ここは、漫画作品のキャラクターたちによるバトルロワイアルパロディ(パロロワ)の
リレーSS企画スレです。
今までテストしたらばにて進行していましたが、このたび創作発表板にスレを立てることになりました。
たくさんの人の参加を待っています。
※この企画は性質上、版権キャラの残酷描写や死亡描写が登場する可能性があります。
苦手な人は注意してください。
したらば
ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/12531/ まとめwiki
(まだありません)
★OP&地図コンペについて★
OPとロワで使用する地図はコンペによって決定します。
募集期間:〜4月8日(水)23:00
投票日時:4月9日(金)0:00:00〜23:59:59
募集はこのスレで行います。
規制中で書き込みのできない人は、したらばの避難所スレを利用してください。
(今はまだ避難所スレはありません。用意ができた段階で連絡します)
投票に関する詳細、ならびにOP決定後の予約開始時刻は、別途告知を行います。
★参加者名簿(暫定)★
6/6【スパイラル 〜推理の絆〜】
○鳴海歩/○結崎ひよの/○竹内理緒/○浅月香介/○高町亮子/○カノン・ヒルベルト
6/6【トライガン・マキシマム】
○ヴァッシュ・ザ・スタンピード/○ニコラス・D・ウルフウッド/○ミリオンズ・ナイブズ/
○レガート・ブルーサマーズ/○ミッドバレイ・ザ・ホーンフリーク/○リヴィオ・ザ・ダブルファング
5/5【ハヤテのごとく!】
○綾崎ハヤテ/○三千院ナギ/○愛沢咲夜/○鷺ノ宮伊澄/○西沢歩
4/4【うしおととら】
○蒼月潮/○とら(長飛丸)/○ひょう/○秋葉流
4/4【鋼の錬金術師】
○エドワード・エルリック/○アルフォンス・エルリック/○ロイ・マスタング/○ゾルフ・J・キンブリー
4/4【ひだまりスケッチ】
○ゆの/○宮子/○沙英/○ヒロ
4/4【未来日記】
○天野雪輝/○我妻由乃/○雨流みねね/○秋瀬或
3/3【銀魂】
○坂田銀時/○志村新八/○柳生九兵衛
3/3【金剛番長】
○金剛晄(金剛番長)/○秋山優(卑怯番長)/○白雪宮拳(剛力番長)
3/3【封神演義】
○太公望/○聞仲/○妲己
3/3【魔王 JUVENILE REMIX】
○安藤(兄)/○安藤潤也/○蝉
2/2【うえきの法則】
○植木耕助/○森あいor佐野清一郎
2/2【ブラック・ジャック】
○ブラック・ジャック/○ドクター・キリコ
2/2【ベルセルク】
○ガッツ/○グリフィス
2/2【ONE PIECE】
○モンキー・D・ルフィ/○Mr.2 ボン・クレー
1/1【ゴルゴ13】
○ゴルゴ13
54/70
・『うしおととら』の「ひょう」は漢字がバグるみたいなのでひらがなになっています。
・『トライガン・マキシマム』の「リヴィオ・ザ・ダブルファング」はリヴィオ&ラズロです。
※『うえきの法則』の「森あい」と「佐野清一郎」は決選投票により選ばれたほうが参戦確定となります。
投票の集計結果が出たら改めて告知を行います。
※上記のキャラクター以外に書き手枠として16名が参戦、最終的な参加者は70名になります。
★ロワのルール★
OPなどで特に指定がされない限りは、ロワの基本ルールは下記になります。
OPや本編SSで別ルールが描写された場合はそちらが優先されます。
【基本ルール】
・最後の一人になるまで殺し合いをする。最後まで生き残った一人が勝者となり、元の世界に帰ることができる。
・参加者間でのやりとりに反則はない。
・ゲーム開始時、参加者は会場内にランダムで配置される。
【首輪について】
参加者には首輪が嵌められる。首輪は以下の条件で爆発し、首輪が爆発したプレイヤーは例外なく死亡する。
・首輪をむりやり外そうとした場合
・ロワ会場の外に出た場合
・侵入禁止エリアに入った場合
・24時間死者が出ない状態が続いた場合は、全員の首輪が爆発
【放送について】
6時間おき(0:00、6:00、12:00、18:00)に放送が行われる。
放送の内容は、死亡者の報告と侵入禁止エリアの発表など。
【所持品について】
参加者が所持していた武器や装備などはすべて没収される(義手など体と一体化しているものは没収されない)
かわりに、支給品の入ったデイパックが支給される。
デイパックは何故か、どんなに大きな物でも入るし、どんなに重い物を入れても大丈夫だったりする。
デイパックに入っている支給品の内容は「会場の地図」「コンパス」「参加者名簿」「筆記用具」
「水と食料」「ランタン」「時計」「ランダム支給品1〜2個」
※「参加者名簿」は、少なくとも支給はされている。内容(最初は投票枠キャラだけが記載されているのか、
途中で文字が浮き出る方式なのかなど)は書き手の裁量に任せます
※「水と食料」は最低1食分は支給されている。具体的な量は書き手の裁量に任せます
★書き手のルール★
【予約について】※予約の受け付けはOP決定後になります。予約開始時刻は改めて告知します。
予約はしたらばにある予約専用スレにて受け付けます。
トリップをつけて、予約したいキャラクター名を書き込んでください。
予約期限は3日(72時間)です。期限内に申請があった場合のみ、3日間延長することができます。
これ以上の延長は理由に関わらず一切認めません。
また、書き手枠に関しては、延長はできず予約期限は3日のみとなります(詳細は下記の書き手枠ルール参照)
予約に関するルールは、書き手からの要望があった場合、議論のうえで変更することを可能とします。
【書き手枠について】
このロワには、書き手が自由裁量でキャラを登場させることができる書き手枠が16枠あります。
ただし、各作品からの参加上限は6人ですので、参戦確定キャラがすでに6人に達している作品から
キャラを参戦させることはできません。
書き手枠でキャラを予約する場合は、正確なキャラクター名と作品名、書き手枠での予約であることを明記してください。
また、書き手枠には特別ルールがありますので、下記を確認してください。
@ひとつのSSで書き手枠から出せるキャラは一人とする
A一人の書き手が書き手枠から出せるのは、合計で三人までとする
Bただし、開始から1ヶ月が経過した時点で書き手枠が埋まらなかった場合、
@のルールは「ひとつのSSで書き手枠から出せるキャラは二人とする」に変更し、Aのルールは無効とする
C書き手枠を含む予約に関しては、理由に関係なく延長は一切認めない
(投票枠のみの予約は「予約3日+延長3日」、書き手枠を含む予約は「予約3日、延長なし」)
【キャラクターの死亡について】
SS内でキャラが死亡した場合、【(キャラ名)@(作品名) 死亡】と表記してください。
また、どんな理由があろうとも、死亡したキャラの復活は禁止します。
【キャラクターの能力制限について】
ロワ内では、バランスブレイカーとなるキャラの能力は制限されます。
※詳細は現在議論中です
【支給品制限について】
ロワ内では、バランスブレイカーとなる支給品は制限されます。
※詳細は現在議論中です
【状態表のテンプレ】
SSの最後につける状態表は下記の形式とします。
【(エリア)/(場所や施設の名前)/(日数と時間帯)】
【(キャラ名)@(作品名)】
[状態]:
[服装]:(身に着けている防具や服類、特に書く必要がない場合はなくても可)
[装備]:(手に持っている武器など)
[道具]:(デイパックの中身)
[思考]
1:
2:
3:
[備考]
※(状態や思考以外の事項)
【時間帯の表記について】
状態表に書く時間帯は、下記の表から当てはめてください。
深夜:0〜2時 / 黎明:2〜4時 / 早朝:4〜6時 / 朝:6〜8時 / 午前:8〜10時 / 昼:10〜12時
日中:12〜14時 / 午後:14〜16時 / 夕方:16〜18時 / 夜:18〜20時 / 夜中:20〜22時 / 真夜中:22〜24時
>>1
スレ立て乙です
スレ立て乙です。
お、新漫画始まったのか
創作発表板にようこそ!
ついに立ったね。まとめ人さん、スレ立てさん、お疲れ様
しかしこの面々でロワするとしたら誰がどう動くだろうか?
12 :
創る名無しに見る名無し:2009/04/05(日) 21:16:33 ID:qha/wKSN
1度だけOPや地図コンペの為の告知あげ
スレ立て乙です
そして稚拙ですがOP案投下してみます
――そこは異質な光景だった。
寝起きのせいかまだ頭がはっきりしない。
寝る前の事を思い出そうとゆっくり身体を起こした俺は、やっと何かがおかしいことに気づくことが出来た。
上を見上げれば透き通るような青空が広がっている。
太陽も燦燦と光り輝いている。
にもかかわらず、だ。
影の中にでも居るように……いや違う。
むしろクレヨンかなにかでそこだけ塗りつぶされたかのように真っ黒な人影が居た。
叫んでいる影。
黙って考え込んでいる仕草の影。
不安に駆られ泣いている影。
三者三様でそれが本当かは確認することは出来なかったが、声や動きからそんな想像だけは出来た。
さらに見渡すと寝転がっていた影も次々と起き上がっていた。
そしてみな同じような行動を取る。
俺も傍から見ればそんな感じだったんだろうか。
違う、そもそもそこは重要じゃない。
とにかく何で俺はこんなところに居るんだろう。
昨日……は――
「全員が起きたようじゃの」
どこからとも無く聞こえてきた声に周囲のざわめきが止まった。
俺も声のした方に思わず目を見やる。
正面……ではない。それは俺の身体よりずっと上に居た。
真っ白い玉が宙に浮かび、だんだんと降下しているのがわかった。
ゆっくりとゆっくりと目線の高さまで降りてきたそれには、笑顔でトウモロコシを頬張っている少女の姿があった。
口調こそは年寄りがかってはいるものの、外見こそは歳幾ばくも無い少女だった。
褐色の可愛らしい笑顔に少し緊張が緩んだのもつかの間。
「さて、と。簡単に言うぞ?」
そう言って彼女は立ち上がり――
「御主等にはこれから最後の一人になるまで殺し合いをしてもらう」
目の前の少女が口に出すにはあまりにも似つかわしくない単語に呆然としてしまった。
――コロシアイ?
彼女が何を言っているのか理解出来ない。
その時の自分はよほど間抜けな顔をしていたんじゃないかとさえ思う。
息を呑むような物音が周りからも聞こえた。
少しずつ波となり静寂を多い尽くす罵声・怒号へと変化するまで時間はかからなかった。
ふざけるなと言った内容の言葉が所々から飛び出している。
だが少女は気にも留めず再び口を開く。
「……話の途中じゃ、囀るでない」
ボソッと呟いたものに過ぎなかったその声が、今までのどの叫び声よりも大きく耳に響いていた。
他の人もそうなのだろうか?
まだ言葉を発しているものも多少はいるが、その声もむしろ独り言に近しい。
「ムルムルッ!」
空気が変わったような一瞬の間に割り込むようにまた一つの声が発せられる。
その言葉に目の前の少女の視線が一つの影へと移された。
声からして男、とは言ってもまだ声変わり前のような幼い声だが。
「1stか」
ムルムルと呼ばれた少女も口を開く。
「どうなってるんだよこれは? 日記は? デウスは!?」
日記? デウス? またわからない単語が出てきた。
わからないことばかりだ。
周りの人間もそうなんだろう。
気づけば周りはしんと静まり返り二人の会話だけが進んでいく。
「――デウスはもういない」
「なっ!?」
「そして新しい神が新しくゲームを開いただけじゃ。
人数は大幅に増えてしまったがな。やる事は今までと大して変わらんよ。
悪いが1st、お前一人に長々と説明する時間は無いんじゃ。
最後まで生き残った時に改めて説明してやるから頑張ってみせよ」
「……っ!」
「――さて、少しお喋りが過ぎたようじゃが勘の良い者は何か感じたものがあったかもしれん。
だが儂はその件に関して説明する気はさらさら無い。御主等には関係ない話なので時間の無駄じゃ。
必要なのは……これから殺しあってもらうと言う現実を認識してもらう事だけじゃ」
「ふざけんじゃないわよ! いきなりそんなこと言われてはいそうですかって納得なんか出来――」
誰かがそう叫んだ――直後。
「……彼女の言葉聞いてませんでした? 人の話はちゃんと聞かないとダメですよ? でないと……」
突如空中にピエロのような風体の男が現れ、そしてスポットライトに照らされたように叫んだ女性の姿が浮かび上がる。
「こうなります」
男の満面の笑みと共に一筋の光が流れ落ち、視界が真っ白に覆われ思わず目を覆う。
そして開いた時には――再び影のように真っ黒くなった女性の姿があった。
いや違う、影に戻ったのではない。
「麻子ぉぉぉぉぉっ!!」
絶叫……そして時が止まったかのように静まり返る空間。
焼け焦げた匂いが鼻をくすぐり――不快さに胃の中の物を吐き出しそうになった。
「雷公鞭か……申公豹! お主も何故このような事をするんじゃ!」
「師叔……私も二度は言いません。ですので聞きたいことがあればこれが終わってからゆっくりと聞きますよ。
これ以上無駄なことに時間を取られるのは御免ですので」
呼びかけに対し変わらぬ笑みを浮かべながら告げる申公豹と呼ばれた男。
「他の皆様も、これ以上の発言は同じような目にあってもらいますので、口はしっかり閉じてくださいね」
……最早口を開くものは誰も居なかった。
「……続けよう。とは言ってもルールは簡単じゃ。
我等二人を除く、この中の人間が最後の一人になればそこでゲーム終了。その過程においては何の反則も無い。
ただし少しでも公正さをきす為に細工をさせてもらっておる。
身体の動きが鈍いと感じているものはおらんか? 力が使えないと思っているものは?
ここまで言えばわかるじゃろう?
そして生き残るために食料や地図など必要最低必要限なもの、そして武器も用意した。
当たりや外れもあるとは思うがそれは使い手しだいじゃな。
後は……6時間ごとに誰が死んだかを放送する。
その時同時に入れなくなる場所も放送するので聞き逃さないことじゃ。もしそこにいてしまったら――」
ムルムルはそう言い放つと、持っていたトウモロコシを宙へと放り投げた。
ゆっくりと放物線を描きながら――
「っ?」
影の中の一人に当たると同時に、一人の少年の姿が浮かび上がる。
さきほどの麻子と呼ばれた少女と全く同じシチュエーション。
「お主も運が無いのう……まあこれも運命じゃ、諦めてくれい」
「何をしようとしてるかは知らないけど、さっきの子みたいにはならないぜ?
俺は何があっても歩以外には殺――」
ボンッ
時間で測ればほんの数秒の出来事。
瞬きを数回すれば過ぎてしまう時間の中でそれは起こった。
爆発音と共に少年の頭が彼自身の足元にへと落ちコロコロと転がる。
そして一瞬の間を置いて少年の身体が糸を切られたように崩れ落ちて行った。
分かたれたその表情・その目は、自分が死んだことを理解する暇さえなかったのが見て取れる。
亡骸となった少年の名を呼ぶ声と、恐怖に駆られた悲鳴と、不愉快になりそうな微かな笑い声とが聞こえてくる。
俺はどれでもなく、目を反らす事も出来ずにただ呆然と立ち尽くしていた。
18 :
創る名無しに見る名無し:2009/04/05(日) 21:23:38 ID:+gE+XbVS
誰かこの状況を説明してくれ、と。
「――と、まあこんなわけで、御主等の首につけた首輪が爆発する。
外そうとしたり強い衝撃を与えても爆発するから気をつけるようにしたほうがいいのう。
24時間死者が出ない場合も然り、全員に参加の意思なしとみなし強制終了として死んでもらう」
そう言う説明が欲しいわけじゃない。
「ああそうじゃ、誰が参加しているかわかるような名簿も配るつもりじゃ。
ただしそれが読めるようになるのは最初の放送が終わってからになるがな。
知り合いがおらんことを祈っておれ」
でも俺にはムルムルの言葉に黙って耳を傾けることしか選ぶ道が無かった。
「――こんな所かの」
二人が顔を合わせ、小さく頷く。
「それではみなさんには会場へと移動していただきましょう。立っていた場所がスタート地点になります。
合図と同時にそれぞれのスタート地点に飛ばします。あ、危険なことはありませんのでご安心を」
「それではサバイバルゲームの始まりじゃ」
ムルムルの言葉を最後に、俺は見知らぬ場所へ立っていた。
何が何やらわからないが一つだけ確かなことがある。
まだ夢を見ているだけなのかもしれない……でも
仮にこれが現実であるならば
俺は何かわけのわからない事に巻き込まれてしまった
『殺し合いゲーム』と呼ばれる何かに――
GAME START
【中村麻子@うしおととら】死亡
【ミズシロ火澄@スパイラル〜推理の絆〜】死亡
【一日目 00:00 {第十三因果律大聖堂}】
【ムルムル@未来日記】
【申公豹@封神演義】
【備考】
以降首輪のついている限り大聖堂への入場は出来ない
短いかも知れないですが以上で投下終了です
投下乙です
雰囲気出てて面白かったです
うわ、その二人が死んでその二人が主催者ですかw
見せしめの関係者と主催者の黒幕がすごく気になるw
GJです
記念すべき最初のOP案、投下乙でした。
投下乙
投下乙
火澄が見せしめか……確かに、これもスパイラル界にとっては衝撃だ
デウスを抜いてムルムルをメインに、主催をやらせたのは上手いと思いました
デウス居ると原作終わってないから困りますしね
そして主催役に申公豹!彼は確かに参加者よりはこっち、って感じがしますね
視点になっているキャラが誰なのか最後まで分からなかったんですが、これは誰なのだろう……
※ 連絡事項 ※
@決選投票の結果、投票での参戦キャラ最後の1枠は【森あい@うえきの法則】に決定しました。
A新漫画バトルロワイアル専用したらばの準備が整いました。
開始前議論はしたらばの「議論用スレ」で行います。
規制中でOP案や地図の本スレへの投下ができない人は「仮投下スレ」を利用してください。
投下乙
まっ先に暇をもてあました神々の遊びを思い浮かべた
主催者のその二人は神に近い存在だからな
火澄を殺せるほどの存在を匂わせたり主催者側に底の見えなさが怖くてぞくぞくする
でも他のOPも見たいなw
スレ立て&投下乙です。
では、続いて自分もOP案投下。
――笑えることに、こういうの初めてじゃないんだ。
首元にナイフを突きつけられた少年――鳴海歩の口にした言葉だ。
私立月臣学園高等部1年生、鳴海歩。
兄の名は鳴海清隆。かつて「警視庁の名探偵」と謳われた、世界随一の天才である。
誰よりも強く、誰よりも高い。
あらゆる方面に類い稀なる才能を発揮した、まさしく人の姿を借りた、神の写し身とでも言うべき男。
かつて、とは、すなわち今はいないということだ。
神は岩戸へと隠れ、その弟が表舞台へと引きずり出された。
兄が失踪してからの歩の生涯は、まさに波乱と激闘に満ちたものだった。
かつて神の雷にその身を焼かれた、もう1人の悪しき天才――ミズシロ・ヤイバの子供達。
呪われし烙印を胸に宿した、ブレード・チルドレン達との戦いだ。
当時兄の影に押し潰され、卑屈に生きてきた歩だったが、
それらブレード・チルドレンとの戦いの経験は、確実に彼を強くしていた。
挫折と敗北しか知らぬ負け犬は、神の弟に相応しき男へと成長する。
皮肉にも、神にして兄である、鳴海清隆の望むままに。
故に、この度起きた異常事態を、歩がごく自然に受け入れられたのは、当然と言えば当然なのかもしれない。
◆
「ん……」
ぴくり。
少年の眉が微かに震える。
ややあって、ゆっくりと開かれる瞳。揺れる髪の毛は、もみあげの長い茶髪。
軽くがしがしと頭をかき、寝ぼけた意識を覚醒させた。
そこでようやく、自分の身体が床に転がっていたことに気付く。
一体自分はいつの間に、床に寝そべるなんてだらしない真似をしたのだろう。
いや、そもそもよく考えてみれば、自分はいつの間に眠っていたのだ。
がばっ、と。
瞳を見開き、上体を起こし。
すぐさま視線を360度めぐらせ、すぐさま自分の置かれた状況を確認。
(……またこの手の展開か)
そして内心で、ふぅ、とため息をついた。
何のことはない。いつもと同じだ。
いつも体験してきたのと同じように、またろくでもないことに巻き込まれていた。
それだけのことだ。
照明のついていない現在地は薄暗く、何も置かれていないだだっ広い部屋、ということ以外何も分からない。
その詳細不明の一室に、自分同様、多くの人間が閉じ込められていた。
一部の人間は自分と同じように寝ているが、既に大半が目を覚ましているらしい。
となると自分は――鳴海歩は、かなり寝ぼすけな部類に入っていたようだ。
(ここのところ、あまりよく眠れてなかったからな……)
呑気にも、胸中ではそんなことを呟く。
だが、穏やかなのは語調だけだ。
視線は鋭く細められ、脳はフルスピードで回転する。
現状を素早く把握するため、絶えず状況分析を進めていく。
人影は多いがこの暗さだ。至近距離まで近寄らなければ、顔など見えるはずもない。
そもそもこれだけの人数を集めた奴は、今から一体何をしでかそうというのか。
(駄目だな……情報が足りない)
そう判断し、歩はひとまず思考を打ち切った。
状況を理解するためには、今の自分には情報が圧倒的に不足している。
未だ顔すらも見せない誘拐の実行犯。
この部屋に自分達を閉じ込めておいた理由。
そして、拉致された自分達被害者の共通点。
何もかもが分からない。今目覚めたばかりの歩には、この状況を理解することはできない。
(……ひとまず、先に起きてた連中に話を聞くか)
内心で呟きながら、両の足で立ち上がる。
自分より先にここにいた人間なら、何かしらのことは知っているかもしれない。
推理に必要なのは情報。ならば、まず最初にすべきは情報収集。
自己の取るべき方針を定め、歩き始めようとした。
その、瞬間。
「っ!?」
ばっ、と。
視界に広がる、白。
網膜を炙られるかのような明度。
突如暗闇だったこの部屋に、一挙に明かりが差し込んだ。
目も眩むような光輝は、前方から歩の眼球を容赦なく殴りつける。
ようやく明かりに慣れてきた頃、彼の目が捉えたもの。
それは舞台。
さながら劇場か何かのような舞台が、自分達の前方に置かれていた。
カーテンは既に開かれている。これまで気付かなかったのは、その垂れ幕が閉まっていたからか。
そして。
それ以上に、重大な事実がある。
鳴海歩という少年にとって、最も重要な真実がある。
既にそのステージには、1人の役者が立っていた。
スポットライトをその身に浴び、こちらを見下ろしていた青年は。
「――ようこそ、諸君」
岩戸に隠れていたはずの、兄の涼やかな笑みがあった。
「兄貴っ!?」
「清隆だと!?」
思わず叫ぶ。周囲からもまばらな絶叫。
どうやら歩以外にも、彼の見知った顔が集められているらしい。
だが、そんなことは彼にとって、今はどうでもいいことだった。
あらゆる情報はシャットアウト。
雑音が入り込む余地などない。
瞳はくわと見開かれ、ただ舞台上の役者を凝視する。
鳴海清隆。
姿を消し、全てを裏から操っていた、歩の兄にして全能の神。
これまで一切表に出ることなく、実に2年もの間失踪していた清隆が。
目の前に、いる。
純白のスーツに身を包み、弟と同じ色の長髪を後頭部で纏めた男が。
あの鳴海清隆が、自ら表舞台へと舞い戻ってきた。
「ちょっと! これは一体どういうことなんですか!」
はっ、と。
前方で響いていた声が、歩の意識を現実へと引き戻す。
少年の声だ。何故か和服を着ていた、地味な印象の。
そうだ。落ち着け、鳴海歩。これは俺だけの問題じゃないんだ。
首を軽く振りながら、自分自身へと言い聞かせた。
何の前触れもなく、清隆が突然姿を現した。その事実は受け止めよう。
ならば新たに追求すべきことは、その兄が腹に抱えている意図。
自分と巻き込まれた他の連中に、こいつは一体何をしようとしているのか。
ただ事ではない。
これまで舞台裏に引っ込んでいた清隆が、わざわざ歩の前に姿を現したのだ。
いいやそもそもそれ以前に、これだけ多くの人間を巻き込んでいる。
あの全知全能の神が、何も企んでいないはずがない。
これから奴の発する言葉、その全てを聞き逃すな。あらゆる情報を収集し、神の真意を推理しろ。
「ああ、すまない。説明が遅れたね」
ふ、と。
悪びれた様子もない笑顔で、清隆がかけられた声へと返答する。
この男は2年前からそうだった。間の抜けたようにすら見える飄々とした態度で、相手の反応を面白がる。
そのくせその胸中には、背筋すら凍てつくおぞましい思考を抱えているのだ。
油断はできない。
鋭く瞳を引き絞り、全身系を清隆へと向ける。
「私はあるゲームを実行するために、君達をこの舞台へと集めた」
ゲーム。
その切り出し方は変わらない。
――歩に対し、天使の公正さをもって戦いと勝利の機会を与えるなら、これを悪魔のように狡猾に殺すことを許可する。
かつてブレード・チルドレン達に、清隆が課した制約だ。
この法則は守られ続ける。
そこに言いだしっぺの清隆と、他ならぬ歩という存在が介在する限り。
要するに歩と清隆との戦いは、全て公平なルールの下のゲーム。
いつもどおりのシンプルな法則だ。
では、奴は今度はどんな種目を用意してきた。
清隆が直々に挑んできた勝負は。
「闘争という名のゲームのためにね」
悲しいほどに、いつも通りだった。
ざわざわ、ざわざわと。
一瞬の沈黙の後、水を打ったように広がるどよめき。
当然だ。今の言葉を聞いただけで、大抵の人間は理解できる。
「参加者は君達、ベットは命。会場は私の方で用意しておいた」
こいつは今からここにいる人間を使い、殺し合いをさせようというのだ。
理由は分からない。詳細はさすがに読み取れない。
だが、その最大の目的ははっきりしている。
自分のためだ。
こいつはこの鳴海歩に何らかの影響を与えるために、またしても多くの命を危険に晒そうとしているのだ。
今は亡き最強のブレード・チルドレン――カノン・ヒルベルトとの戦いの時もそうだった。
結果的に死者はゼロに抑えられたものの、一歩間違えれば死屍累々の惨状を招く可能性だってあった。
その仕立て人は他ならぬ清隆だ。
この男は、今度も同じことを繰り返そうとしている。
否、同じどころの騒ぎではない。
カノンだけではなく、この場の全員が殺し屋となれば、それ以上の惨劇を招くだろう。
全員どころではない。半分、否、3分の1がゲームに乗るだけでもまずい。
「お……おいっ! 一体どういうことなのだ!」
「この場の全員で殺し合えだと? 馬鹿馬鹿しい!」
次々と上がる反論。
最初に抗議をしたのは金髪の幼い少女と、それから顔に傷のある黒コートの男だったか。
それが水面に投じられた一石だ。
石ころはやがて波紋を呼ぶ。すなわち、清隆へと向けられた猛反発。
当然だ。
歩にとってこの手の展開は日常茶飯事。清隆にとってもそうだろう。
だが、それはあくまで彼ら兄弟と、それからブレード・チルドレンに限った話だ。
普通に考えてもみれば、普通の人間が殺し合いをしろと言われて、パニックを起こさないわけがない。
かと思えば、静かに黙り込む連中もいる。
纏うのは殺気。これもまた当然の帰結だ。
本気で殺し合いをさせようというのならば、こういう血の気の多い連中もいなければ話にならない。
「君達の言い分は確かに分かる」
一方の清隆は、相変わらずの涼しい顔で、どこ吹く風といった様子。
騒ぎ立てる連中の声にも怯むことなく、余裕を保ち続けていた。
「私も無意味な殺戮は望んでいない」
「ならこんな殺し合い、最初からする意味なんてないじゃないですか!」
この状況はまずい。
覚悟はしていたが、思ったよりも騒ぎになるのが早過ぎた。
このまま他の人間に騒がれては、清隆の話を聞き取れない。
この場を脱するための決定的な情報を、余計な雑音のおかげで聞き逃してしまうかもしれないのだ。
ふざけるな。何でそんなことを。ここから帰せ。
そう騒ぎたくなる気持ちも分かる。自分も思っていることは同じだ。
だが、だからこそ落ち着いてくれ。これでは得られる情報も得られない。
ここは新たな一石を投じるしかない。
別の小石を池へと投じ、波紋をぶつけ合わせなければ。
目立つことは避けたかったが、四の五の言ってる場合ではない。自分が黙らせるしかない。
「落ち着――」
「――随分とお前らしくないやり方だな、キヨタカ」
歩が張り上げようとした声は、しかし別の声に遮られた。
低い少年の声。
静かに、しかし、よく通る。
この狂乱のステージへと、さっと投じられた一石。
1人の男の放った一言が、瞬時に静寂をもたらした。
だが、そのつぶてを投げたのは歩ではない。
新たな登場人物が、そこに姿を現していた。
かつ、かつ、かつ、と。
集団の最後尾から、舞台へと歩み寄る靴音。
漆黒のノースリーブとズボンの上に、ロングコートを身につけたのは、歩とほとんど変わらない歳の少年だ。
さらりと優雅に舞う銀髪。上質な絹糸のように輝く髪の下には、氷のように冷たき視線。
銀色の髪を揺らしながら、青き視線を清隆に向けたのは。
「ラザフォード……!」
ブレード・チルドレンの1人、アイズ・ラザフォード。
イギリス人の母より生まれた、絶世の美少年の姿がそこにあった。
「君か、ラザフォード」
「どういうつもりだ。こんな茶番、お前の言う盤面には用意されているはずもないだろう」
微笑を湛える神。鋭く詰問する悪魔の子。
「おい、ラザフォード!」
「アイズ君!」
集団から彼を呼ぶ声が上がった。言うまでもなく、アイズの仲間のブレード・チルドレンだ。
浅月香介に竹内理緒。高町亮子の姿もある。
ろくでもない殺し合いだとは思っていたが、まさか連中まで巻き込むとは。
アイズ・ラザフォードという少年は、言わば彼らのまとめ役のような存在である。
ヤイバの血の下に生まれたきょうだい達の中でも、生まれは一番最後になるが、恐らく一番の切れ者は彼だ。
カノンが命を落とした今、並の人間を凌駕したブレード・チルドレンの中でも、間違いなく最強の部類に入るだろう。
「俺達の役割は終わったはずだ。その俺達に、何故今更新たな役割を強いる?」
そのアイズが、静かに怒りを浮かべている。
同じ呪縛と苦難を共有した仲間達を、殺し合いに巻き込もうとしている清隆に対して。
「私らしくない、ね……」
言われてみれば確かにそうだ。
清隆の描く構図において、ブレード・チルドレンは歩を成長させるための駒。
既にその役目を終了させた彼らを、今更使い回すような見苦しい真似を、あの清隆がするはずもない。
「そして、ここにはナルミアユムもいる」
ちら、と。
歩の方へと視線を向けながら、言った。
どうやらアイズは、彼がこの部屋にいることを、既に把握していたらしい。
それならそれで何故起こしてくれなかったんだ、とも思った歩だったが、今は置いておくことにする。
「こいつらに意味なき死を与えるというのなら……」
ごそり。
コートの中へと伸びる、アイズの手。
再び外気に触れたそれには。
「俺がお前を許さない」
黒光りする、一挺の拳銃が握られていた。
気迫。
さながら剣呑なナイフのごとく、滲み出る強大なプレッシャー。
射殺すような眼光は、もはやピストルなど使うまでもなく、あらゆる敵を死へと至らしめるかとさえ。
これがアイズ・ラザフォード。
数多のブレード・チルドレンの中でも、一際優れた実力を持った猛者。
そしてそれほどの殺意をぶつけられてなお、平然と構える高みの神。
「つくづくお前らしくもない。人前に生身を晒すというのに、武器を奪うことすらも忘れるとは」
引き金へと、力が込められる。
傍目に見れば、明らかな清隆の大ピンチ。彼の凡ミスが招いた苦境。
だが何故だ。
何かがおかしい。
妙に余裕な兄の反応といい、何か違和感が引っかかる。
何故反撃に出たのがアイズだけだったのか。
本当に清隆が武器回収を忘れていたならば、何故武装していてもおかしくないはずの、浅月達が援護に出ていない。
簡単だ。彼らは武器を持っていないから。
既にこの場の全員の武器が、清隆によって回収されているから。
となると、おかしいのはアイズの銃だ。他の全員からくまなく回収していながら、何故彼の武器だけが残されている。
偶然ということはあるまい。兄の魔性じみた強運を考えれば、武器がアイズに渡るはずもない。
では何故か。
考えられる可能性は1つ。わざと彼の武器だけを残した。
となると今度は今の清隆の状況がおかしくなる。
何故武器を持っていると分かっている相手の前に、わざわざ生身を晒したのか。
実は強化ガラスでステージが守られている、というオチでもあるまい。そんな無様な手段、清隆が選ぶはずもない。
いやそもそも、何故アイズの武器を持たせた。こうして反発を招かせた理由は何だ。
顎へと手を添えた歩の顔が、自然と下方へと傾く。
と。
その時。
(……?)
顎の裏に感じる、違和感。
何かがある。
何かが当たっている。
おまけにこの感触――自分には覚えがある。
「!」
反射的に、首元をなぞった。
やはりだ。思った通りの物がある。
今まで唐突なことが多すぎて、こんなものにも気付けなかった。
あるいは理緒や浅月が、清隆への抵抗をためらったのもこのためか。
間違いない。このトリックが、兄にこのような手口を取らせた。
これはアイズに仕掛けられた罠。
「やめろラザフォードッ! 罠――」
――どかん。
「らしくないのは君の方だったようだ……こんな初歩的な詰めを誤るとはね」
不敵に笑う神の瞳には、悪魔の子の視線は既に向けられていなかった。
最初に知覚したのは光だった。
同時に音が鳴っていた。
アイズがトリガーを引かんとするまさにその瞬間、首元から迸る閃光と轟音。
遅れてぐちゃりと音が鳴る。
生肉を床に落としたような不快な音。
平らな床を彩ったのは、飛び散る鮮血色のしぶき。
ごとり。
更に遅れて。
頭ひとつ分背の低くなった少年が、力なく床へと倒れた音。
否応なしに理解する。
鼻を突く火薬と血の臭いに。
歩の声は届くことなく。
「嘘だろ……おい、ラザフォードッ!」
「いやああああああっ! アイズ君っ!」
アイズ・ラザフォードにかけられていた首輪が、彼の頭を吹き飛ばした。
即死だ。言うまでもない。
首から上のあらゆる要素が、爆発と共に粉微塵にふっ飛ばされたのだ。生存確認などするまでもない。
これが清隆の狙いだった。
わざわざ武器を持たせてまで、彼がアイズに求めた役割。
すなわち――見せしめ。
まず、武器も持たず無防備に構えている清隆へと、アイズがわざと残された銃を向ける。
それに呼応するように、何者かが首に仕掛けた爆弾を爆発させる。
実に効果的な演出だ。
アイズの持つ存在感は、十分強者と呼ぶに相応しいレベル。
それほどの男が武器まで渡されていながら、しかし生身の清隆に一方的に抹殺された。
主催者たる自分の力の絶対性を、参加者達に誇示するには、これ以上ないほどのパフォーマンス。
では何故、このトリックを歩が見破り、アイズは見破ることはできなかったのか。
簡単なことだ。歩のケースが特殊だったから。
過去に彼はこれと同じような首輪を、ブレード・チルドレンによってつけられている。
今アイズの元に駆け寄った、浅月と理緒の両名によって。
だがアイズ自身は、彼らと歩が戦っていたこそ知っていたものの、このような首輪が使われたことは知らない。
たとえ首輪の存在に気付いたとしても、それが爆弾であるという発想に思い至るはずもない。
それが認識のズレの正体だ。
「さて……意味のない殺し合いなどするな、といったようなことを、誰かが言っていたな」
空気が凍る。
全ての視線が一点に集中される。
もはや口を開けるものなどいない。
余裕ぶった清隆の笑みも、さながら悪魔の哄笑のごとく。
人を殺したその本人が、何事もなかったかのように笑っているのだ。
もはや鳴海清隆という人間は、誰にとっても、無視するわけにはいかない存在となったわけだ。
「だが、その認識は間違いだ。これから繰り広げられた闘争には、十分過ぎるほどの意味がある」
流暢な清隆の声。役者が台本を読み上げるような。
舞台上に立った役者の姿に、観客達が惹かれるように。
「運命によって仕組まれた意味が」
部屋に集められた全ての人間が、この男の言葉に耳を傾ける。
殺し合いから逃れようとする者達に、爆弾に逆らえるほどの度胸はない。
殺し合いに乗ろうとしている者達には、清隆に逆らう理由がない。
「そして君達は、このろくでもない運命に選ばれてしまった。
敵が運命である以上、無闇に逃れようとするだけでは、決して生きながらえることはできない。
このゲームで生き残る手段は2つに1つ。運命に従うか、あるいは……真正面から抗うか」
既に鳴海清隆という男は、この場の空気を完全に支配していた。
「――はーいはい、そこまでそこまで」
ぱん、ぱん、ぱん、と。
不意に、手を叩く音と共に。
若い少年のような声が割って入る。
素足の足音と共に、舞台裾から新たな男が現れた。
「いちいちパフォーマンスが過ぎるんだよ、清隆は。余計なことまでこいつらに言うことないって」
「おや、気に障ってしまったかな?」
新たにステージへと上がったのは、何とも奇妙な風体の男だった。
年齢は十代後半ほど。これまた自分とさほど変わらない歳だろう。
ずるずると伸びた黒髪の下には、皮肉な笑顔が浮かんでいる。
服装も服装だ。へそ出し袖なしのフィットシャツに、ミニスカートのような腰布と短パン。
清隆が白一色ならば、こちらは黒一色だ。
こんなものを男が着ているのだから、もはや露出狂としか思えない。
いずれにせよ、異様な少年だった。
清隆と随分親しげに話しているようだが、こいつも彼の仲間なのだろうか。
「てめぇ……エンヴィー!」
と。
突如集団から上がる、怒声。
どうやら自分達と清隆が知り合いであるように、このエンヴィーとかいう奴にも知り合いがいたらしい。
「や、鋼のおチビさん。血で血を洗うバトルロワイヤルに巻き込まれた気分はどうだい?」
「るせぇ! この野郎性懲りもなくチビチビチビチビ言いやがって!」
「兄さん落ち着いて!」
いきり立って吼えているのは、金髪を三つ編みにした少年だ。
赤いコートが印象的で、顔立ちからすると15歳くらいだろうか。にしては確かに背が低いような気がする。
そして傍に立ったごつい甲冑が、彼以上に幼い声で諌めていた。
それより、今兄と言ったか。そのなりでそいつの弟なのか。その巨体で中学生以下の歳なのか。
だがそんな奇っ怪の制止にも、血気盛んな兄は耳を貸そうともしない。
自分の家庭とはまるきり違う兄弟だな。何だか馬鹿らしくさえ思えてきた。
「見てろよ、こんな爆弾なんざちょちょいと錬成して……!」
「ほほーう。ではおチビさんに質問です。その首輪の材質は何でしょう?」
「あ゛あ!? 機械なんだから鉄に決まってんだろ!」
余裕たっぷりに相手を翻弄するエンヴィーと、盛大に喚きまくる赤コートの少年。
まるで先ほどの構図を見ているようだ。何だかんだで清隆とエンヴィーは、似たような性格なのかもしれない。
もっとも少年とアイズの方は、さっぱり似ても似つかないが。
「ホントにそうなのかな? 機械って言っても色々あるよ?」
にぃ。
愉快さを顔全体で表すかのように、醜く歪む男の口元。
「たとえば、社会でよく見る金属製品の材質、1つ1つ挙げてってごらん」
「んだと? そりゃあ、金銀銅に鋼にアルミニウム……」
「じゃあ、その首輪がその辺の材質で作られてないって証拠は?」
「うぐ……」
途端に、赤コートの少年の勢いが削がれる。
たたみかけるようにして、続けられるエンヴィーの言葉。
「さっすが国家錬金術師、それくらいの頭はあるみたいだねぇ」
「エドワード君、君も早死にしたくなければ、ここは素直に話を聞いてやるといい。
1つ1つ錬成を試している隙に爆破されては、間抜けすぎて笑い話にもならないぞ」
ついでに清隆までもが口を挟んできた。
こうなれば、あのエドワードとかいう少年に勝ち目はない。
それなりに舌の回るらしいエンヴィーに、神・清隆が援護についているのだ。単純そうなガキが、口で戦って勝てる相手ではなかった。
それにしても、彼らの会話の中には、色々と不可解なワードが出てきている。
錬金術師だとか、錬成だとかだ。まさか古代の錬金術の学者様が、こんな所にいるはずもないだろうに。
「では諸君も、一応エンヴィーの言うことに耳を傾けておくように」
などと言っている間に、清隆が動き始めてしまった。
スーツの足がステージを歩く。その目的地は舞台裏。
「なっ……おい待て! 兄貴っ!」
冗談じゃない。まだろくに会話も交わしていないぞ。こんなところで逃げられてたまるか。
弟の絶叫も虚しく、兄の姿は舞台より消えてしまった。
清隆が消え、照明の下にはエンヴィーのみが取り残される。
スポットライトをその身に浴びて、得意げに笑む少年のみが。
「さーてと……んじゃあ清隆に代わって、愚かな人間の皆様に、僕がこのゲームのルールを説明してあげよう」
おどけたような身振りと共に、しかし嘲笑うような声音で。
一拍の間を置き、口を突く言葉。
であればまさにここからが、このろくでもないデスゲームの本番ということか。
「基本ルールは清隆が話した通り。決められた戦場で、最後の1人になるまで殺し合うことさ。
僕らに逆らうようなことをしない限り、
反則負けを取られることはないけど……今傍にいるお友達と、慣れ合おうなんて考えは捨てた方がいいよ?
お前達はみんな揃って、ランダムな場所からスタートとなる。
ここで一緒につるんでたって、ゲームスタートと同時に離れ離れ、ってわけ。
……さて、じゃあ次はその首輪の話」
とんとん、と。
自分の首を人差し指で、軽く叩きながらエンヴィーが言う。
否応なしに、参加者達の視線が首元へと向いた。言うまでもなく、歩もだ。
「そいつの爆発条件は4つ。
まず今言った通り、僕らに逆らおうとした場合。
それから会場の外に出た場合と、24時間誰も死ななかった場合だ。
みんな仲良く誰も殺さず、じっとやり過ごそうなんてのはお話にならないからね。
そして残る1つが、6時間ごとに増える禁止エリアに入った時。これはそれまでに死んだ奴の名前と一緒に、放送で発表される」
どうやらこのゲームのフィールドは、時間が経つごとに狭くなっていくと考えていいらしい。
確かに終盤になって人数が減ったというのに、会場だけはだだっ広いままでは、エンカウント率は激減してしまう。
「最後に、人殺しをする上で一番大事なもの……凶器に関する説明だ。参加者には1人に1つずつ、こんな感じの鞄が用意される」
言いながらエンヴィーが取り出したのは、何の変哲もないデイパックだ。
「この中には食糧や地図に参加者名簿、それからランダムに武器が入ってる。
その武器を調達するために、お前達の持ち物はぜーんぶ取り上げさせてもらったよ。
もっとも、そこのガキのは没収し忘れちゃったみたいだけどね。でもこういう不備はもうないだろうから、安心しなよ」
物言わぬアイズの遺体を指差しながら、エンヴィーが言った。
よく言う。
そいつの武器は力関係を分からせるために、わざと取り上げずにおいたんだろうに。
「もっともこの中の何人かは、そんな武器なんかに頼らなくても、自前の能力で人殺しができたりする。
でも、それじゃワンサイドゲームになってつまんないからね。
ちょちょいと身体に細工して、なるべく公平になるように弱体化させてもらったよ」
歩にとって、一番意味が分からないのはこの話だった。
能力というのは一体何だ。さっきの錬成とかいうのもそれなのか。
もっともこんなことを聞いても、この男がまともに答える保障などあるはずもない。
「……さて、説明はこんなところかな。じゃ、習うより慣れろだ。さっそく始めるとしよう」
実際、エンヴィーにはその気はないらしい。
質問があるかどうかの確認もせず、そのまま始める気満々で切り出した。
「さぁ、ゲームの始まりだ! 阿鼻叫喚の地獄絵図の中、思う存分に殺し合うがいい!」
ぱちん。
指が鳴る。
その瞬間に。
(!? 何だ、これっ……!)
不意に、歩の身体が光りだした。
何とも形容しがたい色の光が、身体中を包んでいる。まるでアニメやゲームのワープのよう。
否、ようではなく、まさしくワープそのものらしい。
現に同様の状況に陥った他の人間が、次から次へと姿を消している。
ランダムに配置するとは聞いていたが、なるほどこういうことだったのか。
そして目的地へと辿り着けば、いつも通りの戦いが始まる。
一切の油断もできない、ろくでもない殺し合いの始まりだ。
しかもこうしたファンタジーじみたことが平気で起こっている以上、今まで以上の危険が待ち受けているかもしれない。
そう思いながら、周囲を見回した時。
「……!」
その目は驚愕に見開かれた。
思わず口が半開きになった。
いるはずもない男の姿を、そこに認めてしまったから。
既にこの世にいないはずの、その少年の姿を見つけてしまったから。
(……カノン・ヒルベルト……!?)
かくして物語は幕を開ける。
定められた主役はいない。メインキャストは鳴海歩1人ではない。
この神の弟に生まれた少年の話は、あくまで物語の登場人物の一例だ。
そう。
明確な主人公がいないということは、誰もが主人公であるということ。
誰もがそれぞれにそれぞれの物語を紡ぎ、それぞれの世界の主役となるということ。
巨悪に立ち向かう道か。
生き残るために殺し合う道か。
何一つ成し遂げられず命を落とす道か。
無限に枝分かれする道筋のうち、どれを通るかは彼ら次第。
「全ては運命の導くままに」
「ゲームスタート♪」
【アイズ・ラザフォード@スパイラル〜推理の絆〜 死亡】
【一日目 00:00 ???】
【鳴海清隆@スパイラル〜推理の絆〜】
【エンヴィー@鋼の錬金術師】
【備考】
※鳴海歩@スパイラル〜推理の絆〜の参戦時期は、少なくともカノン死亡後です
投下は以上です。
微妙にスパイラル贔屓っぽくてごめんなさい。もうちょいハガレン勢も書いとけばよかったorz
歩視点で書いてはいますが、そんなに今後の思考を縛るような内容にはなってない……はず
投下乙です
スパイラル好きにはたまらないだろうがスパイラル贔屓すぎな気もする
好みがわかれそうだな
でも緊張した雰囲気出ててよかったとは思います
投下乙です。スパイラル勢の見せしめ率高しw
そして自分もOP案投下してみます。
SS投下自体初めてなので、至らない所あったら申しわけありません。
職業柄、ヤバイ事には鼻がきくつもりでいた―――――
だが掛け値なしの厄ネタにはそんなものは通用しない。
暴威は突然、「運命」を絡めとる。
「え…えぇ?な、なに?ここ、どこ?」
カツーン…カツーン…
「おーい!誰か!誰かいませんか!」
ガシャン!ガシャン!
「なぁーにようこれ!?どうなってるのよう!?」
くるんくるんくるんくるん………
女の声、幼い男の声、どちらともつかぬ声…様々な声が聞こえる。声だけではない。足音や金属音、衣擦れの音や呼吸音まで…
並外れた聴覚を持ったこの男は、この喧騒でもソナタのようにそれらを聞き分ける事が出来た。
それにしても奇妙な音が多い。
左右で違う足音、空洞の鎧が動いているような響き、呼吸音は聞きとれるのに足音が聞こえないヤツ、その逆…
聞きなれない音の多さに不快感を覚え、男は目を覚ました。
「なにが…どうなった…?」
仰向けに倒れていた我が身を起こし、「音界の覇者」、ミッドバレイ・ザ・ホーンフリークは周囲を見渡した。
周囲は完全な暗闇。先ほどのような「音」だけが聞こえる。
しかし地面は見えた。そこにあるのはまるで人の顔。それが延々広がっているような…
そんな地面だった。思わず手を離す。
「……天国とは思えんな。地獄にしても、趣味が悪い。」
ミッドバレイ・ザ・ホーンフリークは死んだはずだった。逃れられぬ死から逃げ出す為、主に牙を突きたてようとし、
結局届かずその身を滅ぼした。しかし、彼は今こうして生きている。
「聞け、因果の流れの中に飲み込まれし者たちよ。」
その声は突然で、それも彼の鋭い聴覚すら無視して頭の中に響くような声だった。
皆が自然と同じ方向へ目をやる。そこには4つの影が浮かんでいた。
奇妙な影だった。人影のようでいて、一目でそうではないとわかる。
影の1つが言葉を続けた。またも脳内に響くように声が聞こえる。
「大いなる祝福の刻………」
それは確かに人の言葉。だが決して人の声ではなかった。
「彼なりし亜の刻、亜なりし彼の地へよくぞ集った。
人の造りし神ならざる神の子羊達よ。この聖なる夜祭、存分に味わうがよい。」
影の言葉が理解できない。ただ周囲から様々な声が聞こえた。
怒り、恐怖、混乱…なまじ全て聞き分けられるが故に、ホーンフリークには不快だった。
「全ては因果の流れの中に。これより…降魔の儀を執り行う。」
その言葉と共にホーンフリークの左手の甲に鋭い痛みが走った。そこに奇妙な傷口が刻み込まれている。
「それは生贄の烙印。本来の物と力は違えるが、意味は同じ。お前達はある者によって“捧げられた”」
「もうあなた達は因果の流れの中。矮小なその身では抗う事は適わないわ。」
他の声が混じりだす。女の声のようだった。驚くほど妖艶で、身震いするほど恐ろしかった。
ゴクリと息をのむホーンフリークの横で、自分以上に身震いをしている男の存在に気がついた。
「ガントレット…!」
互いの利を求めて張った共同戦線、そこで奇妙な友情を育んだ仲間、ホッパード・ザ・ガントレットがそこにいた。
彼の全身が震えているのは恐怖ではないと、仮面の下の表情が見えなくとも察っする事ができた。
「あと一歩だった………あと一歩で、ヴァッシュ・ザ・スタンピードを仕留められた!
邪魔をしたのは、おまえらか…!!」
(仕留められた、だと?)
確かにホーンフリークは彼との連携攻撃であと一歩の所までターゲット、ヴァッシュ・ザ・スタンピードを追い詰めた。
しかし、チャペル…ニコラス・D・ウルフウッドらの介入によってしくじり、
結果としてヴァッシュの能力の暴走とレガート・ブルーサマーズの参戦によって全ての作戦が泡と消えた。
自分の目的だったミリオンズ・ナイブズからの逃避も、ヤツのヴァッシュ・ザ・スタンピードへの復讐も果たせなかった。
それがなぜこんな言い回しで怒りをあらわにしているのか…?
「おまえらが…お…おぉぉおおぉおおおおおおおおおお!!!!!」
「ガントレット!止せ!!」
職業柄、ヤバイものには鼻がきく。
全身で危険を感じていたホーンフリークは叫んだが、咆哮と共にガントレットの肉体は影へ向けて飛び出していた。
肉体といっても巨大な盾、「グーデリア」に包まれたそれは鋼鉄の弾丸のようなもの。それが高速回転しながら迫るのだ。
まともに喰らえば肉体は粉砕確実の体当たり。しかし、影は一切動く気配を見せない。
「うぉおおおおおおぉおぉおおお!!!!」
ガントレットの一撃が影へと届く、その瞬間。影とガントレットの間に奇妙な空間が生まれた。
その空間は「グーデリア」が触れるとツボの形となり、ガントレットの姿が消える。
「!?」
誰もが目を疑うような光景であった。しかし、これ自体は一瞬の出来事。視認できない人間も多かった。だが…
「あぶないっ!」
誰かの声、そして…
グシャリ
嫌な音だった。人の肉体が砕け散る音。それは綺麗に、女性の上半身だけを吹き飛ばしていた。
「え…?」
少年の足元に崩れ落ちる女性の下半身。
「…ねー、さん…?」
1人の少年の目の前で、姉の体が肉片へと変えられていた。
そこには先ほど影へと突進したはずの異形の男の姿。彼自身も混乱していた。
そこは影のいる場所から遠く離れた場所なのだから。
この女を殺してしまったのは俺なのか?なぜ自分がこんな場所にいる?
この少年は何だ?あの影は一体何をした?
なぜ、自分がこの様な場所にいるのかもさっぱりわからない。わからないが…
今は、どうでもいい。
ヴァッシュ・ザ・スタンピードへの復讐心が、彼を盲目にさせた。
女性の死体と、膝は折らず、されど立ち尽くすだけの少年から視線を外し、再び影に向き直るガントレット。
そこに響く例の声。
「贄であることを理解させる必要があるか。これもまた因果なり。」
「あ、がぁぁぁああああああ!!!」
その瞬間にガントレットは信じがたい激痛に襲われた。原因は腕に刻まれていた、刻印。
数秒悶え苦しむと、生きた弾丸は物言わぬ肉塊と成り果てた。
こぼれ落ちた仮面の下の凄まじい形相が、その激痛を物語っている。
「ガントレット…!」
ホーンフリークは言葉を失った。今起きた一連の事象が、あまりにも唐突過ぎて理解するのに時間を必要としていた。
どうやら周りもそうらしい。ただ、その結果が示した成果は大きかった。
先ほどまで多くの人間が声高に影に向けて怒りをぶつけていたが、今は大半が黙り込んでいる。
影の力の脅威、突きつけられた死の恐怖が、彼らを縛り付けていた。
「これが生贄の烙印の持つ第一の意味。お前達には因果律で定められた役目がある。
役目を果たせぬものが、こうして消えるのもまた因果。」
(逆らえば死ぬというわけか。わかりやすいことだな。)
皮肉の1つも言いたかったが、言葉さえ浮かんでこなかった。
喋っていた影の横の小さな影が動く。
小さな影から映像が映し出され、地図が示された。
「お前達はこれからこの幽世で生贄として“捧げられる”。お前達に共通する概念で言えば死ぬという事だ。
これは因果律で定められたことであり、逆らう事は出来ない。しかし、因果律はまた、別の可能性も示す。
手中を見るがいい。」
言われるがまま、つい握り締めていた手のひらを開くと、いつのまにかそこには悪趣味なデザインの、卵形の物体があった。
「それはベヘリット。『魔法の石』『異界の喚び水』。それは現世と幽世を結ぶ扉を開く、鍵。
ここでそれを使う条件は二つ。一つは自分以外の全ての贄が“捧げられる”こと。
つまり、お前達は生き残る為には殺しあわねばならぬ。」
「そしてもう一つは、自分の「半身」とも言うべき存在を、自らの手で“捧げる”こと。
どちらかを満たせば扉は開くわ。扉が開けば、あなた達は全ての憂いを消す事が出来る。」
影がかわるがわる言葉を放つ。必死で理解しようと試みるが、覚えるくらいがせいぜいだ。
「自分の「半身」の存在を確かめたければ、我らの最初の模擬降臨まで生き延びることだ。
その時、全ての生贄の名が書に刻まれる。降臨は四半日ごとに行う。」
「仲間と立ち向かうのもいいわ。けれど、“捧げるか”“捧げられるか”。
それは全て因果律の流れの中ということ。憎しみ、悲しみ、必死で役目を果たしなさい。
生贄のぼうやたち。それこそが、此度の蝕に必要なのだから。」
「ほほ、より深く知りたければ書を見ればいい。説明しなかった刻印の他の役割もわかる。
“捧げる”側にまわりたければ、目を通す事だ。」
「…………」
もはや言葉を発する者さえいなかった。
影が動き、こちらを見下ろす。
「因果律により束ねられし糸は結ばれた。約束の刻来たれり。」
それは、ただ一言こう呼ばれるものだった。
「存分に、殺しあうがいい。」
絶望と………
4つの影は消えていた。文字通り、影も形も無く。
くっく、とホーンフリークはもはや笑みとも取れる表情を浮かべ、悲嘆にくれた。
直感的にわかる。これが現実だと。またしても逃げ場のない死が迫ってきたのだ。
まともな生き方をしてきたわけじゃない。
だが、神様というやつがいるならこれはあんまりだろう。
馬鹿げたルールの死のゲーム。出口のない死…
それを終えて、やっと死というある種の安息にたどり着いたと思えば、再び死が出口を閉ざして待っていたのだ。
それも、またしても人智を超えた化け物によって…
神に化け物、そういった存在に弄ばれるのが人間というものなのか…
そこでふと、違和感を覚えて隣を見る。そこには黒衣の“人間”が立っていた。
キリキリと義手らしき左手を鳴らしながら、形容しがたい笑みを浮かべて。
「ありがたい、話だぜ………!!そっちから出向いてくれるとはよぉ…!!!」
あぁ、とホーンフリークはため息をつく。
忘れていたよ。人間にも、どこまでも狂ったヤツがいるんだった。
神や化け物に、運命ってヤツに抗う狂ったヤツらが、な。
どんな形かはわからない。でも、きっとこの男は立ち向かう。
いやこの男だけじゃない。相手が化け物であろうが神であろうが…
「それもまた、人間というものなのかもしれんな。」
かつて魔人と呼ばれた集団の1人だった男は今度こそ笑みを浮かべた。
諦めとも、希望とも取れる笑みを。
運命が人智を超越し人の子を玩ぶが理なら、
人の子が魔をもって運命に対峙するは因果
だが、そのすべてが 寸分たがわず 同じというわけではない
【新漫画バトルロワイアル 開始】
【鳴海まどか@スパイラル〜推理の絆〜 死亡】
【ホッパード・ザ・ガントレット@トライガン・マキシマム 死亡】
【一日目 00:00 どこかの幽世】
【ゴッドハンド@ベルセルク】
【備考】
全員にベヘリットが支給済み。生贄の烙印が刻まれた場所はランダム。
投下は以上です。いろいろとすみません。
ちょっと変化球にしてみました。狂言回しがマイナー過ぎるか…
勝手にいくつかルールを捻じ曲げてすみません。
スパイラルは合わせたわけじゃないんです…偶然なんです…自分でもビックリなんです…
変化球だが面白い。
絶対勝てない感がすごいな。
◆9L.gxDzakI氏、◆lDtTkFh3nc氏
お二方とも投下乙でした。
※ 連絡事項 ※
昨日、すっかり説明を忘れていたのですが、このレスについているトリは、開始前議論の進行役トリです。
テストしたらばからの人はご存知と思いますが、創発へのスレ立て以降にこの企画を知った人は
よろしくお願いします。まあ、開始前って、あと1週間もないですが。
【連絡1】
本当に申し訳ありません。
>>1に書いたOPコンペの投票日の曜日が間違ってました。
日にちはあってますので、正しくは下記の通りになります。ご迷惑をおかけしました。
募集期間:〜4月8日(水)23:00
投票日時:4月9日(木)0:00:00〜23:59:59
【連絡2】
>>4で「※詳細は議論中です」と書いた、キャラクターの能力制限・支給品制限は下記のとおりとなります。
@原作で不死身のキャラクターもロワでは死にます。
Aバランスブレイカーになるような、高すぎる身体能力や強すぎる特殊能力はロワでは制限されます。
B一瞬でロワが終わってしまったり、逆にロワが停滞する原因となるような能力や支給品は制限されます。
今までにパロロワ企画に関わったことのある人にとっては、わざわざ言うまでもないことだと思いますが、
この企画で初めてパロロワを知った人もいると思いますので、以上の規定を設けます。
【連絡3】
この企画には、したらばはありますが、まとめwikiがまだありません。
今後必要になると思いますので、管理人さんを本スレで募集します。
今から約24時間後の、7日23:00までを募集期間にします。
それまでに名乗り出る人がいなかった場合は、自分がwikiを用意させていただきます。
その他、何か疑問点などがありましたら、本スレかしたらばの議論スレでお願いします。
投下乙です
ゴッドハンドキター!!
まぁ、参加者の面々を考えたらこれくらいビックな主催者でもいいような気がする
あの言い回しと原作の雰囲気がよく出てました
ところでOPが集まるのはいいけど地図が来ないな
投下乙です
首輪じゃなくて手首に刻印は新しいな
にしてもスパイラル勢の死ぬ事死ぬ事w
ベルセルクは未把握なんだが、ゴッドハンドってどの位のスペックなんだ?
ゴットハンドか。
あのベルセルクの長い物語でほとんど描写されてない。
つまるところ不明。
強いだろうが想像の域を出ない。
JUDOより強いかもしれん。
精霊王よりヘタレかもしれん。
何より恐ろしいのが、このロワが終わりを迎えた時期になっても
ゴットハンドは本編に出ないだろうと誰もが確信していること。
まだガラスの仮面完結の方が可能性高いぜ。
確かに、むしろ作者が生きてる間に終わるかどうかすらわからないというw
まぁ、仮降臨状態のスランだったら一度ガッツが髑髏の騎士の協力で退けてるけどね。
「倒せるか」というと微妙、というか限りなく難しいが、「退ける(逃げる)」事は可能かもしれない、ってレベルかな?
獣の槍とか効果ありそうだし…
作中の化け物「使徒」を統べる五大幹部みたいなもん。
使徒の上位キャラがとんでもないスペックだからそれを上回ると考えるしかない。
ネタバレになるが五人目のフェムト=グリフィスは色々とネタにできそうだ。
しかし3つとも先が読めない主催者だな
だがそれが(ry
でも地図が来ないのが不安
でも気長に待つか
スパイラル人気だな。
追加枠がスパイラル無双にならないか心配ではあるww
そういえば、追加キャラによってはNGとかあるのかな。
ほら、某白面とか、某女渦とか。
まあ、常識の範囲なら大丈夫か。
あくまでも空気読んでくれることを願ってるよ
それとすでに作品枠がいっぱいなのは書き手枠では追加出来ないよ
某白面とか、某女渦は参加者というより黒幕が妥当では?
書き手が誰を追加させるか期待はしてるけど
>>62 そうでしたか。
てか、当然ですよね。把握足りず申し訳ない。
スパイラルとトライガンが枠余り無し、ゴルゴが追加のチャンスというわけか。
うん、ゴルゴ……
ゴルゴからはそんなに出ないだろ
てか、書き手枠でゴルゴから出すのっていいの?
ゴルゴ以外に出せそうなキャラがいないから、ゴルゴだけ投票免除したんじゃなかったっけ?
こんな私でよければwiki立てましょうか?
ゴルゴだけ投票免除されて書き手枠はないよ
とりあえず他の作品から出すことを考えようよ
ゴルゴってゴルゴ以外に複数話登場してるキャラいんの?
ゴルゴから武器の依頼を受けてる爺さん位じゃね?
ゴルゴと戦った悪役は皆死んでるっぽいし
OPがスパイラル無双なのは書き手枠を考えてだろうなw
誰かが出したいかもしれないキャラを見せしめにする訳にはいかんしw
それは違うような
他の人が出すかもしれないからって殺すの自重してたんじゃ、ロワにならないし
スパイラル無双過ぎて目立たないのもあるが
投票では0票、OP案とは言え見せしめされても触れられない麻子が不憫になってきた真由子の俺w
>>71 単純に有望キャラを殺したら投票で不利になる
どんなに内容が良くても見せしめが原因で票を失う可能性を考えたら下手は打てんよ
OPから良いキャラ殺して……みたいのはむしろそれ本編でやれよ、とも言えるし
でも殺したらインパクト出るキャラ使って派手なOPも好きなんだが
普通は「参加しなかった中でもっともインパクトありそうなキャラ」
を見せしめに使う場合が多いよね。
地味な誰得を殺してもネタにしかならないし。
wikiの人、乙です!
そういう意味ではスパイラル勢は結構人気キャラや強キャラが死んでるから、インパクトはあるんじゃね?
麻子は誰かやる気がしてたよ…俺は好きだけどw
テスト書き込み
荒らし多発の為に、まことに申し訳有りませんがスーパーコミックロワをこちらと共用させていただきます。
したらば掲示板がこちらです。
http://jbbs.livedoor.jp/comic/5478/ 参加者名簿は以下です。
7/7【S・A スペシャルエー】
○華園光/○滝島彗/○山本純/○山本芽/○狩野宙/○藤堂明/○辻竜
7/7【セキレイ】
○佐橋皆人/○結/○月海/○風花/○焔/○草野/○松
7/7【ふしぎ遊戯(朱雀編)】
○夕城美朱/○鬼宿/○星宿/○柳宿/○翼宿/○本郷唯/○心宿
7/7【GUNSLINGER GIRL】
○ヘンリエッタ/○ジョゼ/○リコ/○ジャン/○トリエラ/○ヒルシャー/○ピノッキオ
6/6【愛と誠】
○太賀誠/○早乙女愛/○岩清水弘/○高原由紀/○座王権太/○砂土谷峻
6/6【まりあ†ほりっく】
○宮前かなこ/○祇堂鞠也/○汐王寺茉莉花/○桐奈々美/○石馬隆顕/○志木絢璃
6/6【瀬戸の花嫁】
○満潮永澄/○瀬戸燦/○江戸前留奈/○銭形巡/○不知火明乃/○政
6/6【ソウルイーター】
○マカ=アルバーン/○ソウル=イーター/○ブラック☆スター/○中務椿/○デス・ザ・キッド/○ミフネ
6/6【ヘルシング】
○アーカード/○セラス・ヴィクトリア/○インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシング/○少佐
/○アレクサンド・アンデルセン/○ウォルター・C・ドルネーズ
5/5【桜蘭高校ホスト部】
○藤岡ハルヒ/○須王環/○鳳鏡夜/○埴之塚光邦/○銛之塚崇
5/5【ロザリオとバンパイア】
○青野月音/○赤夜萌香/○黒乃胡夢/○白雪みぞれ/○仙童紫
5/5【みなみけ】
○南春香/○南夏奈/○南千秋/○南冬馬/○保坂
4/4【スキップ・ビート!】
○最上キョーコ/○敦賀蓮/○不破尚/○琴南奏江
4/4【こどものおもちゃ】
○倉田紗南/○羽山秋人/○松井風花/○松井風花
3/3【ワンナウツ】
○渡久地東亜/○児島弘道/○出口智志
3/3【LIAR GAME】
○神崎直/○秋山深一/○フクナガユウジ
87/87
ちょっと短いが、最上キョーコとソウルイーターを投下します。
「………かったりぃな。殺し合いなんて勝手にやってろよな。何で俺が巻きこまれんだよ」
銀髪の少年。ソウルは無数に並べられたホール内の椅子の一つに座り、呟く。
この彼の想いは参加者全員が共通して持っているものなのだが、それを代弁するように一人呟く。
そしておもむろに名簿を開けて、他の参加者の確認を行う。
「マカにブラック★スターにキッドまでいんのか。とりあえずマカの奴は探さないわけにいかねーよな。
次の放送で呼ばれるとか洒落になんねーし」
ソウルは名簿をバッグに戻すと、椅子から立ち上がりホールの出口へと歩きだす。
するとそこから対面する形で、ホールの扉が開く。
「んっ!」
ソウルは扉が開くのを確認すると、咄嗟に身構える。
相手が攻撃をしてきた場合に対応する為の構えだ。
しかし、相手の対応は意外なものだった。
「なんだ人いたんだ。良かったぁ。あたし一人で夜の街中に一人とか本当に怖いから安心したわ。って、ひょっとして外国人。
日本語分かる?あたし、最上キョーコ。芸名は京子ってわからないか。ねえ、あんたはなんていうの?」
それは想像以上に軽く、明るい口調だった。
その裏に殺気も感じ取れず、先ほどの仮面の男がいた異様な空間との落差にソウルの力も思わず抜けてしまう。
「ソウルだ。あんた芸名ってなんかやってんのか」
「えっ、あたし女優だけど。まあ新人で女優って言うにはまだまだだけどね」
「女優か。………じゃあな。俺、探してる人がいるから」
ソウルはそれだけ言うと、キョーコとすれ違い外へ出ようとする。
だが、それを焦るようにキョーコが呼び止める。
「待ってよ。探してるって別に場所がわかるわけじゃないんでしょ。だったら」
「いや、それでもここで待ってるよりは見つかるだろ。大丈夫だよ。あんたはここで隠れてたら少なくとも夜が明けるまでは
何とかなるだろ。それから走るなりして、LIAR GAMEとかいう会場に向かえば当面は安全だろうし、俺と一緒に歩き回るよりは
危険はすくねーよ」
「……分かったわよ。あんたが一緒は嫌だって言うならそれでいいわ。じゃあせめてこれだけお願い。敦賀さんとモー子
がもし見つかったら助けてあげて。不破尚って男は別にどうでもいいけど、その二人だけはお願い」
「俺が邪魔になんねー範囲でならいいぜ。どうせ殺し合いに乗る気はねーしな。だがモー子って誰だ?んな奇抜な名前ねーぞ」
ソウルはキョーコの願いを渋々受けるが、それと同時に名簿を取り出し、正体不明の名前を聞き返す。
するとキョーコはソウルの近くへ走りより、名簿を見ながら一つの名前を指差した。
「これよ。これ。この琴南奏江って名前の人。いつもモー、モーって起こるからモー子さんなの」
「………何だかすげーあだ名だな」
あだ名の由来にしばしソウルは呆れるが、すぐに気を取り直して歩きだす。
「じゃあその琴南奏江ってのと敦賀……蓮だな。この二人に会えば機会があれば守ってやるよ」
「うん。お願い」
「あんたも気をつけろよ。多分こねーと思うけど、危険そうな奴が来たら椅子の陰に隠れて逃げろな」
「分かってるわよ。あたしも無茶して死ぬなんてごめんなんだから」
「じゃあな」
「ええ」
こうして二人は偶然すれ違い、一瞬で分かれた。
この後二人が再開するかどうか。
それはまだ。分からない。
【I-9 ホール内/ 1日目 深夜】
【最上キョーコ@スキップ・ビート!】
[状態]:健康
[装備]:私服姿(ラブミー部のつなぎではない)
[道具]:支給品一式 ランダムアイテム1〜3
[思考]
1:夜が明けるまでホール内に隠れる。
2:もし危険人物がホールに入ったら逃げる
3:敦賀蓮と琴南奏江に会いたい。不破尚とは今は会いたくはない
[備考]
登場時期は少なくともDARK MOONの問題が一段落して以降
【I-9 ホールの外/ 1日目 深夜】
【ソウル=イーター@ソウルイーター】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:支給品一式 ランダムアイテム1〜3
[思考]
1:マカを優先的にキッド、ブラック★スター、椿を探す。
2:首輪をどうやって外すか考える
[備考]
登場時期は少なくとも鬼神復活以降
投下終了です。
少し短いとも思いましたが、あえてあっさり風味にしました。
>>88 いきなり押しかけてきて投下とか失礼にも程があるだろ…
あんまり構いたくないけど言わせてもらう、とっとと帰れ
>>89 申し訳ございません。
失礼なのは承知で間借りさせて頂いています。
現在当スレで頻発している荒らしが居なくなり次第もとの場所へ移動するので、
それまでの間でございます。
決して長居するつもりは無いので、その点はご安心ください。
>>90 それならせめて廃スレを使うとかやり方があるんじゃないですか?
貴方の行為は荒らし其のものですよ。
それにこっちは一言も乗っ取りを許可した覚えはないし。
自重お願いします。
正直あまり言いたくは無かったのですが、言っておきます。
荒らしは新漫画ロワ住民の嫌がらせの可能性が有ります。
次点や多重の疑惑で悪を決め付けて嫌がらせを行っている可能性です。
そしてその荒らしへの対応としてベストなのは、荒らしが在住しているスレを仮住居とするのが
ベストと判断してこの対応をさせていただきました。
荒らしが自重して頂ければこちらは速やかにこちらへの投下を自重致します。
ですので別にこちらは荒らしとして投下しているのでは有りません。
こちらも進行としては独立スレでやりたいのですが、それが荒らしの所為で出来ずやむ終えない処置としてやっているに過ぎません。
また乗っ取りではなく共用です。
そちらの投下を阻害するつもりは一切ありません。
ですのでお気になさらずに、そちらはそちらの企画を進めてください。
互いに潰しあうのではなく共存の為の一歩としての行動ですので、こちらはそちらの邪魔は一切致しません。
元のスレを読ませてもらいますたが、荒らしが自分の本当のロワ名を名乗るはずがないでしょ。
ID出ない板での成りすましを真に受けて突撃するとか、浅はかすぎやしませんか?
一時の避難所が欲しいなら、したらば進行にすればいいでしょう。そうすれば荒らしなんか沸きようがないんだから。
自分がやっている事が、自ロワとその参戦作品の印象を確実に悪くしているって自覚はありますか?
共存とか綺麗な言葉で飾ってはいますが、あなたが行っている行為は、
>>81に書かれている漫画が好きなロワ住人に対する嫌がらせですよ?
なんでそうなるのさ
仮にあんたの言う荒らしがここにいたとしても
そのような嫌がらせのようなことをやるなんて
あんたもその荒らしと同レベルのことをやってはいないかな?
ここは新漫画ロワだ。
そっちのロワに荒らしが出たから移動?
誰に許可とったの、名無しか?
荒らしがどうにもならないならしたらばを使え。
これ以上スレを汚す荒らし行為は止めてください。
>>96 妥協案も何もそもそも荒らされたからここに来る思考が意味不明。
本気で来るならアク禁処置も考慮。
>>92 こんな事は言いたかないが、どう見ても逆恨みにしか見えない
そっちのしたらばで進行したらいいじゃん
ウマタンといいお友達になれそうだな
こういうのはしたらばでやろうか…
>>97 この手のケースだとアク禁まずできんぞ。
あまりこういうこといいたかないが……その……かまい過ぎというかつられ過ぎというか。
妥協案が〜とか元が同一の企画だから〜とかいろいろ言ってる上で、スル―ならまだしもこれでは。
「スレ内での派閥のごたごた」どまりで厳しいと思うぞ、コピペとか明確な理由ないと。
つーか、話し合いできる余地ねーし、話し合いゼロで追い出す気なら最初ふれんな。
ガン無視して通報すりゃよかったのに。
じゃあ今からでもスルーしようぜ!
ところで話書いてる人がどれくらいいるのか気になるな……
地図が来ないですなぁ…
103 :
創る名無しに見る名無し:2009/04/08(水) 17:16:23 ID:+QlLzhl9
下手くそな上に完全なる多重作品スキップ・ビートで投下とかwwwwwwwwwwwww
神戸港.兵庫.ocnの多重基地外は死ねばいいのにwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
2 : ◆LXeBJMDTMc:2009/04/08(水) 00:00:06 ID:fxAqbaWQ0
狩野宙、ピノッキオを予約します
3 : ◆10fcqagzUk:2009/04/08(水) 00:00:26 ID:usFsEzeQ0
羽山秋人、宮前かな子で予約
4 : ◆WAWBkvwe2s:2009/04/08(水) 00:00:44 ID:0aXtwvD60
ヘンリエッタと滝島彗を予約します
5 : ◆XFPROZh.pg:2009/04/08(水) 00:00:56 ID:2Hp60TOQ0
ソウルと最上キョーコで予約
6 : ◆oZDO9.kK/g:2009/04/08(水) 00:03:41 ID:6DoRNTnw0
青野月音を予約
7 : ◆2Y1uoIPzDA:2009/04/08(水) 00:07:31 ID:/cV9bCqo0
アレクサンド・アンデルセンと祇堂鞠也を予約
8 : ◆7EyHFNYRYY:2009/04/08(水) 00:15:33 ID:gIQc5iGUO
草野と南千秋予約
9 : ◆sNfY/9CXtM:2009/04/08(水) 07:26:38 ID:xybJt5Dw0
デス・ザ・キッドと南春香を予約します
すごくわかりやすいですね^^
マジで地図が来ないぞ
OPの投票の間も募集すれば1つ位来るかもしれないが
簡単なのなら明日作れる。
さすがに地図が来ないと予約はマズイよね。
ロワの立ち上げに立ち会うの初めてなんだけど、普通地図ってどんな風に決るの?
簡単なのでもいいからお願いします
でも出来たら書き手がイメージ出来そうな建物とか幾つかお願いします
地図もコンペで決めるみたいだけど
ニコβは複数来て投票で決めた
>>109 おお、地図がキタ!
ありがとうございます
自分的にはいいと思います。意味ありげな建物とかありますし
>>109 地図来た、乙です!
10x10でマス目が多いからもうちょっと施設増やしてもいいかも
あと要望としては湖大きくしたりエリアまたぎにするとか数増やすとか
一応締切というか募集期間が
募集期間:〜4月8日(水)23:00
だから地図がこれ以外来ないなら本決まり?
投票で決めるから複数でもいいけど
地図は大本が合ったらみなで煮詰める、で良いと思う
もちいっぱい作ってくれてたら投票だったかもしれないけど
OP案ももう投下は無いのかなあ
とりあえず締切時間まで待って複数来たら投票の結果に任すか
地図が来たし大本が合ったらみなで煮詰めるでOKだしこれで一安心
しかし批判ではないが非現在のキャラが戸惑うような会場だな
ワンピや封神やベルセルクや鋼のキャラ辺りが戸惑いそうだ
携帯からじゃ地図見れなかったぜ
規制解除キタ━(゚∀゚)━!!!!!
解除おめw
これで地図が二つで投票だな
こちらは現代風と塔とかピラミットとか色々点在してるな
ただこのままじゃあエリアがおおざっぱで使いにくいから後で煮詰めるとか必要かな
ところで投票は00:00だからまとめの人やしたらばの管理人とか準備よろしく
したらば管理人さんは来てるみたいだけど
地図の見晴らし良すぎね? 遠望ききすぎると後で困らね?
どういうこと?
結局OPは3つで、地図は2つ?
現在したらばは、投票実施中のため、すべてのスレがIP開示に設定されています。
議論スレ等、書き込みができないわけではありませんが、
IPが表示されることはご了承ください。
また、投票後の予約開始時刻のみ、まだ確定していません。
候補となっている時間などはしたらばの議論スレを確認していただき、意見をお願いします。
議論は基本的にはしたらばですが、前述のとおり現在はIP開示設定になっているため、
この件に関してのみ、意見は本スレでも構いません。
自分は開始前議論の進行役なのですが、事情により今日はほとんどスレにいない状態なので
予約開始時刻の決定は住人の方々にお任せします。よろしくお願いします。
本スレが荒れてるっぽいし、とりあえずこっちに投下します。
S・A成績五位であり、理事長の息子である狩野宙。
彼は樹海を歩いている。
木々を掻き分け、ひたすらに前へと進む。
「明は急いで見つけないと。あと純と芽もやばいか。竜と彗と光なら問題ないだろうけど」
宙は思わず思った事を口に出す。
彼が名簿を開いて感じた事。
それはS・Aの7人が全員参加していることだ。
そして運動能力に劣る三者は外敵に襲われた際の自衛手段をあまり持っていないことも承知済である。
特に精神的にも脆いところがある明は宙にとって、一刻も早く保護しなくてはいけない対象だった。
「あいつのことだから、間違いなく森や山にはいないだろうし、街中にいるよな」
宙は樹海を突っ切り、市街地へと急いだ。
そして、出会う。
一人の金髪の男に。
########
時は僅かにさかのぼる。
ピノッキオは樹海の木にもたれながら、支給品のチェックを行う。
支給された物は板前包丁が一本に学校の制服が一着。
ピノッキオは包丁を手に取り、歩きだす。
「死んだと思ってたけど、気のせい?いや、僕は確かに死んでた。蘇生なのだろうか。それならあの仮面の男の発言には嘘は
無い事になるけど。だけど、実際にワープは実現していたみたいだし、それが出来てもおかしくはないか」
自身の身に起こった事を冷静に分析しつつ、ピノッキオは方針を纏める。
「優勝かな。おじさんの所に早く帰らないと。無駄な事を考える事もない」
そう思考を纏めたのと、ピノッキオの視界に一人の男が映ったのはほぼ同時だった。
「東洋人か」
それだけを確認すると全速力で走り出す。
制服姿の男の元へと。
########
「あっ、よおっ、俺宙ってんだ。お前はっ!?」
宙は走りよってくる男、ピノッキオに向かい手を振り挨拶をする。
しかしピノッキオは一切速度を緩めることなく、接近してくる。
包丁を構えて。
「!おいおいマジかよ。何考えてんの?」
ピノッキオは包丁を宙の胸へと突き出してくる。
それを寸でのところで後ろに跳んで避ける。
一瞬の反応の遅れが生死を別ける。
その世界に居る事を宙は改めて思い知らされた。
「ちょっと待てよ。なあ。お前マジで殺し合い乗ってんの。やる気?」
「そうだ。僕は急いで帰らなくてはいけないからね。君は最初だ」
ピノッキオはそれだけ言うと宙を襲い来る。
宙はそれを距離をとりながら避ける。
しかし、ピノッキオはそのような単純な回避を許しはしない。
「はあっ」
「なっ?」
ピノッキオは飛び掛るように一気に間合いを詰めて刃を宙に向ける。
だが、それを体を咄嗟に捻るようにしてかわす。
刃は宙の右肩を僅かに掠めるだけだ。
「つっ。いてー。おいおいマジで斬れてんよ。やめねーか。マジでさ」
「ふっ!」
だがピノッキオは当然わびるわけもなく、追撃を行う。
それには宙も流石に怒りがたまる。
「いい加減にしろよな」
「……はあっ」
ピノッキオが包丁で必殺の突きを繰り出す。
だが、そこでアクシデントが起こる。
ここは樹海。つまり下はぬかるみがあり、市街地のようにはいかない。
ピノッキオは主にイタリアを拠点に活動をする殺し屋であり、気候と町並みを考えても、ぬかるみなどほとんど経験していない。
対する宙はアマゾンなどで何度も冒険を行う、放浪癖がある男である。
従って、樹海のぬかるみなど宙にとっては平地と同義である。
その差。つまりピノッキオはぬかるみに足を取られ大きくバランスを崩す。
「ぐっ」
「はあっ!」
その一瞬の致命的隙を見逃さず、宙はピノッキオの右手を蹴り上げる。
包丁は跳ね上げられ、そのまま地面へと突き刺さる。
「ちっ」
「まだだあっ!」
そのまま更に宙は右拳をピノッキオの顔面へと叩き込む。
一度バランスを崩した事で体勢を整えるのに手間取るピノッキオは回避できるわけも無く、直撃を受ける。
「くっ」
「はあはあ。分かったかよ。そんなんで殺しなんて」
「ちいっ」
ピノッキオは決して負けはしない。
この状況では勝機は薄い。
そう感じ取ったピノッキオは地面を掴み、泥を宙へと投げる。
「くっ」
その不意討ちに思わず顔をガードする宙。
その直後、ピノッキオは一気にその場を離脱すべく駆け出した。
はるか遠くへと。その場を離れる為に。
そしてその場には宙が残された。
「あの野郎………」
宙は地面に刺さったままの包丁を手に取りながら一人呟いた。
########
「くそっ、油断した」
ピノッキオは苦渋に満ちた表情を浮かべていた。
油断による事実上の敗北。
顔面へと拳の直撃。
相手が何か武器を握っていれば死んでいてもおかしくはなかった。
「次は負けない。絶対に!!」
一流の殺し屋ピノッキオ。
敗北を知った今のピノッキオに死角はない!
【D-1 樹海/ 1日目 深夜】
【狩野宙@S・A スペシャルエー】
[状態]:右肩にかすり傷
[装備]:板前包丁@スキップ・ビート!
[道具]:支給品一式 未確認支給品1〜3
[思考]
1:SAの仲間を探す。
2:特に殺し合いに乗る気は無い
3:金髪の男(ピノッキオ)を警戒
【D-2 樹海/ 1日目 深夜】
【ピノッキオ@GUNSLINGER GIRL】
[状態]:顔に軽い打撲
[装備]:無し
[道具]:支給品一式 桜蘭高校男子制服@桜蘭高校ホスト部
[思考]
1:皆殺しで優勝する
2:まずは武器を調達する(出来ればナイフ)
[備考]
死後からの参戦です。
投下完了です。
ご感想、矛盾などあればお願いします。
>>88 乙!
ソウルの落ち着きとかキョーコの雰囲気がよく再現できていると思います。
またお前かいい加減にしろ
スルー汁
専ブラ入れて、NGワードに件の酉とか「S・A」「愛と誠」とか入れりゃスルーしやすくなるよ。
あと、アニ2みたいなしたらば活用も荒らし対策には有効かもな。
追加枠出す参考に、当選しなかったキャラの投票数とか知りたいのですが
したらばには無いようですが、もう残ってないですかね?
誰得なキャラだしてもと思ったので。
好きに出せばいいじゃん
過去ログ倉庫にあるっつーの
一応わかってるとは思うけど追加枠で出せるのは投票で二票以上あったキャラだけだから。
誤爆………なんだが……誤爆に見えないorz
ワローリ
140 :
創る名無しに見る名無し:2009/04/09(木) 18:03:19 ID:Nu8WdiHh
>>136 確か制限なくなったんじゃなかったっけ?
>>56 設定上のポジションはキリスト教のミカエルとかラファエルとか
原作描写は脳味噌男の空間歪曲と、フェムトの空間圧縮のみ
多分、能力的にはゴッドハンド全員で荒木のスタンド(バトルロワイヤル)と同じ程度かと
インフレすること確実な昨今の最終盤じゃ火力的に役不足かな
スパ系程ではないが、漫画・アニメ系のチートの前では黒幕追加orオリ設定追加+贄で誤魔化し切れるかどうか
ゴッドハンド全員で荒木のスタンド(バトルロワイヤル)と同じ程度って根拠薄いぞ
ベルセルクファンを敵に回すような発言だな
つうか、ラスボスとかは数値化して能力くらべるようなもんじゃないだろ、あいつら幽体だからとか、いろいろあるし。
格は半端ないぞ。ラスボスを数値化して強弱語りたいなら最強スレいったほうがいいぞ、マジで。
>>140 制限なかったとしてもな
投票で2票すら取れなかったようなキャラ出してもしょうがない気がするけどな
そんな君の価値観押し付けられても
最終戦ですら「役不足」なんて心強い主催じゃないか
でも0票のキャラ出しても読み手からウケ取れると書いて
結局回りからウケ取れなかったらどうするの?
誰得キャラ出して荒らしたと言われるだけだぞ
〇票キャラでも登場話が面白けりゃ次が書きたくなるし、結構票とってても登場話次第じゃ書きにくいだろうに
以下ネガキャン禁止
投票どれにしようか迷うぜ……
>>150 またゆとりか。
今までの記憶だとニコロワが一番ひどかったな。
ニコロワの宣伝動画(もちろんスレ住人に無許可)がニコにうpされて
それがランキングに入ったという惨劇が。
それkwsk!
いやこれは愉快犯だろ
どうみても本気で宣伝する気なさそうだし
何にしても、スルーが1番
まとめさん今日は来れないんだっけ?
認証必要そうなのや無効票ってどうだろ
>>130 投下来てたんだ。
乙!宙の能天気さとピノッキオのシリアスさがうまく描けてます。
向こうのスレにも2作投下来てるし、いい感じになってるな。
自分も今日中には投下出来ると思う。
それで二票以上取った人だけが追加可能?
細かいことでもなんでも本スレかwikiに書くべき
書き手枠には最初、こういうルールがあった(テストしたらばからコピペ)
@書き手枠で参戦させることができるのは、キャラ投票にて2票以上獲得したキャラとする
ただし、下記のどちらかの状況になった時は書き手枠ボーダーを1票とする
・2票以上の落選キャラ数が書き手枠の2.5倍を下回る場合
(作品上限に達している作品の落選キャラは書き手枠からは出せないため、数に含めない)
・2票以上獲得したキャラが「作品の上限数−投票で決定したキャラ数」よりも少ない作品が1作品でもあった場合
また、ボーダーを1票まで下げても下記のどちらかに当てはまるようであれば票数制限自体をないものとする
・該当キャラが書き手枠の2倍を下回る場合
・該当キャラが「作品の上限数−投票で決定したキャラ数」よりも少ない作品が1作品でもあった場合
で、キャラ投票の結果、ブラックジャックとひだまりスケッチがこの中の
『該当キャラが「作品の上限数−投票で決定したキャラ数」よりも少ない』に当てはまるってことで
票数制限自体がなしになった。
このスレが立った時点で票数制限なしは決定してたからテンプレに書いてないんだと思う。
なるほどテストしたらばにあったのか、ありがとう。
とりあえず書いてみることにするよ。
wikiに書くべきなのは同意。書けるようになったら、wikiに書きに行くことも約束する。
しかし、今は無理なので今晩まで待ってもらえると助かるし、それまでにwikiに決定項目を書き込める人がいるなら、その人に書き込んでもらいたいとも思っている。
今更かもしれないけど、参加作品の中からワンピースは外した方がいいんじゃないか?
某所で痛い厨がいることが分かったし
キャラ死んだからってまた暴れられたりしたら面倒だよ
すまん、携帯だからwikiに入れられない。
誰かやってくれ。
投票はどうなったんだろう?
>>160 なるほどね、名案だと思うので議論スレで提起してくれ
>>164 つスルー
したらば見てきたけど、明日から本予約おkな流れ?
個人的にはしたらば予約がいい気がする。
>>164 よそって言っても、すぐ隣でやってる企画だよ
住民層も結構被ってるだろうし、何らかの対策は取るべきだと思う
問題起こってからじゃ遅いんだし
>>161 二重認証の締切が21:00だからそれから集計じゃないかな?
>>165 予約ルールは
>>4にある。したらば予約らしい。
で、予約開始時間は
>>124によるとまだ確定してないらしいから
議論スレのログ参考にしながら決めちゃったほうがいいみたいだ。
隣も、よそだよ。
アンチや痛いファン気にしてたら、こんな企画じたいできねーですよ。
お前ただ面倒くさいだけだろ
今さらブレーキかけんなよ。
やってみなきゃなにもわかんないだろ。
てかホント、いつになったら始まるんだよ
>>166 おれも時間がないし、お前が提案したことだから時間があるときに議論スレに提起しておいてくれ
炙り出し☆大作戦
この程度でブレーキって……
そこまでいくとネガキャンだな
暴れればその作品を外せるという前例を作るのは嫌だな
某所で暴れてた奴もワンピ厨にみせかけた荒らしにしか見えないし
正直とっと始めてほしい。
問題は起きた時対処すればいいし。
考え始めたら何もできない。
とりあえず
>>124読もうよ。
いつになったら始まるのか、とっとと始められるのかは
ここまできたら住人次第だろ?
まとめ人さんは明日の22:00予約開始を提案してるが、住人が協力してさっさと集計できるなら
0:00予約開始だって不可能じゃない
(今から0:00スタートにするのは告知的な意味でちょっと微妙な気はするけど)
IP見たけど重複はいなかったから、オープニングと地図はあれで決定だと思うよ。
予約は今日の0時からでいいと思う。
無理ならせめて明日の0時からがいいんじゃないか?
ほとんどのロワが0時からだし、混乱しにくそう。
集計協力もしない、議論参加もしない、けど俺の為にさっさと始めろなんて言い分通じる訳ないだろ…
とりあえずしたらば移行したいがいつまでIP開示なんだ?
>>179 今日の0時はさすがに突発すぎる気がする
出てた案で一番早かったのが明日の19時だしそれに合わせてる人がいるかもしんないし19時で良いんじゃね?
今まで意見無かったんだから反対する理由も無いとか決まった事に従うって事だろうしさ
予約期間は1週間でいいかな? らきロワとかだと3日だけど
19時は早い。
個人的には今日が無理なら土日挟んだ0時がいいと思うんだが……
予約期限は三日+延長二日が妥当。延長が多ければ長くすればいい。
予約期限に関しては過去に議論済み(結果
>>4)だから今さらかな
決めるべきは予約開始日時と修正要求期間(次予約可能時間)あたりだと思われ
んで提示されてた時間より遅くなる分には問題ないと思う
絶対11日22時って人がいなけりゃ12日0時で良いんじゃない?
修正に関しては、投下して問題あったらA時間以内にしたらばにて修正要求、B時間以内に修正案を書くか破棄
なければA時間後から次のパート予約可能
こんな感じでどうだろうか
>>183 うわ、もう決まってたのか。了解。
特に反対がないようであれば、今日の九時過ぎにでも予約スレを立てたいと思うけど、あのしたらばって管理人以外もスレ立てできたっけ?
可能かもしれないから1度やってみたら?
なんか「読み手様」がちらほらいるのがすげぇ不安だ・・・
したらばに地図とOPの集計結果出てた。
集計してくれた人、乙でした。
予約開始は個人的には11日22:00でも12日0:00でも構わないけど……
議論スレ行ったほうがいいのかな?
まだIP表示設定のままみたいだけど。
管理人がID表示に設定変更してくれたから、みんなしたらばで議論しようぜ!
※ 報告 ※
予約開始時刻に関しては、ここまでの本スレ・議論スレの流れから判断し、
12日0:00からとさせていただきます。
予約に関する基本的なルールは
>>4にありますので書き手の方々は確認しておいてください。
また、したらば議論スレにて、修正要求に関する件、ならびに
投下直後の予約が可能かどうかについての議論が行われていますので協力をお願いします。
あばばば、wikiにうまくマップを乗せられん、説明読んでもよく分からん。
分かる人誰か教えてくれるか、代わりにやってくれるとありがたい。
マップ載せておきました(が、なぜか私のPCでは、Firefox上では見えません。IEなら大丈夫なんだが)
>>192 画像ファイルをwikiに載せるには、事前にそのページに必要なファイルをアップロードする必要があります。
が、現状ではアップロードはメンバーのみしか行えません。
なんで、アップロードが必要な場合は私に伝えてもらうか、もしくはメンバーになる
(メールアドレスが必要なんで、一応連絡ができる捨てアドレスでも取ってください)かしてください。
>>193 ありがとうございます。
またなにかwikiに乗せる必要な画像が出て来ましたら、メンバーになるか連絡させていただきます。
出張で香川に行くことになったんだけど、どっか面白いとこある?
誤爆か?
まあ香川なら、金毘羅さんとかいいんじゃないかな
あの階段は凄い
疲れるけど
あ、あと、ゴールドタワーは微妙だからやめといた方がいいかも
俺んち来いよ
ところで予約は幾らくらい来るかな?
そして幾ら来れば安泰?
事前の準備規模を考えれば、極初期の予約で最低でも10は無ければ失敗臭が漂いだすと思う
したらば議論スレに、SS投下後の次の予約を、投下直後から認めるか
投下後インターバルを置くべきかについての意見があがっています。
今夜の予約開始までには決定したい事項ですので
したらばを確認のうえ、意見をお願いします。
すみません、携帯からでも見れる地図ってありませんか?
予約開始まで1時間切ったってのに、この静けさは一体…
※ 報告 ※
SS投下後の予約のインターバルに関して、したらば議論スレで下記の通り決定しましたので報告します。
・SS投下後、そのキャラクターの次の予約ができるのは投下終了の24時間後とする。
・SS投下後、その書き手が次の予約ができるのは投下終了の24時間後とする。
・上記はあくまでも予約に関する規定であり、24時間を過ぎると修正要求ができなくなるわけではない。
(修正要求に関する規定は、必要であれば別途議論する)
以上、よろしくお願いします。
>>204 きっと予約が来れば盛り上がる・・・はず!
一瞬、
>>157を読んだときに誤解してしまった……俺読解力なさす。
念のために確認する。あくまでも念のためな。
>>157に書かれていることは書き手制限が、ブラックジャックとひだまりスケッチに適用されないってことだが、
当然、他の作品には書き手制限が適用されるってことなわけだ。
・ ブラックジャックとひだまりスケッチは書き手制限適用無
・ 上記に作品以外は書き手制限適用有
ま、念のための確認ってことで。
時間か…
さて、予約スレ見てこようかな
予約は10個…かな?
まぁあと1時間ぐらいでもうちょっと増えそうな気もするが
10以上あるね
最初にしては悪くないけどあのキャラやこのキャラはまだ予約来てないな
◆LQx8BgACjE 天野雪輝、愛沢咲夜
◆7pf62HiyTE 綾崎ハヤテ
◆1ZVBRFqxEM モンキー・D・ルフィ ゴルゴ13 ウインリィ・ロックベル(書き手枠)
◆9L.gxDzakI 鳴海歩、安藤(兄)
◆Fy3pQ9dH66 西沢歩 ボン・クレー 平坂黄泉(書き手枠)
◆ZQLR7nMTKE スズメバチ(書き手枠)
◆H4jd5a/JUc 安藤潤也 沖田総悟(書き手枠)
◆DZllJyXPF2 ニコ・ロビン(書き手枠)
◆KKid85tGwY 鷺ノ宮伊澄 ゾッド(書き手枠)
◆Nfn0xgOvQ2 グリード(リン・ヤオ)(書き手枠)
◆oUQ5ioqUes 森あい アルフォンス・エルリック
まとめてみた
間違いあったら指摘よろしく
やっぱり書き手枠に集中するな
これって書き手枠ボーダーなしでいいの?
>>208 違います。全作品票数制限なしです。
「作品の上限数−投票で決定したキャラ数」よりも少ない作品が1作品でもあった場合、
その作品だけでなく全ての作品の票数制限がなくなります。
>>212 まとめ乙!
>>.215
ボーダー枠は向こうにすでに書かれたけど作品上限の6に達するまでだと思うよ
追加
◆4n3JatAr5M 桂雪路(書き手枠)とら
◆/mnV9HOTlc 三千院ナギ サンジ(書き手枠)
◆L3YPXWAaWU 胡喜媚(書き手枠)竹内理緒、我妻由乃
現在の書き手枠がプラスされた名簿
6/6【鋼の錬金術師】
○エドワード・エルリック/○アルフォンス・エルリック/○ロイ・マスタング/○ゾルフ・J・キンブリー/○ウインリィ・ロックベル/○グリード(リン・ヤオ)
6/6【スパイラル 〜推理の絆〜】
○鳴海歩/○結崎ひよの/○竹内理緒/○浅月香介/○高町亮子/○カノン・ヒルベルト
6/6【トライガン・マキシマム】
○ヴァッシュ・ザ・スタンピード/○ニコラス・D・ウルフウッド/○ミリオンズ・ナイブズ/
○レガート・ブルーサマーズ/○ミッドバレイ・ザ・ホーンフリーク/○リヴィオ・ザ・ダブルファング
6/6【ハヤテのごとく!】
○綾崎ハヤテ/○三千院ナギ/○愛沢咲夜/○鷺ノ宮伊澄/○西沢歩/○桂雪路
5/5【未来日記】
○天野雪輝/○我妻由乃/○雨流みねね/○秋瀬或/○平坂黄泉
4/4【うしおととら】
○蒼月潮/○とら(長飛丸)/○ひょう/○秋葉流
4/4【ひだまりスケッチ】
○ゆの/○宮子/○沙英/○ヒロ
4/4【銀魂】
○坂田銀時/○志村新八/○柳生九兵衛/○沖田総悟
4/4【魔王 JUVENILE REMIX】
○安藤(兄)/○安藤潤也/○蝉/○スズメバチ
3/3【金剛番長】
○金剛晄(金剛番長)/○秋山優(卑怯番長)/○白雪宮拳(剛力番長)
4/4【封神演義】
○太公望/○聞仲/○妲己/○胡喜媚
4/4【ONE PIECE】
○モンキー・D・ルフィ/○Mr.2 ボン・クレー/○ニコ・ロビン/○サンジ
3/3【ベルセルク】
○ガッツ/○グリフィス/○ゾッド
2/2【うえきの法則】
○植木耕助/○森あい
2/2【ブラック・ジャック】
○ブラック・ジャック/○ドクター・キリコ
1/1【ゴルゴ13】
○ゴルゴ13
64/70
予約スレ
>>20までの状況
4/6【スパイラル 〜推理の絆〜】
○結崎ひよの/○浅月香介/○高町亮子/○カノン・ヒルベルト
6/6【トライガン・マキシマム】
○ヴァッシュ・ザ・スタンピード/○ニコラス・D・ウルフウッド/○ミリオンズ・ナイブズ/
○レガート・ブルーサマーズ/○ミッドバレイ・ザ・ホーンフリーク/○リヴィオ・ザ・ダブルファング
0/6【ハヤテのごとく!】
3/4【うしおととら】
○蒼月潮/○ひょう/○秋葉流
3/6【鋼の錬金術師】
○エドワード・エルリック/○ロイ・マスタング/○ゾルフ・J・キンブリー/
4/4【ひだまりスケッチ】
○ゆの/○宮子/○沙英/○ヒロ
2/5【未来日記】
○雨流みねね/○秋瀬或
3/4【銀魂】
○坂田銀時/○志村新八/○柳生九兵衛
3/3【金剛番長】
○金剛晄(金剛番長)/○秋山優(卑怯番長)/○白雪宮拳(剛力番長)
3/4【封神演義】
○太公望/○聞仲/○妲己
1/4【魔王 JUVENILE REMIX】
○蝉
1/2【うえきの法則】
○植木耕助
2/2【ブラック・ジャック】
○ブラック・ジャック/○ドクター・キリコ
2/3【ベルセルク】
○ガッツ/○グリフィス
0/4【ONE PIECE】
0/1【ゴルゴ13】
43/70
※『鋼の錬金術師』『ハヤテのごとく!』の書き手枠は締め切られました。
書き手枠は残り6です。
今の時点で気になる予約とかあるかい?
みんな執筆中で答えれないと思うから、予約被りまくって暇を持て余している俺が…
ゴルゴだ!ゴルゴをどう描くか期待だ
>>221 あるけど、一応キャラ名伏せておく
把握してないからどんなキャラか分からんが、某N・Aさん
ご 愁 傷 様
>>223 特定したがそういう奴ほど生き残る気がするwww
ゴルゴ可哀想すぎね?
超絶シリアス劇画な彼的には、ゴム男なんて認めたくないだろうな
しかし空いてるキャラも多いな
あのキャラとかこのキャラとか
>>223 N・Aがどっちのことなのかによって、ご愁傷様の意味が変わってくるなw
さすがに即投下の人はいないか……
>>228 そりゃあもうあっちしかないだろw
殺されるかもしれない、殺されなくても一緒に行動する羽目になるかもしれない
どっちにしろご愁傷様だなwww
あんまり展開予想はするなよー
しまったー!
ハガレンからヨキ出すつもりだったのに1日間違えた!
あれか、誰得だからヤメレっつう神様からの警告か。
確かにヨキはちょっとアレだな
一日間違えててくれてよかったよ
まぁヨキだしね…確かに誰得だな
俺は得するけど
出たら出たで面白そうだけどねwすぐ死にそうだw
書き手枠はあと4つか。名簿の完成も近いかな?
それにしても今回は明らかに人間じゃない奴が出場してるな
とらとかゾットとか
それに対抗出来る人間とかも
ひだまり組とかは大変だなぁ。デッサンには困らんだろうけど。
ゾッドとかにもなると蝉とかも大変なわけだから、みんな平等に大変ということで。
そういやひだまり勢ってまだ一人も埋まってないな。
ひだまりって普通の本屋に本売ってる?未把握だからアニメイトで探したんだが見当たらない……
予約まとめ
◆7pf62HiyTE:綾崎ハヤテ
◆9L.gxDzakI:鳴海歩、安藤(兄)
◆Fy3pQ9dH66:西沢歩@ハヤテのごとく、Mr.2ボン・クレー@ONE PIECE、平坂黄泉@未来日記(書き手枠)
◆ZQLR7nMTKE:スズメバチ@魔王
◆H4jd5a/JUc:安藤潤也@魔王、沖田総悟@銀魂(書き手枠)
◆DZllJyXPF2:ニコ・ロビン@ワンピース(書き手枠)
◆LQx8BgACjE:天野雪輝、愛沢咲夜
◆KKid85tGwY:鷺ノ宮伊澄@ハヤテのごとく!、ゾッド@ベルセルク(書き手枠)
◆Nfn0xgOvQ2:グリード(リン・ヤオ)@鋼の錬金術師(書き手枠)
◆4n3JatAr5M:桂雪路(書き手枠)、とら
◆/mnV9HOTlc:三千院ナギ@ハヤテのごとく!、サンジ@ONE PIECE(書き手枠)
◆L3YPXWAaWU:胡喜媚@封神演義(書き手枠)竹内理緒、我妻由乃
◆JvezCBil8U:秋瀬或、リヴィオ・ザ・ダブルファング、秋葉流
◆40jGqg6Boc:紅煉@うしおととら(書き手枠)
◆lDtTkFh3nc:パック@ベルセルク(書き手枠)、ひょう@うしおととら
◆yXlaa6e0uc:犬養@魔王(書き手枠)、秋山優@金剛番長
◆AO7VTfSi26:ガッツ、ブラック・ジャック
◆2/z7o.Vlls:ロイ・マスタング@鋼の錬金術師、志村妙@銀魂(書き手枠)
名簿の方は任せた!!
やった紅煉だ!紅煉キタ!これで勝つる!
現時点での名簿
6/6【鋼の錬金術師】
○エドワード・エルリック/○アルフォンス・エルリック/○ロイ・マスタング/○ゾルフ・J・キンブリー/○ウインリィ・ロックベル/○グリード(リン・ヤオ)
6/6【スパイラル 〜推理の絆〜】
○鳴海歩/○結崎ひよの/○竹内理緒/○浅月香介/○高町亮子/○カノン・ヒルベルト
6/6【トライガン・マキシマム】
○ヴァッシュ・ザ・スタンピード/○ニコラス・D・ウルフウッド/○ミリオンズ・ナイブズ/
○レガート・ブルーサマーズ/○ミッドバレイ・ザ・ホーンフリーク/○リヴィオ・ザ・ダブルファング
6/6【ハヤテのごとく!】
○綾崎ハヤテ/○三千院ナギ/○愛沢咲夜/○鷺ノ宮伊澄/○西沢歩/○桂雪路
5/5【未来日記】
○天野雪輝/○我妻由乃/○雨流みねね/○秋瀬或/○平坂黄泉
5/5【うしおととら】
○蒼月潮/○とら(長飛丸)/○ひょう/○秋葉流/○紅煉
5/5【銀魂】
○坂田銀時/○志村新八/○柳生九兵衛/○沖田総悟/○志村妙
5/5【魔王 JUVENILE REMIX】
○安藤(兄)/○安藤潤也/○蝉/○スズメバチ/○犬養
4/4【ひだまりスケッチ】
○ゆの/○宮子/○沙英/○ヒロ
4/4【封神演義】
○太公望/○聞仲/○妲己/○胡喜媚
4/4【ONE PIECE】
○モンキー・D・ルフィ/○Mr.2 ボン・クレー/○ニコ・ロビン/○サンジ
4/4【ベルセルク】
○ガッツ/○グリフィス/○ゾッド/○パック
3/3【金剛番長】
○金剛晄(金剛番長)/○秋山優(卑怯番長)/○白雪宮拳(剛力番長)
2/2【うえきの法則】
○植木耕助/○森あい
2/2【ブラック・ジャック】
○ブラック・ジャック/○ドクター・キリコ
1/1【ゴルゴ13】
○ゴルゴ13
68/70
書き手枠:残り2名
>>239 ルフィとゴルゴ、ウィンリィも抜けてると思う。そしてスズメバチ@魔王は確か書き手枠。
ロワで彼女は穿いているのかいないのか、それが問題だ…
日曜の昼なのに、朝からパソコンに向かって書いている俺って…
今日中にどれか投下来るかな
あと何分かで投下します。
248 :
創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 13:31:26 ID:OpYZ19Wz
一発目きたああああ
携帯からだが支援するぜ!
あとは確認と支給品紹介のみですので少々お待ちを。
はい私でした。
投下します。
こっちが鳥ですね。
支援だ!
ちょっと待っててください。
鳥がおかしいので確認してきます。
3分くらいお待ちを。
支援
これでOKかな?
OKなら投下します。
貴方かw把握
支援しますよー
「いったいこれはどういう事なのだ!?」
三千院家のお嬢様、三千院ナギは旅館内をうろついていた。
彼女にとって、やはりこの旅館は狭かったも同然であった。
「なぜ私がこんなことにならなければいけないのだ!? 殺し合いなんてわけのわからない事を・・・。」
いつもは大量のSP、執事などに守られているナギ。
何があってもいつも守ってくれていたが、今回は誰もいない。
彼女の身は自分で守らなければいけないのだ。
彼女が腰を下ろすのにふさわしい場所を見つけると、彼女はデイパックを開けた。
中に入っていたものはノートパソコンと何かの実であった。
どこかで見たような気がすると思ったが、彼女は思い出せなかった。
しょうがないので彼女は説明書を見る。
「スケスケの実
自分の体、およびその体に触れた物を透明にする。
なお、触れたものだけなど一部だけを透明にする事も可能。
ただし、透明になる時間は限られている。
注意:悪魔の実を食べると一生カナヅチになってしまい、泳げなくなってしまいます。
海や川、風呂など水が溜まっている場所すべてが該当するものです。
そして2種類以上のみを食べると死んでしまうのでご注意ください。 」
「…おもしろい! こんな事が私にもできるのか! さっそく食べてみるのだ!」
どうやらカナヅチになる事は恐れていなかったようだ。
だって彼女は元からそうであったのだから。
「不味い… 見た目同様不味い…。」
一回かじっただけで、不味さが口にしみてくる。
これでは、口が変になりそうなので、デイパックの中の水を飲む。
それでも不味さは取れなかったが。
「でもこれで、私はこの能力を得ることができたのだ! これで私は無敵だ!」
残りの実をデイパックの中に入れて、立ち上がる。
すると、後ろにはある男が立っていた。
いかにも殺し合いに乗ってそうな男だった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「ったく、ついてねえな。」
殺し合いなんていうのは海賊だから、日常茶飯事の事だったからいい。
だが、仲間が同じ目にあっているのかと考えると、今すぐに助けに行かなければと思う。
ルフィとかは能力者だからいいものの、ナミやウソップなどは危険であった。
だから今すぐに彼はそういう仲間を助けにいかなければいけない。
彼が建物らしきものを遠くに見つけると、そこへ向かうことを決意した。
すると、少女が走りながら、旅館へ入っていくのを見た。
見た感じ、彼女はぜんぜん戦えなさそうに見えた。
もし、彼女がこれから化け物とでも遭遇したことを考えると、守らなければいけないと思った。
それがサンジ。
支援
レディーを守るのが役目である男だ。
建物の中に入ると、彼女がどこにいるかわからなかった。
見た目はぼろい、この旅館でも中はちゃんとしている。
しょうがないので、一つ一つ探すことにした。
「…おもしろい! こんな事が私にもできるのか! さっそく食べてみるのだ!」
その時、彼の耳にそんな声が聞こえてきた。
声はこの道の先から聞こえてきた。
急いで、彼はその方へ向かった。
彼女がいたのは旅館の休憩所みたいな場所であった。
彼にゆかりのない、TVなどがおいてあり、畳が敷いてある場所であった。
「一体何を食べているのだ・・・?」
彼が彼女の手を見てみると、持っていたものは彼に関係のあるものであった。
「スケスケの実!!!」
彼が昔から食べたかった悪魔の実であるスケスケの実であった。
図鑑で見たのだから、知っている。
だが、時はすでに遅し。
彼女はすでに食べてしまったのだった。
「なんでスケスケの実がこんなところにあるんだよ…。」
それもそのはず、彼はその能力者をすでに過去に見たのであった。
支援のごとく!
世の中で同じ能力者はいないと言われていたのにどうしておなじ実があるのかと彼は思った。
いずれにしても彼女と接触する必要がある。
実の事もあるし、守らなければいけないというのもあるからだ。
そして彼は彼女のところへと向かった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「言いたいことがあるんだが…」
先にサンジが彼女に話す。
「く…くるな! 私はお前になんかに殺されないぞ!」
少しずつ後ろに下がるナギ。
やはり彼女は彼の事を怖がっているようだった。
「いや…俺は殺し合いに乗ってない。 証拠にほら。」
彼は自分の持っているデイパックを置くと、手を上げた。
そしてその瞬間、彼女は自分の姿を消し、逃げていた。
「本当に消えているみたいだ! やっぱりあの実はすごいんだな!
しかし、あいつどっかで見たような気がするのだが…まあ、いっか。 今は逃げるのが先だ。」
こうして、彼女は旅館の外へと出て行った。
一方サンジの方はというと…
支援
しえん
どうした?
まさかさるさん?
268 :
代理投下:2009/04/12(日) 14:26:53 ID:ZkN9J8rv
「油断した…。」
サンジはデイパックを持つと、旅館の出口へと向かった。
彼女はきっと外へと逃げているに違いないと思ったからだ。
「やはり殺し合いに乗っていなかったようだった。 しかし、あのままにしておくと、いつか溺れて死ぬかもしれない。 その前に俺が注意しなければ…! 」
旅館の戸を開け、外へと出ると、彼女はそこにいた。
ナギは運動神経がまったくよくなく、50m走っただけでも疲れる人であった。
そんな彼女がここまで走ってこれたのはまさに奇跡であった。
だが、やはり疲れきっていたようだった。
「大丈夫かよ?」
サンジが彼女に話す。
「もう来たのか!」
ナギは最後の力を振り絞り、逃げようとする。
だが、サンジが彼女の手を押さえる。
「触るな・・・! 今すぐ私を逃がしてくれ!」
「だから俺は殺し合いに乗ってないし…」
「嘘をつけ!」
「本当だ。」
ナギが彼を見ると、彼は真剣な表情で見ていた。
それを見る限り、決して悪そうな人ではなさそうだった。
「守ってくれるんだな?」
sienn
270 :
代理投下:2009/04/12(日) 14:27:45 ID:ZkN9J8rv
「…え?」
「私を守ってくれるんだな?」
「ああ。 どんな怪物がきても守ってやるよ。」
「それなら…一緒に行動してもいいぞ。」
誤解が解けて、新たなペアが結成された瞬間であった。
【G-8/旅館付近/1日目 深夜】
【三千院ナギ@ハヤテのごとく!】
[状態]:疲労(大)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、ノートパソコン@現実
[思考・備考]
1:ハヤテ達を探す。
2:しょうがないので目の前の人と行動することにする。
【サンジ@ONE PIECE】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、不明支給品1〜3
[思考・備考]
1:ナミなどの仲間を探し、守る。
2:目の前の人と行動する。
3;どうしてスケスケの実があったんだ…?
【スケスケの実@ONE PIECE】
自分の体、およびその体に触れた物を透明にする。
なお、触れたものだけなど一部だけを透明にする事も可能。
ただし、透明になる時間は限られている。
原作ではアブサロムがその能力者。
【ノートパソコン@現実】
バトロワではお馴染みのアイテム。
中には参加者のデータとかが入っているかも…?
271 :
代理投下:2009/04/12(日) 14:28:36 ID:ZkN9J8rv
代理投下終わり
さるが原因のようです
投下&代理投下乙です!
ナギが能力者になるとはwww
サンジがんばれ超がんばれ
273 :
代理投下:2009/04/12(日) 14:31:02 ID:ZkN9J8rv
5 : ◆/mnV9HOTlc:2009/04/12(日) 14:27:15 ID:QeyRIrMg0
不安はありまくりですが、一応投下終了です!
半角なのに、全角で打ってたのでああいう鳥になってしまったんですね。
タイトルは「ハヤテ…改め ナギのごとく!」です。
これで本当に終わり
てっきりあのまま別れてどこかで殺されるフラグ立ったと思ったが合流出来てよかった
頼もしいナイト、いや剣士が加わりとりあえず一安心
GJです
投下乙です
スケスケの実wwwサンジ、長年の夢を惜しいとこで逃したな…
参戦時期はスリラーバーグ後でいいのかな?
ナギは参戦時期とか特に決めなくていいのか?
これは書いた本人が決めて欲しいが
別に一話で無理矢理決めなくてもよくね?
参戦時期は別に必須じゃないでしょ
必要なら、後から矛盾ない範囲で決めりゃいいんだし
アニ2には生還しても参戦時期不明だったキャラがいるしな!
ごめん。OPってどれに決まったの?
280 :
創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 15:44:01 ID:fTVqIXhP
>>275 ナギの場合別に参戦時期明記する必要もないとおもうが
ハヤテが執事になって以降なのは明確でそれから先はいつでもそれほど大きな差異はないだろ
複雑なストーリー物の場合参戦時期があやふやだと敵味方の関係が変わったりするから、早めに決めないと不味いけど
投下乙
おしい、もうすこしで透明人間になれたのになサンジw
とりあえずナギもしばらく大丈夫か?
ところで
【サンジ@ONE PIECE】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、不明支給品1〜3
[思考・備考]
1:ナミなどの仲間を探し、守る。
2:目の前の人と行動する。
3;どうしてスケスケの実があったんだ…?
とありますが、ランダム支給品の上限は2なので、wikiに乗り次第修正お願いします。
投下乙です!
記念すべき第一作目はナギとサンジかーw
そりゃあ旅館はナギには狭いだろうし、悪魔の実のデメリットも特に気にしなさそうだw
パソコンにはどんなデータが入っているのかは今後気になるところー。
それでは完成したので紅煉を投下します。
昔、促影(そくえい)という一人の盗人が居た。
中国の三国時代と呼ばれる頃。
様々な妖(バケモノ)が蔓延った、何千年も前の事だ。
その男は元は農夫であった。
しかし、戦争に駆り出されている内に戦いを覚えた。
更に覚えた事は、戦場で死体から金目のものを剥ぐことであった。
金目のものならなんでも良かった。
己の手に入るのであれば、人を殺す事も厭わなかった。
命からがら助けを願ってきた者でも関係ない。
一兵卒として戦場に出陣した男だろうとも。
未だ年端もいかなかった少年兵だろうとも。
そして幼子の命だけは、と懇願した女性であろうとも。
目当てのものだけを剥ぎ取り――殺した。
殺した。
殺してやった。
笑いながら殺してやった。
殺して殺して殺して殺して殺して殺して――殺しまくった。
罪悪感はこれっぽちもない。ある筈がない。
男が抱いた感情は、胸が張り裂けそうな程の喜びのみ。
返り血を浴びながら、只、心の底から笑っていた。
何故なら男には人の心がなかった。
金品と同じくらいに好きであったものは血液。
人間の身体に流れる、赤々しい液体に男は心を奪われた。
返り血を浴び、自分が“こしらえた”死体から流れ出るそれを見るのはなんとも楽しかった。
そうして数々の戦場を、己の欲求のままに男は渡り歩いた。
その歪んだ性格の故なのか、はたまた生きることへの強い執着のせいか。
男は生き延び、確実に己の富を増やしていった。
最早誰から取ったのかすらも判らない程に。
数十、数百以上の命を蹴落として、男は彼なりに人生を存分に謳歌した。
しかし、その生活にも変化が生じ始める。
年を重ねるたびに男の悪行は各地に知れ渡った。
官吏――現代の日本で言うならば役人のようなもの――に追われ始めた。
男の本分は死体荒らしや強奪。
多少腕に覚えがあっても、いつまでも逃げ切れる事は叶わなかった。
遂には山奥に逃げ込み、今までの罪を償う時が来た。
そう。男が“アレ”を手にする事がなければ、確実に来る筈であった。
“アレ”とは――この世に二つはない、一本の槍。
それは更には昔、一人の鍛冶師により打ちつけられたもの。
その製造に用いられた、極めて特徴的なものは強大な復讐の念。
家族全員を皆殺しにした、一匹の妖への憎悪が鍛冶師を駆り立てた。
全てをかなぐり捨てて、只、耐え切れない怒りと悲しみ
その槍は“獣の槍”と言った。
◇ ◇ ◇
「殺し合いか、いいねぇ……!」
男の低い声が響く。
憂いといった感情は見られない。
この状況を心から楽しんでいる様子だ。
確かに、気がつかぬ間にこんな場所へ送られた事は甚だしい。
だが、なにやら長々と話をしていた二人組の言っていた事はそう不快な事ではない。
殺し合いは望むところだ。寧ろ彼にとっては一種の好物とも言えるだろう。
男――いや、人ではない。
真っ黒な体色に覆われた、まるで虎と人間を足して割った風貌が闇夜に浮かぶ。
これまた漆黒の毛髪は四方へ自由気ままに伸び、鋭利な刃物にすらも見えてしまう。
髪だけではない。分厚い皮と肉に覆われた両腕の先には、鋭く研ぎ澄まされた五本の爪が伸びていた。
体色に勝るとも劣らない程にどす黒い色に染まったそれらは、思わず息を呑んでしまう程の凶悪さを秘めている。
心なしかどこか朱色が混じっているのは、きっと数多の返り血によるものだろう。
次に目を引かれるものは、顎元から天に向かって貫いている三本の刃だ。
それら三本は零刀と呼ばれ、彼に多くの血を見せた。
燃えるように、全てを焼き尽くすかのような赤を纏った、虎の両眼を持つ彼は正真正銘の化けものと言える。
しかし、彼もまた以前は人間であった。
何千年も昔、彼にも人間の名前があった。
その名は――促影と言った。
「オレを楽しませてくれるヤツが居ればおもしれぇんだがな。
まあ、ガキ共を喰っちまうのもいいんだけどよぉ。
そうだな、親切心で言ってやらぁ――」
獣の槍を手に入れた促影は、妖共との闘いに明け暮れた。
当時、妖は人里に降り、人間達に災いを齎す事が度々あった。
故に促影はそこにつけ込む。
強大な力を誇り、易々と妖共を殺すことが出来る獣の槍を持つ、己の力を村人に売りつけた。
必要以上に多い要求であったが、彼らも身の危険は顧みる事が出来ない。
そして村人からの報酬は魅力的であり、促影は取り敢えずは盗みを止めた。
だが、次第に促影の目的は変わっていった。
報酬を目当てにするのではなく、只、単純に殺すことを。
人間よりもよっぽど手ごたえのある妖怪を己の力で殺す事に。
快感だった。
人間を殺すのもいいが、それ以上の喜びがそこにあった。
人間達が恐れる妖を自分が殺す。
一思いに殺すのではなく、散々痛めつけ、恐怖を焼きつかせながら殺す。
強い力を持っている筈の妖が自分に助けを請う。
その情けない顔を眺めながら、殺してやるのがどうしようもない程に楽しかった。
獣の槍を妖怪の肉に突き刺す度に確信が強まった。
自分は何者にも負けない。自分を殺せる奴など居ない。
自信が深まる程に、喜びで頭がどうにかなってしまいそうだった。
しかし、獣の槍は特殊な槍であった。
強大な陰の気から生まれた妖――白面の者を殺す為だけに造られた獣の槍は使用者を蝕む。
使い続ければ字伏と呼ばれる、虎の妖に変貌させ、やがてその人間を石すらにも変えてしまう。
当然、促影の場合も同じであった。
段々と獣の槍の力に取りつかれ、徐々に促影の身体は変貌を遂げていった。
獣の槍の力が手放せずに、促影は身も心も完全に妖へと成り果てた。
黒く、どす黒い黒色の妖に――今楽しそうに口を開いている、そいつと同じ姿に。
そう。現在の促影はとびきり凶暴な字伏。
彼の新しい名前は――紅煉(ぐれん)。
「死にたくなけりゃ精々逃げ回れや、人間ども! この紅煉からなぁッ!!」
そして石化現象までも進んだ彼は、その邪悪な心を買われて白面の者の配下となった。
白面の者を倒す事だけを目的とした獣の槍を使っていたが、そんな事は関係ない。
紅煉は只、妖を殺せるために獣の槍を使っていただけに過ぎない。
石のまま動けない状態であった自分を、五体満足のまま蘇らせる。
代わりに人間共や白面を倒すために復活する字伏達を殺せ。
更には三本の零刀、新たな力すらも与えると言った。
乗らないわけがない。
紅煉は喜んで白面の者に協力し、多くの人間と字伏を殺しまわった。
その道中で一人の中国人の妻子を喰らった事は実に愉快だった。
あの時故意に逃がしてやった男は初めの場所に確かに居た。
確か“?(ひょう)”といった男だ。
人間のくせに、自分に手傷を喰らわせてくれたあいつは面白い。
どうせなら自分の手で殺してやりたいものだ。
思わず舌舐めずりをし、何処かに居る獲物を脳裏に浮かべ、同時に思う。
どうせならこの状況を楽しんでやろう――と。
一つだけ気がかりな事があったが、それもどうやら問題はないようだ。
この殺し合いとやらに呼ばれる前、紅煉は白面とは別行動を取っていた。
未だに白面の者からの呼び出しがない事を考えると、今は自分の力は必要ないらしい。
どちらにしろ此処をどうやって抜け出すかは紅煉には判らず、そもそもそんな気もない。
しかし、白面のお陰で蘇る事が出来たという事もあり、指示に従うことはそれ程苦行と言うわけでもない。
自分が必要な時は、自分の力を貸す必要だだと同じ事。
即ち、思う存分に人間や他の妖を喰らい殺すことが出来るのだ。
要は自由気ままに殺すことさえ出来れば、紅煉の欲求は満たされる。
だが、きっとあの白面の事だ。
何かあれば、先程の二人を喰い殺してでも、迎えに来るに違いない。
まあ、どうせなら十分に楽しみ終えた後が良いのだが。
そう呑気に思えるのは、自分の力に絶大な自信を持っている所以によるもの。
両腕の爪を愛おしそうに舐め回す紅煉には、なんとも言えぬ恐ろしさがあった。
「さぁーて……そろそろ行くか」
やがて紅煉は動く。
ゴキゴキと、関節を鳴らしながら、自分の欲望を存分に満たす為に。
特に目的地は定めず、手頃な得物が居ないか。
只、それだけを求めるために――紅煉は大空を飛ぶ。
「殺して殺して殺して殺して殺して――殺しまくってやるぜ!!」
狂っているとしか思えない言葉の羅列が木霊する。
少しも隠そうともしない悪意が周囲へ満ちる。
他の参加者へ、恐怖に塗れた死を突きつけてやるためにも。
「ははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!」
紅煉は意気揚揚と殺し合いに乗り出した。
【C-3/中心部/深夜】
【紅煉@うしおととら】
[状態]: 健康
[服装]:
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、不明支給品1〜2個(未確認)
[思考]
1: 他の参加者を皆殺しに、殺し合いとやらを楽しむ。
2: ひょうは自分の手で殺したい
[備考]
※参戦時期は原作32巻、?との最終決戦以前の時期。
※ひょうの存在はOPの場所で確認しました。うしおやとらなどは未だ未確認です。
※何処へ向かうかは次の方にお任せします。
投下終了しましたが早速報告を。
>>288の?はひょう@うしおととらの事です。
やはり文字が……wikiに収録された時に修正しますね。
では何かあればご指摘などお願いします。
投下乙です
原作の雰囲気というか紅煉の雰囲気そのまんま出てるな
ロワはこいつにとってはまさにパラライスだろうな
よくここまで書いてくれましたGJ
投下乙です。
紅煉がやばい……こいつにロワは似合いすぎだw
あのやばい雰囲気がかなり伝わってきました、GJです。
さて、ガッツとブラック・ジャックが出来上がりましたので、投下いたします。
「……ふざけたマネをしやがって……!!」
人気がまるで感じられぬ、静かな競技場の一室。
隻眼隻腕の黒い剣士―――ガッツは、自らに殺し合えと告げた者達へと怒りを露にした。
強敵ガニシュカを退け、目的地たる妖精郷へと船を出せると思っていた矢先の拉致。
ようやく見えた光明を潰され、挙句の果てには殺しあえと告げられ……これで怒りを抑えろというのが無理な話だろう。
「何が目的かは知らねぇが……覚悟は出来てんだろうな……!!」
相手が何者であるか、何が目的であるか。
そんな至極当然の疑問も、今のガッツにとってはどうでもいいことであった。
あるのはただ一つ。
例えどの様な事があろうと、主催者をこの手で完全に叩き潰す。
そして、待っている仲間達の下へと帰る。
その強い一念のみであった。
(とりあえず……まずは、武器をどうにかしないとな)
自らの方針を固めたガッツがまず最初に取った行動は、支給品の確認であった。
彼はこの場に立たされた時、これまで身に着けていた武具の全てを奪われていた。
愛剣のドラゴンころしは勿論、左手の義手に仕込んだ矢や火砲、更には狂戦士の甲冑までもだ。
いかに超人的な身体能力を持つガッツといえど、丸腰では流石に戦うことは出来ない。
傍らに置かれているデイパックを開け、中を覗き込んでみる。
(水と食料、ランタンに地図……こいつは名簿か?
もしかすると知っている奴がいるかもしれねぇし、後で確認する必要があるな……ん?)
基本的な支給品の下に、黒光りする何かが埋もれているのを見つける。
ガッツはもしやと思い、それに手を伸ばして引っ張り出し……その全体像を見て、微かな笑みを浮かべる。
(……面白ぇもんが入ってるじゃねぇか)
ガッツが手にしたのは、ドラゴンころしにも匹敵するであろう全長を誇る、巨大なノコギリ刀であった。
同伴されていた説明書によると、その名は『キリバチ』……アーロンという海賊が用いていた得物との事だ。
よくもまあ、こんなものがデイパックの中に納まっていたものだ。
そう思いつつ、ガッツは柄を握り締めて軽く素振りをしてみようとする。
――――――その時だった。
「誰か、そこにいるのか?」
「――――ッ!!」
突然、部屋の外から己を呼ぶ声が聞こえてきた。
ガッツはとっさに扉の方へと向き直り、声の主を警戒。
いつでも跳びかかれるよう、僅かに距離を離して相手の出方を伺う。
「……誰だ?」
「そう警戒しなくてもいい……と言うのは、流石にこの状況じゃ無理な話だな。
私はこの殺し合いには乗っていないが、君はどうなんだ?」
「生憎、俺もあんな連中の思い通りになるつもりはねぇが……
あんたが、本当に乗っていないって証拠はあんのか?」
「それはお互い様じゃないか?」
「ハッ……確かにな」
ドア越しに、互いの事を苦笑し合う。
この状況で相手を疑うのは、そのまま自分を疑ってくれと言っているようなものだ。
そしてそれが正しいと判断する材料も無ければ、その逆もまた然り。
ならば、こうして姿も見ずに問答を続けるのは馬鹿げた話だろう。
「いいぜ、入りな。
お互いにおかしなマネをすれば、その時は遠慮なく切り倒すって条件付だがよ」
「ああ、それじゃあ失礼しようか」
返事と共に、声の主はドアを開いた。
ガッツは相変わらずキリバチを構えたまま、その人物を出迎えた。
「私はブラック・ジャックという者だ。
疑う様なマネをしてすまなかったな」
「気にするな、寧ろあれは当然の行動だ。
俺はガッツだ、宜しく頼む」
その男―――ブラック・ジャックは挨拶をすると共に、左手に握り締めていた投げナイフをコートの内ポケットにしまい込む。
そして、無手となった左手をガッツへと差し出してきた。
友好の握手というわけだろう、ガッツもキリバチを置いてそれに応えようとするが、ふと寸前で手を引っ込めてしまった。
「どうした、まだ疑っているのか?」
「いや、そうじゃねぇ。
悪いが俺の左手は義手なんでな、それじゃあ失礼だろ?」
「ああ、そういう事か。
それはすまないな」
ガッツの気持ちを察し、ブラック・ジャックも左手を引いて代わりに右手を差し出す。
これにはガッツも素直に応じ、その手を握り締めた。
互いに空いている手で何かを仕掛けようという様子も無く、どうやら殺し合いに乗っていないというのは信じてもいいと判断する。
ようやく緊張が解け、ここで二人は軽い溜息を着いた。
「しかし、隻腕に隻眼か……顔や手の疵からして、体の方も結構な様子らしいな?」
「ああ、そうだが……よく分かったな。
同じ身の上だからってとこか?」
二人がお互いの姿を見て最初に思ったのは、『自分達はよく似ている』という事だった。
身に纏う衣服は、共通して黒。
同じく黒いその頭髪には、正反対の白髪が混じっている。
そして何よりも、互いの肉体だ。
ガッツは隻眼隻腕という重傷に加え、体中の至る所に癒えぬ傷痕が残されている。
襲い来る数多くの使徒や、自らが扱う狂戦士の甲冑により付けられた、今日まで生きてこれたのが不思議な程の重傷だ。
一方ブラック・ジャックはというと、ガッツの様なハンデキャップこそ無いものの、その全身はやはり同様だった。
幼少時に遭遇した不発弾事故が原因による、無数の手術跡が彼の肉体にはある。
その最たるものと言えるのが、左右で色が違う顔面の皮膚だろう。
――――――こうも共通点が多い相手に、よく出会えたものだ。
二人とも、この事実には苦笑せざるを得なかった。
「それもあるが、私は医者なのでね。
職業柄というものさ」
「へぇ、医者か……そいつは頼もしい相手に出会えたもんだな」
ブラック・ジャックが医師であるという事に、ガッツは少々の安心を覚えた。
この舞台では、いつどの様な傷を負うかは分からない。
故に、もしもの時に治療が行えるか否かでは、身の振り方が大きく違ってくる。
その為、ブラック・ジャックと行動を共にできれば、それは大きなアベレージとなる。
――――――しかしこの時、ガッツはある重要な事実を失念していた。
「……いや。
残念ながら今の私では、大した事は出来ないだろう」
「何……?」
確かに医師であるブラック・ジャックには治療行為が出来る。
しかし『今の』彼には、それをするのには致命的に足りないものがあるのだ。
ガッツはそんな彼の言葉について、しばし考え、そして数秒程して答えに辿り着く。
「そうか……薬も道具もないんじゃ、どうしようもねぇな」
「ああ……今の私にあるのといえば、この投げナイフぐらいだよ」
ブラック・ジャックは、常備している全ての医療道具を没収されていたのだ。
メスやハサミは言うまでもなく、薬も使い方次第では毒になりうる。
殺し合いに利用させる為、他の誰かへと支給させたのだろう。
そして、ブラック・ジャックにはその代わりとして、投げナイフが何本か支給された。
これで出来ることといえば、精々ランタンの火を利用して傷口を焼き塞ぐ事ぐらいだ。
「ガッツ、君はこれからの行動について何か定めている方針はあるか?」
「方針か……この殺し合いを開きやがった奴を叩きのめすのは当然として、これからどうするかは、特に考えてねぇな」
「そうか……それなら、すまないが少し私に付き合ってはもらえないか?
向かいたい場所があるんだ」
ブラック・ジャックはデイパックから地図を取り出し、ある場所を指差した。
それは彼にとって、必要な物資を入手できる貴重な施設であり、ガッツもその意図をすぐに察した。
「成る程、病院か……確かにここなら、薬なり包帯なり揃っていそうだな」
「ああ、人もそれなりに集まりやすい場所だ。
誰かと接触できれば、何かしらの情報も収集できるだろう……引き受けてはもらえるか?」
ブラック・ジャックは、病院を目指すつもりでいた。
目的は二つ、治療道具の入手並びに他の参加者との接触。
後者はこの殺し合いをどうにかする為。
そして前者は、治療行為をいつでも行えるようにする為だ。
この舞台では、誰がいつ致命的な傷を負うかは分からない。
一介の医師として、彼はそれを見逃す訳にはいかなかった。
言うなれば、これは医師としての使命感だろう。
「いいぜ、断る理由もねぇ」
ガッツはこの頼みを承諾する。
デメリットは一切無い、彼にとっても得な話だ。
これで、今後の方針は定まった。
「よし……それじゃあ、早速行くとしようか?」
行動は早い方がいい。
二人は部屋を出て、競技場の出口へと足を運ぼうとする……が。
その最中、ふとガッツが何かに気がついた。
「あ……ちょっと待ってくれねぇか?」
「構わないが、どうしたんだ?」
「いや、つい忘れていたんだがな……名簿をまだ確認してなかった。
もしかすると、俺の仲間がいるかもしれねぇんでな」
「名簿か……そういえば、私もまだだったな。
ここは早速、確認してみるとするか」
ガッツは、自分が名簿を確認していなかった事を思い出した。
ブラック・ジャックも同様であり、二人はデイパックから名簿を取り出す。
もしかすれば、誰か知り合いがいるかもしれない。
二人は名簿を開き、そこに書かれている名へと目を走らせる。
□◇□
(何だと……キリコがここにいるのか……!?)
――――ドクターキリコ。
ブラック・ジャックは、意外な人物の名があった事に驚きを隠せなかった。
彼はブラック・ジャックも認める程の腕を持つ医師であるが、同時にブラック・ジャックにとっては、決して相容れぬ存在でもあった。
その理由は、二人の在り方が対極にある事だ。
仮に、彼等の前に助かる見込みが限りなく薄い患者が一人いるとしよう。
ここでブラック・ジャックは、患者の命を繋ごうと懸命の努力をする。
しかしキリコは、苦しみが長引くのは嫌だと患者が望んだならば、その命を苦痛なく絶つ。
俗に言う、安楽死・尊厳死を選ぶのだ。
(……奴は殺し合いに乗るようなマネはしないだろう。
だが、もしも重傷を負った者と出会うようなことになれば……)
キリコは、その手で重傷者を安楽死させかねない。
もっとも、相手がそれを望んだならばという条件はあるが……非日常的なこの舞台では、精神的に参る者が確実に出てくる。
そうなれば、その者はキリコの誘いを容易に承諾しかねない。
ブラック・ジャックとして、それは許せぬ事だ。
例え助かる見込みが限りなくゼロに近くとも、ゼロでない限り、人は生きられるかもしれないのだ。
規制っぽいな
304 :
代理投下:2009/04/12(日) 21:20:34 ID:RZPosd/l
(……キリコも、必要な道具は確実に奪われている。
だとすれば、何処か医療設備のある施設かで出会える可能性は高いな……)
キリコも恐らくは、治療と安楽死に必要な道具を調達に走るだろう。
ならばこのまま病院を目指していれば、そこで出会える可能性がある。
彼に安楽死をさせるわけにはいかない。
ブラック・ジャックは、この事をガッツへ告げようとして振り向く……しかし。
「……ガッツ……?」
ガッツの様子がおかしい。
彼は目を大きく見開き、驚愕の表情で名簿を覗き込んでいる。
それは、キリコの名を見たブラック・ジャックよりも更に酷い反応であった。
余程の人物が名簿に載っていない限り、起こりえない反応。
――――――そう、余程の人物が載っていたのだ。
「……おい……どういうことだよ、こいつは……ッ!!」
やがてその表情は、憤怒が入り混じったものへと変質する。
―――彼にとって、誰よりも憎むべき名がそこにはあった。
―――彼にとって、誰よりも倒すべき名がそこにはあった。
―――彼にとって、全ての発端と言える人物の名がそこにはあった。
305 :
代理投下:2009/04/12(日) 21:21:17 ID:RZPosd/l
「何でテメェがいやがんだ……グリフィスッッッッッッ!!!!」
――――――ガッツの最大の宿敵、グリフィスの名がそこにはあった。
【B-5/競技場内/深夜】
【ガッツ@ベルセルク】
[状態]:健康
[装備]:キリバチ@ワンピース
[道具]:基本支給品一式、不明支給品1個(未確認)
[思考]
基本:殺し合いの主催者を叩き潰し、仲間の下へ帰る
1:グリフィス……!?
2:ブラック・ジャックと共に病院を目指す
[備考]
※原作32巻、ゾッドと共にガニシュカを撃退した後からの参戦です。
※左手の義手に仕込まれた火砲と矢、身に着けていた狂戦士の甲冑は没収されています。
【キリバチ@ワンピース】
魚人海賊団の団長アーロンが扱っていた、巨大なノコギリ刀。
その全長はアーロンの身の丈程ある(恐らくは2メートル程度)。
【ブラック・ジャック@ブラック・ジャック】
[状態]:健康
[装備]:ヒューズの投げナイフ(10/10)@鋼の錬金術師
[道具]:基本支給品一式
[思考]
基本:主催者を止め、会場から脱出する。
1:ガッツの驚き様に戸惑っている
2:ガッツと共に病院を目指し、医療器具を入手する。
3:キリコと合流し、彼が安楽死をせぬ様に見張る。
[備考]
※コートに仕込んでいるメス等の手術道具は、全て没収されています。
【ヒューズの投げナイフ@鋼の錬金術師】
マース・ヒューズ中佐が愛用していた投げナイフ。
掌に収まるほどの小さなサイズだが、刃には十分な鋭さがある。
306 :
代理投下:2009/04/12(日) 21:27:58 ID:RZPosd/l
:二人の黒い疵男 ◆AO7VTfSi26:2009/04/12(日) 20:45:08 ID:z9PHLzQY0
以上、投下終了です。
ガッツの性格が丸く感じられるかもしれませんが、イシドロ達と出会った後ということで、この様になりました。
代理投下終了!
投下乙でした!
確かにどこか似たような二人組だなーw
最初の接触シーンが緊張感があり、ドキドキしました!
ガッツの戦闘力とブラックジャックの頭脳、なかなかバランスが取れていそうな組み合わせのような気が。
ですがちょっと言いにくい指摘が。
二人が名簿を見ているシーンがありますが、名簿は第一回放送が終わった後に読めるとOPに書いてあります。
なので何らかの修正が必要になってくるのではないかと思います……。
OPの会場でチラ見した、とかでもいいんじゃないかな
もしくは支給品で参加者の顔写真セットとか
おつ
>>307 顔写真セットはやめた方がいいかも。
情報集まりまくって書くときに大変なことになったとこもあるし。
ガッツにだけ完成版の名簿が支給されてたとかは?
ムルムルだったらそのくらいのミスしそう。
>>307 原作通りと仮定して、OPでも影でよく見えないって描写だからチラ見も難かしそう
紅練も言票に気付いてるけどあっちは匂いとか霊力とか都合つけれるけどこっちはどうしたものか
代理投下、ありがとうございます。
名簿の事はこちらの完全な見落としでした。
なので規制も解けましたし、その部分に関して修正したものを作成いたしましたので、
これよりそこだけ投下をいたします。
「よし……それじゃあ、早速行くとしようか?」
行動は早い方がいい。
二人は部屋を出て、競技場の出口へと足を運ぼうとする……が。
その最中、ふとガッツが何かに気がついた。
「あ……ちょっと待ってくれねぇか?」
「構わないが、どうしたんだ?」
「いや、つい忘れていたんだがな……名簿をまだ確認してなかったんでな」
「名簿か……そういえば、私もまだだったな。
確かあの連中は、最初の放送が終わってからやっと見えると言っていたが……」
二人は、自分達がまだ名簿を見ていないことを思い出し、取り出してみる。
もっともゲームが始まって間もない今の時点では、名簿はただの白紙でしかない。
ならば見ても意味がないのではないか、そう言われると……答えは否である。
「最初の放送か……特殊な薬品か何かを使って、時間が経てば浮き出るような仕組みか?」
「さあな……俺には、そういうのはさっぱり分からねぇ。
けど気になるのが、どうして最初から名前を書かねぇのかって事だよな」
「ああ、それがどうにも引っかかっているんだ」
名簿が白紙であるという事実、それ自体に何かが隠されているのではないかと二人には思えたからだ。
ブラック・ジャックは名簿を細かく見てみるが、少なくとも肉眼では、薬品等が使われている痕跡は見られない。
これに関しては、最初の放送とやらを待つ以外に確かめる方法は恐らく無いだろう。
そして、それ以上に二人にとって引っかかっていたのが、何故最初から名前を記さないのかということであった。
態々、こんな面倒な形をとる必要が何故あったのか。
「……殺し合いを促進させる為か?」
「ありえるな。
後になって大事な連中が参加してるって分かれば、混乱しちまう奴が確実に出てきかねねぇ」
これについては、殺し合いを促進させるのが目的ではないかと推測できる。
最初から教えるよりも後になって発覚させた方が、参加者にかけられる心理的揺さぶりは大きくなる。
実に手の込んだ真似をしてくれる……二人は主催者に対し、軽い溜息を着いた。
「ブラック・ジャック、あの広場にあんたの知り合いはいたか?」
「いや、生憎ながら呆気に取られて確認が出来なかった。
君も同じか?」
「ああ……全く、厄介な事になりそうだぜ」
二人とも、自分達の知り合いが参加できていたかどうかを、広場では確認する事ができなかった。
全ては第一放送を待つしかない……不安の残る形ではあるが、ここで悩んでいても仕方が無い。
二人は名簿をしまい、歩みを再開させた。
――――――この時、二人は思ってもみなかっただろう。
――――――黒い医師には、対極に当たる信念を持つもう一人の医師がいることを。
――――――黒い剣士には、最も憎むべき最大の宿敵がいることを。
――――――この会場には、それぞれに決して相容れぬ存在がいる事を。
【B-5/競技場内/深夜】
【ガッツ@ベルセルク】
[状態]:健康
[装備]:キリバチ@ワンピース
[道具]:基本支給品一式、不明支給品1個(未確認)
[思考]
基本:殺し合いの主催者を叩き潰し、仲間の下へ帰る
1:ブラック・ジャックと共に病院を目指す
[備考]
※原作32巻、ゾッドと共にガニシュカを撃退した後からの参戦です。
※左手の義手に仕込まれた火砲と矢、身に着けていた狂戦士の甲冑は没収されています。
【キリバチ@ワンピース】
魚人海賊団の団長アーロンが扱っていた、巨大なノコギリ刀。
その全長はアーロンの身の丈程ある(恐らくは2メートル程度)。
【ブラック・ジャック@ブラック・ジャック】
[状態]:健康
[装備]:ヒューズの投げナイフ(10/10)@鋼の錬金術師
[道具]:基本支給品一式
[思考]
基本:主催者を止め、会場から脱出する。
1:ガッツと共に病院を目指し、医療器具を入手する。
[備考]
※コートに仕込んでいるメス等の手術道具は、全て没収されています。
【ヒューズの投げナイフ@鋼の錬金術師】
マース・ヒューズ中佐が愛用していた投げナイフ。
掌に収まるほどの小さなサイズだが、刃には十分な鋭さがある。
以上、修正部分投下終了です。
ご迷惑をおかけして、申し訳ありませんでした。
投下乙です
イシドロらと組んでる時期のガッツとはジャックは運がいいかな?
さばけてる所とか似てるこの二人は名コンビとなるのか?
名簿は最初は白紙か。お互い因縁深い相手もロワに参加してると知った時はどうなるか
病院はロワではロクな出来事しか起こらなかったが今回はどうなるか?
修正も含めてご苦労様です
投下乙です。
意外な組み合わせと思ってたけど、確かに似てるなぁ、この二人。
では、一応自分もパック&ひょうさん投下します。
なんかいろいろ被ってる気がしますが…流れ的にちょうどいいので。
夜の闇の中に、真っ黒な男が立っている。
佇まいからして普通ではない事が伝わってくるようだった。
黒い帽子に黒いスーツ、靴、髪…合間に見える肌の色以外、全てが黒かった。
細く鋭い眼光が、周囲を見渡す。
周囲は闇。灯の類は見当たらない。森の中か何かだろうか。目が慣れていない状態では何も見えない。
だが男の蒼い右目は、その違和感を見逃さなかった。
「…妖精か。」
「あれ、オレが見えるの?」
男の目が捉えた違和感、それは空中をゆらゆらと、遊覧飛行のように飛び回る小さな光。
そこには人形のように小さな体に、昆虫のような小さな羽根を携えた「生物」が浮いていた。
「この右目は『浄眼』と呼ばれ、あらゆるあやかしを見通すことができる。さすがにお前の様な妖精を見るのは初めてだがな。」
そう言うと男はスタスタと空中に浮かぶ「生物」に近づく。
「わー!ちょっと待った!別に悪さしようなんて思ってるわけじゃないって! 善良でかわいいただのエルフだってば!!」
妖精であるというソレはわめき散らす。
男は構うことなく手を伸ばし、見事に妖精を捕まえた。
「ぎゃーー!エルフ殺し!ば、バチがあたるぞォ!」
「大声を出すな、死にたいのか。」
涙ながらに抵抗する妖精とは対照的に、男は冷静に言葉を放った。
「貴様もあの場で、あの娘の話を聞いたのだろう?」
「ふぇ?あぁ、さっきのアレ?うん、聞いたけど…」
男の右手に捕らえられつつも、妖精は相手がいきなり何かをしてくるわけではないと気がつき、少し落ち着いて答える。
「オレにもよくわかんないけどさ、おじさんもこれに巻き込まれたの?」
「そういう事だ。わかるだろう。周辺に危険な人間がいれば呼び寄せるかもしれんぞ。」
そう言われ妖精はハッと両手で口を塞いだ。その可能性は考えていなかったらしい。
今度は小声で話しかけてきた。
「…もしかして、俺を殺す気?」
「お前次第だな。」
冷たい返答に、妖精はがっくりとうなだれ、しかしすぐに顔を上げ、暴れて叫びだす。
「やれるもんならやってみろォ!その時はエ、エルフ次元流が火を吹く…」
「静かにしろ。私の質問に対する答え次第だ。お前、目に隈取のある、長い髪の化け物を知らないか?」
ぎゅう、と握り締められ、ぐぇぇ、と妖精が妖精らしからぬ呻き声をあげる。
「じ、じらないよォ…」
「そうか。」
ぱっ、と今度はあっさりと手が開かれ、不意に開放された妖精は地面に落下した。
「ぷぎゃっ!」
またしてもらしからぬ声をあげ墜落する。
男の方はもう興味はないというように近くの石に腰掛け、荷物の確認を始めていた。
あっさり信じてもらえたのはいいが、扱いに不満がある。
頭をこすりながら妖精は体を起こし、勢いよく飛び上がると両手を振り上げて抗議を始めた。
「なんだよォ!ちゃんと答えてやったのにその態度!」
「だから殺しはしなかったろう。」
妖精の抗議を流しつつ、男はかばんの中からランタンを取り出した。
「灯は…危険かもしれんな。お前もあまり光っていると目立つぞ。」
その言葉に、妖精ははっとして周囲を見渡すと、そろそろと男の方に近づいていく。
心なしか、頭身が縮んだように見える。
「ね、ねぇねぇ…これ、本当に殺し合いなのかな?」
「わからん。見た事も無い奴らだったが、この首輪のこともあるし、嘘だと考えて行動するには少々危険だろう。」
先ほどまで目の前に迫った危険ですっかり忘れていたが、妖精はどこかの大広間で行われた説明を思い出していた。
「どの道、私のすることは変わらない。化け物の存在を禁ずる。それだけだ。」
自分もある意味化け物に属する為、むっとした表情を浮かべる妖精。
「じゃあなんでオレは殺さないのさ。」
「依頼も受けていない、私が狙う化け物でもない。…子供を喰うようにも見えない。だからだ。」
暗くて男の表情は見えないが、なんだか先ほどまでとは声色が違う気がした。
「さっきも聞かれたけどさ、なんでその化け物探してるの?」
「お前に話す必要は無い。」
無愛想な男に妖精はちぇーと口を尖らせ、手を頭の後ろで組んだ。
「あ、オレはパックって言うんだ。おじさんは?」
「…ひょうという。字だ、本名は捨てた。」
荷物の確認を済ませると、ひょうはパックに顔を向けた。
「…なに?」
「私はこれから人を探す。あの場で知った声を聞いた。いることは間違いないだろう。」
「あの場でって…もしかして…」
「詮索は無用だ。」
言われるまでも無い。あの説明の時の喧騒の中で、確実に知り合いだと判断できた声なんて限られている。
そのほとんどは、悲劇に巻き込まれた声だった。
「それで、会ってどうするのさ。」
「情報を交換し、場合によっては同行する。」
「その後は?」
「人を襲う化け物がいれば、それを殺して糧を得るのが符術師だ。先ほども言ったが、それはここでも変わらん。
…それに、このような下卑た事を考える輩に心当たりが無いわけでもない。もしかすると…」
そこで一瞬顔を伏せたひょうに浮かんだ表情は、暗闇でありながらなぜかはっきりと見えた気がした。
背筋に冷たいものが走るのを感じる。
「私が探す化け物もここにいるかもしれん。ヤツを倒せるなら、この場で朽ち果てようと構わん。どんな手段を使ってでも…」
笑み、ともとれた。しかし幸せだとか、楽しさなんて微塵も感じさせない、凄まじい憎悪の表情。
「必ずその存在を滅してやる……!」
見覚えのある表情だった。だからこそ、パックにはすぐにそれとわかった。
この男は、復讐者だ。
「お前はどうする?」
表情を戻し、ひょうが尋ねてきた。腕を組み、うーんと首をひねるパック。その様子は、人間以上に人間らしかった。
「オレは知り合いがいるかどうかわかんないんだけどさ…とりあえずおじさんについていこうかな。1人でいるのもヤダし…」
「生憎と、守ってやるほどお人よしでもないぞ。」
別にぃ、そんな目的じゃないよ、と呟き、パックは飛び上がった。
「オレの燐粉って怪我の治療ができるんだ。役に立つだろ?」
どうやら本気でついてくるつもりのようだと判断し、別に追い返す理由も浮かばなかったひょうは無言で立ち上がった。
右肩からタスキのように何かを巻いている。
「なにそれ?」
「私の支給品に付いていた。普段使う武器に似ているのでな、使わせてもらう。」
それはナイフの収められたベルトのようなものだった。
タスキのように肩に掛ける部分と、腰に巻く部分が繋がっている。腰のベルトには短刀と鞄がついていた。
それを見て、パックはため息をつく。なんとか律とかいうやつだろうか。これは間違いなく、あいつの持ち物だ。
「なんだ?」
「べっつにぃ」
似ているんだ、この男は。
最初に見かけた時、どうして不用意に近づいてしまったのか。その理由がここにあった。
この男は相棒(向こうは相棒だなんて決して思っていないだろうが…)とよく似ている。
漆黒を身に纏い、右目を失って、ついでにフケ顔だ。だが、外見だけの問題ではない。
生きる全てを復讐に捧げた復讐者…滲み出るような殺意、憎悪…それが最大の共通点。
(危なっかしくて、なーんかほっとけないんだよなァ…)
それがパックの行動の理由だった。
相棒が見せた、復讐者としての危うい側面。それを知っているから、この男の未来にも不安を感じる。
何かが出来るからついて行くわけでもない。それは、興味なのか、思いやりなのか。あるいは別の何かか…
どこまでもおせっかいなエルフは、この殺し合いの場でも黒衣の復讐者の側にいることを選んだ。
「あ、その鞄みたいなトコ、オレの指定席だから使わせてもらうよ。」
「おい…やれやれ…」
暗闇を、奇妙な二人(?)組が行く。
【C-8/森の中/1日目 深夜】
【ひょう@うしおととら】
[状態]: 健康
[服装]:ガッツの投げナイフ(6/6)@ベルセルク 短刀@ベルセルク
[装備]:
[道具]:支給品一式 ガッツの甲冑@ベルセルク 不明支給品1つ
[思考]
1: 符術師として、人にあだなす化け物を殺す。
2: 蒼月潮を探す。場合によっては保護、協力。
3: 目に隈取のある、長い髪の化け物を見つけたら、何に変えても殺す。
4: 子供を襲うなら、人間であっても容赦はしない。
[備考]
※ガッツの甲冑@ベルセルクは現在投げナイフと鞄と短刀がついたベルトのみ装備。甲冑部分はデイバックの中です。
※参戦時期は少なくとも潮を知っている状態です。とら、紅蓮についてどこまで知っているかは、後の書き手さんにお任せします。
【ガッツの甲冑@ベルセルク】
オフィシャルページの甲冑考察の「黒い剣士V」、つまり断罪の塔の頃の物です。
投げナイフ、短刀はありますが、炸裂弾が入っているかは不明。
狂戦士の甲冑ではありません。
【パック@ベルセルク】
[状態]: 健康
[服装]:
[装備]:
[道具]:支給品一式 不明支給品2つ
[思考]
1: ひょうについて行く。
2: ひょうが復讐の為に無茶をしないか気がかり。
3: アイツもいたりして…
[備考]
※浄眼や霊感に関係なくパックが見えるかどうかは、後の書き手さんにお任せします。
※参戦時期は少なくともガッツと知り合った後、ある程度事情を察している時です。
※バックの大きさはパックに合わせてあります。中身は不明。
以上です。
ひょうってどうしてもひらがな表記だとしまらないですね…
何か指摘ありましたらお願いします。
お二方とも投下乙です!
連続似た者同士コンビとはw期待
自分もあと少しで投下予定ですが、もう少し掛かるので投下したい方はお先にどうぞ。
投下乙
確かに復讐者って意味では似てるなw
これは化け物専門マーダーかマーダーキラーになるか
復讐出来たら脱出しなくてもいいか、パックが今後のカギか?
凸凹コンビの行く末に期待です
糸色望で絶望みたいに金票(ひょう)くらいしか思いつかないですね。
うしとら関連のスレだと、金票って表記が使われることもあるな
どっちにしても間抜けな感じは消えないけど
なら似た漢字を使うかカタカナにするのも手ですかね。
おのれ常用外漢字
あ、ゴルゴ13、ルフィ、ウィンリィ投下します。
「なんなのよ、これ……理不尽にもほどがあるじゃない!」
暗闇の中、先ほど起きた惨劇のショックが抜け切らず、震える少女の姿があった。
彼女の住む国の名は、アメストリス。
国家錬金術師、合成獣(キメラ)、人造人間(ホムンクルス)。
人知を超えた能力を持つ者たちが暗躍し、それに匹敵する者たちが、野望を阻止するために戦っていた。
震える彼女もまた、その争いの渦に少なからず巻き込まれた人間であった。
しかし、彼女には他と大きく違うところがある。
それはすなわち……
「死にたくないよ、エド……!!」
彼女――ウィンリィ・ロックベルは、戦闘能力など無い一般人だということだった。
「……やっぱりエドとアルの関係者だから、呼ばれたんだろうなぁ」
彼女の幼馴染、エドワード・エルリックとアルフォンス・エルリックは錬金術の禁忌『人体練成』を試みた。
その結果、エドは腕と足を一本ずつ。アルは体全てを「持っていかれた」。
体を取り戻すために旅を続けている二人は、大きな陰謀にぶち当たってしまった。
ホムンクルス、賢者の石……この殺し合いと関係あるかはウインリィにはわからないが、
「……なんだか、落ち着いてきたら腹が立ってきた」
ただ判ることは、二人が元の体に戻ることが再び遠退いたということだ。
目に浮かぶ涙を拭く。
「次に泣く時は嬉し泣きって決めてたのに……破っちゃったじゃない」
自分にできることなんて限られている。
少なくとも、あの二人に負担をかけない今できることはただ一つ。
「……歩こう。私には、立派な足がついてるんだから」
立ち止まってはいられない。
自分の死で、二人を悲しませるのだけは嫌だった。
生き残るためにはどうすればよいか考え、支給された荷物のことを思い出す。
開き、中身を確かめる。
「水に食料に、これは地図。で、名簿と……そっか、何も書いてないのね」
そういえば、放送まで白紙だと言っていたことを思い出す。
「とにかく、それまでなんとかしなきゃ……って言っても、支給品もこれじゃあね」
出てきた支給品は、黒いコートと奇妙な人形が5つ。
とてもシンプルな人形だった。悪趣味なエドの錬金物とは逆の意味で酷い。
絶望的な状況に、再び頭を抱える。
「一体どうしたら……っくしゅん!」
夜風が吹き、ウィンリィの体を冷やす。
「……違う意味で震えそう。これ以上考えても仕方ない、か」
支給品のコートを着込み、立ち上がる。
そこで、ウィンリィはその違和感に気がついた。
「このコート……妙にゴワゴワしてる」
着込んだコートは重く、はっきり言って着心地も良くなかった。
どうやらコートの内側に何か入っているらしい。
「一体何が……って」
コートを気にして左右に揺らいだウィンリィの視線の端に、人の姿が映った。
遠目からでもわかる、鋭い眼光。
ウィンリィの脳裏にキンブリーや傷の男が浮かぶ。
「ひっ……あ、あれ?」
殺される。ウィンリィがそう思った直後、男は背を向け遠ざかっていった。
「もしかして、殺し合いに乗ってない?」
それなら、話し合えるかもしれない。
虫のいい話だが、エドやアルの助けになるかもしれない。
「待っ、待ってください!」
歩く男に、ウィンリィは走り寄る。
「あ、あの、シン国の方ですか!? 殺し合いには乗ってないん、ですよね。
私はウィンリィって言って、その、お話したいことが」
男の肩にもうすぐ手が届く。それくらいの距離まで近づいた瞬間だった。
ガツッと音がしたかと思うと、ウィンリィは空を見上げていた
「(……え?)」
突然男は振り向き、鉄拳をウィンリィの顔に叩き込んだのだ。
そのままウィンリィに馬乗りになり、男は拳を振り上げる。
「ひっ!? いやああぁぁぁ!!」
ウィンリィの悲鳴に重なるように、男は拳を振り下ろすモーションに入る。
「おい、止めろよオッサン!」
その背後に、声がかけられた。
ウィンリィに馬乗りになった男は、その標的をウィンリィから背後の存在に変更する。
男の拳は、背後の標的の顔面にめり込む。
そう、めり込んだ。殴った標的の後頭部に、拳の形が見えるほどに。
「!!!?」
ソレを見たウィンリィは声も上げられないほどに驚愕した。
殴った男もまた、僅かではあるが目を見開いている。
「あっぶねぇな、おっさん! いきなり何すんだ!」
男の拳を弾くように、めり込んだ顔が元に戻る。
殴られた衝撃で地面に落ちた麦わらぼうしを拾い、鋭い眼光で男を睨みつけた。
「やるってんだったら相手になってやる。どうすんだ?」
二人はお互い視線をそらさず見つめあう。
「………俺の背後には立つな。それだけは守れ」
男はそう言って、ウィンリィの上から退いた。
「痣になっちまったな。痛そうだけど大丈夫か?」
「痛いけど……不用意に近づいて、殺されなかっただけマシだと思うことにする」
ウィンリィの殴られた右頬は、腫れこそ少なかったが痛々しい青痣になっていた。
骨折はしていなかったが、冷やしたいところが本音だ。
「ええと……ルフィさん、でしたよね。ほ、本当にホムンクルスじゃないの?」
「だからそう言ってんだろ? 俺はモンキー・D・ルフィ。ホルスタインなんて美味そうな名前じゃねぇよ」
三人は、場所を少し変えて情報交換を始めていた。
そのときにウィンリィは確認したいことがあった。
ウィンリィは、ルフィの異常な体を見てホムンクルスではないかと疑いをかけていたのだ。
「ホルスタインじゃなくて、ホムンクルス! 賢者の石で作られた人造人間のこと……らしいけど」
ウィンリィ自身、ホムンクルスは弱った虫のようなものしか見たことが無い。
それでも、エドの話や襲われて怪我をしたマルコーの様子から、とんでもない奴だということはわかる。
「俺は石なんて食ってねぇよ。ゴムゴムの実を食べたゴム人間だ」
そう言って、頬をにゅーっと伸ばしてみせる。
ルフィもまた、自身の話を二人に聞かせた。
だが、その話のほとんどがウィンリィは聞いたこともない話ばかりだった。
海賊王ゴールド・ロジャー、大海賊時代、偉大なる航路(グランドライン)、悪魔の実、ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)。
いくらアメストリス国が海軍などない内陸に位置する国家だといっても、そんな話を知らないはずがない。
「どの話も聞いたことも無いわ。地球の裏側くらい離れてるのかしら?」
「俺も世界中の国を見たわけじゃねぇけど、ゴールド・ロジャーもグランドラインのことも知らねぇのか?
まぁ俺もホル……ホムンクルスも錬金術師なんてのも知らなかったけどよ」
ルフィにとっても、ウィンリィの話は興味を引くものばかり。
特に、錬金術師の話はルフィにとってワクワクするものだった。
「しっかし、すっげぇな! 飯も武器も船も金だって材料だけで作れんだろ!?
しかも機械の腕とかカッチョイー! 俺の仲間になってくんねぇかな!」
しえん
ルフィの瞳は、まるで子供のように輝いている。
先ほどの鋭い眼光の人物と同一人物とは思えない。
「ルフィさんは、海賊だって話ですけど……エドは、人を傷つけて宝物なんて欲しがりません」
「……ちょっと違うな。俺は海賊だけどよ、だからって人の宝物を傷つけて奪ったりしねぇよ。
そんなのより、まだ誰も見たことの無い財宝の方がよっぽど興味があるさ」
カラカラと笑うルフィの言葉に、「海賊」というイメージだけで偏見の目を持った自分をウィンリィは恥じた。
「ご、ごめんなさい、ルフィさん。でも、エドたちには大事な目的があるんだから、海なんて連れていかせません!」
「ルフィでいいぜ、ウィンリィ。そっか、残念だなぁ……まぁ、こっから出ないと宝探しもできねぇしな」
ルフィは振り返り、背後に立つ男に話しかける。
「なぁ、トウゴウのおっさんは俺と海賊やらねぇか? おっさんも随分強いんだろ?」
「(えええ、なにこの無茶フリ!?)」
ルフィに話を振られた人物。
先ほどウィンリィに馬乗りになった男――デューク東郷は、木を背にピクリとも動かず口を開く。
「……情報交換は済んだ筈だ」
はっきりとした拒絶に、ルフィも「そっか」と返しただけだった。
「(この人が言ってたことも、聞いたことないことばっかりだったなぁ)」
とは言っても、デューク東郷と名乗るこの男はほとんど情報を出さなかった。
ルフィとウィンリィがお互いの知り合いについて話したときも、東郷は「誰も知り合いはいない」と返した。
一方的に「アメリカ合衆国」「日本」など聞いたこともない国名を羅列した。
KGB、MI6など、どこかの機関名らしき名前も羅列したがどれも聞いたこともなかった。
唯一聞き覚えのある単語は、「地球」くらい。
ルフィに至ってはそれも聞き覚えがないそうだ。
「(この人にとっては、アメストリスやドラクマくらい「常識」な単語だったんだろうけど)」
何らかの反応を見せるはずだったのだろうが、それは当てが外れたらしい。
謎だらけではあるが、あまり深入りすればまた殴られそうなので、ウィンリィは追及しなかった。
「……一つ聞こう。その錬金術師ならば、この首輪を外すことは可能か?」
「……どうだろう。詳しくは知らないけど、首輪の構成物質が分かれば分解することはできると思います」
一拍置き、東郷は言葉を続ける。
「ムルムル……あの子供は首輪を即座に外せる人物を参加させたと?」
その言葉に、ウィンリィも言葉に詰まる。
機械鎧技師の彼女にも、見て触るだけでは首輪が何でできているのかわからない。
鉄か、それともダイヤ素材か、もしくはジュラルミンか。
そもそも、未知の金属や火薬で構成されているのかもしれない。
「……絶対に、とは言えません。賢者の石とかがあれば、話は違うのかもしれないけど……」
あったとしても、人の命を原料にしたものなんて二人は使わないかもしれない。
絶望的な状況を再認識し、ウィンリィはうつむく。
「ん……ありゃ、トウゴウのおっさん、行っちまうのか?」
もう用はないとでも言うように、東郷は二人に背を向け離れていく。
「待ってください、トウゴウさ……」
ウィンリィは去ろうとする東郷の背を追う。
キッっと振り返り睨みつける眼光に恐怖を感じながらも、ウィンリィは口を開いた。
「そ、そんな睨まないでよ! その、トウゴウさん、丸腰なんでしょ?」
「…………………」
ウィンリィは今着ているコートを脱ぎ、東郷に差し出した。
「このコート、ちょっと普通と違うみたいで……良かったら使ってください」
「…………………」
コートを受け取った東郷は、その重みに気づき中を探る。
中に入っていたのは、大量のメスだった。
「……これを俺に?」
「丸腰よりはマシでしょう?」
東郷は、半分ほどのメスを選びそれを懐に入れた。
「……ありがとう。先ほどは済まなかった」
「あっ、いや気にしないでください。あの……他のメス、っていうかコートも渡しますけど」
コートを突き返し、東郷はウィンリィの荷物を指差す。
「代わりに、その人形を貰おう」
「ええっ!? あ、あんなのでいいならご自由に……」
5つの人形を荷物から取り出し、東郷に渡す。
それを、くるくると見回すと、自分の荷物へと閉まった。
「そのコートは医者のものらしい……それを着て、あんたも役目を果たすんだな」
「それって……」
続けようとする言葉を、突然の轟音が掻き消した。
「な、なに!?」
ウィンリィが振り向くと、そこには倒れた巨木と、その前で小躍りしてるルフィの姿があった。
「うひょー、ウィンリィ! 俺も荷物見てみたんだけどよ、すんげー武器が入ってたんだ!」
そういうルフィの腕に、大きな腕輪のようなものが戻っていく。
「ななな、なにやってんのー! どこに誰がいるかもしれないのに、急に暴れないでよ!」
「いやー、悪ぃ悪ぃ……あれ、トウゴウのおっさんは?」
「えっ?」
振り返った先にいるはずのデュークは影も形も見当たらなかった。
「もう、行っちゃったんだ」
一人だけで大丈夫だろうかと心配するが、おそらくはお門違いなのだろう。
メスを半分しか持っていかなかったのも、これで自分の身を守れということかもしれない。
「(私の役目、か。私、医者じゃなくて機械鎧技師だって言っ……)」
そこまで考えて、ウィンリィはハッと首輪に手をやる。
「そうだ……私にも、できることはあるかもしれない」
ただ死なないように逃げ回るだけではない。
どの程度通用するかわからないが、自分にも首輪を外せる可能性があるのだと。
錬金術ではなく、自身の培ってきた機械技術によって。
「あの、ルフィさ……ルフィ!」
「なんだ、ウィンリィ?」
ウィンリィは自身の決意を伝える。
「私、首輪を外すために工場に向かおうと思うの。それで、もしエドやアルに会ったらそのことを伝えて欲しくて……」
ウィンリィは首輪を外すため、工場で道具を集めることにした。
首輪の入手方法は、深く考えない。
手に入れるということは、誰かが死ぬということなのだから。
「……おめぇ、なに言ってんだ?」
首を傾げるルフィの態度に、ウィンリィは肩を落とす。
「(そうよね……出会ったばかりで頼みごとなんて聞いてくれるわけ……)」
「おい、ウィンリィ!」
ウィンリィが顔を上げると、荷物を背負ったルフィが立っていた。
「工場、早く行こうぜ。もしかしたら、俺たちの仲間もいるかも知れねぇしな」
「……いっしょに、来てくれるの?」
「当然だろ? いっしょに海賊やってくれなくてもよ、ここを抜け出すまでは仲間でいいじゃねぇか」
何の裏も無い笑顔で、当然のようにルフィは口にする。
「……うん!」
ウィンリィは、ルフィの元に一歩踏み出し。
「あ、でも工場たぶんそっちじゃないよ」
「……あっれ〜?」
エド並に手のかかる仲間を得たウィンリィ。
彼らの行く末は、果たして。
【D-8/湖付近/1日目 深夜】
【ウィンリィ・ロックベル@鋼の錬金術師】
[状態]:右頬に痣
[装備]:ブラックジャックのコート@ブラックジャック、ブラックジャックのメス(10/20)@ブラックジャック
[道具]:支給品一式
[思考・備考]
1:エドたちがいるならば探したい。
2:首輪を調べるために工場で道具を探す。
3:首輪の入手方法は今は考えない。
※ルフィ、ゴルゴ13と情報交換をしました。
お互いの仲間や世界の情報について一部把握しました。
※名簿は白紙ですが、エドとアルもいるだろうと思っています。
※ゴルゴ13の名前をデューク東郷としか知りません。
【モンキー・D・ルフィ@ONE PIECE】
[状態]:健康
[装備]:乾坤圏@封神演義
[道具]:支給品一式、不明支給品0~1
[思考・備考]
1:仲間がいるなら探したい。ウィンリィの仲間も探す。
2:ウィンリィと工場に行く。
※ウィンリィ、ゴルゴ13と情報交換をしました。
お互いの仲間や世界の情報について一部把握しました。
※ゴルゴ13の名前をデューク東郷としか知りません。
【乾坤圏@封神演義】
宝貝人間ナタクの宝貝。
両腕の腕輪を飛ばして攻撃する宝具。腕輪は戻ってくる。
本来、仙人にしか使えない制限は解除されている。
ただし、体力の消耗は仙人が使用した場合より多い。
【ブラックジャックのコート】
ブラックジャックが普段着ている黒いコート。
防弾使用で、原作では近距離からの銃弾からも身を守っている。
内側に無数のメスが仕込まれていて、武器や手術用として使用される。
ルフィが間違って進もうとした方向。
その先をデューク東郷は……否、ゴルゴ13は歩いていた。
「(……何が起きている?)」
今まで何度も誘拐や拷問を受けたことのある超A級狙撃手、ゴルゴ13にとっても今回の出来事は理解の外だった。
そして初めに思考した、どこか自分に恨みを持つ組織、または個人の仕業という可能性を、ゴルゴ13は自身で否定し始めていた。
「(あの二人は、いったいどこの話をしていた……未開の地だとしても、スケールが大きい。
そして何より、あれほどの言語を聞き分けたのは一体……)」
地球のどこかにある未開の地……だが、衛星から地球上の全てを見渡せる昨今、話のスケールのような国が未発見などありえない。
そしてなにより、彼らはどの言語で話していたのだろう。
実はゴルゴ13は、話すたびに違う言語を使っていたのだ。
英語、ドイツ語、イヌイット語、ヒンズー語、エトセトラ……
それをすべて、相手は当然のように聞き分けていた。
「(……違うな。あの二人は、違う言語で語りかけられているなどと認識すらしていなかった。
おそらく、普段から使っている公用語に聞こえていたはず)」
あの二人を観察した結果、どこかのスパイらしき様子は一片も見られなかった。
発汗や視線の動きから、100%とは言えないが虚言を言ってはいないようで、精神患者の特徴も見えなかった。
自身の知識と照らし合わせ、ゴルゴ13の出した答えを出す。
347 :
代理投下:2009/04/12(日) 23:25:27 ID:jVqm4QQn
10 :目指す者、守る者、殺す者 ◆1ZVBRFqxEM:2009/04/12(日) 23:22:05 ID:wlBo6G0M0
「(つまり……超常現象というわけか)」
ゴルゴ13は片手に持った、握りこぶしより小さめの石を見つめた。
血のように赤い、宝石とも異なる鉱物……鉱物かすら怪しいソレは。
「賢者の石……」
大エリクシル、第五実体、哲学者の石。多くの呼び名と形状を持つ等価交換の原則を無視する奇跡の結晶。
ウィンリィの話に出た、賢者の石そのものだった。
「(可能性はある、か)」
ウィンリィの話をすべて鵜呑みにはしていない。
だが、ゴルゴ13とて、地球上の全てを知るわけではない。
実際ルフィは人間ではありえないゴムの体を持っていた。
そして、超能力者、自我を持つプログラムなど、常識外の存在と対峙したこともある。
もちろん、中にタネのある呪術師などもいたので、錬金術師なるものがどちらに当てはまるのかはわからない。
実際に会い、真偽を確かめることは無駄ではないと彼は判断を下した。
この首輪を外せる可能性を一つでも多くするために、ゴルゴ13は行動を開始する。
だがしかし、なぜゴルゴ13はゲームに乗らなかったのか。
ゴルゴ13は、超A級のスナイパーである。
彼に消された命は数知れないが、その多くが依頼によるものだった。
ゲーム感覚で人の命を奪うことはしない。
もちろん、彼を狙った瞬間にそのルールは対象外となるのだが。
そして何より、自身の命を見世物感覚で奪おうとする輩を、ゴルゴ13は許さない。
「(この見世物の目的が何であれ……あいつは俺の心に火を灯した。
久しぶりに……俺の全てをかけるとしよう……この見世物に対する報復に……)」
先ほど貰ったジャスタウェイを一つ、宙に放る。
地面にジャスタウェイが落ちた瞬間、光、爆音、土煙が起こる。
さるさんか?
349 :
代理投下:2009/04/12(日) 23:26:18 ID:jVqm4QQn
11 :目指す者、守る者、殺す者 ◆1ZVBRFqxEM:2009/04/12(日) 23:22:46 ID:wlBo6G0M0
「威力は上々……だが扱いには危険が伴う、か」
火薬の匂いから、それが爆弾だと理解したゴルゴ13。
メスとジャスタウェイは、武器を支給されなかったゴルゴ13にとって大いに助けとなる。
いつもの癖で背後の相手に殴りかかってしまったが、無駄な敵を作らずに済んだのは僥倖だった。
「(あのコートは、重量から防弾繊維が使われていたようだが……動きの邪魔となる)」
爆弾の性能を把握したゴルゴ13は、他者が爆発音に近寄ってくる前にその場を離れる。
地球上最強の狙撃手、ゴルゴ13。
だが、彼の想像を超える怪物が多く存在するこの殺し合い。
彼は、報復の対象……ムルムルと再び合間見えることができるのだろうか。
【D-9/協会付近/1日目 深夜】
【ゴルゴ13@ゴルゴ13】
[状態]:健康
[装備]:ブラックジャックのメス(10/20)@ブラックジャック、ジャスタウェイ(4/5)@銀魂
[道具]:支給品一式、賢者の石@鋼の錬金術師、不明支給品0~1(武器ではない)
[思考・備考]
1:ムルムルに報復する。
2:首輪を外すため、錬金術師に接触する。
3:襲撃者や邪魔者以外は殺すつもりは無い。
※ウィンリィ、ルフィと情報交換をしました。
彼らの仲間や世界の情報について一部把握しました。
※奇妙な能力を持つ人間について実在すると認識しました。
【賢者の石@鋼の錬金術師】
様々な呼び名を持つ錬金術法増幅器。
錬成陣無し及びノーモーションで、「等価交換」の法則を無視した練成が可能となる。
莫大な人間の魂を材料としており、この石も大きさからかなりの人数を使用している。
それでも不完全な賢者の石であり、大規模練成の連続使用で壊れる可能性がある。
制限があるため、首輪を外すことができるかは不明。
【ジャスタウェイ@銀魂】
円柱に2本の棒の手、上部の半球型の突起物に目・口が描かれただけというシンプルな外見。
その実体は接触式の高性能爆弾。
ジャスタウェイの組み立てに関して銀時は高い技能を持っている。
350 :
代理投下:2009/04/12(日) 23:27:36 ID:jVqm4QQn
12 : ◆1ZVBRFqxEM:2009/04/12(日) 23:23:42 ID:wlBo6G0M0
投下終了です。
残念ながら規制を食らってしまいました。
どなたか代理投下お願いします。
投下乙です!
ゴルゴかっこいいよゴルゴ
対主催になったか、これは戦力として期待できる。
ウィンリイも二人のためにできそうなことを見つけ出せたようで何より。
そしてやっぱりルフィは濃いなあw
投下乙です
確かにゴルゴはかっこいい!
背後に人間を攻撃する所や1匹オオカミで用心深くて無愛想な部分もらしくて問題なしです
ルフィもルフィらしい行動で対主催だしウィンリイがつっこみつつも目標を見つけた
名コンビがここにも生まれたかな
GJです!
投下乙です
ゴルゴが複数言語使いこなす……という設定を上手く使っているのは面白いなぁ
パロロワではスルーされる言葉の問題だけど、そこに着目するとは
医者はBJがいるけど、技術者という意味ではウィンリィは貴重ですね、活躍に期待
乙です。
ゴルゴかっこえー!みんな行動がそれっぽくていい感じです。
しかし、嫁入り前の女子の顔に青痣つけちゃうとは…w
13日初投下させていただきます。
長めなので支援いただけるとうれしいです。
支援
例えばだ。
例えばの話をしよう。
これが特定の誰かについての発言ではないことだけは分かってほしい。
……何、誰かのことに聞こえる?それは気のせい、というものだよ。野暮、ともいうかな。
何故ならね、これは『誰にでもある』からだ。
今は特定の一人の人物のことに聞こえても、『いずれ』それは全ての人間に当てはまるかもしれないということだ。
例えば。
例えば、あるところに、兄または姉を亡くした2人の弟がいたとする。
一人は、兄を失った弟。
その死因は最後まで分からず、看取ることさえできずにただ屍だけが帰ってきたとして。
弟は兄をどこまでも慕い、同時に心配しており、また兄もしくは姉が自らの唯一の肉親であったとしよう。
一人は、姉を失った弟。
その死因は病死であり、その死を看取り、姉に自らの未来を託されたとして。
同様に彼も姉をひどく慕い、いつも気にかけており、そして唯一の血のつながった家族であったとしよう。
そして、ここで命題だ。
もしその弟が、いつの間にか『殺し合い』と名のつくゲームに放り込まれ、そこで『誰でも生き返られることができる』という説明がなされたとしたら。
そこで彼、もしくは彼女のために、殺人を成して生を取り戻そうと考える確率はどのくらいか?
そしてまた、そう判断するに至ったその理由は何か?
ちなみにこの話は、今からするべき話とはあまり関係のないことだ。
登場人物は二人の『弟』、共通点はそのくらいだと思ってくれていい。
とは言っても、ちなみにこの場には、弟が複数存在する。
一人は兄の代用品として生み出された、盤上の駒。
一人は、父の跡を継ぐべく姉と共に修行に勤しむ『武士』。
一人は体を奪われ、兄に魂のみの存在として救い出された鎧。
一人は人類を滅ぼさんとする兄と決着をつけたいと願う人間台風。
私が今から語るのは、その中の。
尋常ならざる特異能力を持つ、褒められ得ぬ英雄の血縁者。
弱者を守り保護する立場にあるはずの、年若き天才剣士。
登場人物は、この二人だ。
だから、そんなに身がまえなくても構わない。話し半分で聞き流してくれても構わないんだよ。
だがね、一つだけ忘れないでほしい。
それは、冒頭でも一度言ったように―――それは、誰の身にも起こることだということだ。
※
暗い。
初めに思ったのはそれだった。
何も見えず、何の感覚もない。しかし、気持ち悪さや不快感はない。
まるで、底の見えない深海にでもダイブしたかのような。
―――ここは、何処だ?
頭に浮かぶのは、当然の疑問。
溺れるような感覚は、何かに似ていたが、彼はそれをうまく言葉にできなかった。
―――俺は、何でこんなところにいるんだ?
―――そう、俺は―――
今いるこの場所が現実ではないことを認識する。
ではここは、どこなのか?
思考までもがぼんやりしている。
忘れてはいけないことがあったはずだ。
―――兄貴を―――
そして、視界は覚醒し。
少年は―――瞳を開いた。
※
森の中を、さ迷い歩く人影が一つ。
それは、10代とおぼしき少年のものだった。
短めの金髪に爽やかなマスク、外見だけ見れば十分な好青年。その内面はおいておくとして、だ。
「……なんでい……ここは……」
彼の名前は沖田総悟。
江戸の武装警察組織、真選組の一番隊隊長である。
見た目こそ若く幼いものの、その剣の実力は隊一とも謳われる天才児。
彼は今、一人奥深い森の中に放り出されていた。
「……不思議なもんだねい、妙な部屋に連れてこられて殺し合いを強要させられたと思えば、今度はこんなところですかい、……悪趣味がすぎるってもんだ」
その口調は警察の一員とは思えないほど軽く、飄々としている。
殺し合いにつれてこられたことなど全く気にも留めていないかのように思える口調。
しかし、彼の知り合いならばすぐに気づくはずである。
「……こんなのは……土方だけ巻きこんでおけって……さ……」
沖田に、常ほどの覇気が感じられないということに。
その目尻は、まるで『泣きはらした後』のように赤いということに。
いつもと同じように皮肉めいた態度を取ろうと努力しているものの、奥にある感情は完全に隠し切れていない。
「……っ」
下を少しでも向くと、涙が零れ落ちそうになるのを堪える。無理やり隊服でそれを拭いとる。
男が、一番隊隊長が、こんなところで泣いてたまるか。
「……どうしようかねえ……あのお人好しの近藤さんなら、こんな殺し合いを認めるはずがない……力を持たないもののために動くんだろうがなあ……」
わざとらしく迷っているかのような口ぶりで話す。
何を言っているんだろう、と自分でも思ってしまうが、どうやら自分は元から皮肉な性分であるらしい。
とうに心は決まっているだろうに。
この殺し合いを―――止めなければならない、と。
姉の自慢の弟が、殺人に手を染めるなんてやってはならない。
姉の期待を裏切らないような、姉が大好きだと言ってくれた自分でいなければいけない。
今更綺麗で純粋な少年に戻ることはできないにせよ―――真選組としてできることは、あるはずだ。
そう、彼がここに来たのは、最愛の姉を看取った直後であった。
「……姉ちゃん、俺は―――」
死んでたまるか。
そして―――死ぬはずでない人間を死なせてもたまるか。
姉が、そんなことを望むはずがないではないか。
頭の片隅では悪人は死んでも仕方ない、と思う。沖田はどんな罪人でも許せてしまう近藤ほどのお人好しではないし、なろうにもなれない。
だから全ての人間を救ってみせる、などと正義のヒーロー気取りなことは言えない。そんなことを考えただけで吐き気がしてくる。
自分は小悪党だ。
いつだって土方の暗殺をもくろむ、腹黒でドSで怠惰でさぼり魔でちゃらんぽらんで姉不幸な駄目な弟だ。
しかし、どんなに人間の屑であったとしても。
絶対に、姉の期待と願いだけは裏切りたくなかった。
この殺し合いが、いかなる理由で行われたのか?
病院にいたはずの自分が、どうしてここに飛ばされたのか?
それらには考慮の余地がある、しかし今は情報が足りない。
それ以前に、沖田は今考察するというレベルまで頭が回り切れていない。本来の沖田ならば(ずる賢さも含めて)もっと細部までの情報整理程度はするはずなのだが。
唯一の身内が失われてすぐなのだ、それも無理もないだろう。
しかし。
「……やるよ、……見ててくれ、姉ちゃん」
その涙の跡が残る顔だけは。
何か大切な宝物を託された後のように、清々しさと決意に満ち溢れていた。
「……止まれ!」
だから。
沖田は一瞬、反応するのを忘れていた。
常であれば、気配くらい感じ取ることはたやすかっただろう。しかし、気付かなかったのはやはり沖田が常よりやや動揺していることの証拠なのだろうか。
理由などどうでもいい。事実として―――
いつの間にか自分の目の前に、少年が現われたのだった。
※
「……っ!?」
少年が目覚めたのは、どこかの建物の中だった。
ひんやりとした感触が頬から伝わってきて、顔を慌てて持ち上げる。
「……ここ、は……」
いまだに頭がぼんやりしている。
自分の状況が把握しきれ得ていない。
「……俺は……」
辺りを見回す。
自分が記憶喪失にでもなってしまっているのではないか、などと一瞬考えてしまい、頭を整理するために自分のことを口に出してみることにする。
危険人物がそばにいれば危険を伴う行為だったが、残念ながら今の彼は現状の把握が精いっぱいでそれどころではなかった。
「……俺は安藤潤也。彼女の名前は詩織。家族は兄―――」
そして、心臓が激しく波打つ。
『兄』。
その単語が、一気に彼を冷たく重い現実へと引き戻す。
「……そ、そうだ……兄貴、兄貴を……」
兄貴の、仇を取らないと。
その言葉は口から出ることはなく、荒い息になって消える。
「……っ、」
いまだに完全に覚醒しない頭を引きずるようにして立ちあがる。
右手を動かす。痺れなどはないようだ。
足も動く。ちゃんと息もできる。頭も、回る。
それなら、何も問題などない。
だからこそ、少年は許せない。
許せるはずもない。
人を殺すなどという非人道的な行為を―――ではなく。
「……こんなこと、やってる場合じゃねえんだよ!」
兄の仇を討つための足止めをくらってしまった事実を。
気づけば変な場所に連れて来られていて、目の前で知らない人間の首が吹っ飛んで、意識がなくなって、目が覚めたら知らない建物の中にいた―――少年・安藤潤也の言葉をまとめるなら、おおよそこういうことになるだろう。
リカイデキナイ。
初めに潤也の頭に浮かんだ答えはそれだった。
どうして、自分はこんな見知らぬ土地にいる?
あの見知らぬ少年―――自分とそう変わらぬ年齢だっただろう―――の首が爆発した理由は?
そして、何故自分の首に冷ややかな金属の首輪がとりつけられているのか?
「……くそっ」
首を指でなぞり、潤也は呻く。
こんなところで、油を売っている時間などないのに。
文字通り『一刻も早く』、帰らなければいけないのに。
「……」
舌打ちしながらも、思考は休めない。
考えろ、と自らの兄の口癖を頭の中で繰り返し、そして視線の先にあった袋に気が付いた。
ディパックと呼ばれるそれを、潤也は手に取る。
「……そういや、武器が入っている、って……言ってたな……」
武器が本当にあるのなら、使わない手はない。
潤也は苛立ちと混乱を何とか抑え込み、その中に手を突っ込んでみる。
そして、取り出したのは―――
「……銃、か」
小型のサブマシンガンだった。
サイズから考えて、訓練など受けたことのない潤也でもそう困らず使いこなせるに違いない。
潤也はそれをズボンのポケットにねじ込む。他の支給品も出して見たが、ひとまずこの場で武器になりそうなものは一つもなかった。
今のところ必要そうなのは、この銃一丁だけらしい。
他に気になるものとしては白紙の紙が入っており、第一回放送後に人物の名前が浮かびあがると書かれていた。
もし、この場に詩織が連れてこられていたら?そう考えると背筋を寒いものが走る。
また、もしいなかったとしても兄に続いて自分までいなくなったと知れば、彼女は立ち直れなくなるかもしれない。
それに、最優先すべき兄のこともある。
どちらにせよ、自分が誰かを殺して復讐せねばならないことは避けられない事態なのだ。
それなら、動くのは早い方がいい。
時間は、待ってはくれないのだ。
「……」
それなら、どこに向かうか。
辺りを見渡す。
冷静に見てみると、ここが学校、もといそれによく似た施設であることはすぐに分かった。
自らの学び舎にもある机や椅子が規則正しく並んでいる。
出口は3つ。
一つは正面玄関。
一つは西口、と書かれている裏玄関。
もう一つは体育館の脇にある非常ドア。
廊下を歩き回って、潤也はそれを確認した。
どこから出るか、によっても向かう方向は変わってくるし、危険人物に遭遇する可能性も変わる。
運が悪ければ学校を出た瞬間に銃で後ろからどかん、だ。そんな情けない真似、できるはずがない。
しかし潤也は迷うことなく真っ直ぐに、裏口に向かって歩き出す。
そこに誰か、人がいる。
『賭けてもいい』。
それは、直感などではなかった。確実に『理解』していた。
「……」
だからこそ潤也は、扉を開く前に銃を構えることができた。
「……止まれ!」
だからこそ彼は、扉が開いたその瞬間、相手に銃口をつきつけることができたのだ。
相手が、反応するよりも幾分早く。
それは、一人の青年。
少年、と言っても差し支えないかもしれない。年は兄と変わらないように見えたからだ。
歴史の教科書でしか見たことのないような黒くかっちりとした服を身に纏っている。
潤也の知る限りの職業で言うなら―――警察、とでも言おうか。
顔付きは飄々とした美少年であるが、その人物の持つオーラは、並のものではないことを証明していた。
潤也の顔にわずかな不快の色が浮かぶ。
警察。彼はその職業に、一片の信頼も寄せてはいなかったからだ。
兄の死因すら突き止められない、無能の集まり。潤也の中の警察の定義は酷く残酷なものだった。
有名な社長の息子である兄の友人の方がずっと役に立つ情報を提供してくれる。
若くして警察の仕事の限界を知ったらそう思ってしまうのも無理はないことと言える。
365 :
◆H4jd5a/JUc :2009/04/13(月) 00:12:38 ID:AinSz0qj
携帯から
さるさんに……
どなたかお願いします
支援
372 :
代理:2009/04/13(月) 00:21:34 ID:zHi9vnoq
やるのか?
脳内でそう反芻する。できるのか?
見た目こそ普通の人間だが、彼はどちらかと言えば今までの自分とは異なる世界に生きてきた人間だ。
殺し屋より―――具体的に名を出すなら、あの『蝉』よりの人間と言っていい。
しかし。
―――もう俺だって、足を突っ込んだんだ。
既に、潤也の心にためらいは、なかった。
日常を捨て、危険に足を踏み入れる覚悟は、人を殺す覚悟は、既に、した。
本当なら、蝉も自分が殺しているはずだったんだから。
「……なあ、聞きたいことがあるんだ」
少年の頭に向けて、銃口を突きつけながら。
「……まったく最近のガキはしつけがなってなくて困るぜい、人に質問するときはまず名乗ってからってお袋さんに教わらなかったのかい?」
少年は、全く動揺する気配を見せない。
むしろどこか哀れむように、潤也の顔を見て苦笑う。
むっときたが、ここで感情的になるべきではないと考える。
こいつが兄の情報を持っているかもしれない、まだ、まだ殺すべきではない。
「……安藤潤也だ」
「ふうん……立派な名前をお持ちのこって。せっかくだし、俺も名乗っておきますかねい」
少年はやはりペースを崩さず、にやりと笑って口を開く。
それは、潤也にとってわずかに聞き覚えのある名前だった。
「俺は土方十四郎」
土方、歴史にそんな名字の人物が存在していた気がする。
しかし、さほど成績がいい訳ではない潤也には、『聞いたことがある』程度に過ぎない。
更に言うなら、あまつさえ潤也がその歴史的に聞いたことのある人物の名字を聞いて、彼を江戸時代の人間だ、などと判断できるはずもない。
よって、珍しい名字だな、程度の思考でそれは終わった。
「……土方さん、でいいか?……名乗ったしいいだろ。一つ質問させてくれ」
もう面倒なことは早く終わらせたい、と言わんばかりにグリップを握り直す潤也。
少年もそれを見ていたが、やはり、微動だにしない。
やはり彼も、蝉と同類、殺しに慣れた人間に違いないと潤也は確信した。
「……言ってみろい」
拒まれるかとも思ったが、意外にも男はあっさりと質問を承諾してくれた。
もし拒まれたら恒例のじゃんけん勝負にでも持ち込もうと思っていたのでやや拍子抜けしたが、許可が出たならありがたい。
おとなしくその権利を使わせて貰おう。
「……お前は、俺の兄貴について知ってるか?どんなことでもいい、何か知っていたら教えて欲しい」
緊張が高まる。
自然と、心音が高まるのを感じた。
もし、彼が兄のことを知っていたら。
いやそれどころか―――この少年が兄を殺した人物だったら?
そううまくは行かないだろうと分かってはいるが、それでも期待せずにはいられない性。
そして、少年の口から言葉が紡がれる。
「……何か知っていたら、どうするんでい?」
立て板に水を流したが如き、さらりとした回答だった。
「―――っ、し、知っているのか!?それなら教えてくれ!どうして兄貴は死んだ!?お前は兄貴と知り合いなのか!?それとも―――」
思わず声が高くなる。落ち着けと何度も言われていたが、冷静でいられるはずもない。
それが簡単な挑発だということにも潤也に気づかせない。
「おっと、質問に答えろよ。俺は『どうするんだ』、そう聞いたんだ」
土方は潤也を横目で見て嘲笑い(にしか潤也には見えなかった)、再び問いかける。
「どうする……?」
首をかしげる潤也に、土方は意地悪く笑う。
373 :
代理:2009/04/13(月) 00:22:30 ID:zHi9vnoq
「日本語が分からないとは言わせねえ。つまり、―――俺を殺す気なのかどうか、ってことだ」
土方の性格の悪そうな口角をつり上げての笑みに、潤也は黙る。
「……」
土方は潤也の顔を探るように見、そしてため息をついた。
「……言えねえってことは、殺すつもりがあるってことかい?悪いが、そんなに見え見えな態度じゃ人殺しなんてでき―――」
刹那。
沖田の頬を、銃弾がかすめた。
「……」
もちろんそれは、潤也の撃ったもの。
「……あんたは……」
「ああ、そうだ」
自分の『覚悟』を見せつける。
それが、潤也の選んだ方法だった。
今ので相手が死ぬなんて思っていなかった。外すつもり、威嚇のつもりだった。
自分が舐められている、というのは薄々感じ取っていたからこその行動。
本気で自分が彼を殺すこともある、そう示すためにやったことだ。
『まだ』死んでもらっては困る。少なくとも、兄のことを聞き出すまでは。
しかしまだ銃など数回しか使っていないため、手元がぶれて沖田の頬をかすめてしまったのだ。
しかし、潤也はそれにも動じず、口を開く。
どこか穏やかな気持ちになって、自然と口元が緩んだ。
「……答えによっては、死んで貰うさ」
目の前の土方の表情が、変わる。
その顔は、発砲した潤也に対する怯え―――などは全くなく、獰猛な獣を思わせるものだった。
舌舐めずりでもしそうな調子で、土方は潤也の言葉に一言、返す。
「……へえ、やってみろよ。ただし、やるからには、覚悟が、理由があるんだろうなあ?」
「ああ―――俺は兄貴を殺した仇を取りたい。だから、何か情報を持っていたら教えてくれ。……お願いだ、頼む!」
今度は、先ほどより冷静に頭を下げることができた。
土方の腹だたしい態度が原因に違いない。なんとも皮肉な話だが、潤也に気に留めている余裕などない。
―――本当に、こいつが兄貴のことを知っているなら―――
一縷の望みをかけて、土方の顔をちらりと見る。
土方は、つまらなさそうな顔をしていた。
そして、潤也の視線と土方の視線が交差し、そして―――
「兄?馬鹿じゃねえの?たかが兄貴のために人を殺すなんざ―――馬鹿のすることだぜい」
土方は、言葉を吐きだした。
何の躊躇いもなく、さも当たり前のように。
今の潤也に対する、最高且つ最悪な侮辱の言葉を。
「……たかが、だって!?」
だから、潤也が、その言葉に反射的に反応してしまっても無理はないのかもしれない。
いくら多少『平凡』とは外れているとはいえ、彼のスペックは平均的な高校生男子以外の何者でもないのだから。
挑発されれば頭に血が上っても、彼を責めることはできないのだ。
「ああ、そうだ。くだらねえ、何でたかが血繋がってるだけでムキになってんでい。
死んだんだかなんだか知らないが、死んだらそこまでだ。それ以上何もねえよ。運がなかっただけだ、諦めな」
土方の言葉に、潤也はふつふつと怒りがわき上がるのを感じた。
土方は、確実に潤也の中の何かの熱を上げていく。
374 :
代理:2009/04/13(月) 00:23:19 ID:zHi9vnoq
たかが、だって?運がなかった、だって?
自分はずっと、ずっと兄と共に暮らしてきた。他に家族なんておらず、家のことは兄に頼りっきりだった。
兄が大変なことに首を突っ込んでいる気はうすうすとしていた。なのに。
自分は最後まで、兄貴が死ぬまで、それに気づいてやれなかった。
結果として兄は理由も分からないまま、無惨な姿で死体として帰ってきた。
もちろん、大切な人は他にもいる。学校に行けば沢山の友人がいるし、可愛くて少し抜けているけど心優しい彼女もいる。
しかし、家族は兄一人しかいないのだ。
潤也にとって安藤は―――唯一の大切な家族だった、のに。
それを否定するこの少年に、冷静に反論できるほど、潤也は大人ではなかった。
「……れ」
「あんた何でい?ブラコンかい?兄貴がいないと生きられないのかい?……気持ちわりい」
瞬間。
「……黙れっ!」
潤也はついに、激昂した。
他人に、自分と兄のことが分かるはずがない。
優しくて、優しすぎて、自分を危険に巻き込むまいとし続けて死んでしまった兄のことなど。
だから自分は、兄の敵を討ちたい。そして、兄の無念を晴らしたい。
「お前に何が分かる!俺が……兄貴は、兄貴はっ!」
だから潤也は、気づかない。
潤也が怒りで視界から土方しか見えなくなったその瞬間、彼の姿が視界から消失した事実に。
「……っ!?」
「遅えんだよ」
しゅん、と風を切る音。
同時にみしり、という嫌な不協和音がはっきりと潤也の耳に届いた。
「……ぐうっ!?」
続いて襲う痛み。しかし潤也は未だ自分の状況が把握できていない。
どういうことだ。何が起こった?
しびれるような痛みが右手首から走る。
「子どもが武器持ち歩くんじゃねえよ。仕方ない、責任もって俺が預かっておくとしやしょう」
そして、ようやく認識した光景は。
土方が、木刀を握ったまま自らの武器である銃をその手に握り、くるくると楽しそうに回し弄んでいる様子だった。
「ふ、ふざけ、っ!?」
潤也は理解した。
先ほどの鈍い痛みは、木刀が潤也の銃を握る右手首に直撃したからのものなのだと。
がむしゃらに打ってきたわけではなく、それが銃を弾き飛ばしたのだと。
危険を感じるより早く、怒りと本能が潤也を突き動かす。
気づいた潤也はすぐさま土方から銃を取り返そうと動く、が全てが遅すぎた。
「やっぱり、遅え」
そして―――
「っ!?」
普通の高校生と、常日頃から修羅場を潜る荒くれもの集団の隊長。
どちらの動きがより早いかは、一目瞭然で。
土方が、潤也の目の前にいつの間にか現れ―――
「ガキは、大人しくおねんねしてな」
潤也の腹に、木刀の柄が高速で突っ込んできた。
そして、潤也の意識は―――闇に消えた。
375 :
代理:2009/04/13(月) 00:24:36 ID:zHi9vnoq
※
「……っ、う……」
視界が、ぼやける。
どうやら意識を失ってしまっていたらしい。
……情けない。こんなことでいいのか。
俺は、兄貴の仇を討たなきゃいけないのに。
こんなんじゃ、駄目じゃないか―――
「気が付いたかい。……ちっ、とどめさしてやろうと思ったのに」
土方の聞き捨てならない言葉に、潤也はむっとして顔をわずかに持ち上げる。
そこには、腹立たしいくらい爽やかな土方の笑顔があった。
「……てめえっ……!」
気に入らない。
自分の兄との関係を、今までの絆を、死を否定したこの土方という少年を許したくない。潤也はその顔を一発殴ってやろうと、体を起こすため右手に力を込め―――
「……っがあああああ!?」
叫んだ。
理由は、実に単純明快。
起き上がろうと力を入れた右の手から、激痛が走ったからである。
「…………な、っ……な……」
嫌な予感がした。瞳に涙さえ滲む。高校生にもなってかっこ悪い、と自嘲している余裕もない。
この痛みは何なのだ。潤也は、そっと右手を持ち上げ首を傾ける。
『じゃらり』、と金属音がその後を付いてきた。
なんだこれは、と口にするまでもなく、潤也はすぐにそれを『触って』理解した。
「な……なんじゃこりゃああ!?」
それは、平和な日本でごく普通の学校生活を送ってきた潤也にとって、にわかに信じられない事態だった。
自分の首には、確か銀色の首輪が初めからはまっていたはずだ。
しかし、今は―――その上に、何か別の金属が重ねられている!
もしかしたら、一つ目よりずっと頑丈そうな代物が。
首輪、だ。二つ目の。
しかも―――
「……俺はこう見えても警察のはしくれでねい、悪人はしょっぴく権利があるんでい、悪く思うなよガキ」
今度の首輪は、一つ目とは一味違う。
首輪につながれた、長い鎖。
その先を握っているのは、目の前の憎たらしい笑顔を向ける土方だった。
鏡で見てこそいないが、すぐに分かった。
さながら今の自分の姿は―――飼い主に拘束された狂犬、と言ったところか。
何だ、この悪趣味な展開は。
友人が貸してくれたビデオにあったそういうプレイみたいじゃないか。相手が可愛い女の子でなく男で、しかも腹立たしい相手だなんて、罰ゲーム以外の何者でもないが。
「が、ガキガキ言うな!これはどういうことだ、説明し、」
「俺より年下ならガキに決まってんだろ。それにどういうことも何もねえよ。ただ、お前さんを捕獲させてもらった。それだけだ」
捕獲、だって?
まるで潤也のことを家畜のように言う土方に腹が立って仕方無い。そのへらへらした笑顔をぶん殴ってやりたい衝動に襲われる。
しかし、右手がいかれている以上、それもかなわない。銃まで取られてしまった。
持ちあげるだけで激しく悲鳴をあげる右手を下ろさざるを得ない。
間違いなく、骨が折れている。きっと気絶している間に腕を捻ったのだろう。
悪夢にうなされていたのはこういうことだったのか。
「……冗談じゃねえ!お前に何の権利があって―――」
ごきり、と地面に置いた右手を踏みつけられた。
「……っ、が……あ……」
「言っただろ?俺は警察なんだ。人殺ししようとしている奴を黙って見過ごすわけにはいかねえなあ。大人しくしときゃ命は勘弁してやらあ」
邪悪な笑顔を浮かべながらそういう姿は、どう考えても警察というよりチンピラにしか見えなかった。
嘘吐け、と内心毒吐きながらも、潤也は口をつぐむ。
首輪で身体を拘束され、利き腕をへし折られた今、自分に勝ち目はない。
「ほら、行くぜい、家畜」
ぐ、と首輪を引っ張られ、潤也は土方に見られないように舌打ちすることしかできなかった。
376 :
代理:2009/04/13(月) 00:26:08 ID:zHi9vnoq
※
(ったく、何で俺がこんなことしてるんでしょうねい、近藤さん……)
沖田は後ろでわめいている潤也を無視して、虚空に視線を向ける。
思い浮かべたのは、底抜けにお人好しでどうしようもなく愛すべき馬鹿である自らの長のこと。
どうやら、自分も近藤のすっかり汚い褌色に染まってしまったようだ。
殺せばいい。それは言われずとも分かっている。
これはきっとすぐに諦めるタマではない。武器は取り上げたとはいえ、油断していると殺されるかもしれない。
潤也は間違いなく、『やばい』。
どこがどうやばいのか、はうまく言葉にできないが、強いて言うなら野生の獣のような危険さだ。
土方や自分のような人種というより、こちらに笑顔で引き金を引いてきた際のあれは―――どちらかといえばテロリスト・高杉晋助のような香りさえ感じさせた。
決して頭が回るタイプではない。容易に挑発に乗り、感情を爆発させると周りが見えなくなる、典型的な子ども。
しかし、少年の態度は決してそれだけではない、何か闇のようなものを感じさせる。
いくら自分が多少油断していたとはいえ、自分の居場所を初めから特定していたかのような出会いといい。
躊躇うどころか笑顔さえ浮かべて、自分に銃を向け、撃ってきたことといい。
殺し合いに積極的なことも含めて、活かしておいても沖田に利は全くない。
それを分かっていながら、沖田は今のところこの少年を殺す気になれなかった。
もし、時期が違えば。
もし、これが姉を看取った直後でなければ、迷わなかったかもしれない。
とはいっても、既に鬼の真選組に所属して人斬りは何度もしている。タイミングさえあれば、殺人など造作もない。
しかし、今の沖田には、爪の先ほどに小さいものながら、普段とは違う感情が芽生えているのもまた事実だった。
もしかしたらそれは、感情を爆発させた少年の身の上に、何か感じるところがあったからかもしれない。
少年への挑発は、うまくいった。
それはほぼ当然で、何故ならそれは自分が言われても怒るであろうことを並べたからだった。
本当に兄弟思いの人間ならば―――その兄と、姉と自分の生きざまを否定されて、黙っていられるはずがない。
しかし、何故自分はあんなことを言ったのか?
考えても良い答えは出てこない。
たった間違いないのは、自分はすっかり近藤の思い通りらしいということだけだ。
ひりひりと、近藤に殴られた頬がまだ疼いた。
377 :
代理:2009/04/13(月) 00:27:27 ID:zHi9vnoq
(土方さんの名前を使わせてもらいやしたが、別に問題ないでしょう。あいつがそんな簡単に死ぬとは思えねえ)
沖田が自らの名前を偽り、土方の名を騙ったのには理由がある。
一つは、仮に自分が誰か(潤也のように)に恨まれた場合、土方も被害を被るように。
沖田が少しでも動き回りやすくするためだ。仲間なんだから苦労を分かち合うのは当然ですよねえ、が沖田の持論もとい主張である。かなり無理矢理な。
どうせ自分があれだけ殺しても死なない男だ、どれだけ悪評がついても死ぬまい。むしろ死なれては困る。殺すのは自分なのだから。
姉が愛した男が、自分以外の人間に殺されていいわけがない。
そして、もう一つの理由。
これは沖田が聞けば、間違いなく認めない理由だろうが。
沖田は、姉の願いを叶えると、姉の期待を裏切らないと約束した。
だからこそ彼は―――姉の愛した男の名前を使ったのだ。
屈辱的でも認識しなければいけない一つの事実――-姉を幸せにできるのはあの男だと。
だから、自分もあの男になりたいと思った。
姉を幸せにできる、立派な男に。
それは、沖田自身も全く気づくはずもないことなのだが。
何にせよ、一つ確かなことは。
(まあ、何はともかく、ここで一発で死ぬより、足掻いて抵抗する姿を見ている方が楽しいですからねい。まさか俺に私物が支給されるとは思いやせんでしたが……まあいいぜ、せいぜい足掻いてくれよ、潤也くうん?)
……沖田総悟は、自他共に認めるドSだということだけであった。
ここで、沖田が気づいていない事実が存在する。
後ろですっかりおとなしくなった少年が、不思議な能力を持ち合わせているということに。
それは刃を振るう力でも、炎を操る力でも、精霊を召還する力でもない故に、弱くて一見役立たずに思えるが―――
「10分の1を1にする」という、使い方次第ではあらゆる刃ともなる、狂気に満ちたものだということを。
それに気付かないことが、沖田にとって吉と出るか凶と出るか、それはまだ分からない。
379 :
代理:2009/04/13(月) 00:32:19 ID:zHi9vnoq
※
(くそ、くそ、くそ……こんなとこで足止めなんてふざけるなよ!俺は……)
一方。
沖田に引きずり回される潤也は、心の中で恨み言を繰り返す。
骨をへし折られた右手首は激しく痛む。放っておいても強烈な痛みなのに、たまに沖田にわざと足をひっかけられると更に軋む。
抵抗すると首輪――-余談だが、鎖付き首輪を付けられた後だと、はじめに付けられた爆弾入り首輪が可愛いものに思えてくるから不思議だ―――を引っ張られる。どうしろというのだ。
どうしてこんなことになってしまったのだろう。
―――油断した。
間違いなく、自分の失敗だ。
一番の間違いは、土方に対する態度を、蝉のときのそれと同じようにしてしまったこと。
蝉に銃を渡されたときは、蝉は逃げなかったし抵抗もしなかった。反撃もしてこなかった。それは潤也の行動を試すためだったのだから当然だろう。
それ故にどこか失念していた。……実力者ならば、銃弾を避け抵抗するに違いないと。
(まともに渡り合っちゃだめだ、蝉さんみたいな人と俺じゃ実力が違いすぎる……俺はこんなところで死ぬわけにはいかないんだから)
二重にはめられた首輪の位置を忌々しげに見つめながら、潤也は兄を思う。
(でも……分かった。分かったよ、兄貴……慎重にやらなきゃだめだって。少し遅くなるけど、このままじゃだめだ)
このままでは、兄の二の舞だ。それだけは避けたい。
仇を取るためには、自分が死んでは何の意味もないからだ。
自分はまだ生きている。自由こそ拘束されているが、土方は自分を殺さなかった。
それならば、まだうまくやれるはずだ。
情報を得るためには、他の連中と合流する必要がある。
しかし、彼らと出会い、話を聞いて、兄の仇がその場にいて、自らが銃を向けたらどうなるか。
それで相手を殺せたら構わない。大成功だ。
しかし、敵が土方のようにとんでもなく強かったら?
相手を殺すどころか、自分が返り討ちにあって終わりだ。兄が倒せなかった相手に、自分が真っ向で勝てるだろうか?
まず、無理だ。
自分の特殊な力は、戦闘には全く役に立ちはしない。
(それなら、機会を伺うんだ。殺せそうな時に、そいつを殺す)
そもそも、この場に兄の仇がいるかどうかも分からないのだ。
いないならば、自分はさっさと本来の家に帰り、兄の仇を捜し出す必要がある。
そのためには、人を殺して回ることが手っ取り早い。悠長なことを言っているうちに、情報は逃げていってしまう。
だからうまく殺していくしかない。
いきなり銃を向けてはだめだ。初めは殺しなどするつもりのない人間として振る舞えばいい。
そして情報を可能な限り絞り取り、兄貴のことやマスター、犬養の情報を握っていないと分かったらタイミングを見計らって殺す。
本当は他の人間が罪を被るようにしたいか、そううまく思いつくかどうか。
やっかいなのは目の前の土方だが―――武器を取り上げられている以上迂闊に動けない。殺すなんてもっての他だ。
今のところは大人しく従うべきだろう。いずれ、始末してやる。この屈辱を晴らさないと気がすまない。
兄の仇を討つため、自分の知らない世界に首を突っ込む準備は―――人を殺すための覚悟は―――とうにできていた。
あとは、実行に移すだけ。
いざという時には、この能力もあるのだから。
ここに、潤也が気づいていない事実が存在する。
この殺し合いに、『死んだはずの』兄が参加しているということを。
主催者は、何でも願いを叶える、という形で死者の蘇生も可能である、
という可能性もたしかにほのめかしてはいた。
しかし、潤也は信じてなどいない。だから考えようともしない。死人が生き返るなど。
ましてや、兄がこの場にいるなどと、気付くはずもない。
そんなことは、この現実ではありえないことだったから。
そんなことが可能なら、自分は兄と二人暮らしなどしていなかっただろうから。
気づかないが故に、潤也は沖田に従いつつ、虎視眈眈と模索する。
兄ほどの頭脳は持ち合わせていない故に、兄よりも本能的で、且つ兄よりも残酷な手段を。
(兄貴、待っててくれ。俺が必ず、兄貴のできなかったことをやり遂げてやる!)
投下できるようになったかも?
※
(くそ、くそ、くそ……こんなとこで足止めなんてふざけるなよ!俺は……)
一方。
沖田に引きずり回される潤也は、心の中で恨み言を繰り返す。
骨をへし折られた右手首は激しく痛む。放っておいても強烈な痛みなのに、たまに沖田にわざと足をひっかけられると更に軋む。
抵抗すると首輪――-余談だが、鎖付き首輪を付けられた後だと、はじめに付けられた爆弾入り首輪が可愛いものに思えてくるから不思議だ―――を引っ張られる。どうしろというのだ。
どうしてこんなことになってしまったのだろう。
―――油断した。
間違いなく、自分の失敗だ。
一番の間違いは、土方に対する態度を、蝉のときのそれと同じようにしてしまったこと。
蝉に銃を渡されたときは、蝉は逃げなかったし抵抗もしなかった。反撃もしてこなかった。それは潤也の行動を試すためだったのだから当然だろう。
それ故にどこか失念していた。……実力者ならば、銃弾を避け抵抗するに違いないと。
(まともに渡り合っちゃだめだ、蝉さんみたいな人と俺じゃ実力が違いすぎる……俺はこんなところで死ぬわけにはいかないんだから)
二重にはめられた首輪の位置を忌々しげに見つめながら、潤也は兄を思う。
(でも……分かった。分かったよ、兄貴……慎重にやらなきゃだめだって。少し遅くなるけど、このままじゃだめだ)
このままでは、兄の二の舞だ。それだけは避けたい。
仇を取るためには、自分が死んでは何の意味もないからだ。
自分はまだ生きている。自由こそ拘束されているが、土方は自分を殺さなかった。
それならば、まだうまくやれるはずだ。
情報を得るためには、他の連中と合流する必要がある。
しかし、彼らと出会い、話を聞いて、兄の仇がその場にいて、自らが銃を向けたらどうなるか。
それで相手を殺せたら構わない。大成功だ。
しかし、敵が土方のようにとんでもなく強かったら?
相手を殺すどころか、自分が返り討ちにあって終わりだ。兄が倒せなかった相手に、自分が真っ向で勝てるだろうか?
まず、無理だ。
自分の特殊な力は、戦闘には全く役に立ちはしない。
(それなら、機会を伺うんだ。殺せそうな時に、そいつを殺す)
そもそも、この場に兄の仇がいるかどうかも分からないのだ。
いないならば、自分はさっさと本来の家に帰り、兄の仇を捜し出す必要がある。
そのためには、人を殺して回ることが手っ取り早い。悠長なことを言っているうちに、情報は逃げていってしまう。
だからうまく殺していくしかない。
いきなり銃を向けてはだめだ。初めは殺しなどするつもりのない人間として振る舞えばいい。
そして情報を可能な限り絞り取り、兄貴のことやマスター、犬養の情報を握っていないと分かったらタイミングを見計らって殺す。
本当は他の人間が罪を被るようにしたいか、そううまく思いつくかどうか。
やっかいなのは目の前の土方だが―――武器を取り上げられている以上迂闊に動けない。殺すなんてもっての他だ。
今のところは大人しく従うべきだろう。いずれ、始末してやる。この屈辱を晴らさないと気がすまない。
兄の仇を討つため、自分の知らない世界に首を突っ込む準備は―――人を殺すための覚悟は―――とうにできていた。
あとは、実行に移すだけ。
いざという時には、この能力もあるのだから。
ここに、潤也が気づいていない事実が存在する。
この殺し合いに、『死んだはずの』兄が参加しているということを。
主催者は、何でも願いを叶える、という形で死者の蘇生も可能である、という可能性もたしかにほのめかしてはいた。
しかし、潤也は信じてなどいない。だから考えようともしない。死人が生き返るなど。
ましてや、兄がこの場にいるなどと、気付くはずもない。
そんなことは、この現実ではありえないことだったから。
そんなことが可能なら、自分は兄と二人暮らしなどしていなかっただろうから。
気づかないが故に、潤也は沖田に従いつつ、虎視眈眈と模索する。
兄ほどの頭脳は持ち合わせていない故に、兄よりも本能的で、且つ兄よりも残酷な手段を。
(兄貴、待っててくれ。俺が必ず、兄貴のできなかったことをやり遂げてやる!)
うわあ被った……
すみません……
382 :
代理:2009/04/13(月) 00:34:22 ID:zHi9vnoq
【G-2/中・高等学校裏】
【沖田総悟@銀魂】
【状態】健康、わずかな悲しみ
【装備】なし(首輪の片方を握っている)
【所持品】支給品一式 木刀正宗@ハヤテのごとく! 首輪@銀魂
【思考】
基本:さっさと江戸に帰る。無駄な殺しはしないが、殺し合いに乗る者は―――
1:この場にいるなら近藤や銀時達知り合いと合流したい。土方?知らねえよ
2:しばらくは潤也を虐めて楽しむ
3:……姉さん、俺は―――
※沖田ミツバ死亡直後から参戦
【首輪@銀魂】
沖田と土方が地愚蔵に閉じ込められた際 (実際は沖田の策略だったが)、二人をつないでいた首輪。鎖部分がやや長め。人間をペットにしたい、ドSな貴方にお勧めです。
【木刀正宗@ハヤテのごとく!】
伊澄の家に伝わる名刀。
デザインが少し凝っている以外、見た目は普通の木刀。
持ち手の身体能力を極限まであげる力を持つが、同時に感情が高ぶりやすくなる。
【安藤潤也@魔王 JUVENILE REMIX】
【状態】右手首骨折、首輪で繋がれている
【装備】なし
【所持品】支給品一式 イングラムM10@現実 未確認支給品1〜2(本人確認済み、武器はない)
【思考】
基本:兄の仇を討つ。そのためには手段も選ばない。
1:兄の仇がこの場にいれば、あらゆる方法を使って殺す。いなければ、できるだけ早急にここから脱出する。
2:初めは殺すつもりがないようにふるまう……?
3:土方に対する激しい怒り
4:兄貴……
※参戦時期は少なくとも7巻以降(蝉と対面以降)。自分の能力をどこまで把握しているかは次にお任せします。
※沖田の名前を土方と理解しました。
383 :
代理:2009/04/13(月) 00:36:04 ID:zHi9vnoq
21 :Little Brothers! ◆H4jd5a/JUc:2009/04/13(月) 00:25:37 ID:RW1ozSEI0
投下終了です。
潤也の能力に関してはどうしようか(知る前か、知った後か)迷ったのでぼかしてみました。
指摘ありましたらお願いします。
代理投下終了です
代理投下ありがとうございました。
意外に早く復活しましたね……
投下乙です
沖田よ…土方はそこにはいないんだぞw(まだ書き手枠あるから分からんけど)
潤也がいい感じに思いつめてるな、兄貴がいるって知ったらどうなる事やら…
そんな予感はしてたが潤也そう動いちゃうか…
しかし、言われて気がついたけど弟多いなw ゴム少年もそうだし…
今後何かしら影響するかもね。
とりあえず乙です!
投下乙です。
1/10=1はある意味凄い能力ですよね。
兄が生きてることを知ったら、もしくは再び死を知ったらどうなるか見物です。
先ほど投下した「目指す者、守る者、殺す者」なのですが
ウィンリィとルフィの参戦時期を書いていませんでした。
ウィンリィは
※参戦時期は傷の男と合流後(18巻終了後)以降です。
ルフィは
※参戦時期はエースの処刑を知る(522話)以前です。
この二文をwiki追加時に両者の状態票最後尾に加えてください。
二人とも、そうじゃないと矛盾がある箇所があると思うので。
ゴルゴは、一応初期のお喋りな時期以降ということでw
ああ、俺もミスしてました……OTL
潤也の道具は沖田が持ってますね。
後修正します。
しかし責めるわけでも期待してるわけでもないが最初の死亡者は誰だろう?
まだ誰も死んでない
先読みウザいと思う人は無視してください
しかし潤也、名簿ができても兄貴の事は気づかんだろうな。
なにせ安藤(兄)だもんな。
生き返ったと思うかは知らんが、唯一同じ安藤+兄なら連想はしそう。
宿敵も来てるしな。
これ以上は展開予想だからやめるけど
ゴルゴは主催が殺人を依頼したとしても
ゲーム、見せ物、実験のどれでもギルティ(有罪)だから受けてくれそうもないな。
どこかの荒木さんみたいに主催も参加するならあるいは受けてくれるかな。
しかし予約でスパイラルやトライガンがあまりまくってるのが意外。
やっぱ書き手枠使いたいのかみんな。
沖田が割と綺麗……いや、何時も通りな気もするが……ともかく乙です。
その一方、潤也は危険人物っぽいなぁ……だけど、1/10=1って驚異的だけどこれでどうやって数多くひしめく超人軍団と戦うんだろう……?
さて、自分も綾崎ハヤテ分完成した為投下致します。
支援
B-7の砂浜の上にトレーナーとジーンズを着た少年が立っていた。
「殺し合いか……」
少年は平凡な公立高校に通う普通の高校一年生……だった。
彼の運命は、この日大きく変わってしまったのだ。少年はこの日にあった事を思い返す……
その日はクリスマスイブ、彼はその日まで幼き頃夢に出たサンタが口にした
『働け少年!! 「働かざる者喰うべからず」 欲しい物は自分の力でなんとかしろ。だが信じろ……最後に笑うのはきっと……ひたむきでマジメな奴だから
……それでもお前にプレゼントはやらないけどな』
最後の言葉が気になりながらも彼はその言葉を信じて生きていた……この日までは。
少年の両親は無職だった、故にクリスマスイブであるこの日も自転車便のバイトをして働いていた。勿論、このご時世不況によるリストラや事故の理由ならば同情の余地はあるだろう。しかし、
『父さんにはもっと……自分にふさわしい有意義な仕事があると思うんだ』
『母さんは馬券を買っているんじゃないの。夢を買っているの』
などと夢見がちな事を言い定職に就かなかったり家事すらしなかったりであった。それでもハヤテは信じていた。最後に笑うのはきっとひたむきでマジメな奴なのだと……。
だが、無情にも両親がバイト先に来た事により募集規定の18歳を下回っていた事がバレた為バイトはクビとなり、給料については全額両親に渡ってしまった……あの両親の手に渡れば全部パチスロで消えてしまうのは明白だった。
少年はすぐに家へと戻った。だが、彼を待っていたのは更なる不幸とも言うべきだろう。
家には既に両親の姿が無く、当然給料も全て消えていた。それだけではなく両親からの1億5千万円の借金というクリスマスプレゼントが置かれており、同封されていた手紙にはこうあった。
『困りはてたママ達はあれこれ考えた結果……ふと名案を思いつきました。
そうだ、息子を売ろう』
少年は両親の身勝手な案によって借金取りに追われる身となった。
『結局、世の中はズルい奴が勝つんだよ!! 真面目に頑張ったって……手に入るものなんか何もないんだ!!
フランダースの犬のネロだって……良い人を貫いたら死んだじゃないか!! だったらもう迷うことはない!! 捕まったってム所で温かい食事とフトンが……』
少年は夜の公園で金髪でツインテールの少女を誘拐する事にした。幸いにも彼の想いは(正しくかは別にして)伝わり人質とする事が出来た。
しかし電話口であっさり自分の名前を名乗るというミスを犯し、更に冷静になり色々無理があるという現実に今更ながらに気が付いたのだ。
『死のう……』
人生のどん底にいた少年は俯せとなった。そこに、
『ああ!! だめです!! そんなとこに寝てたら〜!!』
と、自転車が少年を轢いたのだ……
そして、目を覚ました時には先程いた青空の広がる場所にいたのだ。そこでトウモロコシを頬張っていたムルムルと呼ばれた少女から殺し合いの説明を受けたのだ。
『1st』、『日記』、『デウス』といった気になる用語があったが、何はともあれ自分が最後の1人となるまで殺し合うゲームに巻き込まれた事は理解出来た。
勿論、少年自身いきなり殺し合いをしろと言われて納得出来るわけもない。だが、あの場で同じ様に納得出来なかった麻子と呼ばれた女性が黒焦げにされて殺された以上、納得出来る出来ない関係なくこのゲームに参加するしかないだろう。
考えるまでもなく生き残るには最後の1人になるしかない。だが……
「まず無理だよな……」
生き残れる可能性は非情に低いと判断していた。仮にこの殺し合いが自分と同じ年齢の少年少女達を集めたものであるのならば勝ち残れる自信はある。前述の事情から様々なバイト等の経験から多彩な技術と超人的な身体能力を持っているからだ。
だが、それはあくまでも自分と同じ『普通の少年少女』が集められていた場合の話である。少年は気付いていたのだ、あの場には『普通の』人間ではない超人が集められている事に。最初にいた場所でもその雰囲気は十分に感じる事は出来たし何より、
『ただし少しでも公正さをきす為に細工をさせてもらっておる。
身体の動きが鈍いと感じているものはおらんか? 力が使えないと思っているものは?
ここまで言えばわかるじゃろう?』
これはつまり、超人的な力を持つ者はその力を制限されているという事を意味する。同時にそれは超人的な力を持つ者がいる事の証明にもなる。
勿論、制限がかけられているならば自分でも十分に渡り合える可能性はあるだろう。だが、それは『良くて互角』という意味でしかない。少年の優位性は無く、むしろ不利になると考えた方が良いだろう。
ちなみに、今の所少年自身は体が重いとは感じてはいないが多少なりとも制限がかけられている可能性は十分にある。となれば自分より弱い参加者に破れる事もあり得るだろう。
何人が参加しているかはわからないがあの規模から考えて何十人もいるのはまず確実だろう。単純計算で最後の1人となる確率は1桁しかない。その確率で生き残れるとは考えられないだろう。
それとは別にもう1つ気になる事があった。あの場で言っていた……
『誰が参加しているかわかるような名簿も配るつもりじゃ。
ただしそれが読めるようになるのは最初の放送が終わってからになるがな。
知り合いがおらんことを祈っておれ』
この言葉で重要なのは『知り合いがおらんことを祈っておれ』である。つまり、知り合いが自分と同じ様に殺し合いに連れて来られている可能性があるということだ。少年の脳裏には学校での友人達やバイト先で知り合った人達の姿が浮かぶ……
「西沢さん達……僕と同じ様に巻き込まれているのかな……」
少年は西沢他友人達の身を案じた。 確かに少年は先程自分が助かる為に金髪でツインテールの少女を誘拐しようとはした。真面目な話、自分が助かる為ならば多少他人が不幸になっても構わないと思っていた。
だが、だからといって自分の友人達を不幸な目に遭わせたいとは思ってはいないし、不幸な目に遭うのを望んではいない。
とはいえ、自分に出来る事など何もない。自分だけで精一杯なのに他の人にまで気が回るわけがない。故に、只無事である事を祈る事しか出来ないでいた。
少年は自分がどうしたいのか未だに答えを見つけ出せないでいた。とはいえいつまでも立ちつくしていても仕方がない。確か食料や地図、武器になるものを用意したと言っていた。どうするかはそれを見てから考えればいいだろう。
少年はデイパックの中身を確かめた。食料が少々少ないという点が気になったものの確かに最低限必要な物は揃っている。だが、重要なのはここからだ。少年はデイパックの中から1冊の本を出す。
「『若の成長日記 東城歩』……」
少年は日記を読み始める。
「『若の部屋にゴスロリ衣装を置いておく』……『カーテンの上のシャーってなる奴が気になったのでロフトに行く』……
『ゴスロリ衣装を』……『カーテンの上のシャー』……
『ナース服を』……『カーテンの』……」
そこには『若』に関係する事とカーテンの上の事ばかりが書かれていた。
「他に書く事無いのか……って、そうじゃない、こんな物で一体どうしろと言うんだ……」
なお、日記にある『若』と呼ばれた人物が自分と同じ様に殺し合いに巻き込まれているわけだが、今現在名簿が白紙で確認出来ない以上少年がその事を知るわけがない。
「他には何か無いのか……」
更に少年はデイパックを漁る。そして見付けたのは3枚の紙、
「これは……『ヴァッシュ・ザ・スタンピード』?」
3枚の中身はどれも同じ物だった。それは手配書と呼ばれる物で描かれているのは1人の男であった。手配書というのが何かは少年も知っている。だが少なくとも自分の住んでいた世界とは無縁に近い物であった。
「まるでマンガみたいだな……ん!?」
少年はある事を見て驚愕した。それは手配書に書かれている金額である。
「600億だって!?」
$が何故2つあるのかが気にかかるものの、仮に600億$$がアメリカドルと同じ単位だとするならば1$当たり約100円として単純計算で約6兆円という事になる。
勿論、$$となっている以上同列に論じる事は出来ないだろうが600億という数字が破格であるのに変わりはない。
「それだけあれば僕の1億5千万の借金だって……」
少年の脳裏には両親によって押しつけられた借金が浮かんでいた。もし、手配書に書かれている人物を捕まえる事が出来れば借金など簡単に返せるだろうし、子供の頃に夢見た3LDKに住む事だって出来るだろう。
だが、少年は冷静に考えてみる。600億の破格とも言える賞金がかけられる人物、となればそれだけの大きな事をしでかしたのは明白だ。その様な危険人物を捕まえる事など出来るのだろうか?
更に手配書に書かれている人物がこの場所にいるとは限らない。仮にそうならば徒労に終わるのは言うまでもない。
結局、武器らしい武器は何1つ見付ける事は出来なかった。これでは殺し合いに乗るにせよ乗らないにせよ出来る事は限られる。自身の経験や技だけで戦えるとは到底思えない。
支援
「このまま死ぬ運命だったのかな……」
真面目に殺し合いを止めようとした所で上手くいかないというのはこれまでの自身の経験が証明している。
だからといって殺し合いに乗った所で先程の誘拐とは違い失敗したらム所行きでは済まず死が待っている為、武器がない以上無謀でしかない。それ以前に連れて来られている可能性のある西沢達友人まで殺す気にはなれなかった。
その為少年は早くも諦めかけていた。
「運命……」
と、少年はあの場でのある言葉を思い出す。
『俺は何があっても歩以外には殺されへん。そう運命付けられとるんや』
そう言っていた少年がいた。だが、その少年は無情にも今自分も付けられている首輪を爆破されて殺されてしまった。何故、あの少年があの場でああいう事を言ったのかはわからない。だが、仮に本当にそれが運命付けられているものだとしたら?
「運命は変えられる……?」
殺されない運命を持つにも関わらず殺された……それは運命は変える事が出来るというのを意味するのでは無かろうか?
「そうだ……どうせ僕はあのままジングル・ベルが聞こえる中で死ぬ運命だったんだ……だったら何を恐れる必要がある? このままこの殺し合いで死ぬのが僕の運命ならば……そんな運命、ぶっ壊してやる!」
この瞬間、少年は自分のすべき事を見つけ出した。勿論、具体的な方法は何も見えていないし出来るかどうかもわからない。それでも、このまま死を待つ運命ならばその運命に負ける事など無く戦っていこうと少年は考えたのだ。
そうそう上手くいくとは思えないが仮にヴァッシュという人物がこの場にいて、運良く彼を捕まえる事が出来れば借金も何とか出来る。600億という賞金がかけられた危険人物を捕まえられるかの自信は全く無いが、何もしないよりはずっとマシだろう。
殺し合いについてはひとまず乗るつもりはなかった。相手の思惑通りに殺し合いに乗る義理はないし、何より西沢達が連れて来られている場合の話だが彼等を殺したくはないからだ。とりあえずは何か使えそうな道具を捜す為何処かの施設へ向かおうかと考えた。
「そういえば……」
何故あの少年の言葉が気になったのか……その理由に気が付いた。その少年はこう言っていた。
『俺は何があっても歩以外には殺されへん』
「歩って言っていたけど、西沢さんじゃないよな……歩って名前なんて幾らでもあるし……さっきの日記を書いた人も歩って人だからきっと……」
彼の言っていた『歩』が自分の友人である西沢歩かどうかが気になったのだ。彼女は普通の少女のはずだ、殺す殺さないといった物騒な世界とは無縁なはず……そう信じたかった。
勿論、参加者の名簿が見える状態ならば西沢以外の歩という名前を持つ人物がわかるものの今現在名簿が白紙である以上それはわからない。
その一方、少年は考えていた。自分が誘拐しようとしていた金髪でツインテールの少女の事を……
「まさかとは思うけど……あの子は巻き込まれていないよな……」
誘拐した自分が言えた事ではないが、願わくばその少女がこの殺し合いに巻き込まれないで無事でいて欲しいと考えていた。誘拐しようとはしたがあくまで目的は金でしかなく、少女の命を奪うつもりなんて無いのだから……
そして少年は歩き出す。自分達に課せられた最悪とも言うべき運命と闘う為に……
―――少年の名は綾崎ハヤテ、1億5千万の借金を背負った普通の少年である―――
【B-7/砂浜/1日目 深夜】
【綾崎ハヤテ@ハヤテのごとく!】
[状態]:健康
[服装]:トレーナーとジーンズ(第1話終了時の服装です)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、若の成長記録@銀魂、ヴァッシュ・ザ・スタンピードの手配書×3@トライガン・マキシマム
[思考]
基本:運命と戦う、当面は殺し合いには乗らない
1:何処かの施設へ向かい何か使えそうな道具を手に入れる
2:西沢さんを含めた友人達が心配
3:出来ればヴァッシュを捕まえて賞金を手に入れたい
4:少年(火澄)の言っていた『歩』は西沢さんなのか、東城歩って人のことなのか、それとも他の歩という名前の人なのか……?
5:金髪でツインテールの少女(ナギ)が心配
[備考]
※第1話直後からの参戦、つまりまだナギの執事となる前です。
※参戦時期からわかる通り、西沢・ナギ以外のハヤテキャラとの面識はありません。また、ナギも誘拐しようとした少女としか認識していません。
【若の成長記録@銀魂】
柳生四天王東城歩の日記、書かれている内容の殆どは主である柳生九兵衛へのストーカー等の行為とロフトへの往復についてである。
【ヴァッシュ・ザ・スタンピードの手配書@トライガン・マキシマム】
ヴァッシュ・ザ・スタンピードの顔写真付手配書、賞金額は600億$$(ダブドル)。3枚で1セットとして支給されている。
投下完了です。支援の方ありがとうございました。
サブタイトルの元ネタはそのまま『ハヤテのごとく! Hayate the combat butler』です。
但し、本編見てわかる通り参戦時期が執事になる前なのでbutler(執事)は付きません。
……まあ、ナギ、咲夜、伊澄、雪路には少々悪いと思いつつそれもまたアリなのかなと。
それでは、何か問題点等の指摘があれば宜しくお願いします。
投下乙でした
金のためにマーダー化か、と思ったけどそここ抑えたのはハヤテらしいなと思いました
運命に立ち向かうと決めたのに支給品は大外れ…どうすんだろ彼はw
>>298 宗教がっつりで封建制で師弟制度(知識とその恩恵を独占してなんぼ)な世界じゃ、
ガッツに病院って概念が育まれる要素がないぜ
個人経営の診療所レベルが時代考証的な限界じゃないか?
てか、病院って何?→医者がいっぱいいる大規模な診療所
みたいな一文で解決だけど
おっと、失礼
投下乙です
あぁ、なるほど……ここから出すのか
手配書ネタをやるとしたら、執事になってからでは確かに辛いかもしれませんね
この登場時期は一種の賭けに近い気もしますが……さてどうなることやらw
投下乙
でも、正直これはちょっと…
この時期からの参加だと、ハヤテは知り合いいないわけでしょ?
わざわざ各作品から二人は出るようにしたのに、これじゃ意味ないような
投下乙。
この時期でも、西沢さんは知り合いだな。特に問題ないと思う。
それとじっくり読めないんで乾燥がおざなりでごめん。
いや、いないわけじゃないよ
西沢とナギは一応面識ある
とは言え、微妙なとこだな
ぶっちゃけ、この時期から出す意味あるの?
ハヤテマーダー化させたいなら、ナギへの奉仕とか、色々方法はあるだろうに
ただややこしくなるだけじゃないの?
投下乙
ハヤテの参加時期は問題ないと思います
1stでも、エレオノールが開始前からの参加だったけど、特に問題なかったわけですし
投下乙!
まさか一話からとは予想外だった。
確かに知り合いはほとんどいないけど、ハムとナギの外見は知ってるし誤解フラグにいいと思う。
ナギはショック受けそうだけどw
そういえば、したらばって勝手にスレ立てていいの?早速没ったので……
開始前からの参加は自重すべき。
でもこれは本編中からの参加だし破棄する理由はない。
サンジがレストランで働いてた頃の参戦とかもありえた訳だしな。
駄目な例はアニロワのセイバーな。
でもまあ、あまり意味ないよなぁ
単にナギにショック与えたいという作者の思惑からこの設定になったんだろうが
それ以外にメリットが見当たらない
原作のあのエピソードを絡めた話を作りたい、
と思ってた書き手にはちとつらい展開だな
まああれだ。
参戦時期が不満だったなら予約取れば良かったのに、としか。
あと誰か
>>413について教えてくれ。
参戦時期の関係で面識が無かったり記憶のずれがあるのは避けて通れないし問題無いとは自分も思います
人間関係もったいないと思う人もいるかもしれないけど、これはこれで面白い展開だなとか思っちゃった自分
ところで、完成したんですがこの流れで投下しても大丈夫でしょうか
この話題落ち着くまで自重した方がいいですかね?
待ってました!
どんと来い!
いいんじゃね
もうどうでも
では西沢歩・ボンクレー・平坂黄泉、投下します
私の眼下に広がるイルミネーション。
眩いばかりに煌くそれに思わずうっとりと放心してしまう。
私は遊園地の観覧車の中にいた。
心地よい揺れと共にゆっくりと頂上を目指して上っている。
でも胸が高鳴っている理由はそのせいではない。
「――西沢さん」
不意に、後ろから声をかけられた。
かと言って振り返ることなんて出来ない。
顔なんか真っ赤でまともに顔なんか見れるはずが無いのがわかっていたから。
だから私はずっと外の景色を眺めて……いる振りをしていた。
「西沢さん?」
返事をしない私に業を煮やしたのか、再びかけられる声。
呼ばれているのはわかってるんだよ?
でもちょっとだけ待ってね。
胸に手を当ててみる。
ドキドキと心臓から大きな音が絶え間無く鳴っている。
暴れる鼓動を抑えるようにゆっくりと深呼吸を一つ……二つ……。
せっかくのデートだもん。
お話しないのはもったいないよね?
慌てて変な事言っちゃうかもしれないけどごめんね?
よし、次声をかけられたら振り向こう。
何も反応しない私にきっと困ってるはず。
その姿を想像したら笑いがこぼれてきて気が楽になったのがわかった。
もう大丈夫。
そう決意したのにも関わらず、期待とは裏腹にかからない声。
呆れちゃったのかなあ?
だめだよ、今すぐ謝ろう。
「ごめんね、ハヤテくん――」
でも振り返った先には誰も居なくて。
ゴンドラの揺れる音だけがカタカタと耳に響いていた……。
――そこで目が覚めた。
下着にぐっしょりと汗がしみこんでベタベタして気持ち悪い。
ボーっとする頭を抱えながらゆっくりと身体を起こす。
ここは……どこだろう。
漆黒の闇の中月明かりを頼りに辺りを見渡してみる。
木々に囲まれ、目印になるようなものは何も見当たらない。
手元には自分のものではないバッグが無造作に置かれていた。
ゆっくりと記憶を探り起こしてみる。
変なところに連れて来られたと思ってたらちっちゃな女の子が変な事を言い出して……あれ、なんて言ってたんだっけ?
思い出せない……でも。その後女の子が雷に打たれて……どうなったんだっけ?
そして男の子が出てきて何か言ったと思ったら首が急になくなってて……。
死……んだ……。
その瞬間激しい嘔吐感に襲われ、すぐそばにあった木へと走り――全部吐き出した。
思い出した、人が死んだんだ。
でもそこから記憶が無い。
気絶しちゃってたのかな……。
頭を少しはっきりして記憶を整理したけど、そしたら急に全身から血の気が引くのがわかった。
殺し合いって何?
自分で言うのもなんだけど私ふつーの女の子だよ?
急に心細くなって、全身から力が抜ける。
「ハヤテくん……ハヤテくん……」
大好きなあの人の姿が脳裏に浮かぶ。
「……助けて」
何度も何度も呼んだけど、彼が表れることは……無かった。
「――ぁ」
ふと、何かが聞こえた。
風の音とかじゃない。聞き間違いじゃなければ多分誰かの声だと思う。
その声に思わず私は走り出していた。
殺し合いとか言われてもいまいちピンと来ていなかったし、そんなことあるわけが無いって思ってたから。
警戒心なんて微塵にも思わず、声の方向へとひた走っていた。
「――おらぁ!」
どんどん声が大きくなっている。
会話してるようには聞こえない、独り言?
少し明るくなっている。
小さな外灯が規則正しく並べられた細い小道が通っているのに気づき、そこに人影が見えた。
木の陰に身体を隠してそっと覗き見ると……
「あん! どぅ! おらぁ!!」
訳のわからない掛け声を発し、歩きながら踊っている……変な格好の人が居た。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「ど〜うなってんのよぅ、まったく」
アラバスタから脱出しようとした。
そこでモンキー・D・ルフィーを助けることを決意して囮になった。
……そこまでは覚えている。
だがよくわからないやりとりのあと見たことも無い場所に飛ばされてしまった。
海軍につかまってしまったのか?
そしてグランドラインのどこかの島で、変な能力でも使われた?
そう考えもしたがわからないものはしょうがない。
とりあえずは可愛い子分たちがどこに行ったかが最優先だった。
そして考えた末に結局彼が出した結論は――。
「あん! どぅ! おらぁ!!」
とりあえずボン・クレーは踊りながら探すことにしてみた。
――踊りながら進むこと数分。
普段よりもダンスのキレが三割り増し程良い事に機嫌を良くしていたボン・クレー。
思わず踊りに入り込んでしまっていて辺りを全く警戒していなかったことを悔やむが後の祭りだった。
隠れているつもりのようだが、何者かに見られている気配がする。
「誰!?」
ボン・クレーの叫びにガサッと草木を踏む音。
そして涙を瞳に浮かべながら後ずさる一人の少女の姿が視界に飛び込んできる。
敵意どころか怯えきった表情。
誰かは知らないが、仕事でもないのに一般人の少女にそんな顔をされて襲おうなどとは思わなかった。
むしろ何があったのかと心配したぐらいだ。
だから思わず殺気を消して彼なりににこやかに微笑んだ――はずだったのだが。
「へ……」
「へ?」
「へんたいーーーっ!」
いきなりの叫び声と共に、少女は脱兎のごとく走り去ってしまった。
「…………」
思わず呆けてしまったが、残されたボン・クレーとすればたまったものではない。
「変態とは何抜かしとんじゃワレイ!」
怒りのままに少女の走っていった方向に自身も走り出す。
「どう見ても立派なオカマでしょうがあ!?」
矛先は少しずれてはいたが……。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
後ろから絶叫が聞こえる。
「えー……追いかけてくるよー」
別に何かされると決まったわけではないのだが、思わず呆然としたあの風体。
捕まったら何をされるかわからない恐怖の中歩はただひたすらに走った。
視界が悪く障害物も多い森の中。
大の大人に比べると小柄で小回りの聞く歩だったが、さすがに子供と青年男性との体力の差は大きい。
後ろを振り向くと怒りの形相で追いかけているボン・クレーの姿が見えた。
「見つかっちゃった……追いつかれる。なにか、なにか……」
歩は『武器』とムルムルが言っていたのを思い出した。
もしかしたらなにかあるかも、と鞄を開いて勢い良く手を突っ込んでみた。
カチっと硬い手ごたえ。
「これ!?」
そういって取り出した歩の手の中にあったものは……真っ黒なフレームの眼鏡。
「えええええええええ!?」
愕然としながらその場に投げ捨てると再びバックに手を入れる。
そしてまた別の感触。
今度こそ、と取り出した手には真っ赤なフレームの眼鏡。
「またーーーーっ?」
捨てる、出す、眼鏡。捨てる、出す、眼鏡。
出しても出しても眼鏡眼鏡眼鏡眼鏡メガネメガネメガネめがねめがね……。
放心しながらも走る足は緩めず、鞄を逆さにして大きく振ってみた。
カタカタカタカタ――
地図や食料も混じりながら出てきたのは色とりどりの大量の眼鏡の山。
支援
「私って、私って……」
自分の運の無さに全身から力が抜け、その場にペたりと座り込んでしまう。
ボン・クレーは変わらぬ形相で追ってくるがもう立ち上がる気力も無かった。
「もう逃がさないわよう?」
「あ……あ……」
ほぼ息を切らすことも無く歩に追いついたボンクレーは、目を光らせながら見下ろし叫ぶ。
「人を変態だなんてよーくも言ってくれたわね?」
ボン・クレー自身、捕まえて何かしようという気はさらさら無かったのだが
変態呼ばわりされて逃げるなどどうしても納得できない怒りに襲われていた。
「良い? あちしはオカマ! 一緒にしないでもらえるかしら!?」
傍から見ていると何を言ってるんだと思われたボン・クレーの発言だったが、歩の耳には恐怖の対称にしか聞こえず
「いやーーっ!!」
半狂乱になりながら散らばった眼鏡を掴むと勢い良くボン・クレーに投げつけた。
「ふんっ」
難なく交わされるがすかさず次のを拾い、また投げる。
交わされ、投げ、交わされ、投げ……そのやり取りに疲れ飽きてきたボン・クレーは呆れながら
「もーう良いわよぅ? ……少し落ち着きなさい?」
歩に向かってゆっくりと手を伸ばした。
歩むも無駄だと理解しながら必死に眼鏡を探す。
そして手に触れたのは眼鏡とはまた違う硬い感触、良く見るとボールサイズの石を掴んでいた。
何でも良いと思いながらそれを同じように投げつけ、そしてボン・クレーはそれをなんなく交わした。
――はずだった。
ボン・クレーが顔を少し動かし横を大きく反れて行ったその石は、
まるで吸い寄せられるように軌道を変え……彼の頭に勢い良くぶち当たっていた。
「のおおぉぉぉっ!」
後ろからの思わぬ衝撃にボン・クレーがたまらず頭を抱え込む。
(……顔が劇画のように濃ゆくなっていたのはきっと気のせいだろう、きっと)
呻き声を上げるボン・クレーをよそに、まるでヨーヨーのように石が歩の手の中へと戻ってきていた。
「このっ!」
ボン・クレーは歩の右腕を掴み取ると一瞬で後ろに回りこむ。
「い、痛いっ」
「あんたも能力者だったとはね……やってくれるじゃなぁい?」
「なんの……事ですか……?」
「しらばっくれんじゃないわよう!」
ギリギリと締め付けられる腕の痛みに歩の目から涙が零れ落ちた、まさにその時の出来事だった。
「待テェェーーーーーイ!」
「えっ!?」
突然の怒鳴りに同調したかのように森の木々たちがざわめいた。
視線を移すと、一本の巨木の枝の上立つ人影が二人を見下ろしている。
「罪モ無キ少女ヲカドワカス所業、神ガ許シテモコノ私ガ許サナイ!」
誰かわからないけど助けが来た?
そう考えた歩の顔が一瞬にして曇る。
無理も無い。
その声の主の風体といえば烏避け用の風船の様なマスクと黒の全身タイツを着ていると言う意味のわからないスタイル。
ボン・クレーは歩の腕を乱暴に振り払うと、突如日現れた謎の男に対し向き直り
「なんなのよう、あんたっ!?」
たまらずボン・クレーが叫んだ言葉、歩も心の中で頷いていた。
「私カ? 私ハ……」
その言葉を待ってましたとでも言わんばかりに、不適な笑い声を上げ
「12thレッド!」
どこぞのヒーローが取るようなポージングを決めながら男は叫ぶ。
「…………」
唐突な男の行動に口を開けるしか他が無い。
だが数秒後気にもせず男は続ける。
「5人揃ッテ……無イケド、"ゴ12th"ッ!」
「…………」
ボン・クレーに追われていた恐怖だとかそんなものはすでにどこかに飛んでいってしまった。
歩は呆然としながらもただ感情を一人ごちるしかなかった。
「……また変態が増えた」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
私を追ってきた人と、私を助けに来てくれた人。
睨み合いながらそれぞれ構えていた。
「行くわょう!」
先に動いたのはオカマの人。
一瞬で間合いを詰めると身体を大きく反転させて逆立ち、そして上段への踵落としを繰り出していた。
けれど黒タイツの人も負けては居ない。
流れるような動きで身体を捻ると、隙が出来た脇へとパンチを繰り出した。
が、残しておいたもう片方の足でそのパンチを叩き落す。
「クッ!」
慌てて距離を取ろうとする黒タイツの人。
オカマの人は息つく間もなく続けざまに足払いを仕掛け……それもすんでの所でジャンプで交わされた。
「なかなかやるじゃあなぁい?」
再び距離をとりながら、オカマの人は嬉しそうに呟く。
対称的に黒タイツの人は呼吸を少し乱していた。
「……強イナ。私ノ力デハ少シキビシイカ」
そう言い放つと黒タイツの人は一本の木の根元へと走り出し、後ろから自分のものと思われるバックを取り出した。
中を開け……出てきたのは長い細身の鎌。
「へえ……あたしに勝てないと思ったら武器に頼るわけ?」
「卑怯トデモ言ウツモリカ?」
「全然? あちしが負けるなんて思ってないもの」
「ソウカ、ダガ私モ負ケルツモリハ毛頭無イ」
鎌をバトンのようにくるくると回し、そして大きく振りかぶるとオカマの人へと突進していく。
「良いわねえ、そう言うの。嫌いじゃないわよ、あちし」
ウィンクを投げかけると同時にオカマの人も地を蹴った。
「――でもね」
二人が交差すると同時に、オカマの人の蹴りが鎌を弾き飛ばし宙を舞っていた。
ニヤリと笑みを浮かべるオカマの人。
……だがそれを予見していたように黒タイツの人は身体を捻ると
「囮ダ」
そのまま黒タイツの人の右拳がオカマの人の顔面へと突き刺さっていた。
「ちぃっ!」
痛みに怯み、体勢を崩しながらもオカマの人の蹴りが黒タイツの人の脇をかする。
再び距離を取るため離れたものの、対峙する二人の息が共に荒くなっていた。
そして黒タイツの人が私をちらりと見て言った。
「待ッテイタマエ、スグニ助ケル」
「その助けるってのも納得いかないけどね。あたしは別に何もしちゃいないわよう?」
「ソコノ少女ヲ襲ッテイタデハナイカ」
「人の顔を見て侮辱した挙句いきなり逃げ出したから追いかけただけよう。
それに最初に攻撃してきたのは向こう」
「……ソウナノカ?」
予想外の発言だったのか、黒タイツの人が不可思議そうな声で私に問いかけてきた。
あれ、そうだっけ……?
私は記憶を搾り出すように良く考えてみた。
侮辱って変態って叫んじゃったことだよね……間違いない。
いきなり逃げた……うん、これも間違いない。
攻撃……そう言えば私は別に何もされてない。
むしろ眼鏡とか石とか投げたのは私が先だ。
あれ? 悪いの私じゃん!
「……みたいです」
自責の念に囚われながら私は小さく首を縦に振った。
その言葉と同時に黒タイツの人は全身をプルプルと震わせ始め
「ソレジャアナニカ? 君ハ私ヲ謀ッタノカ?」
私の方へとゆっくりと歩いてきた。
「自分ノ手ヲ下サズニ他人ヲ操リ勝利ヲ得ル、実ニ悪ラシイヤリ方ダ。
イヤシカシ、ソレニ踊ラサレテ彼ニ負ケテイタトスレバ悪ハ私ノ方……ツマリ君ガ正義カ?」
ブツブツと呟きながら迫り来る迫力に私の身体は恐怖に襲われる。
「認メナイ、認メナイィッ! 負ケルコトソレハスナワチ悪! 正義ノ私ガ負ケルコトナド許サレナイ!」
「いやぁぁぁーーっ!」
思わず握りっぱなしだった石を放り投げていた。
「グ……ァ……」
明後日の方向に飛んで行ってしまったと思った石は、先ほどと同じように途中で軌道を変えて黒タイツの人の頭へと吸い込まれていき
それとほぼ同時にオカマの人の蹴りが石と挟み込むようにぶち当たっていた。
呻き声と共にその場に崩れ落ちる黒タイツの人。
残された私とオカマの人はお互い顔を見合わせ、どうしていいかもわからず――ただ苦笑いを浮かべるしかなかった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
しえん
「本当にごめんなさい!」
と私がオカマの人……ボン・クレーさんに何度も何度も頭を下げた結果、わかれば良いのよ、何て笑って許してくれた。
話してみたら全然気さくな良い人だった。
人って見かけによらないんだなあと思いながら、横で気絶してる黒タイツの人をちらりと見やる。
一応動けないようにとボンさんが自分のコートで両手足を縛ってくれているけど
この人も見かけによらないのかな……一応助けてようとしてくれたのは間違いないし。
「ン……」
黒タイツの人が気を取り戻したようで微かな声を上げた。
「気がついたかしらん?」
「ム……私ハ負ケタノカ」
モゾモゾと動いてみるが、縛られているのを認識したのか諦めたように溜息をつきながら言う。
「そうよ、それともまだやる?」
「イヤモウイイ、私ハ負ケタ。私ハ悪ダッタノダ。ソレハ認ナケレバナラナイ」
「ふーん、ずいぶん諦めが良いじゃない」
あっさりと負けを認めた黒タイツの人に少し感心するボンさん。
だが黒タイツの人は饒舌に続ける。
「ダガ正義ニヨッテ改心シ、ソノ力ト協力シ、悪ヲ滅ボスタメニ戦ウ。コレモ一ツノひーろーノ姿ダ。
死ニサエシナケレバ今カラソレニナレバ良イダケナノダカラ何モ問題ハナイ、ヨッテ私ガ正義ナノハ変ワラナイノダ!」
「……良くわからないけど無茶苦茶な事言ってません?」
「さあ……あちしにはどうでも良い話だわ――っと」
ともあれ敵意がないと判断したのか、黒タイツの人を縛っていたマントをほどき体に羽織ると、バックを手に取りボンさんがクルリと踵を返す。
「待テ、ドコヘ行クツモリダ?」
「あちしは忙しいの、さっさと可愛い子分たちを探したいのよう」
「ソレハ困ル。私モ一緒ニ戦ワサセテクレ!」
「何とよ……」
「無論言ウマデモ無イ! 悪トダ!」
「勝ったって言う話なら別にあたしじゃなくてもそこの子だって良い訳じゃなあい?」
「え……?」
今の会話の流れの矛先が私に向くなんて夢にも思って無く思わずうろたえてしまう。
「いえ、私に振られても困ります……」
「ム、ソウカ」
聞こえてなかったのか聞いていなかったのか、黒タイツの人はポンッと手を叩くとクルッと顔を向けて
「是非私ヲ連レテ行ッテクレタマエ。ケシテ足手マトイニハナラナイ」
マスクが私の顔面スレスレまで滲み寄る。
興奮する息も荒く、敵意が見え無いとは言え本気で怖い。
「ボ、ボンさぁん」
助けを求めるようにボンさんに声をかける……が彼はすでに森の中へと消えてしまっていた。
「あなたみたいな熱いタイプ、嫌いじゃないけど。でも残念。
またもし会えたら考えてみてあげても良いわよう。歩ちゃんも、頑張ってねえ」
ボンさんの声だけが残響となって森に響き渡る。
「えええっ……」
「サァ! サァ! サァッ!!」
私はただの学生なのに……とも言えず迫力に負けた形で、私は半べそになりながら頷かざるを得なかった。
結果、満足そうに言われた言葉。
「ソウカ、ヨロシクオ願イスル、新12thレッド!」
って言うかリーダーにされちゃったよ。
ハヤテくん……助けてぇ……。
【 F/G-5境界線あたりの道から外れた森の中 / 一日目深夜 】
【西沢歩@ハヤテのごとく】
[状態]:健康
[服装]:制服
[装備]:五光石@封神演義
[道具]:支給品一式 / 大量の森あいの眼鏡@うえきの法則
[思考]
1: レッドってなに…
2: 殺し合いって何?
3: ハヤテくんに会いたい
[備考]・参戦時期は明確には決めていませんがハヤテに告白はしています
・五光石@封神演義
投げると必ず当たる石型の宝貝。当たった人間はもれなく濃い顔になる。
「威力・スピードのほどは誰がどんな力で投げても一般成人男性が軟式野球ボールを投げた程度に統一され
当てるためにはその人物の顔を見ながら手から離すという前提条件が必要」に調整
【平坂黄泉@未来日記】
[状態]:健康
[服装]:烏避け用の風船の様なマスクと黒の全身タイツ、腰にはおもちゃの変身ベルト
[装備]:エレザールの鎌(量産品)@うしおととら
[道具]:支給品一式 / 不明支給品(x0〜1)
[思考]
1: ヨロシク新レッド!(私ハソウスルトぶらっくアタリカ)
2: 悪ハ許サナイ!
3: 弱キ物ヲ守ル!
[備考] 御目方教屋敷にて死亡直後からの参戦
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
支援
代わりに投下しますね
22 名前: ◆Fy3pQ9dH66[sage] 投稿日:2009/04/13(月) 16:44:43 ID:BMr8xaZ20
すいません、本スレさるさん食らったので続きをこちらに落とします
23 名前: ◆Fy3pQ9dH66[sage] 投稿日:2009/04/13(月) 16:45:01 ID:BMr8xaZ20
「さて……と」
思わぬところで時間を食ってしまったが現状やることは変わらない。
子分達を見つけてこの島から抜け出すのだ。
そう言えば、ここに飛ばされる前に見た影の中に麦藁帽子のような形の頭をした人影を思い出す。
もしもあれが自分の思っている人間だったとしたら、彼らも一緒に捕まってしまったのかもしれない。
そうだとしたら協力出来ないかとも考えていた。
あくまで居ればの話だったが。
地図を広げて地形や建物などを確認し子分たちが集まりそうなところを考えてみた。
「とりあえずはホテルかしらねえ……」
ホテルならバーがあるかもしれないし、そこで自分の気も知らず暢気に一杯やっているかもしれない。
一人ごちりながら地図を仕舞い込み、北へと向かって歩き始めた。
【 F-6中央街道 / 一日目深夜 】
【Mr.2ボンクレー@ONE PIECE】
[状態]: 健康
[服装]: アラバスタ編の服 森あいの眼鏡
[装備]:
[道具]: 支給品一式 / 不明支給武器(x1〜2)
[思考]
1: 待ってなさい、可愛い子分たち!
2: とりあえずホテルに向かう
3: 殺し合いなんてどうでも良いけど自分の邪魔する奴は許さない
[備考]・アラバスタ脱出直後からの参戦
・グランドラインのどこかの島に連れて来られたと思っており、脱出しようと考えています
・マネマネの実の能力の制限に関しては現状未定
(一応直接顔を触れた人物→西沢歩)
24 名前: ◆Fy3pQ9dH66[sage] 投稿日:2009/04/13(月) 16:46:41 ID:BMr8xaZ20
支援してくださった方ありがとうございました
タイトルは「西沢歩の受難 〜私と、変態と、変態と〜」でお願いします
乙
投下乙
歩不憫だwwww
予約の時点から色んな意味で涙目な気はしてたけどwww
12thはさすがすぎる不審っぷりww
ワンピースは未読だけど濃すぎて吹いたww
微妙な時期からの参加が続くな
所詮は自己満足でしかないってのに
毒なら違うとこで吐きな
そして毒吐く場所で雑談してる方々は帰ってきてください
あ、勝手に死者スレと没ネタスレ立てたけど良かったのかな?
じゃああんたが書けばいいじゃない
>>441 あんたもしつこいな
書かないくせに文句ばっかりだ
>>442 何で書かないってわかるの?
君エスパー?
議論スレでやれ
以下雑談↓
>>441 当然だろ? 一行で書いても登場話は登場話だ。
それででかい口叩いた分が帳消しになるとは思わないがな。
さあ、手本となる登場時期とはどうなんだ、示したまえ貴様
何で荒らしに構うの?
バカなの?ねえ?バカなの?
荒らしに反応する奴も荒らしだって言葉知らないの?
投下乙!
やはり変態二人に挟まれるとこうなるよなw
そして個人的にいつ出るかと期待してた五光石が登場してくれて何よりだ
>>441 うんにゃ、「参戦時期を決めたい」全てのキャラ。
他人任せじゃ文句言えんだろ?
>>443 実際書いてないんだろ?
書いてるなら鳥でも付けて発言しろよ
>>449 感想言うのにいちいち鳥付けなくちゃいけないの?
何で君は付けてないの?
何いきなり絡んできてるの?馬鹿なの?自演なの?
だから議 論 ス レ 行 け
皆荒らしと変わらんぞ。
もういいからお前ら全員黙れよ
せめて感想くらい言ってからにしろ
性格上やりそうに無いが、ボンちゃんの能力ってステルスにうってつけだよな
最近の原作でも似たような事やってたし
ここで愛のメガネが出てきたかw
どんな能力なんだ?
投下乙です
12thもボンちゃんも…本当にろくでもないッ!(いい意味で)
ハヤテ未把握だからよく分からんが、歩頑張れ超頑張れ
あと細かいかもしれないけど、12thの状態表…ゴ12thにブラックはいないんだ…
赤青黄桃緑でゴ12thなんだ…(別にブラックでもいいけど)
>>456 ボン・クレーの能力なら、マネマネの実
右手で相手の顔に触れば、その相手に変身することが出来るようになる
一度触った相手はいつでも変身できるし、複数の人間の特徴を混ぜて変身ってのも出来る
議論スレに出たみたいだから意見ある人は行ってきたら
デメリットとしては体格も変わってしまうので本人が鍛え上げた体も変化してしまう。
そのためオカマ拳法という格闘技の達人だがそれを使うには本来の姿に戻る必要がある。
原作だと相手の手の出せない人物に変化して一方的に攻撃したがその事に気付かれカウンターでやられた。
グリフィスとゆのを投下します
漆黒の暗闇の中。
僅かな月明かりのみ、街灯の光すら届かぬ深い森の中。
その闇を照らす一人の美しい男の姿があった。
その男、名をグリフィスという。
美しく長い髪。すらっとのびた長い手足。
背中に羽織る純白のマント。
その全てがグリフィスには似合っている。
本人もその美しさに合う品格と知性を持ち、そして人望も厚い。
そしてそのグリフィスはこのサバイバルゲームの戦場に降り立ち、至極冷静に場を分析していた。
「殺し合い………ふっ。そのような事。俺に出来るわけがないだろう。なあ…………ガッツ」
グリフィスが口にするは彼が最も信頼に足る仲間の名である。
無論グリフィスに配られた名簿は現時点では白紙であり、参加者の名など知る由もない。
しかしグリフィスはあの人ごみの中で一瞬ではあるが、確かにガッツを目撃していた。
一瞬。しかも体は他の者に遮られ、後頭部がチラッと見えた程度だ。もしかしたらただの見間違えかもしれない。
それでもグリフィスには確信めいたものがある。
あれは確かにガッツであると。
この会場のどこかにガッツがいると。それを信じている。
「ガッツ。俺とお前でならこのような殺し合い。容易に破壊できるだろう。最後に一人になるまで殺し合い?
この場所は俺の死に場所でもお前の死に場所でもないぞ。なあガッツ。お前もそう思っているだろう」
グリフィスの表情に迷いはない。
ガッツがこの場所のどこかにいる。
二人が揃えばどのような困難でも打破できないわけはない。
このような首輪など破壊し、あのふざけた新しい神を自称した者を殺す。
それは必ず成功する。
グリフィスには一切の迷いなどあるわけがなかった。
「行くか。いつまでもここに留まっていることもない」
森の中。支給された刀を手に取り、グリフィスは歩きだす。
********
「ねぇ…………ここはどこぉ?宮ちゃぁん……沙英さん………ぐすっ、ヒロ………さん。どこにいるのぉ」
ゆのは力なく森の中を彷徨っていた。
涙声でふらふらと歩いている。
足取りは不安定。
もし襲撃者に襲われたらものの五秒で殺される。
それぐらい不安定なまま、ゆのは森を歩き続けている。
「怖いよぉ、誰か………助けてよ。ねぇ………誰かぁ」
あの連続の首輪ドカンの映像を前にゆのの心は既に恐怖に侵されている。
自分もああなる。
そう考えるだけで体はすくみ、自分に支給された武器の確認をする事さえ忘れてしまっている。
そしてゆのは気付いていない。
木の陰から、一人の男が冷静にそのゆのの様子を観察している事を。
(女か。見たところ武器を持っている様子などないが………あの様子ではただの足手まといか……………しかし)
グリフィスの頭の中では既にゆのは連れ歩くには邪魔。
無視して先を行くのがベストと判断している。
だが、理性では分かっているが、なぜか無視して先に行く事を躊躇ってしまう。
正義感。
そのようなものを持っているわけではない。
グリフィスは氷のような冷静さ。
どのような時でも決して勢いに流されず、絶対零度の如き冷静さで的確な判断をする事が出来る男なのである。
故に、この場であの不安定な少女の保護などリスクの高いことをするわけではないはずだった。
しかし、それでも先には行けずにいた。
(………待て。仮に脱出をするとして、俺とガッツだけで成功するだろうか。……いや、この首輪に特殊な技術が組まれている場合
他の者の支援が必要になるかもしれないな。それにこの機会にこの場で新たな鷹の団の同士を募るのも悪くはない。
しかし、仮に俺が一人で……仮にガッツを早い段階で見つけたとしても、男二人で他者を仲間に引き入れるなど難しいだろう。
だが、あの女を連れて行けば………そうだな。俺が殺し合いに乗っていない事を分かりやすく証明出来る。それに、俺を襲って
来る者を油断させる事も出来るか)
グリフィスはしばしの迷いの後に、ゆのに向かい歩きだす。
「あうぅ。怖いよぉ。誰かぁ……」
一方ゆのは無防備に隙を見せまくっている。
それ故にグリフィスは接近に容易に成功し、ファーストコンタクトを試みる。
「始めまして。グリフィスと申します」
グリフィスは相手の警戒を解くようにスマイルを見せながらゆのに話しかける。
その笑顔はさながらモデルのようであり、平時であれば、思わずゆのも顔を赤らめていただろう。
平時であれば。
「ひいっ」
しかし、今は平時ではなく殺し合いの最中。
そしてここは戦場のど真ん中。
グリフィスの笑顔は空振りし、ゆのは驚き悲鳴を上げると、腰を抜かして後ずさりをする。
「やめて、殺さないで。いやいやいやいや」
「………待ってくれ!俺は殺し合いには」
グリフィスはゆのを黙らせようと更に近づく。
だが、グリフィスは刀を持ったままであり、その刀から視線を放せず更に後ずさる。
「いやぁ、殺さないでぇ、死にたくないよ、宮ちゃん助けてよぉ」
ゆのは悲痛な叫びをあげる。
顔は涙でずぶ濡れになり、あげくの果てには失禁までしてしまいお尻に水たまりを作ってしまう。
でもその失態に気付く余裕すらなく、ゆのは逃げる。
けれど後ろには木があり、それ以上後ずさりは出来ない。
少し向きを変えれば問題は無いのだが、余裕を失っているゆのにそのような事思いつくはずもない。
「………なるほど。この剣か」
グリフィスはゆのが刀に視線を向けているのを察すると、刀を地面に突き刺し、両手をあげて近づく。
「俺は殺し合いなどはしない。むしろお前を守る男だ」
「……えっ?」
「俺は絶対にお前を殺しはしない」
グリフィスは手を振り武器が無い事をアピールする。
(思ったより厄介だな。だが、これだけ無防備な女を連れ歩けば、俺が殺し合いに乗っていない証明には充分なはずだ。
他の殺し合い不参加を表明する者と信用を築けやすいのも確かだろう。
くだらない疑心暗鬼などで殺しあうのはあまりにも愚かだ)
グリフィスは今後の事を纏めながら、ゆのの様子を見る。
するとゆのはようやく落ち着いたのかあれだけ騒いでいたのが嘘のように静かになっている。
「あのっ、わっ、私はゆのです。ごっごっ、ごめんなさい。騒いじゃって。勝手に殺してくるとか決め付けちゃって」
「いいえ。構いませんよ」
グリフィスは気にも止めてないというように笑顔で返す。
元より箱入り娘の扱いはシャルロットで慣れているのでお手の物なのである。
「では参りましょうか。………立てますか?」
「えっ………はい何とか、でも………」
「では南の方に行きましょう。………その……服のき……」
「はいっ、そうですねよね。分かりました。行きましょう。グリフィスさんも早くっ!」
ゆのはグリフィスの言葉を遮り、勢い良く……とはいかぬが、立ち上がり歩きだす。
グリフィスは刀を地面から抜くとゆのを追いかけるように歩く。
(ガッツが今のオレを見たらなんと言うだろうな。……ふっ、らしくないと笑うかもな。………なあ、ガッツ)
グリフィスはこの場のどこかにいる仲間を思い出す。
だがグリフィスは知らない。
この場に居る男は、決してグリフィスの『仲間』のガッツではない事を。
【H-6 森の中 1日目 深夜】
【グリフィス@ベルセルク】
[状態]:健康
[装備]:居合番長の刀@金剛番長
[道具]:支給品一式 確認済支給品0〜1(剣の可能性は低い)
[思考・備考] 現在南下中
1:ガッツと合流
2:殺し合いに乗っていない者を見つけ、情報の交換、首輪を外す手段を見つける
3:当面はゆのと同行、可能な限りは守る
[備考]
登場時期は8巻の旅立ちの日。
ガッツが鷹の団離脱を宣言する直前です。
【ゆの@ひだまりスケッチ】
[状態]:少し泣き疲れ 下半身がドロなどで汚れている
[装備]:なし
[道具]:支給品一式 未確認支給品2〜1
[思考・備考] 現在南下中
1:宮子、沙英、ヒロに会いたい
2:グリフィスさんに守ってもらう。
3:服の着替えを探しに街に向かう。
投下終了です
グリフィスの登場時期は迷いましたが、あえて本人が一番幸せだったタイミングにしました。
ご意見などあればお願いします。
投下乙です
きれいなグリフィスだと…てっきりゆのオワタな展開だと思ってたのにw
鳴海歩、安藤(兄)を投下します
――人間とは、とかく剣にたとえられる生き物である。
肉体的に強靭な者。
優れた知略を発揮する者。
揺るぎなき意志を宿した者。
それがいかなる次元のものであれ、何らかの優れた「力」を持つ者は、剣にたとえられることが多い。
その力が自らを取り巻く世界において、何らかの意味や役割を持つものであれば、なおさらだ。
例えば、天上の神より授けられた異能を操る少年ならば、己の信じた道を一直線に突き進む正義の剣。
例えば、若くして多大な借金を背負った執事ならば、主のためなら我が身をも厭わぬ守護者の剣。
例えば、若き皇子の魂を宿した錬金の魔人ならば、世界の王となり全てを掴まんと欲する野望の剣。
その矛先がいかなるベクトルであろうとも、全てが力ある鋭き剣であることに変わりはない。
そして、これより語られる二振りの剣は、いずれも年若き少年である。
それぞれに与えられた役割の重みは、決して彼らの幼さに見合ったものではないだろう。
しかし、世界は個人の事情など知る由もなく、彼らに理不尽な宿命を突きつける。
1つは、万人の心を掴んで離さぬ才知を携えた、絶対の魔王を退けるための魔を断つ剣。
1つは、盤上を支配する最強の駒にして、兄でもある全能の神を討つための神殺しの剣。
2人の少年に課せられた運命も。
2人の少年がたどり続けた道程も。
2人の少年が戦うことを義務付けられた敵も。
まるで見えざる手が示し合わせたかのように、よく似ている。
これは、そんな二振りの剣達の、決して起こり得なかった出会いから始まる物語。
◆
風が冷たい。
そう感じられるのは、実際に肌に触れている外気だけのせいではないに違いない。
深夜の鋭く冷たい風は、ナイフのようにこの身へ突き刺さる。
無限の星々をちりばめた漆黒の夜空の下、1人の少年が歩いていた。
潮風が微かに鼻を突く。東の方に海が広がっているらしい。
かさかさ、かさかさと。夜風に鳴くのは草原の音。
ただ、南へ。
そびえ立つ灯台を背にしながら、南へと伸びる道を歩く。
ただ漠然と、地図に示された市街地を目指して。
少年の名は、安藤という。
下の名前は敢えて伏せるが、市内の猫田東高校に通う高校生だ。
昔から何かを考え込むのが癖。ただそれだけの、ごく一般的な高校2年生。
つい最近まではそうだった。
できることならば、そうであり続けたかった。
あの日あの夜相対した、あの魔王の姿を目にした今でも。
知られざる禁忌に触れたが故に、喉元に刃を突きつけられた今でも。
ぶるり、と。
身体を震わせる。
普通に生きていたいだけだった。
それ以上のことは望まなかった。
されど神は残酷にも、自分に真実と試練を与えた。
その上こうして今もまた、訳の分からぬ殺し合いに巻き込まれている。
もううんざりだ。
どうして誰も自分をそっとしておいてくれない。
苛立ちが。恐怖が。
絶えず安藤の身体を震わせる。
「……?」
ふと。
視界の右側に。
映り込む1つの建物があった。
十字架の意匠が飾られたそれは、キリシタンの教会だ。
そういえば、地図にはそんなものも書いてあったような気がする。
地図上にわざわざ存在を明記している以上、隠れ場所には適さないだろう。
だが一応、調べておくに越したことはないかもしれない。
ともかくも、今は一刻も早くこの寒気から解放されたかった。
せめて風だけでも凌げれば。
そう思い、木製の扉へと手をかける。
ぎぃ。
軋むような音と共に、開く。
悩める安藤少年を出迎えたのは、神々しい威容と共に鎮座した、迷える民を癒す聖母の像。
月光を受け、その背後で光り輝く、色とりどりのステンドグラス。
そして。
「っ」
先客の姿が、そこにはあった。
祈りを捧げるように。
マリア像の前に、1人の男が立っている。
両の手をポケットへと入れ、じっと直立している少年だ。
青一色の服装は、相当変わっているが、どこかの学校の制服だろうか。
ややあって、くるり、と振り返る。
少年の顔は若い。自分よりも更に。弟の潤也と同年齢くらいだろう。
長いもみあげが特徴的な、茶髪の顔がそこにあった。
月明を受ける耳元の銀色。左耳につけられたピアスが、冷たい輝きを放っている。
両の瞳に宿されるのは、その鋭さにも勝るとも劣らぬ光。
凛とした視線だった。
「俺みたいな奴もいたんだな」
淡々と。
目の前の少年が、呟く。
俺みたいな、とは、ただの学生ということだろうか。
確かに本来ならば、殺し合いのゲームという場においては珍しいというか、場違いともいえる存在かもしれない。
「月臣学園高等部の1年、鳴海歩だ。……あんたは?」
それが少年の名前らしい。
そしてこの少年は、自分にも名前を求めている。
わざわざ武器も構えず名乗ったということは、この殺し合いには乗っていないのだろう。
そして相手は、こちらの様子を伺っている。
大人しく名前を名乗れば信用してもいい。
名乗ることなく向かってきたらそいつは敵だ。
と。
「……安藤。猫田東高校の2年生」
であれば、名乗りに応じない理由もない。
未だに声を震わせながらも。
情けないとは思いつつも。
目の前に立つ歳下の少年へ向けて、自らの名を口にした。
「あんたも殺し合いには乗ってない、と考えていいんだな?」
こくり、と。
無言で頷く。
こんなところで殺されたくはない。誰かを殺したいとも思えない。
ここから生きて出られるのならば、それでいい。
「ならいいんだ」
かつ、かつ、かつ、と。
言いながら、靴音を立てる。
教会の床を己が足で叩き、安藤の元へと歩み寄る歩。
冷静。
不気味なまでに冷静だった。
普通このような殺し合いに巻き込まれて、平気でいられるような人間はいない。
特に自分達のような、精神的に未熟な子供ならばなおさらだ。
似たようなことを経験したことがある、というわけでもあるまい。
下手に1度や2度の経験があるくらいでは、むしろ逆効果にもなる。
今の安藤自身がそうだ。
昨日殺し屋に命を奪われかけた彼は、だからこそ、命の危機を――いかなる恐怖と苦痛を伴うものかを知っているのだ。
同じ痛みを味わいたくない、と震えているのだ。
「随分……落ち着いてるんだな」
「笑えることに、こういうの初めてじゃないんだ」
肩を竦めながら、歩が言った。
言いながらも、その表情はまるで笑っていなかった。
何となく理解する。
彼はどちらでもないのだと。
修羅場をくぐってきた数がまるで違うのだと。
恐らくこの鳴海歩という少年は、この手のことに関しては、相当な場数を踏んできたのだろう。
それこそ1度や2度の騒ぎではなく、軽く10回は死に掛けてきたかのような。
そうでなければ、こうも落ち着いていられるはずもなかった。
もっとも彼は、見たところあの蝉と名乗った殺し屋のような、強靭な戦闘能力を有しているわけでもなさそうだが。
「ともかく、本気でここから生きて帰るためには……あのろくでもない怪物を退治するしかないみたいだな」
「怪物……?」
オウム返しに、安藤が問う。
怪物とは一体なんだ。
この少年が口にした比喩の真意とは。
「決まってる」
歩の口が再び開いた。
告げられた回答は。
複雑な比喩に比べて、驚くほどシンプルに。
「――この殺し合いを始めた連中を、二度と馬鹿な真似ができないように叩きのめすんだよ」
◆
神殺しの宿命を与えられた弟。
そのスタート地点が教会とは、何とも皮肉なものだ。
思えばかつて経験したタッグマッチも、こうして教会をスタート地点としていた。
何のことはない。
いつもと同じ繰り返しだ。
悲しいほどに、いつもと同じ。
これまで経験してきたのと同じ、命の取り合いが繰り広げられようとしている。
それも今回は今まで以上に、多くの人間が巻き込まれている。
止めなければならない。
自分が傷つくことは構わないが、他人が傷つくのは真っ平ごめんだ。
あのふざけた主催者達を打倒し、この殺し合いを止めてみせる。
茶髪の少年――鳴海歩の決意だ。
だがそれとはまた別に、いくつか気にかかることがある。
(何故、あいつを殺すことができたんだ……?)
ミズシロ火澄。
この殺し合いの舞台の最初、ほとんど見せしめのような形で殺された少年だ。
自分を殺せるのは歩だけ。
彼が死に際に放った言葉に、一切偽りはないはずだった。
並外れた天賦の才知を持ち、その血を世界に広めることで旧人類の駆逐を目論んだ悪魔――ミズシロ・ヤイバ。
その悪魔の弟である火澄を殺せるのは、かつて悪魔を滅ぼした神の弟たる歩のみ。
これまで自他問わず、多くの人間が彼の命を奪おうとした。
だが結局誰が試そうと、常識を遥かに超えた強運が積み重なることで、その魔の手は退けられ続けてきたのだ。
何度殺されようとしようと、何度自殺を図ろうと、決して絶命することはない。
ここまで来ると、もはや呪いにすらも思える悪運。
悪魔の弟は、神の弟のみが。
どちらもがそれぞれの兄と同じ遺伝子を持つ、史上初のヒトクローンであるが故に。
悪魔と同じ身体を持った火澄を殺せるのは、神と同じ身体を持った歩のみのはずだった。
クローン云々に関しては、未だ確証があるわけではない。
だがこれまで見てきた構図やその矛盾を考えれば、ほぼ真実と仮定していい仮説ではあるだろう。
いずれにせよ、火澄は歩以外には殺されない。
本来ならあの首輪だって、不発なり何なりの動作不良を起こしてもおかしくはないはずだった。
(だが、火澄は死んだ)
事実だ。
確たる事実として、悪魔は全く見当違いの人間に始末された。
あのムルムルとかいう、訳の分からぬ小娘の手によって。
これまで数多の人々に信じられてきた構図が、あまりにもあっさりと粉砕されたのだ。
奴らは自分達を縛る運命の外にいる。
そう信じざるを得なかった。
認めざるを得なかった。
この殺し合いを始めた連中には、運命の制約が通用しない。
悪魔を殺せるということは、すなわち神をも殺せる可能性があるということ。
下手を打とうものなら、構図上自滅以外の死を迎えることはない自分であっても、命を奪われかねないのだと。
そして、ここからが第二の考察。
(兄貴はこの件に関して、一体どこまで関わってるんだ……?)
兄。
鳴海歩のアーキタイプ――鳴海清隆。
かつてミズシロ・ヤイバをその雷で撃ち抜いた、神と称される稀代の天才である。
誰よりも強く、誰よりも高い。
ありとあらゆる力を有した、全知全能の存在だ。
いかなる面から見たとしても、盤上にこれ以上の駒は存在しない。紛れもなく最強のピースであろう。
唯一火澄を殺すことはできなかったらしいが、これもどこまで信用していいものか。
いずれにせよ、清隆は絶対の存在だった。
彼がひとたび望んだならば、手に入らないものは何一つなかった。
清隆が歩に役割を求めるのならば、こんな殺し合いでむざむざ命を落とさせるような真似はしないはずだ。
自分達兄弟での決着を望むならば、いかなる手を使ってでも、自分を守るに決まっている。
それができるだけの手腕も影響力も、あの男は間違いなく有している。
火澄のことは結果として納得せざるを得ないが、あんな連中に兄が屈する姿だけは、どうしても想像することができない。
となると、考えられる可能性は。
(この殺し合いを通すことで、決着をつけようってことなのか……?)
兄は主催者側にいる。
多くの命のかかったこのデスゲームで、自分と弟の全てを終わらせようと目論んでいる。
用済みとなった火澄を切り捨て、より多くの人々の存在を踏み台として。
歩が自分のいる高みへとたどりつき、対決するという結末を望んでいる。
(……まだ推論の域を出ない可能性ではある、か)
ともあれ、今はそれを鵜呑みにするわけにはいかない。
本当に兄が奴らに出し抜かれた可能性もあるのだ。
そもそもこんな性急なやり方は、どうも清隆らしい手口とは思えない。
故にそれは可能性の1つとして留め、そこで思考を打ち切ることにする。
分からないことは多い。納得できないことも多い。それでも、そのために足を止めるわけにはいかない。
ちょうどこの時だった。
「っ」
ぎぃ、と扉が鳴ったのは。
これまで自分1人しかいなかった教会へと、安藤が足を踏み入れたのは。
そして物語は、再び現在へと戻る。
◆
「……え……?」
何故そう言える。
何故そんなことを口にすることができる。
まったくもって理解できなかった。
この鳴海歩という少年は、何故奴らに抗おうとする。
「あいつらを倒し、殺し合いを止める。
もちろん、俺1人でできることはたかが知れてる……だから、俺に協力してくれる仲間がほしい」
どう考えても勝てる相手ではないのに。
ちっぽけな力しか持っていない自分達に、どうこうできる相手ではないのに。
「あんたが殺し合いに乗らないっていうのなら……俺に力を貸してくれないか?」
そもそもこうして話しているだけでも危ないんだ。
奴らのことだ。首輪を起爆させるためにも、常に自分達を監視しているに決まっている。
下手に逆らいでもしたら、有無を言わさず命を奪いに来るだろう。
万が一この拘束から逃れたとしても、奴らには見せしめになった女の子を殺した超能力がある。
冗談みたいな異能だ。まるで漫画の世界のような。
あんなものに挑んだところで。
「……無理だよ……」
勝てるはずもないじゃないか。
「君だって見てただろ……あんな連中に挑んだって、俺達に勝てるわけがない」
自分だって、彼のように考えていた時期もある。
戦うことはできるのだと。
自分にできることを、精一杯やればいいのだと。
「どうせ何をやったって、世界を変えることはできないんだ……自分の命を縮めるだけなんだよ……!」
だが、それが許されざることであったならばどうする。
より大きな力の前に叩き潰されるしかない、ちっぽけな力でしかなかったらどうする。
できることと許されることは違うんだ。
たとえできることがあったとしても、それが巨大な力の前に、否定されるべきことであったとしたら。
「俺達はあいつらに逆らうことなんてできないんだ!
自分より強い奴には勝てはしない……大人しく殺し合いに乗るか、震えてやり過ごすかしかないんだ……!」
そんなもの、どうしようもないじゃないか。
何故それが分からないんだ。
何故無駄に命を削ろうとする。
自分には全く理解できない。
そんな無謀な行動に付き合って、命を落としたくなんてない。
握った拳をがたがたと震わせ。
うつむいた視線を硬く閉じて。
聖母の像へと告白するかのように。
胸の内に渦巻く恐怖、その全てをぶちまけた。
どれほどの時間が経っただろう。
歩はどんな顔をしているのだろう。
目を背けてしまった安藤には、もう何も分からない。
だが。
ややあって。
「……本当にあんたは、それで納得しているのか?」
かけられたのは、そんな声。
まるで今の話など、全く聞こえていなかったかのように。
今でもなお、この少年は平然と理想を説く。
納得などしているはずもない。人が死んでいい思いをするはずもない。
だが現実として、自分達にはそれを止める術がない。
できないことをどうやってすればいい。不可能なことは諦めるしかないじゃないか。
そう言おうとした。
その瞬間。
「本当にあんたは――あいつらに勝てないと思ってるのか?」
口にしたのは。
そんな言葉だった。
「……え?」
思わず、顔が上がる。
思わず、声が漏れる。
開いた瞳に写るのは、相も変らぬ冷静な表情。
一切表情を変えることなく、歩は平然とそこに立っている。
「確かにあいつらは強い。でも絶対はない。
事実、がんじがらめにされてるようで、俺達を縛る鎖には、どうにも辻褄が合わない小さな傷が見えるんだ」
思いもよらない言葉だった。
そんなことを言い出すとは思えなかった。
彼の纏う空気からして、決して嘘やごまかしを言っているわけではないだろう。
「それに、どれだけあいつらの力が強くても、結局その力を使うのは人の頭脳だ。
作戦の立て方によっては勝てない相手じゃない……俺の論理が、あんな連中に負けるとも思わないしな」
この少年は本当に、あいつらに勝つつもりでいる。
自分の作戦や論理とやらで、本当に力差を覆すつもりでいる。
「俺は必ず奴らを叩き潰す。盤面を支配してるのは奴らの論理じゃなく、俺の論理だと分からせてやる」
――たとえでたらめでも自分を信じて対決していけば、世界だって、変えられる。
不思議と、あの言葉が浮かんだ。
犬養舜二。
自分の住む町に突然姿を現した、自警団グラスホッパーを率いる青年だ。
市民の平和を守るために戦う姿勢。人々を惹きつけてやまぬ、溢れんばかりの正義感とカリスマ。
その神の仮面の裏に隠された、魔王のごとき残忍性。
安藤が触れようとし、拒絶され、打ちのめされた巨大な力だ。
何故彼の顔を思い出す。
何故彼の言葉を思い出す。
顔も、背丈も、髪色も声も。
目の前に立っている少年とは、まるで似ていないというのに。
「……改めて聞く」
ただ、1つ。
纏う空気が。
その不思議な説得力だけが、何故かあの男を彷彿とさせていた。
「俺の勝負に乗ってくれないか?」
そう声をかけられた時。
その手を差し伸べられた時。
「……分かった。少なくとも、話だけなら聞いてやるよ」
もはや拒絶する術などなかった。
手のひらを握り返さぬ理由などなかった。
安藤の右手が、差し出された手を握る。
「十分だ」
微かな笑顔と共に、歩が返した。
◆
それから、しばらくの後。
「さっき言っていた鎖の傷って、結局何のことなんだ?」
木製の長椅子に腰掛けた安藤が、隣の歩へと問いかけていた。
「ああ、あれか」
「まさか俺を焚きつけるためのでたらめとかじゃ……」
「大丈夫だ。それはないよ」
要するに、情報交換である。
安藤と鳴海歩。どちらも得意分野は頭脳戦。
その2人がこうしてそろったのだ。であれば、こうした流れにならないはずもない。
「俺達の命を握ってる、この首輪なんだけどな」
言いながら、歩の指が首元をなぞる。
その肌色の首に架せられた、冷たい金属の感触を。
「昔、これと似たようなものをつけられたことがあるんだ」
首輪型の爆弾。
幸か不幸か、歩がこれをつけられたのは一度ではない。
清隆が歩を成長させるために配置した駒――ブレード・チルドレンとの闘争。
その中で、これと同じような形をした爆弾を、首に装着されたことがあったのである。
無理に外そうとすれば爆発する。一撃で即死する破壊力。
さすがに起爆は時限式ではなく、今回はスイッチ式のようだが。
「で、少し話が飛ぶことになるが……緑の髪の奴が死んだ時のこと、覚えてるか?」
歩の言葉に、無言で安藤が頷く。
忘れようにも忘れられるはずもない。
突如として爆発した首輪。
ごとりと落ちた人間の生首。
鼻を突いた血と火薬の匂い。
死者の名前を呼ぶ参加者達の声。
今でも鮮明に思い出せる、ショッキング極まりない記憶だ。
「あいつは俺の知り合いで、俺もあいつの名前を呼んでたんだが……俺以外にも、あいつの名前を呼んでた奴がいた。
さすがに気が動転してて、誰の声かまでは覚えられなかったんだけどな」
「あ……」
「更に記憶をさかのぼってみれば、先に殺された女の子の方も、名前を呼ばれてただろ?」
言われてみれば確かにそうだ。
2人の見せしめが葬られた時、彼らの名前が何者かによって呼ばれていた。
間違いなく、参加者達の中から。
「ここに集められた人間の選考基準はランダムじゃなく、何らかの法則性の下に選出されている……
たとえば、最初に選ばれた誰かの知り合い達、みたいな感じだ。
そう考えた俺はあの説明の時、ずっとある人間を捜していた……そして、見つけることができた」
「それは……?」
「竹内理緒。昔、俺の首に爆弾を嵌めた張本人だ」
曰くその竹内理緒とは、爆弾の扱いに関するエキスパートらしい。
まるで幼女のような外見をしているが、その実は今まで戦ってきた相手の中でも、五指に入るほどの切れ者とのこと。
そして今、この首輪と似たようなものの構造を知っているという人間が、この殺し合いの場に呼ばれているという。
おまけにかつては敵だったものの、今は和解したというのだ。
「じゃあその子と合流すれば、昔作ったって爆弾の構造を応用して、首輪を外せるかもしれないってことか……!」
「可能性はゼロじゃないだろうな。
それにこの事実……まだ何かが引っかかる。もっと別のヒントが隠されてるかもしれない」
言いながらさっと歩が立ち上がった。
脇に置いたデイパックを持ち上げ、己の肩へとかける。隣の安藤もそれにならった。
今すべき情報交換はこんなところだ。残りは歩きながら話していけばいい。
いずれにせよ、ここに留まる理由はない。
教会の扉へと向かって、歩が先頭をきって歩き出す。
と。
そこで。
「さっきのあれ……腹話術、だったか?」
くるりと振り返り、尋ねた。
「ああ。あまり役に立たなさそうな、地味な力だけどな」
自虐気味に苦笑しながら、安藤が答える。
彼は既に歩に、自分の持つ力のことを話していた。
腹話術。
いつしか安藤に備わっていた、頭脳以外のもう1つの武器。
他人の口を意のままに操り、あらゆる言葉を言わせることのできる力だ。
射程は徒歩30歩圏内。だがその範囲に収まる人間ならば、どんな奴の声だって借りることができる。
もっとも、これが何かの役に立つとは思えないのだが。
ただ人に何かを言わせるだけのちっぽけな力。よほど条件が揃わない限り、戦いに使えるようなものでもない。
「でも、俺にはない力だ」
しかし。
「それこそ何も持ってない俺に比べれば、あんたの方がその分強い」
それでも。
「なら――戦えよ」
歩の顔には笑みが浮かぶ。
「何かをできる力があるなら、それで救える人を救え。力を持った人間の責任を果たせ」
◆
かくして、双剣の物語は幕を開ける。
魔を断つ剣は己に課せられた使命を知らず。
神殺しの剣は己に課せられた使命に抗う。
悪を討つべき剣の担い手は、今はまだ進むべき道を知らぬ暗闇の中。
神の命を奪う剣の担い手は、その手を血に染めることはしないと決意する。
神と魔王。それぞれ全く異なる敵を斬るための剣。
白と黒の二色の刃は、互いにいかなる影響を与え合うのか。
神を殺す白き剣は、魔を断つ黒き剣を揺り起こすことができるのか。
今はまだ、誰一人として知る由もない。
だが、確かなことが1つある。
たとえ今は曇った刃であろうとも、その本質が、力ある剣であることに変わりはない。
今は静かに、磨かれる時を待ち続けている。
それだけだ。
【D-9/教会/1日目 深夜】
【安藤(兄)@魔王 JUVENILE REMIX】
[状態]:健康
[服装]:猫田東高校の制服(カッターシャツの上にベスト着用)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、不明支給品1〜3
[思考]
基本:脱出の糸口を探す。主催者と戦うかはまだ保留
1:首輪を外す手段を探す。できれば竹内理緒と合流したい
2:殺し合いに乗っていない仲間を集める
3:殺し合いには乗りたくない。とにかく生き残りたい
[備考]
※第12話にて、蝉との戦いで気絶した直後からの参戦です
【鳴海歩@スパイラル〜推理の絆〜】
[状態]:健康
[服装]:月臣学園の制服
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、不明支給品1〜3
[思考]
基本:主催者と戦い、殺し合いを止める
1:首輪を外す手段を探す。できれば竹内理緒と合流したい
2:殺し合いに乗っていない仲間を集める
3:何故主催者達は火澄を殺せたのか? 兄貴は何を企んでいるのか?
4:「爆弾を解除できるかもしれない人間である竹内理緒が呼ばれている」という事実が、どうにも引っかかる
[備考]
※第66話終了後からの参戦です。自分が清隆のクローンであるという仮説に至っています
※オープニングで、理緒がここにいることには気付いていますが、カノンが生きていることには気付いていません
※主催者側に鳴海清隆がいるかもしれない、と思っていますが、可能性はそう高くないとも思っています
//////
投下は以上です。
歩はポジティブになった頃からの参戦、安藤はネガティブだった頃からの参戦ということで。
若き執事はまだ執事になる前からの参戦だったけどキニシナイ。
これまで投下された書き手の皆様、投下乙でした
グリフィス、フェムトで出したかったな。
この悔しさをバネに鬱話でも考えるか。
安藤は対決を決意する前か。
覚醒に期待。
投下乙です
ああ、ぴんとした空気の中、重い宿命を抱える二人が出会い巨大な敵に立ち向かうと決意した瞬間・・・
かっこいいし絵になるなw
一波乱あると思ったけどとりあえずコンビになったか
しかし先は長いしカノンや弟がいると知った時はどうなるか?
かっこよかったです!
しかし今回はコンビやトリオが多いな
批判じゃなくていい意味で先が読めないw
投下乙でございます。
あのOPだけで一気にそこまで考えていたとは……鳴海歩恐ろしい子……
それから安藤(兄)……ネガティブなのはともかく、弟の潤也が思考的(兄の仇討ちの為マーダー化しそう)にも状況的(ドSに首輪で繋がれた)にもヤバイぞーとりあえず放送乗り越えて知ったらどうなるんだろう……
あと1点だけ指摘が、今回ランダム支給品は2点までなので両方とも1〜2になりますよ(とはいえwiki収録時に直せば良いだけのお話)。
投下乙!
スパイラルの方は未読だけど歩ってかっこいいなぁ……。
鳴海清隆というキャラがどれだけ影響もあるのが良くわかった。
安藤の方は覚醒前の時期でこれからに期待!原作張りの「おおおおおおおお!」が来るかどうか今から気になるなぁ……。
なんとも面白そうなコンビ結成おめでとう!
投下乙です。
予約から楽しみにしてた組み合わせが、予想以上のクォリティで投下されて嬉しい。
実は兄と弟なコンビ。行く末が楽しみです。
投下乙です
やっぱ歩は思考系キャラなのを実感
コンビの相方がしっかりし過ぎで安藤がどうなるのか少し不安だw
あと細かいかも知れないですが一つ指摘
「理緒を見つけた」ってのは昨日のガッツの例もあるし無理じゃないかな
声は通ってるし、誰か判らなかったより理緒らしき声が聞こえたって風のほうがしっくりくるかも
投下乙です
>反撃への第一歩
いやあ、ゆのが無事でよかったー予約を見た時はどうなるかひやひやしたぜ
このグリフィスなら頼もしそうだな
>Twin Sword
こっちは頭脳コンビか、いろいろ期待できそう
でもどことなく不幸が似あいそうなのは気のせいか
それとどっちにも共通の指摘。
上でも言われていますけど、OPの時点では他の参加者は影みたいになっているので姿を見る事は不可能です。
ちらっと声を聞いたとかなんとかにしたらどうでしょ
投下しますね
デウスがいないだって……?
確かにムルムルはそう言った
そして、このゲームは新たな神が開いたとも。
新たな神――すなわちデウスの後継者。
……おかしい。デウスの後継者はあの日記を使った殺し合いの優勝者に与えられる褒美だったはず。
僕や由乃はまだ脱落してないし、残りは僕らを含めて6人。ちょうど半分だ。
とてもゲームが終わったとは言えやしない。
それなのに新たな神っていうのはどういうこと何だ?
ムルムルの話からするとデウスはどこかにいくなってしまったのだろう。
それで残りから急遽新たな神が選出された、ということならば話は繋がる。
だが、それなら何故この様な殺し合いをする必要があるんだ?
ゲームの生き残りが邪魔ならこんな回りくどいことをしないで、直接殺せばいいのに。神ならば簡単なはずだ。
新たな神も含めて分からないことだらけだ。
「由乃なら何か知ってるのかな……?」
僕は思わず呟いていた
我妻由乃――僕の協力者であり、超ストーカーでもある。
僕は彼女もこのゲームに参加させられていることは知っていた。
黒みがかっていても気配で分かる。何せ大聖堂で僕の隣にいて、ルール説明の時もずっと視線をこちらに送っていたのだから。
「……!!そうだ、由乃だよ!早く由乃を捜さないと!」
僕は状況に流される余り、大切なことを忘れていた。
我妻由乃がいるということの意味に。
由乃はほぼ間違いなく暴走し、人殺しをするだろう。賭けたっていい。
あいつは今までも僕のためといって何人も殺してきたし、殺そうともしたからだ。
この前だって秋瀬君達を殺そうとしたばかりだ。
そんな奴がこんなゲームに放り込まれたらどうなる?
答えは分かりきっている。今までと同じだ。
それを止めるためにも僕は由乃に会わなくちゃいけないんだ。
そうと決まればボヤボヤしてられない。今もどこかで由乃に襲われている人がいるかもしれないのだ。
僕は傍らに置かれていたバックを肩にかけ出発しようとしたが、それは叶わなかった。
「振り向かんで手を挙げてくれへん?あ、それと変な気は起こさん方が身のためやで」
後頭部に冷たい感触が走ると同時に真後ろから女の子の声が聞こえる。
考えに熱中し過ぎて周りに気を配り忘れていた。
おそらく頭には銃が突き付けられている。ここは大人しく従うしかない。
「これでいい?」
僕は素直に両手を空に向ける。
「その声!自分、あのちっこいのに1stって呼ばれとった奴やろ?」
「……うん」
「こりゃ運がええな。じゃあ、ちっこいのについて知ってるだけ話してもらおか」
◇
僕は話した。デウスのこと、ムルムルのこと、そして未来日記のゲームのこと。
もちろん全部ではないが。
デウスという神がいて、後継者を決めるための未来日記を使ったゲームを開き、僕も参加させられたということを簡潔に伝える。
色々と不味い部分があるのでゲームの進行に関してはあまり話してない。
まさか御目方教信者の集団自殺の真犯人が由乃だなんて言える訳がないよ。
女の子は終始黙って話を聞いていた。
「つまり、デウスっつう神さんがおって、あんたら日記所有者12人から新しい神さんを選ぶはずやった。
けど、どういう訳かゲーム半ばでデウスはいなくなって、いつの間にか新たな神も決まっとった。
そんであのちっこいのはムルムルゆうてデウスの小間使い、か」
そこまで言って彼女は一旦言葉を区切り、ハァと大きくため息をつく。
「神様とか未来日記とか、自分、ヤバい薬でも吸ってるんとちゃう?」
「そ、そんなことないよ!全部本当のことなんだ!信じてよ!」
もし、嘘だと判断されたら殺されてしまうかもしれない。
だから僕は力の限り訴えかける。この話は本当だと。
「……けど、信じるしかあらへんな。
普段やったら自分を病院にでも放り込んどくとこやけど、状況が状況や。
雷にワープなんてモンを目の当たりにしたらそら流石のウチでも信じる気になるわ」
どうやら信じてくれたようだ。思わず口から安堵のため息が出る。
だが、安心するにはまだ早かった。
「じゃ、次の質問や。ぶっちゃけ自分はこのゲームをどうしたいん?」
えらくストレートな質問だ。
普通ならゲームに乗ってないと答えるべきだろうし、僕も人殺しをしようとは思わない。
だから正直に自分の気持ちを伝える。
「僕は……ゲームに乗るつもりなんて……ない!」
「……さよか」
そう聞こえると同時に頭から冷たい感触が消える。
どうやら助かったみたいだ。
今度こそ本当の安堵の息が漏れる。
「窮屈な思いをさせてスマンかったな。もう手を下してええで」
僕は両手を下げ、相手を確認するために背後を振り返る。
そこにいたのはちょっと小柄の女の子だった。
歳は僕と同じといったところか。そして、予想通りに手には銃が握られている。
銃も気になるけど、それより先に確認しておくことがあった。
「僕を自由にしたってことは君もゲームに乗ってないってことでいいんだよね?」
「当たり前やろ。そりゃ『殺しあって下さい』『いいですよ』ってなる訳ないややないか」
……もっともだ。今回のゲームには神の後継者という褒美がない。
褒美がないとなれば来須さんや6thの様にゲームに乗ってしまう人は少ないはず。
「それもそうか。ええと……」
そういえばまだ名前を聞いていなかった。
相手もそれを察してくれたのか、笑いながら自己紹介をしてくれる。
「まだ、名乗っとってなかったな。ウチは愛沢咲夜や。よろしくな、天野」
「うん」
思わず僕も笑顔で答えていた。
……!!
その時、背後からゾクッと気配を感じる。
慌てて背後を振り返るがそこには誰もいない。
「どしたん?そない慌てて」
愛沢さんが心配そうに僕を見つめる。
また僕は忘れかけていた。そうだ、ここには由乃もいるのだ。
「愛沢さん、僕から離れた方がいい……!」
「どういう意味や?」
僕は愛沢さんに語った、我妻由乃という超ストーカーのことを。
もちろんデウスの時の様に所々は誤魔化してだが。
愛沢さんはさっきまでの様に大人しく聞いてくれている。
「ふ〜ん、つまりその我妻由乃ゆうんはヤンデレってことやな」
「ヤンデレ?」
聞きなれない言葉に僕は首をかしげる
「あ〜、気にせんといて、ウチもナギから聞いただけでよう分からんから。
ま、話しを戻すとやな、ウチが自分とおると我妻由乃の怒りを買うから一緒にいない方がええってことやな?」
「うん、だから由乃に見つかる前に早くどこかに隠れた方がいいよ」
「……逆やな」
「えっ?」
「だから逆言うてるんや」
そこから愛沢さんによる説明が始まった
彼女の話しをまとめると、
・彼女一人で由乃に出くわすとほぼ100%襲われる
・僕といれば恨みは買うが、即座に殺されるということはないはず
・だから、一人でいるのは逆に危険
・それに、ヤンデレと呼ばれる人種は刃物を持つと動きが早くなるらしい(これは愛沢さんの友人からの情報だが)
言われてみれば確かにそうだ。由乃は度々暴走したが、一応は僕の言うことをきいてはくれている。
「ちゅーわけで、自分はウチと同行してもらうで。エエな?
それにこそこそ隠れるんは性に合わん」
僕には断る理由がなかった。
出会いは最悪だったけど、話してみて分かった。愛沢さんは信頼できる人だ。
来須さんみたいに裏切りはしないだろう。
それに、ゲームを進めていく上での協力者の大切さを僕は嫌ってほど分かっている。
心強いかは分からないが仲間ができた。
とりあえずは愛沢さんと協力して由乃を捜すのが先決だ。
きっと今もどこかで暴走してるに決まってるのだから。
「ああ、大事なこと言い忘れとったわ」
決意を胸に秘めた僕に向かって愛沢さんが唐突に口を開いた。
「ウチはおもろいのが大好きやから。そこんとこは忘れんといてな」
そう言う愛沢さんの手にはいつの間にか銃ではなく、ハリセンが握られていた。
ここで僕は理解した。ああ、この子は由乃とは違う意味で持て余しそうだと。
【E-4/1日目 深夜】
【天野雪輝@未来日記】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、不明支給品1〜2
[思考]
基本:ムルムルに事の真相を聞きだす
1:我妻由乃を捜す
【愛沢咲夜@ハヤテのごとく!】
[状態]:健康
[装備]:違法改造エアガン@スパイラル〜推理の絆〜、鉛弾20発、ハリセン
[道具]:支給品一式
[思考]
基本:人を殺す気はない
1:我妻由乃を捜す
投下終了です
何かありましたらお願いします
投下乙です
雪輝の近くにいる人物は、もれなく由乃という名の死亡フラグが立つからなぁ…頑張れ
主催とも関係があるし、期待したいな
投下乙です
またここにコンビが1つ出来たが今度のコンビは死亡フラグがおまけに付いてきますw
日記はやっぱり無しか。あれは強力だからな
確かに主催の関係者は目立つから期待したいけど最優先が由乃探索か
放置出来ないが不毛な行為かもしれない
投下乙です。
>>黒みがかっていても気配で分かる。何せ大聖堂で僕の隣にいて、ルール説明の時もずっと視線をこちらに送っていたのだから。
KOEEEEEEE!!!
暗くて見えないんだって言ってるのに間違いなく見えているwwww
中に誰も〜とか空鍋の人と違って。病む過程無しの純度150%のヤンデレやば過ぎる。
投下乙です。
良いコンビなんだけど、死亡フラグ付きというのが恐ろしいなぁ……
主催を知るキャラという事もあるし、色々な意味で今後に期待です。
>>406 ご指摘ありがとうございます。
確かに、ベルセルクの世界では病院というのは苦しいかもしれませんね。
とりあえず、そこの部分だけ修正をしましたので、したらばの方に投下しておきます。
ところで詳しく言うと先読みになるから言わないが現在位置がバラけてるけど1部重なってるな
書くの難しそうな組み合わせと流血沙汰になろそうなのがあるな
どんどん話が進んできたら更に面白い位置になるんだろうか?
みなさん投下乙です!
ゆの逃げてえええ!って思ったら……
アニロワでしかベルセルク知らない自分的に爽やかなグリフィスにびびったw
そして兄は覚醒前か、歩との対比がいい感じです。
安藤はここで本編のように覚醒するか、それとも……
とても気になるコンビです。
由乃Koeeeeeee!!
サクと雪輝の出会いも由乃で全部吹っ飛んだw
言葉様なんかとは違う意味のヤンデレすぎるwww
wikiにカウンターがないけど、付けれないのかな?
ところで予約スレで24時間立ったから予約してる人いるけどいいよね?
駄目な理由がわからないw
ミッドバレイが特に気になるなー。
まだ予約入って無い奴どのぐらいいる?
正確には数えてないがまだまだ空いてるのがいるよ
半分は残ってるんじゃね
>>485 指摘ありがとう。
>>462の
グリフィスが口にするは彼が最も信頼に足る仲間の名である。
無論グリフィスに配られた名簿は現時点では白紙であり、参加者の名など知る由もない。
しかしグリフィスはあの人ごみの中で一瞬ではあるが、確かにガッツを目撃していた。
一瞬。しかも体は他の者に遮られ、後頭部がチラッと見えた程度だ。もしかしたらただの見間違えかもしれない。
それでもグリフィスには確信めいたものがある。
あれは確かにガッツであると。
この会場のどこかにガッツがいると。それを信じている。
を
グリフィスが口にするは彼が最も信頼に足る仲間の名である。
無論グリフィスに配られた名簿は現時点では白紙であり、参加者の名など知る由もない。
しかしグリフィスはあの無数の人々の声が入り混じる中で確かにガッツの声を聞いていた。
一瞬。それも多くの人の声が入り混じった中では、ただの聞き間違えにすぎないかもしれない。
それでもグリフィスには確信めいたものがある。
あの声は確かにガッツであると。
この会場のどこかにガッツがいると。それを信じている。
に差し替えます。
予約スレにも書きましたが、念のためこちらにも報告します。
予約時のトリップ失念してしまいました。
現在予約スレにて、管理人の方に、IPから確認を取っていただく様お願いいたしております。
旧トリップが ◆4n3JatAr5M のものです。
現在、桂雪路ととらを予約しています。すでに書きあがってはいるのですが、
予約ルール上の期限が終わるまでに、管理人様のご確認がいただけない場合は、予約破棄いたしますので、
その旨だけ予めお伝えしておきます。
こんな時間ですが投下しますよっ
支援します
闇に閉ざされた森の中、木々の陰に潜む人影があった。
「沙英、無事でいて……あなただけは、必ず助けて見せるから」
手の中で鈍く輝く拳銃を構え、ヒロは決意を口にした。
集められた広場で、こんな小説のような自体が本当に起こるはずがないと現実逃避に走った。
だが、ヒロの逃げを許さない事実を耳にしてしまった。
「さ……え?」
姿が見えずとも、聞き間違えるはずが無い。
親友の沙英の声に、ヒロは沙英の名前を叫ぶつもりだった。
しかし、それより先にヒロは会場に飛ばされてしまったのだ。
「殺させるもんか……沙英を、殺させたりしない!」
運良く、支給品の中には銃が入っていた。
本物の銃の重さがより殺し合いのさなかにいるのだと自覚させられる。
「こんなので撃ち殺される前に、沙英以外を殺して、そして――」
沙英以外を殺して、最後に自分も死ぬ。
ヒロの思考には、まさか他にも仲間が巻き込まれているなど微塵もない。
名簿があれば、この決意も揺らいだのかもしれない。
だが、たとえそうだったとしても、親友を助けるためにヒロはゆのと宮子を切り捨てたかもしれない。
そう、何も変わらない。
何も変わることは無いのだ。
「沙英が行きそうなところは……デパートかも。食べ物だってあるはずだし」
「なるほど、「デパート」とはそういう施設でしたか」
何も変わらない。彼と出会う、この事実は。
自分ではない声に、ヒロに心臓は一瞬鼓動を止めた。
拳銃を構える余裕は、その一瞬だけだった。
ヒロは、目の前に現れた男が両手を合わせるのを見つめることしかできず。
「(さ、え……今度も小説、頑張って。私も腕によりにかけて夕食を――)」
その視界は光に包まれた。
支援
デパートの外に、小さな少女が立っていた。
「これも23区計画の一部なのでしょうか?」
彼女の名は白雪宮拳。またの名を剛力番長という。
日本を再生するために23区の番長同士で争い、真の支配者を決めるバトルロワイアル「23区計画」。
その番長の一人が彼女なのだが、とても剛力には見えない。
だが、その名を示すように、その手にはありえないものが握られていた。
――それは剣と言うにはあまりに大きすぎた
大きく分厚く重く そして大雑把すぎた
それはまさに鉄塊だった
ヒュペリオン体質という特別な体を持つ彼女は、その筋力、硬度共に見かけとは異なる超人的能力の持ち主だった。
「ちょうどいい武器も手に入りましたし、そろそろ行動開始と参りましょう」
彼女にとっての行動とは、もちろん「正義」を執行することである。
これが23区計画の一部だとしても、先ほどの出来事は正義とはほど遠い。
「悪事はこの、剛力番長が許しませんわ! ……あら?」
ずる、ずる……何かを引きずるような音が彼女の耳に届く。
音のする方角を振り向き、剛力番長の表情は凍った。
そこにいたのは、バケモノだった。
人とも、犬ともつかない不気味な生き物。
それが、血まみれで這いながら剛力番長に迫ってきていたのだ。
気味の悪さを堪え、剛力番長は鉄塊――ドラゴンころしを振るう。
グシャ
怪物は、あっけなく潰れた。
「ァ、ァー……」
だが、それでも息があるバケモノに止めをさすべく、剛力番長は再び剣を構える。
支援
「ァー、り……ガ、t、ゥ」
「―――え?」
ありがとう。そのように聞こえた気がした剛力番長は手を止める。
だが、バケモノは剛力番長が止めをさす必要も無く、息絶えていた。
「あなたが、彼女を救ってくれたのですね」
「な、何者です!」
声に反応すると、その先にいたのは軍服に身を包んだ男だった。
「私も急いで追ったのですが、すみません。あなたのような方の手を汚させるとは」
「このバケモノがなんだか、知っているのですか?」
バケモノ、という言葉に軍人らしい男は複雑な表情を浮かべる。
「バケモノなどといわないでください。彼女もまた、我々同様に被害者なのですよ?」
「我々同様? ……あ、嘘です、わ……そんな!?」
ちらりと「バケモノ」の方を見て、剛力番長は気がつく。
その「バケモノ」の首にある、自分と同じ参加者の証を。
「……人ですよ、彼女は」
「あ、あ……アアアアアア!!!?」
ドラゴンころしを落とし、剛力番長は膝を突く。
「わ、私は……なんてことを!!」
バケモノ、バケモノと嫌悪し、あまつさえその命を奪ってしまった。
しかし、どれほど後悔しようが、その命は二度と。
「……戻せると言ったら、どうしますか?」
剛力番長の視界の先に、にやりと笑顔を浮かべる軍人がそこにいた。
「で、ですが……死者を蘇らせるなんてことは……」
「できますよ。とはいえ、ここでは不可能です。そのための道具が揃っていませんからね」
今はできない。しかし、不可能ではない。
その希望に、剛力番長はすがった。
「お願いです! その方法を教えてください!」
「それは……私が優勝することですよ」
そう言うと、男は地面になにやら複雑な模様を描き始めた。
「な、何をされているのですか?」
剛力番長の質問にも答えず、男は模様を描きあげると、地面に両手をかざした。
「!?」
すると、地面の模様は光を放ち、そこを中心に何かが浮かび上がる。
「こ、これは?」
そこにあったのは、ごっそりと無くなった地面と、何やら等身大の土人形だった。
「これが、ここに転がっている彼女の元の姿ですよ」
剛力番長は青ざめ、しかしじっくりと彼女の土人形を見つめた。
「さて、それではこの穴に死体を埋葬しましょうか。これからのプランを練りながらね」
「あなたは、一体……?」
「これは申し遅れました。私は「紅蓮」の錬金術師、ゾルフ・J・キンブリーという者です」
死体を埋め終わった後、軍服の男……キンブリーは人形を崩し、土を被せた。
「それでは、あなたの国に帰れば皆さんを生き返らせることができる、と?」
「ええ。ここには賢者の石がありません。そしてあったとしても、設備も無い」
キンブリーは、賢者の石について説明した。
錬金術と賢者の石があれば、先ほどの土人形のように手足でも臓器でも作ることができる。
時間が必要だが、100人程度なら数年以内に蘇らせることができる、と。
「そして、あなたは感じませんか? 何やら、体の調子がいつもと違うことに」
それは剛力番長も気がついていた。
ドラゴンころしに、僅かだが重みを感じるのだ。
本来の力なら、ドラゴンころし二刀流でも重いとも感じないというのに。
「これでは、たとえ賢者の石があっても人体練成はできません。非常に残念ですが、ここで優勝する他に道は無いのです」
支援
「あのムルムルという子供に、正義の鉄槌を下しましょう! そうすれば、優勝など!」
剛力番長の言葉に、キンブリーは首を振る。
「残念ですが……それでは彼女の二の舞です」
「どういう、ことですか?」
深いため息をつき、キンブリーは口を開く。
「彼女もそうでした。殺し合いになど乗らないぞと、口にした矢先……主催者にバケモノの姿に変えられたのです」
「首輪を爆破するのではなく、ですか!?」
キンブリーはうなずき、言葉を続ける。
「どうやら、これはあくまで逃亡防止用に過ぎないようです。
このゲームの趣旨に逆らった行動、言動をしたものには、死より恐ろしい罰が待っているのです。
……酷いものでしたよ。ゲームに乗らないと宣言した少女が、異形に変わり正気を失う過程は」
剛力番長は、先ほどまでの自身の発言を思い出し、口を紡ぐ。
「……問題ないでしょう。あなたは参加者を殺しました。それに、彼らも毎回罰を下すわけではない。
あくまで殺し合いをしてもらいたいようですから。しばらくは、誰にも悲劇は起きないでしょう」
ほっと息をつき、罪悪感が増す。
一歩間違えば、自分がバケモノにされていた。
「バケモノ」になった名も知らぬ彼女は、もしかしたら剛力番長だったのだ。
「辛いですが、決断を。約束しましょう、必ず全員を生き返らせると!」
「……わかり、ましたわ。汚名を被り続け……キンブリーさんに勝利を」
涙をこぼし、剛力番長は殺し合いに乗る決意を決めた。
「……ありがとうございます。ああ、それと……実は外国の育ちでして、施設の意味がわからないものがありまして。
良ければ教えていただけますか?」
剛力番長は、警察署やデパートなど聞かれた施設について教えた。
支援
「それでは、私はここで。本当に、お一人で大丈夫ですか?」
「デパートで練成に使えるものでも探そうと思いまして。自分の身くらいは守れます」
そういうキンブリーに、剛力番長は忠告をする。
「私のように、番長を名乗る者と出会ったらご注意ください。誰もが強い力の持ち主だと聞きます」
「ご忠告、感謝します。どうかご武運を」
キンブリーと別れ、剛力番長は直進する。
無残に殺した彼女を生き返らせるため、すべての参加者に死を。
たとえ自分が死んでも、キンブリーが生き残れるように強者を排除しなければならない。
剛力番長は突き進む。
全てを救うために、全てを殺す決意を胸に。
その矛盾を、あるいは未来の彼女ならば気づいただろう。
だが、悲しいかな。彼女は行き過ぎた正義を実行していた時の彼女。
彼女の舎弟が金剛番長に止めて欲しいと懇願していたときの剛力番長なのだ。
疑うことを知らない彼女は、止まらない。
彼女の「正義」は止まらない。
【I-8/デパート付近/1日目 深夜】
【白雪宮拳(剛力番長)@金剛番長】
[状態]:精神的疲労(中)
[装備]:ドラゴンころし@ベルセルク
[道具]:支給品一式、不明支給品0〜1
[思考・備考]
1:全員を救うため、キンブリー以外を殺す。
2:強者を優先して殺す。
3:ヒロ(名前は知らない)に対して罪悪感
※キンブリーがここから脱出すれば全員を蘇生できると信じています。
※錬金術について知識を得ました。
※身体能力の低下に気がついています。
※主催者に逆らえば、バケモノに姿を変えられると信じています。
※参戦時期は金剛番長と出会う直前です。
【ドラゴンころし@ベルセルク】
ガッツの主装備。ドラゴンを斬るために作られた、常人には使えぬサイズと重さの剣。
悪霊を斬り続けたためか、霊体に対してもダメージを与える事ができる斬魔刀となった。
支援
「ほう……このような高層の建物が……おお、自動でドアが……なるほど、センサーで私を感知して……」
デパート内部に入ったキンブリーは、普段見慣れぬ建物に興味を示した。
「(やはり異国……なのでしょうか。参りましたねぇ、仕事の途中だというのに)」
先ほどの番長なるものを名乗る少女も、錬金術の知識は欠片もなかった。
ひとまず、異なる国……と思うことにした。
「(とはいえ、あのムルムルなる子供……プライド同様、人間じゃないようですしね)」
子供の姿だからといって惑わされることは無い。あれは、間違いなくホムンクルスに近い何かだ。
「(ともあれ、全員を消し炭にすることは望むところ。ここは素直に従いましょう)」
だが、楽しもうにもキンブリーの錬金術の力は落とされていた。
もし自分以外の国家錬金術師や、ホムンクルスのようなバケモノがいれば手を焼く。
「(とりあえず、彼女に整地してもらいましょう。それまでは、パーティの準備としましょうか)」
キンブリーは、指にかけた輪っかをクルクルと回す。
「(これの構成物質についても興味がありますしね。どんな者でも殺してしまう首輪……興味深い)」
それは、ヒロの首輪だった。
「(それにしても、簡単に騙されてくれましたねぇ。あんな出来損ないの合成獣で)」
邪悪な笑みを、キンブリーは浮かべた。
あの時、キンブリーはヒロを錬金術で仕留め切れなかった。
錬金術の力が落ちていたためである。
半死半生のヒロを見て、キンブリーは面白いことを考えた。
荷物の中から、支給品を取り出すキンブリー。
支援します
「あそ、ぼう あそぼうよ あそぼうよ、」
「どこの誰が作ったかは知りませんが、こんな玩具を作ってどうする気なのか」
やれやれ、というような身振りをし、支給品……「人語を解する合成獣」をヒロの元に投げる。
「まぁ……更に人間を足せば、もう少しマシになるかもしれませんねぇ」
悪魔の笑みを浮かべ、悪魔の錬金をキンブリーは実行した。
「やはり専門外でしたからね。調子が悪いのも相まって、失敗してしまいましたが」
それでも、結果は上々だった。
「強い意志を持ちながら、それが過ちであっても疑いもしない。いやいや、なんとも度し難い」
一人の正義ぶる人間は、デマカセを信じて夢を追い、ゲームに乗った。
「さて、楽しませてもらいますよ。私を上から見ている態度は気に入りませんがね」
デパートの探索に入ったキンブリーは、ふと思う。
「ここには、私の知り合いは来ているのでしょうかねぇ?」
やはり、知らぬ他人より見知った敵の方が、スリルは高まる。
そんな希望を胸に抱き、キンブリーは足を進めた。
【ヒロ@ひだまりスケッチ 死亡】
【I-8/デパート内部/1日目 深夜】
【ゾルフ・J・キンブリー@鋼の錬金術師】
[状態]:健康
[装備]:ヴァッシュ・ザ・スタンピードの銃(6/6(予備弾24))@トライガン・マキシマム
[道具]:支給品一式*2、不明支給品0〜2
[思考・備考]
0:優勝する。
1:デパートを調べる。
2:首輪を調べたい。
3:剛力番長を利用して参加者を減らす。
※剛力番長に伝えた蘇生の情報はすべてデマカセです。
※剛力番長に伝えた人がバケモノに変えられる情報もデマカセです。
※制限により錬金術の性能が落ちています。
【人語を解する合成獣@鋼の錬金術師】
錬金術師ショウ・タッカーに合成させられた実娘ニーナと愛犬アレキサンダーの成れの果て。
最近の鋼の錬金術師で出てくる合成獣を見るとタッカーの実力の無さに涙すら出ない。
【ヴァッシュ・ザ・スタンピードの銃@トライガン・マキシマム】
ヴァッシュの銃。アニメと設定が違うため普通の銃である。
ただし、その精度はトップクラスの名銃。
投下終了です。
ナニカありましたらお願いします。
投下乙
ああ剛力番長、正義故に奉仕マーダー化か
ともあれちゃくちゃくとマーダーが増えてますね
投下乙
なにこれ、タイトル俺らに言ってる?
朝から鬱にしてくれてありがとうよ!
実際問題はないですヨ。
あ、あとデパートはI-7となっていますよ
ああ、本当だ。すみません。
【I-8/デパート付近/1日目 深夜】
↓
【I-7/デパート付近/1日目 深夜】
【I-8/デパート内部/1日目 深夜】
↓
【I-7/デパート内部/1日目 深夜】
これで修正します。
>>484-485 了解しました。では以下のように台詞を変更します。
「ここに集められた人間の選考基準はランダムじゃなく、何らかの法則性の下に選出されている……
たとえば、最初に選ばれた誰かの知り合い達、みたいな感じだ。
そう考えた俺はあの説明の時、ずっとある人間を捜していた……そして、見つけることができた」
↓
「ここに集められた人間の選考基準はランダムじゃなく、何らかの法則性の下に選出されている……
たとえば、最初に選ばれた誰かの知り合い達、みたいな感じだ。
そう考えた俺はあの説明の時、ずっとある人間の声を捜していた……そして、それらしいものを見つけることができた」
「可能性はゼロじゃないだろうな。
それにこの事実……まだ何かが引っかかる。もっと別のヒントが隠されてるかもしれない」
↓
「最悪、俺の空耳の可能性もあるが、可能性はゼロじゃないだろうな。
それにこの事実……まだ何かが引っかかる。もっと別のヒントが隠されてるかもしれない」
もうすぐお昼という時間帯ですが、投下します。
しえんするよ
「……名探偵って、一つの寓話ですよねー」
「い、いきなりなんだい。遠廻しに俺が探偵として足りないものが多いって言ってるように感じるんだけど」
「まあ確かにあんたは真っ当な探偵とは言いがたいわね。
つくづく因果な商売だワサ」
「あのなあ……」
「そ、そんな事ないですって! それよりも新しい依頼が来てますよ!」
ほら、見てください。この依頼なんですけど――」
「気が乗らないな……、たまには普通の依頼を受けたいんだけどな」
「……寓話の臭いがプンプンするワサ。どっちみち受けるしかないでしょうよ、あんたの性格ならね」
「やれやれ……。仕方ないか」
かくて非日常と隣り合わせの日常は廻り行く。
凄惨な殺し合いとは全く無縁の、どこかのお話。
だが、彼らの語らう寓話は、確かにここにある。
行く先々で事件に出くわし、警察の捜査すらも先んじて犯人を突き止め、推理を披露して罪人を暴きだす。
浮気調査などもなく、人探しもせず、ただただ現実ではまず在り得ないトリックを見せびらかす為だけの舞台装置。
そんな、名探偵という名の寓話。
そしてもう一つ。
世界のどこかで行なわれる、バトルロワイアルという名の寓話。
二つの寓話は、確かに今ここで交じり合う。
*************************
「――さて、どうしたものかな」
……考える事は多々あるけれど、まず状況を整理しよう。
世界的な名探偵を目指す秋瀬或として為すべきは、正しい現状把握だ。
これまでの経歴や住所氏名、人間関係等の記憶に欠落や違和感は覚えない。
記憶が改竄され、そのことすら認識できないような暗示や洗脳でもされていない限りは僕が秋瀬或であるという事は揺ぎ無いだろう。
確たる過去を持ち合わせる以上、必要なのは何故此処にいるか、だ。
先程の現実とは思えない出来事には流石に面食らった。
もし何の前知識もなければ僕とてここまで平常心でいられたかは怪しいけれど、幸い僕の交友関係がそれを防いでくれている。
先程のムルムルと名乗った少女と会話した少年こそが、その僕の友人であるからだ。
天野雪輝――未来日記所有者1stの対応から確信できる。
あの少女達こそは非現実的な存在なのだと。
雪輝君達、十二人の未来予知能力者による『神』を決める殺し合い。
未来予知という非常識が在り得るならば、その他の非常識が存在してもおかしくはないと僕は考える。
極論ではあるが、現実に今僕がここにいる以上疑う価値は皆無だ。
因果律すらも操るという存在、デウス・ウクス・マキナ。
その配下ムルムル。
彼らの意思が、非所有者とはいえ“未来日記”に関わりすぎた僕を殺し合いに巻き込んでも不思議ではない。
いずれにせよ、明確な事は1つ。
『僕は、“神”を名乗るものによって開催された殺し合いに参加させられている』
……キーワードは神、か。
僕の知る神を名乗る存在は、雪輝君経由でデウス・ウクス・マキナを知るのみ。
そして、少なくとも彼は因果を操作し、未来を誰かに知らしめる力を持っている。
陳腐な言葉で言えば、運命を操る。
つい先刻、ムルムルに首輪を爆破され死亡した少年が言っていた台詞。
『俺は何があっても歩以外には殺されへん。そう運命付けられとるんや』
これが妄言かどうなのかは知る由はないけれど、もし本当ならば“神”の陣営にはデウスと同様の力を持っている存在がいる、と考える事もできる。それがデウス本人の可能性は低くない。
――それにしては、彼女の言う『新たな神による新たなゲーム』という言葉が解せないけれど。
デウスはもういない、とムルムルは言った。
それが本当かどうか、どんな意味を持つかは現状では情報が少なすぎる為、保留しよう。
ここにいる理由は明確にした。過程や手段は問わない。問う必要はない。
どうにもならないことを考えても意味はないからね。
今は、自分がこれからどう動くかを決める時だ。
僕が現状に対して知っている情報を纏める。
・“神”のゲームの運営者には少なくともムルムル、シンコウヒョウという名の二人が存在する。
この内、言動からムルムルは“神”そのものでない可能性が高い。
シンコウヒョウという男に関しては不明。
・このゲームには天野雪輝君が参加している。その他日記所有者の参加は不明。
・参加者の内、アサコ、ヒズミという名前の少女と少年は死亡している。
・ヒズミ、という少年は少なくともアユムという名の人間の関係者である。
現時点では、アユムが参加者であるかどうかは不明。
・最後の一人になるまで殺し合いが続行される。
・6時間ごとに誰が死亡したかが放送される。進入禁止エリアにも言及される。
・首輪が爆発する条件は、現状判明しているもので3つ。
進入禁止エリアに進入、運営者の任意、24時間以内に死亡者が存在しない時。
・最初の放送終了後、参加者の名簿が確認できるようになる。
「……成程」
24時間の時間制限を設け、進入禁止エリアで次第に会場を狭め、遭遇率を上昇させる。
あらためて殺し合いを推奨しているのが理解できた。
そしてまた、24時間の時間制限からは一つの思惑が読み取れる。
――運営者達にとってこのゲームは、参加者が全滅したとしても取り返しのつくものである。
「参ったね」
そして取り返しがつくという事は、僕たちの命に何ら価値を見ていないということだ。
首輪の爆破が彼らの任意な以上僕たちの命は彼らの指先一つであり、迂闊な反逆や言動は即座に死に繋がると見ていい。
ゲームであるからには駒である僕たちの動きは何らかの手段で監視されているだろうことは予想がつくのだから。
……もっとも、運営者達の目的次第――例えば、娯楽――では、反逆行為であっても見逃される可能性はあるが、それは置いておこう。
目的が分からない以上肝心なのは、彼らが僕たちをいつでも殺せるという事実なのだ。
こうした状況を念頭に置いて、僕は如何に行動すべきか。
それを考えるに当たって一つ、僕にはアドバンテージが存在する。
「……雪輝君、か」
僕に協力してくれる可能性の高い人物が、少なくとも一人はいる。
特に6時間後の名簿確認までは有利な条件だろう。
彼の性格からして、僕を問答無用に襲ってくる可能性は低い。
たとえ殺し合いに乗っていたとしても、だ。
さしあたっては彼との合流を第一に考えて動くべきだろう。
あるいは彼でなくても、誰か信頼できる同行者が欲しい。
生き残れるのが一人であるとしても、多人数で動くのは内部崩壊のリスクを考えても十分にメリットが存在する。
戦闘能力に関しては決して高くはない僕にとっては無難な選択肢と言える。
……集団行動の問題点となるだろう終盤にどう動くべきかが問題になるけれど。
普通に考えれば、因果を操る“神”に反逆するのは無駄死にだ。
特に、この首輪に命を握られている状態では。
……だが、僕は知っている。
未来は、因果は変えることができるのだ。
予知能力を持つ日記所有者達にも綻びは存在する。
ならば、“神”であっても無欠の存在だと断定するには早計だ。
そもそもが、雪輝君たちは神を目指している存在。
人が神になれるならば、何処かに付け入る場所はあるかもしれない。
何にせよ、今は情報が足りない。
だが、殺し合いに乗るかどうかと聞かれたら、少なくとも現段階ではNOだ。
そして最終的にどう動くにせよ、今は生き延びることを最優先しなければいけないだろう。
その為にも信頼できる協力者を見つけるに越した事はない。
具体的なプランを作りあげていく。
生存を優先するならば篭城するのが効率がいい。
地形を把握し、罠などを仕掛けられればそれだけ有利に事を進められる。
ありがたい事に、僕の今いるこの場所はその意味では恵まれている方だろう。
生活感のないリノリウムの床に消毒液の臭い。
当たり前だが、病院だ。
地図に載っている関係上、ランドマークとしては申し分ない。
また、各種医薬品も揃っており、一見篭城には最適なように見える。
「一見、ね」
……目立つという事は人も集まるということだ。
特に病院は怪我人がいれば最優先で運び込みたい場所だ。
つまりゲームに乗った人間にとっては、怪我人を襲うのにもってこいの場所でしかない。
「ここは危険すぎる」
痛み止めや抗生物質、麻酔や手術道具、包帯。
そうした役立ちそうなものをいくつか持ち出すに止め、ここからは早急に離脱する。
元々、人探しをするのだから篭城するつもりはそれほどない。
進入禁止エリアに指定されてしまえば、せっかく罠などを作っても無意味になる可能性もある。
とはいえ、ランドマークとしての有用性を考えるとこの場をそのまま捨て置くのも勿体ない。
雪輝君にだけ分かるメッセージを残しておけば、何らかの役に立つかもしれない。
メモを開き、必要事項を書いた後に病院のロビーの掲示板に貼り付ける。
『――放送の度、僕は4thの所へ向かう。秋瀬 或』
「このメッセージが分かるのは、雪輝君……あるいは、日記の関係者だけだろうね」
未来日記所有者4th、来須圭悟。
だが彼は既に死亡している。よって、彼の所に向かうというのは在り得ない筈の事だ。
そして、彼の職業は『警察官』。
つまりこの4thの示すのは彼本人ではなく――、
『警察署』
会場の西に位置するこの場所は、今僕のいる病院とも比較的近い。
病院に入用が出来た時でも慌てる事無く行き来できるだろう。
……日記所有者の内、僕と面識があるのは雪輝君、我妻さん、雨流みねね。
10th関係者の日野日向やその友人達、西島刑事なども未来日記の存在は知っている。
これらのうち、誰が参加させられているのかは6時間後まで分からない。
雪輝君だけかもしれないし、あるいは全員かもしれない。誰も参加していない可能性もある。
雪輝君以外は様々な意味で警戒すべきだが、しかし全く情報のない相手よりは交渉しやすいはず。
彼らとの交流も考えて、僕はこの警察署を拠点に会場北西部に分布する市街地を調べるつもりだ。
目ぼしい場所に同様のメモを残しておけば合流確率は少しでも上がるだろう。
今は深夜である事を考えると、郊外よりも街灯があるために比較的視界の良好な市街地が動きやすいのも理由にある。
軽く深呼吸。
白い蛍光灯の明かりに背を向け、硝子の両開き戸に手をかける。
「……さて、」
……今度はコイントスなどではない。
右か左か、それだけを決める単純なゲームではない。
だが、ゲームはゲームなのだ。
「ゲームを始めようか!」
僕は僕の命をチップに、“神”と渡り合う。
「勝てるか勝てないかは、僕が決める」
*************************
――あの人のようになりたい。
……いや、違う。
あの人のようになろう。
そう決めた。
たとえ始まりがヤケクソで、外道の産物でしかない技と体だとしても。
血ヘドを吐いて、友であり兄弟であるあいつと共に練り上げてきた力は、きっと裏切ることはない。
この力で僕は何かを守りたい。
ああ、そうだとも。
あの人の所まで、僕は駆け上ろう。
※
風が、吹いていた。
いつも耳の奥で聞こえる、風の――音。
風が吹くのは、何でだろうなあ……。
まあ、分かりきったことだわな。
何でもできるからだ。
オレは何でも簡単にできる。周りの連中が努力して超える壁を、あっさりと。
だから本気を出しちゃあいけねぇ。
何もかも、何もかもがカンタンすぎて面白みもねぇ。
ああ……、ったく。
そんなつまんねー奴を信頼しきってよぉ、間抜けにも程があらァなあ。
見物だったよなァ、俺が裏切ったと知った時の顔はよォ。
……なあ、あんたらよぉ。オレをここに招いたフザけた野郎ども。
オレに何を望む?
……あの甘ちゃんのガキまで呼び寄せて、何をさせようってんだ?
……なんてな。
オレは何でもできるからな、分かっちまうのさ。
どう足掻いてもそれしかできないし、オレ自身がそうしたがってるってのはな。
悪人だよなァ、裏切り者だよなァ。
こんな外道が楽しくてしょうがねえ最ッ低の野郎だよなァ!
ハハ、ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ……!
ああくそ。
風が、冷てぇなあ……。
風が……。
*************************
「……って訳でな、オレは蒼月潮ってヤツを探してるんだ」
夜の風が吹き抜ける街の中、少年を背に置いて俺は一人の男と向かい合っている。
見覚えのない建造物が立ち並び、滅多に見ることのない木々さえもがこの場所には幾つも立ち並ぶ。
電灯は煌々と闇を霞ませ、空の星を薄くする。
――この場所は潤いに満ちている。
それは湿度に関してだけでなく、物資という面に関してもだ。
身も蓋もないことを言えば、ここには砂漠の臭いがしない。
あの灼熱の大地を全く感じない。
他の惑星、というありえないはずの言葉が頭をよぎる。
砂の星を抜け出る事など、それこそ夢物語だったはずだから。
……もしここが砂漠に墜ちたシップの何処かであるとするならば、これ程の設備を整えるにはどれ程のプラントを稼動させればならないのか、俺には分からない。
だが、一つ明確なことがある。
この様な同属の無駄遣いを、あの男は決して許さないだろう。
ミリオンズ・ナイヴズがここにいるかどうかは知らないが、もし居たのならば――、
そこまで考え、頭を振る。
数え切れないほどのプラントと融合し、地球からの救いの船を今まさに撃ち落さんとする怪物は少なくとも今空に見えないんだ。
俺達の故郷を巡る攻防戦はきっと今もまだ続いているはずだ。
だからこそ、俺ははやく戻らなくちゃいけない。
エレンディラ・ザ・クリムゾンネイルがあの人の戦友――ヴァッシュ・ザ・スタンピードに辿り着く事を抑え、そして倒すのが俺の役目なんだから。
……けど、この理不尽な殺し合いも捨て置く訳にはいかない。
こんな少年までも巻き込まれている以上、俺のやる事は一つだ。
被った帽子に手を沿え、深く吐息する。
ジャスミン、そして君と共にいる子供たち。
あの教会の仲間たち。
……謝らせてほしい。少し、遅れる。
だけど、必ず僕は君達を守るために帰るから。
呟きを飲み込みんだ時、傍らにいる少年が声をかけてくる。
「リヴィオさん。何かに思いを馳せるのは結構ですけど、今は目の前の事に集中しましょう」
「……王子」
……やれやれ。
ミカエルの眼のダブルファングが子供にたしなめられてちゃ世話ないな。
そんな自分に苦笑する。
何はともあれ、これからどうするか、だ。
話は少し、遡る。
突然こんな場所に連れて来られた俺が最初にとった行動は、とりあえず誰かを探す事だった。
腐っても俺はGUNG-HO-GUNSの一員だ、臨戦態勢も忘れない。
荷物を確認し、いつもの得物を取り出そうとしたのだが――、そこでつまずいた。
あのおかしな連中が言っていた通り武器になるものは入っていたが、手に馴染んだダブルファングは入っていない。
――仕方無しにスーツケースをぶら下げ、街をひた走る。
そして一番最初にこの場所――病院の前で出会った少年が、高坂王子だった。
俺を見ても襲い掛かりも逃げもする様子のなかったことからとりあえず話しかけてみれば、こんな異常事態にも関わらず極めて冷静に状況を分析し、現状を打開しようとしている。
肝が据わってるぜ、全く。
この少年と軽く情報交換し、それぞれの知人がこの殺し合いに参加しているのか、そういった人物と出会わなかったかを話し合った。
……どちらもここに来て最初の出会いだった為結果は無しの礫だったが、ムルムルという少女に食って掛かっていた少年が王子の知り合いであり、天野雪輝という名前である事は分かった。
名簿が読めるようになるまでは、確実に参加している彼を探し、保護するのが最もいいように思える。
そして情報交換を終えた俺は、あの孤児院の皆とそう年の変わらないこの少年を放っておく気にはなれなかった。
だから俺は王子に、同行しないかと誘おうとしていたのだが――、
「よっ」
それを遮る声があった。
「しばらく観察させてもらったが、安全そうだから出てきたぜ。
オレは杜綱悟ってんだ、よろしくな」
そう言いながら気安い笑みを浮かべ、暗がりから歩み出て来た影の主。
屈強そうな体ながら顔付きは穏やかだった。不自然なくらいに。
――そして、今に至るって訳だ。
「……うしおのヤツは最初に殺された麻子って子と幼馴染でな……、さっさと探してやらなきゃななんねぇんだ。
いつまでもクヨクヨしてはいねえだろうけど、立ち直るまでがヤベぇからな」
「成程な……」
言い終わり、息を吐く杜綱。
……あの少女が死んだ時の絶叫が、潮という少年の声だったらしい。
他にも、『とら』という潮のパートナーについても、これまで辿ってきた経緯を含め、熱を込めて杜綱は話す。
『白面の者』との戦いの歴史を。
……俄かには信じがたい話ばかりだが、あの魔人どもの狂気に触れ続けたせいか、俺はそんな事があってもおかしくはないと思ってしまう。
「……で、だ。やっぱり心当たりはないんだな?」
「……ああ。生憎ながら俺もこの王子も、俺達同士が初めての出会いでね。
これから出会ったら助けることを約束するくらいしかできないんだが……」
そこまで口にしたところで、杜綱がニィッと笑い、こちらの言葉を遮ってくる。
「ま、しゃーないわな。こっちも無理言ってるのは分かってんだ。
じゃあな、お前たちも気をつけろよ」
それだけを告げ、杜綱は背を向けた。
ゆっくりと闇へ向かって歩き始める。
「……え?」
ひらひらと手を振り、少しずつ遠ざかる杜綱。
「お、おい。一緒に行動しないのか? 少なくとも一人よりは安全だ」
背中にかけた声に振り返ることもなく、杜綱は気楽な声を返す。
自分の実力に自信のある者しか出せない声色だ。
「お前らもうしおを探してくれんだろ? だったらカタマって動くよりもバラバラの方が効率がいいだろ。
ま、アレだ。安心しろ」
歩みを止めず、言葉を区切る。
「逃げるさ、ヤバくなったらな」
それだけを告げて、来たときと同じ様に杜綱は暗がりの中へ溶けていき――、
「ストップ。そこで止まってもらいましょうか」
――俺の背後から飛んできた声に、縫い止められた。
「王子……?」
どうした、と問おうと顔を向けたが、王子は横目でこちらを一瞥しただけで数十メートル先の杜綱から視線を逸らさない。
不敵な笑みを湛えながら、子供と思えないあまりにも堂々とした存在感で場を支配する。
杜綱は動かない。
影の中に立ったまま、ぴくりとも。
「杜綱さん。貴方の行動は不自然な点だらけだ。
まず第一に――、」
その背に向かい、王子はランタンでなく、言葉で闇を照らし出し始めた。
「貴方は僕達と出会った――、いえ、姿を現したとき。
僕達を観察して、安全だと判断したから出てきたと言いましたね。
……いや、それそのものは不自然ではありません。
ですが、その後の貴方はなぜ『わざわざ僕達に潮君の情報を訪ねた』のですか?
――僕達の会話を少しでも聞いていたのなら、僕達がこれまで誰とも出会わなかった事などすぐ分かるのに。
どちらか一方が嘘を吐いていれば別ですけどね」
無言。
――沈黙が場を支配した。
「簡単です。僕達に接触する以上、何か口実が欲しかったからです。
互いの人間関係を教えるのはコミュニケーションの第一歩ですから。
ですが、貴方は『僕たちが潮君の事など知らないことを分かっていながら、敢えて話しかけることをした』。
この視点から語れば、奇妙な点が幾つも出てきます。
……例えば、僕はつい今、ヤバかったら逃げるという貴方の言質を取りました。
これはおそらく本当でしょう。
接触の前に僕達を観察するくらい慎重なら、引き際は弁えているのも当然ですからね。
……そう、貴方は慎重な人間だ。とてもね」
淡々と、只の事実確認として王子は文を紡いでいく。
そこに追及するような意気はなく、穏やかさと不敵さを同居させながらブレる事はない。
「――だから、おかしいんです。
……何故あなたは、わざわざこんなリスクを侵したんですか?
僕たちの前に姿を現す、なんてリスクを。
情報がないのが分かりきっているのに」
「……人探しと言っていただろ、王子。
確かに誰かを探すなら、人手が多い方がいいしな」
不穏に満ちきった空気を理解しながら、しかし俺の口はそれを否定しようとする。
……確かに、杜綱を信用していたわけではないし、実際に警戒もしていた。
だが、協力くらいはできないかと思っていたんだが、な。
「集合場所や連絡方法も決めずに、ですか?
それはあり得ないでしょう。杜綱さん、貴方の慎重な性格なら、ね。
……そそくさと立ち去りすぎなんですよ。
まるで僕達に潮君の事を話すためだけに現れたみたいです。
そして、この推測はおそらく間違っていない。
貴方は潮君の事を話す為だけに僕達の目の前に姿を見せたんです。
勿論彼を探す為などではない。
……潮君という善良な少年の人となりを話し、その近くにいる自分もまた信頼に値すると思わせる為に、ね」
……希望的観測は希望的観測に過ぎない、ってか。
やれやれ、だ。
俺もあの人の戦友に大分染められてきていたのかもしれない。
できる限り人を疑いたくはない、そんな事を思うなんてな。
「……貴方の口から出た潮君に関する情報は、殆ど全てが彼との思い出です。
いかに彼が素晴らしい人間かを説き、どれだけ心配しているかを感情を込めて語る。
おそらく、全部本当の事ですよね? まるでコンプレックスを抱えているみたいでしたが……。
ああ、返答は要りません。真偽は正直どうでもいいんですよね。
肝心なのは、慎重な貴方が何故そんな事を語るのかということです。
……そんな物は人探しには何ら役にも立たないというのにね。
むしろ潮君の人となりを話すことで、彼の弱みに付け込む可能性すら与えてしまうというのに。
そして、実の所彼の外見的特徴はあまり教えていただいていない。
……僕達が彼を探すかどうかなど、どうでもいいのでしょう?
あるいは、僕達に探して欲しくもあり、しかしその逆でもあるか……。
話が逸れましたか」
……呼気と吸気を整える。
たとえ杜綱がどんな対応を取ろうと、動きをついていかせる為に。
「結論を言いましょう。
貴方は僕達を信頼させ、油断を誘う為にここにいる」
歩いて数十歩先に背を見せる杜綱が、ぴくりと全身を僅かに震わせた。
「後々の為の布石か、それとも今ここで僕たちが後ろを見せた瞬間に背中を撃つか。
いずれにせよ、貴方は僕達を始末するつもりでしょう。
……それを許せるほど、僕は悠長ではないのでね」
「証拠は?」
王子が話し始めてから初めて、杜綱が言葉を口にした。
声色に感情はなく、背を向けたままの為に表情も読めない。
「証拠はあるのかよ?」
「そう、ですね……」
王子が口の端を僅かに上げて、ふ、一息を吐き出す。
「貴方が偽杜綱さんだから、でしょうか?」
同時。
「え?」
目の前に蛇の体がある。
風を斬りながら、風すら砕きながら、幾百の像を残してブレる。
俺の体を打ち据えた。
ごき、ぼりゅ、ぐちゅ、と肉と骨がひしゃげる音がした。
「が……!」
杜綱は、動いていない。
数十メートルも先にいながら、銃を向けてもいない。
こちらを向いてすらいない。
けれど、たったの一撃で俺を地面に這い蹲らせた。
動きへの備えなど全く無意味に、俺は捻じ伏せられていた。
そのままうねる蛇は止まらない。
俺を先に潰したのは、見たままに俺が戦闘に長けているから。
次に打ち据える対象は只一つ。
――しまった、とでも言いたげな顔で、あまりにも無力に立ち尽くす少年がいる。
「――王子!」
……体が軋む。
内臓がかき回されるような気持ち悪さと、コンクリート塊に上から潰されたような重さによる痛みが混ざり合う。
意識が切り刻まれ、理性が判断を歪ませる。
だが、それがどうした。
――俺は、決めたんだ。
あの人のように生きると。
……ニコ兄。
泣き虫リヴィオにだって、きっとやれるよな。
なあ、ラズロ。
お前に押し付けなくたって、俺はやっていけるさ。
どんな生き方だってできるって、それを二人に見せてやる。
「お、あああぁぁあぁああああぁぁああぁぁあああぁぁあぁあぁぁ……っ!」
意識や理性を超えたところにある闘争本能任せに、肉体を行使する。
そう、この肉体はミカエルの眼の極地。到達点。
いかなる傷も再生させ、いかなる攻撃も覚え凌ぐ。
そして、いかなる敵も粉砕する。
手に握るのは一見長いスーツケース。
だが、これはそんなものではない。
これこそ怨敵の使う悪魔の武装。
エレンディラ・ザ・クリムゾンネイルの杭打機に他ならない。
何故、こんなものが俺の元にあったのかは分からない。
俺の体を穿った武器を使う事に躊躇いもある。
……だけど。
頭上の感触を確かめる。大丈夫、ここに一撃も食らってはいない。
預かった大切な帽子の感触は確かにある。
――ここに来る直前、これを渡してくれた少年と、目の前の少年が重なった。
縦横無尽に跳ね回る蛇の姿を、初めて捉える。
……異常な長さの鞭が、まるで生きているかのように跳ね回っていた。
少年に迫る鞭を見据え、杭打つ先を狙い済ます。
守ろう。守りたい物を護っていこう。
撃った。
踊る鞭の先に杭が重なり、双方が弾き飛ばされる。
*************************
「逃げたか……」
――危なかった。もし偽杜綱がこれ以上交戦をするつもりだったら、僕が命を落としていた可能性もある。
あんな事を彼に言っておいてなんだけど、僕も少し慎重さを欠いていたかもしれない。
だが、あそこまで彼が攻撃的だとは想定外だった。
いや、攻撃的――というより、情緒不安定の印象を受ける。
それならばそれで説得次第で彼をこちらに引き込めるかもしれないと思ったのだけど、目論見が甘かったようだ。
……僕は、彼を慎重で理性的な人間と評した。
ならば、協力関係のメリットとデメリットを推し量り、互いに支障のない範囲で共闘を検討するくらいはすると考えたのだ。
現実にはそこまで話を持っていくことすらできなかったのだけれど、彼は基本的に理性的な人間なのは間違いない。
が、何らかの原因で狂気に取り憑かれているようだ。慎重さと行動のちぐはぐさはそれの表れだろう。
そこが人間の厄介な点であり、また魅力でもある。
……いや、それは今は関係ない。
彼のおかげで永らえたのだから、それに謝意を示さなければならない。
「リヴィオさん、大丈夫ですか?」
「……ああ、心配するな。もう動ける」
「……え?」
返答は予想外だった。
――何故、あんな攻撃を受けてもう動ける?
「俺の体は特別でね、再生速度が普通の人間とは比べ物にならないの、さ……。ぐ……」
成程、確かに傷の治りが早いみたいだ。
――非常識ばかりで驚かされるが、こんな状況でいちいち見入っていても仕方がない。
順応しないといけないな。
それに、
「完治している訳じゃないでしょう、無理はしない方がいいと思いますよ」
「……すまない。いつもより遥かに体の治りが遅いんだ、っ……」
『ただし少しでも公正さをきす為に細工をさせてもらっておる。
身体の動きが鈍いと感じているものはおらんか? 力が使えないと思っているものは?』
――そういう事か。
「何はともあれ、早めにここを離れよう。じっとしてる訳にもいかないだろ?」
「確かに、その通りですね」
今は早急にここを離れなければいけないだろう。
……杜綱と名乗っていた男が戻ってきたら、まず良い結果にはなるまい。
何故あの男が撤退したのか、その理由も分からない以上非常に不気味だ。
あの武器ならば僕達を殺すことなど造作もなかったろうに。
考えられるのは……
「使用に際して、何らかのリスクを追っている……?」
「ん? 何のことだ?」
「いえ……」
言葉を濁す。不確かなことを言っても仕方ない。
……だが、どうやらリヴィオさんには何を考えているのか通じたようだ。
「……そうだな、考えても仕方ないさ。
おまえはむしろ考えすぎだぜ」
「これでも僕には世界的な探偵になるって夢があるんですよ」
苦笑交じりに答えれば、彼は人好きのする笑みを見せてゆっくり立ち上がった。
「王子……、お前って輝いてるぜ」
「それは本物の高坂君に言ってあげるべきですね、喜びますよきっと」
苦笑が続く。
ほんの少し呆けたリヴィオさんを再度、じっくりと見る。
……彼ならば信用に足るだろう。
「――偽名ですよ。偽杜綱さんと同じでね。
生憎ながら、僕は出会ってすぐの人を信用できる性格ではないんです」
「偽名ね……。そう言えば、杜綱に対してさっき……」
「開始して6時間は、名簿を読めない。
要するに、6時間は参加者が偽名を名乗っても参加者にその人物がいるか確認する術がないんですよ。
……慎重な彼の事ですからね、それに気付かないはずはないと思ってカマをかけたんです」
「……まあ、こんな殺し合いにいきなり連れて来られたら無理もないが……」
頷きつつ、しかし腑に落ちないように彼は僅かに口をもごもごと動かしている。
「それにしては……、いや……」
「――貴方を騙したことは謝罪します。
ですが、僕は先ほどの貴方の行動で貴方が信用できる人間だと判断しました。
あらためて自己紹介ですね」
……雪輝君以外の、僕の協力者。
戦闘にも長けるとなれば礼を尽くしておくに越した事はない。
心底丁寧に一語一句を発していく。
「――秋瀬或。探偵です」
考える事は山ほどある。
『神』についての事だけでなく、この会場や、参加者の人選。
あるいは殺し合いの意義や、もっと身近なところでは何故この明らかに外国人であるリヴィオと話ができるか、など。
だが、今すべきはそうではない。
彼と手を取り、探偵として、僕はこの殺し合いの謎に挑んでいこう。
その為に僕は手を差し出した。
「僕と共に、“神”とのゲームに臨んでいただけますか?」
手が取られ、互いにしっかりと握り合う。
「ああ、こちらこそ、だ。或」
【C-02南部/市街地/1日目 深夜】
【秋瀬或@未来日記】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、各種医療品、不明支給品×2
[思考]
基本:生存を優先。『神』について情報収集及び思索。(脱出か優勝狙いかは情報次第)
1:雪輝の捜索及び合流。また、雪輝以外の日記所有者と接触。合流するかどうかは状況次第。
2:探偵として、この殺し合いについて考える。
3:リヴィオに同行しつつ、放送ごとに警察署へ向かう。
4:偽杜綱を警戒。
5:アユム、蒼月潮、とら、リヴィオの知人といった名前を聞いた面々に留意。
[備考]
※参戦時期は原作7巻終了時以降のどこかです。
※病院のロビーの掲示板に、『――放送の度、僕は4thの所へ向かう。秋瀬 或』というメモが張られています。
※リヴィオの関係者、蒼月潮の関係者についての情報をある程度知りました。
【リヴィオ・ザ・ダブルファング@トライガン・マキシマム】
[状態]:左肋骨三本骨折(治癒中・完治まで約4時間)
[装備]:エレンディラの杭打機(29/30)@トライガン・マキシマム
[道具]:支給品一式
[思考]
基本:ウルフウッドの様に、誰かを護る。生き延びてナイヴズによるノーマンズランド滅亡を防ぐ。
1:或と共に、知人の捜索及び合流。
2:誰かを守る。
3:偽杜綱を警戒。
[備考]
※参戦時期は原作11巻終了時直後です。
※現状ではヴァッシュやウルフウッド等の知人を認知していません。
※或の関係者、蒼月潮の関係者についての情報をある程度知りました。
【エレンディラの杭打機@トライガン・マキシマム】
エレンディラ・ザ・クリムゾンネイルの使うスーツケース型の杭打機。
今回用意された杭の数は30本。
*************************
「……くそ」
――ちくしょう、ドジったな。
まさかこんな鞭が、予想以上にオレの力を持っていきやがるたぁな。
たった一発でこんなに食うとは燃費悪ィにも程があらぁ……。
まあ、試し撃ちと思えばこんなもんだよなァ。
オレになら使いこなせるさ、そういうもんだからな。
……くそったれ。
あの帽子のヤツ、リヴィオっつったか。
まるで……、まるで、あいつのような顔しやがって……。
全く、何やってんだかなァ。
さっさとあいつらを殺してくればよかったのに、オレはよぉ……。
何でわざわざあいつらの前に出て行ったんだ?
…………。
ああ、そうか。
オレは裏切り者だからなァ、どこのどいつだろうと裏切るって事をうしおに見せ付けてやるのさ。
顔見知りになっておいて、後で思いっきり裏切ってやるつもりだったのによ。
いいさ。とりあえずは、ふんぞり返った連中を喜ばせてやらぁ……。
オレぁ、最低の裏切り者なんだからよ……。
――ああ。
風が、強くなってきやがった。
【D-03西部/森/1日目 深夜】
【秋葉流@うしおととら】
[状態]:疲労(小)、法力消費(小)
[装備]:禁鞭@封神演義
[道具]:支給品一式、不明支給品×1
[思考]
基本:満足する戦いが出来るまで、殺し続ける。潮に自分の汚い姿を見せ付ける。
1:うしお及びとらの捜索。
2:他人を裏切りながら厄介そうな相手の排除。手間取ったならすぐに逃走。
3:6時間後までは杜綱悟を名乗る。
4:高坂王子、リヴィオを警戒。
[備考]
※参戦時期は原作で白面の者の配下になった後、死亡以前のどこかです。
※蒼月潮の絶叫を確認しています。その他の知人については認知していません。
※或の名前を高坂王子だと思っています。
※或の関係者、リヴィオの関係者についての情報をある程度知りました。
【禁鞭@封神演義】
離れた敵を打ち据える事に特化した、聞仲の持つシンプルながら強力なスーパー宝貝。
本来ならば数km先の敵も打ち砕く代物だが、制限の為射程がおよそ100m程度になり、威力も低下している。
その分使用者への負担も減少している。
以上です。支援してくださった方に感謝の意を。
お二方投下乙!
ヒロおおおおお!なんてことだ……
しかし無力な一般人なら仕方ないのか……
そしてまたマーダーが増えたか。キンブリーステルスだなww
もう一つは予約だけ見て秋瀬君涙目かと思ったがそんなことはなかったぜ!
リヴィオはこっちでは対主催で安心。
そして二人がナチュラルに偽名使ってて吹いたww
投下乙です
ああ、無力な一般人だからこうなる可能性はあったがむごい死に方だな
そして剛力番長にドラゴン殺しでマーダー化かよ
キンブリーもステルスする気満々だなw
頭脳派同士の腹の探り合いは初手は引き分けか
優勝か脱出かまだ決めてない見たいだから安心は出来ないが今のところは大丈夫かな
しかし潮はやっかいな相手にストーカーされてるなw
投下お疲れ様です
ああ、ヒロさん……orz
キンブリーだもんなぁそりゃあそうだ
どうしようもない
やはり秋瀬は考察系か
カヲル君に似ているなんて理由でさっさと死ぬようなことはなくて安心した
うしとらは知らないが、ついにスーパー宝貝出たかぁ……
案外使いこなせちゃうのね
で、wiki管理人さんへ
wikiを編集しようと思ったんですが、パスワードを外して頂きたい
本当はカラムなども本文の所を広くしてもらいたくもあるんだが……まぁ今日はそこの所だけ
設定画面から普通に弄れますのでー
今日いっぱいで延長不可で期限切れってある?
書き手枠のは延長不可だったよね?
正確には4/15/水曜日/00時00分ごろ締め切り
危ないのが幾つかあるよ
書き手枠は延長なし
雪路ととらの人は投下しちゃっていいんじゃないかな?
したらば管理人氏顔出してないみたいだし、書き上がってるのに締切で破棄は可哀相だ。
現状の予約まとめてみた
水曜 00:00:03 ◆ZQLR7nMTKE (スズメバチ@魔王)
00:00:22 ◆DZllJyXPF2 (ニコ・ロビン@ワンピース)
00:00:50 ◆KKid85tGwY 鷺ノ宮伊澄/(ゾッド@ベルセルク)
00:04:51 ◆Nfn0xgOvQ2 (グリード(リン・ヤオ)@鋼の錬金術師)
00:07:47☆◆oUQ5ioqUe 森あい/ アルフォンス・エルリック
00:11:19 ◆4n3JatAr5M とら/(桂雪路@ハヤテのごとく)
00:16:13 ◆L3YPXWAaWU 竹内理緒/我妻由乃(胡喜媚@封神演義)
01:16:52 ◆yXlaa6e0uc 秋山優/(犬養@魔王)
09:20:04 ◆2/z7o.Vlls ロイ・マスタング/(志村妙@銀魂)
木曜 14:27:20☆◆xmpao6V6sI 沙英/坂田銀時
金曜 00:27:20☆◆lDtTkFh3nc 結崎ひよの/ミッドバレイ・ザ・ホーンフリーク
00:29:07☆◆H4jd5a/JUc 浅月香介/宮子
01:21:03 ◆40jGqg6Boc ニコラス・D・ウルフウッド/志村新八/(マシン番長@金剛番長)
02:25:20☆◆zTb8tEnpHg 金剛晄
10:12:15☆◆xrF6h.BHgQ 蒼月潮
15:28:03 ◆7pf62HiyTE (鈴子・ジェラード)
・括弧は書き手枠のキャラ
・☆が着いているものは期限までに申請あれば72時間の延長が可能なもの
3/6【スパイラル 〜推理の絆〜】
○竹内理緒/○高町亮子/○カノン・ヒルベルト
3/6【トライガン・マキシマム】
○ヴァッシュ・ザ・スタンピード/○ミリオンズ・ナイブズ/○レガート・ブルーサマーズ
0/5【ハヤテのごとく!】
0/4【うしおととら】
1/4【鋼の錬金術師】
○エドワード・エルリック
0/4【ひだまりスケッチ】
1/4【未来日記】
○雨流みねね
1/3【銀魂】
○柳生九兵衛
0/3【金剛番長】
3/3【封神演義】
○太公望/○聞仲/○妲己
1/3【魔王 JUVENILE REMIX】
○蝉
1/2【うえきの法則】
○植木耕助
1/2【ブラック・ジャック】
○ドクター・キリコ
0/2【ベルセルク】
0/2【ONE PIECE】
0/1【ゴルゴ13】
おっと失礼
2/6【スパイラル 〜推理の絆〜】
○高町亮子/○カノン・ヒルベルト
3/6【トライガン・マキシマム】
○ヴァッシュ・ザ・スタンピード/○ミリオンズ・ナイブズ/○レガート・ブルーサマーズ
1/4【鋼の錬金術師】
○エドワード・エルリック
1/4【未来日記】
○雨流みねね
1/3【銀魂】
○柳生九兵衛
3/3【封神演義】
○太公望/○聞仲/○妲己
1/3【魔王 JUVENILE REMIX】
○蝉
1/2【うえきの法則】
○植木耕助
1/2【ブラック・ジャック】
○ドクター・キリコ
長いので全員登場or予約済のを削ってみた
封神演義いまだ投票キャラは0か
>>561 えーと、設定画面へのログイン以外にパスワードかけた覚えはないんだけど。
申し訳ないけどパスワードが必要になった操作を教えてください。
本文のところを広くする……CSSの編集のやり方はわからないんで、やり方教えてくださいな。
書き手枠の予約なしはきついのかな?
でもそれは承知済みで予約したんだから大丈夫なのか?
もしかして↓の事かな?
>非ログインでの編集投稿には、下の画像で表示された文字列を入力する必要があります。
別にこれぐらいあっても不便はない気もするが…
後自分も
>>564に同意
広告も削除されてないし、したらば管理人さん見てないって理由で破棄はもったいない
>>569 愉快犯の可能性もあるし、枠あけるために別トリ別IPで予約したって可能性もあるしなあ
書き手枠の期限に関しては厳しくした方が良いとは思う
失礼、SS自体は出来てるんだが期限までにPCの前に帰ってこれない
書き手枠使ってるから午前一時半ぐらいまで待って貰えないだろうか
無理なら破棄でいい
多数決?
OKに一票
2時までなら待ってやる
本人が言う1時半まではOKに一票
一時半までなら問題ないです。
>非ログインでの編集投稿には、下の画像で表示された文字列を入力する必要があります。
これはある種の荒しを抑制する手段だから、外すのはあまりよろしくない
そもそも、私が知る限りにおいてこれを外すには管理者のユーザー名とパスワードを入力してログインしなきゃならん訳で
こいつを公表するのは好ましいとは思えないです
>>568 それとCSSカスタマイズの画面にあるユーザ定義CSSの文字をいじって、例えば文字の大きさや行間、本文スペースの広さを調節出来るのですが
いじるのが始めてで恐いのなら、とりあえず最初のユーザ定義CSSを丸々テキストなりで保存しておいて、
ミスったらこいつを貼り付ければ元に戻せるようにしておけば、まあ、不安は減るかなと
どの道自分でいじってみるのが一番かなーとか思うです
かくいう私も文字の意味を正確に理解してるわけではなく、ここの数字変えたらどーなるかなーを繰り返して、一応必要と思える部分をいじれるよーになった程度ですし
いじり始めて気が付いたら一二時間ぐらい経ってたりしてしまうので、お手すきの時にでも、よろしければ
http://www1.atwiki.jp/guide/pages/39.html(←基本的な事はここ見るべし)
(例)
color:#FFFFFF; #FFFFFF;の部分が色指定なので、ここを変える事で対応箇所の色が変わる
#header a#atwiki-jp-bg1 {
height:120px;
width:950px;
height:120px; は高さで120pxの数字部分をいじる事で、枠の高さが変わる
width:950px; は幅で950pxの数字部分をいじる事で、枠の幅が変わる
もっとわかりやすく書いてあるHPでも見つけられれば良かったんだけど、ごめん、探しきらんかったです
OKだよ
書き手枠の人が多いが間に合うのか?
遅れて破棄になっても他の人の予約が来なかったら再予約って手もあるが?
今日中に来るかな?
ただいまより投下します
「ここは……どこ?」
女――スズメバチが最初に発したのは至極当然の疑問だった。
自分はついさっきまで優しい素敵なお兄様を甚振っていた筈。
そして――そうだ。
締め切った車内に追い詰めて、いよいよフィ二ッシュと言う所で急に意識が暗転した。
そして気が付いたらわけのわからない少女に殺しあえと言われ、反論する間もなく今に至る。
全く馬鹿げている。
そんな事を考えながらもスズメバチは側に落ちていたデイバッグを確認し始める。
全てを信じたわけではない。
だが、首に巻かれた冷たいリングの感触がスズメバチに警戒を促していた。
そうしてゴソゴソと漁る内にスズメバチの手に何か果実のようなものが触れる。
迷う事無くそれを取り出してみると一枚の説明書と共に奇妙な形をした実が姿を現した。
「スベスベの実?」
説明書に書いてあるのはとても信じがたいようなものだった。
その説明書には三行。
曰く、その名称はスベスベの実
曰く、その実を食べた者は体とあらゆる物との間の摩擦抵抗が0になる。
曰く、絶大な美容効果アリ。
「……馬鹿馬鹿しい」
彼女がそう断言してしまうのも無理はないだろう。
あまりにも荒唐無稽すぎる。
現実にそんな実があるのなら今頃大パニックになっている筈だ。
しかし、無視できないこともまた事実だった。
現に今自分はわけのわからない力でここに連れてこられている。
もしかしたら、自分の知らない何か……超能力や魔法などが存在するのかもしれない。
そう考えればこの実を食べてみて損は無いだろう。
「どうしよう……」
迷う。
果たして、スズメバチの決断は如何に――
○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
五分後。
「うふふふふふふ。待っててね、お兄様」
彼女の目の覚ました舞台――旅館内に何かが滑る音が聞こえる。
音の正体はスズメバチ。
結局スベスベの実を食べた彼女は、迷っている最中に聞こえた声を確認するために旅館内二階から一階へを滑り降りていた。
目的は、殺し。
彼女が選んだのは、このゲームから早く脱出し優しくて素敵なお兄様を殺し飛蝗どもを殺すことだった。
その為にもっとも早い手段は皆殺し。
故に彼女は滑る。
短いスカートをギリギリのラインではためかせながら。
探し人が、この場にいる事も知らずに。
【G-8/旅館/1日目 深夜】
【スズメバチ@】
[状態]:健康、実の力で美しくなっている。
[装備]:なし
[道具]:支給品一式
[思考・備考]
1:皆殺し。
2:声の主を殺害する。
※スカートはギリギリで見えません、履いてるか履いてないかは次の人にお任せします。
【サンジ@ONE PIECE】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、不明支給品1〜3
[思考・備考]
1:ナミなどの仲間を探し、守る。
2:目の前の人と行動する。
3;どうしてスケスケの実があったんだ…?
【スベスベの実@ONE PIECE】
体とあらゆる物との間の摩擦抵抗が0になる。
それにより物理攻撃が無効。
また、絶大な美容効果もある。
以上、投下終了です。
投下お……いやまてサンジw
違和感なく存在するなw
サンジwwww
これは吹いたww
っとミスりました
掲載時に修正しておきます
投下します。
街。と、呼べばいいのだろうか。
材質も様式もまるで未知の物だったが、明らかな人工建造物が建ち並ぶその景色は
街と呼ぶ他は無い場所であった。
見知った物は何1つとしてない、全く得体の知れない場所に突如連れて来られ尚
その男の様子には、疑問の色は有れど怯えは無い。
巨体の男。
天を衝く長身に、高密度の筋肉が内からはち切れん程発達している。
短く切り揃えられた髪は天に逆立ち、瞳は円く見開いていた。
男の名はゾッド。
二つ名と共に”不死の(ノスフェラトゥ)ゾッド”とも呼ばれる。
100年を超える戦歴で、上げた首は1000を超え、戦場の神とすら呼ばれる伝説の傭兵。
そして男は真に人に在らざる存在。
この世ならざる者に、転生した使徒。
殺し合い。ゾッドがこの地に召喚された理由は、そう説明された。
前触れ無く突き付けられた、殺し合いと言う要求。
それにすら、ゾッドが恐れも怒りも抱く事は無い。
沸き立つのは、これより行う戦いへの猛りと喜びのみ。
本よりゾッドが傭兵となり戦場に出るのは、如何なる大儀情義にも因らずゾッド自身が戦いを求める故。
それは如何な戦争で、何処の軍に付こうが変わらない。
300年に渡る闘争の日々。
その中でひたすらに殺した。数多の敵を、正に殺戮したのだ。
全ては己が満足し得る、強敵との闘いを得る為。
だから意味の無い殺戮であろうと構わない。
己が命を賭けて抵抗する者を全霊を持って打倒する、そんな戦いこそがゾッドの求める物なのだ。
命を繋ぐ為の戦いではなく、闘争の為の命
それこそが如何に時を隔てようとも変わらぬ、ゾッドの生き方に他ならない。
早速行動に移る為、デイパックの中身を漁り支給されたと言う武器の確認する。
見付かったのは1本の剣。
剣自体は扱いなれた得物ではあるが、細い刀身に反りの有る見慣れない形状の物であった。
その上ゾッドが武器とするには、些か小さい。
しかし外れかと落胆しながら手に取れば、材質と言い重心と言い
意外な程に良く出来ている。
満更鈍らでもないのかと、切れ味を試すべく地に切りつける。
この地は見た事も無い濃紺色の材質で、石の様に堅く塗り固めてあった。
それが細身の剣に拠って、容易く切り裂かれた。
ゾッドはこの意外な業物を、武器として携える事として
目標も定めず出発する。
地図を見た所で、何か当てが有る訳でも無し。どうせここは、殺し合いの為の会場なのだ。
適当に歩けば、その内誰か接触出来ると踏んだ。
そして男は女と出会った。
曲がり角の向こうの物陰から、奇妙ないでたちのまだ幼さの残る少女が現れる。
これが創作なら、恋物語でも始まりそうな出会い。
しかし、ここは殺し合いの場であり
何より相手は、人に仇なす魔性を討つ使命を帯びた巫女であった。
◇ ◇ ◇
無人の街に和服を着込んだ長い黒髪の少女が1人。
少女の名前は鷺ノ宮伊澄。
代々妖怪退治を生業とする鷺ノ宮家の末裔。更にその中でも、歴代最強の力を持っている。
そして現在の伊澄は、かつて無い強敵に挑んでいた。
何しろ攻める手掛かりが、まるで見えないのだ。
どう目を凝らし頭を働かせても、付け入る隙さえ見付けられない。
苦戦の末、この強敵に対し伊澄はある推測をする。
『このデイパックは開かない』と。
そう考えデイパック攻略を諦め様とした瞬間、手元で弄んでいたジッパーが滑り出した。
苦節10分の末ようやくデイパックを開けた伊澄は、中の荷物を改める。
食料や地図等の存在を確認し、武器の確認に移る。
まず目に付いたのは、4つの手榴弾。
世間知らずの伊澄と言えど、テレビ等で見た事のある物だが
実物をこうして手に取るのは初めてだ。
説明書によれば、ピンを抜いて投擲して使う物らしい。
普通の人間にとっては、強力な武器になるだろうが
伊澄にとってはハズレ武器でしかない。
ピンを抜いて投げるという言葉にすれば簡単な作業も、伊澄が実戦で行うには難し過ぎるし
何より伊澄にはもっと強力で使い慣れた武器、『術式八葉』が有る。
2種類目は、巨大な突撃槍と思しき武器。
それが伊澄の手から零れ、地面に落ちる。
明らかにデイパックより大きい物体。
どうやって入ったのかと疑問が沸くが、今更そんな事を考えても仕方ないと気持ちを切り替える。
武器として扱えるかと言えば、勿論答えは否だ。
どうやら使用者の法力を使う、武法具らしいが
そもそも持ち上げる事も出来ない物を、どうやって扱えと言うのか。
しかしこれも捨て置くのは勿体無いので、デイパックの方を動かし苦心して仕舞う。
他に武器になる物は無い。
出来れば護符が欲しかったが、無いもの強請りしても仕方ないので
武器も持たずに出発する。
目的は最初に集められた場所に居た古くからの親友、三千院ナギとの合流。
そうあの場所で多くの声に混じって、でも確かに聞いたのだ。ナギの声を。
あの場で行われたムルムルの説明は、伊澄にとっては早口過ぎてほとんど聞き取れなかった。
何とか理解出来たのは、殺し合いが行われている事と武器が支給された事位か。
とにかくこんな場所でナギを1人にしておく訳にはいかない。
ナギは今も暗闇に包まれ怯えているに違いない。彼女がそうなったのは、自分の責任でも有るのだ。
一刻も早く助けに行かなければ。
そして女は男と出会った。
曲がり角の向こうの物陰から、奇妙ないでたちの屈強な男が現れる。
これが創作なら、恋物語でも始まりそうな出会い。
しかし、ここは殺し合いの場であり
何より相手は、魔性を内に秘めた血塗られし狂戦士であった。
◇ ◇ ◇
男――ゾッドは伊澄を一瞥する。
まるで鍛えられた様子の無い、細身の身体。覇気も闘気も感じない。
ゾッドは伊澄を求める強者から程遠いと判断し、眼中に無きかの如く立ち去ろうとしだした。
「…………あなたは、人間ではありませんね?」
その背中に伊澄の声が掛かる。
ゾッドは足を止め、伊澄の方へ向き直った。
先程とは気配が違っている。
戦場を知る、兵のそれに。
「ほう……見抜いたか、我が身が人ならぬ物だと。ならば小娘よ、貴様もまた……只の人間では無いと言う事だな」
ならばとゾッドも気を放つ。
戦場において百軍を震え上がらせた、狂戦士の闘気を。
ゾッドのまるで質量を持って叩き付けて来る様な威圧感に、伊澄はかつて無い脅威を覚える。
自分の知る如何なる妖怪とも魑魅魍魎とも違う、魔性を帯びた存在。
しかしその血生臭い気配から、人に仇なす存在だと容易に読み取れる。
だからこそゾッドを見て早々、自分の意識に”仕事スイッチ”を入れたのだ。
「あなたが人に仇なす存在なら、私は鷺ノ宮の一族の者として討たなければなりません」
「ク……ククク……クハハハハ!! 宣戦布告と言う訳か、面白い。それ程の大言を吐いたからには小娘、オレを失望させるな!!」
言うが早いか、ゾッドは伊澄に向かって踏み込んだ。
一足飛びに間合いが詰まる。ゾッドの巨躯からは想像もつかぬ早さ。
踏み込む勢いのまま手に持つ日本刀を天へ掲げ、真っ向から振り下ろした。
怪物の力任せでは決して叶わぬ早さの武技で、伊澄の顔面へ剣が落ちる。
それを伊澄が、指先だけで受け止め――――切れない。
剣圧に負け、身体毎背後の街路樹に叩き付けられた。
ゾッドは伊澄に、自分の剣が届かなかった事に驚く。
見えない力に阻まれた様な手応え。恐らく実際に伊澄が、見えない力を振るったのだろう。
「…………八葉…………六式……」
伊澄の声が聞こえる。
人知を超えた使徒の勘が、戦場で鍛え抜かれた武人の勘が
ゾッドに危険を告げた。
「…………撃破滅却」
ゾッドは咄嗟に後ろに飛び、両手を面前で交差し防御の構えを取る。
次の瞬間、閃光と爆音がゾッドを包んだ。
術式八葉における最強の術、『八葉六式・撃破滅却』。
伊澄が放ったその術の爆発を受け、ゾッドは後ろへ仰向けに倒れた。
木に叩き付けられた痛みから目に涙を浮かべながら、伊澄はゾッドの様子を窺う。
全身に夥しい傷を負い、一部は内臓まで達している様子だ。
直撃こそ避けられたものの、爆発の余波を受けたのだから重傷も当然だろう。
倒し切れなかったゾッドの耐久力にこそ、驚嘆に値する。
どうにも術の調子が悪い様にも思える。
威力が僅かに弱まっている上、何より消耗が激しい。
ゾッドへのトドメ刺したいが、もう少し時間が経たなければ『撃破滅却』は使えない。
「驚いたぞ……」
不意にゾッドがする。
「何の道具も使わず、これ程の威力を出すとはな…………」
ゆっくりと体を起こすゾッド。
「…………貴様が初めてだ。オレの体にこれだけ多くの傷を付けた人間は…………」
そのゾッドの身体に――――内から異形を現れた。
「三百年に渡る殺戮の日々においてな!!」
その身体を更に肥大させた巨躯。
全身から黒い体毛を生やし、頭からは牛角が伸びる。左の角は何故か根元より折れていた。
あれだけ帯びていた傷も、見る間に直っていく。
それは正しく超越者の姿。
しばしゾッドの変容を、呆然と眺めていた伊澄だが
やがて何か意を決した様子で、ゾッドに背を向け走り出す。
「どこへ行く? まさか逃げるつもりか? よもや逃すと思うか!!?」
ゾッドは怪我も治り切らぬ内に立ち上がり、伊澄を追う。
既にかなりの距離を稼がれていたが、ゾッドの伊澄に対する体力的優位はそれを補って余りある。
たちまちに両者の距離は縮まった。
伊澄はビルに挟まれた2m程の幅の路地に入った所で立ち止まり、ゾッドを待ち受ける。
そしてゾッドも路地の入り口前で立ち止まり、伊澄と睨み合う。
ここまでは伊澄の作戦通り。
伊澄の立てた作戦は単純。
ゾッドから逃げて距離を取り、『撃破滅却』を使えるだけの力が回復するまで時間を稼ぐ。
そしてこの路地の様に狭い空間で、ゾッドを待ち受ける。
後は攻撃を仕掛けて来たゾッドに、カウンターで『撃破滅却』を叩き込む。
恐らくゾッドの異常な耐久力に通用する術は、『撃破滅却』のしかも直撃のみ。
ならばこちらは待ちに徹して、ゾッドが攻撃する隙を狙うのが最も効果的な戦術。
この路地ならゾッドが仕掛けてくる方向も限られる。
如何にゾッドの踏み込みが速くとも、タイミングを合わせる事は可能の筈。
「成る程、左右を壁に阻まれたその場所ならオレの攻め口も限定されると言う訳か。
だが、そんな事でオレの動きに対応し切れるとでも?」
ゾッドは日本刀を上段に構える。
今のゾッドの巨体には、まるで日本刀が玩具の如く小さい。
その日本刀を天に掲げたまま伊澄目掛け、轟と踏み込んだ。
先程の踏み込みより更に速い。
が、それでも真っ向からの直進。何とか対応出来る。
そう思い『撃破滅却』を撃とうとした刹那
2歩目の踏み込み。
しかも進行方向をほぼ直角に曲げ、ゾッドは壁の向こうへ破り抜けてビルの中へ姿を消した。
意表を付かれ呆気に取られた伊澄は、瓦礫に足を取られ
後ろに尻餅をついた。
その直後ゾッドが壁を破り抜け、先程まで伊澄が居た地点を斬り付けた。
日本刀がアスファルトに、深々と突き刺さる。
ゾッドの体勢は日本刀を、両手で握り締めた状態。
この体勢からなら、『撃破滅却』は避わせない。
期せずして伊澄に訪れた、絶好の勝機。
それを物にすべく、伊澄は術を放つ体勢に入った。
「八葉六式」
同時にゾッドの背中から、蝙蝠の様な羽が生え広がり
「撃破滅却」
それが羽ばたき、暴風を生んだ。
宙を舞いながらも、伊澄は『撃破滅却』を放つ。
それが直撃したか否かも確認出来ないまま
伊澄は路地を抜け、車道脇の植え込みまで吹き飛ばされた。
今日2度目の閃光と轟音。今度は側面から叩き付けられた。
羽ばたきに拠って生んだ突風と相殺しても、尚威力は殺し切れず
ゾッドは爆発に全身が焼かれ、地面を何mも転がされた。
剣を手放さなかったのは、ひとえに矜持ゆえ。
使徒の自己治癒力が傷を治していくが、完治にはもう少し間が要る。
その間痛む身体を無理やり起こし、周囲を警戒する。
幸い、伊澄が追撃してくる様子は無い。
その間にも傷がふさがっていく。
怪我の8割方治った所で、ゾッドは伊澄が飛ばされていった路地の反対側に駆け出す。
そこは大きな道路が伸びていた。
そして伊澄の姿を見付ける。
道路の上を渡る橋から、伊澄は険しい視線を送っていた。
伊澄はどうあっても、この場でゾッドと決着を付けたいらしい。
面白い、とゾッドは笑う。
あれ程の強者が仕掛けてくる勝負。どうして無碍にする事が有ろうか。
黒い剣士や髑髏の騎士と対峙して以来の喜び。
沸き立つ血のままに、ゾッドは勝負に踏み出す。
伊澄が次に勝負の場として選んだのは、歩道橋の上。
下手に狭い場所を選んでも、逆にこちらが敵の出方が見えず不利になるだけ。
ならばいっそ全方位を見渡せる場所に立ち、敵を待ち構えればいい。
自分が『撃破滅却』を叩き込むのが早いか、敵がこちらに攻撃を当てるのが早いか。
何れにしろ一撃勝負。己の術者としての腕に賭けるのみ。
ゾッドは羽を羽ばたかせ、空中に飛翔。
そして伊澄の居る歩道橋から離れていく。
逃げるのかと思ったが、50m程離れた空中で静止し伊澄に向き直る。
加速の為の距離と言うわけか。
ゾッドは、一旦身体を縮め
弾丸の如き急発進で伊澄に掛かっていった。
途轍もなく速い。
だが補足出来る。
今の自分は常の鈍な鷺ノ宮伊澄ではなく、鷺ノ宮の一族最強の術者なのだから。
捉えた。
そう確信する。
途端、ゾッドが急旋回する。
遮蔽物の無い空中で何故?
そう伊澄が疑問に思う内に、弾丸と化したゾッドが
伊澄から向かって歩道橋の左端部分を貫いた。
歩道橋を支えるちょうど片側部分が、ゾッドと言う砲弾によって爆砕する。
余りの揺れに、伊澄はその場に倒れる。
それでも勝負を捨てる訳には行かない。必死にゾッドを目で追う。
ゾッドは伊澄と一定の距離を置きながら、空中を旋回し
歩道橋のもう片側部分を破砕した。
支えの無くなった歩道橋は、伊澄を乗せたまま引力に引かれ自由落下。
が、途中で止まる。
空中に静止したゾッドが、両手で欄干を持って歩道橋を支えていた。
そして両手を交差し、歩道橋は縦方向の軸を中心に半回転。
伊澄は呆気無く、歩道橋から零れ落ちる。
約2mの高さから落下し、地面に叩き付けられた衝撃が伊澄の身体を走る。
更にその上から、歩道橋が落ちて来た。
自分の直上に落ちて来た部分は、術で爆砕。
何とか直撃は避けるも、これで全ての力は使い切った。
落下した歩道橋が地を揺らし、至る所の骨が折れた伊澄を痛め付ける。
轟音が鼓膜に叩き付けられ、何も聞こえなくなった。
伊澄は悟る、自分は敗北したと。
最早ここからゾッドを相手に逆転劇を演ずる等、絶対に不可能だ。
自分は術者として力を尽くしたのだ。その事に悔いは無い。
だが、このまま座して死を待つと言う訳にはいかない。
あの怪物は危険過ぎる。
放置すれば、更なる被害者が出るだろう。
そしてナギにも累が及ぶかもしれない。
だから、最後までゾッドとの戦いを止める訳にはいかない。
勝てないまでも、少しでもゾッドに手傷を負わせねば。
伊澄はデイパックから手を抜く。
僅かな動きでも激痛が走るが、必死に耐える。
そしてデイパックから1つの武器を取り出した。
「何をしている?」
背後からゾッドの声が掛かる。耳がおかしくなっているのか、もうほとんど聞こえないが。
「貴様の心臓はまだ動いているぞ。戦え!! 肢体がちぎれるまでこのオレと……」
伊澄は武器を和服の袖に仕舞う。
「これまでか……!? こんなものなのか!? 貴様の力は……!?
戦えぬのなら……その体引き裂く!!」
ゾッドは伊澄の身体を、両手で軽々と掲げ
両断すべく、両手に力を込める。
凄まじい痛みが伊澄を襲うが、同時に奇跡的な好機が訪れた。
今のゾッドは、ちょうど伊澄の斜め下の位置に居る。
そして袖の中に隠し持った武器の存在には気付いていない。
伊澄は袖の中でピンを抜いた手榴弾を、放り落とす。
(さようならナギ…………どうかあなたは死なないで)
この至近距離で手榴弾の爆発を受ければ生きていられない事位、伊澄にも分かる。
だがゾッドと言えど、無事では済まないだろう。
次の瞬間、伊澄の身体はゾッドの手で急激に振られ
手榴弾を巻き込んで、地面に叩き付けられた。
自分の身体の下から発する光。
それが伊澄の最後の知覚となった。
◇ ◇ ◇
全身の傷が癒えていく。
元々ゾッドが受けた、爆弾の被害は大した事は無かった。
咄嗟に伊澄の身体を防護幕代わりにして、爆弾を覆い地面に叩きつけたからだ。
伊澄の身体は四散しゾッドも爆発の余波を受けたが、被害を最小限にする事が出来た。
文字通りの意味に、伊澄は肢体がちぎれるまで戦った事になる。
伊澄のデイパックを拾い、中身を改めた。
中からは先程の爆弾が3つと、ランスの様な武器が出て来る。
説明書きの様なものが添えられている。
それによると、このランスは法力僧が妖怪を退治する為に作った物らしい。
(……ククク、面白い。破魔の武具を、魔なるこのオレが使うか!)
ランスを右手に持ち、剣を左手に持つ。
長短一対の二刀流。戦場での勝手は悪く無さそうだ。
しばらくはこれで、いって見るか。
爆弾の方も、説明書きが付いていた。
使い方はピンを抜いて投げるだけ。
ゾッドの膂力が有るならば、頼る事も無さそうだが
一応は持てるカードとして、取っておく。
それにしても、あの様な妙な術を使う兵が居たとは。
あの取るに足らぬ様に見えた小娘が、久しく出会う事の無かった強者であったとは。
全く未知の強者。その存在に、ゾッドの心は沸き立つ。
力量は申し分無し。だが、些か脆過ぎた。
まだ喰らい足りぬ。未だ満足は見えぬ。
ならば次なる敵を求めるだけ。
どうやらこの殺し合いに集められた者は、見た目から戦力を判断出来ないらしい。
ならば出会った者、片っ端から挑んで行けば良い。
取るに足らぬ弱者なら、唯死ぬだけ。
強者ならば、そのまま見えるのみ。
果たしてこの殺し合いに場だけで、どれ程の強者と見えるか。
まだ見ぬ強者に思いを馳せ、ゾッドは殺戮の地に臨む。
不死の(ノスフェラトゥ)ゾッド、彼の者もまた――――狂戦士(ベルセルク)。
【鷺ノ宮伊澄@ハヤテのごとく! 死亡】
【一日目深夜/H-9】
【ゾッド@ベルセルク】
[装備]穿心角@うしおととら、秋水@ONE PIECE
[支給品]支給品一式、手榴弾x3@現実、未確認(0〜2)
[状態]疲労(小)
[思考・行動]
基本:強者との戦いを楽しむ
1:出会った者全てに戦いを挑み、強者ならばその者との戦いを楽しむ。
[備考]
※未知の異能に対し、警戒と期待をしています。
ああ、ロワ的にも正しくノスフェラトゥだww
すいません。
>>599の
【一日目深夜/H-9】
を
【H-09/市街地/1日目 深夜】
に差し替えお願いします。
投下完了しました。
支援をして下さった方、ありがとうございます。
投下乙です。
伊澄ー! ゾッドかっこいいなw
これは期待できるマーダーです。GJ!
初の死亡者?
投下乙です
うおお、ゾッドはこうなるとカッコいいな
怪物みたいだがその中にも確固たる誇りがあるというか
伊澄……最期にナギの事を案じて死んでいくところはよかった……
>>603 二人目です
>>603 ヒロさんを忘れるたぁ……
投下乙です
何だこの凄まじいガチバトル……両方とも知らないキャラだけど、緊迫感と絶望溢れるバトルでした
投下乙!
スズメバチは相変わらずすぎるなw
そして氏、状態表の部分(穿いてる〜)にやにやしながら書いただろ!ww
伊澄いいいいい!
一話死亡か……しかしかっこよかったので大満足。
ゾッド知らんがマーダーとして活躍できそうだな。
しかし、伊澄は本当にギャグ漫画のキャラなのか疑いたくなる強さだw
投下乙
>>607 ギャグ漫画キャラの強さはチート級だぜ?
伊澄はむしろ弱い方だろ。理不尽な能力とかはないし
投下しようと思います
月に照らされる草原を、闇に溶ける様に黒い衣装を着た男が、ブツブツと独り言を言いながら歩いている。
いや、それは本当に独り言だろうか?
独り言の内容を聞いていれば、その人物は明らかに誰かと会話している様子だ。
だがその男の周りには誰も居ない、もちろん携帯できる通信機の類を使用している訳でもない。
ならば一体どういう事か?
「ちっ、やっぱり首輪の周辺は炭素硬化できねぇか。それに硬化する速度が微妙に遅ぇ」
男の名はグリード。
『強欲』という意味を名に持ち、それを体現した性格の持ち主だ。
その彼の首輪の近くの皮膚が、何やら黒い膜の様な物で覆われている。
それは人造人間たる彼の異能。
人体の三分の一を占める構成物質である炭素。
その炭素の結合度を変化させ、表皮をダイヤモンド並に硬化させる「最強の盾」と呼ばれる能力である。
この能力で全身を覆えば、首輪の爆発にも耐える自信はあるが、ムルムルとて馬鹿では無い。
いかような仕掛けか、きっちりと首輪の周辺だけ炭素硬化出来ない様にされている。
『流石に連中もそこまで甘くないヨ。それで、まずはどこに向かウ?』
グリードに語りかける声。
その声はグリードの声と全く同じ、その上グリードにしか聞こえない。
だが、この声は幻聴の類では無い。
声の主はリン・ヤオ、グリードの体の『本来』の持ち主だ。
人造人間は『父』と呼ばれる、人の形をした巨大な賢者の石により、体内で生成される方法と生身の人間に直接注入する方法がある。
グリードは後者である。
数多の人間の魂を原料とする賢者の石は、それ自体が高いエネルギーを有している。
そんな物を体内に注入されれば、大抵の者は賢者の石の力に耐えきれず、肉体が崩壊してしまうだろう。
稀に石の力に耐える事が出来たとしても、石に宿る魂達との肉体の争奪戦により、それが元の人物の人格だったのか、それとも石に宿る誰かの人格だったのかわからなくなってしまう。
その証拠に同じ様に造られた『憤怒・ラース』であるキング・ブラッドレイがそうだ。
だが、リンは石の力に耐えた、そして人格も残った。
それはリンが強靭な肉体と精神力を持っていたからか、それとも『強欲』と波長があったからかは分からない。
もっとも、『グリード』の人格に体の主導権を奪われてしまったが、リン自身は隙あらば主導権を奪い返す気満々である。
結論から言えば、一つの肉体に二つの人格が宿っている。
そして二重人格と違い、互いに意識疎通ができると言う事だ。
▽
『二人』はこの殺し合い潰すべく、部下/仲間をさがすため市街地に向け北西にむかって歩みを進めていた。
『二人』はこの殺し合いに乗る事を良しとしなかった、何故か?
リンは清の皇帝になる為に、現皇帝の求める不老不死の法・賢者の石、それを求め二人の臣下と共にアメストリアにやってきた。
そこで出会ったエドとアルフォンスに、賢者の石の手掛かりを感じ行動を共にする様になる。
その結果ある巨大な陰謀に巻き込まれる事になるのだが、その話は置いておこう。
その最中、リンと対峙したその国の指導者は言った、弱き者や傷ついた仲間等簡単に切って捨てる事が出来ると。
その言葉に対してリンは吼えた
「王は民の為に在る者 民無くして王は在りえなイ キング・ブラッドレイ! 貴方は真の王にはなれなイ!!」と。
仲間を魂の家族と称するリンが、今もどこかで危険さらされているかも仲間を見捨て、自分一人が生き残る道を選ぶだろうか。
この殺し合いに巻き込まれているかもしれない仲間を、その内の一人は片腕ぶった斬ってまで尽くしてくれた忠臣見捨てる事等あり得る筈がないのだ。
一方グリードが殺し合いに乗らなかった理由は、リンと比べたら対象的だ。
『強欲』その名の示す通り、彼の欲は底が知れない。
金も欲しい
女も欲しい
地位も、名誉も、この世のすべてが欲しい!!
それがこの俺、強欲のグリード様だ。
金も女も部下もなにもかも俺の所有物、みんな俺の物!!
だから俺は俺の所有物を見捨てねぇ!!
なんせ欲が深いからなぁ!!
とまあ、彼に理由を聞けばこんな返事が返ってくるだろう。
彼はこの殺し合いに巻き込まれているかもしれない部下、否、所有物を守る為にこの殺し合いに反抗する。
そのグリードの部下になっているのは三人。
エド、ハインケル、ダリウス。
リンの家臣や仲間はランファン、フー、エド、アル、ロイ、ウィンリィ。
その中でこの殺し合いに巻き込まれたのは、エド、アル、ロイ、ウィンリィの四名。
彼らが『二人』が殺し合いに乗っていない理由。
だが彼ら四人が皆死んでしまったら?
その時『二人』はどうするのか、それはわからない。
だが今は少なくとも殺し合いには乗ってはいない。
それだけは確かだ。
▽
グリードは辺りを見回す。
現在の位置はE−3の草原。
地図を見る限り、幾つか用途の分からない建物があるが、それを除外して人の集まりそうな場所を考えると……
病院
この先全く戦闘に会わずに済むとは思えない。
人造人間の自分はまだ魂のストックがあるから、多少の怪我など直に治るが部下/仲間はそうもいかないだろう。
どの道薬や包帯は必要になるし、同じくそれらを求めて来た他の参加者と接触できる可能性もある。
もし誰も居なかったら、近くの施設を虱潰しに探そうか。
「まずは人の集まりそうな病院に向かう」
『そうだナ……ここから近いしそれがいいカ』
「決まりだ……っつても、例え反対され様が俺が勝手に行くんだがな」
『おいおい俺の意見は無視カ?』
「言う事行かせたきゃ、体の主導権をとり返してみな」
そして『二人』は歩を進める。
▽
今は同じ目的に向かってともに歩を進める『二人』
だが違う信念のもとに生きる『二人』、されどその体は一つ。
そして共通の部下/仲間はエド一人。
さてこのまま新たな部下/仲間が増える事無くエドが死んだとしたなら、
二人は同じ道を歩くのだろうか。
行先は神のみぞ知る、別離の時はすぐに訪れるのか、それとも訪れないのか……
【E−4/森/一日目・深夜】
【グリード(リン・ヤオ)@鋼の錬金術師】
[状態]:健康 グリードの意識
[服装]:
[装備]:
[道具]:支給品一式 不明支給品2(確認済み)
[思考]
基本:自分の所有物を守る為、この殺し合いを潰す
1:病院に向かう
[備考]
※原作22巻以降からの参戦です
投下終了。
何かありましたら、よろしくお願いします。
何てっこった、焦っていたとは言え投下終了してから鳥がおかしい事に気がつくなんて…
申し訳ない。
投下乙です
グリード…個人的にはマーダーだろうなーと思ってただけに、このスタンスは意外だ
自分も今から投下します
>>577 えーっと、他ロワのwiki管理をしている人間から言わせてもらうと、
画像認証チェックは外しても問題ないと思います。
atwikiでスクリプト系のSPAM類に悩まされたことはないので。
むしろ編集の際に一手間かかることを億劫に感じる人が結構いらっしゃるのです。
ジジ―――ジ、ジジ―――
地図上の位置、I−7
多種類の商品を取り扱う、数階建ての大型の建造物。デパートメントストア、またの名を百貨店。
時間帯が深夜であるが故に建物内の電気は付いておらず、時折非常口の明かりが微かな音を立てるのみである。
その商業施設の3Fは小奇麗な装飾に整えられており、紳士服や婦人服が所狭しと陳列されていた。
即ち、衣服の専門売り場。
時に、その場所には1つの影がある。
艶やかな肩までの黒髪、抜群と言っても差し支えない体の曲線、整った顔立ち。
麦わら海賊団の考古学者にして、懸賞金8000万ベリーの賞金首……名前は、ニコ・ロビン。
彼女はガラスのショーケースの上に脚を組み、悠然と腰掛けていた。
周囲の明かりの無さ故に、その表情は読み取れない。
「……困ったわ」
片手を頬に当て、ロビンは小さく溜め息と共に呟く。
「あのムルムルという子供の言った事は本当みたい。
普段通りなら、もう少し遠くまで『咲かせる』はずなのに……ね」
そう言って、視線を前に移す。
眼前にあったのは、可愛らしい春物の婦人服を纏った1体のマネキン。見る者に購入意欲を湧かせようと、小洒落たポーズを取っている。
ただ普通のマネキンと違うのは―――その肩口から、3本目の腕が生えているという事。
作り物の腕とは違うその腕は、決してマネキンの作成者が血迷った訳ではない事を如実に示していた。
更にロビンは、そのマネキンの横へと視線を滑らせる。
別のマネキンの体から、同じ様に3本目の腕が生えていた。
少し横のショーケースにも、突き出された腕が1本。
その向こう側にもまた腕、その横にも、横にも、横にも。
一定の間隔を開けて、しなやかな腕があらゆる場所から生えて……否、咲いていた。
投下乙!
おお、グリード対主催きたああああ!
リンがいるから多少はスタンス変わるかもと思ったが対主催とはww
これからに期待
そして投下きた!支援する!
『海の悪魔の化身』とも呼ばれ、口にした者は特殊な能力が身に付く果実、悪魔の実。
ロビンはその悪魔の実の1つ、ハナハナの実の能力者である。
自分の体の部分を花の様に『咲かせる』。それが彼女の持つ力。
……当然、その異能は最初に集められた場所でムルムルが言ったとおり、『少しでも公正さをきす為の細工』に引っ掛かってしまっている訳で。
一定の間隔を持って咲いていた彼女の腕は、とある場所からふっつりと途切れていた。
「距離は精々50mといった所かしら。
完全に制限する、というのなら首輪に海楼石を仕込めば簡単なのだけれど……
敢えて『効力を抑える』というのは……随分、手の込んだ造りになっているみたい」
首に嵌められた金属の冷たい感触にそっと手を這わせる。
海と同質のエネルギーを持ち、悪魔の実の能力を封じる鉱石である海楼石。
完全に力を押さえられているというのであれば、首輪に海楼石が仕込まれているとでも考えれば簡単だったのだが……
中途半端に制限するという効力は、彼女の持つ知識の中では説明できない物である。
(普段と同じ感覚で使わない様に注意しないといけないわね、いざという時の為に。
まぁ、その事はゆっくり慣れていくとして……問題は、もう1つ)
主催者達から支給されたのであろう、デイパックから取り出したのは簡素な作りの冊子。
その他の中身は水と食料、地図、ダーツが数本……そして『んまい棒』という菓子。
投げれば煙幕の代わりになるらしいが……ならば何故説明書きに「非常食にもなります」と書かれているのだろうか。
根本的な部分は、やはり菓子なのだろうか?
―――話を戻そう。
ロビンが取り出した冊子……表紙に書かれた文字は『参加者名簿』
その様に表紙に書かれてはいるものの、中身はまったくの白紙。
最初に言われた通り、一回目の放送が過ぎた後に浮かび上がる仕様になっているのだろう。
それまで、この会場にどういった人間が、どれだけの人数連れて来られているか確かめる術は無いのだ。
予想通りの中身に目を伏せ、元のデイパックへと仕舞い込む。
投下乙
対主催に回ったかー。まあ性格悪いから今後どう転ぶかはわかんないけど
他に知り合いの参加者がいるかはまだわからなかったと思う
あとシンはカタカナだ
(最初に女の子が死んだ時……直後に、誰かが叫んだ『アサコ』という声。
普通に考えれば、アサコというのはあの女の子の名前ね。
それに、ムルムルを知っている男の子。シンコウヒョウという男を知っていた声の主。
つまり参加者には、主催と面識のある者が何人か存在し……参加者同士にも繋がりがある可能性が高い)
―――ミシ
何かが軋む、小さな音。
(私の『繋がり』として選ばれるのは……バロックワークスの社員あたりか、麦わらの一味のメンバー。
そのうち何人が、ここに連れて来られているかは分からないけど―――)
―――ミシ、ギシ
再び、微かに暗闇が軋む。
(麦わらの一味がいたとすれば……こんな悪趣味なゲーム、どう思うでしょうね。
きっと主催者達に抗って、弱い人達を守って、殺し合いに乗った人達と闘って……傷ついていく)
―――ギシッ
軋む音、その音の出所。
ロビンが咲かせた腕、そのとある1本。
マネキンの頭を持ち、メキメキと、力を入れ……静かにざわめくロビンの心情を表すかのように、震え、怒っていた。
(弱い人達は彼らが守っていく。でも、強いが故に彼等を守る人達はいない。
それなら私が……皆を守る)
―――ゴキリ
先程までとは違う音。
マネキンの首が、異質な音を立ててもげていた。
そのまま胴体から離れた首は腕から離れ、ことんと床に落ちる。
(どんな手段を使っても、どれだけの人を犠牲にしても、彼らが私をどう思うとしても……)
ころころ、とん
足先に何かがぶつかる。
もげ落ちたマネキンの首が、ロビンの足先まで転がりついていた。
その哀れな物体を見下ろし……ふ、と彼女は微笑んだ。
「……随分と変わったわね、私」
誰かの事でこんなにも必死になれるなんて、昔はとんとなかったことなのに。
(とにかく、今最も足りないのは情報……特に必要なのは、現状を引き起こしたと思われるあの2人。
ムルムルとシンコウヒョウ、それぞれについての情報。
悪魔の実を制限するこの首輪についても、構造を調べる必要がありそうね……
まず探してみるべきなのは、ムルムルと面識のあった『1st』と呼ばれていた少年かしら)
探るべき情報、探すべき仲間、成すべき事はあまりにも多い。
それでも―――
「―――大丈夫、汚れ役は慣れてるから。
だから、助けてみせる……世界を、敵にしても」
ニコ・ロビン、80,000,000ベリーの賞金首。
元バロックワークス副社長、現麦わら海賊団考古学者。
世界政府により付けられた異名は―――悪魔の子。
【I‐7/デパート内、衣服売り場/一日目 深夜】
【ニコ・ロビン@ONE PIECE】
[状態]健康
[装備]
[道具]支給品一式、ダーツ(10/10)@未来日記、んまい棒(サラミ×2、コーンポタージュ×2)@銀魂
[思考]
基本:麦わら海賊団の仲間が会場にいた場合、何を犠牲にしても生還させる
1:しばらくは情報収集。(主に主催者について)
2:可能なら、能力の制限を解除したい
※自分の能力制限について理解しました。体を咲かせる事のできる範囲は半径50m程度です。
※参戦時期はエニエスロビー編終了後です。
※デパートの衣服売り場に、首のもげたマネキンが一体あります。
【ダーツ@未来日記】
雪輝が日記所有者との戦闘で使うダーツ。10本支給。
作中では主に日記の破壊などに使われている。
【んまい棒@銀魂】
桂小太郎が逃走時に使用する菓子。モデルはまんま「うまい棒」
地面に叩きつければ煙幕になる。サラミ味とコーンポタージュ味、各2本ずつ支給。
普通に食べられるらしい。
投下終了です
収録時に、状態表の装備欄を
>[装備]なし
と変えていただけるとありがたいです
>>621 あべしっ!!
wikiに収録する時に直しておきます。
怒涛のラッシュで大満足w
特にゾッド+穿心角の組み合わせが俺にはツボ過ぎてやばいぜ。
そして穿いてるかわからないスズメバチ…w
あと、ロビンの懸賞金は7900万じゃなかった?
桂雪路・とら
投下します。
「だーーもう、まだ昨日の酒が残ってるわこりゃ」
白皇学院が誇るNo.1世界史教師桂雪路(どんな意味でNo.1かは想像に任せる)は昨日同僚の金で酒を飲んだばかりだ。
千鳥足ふらふら。まっすぐ歩くこともままならず、変な幻覚まで見てしまう。妙なスプラッタ映像。
おかしなアルコールでも入ったかな? こうなったらもう……
「飲み直しね、飲みなおすしかないわ」
確か、生徒の三千院ナギが教えてくれたはずだ。青きアルコールでねじれた体は猛きアルコールで正されねばならない。
いや、それでなくとも30年近い……もとい、20年とちょっとの人生で学んだ。酒によっておかしくなったときは、記憶をなくすまで飲めばいいと。
「そうね、簡単よ簡単」
ぶっちゃけ飲めばいいだけの話。あっ、ほら、ちょうどいい具合にコンビニが見えてきたじゃない。
そう思って、繁華街の中にあるデパート前のコンビニに入った。
「あっれーー、誰もいないじゃない」
深夜……といっても、まだ12時を回ったばかりの時間である。雪路の常識で言えば客はかなり多いはず。
しかし、しんと静まり返った店内には誰もいない。
「ってか、店員もいなくない?」
まったくもう。これじゃ酒が買えないじゃないか。
「ぅおおおおい! 店員いないの?」
「うっせー、ニンゲンならいねーぜ」
ん?
どこかから返事がきた。ニンゲンがイナイ……、んなわきゃねーよな。
返事したのはどう聞いても人間の声。
あぁそうか、他のニンゲンがいないって意味か。
声の主は店内奥、事務室にいるらしい。
他には誰もいないので、せめてその彼(声からの推定)にでも挨拶するかな……
支援
「って、……」
そこにいたのは、テリヤキバーガーをむさぼる着ぐるみの男。
声からしてわりといい年した男が、不細工な金色のぬいぐるみを着て、椅子にも座らず冷えたままのバーガーをぱくぱくと既に20個ほど。
「アンタ何やってんのよ!!」
すぱーん!!
「ってーな、いきなり何すんだ」
「それはこっちのセリフよ。何勝手にバーガー食ってんの?」
「落ちてたんだから、別に良いだろうが!!」
「どう見ても店のもんでしょうが、金払いなさいよね!!」
「もってねーよ。大体、誰に払えってんだ」
「私に払いなさい。店員代わりにもらってあげるわ!!」
「化け物が金なんか持ってるかっての」
すぱーん!!
「ってーな、だから叩くんじゃねーよ!!」
「アンタねぇ、もっとマシな言い訳考えなさいよ。化け物はないでしょ、化け物は」
「本当に化け物なんだからしょーがねーだろーが!!」
すぱーん!!!!
「だから、いい年して化け物はやめなさい。そんなんじゃ、女にモテないわよ!!!」
「最初から興味ねーよ」
「ったくもう、いい年したおっさんが……」
殺し合い開始直後、二人が入った店はごく普通のコンビニ。
殺し合いの場所だからだろうか、店には品物はあっても店員がいない。
しかし、そんなこと、ここにいる2人には関係なかった。
桂雪路にとって、相手が2000年以上生きた大妖怪だとか、ここが殺し合いの会場だとか、全然関係ない。
関係あるのは、自分が桂雪路だってこと。それだけ。いつでもどこでもごーいんぐまいうぇい。それが桂雪路。
で、対する着ぐるみの妖怪。もとい、雷と炎を操る大妖怪とら。
こちらも、ごーいんぐまいうぇいぶりでは、雪路にひけをとらない。
というか、どっちも『殺し合い何ソレ? 食えんの?』状態である。
とらは同種同属を持たない妖怪で、すでに数千年前の時を生きている。生まれたばかりのことは、大昔過ぎるので、本人もよく知らない。
それぐらい長い人生(妖怪生)を送っているのが彼だ。
その実力は、妖怪界きってのものであり、一部には本当の意味でNo.1との呼び声も高い。
妖怪の世界は基本的に、念力で物を動かしたり、人の体に憑依したり、時を遡ったりの何でもありが基本だが、その中でもとらは別格とされている。
彼がたった一振り拳を振るうだけで、吹き飛ばされる妖怪の数は数十に上る。
しかし、そんな実力者な彼も、最近は一本の槍によって、少し肩身の狭い思いをしている。
(ったくよぉ、うしおの馬鹿がいなけりゃ、こんな女、すぐ食っちまってるってのによぉ……)
うしお少年が持つ獣の槍が、とらの恐れる数少ない武器。
日頃から、その武器で脅され、うしおに「人間食っちゃダメ」命令を受けているとらは、毎度仕方なくハンバーガーで飢えを凌いでいる。
何が悲しくて、妖怪がバーガー食べなきゃならんのよ? とは思わない。ハンバーガーの味も悪くない。
(しかしま、たまにゃぁ、ニンゲンも食いてぇよな……)
目の前にいる女を『こいつ食えるか?』という目で見つめる。
うーん、女は年頃になると化粧をするらしいが、こいつもご多聞に漏れず化粧がきつい……いや、並みの化粧なんだが、食べるにはきつい。
(ま、無理せんでも、はんばっがもあるしなぁ……)
それに、食べたとばれたら、後でうしおになんて言われる事か……
「……というわけで、ねぇ聞いてる? 女に興味持てない男ってつまらないもんよ?」
「ったく、何度いやわかんだ、わしゃぁ化け物だっての、ば・け・も・ん!!」
「アンタいい加減にしなさいよ」
ったく、こいつは……
何度言っても信じねぇ……どうにかして信じさせてやりたいが、どうしたものか。
殺すと、後でうしおになんていわれるか分かったもんじゃない。
なんかいい手は……そうだ、閃いた。
「いい? アンタもいい年した男だったら、目の前に…… 「まぁまて」
「わしが化けもんだって、証拠を今すぐ見せてやるぜ!! 目ん玉おっぴろげて、よく見ろい!!」
ぎゅるんと、音を立てて、とらは自前の変身能力を披露する。
全身金色で覆われた体は、瞬く間に女性のそれへと変貌していく。
(久しぶりだが、こんなもんかな?)
「けけけっ、これがわしの能力よ!!」
「ちょっ、何ソレ、どんなトリック? 何やったの???」
「とりっくじゃねーよ、少しはびびりやがれ!!!」
「トリックじゃないの? まさか、アンタそれが本当の姿なの?」
「ほんとの姿なわけねぇ…… 「それにしても、アンタ美人ねぇ」 ……あ、いやお前……ちょぉ……」
美人だねぇ、スタイルいいわねぇ。
などといいながら、食い入るようにとらを女は見つめてくる。
「アンタすんごい美人じゃない!! どこのモデルかと思ったわよ!!!」
「い、いや……凄い美人ってお前……」
(ちゅーか、わしは……こいつに化けたつもりなんだがなぁ……)
本当のことを言えば、とらは目の前にいる桂雪路に変身したつもりだった。
実際、彼の変身はとても上手く、誰の目から見ても明らかに雪路の姿と取れる見た目である。
顔や体つき、手足の先や、服装に至るまで、全てを完璧に再現した……つもりだったのだが。
「凄いキレイねぇ……抜群のスタイルと、最高のルックス。こんな女はじめて見たわよ。アンタ、若いころはモテたでしょ?」
「え……いや、っていうか……そのぉ……」
お前だよ。
わしは、お前に化けてるんだよ。何自分のるっくす褒めちぎってんだ。
「すっごい美人じゃない。まるで若いころの宮沢りえみたい。
うん……、でもアンタどっかで見たことあるのよねぇ……どこだったかしら? 雑誌のモデルでもやってんの?」
「…………やってねー、多分……やってねーと思う」
「だったと思うって何よ。ハッキリしないわね……」
マジマジと見つめる雪路。てか気づけよと思うとら。
「あ、そーだ。アンタそんだけルックス良いんだったらさ、今から深夜のパーティー行かない? んで、男どもにドンペリ奢らせるのよ」
「……え、いや……あの……だからわし……」
「よし、決めた。今から飛び入りでパーティーに参加するわよ」
今からパーティーなんかやってんのかよ……と、現代日本の経験が浅いとらでさえ、疑問に思う。
ちなみに、深夜0時から参加できるパーティーも、一応この世には存在する。開場が午前3時ぐらいの。
「よし、決めたわ。今からアルコール持ってくから、アンタも運ぶの手伝ってね」
「ちゅーか、お前殺し合いやる気あんのかよ……わしもどうでも良いけどよ……」
「アンタねぇ、日本で殺し合いなんてあるわけないでしょ。トリックよトリック。酒飲んでりゃ、解決するって」
「…………でもよぉ、アイツら、どう見てもニンゲンじゃねーぜ」
「はぁ? またアンタ。化け物とか言うつもり、いい年こいてそれ恥ずかしいわよ。
そんなことより、男捜して酒奢らせるわよ。憧れのドンペリ飲み放題……、っくー、期待しちゃうねぇ!」
そんなことを言いながら、自称世界史教師の女は、店の酒をつめるだけデイパックにつめていく。
あれ? ってか、ついさっきまで金払えとか言ってなかったか? こいつ金払わないで持って行ってない?
なんだか理不尽な気持ちになりながらも、とらは、まー、面白いならいっかと思って、とりあえず雪路についていく事にする。
どうせやることないし……うしお見つけても、槍で脅されるだけだし……ま、ボチボチ方針は決めていきましょうかね。
【J-09/1日目 深夜】
【とら@うしおととら】
[状態]:健康、雪路に変身中
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、不明支給品(中身は一切確認せず)
[思考]
基本:自由気ままに楽しむ。
1:とりあえず飽きるまで雪路に付いていく。
【桂雪路@ハヤテのごとく!】
[状態]:健康
[装備]:違法改造エアガン@スパイラル〜推理の絆〜、鉛弾20発、ハリセン
[道具]:支給品一式、不明支給品(中身は一切確認せず)、酒(現地調達)
[思考]
基本:酒を飲む。
1:とら(名前は知らない)のルックスを利用して男に酒をたかる。
[備考]
1:殺し合いを本気にしてません。酒に酔ったせいだと思っています。
しえん
投下終了です
ゆwwwきwwwじwww
投下乙!
雪路フリーダムwwww
気づけwwwww
そしてとらも何とも言えない感じだwwww
こいつら二人がロワの現実と向かいあったらどうなるんだろう?
投下乙です
変化能力者……多いなぁw
それでは遅れましたが、胡喜媚、竹内理緒、我妻由乃投下します。
深夜。
一日が終わり、そして始まる時間。
ゆっくりと蠢く巻き雲が満開の星空に蓋をする。
世界は今、闇に包まれ、それを照らす月の光だけが煌びやかだった。
「……ユッキー」
少女の声がひっそりと静まり返った全天候型のグラウンドに響き渡った。
屋根が開かれたドームには星天。 桃色のロングヘアーを靡かせた少女がゆっくりと辺りを見回す。
彼女の格好はこの空間では極めて不釣合いなモノだった。
上下共に真っ白い下着姿。
薄い訳ではなく、あくまで年相応の胸部に青白い月光が降り注ぐ。
緩やかに吹き込む夜風は冷たく、ずっとこのような場所にいては風邪を引いてしまうだろう。
だが、少女は自身のそんな破廉恥な格好に羞恥を感じる素振りは見せなかった。
自分が何か、得たいの知れない何かに「もう一度巻き込まれた」ことには気付いていた。
「ユッキー」
そして、少女は"少年"の姿を探す。
最初の空間で、少女は確かに彼の声を聞いていた。
自分が決して聞き間違えるはずのない相手だ。
あの時、自分とユッキーはすぐ側にいたのだ。ムルムルに対して堂々と声を掛ける彼はとてもカッコよかった。
それに、必死にこちらを見ないようにしていたけれど、ユッキーも自分に気付いていてくれたことが堪らなく嬉しかった。
ユッキーが、私を見てくれた。
ただ一つだけ、彼の声が「妙に元気だった」のはどうしてだったのだろう、と少女は思った。
十日間も一緒にいたせいか、ユッキーは大人しくなってしまったのだ。
いつの間にあんなに元気になったのだろう、そんなことを漠然と思った。
いや、それ以上に――
「――ッ!」
その時、少女――我妻由乃はこのグラウンド上にもう一人、見知らぬ相手が立っていることに気付いた。
月明かりの差し込む先に、赤い制服を身にまとった背の低い少女の姿を視認した。
▽
投下乙です
雪路テラフリーダムw
お前らもうちょっと現実を見ろw
>>627 指摘ありがとうございます
エニエスロビーの一件で、ロビンは懸賞金が7900万から8000万になっています
参戦時期のエニエスロビー編後なら上がった後なので、8000万であっているかなと
灰がかった黒髪をツインテールに結った少女、竹内理緒は混乱していた。
突如、己がこのような不可解な事態に巻き込まれたことが第一の疑問点だった。
『最後の一人の生き残りを決めるための殺し合いゲーム』というこの状況。
いや、まず何よりも己が選定された理由よりも、疑いを持つべきなのは有り得ない"力"について、だった。
あの雷の力は何だ?
ワープとは何だ?
このまるで漫画やアニメのような超能力は一体?
そして――――なぜ、ミズシロ火澄は殺された?
この答えに適切な解答を導き出す術を理緒は持っていなかった。
【悪魔】の駒であるミズシロヤイバとミズシロ火澄。
彼らの存在と対になる【神】の駒、鳴海清隆、そして鳴海歩。この局面は、誰一人として揺るがすことの出来ない運命だったはずだ
。
今、この瞬間も理緒の中には呪われた悪魔の如き血が姿を現す時を今か今かと待ちわびている。
ブレードチルドレンである彼女にとって、決して逃れることの出来ない悪夢の未来が待ち受けている。
約二十歳。個人差はあるが、成人を迎えた前後にてブレードチルドレンは血の運命に飲み込まれ、最低最悪の悪鬼と化す――
それがミズシロヤイバという一人の悪魔の八十人の子供の一人――ブレードチルドレン――である理緒に与えられた逃れられぬ残酷な未来だった。
そして、この宿命に希望を示すことが出来る存在はただ一人――鳴海歩ただ一人。彼だけだったはずなのに。
しかし、そのような疑問点を解決するためには、今、乗り越えなければならない障害があった。
「……」
「……」
(これは……まずいことになりましたね)
静寂。
最初の場所から一歩も動くことが出来ないまま理緒は相対する少女を見つめた。
そして同様に彼女も理緒を見る。
見つめ合う、二人。
だが両者を結ぶ線は赤い糸でも運命の環でもなく、剣呑な視線の矢だった。
行き場所をなくした瞳が彷徨い、そして全く同じタイミングで一つの箇所にてピタリ、と止まる。
そして、またも全く同じタイミングで二人は自分達の置かれた状況を理解した。
(……悪趣味、ですね)
どちらも表情には一切の変化はなかった。
いや、二人が顔を合わせた瞬間に、相手へ声を掛けなかった時点で、両者が対峙へと緒至る構図は半ば決まっていたのかもしれない。
理緒としても擬態を用い、彼女へ接触するという選択肢は十分にあったはずなのだ。
だが、理緒は一瞬の直感でもってその必要ない、と判断した。いや、むしろソレは決定的な悪手であるという思考にさえ至ったのだ。
――つまり、それは完璧なまでに仕組まれた遭遇だった。
由乃と理緒、彼女達は会場に送られた瞬間、支給品を確認する暇もない鉢合わせをする羽目になった。髪を結い、服装を正し、小さくため息を付く時間さえ彼女達には与えられなかった。
だが――それは共に"普通"ではない理緒と由乃に関して言えば、些細な問題だったのかもしれない。
熟考と即断。どちらの選択を行ったとしても、彼女達が取るべき行動は一切変わらなかったはずなのだから。
そう、身につけた技術は、心に宿した妄執は、彼女達に多くを求めない。極めて最適解に等しい動作と思考を与えてくれる。
全天候型の大型スタジアム。空は星、雲は揺らぎ、星が煌めく。
この状況で、二人にとって何より問題であったのは、参加者に対して均等に支給されるはずのデイパックが――
眼前にて、『二つ』、寄り添うように並べてあったということ。
二人の距離は約十メートル。
そして丁度中間に当たる五メートル地点にデイパックが二つ、置かれている。
どちらも、全くの丸腰だった。
理緒は月臣学園の女子制服を身に纏っていたが、対する桃色の髪の少女はなんと完全な下着姿である。
着替えの最中に連れてこられたのか……それは分からないが、まともな様子には見えなかった。
「…………」
「…………」
押し黙る二人。動くに動けない状況、とはこのことだろう。
進行役であると名乗った申公豹という道化師のような男は言っていた言葉を思い出す。
『それではみなさんには会場へと移動していただきましょう。立っていた場所がスタート地点になります。
合図と同時にそれぞれのスタート地点に飛ばします』
ならば、ここが理緒のスタート地点であり、同時に目の前の少女のスタート地点なのだろう。
つまり、この一対一の構図――
まるでデイパックを奪い合うように仕組まれたシチュエーションは、彼らによるお膳立てがされていたことになる。
(……何を、やらせたいのやら)
確定された運命だった。
それは、決して抗うことの出来ない遺伝子の宿命のように必然的な出会いだった。
彼らは何を望んでこのような状況をセッティングしたのだろうか。
互いの共通点を導き出すことは非常に難しかった。そう、理緒はまだ目の前の少女の名前すら知らない。
手元に武器はない。対する少女など下着姿である。まさか素手と素手でのキャットファイトをお望みなのか。……なんとも。
「ユッキーは、ここにはいないみたい」
唐突に、桃色の少女が口を開いた。
「いきなり、何を言ってるんですか?」
理緒は『その口調』を用いる事を選択した。
他人から自身を押し隠すための『無力な』言動が効果的な相手ではないと思ったからだ。
そして、彼女は少なくとも友好的な相手には到底見えない。
「それ」
スッと少女の指がデイパックを示した。
「いらないよね」
そして、裸足であることなど気にも留めない速度で少女が走り出す。
(しまった!)
それはある意味衝撃的な結果と言えるだろう。
当然、理緒は由乃が何の合図も出さずにデイパックの元へ疾走する可能性も考慮に入れていた。
心構えは十分に出来ていた、という訳だ。また、一瞬の短距離走が行われたとしても敗北するつもりはまるでなかったし、ある意味危険な人間に対して優勢を掴むことの出来る好機であるとさえ考えていた。
だから、まさか――由乃が理緒と同等、もしくはそれ以上の身体能力を有しているとは想像だにしていなかったのだ。
「……っ!」
ほぼ同じタイミングでスタートを切った二人だが、ほんのコンマ数秒ほど由乃の方が理緒より早い。
要はスポーツのビーチフラッグである。
この競技には最後にヘッドスライディングをして、フラッグを確保するという行程が存在する。
そして、今回のターゲットは重なるように置かれた二つのデイパック。
理緒の場所からは内容物がどの程度のモノか、推理することは難しいが、少なくとも手で持てないほど重いということはないだろう。
華奢な少女の手でも――とはいえ、ブレードチルドレンである理緒にとって、見た目云々の話は愚問なのだが――、一度に二つを掴んで身を翻すことは極めて容易。
こんなセットマッチの構図となった以上、相手のことを思いやって片方だけで満足する、などという展開はありえない。
(――)
理緒は必死に手を伸ばし、大地を駆ける。五メートルなどという距離はほんの数瞬で到達してしまう間合いだ。
もしこの状況に置かれたのが自分と同じブレードチルドレンである高町亮子であったならば、と理緒は思った。瞬発力という分野において亮子の持つ能力はブレードチルドレンの中でも有数。特に単純に『走る』ことに関して彼女の右に出る者はいない。
この場で必要な要素は"理性"ではなく、瞬発的な行動力でもって目的を遂行する"野生"だった。理緒の専門分野はあくまで爆発物であり、単純な力比べは分が悪かったのだ。
互いの距離が縮まる。どちらの少女も眼孔は鋭く、己の領分を譲るつもりはまるで見られなかった。
そして両者の手が今まさにデイパックに触れようとした――その時だった。
「なっ……」
「え?」
ほぼゼロ距離まで接近した由乃と理緒の瞳が驚愕に見開かれる。
つい先ほどまで空を覆い尽くしていた星空が消え、グラウンドの中央部分に何故か『影』が出来上がる。
足を止め、二人は空を見上げ唇から嗚咽を漏らした。
「ロリィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ☆」
奇怪な叫び声と共に、空から――巨大なクマの石像が落下して来たのは。
爆音。
破砕。
砂埃。
唖然とした表情を浮かべる二人を尻目に、クマの像は輪郭を揺るがし一瞬で消滅した。
代わりにその場に現れたのは、見るからに幼い可愛らしい少女。
真っ白い羽衣のようなモノを持った少女はキョロキョロと周囲を見渡し、グラウンドに二人の姿を確認すると、
「ロリッ☆ ロリッ☆ マジカル変身美少女喜媚ちゃん参上りっ☆」
満面の笑顔を浮かべ、事も無げに妙なポーズと共に宣言した。
▽
支援
「喜媚ちゃん……でいいんですよね」
「そうだよっ☆ 喜媚は喜媚なりっ☆」
「あの、まだあたし納得出来ない部分があるんですが……」
空から降って来た喋るクマの石像、もとい『喋るクマの石像に変身していた少女』がロリロリという擬音を飛ばしながら答える。
デイパックを前にした駆け引きは彼女の乱入によってお流れとなった。
「なんでも聞きっ☆」
青みが掛かった金髪に水色のケープを羽織ったファンシーな格好の少女、胡喜媚。
どう見ても何の力もないただの小さな女の子にしか見えない彼女の登場は理緒と由乃に衝撃を与えた。
喜媚が降って来たのは競技場の観客席上空。
凄まじい轟音を残しつつ、喜媚は客席をいとも容易く破壊してしまった。
それは、同時に理緒達の『常識』をも破壊する決定的な行為だったと言えるだろう。
それが喜媚にとっては、他の参加者を探すために空を飛べる存在へ変身し、
人を見つけたので地面へ落ちる存在に変身した――という単純な考えで行われた行為だったとしても、だ。
(本当に、異能力のようなモノが……?)
三人は競技場の売店エリアに移動し、情報を交換していた。
考えながら、理緒は壁に凭れ掛かり、剣呑な表情で少女、我妻由乃にチラリと視線を送った。
彼女は何を考えているのだろうか、と頭の隅で小さく考える。
少なくとも分かるのは『ユッキー』という単語と彼女の名前だけ。
喜媚と交流を試みる理緒を由乃はジィッと少し離れた場所から眺めているだけだった。
一触即発、とならなかったのは幸いだったと言えるだろう。
荷物に関する問題も、どうやら片方のデイパックに由乃の私物が入っていたらしくソレで片が付いた。
つまり――携帯電話だ。
理緒の携帯電話は没収されてしまっていたが、どうやらその辺りの事情は個人差があるらしい。
しかし、携帯の画面を見た瞬間、彼女が目を大きく見開き挙動不審な態度を見せたのはどうしてだろうか。
何かがある、と考えるのが道理であるように思えるが確証には至らない。
下着姿だった彼女だが、喜媚の支給品であった「やまぶき高校」という学校の制服を今は着用している。
当然、容易く気を許せるような相手ではない。
もっとも、この会場内にブレードチルドレンの仲間以外に気の置けない相手がいるかと尋ねられれば答え難いのだが……。
警戒しておくに越した事はないだろう。
「ええと、まず喜媚ちゃんは本当に何にでも変身出来るんですか?」
「うん、出来るよっ☆」
喜媚は当たり前のように応える。
「ロリロリロリッタロリリリッ☆ 理緒ちゃんになーれっ☆」
ドロンッ、とまるでテレビ画面にノイズが走ったように喜媚の輪郭が揺れた。
瞬きをする暇もなかった。喜媚の持った羽衣がゆらりと風を舞った。そこにいたのは、
「あ、あたしだ……」
「……っ!」
「ロリッ☆ どうかなっ、お揃いっ☆」
濃い赤色の月臣学園の制服を纏った灰がかった黒髪をツインテールにした童顔少女――つまり竹内理緒と全く同じ背格好、同じ声の少女だった。
目の前に、鏡で見た自分と全く同じ姿形をした人間がいる感覚というのは驚愕の一言だった。
理緒は掌で口を覆い隠し、驚きを露にした。
離れた場所にいる由乃もピクリと眉を動かす。
「な、なんでそんなことが出来るんですか?」
「んーとねぇ、喜媚達は妖怪仙人だからかなっ☆ あと宝貝の力も大きいよっ☆」
「……妖怪ですか。それにパ、パオペイとはいったい……?」
「なりっ☆ これは変化の宝貝、如意羽衣の力ならっ☆」
再度、ドロン、という効果音と共に喜媚が元のロリータの格好に戻る。
顔だけでなく姿形まで理緒と全く同じだった。
妖怪仙人、宝貝といった聞き鳴れない単語に理緒は眩暈がして来た。
「……ついていけない」
その時、こちらの動向を伺っていた我妻由乃が忌々しげに言った。
足元に置いてあったデイパックを背負うと、喜媚と理緒に背を向ける。
「我妻さん!」
「なに」
「我妻さんは、どうするつもりなんですか」
「ユッキーを探す」
「喜媚も妲己姉さまとスープーちゃんを探しっ☆ 由乃ちゃんのお手伝いをしっ☆」
「……言っておくけど」
場に冷たい空気が流れる。
二度目の対峙、である。そして、禍々しい目付きで由乃は二人を睨みつける。
「お前達がユッキーを探す必要はないから」
由乃はもう用はないとばかりに理緒達へ言い放った。
由乃は右手の携帯電話をグッと握り締め、そして吐き出した。
その目付きは鋭く、親愛の色合いはまるで感じられなかった。
そこにあるのは明確な敵意だけ。
例えば、まるで違う場所で再会したとして、彼女が躊躇うことなく敵対するであろうことを予期させるような――
「それは残念です。友好的な関係を築けたら、と思っていたのですが」
「……よく言うわ。服の下。荷物を整理した時にお前がそこに何を隠したのか、私が知らないと思ったの」
「いいえ、まさか。こちらとしては、我妻さんがそれを知った上でもあたしと仲良しさんになってくれるかどうか。それが気になりまして」
理緒が懐から拳銃を取り出し、それを見せつけるようにしながら言った。
これが理緒の"警戒"だった。拳銃の扱いは訓練を積んだ理緒にとって慣れっこだ。
この距離ならば撃ち誤る事もないだろう。
「もちろん今は撃ちません。あたしにはそういう事をする意志はないので。信じられませんか?」
「……当たり前でしょ」
「あ、もしもあたしがユッキーさんを襲うんじゃないか……って考えてるんでしたら、心配のし過ぎですよ。
あたしには他にしなければいけない事がありますので。それとも――」
理緒は小さく間を取ると、ニコッと口元を綻ばせた。
非常に可愛らしい天使のような笑顔だった。
「他の人間を捜しているあたしよりも、先にユッキーさんを見つける自信がなかったりしますかね?」
理緒がこう言った瞬間、由乃が激しく激高した。
「ふざけるなッ!! ユッキーと私は恋人同士なんだから! お前なんかが私より先にユッキーを見つけられるはずがないッ!」
「です♪ なのでここはお互い手打ち、ということで」
由乃が『しまった』という顔を覗かせた。
ここで理緒に襲いかかるということは、すなわち理緒より先にユッキーを見つける自信がないという表れだ。
そして、そもそも誰かを捜したいのならば無駄に時間を消費する理由もない。
「……狐め」
「そんな。こんな可愛らしい子に向けて狐だなんて。どちらかと言えば、あたしはネコさんです。にゃん♪」
「…………もういい」
由乃は煩わしげに髪を掻き上げた。
気だるげな動作には、明らかに理緒と会話する事に対する苛立ちが溢れていた。
「ユッキーは私が守るんだから」
そう言い残すと、由乃は脇目も振らずにその場所を立ち去った。
▽
しえん
「日記が、どうして」
小さく呟く。
今までの遅れを取り戻すべく、由乃は真夜中の街路を駆けていた。
その右手には彼女が愛用する携帯電話――
そして、未来の予知を可能にする様々な能力を持った「未来日記」の一つ、『雪輝日記』だった。
この雪輝日記の能力は由乃の恋人である天野雪輝の未来を十分毎に表示することが出来る。
日記所有者の一人である雪輝が持つ『無差別日記』と合わさることで完全な未来予知を行える凄まじい道具だ。
しかし、今現在、彼女の未来日記はその効力を失っていた。
画面に表示されている文章は非常に簡素である。しかし、あまりに決定的な一文。
『※この雪輝日記が使えるようになるのは2ndが次に1stと再会してからじゃ! byムルムル』
日記さえあればユッキーの居場所は簡単に分かると思っていた。
完全に当てが外れた形だった。これでは自分の足でユッキーを探すしかない。
一秒の時間すら貴重だ。休んでいる暇はない。
今もユッキーは由乃が現れるのを待ち望んでいるはずなのだ。
足手まといは要らない。同行者なんて持っての他である。
(あの二人、殺せなかった)
先程までの自身の行動を由乃は悔い改めた。
競技場にいる人間が竹内理緒だけだったならば、接近戦に持ち込み、デイパックを両方とも自分の物にする選択は十分有効だったはずだ。
しかし第三の参加者、胡喜媚が現れたことで事態は一変した。
つまり、未知との遭遇である。
確かに由乃は最後の一人になるまで戦うサバイバルゲームに参加している日記所有者である。
それは明らかな非日常であり、由乃自身も数々の修羅場を潜って来ている。
が、それはあくまで"人"という枠組みの中で行われる戦いであり、超科学現象的な要素も『未来日記による予知』という一点だけ。
先程胡喜媚が見せたような顔や身体付き、声までをも完全に同一の存在へと変化させる能力はあまりにも異常だったのだ。
(この武器じゃダメだ)
由乃の手には喜媚が言っていた宝貝と呼ばれる道具が握られていた。
それが彼女の支給品である宝貝『降魔杵』だ。
両側に二つの球が付いた、要は巨大な鉄アレイのようなものだ。デザインセンスの欠片もない造詣をしている。
(ユッキーを守るために、もっと強い武器を見つけないと……)
接近戦は由乃の得意分野だ。
先程も二人が隙を見せたならば、この降魔杵で彼女達を撲殺するつもりだった。
しかし――食えない。
特に髪を二つに結っている方だ。竹内理緒、という名前だったか。
彼女の支給品は、銃だった。
そして、こちらが不用意な行動を取ったならばすぐにでも引き金を引く準備をしていたのだ。
友好的なように見せて、問題を感じ取ったならばすぐに発砲出来る準備は出来ていた。
デイパックの奪い合いがお流れになったのは大変な痛手だった。
あれを両方とも手に入れることが出来ていたら、銃と鈍器。二つの武器を手に入れることが出来ていたのだから。
(全部殺さなくちゃ。ユッキーを誑かす女、ユッキーを傷付ける奴……全員。
……だけど、ここには"人"じゃない奴もいる)
闇雲に相手を攻撃していては駄目だ。
弱そうな奴を、出来れば一人で行動している奴を確実に潰して行く必要がある。
今回、競技場をすぐに後にせず少しの間、胡喜媚と竹内理緒に付き合ったのは、喜媚の持つ不可思議な力について情報が欲しかったからだ。
由乃に支給された降魔杵にも特別な力はあるようだが、持っているだけで疲労は増えるのに、その割には地味な能力しか備わっていないようである。
しえん
さるか?
そもそも、この殺し合いは基本的な部分では未来日記所有者によるサバイバルゲームと構図自体は変わらない。
そのためユッキーを最後の一人にするために由乃が行動することは当然の結論だった。
もちろん、そのために彼女は殺人に対して全くの抵抗を覚えない。
複数の人間に対しては友好を装い紛れ込むのも友好な手段だろうか。
これは今回は相手が竹内理緒という食えない相手だったため、最初に出くわした時点で半ば敵対関係が完成していたため、取れなかった戦法だ。
が――そんな悠長な事をするよりも先に、まずは、ユッキーを探さなくてはならない。
ユッキーを守る事が出来るのは由乃だけだ。
第一にユッキーとの合流。
他の人間の相手をして時間を浪費する事さえ、由乃にとっては悪手に当たるようにも思える。
「ユッキー待ってて。すぐ私がユッキーの所に行くから。そうしたら、」
暗闇の中。
少女の殺意と妄執だけが爛々とした光を放っているようだった。
それは只管に純粋な愛なのかもしれない。
我妻由乃は以前、天野雪輝を「唯一の希望」であると称した。
彼女の中にある思いは『もっと自分を見て貰いたい。もっと仲良くなりたい』という気持ちだけ。
たとえ、ソレが血にまみれた屍の上に立った想いだとしても、だ。
「邪魔な敵を一緒に殺しに行こうね」
輝く黄金の月が少女の狂気を際立たせる。
【B-4/道路/一日目 深夜】
【我妻由乃@未来日記】
[状態]:健康
[服装]:やまぶき高校女子制服@ひだまりスケッチ
[装備]:雪輝日記@未来日記、降魔杵@封神演義
[道具]:デイパック、基本支給品
[思考]
基本方針:天野雪輝をこの殺し合いの勝者にする。
1:ユッキーを探す。強力な武器の入手。
2:ユッキーの生存だけを考える。役に立たない人間と馴れ合うつもりはない。
3:邪魔な人間は機会を見て排除。『ユッキーを守れるのは自分だけ』という意識が根底にある。
4:『まだ』積極的に他人と殺し合うつもりはないが、当然殺人に抵抗はない。
[備考]
※原作6巻26話「増殖倶楽部」終了後より参戦。
※制限により、由乃の「雪輝日記」が使用可能になるのは彼女が次に天野雪輝と再会して以降。
また能力自体に他の制限が掛かっている可能性も有り。
【雪輝日記@未来日記】
日記所有者である2nd、我妻由乃が持つ未来日記。
1stである天野雪輝の未来を十分毎に表示する。
雪輝の持つ無差別日記と合わさることで完全な未来予知を可能にする。
【降魔杵@封神演義】
両側に二つの球が付いた鈍器形宝貝。元の所有者は韋護。見た目がダサい。
殴る以外の使い方として、先端を長刀に変化させ斬撃に用いることも可能。
▽
「…………ふぅ」
理緒は長いため息を吐き出した。
我妻由乃との戦闘を回避出来たのは大きい。
何とか口八丁で彼女を煙に巻いたが、彼女は拳銃があれば完璧に勝利を収めることが出来るほど柔な相手ではなかった。
単純な戦闘力ではブレードチルドレンの一人であるカノン・ヒルベルトに比肩するレベルかもしれない。
まだまだ理緒が自分から積極的な行動を取るには情報が足りなさ過ぎる。
夜は始まったばかりだ。慎重に事を運ばなければ。
「理緒ちゃん、どうしたのっ☆ 元気ないよっ☆」
傍らの喜媚が理緒の顔を覗き込んだ。
結局、二人はしばらくの間行動を共にする事にしたのである。
「あ、いいえ。何でもないです」
「ロリッ☆ だったら喜媚と一緒に妲己姉様を探しに行きッ☆」
「……姉様? 喜媚ちゃん、お姉さんもここにいるんですか?」
姉、という事はその彼女も特殊な力を持っているのだろうか。
「うんっ☆ 妲己姉様ならぜーーんぶ、何とか出来っ☆」
「……なるほど」
確かに喜媚が信用出来る相手なのかどうかは非常に疑わしい。
だが自らを妖怪であると自称し、宝貝と呼ばれる不可思議な道具を自由自在に扱う彼女は極めて異端の存在だ。
例えば、彼女が持っていた『如意羽衣』という宝貝を理緒も見せて貰ったが、手にするだけで身体中の力が抜けていくような危険な感覚を覚えるほどだった。
おそらく理緒がこれを用い、自由自在に他の物体へ変化することはおそらく難しいだろう。
技術を必要とする宝貝は道士や仙人ではない人間には扱いにくいと喜媚は言っていた。
そんな彼女が本気になれば、理緒を殺害することなど容易いようにも思える。
事実、あの時由乃と理緒は共にこの胡喜媚の動向にも細心の注意を払っていたのだ。
が、そうしないという事は、彼女に人殺しをする意志がない裏付けであるように思えた。
完全に気を許すことは出来ないが、一時の同行者としては問題ないように思える。
彼女が何を考えているかは分からないが、互いが利用出来る内は協力関係は成立する。
重要なのはその分岐点を見極める事だ。
そう、ブレードチルドレンは殺戮の使者と成り得る呪われた子供であるが、あくまで人間に過ぎない。
――人間が、人外の存在に打ち勝つことが出来るのか。
鳴海の血とミズシロの血を神と悪魔と例えるならば、妖怪とはそれに介入し得る存在なのだろうか。
そして、それ以上に理緒の頭の中からは一つの疑惑が離れなかった。
(……ミズシロ火澄を殺せるのは鳴海歩だけ。つまり――この殺し合いの裏側には彼が?)
神である鳴海清隆ですら、ミズシロ火澄を殺すことは出来ない。ならば理緒がその答えに到達する事は当然だろう。
最初に集められた場所で、確かに理緒は鳴海歩の声を聞いた。まるで彼は自分がこんな殺し合いの事など一切知らなように振る舞っていた。
だが、それがあくまでブラフであり、本当は爆弾のスイッチを押したのが彼だとしたら?
その方法ならば――何の問題もなくミズシロ火澄は殺せるのだ。
(あたしが、ここでやるべき事は……何なのだろう)
神の作り出した絶対的な運命に囚われた存在、ブレードチルドレン。
たとえ、決して有り得ない可能性だとしても神の掌の中から抜け出す事は適わない。
それが――抗えぬ螺旋の創り出した宿命なのだから。
【B-2/競技場前/一日目 深夜】
【竹内理緒@スパイラル 〜推理の絆〜】
[状態]:健康
[服装]:月臣学園女子制服
[装備]:ベレッタM92F(15/15)@ゴルゴ13
[道具]:デイパック、基本支給品、ベレッタM92Fのマガジン(9mmパラベラム弾)x3
[思考]
基本方針:生存を第一に考え、仲間との合流を果たす。
1:第一放送までは生存優先。殺し合いを行う意志は無し。
名簿の確認後、スタンスの決定を再度行う。
2:喜媚と行動を共にする。妲己という人を一緒に探す。
3:黒幕は鳴海歩?
[備考]
※原作7巻36話「闇よ落ちるなかれ」、対カノン戦開始直後。
【胡喜媚@封神演義】
[状態]:健康
[服装]:原作終盤の水色のケープ
[装備]:如意羽衣@封神演義
[道具]:デイパック、基本支給品
[思考]
基本方針:???
1:妲己姉様とスープーちゃんを探しに行きっ☆
2:皆と遊びっ☆
[備考]
※原作21巻、完全版17巻、184話「歴史の道標 十三-マジカル変身美少女胡喜媚七変化☆-」より参戦。
【如意羽衣@封神演義】
ありとあらゆるものに変身出来るようになる宝貝(素粒子や風など、物や人物以外でも可。宝貝にも可能)
以上です。支援ありがとうございました。
SSタイトル元ネタは未来日記16話「殺伐フレンズ」から。
投下乙です
由乃…よりによって一番病んでる時期から来やがった…
そしてまさかの歩黒幕論!その発想は無かったと言わざるを得ない
胡喜媚はよく知らないのだけど、かなりフリーダムw
でも妲己の妹か…一筋縄ではいかないだろうなぁ
あと、投下中に割り込みすいませんでした
投下乙です。
ただし、1つ問題が。
火澄の存在は原作では完全に秘匿されており、彼を知っているブレードチルドレンは、アイズとカノンの2人だけです。
歩が清隆を倒した後に聞いていた、と解釈するならともかく、この段階で火澄を知っているのはまずいのでは?
あぁ、物凄いそこ迷ったんですよね……。原作だとヒズミが出て来ると理緒の出番はほぼなくなりますし。
調べ切れなかった部分だ。すいません。
理緒が知らないverも出来てるので仮投下の方に後で落としておきます。
>>642 うあ、そうでしたか。すみません。ワンピ手元にアラバスタまでしかなかったもので…
ロリコンビすごいなぁ…
刃物と鈍器と、雪輝日記…渡ってはいけないものばかり由乃の元へwww
変化能力者の多さはロワにいい影響を及ぼしそうですね。いろんな意味でw
今までの作品見て思ったけど『今のところ殺しはしない。でも……』な奴が多い気がする。
>>671 参戦キャラの大半がロワと大差ない修羅場を潜ってるからそれが原因だろ
経験者なら初動は「見」に徹するのは普通にあり
清隆が開始宣言してたら、理緒はマーダーになりかねなかったと思うんだ。原作での信仰的に考えて
外見と能力を兼ね備えた厄介過ぎるマーダーに
清隆が表に出てないからセーフだったが、今後の動向次第じゃ怖いなぁ
>>673 というかスパイラル勢で清隆の影響を受けない参加者は一人も居ないぞw
浅月、高町は絶対反抗するし、歩、カノンもスタンスに影響が出る。
一番酷いのは結崎ひよの(偽名)でジョーカーが確定w
あ〜、ただいまwikiを編集して作品を乗せてるんだけどさ。
テンプレでランダム支給品は2個まで書いてあるのに、1〜3とか書いている人居るから
勝手にに減らしといてもいいよな?
支給品他人から奪ってるとか以外ありえんしな
そうじゃなきゃ減らしていいと思うんだが……
◆yXlaa6e0uc 秋山優/(犬養@魔王)
これは予約破棄ってことなんだよな。
もう別の予約入ってるけど
ハヤテ…改め ナギのごとく!
【サンジ@ONE PIECE】
[道具]:支給品一式、不明支給品1〜3
Little Brothers!
【安藤潤也@魔王 JUVENILE REMIX】
【所持品】支給品一式 イングラムM10@現実 未確認支給品1〜2(本人確認済み、武器はない)
Twin Sword
【安藤(兄)@魔王 JUVENILE REMIX】
[道具]:支給品一式、不明支給品1〜3
【鳴海歩@スパイラル〜推理の絆〜】
[道具]:支給品一式、不明支給品1〜3
彼の者もまた――――
【ゾッド@ベルセルク】
[装備]穿心角@うしおととら、秋水@ONE PIECE
[支給品]支給品一式、手榴弾x3@現実、未確認(0〜2)
かな、支給品の数がおかしいと思われるのは
指摘ありがとうございます。
ゾッドの支給品欄を
[支給品]支給品一式、手榴弾x3@現実、未確認支給品0〜1
に変更お願いします。
申し訳ないです、ミスしてました。
修正ありがとうございます。
ダッキと白面の者って同じ存在?
いや、同じ九尾の狐らしいのは知ってるんだが
ああ、確かに同じ九尾の狐で男を堕落させる傾国の美女なんだよな
古代中国の所も同じのようだけどお互い異時空の存在なんだよな
関連あるのかないのか書き手のアイデアに期待してます
こうなってくると潮の参戦時期も重要になってくるな
まさか白面の者打倒後かもしれない
2/6【トライガン・マキシマム】
○ヴァッシュ・ザ・スタンピード/○ミリオンズ・ナイブズ
1/4【うしおととら】
○蒼月潮
1/4【鋼の錬金術師】
○ロイ・マスタング
1/3【金剛番長】
○秋山優(卑怯番長)
2/3【封神演義】
○太公望/○聞仲
1/3【魔王 JUVENILE REMIX】
○蝉
1/2【うえきの法則】
○植木耕助
1/2【ブラック・ジャック】
○ドクター・キリコ
破棄と新しい予約入れてもまだ空いてるキャラです
審議中ですが◆2/z7o.Vlls氏の作品と連絡が来ないけど破棄になる場合はロイ・マスタングが空きます
684 :
創る名無しに見る名無し:2009/04/15(水) 12:23:30 ID:OOHX3Qn7
意外に主役級が多く残ってるな
マスタング大佐とお妙さんの予約は…一応、今夜中まで待ってみたら?
そして新たに入った予約にgkbrが止まらない
逃げてー二人とも逃げてー
予約見た。
こwwwれwwwはwww
二人とも逃げてえええええ
正義の味方頑張れwww
さて、投下をさせて頂きます。ちょっと長いかな?
闇に底があるなら、きっとこんな所なんだろう。
そんな言葉を思い出しながら、1人の男が歩く。
「…人類を抹殺する化け物の次は、殺し合いを求める神か。アンコールのナンバーとしてこれ以上の物はないな。」
呟きながらも、耳を澄ます。もはやこれは反射に等しい行動となっていた。
男の名はミッドバレイ・ザ・ホーンフリーク。
魔人集団GUNG-HO-GUNSの7番手にして、あらゆる「音」を支配する「音界の覇者」。
彼がこの殺し合いに巻き込まれて抱いた感情は、『絶望』の二文字だった。
彼は、死んだはずだった。
人類全てを滅ぼす災厄、ミリオンズ・ナイブズから逃げ出す為に、その弟ヴァッシュ・ザ・スタンピードと戦うも、仕留め損ねた。
そればかりか、そのナイブズに異常なまでの忠誠を誓うレガート・ブルーサマーズの介入を許し、逃げ場を失う。
その果てに彼は反逆の牙を剥いたものの、それは突き立てられることなく終わってしまった…ハズだった。
なのに、なぜ自分はこんな場所にいる?
GUNG-HO-GUNSに所属していた時、常に恐怖を感じていた。
いずれ人類全てを抹殺しようというナイブズと、その狂信者レガート。
そんな連中の下で戦うということは、その力を振るうたびに自分の死が近づいてくる事になる。
だが逆らえば殺される。
バカバカしい話だった。往くも死、退くも死…どこにも逃げ場などなかったのだから。
死によって、少なくともその悪夢のような日々だけは終わったと思ったのに…
神は、それすらも許してくれなかった。
まさしくここは、闇の底だ。
この殺し合い、おそらく勝利したところで何も得られはしまい。
本当に生きて帰してくれるかも怪しいものだ。これは、直感的な感想だった。
しかしその上でミッドバレイが選んだ選択は、この下らないゲームに乗ることだった。
無駄な抵抗をしても虚しいだけだ。あの時説明をしていた連中が人間ではないのは明白。
次元の異なる化け物に抗っても無駄なことは、自分が誰より知っている。
しょせん人間は、盤上で自分の定められたパートを忠実に演じるしかないのだ。
どの道、出口の無い死であるのなら…
だから、彼の人並みはずれた聴力が『女』の微かな足音を捉えた時、彼は迷わずそちらに向かっていた。
その手に銃を握り締めて。
689 :
創る名無しに見る名無し:2009/04/15(水) 12:55:48 ID:F3Ian+rg
【ゴールデンレス】
∩ ・∀・)∩∩ ´∀`)∩ このレスを見た人はコピペでもいいので
〉 _ノ 〉 _ノ10分以内に3つのスレへ貼り付けてください。
ノ ノ ノ ノ ノ ノそうすれば14日後好きな人から告白されるわ宝くじは当たるわ
し´(_) し´(_) 出世しまくるわ体の悪い所全部治るわでえらい事です
その『女』は大きなおさげで、やや幼く見える外見をしていた。
まぁ、相手の特徴など関係ない。暗闇に身を潜め、機を窺う。
そして、一気に飛び出し、銃を突きつけた。
「動くな。」
後頭部に突きつけるつもりだったが、思いのほか速く相手が反応し、顔を向けられてしまった。
まぁ、どうせ殺すのだ。顔を見られたところで問題は無い。
「…参りましたね。やめてもらえませんか?」
「脅しだと思うなよ。すぐ撃たないのは情報が欲しいからだ。何も役に立たないようならすぐに殺す。」
思ったより冷静に対処する。心音にも大した乱れがない。見た目からただの一般人だと思っていたが…
もしかすると修羅場慣れしているのかもしれない。
「殺し合いに、乗るつもりですか?」
「質問するのは俺だ、お嬢さん。お前、ここで俺の他に誰かと会ったか?」
「いいえ、あなたが初めてです。」
やはり、か。自分自身、目を覚ましてからさほど時間は経っていない。
自分がよほど寝坊をしたのでなければ、大半の人間がまだ、誰とも会っていないか、ファーストコンタクトがせいぜいだろう。
それならこの『女』にもう用は無いな、と考えていると…
「…そうです、“初めて”なんです。女性の“初めて”をこんな乱暴なやり方で奪うなんて、男として最低ですよ?」
「…くだらん事を喋るな。そういう気分じゃない。」
なんなんだ、この『女』は。殺し合いの場に放り込まれて、見知らぬ男に銃を突きつけられ、なぜこんな態度を取れる?
態度だけじゃない。強がりじゃなく、心底冷静なのが心音や呼吸音からわかってしまう。
「…嫌な目をしてますね。絶望に囚われた目です。」
「余計なお世話だ。生憎と絶望とは付き合いが長くてな。お前以上に理解している。」
『女』の目つきが変わる。射抜くような視線だが、こちらも伊達に修羅場をくぐっちゃいない。こんなことで怯みはしない。
「…死ぬのが怖いんですか?」
言葉の1つ1つが気に障る『女』だ。今こんな話をしてどうなるというのか。
「…それはそうだが、それだけじゃない。こんなゲーム、勝っても負けてもどうせ死ぬんだ。抵抗するだけ無駄だろう?」
なぜ、まともに相手にしてしまったのだろうか。我ながらそう思う。
付け入る隙を与えてしまったと思った時には、もう遅かった。
「わかってるんじゃないですか。殺し合いに乗ったって、助かる見込みは薄いって事に。
立ち向かうことは、無駄なんかじゃありませんよ。少なくとも私はそう思います。」
『女』が怒涛のように言葉を被せてくる。
「諦めてしまえばそこでおしまいですよ?なぜ自分の力を信じないんですか?
見たところ戦い慣れしているみたいですし、その力、別の方向に活かそうとどうして思えないんですか!」
耳障りだった。今さら何を言う。
ミッドバレイ・ザ・ホーンフリークはリアリストだ。
現実的な考え方をして、それに従って生きてきたし、その為に他人の命を奪う事など星の数ほど経験していた。
今さら夢や希望を語るなど、唇を火傷するだけだ。
「自分で経験し、知っているからさ。あの手の連中には、人間は決して歯が立たない。
夢や希望じゃ、運命ってヤツは覆らん。」
「でも、私はそれを覆そうとしている人を知っています。」
そこで『少女』の表情が変わった。浮かんでいるのは満面の笑み。
「その人は、自分を信じているわけでもなく、ただ負けてたまるかと意地を張ってるだけです。
でも、決して諦めることなく、人の手ではどうしようも無い運命に立ち向かっています。」
「素敵な話だ。俺には眩しいほどな。だがここは殺し合いの場、闇のどん底だぞ?
例えそんな場所でも、そいつは諦めないと言えるのか?」
「言えますよ。」
『少女』の笑みは消えなかった。それがますます、気に障る。
「その人はあらゆる絶望を与えられて、なおうつむかない覚悟をしているんです。
これは怖いですよ。そんな人、いったいどうすれば倒せるんですかね。」
その話を聞いて、思い起こされる二つの顔。
1つは圧倒的な苦しみを与えられ続けてなお、信念を決して曲げないアホ面の笑顔。
だがこいつは人間じゃない。自分の理解を超えた化け物だ。
しかし、その傍らに立つもう1つの顔が、ミッドバレイの心を揺さぶる。
人の身でありながら、化け物の戦いに挑む1人の牧師。
化け物と共に歩む、リアリストのはずの人間。
全てに牙を突き立てんとする、狼。
ミッドバレイ・ザ・ホーンフリークはリアリストだ。
夢や幻想では動かないし、分の悪い賭けにはBETしない。
だがそこに、確かな経験と実績、論理があればどうか。
勝てる、あるいは逃げ出せるでもいい。信じるに足る理由が存在したら?
その時は、誰よりも確固たる意思を持って動く事だろう。
「私はその人を信じています。彼が自分を信じなくても。
だって実際にその人はあと一歩で運命を打ち破れるところまで来たんですから。
だから私は戻らなきゃいけないんです。その結果を見届ける為に。」
ようやく『女』の顔から笑顔が消えた。
だがその視線は先ほどまでと違う。不動の決意を含んだ、力強い視線。
やはり浮かぶ、二つの顔。
目障りだった。人の決意を揺さぶるこの『女』の言葉も、勝手に目に浮かぶ思い出したくも無い二つの『顔』も。
「『歯』が立たなくたって、『牙』なら突き立てられるかもしれませんよ?」
目障りで、耳障りで…もういい、やめにしよう。
「それでも、あなたは運命に従って私を殺しますか?」
「…言いたいことは言い終えたか?そろそろ、お祈りの時間だ。」
パァン!
乾いた銃声が響く。
弾丸が、『命』を貫いた。
しえん
◇ ◇ ◇
うつむきながら、歩く。
『女』から奪ったバッグの中身は確認した。入っていたのは不気味なデザインの卵みたいなアクセサリーと、楽譜だけだった。
楽譜のほうはいい曲ではあったが、特に役に立ちそうには無い。
だが、どうせ自分のバッグの中身も役に立ちそうに無かったのだ。かまうまい。
結局あの『女』が放った言葉は、ミッドバレイの心に深い跡を残していた。
『その人はあらゆる絶望を与えられて、なおうつむかない覚悟をしているんです。
これは怖いですよ。そんな人、いったいどうすれば倒せるんですかね。』
もしも、もしも本当にこんな人間がいて、
『だって実際にその人はあと一歩で運命を打ち破れるところまで来たんですから。』
もしも本当にこんな結果になっているとしたら…
それは、BETするに十分な要素なのかもしれない。
リアリストはどん底でうつむいたままだ。決して顔を上げることは出来ないだろう。
しかし、もしもそんな状況を克服するメロディーが奏でられたとしたら…
そんな微かな希望に囚われ、彼は耳だけ澄まし続ける。
彼はまだ知らない。
「勝てなくても、負けてやらねぇ」
強大な妖に立ち向かい負の連鎖を断ち切った少年を。
「それでも私は人をなおすんだっ!自分が生きるために!!」
自分が生きるために、人の死という最強の運命に挑み続ける闇医者を。
「運命(さだめ)、運命、運命…うるせぇってんだよオォ!!」
人間として因果律の水面を揺らす、復讐の黒い剣士を。
他にもこの会場に数多存在する、魔王に、道標に、神に、真理に…運命に人の力で挑み、覆さんとする者たちを。
だが、彼はまだ知らない。
それと同時にこの会場に存在する、彼にとって最大最悪、掛け値なしの、厄ネタを…
【C-9/大通り/1日目 深夜】
【ミッドバレイ・ザ・ホーンフリーク@トライガン・マキシマム】
[状態]: 健康 イライラ
[服装]:
[装備]: エンフィールドNO.2(5/6)@現実
[道具]:支給品一式 真紅のベヘリット@ベルセルク 鳴海歩のピアノ曲の楽譜@スパイラル 〜推理の絆〜
[思考]
基本:ゲームには乗るし、無駄な抵抗はしない。しかし、人の身で運命を覆すようなヤツと出会ったら…?
1: 人と会って情報と武器を得る。役に立たないと判断したら殺す。
2: 強者と思しき相手には出来るだけ関わらない。特に人外の存在に軽い恐怖と嫌悪。
3: 愛用のサックスが欲しい。
[備考]
※ 死亡前後からの参戦。トライガン関係者の存在にはまだ気がついていません。
◇ ◇ ◇
「う…うぅ…」
闇の中で微かに聞こえる「女」の呻き声。
「うぅ…ひどいです。髪は女の『命』なのに。それを奪うなんて、ドグサレ外道です!」
そこには、先ほどまでミッドバレイと対峙していた『女』が居た。
彼女の髪は、特徴的だった2つの大きなおさげが片方だけ落とされている。
結局『女』は殺されなかった。気まぐれか、言葉が効いたのか…とにかく今は助かったようだ。
「さて、一体どうしたもんですかね。」
近くにあった灯台に身を隠し、ひとまず安全を確保した彼女は思案していた。自分がするべき行動は何か。
(名簿が読めるようになるまで、私が『誰』として呼ばれたかわかりませんね。これが一番の問題です。)
今手元にある名簿は、6時間経たないと読めないという。これでは他の参加者もわからない。
しかし、説明が行われた広場で、隣にいた人物。顔こそ見えなかったが、動きやかすかに聞こえた声など、判断するに十分な情報はあった。
なにせずっと傍らで見続けてきたのだ、間違いない。
鳴海歩だ。
これがもし、彼女の仕事の依頼人、鳴海清隆氏の謀の一環だとすれば、それで自分の行動は決ってくる。
1人の『少女』のキャラクターを演じ、1人の少年を信じ支える。それだけだ。
だが、今回のこれはかなりイレギュラーな状態であり、彼の予測の範疇を超えている可能性は高い。
なにより自分はもう、役目を終えたのだ。少年を裏切る形で。
なんとはなしに、失ったおさげのあたりを触る。
(今さら、『彼女』を演じる必要はないんですかね…)
だが、引っかかるのは最初の説明の時の出来事。
ミズシロ火澄の死。
死ぬ事さえ運命によって許されなかった少年が、あっさりと殺された。
これは自分が鳴海清隆氏に知らされた展開とあまりに違いすぎる。
これは、再び運命というものが大きく動いている事を示しているのではないか。
(これを打ち破るには、もう少し協力しないといけないかもしれませんね。
何せ『私』がいないと、『鳴海さん』はダメダメですから。)
『女』はこの場での行動方針を決意した。
1人の『少女』として、少年を信じ、支える。
それが『女』の意思なのか、仕事だからなのか、今は本人にもわからない。この先どうなっていくかすら。
ただ、ゆれる片方だけのおさげが、妙に嬉しそうに見えた。
そうと決まれば行動開始だ。
先ほどの危機は口先だけで何とかなったが、この場はかなり危険な場所である。
それは自分にとっても、信じるべき少年、鳴海歩にとっても同じ事だ。
早いところ合流し、共に立ち向かいたい。
さらにこの状況を打破する為には情報が必要だ。それこそが自分の最大の武器である事も自覚している。
「とにかく、人と会うことですね。できれば危険人物以外の人と。」
同情なのか、動揺の為か、先ほどの男が残していったバッグを拾う。これは男が持っていた方のバッグだ。
中からメモ用紙を取り出し、男の特徴をメモする。
迷ったが、○の中に『危』の字を入れた『危険人物マーク』をつけておいた。
「――さて、行きますか。お祈りの時間は終わりです。」
こうして謎の少女、『結崎ひよの』は動き出した。
支援
【C-10/灯台/1日目 深夜】
【結崎ひよの@スパイラル 〜推理の絆〜】
[状態]: 健康 おさげ片方喪失
[服装]:
[装備]:
[道具]:支給品一式 不明支給品1 手作りの人物表
[思考]
基本: 『結崎ひよの』として、鳴海歩を信頼しサポートする。
1: 鳴海歩がいるか確かめ、いるなら合流したい。
2: あらゆる情報を得る。
3: 2の為に多くの人と会う。出来れば危険人物とは関わらない。
[備考]
※ 清隆にピアスを渡してから、歩に真実を語るまでのどこかから参戦。
※ 不明支給品1は、少なくともミッドバレイには役に立たないと判断されたアイテムです。
※ 手作りの人物表には、今のところミッドバレイ・ザ・ホーンフリークの外見、会話から読み取れた簡単な性格が記されています。
【真紅のベヘリット】
眼や鼻や口が一種のアートのように不規則に配置された人間の顔が刻まれた卵型の物体。
ただの道具ではなく生きており、時々瞼や口を開いたりする。
真紅のベヘリットはグリフィスのもので、彼がゴッドハンドに転生するのに必要なもの。
この会場で転生が可能かは不明。
しかし、誰が持っていようと本来の持ち主の下に戻るという特性は生きている…のではないかと思われる。
【鳴海歩のピアノ曲の楽譜】
最終話で歩が編曲していたオリジナル曲。片手でも弾けるようにアレンジされている。
隻腕のキャラが多い今回のロワにぴったり?
※ C-10のどこかに「結崎ひよののおさげ(片方)」が落ちています。
以上、投下終了です。
参戦時期は、二人ともどちらのスタンスをとっても大丈夫な時期を選んでみたつもりです。
支援ありがとうございました。
投下乙です
ひよの死んだかと思った…ハラハラしたぜ
対主催に転がりそうなマーダーと、マーダーに転がりそうな対主催か…どっちも怖いなぁ
投下乙です
リアリストの彼と運命は打破出来ると信じてる少女の邂逅
彼はゲームに乗るつもりですが名簿が見れるようになった時に彼は何を思うか?
そしてひよのは肝が太すぎw 鳴海歩は今のところ対主催だからひよのも対主催だがもしもの時は?
お疲れ様です
カノンの足止めのために手首切った娘だからな。
鳴海歩曰く「不死身」だの「殺しても死にそうにない」だの酷い言われようw
しかし、参戦時期が危ういな。
こいつらに限らずなんかスタンスがグレーな奴らが多いぞ。
というか無差別がいないよな……
マーダーや危険人物も参加者によっては対主催化しそうな奴も多いし。
文字どおり化け物が二人ほど無差別ですが何か。
マーダーが不足したからって悪魔軍人とか作成するくらいなら無理にマーダーいらないし。
とりあえず流兄ちゃんは無差別っぽい
紅煉は無差別だろ
キンブリーと秋葉流はステルスぽいが限りなく黒い
剛力番長は頭を使うか不明だが無差別ぽい
それとまだ登場してないあの人やこの人が無差別の可能性あり
>>705 紅煉、ゾッド、キンブリーがいる。
思想的に対主催と組むとは考えにくい。
全員ネジ吹っ飛んでるしな。
様子見に回る奴が多いのは仕方ない。そういうメンツだし
無差別なんて2〜3いれば十分だろう
グレーが他と比べると多いような気もする
それに限りなく黒に近いのもいる
この状況なら無差別は数人で十分だと思う
名簿ないのが結構効いてる
OPで見た……ともしにくいしな
一応由乃もマーダーじゃなくてグレーだよな。……一応。うん、一応。
キンブリーや流さんはステルスっぽいイメージがあったんで……。そういや紅煉がいたな、未把握だったから忘れてた。
そういや今の予約の中で気になるカードはある?
俺は亮子とエドとレガートが読めなくて気になる。
予約のある中ではあの男と自称正義の味方とレッドかな
後、予約にはないけど潮がどうなるか気になる
そういえば、書き手枠で登場したキャラを入れた暫定名簿ってどういう感じになってる?
>>678 指摘及び修正ありがとうございます。
高町亮子、エドワード・エルリック、レガート・ブルーサマーズ分を投下します
白い棺桶があった。
灰色の町の真っ只中に、ぽつんと白い棺桶があった。
暗き漆黒の宵闇の中に、ぼんやりと浮かぶ白い棺桶があった。
通常棺桶というものは、この世に生きていない死体が入れられる器である。
であれば、生きながらにして棺桶に引きこもらざるを得なかった、レガート青年の心境は、一体いかなるものだったのだろうか。
レガート・ブルーサマーズ。
それが今ここで、棺桶のような容れ物に入っている男の名前である。
出身地、ノーマンズランド。仕える主はミリオンズ・ナイブズ。
彼が主人に出会う前の、その生い立ちを記した文献は少ない。
ただ確かなことは、理由や経緯はともかくとして、物心ついた時には、どこかの地方の有力者に飼われていたということ。
籠の中に閉じ込められ、下界を見下ろすだけの生活を余儀なくされ、ある時にはめちゃくちゃに犯された。
それを偶然救った男。
気まぐれについて来ることを許した男。
名も無き虜囚に名前を与えた男。
それがミリオンズ・ナイブズだった。
故にレガートという男にとって、ナイブズとは絶対の主であり、同時に生きる理由そのものであった。
人類抹殺を目論む魔神に、影のように付き従う魔人。
そして今、そのナイブズの腹心は、主もなくたった1人でそこにいる。
足元(?)に無造作に置き捨てられた、自分のデイパックを見下ろしながら。
「……武器は全て奪われたか」
ぽつり。
何でもないことのように、呟く。
棺桶の中へと封じられた、己の五体に身に着けた装備を確認。
右肩部三連構造切断アーム――なし。
単分子鎖ナノ鋼糸――なし。
二連銃剣内蔵型拳銃――なし。
人体強制操作用金属糸――僅か1本。
超高速鉄球型奴隷ゲルニカ――当然なし。
なるほど、あのムルムルとかいう連中が言ったとおり、武器の類は全て没収されているらしい。
もっとも、自分の武器があったとして、普段通りに戦えるかどうかは、定かではないのだが。
レガート・ブルーサマーズ。
彼の身に着けた技は、対人戦においては圧倒的すぎる。
微細な金属糸を対象の延髄へと差し込み、電気信号を送り込むことで、強制的に身体を操る――それがレガートの持つ技能。
何人が相手であろうとも、その拘束から逃れることはかなわない。
かの人間台風ヴァッシュ・ザ・スタンピードすら、完全に封じ込めることのできる魔技。
洗練された技術の精巧さは、四肢を砕かれた己の身体すら、生身と遜色なく操るほど。
加えてそこに、そのヴァッシュと互角の身体能力が備わっているというのだ。
ノーマンズランドの150年の歴史を紐解いても、人類史上最強と称しても過言ではないだろう。
だが、だからこそ、その力が普段通り使える保障はない。
主催者の言葉を真実とするなら、真っ先に制限されるべきは自分の力なのだから。
断言してもいい。
対人戦という一点において、無敵を誇るレガートを野放しにしていては、大半の参加者達など一方的に虐殺できてしまう。
どうにも連中からすれば、それでは面白くないらしい。
人の命を何だと思っているんだ。
あの真紅のコートの男の声が、今にも耳に響いてきそうだ。
その程度のことなど、レガートにとっては知ったことではないのだが。
実を言うとこの男、あの主催者連中にはさほど興味がない。
連中がどれだけ力を誇示しようと、そんなものは彼の胸を打つには至らない。
支援
しえん
スレ容量大丈夫かい?
「……ナイブズ様のお傍へ戻らなければ」
それ以上の存在を、既にこの地に感じているから。
ここに飛ばされる前に自分達がいた、あの奇妙極まりない光景を思い出す。
姿など見ただけでは分からない。声など一言も発していない。
されど、気配で分かる。
かの者の放つ圧倒的存在感。何者であろうとも侵すことなどかなわない、絶対の力の威圧感。
間違いない。
ミリオンズ・ナイブズはそこにいた。
理屈も常識すらも突破し、その存在を確かに感じ取っていた。
それも、狂的なまでの信奉者たるレガートなればこそ。
であれば、彼のなすべき役目は1つ。
速やかにナイブズと合流し、邪魔者共を鏖殺すること。
殺せ。殺せ。皆殺しだ。
あのお方に楯突く不届き者共を、一切合切の容赦なく叩き潰せ。
それがレガート・ブルーサマーズが、自らに課した至上の使命。
そのためにも、まずはナイブズを捜さなければならない。それもできうる限り迅速にだ。
純白の棺桶が邪魔になる。
一本足で引きずるようにして動くこれを身につけたままでは、移動スピードがまるで足りない。
(出ることにしよう)
棺桶の外へ出ることにしよう。
この無骨な外郭を破り、今こそその身を再び外気に晒すことにしよう。
かつてこの鋼鉄の箱は、言わば骨折箇所を保護するギプスだった。
両手両足を砕き折られたその身体を、保護するための容器だった。
だが、今となっては最早不要。
何千何万もの研鑽の果て、今や己の身体さえ、傀儡とすることを可能とした。
であれば新たな五体を得たレガートが、この拘束にこだわる必要などない。
がちゃり。
扉の開く音。
白き器はその役目を終え。
死を呼ぶ蒼き風を今、再び野へと解き放つ。
その、瞬間だ。
「……?」
彼がそれを耳にしたのは。
◆
「やってくれるじゃないか……」
短い茶髪が夜風に舞う。
さながら男のそれのように、ボーイッシュなスタイルに纏められた髪。
それを風に揺らしながら、怒りも露わに呟くのは1人の少女。
名を、高町亮子という。
かつて世界に君臨した、呪われしミズシロ・ヤイバの子供達――ブレード・チルドレンの1人だ。
優良種たるヤイバの血族の繁栄のため。劣種たる現人類達を駆逐するため。
殺戮を求めるプログラムを、その遺伝子に組み込まれた忌むべき血統。それがブレード・チルドレンだ。
「お前らの思惑通りになんてさせてたまるか……!」
その高町亮子が、今静かに怒っている。
殺人者ブレード・チルドレンであるはずの彼女が、この理不尽な殺し合いへと、確かな憤りを感じている。
彼女ら80人の子供達の中でも、亮子は特殊な存在だった。
自らの宿命を知り、命を狙われ続けるブレード・チルドレンの中でも、彼女は一際正義感が強いのだ。
人殺しという行為。それを彼女は嫌っている。
他の個体が必要に迫られ、その手を血の色に染める中、頑なに殺人を拒んでいる。
殺るくらいなら殺られた方がまし。
かつて亮子自身が口にした言葉だ。
それは決して、救いも未来もない境遇のみを要因とした主張ではない。
人が人を殺すなんて間違っている。誰も殺さないし、殺させだってするものか。
亮子は本気でそう思い、その意志を貫き続けているのだ。
通常ブレード・チルドレンとは、3種類のパターンに分類される。
既にヤイバの血に目覚め、見境なく殺戮を求めるに至った者。
自らないし仲間の命を守るために、その手を汚す覚悟を決めた者。
呪われし宿命に怯えながら、がたがたと恐怖に震える者。
そのいずれにも未だ属さぬ特異な個体――それが高町亮子だった。
「見てろ……こんな殺し合い、絶対にあたしが止めてやる」
故に、彼女の選ぶ道は決まっている。
この馬鹿げた殺し合いを催した、あの主催者連中を叩き潰すこと。
そしてこれ以上の犠牲を出すことなく、皆でここから脱出することだ。
困難な道ではあるかもしれない。主催をも敵に回すということを考えると、圧倒的に不利な勝負。
それでも、引き下がるわけにはいかないのだ。
己の信条を曲げ、殺戮の道を歩むわけにはいかないのだ。
それに不利な戦いというのなら、あの鳴海歩の方が何倍もきつい戦いに臨んでいる。
あのもやしっ子が挑んでいるのは人ですらなく、実体の見えない運命なのだ。
殴りかかるための形もなく、パズルのような解法もない。
そのくせその存在は絶大で、容赦なくブレード・チルドレンを縛りつけている。
ようやく前を向くことを決めたばかりの歩ですら、そんな途方もない相手と戦っているのだ。
であれば、彼に比べれば戦闘能力の高い自分が、高々人の2人くらい倒せずにどうする。
そんな情けない醜態を晒すのは真っ平御免だ。
(弟といえば……何だったんだ? あいつ……)
と、そこで。
ふと、1人の男の姿を思い出す。
挑戦的な笑みを主催者に向けていた、ミントグリーンの髪の少年だ。
今にして考えてもみれば、奴の容姿は写真で見たヤイバによく似ている。
外見年齢も自分とそう変わらない。ということは、彼もブレード・チルドレンの1人だろうか。
(でも、弟にしか殺せないブレード・チルドレンって何なんだ……?)
だが、それがどうにも引っ掛かる。
救いの神として生まれたはずの歩だけが、殺すことができるというブレード・チルドレン。
運命の盤面を見渡してみても、そんな駒はどこにも存在しない。
そもそも最強のブレード・チルドレン――カノン・ヒルベルトの試練を乗り越えた歩に、今さら人殺しが要求されるとも思えない。
(そしてその弟もカノンも、ここに呼ばれてる)
これは事実だ。
あの緑の髪の少年が命を落とした時、彼ら2人の声が上がっていた。確かヒズミと名を呼んでいたか。
亮子が殺し合いに乗らないというスタンスを取る以上、歩は確実に自分の仲間となってくれるだろう。
カノンの方も、歩と合流することができれば、共に戦ってくれるかもしれない。
もっとも、長く苦しい戦いを終え、今はほぼ隠居のような軟禁生活を送っているという彼に、再び戦いを要求するのは気が引けるのだが。
しかし、この2人に対しても気がかりはある。
彼らはヒズミの存在を知っていた。
恐らく歩を取り巻く運命において、それなりに重要な存在であろう彼を認知していたのだ。
であれば名前だけでなく、その性質も知っているということだろうか。
2人は何を知っていた。
何を自分達に隠していたのか。
「……こういう時こそ、香介がいてくれれば……」
ぽつり。
どこか寂しげな声音で漏らす。
思い返すのは、あの小生意気な幼馴染み――浅月香介の存在だ。
ひねくれ者で口だけは達者で、そのくせ「亮子だけは巻き込みたくない」と、生意気極まりないことを考えて、何度も姿を消した奴。
けれども共にいることで、この殺伐とした運命の中でも、不思議と心安らぐ時間を与えてくれた。
同じ父を持つ兄妹でありながら、不覚にも想いを寄せてしまい、先日告白まがいの発言に及んでしまった相手。
それでも彼女の想いを受け止めてくれた、亮子の精神的支柱とでも言うべき存在だ。
戦いにおいても、彼女らは2人で1つだった。
亮子が素手での格闘能力に秀でているならば、口先と細かな技術が浅月の武器だ。
彼がここにいてくれたならば、今の疑問にも答えを出してくれただろうか。
孤独に戦う決意をした自分を、傍で支えてくれただろうか。
(……駄目だな。何考えてんだ、あたしは)
ぱんぱん、と頬を叩く。
いるかどうかも分からない人間を当てにしてどうするんだ。
そもそもいないに越したことはない。こんな殺し合いに浅月が巻き込まれる必要はない。
自分や竹内理緒を守るために、ボロボロになるまで戦ったのだ。
もう浅月は十分に戦った。今さらまた命の危険に晒されるなんて、そんなことがあってたまるか。
亮子1人で何とかするしかない。
2年前のオルゴール連続殺人事件の時だって、ほとんど1人で戦っていたではないか。
そりゃあ確かにあの時は、ろくに結果も出せなかったかもしれない。
浅月を見返すことばかり考えていた当時は、彼のような成果を上げることはできなかった。
だが、自分は今やあの時の自分ではない。
2年のうちに培った経験は、確実に自分を強くしているはずだ。
何より今は戦う目的が違う。
あの時の浅月と同じように、誰かを守るために戦うのだ。
そうと決まれば話は早い。
デイパックの中から取り出した、支給品へと手を伸ばす。
これを使うには相応のリスクが伴うだろう。殺し合いに乗った連中に、居場所を特定されるかもしれない。
だが、この勝負から逃げるわけにはいかなかった。
それに幸いにも亮子には、もう1つとびきり強力な支給品が用意されている。
最初はただの十字架にしか見えなかった。
だが微かに漂う火薬の臭いから、それがロケット砲か何かだと気が付いた。
更に詳しく調べてみれば、ガトリング砲までも内蔵されているという凶悪ぶり。
ひとつ使い方を間違えば、人間など一瞬にして肉塊に変わってしまうだろう。
だが、威嚇用として考えれば、これ以上ないほどに優れた破壊力。
いざというときは、この十字架で追い払うしかない。
手にした支給品のスイッチを、入れる。
右手に構えたそれは――電気式の拡声器。
「――この声が聞こえる奴。どうか、今からあたしが話すことを聞いてくれ。
あたしの名前は高町亮子。この殺し合いには乗ってない。
これからあたしは、こんなふざけたことをしでかした連中を、ぶっ飛ばすために行動する。
こんな殺し合いなんか、乗っちゃいけないんだ! 誰一人として、死んでいい命なんかないんだ!
……いいか? よく聞いてくれ。
あたしはD-2の病院の入り口で待ってる。殺し合いに乗ってない奴は、あたしのとこまで来てほしい。
あの根性腐った連中を叩きのめすために、あたしに力を貸してほしいんだ――」
【D-2/病院前/1日目 深夜】
【高町亮子@スパイラル 〜推理の絆〜】
[状態]:健康
[服装]:月臣学園女子制服
[装備]:拡声器
[道具]:支給品一式、パニッシャー@トライガン・マキシマム
[思考]
基本:この殺し合いを止め、主催者達をぶっ飛ばす
1:とにかく仲間を集める。
現在地で、放送を聞いて集まってきた、殺し合いに乗っていない人間を待つ。
2:殺し合いに乗った連中が来たら、パニッシャーで威嚇し追い払う。
3:ヒズミ(=火澄)って誰だ? 鳴海の弟とカノンは、あたし達に何を隠しているんだ?
4:できれば香介は巻き込まれていないといいんだけど……
5:そういや、傷が治ってる……?
[備考]
※第57話から第64話の間のどこかからの参戦です。身体の傷は完治しています。
※火澄のことは、ブレード・チルドレンの1人だと思っています。
また、火澄が死んだ時の状況から、歩とカノンが参加していることに気付いています。
鋼の錬金術師エドワード・エルリック。
弱冠12歳にして国家錬金術師資格を取得し、史上最年少記録を打ち立てた天才である。
錬金術を行使するための最重要要素・錬成陣を必要としないスタイルは、俊敏にして変幻自在。
リオールの町の似非宗教家を成敗した。ユースウェル炭鉱の役人の不正を暴いた。ダブリスとブリッグズでは人造人間捕獲に協力した。
イシュヴァール戦こそ経験していないものの、その武勇伝は数知れず。
ここまでの説明を聞く限りでは、さぞや聡明で立派な錬金術師であると、誤解する者も多いであろう。
だがそんな鋼の錬金術師にも、ある欠点が存在する。
「だーもう、畜生……どうなってやがんだ、全く……」
口と態度がものすごく悪い。
鋼の錬金術師エドワード・エルリック。現在の年齢、15歳。
いかに優れた知識と実力を持とうと、まだまだやんちゃ盛りの子供なのだ。
故に多分に生意気な所があるのも、仕方がないと言えば仕方がない。
「構成物質はともかく、錬成エネルギーが通らないんじゃ話にならねーな……」
ぶつぶつとぼやきながら、灰色の町を進んでいく。
そもそも錬金術というものは、物質を理解/分解/再構成し、形状・形質を自在に操る技術である。
戦闘目的に使うならば、周囲の石壁を削って武器を作ったり、空気中の酸素濃度を調節して炎の火力を上げたり、といった具合だ。
もちろんこれを応用すれば、現在首にかけられている爆弾も、分解ないし変形させて外すことができるはずである。
ところが、ここで少々困った問題が起きた。
錬金術と他の技術の最大の相違点は、化学変化を起こす際のエネルギーである。
通常の実験ならば火力や圧力を用いるものだが、錬金術の行使の際に必要となるのは、地殻変動のエネルギー。
これを錬成陣を介して用いることで、その他複雑な器具を使うことなく、迅速な錬成を可能とするのである。
ところがこの首輪、一体いかなる原理が働いているのかは知らないが、そのエネルギーを通さない素材でできているようなのだ。
「ふざけた真似しやがって……」
悪態をつきながら、かつんと小石を蹴る。
こうなった以上はお手上げだ。
たとえこの先材質が理解できたとしても、変化させるためのエネルギーがないのでは話にならない。
「他の方法を探すしかねーな」
それがたどり着いた結論だ。
専門外のやり方ではあるが、幼馴染みのウィンリィ・ロックベルのように、機械工学的な手段を使うしかない。
何らかの手段でこの首輪の構造を把握し、工場で工具を調達し解体する。それが無難なやり方であろう。
「でなけりゃ、あいつらに一発もかませずにドカンだからな」
彼自身、こんな殺し合いに乗るつもりはない。
そもそもそうでなければ、首輪を外す理由などないだろう。
人の命を奪う行為。彼と弟アルフォンスは、ことさらそれに敏感だった。
理由もなく人殺しを嫌うわけではない。
彼らエルリック兄弟は、多くの命のあり方に立ち会ってきた。
今日を生きる命。明日のために生まれてきた命。昨日に失われた命。
何よりも、4年前に経験した――
『――この声が聞こえる奴。どうか、今からあたしが話すことを聞いてくれ』
「ん?」
その時だ。
マイクか何かを介したような、少女の声が聞こえたのは。
『あたしの名前は高町亮子。この殺し合いには乗ってない。
これからあたしは、こんなふざけたことをしでかした連中を、ぶっ飛ばすために行動する。
こんな殺し合いなんか、乗っちゃいけないんだ! 誰一人として、死んでいい命なんかないんだ!』
「おーおー、俺以外にも肝っ玉の据わった奴がいたもんだ」
感心しているのかいないのか、よく分からない声音と表情で呟く。
どうやらこの亮子とやら、自分と同じく主催者を倒すために、このメッセージを発信しているらしい。
声は南から聞こえてくる。ここからそう遠くはないだろう。
「ま、人集めにゃ持ってこいだな。自分で探さなくとも向こうから勝手に……」
そこまで呟いた。
その時。
途端に。
エドワードの顔が、凍りつく。
ちょっと待て。自分は今何と言いかけた。
この放送を聞いた奴は、向こうから送り主の元へとやってくる。
誰にでも分かる結論だ。
もちろんエドワード自身のような、殺し合いを止めようとする人間も来るだろう。
『あたしはD-2の病院の入り口で待ってる。殺し合いに乗ってない奴は、あたしのとこまで来てほしい』
だが待ってほしい。
そもそもこの放送を聞く可能性があるのは。
殺し合いに乗っていない連中ばかりでは、ない。
「……待て待て待て待て待てェェェェェェェェ!」
刹那、加速。
ばびゅん、という漫画的擬音がそのまま当てはまるかのような。
鬼のような形相を浮かべ、苛立ち全開の叫びと共に。
短い手足をフルスピードで動かし「チビって言うな!」、疾風のごとく大爆走。
放送の聞こえてきた方へと、脇目もふらさず全速力で駆け出した。
「おいおい分かってんのかよあの姉ちゃん! こんな風に居場所バラしたら、格好の餌食になっちまうぞ!?」
そうだ。
この放送を聞く可能性があるのは、殺し合いに乗っている連中も同じなのだ。
生き残るために殺人者となった連中が、こんな放送を耳にしたらどうなるか。
決まっている。送り主を殺すために、一直線にそちらへ向かうだろう。
おまけに彼女が下手に仲間を集めていたならば、そいつらも残らず殺られてしまう。
更にそのポイントへと、また別の殺し屋がやって来たとしたら。
最終的に起こりうる事象は――虐殺だ。
「冗談じゃねぇぞ! んなことさせてたまるかってんだ!」
走る。走る。駆け抜ける。
今は一分一秒が惜しい。
ここから南のエリアにあるらしい、病院目掛けて一直線。
頼む。誰も死なないでくれ。
最悪の事態よ、起きないでくれ。
ろくに祈ることすらやめた、神の姿すら思い浮かべながら。
そして。
その時。
「!」
その行く先に。
現れた、影。
1人の男の人影が、エドワードの行く手に立ちふさがっていた。
蒼い紙に白いコート。
虚ろとすら思える無感動な目が、じっとこちらを見据えている。
ぞわり。
全身の肌が粟立つ感触。殺気を当てられているのだ。
(おいおいおい……こいつはちとヤバそうだな)
直感的に理解する。
頬を一筋の冷や汗が伝う。
何なのだこの男の気配は。
これほどまでの絶大な殺意、彼は数えるほどしか知らない。
こいつは今までに戦ってきた、どんな相手ともまるで違う。
まるで国家錬金術師殺しの傷の男(スカー)と、初めて相対した瞬間のような感覚だ。
いいや、あの時と同じではない。自分はあの時より強くなっている。
であればこの蒼い髪の男は、奴よりも遥かに危険な相手ということか。
掛け値なしの危険な気配に宿るのは、掛け値なしに危険な力。
あの人造人間達ですら、こいつ相手では役不足ではないか。
そう思えるほどの底無しの気配。実力の程など、まるで伺えたものではない。
「……やはりあの声に従ったのは正解だったようだ」
ふ、と。
薄い笑みを浮かべながら、眼前の得体の知れない男が呟く。
どうやらこの男、あの放送を聞いていたらしい。
何ということだ。既に極上の餌が釣れてしまっていたではないか。
「へっ……目が笑ってねーぞ、この野郎」
ぱん、と。
両の手を合わせながら。
精一杯の虚勢を捻り出し、引きつった笑顔でエドワードが答えた。
◆
最初に出会ったのは少年だった。
大体15くらいの子供だろうか。その割には背が低めにも思えたが。
目にも鮮やかな金髪を三つ編みにし、ド派手な赤いコートを羽織っている。
随分と急いでいた様子からして、こいつもあの放送を聞いていたのだろうか。
いずれにせよ、見つけた人間は殺すだけのこと。
あの声に呼び寄せられた人間を抹殺すれば、ナイブズへの手土産にでもなると思ってはいたが、
どうやらうまいこと読みが当たったようだ。
眼前の少年へと、殺意を向ける。
瞬間、奇妙な光景を目の当たりにした。
ぱん、と。
合わせられる少年の両手。
次の瞬間、ばちっと音を立てるものがあった。
電流のごとく迸る光があった。
閃光の中、右の手袋が引き裂かれる。
目を見張る光景だった。
剥き出しになった右手の甲が、突如としてその姿を変えたのだ。
白き手袋の下にあったのは、黒光りする鋼の義肢。
それはいい。そんなものはとっくに見慣れている。そこらのサイボーグと変わらない。
だが、問題はそこからだ。
瞬時にその右手の甲が、鋭き刃へと姿を変えた。
装甲が勢いよく伸びたかと思うと、剣の切っ先を思わせる形状へと変形したのだ。
「驚いたな……君もプラントなのか?」
ヴァッシュ・ザ・スタンピード。
自然と、その男の姿を思い出していた。
眩い金髪に真紅のコート。その特徴は共通している。だが、あくまでそれだけだった少年。
しかしその少年が一瞬にして、自らの内より刃を生み出したのだ。
プラントの性質――物質を持ってくる力。
いかなるものであろうとも、異次元の彼方より生産することができる能力だ。
その力を彷彿とさせる、目の前で起きた奇妙な事象。
いずれにせよ、ただの人間にできる技では、ない。
「んだよそれ……知らねーぞ、そんなもん」
しかもこの小生意気な少年は、そのプラントですらないというのだ。
――面白い。
好奇心が鎌首をもたげる。
あの人間台風に出会うまで、永らく知ることのなかった感情。
その男に似ているがために。
その男を思い出させるが故に。
目の前の少年へと向けられる好奇の視線。
ただ蹴散らすだけだった子供へと、微かな興味が芽生えた瞬間だった。
さて、彼はどう戦うのだろう。
ヴァッシュ・ザ・スタンピードと同じ特徴を持ったこの少年は、いかなる姿を見せてくれるのだろう。
やはりあいつと同じように、ラブアンドピースを叫ぶのか。
はたまたあいつとは全く異なる、残忍な戦闘狂の顔を見せるのか。
これから見せるであろう一挙一動が、今から楽しみでたまらない。
そう。
本当に。
「……面白い」
【C-2/1日目 深夜】
【エドワード・エルリック@鋼の錬金術師】
[状態]:健康
[服装]:
[装備]:機械鎧の甲剣
[道具]:支給品一式、不明支給品1〜2
[思考]
基本:この殺し合いを止める。誰も殺させはしない
1:何とかして目の前の男(=レガート)を撒き、放送の女(=亮子)の元へと向かう
2:放送に誘われたマーダーから、殺し合いに乗っていない連中を守る
3:首輪を外すためにも工具が欲しい
[備考]
※遅くとも第67話以降からの参戦です
※首輪に錬金術を使うことができないことに気付きました
【レガート・ブルーサマーズ@トライガン・マキシマム】
[状態]:健康、エドワードへの興味
[服装]:
[装備]:金属糸×1
[道具]:支給品一式、不明支給品1〜2
[思考]
基本:ナイブズの敵を皆殺しにする
1:手始めに放送に誘われた連中を殺す。まずは目の前の少年(=エドワード)から
2:1を終えた後はナイブズを探し、合流する
3:あるのなら自分の金属糸を探す
[備考]
※11巻2話頃からの参戦です
※ナイブズが参加させられていることに気付いています
※金属糸は没収対象外のもので、レガートの身体を動かすために使用されています。これが外れると、身動き一つできなくなります
※最初から装備していた金属糸の、相手へ使用する際の最大射程は、後続の書き手さんにお任せします
【全体の備考】
※D-2の病院を中心に、拡声器を通した亮子の声が響き渡りました
※C-2のどこかに、レガートの匣@トライガン・マキシマムが放置されています