自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた 第64章

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1創る名無しに見る名無し
ハイテク兵器 vs 剣と魔法。
内容はガイドラインを参照。

・sage厳守。
・書きこむ前にリロードを。マナーとして。
・SS作者は投下前と投下後に開始・終了宣言を。分断防止のため。
・SS投下中の発言は控えてください。
・支援は50レスに1回。
・嵐、煽り、気に食わないコテは徹底放置。自然現象として脳内あぼーんしましょう。
・品性に欠けるレスはなるべく付けませんよう。
・気に食わないレスを、気に食わないコテハンまたは気に食わない人間のものと根拠無く認定するなかれ。
 ループ禁止。対策としての『萌え』などには書き手も読み手も極端な反応をしないこと。
 そんなことより海産物の話でもしよーぜ。
・以上を守らないものはぬるぽと見做し、鉄槌制裁( ・∀・)つ=■彡☆))`Д´)されます。

前スレ
自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた 第63章
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1220184382/

保存庫
http://www26.atwiki.jp/jfsdf/
ttp://shizuoka.cool.ne.jp/fantasure/
ttp://fwsdf.hp.infoseek.co.jp/
ttp://pixus.iinaa.net/jfs.htm

分家
http://jbbs.livedoor.jp/movie/4152/fjieitai.html
2創る名無しに見る名無し:2009/03/02(月) 17:42:24 ID:/IvfWHlo
基本的な注意点 〜新世界で生き残るために〜

1. 職人・コテは信者やアンチを装った荒らしにのせられないように。
2. 特定の職人・コテへのマンセーはチラシの裏にでも書いててください。
3. 荒らしはスルー。我慢できない人は削除依頼をしましょう。
4. SS作者は、抽出がしやすいように、また騙り防止の為に、トリップ装着を推奨。ただしレスごとに変わる捨てハンは禁止。
5. 感想書き込む人も節度や口調を考えるべし。勿論、感想を書かれた作家も。
  作品が気に食わないなら透明あぼーんで。 それでも気になるなら、このスレのルールが届かぬ場所で。
6. レスはまとめて書きましょう。
  思いつきでこまごまとしたレスをしてスレを消費するのは迷惑です。
3創る名無しに見る名無し:2009/03/02(月) 17:44:05 ID:/IvfWHlo
新暫定ガイドライン
0. 現代科学であれ男塾理論であれ異次元科学であれ議論であれ、第一に置くべきははスレ住人が楽しいこと。
1. 「自衛隊がファンタジー世界に」とあるように、あくまで「現代の日本国自衛隊」が主に関わる話であること。
2. 自衛隊の組織・装備はあくまで現用もしくは近未来的に配備が予想されるものに限る。
  核兵器・旧東側諸国製兵器・未来兵器・巨大人型兵器など、現代の日本国が配備するにはナンセンスなものは極力避けること。
  現代科学と作中の設定で説明できる場合にはこの限りではない。
3. 軍事力の背景となる社会構造の考証、政治・戦略・作戦・戦術・戦闘は、作中の設定で説明できないものは避けること。
4. F世界側の設定は作者が勝手に決めることが出来る。
  ただし、「超兵器・超魔法・無敵キャラまんせー」な話にならぬよう気をつける。
  また、オーバーテクノロジーの扱いは慎重に。
5. ファンタジー側の人間もきちんと描写する方が好ましい。
  自衛官主観という演出などであえて描写しないのはこの限りで無い。
6. 萌えだけ、エロだけ、グロだけを目的とした作品は、このスレ以外のしかるべき板やスレに書き込むこと。
4創る名無しに見る名無し:2009/03/02(月) 17:44:43 ID:/IvfWHlo
参考資料

自衛隊公式サイト
http://www.mod.go.jp/
戦略、戦術について
ttp://www.d1.dion.ne.jp/~r_dom/lans_index.htm
自衛隊の装備について
ttp://www.military-powers.com/

戦術の世界史
ttp://www.k2.dion.ne.jp/~tactic/

京大RPG研究会
ttp://www.ku-rpg.org/
ttp://www.ku-rpg.org/trpg/population.html 中世の人口

Dragon's Lair by Water Dragon
ttp://ww2.enjoy.ne.jp/~tteraoka/
ttp://ww2.enjoy.ne.jp/~tteraoka/esse.htm 中世とF世界の食事
ttp://wdragon.fc2web.com/fg/index.html 中世ヨーロッパの装い(下着含む)

Wiki
ttp://fwsdf.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/wiki/wiki.cgi?%BB%F1%CE%C1 資料

小説の書き方参考
ttp://www.feel-stylia.com/rc/creative/ ←【重要】
5創る名無しに見る名無し:2009/03/02(月) 17:45:36 ID:/IvfWHlo
■今までこのスレで討議された議題

・ファンタジー世界の市場規模についての考察
・麻薬による世界支配は許されるか
・江戸時代とファンタジー世界の類似性について
・大陸国家VS海洋国家戦略、その長短について
・マッチとメラ、着火手段としてどちらが優れているか
・F世界での日本経済再生と交易について
・ドラゴン…契約方法と空軍戦力としての有効性を考える
・自衛隊的ダンジョン攻略法
・対人地雷と魔法の罠。
・F世界における神の影響力について。
・F世界的陣地攻略法
・熊に見るモンスターの手強さ
・巨大昆虫対策〜界面活性剤から核弾頭まで
・決闘における非致死性制圧法(殺さずにいたぶる百の方法)
・F世界の街道、交通路における運搬手段が道に与える負担うんぬん
・銃弾を受け付けない素材を武具の材料に用いれるか
6創る名無しに見る名無し:2009/03/02(月) 17:46:02 ID:/IvfWHlo
■さんざんガイシュツの話題
・シーレーン確保における脅威の排除(海賊、海の怪物対策)
・日本が傭兵を雇用することは可能か?
・萌えは是か否か。
・議論は是か否か。
・魔法・怪物の設定(最終的には作者に一存という結論)
・補給が断たれた場合、弾薬を何とか確保可能か?不可能な場合はどうなるか?
・球形以外の世界。
・食糧対策・餓死者の局限−魔物を喰らうモノ−
・在日外国人・異世界住人対策。政治思想の殴り合いは勘弁
・資源・エネルギー問題。
・外交方針について。
・人間と亜人の共生について。

ガイシュツだが、再考察とかは特に禁止されてない
SFは禁止だと言うことです
7創る名無しに見る名無し:2009/03/02(月) 17:46:27 ID:/IvfWHlo
関連サイト
「帝國召喚」(作:くろべえ/分家皇軍スレ)
ttp://www.geocities.jp/wrb429kmf065/index.html

「輸送戦記」(作:Call50/本家)
ttp://homepage2.nifty.com/Call50/

分家まとめサイト
ttp://www.geocities.jp/wimsigma/

SSの書き方
ttp://www6.plala.or.jp/Action/taidan01.html
ttp://www6.plala.or.jp/Action/taidan02.html
8創る名無しに見る名無し:2009/03/02(月) 17:46:55 ID:/IvfWHlo
9創る名無しに見る名無し:2009/03/02(月) 20:59:44 ID:DypLgfxP
>>1
今テンプレみて思ったんだが
支援は50レスに1回ってなんでだ?
さるさん防止には最低でも1レス1回支援がいるはずだが
10創る名無しに見る名無し:2009/03/02(月) 21:17:55 ID:JRBSpK37
>>1
前スレは980越えのdat落ちかあ
11創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 08:32:31 ID:4YxvFJ7x
>>1乙!
12翡翠 ◆ntzrt5Dq3U :2009/03/03(火) 10:19:18 ID:OzhLqGvW
…。

>>9 軍事板の時は、5個以上の連続投稿は自重していたなあ…(遠い目
13創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 14:08:06 ID:McWJhNM5
980超えるとdat落ちするみたいだから、次スレは950くらいから準備したほうがよさそう
14創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 19:22:47 ID:BHqUhtnL
>>1
15創る名無しに見る名無し:2009/03/04(水) 22:02:38 ID:llalCUE+
ばぶ。
16創る名無しに見る名無し:2009/03/07(土) 06:18:54 ID:QNsOXbfs
前スレで話題になってたタロウ君に精霊がなつくって有ったんだが、前に出てきた退屈な神様が連れてきたとかもあるのかな?
F世界から見れば『神様が連れてきた勇者様』うん、最悪
17物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM :2009/03/09(月) 03:45:27 ID:UUHRCJbM
西暦2021年4月14日 10:20 日本本土 防衛省 救国防衛会議 統幕長私室

「正直なところを申しますと、閣下の見られた夢をただの夢で片付けたくはありませんな」

 統幕長の告白を聞いた陸幕長は、そう回答した。
 現状と将来についての質問をされた彼らは、その質問の影にある事情を聞きたがった。
 そして、根負けした統幕長から遂に真相を聞きだしたのだ。

「この世界だと何が起きてもおかしくありませんし」

 陸幕長の言葉を空幕長が続ける。

「弾道弾程度ならばいくらでも叩き落しますが、空気を消す魔法と隕石を落とす魔法ですか。
 もしそんなものが実在すれば、とても厄介ですな」

 腕を組み、表情をゆがめた海幕長が締めくくる。
 彼らはそれぞれ防衛大学の同期生であり、気心が知れた仲だった。

「核はやはり?」

 空幕長が尋ねる。

「難しい。オプションの一つとしては大変に魅力的なのだが、国民感情を考えるとな」

 ため息をつきつつ統幕長は続けた。

「研究開発に時間がかかりすぎるという問題もあるが、第一に国民を納得させる材料がない。
 それに、我々で核兵器を持ってしまうと、在日米軍の連中がまた心の拠り所を失ってしまうしな」

 自衛戦闘用の武器弾薬を除けば、遂に基地内の糧食まで日本に依存し始めた在日米軍は、恐慌状態の一歩手前にいた。
 そんな彼らの精神的支柱は、今では原子力空母と数隻の原子力潜水艦、それらに搭載された核兵器だけだった。
 日本人たちが持っていない、あるいは日本人たちが使い方を知らない兵器。
 それらを運用できている限り、合衆国軍は消滅しない。
 彼らはそのように考えていた。

「あと最低でも十年、彼らが完全に日本へ土着するまでは、彼らの精神面について大きく気を配ってやらんとな」
「原潜や空母で独立宣言をされても困りますからな」

 海幕長が喉を鳴らして笑う。
18物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM :2009/03/09(月) 03:47:04 ID:UUHRCJbM
「それはそうと、敵の戦略魔法についての対策、いかがいたしますか?」

 咳払いをしつつ、空幕長が脱線し始めた会話を元に戻す。

「事前の準備は必要だが、逆に言えば準備さえすればゾンビ軍団を呼び出せるのが魔法だ。
 あらゆる災厄を想定し、行動していく必要がある。
 もちろん、実際に存在するしないの確認もな」
「まずは情報収集からですな」

 手元の手帳に何かを書き込みつつ陸幕長が言う。
 彼の頭の中では、早くも行動計画の策定が始まっているのだろう。
 
「情報も大切ですが、火力が不足しておりますな。
 火力だけではなく、備蓄もまだまだ足りない」

 海幕長が鞄から書類を出しつつ呟く。
 元より海上自衛隊では、出来る限りの戦力増強が望まれている。
 それは艦隊戦力の拡張でもあり、継戦能力の向上でもある。
 七つの海を統べ、太陽の沈まぬ帝国を建設せねばならない日本国にとって、強力な海軍は必須の存在なのだ。
 その通り、と空幕長も頷き、そして彼は続ける。

「どのみち、合衆国がない世界では、我々が空の上に行かなければなりません。
 そこからもし、不躾な闖入者が現れるかも知れないというのならば、対策が必要ですね」

 携帯電話を取り出しつつ続ける。

「JAXAにも天文台にも、知り合いがいます。
 世間話レベルでそれとなく伝えておきます。あとは特に説明もなく予算を増やせば勝手に対策を取るでしょう」
「会議中にメールを打つな。
 まあ、空幕長から私的にメールが送られれば、より恐怖感を煽れるか。
 とにかく諸君、行動だ」

 統幕長はそこで言葉を切り、一同を見た。

「われらとわれらの子孫のために」

 日本国民の繁栄と絶滅回避。
 彼らはただそれだけを目的に、歩み続けている。
19物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM :2009/03/09(月) 03:47:51 ID:UUHRCJbM
西暦2021年4月14日 10:21 ゴルソン大陸 グレザール帝国 城塞都市ダルコニア路上

「こちら第一分隊。車両部隊は完全に足を止められた。
 現在我々は徒歩で移動中、損害なし、敵の抵抗は軽微。
 当初の作戦目標へ移動を続ける、オワリ」

 無線機に向けて報告し、新井田一曹は前進を継続させた。
 現在彼らは狭い道の両側に並んで進んでいる。

「頭上に注意、発砲は自由」

 短く警告と命令を行い、先を進む陸士たちを見る。
 誰もが適度に緊張し、それでいて素早く道を進んでいく。

「あと十分って所でしょうか?」

 彼の小隊陸曹を勤める皆山三曹が小声で話しかける。
 
「そうだろうな、これ以上抵抗がなければだが」

 縁起でもない事を言い放つ彼の目の前、正確には視界上方で、雨戸が突然開かれた。

「左上!」

 突然の命令に、陸士たちは当然のように従った。
 豊富な実戦経験は、一人の日本国民を勇敢な戦闘要員へと変える。
 新井田一等陸曹が率いていた自衛隊員たちは、最も経験が浅い者でも二十八回の戦闘を経験していた。

「AAAAaaAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!」

 日本語ではないイントネーションでの絶叫が聞こえる。
 
「手榴弾!」

 数名の隊員が窓に向かって手榴弾を投擲する。
 咄嗟の出来事ではあるが、狙いに間違いはない。
 数秒の後に屋内で爆発が発生し、窓から爆風が吹き出る。
 
「本部へ連絡、敵と交戦を開始」
「了解、報告します」

 中隊本部へ通じる無線を持つ隊員に命じ、新井田は自動小銃を構えた。
 彼らの前方およそ200mほどの建物から、無数の敵兵たちが現れだしたのだ。

「撃て!」

 彼が命じるまでもなく、隊員たちは発砲を開始した。
 敵は刀剣を中心とする近接戦闘のみを頼みとする時代遅れの剣士たち。
 自衛隊員たちにとって、それは射撃目標以上の何者でもなかった。
 はずだった。
20物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM :2009/03/09(月) 03:52:22 ID:UUHRCJbM
「効いてません!」

 最前列の陸士が叫ぶ。
 彼の目の前では、信じがたい光景が広がっていた。
 殺到する5.56mmNATO弾。
 分厚くなければ鉄板ですら撃ち抜くそれを、彼の眼前の剣士たちは鎧兜で弾いていた。
 どれほど鎧を厚くしても、人間が身動きを取れる重量に抑えている限りライフル弾は防げない。
 地球人類が歴史上の幾多の戦場で多大な犠牲を払って理解した常識を、目の前の敵兵たちは覆した。

「しゅ手榴弾!離れろ!」

 新井田がうろたえつつも命令し、そして統制を若干失いつつも隊員たちはそれに従った。
 未だに距離がある敵兵たちの足元へ手榴弾がいくつも投擲され、そして最前列の陸士たちは駆け足で後方へと退避する。
 複数の爆発。
 鎧を着込もうとも絶対に存在する露出部分を砕かれた敵兵たちが地面に転がる。
 いかに頑丈な鎧を用意したとしても、全身を均一な強度で覆う事はできない。
 古来の甲冑から最新型の主力戦車まで、それは基本原則である。
 その理由は重量であったり、機動性であったり、その他仕様を満たすためであるが、工業製品とはそういうものである。
 どうやら魔法で何か対策を施しているらしい目の前の剣士たちも、その原則からは逃れられなかったらしい。

「鎧がない所を狙え!下がりつつ射撃!本部へ連絡!受話器貸せ!」
「どうぞ!」

 後退する新井田から離れないように絶妙な距離を保ちつつ、通信士が受話器を渡す。
 
「本部!本部!敵は魔法で強化した鎧を装備!銃弾が効かない!
 隙間を狙うか手榴弾でふっとばすしかありません!
 我々はこれより交代します!以上!」

 後方の安全を確保させようと後ろを向いた彼は絶句した。
 盾を構え、その後ろに弓を持っているらしい集団が、半透明の姿から徐々にその輪郭を現し始めていたのだ。
 彼らは歴戦の自衛官であったが、魔法というインチキを相手に本格的な市街戦をした経験は持っていなかった。

「後ろ」

 後ろに敵、そう言おうとした彼を影が覆った。
 何事かと空を見る。
 視界一杯のレンガ。
 歩兵部隊で囲い込んで建物で押しつぶす。
 
「俺たちゃ戦車扱いかよ」

 目の前まで接近したレンガに対し、彼はそう呟いた。
 そして、衝撃がやってきた。
21物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM :2009/03/09(月) 03:57:12 ID:UUHRCJbM
西暦2021年4月14日 10:23 ゴルソン大陸 グレザール帝国 城塞都市ダルコニア 上空

「地上部隊は敵の攻撃を受けて壊滅!生存者は不明!」

 ハッチから地上を監視していた隊員が叫ぶ。
 信じがたい報告に思わずパイロットは眼下を見た。
 立ち込める土煙。
 さっき見た時には、確かにそこに包囲された地上部隊がいたはずである。

「こちらヘリオス74、地上部隊は敵の攻撃を受けて生死不明。上空からは視認できない、以上」
<<こちら本部、状況を詳しく報告せよ>>

 市街地の外に設けられた野戦指揮所からは冷静な声が返ってくる。

「地上部隊は包囲された後に倒壊させた建造物で押しつぶされたらしい。まるで対戦車戦闘だ。信じられん」
<<なんだと!?そんなことが『FiFi!ミサイルFiFi!ミサイルFiFi!ミサイル』回避しろ!」

 本部からの応答、ミサイル警報、パイロットの絶叫。
 それが一瞬の間も置かずに続けられた。
 フレアを展開し、エンジン出力を最大へ。
 機体が転倒する限界まで操縦桿を倒す。

「どうしてミサイルが!?」
「センサーが移動熱源を探知しただけだ!周辺警戒!」

 パイロットとコパイロットが短く会話を行い、急旋回する視界に広がったそれを視認した。
 地上から大量に打ち上げられている火の玉。
 明らかにこちらへ向けて発射されているが、その軌道はあくまでも真っ直ぐである。
 高出力での急旋回で暴れる機体を相手に、彼は必死に操縦を継続した。
 誘導兵器以外で回避行動を取るヘリコプターを撃墜する事は大変に難しい。
 それはベトナムでもソマリアでもそうだった。
 どうしても落としたい時には、地上掃射や降下中、着陸など急旋回が不可能な場面を狙うしかない。

「本部!ヘリオス74攻撃を受けている!ファイヤーボールと思われる!退避中!」
<<落ち着け、それは誘導は出来ないはずだ>>
「地上から花火大会みたいに打ち上げてきてるんだよ!これより都市上空を離脱する!」

 彼がそこまで報告した時、機体の直ぐ横を燃え盛る火炎が通過した。
 衝撃。何かが燃える臭い。

「エンジンが吸い込みやがった!出力落ちます!」

 恐怖で引きつった声でコパイロットが報告する。
 混乱した思考を機体の制御という難題でねじ伏せつつ彼は思った。
 多数の計器が異常値を示している。
 あと五分も飛べないだろう。

「こちらヘリオス74、エンジン被弾。
 敵は偏差射撃まで使ってやがる!無数に打ち込んできている!ヘリじゃ駄目だ!畜生!落ちる!」
<<不時着するんだ!広場を探せ!直ぐ左、D2エリアへ降りろ!>>

 無線機の向こうからは狼狽した声で指示が飛んでくる。

「ヘリオス74ダウン!糞ったれ!畜生!落ちる!」

 映画のようにスマートに墜落宣言は出来ないものだな。
 古今東西の戦争映画を好む彼は、人生の最後にそう内心で呟いた。
22物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM :2009/03/09(月) 03:59:28 ID:UUHRCJbM
西暦2021年4月14日 10:24 城塞都市ダルコニア近郊 陸上自衛隊佐藤戦闘大隊指揮所

「最悪の事態だな」

 通信機から流れる部下たちの悲報に、佐藤はそう短く呟いた。
 戦闘車両の無力化、増強普通科小隊の全滅。
 そして、輸送ヘリコプターの撃墜。
 
「本土へ緊急連絡、状況ブラボー、グスタフの投入が妥当と判断する」

 表情を変えぬまま、彼はそう告げた。
 状況ブラボーとは敵軍が現有戦力だけでは対応不可能な場合の符丁。
 グスタフの投入とは、航空自衛隊および特科、迫撃砲、艦砲による攻撃を指している。
 もはや眼前の都市に住まう人々は、絶対に殺戮されなければならない存在だった。
 どこまで伝えられたかはわからないが、恐らくは多数の技術情報。
 日本国に対する知識。自衛隊についての情報。現代兵器に対する戦術。
 もっと致命的な何か、例えば本土に効果を発揮しうる目標とその弱点についても伝えられたかもしれない。

「よろしいのですね?」

 先ほどより一層慌しく動き始めた指揮所の中で、二曹は短く尋ねた。
 ここ数年、佐藤と彼女の接している時間は家族よりもよほど長く、結果として多くの言葉は必要ない。

「ああ、ここで連中を始末しなければ、我々に未来はない。
 未来のためならば、虐殺者の汚名を喜んで被るさ」

 何時になく真面目な様子で彼は答える。

「あの街に篭っている連中は、普通科を全滅させ、ヘリを打ち落とす方法を身に付けている。
 遅かれ早かれ誰かが編み出すかもしれんが、現時点でそういった戦術を使っている」
「わかっております」

 佐藤の蛇足とも言える説明に、二曹は簡潔に答える。
 
「佐藤一尉、本土から通達です。
 五分後に艦砲射撃を開始、敵性住民の突破に警戒されたし、以上です」
「総員戦闘準備!射程に入ったものから撃て!」

 二曹が声を張り上げ、通信士たちがそれを各部隊へと通達していく。
 既に攻撃準備を整えている各部隊は、自身の信じる何かに邪魔されない限りは攻撃を実施する。
 結果は酷い事になるだろう。

「航空支援はあるのか?」
「第一基地から二個飛行小隊が来ます。
 爆装したF-2スーパー改後期型、フル装備です」

 佐藤の質問に通信士が答える。
 F-22地上攻撃型が政治的な事情から購入できず、それでいてF-35がポシャった事から急遽蘇らされた支援戦闘機。
 その改良型の強化モデルである。

「どうせならAC-130とかB-52を連れてきてほしかったんだがな」
「米軍は別の作戦に従事しているそうです」
「そうかい。確認ご苦労。さて、仕事を始めるぞ」

 いつの間にか双眼鏡で城門跡地を覗き込んでいた佐藤は面倒そうに言った。
 彼の視界の中では、徐々に数を増していく敵部隊の姿があった。

「新井田、その他大勢。仇はとってやるから許せよ」

 小声で先に逝った部下たちに詫びを入れ、彼は発砲を命じた。
23物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM :2009/03/09(月) 04:00:29 ID:UUHRCJbM
西暦2021年4月14日 10:25 日本本土 防衛省 救国防衛会議 統幕長私室

「統幕長、現場からグスタフの投入要請が来ました。現在航空自衛隊の空爆部隊が空中待機中です」

 副官が室内に飛び込んでくる。
 この世界に来てから吉報というものを聞いた記憶が少ないが、またもや凶報だ。
 聞けば、市街地に突入した部隊にかなりの損害が出ているらしい。
 ヘリ一機撃墜、増強普通科小隊全滅、装甲車両一両各坐。
 甚大な被害である。
 この世界の常識を持った、この世界の敵軍相手では、あと数年は考えられない損害だ。

「そうか、状況が動いたら教えてくれ」

 速やかに退出を促す。

「プランBですね」

 空幕長が尋ねる。
 地上部隊の侵攻のみで解決できればよし、無理ならば包囲殲滅する。
 包囲殲滅といえば聞こえがいいが、要するに包囲した上で砲爆撃で押しつぶしてしまうわけである。

「既に作戦は発動されています。
 情報の流出を物理的に止めるための広域破壊。
 統幕長、今度こそ間違いないと考えて大丈夫なのでしょうか?」

 決済欄のみ未記入で用意されていた命令書に判子を押しつつ空幕長が尋ねる。
 答えを待たず、海幕長へと書類を回す。

「これで駄目ならば米軍に頭を下げるしかないな」

 諦めるように言いつつ海幕長は判子を押し、陸幕長へと回す。

「確認が取れるまでは包囲は解かずにいるわけですから大丈夫でしょう」

 自分で言った言葉を信じるように陸幕長が言い、そして判子を押した書類を統幕長へ渡す。
 書類を受け取った統幕長は、並んだ判子の横に自分の決済印を押した。

「このような事態を引き起こした山田詫狼君は、今頃何を思っているんでしょうかね」
「ああ、そういえばあの文字で今時はタロウと読むんだったな」

 他人事のように言い放つ空幕長に軽い調子で答え、彼はベルで呼び出した副官に書類を掲げて見せた。

「神の信託を受けた気高い狼のように、でしたか?
 最近の若い親が子に付ける名前は良くわかりませんな」
「確か、小説か何かから考え付いたとか」

 呆れたように海幕長が言い、海幕長が言葉少なめに続ける。
 密航を除いて大陸に渡った人間すべてを管理している日本国である。
 特定に時間はかかったが、問題とされる人物は既に確認されている。

「あちらさんでは神の使いだの勇者だの言われているようです。
 親御さんもさぞかし鼻が高いでしょうな、勇者として敵をたくさん殺してますよ」

 吐き捨てるように陸幕長が言う。
 彼からすれば、全く不愉快な話なのだから当然である。

「これで終わらせる。
 勇者様の大活躍はここまでだ」

 副官に書類を手渡しつつ、統幕長は全員に聞こえる声でそう言った。
24物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM :2009/03/09(月) 04:01:28 ID:UUHRCJbM
本日はここまで
>>1
25創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 04:41:30 ID:1P1U+58G
投下乙。
なんというか半端に抵抗したせいでより酷い結果になりましたな。
詫狼君、南無ー。
26創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 04:43:11 ID:1P1U+58G
sage忘れスマン
27創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 07:43:07 ID:DTZvx0Oo
一心不乱の大虐殺フラグktkr
けど流石にこれで終わりじゃなさそうな気がする
地下壕掘ってあるってオチか
28創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 21:39:55 ID:MO1ZfbQJ
投下乙
前スレは940辺りまでしか読めなかったが
作品の読み落としはないようで安心しますた

日本国の生存からF世界の支配に心が動いているようで
ますます悪の帝国ぽくなってきたな〜>統幕閣僚

>>27
城塞には地下の抜け道の二本や三本は有って当然だよな
あとは待避するタイミングだけで
現代戦の空爆の知識有るなら
城攻めの軍隊が後退して距離取ったら危ないと判断するだろう
29創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 22:13:23 ID:dfkFm87h
>>24
投下乙です物語殿。
あーあー、完全に戻れないところにきてしもうた。
抵抗しなければやられなかったのに!

もうこりゃ338ラプアの支援小銃かなんかないと駄目かのう。
30創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 22:30:55 ID:Hy3QvT5f
情報流出を防ぐために本土では自衛隊と公安
大陸ではダークエルフ暗殺部隊でも動いてるのかな、たぶん

イラクみたく封鎖して町ごと吹き飛ばすのか
31創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 22:47:49 ID:MO1ZfbQJ
>>30
くろべえ氏の作品でなく
物語氏の作品でもダークエルフ雇用の描写は有ったっけ?
32創る名無しに見る名無し:2009/03/10(火) 00:31:59 ID:MP+8qCyL
>>31
雇用というか、協力関係は結んでただろ確か
33創る名無しに見る名無し:2009/03/10(火) 13:35:07 ID:p0PLAvRO
>>32
F世界の情報提供はともかく
暗殺部隊も動かすとなると見返りの報酬も相当なものと予想されるな
なんと言っても暗殺対象が「勇者様」
事の成否に関わらず(ダークエルフ暗殺者雇用が)外部に知られたら
日本国のダメージは大きい
たとえて言うなら「国軍の特殊部隊を使わずアルカイダに資金援助して国外でテロ」が発覚したようなもん

在日米軍がどれだけF世界の情報得てるか不明だが
下手打つとF世界と手を結んだ米軍による日本再占領の目が出かねない
34創る名無しに見る名無し:2009/03/10(火) 17:06:45 ID:lrOssppt
>>33

www

F世界がオクタン価の高いガソリンを精製できて

電子部品と質の高い合金を作れるようになったらなwww
35創る名無しに見る名無し:2009/03/10(火) 19:30:38 ID:p0PLAvRO
>>34
「再占領」の意味知ってるか?
日本全土を更地にするんじゃない
国のトップの首をすげ替えて米軍が占領者として統治する事だ

「『日本には高い技術力がある』それはそれで結構
君達(統合幕僚)に代わって我々(アメリカ)がそれを活かす
日本国民のためにもそれがよいだろう」

こんな状況もあり得る、と
36創る名無しに見る名無し:2009/03/10(火) 19:53:48 ID:lrOssppt
>>35

兵器のカタログ見てこれで勝つるとか言っちゃうタイプかwwww

『 継 戦 能 力 』 と 『 統 治 能 力 』

この二つの言葉の意味解るか?

再占領とか人に聞く以前の話だぞwwww
37創る名無しに見る名無し:2009/03/10(火) 21:40:03 ID:VKwvKqa7
>>32
くろべえ氏のほうでダークエルフが暗殺課業できるのは、世界中に張り巡らせたネットワークと
非常識なまでに高い個人戦闘技能のおかげだ。
種族消滅寸前まで行った唐突氏作品と混同するのは無理があると思うぞ。
38創る名無しに見る名無し:2009/03/11(水) 00:30:16 ID:sItB9Gx6
国会議事堂占拠したら国が取れると思ってるのでしょう。
非常時(総理暗殺もしくは拉致)における日本の政治形態がどんなもんか?
と考える上では面白いかもしれんがwww
39創る名無しに見る名無し:2009/03/11(水) 05:27:46 ID:YQD6Fyx7
こちらも魔法で強化しよう。
40創る名無しに見る名無し:2009/03/11(水) 11:58:32 ID:kdAyZGuX
>>38
山賊が村長の家を乗っ取ったらその村を支配できたとかと
同レベルかw

近視眼の生きた見本だな

まぁぶっちゃけ議事堂よりも各省庁を破壊されるほうが
痛いのが日本の機構だけどな(良くも悪くもだが)

日本全国の県知事による議員制は…
船頭多くして船山登るになりそうだな
41創る名無しに見る名無し:2009/03/11(水) 18:02:03 ID:nMT2kCeW
つまり首都以外全部消失(して転移)でつね
42創る名無しに見る名無し:2009/03/11(水) 20:30:49 ID:By5FGny1
>>38
なぜか政治家がいない転移世界だけどな
「救国会議」だっけ?現在の転移日本のトップ

>>36
その意見は
「(軍人である)統合幕僚が統治能力有るのか?」と言うことになる
制服組に比べて背広組が政治能力は有るだろうけど
43創る名無しに見る名無し:2009/03/11(水) 20:39:40 ID:By5FGny1
まてよ、記憶違いで
総理は存在したかな?>物語氏作品の転移日本

もし総理が居るなら米軍が乗り出す話は撤回
米軍も自国の政府から切り離された状態で他国の政府転覆を単独で判断するのは極めて低い
44創る名無しに見る名無し:2009/03/11(水) 21:34:57 ID:1mttfRlm
政治家連中は転移してないよ。
流石にその場合は幕僚長がトップに立たないだろ。
45創る名無しに見る名無し:2009/03/11(水) 22:39:47 ID:3MlQeAxw
>>43
>>36が言いたい統治能力とは、在日米軍司令部や司令官についてじゃなくて、
地上戦力が二個師団の作中在日米軍に、
自衛隊との激戦の後に日本全土を統治できるだけの兵力が残せるか?ってことだと思う

46創る名無しに見る名無し:2009/03/12(木) 01:01:35 ID:jjyPxY4P
転移の混乱で非常事態のため政権とったんじゃなかったっけ?
読み返してくる。
47創る名無しに見る名無し:2009/03/12(木) 01:35:09 ID:BCMRJHrU
>>43
話の中で言及してたよ
在日米人で1億人を統治するのは悪夢だ云々、って
確かにマイノリティーな存在となった米人に多数派の日本人を統治するのは無理があると思う
48創る名無しに見る名無し:2009/03/12(木) 15:54:20 ID:VoHzN2qI
核と爆弾で日本全土を消し炭にすれば可能だが自分達は文明社会で生活したいから却下って有ったな前に
49創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 00:51:15 ID:dnSsr/Nc
いくら安定させようと神様がそれを望まないんだよなあ……
しかも上は神様の存在なんて信じてないから対策なんて
考えられてないだろうし、あの夢よりも悪夢なんじゃないか?
神様の存在は。
50創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 12:55:01 ID:VyyPRWhn
>>49
上層部は神について対策を考え始めたんじゃなかった?
地下施設での決戦の後にそんな会議をやってたはずだよ

51翡翠 ◆ntzrt5Dq3U :2009/03/14(土) 12:28:45 ID:YMd7uhho
軍事板の本スレが落ちているので、ここで質問。
戦争板の大坂スレ75で発言したレス。↓( No.75 翡翠 )

沖縄戦と大坂の役をリンクさせるのなら…
まあ、圧倒的に大坂の役がラクショーですがいのう。
現代の軍事常識投入OKなら、
塹壕線を南部に張り巡らすだけで、幕府軍は手も足も出ません。
塹壕線は募集第1日目の素人兵隊にも掘れますし、道具があれば資材も要りません。
また、膨大な連絡線を張り巡らすだけで浮き足立った前線にも速やかに増援でき、
また、塹壕第1線、塹壕第2線、第3線、と、
戦場が野外でも!
新品三尉&新兵が戦力として能力を発揮しやすい環境が構築できます。
※第1線から許可無く脱走する兵は後方ラインから射殺可能。
ただ、それはファンタジーなSF小説の部類に属するので…。

↑このノリで描いた自F小説って、
プロ&アマチュア含めて、ありましたかいな?w

無ければ書いてみてもいいかな、などと☆
52創る名無しに見る名無し:2009/03/14(土) 17:49:25 ID:p1nxnO8E
>>51
どこにファンタジーの要素があるんだ?

戦国自衛隊スレでもたてれば?
53創る名無しに見る名無し:2009/03/14(土) 17:59:56 ID:I4ED4YJ6
>>51
大阪の陣での攻防なら続戦国自衛隊で転移自衛隊が大阪方として参戦してる。
その際に塹壕…というか陣地を作って江戸方に対抗してるがいわゆる塹壕戦にはなっていない。
当時の火縄銃の有効射程じゃ塹壕戦は無理だと思われ。

ていうかsageろよ。いつも思うのだがsage遵守しなさすぎ。テンプレ守れ。
54創る名無しに見る名無し:2009/03/14(土) 18:09:03 ID:BWG6nGfX
機関銃や砲のおかげで横隊戦術が洒落ならん損害出すようになった末の塹壕戦やもんね
火縄銃全盛の頃の野戦に塹壕持ち込むのはイミフ
55創る名無しに見る名無し:2009/03/14(土) 18:12:23 ID:zoeX4Uqb
火縄銃全盛の頃は弓矢も全盛だからな塹壕のなかで矢に貫かれて死ぬのがオチ
56創る名無しに見る名無し:2009/03/14(土) 21:32:28 ID:gyVv15e+
>>51
ageるなカス。
ageると貴様のようなカスがワラワラ湧いてくるだろ。
57創る名無しに見る名無し:2009/03/14(土) 21:35:36 ID:mAVXpjTI
自衛隊とファンタジー側の戦力が均等になるように調整しないと読み物として面白くない
誰も弱い者虐めなんて見たくねーから
58創る名無しに見る名無し:2009/03/14(土) 21:42:12 ID:mfLrePtN
自分は灰田さんとか好きだからいいけどなー
59創る名無しに見る名無し:2009/03/14(土) 21:49:38 ID:anJqiKig
俺も無抵抗な民間人を一方的に虐殺するの大好き
60創る名無しに見る名無し:2009/03/14(土) 21:52:03 ID:NAPiHgqY
沖縄戦で洞穴に潜んでる日本兵を
米兵が火炎放射器で焼き殺す映像とか何度見ても笑えるw
61創る名無しに見る名無し:2009/03/15(日) 18:49:50 ID:Bt91TSQQ
>>60
じゃあ鏡の前で焼身自殺すれば?笑えるかもよ
62創る名無しに見る名無し:2009/03/15(日) 20:28:01 ID:U6+NCpty
ここは釣堀ではござらぬ。
63創る名無しに見る名無し:2009/03/16(月) 01:18:59 ID:Rs9HsUWj
>>61は戯れの出来ぬ男よ!
64創る名無しに見る名無し:2009/03/16(月) 04:45:57 ID:nXaya3MA
剣と魔法の世界が相手だと死霊術に弱くないか?自衛隊
死んだ隊士→死霊術によって歩兵装備のゾンビやスケルトンに→同士討ち→死霊術によって(ry
65創る名無しに見る名無し:2009/03/16(月) 06:36:01 ID:RlwRfwDy
自衛隊石田某が、神主で云々
66創る名無しに見る名無し:2009/03/16(月) 08:37:43 ID:j0IlntuJ
>>64
バッカ、日本人は死んだら英霊になって逆に助けてくれるんだよw
67創る名無しに見る名無し:2009/03/16(月) 08:54:21 ID:djByI3A2
そういやかなり前にゾンビに英霊が襲いかかる話があったな
68創る名無しに見る名無し:2009/03/16(月) 09:15:36 ID:Dw+uusPA
ここって逆は駄目だよね?
こっちの世界にファンタジーなのが紛れ込むっていうの
69創る名無しに見る名無し:2009/03/16(月) 10:04:49 ID:zqBn6E9+
それは別で専門スレがある
テンプレまとめから分家を調べてみるといい
70創る名無しに見る名無し:2009/03/16(月) 12:13:07 ID:Dw+uusPA
おkthx
71バスーカ ◆tXJlWVkLzY :2009/03/18(水) 11:33:20 ID:JW/UYQfd
>>68

大蟻だよ 皇居の池だろうが国会だろうが演習中の富士とか時代劇の撮影地とか

撮影地や演習中は異世界人に「この国とは闘いたくない」とかあえて外国とかね

自国がピンチで異世界に行ったら某大陸国家に良いようにされてしまった。

某大陸国家に反意を持ってる国に助けて貰おうとして日本に...とか

>>66
呪術にあるゾンビ召喚を陸自にしたら靖国の兵を召喚したり

>>翡翠さま ここはタイムスリップ系の架空戦記スレではないので
別サイトに書くか別スレを建てるか
もしくは分家に
72創る名無しに見る名無し:2009/03/19(木) 11:56:55 ID:GP9vwnTG
>>68

良いんじゃね?

カオスヒーロー IN TOKYOとかなw
73創る名無しに見る名無し:2009/03/19(木) 16:58:32 ID:NZvrngiT
でもファンタジーがこっちの世界に来たって、個人なら単なる"現代ファンタジー"(超能力モノや退魔モノ)に成り下がる。
どーんと、太平洋にムー大陸出現くらいの国家規模で来ても単なる近未来モノとあんまり変わらないかも。

これは自衛隊、ひいては日本が石油やレアメタル等の地下資源に依存しているため、その安定供給が絶たれたという
非常事態への対処という行動が物語として面白くなるのに、ファンタジーにそういったものがなければ
単に新国家がひとつできたいう認識になるだけ。
ぶっちゃけエルフの国がアメリカを精霊信仰に基づいて魔法攻撃したって、タリバンがイスラム信仰から
自爆テロを起こすのとかわらない。


長々となにが言いたいかというと、こちらの国を凌駕する国力の高度な魔法文明国家が国家運営に必須な
地下資源ならぬ地下マナのためこっちの国に侵攻とかまで突き抜けた設定なら面白いんじゃない?ってこと。
7468:2009/03/19(木) 17:32:24 ID:22xRZ1Xp
ちょっくら、構想中だったものが
別世界の魔法使う日本人が、面積にして山形県ほどの浮遊島ごと日本各地の上空に転移する、っていうのだったんだ
同じ日本人だからとこっちの日本への併合を図る彼ら
一方国際関係上脅威となりうる浮遊島と魔法を日本が保有する事に警戒感を持つ周辺国
これくらいしか考えてないけどね
75創る名無しに見る名無し:2009/03/19(木) 23:36:59 ID:J3fVa/sR
「ファンタジーな日本の一部が現れました」か……
やっぱ分家に新スレを立てるかF世界との交流スレのどちらかかな?
7675:2009/03/19(木) 23:38:09 ID:J3fVa/sR
ミスった、ゴメン書き直す
「ファンタジーな日本の一部が現れました」か……
やっぱ分家に新スレを立てるか分家にあるF世界との交流スレのどちらかかな?
77創る名無しに見る名無し:2009/03/20(金) 21:28:19 ID:xR3ZGOsg
架空WWUを舞台とした女皇が主人公の小説があるだろ
22DDHの御宅艦長の先祖が江戸時代の天皇の妾で
異世界で独立国作る話はありかな 護衛艦がふそう型で
扶桑公国と名乗る、2600年後に赤城を舞台に・・・

皇族が主人公でも悪者にしなければ宮内庁も許してくれるかな?
78創る名無しに見る名無し:2009/03/20(金) 21:54:05 ID:h5nH0UXK
>>77

第一護衛H群 DDH『ふそう』 DDG『あかぎ』 DD『かみかぜ』 DD『あまつかぜ』
第一護衛G群 DDG『ふじ』 DD『かんなづき』 DD『てるつき』 DD『しんげつ』
だろうな

あの世界の日本は中国や半島がないから自衛隊=渡来人かね?
79創る名無しに見る名無し:2009/03/20(金) 22:27:06 ID:TDKIaVpu
今になってF-15の新型が出るとは思わなかった
80創る名無しに見る名無し:2009/03/20(金) 22:41:07 ID:h5nH0UXK
>>79

F15SE?
81創る名無しに見る名無し:2009/03/21(土) 02:18:28 ID:V71iQuKH
F15MEじゃなくて良かった
82創る名無しに見る名無し:2009/03/21(土) 10:54:00 ID:pttjFrGU
>>77

あの世界じゃ戦闘機も魔法で動いてるのかね?

自衛官は少女と戦えないようにできてるのだが

83創る名無しに見る名無し:2009/03/21(土) 20:28:31 ID:BOV1hg0L
>>81
F15MEワロタww
でも鍛えればvistaよりは使える子。
84創る名無しに見る名無し:2009/03/22(日) 00:32:42 ID:JnA959QI
MEか…始めて使ったPCが彼女だったのはいい思い出だwww
85創る名無しに見る名無し:2009/03/25(水) 11:21:25 ID:dLWEWfoe
海上自衛隊がワンピースの世界に行く話が最盛期だったな、霧型護衛艦VS海軍

財務省と小泉がしっかりしてれば14DDH 15DDHで日向ネタが沢山出てた筈だったのに
もし自衛官が転生して財務省になり今頃に異世界に転移したら...

当然白根はDLHで金剛はヘリ搭載 石狩も二千tで 隼も量産して 日向も航空護衛艦


流石に憲法九条は改正できないから海空賊対処法を前もって作っとく

異世界で襲われても海空賊対処法で打ち勝つ
逆に周辺国家にあの海軍を海賊呼ばわりなんて...となる
86創る名無しに見る名無し:2009/03/25(水) 14:13:17 ID:2ycoIcI6
世界制覇を狙うナントカ帝国は、朝貢を拒否した日本に対する「征伐」として戦列艦10、ガレオン40、その他補助艦艇多数を持って沖縄方面に奇襲上陸戦を意図し接近。
これに対し、とっくに艦隊を発見していた日本政府は、「防衛出動だと野党が五月蝿い」と言う理由で、海賊対処法を適用。
こうして世界最大最強(と目されていた)帝国無敵艦隊は海賊扱いで殲滅される。
その後日本政府は近隣諸国に「海賊対処」の為に艦隊が派遣され、実質的軍事同盟が成立する事になるが、相変わらず某左派野党はキャンキャン騒ぐのみで何の役にも立たなかったと言う。
87創る名無しに見る名無し:2009/03/25(水) 20:38:50 ID:vp7cXDPR
>>85
kwsk
88 ◆8b20lCD.o. :2009/03/26(木) 17:52:21 ID:IGt3ESEI
「NHKにんげんドキュメント・補給仕官と向き合う」
BGM:中島みゆき「地上の星」
ナレーション:田口トモロヲ
鈴木さん:F世界の入植最初期から補給所に長く勤める。
     現地の人手不足から復興支援と現地運営も兼任し
     F世界に日本の基盤を築く礎となった。


補給仕官の朝は、早い。

「陸自で体動かすより、書類書いてる方が向いてたんですね」
補給仕官の鈴木さんは手元の書類を確認しながら言った。

鈴木さんは今日も電話を片手にキーボードを叩く。
まず、書類の入念なチェックから始まる。
用途が怪しいもの、不明な書類は線を入れて弾く。
直接陳情をしに来た専任陸曹や一尉と対面し舌戦を繰り広げ、
無理な作戦をたてようとする連隊参謀に書類を突きつける。

「参謀は戦略を語り、専任仕官は現場を語り、補給仕官は現実を語ります。
上と下のすりあわせが大事なんです」

ドケチと呼ばれても構わない。
物資には国民の血税が使われているのだ。
米の一粒たりとも無駄には出来ない。
最近はトラックが足りないと口をこぼした。

「やっぱり一番嬉しいのは皆さんが補給貰って喜ぶ顔ね。この仕事続けてよかったと思う」
「機械だけでは突発的なトラブルは対応できない。人間だから出来る仕事があるんです」
「機械が幾ら進化したってコレだけは真似できないんですよ」

視察の日。彼はファイルを鞄に詰め、補給基地へ向かった。
物資の輸送はコンテナが主流だ。
一口にコンテナといっても冷蔵専用コンテナやタンクコンテナなど多種多様であり、
取り扱いにも気をつけなくてはいけない。

「上の意見を現場に理解させるのは大変だね。その逆もだけどさ」
作業監督に直接荷物の中身を説明してどうやって扱うのか注意を促す。
「辛いのは軍機で中身が説明できない時だね。
中を説明できないから作業員に納得して
働いてもらえないし、荷物の扱いもぞんざいになる。
そういうのに限って中は取り扱いが難しいものなんだ」

ガントリークレーンや工作機械の改良で作業は自動化したとはいえ、
結局関わるのは人間なのだと鈴木さんは言った。
89 ◆8b20lCD.o. :2009/03/26(木) 17:53:07 ID:IGt3ESEI
「コンテナ一つに人の生活、命も掛かっているからね。大事にしないと」
輸送科の大谷さんとはもう10年の付き合いになる。

「0304号車のサスがヘタレた?回収車と代替廻せるから復旧まで3時間は掛かるか。
タングステン砲弾?輸送用のパレットと弾は此方にあるから次のサイクルで載せる。36時間」
大谷さんの手に掛かれば、聞くだけで到着時間が判ってしまう。
しかも積み込みや復旧時間全て込みで。
判断は速く正確で素人に真似のできる事ではない、匠の技である。

「運転だけ出来てもね。車種による車幅の微妙な違いとか
他社の輸送ルートや運転時間を理解してなきゃいけない」
「たいていの若い人はすぐやめちゃうんですよ。
弾を撃つため自衛隊に入ったとか、イメージと違うとか、話が違うとか
その癖レジスタンスに襲われると真っ先に逃げ出す。
輸送任務は増えています。でもそれを乗り越えられる奴は少ない
そうゆう根性のある奴がこれからの輸送科に必要とされています」

目下の問題は人材育成と人手不足である。
大型免許を持っているだけでは現場の役に経たないと彼は話した。

20年前はがらんどうだった補給科の事務所が
今では大量の機材が運び込まれ拡張されている。
数年前までは有事になることすら考えられなかった。

「輸送の手間は減ったのに扱う量は増えるばかりですよ。
物資が増えたのは機械化が進んだのと隣国がきな臭いせいですかね」

部隊の状況と輸送力のバランスを考え配分物資量を計算する。
問題は物品の種類と量。
一度に運ぶ種類が多いと輸送効率が下がり、少なすぎても現場での作業に支障をきたす。

「船や列車の輸送が足りないと知っていても放り出す訳にはいかないんですよ。
移動が止まれば組織は死にます。それは自衛隊も民間も同じです」

現場では常にあらゆる物資が必要とされている。
その中から必要なものを抽出し、上限の決まった輸送力を使う。
この見極めが難しいのだと鈴木さんは語った。
90 ◆8b20lCD.o. :2009/03/26(木) 17:53:53 ID:IGt3ESEI
現地の輸送状況を聞く。
この報告で輸送計画はガラリと変わってしまう。
重要なのが港の積み下ろしとそこからの輸送である。
後方での輸送は現地ゲリラや輸送路妨害を気にしなくていい分輸送は容易だ。
民間の協力も仰げ、道路や施設も整備されているためである。
道一つとっても大陸では10tトラックが何台も走れる道路や橋は限られている。
中世レベルの文明の道路ではさほど重量物が通ることが考慮されていないからである。

他にも問題はあった。
港での積み下ろし作業と荷物確認、現地業者とのすり合わせや盗賊対策である。
輸送時間の大部分が移動と安全対策に使われる。
これまでは港でのコンテナ内の物資確認のためコンテナをひとつひとつ開封して調べていた。
コンテナの鍵を開け中の物資と個数を確認する。それを日に何百回と行っていた。
当然作業には時間が掛かりいくらあっても人手は足りない。
だが積み下ろし作業は中断できない。

そのため港や海岸には大量の未開封コンテナが並べられ、中の物資を腐らせていた。
そういったことが昔はあったのである。
そこで生み出されたのがRFIDの本格的な導入である。
コンテナに無線タグを取り付け、開封せずとも中を確認できるようにしたのである。
更に後方で各科別や作業段階別、仕事ごとに応じて一つのコンテナに複数種の物資を入れたのである。
各作業段階で設けられた重量確認と交通要所別に設けられたIDチェッカーにより
不良在庫は劇的に減った。

「物資が届かないと困るのは私だけど、現場の人にとっては死活問題だね」
「もちろん輸送される物資はコンテナひとつまで私が確認していますよ」

パソコン画面にはトラックのナビゲーションと道路状況、ID表示が映っている。

「この仕事を始めたばかりのときは情報の多さに混乱しましたよ。
でも現地の状況を見て、自分はしっかりしなきゃいけないと思いました。
あの厳しい光景が目に焼きついたからこそ今の自分が居るんです」

鈴木さんが陸自の普通科から補給科に入ったルーツは意外なところにありました。

「現地では常に物が足りないんです。あの時車両の交換部品があれば撤退出来た。
いえ、62式の弾がもう少しあれば持ちこたえる事が出来た。
私達にはほんの少し物資が足りなかったのです」

彼はしばしば昔の仲間が眠る地へ向かう。
部署が変わっても前線の専任陸曹や一尉に学ぶことも多いとか。
部隊の視察をしようと輸送科について行った先で王国残党ゲリラに襲撃され
撃たれそうになることもしばしば。
91 ◆8b20lCD.o. :2009/03/26(木) 17:54:39 ID:IGt3ESEI
近年は新たな問題も持ち上がってきている。
RFIDが導入され遅延や間違いが前より少なくなって届くようになった。
しかし、たとえ部隊に物資を満載したコンテナが届いても
そこから更に個々の兵士たちの手にどうやって渡すのか。
結局はひとつひとつ開封してコンテナを確認しなくてはならなくなった。

大まかな物資配分はRFIDがある。
物品の大量輸送はコンテナが勝る。
しかし個々の物品配分に関しては個別輸送に軍配が上がる。
個別輸送の配分性とコンテナの大量輸送を備えた輸送パレットの開発は
多くの補給士官たちの頭を悩ませてきた。

その究極の選択に、今再び――
現代の匠が挑もうとしている。

「禿げ隠しですよ」
彼はそう言いながら帽子を脱いだ。
円形脱毛症。日頃の補給業務の厳しさとストレスを物語る。

「職業病ですね」
補給仕官にとって物流機材や物資以外に
各部署の担当の性格や状況を把握しておくのは義務であり、また責任なのだ。

ある日、彼は何気なく大手通信販売、密林の特集を見ていた。
バラバラに棚に並べられた商品。棚ごとに設置されたコード。
「これだ」

棚ごとに番号を割り振り、一区切りごとに管理する。
開いた棚には順次物資を詰めスペースの無駄をなくす。
バラバラになった物資の管理は棚に割り振った番号で管理し、
棚間移動の手間はコンピューターが最短ルートを計算する。

新型輸送コンテナの試作が始まった。
コンテナ内に複数の棚を設け、輸送の際に中身がずれないよう
コンテナサイズを調整し規格化した。
コンテナ内部のスペースを一杯に使え、なおかつ取り出しやすいよう
棚をレールスライド式にした。
使用後の空になった棚を回収できるように棚を折りたたみ式にし
棚とコンテナを別の区分とした。
確かに「即使用できる棚」を設けることで
現地の兵士たちがコンテナを回収してひとつひとつ中を見て回る手間は減った。

しかしこのアイディアには欠陥があった。
コンテナサイズを規格化を徹底しすぎた為に過剰包装が出ることになったのだ。
通常、一つの棚ごとに一つのコードが割り振られ一つのコンテナが用意される。
その中には大小様々な製品が入る。
そのため出荷段階での倉庫内の無駄は少ない。

だが輸送段階になると包装に無駄が出た。
例えばA5サイズのソフトカバーの単行本一冊があったとする。
これを段ボールの台紙を当ててビニールパックを施し
更にほんの2倍の大きさがある段ボール箱に入って送られるといった問題が発生した。
本自体の厚さは2センチ、段ボールの厚さは7センチ。
つまり、この箱には同じ本が6冊は入る計算になる。
たかだかソフトカバーの単行本1冊に段ボール箱は必要ない。
これは明らかに過剰包装であった。
鈴木は愕然とした。
92 ◆8b20lCD.o. :2009/03/26(木) 17:55:25 ID:IGt3ESEI
これは包装容器のサイズを常にある程度の余裕を持つように規格化したことからきている、
サイズ別に別個の包装をするのは包装の生産ラインと資源の無駄だからである。
同じ包装は使いまわせるという利点もあったからだ。
箱に余裕があると余計に詰め込むことが出来、
空間には綿を詰めれば箱の中のずれが解決できるためである。

包装は3つの段階に分かれている
1:ビニールパックに入れる・・・傷からの保護
2:段ボールの台紙を当てる・・・より大きい傷からの保護
3:2倍の大きさがある段ボール箱に入れる・・・発見率向上のため。

本来1又は2の段階で輸送されることが理想であったのだが、
コンテナ内に複数種の製品を入れ輸送するに当たり、小さな製品には3が必要となった。
すなわち小さな製品は発見しにくいのである。
旧来では(例:本の専売)同サイズの同製品を同時に輸送することで
商品間の隙間をなくし、2と3の包装を省いていた。

問題に対しコンピューターへ製品ごとに縦横の幅を入れることで解決しようとした。
既にある程度の大きさ別や保存法別によるコンテナサイズの調整はやってしまっている。
それでも過剰包装は出る。
もう限界だ、プロジェクトに暗雲がたちこめた。

鈴木は一週間悩んだ。
しかし答えは出なかった。

その時だった。

輸送段階直前まで頑丈な箱が必要であり。
貰い手はそこまで頑丈な箱を必要としていない。
「なら箱から抜いて渡せばいいじゃないか」
逆転の、発想だった。

大中小の箱を用意し、似たサイズの製品を1又は2段階の包装で箱に詰めた。
それぞれの箱に商品リストを貼り付け、箱にそれぞれコードを振った。
棚を箱に置き換え、区域別に輸送することで解決した。
更に兵士たちへ旧来より性能の良い弾帯ベストを持つことを普及させた。
すなわち一定の物資を消費する傾向にある兵士たち
各個人が持てる保存容器を増やした。
過剰包装は減った。

こうして、遂に国からも、この計画にGOサインが出された。

「数年以内に状況を好転させてみせますよ。物資を待つ人が居るからね」

彼はそう言い笑った。
93 ◆8b20lCD.o. :2009/03/26(木) 17:56:14 ID:IGt3ESEI
「たまにね、家族から手紙が届くんですよ。仕事が忙しくて本土まで
会いに行けないですけど。私には一番の補給物資です」
「他にも現地住民からわざわざ手紙が届くこともあるんですよ。
ありがとうって。ちょっと嬉しいです」
「入植初期は文化の違いや欠乏で散々でした」
魔法ゲリラが激化した○○年には一時期撤退も考えられたという。

ここ数年で飛躍的に増えた物資を管理するために鈴木さんは
数ヶ月前から整備され始めたインターネットを使った部隊別の個別管理を始めている。
スタッフは彼に現地住民との関係はどうだと聞いてみた。

「現地住民に仕事を任せているか?・・・ですか?
順次移行しようとも考えていますが当分はありません。社会システムが全く違う。
大陸は社会基盤がまだ確立してない。トータルで考えると此方の方が安く付きます」
「一度引退しようと考えたこともあるんです。
でもね、大陸の街を見ているとね。まだまだ飢餓や病気で苦しむ人たちが居る。
あれじゃ駄目だ!私ならもっと上手くやれるってね。
私を慕ってくれる多くの人達も居る。辞めなかったのは彼らのおかげです」

まだまだ必要とされている、それだけで彼は頑張れると言う。
近年、彼がしてきた長年の政策が実り日本国内の状況も改善してきている。
大陸の魔法技術と日本の技術者との仲介を行うのに忙しい。
全国からは魔物の生態に目を付けた科学者や企業などから依頼が殺到しているそうだ。

「現在30人体制で特許管理や技術提供の場を設けていますが
 需要の急増に対して供給が追いついていない状況です」
と、嬉しい悲鳴をあげている。

今年の売上は10億新円を超える見込み。
日本本土の新聞でも取り上げられ、最近は自治も検討され始めている。
魔法を本土の人達に知ってもらおうと、安価なアーティファクトの提供も始めたそうだ。
最初は奇異の目で見られていたドワーフやダークエルフも日本の風景になじみ始めている。
海外でも貴族達の投資に注目されていると言う。

NHKスタジオ
「と言う訳でアーティファクトのゴーレムを用意してきました」
テーブルの上で手の平サイズの人型ゴーレムが動いた。
「モーターやエンジンなしに!?どうやって動いてるの!?」
「刻印だよ。魔力で動いてる」
94 ◆8b20lCD.o. :2009/03/26(木) 17:56:57 ID:IGt3ESEI
ぱんつみたいだけど恥ずかしくないもん
ぱんつの様な社章がトレードマークの名古屋市に本社を置く
山田工業所。

「いやはや、魔法刻印の再現に苦労しましたよ。刻む順番や使う金属が重要なんです」
苦労を語る山田さん。彼は○○年産業功労賞を受賞した。
手作業との決別。アーティファクトの生産を賭け、
ドワーフの伝統技術と日本の最先端技術が手を組んだ。
「戦車や戦闘機の装甲版には魔法刻印が刻まれるようになったんですよ」

将来の夢は何ですか?
「ストライクな魔法少女達を空に飛ばせるようになりたいですね」
ずれた眼鏡をなおしながら、
壁に貼られたポスターを見つめ真摯に語る彼の表情は職人のそれであった。
今、彼は新しい装備の研究をしている。
より使いやすく、より強力なエンジン。

「試行錯誤の連続ですね。
今朝、魔導エンジンの出力実験をしていたら実験場が吹き飛びましたよ」
「水冷式エンジンと合わせてみたら意外に相性が良くて、
アナログも捨てたものじゃないって思いましたね」

自分の作ったエンジンが日本の復興に使われ、かつての国の姿を取り戻す。
そうなるといいねと彼は笑った。

「○○年日本同時魔法テロの影響でもう工場は終わりかなと思っていました。
工場は全壊、従業員が全員無事だったことだけが救いでした。
明日から路頭に迷うことになる、私はエンジンを作ることしか知らない。
そんな私がどうやって家族を食べさせていけばいいのかと絶望していました。
その時、手を差し伸べてくれたのが鈴木さんです。彼には本当に感謝しています」
「自分達の魔法(技術)を使って大陸の魔法を見返してやろう」
「彼には励まされました。まだ全部無くなった訳じゃない。
人も希望も残っているってね。年甲斐もなく泣いちまいましたよ」
「魔法との融合が注目されている時代じゃないですか。。
魔法を科学技術と合わせる時にだからこそ
機械ではできない作業と機械作業を取り持つ職人技は必要になってくる」

最先端だからこそ活躍するアナログな職人。
かつての日本を取り戻したい、守りたい。
そんな思いが今日の日本人の力となっていると語った。

深夜2時、補給所の兵站管理部に突如異変が。
補給手順の変更。
決意を固めた部下達の報告を聞き、参謀本部の工藤さんは渋い表情を作った。

「時代が変わったんですね。
一方通行だった補給申請が現場からも行われるようになったんです。
現場主義の流れでしょうね。
でも大事なのは物資に限らず自衛官の命ですから。
これが我々のためになるなら老兵は身を引きます…」
95 ◆8b20lCD.o. :2009/03/26(木) 17:57:43 ID:IGt3ESEI
飢餓、オイルショック、肥料の不足…
初期の混乱から立ち直りつつある日本。
その力はこうした人々の努力から産まれているのである。
一部輸出解禁に伴い、日本の中小企業の持つ圧倒的な品質を持つ製品に
海外の人々も目を付け始めた。
先日締結されたレンドリース法ではエルブ国に貸与されることが締結されたのも
日本製の剣や食料であり特に加工食品は
海外でカレーラーメンブームを巻き起こすほどである。

鈴木さんの事務所の部屋には12人分のヘルメットが立て掛けられている。
どれも綺麗に磨かれ埃ひとつない。

「かつてエルブ国は私達を助けてくれた。火事にホースを貸してくれた。
今度は此方が貸す番ですよ。困っている隣人にホースを貸したい。水には困らないように」

「いや〜本当すごいですね」
「輸送ってこんなに手間かけてるんですね」

ライドナ王国軍に襲われた彼を助けたのは50年前のエルブ国であった。
エルブ国は食料と安心できる寝所の提供。安定した輸送路を保護した。
各種条約により飛躍的に日本の輸送は改善することになり国内問題も一応の安定を得た。
鈴木さんは異国で初めて食べたイケ麺(しょうゆ味)の味は忘れられないという。
日本のカレー、ラーメン、食べ物の相互理解はどれだけ時代が移り変わろうとも
変わらないもの、なのかもしれない…。

今日も彼は、日が昇るよりも早く書類の整理を始めた
明日も、明後日もその姿は変わらないだろう

そう、補給仕官の朝は早い───

輸送の歴史〜補給仕官の朝〜
96創る名無しに見る名無し:2009/03/26(木) 17:58:43 ID:fXuEv8Ka
おつかれさま
97創る名無しに見る名無し:2009/03/26(木) 18:26:28 ID:PQPxlvsG
なんというプロジェクトX
これは間違いなく歴史に残る
98創る名無しに見る名無し:2009/03/26(木) 19:26:01 ID:ecUclD2J
乙でした〜
99創る名無しに見る名無し:2009/03/26(木) 20:15:41 ID:D5dPO1ui
投下乙
「50年前〜」と有るから物語氏との互換性は無いよね
100創る名無しに見る名無し:2009/03/26(木) 22:17:47 ID:/52taEUU
>>95
乙!
兵站でここまで深い話が見れるとは感激
是非とも施設科で一つお願い致します
101創る名無しに見る名無し:2009/03/26(木) 22:24:48 ID:vjpZ/Ukn
>>87

http://pixus.iinaa.net/SS/34/1.html

ジャンプ世界の自衛隊の日々

102創る名無しに見る名無し:2009/03/26(木) 22:57:37 ID:baHzbyws
つか海自はリアルワンピースの世界に行ってるけどな
103創る名無しに見る名無し:2009/03/26(木) 23:19:11 ID:vKGeJZy1
いや北斗の拳だろう
ヒャッハー的な意味で
104創る名無しに見る名無し:2009/03/27(金) 00:19:06 ID:DuwVBvQ2
どちらかといえば北斗の拳だろうな
襲う相手が土の上にいなくなっちゃったから海上でやってるだけで
…種籾のおじさんもここには食料があるぜの酒場も、もう襲われちゃった後なんだろ
105創る名無しに見る名無し:2009/03/27(金) 04:12:29 ID:E6FlQisJ
つまり各国の護衛艦隊が拳王様親衛隊なんですねわかります。ヒャッハー!
106創る名無しに見る名無し:2009/03/27(金) 06:43:01 ID:APSXAifM
>>105

日伊は皇だけどな 米露は帝だろうな
107 ◆8b20lCD.o. :2009/03/28(土) 01:06:21 ID:EC9S+yQf
「やっぱり、来なければよかったな」
鈴木一尉は小さな声でひとりごちた。
夏の青々とした草原に土が抉れた痛々しい地肌がのぞく、造りたての黒々としたアスファルト、
塹壕を補強する真っ白なコンクリートに黒緑のコンテナとテントが見える。
埃っぽい空気、照り付く太陽、アスファルトとブルの排気煙。
車両やタンクの上には迷彩色のカバーが掛けられて
剥き出しの地肌には鉄条網と金網、各所の台座には中機関銃が置かれ、
監視塔とトーチカの間を塹壕が繋いでいる。
大型トレーラーから下ろされた司令部コンテナの周囲では
通信科と施設科がケーブルを持ち忙しく走り回っている。

この陣地に地雷はない。
国の法律のためである。
日本は島国でかつ人口密集地が多い土地であるため敵軍に上陸された時点で終わりであるし
戦争後も土地に残り続け、土地を使えなくするであろう地雷は書類上持ってはいない。
敵の土地に行った時必要であろうと思うかもしれないが
日本は攻められにくく攻めにくい地形であったし、国の方針で専守防衛を掲げているため
外征のための装備を持ち合わせていなかったためである。
たとえ地雷を持とうとしても内外からの圧力を受け持てなかったであろう。
そしてこの出動は想定外のことであった。

此処はエイジア大陸03地区自衛隊第一前線基地のテント内部。
鈴木は日本から派遣された自衛隊の第一陣、補給科の一尉である。
補給科とは軍隊の兵站、つまりは食う寝るを補完する役職で
銃弾と砲音の代わりに電話と書類相手に格闘する仕事である。
鈴木は治安維持活動と現地の復興支援のため
本国から現地の復興支援を一方的に言い渡され任務に当たっていた。
108 ◆8b20lCD.o. :2009/03/28(土) 01:07:08 ID:EC9S+yQf
「いやはや、これなら万全ですなあ」

鈴木の耳にのんびりとした、この忙しい状況では嫌味な男の声。
本国から送り届けられてきた外務省官僚の田中である。
田中の顔は取り立てて特徴がないのが特徴の人物で、
曲者揃いの官僚の中でどうしてこの人が出世できたのかと鈴木は思った。
あえて特徴を見つけるなら歳は40代でキャリアにしては若い。
その程度の人物であった。

先ほど鈴木が作業の進度状況と物資の備蓄状況を伝えて書類を渡し、
その後施設見学の先導をしているのである。
ふらふらと施設を歩き回られて工事中の重機にひき潰されては困るからだ。
外務官僚がどうして霞ヶ関に居ず物騒な前線基地に居るのか。
それは・・・

西暦20XX年7月某日、日本各地を深夜12時に震度7を超える<魔震>が襲った。
不思議な事に地震が発生したにも関わらず自身による死者や建物の倒壊、
津波などは全く起こらなかった。
ただ、震度計だけが各所で震度7を超える数値を叩き出したのだった。
異変はそれだけに留まらなかった。
地震と呼応して突如海外からの連絡が途絶えた。
有線無線アナログハイテク問わず、あらゆる通信手段で海外へと連絡を試みたが完全に途絶。
南は琉球諸島から北は樺太、日本海は対馬や竹島、東は硫黄島、
日本列島とされている以外全ての地域と連絡が取れなくなった。
36時間後日本政府は非常事態宣言を発令、何らかの事態によって連絡が途絶えた諸外国との
通信を回復及び現状確認を行い、被災地の治安活動と復興支援のため旅団規模の自衛隊派遣を決定した。
被災地派遣となっているのは異常事態が海外で確認されたことによるものらしい。
通信が途絶したことなどによる明らかな異常事態により
被災地派兵は世論に押され速やかに決定した。

そして異常事態に襲われてしまった被災民と速やかな交渉を行うために
派遣されてきたのが外務官僚の田中である。
109 ◆8b20lCD.o. :2009/03/28(土) 01:07:54 ID:EC9S+yQf
「もちろん万全です」
「自衛隊の施設科は一流ですよ。海外派兵でも架橋や復興支援で活躍していますから。
いつ弾が飛んで来るか判らない状況でも、ろくな武器も持たずに頑張ってくれています」

施設科「は」と前置いて説明する。皮肉だ。
鈴木の目に映る陣地は牙を抜かれたそれだった。
GPSによる位置確認や同盟国の通信支援なしに「地図に載っていない」未知の大陸へ上陸。
戦後初となる自衛隊単独での名前も知らない諸外国、それもアンノウンへの強襲上陸である。
幸い抵抗などもなく上陸は成功し、予定通りに橋頭堡を確保する作業が行われている。

喋ってからしまったと鈴木は思った。
キャリア組みに暴言を吐くのは当然止めておいたほうがいい。後が怖い。
けれど田中には言ってもいい。なんとなく彼はそう思わせる人物であった。

「いやはや手厳しい」
全く済まなくなさそうに田中は愛想笑いを浮かべた。
「鈴木さんは補給仕官として今回の上陸はどう思いますか」

鈴木は考えた。
現在鈴木達が居るのは何処で何を目的にしているかすら明かされておらず、隊内では不安が広がっている。
本作戦では今までの自衛隊ではあり得なかった陸海空のヘリ支援と航空支援が受けられるらしかったが
陸海空の自衛隊がこれほど活発に動くのは歴史上初めてでありどう見ても異常だ。
本土ではデフコンでも発令されているのかもしれない。
未知の事態に不安は拭えず警戒しすぎてもし過ぎることはなく、地雷の一つも欲しい。

手元の端末を取り出し、ディスプレイをタッチペンで叩くと一覧が表示された。
戦闘糧食U型■■■■セット、96式装輪装甲車■■台、87式偵察警戒車■■台、120mm迫撃榴弾・・・extext
鈴木が担当したリストは歩兵連隊の物資が中心で、中には120o砲弾なんてトンデモまであった。
更に倉庫の備蓄でもかき集めてきたのだろうか。
演習でも大して撃たせて貰えない弾がたっぷりとある。
110 ◆8b20lCD.o. :2009/03/28(土) 01:08:43 ID:EC9S+yQf
噂では後続も含め約10万tが運ばれる予定らしい。
上陸戦力は旅団規模、1万人近くが上陸し一人当たりの割り当て物資が10t。
人数に対して妥当な量だといえる。
鈴木は以前PKOに派兵されたことがありその時にも多くの物資を扱っていたが
海外派兵を鑑みても10万tは異常過ぎた。

「まるで戦争ですね」
自分の考えを否定しながら半ば本気半分で答える。

「戦争?ただの復興支援と平和維持活動ですよ。
近日中に自衛隊の皆様には面白いものを見せることが出来るでしょう」
田中はニヤリと口元を歪めた。
111 ◆8b20lCD.o. :2009/03/28(土) 01:12:23 ID:EC9S+yQf
投下終了

「50年前〜」と書いてはないですが物語氏とは中の人が違います
あとタイトルはまだ決まっていません
112創る名無しに見る名無し:2009/03/28(土) 13:05:57 ID:yGzJPya7
>>111
◆8b20lCD.o. 氏乙です。
早く続きが読みたいです!

軍板でやれとおとがめを受けそうなのですが敢えて一言。
自衛隊が対人地雷を保有していないのは専守防衛だらだからではなく条約に批准しているからです。
地雷原設置は水際防御という意味でもっとも有効的で有るので批准前は保有していましたし。
対戦車地雷は今でも保有しています。
ttp://ja.wikipedia.org/wiki/87%E5%BC%8F%E5%9C%B0%E9%9B%B7%E6%95%A3%E5%B8%83%E8%A3%85%E7%BD%AE
対人障害システムという遠隔爆破型指向性散弾というものも有ります。
ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AF%BE%E4%BA%BA%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0
手持ちの詳細資料はないのですが、確かクラスター爆弾も保有していたはずですが……
113創る名無しに見る名無し:2009/03/28(土) 14:44:56 ID:0WXyDWOd
クラスターは放棄が決まりました。
参加する必要のない制限条約にワザワザ参加したお馬鹿な偉い人のせいで。
まあ、代わりにレーザーJDAM買ってくれる事になったからいいけどw
114創る名無しに見る名無し:2009/03/28(土) 19:45:06 ID:EMdDSoXO
投下乙
竹島かぁ…駐留してた連中のその後が気の毒>補給物資途絶
115創る名無しに見る名無し:2009/03/28(土) 20:24:20 ID:MYCKYH6Y
別に気に毒でもなんでもないだろ、竹島の連中が餓死しようが気にすることは無い
116創る名無しに見る名無し:2009/03/28(土) 20:27:17 ID:+8uYnTK4
周辺に生息してたトドだかアザラシだかは、駐留してる朝鮮人が食い尽くしてしまったんだっけか。
117創る名無しに見る名無し:2009/03/28(土) 20:53:04 ID:6g2dab5n
気の毒っちゃ気の毒だが如何ともしがたい所
けど個人に責任とらせんのはどうかなぁ
118創る名無しに見る名無し:2009/03/28(土) 21:14:52 ID:MYCKYH6Y
>>個人に責任
そういうのは関係無く
食料自給率の低いわが国としては国民に食わせる食料ですら不足している(食糧輸入が止まってる)時に他国の人間に食わせる食料なんて豚の餌ですら無い残飯だって家畜の餌に使うだろ?
って話
119創る名無しに見る名無し:2009/03/29(日) 22:33:51 ID:QC6c8SDM
>>118

欧米ではクジラ=保護するべき だが 昔は=魔物 殺しても良いな風潮であった
例,ピノキオを飲み込んだ鯨 魔界大冒険でジャイアンと魔鯨の対決

中世幻想世界が多いから鯨やクラーケンやらチョウ鮫から開拓船を守るから処分権を貰う

あとはキリストみたいな宗教で方舟=選ばれし聖人みたいな風潮があれば
おおすみやひゅうがに貢ぎ物を...

あとは1キロの香辛料や菓子で小麦粉を沢山貰ったり

資源問題はメタンと水火力でなんとかなるかな CO2出しても大丈夫だし ダムを作る事で就職が...

転移先では一万キロ掘れば東北で石油や金銀がとれたり

荒技だが他国も一緒に転移
120創る名無しに見る名無し:2009/03/30(月) 00:32:39 ID:53/Df4/w
>>119
新しい作者の方ですか?
設定だけじゃなく本文を投下してくださいね?
121 ◆8b20lCD.o. :2009/03/30(月) 19:56:29 ID:AppzAyPz
日本の自衛隊がどうして他国、それも聞いたことも見たこともない
国へ派遣されることになったのか。
事の発端は2週間前に遡る。

西暦20XX年7月某日、首相官邸。
「首相!起きてください!首相!」

深夜3時、武原首相は秘書の原に叩き起こされていた。
「な、何が起こったんだね?そんなにあわてて」
「北からミサイルでも飛んできたのかね?それともまた中国の領海侵犯かね?」
「何がって知らないんですか!?」

錯乱した原が武原の肩を強引に揺する。
余りにも勢いよく声を張り上げるので唾が頬に掛かる。
駄目だこいつ何とかしないと。
私は原を落ち着かせることが第一だと考えました。

「まず大きく深呼吸して。次に実際にあったことを時系列順に話したまえ」
原は大きく息を吸い、盛大にむせると話し始めた。

「深夜12時を境に日本以外の外国と全ての通信が途絶えました」
日本以外と外国の意味が重複している。相当に混乱しているようだ。
彼が酷く錯乱しているせいでかえって武原は冷静になれた。

「被害の程度は?機器の故障や、サイバーテロの可能性は考えられんのかね?」

原は手元の走り書きしたメモを読む。
「物理配線無線共に海外からの全ての通信が途絶、送信は出来ますが受信は出来ません」
「テロにしては規模が大き過ぎます。民間の通信だけでなく独立した通信のある軍のネットワークや
気象庁の衛星、日経の株価表示すら12時を境に沈黙しています」

「ぬう」
武原が呻いた。
「どうしました?」
「数年前、アメリカかロシアだったかが日本のサイバーテロの脆弱性を指摘していただろう?」
「サイバー攻撃で北海道が停電の可能性があるといった専門家ですね」
「真面目に予算を割いた方が良かったかもしれんと思ってな」
122 ◆8b20lCD.o. :2009/03/30(月) 19:57:16 ID:AppzAyPz
「各省庁の対応は?」
原は質問を予想していたのだろう。立て板に水のごとくすらすら答えた。
「法務省、総務省、外務省などはまだ数は少ないですが、クレームの対応に追われています。
明日の昼には民間からの電話対応に忙殺されるでしょう」
「防衛庁は指示せずとも米軍の応援名目で哨戒機を盛んに飛ばして戦闘待機を取っています。
陸自も上へ下への大騒ぎです。出動要請の準備を始めています。
海自はパトロール範囲を縮小し日本海を中心に配置についています」

「復旧の見込みはあるかね」
武原は半ば答えを予想しつつも、あえて聞いた。
「既にやっている、だそうです。見込みは何時になるか判りません」

クローゼットから外行きの服を取り出し赤いネクタイを締める。
「…そうか」
「アメリカへホットラインを繋ぐ。韓国のも回線があったはずだ」
髪を整え襟を但して机に座る。


…1分…2分…3分
「クソッ!ダイヤル音だけで呼び出し音すらないじゃないか!」
武原は電話を叩き付けた。
「まさかな」
「韓国も同じか」
これは一体誰の攻撃だ。目的は?どんな利点が?
計算が頭の中でぐるぐる巡る。
「少しでも情報が欲しい!一体何が起こっているんだ!」
123 ◆8b20lCD.o. :2009/03/30(月) 19:58:03 ID:AppzAyPz
プルルルッ、カチャッ
先ほどから点滅しっぱなしの電話の切り替えボタンを押した。
「そちらの件については現在調査中です。状況確認が出来次第連絡いたします」
プルルルッ、カチャッ
「そちらの件については現在調査中です。状況確認が出来次第連絡いたします」
プルルルッ、カチャッ
「そちらの件については現在調査中です。状況確認が出来次第連絡いたします」
鈴木は同じ言葉を繰り返す。壊れたレコードのごとく。

帳簿付けもひと段落終わり、一息つこうかと思っていたら一斉に電話が鳴り出した。
夜遅くに商品確認の電話や、機械が壊れた交換部品をなんとかしろと電話が鳴りっぱなし。
面倒になって他の課からたらい回しにされたのだろう
保険の電話や事故の連絡まで廻って来る始末。

電話の対応に追われていると、何と基地指令本部から
通信途絶についての案件は現在調査中だから状況確認ができるまで
下手な事は言わないように、それとマスコミには気をつけろと直接連絡が来た。
以来、「そちらの件については現在調査中です。状況確認が出来次第連絡いたします」
の言葉を電話で繰り返している。

どうやら原因は急に海外との通信が途絶したものによるらしい。
12時などという中途半端な時間に事件が起こったせいで
夜勤のシフトから朝のシフトに変われず鈴木はそのまま仕事を続けさせられていた。

連隊本部では深夜に対策会議が開かれピリピリした雰囲気が漂い
陸自では急な待機命令が出ている。
空自の虎の子である早期警戒機のE2Cにスクランブルが掛かり空を飛び立ち
窓の外では寮の電気が一斉に付き外が騒がしくなっていた。
薄明かりの街灯の下、分隊単位で集合した隊員が列を組んで倉庫や格納庫に走る。
陸自が広場に集合して隊列を組み点呼を始め、82式指揮通信車が動く。
何台もの台車やカートが荷物を運び出し、トラックが行き交い始める。

トントン

肩を叩かれた。次のシフトの大西さんだった。
「次の仕事だ。機材と机を入れる。お互い大変だな」

眠気覚ましの玄米茶を片手に後ろを指差すと他の隊員達が椅子や電話を搬入していた。
「ああ、まったくだ」
鈴木は段ボールを開封しながら今夜は長くなりそうだなと思った。
124 ◆8b20lCD.o. :2009/03/30(月) 19:58:49 ID:AppzAyPz
総理官邸の大会議室。
部屋にはヘッドフォンとハンディフォンを持ち手元のモニターを睨む各界の長官や委員長、
大臣がずらりと並び緊張した面持ちで武原総理を見つめている。
会議室には交通の混乱などで出席できない者を除きほぼ全ての名立たる官僚が揃っている。
一部の官僚は専用回線を用いたモニターを通した出席となっている。

「今日集まってもらったのは他でもない。通信途絶の件についてだ」
「責任は誰が取るん「黙れ。事態を更に混乱させるか」」

エネルギー庁長官が一喝される。彼は民心党の議員だった。
「中谷君を外で待機しているマスコミの前へ引き摺り出してもいいのだが」
「・・・・・」
中谷は押し黙った。

机には各省庁の代表と武原のシンパを中心とした議員が集まっている。
ちなみに野党議員は省庁代表以外呼ばれていない。
彼らが居ると決まるものも決まらない。

「全国規模で発生している海外への通信途絶について情報を交換する場を設けた」
「各自把握していることを出して欲しい」
各省庁の手元には悪い報告しかない。
誰が第一報をするか、議場を沈黙が支配する。

「報告はないのかね。では防衛大臣から頼む」
「12時からの海外からの全般的な通信途絶を受けて自衛隊は行動を開始しました。
駐留米軍からの要請を受け空自は警戒行動を開始。索敵機の他、4機の早期警戒機が出撃。
海自と連携して日本海を中心に展開。その際GPSが一部不調。現在韓中露の領空侵犯はありません。
陸自は戦闘待機、いつでも災害出動できます。出撃後、海空自によると」

「連絡なしの展開は中露を必要以上に刺激してしまうのではないかね?」

発言したのは文部科学省の大臣だ。彼は広大党の議員で与党である自心党と連立関係にある。
自己では満足に政権を取れない割りに不思議と態度が大きい。
防衛長官は溜息を一つ吐き言葉を続ける。

「出撃後、海空自によると」
彼は一旦言葉を区切る。

「海の向こうには見たこともない大陸が広がっているとの報告が入っています」
「邪神でも見て狂ったのかね?」
文部大臣が嘲笑した。

「つまり中露韓は消滅したのでお伺いを立てる必要はないということです」
125 ◆8b20lCD.o. :2009/03/30(月) 19:59:42 ID:AppzAyPz
「それについては私から報告しましょう」
間髪入れず気象庁長官が立ち上がった。

「通信障害により日本上空以外にあった衛星は消滅しました。
現在稼動しているのは日本領海内に飛んでいた
日本国籍の観測衛星、高町、昴、疾風、月村、中島、桃子、士郎と中国国籍の楼蘭、
アメリカ国籍のヴィヴィオ、ノエル、ウーノです。
実質的に観測衛星として使えるのは日本製の7機だけで、あとの4機は通信中継ぐらいにしか使えません」

「日本上空が衛星密集地域で幸いでした。使える衛星はまだ多く残っています」
「これが日本上空の衛星写真です」

出された画像に議場がざわめく。

「大陸の海岸線がおかしい」
「朝鮮半島がないぞ」

議員や官僚達は食い入るようにモニターを見つめた。

「これが衛星に捉えられた不自然な物の写真です」
「これはガレー船か?映画で見たぞ」
「馬鹿な!蜥蜴がこんな小さな翼で空を飛べるはずが無い」
「甲冑を着た兵士?」

議場のざわめきは大きくなる。
カッ!カッ!
総理が叩いたハンマーの音が鳴り響く。

「続けたまえ」
「そしてこれが世界の衛星写真です」

「日本の衛星は静止衛星じゃないのかね?これはスパイ行為になるぞ!」
文部大臣が噛み付く。
見当外れの質問に気象長官は苦笑い。
「赤道以外の衛星はみんなそうですよ。静止軌道にある衛星は日本の真上にはありません」



衛星写真にはおよそ人類史上誰も見たこともないような島や大陸が映っていた。
「信じたくありませんが、どうやら我々は違う世界へと来てしまったようです」
誰かが呟いた。
126創る名無しに見る名無し:2009/03/30(月) 20:00:28 ID:53/Df4/w
支援
127 ◆8b20lCD.o. :2009/03/30(月) 20:01:28 ID:AppzAyPz
「大変だ!この事態を国民に知らせないと!」
大声で叫んだ外務大臣が出口へと歩き出した。
外務省である彼には海外からの通信がことに対する不満の矛先が特に集中し
対応に追われノイローゼ気味だった。
彼には電話の向こうの相手を説得する言葉が必要だったのである。
たとえそれが現実離れしていても。

「待ちたまえ!国木田外務大臣!」
武原総理はマイクのボリュームを上げた。
黒板を引っかいたようなノイズ。

「教えてどうなるのかね?国民はかえって混乱するだけだ」
「だが、しかし!」

「しかしも案山子もない。議場の混乱振りを見たまえ、客観的事実を示された我々さえこうなのだ」
渋々国木田は席へと戻る。

「君も外務省なら理解できるだろう?領土や在日外国人、保障問題、中にも外にも敵は居る」

「では、どうすれば、いいんだ」
国木田は声を絞り出した。

「これから予想される問題は多い。食料、エネルギー、防衛、内政、外交。
我々は全ての障害に対し立ち向かっていかねばならん。
国民に事態を認識させるのは、せめて諸問題が解決してからでも遅くはなかろう」
「今後しばらく日本に冬の時代が来る。我々は耐えなくてはならんのだ。
その為に私に力を貸して欲しい」

誰かが手を叩いた。
拍手はさざなみのように広がり議場は拍手に包まれた。
万雷の拍手の中でエネルギー庁長官と文部大臣は呆然とその様を見ていた。
128 ◆8b20lCD.o. :2009/03/30(月) 20:02:51 ID:AppzAyPz
会議後、産業大臣と防衛大臣は呼び出されていた。
「さて、国民に伝えることだが、海外に行かせない事と消費を抑えさせる事を考えなければいけない」
防衛大臣は頷く。

「突然だが、君は日本以外全部沈没という映画を見たことがあるかね?」
「小松左京ですね」
「ある日、日本を無視してハルマゲドンが起こり日本以外が核攻撃や細菌兵器で滅んだ、と言うのにしようと思う」
武原は宇宙人が攻めてきたとどちらにしようか迷ったのだがねと付け加えた。

「ちょうどこの世界には竜なんてファンタジックな生き物も居るし、他の怪物も居るだろう。
怪物は突然変異のミュータントではどうだろうか。文明崩壊によって周辺国は中世レベルにまで退化したとする」
「突飛な話だ。どうやってリアリティを出せばいい」
それはギャグですかと言葉を堪えつつ経済産業大臣は情けない声を上げた。

「それは君らが考えることだ。他庁への情報封鎖の呼びかけも頼むよ」
経済産業大臣と防衛大臣は同時に頭を抱えた。
129 ◆8b20lCD.o. :2009/03/30(月) 20:03:39 ID:AppzAyPz
「アンノウンが竹島の韓国上陸部隊と交戦を開始しました!送れ」
基地は緊迫された空気に包まれていた。

数時間前に現れた90匹のアンノウン、
名称「リュウキシ」と竹島の約300人からなる韓国駐留部隊とが交戦を開始。
その後古代のガレー船型の木製船から現れた上陸部隊と韓国軍は戦闘を開始した。

「交戦許可は下りているか?送れ」
「交戦許可は出ていない。予定通り観測を続けろ。終わり」

韓国軍からの日韓同盟に基づいた増援要請に対し、
日本は竹島について国際情勢が微妙だとして回答。増援を断る。
それから12時間、自衛隊は周辺海域に早期警戒機やイージス艦などを派遣し、
異常と思える緻密さと執念深さで一挙手一投足を見逃すまいと監視活動を続けている。

「それにしても彼らは図々しいですね。人の土地占拠しておいて増援をくれとは」
空自の山下は同僚の川田に話しかけた。

「彼らも国のために戦っているんだろうよ」
「いえ、韓国は既にありませんし」
「おいおい、機密だ。話すなよ。そんなことより見てみろ!また花火があがったぞ!」

彼らが花火と呼んでいるのは「リュウキシ」から時折放たれる炎の矢。
リュウキシは全長5m程の竜のような生き物の背に乗った騎士らしきものの名称である。
騎士が上空から手を突き出すと魔法陣らしき物と共に炎の矢と氷のつららが飛び出る、それが花火だ。
どうやら炎の矢は20〜30m程の射程で機銃の代わり、氷のつららは上空から落として爆撃するために
あるらしく、時折思い出したように空から降りてきて炎と氷を降らせている。

リュウキシは小回りの利く生き物らしくなかなか小銃が命中しない、
これに対し韓国軍は6台のミニミニを使い複数の火線を集中し打ち落としにかかり、2匹3匹と撃ち落している。
130 ◆8b20lCD.o. :2009/03/30(月) 20:05:57 ID:AppzAyPz
問題は陸であった。
上空に複数居るリュウキシに火力を使ってしまっているせいで効果的に上陸を阻止できないのだ。
浜に何台も接岸されたガレー船からは、次々と帯刀した弓と鎧を着た兵士が降りて来て
韓国軍に船から出た先から穴開きチーズにされている。

いくら倒し続けても肉の壁を造り、死体の山を積み上げつつじりじりと迫る兵士達。
彼らの距離が140mまで近づいたとき事態は動いた。

隊長の掛け声と共に兵士が長弓を引くと一斉に弓を放った。
無数の風切り音の後、陣地全体に雹雨がトタン屋根を叩いたような音が響く。
大量に放たれた弓は榴弾砲と似た軌道を描き似た結果をもたらした。
塹壕の中は地獄絵図と化し、監視塔から見下ろしていた韓国兵達は蒼褪め、装甲車が死傷者を回収して回る。

弓の一斉射が終わった後突撃が開始された。
戦闘集団が地雷原に突っ込み、一斉に足が吹き飛んだ。
第二陣第三陣が吹き飛ばされる。
恐慌を来たした兵士が逃げようとすると、上空から炎の矢が降ってきて兵士をローストチキンにした。
その際数人の兵を巻き込んだ。
火達磨になった兵士が前へ走り出したのをきっかけに、第四陣第伍陣が前進する。
死体の山を踏み越えて鉄条網へ辿り着いた兵は後ろから走ってきた兵に潰され足場となる。
死体を積み上げ絶叫しながら走る姿は悪鬼の群れそのものだった。

「奴らは狂ってる。人間じゃない」
山下は怒り、双眼鏡を握り締めた。
「誰が支持してるんだ?脳筋指令め」
語尾が震える。

此処まで敵兵が近づき姿がはっきりしてくると
韓国兵達にも泣き出す者、吐き出す者、銃を下げる者、血煙を吸って咳き込む者が出てきた。
次第に敵兵内に身なりの良いローブを着たものが混ざり始める。
ローブを着た男女が鉄条網やバリケードに手のひらを見せると
宙に複雑な文様が浮かび上がると共に一部が発熱し障害が吹き飛んだ。

バリケードを突破されると残るは悲惨な白兵戦となる。
スコップにナイフや銃剣、長剣が激しい音を立てぶつかり合う。
白兵戦に入ってから程なくして組織的抵抗は止み、体勢は決着しつつあった。
高機動車に乗り逃げた兵士はローブの兵士の炎の矢に吹き飛ばされ
監視塔に居た兵士もローブの兵士達に塔ごと破壊された。

島内の戦闘行動が終わったのは戦闘に入って5日後の出来事である。
島を埋めた死体の山は海岸線を赤く染めた。
戦闘でのキルレシオは1対30であり、
韓国軍は「一人残らず全滅する」といったファンタジー名世界にふさわしく非現実的な結果となった。
131 ◆8b20lCD.o. :2009/03/30(月) 20:06:57 ID:AppzAyPz
投下終了。さーて今回のお話は

武原総理かっこいー
中世の恐怖!人海戦術ウラー
韓国軍実験台ウマー
      でお送りしました

次回はたぶん補給の話
地雷についてはF世界で自衛隊員に死傷者が出る→許可の流れに持って行こうかと考えています
対人障害システムなどの遠隔操作型は一日中人が張り付いてないといけませんから
やっぱり従来型の地雷が欲しいなと思っています
132創る名無しに見る名無し:2009/03/30(月) 21:01:50 ID:VUnbKHrh
乙でした〜

やはり人海戦術には地雷源が有効なのかな?
133創る名無しに見る名無し:2009/03/30(月) 21:42:23 ID:6lMORceV
乙でしたー
>観測衛星、高町
ほんとに観測衛星ですか? 何かあったら「ちょっと頭冷やそうか・・・」と全力全壊の謎光線が降り注いだりw
134創る名無しに見る名無し:2009/03/30(月) 21:47:53 ID:0oLvOHg+
一列になってこられるとあんま有効じゃない
一回通った場所は(ほぼ)安全になる。
機関銃陣地と組み合わせるとかなり有効だと思うけど
135創る名無しに見る名無し:2009/03/30(月) 23:06:31 ID:Dg+/vNKZ
投下乙です。
流石に近代兵器も人海戦術の前にはきついか・・
136創る名無しに見る名無し:2009/03/30(月) 23:10:44 ID:UutuBId3
またF世界皆殺しか……
いいぞもっとやれ。



ところで、特科中隊に属するFO班を主役にして書こうかと思うんだけど、砲戦はさっぱりわからん。
さすがに砲の種類と撃ち方はWikiぺとようつべで何とかわかるけど、文章にするほど理解できないし……
誰か良い資料知りませんか?
137創る名無しに見る名無し:2009/03/30(月) 23:19:16 ID:Dg+/vNKZ
第二次大戦中の砲兵の日記でとても良い資料があったと思うが、タイトル忘れちまった。
軍板の民主党ですがスレで聞いたらたぶん答えがもらえると思う。
138創る名無しに見る名無し:2009/03/30(月) 23:37:55 ID:UutuBId3
まさか書き込めるとは……

まぁ、FOが主役だから、そこまで詳しくやる必要はないかもしれないけど。
今、手元にはマクナブとドハティの最新コンバット・バイブルぐらいしかなくて……
139創る名無しに見る名無し:2009/03/31(火) 15:44:30 ID:GJTm4Jik
>>125

伊製のテスタロッサと独製のヴォルケンがないな
意外と違和感がないが殆ど軍事衛星だ

こうゆう「チェンジ(富士のドラマ)」みたいなの好きです

しかし韓国軍を可哀想と思えない自分が悲しいな

どのみち韓国の所有する艦は内海用だから使いもんにはなりませんが......

せめて護衛艦は巡洋艦とフリゲートに分け空母生産を始めて欲しいわ

ひゅうが型にOHー1つけて戦わせるかな
陸軍大国韓国軍が負けたんですから
海洋大国日本としてはピンチの連続でしょうな

果たして日本は異世界の貿易大国になるか軍事帝国になるか
140創る名無しに見る名無し:2009/03/31(火) 17:36:05 ID:3cSybHyL
投下乙

些細な事だが日韓軍事同盟なんて
存在しねぇっていう突込みが作中に無かったのが
惜しいな
141創る名無しに見る名無し:2009/03/31(火) 17:44:26 ID:GJTm4Jik
>>140

対朝戦として結んだ可能性もあるのでは
衛星にあんな名前つけられる筈ないでしょう


保管時には防衛庁は省と記載して欲しい

142 ◆8b20lCD.o. :2009/04/01(水) 18:39:38 ID:OHMZC6Ys
激しい戦闘によって人員不足に陥り航行不能になったガレー船40隻をアンノウンが破壊
竹島駐屯地の一部の物資を持ち去り負傷者を収容し、戦闘終了数時間後から撤退を開始。
リュウキシに守られ西へと去った。

彼らが撤退した更に数時間。防疫部隊がヘリで島に到着した。
ヘリで待機する防疫部隊の中に鈴木も混じっていた。
所謂死体の跡片付けである。
本来、ガスマスクと防護服に身を固めた仰々しい防疫部隊が
このような死体処理といった雑役に駆り出される事はない。
彼らは毒ガステロや細菌テロなどの化学戦ために仕事を期待されている。
数年前の鳥インフルエンザ日本上陸の処理や、毒ガスサリン事件のような事態に備えている。
特性上重要度の高い作戦などに投入され、今回動員が掛かったのは
それだけこの島での戦闘が注目されているからということらしい。

戦争でばら撒かれたウイルスによって発生したミュータント達は
どんな未知のウイルスを持っているか判らないための措置であった。
143 ◆8b20lCD.o. :2009/04/01(水) 18:40:35 ID:OHMZC6Ys
「何が始まるんです?」
「第三次大戦だ」

そんなジョークが陸自内で流行っている。
数日前の通信遮断テロ以降陸自では、日本は何かと戦っているらしいと噂が流れていた。
何かとは宇宙人とも未来人とも超能力者とも言われ釈然としなかった。


キーンを音を引きつつ米軍基地から飛び立ったファントムが空を飛んでいる。
遠くには飛行機雲。
鈴木は食堂で大西さんと弁当を食べていた。

「それにしても他の課は忙しそうですね」

日替わり定職をだらだらと食べる。
補給科は外から物資が入らなくなって以来、仕事が減って暇だった。

「相変わらず普通科の皆さんは食べるのが速い」
「空自はもっと速いぞ。3交代のシフト整備。飯食って整備して寝る」
「連日スクランブルだそうですけど大変ですね」
「彼らに聞いたら企業秘密だとさ」
「ふーん?」

近頃自衛隊の様子が変だ。

空自は最近妙に発進回数が増えているし、空自倉庫の出入りが活発だ。
この間何を運んでいるのかと聞いたら20m機銃弾を運んでいた。
秘密だとニヤニヤしながら話してくれない。

「まったくだよ、チョー最悪だ。カンボジアが天国に思えるぜ」
「行ったことあんのか」
「ねぇよ」
「カバンにするぞ」

領空侵犯でも滅多に発砲しないのに
演習ぐらいでしか消費しない20mを頻繁に使うのは怪しい。

他にも不審な点はあった。海自である。
テロ以来厳戒態勢なのも理解できるし油の消費が多いのも道理だ。
物資の積み込みなども特に変な点はない。
この前久しぶりに陸に下りてきた海自の陸曹と話したら顔が真っ青だった。

「もっと笑いなよ」
「こうか?」(怖気を誘う笑み)
「ああ、もうちょっと練習が必要だね」

他の艦の陸曹や陸士も血の気が抜けた顔をしている。

陸自の鈴木としては面白くない。
一人だけハブられた気分だ。

そこで鈴木は調べてみることにした。

まあ、ようするに彼は仕事の暇を持て余していた訳であった。
144 ◆8b20lCD.o. :2009/04/01(水) 18:41:58 ID:OHMZC6Ys
今夜も仕事が終わる。
PXで通販の商品を受け取って、食堂で飯を食べ、寝る。
夜のシフトだと何処の店も閉まっているから困る。

「ようお疲れさん」
「お疲れ〜」
「お疲れ様」
「鈴木は?」
「まだ少し仕事が残っているってさ」

パラパラと書類を捲りパソコンと帳簿と合っているか確認する。

テロ以降、海外から安価な弾薬がはいってこなくなり
自衛隊の弾薬管理は一層厳重になった。
提出された帳簿全体の収支を見ると20m弾薬の僅かづつ数字が減っている。
空自倉庫の搬出記録から出庫記録までも不自然な点はない。
減った弾薬も輸送中に紛失したとある。
あるとすれば、頻繁に弾薬が移動されているからだろう。
これについては此処数週間何故か続いている戦闘待機によって
動かされたものであると考えられる。誤差の範囲と考えられた。
各倉庫の20m弾は普段通り、一発も使われず厳密に管理されている。

最初から疑って掛からなければ気付かない違和感。

そこで前に空自が搬出作業をしていた倉庫へ行ってみた。
弾薬倉庫の管理は他と違って多少厳しい。

「よーう!鈴木!おまえはいっつも忙しいなあ!」
倉庫番の慎吾陸曹だった。彼も夜勤明けらしい。

「ははは、抜き打ちの査察ですよ。これお土産です」
売店で買ったケーキを渡す。
「助かる。仕事の後は甘いもの食いたくなるからな。たまには手を抜けよ」
「慎さんは抜きすぎです」
「シフト変わるから早くしてくれ」
「はいはい。わかっていますって」

倉庫の弾薬箱の数を確認する。
高く積みあがるコンテナ、一区画に空きがあった。

「輸送中に紛失した弾を探してる?」
「何処の区間で紛失したかはっきりさせておかないと書類に書けません」
「それで現場を順に当たってると?夜遅くに・・・はあ明日にすればいいのに」
「思い立ったら吉日ですよ。会計を見せていただけますか」

各段階の会計を調べると、弾の紛失届けは出ていなかった。
最後の段階で、弾を紛失したと付け加えたことになる。

それが出来る権限を持った人物。
最終チェックが出来る人物。書類が上がると誰に出すか?
大抵、監査部か上司の杉谷に送られる。その上は連隊参謀、佐官達だ。
そして帳簿以外にも出庫記録や搬出記録に気を配れ自然なよう、帳簿を弄れる人物。
145創る名無しに見る名無し:2009/04/01(水) 18:43:43 ID:OHMZC6Ys
鈴木は杉谷を問い正した。
「海自と空自、彼らは「何か」隠していますね?」
「それは戦闘に関することです」

単刀直入に言ってやった。
外れたら赤っ恥だ。
正義感で問いただすなんて我ながら恥ずかしいことしてるなと思う。

「どうして、思うんだい」

杉谷はゆっくりと聞き返した。
良い兆候だ。電波扱いされたらどうしようかと思ったところだ。
「見てください。これは空自の機銃に使う20m砲の弾です」

胸ポケットから数枚の写真を取り出す。
「それが入っている倉庫の弾薬棚の写真です」
「これがどうかしたのか?」
「そしてこれが帳簿の記載です。
帳簿の通りなら30ケースが此処にあるはずです。箱が足りませんね」

顔色一つ変わらない。
「間違えて何処かに搬送されたのかもしれん。搬送記録は調べたのか?」
「調べるまでもありません。使ったものはないんですから」
「無いものを証明できるのか」
「はい。使ったと同じ分だけ空薬莢の数が増えています」

彼の眉がピクリと動いた。
「パイロットが間違えて引き絞ったのかもしれん。戦闘機の機銃は数秒でなくなるよ」
「10日の間に十回も間違えて引き絞るパイロットなどいません。油の消費も多い」

杉谷は両手を上げて降参のポーズをとる。
「参ったよ。タネを教えてくれ。空薬莢は書き換えたはずだが」
「不審に思ったきっかけは偵察機の燃費、消費が激しすぎたんです」
決め手は現場の空薬莢の数を書いた写しでした」

「次は杉谷さんが話す番です」
146創る名無しに見る名無し:2009/04/01(水) 18:44:40 ID:OHMZC6Ys
「君の話す通り、自衛隊は謎の勢力と戦っている」
「まるでB級映画ですね」
「私もそう思う。我々は正体不明の敵をそのままアンノウと呼んでいる」
杉谷は胸ポケットからタバコを取り出し火を付けた。
カチッと音がし紫煙が立ち昇る。

「ライダーにそんな名前の勢力いましたっけ」
オルフェノクはデザインが良かった。
「現実はもっと奇妙だぞ。海の向こうじゃ細菌戦争が勃発してミュータントがたくさん産まれたらしい。
通信が途切れたのもそのせいだというのが上層部の見解のようだ。
平成ライダーはどうも好かん。ライドしてない」

「どうして黙ってたんです?」
「余りに異常な事態のため、社会に混乱が起こるからだそうだ。
と言っても空自と海自の一部の現場は知ってるけどな。近い内に大々的な発表があるらしい」

知らぬは陸自ばかりなりか。

「さて、謎を解いた君に耳寄りな情報がある」
杉谷は満面の笑みを浮かべる。ある格闘家は言った、笑顔は威嚇であると。

「断ったら?」
「おめでとう、同士鈴木。シベリアバシリに栄転させたいことだ・・・が」
「生憎ウチの課は人手不足だ。代わりに倉庫の肥やしになってもらうよ」
「聞きましょう」
杉谷はフーッと胸いっぱいに吸い込んだ煙を吐き出した。

「いったね?聞いたら軍機だよ?」
「断ると営巣入り。だったら聞きます。調べた甲斐もありませんし」
「君の話したとおり数日前から領空侵犯が多発し、空自の防衛出動が出ている」
竹島で韓国軍とアンノウンとの大規模な戦闘が発生。島に居た軍は一人残らず殲滅された。
その際自衛隊は戦闘行動を開始せず、敵戦力の観測までに留めている」
「敵戦力の分析のためウチの課から一人派遣されることになっていた。
本来は分析官や情報参謀の仕事なんだが、アンノウの分析に様々な専門家が必要らしい」

「そこでだ。君に仕事を与える」
147創る名無しに見る名無し:2009/04/01(水) 18:46:12 ID:OHMZC6Ys
「うわっ、これは酷い」

防疫部隊のヘリから降りると胃から酸っぱいものが込み上げた。
杉谷が押し付けたのもも理解できる。
島を埋め尽くす赤とピンクと白のマーブル模様。
見渡す限り死体で埋め尽くされている。

約0.21平方キロの狭い島の中に
約300名の韓国兵と約9000名のアンノウの死体が詰め込まれているのである。
地上は隙間無く寿司詰め死体で埋まっており、比較的死体が少ない場所を選んでヘリは着陸した。
無意味な作戦で命を落としたアンノウへ心の中で手を合わせる。

最初の戦闘開始から6日後。
死体の所々に白い線が目立つ。
蝿がたかり蛆が孵化し始めているのだ。
喉まで出掛かった胃液を飲み込む。
酸っぱくて涙が出た。

鈴木は防護服を着ていた。
服は全身真っ白の密閉された雨カッパに近い。
顔のには黒いゴム製で出来た自己主張の激しいガスマスクを付けている。
防護服は完全に密閉されていて、数メートル走っただけで目の前が曇る。
汗で服の中に結露が出来るておまけに脱ぎにくい。

「うぷ」
死体の山を見た直後、隣に居た防護服がテントに向かって全力疾走を始める。
テントで吐くのだ。防護服を外で取るわけにはいけない。

「大丈夫か?一度全部吐いた方が楽になるぞ?」シュコーッシュコーッ

ベイダー卿の呼吸音を立てながら
防疫隊員が話しかけてきた。胸の名札に「金田」と書いてある。
「俺も何度か仕事してるがこんなにヤバイのは初めて見る。
サリンも酷かったがこいつらはモツが出ちまってる」

地面には剣で袈裟懸けされ腹を斬られた韓国軍や
肉切り包丁(ミニミニ)で肉を吹き飛ばされた死体が転がっている。
金田はコンコンと手元のマスクを触った。

「マスクしていて良かったな。7月の昼間だと外の臭いが酷い」
「吐きに戻った連中は死臭でまた吐くことになるだろうさ。
ゲロの臭いも死体の酢っぱさも大して変わらん」


倒れた死体達は死斑が全身を廻り赤やピンクになっている。
まるで風呂に入ったばかりの茹蛸のようでリアリティに欠けた。
倒れた死体を棒で突く。
付いた所が白くなったまま痕が付いた。
148創る名無しに見る名無し:2009/04/01(水) 18:46:59 ID:OHMZC6Ys
偶に黴のような緑の痣が付いた死体が居てゾンビみたいだなと思った。
ゲームのゾンビと違うところは肌が腫れぼったくて真っ白ではないところか。
腹がパンパンになった死体があった。

「中途半端に古い死体になると、失禁してるから服を脱がすのが面倒だ」

大小どちらが失禁するかは聞かないでおいた。
金田さんに聞いてみると死体のなかのガスで膨らんでいるそうだ。
48時間を過ぎた死体も多いので腐敗が始まっているものがかなり多いのだとか。

死体を見ていると年甲斐になくあんな死に方はしたくないな。
ベッドで安らかに死にたいと思ってしまった。

「うぉ」
赤を通り越して紫の網が全身に広がった死体の山。
血管が浮き出て気持ち悪い。気持ち悪すぎる。
どの死体も目が見開かれ黄色く濁り、中には目玉に卵を産みつける虫も居て嫌だもう見たくない。

キャンプに戻ると金田さんが無造作に死体を袋詰めしていた。
二人一組で並べた死体を右から左へと順に入れていく。
死体はげんなりしていて色も手伝っい蛸みたいだった。

「死体は死んだら硬くなるんじゃないんですか」
「死後硬直ね。ある程度たつと柔らかくなる」
「どうしてです?」
「体のタンパク質の結合が解けてね。柔らかくなるのさ」
「肉の熟成ですね」
「似たようなものだ」

聞いたことがある。
殺した直後の牛の肉は死後硬直で硬くて食べられない。
寝かすことで肉の緊張が解け中のタンパク質が分解され旨みが増す。
自分達が食べている肉はそうやって熟成されたものなのだと。
だから厳密な意味で新鮮な肉というものは食べてないのだ。
現地で狩をして食べた肉と加工された肉は味が違うとも。

「敵の死体を袋詰めするんですか?」
「まあな。状態の良いものだけだ。あとは身なりの良い者偉そうな者と兵士のサンプルを複数。
残りは集めて焼却処分だ。指と遺品を取った後で韓国兵もまとめて焼却する。
HMDとモニタカメラは回収だな。戦闘ログを確認するんだそうだ」
「帰りのヘリは死体で一杯ですね」
あの死体の山を見た後ではげんなりする。
本当は死体の一つまで回収するのが通例だが、多過ぎる。
6300名の死体を運ぶ必要が出る。それも疫病持ちかもしれないものをだ。
許可は下りなかった。

「お偉いさんが解剖したいんだとよ。検死でもするんだろ」
「まるでエイリアンですね」
ホルマリン漬けにでもするんじゃなかろうか。
「俺は袋詰めしてるから見学してきたらどうだ。見てて楽しいものじゃないが」
149創る名無しに見る名無し:2009/04/01(水) 18:47:53 ID:OHMZC6Ys
おおっと死体を検分する仕事を忘れていた。後で報告書に響くな。
「ケースに入れた死体見てもいいですか?」
「いいけどずらすなよ」

袋のジッパーを開けて中を見る。
比較的綺麗な死体を集めたとあって、見て吐きたくなるような物は入っていない。
ライフルで胸を撃たれ射殺又は失血死したものが中心で、服を着たまま入っていた。

「綺麗だろ?コレ死んでるんだぜ」
「エルフみたいですね」
アンノウの姿は人間に近い、と言うか人間そのものでヨーロッパ系の顔立ちに近い。
ヨーロッパの何処の国かは判らない。
欧米人が日本人と中国人を見た目で判断できないのと同じだ。

姿も中世ヨーロッパ風に近い、軽鎧が中心で具足も付けている。
剣や鎧は緻密な造型と刻印が刻み込まれていて美しい。
鎧の型は幾種類かに揃っていて、何種類かの人種?に判れている。
耳の長いエルフっぽいもの、人間っぽいもの、小さな人間っぽいものだ。
武具は長弓と短弓が中心で他は護身用のナイフや長剣、水袋や携帯食といったものがある。
階級に従ってランク付けがあるようで武具や装飾品に差がある。

「黄色くて歯がボロボロ、髪質も良くない、肌も垢が溜まってます。
干し肉と魚が中心では体調も崩しますね。歯ブラシが出回ってないのでしょうか」
人間っぽいものと小さな人間は全体的に健康状態が余りよくなかったようである。
大雑把に言えば中世ファンタジーの住人をそのまま持ってきた姿であった。

兵士の他に高級仕官達の死体があった。
刺繍の入ったローブを着た魔道士風の男女達。エルフ風の者が多い。

「なんでこいつ等は美形ぞろいなんだ」
「さあ?エルフだからでしょ」
一般兵に限っては男性ばかりなのだが高級仕官?に限っては多くの女性も居る。
細かい紋様の入った杖を携帯し、護身武器は短剣のみ。
鎧も質の良いものが揃っている。
生存性を考慮してか手足も覆う鎧を着けていた。
150創る名無しに見る名無し:2009/04/01(水) 18:49:24 ID:OHMZC6Ys
アンノウを迎え討った韓国軍の装備はそれなりに充足したものであるようだ。
スターライトにノクトビジョン完備、脇や股間を守る新型ボディアーマに
小銃の照準も良いものが割り当てられている。
無線機内蔵型イヤホン、ミニミニ5台に他固定銃座数台(爆撃されて原形を留めていない)
対戦車装備は少ない。これは島の特性上仕方のないことだろう。

死体には長剣で付けられた裂傷、自決、重度の火傷、上から槍で貫かれた貫通傷のどれかが付いていた。
弾薬備蓄は底を付いており、緒戦でリュウキシ相手に派手に弾を使ったと考えられる。
アンノウの死体にはミンチになったものは少ない。殆どが原型を保ったまま射殺されているからだ。
他には携帯型の迫撃砲が2台見つかっている(隣の弾薬に誘爆したため2台とも破壊)
近年海空に力を入れていた軍にしては恵まれた部隊といえた。
装備は一線級、政治的プロパガンダ用に配置された部隊としては適当といえるだろう。
自衛隊も同程度の装備であり、同じ状況になったら敗走する可能性があると考えられた。

「おーい!そこ!地雷が埋まっているから戻って来い!」

勝手に地雷埋めんな。
処理が大変だろうが。


「おおおおおっ!」シュコーッ
「でけぇぇぇぇっ!」シュウ、シコーッ
「UMAだ!」シュコーッ
ガスマスク越しでくぐもった歓声が上がる。
駐車しているヘリの近く、
ブルーシートが掛かった巨大な膨らみの周囲に人だかりが出来ている。
背中に鞍と鐙が取り付けられた体長6mの竜・・・としか形容できない死骸。
畳んだ翼を広げると10mは下らない。
体の傷には小銃によるものとミニミニによって粉砕されたものがあり
小銃は何発も傷を受けている所を見ると火力不足であったようだ。
牙は鋭く尖っていて肉食を伺わせる。

詳しく調べようとするとものものしい装備を持った防護服がやって来た。
防疫部隊と所属が違うらしい。
私達は蜘蛛の子を散らすように追い払われてしまった。
151創る名無しに見る名無し:2009/04/01(水) 18:50:10 ID:OHMZC6Ys
しばらく経ってアンノウが乗って来た船を調べる許可が出た。
彼らの撤退時破壊しきれれなかった船でかつ損傷が少ないものである。
ハンディカメラを持って中へ入る。

「ベン・ハーかよ」
「カリブの海賊だろ」
「ワンピース…」
「「それはない」」
信じられないことに木で出来たガレー船(オールの付いた巨大な帆船)である。
彼らの武具と同じく船体にも美しい紋様が彫られており
船首には鉄帯で補強された衝角が装備されていて3つの大きな帆が張られている。
見た目は海王丸のような帆が張られた船と呼ぶべきだろうか。
映画で見る海賊船のイメージ、17世紀のフリゲート艦に近い。

「こいつ等貴族なのか」
「別に珍しいことでもない。昔、兵役は貴族のものだっただろ」
「19世紀までは高価なものを扱う海軍は特にその傾向が強かった」
「そういや漫画でも海軍が良いもの着てたりするな。司令も偉そうなのが多いわ」
甲板で目に付いたのは異彩な装飾がされたロープと石弓だ。
使い捨ての物にまで意匠を凝らすとは洒落ている。
長弓が主力のようで、多数の弓と矢が置いてある。
火薬技術は進んでいないようであり大砲らしいものはない。
大きなバリスタと紋様が彫られた弓があるだけである。

「ファンタジーっぽいよな。装飾とか凝ってるよ」
「専門の彫金士が居るんだろ。映画のセットで何億円するんだろうな」
「お前等、外の死体の山忘れてるだろ」
紋様は船内にまで及んでおり主要な柱などに装飾されていた。
それにしてもこの紋様、宗教やまじない的な意味でもあるのだろうか。
現代の視点から見ると無駄が多い。

「この紋様で火を付けるのか?」
「火打石?」
「魔法の石じゃね?」
「「「まさかあ!」」」」
「「「は?」」」」
船の台所では注目するものが多かった。
まず、薪に類するものがない。食料は干し魚や肉が中心で野菜は少なく調味料も余りない。
水は瓶の中に入っていて、食器も陶器で出来ている。
特筆すべきは船の中になんと氷庫!があって野菜などが入っていた。
野菜を保存する適切な温度が守られていないようでリンゴやジャガイモの一部は傷んでいた。

「漫画のファンタジーじゃ、きれいな生活してるよな」
「俺達ですら一週間に数回しか海水風呂入れないのに」
「中世ヨーロッパなんて汚かいものの筆頭だったのになあ。江戸の方がマシだったそうだ」
船の駆動部、櫂で漕ぐ船員が居る部屋は意外と清潔である。
拘束具や類するものは見られず、ベン・ハーのような奴隷が船員ではないのだろう。
槍や剣が立て掛けられている。
登場員数は座席数からすると200〜250人、排出量とトン数を計るには知識が足りなかった。

「生きてるな?撤退するぞ」
「しっかりしろ。肩を貸してやるから」
「目がめがぁぁぁっ。見えるけどプルトニウム直視しちまった!」
船底には青緑の光、チェレンコフ光に類似したものを発する石が置いてあり
詳しい調査は危険と判断。後続の調査団に任せることとした。

後に出された報告書によると
直視した彼は幸い、放射線反応は見られないということであった。
第一次戦場調査団は無事に終了した。
152創る名無しに見る名無し:2009/04/01(水) 20:04:10 ID:OHMZC6Ys
投下終了
他の方は戦闘に関連したSSを書いていらっしゃるようなので
私は後方支援と補給に焦点を当てて書いていこうと考えています
兵器や戦術などについて余り詳しくありませんので
足りない所は脳内補足や妄想補完していただけたりすると助かります

衛星はひまわりがあるため花繋がりでサクラ大戦かしんちゃんにするかで迷いましたが
結局某作品にしました。ぼかして書いたのに見破られるとは思いませんでした
あと作中で気象庁が観測衛星と呼んでいるのは建前ということにして下さい
その場には五月蝿い野党幹部の文部大臣が居たので軍事衛星と呼ぶのは避けました
作中でも日韓軍事同盟は結ばれていません次回で詳しく書けると思います

高町を軍事衛星と呼ぶと宇宙からエクセリオンバスター撃ちそうでなんか嫌w
153創る名無しに見る名無し:2009/04/01(水) 20:41:37 ID:dPDu+6dI
「レーザー攻撃衛星『えくせりおん』発射準備完了」
「目標、敵編隊! 発射準備!」

「なんでこんな名前なんだ?」
「アニヲタの前首相が付けた」
154創る名無しに見る名無し:2009/04/01(水) 21:39:43 ID:RNHKhFrG
たしかにここは軍板ではないのだが、住人の大部分は軍板から移行してきているだろうし、もし堂々と考証を無視すると言って続けられると、諍いが起こるのは避けられないと思う。
8b20lCD.o.氏に限らないが、(>>141のような)誤字脱字や、明らかな考証間違いを指摘された場合、Wikiにまとめる場合は、修正して再投稿するのか、自分でWikiにあげるか、そうでない場合はWikiにあげる人が勝手に直してもいいのかどうか明言してほしい。

投下乙
155創る名無しに見る名無し:2009/04/01(水) 21:50:19 ID:obhhUj6Y
軍板でもないのに突っ込みたかないが、ミニミニじゃなくミニミ(MINIMI)じゃなかったかしら
とりあえずおつ
156創る名無しに見る名無し:2009/04/01(水) 22:10:31 ID:mEH87GrT
投下乙です。
元のスレは軍板発祥だから突っ込みは躊躇わなくていいとおもふ。

ああ、貴重なエルフが・・・
157創る名無しに見る名無し:2009/04/01(水) 23:11:48 ID:25e8k+rG
フリゲート(FF・DE)だけでいい

戦艦艦とかDDG艦とかは言わんように

アンノウンネたがいい味だしてます。
九州や中国のオタクはもう自宅調査に入ってるのでは

わしらみたいに

158創る名無しに見る名無し:2009/04/02(木) 05:38:31 ID:C1efUreV
対馬より先に竹島が襲われたって事は竹島沖に陸地が有るんでしょうか?
159創る名無しに見る名無し:2009/04/02(木) 09:01:43 ID:wT46hCB4
地図があると分かりやすいんですが……
160創る名無しに見る名無し:2009/04/02(木) 12:54:40 ID:/DVcEmpF
一隻の海賊船がたまたま遭遇したのでなく
40隻の船団が上陸戦(しかも空軍たるリュウキシも付属)だから
相手を怒らす何かを竹島駐留軍がしでかした、と見るのが妥当な線

推量で言うことが許されるなら
貴族の乗る竜を無警告で撃ち落としたとかな
161創る名無しに見る名無し:2009/04/02(木) 15:32:02 ID:wT46hCB4
政府機関所属の測量船拿捕を政府ぐるみで画策するような連中だ。
本国と連絡が取れない不法占領部隊がパニック状態に陥ればリュウキシ撃墜ぐらいはやりかねん。
162創る名無しに見る名無し:2009/04/02(木) 22:17:35 ID:6CN2KWSH
画策って、外交としてパフォーマンスをしただけじゃねーの?
米辺りなら宣戦布告の理由にもなりかねん程の行動だし、流石に実行前に止めると思う。
163創る名無しに見る名無し:2009/04/02(木) 23:13:52 ID:AJ1lxFVw
パフォーマンスどころか駐留してるし
164創る名無しに見る名無し:2009/04/03(金) 00:04:26 ID:mez74bpH
日本の漁船を拿捕するのと同じ感覚でF世界の船を襲って報復食らっただけかもしれんがな
165創る名無しに見る名無し:2009/04/03(金) 05:02:16 ID:bNgIEHJ/
それでF世界にとっては日本と韓国の違いはどうでも良かったりな
166創る名無しに見る名無し:2009/04/03(金) 06:02:42 ID:mez74bpH
日本政府に賠償しろ!賠償金払え!って来るわけですね、分かりません。
167創る名無しに見る名無し:2009/04/03(金) 22:53:15 ID:igs8bJpI
外務省「ふざけるな! 韓国人と一緒にするとは!!!」
『なんだ? いきなり切れたぞ?』
『ワケがわからん・・・』
168創る名無しに見る名無し:2009/04/04(土) 16:23:48 ID:9q+Qnagk

 DD『さざなみ』が童貞卒業

 アフリカ・ソマリア沖で海賊対策の任務に就いている海上自衛隊の護衛艦が、
外国船から助けを求められ、接近してくる不審船を、大音響を発する特殊な
装置を使って追い払っていたことがわかりました。派遣部隊が現場海域で
不審船に対処したのは、これが初めてです。

http://www3.nhk.or.jp/news/t10015182211000.html

 
http://www.youtube.com/watch?v=yZwciHrSKwA

 これはエルフや獣人 感覚のいいやつは安全に倒せる


169 ◆8b20lCD.o. :2009/04/04(土) 23:05:50 ID:bERZ6uNL
連日総理官邸で会議が開かれている。
会議を取り仕切るのはこの60を過ぎた総理、武原秀雄の役割だ。
事件から2週間の間に事態は慌しく動き、国会は紛糾し機能不全に陥っている。
内政を立て直すために事件直後に閣僚を呼び出し、いち早く主導権を掌握して官僚を押さえ
国会を通さず政治官僚達へ直接指示する独裁に近い形で
一手に支持と情報収集を行っていた。

日々押しかける訪問者達と話し合い、山と積み上げられる書類全てに目を通し、
腱鞘炎になるほどサインを書き込み、他の大臣や関係省庁へ指示を出す。

そんな毎日。

日本の異世界への強制転移、侵略してきた謎の軍隊、国内の備蓄、メディアへの対応。
解決しなくてはならない問題は多すぎ、回答までの時間は余りにも少ない。

その日の夜遅くに届けられた書類は各種省庁からもたらされた報告であった。
武原は書類を読み終えると肩を落とし、紙も床に落とし、髪も落とした。

「このままでは日本国民は餓死するか」
「それとも凍死の方が早いか」

日本の石油備蓄は3ヵ月、食料備蓄は4ヶ月、鉱石,粗銅及び地金は5ヶ月先までしか持たず
燐などの化学肥料やゴム。アルミニウムといった各種のレアメタルは致命的に足りない。
休眠させていた原発の再起動や、比較的進んでいるとされる
資源回収や再利用、流用を用いても各備蓄は2ヶ月と伸びないと考えられている。

「足りぬ足りぬは工夫が足りぬ」
第二次世界大戦中流行った言葉だ。
でも武原は声を大にして言いたい。

足りないものは足りないのだと。
170 ◆8b20lCD.o. :2009/04/04(土) 23:07:18 ID:bERZ6uNL
一時期持て囃されたメタン採掘やバイオエタノールも検討されたが
前者は研究中であり設備も整っておらず、後者は出来ても材料がないか少なすぎ
製造に時間が掛かるといった有様である。
マスコミへ正確な情報を流すことが出来ないほどに泥沼であった。

「先は暗いか」

そうつぶやき、何の気なしに壁に立て掛けられた日本地図を見て
顔色が変わった。

懐から携帯を取り出し耳に当てて目を細める。
それは変わってしまった国と経済水域。
最初に竹島へ目線が移動し
北海道、千島、旧中国国境線と移る。

「悪い時期に総理になってしまいましたね」
「ああ、全くだ」

無意識に言葉を返す。
憔悴のせいで部屋に人が入ってきたのに気づかなかったらしい。

「死んでから休んでください」
「手厳しいな」
「相手がいなくなって初めて解決する問題もあるか。パンドラの箱だな」
171 ◆8b20lCD.o. :2009/04/04(土) 23:08:33 ID:bERZ6uNL
振り返ってみると今回の竹島襲撃事件が発生したのは些細なミスの積み重ねによって
起こったものと考えられる。

当時政府は日本周囲の地形を既に確認していたのだが
情報統制のため「通常通り」の警戒態勢を敷いていたのが仇になった。
パニック防止のため、自衛隊には旧来での範囲と「旧世界地図に対応した軍の展開」
に留めさせていたがために竹島周囲の巡回ルートに穴が開いていたのである。

テロ事件後も韓国駐留軍に連絡を試みるのは遅かった。
当時日本本土は混乱しており竹島駐留軍を相手にする暇がなかった為だ。
韓国軍自体も祖国と連絡が取れなくなったのは日本のせいであると考えていて厳戒態勢を取っていたこと。
韓国軍による疑心暗鬼がバッサン王軍9000名死亡の悲劇を産んでしまった。

偵察機により正体不明の大船団が発見された後も対応が悪かった。
議会内でも対応が二つに割れた。つまりは様子見か即攻撃か。

通信妨害のパニックが終わると同時に日本海側に現れた150隻を超える大船団。
対応に答えあぐね経済水域に入った時点で使者を出そうと考えていた日本政府。

20■■年7月3日、謎の大船団から飛び立った竜に酷似した謎の生物は竹島上空で撃墜された。
竹島に配備された約300名のヘルメットを被り小銃を構え迷彩服を着た、警察官の対空機関砲によって。

直後船団は行動を開始、竹島へ上陸を始め。7月8日の戦闘終了後占領せず撤退した。

『武原秀雄回顧録』より抜粋
172 ◆8b20lCD.o. :2009/04/04(土) 23:09:21 ID:bERZ6uNL
武原は手元の報告書を読んだ。
「竹島での戦闘が終了したか。もっと速く奴らに気づければ互いに良かったのだがな」
「戦闘中に竹島駐留軍は日韓同盟に基づく支援を要求、ねぇ。
両国はアメリカに対しての同盟は結んでいたのだが、日韓同盟などは存在しないと理解しているだろうか」
「日中の架け橋だぁ?寝言いってんじゃないよ。どちらに付くか不明な相手ほど厄介な相手はいない」
「今後は国内に潜伏する外国人の対処も考えないといけないか」
大量の溜息と共に幸せが逃げていった。

「報告書によると、奴らは通信テロ直後に日本近海に150隻を超える船団で現れ、
韓国軍が島上空を通過しようとする未確認飛行物体を撃墜後、突如3万名の軍隊を率いて侵攻、
何の軍事的価値の無い竹島を襲撃し、韓国軍を一人残らず殺戮、占領せず撤退した」
「通常ならこれは宣戦布告と見なされる訳だが、彼らなりの理由があるはずだ。予想できるか?」

武原は秘書の原に問うた。

「いいえ判りません。文化や価値観が同じとは限りませんから。
しかし自分達が彼らの立場の際に取る行動でしたら理解できます」

原は少し考えて答える。

「例えば、あなたがアメリカ合衆国の大統領だったとする。
ある日突然宇宙から巨大な船がやってきてホワイトハウス上空に陣取る。
あなたはそこで友好か敵対か迫られることになった。どうしますか?」
「ようこそ宇宙人と書かれたプラカードを持ってビルの屋上に上るつもりはないな。
極太レーザーで撃たれても困る。かといって軍をださんわけにもいかん。
いきなり総攻撃を掛けるのも論外だ」

「おっしゃるとおりです。一方的な敵対も友好も外交において好ましくありません」
「軍を上げて使者や通信を送る。敵対されたらいつでも攻撃を掛けられるようにするか。
攻撃は最初から全力でだ。一瞬で勝負を付ける。反撃されたらたまったものじゃない。
謎の超文明と戦争するのはリスクが大き過ぎるからな」

とそこまで言って

「まいったな。俺達は宇宙人か」

武原は苦い顔をした。
173 ◆8b20lCD.o. :2009/04/04(土) 23:10:11 ID:bERZ6uNL
「この戦闘を教訓に自衛隊の配置を見直すべきかもしれないな。
詳しいことは理解できんから簡単でいい」

武原は防衛大臣の浜口を呼び出していた。
大臣を直接呼び出したのは異世界に日本が召還されてしまった件を国民へ隠すため
知る者は少ない方がいいとする防諜上の理由と書類上の問題である。
本来防諜は内調が行うのだが今彼らは別の仕事に集中している。
書類から事情を読み取ることも出来るのだが偽装の関係もあって、
実際に会って口で伝えた方がはやいこともあった。
事態が事態だけに知るべきことが数多くあり口頭での報告を選んだのである。

「韓国軍の竹島戦後、対露西亜を想定した形で上陸阻止を目的に
日本海を中心とした形で艦が配置されています。
目標にあたる港などが存在していないために相手国の港湾封鎖などは行われていません。
機雷の散布も行われておらず、疎開や避難も行われていません。
他の海上保安庁などと協力し港湾を封鎖、また民間空港は全便欠航となっています」
174 ◆8b20lCD.o. :2009/04/04(土) 23:11:30 ID:bERZ6uNL
「世界地図を出してくれ。位置関係がはっきりせん」

原が部屋の隅に置かれている衛星写真を縮小した地図を取り出し
浜口が指を指し示しながら説明する。
「召還後の世界は地形が大きく変わりました。召還前の世界地図を見てください」
召還前の世界地図の北と南をひっくりかえし、南にロシア、カナダ、グリーンランドを置いて
オーストリアをアメリカ近くの太平洋沖に移動させる、そのオーストラリアの下部分に
もとの通り北を上にした日本が召還されています。
無理やり召還前の土地と大まかに比較するならこのような違いがあります」

「召還前の地図と類似点を見つける方が難しいな」
地図を前に唸る。

「召還された日本は幸運にも緯度や経度は大きく変わりません。
気象庁の報告によると周囲の大陸や海域が違うにもかかわらず
気候などの召還前の世界との隔たりは余り無いものと予想されています。
もっとも、余りアテにはなりませんが」
「そうか」
武原は頷きながらメモを取った。

「緯度経度は旧来の地図基準だそうです。
国土地理院の担当が久々の大きな仕事でやたらテンションが高かったのを覚えています」
「此れだけ情報が用意できたのも内調の面々のお陰です。
衛星の軌道を変える大仕事を観測と同時にやり遂げたんですから」

「官僚達や組織そのものは優秀だな。私達を除いて」
「君達はやるべきものをやり遂げているのに国会は責任問題と政権争いの場だよ」
「私達には見たくないものは見えないらしい」
武原は自嘲気味に笑った。
浜口が押し黙ると武原は言葉を続けた。

「良かったな。無事四季が迎えられる。少しでも北や南寄りだったら農作物は全滅だ」
「今後の防衛省の予定は?」
「日本の上にあるオーストラリア大陸の警戒と沖縄近くにあるアメリカ大陸の警戒が主で
目下の課題はオーストラリア方面からやって来た船団の対処ですかね。
アメリカ方面は特に何も変化はありません」

「情報封鎖は進んでいるかな」
「現時点で異世界の大陸について知っているのは、
北海道の千歳、青森の三沢、大湊、京都の経ヶ岬の一部の隊のみです。あとは一部の役人。
海では部隊が中国が消滅しているのを発見し北方領土の北に新しい大陸を見つけているでしょうね」
175 ◆8b20lCD.o. :2009/04/04(土) 23:12:16 ID:bERZ6uNL
「艦隊を派遣してきた潜在敵国は何処か判るかね」
「現在哨戒機や早期警戒機が偵察しています。
予想ではオーストラリア大陸の下部、
現代のダーウィンに近い地域から船出したものと考えられています。
都市の規模としては30万人もいないそうです。本拠が別にあるのでしょうね」
なるほどと武原は考えた。
30万人で3万人の兵士は養いきれまい。
彼らの首都が別に何処かにあるのかも知れない。
都市間の連合国家や近代的な政治形態を取っているのかも知れなかった。

「それにしても3万人は少ないな。君はどう思う?」
「現代の基準から考えればそうですが、中世レベルの文明、彼らの文明にしては十分な数かと」
「なるほどな」
陸戦では古来から大量の人員が動いているが、
海上戦闘になると実際に動く人員は驚くほど少ない。
元々、船とは高価なものであるし、動かせる人員も限られているからである。
むしろ150隻を超える船を用意できたことに驚くべきなのだと浜口は語った。

「他、哨戒機からも巨大生物を確認したとの報告が」
「巨大な海蛇やクラーケンでも出たかね」
「モケーレ・ムベンベとニンゲンです」
「ロバート・ムガベ?」
「モケーレムベンベは身長5mの首長竜、ニンゲンは全長数十メートルで全身真っ白の人魚です」
「頭が痛い」
一体この世界の生態系はどうなっているのか。

「他の新情報としては」

武原は冗談めかして聞いた。
「敵は魔法でも使うか?」

「仰るとおりです。報告している私も信じられませんが」
「もう嫌」

中世に海賊船に魔法使い。おまけに竜にモンスター。
エルフとドワーフが出てくれば完璧だな。
どれだけファンタジーなんだよこいつらは。
重なる激務と相次ぐ報告に武原は倒れこんだ。

「総理ーーー!」
「医者を呼べーーーーー!」
176 ◆8b20lCD.o. :2009/04/04(土) 23:13:02 ID:bERZ6uNL
夜、武原は疲れていた。
シャワーを浴びた後、睡眠薬を飲み、薬が効いてくるまで待つまでの間。

「非常事態宣言は既に出してしまったからな。
外出禁止令、物資統制令も出した。自衛隊の迅速な行動を国民に示してアピールも見せた。
北の油田と南のガス田についても部隊を派遣し接収も開始した。
北海道の油田の存在誇示と産油量を増やして国内に一応の安定を得させることもできた。
原油精製プラントについても稼動準備をさせている。
精製量は足りんが全く無いよりもかなりマシだ。心理的余裕が違う。
数年以内に新しい油田を見つけねばいけないか」

ベッドでひとりブツブツ喋る。
奇怪この上ないが、これが彼流のストレス解消法であった。

ただの愚痴、ただのひとりごとタイムだ。
最近は愚痴が増えて、一言二言で済んでいたのがストレスで時間が伸びている。

「事件から2週間で手を打ったにしては上出来だろ?」
「・・・だが・・・やったところで誰も褒めてくれんがな。野党議員に叩かれるのが関の山か」
「次は食料備蓄か」
「先が見えんよ」
「はあ・・・・・・」

武原秀雄の憂鬱は続く。
177創る名無しに見る名無し:2009/04/04(土) 23:14:05 ID:bERZ6uNL
突っ込みは歓迎しています
誤字脱字については自由に直して頂いても結構です
現時点ではwikiに掲載する予定はありません

現実や考証違いをあとで纏めてヒストリカルノートとして付け加えられたらいいなと思っています
作中にはあえてやっているありえない展開や(都合の良い架空で複数の偵察衛星が残っているなど)
話の展開上ぼかしている点(日付や位置関係)もあります
あとがきはトラブルを呼ぶようなのでこれからは控えます
178創る名無しに見る名無し:2009/04/04(土) 23:38:53 ID:/SVXSyLO
GJです。
できればF世界側の描写が欲しいな。
179創る名無しに見る名無し:2009/04/05(日) 00:19:05 ID:V8BfUQpv
召還じゃなくて召喚だと思う。
情報統制しても星の位置とかで分かりそうなもんだけど、平行世界の地球っぽいから同じなのかな?
っていうか、例え明確な証拠がなくても、ネットでは異世界転移だって言ってるやつが結構いそう。
そうなったらマスコミも少しは喰いつくだろうし、大手はともかく週刊誌とかまで統制できるのか?
180創る名無しに見る名無し:2009/04/05(日) 00:26:46 ID:nmdL2lb7
モチベーションが低下してしまうと非常に困るのですが、あえて。


竹島攻撃の考察部分が甘いと思います。
・F世界の行動と意思決定の迅速性

・準備期間なしで大軍団を派遣できる国力と航海技術

・たかが三万の軍が一万の死者(キルレイシオ1:30なら負傷者含めたら損害は文字通りの軍の全滅では?)
 をだしながら人が住めるとも思えない岩礁の攻略にこだわった妥当性。
 (しかも付近には敵味方不明:F世界側にすれば敵と判断できる:勢力が展開)

・そんな島とも呼べない島を落とすのに3万の兵力がいると即時に判断した恐るべき情報収集能力と分析能力。

・未知の武器によるほぼ一方的な攻撃を受け全滅判定を受けるほどの損害を蒙りながら
 組織的な攻撃を維持できる錬度、士気をもつ軍と迅速な意思決定・伝達機関を持ちながら
 (正規の常備軍以外ありえないだろう)を持ちながら
 軍の編成や装備からは社会制度的な成熟が見られないという矛盾。

・高度な情報分析力を持ちながら戦略的重要性が見て取れない(現時点)島で
 愚劣にも貴重な戦力をすり潰してしまう矛盾。

・少なく見積もっても方面軍全滅の損害と引き換えに攻略した岩礁を占領することなく撤退。

・そもそも物語の導入においてこの竹島での出来事が必要なのかという小説的な妥当性。
 正直この事件が物語の導入において必要なものであるとは思えない。

・あとアルミニウムはレアメタルではありません。
181代理:2009/04/05(日) 00:40:15 ID:klOZRKnx
>>179


867 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね :2009/04/05(日) 00:16:26 発信元:220.99.18.213
【依頼に関してのコメントなど】 よろしくお願いします。
【板名】 創作発表
【スレ名】 自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた 第64章
【スレのURL】 http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1235983300/
【名前欄】
【メール欄】sage
【本文】↓
召還じゃなくて召喚だと思う。
情報統制しても星の位置とかで分かりそうなもんだけど、平行世界の地球っぽいから同じなのかな?
っていうか、例え明確な証拠がなくても、ネットでは異世界転移だって言ってるやつが結構いそう。
そうなったらマスコミも少しは喰いつくだろうし、大手はともかく週刊誌とかまで統制できるのか?

182創る名無しに見る名無し:2009/04/05(日) 05:31:47 ID:dAGxSitA
>>180
2の疑問は多いにあるが
1は、情報の隔絶性から中央の統制が弱く現地軍の裁量が大きかった可能性はある。
3については、旧日本軍&侍を考えれば、そういう「勇猛果敢な突撃馬鹿」は実例にあるだろう。
4は、要塞化されている(と思われる)島に上陸するなら普通。陸地の城囲むのに10倍とか当たり前だし。
5は、3と内容がほぼ同じだが、中世には下手な文明国より強固な軍隊を持ってる蛮族は普通にいた。壊滅しつつあっても組織的戦闘を継続できる民族が居ても不思議ではない。
また旧日本軍も全滅するまで戦っていた。これは社会制度は関係が無い。民族性。それに上陸戦である以上逃げ場ないぞ?
6は、>>180自身が言うとおり、部隊は壊滅してるのに、その後予想される敵本隊と戦う気か? 戦略的価値もないのに。
7に関しては作者の好き好き。対馬だったら自衛隊が戦っただけ。日本領土で全滅されても作者の心が痛まない軍隊がいる場所が竹島だったと言うのもあるだろ。
183創る名無しに見る名無し:2009/04/05(日) 11:23:19 ID:nmdL2lb7
>>182

三万以上の陸上兵力とそれを揚陸できる海上兵力が演習もしくは実戦待機中であり
その中から三万の兵力を抽出して本来の目的以外に転用できるほど方面軍司令官に権限が与えられていて
(理由は中央との情報の隔絶性)
0.23km^2のこの島⇒http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/5/5e/Dokdo_Photo.jpg
を攻略するのに3万の兵力がいると判断できるほどその司令部の情報収集能力および分析力が優れていて
攻略部隊の指揮官は突撃馬鹿の無能であり祖国の防衛線でもない小島の攻略戦で
文字通り全滅の被害を受けながら少しもひるまない高い錬度と士気の高度に組織化された軍隊を持ち
(以下略)
ってやるんなら可能だろうね。


剣と魔道士混成部隊、魔道士の身なり良いとの描写あり、
装備は中世ヨーロッパ風、多人種混成
⇒古代ローマ帝国のような多民族国家、魔道士とパンピーの間の隔絶、文明は中性欧州レベル、

 皆兵戦闘民族でもないこいつらに民族的勇猛性や、パンピーレベルでの国家に対する忠誠心
 求めるのはどうよ?江戸時代の武士のような「名こそ惜しめ」階級の兵士を使い潰したのか?
 それとも傭兵国家とでも言うつもりかい?

>上陸戦逃げ場ない
3万の部隊が同時上陸できるわけなかろ。


>作者の好き好き
「朝鮮人に対する鬱憤晴らし」「殲滅戦」ありきでその目的を達成するために
他の要素を無視して描写をこじつけたように見えると俺は個人的な意見として言っただけで、
そりゃ作者の好き好きだろうさ。
184創る名無しに見る名無し:2009/04/05(日) 11:58:18 ID:t9pwZUG6
>>183
てか上官が後ろで弓引いて無理やり戦わせてる描写があったじゃん
要するにイスラムの奴隷兵やソ連赤軍みたいなやり方なんだろう

被占領地から無理やり徴兵した雑兵やら奴隷兵だったらクスリ漬けにして使う方法もあるし
しかも魔法アリの世界なんだから、事前に精神興奮作用のある魔法でも使ってるかもしれないしね

>「朝鮮人に対する鬱憤晴らし」「殲滅戦」ありきでその目的を達成するために
>他の要素を無視して描写をこじつけたように見えると俺は個人的な意見として言っただけで、

こじつけでイチャモン付けてるのはアンタじゃないの?
185創る名無しに見る名無し:2009/04/05(日) 12:08:56 ID:t9pwZUG6
軍事専門家気取りのミリヲタが書き手を執拗に叩いたおかげで過疎って軍版は廃れたんでしょ?
なんか、「こんな作戦は実現不可能だ!」とか「こんな兵器は(以下略)」とかは軍版でやってほしいわけだ
最初こっちに越してきたときはとりあえず作品を楽しもうって話だったじゃんか。。。
186創る名無しに見る名無し:2009/04/05(日) 12:42:42 ID:hM6UhbdC
>3万の兵力がいると判断できるほどその司令部の情報収集能力および分析力
戦闘前から厳戒態勢で監視を続け、終了後も戦場跡に部隊が入り込んで、中世の戦史などと照らし合わせて
分析などをやった数日後の報告なんだが。それに総理に戦力の詳細な説明をしているわけではないよ

>3万の部隊が同時上陸できるわけなかろ。
3万の部隊が一斉に戦うわけなかろ。5日に渡って戦い続けたと書いてある
実際に戦闘に参加したのは9000人近くだ(それでも多いが)
上陸後を狙い撃ちされて極端に死亡率でもあがったんじゃないかね

>「朝鮮人に対する鬱憤晴らし」「殲滅戦」ありきでその目的を達成するために
鬱憤晴らし?差別表現でもあったか?別に無かったと思うが

>兵を使い潰す
政治的や宗教的といった他の事情があったとどうして考えない

ああ嫌だ嫌だ。だからSS投下が減ったんだ
187創る名無しに見る名無し:2009/04/05(日) 12:45:55 ID:b+58GnoP
お前らがそうやって些細なことにもツッコミまくるからガノタに若いモンを取られるんだ、てばっちゃが言ってた
188創る名無しに見る名無し:2009/04/05(日) 13:04:48 ID:F+y+37sM
>>187
貴様、教官になんて事を……
189創る名無しに見る名無し:2009/04/05(日) 13:13:45 ID:nmdL2lb7
>3万の兵力がいると判断できるほどその司令部の情報収集能力および分析力
この主語はF世界側で「いる」は「必要」の意だ。
どうでもいいが

>>185
>>187
わかったよ俺が悪かったよ。
190創る名無しに見る名無し:2009/04/05(日) 13:19:09 ID:xzSvXdRL
>>183
最初からわかりきっていて三万差し向けたわけでもあるまい。
コトが流れた結果そうなったと考えるのが妥当。
最初は竜騎士差し向けて落とされて、次は小隊送ったら射殺されて、中隊送っても大隊送っても叩き殺される。
そんな状態になったら中世の司令官だって躍起になって潰しに掛かるだろ。
しかも見た目ただの小島だぞ、舐めて掛かって後に引けなくなるのなんて容易に予想できるじゃないか。

>>185
違う。
あまりにも突っ込み無視御都合優先で投下の内容にさえ一貫性が無い自称作者な人が暴れたから。
191創る名無しに見る名無し:2009/04/05(日) 15:08:05 ID:dAGxSitA
軍ヲタの自慰的ツッコミと、意味不明なエゴを振り回すコテ、それらでgdgdになった結果として亡命せざる得なくなったと認識してたが
大体、軍ヲタのツッコミの99%は「日本海戦ってご都合主義展開スグルwww」レベルの偉ぶりたい馬鹿だったし。
192創る名無しに見る名無し:2009/04/05(日) 15:19:50 ID:xzSvXdRL
自慰的突っ込みなんてされてるのは特定の悪質コテに対してのみだったろ。
他の普通に小説を投下していたコテに対してはそんなのなかったよ。
他の連中はごく普通に投下しごく普通に進行していた。
小説と言う性質上軍板じゃそぐわなくなって来たとの強い意見があったから移動したんだ。
193創る名無しに見る名無し:2009/04/05(日) 15:40:59 ID:AW9PnDUY
>>179
というより、「召喚」という言葉を使うこと自体おかしい。
日本が異世界人によって召喚された、などということはこの時点では作者以外知らないはず。

3万もの兵力を投入するには事前に準備していたとしか考えられない、ということは、本当に事前に準備していた、と考えるのが妥当だろう。
例えば今までも、侵略するためにわざわざ異世界から土地を召喚した、という設定は何度かあったし。
194創る名無しに見る名無し:2009/04/05(日) 17:13:57 ID:dAGxSitA
作者がこの続きを投稿しないと何が正しいのかなんて分からんが。
少なくとも、異世界である以上こちらの世界の常識なんて通用しない。
ひょっとすると3万の兵力を1日で派遣できるほど即応性と機動力に富み、中世の光通信網の様な通信技術が開発されており、兵は勇猛果敢で最後の一兵まで戦う世界なのかも試練。
「この世界での」常識を振り回したって無意味だ。
195創る名無しに見る名無し:2009/04/05(日) 17:22:32 ID:hTfNIX/y
突っ込むのは結構だが、出来るわけ無い、ありえない、〜としか考えられない
とは言わないようにしてくれ
196創る名無しに見る名無し:2009/04/05(日) 17:51:30 ID:yR+zAb4m
何が起きたか判らない「大異変」直後はともかく
1)衛星画像で日本以外の地形が激変してる
2)それにもかかわらず大地震や火山噴火などは報告に上がっていない
可能かどうかは別として「なんらかの意図」を感じる、と
有る意味柔軟な思考の持ち主が居たんじゃね?政府内に
現総理じゃなくてもそれらの「漫画的展開」に理解を持つ層が居ても良い
つーか頭が固い連中だけなら座して崩壊を待つだけの物語となる
197創る名無しに見る名無し:2009/04/05(日) 18:03:23 ID:NeruELw/
これが創作板か・・・
198創る名無しに見る名無し:2009/04/05(日) 18:13:16 ID:S5URP18G
>>195
むかしさる学習漫画にデキッコナイスという名前の外人が出てきてだな
199創る名無しに見る名無し:2009/04/05(日) 18:39:35 ID:dAGxSitA
*魔法のある世界に、常識を持ち込むのは常識としておかしい。
200創る名無しに見る名無し:2009/04/05(日) 23:29:09 ID:GjT+7UWe
それも程度問題だろ
201創る名無しに見る名無し:2009/04/05(日) 23:42:01 ID:dAGxSitA
行き成り300万の兵力を目の前に召喚されかねないのに?
202創る名無しに見る名無し:2009/04/06(月) 00:16:22 ID:p7Ue4ifn
あるいは星落しの大魔法連発されたりとか
203創る名無しに見る名無し:2009/04/06(月) 01:06:20 ID:RiWnbvQK
魔王ルーデルが召喚されたりな。
204創る名無しに見る名無し:2009/04/06(月) 10:18:56 ID:NySMSTJ+
非常識(魔法や竜等)に対する常識(現実社会)の対応
これも異世界戦記物の醍醐味の一つ

俺はあえて書き手に注文をつける気はないな

どれほどご都合主義に見えても
話しのもって行き方次第で面白くなるし
読んでいてどうしても自分に合わなきゃ華麗にスルーしとけばいいだけだろ

やっちゃいけないのは
ありえないと最初から全否定して書き手のやる気をそぐほうが有害だぜ

だからと言って突っ込みするなとも言わないけどな
ようは言い方の問題だってことさ
205 ◆8b20lCD.o. :2009/04/06(月) 18:58:13 ID:jvWWtjoM
ランゲルハンス島攻略作戦がやっと終わった…

此処は海の上。魔法艦隊のとある部屋。

他の職場からは「監獄」「懲罰部隊」「タコ部屋」「強制収容所」と呼ばれる指揮所。
一度でも所属したら転勤しようが退職しようが予備役として呼び出されただ働きさせられる恐怖の部屋。
超過勤務当たり前、一日二食徹夜付き、将軍様の腰巾着。
精神が参っちゃって病気になったりバタバタ倒れるところ。

だから他の兵士達は恐ろしがって「そこに移動したら殺される」とメチャクチャ嫌がる。
事実、隣の部屋には魔法使いの政治将校殿が常に控えていて、命令違反は見せしめとして即射殺される。
魔法の使用は現場指揮官の裁量として認められている。
後ろから魔法を放つのも裁量の内だ。

兵士には逃亡や反乱防止に二重三重の呪いが掛けられている。
第一段階で頭に彫られた刺青が疼き、耐え難い頭痛に苛まれ
第二段階で頭痛が酷くなって動けなくなり
第三段階で首に付けられた魔法の輪が炸裂して頭がパーン。

前任者は昨日の作戦後、無能扱いを受けて船の甲板上で火踊りさせられ氷の槍で貫かれた。
私はその彼の下に居た部下だ。
船が港に着いたら何人が処刑されるのだろう?
劣悪な環境。
「私がそこから逃げないのは組織への忠誠ではなく、祖国に家族が居るからだ」
遺憾だがバッサン帝国参謀には乱暴や不正を行う者が多い。
やってられないのも理解できる。
「でも他人を巻き込まないで欲しい」と思う。
連帯責任は困るから。

此処は天国に一番近い部署。
206 ◆8b20lCD.o. :2009/04/06(月) 18:59:07 ID:jvWWtjoM
知らない者のために説明しておくとランゲルハンス島とはクリーチャーホール殲滅作戦時
新たに発見した島を政治将校である彼が付けた名前だ。

数年前、地方の一国家が反乱を起こした。
大規模殲滅魔法技術を持っているかどうか調査する聖ルーデル教査察団を事実上の拒否。
その国の背後にはダークエルフ反政府組織、槌と銀の葉旅団が関わっていると考えられており
反政府組織壊滅と大規模殲滅魔法の排除の為
独裁者デ・キッコ・ナイサに率いられたかの国をバッサン王国は攻め滅ぼした。
殲滅後調査と査察は速やかに行われたが儀式の発動は間に合わなかったとされている。
無駄足だった。儀式の跡は綺麗に解体され証拠を見つけられなかった。

彼らは大規模魔法を発動させたが、ないものは発動はしなかった。
占領後、魔法自爆テロと槌と銀の葉旅団の反乱が凄かったからな。
事実上支配をあきらめたといっていいだろう。

しかし滅ぼされた後アビア湾沖にその兆候は現れ始めることとなる。
バッサン王国はかの国での残党狩りと支配を中断し魔法の兆候へ対処を始めた。

調査の結果、アビア湾沖にクリーチャーホールが出現する可能性があると示された。
クリーチャーホールは魔物が出てくる穴のことで、
魔法の失敗によって魔法学的な確立で出現するとされている。
クリーチャーホールは大小様々なものがあって下は兎一匹から上は巨大怪獣まで色々だ。
前回軍が派遣されたときはゴッドジューラと呼ばれる口のデカイ大きなトカゲの魔物に国一つが滅ぼされた。
魔物一匹滅ぼすために呼ばれた我軍の魔道士は10人程、総兵力1万人、同盟軍10万人近くが動いたとされている。
207 ◆8b20lCD.o. :2009/04/06(月) 18:59:53 ID:jvWWtjoM
今回の作戦ではそれの更に大規模なものらしい。
魔道士500人、総兵力3万人、艦船150隻を超える大艦隊。
海上兵力としてはバッサン帝国の総兵力の約半数。
残りの半分はライバー国などとの国境沿いに張り付き牽制を続けている。
軍事大国バッサンの名に相応しく異常な戦力である。

ミルク色の濃霧が立ち込めるアビア沖。
輪陣形を組み、船を並べ霧が晴れるのを待ちながら俺達は配置に付いていた。

「まるで壁みたいな霧ですね」
「ああ。シャルルはホールを見るのは初めてだったな」
「いい機会だ。霧について説明しよう。聞くか?」
「宜しくお願いします」

クリーチャーホール、つまり魔物の穴ができるとだな魔物が溢れ出して来るのは知ってるな。
その穴ができる際にきまって濃い霧が出る。霧は現実との境を隔てる壁だ。
過去、数多くの学者達が調べようとしたが霧の向こうに何があるか観測できた奴は居ない。
勇敢にも霧に入っていったやつも何人かいたが向こうから帰ってきた奴は誰もいない。
学者さんたちは霧のことを事象の境界と呼んでいるそうだ。
俺達がホールと呼んでいるのは便宜上だ。
霧の向こうには扉があるかもしれんし、巨大な穴があるかもしれない、何もないかもしれない。
俺達に出来るのは近寄らないことだけだ。

「帆は畳んであるな。巻き込まれたら二度と帰ってこれんぞ」

アビア湾以降南一帯を包む巨大な霧。
歴史に残る超巨大クリーチャーホールの前兆。

カツカツと革靴の音を立て政治将校のランゲルハンス(以下ハンス)がやって来た。
背筋を伸ばし敬礼を行う。恐怖で身が締まる。

「読め」

ぶっきらぼうに片手で渡された命令書を両手で恭しく受け取る。
いい加減な内容の長ったらしい説明書きをまとめるとこうなる。

第一段階として使節団が魔物との交渉を行う。
この段階で相手に知能が認められれば交渉を続ける
知能がなければそのまま殲滅する。
第二段階として交渉の成否に関わらず前進。攻撃を開始する。
第三段階として再度の交渉を行うとする。
208 ◆8b20lCD.o. :2009/04/06(月) 19:00:40 ID:jvWWtjoM
「交渉の成否に関わらず攻撃とありますが?戦闘になった場合はいかがするのでしょうか」
「君に発言権は認められていない」
「が、答えてやろう。圧倒的火力で撃滅し、叩きのめしてからの交渉だ」

この命令書は重大なことが書かれていない。
負けることを想定されていないのだ。

敗北の言葉をオブラートに包んで話す。
「魔物が思ったより粘った場合はいかが致しましょうか」
「そのための魔道士521名と156隻の艦だ。我々は魔物に対して常に勝ってきた」
「これからもだ。現にゴッドジューラ相手でも勝ったではないか」

甚大な被害を受けてだがな。
今回の海戦に参加している一般兵はほとんどが予備から引っ張り出されてきた者たちである。
軍の半分はオーリア大陸で編成中だ。
正確な数すら聞かされていなかったことに愕然とする。
前に話したときは魔道士50名だった。

「魔道士が521人だぞ?君らが束になっても勝てない魔道士がだぞ?負ける理由がないな」
かの国では手に負えなくなって撤退したじゃありませんか。アンタ。
俺達は数に入らないのかよと頭の中で悪態を付いた。

「君は敗北主義者かね?」
「めっそうも御座いません。念には念を入れようと思いまして」
「君は臆病だ」
「はい」

事務的に返事を返す。
ハンスは勝ったあとの政治争いに頭が一杯なのであろう。
顔がにやけている。
ご機嫌取りに機嫌が良くなりそうな質問をしてやる。

「勝利した後、いかが致しましょうか」
「知能がない魔物なら家畜化する。家畜化できないなら交易に使う。領地も増える」
「知能があるなら奴隷狩りだ。戦利品ぐらいならくれてやるぞ」
「了解しました」

予定通り霧が開けてくる
霧の向こうにあるのは巨大な土地と小島。

「帆を揚げろ。予定通り戦闘を開始する」
209 ◆8b20lCD.o. :2009/04/06(月) 19:01:29 ID:jvWWtjoM
「これは、予想よりも大きいようです」
「素晴らしい。実に素晴らしい」
「記念すべき島の名前を考えた。私の名から取ってランゲルハンス島だ」

ハンスは悦に入っていた。
勝てばこれだけの土地が彼のものになるのである。
思った以上の大収穫になりそうであった。

「報告です」
「どうした?」
「別働隊の竜騎士から連絡です」
「島の周囲に飛ぶ、金属の巨大鳥に妨害され危険と判断。後退すると」
「金属の鳥は信じられない速「腑抜けが」

竜騎士の倍以上の速度で飛行し、一定範囲に入ると攻撃が開始される。
魔法は竜さえ一撃で粉砕する破壊力を持っている。

「我々の傍には飛んでいないではないか。周囲の竜騎士隊からも不信な連絡は入っておらん」
「野生の竜にでも襲われたのだろう」
210 ◆8b20lCD.o. :2009/04/06(月) 19:02:15 ID:jvWWtjoM
後退した報告を受けて地図上のマーカーを動かす。
反論したくもあったが言い返しても碌なことがないので止めた。

事象の境界が消えた直後に侵攻してから三日、敵は我々の奇襲を受けて今頃あわをくっているはずだ。
事象の境界の外は観測できない。
霧が出来てからクリーチャーホールが開くまでは間がある。
我々はその間に準備をし境界の外ギリギリで待機を続け、消えると同時に侵攻した。

敵から見ると突然軍が海上に出現したように見えるに違いない。
急に3万の軍勢が現れたのに驚いていることだろう。

ひょっとすると
「3万の兵力を1日で派遣できるほど即応性と機動力に富み、中世の光通信網の様な通信技術が開発されている軍隊」
とでも思われているんだろうか。

「それとも3万の兵力を1日で派遣できるほど即応性と機動力に富んだ軍隊」だと思われているだろうか。
「準備期間なしで大軍団を派遣できる国力と航海技術を持った文明」
「いきなり300万の兵力を目の前に召喚できる恐るべき魔法文明」とでも思われているだろうか。
「3万の兵力がいると判断できるほどその司令部の情報収集能力および分析力がある」と考えられているだろうか。

たぶん「こんな作戦は実現不可能だ!」と魔物語で会議でもやっている。
211 ◆8b20lCD.o. :2009/04/06(月) 19:03:01 ID:jvWWtjoM
「手始めに手前の小島へ上陸しよう。敵の戦力を見る」
「命令書通り、まず使節団の帰りを待ち、交渉を失敗してから戦闘を行うべきでは」

ハンスに提案する。
本来、作戦権限や指揮系統は完全に分離されていて指揮権は俺にあるのだが、自分には提案しかできない。
彼は緑のものを青いと言い切れる権限を有し、逮捕権限を持っている。
懲罰房行きは勘弁したい。

使節団はどうせ無理な要求を突きつけるのは目に見えている。
断られてから大義名分を得て戦闘に移る。
そんな意味の命令書だったはずだ。

竜騎士隊の報告によれば基地の守備隊は300名程度であるとされていて
街や施設などは何もない。軍事的価値は皆無だろう。

「島には戦略的価値はありません」
「君は敵の正体も不明なのに戦うのかね」

ハンスにしては一応、的を得た答えだ。
が、魔道士の数を誇っていた彼にしては妙に弱気に聞こえる。
指示を出す顔は相変わらずにやけていた。
表情を見ていて理解できる。こいつは無意味に敵を蹂躙したいだけだと。

「上陸作戦には多大な出血を伴います。どうか再考を」
「どうせ戦うことになる。速いも遅いも同じだ。勝てば官軍だよ」
「兵は使い捨てではありません」
「我が軍の兵士は勇敢だよ」

獅子心薬を飲ませておいてよくもいえた物だ。
ゾンビの集まりじゃないか。

「どちらにしても後ろの大きな島で上陸戦をやるんだろう?」

既に陣地が展開されている土地に上陸戦を仕掛けるのと
そうでないのとではまるで難度が違う。

「報告です!使節団が島からの魔法攻撃で迎撃されました!」
「魔導士のシールドはどうした」
「一撃で貫かれました!」

ハンスは報告を聞いて余裕たっぷりの顔をする。
「使節団を殺した連中を放っておくのかね?政治的意味だ」
「敵の兵器は一撃で魔法シールドを貫通したのだよ?技術的興味もある」
「放っておいたまま上陸したら竜騎士隊に甚大な被害が出るよ。竜騎士一騎の値段は知っているかね?」
「上陸を開始しろ。これは政治的決断だよ」

「私なら瞬きをする間に君をギロチンに掛けることができる。忘れないことだ」

政治将校の鶴の一声で作戦は決まった。

こうして無意味な戦闘は始まったのである。
212 ◆8b20lCD.o. :2009/04/06(月) 19:03:47 ID:jvWWtjoM


('A`)

213バスーカ:2009/04/06(月) 19:31:16 ID:hlZO0kp+
今までいろんな国にズレた国名を呼ばれてきたが

ランゲルハウスは酷いな文化体制はスペイン帝国ってところか。

今回は韓国軍に感謝して靖国に名を刻むべき 神社が嫌なら靖国寺や靖国教会に

おそらく死亡した兵士は死刑確実の左遷組か奴隷でしょうね
ランゲルもかなり欲張りな性格だから特攻艦隊に入れられたのでしょう
214創る名無しに見る名無し:2009/04/06(月) 20:30:11 ID:VEeqJCnc
投下乙でした。
ここからあの竹島壊滅に繋がってゆくのですな。
嗚呼、貴重な魔導士の命が散ってゆく・・・

「ありえない」論議への答えも散りばめられているようで時折ニヤリ。
そしてダークエルフがいると言う事でもっとニヤリ。
もといハァハァ。
215創る名無しに見る名無し:2009/04/06(月) 21:41:41 ID:+5HAsP2x
乙です。
216創る名無しに見る名無し:2009/04/06(月) 21:49:41 ID:o24l/DTW
なるほど、御見それしました。
これから「いろいろと」面白くなりそうです。



しかし血糖値高そうな政治将校ですねw
217創る名無しに見る名無し:2009/04/06(月) 22:15:37 ID:1u/vqQEc
ランゲルハンス島に行けば糖尿病が治るという噂が
218創る名無しに見る名無し:2009/04/06(月) 22:59:49 ID:Zc22VnoE
しかし300の守備隊に国力を振り絞ってこの結果とは、、、
陸自だけで15万人超すってのに、、、、

ほっとくと国民が飢えてしまう非常事態、、、
政府がどういった対応(恐喝?)をするのか楽しみにしています
219創る名無しに見る名無し:2009/04/06(月) 23:03:08 ID:Zc22VnoE
>竜騎士の倍以上の速度で飛行し、一定範囲に入ると攻撃が開始される。
>魔法は竜さえ一撃で粉砕する破壊力を持っている。

てか竜騎士って最初に空自に撃墜されてたんですね
まぁ全然専守防衛の範囲内だし、騒ぐのはみづぽくらいかw
220創る名無しに見る名無し:2009/04/06(月) 23:52:08 ID:RiWnbvQK
外務大臣「あ? あれウチの国の軍隊じゃないよ?」
防衛長官「小国の『ただの』警備部隊にボコボコにされてた癖に何粋がってるんだね君達? 馬鹿なのか?」
文科大臣「文明程度は低いですな。蛮族というのが相応しい」
総理大臣「今日はローゼンの新刊出るんだから早く終わらせろよ未開人」
経産大臣「ムカついたので賠償金は国家予算15年分な」
221創る名無しに見る名無し:2009/04/07(火) 00:15:27 ID:Td0WO56A
愚かな魔物どもめ、聖ルーデルの急降下天罰を受けよ!
222創る名無しに見る名無し:2009/04/07(火) 00:30:44 ID:xt3tZAqs
×聖ルーデル
○天から降る世界を滅ぼす大魔王ルーデル
223創る名無しに見る名無し:2009/04/07(火) 01:03:22 ID:GfrdVILX
投下乙
名前がいろいろと適当だなww
それにしてもなんつーかF世界版映画「300」だな
224創る名無しに見る名無し:2009/04/07(火) 01:29:39 ID:nzLWy3f8
なんにせよA-10は良い物だ…
マジ米軍譲ってくれねーかな、F世界ならもっとも使い勝手の良い兵器になるのに…
225創る名無しに見る名無し:2009/04/07(火) 02:10:26 ID:uh0/k140
A-10の脅威 
牛の吼えるような、と表現される射撃音と文字通り爆発的な火力

ttp://www.youtube.com/watch?v=9YxDzunLGXQ&feature=player_embedded
てへっ、ちょっと友軍誤射しちゃったでござるの巻
226創る名無しに見る名無し:2009/04/07(火) 19:02:52 ID:e7VIoyYm
とりあえず、一発でもあたったらミンチのレベルだな
227ルーデル:2009/04/08(水) 05:59:50 ID:9ns3AVZj
ちょっとA-10に乗って東部戦線まで出かけてくる。
228創る名無しに見る名無し:2009/04/08(水) 07:22:17 ID:d7zAZvNo
↑やめれwww冗談抜きで歴史が変わってしまう
229 ◆8b20lCD.o. :2009/04/08(水) 20:20:26 ID:SHBxHZGt
船が進むにつれはっきりとランゲルハンス島が見えてきた。
真っ黒な岩肌と白い数棟の建物。城の見張り台に似た監視塔。
小さな山の頂には緑と灰色の人型の魔物が居て、
真っ黒な顔に目だけがぎらついた姿で、岩の隙間から顔を出し此方を覗いている。
魔物は皆同じ姿をしており同種なのだろう。
体の色が岩山に溶け込んでいてふとすれば見失いそうになる。

「上陸を開始しろ!」
まじめな仕官らしい声を使って答える。
「まずは陣地を破壊してからです」


竜騎士が撃墜されたより、遠くの距離に艦を置く。

竜騎士隊からの報告によると地面には抉られた通路があって、魔物はそこを通るらしい。
島の周囲には帆のない船やボートが数隻あり、そこに魔物は乗っていない。
建物と通路への攻撃を支持してくれと通信が返って来る。
俺は許可すると、攻撃開始位置に付き
もたつきながら編隊を組む訓練上がりのひよっこ竜騎士隊に喝を入れる。

「全竜騎士隊へ、これは訓練ではない。実際。
 これは訓練ではない。実際。
 これより魔物に対して攻撃を開始する。
 判断は各自、重要そうな場所を重点的に叩け。以上」

これは訓練ではないと強調した声を、艦に常駐する魔導士に魔法で送ってもらう。
訓練気分が抜けきらない貴族の甥っ子共への確認だ。

「演説は必要ないのかね?士気を上げるために必要だろう?」

ハンスが横槍を入れてきた。
大軍を前に王様気分でも味わいたかったのだろう。
否定しても強引に押し通すだろうし演説するのも面倒なのでやらせた。

「ではお願いします」
「愚かな魔物どもめ、聖ルーデルの『ドズゥッ』」
230 ◆8b20lCD.o. :2009/04/08(水) 20:21:17 ID:SHBxHZGt
長い演説が始まろうとしたとき、一体の竜騎士が赤い光の魔法を浴びてミンチになった。
島から次々と赤い光が伸びて編隊を組んで空中に待機したままの竜騎士が纏めて地に墜ちる。

ヴォォォォォォォォォォン!
古代竜の咆哮と共に騎士達が血煙と共に砕け散った。
魔物の法撃(魔法の際は法撃と表す)だ。

「竜言語魔法だとっ!島に火龍でも居るのかっ!」

「捕捉されている!散開しろ!」
「各自の判断で敵を攻撃!魔物の手は長い!」

経験豊かな竜乗りはすぐさま反応し散開、
反応に遅れた未成熟な貴族の甥っ子共は潰れたトマトになる。
慣れない編隊を組ませるより各自で回避行動を取らせる方が生存する可能性が高いと判断した。
ひよっこ共に統制の取れた編隊飛行は難しいだろう。
無理矢理やらせたところで的になるだけだ。
瞬間的な判断は現場に任せたほうがいい。
部隊にはベテランも混ざっている。
ひよっこの指揮と救助も彼らの判断に任せるのが最適だ。

「君の責任だぞ!君がお願いしますと私に頼んだせいだ!」

ハンスは顔を真っ赤にして掴みかかってきた。
彼の頭の中には竜騎士の値段がゴーレム飛脚の料金表示のごとく計上されているのだろう。
一定時間ごとにチーンと音が鳴りコインが必要になる天秤だ。

たぶんコイツは単価の安いただの兵士が死んでも泣きもしまい。
魔導士が死んだら大泣きするだろうな。
会って数ヶ月だが手に取るようにハンスの考えが判る。

もとよりアンタが提案したせいだろ。
敵の正面で演説なんざするものじゃない。
会う前に済ませるもんだ。
やるなら演説前に船の上の団扇でも撃ち落すぐらいしてみろ。
だったら見直してやる。

「指揮がとれません。どいて下さい」
「陸に帰ったら覚えていろよ」
231 ◆8b20lCD.o. :2009/04/08(水) 20:22:03 ID:SHBxHZGt
五月蝿い隣を無視しつつ状況を確認する。
恐ろしい魔法だと思った。
敵の魔法は竜騎士の射程よりまだ長い。

「いきなりの上陸戦は危険だな」

あれを地上に撃たれては甚大な被害が出る。
竜騎士を使い徹底的に陣地を叩いた後、上陸を開始しよう。
艦の魔導師を使い、船を後退させる。
敵の射程は予想より更に長い。

敵に強力な魔導士、それも複数。
300人だと見誤っていたのが悪かった。
完全に戦力評価を間違っていると悟る。
もしかして開始三日で我々の戦力戦術を読まれてたのか。
それとも魔物は一瞬で軍を配置している能力を有していたのか。
敵司令部の情報収集能力および分析力は優れたものなのか。
考えるべきものは多い。




「一撃離脱に専念しろ。攻撃はファイヤボールとアイスランスだけにしておけ」
「急降下して武器の槍を使う突撃はするな。魔物の狙いは正確だ」

迅速に判断を下してゆく。
俺だけで陸海空軍の支持を出すから忙しい。
忙しすぎて個々の部隊の損害すら大まかにしか把握できてない。
船出前は「陸軍」「海軍」「魔法軍」「兵站部」と各分野の司令がいたのだが
お目付け役が事故で死んだ後、ハンスが航行中に反乱分子として処分してしまった。
ハンスは航海を政敵を陥れるチャンスと考えていたらしい。
232 ◆8b20lCD.o. :2009/04/08(水) 20:23:03 ID:SHBxHZGt
「ゲイツ隊とリナック隊が撤退を求めています」
「下がらせろ。交代でアップル隊を入れる」

俺は海軍司令の下で働いていたのだが上が処断されたので繰り上がり
使えるっぽいとの理由で司令にされた。

「まだ彼らは10人中2人しかやられていない。まだ戦える」
「撤退は許可できない」
「雑音だ。撤退を許可する」
「貴様!」

ささやかな抵抗をした。
滅茶苦茶だ。死ね。地獄に墜ちろ。
政治家が戦闘に関わるな。

現在は「魔法軍」と「兵站部」司令しか正規指揮官は残っていない。
残りは全てハンスの自由に出来る傀儡で代理司令。
「魔法軍」と「兵站部」は昔から軍部に発言権が強い部署である。
魔法軍は超が付くほどのエリート集団で権限もあって金持ちが多い
ハンスがけちを付けたとたん逆に海に落とされるのがオチだ。

兵站部は生活に関わりが深い、台所のお母ちゃんである。
一週間前、ハンスは兵站部に圧力を掛けた。
一週間、艦はジャガイモとニンジン尽くしになった。
腐りそうだから速く処理しなければならないのだと食堂の兄ちゃんは言っていた。
きっと嘘だな。

「98番隊は9時方向に。XP隊とME隊は予定通り4時の方角から進入せよ」
「2000番隊は該当地点にて観測を続けよ」

海と陸の代理司令達は責任転嫁を恐れて何もしたがらないので
俺が直接指示するしかなかった。

「90騎の竜騎士が居てとんだザマだ。ふがいない」
「戦闘開始に90騎が一斉に掛かればよかったな」

素人言葉にいちいち突っ込みを入れる。
傍から見ると大人気ない光景に見えるだろうが
兵士達が無謀な作戦で死ぬのに耐えられなかった。
ハンスとつまらん意地の張り合い。

「お言葉ですが90人の竜騎士を一斉に行動させるのは高い練度が必要です」
「編隊を組むのも難しいかと」

最初からそれが出来たら一番だった。
予備役や訓練生が集められて数だけ揃った軍団にそんな器用な真似はできない。
練度の差を埋めるには編隊を組むのが楽なのだが
先ほどの攻撃でそれは不可能だと思い知らされた。
魔物の魔法は面を薙ぎ払う様に周囲を焼くのである。
編隊を細やかに管理できる指揮官も不足していた。
233 ◆8b20lCD.o. :2009/04/08(水) 20:23:48 ID:SHBxHZGt
「全騎士、観測隊を除いて後退して再編成」
「沿岸法撃を始める」
「巻き込まれるぞー!下がれーっ」

竜騎士隊は甚大な被害を出しながらも後方へ退く。
この時点で20騎以上が脱落、全滅判定を受ける。
空に攻撃が集中している間に近づいた艦が法撃位置に付く。

魔物軍陣地は竜騎士隊被害の割りに損傷は少ない。
竜騎士の主力は対物用ファイヤボールと上空からの対人用アイスランスだ。
ファイヤボールは射程30m程度、それ以上は炎が消える。
アイスランスは50m程度、あまり高度が高いと空気抵抗で威力が落ちる。
どちらも遠すぎると狙いが付けられない。
ファイヤボールは射程の関係から敵前へ急降下して放たねばならず、攻撃には敵と交錯する
アイスランスは人が肉眼で見て落とすために命中精度が悪く、交錯せずに一撃離脱が可能だが
これも急降下が必要だった。

「司令部応答してくれ!司令!」
「ちくしょう。また復活しやがった」
「陣地ごと吹き飛ばせ、対ゾンビ訓練を思い出すんだ」

魔法の威力にも問題があって、アイスランスでは敵魔導師を倒すには火力が低すぎた。
アイスランスで敵魔導師を倒しても、敵は置かれたアーティファクトに取り付いてすぐさま攻撃を再開する。
アーティファクトごと吹き飛ばす必要があった。

竜を一撃で落とす竜言語魔法を使った魔導師が居る場所を目掛け、
竜騎士が急降下しようとすると周囲から突然見えない魔法が飛んできて騎手を撃ち落す。
陣地破壊は困難を極めた。

魔物陣地はどうも最初から空襲を受けるのを想定していたようで一部にトンネルが掘られている。
魔物はトンネルや燃えることがない白い建物へ逃げ込み、竜騎士達をやり過ごしていた。
ファイヤーボールで火が付いても白い煙であっという間に消されてしまっていた。
そのため攻撃の割りに被害が少ない。

それでもいくつかの盛んな法火を行う魔導士が居た地点をすり潰すことに成功した。
234 ◆8b20lCD.o. :2009/04/08(水) 20:24:40 ID:SHBxHZGt

「あいつら化け物か」

魔法とは魔力が必要である。
魔力は通常予め人の身体に溜まっているものを使うか、魔石を使わなければならない。
魔石は使い捨てることで身体に溜まっている以上の魔力を使えるがとても高価だ。
そのためここぞといったときにしか使えず、安価な長弓が戦場の主役である。

魔物は湯水のごとく魔法を使い続けていた。

「せめて会話が出来れば・・・」

魔物の動きは明らかに知性の存在を感じさせる。
ランゲルハンス島上空で交渉団が交渉できずに撃墜されたのは痛い。
初歩の駆け引きさえ我が軍は封じられてしまったのだ。
会話が出来ていれば敵の思考や勝利条件について対策の立てようもあった。

「ダークエルフやドワーフよりも厄介な奴らだ」

だから命令書の通り動けと提案してやったのに。
身を徹してでも止めるべきだったか。
戦術ミスに歯噛みする。

竜騎士隊は有効な打撃を与えられず、甚大な被害を受けて後退した。
しかし彼らのお陰で被害を被らずに済んだ魔法艦隊が攻撃開始地点へ到着する。

「全艦隊、距離を確認し仰角合わせ!」
「一斉射撃!撃て!」

艦上の旗士が一斉射撃を手信号で伝える。
艦同士の距離が近い場合や素早い行動が必要とされるときは魔法でなく、手信号が使われる。
魔導通信はそこまで便利なものではないのだ。
細かい支持まで伝えられるが、時間が掛かるし、各艦ごとに魔導師を置かなくてはいけない。

中央から魔法軍司令へ伝達され許可が下り、一斉法撃が開始される。
法撃の段階は距離計測、仰角、法撃となっている。
距離計測は竜騎士隊の仕事、距離を撃つタイミングと決定は魔法軍となっていて
中央には最終的な決定権はない。
魔法軍は歴史的にも独立性が高く、陸や海の一般兵科の立場はそれより低い。
235 ◆8b20lCD.o. :2009/04/08(水) 20:25:55 ID:SHBxHZGt

艦上では巨大なバリスタが引かれていた。
「引けーい!引けー!」

ギッ、ギッ、ギッ、ガツッン、ギッ、ガッコン

矢が固定されると同時、矢自体に複雑な文様が浮き出る。

「距離計測!仰角定め!撃てえい!」

ビンッ

弦の音と共に人間の腕ほどもある魔力を充填された巨大な矢が飛び出る。

ヒュンッ ヒュオオンッ
ヒュゥゥッン ザカザカザカザカザカザカザカザカザカッ




「弾着確認、1、2、3、4、・・・・」

小さな岩山に無数の槍が突き立つ
バリスタの破壊力には強固な建物も対抗できず、白い建物と見張り塔は破壊された。
魔物達は地上へ掘られた溝やトンネルへと走り込み、遅れた者は地面に生きたまま杭撃ちされる。
飛んだ杭のいくつかは溝の中に入り、中の魔物に悲鳴を上げさせ、
魔法で強化されたバリスタ法撃の前に竜語魔法を使う魔導師達は沈黙した。

「ありったけの矢を放て。各艦、1回戦分の矢を残して使い切ってもかまわん」

敵の強固な抵抗に覚悟を決める。

『こんな小島に貴重な竜言語魔導師を配置し、超一流級の魔導師達を何人も配置する』
『私達には理解できないが、この小島には魔物しか知らない秘密でもあるのかもしれない』

初回にしていきなり当たりを引いたのかもしれず、
過剰な法撃だが、全力でやらねば倒せないと考えた上での判断であった。

3万が300に全力になるとは滑稽な話である。
だが、300が全員魔導師で全員精鋭、要塞での守備だったら勝負は判らない。
何しろ開始数時間で20名以上の竜騎士を死に追いやったのである。

ランゲルハンス島にこれほど手を掛け損害を受けた時点で、恐らく後ろの巨大な土地への上陸は叶わない。
せめてこの島だけでもといった気持ちもあった。

法撃は二日、昼夜に渡って続けられた。

バリスタで徹底的に地面を掘り返された島。
岩山は大量の杭が突き立ち、不気味な墓標に見えて不吉だ。

「上陸を開始する!揚陸艦は前に出ろ!」

予め用意してあった揚陸艦隊が出る。
予定されていた任務では、敵の重要拠点へいきなり上陸作戦を行うために準備されていたので兵数は多い。
犬の額ほどの海岸線から小高い丘を登る隊、小船を使って島の周りに回り込んで荒々しい岩肌を登る隊の
役割に別れ

上陸は開始された。
236創る名無しに見る名無し:2009/04/08(水) 20:34:45 ID:SHBxHZGt
投下終了
237創る名無しに見る名無し:2009/04/08(水) 20:52:51 ID:6i0mqr+N
乙掛礼様
238創る名無しに見る名無し:2009/04/08(水) 21:00:32 ID:6i0mqr+N
竹島>>独島(初耳時はドイツの植民島かと)>>ランゲルハンス

あの司令には生き残って日本に来て交渉人になって貰いたい
239創る名無しに見る名無し:2009/04/08(水) 22:17:14 ID:kFvV298x
乙です。
しかしXP隊とME隊って……
やっぱりSE隊とか2K隊、NT隊なんかも居るんでしょうか(^^^;;
240創る名無しに見る名無し:2009/04/08(水) 22:57:45 ID:0DOqedsm
竜言語魔法というとタクティクスオウガを思い出すな
241創る名無しに見る名無し:2009/04/08(水) 23:47:27 ID:ywp/FVvH
名剣ヴォルテールですねわかります。
ユニットとしてはぜんぜん使えないけど、名前はかっこいいのでスナップドラゴン要員だよねー
242創る名無しに見る名無し:2009/04/09(木) 00:26:17 ID:aEoJfaUJ
プレザンス神父は俺の嫁
243創る名無しに見る名無し:2009/04/09(木) 00:57:35 ID:tF+C80nQ
>>239
NT隊・・・ニュータイプ、部隊、だと・・・
244創る名無しに見る名無し:2009/04/09(木) 01:01:40 ID:iQxeFzVa
>>236
投下乙でした。
ああ、被害を拡大させるバカ上司・・・
245創る名無しに見る名無し:2009/04/09(木) 02:53:09 ID:ths72tF2
>>243

寝取られ隊かもしれんぞ
246創る名無しに見る名無し:2009/04/09(木) 19:42:11 ID:aRwNM+bB
 
 元敵国将官 MS 親が敵国兵 OT隊とか?
247創る名無しに見る名無し:2009/04/09(木) 20:58:43 ID:QTOoRHD6
NT=NEET部隊
国中のneeeeeert!をかき集めた懲罰部隊。
248とある人達の戦闘記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/11(土) 22:17:09 ID:LB8x8Ujz
「レッド・ウォーター鮫地獄!」
「レッド・ウォーター鮫地獄!」
「フーパー、川を遡るのは認められない。海へ向かえ」
「ルイジアナ、それは難しい、海はジョーズで一杯だ」
「とにかくまず火星へ行け、とにかくまず火星へ行け」

上陸部隊から魔法通信が入る。
部隊間通信はいくつかの符丁を使った暗号で行われている。
暗号は意味のないランダムな言葉に意味を当てはめ通信に使う。
「レッド・ウォーター鮫地獄!」の場合は「レッド、ウォーター、鮫、地獄」に分解できる。
レッドは状況レッドで旗色が悪く、ウォーターは場所で上陸地点を表す、
鮫は部隊符丁、地獄は撤退許可を求めるとなる。
状況が良い場合は「ブルー・ウォーター鮫天国」だ

通信を翻訳すると
「状況レッド、上陸地点で攻撃を受けている、撤退許可を求む」
「状況レッド、上陸地点で攻撃を受けている、撤退許可を求む」
「鮫歯隊へ、撤退は認められない。上陸地点へ向かえ」
「本部へ、それは難しい、上陸地点で待ち構えられている」
「繰り返す。上陸を続けろ。上陸を続けろ」となる。

部隊間通信は部隊付き魔導師が仕事をしている。
魔導師は、通信、傷の治療、水の精製、遠距離法撃、建物破壊、なんでも出来る万能兵科で
魔導師一人で兵士20人分の価値があるとされている。
部隊では主に傷の治療は彼らが行う。
通常兵150人〜200人ごとに一人、魔導師が存在し、彼らは部隊の指揮官となっている。
魔導師はとても貴重で100人に1人も素質があれば良いほうとされ、
バッサン帝国では魔法使いの殆どが貴重な能力故にほぼ例外なく軍民関わらず要職に付いている。
ちなみに俺は臨時指揮官で「ただの人間」だ。
部下が魔導師ばかりで肩身が狭い。

魔法通信は多少の制約はあるが、大抵の場合伝令を飛ばすより速い。
戦争に通信魔法を取り入れ、ただの人間を魔導師に対抗できる戦力としたのが
バッサン帝国躍進の転機とされている。
249とある人達の戦闘記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/11(土) 22:18:00 ID:LB8x8Ujz
「死にた」パンッ
「ヒッ」ヒュンッ
「あ」パスンッ
「俺、帰ったら結」パンッ

魔導師と対になるのが一般兵だ。
一般兵は魔法を使えない「ただの人間」である。軍の大部分の人間は一般兵科である。
バッサン帝国は意外にも志願制で兵役の義務はない。
義務はないだけで、入らないことによって受けられなくなる補助が出る。
税金の増額、非選挙権、公務員になれなくなるなど不便な点は多くなる。
そのため自ら志願する者が殆どだ。
また兵士になることで犯罪者の減刑や監視付きの保釈なども行われている。

「グォオオオオッ」
「ハハアアハッハハッハ」
「はぁはぁはぁはぁ」

獣染みた声が船から聞こえる。上陸部隊だ。

上陸部隊の一般兵は皆、獅子心薬を飲まされている。
獅子心薬はほんの少しの常習性のある一種の興奮剤で、痛みや恐怖心を抑え、身体の枷を外す。
副作用は激しい怒りに襲われることで、顔が獅子に見えることから名が付いた。
この薬のお陰でバッサン兵は「勇猛果敢で最後の一兵まで戦う戦闘民族」と恐れられている。
過度な服用は精神を壊す恐れがあるが、そうした者は別の使い方があるそうだ。
ちなみにバッサンには海兵隊という兵科はない。上陸部隊の所属は陸軍となっている。

「いいか、こっちが風下だ。近づけば分かる」
「どうやってです?匂いを嗅げとでも?」
「ああそうだ」

状況は悪かった。予想よりも生き残った数が多い。
バリスタ法撃で生き残った魔物達が上陸と同時に一斉に反撃を開始した。
魔物は巣を吹き飛ばされた後、トンネルや溝に潜み法撃を逃れたからだ。
擬装用の天幕を上に張って、竜騎士隊の肉眼での誤認が多発したのも背景にあった。
250とある人達の戦闘記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/11(土) 22:18:46 ID:LB8x8Ujz
バリスタ法撃は着弾時の爆発力や物体を破壊する力が劣る。
射程の長さと結界装甲を貫くことを目的としていて対魔法貫通力が第一である。
バリスタは艦上戦闘の補助で最終的には隣接して飛び移り、敵艦内を征圧するのが普通だ。
陣地を吹き飛ばすには威力が足りず、彼が使った沿岸法撃は鉄則から外れるものであり、
地面へ溝状に張られた通路を破壊するのも難があった。

島はとても狭く、数隻の上陸船が接岸するだけで湾は一杯になった。
船から矢を射て上陸を援護しようとしても、狭すぎるために上陸部隊を巻き込んでしまう。
バリスタ隊や竜騎士隊の攻撃も同様で、同士討ちの恐れがある。
そのため歩兵隊単独で上陸を行わざるをえない。

上陸のため船を接岸し、クルーを甲板に呼び出し、甲板から地上へ降下のための魔法梯子を下ろそうとすると
法撃で沈黙していたはずの魔物の攻撃が始まった。



ヒュオン ヒュウウッン チュンッ

耳の横を敵の魔法が通り過ぎる音が聞こえる。
「何が起こっているんだ」

戦闘開始時から不可解な状況が多すぎる。
目で直接確認するために外へ行く。
甲板には身体に小さな穴が開いた大量の死体が転がっている。
デッキは真っ赤に染まっていた。

「危ないですから甲板に出ないでくだ」
と副官代理のシャルルが甲板ドアの外から俺を押し留めた瞬間。

ヒュオンッ ボズゥゥッ!

弾け飛ぶ頭

飛び散る脳漿

鼻に付く錆びの臭い

シャルルの頭がこめかみからブチ抜かれ、棒に叩かれた瓜のごとく弾け跳んだ。
横から飛来した見えない魔法に頭を吹き飛ばされたのだ。

「シャル!魔法兵!魔法兵を呼べ!」
甲板に飛び出そうとすると後ろから寄ってたかって羽交い絞めされた。
「落ち着いてください!無理です!死んでます」
「あなたが死んでしまったら誰が指揮をとるんです」
そう言われハンスに視線が向いた。

「指揮官は最後まで責任があります」
「ああ」
首を動かすのがやっとだった。

魔法は「役職が上の人間から順番に」殺している。
251とある人達の戦闘記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/11(土) 22:19:34 ID:LB8x8Ujz


ズドンッ!

腹に響く大きな音。
甲板に吹き上がる建材、兵士、悲鳴、怒号。


「船がバリスタで法撃されました」
「損害状況を知らせろ」
間髪入れず答えが返ってきた。

「爆発するバリスタ弾で前部甲板が全損。浸水なし。
 漕ぎ手達の被害なし。マストは折られていません。航行できます」
「ヴォルギン千人長は死亡。死者30人、重傷者10人です」
「死者が多いな」
「敵の魔法は威力が高い為です。鎧を貫き正確に命中します」
「上陸前を狙われたので被害が拡大しています」
「そうか」
手を口元で組む。

「冷静ですね」
報告する魔導師の口調に怒りが垣間見える。
彼女の周囲の魔力が高まって嫌な圧力を感じた。

「焦りなどとっくに通り過ぎてしまったよ」
同僚の死を見て抜け殻になってしまったとするべきか。
今度は爆発するバリスタ弾、敵の新魔法。
竜魔導師や300人もの魔導師が無価値に見える島に駐留してるんだ。
今更何が出てきても驚かないつもりだ。

『現代の魔法学的に絶対ありえない』ことが多すぎて心が麻痺してしまっていた。

シャルルの頭が弾けたことで心は決まった。

「敵陣地は硬く。不確定要素も多い。損害も多く、不確定さも我々にとって不利な要素が多い」
「よって全部隊の撤収を開始する」
252とある人達の戦闘記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/11(土) 22:20:19 ID:LB8x8Ujz
司令室に撤退戦だというのに安堵した空気が流れた。
慌しく魔導師達が動き出す。


「撤退など許されるものかああああああ!」
ふくよか過ぎるお体に脂ぎったお顔をしていらっしゃるランゲルハンス政治将校殿が
司令部のドアを魔法で吹き飛ばして入っていらっしゃった。

聞かれる前に答える。
「戦術的撤退ですよ。ランゲルハ“ウ”ス殿」
「私の名前はランゲルハンスだ!」
はいはいそうですか。
声の大きい相手は疲れる。

「敵前逃亡は許されん。逃亡を助けた指揮官として君を逮捕する」
ハンスの両側に控えた護衛兵が進み出て両腕を掴んだ。
「但し、君は殺さん。敗戦の責任をとる者が必要だからな」

また「責任」か。

ハンスが勝利に拘る理由はそこにあった。

政治将校とはバッサン帝国において、政府が軍を統制するために各部隊へ派遣した将校だ。
長く続く戦争は国外の敵以外に外部干渉、国内の敵と戦いでもあった。
バッサン帝国は戦争で広い領土とたくさんの奴隷を獲得したが、
徴兵によって動員された兵士達は指揮に乏しく、統制の取れた行動などは出来なかった。
デ・キッコ・ナイサの乱時、煽動を巧みに利用したダークエルフ側の活動のため、
バッサン帝国軍内では、抗命や脱走が相次ぎ、国民中に反戦運動が高まる等、厭戦気運が蔓延した。

魔法首輪や呪い、人質、配給優遇など様々な予防措置がとられたが
その軍を指揮する立場の将校は、俺のような元敵国人、奴隷兵や傀儡兵が殆どを占めていたため
戦場では職務放棄と離反が相次いだ。事態を重く見たバッサン帝国は政治将校の派遣を決定。
各国の軍事運用を受け継ぐために、各国軍人を監視する目的で政治将校制度を創設。
軍内外の宣伝や情報統制と政治的忠誠心の保持を目的にし、
兵士の心理戦防護と戦争の目的を宣伝する役目を担った。

政治将校は“軍事運用以外”のあらゆる権利を有し、秘密警察に代表される反乱分子の粛清。
「魔法を含むあらゆる手段によって、反革命分子に対して非情に対処する権限」を持った。

エターナル・コミッルーク、全員死ぬ。

在来中のランゲルハンス伝説にこんなものがある。
「疑われた者と出身地が同じだっただけで死亡」
「ハンスの部屋から徒歩1分の廊下で陸軍司令が胸から氷槍を突き出して倒れていた」
「足元がぐにゃりとしたのでござをめくってみると真っ黒に日焼けした海軍司令だった」
「秘密警察の取調べを受け、女も『男も』全員ヤられた」
「逮捕者の2/3が美女又は美男子。しかも魔導師ほど強力なので
 安全と言う都市伝説から貴族あがりほど危ない」
「全部艦内の出来事なのに事件になってない」

強大な権力を有する反面、
作戦が失敗すると政治将校は上層部から強く責任追及され、処刑される者もいる。
ハンスはそれを恐れていた。
勝利の土産を持っていかないと彼が危ない。

ハンスは焦っていたのである。
253とある人達の戦闘記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/11(土) 22:21:41 ID:LB8x8Ujz
「代理司令殿は拘束された。ビル・ランゲルハンスが代理司令に代わり指揮を取る」
ざわ・・・ざわ・・・ざわ
軍全体に動揺が広がる。
一度の航海に三度の司令交代。それも上陸準備中。

「撤収すると命令があったが、誤報だ」
「撤退は中止。撤退は中止。各自、上陸作業を続けよ」
甲板で兵達が法撃にさらされつつ、中断された甲板から陸への降下作業を再開する。

ハンスは振り返ると床へ転がっている俺に
「そこで無様に見ていたまえ。私が勝利をもぎ取ってやろう」と言った。

「盾を着装。亀甲の陣で前進」
「各艦弓部隊、上陸部隊の陣形展開が終わると同時に弓を放て」

副官代理の代理が恐る恐るハンスに進言した。
「味方を巻き込んでしまいますが・・・」
「構わん。そのための亀甲陣だ」

亀甲陣は上に大盾を構え、空から降る矢に対抗する陣である。
飛竜から陣を見ると亀の甲羅に見えるから亀甲と呼ばれる、よくある上陸用の陣である。
ハンスはわざわざ亀甲と指定した、それなりに軍学を修めているのだろうと少し見直す。
バッサン帝国の軍将校には正規の軍事教育を受けたものは非常に少ない。
彼らの仕事は専ら、利権争いと地方国の軍を使い潰すのが仕事で、机仕事を重要視されているからである。
机の上の戦術上では彼の考えは正しいだろうと俺も思う。
仕官学校の俺だったらハンスと同じことを言っただろう。
しかし甘い考えだ。
254とある人達の戦闘記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/11(土) 22:22:27 ID:LB8x8Ujz
「陣が完成しません!」
「命令に従わない隊が居ます!」
「通信が届きません!」
「従わない隊を呼び戻せ。部隊を再編しろ」

図上の部隊なら命令どおり動いただろうが、生きている人間が指揮する部隊に命令が届くはずがない。
敵はどういうわけか役職が上の人間から順に狙ってきていた。
身なりの良い魔導師などは真っ先に狙われただろう。
一人の魔導師が殺られると100人以上の通信が途絶する。隊の治療もできなくなる。
陸上戦とは違い、中央から伝令を走らせるのも困難で、走る広さもない。

「弓隊は、まだかと聞いています!」
「中止だ!中止!」
「亀甲陣の展開終わりません!」
「中止だ!突撃せよ!突・撃・だ!」
通信魔導師とハンスが怒鳴りあう。
ハンスの怒りに引き摺られて互いに彼らも血が上ってしまっている。

浜は死人で一杯だ。おまけに兵士もぎっしりで、人の波に飲まれ一歩動くのすら困難だ。
直前の指揮官交代。緊急の陣の変更。正体不明の魔法。撤退命令と後退命令、再編命令。
魔導師が倒され、通信が出来なくなっていた。後ろの浜から兵士達が押し寄せる。
前に進むしか出来ず前からは魔法が飛んできて進めない。陣形を組む余裕など当然ない。

「敵の魔法です!」
「ま・た・か!」
「上陸部隊の足が吹き飛ばされています!」
「構わん!進め、敵に近寄りさえすれば我らの勝利だ!」
3万人も居る、300人の敵は、人の海に飲み込めさえすれば勝てるだろう。できればだが。

「あと少し!あと少しで勝利が掴めるのだ!」
「上陸部隊!停止しました!」

足の吹き飛ばされる魔法を受ける場所で進軍が止まった。
揉み合い、圧し合いしながら船へ戻ろうとする。
群れの中に居た背の低いドワーフは踏み潰されエルフと人間が後続を押し合いへし合う。
獅子心薬が起こした怒りは敵から味方へ向き、無残な殴り合いへ変わる。

上陸隊が壊走する。
「使いたくなかったが、仕方ない」
ハンスは一瞬ためらった後、ぶつぶつと呪文を唱えた。
「nmdGxSitAL2lGxSitAb7AW9PnDUYlb7AW9dAGx」

「ひぃぃぃっ」
「あががががががっ」
「ぐうっ」

上陸部隊が一斉に倒れ伏し、頭を抱え、よだれを垂らし苦悶する。
海に停泊する船の中でも同じことになっているだろう。
ハンスは“もしも”の安全装置に付けられている「呪い」第二段階を発動したのだ。
第二段階は長時間続けば死に至る激しい頭痛。
此処は指揮所なので俺達には関係ないが、外は悲惨だろう。
一斉に倒れ伏した人込みで潰された者達に死者が出ているかもしれない。
255とある人達の戦闘記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/11(土) 22:23:13 ID:LB8x8Ujz
ハンスは呪文の力を解くと続けて命令した。
「上空に待機する竜騎士監督隊へ。攻撃を開始せよ」
「了解」

声と同時に空から火の玉が“味方”へと降り注ぎ、最前列と最後列の数人を火達磨にした。
身体を燃やされた最前列の兵士が前方に向かって走り出し、盛大に足を吹き飛ばされた。
彼の後ろから走り出した二人目三人目も派手に踝から下を吹き飛ばされ地面に倒れこむ。
後続がまだ生きたままの彼らの手を足を頭を踏みつけ前進する。
死体の壁を積み上げ、生きている者、死んでいる物を蹴り飛ばしながら確実に兵士達は進んでいった。

「もう一押しか」
「ですが日も暮れてしまいました」
「そうだな。暗くなる。夜間上陸は妨害もされにくい。上陸を続けろ」
「り、了解しました」
「不服そうだな。良いかね?私は無意味に突撃命令は出していない」

「今結果も出せずに引いたら死んだ英霊達に申し訳が立たんのだよ。
 上陸部隊は甚大な被害を受けているが、戦闘は1日2日で終わるものでもない。
 私達は対極的な物を判断しなければいけないのだ。
 1回2回失敗したからといって引くわけにもいかん。
 先鋒の彼らは失敗したが、彼ら自身の肉で壁を造ってくれた。
 犠牲を無駄にするわけにはいかん」



「それに、まだ半分使えるではないか」
256とある人達の戦闘記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/11(土) 22:23:59 ID:LB8x8Ujz
夜間。島中から聞こえる爆竹音、地上に瞬く星々。倒れる人影。
魔物の陣地からは影が動かなくなるたびに聞いたことのない言葉で歓声が上がった。
兵士達は伏せ、味方の死体の山に隠れ歯噛みする。

「奴らめ、楽しんでやがる」
「悪魔共。簡単には死なせてやらねえ」
「死体が臭いよ・・・」
「突撃命令が出たぞ」
「またかよ。無駄じゃねえのか」
「夜だと敵が見えにくいってよ」

パンッ!パタタッタタッ!

「誰だよ!夜は見えないって言った奴はよ!昼間と変わらな」

パヒュン!

「帰りたい・・・」
「立つな!コラッ!」

ミュィィィィィン

「あっ」「」
「お」「」「え?」

聞いたことのない蟲の鳴き声と共に、立ち上がろうとした兵士の腰が吹き飛んだ。
二本の足だけが岩場に残る。

「は?」
「お?」

首から上が吹っ飛んだ別の兵士の首と宙で目が合った。
あの顔は一生忘れないだろう。
「うあああああっ」
斜面に沿って首がころころと転がってきた。
表情に痛みが無さそうなのが救いだ。
温い血が背中に降りかかる。髪に血が付いて粘ついた。
岩場に残った二本の足は前方に数歩歩いた後、横に倒れた。
257とある人達の戦闘記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/11(土) 22:25:05 ID:LB8x8Ujz
朝日が眩しい。

いつの間にか寝ていたらしい。
隣で伏せて居た兵士達は全員いなくなっていた。
「まだ名前も聞いてなかったな」

ピュウウウウウウウウン

味方の方角からは蕪矢の音。
一斉射撃の合図だ。

ヒュンヒュンヒュヒュヒュヒュヒュンッ
空には黒い、沢山の矢

綺麗だった
258創る名無しに見る名無し:2009/04/11(土) 22:39:09 ID:DeFolsYX
おお!「鈴木さん」の人が降臨されている。
支援。
259創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 02:12:51 ID:y66UMlmG
規制に巻き込まれたか?
260創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 03:40:11 ID:a+znEFH9
ん?
>>257で今回の投下は終わりなんじゃないのか?
目の前いっぱいに矢が広がって………で終わるのは、特におかしな区切り方とは思わないのだが。
261創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 05:06:35 ID:fEsUneRW
投下終了です。とかの終了宣言が欲しいな
規制で何時止められるかわからない今見たいの時は特に
262創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 11:29:57 ID:zrL1XHrZ
最近投下が増えていい感じだな
263とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/12(日) 11:52:56 ID:YDR0//NO

「奇襲成功です。敵陣に甚大な被害を与えています!」
魔導師の報告に司令部で歓声が上がった。
上陸開始から4日目、ようやく活路が開けてきたのだ。

「深夜に死体の壁に隠れて、弓隊を展開しておいたのが効いたか」
ハンスはしたり顔だ。

奴らは夜中、上陸部隊を防ぐために魔法を撃つのに夢中だった。
数十メートル近くの敵が常に侵攻してくる状況。魔法が飛ぶ際の大きな音。
そのため奴らは一晩中眠れず注意力が落ちていただろう。
加えて深夜の悪条件と目を背けたくなる死体の山が弓兵を見逃す原因となった。
まとまった数の弓兵が射程内へ配置に付くと、朝日が上がるのに合わせて一斉射撃。
撃つのに夢中で弓兵の発見も遅れた魔物は甚大な被害を受けた。

「アンタ、味方を巻き込んだのか?」
ハンスに敬称を使うのをやめた。人でなしに敬意を払う必要もない。
島は狭すぎ、船からは遠すぎる中途半端な距離故に矢などは使えない、しかしハンスは強行した。
無謀な突撃を繰り返して誘き出し、味方ごと矢で串刺しにしたのだ。

「居るのは死体だけだ。人は効率的に死なねばならん」
「人でなしめ」
島を無視することも出来たし、船を破壊して島から出られなくすることも出来たはずだ。
それにハンスの用兵は冷酷なまでに効率的だ。
味方を止む無く見捨てるならともかく、最初から味方ごと敵を吹き飛ばすのを前提に動いていた。
目的のため手段は問わず兵士は使い捨てる。バッサン式合理主義の典型だった。
奴は畑から人でも取れると思っているのか?

「弓兵に続いて再度歩兵隊を強襲上陸させよ。再編が終わった竜騎士隊も呼び戻せ。
 魔導師も投入しろ。総攻撃を掛ける」

コイツは友軍ひしめく島に爆撃を掛け、矢を降らせようってか。
これじゃどっちが敵かわからないじゃないか!

俺はハンスに背を向けて歩き出した。
「どこへ行こうというのだね?」
「トイレだ。気分が悪い。吐き気がする」

少しだけ、火焙りになった上司の気持ちが理解できた。

「私は必ず作戦を成功してみせる。どんな犠牲を払ってもだ」
「君には達成できないだろうがね」

「戦狂いが」
後ろを向いたまま言葉を吐き捨てた。

「兵士は戦うために居る。革命には血が必要なのだよ」

ハンスはどんな顔をしていたのか、俺には知る由もなかった。
264とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/12(日) 11:53:43 ID:YDR0//NO
上陸戦は地獄だ。

こちらの戦力は、島の魔法部隊を相手取るには過大であり、
我々は僅か300体の魔物の首を取るには過多ともいえる戦力を保有している。
100隻を超える軍用ガレー船、500名近くの魔導師、バッサン帝国の誇る竜騎士団90騎。

それがことごとく狩られた。

敵は要塞化された島や穴に立て篭もり、地面へ這うように魔法を放ってくる。
上陸しようと船の甲板に出た瞬間から狙い撃ちされ、砂浜に下りるまでに隊の人数は3分の1になっていた。
島は狭く不毛の地で、略奪できる物資もないために残り二日の攻勢が限度であると見られている。
でないと我々は攻めきれず負ける。待つのは餓死と反乱だ。
無理矢理連れてきた兵士達はいざというとき信用ならないからだ。
上陸時、街を襲えなかった点で作戦は破綻していた。
軍は略奪なしには体制を維持できないのだ。

上陸開始から二日、我々は海岸から十メートルの距離でずっと足踏みさせられている。
走ってすぐのその距離が果てしなく遠い。

今朝、状況は好転した。
弓隊の攻撃が成功したのである。
砂浜を駆ける際に最も厄介だったミュイーンと鳴くアーティファクトも静かになった。
絶好の機会である。攻勢としても最後になるだろう。決着の時だ。

「構えー!進めー!」
太鼓を叩かせ、前へ進ませる。
兵達を恐れさせた足を吹き飛ばす魔法も今や発動しない。
あるのはパンッ!パンッ!と散発的な魔法音だけだ。

空から氷の塊と矢が降り、動くもの全てを串刺しにし、火の玉が敵味方を焼き尽くす。
3人撃たれても2人が雄叫びを上げて進む。
その2人が足を撃たれ倒れても、後ろの10人が生きたままの彼らを踏み潰して進んだ。
265とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/12(日) 11:54:35 ID:YDR0//NO
獅子心薬の効果は上々だ。
上陸前にも兵達に飲ませていたのだが、量が少なかったようだ。
死体の山のせいで目が覚めてしまい、混乱を来たし戦線は総崩れとなった。
そこで新薬と併用して通常量の2倍を飲ませた。

「カカ、カカ、カカロカカカカロカカロカカロ」
「ぐるるるるうああああっ」
「最高にハイって返答だぁあああ!」

すると人間とは思えない獣染みた声を出し始め、
前の味方を突き飛ばし、常識外の速度で敵へと走っていった。
魔法が飛び交う中を果敢に進み、足を撃たれても両の手で這い進む。
両手剣を片手で軽々と操り、雄雄しく吼えながら剣を振るう。

獅子心兵は肉の力で鉄の茨を強引に振り切り、魔物の潜む溝の中へ強引に踊り込んだ。
キンピカのゴキブリのごとく、異常な速度で暴れまわる。
敵陣で嵐のごとく荒れ狂い、魔物の首を跳ね飛ばし、黒い強靭な外皮ごと中身を叩き潰した。

「GAAAAAA」
「ぐげっ」

魔物の魔法が届くと同時に獅子心兵はあっさりと崩れ落ちた。
「脆い」
ただの人間の肉体では仕方ない。
だが魔導師と違って“代え”が効く。
鉄の茨が開いた穴から次から次へと獅子心兵達が溝へ飛び込み、魔物によって殺されていく。
しかし獅子心兵も簡単には殺されない。
一人一殺。断末魔の叫びを上げて魔物の首をもぎ取った。

魔導師達の詠唱、爆砕される壁、雪崩れ込む獅子心兵。

島は制圧された。
266とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/12(日) 11:55:24 ID:YDR0//NO
投下終了。規制くらいました。

('A`)セツメイデ ヨソウガイニハナシガノビチャターヨ ジエイタイハケンマダーヨ
267創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 13:15:46 ID:UZFe6QKQ
投下乙
F世界側の事情と竹島上陸戦の状況が判り、とても面白かった
テクノロジー分野で進んだ側が一方的に勝利するより
「撤退しない選択を選んだ蛮族」の恐ろしさも表現でき
以後の黙示録的展開にwktkして待ってます
268創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 15:03:45 ID:wxi6h1UP
お疲れ様です
相手は人海戦術か。
魔法はかなり厄介なものになりそうですな
269創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 16:00:09 ID:we9J+uPV
投下乙です。
これだけの貴重な犠牲を払って得られたのが小さな島一個。
下はやり切れんわ・・
270創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 20:41:53 ID:UCaKzFqg
約0.232>km2で、東京の日比谷公園の1.4倍程度の島である。
最頂部は西島が海抜168m、東島が海抜98m。
周囲は断崖絶壁で通常は人の住むことができる環境ではない。
Wikipedia 竹島(島根県)より

派遣村には水道や電気がある分、竹島の侵攻価値は劣りすぎてる

例えるなら病気持ちの2319に10万払ってヤるような者ゴムなし責任持ちで

一番良い方法ははるしお型なり、いしかりで船を沈めればよい話
271創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 22:05:42 ID:UZFe6QKQ
>>269
領土としては鼻くそほどにもならないが
今回の戦闘でF世界側が得られた情報は優れた分析官がいれば宝箱一杯の財宝にも匹敵する
F世界とは異なる技術体系の「魔法」
その魔法の威力と限界を知れば次の戦いの糧となる
272創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 22:24:54 ID:FSxoUGMF
ちょっと被害が多すぎたけどね
それにひきかえ日本側は労せず一人勝ち
273創る名無しに見る名無し:2009/04/13(月) 00:29:58 ID:6cHiT9vT
>>271
得られた情報はしかし特殊すぎる。
所詮補給が途絶した状態の孤立無援の軽歩兵相手だからなぁ。
多分、今度はもっと上手く戦えるぞ! で自衛隊と対峙すると更に涙目な展開にw。
274創る名無しに見る名無し:2009/04/13(月) 00:58:26 ID:ISOMFBTF
小島の兵力だけでこんだけ被害を出すんだから
大きい島の兵力や兵站はどれだけの規模なんだ?
それを実現する魔物らの国力規模は? 社会背景は?
連中は本物の悪魔なのか? まだ戦うなら我々は地獄を見るぞ…
とか思ってそうだな

まともな頭の軍人ならこんな相手とは以後、二度と戦いたくないと考えるし
こんな戦い方は二度としないって判断する

たぶん「こんな戦争は実現不可能だ!」と蛮族語で会議でもやっているな
>>210との対比になって実に面白い
275創る名無しに見る名無し:2009/04/13(月) 02:42:05 ID:717UWwj2
>>268

>相手は人海戦術か。

たかが3万で人海戦術と言われても、「どこがやねん」と否定してしまう私は、中国やソ連に毒されすぎなのだろうか?
276創る名無しに見る名無し:2009/04/13(月) 04:28:15 ID:ISR5RdVp
中世では大兵力だろう。
しかしハッサン帝国とやらは、国の無謀さと野蛮さからして他の国から相当憎まれてそうだな。
277創る名無しに見る名無し:2009/04/13(月) 07:52:38 ID:RIDw6yWq
ハッサン帝国は戦争の本質
「国家規模の強盗」そのものですね。
竹島の韓国軍の「魔法の杖(アサルトライフル、機関銃)」もゴッソリ持ってかれてそうだな
278創る名無しに見る名無し:2009/04/13(月) 11:35:51 ID:kLCGpVWg
>>277
残弾も一握り程度しか残ってないだろうし
弾を即席で作れるわけも無い

火縄銃ですら再現するには結構な年月がいるしな

ケミカル面では人体実験前提のおかげで
中世水準よりも遙かに進んでいそうだが

金属加工技術と大量生産技術では
軍の水準から見て
中世レベルでしかなさそうだぜ
279創る名無しに見る名無し:2009/04/13(月) 12:21:02 ID:uUr90CuX
「カカ、カカ、カカロカカカカロカカロカカロ」

OPで波動拳を5回以上入れると隠しキャラが出現するな
280創る名無しに見る名無し:2009/04/13(月) 21:16:15 ID:IrGPufz5
一般兵全員に生死確認の魔法がかけられてるんなら、見張りを音もなく倒して…とかいうのは通用しなさそうだな。
281創る名無しに見る名無し:2009/04/13(月) 21:35:48 ID:domkw6Vl
対象が重傷を負うたびにナマズ髭の怪しげなオヤジが出てきて、「死亡確認!」と宣言する魔法とか。
282とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/14(火) 03:48:56 ID:1GWPsHSl
武原首相を「読み方」で挑発 

武原秀雄首相の言葉の使用、読み方をめぐり、15日の参院予算委員会で、民心党の飯石三副代表が首相にかみつく一幕があった。
飯石氏は、月刊誌「文芸夏冬」の7月号に掲載された首相の手記で使われた「イージス艦(いーじすかんかん)」「ミニミニ(MINIMI)」

「フリゲート艦(ふりげーとかんかん)」など12個の言葉を並べたボードを用意し、相当簡単な言葉だ。これを隠して、どれだけ読める

かやってみたかったが、先に渡してあるから今なら読めるだろう」と首相を挑発した。
これに対し、首相は「多分、みなさんが読み間違えやすいのは『イージス』ぐらいではないか。イージス艦は厳密な言葉遣いをするのなら

間違いだが一般的に使われているものだ。後の言葉は普通、みなさん読める」と答えたが、さらに飯石氏は「もしそうなら、なぜレアメタ

ルを『アルミニウム』、フレンチを『かんかん』と言うんだ。おかしい。強弁だ」と反論した。

浅目新聞



国会終了後、「読み方について、飯石三副代表についてコメントはありませんか」
と否定してもしつこく食い下がる担当の長井記者を振り切り、
「もっとマシな質問をしろ」と食事会に呼ばずに追い出す。
長井が「最近総理が冷たいんです」と記事を書いたのは記憶に新しいが、知ったことか。

新しい政治部記者は質が悪くていけない。
前なら担当の記者達を呼んで、食事を記者と囲みながら意見交換や勉強会を開いていた。
食事会などで新聞社の求めていることやTVのしたいことも判った。
オフレコの取材も秘密で絶対に口外はしなかった。
取材形態でも、有力議員の車のナンバーを全て暗記して、いつでも対応できるようにしていた。

しかし、近年の記者達はネタを追うだけで勉強もしない。
新聞は記者の落書き帳、コラムは感想文、便所の落書きにも劣る。

取材も議員が述べたことをただ流して、売れるように切り張りして改変する。
社会部が扱うネタか以前なら見出し程度のネタを全面に扱う程度の低さ。
また、前の漆器発言のようなオフレコ取材を平然と記事にするような傍若無人な裏切りを行なう始末。

「飲んだ金の金額がどうだって?全部私のポケットマネーだ」
それより、どうして飲んだ銘柄や本数を知ってるんだ?
ゴミ箱でも漁ったのか?秘密厳守なのに店員に無理に聞いたのか?
この前連れて行ったバーで私が頼んだ商品をじっと数えていたのか?

新聞社への補助金を出さないと方針を打ち出したとたん、嫌がらせである。
部数が減っているから焦っているのも判るが、
売れるなら何をしてもいいという訳ではないよ、困ったものだ。
「最近の若いモンは」といいたくないが、最近の記者達はマナーが悪い。
我ながら齢をとった。60代総理・・・まだ若いのになあ。
283とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/14(火) 03:49:43 ID:1GWPsHSl
「やれやれ、レアメタルについての説明の、と。を間違えただけで袋叩きだ。
 漢字テストまでやらされたよ。新聞社もイージス艦と言葉を使ってるのにな。
 百年に一度の危機に漢字が読めない総理は解散、解散。
 野党は解散すれば本気でよくなると思っているらしい」
「仕方ないですね。政権がとれないと手も足も出ませんから」
「出来るものなら、今年の食糧自給と天然ゴムだけでも用意してみせろ。やれるなら譲ってもいい」
「無理なもの押し付けても駄目でしょう。過半数ならあなたが民意です」

原がテーブルに置いた玄米茶にめかぶを入れる。
めかぶの塩加減とこりこりした食感がおいしい。
お茶はスーパーの特売でも、めかぶの安物は絶対に使わない。個人的なこだわりだ。

「ノドンでイージス艦を攻撃したり、イージス艦からB52が飛び立つよりはマシだろうに」

新聞は読まないと公言した数代前の総理、武原もそれにならって新聞は読まない。
たまに読んでみればコレだからだ。

それでもやっぱり他人の評価は気になるもの。
PCを立ち上げ、記事をあさる。
ちなみに一度見て凹んでからアンチスレやアンチサイトは見ない。
TVはDVD専用機器となってしまっている。



ふらふらとまとめサイトを回った時、

【自衛隊】「日本海へ防衛出動」【親韓日派】
独島水歩(どくじまみずぽ)議員、武原首相を批判…竹島戦での自衛隊未介入
竹島での自衛隊未介入の戦闘は「朝鮮人に対する鬱憤晴らし」「殲滅戦」が目的である、
竹島での出来事が防衛上必要なのか、韓国軍は全滅されても作者(総理の書き間違いだと思われる)
の心が痛まない軍隊で対応は非情だとして批判していることが11日、分かった。
>>続きを読む

と書いてある記事の下に目を惹くものがあった。


【国際】日本が異世界転移!?、それとも第三次大戦か…「政府の情報操作だ」政府関係者が暴露★30
sicovideo.jp

日本同時通信テロ…原因は異世界転移か大戦争か
日本同時通信途絶テロの原因が大規模な異世界転移だと政府内で考えられていると
政府筋D氏からの話で明らかとなった。
自衛隊は大規模テロ対策と海外状況の確認をするとして、自衛隊が防衛出動している。
一部の政府関係者達は事件について召喚との言葉を用いており
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ソース:hondamu tadakatu
284とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/14(火) 03:50:44 ID:1GWPsHSl
西スポあたりが飛ばしそうな電波記事だが、人気が高い話題であり
最初のスレッドがたってから30スレッド目となっている。
1スレッド1000とすると今までで30000件のレスが付いたことになる。
多い、歴代ランキングに残る記録だ。2位はテレ南緊急特番だった。
勢いも留まるところを知らず、国内に少ししかないサーバーをパンクさせそうだった。

某大手掲示板では電波記事へ大真面目に議論していた。
海外からの輸出入が止まり、暇な人が増えたためかログが流れるのが速い。
星の位置がおかしいことに始まり、新しいニュースを流さなくなったBSチャンネルや
掲示板サーバーの5割以上が消滅した事件、開始時間についての考案や、自衛隊の荷物の隠し撮り、
輸入業者らしき書き込みや客室乗務員の書き込み、
テレ南が番組を中止し、TSBが特番を組む予定があるとした書き込みもあった。

なんと海自の持ってきた死体の「竜」盗撮やロバートムベンベの映像まであり、
掲示板内では「第三次大戦派」と「異世界召還派」の二大勢力に分かれて煽りあっている。

幸い衛星写真や竹島戦の写真は流出していなかったものの、流出するのは時間の問題だった。
テロ発生後、呼び寄せた官僚や議員達。
彼が直接「変わってしまった世界」について教えた人数だけでも30人は下るまい。
しかも話したのはそれぞれ政治における各分野の頂点達にだ。
一応、閉口令は出しているものの、中に彼と利害が対立する議員や
事件を生かして主導権を握ろうとする者も出るのは確実だ。
値上がりが必至の食料や燃料を先んじて確保するだけでも利益が上げられるだろうし
その辺りの関係の者に「これから」を考えて媚を売っておくなどもある。
自衛隊に注目する目鼻の効く者もいるだろう。
結果、際限なく情報は広がっていく。
重大かつ利権に関わる故にむしろ“1週間も”封鎖できたと考えるべきだろう。

『政府筋D氏』の話。
あえて新聞で名前を臭わすとは、わざとらしい。
未だ海外と通信が届かない
十分混乱を引き起こした後自分の名前を公表し注目を集め、あの情報を流したのは私だと公言することで
「国民に真実を報道しなかった政府」責任からいちはやく抜け駆けし、主導権を握ろうとしている者が居る。

「真実を国民に伝えた正しい議員」としての人気取りだ。
国民の過半数を押さえられれば議会は引っ繰り返る。
現在、党としての立場は非常に危うい。
政権が取れているのは誰よりも速く対応し状況を把握したためである。

人気を集め事態が落ち着いた後で国会を閉会させ、美味しいとこだけ持っていくのだろう。
数年後か数ヵ月後か知らないが確実に起こりうることであった。

事態を把握して政府高官のみに発表して2週間、既に他の議員達の根回しや方針も終わっているはずだ。
ノートパソコンを閉じると秘書を呼んだ。
そろそろ情報封鎖も潮時だ。

「担当記者の長井君を呼んでくれ」
「はい」

生き馬の目を抜く伏魔殿。
武原も伊達に勝ち組の尻馬に乗ってきたわけではない。
285とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/14(火) 03:51:34 ID:1GWPsHSl
長井が呼ばれた。
急に呼び出されて不服そうな顔である。
多忙かつ相手をするのが不愉快だったため、長期間に渡り武原は長井を無視していた。

「かけたまえ」
長井は恐る恐る腰掛けた。
「君、気に入らないから別の記者に代えてもらうよ?」
と三行半を突きつけられると思ったのである。

武原と長井の関係は武原が総理になってよろしくない。
長井は若い記者だ。
スクープを追う情熱を持っていて余計なことまで嗅ぎ回り、痛くもない腹を探る。
分を弁えない長井は武原にとって少々鬱陶しくある。

長井もそれを敏感に感じ取っている。

「えーご用件をどうぞ」
「長井君。率直に話そう」
いきなり本題と来た。長井は身を固める。

「君は私の関係は疎遠になってきていると思わないかね?」
「・・・・・」
返す言葉もなく黙り込んだ。

「おおかた。君の事情は理解している。ようはスクープが欲しいのだね?」
「えっよろしいのですか?」
どうやら本気にしていない顔だ。

「ああ。君と私の親交の証として少し遅れたプレゼントを贈りたい。君の誕生日は7月14日だな」
「あー覚えていて下さったんですね。ありがとうございます」
「独占記事だよ。しかも日本を揺るがす重要発表だ」
「ち、ちょっと待ってください」
長井があわてて録音機のボタンを押してメモを出す。

「準備はいいかね」
「は、はい」

「内閣情報調査室の努力によって、日本“国外”の情報が判明した」
286とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/14(火) 03:52:35 ID:1GWPsHSl
投下終了

('A`)リクエストノ ネットオタノ ハンノウ カイターヨ フデススンダーヨ ネムイ
287創る名無しに見る名無し:2009/04/14(火) 04:13:22 ID:1AXeAwOc
◆8b20lCD.o. 氏乙!
起きてて良かった。
288創る名無しに見る名無し:2009/04/14(火) 05:19:50 ID:vy8OtJjh
乙!
更新ペース速いのが嬉しいわw
289創る名無しに見る名無し:2009/04/14(火) 11:28:09 ID:dzv7GpL4
投下乙
些細だが指摘を2つ
*召還 →召喚
*閉口令→箝口令

武原総理らしいって言えばそうだけど
290創る名無しに見る名無し:2009/04/14(火) 23:37:25 ID:m3Fci1jp
>>286
投下乙です。
筆進むwwwwww
291創る名無しに見る名無し:2009/04/15(水) 18:28:16 ID:ZG85dmi+
>>286
乙です
メタネタ多いね
これからの浅井に期待
292創る名無しに見る名無し:2009/04/15(水) 20:19:41 ID:YuBq38fe
麻生太郎伝説

・麻生のピースサインは、「あと二秒で殺す」の意味。
・麻生は国語辞典を持たない。彼が漢字の読み方を決めるのだ。
・日本人の主な死因は、1.ガン 2.麻生 3.心疾患 である。
・麻生の動くスピードは二種類 1.歩く 2.殺す
・小沢の部屋にジェイソンのお面をつけて乱入、部屋からは悲鳴が・・・
・麻生は火星に行った事がある。火星に生物反応がないのがその証拠。
・河野洋平に寿司をおごって貰って100カン食べる。その後におでんも・・・
・民主は共産に勝ち、共産は社民に勝ち、社民は民主に勝つ。この三つに勝てるのは麻生。
・いつも店先のトランペットを物欲しそうに眺める少年に、ゴルゴ全巻を買ってあげたことがある。
・麻生が東大に行かなかったのは、麻生家のメイドが東大卒ばかりだったから。
・ブルース・リーと闘ったことがある。リーは死んで、麻生の口は曲がった。
・麻生が総理になったら、国内の全マスコミが赤字になった。
・麻生は10年前すでに死んでいるのだが、死神がそのことを告げる勇気を持ち合わせていない。
・この世に生を受けた赤ん坊が泣くのは、この世に麻生が居ることを知っているから
293とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/15(水) 22:13:51 ID:5IGAvGPf
田中茂人(たなかしげひと)はある国の親善大使に会うために総理官邸まで来ていた。
たぶん新興国の要人なのだろう。
相手はエルブ王国という聞いたことがない国の人物らしい。

外務省も経済産業省や内閣府が忙しい例に漏れず、在留外国人の相手で一杯一杯である。
暇なのは文武科学省と環境省ぐらいだ。
特に文武科学省は日本ユネスコ会長が運営資金を流用していた罪がお流れになって歓喜している。

自衛隊と海上保安庁の共同による、国境封鎖から忙しい。
各国大使館には駐留外国人がずらりと並び、外まで長い列を作っている。
最後尾は5時間待ち、甲高い声ネズミランドのアトラクション待ち並だ。
駐留外国人の滞在許可延長の手続きや、海外の家族を心配する外国人への返答、
怒鳴り込んでくる海外要人への対応など、元々少数精鋭、
予算が減らされギリギリの人員で廻していた各国大使館は
通常業務のほかに急速に増えたクレームを処理する力はなかった。

クレームを処理すると同時に通常業務は行えない。大使館の仕事は特別な知識や資格がいる。
大使館員は替えが効かない。緊急雇用も難しい。
他部署からの増援も望めず、仕事はの必要性加速度的に高まっている。
日本人と外国人との金利格差の訴えや、差別云々に関する“いつもの業務”は全て無視して
増えた仕事に対応しているのが現状であった。

クレームの中で面倒なのが株と為替の問題である。
海外と連絡が取れなくなった影響で、海外口座の確認や資金運用の相談
についての電話がひっきりなしに電話に掛かってくる。
「株と為替の件については金融庁に一任しています」と話して電話を切っても。
数時間後、同じ相手から「金融庁につながらないからアンタらに電話した」と返って来る。
結局、問題はたらいまわしで処理はできない。
そうした件が何件もあった。
しかも相手は金のことだから簡単には諦めず、他の案件処理の時間がとられる。
人間の欲は恐ろしい。

数日前から大使館の固定電話と個人的な携帯電話が鳴りっぱなしだ。
うるさくて眠れないので音と振動を切り、ピカピカ光るのが邪魔なのでカバーを掛けて
携帯電話の電源を付けっぱなしにしたまま家に放っておいた。
今頃、恐ろしい勢いで留守番電話サービスに転送されているだろう。
事態が収束してからの電話が怖い。一週間連続、頭をさげて電話を掛け続ける破目に陥るのは確実。

それだけ忙しい中から引き抜かれたのだから
さぞ、エルブ王国大使とやらの会談は重要なのだ。
会談内容は実務者会談でもなく政労使交流でもなく、ただの交流に留まる程度だそうだ。
交流程度なら他の部署にやらせておけばいいし、緊急性もない。
自分程の役職が出張る仕事でもない。
暇になったらささっとやっておけばいいだろう。今は殺人的に忙しい。
新興国家相手がどうしてそこまで重要な仕事であるのか見当も付かない。
294とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/15(水) 22:16:24 ID:5IGAvGPf
「失礼します」
「よく来てくれた。君が茂人君だね。館長からの紹介で知っている」
総理官邸に入ると武原総理が直接出迎えた。
「挨拶はいい、時間が勿体無いからな。
 2、3質問があるから答えてくれるかい?」
面食らう田中を前に武原は言葉を続ける。

「確か君はエルフ語が出来たんだったね」
「はい。イギリスで学びました」
大学で適当に単位を埋めるためとった教科だ。

「他にも話せる言語があったね」
「英語、イギリス英語、中国語、ドイツ語です」
「大した物だ。私なんて20年以上ほぼ毎日、中国語やドイツ語の通訳を聴いているが、
 いまだに彼らが何を言ってるのかわからん。英語しか話せんよ」
「中国語は広東かな」
「北京語です。父に連れられて一時期住んでいました」
「茂人君の父上は知っているよ。昔、随分お世話になった」

「話は変わるが、君はファンタジーが好きかい?」
「ええ。指輪物語やD&Dも好きですね。やりもしないのにルールブックを買ってますよ」
「D&D?」
「有名なファンタジーゲームですよ」
「するとエルフやドラゴンについても詳しいわけだ」
「かいつまむぐらいですが、それなりには」
「神話や怪物はどうだね?例えばワイバーンとドラゴンの違いは知ってるかい?」

武原は胸ポケットから写真を出した。
写真に写るワイバーンは生き生きとしていて、まるで本物だった。

茂人の目線が上に向いた。答えを考えている。
「違い―――ですか」
「そうだ」
295とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/15(水) 22:17:20 ID:5IGAvGPf
「世間一般の認識としては、ワイバーンとドラゴンは別物、又は亜種とされています。
 ワイバーンはドラゴンより力の劣るものとされていて、知能が低く
 竜騎士に代表されるような家畜やペットとして扱われている場合があります。
 大抵は大きな翼を持ち空を飛びます。
 ドラゴンとの外見の区別として前足が短い、もしくはないものが多く
 噛み付きが主な攻撃手段であり、炎や酸、氷などを吐きません。
 細かい点は作品によって色々ですが。だいたいこんな感じです」

ワイバーンは、ゲームによっては棘のある尾を持つトカゲのような動物であったり
空を飛ぶトカゲの総称であったりと様々だ。また、日本語ではワイヴァーンと
表したりもする。ドラゴンも同様にドラグーンや龍と表すことがある。

ペラペラ

「ドラゴンの亜種として他に、ドレイク、レッサードラゴンがあります。
 厳密には違いますが、これらはどれも力の弱いドラゴン
 としてワイバーンひとまとめにして考えてもいいでしょう」
「問題は亜種のワーム、翼や足の欠けたドラゴンです。
 ワームは巨大な体躯と力を持つドラゴンで、知能についてはまちまちです。
 西の神話の竜はドラゴン、東方神話に出る龍はワームの部類に入るでしょう。
 ドラゴンに比べ、比較的多い頻度で物語の怪物として登場します」

西洋のドラゴンは火を噴く、街を焼き尽くすなど火のイメージから来ていることが多い。
キリスト教のサタンからのイメージが強いのだろうか。姿は翼のあるドラゴン型だ。
火吹き竜として有名なサラマンダーだが、もとは周囲を冷やすトカゲとして伝わっていた。
火を噴く竜と冷やす竜、変温動物としてのトカゲが神話の土台となっていると考えられる。

対して東洋のドラゴンは雨乞い、洪水など水の印象が強い。
姿はワーム型。モデルは蛇、湿気の多い場所に生息し、脱皮をすることから輪廻転生や
不老長寿の象徴とされる。陸に生息するドラゴンに対して龍は湖や海に住む。
リュウグウノツカイや鯉の滝登りなどの水生生物に関する物語が多い。
火と水の関係から、ドラゴンは破壊を司り龍は再生を司っているとされている。
火は山火事などで全てを焼き尽くすがために否定的、
水は雨を想像させるがために肯定的なものとされている。

ペラペラ

「落ち着きなさい。ファンタジーな方面に詳しいのは痛いほど理解した」
「えっ、あっう!?」

茂人ははっと我に返った。
耳まで赤くする。

「すみません。取り乱しました」
「語学が堪能でファンタジーが好きな茂人君にぴったりな仕事がある」

武原はとびっきりの笑みをしている。
してやったりといった表情だ。

「茂人君にはダークエルフとの交渉を担ってもらおう」
296とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/15(水) 22:18:08 ID:5IGAvGPf
「ダークえるふ」
「茂人君の考えている通りのダークエルフだ。
 褐色で耳が長くプラチナの髪、しかも美女。興味を惹かれるだろう?」

懐から2枚目の写真を取り出した。
褐色で耳が長い豪奢な鎧を着たエルフが血に濡れた地面に倒れている。
長い睫毛、滑らかな褐色の肌、肩まであるプラチナブロンドの髪、整った目鼻。
ここまで均整の取れた顔立ちはモデルでもそうはいるまい。
とてもよく出来たコスプレ写真だった。写真集が出せそうだ。

耳の長いエルフ。よりにもよってマニアックなダークエルフ。
総理は私をからかっているんじゃないか。

「頭の中が表情に出ているぞ。
 近頃、我々の周りに奇妙な隣人が越して来てね。
 いや、我々が越してきたとするべきか」
「?」
「この道をいけばどうなるものか危ぶむなかれ
 危ぶめば道はなし踏み出せばその一歩が道となり
 その一足が道となる迷わず行けよ」

行けば判るさ、一休さんか。面白そうじゃないか。

「ダークエルフと交渉の件。承りました。
 でもどうしてですか、私より神話や伝承に詳しい研究家なんていくらでもいますよ」

「交渉には広い視点が求められる、相手は異種族で異民族で異世界人だ。
 我々の常識は利かんが、エルフやドワーフ、彼らと我々の常識は多少通じる部分もある。
 エルフは魔法を使い、ドワーフは鍛冶が得意だ。中世風の鎧を着て剣を持っている。
 これは我々の想像する典型的なファンタジーと同じくする。
 彼ら相手には柔軟な対応が求められ、交渉のための知識も必要だ。
 常識外を相手にするには深い知識はかえって邪魔になる。
 しかし交渉を望むには精神的な土台と最低限の知識を持っていなくてはならない。
 固定観念に囚われた、外交に縁のない神話研究家ではいかんのだ」
「そこで、君に白羽の矢が立った」

ギーグなのは隠していたつもりだったんだけどなあ。ばれていたか。

「外に車が出ているから乗りたまえ。それと茂人君には封筒も渡しておこう」
棚からファイルを取り出した。中には封筒が入っている。
茶封筒に入った大きいものと
「現地についてから開くといい」
青い便箋サイズの小さな封筒
「こっちはエルフと会った後に開くものだ」
「了解しました」
297とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/15(水) 22:19:07 ID:5IGAvGPf
「此方です。どうぞ」

総理官邸から車に揺られ、乗り換えること三回。
研究所らしき場所についた。何処かの企業っぽい建物だ。
作業員用勝手口から通される。
入り口にはエアカーテンと吸着マットが敷かれていて、査察で見たような
精密部品や薬品を扱っているような工場に近い印象を受けた。
壁に複数の穴があいた通路に入ると、壁から温風が噴出し埃を取った。
いくつかのスライドドアとエアロックを抜けると、監視所らしき場所に通される。

「ようこそ。田中茂人さんですね。お待ちしておりました。
 研究主任の黒桐中人(こくとうなかひと)です。Nでも黒人でも気軽に呼んでください」
人払いを済ませた後、部屋には荒沢と私だけが立っていた。
荒沢は20代に見える研究員で、主任にしてはとても若い。
男か女か判断に困る中性的な顔立ちをしていて、蠱惑的な瞳が印象的だ。

「部屋は完全防音ですから話しても大丈夫ですよ」
「エルブ王国?から来たダークエルフ?の親善大使と交渉をする手筈だったのですが」
怪しい雰囲気だ。もしや私は嵌められたのではなかろうか。
物体Xの実験台にされたり、人体実験の材料だったり。
バイオハザードな下らない妄想が脳裏を駆け巡る。

「はい。おっしゃる通りです」
「竹島戦で韓国軍が戦闘した相手、について知っていらっしゃられますかな」
「詳しく話を聞きたいですね」
「首相からお話は聞いておられますかな」
そういえば封筒を開いていなかったな。

「資料を貰っていました。現地で開けと言われていた物がありますね」
「では、それを見ながら説明いたしましょう」
荒沢がリモコンのボタンを押すと、部屋の窓が動いて隣の小部屋の様子が見える。
部屋のベッドには褐色の肌、プラチナブロンドの美が付く幼女が眠っている。



「竹島戦で韓国軍が殲滅されたのは知っていますね」
「ええ」
近々、TVで公式発表される予定の情報だ。世間では既にTSBが未公表情報をスッパ抜き、
世間では何処が攻撃してきたかと騒ぎになっている。

「今後の報道では中国でも韓国でも露西亜でもましてや亜米利加でもない“正体不明の敵”と戦い、
 一人残らず殲滅されたと“言われます”」
「ええ」
じゃあ何処の国が襲ってきたんだ、それ以前に日米同盟はどうなったんだ!?
驚愕を抑えつつ、話を促した。

「おや?驚かれませんな。知っておられましたか」
知るはずないじゃないか。

「失礼。それはこれから報道されるんでしたね」
「もちろんですとも」
さりげなく念を押して確認をした。
298とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/15(水) 22:19:52 ID:5IGAvGPf
「韓国軍を襲撃したのは謎の生命体群です。通信テロから数時間後、
 体長7mの巨大な空飛ぶトカゲが海の向こうから襲ってきました。
 しかも100匹近くの大群です。自衛隊は必至の抵抗を試み、日本海側に戦力を集結。
 戦力集中の結果が国境封鎖と自衛隊の防衛出動です」
そういやネットで話題になってたな。UMAを確認したって。

「それらがベッドで眠っている子供とどう関係が?他の国はどうなったんですか!」
「結論を急がないで下さいな。謎の生命体郡は現代科学の常識を覆す生態をしていてですね、
 信じられない巨体で空を飛んだり、ある種の『超能力』まで使うんですよ。とても興味深い。
 私達研究チームは『魔法』と呼んでいますが」

「通信が途切れた理由は」
「日本の外で大規模な戦争が起こったと考えられています。
 核や細菌兵器、サイバー攻撃などが一斉に行われました。
 その結果として日本国内のインターネットをはじめとした通信機器は一斉に遮断。
 衛星も一度に破壊、又は無力化されました」
話が大きすぎて現実味がない話だなと思ってしまった。
同時に突っ込みどころがある話だと。

「ネットが破壊されるはずがない。リスク分散のために無数の独立したサーバーから成り立っている」
「インターネットの破壊は不可能だと思われていますが、実はそうでもないんですよ。
 とあるクラッカーは「30分あればインターネットをダウンさせられる」と言いました。
 ネット環境の普及のためにはデータ形式や管理方法を並列化させないといけません。
 OSや防火壁は常時進化していますが、その根幹を支える管理システムそのものはさほど変わりません。
 そこをトロイで偽装したボットが同じ時間に一斉攻撃をかけるとシステムは広域にわたって停止します。
 Dos攻撃に代表されるように、ネットは負荷が一箇所にかかると停止します。
 一定以上の負荷をかけられると枝葉末端まで連鎖的に壊滅するのですよ」

「簡易なアナログ回線まで壊滅したのはおかしい」
「そのネットを支え、補助しているシステムが壊れたんですよ。中継局や中継器までね」
海外との通信が切れたせいで大騒ぎになっている。
事件当時、大慌てで職員総出で大使館の機械を全部壊れているか確認した。

「日本だけが無傷で残るのは不自然だ」
「偶然残ったのですよ。外を歩いているだけで隕石に直撃される世の中です。
 戦争で偶然生き残った国家があってもいいでしょう。
 日本も甚大な被害を受けていますよ。貿易を絶たれるだけで明日の食事すらままならない」

「アメリカは軍事大国だ。簡単に壊滅しない」
「過去に新しい戦略や戦術導入によって滅びた大国など星条旗の数ほどあります。
 裏付けとなる写真が此方です」

ひゅうがの甲板に貼り付けられたワイバーンの死骸。
おおすみに牽引されるニンゲンの死骸。
戦闘機の機関砲で粉砕されるネッシーの動画。

「全長7mの竜の死骸、体長数十mもある人型クジラニンゲン、6mもあるネッシー。
 どれも現代科学の常識を超えています。居ると言われ続け、確認されていなかった動物達です」

「私達の予想外の事態が進行している証拠です。
 航空自衛隊によって殲滅され、海上自衛隊によって運搬された死体が段階を得て、
 国民の皆様に晒されることになるでしょう」
299とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/15(水) 22:20:42 ID:5IGAvGPf
「他にも裏付けとなる証拠があります」
船から撮られた海の写真だ。

「本来はユーラシア大陸、中国があった場所の写真です」
「海だけじゃないか」
「中国の一部が大きく消滅しています。えぐれた湾から察するに、
 大規模な核攻撃やそれに類するものがあったと考えられています」

「写真は嘘だ。ありえるはずがない」
「まだ証拠があります」
島を埋め尽くす死体。“鎧を着た”蛮族達。剣や槍、地面に刺さった大量の弓矢。

「エルフやドワーフっぽい死体だな。映画の撮影か」
「いいえ、違います。メディアにはまだ伝えられていませんが、“外からの侵略者”達です。
 彼らは超能力、魔法を使い、竜に乗ってやってきました。自衛隊が撮った映像を見ますか?」
「いや、いい。やめておく」

「死体役は全員エキストラかな」
「いいえ。違います本物です。私達はこんなに大量の小人病患者、ドワーフを用意できません。
 死体に見せかけた役者を大量動員して凝ったメイクをしても、死体鑑定で簡単に判別できます。
 良い検体がありますが、直接死体を拝見なされますか?」
「遠慮しておくよ」
「残念だ。彼らの体はとても興味深いのに。ミュータントですよ、突然変異ですよ。
 ヴィールスで変異したのでしょうか。とても面白い症状だ」
300とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/15(水) 22:25:08 ID:5IGAvGPf

「さて、信じてもらえましたか?」
「信じるしかないだろう」
中人は満足そうな笑みを浮かべたあと言った。

「全部フィクションです」

「は?」
「ええええええええええっ!?」

長話して引っ張っておいて最後の言葉がそれかあああ!

「・・・・とここまでが、今夜発表される政府発表です」
「が」
「真実は別にあります。そのためにあなたをお呼びしました。
 政府発表は嘘ですが、真実も限られた含んでいます。
 少なくともあなたと私、ごく限られた小数の人間以外には真実でしょう」

中人の瞳に嘘はない。淡々と決められた話をしていた感じだ。

「専門化が断定し、十数万人の自衛隊が動き、日本の通信が一斉に遮断され、
 ミュータントが実際に襲ってきて、それを説明できる理由が信頼ある政府から説明されたら
 それは本当になる」

「現実は常に考えられる最悪の下を行く、かな」
「おっしゃる通りです」
301とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/15(水) 22:25:54 ID:5IGAvGPf
('A`)ヨーヤク ボウトウノ ガイムショウ タナカサンガデテ ハナシガツナガッテキタ
  モノゴトノ ウラトオモテ  マホウヲ カガクデ ケンキュウシヨウト シテマス
302とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/15(水) 22:27:49 ID:5IGAvGPf
投下終了
303創る名無しに見る名無し:2009/04/15(水) 23:18:26 ID:3kiz5jiS
エルフ語とか、さすがイギリスの大学はパネエな
304創る名無しに見る名無し:2009/04/15(水) 23:44:37 ID:9FM9Fy6u
投下乙です。
トールキンのそれは通用するのだろうかw
待望のダークエルフ出てきて俺ちょっとみなぎってきたよ!
ダークエルフ!
305創る名無しに見る名無し:2009/04/16(木) 01:41:44 ID:t9Jm7dMz
エルフ語って何?w
306創る名無しに見る名無し:2009/04/16(木) 04:28:15 ID:5OEYHkFD
凝り性の言語学者が気合いれて作った架空の言語だったと思う。
トールキンとかいうおっさん。
307創る名無しに見る名無し:2009/04/16(木) 05:12:52 ID:kc0fJtMG
とある戦記の人乙です。
架空言語といえばクリンゴン語思い出すな。
あれみたいなもの?
308創る名無しに見る名無し:2009/04/16(木) 09:17:34 ID:JJJvtppr
http://www.i-mezzo.net/log/2004/04/04000020.html

「ロード・オブ・ザ・リング」に登場するエルフ族が話す言葉、
エルフ語を教える講座がイギリスのバーミンガムの工科大学に開設されました。
309創る名無しに見る名無し:2009/04/16(木) 12:57:54 ID:XO8ecvEF
もしSFだったら、アーヴ語とかになったのかね?
あ、あれはデーヴ以外には単語程度しか分からんか。
310創る名無しに見る名無し:2009/04/16(木) 13:14:21 ID:YrahpRGO
>>283 福島県民としてこの世界の島根県民には同情します
311創る名無しに見る名無し:2009/04/16(木) 18:19:43 ID:lziDPM7l
>>108->>110の文章と繋がったわけね 投下乙〜
312創る名無しに見る名無し:2009/04/16(木) 20:22:10 ID:BzmnzcXE
->>310 

福島の地名や苗字はたくさんあるからね 愛知県民だが苗字が福島だから同情するよ

それにしても現実になったらこのスレも一気に消費するだろうな
具体的な状態は知らんが樺太とマリアナ周辺は残っててほしい
313とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/17(金) 21:50:46 ID:MSFWxG93
「政府が躍起になって隠そうとしている真実」
「真実は」
 中人は薄く目を細めつつ唇の両端をわずかにつり上げる。
 判りづらい表情の変化、彼女は微笑んでいた。
 何かの企みごとがうまく運んだ、満足の笑み。

「日本が異世界に召喚された。ということです」
「『召喚』か。キツイ冗談だね」
「あなたはそういったことに理解があると思っていたんですが。残念ですよ」
 そう話しつつも黒桐はちっとも残念そうな顔をしていない。
 茂人は苦虫を噛み潰した顔をしていた。

 7月1日、午後12時0分、日本領土以外との通信が途絶。
同時刻、竹島沖に3万人150隻からなる軍団が突如出現。
竹島占領している韓国軍と謎の軍隊が戦闘を開始。
撃退後、海上自衛隊と航空自衛隊の共同による周辺国の状況確認開始。
偵察衛星、日本を含む各国の状態を確認。
本来の地球ではありえない国や大陸が写る。
追加調査により、未確認生命体や現代の常識では計り知れない現象が観測。
星の位置がおかしいと報告。
我々の居た世界とは異なると結論が出た。

「『召喚』?その状況では『転移』と呼ぶのが正しいのでは」
「私も最初は同じ考えを抱いていました。ですが、今回の事件について不自然な点が多すぎます」
 ひとつ、日本領土又は主張している領土だけが正確に切り取られて転移。
ひとつ、転移時に何も混乱が発生していない。日本各地の地震計だけが震度7を指している。
ひとつ、地球に似た惑星に日本がよばれ、緯度経度変わりない地域に出現。
ひとつ、気候もさほど変わりない地域に出現。
ひとつ、兵力3万人が一瞬で海上に出現。

「最初から最終回だな」
「出来過ぎですよね?だから人為的に仕組まれた『召喚』と呼んでいます。
 私は『召喚』でなく『召還』が正しいと思っているのですが、まだ証拠が足りません」
なるほど、衝撃的な事実だ。突飛過ぎて世間に公表できまい。
314とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/17(金) 21:52:15 ID:MSFWxG93
「いったいどうすればいい」
「日本だけが異世界に転移してしまうと問題があります。資源がない」
「そこで僕が呼ばれたと」

 やっと話が繋がって来た。
日本は島国である。世界基準でも裕福な国であり、
少子化が叫ばれている今でも、面積に対して人口は過密である。
日本人の人口だけでも1億2500万人、更に駐留外国人が加算される。
食料自給率は多く見積もって30%、鉄鋼や石油などほぼ全ての資源を輸入に頼っている。
それでも国の体制を維持できているのは加工技術に優れた国だからだ。
輸入した資源に更なる付加価値を付けて輸出してバランスをとっている。
 異世界に呼ばれ、此れまで築きあげてきた食料や資源の繋がりを断ち切られた。
早期に貿易を回復できなければ、過剰な人口を持つ日本は島ごと餓死する。
輸入なしでは1年も持つまい。
 最初部屋に来た時思っていたよりずっと重要な仕事だった。

目の前の敵を排除する前に、腹を満たさなければ生存すらままならない。

「敵勢力は分析できているのかな」
「封筒に入っている報告書に事件の流れと、これまで判明したことが大まかに書いてあります」
315とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/17(金) 21:53:00 ID:MSFWxG93
 報告書を総合すると以下のようなものになる。

 通信テロ直後に兵力3万からなる軍が突如出現、
軍の先行を行うように移動し、国境を越えようとしていた相手の使者を
最初に叩き落したのは竹島に駐留している韓国軍である。
直後に周辺海域から敵航空部隊が飛来、攻撃開始。
周辺海域で異世界の生物狩りを行っていた航空自衛隊が対応、威嚇射撃を行い領空から撃退。
日本政府は竹島周囲の敵航空部隊及び上陸部隊に対し静観を決め込んだ。
韓国軍300名は一人残らず殲滅され、相手の死者は9000人を出した。

 日本国としては一発も相手国に向かって命中弾を出していない。威嚇射撃のみである。
戦争の引き金を引いたのは韓国軍の暴走によるところが大きい。
結果的に日本政府は、労せず不法駐留する韓国軍を排除できた。

 戦略資源のない竹島へ襲撃した目的は不明。使者を殺された報復と考えられている。
上陸部隊は旧ソ連式に近い制度をとっており、監督部隊が存在する。
背中に魔法を突き付け、無理矢理戦わせていたと緊急出動していた自衛隊観測部隊からの報告あり。
検死の結果、異世界人類の体からは麻薬に似た薬物反応と、使用していた薬物が発見されている。
ドワーフ、エルフ、人間、複数の“生物種”が混在する部隊で
型と紋章が似た複数種の鎧から、多国籍の連合軍又は派兵されてきた部隊。
統制の取れなさから、徴兵されて各地域から来た混成部隊の可能性がある。

 そのため、監督部隊制度とあわせて考えると相手は覇権国家である可能性が高い。

 敵軍の装備は全般的に中世レベル、鎧や盾、長弓を使い、
艦船はフリゲート級のガレー船が主力で、撤退時には最高速度で10ノット。
地球で過去に使われていたガレー船の6ノットよりも遥かに速く航行できる。
船には氷室に『何か』を加えた簡易的な冷蔵庫が存在していた。詳しい構造は解明されていない。
中世レベルの科学技術にしては不釣合いな現象は『魔法』によるものと考えられる。
対艦装備はバリスタが主力で、火薬の類は確認されなかった。
代わりに『魔法』が存在し、刻印が彫られたアルミ並みの強度を持つ木や、
本来の強度を上回る武器が確認されている。船底に正体不明の鉱石が確認され、現在調査中。
兵士は全般的に貧しい者が多く、エリートとそうでない者との差が激しい。

 艦艇には簡易空母的なリュウキシ専用艦あり。
リュウキシの行動半径は25km。戦闘時最高速は時速300km巡航速度150km。早期警戒機によって観測。
外洋渡航能力の限界なのか小規模艦艇は存在せず、全てがフリゲート級以上の艦種だ。
兵種を考えると、最初から上陸戦を目的にしていた可能性が高い。

 他、道具や武器、倉庫にあった食料品については分析中。
奇妙な文様の意味についても調査が急がれている。
316とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/17(金) 21:53:49 ID:MSFWxG93
「召喚直後から竹島駐留の韓国軍が隣国らしき部隊と交戦開始。退けました。
 向こう側の死者だけでも9000人近い、戦争状態ですね」
「まるで相手からは僕達から戦争を始めたように見えるだろうな。
 宣戦布告なしの戦闘行動、150隻の大艦隊の目前で使者を撃墜。戦争に十分な理由だ
 戦略拠点の皆無な竹島を襲撃したのは報復措置か。それとも別の理由があるのか」
「茂人さんはこの報告書をどう考えます」
「生産加工、軍事技術は圧倒的に此方が優位に立っているが、大国と取引が出来なくなるのは苦しい」
「大国ですか」
「多様な人種、多勢力を表す紋章、150隻も用意できる経済力、監督部隊がそれを表してるよ。
 150隻は地球の中世の大戦で行われた戦闘基準で考えると大戦力だ。
 僕が地方都市の領主だったら船団が来たとたん恐れ多くて土下座するね」
「戦争よりも、貿易できなくなるほうが危険だ。
 大国であるというのはそれだけ周辺国に影響を及ぼせるわけだから。
 経済制裁のほうが派兵より容易だしね」

 中世の戦闘を例にするなら1571年に行われたオスマン帝国と
 教皇・スペイン・ヴェネツィアの連合海軍の海戦がある。ガレー船が多く使われていた時代だ。
 両軍の総力を使ったレパントの海戦では両者400隻近くの船が戦闘に参加した。
 歴史を参考にするなら日本に派遣した150隻は方面軍だろう。
 相手は小さな島国日本、中小国相手相手に十分な戦力を派遣したと思っていたのだ。。
 敵は突然召喚された戦闘準備も整っていない国、しかも直後で他国との防衛協定が結ばれていないので
 横槍を入れられる心配も少ない。いきなり戦闘を仕掛けてきたのは戦争に自身がある国だったのだ。

 きっと前にも同じようなことをしていて成功していたのではないか。
 相手は突如現れた。しかしどんなに優れた技術を持っていようが、
 150の船と3万人も動員するには時間と準備が必要だ。
 3万人に呼びかけ、一箇所に集めるだけでも時間が掛かる。
 相手は整然と戦闘行動を開始、“予め決められていた”ように動いた。
 だからこそ、“前にも同じようなことがあった”と考えられた。
 でもない限り、正体不明の島へいきなり侵攻しようとは思わない。島国相手だと見誤った可能性がある。

「大国である相手国が島国へ大群を派兵する必要がありますか」

 いきなり軍を派遣する強引で高圧的な態度、多民族国家、鎖国された(召喚直後の)国への交渉
 前にも同じことがあったかのような入念な準備。つまり、

「もちろんさ。圧倒的な軍事力を背景にした黒船外交だよ。そして彼らは失敗した」
317とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/17(金) 21:54:43 ID:MSFWxG93
「監督部隊があるのは逃げたり戦闘放棄をする隊を恐怖で支配するために居る。
 相手にも複雑な事情があるらしいね。付け入る隙があるとしたらそれだろう。
 それにしても、報告書は軍事情報と調査中、分析中、〜と予想される、ばかりだな」
「自衛隊が主体となって情報収集したので軍事的観点になってしまうのは仕方がないでしょう。
 後追いでより詳細な報告が入りますよ。科学分析には時間が要ります」

「肝心の国際情勢は。他にも周辺国の経済状態や国の位置を確認したい」
「難しい相談です。襲撃撃退以来、周辺国は驚いたせいか使者を派遣してきません
 よって接触もありませんので衛星写真で発見できるのは大まかな集落だけでグループの違いまでは」
「まるで経済制裁だね。直接会いにいくか、向こうからの接触を待つしかないか」
「来るのは一ヶ月先か二ヶ月か、待つ間に日本は干上がりますね」

「資源も、物資もない。食料すら危うい。普通なら行き着く先は戦争と略奪だね」
「物が買えなければ、の条件付ですが」
「当分先は貿易の相手先を増やすのに奔走しそうだ」

もっとも、貿易が出来ないならば武力で恐喝するなりしなければいけないだろう。
話し合いを待っている程悠長な真似はできない。
この世界の国家より軍事力も生産力も圧倒しているのに頭を下げるのは不服だが
最悪、全方位土下座外交をしなくてはいけないだろう。
最低でも国内の食料がなくなる2ヶ月半以内に調達先を見つけ、貿易を開始しなくてはならない。

性急な市場調査と交渉の場が必要であった。


「で、あの小さな子は?呼び出されたからには関係があるんだろう?」
「竹島戦で唯一生き残った生存者ですよ」
「親御さんは?」
「敵軍撤退後、数人が島に取り残されました。放り出された彼女達は集団自決です」
「惨いな。可哀相に」
318とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/17(金) 21:56:28 ID:MSFWxG93
投下終了

('A`)ヨージョノ ハナシ カケナカッタ…
319創る名無しに見る名無し:2009/04/17(金) 22:22:20 ID:xtCqcZG5
>>317
う゛、う゛ぁああ゛あ゛ああ
貴重なダークエルフを・・・
320創る名無しに見る名無し:2009/04/18(土) 06:12:40 ID:IbPna9dv
  _  ∩       
( ゚∀゚)彡 >>とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o 新作!新作!
  ⊂彡
  _  ∩       
( ゚∀゚)彡 >>とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o 新作!新作!
  ⊂彡
321創る名無しに見る名無し:2009/04/18(土) 09:10:13 ID:Cx0dNBci
パンパカパーン
『2600年の歴史を持つ我が日本に対し、突然攻撃を行った野蛮な帝国の攻撃はこうして潰えた!
 帝国は数万の兵員を完全に失い壊滅した! 弱い!弱すぎる!
 帝国の誇るワイバーンなど我々の戦闘機にとっては的に過ぎない!
 思い上がった野蛮人に過ぎない帝国など我が精強なる日本国自衛隊の敵ではないのである!
 田舎の野蛮人の王は自分の王座の上で震え上がって居ることだろう!
 その貧相なボロ椅子を我が軍の兵士が蹴倒す日はもうすぐだ!


〜後に作られた周辺国向けの宣伝映画(内容には正確性が欠ける場合があります)〜
322創る名無しに見る名無し:2009/04/18(土) 14:53:10 ID:9JwwTapv
女性差別撤廃条約が危険 4月21日午前8時、自民党本部701で政調外交等合同部会で女性差別撤廃条約議定書批准審議が行われる
反対発言が複数なければ国籍法の二の舞

選挙モードになってるので 議員の殆どは日本解体直結する重要法案審議すること知らない

当日同時開催される臓器移植関係部会は国会対策委員長から出席指令が出てますので1回2回当選組は出欠が採られること、皆臓器移植関係部会に行く流れになっているよう。
この日本解体法の支援団体は VAWW-NETジャパン 部落解放同盟 新日本婦人の会( 共産党) 朝鮮総連女性局など 左翼団体。法案を自民党が通すことが皆信じられないでしょう
知り合いの民主党議員秘書は資料見せたところ「自民党は狂ったのか」と発言。

国籍法で動いた議員にFAXを!

時間は20日まで!


国籍法で動いて頂けた国会議員  http://www.freejapan.info/?FAX
ジャーナリスト水間政憲
323創る名無しに見る名無し:2009/04/18(土) 19:37:44 ID:1hkbtENM
>>321 寝返ったテレヴィ朝日ですね

>>322 臓器移植問題も異世界の魔法で何とかならないかね 魔物の再生力をもとに遺伝子復活ホルモン剤とか


324創る名無しに見る名無し:2009/04/18(土) 21:11:01 ID:Cx0dNBci
>>323
そこまで技術力発展しないだろう。
でなきゃ中世レベルで足踏みしてない。
そんな実験やってる魔術師位ならいるかも試練が
治療というよりキメラ製造という感じ?
325創る名無しに見る名無し:2009/04/18(土) 22:22:01 ID:VFS1RwUW
銃夢のノヴァ教授みたいなのがいる可能性はありそう。
……いたら凄まじく嫌だが。
326創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 00:01:33 ID:wBY+3k09
>>325
ゼロ魔のコッパゲみたいなマッドサイエンティストがいれば外燃機関ぐらいは開発可能。
だが銃器は無理……
327創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 01:12:30 ID:HRSZ01yX
産業レベルで技術が向上しないと、素材や部品が揃わなくて量産が効かんしな
328創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 01:21:04 ID:7PNfaLPG
ああ、そうか。
個人レベルで高性能なのを造れても量産出来なければ話にならない。
戦いは数だよ、兄貴!
329創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 04:09:42 ID:wBY+3k09
◆8b20lCD.o. 氏のF世界に「工業製品」とか「大量生産」とかの概念があるかどうかも怪しい。
そもそも品質管理(QC)の概念だって恐らく存在しない。
極端な話、日本の戦国時代までみたいに「螺子」の概念が存在しない場合だってあるんだし。
330創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 09:16:09 ID:GwNyPKtz
くろべえ氏の帝國召喚で、F世界がライフリング切った銃を試作してたが、あれは絶対不可能なんだよな。
まず、ライフリングを切る機械から開発する必要がある。
まぁそれはマッドサイエンティストが何とかするとしても、今度は寸法公差という概念の壁がある。
銃本体はまだしも弾が生産できない。
331創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 09:31:05 ID:yal0d8pk
とりあえず、アームストロング砲造った佐賀藩sugeee
程度の認識でおk。
332創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 09:40:45 ID:wBY+3k09
あそこの凄いところは初歩的な近代高炉から作ったところだ。
333創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 09:42:47 ID:GwNyPKtz
工業化されてない近代国家という非常に稀な存在だった日本と比べるのは間違ってると思うんだw
334創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 09:44:20 ID:6fD2B3l0
うああ・・・筆が進まない
335創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 09:45:04 ID:6fD2B3l0
誤爆した
336創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 12:22:22 ID:mTuZeY59
いいこと考えた
じゃあ各時代の日本が召喚されたらなんでもできるんじゃね?
337創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 12:47:18 ID:eqfBFcDY
故九条さんがそう言うネタ書いてたな−。江戸時代にタイムスリップだけどもさ。
大和が何隻もあって、もう艦名が「大和100」とかナンバリングで。
338創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 12:57:26 ID:yZWVVv1Y
あの人のは二次しか読んでなかったんだけど、そういう話聞くと、いまちょっと後悔してる。
339創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 13:24:58 ID:yZfmd8ph
766 :名無しさんなのね〜:2009/04/18(土) 21:47:28
自衛隊かの地にて……の亜流みたいなところもあるが
捜索発表板「自衛隊がファンタジー世界に召喚されました」スレにて
「とある人たちの戦記録」ってのがスタートしてるがなかなか面白い
◆8b20lCD.o.で抽出してタイトルがつく前から読むのがよろし
「NHKにんげんドキュメント・補給仕官と向き合う」にワロタ
340創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 15:59:37 ID:edPNcy6M
F世界側が工業化推し進めようと思ったら度量衡なんかの共通の単位からだなまずは
341創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 16:44:55 ID:GwNyPKtz
教育水準も高めなあかん。
機械だけあっても設計者や工員、さらには使用者がいなきゃどうしようもない。
生産するための資源、それを輸送するための輸送機関、機械を動かす為の動力
その燃料を輸送する輸送機関、そのまた燃料をry
機械にしてもそれを製造する機械、さらにはそれを構成するねじを生産する機械、さらにそれをry
「実験室で出来た」から「工業製品」までは天文学的に予算と技術開発と人員と時間が必要になる。
それが現代出来るのは今までに少しずつ積み重ねてきたから。

明治時代の日本は理論研究の面では進んでたし、諸外国から技術と人員と機械を買ってる。
それでもあそこまで成功したのは奇跡みたいなもんだ。(実際、誰かが仕組んだような幸運がしばしば見られる)
海外の世界史物ゲームでしばしば明治維新イベントが殆どチートなのはそのせいだなw
342創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 17:22:14 ID:A4zRoYiM
パンドラのヴィクトリアとかか。
アレは最初に日本でやったときびびったわw
343創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 17:33:07 ID:GwNyPKtz
>>342
無条件で大量の技術がもらえる上に、非文明国から自動で支配する側になるからなw
列強のどれかと手を組んで亜細亜制圧始めれば一挙に列強のトップの上り詰められるというチートっぷりw
344創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 18:39:24 ID:hanLXyij
明治維新はイギリスとフランス(とアメリカ)が互いに牽制しあって
日本はそのおかげでどれか一国の植民地に陥らずに済んだ、と聞いたことがある
345創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 19:29:08 ID:GwNyPKtz
それもあるが
当時の日本を軍事的に占領するのは不可能に近いというのが大きいと思う。
日本よりはるかに弱小な国ですら搦め手で植民地にしてる。
346創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 19:42:38 ID:wBY+3k09
どちらにせよ、
船舶関係を例にとっても沿岸交易型一本マスト商船レベルまで衰退していた技術。
それを御維新後の高々40数年で主力戦艦建造を成し得たのは充分脅威だった筈。
しかも技術購入したとはいえ殆ど自力で成し遂げた。
これは魔術・妖術の類かもしくは或る種の「変態」と見られても致し方ないな。
347創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 19:58:15 ID:edPNcy6M
まあ日本は不利な状況とか縛りプレイとか大好きな変態の国だからな
348創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 20:19:00 ID:mTuZeY59
変態の国どころか国そのものが変態だからな
349創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 20:28:07 ID:GwNyPKtz
>>348
イギリスは人そのものが変態だがな!
350創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 20:42:49 ID:r9O0MoEr
おまえらwww
351創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 20:59:13 ID:mTuZeY59
つまり、変態は変態を知る。


ゆえに日英独でチームを組めば三国変態同盟として世界に名を残す。
352創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 21:21:25 ID:GwNyPKtz
イギリス人が思いつき
ドイツ人が現実化し
日本人がこんな事もあろうかとパンジャンドラムを開発しておいたっ!
353創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 21:39:46 ID:nlsjRKLe
>>352
日本人が実用化するの方が良いんでは?
354創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 21:44:43 ID:mTuZeY59
むしろ
イギリス人が作成し
ドイツ人が実用化させ
日本人が魔改造しすぎる。
355創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 21:48:26 ID:GwNyPKtz
>>354
光学赤外線レーダーGPSホーミングパンジャンドラムですね分かります
356創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 22:18:06 ID:nlsjRKLe
>>355
なんかすっげー当たりそうな気がする
357創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 22:23:41 ID:n1SK352W
>>355
そして風呂屋の女湯に飛び込むのですね分かります。
358創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 22:26:05 ID:36lqvo3r
>>354


つ90式戦車
359創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 23:01:34 ID:GwNyPKtz
プロジェクトX 〜挑戦者達〜 『日英独の協力 大戦の行方を変えた車輪』

イギリス人技師が言った。
「ダメだ! どうしても走行が安定しない! これでは何処に突っ込むか分からない!」
「実用化は無理なのか・・・」

皆が諦めかけたその時、諦めない男が居た。
「一輪車がダメなら、3輪車にすればいい」
発想の転換だった。
360創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 23:12:20 ID:mTuZeY59
>>355
空飛びそうなんだがwwww

>358
つまり90式は変態ということだな!
361とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/19(日) 23:40:27 ID:6fD2B3l0
「おや?起きたようですね」
 中人は設置してある室内電話で連絡を取ると、茂人へ振り返った。
分厚い強化樹脂で保護されたマジックミラーの向こう側。
ベッドから上半身を起こしたまま、少女はぼんやりと飴色の瞳で光る天井を眺めていた。
小学生高学年ぐらいの、茂人より40cmも背の低い健康的な小麦色の肌をした、あどけない大きな瞳の幼女。
起きたばかりで目が冴えていないのか、大きく伸びをした。

「彼女がエルブ王国の親善大使です」
 完璧に整い過ぎて人間離れした顔立ちと肩まで伸びたサラサラの銀髪。
葉っぱの様な長い耳がぴくぴくと動き、首を傾げる度に殆ど銀色に見えるプラチナブロンドの髪が光る。
浅黄色の薄い介護服の下で、まだ性別を匂わせない体が息衝いている。

「子供が大使をやるなんて、酷い国だ」
「親善大使と言っても、我々研究チームが勝手に呼んでるだけですがね。
 彼女は無理心中で生き残っただけの子供です。親善大使なんて大それたものじゃありません。
 ですが、異世界人との第一接触。親善か敵対かはあなたの態度に掛かっているわけです」
「責任重大だね」
「相手は子供ですから、気楽にやって下さい」
 そうはいうがね中人さん。彼女、とても偉そうだよ。
滑らかな肌と薄いピンクがかかった頬、軽くルージュがのった唇と桜色の手入れされた爪。
眠たげに開かれた目は退廃と清楚さが混ざり合い、不可思議さと妖艶さを増している。
色気のある 妖艶な幼女。

「なんでエルブ王国なんだ。エルフ王国ならスッキリするのに」
「いやはや。彼女達が自決する際に『エルブ王国に栄光あれ』と言ったからですかね」
「言葉が通じるのか!?」
「いえ。そう聞こえただけです。正しい発音かも判りませんし、違う意味の言葉かもしれません」
「ようは何も判っていないんだね」
「確かめる前に自爆してしまいましたから。
 だからあなたを呼んだのです。エルフ語なんて言語も使えますし」
 確かにエルフ語は珍しいよな。指輪物語を読む時ぐらいしか役に立たないし、使えても意味がない。
D&Dの小道具に使えたら便利かなと思って、半ば趣味で覚えた言語だ。
ゲームに使ったら、相手が意味を理解できなくて絶不評だった。

「エルフだからエルフ語なんて身も蓋もない。
 灰色エルフにクウェンヤで話しかけるかシンダール語で話すかだけでも態度が違うんだよ」
「クゥエンヤですか?」
「ああ、エルフにも方言があるってことさ。クウェンヤは中つ国では禁止されてる西の公用語だ」
 灰色エルフとは指輪物語に出てくるエルフの亜種で、部屋の向こうにいる彼女に似た容姿をしている。
やや背が高く、灰色がかった白い肌に銀色の髪と琥珀色の瞳、 あるいは薄い色合いの金髪と菫色の瞳。
よそ者嫌いの偉そうなエルフである。願わくば幼女が人間嫌いのタカビーでないことを祈ろう。
362とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/19(日) 23:41:12 ID:6fD2B3l0
「忌み語ですか。機嫌を損ねたら厄介ですね。そういえば彼女、先ほどからミラーをずっと見ていますね」
「マジックミラーの向こう側が見えるのかな」
常識外の魔導師の目には、自分達の街はどんな風に見えるのだろう?
自然の精霊のない死に絶えた街に見えるのか、はたまた都市の精霊が集まる世界か、
想念渦巻く魔界か、それとも普段と代わりないか、興味は絶えない。
「興味深い行動です。彼女の目に私達はどんな風に見えているのでしょうね」
 魔法使いの瞳には現代社会はどのように見えるのだろうか。

「不思議に思っていたんだが、彼女を隔離してるのは?耳が長いだけの可愛い子じゃないか」
「正体不明の細菌から私達と貴重なサンプ…彼女を守るためですよ。
 宇宙から帰還した宇宙飛行士には入念な身体検査が義務付けられているのは知っていますか」
「宇宙暮らしで骨が弱くなっていたり、病気を持ち込んだりしないためだね」
「その通り。どんな正体不明の菌を持ち込んでいるか判りませんから。宇宙は謎が多いんです」
 じろりと中人を睨んだ。『魔法』の研究に人体実験、まるでサイバーパンクの悪徳企業だ。
「異世界は宇宙以上か。モルモットだな」

「冷たい目はやめて下さい。隔離は私達を守ると同時に彼女を守るのに繋がります。
 解剖で判明しましたが、エルフと人類は身体構造が違うんです。似通っているところも多いのですが。
 それに生体解剖や電極付けたりするマッドな実験はやりませんよ。
 解剖は死体のサンプルが沢山ありますし、彼女は貴重な存在ですから」
つまり機会があればやるかもしれない、か。
日本政府は現在のところ、彼女達に人権を付加していない。
たとえ人の姿をしていても動物扱いだ。
「別の生命体なのか。異世界人にとっても致命的な菌があるかもしれないからね」

「説明が省けて助かります」
「旅行でもアフリカや南アメリカの未開地に行く場合、防疫注射するからね」
彼女の言葉にも一理あった。
危険な寄生虫や虫を国内に持ち込まれたら、免疫力のおちた現代人には耐えられまい。
異世界の病気に対し私達が免疫があるのかすら不明だ。

「異世界人は中世レベルの科学技術ですから、
 赤痢やマラリア、日本では絶滅した病気を彼女が保菌しててもおかしくありません」
「彼女は健康じゃないか。ほら、伸びをしてる」
緊迫した会話が交わされる向こうで、
長い銀髪に炒った小麦の肌をした幼女がベッドで華奢な体を伸ばしていた。
363とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/19(日) 23:41:58 ID:6fD2B3l0
「たとえ健康そうでも油断は出来ません。発症していないだけの保菌者かもしれませんから。
 もし健康でも…大腸菌ってありますよね。夏になると毎年騒がれるO−ナントカ菌です。
 そういったものを持っているとも限らない」
「それじゃ、外に一歩も出られないじゃないか」
「私達は病気に関してはある程度は楽観視してます。彼らは人類と一緒に暮していますからね。
 ちなみに当研究所は日本でも有数のレベル4BSL(バイオセーフティレベル)を誇っています。
レベル2区画は何処にでもありますが4は数えるほどなんですよ。細菌研究だってできます。
病気に関してはあくまで念の為ですよ」
別の狙いがありますがね。と彼女は言葉を切った。

「議論を重ねても埒が明かない、そろそろ話しかけてみようか」
「話しますか?」
「お願いします」
「話す際は会話ボタンを押して声を出してください。
 押しながら話さないと此方の会話は向こうの彼女には聞こえません。彼女の機嫌には気を付けて下さいね」
「随分と警戒するんだな。幼女が口から炎でも吐くのか。
 目からビームはシュールだ。ただし、魔法は尻からでるのは見たくないな」
だとしたら嫌だ。魔法に対する自分のイメージが根元から崩壊する。
夢は夢のままでいさせて欲しい。
足の臭いで発動する臭魔法や皮膚を切り裂かれる痛みで発動するドM魔法なんか見たかない。
せめて音を聞いて発動する魔法や全裸で発動するぐらいに留めて欲しい。
「くくく。似たようなものです。魔方陣が出て、手から火炎を吐き出したり氷の矢を飛ばすぐらいですよ」
良かった。イメージの範疇で。

「怖い怖い。精々礼を尽くすとしよう。壁は大丈夫なのかな」
「もちろんです。竹島沖で使われていた火炎放射程度なら大丈夫でしょう」
「怪獣みたいですね」
「みたいじゃありません。怪獣、なんですよ」
普通、人が火を放ったり氷を出したりできないものな。
364とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/19(日) 23:42:51 ID:6fD2B3l0
スピーカーに向かってエルフ語を話すと、壁の向こうにいる銀髪の幼女はびくりと動いた。
『練習、練習、聞こえているなら右手を上に上げてください』
『聞こえているなら右手を上げてください』
『聞こえているなら右手を下げてください』

外交官の第一声としては有るまじき言葉。
実験だから仕方がない。外交の前提条件は言葉が通じるか否かだ。
部屋に設置されたスピーカーから声が出ると
幼女はびっくりした様子で壁に偽装してある音源へ目を向けた。

「反応がオーバーですね」
「かなり驚いてるな。正確にスピーカーへと顔を向けたぞ」
「ボリュームが大きすぎるのではないでしょうか」
「彼女は耳が大きいからね。耳がいいのかな。音を下げるか」
エルフ語のシンダール語とクゥエンヤが通じなかったので
言葉の元となった古ケルト語で話す。
『聞こえているなら右手を上げてください』
『聞こえているなら右手を下げてください』

幼女は聞き覚えのない言葉で困惑しているようだった。
右に左に首をふりふり。部屋の中をぐるぐる。ぺたんっと床にこけた。
ちょっとかわいそうだ。
「うーむ。おろおろするばかりだね。警戒してるのか」
「目の保養になりますが。そろそろ新しい反応が欲しいですね」
『聞こえているなら右手を上げてください』
『聞こえているなら右手を下げてください』
北京語、ドイツ語で同じ意味の語を話す。
「彼女もがんばって聞き取ろうとしているみたいだが、声には驚くものの反応が薄いな」
ケルト語で何らかの反応を示さない時点でインド・ヨーロッパ語族は望み薄なのかも。

英語、イギリス英語で話すとついに反応があった。
『聞こえているなら右手を上げてください』
『聞こえているなら右手を下げてください』
子供が英会話教室で先生の発音を頼りに話すような、片言の英語っぽい発音。
「あっ、asdfghjty。コレハ トムデス」
「おっと。反応がありましたよ」
「続けてください」
会話の基本は単語の確認だ。
ひとつひとつ言葉をはっきりさせれば回答へ近づく。
『トムはわたしですか?』
「あなたはペンです」
『わたしはペンですか?』
「はい、わたしがトムです。それもかなりのトムです」
『ペンとは何ですか?』
「いいえ、ちがいます」
外国人に道を尋ねられた日本人のようなちぐはぐな会話だった。
365とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/19(日) 23:44:09 ID:6fD2B3l0
「だめだこりゃ」
「言葉は難しいですね」
「なら最後に日本語でやってみようか」
『聞こえているなら右手を上げてください』
『聞こえているなら右手を下げてください』
幼女はサッと右手を上げ下げた。
「通じてる!?」
しかも日本語だ!
「偶然かもしれない」
興奮を抑え確認の言葉を紡ぐ。
『私の言葉が聞こえますか?聞こえているなら首を振ってください』
幼女はぶんぶんと首を振った。
そりゃあもう、残像ができそうな勢いで。
首がかくんかくんと揺れた。
慌てて止めさせる。
『振り過ぎです』

「お茶が欲しいのう」

幼女が喋った。
幼女特有の甲高い声、老成した響きの言葉。
記念すべき、現代人と異世界人が通じ合った第一声であった。
366とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/19(日) 23:44:56 ID:6fD2B3l0
投下終了
('A`)モースグ ダイイチブ オワリヨー
367創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 23:56:59 ID:Gi8XA2fl
乙!
やべ、ロリババアか!萌えるw
368創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 00:10:48 ID:qukldo08
ただの幼女かと思ったら、ロリババアとは予想外!
いいぞ、もっとやれ!
369創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 00:16:01 ID:APj13eoW
◆8b20lCD.o. 氏GJ!
370創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 01:16:49 ID:ODC3s0mm
投下乙!
いつも楽しく読ませてもらってる
371創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 02:03:56 ID:27IM9x6T
>>359

浅草を駆け抜ける3輪トラックか
372創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 02:10:45 ID:7IbgIcCo
なんというロリババァ。
いいぞもっとやれ。
373創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 02:13:40 ID:27IM9x6T

流石 日英独変態連合だな 日本語で通じるし 英語も通じる
文化形態はローマかガリアかイスラムかエジプトかバルトか

某リリカルも主人公は日本語 デバイスが英語 仲間が伊系苗字
京風関西弁の下僕がドイツ語 彼女をストーカーする爺さんはイギリス人

ついでに魔砲少女は軽巡クラスで倒せるらしい デバイスだけDEで狙えば桶
374創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 03:33:21 ID:oo02odF2
日英独が異世界に吹き飛ばされて、三国変態同盟を結んだら・・・・

イギリス:どっかからアーサー王の剣を持ち出す。
ドイツ:ナチス親衛隊魔女大隊<<<<<<ルーデル
日本:あれ?チハって強くね?


個人的には式神の城の
『魔法使うよりMG42ぶっ放した方が強いし手っ取り早い』と言うのに萌える。
375創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 12:45:34 ID:27IM9x6T
>>374

クサナギだろ日本は
376創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 13:10:23 ID:oo02odF2
>>375
オリジナルはとっくの昔に行方不明だぞ?w
今あるのはレプリカのレプリカのレプリカのレプリカの・・・・位な代物だし
377創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 14:44:44 ID:+9tkLyhj
>>376
学術的にはともかく、神道的にはそれでも問題ないんだけどな実は
378創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 15:02:33 ID:BWXubqkN
>>376
行方不明かどうかすらわからない、と言うのが正確。
なにしろ天皇でも見ることも触ることも出来ないんだから。
379創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 15:21:54 ID:oo02odF2
>>378
んん?
少なくとも何代目かは壇ノ浦で行方不明になった筈だが・・・
380創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 15:29:31 ID:+9tkLyhj
>>379
それもあくまで、一説の一つでしかないよ
実のところはよく分かってはいない
381創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 16:28:15 ID:oo02odF2
>>380
つーか、そこに無かったら行方不明だろ?
382創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 16:33:40 ID:+9tkLyhj
>>381
何でそうなる?
だから>>378が行方不明かどうかすら判らないって言ってるじゃん
383創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 16:39:56 ID:oo02odF2
??
今上天皇が皇位継承するときには出てきてたが
公式にもレプリカだろ?
384創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 16:48:24 ID:+9tkLyhj
>>383
いやあのね、公式の場に出てくるのはレプリカなんだけども
真作?とされるものは天皇ですら見ることを許されてないんだよ
んで現在は熱田神宮にあると「されている」わけ
テレビの取材なんかも完全に断られる。
つまり確かめようがないのが現状なの
385創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 17:13:27 ID:27IM9x6T
>>377

そりゃあ霊的な物だからな

神武天皇と今のクサナギを作った天皇の力の差がわからん
386創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 17:21:24 ID:7IbgIcCo
壇ノ浦に沈んだ説、持ち出してないので沈んでない説、沈んだけど引き揚げたよ説etc...

そういや即位時にレプリカを作る慣わしがあるけど、飾りに日本のトキの羽を使うんだよな。
絶滅しちゃったけどこれからどうするんだろう。悠仁殿下あたりでどうなるか心配だ。
387創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 17:44:04 ID:oo02odF2
あーもーめんどくさい
今後ん千年間使えるように新草薙の剣作ろうぜセラミックで
切れ刃部分はカーボンナノチューブ、持ち手の設計はMIZUNOで
388創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 17:50:38 ID:vmDBdEYg
秘密結社作らないか?
神社の秘宝とかお寺の秘仏を見る目的。
息子達を神主や坊さんに育て上げ目的の寺神社に潜入させるんだ。
そしてお偉いさんに出世させる…
そこでこそーり秘宝とか秘仏を見る訳よ
389創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 18:16:42 ID:27IM9x6T
>>387

異世界に行ったら霊石やドワーフやDAや獣人や龍族集めて作ればいいだろ

制作関係種族は日本宮内省と自衛隊が後見人になるということで
390創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 20:03:08 ID:H6YyzVmx
>>366
投下乙です。
うおおおおおおおおダクエル少女!しかもロリバ!
391創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 22:00:46 ID:0ENDq6xN
異世界テクノロジー得られるなら「十種の神宝」の新造きぼんぬ
392創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 22:10:57 ID:W2JGPW0K
神宝新造する意味がわからんが
393創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 22:22:16 ID:oo02odF2
新・三種の神器
ムラクモブレード
ドワーフの名工と、三菱マテリアルが鍛えなおした魔法処理済み天叢雲剣。戦車も切れる一品。使用時は光る。護身用。

ヤタノカガミ
魔法処理を施した八咫鏡を搭載した、IHI製・太陽光攻撃衛星。太陽光を八咫鏡で収束させ地上を攻撃する天皇の権力の象徴。

新・八尺瓊勾玉
デザインが古く、流行遅れなのでエルフに新しく作り直させた。大陸最大のダイヤを割って散りばめた豪華な一品。
394創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 22:24:36 ID:pF0Grwfg
神器なのは歴史の積み重ねだから
>393も千年くらい神社の奥で眠らせますか、もちろん天皇陛下だって見ちゃ駄目ですよ
395創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 23:13:42 ID:e4EQ2/WQ
異界のお宝や、異界由来の技術を得てわれらが作り上げた最初の品を
記念品として神社に奉納し(あるいは神体として奉り)、
後の世につたえてもらう、ってことだね。
396創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 23:32:49 ID:Jg+UdS6f
現存するオリジナルと言われる三種の神器って八尺瓊勾玉だっけ?
神に由来する神宝が現存するって考えてみれば凄い話だよな。
397創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 23:52:02 ID:1eY4TW3i
大陸から日本まで各地に安置される「仏舎利」と同様
その正体はわからんが、な
398創る名無しに見る名無し:2009/04/21(火) 00:25:18 ID:qDYQbTWR
多分1000年前後のレプリカだろうな
399とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/21(火) 00:26:49 ID:xJTKVwn/
アカイ・マル・ポーロ『南方見聞録』

ニホンは、大陸の南にある、とても大きな島である。
住民は皮膚の色が白く礼節の正しい優雅な偶像教徒であって、独立国をなし、
自己の国王をいただいている。また、驚くほど体臭がせず、ゴーレムのごとく人間味に欠ける。
ドワーフ達が好む、風呂を好み、風呂には大量の香木を砕いたものを入れる習慣がある。
香木や香辛料は市場で安く手に入り、銀貨4枚で、バケツほどもある風呂用の香木を買える。

 白金や宝石を公の場に持ち寄るのは善しとせず、代わりに絹織物の質を身分の証とする。
宝石の代わりとして真珠が首飾りや耳飾として多用されている。男性はあまり着飾らない。

 ニホンの風俗としては、たくさん種類がある偶像崇拝の中で、
特に白い魔王と黒い運命の名が付いた二人の女神が最大の敬意を払われているが、
このニホンの人々の生活は不合理で罪深く、ルーデル教徒やヘイヘ教徒には話すことも出来ない。
信者達によって多くの断章や写本が出版されており、夏と冬には聖地巡礼が行われる。
聖地は他の宗教の聖地でもあるため、行ける人数は限られており、
いけなかった者は○コミ墜ちたと呼ばれる。尚、○には夏と冬のどちらかが入る。
旧約聖書、神章4649節、神は仰られた「少し、頭冷やそうか」
神章893節「悪魔でいい、悪魔らしいやり方で、話を聞いてもらう」
白い魔王は好戦的な戦闘を司る神で、信仰する国民達は好戦的である。
彼女は畏怖と敬意を払われる存在であり、信者は語尾にさんや様を付けて敬称を表している。
他にも数々の神々が存在するため、しばしば宗派間対立や宗教闘争が起こる。

 ニホン諸島に住む偶像教徒は、自分たちの仲間以外の人間を捕らえてくると、
その男が教会への寄付を払えない場合には、友人や他の信者達を残らず招待して、
「いっしょに聖地巡礼に行きましょう」という。
そうして捕らえた男を聖地で大量の聖書と共に日干しにして、巡礼後にみんなで寄り合って
聖書を分ける もちろん男を放置してであるが。彼らときたら、いろいろな聖書のなかで、
自分達の選んだ本以外に最高のものはないと心得ている。

 この国ではいたるところに香辛料が見つかるものだから、国人は誰でも莫大な黄金を所有している。
塩や胡椒、東辛子はありふれたものであり、ただで手に入る。

 通貨は特別な銀貨と銅貨が主流で、金貨の流通は少ない。
銀貨より紙手形の方が価値としては高く、金を持ち歩く人々は殆どいない。
最も大きい銀貨一枚の価値は銅貨50枚分に相当する。最も大きい紙手形1枚の価値は銀貨20枚である。
通貨とは別に、金の市場が存在し、決済は其方で行う。金の価値は非常に高い。
400とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/21(火) 00:27:35 ID:xJTKVwn/
 この国のあらゆる建物は巨大な継ぎ目のない大理石で出来ている。屋根はすべて鉄でふかれている。
床も、全部が継ぎ目のない黒い敷石で敷きつめられている。
天を突く見張り塔がたくさんあり、空が見えない。
森が少なく、ダークエルフ以外のエルフ達が住むのには向かない。
五階建ての塔ほどもある柱が乱立し、間に移動用のロープが張られている。
鍛冶場が近くにあるせいで空気が悪く、病気の者が多い。
窓や外壁は貴重な硝子で、それもとても巨大なものを惜しみなく使い、贅の限りを尽くしている。
硝子は街に溢れ、商人や貴族しか使わない硝子製の食器で溢れている。

 腕の良いドワーフ鍛冶達が一部の鍛冶達を真似るせいで、様々な食器が全て寸分たがわぬ容をしている。
またこの国には多量の塩が産する。
塩は加工され、魚や豆を絞ったもの、野菜を漬け込んだもの、あるいは魚や肉の保存として使われている。
肉は少なく、穀物や野菜が中心で、ハイエルフ達の食事に近い。ハイエルフは肉は食べないが。
塩は魚や肉、スープ、あらゆる料理に使われ、食事は塩辛く国人の誰でも惜しみなく消費している。
東西の果物が採れる島であり、食卓には、北のバッサンのトンガや、南のライバーのイゴールなどが並ぶ。
食事中、感動したのは複数の皿とテーブルが一体になった合理的な食器で、
金属と皮の合いの子に近い、赤や黒の光沢を持った不思議な素材で出来ていた。

 この島特有の魔物は、いずれも黒い息を吐き出す非常に重い荷物を運びうる貴重な魔物であって、
たとえば沈香その他に比べても決して劣らぬ高価なものである。
黒胡椒はもとより、雪のような白胡椒も豊富なのである。
黄金を初めとする様々な奇貨異物の産額も、これまた驚くばかりの巨額である。



「・・・今日の分は終わり」
 カイは執筆に使っていた万年筆を止めた。

 ランゲルハンス島で捕虜にされてから三日、
無機質だった部屋には新たな机や椅子が運び込まれ、落ち着き始めていた。
カイには一人の執事が付いた。正確に定義するなら執事ではないが、執事のようなものである。
鈴木茂人と名乗る人間だ。彼は彼女の世話をして外の話をし、彼女は世界の話をする。
401とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/21(火) 00:28:54 ID:xJTKVwn/
投下終了

('A`)イセカイテクノロジー ヲツカッタ セイヒンナンテ マダマダ サキヨー
   ツヅキハ マタアシター
402創る名無しに見る名無し:2009/04/21(火) 01:20:54 ID:ZzUjVYnY
投下乙です。
名前判明、しかし鈴木はいったいどういう話をしているんだwww
403創る名無しに見る名無し:2009/04/21(火) 02:21:39 ID:qDYQbTWR
因みにコンクリート自体は古代からあるんだぜ
404創る名無しに見る名無し:2009/04/21(火) 02:22:53 ID:LCIwSg+y
乙です。
ところで……
茂人氏が「鈴木」か「田中」かはっきりしてくだされ……
405創る名無しに見る名無し:2009/04/21(火) 03:16:09 ID:eZ3ljePC
投下乙ー

鈴木(田中?)のせいで日本の危険が危ない!ww

>>403
古代ローマだったっけ?すっげえよな、同時期日本は…


>>404
ただ単に別人なだけじゃね?

406創る名無しに見る名無し:2009/04/21(火) 03:41:12 ID:F108mSlW
>ルーデル教徒やヘイヘ教徒

空軍が強そうですね
407創る名無しに見る名無し:2009/04/21(火) 06:31:09 ID:V36R1lp2
面白いんだけど、固有名詞の付け方がちょっと巫山戯すぎだと思うw
408 ◆8b20lCD.o. :2009/04/21(火) 07:33:55 ID:xJTKVwn/
('A`)田中茂人デス マチガエマシタ…
黒桐中人ハ アヤシイカガクシャ
田中茂人ハ ガイムショー ノ カクレオタ
陸上自衛隊一尉、弾薬部の鈴木サン オタ マザッテシマイマシタ
409創る名無しに見る名無し:2009/04/21(火) 07:59:36 ID:kff3iOJk
また黄金の国扱いですか……今度は香辛料とガラスか
ガラスはともかく香辛料は備蓄が無くなったらどこで作ればいいんだ
410創る名無しに見る名無し:2009/04/21(火) 10:37:46 ID:L+0AigK0
>>409
F世界側の観測者が理解できる範囲内でしか価値なんて
つけれないからな

目端の利く大商人や貴族階級、軍人だと
また別のものに注目するだろ

今回はDEの女だが背景が軍属以外不明だから
とりあえず見て知っている物という意味じゃ
妥当じゃね?

製鉄所やオートメーション化が進んだ自動車工場なんて
見せたら聖書に出てくる天使の記述並に抽象的にしか
理解できないだろうしなw
411創る名無しに見る名無し:2009/04/21(火) 11:08:01 ID:5GtMbFMm
日本ならいつの間にか栽培し始めても驚かないw
412創る名無しに見る名無し:2009/04/21(火) 11:25:00 ID:3ZoyXLeq
>>409
日本の気候が地球のまま変わらないなら胡椒とかはきちんと管理した温室でないと厳しいかもね
ショウガ、山椒、唐辛子あたりは普通にいける
413創る名無しに見る名無し:2009/04/21(火) 11:25:52 ID:wA9qI8nj
流石にそれは無い
唐辛子と山椒はともかく胡椒となると植物園で細々と残しとくのが限界では?
コーヒーとかも
414創る名無しに見る名無し:2009/04/21(火) 12:54:54 ID:yexbLuw2
>>413
コーヒーは可能
家庭菜園で育ててる
415創る名無しに見る名無し:2009/04/21(火) 13:04:05 ID:g1ixlH8H
沖縄と小笠原との交通が回復すれば栽培自体は可能>コーヒーの木と胡椒
ただ、全国の消費をまかなうにはサトウキビ畑を全部転換しても足りない
価格次第だけどな>栽培意欲
日本企業が栽培と販売を一括しておこなうならともかく
政府の農政に任せた程度じゃ国産大豆にもとどかぬ生産量に終わる
416創る名無しに見る名無し:2009/04/21(火) 13:07:12 ID:uHfxG4HT
なのはさんw
417創る名無しに見る名無し:2009/04/21(火) 13:31:45 ID:LCIwSg+y
◆8b20lCD.o. 氏乙です。

ところで……リリカル関係だけだと偏ってませんか。
ちゃんと「長門はみんなの嫁」とか『鳥の歌』が"国歌"だとか吹き込まないとww
418創る名無しに見る名無し:2009/04/21(火) 14:17:01 ID:H5vOln9y
無駄知識ばっか付けやがって・・・
次は、ジョジョだな
419創る名無しに見る名無し:2009/04/21(火) 17:01:04 ID:Dng+Qczv
首都は度々大怪獣に襲われて壊滅するがしばらく経てば復興する
というのも頼む
420創る名無しに見る名無し:2009/04/21(火) 17:54:39 ID:LCIwSg+y
この際だからダークエルフのカイさんは釘宮声という設定で頼む。
421創る名無しに見る名無し:2009/04/21(火) 18:43:19 ID:ZzUjVYnY
あえて小清水。
422創る名無しに見る名無し:2009/04/21(火) 21:06:22 ID:qDYQbTWR
>>420
転移した理由が涼宮ハルヒが暇だったからになりますがよろしいでしょうか?
423創る名無しに見る名無し:2009/04/21(火) 21:06:43 ID:+uC2+ngO
白い悪魔の男性形態は空から落ちてくる岩を押し返せる
424創る名無しに見る名無し:2009/04/21(火) 21:41:40 ID:g1ixlH8H
>>423
光体(合う護衛です)はガン・ダームですか
425とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/21(火) 23:09:57 ID:xJTKVwn/
『紅茶を飲んで一息付いた所で申し訳ありませんが。提案があります』

魔物は彼女が目覚めた際、魔物達は条件を出した。
無駄な抵抗はしないこと、許された範囲外に出ないこと、
彼女の国や世界情勢を教えること、ケンサ?に付き合うこと。
はいかイエスでお答えください。

「了解した。提案を受けよう」

 カイは条件を飲んだ。逃げられる状況ではなかったし、逃げたところで外を知らないからである。
ここは上陸前に見えた巨大な島の中、上陸戦で戦った恐ろしい魔導師達が腐る程居る異界である。



「カイちゃん、カイちゃん、DVD見る?」
「でーぶいでーとは何だ」
「記録が収められている魔法の箱さ、テレビも見れるけど毒だからね」
 茂人はそう話すと、小さな箱のからくりを触り、中に円盤を入れた。
大きな箱に人が映り、生き生きと動く。
白い魔王と銀髪の顔に刺青を入れたエルフの空中決戦。
「便利なアーティファクトだ」
カイはつんつんと黒いモノリスを触った。
「なあ、茂人?」
「ん?」
「昨日から私をずっとちゃん付けして呼んでいるが、子供扱いするのはやめてくれないか?」
「おーおー。かーいーねー。ランドセル背負ってそうな子に言われても説得力ないよー?」
 茂人は私の頭を大きな手でわしわしと撫でた。
「私は人間換算で33歳だ」
「最高じゃないか」
 にんまりすると、赤子に対するように私を持ち上げ、高い高いをした。
「こら!手!離せというに!」
「いーやー!」
426とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/21(火) 23:10:47 ID:xJTKVwn/
カイを捕らえた人間達は紳士的だった。少なくともバッサン帝国の士官達よりずっといい。
戦争の捕虜、しかもダークエルフ。
本来ならば即処刑か陵辱され奴隷として売り飛ばされても不思議でもない立場。
茂人が子供扱いする点が唯一の不満であったが、いつものことであったから訂正するのは諦めた。
茂人は特徴がないのが特徴の男で、白衣を着た悪の魔法使いこと黒桐や、
巨大な一枚岩から削りだした岩の男、武原国王に比べると見劣りする。
顔はそれほど整っているわけでもなく、不細工でもない。中の上である。
変人だが悪い人間ではない。

「流行のロリ歳間か、それとも合法」
「ブツブツ独り言か?」
「カイちゃん大人びてるなって思ってさ」
「ん?ああ?そうか」

11歳の私はエルフ、人間双方から子供の割りに大人びているとよく言われる。
エルフからは実年齢的な意味、人間からは見た目で。
33年もの間、ずっと人間に紛れて生活してきたから、周囲の影響だ。
人間は時が流れるのが速い。人間達の中に身を置くと時間がたつのが速く感じる。
エルフは大人になるのが遅い、20年も30年も子供である。
精神も体に引き摺られてガキっぽい。知識だけが蓄積され、生意気なお子様が出来る。
私としてはエルフのほうが生物として問題があると思えるのだが、彼らは人間とは別の社会を
形成しているから大丈夫なのだ。
時間の流れを以上と感じるのも人間の中に居すぎたせいなのかもしれない。

「まあまあ、落ち着いて。お茶の時間だよ」
「むう。菓子に釣られるのは忍びないが、怒って茶を飲むのはもっとよくない」
菓子が不味くなるからな。
土でできた無骨なコップに入った、薄い緑色のお茶を両手で持ってすする。
「紅茶とは違った、別の良さがある香りだ。名前は?」
「緑茶です。紅茶と同じ葉を余り熱を加えずに加工したものです」
「ふむ。ライバーの特産品と似ているな。エルブでも売れるかもしれん」

 先ほど書いていたのは見聞録だ。
世界の出来事や日常生活、市場状況や国についてを本にまとめ、口頭で伝える。
貿易で世界をまわっていた彼女にとってこの上なく合った仕事。
ニホンについて書いたのは個人的な趣味である。頭の中を纏めるため書いた。

「緑茶と合わせてお菓子を食べると美味しいよ」
小さな皿には透明なスライムに果物が入ったお菓子があった。
尖った木の欠片でちょんちょんと突く。食べられるのか?この物体は?
「ぷるぷるしてるな、ブロブか」
まさかお菓子に逆に喰われたりしないだろう。
「マンゴーゼリーです。カタクリを水で溶かすと固まります」
「ふーむ。水が固まるのか。変わった食べ物だ、氷とは違うのだな」
「こうやって食べるんですよ」
茂人はゼリーに口を付け、ちゅるんと飲み込んだ。
「こ、こうか?」
ゼリーをゆっくりと飲み込む。
清涼感のある冷たい感覚が喉を通り抜けた。
ゼリーの中に入っていた果実はみずみずしく甘い。
ゼリーはシロップを固めたものらしかった。
「妙な食感だ。だが、悪くはない」
427とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/21(火) 23:11:34 ID:xJTKVwn/
与えられた過剰な待遇は「いい加減な仕事をしたら理解しているな?」との
無言の圧力だとカイは思っている。
相手はやろうと思えばいつでも拷問をかけて必要な情報を引き出せるし、カイはダークエルフの捕虜である。
バッサン帝国には借りはないし、忠義も感じていない。むしろ弾圧される側だった。

 カイはゆったりと緑茶を飲んだ。
感慨深げに目を細める。
「ニホンには面白いものの考え方をする料理人が居るのだな。
 私達にも君達の半分でも自由な考え方ができればいいと考えていた」
「衣食足りて礼節を知るですよ。日本は豊かな国です。これからもそうありたい」

 だから撤退時に逆らうものはどうなるか、見せしめとして軍船から放り出されたのであった。
敵部隊の殲滅が完了した島で、ダークエルフの彼女達が与えられた任務は島の占領と死守。
最初の予定ではちゃんとした占領部隊の駐留が決まっていたのだが、
旗艦内で反乱が起こり指揮系統が変わったらしい。地方のバッサン軍ではままあることだ。
艦隊は島の占領は不可能と判断。政治的な妥協案として、政治犯を中心とした懲罰隊に駐留させた。
占領部隊を駐留させ続けれれば上に言い訳が立ち、出来なくても処刑確定の政治犯を処分できる。
たとえ島を取り返されても、敵が懲罰隊を排除してくれる。
懲罰隊が死んでも痛くなく、屑共だから失敗しても仕方がないと言い訳が立つ。
当然、島へ食料を積んだ船などは送らない。維持が大変だからだ。

「私は死んだ同胞達に顔向けできない」
東西の豪華な食事を食べ、食後のデザートまで用意され、静かな部屋で物書きをする日々。
「ならば一緒に進んで一歩一歩解決していきましょう」
「ああ、私達のため君達のために協力を約束しよう。ニホン人よ、我らの同胞になってくれるか」
「はい。私達は協力を惜しみません」

 敵地の眼前で島流し。支配魔法は解いておく、自決でも餓死でも勝手にしろ。
もしくは魔物にやられて死ね。それがバッサンからの命令であった。

島に取り残された同胞、12人のダークエルフ達。
彼女達は大量の死体が転がり、島全体が赤とピンクのまだら模様、赤く染まった岩だらけの海岸、
小船一隻残されないのを見て絶望し、上空から唸り声を上げる魔物が飛来するのを見て、
魔法を使って全員で自決した。
よき友人であったアン、メイ・ドゥ、トロワ、皆死んでしまった。

 カイは運が悪かった。死に切れなかったのだ。
小さすぎた体が災いして、魔法炸裂時の爆風で体ごと吹っ飛び、海へ投げ出された。
口と鼻に流れ込む塩水、水を吸って重くなる服、溺れそうになりながらも必至に島へ戻った。
岩に取り付いてへばっている彼女の元へやって来る魔物達。
カイは舌を噛み切ろうとしたが痛くて出来なかった。
魔物に後ろから殴打されて意識を失い、現在に至る。
428とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/21(火) 23:13:41 ID:xJTKVwn/
「ちょっとしんみりしたね。楽しい話でもしようか」
「カイちゃんは好きな食べ物はある?」
「ちゃんはやめろというに」
「ならアカちゃんで」
「もっと駄目だ」
「赤Malは?」
「ちゃんでいい」

ダークエルフである彼女に対して過剰ともいえる待遇も約束してくれ、公言通り実行されている。
つれて来られた当初は部屋の器具(トイレや電灯)の扱いに戸惑ったものの、規律を守っていれば
乱暴な扱いはされないし、外の様子を知りたければ茂人が答えてくれる。

「此処に連れて来られてから食べたものは全部美味しかった」
「同じリンゴやオレンジなのに味が全く違うのだな」
「品種改良されてるからね」
「食べ物のキメラか。ニホン人は変わっている」
「でも、納豆はいただけないな。沢山食べると胃に残って気持ち悪い。
 見た目もよくない。エルフしか食べないだろう」

食事では見たこともない東西南北の珍味や豪華な食事が出され、デザートまで付いた。
いたれりつくせり、貴族並みの生活である。
 だからカイは彼らに対して誠実に対応した。
通貨や単位などが書かれている見聞録は、カイの考える限りでは正確な情報を書いている。

「アレルギーとかあるかい?食べれないものや物があったら言ってね」
「あれるぎーか?なんだそれは」
「食べたら毒になるものだよ。エルフは体の作りが人間とは違うんでしょ」
「心配ない。人間が食べられるものなら基本的になんでも食べられる」
「エルフって肉や魚を食べないって聞いたけど」
「それはハイエルフとエルフだけだ。ダークエルフは火も使うし肉も食べる」
「宗教的理由かな。地球にも鯨や海豚を食べちゃいけないのがあったよ」
「そうだ。エルフは土着的な信仰が強い。『小枝を一本踏み折れば、骨を折ってあがなうとする』
 有名なラノワールに住むエルフの言葉だ。あれは自分の領土を汚されるのを嫌っているからでな。
 火を嫌うのも森が燃える。魔法を上手く使える種族である彼らは自分達を特別な存在と思っている。
 腕一本を折られるのは言い過ぎだが、近いことはされる。
 エルフはよそ者嫌いだ。森に近づいただけで、無警告の矢がくるのは覚悟しろ」

「カイちゃんは魔法を使えるの?」
「ほとんど使えない。魔法を習得するにはとても時間が掛かる。
 ダークエルフは奇跡に見捨てられた種族だからな。エルフより下手だ」

 ちなみに私は魔法が得意ではない。ダークエルフの中でもかなり下手な部類に入る。
人間換算33歳、11歳である私は一生の殆どを貿易業に使ってきていた。
貿易業は忙しく、魔法を習う暇などなかった。
交渉などに魔法は必要ないし、あるとしても社交辞令であるからだ。
パーティなどで魔法を使うのは喜ばれるものの、社交界で魔法を使うのは無礼に当る。
結婚式の会場で豪華な魔法剣を腰に下げたり、
騎士の正装だからと葬式に鎧を着てくる田舎物と同じ理屈である。
一応勉強の基礎程度には習っている。
出来ても手のひらに光球を造り出すぐらいだ。
429とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/21(火) 23:14:28 ID:xJTKVwn/
人間なら満足に使えると認められるまで20年、素養に溢れたもので10年。
エルフなら最低100年、人間とエルフとが年数が大きく違うのは求められる完璧さが違うからだ。
人間の師範級の魔法使いでは、エルフの間で見習いにしか扱われない。
人間とエルフの間にはそれだけ大きな隔たりがあり、エルフが社会的な地位を確保している元だ。

「ああ、茂人に注意しておく。ダークエルフにダークエルフと読んだら駄目だ。
 私と同種族相手の交渉は気をつけるんだぞ。君だって闇人や屍人と言われたらいい気はしまい」

 ダークエルフは魔法をうまく使えない。それでも、人間より少し上手ぐらいには使えるのだが。
それ故、ダークエルフは異端視され故郷を追われた。森を捨て、人間社会に溶け込み暮した。
人間には“魔法を使えないエルフ”として迫害を受ける。
その為、私達はダークエルフ同士の強固な相互補助組織を創り上げた。
『槌と銀の葉』である。槌はドワーフを表し、銀の葉はダークエルフを表す。
設立当初は精巧に出来たドワーフの品を不当に安く買い叩く人間に対して出来た組織で、
現在は獣人や魔物などの少数民族独立の後ろ盾と補助を受け持っている。

「エルフとカイちゃん達の違いはあるのかな」
「ハイエルフとエルフは魔法を使った物造り、私達は金融と産業界に力がある。
 他にハイエルフは信仰の対象になっているな。教団を開いていて人間に対する力がある」

 エルフは魔法界に君臨し、ダークエルフは金融や産業界に君臨した。
魔法で勝負せず、エルフの長命を生かして社会の裏に立ったのである。
ダークエルフの持つ富は大きい、戦争があるたびに闇の資本や闇の陰謀と噂されるほどだ。
実態は全く関係していないのだが、金を持つと恨みを買う。
戦争は儲からない、だからダークエルフは戦争の度に地域の投資を回収しようとする。
先日、ダークエルフ陰謀説と『槌と銀の葉』の活動が結び付き、
世界各国の国家に混乱を振りまいている組織として名指しで非難された。
バッサンの軍隊に拠点を置いていた組織が襲撃され、デ・キッコ・ナイサが拘束。
『槌と銀の葉』を支援しているとされるダークエルフ達が捕まった。
捕まったダークエルフの一人が私こと赤井・マル・ポーロである。

「何処の世界も似てるのかもな。歴史は繰り返すか」
430とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/21(火) 23:15:14 ID:xJTKVwn/
投下終了

('A`) コヤスガイ ニキマダー
431創る名無しに見る名無し:2009/04/21(火) 23:21:16 ID:yexbLuw2
リアルタイム乙
432創る名無しに見る名無し:2009/04/21(火) 23:22:18 ID:kff3iOJk
ダークエルフ陰謀論かユ○ヤ対応の種族なのね
433創る名無しに見る名無し:2009/04/22(水) 00:05:13 ID:byNuVthk
なんというタップ緑一マナwww
434創る名無しに見る名無し:2009/04/22(水) 01:02:30 ID:ADggpCmF
投下乙です。
違う生物系なのに菓子や紅茶食べて本当に大丈夫なのかな。
成分とか細菌とか。

それにしてもちくしょう、12人ものダークエルフが無為に死ぬなんて・・・
ちくしょう、ちくしょうー!!!!
435創る名無しに見る名無し:2009/04/22(水) 02:24:15 ID:+WsAv5Gf
>>417

やめろ
436創る名無しに見る名無し:2009/04/22(水) 02:37:08 ID:+WsAv5Gf
>>426

宰相=総理=国王......

陛下=統合象徴=皇帝+教皇

今の所 王爵は総理 各国大使館 皇族
公爵は知事 各国将軍(米・露・自衛隊)
侯爵は与党議員 トップ企業
子爵は一佐クラス
男爵は一尉〜二佐クラス
騎士爵は一曹〜二尉クラス

かな? 在日米軍基地は一つの民族自治区
樺太も召喚されてたらサハリン知事が露民族の王

さすがにリリカルは止めた方が良い
あの世界は異常だ。日本は子供を戦力にしてると思われたら大変だ

ゴジラの方が教養的に大変よろしい
日本昔話とサザエさんも魅せるべき
437創る名無しに見る名無し:2009/04/22(水) 02:40:51 ID:X+4i8tNB
投下乙。
資源とかが揃えば日本にはF世界以上の造幣技術があるから
本物よりも精巧な偽造貨幣作ってダークエルフと組んだ経済支配ができそうですな。

それよりカイちゃんの声がデフォで釘宮声再生されるww
438創る名無しに見る名無し:2009/04/22(水) 02:40:56 ID:c7wyVkXs
サザエさんは鬱になるから・・・まるこちゃんは平気なんだけど。
439創る名無しに見る名無し:2009/04/22(水) 02:43:00 ID:+WsAv5Gf

あと子鬼族用に秋田県のネイガーを 獣人は千葉黒鼠公国でバイトさせよう
中に人がいないし

特撮の撮影も楽になるな アニメの実写化も可能だ
440創る名無しに見る名無し:2009/04/22(水) 02:45:31 ID:+WsAv5Gf
>>438


タラ夫は異世界人だもんな......

むしろ日本人は魚の名前を人名に使われたと思われるのも嫌だしな

ツンデレの代表格 ばい×ん×んやジ×イ×ンはどうだろ
441創る名無しに見る名無し:2009/04/22(水) 02:52:21 ID:+WsAv5Gf
>>422

リリカルがアニメの世界の時点でハルヒもアニメの世界だろ

自衛隊を竹島に展開させ情報隠蔽が素早いんだからハルヒはいないだろ
いたら精神病院行きだよ


そもそもエルフ語を喋れる程度ならアニ大の人間や仮想戦記作家も動員する筈だ

というか王道的ファンタジー好きはリリカルを気に入るとは思えんが
ゼロの使い魔の方がよいだろ ゼロ戦の活躍シーンもあるし
442創る名無しに見る名無し:2009/04/22(水) 02:54:00 ID:OrAH+fYu
>>441
とりあえず落ち着け
443創る名無しに見る名無し:2009/04/22(水) 08:44:50 ID:CgZYbUc0
>>442
そいつはネット上の軍事系SSのコメ欄で暴れている真性キチガイ「丹生都万」って奴だよ。
頭のネジのdだとしか思えないマジキチな展開を得意げに書き込んでは作者にその展開を強要する。
以下、前スレより転載。

>297 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 投稿日:2008/10/12(日) 19:00:49 ID:3EzhZ7MH
> >>296
>お前、軍事ネタを扱ったネット小説の感想欄で暴れてる真性キチガイ「丹生都万」だろ?
>下記の転載文は改行を詰めてあるけど、論理の飛躍や無駄な改行、独特の誤字(?)等々、
>イカれた内容と文章の体裁体でバレバレなんだが……。
>
>
> >[518]丹生都万 ◆0834d687 ID: fc56dd65
> >流石はゲルのおやっさん(石場)
> >カッコイい
> >しかし、警察は何をやってるのか
> >圧縮プルトニウムを炎龍にでも
> >とりあえず、日本は生まれた時から日本(邪馬台国+ヒノモト)
> >故に他国は干渉できない
> >アメリカには経済支援をやめるに
> >でもゲルのおやっさんは露客の為に徹夜でプラモ作ったし
> >飴や華より露の時代だし
> >北方領土含めて経済支援と北方樺太領土の交換を
> >あとは、トルコ・台湾・タイ・パラオ・フィンランド・イタリア・ドイツ・メキシコ・オーストリアでしょうね
> >アメリカは軍事?以外は頼りにならん
> >閣下と伊丹のコンボが楽しみ
> >最終的にはファンタジーパワーで役立たずの国連倒して
> >新しく日本ー異界ー上の国 で新国連つくったほうが
> >最悪的でも新帝国に銀座異門ーイタリカを中立にして国交ひらくか
> >とりあえず、常任の英仏(ww2でフルボずみ)飴華を倒しますか
444創る名無しに見る名無し:2009/04/22(水) 11:08:35 ID:kjS60qVn
>>437
まだ兌換貨幣なんじゃねーの?
貨幣に使われてる金属分+@の価値しかなかったら偽造するだけ無駄のような
445創る名無しに見る名無し:2009/04/22(水) 11:38:59 ID:Lz2m+4cn
>>444
日記でDE娘が、金貨銀貨とかいってるから兌換だろうなぁ
偽造しても、コストパフォーマンスが悪すぎて足が出るだろうねw
446創る名無しに見る名無し:2009/04/22(水) 12:31:47 ID:+WsAv5Gf
>>443 誰そいつ?
447創る名無しに見る名無し:2009/04/22(水) 12:42:52 ID:+WsAv5Gf
>>445

500円玉って金貨っぽいよな

>>◆8b20lCD.o. 昨夜は酔っ払ってました スミマセン 頑張ってください
448創る名無しに見る名無し:2009/04/22(水) 14:04:15 ID:pMaaqn5O
最近このスレに辿りついたんだが更新しているまとめサイトもないみたいだから
昔のdatデータ詰め合わせみたいなの持ってる人いたらうpして欲しい。

449創る名無しに見る名無し:2009/04/22(水) 14:50:42 ID:Lz2m+4cn
テンプレすら読んでないバカは消えろ。
それとも「保存庫」の意味すら分からんのか?
450創る名無しに見る名無し:2009/04/22(水) 15:15:27 ID:pMaaqn5O
説明が不足してました。
html形式の過去ログは見つけたのですが
個人的な理由で「dat」でログがあればいいと思ったのでお聞きした次第です。
451創る名無しに見る名無し:2009/04/22(水) 17:07:03 ID:X+4i8tNB
>>444
>>445
いやむしろ兌換貨幣だからこそ効果があると思うんだが。
なぜなら、特定金属の含有量を容易に調整できるというイニシアチブは大きいから。
意図的に量産した悪貨を敵対国に大量に流通させて貨幣の信頼性を失墜させ経済を疲弊させるとか。
あとは意図的に上質の良かを大量鋳造してダークエルフ組合の貨幣保有量を増やして敵対国を相対的に弱体化させるとか。
やりようは色々ある。

むしろ貨幣の価値が品質そのものに依存しているからこそそういうことが可能と思われます。
452創る名無しに見る名無し:2009/04/22(水) 17:20:37 ID:kjS60qVn
費用対効果悪すぎる気がするんだが
仮に相手側が改鋳連発したら出した分だけ相手側に持っていかれそうな気がする
良貨大量鋳造にしたってこの時代自国の貴金属保有量下げるデメリットの方が多分でかいかと
453創る名無しに見る名無し:2009/04/22(水) 17:22:38 ID:EULTekqg
それをやる為の金と銀はどこから?まさか国内から持ち出し?
そんな馬鹿な事するわけ無いジャン
金貨と銀貨は含有する金と銀の量がそのまま貨幣の価値で、銅貨は補助通貨有る意味信用通貨
偽造なんて割に合わないよ
文房具とかコピー用紙を金貨や銀貨と交換するんじゃ駄目かな?ダークエルフ組合に間に入ってもらうのも有り
454創る名無しに見る名無し:2009/04/22(水) 17:30:41 ID:Kx9gq8xU
>>特定金属の含有量を容易に調整できるというイニシアチブ

あのね、中世規模とは言え、一つの社会の流通経済を乱すほどの量の金貨銀貨を、
無資源国日本単独で作れると思ってるの?
現代日本の金相場銀相場がどれくらいだと思ってるんだよ。
だいたい、どれだけ精巧に作ったとしても、いずれ取引のアシは絶対に付く。
それで日本が信用失って取引してくれなくなったら一気に干上がるわ。

だいたい、国家ぐるみの偽造貨幣なんて出来るのは北朝鮮みたいなモラルの無い国だけだ。
455創る名無しに見る名無し:2009/04/22(水) 18:20:40 ID:st5O2fs1
日本は偽造紙幣を刷りまくって大陸で流通させた過去が・・・
456創る名無しに見る名無し:2009/04/22(水) 18:50:19 ID:EULTekqg
そりゃ紙だからね、刷れば刷っただけ価値が出る、原価は額面から見ればただ同然
でも金貨銀貨は原価がかかる、だから儲からないから止めとけってみんなが言ってる
適切じゃないかもしれんが、土地に金を突っ込む人に今は儲からないよって言ってるのと同じ
>>455の主張は『バブルの時は上がったじゃないか』
457創る名無しに見る名無し:2009/04/22(水) 19:01:02 ID:2UxqaPTR
>>455
北朝鮮がモデルとしてるは、どうみても当時の日本だと思うけどなw
458創る名無しに見る名無し:2009/04/22(水) 19:09:11 ID:qXqW3Xhj
いや、ソ連だろ。
日本モデルにしてるんだったらもうちょっといかれた体制になってる。

議会を掣肘できない独裁者とか。
459創る名無しに見る名無し:2009/04/22(水) 19:11:34 ID:EULTekqg
実権の無い独裁者と独裁者の命令を軍が乱発とかもな
460創る名無しに見る名無し:2009/04/22(水) 19:16:36 ID:0CMIDGWZ
スターリンでも世襲はさせなかったけどなw
461創る名無しに見る名無し:2009/04/22(水) 19:24:32 ID:YJQiyXtj
こんな話題つづけっと
ゴート札原版を狙う泥棒さんのお話になるぞっと
462創る名無しに見る名無し:2009/04/22(水) 19:27:06 ID:81w6IdC2
貨幣偽造からは完全に話題がズレてるだろw
463創る名無しに見る名無し:2009/04/22(水) 21:00:27 ID:PaI2V6OD
ちなみにバレた理由は余りにも精巧過ぎたため見破られた…というオチ。
今も昔も大して変わってないのが日本クォリティー。
464創る名無しに見る名無し:2009/04/22(水) 21:45:14 ID:EULTekqg
そしてその当時より変わらぬチャイナクォリティー
465創る名無しに見る名無し:2009/04/22(水) 22:00:23 ID:OrAH+fYu
続々と量産される模造車
苦笑するしかないホンダやマツダの運命は!
パーフェクト贋作
チャイナのプラモデル(笑
466創る名無しに見る名無し:2009/04/22(水) 22:30:16 ID:YJQiyXtj
機械は工場から出てそれで完結、てのは希だからな
日々使用する物ならメンテナンスは必須
ユーザーが皆機械に強いわけじゃないし
アフターケアの有無が後の評価を呼ぶ
467創る名無しに見る名無し:2009/04/22(水) 23:12:20 ID:lf8Y+mGF
だけど、そうやって何時までも三流のパチモノしか作れない単純労働の民工を使いつぶし続ける、
世界の工場(笑)でいてくれた方が日本にとって利益になる。
願わくば、支那人には今のままの民度でいてほしいものだな。あと5世紀くらいは。
468創る名無しに見る名無し:2009/04/22(水) 23:48:52 ID:suNRTWAq
今のままの民度か。ある意味最も嫌だな。
469創る名無しに見る名無し:2009/04/23(木) 00:11:02 ID:oUlfeH9v
中国軍がF世界に召喚されますた。


押し寄せる人民軍の波
470創る名無しに見る名無し:2009/04/23(木) 00:36:42 ID:JA2dgwwB
昔あったな―。そんなスレ。
エルフ対中国軍で、
中国は100人の兵を森に送り込んだ。エルフはたやすく皆殺しにした。
中国は1000人の兵を森に送り込んだ。エルフは皆殺しにした。
中国は1万人の兵を送り込んだ。エルフは矢の残りを心配し始める。
中国は10万の兵を送り込んだ。エルフは木の上で疲れ切っている。
中国は100万の兵を森に送り込んだ。森の中は中国軍であふれている。エルフはもう何もできない。
中国は使者を送った。「降伏せよ。しないと次は本隊を送り込むぞ」
こんな感じだった。
471創る名無しに見る名無し:2009/04/23(木) 02:46:26 ID:oUlfeH9v
一方、北京政府は統制を失って崩壊した。
北部軍閥、満州軍閥、西部軍閥に分かれたこの時代を三国史の幕開けである。



――――――――――――――――――民瞑書院『三国志〜曹書記長の野望 重慶の脅威V〜』
472とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/23(木) 12:03:16 ID:WAH+MgE8
『海外状況』と『テロ事件経過報告』についての重大発表。
通信途絶以来、国民最大の関心事が国会中継で成される。

TV各社は番組を停止し、
ノーカットの生中継を始め、
某チャンネルのサーバーはパンクし、
新聞社員は食い入るように画面を見つめ
多くの会社は休業した。
テレ南は平常通りアニメをやっている。

日本全土が注目する中、十時間にも及ぶ国会中継が始まった。


「ただの警備部隊にボコボコにされてた癖に何粋がってるんだね蛮族は? 馬鹿なのか?」
「文明程度は低いですな。蛮族というのが相応しい」
「今日はローゼンの新刊出るんだから早く終わらせろよ未開人」
「ムカついたので賠償金は国家予算15年分な」
報告を聞いた議員達から空気の読めない野次が飛び交う。

会議では、マルの情報や空海自衛隊の調査、偵察衛星の観測や各種専門家の分析によって解析された
『日本以外の状況』『新世界』についての報告書が読み上げられている。
報告には当然、『異世界』や『召喚』との言葉は使われておらず。
真実は首相とほんの一握りの関係者しか知らない。

代案として『新世界』、大戦争又は大規模災害によって世界崩壊後の『設定』で世間には通した。
異世界に召喚され数週間、国民には日本の外の世界は変わってしまったとの認識が広がっており、
故郷に帰ろうとする外国人や国外脱出しようとするデモについても収まってきている。
政府も徐々にだが国外の惨状を国民に伝え、ミュータントや世界崩壊後に
国家に変わって新たにできたコミュニティがあることについても理解が浸透し始めていた。
473とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/23(木) 12:04:02 ID:WAH+MgE8
「まだ通信が回復しない」
「北京が消えた、世界の地形が変わる爆弾か・・・」
「嘘だろ、ありえない」
「政府は大真面目だぜ。全国の自衛隊が動いてる」
「中国沿岸は何処かの国の攻撃で消滅だと!未公開の新兵器が投入されたらしい」
「アメリカやオーストラリアはまだ調査中だって。通信が回復しないから調べるのが大変らしいよ」
「他国の生存者は絶望的・・・」
「近代文明は崩壊して原始生活に戻っているらしいな。いくつか国があるらしいぞ」
「外はヒャッハーな世界だな。きっとアメリカにはサンダードームがある」
「生物兵器・・・奇妙な生物が海岸に打ち揚げられてるって」
「世界は終わりだ」
「中国大陸では今頃世紀末覇者がハート様と戦っているとこだな」
「日本海沖の防衛出動か、北では自衛隊が巨大生物兵器と戦ったってよ。」

 竹島を襲撃したバッサン帝国の軍隊と竜騎士隊は『怪生物の集団』
エルフやドワーフといった異形は『ミュータント』襲撃の際使われた『魔法』は『超能力』
バッサン帝国や他国は『無事な日本を狙おうとしている難民集団』
中世レベルの文明は『戦争で退化した文明』と置き換えられ、
変化した地形については『地形が変わるほどの大量破壊兵器の集中使用』と
『通信が回復できないことによる混乱』とごまかし、日本周辺の地図しか示さないことで
『異世界の変化した地形』を悟らせないようにした。

 ありえない『異世界』『召喚』を“もっともらしい”嘘で塗り固めたのである。

「TV見た?」
「見た見た!竜みたいな生き物。気持ち悪い」
「ニンゲンって呼ぶの?大きい人型の鯨みたいなの?怖いよ」
「中国の生物研究所が戦争で破壊され疫病が流行って、異形化した人間が生まれてるらしいぜ」
「お隣は遺伝子研究がさかんだったからなあ」
「陸自の防疫隊が出たな。防護服姿の隊員が沢山居た」
「陸自と海自が出動準備してるよ、基地では毎日飛行機が飛んでる。うるさくて眠れない」
「市役所でヨウ素配ってたな。被爆が怖い」
「物資統制令が出てるし、街には自衛隊と機動隊が居るよ。日本は終わりだ」
「自宅待機命令か」

 日本全土を巻き込んだ『武原首相の大法螺吹き』は結果的に良い方向へと動いた。
 国民は事態を認識し消費を抑え、発表前に事前展開し準備していた陸海空自衛隊、警察、公安の動き
もあって、デモや暴動は速やかに鎮圧された。海外の様子を知った外国人の混乱も沈静化し、
一部の政治団体なども混乱に乗じて鎮圧した。国外脱出しようとする動きも劇的に減った。
474とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/23(木) 12:04:48 ID:WAH+MgE8
「国外に逃げられる場所がある」との甘い考えを全面的に否定したためである。

輸入が断たれたことによる石油、ガス、電気エネルギー問題に対する
速やかな対応(官邸内で強引に案を可決し国会を通さず官僚達に直接指示を出した)も国民に評価された。
通信途絶テロ直後の官僚達の召集と初期対応の鮮やかさは武原のカリスマへと繋がり、
彼に権力が集中することとなった。更に彼の立場を有事制法が強化した。

「金でものが買えなくなった。配給キップだってよ」
「インフレ酷え。ケツを拭く紙にもなりゃしねぇよ!紙幣は消毒だよヒッハー」
「暴動が自衛隊に鎮圧されたぞ!放水車でやられた!」
「火炎瓶を投げたあかんたれが撃たれたわ!誰か説明して頂戴!」
「駄目だ」
「デモが警察に鎮圧されたって!テレビに出てないけど」
「朝鮮総連の事務所がテロ容疑で公安の強制捜査されたぞ!心明党もだ!」
「総社学会が駅にマスタードガスを撒こうとしてたって!」
「無許可で海外に出ようとした船が海保に捕まったな」
「難民すら押し寄せてこないらしい・・・海外は船も出せないほど酷いのか」
「竹島戦を撮影しようとしたテレ昼のヘリが自衛隊に撃墜されたぜ!」

陸海空自衛隊、警察、公安の一斉動員。
強制捜査とデモ鎮圧。
『七ニ○事件』F世界で後に陸の『大地魔王』(だいちまお)と呼ばれ、
海の『井の上魔王』(いのうえまお)と並び称される武原。
『至上最も保守的だった首相』と日本国民に呼ばれることになるクーデターは
彼の意図しない場所で自然に起こり、この事件をきっかけに
次第に祭り上げられていくことになるのである。
475とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/23(木) 12:05:36 ID:WAH+MgE8
衆議院予算委員会。

「矢鴨常春(やがも つねはる)君」
「自衛隊の近隣国への派遣は憲法9条に反する!」
「武原総理大臣」
「あー。貴方は現状を認識しているのでしょうか?
 2週間経ったにも関わらず回復しない通信網と、大量破壊兵器の使用による地形変化、
 現れた異常生物の襲撃と異常行動。これらは有事制法に当てはまる事態であります」

首相は自衛隊の海外出動を決定した。
戦争又は大規模災害における復興支援。
揉めているのは中国方面(地形が変化しているため方面と呼ぶ、日本海側、天津市に当たるとされる場所)
へ復興支援をするに対しての中華政府による要請と許可がないためであり、
無許可の領土への自衛隊派遣は宣戦布告とも取られるからである。

「自衛隊は武力を持つ存在であり、他国に派遣するのは侵略行為に当たる!
 復興支援を目的とした民間組織を送り、団現地の軍と合流し復興支援を行うのが妥当である!
 警備は海上保安庁や現地警察の協力を取り付けるべきだ」
「えー。竹島沖の暴徒襲撃事件をお忘れでしょうか。
 彼らは上陸の際、韓国占領軍を一人残らず殺戮しました。日本国への話し合いや接触なしにです。
 復興支援の際には防衛行動が予想され、現地とは接触が取れておらず、暴徒襲撃が予想されます。
 殲滅された韓国軍警備隊は対空砲や対戦車火気などの軍隊並みの装備をしており、
 海上保安庁や警察では手に余る状況であります。
 あー。現地の治安も回復していると考えにくく、暴徒と異常生物の襲撃が予想される以上、
 我々には相応の備えが必要であります」
「現地の状況は回復していて、警察が機能しているかもしれない!
 国際問題になるぞ!隣は自衛隊派遣に良い顔をしない。
 この間の地震でも自衛隊派遣を拒否されたばかりではないか」
「かもしれない。それを自衛隊は判断しに行くのです。我々が得ている情報は余りに少ない。
 それとも君は国民に盲目になれとでも?国民は少しでも多くの情報を欲しているのです。
 ですから、天津市方面沖に自衛隊を派遣、接触があるまで海上で駐留と情報収集、
 許可が得られたら上陸して復興支援、と段階を置いた対策をとるのです」

日本としては復興支援により、早急に世界各地の国と貿易を再開したかった。
謎の生命体郡に対する答えも欲しかったし、食料と石油を手に入れるのが急務だった。
7月半ばも過ぎた頃、物資備蓄も非常に追い詰められていたのだ。
輸入が再開されないのは、他国の経済制裁ではないかと危ぶむ声もあり、
戦争だ!と暴れる気の速い一部派閥の溜飲を下げさせる意味もあった。
476とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/23(木) 12:06:22 ID:WAH+MgE8
「襲撃されたのは警備部隊だ!占領軍ではない」
「えー。軍隊並みの装備を持った、警備部隊ですがね。
 一般的な警察官は対空砲やMINIMI、カービン銃や対戦車ロケットを保有しません。
 後の調査で判明したのですが、韓国軍は島へ事前公表されていた以上の人員と
 武器を持ち込んでいました。はて?誰でしたかな?警備部隊は50人とのたまっていた国は?」

中国メディアや一部報道機関から報告された竹島駐留警備部隊はおよそ50人であった。
しかし竹島戦で確認された兵数は6倍の300人、島には多数の銃器や
掩蔽壕や対空砲などの陣地が用意されていた。

「日本は日本人だけのものではない!」
「あなたの“だけ”とは何を指しているのでしょうか?
 日本は日本国籍を取得した者の物です。今回の襲撃で、韓国駐留軍は居なくなりました。
 韓国側の主張であった、韓国国籍の者が居るから所有権が発生するとの理由はなくなりました」
「自衛隊は軍の派遣である!」
「戦争をしに行く訳ではありません。復興支援協力です。
 自衛隊は海外復興支援に対して実績があります。
 現地住人が一部暴徒化しているために、他の民間協力者に対する治安の保障と
 異常生物に対する備え及び疫病に対する処置が目的であります。
 大規模バイオテロに対する処置は警察の処理能力を超えるものでもあります」

海外状況を知りたがり、輸入再開を待ち望む国民の声に押され
最終的に、『大規模災害救済法』案は可決された。
史上最大1万名以上の自衛隊上陸復興支援団が旧天津市方面(バッサン帝国領旧エルブ王国)へと
派遣されることとなる。
477とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/23(木) 12:07:12 ID:WAH+MgE8

投下終了

('A`) イセカイショウカン サレタラ コクミンソウ SANチェックダネー 天津市ハ北京ノチカクヨ
    オワッタ! ダイイチブ カンッ!
478赤軍 ◆nde7Ed6tag :2009/04/23(木) 12:51:16 ID:A9UxS/n1

乙です。

479創る名無しに見る名無し:2009/04/23(木) 14:04:31 ID:AYg/EQQT
投稿乙です。
ふと思ったんですが、邪魔な議員を超党派議員団と称して現地視察と称して送り込んだ方が話が早かったんじゃ。
不幸(笑)にも全滅した場合はそれをプロパガンタとして使えるしww

>日本は日本人だけのものではない!
時事ネタワロタ。
480創る名無しに見る名無し:2009/04/23(木) 16:04:44 ID:JJ6QOBzM
投稿乙
ただどうしても異世界に転移した事をひたすら隠すのかが理解できん?
異世界に転移しましたと発表するのと
日本がまるで感知しないうちに世界大戦が勃発して生態系が異常になっていますと発表するの
どちらも混乱度では似たようなもんだろ
なら最初から本当の事発表した方が、後の面倒やらを考えた場合よほどましだと思うんだが
481創る名無しに見る名無し:2009/04/23(木) 17:14:18 ID:ZBjp9Req
万一帰って来られて事実が漏れると不味いかと

この異世界ではなく戦争後のセか言って嘘、後々不味そうな
いったん貼られたミュータントきめえwwwwwとかのレッテルは事実ばらした後も残ってしまう気がしますね
482創る名無しに見る名無し:2009/04/23(木) 20:02:30 ID:4Cd5TeRQ
投稿乙
脳内映像として小林・自営業・源文氏の絵ではなく
イズミコ時代の大野安之の絵が浮かんできた>ダークでスラップスティク
483創る名無しに見る名無し:2009/04/23(木) 20:26:32 ID:Tm+5x5Jf
資源が無いと飢え死にしちゃう国としては
突然異世界に転移させられた=資源の場所なんかわかりません、これから探します、と
戦争で地形が変わった=資源の場所はわかります、いずれ力ずくの交渉でもなんでもして手に入れます
どっちを国内に発表するかって事かと
484創る名無しに見る名無し:2009/04/23(木) 20:50:57 ID:JJ6QOBzM
>>483
そうだったとしても、悪手でしかないと思うけどなぁ
実際には転移をしちゃって、資源の位置はわからんわけだから、すぐにバレるだろ。
資源探すにしても、確保のためのインフラ整えるにしても、政府だけでやれる事には限界があるんだし。
バレないにしても、地形が変わりまくってほんとに資源は無事なのか、とか汚染されてないのかとか、どちらにしろ混乱すると思う。
なによりそんな大戦争に気づかなかったor気づいていながら知らせなかった政府は無能の塊としてすぐさま政局だよ。
ミクロで見てもメリットが少なすぎるし、マクロで見たらデメリットしかないように思える。
485創る名無しに見る名無し:2009/04/23(木) 20:57:30 ID:4Cd5TeRQ
いつも打つ手が最善手なんて羽生名人でもどうかな
政治家の場合「時の運」てのが最重要な希ガスw
486創る名無しに見る名無し:2009/04/23(木) 21:01:14 ID:WXQa/LWx
いや、流石にこれは最善手が打てるかどうか以前の問題だろw
嘘付くメリットが殆ど無いもん
487創る名無しに見る名無し:2009/04/23(木) 21:20:40 ID:4Cd5TeRQ
この時点で「嘘をつく理由」てのは
自衛隊を海外派遣するもっともらしさだな
世界が混乱状態なら外敵が侵入するのを防ぐのが自衛隊の役割なのに
なんでわざわざ(外国の政府と連絡取れない状態で)出て行く事があるか、て事だし

正直に「ダークエルブと同盟結んで列強と戦う」なんて
アニオタ・エロゲファン以外の同意取れそうにもないw
488創る名無しに見る名無し:2009/04/23(木) 21:23:32 ID:+Wb/eC80
政令は閣議だけでどうにかなるが、立法は議会無視だと憲法違反になるぞ。
物資や資源の統制は立法なしでできるのかどうか知らんが。
489創る名無しに見る名無し:2009/04/23(木) 21:26:15 ID:JJ6QOBzM
ここは異世界です、他所の国は中世のノリで侵略狙ってます
しかもドラゴンやらわけわからん魔物やらもわんさといます
だからまずは自衛隊が行きます。
これでも同意取れるだろ。
490創る名無しに見る名無し:2009/04/23(木) 21:29:08 ID:ZBjp9Req
正直無理だと思う
理屈はわかるがちゃんと立法してからいけってのが大勢しめると思うよ
少なくとも出す出さないの議論が凄い長引くのは確実
491創る名無しに見る名無し:2009/04/23(木) 21:53:06 ID:JJ6QOBzM
>>490
うーん如何だろう?
あえて国民の危機感煽って(石油食料は○ヶ月しかもたない)やれば
民意はかなり操作できる気がするし、そうなればごり押しでもいける気がするんだが
まあ諸刃の剣ではあるけど、難しいかな?
492創る名無しに見る名無し:2009/04/23(木) 22:03:55 ID:gEddhtfC
それ以前に異世界云々なんて国民は誰も信じてくれないんじゃない?
493創る名無しに見る名無し:2009/04/23(木) 22:09:02 ID:WXQa/LWx
明らかに地球外巨大生物とかの現物があるんだから多少の信憑性は出せるでしょ。
ぶっちゃけ、
与太度は核戦争がいつの間にか起こってて日本だけが無事でした。
外国はミュータントが荒れ狂ってます、とかと同レベル。

それ以前に、天文関係でモロバレだと思うんだがね。
星の位置とか地球とは違うだろうし。
494創る名無しに見る名無し:2009/04/23(木) 22:18:24 ID:HCk79NjV
そもそもどんなに上手く言い繕おうと後で絶対に異世界に転移したとバレる。
取り敢えず最もらしい事を言って混乱を収めようという、短期的な選択をしたんじゃないかな。
長期的に見ればいつか必ず嘘だとバレるからヤバいけど。
495創る名無しに見る名無し:2009/04/23(木) 22:21:50 ID:ZBjp9Req
田島陽子みたいなのが結構な数いて、しかも無駄に声がでかいからな
相当強引にいかんと議論になってgdgdになるのは目に見えてる
496創る名無しに見る名無し:2009/04/24(金) 00:04:22 ID:buk4xkWm
>>448
いつからのが欲しい?
497とある人達の戦記録2部 ◆8b20lCD.o. :2009/04/24(金) 00:06:43 ID:V9GFALP7
「日本の未来は」「おうおうおうおうおぉぉぉぉ」国会放送後の首相

【異世界転移は真実か否か】

 ――よろしくお願いします。

 「はい」

 ――有識者の一部、天文関係者から報告が上がっている動きの“僅かな”ずれを根拠にした
異世界転移説についてですけれども、谷外政府代表が毎朝新聞の取材に対して、
個人的な見解としながらも、大戦争説ではなく異世界転移説でもいいのではないかと
考えていると発言していますが、総理の受け止めをお願いします。

 「あのー、その発言の内容は承知していませんし、毎朝新聞を読んでいませんから、
それ、ちょっと、答えようがありませんねえ。あは、(せき込む)、だはあ、政府の、
政府代表としては、政府の従来の方針に従って行動されておられると思いますけど?」

 ――この異世界転移という考え方自体には検討の余地はあるとお考えですか。

 「大戦争の話ってのは、これは“現時点の基本方針”としてぇ、えー世界、というものの
“情勢がまだはっきりしていない”。従って異常生物などの問題が明確になりさえすれば、
後は“柔軟に考える”。ずーっと同じことしか言ってませんから、基本はそれです」

 ――法華井道新聞の長谷川です。

 「ああ、異世界、関係あるなあ。よかったなあ。うーん」

 ――食糧備蓄は数ヶ月で、残された時間は多くはありません。総理としてはなるべく早い解決を……。

 「ああそうですね。はい」

 ――…とお考えでしょうけれども、どのようにアプローチしていくおつもりですか。

 「どのようにアプローチしていくかって言えば、こら、向こう側の方に、
こっちはずっと同じことを申し上げているんで、向こうの対応が、基本的に、いーまー、
新しい世界になって、ポーロって人がぁ、次の与党にぃ、送らないで、この問題を解決しようと、
いう意気込みを、この前のぉ、ええっと、ポーロとの会談でさい、はエルブか。
現地コミュニティのエルブでやったときに、その話がありましたんで、
そういう対応を向こうがしてくる、向こうがどうしてくるかっていうよな話です」
498とある人達の戦記録2部 ◆8b20lCD.o. :2009/04/24(金) 00:07:48 ID:V9GFALP7
 【解散総選挙】

 ――次の質問です。総理は一昨日、心明党の太品(おおしな)代表と会われたということで、
改めてお伺いしますけれども、心明党が主張している、大戦争に気づかなかったもしくは
気づいていながら知らせなかった政府は無能の塊という意見に、総理は配慮するお考えはありますでしょうか。

 「あの、私がー、誰に会った、彼に会った、ということに関して、コメントするつもりはありません。
そいからー、解散をしてほしいと、いうようなことは、あの、いつにしてほしいという、
何、解散にかかわる話っていうのは、そら、新聞にも色々、書いてありますから、
ただ、隣国が攻めてきた有事問題の解決などもありますので、
そういった話の一つとして、いろんなご意見がある、いうのは知らないわけではありません。
ただ、あの、そういったご意見というものを全部勘案した上で、決めさせて頂きますんで、
特別に、これに偏って決めるとか、こちらにはっていって決めることはない。
対立軸を明確にして、しかるべき時に判断したい。これ、ずーっと申し上げているとおりで、
うん、何回聞いても同じことしか言いませんから。
なんか変わるようなことを期待して聞いているんですか、糸田河(いとだがわ)さんは」

 ――いや、ただあの……。

 「上、上に言われているから聞いてるだけ? へへへへへへへへ(高笑い)」

 ――先日質問したときには、心明党の方から、日にちについて聞いていないとおっしゃっていたので……。

 「ああ、ありませんですよ。ああ」

 ――改めて今日お伺いしたんです。

 「あい、会った、いちいち、会った話の内容のコメントをすることはありません、と。
心明党からも、何々党から、他の党からもありますよ、はい。
だけど、色々の、皆知らないわけじゃあありませんけど、色々な方が色んなことをおっしゃいますけども」


――自衛隊による復興支援の際に、現地の協力者と組んで
  中世のノリで侵略を狙っている他国コミュニティに対抗するというようなことも十分……。

 「へー。君達は戦争したいの?ほーこっちは復興こっちは戦争、新聞の調査ってのは、
  おもしろいんだね。そういう調査が向こう出てくる、反対する?」

――いや、与野党の対立とは別にしてですね、隣国への対応の中に、暴徒への対抗を掲げるという……。

 「おうおうおうおうおぉぉぉぉ、なるほどね、うん。お考え方の一つとして参考にさせて頂きます」
499とある人達の戦記録2部 ◆8b20lCD.o. :2009/04/24(金) 00:08:41 ID:V9GFALP7
投下終了

('A`) アラタナ セツメイノバナシガ ノビテ マタ スズキサン ダセナカッタヨ…
    テキトーニ カイタカラ ホトンド セリフ カイヘン ジジツハ ショウセツヨリモ ヘンナリヨ
500創る名無しに見る名無し:2009/04/24(金) 00:31:13 ID:buk4xkWm
おうおうおうwww
支援
501創る名無しに見る名無し:2009/04/24(金) 00:33:22 ID:buk4xkWm
あ、投下終了失礼しました。
頭だけ読んで支援するからこうなるorz
乙です。
502創る名無しに見る名無し:2009/04/24(金) 01:28:09 ID:bjrH/zQj
投下乙!
なんか生々しいなww
503創る名無しに見る名無し:2009/04/24(金) 12:50:54 ID:7JwGzmWE
投下乙
いままで軍事板での過去作品では
転移直後の混乱で政治的指導力が期待できなくて
クーデターだの政治家消滅だの神(作者)の干渉が有ったんだよなw

今作品は作者は大変だろうけど
政府内に柔軟思考wな人材居るわけだからうまく乗り切って欲しい
504赤軍 ◆1kW0qkMJSg :2009/04/24(金) 17:54:37 ID:mrgzrjuA

720事件とか7月の総選挙から見て夏だよな

夏だと食中毒の季節だし
異世界人に日本の環境や食物に影響を受けないかな?

ウッカリ落ちてた魚を食べたら兵士が腹下し
兵士A「ランゲル島を締める帝国が毒を撒いたぞとか」

エボラ蚊とかインフルエンザとかで死ぬ度に「日本が毒や呪いを撒いてる」と思ったりして

反対に12月になったらいきなり雪が降って驚く異世界軍(ナポレオンみたいな)
505創る名無しに見る名無し:2009/04/24(金) 18:18:57 ID:ICyBwzjf
>>504
疫病は別として腐った魚を拾い食いとかどんなバカだ
506創る名無しに見る名無し:2009/04/24(金) 21:12:09 ID:W34DmKV0
腐ってないように見えても「痛んで」たら当たるぞ
あと寄生虫
507創る名無しに見る名無し:2009/04/25(土) 00:41:55 ID:rQApoXjA
>エボラ蚊
いやいやまてまてまてまて
508創る名無しに見る名無し:2009/04/25(土) 03:22:30 ID:icd359ui
>>506
生で食う風習がそんなにポピュラーとは思えぬw
509創る名無しに見る名無し:2009/04/25(土) 04:13:09 ID:XMH1wZfc
エボラは日本じゃ確認されてないよな?
いいとこ、密入国してきたフィリピン人が保菌していた云々でマラリアとか出すのが限界だな
ただしインフルエンザはガチ
510創る名無しに見る名無し:2009/04/25(土) 04:27:10 ID:a82QpP4F
>>504 道民として言えば雪は降らんほうがいい

転移したら地震や台風とかどうなるんだ?

エボラは昨日のNHKで出てたが豪国の蚊が此処まではこれないよ


今の所、在日米軍は行動起こさないんだな
補給がないのもあるが
511創る名無しに見る名無し:2009/04/25(土) 06:10:07 ID:l7QIrhAD
地元の人間からあそこは日本じゃない、と言われる
在日米軍基地だからな。
512創る名無しに見る名無し:2009/04/25(土) 09:29:36 ID:JN3M7ntx
まあ治外法権だからな
513創る名無しに見る名無し:2009/04/25(土) 10:19:34 ID:WwiMPX6n
いきなり本国から切り離された
在日米軍こそパニック状態だろうな

哨戒機をなりふり構わず飛ばしてるか
日本政府に内密に情報公開をと矢のような催促してるだろうよ
514創る名無しに見る名無し:2009/04/25(土) 10:24:09 ID:BSlp6CtT
哨戒機飛ばしはやってるだろうね。
もしかしたら転移初期は本国との連絡が取れなくなったのを外交カードにされないため
あえて日本政府にはなにもいわないかも?
515創る名無しに見る名無し:2009/04/25(土) 11:55:00 ID:pR5m0YJA
>>514
序盤でテロ時の米軍支援名目で自衛隊が哨戒機飛ばしてる。
516創る名無しに見る名無し:2009/04/25(土) 13:02:56 ID:a82QpP4F

序盤の衛星は大部分が日本製だから米軍の鼻は奪われたモンだ

寧ろ日本製の殆どが防衛衛星(魔砲)だから核開発以外では米軍の必要性がない

まるで去勢した風邪ひき虫歯ドーベルマンだわ

米軍の将校には「あなたの信頼する合衆国は消滅しました」

キツいわ 同情しちまった
517創る名無しに見る名無し:2009/04/25(土) 15:59:13 ID:2ZGvKnQB
米軍はどうとでもなるだろう。
シビリアンコントロール盾に元の世界に復帰するまで一時的に指揮下に入って貰うのは可能だろうし
518創る名無しに見る名無し:2009/04/25(土) 18:42:50 ID:zpM93QYd
何言ってんだ?米軍のシビリアンコントロールは米国政府で日本政府じゃないだろ
同盟国として協力を要請するくらいしかできんだろな
519創る名無しに見る名無し:2009/04/25(土) 19:24:26 ID:2ZGvKnQB
つまりシビリアンコントロールが効かない状況は好ましくない
を理由に指揮下に入って貰えと言ってるんだが
520創る名無しに見る名無し:2009/04/25(土) 19:31:27 ID:zpM93QYd
基地在住の人間で選挙して大統領を決めるから大丈夫って返事がくる可能性は?
521創る名無しに見る名無し:2009/04/25(土) 20:40:22 ID:jP9HdZs0
>>516

>寧ろ日本製の殆どが防衛衛星(魔砲)

そんな設定どこにあった?
522創る名無しに見る名無し:2009/04/25(土) 21:26:55 ID:2ZGvKnQB
>>520
お好きにどうぞ?としか
日本に全てを頼る事になるから実質指揮下に入るのと何も変わらないし。
シビリアンコントロール云々は「どうとでもなる」の一手段に過ぎない。
523創る名無しに見る名無し:2009/04/25(土) 23:29:27 ID:a82QpP4F
>>520


軍人だけではなく一般人や旅行者も立候補するだろう
他の民族も似たような行動を冒す可能性もあるな

領土の概念によっては地域と立候補者で争いが起きる
シーランド公国や「やまと」みたいな国が発生するんだろうな
524創る名無しに見る名無し:2009/04/26(日) 00:00:41 ID:R/xku//P
日本政府「盛り上がってる所悪いが、基地だろうと日本の領土なの覚えてるかね?」
525創る名無しに見る名無し:2009/04/26(日) 03:56:13 ID:DL1FmGpY
大統領出す?
生産性0の在日米軍基地だけでどうする気なんだよw
しかも決めた瞬間に基地から追い出される可能性もある
526創る名無しに見る名無し:2009/04/26(日) 05:38:13 ID:+aD0+3FF
シビリアンコントロール問題を解決する為の道具ですよ>大統領
アメリカ様の同盟国に何でもいう事を聞く極東の島国がありましてね。
在日米軍には同盟国の軍隊として何でもいう事を聞いてもらいましょう、同盟国ってそういう事ですもんね。
527創る名無しに見る名無し:2009/04/26(日) 05:49:33 ID:nWFUuOtp
キリスト教の権威が無い状態で、大統領だけ指名しても無意味だろ。
誰が相手するんだよそんな奴。
528とある人達の戦記録2部 ◆8b20lCD.o. :2009/04/26(日) 06:12:52 ID:MTMpkHKE
湯飲みに玄米茶を注ぎ、缶から取り出した昆布の粉をさらさらと入れる。
自身のカップには健康と美容のために、食後に一杯の紅茶。
ロシアン・ティーを一杯。ジャムではなくママレードでもなく蜂蜜で。

「総理、国会で“日本以外の世界が滅んだ”と伝えたのですがよろしかったのでしょうか。
 変化した人類、ミュータントや超能力者、『魔術』に関する発表は
 後の障害者差別問題に繋がりかねない発表でしたが」
「んー。説明しなければならんかね」
武原は湯飲みに付けていた口を外した。

「茂人君とは秘密を共有するもの友人同士、腹を割って話しをしなければいけないと思っていた。
 の、前に、敬語は止めてくれんかね。肩が凝る。突っ込みをどんどん入れてくれ。遠慮はいらん」
「最低限の礼儀は弁えているつもりです」
「父にそっくりだな。ときに君は、差別やテロリズムがどのように産まれるか知っているかな」
お茶請けに置いてあった煎餅を齧った。
ばりぼりと一枚食べ、答えた。

「富の不平等」
「違う、それは増える要因であって原因ではない。
 イランやイラクで暗躍していたテロリスト、外務畑の君なら彼らを知っているな」
間髪入れずに言葉が返ってきた。
答えを予想していたようだ。

ロシアン・ティーを飲んで喉の煎餅を流し。
少し考え、答えを返した。
「自爆テロやゲリラを支持しているのはエリート層でしたね」
529とある人達の戦記録2部 ◆8b20lCD.o. :2009/04/26(日) 06:13:38 ID:MTMpkHKE
「ビンラディンやザルカウィ、ムジャヒディン、皆世間で金持ちと呼ばれるやんごとない方々だよ。
 学生運動や共産主義に取り付かれ、火炎瓶を投げた昔の青年達も大学生を中心とした
 知識人と呼ばれる人々だった」
「しかし、直接犯行している方々は違います」
「君らしくない答えだな。現代のテロリストは訓練所で生活し教育された人々だ。
 衣食住を保障された手に職のあるテロリストだよ。実態は知っているだろうに」
「だとすると身体的特徴や住む地域に関しても違いますね。テロリズムは国際化していますし、
 中東のテロのために協力する日本人も居ますから。
 日本でも、沖縄人でない方々が在日米軍基地に対し毎年反対集会を開いてますね」
今時のテロリストは訓練施設や学校で勉強する。
民兵組織に入り、経験を積んでから仕事としてテロ活動を行う者も居る。
テロ組織そのものが学校や養護施設をもっているなどざらだ。
彼らは場合によっては仕事の斡旋までして、スカウト、社交界でのパトロン集めさえ行う。
他国の賛同者を集め、爆弾政策や軍事教練をして、目的の組織などへ潜り込ませる。
アメリカの炭素菌テロでは一時期、在住アメリカ人のテロリストやアメリカ系○○人のテロリストが
持て囃された。彼らは正規の教育を受けていて、生活には困らない身分の人間だった。
アメリカ人と同じ白人だったので、黒人差別などとも縁遠い存在だった。

「もし、富の不平等が原因なら、共産圏にはテロが起こらないはずだね」
「チェチェンですね。ロシア与党の掲げる公約の一つにテロとの戦いがありました」
世間では忘れられつつあるが、近年まで出兵までしてテロとの戦いをロシアは行っていた。
ほんの少しの特殊部隊や工作員を派遣するのではなく、
戦車や戦闘ヘリまで出した軍を中心とする本格的な戦闘である。

「すると君はテロリズムは何処から産まれると思うかい」
「歴史ですか。積み重なった認識のずれが蓄積され、地震の活断層のごとく
 テロや差別に波及する…ですか」
「ああ。ミュータントに対する発表だけが、決定的な差別へ繋がるわけでもない。
 “これから”が大事なのだ」
おかわりの紅茶にブランデーを入れた。
美味しい紅茶が飲めるのは生きている間だけだ。
530とある人達の戦記録2部 ◆8b20lCD.o. :2009/04/26(日) 06:14:36 ID:MTMpkHKE
「政治家としての意見ですね。でも差別は存在する」
「直接外と関わっている君らしい意見だ。“これから”はこれから幾らでも修正が効く“これから”だ。
 ミュータント超能力論の根元、もとい“日本以外の世界が滅んだ設定”は嘘と
 君も理解していると思う。“後付設定”で幾らでも引っ繰り返せる。
 嘘だからいつか見破られるだろう。見破られるのが一ヶ月か十年後か知らないがね。
 とりあえず、今のところ考えているテレビ対応としてダークエルフ達との接触がある。
 染色体異常、超能力と異形の体との固定観念を持っていた国民に
 ダークエルフ達を見せたらどうなると思うね?
 人類ではありえない超能力を駆使する美男美女、
 ファンタスティックなんとかなスーパーウーマンだよ。
 TVや国民受けはいいだろう。第一印象を良くしてからドワーフや異種族を紹介してもよかろう」

ダークエルフのカイを会ったときには驚いた。
美幼女だったのである。幼女に美を付けるのは変な表現だが、カイに限ってはしっくり来る。
黒桐から見せられた写真を見てもっと驚いた。ダークエルフ美女軍団だった。
某ゲームの影響でウィルスや遺伝子変異が異形しか産まないと
固定観念を持っている日本人には頭を殴られる衝撃になるだろう。
エルフはTVにぴったりな存在であるはずだ。
悪く見積もっても、そこらのお笑い芸人かタレントか判別に困る女よりよほど美人であるのは間違いない。

「見破られる嘘を付くメリットがありません」
「日本は資源が無いと飢え死にする。突然異世界に転移させられた=資源の場所なんかわかりません、
 これから探します、と 戦争で地形が変わった=資源の場所はわかります、
 いずれ力ずくの交渉でもなんでもして手に入れます。どっちを国内に発表するかだな」

日本の富は貿易で成り立っている。決してアメリカやロシアのような自己で完結した文化圏ではない。
『祖国がなくなったと知った外国人』や輸出企業は大混乱だ。資源を輸入していた業者達も全滅する。
補給先が無くなったと確定した先で始まるのは、槍と馬に代わる、銃と車を使った食料と資源の奪い合い、
現代の三国志だ。外国人たちは各々のコミュニティを造り、自衛する。
在日米軍に日本国内で独立されては堪らない。
米軍の将校に「あなたの信頼する合衆国は消滅しました」と言ったらどんな顔をするだろう。
日本本土の治外法権な基地に隠してある核爆弾でも持ち出して脅迫してきそうだ。
531とある人達の戦記録2部 ◆8b20lCD.o. :2009/04/26(日) 06:15:43 ID:MTMpkHKE
『文明は滅んでも、世界に人は残る』完全な異世界では救いが無い。
『元の世界が残っている』からには『元の生活に戻れる希望ができる』異世界はそんな幻想すら許さない。

せめて、見切りがついてから海外状況を発表したいと考えたのだろう。
底のない絶望だけを見せられて打ちひしがれるのと底に希望を見つけるのとではどちらがマシかだ。

「だったとしても、悪手でしかありません。
 資源を集めるにしても確保のためのインフラ整えるにしても、政府だけでやれる事には限界がある。
 地形、現地住民との会話、物品、常に見破られる可能性があります。露見後は政変ですね」
「私は漫画の主人公ではないのだ。常に完璧な答えを出してくれる神が居たら、
 喜んで従いたいぐらいだよ。嘘を付いたのは自衛隊をエルブ王国へ派遣するための理由付けだ。
 それにゼロからインフラを整えるとこから開発始めようとは思わん。できても途中で資源切れになる」

石油については北海道油田の増産やガス油田が開放されたため、多少は備蓄が伸びた。
それでも、埋蔵量が不安だ。早急に安定が必要だろう。
幸運にも千島にロシアが唾を付けていた埋蔵量が十分な油田がある。
それがあるから良いとして、問題は石油精製施設と千島の採掘施設だ。
日本には一応、精製プラントは存在するし稼動も可能だが、日本全土の需要を満たすためには追いつかない。
プラントは補助程度に使われていたものであり、本格稼動を目的としていなかった。
千島についてはロシアが長年あると決めて、原油の値が下がったため放り出した開発があるだけで、
プラントそのものはできていない。早急な完成が必要である。

農村部では凍死が出るかもしれない。
今年の冬は寒くなるだろう。

このように、資源が見つかっても、採掘や精製するために本格稼動するまで時間が掛かる。
それまでどうやって乗り切るかが課題だ。
プラントなどが出来るまで、当分は中世レベルの化学力の粗悪品を買い付けなくてはいけないだろう。
当たり前だが、質の高い大量の鉄鋼や精製済みのガソリンなどは当分、望むべくも無い。
全て自国で精製しなくてはいけないのだ。


「短期的な視点です。長期的に情報操作は害悪だと考えます」
「無論だ。日本全部滅亡と仮定した場合の対応は“現時点の基本方針”であるし、
“情勢がまだはっきりしていない”。従って異常生物などの問題が明確になりさえすれば、
後は“柔軟に考える”と私は新聞の取材で答えた」

よく政治の場で使われる“適切に対応致します”“前向きに検討いたします”は玉虫色の言葉だ。
聞き手によって好きに受け取れるし、責任を追及されてもあいまいの霧で煙にまける。
532とある人達の戦記録2部 ◆8b20lCD.o. :2009/04/26(日) 06:16:32 ID:MTMpkHKE
「情報を段階的に開放し、ゆくゆくは異世界について理解を浸透させたい。ですか?」
「茂人君。君はなかなか理解がはやい。“情勢がまだはっきりしていない”のを逆手にとれるなら
 好きな情報を流せる、不確定情報ならば間違っていてもシラが切れる。
 情報を間違ったら自衛隊や分析していた専門家達のせいにすればいい。ミサイルの誤報みたくな。
 今は情報が錯綜しているから。どうとでもできる」
「黒いですね。大人の事情を垣間見た気がしますよ」
これやったの絶対総理だろ・・汚いなさすが総理きたない。
だます為に嘘付くのは馬鹿。
真の嘘吐きは思わず騙してしてしまってる真の嘘吐きだからもててるのだという事実。

「なあに、かえって免疫が付く。この程度を黒いと言うのなら政界を生き残れんよ。
 私は海外について判明した情報から最新のものを順次国民に流していくつもりだ。
 竜の生態、魔法の種類、遺伝子解析、風俗や技術。国をあげての調査は国民も望んでいる」
「後付設定でいくらでも自由に情報を流せるわけですか」
「流さなくていい。ころあいを見て、上がってきた情報に許可の首振りだけすればいいのだよ」
「いつ嘘がばれても、対応策と保身は完了してる。ですね」
「まあな。他にもあえて情報を確定しない、次々に新情報が放送されることによるメリットもある」
「不確定性ゆえの空想ですか」
茂人は手さばきあざやかに、愛知県西尾産の茶をいれた。
武原は差し出された茶をひと口すすって、茂人に話した。

「国民を飽きさせないための娯楽としての海外情報。
 まるで中世ファンタジーな世界は視聴者にも興味深い。TVも稼げる、不満も反らせる。
 停滞した経済活動の再開。
 異世界の生態や動植物の研究は民間にも任せる、我々の住む世界とは全く異なった物達だ。
 しばらくは特許や新技術で新聞は賑わうだろう。
 当然、病気や寄生虫が怖いから対策のしっかりした一部の大企業だけになるだろうがな」
そういって、畳の上にあぐらをかいて玄米茶をすすった。

「情報の切り張りと編集に演出、まるでTV番組ですね」
「行き過ぎた政治は娯楽になるとどこかの哲学者が予言してたな、まだメリットはあるぞ。
 政府発表である、日本以外滅亡という真実を持った嘘は不信を産む」
「デメリットでしかありませんね」
「不信は疑惑を産み、新たな説や技術を産み出すだろう。
 より良い説を選んで採用して行けばいいのだ。
 我々が現在、『異世界召喚』と呼んでいる説は、たった2週間の間の情報だけで組み上げられた説だ」
「召喚されたのではなかったんですか!」
どんっ!と和風テーブルを叩いた。
カップに入った茶が飛び散る。
武原は慌ててお絞りでテーブルを拭いた。
533とある人達の戦記録2部 ◆8b20lCD.o. :2009/04/26(日) 06:17:45 ID:MTMpkHKE
ゼンハン投下終了

('A`) イイ ネタダナ スコシ カリルゾ
   アレハ! GANドウ ノ マイ!   コネタニ ダレモツッコマンノ…
534創る名無しに見る名無し:2009/04/26(日) 07:04:40 ID:xinuJt7L
535 ◆8b20lCD.o. :2009/04/26(日) 08:25:25 ID:MTMpkHKE
>>学生運動や共産主義に取り付かれ、火炎瓶を投げた昔の青年達も大学生を中心とした
 知識人と呼ばれる人々だった

カキマチガエタ
>>日本にも共産主義に取り付かれ、
 火炎瓶を投げ学生運動をした大学生を中心とした人々がいた
 当時の彼らは知識人と呼ばれていた
536創る名無しに見る名無し:2009/04/26(日) 09:19:18 ID:YAA7gxKC
乙。
537創る名無しに見る名無し:2009/04/26(日) 09:21:25 ID:NBJUuq8K
≫在日米軍に日本国内で独立されては堪らない。
米軍の将校に「あなたの信頼する合衆国は消滅しました」と言ったらどんな顔をするだろう

この作者はデキル作者だ 

≫某ゲームの影響でウィルスや遺伝子変異が異形しか産まないと固定観念を持っている日本人には頭を殴られる衝撃になるだろう

ダークエルフという単語は軍事板で初めて知ったが、ゲームでは異変種としてあつかわれていたのか
てっきしエルフ界の黒人種とかと思ってたんだが肌色の黄色種とかもいるのかな?
538創る名無しに見る名無し:2009/04/26(日) 09:44:51 ID:ryv5OAkM
>>537
モノにも寄るけど異変種というより、原始エルフ(?)からの枝分かれ。
だいたい森に住んで光を崇めると白エルフ、森や洞窟に住んで闇を崇めると黒エルフ。
539創る名無しに見る名無し:2009/04/26(日) 09:52:51 ID:dZqTsO81
>>537
ダークエルフ:銀髪褐色肌で他はだいたいエルフと変わらない
たいていのゲームや小説では魔王やらなんやらの手先に転んだエルフ その為に外観が変わったと設定されてる
軍版の召喚スレでのダークエルフは白人と黒人くらいの差しかないが大抵F世界で迫害されている

あとエルフは森に住んでいる設定なので大抵火が嫌い(でも生活では利用してる)が、ダークエルフはそのへんの禁忌が無いと設定されていることが多い
それが魔王の手下になって破壊的になったからなのか、元々そういう生活様式だったのか、はたまた迫害されて街に住むようになったからなのかは作者の筆一つ
540創る名無しに見る名無し:2009/04/26(日) 10:53:03 ID:+aD0+3FF
ほんとにいろいろだよな、某海外ゲームじゃ神様に嫌われた一人のせいで一族全部の肌の色が変えられたなんてのもあったな
541創る名無しに見る名無し:2009/04/26(日) 10:58:54 ID:4l6Xkc/z
多分白人連中の「黒人は劣等だから肌が黒い」なんて偏見が元なんじゃねえかな?
542創る名無しに見る名無し:2009/04/26(日) 12:32:45 ID:R/xku//P
肌が白いとかキモい

とか言われてた可能性もあるわけだ
543創る名無しに見る名無し:2009/04/26(日) 13:24:10 ID:DL1FmGpY
>>526
国力生産力その他の裏づけの全くない自称大統領とか相手にするヤツいなくね?
出来の悪いアメリカンジョーク程度にしか受けとられんだろ
つか、そんなアホな宣言通用するならクーデター起こした連中はみんなそう宣言するんじゃないかと思うんだが
544創る名無しに見る名無し:2009/04/26(日) 13:37:02 ID:kn+pMrNN
>>533
投下乙です。
汚いなさすが総理きたない、現首相の顔と声で再生されるw

>>538
洞窟にすんで光を断たれたらむしろ白くなるんじゃね?と思っていた時期が俺にもありました。
545創る名無しに見る名無し:2009/04/26(日) 14:26:27 ID:mtgBpQTw

何らかの魔術で地球へ戻っても本格的なWW3かWW4が始まってる可能性が

日本そのものが消えるから経済破綻する国が大量発生するわOTAKUは希望を失うわ

防波堤がないから堂々と中露米の三国志が始まってたり


普通にG20や五輪の最中に転移したら
鳩山「日本は日本人だけの物ではなくなった」とか平気で宣言したりして
546創る名無しに見る名無し:2009/04/26(日) 15:03:51 ID:R/xku//P
ミンスが政権とることはないので無問題
547創る名無しに見る名無し:2009/04/26(日) 15:52:58 ID:NBJUuq8K
>>545

まずサイフがなくなるので中国がダウンする→欧米が困る→ロシアに戦争する力はない

今の情勢がさらにマイナスになるだけ

>>541だろうな
548創る名無しに見る名無し:2009/04/26(日) 17:55:53 ID:lHe1gBTV
>>541

それはないと思うぞ。
本来の欧州ファンタジーには、ダークエルフという種族は存在しない。
闇へ堕ちたエルフはオークになるという設定になってたはず。
ダークエルフは和製ファンタジーから出て来たと聞いたことがあるよ。
549創る名無しに見る名無し:2009/04/26(日) 18:19:30 ID:DL1FmGpY
>>548
それは指輪物語の話じゃないのか?
ダークエルフの大本ははTRPGのD&Dじゃないかって聞いたけど
あれのダークエルフはドラウ(堕落した)・エルフってそのまんまな名前で呼ばれてる

そもそも和製ファンタジーにエルフ登場するようになったのもそんな昔の話じゃない気がするんだが
550創る名無しに見る名無し:2009/04/26(日) 18:35:08 ID:+BUDK5/l
そもそもダークエルフ(デック・アールブ:元はドイツ語)ってのは
「闇に棲む妖精」の総称に過ぎないんだよ
本来の定義に従えばドワーフなんかもデックアールブだ
そこに「闇に棲むエルフ>肌の黒いエルフ」とか後付け設定くっつけたのは
人種差別大好きのアメリカ人
551とある人達の戦記録2部 ◆8b20lCD.o. :2009/04/26(日) 19:13:11 ID:MTMpkHKE
「新たな事実が判明するにつれて、違う説も出る。
 元々、異世界召喚説とは違う可能性すらあると黒桐が言っていたのだ。
 たった2週間で世界の全てを知り、日本に起こった常識外れの世界同時通信途絶テロを解決する。
 2週間経ただけで人類史上かつてない事件を究明できるのはどんなスーパーコンピューターだ?
 事態の全てを判断できるのは“神の視点”を持った奴だけだ」

異世界に転移と一口で表すとしても様々なものがある。
時間的転移、空間的転移、時空的転移、認識的変化、
例えば、行われたのが平行世界的な転移だったとしたら元の地球と星の位置が同じわけであり、
『天文関係でモロバレだと思うんだがね』と豪語していた科学者の言葉とは違う結果となる。
もしそうだったとしたら私達は元の時間に戻るために努力しなければいけないし、
認識的な転移だとしたら、あたかもマトリックスの世界から目覚めた主人公のごとく
私達が異常な夢から目覚めなければいけないだろう。当然、星の位置などあてにならない。
原因によって取る対策も違ってくるし、見当違いの努力を延々と繰り返す破目に陥るかもしれない。
あらゆる可能性を探っていかなくてはならない。

「ここは異世界です、他所の国は侵略狙ってます。 わけわからん魔物やらもわんさといます。
 だからまずは自衛隊が行きます。 これでも同意を取れませんか」
「無理だ。国交も無い国へいきなりの自衛隊派遣だぞ?
 敵は魔法や魔物を使ってくる意味不明な世界だぞ?
 商船の護衛ですらキュージョーキュージョー言ってる日本が外に使者を派遣か?
 最悪、自衛隊の護衛なしで行く可能性すらある、使者はそこらの魔物に喰われてお終いだ。
 私達はバッサンの使者を話し合いもなしに殺しているのを忘れるな」

「日本国は一発も相手に向かって発砲しておりませんが」
「相手からはどう見えるかだ。味方を9000人近く殺した敵と同じ姿をしている。
 相手から見分けて欲しいところだが、期待できそうも無い。
 君は在日米軍と自衛隊の装備の違いがわかるかね?装備だけを見て違う国の人間と判断できるかね。
 軍事マニアならできるだろうが私にはわからん。中世の人間が韓国軍と自衛隊の見分けが付くだろうか」

野党の牛歩戦術で議決が長引き、“いざ使者を出そうとしたら、食料も資源もありません”
でしたとなるのを恐れた。物資備蓄も少ない。迅速な海外との接触が必要であった。
自衛隊の災害派遣なら、法の範囲内で“災害で通信が回復しない国”へ派遣できる。
復興支援部隊は戦力の派遣に当たらない。
552とある人達の戦記録2部 ◆8b20lCD.o. :2009/04/26(日) 19:13:57 ID:MTMpkHKE
「茂人君は仮に日本が召喚されたとして、相次ぐミュータントとの遭遇や謎の超能力、
 正体不明の軍隊が襲ってきたらどう動くかね?」
「防御を固めて、情勢がはっきりするまで待機でしょうか」
「自衛隊を日本から離さず、防衛に力を入れる。
 普通ならそれで間違ってはいない、大抵は保身に動くだろうな。そして手遅れになる」

食料資源は半年も持たず、鉱物資源もほとんどない。
どちらも自給は出来ず、逃げ場の無い島国である。
食料だけでも半年以内に決着を付けなくては、1億三千万人、座して死を待つだけだ。

「あえて国民の危機感煽って(石油食料は○ヶ月しかもたない)とやれば
 民意はかなり操作でき、そうなればごり押しでもいけませんか」
「つい最近、領土を武力侵攻され奪われ、領土ギリギリの場所に油田を造られ、
 北の占領された島さえ返してもらえず、ミサイルが2度も頭上を飛び越えて軍を持てなかった国が
 自衛隊の護衛による使者派遣を許すと思うかい?私は駄目だと思うね」
「明らかな地球外巨大生物などの現物があるため、説得は可能だと思われます。
 トンデモ話では日本以外全部沈没と変わりません」
「茂人君は国民を信頼し過ぎる。余り期待すると政治家はやっていけんよ
 ある日突然『日本は異世界に召喚されました』信じられるかね?
 ファンタジーな世界に理解のある君でも、
 『先ほど異世界に転移した事をひたすら隠すのかが理解できん』と話していたではないか。
 人間の固定観念は簡単に治らんよ。私も含めて」

ガリッ、ボリボリボリ
かき餅を齧る。
紅茶と餅の相性は悪い。

「固定観念、ですか。黒いエルフを見るとダークエルフと決め付け、迫害されてると勘違いし、
 差別論争に発展してしまう私達のようですね」
「まあ、実際彼女達は迫害されているのだがな。美形のオークも乙なものだぞ。
 近年のオーク、ゴブリンを別種として扱っているものも多い。
 元は同じものなのに後付設定とは面白いものだ」
「後付は歴史と文化そのものです。認めたいものだけを見てればいいんです。
 たとえばそう、邪神に属性を付けたらチープになるからダーレスは認めないとかでもいいんですよ。
 人の認識なんてあいまいなもんです」
553とある人達の戦記録2部 ◆8b20lCD.o. :2009/04/26(日) 19:14:53 ID:MTMpkHKE

ちなみに塩味っぽいのは甘い紅茶と組み合わせると
塩味と砂糖味が両方そなわり最低な味になり破壊力ばつ牛ン。
砂糖味が強くなると頭がおかしくなって死ぬ。

せめて苺大福が欲しかった。

「そこまで考えての嘘とは。感服しました」
「まあ、実は適当に考えた嘘に理由付けしただけだったんだけどな」
武原は小さな小さな声でぼそり。

「何か言いましたか?」
「いいや。何もいっておらんよ」

ケーキがいない紅茶に未来はにい。
別に不味さをアッピルなどしてはいない。
紅茶と煎餅の組み合わせを不味いと感じてしまってるやつは本能的に長寿タイプ。
紅茶の香りと米の香ばしい香りがぶつかリあうこの相性はどちかというと大反対。神の贈物と地獄の宴。
かき餅に致命的な致命傷を与えられ想像を絶する悲しみが舌を襲う。
茶葉の貴重さを世に広めることでリアル世界よりも充実した食生活が認可される。
この煎餅を並べた奴は誰だあ!

まあ、総理なんだが。
煎餅はそのものは美味いよ。組み合わせは最悪なだけで。


「では、先はいかがなさいます。“ダークエルフと同盟結んで列強と戦い”ますか」
「真坂あ!そんなものは頭の隅にも考えていない」

武原は面白い冗談を聞いたように大笑いした。
笑いすぎたのか上がった足がテーブルの湯のみを蹴り上げ、中のこぶ茶をこぼす。
554とある人達の戦記録2部 ◆8b20lCD.o. :2009/04/26(日) 19:16:04 ID:MTMpkHKE
「軍事強国であるバッサン帝国のバリスタ、魔法の威力、船の速度や排水量、背景となる技術。
 魔法による誤差を目算に入れても我々はあらゆる技術で相手を圧倒している。
 戦争にも勝てるだろう。敵首都に居る首脳をミサイルで遠距離から殺害、空挺降下で王や姫を捕縛。
 敵は銃相手に近寄ることすら出来はしない。決着に一ヶ月と掛からないはずだ」
「先は二度目の満州国ですか」

隣国の件があるからな。
下手に手出しをすると墓穴を掘りそうだ。
ようは、戦争に負けた日本が悪かったのだろうが。
勝てば官軍、座れば代官、歩く姿は戦勝国。

「一度やって懲りている。満州国も予定に無い。
 兵器や技術は圧倒するだろう。しかし戦争に負ける。日本には継戦能力が無い。
 海外に直轄の土地を持つのも美味しくない」
「貿易を全部おさえられていますし、大陸に直接の領土を持つと国境を接してしまうからですね」

補給が切れた軍隊は戦う前に負けている。
大戦の轍は踏みたくなかった。

「押し寄せる帝国兵の波。
バッサン帝国は100人の兵を街に送り込んだ。自衛隊はたやすく皆殺しにした。
バッサン帝国は1000人の兵を街に送り込んだ。自衛隊は皆殺しにした。
バッサン帝国は1万人の兵を送り込んだ。自衛隊は弾の残りを心配し始める。
バッサン帝国は10万の兵を送り込んだ。自衛隊はジープの上で疲れ切っている。
バッサン帝国は100万の兵を街に送り込んだ。街の中はバッサン兵であふれている。日本はもう何もできない。
バッサン帝国は使者を送った。「降伏せよ。しないと次は本隊を送り込むぞ」
「何処の中華ジョークですか」
「バッサンはやりかねんぞ?無価値な拠点の竹島で9000人もの死者を出させた国だ」
「監戦官がいましたね。おかしな魔法や薬物洗脳も行っていました。人の命が安い国なのかもしれません」

人海戦術相手は厄介だ。
数を抑えるには一定数の数が要る。
数を揃えるのは日本は苦手だ。
海を挟んで大軍を維持するのも難しい。

「帝国と大陸でぶつかる可能性まで考慮して自衛隊を派遣する意味は?」
「純粋な意味での復興支援だよ」

理由を聞いて、悪魔とは彼の為にある言葉だろうと茂人は思った。
555とある人達の戦記録2部 ◆8b20lCD.o. :2009/04/26(日) 19:16:49 ID:MTMpkHKE

('A`)
556創る名無しに見る名無し:2009/04/26(日) 19:23:00 ID:MTMpkHKE
投下終了
557創る名無しに見る名無し:2009/04/26(日) 19:25:10 ID:mtgBpQTw
>>550

ゲルマン ブリテン ジパング 「俺達三国ファンタジー同盟」
558創る名無しに見る名無し:2009/04/26(日) 19:35:23 ID:mtgBpQTw
>>553

紅茶煎餅ってセンスあるかな?

他の作品と違って人口衛星があるぶん第3国を見つける事はできるだろうよ

確かに米と自衛隊の兵装を見分けられる人や朝鮮民族と大和民族の違いがわかる欧米人は少ないな

559創る名無しに見る名無し:2009/04/26(日) 19:37:42 ID:DL1FmGpY
連日の更新乙!です
毎度毎度美味いこと取り込むなw
560創る名無しに見る名無し:2009/04/26(日) 19:44:36 ID:wQNpnAXJ
突っ込まれたことに対するすげー言い訳くせー描写だなw
最初に提示した展開に正当性を持たせようとするあまり、くどすぎになってる。
その正当性を主張する論理自体にまた無理があるしね。

どだい根本のところで無理のあるジャンルなんだから
フィクションとして勢いそのまま突っ走ればいいのに。

考えるな、感じろ。
561創る名無しに見る名無し:2009/04/26(日) 20:01:24 ID:R/xku//P
作者のやる気をそがないように、あんま言いたくないが確かにいい訳臭いな
外野の野次は参考程度にして突っ走った方がいいかも試練
562創る名無しに見る名無し:2009/04/27(月) 00:47:18 ID:F/gB+doi
作者はニヤニヤしながらネタにできるレスを取り込んでるだけじゃねーの?
言い訳とか発想が真面目すぎると思うがなー
563創る名無しに見る名無し:2009/04/27(月) 01:03:33 ID:8aq2Jp3V
あんま外野の野次を作品中に織り込んで欲しくはないなぁ
なんか萎える。外野の野次だって正しいとは限らないわけだし突っ走って欲しいね。
564創る名無しに見る名無し:2009/04/27(月) 02:21:22 ID:dKQaSUme
>>555
投下乙です。
ネタの有効活用w

>>560
作中でそういってるじゃないか。
565創る名無しに見る名無し:2009/04/27(月) 04:29:19 ID:KZrCl/We
言ってるだけで、実行は出来てないと思う。批判された要素をあからさまに意識してるし。
泥縄でgdgdと後付っぽい論拠を書き連ねるくらいなら、勢いに任せて突っ走った方がマシと言う点には同意。

個人的には、転移後の国民への情報開示の方法とかよりも、
ヲタネタを必要以上に盛り込もうとしてる点がよっぽど読んでて引っかかるよ。
外務省役人のダークエルフ娘に対する態度とか気持ち悪すぎるし。
566創る名無しに見る名無し:2009/04/27(月) 06:22:35 ID:RC4X0omJ
64:2009/04/26(日) 23:12:57 ID:???[sage]AA
【国際】逮捕された久佐なぎ強「異世界召喚されたと言って何が悪い」
発言を赤原議員が擁護「全くもってその通り」
 http://dubai.2ch.net/test/read.cgi/hcenter/1237026723/
567創る名無しに見る名無し:2009/04/27(月) 14:15:56 ID:noViQI2P
「○ちゃんねるにカキコする総理、防衛大臣」ての脳裏に浮かんで一瞬鬱になるw
568創る名無しに見る名無し:2009/04/27(月) 14:50:02 ID:8aq2Jp3V
【本人】防衛大臣だが次どこ攻めるよ?part21【降臨!】
1 名前: DQN防衛大臣◆rpg7 [age] 投稿日: F002/04/27(月) 18:11:12 ID:???
本物の防衛大臣(俺)による質問スレ。
次はどこに攻め込むかを国民の意見を取り入れつつ大決定。
糞生意気にも帝国を名乗ってたアホを潰したんで目ぼしい所ないや。
エルフ王国でも攻めて雌奴隷ゲッツ!!!!111111111

・・・・は流石に俺の立場がヤヴァイので却下な
569創る名無しに見る名無し:2009/04/28(火) 03:01:08 ID:/8dV8uS/
>>568

【UFO】空からワイバーンが攻めてきた?part21【降臨!】
1 名前:銀バエ◆jp73tm 投稿日: 201X/04/28(日) 02:56:12 ID:???

なんか空自のF1が発進して行ったみたいだ。

ワイバーン型UFOは現在硫黄島-グアムを迂回してるらしい

最近、米軍の第七艦隊旗艦CVNサラトガが独立国「サラトガ合衆国」を作ったのと関係があるのかな?

2:201X/04/28(日) 03:12:57 ID:???[sage]AA
2GED

3:2009/04/26(日) 23:12:57 ID:???[sage]AA
前スレの1000がランゲル様万歳とか言ってたが何の話だ?

3:201X/04/28(日) 23:12:57 ID:???[sage]AA


あ、アリューシャンから海賊が来ました。 亡命辞めるわ

とりあえず海保に連絡
570創る名無しに見る名無し:2009/04/28(火) 07:07:35 ID:/8dV8uS/

豚インフルエンザでオークを倒せないかな?
571創る名無しに見る名無し:2009/04/28(火) 10:35:27 ID:32XkEBzN
人間にも感染するんで却下
572創る名無しに見る名無し:2009/04/28(火) 11:15:29 ID:2cJqPw1+
オークでインフルが変異したらどうすんだよ
制御できんもんで攻撃すんのは馬鹿の所業
573創る名無しに見る名無し:2009/04/28(火) 11:59:25 ID:VWFs/YHQ
突っ込みを無視すれば御都合優先、答えれば言い訳
ふしぎ
574創る名無しに見る名無し:2009/04/28(火) 12:22:09 ID:4h/34Wox
>>573
つまり自分で文句言って作者が答えてその答えにまた文句言うやつは
無視れということ
575創る名無しに見る名無し:2009/04/28(火) 17:17:32 ID:32XkEBzN
>突っ込みを無視すれば御都合優先、答えれば言い訳

言ってる奴が別人なら問題あんめぇ
576創る名無しに見る名無し:2009/04/28(火) 17:33:08 ID:2cJqPw1+
気にするだけ無駄じゃね? ってことでしょ
577創る名無しに見る名無し:2009/04/28(火) 17:59:36 ID:32XkEBzN
大体、言い訳するなら本文の外でやればいいんじゃね?
言い訳その物が叩かれてる?わけじゃないし
578創る名無しに見る名無し:2009/04/29(水) 01:20:37 ID:5UNX6bKH
とある氏投下乙!

なんかボロカスに言われてんなww
まあ自分の好きなように書くのが一番だと思うよ
579創る名無しに見る名無し:2009/04/29(水) 11:56:37 ID:CZXfaXzb
Dr.Jとか愉快な人もいるから
要望は気にするだけ無駄ということ。
分家でも要望取り入れて成功した作品無いやん。

他人の局所的妄想を繋いでくのは労の割に報われないよ。妄想は1分で完成。
580とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/29(水) 18:44:10 ID:7xx+I8DG
此処はとある補給艦。復興支援の第一陣。
鈴木は外務省から来たロリコン、田中茂人に子供のお守りを任せると言われたとき、
まさか本当に子供の世話をするとは思わなかった。
小さな彼女は利発で聡明な33歳だが、他の隊員達は子供の世話を誰も気に掛けてはくれない。
艦内に子供を連れ込むな、此処は保育所じゃないんだぞ、いつの間に紛れ込んだ、保護者を呼べ、
船に女を連れ込むな、上の命令と下のごもっともな言葉に挟まれ悪戦苦闘する。
更に幼女が艦内をふらふらと歩き回る、その度に追っかけて、頭を下げて後始末に廻る。
陸自の隊員が船に乗っているだけでも面倒なのに、幼女連れて個室で2人きりなんてロリコン扱い。

子供の相手は女性が適任だと思うのだが、自衛隊には女性隊員が少ない。
どれほど珍しいかというと、前に海賊対策にたった10人の女性隊員が派遣されただけで
テレビが来て、新聞に載って、ワイドショーで騒がれるぐらいだ。
貴重な女性隊員は残念なことにこの艦には居ない。

「ゲトデヒニス!ゲトデヒニスは居るか?」
「カイ。お嬢様、私の名前は鈴木で御座います」
「紅茶をくりゃれ」

小学6年生ほど、ランドセルを背負っていそうなちっちゃい子供。
目を惹く綺麗な銀髪に小麦色の肌、まだ性別がはっきりしない未成熟な体に、
長く細長いアンテナみたいな耳と大きな飴色の瞳と細い折れてしまいそうな手足をした少女。
別世界の住人、ダークエルフ、赤井・マル・ポーロである。

「はい、入れますから待っててくださいね」

脚立が付いた椅子にどっかりと腰を下ろす古風な物言いをする幼女。
お人形さんみたいな子供が威厳を持った声でお茶を催促する姿はアンバランス極まりない。
見た目ろりぃな11歳、中身33歳、世俗慣れしたロリ年間。

「うむ」

鈴木の本来の仕事は、陸上自衛隊三佐連隊付きの補給計画課に所属する自衛官。
ついこの間までは弾薬部の一尉だったのがめでたく昇進、理由は知ってはいけない秘密を知ったからで、
日本から遠く離れ天津市方面の海上に居るのは口封じに海外へ飛ばされためである。
言わば現代の島流し。
581とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/29(水) 18:45:07 ID:7xx+I8DG

「ふーむ。合理的だ」

荷物整理が済んでいない、段ボールとパレットコンテナだらけの部屋の中、
鈴木は箱からパック式の紅茶を取り出し、壁に取り付けてある金属製のカップにポットのお湯を注いだ。
お盆に、共有冷蔵庫から取り出した名前付きのプリンを取り出す。
プリンは1つ30円の安いやつ。

カイは品のいい眉を曲げながらしきりに角度を変えてプリンのカップと紅茶パックを見ている。
田中の趣味なのか、服は妙に露出度が高い。
両肩部分が剥き出しの桜色のワンピースを着ている。
傷一つない細い首筋と長く輝く銀髪、整った目鼻と涼やかな目元のせいか、
プリンを持ってあごに手を当てている姿は一枚の立派な絵に見えた。

「完全密閉された容器、とシール、プラスチックの器はプリンの味を損ねない。考えられておる」

カイは竹島戦で生き残った捕虜で、日本政府の大切な外から来たゲストだ。
それにしてもカイちゃんはないだろ、ちゃんは。彼女を連れて来た田中の言動を思い出す。
いい歳をした男が子供にちゃん付けしてデレデレする様は傍から見ると
久しぶりに残業から帰ってきた休日に家族サービスをしようと子供のご機嫌を取ろうとするも、
邪険にされて子供に相手をされない親馬鹿の父か、ただのロリコンである。

「紅茶も一口ごとに袋詰めされ、容易に使い捨てできる。
 袋詰めしてはたして採算が取れるのか?
 うむう。取れるからやっているのだろうな。
 ニホンの兵士達はみなこのようなものを食べているのか。勝てないわけだ」

ひっぱったり伸ばしたりして袋を調べている。
ファンタジーな世界の住人にプラスチックや紅茶の包装は珍しいのだろうか。

「プリンをプリンのまま運べる上に、兵士でも戦地で水物を食べられるのか。大した物だの」

プリンを空にした後、しきりに入っていた段ボールを触っている。
田中の話によるとカイは貿易業を営んでいるため、日本の保存や輸送法に興味を示しているらしい。
両国の文化の違いを考察するには聞くより見たほうがはやい。そこで備品科にお鉢が回ってきた。
備品科は陸自の数ある補給関連の部署で、最も多様な物品と荷物を扱う他、輸送や配給にも関わりが深い。
多種多様な物品を扱うなら海自の補給科がいいのだけれど、復興支援事業のために忙しく空いた手がない。
陸自も治安維持で忙しい、そこにちょうど、既にある程度の事情を知っていて
突然の部署変更で手持ち無沙汰だった私が選ばれたのだ。
復興支援のため海自は手一杯、陸自も忙しい、外との接触の際に現地人のマルが居ると都合がいい。
妥協の産物が、陸自の備品科隊員を補給艦に乗せるとの決断であった。
582とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/04/29(水) 18:46:18 ID:7xx+I8DG

「はは。違うよ。プリンは腐りやすいから食べられるのは後方の隊員達だけだ。
 カイたちは違うみたいだな。魔法で輸送や保存でもしてるのか」

ちなみにカイのことは、周囲にVIPのお嬢様で世話役を上から頼まれているのだと答えている。
船に女は入れるなとの意見や公務中に子供を中に連れ込むなとの意見、もっともで御座います。
痛し痒しでございますだ。ちなみに私はノーマルだ。痛い視線はやめて。

カイにチョコレートを与えるな。太るだろ。
ああああああ、飴も駄目だ。虫歯になる。
こら!そっちは機関室だ。隊員さんの邪魔になる。
うああああああ。拾った空薬莢は返してきなさい!
会ってからたった数十時間、私は振り回され続けてくたくただった。
今は昼前、もうすぐご飯の時間である。

「基本は塩漬けと乾燥した肉や野菜だ。街に留まらない限り、卵や果物にありつけんの。
 料理を料理ごと運べるのは素晴らしい。甘いものなど、まず食べられん。
 酢と塩と干物ばかりの日々は嫌じゃ」

野菜を塩や香辛料なしに保存できるのは良いことだ。冷蔵庫は偉大である。
故郷の鱒の寿司が懐かしい。

酢で締めた米と油の乗った鱒の切り身に醤油をちょっとかけるとうまい。
久しぶりに実家から送ってもらおうかな。
船で魔法の冷蔵庫を見ていたから、言葉を返した。

「冷蔵庫が船にあったけど。野菜は運べるんじゃないか」
「鈴木が見たのはたぶんベルリラ級の指揮船じゃな。
 リム・ショット型のバリスタが5つ付いてた5本マストで20枚の帆、250人乗りの巨船だの」
「詳しいな」
「もちろんじゃ。交易で船に興味を持たない者など貧乏人だけだの」

そんな当たり前のこともしらんのかといった様に事も無げにカイは話した。
ベルリラ級の船とは最高300人から、以下200人、150人等々の水夫を乗り組ませていて、
その積み荷の量も各国の船の中では高い水準に位置する船らしい。
輸送能力は多ければ7000籠、普通で6000籠の塩を積載できる船で、
大きすぎるが故に波止場が整備された一部の輸送区間内でしか使われていない船だ。
マストが5本もあるのは、無風になるなどしたら、魔法で動かしやすいようにとの配慮だとか。
船を急速航行させる際には、船底や主要な建材に魔法刻印されている印章を通して起動し
船底にある魔石を利用して、トロンアイ航法と呼ばれる、船底の水流を操る電磁航行に似た駆動を行う、
ハイテクなのかローテクなのか判断に困る船で、一度に250t〜300t近くを運べるようである。
583とある人達の戦記録2部 ◆8b20lCD.o. :2009/04/29(水) 18:47:05 ID:7xx+I8DG

「竜騎士じゃ物は運べないのか。戦闘じゃ人乗せて飛んでたみたいだけど」
「ワイバーンで荷物を運ぶのは難しいのう。運べても馬二頭が精々じゃ。
 手紙を運ぶのがやっとじゃよ。
 戦闘中、あれだけの速度で動けるのは高度な訓練をされておるからだ」

竜騎士はデカイ伝書鳩にあたる位置づけで、伝書鳩はあまり一般的ではないようだ。
大量の手紙を持ったワイバーンが各都市を行き来し、主要郵便局に似た施設へ運び
そこから小郵便局へ配布され、各地域に伝達される方式を取っている。
伝書鳩よりも確実で正確なため、ワイバーンを使った手紙のやり取りが発達したとある。
他にも魔導師達を使った通信も存在しているが、そちらは余り使われていないようだ。

「魔法の氷庫も一応あるんじゃが、金がかかる。繊細なものは運べんしのう。」
「果物や野菜は運べないってことかな。運べてもすぐに痛む」
「そうだ。冷蔵室と野菜冷凍室、アイス入れ。
 三つがひとつになっているのはほんにべんりじゃの」

カイはぱたぱたと歩いて冷蔵庫の前でぴょんぴょんと跳ねていた。
ジャンプしても冷凍庫に届かない。
鈴木は脚立を持ってきて、冷蔵庫の前へ立て掛けた。

「うむ。ごくろう。鈴木よ」
「はい、お嬢様」
「今夜は魚が食べたい」

自衛隊をレストランと勘違いしてるんじゃないかこの子。
いやまあ、海自の食事は自衛隊では恵まれている方だけど。

「魚なら昨日食べなかったか」
「鰯だろう?雑魚は家畜の餌か畑に撒くものだ。まぐろとやらを食べたいのう」
「日本はカイの世界とは違い、保存と輸送技術こそ進んでいますが、
 自衛隊の輸送にそれほど余裕があるわけではありません。
 魚は腐りやすいもので、マグロは高級魚です。ご了承下さい」

調子に乗られても困る。
日本について正しい認識を持ってもらわないとな。

「無理な注文をして悪かった。
 毎日美味いものを食べられて浮かれておったのだ」

カイはしゅんとした。
素直に謝られてしまうとこちらもなんとなく気まずい。
584とある人達の戦記録2部 ◆8b20lCD.o. :2009/04/29(水) 18:47:52 ID:7xx+I8DG
「代わりといってなんですが、マグロの缶詰はいかがでしょうか。お嬢様
 自衛隊員が普段食べているものです」

缶詰を差し出すと、カイは小さな手で受け取った。

「この金属でできた小さい箱だな。ニホン軍の食事なわけか」

自衛隊は軍と答えられたのをあえて黙殺する。
海外の人からは軍に見えても仕方ない。
カイは缶詰を触り、しきりに叩いたり臭いをかいたりして確かめている。

「カイの国にある酢や塩の瓶詰めみたいなものだよ」
「中身は入っているようだが、蓋がないぞ」
「はははっ食べればわかるよ。待っててくれ。30分ほど食堂で暖めてくるから」

缶詰は戦闘糧食I型。自衛隊のレーションである。
ちなみにU型はレトルトパックで、主食、副食、デザート、飲み物数種、タバスコ
マッチ、ガム、トイレットペーパー、カイロなどあらゆるものが入っており、
野戦などでの作戦行動中向けのものだ。

「あちち、暖めすぎたか。おっと缶切・・・あったあった。」

缶切りを缶の縁に当て、梃の原理できこきこと切り開ける。
横ではカイがおおおと感嘆の声を上げていた。

「なにゆえ金属で完全に閉めるのじゃ」
「瓶だったら割れるし、ガラス製で重い、開きやすいと腐ったりする」

缶詰を最初に採用したのはナポレオンだ。
缶切りが発明されるまでも50年間は、ハンマーとノミを使ってこじ開けていたらしい。
ご苦労なことだ。

「ほうほう。なるほどなるほど。保存期間は?」
「3〜4年、ものによっては数十年以上は持つね」
「魔法じゃ・・・」
585とある人達の戦記録2部 ◆8b20lCD.o. :2009/04/29(水) 18:48:44 ID:7xx+I8DG
ほどなくして、戦闘糧食T型のマグロ缶が開いた。

「・・・これが、マグロか」

中身は砂糖と醤油で味付けされたマグロが入っており、
缶の上には茶色いマッシュルームを薄く切ったものが盛り付けられている。
うどんの醤油だしのような色の汁と桜色の不定形なマグロ、茶色の茸。
はっきりいって見た目はあまりよろしくない。
カイは中身が期待はずれだったのか、アンテナのような耳が力なく垂れ下がっている。

「どうぞ」

中身を掻き出してトレーに盛る。
小さな体ではレーションを食べきるのは苦痛だろう。
大人でも食べ切れない量である。
戦闘糧食は一缶辺りの量が多いから、空けた缶の内三分の二を自身のトレーにのせた。

「むう」

おそるおそる手を伸ばし、器用に箸でマグロの切り身を口に入れる。

「味はどうかな」
「何処の国でも、瓶付けの中身の味は変わらないものだな。
 味付けは多少濃いが思ったより悪くはない」
「濃い味のものはご飯と合わせるといいよ」

微妙な表情をしているカイに赤飯を勧める。

「ご飯の瓶詰めとは面妖な」
「水を持って来てあるから飲みながら食べるといい。
 戦闘糧食は野菜が少ないからな。
 特に赤飯は他のものと組み合わせながらがオススメだ」
「むむ?合わせてみるとなかなか」

カイはご飯を口に掻き込んだ。
缶詰を夢中で食べる幼女とはなかなか変な光景だ。仕草がおっさんっぽい。
赤提灯と一升瓶があれば、ガード下でラーメンをすすっていそうだ。
カイは今やレア物となったたくわんの缶詰をぼりぼり食べていた。
箸が好調に進む。赤飯缶もたくわん缶も気に入ったようだ。
赤飯は美味しいが、一つだけ気を付けなくてはいけない。

「赤飯だけで急いで食べると胸焼け起こすからな。
 水飲みながら他のものと一緒にな」
586とある人達の戦記録2部 ◆8b20lCD.o. :2009/04/29(水) 18:49:29 ID:7xx+I8DG
味付肉団子を勧める。
商標ではハンバーグとなっているのだが、どちらかといえば
見た目も味も油分を減らしたスパム缶醤油味と呼ぶべきだろう。
トレーにのせるとでろでろになる。

「この肉の様なものは?」

カイはトレーに乗せられた肉をかき混ぜた。
ハンバーグとミックスベジタブル入りコンビーフ。
こら、食べ物で遊ぶな。

「挽肉だ」
「ひきという動物はこのように崩れた肉をしているのか」
「動物の肉をひき潰した食材で、中に豚肉と牛肉が混ざって入っている」

私が食べると、カイもスプーンで恐る恐る口へ運んだ。

「むむう?確かに肉の味だ。だが肉の感触がしない肉とは変な物よ」

ハンバーグの歴史は意外と新しい。
ハンバーグは産業革命以降に、ドイツの労働者達で流行した食事がモデルとされている。
日本でハンバーグ食が有名になり出したのは高度経済成長期以降とされていて、
ハンバーグ、オムレツ、ビヤホールなどはその頃流行したものである。

「挽肉は便利だよ。牛肉以外にも色々なものを混ぜられるし、
 味にもさほど変わりない体の何処の肉でもごっちゃにしてしまえば一緒だ」
「安くて大量の肉を仕入れるときには便利か・・・混ぜてしまえば同じ。
 発想の転換だな。素晴らしい。龍から鱗が剥がれ落ちる思いだ。
 最初に挽肉をつくった者はさぞ偉大な商人であったのだろう」

そういうと、服に刺してあるボールペンを使ってメモをとった。
商売にでも生かすのだろうか。

「そろそろ野菜が欲しいの」
「牛肉の野菜煮と鶏肉もつ野菜煮、どっち?」
「牛肉を頼む」

きこきこと缶をあける。

「はひっ」

缶を開けて中を覗いた瞬間、カイはびくりとした。

「蛆いいいいいいっ」

何ぃ!と驚いて缶を覗く。
特に何もない。
中をかき混ぜてみたが蟲などいない。

「えーと。大丈夫だぞ」

確認した後、カイに見せる。

「ひやぁうひぃ」と名状しがたい叫び声を上げて飛びのいた。
やっぱり何か入っているらしい。
牛肉、たけのこ、れんこん、しいたけ、別にそれらしいものは・・・
ああ、なるほど。細切りのこんにゃくが蟲に見えたのか。
ゼリー状の白くて細長いぷるぷるはミミズか長虫にみえなくもない。
587とある人達の戦記録2部 ◆8b20lCD.o. :2009/04/29(水) 18:50:44 ID:7xx+I8DG
「こいつか?」

こんにゃくを箸でつまむ。
箸の間でこんにゃくがぶるぶる踊る。

「動いた!はひぃ!」

どうだ、ほーれほれ。
目の前でこんにゃくを踊らせる。
その度にカイは、はひぃとかひゃあと悲鳴を上げる。
瞳を潤ませる姿は小動物みたいで嗜虐心をそそった。
なまじ美形なだけに妙な色気がある。

「あーこれこれ逃げるな。落ち着け。コイツは虫じゃない」

動かしていた箸をぴたりと止める。こんにゃくが力をうしなってくたりとなる。
きゃーきゃー騒いでいたカイが止まった。

「これはこんにゃくといってだな、カイがさっき食べてたプリンの仲間だ」
「全く違うではないか」
「いいか?さっき食べてたプリン。カイ達が食べている普通のプリンと何か違わなかったか?」
「むーう。焦げ目がなかった、それと水っぽかったのう。ゼリーっぽかった」
「そいつはケミカルプリンだ。プリンには焼いてつくる他にも方法があってだな、
 強引に説明するならばこんにゃくの元を入れるとプリンができる。
 プリンとこんにゃく、ぷるぷるが似てるだろ」

カイにも理解しやすいように簡単な言葉に直して説明した。
一般に安いプリンにはケミカルプリン、ゼラチン等のゲル化剤でゼリー状に固めた物が多い。
ゲル化剤の利点は加熱しなくてもつくれることで、大量生産が容易であるからだ。

「むむ。プリンは奥が深いの。ゼリーとやらと似ているのだが、それも同じか」

カイはこんにゃくをちょっと齧り、ちゅるりと飲み込んだ。

「大まかには同じと思っていい。成分が似てるからね」
「成分?鈴木たちの使う、カガクという魔法の一派の専門用語か」
「カイ達風に訳すなら魔法を構成する身振りや手振りを使った儀式に違いがあるけど、
 術式や要素が似てるから結果は同じであるみたいなものだ」

プリンの術式とは変なたとえである。
身近なものを簡単に説明するのは難しい。
上手く説明できたか不安だ。
588とある人達の戦記録2部 ◆8b20lCD.o. :2009/04/29(水) 18:51:35 ID:7xx+I8DG
「食べ終わったみたいだな、ならご馳走様しようか」
「手を合わせて神に祈る。ニホンのしきたりだったな。うむ。
 確か祈る神は誰にでもいいんじゃの?」
「好きな神に祈ればいいよ。日本の神様は寛容だから」
「ニホンは白い魔王やルイズゥアアア神、クトルルル神といろんな神様がいると茂人が話していた。
 変な国じゃのお。だが、私は生憎祈る神を持ってはおらん。
 そういった場合はどうすればいい?」

あのロリコン、カイに何を教えてたんだ。

「その場合は食べる為のお金を払ってくれた人や、養ってくれている人、運命に感謝するんだ」
「くくくっ。適当だの。各自の信じるものに祈れか」

カイは目元を細めた。

「うむ」
「では」
「「ご馳走様でした」
589とある人達の戦記録2部 ◆8b20lCD.o. :2009/04/29(水) 18:53:00 ID:7xx+I8DG
投下終了

('A`) 【4649】ケイジバンニハ ヒトツノSSガアリ キミノメヲヒイタ。トアルセンキトカイテアル。ドウヤラコレハモウソウセンキノヨウダ。
        キミハコノSSヲ サクシャノイイワケダトオモッテモヨイシ、ネタダトオモッテモヨイ。
590創る名無しに見る名無し:2009/04/29(水) 19:06:13 ID:xPl5HeuP
おーい、行き先のパラグラフが指示されてないぞーw
591創る名無しに見る名無し:2009/04/29(水) 19:46:20 ID:qQXihO3q
きみはこのSSを読んでもよいし、読まなくてもよい
読むならば>>88へ、読まないならば>>1000へ進め

懐かしいなw
乙でした!
592創る名無しに見る名無し:2009/04/29(水) 20:17:43 ID:6sUeMLyU
>>589
投下乙でした、微笑ましいのう微笑ましいのうw
そして元ネタがわからないw
593創る名無しに見る名無し:2009/04/29(水) 20:36:54 ID:NJYvZdFu
とある戦記の人乙。
カイ嬢には一応古事記を読み聞かせるのが吉かと。

ゲームブックとは懐かしいですな。
あの手のは意外とシビアで……まあ、それはさておき誤変換発見。
>>580
>世俗慣れしたロリ年間。
・年間×
・年増○
594創る名無しに見る名無し:2009/04/29(水) 20:43:37 ID:QpQ8ZELt
とどく氏の方が面白さも完成度も上だけどな
5952580 ◆0jh5kQhfUA :2009/04/29(水) 21:15:19 ID:+RjgQoKh
≫ニホンの兵士達はみなこのようなものを食べているのか。勝てないわけだ」

実際に異世界軍と戦った韓国軍は採算の取れない生産品を作り軍食も辛いものとか味の濃かったり硬いのが多いからな
相手がナポリやフランスならまた違った戦いだったろうな

>>594 あっちと比べたらあかん

今回は腹がグーグーの話でした。 批判してる人の大半は嫉妬とツンデレでしょう


≫好きな神に祈ればいいよ。日本の神様は寛容
そういい続けて二千年、日本人のかみは八千万を超えてるはず


596創る名無しに見る名無し:2009/04/29(水) 21:54:33 ID:iVFUFozS
死んだ人はみんな神様仏様というのを採用すれば、
すでに人口よりも神様sのほうがはるかに(略)
597創る名無しに見る名無し:2009/04/29(水) 21:55:00 ID:n2czpy9R
>>595
イタリア兵なら勝てると申すか
5982580 ◆0jh5kQhfUA :2009/04/29(水) 22:28:31 ID:gur/8ASs
>>597

ナポリは女を攻撃することはデキン

フランスは強いほうだろう 防御は弱いが

自衛隊も技術や機動力は高いが人殺しが苦手だから

SH60でコショウを撒き散らせば完全密閉ではない兜しか持たない中世風軍には有利な筈
599 ◆8b20lCD.o. :2009/04/29(水) 23:05:31 ID:7xx+I8DG
('A`) ヨウガデキタノデ シバラク トウカヲヒカエマス サイカイハイツニナルカワカリマセン
    タクゲー マタ ヤリタイノウ…
600創る名無しに見る名無し:2009/04/29(水) 23:21:17 ID:6sUeMLyU
>>599
了解乙ですじゃー。
再開楽しみに待っておりますぞ作者殿。
6012580 ◆0jh5kQhfUA :2009/04/30(木) 00:21:19 ID:C5NGrJEZ
>>599

来週の日曜日辺りまでは静寂になりますね。

次回も頑張ってください
602創る名無しに見る名無し:2009/04/30(木) 04:51:33 ID:j95uC3jo
>>601
日本語でおk
ていうか、作者氏以外の糞コテは消えろよ。
603創る名無しに見る名無し:2009/04/30(木) 08:15:27 ID:+ufjALBT
>>601
無意味な改行うざい
604創る名無しに見る名無し:2009/04/30(木) 15:51:45 ID:Ou0r723U
気に入らないならスルーしろよ・・・ガキじゃあるまいしいちいち煽るな
605創る名無しに見る名無し:2009/04/30(木) 19:31:54 ID:q3fs3rMx
「よくわかる現代魔法」の「コンピューターで魔力を生み出す」
と言う設定を使って自衛隊に魔法兵器を装備する。
606創る名無しに見る名無し:2009/04/30(木) 19:48:47 ID:Ou0r723U
米海兵隊「・・・何だこれは?」
陸自隊員「痛COMP用、痛悪魔召喚システム」
米海兵隊「クリスチャンとして突っ込む気すら起きんわ・・・」
607創る名無しに見る名無し:2009/04/30(木) 20:20:45 ID:v1+towq1
>>605
コンピューターはシステムを制御するために使うもので
それ自体が動力発生する代物じゃないダロ  (例:原子炉・車のエンジン
608創る名無しに見る名無し:2009/04/30(木) 20:40:40 ID:591crV4q
その作品の二次スレでやればいいんじゃ
609創る名無しに見る名無し:2009/04/30(木) 22:19:00 ID:QhUbzzSb
そうだねこのスレじゃスレ違いだな>>605
そんなよそ様の設定引っ張ってこなくても好きに設定決めればいいだろ?
魔力とは忠誠心と精神力の事である!とか
610創る名無しに見る名無し:2009/04/30(木) 22:28:44 ID:PJdNVPpV
昔は地球に魔力満ちてたからすごい魔法使えたんだよー今は薄くて発動しないけどねー

魔力に満ちてるF世界に来たから神主自衛官大活躍!

とか
611創る名無しに見る名無し:2009/04/30(木) 22:45:06 ID:Ou0r723U
どっちかというと陰陽師じゃね?
612創る名無しに見る名無し:2009/04/30(木) 22:54:19 ID:591crV4q
やっぱりこのスレ向きじゃないような
613創る名無しに見る名無し:2009/04/30(木) 22:58:21 ID:PJdNVPpV
そんな時のための分家
614創る名無しに見る名無し:2009/04/30(木) 23:50:02 ID:t0SJRQAi
開発陣の試行錯誤紆余曲折阿鼻叫喚の末に、試験的に配備された魔法兵器は、
発動およびその命中確率が6面体ダイスによって決定される代物でした。

何をどうしたらそうなったのやら開発陣はあばばばば言っててなんだか良く分
からず、ダイスの目によってはときどき頼みもしないのに何かヤバい存在を召喚
しそうになって日々のSANチェックが欠かせません。

おや、何か窓の外に・・・
615創る名無しに見る名無し:2009/04/30(木) 23:57:42 ID:Ou0r723U
いあいあはすた
ふんぐるいふんぐるい
616創る名無しに見る名無し:2009/05/01(金) 18:23:42 ID:cqQrjOs+
>>614
なにそのジュマンジ
617創る名無しに見る名無し:2009/05/01(金) 19:21:45 ID:WRoV0enW
十万時なつかしいなw
金曜ロードショーとかで5回くらい見たわww
618創る名無しに見る名無し:2009/05/01(金) 22:11:04 ID:x7kyeJa9
85で少し触れられている海自がワンピースの世界に行く話が読みたいのですが、
過去ログ何章からでしょうか?
619創る名無しに見る名無し:2009/05/01(金) 22:26:53 ID:8AX6giaF
とにかくまず保管庫へ行けとにかくまず保管庫へ行けとにかくまず保管庫へ行け
620創る名無しに見る名無し:2009/05/01(金) 22:35:10 ID:UW+hQ75M
とりあえず、どの保管庫だね?w
621創る名無しに見る名無し:2009/05/01(金) 22:45:30 ID:8a8qSih3
どの保管庫に何があるのか確かにわかりにくいっちゃそうかもしれんね
622618:2009/05/01(金) 22:52:45 ID:x7kyeJa9
>>619
ありがとう。しかしアバウトすぎるww
一応>>1の保存庫見てきたけれどまとめられている中にはなかった……と思う。

もう一度探してみるけれど情報よろしくお願いします。
623創る名無しに見る名無し:2009/05/01(金) 23:14:44 ID:iDgqby2v
624618:2009/05/01(金) 23:34:23 ID:x7kyeJa9
>>623
ありがとう。おかげで見つかった。

しかしこれシュールだwwゴムが千切れるとか原作想像してるととんでもない
ことになるな。
625創る名無しに見る名無し:2009/05/02(土) 09:46:36 ID:8Kn6K+O+
この手のストーリーは資源や燃料の節約が重要なテーマになるけど、
そのうち太陽電池とか帆走設備を備えた貨物船とかが作られていくのかな。
中長期的には産業構造の変革なんかも行われるだろうし。
626創る名無しに見る名無し:2009/05/02(土) 10:04:27 ID:OUenWn4v
ミリ飯のたくわんと赤飯うめぇw
627創る名無しに見る名無し:2009/05/02(土) 12:57:11 ID:oGtm4HgR
帆走設備持ちの船ならもう既に貨物船とかであるよ。
川崎だかどっかだかが作ったスゲー不恰好な帆を張る船が。
長方形の布をただ張っただけでマジキモイ
628創る名無しに見る名無し:2009/05/02(土) 13:37:29 ID:Fe3x3hO1
ミリ飯のたくわんの会社は潰れちゃったらしいね、たくわん缶にまで不況の影響が
629日記より ◆im0Hwg82eM :2009/05/03(日) 03:05:23 ID:2fI0tSNU
某年 某月某日 金曜日

 試作品の回路が持ち込まれて試験を頼まれた。
遅くとも木曜日までには頼むのがマナーじゃないかと言ったら、申し訳ない、以後努力すると返ってきた。
月曜日まで待っていたら他社との競争に後れをとってしまうのは分かる。とはいえこちらも一日で
試験を済ませるのは困難である。案の定、5つも試験項目が残ってしまった。夏時間が始まったばかり
という事もあって、誰かが寝坊して製作のペースが落ちたんじゃないかと勘繰りたくもなる。

 会社の日曜日の電力割り当てはたったの50%だ。70%の土曜日の内に片付けなくてはならない。
平日は90%、土日は100%の電力を受け取れる店舗が羨ましい。どちらも18時以降は20%なんだが。
データの整合性チェックは日曜日に家でやったほうがいいだろう。60%の電力割り当てならPCを動かせる。
 だいたい、金曜の昼前に頼んでおいて月曜日の午前中までにデータを揃えろと言うのは無茶というものだ。
もちろん向こうさんも、土日の分を見込んでの事なのだろうが……
電力が低いと装置を動かすのは大変なんだ、データを取るのに苦労するのは分かって欲しい。
もし外の世界の種族が社員にいたら理解させるのにどんな説明をすればいいのだろうか。

 外の世界といえば、変わったことを小耳に挟んだ。
同僚の外国土産に貰ったあの光る石、実は現地の種族が「加速装置」に使うんだそうだ。
自分も使えれば試験工程を短縮できるかもしれない。明日の作業で試してみる事にする。

 明日は土曜日。昨日電話で話のあった友人の陶芸作家と会う日である。約束の時間は14時。
それまでに仕事の残りが片付くか少し心配だ。電話して一言話しておくべきだったか。
630日記より ◆im0Hwg82eM :2009/05/03(日) 03:06:59 ID:2fI0tSNU
某年 某月某日 土曜日

 休日出勤して昨日残った分の仕事をどうにか片付けてきた。
昨日思いついた方法が役に立った。どうやったかは覚えていないが、周りのものが三割は遅く見えた。
たぶんその分速く動けたんだろう。しかし電力が70%しか来ないので、社内で電力の取り合いになる。
その結果、装置も安定しない。正確なデータを取るのに苦労させられた。
いくら急ぎの試作品とはいえ、金曜日に試験を頼んでくるのは非常に困る。

 一昨日電話のかかった友人の陶芸作家に会って茶を飲んできた。15分の遅刻だ、すまない。
 なんでも一昨年の夏に薪を焚く窯を築く破目になったのだそうだ。
あの日以来の慢性的な資源不足と電力価格の高騰で、ガス焚き窯と電気窯は採算が取れなくなったらしい。
薪窯は時間もかかるし、灰が出て磁器の作品は疵になったり、温度管理が難しいとも言っていた。
 贅沢品である高級磁器など作って売り先があるのかと尋ねた所、得意先は外国なのだという。
友好関係にある種族の比較的裕福な層には人気があるそうで、凄い勢いで同業者が減っていく中で
彼は一応生き残る事が出来たのだろう。かなり痩せてはいたが充実した顔だった。

 食料品の価格は3年前の大変動に比べれば安定しているが、それ以前の平穏さなど望むべくもない。
周りを見渡しても皆一様に痩せている。中には体重が半分になったとこぼす同僚もいる。
お前は健康的になったという表現の方が正しそうだと皆で笑っているが、今では掛け値なしである。
そういえば去年も同じ話で盛り上がった時は、その後で静かになって昔を思い出す瞬間がやりきれなかった。

 アラームが鳴っている。夏時間に切り替わってから一週間経つ。
夜更かししたくても自宅は20時以降は電力が40%に落ちるので、早めに休むしかない。
こういうやり方は確かに効果的だが、どうも好きになれない。あと2〜3年もしたら慣れてしまうのだろうか。
631日記より ◆im0Hwg82eM :2009/05/03(日) 03:09:21 ID:2fI0tSNU
投下終了です。一般人の視点で書いてみました。
632日記より ◆im0Hwg82eM :2009/05/03(日) 03:45:40 ID:2fI0tSNU
って自衛隊の描写が入っていなかったようですね……
次回投下分以降で言及していきますが、こんな一般人視点ではNGですかね?
633創る名無しに見る名無し:2009/05/03(日) 06:37:24 ID:NGzmL+IT

こんな状況じゃ一般人はほんと大変だろうな
ライフラインがどうなるのか想像もつかん
634創る名無しに見る名無し:2009/05/03(日) 12:22:25 ID:GnNfmFzw
635日記より ◆im0Hwg82eM :2009/05/04(月) 02:06:58 ID:cJxn0ZCB
某年 某月某日 日曜日

 3時に目が覚めた。眠気は無いが、やる事も無い。
電力供給が増える5時半まで窓から空を見て過ごす。夜明け空は美しかったが空腹感は酷かった。
食堂が開くと同時に朝食を摂る。温かい食事は落ち着く。家で冷たいものを齧るのは御免だ。

 6時過ぎから仕事にかかる。テレビを見たかったが、電力が少ないので我慢せざるを得ない。
データのチェックが正午前に終わる。意外と早かった。おかげで電気代が安く済みそうだ。
正午過ぎ、やや遅めの昼食を摂って外を歩いていたら停電があったが、1時間程で復旧した。
 家に帰って窓の外に停電の原因を発見。高台にある部屋を選んだのはこんな時に便利だからだ。
港に船団が入っている。荷降ろしで予想以上の電気を使ったようだ。
沖には護衛艦が3隻、うち2隻にはヘリが着艦していた。あれは「あきづき」と「すずなみ」だったか。
もう1隻は小型の急造艦だろう。物資の安全のためとはいえ、複雑な思いがする。

 夕食のために出かけたら、さっそく市民団体が出てきていた。珍しい事に、ベニヤ製ではなく
プラスチック製のメガホンを使っている。資源の無駄遣いがどうのと訴える連中にしては豪勢な事だ。
そのメガホンを回収すれば紙パックの内張りがいくつ出来るのやら。
 家に帰る途中、地面に変な模様が描いてあった。複雑な模様が絡み合って矢印を構成している。
矢印の向きがウチの会社の方を向いているようだ。どうも気味が悪い。外の世界の住人がした事なのだろうか。

 もう夏時間に慣れたのだろうか、朝早くから起きていたので18時頃にはもう眠くなってきた。
データを書き込んだ社用HDDを専用ケースに収めて鞄に入れたのは確認したので、もう休む事にする。
636日記より ◆im0Hwg82eM :2009/05/04(月) 02:08:38 ID:cJxn0ZCB
某年 某月某日 月曜日

 早寝したのが裏目に出たか、2時半に目が覚めてしまった。
3時間も無為に過ごすのは御免だが、明かりをつけて近所から何か言われるのも御免だ。
豆球で本を読みながら時間を潰す。クラークはやはり良い。

 外が明るくなったような気がしたので外を見た。空は暗いのだが海の表面が明るかった。
昔シャレで買った高感度望遠鏡が役に立った。護衛艦が動き始めて、艦載ヘリが甲板に引き出されてきた。
20分ほどして、クラーケンというのだろうか、大きな烏賊のようなものが浮かんできた。
「長さ数ファーロングもあろうかという白い触手」が今まさに目の前にあった。
クラークやメルヴィルの言った事は正しかった。奴はとてつもなくでかい。
 その後は各種報道の伝える通り、砲撃や銃撃、雷撃までもが加えられて怪物は1時間程度で沈黙。
夜明けと共に波間を漂う肉塊と化した。あれではインクは回収できなかっただろうな。
発砲音から考えると現場は自宅から4km程度離れていたと思う。

 すっかり興奮して朝食の味が分からなかった。出社してからも案の定、怪物の話題で持ちきりだった。
きっと明日の新聞は20ページを超えているだろう。同僚には望遠鏡の話はせず、閃光と大音響がした事や
海の表面が光っていた事などのみ話した。俺だって下手に目を付けられたくはない。
 金曜日に依頼のあった試作品のデータをまとめて先方に提出した。
このデータだけでは判断が付かないが、軍用品かそれに類するもののような気がする。
むろん勘に過ぎないが。あるいはコンテナ用の新型タグあたりか。
午後には新しい依頼が入った。納期は木曜日の午前中。チェック項目がかなり多い。

 帰宅前に社内で伝達放送を見る。明日はこの地区を含めた広い範囲で昼間の電力を一律15%引き下げとの事。
冗談じゃない、明日一日丸潰れじゃないか。減少範囲が港に近いエリアばかりだ。船団絡みで何かあったか。
きっとあの怪物に肝を潰して荷降ろしのペースを早めるつもりなんだろう。畜生、怪物なんか糞喰らえだ。

 帰宅したら配給キップが届いていた。一週間分きっちり揃っている事を確認して、財布にしまう。
早寝すると明日も早く目が覚めそうな気がしたので、出窓のプランターをいじって時間を潰す。
日没前、港で照明が点灯した。夜通し荷揚げ作業を行うらしい。船団の中の人はパニックに近い心境なのだろうか。
637日記より ◆im0Hwg82eM :2009/05/04(月) 02:10:16 ID:cJxn0ZCB
某年 某月某日 火曜日

 電力減少の影響は思ったより小さくて済んだ。
夕方のニュースでは引き下げ幅が10%になっていたから、猛烈な抗議が殺到したのだろう。
とはいえ今回の仕事はチェック項目が多いから、進み具合はあまり良くない。
それでも頑張って7割近くまで進んだのは、自分でも驚くばかりだ。ここのところ調子がいいのだろうか。

 電力管理法が施行されてから明日で2年経つ。思えば今いる会社もこの法律のお蔭でできたようなものだ。
電子回路やプログラムの試験には意外と電力を使う。試験専門の会社もここを含め、多く立ち上げられた。
「あの日」以降プラスチックやレアメタルの価格は急騰、電子回路の数を減らしつつ機能を維持する事が
至上命題となった。それでいて耐久性は高く、省資源で高性能を求められるのだから開発者は大変である。

 入港している船団が気になったので、終業後に調べてみた。
コンテナ船が5隻、小型タンカー1隻、帆走貨物船が3隻、新型の太陽電池コンテナ船が1隻。
護衛に「あきづき」「すずなみ」「ひのき」が付いている。艦載ヘリのうち1機が昨日の戦闘で不時着したそうだ。
乗員に怪我人が出なかったのは幸いだった。予定では1週間の滞在だったそうだが、急遽4日間の滞在に
短縮するらしい。という事は今日は積み込み作業が行われているのだろうか。
 急ぎすぎて中身が傷まなければ良いが。この小さな沿岸都市では3ヶ月に1回の船団以外には
まとまった物流が期待できない。鉄道は人員輸送でパンク寸前だし、自動車は昔のように気軽には使えない。
飛脚自転車便は遅い上に大した量も運べないし、当然の事ながら航空輸送などもってのほかだ。
食料は地元産でなんとかなるとしても、そろそろインク切れのペンとか機械の消耗部品なんかは
どうしても必要なんだ。浄水場関連の資材も含まれているだろう。それがやられたら、また自家製蒸留水だ。

 ここのところ睡眠時間が短い。眠気を感じる訳ではないから、睡眠不足ではないのだろうが気味が悪い。
今朝も夜明け前に目が覚めた。こんな事が続くなら暇潰しの方法を考えるか、医者に行って相談するか……
638日記より ◆im0Hwg82eM :2009/05/04(月) 02:12:00 ID:cJxn0ZCB
某年 某月某日 水曜日

 データ測定が完了してチェックも済んだ。驚いた事にデータのまとめも済んで明日一番にでも提出可能だ。
同僚が「変なものでも食ったか?」などと言ってきた。変なものを食ったら能率は落ちるだろう、冗談はよせ。

 昼食のために出かけたら、地面にまた変な模様を見つけた。
本当にこの街に外の世界の住人が紛れ込んでいるのだろうか?お目にかかってみたいと思う反面、
恐ろしいような気もする。まさかとって食われもしまいが、術を使うという。ひょっとしてあの模様は
「魔方陣」というものなのではないかとも思う。だが何のための?

 16時前に船団が出航していったようだ。汽笛が遠ざかっていく。航海の安全を祈る。
帰宅途中、様々な店舗に入荷の張り紙が出ていた。オバサンが嬉しそうな顔で服を買い求めている。
あの顔は日曜日にメガホンを握っていた市民団体のメンバーだ。こんな小さな街では知った顔を
あちこちで見かける。知り合いに港で業務を行っている自衛官がいる。もし彼にあのオバサンの事を
話したら、一体どんな顔をするのだろう。おそらくこんなのはもう慣れっこなのだろうが。
 浅黒い人物を見たような気がした。噂に聞く「ダークエルフ」という奴だろうか。
曲がり角をのぞいて見たが、それらしい人影は誰もいなかった。きっと昼間の模様に触発された幻想だろう。

 家に帰ったら、くたくただった。疲れたので夕食は簡単に済ます。立って食べるのも疲れるので
自宅で食べようかとも思ったが、廃棄物税や資源回収税を徴収されるのはまっぴらだ。外で食べてきた。
だいいち冷たい食事が夕食なんて、滅んでから久しいイギリス人じゃあるまいし。
 電子レンジとガスコンロが懐かしくなった。今ではどちらも超がつく贅沢品だ。
エコをさほど気にせずに済む世界になったと思ったらエコ生活せざるを得ない状況に陥る。皮肉なものだ。

 港を出た船団は今頃どのあたりだろうか、太平洋に出た頃だろうか。
怪物や敵対勢力に襲われて沈没する事案は年に1回は起こっている。自衛隊も大変である。
 さすがに起きているのが辛くなってきたので19時に寝ることにする。
639日記より ◆im0Hwg82eM :2009/05/04(月) 02:16:55 ID:cJxn0ZCB
今回の投下は終了です。あまり発展が望めないネタかもですので、
あまり期待せずに見守ってくだされば幸いです……
640創る名無しに見る名無し:2009/05/04(月) 07:14:39 ID:F6iXKhd1
乙〜
641創る名無しに見る名無し:2009/05/04(月) 09:28:58 ID:LRV+0Aqt
投稿乙です。
ひとつ気になる描写が合ったのですが…

>584
>ちなみにU型はレトルトパックで、主食、副食、デザート、飲み物数種、タバスコ
>マッチ、ガム、トイレットペーパー、カイロなどあらゆるものが入っており、
>野戦などでの作戦行動中向けのものだ。

戦闘糧食U型にはデザートや飲み物は付いてきません。
タバスコ、マッチ、ガム、トイレットペーパーも無し。
主食を温める発熱剤(カイロ)は最近付くようになりました。

米軍と違って「何でも付けちゃう」わけにはいかんみたいです。
642創る名無しに見る名無し:2009/05/04(月) 11:56:32 ID:N9EZCx8T
ためになる知識乙です
できればソースも出して欲しい
643創る名無しに見る名無し:2009/05/04(月) 13:22:36 ID:SxOGe6hX
戦闘糧食2型のデザート云々については乾板付属のオレンジスプレッドと勘違いしてるんじゃないか?

http://weapons-free.com/ration/ration_history.html#1975年〜現在のアメリカ軍用レーションの開発経緯

救護所用飲料パック(Aid-station Beverage Pack)
 この救護所用飲料パックは、最前線の救護所での負傷者や疲労者の栄養補給の為に開発された。
内容物は、コーヒー、紅茶、ココア、エバミルク、砂糖から構成されており、
付属品としてプラスティック製ストロー、P38缶切、トイレットペーパーが 付属していた。

米軍すげー
644創る名無しに見る名無し:2009/05/04(月) 13:33:39 ID:Br9gnDsj
将来的に、「一方、自衛隊は携帯用ウォシュレットを付属した」てなことにならんかな?w
645創る名無しに見る名無し:2009/05/04(月) 20:41:57 ID:2fjWehTf
>>644

イギリスの愉快な技術屋さんたちがどうにかしてくれるんじゃないかと
646創る名無しに見る名無し:2009/05/04(月) 20:58:34 ID:b/yWT9lg
自衛隊さんこんにちゎ(*^o^*)
こないだりくじょー の人と楽しくさせてもらいました★☆
このサイトのお陰です!ありがとうございました
自衛隊の中で流行ってるって本当なの?
<a href='http://dolc.jp/ad/jump/9/21232/tag/'>セクシュアルタロット</a>
647創る名無しに見る名無し:2009/05/04(月) 21:56:58 ID:Y4XPGhq6
一方ロシアは戦闘爆撃機にトイレとキッチンをつけた。
648創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 01:04:11 ID:7KmtC1rs
>>639
投下乙です。
エコロジーにドンドン縮小していく経済活動・・・
考えていくと結構どんよりとした気分に。
649創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 21:38:24 ID:hu7pD4Sh
分家が無残なことに・・・

むーざん むーざん
650創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 23:45:50 ID:OWf1+Hj9
管理人が業者を放置
というか、音信不通?
651創る名無しに見る名無し:2009/05/06(水) 00:27:50 ID:1bdhdEU9
何が起こったんだ?業者でも出たか
652創る名無しに見る名無し:2009/05/06(水) 01:24:09 ID:X1CxyUaf
分家はくろべえ氏が話を書き換えだした頃からおかしくなっていったね
外伝すら完結させてないのに、本編を書き換えるってw
カナ姫でも転移男でもいいから、ひとつ完結させてから書けとw
結局、今は二次に逃げてるしwww
653創る名無しに見る名無し:2009/05/06(水) 02:59:54 ID:fVZPxbTe
正直、書き換える前のが好きだった。
なんか無理に苦戦させようとしすぎてる感じ
654創る名無しに見る名無し:2009/05/06(水) 09:42:56 ID:X1CxyUaf
くろべえ氏の軌跡

全盛期
帝國召喚本編を投下。その後、短編、少年と帝國、カナ姫、特務砲術科、辺境よもやまといった外伝を投下
この間にも設定資料集なるものを随時公開。長期に渡り、定期的に投下してくれるくろべえ氏に、分家の住人も氏を支援していた
連載2年を過ぎる頃には帝國資料館なるまとめサイトも作られた

低迷期
ある日、氏は何をトチ狂ったのか本編を一から書き換え始める
いきなりの展開に住人間で議論が活発
これで連載を続けてくれれば問題なかったが、連載は不定期になる
そしてまったく投下がなくなり、住人が氏を心配し始める

衰退期
住人の心配もよそに、本人はHPに分家を作り、二次創作に夢中になっていた。これでスレの書き込みが一気に減る。
多くの住人が連載再開を希望したが、氏は言い訳を連発
新職人の303氏が投下を開始するが、付け焼刃の状態


現在
くろべえ氏は書き換えた本編を削除、カナ姫も削除
転移男や将校の憂鬱といった本編とはまったく関係のない未来の話を書いてる(ちなみに転移男は書き直し)
カナ姫だけでも完結させていればよかったかもしれないが、それすら行わずに放置状態だ
655創る名無しに見る名無し:2009/05/06(水) 09:45:37 ID:0PnEruur
そういうまとめとかいらないから
変なとこに労力使うやつだな
656創る名無しに見る名無し:2009/05/06(水) 10:04:28 ID:7sJ5p5uS
衛星がつかえるのなら-石炭、原油が存在するのなら
資源探査で2週あれば転移先世界で燃料調達の目処、
都市/農地/森林面積の計測をして食料調達の目処、
転移先世界の各国が持てる国力、軍事力推定ができるだろ。
一時期飢えることはたしかだろうが、ひきずるとはおもえん。
657創る名無しに見る名無し:2009/05/06(水) 11:24:35 ID:nk36AUyp
お前はどんだけ愚図なんだ。直接追い込みかけて来い。
そしたら帝國召喚全編削除とかしてくれんじゃねえの。
658創る名無しに見る名無し:2009/05/06(水) 18:26:33 ID:R5aXoeH4
おいおい、わざわざうんこを突っつくなよ
659日記より ◆im0Hwg82eM :2009/05/07(木) 07:47:07 ID:tAt4IYae
某年 某月某日 木曜日

 何てこった、また3時に目が覚めた。一体どうなっているんだ。
こんな暗いところで読書ばかりしていても目を悪くする。いっそ新聞配達のアルバイトに応募するか。
倍率も高いし職もある、どうせ落ちるだろうが。

 朝一でデータのチェックをもう一度やってみたが、間違いは無い。こんなに能率が上がってしまうと
元に戻った時が心配だ。先方へは、いつもよりやや早い時刻に引き渡した。あまり早くに提出でもしたら
次以降の納期を縮められかねない。

 仕事が終わって帰ろうとしたら自転車が無かった。盗まれたらしい。防犯登録してあるので
しまい際の警察に駆け込んで届けを出してきた。5年前に買った古き良き交通の足である。
何が何でも取り戻したい。今の圧縮強化木フレームとセラミックギアとベアリングでは重くて仕方がない。
おまけにセラミックのギアはよく欠けると、もっぱらの評判だ。強化木のシャフトも割れる事があるらしい。
 安全性の審査基準は未だに凍結されたままである。あんな代物、命がいくつあっても足りるものか。
アオダモフレームがどうのと広告でも宣伝しているが、金属製に比べれば大同小異だ。
飛脚自転車便で使ってるのだって金属フレームじゃないか。
 帰りは臨時の貸し自転車に乗って帰った。古い型だったから快適だったが、その分痛い出費となった。
昔はあれほど放置自転車が溢れていたのが夢のようだ。鍵も掛けたのだが、なぜ盗られたのだろうか。

 夕方のニュースで、昨日出港した船団に敵対勢力が攻撃を仕掛けてきたと言っていた。
敵は大型船5隻、飛行隊母船1隻で、嵐に紛れて接近されたらしい。木製部分が多いから
レーダーには映りにくいのだというお決まりの文句。航跡の反射波とかで分かるんじゃないかと思うのだが、
波が高いと識別にも苦労するのだろうか。撃退したが、我が方にも負傷者を出したそうだ。
詳細な情報は明日以降だろう。この先1週間はこの話題がニュースを賑わすはずだ。

 昨日地面に描かれていた模様はなくなっていた。どうも気になる。まるでおとぎ話の世界に
迷い込んだみたいだ。近いうちに知り合いにファンタジーの世界観について尋ねてみるか。
660日記より ◆im0Hwg82eM :2009/05/07(木) 07:48:43 ID:tAt4IYae
某年 某月某日 金曜日

 4半期に1度のボーナスが支給された。
船団が襲撃されたので次のボーナスに響くかもしれない。民間船に被害が無ければ良いのだが。
沈没までには至らないものの、損害を受けるというケースは結構ある。仕事の成果が水の泡なんてのは困る。

 配給キップ1枚で食えるのは玄米0.7合に漬物20g。1日3枚、21枚綴りで毎週届く。
これだけでは生きていけないのはお上も認めている。だから皆、稼いだ金の大部分を食糧確保に費やす。
このあたりは気候が温暖だから農業も活発なんだが、土地が足りないから食糧価格はどうしても高止まりする。
北海道では今年に入ってから餓死者が50人を超えたそうだ。肥料の不足は深刻なようである。

 物が溢れる東京が羨ましい、そんな時代は過ぎ去った。人口が多いから食糧不足は深刻で、
餓死者も100人を越えたらしい。都知事の口減らし政策は道半ば、転職政策も思うように進まないようだ。
素人考えでも、証券マンや保険の営業員をいきなり農家にするのは難しいと思う。それに土地も足りない。
 町工場の職人不足も深刻らしい。80代以上の大ベテランとキャリア5年未満の新人が7割以上というのは
どう考えてもいびつな構造である。

 自衛官が3年連続で人気の職業の第1位になった。第2位は農業。以下、林業・製鉄・食品加工業と続く。
漁業は上位から消えた。怪物に襲われたり敵の襲撃を受けたりしたから、敬遠する動きが広がったのだろう。
 自分のいる電子部品産業は今のところ堅調である。材料価格の高騰はあるが、政府の進める
「エコ製品置き換え運動」の後押しもあって、既存の電子部品を回収して省資源の製品に作り変える活動が
継続中だからだ。もっとも自衛隊向けの需要が落ち着き、置き換え運動もあと2〜3年で完了するから
先行き不安は隠せないのだが。今の内に軍需産業のクチを探しておいた方が良いのだろうか。

 先週の試作品が改良されてまた持ち込まれた。午後に入ってからだったので納期は火曜の午後。
多少の余裕が見込めそうだ。自転車はまだ見つからない。貸し出し期間を1日延長する。
 明日は高校時代の友人に電話をして、あの変な模様について尋ねてみる事にする。
風の噂では外務省官僚になったと聞く。勉強の出来る奴だったが、あのオタクがよくもまあ偉くなったものだ。
661日記より ◆im0Hwg82eM :2009/05/07(木) 07:50:30 ID:tAt4IYae
某年 某月某日 土曜日

 警察から吉報。一昨日盗まれた自転車が見つかった。
借りた自転車を返した足で警察署に向かい、自転車を受け取る。受け渡し所に係官がいて、
資源の有効利用のために今の自転車を買い換えてはどうかと言われた。もはや定型句だ。
今市場に出回っている奴の安全性が確認されてから買い換えると答えたら、黙って返してくれた。
このやり方も何時まで通用するか……資源の確保は外交官の手腕にかかっている。

 ファンタジーの世界観について、東京にいる知り合いに電話をして尋ねてみる。
予想以上の情報量だった。高校を出てから更に知識を蓄えていたらしい。いつまで経っても終わらない。
まるで歩くファンタジー専門の図書館だ。もうよせ、充分すぎるほど分かったよ、田中。
大事な客が来ているとか言う割には長電話じゃないか。
 電話口にいる奴の後ろで子供の声が聞こえる。その割に喋り方は子供っぽくない。
お気に入りの萌えアニメでも見ていたのか。コミケが中止になった一昨年は奴にとって地獄だったに違いない。
 奴の話を総合すると、あの模様は「魔方陣」と思われるが、「ダークエルフ」は滅多に魔法を使わないそうだ。
考えられるのは「エルフ」だが、そんな街中では活動できないとの事。「魔導士」の可能性もあるが、
国内に潜入しているとは考えにくいらしい。奴に聞いて分からなかったのだから、誰に聞いても無駄だろう。

 船団襲撃事件の続報。敵ガレー船を1隻撃沈、4隻に損害を与え撃破。飛行隊の母船は取り逃がした。
基本的に主砲による砲撃で攻撃を行ったため、「ひのき」の活躍が目立ったようである。
さすが、76mm砲3門の威力は伊達じゃない。艦載ヘリは時化のため飛行できず。

> 敵は時化に紛れて飛行隊で我が船団を偵察、何らかの方法で探索を逃れて本隊も接近。
>波間から突然現れた5隻の敵艦隊に我が方の攻撃は遅れた。バリスタとみられる攻撃を受けて帆走貨物船
>「第6高戸丸」が被弾、乗員2名が重症、5人が軽傷を負った。護衛艦3隻は同船の被弾後ただちに
>正当防衛射撃を開始、1隻の船腹に大穴を開けて撃沈。他の4隻の帆走設備などに甚大な被害を与えた。

 やっぱこうなるよな……
詳細な戦闘経過は明日か明後日にでも発表される事だろう。帆走設備は遠くからでも目立つから、
船団に加わっていると攻撃されやすいという問題がある。燃料の節約と低視認性、難しい問題だと思う。
662日記より ◆im0Hwg82eM :2009/05/07(木) 07:52:11 ID:tAt4IYae
某年 某月某日 日曜日

 ここのところ雨続きで夜明け空が見えない。せっかくの新習慣も天気に振り回されっぱなしだ。
まあ雨が降れば水遣りの手間が省けるし安上がりだから降ってくれた方が有難いのだが。

 ペンのインクを買いに出かける。
店頭に並んでいるのはクラーケン印のバイオインクのみ。何てこった。値が張るのを我慢して
買い続けてきた人工インクも遂にメーカーが倒産と相成ったそうだ。この先ずっとイカ墨インクとは気が重い。

 帰宅してからはプランターの手入れに精を出す。タンポポは当然順調、フキはそろそろ終わりだろう。
サツマイモはそこそこ育っている。出窓を補強した甲斐があったというものだ。たとえそれが
紐で吊っただけのものでも、である。太陽コンロの出番はまだまだありそうだ。少々嵩張るが実に頼もしい。

 先週の日記を読み返して、記憶に無い箇所を発見。
光る石だの速く動けただの、まるでSFだ。自分にこんな事が起こったら強烈な記憶になるだろうに。
呑み過ぎたくても酒は無し、猫を紙b……じゃない、幻覚を見たにしては仕事で問題を起こしていない。
白昼夢でも見ていたんだろうか。最近の睡眠時間が短いのと関係があるんだかないんだか……

 船団襲撃事件に関して新情報は無し。役所も基本的には休みだし仕方が無いか。
夕方のニュースで船団が東京に到着した映像を放送していた。負傷者の命に別状は無く、重傷の2名は
病院に搬送された。積荷は石炭だったが、バリスタ弾は発火しないので大きな損害はなかったようだ。
それにしても大きな杭が刺さった帆走貨物船というのはなかなか奇妙な姿である。
子供の頃にプラモデルの船に花火を仕掛けて池に浮かべたのを思い出した。
今あの残骸はどうなっているだろうか。朽ち果てる事も無く、地中のどこかで眠っているのだろうか。
663日記より ◆im0Hwg82eM :2009/05/07(木) 07:54:08 ID:tAt4IYae
今回の投下は終了です。
664創る名無しに見る名無し:2009/05/07(木) 10:03:39 ID:DWsexOl6
そろそろとどく氏は完結を視野に捉えてるっぽいけど、希望をいうなら
エピローグにはたっぷり文量使って欲しいな
メインキャラから脇キャラまでのその後は勿論、ここらで好き勝手してた特定アジアとか、マスゴミについても
きっちりオチを付けて欲しいぜ
665創る名無しに見る名無し:2009/05/07(木) 13:12:01 ID:Yr/AuOV6
>>662 攻撃は最大の防御とも云う


民間人を殺したり核を使わなきゃ侵攻してもいい気がする
666創る名無しに見る名無し:2009/05/07(木) 13:28:45 ID:GKzLgN8E
>>662

>子供の頃にプラモデルの船に花火を仕掛けて池に浮かべたのを思い出した。
>今あの残骸はどうなっているだろうか。朽ち果てる事も無く、地中のどこかで眠っているのだろうか。


プラスチックも重要な資源だと言う考えが骨身に染み付いてるなぁ
この状態じゃあ
ワンフェスのガレキもキャスト材なんかの化学系じゃなく

ソリッドモデルの天然素材

しかも色塗りもできないから木目と木肌の微妙な色合いの差で
色を表現しているに違いない


…それってどんな日展彫刻部門やねんw
667創る名無しに見る名無し:2009/05/07(木) 16:27:57 ID:RmrOO/uj
1/144檜製HGUC アッガイ発売!
次回予定 デザートアッガイ&アッガイキャノン
668創る名無しに見る名無し:2009/05/07(木) 18:07:26 ID:QB+IlFIF
むしろ粘土にならないか?

1/100 益子焼 宇宙用アッガイ
1/144 有田焼 アクトアッガイ
669創る名無しに見る名無し:2009/05/07(木) 18:20:31 ID:GKzLgN8E
いやあ寄木細工のすっごいの見たら
こういう状況でも絶対作る奴っているだろうなぁって思えてね

陶器でそういうのを
俺が見た事無いだけなんだけどね
670創る名無しに見る名無し:2009/05/07(木) 18:40:52 ID:t/C9Oz6G
今は、採算度外視なら海水からウランを収集できるし、
燃料や合成樹脂は藻や石炭、二酸化炭素からだって作れ、食糧は工場で同じ面積の何十倍も作れる
工作機械は自前で作れるし。
今は資源が止まっても、昔ほどどうしようもない事がないんだよねぇ。
671創る名無しに見る名無し:2009/05/07(木) 19:03:43 ID:ja/ddbCT
1/144 紙製 アッガイ(シャア専用)
672創る名無しに見る名無し:2009/05/07(木) 19:13:04 ID:Pj94PcQX
>>670
ガンダム00じゃあるまいし、(あれはありあまる電力で資源再生してる設定
そのエネルギー欠乏が多くの分野で産業の足かせとなっている
673創る名無しに見る名無し:2009/05/07(木) 19:15:02 ID:QB+IlFIF
>>671
それはペーパークラフトで既にコミケで型紙が売られてるかも。
674創る名無しに見る名無し:2009/05/07(木) 19:31:24 ID:Dm7Czdwm
東宝自衛隊のメーサー砲やスーパー]は有り?
675創る名無しに見る名無し:2009/05/07(木) 19:44:10 ID:RmrOO/uj
積層紙をプラモ風にしてノリでくっ付けてだな・・・・

バンダイ ペパモデル MGP 1/100 リゲルグ
タミヤ 1/74ペパモデル 90式戦車(大陸派遣部隊)
タミヤ 1/74ペパモデル M1戦車(大陸派遣部隊)
タミヤ 1/74ペパモデル TK-X(増加試作)
タミヤ 1/74ペパモデル F-2(ドラゴンスレイヤー)
ハセガワ 1/74ペパモデル F-2(ドラゴンスレイヤーver)
ハセガワ 1/74ペパモデル F-15JS(大陸派遣部隊ver)
タミヤ 1/74ペパモデル F-15E(大陸派遣部隊ver)
ハセガワ 1/74ペパモデル VF-25F(ミンメイバーズ)
童友社 ペパモデル 異世界の名城シリーズ デラックス版 アル・アテージ要塞
童友社 ペパモデル 異世界の名城シリーズ デラックス版 アル・アテージ要塞(自衛隊占領後)
676創る名無しに見る名無し:2009/05/07(木) 20:09:39 ID:QB+IlFIF
そういや召喚されると元世界のライセンス関係が使い放題になるだろうが、
『元世界では骨董品だがF世界では費用対効果の高い旧型兵器』ってなにかあるだろうか?

設計図だけ使い通信機器は現用のを、素材は一級品のダウングレードのをで作ったチハとか…
677創る名無しに見る名無し:2009/05/07(木) 21:08:06 ID:Yr/AuOV6
>>676

戦艦じゃないか
堅い装甲と対艦ミサイル無しで船を沈める破壊力

伊四百みたいなヘリ搭載潜水艦も活けるな
魚雷より付属の砲やヘリの砲が使い勝手がいいし

レシプロを「ひゅうが」で飛ばすとか

列島大戦〈ラモン・ユウト〉にも在ったが車会社にレシプロ量産させる話は良かったな

砲艦外交も良い気がするな
DEやPGにデッカい電磁式の大砲をつけたり


後はジャンボジェット機を使って敵地の住居区や農地に食料を落としたり
678創る名無しに見る名無し:2009/05/07(木) 21:09:19 ID:WzV9FB3T
>>663
投下乙です。
田中ぁあああー!昔からお前これか!
679創る名無しに見る名無し:2009/05/07(木) 21:12:38 ID:kNKwI6o2
>>676
多分そういうのの筆頭にあがりそうなのが「60式自走無反動砲」だろうな。
あと自衛隊ジープこと旧73式小型トラックあたり。
戦闘機とか支援戦闘機だとF-1支援戦闘機、F-4EJ戦闘機なんかよさげだが
生産ラインを構築できるならF-86F戦闘機でも結構役に立つだろう。

高速魚雷艇PTシリーズなんかもミサイルいらないなら使い出があるし
OH-6ヘリコプターなんかもF世界相手なら充分だろう。
680創る名無しに見る名無し:2009/05/07(木) 22:52:17 ID:RmrOO/uj
友好国向けにミツビシ対竜貫通アーバレストとか売れそうだな
681創る名無しに見る名無し:2009/05/07(木) 23:09:17 ID:t/C9Oz6G
>>672
原発を全力稼働して、一般向けを絞り
かなりの製造業を夜間操業に転嫁させれば其処まで不足せん筈やよ
682創る名無しに見る名無し:2009/05/07(木) 23:15:22 ID:R2iU0al0
レシプロのコイン機みたいなのは重宝しそう
富士重工の出番か
683創る名無しに見る名無し:2009/05/07(木) 23:35:49 ID:9zQeNnja
当分はさつまいも、ジャガイモが主力生産品かな。
餓死より凍死者の方が桁が多くなりそうではあるね。

高速増殖炉の実用化が否が応でも早まりそう。
プルトニウムも無駄なく使えるeco原子炉。
684創る名無しに見る名無し:2009/05/08(金) 00:07:47 ID:PXV1VtVa
餓死・凍死者が発生するような危機的な社会状況の最中でも、コミケが
あれば人は集まるんだろうか

むかし海外のSFで「2080年世界SF大会レポート」という作品があって
文明崩壊から100年後のアメリカ、それでも年1回のSFファンの祭典には
世界中から万難を排して人々が集まるのだった
開会冒頭に、まず道半ばで命を落とした仲間を読み上げ黙祷を捧げ、
作家の作品は毛皮などと物々交換される....とか

そんなノリで、少人数がお互いの無事や知り合いの消息を確かめ合い、
小部数のコピー誌を持ち寄って配給券や物資と交換するようなレベルに
なりそうだが


685創る名無しに見る名無し:2009/05/08(金) 02:42:20 ID:wgcdkNRk
『ボストーク1より司令部、騎兵が目標への道を塞いでる』
『畜生! 対空魔法を平射してきやがった! これじゃビックサイトに進めない!』
『嘘でもいいから萌ビウス1が着てるって言っとけ!』
『伝説の同人作家が!? あれだ! リボン付きの痛F-22だ!』
『こちら司令部、新刊は落ちた。繰り返す。新刊は落ちた』
686創る名無しに見る名無し:2009/05/08(金) 11:50:55 ID:CecqPmc/
>>681
夜間操業に転換、て事は昼間は休ませるてことか?
687創る名無しに見る名無し:2009/05/08(金) 14:26:21 ID:qNcdmemC
とあるパイロットの手記

1946/5/17
今日は連合王国の象戦車部隊を見かけた
撃破して牛乳飲んで寝る

1946/12/15
敵揚陸部隊を発見、これを撃破
牛乳飲んで寝る

1951/2/21
連合王国の新型ゴーレム12体と遭遇
撃破したが牛乳が無い シャイセ

1976/1/1
退役した
嫁撃墜して牛乳飲んで寝る

2002/5/17
新型攻撃機のセレモニーで乗らせてもらった
対地掃射は禁止された シャイセ
嫁撃墜したし牛乳飲んで寝る

あの人ならマジでやりかねんから困る
688創る名無しに見る名無し:2009/05/08(金) 14:32:07 ID:hZNP4cjh
原発は昼夜まわしっぱ+水力発電で需要最低限ラインまで。
需要変動ピークまでは石炭で火力発電。
石炭は北海道の石炭生産量をふやせばいいし
関東には南関東ガス田のメタンがあるため、
電力と暖房には困らないだろう。
689創る名無しに見る名無し:2009/05/08(金) 15:12:51 ID:7GqFhStZ
>676
骨董品とは言えないがA-10。ジェット機としては抜群の低燃費に頑丈かつ簡便な機体、
そしてF-15と同じ搭載量。超音速の飛行物体確認されないかぎり造らない理由は無いだろ。
問題はアベンジャーが調達できないことだorz
690創る名無しに見る名無し:2009/05/08(金) 17:37:37 ID:Zrt53KZm
>>689
たけぇよ

賞味A-4で十分すぎるだろ
691創る名無しに見る名無し:2009/05/08(金) 18:18:02 ID:s/XK6WgS
食物自給率軒並み100%越えの北海道(194%)と東北を転移させれば食糧の心配ナッシング……と思って白河の関以北が転移したSSを試し書きしようと思ったけど、武器弾薬の工場無いことに気付き、挫折した深夜2時
そうだ、東海大地震で工場が東北に移転していた設定にしよう!と復活したのが深夜3時
そうだ、俺文才ないじゃんorz、と気付いて再び挫折したのが朝8時
692創る名無しに見る名無し:2009/05/08(金) 19:11:12 ID:95KU5hyn
いあ、北海道も東北も自前で穴掘って採れる石炭石油天然ガスじゃ採算どころか自給も無理だから。
工場以前の問題。
北海道なんかは冬場は石油ないと(除雪車動かないと)インフラ死ぬから。
積雪量世界一の大都市札幌の名は伊達じゃないから。

結局石油を求めていろんな国を調べて廻る羽目に。



それより、夢の核融合とか日本全土に腐るほどある木材を使ったバイオエネルギーなんかが実現してしまった
未来日本が異世界転移にした方が面白いと思うよ。
軍用車輌は石油で走るが他のものは大体石油依存から脱退している状態で。
693創る名無しに見る名無し:2009/05/08(金) 19:20:37 ID:b49wUPAy
竹から燃料作るって話があったよな
転移先の世界に竹林が豊富にあったらどうにかなるんだろうか
694創る名無しに見る名無し:2009/05/08(金) 19:23:24 ID:xpS8Xl46
木材って腐るほどあるの?
食料より自給率低いでしょ。
695創る名無しに見る名無し:2009/05/08(金) 20:15:54 ID:wgcdkNRk
木は豊富にあるぞ
切り出すのに人件費等コストかかるから、輸入してるだけで
元々林業は活発だった
696創る名無しに見る名無し:2009/05/08(金) 20:48:38 ID:CecqPmc/
木炭バスてのが過去にあったから
速度を問わない公共輸送車両に蒸気機関車両が復活しても良いな
697日記より ◆im0Hwg82eM :2009/05/08(金) 21:51:10 ID:2hCbSoBZ
某年 某月某日 月曜日

 仕事は相変わらず速く進む。朝一から測定を行って、データチェックにも着手できた。
このペースなら明日の昼頃には先方に提出できそうだ。

 隣国との農地拡大交渉に進展。
これまでの農地に加えて、我が国が新たに50万ヘクタールの農地拡大を行う方向で合意がなされた。
来年以降の食糧価格には期待が持てそうだ。
 あの「エルフ」という種族、植生を破壊される事を極端に嫌い、おまけに魔法を使うという。
なんだか過激派の環境保護団体みたいだ。そんなのが隣国というのも因果な話だと思う。
まあこちらから手出ししなければ攻撃されないそうだし、覇権主義よりはマシなのだろうが。

 「みどり3」は運用開始直後に失われたし、「だいち2」は「あの日」以降ずっと音信普通だ。
新しい衛星の打ち上げはまだ先の話だし、隣国との交渉でもこれだけ手間取るのだから、
遠方の資源を発見して手に入るまでにどれだけ掛かるのやら。
 当面は「樫」や「白樺」などの天然ガス田と隣国からの各種資源があるものの、どちらも
供給不安定だし量だって多い訳じゃない。海外でのウラン鉱石の確保もこの先の重要課題だ。
 発電用の石炭は国内の炭鉱が稼働してはいるが、石炭だけでは国内の電力需要を賄いきれない。
発電用だけではなく、化学工業向けの需要に応える必要もある。北海道ではそれに加えて
冬季向けの燃料用石炭も生産する必要がある。可採年数は40年を切ったとも聞く。

 こうやって資源確保に血眼になる状況を書き連ねてみると、中世レベルの生活はのんびりしていて
精神的には楽なように思えてくる。でも現代文明を失った生活など自分には考えられない。
もし資源の供給が止まれば、待っているのはきっとこの世の地獄だろう。

 船団襲撃事件の詳報が公開された。レーダーの映像がはっきりせず、海況が悪かったので
目視でも敵の接近を察知できなかったのだという。状況から見て隠蔽魔法を使われた可能性もあるそうだ。
敵方は一昨年あたりから太平洋での通商破壊に力を入れ始めたが、今のところ大きな損害には至っていない。
黒潮ルートは中央向けの主軸輸送路だ。中世レベルの敵軍に荒らされるようでは困る。
問題なのは下りの輸送路で、積荷を軽くして沿岸付近を航行するのでどうしても単独行になりやすい。
敵軍に遭遇する事は稀だが、座礁する事が割とある。GPSやロランの有難さを今更ながら実感する。

 仕事が進んだ日は早く眠くなる。まだ18時だというのに眠くて仕方が無い。
なんとか19時までは起きていたい。3時前に目が覚めるのは真っ平御免だ。
698日記より ◆im0Hwg82eM :2009/05/08(金) 21:52:55 ID:2hCbSoBZ
某年 某月某日 火曜日

 昨日書いたことが現実になった。2時40分起床。
この3時間弱を潰すために望遠鏡で外を眺めてみる。何気なく通勤路を辿って見ると、怪しい人影。
張り込み中の私服警官か、はたまたストーカーか。目が合った。何か道具を使ってこちらを見ている。
暗視装置の類だとしたら、こちらが望遠鏡を使っているのもバレバレじゃないか。
こちらが警戒するような素振りでも見せたら怪しまれると思い、そのまま空に望遠鏡を向けた。

 職場に模型好きの同僚がいる。彼の得意技は厚紙を切り貼りして、中は空洞で可動する模型に
組み上げる事なんだそうだ。いわゆるペーパークラフトという工法である。以下、彼の仲間の得意とする工法。
厚紙切り出し積層、木彫の可動組み上げ、乾漆、気合の入った奴は山奥に篭って砂鉄を原料に鋳造。
伊万里焼でフィギュアを作ろうとしている奴もいるが、あまり細かい細工をすると焼いた時に垂れてくるのだとか。
……各人それぞれ得意技があるらしい。もはやモデラーとかそういう範疇を超越しているような気がする。

 仕事は相変わらず速い。午後に入ってから先方にデータを提出する。
受け持ちの仕事が無くなったので、同僚の手伝いなどをして過ごす。
始業直後から違和感。引き出しの中身の配置が変わっていたような気がする。誰か知らないが、
物を借りる時には一言声を掛けてからにしてほしい。

 太平洋第7洋上風力発電所が操業を開始した。
来月には阿蘇第2地熱発電所が稼動する予定である。そうなればこのあたりでも多少は電力事情が
改善する事になる。とはいえ自然エネルギー発電は供給が不安定になりがちだから、大きな期待は
掛けられないのだが。潮位差発電が実用化されれば港での電力自給にも一定の目処が立つ。
未だに実用化研究の段階で足踏み状態なのがもどかしい。

 帰宅途中、他種族のように見える人物とすれ違った。服装は一般的なものだったが、
明らかに異様な気配を漂わせていた。すれ違った瞬間にこちらの心の底まで見透かされたような、
そんな感じだった。気味が悪いというより、恐ろしい。この田舎に、一体何の用があったのだろうか。
699日記より ◆im0Hwg82eM :2009/05/08(金) 21:54:40 ID:2hCbSoBZ
某年 某月某日 水曜日

 あまり頭を使わなかった翌日は夜明け過ぎに目が覚める。
普通なら頭を使って疲れるから、次の日は遅くに目覚めるような気がするのだが。

 帰宅途中、地面に変な模様。矢印ではなく、丸い模様だ。
2本の線の間に文字のような、模様のようなものが描かれている。真ん中には幾何学的な図形。
田中が言っていた「魔方陣」らしい形だ。いよいよ気味が悪い。思い切って田中に写真を撮影して送り、
助言を求めた方がいいのだろうか。一応撮影だけはしておいた。
 奴も忙しいだろうから迷惑だろうが、こうも気味の悪い事が続くと誰かに相談せずには居られない。
こんな事で相談できるのは、数ある知り合いの中でもアイツしかいないだろう。
神主の伊藤にお払いを頼むという手も無い訳じゃないが、宗教に頼るのは何か生理的に嫌だ。

 昨日、自然エネルギーが不安定などと書いた矢先の出来事。
雲仙第3地熱発電所の建設予定地で大規模火砕流が発生。計画の後退は必至との事。
既存の2つの発電所への影響は今のところ無いが、最低限の要員のみ残して職員は退避。
 自衛隊が災害出動して、例の骨董品を引っ張り出してきた。そう、74式戦車。
10式戦車と置き換えが進んで滅多に見かけなかったのだが、まだあったらしい。
で、例の投光機が活躍している。やはり明るい。ニュース映像を見る限りでは新人らしき姿が多かった。
やや不謹慎な気もするが、きっと良い訓練の機会になっているのだろう。

 朝一で依頼の舞い込んできたチップの測定を行った。
明日の午前中という納期は少々早いが、今の自分ならば余裕を持って提出できそうな気がする。
疲れたので19時過ぎには休む事にする。
700日記より ◆im0Hwg82eM :2009/05/08(金) 21:56:32 ID:2hCbSoBZ
某年 某月某日 木曜日

 夜明け前に目が覚めた。望遠鏡は使わず外の様子を窺ってみる。
やっぱり張り込み?がいた。自転車の一件で目を付けられたのだろうか。だとしたら酷い話だ。

 出社の途中、また地面に変な模様。今度は自宅の方に矢印が向いている。
一昨日すれ違った奴が描いた魔方陣とやらなのだろうか。田中の話にはやけに現実感があった。
今まさに何らかの魔法がこの街のどこかで行われているような気分になってくる。しかしその一方で
魔法など存在せず、これは自転車絡みの手の込んだ嫌がらせなんじゃないかという疑念も存在する。

 夕方のニュース、大陸で資源開発に当たっている邦人が襲撃
護衛が強化、資源探索は重要

 今日は火砕流の発生は無し
74式戦車がエンジン故障、大陸へは無理?、寄る年波


 誰かがドアを叩いている。人が日記を書いて精神を落ち着かせtってくぁwせdrftgyふじこlp;@

701日記より ◆im0Hwg82eM :2009/05/08(金) 21:58:29 ID:2hCbSoBZ
今回の投下は終了です。
702創る名無しに見る名無し:2009/05/08(金) 22:55:06 ID:Q0xNKK2l
投下乙です。
地熱発電所ってのは別に火砕流が起きるような場所に作らんでもいいんですよ。
必要なエネルギーは熱そのものではなく熱水蒸気ですんで、ハイ。
703創る名無しに見る名無し:2009/05/08(金) 23:02:11 ID:a8LmBA15
>>691
昔分家で東北北海道転移の奴有りましたけど
704創る名無しに見る名無し:2009/05/08(金) 23:04:22 ID:0QVqCdE7
乙です。
日本で地熱発電が進まないのは環境保護団体や温泉利権のせいだと聞いたー
705創る名無しに見る名無し:2009/05/08(金) 23:15:03 ID:Q0xNKK2l
温泉に影響出るくらいなら地熱発電なんていらないと思う温泉好きの俺。
706日記より ◆im0Hwg82eM :2009/05/08(金) 23:32:17 ID:2hCbSoBZ
>>702>>704
指摘dです。
火砕流の件は74式TKを登場させるための舞台というか、前線に出すには古すぎるし
74たんが傷付く姿も想像したくないし災害出動なら実績もあるし……という考えで、つい。

建設地に関しては送電設備やら資材搬入やらの兼ね合いで……とか脳内補完して頂けると嬉しいです。
707創る名無しに見る名無し:2009/05/08(金) 23:33:05 ID:oW/nFaz6
温泉に影響が少ない高温岩体発電っていう物が有る。
http://criepi.denken.or.jp/jp/pub/review/No49/
潮流や潮位、海洋温度差、風力、太陽なんてものよりもずっと効率的。
既に実用化段階だし。
普通、海洋風力とか作るよりもこっち先に作るだろ。
708創る名無しに見る名無し:2009/05/08(金) 23:36:11 ID:oW/nFaz6
熱水が存在しないといけない従来式と違い、資源量も各段に多いし
ウラン鉱石が輸入できなくなったら、こっちの方が安い可能性も
709創る名無しに見る名無し:2009/05/08(金) 23:44:33 ID:Q0xNKK2l
まあそのへんは将来の課題かな。
もしかしたら名前だけ地熱でくくってるのかも知らんし。
710創る名無しに見る名無し:2009/05/08(金) 23:58:59 ID:RZSc5pzw
>>692
転移してりゃ気候に関しては自由に作れるんじゃないのか?
711創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 01:03:04 ID:Nypydka7
実際にできたのは「温泉から温泉宿の各部屋へパイプをひきまわして
冬場の暖房につかう燃料費をゼロ円にしました」くらいの話だったり
するんだろう。
712創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 02:30:31 ID:+DgwgkYx
蒸気戦闘機
蒸気戦車
イージス蒸気艦
人型蒸気
713創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 03:03:31 ID:mF56c4XV
うおォン 俺はまるで人間火力発電所だ
714創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 03:40:40 ID:tcUjbcJ6
海外で地熱発電所を運用したら、それ以来妙に地震が頻発するというような話を聞いたことがある。
715創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 03:46:26 ID:/nxufu2U
どう考えてもたまたまだと思うが
地熱発電で使う程度の些細なエネルギー差でそんな巨大な差ができると考えるのは難しい
716創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 04:46:55 ID:tcUjbcJ6
グーグル先生に地熱発電による環境破壊を聞いてみたところ、
地熱発電が地震が誘発する可能性について触れているページがいくつかヒットした。

どうやら地熱発電のせいで地下の岩盤の応力が変化して地震を誘発するらしい。


実際、スイスではこんなことがあったらしい。
http://web.archive.org/web/20070111055159/www.excite.co.jp/News/odd/00081168364152.html

で、上記の件がナショナルジオグラフィックのページに少し出ていた。
なんでも60回以上の群発地震がスイスで発生し、それの原因が地熱発電所とかいうような話らしい。
http://news.nationalgeographic.com/news/2009/02/photogalleries/humans-cause-earthquakes/photo5.html

検索できた範囲内では、スイスの地震の原因が
地熱発電所だと断定する記事は見つからなかったが、
少なくともそれの原因と疑われたことは確かだと思う。
717創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 11:58:50 ID:rLeZTbRk
>712
それなんてサクラ大戦www
718創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 12:03:50 ID:vGKYxQoh
>>716
そんな話、石油や天然ガスでは聞かないし
偶然じゃね?
719創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 13:37:55 ID:/nxufu2U
>>716
その応力の変化が問題になるほどの規模の地熱利用できない気がするんですが
地熱発電で奪われるエネルギーなんて微々たるもんだし、それの伸縮で地震が起こるほどの歪みが起こるとはやっぱ考えにくいですよ
まして、よほど地盤が緩いか、元々近いうちにおきる予定だった地震のトリガーになるというならともかく、
そうでないならそれが生活に影響与えるレベルの地震になるとは到底思えないですね

60回の地震というのも体感できないレベルの地震も含んでの話でしょう?
その程度の数ならそう不思議な話でもないと思いますよ
720創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 13:45:25 ID:jpc02rmy
地盤に与えた僅かな影響が指数関数的に増大または蓄積して
大きな変化を生み出すと言う事は十分考えられそうな物だが
721創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 13:49:21 ID:/nxufu2U
蓄積しようにも地熱で奪う程度のエネルギーでは少なすぎて無理だと思う、ってことです
722創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 14:29:22 ID:tcUjbcJ6
地熱発電を行うことによって失われた熱エネルギーではなくて、
地下水を大量にくみ上げたり、地下に液体を大量に注入することによる
応力の変化が問題になるようです。


あと、wikiがどの程度信頼できるものかはともかくとして、
wikiの「地震」の「人為的な原因によって起こる地震」の項目にも
ダムの建設・油田・ガス田・地面の掘削が原因で地震を誘発すると触れられている。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E9%9C%87

あとはwiredの記事に人為的に地震を起こす5つの方法をいう記事があり、
そこでも地下への液体注入や油田・ガス田が地震を誘発するというような話がある。
http://wiredvision.jp/news/200806/2008061123.html
723創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 16:00:51 ID:kXRzsZ3M
地熱発電は兎も角として、地下資源採掘による地盤沈下は起こるよ。
少なくとも南関東ガス田関係に関していえば、
地盤沈下が採掘禁止になった直接原因だと聞いたことがある。
724創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 16:11:53 ID:JV6LUE0L
高温になってる岩盤に水をぶっかければ岩盤自体に亀裂が入ったり
水蒸気爆発よろしく地層のすきまを広げて地盤を不安定にしたりは
素人でも予想がつくわな。

高温で湧出している温泉にスターリングエンジンをのっけて
小規模発電するくらいからやってくしかないんじゃなかろうか。
725創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 16:35:53 ID:TlrjITft
もうめんどくさいから

亜人捕まえてきて

でっかい柱を回させようぜ
726創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 18:29:34 ID:vGKYxQoh
>>722>>724
地熱発電は水は戻すし、高温岩体も水の回収率はほぼ100%
727創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 18:47:48 ID:/nxufu2U
>>722-723
地下水くみ上げや地下資源採掘が原因ならあるでしょうね
工業用水くみ上げすぎて地盤沈下なんて話はよく聞きますし

>>724
それも含めて足りないと思いますよ
水ぶっかかる岩盤なんてごく狭い範囲ですよね
それで震度4↑レベルの地震が起こると思います?
エネルギー収支的にトリガーにはなってもそれ以上にはならないんじゃないですかね
728創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 20:17:27 ID:JV6LUE0L
高温岩体発電のターゲットになる場所は
地熱の高い、断層/マグマ溜りが有るところだから
トリガーで十分だとおもうが。
729創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 20:34:24 ID:/nxufu2U
既に地熱発電にはそれなりの歴史ありますけど、その周辺で大きな地震起きたって話聞いたことありませんよね
そもそも、こういうことを問題にするのは、ある程度因果関係が証明されてからの話だと思うんですが

加えて、仮に震度5程度の地震がおきると仮定しても、その程度エネルギー不足にあえぐ
転移後世界の日本にとって躊躇する理由にもならない気がします
普段から地震の多い日本にしてみればぶっちゃけ震度5程度じゃ倒壊する建物もほとんどありませんし
730創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 20:56:42 ID:+DgwgkYx
寧ろ、将来起こるより大きな地震・噴火の防止になっていいと思う。
要するに風船が膨らむ前に針で突いてるわけだし
731創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 21:19:56 ID:vGKYxQoh
>>728
そんな事はない
掘削技術の制約で高すぎては作れないんだ
732創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 21:23:04 ID:x5t3od6l
>>725
ちょまwwwww
やめれwwww

>>727
起きるのは微小地震じゃないの?
733創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 21:26:52 ID:E/8qtCVN
転移のシステムと影響が不明だから
エネルギー不足の状況下、地熱発電開発をためらうにはデーター不足
あるものはどんどん利用しようとするのが自然な流れ

つかF世界の精霊・地霊の事すらわかんねーw
734創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 23:30:44 ID:lYU3IWsz
でも地熱発電所を草津温泉の近くに作るの勘弁な
735創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 06:45:37 ID:Eq8xCmYP
資源開発をゴリ押しするには転移後早めに「すでに戦時下にある」とか
非常事態宣言をかましてさっさと世論を形成しておかないと
どうにもならないやね。
736創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 08:12:59 ID:KMEuQBzy
食料とかはどうするかね?
輸入するにしても中世レベルだと、人口的にも農法的にも収穫量なんぞ多寡が知れてるぞ
工場野菜?時間と収穫量はどんなモンなんだろ
737創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 12:50:45 ID:e4QQ3qx/
おそらくは転移後世界最大の人口をもつ国家になるだろうから
短期では十分な量の穀物を外から調達するってのは困難だろうな。
738創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 14:38:52 ID:1M8otXFv
小麦関係の自給率は絶望的に低いから
パン・麺類はそば・雑穀を除いてほとんど市場から姿を消すだろうな
F世界との交易が軌道に乗れば復活するだろうが
それ以前に水田復活・米の自給だけでも数年でとりもどさんと餓死

農業を半国営化か企業体に集約する時限立法が出ると予想
739創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 15:45:54 ID:fCTj4ysE
最初に壊滅するのは畜産物
牛など幻の品、豚が希少品、鶏ですら贅沢品になる
740創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 16:22:03 ID:aDP/MLML
うーん、街中の地面は全部掘り返されてるだろうし
傾斜地での放し飼いで、どれぐらい行けるんだろ?
741創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 16:37:41 ID:E+I/EsOv
いざとなれば人様が食べられない部分をやれば
742創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 16:38:21 ID:E/gfljMU
逆に鶏はいけると思うが。
養鶏場は他のと違って縦に伸ばせるし、鶏卵は栄養価も高く鶏糞は肥料になる。
餌も野菜屑や虫でもいいし。
743創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 17:05:35 ID:1M8otXFv
うし、うまは農耕の足として消え去りはしないだろ
F世界の農業が日本の江戸・明治くらいなら「鋤」を作れる鍛冶屋はおる
酪農は苦しいが飼料が輸入の穀物でなければ価格次第
バターが某所の「生キャラメル」くらいの貴重品なら生産農家のやる気は上がる
744創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 18:08:07 ID:fCTj4ysE
畜産が壊滅ってのは食品としての供給力、という意味だから。
あんな生産コストのかかるものを大量に育てる余裕なんてどう考えてもないでしょ。
まあ江戸時代レベルで飼育されはするだろうが、現代の需要を賄うことは出来ない。
745創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 18:19:03 ID:BJG+o5/k
軍板の方だと国産だけだと大体半年が限界と出てるな
746創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 22:31:41 ID:AH+mN0jf
漁業で漁獲量をふやして補っていくしかないな。
鯨か海竜かクラーケンかは知らんが。
船をだすのにも電動モーターに置き換えまでは
軽油、重油がいるわけだが。
747創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 22:42:36 ID:mjWi64zD
焼玉機関の機帆船が沿岸漁業に復活
748創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 23:02:17 ID:a4UyntxU
>>746
誰が油を使っていいと言ったぁ!


つオール
749創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 23:12:26 ID:QcTGFroa
漁船おいしいです(^q^)
750創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 23:41:07 ID:VjfTR+0+
遠洋用の大型船なら石炭ボイラーも案では?自衛用に40mm砲あたりも付けて。
751創る名無しに見る名無し:2009/05/11(月) 01:20:37 ID:RyBccmNY
そこで原子力漁船の出番が
752創る名無しに見る名無し:2009/05/11(月) 01:22:53 ID:x4lqzk0G
今思ったけどF世界の魚やらが日本の川登ることあるのかな?
753創る名無しに見る名無し:2009/05/11(月) 07:27:19 ID:8tePGU4Q
漁船が水系モンスターとの戦いの最前線になるのですね
754創る名無しに見る名無し:2009/05/11(月) 07:41:47 ID:ssp4FMhc
死者数がハンパなく増えそうな漁船だな
755創る名無しに見る名無し:2009/05/11(月) 12:57:28 ID:Bk9JRrKT
>>751

海竜VSそうりゅう
756創る名無しに見る名無し:2009/05/11(月) 14:17:16 ID:Vj5nbXQt
巨大生物がいるってのはそれを支えられるエサが
豊富にあるってことだから、プラス要素じゃね。
757創る名無しに見る名無し:2009/05/11(月) 14:25:00 ID:Pstdx8LU
>>752
F世界の海水成分がこの世の海水とだいぶ異なるなら
いずれにせよウナギと鮭は絶滅だな

かわりにムルチやタリモンストラム・グレガリウムの幼体が遡行したり
758創る名無しに見る名無し:2009/05/11(月) 15:08:02 ID:8tePGU4Q
アノマロカリス属がわんさか泳ぎ回ってて漁業資源大ダメージだったり
759創る名無しに見る名無し:2009/05/11(月) 15:20:53 ID:APjkrASr
まあその辺はご都合主義と言うことで
760創る名無しに見る名無し:2009/05/11(月) 15:22:55 ID:p2r2W7Qx
>>758
えびうめぇーw
761創る名無しに見る名無し:2009/05/11(月) 15:42:19 ID:Es2MIk7m
アノマロカリスじゃ現代の肉食魚には太刀打ちできんだろ
762創る名無しに見る名無し:2009/05/11(月) 15:52:37 ID:Vj5nbXQt
つかF世界の魚はどれもこれも回転寿司のレーンの上で
まわってる光景しか思い浮かばん
763創る名無しに見る名無し:2009/05/11(月) 16:48:21 ID:HBCkOZ6M
海竜の炙り焼き
人食い魚
クラーケン
ジャイアントオクトパス
船食い巨大魚の兜焼き


食料困んない気がしてきた・・・
764創る名無しに見る名無し:2009/05/11(月) 18:58:16 ID:9HFdHNiP
クラーケンはアンモニア多そう
765創る名無しに見る名無し:2009/05/11(月) 19:23:09 ID:u22uVNCI
クラーケンで良かった
眠れる水神様の眷属でなくて本当に良かった
766創る名無しに見る名無し:2009/05/11(月) 23:57:50 ID:HBCkOZ6M
ちょっと、ショットガン持ってダゴン漁に逝って来る。

そのままだと生臭くて食えないが、干してレモン汁つけると食えるんだぜ。
767創る名無しに見る名無し:2009/05/12(火) 01:01:52 ID:kOs9NMrL
大物を獲り過ぎると生態系が壊れそうだな
周辺環境が融合している時点で既に色々影響あるんだろうけど
768創る名無しに見る名無し:2009/05/12(火) 01:25:51 ID:kUQIdHil
転移からしばらくして、南方に大陸が浮上する。
そこのタコっぽい住人が言った事にゃ
「知能の高いかわいいクラーケンを狩るなんてとんでもない!」
そして通称『海の猟犬』と言う過激派が・・・
769創る名無しに見る名無し:2009/05/12(火) 13:46:54 ID:uSP0nJgA
つ「角のない漁船」「角のない捕鯨船」
日本の持てるすべての造船技術を結集した逸品?
770日記より ◆im0Hwg82eM :2009/05/12(火) 22:28:47 ID:Deud8Kz3
某年 某月某日 月曜日

 久しぶりに日記を付ける。飛行機に乗ったのは5年振りじゃないだろうか。
監視付きで日記を書くというのも妙な感じがするものだ。

 それにしても自分の体に妙な事が起こってしまったものだ。
思考速度のみが3割増しという、この地味な能力向上をどう使えば良いものか。
まるでH・G・ウェルズの「新加速剤」か、はたまたクラークの「この世の全ての時間」か。
いやどちらも他者が止まって見えるくらいの高速移動がテーマか。こちらは運動能力の向上を伴わない。
おまけにそれが持続中というのが謎との事。
現地種族の場合は運動能力も同時に上がり、その効果も3日続けば良い方らしい。

 この部屋で田中に会った時、あの突入劇は少々やりすぎだったと言われた。
どうやら、あの電話の後に奴が手を回していたらしい。あの張り込みは公安か、それに類する手合いだった訳だ。
 田中の話がどこまで真実なのか判断に困る所もあるのだが、自分は誰かに狙われていたらしい。
奴には東京で働かないかと誘われている。職も紹介してもらえるとの事。身の安全の為にも、
公安の目が届きやすい場所に居て欲しいのだそうだ。
要するに俺は、その誰かさんをおびき寄せるための餌という事なのだろう。

 この事態が悪い事なのか良い事なのか、自分にはまだ判断が付かない。結果的には他種族と
会話をする機会が持てたから、それなりに有意義だったと考えられない訳ではない。
隣国との交渉で手間取る理由がなんとなく分かったし、人間相手ならばもっと強気に出ていたのだろう。
 会社は一応休職扱い、社長からはいつでも戻って来いと言われてはいるようだが……
これだけ会社を休んでいると戻り辛いのも事実だ。いっその事、転職でもしようかと考えてしまう自分がいる。

 この部屋はどうも落ち着かない。目の前の鏡はおそらくマジックミラーだろう。
巧妙に隠されたスピーカーからはいつ声が流れるか分からないし、扉がまた物々しくて剣呑な感じだ。
昼間は複雑な頭脳テストを受けて、実験動物か何かになった気分だ。
 自分が今どうなっているのか、テストの意図も教えてもらっているから実験動物は言い過ぎかもしれないが、
安眠できない事だけは確かだ。やはり思い切って田中の誘いに乗るべきなのだろうか。
771日記より ◆im0Hwg82eM :2009/05/12(火) 22:30:38 ID:Deud8Kz3

某年 某月某日 火曜日

 4時に起床。5時半に朝食。米粉パンのトーストに野菜サラダとスクランブルエッグ、紅茶も付いてきた。
2週間も外光の入らない部屋に閉じ込められていると時間感覚がおかしくなってくるような気がする。
体内時計が22時間位で1回りしているようなので、このままだと来週は昼夜逆転していそうだ。

 9時半、田中がまたやってきた。
再び東京への誘い。外務省の管轄じゃないだろうと訊くと、急に捕獲された俺の心情に配慮しての
特別な措置なのだという。他にも色々と上の事情を説明してくれた。この辺の配慮は昔から変わらない。
昔はSFかファンタジーかで掴み合いになった事もあったが、やはり持つべきものは友だという気になる。
 結局、奴の誘いを受ける事になってしまった。いくらなんでもあの話の流れで断るというのは難しい。
きっとこれを狙って田中を訪ねさせたのだろう。誰が考えたか知らないが、確かに効果はあるようだ。

 11時半に昼食。サツマイモご飯、烏賊のフライ、トマトスープ。
昼過ぎから17時まで脳波計を装着しての頭脳テスト。今までよりも長い。持続時間のテストだろうか。

 早速、引越しの話が進み始めている。
自宅の片付けは向こうでやってくれるという話だったが、どうしても自分で片付けたいと頼んだ。
夕方になってから連絡があり、明日出港の貨客船に部屋を確保したとの事。
医療関係の物品に特別配給の果物類、それに公用車等を輸送するための臨時便だそうだ。
鉄道なら席を確保するのに1週間以上は待つ必要があるので、良いタイミングだったらしい。
そこまで見込んで田中を寄越したのなら、大した眼力だと言わざるを得まい。

 夕食は18時。雑穀入りの玄米、油揚げと芋茎の炊き合わせ、モヤシの味噌汁。
1週間ほど前に酒が付いてきた事がある。アルコールの影響を見るための投与だったのだろう。
やっぱり実験動物並みの扱いをされているような気がしてきた。
 まあそんな事はどうでも良い。明日からはきっと、こんな生活ともお別れだ。
772日記より ◆im0Hwg82eM :2009/05/12(火) 22:32:39 ID:Deud8Kz3
某年 某月某日 水曜日

 有明フェリー埠頭から船に乗る。太陽電池を装備した貨客船「第5倉島丸」。護衛艦「くす」が随伴。
医療品や公用車という重要な積荷を輸送する便のため、単航船では異例の護衛が付いたそうだ。

 新しい仕事をする上で、新たな知識を身に付ける必要があるらしい。
教師役として「黒木・ハーランド・シン」と名乗るダークエルフの老紳士が同行する事になった。
一見した所インド系のような、彫りの深い顔立ちをしている。服装は何の変哲も無いスーツ姿だが、
長い耳と浅黒い肌の色がその出自を物語っている。
 護衛として公安か私服警官のような男が3人同行している。常に事務的な態度で面白みが無い。
乗客は他に医療関係者が5人と配給品引渡しのための役人が1人。

 出港して2時間。早速、ロキの授業が始まった。講義は魔法に関しての基礎知識が中心。
魔法を構成する要素、魔法の種類と用途、この世界と魔法の歴史。さらに宗教観も一通り。
 田中が話していた「ダークエルフは魔法を使わない」というのは一般論で、ロキのように人間換算で
200歳を超えたダークエルフともなると、必要となれば一通りの魔法は使えるのだそうだ。
ただし他のエルフ種に比べれば能力は低いし、そもそも魔法が必要になる状況に陥らないように
振舞う事が重視されるとの事。

 食事は地上と比べて味付けが濃いような気がする。
昼は雑穀ご飯と鯨の竜田揚げに卵スープ。夕食には米粉ロールパン、おからハンバーグ、ポトフ。
どちらも食堂で食べるのかと思ったら自室に運ばれてきた。
 船賃を誰が払うのか気になったので護衛に訊いてみたら、すべて公費でやってくれているとの事。
おまけに会社の退職手続き等も既に向こうで済ませているらしい。
ちょっと変わった事が起こっただけの一般人に、破格の待遇である。
というか既に一般人ではなくなっているか。実験動物、兼、何かの囮。まったく、大したご身分だ。
773日記より ◆im0Hwg82eM :2009/05/12(火) 22:34:28 ID:Deud8Kz3
某年 某月某日 木曜日

 朝、夜明け前に目が覚めた。舷窓から夜明けを眺める。海の夜明けも美しいものだ。
朝食は6時、玄米と味噌汁と漬物。太陽が昇って船は速力を増した。

 ロキの授業は魔法の働くメカニズムに移る。
複雑な専門用語が登場し始め、理解し難い箇所が多い。その度に質問するので講義がなかなか進まない。
ロキと相談した結果、とりあえず最後まで講義を続け、昼食後に分からない所を説明してもらう事にした。

 昼過ぎ、急に天候が悪化した。波も高くなり、大きく揺れる。酷い船酔いで午後の授業は
受けられない状態になった。ロキは平然としている。船酔いはしないのかと質問した所、この程度で
船酔いするようでは200年もダークエルフを続けてはいられないとの事。さぞ変化に富んだ人生を
送ってきたのだろうと想像する。14時過ぎ、ますます海は荒れ模様となり、海上の視界が悪化してきた。
護衛の「くす」の姿が見えなくなったようで、部屋の外を覗いてみると船員が忙しげに動き回っていた。
GPSもロランも無くなってしまったこの世界では、航法の少しの間違いが命取りになりかねない。

 19時前、天候は回復に向かい、それから間もなく「くす」と無事合流できたそうである。
遅めの夕食を摂って、21時までロキの講義を受けた。ずいぶん夜更かしして、とても眠い。
まだ行程の半ばとの事。鉄道を使っていれば家に到着している頃だろう。
空席待ちを考えに入れず、ではあるが。
774日記より ◆im0Hwg82eM :2009/05/12(火) 22:36:36 ID:Deud8Kz3
某年 某月某日 金曜日

 5時に起床、5時半に朝食。調理パンと野菜サラダ、紅茶付き。本物のコーヒーが懐かしくなった。
天候は悪くない。船酔いも収まって、食事も摂れるようになった。

 7時からロキの授業が開始。精霊の力を借りるまでのメカニズムを詳細に学ぶ。
複雑に見える魔法の儀式も、基本的には力を借りる対象との対話だという事がなんとなく分かってきた。
ロキの説明は分かりやすく、魔法のことを知らない人間でも理解できる。科学と比較して
それぞれ対応する要素を挙げていく所や、コンピュータプログラムとの類似性などを指摘するなど
魔法と科学の両方に精通していないとできない事だろう。ますます彼の人生経験に興味が湧いてくる。

 11時半に昼食。米粉パン、タコと貝の入ったシーフードサラダ、改良ウォーターレタスのスープ。
この改良ウォーターレタスという奴はどうも好きになれない。元はマナティが食べていた水草じゃないか。
いくら品種改良したとはいえ、青臭さが口に残る。おまけに4年程度で品種改良が出来るというのも変な話で、
遺伝子組み換えなんじゃないかという噂まである。まったく、原種を国内に持ち込んだ奴を呪い殺したくなる。
こんなのが好きだという奴の気が知れない。そいつはきっと前世がマナティか熱帯魚だったに違いない。

 午後からの授業は、科学の視点から見た魔法というテーマ。
この視点は分かりやすく、理解するのも早かった。その分授業が早く終わって自由時間ができると思ったら
理解度を確かめるためのテストを受ける事になった。このがっかり感は学生時代を思い出す。懐かしい感じだ。

 それにしても、なぜ魔法の事をここまで詳しく学ぶ必要があるのだろう。
まさか新しい仕事というのは、魔法使いの養成とかそういうものなのだろうか。
だが、ロキの講義によると人間が幾ら背伸びしたところで他種族に太刀打ちできる程の魔法は使えないという。
魔法に対する理解が必要で、国が関わってくるような重大な仕事。ひょっとしたら海外での農地開拓や
資源探索に関連する仕事だろうか。……それならば外務省官僚である田中が出てきた事にも合点がいく。
東京での仕事というのは嘘かもしれないのだ。

 夕食には雑穀ご飯に鰹のソテーと温野菜。
予定では明日の昼前に目的地に到着するそうだ。もうすぐだ、もうすぐ我が家に帰れる。
775日記より ◆im0Hwg82eM :2009/05/12(火) 22:38:46 ID:Deud8Kz3
某年 某月某日 土曜日

 やっと家に帰れた。そしてこれが、ここで書く最後の日記になる。
思えば8年間、この部屋で寝起きしていたのだ。家賃もそこそこで眺めも良い、こんな部屋には
もう当分住めないだろう。東京あるいは他の土地で、こんな物件が簡単に見つかるとは思えない。

 朝は4時半に目が覚めた。5時半に朝食。
11時までロキの授業。昨日に引き続き理解度のテストを受ける。
11時40分、佐伯港に入港。
3日過ごしただけなのに船室を離れるのが感慨深くなる。まあ明日の昼前にはまた戻ってくる訳なんだが。
それにしても随分急いで荷降ろしをするものだ。東京向けの積荷がほとんど無いという事はあるが、
明日出港というのは急な話である。
いくら積荷がないとはいえ、バラスト水で重量調整というのはもったいない気がする。

 港の食堂で昼食を摂る。食事中に知り合いの自衛官、伊藤三曹に出くわした。
事情を話そうかとも思ったが護衛の連中に気を揉ませたくも無かったので、挨拶するだけに止めておいた。
13時過ぎに家に着いた。部屋の中はあの時と変わらない様子だった。

 3週間以上も部屋の中に入れっぱなしのプランターを見るのは忍びない。
外に出してあったサツマイモが何事も無かったかのように元気に育っていたのを見て、少し涙が出そうになった。
どうせ帰りの便には積荷が無いのだからと主張して、東京へ持っていく事にした。
 その他には、望遠鏡と蔵書、太陽コンロを東京へ持っていく事にする。もっとも、太陽コンロは
東京で使う機会があるかどうか疑わしいような気もする。もしも新しい住まいがビルの谷間だったりしたら、
晴れた休日の昼間とかにしか使えまい。それに、そんな場所で家庭菜園が営めるとも思えない。
できたとしてもタンポポあたりが精一杯だろう。部屋に残った物に関しては、大家に処分を一任した。

 夜は港の一角にある施設に泊まる事になっている。
この日記を書き終えて、ディスクに書き込みが終わったらこの部屋を離れる事になっている。
8年間と2ヶ月の間、自分の体のように慣れ親しんだ風景とも、もうすぐお別れだ。

 さらば、住み慣れた我が家よ。
776日記より ◆im0Hwg82eM :2009/05/12(火) 22:41:01 ID:Deud8Kz3
今回の投下は終了です。
777創る名無しに見る名無し:2009/05/13(水) 00:29:52 ID:OtNG2SYT
内容は悪くない。今までになかった形式でむしろ面白いんだが、バトルが無いと物足りなく感じるなぁ。
778創る名無しに見る名無し:2009/05/13(水) 00:35:57 ID:f/t13CiC
投下乙です。
ああ穏やかな日々よさようなら、だねえ。
そろそろ彼に関わる者達の全容が明らかになる悪寒、wktkしておくとしよう。
779創る名無しに見る名無し:2009/05/13(水) 01:49:51 ID:HtWOwLHQ
>>629で出た光る石をもたらした同僚の消息が気になる
780創る名無しに見る名無し:2009/05/13(水) 03:03:10 ID:gbFxEFcm
投下乙です
781日記より ◆im0Hwg82eM :2009/05/14(木) 00:45:33 ID:Tyybqtku
某年 某月某日 日曜日

 昨日、家を出てから起こった事。
家を出る前に寝具一式を持っていくかどうかで悩んだが、結局打ち直しリサイクルに出してもらう事にした。
 街灯が点灯し始めた街を歩いていると、地面に模様。家の方を向いた矢印。以前見たものと同じだ。
ロキが何かに気付いて、護衛に耳打ちした。視線の先、曲がり角に以前すれ違った異様な人物。
すぐ角に消えた。護衛の2人が走って追う。残る護衛1人と共に宿泊予定の施設に向かった。
謎の人物を追っていた護衛2人は、夜になって息を切らせて帰ってきた。どうやら逃げられたらしい。

 その夜は港の中、まるで検疫施設のような施設に一泊した。
朝は4時に目が覚めた。朝食を摂り、7時から10時までロキの授業を受けた。前日の魔方陣に関する説明。
あの矢印は魔法を探知するためのもので、方位と距離をかなり正確に掴めるのだそうだ。
状況から見て、自分を探知されているようだ。どうやら田中が話していた事は本当だったらしい。

 11時、東京へ向けて出港。往路に引き続き「くす」が随伴する。
単航船に護衛を付けるというのは豪勢な話だ。ゾーンディフェンス方式と護送船団方式、
現状ではどちらが合理的なのか、併走している「くす」を眺めて考えていた。

 哨戒区域を設けてパトロールすれば船団を組む必要が少なくなり、物流も活発化する。
ただし問題として、手持ちの護衛艦が分散されてしまう事がある。敵が大艦隊で攻めてきた場合に
いくら技術力の差があったとしても、手数が足りなくなって押し切られる恐れがある訳だ。それを考えると
船団を組んで、それに充分な護衛を付けてやった方が敵の大艦隊にも対処可能だし、安心である。
5年前の竹島戦ほど極端でないにせよ敵方の戦術は基本的に物量作戦なのだから、
現状では護送船団方式に軍配が上るのだろう。

 昼食が終わる頃、黒潮に乗った。これで船足は一気に速くなった。
船員が海水を汲んで何か調べていたので、見せてもらった。容器の中をプランクトンが大量に漂っている。
ウェーブのように離合集散を繰り返している。周期は10秒くらいだろうか。撮影しようと思って
携帯端末を近づけてみたら、寄ってくるのと逃げるのに分かれた。電波に感応性を持っているのかもしれない。

 午後の授業は「魔法がコンピュータに与える影響」というテーマ。
自衛隊が魔法攻撃を受けた際に集めたデータらしい。一部の回路が焼き切れる事もあるようだ。
魔法攻撃に強いコンピュータを作るのに役立ちそうな情報である。

 寝る前に外を眺めてみた。光るトビウオのようなものが時折水面を滑っていく。
光るプランクトンが多いのか、波に合わせて淡い光の帯が現れては消える。そんな様子を見ていると
改めて実感する。ここは日本ではない、異世界なんだ。
782日記より ◆im0Hwg82eM :2009/05/14(木) 00:47:12 ID:Tyybqtku
某年 某月某日 月曜日

 3時半に目が覚めた。
気分を落ち着けるため夜明け空でも眺めていようと思ったのだが、厚い雲に阻まれて見えなかった。

 朝食後に授業を受けていたら、ロキが突然資料等をカバンにしまい始めた。
授業は打ち切りかと訊いたらそうだという。理由を尋ねたら「嵐が来るから」と返ってきた。

 やることが無くなってしまったので、船室の窓を開けて海を眺めていた。
11時前頃だったろうか、「くす」の主砲と30mm機銃塔が旋回を始めた。
何事かと思った矢先、300mから600m程度離れた右舷前方に突然、船が現れた。
高いマストに白帆、船腹から突き出した多数のオール、甲板上に動く人影。敵の艦隊だった。
海況は悪くはなく、視程も5km以上はあったはずだ。それなのに接近する敵の姿が見えなかったのだ。

 10隻以上いる事は分かったが、その時には正確な数が分からなかった。
「くす」が発砲を開始したが、76mm砲は3門、30mm機銃は片舷あたり4門だから、一度に7隻の敵にしか
対処できない。その間に接近してきた敵艦から飛翔体がこちらに向けて発射された。
やっと倉島丸の舵が効き始めて左に旋回し始めたが、間に合わない。数秒後、大きな衝撃。被弾した。
 衝撃で転んだ際に椅子の足に背中を強打してしまった。その直後、連続して大きな衝撃。これで3発被弾か。
2度目の衝撃が一番大きかった。その後新たな衝撃が無かったので起き上がり、窓を閉めて外の様子を窺う。
敵艦は2隻が炎上中、1隻は帆柱を折られて船腹にも大穴が開いていた。その他に機銃掃射で
ボロボロになったのが3〜4隻。海上には既に沈没した敵の残骸らしい破片が浮いていた。

 時間にして10分未満。その間に敵艦隊12隻のうち、7隻を撃沈、残りの5隻にも損害を与えた。
この5隻は現れた時と同じように忽然と消えてしまった。逃げられたものと見られている。
我が方の損害は、第5倉島丸がバリスタ弾を3発被弾し、4名が負傷、80tの浸水を見た。
この4名の負傷者には自分も含まれている。その時は打ち付けたところに痛みなど感じなかったが、
後で診てもらったら打撲と診断されたのだ。「くす」も艦尾付近にバリスタ弾を1発被弾したが、死傷者は無し。

 今日の戦闘で、護送船団方式を採用する理由の「手数不足」というのを実感した。
それにしても1ヶ月と経たないうちに同じような場所で2度も船を襲われていて、2度とも損害を出している。
太平洋は比較的敵の数が少ないと聞いていたが、それでこの頻度なんだろうか。
日本海に護衛艦の7割が集まっているのも頷ける。まあ護衛以外の作戦に従事している艦も多いんだが。

 ロキに敵艦が出現した時の状況を話したら、「隠蔽魔法」だと言われた。
可視光線を透過させたり歪めたりして、自分たちを目に見えない状態にする事ができるらしい。
レーダーに映らないのは敵が電波の存在を知っていて、隠蔽の範囲を広げているからかもしれない。
昨日見た、携帯端末に反応するプランクトンのようなものを使えば電波の検出は可能だろう。
むろんこんな事は自衛隊でも気付いている事なのだろうが……

 こんな事が起こったので、昼食は抜き。夕食はその分、一品多く出てきた。
午後の授業は無いだろうと思っていたら、14時から始まって夕食後にも続いた。何事も無かったかのように
振舞っているロキを見ていると、一時の興奮も落ち着いてきた。このヒトは一体、どんな修羅場を
くぐり抜けてきたというのか。知りたくもあり、知りたくないような気もする。
783日記より ◆im0Hwg82eM :2009/05/14(木) 00:49:23 ID:Tyybqtku
投下終了です。今回はちょっと短め……
784創る名無しに見る名無し:2009/05/14(木) 22:33:20 ID:qAmdNqYq
投下乙です。
街中に浸透はしているわ船レベルで光学迷彩は使うわ、こりゃ結構厄介ですのう・・・
785創る名無しに見る名無し:2009/05/14(木) 23:05:51 ID:kLMBMfEU
仮想巡洋艦出したら狩りまくれそうだな
786創る名無しに見る名無し:2009/05/15(金) 06:23:44 ID:bzYC/R5t
何で魔法で回路が焼けるんだ?
アルファ線か何か出してんのか?
787創る名無しに見る名無し:2009/05/15(金) 09:41:42 ID:TjW44J4S
マナが電磁波を放出するとか?
788創る名無しに見る名無し:2009/05/15(金) 12:02:46 ID:wO+MxwQF
目処がついたからそろそろ再開しようかな…
789創る名無しに見る名無し:2009/05/15(金) 12:51:09 ID:EQVuvKjQ
相手がガミラスと思ったらロミュラン級の頭脳持ってる敵か
790創る名無しに見る名無し:2009/05/15(金) 14:51:17 ID:TjW44J4S
>>788
どの作品かはわからないが、思う存分腕を振るってください。
791創る名無しに見る名無し:2009/05/15(金) 15:47:10 ID:xzFKDVOv
>>788
誰だか分らないがお帰り
792創る名無しに見る名無し:2009/05/15(金) 16:24:59 ID:07UcUjRv
そういや最近物語り見ないな
793創る名無しに見る名無し:2009/05/15(金) 20:35:54 ID:qwtw2vLW
なんか、wikipedia で自衛隊関連の項目眺めてたら随分な時間が経ってた罠。
具体的な兵器を扱うのは酷く困難な気がしてならない。
794創る名無しに見る名無し:2009/05/15(金) 22:06:50 ID:VrfMfaf7
有り得ない運用さえさせなければ細かい動作は俺はあんまり気にしない
795創る名無しに見る名無し:2009/05/15(金) 23:25:45 ID:uaD/63zO
1回に7隻沈められてたらアッと言う間に艦隊なくなるなぁ

後ソナーに引っかかるんじゃないだろうか
796創る名無しに見る名無し:2009/05/15(金) 23:29:21 ID:ROJbCrDh
ガレー船の櫂漕ぐ音がどのぐらいの距離から拾えるか、というところだろうね
797創る名無しに見る名無し:2009/05/16(土) 01:55:25 ID:YeRMXs9W
規則性を持った水面を叩く音がするから拾いやすいとは思うけどね

敵の武装がバリスタ程度なら、外板の厚い輸送艦(大型の船は大抵厚いが)に軽武装してけば護衛要らない気がする。
現状でも嫌がらせ以上になってないみたいだが。
798創る名無しに見る名無し:2009/05/16(土) 02:16:06 ID:dOG3vGkO
日が上がってるなら単純に引き波が目視されてそうだな。
799創る名無しに見る名無し:2009/05/16(土) 04:22:07 ID:yWmHWgKA
輸送船が木造船……なわけ無いか、木造船の方が作るの難しいし
因みにタンカーの外板は20mm
tp://www2s.biglobe.ne.jp/~nachi/zakki/yuyo/yuyo_10.html
船底起爆型魚雷を使わないと、自衛隊でも沈められんw
800創る名無しに見る名無し:2009/05/16(土) 09:02:31 ID:AmGy0eCJ
>>791
その帰りってのは、お帰りなさいなのか帰れ、なのかw
俺は前者だけど。
801創る名無しに見る名無し:2009/05/16(土) 09:09:56 ID:CKDqxD70
>>800
もちろん前者ですよ
いつも楽しく拝見させていただいてます
802日記より ◆im0Hwg82eM :2009/05/16(土) 12:27:08 ID:gFdPl7VS
某年 某月某日 火曜日

 4時に目が覚めた。5時半に朝食。
7時から授業、と思っていたら下船の準備だった。昨日の打撲で、後ろを向こうとすると背中が痛む。
予想以上に準備に手間取ってしまった。

 10時、東京港に到着。行きと帰りで1日以上の差が出るのだから、自然の力は偉大である。
荷物を降ろすのを護衛が手伝ってくれた。重たい荷物が多かったので助かる。
船を下りた視線の遠く先に、変わった格好をした群集。アニメか何かのイベントだろうか。
 ロキとはここで別れた。1週間弱の付き合いだったが、見定めようとしても何も見えず、意識の外に
置こうとしても、どこかについて回って遠ざかる事ができない。
その外見もあって、まるで影のような人物という印象だった。またどこかで再会する事はあるのだろうか。

 引越し先へは車で向かった。荷物も多かったし、護衛も楽なので車だったのだろう。
港から50分ほど走り、新居に到着。元は官舎か何かだったようだ。
荷物を降ろして部屋に運び込む。乗ってきた車のソーラーパネルが眩しかった。
すぐ近くに公園があり、日当たりは良好。サツマイモのプランターを窓辺に置く。これなら秋には
収穫が期待できる。部屋の隅には大きな包み。確かに寝具が揃っていた。

 昼食を挟んで、一通り片付いたのが16時過ぎ。外に出てみて驚いた。
向こうに置いて来たつもりの自転車が、駐輪場にあった。誰か知らないが気を利かせてくれたらしい。
という事は新しい勤務先へは、自転車で通う事になるのだろうか。

 夕方のニュースで、昨日の戦闘について紹介していた。
たちばな型護衛艦の増備計画についても説明していた。年2〜3隻のペースで、18隻の建造が予定されている。
近接戦闘を主眼において作られた、船団護衛のワークホースである。
とはいえ敵が大艦隊で船団を襲撃する事例は1年に1回程度であり、それ以外は比較的小規模な襲撃である。
それに備えるための装備としては大袈裟というか、あまりに大規模な整備計画だという意見もあるらしい。
敵にしてみれば、船団護衛にこちらの戦力を割かせる目的もあるのだろう。
隠蔽魔法についても触れていた。「何らかの方法」で発見を逃れた、のだそうだ。

 夕方、しばらく外を歩き回ってみた。やはり大分よりも人が多い。食堂や商店の場所を確かめておく。
護衛が後を付けてきていたようだ。ふらふら出歩いたりして、彼らには心配を掛けただろうか。
それとも餌に食いつく獲物を待っている心境だったろうか。
803日記より ◆im0Hwg82eM :2009/05/16(土) 12:28:42 ID:gFdPl7VS
某年 某月某日 水曜日

 朝、5時に起床。5時半に朝食。食堂へ行く途中で道に迷った。
6時半、道案内を受けながら新しい勤務先に行く。その名は「有限会社 白沼電子」。
新しい自宅から自転車に乗って30分程度で到着した。

 午前中は業務についての説明を受ける。
電子部品や小型電算機を扱う会社なのだそうだ。主な顧客は防衛省。自衛隊では電子装置と魔法を
融合させる研究を行なっているそうで、共同研究のパートナーとしてこの会社が選ばれたのだという。
この会社が開発に参加した「魔法攻撃に強い電子回路」は既に実用試験に入っているそうだ。

 海外への出張もあるのだが、その出張先で社員が戦闘に巻き込まれて死亡しているという。
詳しく聞いてみると、その社員というのは去年、海外土産に光る石をくれた清水らしい。
旅行好きで明るい奴だった。まだ物資が豊富だった頃には、良く飲みに行ったものだ。
去年「一身上の都合で」退職していたのだが、その後この会社に入って実績を重ねていたようである。
 考えてみると、奴が海外から帰ってきて退職するまで1ヶ月も無かったはずだ。
で、自分も石を使ってから2週間経たずに捕まった。退職するまでは1ヶ月弱だ。
一般人が異世界の能力を使うのは国にとって都合の悪い事で、見つかり次第こういった所に送り込んで
処分しているのだろうか。だとすると自分もいずれ海外の戦場に……いやこれ以上は考えたくない。

 挨拶を済ませて、午後から転職して初めての仕事。センサ回路の動作確認。
使用する装置は前の会社で使っていたものより複雑だった。
センサが拾う情報というのが変わっている。赤外線画像とか音響とか、直接的な情報ではない。
複数の回路を流れる情報の変動を検出して、それを総合して目的物を発見するらしい。
ロキが授業で言っていた「魔法が電子回路に影響を与える」というのを利用して、魔法を使っている
対象物を発見するのだろう。しかしこれでは魔法攻撃を受けないと相手を発見できないのではないだろうか。
目潰し攻撃を受けた際に、敵の位置を知るのにこれを使うのだろうか。まだまだ分からない事が多すぎる。

 社員の中に、いつかニュースで見た顔があった。
確か、3年前に政府のコンピュータに侵入して懲役10年の刑を食らったハッカーだ。
国にとっての厄介者を集めた研究機関。ここは日本版「TsKB-29」か?
804日記より ◆im0Hwg82eM :2009/05/16(土) 12:30:15 ID:gFdPl7VS
某年 某月某日 木曜日

 新しい仕事を始めてから2日目。朝は4時半に起床。有難い事に、食堂は5時から営業していた。
早めに朝食を済ませて、通勤ラッシュを避けて早めに出社する。
大通りを通っている間は良かったのだが、会社の近くで道に迷ってしまった。困っていると、
通行人が道を教えてくれた。たぶん彼は公安か何かだろう。なかなか気の利く奴だ。

 今日の仕事は小型電算機の動作チェックだった。全体的に頑丈な造りで、保護回路も多いようだ。
軍用品というには少々複雑だという印象を受ける。しかしこれだけ大掛かりだと実にやり甲斐がある。
最近の民生品は省資源化を推し進めた結果、非常に繊細である。まあそれはそれで、やり甲斐があったが。

 自衛隊の試験場で誘導弾の試験がある。搭載するセンサの開発に我が社が参加したので、
試験に立ち会う事になった。しかしながら、担当の2名のうち、1人が熱を出して寝込んでしまったので、
代わりに自分が付いていく事になった。明日までに目を通しておくように、と言われて資料は渡されたが、
分からない所が2割近くある。早く現場に慣れさせるとか目的はあるのだろうが、急な話だ。
で、その試験場というのが、……新島。
で、明日から2日使って試験を行い、東京に帰ってくるのが月曜日(予定)。……「(予定)」。

 ……で、「さざんか丸」に乗船した。で、船室の寝台で携帯端末を使ってこの日記を書いている。
この船は週1回の運行で、東京港と伊豆諸島を結んでいる。石炭粉末焚きの高い煙突が印象的だ。
 上の寝台から鼾が聞こえてきた。同行する先輩の松本という人物である。
なかなか寝付きが良いようだ。だから如何こうというものでもないのだが。

 新島へは明日の7時頃に到着の予定だ。
向かいの寝台で横になっている人物、見覚えがある。たぶん今朝、道を教えてくれた公安だ。
出港してからだいたい3時間。自分もそろそろ寝る事にする。
805日記より ◆im0Hwg82eM :2009/05/16(土) 12:31:57 ID:gFdPl7VS
某年 某月某日 金曜日

 4時に目が覚めた。5時、船内で朝食。
7時半、新島港に到着。急いで降りる。例の人物も一緒に降りた。

 8時半、防衛省技術研究本部航空装備研究所新島支所に到着。ああ名前が長い。
担当者に挨拶を済ませ、新人という事で紹介された。
1時間程度の打ち合わせ時間を作ってもらい、松本先輩に資料で分からない箇所を説明してもらった。
これで、実に興味深い所まで研究が進んでいる事が分かった。その後研究所員との打ち合わせを行い、
試験の細かい内容やチェック項目などを確認した。他のメーカーからも担当者が参加していた。

 昼食で試練が待っていた。くさや。
においが駄目で納豆が食べられない自分としては、それよりも強烈なかほりを放つ、かの干物など
食べられる筈も無く、あえなく撃沈。雑穀ご飯0.7合と梅干のみの食事と相成った。
この先2日間の食事を想像すると身の毛がよだつ。帰る頃にはこっちが干物になっていそうだ。

 午後に入り、魔法追尾誘導弾の試験を開始。
地上に据え付けられた誘導弾から送られてくる各種データのチェックを行なっている。
送られてくるデータの中から自分の仕事に関連する情報を拾い集め、確認する。
魔法を使うことによって生じる電場磁場その他よく分からない場の微小な変化を検知して、
こちらに魔法が向けられていなくても魔法を探知する事になっている。
 誘導弾自身が飛行することによっても各種の場に変化が生じるので、それをどのように処理すべきか
確かめるのも今回の試験の大きな目的だ。何しろ実際に飛ばしてみないと分からない事が多すぎる。
上手くいったらラッキー、といった感じだろう。4時間にわたって地上試験が行なわれ小さなトラブルが
幾つかあったが、それらは全て解決した。いよいよ明日は発射試験だ。

 夕食の主菜は油揚げと野菜の煮物だった。実に美味く感じる。
この先2日間は、今いる小さな旅館に泊まる。今日は早めに休んで疲れを取る事にする。
806日記より ◆im0Hwg82eM :2009/05/16(土) 12:33:46 ID:gFdPl7VS
投下終了です。>>788氏の復帰を歓迎いたします。
807創る名無しに見る名無し:2009/05/16(土) 17:14:31 ID:AmGy0eCJ
投下乙です。
海外編のフラグが立ったようで何よりw
しかし完全監視下にあるとは言え、いきなり防衛企業に雇用するとは偉い人も大胆な。
それだけ人材が不足しているんだろうなあ。
808創る名無しに見る名無し:2009/05/16(土) 18:10:03 ID:6HZANAWT
投下乙です。
魔法で電子回路が壊れるのは困りますが、電磁気的な方法で魔法を検知できるのなら逆に有利になりますね。
しかも外部装置を必要とせずに回路中に作れるほどの大きさで実現できるとすれば、文字通りユビキタスが実現できるかもw
809創る名無しに見る名無し:2009/05/16(土) 18:13:03 ID:yWmHWgKA
810創る名無しに見る名無し:2009/05/16(土) 20:11:25 ID:L6Eyw0yO
>>809
酸化マグネシウムの還元がきびしいなー
811創る名無しに見る名無し:2009/05/16(土) 21:35:30 ID:yWmHWgKA
太陽光励起レーザー利用だし、余剰電力の貯蔵にも使える
バッテリーや高圧タンクよりも使いやすいエネルギー貯蔵装置ってね
812創る名無しに見る名無し:2009/05/16(土) 22:49:49 ID:ov2pDFyk
ふぐマンのアレか
コレに限らず水から水素を取り出す触媒とか色々夢のエネルギー源とか出てきてはいるものの
一向に実用化レベルにまで達したやつにはお目にかかったことがないな
813創る名無しに見る名無し:2009/05/17(日) 00:34:56 ID:ZXmUnl3a
一定以上のレベルにするには企業〜国家レベルの資金が必要となる…からかな?
実は資金があれば実用できるけど、国際世論的にOUTだからやってないだけ〜だったら嬉しいのだがwww
814創る名無しに見る名無し:2009/05/17(日) 00:35:08 ID:S8Jc8zeq
エネルギー源じゃない蓄電池だよ
今さら太陽光が夢のエネルギーってわけでも有るまい
地下資源由来の炭化水素を使わないとして
既にバッテリーも高圧水素も密度は劇的には変わらない
低レベルで行き詰まった
じゃあ、ガソリンや軽油の次のエネルギー貯蔵・輸送手段は?
というと、これと藻類から軽油やガソリンを作るのしか……
815創る名無しに見る名無し:2009/05/17(日) 12:18:50 ID:Fttde1pi
固体燃料ロケットのように高カロリーエネルギーを安定した形で保存
液体燃料ロケットのように出力増減を自在に制御できれば運動体として理想なんだが
そう考えると石油は便利な燃料源なんだよな

魔法の「マナ」がどんな形態か不明だが
意外と日本の科学技術と相性良かったりすること期待w

>>803
魔石くれた元同僚は既に鬼籍に入られたか、南無南無(−人−)
魔石をどのように「利用」したのかまだ記述されてないが
本人に記憶が無いようなのが気になる
816創る名無しに見る名無し:2009/05/17(日) 22:29:39 ID:gXqSTpH2
前に出た武装輸送船の話で衝動的に短編書いた。
誤字脱字文脈とかはキニシナイ


夜の暗い闇の中を一隻の船が疾走する。
軽武装輸送船「第二愛国丸」
 なにやら旧大日本帝国臭い名前のこの船はコンテナ輸送用の2万t級RO-RO船である。格納式のトレーラ用タラップを装備する事で、まともに整備などされていない『大陸』の港に直接貨物の積み下ろしを可能とした。
この船には自衛用として、ボフォース40mmL70機関砲を(かってに)国産化したものを船体の前後に2基、対人用としてM2重機関銃を8基搭載し、警護の自衛官を9名搭載した軽武装輸送艦である。
小国の戦闘艇並みの武装を持っていながら、軽武装と冠されているのは、巨大蛸や有象無象の化け物が実際に暴れ狂う『外洋』で運用される重武装輸送船との区別化のためである。
第二愛国丸は主に、日本と『大陸』の間に広がる『内海』での運用を目的としている事から、遭遇する可能性のあるのは敵対国や海賊のガレオンもしくはガレー船、繁殖期の中型海竜くらいなものである為、40mm機関砲ですら過剰と言われている。
既に日本周辺の敵対国の艦隊は完全に壊滅しており、最近ではどこかに隠していたか、民間の物を徴用したらしいガレー船団で襲撃を掛けてくるのが精々であった。
初期こそ、正規の軍艦らしき大型の帆を備えたガレー船や全帆帆船が出現したが、大型の帆柱と帆は海上で容易に発見されアウトレンジで殲滅される事から、現在の敵の主流は小型で帆を持たないか、折りたたみ式の小さな帆柱を備えた小型ガレー船となっている。
この小型ガレー船はバリスタを一門程度と火力こそ低いものの、所謂海上迷彩と隠蔽魔法で船体を隠して奇襲を掛けてくる。
さらに、低姿勢で全木製のガレー船は海面のノイズのおかげでレーダーに映りにくく、非常に発見しにくい厄介な物であった。
・・・が、大抵の輸送船が20ノット程度で航行しているのに対し、最大速力が8ノット程度のガレー船は輸送船の正面から一撃離脱か同行砲戦を仕掛ける位しか、まともに戦闘を行なえる可能性は無く、武装した輸送船にとっては脅威とはならないとみなされていた。
更に最近では『友好国』の艦隊や、私略船が敵対国が弱体化したのをいい事に好き勝手に暴れまわっており、外務省が『友好国』に対して日本の海で許可無く戦闘を行わないよう文句を付けた程だ。
817創る名無しに見る名無し:2009/05/17(日) 22:31:46 ID:gXqSTpH2
「敵艦みゆ!」
やっとこさ最近装備された近距離木製船対応レーダに複数の船影が映る。
「また、海竜の群れじゃないだろうな」
電灯の落とされた暗いブリッジで、レーダを覗きこんだ初老の船長は白い眉をへの字に曲げる。
この間、すわ敵艦かと戦闘態勢をとってみた所、実際には温和な大型海竜が群れで遊んでいる所だった。
危うくじゃれ付かれる所だったから、下手をすれば敵艦より危険である。
「調整はやりましたし、艦隊機動を取ってます。」
若いレーダ担当の船員が抗議するように言った。
「帆なしガレー船なら友好国様ではないな」
嫌味を聞かせて様付けで呼んだ。
なお『友好国』とは『大陸』の最大の国家で世界秩序の中心を名乗っている鼻持ちならない連中であるが、どうやら日本の下腰外交に気を良くしたらしく、やたら友好的である。
『友好国』が『世界秩序維持』の名目で派遣している艦隊や私略船は、遠方から来ている為、例外なく大型の装帆船であった。
船長は館内放送用のレシーバを握る。

【船長より各員、敵艦接近、戦闘準備!】
ビー!ビー!と低い警戒音が小さめに鳴り響く。
担当の船員達が40mm機関砲やM2に取り付き、護衛の自衛官が89式小銃のボルトを引き、初弾を装填する。
もし乗り込まれて、白兵戦になった場合に備えて各部の防水扉が自動的に閉鎖されロックされるガシャーンという音が響き渡る。
「各部防水扉閉鎖完了、装甲窓を閉めろ!」
「40mm機関砲スタンバイ! 機関銃座もOKです!」
【こちら山崎三尉。護衛隊準備完了しています】

「敵船団は正面から接近」
「回避するには微妙な距離だな」
敵船団はちょうどこちらの真正面から接近してきていた。
「増速して接近、敵船団に突入」
「!? 船長?」
「下手に逃げて航路変更すると同航戦に持ち込まれる。一撃離脱で突破したほうが被弾の機会は減るだろう」
船長の言っている事が正しいのは、分かるが船員からすると武装しているとは言え輸送船が敵艦に突っ込んで行くのは抵抗があった。
「怖いかね」
「正直・・・ちょっと」
「昔の船乗りは戦うのが当たり前みたいな時代もあったのだよ」
「現代日本でそうなるとは思ってませんでしたから」
「私もだ」
船は僅かに操舵を行い、敵船団に近づいていった。
818創る名無しに見る名無し:2009/05/17(日) 22:34:06 ID:gXqSTpH2
「視認距離に入ります!」
【敵船団接近中だ。敵が隠蔽をといたら射撃せよ】

三菱10式40ミリ機関砲はボフォース40mm機関砲を勝手に生産したコピー品で、原型はWW2以前に開発された機関砲である。
10式Bタイプと呼ばれる物は、商船自衛用に生産された物で、脆弱な商船の甲板にも負荷を与えないし、簡単に設置できる。
最新のものは一般人が簡単な訓練で使用出来る事を重視し、狙いを付けるだけで弾の弾道に合わせた調整が行われ、簡易的とは言え偏差も修正してくれるという優れものである。
が、この船に搭載されているのは初期型の簡単な十字型のサイトしか
付いていない。
その十字型のサイトを指示された方角に向け、射手は睨みつける。
「見えた!」
40mm機関砲の隣で双眼鏡を覗き、見回していた船員が叫ぶ。
荒れる海の波間から霧の中から湧き出るように船が現れる。
「前方砲座射撃開始!」
パン!パン!パン!パン!
現れた敵ガレー船の船体に榴弾が数発着弾する。
敏感に調整された榴弾は船体を突き抜けると同時に破片を撒き散らしながら爆発し、船体を破壊して、船体と砲弾の破片で船員を穴だらけにしてゆく。
まぜこぜに撃ちこまれた焼夷弾と曳光弾が船体に突っ込んで着火し火災を引き起こす。
ガレー船が大きく燃え上がった所で次の船に狙いを定める。
バリスタが何発か飛んできたが、小型で不安定な船上から撃たれた矢は当たるはずも無く明後日の方向に飛んでいく。
「弾装填もっと早く!」
「敵の数が多いぞ!」
数発ずつクリップにまとめられた弾が、次々に消費され、2人の給弾手が汗だくになりながら装填していく。
船に乗り込もうとしたのか、1隻の船が左舷より接近してくる。
M2重機関銃の銃火が集中し、ガレー船を穴だらけにしていく。
次々に飛び込んでくる12.7mm弾は、オールを漕ぐ奴隷達をバラバラにしていった。
半数以上の人間を失ったガレー船は操舵を失い、迷走し始める。
「おい! 右舷に敵艦!」
燃え上がる味方船の煙の中に隠れて接近してきたのか、いつの間にか至近距離にガレー船が近づいていた。
タン! タン!
低倍率スコープをつけた自衛隊員が、切り込もうと縄梯子の準備をしていたガレー船の船員をセミオートで撃ちぬいてゆく。
そこにM2の掃射が襲い掛かり、ガレー船の甲板は赤く染まる。
弓で応戦しようとした船員が遮蔽物にしていた、帆柱ごと撃ちぬかれ倒れこむ。
それでも近づいてくるガレー船はついにM2では射撃できない船の下まで入り込む。
それに向けて一人の自衛隊員が89式をフルオートでぶちまけながら、手榴弾を投げつけた。
それをみて手榴弾の存在を思い出した他の隊員が次々に手榴弾を投げ込む。
爆音と共に木片が飛び散り、間違えたのか故意なのか、混じっていた焼夷手榴弾が木も金属も人も全てを焼き尽くす。
「なんちゅう数だ!」
「圧倒的じゃないか!敵軍は!」
「けっこうな事で!」
「黙って撃て!アホ!」
自衛隊員たちは弾倉を交換しながら新しい船に向け必死に撃ちまくる。

「なんでこんなに敵が多いんだ!糞っ!」
レーダに映っていた数より遥かに多い敵の数に船長は自分の判断を呪った。
「すいません!レーダで捕らえ切れなかったようです!」
「何がこれなら大丈夫だ役人共め!」

操舵手を失い迷走していたガレー船が輸送船に正面から衝突し、船首になで斬りにされるように2つに割れ、バラバラの木片になる。

「敵が逃げ出し始めた!」
「逃がすな!撃て!撃て!」
背を向けて逃げ出した船に40mm砲弾が襲い掛かり、舵をバラバラにする。


敵が慌てて逃げ出そうとした頃には数十隻居たガレー船団は10隻以下まで減っていった。
「弾の使いすぎだな」
「また運輸省に文句言われますね」
「前回の比じゃないだろうなぁ・・・」
船長は頭を抱えた。
819創る名無しに見る名無し:2009/05/17(日) 22:36:16 ID:gXqSTpH2
新世界暦2年 12月5日 第二愛国丸事件
『内海』で、終結していた数十隻の敵対国の艦隊と軽武装輸送船・第二愛国丸が接触、第二愛国丸が一方的に蹴散らす形で30隻以上を撃沈した事件。また、この事件の後起きた外交戦争を含む事もある。
後に分かった事だが、敵艦隊は日本沿岸部への襲撃を目論み残存戦力を終結させていた事が戦後、敵海軍の記録より判明した。
さらに、敵船に使用されていた隠蔽魔法技術及び人材や、これだけの船を揃えた資金源が『大陸』東方を支配する通称「東方陣営」から出ていた事が発覚する。
日本政府はこれに対し恫喝を含めた抗議を行い、さらに陣営に所属する小国への切り崩し、分離独立派への資金提供、中立国家へのロビ^−活動など数々の工作を伴う報復を実行した。
結果として外交的、内政的、経済的、軍事的に追い詰められた東方陣営は中立国を介して日本との和解を申し込んだ。
この事件の結果として大陸東方における日本の覇権が確立され、日本は『良く分からない異国』から『大陸覇権を争う列強の一番手』となり、日本政府の思惑を無視して覇権戦争に巻き込まれる事になる。

820創る名無しに見る名無し:2009/05/17(日) 22:37:21 ID:gXqSTpH2
投稿終わり

近代火器マンセーで戦闘描写薄いのは仕様
821創る名無しに見る名無し:2009/05/17(日) 22:46:55 ID:9DeAk99K
乙!
仕様ならしようがないな
822創る名無しに見る名無し:2009/05/17(日) 22:55:45 ID:KFpbIq3I
乙でした〜

おかげで敵船団のど真ん中で無双してる輸送艦を妄想したわw
823創る名無しに見る名無し:2009/05/17(日) 23:08:37 ID:JgD01gx3
投下乙です。
マジ容赦ねえw
824創る名無しに見る名無し:2009/05/17(日) 23:29:04 ID:QSI8hDtE
投下乙!
木造船相手だと、やっぱこうなるよなあ……
825創る名無しに見る名無し:2009/05/18(月) 00:38:05 ID:s1jkY3Ih
暫くぶりにこういう
「なめんなファンタジー近代兵器TUEEEEE!!!」的容赦の無い作品の見るとスカッとするよな。
826創る名無しに見る名無し:2009/05/18(月) 04:01:19 ID:BL8SElwF
未だ木造船がレーダーに映りにくいと思ってる所が残念
船外機で動くサイズなら兎も角、ある程度の船なら普通に映るのに
827創る名無しに見る名無し:2009/05/18(月) 06:16:45 ID:x6B9j6EF
ファンタジー木造船相手に音波兵器を使ったらどうなるんだろ
船体が崩れるってことはないと思うけど想像がつかない
828創る名無しに見る名無し:2009/05/18(月) 06:53:41 ID:BL8SElwF
マイクロ波照射装置なら使えるとおも
近距離なら失明させる位楽勝
829816:2009/05/18(月) 08:30:20 ID:qxKG7En7
>>826
木造船はやっぱ探知しにくいですよ。反応が薄くなる。
あたごが漁船にぶつかった一因としてFRP船体の反応の薄さもあるみたいですし。
ただ探知しにくい一番の理由としては『内海』は冬の日本海並みに荒れてる想定なので、小型ガレー程度だと波間に完全に隠れてクラッタとかいうレベルじゃねーぞ的にレーダが使いにくい想定でふ
今回輸送船に積んでいたレーダはその辺の対処を行った新型という設定でした。
830創る名無しに見る名無し:2009/05/18(月) 08:35:51 ID:tF+InNGN
なんという輸送船無双ww
civ4スレかとオモタよ
831創る名無しに見る名無し:2009/05/18(月) 11:09:03 ID:BL8SElwF
>>829
いいえ、材質よりも大きさの違いが大きいです。
金属でも、船体が小さければ、波と似た挙動を取り
反応が波に紛れ込んでしまいます。

あたごの件はレンジが近距離のモードでなかった事を
考慮しなければいけませんが、それでも一応捉えてました。
因みに、清徳丸の全長は12m
当然、人が隠れられる帆柱が有るガレー船はこれより
ずっと大きいですよね。
832創る名無しに見る名無し:2009/05/18(月) 12:52:55 ID:smJe4AWx
>>829
あたごの件は機械は正常に作動してたがあたごの乗組員が対応誤ったのが最大の原因
いわゆるヒューマンエラーってやつ

今回の海戦はたまたま遭遇戦みたいな物だったが
相手がスクリュー推進のこと知ってたら船と船を長いロープで結んで
スクリュー停止を狙って足止めする戦法とられ群狼に囲まれた巨牛の末路に
速度差が有って我が方に優速ならば回避が最善手
833創る名無しに見る名無し:2009/05/18(月) 15:51:21 ID:IVPqs8n3
ロープじゃスクリュー止められないし
たとえ鎖でも砕かれて終わりじゃないか?
834創る名無しに見る名無し:2009/05/18(月) 16:20:09 ID:8Le4gLVF
そこで魔法の登場ですよ
鎖に強化魔法のようなものをを
恒常的にやられていてスクリューにも対策されているならまだしも、奇をもってするなら有効かも
835創る名無しに見る名無し:2009/05/18(月) 17:11:44 ID:InK7GGNc
そんな強化魔法よりバリスタをHEAT弾頭つきに強化する魔法ください><
836創る名無しに見る名無し:2009/05/18(月) 17:45:49 ID:smJe4AWx
F世界の漁網を舐めたらあかんw
クラーケンや海竜の居る海で操業するんだ、それ相当の強靱さを
837創る名無しに見る名無し:2009/05/18(月) 18:05:52 ID:qxKG7En7
引っ張り強度と耐刃性は別のものでっせ
838創る名無しに見る名無し:2009/05/18(月) 19:17:23 ID:CyONDexY
ライトセイバーは科学だろうか?
839創る名無しに見る名無し:2009/05/18(月) 20:54:36 ID:BySaFEG+
だが直に機雷を放流する くらいの知恵はつけてきそうな悪寒
840創る名無しに見る名無し:2009/05/18(月) 21:01:04 ID:gxumS2h8
>>836
そんなに強力な網あるならクラーケンや竜に直接網打ったら撃退余裕だな
そこらの三流魔法使いが現代のよりかなりへちょい網に数トン〜数十トンクラスの巨大生物が
全力で暴れても切れないレベルまで強化できる、ってんなら鎧に銃弾軽く無効化できるレベルの強化かけれるだろ
要塞も同様に砲撃爆撃無効クラスの強化は出来るし皮膚強化でもすれば刃物は半ば無効
魔法そんなに万能設定にすんの?
841創る名無しに見る名無し:2009/05/18(月) 21:41:06 ID:LVBEINtv
そんなのは、作者の裁量しだいだろjK
842創る名無しに見る名無し:2009/05/18(月) 22:49:10 ID:HOusqS6K
なんか久しぶりに、Civ4を低難度でやってみたくなったなー
長弓兵とかマスケットを現代機甲部隊とステルス爆撃機で蹂躙とか、未だに敵都市に城も建ってないのに戦術核とか
843創る名無しに見る名無し:2009/05/18(月) 23:20:24 ID:SzPJcj69
civは戦車を槍兵で倒せるのがなんだかなー
844日記より ◆im0Hwg82eM :2009/05/18(月) 23:35:54 ID:Mu0Q+zlM
某年 某月某日 土曜日

 4時に起床。朝食は……くさやだった。
玄米と味噌汁のみでは体が持たない。意を決して少しかじってみた。昏倒……はしなかったが悶絶した。
においだけでダウンした昨日よりは進歩したのだろうか。味は、味は悪くないのだが。

 魔法追尾誘導弾の試験は2日目。
8時、発射準備開始。地上ではテレメトリに異状は無い。どうでもいいが管制室が実にくさや臭い。
9時半、強風のため待機となり10時過ぎ、発射された。

 安全のため、離昇直後は慣性誘導で制御される。これは正解だった。
海上に出たところで誘導がセンサに切り替わった瞬間、テレメトリに大きな乱れが生じた。
通信途絶までの約5秒の間に、誘導装置の内部では進行方向変更のコマンドが連続して出されていたようだ。
結局、急激な方向転換で安定翼が破壊、そのまま自爆した。
当然、標的として魔石を取り付けられた海上の浮標には命中せず。船が出て回収してきた。

 誘導弾が飛翔する事によって、センサが検知していた場に大きな影響を与えたのだろうと思われる。
今回が誘導弾へセンサを搭載した初の実験なのだから、これだって貴重なデータだ。
考えてみれば、最も速い移動速度を持つ魔法生物だって300km/h以下なのだ。超音速の魔法世界など、
誰も見たことはあるまい。ましてや軽合金やら火薬やら、この世界に無いものばかりなのだから。
このままでは、とても実用にはならない。それに現在の誘導装置では弾頭を装備するスペースが無い。
 航空機に試作センサを搭載して行なわれた試験では、得られたデータに多くのノイズが含まれていた。
ジェットエンジンや周囲にある電子機器の影響を受けたものと見られていたのだが、どうやら
高速移動による影響も少なからずあったようである。
エンジンスタート時からデータが乱れていたようなので、速度以外の影響もあるのだろうけれど。
いずれにせよ、今日得られたデータも今後の研究開発の貴重な材料となるだろう。

 その後は後始末やデータの整理等で忙殺された。旅館に戻ったのは18時を回ってからだった。
明日は、予定では帰りの船に乗るまで観光でもする事になっていたが、そんな暢気な事はできまい。
きっと研究員たちと、時間の許す限りデータ分析か失敗の原因究明だろう。
845日記より ◆im0Hwg82eM :2009/05/18(月) 23:37:37 ID:Mu0Q+zlM
某年 某月某日 日曜日

 4時前に目が覚める。
5時半に朝食。くさやではなかった。助かった。

 朝一で研究所に向かい、研究員たちと意見を交換する。
彼らの見解では、あのテレメトリデータの乱れはいわば「風切音」のようなものではないかという。
まずは素材による場の乱れからセンサを隔離しつつ、速度による場の乱れを拾い出す必要がある。
速度変化による影響を確認するため、木製羽布のグライダーに載せて試験したらどうかと提案してみた。
操縦して速度を変える事もできるし、機材を回収して再使用する事も可能だろう。
他にも意見が出たが、この提案を含めた各種意見を本土へ持ち帰って検討する事になった。
 とりあえず今後の方向性としては、さしあたっては速度が遅くセンサに影響の出にくいものに搭載しての
試験を推進する、という事になりそうである。

 会社でもらった資料には、地上に固定しての試験では協力者の魔法を探知する事に成功したとある。
この協力者というのはダークエルフのロキの事なのだろうか。あるいは他に協力者がいるのかもしれないが。
地上での試験では一定の成果が出ているのだから、今のシステムがもし実用化されるとしたら、
陸自の装備とか街中での不審者警戒用の装備とかになるのだろう。
 陸上、空中と来れば、今度は海上でのセンサ試験を行なう事になるのだろうか。
海上で魔法を探知できれば、例の隠蔽魔法を探知して先制攻撃を行なう事も可能になろう。

 15時半、本土に戻る研究員たちと共に「さざんか丸」に乗り込んだ。
向かいの寝台には行きの便でも見た人物。あれ、やっぱり公安か何かだろうな……
船内で摂った夕食はそれなりだったが、シャワーを浴びて着替えた所で愕然とした。服がくさや臭い。
帰ったら使わなかった服も洗濯だ。今度からは服の包みは厳重に密封する事にしよう。
明日、会社に戻ったら早速データの分析が始まるのだろう。忙しくなりそうである。
846日記より ◆im0Hwg82eM :2009/05/18(月) 23:39:23 ID:Mu0Q+zlM
某年 某月某日 月曜日

 4時に起床、5時に朝食。
6時、東京港に到着した。服はまだ臭う。自宅までは鉄道を使いたいが
ラッシュアワーにこんな臭い服では周りの顰蹙を買いそうだし、会社でも同僚に迷惑である。
近くにコインランドリーがあったので飛び込んで、会社に来ていく服だけでも洗って乾かした。
上着には大枚はたいて、今や贅沢品となってしまった消臭スプレーを使う。
7時前、ラッシュが続く電車に乗って自宅に向かった。8時過ぎ、自宅に到着。配給キップが届いていた。
荷物から仕事道具を引っ張り出して自転車に飛び乗る。
そしてひたすら飛ばす。生乾きの服は体が冷える。風邪をひきそうだ。

 会社に着いたのが8時半、1時間半の遅刻だった。
回ってきた仕事は試験のデータ分析ではなかった。別の部署でプログラミングの手伝いをする。
データ分析は事情がよく分かっていない新人に任せられる仕事ではない、という事なのか。
昼食時に元ハッカーの社員、入江が話しかけてきた。去年、服役中のところを特別措置とやらで
出所してこの会社にやってきたのだそうだ。話をした印象では、なかなか気さくな性格のようだ。

 午後に入って、誘導弾の試験データ分析を行なっている会議室へ呼ばれた。
試験に立ち会った一人として何か意見を求められたので、新島での意見交換の所感を述べた上で
グライダーでの試験を提案して、ついでに装置に落下傘を付けて投下するアイデアも出してみた。
とにかく自然素材のみで実験設備を構成する事で、センサへのノイズを減らす事ができるのではないか、
というのが今の自分の考えである。この意見はどう扱われるのか、全く見当も付かない。

 帰宅一番、コインランドリーに行って服をまとめて洗濯した。
新島や港での洗濯代と合わせると、かなりの出費になってしまった。くさや恐るべし、である。
 家でキーボードに向かっていると、やはり日記を書くにはPCの方が良いと感じる。携帯端末では
どうしても感情が入りやすくなる。「あの日」以来この日記を書き続けているのは、その日起こった事を
書き綴る事で精神を落ち着かせる為である。捕獲されてからの2週間の精神状態は酷いものだったと思う。
たとえ戦場に放り込まれたとしても、この習慣だけは捨てたくない。
847日記より ◆im0Hwg82eM :2009/05/18(月) 23:41:04 ID:Mu0Q+zlM
某年 某月某日 火曜日

 4時に起床、5時に朝食。夜明け前には目が覚める体質にでもなったらしい。
6時に家を出て会社へ向かう。会社の近くに差し掛かる頃には道が混み始めている。さすが東京だ。

 仕事は車載電算機の動作試験。保護回路の容量を大幅に引き上げた改良型である。
午後に入って、入江がやってきた。何事かと思ったら、プログラムにバグがあったので修正したいとの事。
一旦調整室に戻すのかと思ったら、その場でケーブルを繋いで10分もしない内に修正してしまった。
さすが元ハッカー、凄腕である。とはいえ試験は最初からやり直しで、明日に持ち越しとなってしまった。

 終業後、入江と夕食を食べに行く。この状況をどう思うかと鎌を掛けてみた。遠回しの会話を重ねた結果、
事情は知りたいが、こんなヒモ付きの身の上ではどうにもならない、という見解で双方が一致した。

 入江の場合、ネット上で流れていた噂を見て、軽い気持ちでハッキングを掛けてみたのだという。
その時には侵入できず、その数日後からは誰かに監視されていた。これは何かが動いていると思って
本気でハッキングを掛けて侵入してみたら、国による魔法研究の情報にぶち当たったのだそうだ。
 で、1週間後には逮捕されて起訴、すぐに裁判で判決を受けて服役。刑務所では刑務作業の他に
さまざまな能力テストを受けたり、得体の知れない人物たちとの面接もあったらしい。
服役中には恩赦だとか仮出所だとか、他の受刑者がいろいろな理由で出ていくのを見ているそうだ。

 食堂で見た夕方のニュースで、大陸で戦闘があったと報じていた。場所は暫定国境線のすぐ近く。
現在拡大中の農地に攻撃を仕掛けてきたのだそうだ。林の中から移動式カタパルトによる攻撃を受けて、
邦人に死傷者が出たらしい。自衛隊が反撃して敵勢力を撃退した。
対砲兵レーダーでも使ったか、それとも偵察ヘリあたりか。どうやら近いうちに掃討作戦がありそうだ。
 その次に報じられたニュースがまた変わっている。海竜の子供が釧路の海岸に迷い込んだ。
頭部に毛がある。早速、「毛生えクッシー」と呼ばれているそうだ。場所が微妙に違うだろうと思うのだが……

 入江との話が弾んで、帰ってきたのは暗くなってからだった。少し話しすぎたか。
まあ気軽に話せる相手が出来たのは良い事だ。試験部の同僚とも早くこれくらい打ち解けたいものだ。
848日記より ◆im0Hwg82eM :2009/05/18(月) 23:43:05 ID:Mu0Q+zlM
投下終了です。戦闘シーンはニュース映像の描写でも大丈夫ですかね?
849創る名無しに見る名無し:2009/05/19(火) 00:12:40 ID:GRCFMqo5
投下乙です。
公安も仕事か休暇かわからんなあwwww

しかして伊豆諸島の真の名物はくさやではなくアシタバと無理やり主張してみる。
もう遅いけど。
いや本当にそこらじゅうに生えてるのよ、救荒作物の名は伊達ではないんです。
850創る名無しに見る名無し:2009/05/19(火) 00:13:23 ID:MAZXl4H5
日記の人乙です。

とある人達の戦記録の人も来ないかなぁ……
851創る名無しに見る名無し:2009/05/19(火) 00:13:35 ID:GRCFMqo5
>>848
ニュース映像のでおっけーですよー。
あくまでも彼の目に映る情報ですから。
852創る名無しに見る名無し:2009/05/19(火) 01:02:13 ID:qKM3vAaL
なんという投下ラッシュw
毎度お疲れ様です
853創る名無しに見る名無し:2009/05/19(火) 01:10:25 ID:Wj2qO52d
乙です

これで食堂のメニューにまでくさやが出現したら
何者かの魔の手が主人公の間近に迫った兆しかも知れぬ

854創る名無しに見る名無し:2009/05/19(火) 03:51:05 ID:q6n/KDsV
会社総出でハゼの干物とか作り出したりしないのだろうか
855創る名無しに見る名無し:2009/05/19(火) 07:24:03 ID:z48iHpmL
>>849
うちの地元も明日葉は雑草レベルの繁殖度だw
あれはほんとに強い
856創る名無しに見る名無し:2009/05/19(火) 07:56:01 ID:9cg2Tie5
異世界転移すると家庭でも干物とか保存食作るようになるのだろうか
857創る名無しに見る名無し:2009/05/19(火) 08:39:15 ID:Dt+p5qc1
ダッシュ村のDVDとかが飛ぶように売れそうだなw
858創る名無しに見る名無し:2009/05/19(火) 19:42:49 ID:V+SGO79j
自衛隊の兵器としてガサラキは有りですか?
859創る名無しに見る名無し:2009/05/19(火) 19:49:34 ID:pxfLHv6l
>>858
ライデン、シンデンじゃなく「ガサラキ」か
自衛隊じゃなく宮内庁が保存していたのを拝借ぽいな
860 ◆8b20lCD.o. :2009/05/19(火) 19:51:09 ID:SjVLs4BC
('A`)ユエアッテ カキナオシヲ シマス
  ハナシノオオスジハ マエニカイテイタノト カワリマセン
  Gary Gygax氏のご冥福をお祈りいたします

「汝のやりたいようにやるが良い」ファラリス神の言葉
861とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/05/19(火) 19:54:02 ID:SjVLs4BC
日本の北に位置する、かつての地球にあったオーストラリアを上下ひっくり返したような
オーリア大陸に位置する、魔物の排除と人類の生存権の拡大を掲げるバッサン帝国。
遠く離れた西のアルメリア大陸、魔物が居る広大な大地を擁する国家連合のライバー国郡がある。
二つの巨大な国に囲まれ、かつての地球であった太平洋にあたる中程に位置する国、日本。

7月1日、深夜12時日本各地の震度計“だけが”震度7超を記録し、
突如として衛星ケーブル無線、民間軍用問わず“日本を除く”全ての通信が途絶した。

「田中ーっ」

7月3日、僅かに生き残った衛星や自衛隊の活躍により極めて重大な海外情勢が判明する。
すなわち“異世界に転移してしまった”ことである。

「田中起きろーっ。寝るなーっ」

更に運が悪いことに、その世界は魔物が跳梁跋扈する剣と魔法の世界で戦乱の真っ最中であった。

「起きろ!」

この物語は異世界に呼ばれてしまった日本の記録である。
862とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/05/19(火) 19:54:59 ID:SjVLs4BC
此処は永田町近くのとあるファミリーレストラン。
食事中テーブルに突っ伏して眠りこけてしまった20代前半の男を叩き起こしている、同年代の若い男。
鈴木亮(すずき あきら)、陸上自衛隊の弾薬課所属一尉だった。
時間は昼。店は外出禁止令が出ているせいで閑古鳥が鳴いている。客は鈴木と田中、野郎が二人きり。
大声を出す田中を見て店長が少し迷惑そうな顔をしていた。

「おい。起きろ」

 鈴木は小さな声でテーブルで寝ている田中の肩を揺らした。
昼食のミートソーススパゲッテイとパインサラダを平らげたとたん、電源が切れたかのように田中は眠ってしまった。
気持ちよさそうに熟睡していてぐっすり全く起きる気配がない。

「コイツの方が給料高いのにまた俺が払うのかよ。おい、お勘定」

 渋々、二人分の昼食を支払う。また貸し一だ。
眠り続ける180pの長身を肩に背負い、運転手つきの田中が乗ってきた黒い高そうな官給車の後部座席に放り込む。
ハンドルを握る無愛想な運転手も彼と同じく、目の下にくまが出来ていて疲労の色が伺える。
外出規制でがらがらになっている道をベンツが走る。
 街路のあちこちに立つ濃緑色の自衛隊員、外部スピーカーを付け十字路に陣取った装甲兵員輸送車。
店はシャッターや本日閉店の札が掛けられ、コンビニと一部の大手チェーンしか明かりがついていない。
空に無数の飛行機雲、人と車が全くいない昼の東京は静か過ぎて奇妙だ。

「お疲れ様です」

 地面にコイル状にひかれた有刺鉄線、二重に置かれた車両止めに機銃を備えた黒い巨大な装甲車、検問。
車の窓を開けて自衛隊員にパスを見せると、バリケード代わりに使われているバスが動き中へと通される。
先に見えるは国会議事堂。国会以外にもテレビ局、各省庁には自衛隊が展開し守りを固めている。
都市部の重要拠点攻撃、ゲリラコマンド対策である。
 とりわけ防衛省と国会の警備は厳重で、タイヤを外したバスを使った車両止めのバリケードや
建物周囲のビルを徴収、空には無数のヘリが飛びまわるなどととりわけ厳重な警戒態勢がしかれている。

「すみませんが、車の中で暫らくお待ちしていただく事になりますが宜しいでしょうか」

 検問を担当する自衛隊員の話によると、
現在国会議事堂では重要な閣議が開かれているとかで一切の立ち入りが禁止されているようだ。
 田中が「私も職員だ」と言うも「駄目です」の一点張りだ。
職員も含めての立ち入り禁止らしい。ゲート前で立ち往生。
まるで戦争前夜だ。だというのに田中は平和そうにのんびりと寝ている。いびき一つかきやしねぇ。

「弱中!空中!前前!弱中弱中弱中!空投げおらぁ!カットカットカットォ!」

 静かに寝ていた田中が突如奇声を発し、寝ぼけたまま隣の座席に居た鈴木の下へ飛び込む。
鈴木は突撃を軽く左へ受け流すと、勢いが付いたまま立ち上がった田中は車の低い天井にごつんっと頭をぶつけた。

「あだだだっ!酷いじゃないか。もっとマシな起こし方があるだろう」

 頭を抱えて蹲る田中。勝手に自爆したのはそちらだろうに。

「其方から呼び出しておいて食事中突然寝て、二人分の勘定払って身長180pのお前を
 車まで運び出した俺の苦労も考えてくれ」
「あははははは、済まなかった。で、肝心のブツは持ってきてる?」
「ああ、これだ。確認してくれ」

 スーツケースを開く。
クトゥルフの呼び声新盤、ウォーハンマーのミニチュア、D&D最新英語版、
じゅんいっちゃん同人誌(フィギュア無し)。各種DVDと設定資料集。
 色とりどり多種多様の世間一般ではオタクとされるグッズの数々。
田中、いい加減にやりもしないゲームのルールブックと攻略本ばかり買うんじゃないよ。
863とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/05/19(火) 19:55:48 ID:SjVLs4BC
「うん、全部揃ってるね。ありがと」
「通販で揃えたらいいだろうに。最近じゃ中が見えないように梱包してくれるそうじゃないか」
「いやまあ、近々流通が止まるかもしれないし。通販は大手のものしか取り扱わないからね」
「だったら直接買えばいいだろ」
「世間の目があるからね。弱みを見せたくないんだよ。外務省の官僚ってのはなかなか大変な仕事なんだよ?
 主に足の引っ張り合いとか派閥争いがあるよ。家にも知られたくないし」

 そう話す、真っ黒な生地の良いスーツを着てふちなし眼鏡を掛け真っ黒な髪の20代前半の男。
可もなく不可もない中の上ぐらいの顔をしている、日本国外務省の役人、田中茂人である。
現場から這い上がって一尉になった制服組の鈴木とは違い、エリートコースを歩んだ背広組み。
鈴木とは十数年来の付き合いになる。

「流通が止まるってどういうことだ」
「ほら、日本海沖がきな臭いことは知ってるだろ?それで自衛隊の輸送が優先になるかもしれないんだよ。
 油の輸入もとまっちゃってるし、肉や野菜の輸送も再開させないといけない。
 国、組織、個人、と順位付けするとしたら真っ先に個人向けの輸送が切られるだろうね。
 漫画や同人誌、趣味のものならなおさらだ」
「そうだな。“あの日”以降、滅多に人が立ち入らない空自の弾薬庫から物が運び出されてる。
 少量だが、確実に使ってるな。近々何かある」

 “あの日”6月30日午後12時を境に突如海外からの連絡が途絶えた。
有線無線アナログハイテク問わず、あらゆる通信手段で海外へと連絡を試みたが完全に途絶。
南は琉球諸島から北は樺 太、日本海は対馬や竹島、東は硫黄島、
日本列島とされている以外全ての地域と連絡が取れなくなった。
 通信途絶から12時間後、7月1日昼に非常事態宣言が発令。自衛隊及び海上保安庁は沿岸警備にあたることになる。
自衛隊は日本海、九州、沖縄方面を意識した防衛線を配置。
首都圏はゲリラコマンド(以下ゲリコマ)対策として自衛隊が超法規的措置をとり展開。
国会もそれを追従の形で承認。在日米軍は本国からの指令がないとして静観、
航空機にスクランブルをかけ基地の近親者の収容と守りを固め不気味な沈黙を保っている。
国会議事堂や省庁前にはバスで造った対車両自爆用バリケードや装甲車が配置される物々しい事態となっていた。

「ところで仕事が忙しいのか?食事中に寝るなんて尋常じゃない。
 お前、どんなに仕事が忙しくても日に8時間寝るのだけは欠かさなかったじゃないか」
「忙しいってもんじゃない、戦場さ。日本海に艦隊が現れたせいで夜も寝てない」
「艦隊!?戦争か!戦争なのか!?相手は何処だ!」

 鈴木はネクタイを思いっきり引っ張った。

「禁則事項です♪」
「男がその台詞を喋るな」

きゅっと。

「ぐぇぇぇええ、締まる、締まる」

 “あの日”から続いている日本同時通信テロ。
海外から途絶して三日、通信は今だ復旧の目処が立っていない。
加えて陸上自衛隊の緊急出動と市街地への展開、海空自衛隊の日本海側への派遣、外出禁止令、輸入の途絶。
戦争の始まりを思い起こさせるに十分な事態であった。
 何時戦争が起こるのか。日本全体が一触即発の空気に包まれた。
スーパーとコンビニに客が押しかける、海外と通信が回復しないことに業を煮やした株主が証券会社と銀行前に
群がる、国民の声を自称する団体が街頭デモを起こしたが速やかに機動隊に鎮圧され、
総理の記者会見が緊急特番で流される。
 更に不信なことに戦争の相手が未だ誰か発表されていないことが不安を煽っていた。
ネットやマスコミでは、日本の通信回線を全て同時にダウンさせられる国について何処か議論が重ねられている。
関係が悪化している中国、常にナイフを持って隙を伺う韓国、それとも相手はアメリカか。大穴でロシアか。
ネットは中韓が大勢でマスコミはアメリカを叩いていた。
864とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/05/19(火) 19:56:56 ID:SjVLs4BC

「ギブ!ギブ!ロープ!話すから!手!離してくれ!」

じたばたじたばた。

「鈴木はいつも酷いなあ。私しゃこれでも偉いんだよ?仮にも官僚だよ?未来の局長候補だよ?」
「…と容疑者は意味不明の言動を繰り返しており」

息がぴったり合った言葉を鈴木は返した。

「はは、判ってるよ。お前の家が旧家でエリートだってことも、有名な三船貿易の次期党首だってのも。
 天下り先の確保で、周囲がぺこぺこ頭を下げるのが嫌いなんだろ」

 田中はさえない成りこそした男だが、アジア最大の警備会社「三船貿易」の次期党首であり大金持ち。
浪人留年なし、成績はすべて優でアメリカの某有名大学を卒業し、
大学在籍中に司法試験と国家公務員採用T種試験に合格したという
 神様が振ったサイコロが全部六ゾロだったか、バグでパラメーターの割り振りを間違った存在である。
フランス語、英語を流暢に話し、イタリア語、中国語、ドイツ語にも通じている。
趣味で古代ケルト、エルフ語、クリンゴン、エスペラント語を話せるという言語マニアなオタクで変態だ。
警視庁のドラ寄せ警視もかくやだ。

「だからって締めることはないだろ」
「まあーまあー。お前、金持ちで頭いいんだから黙っていれば擦り寄る女も多いだろうに」

 田中の顔立ちは中の上だ。言動はともかく。性格にも特に欠点はないと思う。
エロスは好きだが決して生身に対しては行使することはないし下品な言動もしない。
スーツ着て黙って立っていれば、たまに通りかかる人にちょっとこの人格好いいんじゃない?
と思われる程度の顔をしている。が、この男やたらに会話が濃い。
 古今東西のアニメや漫画に通じたオタクで、人が振る些細なそれ系のネタを瞬時に察知して喰い付く。
型式番号だけで某国民的ロボットアニメの機体を全部特定できるし、
絵を見ただけでどのイラストレーターが描いているかかなりの精度で判別できる。まるで生きたなんでも鑑定団だ。
本人は隠れオタクを気取っているが、カンの良い人なら気づく。

「いやねえ、隠してるつもりなんだけどバレちゃうんだよ」

 そりゃあ、有名だもの。アナタ。
秘密パーティ(といってもただのオタクの集まりだが)を開いている主催だよ?
公安部長の某氏と熱い間柄にあるのは極秘だ。彼はレオタード戦士レンのファンだったっけ。

「あー。で、ホントに聞きたいのかい?後悔しても知らないよ」
「本当だ。中韓米露の何処が攻めてきてるか知らないと安心して眠れそうもない」
「いやねえ………結論から話すと“どことも違う”よ」

鈴木は首を振って相槌を打つと言葉を続けた。

「んー?どうせ発表するだろうし、話してもいいかな。これオフレコね」
「続けてくれ。俺は何も聞いていないし知らない」

もったいぶる奴だ。それだけ重要な話なのだろう。

「これから私自身も信じられない不可思議な話をするが、全て実際におこったことだ。
 君は信じても良いし信じなくても良い。信じるものは聞く、信じないものは聞かないと答えよ。 
 んー。君は幽霊や怪談を信じるタイプだったかい?」
「答えははいだ。さっさと続けてくれ」
「心の準備はいいかい?神様へのお祈りは?部屋の隅でガタガタ震えて聞かなかった準備はおーけ?」
「ああ、頼む」
865とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/05/19(火) 19:57:42 ID:SjVLs4BC
7月1日、昼から日本国は正体不明の生物郡と戦闘に入った。
御伽噺の空飛ぶ竜騎士や、鎧を着て剣と盾を持った人類種に似た生物達、人力で動く船、
常軌を逸した“魔法”を使う超能力者、遠い時代に絶滅したネッシー。
竹島上空を通過しようとした未確認飛行物体、通称リュウキシを駐留する韓国警備部隊が対空機関砲で撃墜。
 それをきっかけとして、突如出現した150隻を超える国籍不明の不信木造船団は竹島へ襲撃を開始。
緊急展開している自衛隊の艦や、不審船対策と無断出航を禁止するため展開していた小型船舶が
襲撃を受け一部沈没。その際、見たこともない巨大な海蛇などが確認される。
航空自衛隊、海上自衛隊がそれらUMAと交戦を開始。現在に至る。

「今日で3日、戦闘はまだ続いている」
「思ったより粘るな。あんな小島、数時間で陥落だと思ってたが」
「事前申告以上の武器と人員を大量に用意してたみたいだよ。短剣と外套だあね」

 説明は突っ込みどころ満載であった。人力の船、超能力、ネッシー、鎧。
よりにもよって竹島なんて意味不明な場所への侵攻。
普段なら馬鹿な話と一笑するところであったが、田中の目は大真面目だった。

「竜騎士か……」

カナカナカナカナとひぐらしが鳴いていた。
866とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/05/19(火) 19:58:38 ID:SjVLs4BC
投下終了
867創る名無しに見る名無し:2009/05/19(火) 21:15:07 ID:NKb9r9DV
何はともあれお帰り&乙〜
868創る名無しに見る名無し:2009/05/19(火) 21:17:17 ID:9cg2Tie5
おっつ!
なんか田中のヲタク度がより明確になってるww
869創る名無しに見る名無し:2009/05/19(火) 21:17:27 ID:GRCFMqo5
投下乙です。
か、書き直し・・・
とても嫌なフラグが立ったような別にそうでもねえよみたいな
ガクガクブルブル
870創る名無しに見る名無し:2009/05/19(火) 22:13:47 ID:q6n/KDsV
ん〜、統制できるマスコミは兎も角、ネットで中韓が原因と
するには違和感が有りますね。
地球よりも電波的に綺麗な空であろう異世界で無線が
通じないって事になったら。日本以外の消滅(物理的にか文明の
利器だけかは兎も角)を疑いますわな。
他には、宇宙人とか超常の力で日本が隔離されたとか。
あと、星座。これは誰でも分かります。
これが違ったら、中学生でも地球では無いと分かります。
871創る名無しに見る名無し:2009/05/19(火) 22:15:44 ID:yAto1orO
田中だけにガイエネタかw
872創る名無しに見る名無し:2009/05/19(火) 22:24:01 ID:7oMMFdcp
書き直し……嫌なフラグ。

あの帝國召喚のようにだと……
くろべえさんの事か。
くろべえさんの事かぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!

とまぁ、冗談はこのぐらいにして。
前より内容がだいぶ良くなっているので、このまま完結まで突っ走ってもらいたいです。
873創る名無しに見る名無し:2009/05/19(火) 23:13:52 ID:MAZXl4H5
とある戦記の人乙です。
874創る名無しに見る名無し:2009/05/20(水) 00:17:15 ID:1SPxIwS4
世襲大王とヘリ1がはりつきだったから3日持ったとか
875創る名無しに見る名無し:2009/05/20(水) 01:33:00 ID:zR6gu4Ua
乙です〜
876創る名無しに見る名無し:2009/05/20(水) 01:58:01 ID:vTdF07O7
うーむ、笹本祐一から神坂一に書き手が変わったよーな…
877創る名無しに見る名無し:2009/05/20(水) 02:13:58 ID:fBqHfDk5
火浦功/佐藤大輔モードになるよりマシさ
878創る名無しに見る名無し:2009/05/20(水) 02:15:44 ID:JyenU2Lk
志茂田景樹モードだったらちょっとこまる
879創る名無しに見る名無し:2009/05/20(水) 02:57:52 ID:V8uPwM/K
巨人軍がファンタジー世界に召喚されました
880創る名無しに見る名無し:2009/05/20(水) 07:47:03 ID:nqZYB5Yn
つか、竜騎士+ひぐらし……(´д`)
881創る名無しに見る名無し:2009/05/20(水) 09:14:03 ID:7xl3o0YZ
ネタ度が余計に上がってるな。
書いてる人はノリノリなんだろうけど、なんだかなぁ。
ネタで済んでる内ならまだいいけど、ガイエの薬師寺涼子の事件簿のキャラが
そのうちクロスして出てきたりしたら萎えるだろうな。一応それっぽいのが作中世界ではいるみたいだし。

外務官僚の田中に感情移入しすぎじゃね?>中の人
882創る名無しに見る名無し:2009/05/20(水) 10:05:02 ID:w5rf8Sid
某所の斯く戦えり的に考えると、改訂版で田中が主人公に成り上がったのか?
883創る名無しに見る名無し:2009/05/20(水) 14:27:58 ID:xe1wMJ+m
>>882
確か当初は鈴木が主人公だったよな……
884創る名無しに見る名無し:2009/05/20(水) 15:21:39 ID:0ak+2moK
改訂はやめたほうがいいと言うのを帝國で学習した
885創る名無しに見る名無し:2009/05/20(水) 16:39:17 ID:HjxMdMsM
改定は蜜柑のフラグ。

富野みたいに、
「旧作? あんなものはゴミクズだ! ありがたがるような連中は死ね! 死に絶えろ!」
というふうにひたすら前に進まないと
886創る名無しに見る名無し:2009/05/20(水) 17:13:52 ID:0ak+2moK
富野痛い子だし
最近じゃ毎回同じ作風だからなぁ
887創る名無しに見る名無し:2009/05/20(水) 17:46:51 ID:E2iH900y
自分が一番嫌いな種類の人間にもっとも評価される不思議な人間だよな
富野って
888創る名無しに見る名無し:2009/05/20(水) 18:04:37 ID:0ak+2moK
つ同族嫌悪
889創る名無しに見る名無し:2009/05/20(水) 19:28:56 ID:P6G22AjI
つ極度のツンデレ
890創る名無しに見る名無し:2009/05/20(水) 20:07:57 ID:xe1wMJ+m
皆殺しばかりかと思えば主要キャラ全員生き残らせたりする気まぐれ具合はまさにツンデレ。
891創る名無しに見る名無し:2009/05/20(水) 22:12:43 ID:0ak+2moK
日本がバイストンウェルに召喚されますた


ドレイクを工業力で押し切る日本
ドレイクに操られるマスコミ&民○党
そしてロールアウトする国産オーラバトラー第一号『疾風』

地味に活躍するけど忘れ去られてる90式と89式
892創る名無しに見る名無し:2009/05/21(木) 01:26:55 ID:2AM257ZS
>>891
バイストンウェルでは地上の火力が/1/10以下に低下する事をわすれてるな
893創る名無しに見る名無し:2009/05/21(木) 02:33:35 ID:j0PZjV0O
>>892
逆や逆
オーラバトラーが地上に出るとオーラ力の抑制が解けて火力が激増するんであって
地上の兵器がもしバイストンウェルに行っても1倍のまんま

オーラバトラーのオーラ使ってない火器も地上に出たら火力増えるのだろうか・・・
894創る名無しに見る名無し:2009/05/21(木) 03:38:11 ID:vF3CWRyl
オーラバトラーが使えばオーラ修正(?)みたいな物がかかって軒並みパワーアップするみたいだぞ
895創る名無しに見る名無し:2009/05/21(木) 06:47:25 ID:OlykFfYy
F日本ならきっとオーラ新幹線を開発してくれる
896とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o. :2009/05/21(木) 12:46:29 ID:M/nuYFJ4
「で、議事堂になんの用なん?宇宙人が攻めて来たから作戦会議か」
「あっ、ああ似たようなものだね。偉い人に呼ばれてる」

 田中は誰か誤魔化す時に偉い人といった単語を使う。
この場合、田中が使う偉い人の意味は国防長官か総理を指しているんだろう。付き合いが長いから判る。
ちなみに鈴木は、田中が“偉い人”と話す相手との会話で敬意を払っているのを見たことがない。
彼が偉いのか、それとも無神経なのか。ちゃんと公の場にて敬語を使える奴であるのは確かだ。
 鈴木が誤魔化したということはこれ以上話したくないという意思表示だ。
こうなったらコイツは梃子でも動かない。追求するだけ無駄である。この話題は終わりだ。
田中は追い詰められると口は軽いが、大量の嘘も混ぜ、“どうとも取れる言い方”をする。
それも大量の嘘と共に一部の本物を入れる厄介なタイプだ。
彼曰く、「・・・のようなもの」「○○されている」「十分に・・・」「必要なら・・・ 」と
まるで国会で政治家が使う言い回しだ。
どうせ拷問されてバレルなら、本物を言うついでに適当に思いついたことを全部混ぜておけ。
執拗な追求など耐えられるはずもない、だったら追い詰められる前に答えた方がマシ。
調べる側は全ての情報に裏づけを取らなくてはならない、だから手間を増やしてやれという考えらしい。

「お待たせ致しました。どうぞお通り下さい」

 フロントガラスの横に立っていた隊員が耳元のイヤホンに手を当て、手を上げる身振りをすると
バスを扉代わりにした壁が動く。片面に鉄板が張られたバスがゆっくりと動き、
車は議事堂の前、黒光した高級車がずらりと並んだ広場へ出た。

「んー?会議が終わったみたいだよ。付いてくるかい?」
「ちょっとかんべんしてくれ。上司の上司のそのまた上司の相手なんざ胃袋が4つあっても足りない」
「いーじゃない。立ってるだけさ。胃が複数ある牛だって胃潰瘍になるときはなるんだからしょうがないって」
「前にそう言っておいて、宮内庁の人と二人っきりにさせられたとき、冷や汗ものだったわ」
「ずっと漫画の話してただけじゃないか。やんごとなきお嬢様がエグイエロ漫画描いてるって話題で。
 つれないなあ。兎は寂しくなると死ぬんだよ?」
「そいつは迷信だ。兎は草食で普段ほとんど誰も泣き声を聞いたことがないぐらい、大人しい動物だが
 交尾の時は激しく動き回り、滅多に鳴かない声を上げる、それはもうアグレッシブな躍動感に溢れた生き物だ」

 挙句の果てに女を争って、鋭い二本の出っ歯で噛み付き合う。
小学校の兎小屋では連続兎殺し事件があった。
該者は真っ白なふわふわした可愛い兎のタンメン、歯型と傷跡が一致した。
兎は温厚な生き物だなんて幻想だ。

「まあまあ、今度おごるから」
「黙って後ろに居るだけだぞ」

 臆病な振りして、田中は平然と議事堂内の廊下を歩いてゆく。
ピカピカに磨かれた高そうな大理石、床にひかれた赤い絨毯の上を
勝手知ったる人の家といった感覚で全く迷わず真っ直ぐに進む。
マスコミが見たら官僚と議員が談合だと書かれそうだ。
(議事堂の中なんて始めて入ったわ…)
高い天井、光を受けて煌くクリスタルガラス、柱や壁の装飾には本物の金が使われているらしい。
椅子やテーブルはどれも時代を感じさせ、重い。
きっと良いものは長く持つのだろう。年季が入っている。
897とある人達の戦記録 ◆8b20lCD.o.
 鈴木はウチの基地指令や参謀長あたりがうろついてやしないかと田中の後ろをおそるおそる付いてゆく。
普段の議事堂の様子は知らないが、この日の様子は異常と言えた。
TVで一度は見たことのある有名議員達が勢揃いし、メモと携帯を持った秘書達が議員宿舎へ向かう。
何人かの議員達は集まり、ひそひそ囁き合う。玄関にはSP達と高級車がずらりと並び、次々と発車してゆく。
不思議とカメラや録音機材を持ったマスコミは居なかった。
それと野党議員も。議員以外の人種も混ざっている気がする。
首筋がちりちりする。触ってみると鳥肌だった、嫌な感じだ。

「時間ピッタリだな。茂人」
「開くまで玄関で待っていました」

 田中に話しかけるゆったりとした高そうな古い革張りのソファーに腰掛けた男。
武原秀雄(たけはらひでお)、現在の内閣総理大臣だ。
麻生太郎のような皮肉気に曲がった口元と、村山富一に似た筆眉が特徴的な50代。
アイドルならともかく、偉い人とはいえおっさんに会ってもちっとも嬉しくない。

「国会後はマスコミの記者会見があるのでは?」
「これは議員同士の非公式な話し合いだ。本格的な会見は後日になる」
「それでまあ。用件は竹島付近に現れた“アレ”の対応ですか」
「そうだ。後ろに居る彼は誰かね?」

 そんな!立ってるだけで良いと聞いて来たのに!
嫌な予感が的中してしまった。

「鈴木亮、自衛官です。身元は私が保証します」

 田中の言葉に武原首相は満足そうに頷くと、此方へ来いと手招きをする。
非常に怪しい空気だが断れそうもない。

「君も聞いてゆくといい。知ってるだろうが覚悟してくれ。
 3日前から、日本は異世界軍と戦闘状態に入った」

 異世界?軍?戦闘状態?不穏な言葉が並べられる。
外部からの通信途絶と魔法に竜騎士、ガレー船、異形の人類。
海外で一体なにが起こっているのか。
ただ一つはっきりしているのは……。

戦争の始まり――――

「そこでだ、茂人。君に日本と異世界の橋渡しを頼みたい。
 他の異世界国も含めた総括的な意味での対応だ」

 田中は俯き震えていた。その表情は恐れているのか笑っているのか。

「総理、私には重すぎます。わざわざ私だけを呼び出さずとも、
 もっと他の…経済局なり国際協力局の方が…」
「かくいう君は外交政策局だろう。それにな、君に戦争をしろと思ってはいない。
 外交、貿易、安全保障、全てやれるとは考えていないしそこまで期待してもいない。
 それぞれの仕事に合った人材も居る」

 “戦争”の単語。
今更ながら私は此処に来てはいけなかったのかも知れないと思った。