビのスタンド使いを倒すまでといった以上、まだ彼らの同盟関係は続く。
さもそれが当たり前のことであるかのようなホルマジオの態度を責めるものはいない。
しばし考えた後にアバッキオは答えた。
「最初に襲撃を受けた民家に帰るとするか。あそこにはさっき回収できなかった荷物がある。
イギーのスタンドを防御に回す必要も薄れている今だけが拾いにいけるチャンスだろう」
「だが、カビのスタンド使いとも遭遇する可能性だってあるんじゃないか?
荷物を落としたのを見られたって事はそっちも向かってておかしくはねぇだろ?」
間髪いれずにホルマジオからの指摘が飛ぶ。
イギーも同意だといわんばかりに首を縦に振った。
対してアバッキオも軽く溜息をついて諭すように言う。
「いたら? 逆に好都合じゃないか。荷物がなくなってたらそこから俺の能力で追跡できる。
もしも現場にいたら……叩ける。近距離に堪能なスタンドではないようだしな」
ハッ、とホルマジオの嘲笑が浴びせられる。
対象は“弱い考え”に逃げた自分ということを察したアバッキオは気分を害したりはしない。
自分達の来た道をそのまま引き返す。
そして彼らは目的の場所へと辿り着いた。
荷物はない。あるのはアバッキオの血痕のみ。
これは吉報であると同時に凶報でもあった。
「これであの野郎と別人だった日にゃ笑い話にもなんねーぜ」
軽く冗談を飛ばしながらもホルマジオはの直感は告げていた。
間違いなく持っていったのは自分の敵であると。
アバッキオとイギーも同様であった。
この場にいた全員を張り詰めた空気が覆う。
「いいか、音声のみとかみみっちい事は言わねぇ。これから起こることを全て見るのを“許可する”。
ただし集中するのは俺に対してじゃない、敵からの攻撃に対してだ。
敵スタンドの攻撃に対応できずに死ぬよりは遥かにマシだからな。今回限りの特別だ」
スタンドのことなのだろうとホルマジオは解釈した。
確かに三百六十度どこから襲撃が来るか分からない以上はこっちを向くなという要求は出来ない。
持って行かれた支給品に銃などの遠隔攻撃が可能なものが含まれていたのだろうと判断した。
「ムーディ・ブルース!」
アバッキオの半身が現れ『再生』が開始した。
(なるほどな、これがアバッキオの能力って訳か)
ホルマジオが横目で見ている先には粘土のような塊になったアバッキオのスタンドの姿がある。
そして粘土は形を変え、何かを拾うような動作をする男へとなった。
男は最初に追跡した際に入っていった民家へと再び入っていく。
(人物の動きを再生するスタンド。なるほどな直接な戦闘力はないが支援としてはかなり優秀な部類だ。
是非ともウチに欲しい人材だな。ウチには戦闘向けのスタンド使いばっかだからよぉ)
敵であることが本当に惜しい。
罠があることを警戒するためにリプレイを解除しないまま民家へと向かっていくアバッキオを見ながら素直に思った。
しかし彼の感想も何もかもを無視して時はすぎていく。
「おい、何ぼさっとしてるんだ」
アバッキオの苛立った声にようやく我を取り戻したホルマジオが早歩きで前の二人に追いつく。
チョコラータを模したムーディ・ブルースが民家のドアを開け―――――――
煌く雨が彼のスタンドを襲った。
声をあげる間も無く切り刻まれいていくスタンドの肉体。
一瞬送れたザ・フールと腕による防御で急所となる部分は防ぎきったが全身に負った切り傷は少なからぬモノであった。
スタンドからフィードバックしたダメージにより彼の衣服が血に染まる。
膝から崩れ落ちそうになるアバッキオの体をザ・フールが支えた。
「すまねぇな」
そうとだけ呟いたアバッキオの顔色は真っ青で今にも倒れそうな儚い空気を漂わせた。
しかし彼は自分の両の足で大地を踏みしめて再び立ち上がる。
息は荒い、流れる血を抑える術はない。
今、彼の命にタイムリミットが生まれた。
もって30分、たったの半時間の内に止血、最低でも安静にしなくては彼は意識を保つことが出来なくなるだろう。
そして意識を失えばそこからの生存は絶望的、それでもアバッキオは立つ。
足元からは彼を気遣う目が、正面からは哀れみの目が、四対の瞳が彼を見据える。
「大丈夫だ、敵の本体をぶっちめて止血すればなんとかなる。
俺の命もそれまでは持つだろう。だから俺を気にするな。敵を叩くことを優先にしろ」
肩で息をしながら、確たる意思を込めた言葉を発する。
堅気ではないある種の異常な環境で生きてきたホルマジオには彼の言っていることはすんなりと理解できた。
だがイギーは違う。自分の命と敵を倒すことを天秤に掛け、敵の討伐のためならば命をも捨てるという気持ちは理解できなかった。
(何だコイツは? テメーの命が一番大事なものなんじゃねーのかよ? んっとうにわかんねぇ!)
悩む彼を他所に二人は話し合いに入った。
「って訳だ、こんな緊急時だし俺も能力を明かした。だからホルマジオ、お前の能力も明かしな。
傍にいる相手の能力が分かってればこっちだって行動しやすい」
「しょうがね〜なぁ。こっちもそろそろ危なくなってきた。俺のリトル・フィートの能力教えてやるよ。
俺のスタンドは―――――――」
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