マルチジャンルバトルロワイアルpart10

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1創る名無しに見る名無し
様々な作品のキャラを使った上での、小説及び映画で有名なバトルロワイアルの企画を行おうというスレです。
小説・漫画・アニメのキャラが入り乱れていることから、マルチロワという名前になりました。
略して○ロワ。別に見るのに●はいりません。


【過去スレ】
いろんなジャンルの作品キャラでバトルロワイアル
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1220604468/
マルチジャンルバトルロワイアル part2
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1221055898/
マルチジャンルバトルロワイアル part3
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1221229891/
マルチジャンルバトルロワイアル part4
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1221405474/
マルチジャンルバトルロワイアルpsrt5
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1221749250/
マルチジャンルバトルロワイアルpart6
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1221924153/
マルチジャンルバトルロワイアルpsrt7

マルチジャンルバトルロワイアルpart7(実質8)
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1227019873/
マルチジャンルバトルロワイアルpart8(実質9)
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1230130775/


【したらば】
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/11860/

【wiki】
http://www26.atwiki.jp/marurowa


【予約について】
 ・通常3日。延長は2日まで。(合計5日まで)
 ・したらばの予約スレで予約してください

【全キャラクター共通・スタート時の持ち物】
  地図、コンパス、懐中電灯、筆記用具、水と食料、名簿、時計、ランダム支給品1〜3

【MAP】
  (p)ttp://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7e/70/405fccc08ebbff8b539e6e47e7acf801.png
   上が北、一マス一km四方、端はループしています。(例:A-1から北へ行けばH-1に出る)
2創る名無しに見る名無し:2009/01/26(月) 10:04:41 ID:YeY1us3Z
参加者リスト

6/6【うたわれるもの@アニメ】
○ハクオロ/○エルルゥ/○アルルゥ/○ベナウィ/○カルラ/○トウカ
6/6【BACCANO!@小説】
○フィーロ・プロシェンツォ/○エルマー・C・アルバトロス/○ラッド・ルッソ/○クリストファー・シャルドレード/○グラハム・スペクター/○クレア・スタンフィールド
6/6【ひぐらしのなく頃に@アニメ】
○前原圭一/○竜宮レナ/○園崎魅音/○北条沙都子/○古手梨花/○園崎詩音
5/5【スクライド@アニメ】
○カズマ/○劉鳳/○ストレイト・クーガー/○橘あすか/○無常矜侍
5/5【ローゼンメイデン@漫画】
○桜田ジュン/○真紅/○翠星石/○蒼星石/○水銀燈
5/5【ワンピース@漫画】
○モンキー・D・ルフィ/○ロロノア・ゾロ/○ウソップ/○トニートニー・チョッパー/○サー・クロコダイル
4/4【ジョジョの奇妙な冒険@漫画】
○東方仗助/○広瀬康一/○吉良吉影/○ジョルノ・ジョバァーナ
4/4【とある魔術の禁書目録@小説】
○上条当麻/○御坂美琴/○一方通行/○土御門元春
4/4【ポケットモンスターSPECIAL@漫画】
○レッド/○イエロー・デ・トキワグローブ/○サカキ/○ミュウツー
3/3【終わりのクロニクル@小説】
○佐山・御言/○新庄・運切/○ブレンヒルト・シルト
3/3【トライガン・マキシマム@漫画】
○ヴァッシュ・ザ・スタンピード/○ニコラス・D・ウルフウッド/○リヴィオ・ザ・ダブルファング
3/3【Fate/Zero】
○衛宮切嗣/○アーチャー(ギルガメッシュ)/○ライダー(イスカンダル)
3/3【BLACK LAGOON@漫画】
○レヴィ/○バラライカ/○ロベルタ
2/2【コードギアス ナイトメアオブナナリー@漫画】
○ナナリー・ランペルージ/○ゼロ
2/2【ドラえもん@アニメ】
○ドラえもん/○野比のび太
2/2【WORKING!!@漫画】
○小鳥遊宗太/○伊波まひる
1/1【ARMS@漫画】
○高槻巌
1/1【あずまんが大王@漫画】
○春日歩

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3創る名無しに見る名無し:2009/01/26(月) 10:05:21 ID:YeY1us3Z
【能力制限】

◆禁止
・ハクオロのウィツァルネミテア化(@うたわれるもの)
・ローゼン勢のNのフィールドへの侵入(@ローゼンメイデン)
・吉良吉影の"第三の爆弾バイツァ・ダスト"(@ジョジョの奇妙な冒険)
・ジョルノ・ジョバァーナの"ゴールドエクスペリエンス・レクイエム"(@ジョジョの奇妙な冒険)
・ドラえもん本人の四次元ポケットは没収(@ドラえもん)

◆制限
[BACCANO!]
・不死者の耐久力(頭部切断、出血多量など通常では致命傷に成り得る負傷を受ければ死亡、回復速度に衰え)
[スクライド]
・アルター威力制限&支給品のアルター化は禁止。
  特にカズマの第三段階以降、劉鳳の第二段階以降、クーガーの脚部限定時の速度、無常のホワイトトリックは制限
[ワンピース]
・ワンピース勢の身体能力制限
・スナスナの実に関しては下記のとおり
  あまり広範囲には広がれない
  砂化しても首輪は取れない
  砂化した状態でも、首輪が爆発したら死ぬ
[ジョジョの奇妙な冒険]
・ジョジョ勢のスタンド(視認と接触可、威力制限。クレイジーダイヤモンドによる怪我の治癒時に掛かる疲労増大)
[ポケットモンスターSPECIAL]
・ミュウツーの全能力制限(超能力、自己再生の速度、身体能力など)
[終わりのクロニクル]
・概念兵器の威力低下、概念核兵器は誰にでも扱えるように制限し、特に威力を低下させる
[トライガン・マキシマム]
・エンジェルアームの威力低下
・プラントの力は原作よりかなり早く進む黒髪化と負荷の増大
・回復力は速度低下
[fate/Zero]
・Fate/Zero勢の身体能力制限、宝具使用に必要な魔力と疲労増大。
・霊体化不可、物理攻撃有効
・切嗣の「固有時制御」について←2倍で小ダメージ、3倍で中ダメージ、4倍で使用後に戦闘不可能
・宝具は支給品(威力低下などの制限あり)
・王の財宝は使い手の所持品から展開
・神威の車輪は速度と高度制限
・王の軍勢は元々作中でも消耗ゆえに3回が限界点
 (詳細な制限は出した書き手、もしくは戦闘などで使用する書き手が決めるなど)
[コードギアス ナイトメアオブナナリー]
・ナナリー&ネモのマークネモは制限
  ナナリーとネモはセット。マークネモは10分しか使用できず、二時間経過しなければ再度使用できない。
  マークネモのスペックは全面的に制限あり。
・ゼロの身体能力、耐久力、瞬間移動能力は制限(銃弾でも負傷し、通常の状況での致命傷は死亡。瞬間移動は隣のエリアまで)

支給品は話し合っているときりがないので、作中に明らかにまずい品、バランスブレイカーが出た時にフレキシブルに対応していきます
追記:ジョジョの原作で登場しなかったスタンドDISCを支給することは禁止な流れ
4創る名無しに見る名無し:2009/01/26(月) 10:08:30 ID:YeY1us3Z
テンプレの【過去スレ】のところ、どうしていいのかよくわからなかったんだけど
前スレが容量ヤバかったのでとりあえず立てました
間違いとかあったら訂正お願いします
5創る名無しに見る名無し:2009/01/26(月) 11:07:46 ID:sE3xOd9A
>>1乙ー
6創る名無しに見る名無し:2009/01/26(月) 13:12:46 ID:+DbLOHK2
ちゃんと合ってるスレタイは随分久しぶりな気がww
>>1乙!
7創る名無しに見る名無し:2009/01/26(月) 14:07:13 ID:GdZlg1hc
>>1乙です
マルチジャンルバトルロワイアルpsrt7は↓だと思われる
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1222685576/
8創る名無しに見る名無し:2009/01/26(月) 15:01:36 ID:jTa+m9vN
最高に>>1乙ってやつだァーッ!

番号もpartもあってるのも久しぶりだw
9 ◆SqzC8ZECfY :2009/01/26(月) 16:59:13 ID:8i+KfgBN
スレたて乙です。
放送原案についてですが、変更点は、

・禁止エリア説明を死者読み上げの前に変更。
・禁止エリアの指定はこちらで決めます。
・禁止エリア進入に対する警告は30秒

としようと思いますがよろしいでしょうか?
10創る名無しに見る名無し:2009/01/26(月) 16:59:33 ID:mqtTWe9m
>>1乙〜
ひさしぶりに全部あってるスレタイだなw
11創る名無しに見る名無し:2009/01/26(月) 17:49:09 ID:sE3xOd9A
>>8
良いと思います。

今日EH氏が投下したら放送か?
……何だか感慨深いものがあるな
12創る名無しに見る名無し:2009/01/26(月) 17:54:08 ID:3QqwY9eG
そうかもなぁ……なんて言ってたら予約キターー!
あんた働きすぎだよっ! ありがとう!
13創る名無しに見る名無し:2009/01/26(月) 18:17:56 ID:yhUrm8G1
すません、素人さんなんですが、どうも2種類ルートあるみたいですけどどっちが本流だったりします?
14創る名無しに見る名無し:2009/01/26(月) 18:54:48 ID:mqtTWe9m
本当だ予約キター

ルートは基本的にA1だけ見とけばおk
A2は一部のキャラが死なないだけでその続き書かれてないから
15創る名無しに見る名無し:2009/01/26(月) 19:02:01 ID:XM7KWwy/
>>1乙乙
もし書きたいならA2で書いても問題ないけど、本流と言われるとやっぱりA1
16創る名無しに見る名無し:2009/01/26(月) 19:12:08 ID:s6kt7aHY
新スレ乙!

>>8
良いと思います。本当にお疲れ様でしたー!

そして新予約に期待!
17創る名無しに見る名無し:2009/01/26(月) 19:22:41 ID:Bn09f5D4
井波、新庄、童帝、クーガー、バラバラカの活躍に超期待!

吉良の活躍にも超期待!
18 ◆EHGCl/.tFA :2009/01/26(月) 19:45:33 ID:76TKuTj9
吉良吉影、投下します
19創る名無しに見る名無し:2009/01/26(月) 19:48:33 ID:Bn09f5D4
投下?
投下!?

うわああああああああああああああああああああああっっ!
20吉良吉影は挫けない ◆EHGCl/.tFA :2009/01/26(月) 19:49:20 ID:76TKuTj9
「心の平穏」――それは吉良吉影が何よりも愛し、そして何よりも優先させるもの。この殺し合いの場に於いてもそれは寸分も変わらない。
殺し合いに参加する気など欠片もなく、ただ平穏を手に入れられればそれで満足。
ある二人のスタンド使いを除けば、誰が死に誰が生きようが吉良には全く関係ない。
「平穏」を邪魔する者が居るのならばスタンドで跡形も無く消し飛ばし、自分の秘密を知る仗助と広瀬康一は遭遇し次第抹殺する。
自ら積極的に動くつもりは微塵もなく、また無理に脱出を目指すつもりもない。
下手に主催者へ反抗し、首輪を爆破されでもしたらたまったものではない。
それならば、植物のように平穏に過ごし、それなりに人数が減った時を見計らい漁夫の利でゲームを制した方がまだマシだ。

結局の所、行き着く立場は中立。
ゲームに乗るでもなく、反逆をする訳でもない。
動く時には動き、それ以外は「見」に徹する。さすれば、「平穏」への道は開かれる筈。
―――吉良は冷静に、決して慌てる事なく思考し、歩みを進める。
その足取りには僅かな迷いもなく、また躊躇いもない。
そして彼は目的地に辿り着く。
平穏な時間を過ごすには最適な、だが優雅な時間を満喫する事は不可能であろうその施設。

―――ゴミ処理場に。







「……ついたか……」

その光景を見渡した後、吉良吉影が最初に呟いたものは疲労の籠もった言葉であった。
眼前にはゴミの山が積まれ、鼻の奥に突き刺さるような独特の臭いを発している。
吉良は胸元からハンカチを取り出し鼻と口を覆い、ゴミ山に足を踏み入れ始めた。

(この劣悪な環境ならば滅多に人は近付かないだろう……。……不快で仕方がないがこれも「平穏」の為だ……)

直ぐ近くにはゴミ処理場もあるが、先の温泉の例からして施設内には人が居る可能性も高い。
ならば多少の不快感は我慢し、ゴミ山へと身を隠した方が良いだろう。
それにゴミ山の上からなら他の参加者の接近にも気付き易い。
臭いさえ我慢すれば他の参加者に見付かることもないだろう。

東の空は白み始めているが周囲は未だ薄暗い。時折ゴミに足を取られながらも吉良はゆっくりとゴミ山の登山を続けていた。

「む、あれは……」

そして数分後、吉良は隠れ家としては手頃な雰囲気の粗大ゴミを発見する。
それは白色のワゴン車。車輪は四つとも紛失しており外見もボロボロだが、身を隠すことは可能だろう。

(……もう明け方じゃあないか。今日はまだ一睡もしていないぞ)

いつもなら安眠を貪っている時間。
普段から八時間の睡眠を心掛けている彼にとっては異常とも言える活動時間帯だ。
主催者に悪態を吐く代わりに足元のゴミを蹴り飛ばし、吉良はワゴン車へゆっくりと近付く。
万が一の事態を警戒しつつドアを開き、車内へと身体を滑り込ませた。

「ほう、これはなかなか……」

車内には、吉良にとって幸運とも言える光景が広がっていた。
運転席や後部座席は取り払われており床にはシーツが引かれ、隅には人形や本や電気スタンドが載せられた棚が置かれている。
まるで、子供が作る秘密基地をバージョンアップさせたような内部。
やはりゴミだからか、少々鉄臭いがこれならば充分我慢できる範囲だ。

21創る名無しに見る名無し:2009/01/26(月) 19:49:36 ID:mqtTWe9m
キター
支援
22創る名無しに見る名無し:2009/01/26(月) 19:50:00 ID:mqtTWe9m
23吉良吉影は挫けない ◆EHGCl/.tFA :2009/01/26(月) 19:51:34 ID:76TKuTj9
「だが少し薄暗いな。電気スタンドでも付け…………いや、止めといた方が良いか。そんな事をすれば他の参加者に位置をバラしているような物だ」

伸ばした手を引っ込め吉良は置かれている座布団の上に胡座をかく。
あの温泉施設には及ばないが、それなりに快適な時間を過ごせそうな内装。
何故ゴミ山にこんな物があるのか疑問にも思ったが、考えても分かる訳がないので切り捨てる。
それよりもこの隠れ家を発見した、自身の幸運振りに吉良は軽くハイになっていた。

(素晴らしい……素晴らしいぞッ! この危機的状況でこのような場所を見付けるとは、ついている! 『運』はこの吉良吉影に味方してくれているのだ!)

鼻歌すら歌いそうな気分で吉良は窓の外の景色を眺める。
あと数分もすれば日が登り、電気スタンドを付ける事なく内装も確認できるだろう。

(夜明け、という事はそろそろ放送か。あの二人が死んでくれていると嬉しいのだが……。まぁ、そこまで『運』に頼るのも悪いか)

――と、吉良は薄い笑みを浮かべ自身のデイバックへと手を伸ばす。
放送までの僅かな時間を支給品の確認に当てようと考えたのだ。
ウソップが持っていたデイバックは二つ。吉良自身のも合わせれば計三つ。
ウソップが使用した『神威の車輪』のように強力な武器が入っている事を願いつつ、デイバックから手を引き抜く。
吉良が握っていた物は食べ応えのありそうな大きさの果実。
彩りは確認できないがパッと見はそれなりに美味しそうだ。

「非常食……と言ったところか? まぁ、このようなサバイバルに於いて食料が多い事は有利に繋がるが……」

とはいえ、強力な武器を求めていた吉良としては少々の落胆を覚えのも無理はない。
デイバックと謎の果実を脇に置き、気を取り直しつつ、もう一つのデイバック――ウソップのデイバックを漁り始める吉良。
何かに触れた感触と共にデイバックから手を抜き出す。
その右手に握られていた物は――

「なめてるのか、ギラーミンの奴……」

――亀であった。
まごうことなき亀、誰がどう見ても亀、実は仗助の大嫌いな物の一つである亀。
それが吉良の手に握られていた。
ピクピクとこめかみを痙攣させながらも吉良はソッと亀を地面に置く。
その胸中では亀を叩き付けたい衝動が湧き上がっていたが、何とか耐えた。

「……まぁ、良い。私にはキラークイーンと長鼻が使っていた牛車がある。武装としては充分だろう…………と、何だこれは?」

自身に言い聞かせるように呟くと、吉良はその場に屈んで何かを拾い上げる。
それは亀を取り出すと同時に舞い落ちた一枚の紙――俗に言う説明書であった。
だがそんな事を知る由もない吉良は、目一杯紙を顔に近付け薄暗い車内でそれを読む。

『この亀の名はココ・ジャンボ。甲羅の窪みに専用の鍵をはめ込む事により能力が発動し、部屋の中に入れます。
制限として「二度部屋に入る」、「二時間以上部屋の中に居る」、この二つの規則を破った場合ペナルティとして首輪を爆破するので注意するように。
なお、鍵は会場に置かれた施設の何処かもしくは参加者の支給品の中に隠されている。
部屋の中には殺し合いに役立つラッキーアイテムが隠されているから、頑張って探してね』

――その内容は以上の通りであった。
吉良は二、三度繰り返して説明書を読み直し、無言でデイバックの中へ亀と共にそれを押し込む。
その眼には不信と疑惑の入り混じった光が灯っていた。

24創る名無しに見る名無し:2009/01/26(月) 19:53:01 ID:mqtTWe9m
こ、これはひぐらしの
25吉良吉影は挫けない ◆EHGCl/.tFA :2009/01/26(月) 19:53:15 ID:76TKuTj9
(……確かに亀の甲羅には「鍵型の窪み」が存在する。この「窪み」に会場の何処かか参加者が持っている「鍵」をはめ込むと「能力」が発動し「部屋」に入れるという事か……信じられない事だが恐らくスタンドのような能力を持っているのだろう)

その怪しい色に染まった瞳をチラリと亀を入れたデイバックへと送る。

(そして「プレゼント」。殺し合いに役立つという事は強力な武器か何かか……まぁ、私には関係の無い事だ。「鍵」を探す為に危険を冒す程ボケてはいない)

視線をデイバックから窓の外へと移し、ため息を一つ。
完全にハズレという訳ではなかったが、自分にとっては大した意味を成さない支給品。
「鍵」を探すなどリスクが高い行動を起こすつもりなど毛頭ない。
偶然「鍵」が手に入ればそれで良し、「鍵」が手に入らなくともそれもまた良し。
吉良は心の片隅に「鍵」の事を刻み、亀についての思考を止めた。

「さて、放送までに腹ごしらえでもするか。放送を聞いた後は一眠りしたいものだが……」

そうぼやきながら先程デイバックから取り出した果実を掴み、口へと運ぶ。そして一口、噛じり付く。
口の中に広がるは、空腹を和らげるほのかな酸味と渇いた口に染み渡る瑞々しい甘さ―――ではなく、

「お、おおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおお!?」

餓えた胃を引っくり返す強烈すぎる酸味と、渇いた口を唾で溢れかえさせる猛烈な苦さであった。
まるで時を加速させたようなスピードで車外へと転げ落ち、口の中に残る果肉を吐き出す吉良。
ほんの少量であるが既に喉元を通り過ぎてしまったものもあり、それが胃の底から存在を示し続けている。
脳内の不快指数を示すメーターは、一瞬で針を振り切り今にも爆発しそうであった。

吉良は、まるで毒物を飲んだかのように喉を抑え、キラークイーンを駆使しデイバックから水の入ったペットボトルを取り出す。
主の異常事態に応えて今までの人生の中でも最も早く、そして精密に動いたキラークイーンがペットボトルを吉良の口元に差し出した。
そして、ペットボトルに入った凡そ500mlの水を一気飲み。浴びるように飲み干した。

「な、なんだ、これは! 腐ってるんじゃあないのか!? クソッ、ギラーミンの野郎、こんなふざけた物を支給しやがってッ!!」

それからの行動は殆ど反射的なものであった。
未だ異常を訴える口と胃を抑えながら車内に戻り、先程の投げ捨てた果物を拾い上げる。
果物が腐ってるのか否かを確認する為に腕が電気スタンドのスイッチを押してしまった。
青白い光に照らされる車内。
そして、その光は照らし出す―――今まで暗闇に紛れ隠れていた『異常』を。

「な、なにぃぃぃぃぃいいいいいい!?」

手、手、手、手、手、手、手、手、手、手、手、手、手、手、手、手、手、手、手、手、手、手、手、手、手、手、手、手、手、手、手、手、手、手、手、手、
―――真っ赤な手が車内を埋め尽くしていた。
床、棚、窓、壁、天井、ドアの縁に至るまで、全てに真紅の手の跡が塗り込まれている。

「な、なんなのだ、この血はッ!!」

吉良は思いっ切り動揺していた。
彼とて残虐極まる殺人鬼。気に入った女性の前で大事な人を爆散させ、その両耳をイヤリングとして女性にプレゼントしたりと、猟奇的な行動をしたりもする。
だがコレはあまりに不意打ち過ぎた。
それにまるでB級ホラー映画のようなおどろおどろしい光景。
流石の吉良も驚愕に心を支配される。

「だ、誰かがここで殺されたのか!? ようやく「平穏」が手に入ると思っていたものをッ!!」

この惨状を見れば何か異常事態が発生した事は馬鹿にも分かる。
大方どこかの馬鹿共がこの車内で殺し合いでもしたのだろう。
誰かが殺された―――つまりは「平穏」とは程遠い環境。
吉良が望むそれとは余りにかけ離れた場所ということだ。

「ここも駄目だと言うのか! 私の「平穏」は何処にあるッ!」

26吉良吉影は挫けない ◆EHGCl/.tFA :2009/01/26(月) 19:53:59 ID:76TKuTj9
―――本当の事を言えば、この殺し合いの会場に「平穏」など何処にも存在しないのだが、それに吉良が気付くことはない。
吉良はワゴン車から逃げるように飛び降り、早足でその場から去っていく。
有るはずの無い「平穏」を求め、ただ愚直に先へ進む。
その行為がある意味自分を孤立させている事を知らずに殺人鬼は朝焼けの中を歩き続ける。












そして誰も居なくなった血まみれのワゴン車。
ある世界にて、疑心暗鬼に捕らわれた少女が喉を掻き毟り、手を血に染めたまま一夜を過ごした事により地獄絵図と化した車内。
そこに一口だけ噛じられた果実が残されていた。
ゆっくりと登る朝日は全てを差別することなく照らし出す。
至る所に塗られた赤色の手形も、棚の中にある可愛らしいが手形の付着した人形
も、気味の悪い渦巻き模様が浮かぶ食い欠けの果実も―――。
殺人鬼の掛けられた、生涯解ける事のない海の呪い。
殺人鬼が気付く事の無かった、床に落ちたもう一枚の紙。
燈色の日に照らされたソレの一行目には六文字の言葉が記されていた。
―――ただ無機質に黒色のインクで『ボムボムの実』、と。

【C-4/ゴミ処理場/早朝】
【吉良吉影@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]軽度の疲労、動揺、能力者<ボムボムの実>
[能力]スタンド「キラー・クイーン」
[装備]ニューナンブM60(残弾4/5)、GPS
[道具]支給品一式×3、スチェッキン・フル・オートマチック・ピストル(残弾15発)@BLACK LAGOON、スチェッキンの予備弾創×1(20発)、神威の車輪@Fate/Zero、ココ・ジャンボ@ジョジョの奇妙な冒険
[思考・状況]
 0:平穏ッ! 探さずにはいられないッ!!
 1:なるべく戦闘には参加しない。どうしても必要な時において容赦なく殺害する。
 2:東方仗助、広瀬康一は始末する
 3:「平穏」に過ごせる場所を探す
 4:亀の鍵を見つけたら「部屋」に入ってみる
[備考]
※参戦時期は単行本39巻「シアーハートアタックの巻」から。シンデレラによる整形前の顔です。
 また第三の爆弾「バイツァ・ダスト」は使えません
※キラークイーンの能力制限にまだ気が付いてません。(視認されてるとは考えています)
※悪魔の実を食べた事に気付いていません

※ゴミ処理場の付近にあるゴミ山にはレナの隠れ家@ひぐらしのなく頃にがあります。
またレナの隠れ家は罪滅ぼし編の時系列から持って来られており、車内には血の手跡が所狭しと塗られています。
ギラーミン「なんでわざわざ血まみれの物を用意したかって? ただの遊び心^^」

【ココ・ジャンボ@ジョジョの奇妙な冒険】
五部・黄金の風に出て来たスタンド使いの亀。
背中にある窪みに特定の鍵を嵌める事により能力を発動、鍵を通して亀の内部(テレビ、ソファー、冷蔵庫などが完備された部屋)に入れる。この殺し合いの場では二つの制限(二時間以上部屋で過ごす、二回以上部屋に入る)が設けられており、これを破ったら首輪が爆発する。
また亀の内部には『何か』が隠されている。
鍵は各所施設、もしくは誰かに支給されている。

【ボムボムの実@ワンピース】
この実を食べた人間は、体の各所を爆発させる事が出来る爆弾人間になる。
原作では腕や足は勿論のこと、鼻くそから自身が吐いた息まで爆発させる事が可能だった。また爆発させるタイミングは任意で変更できる。
現段階では四肢を爆発させるのが限度ですが、時間の経過や慣れによって爆弾化できる範囲が増減する可能性もあります。
また爆発の威力にはある程度の制限が掛けられています。
27吉良吉影は挫けない ◆EHGCl/.tFA :2009/01/26(月) 19:55:38 ID:76TKuTj9
これにて投下終了です。
矛盾点、疑問点等あったらご指摘下さい
28創る名無しに見る名無し:2009/01/26(月) 19:57:47 ID:Bn09f5D4
チートw
こいつ化け物になったんじゃないかw
29創る名無しに見る名無し:2009/01/26(月) 19:59:40 ID:mqtTWe9m
30創る名無しに見る名無し:2009/01/26(月) 20:12:21 ID:mqtTWe9m
投下乙!
血の跡だらけのレナの隠れ家はそりゃ怖すぎるww
いきなり見たら誰だって叫ぶわw

そしてボムボムの実…
こいつ実はすげー強くなってね?
31創る名無しに見る名無し:2009/01/26(月) 20:13:45 ID:hOjV/JTC
投下乙!

キラークイーン+ボムボムはやばいw
ココ・ジャンボのギミックが気になるな
中に一体何があるんだろう
32創る名無しに見る名無し:2009/01/26(月) 20:19:48 ID:mqtTWe9m
亀部屋の中身はたしかに気になるところ
謎ときに役立つものかもしれないし、純粋に武器かもしれないし
ラッキーアイテムってだけじゃわからないもんな
今後どういう風な展開で物がわかるのかwktk
33創る名無しに見る名無し:2009/01/26(月) 20:24:39 ID:Rcuj2mo+
爆弾+爆弾か……
発想は面白いんだが、安易に強化してるような気がするなー……
吉良の持ち味がなくならなきゃ別にいいんだが
34創る名無しに見る名無し:2009/01/26(月) 20:57:09 ID:sE3xOd9A
投下乙!
まさかの爆弾魔wヤバすぎるwww
そしてココジャンボに秘められた『何か』か……先の気になる話だぜ。
てかレナの車は確かに怖いwwwホラーすぎるwww

>>33
んじゃお前書けよ
35創る名無しに見る名無し:2009/01/26(月) 21:00:20 ID:W3bgF/Aw
投下乙です。
ひぐらしのゴミ処理場かー。死体とかはあるのかな?
平穏を求める吉良の思考がとても「らしくて」笑えるw
状態表の「平穏! 探さずにはいられないッッ!」に吹いたw

ところで指摘を一つ。
OPでギラーミンは放送について説明してないんですよ。
だから参加者は放送のことを知らないか、もしくはデイパックにルールブックでも入ってるかじゃないと矛盾が出ます。
36創る名無しに見る名無し:2009/01/26(月) 21:09:42 ID:3QqwY9eG
投下乙!
吉良、入ったワゴンが悪かったなぁ。
ココ・ジャンボにボムボムの実か。鍵はもしかしてベナウィが持っている奴か?まだわからないけど。
チートな組み合わせ再び、か? 本人自体も爆発できるとなると、肉弾戦がさらに恐ろしくなるなぁ。
ともあれGJ!

あと、気になった点を一つ。ゴミ処理場はC−7のはずですが。
37 ◆EHGCl/.tFA :2009/01/26(月) 21:52:21 ID:76TKuTj9
沢山の感想ありがとうございます!
>>35氏、>>36氏に指摘された箇所を修正させていただきました。後でご確認をお願いします
38創る名無しに見る名無し:2009/01/26(月) 22:09:52 ID:sE3xOd9A
速さが足りすぎてる……!
自分はアレで大丈夫だと思いましたー
39創る名無しに見る名無し:2009/01/26(月) 22:26:32 ID:KKEkat+o
投下乙です
クレアに続いて吉良もか
このロワ嵐の前からマーダー補正が強いなw
亀はこれからどうなるか楽しみだな
しかし予約・投下がいい感じに続いてて去年のラッシュほどではないが雰囲気としてはいい感じだな
書き手さんお疲れ様です

ところでこういうパロロワの支援MADの目的って宣伝みたいなもん?
それともテンションアップ?
40創る名無しに見る名無し:2009/01/26(月) 22:36:08 ID:uAX8N7yA
投下乙です。

電気付けたら殺人現場ってこえーよ!!!
実際は今のロワの会場内では一番平穏な場所なのに
(今はまだ、だけど)

そしてボムボムの実による新たなるチートがここに…

そして亀に隠されたアイテムとは?
これから吉良がどうなるのかwktkな話でした。

でもこれからの方向次第だと本当にしばらくはだれとも会わないかもしれないんだよな
41創る名無しに見る名無し:2009/01/27(火) 00:34:38 ID:XGhbal+3
>>39
テンションアップだな
スレのテンション上がったろ?
42創る名無しに見る名無し:2009/01/27(火) 22:59:55 ID:lQhq/MHm
また予約キター!
これで三つの予約、そして放送も加わるとは……週末が楽しみだw
43創る名無しに見る名無し:2009/01/27(火) 23:19:29 ID:QOhmf/5Q
うおおおお!
いくらなんでもこれで放送だろ、なんて考えは甘かったというのか!
しかもあの組み合わせ…サカキさんの前途が…
44創る名無しに見る名無し:2009/01/28(水) 01:39:32 ID:mfUq6cfQ
支援MADに影響されたのか予約ラッシュになってる
これは楽しみだな
45創る名無しに見る名無し:2009/01/28(水) 02:01:05 ID:+lszVADj
少しベナウィが遠くないか?
46創る名無しに見る名無し:2009/01/28(水) 03:34:31 ID:pjKDO1KO
お前は何を言ってるんだ?
47創る名無しに見る名無し:2009/01/28(水) 03:54:09 ID:I6KhqG1O
ああもう今週末が楽しみ過ぎる
48創る名無しに見る名無し:2009/01/28(水) 08:20:42 ID:IsLNp0jB
ベナウィって強いの?
49創る名無しに見る名無し:2009/01/28(水) 08:57:23 ID:z/7APKGD
そこそこ強いよ
50創る名無しに見る名無し:2009/01/28(水) 13:02:54 ID:UsuIpzDd
DBで例えるとトランクスレベル
51創る名無しに見る名無し:2009/01/28(水) 13:08:54 ID:pjKDO1KO
それ、あんま強くなくね
52創る名無しに見る名無し:2009/01/28(水) 13:59:56 ID:/kXcCOII
戦闘力で表すとどれくらい?
53創る名無しに見る名無し:2009/01/29(木) 12:14:37 ID:qSc79ppZ
戦闘力2億(機械フリーザ細切れトランクス)
戦闘力11.5億(マッチョトランクス)
54創る名無しに見る名無し:2009/01/29(木) 14:21:32 ID:30BWrpcs
ベナウィって地球破壊レベルなのか?
55創る名無しに見る名無し:2009/01/29(木) 14:34:58 ID:15/U4Lsf
それだと槍使う意味ねーだろw
56創る名無しに見る名無し:2009/01/29(木) 15:17:27 ID:Bo+gJ3gr
このロワのマーダーの中だと中堅くらいじゃない?
57創る名無しに見る名無し:2009/01/29(木) 23:01:33 ID:PrXKgDbn
予約延長かorz
まあ土曜日に期待ってことで
58創る名無しに見る名無し:2009/01/29(木) 23:37:34 ID:15/U4Lsf
この分だと日曜日には放送入れそうだな。
さて、放送までにスパートはあるのか……
59創る名無しに見る名無し:2009/01/29(木) 23:48:26 ID:/i2c8Nx1
3つの中で最後に投下された1日後くらいにSq氏に投下してもらう?
60創る名無しに見る名無し:2009/01/30(金) 00:18:56 ID:YheKGlrK
そうだねぇ
土日で大きく進展しそうでwktk
61創る名無しに見る名無し:2009/01/30(金) 00:21:23 ID:w8usZ3pB
それでいいと思う。
もっとも、予約が入れば話が変わるけど
62創る名無しに見る名無し:2009/01/30(金) 00:24:54 ID:YheKGlrK
予約が入ったら入ったでそれも嬉しいな
結局禁止エリアは放送投下する書き手さんが決めるんだよね?
63創る名無しに見る名無し:2009/01/30(金) 00:29:44 ID:5mhS++r6
確かそう言う段取り
64創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 00:54:10 ID:q4o4oep9
この様子だと最長でも月曜には放送入れるか。
そして今日、明日は待ちに待った投下ラッシュ……!
65創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 01:19:48 ID:i6PV+rtf
放送の後はすぐに予約可になるのかな?
他ロワじゃ、0時から予約解禁とかそろえるらしいけど。
66 ◆UcWYlNNFZY :2009/01/31(土) 02:29:46 ID:H92yw20v
大変お待たせしました。
伊波まひる、新庄運切とうかします。
67創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 02:30:54 ID:54l/BajZ
支援ー
68彼女の秘密と彼女の力と ◆UcWYlNNFZY :2009/01/31(土) 02:31:05 ID:H92yw20v
「はぁ……はぁ……頑張ろう伊波さん」
「う、うん……新庄さん」

深い深い森の中、長い黒髪の少女と短い茶髪の少女が懸命に坂道を走っていた。
二人の名は新庄運切と井波まひる。
彼女達はカズマから逃がしてくれたメカポッポの為に休む間も無く唯走っている、ひたすらに。
自分達を信じてくれた唯の機械、でも優しい心持つメカポッポの為に。
そして、メカポッポを信じきる為に、彼の信頼を裏切らない為にも。
二人は何度途中で助けに行こうと思ったか。
でもそれは信頼を裏切る事。
だから、二人をそれを選ばず体力の続く限り走っていた。


(私は……)

そんな中、まひるは走りながら一人沈んでいた。
自分の手を引いて走っている新庄の背を見つめながら。
思うのは自身の事。

(私……何が出来るんだろ……)

無力、そう思ってしまって。
この殺し合いにはカズマみたいな不思議な力を持つ様な人達が沢山居る。
そんな中でまひるは何も力を持っていない。
いや、男の子を問答無用で全力で殴るという癖があるが些細なものだ、きっと。
兎も角、まひるはそんな不思議な力を持つ人達が居る中で自身の無力さをかみ締めていた。

(でも……諦めない。だけど……私は生き残る為に何をすればいいんだろう……)

それでも、まひるは諦めない。
生きる事を、日常に帰る事を。
それが、最初に出会った中年の小父さんとの約束なのだから。
絶対にまひるは歩みを止めない、とめるわけにはいかない。
だけど自身が生きる為にはこの殺し合いでまひるは何をすればいいか。
幾ら自身に問うも答えは返ってこない。
当然だ。

まひるは普通……ちょっと変だけどそれでも普通の女の子なのだから。
普通に学校に言って。
普通にバイトをして。
普通に恋をして。
普通に男をぶん殴って……普通?
……兎も角そんな代わり映えのしない何時もの日々を送っていたまひる。
そんな彼女が突然に非日常の殺し合いで何かの役割を見つけようとしても……簡単にできる事ではない。
いきなり、自身の役割を見つけろといわれても無理なものだ。
そんな事も露知らずまひるは自身の役割を未だに探し続けていた。
見つかるわけもなく心のモヤモヤは波のように広がっていくだけ。
考えれば考えるほど見つからない。

(あ〜〜〜も〜〜〜〜〜!!)

まひるはクシャクシャと空いている左手で短めの髪を掻く。
有体に言えば焦っていた。
いつまでも見つからない答えに。
あせる必要性など無いのに唯焦っていた。
メカポッポが体を張って頑張ってくれたのに。
何も見つからない自分が恥ずかしくて。
悔しかった。
69彼女の秘密と彼女の力と ◆UcWYlNNFZY :2009/01/31(土) 02:31:43 ID:H92yw20v
それだけを考えていたせいかも知れない。

「あっ!?……きゃあ!?」

周りが見えておらず足元にあった大きな木の根にまひるが気付かなかったのかは。
そのまままひるは気づかず木の根に足を取られ前のめりになってしまう。
そして前に居るのは新庄。

「新庄さ……きゃあ!?」
「え?……きゃああ!?」

まひるが注意する間も無く新庄を巻き込んでしまった。
そして新庄達が走っていたのは坂道である。
しかもかなり急な下り道。

つまり


「「きゃああああああああああああ!?」」


そのまま二人は一緒になって転がり下っていく。
それもかなりの速さで。
二人はなす術も無く転がっていき止るのを唯待っていた。
そしてゆっくりと減速していき平らの道で二人は止まった。
しかし未だに二人は目が回って思考が定まらない。

「し、新庄さーん……御免なさーい……」
「ふぇぇ……な、何があったのー?」

新庄は痛む頭を摩ろうと手を動かそうとするが動かない。
何事かと目を明けた先ににあったのは青と白の縞々。
新庄が混乱し始めた時、

「新庄さーん……私、新庄さんの下になってる……」

股間から聞こえてくるまひるの声。
よく考えると体に当たる感触がとても柔らかい。
どうやら転がっている間に何時の間にか新庄がまひるを覆い被さる状態になってしまったらしいのだ。
新庄が上でまひるが下。
そして、体勢は新庄の足の方向にまひるの顔と手があり、またまひるの足の方向に新庄の顔と手が。
……何だかとてもいやらしい体形になっているようだ。
新庄がそう思いこの縞々の謎に思いつく。

(つまりこれは……縞パ……)

そう思い当たり新庄は閉口する。
何だかとっても気まずい。
すごーく気まずい。
そう新庄は思い焦る。
焦る。
とりあえず新庄が今すべき事。
70創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 02:31:47 ID:we/gSOXI
71創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 02:32:19 ID:we/gSOXI
72彼女の秘密と彼女の力と ◆UcWYlNNFZY :2009/01/31(土) 02:32:26 ID:H92yw20v

「とりあえず……体を……ど、どけるね……」
「う、うん」

体をどける。
この体勢は凄く不味い。
そう思い起き上がろうとするも

「あれ……なんか体が絡まって……?……あれれ?」

何か足や手がまひるの体が絡まっている様で上手くいかない。

「ひゃぅ!? 新庄さん……そこは……あぅ」
「え!?……あ、御免!?」
「あっ……ひゃ」
「えぇえぇえ?!……なんで嬌声?!」

新庄が体を動かす度に何故か嬌声を上げるまひるに焦りが増していく。
何としても早く退けようそう考えるだけで頭が一杯になっていた新庄はある事に気付かなかった。
ほんの数時間前まで神経をすり減らすまで考えていた事。
それを今、何故か広がっている桃色空間を何とかする事だけに思考をめぐらせたが故に。
その瞬間まで新庄は気づかなかった。
そう

「ど、どうしよう…………あっ」

性別が入れ替わる瞬間を。
女の子から男の子の体に変ることを。
忘れていたのだ。
体が霧のようなものに包まれてそして変わる。

(ああっ!?……ど、ど、どうしよう!?!?)

男の子に。
あっという間に新庄は男に代わってしまった。


その瞬間、まひるは何をしていたかというと。

(な、なんでこんなことに……ひゃん……)

唯、何か不思議な感覚にビックリし目を瞑っていた。
局部には何か新庄の息が吹きかかってくるし。
新庄の豊満の胸が体に当たってくるし。
新庄の手は何処か敏感な所に当たってくるしでまひるはただ驚いていた。
なんか顔が真っ赤になっていた時。

まひるの体にあたる新庄の体の感触が変わり始めていた。
羨ましいぐらいの豊満の胸の感触は無く。
そして顔の近くにあった新庄の局部からなんとも言い表しがたい感触が。

「………………………………え?」
73創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 02:32:53 ID:54l/BajZ
 
74彼女の秘密と彼女の力と ◆UcWYlNNFZY :2009/01/31(土) 02:33:02 ID:H92yw20v
まひるは思わず声を出してしまう。
何か存在してはいけない何かが新庄についている。
女の子には無いもの。
まひるは見たこともないが……何となく解ってしまった。

それは男の子に分類される者が持っているもの。


でもまひるは新庄が女の子だとさっきまで思っていた。
羨ましいぐらいの胸と先ほどまでこの感触は無かったのだから。
なのに唐突にこの男の子っぽいものを感じた。

まひるは考えて……そして思いついた言葉を言う。
何も無い本心から、思ったことを。

「えっと、新庄さんって」
「……う、うん」

なんともいえない静かな時間が流れて。

そして。




「………………………………………………両性類?」
「………………………………漢字はそれっぽいけど意味は全然違うよ…………」



余りにも素直なまひるの感想。
新庄は大きな溜め息をつきながらそれを否定する。
両方の性別を持っていることは確かなのだが『両性類』とは流石に言われたくなかった。
心の、心の底から。
しかも、もともとの両生類の意味と全然違うのだから。

しかし、つまりそれは……

75創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 02:33:52 ID:we/gSOXI
76彼女の秘密と彼女の力と ◆UcWYlNNFZY :2009/01/31(土) 02:34:17 ID:H92yw20v
「じゃあ………………………………………………男の子?」


新庄が男の子であることの証明でもあり。
それに新庄はごまかすことが出来ずにいた。
何故なら新庄の局部のアレがまひるの顔に当たっていたのだから。


「………………………………………………う、うん…………今は…………そう」



肯定。
続くのは妙な間。
静かに時は流れて。
聞こえるのは葉っぱが擦れる音だけ。


そして


「きゃあああ!!」


まひるの悲鳴。
上に乗っていた新庄を凄まじい力で突き飛ばす。
沸き上がる嫌悪感から。
新庄はなす術も無くまひるの上から跳ね飛ばされた。
新庄はそして


「……え、えーと…………………………………………やっぱり……………………殴るんですか?」




その時一迅の風が吹いて。





「ええ、御免なさいっ! やっぱり殴るわ!!」




ストレート一閃。

77創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 02:34:26 ID:54l/BajZ
これはwww
78創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 02:34:32 ID:we/gSOXI
79彼女の秘密と彼女の力と ◆UcWYlNNFZY :2009/01/31(土) 02:35:20 ID:H92yw20v

「ひゃん!?」


綺麗に新庄の顎にヒットして。

「はぅ!?」

続いてアッパー。

「あぅ!?」

ジャブ。


最後に

「いやーーーーーー!! 男ーーーーーーー!!!!!」
「うぐぅ!?」


右ストレートが顔面に。


その鮮烈で強烈な一撃を食らった新庄は


「御免ね……伊波さん……ボク……隠していて」



静かに地に伏せた。
予想以上の威力に驚きながら。
言わなかったことに後悔しながら。
やすらかに倒れたのだった。
その様子にまひるは我に返り

「あ……私……そんなつもりじゃ……御免……御免なさい!」

ジワッと涙を溜めて居た堪れなくなり走り去り近くの茂みに身を隠した。
殴ってしまった後悔に苛まれながら。

新庄はそれを見送ることしかできずその背を見ていただけ。
動こうにもダメージ大きく中々立ち上がることが出来ない。
その時、女の子を泣かすなど新庄君も中々悪いとあの声が。

(いや……それ今ボクにかける言葉……?)
80創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 02:35:25 ID:we/gSOXI
81彼女の秘密と彼女の力と ◆UcWYlNNFZY :2009/01/31(土) 02:36:05 ID:H92yw20v

何故か聞こえてきた佐山の声に突っ込みを入れつつ思う。
隠していた事。
もし、もっと早く話しておけばまひるを悲しませることは無かったんだろうかと。。
苦しませることが無かったんだろうか。
そう、自問するも答えは一向に返ってこない。
間違ったのだろうかと新庄は一人後悔し。

そして。

静かに。
静かに。

目を閉じた。




【新庄・運切@終わりのクロニクル 死亡確認】
82創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 02:36:13 ID:we/gSOXI
83創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 02:36:13 ID:54l/BajZ
し、新庄君……w
84彼女の秘密と彼女の力と ◆UcWYlNNFZY :2009/01/31(土) 02:36:36 ID:H92yw20v






「…………いや、死んでないから」




あ、生きてた。



【新庄・運切@終わりのクロニクル 生存確認】






◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇





「私……何やってるんだろう……」

まひるは深い茂みの中、体育座りしながら落ち込んでいた。
原因は新庄を殴ってしまったこと。
何故、新庄が男になったかは解らない。
でも、何も言わず殴ってしまった。
癖とはいっても何発も。
しかも何も言わず逃げ出してしまった。

もっとしっかり謝らないといけないのに。

(あぁ……もう……私……駄目駄目だ……)
85創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 02:37:09 ID:we/gSOXI
86彼女の秘密と彼女の力と ◆UcWYlNNFZY :2009/01/31(土) 02:37:30 ID:H92yw20v
生き残ろうと何が出来るかを考え始めた途端この騒ぎだ。
結局、自分は何もできはしない。
そう思いまひるはどんどん自己嫌悪に陥っていく。
頭をポカポカと叩きどんどん落ち込んでいく。
負の連鎖が広がりどんどん哀しくなっていく。
思うのは

(小鳥遊君……あいたい)

想っている人の事。
唯、会いたかった。
会って何もする訳ではないけど会えばきっと落ち着く。
そう思って。
哀しみだけが広がることは無いと思って。
唯、そう想い続けていた。
そんな時

「伊波さん!」

茂みの向こう側から新庄の声が。
殴られたダメージから回復し急いでまひるの元にやってきたのだ。
このまま何も知らないままなんて新庄は絶対いやだったから。

「あの……ボクの話聞いてもらえる?……隠していてそんな事言う立場じゃないけど……」
「うん、聞くよ」

新庄の問いに即答するまひる。
まひるもこのままなんて絶対嫌だったから。
だから茂み越しに話を聞く準備をした。

「えっと信じてもらえないかもだけど……ボクは性別が入れ替わるんだ」
「……え?」
「午前5時半から6時までに男に、また午後5時半から6時まで女に代わる……そんな性質なんだ」
「……そうなんだ……」
「でも精神、人格は『ボク』固有のもの。変わるのは体だけ。精神自身の性別は……答えられないけど」
「そう……」

新庄が体の秘密を明かす。
真実を教える度にまひるの応答の声が弱くなっていく。
当然かもしれない。
そんな事いっても急に信じられる訳ないから。
元々男の子でしたと想われるのが関の山だ。
ある意味常識外れた事、まひるが信じられるわけが無い。
そう結論付けて、でもそれでもこれだけは言いたかった。

「これが隠してた秘密……隠してて御免ね。信じてもらえる訳無いけど……御免ね」


唯、秘密を隠していた事。
これだけは謝りたかった。
その時だった。
87彼女の秘密と彼女の力と ◆UcWYlNNFZY :2009/01/31(土) 02:38:07 ID:H92yw20v
「信じるよ、私」

信じるという力強い言葉が返ってきたのは。
それがまひるが下した結論。
凛とした意志の篭った言葉。

「凄い不思議な感じだけど……でも私は新庄さんがいったことを信じる」
「伊波さん……」
「触っちゃったしね……し、新庄さんのあ、あれ」
「う、うん……」

直接感じただけはではない。
まひるは見つけ、決めたのだ。

「ううん……新庄さんの秘密だけじゃない……私はどんな時でも信じる」

『信じる』という事を。
どんな時でも信じ、信頼をする事。
それがまひるがこの殺し合いの場所で出来る事。
何の力も持たないまひるが出来る役割。
仲間を信じる事。
希望を信じる事。
未来を信じる事。

最後まで絶対に諦めずに信じ抜く事。

それを助けって貰った中年の小父さん、メカポッポから教えてもらったたった一つのこと。

でもそれはとても大きく大切なもの。

それがまひるの持つ力。

それをまひるは貫こう。

そう、思ったから。


だから、まひるはあきらめない。
最後まで。

88創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 02:38:19 ID:we/gSOXI
89創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 02:38:57 ID:we/gSOXI
90創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 02:39:08 ID:54l/BajZ
 
91彼女の秘密と彼女の力と ◆UcWYlNNFZY :2009/01/31(土) 02:40:04 ID:H92yw20v


「信じるから……新庄さんの事」
「伊波さん……ありがとう」
「ううん……こっちこそ殴って御免ね」
「ううん……仲直りしよっか」
「うん、そうしよう。新庄さん……これからもよろしく」
「うん、伊波さん……こちらこそよろしく」

そして笑い始める。
もう二人は大丈夫。
そう感じながら。

「あ、でも伊波さん男性恐怖症は……」
「そんなに近づかなきゃ大丈夫。新庄さん男の子に見えないし……多分」
「多分……!?」
「う、うん。大丈夫だよ。大丈夫」

あははーと乾いた笑いを出しながらまひるは思案し始める。
そこまで近づかなきゃ大丈夫だと思っているが不安が頭をよぎっている。
何か無いかとデイバックをあけた時、それをまひるは見つけた。

「こ、これは……!?」






◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇





日がもう高い所まで昇り朝を告げている中、二人は手を繋いで歩いていた。

「……伊波さん。いつもこのように小鳥遊君と歩いていたんだ?」
「……ええ」

いや、新庄のが握っているのは機械の手。
別名マジックハンド。
通販で3980円である。
今ならキャンペーンでもう一本ついてきます。

(なんで都合よく入ってるのだろう……)
92彼女の秘密と彼女の力と ◆UcWYlNNFZY :2009/01/31(土) 02:40:36 ID:H92yw20v
まひるは溜め息をつきながらマジックハンドの先っぽを握っている。
いいじゃないですか、凶暴な伊波さんの為に主催者が用意したんですよと聞こえてきた小鳥遊の声を無視して。
兎も角、今あるお陰で新庄と無事歩けている。
これも小鳥遊君のお陰だろうかまひるは笑うも。

「井波さんと小鳥遊君って面白くて不思議な関係だね」
「……ええ」

ガクッと落ち込む。
恋愛関係に発展することは有るのだろうかとまひるは思うも答えは返ってこない。
はぁと溜め息をついた瞬間、

「あっ!?」

木の根にまた足が取られてしまい目の前の新庄にぶつかる。
ちなみに新庄は今男の子である。
つまり

「きゃーーーーーー!?!?」
「あぐぅ!?」

綺麗に決まったストレート。

まひるの恋も男嫌いを治すのも。

殺し合いの場ではあっても。


未だ


前途多難であった。




【A-2/北西部/早朝(放送直前)】



【新庄・運切@終りのクロニクル】
[状態]:健康 、顔面打撲
[装備]:尊秋多学園の制服、運命のスプーン@ポケットモンスターSPECIAL 、ヴァッシュ・ザ・スタンピードの銃 6/6 @トライガン・マキシマム
[道具]:支給品一式 予備弾丸36発分
[思考・状況 ]
1:メカポッポの到着を待つ。
2:小鳥遊、もしくは仲介役の女性を捜す。
3:まひると行動する。
4:佐山と合流しここから脱出する
5:ブレンヒルトについてはまだ判断できない。
6:人殺しはしない。
※まひるを信用しています。
※小鳥遊宗太については、彼の性癖とかは聞いています。家庭環境は聞いていません
※新庄の肉体は5:30〜6:00の間にランダムのタイミングで変化します。
 変化はほぼ一瞬、霧のような物に包まれ、変化を終えます。
 午前では女性から男性へ、午後は男性から女性へ変化します。
※本当に引き金を引けたかどうかは不明です
※カズマを危険人物だと認識しています
※何処へ行くかは次の方にお任せします。
※まひるに秘密を話しました
93彼女の秘密と彼女の力と ◆UcWYlNNFZY :2009/01/31(土) 02:41:09 ID:H92yw20v
【伊波まひる@WORKING!!】
[状態]:疲労(中)、足に擦り傷・切り傷
[装備]:学校の制服
[道具]:支給品一式、ARMSのコア(中身は不明)@ARMS マジックハンド×2 @WORKING!!
[思考・状況]
1:メカポッポの到着を待つ。
2:新庄と行動する。
3:諦めない。常に信じ抜く。
4:佐山、小鳥遊と合流する。
※新庄を信用しています。また、彼女の特異体質を知りました
※佐山・御言に関しては変な人ということを聞いています。ブレンヒルトについては、知り合いということだけ聞いています。
※運命のスプーンのことは知りません。
※ARMSのコアの事は一応目を通しましたが、何の事かよくわかってません。
※メカポッポ :参加者のある程度詳細な情報を持っています。
※何処へ行くかは次の方にお任せします。


支給品紹介
マジックハンド @WORKING!!
小鳥遊がまひるに触れるように通販で買ったマジックハンド。
3980円。
一度まひるに破壊されるも買いなおした。
その時キャンペーンでもう一本ついてきた代物である。
94創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 02:41:32 ID:54l/BajZ
 
95彼女の秘密と彼女の力と ◆UcWYlNNFZY :2009/01/31(土) 02:42:09 ID:H92yw20v
投下終了しました。
このたび延長してしまい申し訳ありません。
沢山の支援有難うございました。
96創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 02:50:15 ID:54l/BajZ
投下乙!
おぉ、やっぱ好きだなぁこのコンビ……って新庄くんーーーーーw
ま、まさか新庄君にとってこんな最悪な状況が訪れるとはwまひるおちつけwもう少し冷静にw
それまでがほのぼのとしたから余計にw両生類吹いたwww
しかし二人の状況をイメージすると……うっ、凄いイメージしやすくて逆に困るよw
まひるも新庄君もいいなぁ、最期の一件落着なシーンは実に心温まる……ギャグも面白かったしw
97創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 03:45:05 ID:k4lZDK01
投下乙です!
とうとう新庄の秘密がばれてしまったか
なんとかほどよいところに収まったようでなにより?
あ、いや新庄は殴られまくってるんだけどさw

主催はマジックハンド入れてあげるなんて便利だなw
98創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 08:36:55 ID:i6PV+rtf
投下乙です!
新庄くんの秘密バレはなんとか一件落着に収まったかぁ。
リーマンとメカポッポには感謝かな。
ていうか新庄君、死亡確認多すぎですw。
いつのまにかループして、北の方に出たか。
いやあほのぼの……って、同エリアに水銀燈ゼロコンビ!?
○ロワの清涼剤に大ピンチですよ皆さん!
改めてGJ!
99 ◆SqzC8ZECfY :2009/01/31(土) 15:00:55 ID:G3d8j6Mu
投下乙です。
らっきーすけべ&ドツキ漫才とは基本ばっちり押さえてますね!w(なにがだ)
やっぱり殴るわで吹いたw

えー、そして申し上げにくいのですが、延長期間中での投下が私用のため無理っぽいのです。
今夜、帰宅次第投下できますので再延長をお願いできないでしょうか。
100 ◆SqzC8ZECfY :2009/01/31(土) 15:02:12 ID:G3d8j6Mu
追記、10〜11時ころには何とかできると思うのですが……ご迷惑おかけしてすいません。
101創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 15:12:20 ID:BrP+Xjy1
>>99
投下してくれれば何でもオーケーよ
102創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 15:43:05 ID:i6PV+rtf
>>99
10時頃ならいいのでは。
投下楽しみにしています!
103創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 15:45:47 ID:k4lZDK01
つまり今夜夜には読めるってことだな!
ゆっくりしていってね!
104 ◆SqzC8ZECfY :2009/01/31(土) 21:56:00 ID:VaMUovor
大変お待たせしました。
では投下開始します。
105炸裂―エクスプロード― ◆SqzC8ZECfY :2009/01/31(土) 21:57:46 ID:VaMUovor
荒涼たる不毛の大地を、凍てつく風が吹き抜ける。

冷たい夜の闇の中、いつ訪れるともしれぬ死を身近に感じる、そこは寒くて残酷な場所だった。

飛来する榴弾砲の音が大気を切り裂いていた。

攻撃ヘリが敵陣に爆炎を巻き起こす。

硝煙によって燻された血の匂いが辺り一帯を満たしていた。

苛烈極まりない地獄の戦場。

その真っ只中で共に命を賭けて戦い抜いた同志たち。

もはや誰も在り処を知らぬような大義も誇りも名誉も栄光も何もなく、ただ仲間たちの命のためだけに駆け抜けた、在りし日の戦場がそこにあった。


――――だが、これは夢だ。


もう二度と還っては来ない。

砕けて散って、もう元の形には戻らない。

だからこそ自分は、自分たちはせめて、その粉々に砕け散った破片をかき集めて、歪みきっていようとも、過ぎ去った夢の残影を見続けている。

もはやそれしか残されていないから。

意味などというものを問う時間はとうの昔に過ぎ去った。

ただ眺め続ける――――夢の残滓を。

狂気の炸裂をその胸に抱きながら。

さあ、戻ろう。

偽りの戦場へ。

血と硝煙の匂いが嗅げるのならば、どこだろうと構わない。

虚飾に満ちた名誉や栄光などというものに頓着さえしなければ、それは世界中のいたるところで繰り広げられているのだから。

106創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 21:58:26 ID:54l/BajZ
支援ー
107炸裂―エクスプロード― ◆SqzC8ZECfY :2009/01/31(土) 21:58:39 ID:VaMUovor
   ◇   ◇   ◇


世間一般の人間はトイレがどれだけ崇高なものかわかっていない。
トイレは排泄行為をするだけの場所ではなく、ゆるやかに物事を考えることのできる個室空間なのである。
個人宅のトイレもいいが、やはり通なら公共トイレの個室だろう。
他人が近くにいて、天井には外との隙間があるというのに、プライベートが保障されている矛盾に満ちた空間。
自らの恥部をさらけだした開放感に酔いしれつつ、今後の生き方を考えるのもよし、過去を振り返るのもよし、壁に書かれている落書きを楽しむのもまた一興。
しかも、誰かに覗かれているのではないかという、マゾヒスティィックな要求にも、覗きたいというサディスティィックな要求にも、応えてくれる柔軟性がある。
ここに速さは必要ありません。
気持ちを落ち着かせ、開放感に浸りながら便器と友達になる!
その便器は友達でーす!
トイレと僕とぉぉぉ……。

さて、ここはC-4駅内の公共トイレ。
ぶっちゃけた話が男子トイレである。
他に誰もいないその個室。
本来ならば、いついかなるときでも速さを追い求めるこの俺、ストレイト・クーガー。
そんな俺でもトイレの個室ではゆっくりと時の流れを楽しむただの男に戻るのである。
だがしかし、今の俺には使命がある! 
そのためにはトイレすらも最速で済まさなければならない!
それは美しき女性を守るということ。それは男の本懐、いや義務といってもいいだろう。
女性なくして男は立たず、その逆もまた然り。男女とはつまりふたつでひとつ表裏一体三位一体創聖合体!
見捨てるという紳士として有るまじき行動を取るなど俺の中のシヴァルリィが許しはしない。
なお、シヴァルリィというのは騎士道精神のことで、忠義と礼節を重んじ、か弱きものをお助けするといった内容のものである!




ごぼごぼごぼごぼ
じゃ―――――――――――――――――――――――――――ッッ。




駅についてからというもの、その事務室内で気を失った女性に付き添っていた俺は突如、生理現象の脅威に襲われた。
まあ、生物としては致し方ないこと。
いつ誰が殺し合いに乗って襲い掛かってくるかもしれない現状では、少しばかりといえど気絶した女性を放って席を外すのは不安だ。
が、最速でトイレに駆け込み、戻ってくれば大丈夫だろうと俺は考えた。
案内盤を眺めてトイレを確認、即ダッシュ。
最速で飛び込んだ公共トイレ、その個室のドアをノック。
最速を追い求めるさなかといえど、エチケットは忘れてはならない。
返事がないのを確認してドアを開け、最速でズボンを下ろし、最速で便器へと座る。
なお、この駅のトイレは清掃が行き届いており、匂いも気にならない。なんという文化的なトイレであろうか。
ここだけはジラーミンに感謝するとしよう。
108炸裂―エクスプロード― ◆SqzC8ZECfY :2009/01/31(土) 21:59:51 ID:VaMUovor
そして気分よくリラックスした俺の胃腸は今日も変わらず絶好調であり、便秘などとは縁のない最速っぷりを見せ付けた。
色つや文句なし。カズヤあたりが近くにいたら、思わず呼んできて自慢したくなるほどの一品である。
ああ、だが今は最速を求め続けるこの俺、ストレイト・クーガー!
ここで立ち止まっているわけにはいかない! 涙を呑んで傑作のブツをトイレに流し、素早くトイレットペーパーで後始末。
ちなみに俺はウォシュレットにはどうにも馴染めない派である。
文化の結晶と言われようが駄目なものは駄目。
科学の発展とは素晴らしいものだが、置いてきぼりにしてはならないものもあるのだということを俺は本土の文化に触れて学んだのだった。
ズボンを上げ、全てを終えた俺は個室のドアを開ける。
便器の汚れは一切なし。立つ鳥、跡を濁さず。
イッツ、パーフェクト!
トイレットペーパーを三角に折りたたむことも込みで、我ながら最速かつグッドジョブである。
さらに俺は洗面台で手を洗う。
ロストグラウンドでは手を拭くどころか尻を拭く紙にも困るときがあったものだが、やはり文化とは素晴らしいものだ。
液体石鹸を手のひらに取って泡立たせ、爪の先から指の間まで満遍なくこする。
そして石鹸を水で洗い流し、手首のスナップを利かせてしずくを切る。備え付けのタオルで手を拭く。
鏡を見る。相変わらずナイスガイな俺。
手櫛でヘアスタイルを整える。さらに男前だぜ俺。
ああ、ここまで全工程で二分十二秒!
またひとつ世界を縮めてしまったァ〜〜〜〜〜〜〜〜!

……さて、戻るか。


…………おや?


   ◇   ◇   ◇


ぼんやりと夜が明け始めた頃。
レッドという少年と別れてから、他の誰かを探してあてどなく歩き続けたフィーロは、誰にも会えないまま、それでも歩き続けていた。
首輪を外すための技術を持つ誰かを探すためだ。
自分ひとりなら首輪が爆発したところで平気なのだが、他の不死でない人間は、そうはいかない。
そしてフィーロはどうしても他の人間を蹴落とすことができない。
その身に取り込んだセラードに取り込まれないためにも。
ひょっとしたらギラーミンはそれを承知で不死者であるフィーロをこの殺し合いに参加させたのかもしれない。
たとえクレアがいようと、不死のアドバンテージがあれば優勝を狙うのも、決して可能性ゼロというわけではないからだ。
それにしても気になるのはラッドのあの姿だ。
刑務所で知り合った頃の1930年代と殆ど変わらない。
いつのまにか不死者になったのだろうか。会うことがあったら聞いてみよう。
少なくともあいつが殺し合いに巻き込まれたからって、そう易々と死ぬようなタマには見えないし。
フィーロはそんな取り留めのないことを考えながらも歩き続ける。
不死者は疲労で乳酸の溜まった筋肉も自動的に再生する。
ゆえに限界まで運動すれば力尽きはするが、すぐに回復できるのでほとんど疲れ知らずということに等しい。
だが精神のほうはそうはいかなかったようだ。
ややもすると流石に少々うんざりしてきたので、この近くにある駅へと向かうことにしたのだった。
一休みして腰を下ろす椅子くらいならあるだろうし、地図にも載っているのだから、何もないところよりは他の誰かが来る可能性は高いと踏んだからだ。
かくしてC-4駅へとたどり着いたフィーロ。
正面から入って、やや広いスペースの待合室に出る。
電車を待つ客のためのものであろう長椅子に溜息を付きながら腰を下ろした。
年寄りくさいな、と自分でも思う。
もっとも実際にそれくらいの年ではあるのだ。十代の外見をキープしているだけで。
しかも年より若く見られる童顔なので、どうせならもっと年食ってから不死者になればよかったと思うことがしょっちゅうあった。
そこで、おや――と、あることに気がついた。
何気なく向けた視線の先、駅員用の事務室に続くドアが見える。
109炸裂―エクスプロード― ◆SqzC8ZECfY :2009/01/31(土) 22:00:36 ID:VaMUovor
忍び足でここに入ってきたわけではないし、もし誰かいるとしたら足音などで気付いていそうなものだが。
誰か、いるのか――声に出す。
返ってくるのは静寂だけ。
よく考えれば今は殺し合いの真っ只中にいるのだから、誰かいるとしても返事があるほうがおかしい。
むこうから見ればフィーロが殺人者かもしれない可能性がある。
そもそも声を出して呼びかけるほうもどうかとはフィーロ自身も思うが、自分が不死者であるという事実が多少大胆な行動を後押ししていた。
そして何故かフィーロはむしろそこで返事をかえす変人にばかり縁がある。
だが今は少なくともそのような変人はいないようだ。
受付の窓口からそっと中を覗いた。
ありきたりな机と書類、電話、FAXなどの通信機器がならぶ光景。
部屋の中央にソファ。ここから見た限りでは無人。
だが電話がどこに繋がっているのかは興味がある。
もしかしたら他の施設に連絡が取れて、自分が探す技術者が見つかるかもしれない。
そこまで考えながら、ふと思う。
殺し合いに不死者が参加していたらどうにもならないよなあ、と。
最初の空間でのギラーミンの話を聞く限り、それを知りながら自分のような者を参加させたようだし、一体どういうつもりなのかわからない。

――後から思えばそこでもっと考えるべきだったのだ。

不死者を殺し合いに参加させる理由について。
もっとも不死そのものを限定的ながらも無効化するなど、今まで同じ不死者以外には誰も殺せない存在として長年生きてきた彼には、教えられたとしてもにわかには信じがたかったであろうが。
フィーロはアルミ製のドアに近づいて、そっとノブを回した。


   ◇   ◇   ◇


明滅する意識。
光――浮上する感覚。
ぼんやりと目を開ける。
どこかの事務所のような風景。
ソファに寝かされている。
起き上がろうとして腹部に鈍痛。吐き気がしたが堪える。
そして意識を失う前のことを鮮明に思い出す。
急速に五感を覚醒させて身体を起こすと、目に入ったのは二つのデイパック、自分が所持していたオートマグとカラシニコフ。
デイパックの一つが自分のものだとして、もう一つは誰のものだ?
急いで中身を確認した。
まず出てきたのはデザートイーグル。マガジンは空のまま。
他にも出てきたのは探知機と食料などの基本支給品。
これはバラライカ自身の荷物。ならばもう一つを調べる。
そこにはこちらと同じ基本支給品。他には金髪の男が朗らかに笑う写真が貼られた手配書。
通貨の単位がよくわからないが随分と高額な賞金首のようだ。
そのわりに写真からはそんなに恐ろしい男だというイメージが微塵も伝わってこないのはどういうことだろうか。
他にも手書きで『モヒカン男と麦藁帽子の男に気を付けろ byストレイト・クーガー』と走り書きがしてあった。
このストレイト・クーガーという男が自分をここまで連れてきたのだろうか。
そしてその男はどこにいったのだろうか?
そこで思い至ったのが探知機の存在だった。
急いで調べると反応は至近距離に二つ。
荷物をそのままにしておいたということは、おそらくすぐに戻ってくるということだろう。
直ちに戦闘準備。
予備弾を取り出して、たまたま手に取っていたデザートイーグルに熟練の手さばきで弾丸を込めていく。


「――誰か、いるのか」


初めて聞く声。
近い。
とりあえず弾込めを終えた銃とカラシニコフ、残りの荷物を詰めた二つのデイパックを手に取り、机の影に身を潜める。
どうするか。
110創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 22:01:06 ID:x6nO011+
 
111創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 22:01:19 ID:54l/BajZ
 
112創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 22:01:51 ID:x6nO011+
 
113炸裂―エクスプロード― ◆SqzC8ZECfY :2009/01/31(土) 22:02:05 ID:VaMUovor
数的に不利。地の利もなく撤退戦も困難。
相手があの麦藁や不死者の同類であった場合、勝ち目は薄い。
どうせならいっそ特攻でも悪くはないか――と考えた矢先、クーガーというらしき男のデイパックに入っていた未知の支給品に思い至った。
説明書きを読むと、それは普通に考えれば荒唐無稽な戯言。
だが不死の酒すらある程度の効果はあった。
ならばこれも試す価値は充分。
バラライカが取り出した、一見なんの変哲もなさそうな輪のようなもの――――説明書きには【通り抜けフープ】と書かれていた。

クーガーがトイレに行かなければ――、

バラライカがその二、三分の間に目を覚まさなければ――、

そこにフィーロがやってこなければ――、

なぜ銃を取り上げていなかったのか――クーガーが銃弾をものともしないアルター使いでなければ――、

そこに通り抜けフープがなければ――、

フィーロが不死が不完全ということに思い至っていれば――、

様々な偶然が重なり、そしてこの状況が生まれた。

どれかの要因が欠ければ成り立たなかった偶然。

だが、そうはならなかった。

そうはならなかったのだ。

だから――――もしもの話はここで御仕舞。


   ◇   ◇   ◇


何者かの声を聞いたクーガーがアルターを脚部限定で展開し、駅の離れに位置するトイレからほぼ一瞬で戻ってきた瞬間のことだった。
見知らぬ少年。
そこを開けた途端の攻撃に用心するかのように、事務室のドアの正面に立たないようにして、横からドアノブを回そうとしていた。
一見して怪しい振る舞い。
あの女性のいる部屋に忍び込んで何か不埒な振る舞いをするつもりだろうか、と考えても無理はない。
だが、クーガーが目を奪われたのはそこではなかった。
少年の背後の『壁』。
そこから『上半身だけが抜け出して銃を構える女』の姿。
狙いは少年の後頭部に固定。
114創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 22:02:40 ID:x6nO011+
 
115創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 22:02:54 ID:54l/BajZ
 
116炸裂―エクスプロード― ◆SqzC8ZECfY :2009/01/31(土) 22:03:26 ID:VaMUovor


銃声。


一発目――少年の頭に文字通り風穴が開いた。

二発目――頭蓋の中身が飛び出して床に飛び散った。

三発目――少年の下顎から上が綺麗さっぱり消失していた。

一瞬が、まるでコマ送りのように引き伸ばされた時間のように変化した。
致命的な火薬の匂い。
女の上半身は壁の中にずるりと入り込んでいく。
血煙。硝煙。
そしてドアに寄りかかるようにしてゆっくりと崩れ落ちる『少年だったモノ』。


「――お待ちなさいぃぃぃぃッッ!!」


クーガーが弾け跳んだ。
まさしく弾丸と化して女が消えた壁に向かって突撃。


「衝撃のファーストブリットォォォォォォォォ――――――――!!!!」


突き抜けた壁の先――吹き荒れる爆風。
凄まじいスピードが大気をも巻き込み、猛烈な勢いで入り込んできては、流出していく。
窓から差し込む朝日の輝きはレーザーのようで、舞い上がる埃が微細な羽毛のように浮かび上がる。
だが、少年を撃った――――クーガーが助けた女の姿はすでにどこにもなかった。




そこには一つの死と、虚無だけが残った。


【フィーロ・プロシェンツォ@死亡】
117創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 22:03:36 ID:x6nO011+
 
118炸裂―エクスプロード― ◆SqzC8ZECfY :2009/01/31(土) 22:04:26 ID:VaMUovor
【C-4/駅・事務室内/早朝】


【ストレイト・クーガー@スクライド】
[状態]:やや混乱 、左肩、右脇腹などに銃弾による傷(アルターで処置済み)
[装備]:HOLY部隊制服、文化的サングラス
[道具]:なし
[思考・状況]
0:女を捜す
1:ジラーミンに逆らい、倒す
2:無常、ラズロ(リヴィオ)、ヴァッシュ、ルフィ、バラライカ(名前は知らない)には注意する
3:カズマ、劉鳳、橘あすかとの合流。弱者の保護。

【備考】
※病院の入り口のドアにヴァッシュの指名手配書が貼ってあります。
※ジラーミンとは、ギラーミンの事です
※ヴァッシュ・ザ・スタンピードの手配書×二枚に『モヒカン男と麦藁帽子の男に気を付けろ byストレイト・クーガー』とメモ書きされています。
※C-4駅事務室入り口にフィーロの荷物が落ちています。





【C-4/駅のそば/早朝】

【バラライカ@BLACK LAGOON】
[状態]:腹部に中程度のダメージ、身体全体に火傷(小)、頬に二つの傷
[装備]:デザートイーグル(5/8、予備弾×24)AK47カラシニコフ(30/40、予備弾40×3)
[道具]:デイパック(支給品一式×3)、デイパック2(支給品一式×1/食料一食分消費)、AMTオートマグ(0/7)、不死の酒(空瓶) 、探知機
     のび太の不明支給品(1-3)、ヴァッシュ・ザ・スタンピードの手配書×二枚、通り抜けフープ
[思考・状況]
  0:一旦、体勢を立て直す。
  1:戦争(バトルロワイアル)を生き抜き、勝利する。


 ※のび太から、ギラーミンのことや未来のこと、ドラえもんについてなどを聞き出しました。
 ※のび太の不明支給品の中には武器、秘密道具に属するものはありません。
 ※ヴァッシュ・ザ・スタンピードの手配書×二枚に『モヒカン男と麦藁帽子の男に気を付けろ byストレイト・クーガー』とメモ書きされています。
 ※デイパックを二つ持っています。
 ※これからどう行動するかは次の書き手さんにお任せします。




【通り抜けフープ@ドラえもん】
クーガーに支給された。
形状は現代のフラフープと同じ形。これを壁やドアなどに接地すると、フープをくぐってそのドアや壁の向こうへ抜けられる。
ただし、次元を操作することによって、通り抜けできなくしたり、全く違う所への抜け道になったりする。
フープの形は基本的に円形で固定されているが、ポケットから取り出した後や、壁に設置した後取り外す時に形が変形する時もあり、ある程度柔軟な素材で出来ている。
なお、ロワ内では制限であまり厚い壁、および遠距離には抜けられないようになっている。
119創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 22:04:40 ID:54l/BajZ
 
120創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 22:05:06 ID:1wUsvtT9
 
121創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 22:05:17 ID:54l/BajZ
 
122 ◆SqzC8ZECfY :2009/01/31(土) 22:05:51 ID:VaMUovor
投下完了です。
支援ありがとうございました。
タイトル元ネタは小説マルドゥックヴェロシティより。
ご意見ご感想ありましたらよろしくお願いします。
123創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 22:10:32 ID:54l/BajZ
投下乙!
フ、フィーローーー!!
不死者の再生力の制限がこんな結果を引き起こすとは……バラライカ恐ろしい!
冒頭がクーガーのコミカルなシーンだっから余計びっくりw
これはクレアの今後も気になる。
124創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 22:17:16 ID:xSEqQUHE
投下乙・・・フィーロがぁぁぁ!
次の放送でクレアのマーダー化が確定したようなものだ
そしてクレアがマーダー化すると地味に○同盟がまた不利になる

ところで気になる点がひとつ
ささいなことだけど名前だけだとバラライカはクーガーが男かどうかは分からないのでは?
125創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 22:17:18 ID:6omtChf/
投下乙です!
童帝ここで散る…か
バラ姉さんもう四人目とかマジこええww
そういや、これでクレアを止めれるやつはいなくなっちまったな
126 ◆SqzC8ZECfY :2009/01/31(土) 22:34:09 ID:VaMUovor
>>124
了解しました。
>>109

×このストレイト・クーガーという男が自分をここまで連れてきたのだろうか。
○このストレイト・クーガーという人間が自分をここまで連れてきたのだろうか。

に変更でお願いします。
収録の際にでも直しておきますので。
127創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 22:58:31 ID:i6PV+rtf
投下乙です!
フィーロォォォォ! 主役っぽかったのは死亡フラグだったのかっ。
バラライカさん、キルスコアがもう他の追随を許さないなぁ。
クーガーは果たして自分の助けた女性の行った事に何を思うのか…。
改めてGJ!
128創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 23:29:22 ID:OYZ3LAAF
嗚呼……フィーロ、君も逝ってしまったか
誤解やうっかりが多すぎるんだよ○ロワはよォーッ!

何はともあれ、乙です
129創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 23:41:35 ID:q4o4oep9
投下二つキテルー!

>Uc氏
良いよ、スッゴい癒されるよこの二人組!
てか新庄、局部当ては流石に殴られとけwww伊波じゃなくてもキレるwww
まぁ取り敢えず落ち着いたようだし先の活躍に期待という事で。
何ていうか、この二人はとても応援したくなるw
GJ!

>Sq氏
童帝、ついに卒業できずに死亡か……いやはや相手が悪かったなw
バラライカは誤解フラグ×2を持ってちゃうし、クレアの歯止め役も死んじゃったし、どうなることやら。
そしてバラライカは他の超人マーダー達とはまた違う意味で怖いw
なんか原作桐山みたいな雰囲気だw
GJ!
130創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 00:09:23 ID:DznRY++g
フィーーーロォーーーー!
やっぱりこいつは主役っぽい以上の立場にはなれないキャラなのね
バラライカの殺害数がどんどんやばいことになってるw
131創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 00:59:32 ID:/47JfQc4
唯一と言っていい現実に近い世界からの一般マーダーなのに、
超人マーダー差し置いて殺害数一位とはなww

超人的な力持ってるからって活躍できないのが
おそろしいぜ、ロワは
132創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 01:05:52 ID:DznRY++g
だよなw
さすがバラライカの姉御、ぱねぇっす
133創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 01:06:27 ID:DznRY++g
あ、そうだ
放送っていつ頃になるのかな
134創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 01:13:33 ID:TwmIvXiJ
うおっ、2作品も投下来てる!!!
しかも新庄君たちのほのぼのな話の後にフィーロの死亡話
一気に読むとさらに寂しくなる……
そしてフィーロの死がクレアや○同盟にどんな影響を及ぼすのか
そして土御門やゼロのいるエリアへといった新庄君たちの運命やいかに
二人ともGJ
135創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 01:17:05 ID:fw8SRoSg
しかも殺害方法の殆どが不意打ちなんだぜ……マジ、パネェっすw

>>133
今日EH氏が投下するとして明日放送だろうな。
予約開始は明日の24:00からって感じじゃね
136創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 01:18:56 ID:DznRY++g
そうかー
放送後の展開が今から楽しみだ
あとEH氏がどこを禁止エリアにするかもw
137創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 01:21:04 ID:fw8SRoSg
待て、放送投下はSq氏だw
EH氏の投下はヴァッシュ組+ベナウィだぞw
138創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 01:24:22 ID:DznRY++g
そ、そうだっけw
139創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 02:01:23 ID:3T1Wz2J7
童帝が死んだか…
次は童貞のルルーシュに期待。
140創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 02:12:25 ID:AB24wI/x
第1回放送終了記念に、投票とかできんかな?
人気キャラ投票とか、SS投票とか、名シーン、名セリフとか。
141創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 02:39:08 ID:EM2RId/l
投票か……面白そうだなー。
142創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 03:18:51 ID:YGPpyKNv
そういうのは、もっと進んでからの方がいいんじゃない?
143創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 15:44:02 ID:9r55gY1s
あとはあれだ。
分岐ルールなしにしたらどうか、ちょっと聞いてみたい。
最近は修正議論もちゃんと機能してるし、他のルート書く人もいないし、なくてもいいかなと思う。
このままこの制度を残すと、例えばある作品に問題点が見つかって修正要求出した場合、「分岐すればいいだろ」とか開き直られたら認めざるを得なくなる。
で、現実にそういうことが起こるとその場はそれで済んでもふいんき悪くなるし、続きや分岐書く人が無駄に面倒背負うだけだし。
今すぐ議論というわけでなく、雑談のレベルで気軽に他の人がどう思うか聞きたい。
144創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 16:31:47 ID:fw8SRoSg
ぶっちゃけわざわざ無くす必要はないと思う。
てか問題作を別ルートに隔離させる為にこの制度はあるんじゃね?
分岐なくして「矛盾ないけど明らかに荒らしが目的の作品」が本ルートに組み込まれる方が俺は嫌だな
145創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 16:41:43 ID:jXJeVGZG
俺も今のままでいいと思うな。
なくしてまたグダグダになって復活議論とかになりそう。
146黄金の精神は男の信念を打ち砕く ◆EHGCl/.tFA :2009/02/01(日) 19:59:26 ID:0T5hTEXh
ヴァッシュ・ザ・スタンピード、広瀬康一、ベナウィ投下します
147黄金の精神は男の信念を打ち砕く ◆EHGCl/.tFA :2009/02/01(日) 20:00:53 ID:0T5hTEXh
「サカキさん、まだかなぁ。ヴァッシュさんもヤケに遅いし……」

淡い朝日が差し込む森の中、広瀬康一は木に寄り掛かるように座っていた。
右手には巨大なカタツムリを、左手に食糧として支給されたサンドイッチを持ち、鬱蒼と生い茂る森林を見つめる。
数分前森の奥に消えた仲間は未だ帰っておらず、もう一人の仲間からも連絡は来ない。
心の中で、不安という名の風船が急激に膨張していく事を感じつつ、康一はサンドイッチを口に詰め込んだ。

「サカキさんなら大丈夫だと思うけど……なんか不思議な貫禄がある人だったし。でもあのメイドさんも普通じゃなかったからなぁ……」

全く躊躇う事なく拳銃を撃ったメイド。
その動きは、銃に関して素人である康一にも分かる程に無駄のない動きであった。
対するサカキも素人には見えないが、拳銃と比較すると武装が心許ない。
拳銃に剣で対抗するには、多少腕に自信がある位じゃ全く足りない。
説得に成功すれば良いが、失敗したらどうするのか―――康一の心配は尽きることがなかった。

(あぁ、杜王町のみんなも心配してるんだろうな。由花子さん、荒れてなければ良いけど……)

自分と仗助が突然消えた杜王町。
仲間達はスタンド使いの所為だと思い、調査を始めているのか。
超が付くほど短気な恋人―――山岸由花子は錯乱し、暴れ回っているかもしれない。
八つ当たりで、大量の髪に縛り付けられた親友の姿が目に浮かぶ。
ため息一つ。
早く元の世界に帰らなくてはと、再度決心する康一であった。



――ガサリ



丁度その時、森の奥から葉と葉が擦れ合うような音がした。
音源はヴァッシュが用を足しに行った方向とは正反対の森林。

(誰か居る……!)

止まる事なく、ゆっくりとながら徐々に近付いてくる音。
康一は直ぐさまエコーズACT.3を発現し、警戒心と共に立ち上がる。
魅音と名乗った少女、三つ編みに眼鏡のメイド―――この殺し合いが始まって僅か数時間の間に二人もの危険人物と出会った康一が油断することはない。
ガサリと一際大きい音が鳴った次の瞬間、一人の男が現れる。
整えられた黒色の髪に、理知的な雰囲気の凛々しい顔立ち。
手には朱色の槍を握り、青色の外套と和服のようなで和服でない不思議な服を着ている。
女の人にモテるんだろうなぁ、と場違いな事を考えつつ康一は相手を観察し終え、そして

「ACT3! 奴を重くしろ!!」

躊躇いなく攻撃を開始した。
横で傍観に勤めていたエコーズが動き出し、男に向けて連打を放つ。

「ッ!!」

だが男は弾幕に触れる寸前で後方に大きく跳び回避、同時に槍を構え康一へと向ける。

「……穏やかじゃありませんね」
「その……その返り血は何だッ!?」

康一が相対する男――ベナウィを敵だと判断した理由。
それは甲冑に付着した夥しい量の返り血――桜田ジュンを殺害した際に噴出した血液が甲冑を汚していたからだ。
康一はエコーズを側に戻し、相手の出方を窺うようにベナウィを睨む。

148創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 20:01:25 ID:DznRY++g
キター!支援
149創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 20:01:41 ID:DznRY++g
150黄金の精神は男の信念を打ち砕く ◆EHGCl/.tFA :2009/02/01(日) 20:02:34 ID:0T5hTEXh
「バレてしまいましたか……まぁ隠すつもりも有りませんしね」
「ッ! エコーズ!!」
『SUN OF A BEEEEEECH!!』

一歩、エコーズの射程距離に踏み込む為に康一がベナウィへと近付く。
だが距離を詰めに掛かったのは康一だけではない、ベナウィもまた然り。
康一よりも何倍も鋭い速度で自身の得意とする距離へ移動し、槍を振るう。
交差する拳の連打と槍の連突。
一瞬の攻防を制したのは――――あらゆる魔を無効果する槍であった。

「ぐわっ!」

エコーズの拳は器用に動かされた槍に全て防がれ、対する槍はエコーズの頬と左の腕を切り裂く。
そのダメージは康一へと伝達し、康一の身体の頬と左腕に切り傷が現れ、少量の血が滲み出た。

「不思議な魔獣を扱うようですが、速度は大したことがない。その程度の動きなら防ぐのは他愛もない事です」

明らかな余裕を含んだ言葉を吐きつつ、ベナウィは、裂傷により僅かな怯みを見せた康一へと槍を突き付ける。
穂先は康一の眉間を薄皮一枚の所で捉え、離れない。
あと数センチでも押し込めば確実に命を奪うであろう位置に止められた槍。
―――だが、それを見て康一は微笑んだ。

「何故、笑っているのです?」
「……お前は致命的な勘違いをしている。僕は「防がせる」だけで良かったんだ。そりゃお前自身に当てられれば一番だったけどさ」

康一の表情には、敗北感や死への恐怖というものが寸分も宿っていなかった。
逆に自信と確信に満ち溢れた微笑みが映っており、その態度がベナウィに疑問を植え付ける。

「……何を言っているのですか」
「僕の勝ちってことさ……『3・FREEZE』!」
『Let's kill DA HO!』

瞬間、ベナウィの表情に驚愕が生まれ、周囲にズンという重い音が響き渡った。
音の先には、地面にめり込む長細い物体―――宝具・破魔の紅薔薇(ゲイ・シャルグ)。
急激に重量を増したそれは、ベナウィの手から離れ地面を陥没させていた。
とっさのことにベナウィの意識が康一から破魔の紅薔薇に向く。
そして、その隙を見逃す康一ではなかった。

「今だ! ブチのめせッ、ACT3ッ!!」
「くっ!」

残像を映しながら迫る拳の壁をバックステップとダッキングを駆使し、何とか回避するベナウィ。
エコーズの射程距離外へ身体を逃げ込ませ、大きく息を吐く。

「……やっぱりエコーズが見えてるみたいだな。お前もスタンド使いか……」

だが休ませる暇を与える事なく、康一は槍を拾い上げ、ベナウィへと一歩一歩接近していく。
ある勘違いの為に警戒を解くこともせず、その佇まいからは一縷の隙も見いだせない。
段々と距離を詰めてくる康一を睨み、ベナウィは思考する。

(撤退か、抗戦か……)

謎の能力に武器は奪われ、依然敵には魔獣が付き従っている。
魔獣のスピードに付いていく事は可能だが、素手ではこちらから攻撃することが出来ない。
何らかの策を弄さない限り不利は明確。

151創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 20:03:10 ID:fw8SRoSg
支援
152創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 20:03:18 ID:DznRY++g
153創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 20:03:40 ID:DznRY++g
154創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 20:04:40 ID:DznRY++g
155黄金の精神は男の信念を打ち砕く ◆EHGCl/.tFA :2009/02/01(日) 20:06:01 ID:0T5hTEXh
(……またコレの力に頼りますか)

だが打開策は直ぐに考え付いた。
百発百中で成功するとは思えないがリスクは低く、試す価値は充分にある。
失敗したら逃走すれば良いだけ――そう考えベナウィは康一へと意識を戻す。
そして、懐から取り出すは一つの巻物。それを口にくわえると康一に背を向け、その場から走り出す。

「逃がすかッ!」

相手が逃亡を図った――康一がその思考に行き着くのも無理はない話であった。
唐突に背中を見せ、隙だらけの姿で走り去る男。逃げを選択したとしか思えない。
だが男は十メートルと走る事はしない。
一本の木の下でピタリと立ち止まり、再度康一へと視線を戻した。

(止まった……? 何をする気だ……)

理解仕切れない男の行動を不可解に思いつつ、何が起きても対応できるよう、エコーズを前方に待機させる康一。
エコーズは康一を護るように立ち塞がり、両の手を合わせ捻りながらベナウィへと向ける。

(ACT3……奴が射程距離に入ったら一気に勝負を掛けるぞ)
『了解シマシタ、康一サマ。アノクソッタレ槍使イヲ、ボコボコノメタメタ二、ブチノシテヤレバイインデスネ』

康一の視界の中では、謎の巻物を口にくわえたベナウィが真っ直ぐにコチラを見詰めている。
康一はベナウィの一挙手一投足に集中する。
攻め込まれても、逃げられても、スタンドを発現されても……どう動いても反応できるよう身構えていた。

「なッ!?」

―――だがそれでも、予想外の事態とは発生するもの。
視界の中、男が動く。康一にとって予想外だったのは男の動いた方向。
男は、前でも後ろでも横でもなく、真上に跳んだ。
まるで縄跳びをするような軽い動作で、三メートル程その身体が宙にに浮く。
そして空宙で前方に90度ほど体を傾けると、先程地面を蹴った両の脚を枝に当て――

「ッ、エコー……」

――弓矢の如く一直線に、エコーズですら反応不可能な速度で、ベナウィは康一へと突進した。
康一の前に立つエコーズに突き刺さったのはベナウィの両脚。
勢いはそのままにドロップキックの要領で放たれた脚がエコーズの胴体にめり込み、本体である康一にダメージを与える。

「うげぇっ!」

肋骨が音を立ててへし折れ、康一の小柄な身体がエコーズごとぶっ飛ぶ。
右手に持っていた電伝虫は何処かに飛んでいき、左手に持っていた破魔の紅薔薇(ゲイ・シャルグ)も宙を舞う。
だが、破魔の槍が地面に落ちる事はない。
それより先にベナウィが空中で掴み取ったからだ。
そしてベナウィが着地、息つく間もなく疾走し、康一の鳩尾、心臓、左右の肺を槍で刺し貫いた―――。




156黄金の精神は男の信念を打ち砕く ◆EHGCl/.tFA :2009/02/01(日) 20:07:25 ID:0T5hTEXh
もう動かない康一を見下ろしベナウィは軽く息を吐く。
『忍術免許皆伝の仮免』を使用しての跳躍、そして木の枝を利用して斜め前方に再び跳躍。
「バッタの術」により強化された跳躍力と重力とが組み合わさり、引き出された神速とも言える速度。
その速度は、康一へ会心の一撃を叩き込むには充分すぎる速度であった。

「……あなたは素晴らしい精神を持った戦士でした」

ベナウィは純粋な感嘆を口から出し、康一へと近付いていく。
そしてデイバックを手に掛けると、口と口を合わせ中身を全て自身のデイバックへと流し込んだ。

(一旦、休息を取りますか……)

先のルフィとの戦闘、そして康一との戦闘により身体には疲労が溜まっていた。
行動に支障が出る程ではないが念には念を入れるべきだろう、と考えベナウィは康一に背を向ける。
そして、気付く。
自分と康一の死体を見つめ、茫然と立ち尽くす一人の男に。
漆黒に髪を染め、漆黒のコートを纏った、黒づくめの男に。
あまりに遅すぎる帰還を果たした男――ヴァッシュ・ザ・スタンピードの存在に、ベナウィは気が付いた。





それは訳の分からない光景だった。
つい数分前まで仲良く話していた少年が血の水たまりに沈んでいる。
その傍らには見知らぬ男が一人、血に染まった鎧と槍を持ち、佇んでいる。
何が、起きた?
自分が居ない数分の間に、何が起きたんだ?

「あなたは……」

振り返った男が自分の存在に気付く。
整った顔に僅かな驚愕が現れる。
コーイチの返り血かそれとも他の誰かのものか、その顔は血に濡れていて、そしてそれを見た瞬間、俺は―――





ベナウィがヴァッシュに気付いて数秒後、パンという渇いた、それでいて暴力的な音が轟いた。
ベナウィにとって幸運だったのは、音がする数瞬前にヴァッシュ目掛け駆け出し、槍を振るっていた事。
誠に偶然だがヴァッシュが放った弾丸とゲイ・シャルグが激突し、互いの攻撃が逸れる。
ヴァッシュの腹部に突き刺さる筈だった槍は脇腹を掠めるだけに終わり、ベナウィの右腕を貫通する筈だった銃弾は何処にも命中することは無かった。

「お前がコーイチを殺したのか……」
「……あの少年はコーイチと言うのですか。仕留めるまでに少し手こずりましたよ」

ヴァッシュへ冷静に言葉を返しながらもベナウィは焦燥を感じていた。
ヴァッシュが持つ拳銃――ベナウィからすれば謎でしかない兵器に、ヴァッシュが見せた超速の抜き打ち。
どちらも最大限の警戒するには充分すぎる要素であった。

157創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 20:08:23 ID:fw8SRoSg
コーイチ……
158黄金の精神は男の信念を打ち砕く ◆EHGCl/.tFA :2009/02/01(日) 20:10:39 ID:0T5hTEXh
「何故コーイチを殺した……」
「あなたもギラーミンの言葉を聞いていたでしょう? この殺し合いは一人しか生き残れないんですよ」
(あの黒筒は遠距離武器ですかね。不可視にして高威力の矢、と言ったところか……あの穴から矢が発射されるようですが……)

会話の間に現状を打破する為の思考を進めるベナウィ。
破魔の槍が朝日に照らされ朱色に光る。

「お前は、あんな言葉を信じ、従うのか……?」
「はい、その通りです。私は聖上を守り抜ければそれだけで良い……」
(矢は相当な速度で射出されるようですが、黒筒の正面に立たなければ回避は可能なはず……勝機は充分にある)

ヒュン、という高い音と共に槍がヴァッシュに向けられる。
ベナウィの中で兵器の把握は完了していた。
あとは優勝という名の頂を踏破する為に、眼前の男を殺害するのみ。

「聖上?」
「……これ以上の会話は不要のようですね。私は道を違えるつもりは有りませんし、それはあなたも同様でしょう」

その締め括りと共にベナウィは槍を掲げ、次いでヴァッシュがゆっくりと拳銃を構える。
地を蹴る音が銃声に掻き消され、それを合図にガンマンと槍兵の戦いは始まった。


相手を殺すため自身の技量の全てを用い連撃を振るうベナウィ。
相手を殺す事のなく何とか無力化しようとするヴァッシュ。
その信念の為か、武器の差か、劣勢に追い込まれているのはヴァッシュであった。
急所のみを狙って振るわれるゲイ・シャルグを銃身で何とか弾くが、全て避けき
れる筈もなく徐々に掠り傷が増えていく。
発砲しようにも、ベナウィの動きが予想外に早く射線を取る事が出来ない。
間合いを離そうにも、ベナウィの脚力がそれを許さない。

「その武器は防御に向いていないようですね」

そしてもう一つの重大な問題。
それは現在ヴァッシュが使用している銃が、ベナウィの攻撃に悲鳴を上げていること。
そもそも今彼が扱っているリボルバーは、敵の攻撃を受ける事を前提とされていない。
槍による刺突を防ぐなどリボルバー本来の持ち主からすれば、お寒いジョークにしか思えないふざけた使用方法だろう。

「それはどうかな……、っと」

しかしヴァッシュは、その表情に余裕を含ませたまま攻撃を捌き続ける。
心の中は冷や汗ダラダラだが、それを表に出すことは決してしない。
瞬間、轟音。
命中を目的としていない威嚇の為だけの発砲を一回。
この角度では当たらない―――そう分かっていても、銃と存在に馴れていないベナウィは反射的に回避行動を取ってしまう。
その刹那の隙を見逃さず、ヴァッシュは半歩だけ距離を空ける事に成功。
次いで義手の隠し銃を起動し、ベナウィへと狙いを付け引き金を絞る。
勿論、弾など装填されていない。だが、それがベナウィに判断できる訳がなく、隠し銃の射線から逃れようと横に跳ぶ。
そしてそれこそがヴァッシュの狙い。
ベナウィの両脚に銃口を向け、弾丸を射出する。

「甘い!!」

―――が、当たらない。
回避行動を取ったばかりの崩れた体勢から、ベナウィの身体が真上に跳ね上がったからだ。
しかも、常人には到達不可な高さに。

159創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 20:11:36 ID:fw8SRoSg
支援
160創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 20:13:27 ID:DznRY++g
161創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 20:13:38 ID:DznRY++g
162黄金の精神は男の信念を打ち砕く ◆EHGCl/.tFA :2009/02/01(日) 20:14:04 ID:0T5hTEXh
「な……!」

あの異能殺人集団並に有り得ない動きをしたベナウィに、思わず驚きを見せてしまうヴァッシュ。
それが大きな隙となる。
「バッタの術」を発動と共に頭上の木を利用して再びの方向転換――康一に活用した策を再度用いる。
支給品と重力と脚力による超加速。同時にゲイ・シャルグを突き出す。
まるで砲弾の如く勢いで迫り来る穂先を、身を捩り回避しようとするヴァッシュであったが、先の驚愕が影響し完璧な回避は許されない。
朱に染まった槍がヴァッシュの左肩を抉り、僅かな量の肉を削ぎ落とした。

「……良い反応です」

ヴァッシュの後方に着地したベナウィが槍を構え、淡々と告げる。

「いやいや、そちらこそ。まさかそんなトンでもない動きをするとは思わなかったよ」

ヴァッシュも、肩の傷を気にする事なく、直ぐさま銃を向け直し口を開く。
口調は軽いが顔には笑みが一分としてなく、彼にしては珍しい怒りの感情が映されていた。

「そこの彼は同様の攻撃で仕留められたのですがね」
「……そうかい」

瞬間、轟音。
持ち主の感情を表すかのように放たれた銃弾が音を切って走る。
が、引き金を引く寸前に標的は疾走を開始しており、銃弾は後ろの木を穿つに留まった。
消えぬ轟音の中に鈍い着弾音が響く。それが耳に入ったと同時にベナウィは一直線にヴァッシュへと駆ける。
そして、刺突一閃。
風切り音と共にゲイ・シャルグが紅色の線となり―――しかし、寸での所で黒金の銃身により弾道を曲げられる。
頬の数センチ横を通り抜けるゲイ・シャルグ。
二人の男の視線がぶつかり合う。

「……他の全てを殺してまで、その『聖上』って人を優勝させたいのか?」
「ええ、彼が死ねば国は滅びたも同然です。私や仲間達の命を賭してでも生還させなくてはいけない」
「皆と協力してギラーミンを打倒する道を――聖上も、仲間も、全てが助かる道を、選ぼうとは思わないのか?」
「一番確実な道を選択しただけです……それに私はもう二人の人間を殺した。今更、戻る気など毛頭ありません」
「……そうか、分かったよ」

言葉と共に大きく後ろに下がったのはヴァッシュ。
手に持っていた拳銃を何故かホルスターに仕舞い、挑発的な笑みを浮かべてベナウィを睨む。
ベナウィはベナウィで、ヴァッシュの取った、武器を手放すという奇怪な行動に動きを止めている。

「何の真似でしょうか?」
「……んー、大した意味はないんだけどね。言うなれば『ハンデ』かな」

ヴァッシュの言葉に、ベナウィの眉がほんの少し吊り上がった。
心無しか槍を握る力が強まっているようにも見える。

「ま、御託は良いでしょ。早く掛かっておいでよ」
「……分かりました」

163黄金の精神は男の信念を打ち砕く ◆EHGCl/.tFA :2009/02/01(日) 20:16:07 ID:0T5hTEXh
続く挑発の言葉を聞き終えたと同時にベナウィが動く。
大股で一歩踏み込み、足を引き付け更に一歩間合いを詰める。
そして二歩目の踏み出しと同じタイミングで刺突。狙いは、銃の収まっているホルスターから最も距離のある頭部。
不愉快極まりない微笑みを宿す顔面に向け、朱色の槍が進撃し、

―――そして、ベナウィは体験する事となった。

己を貫く銃弾が醸し出す灼熱の痛みを。
野獣の歯や爪による一撃とも、槍や刀での斬撃ともまた別種の痛みを。
ベナウィの世界には存在しない痛みが身体を包み、そして意志に反して身体は倒れていた。

「ごめんよ……」

ベナウィが地面の冷たさを身体全体で実感していたその時、頭上から声が降り懸かる。
その声は何処までも悲しそうで、今にも泣き出しそうであった。







足元には一人の男が、両脚から血を流し倒れている。
自分が「本気の」早撃ちで戦闘不能にした男。
自身の兄弟にも、兄弟を狂信する最凶の化け物にも知覚される事はなかった「本気の」早撃ち。
それはこの男にも知覚される事なく、両脚を撃ち貫いた。
言葉で阻止したかった。
だが男の決心を目の当たりにしてしまった。
だから、撃った。
止める為に、これ以上の犠牲を――コーイチのような犠牲を出さない為に。

「コーイチ……」

救えなかった名前。
自分が彼を一人にしなければ、あと十秒でも早くコーイチの元に帰っていれば確実に救えた命。
自分は何をしているのだ。
さっきの騒乱で後悔をした筈なのに、同じミスを、いやそれ以上に愚かなミスをした。

「すまない。本当にすまない……」

血だまりに沈むコーイチへと歩み寄り、手を乗せる。
出血はいまだ止まらず、身体中の熱を奪い尽くしていた。
傷跡は殆どが急所を貫いており一目で致命傷だと理解できる。
おそらく即死だったんだろう。

164黄金の精神は男の信念を打ち砕く ◆EHGCl/.tFA :2009/02/01(日) 20:16:53 ID:0T5hTEXh
「すまない、すまない……」

ただ謝罪だけを続ける。
許されない事を知りながらも謝罪の言葉を止めることは出来なかった。




―――俯き、まるで壊れたラジオのように謝罪を続けるヴァッシュ。
罪悪感に支配された彼は自身の危機に気付くことが出来ない。
その後方で、血塗れの槍を支えにして一人の男が立ち上がった事に。
両脚は血を流し続けており、貫通した弾丸により骨も折れている。
歴戦のヴァッシュから見ても動ける筈がない傷。しかし男――ベナウィはギラついた瞳を宿し、立っていた。
一歩一歩、気配を悟られぬよう足音を消しながら漆黒の背中に近付き、そして槍を振りかざす。
ベナウィの足が康一の血液が作った水たまりに入り、ピチャリと些末な音を立てた。
それを合図とするように、ベナウィは槍を突き出す。
ベナウィの視界の中では、何を理由に気が付いたのか、信じられない速度で銃を抜き身体を向けるヴァッシュが居た。
だがベナウィは怯まない。
先の戦闘によりヴァッシュの攻撃に殺気が含まれていない事を、ベナウィは気付いていた。
手足にどれだけ攻撃を受けようと構わない。絶対にこの男を始末する―――ベナウィの胸中にはどす黒い執念と殺意が居座っていた。
そしてベナウィの予想通り、穂先が標的に喰らい付くよりも早く銃声が鳴り響く。

「え?」

間の抜けたヴァッシュの声がベナウィの耳に届いた。
それを最期に、男は後頭部から血を撒き散らし―――康一と重なるように倒れた。







――ピチャリと音がした瞬間、ヴァッシュは無意識の内にホルスターから銃を取り出していた。
そして無理矢理に身体を捻り、槍を振り被っていたベナウィに銃口を向ける。
躊躇いを見せる暇すらない刹那の時間。
意識せずとも照準は男の急所から外れ、右肩に定まっていた。
引き金を引く。
もはや身体に染み付いてしまった一連の動作を、ヴァッシュは反射的に行っていた。

「え?」
165黄金の精神は男の信念を打ち砕く ◆EHGCl/.tFA :2009/02/01(日) 20:17:31 ID:0T5hTEXh
―――そして銃弾は吸い込まれるようにベナウィの『眉間』に命中した。
糸の切れた人形のように脱力し、康一と折り重なるように倒れるベナウィ。
離さないと決心していた槍は呆気なく手から零れ落ち、血だまりに沈む。

「せ……ょ……」

意識など有る筈のない口から漏れた音。
ヴァッシュは目を見開いたまま動かない。
そして数秒後、自身がした行為を理解し――

「う、わぁぁぁぁああああああああああああああああ!!!」

――全力で森林の中へと駆け出していた。
自分の成した罪から逃亡する様に、漆黒が駆ける。
数十年の長きに渡って課していた不殺という名の信念は、余りに容易く、唐突に破られた。







何処からか聞こえた「すまない」という言葉の雨に、彼の意識は引き上げられた。
本来ならそのまま死に向かうだけであった「魂」は、自身が持つ「黄金の精神」の恩恵を受けてか、身体の中に戻っていった。
覚醒する意識。だが、視界はぼやけており言葉を発する事も出来ない。
その視界の中、彼は捉える。
自分の死に涙する「仲間」へと忍び寄る、朱色の槍を握った「死神」を。
――死なせない。
――「仲間」は、絶対に、死なせない。

彼は文字通り死力を振り絞り最後の力を発現した。
死の間際、解毒剤を能力に乗せ仲間に届けた少年のように。
死の間際、仲間に敵の能力を伝えるため時計台を破壊した少年のように。
死の間際、敵の手掛かりを仲間に残すためデスマスクを形成した青年のように。
―――死の間際、彼は自分の能力を使用した。

触れた物を重くするという彼の能力により、「死神」は体勢を大きく崩す。
「右肩」があった位置に「眉間」を晒すように大きく―――。

(ヴァッシュ、さん……これが僕、の……最、後の…………)

そして「仲間」が放った弾丸が「死神」を貫き、「仲間」は走り去っていった。
仲間の無事を確認し、彼は満足気な笑みを浮かべ、力尽きる。
「仲間」を護れきれた―――それを誇りに彼の「魂」は天に昇っていった。


【ベナウィ@うたわれるもの 死亡】
【広瀬康一@ジョジョの奇妙な冒険 死亡】
166黄金の精神は男の信念を打ち砕く ◆EHGCl/.tFA :2009/02/01(日) 20:17:56 ID:0T5hTEXh
【B-2 森/1日目 早朝】
【ヴァッシュ・ザ・スタンピード@トライガン・マキシマム】
[状態]疲労、黒髪化、身体中に浅い切り傷、左肩に刺突による傷
[装備]S&W M29 6インチ 0/6@BLACK LAGOON
[道具]支給品一式、不明支給品0〜1、予備弾丸32/32
[思考・状況]
基本:殺し合いを止める
 0:人を殺して、しまった……
 1:この場から離れる
2:ウルフウッド、リヴィオとの合流。
3:ウルフウッドがいるかもしれない……?
※原作13巻終了後から参加
※サカキ、ロベルタの名前はまだ知りません。
※詩音を『園崎魅音』として認識しています。
※口径などから、学校の死体を殺すのに使われたのはロベルタの持っていた銃ではないかと考えています。
※康一と簡単な情報交換をし、仗助、吉良、スタンドの事について聞きました。
仗助を協力者、吉良を危険人物だと見ています。
※義手の隠し銃には弾が込められていません。弾丸を補給すれば使用可能です。
※何処に向かうかは次の書き手に任せます。



B-2・森にベナウィの死体、広瀬康一の死体、破魔の紅薔薇(ゲイ・シャルグ)@Fate/Zero、忍術免許皆伝の巻物仮免@ドラえもん、電伝虫@ONE PIECE、和道一文字@ONE PIECE、
康一のデイバック(支給品一式、不明支給品1〜3)、ベナウィのデイバック(支給品一式、シゥネ・ケニャ(袋詰め)@うたわれるもの、謎の鍵)が放置されています。

167黄金の精神は男の信念を打ち砕く ◆EHGCl/.tFA :2009/02/01(日) 20:18:55 ID:0T5hTEXh
これにて投下終了です。
矛盾点、疑問点があったらご指摘お願いします
168創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 20:24:52 ID:O3zzks5X
乙。
なんかいつもバトルだよねー……。
数が減るのは進行に必要だとは思うけどよくもこれほどぽんぽんと殺すなぁ。
169創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 20:29:23 ID:vNWUzqr6
投下乙。
とりあえず>>150
>『SUN OF A BEEEEEECH!!』

は『SON OF A BIIIIIIITCH!』じゃないだろうか
170創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 20:37:41 ID:fw8SRoSg
投下乙。
ようやくマーダーが一人死んだw
そして康一ぃいいいいい! おまっ、かっこ良かったけどぉぉぉおおお!ヴァッシュがぁぁあああ!
まぁ、色んな意見があるようですが俺は純粋に楽しめました。
GJです!
171創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 20:47:31 ID:BHfwofLh
>>168の作品に期待

投下乙!
俺の独断と偏見によると本日のMVPは康一だぜ!
っていうかベナウィって男だったんだな。
それにしてもサカキとヴァッシュは合流できるんだろうか
GJ!
172創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 20:58:47 ID:DznRY++g
康一よくがんばった!
ヴァッシュは混乱状態だな…大丈夫だろうか
落ちてる支給品が多いからこれを次に誰が手に入れるのか気になる
特に謎の鍵はなんか重要そうだし
173創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 21:06:14 ID:AB24wI/x
投下乙!
むむむむぅ。これはなんとも…熱く、そして鬱な展開。
なにが鬱って、康一が仲間を助けようと必死で行った事が結果的にヴァッシュの信念を打ち砕き、
ベナウィを殺させてしまった事が。
必死の熱い行動すら、他人にとってはとんでもない展開を起こす。これがバトルロワイヤルだとでも言わんばかりの凄い展開でした!
長期行動したマーダーじゃ、初の脱落者となったかベナウィ。支給品と経験だけでは特殊能力者たち相手じゃきつかったか。
信念を打ち砕かれたヴァッシュはどうなるか? 復活できるのか、それとも堕ちて行くのか。
サカキさん、新生ロケット団早くも壊滅の危機っす…。
ともあれGJ!
174創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 21:43:25 ID:u9ZzwhsK
んー殺すねぇ。ベナウィ遠くから無理矢理連れてきて
175 ◆SqzC8ZECfY :2009/02/01(日) 21:49:41 ID:VuiWnEXI
投下乙です。
ああ、良かれと思ってした援護が裏目に。
何気に康一・ヴァッシュ・べナウィそれぞれの違う価値観がせめぎあいを起こした結果の欝展開ですね。
第一放送までにこれで15人か……なかなかのハイペース。
ところで放送ですが、今晩0時投下、予約解禁は翌日の0時という段取りでよろしいでしょうか?
176創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 21:52:22 ID:V2eMOjVw
一応、投下後24時間は修正や破棄の要請がある可能性を考慮したほうが
いいんじゃないかと思うのですがどうでしょう?
177創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 21:52:54 ID:DznRY++g
>>175
放送クルー!

それでおkだと思います
178創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 21:55:30 ID:196KnpEK
ベナウィつえーなー
康一が最後の力を振り絞ってヴァッシュを助けてマーダーを撃破できて万々歳のはず…
それがヴァッシュ当人の精神面に大変な打撃を与えてしまったのか

それぞれのキャラの特性を凄くよく生かしてる話でした! GJ!
179創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 21:59:10 ID:196KnpEK
って放送か
それでおkだと思います

>>176
別に問題ある話なんてないじゃん
180創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 22:05:53 ID:fw8SRoSg
ついに放送キター!
181創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 22:21:03 ID:V2eMOjVw
さっき書き忘れましたが、投下乙です。
改めて読んできたけど、「康一よくやったよ」と素直には言えないところがなんとも……
ヴァッシュの今後がすごく心配だ

>>179
自分も問題のあるSSがあるとは思ってませんが、全員がそう思うとは限らないし、
投下後約4時間だと、このスレの住人の中にも放送前に今回のSSが読めない人が
少なからず出てくるだろうし……と、ちょっと思っただけです。
182創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 23:02:20 ID:MY/l5czd
投下乙です。
二人も死んだか……死者多すぎだろw
と少し質問。
ベナウィって2時間程度で森や山を3kmも移動できるキャラなの?
183創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 23:04:10 ID:DznRY++g
普通に移動できると思うよ
鍛えてて足腰強いし3kmってぶっちゃけそんな距離じゃない
184創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 23:05:44 ID:MY/l5czd
wiki見たけど結構な軍人なのな
まあ可能性は置いといて行動範囲としては康一と出会ってもおかしくないわけだ
185創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 23:11:33 ID:R9OLwCgY
投下乙
康一君、良かれと思ってやった事がとんでもない事にw

他ロワの話だが右腕失った某童貞キャラが2km移動したり、おそらく一般人が6km移動したりするから問題ないと思う
186創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 23:18:57 ID:fw8SRoSg
むしろ二時間で3km移動できない武人が居るのかw
187創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 23:27:29 ID:C0/oY+JT
よかれと思って最後の力を振り絞り、最高の結果をだせて満足して死ねたのに
実はそれが助けた本人にとっては最悪の展開だった…か、ロワは無常だな

移動の話なら武人じゃない一般人でも3キロぐらい普通に移動できると思うぜ
188創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 23:39:32 ID:3T1Wz2J7
積極的マーダーならば3キロなら余裕だど思われる。
189創る名無しに見る名無し:2009/02/02(月) 00:00:33 ID:arPbOJyS
投下乙です。
ああ・・・康一、そしてベナウィ安らかに眠ってくれ

しっかし昨日のフィーロを含めて一気に死人が増えた感じがするな
まあそれなら全体の完結が早くなれば済む事ですしね。(ミューツーの契約?もありますし)
しかし吉良には相当な追い風になりそうな放送になりそうだな

あとベナウィの移動に関しては問題があるけど許容範囲内だと思います。
下手したらクーガーなんかどこに出てきてもおかしくない状態になる可能性もあるので

とりあえず放送はして尚且つ修正要求もあれば受け付けるじょうたいが理想かも

そして放送投下wktk
190 ◆SqzC8ZECfY :2009/02/02(月) 00:05:12 ID:g3FTc9ET
>>181
なるほど、それもそうですね。
4時間は短すぎるか……一日伸ばしたほうがよかったでしょうか。
とりあえず、もし明日の夜までに修正要求があれば放送も一旦取り下げるということで、投下させていただきます。
191創る名無しに見る名無し:2009/02/02(月) 00:06:41 ID:fvUaKXHZ
放送後の予約ができるまで延びるのか…
192第一回放送 ◆SqzC8ZECfY :2009/02/02(月) 00:07:06 ID:g3FTc9ET
さて時間だ。おはよう諸君。
これから六時間ごとに放送を行い、君たちに途中経過を伝える。
つまり、6:00、12:00、18:00、24:00の一日四回といった具合だ。
まずはこの会場内に禁止エリアを設置する連絡をこの定時放送にて行うこととする。
自分の現在位置を確かめ、支給された地図を見たまえ。
これは地図で区切られたエリア――例えばA-1を禁止エリアとするなら、そこに入ると君たちの首輪が爆発するというルールだ。
時間と共に君たちの人数が減っていけば、そのぶん他の参加者と遭遇する確率も減り、殺し合いのペースが落ちるからだ。
これは良くない。
ゆえにこのルールによって進入禁止となる地域を定めて会場を狭くしていき、円滑に殺し合いを進行することができる。
それでも死亡者のペースが落ちる場合は、禁止エリアの増加も考えておくとしよう。
積極的に殺し合いに加わらず、皆で私を倒そうと考える者もいるようだが、さっさと考えを改めたほうがよい。
私を倒したければ最後の一人になるまで殺し合い、そして生き残ることだ。他に方法はない。
そこで対等の条件で正々堂々と戦おうではないか。
私はそれを楽しみに待っているよ。
さて……では肝心の禁止エリアを君達に伝えるとしよう。
聞き逃さぬよう、気をつけたまえ。

7:00からD-1、
9:00からA-4、
11:00からはF-7の区域が進入禁止となる。

私としても君達が殺し合い以外で無為に死ぬのは、あまり望ましくないのでね。
禁止エリアに進入すると警告のアラームが鳴るように設定しておいた。

猶予は30秒。

それを過ぎたら君達に待っているのは死、だ。
ゆめゆめ忘れないように。


さて……そしてここからがこの放送のメインイベント……死亡による脱落者の発表だ。
君たちの敵が死んだのならば安心するが良い。
恋人、家族、友人といった者達が死んだのならば、このバトルロワイアルに勝ち残り、望みを叶えることで蘇生させることを推奨するよ。
もちろん、そんなものよりも叶えたい願いがあるというのならば、好きにすればよい。
最後まで勝ち残り、私にも勝利することができれば、どんな願いでも叶う。
肝要なのはこの一点のみだ。せいぜい頑張りたまえ。
なお、このイベントの進行役としては当然のことだが、私はこの会場の様子を全て把握している。
よってこれから読み上げる者達は現在、確実に死亡しているということだ。
私を信用しない、もしくは信じられないのは勝手だが、その者たちの死体は確かにこの会場に存在しており、彼らを殺した者達もここにいる。

――今から読み上げる者達は、君たちのうちの誰かに殺されたのだ。

――君たちのうちの誰かが彼らを殺したのだ。

そして次に殺される者になりたくなければ……後は言うまでもないだろう?
それを忘れるな。
では、脱落した死者の名前を読み上げるとしようか。
一度しか言わないので聞き逃さないようにすることだ。
193第一回放送 ◆SqzC8ZECfY :2009/02/02(月) 00:08:02 ID:g3FTc9ET

一方通行(アクセラレータ)
イエロー・デ・トキワグローブ
エルマー・C・アルバトロス
エルルゥ
ウソップ
上条当麻
桜田ジュン
ジョルノ・ジョバァーナ
高槻巌
トウカ
野比のび太
広瀬康一
フィーロ・プロシェンツォ
ベナウィ
劉鳳

……以上15名だ。
のび太が早々に脱落したのは拍子抜けだが、まあいい。
なかなか順調なペースといえるだろう。
君達もなかなか飲み込みが早くて助かるよ。

では六時間後の第二回放送でまた会おう。
君達がそれまで生き残っていれば――の話だが。


   ◇   ◇   ◇


どこからともなく会場中にギラーミンの声が響き渡っていき、身勝手で理不尽な言い分を一方的に伝え、そして消えた。


ギラーミン――――このバトルロワイアルの主催者にして進行役。


だが彼は元来、辺境宇宙のとある惑星を我が物にしようとしていた、ある企業に雇われた用心棒に過ぎない。
偶然のび太たちと知り合い、友人となったロップルらを困らせていたガルタイト鉱業側の、つまり敵の一員。
面識があるドラえもんやのび太でも知っているのはそれだけである。
だから気付かない。
彼が本来はこのような尊大で慇懃な口調で喋ることなどないという、その違和感に。
彼が本当にギラーミンという人間なのか、それを判断できる者は、少なくともここには誰もいない。
ギラーミンという存在と同じ姿、同じ声、ただそれだけ。
それらの事柄は魔力、超能力、未来の科学、その他の異能力が跋扈するこの超常の舞台では、確定のためにはあまりに曖昧すぎる要素でしかない。
姿を変える、または幻影を見せる魔法、超能力、アルター、ARMS、ひみつ道具エトセトラ、エトセトラ。

誰が、何故、何のためにここに集めて、何のために殺し合わせるのか。

何一つ明らかにならないままに、殺戮の饗宴は加速していく。
運命の歯車は血と涙と様々な想いを巻き込み、回り続ける。


くるくると――――、


狂々と――――。
194第一回放送 ◆SqzC8ZECfY :2009/02/02(月) 00:09:16 ID:g3FTc9ET
投下終了です。
実際の名簿は五十音順ということなので、そのような順番で読み上げることにしました。
ご意見ご感想ありましたらよろしくです。
195創る名無しに見る名無し:2009/02/02(月) 00:12:14 ID:RUDpHFBd
放送投下乙!
禁止エリアはD1,A4,F7とな?
なかなか無難な感じだね
196 ◆EHGCl/.tFA :2009/02/02(月) 00:32:46 ID:kNQnpwx5
放送投下乙です!
放送が生き残った参加者にどう影響するのかwktk

あと今作の修正等についてを少し。
取り敢えず>>169の誤字についてはwikiにまとめられた際に修正したいと思います。
ベナウィの移動距離については、全く問題ないと思ってますので修正する気はありません。
沢山の感想や意見ありがとうございました
197創る名無しに見る名無し:2009/02/02(月) 00:48:09 ID:EjBYr4+5
放送投下乙!
禁止エリアにいるのはラッドと美琴か。
美琴はモールっていう目印があるから気付くだろうけど、ラッドはどうだろ?
まあ、ラッドは間違いなく移動するだろうから問題はまったくないだろうなぁ。
いろんなキャラの考察どおりギラーミン偽者疑惑がやはり浮上。果たしてその裏にいるのは誰なのやら。
改めてGJ!
198創る名無しに見る名無し:2009/02/02(月) 01:29:58 ID:VJ07JccR
人間が普通に歩く速度は時速4キロほどだと、かなり昔に聞いたことがあるような
山道とかだとまた違うんだろうけど
199創る名無しに見る名無し:2009/02/02(月) 09:22:02 ID:6c/1gk8t
投下乙です。
>黄金の精神は男の信念を打ち砕く
ベナウィ、なかなか頑張ったが、ホルホース風にいえば「銃は剣よりも強し」といったところだったか。
ヴァッシュは原作に先駆けて人を殺してしまった、と。
これはもしウルフウッドに再会することがあったら楽しみだ、色々とw
仲間を思ったがゆえの行動をした康一は結果的にヴァッシュを追い詰めている。皮肉で面白い。
まさにタイトルどおりといったところ。
ただ、明確な矛盾はなく、指摘するほど問題があるわけではないのだけれど気になるところは気になりますね。
なぜべナウィはそんなに急いで学校に向かっていたのか説明がないところはちょっと首を傾げてしまう。
ひとつ前の作品ではフィーロが駅に向かった理由が描写されていたし、数行ですむところを省略して、物語を楽しむのに邪魔な疑問点を残してしまったのはちょっと勿体無い。

>第一回放送
五十音順か。
最初に一方通行で次に上条さんが呼ばれるとなると、禁書勢の反応が楽しみ。
しかし、アクセラレータって名簿に読み仮名ふってあるのだろうか。
ないとしたら誰も読めないよなあ、一方通行でアクセラレータとかw
あとギラーミンが偽者だとしたら、ああいう喋り方をするキャラを新たに出せるってことですね!w
個人的にARMSのキースシリーズを希望したいw
リーマンがあのざまだけにw
200創る名無しに見る名無し:2009/02/02(月) 15:23:35 ID:q/s4Mrjb
何ていうか、過疎脱却してから配慮の足らない読み手が増えたよな。
把握もしてないのに四次元ポケットについて意見言う奴、好意で作ってくれたMADに文句言う奴、殺しすぎとか移動しすぎとかイチャモンレベルの文句言う奴。
一握りの読み手様だろうけど、少し考えて発言した方が良いよ。あんま続くと書き手離れ起きるから
201創る名無しに見る名無し:2009/02/02(月) 18:36:57 ID:7kqE5dNm
もう離れてるんじゃね?
202 ◆TEF4Xfcvis :2009/02/02(月) 18:41:37 ID:UDOdrko5
ネガキャン乙
俺はまだ書くつもり
203創る名無しに見る名無し:2009/02/02(月) 19:49:15 ID:Blw+XqAX
荒らしは徹底的に無視しようよ…
204創る名無しに見る名無し:2009/02/02(月) 20:56:34 ID:RUDpHFBd
ところで放送後の予約っていつから?
205創る名無しに見る名無し:2009/02/02(月) 21:04:29 ID:kNQnpwx5
今日の24時から
206創る名無しに見る名無し:2009/02/02(月) 21:08:40 ID:RUDpHFBd
やっぱり今日だったか、聞いてよかった
教えてくれてありがとう
207創る名無しに見る名無し:2009/02/02(月) 21:43:55 ID:Blw+XqAX
今日、凄い夢をみた。
カビコンが石仮面をつけてて、壁を走ったり
ギルガメッシュを倒したりしてたよw
208創る名無しに見る名無し:2009/02/02(月) 22:05:02 ID:nnG2zu9/
いやお前の夢の話はどうでもいい
209創る名無しに見る名無し:2009/02/02(月) 22:17:43 ID:7Q51Clb7
夢を、夢を見ていたんです。
予約被りの夢を。
210創る名無しに見る名無し:2009/02/02(月) 22:31:22 ID:VtahPtKv
せやけどそれはただの正夢や
211創る名無しに見る名無し:2009/02/02(月) 23:55:02 ID:UDOdrko5
いいこと聞いたんだよな。明日零時予約と。
さりげなく予約合戦になりそう
212創る名無しに見る名無し:2009/02/03(火) 00:02:57 ID:SVw/7ktM
解禁後いきなり4人も予約来た!
213創る名無しに見る名無し:2009/02/03(火) 00:05:28 ID:/Cp/X506
あああ、トイレ行ってる隙に予約被りが正夢と化したーー!!
214創る名無しに見る名無し:2009/02/03(火) 00:05:31 ID:NhIAcDie
いいねえ
ゾロが心配なのは言うまでもない
215創る名無しに見る名無し:2009/02/03(火) 00:08:43 ID:XvR9O6z3
期待してた通りの組み合わせにwktkせざるを得ない
216創る名無しに見る名無し:2009/02/03(火) 00:11:49 ID:o/+4asZV
これはwktk
217創る名無しに見る名無し:2009/02/03(火) 00:18:25 ID:/Cp/X506
ちょwwwラッシュktkrwww
218創る名無しに見る名無し:2009/02/03(火) 00:20:52 ID:t8YQx7V/
さらに○同盟と無常も予約されてる
219創る名無しに見る名無し:2009/02/03(火) 00:21:29 ID:o/+4asZV
どんどんくるなww
220 ◆UcWYlNNFZY :2009/02/03(火) 00:28:54 ID:ggzH48W3
予約ラッシュ凄いですねーw

少し確認なのですが放送明けに行きたいパートがあるのですが自己リレーなのです……
テンプレ確認をしましたが自己リレーの規定が良く書かれていないのでここで聞きたいのですが自己リレーは大丈夫でしょうか?
221創る名無しに見る名無し:2009/02/03(火) 00:31:14 ID:NhIAcDie
>>220
俺もやったし大丈夫だよ。流石に多用は禁物だと思うが
222創る名無しに見る名無し:2009/02/03(火) 00:32:31 ID:o/+4asZV
やりすぎなきゃ全然おkだと思うよ
223創る名無しに見る名無し:2009/02/03(火) 00:33:49 ID:NfhBbibN
マナーの問題だからな
1つのパートに固執してそこを他の書き手に渡さないなんてことをしない限り
普通にやっちゃっておkだろ
224創る名無しに見る名無し:2009/02/03(火) 00:36:06 ID:AlJOhCYc
さらに予約増えるのか!
大丈夫だと俺も思います
225創る名無しに見る名無し:2009/02/03(火) 00:40:52 ID:zLjqxWDX
むむむ。少しだけ空気が悪くなって不安だったが、最近活動している書き手のほぼ全員が予約とは嬉しい。
本当にありがたいばかり。いや、感謝するのはSSが投下されてから、か。
226創る名無しに見る名無し:2009/02/03(火) 00:56:21 ID:NfhBbibN
今日の0時予約ってことは投下されるのは木曜の夜あたりかな
くそう、木曜はバイトだから支援できない可能性が高くて今からやきもきするぜ
227創る名無しに見る名無し:2009/02/03(火) 00:57:00 ID:o/+4asZV
支援は俺たちにまかせとけ!
228創る名無しに見る名無し:2009/02/03(火) 13:01:10 ID:hjQ3esua
数回連続で支援できなかったが次こそ!
229 ◆Wott.eaRjU :2009/02/04(水) 02:02:43 ID:sEixRoPd
投下一番乗りは貰ったかな……w

では、クーガーを投下します。
230Drastic Soul ◆Wott.eaRjU :2009/02/04(水) 02:04:08 ID:sEixRoPd
エリアC-4、駅事務所内。
奇妙なサングラスを掛けた男がその場に立ち尽くす。
男の名はストレイト・クーガー、通称“最速の男”。
生き様はまさに己の道を地で行く男。
常に速度を求め、文化をこよなく愛するという文学的な面も併せ持つ。

出身はロストグラウンド。
とある超常現象により隔離されたかつての日本の横浜。
その地の治安を守る特殊警察組織、HOLY部隊でも特別なスカウトを受けた、俗に言う選ばれた人間。
HOLY部隊に於けるクーガーの日常の一コマ――彼はお得意の話術を以って同僚に話しかける。
絶やさない軽口は周囲に人間を困惑させ、その反応をさも面白そうに眺める。
しかし、クーガーの事を嫌悪する人間は多くはない。
理由は簡単。
強引に己のペースに持っていこうとも、クーガーには人望があった。
それは少し歪んだ育ち方をした、一人の少年を慕わせる程に暖かった。
肉親は居ない、信じられる者は誰一人として居ない。
それでもその少年――カズマはクーガーだけは信じるに値する人間だと思っていた。
何故ならカズマは見出したのだから。
クーガーの持つ強さ、そして同時に他者を思いやる優しさを。
自分の前を歩き、そして意地でもその道を突き通す姿に憧れたのだ。
いつも冷静に、とてつもなく頼りになる存在――アニキ。

そう。クーガーは今も昔も『アニキ』と呼ばれるに等しい男であった。


「すまねぇ……俺としたコトが……」

だが、今のクーガーには生憎いつもの軽口を叩いている余裕はなさそうに見える。
お世辞にもアニキとは言うには少し物足りなさを感じてしまう程だ。
柄にもなく、テンションが下がりきった声を零す。
意気消沈とした様子。驚きと後悔に似た感情が声色から窺える。
事実、クーガーは己の不甲斐なさにやるせなさを感じていた。
クーガーの目の前に広がるものは思わず目を背けたくなるような光景。
十代――実際は六、七十年程生を全うしてきた少年の凄惨な遺体が一つ。
フィーロ・プロシェンツォ、一人の参加者がかつて確かに其処に居た証。
その死体の周囲には赤と白の液体が床に広がっている。
血液や脳漿が入り混じった事による産物の量はあまりにも多く、嫌でも眼につく。
思わずクーガーは俯くように視線を落とす。
クーガーがフィーロの事について知っている事はあまりにも少なく、名前すら知らない。
フィーロがこの殺し合いに乗っていたか、乗っていなかったも当然知る由もない。
231Drastic Soul ◆Wott.eaRjU :2009/02/04(水) 02:04:50 ID:sEixRoPd

しかし、それでもクーガーはフィーロの死に対し悲しさを抱く。
自分が間に合えば――己の速さが足りなかったせいで一人の少年は死んだ。
只、その事実だけで、後悔の感情でクーガーの頭が一杯になるには充分過ぎた。
何分経ったかも判らないままやがてクーガーは歩き出す。
そして同時に思う。
自分が此処まで運び、そしてフィーロを撃った女性の事を。

「……あの女、とんだ爆弾だったってコトか。そしてこの俺がまんまと爆発させちまった……か。
ハハ、劉鳳やHOLYのあいつら、カズマにはとてもじゃないが見せられねぇミスだな……」

バラライカ、本名はソーフィヤ・イリーノスカヤ・パブロヴナ。
クーガーは傍の壁に背を預け、呟くように言葉を紡ぐ。
バラライカの事についてもクーガーに知っている事は殆どなく、案の定名前も知らないままだ。
気絶していたバラライカが、これ程までにも早く意識を取り戻すとは思わなかった。
そんな事は今更言って遅すぎる。
故にクーガーは正面から己の失態と向き合う。
一瞬の内にやる事をやり終え、何処かへ逃げ出していったバラライカ。
絶好の頃合いを図ったかのような勢いのある行動――炸裂<エクスプロード>
まさに大量に火薬を詰め込んだ爆弾の爆発が盛大に炸裂した状況。
名前も知らないバラライカに対し、クーガーは密かに脅威を感じていた。
更に理由はそれ以外にも存在している。

「あの力、壁に自分の身体を通す力は……アルターの応用か? だとしたら相当厄介な代物だな……」

バラライカがフィーロの奇襲に成功した理由。
それはひとえに壁を通り抜ける――通り抜けフープの力によるものと言える。
22世紀、ネコ型お手伝いロボット用に作られた秘密道具の一つ。
しかし、クーガーは通り抜けフープの力をバラライカ自身の能力であると推測する。
そう。クーガーの言葉を借りるならアルターの一種。
物質変換の能力の一環、多種多様な異能こそがアルター能力。
故にクーガーはこう結論づける。
一本の輪っかによって半身を壁から覗かせたバラライカ。
輪っか――通り抜けフープは橘あすかのエタニティ・エイトと同じようなものだろう。
そしてその力はバラライカがやってみせたように物質の間を『何らかの』方法で行き来出来る。
あの輪っかが人体に及ぼす影響はわからない。
だが、用心に越した事はないだろう。
今度再会する際には、バラライカの持つ輪っかには最大限の注意を払っておこう。
クーガーはそう考え、やがて徐に両眼を閉じる。願うは己のアルターの発動。
直ぐにバラライカの後を追いつかなければ。
既に時間はそれなりに経ってしまっている。
これ以上無駄に時間を使わないためにも――
そう思い、クーガーはアルターにより駆けだそうとする。
そんな時、一つの声が何処からともなく響いた。

「さて時間だ――」

第一回の定時放送。
『途中で自分が新たに禁止区域を指定する』と言っていたギラーミン言葉をクーガーは思い出した。


◇     ◇     ◇

232Drastic Soul ◆Wott.eaRjU :2009/02/04(水) 02:06:21 ID:sEixRoPd

放送で発表された内容。
新たに追加された三つの禁止エリア、そして15名の参加者の名前。
6時間の間にこの場で命を落とした人物を指す名前の羅列。
その中にクーガーの知っている名前が一つだけあった。


「な……んだっ…………て?」


黒い、奇妙なサングラスがあと一歩のところでずり落ちる。
口を半分程に開き、クーガーは次の言葉を続ける事が出来ない。
最早隠しようのない。
クーガーは表情一杯に只、驚きを全面に押し出している。
たった今聞いた名前。
あまりにも予想外過ぎた。
ある人物の名前――その人物の死がクーガーに到底信じられなかった。


「……どうして、お前が……劉鳳……」


劉鳳。クーガーと同じHOLY部隊隊員、A級のアルター能力者。
意固地なまでに強い正義感に塗り固められた一人の青年。
荒削りではあるが確かに光るものを感じさせ、実際に進化を果たしていった男。
こいつならやれる。
劉鳳と、そしてトリーズナー――カズマの二人のアルター使い。
ロストグラウンドの未来を切り開く事が出来る存在。
クーガーは確信していた。
だが、劉鳳は死んだ。
正面から戦って死んだのか、不意打ちを喰らったのか、それとも命を賭して誰かを庇ったのか。
わからない、わからない事が多すぎる。
やがてクーガーは徐に腰を落とし、天井を見据えながら叫ぶ。


「ッ! うおおおおおおお――りゅうぅぅぅほおおおおおおおお!!」


突如上げた大声を皮切りに、クーガーはアルターを発動する。
碧色の輝きが煌めき、クーガーの両脚が紫色の外部装甲が覆う。
ラディカルグッドスピードを脚部に纏い、クーガーは不意に右足を振り上げた。
長く、真っ直ぐと伸びられた先には事務室の壁。
少し老朽化している、コンクリート製の壁に向かって右脚を突き出す。
理解出来ない、意味がわからない行動でしかない。
だが、確かにわかる事は一つだけあった。
轟音をバックミュージックにし、大穴が空いた事務室に一人立ち尽くすクーガーは。
クーガーは劉鳳の死に対して――
233Drastic Soul ◆Wott.eaRjU :2009/02/04(水) 02:07:21 ID:sEixRoPd
「――バカヤロウがあああああああああああああああああああああああああああッ!!」



只、大きな怒りをぶつけていた。
それはギラーミンではなく、劉鳳を手に掛けた参加者に向けたものでもない。
あくまでも対象は既に死んだ身である劉鳳一人。
いや、きっと先の二名にも怒りを覚えている事だろう。
劉鳳は同じHOLY隊員であり、一人の仲間であるため当然の感情だ
だが、あまりにも大き過ぎた。
彼ら二人に対する怒りよりも劉鳳への、彼がこんなところで命を散らせた不甲斐なさが許せなかった。
クーガーがそこまでの感情を惜しげもなく造り出す理由。
そこには一人の存在――女性の影があった。


「お前が此処で死んだらあの人はどうなる!? あの人は……お前にぞっこんな水守さんはきっと今でもお前を待っている!!
最高の人だ! 惚れ甲斐がある! まさに文化の神髄……俺の残りの人生全てを注ぎ込むに値する!!
だがッ! お前が死んじまったら……あの人は悲しむに違いねぇッ!!」


水守――桐生水守。
ロストグラウンドと対立する本土側からやってきた研究者。
劉鳳の幼馴染であり、同時に彼に好意を寄せていた女性。
ロストグラウンドと本土、そしてアルター使いとアルターを持たない人間達の争いの根絶を願っていた水守。
水守自身にはアルターのような力はない。
しかし、固い信念の基に行動を示していく水守の気丈さにクーガーは惚れていた。
そう。惚れ込んだのだ。彼女の助けがしたかった、出来る限りの手伝いはして見せた。
HOLY部隊により監禁状態に置かれた時も、自らの危険を顧みずクーガーは水守を救った事もあった。
結局、水守の心がクーガーの方へ完全に傾くことは結局なかった。
しかし、クーガーは自分に振り向かない水守を、恋仇である劉鳳を恨んだ事など一度もない。
何故ならクーガーはそれでも満足であったから。
自分が認めた女性が、愛する人と一緒になれればそれで良い。
水守を本気で愛していたからこそ、本心からそう思っていたのだから。


「そうだ! 水守さんがあの小さな肩を震わせて、大声で泣きじゃくるのはわかってる!
俺には、このストレイト・クーガーにはそいつがどうにも我慢できねぇ!!なぁ、俺はどうしたら良い、劉鳳!?
優しい言葉を掛けるか? 何も言わずにこの胸を貸してやるか? それとも彼女の寂しさを紛らわすために、抱いてやるか……違うな。
そんなんじゃねぇ、俺にはそんなコトすらも出来やしねぇ。俺は水守さんに会わせるツラがねぇ……どのツラ下げて水守さんに会えば良いんだ……」



言葉の奔流は止まらない。
無意識的に両の拳を力強く握りしめる。
口元に綻びはない、上下の奥歯が互いを削り潰すようにぶつかり合う。
クーガーの想い――劉鳳が居なくなった今、代わりに水守と愛を育もうとは一片も考える筈がない。
只、劉鳳凰への怒りは耐えがたいものであり、同時に許せなかった。
水守がこれから抱くであろう悲しみの根本――劉鳳をむざむざと死なせてしまった自分自身への憤り。
直接的な原因はクーガーにはない。
しかし、守れた可能性はあった。
ラズロやバラライカに時間を取られずに、最速で劉鳳の危機に駆けつけていれば――
そう思ってしまえば、どうにも納得のいかない感情がクーガーを支配する。
やがて柄にもなく、フラフラと背中から無事な壁を背に、クーガーは座り込む。
生じた衝撃でサングラスのズレが大きくなり、床に落ちてしまうがクーガーは気にしない。
只、呟く様に言葉を吐き捨てる。
234創る名無しに見る名無し:2009/02/04(水) 02:08:07 ID:6MY3RV38
しえん
235創る名無しに見る名無し:2009/02/04(水) 02:09:11 ID:CoYB55oS
支援
236Drastic Soul ◆Wott.eaRjU :2009/02/04(水) 02:09:18 ID:sEixRoPd

「ギラーミン……そして、劉鳳を殺したヤツは……許せねぇ。 必ず俺が……!」


大きくはない呟き。
まるで自分の意思を確認する様な呟き。
その言葉に秘められた決意の大きさは、ギラーミンの名前を間違える事なく言っている事からわかる。
きっとこの先も少なくともギラーミンの名前を間違える事はないだろう。
今ままではたった一人の少年のためにこんな大掛かりな事をした、ギラーミンを茶化す意味合いもあったからだ。
しかし、今回の事でそんな気は失せた。
必ず倒す――決意は揺らがない。
先ずはバラライカを追って、知り合い達と合流しよう。
方針は決まっているのだが、クーガーはもうすこし時間が欲しいとおぼろげに感じた。
もう少し、もう少しだけこの心を落ち着けるだけの時間を――
それは今まで常に最速を目指していた男が減速を求めた瞬間であった。
時間という流れの減速を、ほんの少しだけの減速を。




【C-4/駅・事務室内/朝】


【ストレイト・クーガー@スクライド】
[状態]:深い悲しみ、左肩、右脇腹などに銃弾による傷(アルターで処置済み)
[装備]:HOLY部隊制服、文化的サングラス
[道具]:なし
[思考・状況]
0:女を捜す
1:ギラーミンに逆らい、必ず倒す。
2:無常、ラズロ(リヴィオ)、ヴァッシュ、ルフィ、バラライカ(名前は知らない)には注意する
3:カズマ、橘あすかとの合流。弱者の保護。
4:劉鳳を殺した人物を探し出し、必ず倒す。
【備考】
※病院の入り口のドアにヴァッシュの指名手配書が貼ってあります。
※ギラーミンの名前を今後間違えるつもりはありません。
※ヴァッシュ・ザ・スタンピードの手配書×二枚に『モヒカン男と麦藁帽子の男に気を付けろ byストレイト・クーガー』とメモ書きされています。
※C-4駅事務室入り口にフィーロの荷物が落ちています。
※通り抜けフープはバラライカの能力であると思っています。
237 ◆Wott.eaRjU :2009/02/04(水) 02:10:51 ID:sEixRoPd
投下終了しました。
支援どうもありがとうございます。
何かあればお願いします、ではー。
238創る名無しに見る名無し:2009/02/04(水) 02:45:21 ID:6MY3RV38
投下乙

やっぱ放送聞いたらこうなるよなぁ
239創る名無しに見る名無し:2009/02/04(水) 08:28:40 ID:HThnLlbA
投下乙!

スクライドについては詳しく知りませんが、
心理的描写がしっかり書かれていたので良かったと思います。
240創る名無しに見る名無し:2009/02/04(水) 10:40:19 ID:rzeSoFpT
投下乙。
ギラーミン……やっとちゃんと名前を呼んでもらえてよかったなw
スクライドキャラ特有の熱い心理描写が、らしくて巧い。
本気になった兄貴は……強いぜ!
期待とともにGJを!
241創る名無しに見る名無し:2009/02/04(水) 11:59:24 ID:nq9VjY7u
クーガー…
とうとうクーガーの兄貴が本気になったか
これはこれからの波乱が予測されるな
242創る名無しに見る名無し:2009/02/04(水) 12:04:25 ID:yccZwvcR
投下乙
そういや劉鳳殺したラズロとクーガーって一回戦ったんだよな……因縁フラグktkr
243創る名無しに見る名無し:2009/02/04(水) 14:05:37 ID:an1GuOzi
投下乙
クーダーの兄貴熱いよ……放送後、一番乗りもクーガーらしいw
244創る名無しに見る名無し:2009/02/04(水) 14:07:06 ID:nq9VjY7u
さすが最速の兄貴ってとこだな
245創る名無しに見る名無し:2009/02/04(水) 14:20:54 ID:9uo7WBGz
投下乙です!

最速兄貴が最速でクーガーのアニキ投下とは、流石すぎるぜ兄貴!
怒りを感じる所がいかにもクーガーらしくて熱い
けどその怒りはまるで喪失感や悲しみをまぎらわそうとしているみたいだ…あの兄貴が減速を望むなんて
心理描写だけなのに、ここまで熱くなったのは初めてだ。GJです!
しかし確かにこれでラズロと再会したら…ゴクリ
246創る名無しに見る名無し:2009/02/04(水) 18:48:00 ID:yccZwvcR
そういや、何だかんだでクーガーが名前間違えるのってカズマと水守だけなんだよな
247創る名無しに見る名無し:2009/02/04(水) 19:10:56 ID:nq9VjY7u
クーガーが名前間違えるのはわざとだからね
そういう形でクーガーは相手と関わろうとするんだよ
248創る名無しに見る名無し:2009/02/04(水) 19:47:21 ID:A13NhrR/
しかし投下後即予約って速過ぎです
249創る名無しに見る名無し:2009/02/04(水) 20:07:54 ID:baKQeSbZ
現在の予約状況

02/06(金) 00:00:01まで◆TEF4Xfcvis『御坂美琴、衛宮切嗣』
02/06(金) 00:00:03まで◆SqzC8ZECfY『カズマ』
02/06(金) 00:01:01まで◆YhwgnUsKHs『アーチャー、前原圭一、ゾロ』
02/06(金) 00:16:39まで◆EHGCl/.tFA『レッド、ライダー、グラハム、
                     チョッパー、竜宮レナ、無常矜侍』
02/06(金) 00:36:06まで◆UcWYlNNFZY『園崎魅音、ハクオロ』
02/07(土) 02:18:32まで◆Wott.eaRjU『真紅、橘あすか、ルフィ』

 改めて纏めてみると、圧巻だなぁ。
250創る名無しに見る名無し:2009/02/04(水) 20:13:27 ID:nq9VjY7u
これは明日の夜が楽しみすぎるww
251創る名無しに見る名無し:2009/02/04(水) 20:24:51 ID:6MY3RV38
よく見たらFate/Zeroからの参加者が全員予約中だ
252創る名無しに見る名無し:2009/02/04(水) 20:27:46 ID:yccZwvcR
五件とか投下ラッシュってレベルじゃねーぞw
253創る名無しに見る名無し:2009/02/04(水) 20:51:09 ID:970ssBfO
畜生、リアルの都合で予約出来ないのが歯痒い。
254創る名無しに見る名無し:2009/02/04(水) 20:52:59 ID:nq9VjY7u
自分のプロットがつぶれないことを祈りつつ頑張ってリアルの都合を片付けるのだ
255創る名無しに見る名無し:2009/02/04(水) 21:01:56 ID:970ssBfO
まあ潰れたなら潰れたで読む楽しみは増えるからね。
256創る名無しに見る名無し:2009/02/05(木) 01:01:49 ID:X34quvA9
うんそうだね
潰れたようで後で再利用できるのもよくあることだし
257創る名無しに見る名無し:2009/02/05(木) 21:12:28 ID:LrlcJTVc
細かいが、>>231
>気絶していたバラライカが、これ程までにも早く意識を取り戻すとは思わなかった。
>そんな事は今更言って遅すぎる。
今更言っても遅すぎる。
じゃね?

>>247
>>243みたいに?
258創る名無しに見る名無し:2009/02/05(木) 21:26:09 ID:0REVwgMy
うん、流石にそれは細かすぎw
お前は商業作品を読んでるつもりなのかとw
259創る名無しに見る名無し:2009/02/05(木) 21:29:48 ID:X34quvA9
二人延長か
でもまぁ一気に集中するよりある程度分散したほうがスレの盛り上がり的にはいいかもねー
お二人ともゆっくりしていってね!
260創る名無しに見る名無し:2009/02/05(木) 22:41:51 ID:0REVwgMy
今週の週末もwktkが止まらないw
261 ◆SqzC8ZECfY :2009/02/05(木) 23:47:10 ID:Vd+5YhJf
カズマ投下します
262時に絆さえ心を縛る ◆SqzC8ZECfY :2009/02/05(木) 23:48:15 ID:Vd+5YhJf
がぶりと食らいつく。
ぎちぎちと圧をかけて引きちぎり、がつがつと上下の歯をぶつけ合うようにして噛み砕く。
飢えを満たすことだけしか考えない猛獣の食事そのもの。
ギラついた瞳は誰も寄せ付けない獰猛な光を宿す。
それは物理的な飢えではなく、魂の飢えがいまだ満たされない渇望の眼光だ。
野獣の如きその男、名前はカズマという。
彼は飢えていた。渇いていた。
どうすればその飢えが、渇きが満たされるのかも分からないまま、彼の心は葛藤の迷宮を彷徨っていた。
水をぐびりと飲み干し、口内で噛み砕いた食料をまとめて臓腑へと流し込んだ。

「……っは、……ふぅ」

大きく一息。
だがその表情には満たされた様子は無い。
どうしようもなくイラついていた。
腹を満たせばマシになるかと、自棄食いのように、支給された食料を胃がパンパンになるまで詰め込んだ。

「…………くそったれ」

イラつきは収まらない。
原因は分かっている。結局は自分の心の問題なのだ。
しかしだからといってそれをコントロールできるほどカズマは器用ではない。
むしろ不器用極まりないといっていい。
いつだって誰にも頼らず、自らの力で道を切り開いてきた。
そういえば聞こえはいいが、結局は誰かと歩みを合わせることができないということでもある。
ろくでなしだのごく潰しだのと言われてきたが、全くその通りだ。
それしか知らないし、それしかできない。
だから貫く。
前を見て進み続けるだけだ。そのせいで道の途中に色々とこぼれ落としてしまったとしても、背負って進み続けると決めた。
だけどそんな自分にも、そんな大馬鹿にも大事なものができた。
いくら馬鹿だってそれがとても大事なモノだってことぐらいわかる。
それが奪われた。だからぶちのめして取り返す。
単純極まりない理屈にすぎない。
だがそのためには多くのものを捨て去らなければならない。
なんの関係もない奴らを傷つけなければならず、己の望まぬ戦いに挑まねばならず、そんなことのために唯一無二の誇りであるこの拳を振るわなければならない。
いつだって止まらず、目の前に立ち塞がる理不尽の壁を突き破って生きてきた。
例え世界の全てを相手にしようともそれが自分だ、それがカズマだと言い張ってきた。
だが――打ち破るべき壁が見えない。
それは目の前にあった。
だがあまりにも朧。
それが本当に正しい道なのか、その先に本当に目指すべきものがあるのか、蜃気楼を目指して進んでいるかもしれないような頼りない感覚。
迷いが、消えない。


『さて、時間だ――――』


どこからともなく聞こえてくる声。

「この声! ……あの野郎!」

カズマは顔を上げて空を見る。
そこには何も写ってはいない。


   ◇   ◇   ◇
263時に絆さえ心を縛る ◆SqzC8ZECfY :2009/02/05(木) 23:49:39 ID:Vd+5YhJf


散々身勝手に喋り散らした挙句、声はやがて聞こえなくなった。
その声が聞こえる前はそうであったように、たちまち静寂が侵食を開始して辺り一帯を音のない世界へと戻す。
そこにギラーミンの説明を受けて禁止エリアに×印をつけた地図、そして参加者の名簿用紙をくしゃくしゃになるまで握り締めて立ち尽くすカズマの姿があった。

「…………へっ」

口元を歪めて吐き捨てた。
懐から取り出したペンダント。
だがその鎖の先に繋がっていたであろう、何らかの装飾物がない。
チェーンだけ握り締めた拳を目の前にかざして、そこに誰かがいるかのようにカズマは言葉を紡ぐ。

「やっぱりくたばってやがったかよ……くそがっ!」

それは本来、桐生水守という女性が肌身離さず所持していた首飾りだった。
カズマの支給品としてデイパックに入っていたものだ。
そして今は何も存在しないチェーンの先には、薄紫色に輝くクリスタルのようなものが付いていたはずだった。
それは先刻、カズマの目の前で跡形もなく消え去った。
カズマには分かっていた。
そのクリスタルがアルターの結晶体であると。
そしてそれを作ったのが誰であるかも。
幾度となく全身全霊でアルター同士をぶつけ合ってきたカズマだからこそ、その言葉に出来ない微かな波動を感じることが出来た。
そしてそれが真っ二つに割れて砕け、消失しようとしたとき――――そのアルターを創造した者の命が尽きかけていたと理解した。


――ざまぁねぇな。絶影を持つ劉鳳さんよぉ。


――身体が半分ばかし吹き飛んだくらいでテメェは立ち止まんのか?


――テメェが言う正義ってのはそんな簡単に終わるものなのかって聞いてんだよ!


――テメェもそんなもんかよ。変わらねぇ……そこら中にいる口だけ野郎と変わらねぇよ。


――じゃあな劉鳳。テメェには失望させてもらったぜ。


――ハッ、まだまだ元気じゃねぇか。なら立てよ! 立ってテメェの力を見せてみやがれ!


――そうだ! それを待ってたんだ! ムカつく奴がいるんだろ! やれよ、やっちまえ! ブチ壊せ! テメェの前に立つチンケな壁をよぉ!


クリスタルに向かって怒鳴り散らした。
264創る名無しに見る名無し:2009/02/05(木) 23:50:06 ID:X34quvA9
キター!支援
265創る名無しに見る名無し:2009/02/05(木) 23:50:33 ID:sEYWRbAF
 
266時に絆さえ心を縛る ◆SqzC8ZECfY :2009/02/05(木) 23:50:35 ID:Vd+5YhJf
そう、劉鳳だ。
こいつを作ったのはムカついて仕方がない、あのすかしたHOLY野郎に間違いない。
そしてそいつが無様にくたばりかけている。
ざまぁないと嘲笑ってやった。
人にえらそうに正義だの毒虫だのと説教くれやがって、この程度かよ――と。
するとその次の瞬間にはクリスタルが光に包まれた。
まるでその光がカズマの言葉に言い返しているようだった。




――俺は、俺の信じる道を行く……!  それが俺だ……絶影を持つ劉鳳だ!




そうだ。
こいつは壁だ。
カズマの前に立ちはだかるどでかい壁だ。
だからこいつはこうでなくてはならないのだ。
クリスタルが輝きを増した。
それは命の光だと、何の根拠もなくそう思った。
そしてやがて目も眩むほどの輝きとなった刹那。




――――砕けて、消えた。




カズマが今、手にしているのはその残骸だった。
劉鳳のアルターが消えたということ。
つまりは奴自身の命が消えたということに他ならない。
だからギラーミンの放送にもカズマはなんら驚くことはなかった。

「だがその壁も……なくなっちまった、か」

呟きはそよぐ風に溶けて消えていった。
壁というよりも鏡と呼ぶべきだったのかもしれないと、今更ながらに思う。
劉鳳はカズマに良く似た部分があった。
生まれも育ちもまるで違うが、一本気で、何処までも不器用で、自分の信じる道を愚直なまでに貫き、生きてきた。

「あいつは最期まで信じる道を貫いた……だったら俺はどうなんだろうな……」

こんな殺し合いに乗るような真似が自分の信じる道であるはずがない。
死ぬのが怖いわけじゃない。何もせずに死ぬのが怖い。
なんの証も立てないまま朽ち果てるのは、それだけは死んでもゴメンだ。

「……けどよ…………また大事なモンを失うのが怖いんだ…………」

それはまるで懺悔のようだった。

「君島が逝った……アヤセも……ネイティブアルターの奴らも……牧場のみんなも……」

己の道を貫いたその結果。
267創る名無しに見る名無し:2009/02/05(木) 23:50:38 ID:X34quvA9
  
268創る名無しに見る名無し:2009/02/05(木) 23:51:00 ID:sEYWRbAF
  
269創る名無しに見る名無し:2009/02/05(木) 23:51:06 ID:X34quvA9
  
270創る名無しに見る名無し:2009/02/05(木) 23:51:27 ID:X34quvA9
 
271時に絆さえ心を縛る ◆SqzC8ZECfY :2009/02/05(木) 23:51:56 ID:Vd+5YhJf
抱えたものは次々零れ落ちていった。
そして劉鳳までもが先に逝ってしまった。
そして最後に残った少女、由託かなみ。

「誰も残らないってことは、何の証も立てられないのと同じじゃねえのか……」

最後に一人。
他に誰も立つ者のいない地で凱歌をあげたとして、その栄光を誰が知る。
その証を誰に示す。

「わりいな、メカポッポ……俺はトリーズナーなんかじゃねえよ……」

名を呼んだ。
その心に刻んだ名前。
その拳に刻んだ魂。


「俺はシェルブリットのカズマ……こうと決めたら曲がることも引き返すことも出来ねえ……ろくでもねえ鉄砲玉だッッ!!」






【H-4 北部/1日目 早朝】



【カズマ@スクライド】
【状態】:疲労(小) 墜落による全身に軽い負傷 砂鉄まみれ 右腕に痛み 右目の瞼が上がらない 右頬に小さな裂傷(アルターで応急処置済み)
【装備】:水守のペンダント(チェーンのみ)
【道具】:基本支給品一式、ランダム支給品0〜2
【思考・状況】
1:とにかくあの野郎をぶん殴る。(誰かはよく分かっていない)
2:優勝狙い。
3:次に新庄、伊波と出会ったら……
4:メカポッポが言っていたレッド、佐山、小鳥遊に興味。
※ループには気付いていません
※メカポッポとの交流がどんな影響を及ぼしたのかは不明です。
※参戦次期原作20話直後。
※何処へ行くかは次の方にお任せします。




【桐生水守のペンダント@スクライド】
カズマに支給された。
劉鳳が幼少時に形成して水守にプレゼントしたアルターの結晶をペンダントに加工したもの。
劉鳳本人とシンクロしており、死線をさまよった際には消滅しかけ、蘇生した際には元通りになったりしていた。
劉鳳が死亡したため、今はチェーンの部分しか残っていない。
272創る名無しに見る名無し:2009/02/05(木) 23:52:15 ID:X34quvA9
 
273時に絆さえ心を縛る ◆SqzC8ZECfY :2009/02/05(木) 23:53:45 ID:Vd+5YhJf
投下終了です。
支援ありがとうございました。
ご意見ご感想ありましたらよろしくです。
274創る名無しに見る名無し:2009/02/05(木) 23:54:13 ID:X34quvA9
投下乙!
桐生水守のペンダント…そうかカズマには放送前に劉鳳の死がわかってたんだね
カズマ…もう戻れないのかな…
275創る名無しに見る名無し:2009/02/05(木) 23:59:37 ID:vK2VnWYU
投下乙!
なるほど、水守さんのペンダントをこう使うとは……台詞が劉鳳死亡話とリンクしてて良い演出!。
カズマさんの心理描写もグッド!
あやせさんや君島の事を思い出しながら、更に決意を固めるカズマを見て何故か少し切なくなった……。
276創る名無しに見る名無し:2009/02/06(金) 00:02:41 ID:4L20z41w
投下乙〜
カズマの心理描写濃くていいなー
277 ◆SqzC8ZECfY :2009/02/06(金) 00:35:33 ID:ESfuKy0C
すいません、状態表にミスがありました。
支給品の食料を二食分、水を1/3減でお願いします。
278創る名無しに見る名無し:2009/02/06(金) 18:45:37 ID:/joH12oD
投下乙!
カズマはこのままマーダー路線貫いても面白そう・・・
だけど本心では戻って欲しいですね

後タイトルも歌詞内で結構好きなので嬉しいです
279 ◆YhwgnUsKHs :2009/02/06(金) 22:37:40 ID:VMFLDlfD
お待たせしました。
急いで仕上げたので、できにやや不安がありますが…。
アーチャー、前原圭一、ロロノア・ゾロ投下開始します。
280創る名無しに見る名無し:2009/02/06(金) 22:38:40 ID:E66VOUmm
きたきたー支援
281王の裁き(ギル・トール) ◆YhwgnUsKHs :2009/02/06(金) 22:39:08 ID:VMFLDlfD

 夢を、見ていた。


『ナミィ〜、次の島はまだかぁ〜』
『まだまだ先よ』
『こらルフィ。ナミさんを困らせるんじゃねえ。朝飯抜きにするぞ』
『そ、それは酷いぞサンジ!』
『ルフィなら気を失って海に落ちちゃいそうね』
『おいこらそんな想像すんな。まあコーラさえありゃあ餓死なんてしねえよ』
『ヨホホホ。怖いですねえ、餓死。したくないですねぇ……あ、私もう死んでました!』


 いつもの光景だ。
 仲間と共に、グランドラインを旅する夢。
 暢気な船長。強欲な航海士。アホコック。怖がりな船医。冷静な考古学者。変態船大工。骸骨の音楽家。
 そいつらが楽しく笑って、愉快で、それを自分は騒乱とは少し外れたところで見守っている。
 それがいつもの光景だった。



「違う」



 いつもの光景?
 そんなわけがないだろう。
 なぜなら、1人足りない。


 あいつが、足りない。

『死亡者』

 狙撃手のアイツが、いない。


 いつもの日常に、もうアイツがいない。


 そんなわけあるか。思い出の中に確かにアイツは。
282創る名無しに見る名無し:2009/02/06(金) 22:39:10 ID:E66VOUmm
  
283王の裁き(ギル・トール) ◆YhwgnUsKHs :2009/02/06(金) 22:39:40 ID:VMFLDlfD




『死亡者 ウソップ』



 けれど、もう……未来にアイツの姿はない。


 たとえ戻れたとしても、あいつだけはいない。


 本当に死んだのならば。


「くそ……」


 ただ、そんな言葉がついて出た。
 ただ、何かに怒りたかった。
 何かに。


 1人欠けた不完全な光景。
 1人欠けたこれからの光景。
 受け入れなければならない、光景。
 そんな光景が。
284創る名無しに見る名無し:2009/02/06(金) 22:39:43 ID:E66VOUmm
  
285王の裁き(ギル・トール) ◆YhwgnUsKHs :2009/02/06(金) 22:40:06 ID:VMFLDlfD


『殺すとするか』


 唐突に終わりを告げる。


 *****


 私、前原圭一はパシリをさせられています。
 なぜ、どうして、パシリをさせられているのかはわかりません。
ただひとつ判る事は、そのパシリ主がものすごい強いと言う事です。
主アーチャーは切嗣さんの知り合い。
知り合いは他にも巨漢の男が1人いるらしい。
アーチャーは黄色い槍を所有。

どうしてこんなことになったのか、私にはわかりません。
私をあなたが見つけたなら、その時私はパシられているでしょう。
・・・荷物があるか、ないかの違いはあるでしょうが。
私を見つけたあなた。私を助けてください。
それだけが 私の望みです。

                   前原圭一


 *****



「などという現実逃避あふれるメモなど我が許すはずもなかろう」

 びりっびりっ

「ああっ!」


 儚く、俺の命綱――誰かに助けてもらおうと道端に置いてわずか3秒でアーチャーにみつかったメモ――は金ぴか男ア
ーチャーの手によって無残に細切れにされ、風と共に空へと飛んでいった。
 そしてそれを悲しく見守る俺の脳天に容赦なく鉄拳が振り下ろされた。

「がはっ!!」
「まったく。召使が分不相応な事を。召使は荷物を運んでいればそれでいい、それ以上の価値も役目も求めてはいない」

 脳が直に揺らされたようで、吐き気がしてきそうだ……なのに、目の前の金ぴか鎧、アーチャーはそんな俺に目もくれず、目の前の『それ』に悠々と入っていく。

(くそ……情けねえ)

 俺の、今の自分に対しての素直な感想がこれだった。
 手に持っているのは俺とアーチャーの分のデイパック。
 それを持って目の前のアーチャーに付いてきて、いつの間にか駅まで来ていた。
 本当ならば映画館で切嗣さんを待たなきゃいけないのに、どんどん行き先が離れていく。
 かといって、映画館へ誘導する事なんてまず不可能だろう。口先の魔術師と言われ、いろんな人物の相手をしてきたか
らわかる。
 こいつは揺るがない奴だ。そして、俺を自分と同じ者と思ってない。完全に見下している。
 交渉においてはどちらも不利な条件だ。何を言っても自分を変えない。相手の言葉をまともに聞く気がない。
 交渉相手としては、最悪の相手だ。
286創る名無しに見る名無し:2009/02/06(金) 22:40:09 ID:E66VOUmm
  
287創る名無しに見る名無し:2009/02/06(金) 22:40:41 ID:E66VOUmm
  
288創る名無しに見る名無し:2009/02/06(金) 22:40:59 ID:E66VOUmm
  
289王の裁き(ギル・トール) ◆YhwgnUsKHs :2009/02/06(金) 22:41:25 ID:VMFLDlfD

 だが、反面これでいいとも思ってる。
 切嗣さんから名簿に載っていたアーチャー、そしてライダーに関しては一通りの情報を得ている。外見情報や、一般人
では太刀打ちが出来ないってこと。
 そして、アーチャーに関しては間違いなく自分を殺しに来るだろうということ。
 理由は『個人的なことだよ』と教えてくれなかったが、会ってみてその情報は真実味を持ってきている。
こいつは、殺すといったら平気に殺す奴だ、ってな。
 俺に対して向けた殺意は間違いなく本物だ。俺があと1秒返答に遅れてたら、いや、もし切嗣さんに会ってなくてアー
チャーの名前を知らなかったら。
 俺は間違いなく殺されてた。

 だから、アーチャーと切嗣さんを会わせる事だけはしてはいけない。そして、アーチャーが映画館から離れている事は
この点においてだけなら都合がいいんだ。
 俺と切嗣さんが合流できない、ってところが不安なんだけどなぁ…。

 俺はアーチャーが自分の名称を知っていた事を勘繰って、情報元を聞いてくるんじゃ、と後から不安に思ったが、ここ
に来るまでアーチャーは俺にまったくそのことを効いてこなかった。
 気付いてないのか? それとも、あえて黙って泳がせてるのか?

 なんとなく後者に思えてくる。目の前の男は、唯我独尊横暴強力、ってのが俺の印象だけど……どこか、理知的なとこ
ろも感じちまう。
 なんでも御見通しみたいな目をしてるんだ。
 けど、だからなんだってんだ!
 さっきのメモは失敗したけど……でも、絶対こいつの下から逃げ出してやる!
 こんな奴に付き合ってられるかよ! 俺は早くレナや魅音たち、そして切嗣さんと合流

「何をしている圭一。早く『入って来い』。でなければ……貫くぞ?」
「は、はいぃぃいいいい!!」

 黄色の槍をくるっと回して即座に俺へ向けたアーチャーに、俺の背筋は一気に凍り、すぐさまホームを蹴り、滑り込ん
だ。

 駅に止まっていた、電車の中に。


 *****


「……なんだよ、それ……」

 耳障りな放送が終わり、圭一の耳には圭一たちが入ってすぐに発車した電車の揺れる音だけが聞こえている。
 発車と同時に始まった放送、アーチャーはその情報のメモを圭一に任せたまま別の車両に移動してしまった。本人曰く、
『我には確かめなければならんことがある。召使如きに言う必要はあるまい』、だそうだ。

 だが、圭一の中に少し前まであったそのアーチャーへの少しした反発心など、もう消え失せていた。
 メモを取っていた圭一の指は止まり、落とさないように最後まで握り締めていた鉛筆が、軽い音をたてて床へと落ちた。
 なんとか取ったメモには、禁止エリアとやらの時間と区域、そして……15人にもなる名前の羅列がある。


 死亡者たちの、名前だ。


「ろ、6時間だぞ? 6時間で……15人って、嘘、だろ?」


 知り合いの名前、そして別れた切嗣の名前が無かった事には安堵した。
 けど、その安堵以上に……圭一の心には衝撃が残った。
 6時間で15人。単純に平均しても、1時間で2,3人死んだという計算だ。
 名簿で見る限り、参加者は65人。そのうちの15人と言えば。
290王の裁き(ギル・トール) ◆YhwgnUsKHs :2009/02/06(金) 22:42:03 ID:VMFLDlfD

「約23%……4分の1近くじゃねえか!」

 全体の4分の1が死んだ。つまり、参加者の4人に1人が死んだ、と考えられる。
 あまりに高い。あまりに高い確率だ。
 そんな中で6人もいる知り合いが誰も呼ばれなかったのは素直に喜びたい。そして、次の放送で誰か呼ばれてしまうん
じゃ、と言う予感も去来する。それほどまでにペースが早い。

 圭一が見た殺戮者は1人(とりあえずアーチャーは入れないとして)。だが、15人死んだということは最大でも15人
の殺害者がいるということになる。
 果たして、それが誰なのか……そいつらはどこにいるのか。もしかしたらこの電車の中に潜んでいやしないだろうか。

 急に怖くなり、圭一はアーチャーのところに行こうと隣の車両のドアを開けた。
 いくら横暴で唯我独尊で何をするかわからなくても、今のところ自分に利用価値を見出している以上、殺害者よりはマ
シだと思う。
 1人でいるより2人でいた方が安全だ、と圭一はドアを思いっきり開けた。



「アーチャーさ、えええっ!?」



 金ぴか鎧我様が、倒れている血まみれの男に向けて槍を振り下ろそうとしていた。



 *****


「…………」
「あ、あの、ロロノア……さん?」
「ゾロでいい」
「あ、は、はい!ゾロさん!え、えーっと……いい天気ですね!」
「そうかよ」
「……」
「……」


 なぜ、自分はこんな事になってしまっているのだろう、と前原圭一は思う。

 目の前に鋭い目つきのマリモみたいな髪型の男。腰にはなぜか刀が3本。2本ならまだわかるが、なぜ3本もあるのだ
ろう。
 そして、全身傷だらけで血が大分滲んでいる。
 そんな男と電車の中のイスで隣になって話をしなければならない。
 加えて、少し離れたイスで自分達の方をまるで見ていないアーチャーがいる状況で。

 改めて思う。なぜこんな事になったのだろう、と。
291創る名無しに見る名無し:2009/02/06(金) 22:42:25 ID:E66VOUmm
  
292王の裁き(ギル・トール) ◆YhwgnUsKHs :2009/02/06(金) 22:42:29 ID:VMFLDlfD


 *****


 結論から言えば、アーチャーの槍が男を仕留めることはなかった。
 槍が振り下ろされた瞬間、男が突如覚醒し、寝起きとは思えないスピードで腰の刀を2本抜き、槍を交差した刀で受け
止めたからだ。
 槍が刀によって防がれると、すぐさま男が床に放り出していた脚を思いきり蹴り上げる。
 アーチャーがそれを横に移動してかわすと、男はそのまま振り上げた両足を床に叩きつけてその勢いで宙に跳ね上がり、
くるっと回転すると床にダンッ、と大きな音をたてて着地した。
 簡単に言ったが、圭一が同じことを出来る自信はまったくない。おそらく寝たまま槍を刺されて終わりだろう。

 男はすぐに刀をアーチャーに向けて構え、アーチャーもまた不敵な笑みで男に向けて槍を構える。
 圭一は一連の出来事に口を開けたままになっていた。
 が、なんとか我に返り冷静に考えてみる。
(これ、一体どういう状況なんだ?)

 寝ている男を殺そうとしていたアーチャー。
 男はそれをただ防いだだけ。
 ……裁判ならば、明らかにアーチャーが有罪だろう。圭一も陪審員ならそうする。
(じゃあ、止めた方がいいじゃねえか!!)

 目の前の状況は見るからに一触即発だ。
 男は鋭い目つきでアーチャーを睨み、アーチャーはそれを意に介さない様子で平然と男を見ている。
 圭一は確信する。このままでは、ものすごい事になる。
 激しい戦闘になるかもしれない。そうしたら、不利なのはどちらか。
 どう見ても満身創痍な男の方だ。
 悪いのはアーチャーであるのに、被害者の男が一方的に殺されるのは間違っている、と圭一は思う。
 さっきまではへーこらしているしかなかった。だが、この状況ではそんなこと言ってられない。

(なんとかしねえと!口先の魔術師、前原圭一として、アーチャーを止めてやる!)

 目の前の過ちを防ぐため、最悪自分が死ぬ事になっても男だけは逃がしたい、という決意と共に。



「アーチャ 「まあ、待て剣士」 ………え?」



 圭一が叫ぼうとした瞬間、なんとアーチャーの方がすっと槍を下ろした。
 仕掛けたほうの突然の行為に男も訝しげにアーチャーを見ている。
 圭一としても意外だった。アーチャーがここで戦闘に入ろうとしないことに。そもそも自分が仕掛けたはずなのに。

 そんな2人を尻目に、アーチャーはどこまでも不遜に、不適に笑った。

「簡単に寝首をかかられるようでは我の目の前にすら置く訳にはいかんからな。
 よって、剣士。とりあえず貴様は合格だ。我と同じ密室内にいることを許してやろう。
 我は少し忙しいから相手はできんが、そうだな。そこの召使と話でもしていろ。
 かかって来ても構わんが……その傷では、止めておいたほうが賢明だろう。それくらいはわかるだろう?」


 そんな笑みから飛び出す言葉が、謝罪であるはずが無かった。
293創る名無しに見る名無し:2009/02/06(金) 22:42:58 ID:E66VOUmm
  
294王の裁き(ギル・トール) ◆YhwgnUsKHs :2009/02/06(金) 22:43:19 ID:VMFLDlfD


 *****


 こういった経緯により、圭一は男、ロロノア・ゾロと話をすることになってしまった。
 しかも、アーチャーは近くのイスに悠々と座し、地図、コンパスを片手に外の景色を見ているばかり。こっちの会話は
丸聞こえだろう。
 よって、ゾロに切嗣についての情報を出すことはできず助けも求められない。
 とりあえず圭一は、アーチャーににらみを利かせるゾロをなんとかなだめて、これまでの経緯について互いに話すこと
にした。


「…………間違いねえ、そいつはクロコダイルだ」
「え!? ゾロさん、あいつを知ってるのか!?」

 まずは圭一が自分の経緯について話し始めた。
 とはいえ、切嗣のことをアーチャーに知られるわけにはいかない為、話せたのはサンマ傷の男に1人でいるところを襲
われた、という半分嘘で半分真実な話のみだった。
 だが、それでも思わぬ収穫を得た。ゾロがその男の事を知っていたことだ。

「ああ。俺たちが前に戦った奴で、ルフィが倒して海軍に捕まったはずだったんだがな」
「いきなり撃ってきて……その、なんとか逃げ出したんだけど」
「……お前、よく奴から逃げられたな。悪魔の実の能力者からよ」
「の、能力者?」

 自分の知らない単語に圭一が困惑な顔をすると、ゾロが逆に圭一にいぶかしげな目を向けてきた。

「おまえ、悪魔の実をしらねえのか? ……まあ、佐山や小鳥遊みてえにあまり聞かない名前の形式だしな。よほど辺境の島から来たのか」
「島? いや、どっちかっていうど田舎な山だけど」
「似たようなもんだ。悪魔の実ってのは、食ったら奇妙な能力がつく実のことだ。身体が刃になったり、体がバラバラにできるようになったりな。クロコダイルの場合、身体を砂にできる」
「は、はぁ!?」

 ゾロの言う奇天烈な話に圭一は胡散臭そうな者に対しての顔しかできなかった。
 何せ、本当に胡散臭いのだから。

「ま、信じられないなら信じなくてもいい。だが、俺は事実だと言ったからな」
「……俺は、すぐに逃げてきたから」
「奴が能力を使う暇もなかった、ってことか。まあ、普通の奴ならそれが1番かもな。なにしろ、銃弾も刃も、身体を砂にすることで全然効かなくしちまうからな」
「な、なんだよそれ! そんな奴、勝てようがないじゃんか!!」

 圭一はつい叫んでしまった。
 信じてはいないが、けれどもしあの男がそんな存在ならば、相手をした切嗣はクロコダイルに全くダメージを与えられ
ない、ということになる。
 放送で呼ばれなかった以上、生きているとは思うのだが、けれどそれ相応の怪我を負っていないかと圭一は心配だった。

「そう言うな。能力者には弱点もある」
「弱点?」
「ああ。……」

 ここでゾロがちらりとアーチャーの方を見て、嫌そうな顔をした。
 どうやら圭一はともかく、アーチャーにはあまり聞かせたくない話らしい。
 それでも、圭一としては引き下がれない。

「頼む、教えてくれ。そんな無敵に近い奴の弱点なら、できるだけ知っておいた奴はいた方がいいと思うんだ」
「……まあ。あいつなら、俺がどうこう考える前に、どうせ自分で言っちまうか」

 ゾロはどこかの船長の事を思い浮かべ、苦笑しつつ改めて圭一に向き直る。
295創る名無しに見る名無し:2009/02/06(金) 22:43:30 ID:E66VOUmm
   
296王の裁き(ギル・トール) ◆YhwgnUsKHs :2009/02/06(金) 22:43:49 ID:VMFLDlfD

「能力者は、全員カナヅチだ」
「カ、カナヅチ?」
「ああ。なんでも海に嫌われる、って話らしくてな。海じゃなくても、河や湖、ある程度水がたまってれば力が入らなく
なって溺れちまう」
「ってことは…なんとか湖とかに落とす事ができれば」
「できれば、の話だがな。俺が知ってる弱点はコレだけだ。ルフィは確か奴特有の弱点を知っていたらしいが……俺はもう倒された奴の事なんざ、興味なかったからな」

 圭一の話はここまでだった。その後はアーチャーと出会い、ここに来るまで誰にも逢わなかった。
 圭一にだけ話させておいて、というわけにはいかないらしく、ゾロもまた同じくここまでの経緯を話してくれた。
 その内容は、圭一としては自分の話以上の内容だった。


「やっぱり……俺(たち、とは言えない)以外にもこの殺し合いに反対する人たちはいたんだな!」
「ああ……変わった奴2人に、小人1人だがな。あのスーツの海賊に関しちゃ、殺し合いに乗ってはいないだろうが、よ
くわからねえしな」

 圭一がゾロから聞いた情報は希望が持てるものだった。
 ゾロが会った者のうち、4人は優勝を目指している様子ではなく、ましてや3人は主催者打倒に向けて動いているとい
う。
 この会場には殺戮者が多いのでは、と不安になっていた圭一にとってまさしくそれは朗報だった。

「佐山・御言、小鳥遊宗太、蒼星石、だな。よし、メモした」
「まあ、小鳥遊はともかく、佐山や蒼星石は頼りにしていいだろうな。戦いもそれなりにこなせる、らしい。小鳥遊はダ
メだが」
「そ、そうなのか」

 なんだかやけに小鳥遊という人物がこき下ろされているような気がしたが、圭一はとりあえず口を出さないでおいた。

「でも、なんで別れちゃったんだよ」
「……やることができた。それだけだ」
「それって」
「奴には聞かれたくねえ。だから、お前にも話せねえな」
「うっ」

 ちらっとアーチャーを見るが、平然と外を見ているだけだった。
 耳には入っているのだろうが、あえて反応していないらしい。

「ともかく、あいつらと別れた後、劉鳳とかいうぼっちゃん顔と戦闘になってな。悪魔の実の能力者なだけあって、かな
りきつかったな」
「そいつもなのか」
「ああ。へんな人形を使ってくる奴だった。でその途中、今度は背中から手の生えた刺青男が乱入してきた」
「はぁああ!?」
「いちいち素っ頓狂な声あげんじゃねえ。似たような能力を持つ奴が仲間にいるが……奴もやっぱり別の能力者って考え
たほうがいいかもな。なにしろ、そいつの撃った銃は普通じゃなかった。戦っていた劉鳳って奴の身体の半分を削り取りやがった」
「け、削…?」

 撃たれたら、せいぜい穴が開いたとか、素直に「撃たれた」という表現でいいのではないだろうか、と圭一は思った。
ていうか、銃弾で削るってどういうことだ。

「まあ、そいつに関しては心配するこたねえよ。あいつの……劉鳳の最後の一撃で、間違いなく死んだ。俺のこの怪我は
そいつらとの連戦の結果だ。俺の経緯はこんなところだ」
「そう、か……」


 互いに経緯を話し終えた結果、ゾロはそれなりに圭一に心を開いてくれたらしく、少し目つきが和らいだ気がした。
もっともいまだこっちに全く干渉してこないアーチャーに関しては未だ警戒心たっぷりだったが。
297創る名無しに見る名無し:2009/02/06(金) 22:44:25 ID:E66VOUmm
   
298王の裁き(ギル・トール) ◆YhwgnUsKHs :2009/02/06(金) 22:44:40 ID:VMFLDlfD


「って、あれ?」

 そのアーチャーを見ようとして圭一は声を上げてしまった。
 さっきまでイスにいたアーチャーが、いつの間にかいない。
 と、同時になぜか風が吹き込んできて圭一の髪が揺れた。
 突然、なぜ?

「「って、何してんだ!?」」
「見て分からんのか、召使と剣士。ドアを開けているに決まっているだろう」

 驚愕を顔に表した2人が見た物は、電車の横のドアを開け(戸口横のボタンを使ったらしい)、激しく吹き込む風を物
ともせず仁王立ちし外を眺めている金ぴか我様、アーチャーの姿だった。
 その姿の向こうには、広めの河が朝日を反射して輝いている。どうやら電車は河の上の陸橋に差し掛かっているらしい。

「だから何のため 「お、おいてめえ!」 え?」

 アーチャーに突然ドアを開けた理由を尋ねようとした圭一は、焦った表情でイスを立ち上がったゾロを見た。
 ゾロの目線はアーチャーの手元に寄せられている。そこにはどこかで見たような刀が一振りある。どこかで見たよう
な……。

「って、それ俺の雪走じゃないですか!何時の間に!」
「貴様が剣士とくっちゃべっている間だ」
「俺の武器ですよ!?」
「召使の物は我の物。我の物は我の物。そしてそもそも世界の物は我の物だ」
「何言ってんのこの人!!」

「そんなことはどうでもいい!」

 圭一とアーチャーの言い合いをゾロの叫び声が遮る。
 圭一は思わず口をつぐむが、アーチャーはそれを今までのように余裕を持った笑みで平然と受け流す。

「やっぱり、それは俺の雪走なんだな」
「違うな。我の物だ」
「いや、それ俺のデイパ」
「元々は俺の物だ。こんな状況だ。使い慣れてねぇ得物よりは使い慣れた刀を使いてぇ。そいつは返してもらう。なんなら、代りの刀をくれてやっていい」
「それは俺の」
「3本も持っていながら、まだ欲するか。強欲な剣士よ」

 圭一の言葉を普通に無視しつつ、恐らくアーチャーの関係者がいれば100%『お前が言うな』と言うセリフでゾロの要求
をアーチャーは却下した。

「いいからよこしやがれ。渡す気がねえなら……力ずくでもいいんだぜ?」

 ゾロが腰の刀を2本抜き、最後の1本を口に咥える。
 ロロノア・ゾロ、独自の三刀流の構え。
 アーチャーも、その構えには興味を覚えたようでほう、と声を漏らす。

「二刀流かと思えば、三刀流とはな。我も流石に初めて見る型だ。一見滑稽だが、構えや挙動に洗練されてきた様が伺える」
「てめえに褒めてもらっても、嬉しかねえな」
「どこまでも不遜な剣士だ」

 互いににらみ合い、少し前の光景が再現されたようだと圭一は思った。
 違う点は、アーチャーは槍を構えておらず、手には抜いていない刀が一振り。そして彼の横のドアが全開になっている
点のみ。
(あれ? そういや、あのドアって結局…)
299王の裁き(ギル・トール) ◆YhwgnUsKHs :2009/02/06(金) 22:45:13 ID:VMFLDlfD

「どうしても取り戻したいか?この刀」
「ああ。手前に持たせていることだけは、気にくわねえ」
「全く。全ての財は我の物だと言うに……わかっているのか? 貴様がこれまでに我にどれだけ無礼を行っているのかを」

 アーチャーがゾロを見る目がだんだんと厳しい者になっていくのが圭一にもわかった。
 今までのゾロの失礼な言葉にアーチャーは何も言わなかった。てっきり許しているのかと思ったら……それは間違いだ
った。
(怒ってはいたんだ…それを、隠して溜めていただけだったんだ)
 圭一はいつの間にか自分の歯が震えていることに気がついた。それほどまでの、怒りと殺意をアーチャーは発している。
 ゾロもまた、軽く冷や汗を覚えていた。だが、それでも雪走は取り返したい。イッポンマツという店主に、自身の器を
見込まれて譲ってもらった刀であり、今まで共に戦ってきた相棒であるそれを、気に入らない男の手に握らせておくのは
我慢ならなかった。
 たとえ、それで自分の傷が取り返しにつかなくなったとしても――



「先は許したが、それはそれまでの無礼の分についてだ。調子に乗ったその後の無礼は別問題。……情報を聞き出した以
上、もう貴様に用も役目もない。
今までの無礼……断罪しよう。だだし、その罰は……こいつに受けてもらう」



 圭一はやっと理解した。
 なぜ、アーチャーが扉を開けたのか。
 アーチャーは全て想定済みだったのだ。
 ゾロがそれの持ち主だったということは予想外だったのだろうが、3本も持っている事から刀に執着があると予想を踏
んで。



 アーチャーは、雪走を……投げた。
 ドアの向こう、風の吹きすさぶ中へと。平然と。



「あーーーーーーー!!」
「て、てめえ!!」

 切嗣にせっかく譲ってもらった刀を放り出されたとりあえずの所有者圭一は悲鳴をあげ、そして元々の所有者ゾロはあま
りに予想外な事に動揺し、慌てて全開のドアへと駆け寄り、投げ出された雪走を目で追おうとした。


 そしてそれを、王は許しはしなかった。


「へ?」
「っ!?」


「隙だらけだ。たわけ者」
300創る名無しに見る名無し:2009/02/06(金) 22:45:22 ID:E66VOUmm
       
301創る名無しに見る名無し:2009/02/06(金) 22:46:19 ID:E66VOUmm
 
302王の裁き(ギル・トール) ◆YhwgnUsKHs :2009/02/06(金) 22:46:46 ID:VMFLDlfD



「なっ……!」
「ゾ、ゾロさ……!」



 アーチャーがしたことは至極簡単。
 別に槍で刺したわけでも、殴ったわけでもない。
 雪走の行方を目で追おうとしたゾロに生じた、わずかな隙。
 それを見計らって……脚を払った。それだけ。


 それだけで……あっけなくゾロは体勢を崩し……あっけなくドアから落ちていった。


 最後に怒りの声を残して。





「てんめぇええええええええええええええええええええええ!!」





 そして、電車の中には2人が残った。
 あまりに突然で、あまりに理不尽で、あまりに酷い……途中下車の後に。

 *****

「……………………」
「いつまで固まっている召使」
「ごはああ!」

 あまりの出来事にぽかーん、とするしかなかった圭一の腹をアーチャーの蹴りが襲った。
 そのショックで圭一が我に返り、一気にアーチャーに抗議をする。

「あれ俺の刀でしょ!? なんで勝手にデイパックから出して、しかも外に放り出してるんですか! おまけにゾロさんつき落として!! なんで!? 全てにおいてなんで!?」
「やかましい」
「ギャア!!」

 圭一のあらゆる疑問を5文字と蹴りセカンド顔狙いで、文字通り一蹴したアーチャーは、戸口横のボタンを押して電車の
ドアを閉めた。
 そして静寂が戻り、まるで何事もなかったかのように―。
303王の裁き(ギル・トール) ◆YhwgnUsKHs :2009/02/06(金) 22:47:27 ID:VMFLDlfD

「んなわけあるかーーー!!」
「まったく。刀については我の物だと言ったであろうが。放り投げたのは、あの傷だらけで汚い血を撒き散らし我の視界
を汚す雑種無礼剣士をおびき出し、我の目の前から消し去る為だ、以上」
(り、理不尽だ……なんて理不尽なんだこの人!)

 つまるところ、ゾロをここから突き落としたのは、『ゾロから流れる血が気に食わなくて、ついでにゾロも気に食わなかっ
たから』というだけ。
 それだけで、この男は圭一の唯一の武器を放り捨て、ゾロを走る電車から突き落としたのだった。
 それを平然とする男に、圭一は怒りを覚え、そして恐怖も覚えた。
 あまりにこの男は、平然と非道な事を行う。それが許せず、そして恐ろしい。

「安心しろ。奴にはそれなりに有益な情報をもらった。故に、少しは酌量をしている。だから河で落としたのではないか」
「そ、それでもあんな傷で河なんか落ちたら!」

 そう、アーチャーがゾロを落としたのは河の上。
 雪走も、ゾロも河へと落ちていった。圭一はすぐに窓から覗き込んだが、橋の一部が邪魔でゾロが河へ落ちた様子は確
認できなかった。

 そんな圭一の言葉に、アーチャーは……笑った。
 それを見た圭一は、背筋にゾクッとした寒気を感じた。
 今までとは違う。
 それは、とてもとても楽しそうで、そして、とても邪悪なものに圭一には思えた。

「それなら、それまでの男だったということ。
 果たして、禁止エリアも知らん男が次に我に会うまで生きていられるのか。
 会えたとして、その時奴はどうなっているのか、楽しみではないか。
 再会したときは、今度こそ奴と戦ってやろう。もちろん手は抜かん。どれほどまで太刀打ちできるのか……くくっ、期
待はずれでないことを祈ってやるとしよう。ハハハハハハハハ!」


 圭一は改めて目の前のアーチャーから早く離れたい、と願った。
 この男は、あまりに気まぐれすぎる。そして、あまりに人間と自分の距離を取りすぎている。
 人間を戯れの材料にしか見ていない。
 ある意味、人間に殺し合いをさせて楽しむギラーミンと同属なのではないか、とすら思った。

「さて、確かめたいことは確かめた。駅が見えてきたな。降りるか、それとも次の駅まで行くか。
 そういえば、あの剣士から聞いた、佐山という男が気になるな。この状況で既に3人のグループを作っている男、是非
会って見たいものだ」

 窓の外を見て進行方向を見据えたアーチャーを、圭一は何も言わず見ているしかなかった。
 この男には、もう軽々しく何かを言う事はできない。ただ、今は静かに命令に従うしかない。それが生き抜くための最善。

 でなければ、どんな言葉が原因で殺されるか……わからないのだから。
304王の裁き(ギル・トール) ◆YhwgnUsKHs :2009/02/06(金) 22:48:34 ID:VMFLDlfD


 アーチャーを見ている圭一は、まだ気付いていない。
 電車に乗った時にゾロが持っていた地図が、眠りに落ちたとき床に落ちて忘れられたままになっていることを。

 その地図には、2つ不幸な点があった。
 1つは、怪我をしていたゾロがそれを持っていたことで、地図の一部が血で汚れてしまった事。
 そしてもう1つは……かつての同行者、小鳥遊宗太が互いに支給品を確かめ合った時、ある情報を見た時、手近にあっ
たゾロの地図の裏面にその情報をメモしてしまったこと。加え、ゾロもまたある情報をそこにメモしてしまったこと。
 どちらも、誰が悪いわけでも、誰かの過失だというわけでもない。
 ただ、不幸な事象が重なってしまった……それだけ。

 床に落ちて、晒されている地図の裏面。
 そこには、血で一部わからないが、こう書いてあった。



『ポケベルで分かった2時までの死亡者と殺害者
 エルマー・C・アルバトロス 殺害者:バラライ●
 上条当麻 殺害者:園崎●●●●●●●●●●●●
 一方通行 殺害●●●●●●●●●●●●●●●●
 イ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
 ●●●●●●●●●●●クロコダイ●●●●●●●
 ●●●●●●●●害者:バララ●●●●●●●●●
 ジョルノ・●●●●●●●●●●●●●●●●●●

 ×が危険な奴、○が仲間、△が微妙
 ●●カズマ、リーゼントの男
 △:獣耳の●●
 ●●●●●イト・クーガー、橘あすか      』
305創る名無しに見る名無し:2009/02/06(金) 22:48:39 ID:E66VOUmm
  
306創る名無しに見る名無し:2009/02/06(金) 22:49:46 ID:E66VOUmm
  
307王の裁き(ギル・トール) ◆YhwgnUsKHs :2009/02/06(金) 22:49:47 ID:VMFLDlfD


【F-2 線路上・電車内/一日目 朝】

【前原圭一@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:疲労(中)、混乱、頭部にたんこぶ×2、頬に痛み
[装備]:
[道具]:双眼鏡(支給品はすべて確認済)、不死の酒(完全版)(空)、基本支給品×2
[思考・状況]
 基本行動方針:仲間を助けて脱出したい
 1:早くアーチャーから逃れたい。
 2:切嗣についてアーチャーには漏らさないようにする。
 3:切嗣、佐山のグループと早く合流したい(切嗣のことをそれなりに信用してます)
 4:万が一のときに覚悟が必要だ
 5:魔法使い……?
※時系列では本編終了時点です
 アーチャーの真名を知りません。
 クロコの名前、カナヅチという弱点を知りました。


【ギルガメッシュ@Fate/Zero】
[状態]:健康、不死(不完全)
[装備]:黄金の鎧@Fate/Zero、必滅の黄薔薇@Fate/Zero
[道具]:なし(圭一に持たせています)
[思考・状況]
 基本行動方針:主催を滅ぼし、元の世界に帰還する。必要があれば他の参加者も殺す。
 1:境目についての情報を整理する
 2:次の駅で降りるか、それとも乗り越すか。
 3:ゾロ、佐山に興味。ゾロと再会したら戦ってやる。
 4:圭一が自分のクラスを知っていた事に関しては・・・?
 5:宝具は見つけ次第我が物にする。 王の財宝、天地乖離す開闢の星、天の鎖があれば特に優先する。

[備考]
  ※不死の酒を残らず飲み干しましたが、完全な不死は得られませんでした。
   具体的には、再生能力等が全て1/3程度。また、首か心臓部に致命傷を受ければ死にます。
  ※境目については、ずっと外を見ていたため柵などは見ていません。詳しく得た情報は不明です。
  ※悪魔の実能力者がカナヅチという弱点を知っています。

  ※電車内の床に、ゾロの地図が落ちています。
   地図の裏には、2時までの死亡者、殺害者のメモ、ゾロが劉鳳の名簿から得た情報が記されていますが、一部がゾロの血で汚れて見えません。
308創る名無しに見る名無し:2009/02/06(金) 22:50:01 ID:E66VOUmm
  
309王の裁き(ギル・トール) ◆YhwgnUsKHs :2009/02/06(金) 22:50:31 ID:VMFLDlfD


 *****

「はぁ……はぁ……あの金ぴか鎧! 空島のエネルよかタチわりぃぞあいつ! 次会ったら、ただじゃすまさねえ!」

 とっくに電車が通り過ぎた陸橋、その近くの河原でゾロは膝を突いて息を荒くしていた。

 アーチャーに突き落とされ、河へと落ちたゾロ。
 泳ぐ事はできる。だが、いくらなんでも身体中の傷が酷い。こんな状態で河になど落ちたらどうなるかは目に見えている。
 なんとか『三刀流 百八煩悩鳳』を河に向かって放つ事で、反動によりギリギリ河原へ着地。河への落下は防げたもの
の、再び河を見たときには雪走は見当たらなかった。
 河に沈んだのか、流されていってしまったのか。


「沈んだとしたら……まずは、怪我をなおさねえと、話にならねえか。
 ウソップの仇を討つにも、やっぱこの傷じゃあきついな」


 チョッパーがいればいいのだが、そう都合よく会えるとは思えない。
 となれば、治療できる場所に行くしかない。診療所、病院……。

「地図がねえ……あそこに落としてきちまったか……」

 やっと地図が無い事に気付いたゾロ。
 だが、彼は気にしなかった。病院の位置くらい、駅に向かう前に既に頭に入れてある。
 これでも色々な冒険を潜り抜けてきたのだ。それくらいの備えは万全…。

「病院はたしか真ん中あたりの、右よりにあったな……。
 つまり、真正面の……少し、右。こっちだな」


 万……全……の、はず。
310創る名無しに見る名無し:2009/02/06(金) 22:50:37 ID:E66VOUmm
   
311創る名無しに見る名無し:2009/02/06(金) 22:51:09 ID:E66VOUmm
  
312創る名無しに見る名無し:2009/02/06(金) 22:51:39 ID:E66VOUmm
 
313王の裁き(ギル・トール) ◆YhwgnUsKHs :2009/02/06(金) 22:51:44 ID:VMFLDlfD


【F-1/北東・線路近くの河原(南岸)/1日目 朝】
【ロロノア・ゾロ@ワンピース】
[状態]疲労(大)、全身にダメージ(大)、左腿に銃創
[装備]トウカの剣@うたわれるもの、八千代の刀@WORKING!!、秋水@ワンピース
[道具]支給品一式(地図なし)、麦わら海賊団の手配書リスト@ワンピース、迷宮探索ボール@ドラえもん
[思考・状況]
 1:傷を治す為病院に向かう。
 2:ウソップの仇打ち
 3:ゲームにはのらないが、襲ってきたら斬る(強い剣士がいるなら戦ってみたい)
 4:ルフィ、チョッパー、雪走を探す
 5:クーガー、橘あすかにも合ってみたい。リーゼントの男にも興味
 6:金ぴか鎧(アーチャー)は次に会ったらただではすまさない。

 ※参戦時期は少なくともスリラーバーグ編(46巻)より前です。
 ※吉良吉影のことを海賊だと思っています
 ※黎明途中までの死亡者と殺害者をポケベルから知りました。
 ※入れ墨の男(ラズロ)が死亡したと考えています
 ※圭一に関しては信用、アーチャーに関しては嫌悪しています。
 ※病院に向かっていますが、方向は適当もいいところなので、本当に病院へ向かっているのかは後続の書き手に任せます。

 ※雪走@ONE PIECEがF-1、F-2境目あたりで河に落下しました。
  その場で沈んだか、あるいは流されてしまったかどうかは後続の書き手に任せます。
314王の裁き(ギル・トール) ◆YhwgnUsKHs :2009/02/06(金) 22:52:55 ID:VMFLDlfD
投下終了です。
多数の支援ありがとうございました。
タイトル元ネタはONEPIECEに登場する神エネルの技『神の裁き(エル・トール)』より。
矛盾点、感想、ご意見など是非お願いします。
315創る名無しに見る名無し:2009/02/06(金) 22:57:05 ID:E66VOUmm
投下乙!
金ぴかぱねぇw
圭一とゾロ振り回されっぱなしだなw
なんとか口先の魔術師としての力量を発揮して圭一にはパシリの座から脱却して欲しいけど
この調子じゃ当分無理そうだなw

なんかやばげなフラグとしてほとんど読めない殺害者名メモが渡ったか
これだけじゃほとんどわからないけど、とりあえず圭一がみたら園崎に反応することは間違いないな
あとバラライカが複数人殺しているっていうのもわかるだろう
はてさてこれでどう事態が動いていくのか楽しみだ
316創る名無しに見る名無し:2009/02/06(金) 23:05:22 ID:wATVuLbV
投下乙!
冒頭の圭一の現実逃避メモに吹いたwww
ギルとゾロの対話が緊張感があってかっこいい……圭一が微妙に蚊帳の外なのも上手いw
というかギル酷いw電車から投げ捨てるなんてやることがwww
そして今後何かに利用できそうなメモがどういう火種を生むかが楽しみだ。
317創る名無しに見る名無し:2009/02/06(金) 23:07:42 ID:lmgtYMOx
ここに来てゾロの方向オンチ設定がwwww
誰かに案内して貰わない限り、病院に着くのは無理だな
318創る名無しに見る名無し:2009/02/06(金) 23:15:45 ID:yqN1S9te
投下乙
病院に着く可能性が限りなく0に近い気がw
319創る名無しに見る名無し:2009/02/06(金) 23:17:27 ID:wB46iu84
投下乙です。
我様フリーダムにも程があるだろw
もうゾロと圭一がドンマイとしか言いようがないw
320王の裁き(ギル・トール) ◆YhwgnUsKHs :2009/02/06(金) 23:19:41 ID:VMFLDlfD
ぐはっ!ゾロの状態表に大事な文を追加するのを忘れてました。
お手数ですがwiki収録の際、ゾロの状態表の末尾に追加願いたい。

※第1回放送を全く聞いていないので、ウソップ以外の黎明及び早朝の死亡者、
 禁止エリアを知りません。
321創る名無しに見る名無し:2009/02/06(金) 23:22:25 ID:wB46iu84
あ、あと、一番最初の回想でブルックが出てきますが、ゾロの参戦は46巻より前なので、ブルックが出て来るのは少しおかしい気がします
322王の裁き(ギル・トール) ◆YhwgnUsKHs :2009/02/06(金) 23:23:52 ID:VMFLDlfD
ぐはあっ!(第2撃)そ、そうでした。
ううむ。では冒頭部分をwiki収録後に修正し、修正後ここで報告させていただきます。
323創る名無しに見る名無し:2009/02/06(金) 23:33:26 ID:CPOJsFz8
圭一はギルに殴られて死ぬなw
324創る名無しに見る名無し:2009/02/06(金) 23:37:25 ID:NhK5tn+v
投下乙です!

ギルガメッシュひでぇええええええ!
情報は聞くだけ聞いといて(しかも情報収集も圭一にやらせといて)後はポイしやがった!
なんて理不尽かつ唯我独尊!だがそれでこそギルガメッシュだw
この、この、ギルガメッシュめ!ww
そして圭一、他の人は殺し合いしてるんだ、そんな緊迫感のないメモじゃ誰も助けてくれないw
ゾロは流石の生命力、死ななくて良かったな
それにしても小鳥遊は駄目ってwいや、小鳥遊にだってとりえが…とりえが…えーと、うん、あー…。
あ!ツッコミが上手いとか!駄目だ、殺し合いに向かないw
テンポが良くて楽しい話、GJでした!

あ、それと誤字がありました
>>289三段落目
そのことを効いてこなかった→そのことを聞いてこなかった
325創る名無しに見る名無し:2009/02/07(土) 10:34:46 ID:HXnb+UVh
そういえば、ゾロの正確な参戦時期っていつだっけ?
前の話でロビン奪取後〜スリラーバーグの間って感覚がしてたけど、
その時は雪走、破壊されてたような…
326王の裁き(ギル・トール) ◆YhwgnUsKHs :2009/02/07(土) 10:55:58 ID:6JV5zzhl
>>324 >>325
ギャーム、ワギャー!(第3、第4連撃)
誤字はまあ細かな修正で済むからいいとして……。
確かに、前話で『ロビンを奪取した』とありましたね。
うーん。ロビンの救出確定後で、雪走が無事だったタイミングからの参戦、ってのも期間が短くてちょっと強引な気がしますね…。
できるなら、エニエス地下で水に巻き込まれたところで、とかが考えられます。

修正、となると…『雪走は確かに無くなった筈。けれどあれも本物に見える。確かめたいからギルに受け渡し要求』
って方向にしたいですが……どうしましょうか。
参戦時期の確定か、行動描写の修正か。
327創る名無しに見る名無し:2009/02/07(土) 10:58:14 ID:cy8pCw6S
多分、壊れたけど
この世界では直ってたってことでいいんじゃない?
328王の裁き(ギル・トール) ◆YhwgnUsKHs :2009/02/07(土) 11:05:04 ID:6JV5zzhl
ああ、失礼。何がおかしいのかを言い忘れてました。
雪走自体はまあ、修復なり別の世界からなんなりで特に問題はないと思うんです。
問題は、ゾロが雪走をギルに要求するところでして。
既に壊れている、という認識があるのに『これから使う』と言って、
雪走を要求するのは矛盾してしまうのです。
ですから、雪走がまだ健在な時期のゾロに確定させるか、要求理由の部分を訂正するか、で対応しようということなのです。
329創る名無しに見る名無し:2009/02/07(土) 12:12:27 ID:ehvdPhXU
確かに刀としては死んでいるけどゾロにとって大切な物というのは変わりないんだし、『これから使う』じゃなくて『所有物を取り返す』って感じにすれば矛盾はなくなるのでは?
330創る名無しに見る名無し:2009/02/07(土) 15:29:45 ID:3AQTgC21
別にそんな細かいとこ気にしなくてもいいんじゃないの?
それが原因で何か大きな問題が起きるとも思えないし
331創る名無しに見る名無し:2009/02/07(土) 17:00:14 ID:ehvdPhXU
いや、これは結構な矛盾だし修正した方が良いと思う。
それに考察ネタとしても利用できそうだしね
332 ◆YhwgnUsKHs :2009/02/07(土) 18:01:14 ID:6JV5zzhl
少し反応が過剰だったかもしれませんが、とりあえず雪走関連の大きな修正部分は、
後にしたらばの修正スレに修正稿を投下させていただきたいと思います。
お騒がせいたしました。
333 ◆EHGCl/.tFA :2009/02/07(土) 19:37:11 ID:YZv8QohF
えー非常に申し訳ないのですが、今日一日、リアルの事情でパソコンに触れることが出来ず、作品の投下が不可能になりました。
そこで誠に不躾ながらもう一日だけ延長をお願いできないでしょうか? もちろん反対があったら直ぐに破棄しますんで……
334創る名無しに見る名無し:2009/02/07(土) 19:44:49 ID:b2O2xSyH
明日投下でも別に構わんですよ〜
ゆっくりしていってね!
335 ◆EHGCl/.tFA :2009/02/07(土) 20:16:14 ID:YZv8QohF
すみません、お言葉に甘えさせてもらいます。
明日の午後七時くらいには投下できると思うんで、もう少しだけお時間をいただきます
336創る名無しに見る名無し:2009/02/07(土) 20:30:47 ID:ehvdPhXU
wktkしながら待ってます〜
337創る名無しに見る名無し:2009/02/07(土) 21:33:28 ID:AjtqYH7X
投下してくれれば何でもオーケーですよ
338 ◆UcWYlNNFZY :2009/02/07(土) 23:45:22 ID:WbOBqrFL
只今誠意作成中です。
今晩中には投下できるのでそれまでお待ちになってもらっても構わないでしょうか?
339創る名無しに見る名無し:2009/02/07(土) 23:47:52 ID:cy8pCw6S
投票を全裸で待ってます
340創る名無しに見る名無し:2009/02/07(土) 23:49:09 ID:uMsP5LUF
はいはーい
ゆっくり待ってまーす
341 ◆UcWYlNNFZY :2009/02/08(日) 01:39:52 ID:zEHaIZr+
大変お待たせしました。
これから投下始めます。
342 ◆UcWYlNNFZY :2009/02/08(日) 01:40:45 ID:zEHaIZr+
呼ばれた名前。

君の名前。

大切な人。

護りたかった人。

どんな時でも傍にいてくれた人。

常に微笑をくれた人。


優しい。
優しい人。


信じられなかった。
信じたくもなかった。

私は……

私は彼女を護れなかったのか……

傍にいてくれるといった少女を……



まも……れなかったのか。


大切な部下も二人を失って。


何が……

何が……

皇だ……


護れなかったじゃないか……


彼女を。
彼女を。

あぁ……


もう……いないのか。


いないんだな……




―――エルルゥ。
343皇と人と ◆UcWYlNNFZY :2009/02/08(日) 01:41:48 ID:zEHaIZr+




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇






「よかった……皆無事だ……よかったよ」

ふぅと私は長い息をする。
皆、無事だった。
私――園崎魅音――を含め6名、皆生き延びた。

よかった……
本当によかったよ……

張っていた肩の力が抜けた。
私がハクオロさんの下に戻ろうとした時に流れ始めた放送。
流れてきた放送に私は唯仲間の無事を祈り続けていた。
この殺し合いでは誰が死ぬか分からないから。

皆……頑張ったんだね。
よかった……嬉しいよ。

うん、嬉しい……


「……いや、喜んじゃ駄目だっ! 園崎魅音!」

ブンブンと頭を振る。
何を私は馬鹿なことを……
仲間が生き残った?

……他に15人死んでるじゃないか。
15の命が犠牲に。

私は生かされてるんだよ。
トウカさんを含める15人を引き換えにして。

だから、手放しに喜んじゃいけない。
喜んじゃいけないんだ。
私は……私達は。

「その人達の分まで……希望を捨てずに生きるっ!」

その人達分まで生きなければならない。
きっと。
それが残された者の義務。
そう、思うから。

「さあ、私も頑張らないといけないね!」

パチンと頬を両手で叩き気合を入れる。
頑張って生き抜くために。
344創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 01:42:17 ID:KC58+W0b
345皇と人と ◆UcWYlNNFZY :2009/02/08(日) 01:42:55 ID:zEHaIZr+
そう思ってハクオロさんが居る家の扉をそっと開ける。

だけどそこには……

「……え?」


酷く酷く哀しそうな彼の背中が。


……あぁ。


トウカさん以外にも亡くなったんだ。

仲間が。


そしてあれは……まさか?

あれは……泣いて……いる?




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇






聖上……そう自分を呼ぶ声が聞こえてくるようだ。

ベナウィ。

お前までいったのか。
武士として誰よりも誇りを持ったお前が。

どうだ?

誇りを貫き通したか?
もしくは……忠義を貫き通したか?

きっとそうに違いない。
お前は愚直すぎるからな。
……きっとここでもそうだったのだろう?

できる事ならここでお前がやった事を酒を飲みながら聞いてみたかった。
だがそれも叶わないのだ。

哀しいのだろうか。
悔しいのだろうか。

だが一つ思う事は……

もう……お前みたいな忠臣……二度と持つことは無い。

今までの中でも。
これから先でも。
346創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 01:43:24 ID:KC58+W0b
347皇と人と ◆UcWYlNNFZY :2009/02/08(日) 01:43:40 ID:zEHaIZr+

もう、二度と。


……ベナウィ。


有難う。




有難う。


……それだけだった。


それしか思いつかなかった。





――ハクオロさん。


そんな声が聞こえる。

エルルゥの声が。

優しい声が。


どうして。
どうして。


エルルゥ……お前が逝った。


護れなかった。


私のせい……だ。



エルルゥ……済まない。

ずっと傍にいてくれて。
ずっと支えてくれて。

感謝してもそれをもう返さない。

あの日常の中で。
幸せを感じていたのはエルルゥのお陰だというのに。
348創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 01:44:04 ID:KC58+W0b
349皇と人と ◆UcWYlNNFZY :2009/02/08(日) 01:44:22 ID:zEHaIZr+
大切な人だというのに。


私は……

「私は……何もしてやれなかったっ! 何も出来なかった!」


何も出来ない。

大切な人を守りきることすらできないのだ。
大切な家族すら護りきれないのだ。
大切な家臣すらもだ。


私は……

何が……


「何が皇だ……護りたいもの……護れてはいないではないか」


ガッと鈍い音が響く。
膝を屈してしまった。


余りにも失うものが多すぎて。

エルルゥ。
トウカ。
ベナウィ。

大切だったもの。

それが余りにも大きすぎて。


それを

護れなかった。


「……すまない……すまない」


謝ることしかできなかった。
余りにも非力だった。


私は何なのであろう。


大切なものすら護れず。

350創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 01:44:47 ID:KC58+W0b
351皇と人と ◆UcWYlNNFZY :2009/02/08(日) 01:45:03 ID:zEHaIZr+
すまない……

すま……



――自分を責めないでください。ハクオロさん。



エル……ルゥ?

どうして?


――私は充分ですから。


何故だ?


――ハクオロさんが生きているから。それだけで充分です。


私が生きている……?

それだけ……で?


――はい、その通りです。私はそれで幸せですから。


そして、満面の笑顔が見えた気がして。


――頑張ってくださいね! ハクオロさん



そんな声が聞こえて。


あぁ……


私はこの子と共に過ごせて。

ずっと傍にいてもらえて。

好きで居てもらえて。


352皇と人と ◆UcWYlNNFZY :2009/02/08(日) 01:45:37 ID:zEHaIZr+
私は


私は



――幸せだった。




あぁ……


すまない……皆。


今。

今、この時だけは



皇ではなく……ハクオロという人に、個人に。


戻らせてくれ



「……あぁ……あああああああああああ!!!!」



雫が零れる。


涙が溢れた。




共にずっと居てくれた家族の為に。
ずっと支えて家臣の為に。

そして


キミガタメ。






泣いた。


353創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 01:46:02 ID:KC58+W0b
354創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 01:46:03 ID:KFq0RKXF
支援!
355創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 01:46:35 ID:91d2UR1P
356皇と人と ◆UcWYlNNFZY :2009/02/08(日) 01:46:44 ID:zEHaIZr+
そしてみんなの為に。





――ありがとう。





◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇






「ハクオロさん……」

私は開きかけた扉を閉じた。
今はそっとしてあげたい。

……そうだよね。
ハクオロさんだって「人」だ。
「皇」でもあるけどなにより「人」なんだ。

哀しい時は誰だって哀しいんだ。
その時、泣ける事、哀しむ事……それはきっと必要なんだ。
一人で想う事。
それがきっと必要なんだと……そう想う。

皆を引っ張っていく人間の。
感情を余り表に出せないリーダーの、皇の。

必要な事……そう想う。

私は……

私も。
そうしなきゃならないのかな。

そうだね。

私も……
私も……

哀しい時、目一杯哀しもう。
泣きたい時、目一杯泣こう。

そして、また頑張ろう。

そうすれば……きっと進めると思うから……ね。

哀しみの先にはきっと幸せが絶対にある。
何だか何故だか知らないけど。

……そう思ったから。
……そう思えたから。
357創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 01:47:17 ID:fW7jN7Y8
358皇と人と ◆UcWYlNNFZY :2009/02/08(日) 01:47:22 ID:zEHaIZr+




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




「魅音……準備はいいか、トウカは今はここで休ませよう……そして全てが終わった後に埋葬しよう」
「わかったよ」

ハクオロさんの意見に私は同意し、出発の準備を固めた。
あの後、ハクオロさんは何事も無かったことに現れ出発するといった。
哀しんだことも告げずに淡々と。
もう、休んでいる猶予は無いと告げトウカさんのしっかりした埋葬は後にすると。
トウカさんは今はベットで静かに眠っている。
ハクオロさんのその声はしっかりして微塵の哀しみも感じられず強い意志のみ。
私はそれに同意し今に至る。

「……ハクオロさん」
「……何だ?」
「……御免、やっぱ何でもないよ」
「?……そうか」

うーん……なんだろ?
何か何時ものハクオロさんと違う気が一瞬だけして。
わかんないや。
まぁいいか。

でも、私はハクオロさんのように強くいられるのかな。
どうなんだろう。
解らない。
でも、私はそうでありたい。

強く。
強く。

希望を捨てないでいたい。

ねぇ……ハクオロさん。

きっとそうなんだよね?





―――だけど、それはハクオロが皇であった場合の事―――
359創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 01:48:00 ID:KC58+W0b
360創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 01:48:27 ID:nWJo5wnw
 
361創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 01:48:43 ID:KC58+W0b
362創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 01:48:59 ID:nWJo5wnw
   
363皇と人と ◆UcWYlNNFZY :2009/02/08(日) 01:49:11 ID:zEHaIZr+



アルルゥ。
今何処にいる?
お前は助けなければ。

エルルゥの為にも。
大切な家族なのだから。

今はまだ私は皇だ。

ここで挫けるわけにはいかない。
負けるわけにはいかないのだ。


だが……もしも。


アルルゥを失い家族を全てを失った時。


私は「皇」としていられるのだろうか?

失って思う。

私がどれだけあの優しい空間を大切にしていたかを。

できるのなら……取り戻したい。

失ったからこそ。
もう一度欲しいと思ってしまう。

愚かだと思う。

優勝の権利に頼り家族を取り戻すなど。
エルルゥ達が喜ぶ訳が無い。

だが……

それでも。

『人』『ハクオロ個人』として。


どうしても……どうしても。

あの空間を取り戻したいのだ。

愚かだろうか。
笑うだろうか。

それでも……。

もう一度。

もう一度だけ


―――あの笑顔が見たい。
364創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 01:49:18 ID:8ZdlBrZP
 
365創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 01:49:25 ID:KC58+W0b
366皇と人と ◆UcWYlNNFZY :2009/02/08(日) 01:49:45 ID:zEHaIZr+




――もし、すべてを失ったら……ハクオロは『皇』をやめるのだろうか?……それはまだ誰も解らない事。そう、解らない事――



【B-5 平屋前/一日目 朝】



【ハクオロ@うたわれるもの】
【装備】:ガイルの剣@ポケットモンスターSPECIAL スモーカー大佐の十手@ONE PIECE
【所持品】:大型レンチ@BACCANO!、ミュウツー細胞の注射器@ポケットモンスターSPECIAL、基本支給品一式、クチバの伝説の進化の石(炎、雷、氷)@ポケットモンスターSPECIAL
【状態】:健康 体に僅かに痛み 哀しみ
【思考・行動】
 1:ギラーミンを倒す
 2:仲間(魅音の仲間含む)を探し、殺し合いを止める。全てを護り抜く。
 3:ミュウツーに対して怒りの念。
 4:アルルゥを失ったら……失った家族を取り戻す為に……?


【園崎魅音@ひぐらしのなく頃に】
【装備】:空気ピストル@ドラえもん メリルのハイスタンダード・デリンジャー(2/2)@トライガン・マキシマム
【所持品】:排撃貝@ONE PIECE、デリンジャーの残弾20、基本支給品一式
【状態】:健康 体にやや痛み 悲しみ
【思考・行動】
 0:ハクオロさん?
 1:仲間(ハクオロの仲間含む)を探し、殺し合いを止める
 2:詩音と沙都子にはやや不安。
 3:トウカを弔う
 4:線路を辿って駅に向かう?
 5:ミュウツーに対して恐怖。
 6:死者に対しては誠意を以って対応する
※本編終了後の参戦です。雛見沢症候群の事を知っています。



367創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 01:50:07 ID:8ZdlBrZP
     
368創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 01:50:16 ID:fW7jN7Y8
369皇と人と ◆UcWYlNNFZY :2009/02/08(日) 01:50:29 ID:zEHaIZr+
投下終了しました。
支援有難うございました。

この度は大変遅れてしまい真に申し訳ありませんでした。
370創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 01:50:39 ID:XoNkETVy
キター!
371創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 01:50:41 ID:8ZdlBrZP
   
372創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 01:50:48 ID:nWJo5wnw
  
373創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 01:53:56 ID:XoNkETVy
支援遅かった;
374創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 01:55:22 ID:nWJo5wnw
ハクオロさん本格的に精神がヤバくなってきたな
魅音は対照的に強く生きようとしてるが……
決別フラグのように思えてならないw
375創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 01:58:23 ID:XoNkETVy
投下乙!
ハクオロ…ちょっと危ういな
このコンビはいったいどうなってしまうのだろう
それにしても心理描写濃いなーすげー
376創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 02:05:00 ID:KC58+W0b
投下乙です!
失った者がいる人と、そうでない人。皇と人。対比がとてもよかったです
かたや下降気味、かたや上昇傾向……この先、ここに断裂が生まれないか心配になりますねw
GJでした
377創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 02:14:19 ID:JSJPv46l
投下乙!
ハクオロさんはショックだろうなぁ……彼の心理描写が凄い表現されてていいなぁ。
片や知り合いが全員無事な魅音との対比がいい感じー。
アルルゥやカルラまでも死んでしまったらどうなるか……思わずその先がどうなるか気になってしまう。
378創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 02:15:51 ID:XoNkETVy
今ちょっと予約スレみてきたけど新しい予約もきてるねー
379創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 10:53:05 ID:KFq0RKXF
投下乙!
本当とことん両極だなあ長コンビ。
ひぐらし勢の無傷っぷりがこうも影響するとは。
トウカは民家に置き去りか、誰か寝てると勘違いしそうだ。
ハクオロは果たしてどうなるやら……。
ともあれGJ!


と、新予約入ってたのか!
組み合わせはあの2人…因縁決着か?
380 ◆TEF4Xfcvis :2009/02/08(日) 15:11:41 ID:ien19ijn
遅れてすみません。
したらば管理人の方に伺いたいのですが
どの単語をNGワードにしているか教えていただけないでしょうか?
仮投下しようとしても弾かれるので教えてください
381創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 17:21:12 ID:KcCyH1WM
管理人カモーン!
382創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 17:59:48 ID:paOYVZjm
とりあえず本スレに投下するとか?
できないなら
383 ◆eAVyrqdhlI :2009/02/08(日) 18:30:20 ID:bQh7Lz3k
どうも、管理人です

実はこの掲示板で独自にNGワード認定している単語はありません。
普通の掲示板みたいに「殺す」などをNGワードにしたらロワの意味がないのでw

調べてみたところNGワードエラーは二種類あり、
ウイルスに含まれる文字列や短縮URL 等は全体NGワードとして登録されており
こちらでは変えることが出来ません。

もうひとつはSPAMフィルタによるNGワードです。
これは『ある条件を満たした書き込みにおいてのSPAM疑いがある場合、
"NGワード指定されていない文字列"であっても「NGワードエラー」を返します。』
とのことなので、
今回一時的にSPAMフィルタを解除してみます。
それでも弾かれるとなると全体NGワードなので当方お手上げです

まあフィルタの可能性が高いので
まずはもう一度投下してみてくださいませんでしょうか?
よろしくお願いします。
384どす黒い穴のその向こう側へ ◆EHGCl/.tFA :2009/02/08(日) 18:34:01 ID:g6AUkF0T
少し早いですが竜宮レナ、チョッパー、グラハム、イスカンダル、レッド、無常を投下します
385創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 18:34:20 ID:JSJPv46l
>>383
おお、お疲れさまですー!
386創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 18:35:08 ID:JSJPv46l
と、リロ忘れw
しえんー。
387創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 18:35:39 ID:KFq0RKXF
おお、管理人さん乙です!
って、いってる間に支援!
388創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 18:36:19 ID:bQh7Lz3k
よっしゃあ!支援
日の光に照らされた山道を五人組の奇妙な集団が歩いていた。
小振りのレンチをジャグリングのようにパシパシと宙に投げ、玩ぶ青一色の繋ぎを着た青年。
その直ぐ隣をトコトコと歩く狸のような外見をした珍獣。
ファッションに用いるには少し大きすぎ、装飾として用いるには小さすぎる十字架を両手に握り、珍獣と青年の後ろを歩く少女。
少女と同様の十字架を両手に持ち、周囲を警戒しつつ少女の隣を歩く少年。
何も装備せずまさに威風堂々と言った様子で四人の後方を、見守るように歩く男。
街を歩いていれば自然と人々が避けて通りそうな特異な集団だが、幸運なことに今現在彼等の周辺は無人。
……まぁ、彼等の目的からすれば幸運ではないのだが、平穏が続いているという意味では幸運であろう。

「―――という訳で俺は弟分の恋人を救う為、悪の本社に乗り込み、白服集団をブチのめし見事生還を果たした訳だ。……奴らは強大な敵だったが、俺は一歩も引かなかった!
迫る弾丸を避け、あっという間に傷を治す化け物どもを壊して壊して壊しまくった……。ああ、楽しい。あれは最高に楽しい日だった!」
「すげぇ〜〜〜! カッコ良いな、お前!!」
「だろう、だろう? あれは俺の中でもベスト3に入る戦いだったな。…………いや、ちょっと待て。俺は本当に一歩も引かなかったのか? 無意識に、いや普通に何度か後退をしていた気がするぞ……。
……いやいやいやちょっと待て、俺はまさか命の恩人を相手
に嘘を付いていたのか? こんな異常事態にも関わらず俺を救ってくれた恩人に? こんな純粋な『うわ、グラハムさんすげぇ!!』とか言ってるような瞳を宿した恩人に?
あああ、俺は何をしているんだ! 謝れ、早く命の恩人Bに許しを請うんだグラハム・スペクター……。という訳で本当に済まない。命の恩人に嘘を付くなんて俺は、俺は……」
「え? ええ!? いや別に俺は怒ってないぞ!?」
「悲しい……悲しい話をしよう……命の恩人Bは怒っていないというのに俺は謝ってしまった……許しを求めてしまった! 何という傲慢な行動、エゴの塊だ!
悲しい……本当に悲しい話だ……すまない、命の恩人B。……ああ、また謝ってる! クソ、学べよ、学べよ俺!!」
「ハッハッハ、お前は本当に面白い小僧だな」
「黙れ、爺さん。俺は一遍たりともお前には話し掛けちゃいねぇぞ」
「お、落ち着いて、グラハムさん!」
「そ、そうだよ、こんな所でケンカしちゃ駄目なんだよ!」

グラハムの長々しく感情のブレが激しい話に、子供のように喜ぶチョッパー。
その光景に愉快そうに笑うイスカンダル。
それを見てチンピラのように突っかかるグラハム。
そんなグラハムを諫めるレッドとレナ。
五人が出会った民家を出発してから何度となく行われている奇妙な循環。
端から見れば危なっかしくて仕方がないが、殴り合いにまで発展する事は一度も無いので、平穏と言えない事もないだろう。
むしろ循環を一周する度に連携が強まっているように見えなくもない。

「あぁ、次は命の恩人Aと心優しき少年にまで迷惑を掛けてしまった……俺は、俺はどうすれば良いんだ……悲しい、兎にも角にも悲しい話だ……」
「いや、そんな深く考えなくても……」
「と、取り敢えず静かにしてもらえると嬉しいかな、かな!」

――こうして幾度かの衝突や騒動を起こしつつも『○』の元に集った五人はゆっくりと、だが着実に前へと進んでいく。
しかし数分後、彼等の足を止める出来事が発生する事となる。
無情に、唐突に、心の準備すら出来ていない内に。
この出来事の後、彼等はどんな道を選択するのか。
――悲しみと絶望を生み出す馬鹿騒ぎの第二幕があがる。







『君達がそれまで生き残っていれば―――の話だが』

何処までも尊大な一言を残しプツンと途切れる放送。放送に対する五人の反応は五者五様に分かれていた。
390創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 18:37:44 ID:bQh7Lz3k
 
391創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 18:38:47 ID:KFq0RKXF
支援!
392どす黒い穴のその向こう側へ ◆EHGCl/.tFA :2009/02/08(日) 18:39:21 ID:g6AUkF0T
仲間の名が呼ばれない事に安堵し、だが余りに多い死者の数にショックを受けるレナ。
再確認する事となった仲間の死と自身を立ち直らせてくれた恩人の死に驚愕を隠せないレッド。
嬉しいような悲しいような表情を交互に浮かべながらレンチを玩ぶグラハム。
呼ばれた死者の名よりも禁止エリアに興味を持ち、また主催への対抗心を再燃させるイスカンダル。
そして――

「ウォォオオオオオオオオオオオオオオオ!!」

――仲間の死という非情な現実を受け入れ切れず、悲しみに満ちた慟哭を吐き続けるチョッパー。
少なくとも正の感情を宿した者は一人たりとも居ない。
先程までの和やかな雰囲気をぶち壊し、悲しみだけを残して放送は終了した。
悲しみの雄叫びを上げるチョッパーを、レナは心配そうに、レッドは自分の境遇と重ねて、グラハムとイスカンダルは無表情に見詰める。
先程までの無邪気な笑顔は何処にも無く、チョッパーは涙で毛むくじゃらの顔を染め続ける。
聞くものさえも悲しみに引きずり込む咆哮に、仲間の誰もが声を掛ける事も近付く事も出来ないでいた。

「ウソップ……ウソップゥゥゥウウウウウ!!」

その凍り付いた時間を最初に打ち破った者はチョッパー自身であった。
仲間の名を叫んだと思いきや、突然姿を人型へと変化させ、走り出す。
まるで亡きウソップの姿を追い求めるかのように、非情な現実から逃げ出すかのように―――。
レナもグラハムもレッドも、眼前で行われた突然の変身劇に驚愕していて、チョッパーの遁走に反応することができない。

「止まれ」

―――だが、狸がゴリラに変わるという異常事態の中、何事もなかったかのように行動する男が一人だけ居た。
その名は征服王・イスカンダル。何万もの仲間を御した過去を持つ太古の王は、誰よりも早く仲間の暴走を見破り、それを阻止する為に動いていた。
僅かな動揺も見せる事なく、丸太の如く両腕を広げ、チョッパーの前に立ち塞がるイスカンダル。
人型と化したチョッパーすらも越える規格外の身長、チョッパーが見てきた人間の中で誰よりも隆々とした筋肉、有無を言わさぬ命令形の言葉。
イスカンダルから放たれる余りの威圧感に、恐慌状態に陥り欠けていたチョッパーの心に一陣の臆病風が吹き抜け、足を止めさせる。

「ど……どけよ! 仲間が、ウソップが……!」

だが、それでもチョッパーは先に進もうとしていた。
征服王の威圧に言葉と身体を震わせ、しかし目は少しも逸らさずにイスカンダルを睨み返す。
対するイスカンダルは、焦燥に支配されたチョッパーの瞳を冷徹に見詰め、僅かな笑みと共に口を開く。

「そのウソップとやらの元に行きどうするのだ? そいつはもう死体と化したのだぞ?」

明確な断定。
チョッパーが必死に否定していた事実を、イスカンダルは冷酷なまでにアッサリと突き付ける。
チョッパーの表情から怯えの色が消える。

「違う! ウソップが死ぬ訳ねぇ! ウソップは偉大なる海の戦士だ! こんな訳の分かんねぇゲームで死ぬ訳ねぇんだ!!」

次の瞬間、チョッパーを包み込んだものは激昂。
希望を正面から否定され、仲間の死を決め付けられた事にチョッパーは感情を抑える事ができない。
根拠の欠片もない言葉を、駄々っ子のように喚き散らす。

「……確かに放送が事実と異なっているという可能性もゼロではないだろう。だがそんな直ぐにバレる嘘だを吐いてもギラーミンには何の利点もない。普通に考えれば嘘ではないと分かることではないか? 聡明なお前なら特に、だ」

393創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 18:39:25 ID:bQh7Lz3k
グラハム躁鬱激しすぎるw
394創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 18:40:09 ID:JSJPv46l
 
395どす黒い穴のその向こう側へ ◆EHGCl/.tFA :2009/02/08(日) 18:40:46 ID:g6AUkF0T
返ってくるのは何処までも冷静な言葉。
その冷静さはチョッパーをも巻き込み、怒りに沸騰するチョッパーの脳内を急激に冷ましていく。

「分かるか医術師。お前の言うウソップとやらは死んだのだ。認めろ、認めなくては何も始まらん」

同情や憤怒などを微塵も感じさせず、ただ事実だけを淡々と述べるイスカンダル。
レナ達はその光景を無言で眺める事しか出来ないでいた。
レナは悲しげに、レッドは悔しげに、グラハムは無表情に、二人を囲み見詰める。
四人の仲間の視線を受ける中、チョッパーは力尽きたかのように膝を付き、地面を叩いた。

「違う! ウソップが……ウソップが……死ぬ訳……! ウソップ……ウソップゥゥゥウウウウウウウウウウウ……」

あの時――自分の恩師が爆散した時と同様の、行き場のない怒りと悲しみがチョッパーを包み込む。
あの時は仇の正体が分かっていたし、「人間を恨むな」との恩師の言葉があった。
でも今回は違う。
何処で、誰が、どのように殺したのか全く分からない。
誰に怒りをぶつければ良いのか、誰に悲しみをぶつければ良いのか――それすらも分からない。
―――朝焼けが差し込む森林に虚しい咆哮が響き渡った。







それから数分後の森の中、『○』同盟の面々は地面に置かれた二枚の紙を中心にして、円を描くように座っていた。
放送で手に入れた情報を踏まえ、これからの行動方針を考え直す事に決めたのだ。
因みに発案者は竜宮レナ。
イスカンダルや他の面々も反論する事なく、速やかに場は落ち着いた。

「……さっきの放送で十五人の人が死者として発表されました」

五人が描く円の中、一番初めに発言をした者はレナであった。
お嬢様座りを崩し、身体を二枚の紙の片一方――参加者名簿に近付ける。
名簿には六十五の名前が記されており、その中の十五には黒色の線が走っていた。
勿論、チョッパーの仲間であるウソップにも、レッドの仲間であるイエローにもだ。

「私達はイスカンダルさんを中心に仲間を増やし、ギラーミンを打倒するつもりでした」

396創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 18:40:57 ID:bQh7Lz3k
 
397創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 18:41:39 ID:JSJPv46l
 
398創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 18:42:20 ID:KFq0RKXF
チョッパー…支援
399どす黒い穴のその向こう側へ ◆EHGCl/.tFA :2009/02/08(日) 18:42:48 ID:g6AUkF0T
レナの言葉にイスカンダルは仰々しく頷き、レナもそれに頷き返す。

「……ですが、既に十五人もの人が亡くなっています。私達の作戦は明らかに後手に回っていると言わざるを得ません」

レッドは何かを思案しているか沈黙のままレナを見詰め、グラハムは興味なさげにレンチを弄くっている。
チョッパーは人獣型に戻ってはいるものの、俯むいたまま押し黙っており、レナの言葉にも反応を示していない。
三人へと順に視線を移していき、レナは再び口を開く。

「だから私はチームの分担を提案します」

レナの言葉にイスカンダルの表情に小さな笑みが浮かぶ。
それは喜びや嘲りを含んだ物とはまた別種の、挑戦的な笑みであった。
その笑みに気付いているのか、いないのか、レナは真剣な表情で先に続ける。

「為すべき行動は、仲間の……軍勢の拡大と殺し合いに乗った人の討伐です。それを二チーム、それぞれ別れて行っていく。
……人数が減る分危険度も上がりますが、現状ではこの策が一番効率良く、イスカンダルさんが言う勝利へと近付ける……と、私は思うんだけど皆はどうかな? かな?」

一息に全てを語り終え、レナは仲間の顔を見回す。
イスカンダルは変わらぬ笑みを浮かべ、レッドは何かを考え込み、グラハムはレンチを弄くり、チョッパーは俯いている。
少なくとも表面上には四人に変化は見受けられない。
賛成も反論も出ないまま数秒の時が過ぎる。

「……レナ、一つ質問いいかな?」

数秒の沈黙の後、最初に口を開いたのはレッドであった。
ヒョイと右手を挙げ、レナに問い掛ける。

「さっき俺達は、これからの動きを通して互いに互いの実力を見極め合うって話になってた筈だ。チームを分胆したら、それが出来なくなると思うんだけど……」

レッドの問いにイスカンダルの笑みが深くなる。
試されてるな、と直感的にレナは感じた。
レッドとイスカンダル二人分の視線が集中する中、レナは問いに対する答えを紡ぐ。

「確かにレッド君の言う通りだよ。私の案じゃ互いの実力を知る事は出来なくなっちゃう……だからせの代わりに『ノルマ』を設定するのはどうだろ?」
「『ノルマ』……?」
「例えば、殺し合いに乗った人を一定数以上倒したり、一定数以上の仲間を見つけたり、とかかな? こうすればある程度の見極めは可能だと思うよ」
「成る程……」

チームの分担により仲間集めや殺し合いに乗った者を討伐する効率を上げつつ、ノルマ達成の可否によってレナ達はイスカンダルの実力を、イスカンダルはレナ達の実力を見極める―――これがレナの提案した作戦であった。
400創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 18:43:50 ID:KFq0RKXF
支援
401創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 18:44:37 ID:bQh7Lz3k
  
402どす黒い穴のその向こう側へ ◆EHGCl/.tFA :2009/02/08(日) 18:44:38 ID:g6AUkF0T
「戦力」はこのゲームの参加者のみと限定されていて、且つ殺し合いに乗っている者もいる。
ギラーミンや殺し合いに乗った者に対抗するには、ある程度以上の「戦力」が必要不可欠。
だが「戦力」は、参加者の死亡や負傷により、時が経つにつれ減少していく。
このまま一塊で行動すればある程度の安全は保証されるが、効率は悪く「戦力」は減少する一方。
ならばチームを分担し、多少の危険を賭してでも「戦力」の増大、また敵戦力の減少に力を入れるべき……。
そう考えてのレナの発案だったのだが、この案を通すには余りに大きすぎる問題が一つあった。
それは――

「……どうでしょうか、イスカンダルさん?」

――同盟を持ち掛けた張本人・イスカンダルが納得してくれるかだ。
基本的には面倒見が良い気さくで破天荒な男だが、時折見せた敵意は凄まじい物があった。
その体躯や身に纏う雰囲気から相当な実力者だという事も見て取れ、自分を征服王と呼ぶだけの傲慢さや冷徹さを兼ね揃えている事も分かる。
だからこそレナは慎重に言葉を選んで意見を出し、またレッドもイスカンダルが指摘する前に疑問を呈した。

イスカンダルは笑みを張り付かせたまま、返答をしない。
ただサングラスの奥の双眸でレナを見詰め続けていた。
一秒、二秒と気まずい沈黙が場を支配し、レナとレッドの背中に冷や汗が吹き出す。
何か言葉を誤ったのか―――レナが自身の発した話を心の中で復唱し始める。
だが全ての復唱を終える寸前、ようやくイスカンダルは口を開いた。

「……『あなたの力を私に見せ付けろ』――自分からそう言っておいてなかなかに我が儘な意見を申したものだな、竜宮レナ」

冷や汗が額にまで浸食を始めた。
喉元にナイフを突き付けられたかのような圧迫感。
話を始めてから常に冷静を保っていたレナの表情が、目に見えて強張る。

「――だが、矛盾に対して解答を用意していた事は評価に値する。矛盾を言い当てた小僧もだ。良いだろう。その策を決行するぞ」

――しかし続く言葉に緊迫した空気が崩れる。
張り詰めた物が取れたのか、レナとレッドは顔を見合わせ微笑みを浮かべ、その反応にイスカンダルは豪快に笑い声を上げた。
放送が終わってから始めて流れる和やかな雰囲気。
そこでようやく今まで無言を貫いている内の一人が声を上げた。

「おれ……おれ、ルフィとゾロに会いてぇ……」

鼻をすする音と共に発せられる、震えた弱々しい声。
四人が―――レナが話す間ずっとレンチを弄び続けていたグラハムさえもが顔を声の主へと向ける。
四人の視線が集中したそこには、涙と鼻水で顔をグチャグチャに歪ませているチョッパーがいた。

「おれ……皆なら大丈夫だって思ってた……アラバスタも、空島も、エニエスロビーだって皆で越えられた……だから今回だって大丈夫だって、皆なら大丈夫だって……そう思ってた……でも、でも!
ウソップは……ウソップは……死んじまった! ……恐いんだ……ルフィやゾロにも会えなくなるじゃねぇかって……二人共、おれの知らない所で死んじまうんじゃねぇかって……」

聞くだけで人を悲しませるだろう悲痛な呟き。
同じようにこの殺し合いの場で仲間を失ったレッドにはその気持ちが分かってしまう。

403創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 18:44:57 ID:JSJPv46l
レナかっこいいー支援
404創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 18:46:34 ID:KFq0RKXF
緊迫支援
405どす黒い穴のその向こう側へ ◆EHGCl/.tFA :2009/02/08(日) 18:48:53 ID:g6AUkF0T
―――何も考えられなくなり、絶望と後悔と喪失感が心を支配する。
今までの人生じゃ味わったことのない最悪な気持ちだった。
自分一人じゃ到底立ち直れなかった。
あの時、フィーロさんが喝を入れてくれなかったら―――自分は此処に立ってはいなかっただろう。

「だから会いてぇんだ、おれ……ルフィ達に、会いてぇ……! すげぇ勝手な言い分かもしれないけど、会いてぇんだよぉ……」
「チョッパー……」
「チョッパー君……」

だからチョッパーを励ますべきだと、励まさなくてはいけないと分かっていた。
でも言葉が見付からない。
自分もまた、動揺しているからだ。
イエローの死に、フィーロさんの死に。
それにチョッパーは進もうてしている。
全てを諦めかけた自分とは、死さえ望みかけた自分とは違い、迷いながらも泣きながらも未来へ進もうとしている。
強いな―――泣きじゃくるチョッパーの姿を見て、レッドは素直にそう思った。

「感動した……そう、感動した話をしよう……」

―――そして、レッドがチョッパーに感服の念を覚え始めたその時、もう一人沈黙を続けていた人物が久方振りに声を上げた。
先程から宙を舞い続けていたレンチを右手に収め、男は両腕を大きく広げ立ち上がる。
それはまるで観客の拍手を一心に受ける舞台役者のようにも見えた。
このタイミングで……、とレッドとレナの表情が露骨に引きつっている事にも全く気を止めず、男は雄弁に語り出す。

「あの放送が終わった後俺は単純に喜びを覚え、また悲しみも覚えていた。ラッドの兄貴は未だ生きていて、また十五人もの尊い命が犠牲になってしまったからだ……。
しかし、名も知らぬ十五人の死とラッドの兄貴が無事だという事、どちらが感情を突き動かしたかは言うまでもない。だから俺は盛大に語りを始めようと思った。
ラッドの兄貴への祝いの言葉とその武勇伝を赤裸々に数十分以上に渡りお前らに語るつもりだった……。しかし口を開いたその瞬間に聞こえたのは命の恩人Bの悲痛な叫び。
それを聞いて俺の感情は完全な躁状態から鬱状態へと真っ逆様に急降下を始めた……そりゃそうだろ、命の恩人Bの仲間をその他十五人に含め、あまつさえ喜びを言葉にしようとしたんだ……最悪も良いところ、空気を読めないにも程がある……。
そう最悪、全くもって最悪だ! もしかしたら命の恩人Aや心優しき少年の仲間も死んでいたのかもしれないのにただただ自分を優先していた!! 最悪だ、これを最悪と呼ばずなんと言う!!!」
「あのグラハムさん、ちょっと落ち着」
「俺は落ち着いてるぞ、命の恩人A! まぁとにかくこの時の俺は最悪だった。弟分にもラッドの兄貴にも合わせる顔がないほどに最悪……俺より下にはギラーミンしかいないんじゃないかって言う位に最悪だった!
そう、だからこそ、考えた! 何とか命の恩人Bに贖罪をする方法を! 弟分やラッドの兄貴に顔を合わせられるよう、自分の罪を償う方法を!
……とはいえ俺は壊すことしか能のない最悪野郎……どうすれば良いか必死に考えた……今までの人生でこんなに考えた事はないんじゃないかって位に頭を捻った。
壊すことしか出来ない俺……仲間の死に悲しむ命の恩人B……この二つが脳内を埋め尽くし、グルグル回っていた。そして数分前、ついに天恵が舞い降りた……『壊せば良いんだ』と。
命の恩人Bの仲間を殺した奴を、命の恩人Bの気がすむまで壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して
壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して
壊ッ……ゲホッゲハッ……壊して壊して壊して壊して壊して壊しまくってやれば良い! ってな。
仲間の仇の苦しむ顔を見れて命の恩人Bも元気百倍超ハッピー、俺も命の恩人Bの仲間の仇の苦しむ顔を見れて大満足超ハッピー、これで皆が超ハッピーって訳だ!」

今まで沈黙の分を取り戻すかのように長々しく、今までの中でもずば抜けた狂気が含まれている語りにレナとレッドの二人は既に引きに引いている。
しかしまだグラハムの口は止まらない。

406創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 18:49:02 ID:JSJPv46l
 
407どす黒い穴のその向こう側へ ◆EHGCl/.tFA :2009/02/08(日) 18:50:22 ID:g6AUkF0T
「早速俺はこの考えを命の恩人Bに伝え、元気付けてやろうと思った。……だが、ここでまた俺にとって予想外で、そしてとても感動的な事態が発生した! 命の恩人Bが俺の言葉より先に立ち直ったのだ!
何という強き精神力! 何という高貴な心! 流石は俺の命の恩人だ! そして命の恩人Bが口にした『仲間と会いたい』と明確な願望! 俺の考えがドブ川に流れる泥水に思えるような高潔な願い!
……俺の心に電流が走った! そして俺は決意した! てな訳で命の恩人B、絶対に俺がお前とお前の仲間とを再開させてやる。ラッドの兄貴に誓うぜ」

数秒の静寂。
話を聞いていたレナとレッドは困惑げな浮かべ、イスカンダルは楽しげな笑顔を浮かべている。
話の中心であったチョッパーも困惑しているのか、長すぎる前振りに本題が理解できていないのか、首を捻っている。
それは、放送後初めて宿った悲しみ以外の感情なのだが本人は気付いていない。

「えと、つまり……どういう事だ?」
「お前とチームを組ませてくれってことだ、命の恩人B」
「え、ええと、俺は別に良いけど……レナ達は?」
「わ、私も良いと思うけど……」
「お、俺も……」

三人のコメントに満足そうに頷き、残る一人へと顔を向けるグラハム。

「よし、残るはオッサンだけだぜ」
「ふむ、別に良いだろう。だがその二人だけでは些か心配だな。レナ、お前も医術師と小僧について行け」
「わ、分かりました」

―――何というか、チーム分けは非常にスムーズな流れで決定した。
それからの流れもスムーズこの上ない物で、『ノルマ』や『集合場所』をレナとレッドとイスカンダルで取り決め、直ぐに作戦は決行される形となった。







「それでは分かっているな。六時間後――次の放送までにE-4の劇場に集合、『ノルマ』は捕虜、もしくは仲間を三人。『ノルマ』を達成できなかった場合はそれ相応の罰があるからのう」
「分かってますよ、イスカンダルさん達こそ『ノルマ』を達成できなかったら罰ゲームですからね」
「フッ、ほざけ」
「フフッ、頑張って下さいね」

B-4に位置する森林の中、『○』同盟の五人が二つのグループに別れ、向かい合うように立っていた。
右にはレナ、チョッパー、グラハムの三人組が、左にはイスカンダル、レッドの二人組が居る。

「レナ、クレアさんに会ったら励ましてやってくれ。多分恋人を亡くして凄いショックを受けてると思うから……」
「分かったよ、そっちも魅ぃちゃん達に会ったらよろしくね」
「ラッドの兄貴にもよろしく言っといてくれ。あ、あと兄貴の前で『俺は死なない』とか言ったり、そういう態度とらない方が良いぞ。殺されるから」

既に互いの知り合いに関しての情報は交換していた。
レナの仲間は園崎魅音、前原圭一、北条沙都子、古手梨花、園崎詩音。
チョッパーの仲間はモンキー・D・ルフィ、ロロノア・ゾロ。
グラハムの仲間はラッド・ルッソ。
その容姿や性格、風貌などはそれぞれに伝わっている。

408どす黒い穴のその向こう側へ ◆EHGCl/.tFA :2009/02/08(日) 18:52:09 ID:g6AUkF0T
「危険人物はクロコダイルとサカキとアーチャー、あとサングラスいスーツの人……どちらか分からないのはミュウツーさんだね?」
「あぁ、カツラさんが参加してない以上ミュウツーがどんな状態か俺には判断できない。……念の為、警戒はしといた方が良いと思う」

殺し合いに乗っているとして上げられた者は三人。
取り敢えず保留扱いとなっているのは一人であった。

「このポケットが使えれば連絡や移動も楽になったんだけどなぁ……」

肩を落としてそう言うレッドの手には白色の布切れ―――スペアポケットが握られていた。
彼等は、スペアポケットを逃げ道や互いの無事の確認に使おうとしたのだが、レナ達のチームが使用したところ、出口の四次元ポケットに繋がる事なく強制的に排出された。
故障したのか、回数制限があったのか……首を捻るレッドであったが、結局原因は掴めずじまい。
スペアポケットを利用する事は諦めるしかなかった。


「使えない物は仕方ないよ。……それじゃあ、そろそろ行くよ。一旦お別れだね」
「気を付けてな。危険だと思ったら直ぐ逃げるんだぞ」
「『ノルマ』を忘れるでないぞ、レナ。それとこんな下らない事で死ぬなよ。……それとチョッパーに小僧、しっかりレナを守ってやれ」
「お前の言いなりになるつもりはないが、任せておけ。命の恩人A、Bはしっかり俺が守ってやるよ」
「俺もだ。もう一杯泣いたし、弱音も吐いた。絶対に二人を守ってみせるぞ!」

最後に言葉を交わし五人の集団は二つに分かれていった。
それぞれ変わらぬ目的を胸に――主催者の打倒を目指し、一つの○は二つになる。
六時間後―――彼等が再び出会う予定となっている時、その数は増えているのか、減っているのか……それはまだ誰にも分からない。


【B-4 森林 1日目 朝】
【チーム名:○同盟】
1:主催者の打倒。
2:二チームに分かれ、それぞれで『ノルマ』(仲間集め、殺し合いに乗った者の討伐を、計三人以上行う)を達成する。
3:出会い、信用した相手に印のこと(腕に○の印を描き、その上に包帯等を巻く)を教える。
4:次の放送時に劇場へ集合。
5:サングラスにスーツの男(無常)、クロコダイル、サカキ、アーチャー、ミュウツーを警戒。クレアという女性を信用(グラハム以外)


409創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 18:53:07 ID:bQh7Lz3k
  
410創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 18:53:26 ID:KFq0RKXF
分担支援
411どす黒い穴のその向こう側へ ◆EHGCl/.tFA :2009/02/08(日) 18:53:35 ID:g6AUkF0T
【竜宮レナ@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:健康  右腕に○印
[装備]: 包帯 二重牙@トライガン・マキシマム
[道具]:支給品一式 未確認支給品1〜3 ドライヤー
[思考・状況]
1:とりあえずはグラハム・チョッパーと行動し、『ノルマ』を達成する。
2:部活メンバーと合流したい(ただし、積極的に探すかは保留)
3:次の放送までに劇場へ向かう。
4:何とかして首輪を外したい
5:イスカンダルの勧誘は保留。
※チョッパーから軽く自己紹介を受けました。またルフィたちやクロコダイルの情報もまだ知りました。
※幻聴はとりあえず消えましたがまた出てくる可能性があります。
※屋敷から見える街道に誰かが通るかもしれないと意識をしています。
※濡れた服はドライヤーで乾かしました。
※屋敷の洋服ダンスのなかからグラハム用のかぁいい服を見つけてきました。
※『○』同盟の仲間の情報を聞きました。

【トニートニー・チョッパー@ONE PIECE】
[状態]:健康 人獣型 腕に○印 悲しみ
[装備]:なし 包帯
[道具]:支給品一式 確認済支給品0〜2、 タオル、救急箱
[思考・状況]
1:グラハム・レナと行動し、『ノルマ』を達成する 。
2:仲間と会いたい
3:グラハムの様子を見る。
4:次の放送までに劇場へ向かう。
5:ギラーミンを倒し、脱出する。
6:イスカンダルの臣下になるかはとりあえず拒否。
※レナからはあまり情報を受けていません。圭一たちについての情報は知りません。
※参戦時期は不明。少なくともCP9編以降。
※『○』同盟の仲間の情報を聞きました。

【グラハム・スペクター@BACCANO!】
[状態]:健康? 腕に○印
[装備]:包帯 小型レンチ
[道具]:支給品一式、(うち磁石は破損)、スペアポケット@ドラえもん
海楼石の網@ONEPIECE
[思考・状況]
1:レナ・チョッパーを助ける。
2:ウソップを殺した者を壊す。
3:イスカンダルに敵意。
4:殺し合い自体壊す
5:ラッドの兄貴と合流、兄貴がギラーミンを決定的に壊す!
6:イスカンダルの勧誘は断固拒否。
※後遺症等があるかどうかはわかりません。
※元の青つなぎを着ています。かぁいい服はデイパックに入れました。
※二重牙は枕元においてあったチョッパーのデイパックから借りたものです。
※4人の会話を途中から聞いたので、レッドたちがクレアを信用していることを知りません。
※『○』同盟の仲間の情報を聞きました。

412どす黒い穴のその向こう側へ ◆EHGCl/.tFA :2009/02/08(日) 18:55:21 ID:g6AUkF0T
【ライダー(征服王イスカンダル)@Fate/Zero】
[状態]:健康  腕に○印
[装備]:張維新の衣装とサングラス@BLACK LAGOON 包帯
[道具]:基本支給品一式 きせかえカメラ@ドラえもん きせかえカメラ用服装イラスト集
     イリアス英語版 各作品世界の地図
[思考・状況]  
 1:バトルロワイアルで自らの軍勢で優勝。聖杯で望みを叶えて受肉する。
 2:レッドを従え『ノルマ』を達成し、レナ達に自らの力を示す。
 3:四次元ポケットとバイクを回収しに図書館へ戻りたい。
 4:首輪を外すための手段を模索する。
 5:有望な強者がいたら部下に勧誘する。
 6:次の放送までに劇場へ向かう。
 6:アーチャー(ギルガメッシュ)を警戒する。
【備考】
 ※ヤマハV−MAXセイバー仕様@Fate/Zeroは図書館入り口に停めてあります。
 ※四次元ポケット@ドラえもんは図書館の中に放置されています。
※原作ギルガメッシュ戦後よりの参戦です。
※臣下を引きつれ優勝しギラーミンと戦い勝利しようと考えています。
  本当にライダーと臣下達のみ残った場合ギラーミンがそれを認めるかは不明です。
※レッド・レナ・チョッパー・グラハムの力を見極め改めて臣下にしようとしています。
※『○』同盟の仲間の情報を聞きました。


【レッド@ポケットモンスターSPECIAL】
【状態】:疲労大 背中に擦り傷、左肩から出血(両方とも簡易治療済み) 腕に○印
【装備】:包帯 二重牙@トライガン・マキシマム
【所持品】:基本支給品一式、不明支給品0〜2個(確認済み。モンスターボール・スコップなどの類はなし)
【思考・行動】
 1:殺し合いを止める。必ず生き残る。
 2:ライダーと慎重に仲間を捜し、『ノルマ』を達成する。
 3:ある程度はライダーを信用していますが…。
 4:次の放送までに劇場へ向かう。
 5:赤い髪の『クレア』に会ったら、フィーロの名前を出す。
 6:絶対に無常からフシギダネと取り戻す。
【備考】
※参戦時期はポケモンリーグ優勝後、シバの挑戦を受ける前です(原作三巻)
※野生のポケモンが出てこないことに疑問を持ってます。
※フシギダネが何故進化前か気になっています
※ライダーと情報交換を行いました。
※『クレア』をフィーロの彼女だと勘違いしています。
※後回しにしていますが図書館にあったパソコンに興味
※『○』同盟の仲間の情報を聞きました。







そして五人が分かれた場所から丁度2kmほど南にある図書館。
その内部に緑色のサングラスを掛けた男、つい数分前にこの場から立ち去った筈の――無常矜侍は立っていた。
被虐的な醜い笑みを顔に浮かべているが、無常はそれを隠そうともしない。
その笑みは普段の慇懃無礼な笑みではなく、心の底からの笑みであった。

「ふふ……ふふふふふ……良いですねぇ、最高ですねぇ! このカタツムリを通して様々な情報が手に入りましたし、何よりあの劉鳳が死亡! いやー何処の誰だが知りませんが、やるものです!」

413創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 18:55:40 ID:JSJPv46l
 
414どす黒い穴のその向こう側へ ◆EHGCl/.tFA :2009/02/08(日) 18:55:46 ID:g6AUkF0T
最高な気分というのはこう言う物を指すのだろう、と無常は考える。
自分にはない地位も、金も、生まれつき持っていた劉鳳。
無常にとっては嫉妬の対象でしかなかった劉家の跡取り。
その男が死んだ。
こんな下らないゲームで、あっさりと、信念の正義を貫き通す事もできずに、親の仇をとる事もできずに死んだ。

「いやはや無念な最期だったでしょう。いやーその姿、この眼で見たかったですねぇ」

足元に散乱している何十もの白色の布切れを踏みにじりながら、無常は出口へと歩いていく。
無常が図書館に戻ってきた理由。それはこの布切れ――四次元ポケットの処分であった。
一度は図書館を離れた無常であったが、レナ達が再び利用する可能性を示唆し、再び足を運び自身のアルター能力で切り刻んだのだ。
その為、レナ達はスペアポケットを使用してもワープする事が出来なかったのだが、レナ達がそれに気付くことはない。

「さてさて、様々な情報を手に入れましたが、どう利用しましょうかねぇ……」

無常としては正面から待ち構え、撃退することも考えたのたが、敢えてその手段は選択しなかった。
包帯の下の○印やなど、『○』同盟が持つ情報は殆ど入手しており、煮るも焼くも自分の一存で決められる。
言うなれば格好の獲物――ただ殺すのは味気ない。
絶望に絶望に絶望を見せ付けてからゆっくりとトドメを刺してやれば良い。

「『○』の元に集る皆さん……精々頑張って私を楽しませて下さいねぇ。そう……向こう側の世界を見ても満たされなかったこの渇きを収める位にはねぇ」

――こうして欲に支配された毒蛇は出口へと辿り着く。
今この瞬間を持って、彼の殺戮遊戯もまた、第二幕へと突入した。


【D-4図書館/一日目 早朝】
【無常矜持@スクライド(アニメ版)】
【装備】:ハンドガン@現実 予備段数×24
【所持品】:基本支給品一式×2、不明支給品0~3個(確認済み)フシギダネ(モンスターボール)@ポケットモンスターSPECIAL 、
      黒電伝虫と受話器なしの電伝虫のセット@ONE PIECE
【状態】:健康
【思考・行動】
 1:殺し合いで優勝する
 2:○印の情報を利用する。
 3:カズマ、クーガー、あすかの始末
 4:レッドや同行者たちとはまた会いたい
【備考】
※ポケモンは一度モンスターボールから出し、10分が経過すると強制的にボールへ戻ります。再び使用するには2時間の経過が必要です。
また、基本的にはボールの持ち主の指示に従います
※何処へ向かうかは次の書き手さんにお任せします。
※○印と包帯の情報を知りました。
※レナ・チョッパー・グラハム・ライダー(イスカンダルのみ)の名前は知りましたが顔は知りません。
※図書館にバラバラに千切られた四次元ポケットが放置されています。

415どす黒い穴のその向こう側へ ◆EHGCl/.tFA :2009/02/08(日) 18:56:10 ID:g6AUkF0T
これにて投下終了です。
416創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 19:10:23 ID:bQh7Lz3k
投下乙です!

ここで○同盟分割ときましたか
○の和がどんどん広がるのに期待すると同時に
無常さんがどう動くのかにもwktkが止まらない…!
そういやフィーロも第一放送前に死んでるんだよなぁ
でもクレアに会ったら逃げろwすぐ逃げろ
励ましてる場合じゃないからw
あと、グラハム自重wむせても言うかw
ああもうレナカッコイイとかイスカンダルが王様してるとか無常自重とかチョッパー…!とか
それぞれの思いが交差して重なるすばらしいSSでした!GJです!

危険人物情報のサングラスにスーツ…あれ?イスカンダルも同じかkk(ry
417創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 19:15:59 ID:KFq0RKXF
投下乙!
大人な中心人物ライダー、冷静な参謀役レナに、感情むきだし役のチョッパー、
しっかり突っ込むレッドに……KYグラハム
なんともバランスがよくて掛け合いが面白い5人組でした。特にチョッパーを止める辺りが特に好きです!
別れてしまったが、果たして劇場で全員合流することはできるのか?
コースによっては、近辺にはサカキ、魅音、クロコダイル等がいるから遭遇の可能性もあるなぁ。
○同盟、果たしてどうなる?

無常さん相変わらず絶好調です。
なるほど、スペアポケットを封じたか。劉鳳死んで凄い嬉しそう。
劇場方向は彼もまたいるから、○同盟はまさに無常の張る罠の中に飛び込んでいくことになるのか。
進行方向を知らないのがまだ幸せだけれども。
ともあれGJ!
418創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 20:06:49 ID:JSJPv46l
投下乙!
おぉー○同盟の分割、なかなかバランスが良い組み合わせになった気が。
グラハムのテンションがwセリフがもう色々とすごいwww
ライダーがレナとレッドを改めて認める辺りの構成が上手いなーと。
そして無常さんが相変わらずせこいw盗聴が絶好調だwww
419創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 20:08:39 ID:JSJPv46l
あ、それと細かい事ですが。
無常さんの状態表の時間帯が早朝のままである事の報告を。
420どす黒い穴のその向こう側へ ◆EHGCl/.tFA :2009/02/08(日) 20:22:47 ID:g6AUkF0T
>>419
分かりました。wiki編集された際に修正しておきます。
421創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 20:30:48 ID:/gaWZpW8
投下乙です。
○同盟は上手くバランス取れてると改めて思うSSでした。
そしてとことん自重しないグラハムwww回復してから絶好調だなwww
さて分割は幸を制すのかそれとも……無常さんもどう影響するのか気になるし……。
GJです!
422創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 20:54:54 ID:5WdLBe+T
投下乙っ
どう転ぶのか分からない展開だなぁ
この先が楽しみだ

話は変わるけど、仮投下に書き込まれてるのって、あれでおしまいなんだろうか
423創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 21:01:51 ID:KFq0RKXF
>>422
>>380 >>383
まだ問題解決してないみたい
424 ◆TEF4Xfcvis :2009/02/08(日) 22:12:55 ID:ien19ijn
遅れてすいません。
やってみたけど投下できなかったのでこちらに投下します。
管理人さんありがとうございました
425方針 ◆TEF4Xfcvis :2009/02/08(日) 22:13:47 ID:ien19ijn
夜明けとなってから30分が経った。
一面を照らす太陽の光はもちろん切嗣の目にも飛び込んでいる。
切嗣はコートのポケットを探り、そこで煙草もライターもないことを思い出した。
此処ならば煙草も自動販売機で売っているのだろう。機能していればの話だが。
純粋に取得するだけなら小銭がなくとも自動販売機を破壊すれば事足りる。
だが、切嗣はとにかく痕跡を残したくなかった。
自分がいることを悟られてはいけない。彼は先ほど以上にそう思っていた。
そう思わせたのは先程の夜明けと共にあった放送にある。

「15人か……」

開始からわずか6時間。この会場の広さから考えてもそれは異常な数字だった。

(すぐに殺し合いが始まるようにそれぞれの配置を近くにしていたとか……?僕や圭一君のように)

そう考えても真実が分からないので何とも言い難かったが、それ以上に
懸念材料となったのはあの2人の存在だった。
アーチャーとライダー。聖杯戦争に呼ばれし、人ならざる存在。
使い魔のような存在でありながら、人が制御するには手に余る過去の英雄の虚像。
人の身ではサーヴァントに対抗できない。
尤も、周到な準備と化け物じみた能力があれば対抗できないこともない。
だが、今ここにいるサーヴァント達はそんな生易しいものではない。
切嗣がいくら策を練ろうとも今の段階では歯が立たないどころの話ではないのだ。
今回の放送で彼らの名前は呼ばれなかった。
セイバーのマスターであることを明かせばセイバーの現界のために取り入れられるかもしれないが
そんな不確定要素にも懸けていられない。故に脱出という選択肢をとったのだがいずれ必ず
彼らとは出会うことになるだろう。その時の心づもりはしておかねばならない。
426方針 ◆TEF4Xfcvis :2009/02/08(日) 22:14:27 ID:ien19ijn
(圭一君は生きていたか……安心だが迎えに行くわけにはいくまい)

切嗣は圭一のことは心配してはいたが積極的に再会する気はなかった。
彼には6時までに来なければ映画館を離れるようにと言っておいたし、それにもし彼が捕えられて
切嗣をおびき寄せるための餌となっていたら最悪だ。結局、切嗣は彼の運に任せることにした。
また出会えたらその時に適当に言い訳でもすればいい。出会えなければそれまで。
救いたいという気持ちはある。だが今は自分さえ生き残っていれば他の者をすべて救える。
ギラーミンの報酬に期待しているわけではない。
元の世界に戻り、聖杯を手にすればこのゲームすらもなかったことに出来る。
切嗣はそれだけを目標としていた。
但し、彼は皆殺しをしてまで生き残るつもりはない。ギラーミンの言ったことが嘘であれば全てが無為となり
元の世界に戻ることも叶わないだろう。だから、自分で此処から脱出するしかない、そう考えていた。


切嗣は今、モールの二階の金物売り場にいた。
遮蔽物が大量にあり、いざとなったときの退路がある場所ならどこでもよかったので金物売り場に
入った意味は特にない。切嗣は商品陳列棚に身を潜めながらじっと時間が過ぎるのを待っていた。
それが現在までの彼の行動だった。

敵の気配は感じられない。
体もそれなりに落ち着いてきた。痛みは感じるがもはや戦闘に支障はない。
もし奴がまだ探しているとしても逃げ切れる心算はある。

「そろそろだな・・・・・・」

切嗣は身を屈めながら立ち上がると棚の隙間からそっと顔を出した。
右、左と見回すが誰一人の姿も見られない。
それを確認すると切嗣はさっと身体を走らせホールへと出て、柱に身を隠した。
静かなのが逆に不気味だ。

(諦めたか?……いや、結論を出すにはまだ早い。もう少し隠れる必要が―――――!?)

ホールからガラス越しに見える中庭に、人影がひとつ。
あの男かとも思ったが、シルエットが違う。
目を凝らして見ればどうやら少女のようだった。
無防備でトボトボと歩いている様はまるで狙ってくれといわんばかりの風体だ。
これではあの男に殺されてしまう―――――と、思ったがそれならすでに狙われていてもおかしくはない。
あの少女が男を倒したという可能性もなくはないがそれは考えにくい。
427方針 ◆TEF4Xfcvis :2009/02/08(日) 22:15:09 ID:ien19ijn
(しばらく待ってから接近するか……)


    ◆    ◆    ◆    ◆    ◆    ◆    ◆    ◆


少女はモールの正面入り口の前にいた。
顔はうつむいていて、その表情は沈鬱そのものだ。周りを気にするでもなく、ただ、まっすぐ歩いていた。
目的はあるようには見えない。敵に殺されようともどうでもいいのかもしれない。
彼女から漂う雰囲気からはそうとしか感じられらなかった。

機械音と同時に自動ドアが開いた。
彼女は――美琴はそのまま歩いていく。中の電灯の眩しさにも気にかける様子はない。

「どうした?大丈夫か?」

突然の声に美琴はビクッと身体を震わせた。先程の表情とはうってかわって恐怖が入り混じったような表情になった。
彼女はピタリと立ち止まり、いまだ姿の見えぬ声の主に向かって叫んだ。

「来ないで!!」

拒絶の意思表示。それに対してすぐに応える声はなかった。

「どうした?……何かあったのか?」

ほんのしばらくして返答がきた。正しくは返答ではなく、前と同じような言葉が返ってきただけだが。
美琴は何も応えない。

「……」

姿の見えない両者と対峙することほんの10秒。先に相手に姿を見せたのは切嗣だった。
柱から身を出し、前方10メートル先にいる少女を見据える。
少女は一瞬安堵したような表情を見せたが、すぐに切嗣を睨みつけた。

「……来ないでください」

再度の拒絶。
切嗣は応えない。
ただ今は、じっと御坂美琴を見つめるだけだった。

(どうもかなり不安定なようだな……土埃塗れ以外にさほど衣服の乱れは見られない。襲われたのでなければ
 それ以外の原因となると……あの放送か。おそらく知人の名前が殺されたとか、死んだ現場を
 目撃したとか、そんなところだろう。しかし、どうするか……)

あまりお荷物を背負い込む気はない。
だが、相手がどのような人間か確認しておくのも必要だ。
428方針 ◆TEF4Xfcvis :2009/02/08(日) 22:15:45 ID:ien19ijn
「大丈夫だ、心配しなくていい。そのままでいいから僕の話を聞いてくれ」

「……」

(余り使いたくはないんだが……場合が場合だしな)

切嗣はふうと息を吐き少女の目を見つめた。

『今まで何があったのか、君の素性も含めて簡潔に話してもらえるかな』

通常、このような状況で初対面の人間に素性を聞くなど怪しまれても仕方がない。

「あ……はい、わかりました」

だが、予想に反し美琴は切嗣の言葉に承諾した。
様子も先ほどとは違い不安定だった感情も異様に落ち着き、心ここにあらずといった感じで切嗣の方向をぼんやりと見つめていた。

衛宮切嗣は魔術師である。
彼の世界の魔術師の基本的な魔術、暗示。何の耐性も持たない一般人であればかけることは容易い。
もちろん、相手が魔術師であればレジストされることもあるのだがそれならそれで別の方法をとればいいと切嗣は考えた。
結果的に耐性を持たない美琴はまんまと嵌ってしまったのだ。
彼は初めは暗示や催眠の類の魔術を使うつもりはなかった。
魔術の痕跡を残せばそれだけ自分が不審がられる要因が増えるかもしれないからだ。
しかし、今はあまりにも情報が少なすぎる。だから色々と情報を集める必要があった。
対象の素性や人物関係、それにこのゲームでの出来事を聞き出せば有利に進められるのは言うまでもないだろう。

429方針 ◆TEF4Xfcvis :2009/02/08(日) 22:16:19 ID:ien19ijn
    ◆    ◆    ◆    ◆    ◆    ◆    ◆    ◆


話を聞き終えた時、切嗣は美琴の言ったことが半ば信じられなかった。

(能力者だらけの学園都市?十字教?そんなモノは知らない。いや、存在しない。魔術協会や聖堂教会はどうなっている?
 聖杯戦争中に世界が一変したわけでもあるまいに……)

彼の困惑も無理はない。
そもそも、御坂美琴と衛宮切嗣の存在する世界は丸っきり異なる世界なのだから。
超上の能力を隠さず研究する世界。方や神秘を秘匿する世界。
藪をつついて蛇を出した感覚だった。
まさか目の前の少女からこんな話が聞けるとは思わなかったからだ。

(可能性とすれば並行世界か。ちょっとやそっと違うという話じゃなさそうだがな……
 だとすれば圭一君やあの男もそうかもしれないのか)

切嗣はいったん思考を中断して美琴を見やる。
『超電磁砲(レールガン)』。10億ボルトもの出力を誇る電撃に代表される、電流や電磁場を観測し操る能力。
話を聞くだけでも大抵の魔術師では太刀打ち出来ないのではないかと切嗣は畏怖した。
何より、自分でもまともに闘り合って勝てるかどうか怪しいところが恐ろしかった。

(是非とも味方につけたいところだが……また暗示に頼るしかないか)

「ちょっといいかな」

「――――――え?あ……なんですか?」

若干美琴の様子がおかしかった気がしたが切嗣は言葉を続けた。

「僕と一緒に行動してもらえるか?」

否定の意思は現れない。暗示の影響下においてそれはまずあり得ないと切嗣は確信していた。
しかし、返答は切嗣の予想外のものだった。

「それより聞きたいんですけど……あなたもこのゲームに乗っているんですか?」



430方針 ◆TEF4Xfcvis :2009/02/08(日) 22:18:49 ID:ien19ijn

表情にこそ出さないものの内心切嗣は焦っていた。
(暗示が切れた?というより、暗示が効いていない?)
いったんかければしばらくは持続するはずなのに、機能した時間はものの10分。
もう一度暗示をかけるべきか考えたが原因が分からない以上それは避けるべきだ。
仕方なく、切嗣は少女の返答に答えることにした。

「乗っていない。だからこそ、協力者が必要なんだ。此処から脱出するためにね」

暗示が切れたため、不用意な発言は避けねばならない。
最中の記憶は無いため、発言に齟齬が発生する可能性があるからだ。

「脱出?出来るんですか?そんなこと……」

「今、方法を探しているんだ。出来ない可能性がないわけじゃない」

「……」

「君だって死にたくはないだろう。だから君に協力を―――――」

「出来るわけないじゃない」

「え?」

「出来るわけないじゃない!そんなの、方法なんか探してるうちに殺されちゃうわよ!」

美琴の言うことも一理あるかもしれない。
もし本当に方法がないのであれば決死の覚悟で生き残るしかない。
だが、それが出来ないからこそ切嗣は脱出の道を選んだのだ。
しかし、美琴は相当な能力の持ち主であるにもかかわらずやけに悲観的過ぎる。
その点が気になったので半ば目を潤ませている少女に問いかけた。

「誰か知っている者がいるのか?」

自分の信頼している者が死んだか、それとも自分より強い者がいたのか。
後者はできればあってほしくなかったが切嗣には聞いておく必要がある。

美琴は答えようとしない。

「まあいい。とにかく、僕についてきてくれ。ここじゃあそろそろ誰かの目につくかもしれない」

431方針 ◆TEF4Xfcvis :2009/02/08(日) 22:19:52 ID:ien19ijn
    ◆    ◆    ◆    ◆    ◆    ◆    ◆    ◆



私はギラーミンの放送を聞いていた。
6時間に15人という夥しい死人の数。その中に自分のよく知っている名前があった。
一方通行。
上条当麻。
嘘だろう、と思った。信じられなかった。
無敵であるはずの一方通行が死んだ。
そして上条当麻――――――あいつの存在すら確認できないまま死んだ。
でも、嘘ではないのだろう。そんなことをしてもメリットになるとは思えない。
自分の中でわけのわからない感情が渦巻く。
生き残ればいい、なんて考えていたがそもそもそれすら可能なのか?
あっというまに自分も殺されるんじゃないか?それに――――――

どこか自暴自棄になってたんだろう。
放送が終わるのと同時にそのまま私は歩きだした。
目も眩む太陽も気にならない。誰かがモールから出て行った気がするがそんなことはどうでもいい。
ただ、独りになりたかった。ずっと隠れていたかった。

誰かの声を聞くまで、その存在をすっかり忘れていた。
バラバラだった思考が一気に集束する。
果たして、前方に隠れているのはコートの男かそれとも大男の方か。
闘う気はなかった。というより、出会いたくなかった。
相手の出方を見て、逃げられるならそれでいい。どうしようもないなら戦うしかない。そう考えた。
姿を現したのはコートの男だった。
少し安堵するも心は変わらない。とにかく離れてもらおうと電撃を威嚇程度に出そうとした。
そうしようとした時、コートの男の目に釘付けになった。
何故かはわからない。相手から目をそらせない。体も思うように動かない――――――

――――――そこから10分くらいまでの記憶は曖昧だ。
なぜか住んでいる場所のことや能力のことを話していた気がする。
どうしてそんなことを話す気になったんだろう。わからない。
目の前の人が協力してくれ、と言ってきた。
脱出するため?そんなこと、出来るわけない。
死にたくはない。けど、立ち向かえるはずがない。
ついてこいと言われた。
断ってもよかった。でも、だんだんと一人でいるのが怖くなってきた。
それに誰かと話していた方が気が紛れると思ったから―――――。

432方針 ◆TEF4Xfcvis :2009/02/08(日) 22:20:40 ID:ien19ijn
    ◆    ◆    ◆    ◆    ◆    ◆    ◆    ◆



「屋上なら人目もつかないだろうし、ここなら下からでも死角になるだろう」

モールの煌びやかな光は夜明けと同時に大方が消えた。
点いているのは中の店の電灯くらいだ。
美琴はドアの側に、切嗣はその正面に少し距離を置いて立っている。

「……男がいたはずなんだけど見かけたかい?」

美琴は記憶を思い起こして、それを確認する。

「きっと、あれがそうなら、モールから出ていったと思います」

自信なさげな様子だったがあれほど目立つ位置にもかかわらず襲撃が来なかったのを考えると
そう思ってもいいだろう。事実、彼女以外の気配は探知できなかったわけだし。

「もう一度聞くけど、何があったか話してくれないか」

美琴は一瞬躊躇ったようだが、俯きながら口を開いた。

「知ってる人が2人、死んだんです」

「……そうか」

やはり、と切嗣は思った。
知人の死。恐らく親しかったのだろう。
まだ成人にもなっていない少女がそれに耐えられるとは思えない。

「でも、死ぬなんて考えられない」

「何故だ?」

「だって……あいつを殺せる人間がいるなんて考えられないんです」

「本当に殺せないのか?」

「え?だ、だって、あいつの能力は……!!」

「殺せない人間がこんなゲームに呼ばれると思うかい?
 もしそうならこのゲームは『殺し合い』じゃなくて『一方的な殺戮』だ。
 それなら最初からこのゲームをやる意味はない」

そう言われて、美琴は考えた。

(確かに……考えてみればそうとも言えるけど。
でもそれじゃあ一方通行より強い奴がいるってことじゃない……余計絶望的よ!)

一方で切嗣も、自分の言葉の意味を発して初めて気づく。
433方針 ◆TEF4Xfcvis :2009/02/08(日) 22:21:17 ID:ien19ijn
(まさか……ならばサーヴァントの連中も殺せるようになっているのか?
 考えがたい話だがそうでなければこのゲームは成立しない。仮定だが、殺せない者を
 殺せるようにカスタマイズしているならそれに何の意味が……?)

「でも……脱出の方法なんて見つかると思えません。もしあったとしても
 途中で殺されたりしかねないじゃないですか」

「ん。ああ……出会わなければ済む話だ。それに気づいたんだが、この会場はどうもループしているらしい」

「!?……それはどういうことですか?」

「興味を引いてくれたようで何よりだ。地図で確認してもらえればわかると思うが
 マップの上と下、右と左はそれぞれ繋がっている。空間を繋ぐなんて常識的には
 考えられないだろうが現にそうなっている。一見して脱出は完全に不可能に思えるだろう
 だが、おそらく何か打開できる方法があるはずだ」

そう言いながら切嗣は紙に鉛筆で走り書きをした。
不思議そうに美琴が見ていると切嗣はそれを手渡した。
それを見ると、そこにはこんなことが書かれていた。

『万が一盗聴されている可能性を考えて、重要なことはこれから紙に書く。
 これだけの広域な空間干渉、おそらく途方もない技術が使われているのだろう。
 だがこのループを作り出すならそれはこの会場内に何らかの原因がなければならない。
可能性としてだが、このマップの4隅か中心にループを作り出した基点があると考えられる。』

「それに、死者がやたらと多かったのは始めから複数人で固めていたんだろう。
 殺し合いが起きやすいようにね」

「……私は何をすればいいんですか?」

「『目』が必要だ。2人の方が敵の不意打ちに対応しやすいからね。
 出来れば護衛も頼みたいところだが、無理は言わないよ」
434創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 22:22:44 ID:KFq0RKXF
支援
435創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 22:25:05 ID:KcCyH1WM
超全裸
436創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 22:29:32 ID:zEHaIZr+
 
437方針 ◇TEF4Xfcvis 代理投下:2009/02/08(日) 22:33:01 ID:KFq0RKXF
暗示が聞いていない以上切嗣も安易な返事は期待していなかった。
それに知人が死んだということもあり果たして協力してくれるかどうかは怪しいところだったが……

「わかりました。協力します」

「……いいのか?」

あまりにも早い返答に切嗣は若干面食らったが美琴に否定の意思がなさそうだと感じると独り頷いた。

(もしかしたら裏があるのかもしれないがそれでも別に構わない。どうとでもなるさ)

「構いません」

(……そうよ。何もしないでいいわけがないじゃない。動かないと何も変わらない。
 ええ、辛いわよ。でも諦めてそのまま死ぬなんて私には出来ない。アイツだってそんなこと
 思わなかったはず。だから私が諦めるわけにはいかない)
 
それは彼女の確固たる決意でもあり、現実逃避なのかもしれない。
いかに平静を取り繕おうとも、上条当麻の死という現実は少なからず彼女に纏わりつくだろう。
しかし、彼女はもう諦めないだろう。
自分を信じ、己が未来を最後まで突き進むはずだ。
それがどのような未来になるかは不確かだが。

「そうだ、名前を聞いてなかったな。僕の名前は衛宮切嗣だ。君は?」

切嗣は彼女の名前を既に知っている。
だが、聞かねばならない。それは辻褄合わせのためであり、結託の意志の確認でもあるからだ。
美琴は切嗣を見ると、はっきりと答えた。


「私は、御坂美琴です。」
438方針 ◇TEF4Xfcvis 代理投下:2009/02/08(日) 22:33:53 ID:KFq0RKXF
【A-5 モール 屋上/一日目 早朝】



【衛宮切嗣@Fate/Zero】
[状態]:全身にダメージ(中)、疲労(中)、令呪残り二画
[装備]:コンテンダー・カスタム29/30@Fate/Zero 、防災用ヘルメット
[道具]:コンテンダーの弾薬箱(スプリングフィールド弾30発入り) 支給品はすべて確認済)、基本支給品一式
    ロープ×2、消火器、防火服、カッターナイフ
[思考・状況] 基本:なんとしてでも元の世界に帰る
1:ループを作り出しているだろう基点を探す。
2:美琴には慎重に接する。
3:圭一が心配だが後回し。
4:ライダー、特にアーチャーには絶対出会いたくない。

【備考】
※ 会場がループしていると確信。
※ クロコダイルの名前は知りません。
※ スナスナの実の大まかな能力を知りました。
※ 美琴に自分たちが並行世界の人間であること、自分が魔術師であることを話していません。
※ 暗示の魔術の制限によく気づいていません。
※ どこへ向かうかは次の書き手さんにお任せします。


【A-5 モール 屋上 /一日目・早朝】



【御坂美琴@とある魔術の禁書目録】
【状態】:疲労(大)
【装備】:なし
【道具】:基本支給品 起源弾@Fate/Zero(残り28発)、不明支給品0〜2
【思考・状況】
 基本行動方針:脱出狙い。
 1:切嗣に協力する。
2:切嗣を若干警戒。
 3:“あいつ”の事は……
 4:自分が素性を喋ったことに対して疑問(暗示には気づいていません)


【備考】
 ※ 参加者が別世界の人間とは知りません(切嗣含む)
 ※ 会場がループしていると知りました。
 ※ 切嗣の暗示、催眠等の魔術はもう効きません。
 ※ 上条当麻の死がどう影響するかは不明です。
439方針 ◇TEF4Xfcvis 代理投下:2009/02/08(日) 22:34:17 ID:KFq0RKXF
【衛宮切嗣の精神干渉の魔術について】
一般的な魔術師であれば暗示、催眠等の魔術はに使用できる。
魔術抵抗のない一般人は容易くかかってしまう。
ロワ内での制限は
・一度使用すれば6時間使用不可能。
・一人に対し一度しか使用できない。
・魔術の影響下でもぼんやりと意識はある。
・自身に危害を加えるような命令は受け付けない。
と定める。
440方針 ◇TEF4Xfcvis 代理投下:2009/02/08(日) 22:35:30 ID:KFq0RKXF
代理投下終了です。
切嗣の暗示の魔術について意見を問いたいそうなので、そこに注意をしてください、
441創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 22:49:17 ID:KcCyH1WM
魔術士がこのロワに何人いるのか分かりませんが
多分、数は少なすぎると思うので能力規制に精神が強靭な者には
暗示の効果はないってしたらどうでしょうか?
まぁ、規制をかけなくてもいいような気もしますが…
442創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 22:56:09 ID:5WdLBe+T
公式設定でも、本人が拒絶するようなことはさせられないってなってたと思う
特に強力な能力でもないし、制限をかけるほどでもないんじゃないかな
原作だと、ホテルのフロント係に自分を別の人間だと誤認させたくらいしか使ってないし
443創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 22:59:00 ID:5WdLBe+T
制限を掛けるとしたら、一度掛けた相手には効きが悪くなる、くらい?
444創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 23:04:27 ID:JSJPv46l
投下乙!
おお、切嗣は暗示まがいの事も出来るのかー。冷静な思考が何とも頼もしい。
取り敢えず美琴は大丈夫かな?上条さんと一方通行の死を同時に知るのは確かに衝撃的だ……。
一見かなり隙がないコンビのような気もするけど、未だ完全には互いを信用してないからこの先が怖いなーw
制限の方はバランスが取れてると思いますし、別にこれでいいかと。
445創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 23:54:02 ID:bQh7Lz3k
投下乙です!

理想を目指す究極のリアリストらしい甘えのない思考がなんとも切嗣らしい
あきらめないで前を向きつつも微妙にやけっぱち気味になってる御坂がなんとなく悲しいな
これからの会話で少しは傷心を癒してもら…いや無理だw切嗣だしw
まあでも暗殺者モードにならなければ普通かな
娘もいることだし少しはやさしくしてあげておくれw

暗示については制限少しきつい位だし、いいと思いますよー
446 ◆Wott.eaRjU :2009/02/08(日) 23:58:58 ID:JSJPv46l
それでは真紅、橘あすか、ルフィを投下します。
447一歩踏み出して ◆Wott.eaRjU :2009/02/09(月) 00:00:54 ID:LXD2GdsX
エリアE-2駅前に3人の男女が居る。
ゴム人間、動く少女人形、アルター使いと多種多様な三人。
彼ら全員、誰もが常軌を逸している存在。
しかし、その事を気に留める者はこの場には誰も居ない。
そう。それよりも気になる事があるのだから。

「私は真紅。人間、お前の名は?」

初めに口を開いたのは、この場で一番背が低い少女。
低いというよりも寧ろ低すぎるといったところか。
生ける人形、ローゼンメイデンの5番目のドール。
赤いヘッドレスを被った人形、それこそが真紅。
言葉と共に、小さく前へ一歩踏み出す。
同時に、ツインテールに結った金髪がふわりと揺れる。
優雅さを失わない振る舞いが、彼女の気品さを窺わせる。
青色の輝きを秘める両眼で真紅は前を見据え、返事を待った。
しかし、暫く待っても返ってくる言葉はない。
真紅の視界には、麦わら帽子を被った一人の少年が確かに居るというのに。
自分の言葉が聞こえていないのだろうか。
そう思い始めた最中、やがて真紅は悟る。

(どうやら、お邪魔だったようね……)

見れば少年の周囲には、赤い血がまばらに散っていた。
理由は既にわかりきっている。
衝撃音を伴わせながら、言い争っていた二人の声が物語る。
つい先程まで戦闘行為が行われていた紛れもない証。
片方の男の声は然程大きくはなかったものの、少年の声は大きかったため良く聞こえていた。

そのために真紅はこの場に来たのだ。
わざわざ様子を見るために少しだけ早足で。
無駄な時間は使いたくはない。
そう思ったからこそ目の前の少年に直ぐに声を掛けた。
何があったのか……そう訊こうと思ったのだが、流石の真紅も次の言葉を繋げない。
理由は簡単だ。たとえ浮かべる表情が見えなくとも、それぐらい見て取る事は容易い。
麦わらの少年は両肩を震わせて、その場に蹲っていた。
本当に、本当に只、何か大きな感情を。
悲しみに打ちひしがれたような様子が、少年の背中からは感じられた。
故に取り敢えずはこれ以上の口出しはやめておこうと真紅は考える。
448一歩踏み出して ◆Wott.eaRjU :2009/02/09(月) 00:02:01 ID:LXD2GdsX
「聞こえてないんですか? そこのあなた、何か言ったらどうです?」

だが、彼はそんな事は気にも留めないようだ。
思わず溜息を零す真紅。さも呆れたような表情が自然と浮かぶ。
次にややけだるそうに真紅は振り返った。
同行者、橘あすかが大袈裟に、麦わらの少年に対して呼びかける姿が映る。
またあすかは心なしか、いやに生き生きとした様子だ。
少しは場の空気というものを読まないのだろうか。
真紅はやや冷めた目つきであすかを眺めながら、そんな事を思う。
しかし、真紅は同時に何か可笑しくも感じた。
何故なら真紅はあすかの微妙な変化に大体の目星は付いていたのだから。

(きっと嬉しいのね。でも、良くやったのは事実。嬉しいと思う事はわからなくはないのだわ、あすか)

大方、少年と戦っていた人物を追い払った事によるものだろう。
あすかのアルター能力、通称“エタニティ・エイト”は8つの玉を用いる。
様々な用途に応用でき、先程の様に玉による直接的な打撃も可能だ。
実際にあすかは、鮮やかな手際で戦闘を停止させた。
自分の手腕に、少なからず酔っているに違いない。
可笑しさは込み上げ、それは苦笑という形で零れ落ちる。
単純な思考。しかし、それがあすかの初々しさを現わしているようだと真紅は考える。
まあ、少しは褒めてやっても良いかもしれない。
ふとそんな事も思い、真紅はあすかの近くまで歩を進めて――

「い、いたあああああッ! 何するんです、真紅!?」
「うるさい。あすかの癖に生意気なのだわ」

彼の右足を思いっきり蹴っ飛ばした。
やはり何だか無性に腹立たしい。
こんな事で調子に乗ってもらっては正直困る。
人形と言えども真紅の蹴りは何気に痛い。
ゲシ、という擬音が不気味な程に低く響く。
あすかにしてみれば意味がわからないだろう。
思わず右脚を抱えて、無事な片足であすかはその場でぴょんぴょんと数回飛び跳ねる。
言葉とともに抗議の意を乗せた顔で、あすかは真紅を見返す。

だが、真紅は少しも気に留めていないようだ。
抗議を続けるあすかをあしらうように、真紅は視線を逸らした。
さも鬱陶しそうな挙動は、あすかに対しての扱いが実に粗雑なものだと物語る。
恐らくあれが関係しているのだろう。
以前、あすかが真紅に何の相談もなしに列車への乗車を決めた一件。
自分が無視される事を真紅は特に嫌い、不都合な事や不快な事は割と根に持つ。
まあ、自分が無視する分には別にどうって事はないのだが。
そして真紅は、あすかの事は取り敢えず置いといて、再び視線を向ける。
449創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 00:02:26 ID:GGWXNDuh
 
450一歩踏み出して ◆Wott.eaRjU :2009/02/09(月) 00:02:52 ID:LXD2GdsX
(反応は……なし。難儀なものね、まったく)

依然として麦わらの少年が沈黙を貫く。
少年は傷を負っているもの、一歩も動けない程の怪我を負っているようには見えない。
では精神的な問題なのだろうか。
何か、余程ショックな事を知ってしまったのだろか。
もしそうであるならば可哀そうだとは思う。
しかし、何も喋ってくれなければこちらも対応のしようがない。
いっそ少し強引にコンタクトを取ってみようか。
そもそも自分が折角言葉を掛けているというのに、ずっと無視されている事は正直気に食わない。
これがあすかならば、今頃蹴りから連なる様々なお仕置きを叩き込んでいるのだが。
少々脱線気味になり始めた思考を軌道修正し、真紅は改めてどうするかを思索する。
そんな時、どこからともなく声が流れ始めた。


『さて時間だ――』


聞き覚えのある男の声。
忘れもしない、主催者であるギラーミンの声色。
何事か、と思いながらも真紅は意識を声に向ける。
見ればあすかも、麦わらの少年の方も微かに反応を見せているようだ。
やがて三人はその耳で聞く事になる。
互いの知り合いの名前を。
もう、出会う事のない彼らの名前を。


◇     ◇     ◇

451一歩踏み出して ◆Wott.eaRjU :2009/02/09(月) 00:04:20 ID:LXD2GdsX

数分で終わりを告げた1回目の定時放送。
しかし、放送が終わった後も口を開く者は一人も居ない。
麦わらの少年は勿論、真紅もあすかも。
只、放送の内容を書き留めたメモ用紙を握りしめているだけだ。
永遠にも感じられてしまいそうな沈黙が、重々しくその場を支配する。
やがて、一人の人物が徐に口を開く。

「……いつまでもこうしているわけにはいきません。行動しましょう、迅速に」

最初に口を開いたのはあすか。
あすかは、メモ用紙と死者の名前に印をつけた名簿をいそいそと片付ける。
その動作にはあまり焦りは見られず、三人の中では一番落ち着いているようだ。
が、あすかが先程の放送で感じた事が何もなかったわけでもない。
6時間で15人の死亡者。大体20%弱、5人に1人は死んでいるこの状況。
こんな殺し合いを以前に行った事はないため、ペースが速いのか遅いのかはわからない。
わかるのは、自分以外の人間が、僅かな6時間の内に15人も死んだ事のみ。
その事実はあすかに衝撃を与え、恐らく真紅と麦わらの少年の場合も同じ事だろう。
そしてあすかにとって衝撃的な事がもう1つあった。
言い方は悪いかもしれないが、名も知らぬ14名の参加者の死亡事実よりも大きな意味を持つ。
そう。一人の参加者の死亡は、あすかにとっては予想外な出来事でしかなかった。

(劉鳳……まさかあなたの絶影が倒されるとは……。
正直、驚いていますよ……あなたの力を知っている身としては)

劉鳳。あすかが所属する、誇り高き治安維持部隊、HOLYの同僚である青年。
エリート隊員で構成されるHOLY部隊の中でも、特に高い実力を持った劉鳳。
絶影と呼ばれるアルターを操り、社会不適合者共を制圧する姿はなんとも頼もしかった。
あすかは劉鳳とプライベートでは特に交流を持った事はない。
しかし、それでも劉鳳が信念を持った、HOLY隊員であるのはわかっていた。
以前、自分と戦ったカズマが、HOLY本部へ単身による奇襲を掛けた事がある。
その際、劉鳳は隊長であるマーティン・ジグマールの身の安全を優先した。
シェルブリッドを受け止めるための絶影を、防衛に回した事により貰った一撃。
劉鳳の技能ならば、そんなものを貰う必要もなかっただろう。
だが、己の身よりも第一にジグマールを死守した劉鳳は、まさに尊敬に値するHOLY隊員といえる。
一人の仲間の死に、あすかは確かに悲しみを覚えるが、いつまでもそうしてはいられない。

(ですが安心してください。
あなたが抜けた穴はこの僕が埋めて見せましょう……そう、エタニティ・エイトの、この橘あすかが……!)

それどころかあすかの表情には、最早憂いといったようなものは見られない。
知り合いが死んだというのに、あすかはそれほどショックを受けていなかった。
いや、もしかすれば、その事に気付いていないのかもしれない。
あすかは今、一種の興奮状態のようなものに陥っていた。
A級アルター使いと評され、周囲から一目置かれていた劉鳳。
そんな彼が早々に脱落し、自分はいまも五体満足の状態で生きている。
A級でなくB級である自分が、それも小さな少女という一種のお荷物を抱えているにも関わらず――
語弊があるかもしれないが、少なくともあすかはその様に認識している。
更に先程の一件から、既に自分の能力を過信している節があった。
故にあすかは更に言葉を続ける事が出来る。
無神経な、周りの事に対して十分に気を配れていない言葉を。
452創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 00:05:39 ID:GGWXNDuh
 
453一歩踏み出して ◆Wott.eaRjU :2009/02/09(月) 00:05:42 ID:LXD2GdsX
「ほら、いつまでそうしているんです? 先程何があったのか僕達に話して下さい」

一歩踏み出し、前へ進ながらあすかは言葉を掛ける。
目線の先には麦わらの少年。相も変わらず、何も反応を見せない。
寧ろ先程よりも、俯いた表情には険しさが色濃く現れている。
だが、あすかは気づいていない。
真紅が何も言わない事を肯定と受け取り、自分の話を進めていく。

「何故、何も言わないのです? 全く……馬鹿ですか、あなたは? こんところで無駄に時間を費やす暇はないというのに」

次第に苛立ちが募ってきたのだろう。
あすかは呆れかえったような様子を見せる。
頭を左右へ振り、自分にはまるで少年の行動が、さも理解出来ないといった仕草。
かといってこのまま状況が変わらなければ、あすかの方も都合が悪い。
よってあすかは少しだけ考える事にしてみた。
少年が何故ここまで自分を無視するのか――、と。
難しいことではない。答えは案外早く理解出来た。

「誰か知り合いが死んだのですか? お気持は察しますがそろそろいいでしょう?」

死んだ。
同時に、麦わらの少年が身体を震えるように揺らす。
確かな動きが垣間見えるが、あすかはまたしても気づかない。
反応を言葉には示さなかったためだ。
またしても沈黙か。あすかが認識したのは、その程度の事ぐらい。
あすかは慣れの感覚すらも覚え始め、更に再び歩を進めていく。
隣にいる真紅から離れ、麦わらの少年の方へ。
これで最後だ。半ば投げやり気味に言葉を吐き捨てるように紡ぐ。

「受け止めないといけない、彼らは死んだのです」

手を少年の方へ伸ばす。
これ以上何も反応がなければ、強引にでも振り向かせてやろう。
いっそエタニティエイトによる干渉を行い、知っている事を洗いざらい聞き出すか。
それでもいいかもしれない。
少年の態度によって今まで積もった鬱憤から、あすかはそう思い始める。
この言葉が、これから言おうとする言葉が少年にとってどういう意味を持つのか。
それを考える気遣いは生憎あすかにはない。
だから、あすかは言った。ある意味では正しい、そしてある意味残酷な言葉を。


「今更何をしても意味がない、もう――“仕方ないんですよ”」

454一歩踏み出して ◆Wott.eaRjU :2009/02/09(月) 00:06:54 ID:LXD2GdsX


これ以上言う事もないだろう。
既に何もかも手遅れなのだ。自分が言った事は、なんら間違っていない。
伝えるべき事は言ったという様子で、あすかは腰を落とした後に手に力を込める。
少年の肩をしっかりと掴む。未だ立ち直れない少年の心が、とても脆弱なものだと思う。
こんなものではこの先生きてはいけないのではないか。
ふと、少年の事をどこか他人事のようにあすかは考える。
まあ、こんな礼儀も知らないような少年は、どうせ赤の他人に変わりはないのだが。
そんな時あすかは――感じた。
急に身体全体が前へ引っ張られるような感覚が襲う。
何が起きたのかを理解する前に、視界に入ってきたものが一つ。
それは――


「仕方ない――なんて言うんじゃねぇ!」


今まで何も反応を見せなかった少年の大きな顔がそこにあった。
海賊王を目指す少年――ルフィ。
麦わら海賊団船長があすかをその両眼で睨んでいた。


◇     ◇     ◇



455一歩踏み出して ◆Wott.eaRjU :2009/02/09(月) 00:08:01 ID:LXD2GdsX

ルフィはいきなり立ち上がり、同時に振り向く。
驚いた様子のあすかを気にも留めずに、彼の胸倉を掴み、中腰の姿勢であった彼を引き上げる。
両眼を見開き、真っ黒な瞳であすかを正面から睨んでいる。
その迫力は凄まじく、思わずあすかは言葉を失う。
大事な制服を乱暴に扱われている事の抗議すらも口に出せない。
理屈ではない。
自分の言葉が、何かを引き起こしてしまった事を本能であすかは理解する。
あすかに出来る事は限られている。
唖然としたまま、あすかはルフィの言葉を黙って聞き入れる事ぐらいしかなかった。

「ウソップが死んじまったコトを“仕方なかった”で片付けられるかよ……!
あいつとの思い出は、おれ達の冒険は……そんなちっぽけなものじゃない!」

ルフィが片腕に力を込めながら叫ぶ。
更に制服を引っ張られたため、あすかの表情が痛みにより僅かに歪む。
しかし、ルフィは止まらない。
麦わら海賊団の狙撃手であるウソップの死。
ルフィにとっては予想していなかった出来事であり、且つ悲しみを覚えずにはいられなかった。
付き合いは長い。海賊団の中でも、入団の時期は前から数えた方が早い。
当然、ウソップとは様々な思い出があった。
笑った。くだらないコトを言って、大いに笑い合った。
冒険の途中で出会った敵と共に戦い、仲間の絆を確かめ合った。
ルフィ以外の仲間達には、直ぐばれるような嘘を何度も言っていたウソップ。
喧嘩したこともあった。海賊団から抜けた時もあった。
忘れる事もない、あの時ウソップと行った決闘。
彼の強さを、仲間としての心強さを改めて確認したあの瞬間が鮮明に蘇る。
あの嘘が、どこか憎めない笑顔が、もう自分達の海賊団では見られない。
もう二度と、何があろうともウソップが、自分の名前を口にする事もない。
いつの事だったか、そげきキングと名乗った、あの愉快な狙撃手がもう帰ってくる事はない。
たとえ何があろうとも、自分達の冒険に終わりが見えたとしても――絶対に。
そう思うとルフィは悲しみと共に、どうしようもない悔しさが込み上げてくるのを確かに感じた。

456創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 00:08:24 ID:x9W9J5W4
支援!
457創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 00:08:54 ID:Z+8Ut9OY
 支援
458創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 00:08:59 ID:x9W9J5W4
 
459一歩踏み出して ◆Wott.eaRjU :2009/02/09(月) 00:09:27 ID:LXD2GdsX

「ウソップは大事な仲間だったんだ……おれ達の、大事な……仲間だったんだあああああああああああああああ!!」


一際大きな声。
怒り、悲しみ、後悔――幾つもの感情が混ざり合って、大きな流れを作り出す。
幾ら叫んだとしても、ウソップの死を覆せはしない。
そう、結局こんな事には意味がない。もう“仕方がない”事なのだ。
頭ではわかっていようとも、ルフィは黙って受け入れたくはなかった。
麦わら海賊団の団長である自分が受け入れてしまう
そうすれば、ウソップの存在が、本当に何処か遠くへ行ってしまいそうで――怖かった。
今まで命の危機を感じる事はあったが、自分や知り合いが実際に命を落とすまでの事は多くなかった。
しかもウソップが命を落とした理由が、見知らぬ男が開催した殺し合いによるものときている。
馬鹿げた事だ、本当に馬鹿げている。
何故、ウソップがこんな場所で死ななければいけなかったのか。
ウソップを殺した奴を許せないと思うと同時に、ギラーミンに対しても怒りを燃やす。
勿論、ウソップだけではない。
エルルゥ、先程の放送で知ったトウカ、そして戦ったばかりであるベナウィを始めとした14人も忘れられない。
エルルゥの墓と交わした約束を既に破ってしまった事による申し訳なさを力へ変える。
ギラーミンを倒す力へ、大切な仲間を守るための力へ――ルフィはひとえにそれを望む。
だが、突如として襲いかかった事実に対し、ルフィは慟哭をあげる。

「……あなたの話はわかりました。ですが、やはりもう仕方のないことであって、それよりも――」
「わかってる! わかってるけど、おれは……おれは……!」
「い、いい加減に離して下さい!」

一方、あすかの方はルフィの馬鹿力から逃れようともがく。
ルフィの叫びから、自分がずけずけとものを言い過ぎたのはわかっているのだろう。
しかし、先ずはこの不愉快な拘束から逃れようとあすかは身を動かす。
生憎、興奮状態にあるルフィを、落ち着かせるという選択肢はあすかにはなかった。
そしてルフィの方は、あすかの抵抗に応えるように腕の力を強める。
理由は定かではないが、半ば無意識的に行ってしまったのだろう。
逃げようとするあすかを引きよせる形となる。
その挙動は自分の激情を知ってもらいたいような素振りにも見えた。
そんな時、二人の元へ駆け寄る影が1つあった。

460一歩踏み出して ◆Wott.eaRjU :2009/02/09(月) 00:10:25 ID:LXD2GdsX

「……二人とも、ちょっと屈んでちょうだい」


言うまでもない、真紅だ。
言い争っていたルフィとあすかは一瞬、言葉を詰まらせる。
二人は訝しげに真紅を見やるが、さも真剣な眼差しを返される。
次に互いに視線を合わせ、目配せをほぼ同時に行った。
どうする――?、と奇しくも彼ら二人はこの時は妙に気があった。
真紅はその様子を見て、間髪入れずに再び口を開く。

「さっさとしなさい!」

一声。
両腕を組み、悠然と構えながら真紅はそう叫ぶ。
明らかに怒り――いや、苛立ちといった方が正しいかもしれない。
兎に角、好意的な感情が籠っていない声である事は確かだ。
ここは一応言う通りにして置こう。
そう思い、逸早くあすかが腰を屈ませて、ルフィもその動きにつられる。
二人の目線は下がり、真紅のそれとの距離は近くなる。
これからどうするのだろう。
尤もな疑問を抱く二人を余所に、真紅は徐につま先立ちで、少し背を伸ばして――


「「う、うわ!」」


二人の頬を平手ではなく、真紅は自慢のツインテールで力強く叩いた。
真紅のツインテールによる打撃は、ローゼンメイデンの姉妹達の中でもその鋭さには定評がある。
特にですです人形こと翠星石いわく――“進化している”、だそうだ。
そして予想外だったのだろう。
彼ら二人は程度に違いはあれど、それぞれ驚きの言葉を口にする。
真紅はその様子を、ジトーと冷たげな視線を送りながら確認。
溜息混じりに言葉を紡ぐ。

461一歩踏み出して ◆Wott.eaRjU :2009/02/09(月) 00:10:48 ID:LXD2GdsX

「少しは落ち着いたかしら?」
「あ、ああ……悪い」

真紅の言葉が示すとおり、彼女はルフィの動揺を落ち着かせる事を狙っていた。
対するルフィは素直に礼を返す。
実際、完全とはいえないまでも落ち着きは徐々に戻っている。
ゴム人間であるルフィには、先程の打撃はあまり効きはしなかったが、多少の刺激にはなった。
青色の輝き、どこか造られた感が拭えない真紅の瞳がルフィを静めていく。
真紅はルフィの様子を観察し、やがて満足げに小さな笑みを浮かべる。
どうやら上手くいったようだ。
不意に真紅自身にも安堵のようなものが生まれる。
だが、そんな時無粋な言葉が横から突っかかる。


「ところで真紅、何故僕まで? 落ち着かせるのであれば彼だけで良かったのでは……?」
「……ちっ、細かいわね。別に減るもんじゃないし良いじゃない」
「は、はぁ!? なんですか、その態度は!? あなたの中では僕は一体どういう扱いなのですか!?」
「下僕よ」
「は、初耳だ!? しかも即答ですか!? 」
「……おまえら、見てるとなんか面白いな!」
「見世物じゃありませんよーーーーー!!」


ルフィの表情には段々と生気が漲り出す。
あすかの方も先程抱いた、己の力への過信も、ルフィに対する嫌悪もどこかへ失せたような様子だ。
しかし、二人は気づいていない。
真紅は確かに笑ってはいた。
目線を逸らし、さも捻くれた様子であらぬ方向を見ている。
だが、その笑みの奥底では耐え難いものがひっそりと隠れていたことに。
そう、真紅もまた大きな衝撃を覚えていたのだから。
先程の放送に対して。


◇     ◇     ◇


462創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 00:12:53 ID:x9W9J5W4
  
463創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 00:13:28 ID:x9W9J5W4
下僕w
464創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 00:15:30 ID:GGWXNDuh
 
465創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 00:18:32 ID:ZOSUdRSn
支援
466一歩踏み出して ◆Wott.eaRjU :2009/02/09(月) 00:19:13 ID:LXD2GdsX

「じゃあ、おれはいくぜ。ゾロ達やハクオロ、アルルゥ、カルラって人達に会ったらよろしくな!」
「ええ、わかったのだわ。ルフィ」
「よし! 頼むぜ! “チンク”」
「……微妙に違うのだわ」
「あれ? あーーー真紅だったか! 悪い悪い!」
「先行きが不安ですねぇ……」
「うるせぇぞ、“むすか”」
「ほら、また間違ってるじゃないですか! あすかですよ、橘あ・す・か!」

ポンと手を叩き、いしししと特徴的な笑みを作りながら、得心がいった様子を見せるルフィ。
真紅とあすかの方はというと、自然と溜息を零している。
ルフィを知る者ならば、予想には容易い。
案の定、彼らの名前を字間違えながら、ルフィは彼らと別れの挨拶をする。
一緒に行動しようとは思ったが、分散した方が互いの知り合いと合流できる可能性も高くなる。
既に知り合いの何人かが死んでしまった現状であり、ぐずぐずしている暇はない。
あすかもまたルフィに対する蟠りは捨てきれず、結局ルフィとは別行動を取ることに決めていた。
そのため、ルフィとあすかの仲はあまり良いものとは言えない。
まあ、あすかの方が少し過剰気味に、ルフィを毛嫌いしている節が少しあったのだが。
ちなみに互いの知り合いの名前や、放送があるまでの簡単な行動についての情報交換は終えている。
真紅とあすかが齎した、この会場がループしている情報はルフィを大いに驚かせた。
一方ルフィが教えたのは二人の危険人物の情報であり、真紅とあすかは彼らの特徴などを深く記憶した。

「えーーーっとそれで真紅の知り合いが翠星石、蒼星石。あすかの知り合いはカズマ、クーガーでいいんだよな?」

そして参加者名簿を片手にルフィが確認する。
但し、カズマの方は知り合いといってもあすかとは敵対関係にある。
また、この殺し合いに呼ばれた時点では、無常矜持とあすかに接点はないため、彼の事には触れていない。
あすかはその旨を伝えて、ルフィはしっかりと頷く。
しかし、真紅の方は首を縦には振らない。

「それと水銀燈もだわ」
「お? わかったわかった。よし、これで……と。それでこいつとはどういう関係なんだ?」
「……姉妹よ。長い間仲が悪い、姉妹の内の一人だわ」
「ふーん、そっかぁ……」

手で頭を掻きながら。ルフィはしげしげと水銀燈の名前を見つめる。
何か疑問を抱いたのだろうか。
真紅はルフィの仕草からそう考えるが、心辺りはない。
もしや此処に来るまでに出会った事があるのかもしれない。
名前の間違いから、ルフィの記憶力がお世辞にもいいものではないのは事実。
だが、水銀燈を含めてローゼンメイデンは人形であり、その外見は特徴的だ。
よって流石にそれはないだろうと真紅は密かに思う。
ルフィはそんな真紅の様子に気付く由もなく、言葉を続ける。
467一歩踏み出して ◆Wott.eaRjU :2009/02/09(月) 00:20:29 ID:LXD2GdsX

「でも、昔は仲良しだったんだよな? 真紅と水銀燈は?」
「え、ええ……そうね」

真っ黒な瞳。
純粋な、一点の曇りもない瞳はルフィの人間性を映し出す。
その瞳と言葉を突き付けられて、真紅は詰まりながらも返事を返す。
仲良し――確かにそうだった。
以前、本当に以前には午後の紅茶を楽しんだりもした。
未だアリスゲームが始める前の、一世紀以上も前の出来事。
当事者である真紅ですらも既に色褪せたものでしかなく、今となっては遠い夢の記憶にも等しかった。
だが、その事を知らない筈のルフィは、さも当然のように言い放つ。


「だったらおれが真紅と水銀燈を会わしてやるよ! 姉妹なら仲良しの方が良いに決まってるだろ!」


力強くルフィはそう宣言する。
真紅はアリスゲームを、姉妹同士で互いに戦い合う宿命はルフィには教えていない。
もしその事を言ってしまえば、ルフィはきっと心の底からアリスゲームの是非を疑うに違いない。
間違いない。ルフィの性格からそうに決まっている。
出会ってから僅かな時間しか経っていないにも関わらず、真紅は確信が持てた。
愚直なまでに真っ直ぐな心が、ルフィの言葉からひしひしと感じる事が出来たのだから。
最早水銀燈との関係の修復は無理だと思っていても、なんだか少しは望みが持てる気すらもしてくる。
きっとこれもルフィの人柄が成せる事のなのだろう。
真紅の沈黙を肯定の意と受け取り、ルフィは満足げに笑う。
真っ白な前歯を惜しげもなく見せびらかして――


「じゃあ、また絶対に会おうな!!」


心の奥底で死んでいった者達を留めながら。
掛け替えのない仲間を、未だ見ぬ仲間達との合流を焼きつける。
そして味わった悲しみを忘れない様に――ルフィは走り出していった。
いつもより少し寂しげな背中を見せながら、それでいて足取りはしっかりと。

468創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 00:20:59 ID:x9W9J5W4
むwすwかw
469一歩踏み出して ◆Wott.eaRjU :2009/02/09(月) 00:21:50 ID:LXD2GdsX
【E-2 駅周辺 1日目 朝】

【モンキー・D・ルフィ@ワンピース】
[状態]:右手のひらに切り傷 、左肩から胸にかけて浅い切り傷、右足ふくらはぎに深い切り傷、中度の疲労 ウソップ達の死に悲しみ(出来るだけ我慢している)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式 ・三代目鬼徹@ワンピース、エルルゥの首飾り@うたわれるもの
[思考・状況]  
 1:エルルゥの仲間を探し、エルルゥの墓前に連れて行く
 2:ギラーミンブッ飛ばす!
 3:ワニ(クロコダイル)は会ったらブッ飛ばす!
 4:一応探すけど、ゾロ達は一人でも大丈夫だ!
 5:翠星石、蒼星石、水銀燈、クーガーとの合流。カズマには注意。
【備考】
 ※原作44巻(第430話)終了後から参戦。
  ギア2およびギア3の能力低下、負荷は凄まじいものになっています。
 ※悟史の金属バッド@ひぐらしのなく頃に、基本支給品一式、アミウダケ@ワンピース 、サカキのスピアー@ポケットモンスターSPECIAL、
  庭師の如雨露@ローゼンメイデンはデイバックに詰められ、エルルゥの墓の前に置かれています
 ※真紅、あすかと情報交換をし、一回目の放送までの二人の行動を大体知りました。また、会場がループしている事も聞きました。
 ※何処へ向かうかは次の方にお任せします


◇     ◇     ◇

470一歩踏み出して ◆Wott.eaRjU :2009/02/09(月) 00:22:36 ID:LXD2GdsX

「行ったか……騒がしい奴だったな……」

駅のホームに備え付けられたベンチに腰掛け、あすかは言葉を発する。
落とした視線の先には、しわくちゃになった自身の制服。
ルフィの力がいかに相当なものであったかを今でも思い知らさせる。
アルターもないのにこれ程までとは――実際にルフィと戦わずに済んだことに、つい安堵を覚えてしまう。
そうだ。たとえアルター使いではなくとも、劉鳳を打ち倒す程の参加者が居るのだ。
浮きたった自分を見つめ直し、あすかは気を引き締める。
何故なら自分は死ぬわけにはいかない。
大事な、大事な恋人があそこで自分を待っているのだから。

「しかし、真紅は遅い。全くこれだから……」

待つと言えば今の自分もそうだ。
あすかは電車を待つと同時に、真紅の事も待っている。
以前、あすかは真紅に会場全体を回ってみたいと提案し、それを実行に移すためだ。
となれば此処から最も離れた駅はG-7にあり、取り敢えずの目的地は其処に決めていた。
但し、知り合いや協力してくれる参加者を捜す為に、途中でC-4の駅で降り、ある程度の探索をするつもりだが。
しかし、真紅はルフィと別れた後、少し用があるからあすかに対し先に行くようにと言った。
何故だろうか。改めて理由をあすかは考えるが――やがて、答えに辿り着く。

「そ、そうか! 確か真紅の知り合いに……」

何故気づかなかったのか。
劉鳳の死から湧きあがった優越感、そしてルフィの対処に気を取らていたのかもしれない。
真相は判らないが、あすかはそれよりも今の真紅が心配になった。
そう。先程の放送で呼ばれた桜田ジュンという名前は――


「待たせたわね、あすか」


そんな時、真紅がゆっくりとした足取りで階段を上り、あすかの方へ進んでいく。
凛とした表情、歩の進め方は堂々としている。
あすかは何かを言い掛けようとするが、口を半開きにしたまま、何も言えない。
驚いたような目つきによる視線の先には、真紅の小さな顔。
真紅の表情には歪みはなく、至って平然な様子だ。思わずあすかは言葉を失う。
やがて電車の到着を知らせる警音が響き、程なくして二人の前で自動ドアが開く。


「さぁ……行くわよ」


真紅の声のトーンが、心なしか落ちたことにあすかは気づく。
ハッとした様子をあすかは見せるが、言葉には出さない。
只、力強く真紅の言葉に頷く。
真紅はあすかの無言の応答を横眼でちらりと見る。
471一歩踏み出して ◆Wott.eaRjU :2009/02/09(月) 00:23:27 ID:LXD2GdsX

(ジュン……おまえは良く頑張ったのだわ)


思い浮かべる。
桜田ジュン。真紅の現在の契約者であり、力の供給源――ミーディアム(媒介者)。
ジュンはお世辞にも優秀な契約者とは言えなかった。
体力はなければ、特に秀でた能力もない。
とある事情で学校とやらにも行かず、他者からの干渉を嫌った。
だが、ジュンはあの日巻いたのだ。
ローゼンメイデンの螺子を巻き、アリスゲームに関わる資格を否応なしに受け取った。
そこから始まったジュンとの生活の思い出は一際色濃い。
今までアリスゲームが中断される度に、何度も何度も契約者を変えてきた真紅の中では。
以前、自分の身体から引き抜かれた両腕を、ジュンが元通りにしてくれた事があった。
あの時は素直にジュンの素晴らしさを褒めた。
誇りに出来るように、自分への自信が持てるように――そう願った。
いつかジュンが自分の足で、外の世界に向かって歩いていける事をひとえに。

だが、ジュンは死んだ。
どこの誰かもわからない参加者に。
一人で居たのならきっと一方的に殺されたのだろう。
悔しいとは思う。悲しいとは思う。
何故ジュンがそんな目に遭わないといけないのかと思う感情は当然ある。
しかし、あすかが言ったようにもう仕方ないのだ。
既に自分自身へその事を納得させる時間は十分に取った。
つい先程までの空白の時間の使用の用途がそれだ。
そして今すべき事は前に進むことだと真紅は信じる。
自分とジュンの立場がもし逆であれば、自分はそう望むだろうから。
“縛る”過去にはしたくはない。
後悔に押し潰されて、自分の未来を潰すような過去には。
だから忘れてはいけない過去にしよう。
今まで確かに、自分のミーディアムが居た事を。
大事な存在であった、桜田ジュンという少年が確かに傍に居た事を――
真紅は小さな胸と心に深く刻む。


(だから、また――会いましょう。
今度はまた違った出会い方で。たとえばあなたが螺子を巻かなかった世界……もしそんな世界があるのなら……ね)


腰を落としていたあすかに眼もくれずに、真紅が数歩の助走を経て電車に飛び乗る。
きっと真紅の歩幅では乗車は難しいと思っていたのだろう。
良い心がけだ。妥協点を上げても悪くはない。
そんな事を思い、ジュンに対して、叶う事のない願望を混ぜた言葉を送る。
振り向き、慌てて自分の方も車内に乗り込んでくるあすかを見据えた。


「もう、何も失わせないためにも」


その眼差しには強い意思を乗せて。


472一歩踏み出して ◆Wott.eaRjU :2009/02/09(月) 00:24:27 ID:LXD2GdsX

【E-2 列車内 1日目 朝】

【真紅@ローゼンメイデン(漫画版)】
【装備】:庭師の鋏@ローゼンメイデン
【所持品】:基本支給品一式、不明支給品0〜2個(未確認)
【状態】:健康
【思考・行動】
 1:殺し合いを阻止し、元の世界へ戻る。
 2:列車に乗って、会場全体を一通り見ておきたい。そのためC-4駅で下車し、最終的にはG-7駅を目指す。
 3:ループを生み出している何かを発見する。
 4:翠星石、蒼星石、クーガー、ゾロ、チョッパー、ハクオロ、アルルゥ、カルラと合流する。
 5:カズマ、水銀燈、クロコダイルに用心する。また、水銀燈が殺し合いに乗っているようであれば彼女を止める。
 【備考】
 ※参戦時期は蒼星石死亡以降、詳細な時期は未定(原作四巻以降)
 ※あすかと情報交換し、スクライドの世界観について大雑把に聞きました。
 ※蒼星石が居る事や、ホーリエが居ない事などについて疑問に思っています。
 ※ループに気付きました。ループを生み出している何かが会場内にあると思っています。
 ※ルフィと情報交換をし、一回目の放送までの彼の大体の行動を知りました。また、二人の危険人物(バラライカ、ラッド)の特徴なども簡単に聞きました


【橘あすか@スクライド(アニメ版)】
【装備】:なし
【所持品】:基本支給品一式、不明支給品1〜3個(未確認)
【状態】:健康
【思考・行動】
 1:ギラーミンを倒し、元の世界へ戻る。
 2:列列車に乗って、会場全体を一通り見ておきたい。そのためC-4駅で下車し、最終的にはG-7駅を目指す。
 3:ループを生み出している何かを発見する。
 4:翠星石、蒼星石、クーガー、ゾロ、チョッパー、ハクオロ、アルルゥ、カルラと合流する。
 5:カズマ、水銀燈、クロコダイルに用心する。特にカズマは気に食わないので、出来れば出会いたくもない

【備考】
 ※参戦時期は一回目のカズマ戦後、HOLY除隊処分を受ける直前(原作5話辺り)
 ※真紅と情報交換し、ローゼンメイデンの事などについて大雑把に聞きました(アリスゲームは未だ聞いてない)。
 ※ループに気付きました。ループを生み出している何かが会場内にあると思っています。
 ※ルフィと情報交換をし、一回目の放送までの彼の大体の行動を知りました。また、二人の危険人物(バラライカ、ラッド)の特徴なども簡単に聞きました
473 ◆Wott.eaRjU :2009/02/09(月) 00:26:45 ID:LXD2GdsX
投下終了しました。
支援どうもです。途中のタイムラグはさるさんに掛ってましたorz
それとあすかの参戦時期が自分が想定していたものと少し違っていたことに後から気づいたので、修正しました。
それでは何か矛盾点などあればお願いします。
474創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 00:35:27 ID:GkJildjL
両名とも投下乙です!

>方針
切嗣と美琴はとりあえず無難に組んだなぁ。
美琴はどうなるかと思ったけど、切嗣のお陰で落ち着いたみたいでよかった。
しかし、切嗣もまさか圭一が自分の会いたくない金ぴかと一緒とは思いもよらないだろうな。
あと互いに魔術のある世界から来てて、まだ並行世界の存在だと気付いていないのも面白い。
果たしていつ気付くやら。

>一歩踏み出して
3人とも知人が死んでいるグループだっただけにどうなるかと思えば…
あすかマジKYwwグラハムとは別方向に空気を読まないなぁ。
ジュンの死も受け止め、2人の諍いも収める真紅が本当功労者だ。
これからもあすかの支えとして頑張ってほしいな。
気になるのは、2人の乗ったのが我様&召使Kと同じ電車か、それともその前後の電車か。
同じ電車だと面白い展開だけど…果たしてどうなる?
ルフィはウソップの死を受け、そしてあすかの言葉に怒る、うん、彼らしい。
水銀燈に対する意見も本当に。彼にとったらアリスゲームなんてバカらしいんだろうなぁ。
果たして残りのうたわれ勢を見つけられるのだろうか?
475創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 00:48:00 ID:PS0IO7e5
投下乙です。
あすかさん、易々と地雷踏み抜くとかパネェっすwwwこの思考回路は確かに初期あすかだwww
いやー本当、真紅がいて良かった。
ルフィも少しは立ち直ったようだし頑張って欲しいところ。
GJでした!
476創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 00:57:06 ID:Z+8Ut9OY
うおおお3っつも投下来てる。
>どす黒い
○組分裂か
この5人での再会を期待したいけどロワじゃ厳しいからなぁ
近くのメンバーも繋がりがあったり癖のある奴がいたりとだれと会うのかが期待!

>方針
正直放送後の美琴が暴走するのではと思っていましたが
面白そうなコンビに期待したいです。
何気にライダー達の近くにいるんですしね
アーチャーも近くに向かっていますしFate勢の早期集結もありえそう。

>一歩を
仲間を失ったメンバー同士の行動、
そして結構大きな意味を持ちそうな情報交換
そしてチンクとムスカw
そしてルフィ地味にゾロは近いぞー
477創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 00:59:47 ID:x9W9J5W4
投下乙です!

あすかのKYさっぷりが半端ないw
流石社長!俺たちに出来ないことをやってくれる、そこにしびれる憧れないィ!
ツインテールアタックをした真紅に思わず「よくやった!」と言うところだったw
それにしても近しい者の死に対してのありようが正に三者三様
水銀燈ついて、真紅と銀様との関係が今みたいないがみ合いでなく、
純粋に信念や夢のための戦闘ならルフィは止めないんだろうな
自分の兄弟と重ねて
そして紅い子の気丈さやら気高さやらで、紅い子がどんどん好きになっていくんだがどうしようw
紅い子かわいいよ紅い子
478創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 06:21:58 ID:Vo52pMRb
あすかKYwwwwww
479 ◆YhwgnUsKHs :2009/02/09(月) 14:12:09 ID:GkJildjL
『王の裁き』の修正稿をしたらばの仮投下に投下いたしました。
矛盾点がないかどうかのチェック後、wiki収録をお願いします。
修正点は

・冒頭の回想でのブルックのセリフ、描写削除。
・指摘のあった『効いてこなかった→聞いてこなかった』の誤字修正
・雪走の取り合い場面での、ゾロ、ギルのセリフ、描写、要求理由等の修正
・ゾロの状態表の修正(雪走への認識の情報を追加)

です。どうぞよろしくお願いします。
480創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 17:42:10 ID:GDB6rW3H
見た限りには問題ないと思います。
481創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 20:57:30 ID:i6vs3cbt
>>429
あ今さら気付いてしかも細かいですが指摘。

>(能力者だらけの学園都市?十字教?そんなモノは知らない。いや、存在しない。魔術協会や聖堂教会はどうなっている?
 聖杯戦争中に世界が一変したわけでもあるまいに……)

御坂は魔術関係の知識ゼロなので十字教は知らないはず。
482481:2009/02/09(月) 21:03:02 ID:i6vs3cbt
あ、勘違いでした。
481はなしの方向でw
483 ◆TEF4Xfcvis :2009/02/09(月) 23:10:47 ID:nqVcGe5J
みなさん指摘、感想ありがとうございます。
暗示に関してはむしろ緩くていいという声もあるので6時間制限をなくしたいと思います。
別にそんなにバンバン使うこともないでしょうし
484創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 23:19:35 ID:mKj6qcsL
>>483
乙ですー


あと新しい予約きてる!wktkwktk
485創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 23:45:18 ID:x9W9J5W4
>>483
修正乙です!

お、マジだ
って波乱含みの人形トリオとチート×チートの遭遇だと…!?
これは一体どうなるんだ
486創る名無しに見る名無し:2009/02/10(火) 00:04:50 ID:uVwP3eKh
これはクリス涙目だなw
ただでさえ歯が立たなかったのに……
487創る名無しに見る名無し:2009/02/10(火) 01:55:56 ID:UypEruHS
ついにクレアとクリスが出くわすか?
そしてクレアはクリスを知らない
さぁどうなる?
488創る名無しに見る名無し:2009/02/10(火) 09:43:02 ID:suodV5qn
今日は詩音とロベルタが投下されるのかな?
489創る名無しに見る名無し:2009/02/10(火) 10:54:22 ID:OmX5Hv+i
結構気になる組み合わせだわな。
パニッシャーも持ってるロベルタ相手じゃ詩音の敗色濃厚だが……。
ハナハナの能力と、不明支給品が鍵を握るか?
490創る名無しに見る名無し:2009/02/10(火) 16:37:11 ID:xNrZhNgG
そろそろ現在位置も更新なるかな?
491創る名無しに見る名無し:2009/02/10(火) 17:08:54 ID:/2IXDDoo
俺は起きてからこの時間まで一体何をしていたんだ
ネットは広大だね
492創る名無しに見る名無し:2009/02/10(火) 17:09:55 ID:/2IXDDoo
誤爆した
493創る名無しに見る名無し:2009/02/10(火) 20:37:24 ID:suodV5qn
何の誤爆だよw
494創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 01:30:24 ID:PgksbIkH
あれ?まだ投下されてないのかと思ったら延長か
つまりこれは支援できなかったと思ってた俺が投下に立ち会える可能性ができたってことだな
495創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 21:57:03 ID:jSrrVe/B
間が空きましたが、地図更新です!

本当学校周辺は火薬庫だぜハァーフフゥー
http://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00901.png
496創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 22:10:12 ID:LIFnZtXS
おお!地図乙です!
確かに学校周辺がやばいw
497創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 22:13:06 ID:yt1sOW+0
地図乙! 右下の過疎っぷりと学校周辺、遊園地周辺がやべえw
498創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 22:24:14 ID:fBcJfC00
地図乙です。なんか学校とか遊園地とかいうより
左側がやべえwww
そして丈助達がマーダーに囲まれとるw
それとルフィ&ゾロやレナ&魅音、(ライダー&切嗣もかな?)
あたりが以外と近くにいる再会はあるかな?
499創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 22:29:36 ID:yt1sOW+0
仗助達がマーダーに囲まれている? HAHAHA、そんなわけ


              クレア


 レヴィ       仗助&アルルゥ               カズマ
           \(^o^)/
           グレーーーーーートゥ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


             ゼロ&水銀燈



アレェー?
500創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 22:49:41 ID:CvY0r/o5
>>498
実は2体のサーヴァントは、原作で切嗣に会ったことが殆どなかったりする
ギルガメッシュはラスト付近で姿を見たのと、言峰が切嗣を調べてたから名前くらいは或いはって程度
イスカンダルは切嗣の存在すら知らないはず
501 ◆SqzC8ZECfY :2009/02/11(水) 23:02:21 ID:+sJjcxGo
地図の人おつです!
お待たせしてすいませんが、今からロベルタ、詩音投下したいと思います。
502創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 23:03:19 ID:yt1sOW+0
キターーー!支援!
まどろみの中で時間が溶ける。
記憶の前後が境目をなくす。


夕暮れの田舎道を歩いている。
自転車を引いて歩く。
かごに夕食のために買った食材をのせて、二人の横を歩く。
腕によりをかけた料理でこの二人を喜ばせてやるつもりだった。
野球のユニフォーム姿の十代半ばの少年と、小学生くらいの少女。
二人は兄妹だ。
傍目にでもとても仲が良いと分かるほど、楽しそうに言葉を交わしている。
内容は何の変哲もない日常の出来事なのに、聞いているだけでこちらも何故だか心が弾む。
好きな人が嬉しそうにしていると、こちらも嬉しくなる。
たったそれだけのこと。
だけどそれはとても大事なこと。
きっと幸せとはこういうことだ。
二人の兄妹がこっちを向いた。
言葉を交わした。
どんな会話をしたのかよくわからない。
だけど彼らは楽しそうに笑っていた。
自分も多分、笑っていたと思う。
それで充分。
多くを望んだ覚えはなくて、たったそれだけを求めていたはずなのに。
すぐにでも手に入るようなささやかな喜びであるはずなのに。
なぜかそれは遥か遠い日の、もう届かない彼方の記憶に感じられてしまう。
いつからそう思うようになっていたのだろう。
少年が姿を消したその日から、もうどれくらい経っただろう。
でも忘れない。
忘れることなどできるものか。
少年がゆっくりと手をかざした。
それだけで身動きが取れなくなってしまう。
子供をなでるような仕草で、額の上に優しく置かれた手の平のぬくもり。
名前を呼んだ。
いつだって片時も忘れなかった愛しい人の名前を――、


まどろみの中で時間が溶ける。
記憶の前後が境目をなくす。


◇   ◇   ◇


「さとし――くん」

自分の呟きが静寂の中にかき消えていく。
古寺の本堂は微妙な残響をその呟きに与え、それによって詩音は現実を認識した。
ここは夕暮れの田舎道ではなく、古寺の中。夜の森を逃げ惑ってここに辿り着いた。
どうやら疲労でうたた寝してしまったようだ。
時計を確認すると午前六時前。
ということはあの殺し合いは現実なのか。
微かにこれが夢であったらいいと思ってしまった。
あの夢が現実であったならと。
いや、現実にするのだ。

「悟史くんに会うんだ」

はっきりと口にだして自分の想いを確かめる。
生き残ってみせる。ここまで待って、ここまで戦って今さら失ってたまるものか。
だがそこで、詩音と共に少年の横を歩いていた夢の中の少女がイメージの中で笑いかける。

「さと、こ」

少年の最後の言葉。
妹の身を最後まで案じていた。
そして詩音に頼むと言い残した。
少年は――悟史は妹を任せられると思って詩音を信じたからこそ、そう言ったのではないか。
それを裏切るのか。自分ひとりで浅ましく生き残るか。


『さて、時間だ――――』


声が聞こえた。
迷いの中にある詩音を嫌が応にもひきつける禁止エリアの発表。
そして死亡者の読み上げ。
部活メンバーは誰も呼ばれなかった。
そのことに安堵する自分がいる。
だけどそのメンバーも殺さなければならないということも同時に認識している。
それが自分にできるのだろうか。
沙都子を。
魅音を。
みんなを。
もう自分は人殺しだ。
真っ白な手には戻れない。
だから今さら……。

――そこで思考は強制的に中断させられた。

耳をつんざく轟音と埃塗れの烈風が叩きつけられる。
木製の壁が粉々に打ち砕かれた。
がらんがらんと床に転がる無数の木片。
それを易々とかき消す甲高い炸裂音が古寺の堂内を蹂躙した。
詩音は現状を認識できぬまま、それでも正体不明の脅威から逃れようと床を転がり、そして身を伏せながら粉々に砕かれた壁の向こうを見た。
飛び込んでくる黒い球体。
それがロケットランチャーの砲弾だということを詩音はそれが爆発する瞬間まで認識できなかった。
真っ白な閃光、ただそれだけ。
全てを吹き飛ばす破壊のエネルギーが荒れ狂った。


   ◇   ◇   ◇


ぎぃ……ぎぃ……と古寺そのものが大きく傾いだ。
最早、崩壊は時間の問題だ。
そこにとどめとばかりに容赦のない機銃の掃射。
正確に支えとなる柱を打ち抜く。めきめき、ぎしぎしと悲鳴のようなきしみが大きくなる。
やがて自重を支えられなくなった建物が崩れ落ちる。
地響き。
完全に潰れた建築物を土埃が包む。
周囲を取り囲む森の木々がざわざわと揺らぐ。
そこから少し離れた地に佇む女が一人。
それが破壊をもたらした張本人だ。
今時ハリウッド映画でしか見れないような古風なメイドの衣装を身にまとう。
その細腕には『墓石』。
いや、十字架型の巨大な銃身だ。
505創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 23:06:29 ID:yt1sOW+0
支援
506創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 23:07:21 ID:yt1sOW+0
急襲支援
内部に仕込まれたロケットランチャーと大口径のマシンガンを完璧に、軽々と使いこなして、彼女は破壊を遂行した。
だがそこで終わらない。
十字架の頭の部分がランチャーの銃口だ。
それを古寺の残骸へと向ける。
片腕で軽々と100Kgはあろうかという物体をバトンかなにかのように回転させて。
じゃきり、と重く大気を打つ金属音。
狙いを定め、躊躇いなく撃った。
ひゅうんと、空気を切り裂く甲高い音。
次いで周囲の木々を揺らす豪快な爆裂音が発生。
積み重なった木材が吹き飛ばされる。
今までそこに埋もれるようにして隠れていた部分から銀の球体が出現した。
つるりと滑らかで、大きさは直径二メートルに満たないくらいか。
ちょうど人間一人が内部に隠れられる大きさだった。
メイドの表情が僅かに歪んだ。
やがて音もなく球体の形が崩れて、中から随分と憔悴した様子の少女が一人。

「あ、あんた……」
「おはようございます、セニョリータ。またお会いしましたね」

憎しみを込めた声にぬけぬけと慇懃な返答を返すメイド。
森の中に差し込む朝日を反射する丸眼鏡のレンズに阻まれて、感情は読み取れない。

「ぐっ……ぅああああああああああああ!!!!」

憎悪の咆哮。
そして視線だけで射殺せるかと思えるほどの殺意を込めて詩音はメイドを睨む。
するとメイドの肩から、物理法則を無視して細い手がにゅるりと生えた。
メイドが驚く暇もなく、その手は喉笛に掴みかかろうと動く。

「……つっ!!」

瞬時にそれに気付いたメイドが跳躍。
身を翻すようにして、近くの木の幹の方向へ。
だが逃げようとも無駄。
肩から生えた腕は容赦なくメイドの喉を潰そうと白い首を掴む。

「死――ぎゃッ!?」

悲鳴を上げたのは詩音。
結論から言ってメイドは逃げようとしたのではない。
自分の身体ごと、その身に生えた腕を木の幹に叩きつける為に飛んだのだ。
そしてその腕がダメージを受ければ、それはその腕を発生させた詩音にフィードバックする。
先程の悲鳴はそのため。
そして木にぶつかった衝撃でメイドの首を掴む拘束が外れ、そのままあの女は木の陰へと身を隠す。

「こ、この……」

あんな外し方をすれば、その衝撃が自分の喉にも伝わるはずだ。
だが木の陰に身を隠したメイドからは咳き込むようなそぶりすら聞こえない。
化け物か。
以前、あっという間に組み伏せられたこともあり、あの女との実力差を詩音は痛感していた。
先程の奇襲による滅茶苦茶な破壊。
パニックに陥りかけ、まるで追い詰められた獲物のような心境だった。
だがそれでもなけなしの勇気を振り絞り、月霊髄液で身を守って、そして必殺と思われた攻撃を発動させた。
ハナハナの実による能力で生やした腕がメイドの喉元へ――起死回生、半ば勝利を確信した。
508創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 23:08:18 ID:gEtIMUbt
おや珍しい
509創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 23:09:36 ID:yt1sOW+0
支援
しかしそれをアッサリと外された。恐怖心がないわけがない。
ひとりでに全身が震えだすのを詩音は止められなかった。

「……どうやら身を隠せば、その腕を生やす攻撃は封じられそうですね」

姿を見せぬメイドの言葉に詩音はびくりと大きく身を震わせる。
実は恐怖に支配されて追撃を考えられなかっただけなのだが、その指摘は当たっていた。

「くっ……くそっ! くそっ!」

メイドに指摘されて気付いた詩音が、実際に攻撃を発動させようとしてようやく気付く。
声のあるほうに大まかに当たりをつけただけでは、この攻撃は意味がない。
正確な位置を掴み、文字通りに急所に腕が届く距離で発動させなければならないのだ。

「さとし、くん……あ、あ、あぁ……」

勝機が見えない。
ここで殺されてしまうのか。
いやだ、死にたくない。
最早、完全に恐怖に支配された詩音は、背を向けて逃げ出すことに一片の躊躇いすら覚えられない。

「――わああああああああああ!!」

身を翻すと、後ろを振り向くことすら考えずに逃げ出した。
朝日が差し込む森の中を跳ねるように、木の間を掻い潜るように。
ただひたすらに、あの死と同義語となったメイドから逃げ出すためだけに駆ける。
やがて弾丸が空気を切り裂く音。メイドの追撃。
詩音の後ろからついてくる月霊髄液がそれをオートガードで弾く。
鼓膜に突き刺さる甲高い金属音。
命を脅かす音――詩音の恐怖心がさらに煽られる。
守られているという安心感はない。
むしろ追いつかれれば殺されるという死の予感が増幅されるだけだった。
いまや詩音には反撃を考えるような、戦意と呼べるものなど欠片も存在していなかった。

「ぜぇっ、ぜぇっ……助けて……助けて……さ、とし、く――」

直接のダメージは防げても、月霊髄液の使用によって詩音の体力は確実に削られていった。
雛見沢で部活メンバーに鍛えられ、ある程度の体力はあったといっても流石に限界はある。
加えて相手が悪すぎる。
詩音はあのメイドの正体を知らない。
名はロベルタ。
本名ロザリタ・チスネロス。
キューバで暗殺訓練を受けたFARCの元ゲリラ。
誘拐と殺人容疑で国際指名手配中。
中南米の密林を蛇蝎のごとく這い回り、暗殺・脅迫・拷問・誘拐なんでもござれの筋金入りのテロリスト。
ゲリラを震え上がらせるはずの特殊部隊が逆に震え上がるほどの最凶最悪の狂犬だ。
詩音は後ろを振り返らない。
たんっ、たんっ、と足音が聞こえるが、確認することが恐ろしい。
振り向けばそこに死神がいそうな気がして振り向けない。
逃げる。逃げる。逃げる。
視界が白む。
チカチカと明滅する。
上半身が安定せず、ふらふらと揺れて、木の幹に腕や肩をこする。
そのショックで失いかけた意識を取り戻しながら、それでも休むことも許されず、ただ逃げることしかできない。
詩音の精神も体力もどんどん削られていく。
そこに後方から笛を吹くような、大気を切り裂く飛来音。
511創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 23:11:47 ID:yt1sOW+0
詩音大ピンチ支援
その狙いは詩音を大きく外し、ゆえに月霊髄液もガードしない。
そのまま通り過ぎて詩音の斜め前の木の幹へ。
その飛来物には見覚えがあった。
崩れた古寺で目にした黒く丸い物体――その直後に来た爆裂。
詩音の疲労によって摩滅した思考回路もようやく理解が追いつく。
木の幹にぶつかった飛来物――それはロケットランチャーの砲弾。
激突、そして爆発。
生じた爆風は詩音の斜め前方から。
月霊髄液が詩音の前に壁を作りガードする。
轟音が水銀の壁の向こうで炸裂する。
衝撃が届かなくとも、その音だけで詩音の身をすくませるのに充分だった。
つまり、逃げ足が止まる。
つまり、メイドが追いつく。
つまり、前方の爆風をガードした月霊髄液は後方をカバーし切れていない。
そこで詩音ははじめて後ろを見る。




そこに――――詩音に向かって暗い銃口が牙を剥いていた。




Una vendicion por los vivos,(生者のために施しを)
una rama de flor por los muertos.(死者のためには花束を)


Con una espada por la justisia,(正義のために剣を持ち)
us castigo de muerte para los malvados.(悪漢共には死の制裁を)


Asi llegaremos――(しかして我ら――)
en el alter de los santos.(聖者の列に加わらん)




「サンタ・マリアの名に誓い――――全ての不義に鉄槌を!!!!」




   ◇   ◇   ◇


硝煙と土煙がない交ぜになって、もうもうと立ち込めている。
機銃の掃射によって熱された銃身から跳ね上がった、無数の薬莢が地面に散らばっている。
ロベルタは巨大な十字架形の銃――パニッシャーを引きずるようにして、ゆっくりと歩を進める。
地面に点々と染み込んだ赤い液体。
それを踏みしめて更に進むとそこは森の出口だった。
森の木々が途切れ、その先に広がるなだらかな草原。
そこは遮蔽物のない下り坂になっており、麓に市街地や電車が走る線路などがあることが見て取れる。
513創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 23:12:32 ID:gEtIMUbt
イカれた奴ばかりだなこのロワw
ロベルタはあの少女をとり逃がした。
必殺の意を込めた先程の攻撃でも、あの銀の液体の防御を完全に撃ちぬくことは出来なかった。
間一髪で不完全ながらも両面に防護を展開してあの少女をガードしたのだ。
地面の血痕を見るからに多少のダメージは与えられたようだが。
今、標的の少女――『園崎魅音』は、ロベルタの眼下。
草原の下り坂を、デイパックから取り出したMTBで駆け下りている。
遮蔽物のない草原では追撃したとしても、あの腕を生やされて逆に撃退されてしまう。
それを防ぐためにもこの森の中で確実に仕留めたかった。
しかし予想外の事態がロベルタの計算を狂わせた。

「……何故、地図の外にまで森が続いていた?」

密林を主戦場にするゲリラだったロベルタにとっては、素人が森の地面を踏み荒らして逃げた跡を追跡するなど容易い。
ターゲットが古寺に辿り着いたところまでは簡単に追いついた。
そして襲撃を仕掛けた古寺は地図の端。
初撃はわざと西側に追い込むように、東側から仕掛けた。
そして思惑通りに獲物は西へ。
そこは地図の端であり、行き止まりのはずだった。
何らかの壁なり、外へ逃げ出せないような妨害があるはずだとロベルタは推測していた。
そうでなければこの殺し合いのルールが成り立たない。
放送でわざわざ禁止エリアを定めても、外に自由に逃げ出せたら意味がないからだ。
よって、地図の端は行き止まりと見ていい。
そこに獲物を追い込んでから確実に仕留める戦法を採ろうと決めた。
森の木の陰に隠れて姿を見せなければ腕を生やす攻撃を封じられると判明したときは、これでほぼ確実に仕留められると確信した。
だが、どこまで追い込んでも行き止まりは存在せず、あまつさえ森の出口まで来てしまった。
追撃の途中でコンパスで方向を確認したが、方角を間違えたということはなかったはずだ。
しかし結果として、ロベルタの眼下に広がる草原、ゴミ処理場や線路。
地図で当てはまるのは古寺とは正反対のC-7エリアだ。
ただ道に迷ってこんなところに来るなどありえない。
不可解な謎を胸に抱きながら、再び眼下の草原へ視線を移した。
猟犬といわれた自分が、ただ獲物が遠くへと逃げ去るのを見ているしかない。
その眼は、獲物を逃したことによる無念さを込めた凶悪な光を、遠く自転車で走り去る少女へと突き刺していた。
そのときふと、近くにデイパックが落ちていたことに気付く。
あの少女のものだろう。
慌てていて、落としたか。
拾い上げて中身を確認した。
一応、用心のために慎重に探ったが、トラップの類はなさそうだ。
中身を取り出してみると、基本支給品一式の他にあったのは古い西洋風の剣だった。
装飾は少なく、シンプルでかなり頑丈そうな拵えだが、持ってみると意外と軽い。
ロベルタは刃こぼれがないかどうか、刃を見つめる。
すると剣が朝日を反射してきらりと輝く。
神秘的な光。言葉に出来ない何らかの力が刀身を包んでいるように感じられた。
これが神の力が宿った剣と言われたら信じてしまいそうになる。
そんな剣だった。
とにかく武器としては使えそうだ。
その他にもこれから刃物を使う必要は色々とあるかもしれない。
ロベルタはこの剣と食料などの道具一式を自分の荷物にまとめ、消費した弾丸を手早く補充した。
そしてもう一度、もはや見えなくなりそうなくらいに距離が離れた少女の姿を見つめ、そして呟く。
515創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 23:13:58 ID:yt1sOW+0
パニッシャーロベルタ恐ろしい支援
516創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 23:14:54 ID:PgksbIkH
  
暗い声で。
誓うように。
懐から取り出した錠剤を、かりりと噛み砕きながら。




「次は殺す。必ず殺す――――園崎魅音」




   ◇   ◇   ◇


「はっ……はっ……はっ……!」


朝日が照らす草原はなだらかな下り坂。
その坂を自転車に乗って滑る様に下る少女。
風でスカートの裾がまくれあがることも気にする余裕はない。
涙でくしゃぐしゃになり恐怖に歪んだ表情のまま、必死でペダルをこぎ続ける。

「血がっ……! 血が止まらないよぅ……! 痛い……悟史くんっ……助けて……!」

銃弾が抉った右肩からの流血が、ハンドルを握る掌にまで赤い筋を刻んでいた。
かすり傷というほどではないが、かといってそれほどの重症というわけでもない。
だが死の恐怖にどっぷりと浸かりきった今の詩音にそう言ったところで納得はしないだろう。

「助けてっ……助けてっ……助けてっ……!」

ありもしない助けを求めて少女はどこまでも逃げまどう。
どこへ行けばいいのか、どうすればいいのか、それは少女自身もわからない。
誰も、誰も、わからない。




【C-6 草原/1日目 朝】

【園崎詩音@ひぐらしのなく頃に】
【装備】:レッドのMTB@ポケットモンスターSPECIAL
【所持品】:基本支給品一式 、月霊髄液(ヴォールメン・ハイドラグラム)@Fate/Zero
【状態】:恐慌状態、MTBに乗って西へ移動中、疲労(大)、右肩に裂傷、出血(軽)、右腕に打ち身(軽)、能力者<ハナハナの実>
【思考・行動】
0:助けて……!
1:優勝して、悟史のところへ戻る。
2:魅音の名を騙る。
3:沙都子に対して……?
【備考】
 本編終了後からの参加
※ハナハナの実の能力を得ました。任意の場所(自身の体含む)に、自分の部位を生やす事ができる。
 生やせる部位は、制限により『腕』のみ。
 今は『腕』を2本、それも互いにそれほど離れた位置には生やせません。 ただし成長の余地あり?
 また、生やした全ての部位に意識を向けるので、慣れていない状態では単純な動作しかできていません。
 生やせる場所は、使用者を中心に15メートルの範囲内に制限。 生やした部位がダメージを受ければ、本人にもダメージ。
518創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 23:15:46 ID:PgksbIkH
よかった間に合った支援




【C-7 北東部 森の出口/一日目 朝】

【ロベルタ@BLACK LAGOON】
[状態]:軽度の薬物依存。メイド服。 右腕に切り傷(応急処置済み)
[装備]:パ二ッシャー@トライガン・マキシマム(弾丸数60% ロケットランチャーの弾丸数2/2) コルト・ローマン(6/6)@トライガン・マキシマム 投擲剣・黒鍵×5@Fate/zero
[道具]:支給品一式×2、コルト・ローマンの予備弾41 グロック26(弾、0/10発)@現実世界 謎の錠剤入りの瓶@BLACK LAGOON(残量 90%)
    パ二ッシャーの予備弾丸 2回分、ロケットランチャーの予備弾頭3個、キュプリオトの剣@Fate/Zero
[思考・状況]
1:サカキとのゲームに乗り、殺し合いに優勝する。
2:園崎魅音(詩音)を見つけたら必ず殺す。
3:必ず生きて帰り、復讐を果たす。
【備考】
※原作6巻終了後より参加
※康一、ヴァッシュの名前はまだ知りません。(よって康一が死んだことも未把握)
※詩音を『園崎魅音』として認識しています。
※ギラーミンの上に黒幕が居ると推測しています、よって優勝の褒美は有効であると考えています。
※錠剤を服用しました。軽度の依存症が現れています。
※ループに気付きましたが未だ半信半疑です。

※C-1の古寺はロベルタにより完全に破壊されました。




【レッドのMTB@ポケットモンスターSPECIAL】
園崎詩音に支給された。
その名の通り、レッドが使っていたオフロードタイプの自転車。
旅の間も愛用していたようで、長持ちしていたことからそれなりに頑丈と思われる。

【キュプリオトの剣@Fate/Zero】
園崎詩音に支給された。
イスカンダルが戦場で愛用する剣。正式にはスパタというらしいが作中では専ら「キュプリオトの剣」と記述される。
宝具という程の魔力はないが、極めて強靭且つ見かけによらず軽量であり、機敏な扱いも可能。
事実アサシンのダークが飛来した際にこの剣で打ち落とした。
また、イスカンダルがゴルディアス・ホイールを呼び出す際はこの剣で虚空を切り裂く。
「王の軍勢」によらず、ブケファラス一頭のみを呼び出す際も同様だった。
520 ◆SqzC8ZECfY :2009/02/11(水) 23:17:16 ID:+sJjcxGo
投下終了です。
お待たせしてすいませんでした。
ご意見ご感想お待ちしております。
タイトルの元ネタはロベルタの異名から。
521創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 23:19:40 ID:PgksbIkH
投下乙!
エリアの端に追い詰めたつもりのロベルタからループのおかげでなんとか逃れられたか…
ロベルタ怖すぎでしょjk
詩音の精神状態もどんどん悪化しているようだし
この2人どっちもいかれ具合が半端ないよ
522創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 23:22:12 ID:yt1sOW+0
投下乙!
パニッシャーロベルタこえええええええ!
強すぎるぞこの組み合わせ!
これから逃げられるハナハナ詩音と月霊髄液も相当なもんだけど。
ループに助けられた詩音、怪我を負ったが、体力消耗状態でどこまでいけるか。
猟犬ロベルタはどこまでも詩音を追う。近くには佐山組や魔女ペアなどもいるが、彼らにも鉄槌は振り下ろされるのか?


そして……2人からそう遠くなく、どっちに見つかってもヤバイ魅音の運命は!?
改めてGJ!
523創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 00:06:45 ID:sgNU1DbA
詩音の疲労が大になってるw
ロベルタも詩音も発狂しそうだな。

投下乙です。
524創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 00:13:59 ID:VrP52lpA
投下乙!
詩音の日常を振り返るとなんか悲しくなってきた……もう引き返せなさそうな感じがプンプンと。
読んでる内に、パ二ッシャーを持ったロべルタさんがいかに凄い恐ろしい存在か思い知らされたぜ!
詩音を逃がした後の、これからの思考も冷静で怖い。
決めゼリフのタイミングもばっちりでいいなぁ。
525創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 01:13:13 ID:7nAPv1OA
蒼い子と変態コンビの予約が入ってた〜wktk
あとまとめも来てた、乙ですよー
526創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 17:59:51 ID:HfzvdtHb
クリストファーって、クレアの名前知ってたっけ?
527創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 18:07:29 ID:kblH6eC8
多分知らない
クレアがフェリックスさんになってから、クレアって呼んでいいのはシャーネだけって言ってたからクリスも本名は聞いてないはず
そういや、クリスって本気出したクレアに瞬殺されたんだよな
人形トリオ、ピンチじゃね?
528創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 18:22:52 ID:+/E/BUqs
でも原作でクレアを負傷させた数少ない内の一人なんだよな>クリス
……跳弾が運良く当たったレベルだけどw
529創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 18:38:28 ID:kblH6eC8
数少ないって言うか唯一じゃね>原作でクレアを負傷させた
あいつは大抵の攻撃は余裕で避けるか受け止めるかするからなあ
まあ、このロワじゃ銃弾より速い攻撃できそうなのが何人もいるから大丈夫かw
530創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 19:02:04 ID:cI6a3AER
クレアの名前はミストウォール最上階でのクレア登場シーンでフィーロが名前を呼んでるし、知っている可能性もある
ただ作中じゃ偽名と知った上でフェリックス・ウォーケンで認識してるみたい(1934シカゴ編、プロローグ7)
531創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 19:25:47 ID:+/E/BUqs
>>529
つ シャーネ
これも偶然だけどw

てかグラハムもクレアのこと知ってるんだよな。
確かこっちもフェリックスの名で認識してた気がするけど
532創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 20:00:44 ID:sgNU1DbA
間違いなく沙都子が勝つな。
533 ◆YhwgnUsKHs :2009/02/12(木) 20:46:32 ID:HfzvdtHb
お待たせしました。
いつものごとく、長いです。長期戦を覚悟してください。
それでは、クレア・スタンフィールド、クリストファー・シャルドレード、翠星石、北条沙都子を投下開始します。
534創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 20:47:15 ID:79YjAhpq
支援
535心に滲んだ赤いアラベスク ◆YhwgnUsKHs :2009/02/12(木) 20:50:27 ID:HfzvdtHb
「そ、そんな……チ、チビ人間……」
「……まさか、ね」

 自然の満ちた森林の中、クリストファーはは抱えていた沙都子と翠星石を地面に置き、暫しの休憩を取っていた。
 それなりに和やかな雰囲気だったが……それは、かの放送によって無残に打ち砕かれた。

 告げられた15人の死亡者の名前。
 その中にあった、それぞれの知り合い。
 桜田ジュン。フィーロ・プロシェンツォ。
 それぞれの知人の死に、2人の反応は異なるものだった。

 翠星石はジュンの死が信じられない様子で、表情は凍り、唇が震えている

「う、嘘です……あいつが、死んだなんて……ギ、ギラーミンの奴のバカ人間が翠星石たちを困らせようと」

 なんとか信じまいと、言葉でそう思い込もうとした。
 けれど。

「でもさ。そんな嘘、本人が生きてこの会場にいるなら意味ないよ?
 出会ったらすぐバレちゃうじゃない」

 そんな幻想を切り捨てるように、それなりに現実は見ているクリストファーがあっさりと翠星石の言葉の穴を突く。
 その指摘に翠星石はぐうっ、と言葉を詰まらせたが、すぐにクリストファーに反論した。

「じゃ、じゃあ、ギラーミンの奴が捕まえて拉致してるです!で、本当は誰も殺し合いなんてしてないって訳です!ほーら、今度は穴なんてないです!」
「…………あのさ。確かに僕たちは今のところ死体なんて見つけてないけど、その可能性も正直低いんじゃない?
 いくらなんでも、誰も彼も死体を見ていない、なんてありえるのかな? 5人くらい集まったら、そんなのすぐわかっちゃうじゃない」
「うううう」
「悪い事は言わないよ。現実を見ようよ、現実を」

 クリストファーの言葉に翠星石は折れたのか、口を結び黙ると地面に座った。


(って言いながら、実は僕も信じられないんだけどね…)
 現実を見ろ、と翠星石に言ったクリストファーも、実は知人の死は信じられないでいた。
 フィーロ・プロシェンツォ。
 友人(クリストファーとしては)である彼は不死者だ。クリストファーの主人、ヒューイと同様に、殺してもすぐ再生する脅威の人間であるはず。
 そんな彼が、死んだと。
(そもそも、フィーロがこの殺し合いに参加させられているって時点でおかしいんだよなぁ。だって殺せないんだもん。フィーロが優勝するに決まってるじゃない)
 死なない人間がいる以上、この殺し合いは不死者が優勝するワンサイドゲームなはずだ。殺し合いを行うギラーミンの趣向が最初から破綻してしまう。
 (ってことは……実は参加者に不死者がいっぱいいるか、あるいは……フィーロの不死を弱める何かがある、とかかな?)
 不死者を殺せるのは不死者のみ。つまり、不死者が複数参加していれば、確かにフィーロを参加させる意義はある。
 だが、結局不死者と一般人の格差は消えない。最後には不死者が勝ってしまうのでは、最初から不死者だけでやればいい話だ。
 となれば、妥当な線は不死を弱める方法ということになる。
(ヒューイ氏はそんなのできたかな? まあ、あの人ならそれくらいできても案外不思議じゃないよねぇ。
 ギラーミンはなんか宇宙がどうたら言ってたけど……もしかして、宇宙人パワーって不死者より凄いのかな?
 ……まあ、いずれにせよ、やっぱりフィーロは死んじゃったって、考えた方がいいよね。
 ……残念だなあ。せめて一目くらいは会いたかったよ。友人の顔くらい、見たいじゃない)
 明るくなってきた空を見上げながら彼は思う。そして確認する。やっぱり、自分にとって敵対している立場でもあった彼は、それなりの存在ではあったのだと。
536創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 20:51:11 ID:79YjAhpq
支援
537心に滲んだ赤いアラベスク ◆YhwgnUsKHs :2009/02/12(木) 20:52:07 ID:HfzvdtHb

(にしても……)
 クリストファーはここで手元の名簿に視線を落とした。
 そこには65人の名前が書かれており、そのうち15人の名前には横線が引いてある。今の放送で死亡が確認されたもの達だ。
 放送が流れ出した時、禁止エリアはわかりやすく地図にメモしていたものの、死亡者の発表で慌ててデイパックを探り名簿を取り出した。その時、クリストファーは初めて名簿を見たのだった。
 なにせ、今までそれなりに忙しい展開だった上、翠星石の愚痴を聞かされてばかりで名簿なんてすっかり忘れていたのだった。
 今改めて目を通すと、クリストファーの知り合いは2人いた。知っている名前は、3人だが。
 友人で不死者のフィーロ・プロシェンツォ。
 自分が世話になった人物のファミリーの一員、グラハム・スペクター。グラハムとは一度戦いあったりした仲で知らない仲ではない。
 その実力もよく知っている。そうそう死ぬことはないだろう。
 そして、そのファミリー、ルッソファミリーと明らかに縁のあるラッド・ルッソ。苗字の時点で予想は付くが、確かあそこにいたころ『ラッド』という名前はよく聞いた気がする。
 会った事はないので人となりはわからないが……噂からして温厚、優しい、安全、という印象はない。説明の時にがなり騒いでいた様子からしても、噂は真実らしい。

 彼は別の名前に視線を移した。
 それは彼の知り合いの名前ではない。
 ここに来るまでの愚痴の中で聞いた名前。
 頼りになるらしい真紅。陰険で悪辣で絶対に会いたくないらしい水銀燈。おこちゃまな雛苺。あと……なんか、黄色いの。
 それは翠星石の姉妹たちの名前で、時々怒って話したり喜んで話したりする翠星石の話をクリストファーも和やかに聞いていた。
 その中で、『彼女』の話を聞いた。
 姉妹の仲でも翠星石にとって特別な存在であり、水銀燈に関する愚痴の中で出てきた、最愛の姉妹の名前。

『蒼星石』

(彼女の事を僕に話した、ってことは結構信用されてきたってことなのかな? うん、友人として大分前進してるな僕たち。
 でも……彼女、死んだはずだよね?)
 翠星石があれだけ死を拒んだ理由であるらしい、蒼星石。彼女は死んだはずであり、彼女たちの動く元であるらしいローザミスティカという物は水銀灯に奪われたはずらしいのだが。
(どう見ても名簿に載ってるんだよなぁ。彼女は名簿見てないみたいだから気付いてないみたいだけど。嘘ついてる感じでもなかったし。
 ……やっぱり言ってみようか)
 クリストファーは蒼星石について翠星石に言ってみることにした。嘘ならばその時点で反応でわかるだろう。

「ねえ、あのさ」
「?なんですサメ人げ」


「い、嫌……」
538創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 20:52:11 ID:kblH6eC8
支援
539心に滲んだ赤いアラベスク ◆YhwgnUsKHs :2009/02/12(木) 20:53:02 ID:HfzvdtHb


 *****


 突然傍から聞こえてきたか細い、けれど聞き覚えがある声に翠星石は振り返った。

 そこには、さっきまで気を失っていたカチューシャの少女――北条沙都子と言う少女だが、2人ともその名前を知らない――が目を覚まし、こちらに恐怖の視線を向けていた。
 目を見開き、体を震わせている。2人が放送に気をとられている間に立ち上がったのか、その脚はしっかり大地を踏みしめ、だんだんと後ろに下がっている。
 まずい、と翠星石が思う間もなく。

「い、嫌ぁぁぁ!助けて!助けてにーにー!!」

 沙都子はすぐに身を翻すと、さっきまで寝ていたとは思えない速度で2人から離れて茂みの中へと飛び込んで行ってしまった。
 このままでは見失ってしまう。
 翠星石は今のところ自分に危害を加えるような人物には会っていない(クリストファーのあれは自分を試すみたいなことだったようなのでカウントしない)。
 けれど、今の放送を信じるならば危険人物がいない、という事は無い。そんな中にあんな状態で走っていくなんて自殺行為他ならない。
(冗談じゃないです! 見ず知らずで、そりゃサメ人間を刺したりしたけど……あいつは怖かっただけです! 怖くて……怖くて、誰も信じられないだけなんですぅ!)
 思い出すのはかつての自分。人間を全て拒絶していた頃の自分。
 その姿を、思い出すからこそ。

「サメ人間! チビ人間を追いかけるです!!」
「…………」

 翠星石はすぐに沙都子を追いかけようと、背後のクリストファーに声をかける。
 だが、いつも喧しいくらいなのに、なぜかクリストファーはやけに静かで、こちらの声に全く答えない。

「こ、こら! 聞いてるですかサメ人」

 間、と叫んでやろうと顔を後ろに向けた翠星石の目に……何か飛び込んできた。


 それは、石。
 変哲も無い、人間の拳大程度の石だった。


 それが、自分の目の前にある。
 けれどなぜ? なぜ、地面に立っている自分の目の前に石が現れるのか。


 その石は回転していた。
 スローモーションのように回転しているのが感じられた。
 けれど、それは時間が遅くなっているのではなく、単に自分の感覚がおかしくなっているのだと翠星石は思った。
 人間は感覚が集中すると、スローモーションの感覚を味わうとよく言うが、それは人形にも適用されるらしい。


 大きな石の礫、それが回転しながら……豪速で自分の真ん前に接近している。
 石とはいえ、かなりの早さだ。命中すれば、顔のに皹……もしかしたら、砕けてしまうかもしれない。
(よ、避け、なきゃ)
 避けたかった。けれど、反応が追いつかない。脚が動く前に、石は当たってしまう。


「さ」


 何かを言う間もなく、石は翠星石の眉間に急接近し――
540創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 20:53:02 ID:79YjAhpq
支援
541創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 20:53:33 ID:79YjAhpq
支援
542心に滲んだ赤いアラベスク ◆YhwgnUsKHs :2009/02/12(木) 20:53:54 ID:HfzvdtHb



 何かによって、上空へと打ち上げられた。


 *****


「サ、サメ人間……」

 翠星石が恐怖で凍りそうな口をなんとか動かして彼を呼ぶ。
 銃身で翠星石に迫る石を上に打ち上げた、赤髪、赤目の男、クリストファーを。

「ほら。早くいきなよ。彼女、どんどん行っちゃうよ? 止めたいんでしょ?」
「で、でも、それじゃあお前が!」

 翠星石を全く見ず、さっきから同じ方向――そう、石の礫が飛んできたまさにその方向――を見据え、銃を改めて構えるクリストファーに、翠星石は叫ぶ。
 誰かが自分たちを狙っている。
 それは今のでわかった。クリストファーはあの時点で既にそれに気付いていた、ということも。
 となれば、そんな相手をクリストファー1人に任せるわけには。

「大丈夫だってば。ほら、僕強いの知ってるでしょ?」
「で、でも、です!」

 翠星石はなおも引き下がる。
 そんな翠星石にクリストファーはふう、とため息をつくと、今までと少し違う雰囲気で翠星石を見つめた。
 その目は、今まで以上に冷たく見た。

「……じゃあはっきり言うけどさ……邪魔なんだ」
「え……」
「誰かを庇いながら、ってのは慣れてなくてさ。だから、君が彼女を追ってくれたほうがいいんだ。
 むしろ、行って欲しい……って、お願いじゃダメかい?」
「う……」

 翠星石は逡巡した。
 あの少女を今捕まえないと、どうなってしまうかわからない。誰かに殺されてしまうかもしれない。
 クリストファーは自分に任せろ、と言っている。けれど、死んでしまうんじゃないか。
 誰にも、死んで欲しくない。
 そう願う翠星石にとってはどちらも酷な選択だった。

 けれど、わかっていた。
 選ばなければ、どちらも取りこぼしてしまう。そんな悲劇があることを。
 だから


「し、死にやがったら絶対許さないです! もしお前が死んだら、ボコボコのバキバキのギッタンギッタンにしてやるのです!!」
「うーん。どうなるかわかんないけど、凄い目に合いそうだから、頑張る」

 翠星石はクリストファーに後を任せ、茂みに飛び込んだ。
 大分時間をロスした。
 早く追いかけねばならない。
 翠星石はデイパックを探りながら、茂みの中を突き進んだ。
543創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 20:54:11 ID:79YjAhpq
支援
544創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 20:54:52 ID:rFn5ksWS
しえん
545心に滲んだ赤いアラベスク ◆YhwgnUsKHs :2009/02/12(木) 20:55:16 ID:HfzvdtHb


 *****

「行ったみたいだね」

 クリストファーは翠星石が走り去ったのを確認すると、改めて襲撃者がいる方向を見据えた。

「待っててくれるなんて案外律儀なんだね? そんな優しさに、僕はやっぱり感謝するべきなのかな?」

 自然の象徴たる木が並び立つ森林の中。
 この中のどこかに襲撃者がいる。
 わざわざ石の礫を使った辺り、銃は持っていないかもしれない。いや、温存しているという手はあるか。
 いや、そもそも石を銃弾並みのスピードで投げた事自体も考えるべきかもしれない。スリングショットにしても速すぎる。

 それに。


(なんだろ……僕、やけに余裕がない気がする)


 何か、変だ。
 体がざわつく感じがする。
 本能が警告しているようだ。
 逃げろ、と。
 クリストファーはまだ相手の姿を見ていない。だから、誰かなんてわからないはずなのに。

(まさか)

 自分のわずかな震えの正体に、クリストファーは気がついた。
 けれどそれは。


「いや? 何にしても、数は少ないに越した事は無いだろう」


 ――そんな


「それに女子供と男の2人組には少し前に逃げられていてな。同じ徹は踏みたくない」


 ――嘘だろ?


「もう姿を晒してもいいだろう。最初から晒してもよかったんだが、どんな反応をするか実は見てみたかった」


 ――神さま。


「ああ、そうだ。少女を逃がして1人で俺に相対するその雄姿と奇天烈なその顔に免じて、名前を教えておいてやる。
 何、俺自身の心配はしなくていい。ここでお前を仕留めればいい話だ」


 ――あんたはとことん、僕が嫌いなんだね。


「レイルトレーサー。名簿上じゃあ、クレア・スタンフィールドだ。よろしくな、赤眼男」
546創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 20:55:37 ID:79YjAhpq
支援
547創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 20:55:52 ID:rFn5ksWS
 
548創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 20:56:37 ID:rFn5ksWS
  
549創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 20:56:52 ID:kblH6eC8
クリスオワタ
支援
550心に滲んだ赤いアラベスク ◆YhwgnUsKHs :2009/02/12(木) 20:57:55 ID:HfzvdtHb


 あまりに、遅かった。


 *****

 クレア・スタンフィールドはクリストファーを倒した男だ。
 もっとも、クリストファーは彼の偽名(というか、別の本名とも言うか)フェリックス・ウォーケンで認識している。

 ヒューイの指令の下に行った実験、そこに居合わせただけの男のはずだった。
 けれどその男は、今まで負けたことなど、ほとんどなかったクリストファーを、不死者でも肉体を強化されているわけでもなく、素の実力で倒してしまった。
 それ以来だ。クリストファーが人を殺せなくなってしまったのは。
 つまりはそれほどに敗北の衝撃は大きかった。そして同時に、クレア自身の存在もとても大きい。
 自分が勝てなかった存在。自分を叩きのめした存在。そんな存在が。


 よりにもよって、この殺し合いの場で立ちはだかる事が……悪夢以外の何と言えようか。



「ちっ!」

 軽快な破裂音が連続する。
 クリストファーの持つF2000Rトイソルジャーから発射される銃声だ。
 現実に存在するアサルトライフル、F2000をカスタム化しているらしいそれは、赤外線ポインタによる自動照準、電子制御による弾道計算など、
クリストファーのいる時代の技術ではまずありえないような機能を持っている。
 今撃っているクリストファーも、その照準のよさと当たりやすさ、加えて弾道の無さには感嘆したものだ。
 けれど、それも一瞬のこと。

(これでも、届かないってのかい)

 元々の機能からして1分に850発、1秒に約14発の弾丸を撃って、弾幕を形成している。
 それでも。

(これでも、当たらない)

 自分の先制攻撃の後、木々の中を縦横無尽に駆け抜けるクレアに、弾が当たった気配はちっともない。
 クリスとて、下手な弾丸を撃っているつもりはない。
 牽制の弾幕、そして必殺の弾丸を使い分け、撃っているつもりだ。
 それでも、当たらない。


(いや……当然って言えば当然かもしれないけどさ)


 必殺の弾丸などと言ったが、照準は明らかに急所を避けている。
 そんなものでは、当たるものも当たらないだろう。
 しかも自分でもわかっているはずの超強敵には。
 それでも。


(体が、言う事を聞かないなんて……情けないなぁ)


 体が、震える。
 目の前のクレアと言う存在に、肉体が恐怖している。
 だから、いつにもまして照準がズレる。
 相手に接近しようとしても脚が鈍る。
551創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 20:58:09 ID:79YjAhpq
支援
552心に滲んだ赤いアラベスク ◆YhwgnUsKHs :2009/02/12(木) 20:58:44 ID:HfzvdtHb


(こういう場面じゃ、かつて負けた相手を倒して克服する、とかそういう場面の……はずなのにさ)


 クレアからの攻撃は今のところない。
 さっきのような石の礫は飛んでこない。こちらの弾切れを待っているのだろうか?


 と、クリスから少し離れた地にクレアが降り立った。
 さっき攻撃を避けた際身軽に木の上へ飛び上がったのだが、そこから飛んで降りてきたらしい。
 その目はクリスを見つめ、更に震えさせる。

「お前はどうやら俺をまともに相手をする気がないらしい。照準は急所を避けているし、まるで俺に近づく気配が無い。
 結構見込みがあったんだが……仕方ない。


 手っ取り早く、済ませよう」
「えっ……」

 クレアがそう宣告すると、彼の背後になにやら奇妙な人影が現れた。
 半透明で、クレアよりも大きい筋骨隆々とした男の姿。

「なんだい、それ……」
「少し前に身に着いた力だ。元々俺は強いわけだが……これで更に強くなってしまった。やはり」
「世界は俺を中心に回っている、かい?」

 やっと発することができた自分の声。
 それに対する言葉は、やはりクレアらしいもので……クリスすら、先が読める言葉だった。
 その返答に、クレアは、ん?と目を細める。

「お前……なんで分かった?」
「……君こそ、さっきから変じゃないかい?」


 ―なんで聞いちゃうのさ、僕。

 それは聞きたくない質問。
 今までのクレアの言動は、あまりにおかしい。
 ある一点がどうしてもおかしい。
 それを説明できる理由はある。
 けれど、それは……信じたくない。

 それなのに、口は質問をつむいでいた。



「君、僕の事覚えてないのかい?」
「ああ、まるで覚えがない」




 ――…………きついなぁ。



 力が、なおさら抜けていくのを感じた。
553心に滲んだ赤いアラベスク ◆YhwgnUsKHs :2009/02/12(木) 20:59:22 ID:HfzvdtHb


 *****


「乗客の顔は全員それなりに覚えているはずなんだがな。いや、だが車掌の時は乗客にはそういうことは言わないんだが……殺し屋の時か? なら済まないな。どうでもいい奴はとことん覚えないんでな」
「どうでもいい、か……」
「ああ。だが、お前を見込みがある、と思ったのは本当なんだし……本当に会った覚えが無いぞ。人違いじゃないのか?」

 ――なんとも、白々しいなあ。わざと言ってくれてるならまだいいのにさ。

 だが、クレアの言動は本当に思える。嘘という感じがしない。


 ショックだった。
 確かに勝負は自分の負けだった。だが、クレアもそれなりに追い詰められたという感じだった。
 だから、覚えている、くらいはあると思った。


 だが、実際は……彼の記憶にすら、残らないような……存在でしか、なかったのか。
 自分にとっては、クレアの存在はあまりに大きいというのに。


 ――これは、仕打ちかい?


「少し長くなったな……俺は一刻を争う。
 さっきのことは、人違いということにしておけ。俺の言葉を予想してみせたことは……偶然だ。


 だから、終わりだ」


 そういうと、クレアは背中の人影をそのままにクリスに向かって盾もなしに走ってくる。
 クリスも走ってくるクレアに向かってトイソルジャーを掃射する。
 だが、それを背中の人影がクレアの前面を両腕で守るようにし、弾丸を全て弾いていく。時には腕を動かす事から、銃弾が完全に見えているらしい。


 ――存在自体が、不自然な僕への。


 クレアが至近距離で繰り出した蹴りを、クリスも身軽に避ける。
 だが、その隙を突いて、人影の大きな腕が伸びてきていた。
 避ける暇も、与えられなかった。


 ――……どこまでも、惨めに堕ちろというのかい?


 激しい痛みを腹に感じた瞬間……クリスの体は砲弾のように弾き飛ばされ……茂みの中へと突っ込んだ。
 茂みを抜けると……そこには、地面がなかった。
 崖、と言うほどではないが……だが、段差が確実に有り、そこから下の地面へと。


 放物線を描き…落ちて、いった。
554創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 20:59:27 ID:rFn5ksWS
 
555創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 21:00:55 ID:rFn5ksWS
  
556涙で飾ろう黒いマリアージュ ◆YhwgnUsKHs :2009/02/12(木) 21:00:56 ID:HfzvdtHb
「まったく残念だ。もう少しやる奴かと思ったんだが」

 クレアは心底残念そうに、クリスが吹き飛んだ方を見つめる。

「骨は大分折れただろうし、あの勢いで激突すりゃ、地面だろうが大分辛いだろう。
 奴をしとめるのは容易い……が」

 クレアはクリスの行った方角から目を外し、翠星石たちが走っていったほうに目をやる。

「今ならまだ追いつけるかもしれないな。1人を確実にしとめるよりは、2人を確実にしとめよう」

 クレアは人影、スタンド、スタープラチナに地を蹴らせ、その反動で宙を飛んでいく。
 走るよりはこの方が体力の節約にもなり、速い。

 そう、今は何より速度を徹底したい。

(俺にはもう、時間がないんだ)


 *****

「待てってんですぅ!!」
「きゃっ!!」

 やっと追いついた翠星石は沙都子に向かってタックルを仕掛け、腰を掴んでそのまま地面に押し倒した。
 気がつけば、目の前にはきらびやかな門。
 2人はいつのまにか遊園地の近くまで来ていた。

「は、離して!離して!」
「ダメですぅ!」

 拘束された沙都子は尚も逃げようとしがみつく翠星石を何度も蹴る。
 けれど、翠星石は力を緩めない。

「なんで!? なんで!? あのお化けが! あのお化けがわたくしを殺しに!」

 沙都子にとっては、気を失う前の恐怖が尚も続いていた。
 闇夜の中に浮かぶ紅い目、生え揃った牙。それが伴う狂笑。
 そして、一か八か包丁で殺そうとしたが、それも失敗した。
 だから、次に待っているのは報復だ。
 ―次はお前に包丁をさしてやる。
 目を覚ました沙都子にはクリスがそう言ったように見えた。
 雛見沢症候群の幻覚現象だ。

「助けて!助けてにーにー!助けてねーねー!」

 泣き叫びながら尚も翠星石を足蹴にし続ける沙都子。
 その姿に、翠星石は…………キレた。

「いい加減にしやがれです!!!」
「ひっ……」

 翠星石の叫びに、沙都子の動きが止まった。
 沙都子に蹴られて泥だらけになった顔は、怒った表情で沙都子を睨んでいた。
 その上……翠星石の服はやけにところどころが破れていた。
 沙都子がいつもの森の中のように茂みの藪を避けていたのに対し、翠星石は沙都子になんとしても追いつこうと、木の枝で傷つくのも厭わずに突き進んできた。
 沙都子に追いつけたのはそのおかげだった。

「サメ人間がお前に何をしたっていうです! なんにもしてないです! なのに、話も聞かないで包丁なんか刺して、なのにお前はちっとも謝らないです!
 その上、そんなこと言って泣き叫んで、助けを求めるだけだなんて、お前はバカです! チビチビバカ人間です!」
557創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 21:01:34 ID:rFn5ksWS
   
558創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 21:02:23 ID:rFn5ksWS
  
559涙で飾ろう黒いマリアージュ ◆YhwgnUsKHs :2009/02/12(木) 21:02:33 ID:HfzvdtHb

 翠星石の気迫に、沙都子はもう涙も止まって呆然とした顔で翠星石を見て止まったままになっている。
 それほどまでに、翠星石の怒りが、本気が沙都子に伝わっていた。

「ちゃんとアイツの事を思い出すです! いくら怖いからって、嫌いだからって、そいつのことをちゃんと見ないで、悪い方に思い込んだりするなです!
 そんなことじゃ……おまえも、あいつも、悲しいです」

 翠星石は思い出す。
 かつて自分が頑なに人間を嫌っていた頃を。
 嫌うばかりで、ちゃんと相手を見ようとしなかった。
 人間を、見直すことができなかった。
 もし、自分がもっと素直だったなら……。

「お前だって本当はわかってるはずです! あいつは変だけど、少なくてもお前を殺そうとはしてなかったし、自分を刺したお前を許してたです!
 殺さないってちゃんと言ったじゃねーですか! なんでそんなあいつをちゃんと見ないですか!」
「あっ……」


 翠星石に言われ、思い出す。
 思い出すというより……ちゃんと、理性を持って思い出そうとすると、何か記憶の霞が晴れてくるようだった。

 最初に会った時、彼は自分に襲い掛かったのか?――違う、アレは自分が逃げ出しただけだ。
 彼は目の前の少女を殺そうとしていた?――違う、内容は当たり障りの無い会話だった。
 彼は自分を指した沙都子を殺そうとしていた?――違う、笑って『僕は君を殺さない』と言っていた。
 目覚めた時、彼は沙都子を殺そうとしていた?――違う、彼は単に目線を向けただけだった。


「わ、わたくし……」

 全てに、気付いた。
 全ては自分の勘違い。全ては自分の独り相撲。
 さっきまでの恐怖が潮のように引いていく。
 さっきまでの興奮が急激に冷めていく。

 知り合いでもない、会って少しの翠星石の説得による雛見沢症候群の症状緩和。
 古手梨花の体験した百年の歴史の中でもおそらく希少なケースであろう。
 それを可能にしたのは、雛見沢から離れているという環境か、いくらかの睡眠による自然的なものか、クリスの許しにより既に緩和の予兆があったのか、
あるいは……翠星石の熱意が、沙都子に通じたのか。
 それを知るのは……おそらく、『神』しかいないだろう。


「やっとわかったですか……まったく世話が焼けるチビチビ人間なのです」
「! も、申し訳ございません! わたくし、あなたの顔を……」
「後で拭いてくれればいいです。これくらいで痛むほど翠星石はヤワではないです」

 恐怖の表情はすっかり消え、泥だらけの翠星石の顔を気遣う沙都子に、翠星石は笑う。
 ――なんだ、落ち着けばいい奴じゃあないですか。

「それじゃあ、サメ人間が来たらすぐ行くです」
「そういえば、あの方はどうしたんですの? できれば、謝りたいですわ……」
「あいつはちょっとしたバカ人間の相手をしてるです。ま、あいつは強いからちょちょいのちょいでやっつけてきてるに決まってるです」

 不安そうな顔をする沙都子を、翠星石があっけらかんと笑い、励ます。
 もちろん、翠星石とて多少はクリスが心配だ。
 けれど、さっきまで恐怖の極地にいた少女を、更に怖がらせたくは無かった。

「あ、そうです。お前、慌てて出てきたから丸腰です。デイパックは持ってきたみたいですけど、中の武器やらはみんなサメ人間が預かったままです」
「ええっ!? そ、そうでしたの……」
560涙で飾ろう黒いマリアージュ ◆YhwgnUsKHs :2009/02/12(木) 21:03:20 ID:HfzvdtHb

 デイパックだけは持って出てきたものの、まさか中の支給品がないとは思わなかったようで、沙都子は俯く。
 そんな沙都子に翠星石が何かを2つ差し出した。

「これはなんですの? 丸い……ボール? それに、変わった剣」
「翠星石もどっちも使った事ないのでわからないですが、説明書には、なんでもこれは――」


 ****


「ってわけです」
「ほ、本当なんですの? どうにも信じられませんわ」
「でも、このボールの中にいる奴はわかるです」
「た、確かに…」

 受け取った球体を眺め、翠星石の説明を思い返す沙都子。
 本当にできるのだろうか。

「翠星石はこの剣を使いますから、お前はそれを持っているといいです」
「あの、これらの支給品は?」
「どっちも翠星石のです。最後のはただのでっかい石だったですから、漬物石にしか使えないです」
「そうなんですの」

 翠星石は人形でも持てる、変わった意匠の剣を手に握り、沙都子は受け取った球体を握り締める。

「ところで、私、あなた方の名前を聞いていませんでしたわ」
「そういえば翠星石もお前の名前知らなかったです」
「やっぱりこういうときは先に名乗るのがマナーですわよね。私は北条沙都子といいます」
「翠星石は翠星石です。で、あのサメ人間が……えっと、たしかクリスタル…」


 翠星石が、クリストファーの名前を思い出そうと、僅かに下を向いた、その瞬間。

 沙都子が、翠星石の背後に音も無く舞い降りた人影に、気付いた、その瞬間。

 人影が、もう既に拳を振りかぶっていた、その瞬間。



 全ては、同時のことであり……結果もまた、一瞬だった。
561涙で飾ろう黒いマリアージュ ◆YhwgnUsKHs :2009/02/12(木) 21:04:04 ID:HfzvdtHb


 *****


「けほっ……ううっ」

 地面に仰向けに倒れながら、沙都子は咳き込んだ。
 突然の衝撃、それに弾き飛ばされて、地面に打ち付けられてしまった。


 ――何に、弾き飛ばされた?


「っ!!」

 沙都子は慌てて、自分の上にかぶさっている、それを見た。
 緑色を基調とした可愛らしい服は無残に破け、四肢は力なく垂れてしまっている。
 そして、背中には服ごと……大きな穴が開いていた。
 その穴から、下の地面が僅かに見える。つまり貫通してしまっている。

「す、翠星石さん!翠星石さん!!」

 沙都子が慌てて立ち上がり、翠星石の体を持ち、揺らす。
 けれど、

 かしゃん
「あ、あああああっ!」

 軽い音をたてて、翠星石の左腕がぽとり、と肩から地面に落ちた。
 肩は無造作な傷口で、背中から全身に伝わった衝撃に、肩部分の関節が持たなかったのだろう。


「そんな、そんな……」


「嘆くな……そんな悲しみを長くさせる趣味はないからな」


 その声に、沙都子は顔を上げた。
 そこには、紅い髪、けれどお化けと怖がっていたのとは別の人物、加えて言えば、まさに今翠星石を拳で殴り飛ばし、自分にぶつけた張本人、クレアがいた。
 その人物の背後には、透明の男、スタープラチナ……クリスより、お化けというのがふさわしいものがいた。翠星石を殴り飛ばしたのは、正確にはこれだった。

「あ、ああっ……!」

 沙都子が覚えたのは、純粋な恐怖。
 音もなく現れ、あっという間に翠星石に致命傷を与えた男。
 あの拳にかかれば、自分もまた同じように……。

「悪いな。悪意のない小さい女の子2人を一方的に殺す、っていうのは趣味じゃないんだが……そう言っていられる時間がない」

 クレアは本当にすまなさそう、悲しそうにそう言うと、スタープラチナの拳を振り上げさせた。

「せめて……お前達の事は、俺がちゃんと覚えててやる。だから、眠ってくれないか? 俺が助けたいものの為に」
「っ!!」

 沙都子は恐怖で身を固め、腕で頭を庇った。
 意味なんてない、反射的な行動。
 あの豪腕の前ではこんなものは役になんて立たないだろう。
 それでも、体は動いていた。
562創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 21:04:27 ID:rFn5ksWS
 
563涙で飾ろう黒いマリアージュ ◆YhwgnUsKHs :2009/02/12(木) 21:05:02 ID:HfzvdtHb




「ふざけんな、です……」




 *****

 ぴたっ、とスタープラチナの腕が止まる。
 目を瞑った沙都子が、その突然の声に目を開く。
 クレアは、静かに彼女を見つめる。それは、沙都子ではない。


 声を上げたのは……死んだと思われた翠星石だった。
 その翠星石が、立ち上がってクレアを真正面から睨んでいる。背後には沙都子、まるで沙都子を守るように。

 だが、その姿は酷いものだ。
 左腕は欠損し、体を支える脚はよろめき、体のいたるところには皹が入っている。
 体には大穴も開いていて、端正な顔は苦痛に歪んでいる。
 立っているのがやっと、という様子だった。

 それでも、翠星石はクレアをそのオッドアイで見返す。

「何が、ずっと覚えている、です……お前がどう思ったって、どうしたって! 人が死ぬってことは悲しい事です! それは絶対変わりやしないです!
 そいつ自身だけじゃなくて、周りの奴らみんな悲しくするんです! もう会えなくなって、もう声が聞けなくて……。
 そんなことをしといて、自分に言い訳しやがるなです!!」

 翠星石は叫ぶ。
 最愛の双子の死を知っているからこそ、その悲しみの深さを知っているからこそ……下手に言い訳するクレアを許せなかった。

「やりたくないなら素直にやるなです! 何でそんな簡単なことができないです!?」
「簡単、か」
「そうです! 人殺しなんて、やらないに越した事ないです! なのに、お前は――」



 その先は、許されなかった。


 スタープラチナの拳が振り下ろされ、翠星石の右肩を完全に破壊、残っていた右腕があっけなく千切れ飛ぶ。
 衝撃で膝を突いた翠星石に、容赦なくスタープラチナの拳の連打が浴びせられる。
『オラオラオラオラオラオラオラオラ!!』

「あ、ああっ、や、やめ、やめてくださいまし! や、やめてぇ!!」

 拳を受けるごとに翠星石の右足が、左足が、腰が、腹が、次々に砕け、辺りに破片が散っていく。
 それは一方的な……暴力。
 それに耐え切れず、沙都子は再び涙を流し――さっきとは違い、それは他人に対する涙――クレアにやめることを訴えた。
 それを聞いたように、クレアはそこでスタープラチナの動きを止めた。
564創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 21:05:42 ID:rFn5ksWS
    
565涙で飾ろう黒いマリアージュ ◆YhwgnUsKHs :2009/02/12(木) 21:06:10 ID:HfzvdtHb


 残ったのは、乱打によって巻き添えを食いへこんだ地面と……欠けた頭部、今のでも当たらなかったのか無事な首と首輪、もう服もほとんどのこっておらず、
胸から上しか残っていない、その上体中に皹が入った……もう、ガラクタとしか言いようがない人形の姿だった。

「簡単、じゃあない。俺には守りたい人が、守りたいものがある。その為に、俺は64人を殺すと決めた。……時間は残り少ない。
 俺はなんとしても優勝しなければいけない。早く、な」

 クレアは翠星石の破壊を見届けると、その目を再び沙都子に向ける。そして沙都子に向かって足を歩めた。
 沙都子の喉からひっ、と声が漏れる。
 逃げたい、凄く逃げたかった。
 あの男から、早く。


『私達は、今貴方の目の前まで救いの手を伸ばしてる』


 ――え?

 不意に、記憶が脳裏をよぎった。
 けれど、不思議だ。
 それは、体験したはずがないはずなのに……なぜか思い出す事ができる、不思議な記憶。
 それがなぜこんな時に。


「待ちやが、る、です……」


 それは、か細い声。

『貴方がうんと頷けば、もう手が届くところまで』

「……なんで、そこまでする」

 クレアは、足元を見下ろした。
 そこで……クレアの脚に、顎で噛み付いている翠星石を。

「ふぃぎふぃぎ……ひんふぇん……ふぃへふ、ふぇふ」

 翠星石はクレアの脚に喰らいつきながら、沙都子に目を向けて、そう弱弱しく、発音もよく聞き取れない声で言った。
 チビチビ人間、逃げる、です。沙都子にはそう聞こえた。
 翠星石は、せめて沙都子だけは逃がそうとしていた。


 手を、伸ばされている。


 その前から、沙都子は翠星石に手を伸ばされ続けていた。
 助けようと、足蹴にされても。
 破壊され、顔と胸だけが残っても。


 ――わたくしは、何をしてるんですの?


 手を伸ばされても、掴もうとしなかった。
 今も、動かないで掴もうとしない。
 そんな、自分は……。
566創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 21:06:26 ID:rFn5ksWS
 
567涙で飾ろう黒いマリアージュ ◆YhwgnUsKHs :2009/02/12(木) 21:06:32 ID:HfzvdtHb


『思い出しなさい。あの、叔母から貴方を守ってくれていた悟史の姿を』


 思い出すのは、兄の姿。
 北条悟史。今はいない、最愛の兄。いつか帰ってきてくれると信じる兄。
 彼もまた、叔父と叔母の暴力から自分を庇い続けていた。今の翠星石のように。
 ならば、あの時のように、後ろで泣き続けていればいいのか?


『その男の顔を見なさい。その恐ろしくて醜悪な顔を』

 沙都子は見つめる。目の前の、圧倒的な力を見せ付ける男とそのスタンドを。


『そして思い出しなさい。その恐ろしさに敢然と立ち向かった悟史の勇敢さに気付きなさい』


 ――北条悟史は、恐ろしい叔母と叔父に立ち向かった。
 ――翠星石は、恐ろしいクレアとスタープラチナに立ち向かった。


「違う……!」

 教えてもらったはずだ。

『もし貴方が悟史に対する罪を償おうとするなら』
 ――もし、翠星石の話を聞こうとしなかった罪を償おうとするなら

『それは助けを求めない事じゃない』
 ――それはここで逃げだす事じゃない

するべき、だったのは。


『悟史の力強さを、勇気を受け継ぐことなの』
 ――翠星石の力強さを、勇気を受け継ぐ事



 自分がするべきだったことは。


『それに気付きなさい!』
 ――それに気付かなければならない


 今度は自分が手を伸ばす。
 つまり……抗い、戦う!
568創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 21:07:10 ID:rFn5ksWS
   
569天使に施す蒼いドレサージュ ◆YhwgnUsKHs :2009/02/12(木) 21:07:29 ID:HfzvdtHb
「っ!」

 クレアは翠星石の顎を軽く蹴飛ばし、その弱弱しい顎を離すと、改めて沙都子に向き直った。
 逃げないうちに、仕留めなければ――


「……どういう、つもりだ」
「あら?見てわからないんですの?殿方」

 沙都子はもう、自分の足で立ち上がっていた。クレアが翠星石に気をとられている間に。
 いや、気など取られてはいなかった。注意は充分に向けていた。だが、翠星石の言うとおり逃げ出すと思っていた。

 だが、目の前の沙都子は……右手には、さっき翠星石が手放した剣。左手には、それほど大きくない球体を握り、クレアに向かって不敵な笑みを浮かべている。
 ――あれは、さっきまでの少女と同じ奴、なのか?
 まるで別人としか思えない、姿だった。

「俺に勝てると思っているのか?」
「ええ。出なければ、このようなことはいたしません。翠星石さんから離れてくださいまし」
「何をする気かは知らないが……せめて、こいつの言うとおり、逃げるべきだったな」

 足元の翠星石はもう力尽きたのか、顔を伏してしまって動かない。
 それでも、沙都子は諦めなかった。

「もう、逃げる事も、耐える事もやめましたわ……するべきことは……立ち向かうこと!!」

 沙都子が勢いよく左手を振りかぶり、手に持っていた球体をクレアに向かって投げた。
 それなりに速い球だ。だが、当たったとしても問題はないだろう。

(いや、あそこまで自信満々な以上、何か仕掛けがあると見るべきだな。煙幕、目潰しってところか)

 クレアはそれを受けるのは危険と判断して、首を僅かに動かし、球体を避けた。
 ちら、と後ろを見て確認すると、案の定、地面に当たった球体からは軽い音がして、あたりに煙が立ち込めていた。

「やあああああああああ!!」

 その隙に、沙都子が剣を振りかざしてクレアに迫ってきた。
 ――あまりに、愚策だな。それは勇気じゃあない、蛮勇だ。
 クレアはすぐに目を戻し、無謀にも接近してくる沙都子を身構えることもなく待ち受ける。
 沙都子の刃が、クレアの胴元へ――
570創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 21:07:51 ID:rFn5ksWS
   
571天使に施す蒼いドレサージュ ◆YhwgnUsKHs :2009/02/12(木) 21:08:03 ID:HfzvdtHb


 伸びることは、なかった。

「ああっ…!」
「こいつを使うまでもない。遅すぎる」

 沙都子の剣を、クレアが自らの腕で止めていた。
 真剣白羽取り。
 剣を振るうには沙都子が非力すぎた、というだけでなく、クレアの動体視力があればこそだった。

「煙幕で俺の気を逸らして、剣で……か。あまりに策が浅い」
「……ふふっ」

 そこでクレアは気付いた。
 さっきの驚いた顔は一瞬、沙都子の顔は不敵な笑みに戻っていたことに。

「策が浅い? そう思わせる事こそ、トラップが真骨頂。教えてさしあげますわ。
 トラップとは、格闘戦でも発揮されるという事を!!


 今ですわ、『ファンクフリード』!」

 その変化は、劇的だった。
 クレアの捕らえていた剣が……一瞬で姿を変えた。
 刀身が大きく伸び、幅広に。なにより、その根本に目がつき、大きな耳、二つの大きな牙。
 それはもはや剣ではなく

(象、だと……!? くっ、距離が近すぎる!)

 急激に大きさを変えた刀身。刀身自体を抑えていたクレアにとってそれは回避不可能に近い距離。
 かろうじて体を動かしたが、刀身は肩を僅かにすくめ、クレアの車掌服と肉を切り裂く。
 しかも、それでは終わらない。

(牙…!)

 刀身が鼻のようになっている象、それが沙都子の手元の柄から上半身だけ生え、クレアに接近してきている。
 そして、刀身をよけたからと言って、刀身の横の2本の牙は、クレアへの直撃コースだ。

「止めろ!」

 刀身には間に合わなかったスタープラチナが、牙だけでも押さえようと象の額をその豪腕で推し留めようとする。
 だが、相手は象だ。そのパワーは半端ではなく、スタープラチナごとクレアも後ろへと下がる。

「そのまま木でぺしゃんこになるといいですわ!」

 クレアが押されていく先には、巨木が聳え立っている。
 この勢いでぶつかれば、クレアも気絶は免れない――
572創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 21:08:21 ID:rFn5ksWS
 
573天使に施す蒼いドレサージュ ◆YhwgnUsKHs :2009/02/12(木) 21:08:59 ID:HfzvdtHb


「俺は、止められる。この攻撃を……絶対に」


「そ、そんな……!」

 沙都子の顔が驚愕に染まる。

 目の前の光景、それはスタープラチナが象、ファンクフリードを完全に推し留め、クレアの体は巨木の手前で踏ん張っていた。

「まさか剣が象になるとは予想外だった。
 なるほど、煙幕が囮で、本命の罠はこの剣の変形か。確かに、罠とは待ち構えているだけのものではない。勉強になった。
 だが、俺とこいつの力を甘く見たな。それがお前の敗因……いや、そもそも俺にできないことはないのだから、勝因敗因などは語っても仕方ない」

 スタープラチナが動き、ファンクフリードをつかむと投げ飛ばす姿勢に入る。
 ファンクフリードも抵抗するが、スタープラチナのパワーに完全に御されている。
 沙都子の顔も、絶望に染まっているのがクレアに見えた。

「これで、終わりだ」

 クレアがファンクフリードを横に投げ飛ばし、すぐに沙都子をしとめようと脚に力をこめる。
 スタープラチナはファンクフリードを投げ飛ばそうとする



 それは、待ちに待った……瞬間だった。


「ええ。終わりですわ……貴方の、ね!


 『ニョロ』さん!!』


 クレアがそれに気付いた時には、それは既に頭上にいた。
 自分が激突を避けた巨木、そのまさに上から……それは、降ってきた。
 逆三角形がたの胴から直接手足と目が生えた奇妙な体型、腹にあるぐるぐる模様が印象的な、謎の生物。
(バカな、何時の間に)
 それを考えている暇もなく、頭上から迫る『ニョロ』とやらは既に拳を構えている。
 スタープラチナは……ファンクフリードを投げ飛ばしている最中。
 まだ力に慣れていないクレアでは、別の行動をさせるにはいくらかタイムラグがある。
 だが

「俺自身も、甘く見るなと言ったはずだ」

 クレアは頭上のニョロに向かって高速で拳を繰り出した。
 それはあまりに避けきれない速さの拳。
 避けられなかったニョロの体に、その拳が無常に突き刺さる。

「ああっ!ニョロさん!」
574創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 21:09:03 ID:rFn5ksWS
  
575天使に施す蒼いドレサージュ ◆YhwgnUsKHs :2009/02/12(木) 21:09:40 ID:HfzvdtHb

 沙都子の悲痛な叫びに今度こそ、とクレアは思った。
 だが、それは一瞬のこと。


 ――手ごたえが、ないだと!
 それに気づいた時には、もう遅かった。
 

 拳が突き抜けた、と思ったニョロはまるで幻のように掻き消え……そして、クレアの至近距離、地面の上の、目の前に……
もう1人、ニョロが拳を構えていた。
 ニョロの技、“かげぶんしん”だった。

(ここまで、とはな)

「“きあいパンチ”!!」


 沙都子の声と共に、ニョロが豪速の拳を打ち出し、クレアもそれを相殺するように蹴りを決める。
 拳と蹴りが、ぶつかり合い、やがて拮抗したと思うと…。


「ぐっ!!」
「!!」


 クレアとニョロ、両方が弾かれ……クレアは森林の方向に、ニョロは遊園地の中へと吹き飛んでいった。



 世界の中心の男とトラップマスターの対決は……こうして、幕を下ろした。
576創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 21:09:49 ID:rFn5ksWS
  
577天使に施す蒼いドレサージュ ◆YhwgnUsKHs :2009/02/12(木) 21:10:51 ID:HfzvdtHb



 *****


 視界が、やけに霞んでいる。

「翠星石さん、翠星石さん!しっかりしてくださいまし!」

 ――これは……あの、チビチビ人間の声、です……

 ――あいつは、いないみたい、です……凄い、奴じゃないですか。

 ――安心、です……

「翠星石は……もう、駄目、みたい……です……真紅、には……怒られて、しまう、です」
「そんな……ごめんなさい!ごめんなさい!わたくし、貴方を助ける事が、できなくて!」

 ――何、泣いてるですか……少し、嬉しい、ですけど……

 ――でも、やっぱり……死ぬ、っていうのは、悪い事、です……

「お前、は……よくやった、です……」
「でも、でも、わたくし……貴方に助けられてばっかりで! 結局、貴方を死なせてしまう!」
「……じゃ、あ……頼まれて、ほしいです……」

 ――あいつにだけは、取られたくないです、から。

「翠星石が、死んだら……ローザミスティカ、って、いう……のが、出てくる、です……それを、真紅に……届けてやって、ほしいです」
「し、真紅さん、ですわね? わ、わかりました!絶対届けますわ!」

 ――いい顔、するように、なったじゃないですか……これなら、サメ人間とも仲直りできそうです……
 ――サメ人間の奴、翠星石が死んだって、聞いたら……悲しむ、です? なんだかあんまり悲しまないような気も、するですが……
 ――悲しんだら、辛いけど、少し嬉しい、です

「水銀燈、にだけは……渡さないで、欲しいです。本当は、蒼星石が、1番にあげたいですけど……もういない、から、仕方ない、です……」
「蒼星、石……? も、もしかして!」

 ――? なに、デイパック漁っているですか、チビチビ人間……
 ――もう、瞼が、重いです……

「す、翠星石さん! み、見てくださいまし! 蒼星石さんという方は、いらっしゃいますわ! ほら!」


 ――……え?


 かすんだ視界に、沙都子の持つ名簿が見えていた。
 かすんだ視界に……確かに、『蒼星石』、という名前が見えた。


 ――生きて、いるですか……? 蒼星石……


 最愛の者の生存を知った、翠星石。
 彼女は今までその者の死を根源に行動してきた。
 その死が、もしかしたら虚像だったのか、嘘だったのか。あの悲しみは嘘だったのか。その疑惑は彼女を混乱に陥れるものだろう。
578天使に施す蒼いドレサージュ ◆YhwgnUsKHs :2009/02/12(木) 21:11:20 ID:HfzvdtHb


 だが、幸運な事に……彼女に、そんな複雑な思考をする余裕はなかった。
 あったのは、ただただ基本的な、本能に任せた感情だけ。





「蒼星石……生きて、いる、ですね…………よかっ……た……で……」







 そして、1人の人形が……その動きを、止めた。
 永遠、に。


【翠星石@ローゼンメイデン  死亡】
579創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 21:11:32 ID:rFn5ksWS
 
580創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 21:11:36 ID:kblH6eC8
支援
581創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 21:12:13 ID:rFn5ksWS
  
582天使に施す蒼いドレサージュ ◆YhwgnUsKHs :2009/02/12(木) 21:12:13 ID:HfzvdtHb



 *****


 沙都子は、荷物を纏めると身を隠していたメリーゴーランドの陰から立ち上がった。


 ゾウゾウの実を食べ、象の姿へと変形できる象剣、ファンクフリード。
 今はモンスターボールというものに、収めている格闘と水を使いこなすポケモン、ニョロボンのニョロ。
 翠星石に説明された二つの支給品により、なんとかクレアを吹き飛ばし、その間に翠星石を抱えて完全に象になったファンクフリードに乗って
遊園地に逃げこむことができた。
 説明だけだった為、具体的にどうなるかはわからず、一か八かだったが、なんとか上手くいき、遊園地の中で倒れていたニョロも回収することができた。
 その後、翠星石の最後を看取り……今に至る。

 沙都子は、緑色の薔薇に似た、不思議な輝きを持った石を取り出すとそれを硬く握り締めた。

「ローザミスティカ……真紅という方……それと、蒼星石という方、どちらかに必ず届けますわ」

 翠星石の、頭部と胸のみの亡骸はデイパックに入れてある。彼女を弔うなら、こんなところではなく、彼女の知り合いがいる元で行いたかった。


 沙都子は決意を新たに歩き出すと、朝食代わりに翠星石のデイパックに入っていたマドレーヌを一口ほうばった。


 口の中には、砂糖の甘い味と……涙の塩辛さが、混ざり合っていた。


【G-2北部 遊園地内・メリーゴーランド近く/1日目 朝】

【北条沙都子@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:やや擦り傷 やや打ち身 疲労(小) L3
[装備]:象剣ファンクフリード@ONE PIECE、レッドのニョロ@ポケットモンスターSPECIAL
[道具]:支給品一式×2<沙都子、翠星石>、グラン・メテオ@ポケットモンスターSPECIAL、
     翠星石のローザミスティカ@ローゼンメイデン、翠星石の亡骸首輪つき
[思考・状況]
1・真紅、もしくは蒼星石にローザミスティカを届ける。水銀燈には渡さない。
2・部活メンバー、クリストファーに会いたい。クリストファーには謝罪したい
※参戦時期は具体的には不定。ただし、詩音を『ねーねー』と呼ぶほどに和解しています。『皆殺し編』の救出以降ではありません。
※名簿は確認したようです。
※雛見沢症候群の進度は具体的には不明。L5まで進行した場合、極度の疑心暗鬼と曲解傾向、事実を間違って認識し続ける、などの症状が現れます。
 説得による鎮静は難しいですが不可能ではありません。治療薬があれば鎮静は可能ですが、この場にあるかどうかは不明です。
※真紅、蒼星石、水銀燈に関しては名前しか知りません。
※クリストファーの名前をクリスタルだと思っています。
583天使に施す蒼いドレサージュ ◆YhwgnUsKHs :2009/02/12(木) 21:12:45 ID:HfzvdtHb

 *****

「まさか、な……あんな少女に、世界の中心である俺が傷を受けるとは
 こんな状況でなく、あの子がもっと年上なら……考えても仕方ない」

 森の中でクレアはいたって余裕そうに立っていた。
 先のニョロとやらの拳で、脚は少しばかり痛いが……歩けないほどではない。それほどまでに、彼はニョロの拳の力を蹴りにより相殺できていたのだった。

「刀が象になるとはな……ここではどうやら俺の常識は通じないらしい」

 背後にスタンドを持っておいて、何を言う、という話だが…。

「だが、結局は俺が生き残る。要は全ての可能性を疑い、慎重にかつ迅速に事を成せばいいだけだ……そう、迅速にだ」



 フィーロの死。それがクレアに、悠長な時間を過ごしている暇はないのだと悟らせた。

 幼馴染のフィーロがまさかここにいるとは思っていなかった。あまつさえ、誰かに殺されるなどと。
(だまし討ちでも不意打ちでもされたのか?)
 だが、ここにいたということは、そのままだったならクレアはフィーロを殺さなくてはならなかった、ということだ。もし、名簿でフィーロがいることを知っていたなら、彼は優勝以外の道も探していただろう。
(だが、もうフィーロは死んでしまった。死者は蘇りはしない……安心しろ、フィーロ。ガンドールの兄貴達は必ず俺が助けてやる)
 悠長にしている時間はもうない。ガンドールの兄貴が、そして列車の乗客たちが、危機に瀕している。
 自分は早く戻らなくてはならない。死んだフィーロの為にも、なお更。
 早く、優勝しなければならない。
(だが、もしフィーロを殺した奴がわかったなら……そいつは、必ず俺が殺してやる。最大の屈辱を与えてな)

(さて、あの少女は遊園地に行ったようだが……追いかけるか?
 それとも、さっきの赤眼男を仕留めに戻るか?)

 世界の中心の男は突き進む。
 全ては、自らの守りたいものを、守るため。
584創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 21:13:17 ID:rFn5ksWS
   
585天使に施す蒼いドレサージュ ◆YhwgnUsKHs :2009/02/12(木) 21:13:28 ID:HfzvdtHb


【G-2南部 遊園地南門前/1日目 朝】
【クレア・スタンフィールド@BACCANO!】
[状態]:健康 若干の疲労 拳に血の跡 脚にいくらかの痛み
[装備]:スタンドDISC『スター・プラチナ』@ジョジョの奇妙な冒険
[道具]:支給品一式×2 未確認支給品0〜1
[思考・状況]
1:優勝し、ギラーミンから元の世界へ戻る方法を聞き出す。
2:優勝のために他の参加者を殺す。迅速に、あらゆる可能性を考慮して。
3:遊園地の中へ向かうか、森に戻るかを決める。
4:レヴィ、ウルフウッド、梨花、沙都子、クリスと再び出会った時には彼女らを殺す。
5:フィーロを殺した相手が分かったら、必ず殺す。
【備考】
※何処へ向かうかは後続の方にお任せします。
※参戦次期は1931~特急編~でフライング・プッシーフット号に乗車中の時期(具体的な時間は不明)
※フィーロがいたことを知りましたが、名簿はまだ見ていません。
※スタープラチナを発現できますが、時止めの適正があるかは不明です。
※梨花が瞬間移動の能力を持っていると思っています。



 *****

「っ……肋骨、1本くらい折れちゃったかな?」

 クリスは軽く呻き、森の中で腰を落ち着けていた。
 その足元には、破れたカバンと、無残にひしゃげた鉄板があった。
(これでなんとかいくらか衝撃が和らいだけど……それでも、大分来るなぁ)
 身軽な動きでなんとか、激突は避け、段差の下に着地する事ができたものの、すぐに立ち上がることはできないほどのダメージを負い、
すぐに追いかけることができなかった。

「翠星石とあの子……追いかけなきゃ、ダメだよね、やっぱり。翠星石は友達だし。死んでもらっちゃ困るし」

 やや打算的な考えも最後に付け加えつつ、クリスはゆっくりと歩き出す。

(……あいつは、もういないと、いいんだけどなぁ)

 クレアに対してはまだ、震えが止まらない。
 この心の傷は、いつ治るのだろうか。
 結局、またも破れた相手を思うと、うんざりしてくる思いだった。

「結局、不自然は自然に勝てない、ってことなのかい?」

 クリスはその問いかけを周りの木々に行う。
 自然の塊である木々たちは……ただ、風に吹かれざわめくのみだった。

 緑/翠に、満ちたその葉を。
 揺らせるばかりで。
586天使に施す蒼いドレサージュ ◆YhwgnUsKHs :2009/02/12(木) 21:14:19 ID:HfzvdtHb


【G-2南部 森の出口付近/1日目 朝】

【クリストファー・シャルドレード@BACCANO!】
[状態]:腹部に痛み、肋骨損傷 疲労(小)
[装備]:F2000Rトイソルジャー@とある魔術の禁書目録(弾数40%)、5.56mm予備弾倉×4
[道具]:支給品一式、クリストファーのマドレーヌ×8@バッカーノ!シリーズ
     包丁@あずまんが大王、不明支給品(0〜1)
[思考・状況]
1・ 翠星石と沙都子を捜す。
2・クレアには会いたくない。
※ローゼンメイデンについて簡単に説明を受けました。他のドールの存在を聞きました。
※名簿を確認しました。
※参戦時期は、『1934完結編』終了時です。

※G-2遊園地南門周辺に翠星石の手や腕の部分が落ちています。また、ファンクフリードによって木がいくらかなぎ倒されています。

【象剣ファンクフリード@ONEPIECE】
翠星石に支給。
CP9長官スパンダムが使用していた、ゾウゾウの実を食べた剣、であり、完全に剣の形態、
剣の柄から上半身が生えて華が刃になっていて相手への突進が可能な形態、完全に象である形態の3つを持つ。
剣と半分剣の時には重さは大分軽くなっていて非力そうな人間でも片手で扱えるほどである。
使用している描写は43巻、44巻を参照。

【レッドのニョロ@ポケットモンスターSPECIAL】
翠星石に支給。
レッドの幼馴染のポケモンで、クチバにてニョロボンに進化した。
水を使った攻撃や、氷で相手の動きを止める特殊攻撃とパワフルなパンチやハガネールも投げ飛ばす腕力による物理攻撃の
両方を使いこなす万能選手で、かげぶんしんによるフェイントも得意とする。

【グラン・メテオ@ポケットモンスターSPECIAL】
翠星石に支給。
宇宙から飛来した隕石で、放射状に棘が広がった球体の形状をしている。
エネルギーを打ち消す効果を持つが、それにはその隕石自身のエネルギーを取り出す技術、もしくはそれを技に乗せて打ち出すなどの処置が必要。
587創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 21:14:37 ID:rFn5ksWS
  
588創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 21:16:19 ID:rFn5ksWS
 
589天使に施す蒼いドレサージュ ◆YhwgnUsKHs :2009/02/12(木) 21:16:25 ID:HfzvdtHb
投下終了です。
多数の支援ありがとうございました。3話形式とか本当何考えてるんでしょうね自分。
タイトル元ネタはローゼンメイデンOP『禁じられた遊び』の歌詞、
『包帯に滲んだ赤いアラベスク』『涙で飾ろう黒いマリアージュ』
『天使に施す青いドレサージュ』より。
矛盾点の指摘、意見、ご感想あればお願いいたします。
590創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 21:52:59 ID:cI6a3AER
投下乙!
クレアにダメージを負わせるとは沙都子、すごすぎ
しかしその猛攻を受けてもクレアはほとんどまともなダメージはなしか
それにしてもこのロワ、スタンドとポケモンのせいで今の作品がもっと大人数のような錯覚がw

>>559
自分を「指した」になってるけど、「刺した」じゃないのかな?
591創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 21:53:04 ID:rFn5ksWS
翠の子があああああああああああああああああ

投下乙。
クレアまさに外道。
亡骸が相当ひどいことになってないか、これ。
立ち直った沙都子に立ち位置が完全に定まった感のあるクレア、そして参戦時期の違いを目の当たりにして、さらに負けてへこむクリストファー。
心理描写が丁寧で、残った三人がこれからどうなるのか、気になる引きでした。
GJを。
592創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 21:55:20 ID:+/E/BUqs
投下乙です。
何というクレア無双www手ぇ付けられませんwww
そして二つの意味で覚醒した沙都子。
支給品を用いてのクレア撃退は震えました。
翠星石も散ったが、その意志は沙都子が継いでくれる筈……。
クリスはまさかのトラウマ化w まぁ原作では瞬殺も良いとこだったし仕方ないかw
GJでしたー
593創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 22:03:40 ID:ISxXvE/G
>「ああっ!ニョロさん!」
お約束過ぎて吹いたw
でもちゃんと活躍してるなw
594創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 22:15:45 ID:J7x/8YnF
投下乙です!

翠星石、翠星石、翠星石ィーーーーーーー!
うああ、上半身しかなくなるとは悲惨だ
だがそれ以上に!!格好良かった!
本当に良く頑張ったな、蒼い子のことを思いながら安らかに眠ってくれ
そして沙都子覚醒!
立ち直ってからの短い時間で5手仕込むとは!トラップマスターの面目躍如という他ない
ニョロに拳が突き刺さった瞬間「あ、やばい沙都子終わった」と思ったが…完全に騙された

クリストファーw生き方に影響を与えるほどに印象が強い奴に覚えられてないとか、へこむなw
純粋に参戦時期の違いなだけなのに
全員が全員格好良すぎる作品でした。GJ!
595創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 22:18:01 ID:sgNU1DbA
sage
596創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 22:23:05 ID:sgNU1DbA
沙都子強すぎるw
597創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 22:57:01 ID:+fl7Q+3J
投下乙

ああ、翠星石、どうか安らかに眠ってくれ
かっこよかったよ
そして沙都子もクリストファーもクレアもニョロも
カッコよかった。
白熱するバトル面白かったです。
そして3人がそれぞれ何処に向かうか、カズマや銀様、梨花ちゃまといった
一波乱も二波乱もありそうな奴が多い分これからが気になるところです。
これからも期待してます。


それとクレアのマシンガン回避、流石に制限なしは不味くないかな?と
まあこれから体に負荷とかでもつければいいと思うけど、

ただこれだけは言える

    GJ
598創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 23:21:28 ID:sgNU1DbA
マシンガン避ける程度なら大丈夫じゃね?
アーチャーあたりならもっと凄いものを避けそうだし。
599創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 23:22:14 ID:436CF9Nh
先が読めないハラハラとした展開でした……。
ぶっちゃけ沙都子も死んでしまうかと思った。
だが翠星石の言葉はきちんと届いたからよかったなあ。
でもまだ危険なことには変わりない。

ニョロがいつも通りで和んだ(?)のはここだけの話
ともあれGJでした!
600創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 23:36:49 ID:+/E/BUqs
ただマシンガン避けるとなると何が当たるんだって気にもなるけど……まぁ、そこら辺は後続の書き手が調整してくれるでしょ
601創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 23:41:17 ID:J7x/8YnF
避けてるとはいえ作品内で
「 必殺の弾丸などと言ったが、照準は明らかに急所を避けている。
 そんなものでは、当たるものも当たらないだろう。
 しかも自分でもわかっているはずの超強敵には。
(中略)
 体が、震える。
 目の前のクレアと言う存在に、肉体が恐怖している。
 だから、いつにもまして照準がズレる。」
との描写があるから純粋に身体能力のみで避けてる訳ではないんじゃ?
602創る名無しに見る名無し:2009/02/13(金) 00:31:18 ID:47fRelOV
銀様と変態仮面に予約キタ!
放送後からの勢いが凄いw
603創る名無しに見る名無し:2009/02/13(金) 02:17:53 ID:IpATo2iu
そもそも銃弾効かない奴(砂のクロコや竜巻発生可のミュウツー、ゴムのルフィ)
が何人もいるのにかわされたぐらいでねぇ……
604創る名無しに見る名無し:2009/02/13(金) 07:56:24 ID:X7P+o0mi
シスコンと銀様の予約入ってるな。
605創る名無しに見る名無し:2009/02/13(金) 08:03:20 ID:t5r5jsNS
翠の子死亡話の後に、ローゼンメイデン2人の話がそれぞれ投下とは…偶然にしても凄いな
606創る名無しに見る名無し:2009/02/13(金) 19:26:42 ID:6FwIfjO1
ほんとだ新しい予約きてるーwktk
607創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 13:54:47 ID:tQZNJHIh
投下が来るまでなんか雑談でもして盛り上がっておきたいが……展開予想はまずいし、
今後が気になる参加者、とかどう?
608創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 14:03:22 ID:Gwl4ZP7y
別に盛り上げる必要なんてないと思うけど
609創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 14:26:48 ID:EqVuCLGS
○同盟の面々と遊園地周辺だな。
取り敢えずいまだ遊園地付近にいるクレアさんが怖くて仕方がないですw
610創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 14:56:20 ID:tQZNJHIh
観覧車の奴が擬似拡声器みたいになってるからなぁ
遊園地内には4人とそれほど多くないけど、周辺に多いからわからんな。
611創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 16:22:24 ID:Qy/haZTp
俺はカズマとクロコダイルが恐ろしい。
612創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 17:10:00 ID:EqVuCLGS
クロコダイルは弱点に気付かれるまではマジで無敵だからな。
その上、狡猾だし地の戦闘力も高いっていうw

カズマは第三形態になったら相当にヤバい。
チートマーダーズの中でも頭一つ抜ける存在になる気がするw
613創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 18:16:36 ID:0nA57wQC
戦闘力で言うならサーヴァントが本来の宝具を回収した場合も要注意だな
他の奴が使ってもただの武器か乗り物だけど、本人が使えばMAP兵器になる
614創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 18:19:18 ID:tQZNJHIh
ライダーはとりあえず対主催寄りだからいいが…我様が王の財宝を手に入れたら…
615創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 18:51:31 ID:Qy/haZTp
クロコダイルの弱点を考えたのだが…
砂になっている状態では首輪は砂になるの?
クロちゃんが砂になっても首輪撃ち抜いたら死ぬよね?
616創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 18:53:36 ID:wm08QMmK
俺はルフィだな。
ギア使っての白兵戦なら最強レベルだと信じてる
617創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 19:01:38 ID:tQZNJHIh
首輪は多分そのままだろうが…これ以上は本編でのマジ戦略に触れそうで怖いな
618創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 19:05:13 ID:l9xU4cYH
それってクロコダイルの悪の気を感じて空裂(ry
619創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 19:34:38 ID:Xbrfz9R5
バラライカかな
流石に放送までの殺害人数4人、登場したすべての話で死者がでること。戦い慣れしてるとはいえ超人ではない
まだこの勢いは消えなさそうだしさ
620創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 19:38:12 ID:7DuIzK4x
我様は確かに強いが一人だけじゃあ脱出にはつながらないんだよなあ
621創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 19:39:36 ID:+7AUzaOW
ハッピーバレンタイン!
ということで、ある人からバレンタインのプレゼントです
http://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00919.png

超回復持ちのリヴィオとか
ポケモンマスターのレヴィとかも中々怖いと思うんだぜ
622創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 19:43:47 ID:tQZNJHIh
レヴィはとりあえずマーダー、ではないんだろうけど…仗助に撃っちゃってるし、危険人物なんだよな。

って、ちょっっ!何してんだあんたww
でもGJww
623創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 19:51:11 ID:sGwOIGQF
ちょwライダーがwww
GJwww
624創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 19:51:53 ID:+7AUzaOW
おまけ
http://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00920.png

ちなみに中身は湯葉、かもしれない
625創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 19:52:41 ID:0nA57wQC
ま さ に 制 服 王
626創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 19:56:05 ID:tQZNJHIh
レ ナ 自 重 w
627創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 20:00:52 ID:EqVuCLGS
制服王自重www
628創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 20:03:39 ID:y6Cym/bv
こっちのライダーからはいらねぇw
629創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 20:06:21 ID:tQZNJHIh
第五次だったら、第五次だったら!>こっちのライダー
630創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 20:06:55 ID:sGwOIGQF
それは駄目だレナwww
631創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 20:09:09 ID:0nA57wQC
とってもいらない豆知識

イスカンダルは 下着 はかない

奴は下半身丸出しで外出しようとしたこともある猛者だ
632創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 20:17:44 ID:+7AUzaOW
>下着 はかない
うあああああそういえばそうだったw
633 ◆Wott.eaRjU :2009/02/14(土) 20:59:53 ID:sGwOIGQF
それでは佐山、小鳥遊、蒼星石を投下します。
634Prototype ◆Wott.eaRjU :2009/02/14(土) 21:01:39 ID:sGwOIGQF
「いいかね、小鳥遊君。私は思うのだ」

きっちりと着こなした制服。紺色のブレザー、高級そうな赤いネクタイが一際引き立つ。
オールバックの黒髪に銀色のものが両サイドに一つずつ、やけに目を引く。
端正な顔立ち。実年齢――17には不釣り合いな程に鋭い目つき。
それらの持ち主。名は佐山・御言。『悪役』の姓を継ぐ青年。
口元が綻び、言葉を紡ぐ。確かな自信を漂わせ、且つまるで言い聞かせるような口振り。
佐山が飛ばす視線の先にはこれまた一人の青年。

「何が言いたいか予想はつくよ、佐山くん」

言葉を返す者の名は小鳥遊宗太。ちなみに小鳥遊は『たかなし』と読む、少し変わった読み方。
小鳥遊の表情に映るものは自信。佐山の言葉に対する疑問は見せず、悠然と見返す。
僅かな時間を経て返ってきた言葉が耳から入り、佐山の表情は歪む。
程なくして零れ落ちたものは笑み。一種の共感を得たような微笑が顔を見せる。
互いの表情を確認。相手が自分と同じ事を考えているのだと共に確信する。
理由――彼ら二人の少し後方を歩く人影を見れば自ずと判る。
少なくとも佐山、小鳥遊の二人はそう思っていた。
たとえ他者の同意は得られずとも、胸を張って力説が出来る程に。

「……何かな?」

佐山と小鳥遊、両名の視線を一身に受け止めた存在が口を開く。
白のブラウスの上から青のケープを羽織った少女――否、蒼星石と名付けられた人形。
青色の半ズボンから伸びた、二本の細い足が緩やかに立ち止まる。
蒼星石は目の前の二人の言葉に対し、小さくかぶりを振る。
黒色のシルクハットが頭の動きと連動するように揺れを起こす。
覗かれた表情からは疑念のようなものが垣間見える。
と、同時にその顔色には別の感情が介在していた。
またか。そう言いたげな、既視感に満ちたオッドアイの瞳が二人を眺める。
対照的に男二人はさも満足げな表情を作り、彼女の視線を見返す。

635創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 21:01:42 ID:YVrb/HDQ
636Prototype ◆Wott.eaRjU :2009/02/14(土) 21:02:33 ID:sGwOIGQF


「蒼星石君の尻は――」
「蒼星石ちゃんの全ては――」


打ち合わせをしたわけではない。が、不気味な程に絶妙なタイミングで同時に声を発する。
依然として表情に変化はない。立ち位置は心なしか少し蒼星石の方へ滲みよっている。
思わず後ずさりする蒼星石。
冷静さを保とうとしている様子は見受けられるが、困惑は未だ残っている。
そんな彼女の様子を見て、小鳥遊は更に嬉しそうな笑みを見せる。
佐山の方も小鳥遊程ではないにしろ、まんざらでもないようだ。
そして二人は再び揃えるように、意気揚揚と言葉を紡いだ。


「実にまロい!」
「抱きしめたい程に可愛い!」


呆れるほどに、思いっきり大声で変態染みた言葉を。
蒼星石は精一杯の苦笑いで返事とする。
これで何回目か、数えるのも億劫になる程に繰り返された応答。
そう。この状況を端的に言うとなれば――
変態どもが一人の獲物を二人掛かりで取り囲んでいた。


◇     ◇     ◇


637創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 21:02:42 ID:7DuIzK4x
おっしゃ支援だ
638Prototype ◆Wott.eaRjU :2009/02/14(土) 21:03:12 ID:sGwOIGQF


「ふむ、脱落者の数は15人……か」

手に持った参加者名簿を見ながら、佐山がそう呟く。
浮かべた表情は真剣そのもの。数10分前に、変態的な事を口走っていたとはとても思えない。
たった今聞き終えた内容、1回目の定時放送が佐山を変えた。
いや、戻ったとでも言うべきか。
言動から知人には一種の変人と思われている佐山だが、それだけでは終わらない。
とある戦争により失われた世界との交渉、人呼んで全竜交渉(レヴァイアサン・ロード)。
佐山はその全竜交渉を行う部隊、即ち全竜交渉部隊(チーム・レヴァイアサン)のリーダー。
交渉の実質的な権利を任されている佐山には状況を冷静に判断し、行動する力が求められる。
よって佐山はこの場でも自分の役目を見失ってはいない。
主催者から与えられた、死者と禁止エリアの情報を無下に扱う事はない。
メモ用紙、そして己の記憶にしっかりと叩き込み、己のものとする。

「不謹慎だとは思うけど、伊波さんが呼ばれなくてホッとしたよ……うん」

次に口を開いたのは小鳥遊。彼もまた佐山と同じように名簿を開いている。
流石の小鳥遊も先程のような笑みは見せてはいない。
他人とは言えど、何処かで15人もの人間が死んだ事を知れば自然と気分は落ち込む。
少なくとも小鳥遊はそう思っている。
只、人が死んだというのに、同時に安堵のようなものを覚えてしまった。
そんな自分自身に対しての疑問は少なからずあったが。
満足とはいかない自信は程なくして外へ漏れ出し、不安げな表情を造り出す。
再び視線が佐山のそれと合う。

「なに、可笑しくはない反応だと私は思う。
私達には彼らは救えなかった――酷な言い方だがそれ以上でも以下でもなく、もはや言及のしようがない。
ならば、せめてその伊波君という知り合いの無事を喜ぶコトは、人間味に溢れた行動ではないかな。
少なくとも私は嫌いではないよ」

一息。
何かを諭すように佐山は言葉を発した。自然と小鳥遊の表情に、少しずつ明るさが戻り出す。
佐山の言葉を噛み締めるように小鳥遊は頷く。
そんな小鳥遊の様子を見て、佐山は僅かながらにも満足げな表情で更に言葉を続ける。
今度はまるで同意を求めるような、そんな調子で。

639創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 21:03:15 ID:EqVuCLGS

640創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 21:03:30 ID:YVrb/HDQ
641創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 21:03:33 ID:GnFG33jS
642創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 21:03:40 ID:btsuqJIO
変態支援
643Prototype ◆Wott.eaRjU :2009/02/14(土) 21:03:49 ID:sGwOIGQF

「それにだ。私も新庄君の名前が呼ばれなかった事は嬉しいと思っている。なにせ、新庄君は実に素晴らしい尻の持ち主だ。
豊かな、そして決して付きすぎではない肉質――、あえて言わせてもらおう。私はあれに心奪われたのだと。
あの貴重な尻をこんな場所で失うとなれば、私はこれから何に癒して貰えればいいのかね?
まったく、考えてみるだけで鳥肌がたちそうだよ」

真面目くさった顔つきで、どこまでも変態じみた事を平然と言ってのける。
嘘は言っていない。新庄の生存が喜ばしい事は事実に違いはない。
只、厳密にいえば本当の理由は違う。
たとえ新庄が幾らまロい――要するに素晴らしい尻の持ち主だとしても。
佐山は新庄という存在が未だ健在な事実に対し、純粋な喜びを感じていたのだから。
自分が“悪”の位置とすれば新庄はまさに“善”というべき人間。
対となる存在、即ち自分自身を知るには必要不可欠。
新庄と己の違いを見較べ、己の本質を、己の“本気”を知る。
佐山が全竜交渉部隊に所属を決めた理由の一つ。
自分の預かり知らぬところでその理由を、新庄を喪失する事は佐山にとって都合が良い筈もない。
そう。簡単に言ってしまえば佐山にとって、新庄は――そこまで考え、佐山は不意に思う。
限りないIF、絶対にあり得ないとは言い切れないケースの発生を。


(しかし、新庄君がもし死ぬ事になったとしたら私はどうするのだろうな。
果たして冷静に受け止められるか、それすらも自信が持てないとは情けないが。
なにしろ彼女は優しい人だ、何らかの策に嵌るコトは十分に予想の範疇……わかってはいるが心もとないね)


新庄の死。今まで全竜交渉部隊での作戦行動中にも、彼女の身の危険を案じたことは何度もあった。
あの時は自分が居た。自分が守りに行ける立場にあった。
だが、今の状況は今までとは違う。
支給された地図を見る限り、この会場は8×8のエリアから構成されている。
合計64のエリア、1エリアがどれ程の大きさかわからないが数は多い。
禁止エリアとやらで3つは減る事になるが、それでも60以上はある。
意味する事は新庄との合流の可能性が、依然として高くはないという事。
流石の佐山にも新庄と出会わずして、彼女を守り切るのは難しい。
故に佐山には珍しく、内面では焦りのようなものが生まれていた。
同行者である小鳥遊や蒼星石に気取られぬように、表面上は冷静さを保つように。
今は未だ小さな焦りでしかないが、この先どうなるかはわからない。
そう。もし、新庄の名前を放送で聞いてしまった自分がどうなるか予想がつかないように――
と、その時、佐山は半ば慌てるように意識を戻す。
時間を掛け過ぎた。ここまで沈黙を通してしまえば小鳥遊は不審に思うかもしれない。
そう考え、佐山は目の前に居る小鳥遊の方へ注意を向け――悟った。

644Prototype ◆Wott.eaRjU :2009/02/14(土) 21:04:22 ID:sGwOIGQF


「それで……新庄さんの年齢は幾つぐらいなのかな!?」
「なんだね、いきなり調子づいて。私と同じ、17ぐらいではないかな」
「あぁー……残念だ。17って、もうおばさんじゃないか……」
「これは予期しなかったな。君にとって17はもうおばさんか、なかなか特殊な意見だと言わせて貰おう」
「うん、12以上は対象外だからね」
「真顔で言ってくれるとはなかなかなものだ。まあ、私の心は海のように広いため、君の主観にわざわざ口を挟むことはないが。
しかし、それにしても新庄君がおばさんか……いやはや、これは想像してみるとなかなかに滑稽だな」
「一応言っておくけど俺はロリコンというわけでなく、只、小さいものが好きなだけだから。良く誤解されるから困ってるんだ」
「ふむ、了解した」


小鳥遊は実に愛すべき変態だということを。



◇     ◇     ◇


645創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 21:04:53 ID:GnFG33jS
646創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 21:05:09 ID:btsuqJIO
支援
647創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 21:05:11 ID:YVrb/HDQ
648Prototype ◆Wott.eaRjU :2009/02/14(土) 21:05:35 ID:sGwOIGQF


(桜田ジュン、確か真紅や翠星石のマスターだったね)


佐山と小鳥遊がくだらないことを言い合っている最中、蒼星石もまた思う事があった。
桜田ジュン。放送で知った死者達の中にあった名前の一つ。
蒼星石との関わりはあまりにも少ない。
只、真紅、翠星石、雛苺と三体ものドールと行動を共にしていた事もあり興味はあったが、所詮それだけでしかない。
名簿上の名前に斜線を引き、ジュンの死の事についてはそれ以上考える事もなかった。
何処かに居る真紅や翠星石はどう受け止めているのだろうか。
そんな事を思いながらも蒼星石は別の事に対し思考を巡らす。

(……何をしているんだろう、僕は)

自嘲するような内なる呟き。
蒼星石は振り返る。この場での自分の行動を――いきなり出鼻を挫かれた、佐山とのあの邂逅から始まった今までを。
正直、面喰った。まさか初対面の相手のお尻を、唐突に撫でる行為に出るとは思いはしなかった。
半ばなし崩し的に佐山との同盟を結ぶ形となってしまった出来事。
六時間以上もの共に行動し、彼が悪い人間ではないことはわかる。
数時間前に行動するようになった小鳥遊も同じだ。
二人とも人として大事な何かを忘れてきてしまっているような感は否めなかった。
しかし、今も17や12がどうこうと良く理解出来ない事を言ってはいるが、命の危険までは感じない。
結論から言えば悪くはない。これからも彼らと共に行動し、知り合いとの合流を進めておけば良い。
慣れ合うのは正直好きではないが、この状況で孤立する事よりはましだと思えた。
そうは思うのだが、どうにも蒼星石は自分が状況に流されているようにしか思えなかった。
変わらない、あの時と何も変わりはしない。
自分自身の存在が分からず、本当の自分を求めて、翠星石にさえも庭師の鋏を向けたあの時と――自分は同じなのだ。
落胆と同時にそれが決められた運命であったような感覚にも囚われる。
視線を空に、まるで結局何も変える事が出来ない自分から、眼を背けるように上を見上げた。
広がるものは青空――きっと彼女も見ているであろう光景を無意識的に共有する。


649Prototype ◆Wott.eaRjU :2009/02/14(土) 21:06:08 ID:sGwOIGQF

(どうしてるかな、翠星石は。
笑っているのか、それとも泣いてしまっているのか。やっぱり気になるよ、僕にとっては君が一番……ね)

ローゼンメイデン同士で闘い合い、最後の生き残りを決めるアリスゲーム――、禁じられた遊び。
未だ見ぬ七体目を除けば、水銀燈と真紅はきっと最後まで勝ち残ってくるだろう。
彼女達は強い。故に彼女達の動向には気を付けるべきなのだが、どうにも翠星石の方へ注意がいってしまう。
特に理由を考える事もない。
何故ならば翠星石とは双子の姉妹であるのだから。
いつも一緒であり、彼女にだけは本当の自分を曝け出す事が出来た。
何をするにも自分の陰に隠れ、それでいて肝心な時には自分の手を取り、前を歩いていた翠星石。
精一杯の強がりに裏付けられた、 彼女が浮かべる笑顔は大好きだった。
そして同時に彼女が見せる泣き顔は、自分の素顔を見ているようで大嫌いでもあった。
大好きでもあり、大嫌いな存在――故にわからない。
彼女がもし死ぬ事になれば、自分はどんな顔を浮かべるのだろうか。
マスターを違えた今となってはいつかは倒さなければならない存在。
それでいて何百年も同じ時間を過ごし、互いの事を話し合った暖かな記憶は今でも自分に温もりを与えてくれる。
頭を左右に振り、蒼星石は不意に手を伸ばす。自分のデイバックの方へ。
天候棒(クリマ・タクト)は自分には大きさの問題もあり、少々使いにくい。
よってこちらの方が使いやすいと判断した支給品を手に取る。


(出来るものならば断ち切ってしまいたいよ。この鋏で、君と僕を結ぶものを。僕が一人でも歩くコトが出来るようになるためにも)


支給された、二本の鋏の内一つを右手に持つ。
ガンドール・ファミリー――とあるマフィアに所属する、一人の拷問師が愛用する道具。
刃を少し開き、人間の肌をもやすやすと切断する二枚の刀身を蒼星石は眺める。
小さな銀色の世界にうつるものは自分の表情。何故だか奇妙な感覚が走った。
奇しくもその刃は本来の持ち主が、形ないものを――“絆”の強さとやらを確かめるために使い続けた代物。
実体がないものは幾ら鋏を振り翳しても壊す事は出来ない。
だから形あるもの――人体を壊し続ける事で、絆がどこまで痛みに耐えられるのかを知る。
蒼星石が知る由もない、歪んだ目的。
しかし、蒼星石は導かれるように鋏を何度も開閉する。


ショキショキ チャキショキ


宙で刃を打ち鳴らす。斬り裂いたものは何もない。
特に意味のない動作、何かの予行練習にも見える。
この鋏を使う機会を想定する――直ぐに答えは出た。
一つは誰かに襲われ、命の危険を感じた場合。
ローゼンメイデンの身体の小ささも相まって、一人での撃退は難しいかもしれない。
それでも怯ませる事ぐらいは出来るだろう。
そしてもう一つは、自分から積極的にこの鋏を使用する機会。
そう。この殺し合いでの優勝を目指す場合だ。


650Prototype ◆Wott.eaRjU :2009/02/14(土) 21:06:30 ID:sGwOIGQF
(僕には脱落出来ない理由がある。マスターの願い……叶えるためには、僕はどんなコトでも出来るのだから)


蒼星石が闘う理由にはアリスゲームでの優勝以外にも目的はある。
とある女性を殺し、現在の契約者の願いを叶える。
既に死んでしまった弟の影に引き摺られるマスター――どこか自分に似た存在。
彼の願いを叶える事が出来れば、今度こそ自分も変われると思えたのだから。
翠星石と同じではなく、“青星石”という確固とした自分自身の確立を蒼星石は渇望した。
故に蒼星石は状況次第では、この殺し合いに乗ることに特に抵抗を感じていない。
以前、佐山に言った事はあくまでも本心からではない。
マスターの願いを叶えるためにも、この場での脱出を何よりも優先する。
たとえどんな手段を用いようとも必ず――それが蒼星石の紛れもない本音。
しかし、蒼星石の脳裏には何度も何度もチラつく影があった。
浮かぶものは翠星石の笑顔と泣き顔。
その二つがくるくると回り続け、蒼星石は知らず知らずの内に鋏の刃による音色を奏でる。
いつかはこれで断ち切る時が来るのだと。


チャキショリ


そんな事を思いながらも。


◇     ◇     ◇

651Prototype ◆Wott.eaRjU :2009/02/14(土) 21:07:09 ID:sGwOIGQF


「それでは行くとしよう」

佐山がデイバックを担ぎ、小鳥遊、蒼星石に呼びかける。
その提案に各々頷き、佐山を先頭を取り、彼らは歩き出す。
ちなみに現在の佐山の頭上には獏は居ない。
この殺し合いに呼ばれる前、殆ど佐山の上を陣取っていた獏だが彼は何処に行ったのだろうか。

「いやー悪いね、佐山くん。こんなに可愛い子を預けてくれるなんて。蒼星石ちゃんも触ってみる?」
「僕は結構だよ」

答えは小鳥遊の両腕の中。
心底嬉しそうな笑みを見せながら、小鳥遊は獏を抱きしめている。
当の本人である獏は眼を細めて、心なしか苦しそうな様子だが小鳥遊は気付いていない。
あまりにも愛くるしい獏の魅力に触れてしまっては、小鳥遊の注意力が散漫なものになっているのはいた仕方ない。
横を歩く蒼星石は、特に興味がなさそうな表情を浮かべている。
知り合いであるジュンの死は既に二人には話してあり、大丈夫だと告げた。
それでも気遣っているのだろう。
特に小鳥遊は必要以上に蒼星石に話を振り、彼女はそれを彼なりの優しさであると感じ取る。
まあ、只単に可愛らしい蒼星石と話をしたいだけなのかもしれないが。
そんな彼ら二人を眺め、そして佐山は再び前を向く。

(こちらの戦力も心細い。急がねばならないな……早期の合流に越した事はない)

どんな参加者が居るかもわからないこの状況。
正直、小鳥遊と蒼星石はあまり戦力には期待できそうにもない。
過度な戦力は不要であっても、身を守るだけの力は、相手と対等の立場に立てるだけの力は必要だ。
新庄との合流は元より、佐山は名簿で見かけた名前――ブレンヒルト・シルトとの合流も留めておく。
1stーGとの交渉は既に完了済みであり、彼女にもこちらと今更敵対する理由はないだろう。
しかし、新庄とブレンヒルトの位置がわからなければ、合流は容易ではないのは言うまでもない。
運よく合流するという事もあるだろうが、可能性は上げておきたい。
そこで放送が行われる前に、空気クレヨンによって情報を残そうと話し合っていた件。
情報を道の真ん中に書いたとしても、気づかれない恐れがある。
よって何処かの施設に書き置く方が目につくだろう――と結論。
現在の位置からそう遠くはなく、且つその後の移動も楽に行えると考え、エリアG-7の駅を目的とした。
そして“悪役”は進む。
奇妙な同行者を引き連れ、自分が本気になれる瞬間を求めて。
652創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 21:07:40 ID:btsuqJIO

653創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 21:07:52 ID:GnFG33jS
654Prototype ◆Wott.eaRjU :2009/02/14(土) 21:07:53 ID:sGwOIGQF

【E-8 道路/一日目 朝】


【佐山・御言@終わりのクロニクル】
[状態]:右腕に痺れ
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、空気クレヨン@ドラえもん、不明支給品0〜1(確認済み)
[思考・状況]
1:新庄くんと合流する。
2:協力者を募る。
3:本気を出す。


【蒼星石@ローゼンメイデン】
[状態]:健康、精神的疲労
[装備]:チックの鋏×2@BACCANO!
[道具]:基本支給品一式、不明支給品0〜1、天候棒(クリマ・タクト)@ワンピース
[思考・状況]
1:翠星石と合流する。
2:佐山、小鳥遊と行動する。
3:翠星石、真紅、水銀燈の動向が気になる。
【備考】
※参戦時期は少なくとも死亡以前。


【小鳥遊宗太@WORKING!!】
[状態]:健康
[装備]:秘剣”電光丸”@ドラえもん
[道具]:基本支給品一式、獏@終わりのクロニクル
[思考・状況]
1:佐山たちと行動する。
2:伊波まひるを一刻も早く確保する。
3:ゲームに乗るつもりはない。

【共通備考】
※ポケベルにより黎明途中までの死亡者と殺害者を知りました。


【チックの鋏@BACCANO!】
拷問師、チック・ジェファーソンが愛用する、特に変哲のない鋏。
1933上巻に登場。
655創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 21:07:59 ID:7DuIzK4x
支援
656創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 21:08:00 ID:YVrb/HDQ
657 ◆Wott.eaRjU :2009/02/14(土) 21:09:06 ID:sGwOIGQF
投下終了しました。
支援ありがとうございます。
それでは何か矛盾などがあればお願いします。
658創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 21:11:23 ID:GnFG33jS
659創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 21:22:38 ID:Qy/haZTp
投下乙!

変態!変態!変態!変態!変態!
660創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 21:28:28 ID:7DuIzK4x
佐山のせいで小鳥遊まで変態に見える始末。
この二人なんとかせい

投下乙です!
661創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 22:09:02 ID:tQZNJHIh
投下乙!
この2人は全くもうw
佐山は新庄の死について少し不安があったりちゃんと色々考えてるけど、小鳥遊ww
獏可愛がっている場合かw
蒼の子はどうにも心配だ。状況によってはスタンスが変わりかねない。
翠の子が既に死んでいる以上、第2回放送までには間違いなく変化が生じるんだろうなぁ。
果たしてどうなってしまうやら。絆は本当に切れてしまうのか…
改めてGJ!
662創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 23:34:26 ID:av/R+mIi
投下乙!
何だこの変態たち蒼の子も危ない方向へ進んでるし
でも何だかんだでいいメンバーだな、
蒼の子も佐山や小鳥遊のこと信用してるみたいだし
それでも危ない方向へ進んでいくところが怖いっす

改めてGJ
663創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 00:26:14 ID:dTgf4yG/
投下乙です。
さすが変態コンビw

あと、小鳥遊は佐山のことはさん付けで呼んでたはず
664創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 00:31:13 ID:3xArII/M
感想どうもありがとうございます。

>>663
あ、うっかりしてました。
ご指摘どうもです。wikiに収録された際に修正しておきます
665 ◆Wott.eaRjU :2009/02/15(日) 00:32:19 ID:3xArII/M
とと、またトリ忘れうっかりorz
666創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 00:37:56 ID:6QQaVIiS
投下乙!

もうこの2人はすがすがしいまでに変態だなー
小鳥遊、その台詞はロリコン以外のなにものでもないぞw

あ、ひとつ指摘で、蒼星石が青星石になってる場所がありましたよー
667創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 00:40:30 ID:IrfcsQuy
……最近はロワごとに一人ずつうっかりさんがいる仕様なの?w
668創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 00:49:37 ID:6QQaVIiS
うっかりん!うっかりん!
669創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 00:56:19 ID:TDBd2tm1
投下乙です!

この変態どもがー!w
「ロリコンというわけではなく、小さいものすきなだけだから」って
好きもそこまでいったらまごう事なき変態だから!
小鳥遊は終わクロ世界でもやっていけるなw変態的な意味でw
でも殺し合いで15人死んでいるというのがピンと来ていないあたりが
やっぱり争いのない世界の一般人なんだなぁ
その点他の二人はしっかりと殺し合いでこれだけの死者が出たという事を
きちんと把握して考えているようで、世界観の差が出てる
この話でそれを実感したような気がする

それにしても蒼い子心配だな
原作でも不安定さが際立っていたけど変態sのおかげで大丈夫かなと思っていたんだが
全く、蒼い子が憂い顔をしてるのを想像すると…ああ、ああっ!

とにかく、GJです!
670 ◆Wott.eaRjU :2009/02/15(日) 01:51:27 ID:3xArII/M
>>666
ご指摘どうもです。こちらもwiki収録の際に修正しておきますね。

うっかりの事はどうか目を瞑ってください……w
671創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 03:21:17 ID:6QQaVIiS
新しい予約2つ来てた〜
672創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 10:52:26 ID:yEVgPPHD
予約はレヴィ単体と梨花、D×2、絶賛マーダー中のバラライカか
またルフィとバラライカ出くわすのか?
673創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 10:56:12 ID:6QQaVIiS
さぁどうだろねー
それはリレーの行く末によるから
674創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 11:14:28 ID:RpNULcFl
展開の予想がつかないな…
675創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 11:18:38 ID:1GnGmy56
いきなり過酷な遭遇戦が爆発的に増えそうだ。
676創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 11:20:03 ID:6QQaVIiS
どうなるかwktkものだなw
677創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 12:54:52 ID:iTey+K0t
今見てきたが凄いメンバーだったw
バラライカがどう動くかだな……
678創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 13:28:24 ID:DRlqAGsz
バラライカには登場話必ず死亡者の伝説があるが…さすがに4回目はない、よな?
679創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 13:33:43 ID:6QQaVIiS
さぁてどうなることか
680創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 14:16:09 ID:iTey+K0t
それでもニコ兄なら……ニコ兄なら何とかしてくれる……!
681R-0109 ◆eVB8arcato :2009/02/15(日) 14:36:26 ID:MdknyEvr
どうも、初めまして。
「バトルロワイアルパロディ企画スレ交流雑談所(以下交流所)」の方でラジオをしているR-0109と申します。
現在、交流所のほうで「第二回パロロワ企画巡回ラジオツアー」というのをやっていまして。
そこで来る2/22(日)の21:00から、このロワを題材にラジオをさせて頂きたいのですが宜しいでしょうか?

ラジオのアドレスと実況スレッドのアドレスは当日にこのスレに貼らせて頂きます。

交流所を知らない人のために交流所のアドレスも張っておきます。
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/8882/1229832704/ (したらば)
ttp://www11.atwiki.jp/row/pages/49.html (日程表等)
682創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 14:40:10 ID:6QQaVIiS
ラ、ラジオだと!?
キター!!!
683創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 14:41:17 ID:6QQaVIiS
もちのろんでいいですとも!
684創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 14:59:40 ID:TDBd2tm1
うわお、ラジオきたー!
もちろんいいですとも!
総員、全裸の準備は万全か!?
685創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 15:03:41 ID:6QQaVIiS
おうともよ!
686創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 15:30:36 ID:RpNULcFl
全裸!全裸!全裸!全裸!全裸!全裸!
687創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 16:13:53 ID:33sS5UTO
全ジャンル敵役最強スレからきますた
お勧め2ちゃんねるでリンクされてたから来たけどこういうSSスレがあるのか、面白そうだなあ
うちの議論とは相容れなさそうだけどw
688創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 16:50:29 ID:TDBd2tm1
お、いらっしゃい
完璧一般人が状況を利用して超人に勝つことがままあるから、確かに合わなさそうだw
ロワスレは探すと結構たくさんあるから、見てみるのも面白いと思うよ
689玉手箱 ◆EHGCl/.tFA :2009/02/15(日) 19:40:43 ID:2SzuNSD8
ゼロ、水銀燈投下します
690玉手箱 ◆EHGCl/.tFA :2009/02/15(日) 19:41:35 ID:2SzuNSD8
縦数メートル、横幅に至っては十メートルすら越えている馬鹿馬鹿しい程に長いテーブル。
やけに高い天井には映画に出て来るような、まさに豪華絢爛という言葉がぴったりなシャンデリアが三つ。
床にもこれまた高価そうな絨毯が敷かれており、壁には金色の額縁に入れられた風景画が何枚も飾られている。
廊下やここ以外の部屋はそこら中にひび割れがあったのに対し、この部屋にはそれらしき物は一切見受けられない。
古城一階にある大広間――そこには殺し合いの会場には相応しくない、ド派手な光景が広がっていた。

「すごぉい……」

そのド派手な装飾を見て感嘆の声を上げる者が一人、無言で観察を続ける者が一人――今現在、大広間には二つの人影があった。
その内の片方、透き通るような銀色の髪を持った小さな少女もとい人形が、パタパタと壁に走り寄り、しげしげと絵画を眺め始める。
その顔には何時もの人を小馬鹿にした笑みとは少し違った笑みが浮かんでいた。
そんな水銀燈の後ろ姿を無言で見詰めながら、もう片方の人影――ゼロはテーブルに同伴されている椅子に腰掛ける。

「水銀燈。はしゃぐのは構わないが、休める時に休まないと後々に響くぞ」

そして一言、呆れを含んだ言葉をゴスロリ人形に投げ掛けた。

「そ、そんなこと分かってるわよ。少し興味を持っただけじゃないのぉ」

その言葉に顔を赤くしながら、ゼロと一つ椅子を挟んで座る水銀燈。
ゼロは既にデイバックの中から支給された食糧を取り出し、仮面を少し持ち上げながら口にしている。
その光景はなかなかにシュール且つ怪しいもので、水銀燈は軽く引きながら自身の食糧を口へ運んでいた。

「……食事の時くらい仮面外せば良いじゃない」
「私もそうしたいところだが、立場上、信用しきれない相手に素顔を見せる事はできないのでな」
「いちいち言葉にトゲがあるわねぇ。乳酸菌とってるぅ?」

取り留めのない会話。
信頼を築くでも気分を和ませるでもなく、暇をつぶす為だけの会話。
だが何時しかそんな会話すらも途切れ、一人の人間と一体の人形は黙々と咀嚼を続けることとなる。
そして丁度彼等が食事を終えたその時―――二人にとっても聞き覚えのある一人の男の声が古城内に響き渡った。







(あらあらあらあら! 死んじゃったわねぇ、真紅のミーディアム! これで真紅の力は半減、アリスへの道が閉ざされちゃったわねぇ、真紅ぅ!)

ギラーミンが行った放送に水銀燈はただひたすらに歓喜を覚えていた。
元々このゲームに水銀燈の仲間と呼べる存在は居らず、大切な人を失うという懸念も欠片もない。
ライバルが少しでも減っていればラッキーだと思いつつ、放送を聞いていた水銀燈であったが、それは予想以上の吉報を彼女に届けてくれた。

(ナナリーは無事か……)

対するゼロはその仮面の下で安堵の表情を浮かべていた。
この時ばかりは革命家・ゼロとしてではなく一人の兄・ルルーシュとして、ただひたすらに安堵を覚え、それと同時に、こんな殺し合いに愛しの妹を巻き込んだギラーミンに対する憤怒が湧き上げていた。

「今はまだ高みの見物を決め込めていれば良い……だが絶対に辿り着くぞ、貴様の元へ……!」

小さな、直ぐ側に座る水銀燈にも聞こえないような小さな宣戦布告。
ゼロの手は音を立てる程に握り締められており、震えている。
691創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 19:43:30 ID:iTey+K0t

692創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 19:44:00 ID:RpNULcFl
超全裸
693創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 19:45:42 ID:RpNULcFl
童貞仮面支援
694玉手箱 ◆EHGCl/.tFA :2009/02/15(日) 19:45:54 ID:2SzuNSD8
「ちょっと、押し黙っちゃってどうしたのぉ? もしかして大事な人が死んじゃったとかぁ?」

テンションがハイになっているからか、余裕を滲ませた表情で水銀燈は挑発的な笑みを見せる。
だがゼロはその言葉に返事をすることなく、水銀燈へと顔を向けた。

「食事は済んだか?」
「……つまんない男ねぇ……。ええ、済んだわよ。次は何処に向かうの?」

一つ頷き立ち上がるゼロ。
そのまま出口へと続く扉へ向かうのかと思いきや―――何故か机の側面へと回り込み、丁度真ん中の所で立ち止まる。
その不可解な行動を不審に思う水銀燈であったが、特に何も言わない。
取り敢えずゼロの言葉を待とうと傍観に務めていたのだが――、

「え?」

――次の瞬間、意味不明の事態が発生する。

まず最初に水銀燈が知覚したのは頬叩き付ける強烈な風。
同時にドグシャと何かが叩き潰れたような鈍い音が鼓膜を震わせる。
刹那に起きた突風と轟音。
ふと我に返ると視界の中の光景が一部変わっていた。
絵が飾られた壁、目の前に置かれた大きなテーブル、テーブルの側に立つ場違いな格好をした変態――先程まで見ていた景色はこうだった。
だが現在は違う。
絵が飾られた壁、床を覆う真紅の絨毯、そして片足を上げた状態で立つ変態……おかしい。
――テーブルは?
――大広間に入ったと同時に目に入った、あのどうしようもなく目立つ大テーブルは?
何かに思い当たったのか、水銀燈の顔がゆっくりと、まるでゼンマイ仕掛けの人形のように後ろへと向く。
そして水銀燈は見る。
見るも無惨な姿と化したグシャグシャのテーブルを。
石で出来ている壁にめり込んでいる木製のテーブルを。
ゼロに蹴り飛ばされ、壁に掛かっていた絵画ごと叩き潰された巨大なテーブルを。

「な、な、な、な、な、何してるのよ、アンタ!?」

ようやく自身を取り戻した水銀燈がまず行ったことは距離の確保。
警戒と共に羽を羽ばたかせ、自分の力を最大限に引き出せる中距離―――天井付近へと身を置く。
そして何時でも羽根を撃ち出せるよう待機し、ゼロを睨み付ける。

「まぁ落ち着け、水銀燈。お前は不思議に思わなかったか」
「何がよ! アンタの格好? さっきの行動? 全部意味不明よ!」
「……そうじゃない。この部屋についてだ」
「この……部屋?」

どうやら協定を反故にするつもりではないらしい―――ゼロの纏う空気や口調からそう読み取り、水銀燈は絨毯へと降り立つ。
とはいえ一定の距離は空けており、警戒も完全に解いている訳でもない。
攻撃、回避、逃亡……その全てを選択できる距離と心構えを持ってゼロと向き合う。

「……どういうことよ」
「何も分かっていないのか……まぁ良い、順を追って説明しよう」

そんな水銀燈を見つめため息を吐くと、ゼロはある箇所を指差した。
そのある箇所とは沢山の絵画が飾られた壁。水銀燈には何の変哲もなく見える壁であった。

695創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 19:47:10 ID:hv2Glp7O
支援
696玉手箱 ◆EHGCl/.tFA :2009/02/15(日) 19:47:41 ID:2SzuNSD8
「まず違和感を感じたのはこの大広間内の壁だ。古城内の壁にあったひび割れがこの部屋には無い」
「……それがどうしたのよぉ」
「次にこの装飾だ。不自然だとは思わないか? 地図には古城跡と記されているこの施設。
その名の通り内部は古ぼけていた。あるのはひび割れた壁と埃を被った調度品のみ、確かに古城と言うに相応しい。
だがこの部屋は違う。シャンデリアに絵画にテーブルに絨毯……全てが新品同様に輝いている。
そう、綺麗すぎるんだよ。他の箇所と比べ、この大広間はあまりに綺麗すぎる。まるで此処だけ新調されたみたいにな」

確かに一理ある―――辿ってきた古城の内部を思い出し、水銀燈はそう思った。

「でもそれが何だって言うのぉ? ただ単にギラーミンが気紛れでこういう内装にした可能性もあるじゃない」
「確かにその可能性もある……が、私にはあのギラーミンがそのような無意味な行動を取るようには思えない」
「実際そうなってるんだし、そうなんじゃないのぉ」
「そう、実際にこの大広間には手が加えられている。まるでここが特別な場所であるかのように、だ。
このような殺し合いを催すギラーミンが、本当に意味も無くこんな部屋を用意すると思うか?
この豪華な内装には何らかの意図が組み込まれている……そうは思わないか、水銀燈?」

言葉を紡いだままゼロは部屋の端へと移動し、足元の絨毯を掴む。
そして軽いジャンプと共に絨毯を思い切り引っ張り上げる。
それはただの絨毯ではない。大広間一体を覆う程に巨大な絨毯だ。
だが、ゼロの豪力によりそれは紙切れのように宙を舞う。
当然、絨毯の上に立っていた水銀燈は引っ張られる絨毯に足を取られ、その場に転び倒れる。

「煌びやかなシャンデリア、壁に掛けられた絵画の数々、巨大なテーブル……大抵の人間はそちらに目を奪われる。事実私もそうだったし、水銀燈もそうだった。
ならば、そこ以外のなかなか目に届き難い箇所……テーブルの下や絨毯の下はどうなっているのか――」

宙を舞う真紅の絨毯。
その下を悠遠と歩く黒き魔人。
仮面の下の二つの目がそれを捉える。

「―――答えはこれだ」

―――テーブル、絨毯、二重に蓋されていたその箇所に三つの穴が開いていた。
左側から大中小と大きさの違ったドーナツ型の空洞……そこには三つの『○』が存在していた。







「……別にテーブルを蹴り飛ばしたり、絨毯を投げ飛ばしたりする必要はなかったんじゃないの……」

顎に手を当て三つの空洞を観察するゼロの隣で、水銀燈は嫌みをこぼした。
先程転んだ拍子に頭をぶつけたらしく、細い両腕は頭をさすっている。

「水銀燈、これをどう思う?」
「どこからどう見ても『○』ねぇ……この『○』に何かはめ込むんじゃない?」
「お前もそう思うか……」

床に空いている大きさの別れた三つの空洞。
取り敢えず、水銀燈とゼロの手持ちの道具にはハマりそうな形の物はない。

697玉手箱 ◆EHGCl/.tFA :2009/02/15(日) 19:48:41 ID:2SzuNSD8
「そもそもこの『○』に何かはめ込んだとして何が起きるのよ」
「それは分からないが……少し此処を読んでみろ、ヒントらしきものが書いてある」
「『力が欲しければ戦いの証を一つ提示せよ』……? どういう意味よこれぇ?」
「『戦いの証』という物が何かはまだ特定できないが、その『戦いの証』をこの『○』にはめ込めば何らかの『力』……武器か何かが出て来るのだろう」
「……罠の可能性はぁ?」
「皆無とは言えないが限りなく低いだろうな」

観察を終えたのか、ゼロはその言葉を発すると同時に立ち上がり、大広間の出口へと歩いていく。

「ちょっともう出ていくの!? この仕掛けはどうするのよ!」
「私達の持ち物には『○』型の物など無い。つまり、今の時点ではその仕掛けを作動させるには至らない訳だ。
動かせもしない仕掛けの前で無意味に時間を浪費するのなら、他の行動を取った方がずっと有意義だと思うないか?
ここには、その『○』にはまりそうな物を発見した時にでも戻ってくれば良いだろう」
「そ、それはそうだけど……」

そのままスタスタと大広間から歩き去るゼロを、水銀燈は腹立たしげに睨み付け、そして自身もその後を追っていく。
この大広間の一件を通し、彼女の中でのゼロの評価は著しく上がった。
たった十数分の間にこの隠された仕掛けを発見したのだ。
ゼロの頭脳、考察力、推理力、観察眼が常人離れしている事は水銀燈も認めざるを得ない。
だがそれと同時にゼロに対する苛立ちも増加していた。
化け物のような戦闘力、ずば抜けた頭脳、死の恐れなど微塵も感じさせない不遜な態度……全てに腹が立つ。

(いつか絶対に殺してやるんだからぁ……!)

殺意すら込められた水銀燈の視線。
その先には悠々と古城の出口へと向かうゼロの姿。
水銀燈の視線を気に止める様子すらない。
その態度もまた水銀燈の苛立ちを高めさせるのだが、ゼロにとってはどうでも良いことでしかなかった。
ゼロは歩を進めたまま、ある事柄に対する思考を始める。

(『○』、か……。大体の予想は付くがな)

思考の内容は先程見つけた窪みについてであった。
―――大中小と連なる三つの『○』。
―――窪みの下に記されていた『力が欲しければ戦いの証を一つ提示せよ』の一文。
様々な情報を脳内で整理し、ゼロはほんの十秒で結論を導き出す。

(……首輪、だろうな)

自身に装着させられた首輪に触れ、ゼロは小さくため息を吐く。

(『戦いの証を一つ』ということから『戦いの証』が複数あるのは読める。
そして三つの穴があるのに提示すべき『○』は一つ……これは大中小と大きさが変わっている以上、その『戦いの証』にサイズのバラつきがある事を示している。
この会場に複数あり、ドーナツのような『○』型、そしてサイズにバラつきがある―――私が知る中では首輪しかない)

トントンと指の先で自身の首輪を叩くゼロ。
ゲームが始まり相当な時間が経つというのに未だ馴れることのない首輪の感触。
引きちぎりたくなる思いを押し込め、ゼロは歩く。

(……とはいえ首輪以外の『○』型が当てはまらないとも限らない。やはりまだ推測の段階だな……。
それにこれらのヒントは全てギラーミンから与えられたもの……いまだギラーミンの掌の上から出るのは難しいか……)

未だ絶対的な立場からゲームを支配するギラーミン。
その憎々しい顔を思い出し、ゼロは小さく歯軋りを鳴らす。
―――妹の守護と主催者への反逆を胸に、黒き魔人が再び会場に舞い降りた。
―――虎視眈々と優勝を狙う仮初の仲間と共に、ただひたすらに邁進する。


698玉手箱 ◆EHGCl/.tFA :2009/02/15(日) 19:49:04 ID:2SzuNSD8
【A-2 古城跡/1日目 早朝】
【ゼロ@コードギアス ナイトメアオブナナリー】
【状態】:健康
【装備】:大戦槍@ワンピース
【道具】:基本支給品一式、強力うちわ「風神」@ドラえもん、MH5×4@ワンピース
【思考・状況】
1:ナナリーの捜索。そのために情報を集める。
2:ナナリーの害になる可能性のある者は目の届く範囲に置く、無理なら殺す。
3:中心部を目指す。
4:『○』に関しては……
5:ギラーミンを殺して、彼の持つ技術を手に入れる。
6:自分の身体に掛けられた制限を解く手段を見つける。
【備考】
※都合が悪くなれば水銀燈は殺すつもりです。(だがなるべく戦力として使用したい)
※ギラーミンにはタイムマシンのような技術(異なる世界や時代に介入出来るようなもの)があると思っています。
※水銀燈から真紅、ジュン、翠星石、蒼星石、彼女の世界の事についてある程度聞きました。
※ナナリーの存在は水銀燈に言っていません
※会場がループしていると確認。半ば確信しています
※古城内にあった『○』型のくぼみには首輪が当てはまると予想しています。

【水銀燈@ローゼンメイデン】
【状態】:健康、服に若干の乱れ
【装備】:卵型爆弾@バッカーノ、チェスの長メス@バッカーノ
【道具】:基本支給品一式、ランダム支給品0〜1
【思考・状況】
1:優勝を狙う。
2:しばらくはゼロと組んで行動する。
3:『○』についてはどうしようかしら……。
4:守るべき者って……バカバカしい。
【備考】
※ナナリーの存在は知りません
※会場がループしていると確認。半ば確信しています


※古城内の大広間に『○』型のくぼみがあります。このくぼみに何が当てはまるかは不明です。


699玉手箱 ◆EHGCl/.tFA :2009/02/15(日) 19:50:00 ID:2SzuNSD8
これにて投下終了です。
ご意見、質問等あったらお願いします
700創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 20:10:32 ID:DRlqAGsz
投下乙です!
ゼロ仮面すげえ!考察も戦闘もできるなんてどんだけ、しかも現在消耗なし!
マーダーを傍においているだけでもあれなのに、これなんて有力株。
銀さま、名台詞出したりはしてるけど、ゼロに振り回されてる感じかなぁ。放送後のリアクションは彼女らしかった
そして、再び登場『○』!そりゃあ○ロワだものね!
果たしてこの○は何なのか。主催の罠か?それとも…?
大中小の首輪……果たしてここにそれらが集うことはあるのだろうか?
なかなかなフラグが立って、面白い話でした!GJ!
701創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 20:19:40 ID:TDBd2tm1
投下乙です!

おお、こんなところにも○が絡んできたか!
なんというかこう、ぞくぞく来るものがあるな
ゼロすごいよw一息で重量級のテーブル蹴り飛ばし、ぶっ壊すとはw
流石マッチョ仮面、アニメの貧弱とは一味も二味も違うぜ!
しかし見事に利害関係だけで結びついてるコンビだなw
銀様がデレてこの殺伐とした雰囲気が和らぐ時はくるのか
静かに事態が推移していく感じが印象的な話でした。GJです!

グシャッという音が響いた瞬間、ゼロが死んだかと思ってドキッとしたぜw
702創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 21:28:31 ID:iTey+K0t
投下乙です!
いや何か良いなぁ、この○ロワ唯一のマーダーコンビw
そして古城に眠る謎の仕掛け……しかもこれも○に関わっているというw
てかテーブル蹴った時、ゼロがキレたかと思ったw
GJでした!
703円転:2009/02/15(日) 21:31:07 ID:Xr0wT1eW
円天ドル天ごぼう天:2009/02/15(日) 18:51:57 ID:L5YVLFRR0
http://enten.at.webry.info/200902/article_15.html

まだ、マルチ活動中。円天を啓蒙だとさ。
悪口、文句書き込み放題。笑えます。
704創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 21:35:00 ID:16eNSr1c
マルチで検索抽出してスクリプト一斉書き込みと見受けられるw
705創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 21:43:24 ID:6QQaVIiS
投下乙!
おおーゼロなんかすっげー
だがちゃぶ台返ししたり絨毯引き抜きする前に一声かけろよw
お前は昭和の頑固おやじかw

下にあった○のギミックは首輪で正解なのかな?
はたしてこのしかご役にたつのは何時のことになるだろうね
706創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 00:36:10 ID:STbLfbgg
投下乙です。
やっぱナナナのゼロはカッコ良いなぁ。
古城フラグも後々にどう影響するか楽しみだ。
GJでした!
707創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 01:12:19 ID:yZYz5ZjZ
予約きてるー
708創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 01:15:45 ID:STbLfbgg
おお、マジだ。
テンポ早いなー
709創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 01:23:54 ID:ZfFHV6ea
おおホントだ……って、今回もヤバげな予約ー!w
710創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 07:31:11 ID:63zIgJfb
よりにもよってカズマかよ…
強すぎるだろ
711創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 15:05:55 ID:auAN749N
本当だ、予約きた!!
ただでさえ不確定要素が多い面子なのに、カズマがそこに加わるとはw
予測不可能すぎるw
712創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 18:53:32 ID:lcKXFfKv
このごろはなかなか展開が読みにくいのが多くて何よりだ
713 ◆SqzC8ZECfY :2009/02/16(月) 21:51:39 ID:dP01XDeo
レヴィ投下します
714創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 21:52:29 ID:lcKXFfKv
おお、支援だ!
715悪党御免 ◆SqzC8ZECfY :2009/02/16(月) 21:53:02 ID:dP01XDeo
……まあ、あれだ。
あたしも流石にこう立て続けにわけのわからねえ事態が続けば、自分の正気を疑っちまうくらいのことはする。
ほんとはイエローフラッグで飲みすぎちまって、タチの悪ぃ夢見てんじゃねえかとかな。
ロックやダッチに担がれてうちらのオフィスに帰る途中、奴らに文句やら皮肉やら浴びせられながら、グースカ暢気に寝てんじゃねえかとか。
だがよ、これでもジミ・ヘンドリクスみてえに自分のゲロで溺死するほど節度のねえ飲み方はしてねえつもりだ。
つーか、そんな迂闊をやらかしたが最後、ロアナプラじゃあ何されるか分かったモンじゃねえ。
そんな間抜けは、目覚めたときに一文無しで道端に転がされてようが、それでも二度と目覚めない身体にされてないことをファッキン・クライストに感謝していい。
とにかくだ、あたしはそういった可能性についても考えてみたわけだが……つーか飲んでねえ。
最初にギラーミンとかいう馬鹿が、何やらヤクでもやってんじゃねえかってくらいのイカれた戯言ほざきながら、顔色悪い女とチンピラを吹っ飛ばしたところだ。
そいつが悪夢のジェットコースターのはじまりだったわけだが――じゃあ、その前は?
ロックの馬鹿のせいで姉御には殺されかけて、あのジャパニーズ・ヤクザに脚をスライスされかけて散々だった日本から、タイに帰って、ようやく怪我も治って……。
んで、いつものオフィスでヘッドホンで音楽聴きながらぼーっとしてたくらいだが、酒は一滴も飲んでねえぞ。
それが一番新しい記憶だ。
ひょっとしたらうたた寝くらいはしてるかもしれねえが。
よし、じゃあさっさと目を覚まそうぜ、レヴィ。
スリー、ツー、ワンでこんなナイトメアからはおさらばだ。
あたしは右手で自分の頬をぴしゃりと叩いた。
……。
…………。
………………。
いてえじゃねえか、ファック!!
夢じゃねえのか?
じゃあ、なんであたしはこんなとこにいるんだ。
ハイジャック? 連れ去られた?
じゃあロックはどこいった。四六時中、姉御にぴったり付いてる軍曹は?
んで、なんであのくそめがねがいるんだよ。
そもそもそんなんで片付けられる事態かよ、これが。
ああ、くそ。わけがわかんねえ。わかんねえぞ、クソがッ!
分かってるのは相変わらずあの赤毛野郎にバッサリいかれた指が痛ぇってことだけだ、クソッタレッ!!
………………オーケー、落ち着けレヴェッカ。
予想外の事態はいつだって起こる。
大事なのはその波に乗り損ねないように、柔軟に合わせることだ。
まずひとつ。
あたしが持ってるのは銃だ。
こいつは大事だ。
これがあるとないとじゃ大違いだからな。
あの赤毛に恵んでもらったみたい形なのはとてつもなく気にくわねえが……。
まあ撃ち合いなら問題はねえ。いつものことだ。
弾の残りが気になるが、そいつは他の奴らから銃ともども奪えばいい。
武器は他の連中にも配られてるみてえだからな。
クソッ、それにしてもあたしにはハズレばっかなんだよ。
なんか他にももう一つ、キラキラした妙な宝石があったが、ドンパチやってる最中じゃあ武器のほうが何倍も有難いってモンだ。
ローザミスティカだかなんだか知らねえが、バズーカぐらいよこせってんだよ。
問題はこのボールだ。
荷物をひっくり返したら説明書きが出てきたんで読んでみた。
モンスターボールというらしく、このスイッチを押すとさっきのスタンドだかポケモンだかを出し入れできるらしい。
ポケモンと言うのはこの説明書きに書いてあった。
そもそもポケモンて何だよ、という疑問の答えは書いてなかった。
要点だけをかいつまんで把握しよう。それ以上を考えたところで一文の得にもなりゃしねえし、むしろ時間の無駄だ。
出せるのは10分間限定。時間を過ぎると元に戻り、二時間は出せなくなる。
つまり、今は出せない。ここだけだと不便なとこだけが目立つ。
そうまでして使うほどの強力な代物なのか……銃弾すら弾くこいつを見ると、確かに強力そうだが。
そして、基本的に出した奴の命令を従順に聞く、らしい。
つまりあたしの邪魔をしやがったこの岩っころも次は言うことを聞くってか?
ぶっちゃけロボットみてーなもんか。えーと命令は……。
716創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 21:53:38 ID:63zIgJfb
超全裸
717悪党御免 ◆SqzC8ZECfY :2009/02/16(月) 21:54:17 ID:dP01XDeo
Chage(たいあたり)、
Defence(まるくなる)、
Mud Play(どろあそび)……なんだこりゃ?
Rock drop(いわおとし)、
Earthshaker(マグニチュード)、
Self destruction(じばく)……おいおい。
Roll(ころがる)、
Rock blast(ロックブラスト)、
Earthquake(じしん)、
Explosion(だいばくはつ)、
Kamikaze(すてみタックル)、こいつはレベルを上げないと使えないって……レベルってなんだよ。
このカビゴンとかいうやつもポケモン……似たようなもんか。まーパワーはあるようだし、色々便利そうだけどな。
素直にいうこと聞く分、使わせてもらうぜ。
この岩っころは次に言うこと聞かなかったら捨てる。つか他の奴らに拾われたら厄介そうだから埋める。
それにしてもカビゴンってのもだせえな……デカブツだからダッチ……イメージがあわねえな。

「まーいいや……おい、言うこと聞きやがれよ」

あたしが手の平の中のボール越しに話しかけると、ボールの中で小さくなってるそいつは反応するようにモゾモゾと動いた。
あたしはペットなんか飼うようなガラじゃねえからな。役立たずならさっさと見切る。
犬だの猫だなんてのは、あたしんとこじゃあ、酔っ払いが余興のついでに撃ち殺す的にしかならねえんだ。

「あー、それにしても味気ねえな、この飯は……街にいきゃあマシなもんはあるか?」

どっちにしろいつまでもここにいてもしょうがねえ。
とにかくだ、飯も食ったし、動くか。
問題はどう動くかだ。
まず、あの赤毛野郎は殺す。
あの放送がマジならまだ生きてるみたいだからな。
しかし、どっちにいったのかはわからねえときた。
こんな森にいつまでもいるとは思えねえしな……とりあえず、ここを出る。
そのためにもこんな誰も近づかなさそうな森はさっさと抜けるに限るぜ。
見た感じ、西か北に行きゃあ抜けられそうだ。
とりあえず適当に北にいってみっか。
そしてあたしは、このしみったれた森から抜け出すために、移動を開始した。


   ◇   ◇   ◇


「あーくそ、やっとこの景色からオサラバだぜ」

しばらく歩くと、ようやくあたしは森以外の景色を拝むことが出来た。
観覧車が見えるってことは遊園地か?
こっちは西側だから今までは地図の左下の森にいたのかよ。
そこでようやくあたしは、今まで自分の立ってる場所すら碌に掴んでなかったことに気付く。
あーくそ、どうなってやがんだ。
こんなザマじゃあ、立て続けにイモ引いたのも当然じゃねえか……間抜けもいいとこだ。
エダあたりに喋ったら殺したくなるぐらいまで笑われるに決まってる。
とにかく情報だ。
誰かに会ったらこの場所で何が起きてるのか、あのガキと青狸は知り合いみてえだがギラーミンてのは何なのか、赤毛野郎のことも込みで聞けばいい。
ついでに荷物も剥いじまえば獲物も手に入るかもだし、一石二鳥だ。


――見ろよ。銃じゃ解決しないこともあるんだぜ。


……うるせェよ、クソッタレが。
なんでここで出てきやがる。
718悪党御免 ◆SqzC8ZECfY :2009/02/16(月) 21:56:04 ID:dP01XDeo
殺し合いしろって言われて、それ以外で解決することなんてあんのかよ。
だいたい、テメェはここにいないってのによ。


――誇りはねえのか、お前の脳ン中にはよ!


あー、うるせーうるせーうるせー!
ああ、分かったよ! 認めてやるよ! 
ぶっ放して暴れてその挙句がこのザマで空回りだよ!
そうだ、COOLになれ。
殺し合いとは言ってもいきなりぶっ放すだけが能じゃねえ。
ロアナプラでだって、そんな馬鹿はとっとと蜂の巣にされて御仕舞いだ。
誰が信用できて、誰がそうでないのか……それは自分で判断するしかねえ。
このリストで信用できるのは姐御くらいか……あとは聞いたこともねえ名前ばっかりだ。
ギラーミンの野郎を信用できるなら殺し合いに乗ってやってもいいが、こんな奴を信じるくらいなら、イエス様がルート66をチョッパーに乗ってぶっ飛ばしてたって与太話だって信じるぜ。
決闘やるならさっさとやればいい。
それができねえタマナシが何言ってやがるって話だよ。
あたしは――いや、あたしらは別に死ぬのが怖いってわけじゃねえ。
あたしらは元から歩く死人だ。
ダッチも、姐御も、張の旦那も、他の連中も――ロアナプラに吹き溜まってるような連中はどいつもこいつもくたばりぞこないだ。
墓石の下で虫に食われてる連中と違うところがあるとすりゃ、たったひとつ――。


「拘るべきは――地べたを這いつくばって、くたばるのが許せるか、許せないか、だ」


誇り、ね。
そんな大層なモンでもねえが――ま、やるだけやってやるさ。




【G-1北部 草原 朝】
【レヴィ@BLACK LAGOON】
[状態]全身に軽い負傷、左小指欠損(応急処置済み)、顔面と左脇腹に痛み、
[装備]スプリングフィールドXD 9/9@現実、スプリングフィールドXDの予備弾19/30 @現実、
    カビゴンのモンスターボール@ポケットモンスターSPECIAL、ゴローニャのモンスターボール@ポケットモンスターSPECIAL
[道具]支給品一式(一食消費、水8/10消費)、不明支給品(銃器類なし)0〜1、応急処置用の簡易道具@現実
[思考・状況]
基本行動方針:悪党らしく、やりたいようにやる。
1:他の参加者と接触してなるべく穏便に情報を集める。他にバラライカの情報を集める
2:クレアを必ず殺す。仗助は殴る程度で勘弁してやってもいい。
3:爆発?を起こしたゼロを許さない。(レヴィは誰がやったかは知りません)
4:他の参加者に武器を、特にソードカトラスがあったら譲ってくれるように頼む。断られたら力付く。


※クレアが何処へ向かったかは知りません。
※参戦時期は原作五巻終了後です。
※スタンドの存在を知りましたが、具体的には理解していません。ポケモンと混同してる節があります。
※ポケモンの能力と制限を理解しました。




【雛苺のローザミスティカ@ローゼンメイデン】
レヴィに支給された。
ローゼンメイデンの命の源で、いわゆる「魂」の様な物。外観は幾重もの光輪を伴った結晶である。
ローゼンメイデンがこれを持つと雛苺の茨を操ったり人形を巨大化させる能力を身につけることが出来る。
719創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 21:57:13 ID:63zIgJfb
支援
720 ◆SqzC8ZECfY :2009/02/16(月) 21:57:24 ID:dP01XDeo
投下終了です。支援感謝。
ご意見ご感想お待ちしてます。
ポケモンの制限についてもある程度明文化してみました。
721 ◆SqzC8ZECfY :2009/02/16(月) 22:00:30 ID:dP01XDeo
ミス発見。
状態表の不明支給品を消し忘れていました。
収録の際、直しておきます、すいません。
722創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 23:08:50 ID:c6X1Es+o
投下乙!
レヴィ、とりあえず方針を情報集めに定めたか。対主催……なんだろうけど、なぜか危険人物な視線が消えないのはなぜだろう。
思考がかなり彼女らしかったです。
ポケモンも2つ持って、上手く使用できるといいけれど。
遊園地の西側に行った彼女は次に誰と接触するのだろうか?
改めてGJ!
723創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 23:20:10 ID:lcKXFfKv
なんか今までいろいろぶれたけど穏便な方向に落ち着いたか
とりあえず安心。
ポケモンの扱いはどうなるかなあ……
次の話が楽しみです。

と、新しい予約が……いい感じだなあ
724創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 23:51:11 ID:yZYz5ZjZ
キャラのつかみうまいなー
レヴィがレヴィすぎるよ
725創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 00:15:29 ID:PORq8QVN
投下乙

レヴィはとりあえず落ち着いたようで何よりだな
すぐキレそうな気もするがw

新しい予約はヴァッシュ単独とラッド、ロベルタか
予約が止まらんぜー
726創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 00:19:37 ID:i2p9KUP2
状態表で丈助の扱いが変わってんのがなぁ。
前回に比べて落ち着いたからだろうけど、「必ず殺す」から「殴る程度で勘弁」に変えるならある程度の描写が欲しかったところ
727創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 01:45:55 ID:mWxLgapQ
今のところの予約状況

02/18(水) 01:54:35まで◆UcWYlNNFZY『梨花、ウルフウッド、ルフィ、バラライカ』
02/19(木) 01:08:40まで◆Wott.eaRjU『カルラ、ドラえもん、大阪、カズマ』
02/19(木) 21:02:37まで◆YhwgnUsKHs『ヴァッシュ』
02/19(木) 21:31:11まで◆EHGCl/.tFA『ロベルタ、ラッド』

 4人予約状態にまたもなろうとは…
728 ◆SqzC8ZECfY :2009/02/17(火) 07:42:53 ID:TgWLKR4u
>>726
そうですね、では、
「リーゼントの方は……こっちから弾丸ぶち込んだからな。ま、会った時に考えるか。」
という一文を収録時に加えたいと思います。
あと状態表にまたもミス発見。
×水8/10消費>○水1/5消費に変更します。
色々とミスが多くて申し訳ありません。
729創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 18:56:11 ID:oxaxAAUu
ロベルタとラッドって破棄されてるよな、残念ながら
730創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 19:10:00 ID:vi/RnZsb
おや……まあ仕方ないね
731創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 19:44:50 ID:cabVjODv
残念だな…

ところでプロットって何?
732創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 19:54:04 ID:9BNDm0tW
>>731
小説・演劇・映画などの筋・構想。
ちなみにストーリーとプロットの違いは、
ストーリーは時間的経過による展開を表すのに対して、プロットは登場人物の性格や心理など内面的な展開を表す。

らしい。
733創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 19:54:26 ID:qHf4W5T1
話のだいたいの流れを書いたあらすじみたいなやつのこと
だいたいの書き手はまずプロットを作って話の展開や流れを考えるんだよ
734創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 20:17:57 ID:qHf4W5T1
新予約キター!!
人数多いし延長前提全然おk
735創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 20:59:14 ID:1geHqfD3
最初から延長前提というのはどうかと思う。
延長は途中でリアルの事情とかで期限が間に合わなくなった場合に出来るものだし。
一応そういう名目上でルールに決まってるからさー……どうなのだろう。


736 ◆TEF4Xfcvis :2009/02/17(火) 21:09:38 ID:vi/RnZsb
あー……それなんですがその延長を報告できる三日目にパソコンに触れない
可能性があるんです。
迷惑かもしれませんが許してもらえないでしょうか。
737創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 21:11:26 ID:9lO5GCgl
許さないっつったらどうするの?
738創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 21:14:19 ID:NDGtDPB5
問題無いんじゃないかな
別に予約申請の期限があるわけじゃないし
下手にルール付けると終盤になってからが怖そう
739創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 21:19:29 ID:1geHqfD3
>>736
それなら二日目の時点で少し早めの延長申請を行えば良かっただけだと思いますが……。
そういう事情なら構わないとかと。
ですが、予約スレのあの書き方では、期限を守ろうと努力している他の方には失礼なんじゃないかと思いました。


740 ◆TEF4Xfcvis :2009/02/17(火) 21:29:15 ID:vi/RnZsb
わかりました。意見ありがとうございます。
今回は予約させていただきますが、以降は自重します。
741創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 22:24:12 ID:cabVjODv
凄い人数だな。
クロコダイルとライダーの戦いになったりするのだろうか?
楽しみだ。
742創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 22:36:42 ID:3racxMBa
TE氏、執筆頑張ってください。。
97〜99話の収録で指摘及びミスを出来る限り直しておきましたが、念のため、書き手の皆さんは確認をお願いします。
ちなみに「玉手箱」での時間表記が早朝となっていたので、勝手ながら朝に変更させていただきました。
そして、次で100話ですよ!
743創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 22:52:37 ID:oxaxAAUu
ハクオロがスモーカーの十手を持ってるから状況次第では勝てそうだな
744創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 23:26:03 ID:cabVjODv
クロコダイルのフックに毒針は仕込んであるのかな?
745創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 02:04:29 ID:pneIUTqM
え?次で100話?
すげー、いつの間にかそれだけ進んでたんだな
746創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 20:35:30 ID:sv+6DdqA
さて、次が投下されたらそろそろ次スレか。
いい加減スレたて用テンプレも変えようと思うんだけど、wikiに「テンプレート」つくっていいかな?
747創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 21:37:46 ID:JFb1+cbL
いいよ。ぜひともやって欲しい。
748 ◆YhwgnUsKHs :2009/02/18(水) 23:00:59 ID:WBfFepfp
お待たせしました。
ヴァッシュ・ザ・スタンピード、投下開始します。
749審判-Judgement- ◆YhwgnUsKHs :2009/02/18(水) 23:02:09 ID:WBfFepfp
 また会ったな。
 あまりいい顔ではないな。もう会いたくなかったのか?
 まあいい。せっかくの再会だ。また話に付き合え。
 なに、聞いてくれたなら礼にお前の分の酒は俺が奢ろう。味は俺と俺の仲間が保障する。

 前に話したのは、タロットの死神の話だったな。なら、今日もそのタロットの話にしようか。
 折角だ。そのタロットに相応しい、ある男の話をしよう。
 ある、楽しく……そして悲しい男の話だ。



 タロットは、20のカード、『審判』。
 男の名は……



 *****



 走り続けている


 僕は、走り続けている。


 違う、僕は逃げ続けているんだ。


 誰、から?

 何、から?

 そもそも、どうして?


 *****

 『審判』の逆位置の意味は……『弱さ』、『罪の意識』、『真実を見失う』。

 *****



「うあっ!」

 男、ヴァッシュ・ザ・スタンピードは勢いよくつまずき、目の前の地面に倒れこんだ。
 その前に必死に走り続けていただけに転んだ勢いもかなりのもので、擦り傷ができたかもしれない。
 けれど、彼にそんなことに考えが及ぶ余裕はなかった。

「僕は……僕は……!」

 唇は振るえ、目は見開いていて常軌を逸した表情だった。
 それでも立ちあがる意志はあるようで、よろよろとした様子で立ち上がる。

「っ!!」

 その時、ふと目に入った自分の手。
 地面の土でも付いてしまったか、と何気なく見ただけだった。
 それだけ、だったのに。
750審判-Judgement- ◆YhwgnUsKHs :2009/02/18(水) 23:03:16 ID:WBfFepfp


 両手が、血に塗れていた。


「う、うわああああああああああああ!!」


 ヴァッシュは頭を抱えてその場で暴れ狂った。
 血が更に顔についてしまう。それでも。
 その血が、自分が殺した相手ではなく、自分が守れなかった少年の者だと、気付かずに。


(僕は、僕は、殺した…!殺してしまった……!)

 目を閉ざしても、どうしたって目に浮かんでしまう光景。

 銃を撃つ自分。
 肩を狙った銃弾は、相手の予想外の動きによりその照準がずれ……相手の頭に当たった。
 その、方向修正も聞かないようなシビアなタイミングによる相手、ベナウィの動きが、まさか死ぬ直前だった康一によ
るものだったとはヴァッシュには考えもつかない事だった。
 たとえ、考え付いたとしても、そんなことは彼には関係ない。


 人を殺してしまった、その一点だけが重大だったのだから。


(殺した……殺した……つまりそれは、僕があの人の何もかもを奪ってしまったんだ……。
 あの人がこれから生きていく人生の、楽しみも、悲しみも、大切な人たちと過ごす時間の、何もかも!)

 ヴァッシュは苦しむ。
 自分がやってしまったことに。
 あの男にも大切な人がいただろう。もっと一緒にいたかった人がいただろう。『聖上』という人がおそらくそうなんだろう。
優勝させてでも生き残らせたかったのだから。
 逆に、あの男が大切だった人も多分ここにいるのだろう。自分と一緒に、ウルフウッドやリヴィオがここにいるように。
 つまり、彼にもう逢えない人がここにいる。自分はその人たちからも、奪ってしまった。楽しい時を。幸せのときを。
 代わりに、与えたのは……なんだ? 愛と平和? 違う

 ――悲しみと、永遠の別れ。


 与えたのは、自分。
 僕が、奪った。


(やめろ!やめてくれ!!)


 脳裏にあの男の影がちらつく。
 自分を見下ろすあの男の影が。
 自分にとって大きな存在であり、自分の敵対する存在である男の姿が。


 ――所詮、お前には
751審判-Judgement- ◆YhwgnUsKHs :2009/02/18(水) 23:03:54 ID:WBfFepfp



「やめてくれぇえええええええええええ!!」



『さて時間だ。おはよう諸君』


 ギラーミンの放送が聞こえてきたのは、ヴァッシュの慟哭が響いてから、すぐの事だった。


 *****


 放送が終わってしばらく、ヴァッシュはやっと顔を上げた。
 顔には、康一の血が付いているが、彼にそれを拭う気力はなかった。
 どこか疲れきったような、魂の抜けたような表情で虚空を見つめているだけだった。


 15人。
 それが6時間で死んだ人数。
 自分が殺した相手と康一を除いても13人が死んだ。
 魅音という少女は死んでいないみたいだが、メイドの女性と黒服の男は名前を知らなかったので、生死は分からない。
校舎で見かけた少年はメイドの女性に殺されたのかどうかはわからない。けれど、13人の殺人者が…多くても自分の他
にいるのだろう。
 自分の、他に。



(誰にも、伝わらないのかなぁ……)

 ラブ・アンド・ピース。
 愛と平和。
 それがちっとも伝わらない。誰にも届かない。
 なぜだろうか。



 ――簡単だ。お前自身が否定したんだ。
 ――自分に伝わっていないのに、他者に伝わるわけがない。
752審判-Judgement- ◆YhwgnUsKHs :2009/02/18(水) 23:04:51 ID:WBfFepfp



「もう黙ってくれよ!」


 ふたたびちらつく男の影に、ヴァッシュの足が落ち着かずにふらふらと動き、幽霊のように歩く。


 カッ


「……?」

 何かが足にぶつかった。
 ヴァッシュはそれを反射的に見下ろした。

「あ……」


 *****

 正位置の意味は……『復活』、『再起』。

 *****


 それは自分の支給品だった。
 前に確認し、そのままデイパックに入れてあったのが倒れた拍子に転げ落ちたらしい。
 前に、確認したそれを…ヴァッシュは初めて見たかのような顔で見下ろしていた。
 力ない抜け殻のようなその目には、いつのまにか力が蘇っていた。

(そうだよ……なんで思いつかなかったんだ?)

 ヴァッシュはそれを拾いあげる。
 それを握り締めると、力は思ったより強くなった。

 彼の中に、何かが芽生えようとしていた。

(伝えよう……ラブ・アンド・ピースを……できるだけ、多くの人に! 僕の声を、叫びを、みんなに届けるんだ!
 僕みたいに……人を殺してしまった人にだって!)

 自分が握っているそれを使えば、多くの人に自分の叫びを届けることができる。
 そうだ、そうしよう。なんでこんな簡単なこと、思いつかなかったんだ?
753審判-Judgement- ◆YhwgnUsKHs :2009/02/18(水) 23:05:34 ID:WBfFepfp

(でも……こんなところで叫んだって、聞こえる範囲は限られてるよなぁ)

 今ヴァッシュがいるのは地面の上。
 もっと山の上など、できるだけ高い所からの方が聞こえる範囲は更に広がるだろう。
 彼は手近なところがないか、辺りを見回す。

「あ……」

 辺りを見回すヴァッシュ視界に入ったのは…大きな城だった。
 西洋風のそれは、かなり古ぼけたり崩れている箇所もあるが、その大きな様相を自慢するかのように聳え立っている。
 ヴァッシュもまたそれを見上げるようになっていて、いつの間にか城の近くまで走ってきていたようだ。ろくに周りを
見ていなかった彼は今の今まで気づかなかった。

「そうだ、ここなら……」

 最上階の方は屋根になっているが、最悪そこによじ登っても自分なら大丈夫だろう。
 ヴァッシュはうん、と頷くと、その古城を自分の叫びの発信地に決めた。
 荷物を拾い上げ、目の前にある裏門らしき入り口に向かって歩き出す。
 いくら最後はよじ登るとはいえ、安全の為にできるだけ中を進んだ方がいいと思った。


 彼は歩き出す。
 目には蘇った力を秘めて、愛と平和を叫ぶと決めて。

 その手に、いつもの銃ではなく、拡声器という『武器』を握って。


 けれど、その瞳の力は、信念を砕かれる前の彼とは何か違うようだった。
 それは、輝きは身を潜め、薄暗い、濁ったような闇に染まったような力だった。


 砕けた信念は……未だ、砕けているままだった。
754審判-Judgement- ◆YhwgnUsKHs :2009/02/18(水) 23:06:19 ID:WBfFepfp


 *****

 奴は気付いていない。
 愛と平和を叫ぶ、その肝心の目的を奴は自覚していないのさ。いや、その濁った目で見ようとしていないのさ、自分の
行動の目的を。
 だから、『やる』という事しか今考えないようにしている。
 では、その目的は何か? 愛と平和、内容は問題ではない。奴が城の上で叫び、何者かを引き寄せる、この目的だ。
 反抗者に届くと信じて、新たな仲間が欲しいのか?
 それとも、殺戮者を呼び寄せて、自分を殺して欲しいのか?
 お前はどちらだと思う?
 ――――なるほど。まあいい。

 答えは……両方だ。奴は、新しい仲間も、そして殺される事もまた望んでいる。
 奴には最初から仲間と共に殺し合いに反抗する意志があった。だが、人を殺した事により奴は自分自身に嫌悪の念を抱
いた。自分の罪を赦せないと思った。
 自分で命を断ちたかっただろう。だが、それでも奴は諦め切れなかったのさ。人を助けていく道をな。それほどまでに、
奴は人間を愛しすぎた。
 どっちの道を歩めばいいのか、奴には判断がつかなかった。

 その果てに、信念を砕かれ、疲れきった奴は判断を放棄した。判断を別のものに委ねたのさ。
 それは、奴の叫びに呼び寄せられる参加者、いや、もっと大きく言ってしまえば……天運だ。

 もし、自分の叫びによって来た人物が友好的で、あわよくば自分を赦してくれる人だったならば、その者と共に行き、
その人を守る。要はそいつに従う、と。
 もし、自分の叫びによって来た人物が殺戮者で、自分を殺そうとしたならば……何の抵抗もなく、死のうと。自分はそ
いつによって、断罪されるのだ、とな。
755創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 23:06:39 ID:sv+6DdqA
 
756審判-Judgement- ◆YhwgnUsKHs :2009/02/18(水) 23:06:58 ID:WBfFepfp

 つまり、運任せなんだ。誰が来るか分からない。その人物によって、行く末を決める。この判断を情けないとみるか、
哀れと見るか……それは人次第だ。
 奴が最も来て欲しく、最も来て欲しくない人物は……恐らく、たった一人。死んだ筈のある男、だろうがな。

 奴は自らの罪の裁定を天に委ねた。
 『有罪』は確定。だが、生きていていいのか?それとも、死ぬべきなのか?
 お前はどう思う?――なるほど、な。まあいい。


 ここまでの思考は、奴が自覚しないままに成り立ったものだ。
 信念を砕かれ、罪に苛まれ、思考を止めた頭には『城の上で愛と平和を叫ぶ』しか残っていない。

 奴がこのまま死ぬか、それとも復活するか、あるいはまったく別の第3の道があるのか……それこそまさに、奴の声を
聞き最初にやって来た者が奴の運命を決める、『審判者』となる。
 誰が来るのか、そいつは奴をどうするか。どのような『審判』が下るのか。
 それ以前に、罪に苦しむ奴は城の上で愛と平和を叫べるのか。ひょっとしたら、全く別の言葉を叫んでしまうかもしれん。
 更に言えば、奴は城の上に辿り着く事自体、できるのか。


 奴がどうなるか……それはまたの機会にしよう。
 また、お前と巡り合えた時が会ったなら、必ず奴の行く末と、また良い酒を馳走してやる。
 その機会を……神か『悪魔』にでも祈っておくといい。


 ああ、ちなみに今の話を俺の創作と考えるか、それとも本当にあった話なのかはお前の考えに任せる。
 なぜか? わざわざ聞くのか? ……まあいい。


 こういう話は、ソースが分からん方が……面白いだろう?
757創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 23:07:15 ID:sv+6DdqA
 
758審判-Judgement- ◆YhwgnUsKHs :2009/02/18(水) 23:07:39 ID:WBfFepfp


【A-2 古城跡・裏門前/1日目 朝】
【ヴァッシュ・ザ・スタンピード@トライガン・マキシマム】
[状態]疲労、黒髪化、身体中に浅い切り傷、左肩に刺突による傷、思考停止
[装備]S&W M29 6インチ 0/6@BLACK LAGOON
[道具]支給品一式、拡声器@現実、予備弾丸32/32
[思考・状況]
基本:殺し合いを止める・・・?
 0:人を殺して、しまった……
 1:古城跡の最上階まで上り、拡声器で叫び人を呼ぶ。
 2:ウルフウッド、リヴィオとの合流。
 3:ウルフウッドがいるかもしれない……?
※原作13巻終了後から参加
※サカキ、ロベルタの名前はまだ知りません。
※詩音を『園崎魅音』として認識しています。
※口径などから、学校の死体を殺すのに使われたのはロベルタの持っていた銃ではないかと考えています。
※康一と簡単な情報交換をし、仗助、吉良、スタンドの事について聞きました。
仗助を協力者、吉良を危険人物だと見ています。
※義手の隠し銃には弾が込められていません。弾丸を補給すれば使用可能です。
※拡声器で叫ぶ本当の理由を自覚できていません。
759創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 23:07:54 ID:sv+6DdqA
  
760審判-Judgement- ◆YhwgnUsKHs :2009/02/18(水) 23:08:21 ID:WBfFepfp
投下終了です。支援ありがとうございました。
矛盾点、違和感の意見等ありましたら、是非お願いします。
761創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 23:26:57 ID:bAbulMHB
投下乙!
ヴァッシュの悲痛さが凄い伝わってくるなぁ……他人を殺しちゃったから納得としか言いようがない。
ロニーさんを思わせるような地の文が上手い!スラスラと読めたので良かったーw
そしてヴァッシュー!!拡声器は駄目だ……これからどんな事を言うか、どんな展開を巻き起こすか楽しみだ……。
762創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 23:28:18 ID:sv+6DdqA
投下乙です。
拡声器……そして古城かよ!ゼロ銀コンビがちかくにー!
ロニーさん結構目立ってるwww
763創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 23:57:02 ID:JFb1+cbL
投下乙です。

まさかの拡声器w
死亡グラフが立ったなw
764創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 23:58:38 ID:JFb1+cbL
× 死亡グラフ
○ 死亡フラグ
765創る名無しに見る名無し:2009/02/19(木) 02:06:32 ID:ch1Jqmh/
まるロワ的にはグラフでも合ってる
766創る名無しに見る名無し:2009/02/19(木) 04:48:37 ID:41LjtUtn
ヴァッシュ…精神状態がやべぇやべぇよ
信念にそむいて人を殺してしまった末路がこれか
まさかの拡声器フラグで果たしてこれからどうなるのかドキドキが止まらない
767創る名無しに見る名無し:2009/02/19(木) 14:19:09 ID:i9ZQ6HTf
投下乙です!

うわあああ、ヴァッシュの死亡グラフ率の急上昇が止まらない
150年不殺を貫いてきた重みがのしかかってるな
原作ではせめて選んで折れたし、やることもあったから立ち直りが
…まあ早いとはいえないが立ち直ったのに、今回は完全に事故だからなぁ
命の選別をしているわけではないからまだ救いはあるのかな?
戻ったらナイブズ止められるの君しかいないんだから頑張れ、めっさ頑張れ

フィーロのときもだったけど、タロットカードがこんなにもヴァッシュに合うとは
正位置、逆位置ともに意味が完璧で思わずうなりました
GJです!
768創る名無しに見る名無し:2009/02/19(木) 17:33:49 ID:f1pk4GAu
まーだけど忘れるな。
奴はロストジュライの張本人だぜ?
あ、あと制限見てて思ったんだが、たしかアドバンストARMSは支給禁止ってことでいいんだっけ?
769 ◆UcWYlNNFZY :2009/02/20(金) 00:14:10 ID:XvfejGVP
お待たせしました。
バラライカ、ルフィ、ウルフウッド、梨花とうかします
770創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 00:14:30 ID:MnWOtW7J

771創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 00:14:47 ID:M3QAa3nI
 
772救いと因果と ◆UcWYlNNFZY :2009/02/20(金) 00:15:24 ID:XvfejGVP
「…………」

ただ、黙々と歩いてる二人がいた。
「百年の魔女」古手梨花と元「ミカエルの眼」ニコラス・D・ウルフウッド。
数奇な出会いをし、一旦は距離が縮まったが見えた二人だがその距離はまた広がっていた。
それは先ほど流れていた放送による影響だった。

(ああもう!……なんでかしら……なんでこんなにいらつくのかしら)

梨花は自分の前を歩いているウルフウッドをただ睨んでいた。
別にウルフウッドは悪くない。
ただの自分の我が儘までしかないのだ。
それなのに梨花はウルフウッドに対して少し苛立ちを覚えていた。
その理由は放送の時間まで遡る……




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇





『―――では六時間後の第二回放送でまた会おう。 君達がそれまで生き残っていれば――の話だが』

何処からともなく流れてきたギラーミンの放送に耳に傾けた梨花達。
唐突に発表された死者の発表に二人は身を強張らせた。
だが呼ばれた名前に彼らの知り合いが居ないことを確認すると梨花はほっと息をする。
運命を覆す為に戦った仲間達。
幾ら圭一達を信頼をしてても彼らはこの殺し合いの中では強者ではない。
ウルフウッドや先程襲ってきた者に比べれば充分弱者だ。
自分は先ほどの者に気付くことすらできなかったのだから。

そんななかでも自分を含めた6人全員誰も呼ばれなかったことは単純に嬉しいことだった。
特に沙都子の名前が呼ばれなかったこと。
特別贔屓するわけではないが梨花の親友であり何より彼女は仲間の中でも特に幼いのだ。
最悪のケースも有りゆるだけに梨花はとても嬉しかったのだ。
兎に角梨花は仲間が全員生きているという最悪中の最善だっただけにほっとしていた。
全員死ぬという最悪中の最悪も考えられただけに。

(でも……他に15人も死んでるのよね……)

だけど梨花は喜んでばかりはいられない。
それでも15人も死んだのだ。
この6時間の中で15人ものの命が。
名前も知らないし顔も知らない。
梨花にとって接点のかけらも無い人達。
だがそれでも同じ殺し合いに否応無しに巻き込まれた可哀想な人達。
そんな人達の為に梨花は目を瞑り黙祷をした。
ただ、やすらぎを。
そんな下らない気休めを、だけど優しい思いを乗せて。
ただ祈った。



「よっしゃ嬢ちゃん、ぼちぼちいくで」

773救いと因果と ◆UcWYlNNFZY :2009/02/20(金) 00:15:57 ID:XvfejGVP
そんな梨花の気持ちを裏切るようにウルフウッドは明るく話しかける。
まるで死者のことなど気にしてないように。
ウルフウッドはただ単に名簿に死んだものに線を引き地図に禁止エリアなる場所を書き込んだだけ。
別に死者に対して感慨にふけることも無くただ事務的に。
そんな死者に何も思っていないウルフウッドの行為が何故か梨花には腹立たしくて。

「ちょっと、ニコラス、15人も死んだじゃない!」
「……ああ、せやな」
「15人もよ!?」
「せやな……それが? 嬢ちゃんの知り合いは死ななかった、ワイの知り合いも死ななかった。それだけや」
「……な!? それだけ!?」

ウルフウッドの余りにそっけない反応に梨花は唖然とした。
確かに互いの知り合いは死ななかった。
それだけでも充分かもしれない。
でも、それでも梨花にとってはウルフウッドの反応はあまりに寂しすぎる。
15人の命が、『それだけ』や『それが?』で片付けられてしまった事。
その事が何故か、梨花にとって堪らなく嫌だった。

梨花は知らないことだがウルフウッドの世界は余りにも死が身近すぎた。
毎日のように毎日のように人が死んで。
余りにも近すぎて。
梨花の様に反応することなんてとっくの昔の事。
近すぎて、慣れてしまって。
15人死んだ。
それだけの事としか受け入れることしか出来なくなってしまった。

でも。
それでも。

ウルフウッドは忘れない。
呼ばれた名前に自分が見つけた桜田ジュンの名前があった事。
彼の敵討ちを誓った事。
それを改めて呼ばれたことで再認識をした事。
そして、彼が死んだという事。

それを絶対に忘れない。

そう心に刻んだ事を梨花は知らない。


「……もういい! ニコラスに同意を求めようとした私が馬鹿だった!」
「……なんやんや……埒があかん」

知らないが故に梨花は怒る。
そんな梨花の気持ちが知らないが故にウルフウッドは困惑する。

そんな連鎖。

でも、感じ方は違っても思う事は一緒。

二人が放送を聴いて意志を持った事。
それは同じなのだから。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


774救いと因果と ◆UcWYlNNFZY :2009/02/20(金) 00:16:28 ID:XvfejGVP
そんな事で梨花は未だに怒りを感じていた。
自身と同じ考え方をしろなんて身勝手すぎる思いだが。
遊園地の叫び声も気になったがウルフウッドが気ままに進んでるのを梨花は追いかけるしかなかった。
ウルフッドが信頼できるのは梨花は知っているから。
だけどその信頼故に梨花の身勝手な思いをウルフウッドに同意を求めてしまう。
そんな、ままならない連鎖に梨花は更に苛立ってしまう。

(ああ……もう!……解ってる。私の我が儘だって。でも……ああ……もう)

梨花の思考の連鎖はだんだん絡まっていき梨花自身が困惑してしまっている。
そもそも、梨花は何故ウルフウッドにそこまで気を使っているのだろう。
それすらも梨花は気付かずただ混乱していく。

(ああ、もう! 訳わかんないわよ……私)

思考と思考がぶつかり合って梨花が混乱の極地に達しようとしてた時

「あぅ!?……な、何? ニコラス」

前を歩いてたはずのウルフウッドが唐突に立ち止まりそれに気付かなかった梨花は彼の背におもいっきりぶつかったのである。
元々混乱していた梨花は訳が解らずくるくると目を回す。
そして振り返ったウルフウッドの顔を上目遣いで見つめる。
憮然としていたウルフウッドであったが突如

「ふぇ……?」
「あの……なんや、そのスマン。なんや知らんけど怒らした……その……なんやスマン」

不器用な笑顔を浮かべただ梨花の頭を撫でていた。
未だに梨花が怒っている理由をウルフウッドは分からない。
それでも何かこの空気が耐えがたく責任は恐らく自身にあると判断したウルフウッドはただ謝ろうと思った。
そして頭を撫で続ける。
不器用そうな、笑顔で。

梨花はそんなウルフウッドの様子に毒素が抜けていくような感じがして次第に笑顔になっていく。
困ったような笑顔が梨花の怒りを何故か静めていく。
優しくその大きな手が何処か、心地よかった。

「いや、いいのです。こちらこそ御免なさい……そして有難う」
「おう……」

頬を赤く染め笑う梨花に不器用にも返事を返すウルフウッド。
ウルフウッドは何か思いつつもいつ撫でるのをやめようか迷っている。

そして何かのどかで微笑ましい風景が暫く続いていた。

だが

「おう、何か仲良さそうだな」

突如割り込む声。
その少年はゴムのような体をしならせ突如空から飛び降りてきたのだった。
いししと笑いながら近づく麦藁帽子の少年―――モンキー・D・ルフィ―――

「「わっ」」
775創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 00:16:54 ID:b91d1WGu
 
776創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 00:16:58 ID:M3QAa3nI
 
777救いと因果と ◆UcWYlNNFZY :2009/02/20(金) 00:17:03 ID:XvfejGVP
その少年の声に驚いた二人はバッと距離をとる。
流石のウルフッドも空からくると思わなかったのだ。
二人は途端に今までの行為が恥ずかしくなり距離をとってお互いの顔を直視できなくなる。
梨花にいたっては何故か真っ赤だった。

「うん……?」

その場にはいまいち状況がつかめないルフィがただ困惑するだけ。

そして、ウルフウッドの咳だけが響いていた。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




「人形なみたいなのと……玉男ね」
「正確にはチンク、むすか……ん、いや真紅とあすかだ。信頼できるからこいつらは心配すんな」

梨花の確認の声がビル街に響く。
互いに害意がないことを知ると梨花とルフィは互いの情報交換をしていた。
ルフィはまず先程あった真紅たちの事を教えたのだ。
そして互いの知り合いを確認して情報交換を進めていた。
ウルフウッドは細かいのは梨花に任せビルの壁によっかかり話が纏まるのを待っている。

「じゃあ私からは……」
「ちょっと待った、トイレ行ってもいいか?」
「いいわよ……というか恥ずかしい事言わないでちょうだい」
「いしし、わりぃ、わりぃ」

ルフィがそういって近くのビルに入っていく。
残されたのは梨花とウルフウッドのみ。

「……」

梨花はウルフウッドの方を向くがウルフウッドは何かを考えているようでじっと梨花を見つめている。
梨花はそんな視線に迷いつつだけど何かを言おうとして口を開けた時

「ねぇ……」
「嬢ちゃん、いい機会や」

ウルフウッドはあくまで淡々に事実のみを告げる。
それはウルフウッドの中で決めた事。
彼が……勝手に決めた事。
そう

「麦わらに付いていけや、ワイよりいいやろ」
「はぁ……!?」
「ワイは……ぶっちゃけると手一杯や。麦わらは見た感じ中々やりおる。安心できるやろ」

梨花をルフィに預ける事。
ルフィが力がある事を悟った末のウルフウッドの決断。

ウルフウッドは怖かった。
ヴァッシュのような事が自分のようにもできると錯覚しそうになる彼女が。
またそれもいいとおもってしまう自分自身が。
自分は自分のことで手一杯なのに。
778創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 00:17:05 ID:MnWOtW7J

779創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 00:17:34 ID:M3QAa3nI
 
780創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 00:17:36 ID:b91d1WGu
 
781創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 00:17:41 ID:FFywMMLh
しえーん
782救いと因果と ◆UcWYlNNFZY :2009/02/20(金) 00:17:43 ID:XvfejGVP

それなのに梨花が笑顔を見せると思ってしまう。

まだ救えるって。

彼女も救える。
ヴァッシュのように出来る。
そう思ってしまう。

そんな笑顔が堪らなく嬉しく。

そして堪らなく―――怖い。

勘違いはしてはいけない。
悪党はあくまで悪党。
そう、思うから。

だから。

だからこそ。

「せやから……ええやろ? 嬢ちゃん」

ここで彼女を突き放す。
もう、夢を見ないために。
そんな理想など見ないために。

梨花を。

突き放そうとする。


だけど。


「……ふざける……」
「?」


梨花は。

「ふざけるなぁああああ!!」


梨花はそれを許せない。
許したくない。

絶叫に近い叫び声。
それはウルフウッドに向けた叫び。

「何がよ……なにがええやろよ……私は嫌だっ!」
「はっ?」
「一度わざわざ見つけといて……そしてもう一度救って……そこまでして今度は見捨てるの?」

梨花の拒絶。
それはウルフウッドに向けた怒り。

哀しかった。
助けてもらって嬉しかったのに。
なのに。
783創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 00:18:06 ID:b91d1WGu
 
784救いと因果と ◆UcWYlNNFZY :2009/02/20(金) 00:18:44 ID:XvfejGVP

そんな事言われるのが堪らなく嫌だった。

そして何よりも。

梨花は……ウルフウッドを。


「二コラスを……信頼しているの! 私は……私は信頼してる貴方に身を守ってもらいたいの!」
「……なっ」


信頼しているのだ。
この島で。
助けてもらって。

信頼をしていたのだったから。

そんな彼に守って欲しかった。

梨花はそんな子供みたいな願いをただはき捨てるように言う。


純粋な思いをぶつけられてウルフウッドは迷いそして何かを言うとして。



その時だった。



「梨花っ!!」

ウルフウッドが始めて梨花の名前を呼び。
そしてが梨花に向かって跳躍した。
梨花を胸に抱き地面を転がる。
そして梨花が居た場所には銃弾が。

その少しはなれたビルの3階の窓からのびる銃身。
狙撃手はフライフェイスの女―――バラライカ。
彼女は狙撃ポイントを見つけそして梨花を狙っていたのだ。

狙いは完璧。
ただ、一つの誤算としてはウルフウッドが同じ闇に生きるものだったという事。
暗殺者として生きていたウルフウッドは即座に反応できたのだ。
そしてウルフウッドは振り向き様に空いてる手でバラライカに向かってグルカナイフを投擲する。
バラライカは一旦部屋の中に戻りそのグルカナイフをかわす。
狙撃地点がばれた事を悟り撤退を選択したその時

「ゴムゴムの銃(ピストル)っ!!」

バラライカのもとにゴムの腕が伸びてきたのは。
そのゴムの腕は正確にバラライカのいるビル方向へ向かっていく。
バラライカはそれを避けその持ち主を睨む。

伸ばしたのはルフィ。
そう、彼女が取り逃がした獲物。
ルフィはただ闘志を燃やしていた。
785創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 00:18:51 ID:b91d1WGu
 
786創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 00:19:33 ID:M3QAa3nI
  
787創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 00:19:33 ID:MnWOtW7J

788救いと因果と ◆UcWYlNNFZY :2009/02/20(金) 00:19:39 ID:XvfejGVP
そしてバラライカはそれを見届けるとビルの奥に入っていき後退していった。
これ以上の追撃は無駄。
それにこう判断したから。

(来い……)

ルフィが必ずこのビルにやってくるという事を。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




「大丈夫か……二人とも」

異変を嗅ぎ付けルフィはトイレからすかさず帰還していた。
そして傍らに居る二コラスたちの無事を確認する。

「ええ……二コラスのお陰で」
「そっか。お前ら二人で逃げろ」
「はっ? 何言ってるの?」
「麦わら……おんどれ、一人で」

にかって笑ったルフィはウルフウッドの問いに笑う事で肯定する。
そう、バラライカに一人で戦うという事。
ウルフウッドの顔色を変えずそれを否定した

「ワイも加勢するで。武装は心もとな……」
「いや、いい」
「なんでや?」
「一緒に居た……エルルゥの仇なんだ。おれがあいつをブッ飛ばす。絶対だ」
「……」

ウルフウッドは押し黙る。
それだけルフィの表情は真剣で。
意地でも引かない目をしていた。
それに敵討ちと言われたら……もう口出しはできなかった。

「おまえもさ梨花、まもってやれよ、すんげーー仲良さそうだったぞ」
「なっ!?」

いししと笑いルフィはウルフウッドを見て背を向ける。
もう語る言葉もないといわんばかりに。
ウルフウッドも背を向け。
そして

「死ぬんやないで」
「おうよ」

そう言葉をかける。
今はこれで充分。
ルフィの為にもここで死ぬわけには行かない。

「いくで、梨花」
「え、ええ」
789創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 00:19:55 ID:b91d1WGu
 
790創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 00:20:06 ID:M3QAa3nI
   
791救いと因果と ◆UcWYlNNFZY :2009/02/20(金) 00:20:09 ID:XvfejGVP
ウルフウッドは梨花の手を持ち駆け出す。
互いに生き延びる事を信じて。

それを見送くり、姿を見えなくなったのを確認したルフィはスーッと息を吸いそ

「エルルゥの仇……お前をブッ潰す!」

ビルに篭っているバラライカに聞こえるような大声を出して。
敵討ちを誓う。
そして


「俺の名はルフィ! 海賊王になる男だ!」


名を告げる。

己の夢を乗せて。

もう二度と仲間を失わない為に。

ルフィは―――ビルに突入した。


【D-4 中央部 ビルの目の前 1日目 午前】
【モンキー・D・ルフィ@ワンピース】
[状態]:右手のひらに切り傷 、左肩から胸にかけて浅い切り傷、右足ふくらはぎに深い切り傷、中度の疲労 ウソップ達の死に悲しみ(出来るだけ我慢している)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式 ・三代目鬼徹@ワンピース、エルルゥの首飾り@うたわれるもの
[思考・状況]
 0:エルルゥの敵を倒す  
 1:エルルゥの仲間を探し、エルルゥの墓前に連れて行く
 2:ギラーミンブッ飛ばす!
 3:ワニ(クロコダイル)は会ったらブッ飛ばす!
 4:一応探すけど、ゾロ達は一人でも大丈夫だ!
 5:翠星石、蒼星石、水銀燈、クーガーとの合流。カズマには注意。
【備考】
 ※原作44巻(第430話)終了後から参戦。
  ギア2およびギア3の能力低下、負荷は凄まじいものになっています。
 ※悟史の金属バッド@ひぐらしのなく頃に、基本支給品一式、アミウダケ@ワンピース 、サカキのスピアー@ポケットモンスターSPECIAL、
  庭師の如雨露@ローゼンメイデンはデイバックに詰められ、エルルゥの墓の前に置かれています
 ※真紅、あすかと情報交換をし、一回目の放送までの二人の行動を大体知りました。また、会場がループしている事も聞きました。
 ※ウルフウッド、梨花と情報交換しました。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


792創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 00:20:14 ID:FFywMMLh
支援
793救いと因果と ◆UcWYlNNFZY :2009/02/20(金) 00:20:40 ID:XvfejGVP
(仇討ちか)

バラライカは狙撃とは違うビルの一室でルフィの叫びを聞く。
目を閉じながらしばしの休息をしていた。
かたき討ちをバラライカは否定する気は無い。
だが

(感情的になりすぎるな……見えることも見えなくなる)

感情のままに行動する事を否定する。
現にルフィは既に失敗しているのだから。
バラライカはこのビルを回り構造を熟知している。
隠れる事のできる場所も見つけた。
すでに地の利を得ている。
いわばここはバラライカの狩場。

ルフィは感情のままに狩場にやってきたのである。
ルフィに利く刃物はここにおいてあった包丁、ウルフウッドが投擲したグルカナイフと充分だ。
通り抜けフープもあり壁も移動する事も可能だ。
つまり

(チェックメイトだ)

ルフィを狩る準備は万端なのだ。


バラライカは立ち上がり先を見据える。

二度と同じ獲物を逃がしたりはしない。

さあ始めよう。

「さて、憐れな子羊を―――狩るとするか」



バラライカの―――狩りの時間を。


【D-4 中央部 ビルの3階のある一室 1日目 午前】
【バラライカ@BLACK LAGOON】
[状態]:腹部に中程度のダメージ、身体全体に火傷(小)、頬に二つの傷
[装備]:デザートイーグル(5/8、予備弾×24)AK47カラシニコフ(30/40、予備弾40×3)、包丁 シェンホアのグルカナイフ@BLACK LAGOON
[道具]:デイパック(支給品一式×3)、デイパック2(支給品一式×1/食料一食分消費)、AMTオートマグ(0/7)、不死の酒(空瓶) 、探知機
     のび太の不明支給品(1〜3)、ヴァッシュ・ザ・スタンピードの手配書×二枚、通り抜けフープ、
[思考・状況]
  0:ルフィを狩る。
  1:戦争(バトルロワイアル)を生き抜き、勝利する。


 ※のび太から、ギラーミンのことや未来のこと、ドラえもんについてなどを聞き出しました。
 ※のび太の不明支給品の中には武器、秘密道具に属するものはありません。
 ※ヴァッシュ・ザ・スタンピードの手配書×二枚に『モヒカン男と麦藁帽子の男に気を付けろ byストレイト・クーガー』とメモ書きされています。
 ※デイパックを二つ持っています。
 ※ビルの構造を熟知しています。
 ※5階建てのビルで中規模のビルです、



794創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 00:21:10 ID:b91d1WGu
 
795救いと因果と ◆UcWYlNNFZY :2009/02/20(金) 00:21:17 ID:XvfejGVP
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇






「ニコラス」
「なんや」

ルフィに逃がされ走っている二人。
とりあえず体力のつづく限り走っていた。

「有難う、助けてくれて」
「気にすんなや……それにや」

手をつなぎながら走る二人。
そしてウルフウッドは言葉を続ける。

「とりあえず……この殺し合いの間は面倒みてやる。後は知らん」


その言葉に梨花は笑った。


満面の。

満面の笑みで。





◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




796救いと因果と ◆UcWYlNNFZY :2009/02/20(金) 00:21:48 ID:XvfejGVP

何故。

何故自分はこんな事を言うんや。


ああ。

自分は気付かず人を救い続けようとしてんのか?

アイツのようになろうとしてんのか?

違う。
違う。

幻想や。

唯の幻想。

悪党はあくまで悪党。

希望など無い。


だから梨花を救おうなんて無駄や


せやのに。


何故。

何故。

梨花を救いたいと思う?


何故や。



何故


何故や……?


二コラス・D・ウルフウッド


797救いと因果と ◆UcWYlNNFZY :2009/02/20(金) 00:22:23 ID:XvfejGVP
【E-5 西部 1日目 午前】
【古手梨花@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:健康 (少々の不安はあるが前向きに)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、王の財宝(の鍵剣)、インデックスの修道服@とある魔術の禁書目録、ミッドバレイのサクソフォン(内蔵銃残弾100%)@トライガン・マキシマム
[思考・状況]
 1:ニコラスと行動
 2:必ず生き残る。
 3:圭一達を見つける。
 4:安全な場所に行きたい。
 5:ルフィが心配
 ※王の財宝の使い方(発動のさせ方)を分かっていません。(説明書もありません)
 ※ウルフウッドを信頼、けどちょっとむかつく。
 ※電車に誰か(橘あすか)が乗っているのに気づきました真紅に気づいたかどうかは不明です。
 ※サクソフォンの内蔵銃に気付いていません。
 ※スタープラチナに適正を持っています。僅かな時間ですが時止めも可能です。
 ※クレアの姿を確認していません。
 ※スタンドDISC『スター・プラチナ』を落とした事に気付いていません。
 ※ルフィと情報交換しました。



【ニコラス・D・ウルフウッド@トライガン・マキシマム】
[状態]:健康
[装備]: [道具]:基本支給品(地図と名簿は二つずつ) デザートイーグル50AE(使用不能)
 SPAS12(使用不能)チーゴの実×3@ポケットモンスターSPECIAL シェンホアのグルカナイフ@BLACK LAGOON
[思考・状況]
 1:襲われたら返り討ち、必要以上に危険な事に首は突っ込まない。血まみれの謎の男(クレア)を警戒
 2:古手梨花を守る
 3:ヴァッシュとの合流、リヴィオとの接触
 4:ジュンを殺害した者を突き止め、状況次第で殺す。
 5:武器を手に入れる、出来ればパ二ッシャー
 6:この木の実結構ウマイ
 ※スタンドDISC『スター・プラチナ』を落とした事に気付いていません。
 ※ルフィと情報交換しました。
 ※自身が梨花の事を名前で読んでる事に気づいていません

798創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 00:22:49 ID:b91d1WGu
 
799創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 00:22:54 ID:M3QAa3nI
   
800救いと因果と ◆UcWYlNNFZY :2009/02/20(金) 00:23:34 ID:XvfejGVP
投下終了しました。
沢山支援有難うございます。
矛盾点ありましたら指摘をよろしくお願いします。
801創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 00:23:35 ID:M3QAa3nI
  
802創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 00:49:00 ID:M3QAa3nI
投下乙です。
再戦きたあああああああ、これはwktkせざるをえない。
トップマーダーvs最強クラスの対主催!
そして、その影で着々とフラグを建築するロリコン牧師、なにやってんのw
803創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 00:50:39 ID:FFywMMLh
ルフィやべえw
まあいざとなればギアもあるし、大丈夫か?
804創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 01:04:26 ID:4N+NXq3p
投下乙!
何故だ!ニコ兄と梨花ちゃんのやり取りを見るだけで顔がニヤついてしまう……w
思わず感情的になってしまう梨花ちゃんも、梨花ちゃん助けてルフィと行くように言うニコ兄の二人がすごい魅力的だー!
放送に対する反応の違いを踏まえての構成が上手いなと思った。
そしてルフィwまだ名前が間違ってるじゃないか……ってバラライカと再戦きたー!!
これは期待するしかないなぁ、共にベストな条件でのこの引き……なんという焦らしとか言いようがない。
805創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 10:21:54 ID:JereSOdY
ニコ兄と梨花ちゃまのコンビいいなー
みててニヨニヨしてしまう
ルフィvsバラライカはどうなってしまうのか
バラライカ有利っぽいが果たして…
806創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 20:24:52 ID:JereSOdY
新しい予約来てるー

あ、そういえばラジオって今週末だったっけ?
807 ◆uort./PO.A :2009/02/20(金) 21:06:43 ID:Gbvsh+fQ
それでは、土御門元春を投下します
808 ◆uort./PO.A :2009/02/20(金) 21:07:46 ID:Gbvsh+fQ






なあ、カミやん。
人間なんてのは簡単に死ぬ。
本当に簡単に死んでしまうんだ。オレはそれを知っているんだよ。
刺殺、絞殺、毒殺、斬殺、撲殺、博殺、磔殺、焼殺、扼殺、圧殺、轢殺、凍殺、水殺、爆殺。
人間なんてのは呆気なく死んでしまうんだ。
オレが思いつくかぎりでも、たくさんの人間が殺せる。ほんの少し手を動かしたら、ちょっとだけ引き金を引いたら。

それだけで人は死んでしまう。

か弱い存在だ。
そしてオレも他の奴らも守りたいものがある。
だから、己の手を血で汚すことになろうとも、そんな血みどろの世界を歩き続けるんだ。

だけどさあ、カミやん。

「……オマエはなんで、そっち側なんだよ」

こんなところで寝てんじゃねえよ。
起きろよ、カミやん。頼むから。またオレに聴かせてくれよ。
残酷な法則を、ふざけた幻想をぶち壊すって。
それがオレに向けられた言葉じゃなくていいから。頼むから目を開けてくれよ、カミやん。



     ◇     ◇     ◇     ◇


809創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 21:08:26 ID:aj5awgKy
 
810 ◆uort./PO.A :2009/02/20(金) 21:08:47 ID:Gbvsh+fQ


保健室で寝ていた彼は、その放送で叩き起こされた。
定時放送。
六時間が経過した合図として、おはよう諸君、という声で土御門元春は覚醒した。
情報の少ない彼にとって放送というのは数少ない手がかりだ。
傷の塞がりはまあ、それなりだな、と呟いて土御門は男の声に耳を傾けた。

「ふんふん、定時放送に禁止エリア……なんともまあ、手の込んだ仕組みだにゃー」

自分の首に装着されている首輪を軽く撫でてみる。
これが土御門たちを縛る鎖ということだ。
これさえ解除すれば反抗の糸口を見つけ出すことも可能、ということになる。
そしてメインイベント。死者の発表となったとき、土御門の顔色が豹変した。このときの彼は確実に絶望した。

「な、に……?」

ぷつり、と進行役を名乗る男の声が途切れたが、土御門はその場から動けなかった。
身体の芯から砕けそうなほどの衝撃が彼を襲っていた。

『上条当麻』

土御門元春が願っていた日常が、木っ端微塵に砕けた瞬間だった。
表情から軽薄そうな笑みが消え、能面のような顔のまま彼は歩き出した。
保健室を出ていく。
今まで居た学校と言う風景が、突如として無意味で無価値なものへと変わっていく。
教室を視界に収めた。
よく上条当麻や青髪ピアスと共に居残りの補習を受け、小萌先生と笑っていた日常が確かにあった。
もう、その光景はこれから先、二度と有り得ない。
811創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 21:08:59 ID:aj5awgKy
 
812創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 21:09:36 ID:aj5awgKy
 
813創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 21:10:10 ID:aj5awgKy
 
814 ◆uort./PO.A :2009/02/20(金) 21:10:10 ID:Gbvsh+fQ

「ははっ」

自嘲気味の笑顔が漏れた。
何を甘い幻想に浸っていたのだろうか。
この世界自体が掃き溜めのような汚いところで、どうして無意識に『上条当麻は生き残る』などと確信していたのか。
冷静に考えれば上条のような素人が生き残る可能性なんて、本当に少ないものだと気づいていたのに。
それ以前に彼の生き方では死ぬほうが不思議ではないというのに。

「馬鹿だなぁ、まったく。分かってただろうに。ははは……」

教室から立ち去る。
ここはもう日常の残骸だ、もはや土御門の居場所はない。
信じたくない。何だかんだ言って、不幸だーっ、などと叫びながらも生きて帰ってくる、と。
土御門はそんな幻想を知らないうちに抱いていたらしい。
ふざけんな、と叫びたい理不尽はやっぱり何処にでも存在していて、現に土御門元春という存在を打ちのめしている。

玄関を抜け、学校を去る。
まるで日常に決別するかのように。
所詮、彼が守れる幻想なんて存在しなかったらしい。
日和見のような行動の裏で、確かに友達が不条理の名の下に、不幸にも殺されてしまった。
不幸にも、不幸にも、不幸にも不幸にも不幸にも!

土御門は森の中を歩いていく。
彼の表情には一切の色と言うものが無かった。たとえ笑っていたとしてもそれは偽りの笑みだと断言できる。
偽りと知りながらも守りたかった。学園の日々という名のガラクタを守りたかった。
本当にそれだけだったのだ。そのために強くなったし、暗躍してきたし、死に掛けてまで守ろうとしてきた。

「…………」

森の中を何の当てもなく、夢遊病のように歩き続けていた土御門はそれに気づいた。
血の匂いだ。もはやスパイの彼は嗅ぎ慣れた匂いだった。
それを辿っていくと、誰かの足が見えた。胴体部分は土御門のところからは見えないが、恐らく息絶えているのだろう。
確認はしなかったが、彼の裏世界での直感が『それ』を死体だと判断した。

「死者は15人、か。あの一方通行まで含まれているってのは驚き以外の何物でもないんだがな」
815創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 21:10:44 ID:aj5awgKy
 
816創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 21:11:26 ID:aj5awgKy
 
817 ◆uort./PO.A :2009/02/20(金) 21:11:32 ID:Gbvsh+fQ

恐らく、これから彼が見つける死体も、そうした15人の中の一人なのだろう。
別に見つけて供養してやろう、とかそういうつもりはなかった。
護りたかったものが無くなった土御門は、行動方針も見つからないままに死体へと手を掛けて。

――――――今度こそ、心臓が止まるかと思った。

「……カミやん」

その死体は、土御門が良く知る人物だった。
脈を図って確認する必要は無い。見れば分かる、それはもはや人ではなくて物だった。
ツンツンの黒髪が真っ赤に染まっていて、それも時間の経過と共に黒ずんでしまっている。
血の固まり具合で死んでからしばらく経っていることが分かったが、今の土御門にはそうした余裕というものがなかった。
ただ、彼の心は自分でも想像がつかない方向に歪んでしまったらしい。

「起きろよー、カミやん! はは、夏休みの宿題手伝ってやるからよーっ、て、もう夏休み終わってるか」

無理に明るい声が痛々しかった。
土御門は死体に話しかける、という馬鹿な行動を取りながら、上条の肩を揺らした。

「こんなところで寝ちまったら風邪ひいちまうぜい? はっ、もしや死んだ振りで可愛い女の子のハートをゲットする算段かにゃー!?」

嘘吐きこと、土御門元春はピエロを演じていた。
彼が嘘を吐いている相手は死んだ上条ではなく、彼の死を認めたくない自分自身なのかも知れない。
神様がいるというのなら、この最悪の出会いを演出したことに怒り狂うだろう。
818創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 21:12:14 ID:aj5awgKy
 
819創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 21:12:45 ID:aj5awgKy
 
820 ◆uort./PO.A :2009/02/20(金) 21:12:53 ID:Gbvsh+fQ

「だけど、残念! 出てきたのは嘘吐きで有名な土御門さんだけですたい」

彼は笑う。
心の中で泣きながら笑う。
それが道化師というものだから。

「悪いなー、カミやん! そう何度も美味しい目には合わせねーんだぜい」

上条の肩を揺さぶるのをやめ、彼の肩を背負うような形で持ち上げる。
死体特有の鉄の匂い。力の入っていない身体が想像以上に重くて、傷ついた身体がズキリ、と痛む。
ずるずる、と引き摺るような形で茂みの中から上条当麻を取り出した。
頭部に銃弾の跡がある。頭を打たれて殺されたのだろう。
しかも後ろからの弾丸だと傷口から判断できた。要するに彼は誰かに騙されて殺されたのだ。

そう、土御門と同じような嘘吐きに。

「おいおいカミやんー、脱落は早いぜい。まだまだこれから大覇星祭に一端覧祭、色々なイベントが盛りだくさんなんだぜーい?」

出逢った相手を無条件に信頼して背中を預けた上条の頭を、そいつは容赦なく撃ったのだ。
上条の顔が驚愕に歪んだ死に顔をしているのも、その理論に確証を加えていく。
そういった情報を頭の中の冷静な部分で受け止めながらも、土御門の日常としての言葉は途切れない。

「カミやーん、早く起きないと、土御門さん特製の墓穴にでも埋めちまうぜいー? 悪りぃけど土葬しか用意できねーんだにゃー」

はっはっはー、と笑いながら土御門は唯一残っている支給品の鉈で地面を掘り始めた。
中々大柄の鉈はスコップほどではないにせよ、いい具合に採掘作業を進めていく。
彼の口は止まらない。彼の中に残っているガラクタが次々と口から溢れ出す。
821創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 21:13:37 ID:aj5awgKy
 
822 ◆uort./PO.A :2009/02/20(金) 21:13:50 ID:Gbvsh+fQ

「早く起きて帰らねえと、小萌先生の補習が待ってるんですたい。そのときになって不幸だーっ、て言ってももう遅いんだぞ?」

ざく、ざく、ざく。
埋葬するための穴が広がっていく。

「で、カミやんはいつものように病院行きだ。でもって、禁書目録にがぶりと頭を丸かじりされるんだにゃー?」

やがて、人一人が埋められるぐらいまでの大きさの穴が出来上がる。
彼は笑顔の仮面を被ったまま、いまだに横たわる友達へと向けて言葉を紡いでいく。
それは彼の中に残っていた日常の象徴だ。
それがぽろぽろ、と落ちていく。

「ねーちんもさー、カミやんに礼をしたいってんで、水面下で交渉中だったんだぜい? 堕天使エロメイドですよ?」

身体の中に残っている日常という願いの全てが零れていく。
土御門元春を構成していた守りたいガラクタの全てを廃棄するための儀式だった。
幸せな傍観者たちへと向ける怒りや悲しみ。
それを抱えてもなお、怒りのままに叫んでも何も変わらないことが現実として理解しているからこそ、決別の儀式が続けられる。


「憶えてるか、カミやん。御使堕し(エンゼルフォール)のこと。あのときの言葉、覚えてるか?」


上条の死体をお姫様だっこのように持ち上げて語る。
あのとき、上条を敵として意識し、散々に殴ってまで動きを止め、そして魔術を使って決着をつけた。
上条は自分の父親を助けたいがために身体を張って、スパイであり、戦闘のプロである土御門元春と戦ったのだ。
今でもまだ憶えている。心に響いた理想の言葉を覚えている。
823創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 21:14:31 ID:aj5awgKy
 
824 ◆uort./PO.A :2009/02/20(金) 21:14:56 ID:Gbvsh+fQ

「『誰かを犠牲にならなきゃいけないなんて残酷な法則があるなら、まずはそんなふざけた幻想をぶち殺す』、か」

笑ってしまう。現実を知らない子供の叫びだ。
現にそれを告げた上条当麻は呆気なく命を奪われ、こうして屍を晒している。
これが正しい現実のあり方だと言うのに。

「あれは良かったなぁ。オレに向けられた言葉じゃなかったけど、それでも響いたな」

その言葉が美しい、と感じた。
希望に満ちた理想の絶叫は、裏を知って汚れてしまった土御門にはとても口に出せない言葉だ。
だからこそ響いたのかも知れない。
そんな彼だからこそ、日常の象徴として護りたかったに違いない。


「なあ、カミやん……もう一度、聴かせてくれよ」


声は届かない。
上条の身体は土御門が掘った穴へと横たわられている。
目を閉じ、腕を組ませ、後は穴を埋めるだけという状況で、土御門はガラクタも一緒に捨てていく。
余分な感情も、感傷も、日常の象徴も、余計な願いも。
825創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 21:15:37 ID:JucaUzvp
支援
826 ◆uort./PO.A :2009/02/20(金) 21:15:40 ID:Gbvsh+fQ

「その幻想をぶち殺す、って……言ってくれよ」

ゆっくりと、上条の身体が地に埋まっていく。
彼を埋葬しながらも、土御門の言葉は止まらなかった。手と共に口も動かし続けた。

「不幸だーっ! って……オレたちを笑わせてくれよ……なあ、カミやん」

身体の半分以上が土の中へと埋まった。
残りは顔を含めた上半身のみ。それもゆっくりと、時間を掛けて土の中へと消えていく。
一生懸命引き伸ばした別離の時間も、どんどん少なくなっていく。

「頼むから、目を開けてくれよ、カミやん」

幻想殺しの少年の顔まで土が被る。
土御門が埋めたのは上条当麻だけではない。彼が心の奥底に仕舞っていた余分なものも一緒だ。
彼が心の中に持っていた幻想(ガラクタ)の全てを一緒に埋めた。
残っているのはただひとつの現実だけだ。



     ◇     ◇     ◇     ◇

827 ◆uort./PO.A :2009/02/20(金) 21:16:36 ID:Gbvsh+fQ


「さーて……土御門さんは、これからどうすればいい?」

上条の埋まった地の隣に座り込み、自問する。
甘さを完全に捨て去り、苦しいまでに現実のみを見つめる土御門は己に問う。
この地獄で、守るべきものを失った嘘吐きが選ぶもの。
日常という大切だったものを埋葬してきた彼が選ぶもの。

「……舞夏」

学園都市に残してきた義理の妹のことを思い出す。
何もかも裏切っても、嘘を吐いてきても、世界を敵に回したとしても。
彼女だけは裏切らない。何も知らないまま、メイドを目指す彼女には温かな世界に居てもらいたい。
そして願わくば、自分もまたその隣に立っていたい。
幻想を完全に捨て、現実だけを残した土御門元春の口元に浮かぶのは、獰猛なほどの笑みだった。

「悪いねえ、カミやん。オレは多分、お前を裏切っちまう」

上条当麻はそれを望まないだろう。
きっと生きていたなら、幻想殺しの右手を持って立ち塞がるだろう。たちえ勝ち目がないとしても。
それが分かっていながら、土御門は上条当麻を裏切ることにした。
もはや生き残ることに何の躊躇いも無かった。


(それでは、魅惑の裏切りタイムスタートだぜよ。どうもこの問題、全員を犠牲にしねーと解決はしないっぽいぜい)

828 ◆uort./PO.A :2009/02/20(金) 21:17:05 ID:Gbvsh+fQ

土御門元春は楽しそうに笑うと、新たなる戦場へと一歩を歩き出す。
善ではなく悪へと。過ぎたる失策を忘却し、無駄にポジティブな思考を取り戻した。
どんな手を使ってでも、舞夏のいる学園都市に帰る。
魔法名『背中刺す刃』の名の下に。
最高峰の陰陽術士にして、最低ランクの超能力者にして、もはや守るべき存在もこの島にはいない男が鬼となる。



【B−2 学校/1日目 朝】

【土御門元春@とある魔術の禁書目録】
[状態]:左の肩付近に軽傷。肋骨1本骨折。失血で衰弱。超能力により自動回復中(微弱)
[装備]:レナの鉈@ひぐらしのなく頃に
[道具]:なし
[思考・状況]
 基本:どんな手を使ってでも学園都市に帰る
 1:具体的な行動方針を考える


[備考]:ウソップの本名を把握していません。
    地図や名簿は大まかに把握しています。
    会場がループしていることに気付いていません。
    原作4巻以降、原作9巻以前からの参戦です。

829 ◆uort./PO.A :2009/02/20(金) 21:19:10 ID:Gbvsh+fQ
支援、ありがとうございました。
タイトルは『笑顔の道化師』です。ご指摘、ご感想を宜しくお願いします。
830創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 21:23:35 ID:aj5awgKy
投下乙です
埋葬シーンが物凄く痛々しくて、でもだからこそ心に響きました
土御門の心理をここまで掘り下げられるのは凄いなあ
そして文字通り『背中刺す刃』と化した土御門
様々な方向性に動けるキャラだけに、次の一手をどう打つかが気になる
831創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 21:25:24 ID:JucaUzvp
投下乙!
ううむ、初投下ながら上手いなあ、土御門の心理描写が。
軽口をたたきながら当麻を埋める土御門がなんとも…。
彼はマーダーの道を選んでしまったが…第2のステルスとなるか?
対主催グループは意外にいるしなあ。どうなるか
これからの作品も期待してます!

あと、指摘になりますが、『幻想殺し殺し』で当麻が教室を出ようとして撃たれたことや、
『一触即発』で教室の窓の描写があることから、おそらく当麻の死体は学校の教室内にあると思われます。
修正でなんとかできそうだとは思いますが…。

改めてGJ!
832 ◆uort./PO.A :2009/02/20(金) 21:36:54 ID:Gbvsh+fQ
修正原稿を投下しました。ご指摘ありがとうございます!
833創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 22:09:36 ID:JereSOdY
うわぁ…せつないなぁ
上条さん本人の死体と対面して埋葬とは
ほんとつっちーの心理描写がすごすぎる
GJでした!
834創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 22:15:33 ID:JucaUzvp
>>832
おお!素早い修正乙!
あれなら大丈夫かと。
835創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 22:25:11 ID:i6ZhJeUL
投下乙です。
いちいち原作からにやりとするネタ引っ張ってくるあたりが素晴らしいw
そして切ねえ……絶対に仮面を外さないあたりが土御門らしくて泣けてくる。
そしてストッパー外れちゃったか。ステルスこそ奴の真骨頂なだけに、これからが恐ろしい。
836創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 23:35:10 ID:JucaUzvp
そろそろ次スレ?
837創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 23:40:08 ID:JereSOdY
そういえばそうだね
テンプレ変更点あったっけ
838創る名無しに見る名無し:2009/02/21(土) 00:24:59 ID:SecoRQXo
投下乙!

こんな時にも仮面を外さない土御門が切ない…
何にしてもこれからはステルス路線か?
それが土御門の真骨頂だけに期待
839創る名無しに見る名無し:2009/02/21(土) 00:30:43 ID:GNuwsaAW
もう490KBか
早いもんだ
840創る名無しに見る名無し:2009/02/21(土) 01:14:22 ID:9vEyOT81
次スレたってる?
841創る名無しに見る名無し:2009/02/21(土) 01:18:03 ID:GNuwsaAW
立ってないよ
立てようか、テンプレ変更しなくちゃいけないのってどこだろ
842創る名無しに見る名無し:2009/02/21(土) 01:25:41 ID:4GjT2u+s
まとめにテンプレートってあるから、それをコピペすればいいのかな?
843創る名無しに見る名無し:2009/02/21(土) 01:33:05 ID:GNuwsaAW
あ、それでいいのか
じゃあちょっと立ててくる
844創る名無しに見る名無し:2009/02/21(土) 01:38:41 ID:GNuwsaAW
立てたよ
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1235147692/

しかし、テンプレ貼ってて思ったけど
破棄ルールとかその辺ってwikiにあれば充分な気がする
正直こうガチガチのテンプレだと新規の人が見たとき引くというかなんというか
845創る名無しに見る名無し:2009/02/21(土) 02:05:21 ID:4GjT2u+s
乙です。
まーそーゆーときは自分でテンプレ作って避難所投下で提案してみては。
846創る名無しに見る名無し:2009/02/22(日) 00:10:40 ID:Z7srIpjR
今更すぎますが投下乙!
ニコ兄と梨花ちゃまがいいコンビすぎる……
しかしどう見てもロリコンです、本当にありがとうry
いや、精神年齢的にはむしろニコ兄の方がずっと下なんだけどさww
ルフィとバラライカさんもどうなるか気になるぜ!

そして土御門……やっぱりマーダーになっちまったか……
彼がどんな風に生き延びるのか、はたまた失敗するのか気になって仕方ない。
847創る名無しに見る名無し:2009/02/22(日) 01:40:51 ID:Fcq45SQT
ラジオって今日だよね
何時ぐらいからとか決まってるのかな
848創る名無しに見る名無し:2009/02/22(日) 01:51:16 ID:9k5S0B6v
ラジオは>>681によると21時からだな。
聞きたいがその時間はちょっと忙しいな…。
849創る名無しに見る名無し:2009/02/22(日) 01:54:42 ID:Fcq45SQT
21時か
たぶん大丈夫だと思うが確証はもてないな
あとで録音うpとかされるんだろうか
850創る名無しに見る名無し:2009/02/22(日) 13:48:46 ID:hufqyqYD
そういや5人予約入ってるんだよな。
同作品キャラもいるし、楽しみだ。
851創る名無しに見る名無し:2009/02/22(日) 19:47:36 ID:zA08+yWV
ラジオそろそろか
852創る名無しに見る名無し:2009/02/22(日) 20:11:36 ID:ZIIFSmud
ラジオって携帯でも聴ける?
やっぱり無理かな?
853創る名無しに見る名無し:2009/02/22(日) 20:15:53 ID:9WrBlKxg
残念ながら携帯は無理なんじゃないかな?
詳しくないけど。
854創る名無しに見る名無し:2009/02/22(日) 20:24:36 ID:Fcq45SQT
あと少し…ドキドキ
855創る名無しに見る名無し:2009/02/22(日) 20:38:32 ID:M6yez2U9
ラジオってここに宣伝がきて、他で実況するの?
この板で実況したらルール違反だよな
856創る名無しに見る名無し:2009/02/22(日) 20:50:10 ID:LS3GaRy1
実況用に他にしたらばがある…のかな?
ここっぽいよ
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/5008/1235301529/l50
857創る名無しに見る名無し:2009/02/22(日) 20:52:47 ID:M6yez2U9
なるほど、専用のしたらばがあるのか
Gラジオも避難所したらばでやってるもんな
似たような感じだな
858R-0109 ◆eVB8arcato :2009/02/22(日) 21:00:48 ID:kHZZXhq3
859創る名無しに見る名無し:2009/02/22(日) 21:01:46 ID:LS3GaRy1
おお、来た!
行ってこよう
860創る名無しに見る名無し:2009/02/22(日) 21:25:40 ID:Fcq45SQT
うおお出遅れてしまったぜ
最初聞き逃してしまったか
861 ◆TEF4Xfcvis :2009/02/23(月) 00:10:23 ID:kX6Za5C5
おくれてすみません
今日中には投下できると思いますが……もう少し待ってください
862創る名無しに見る名無し:2009/02/23(月) 00:16:18 ID:/xKoeBXH
やったTEFさんキタ!これで勝つる!
今日は支援できないと思うけど、待ってます
863創る名無しに見る名無し:2009/02/23(月) 00:19:59 ID:SZx1S9Lv
ラジオ終わってしまったか。
参加したかったなぁ…悔しい!
皆さん乙です。
新しい予約も入ってるな。wktk
>>861
期待してるよ!
頑張れ!
投下は新スレにした方が良いかな?
864創る名無しに見る名無し:2009/02/23(月) 00:21:07 ID:hRoYJn7E
ラジオおわた〜

>>861
今日は徹夜予定だからいつでも支援できるぜ!
865創る名無しに見る名無し:2009/02/23(月) 00:23:51 ID:hRoYJn7E
ほんとだ!新しい予約きてるな
866創る名無しに見る名無し:2009/02/23(月) 01:21:07 ID:hRoYJn7E
新スレに投下きてるよー
867創る名無しに見る名無し:2009/02/23(月) 04:10:41 ID:hRoYJn7E
お、佐山ガッション蒼い子トリオと吉良に予約きてる
868創る名無しに見る名無し:2009/02/23(月) 14:47:08 ID:YafDajc3
>>861
今回の予約は事前にゴタゴタありましたし、正直に言えば時間は守って欲しかったところです。
それと書き上がらなかったにせよ、時間には何かしら報告をお願いします。氏は前にも同様の事をしている訳ですし。
まぁ何だかんだ言いましたが、氏の投下を心待ちにしています。
wktkwktk
869R-0109 ◆eVB8arcato :2009/02/23(月) 17:39:45 ID:SGJkM4M8
録音音声をアップしておきました。
実況スレの最後に書いてあるんでよければどうぞ。
870創る名無しに見る名無し:2009/02/23(月) 21:01:26 ID:G7FtVbWq
>>869
乙です。
昨日は楽しませてもらいました。
871創る名無しに見る名無し:2009/02/23(月) 21:17:41 ID:SZx1S9Lv
>>869
乙です!
頂きました。
参加出来なかった身としては嬉しい限り。
出来れば一緒にリアルタイムで皆さんと騒ぎたかったけどね。
872 ◆TEF4Xfcvis :2009/02/23(月) 21:34:29 ID:kX6Za5C5
クロコ、ライダー、レッド、ハクオロ、魅音投下します。
873創る名無しに見る名無し:2009/02/23(月) 21:35:34 ID:kUeGx/gU
キタキタキタキタキタキタ
874limited ◆TEF4Xfcvis :2009/02/23(月) 21:44:02 ID:kX6Za5C5



―――――人には限界状況というものがある。
いかなる人間の力や科学の力を以ってしても逃れることのできない状況をそう言うらしい。
人間存在にとって巨大な壁となって立ちふさがる状況であり、人はただそれに衝突し
挫折する以外にない。 唯一打開できる可能性といえば、超越者や他者との交わりを持つことらしいが……




ハクオロと魅音は駅に向かっていた。
そこに向かった確定的な理由はない。ただ、この広大な敷地で仲間を探そうと思えば
地図に書かれている施設を探ったほうが遭遇の確立も高くなるだろうと思ってのことだ。
しかしそれはまた危険人物との遭遇をも意味する。自らの命の危険もより高まるだろう。
だが、迷ってはいられない。
仲間を探し、殺し合いを止めるのならばそれを避けることはあってはならないのだ。

「この橋を渡って行けば駅に着くみたいだね」

「……」

「……ハクオロさん?」

「……ん?あ、ああ。なんだい?」

「この橋の向こう行けば駅なんだけど、渡る?」

「そうだな、中心部の方が人が集まるかもしれない。まあ以前より慎重にならないと
 いけないのは確かだが……よし、そっちに向かおう」

魅音は首を縦に振って肯定の意を表す。
そうして彼らは駅に向かうことになった。
875limited ◆TEF4Xfcvis :2009/02/23(月) 21:45:15 ID:kX6Za5C5

魅音の心に一抹の不安が残る。

(ハクオロさん……大丈夫かな)

放送以降からハクオロの様子に違和感が感じられる。
本人は隠しているようだがちらほらとどこ吹く風の状態になっている。
やはり仲間の死が堪えたのだろうか。
魅音は、いや、人は誰でも他人の心中を完全に察することなど出来ない。
理解したといってもそれはあくまでも推測の域を出ることはない。
だから、魅音にはハクオロを労わることは出来ない。
今は一緒に行動しているとはいえ、数時間前までは全く見知らぬ存在だった二人だ。
ヘタに心中を察して逆に傷つけてはいけない、と彼女は考えていた。

事実、ハクオロを不安定にさせているのは仲間の死ではない。
無論原因はそれではあるが、彼の迷いはその先にある。
『皇』としての自分を優先するか、それとも『個』としての自分を優先するか。
彼はこの狭間で揺れ動いていた。
これらを両立させることは不可能である。
どちらかを優先するならば、どちらかを切り捨てなければならない。
主催者に反抗し、現在生き残っている者と脱出をするのであれば仲間を生き返らせることは叶わない。
だが、自身が優勝すれば仲間も、そしてこの殺し合いの犠牲者を生き返らせることが出来る。
しかしあの主催者の言うことは鵜呑みには出来ない。
それをするほどハクオロは愚かではない。
まだ、今の状態であれば……

前を歩くハクオロの背中を見て、魅音はどうしても心配が拭えなかった。
もし、彼の仲間がすべて死んでしまったら彼はどうなるのだろう?
我を忘れてギラーミンに刃向かい、その過程で彼も死んでしまったら。

(きっとそんなことはないよね……ハクオロさん)
876創る名無しに見る名無し:2009/02/23(月) 21:46:58 ID:kUeGx/gU
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877limitations ◆TEF4Xfcvis :2009/02/23(月) 21:47:56 ID:kX6Za5C5

魅音の心配は、ハクオロが仲間を失ったとき激昂し無茶をするのではないかということ。
その点で、彼と彼女の心情に相違点があった。

ただ、彼女にわかったことは、ハクオロの背中がとても寂しそうだったということだけだ。



突然、ハクオロが魅音に振り向いた。

「え、何?」

「伏せろ!」

そう言いながらハクオロは魅音に飛びつき自身と共に身を屈めさせた。
魅音はわけのわからない状態だったが、瞬間。
何かが頭を掠めた気がした。

いや、間違いなく掠めている。
はらはらと自身の髪の毛が数本落ちるのを見た彼女は背筋が凍りついた。

「え……」

一体何が自分の頭の上を通ったのか?
恐怖を覚えると同時に理解に苦しんだ、が、答えはすぐに知れることとなる。

「チッ……どうも勘のいいヤツが多くて困るな」

カツコツとアスファルトに靴音を響かせながら歩いて来る男が一人。
長身で黒髪のオールバック。
足まで届くようなコートを羽織り、鼻を横切る特徴的な一文字の傷痕。
魅音とハクオロは警戒を緩めない。
なぜなら、その男の双眸は明らかに彼らに殺意を向けていたからだ。
878limitations ◆TEF4Xfcvis

「念のため聞いておく。お前は殺し合いに乗っているのか?」

ハクオロが口を開いた。
男はハッと嗤うとそれに応えた。

「何を期待してるのかは知らねえが、俺は誰であろうと容赦しない。
 お前達が俺の眼に映っている限りそれは免れないと思っておけ」

「……魅音、用心してくれ」

「わかってるよ」

ハクオロは十手を構え、魅音はピストルを手に取る。
相手の男は左手に金属のフックをつけてはいるがそれ以外の武装はない。
しかし、それなのにあの余裕の表情は何を意味するのだろうか。
ハクオロは先ほどの奇襲を避けたものの、それがなんなのかは判別できなかった。
仕方のないこととは言え、これは致命的な事態に繋がりかねない。

(何か遠距離用の武器を隠し持っているのか……?しかしいちいち隠す物なのだろうか。
 射出用とも考えられるが……)

「安心しな。いちいち手を隠すつもりはねえ」

どちらにせよ遠距離攻撃が来るのは間違いない。
男もそれを使うのに惜し気がないようだ。
唯一つ、安心できる点を挙げればその攻撃は避けられる程度のものだということだ。

「砂漠の宝刀ッ!」

再び、何かが空気を閃く。だが今度は見失わない。
敢えて受け止めることはせず、狂いなく首を狙われたそれを紙一重でかわした。