1 :
創る名無しに見る名無し :
2009/01/12(月) 00:34:27 ID:EHIqV/5P バトロワだらけの殺伐としたスレが多いですが、シェアードワールドで
もっとのほほんとした、まったりゆるい非日常的な箱庭的世界観で
版権キャラなしの一次創作のみで日常生活を描く、そんなスレッドを
>>1 は考えていますが、なんでもいいのでネタを考えよう。
つまりどういう事だ
シルバニアファミリーか
まずマリオを配置します。
>>1 がお手本示してみてよ
なにをしたいのかわかんなーい
7 :
例えばこんなの :2009/01/12(月) 00:41:37 ID:EHIqV/5P
四畳半島物語 ▼物語の内容 この世界は見渡す限り海、海、海。 あなたはここで生活してもらいます。 その日常を面白おかしく綴って下さい。 この世界に紛れ込む経緯などはお任せします。 ▼おおまかなルール タイトルにはあなたの動かすキャラの名前を明記して下さい。 四畳半の広さの小島が自動的に用意されることにします。 オールなどで漕ぐ事によって小島は移動も出来、また隣り合うことで小島同士を合体させることも出来ます。 このように人が集まるにしたがって島もどんどん成長していきます。 合体時のイベントとして、みなさんの自由なアイデアで建造物やアイテムなどが出現することにします。 ▼みなさんのキャラの初期状態 「魔法・超能力・霊能力」など非常識なものは禁止します。 常識的に生まれつきの能力として理解できる範囲内でお願いします。 もちろん、アインシュタインの天才的頭脳やエジソンのひらめき、オリンピック金メダリストの驚異的身体能力はOKとします。 あなたのキャラには身の回り品を2〜3個所持させて頂いて構いません。 あらかじめ所持品を記入お願いします。 それ以外は物語中で拾って下さい。 ▼キャラクターの扱いに関して 最新の投稿から一ヶ月を経過しても、投稿がないときは、「島の上で石像化する」という形で処理させていただきます。 あくまでもお休みになられた作者さまがスムーズに再参加されるまでのつなぎの策とお考え下さい。 「石像」は当然、移動も破壊も禁止です。(再参加が不可能になるので) 複数の作者が参加するので、キャラ同士を絡ませる場合は、出来ればメール、掲示板などで相談し合って下さいね。
8 :
でも :2009/01/12(月) 00:45:12 ID:EHIqV/5P
なんか意味不明な内容だ。 もっと面白い世界とルールなら人が集まるのにな。
じゃあ範囲を宇宙にしようぜ
面白い世界というかもっと分かりやすい方が人は集まると思うぜ
たしかに、ルールというか、説明文を読んでて疲れた。
とりあえず1000目指して遊んでみればいいんじゃあないかな?
あれ、もう人稲?
なにをしたらいいのかわかりません><
じゃあ俺が勝手に決めよう どうせラインは超えたんだ
舞台は屋敷 部屋数や大きさなどは投下されるものによって決めていく 庭つき? それも投下されるもので決める 屋敷の敷地内から出る事は出来ない
版権キャラなし シェアード(ルームシェアも可) このスレだけで終わる これでテキトーに始めてみよう
何か他に必要なことは?
殺さない 死なない 喧嘩しても仲直り でしょうか?
殺し→可 死→そりゃあ死ぬさ 喧嘩→仲が悪い奴らがいたって良いじゃない 復活→有り
既出作品に出てきた情報の踏襲を強制しない ってのはけっこう重要だと思う 要は自由にかいておkってこと
>>20 オリキャラの殺害は、非難轟々かと思われます
ある意味、作者の分身なのだから
精神病による自殺は?
なら、投下後に殺してもおkな人は書けば良んじゃね 1スレだけの書き捨てと思えば良い
なぜ殺す話になるのだらう
なんかミスティックアーク思い出した
パートにならない事を前提にスレを進める 放置されて終わるだけならテキトーに遊んで埋める 何かやりたい事あるならどぞ
>>23 自分で書くのなら、他人のキャラに迷惑をかけないのなら、おk
>>28 今行き詰まってるキャラがいてさ、そいつをここで交流させて考えを聞き出したいんだよね
だから多分自殺はしない
とりあえずなさそうなので舞台は屋敷で
西洋風か和風かは自由 敷地内ならどっちもあるってのも可 暫定的なもんだからこれまでのレスはスルーでも構わない とりあえず埋まりゃいいかな、って感じで進める
なんだろ 村上春樹のハードボイルドとワンダーランドの脳内の村みたいな世界?
何故だろう ホラーの臭いがプンプンする
閉鎖的な村 隠された因習
魚めいた丸い目をした村民
私らは、これを「アジョ中」とよんじょります
ガラスの塀は高い。三メートルくらいだろうか。 それは半径2mの円を描いてそびえている。 ここにはてっぺんまで水が満たされていて、彼らはそこで日々を過ごしている。 屋敷は三本マストの帆船の形で、沈没船よろしく水中に鎮座しているのだ。 各々の船室には、奇妙な風習を伝えるアジョ中たちが暮らしている。
運が良ければ、日没前と後に塀に沿ってぐるりと歩く住民達の 姿が見られることもある。 と、ここまで
た、祟りじゃ!
半径2メートル高さ3メートルの円柱? その中に屋敷があるってアジョ中意外と小さい?
だいたい文鳥くらいの大きさを想定
文鳥ぐらいのアジョ中、やばい飼いてぇ って、、、、串がはずれたぁ!? 携帯で書いてんの?
串が外れただと…?
tst tst 多分運営譲渡に伴うものじゃないかな
あれ、取れてないし なんなんだ一体 端末はPCです
なにが起こったんだろうな
ここに携帯の俺が登場で自体は更に悪化
事態かorz とここに書くとさらにさらに悪化 まぁhusianaすれば違うのがわかるが
p2だからBBQに引っかかってるIP以外の別端末で書けば ID一緒のまま串ははずせるはず
そうなのか まぁ自分の携帯はフィルタリングで有料サービス以外使えない親規制なんで、携帯からは無理ですね というかそうできるものならそうしたい今日この頃
フシアナさんの綴り忘れちまった
fusianasanだよ
おおサンクス
某所で晒してるのでIP晒そうが俺は構わないんだが tst
変わったIPだな
鍛えてますから
あえて串ってみるる
ちょっと話ずれてるし IP話は移動しよっか
ごめりんご('A`)y━ じゃなくてじゃあ屋敷でいいか 他の案は特になかったよな
俺はまだ箱庭のイメージがつかめてないんだけど やっぱ屋敷なんかの狭い場所での話っていうふうにまとめるんかね
めぞん一刻みたいにアパートとか・・・ ちょっと違うか
箱庭っていうと管理者がいて理想の状態を保つためにいろいろ手を加えてる小世界っていうイメージがあるんだけど
管理者は・・・不明 迫り来る謎、ミステリアスな館 君はこの館で生き残れるか!
やっぱりしぬのねw
火曜サスのノリで進行していくんだな 記憶「こんな奴等と一緒にいられるか! 俺は部屋に戻るぞ!」
か、管理人はまさか・・・ん?誰だ! なんだ、気のせいか・・・
69 :
創る名無しに見る名無し :2009/01/12(月) 19:45:56 ID:LkJYxYh/
箱の中に世界を作った、ようなイメージですか 要するに隔離されてるので、主のやりたい放題
70 :
創る名無しに見る名無し :2009/01/12(月) 21:06:07 ID:NmH4i9pF
絶海の孤島に館がある! そして館には中庭があって噴水がある! そんでもって館は何棟かに分かれてて居住区は主棟にある! これでどうだ!
71 :
創る名無しに見る名無し :2009/01/12(月) 21:52:09 ID:7KqSkaSO
いいですね。 見取り図、島の全景図、俯瞰図、館のイメージ画像があれば欲しいです
その館の中で起こる物語、というわけかな
かまいた……なんでもありません
74 :
創る名無しに見る名無し :2009/01/12(月) 21:58:23 ID:7KqSkaSO
殺し合いに傾きつつあるのは、気のせいですよね
気のせいじゃない気がする…なぜそうなってしまうのだらう
「もっとのほほんとした、まったりゆるい非日常的な箱庭的世界観で 版権キャラなしの一次創作のみで日常生活を描く」はずだ、期待しよう
ふと思ったけど このスレって文章よりも絵や工作のほうが簡単?
動物の森みたいのかな
かもしれんねー
動物の森!なんか一気にイメージができた! 俺動物の森とか牧場物語とかひつじ村とかああいうゲーム大好きなんだよ
シムシティ的な?
どきどきポヤッチオとか ワールドネバーランドとかではだめですか
シムシティも好きだ
85 :
創る名無しに見る名無し :2009/01/12(月) 22:18:24 ID:7KqSkaSO
ちょっとしたゲームのようなイメージですか
ゲームというか、漠然としたイメージがみんなで持てれば 箱庭世界は作りやすいのではないだろうか イメージが固まらなければ、一人の書き手が延々と書き続ける羽目になる
かもねー 箱庭というとこっちのほうがイメージとしては正しいのかも
88 :
創る名無しに見る名無し :2009/01/12(月) 22:23:11 ID:7KqSkaSO
箱庭なら歴史は断絶。 そこにいきなり出現した空間ですね。
シムシティは暴動を起こさせるのが楽しい つまりこの館でも・・・
どうぶつの森ってイメージはいいね! 基本自分の箱庭に引きこもりで、たまにネット介したりしてよその箱庭と交流を持つかんじ
かといって空間的広がりがあるわけでもない
動物の森かー ドット絵で小川つくったり花を計算して大量に植えまくったり かなり手間かけて理想の箱庭をつくってたな
やあたびのひと、ここははこにわのやかただよ
>>93 なあにこれブラウザゲーム?
なんかちょっと面白そう
うっそうとした森に囲まれた「箱庭館」 そこには、都市の生活に疲れた旅人が宿泊する洋館である 木々を北に登れば山林へ 南に抜ければ海にでる 東西になにがあるかは、誰も知らないし行った事がない 主人はニコニコとなにも語らない 何かにつかれたそこの貴方、こちらで休んでみてはいかがだろうか 箱庭館 ―――長期宿泊者、歓迎!―――
これはいい仕事
これは
>>16 を
舞台は屋敷→屋敷を絡める
部屋数や大きさなどは投下されるものによって決めていく
庭つき? それも投下されるもので決める
屋敷の敷地内から出る事は出来ない→出てもおk
に変えた方がいいかもなー
その方が自由にやりやすかったりする? わかんね
>屋敷の敷地内から出る事は出来ない→出てもおk
これを完全に忘れた状態で
>>96 の
>木々を北に登れば山林へ
>南に抜ければ海にでる
を読んで、なんとなく描いてみたんだw
まあ、物語内で出なければ、いいかな?
ついでに、施設何も書き込んでないけど、要望があれば無理難題でない限り追加できるよ
センターに三角州のような地形が来てるからそことの往来関係を…… 全体の目的をどういう方向性に持っていくかがポイントだな できごと、というか その辺どうなるんだろう……とか
>>97 の地図を使ったSSとかの投下物で施設が増えたら更新、ってされると嬉しいかもしれない
でも負担になるだろうから……まあ、気が向いたら頼むww
ちなみにID:rOlhhMn6は1でも無いし、
1000までいきゃいいかなって乗っ取り野郎だから気にする必要は皆無だ
楽しくやれりゃそれでいいのさ!
田舎という言葉を地形に置き換えれば、このような景色が広がるのだろう。 まさしく、ここはそんな集落だった。 地図でみれば、一体どのような座標に位置するのか。僕は知らない。 「師匠、ここはどこなんですか?」 「駅名を見なかったか? 箱庭だ」 先ほど改札を抜けた木造の無人駅を思い出す。 自分の記憶の中には、そんな奇妙でインパクトのある地名は入っていない。 途中、惰眠を貪り目覚めた辺りから、気がつけば全く覚えのない地域を電車は駆けていた。 「それで、ここはどの辺なんですか? どうにも電車の中の記憶が曖昧で……」 僕の納得しかねている表情を見て、師匠である少女はしばし思案する。 黒いスカートが、銀色の髪が、風と歩く所作にフワフワと踊っていた。 キャリーバッグのタイヤとアスファルトとが、小気味の良い音を奏でる。 「そうだな。強いて言えば、ここは舞台だ」 「舞台? 演劇でもやるんですか?」 「似て非なるものだ。生活に近い」 「ええ!? 引越しするなんて聞いてませんよっ!」 師匠が小さく笑みを浮かべ、無言を肯定として返す。 寂れた橋を過ぎる。周辺はだんだんと、閑散とした光景に変わっていった やがて、集落の外れにある大きな屋敷の前で、少女は足を止める。 「さて、ここだ」 「……いい場所ですね」 古いが手入れが行き届いた木造建築の洋館は、なかなかの趣がある。 そして、まるで世界を倒錯したかのような、不思議な雰囲気も同時に纏っていた。 館の門には、木製の看板で、「箱庭館」と書かれていた。 - ハルトシュラー・倉刀入館 - こんな感じ?
ふむふむ、投下乙ですー
投下乙! お客が来たか
館の主が作った箱庭世界に投下されるキャラの話というわけですね わたしは逆を想像してました 箱庭主(新世界の神)が物理法則などを司り、投下されるキャラは、 それに抗って、何もないところを開拓して理想の世界を作る話を
箱庭の中にはモブキャラは存在しないよね。 現在、館の主がいると仮定して、住民三名。
箱庭に入れるのはオリジナルも二次もアリという事で?
微妙に設定と名前を変えて出直しするならおkでは?
鏡を見ても変身出来ない、秘密のアッ子さん(ゴッド姉ちゃん)とか
それ実在の人物じゃねぇかww
人気の全くない郊外で、彼はバイクを停めた。 「え〜と。ここ、なのかな?」 そこは、古めかしい屋敷であった。 バイクの荷物を探りつつ目だけで表札を探すが、それは一向に見つからない。 不安げに地図と周りの風景を見比べるが、見渡せる範囲に目印になりそうなものもない。 だが逆にその事が、上司に教えてもらった情報に一致していた。 ここで間違いない。彼はそう思った。 金属製のゲート付近にはインターホンすらなかった。 「す、すいませ〜ん。ごめんくださ〜い」 そう呼びかけてみるが、返事はない。 恐らくは、屋敷に届いていないのだろう。声が小さすぎるということは、彼もわかっていた。 だがどうしても腹に力が入らない。 それは彼自身も無意識下でしか気付けなかった、何者かの気配のせいであるかもしれなかった。 もう一度だけ、頑張って声を張り上げようかと思ったところで、彼は門扉横の小さな箱に気付いた。 その箱の表面、箱の蓋部分にはこんな張り紙がされていた。 <御用の方はこちらを開けてください> 「…………」 開けなければ、ならないのだろう。 彼は意を決して、蓋を開けた。 その中には――小さな印鑑が入っていた。 「……え〜と」 考える。 それは、彼が仕事を終えるのに十分な道具。 恐らくは――そういうことなのだろう。 「た、宅配便、置いときますよ〜!」 そう叫び、配達員である彼は逃げるようにその場を立ち去った。 バイク音も完全に遠ざかったしばらく後のこと。 屋敷の前の、箱詰めされた小さな荷物である。 「……ふむ? そろそろ着いたのだろうかな?」 くぐもった声が包みの中から聴こえた。 そして次の瞬間――箱の上部から刃が生えていた。 「ふむ」 箱は瞬く間に解体される。 パタンパタンと、外装が地に落ちて一呼吸の後。 そこには人に似た小さな影があった。 「果して長いのか短いのか、よくわからない道程であったものだ」 呟きながら、小さな手で燕尾服の埃を叩く。 やがて裾と襟元の皺に妥協すると、小さなその影は屋敷を見上げ、小さな溜息をついた。 「此処か……わたくしが、暫く厄介になる館は」 その姿は、さながら童話に出てくる妖精か、小人の少女のように見えた。 ――その両脚が、鋏になっていること以外は。 ―はさみさん入館―
次々と重鎮が
住人3人目ですね(主を除き)
どうせなら宅配の兄さん、出られなくなってたら面白いなあ(ボソッ)
おおーなんかいろいろ来てるー
書いては見たものの、これから何が起こるのか予想も出来ません>< 他の入居者募集中
オリキャラでいいのかな? 閣下とはさみさんの重圧に負けて即興で作ったキャラを出しづらい
オリキャラ上等でしょー
いっちゃえいっちゃえ
じゃあ今から書くよ
1/2 遠い道のりです。 お茶の産地の魔法兵が作った迷路は大変難しゅう御座いました。 オリエンタル・ミステリイとはこの事なのでしょうか。 同じような所をグルグル回り続けてしまい、アフタヌーンティーの為に持ってきた紅茶もおやつもとうの昔――一時間前に底をついてしまいました。 先の見えない迷路、忍び寄る飢餓と涸渇に苛まされるのは精神的によろしくありません。 喉がヒリヒリと痛いですし、お腹はぎゅるると鳴ります。脱水症状の先駆けなのか、頭がぼうっと耄碌ではなくて朦朧としてきます。 リアルな死の恐怖が実感的な絶望と手を携えて、酸の様に私をじわりじわりと侵してくるのです。 たった一杯の紅茶があればそんな物とはキッパリ手を切ってオサラバ出来るのですが、水筒が空ではどうにも仕様がありません。 駄目です。本格的に意識が混濁してきました。 我が儘は言いません。水でも良いです。文句は言いません。ソ連の硫酸みたいなウォッカでも良いです。渇きが癒されれば何だって良いです。 ですが。 コーヒーだけは絶対に駄目です。アレを飲むくらいなら泥水の方がマシ――と言うよりは似たような物でしたね、コーヒーと泥水。 違うのは臭いだけです。あの臭いを匂いと言うのは許しません。香りだなんてもっての他です。 申し訳ありません。意識が混濁して正論を言ってしまいました。これも餓えと渇きがいけないのです。 決して私のせいではありません。 絶望に打擲されながら歩く事五分。風の匂いが変わってきました。 今までは無味無臭で味気なく無機質な物であったのが、緑豊かで青々とした匂いに変わりました。 周囲の風景も変わりました。岩だらけで殺風景だったのが、長閑な田園風景になりました。 トンボが飛んだりスズメがチュンチュン鳴いてます。 水道の蛇口を捻ると水だって出ます。 ええ、夢ではありません。つねったら痛かったですし、水はヒンヤリと冷たくて、ミネラルが豊富で美味しいです。 絶望の顎から逃れますと、色々な余裕が出てきます。 例を挙げると現状に対する疑問ですね。此処は何処なのか。何故私が此処にいるのかとか。 そんな事は知りません。私が聞きたいです。
2/2 解らないことがあれば自分で調べるより人に聞いた方が簡単です。 ですが、世の中には嘘を教える悪い人がいるそうです。 嫌ですね、そういう人。 善良な人に嘘を教えて笑う人は悪人です。ヤード――つまり、スコットランドヤードに言いつけたくなります。 駄目です。スコットランドヤードはあまりあてになりません。 街のお巡りさんはお金持ちには優しいのですが、そうでない人には優しくありません。中にはそうではない人もいますが、極めて僅かです。 もっとも、お祖父様がお金持ちなので私には優しくしてくれるのですが。 でも、良い所はあります。物騒な拳銃を持っていない事は素晴らしいのです。銃大好きアメリカ人とは大違いです。 銃で平和は訪れないのです。そんな平和は偽物のハリボテです。うっかり隣の家にも行けません。 兎に角。 真の平和は女王陛下の元に訪れるのです! 全ての人が自分の身分に従って自分の義務を果たすのが理想の社会です! 女王陛下万歳! 申し訳ありません。調子に乗って宇宙の法則世界の基本を語ってしまいました。 そんな事を考えていると、洋館が見えてきました。 遠くで見ると大層立派に見えたのですが、近付くと木造建築なので鼻で笑ってしまいました。 だって木造なんですよ? 何処の世界にそんな愉快な洋館があるのでしょうね。 設計した人物が愉快なのか、施工主に予算がなかったのか。 それとも、外見ばかり模倣して中身が伴ってないクセに精神論者という端から見れば破綻している精神構造の日本人なのでしょうか。 多分、全部だと思います。 なんと申せば良いのでしょうか。世界に冠たる大英帝国の人として、純真可憐で清楚な乙女として、この洋館の主にご挨拶をしたくなりました。 学園島では我が大英帝国と大日本帝国は敵対していますが、二百年の引きこもり生活から国際社会に出てきた大日本帝国と日英同盟を結んで差し上げたご縁があります。 そんな訳で、私は洋館の門の呼び鈴――が無いので勝手に入る事にしました。 蛇足ながら。 やっぱり面白いですよね、木造建築の洋館。趣きというものがありません。 多分本人は大真面目に和洋折衷などと言う幻想を喜んでいるのでしょうが、笑っちゃいますよね。 ――フェアリー・テール(仮名)さん入館――
妖精つかいキター
四人目+αだね >外見ばかり模倣して中身が伴ってない はさみさんの燕尾服見て鼻で笑っちゃいそうだw閣下とは果たしてどうなるか?w
「やあ、どうも箱庭館へ。歓迎するよ、お嬢さんとそのお弟子君」 「どうも、あなたは?」 「俺はこの館の管理を任されている。だがまあ、主ってわけじゃあない。ただの管理人だよ」 僕らだけかと思ったが、ここまで綺麗に整備されているのだ。管理人くらいいるだろう。 管理人を名乗る男が、手を差し出す。華奢に見えるが、それなりに鍛えているのだろう。皮の厚い手の平だ。 煙草を吸っているのか、少しヤニの残り香が服についていた。 「さて、部屋だが、っとその前に、ここの儀式をしておこう……」 男は玄関の扉に手を掛けて、しばし留まる。それから手を顎に当て、やや思案顔を浮かべた。 「儀式? 一体? なんなんですか?」 「……個人的には、もう少しグラマラスな方が趣味だっ――ひでぶっ!」 「気が済んだか? 管理人」 管理人は、僕は怖くて言えない言葉をさらりと吐いて、ついでに血を吐きながら盛大に吹き飛ぶ。 師匠に胸とか小さいとか、そういった言葉を投げかけるとはなんと勇者な。 おお、立った。なんか蛙を潰したような音が鳴ってたのに、すげえ。
「まあ……げほっ…とりあえず、この町流の挨拶だ」 「レディの感想を素直に述べることがですか? それとも、不躾で率直にリビドーを吐き出すことがですか?」 「おや? 君はルールを知らないのか? 俺が手取り足取り教えてやってもいいんだぜ?」 「遠慮しておきます」 「なあに、俺は付いててもいけるんだぜ?」 空恐ろしいものを感じて、じりじりと距離を開ける。 管理人は、なにかを知りながら、その秘密を楽しむように笑顔を浮かべていた。 同時に、その笑顔から、どこか言いようのない不自然さを感じながら、僕らは館の中へと通された。 「ところで管理人、あなたはエキストラか?」 「これでも脇役志望だ。どう転ぶかは流れ次第だろう」 僕は会話に耳を傾けつつ、師匠の荷物を引きながら廊下を進んだ。 なにか、良く理解できない会話が師匠と管理人との間で交わされている。 さっきから、なにか自分には知らされていないルールがあるようで、だが、僕はそれの片鱗すら掴めない。 「そうだな。ところで、ブ男管理人……くっ」 「どうやら、主導権は君にはないみたいだな。俺はこれでも、すごくモテる部類なんだよ。可愛いお嬢さん」 「お前、私を自分の理想にしてないか?」 「さあ? 単に君の弟子がそういう趣味なんじゃないか?」 あれ? なんか管理人の顔がぼやけて…… 目をこする間に、男は足を止めた。僕らも従って扉の前に並ぶ。
「さあ、着いた。ここが君たちの部屋だよ」
「買い物なんかは、どこですればいい?」
「さっそくかい? 随分と早いんだな。まあ、俺も長さより回数に自信があるんだが」
トバす管理人に、師匠の拳と視線が硬くなる。
それを読み取ってか、男はすらすらと周辺の環境を説明し始めた。
「まず、この町にコンビニなんて便利なものはないよ」
「コンビニもないんですか? 生活用品はどうすれば?」
「生活用品なら、駅前のホームセンターとスーパーが合体したような店がある。そこが一番品揃えがいい」
「ああ、途中にありましたね。やたら駐車場が広い」
「それは田舎だからな。喫煙するなら、煙草屋が駅前の大通りを左に曲がってすぐにある。そこはちょうど商店街の入り口だ」
「なるほど、煙草は吸いませんが、大まかな生活用品は、その二つで済みますね」
しかし、どちらも遠いな。なんとも、難儀な生活になりそうだ。
>>1 でもないのに、勝手に進める
まずはわざとらしく開拓
こうやって無理に開拓するよりも、話の流れで作ったほうが本当は理想なんだけど
だれか職人さん頼んだ
【人はそれを投げたという】
ttp://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00764.jpg
これってもしかして館に住まなくてもおkな流れ? 商店街の店の人とか 個人的に学校(すっごいちっさい)が欲しくなってきた
どうなんだろう? 個人的に箱庭の範囲をこの地図くらいだと認識してた でもそれだと、シェアードとの差が曖昧になる この範囲から出れないってのが明確な差か? 箱庭って言葉から、誰かが作った小さな世界ってことで、メタ要素はちょっと意識してるけど 他の人の意見待ち とりあえず、自分の意見としては、メインが館ならおkという認識 俺も学校は個人的に欲しい
イメージが狭まるから地図はいらないと思った
1スレで終わらせるって方針じゃなかったっけ? それで常にお題「屋敷」状態なのかと思ってる
そうか? 個人的にはあった方が色々楽なんだけどな まぁ、若干狭い気もしてきたけど
正直、自分で作っておきながら、地図はイメージ固定の欠点から破棄してもいいような感じなんだよな とりあえず、今のSSも地図があるとどうなるのか? の実験だし 書き手さんで取捨択一してもらう形でもいいけど、イメージって固定化するもんだから、それは難しいだろうし 屋敷メインなんだから、箱庭の範囲を屋敷で固定していいかも 1スレなら屋敷でネタも持つだろう
どうやらモブキャラありの方向ですね 店のおばちゃんとか、登場人物増えるのでしょうか
宅配員さんとか既にモブキャラだしな
140 :
創る名無しに見る名無し :2009/01/23(金) 00:40:18 ID:jlYT2z9J
--<PCゲー>------------------------------------ Capitalism、タイクーンシリーズ、ポートロイヤル、 テーマパーク、A列車、トロピコ、3rd World Farmer レミュオールの錬金術師とか硬軟色々ある。 企業経営系とか交易系箱庭系とかジャンル色々だけど。 --<コンシューマ(TVゲーム)>------------------- ザ・コンビニ、牧場物語やアトリエシリーズとかの マーベラスエンターテイメントの製品。 ひつじ村、ジュラシックパークとか色々。 企業経営というより、店舗経営+RPG的なキャラクタ 育成やシナリオ要素込みのライトなものが多い。 女子プロレス団体経営のレッスルエンジェルス3(SFCだと スーパーレッスルエンジェルス)は手軽だけどいい出来。 PS2で出たレッスルエンジェルスサバイバー1&2は やった事ないのでわかんないけど。
箱庭って言うとそれこそ道一本、電車一つを利用しなければ他のところへ行けないという感じがするけど それって箱庭というより閉ざされた空間なんだよね。 ゆるい箱庭と聞くと島があってそこに電車が通ってるだけというイメージがある。 と今日初めて来た人間が意見してみる
らっしゃい 投下に期待
そんなにすぐには書けないだろう。 書くときなんてピンと感じてカカッと書いてサッと投下さ
「つまリ、こういうこトだ!」 緑に包まれた巨大な屋敷の門前に、青年の姿がある。イリノイの埃とキリマンジャロの砂にまみれた身体。 彼はずんずんと中へ入ってゆく。 「ちょっと!いいのか勝手に入って」 行動と矛盾したことを口走りながら彼はエントランスを歩く。扉を開くと、あの声が口を開いた。 「やハりな!このタリバンの目に狂いナし!ここがベイこックノ最前拠点!」 玄関のホールは吹き抜けで、そこには大きな水槽があった。 円柱形をした広い水槽の中に、人の手のひらくらいの人間が列をなし、両手を左右に大きくゆっくりと揺らしながら歩いている。 彼らの頭部は鯵であった。 「魚人?嘘だ!何これ!?」 その時、後ろで異なる声がした。 「『記憶喪失した男』様ですね?お待ちしておりました……」 (完) 「記憶喪失した男」入館――
記憶いい男だな
とある冬の日の昼下がり。 いつの時代とも、どこにあるとも知れぬ屋敷の庭での、一風変わった少女達による、 それは奇妙なお茶会。 先ず言葉を発したのは、黒いドレスの少女でした。 「紅茶は口に合いましたか、フェアリー・テールさん」 言って嫣然と微笑み、小さく首を傾げます。 少女の小柄な肩から長く繊細な銀髪の一房がこぼれ、音もなく揺れました。 「ええ、ハルトシュラーさん。とても美味しいですね……少し不思議な味ですけど」 フェアリー・テールと呼ばれた少女が、それに答えます。 口をつけたティーカップをソーサーに戻す際、かちりとも音を立てないのは英国淑女の嗜みです。 そんな彼女の装いは、ブルーのワンピースに真っ白なエプロン。いわゆるアリススタイルです。 「わかりますか? これは特殊なフレーバーをつけているのですよ。オリジナルの創作紅茶でね」 「はあ。オリエンタルな香りですね。 それにしても……着る物を貸して頂けるならまだしも、よもやハルトシュラーさんに服を作って頂けるなんて」 何故だか彼女は恥ずかしそうなご様子。いかにも少女然とした格好なのだから、それもそうですよね。 それに気付いているのかいないのか、ハルトシュラーさんは厳かに答えます。 「淑女に軍服を着せるのも、粋ではありませんからね。 服飾もまた創作です。これは私の業のようなものでね、お気になさらずに。よくお似合いですよ?」 「いえ、とても嬉しいです。ありがとうございます」 照れながらお礼を述べるフェアリー・テールさん。 そしてそれを見て、悪戯っぽく笑うハルトシュラーさんです。 ひょっとして、わざとやってるのかもしれません。 「ふむ……しかし流石にフェアリー・テイル嬢は英国の方ですね。 残念ながら日本茶に慣れているわたくしには、紅茶の違いはわからぬらしい」 最後に口を開いたのは、小さな少女でした。 女の子チックな衣装の二人とうってかわって、彼女が纏うのは燕尾服です。そんな彼女には、しかし最も目立つ相違がありました。 彼女は、手のひらサイズの少女だったのです。 「フフッ、倉刀?」 「はい師匠。 どうぞはさみさん、日本茶です。こちらにも同じ香りをつけてますよ」 執事……もとい、弟子の少年が代わりのお茶を運び、はさみさんの前におもちゃの様に小さな湯呑を置きました。 「あ……忝い。わたくしは気を使わせてしまったようですね」 「フフッ、お気になさらずに。これは初めから用意していたものです」 「はい! どうぞ、是非召し上がって下さい」 師匠と弟子は、にこにこと微笑みながらはさみさんを見ます。 そんな二人を見て、はさみさんも照れ笑いです。 「いかがですか?」 「はい。とても、美味しいです」 それは。 とても長閑なお茶会でした。
「…………ハッ」 ……おやおや? どうしたのでしょう。どうやら、誰かが鼻で笑った模様。 「……フェアリー・テールさん? 如何されたのですか」 「ま。聞こえてしまいましたか? いえね? 紅茶の味もわからない未開人に、味を云々する資格があるのでしょうかと」 ……あれあれ? 「……ストレートの味も確かめず、ミルクをどばどば入れていたお嬢さんにだけは、云われたくないものですが」 「ロイヤルミルクティーの作法もご存じないなんて。 ハッ、やはりその燕尾服も劣悪な模倣に過ぎなかったのですね」 ……え〜と。 「これだから、欧羅巴辺境の内弁慶国民は度し難い。 先程の紅茶の香りの正体も、君は結局わからなかったのだろう。あれはハッカと四季柑のブレンドだ!」 「内弁慶! 貴女がそれを言いますか! それに、紅茶にはマスカットも入っていた筈です!」 ……二人の罵り合いと睨み合いが始まっちゃいました。 屋敷の中庭。テーブルセットを中心に渦巻く、穏やかでない魔力と妖力。 ハルトシュラーとその弟子は、それを仲裁する事も出来ません。 「あ、あの師匠……どうしましょう?」 「……フフッ、アハハハハッ」 「師匠! 笑ってないで、二人を止めなくていいんですか?」 「クククッ、別に放って置いて良いのではないか? フッ、アハハハッ」 暫く盛大に笑ってから、ハルトシュラーは言いました。 「……何しろ、箱庭生活はまだ始まったばかりなのだからな」
投下終了 これが世に言う箱庭茶会事件
この日、箱庭の池が茶色に染まったという。。。 しかしなんというキャッキャウフフからのギスギス展開ww こういうの好きだわー
はさみさんが箱庭にやってきた、その夜の事です。 「ここがわたくしの寝床か」 そう呟いたのは、箱庭屋敷のとある一室。 体の小さなはさみさんにも一つの部屋があてがわれたところを見ると、屋敷の部屋数にもまだかなり余裕があるようです。 化粧机の大きめの姿見と広いクローゼット、おそらく昼間の内に焚かれたやわらかな香気は、ここが女性用の客室であるらしい事を感じさせます。 「わたくしの如き鋏には勿体のない待遇だ……これは万里絵君達も呼べば良かったかな?」 知らずくすくす小さな笑いがこぼれます。 はさみさん、どうやらこの部屋を気に入ったご様子。 「さて、と。 ……つくも神の夜はまだこれからではあるが、厄介になる家で夜更しと云う訳にもゆかぬか」 言って、大きく伸びをします。 どうやら暫く箱詰めにされていたせいで、体中に凝りが溜まっている模様。 ダンボール箱の中で皺だらけになった燕尾服とベストを脱ぎ、胸元のリボンを解くと、はさみさんの体を覆うのはシャツ一枚になりました。 シャツ一枚+はいてない。 なんだかセクシーです。 「といっても、はさみだぞ?」 ごもっとも。 「まぁ良いか。寝るとしよう」 そうですね。 しかし、はさみさんが向かったのはベッドではなく……あれれ? ……化粧机の引き出しを開けて、中にタオルを詰めてますよ? 「ベッドに鋏が寝ていては危ないではないか。わたくしの寝床は此処で十分だ」 ……はぁ。 まぁ本人が良いと言ってるなら構いませんけど。 「さてと。 ふむ、では寝る前に刃を…………おや?」 どうされましたので? 「打ち粉と油……」 はい? 「わたくしの刃を手入れする為の、打ち粉と丁子油が無い……」 おやまあ。
―――――――――― それから数日後の事です。 中庭にて、倉刀が毎朝の日課である拳法の演舞をしていると、屋敷をふよふよふらふらと漂う小さな影に気付きました。いうまでもなくはさみさんです。 これも師匠の厳しい教育の賜物でしょう、倉刀はハキハキと挨拶をしました。 「やぁおはようございます、はさみさん。今日も良い天気ですね」 「…………」 しかしはさみさんは力なく項垂れたままです。 「……あのう、元気が無いようですが、どうかしたんですか?」 倉刀が心配そうに問いかけますが、これも返事はありません。 ふと、倉刀は気付きます。 見れば、燕尾服はよれよれで皺だらけ。長い御髪もキューティクルがとれて、表情もどんよりと曇っているご様子。 これはあまりの惨状。その哀れさに、暫く倉刀も次の言が出ませんでした。 「…………は、はさみさん!? 一体どうしちゃったんですか!?」 「早朝から騒ぐな倉刀。お前は観てわからんのか?」 それに答えたのは、ハルトシュラーさんでした。 「観て……ですか?」 「そう彼女は鋏だ。故に、それを鑑みるに何を以ってするか?」 「っ!? 刃ですね、師匠! わかりましたっ!!」 そう叫び、倉刀ははさみさんの脚――二枚の刃に顔を近づけて、まじまじと観察しますが……。 なんというか……これは、そのぅ……。 「ええいっ!! 絵面がいかがわしいわっ!!!」 「ごぶへげぞわっ!?」 怒りの春斗魔神拳炸裂。ハルトシュラーさんは乙女の味方です。 ……何だか少し理不尽な気もしますが。 「……それで、何かわかったか?」 「わ、わかりましぇん……あ。でも、何故だかいつもより刃の輝きが鈍いような?」 「うむ。50点といったところか」 「ほ、他にも何か?」 「気付かぬか? ほれ、刃の匂い――正確には油の匂いが、いつもと違うだろう」 (匂いを嗅いだらそれはそれで怒るくせに) などと倉刀は呟きますが、まぁ世の中そういうものです。
おやまあ
「おい、管理人!」 突然、ハルトシュラーさんがこの場にいない筈の人物を呼びます。 倉刀もキョトンとした様子、一体何が 「呼んだか?」 「わぁっ!!?」 うひぇぇっっ!? ……失礼、取り乱しました。 いたんですね、管理人。 「なに、セクハラの気配がしたものでね」 「な、何なんですかそれ!?」 管理人、侮れません。 「で、何の用かなお嬢さん?」 「そうだな。近頃、台所などで気付かぬ内に油が減っていたりしていないか? おそらくエクストラバージンオイルだと思うが」 「よくおわかりですな。ま、ほんの少量ですが」 さほど気にしてもいない風に管理人は答えます。 「あ。でも、オリーブオイルなら調味料として頻繁に使う物ではないのですか? フェアリーテイルさんだって英国の方ですし」 「料理で使うからこそ把握出来るのさ、ボウヤ。 まぁ、味覚音痴で知られる英国人にはピュアオイルで十分だと思うがね」 ハハハ、と愉快そうに笑います。どうやらこの男、身体の一部が豊かでない女性には容赦がない様子。 現在の間借り人である女性達が、揃いも揃って……むにゃむにゃ……なので、どうも自棄になっているのかもしれません。 そんなやりとりを見て、ハルトシュラーさんは呆れた様に溜息を吐きました。 「ハァ……まぁつまりこういう事だ。 はさみさんはここにやってくる際に、自らの手入れ道具を持って来れなかったのだろう。 刀剣の手入れに必要なの道具は主に三つ。拭い紙、打ち粉、そして油だ。 拭い紙ぐらいは何とかなるし、打ち粉を使った手入れなどは月に一回程で良い。 しかし油はそうもいかん。はさみさんはその構造上、常に刃を露出しているものだから、油の酸化速度も激しいのだろうな。 マメに油を塗り替える必要があるのだが、いつも使っている油はここにはない。 仕方なく今日までエクストラバージンオイルで代用していたのだろう」 ちょっと説明が長かったですけど、ちゃんと読みましたか? 「え〜と師匠? つまり、これは?」 「うむ。慣れぬ油の香りに酔ったのだろうな」 「そこでちゃっかり高級オリーブオイルを使うあたりが乙女だな」 「……あぁ。実家の献立も、殆ど和食だったんでしょうね」 「うう……気持ち……悪い……」 …………。 何といいますか……いえ、なんもいえねえです。
……と。 ここで終わっても良かったのですが、残念ながら続きがあります。 「わははははっ! 話はこのへげぞが聞かせて貰ったぞ!」 ……本当に残念な続きが。 「記憶氏か。どうしたのだ?」 「どうしたもこうしたも。さっきおれを呼んだじゃないか!」 「……あの、呼びましたっけ?」 「あ〜どうだったかな?」 本当に呼んでたみたいです。 暇な人は探して見てください。 「油があればいいんだろ? おれがかって来てやる」 「お、そうか? はさみさんがいつも使ってるのは、丁子油だそうだ。頼んだ」 「んー、丁子油か。どうだったかな? スーパーには売ってたかなぁ?」 「まかせろ!」 「ちょっ? いいんですか師匠!? 任せちゃって!?」 「あぁ、あれも根は悪い奴ではないぞ?」 「なるべく野郎は出て行ってくれたほうが良い」 「あのう皆さん方? モーニングティーくらい静かに飲ませてくれませんか?」 「きおくのはじめてのおつかいへん、はじまるです?」 「わはははははははっ! 行って来る!」 「気持ち悪い……」 箱庭屋敷は、まともな入居者を募集しています。 ―了―
GJ!! 記憶さん大丈夫かねww
投下終了っす はじめてのおつかい編、だれか書いてくれねえかなぁ…
乙でし! 記憶wwwwwwwwwwwww
はさみさんがダウンして、暫く後の事です。 「まぁ……何はともあれ、丁子油は手に入ったな」 「色々なものを犠牲にしましたけどね……」 何だかやつれた様子で呟く師匠と弟子です。 あの後。 記憶さんは、無事に丁子油を手に入れてきました。 はぢめてのおつかい、コンプリートです。 しかし……その為によもや、あのような……いえ、ここではやめておきましょう。 いつか誰かが、その辺りのエピソードを詳しく語ってくれる筈です。 「では早速、油を塗ってやるとしようか。」 「そうですね師匠。とっても辛そうです」 「うぅ……忝いです」 「それは言わない約束だ。ほれ、私の掌に乗るがいい」 ぐったりとした様子のはさみさんは、いわれるがままハルトシュラーさんの掌の中に収まりました。 その表情は苦悶に曇り、じっとりと湿った額には柔らかな前髪がはりついています。 陶磁人形のような白い手が、乱れた服の襟元を固く掴んでふるふると小さく震えました。 「フフッ、怖がらなくて良い。もっと力を抜け?」 言って、丁子油を少量だけ鋏の根元辺りにたらします。 「あ、はい……んっ!」 「冷たかったか? すぐに楽になるからな」 苦しいのかくすぐったいのか、眉をしかめて身をよじるはさみさんです。 その動きに、燕尾服の長い裾が大きくはだけました。 ハルトシュラーさんは刃で指を傷つけぬよう気をつけながら、油が満遍なく渡るよう懐紙で伸ばしてゆきます。 「い、息を、吹きかけないで下さ、んんっ!」 「む? あぁこれはすまなかった。刀剣鑑賞の作法だったな」 言って、ハルトシュラーさんは白いレースのハンカチを取り出すと、それを畳んで口に咥えました。 「……お手数をお掛けします」 申し訳なさそうに俯くはさみさん。 ハルトシュラーさんは、構わない、と言う様に首を振ります。 その拍子に肩に掛かっていた御髪がさらりとこぼれ、それは銀色のカーテンのように二人の顔を覆い隠すのでした……。 「…………」 あれれ? 倉刀の様子が少しおかしいです。 「あの……こんなの、僕には無理ですよぅ……」 おやまあ。 なんと情けない。 「か〜っ、お前はそれでも男か!」 「で、でもぅ……」 管理人が倉刀を叱ります。勿論、彼はその間も視線は放してません。 萎れた様にもじもじと目を逸らしている倉刀ですが、時々気になるように二人を窺います。 ハルトシュラ−さんも、久しく出会えた名刀のさわり心地にご満悦の様子。まだまだはさみさんを解放する気はなさそうです。 あぁ、何だかとっても気持ちが良さそうですね。指の動きに合わせて小さく可愛い声を漏らしています。 それはとっても平和な、箱庭屋敷でのひとときなのでした。
投下終了 次回あたり、いいかげんそろそろフェアリー・テールさんに大活躍して貰いたいですなぁ
これはエロいwww
箱庭屋敷での生活も、すっかり私の日常になってきました。 とはいえ、戦場生活に慣れている筈なのだから共同生活くらい当然じゃないか、などと思われるのも困ります。人は、水が違うだけで腹痛を起こすものです。 況や乙女においてをや。……古い言葉なので、用法が適切であるのかちょっぴり不安だったりしますが。 兎に角。共同生活には色々な障害があるものなのです。浮世は世知辛いものなのです。人間関係ともなると尚更に。 ……つい先日も、へんてこりんな格好をしたちみっちゃい子と、早速やらかしちゃいましたしね。 私としては、ちっともそんな心算は全くこれっぽっちもなかったのですが。生来人見知りする性格ですし。金持ち喧嘩せずといいますし。 お紅茶の事となるとムキになってしまうのは、素晴らしき大英帝国民の数少ない悪癖かもしれませんね。反省。 「……うむ。まぁそういう訳だから、今日は二人とも仲良くやるように」 「ええ」 「心得ました」 ハルトさんの短い口上に、私とはさみさんは返事をして頷きました。 今日は仲直りのティーパーティーです。 時計は夕方少し前。天気は良好。柔らかな南風まで吹いてお茶会日和。 中庭のテーブルには下ろし立ての真っ白なクロス。その上には、前回と違う柄の可愛らしいティーセットとお菓子が盛り沢山。 給仕係の倉刀さんも、遠く屋敷テラスの程近くに控えているため、男性恐怖症の私も安心です。 まさにこれは、完璧なコーディネート&セッティングと言って良いのではないでしょうか? 「これは……見事ですね。本日はお招き頂き有難う御座います、閣下」 「うんうん、よいのだ」 居住まいを正し、招待の謝辞を述べるはさみさんです。ハルトさんも嬉しそうに頷いてます。 ですがはさみさん、その装いはいつもの燕尾服姿ではありません。なんとドレスです。時間が少し早めなので重ったるいものでもないのですが、ふりふりです。 私と目が合うと、恥ずかしそうに頬を染めて目を伏せました。こ、これは何のフラグなのでしょうか? 「私にもお礼を言わせて下さい。今日は有難う御座います、ハルトさん」 「うんうん、よいのだ」 先程と同じ言葉をこちらにも返してきます。なんだか故郷の祖母を思い出す笑みです。 ……ですが。 「でもこのような衣装は、国許に居た時にもあまり……」 「わたくしも、こういう格好は……」 「そんな事はない。二人ともとても似合っているぞ」 ハルトさんはそう仰いますが、あぁ、なんだか落ち着きません。 ……実は告白すると、私もドレス姿なのです。あぁ、実家に居た時もこういう社交的なものは避けてたのに! 出来れば詳しい描写は避けたい所ですし、言葉での説明が難しいというのはハルトさん作の服全般にいえる事だったりするのですが。 それでも敢えて一言いわせて貰うなら、背中や腕に風が当たってちょっと寒いです。 「…………」 「…………」 もう一度、はさみさんと視線が合います。 恐らく、思っている事は同じはず。 《わたし、まるでシンデレラみたい!》 ……いえ、敢えて正解を外してみました。本当に思ってる事なんて、まさか言える筈もありません。 とかそんな事を思っていると、突如としてハルトさんが魔王の如く笑い出しました。 「フハハハハハッ! うむうむ、いいぞいいぞ!! それにしても、私の少女趣味も実にマニアックだなっ!!」 ……本人に先に言われちゃいました。 ハルトさん、絶対着せ替え人形とか好きです。
投下終了。 自明だと思いますが一応断っておくと、贋作です
まぁ……何はともあれ。 紅茶が美味しいですねえ。 今回の茶葉はごく普通のダージリンのようでした。前回、フレーバーの事で揉めてしまったので、これは気を使ってくれたのでしょうね。 その心遣いにちょっぴり申し訳ない気になりつつ、用意されたお菓子を口に運びます。あら、こちらも美味。 「変わったお味のスコーンですねえ。これは何のハーブが入っているのですか?」 「あぁそれは緑茶だ。宇治茶を使っている」 共同生活にも慣れた近頃は、言葉もくだけてきたハルトさんです。軍人さんみたいな口調ですが、これが彼女の素なんでしょうね。 ……まぁそれをいう私も、学徒とはいえ軍人なのですが。 近頃はうっかりするとそんな事も忘れてしまいそうな毎日です。 「緑茶、ですか? ……どうやらわたくしは、閣下に大変気を使わせているらしい」 「気にするな。お菓子作りもまた創作だ」 「忝いです。頂きます」 はさみさんは件のスコーンを少しだけ砕いて口に運びました。そのままだと大きすぎますからね。 ハルトさんもそれを見て眩しそうに微笑みます。絵になる人ですねえ。マダム・タッソーに置いたら見物人の行列が出来そうです。 あ、ハルトさんと目が合ってしまいました。私は咄嗟にどういう表情を作れば良いのか、一瞬だけ迷います。 ……私も同じように微笑みました。 というより、最初から微笑んでいたみたいです。 「いいにおいのけはいー」「おかしたべたし」「われもわれもー」 あら、無意識の内に妖精さんを呼び出してしまいました。我ながら気が緩んでますね 一旦呼び出すとわらわらと集まってくる彼らは、どうやらはさみさんの食べかけのスコーンに興味津々の様子。 「え? あ、あの?」 「……すみませんが、少しだけ分けてやっていただけますか?」 彼女と正面からこうして話すのも、随分久しぶりな気がします。 多少戸惑いつつも、はさみさんはテーブルの上をゆっくり後退しながら、スコーンの欠片を配ってゆきます。妖精さん達がそれをよたよたと追いかけます。 ――Oh, the brave old Duke of York,――なんて、マザーグースの一節を連想しました。 その動きを不思議に思ったのは、ほんの一瞬です。すぐにその理由が推察できました。 妖精さんの背丈は、はさみさんの丁度半分ぐらいです。妖精さんが彼女の足元に群がってしまうと、スカートの下のその鋏の刃で彼らを傷つけてしまいます。 そうならないように巧みにかわしながら、はさみさんはお菓子を配っているのです。なんという紳士イズム。 「……彼女と、仲直りしてみないか?」 ハルトさんが私に小声で問いかけました。 まだ発展途上の私の胸に溢れたのは、戦争に明け暮れる毎日の中で、とっくに忘れてしまったと思い込んでいた感情だったかもしれません。 持っているお菓子もなくなったというのに、妖精さん達はまだ追いかけっこをしています。いつの間に、手段が目的にすりかわってしまった様子です。 空は良い天気です。とても静かで、聴こえるのはキャイキャイはしゃぐ妖精さん達と鳥のさえずりぐらいなもの。空気もきれいで紅茶も美味しい。 「……はい。きっと、仲良しになれると思います」 私は答えます。 それを聞いてハルトさんも、今日一番の笑顔を見せてくれました。
「やあやあ、お嬢さん方。楽しんでるようだね」 と、やって来たのは怪しい管理人氏です。 ……私も男の人は全般苦手なのですが、この人は特に嫌ァな感じです。なんだか視線が自然にいやらしいんですよね。 「ああ、実に楽しいね。そういうわけだから帰れ。煙草の臭気で紅茶が不味くなる」 おお! ハルトさんは純真な乙女の代弁者です。 「手厳しいね。煙草との組み合わせとしちゃあ、俺は結構好きな部類だぜ?」 「そうか。まぁ味覚の好みは個人の自由だ。 言い換えてやる。貴様がいると紅茶が不味い」 「……この屋敷の管理人にいう事か、それ?」 「平穏な生活を住人に提供する事が貴様の仕事だろう?」 ハルトさん、容赦ないですねえ。言ってる事は全くの正論ですが。 「……やれやれ。折角、お嬢さん方が退屈しない為のネタを持って来てやったのに。 せいはい、って知ってるか?」 「…………」 「…………」 私とハルトさんは無言で顔を見合わせます。 知ってるも何も。 「聖杯……というと、あの?」 「お、鋏の子は知ってたか。 そうそう、お嬢さん方の」 管理人氏はそこで言葉を止め、いやらしい目で私達を見ました。 ……いえ。具体的には、私達の胸元を。 「そう、お嬢さん方が胸に秘めた発展途上な願いを叶えてくれるという、ご近所の奥様連中にも評判のアレさ」 この男性、何たる破廉恥な。紳士の風上にも置けません。 しかし……彼の言った事は本当なのでしょうか? 「莫迦な。そんなものがあるわけがない」 「いやいやいや、ところがあるんだよ……というより、俺はお嬢さん方もてっきりそれ目当てだと思っていたんだがね。 なのにいつまでも仲良くお茶してるもんだから、拍子抜けしていたところさ」 俄かには信じがたい話です。 聖杯。 それは最も有名な聖遺物です。救世主である神の子の血を受けたその杯は、持つ者の願いを何でも叶えると聞きます。 もしも。もしもそんな物があるのなら……いえいえ、ありえません。 「……はさみさんはどう思う?」 三人が顔を見合わせると、ハルトさんが問いかけました。 「……そうですね。聖杯と呼ばれる物質自体は、存在するものだと思っています」 「それはつくも神としての意見か?」 「はい。もっとも、件の聖杯がこの箱庭内にあるかどうかはまた別の問題ですが」 「では管理人が嘘を吐いているように見えるか?」 「……わかりません。ですが、彼が嘘を吐く理由も見当たらない……」 まさか。 そんな事が許される筈が……。 「フェアリー・テールさんはどう思う?」
「私は……」 ハルトさんに訊かれ、私は言葉に詰まります。 私は? どうしましょう? そのようなものがあれば、勿論……。 「ううむ……まぁこのようの事は不毛な問いであ」 「大英博物館に寄贈されるべきです!」 かつて、魔法を学ぶ課程で学んだ事があります。いえ、それは教師の何気ない雑談だったのですが。 聖遺物を求めるものは、その聖遺物の眠る地で戦いをする必要があると。その戦いで流された血が、聖杯の降臨に欠かせないものなのだと。 それはすなわち。 「聖杯戦争です!」 「……何だと?」 「聖杯を得る為には、七人のマスターが戦闘を行う必要があります。 そうですね、管理人さん?」 「ん? せんとう? ……まぁ、そうなのかな?」 歯切れの悪い返事です。それでも聖杯戦争の監督人なのでしょうか? ……いえ。もしやこの人も、参加者――マスターの一人? そう。 そういう事なのですね。 この不思議な土地に迷い込み、只者でない人達に出会った時に気付くべきだったのです。――この屋敷での生活が、ただの同居で終わる筈ないのだと。 「誇り高き大英帝国臣民である私が、必ずや聖杯を勝ち取る事をここに宣言します。 チョビヒゲ第三帝国の魔女や、ハラキリ大日本帝国のガラクタに、我らが至宝は渡しません」 「…………」 「…………」 言ってやりました。二人とも呆気に取られたように固まってます。 本来ならこのような挑発的行為は、純真乙女の心臓にはキツーいものがあるのですが。わが帝国への忠誠心にはかえられません。 奇しくも三大帝国三つ巴。かつてない壮大な戦いの予感がします。 「……まあ、全ての創作物の魔王として、聖杯を宝物に収めるのも悪くない」 「……わたくし自身は聖杯なんぞに興味はないが、婆殿への良い土産が出来そうだ」 ゆらりと。 二人から強大なオーラ――いえ、魔力と妖力が立ち昇るのがわかります。どうやら挑発に乗ってくれたようです。 屋敷の住人は現在六名。私、ハルトさん、倉刀さん、はさみさん、記憶氏、管理人氏です。 聖杯戦争の開始には、最低でもまだ一人足りません。倉刀さんはハルトさんの助手ですし、管理人氏の進退は不明。記憶さんは……何もいわずとも首を突っ込んでくる展開が見え見えですが。 或いは一名といわず、更なる参加者が必要になるのかもしれません。 「続きは次の入居者が来てからです。それまでは休戦としましょう」 「よかろう」 「心得ました」 互いの意思を確認すると、私達は中庭のティーテーブルを後にしました。 「え? 何の話で盛り上がってんの?」 わざとらしく管理人氏がちょっかいを掛けてきますが、思うに彼は敵です。マーボー神父のポジションです。無視するのが良いでしょう。 何しろ私にとって久しぶりの、これは戦争なのですから。 ――To be continued on the next time. ?
各方面に土下座しつつ投下終了 ……と思いきや、今回のオチ 「あ、管理人さん。師匠たちと何を話してたんですか?」 「ん? せいはいの話さ」 「せいはい……ですか? なんです、それ?」 「背を盛るって書いて、せいはいって読むんだ。盛背だな」 「はあ」 「この土地には温泉が湧いててだな、おっぱいが大きくなるという効能があるんだ。 つまり、どっちが背中かわからん胸板に乳を盛るわけだな」 「はあ。なるほど、それで胸の貧しい彼女達にそれを薦めて……///」 「チクショウお前のリアクションは可愛いなぁ。ま、その温泉に入れる銭湯があるわけだ」 「せんとう、ですか……」 「つまり盛背銭湯だな」 「せいはいせんとう……変な名前ですね」 「まあな。ぶっちゃけアンフェアだ」 「あんふぇあ?」 「まあギャグだと思ってくれてもいいし。マジに第一次創発聖杯戦争編始めちゃうのもありじゃないか?」 「投げっぱなしですね」 「全力で遊ぶスレだからな」
GJ!! 聖杯戦争の始まりですか
今回の箱庭物語は舞台を移して、なんと今話題の盛背温泉からお届けしております。 「あぁ……いいお湯ですねぇ」 ゆったりと広い露天風呂が盛背銭湯の自慢です。 閑静な田舎の空に、ちゃぷちゃぷと水のはねる音が響きます。 「昼間なせいか他のお客さんもいないみたいだし。 貸し切りっぽくて、なんだか贅沢な気分♪」 水面近くでぱしゃぱしゃと脚を動かしてみたりして。飛沫が柔らかな陽光を反射してキラキラと輝きます。 ……こらこら、人がいないからって泳ぐのはお行儀が悪いですよ? お尻が丸見えです。はしたない。 「えへへ〜、すいません〜♪」 楽しそうですねえ。 でもまぁ折角ですから、ぽかぽかになるまで満喫して下さい。ちゃんと肩まで浸かってますか? 「今は半身浴が主流なんですよ? こうやって、お湯をかけながら入るんです。ん〜、お肌もすべすべ〜」 はぁ。そういうものなんですかね。 「ん〜♪ やっぱ温泉っていいですね〜。教えてくれた管理人さんに感謝です」 言って、またお湯を体にかけはじめました。嗚呼、水滴を弾く肌の若さが羨ましい……。 「他のみんなには教えちゃダメ、って言われちゃいましたけど。 教えてあげれば師匠達も喜ぶと思うのになあ」 ……まぁ倉刀なんですが。 こんなオチだろうとは、みなさんも気付いてましたよね? 「さぁて。師匠の用事もあるし、そろそろあがろうかな」 ざばあっ、と。立ち上がった倉刀の裸身からお湯が滴ります。師匠に鍛えられてるだけあって、なかなかの身体つき。引き締まってますねえ。打身や擦り傷が多いあたりも実に男の子です。 ……でもこんな描写、みなさんは興味ありませんよね。この段落、誰も読んでいないでしょうし折角なんでいわせて貰います、ぬるぽ。 たゆんっ。 「あれ?」 おや? 何やら心ときめく効果音。 「……お、おかしいな。僕の胸にこんなものが付いてるわけ……」 ぺた。 ぺた。 ぺたぺた。 たゆんっ。 たゆんっ。 たゆたゆゆんっ。 「な…………!?」 「なんで僕にご立派なおっぱいがーーー!!!?」 ……そういう効能の温泉だからです。
投下終了 次回 『新ジャンル「おっぱい倉刀」』!! 男の子だからせふせふ?
よもやまさかの安価ミス……
倉刀さん・・あんた・・・
倉刀「うわあああああん!! ししょー!」 ハルト「うぉっ!? な、なんだ倉刀!? どうしたのだその乳はっ!!?」 倉刀「助けてくださぁい!」 ハルト「落ち着け! いったい何があったのだ?」 倉刀「そ、それがですね…………あ」 (そういえば管理人さんに温泉の事教えちゃダメって) ハルト「どうした? 言わねばわからんぞ」 倉刀「ハッ!? 師匠、一先ず場所を変えましょう。その間に整理しま」 フェアリー「騒がしいですね、アフタヌーンティーぐらい静かに…………」 はさみ「叫び声が聴こえて参りましたが、どうされまし…………ふぅ」クラッ 管理人「倉刀くん……それもアリだ!」 (* ´∀`)b グッ 倉刀「一番見られたくない人達に……見つかった」 ―――――― ハルト「……ほう? 何だかわからんが、乳がでかくなったと?」 倉刀「は、はいっ!」ビクビク ハルト「そんな顔をするな。必ず私が治してやる」 倉刀「…………ししょー」 管理人「ハハッ。ま、そういう事もあるよなあ? 倉刀ちゃん♪」 ハルト「私の弟子の肩に汚らわしい手を置くな。あとちゃん付けもやめろ」 管理人「そういうなよ。俺たちゃ男同士なんだぜ?」 フェアリー「でも今は女の子ですよ」 はさみ「然り。不埒な真似は許さん」 管理人「怖いねえ。でもそこんとこどうなのよ、倉刀ちゃん?」 倉刀「はあ、何がですか?」 管理人「何が? って、ナニが」 倉刀「……/// お、男の子ですよっ!! ちゃんと!!」 ハルト「…………」 フェアリー「…………」 はさみ「…………」 ハルト・フェアリー・はさみ (下はそのままなんだ……) 倉刀「視線を集中させないで下さいよっ!?」
管理人「しかしだな、そこを見ないとしたら矢張り乳に目が行く訳だが」 倉刀「ダメです!! 理性的な目で僕を見てください!!」 管理人「前にも言ったと思うが、俺は別に付いてても」 倉刀「そのネタ引っ張らないで下さいよっ!!」 管理人「俺の心からの気持ちだぜ?」 倉刀「……もしかしてあんた! こうなると知っててわざと僕にアレを教え」 管理人「待て! それを言うと話がややこしく……」 ハルト(この会話……こやつらもしや? いやいやいや……) フェアリー(このシチュは……ひょっとしてアンさんの大好きな?) 倉刀「…………」 管理人「ならないな……」 はさみ「お気の毒だが、気を確かに持つのだぞ? なに、心がしっかりともののふであれば良いのだ」 倉刀「はさみさん……なんか……本当にありがとうございます……色々と」 ―――――― ハルト「しかし原因がわからん事には治しようもないのだが。データが明らかに不足しているな」 フェアリー「そもそも本物の胸なんですかね、コレ」 はさみ「もっと詳しく調べる必要がありそうですね」 倉刀(……ついにこの流れが。 そうだよな……こんな巨乳、彼女達が興味を示さないわけがないもんな) 管理人「では俺が確かめてやろうか」ワシャワシャワシャ 倉刀「ヒィッ!? その手付きやめて下さいっ!」ドタバタ ハルト「こらこら、こんな所で走り回るな」 フェアリー「触って確かめるのは順番が良いんじゃないでしょうか?」 倉刀「全員触るの!? そんなの嫌ですよぅ!!」 はさみ「わ!? こっちに来ないでく」 たゆんっ ぺしっ…… ハルト「乳に弾き飛ばされて壁へ!? な、何という弾力だっ! はさみさんしっかりしろ!!」 フェアリー「頭を打ってます動かさないで! え、衛生兵ー!!」 倉刀「うわああああああん!!」
倉刀「ごめんなさいごめんなさい。全部僕がいけなかったんです」 ハルト「倉刀?」 倉刀「僕みたいな者がみんなを出し抜いたりするから」 ハルト「ちょっと待て。その出し抜くの意味が我々の発展途上な部位を示しているのだとしたら許さんぞ」 倉刀「違います! 僕が調子に乗っていたんです!」 フェアリー「まあ、そんなの私だって調子に乗ってしまいそうですが」 倉刀「僕だけが、一人で気持ち良くなろうとしてしまったから……」 ハルト「待て待て!? それはLR的に大丈夫な意味なのかっ!!?」 倉刀「楽しかったから……つい胸が弾んでしまったんです!!」 フェアリー「……なんでしょう? この脊椎をせり上がってくるドス黒い何かは」 倉刀「僕はっ! 僕hムグッ!?」 管理人「これ以上の挑発はヤバイ!? よすんだっ! よすんだボウヤっ!!」 ―――――― はさみ「……ハッ!? わたくしは一体……」 はさみ「ぁ……そうか。倉刀殿の胸に飛ばされて……どうやらまだまだ修行が足らぬようだ」 はさみ「ふむ? ……あのボロ雑巾のようなものは何だ?」 はさみ「近づかねばよく見えんな……む、いかん。立ち眩みが」 ふらふらっ たゆんっ ぺしっ…… 「…………」 「…………」 「…………」 「…………」 「…………」 「…………」
ひとまずこれで終了&思い出したかのようにトリップ もっと続けられん事も無いがこれ以上はヤバイ。俺の投下でLRがヤバイ。ギャグなんで次回あたり何の脈絡もなく戻ってると思いますが、元に戻らなくても何の問題もありません! もし続けたいという奇矯な紳士がいたら勝手に続けておくれ。個人的には「倉刀、ブラジャーを買いに行くでござるの巻」が読みたいです とりあえず今回のオチ ?「ふう、矢張り凡愚の海の波間を漂うのは楽しいな」 ?「お? 何だこの看板は」 ?「何と読むのかわからんがセンスはまあまあだな」 ?「……なんだ。何かと思ったら銭湯なのか。丁度良い、入ってみよう」 ?「や・ま・あ・らしの登場だ。片っ端から投げ飛ばすぞ〜♪……」
GJ!! いい挑発センスだww
ちょっと待て、最後やばいwww
「わはははははははっ! 行って来る!」
と。
>>155 で記憶が飛び出して行った、そのすぐ後の事です。
「師匠……? あの人に任せちゃって大丈夫だったんでしょうか?」
倉刀が不安そうに訊ねます。
「さあ? どうだかな」
ですが、ハルトシュラーさんはあまり気のないご様子。
「さあ、って師匠!」
「落ち着け、今ははさみさんを看る事が肝要だ。
……辛そうではあるが、一秒一刻を争う容体ではない。それに……」
ハルトシュラーさんは、先程記憶が騒がしく出て行ったばかりの門を見ます。
「あの、おかしな男が、自分から『行く』と言ったんだ。
……奴に、任せてみようじゃないか?」
「師匠」
助け合い。
そして、信頼。
それはどちらも、共同生活に欠かせないものなのです。
「それより、はさみさんを楽にしてやらないとな」
「はいっ! でも師匠、どうすれば?」
「……油」
それに答えたのは、なんとフェアリー・テールさんでした。
「油が合わなくてこうなったのですから、別の油を塗り直せば良いのではないですか?」
「フェアリー・テールさん」
はさみさんと喧嘩していた筈の、フェアリー・テールさんが。
ここにも――助け合いと信頼が生まれました。あぁ何と美しい光景。
「それもそうだな。色々試せば、どれかははさみさんに合うだろう。
おい管理人! 屋敷にはどのような油がある?」
「調理用のサラダ油に整髪用の椿油。あとは、どうだったかな?」
「根こそぎ持って来い。倉刀も手伝ってやれ」
「はいっ!」
「あ。私、ベビーオイルとか持ってますよ」
「有りだな、それも持って来てくれ。私も創作道具から探してくる」
「了解です」
テキパキと方針が決まり、みんなはそれぞれの役割を果たす為に解散しました。One for all, All for oneですね。
……まぁ。
その結果が、
>>159 での更にぐったりしたはさみさんに繋がる訳ですが。
あ、はさみさんが何か言ってます。
「……ア○ゾンで注文したから……今日にでも丁子油、届くのに……」
…………。
本当に便利な時代ですよねえ。
タイトルどおりに前フリ終了 次回『記憶のはぢめてのおつかい』!! どうなるんだこれっ!?
どうもどうも。こんなくだらないSSにお付き合い頂きまして有難う御座います。 というわけでね、はぢめてのおつかい編をぼちぼち始めていこうという訳ですが。 「記憶です。小説板のみなさん、雑でお会いして以来ですね」 ええ……そんな名前の板じゃないんですけれどもね。 まぁ待望の記憶回ということでね、今回は楽しくやって行けたらいいなと思ってますが。 「何をだよ!」 お前の話をだよ! 俺だって正直こんなの書きたくないよ。楽しめないよ。 「ヘッ!」 まぁそんなこんなでね。お付き合い頂ければと思います。 前回はさみさんが倒れたという事でね、今回は丁子油を買いに行くわけですが。 「誰がだよ!」 だからお前がだよ! 自分から立候補してもう忘れたのかよ? 記憶喪失した男って名前そのままだな。 「わはははっ」 なんかウケたみたいです。自分のコテの筈なんですけどね。 「誰が今世紀最高の小説家だよ!」 ええ、誰もそんなこと言ってないんですけれどもね。 「それはへげぞのことじゃないかよ!」 同一人物だよ! それもお前が自分で言ってるだけだろ。ほんとに糞コテ逝って良しだなお前は。 「…………」 今度のはウケなかったみたいです。 「うぃ」 まぁそんな感じで、今回は上手く話が回せるかが課題なんですけれども……。 「前途多難だな!」 お前のせいだろうがよ! 「うぃ」
まぁとにかく、まず記憶が向かったのは勿論、 「物理板だな」 こいつ超理論展開したせいで出入り禁止食らったらしいですけど。 違うよ、まずは商店街かスーパーでしょう。 「おれは主婦かよ!」 無視させて貰いますけれども、どうやら地図を見ると屋敷の西方にあるみたいですね。 そういえば存在自体は初期に設定されてますけど、ここのSSで商店街が出るのは初めてですね。 屋敷を出た記憶は道なりに西へ進むわけですが、 「おれが愚民どもの造った道をまともに歩む男だと思うか?」 じゃあこのくだりカットさせて頂きますけれども。まぁ色々あって商店街に着いたわけで、 「novel collectionsの詳細検索で作家名へげぞで検索してみましょう。 短いのから読んでいくのをおすすめします」 えぇ、飽きてとうとう宣伝始めちゃったみたいですが。 「超短編小説会の作者名へげぞで検索して読みましょう。 原稿用紙七枚以下の作品が九十以上投稿されています」 自分の宣伝文をコピペ化してるんだから大した奴ですよ。 「まぁ、今これを読んでる俺のファンならとっくにチェック済みでしょうけどね!」 ここと記憶文の両方読んでる暇人どこにもいねえよ! 「串の子や全ログ者とかはきっと読んでるよ!」 確かに何でも読み漁る人達だよ! 話が進まないから内輪ネタ自重しろ! いい加減それぐらいにしとかないと、この駄文やめるぞ! そんな訳でね、商店街に入ってまず最初に入った店が、 「おい! この文やめるって本当なのか?」 本気でそう思ってたら記憶SSなんて書いたりしねえよ。 「うぇへへへへへ」 うぇへへへへへ。 つづく
続いたー ごめんね記憶のは読んでないんだ
ミートゥー
俺は読んでる 全ログ持ってないけどな!! そしてオードリーネタ自重www
記憶さんキャラが立ってるwww
立ってるけど、あんまり変わってないwwww
読んでない串が顔を出しに なんというか、あの人は俺とは違うわ
書き手とは◆CkzHE.I5Z.氏のことね
192 :
創る名無しに見る名無し :2009/02/05(木) 00:11:29 ID:xnO7jcja
あげとく
IDがかぶるのは稀によくあること ところで商店街って店に人いるのかな? 今まで箱庭現住人が出てきてないから気になった
>>130 でいうところの、エキストラとかモブになるんじゃないかな?
脇役未満で単発だったり、描写されなかったり、地の文が描写しようとするとぼやけて見えたり
普通に出して脇役や主役級にしてしまってもいいと思うが
RPGゲームでのモブキャラみたいなもんか
だしちゃえだしちゃえ 何故か変てこりんな温泉が湧いてるぐらいだから何の問題もない
「ふぁ〜あ」 時計の短針が十をちょっぴり過ぎているのに誰もこない教室を見回して、 箱庭学校の教師、橋本ほとりは欠伸を一つしました。 フレックスタイム制を導入した進んだカリキュラム……という訳ではもちろんなく、 この学校唯一の生徒がまだ来ていないからです。 唯一の生徒と言っても別に少子化の影響などではありません。 読み書き計算などの基本的なところは家族が教えて、 他の勉強は基本的にしない、それが箱庭では一般的なのです。 「せんせー、来たよ〜!!」 教室のドアが乱暴にガラガラッと開けられ、 一人の少年が飛び込んできました。 彼はこの箱庭学校の唯一の生徒である原野菜斗くん。 箱庭商店街にある八百屋の息子です。 「こらっ、何で遅刻したの!!」 「夜更かししてたら起きれなくって……」 「そんなの理由にならないでしょ!」 「だって昨日は先生だって寝坊したじゃんか」 うっ、と返す言葉に困る先生。 日頃の行いという物はこういう時にモノをいいます。 そうなのです。 昨日は見たい深夜ドラマを見るために夜更かししたせいで、 先生が起きたのは十一時を過ぎていたのです。 先生が起きるまでの間、菜斗くんは自習をしていました。 根は真面目な子なのです。 「こ、こほんっ! とにかく!!」 「あっ、ごまかす気だっ! せんせーズルい!」 大人はいつだってズルいのです。 「今日、新しいお友達がきまーす」 「え、マジで!?」 「はい、マジです」 「なんでもっと前に言ってくれなかったのさっ!!」 「菜斗くんをビックリさせようと思って」 前々から学校に友達が欲しい欲しいと言っていた菜斗くんは、 よほど嬉しかったのか教室中を走り回って喜びを表現しています。 「どんな子? どんな子?」 「女の子だって」 「名前は? 名前は?」 「う〜ん、女の子だって事しか聞いてないのよねぇ」 「いつ来るの? いつ来るの?」 「そろそろ来るはずなんだけどねぇ」
場所は変わって箱庭館。 倉刀くんが師匠に命令されて庭先の掃除をしています。 「こういうのって管理人の仕事なんじゃないかなぁ……」 そういえば家賃とかってどうなってるんだろうなんて事を考える倉刀くん。 「ん、あれ?」 倉刀くんは門のそばに立っている女の子に気が付きました。 お客さんかな? 迷子かな? 「どうしたの? お名前は?」 女の子のそばに行って、声をかける倉刀くん。 「う……う……うわぁ〜ん!!」 突然、女の子は泣きだしてしまいました。 「女の子を泣かすのは感心しないな、倉刀くん」 「うわっ、いたんですか!?」 これまた突然現れた管理人にビビる倉刀くん。 「どうしたんだい、お譲さん?」 「あのね……実はね……」 女性の扱いには定評のある管理人さん。 女の子からあっという間に事情を聞きだすことに成功しました。
「あ、はいそうですか分かりました」 場所は再び学校。現在先生は電話に対応しているようです。 「学校の場所が分からなかったから、お家に先に行っちゃったって」 「せんせー、迎えにいこうよー」 「迎えに行くっていったってもう授業終わってるけどね」 既に放課後です。 「いいじゃ〜ん、挨拶だけでも〜!」 「じゃあ行こうか。場所は……箱庭館?」 「えぇ!?」 「菜斗くん、知ってるの?」 「お母さんがあの館は変な人が多いから近寄っちゃいませんって」 間違ってはいませんけどね。 「じゃあやめる?」 「……行く!!」 学校から箱庭館までの距離は大したことありません。 どんな子なのかについて話しているうちに館に到着してしまいました。 館の入口では管理人さんと倉刀くんと女の子が立っています。 が、何故かどことなく重い空気が漂っています。 どう見ても女の子が転校生です。 菜斗が近寄って話かけます。 「名前はなんて言うの?」 「うっ……うっ……うわぁーん!!」 「え? え? どうしたの?」 突然泣き出した女の子に菜斗くんは戸惑ってしまいます。 何かいけないことをしてしまったのでしょうか? 「自分の口でちゃんと説明しなさい?」 管理人さんが少女に優しく促します。 「お……思い出せないの……」 女の子が嗚咽混じりに話します。 「え、何を?」 「名前も……何でここに引っ越すことになったのかも……」 管理人さんがため息交じりに言いました。 「どうやらこの子ね、記憶喪失らしいんだ」 ――記憶喪失した少女・入館――
記憶喪失した少女とな!?
なんとっ!? 意外な入居者キター!
オリキャラキター
記憶喪失した少女、非日常的なキャラ名なのに某コテのせいで普通に思えてしまった
いつの時代のどこにあるとも知れぬ、これは箱庭屋敷のお話。 今日はバレンタインデーだそうです。何でも、女の子が男の子にチョコレートを送る日だそうな。 「えへへへー」 ……倉刀がうかれるのも無理はありません。なにせ、同じ屋根の下で同居している女の子が四人もいる幸せ者ですからねえ。 「そんなぁ。浮かれてなんていませんよ、僕?」 キモッ。倉刀キモッ。 でも、男性は貴方の他に後二人いるんですよ、この屋敷? 「ええ? そんなの大丈夫ですよう、えへへー」 ……まあ。 いっちゃ悪いですけど、残りの二人はあんなのですからねえ。 貴方も無事にチョコレートが貰える事を祈ります。 ・記憶喪失した少女の場合 倉刀「あ、記憶喪失した少女さん。おはようございます」 少女「……」 倉刀「あ、あは。長いですよね、名前。 いつかちゃんとしたのを師匠に考えてもらわないとなぁ」 少女「……」 倉刀「(まだ慣れてくれないみたいだなぁ) ……コホン。そういえば今日は何日だっけ?」 少女「……」 倉刀「……そうだよね。記憶喪失してるんだもんね……ごめんね」 チョコゲット失敗!
・はさみさんの場合 倉刀「あ、はさみさん。おはようございます」 はさみ「やあ、おはよう。今日も良い天気だ」 倉刀「そうですねぇ。あ、そういえば、この間打った頭は大丈夫ですか?」 はさみ「お蔭様でね。心配をかけてしまったようだが。 ……ところで、あの時頭を打った理由をどうしても思い出せないんだが」 倉刀「気にしちゃ駄目です!! 事故ッ! そうあれは不幸な事故だったんですからッ! ……そういえば、今日は何日でしたっけ?」 はさみ「如月の壱拾四日であるか。もう今月も半ばか、早いものだ……」 倉刀「……えと、他には?」 はさみ「む? 旧暦では睦月の弐拾日であるな。ふ、暦の上ではもう春なのだな……」 倉刀「……そういえば、はさみさんって明治の……知ってる訳ありませんよね……」 チョコゲット失敗!! ・フェアリー・テールさんの場合 倉刀「……ちなみに、英国ではバレンタインはどのような?」 フェアリー「恋人に贈り物をする日です」 倉刀「一応訊いておきますが、恋人以外には?」 フェアリー「普通の聖名祝日ですね」 倉刀「わかりました。失礼します……」 フェアリー「ちょ、ちょっと! 私だけ扱いがぞんざい過ぎやしませんか?」 倉刀「いえ、僕は期待する事はやめたのです」 フェアリー「もうちょっと引っ張ってくれてもいいのに……」 チョコゲット失敗!!
「…………はぁ」 ちょっとちょっと、何をいきなり黄昏てるんですか? 「わかったんです。僕は甘い夢を見てただけだって」 チョコレートだけに? いやいやいや。まだハルトシュラーさんの目も残ってるでしょうに。 「師匠がくれるわけないです」 ……あー、なんかわかる気がします。 んんん……そうだ、今年は逆チョコを狙ってみるとか! 「…………」 なんというか、その、すいませんっした。 「……師匠の手伝いがあるんで帰りますね」 倉刀……なんと悲しい後姿である事でしょう。 背中を丸めてとぼとぼと屋敷へ歩いてゆきます。 「アーッ」 な、何事ですか!? その不吉な叫びは!? 「僕の下駄箱に……これが」 チョコレート! ……よかったねえ倉刀。 いや、普通の屋敷の下駄箱にチョコを突っ込むセンスはわかりませんが。 「師匠……差出人の名前は書いてありませんけど、これ、きっと師匠が」 倉刀の顔は涙でぐしゃぐしゃです。もはや言葉にならない様子。 「……ぅ、ぅあっ、し、ししょうー……」 ……さぁ、泣いてばかりいないで行きなさい。 師匠が、貴方の大事な人が待っているのでしょう? 「……ぅはいっ!」
…………。 倉刀は、そのまま走っていきました。若いっていいねぇ。 「全くだ」 おや管理人さん、おはようございます。 あれ? 目が赤いですね。徹夜でもしたんですか? 「ははっ、まあな」 なんか甘い匂いがしませんか? 「ハハッ、だってほら」 「今日はバレンタインデーだろ?」 …………。 私からは。 これ以上は語りますまい。
投下おしまい。 しかしなんという古いタイトルセンス……
まさか・・・そのチョコを作ったのは・・・
管理人キャラが立ってきたなぁ
住人が比較的真面目っ子多いんで、やさぐれキャラはやたら使いやすいです
倉刀さんいただかれてしまうのん?
214 :
地図だよ :2009/02/15(日) 02:53:45 ID:PfYfn+fJ
「あ、あのう、ごめん下さ……い?」
「はぁい……え〜と、どちら様でしたっけ?」
「(ホッ)あの、どうも失礼致します。
私、箱庭学校の教師でして、橋本ほとりと申します」
「あっ、失礼しました。この間はどうも、僕はここの住人で倉刀といいます。
ところで、今日はどういった御用でしょうか?」
「はい。実は越してきたばかりの少女さんと皆さんのために、この町の新しい地図をと思いまして」
ttp://www6.uploader.jp/dl/sousaku/sousaku_uljp00925.jpg.html 「わぁ! これはどうもご丁寧に、恐れ入ります、我々も助かります!」
「いえいえ。こういう時はお互い様と申しましょうか、むしろ町民一同を挙げて関係すべき所を、何のお構いも致しませんで」
「とんでもないです! わざわざありがとうございます!」
「ご近所さんですからね。お暇があれば、是非学校の方にもおいで下さいね」
「ありがとうございます!」
「いえ。それでは失礼させて頂きますね」
「何のお構いもしませんで。橋本先生もお気をつけて」
…………。
……ふ、普通だ。
「うむ。常識人同士の会話だな」
「特に変わったところもないと思いますが」
「でも新鮮な気がするのはどうしてなんでしょうね」
「ああ、何でだろうな」
「トゥッス!」
あんたらも少しは見習いなさい。
ごめん…… ×むしろ町民一同を挙げて関係すべき所を ○むしろ町民一同を挙げて歓迎すべき所を
おおー新しい地図きたか 普通の常識人の会話がここまで新鮮になってるとはねw
乙 ふむ、イメージと若干のズレが生じたな 少し書きかけのを修正してくる
ごめんようあまり気にせず作っておくれよう ていうか、生徒一人しかいない割に学校でかすぎた……あれだ、きっと他の公共施設と共用してるんだよ!
「橋本ほとり」だから、 学校は橋の近くにあって川のほとりというネタだったんだ 学校は大きくていいと思う 空き教室とかあるとイベントできそうじゃない!! 学園祭的なものに箱庭の人たちが乱入というネタを思いついた
新しい地図だ! そしてなんかすごい新鮮だw 普通ということでこんなにキャラが濃くなるとはw
公民館とかと合同ってことかな
その辺は話をつくるときのためにぼかしておこうぜw 災害時の避難所とかのために大きめに作ったのかも 体育館でスポーツ大会とか、うん色々できるな
223 :
超適当 :2009/02/24(火) 16:23:58 ID:1iTv0rqa
知らず知らずのうちに此処での生活になれてしまいました。 嘘です。そんな亊はございません。 何処をどう見ても薄幸の美少女な外見の私ではあるのですが、実は大英帝国の魔法兵だったりします。 血腥いでお馴染みの学園島スレ出身なのです。 血を血で洗う戦場に身を置いていた私ですので、そう簡単には平和に馴染む事が出来ないのです。 いくら翼があっても鉛色では自由で平和な空を飛べないのです。 もっとも、私には翼なんて物はありませんが。 兎に角。 血塗られた十字架を背負わなければならない運命の烙印を押されているのです。 平和なんて物は蜃気楼なんです。近付けば何処か遠くに行ってしまうものなのです。 そよ風の中に硝煙の匂いや死臭を探してしまったりしてしまうのです。 ゆえに。 凪の海みたいに穏やかだった私の心は、精神の天秤計のバランスを欠いてしまって、荒んでささくれ立ってしまうのです。 こればかり私の責任ではありません。 戦争という愚かな行為を捨てる事が出来ない人類が悪いのです。 いいえ、違います。 悲劇のヒロイン属性の私が悪いのです。 そんな訳でハルトシュラーさんとはさみさんです。 戦争に打擲されて深く傷付いた心を癒する為にはお二人の力が必要なのです。 そうです。 イラストが存在するお二人に、可愛い御召し物を着せて遊ぶ事が、唯一残された人間性回復の道なのです。 決して私にイラストがないから嫉妬している訳ではありません。 大事な事なので何度も言います。 ハルトシュラーさんとはさみさんにはあるのですが、 私には イ ラ ス ト が な い のです。 決してイラストがないから嫉妬している訳ではありません。 ええ、そうですとも。 因みに。 右斜め四十五度がもっとも私が栄えて見える角度です。お忘れなきようお願いします。 前置きが長くなりました。話を進めます。
224 :
超適当 :2009/02/24(火) 16:25:16 ID:1iTv0rqa
春の足音が聞こえ始める二月の終わり、麗らかな陽射しがポカポカと暖かいです。 一条の飛行機雲が青い空を貫くように切り裂いています。 草花の花芽が大きくなり始めています。 ハルトシュラーさんが弾くピアノが、疲れ果てた心身を癒してくれます。 私はと言えば、燕尾服、英語で言うとテール・コートを着ておめかししているはさみさんに、テール繋がりでシンパシーを感じてしまいお手入れをしてあげています。 そうです。はさみさんでアルミホイルを切っているのです。 それは結構な肉体労働なのですが、戦争を体験した私にはへいちゃらです。 いいえ、結構かったるいです。 「フェアリー・テール嬢! 何をなされるか!?」 「ですから、はさみさんの手入れですよ。アルミホイルを切ると切れ味がよくなるそうですから」 「おばあちゃんの知恵袋!?」 「いいえ。ロスト・テクノロジーです」 せっかく手入れしてあげているというのに、ハサミさんはごちゃごちゃ五月蝿いです。 「日本の刃物には相応の手入れの仕方があるのだ!」 松の根っこから油を作ってガソリン代わりにする質素倹約な大日本帝国ですから、はさみさんの手入れなんかに油を使えないでしょうし」 ちょきん、ちょきん。 口では否定しているものの、はさみさんはアルミホイルを切り続けます。 まあ、私が強引に動かしているのですが。 「そろそろなれてきたんじゃありませんか?」 「そ、そんな亊はない!」 「ですが、切れ味は良くなってる感じですよ? 素直になられたらいかがですか?」 「い、言うな……。私は、私は……ああっ!」 「その表情……可愛いですよ、はさみさん」 「ら、らめぇっ! アルミホイルが、アルミホイルがぁっ!」 十分後。 切れ味が良くなったせいなのか、はさみさんは虚ろな眼で虚空を見つめています。 顔を赤く上気させて、荒い息遣いで呼吸しています。 めでたし、めでたしですね。 そんな亊はありません。 正気に戻ったはさみさんにこっぴどく怒られただけでなく、記憶喪失した男の書いたすこしふしぎな物語を読んで感想文百枚書くの刑に処されてしまいました。 悲しいですね。ええ、悲しいですとも。 私、泣いてしまいそうです。
225 :
創る名無しに見る名無し :2009/02/24(火) 16:25:51 ID:1iTv0rqa
適当に書いた 反省はしない
これ……もしかして本物の人か? 文章のキレが半端ないんだが
227 :
超適当 :2009/02/24(火) 22:55:30 ID:1iTv0rqa
偽物がいるという話は聞いた事がなかったり。 鳥を付けなかった理由は特に無い
いやいや ここは色んな人が色んなキャラを書く場所だし これが本人じゃないとしたら、 文体模写能力が凄すぎると思っただけですぜ
アルミホイル切っちゃらめぇええwww 刃に傷を付けてギザギザにして、寿命と引き換えに回復させたように見せるだけなのぉ 鋏を研げない人やズボラな人のための知恵なのぉ
ひでえww刃物をなんだと思ってるんだwww いやしかしやはり本物のフェアリー・テール節は一味違うな。研究研究 しかし、イラストか……
231 :
超適当 :2009/02/25(水) 22:00:38 ID:vRsViMJV
ぶろろろろろろろろろろ。 何処かで聞いたことがあるような轟音がしました。 どかーん。 何かが落ちてきた音もしました。 大日本帝国ではこんな時におへそを隠してくわばらくわばらと呪文を唱えるそうですが、はさみさんはなに食わぬ顔で刃のお手入れをしています。 ハルトシュラーさんと言えば、ピアノをポロンポロン弾いています。 倉刀さんとへげぞさんは興味がないのでどうでもいいです。 ええ、そうです。私は持病に男性恐怖症があるので殿方にはあまり関わりたくなかったりします。 兎に角。 野次馬根性がない訳ではない私ですので、何が起きたのか追求しようと思います。 何かが落ちたのは中庭です。 もくもくと黒い煙を噴き出している何かは、第三帝国の素敵飛行機でした。 懐かしいさのあまり、郷愁に黄昏ていると、素敵飛行機の残骸の中からガサゴソと誰かが現れました。 「 !? 」 センスの悪い、青い御召し物を来た人は、男の人でした。 「……“不運”(ハードラック)と踊っちまったぜ……」 怪我をして血だらけになっているせいなのか、訳のわからない事を口走っています。 「“毒威突”のヒコーキ乗りは気合いブリバリだゾ、コノヤロウ!?」 「 !? 」 持病の為にドン引きしてしまいますが、血だらけの筈なのに元気そうでなによりです。 「あんまチョーシくれてっと“ミンチ”にすんゾ!?」 「 !? 」 ひどいおっしゃりように、頭の中が真っ白になってしまいます。 「兵器、戦略、魔法だあ? そんなモンよか気合いの入った“拳”がイットーつえー!」 言葉に出来ないほど恐い表情で睨まれてしまいました。詳しく説明したいのですが、言葉に出来ないのでしません。 「あの、申し訳ありませんがお名前を伺っても宜しいですか?」 滅茶苦茶恐いのですが、何処の誰だか解らないとどうしようもないので、怖いのを我慢して尋ねました。 「なんかゆーたか、ねーちゃんよぅ……俺に“なんか”あるならデッケー声で言ってみろ……」 駄目ですね。意思の疎通が難しいです。こんな場合はどうすれば良いのでしょうか。 答えは簡単です。するするっとスルーするに限ります。 すみません。面白い事を言おうと思ったのですが滑ってしまいました。 これは全て恐い人がいけないのです。
232 :
超適当 :2009/02/25(水) 22:01:03 ID:vRsViMJV
「――統べる者――支配する者――学園島スレの“タイトル未定”――“毒威突”のエーリヒさんがお越しになられましたってゆーとけやぁ……」 「 !? 」 ビキビキッ! エーリヒさんのコメカミに音を立てて青筋が浮かびました。 怖いですね。ええ、怖いですとも。 恐怖と持病のあまりにガタガタと震えてしまいます。 「あぁ!? テメーどこよ? “舞狸天”(ブリテン)か? それとも米国狂争連合會(U.S.A.)なんかよぅ!?」 「 !? 」 さっきから驚きの連発で疲れてしまいました。 こういう時は見て見ぬふりをするのが私の正義です。 そんな訳で、するするっとスルーすることにしました。 多分、管理人がなんとかしてくれる筈です。そう思い込みたい微妙な年頃の私なのです。 因みに。 見て見ぬふりをして報告を怠ったという重要機密が漏洩してしまい、管理人さんにこっぴどく叱られてしまいました。 それだけではありません。 罰としてトイレ掃除一週間の刑に処されてしまいました。 悲しいですね。悲しいですとも。 トイレが汲み取り式でなかったのは幸いですが、トイレ掃除は悲しいです。 私、泣いてしまいそうです。 ――to be continued on the next time?
233 :
超適当 :2009/02/25(水) 22:02:30 ID:vRsViMJV
Gでアドバイスを貰ったので出してみたり。
__,,,,.. --_─_一_-_-、-、、,,,,__ ,r'´-_-_‐_‐_‐_‐_-_-、`-、ミ`ヽ ヾ`ヽ、 /,r',.-_‐_‐_‐_‐_-_-、ヾ ヽ ヽ丶、`ヾ 、ヽ /(.'´_-_‐_‐_‐_-_-、ヾヽヾ ))) ), )) ) )),)))ヘ l(i,i'´⌒ヾトヽ、ヾ ヾ ヾ ))_,ィ,'イ」〃川 jノjノjノ} !iゝ⌒))}!ヾヘヽ ),ィ_'イ」〃'″ フ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l ヾ、ニ,,.ノノ〃ィ":::::::::::::: /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!  ̄`i7 ´ :::;:::、:::. 〈;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;! 〈‐─一''''バ `'''ー─‐ ヾ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l }、_,.-。-、 :::: ,.-。‐-、_, ヾ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;! まさかこーくるとはよ?テメェ…… !` ̄ ̄´ノ ` ̄ ̄´ 丁j`l;;;;;;;;;;l l (",、 ''´,/;;;;;;;;;;l .l _...___ `<;;;;;;;;;;;;;ノ 乙、だぞ!? l 'r二ニヽ 八;;;;;;;;;;;;;〈 '、 ー- ‐′ / ゙!゙!゙!゙!゙!゙!゙! ヽ / ゙!゙!゙!゙!゙!゙! ヽ、 ∠____゙!゙!゙!゙!゙!゙! 「` ーi '''´ 「:::::::::::::::::::::::::::::::: ̄l _|_ l _|::::::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|__ ,. 一'''' ̄::::::::\フ /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`'''ー、_ /:::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ ./::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::O:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
何かスゲーの来た…… 覇虎弐倭ナメてんじゃねーゾ? ボクゥ!?(ビキビキッ!)
舞台と登場人物が共有されていれば、お話自体は他の投下作品と独立しててもいいのかな? 微妙に繋がってる話とかあったので聞いてみる。
問題ないと思います。ていうかやっちゃいましょうぜ 新キャラだって出しちゃって良いんじゃないカナ?カナ?(`・ω・´)
木漏れ日溢れる森の小道、薄茶色のローブを纏った少女が小枝を振りながら歩く。 今にも眠ってしまいそうな表情とは逆に、機嫌の良さそうな声が森にひびいた。 「はー、こー、にー」 ぱさぱさと周囲の茂みを叩きながら、開けた森から覗く景色に足を止める。 頭の上で結わえた髪もふらりと揺れる。 「わ、か、ん」 手にした小枝を前に向けて、指し示したのは空と海のブルーに囲まれた大きな屋敷。 「はこにわかん」 途切れた小道はやがて丘へ溶け、少女もまた吸い込まれるようにぺたぺたと走り始めた。 たどり着いた大きな門は、一体誰が開け閉めをしているのか疑問に思えるほど重厚で、 嬉しそうに隙間へと身を滑らせる少女を優しく迎えてくれた。 玄関まで続く小さな庭をしげしげと見回し、植え込みの手入れをしている管理人さんを 見つけ、さっそく声をかける。 「こんにちは?」 「おや、お客さんだね」 温厚な笑顔で返事をする管理人さんは、軍手をぱたぱたと払って腰にあてた。 「しかし、これまた随分と小さなお嬢さんだ。どんなご用事かな?」 「あ、ええとね」 言われて気付いたようにごそごそとポシェットを漁りはじめると、ビー玉やおはじきを ぽとぽと落としながら、一枚の汚れた紙を取り出した。 「しんきゅうしけんかだい、ともだちをたくさんつくること」 「友達を作りにこんなところまで来たのかい? それはそれは」 管理人さんは感心して軍手を脱ぎ、少女の頭に手を置いた。 頭の上で結わえた髪がぐにゃりとのけぞる。 「はこに、わかん」 「そう、ここは箱庭館っていうんだよ」 「わかん、てなに?」 「え?」 はてな顔で見上げる少女と困った顔で見下ろす管理人さんを、穏やかな春の風が包む。 少女は流れる髪に合わせてゆっくりと顔を横に向けると、一羽の白い蝶に目をとめた。 「あ、ちょうちょ」 「あれはモンシロチョウだね」 「まってー」 青く晴れ渡った空へと蝶は舞い上がり、それを追うようにしてぺたぺたとスリッパの音 が遠ざかっていく。さらさらとそよぐ風の中、大きなため息がひとつ聞こえた気がした。 魔女っ子&変身ヒロイン創作スレより ――ゆゆるちゃん入館――
ここまでのキャラのように有名ではないのですが、交流を深めるべく微妙に参加。 1話1スレで、このお話の流れ自体は適当に完結してしまう予定。 出来る限り空気は読んでいきたいと思います。 ということで、お邪魔します。
どうぞいらっしゃい箱庭館へ、GJです
ゆゆるちゃん来たwwまだ箱庭にはいなかった系統のキャラかも 勿論知ってますともよ! 箱庭へようこそ でもまさか参入するとは思ってなかったwこれはwktk
ちょwww 俺が次に乱入させようと思ってたのにwww しかしこれで作者公認か…… 色々悪さできそうだぜー という訳で乙です
きゃーwwwwwゆゆるちゃんキターwwwww 俺狂喜!! 有名でないなんてとんでもない!
俺……このスレが無事に埋まったら、創発クロスオーバースレ立てようと思うんだ……
やった!ゆゆるちゃんキタ!これで勝つる!
第二話『なかよしだいさくせん』 管理人さんが用意してくれた部屋は大変にこざっぱりとしており、小さな窓からは海が 覗く、質素ながらも素晴らしいものであった。 少しだけ埃をかぶったベッドにぽすんと座ったゆゆるちゃんは、しばらく足をぶらぶら させながら鼻歌を歌っていたのだが、思い出したようにポシェットをごそごそと漁りだす と、小さなボリュームダイヤルを取り出した。 「これは、おなじみダイヤル」 ゆゆるちゃんは魔女なので、色々と不思議な秘密道具を所有しているのだが、そう いったものを取り出すときも絶好調にテンションが低く、近年アニメで見れるような魔女 とは一線を画していると言わざるを得ない。 「これをおでこにはりつけると、みんなのおなじみさんになるのです」 しかしきちんと説明をしてくれるあたり、ゆゆるちゃんは全く持って正しいと言えよう。 「そういうこと」 不意にドアをこんこんと叩く音がひびいた。 「そろそろお昼だよ。みんなが集まるから挨拶しにおいで」 「はーい」 ゆゆるちゃんは綺麗に切り揃った前髪の下にダイヤルを貼り付けると、目盛りを「おな じみさん」に合わせた。どうやら馴染み具合を調整できるらしく、効果のほどは一切不明 だが、これを持ってして集団に溶け込んでしまおうという魂胆なのだろう。 天井の高い食堂には箱庭館で生活している人たちが大勢集まっており、大きな窓から 差し込む日差しが、細長いテーブルを明るく照らしていた。 銀色の髪の少女、ぶつぶつと独り言を続ける不気味な青年や、燕尾服を着た人形みたい な少女。みな思い思いの会話を楽しんでいる。 果たしてそこへゆゆるちゃんが歩み入ると、信じられないことが起きた。 「やあ、ゆゆるちゃん。今日もかわいいね」 「こんにちはゆゆるさん。いつもかわいいですね」 「やーやー、おなじみのゆゆるです。そんなにかわいいですか」 おなじみダイヤルの効果は絶大らしく、住人の皆さんもそれはもう数年連れ添った友達 のようにゆゆるちゃんへ接してくるのだ。 さらに追い討ちをかけるように、お腹の前で手をゆらゆらと揺らすと、ぽんという音と 煙を伴って、大きな包みが現れた。 「ゆゆるはおにぎりをにぎってきました。みなさんどうぞめしあがれ」 通常おにぎりというのは白米と海苔による心やすらぐモノトーンであるのだが、ゆゆる ちゃんのそれは何故か鮮やかな極彩色を放っており、危険な雰囲気をかもし出している。 「師匠、青いおにぎりがありますよ」 「それはトルネードおにぎり、ゆゆるおすすめ」 「こっちの黄色いおにぎりはなんです?」 「たんさんレモン」 「この赤いのはなんだ」 「ナベゾームのマヨネーズあえ」
沢山の質問に受け答えするゆゆるちゃんは大変にご機嫌な様子で、かつこれらはゆゆる ちゃんが朝早くに起きて一生懸命に握ったものであるからして、得体が知れないことをの ぞけば、大変に心のこもったおにぎりなのだ。 「これは酷い味だね、ゆゆるちゃん」 「まあ、舌が腐り落ちてしまいそう」 「吐いてもいいか、ゆゆるちゃん」 「どういたしまして」 心はこもっていても、やはり魔女の料理は不評らしく、しかし当の本人と言えば会話を 成立させるのが目的であるため、全くお構いなしであった。 はてさて、これが友達作りなのかというと少々違うような気がしないでもない。 賑やかな談笑に混じって、大きな時計がこちこちと時間を進める。 ――するといつからか、皆がゆゆるちゃんを無視するようになっていた。 「あれー?」 おでこをのダイヤルを確認してみると、使いすぎているせいで目盛りがゆるんでおり、 小さな矢印が「くうきさん」の文字を指し示している。 「もー、すぐこれなんだから、やんなっちゃう」 くるくると調整し直すも、バカになってしまったダイヤルは何かと設定がシビアらしく、 ついに目盛りは「いちげんさん」から動かなくなってしまった。 「なんでー、どうしてなのー」 一瞬静まり返った食堂にぽつりぽつりと声が漏れ始め、沢山の視線の矢がゆゆるちゃん へと突き刺さる。 「何だこの子。見たことないな」 「新しい住人か?」 「いつからここにいらっしゃったの?」 追い詰められたゆゆるちゃんはしばし呆然とした挙句、とうとうダイヤルをポシェット へ押し込みながら、顔を上げた。 「は、はじめまして。ゆゆるです……」 ゆゆるちゃんは魔女なので、通常人間が友達をつくるプロセスとは違った手段を持って いても不思議ではない。不思議ではないのだが、そこのところはちゃんと挨拶から始める のが森羅万象ゆるぎない摂理なのである。 先を急がなくても大丈夫。箱庭館での友達づくり生活はまだまだ始まったばかりなのだ から。 つづく
248 :
創る名無しに見る名無し :2009/03/05(木) 21:17:56 ID:0ASRPLsI
投下おわりです なんだかヤマもオチもないうえに、いまだに他のキャラが把握できていなくて申し訳ない。 生暖かく見守っていただければと思う次第。 というか、想像以上に期待されているようでくじけそうです。 くじけそうですがageてしまうのが俺のジャスティス。
ハナアルキのおにぎりむしろ食べたいよwww 投下乙
おなじみダイヤル、恐ろしい洗脳兵器wwww
これは良いすこしふしぎ。ゆゆるちゃん可愛い キャラ把握は大変だよなぁwみんなそれなりに濃い人たちだもんww
第三話『くらとうさんのなやみごと』 さてさて、住民の方達の好感を得るどころか不信感を増幅させてしまったゆゆるちゃん なのだが、ここで諦めてしまっては魔女の名折れ。 早速自室へ戻り、難しい顔で歩き回りながら、次なる作戦を考えているところである。 「ゆゆる、かんがえついた!」 ぱちんと手を叩いて部屋を飛び出すと、ドアの前に一枚の画用紙を貼り付けて、そこに マジックで「おなやみそうだんじょ」とダイナミックに書きなぐった。 「これはめいあん」 確かに住人の方たちが他の人に言いづらい悩みを抱えている可能性は高く、新参である ゆゆるちゃんになら、それをぽろりとこぼすこともあるかもしれない。そうするとこれは 中々に良いアイディアと言えよう。 ――暫くすると、ドアをノックする音が聞こえた。 「おなやみならたちまちかいけつ、ゆゆるのなやみそうだんじょへようこそ」 「表の張り紙を見たんだけど……だ、大丈夫かな。この子」 半開きのドアからこちらを覗く青年は、ここで暮らしている倉刀くん。 怪訝な顔で部屋を見回したあと、かちゃりと後ろ手にドアを閉め、自分の悩みをぽつり ぽつりと話し始めた。それは彼に対する、住人たちの態度のことであるらしい。 「大体みんな僕の事をバカにしすぎなんだよ。いっつも損な役回りばかりでさ」 倉刀くんの言葉に頷きながら、なにやらメモをとるゆゆるちゃん。 「いじられ役は嫌いじゃないよ。でも、たまには優しくしてくれてもいいじゃないか」 「なるほどよくわかりました、キャンディどうぞ」 「あ、どうも」 ころりとキャンディを頬張る倉刀くんの前、手をゆらゆらと揺らすと、ぽんという音と ともに小さな木の実が現れた。 「これはホメオスタシスのたね。ひとのおなやみをすいとるの」 ゆゆるちゃんが種を一粒とりだして手に乗せると、ぴこんと芽が出てぐんぐんと伸び、 最後に小さな黄色い花が咲いた。当然ながら倉刀くんは眉を寄せるばかりである。 「このように、おなやみはすいとられ、はなになるわけです」 「ははあ、なるほど。要するに溜まったストレスを吸収してくれるわけか」 「そういうこと。さいたら、おしばななどにするといいです」 ゆゆるちゃんは魔女なので、人間関係という大変デリケートな悩みですら臭いものには 蓋の原理なのだ。しかしそれではさっきまで取っていたメモは一体なにかというと、ネコ やイヌなどのイラストであったりして、器の大きさを物語っている。 「おだいはけっこう」 「ありがとうゆゆるちゃん。これならまだまだ頑張れそうだ」 倉刀くんは嬉しそうにばたんとドアを閉めて出て行き、ゆゆるちゃんもまた満足そうに 何度も頷いていた。 それからしばらくの間、いくら待っても誰も訪ねてくることがないので、ついにベッド でうとうとし始めたところ、がしゃんと窓を破る音にゆゆるちゃんが跳ね起きる。
「うわー、助けてくれー」 続けて聞こえてきたのは倉刀くんの叫び声。 窓の外に目をやると、ホメオスタシスの実と思われる巨大な茎が、物凄い勢いで空へ向 かって伸びているのだ。その先端にひっかかった倉刀くんも、どんどん空へと登っていく。 「わ、たいへん」 彼が一体どれほどのストレスを溜め込んでいたのか、それはこの巨大な茎を見れば一目 瞭然。さすがのゆゆるちゃんもこれには驚き、ぺたぺたぺたと外へと走る。 倉刀くんの部屋から伸びた巨大な茎は、館の屋根あたりで動きを止めており、その根元 には住民の方たちが集まっていた。 「これはこれは、また随分と派手なお遊戯ですね」 「お前、また面白そうな事をやっているな!」 「倉刀! 全く何をやっているんだ、みっともない!」 住人たちの声が上がるたびにずるずると茎が伸びる。これは大変な異常事態なのである が、住民の方たちは一向に倉刀くんを心配する様子がなく、そればかりか罵声を浴びせ続 けるせいで彼のストレスは高まり、茎は再び空へと伸び始めた。 「わ、わたし、たすけてくる」 たまりかねたゆゆるちゃんが両手を広げると、その身体がゆっくりと浮かびあがる。 ゆゆるちゃんのウサギスリッパは上昇と下降に限り空を飛べるのだが、その速度は非常に のんびりしたものであり、倉刀くんを救出して戻った頃にはすっかり夜になってしまっていた。 とん、と着陸した先では住民の方たちが焚き火を囲って待っていたのだが、ここで猛烈 に怒っているのがゆゆるちゃんである。 「もー、ゆゆるあきれた! どうしてみんなくらとうさんにつめたいの!」 しかし、詰め寄ろうとするゆゆるちゃんを、倉刀くんがそっと手で制する。 「いいよ、ゆゆるちゃん。みんな僕を心配して待っててくれたんだ」 「ひどいこといってたよ?」 「この茎にぶら下がりながら、ずっと考えてたんだ。こんなにストレスが溜まってるのは 自分のせいなんじゃないかって。みんな不器用なだけで、本当はいい人なんだ。僕はそれ を知ってたのに……」 口を尖らせるゆゆるちゃんを優しく撫でる倉刀くん。 頭の上で結わえた髪がぱたぱたと音を立てる。 「でもいいたことは、ちゃんといわないとダメだよ」 「柄じゃないんだ。この植物が僕のストレスだってことは、二人だけの秘密に――」 その時突然、ゆゆるちゃんの胸のあたりが輝き始め、一瞬の閃光を放ってそこに現れた のは、金色に輝く小さなハートのバッジだった。 「あ」 「何だい? それ」 「ともだちにんていバッジだ!」 こうしてめでたく一人目の友達を獲得したゆゆるちゃんなのだが、伸びきったホメオス タシスの茎は結局そのままになっており、箱庭館の新しい名物となるのであった。 その先で咲いているであろう大きな花は、きっと月の光を浴びて輝いていることだろう。 つづく
254 :
創る名無しに見る名無し :2009/03/06(金) 22:54:58 ID:brQvIUlK
投下おわりです。 全然関係ないんですけど、鼻行類を考えた人の名前(偽名?)って ハラルト・シュテュンプケ っていうんですってね。微妙に誰かさんと似ていたりして驚きです。
倉刀のストレスマジすげー
>>254 ま、まさか…
これは期待を上回るゆゆるワールドっぷりw倉刀マジ不遇でござる
第四話『はるとさんのぷらいど』 次の日の朝、ちゅんちゅんと鳴く小鳥の声に目を覚ましたゆゆるちゃんは、ベッドから 飛び起きると早速部屋のドアノブに「営業中」プレートを掲げた。 実はこれ、友達になってくれた倉刀くんが作ってくれたもので、小さな木の板に立派な 文字でその旨が書かれており、大変に素晴らしい出来である。 「これでよしと」 ぱんぱんと手をはたくと部屋に戻り、ぼんやりと外の景色を長めながら待つこと数時間。 こつこつとドアを叩く音に続いて現れたのは箱庭館の重鎮、ハルトシュラーさんだった。 「邪魔するぞ」 「ゆゆるのおなやみそうだんじょへようこそ」 ハルトシュラーさんは年端もいかない少女の風貌であるのだが、何やら荘厳なオーラを 纏っており、さらに言うと倉刀くんのお師匠様でもあるらしい。 謎の経歴と相まって神秘的に輝く銀色の髪を揺らしながら、小さな布袋をゆゆるちゃん の目の前に突きつける。 「倉刀の部屋でこのようなものを見つけてな」 「あ」 それはホメオスタシスの種であった。 いぶかしげな眼差しを向けるハルトさんに対し、ゆゆるちゃんはぽかんと開けた口を片 手で隠すという、もう言葉などいらずして「しまった」的な表情であり、こうなってしま うと言い訳は不可能である。 「ご、ごめんなさい……」 「よいよい、責めに来た訳ではないのだ。それにしても人の悩みを糧に育つ植物など、不 思議なものをもっている」 さすがはハルトさんといった所、その効果のほどまでお見通しのようだ。 布袋を手渡したハルトさんは、用意されていた来客用のイスに静かに座って続ける。 「先日の事件。倉刀があのように壮大な悩みを抱えているとは知らず、師匠としても考え させられるものがあったのだ。どうも私の考えや教えというものは、受け手によって曲解 されてしまうことが多分にあるらしい」 ため息をつくハルトさん。しかし、大変な事にゆゆるちゃんは長い言葉の羅列に口をあ んぐりと開けたまま、まったく意味が分かってないご様子である。 ゆゆるちゃんは魔女なので大変に賢い頭脳を持ってはいるのだが、一度の台詞が長いと 理解できないという非常に心温まる性質を有しており、これは悩み相談所のカウンセラー として根本から考え直さねばならない問題点だ。 「さて、どうしたものかと困ったところへ『悩み相談所』とくれば、これはものの試し、 魔女であるゆゆる殿に聞いてみるのもまた一興、とここへ訪ねて来たわけだ」 「はあ」 「自分の創作物に関しては黙して一切語るな、などという極右的な考えすら広まっている。 あれは端的にそういった意味でなく、闘争としての修羅、即ち心意気を――」 「むつかしくて、ゆゆるにはわかりません」 さすがのゆゆるちゃんも秒殺である。 「もっとやさしくゆってください」 大きく肩を落としたハルトさんであったが、目を細めてゆゆるちゃんを見つめたあと、 何かを悟ったように口を開いた。
「なるほど、受け手に分かるように言葉を創作しろと言う事か。奥が深い」 ハルトさんは大変に聡明な方なので、ゆゆるちゃんの発したありのままの言葉ですら、 創作の指標にしてしまうのだ。恐るべし人物である。 小鳥のさえずりが2匹、3匹と増え、一体どれくらいの時間が経ったのか、気づけば ゆゆるちゃんの部屋の中では、おかしな会話が繰り広げられるようになっていた。 「もう、もう! ゆゆるちゃんったら、一体どう言ったら分かってくれるのよ!」 「だってはるとちゃん、ゆってることがむずかしいんだもん」 「じゃあ、もういっかい言うからね! ちゃんと聞いててよ!」 ゆゆるちゃんの理解レベルまで下げられた会話は、悩み相談というよりも、これでは単 なるままごと遊びである。 「あ、わかった」 「やっとわかってくれた? 疲れるなあもう」 おもむろに立ち上がったゆゆるちゃんは、ハルトさんのカチューシャを包むようにひら ひらと手を動かす。ぽんという音が鳴り響くと、それはふわふわした耳あてに変化した。 「な、何をするのだ! やめんか!」 続けてハルトさんの身体にむけて手をひらひらと揺らす。ぽんと言う音とともに、濃紫 のドレスは、ピンク色のトレーナーに早変わり。いたるところについている星型のラメが 安っぽさを過剰に演出しはじめる。 立派だったハルトさんの風体は、あっという間にキッズエナジー溢れる、砂場の似合う 少女になってしまった。 「なんという無礼な! 早く元に戻せ!」 「ことばづかいがもどってますよ」 「ゆ、ゆゆるちゃん! もとにもどしてよ!」 最後にぽんと現れたのは巨大な鏡、そこに映るのはどこにでもいそうな一人の少女と、 素朴な格好をした魔女だった。 ――それはまさに小さな女の子が夢の中で思い描く、シンデレラのワンシーン。 「こ、これは……」 「たいへんおにあいです」 ハルトさんは今までに着たことのない安っぽい服装を、身体をくるくる回しながら眺め ると、難しい顔をして向き直った。 「そうか……頭が凝り固まっていたのは私の方かもしれないな」 「きらくがいちばん」 ふっと笑いをもらすハルトさん。その顔にはどこかかわいらしい、子供のようなあどけ なさが浮かんでいた。 「この堅苦しさが誤解を招くこともあったのかもしれないな。されど私は考えは変えぬぞ」 「ごじゆうに」 いつのまにか消えていた小鳥のさえずりに代わり、聞こえてきたのはハルトさんを探す 倉刀くんの声。 「さて、そろそろ行くとするか。しかし良い息抜きになった、悩み相談所というのも伊達 ではないな。この服しばらく借りるぞ」 「おだいはけっこう」
かちゃりと扉を開けたとたん、倉刀くんの驚きの声が上がった。 「し、師匠! 何ですかその格好は!」 「まあまあ、たまには良いではないか。ほら、行くぞ――」 会話を切るように閉じかけた扉が、僅かな隙間をのこして動きを止める。 そこから覗いたハルトさんのにこやかな口が、小声でささやいた。 「ゆゆるちゃん、また遊びにくるね!」 「いつでもどうぞ、はるとちゃん」 笑顔を返すゆゆるちゃんの胸には、二つ目の友達認定バッジが輝いていた。 魔女の進級試験である友達作り。最初は不安を見せながらも順調にこなしていく ゆゆるちゃんであったのだが――ついにここへきて暗雲が立ち込めることになる。 「春斗(はると)の姫(あねご)……“堕ち”やがった……」 アンティークな造りの部屋の中に、空き缶を潰す乾いた音が響きわたる。 「気にいらねぇ……“疼き”やがるぜ、この左目の古傷が……」 青い特攻服に身を包む青年の前、高貴な雰囲気をかもし出す少女が静かに紅茶を置いた。 「物騒ですね。そのような荒れごと、私に持ち掛けないでいただきたいものです」 「アンタなら分かると思ったんだがな、あの“シマ”で戦ったオレらにゃ、ぬるすぎる」 答えず目を細める女性は、この館に住むもう一人の魔女、フェアリーテールさんである。 「いっぺんシメとかねえとな……」 「穏やかでないですね。しかし止めませんよ、エーリヒさん」 「ま、見といてくれや。“毒威突”の根性、見せ付けてやんよ……」 ばたんと締まる扉を見て、不適に笑う唇が紅茶を啜った。 つづく
260 :
創る名無しに見る名無し :2009/03/07(土) 21:14:39 ID:HLcj6I7m
一話一レス宣言もなんのその。本日投下終了です。 特攻よりもカメレオン派だった俺にはエーリヒくんの扱いが 微妙にむつかしかったりするわけでした。
のんびりとしてていいなぁw 恥ずかしがらずにGJと言っちゃうよGJ!
ロリはるとちゃんかわええ! な、なんか目覚めてしまいそうだぞおじさん
これはナイスキャラ発展wロリ閣下は新しいww ゆゆるワールド万歳!
なかよしハウス第五話『えーりひくんのぽりしー(疾風!毒威突編)』 澄み広がった青空に、白い煙がぱんぱんとはじけて形を残す。 その小さな塊をかき消すように、大きな声が響き渡った。 「それではこれより、第一回箱庭館、親睦ヒコーキレースを行います!」 小さなマイクをもった管理人さんに向けられて、わーわーぱちぱちとささやかな歓声が 巻き起こる。 芝生の上に広げられたビニールシートで住民の方たちが期待に胸を躍らせる中、ヒート アップした解説はさらに続いた。 「では早速、今回の選手を発表いたします! まずはこのイベントの発案者である、自称 『蒼い韋駄天』エーリヒくんと、愛機メッサーシュミット!」 ――そう、じつはこの親睦イベント、新参であるゆゆるちゃんを懲らしめてやろうと、 エーリヒくんが企てた策略なのだ。 ぶろろんと音を響かせながら現れたのは、派手な装飾とエアロパーツに身を包む戦闘機。 鋼色の機体には「毒威突」と大きく書き綴られており、コックピットではエーリヒくんが 不適な笑みを浮かべている。 「そこらの“通常(シャバ)”い機体と一緒にすんじゃねーゾ……」 「“!?”」 「対しましては、箱庭館のニューカマー! 正体不明の『ゆるやか魔女』ゆゆるちゃんと、 愛機ロマンスフラワー号!」 続いて現れたのは、時代錯誤もいいところなピンク色の小型複葉機。先端に取り付けら れたプロペラなどは花びらのようになっており、エーリヒくんの愛機と比べてしまうと、 非常にがっかりなデザインと言わざるを得ない。 「ゆゆるがんばるー」 首に下げていたゴーグルを颯爽と構えると、頭の上で結わえた髪もぴんと立ち上がる。 「遥か南の洋上に浮かぶ孤島「南国島」のフルーツを先に持ち帰った方が勝者! なお、 勝った方には本日のおやつ『りんごクリームサンドイッチ』が一つ多めに与えられます! それでは位置について!」 ざわめく住民の方たちをよそに、ぱーんと鳴らされる空砲。同時にジェット噴射で飛び 立つエーリヒくん。一方ゆゆるちゃんはというと何故か急いで機体から飛び降り、花びら のプロペラを一生懸命に回しているところである。 「なんでいっつもこうなのー」 ゆゆるちゃんは魔女なので不思議な道具や機械をたくさん持っているのだが、その概ね がポンコツであり、大変にたよりないのだ。 「ゆゆるちゃん頑張れー」 「追いつけなくなるぞー」 飛び交う声援の中、からからとプロペラは回り始め、勇ましく敬礼したあとに操縦席へ と乗り込むゆゆるちゃん。 力をこめてペダルを踏み抜くと、強烈な衝撃波を伴って、乾いた破裂音が鳴り響いた。 それはいわゆるソニックブーム。音速を超えた証であり、顔を覆う住民たちが顔を上げ た時には、ロマンスフラワー号は空の彼方で光となっていた。 ☆ ☆ ☆
にしても、硬派一徹のエーリヒくんが「りんごクリームサンドイッチ」を賭けて勝負を 挑むとは、どうも腑に落ちない。一体何のつもりなのだろう? 「甘えなぁ、勝負ってのはそうじゃねえ。報酬よりも結果が全て。あのチビ助にどっちが “強者(ツエー)”か“調教(おしえ)”てやんのよ……」 一体誰に向かって説明してくれてるのかは分からないが、このエーリヒくん。なにやら ただものではない気迫を放っている。 「“!?”」 と、その時。メッサーシュミットの目の前に現れたのは、初期加速を終えたロマンスフ ラワー号の可愛らしいお尻であった。 「やるじゃねえかチビ助! これでも“喰らい”な!」 エーリヒくんが操縦桿のトリガーを引くと機関銃がばりばりと発射され、ピンクの機体 を威嚇しはじめる。 「わ、あぶない」 「何人たりとも、俺の前は走らせねぇ……」 たまらず高度を下げて前を譲ったゆゆるちゃんなのだが、実は非常に怒りっぽい一面を もっており、頭の上で結わえた髪がめらめらと炎のようにゆらめきだした。 「ゆゆる、ゆるさないんだから!」 迫りくる雲に目を細めながら「こうげき」ボタンをぽちんと押すと、ロマンスフラワー 号の胴体からにょきにょきと腕が生え、なんとその手にはハンドガンが握られている。 「“!?”」 ぱんぱんと発射されるピンクの弾丸に、これはゆゆるちゃんが一枚上手かと思いきや、 伸びた腕は空気抵抗に耐えられず、後ろにむかってバンザイ状態になってしまった。 「あーんもう、やくたたずー」 「ハハッ! こいつは“哂(わら)”えるぜ!」 ぎゅーんと加速する「毒威突」のエンブレム、それを追うロマンスフラワー号。 水平線の彼方に見えた南国島に向かって、二つの機体が白い筋を伸ばしていく―― ☆ ☆ ☆ さてさて、一方こちら箱庭館では、二人の帰りを待ちつつも、のどかなティーパーティ が催されているところである。 「どっちが先に戻るかなあ?」 「エーリヒ殿も気合が入っているからな」 「しかし、ゆゆるって子もあなどれんぞ!」 わいわいがやがやと予想を楽しむ住民たちの声の中―― 「まあ、二人とも戻らないという可能性もありますけどね……」 ふっと空を見上げたフェアリーテールさんの冷たい言葉が、静寂を呼んだ。 『えーりひくんのぽりしー(激突!不乱不編)』へつづく
266 :
創る名無しに見る名無し :2009/03/09(月) 20:49:03 ID:90Rfzw++
投下終わりです。 書き物用のPCにメモリを増設してみましたが、 筆速は変わりませんでした。
GJ! 単語のチョイスのセンスに感動した!
ゆゆるちゃんかわいいよゆゆるちゃん エーリヒは相変わらず中二病だなw あと、最後のフェアリーテールさん地味にきついw
>二人とも戻らない うん、俺も読んでてそんな予感があったww なんて無茶な集会(パーティー)なんだぜ……!?
少年は、読んでいた本から目を離して外をながめた。 電車から見える景色は、一面の海だ。 その先、海沿いに続く線路のむこうに町並みが見えた。 目的地まであと十数分といったところか。 少年は本を鞄に戻し、向かいの席の少女に声をかけた。 「お姉ちゃん起きて。そろそろ到着だよ」 向かいの席に座っている少女は、窓に寄りかかったままで起きる気配が無い。 仕方なく少年は、少女を揺すって起こそうとした。 「お姉ちゃん、起きて起きて。到着だよ」 少女はやがて目をさまし、大きく伸びをして少年に尋ねた。 「おはようジーク、到着かしら?」 「ううん、あと少し。町が見えるよ」 少年の声にうながされ、少女は窓から顔をだした。 先ほどよりずっと町は近づき、その周りには海と山がみえる。 「ふうん、田舎だと思ったけどなかなかよさそうな所じゃない」 「避暑地には良い所だろうね」 「ま、旅費はたっぷりとあるし、ゆっくり静養しましょうか」 少女が側の鞄を動かすと、じゃらじゃらと音がする。 少年はその音を聞いて、少し顔を曇らせた。 自分の鞄には雑貨が、あちらの鞄には貴金属が入っている。 少女、つまり自分の姉が、家から勝手に持ち出した物だ。 (まったく、勝手なんだから……) 少年はため息をついた。 ある日突然、姉の家出に付き合わされる羽目になったのだ。 理由は非常にシンプルだった。 「なんとなく」 そう答えた姉は、家から金銭を持ち出すと(姉に言わせれば借りただけ、だが) 自分の襟首を捕まえ、無理やり同行させたのだった。 一応説得を試みたが、それで思い直すような姉ではない事は承知している。 少年はずるずると、少女の家出につき合わされていた。 次なる少女の行き先は、閑静な洋館だという。 そこでしばしの滞在を予定していた。 「この写真によればなかなか趣のあるところらしいわ。ところでジーク、これは なんて読むのかしら? 漢字ってのはよくわからないわ」 目的地の名前すらも知らなかった事に、少年はふたたび重いため息をついた。 これから起こりうるであろう出来事を考えると、気が重くなってゆく。 しかし母国はすでに遠く、少年にはどうする事も出来ない。 疲れをかくさずに、少年は答えた。 「それは『箱庭館』て読むんだよ。お姉ちゃん」 童話と民話創作スレより ジークリンデ・ハルトシュラー&ジークフリード・ハルトシュラー 入館
マイナーなスレからですが、参加希望です
おおっ、新たな入館者がっ 投下乙乙です! ハルトシュラーが三人……だと?
おお!一つの冒険を乗り越えた二人の姉弟が、また…!
こっちの閣下と邂逅したらどうなるんだこれ???
ジークリンデお姉様きた!
なかよしハウス第六話『えーりひくんのぽりしー(激突!不乱不編)』 南国島に着陸したエーリヒくんは、メッサーシュミットからひらりと飛び降りるや否や、 わき目もふらずに走り出し、続けて到着したゆゆるちゃんもぺたぺたとその後を追う。 二人が目指しているのは、岡の上に見えている南国フルーツの木だ。 先を走るエーリヒくんが、ばさばさと特攻服を揺らしながら気迫に顔を歪める。 「“友情(キズナ)”って奴は、交えた“拳”の果てにあるもんなのさ……」 「“!?”」 するとゆゆるちゃんの切り揃った前髪の下に、ごちんと何かが当たった。 「あいた!」 おでこをさすりながらひょいと取り上げたのは、具現化した「!?」マークである。 エーリヒくんは大変に気合の入った不良なので、その気迫が不思議な現象を巻き起こし てもなんら問題はないのだ。 「魔法なんて“甘味的(あまっちょろい)”モンで俺に張り合うなんざ、十年はえェ」 「“!?”」 次々と繰り出される「!?」マークを避けながら、ぺたぺたと走るゆゆるちゃんの目に は、悔しさから涙が浮かびはじめ、口はぎゅっと結ばれている。 ばさばさ、ぺたぺたと走る音が風となり、ついにたどり着いた南国フルーツの木の下で、 エーリヒくんが何故か不意に足を止めた―― しばしの間を持って追いついたゆゆるちゃんも、丘の先に広がる光景に息を呑む。 「“!?”」 「こ、こいつは一体?」 何とそこには、鉄パイプや木刀を持った数十人の不良たちがたむろしていたのだ。 所々に停められた華美な戦闘機とトリコロールカラーの旗には「不乱不」と書き綴られ ている。 「誰かと思えば八代目“毒威突”の“頭”エーリヒくんじゃん」 「ヒョオ! “熱愛(おあつい)”ねえ、お二人さん」 「何故ここに……」 にじり寄る不良たちに対して、くぐもった声が響く。どうやら「不乱不(フランス)」 とは、エーリヒくんの所属する「毒威突(ドイツ)」の敵対組織であるらしい。 「とある親切な方が教えてくれたのさ。あん時の恨み、晴らさせて貰うぜ」 「ああ? デタラメ言ってんじゃネーゾ?」 “ビキビキッ” 詳しい経緯は学園島スレを見ていただくことにして、とにかく穏やかならぬ因縁がある らしく、エーリヒくんは呆れたように肩を落とすと、首をゴキゴキ鳴らしながら、ゆゆる ちゃんをちらりと覗いた。 「悪ィなチビ助、ヤボ用が出来ちまった。この勝負、お前に譲るぜ……」 そう言って特攻服をはだけながら、手にしていたフルーツをぽんと手渡す。 唐突な展開ではあるのだが、こうなってくるとエーリヒくんが大変に勇ましく見えてく るのが不思議と言えなくもない。
しかしそんな見せ場をよそに、ゆゆるちゃんはふんだくるようにそれを奪うと、さっさ と飛行機の方へ走り去ってしまうのであった。今までバカにされていたことで大変ご立腹 のようである。 「いけすかねえガキだが、あれでも“覇虎弐倭漢(はこにわかん)”の大事なメンツ。俺 一人のゴタゴタに巻き込んじまっちゃあ“漢(おとこ)”がすたるってモンよ」 遠ざかるゆゆるちゃんの背中をしばし見つめ、エーリヒくんは不良たちへと向き直った。 「“!?”」 「それに喧嘩って奴ァ“拳”で決めるもんなのさ。こっから先は誰一人通しゃしねえぜ!」 「上等だゴルァ!」 ――南国島の丘の上、“漢共(おとこたち)”の怒号と血飛沫が舞い上がった。 ☆ ☆ ☆ 「もー、わけがわからない。ゆゆる、あんなともだちいらない」 息を弾ませながらロマンスフラワー号へ到着したゆゆるちゃんが、ふと胸のバッジに目 を落とすと、果たして一体どうしたことなのか、そこには既に3つ目の友達認定バッジが 光を放っているのだった。 ――そう、エーリヒくんはこれまでの戦いの中でゆゆるちゃんの頑張りっぷりを認めて おり、それは箱庭館の一員で、守らねばならない“仲間”だと認識していたからに他なら ない。 「き、きずなとは……」 見上げた丘の上には、黒い人だかりに囲まれる一人の「友達」が居た。 「まじえたこぶしのさきに、あるもの……」 ☆ ☆ ☆ “ゴッシャァァア” 血煙を巻き上げながら、一人の不良が宙に舞う。 「クソッ! こいつ“怪物(バケモン)”か!」 「“驚愕(ビッ)”てんじゃネーゾ! 全員で一気に押しちまえ!」 肩で息をするエーリヒくんの周りには、既に何人もの不良たちが倒れていた。どうやら 彼はその憎みきれないキャラクターとは裏腹に、とんでもない力を秘めているようである。 「俺は八代目“毒威突”の頭……そして“覇虎弐倭漢”メンツの一人、エーリヒ様よ……」 しかし次々に現れる不良たちの攻撃の前、その顔は苦悶に歪み、ついにがくりと膝を付 いてしまった。 「倒れたぞ! やっちまえ!」 走り迫ってくる大勢の影に、諦めにも似た笑顔を作るエーリヒくん。 「……どうやらこいつが俺の“大往生(ラストギグ)”になりそうだぜ……」
ゆっくり閉じる瞳に映ったのは――後方で吹き飛ばされる数名の不良たちだった。 「何だ、ありゃあ!」 「魔導兵器か!」 「“!?”」 がしゃん、がしゃんと金属の足が地面が揺らし、伸びる腕が不良たちをなぎ払う。 それはあのロマンスフラワー号の雄姿であった。 「チ、チビ助!」 「てめーら! あんまちょーしくれてっと、みんちにしちまうぞ!」 口の端をにやりと曲げ、震える膝を押さえながら立ち上がるエーリヒくん。その姿は、 もう誰が何と言おうが“真打(イカスヒーロー)”なのである。 「お前の“拳”見せてもらったぜ! とことんやってやろうじゃねえか!」 ☆ ☆ ☆ 戦いの果て―― ついに数十人の不良たちを討ち倒し、向かい合う二人の姿があった。 「チビ助、背中出しな」 黙ってこくりと頷いて、小さな背中を向けるゆゆるちゃん。 エーリヒくんの手には、一体どこから取り出したのか巨大な筆が握られており、それを ばしゃりとローブへ付けると、こう綴った。 ――“遊”(あそび) ――“憂”(うれい) ――“流”(ながされる) ――“遊憂流”(ゆゆる) 夕暮れの南国島。折り重なった不良たちの“瓦礫”の上で、拳を付き合わせる二つの影 が夕日に照らされていた。 つづく
279 :
創る名無しに見る名無し :2009/03/11(水) 19:56:00 ID:CMjahYxS
投下おわりです。 不良の正義っていいですよね。 いやいや、そんなことよりあのお姉さんが入館とは…… これはwktkせざるおえないのであります。
!?って浮かぶのかww
なんか感動したww
第七話『きおくちゃんのおもいで』 紺色の空に星が輝く夜。さらさら流れる川を見下ろす橋の上に、とことこぺたぺた歩く 二人の少女の姿があった。 「ごめんね、ゆゆるちゃん。急に無理言っちゃって」 「おかまいなく」 ゆゆるちゃんの隣で小さなお風呂桶を抱えているのは、だいぶ前から箱庭館で生活して いる「記憶喪失した少女」ちゃん。 視線を落として、ちらちらとゆゆるちゃんの顔色を伺いながら続ける。 「うらやましいなって思ってたの。私よりもあとに来たのにたくさん友達つくれて……」 「そう?」 誇らしげに謙遜するゆゆるちゃんに苦笑いしつつ、足を進める記憶ちゃん。 「だから私もみんなと仲良くできるように頑張ろうって、それで誘ったの」 人の少なくなった商店街を横切り、ひんやり冷えた路地を進む。 近づいてくる古ぼけた照明に「背盛銭湯」の文字がぼんやりと浮かんでいた。 「ここに入るとね、少しのあいだだけ、おっぱい大きくなるんだって」 「おっぱいとともだちと、どういうかんけいが……」 ゆゆるちゃんは魔女なので大概の不思議なことは華麗にスルーしてしまうのだが、稀に こうした突っ込みを入れることもあり、大変空気の読める魔女だと言える。 とは言え、二人の共通事項として大人に憧れているという気持ちがあるのは確かであり、 また、この年頃の少女にとって秘密を共有するというのは何にも代えがたい友情の証なの かもしれない。 「いやだったかな……」 「い、いやじゃないけど」 「じゃあ行こう!」 ぐいぐい手を引っ張られながらたどり着いたのは、もうもうと湯気の立ち込める立派な 天然岩の露天風呂だった。 「こっちこっちー」 ゆゆるちゃんは大の風呂嫌いであり、4年間風呂に入らなかったという輝かしい過去を 持っているのだが、そのへんは魔女スレまとめでも読んでもらうことにして、なかなかに 足が進まない。 しかしそれを気にせず、ちゃぷんとお湯につかった記憶ちゃんが驚きの声をあげた。 「すごーい! ゆゆるちゃんもはやく!」 「よ、よーし! いくぞー」 えいやとゆゆるちゃんがお湯に飛び込むと、たくさんの湯気と飛沫が飛び散り、湯面に はぶくぶくと泡が上がる。 少しの間を置いて、ふたたびざばんと立ち上がったのは―― 「え?」 驚きに口をふさぐ記憶ちゃんの前に、すらりと伸びる白く長い足。 ちょうどよく膨らんだお尻の上には、くびれたウエストとふんわり丸い胸。 「ゆ、ゆゆるちゃん?」 その頭の上では髪が短く結わえられ、おでこの上では前髪が綺麗に切り揃っている。
「あ、あれ? ゆゆるおかしくなった」 それはすっかり可憐な女性の姿に成長した、ゆゆるちゃんの姿だった。 ゆゆるちゃんは魔女なので、胸が大きくなるという背盛銭湯の効能が何かしらの過剰な 効果をもたらしたとしても全く不思議ではないのである。 「あはは! ゆゆるちゃんってば大人になっちゃった! なんでー!」 「なんでとゆわれても……」 「これじゃ『ゆゆるさん』だね! ちょっといろいろ見せてー!」 ということで、これ以上の描写はゆゆるさん自身のキャラクターを損壊してしまいかね ないので省略し、やがて背盛銭湯から出てきたのは、手をつないで歩く記憶ちゃんとゆゆ るさんであった。その二人の歩く姿はどこか、仲の良い姉妹のようにも見える。 「なかなか直らないねー、私もう戻っちゃったのに」 「ずっとこのままだったら、どうしよう……」 手を振り解いて数歩先を走った記憶ちゃんが、ゆゆるさんに振り返る。 「いーじゃん別に。でも大人になっちゃうとはねー!」 「このことは、ごないみつに……」 ぷっと吹き出す記憶ちゃんの顔はなんだかとても楽しそうで、それは来るときに見せて いた不安な表情など思い出せないぐらいに明るいものだった。 「私ね、どうして箱庭館にいるのか分からないの」 再び前を向いて歩き出す記憶ちゃんが、思い立ったように口を開く。 「自分の名前も思い出せないし、お父さんのことも、お母さんのことだって」 橋の上で足を止め、欄干へと手を伸ばす。 川の流れは静かに夜の闇へと吸い込まれていた。 「私のことなんか、誰も分かってくれないって。いつも泣いてた」 後ろから包み込むように手を重ねたゆゆるさんの腕に、顔をそっと埋める。 「でも、今日はなんだか楽しかった。過去を思い出そうとすることよりも、これから楽し い思い出をたくさん作らなくちゃね」 「きおくちゃん……」 微笑んだ記憶ちゃんが、すっと息を吸い込むと、口に手を添えて大きな声を出した。 「みなさーん! ゆゆるちゃんは温泉に入るとー! 大人の身体にー!」 「ちょ、ちょっと、やめてー」 笑いながら走って逃げる記憶ちゃんを追いかけるのは、ようやく元の姿に戻ったゆゆる ちゃん。箱庭館へ伸びる細い道に、賑やかな二人の笑い声が響き渡る。 「まてー」 「やーだよーだ」 ぺたぺたと走るその胸には、4つめの友達バッジ輝いていた。 つづく
284 :
創る名無しに見る名無し :2009/03/14(土) 00:38:19 ID:6fx8J4Ai
投下おわりです。 前回暴れ気味だったので、色んな意味でしっとり系 なのかなー、あーもーウフフ
ししし、省略だとぉぅっ!!? 許せねえ!! だがGJ! 記憶喪失少女にスポットを当ててくれた事にも感謝です! これで書きやすくなったぜ… 少しずつお友達が増えていくゆゆるワールド、いいなぁ…
記憶喪失した少女さんは、作者さんがその記憶に何か秘密を込めているのでは? と、得体の知れない勘繰りをしたあげくそこには振れず、悩みを抱えつつも明るく 振舞う少女。的なムードを出してみたり。 そういえばアジョ中の設定ってどこみたら分かるんだろう。手乗りサイズ…? 外が大雨なので雑談振りでも
なるほどね。いいなぁ、俺もそれでいってみるかな>記憶喪失少女 このスレが終わるまでに何かしら決着がつけばいいんだけどねー アジョ中はね……俺も困ってますw イラストのログ保持ももう期限切れになっちゃったし、GGGwikiの更新を待つしか(誰かお願い>< もともと既出の台詞やキャラ付けは少なかったはず(泣きながら『すまぬ、すまぬ』が印象的)なんだけど、ルパントーナメントで濃いキャラが作られちゃったからねー キャラとして出すならそっちの方がいいのかもだけど、微妙に設定が違っても気にしねえや!アジョだしw 箱庭のアジョ中は量産型なんだよ、きっとw管理人が手塩にかけて育ててるに違いない、というのが俺設定
あと関係ないけど、ジークフリード君を盛背銭湯に突き落としてウマーというワクワク電波を受信したんだが 誰か俺の代わりに書いてくれないかしら?
記憶少女書いたけどどうでもいい設定あるよ! でも本当にどうでもいいから他に面白そうな設定あったら便乗するきマンマンだよ!
俺もアジョはルパンの印象が強いんだ、格好よすぎてw やはり原作者がいると攻めあぐねてしまうのは真実。 ということでルールじゃないけど、ベースにしていただければ 書かれやすくなるかも。と淡い期待を寄せて。 「やさしいゆゆるちゃんの書き方講座」 ・基本的にひらがな ・興奮すると語尾がのびる ・会話の途中で、何かに気を取られたりする 縛られない程度に他のキャラもこういうのがあるといいなあ。
>>290 最近のんびり旋風が吹いてるので、ここはぜひはっちゃけていただきたい!
ならば俺も 「やさしいはさみさんの書き方講座」 ・一人称はわたくし。時代劇口調やクール口調になりそうなのを、ぐっと堪える ・エライと思った相手には丁寧。けっこう露骨。基本的に女の子にはやさしい ・鋏=道具であることに誇りを持っているので、刃で人を傷つけるような事はしない ・意外とへたれポジション。服の皺や刃の曇りなど、身だしなみには気を使うプチナルシー
おお、ちょうどはさみさんも困ってたところなんだ。 大いに感謝!
>>289 そいつはwktk
それじゃ俺も少しずつ手探りで書いてく事にするよー
>>290 そこははっちゃけなきゃ! もっと熱くなれよ!!
っと、ここでちょっと失礼。投下します
ごく当たり前の環境でごく平凡な人格を形成出来た方なら、今日が何の日なのか、既にお分かりの事と思います。
そう、三月十四日はホワイトデー。
丁度一ヶ月前のバレンタインデーに素敵な贈り物を貰った幸せ者が、その相手に感謝を込めたお返しをする日です。
おっと、これは皆さんには愚問でしたね。ハハッ失敬失敬。
「……はぁ」
という訳で。
今日はチョコレートをくれた相手へのお返しを、箱庭の町の商店街まで買いに行く倉刀なんですが……。
なーんか表情が暗いですよ? 道の隅っこで背中を丸めて、とぼとぼふらふら歩いてるし。
倉刀、一体どうしたの?
「暗くも、なりますよ。だってお返しの相手って」
…………。
まぁ、その気持ちはわからんでもないです。
だって……ねえ?
詳しくは
>>205 から始まる一連のSSをご参照下さい。
「はぁ……。ホワイトデーというより、むしろ敗戦処理だよこれ……。
せめて、ゆゆるちゃんかジークリンデちゃんが、もっと早く箱庭に来てくれてたらなぁ」
あー。
もしそうならひょっとして、ちゃんとした女の子からチョコを貰える目がまだ少しはあったかもしれませんね。
…………。
いや、実はいまかなり気を使いました。
自分でもかなり嘘臭かったです。
試しにちょっとシミュレートしてみましょうか。
『やぁ、ゆゆるちゃん。今日は何の日か知ってるかな?』
『???』
『今日はね、女の子が、男の子に、チョコレートを上げる日なんだよ』
『んー。じゃーこれ、あげるます』
『わあ、美味しそうなトリュフチョコだね。とっても不思議な色をしているし』
『とくべつせい、だよ?』
『それじゃ早速、いただきまーす』
ちょ!? 待って!! 多分それ食べちゃダメー!!?
「わぁっ!? ど、どうしたんですか、唐突に?」
ハッ! い、いえ、ただのシミュレート。シミュレートなのですから、お気になさらずに。
そうですね。気を取り直して今度は、ジークリンデちゃんの方を想像してみましょうか。
『やぁ、ジークリンデちゃん。今日は何の日か知ってるかな?』
『知ってるわ。聖ワーレンティヌスの祭日でしょ?』
『うん、そうなんだけど。この国ではね、女の子が、男の子にチョコレートをあげる習慣があるんだ』
『? 知らなかったわ。面白いのね
でもね、ジークフリードはチョコは苦手なの。だから、いつも代わりにわたしが食べてあげてるのよ』
『……そうなんだ。それじゃ、今回は僕に』
『あとね、ショートケーキに乗ってるイチゴや、モンブランの栗も食べられないのよ』
『……へ、へえ。それは可哀相だね』
『全くだわ! あんなに美味しいものばかり食べられないなんて、ジークフリードは本当に可哀相ね!』
『…………』
「お……おおっ、う、うううっ……!」 涙など、とうに枯れはてていたものとばかり思っていた。 だが、受けた衝撃が涙腺を刺激し、とめどなく目から溢れる雫が頬を伝っていく。 ……どれ程の時間、倉刀は涙を流し続けていただろうか。 それすらも定かではなくなる程溢れ続けていた倉刀の涙がピタリと止まった。 倉刀は乱暴に手で涙を拭うと、 「……ふ……ふふふふっ……!」 両手を大きく広げ、 「ふははははははははは――ッ!!」 高らかに笑った。 その表情は、先ほどまでのものとは明らかに違っていた。 女に逃げられた、負け犬のものとは――! 切り立った崖の端に立ち、倉刀は吼えた。 「命をかけた演技が無駄になったな。この僕が貰えるチョコなど――存在しないッ!」 その自信はどこから来るのだろうか。 「どうやら、これはこの倉刀を愚弄するための茶番のようだな。ならば……わざわざ付き合う必要もない」 それは―― 「この箱庭にいる人間を全て、倉斗鳳凰拳の餌食にしてくれるわ! そうなれば、“ホワイトデー”どころではないだろうからな!」 ――誰にもわからない。 「ふははははははははは――――ッ!!」
ごめん、誤爆。 「(゚Д゚;エーッ!! な、なんだよ急にーっ!!」 倉刀ごめん。 「それかなり無理があるだろーっ!! 番号もちゃんと振ってあるしーっ!!」 いや、まぁ。 気にせずお返しを買いに行こうぜっ! 「くっ! ……僕はとても傷ついたんだからなっ!」 ごめんよう。 えっと、キレながらツッコむ倉刀もちょっと可愛かったよ? ほら、よし子みたいで。 「嬉しくないっ! あとこれは別によし子ちゃんに他意があるわけじゃないっ!」 ……あーあ、怒らせちゃった。でもよし子へのフォローを欠かさない辺り、なかなか大したやつです。 倉刀は肩を怒らせながら商店街の道をずんずんと進んで行きます。時々、道端の石ころを蹴っ飛ばしたりして。 ちょっとからかっただけでこの反応ですもの。そういうところもピュアだねえ。管理人のいい餌食だねえ。 「余計なお世話です!!」 あれまあ。 ところで倉刀、お返しは一体なに買うつもりなの? 「……なるべく、”余計な誤解”を与えない物です。 はぁ、何がいいんでしょうね。こういう時」 どうなんでしょうね。何も与えないのがベストな気もしますが。 少なくともこうして倉刀が悩んでる事をネタに、ご飯が三食美味しく食べられちゃう管理人だと思います。 「……もしかして、あの人って……かなりの」 それ以上は言いっこなしです。一応、あれでも同居人の一人なんですよ? んー。やっすい割れ煎でも買うのが良いんじゃないですかね? もうバリンバリンに割れてるやつ。 「あぁ……その手があるな……って、あれ?」 とかなんとかやってたら倉刀が突然立ち止まります。どうしたの? 「……いえ。特にいま関係のない事なんですが。 そういえば近頃、へげぞさんを見ないなぁと」 ……ああ、あーあーあー。 そうですそうです。何か流れがまともだと思ったんですよ。アイツどうしたんだろ? 「最後に見たの、いつでしたっけ?」 …………。 あ、おつかい編からだ! 「…………」 …………。 「……すっかり」 忘れてたね。
投下終了 すっかり忘れてたへげぞ氏の伏線を回収していく予定っす。内輪・楽屋落ち注意!
来るのか! 待ちに待ったおつかい編が完結するのか! よし、じゃあ自分を追い詰める意味でも、 なるべく早く箱庭学園祭編を書くと宣言しておこう ああ、もっと季節ネタには敏感にならないとだめだなぁ
って事で俺乙。某誤爆にも書いたけど、ちょっとした実験中です こういうある意味内輪のスレで、どの程度のネタをやっていいかっていうね いつかやりたいと思ってる創発クロスオーバースレの為のサンプルにしたいから わからんとこあったら指摘してくれると助かります。どんどん濃くしていく予定ですw
倉刀が救われる話って全然ないなあ…… でも、それがいいところ。GJでした! というか、おつかいって途中だったのかw 学園際とな!? 楽しみがふえまくりんぐ!
誤爆www
学園祭編かーwktk ってやべ、俺も早く完結させなきゃ
306 :
創る名無しに見る名無し :2009/03/14(土) 12:50:11 ID:6fx8J4Ai
内輪スレというか、ここは色んなスレ同士が交流できる場所だと信じてるよ! という気迫のage
307 :
創る名無しに見る名無し :2009/03/14(土) 12:57:52 ID:mCSC/MN4
あーそういやキャラも増えたし、お茶会シリーズもまた書かないと 次はどうやってギクシャクさせようかなーww誰か書いてくれるならお任せしますw
ジークフリードは荷物を部屋に片付けると、ベッドに腰を落ち着けた。 窓から見える景色が、異国の情緒を感じさせる。 箱庭館は時代を感じさせる外観だったが、部屋は綺麗に掃除が行き届いていた。 幾人かの宿泊客も見受けられた。そこそこに繁盛はしているらしい。 フカフカのベッドの心地良さをごろごろと感じていると、ノックの音がした。 ドアを開けると自分の姉、ジークリンデが立っていた。 「どうしたの、お姉ちゃん」 「出かけるわよ、ジーク」 「……これから? もう夕方だし、明日にしない?」 「なに言ってんの、だからいいんじゃない」 呆れた顔でジークリンデは、弟の腕を引っ張った。 こらえきれずにジークフリードは廊下へと引っ張り出される。 そのままズンズンと、弟の腕を掴んで歩き出していく。 「ちょ、ちょっとお姉ちゃん、どこ行くの?」 困惑するジークフリードが解放されたのは、箱庭館を出て一つの施設へと着いた時だった。 時代を感じさせる木の看板に『泉温庭箱』と描かれてある。 状況をまだ理解できてないジークフリードに向かって、凄いでしょ? と言いたげに ジークリンデがエッヘン、と胸を張る。 「温泉?」 「そ、温泉。アンタだって疲れを癒したいでしょ?」 「そうだけど、あそこにもあったんじゃないの?」 「あんな何所にでもある便所風呂なんて、入る気が起こらないわ」 (便所風呂じゃなくて、ユニットバスだよお姉ちゃん……) 「やっぱり旅先では情緒溢れる物がいいわよねー。で、管理人に聞いたらここを教えてくれたの。 景色見れる風呂もあるらしいわよ」 なるほど、姉らしい。 まあこういうのも悪くは無い。 それでは、と姉と一緒に暖簾をくぐろうとしたジークフリードを、 ジークリンデが怪訝な顔をして見つめた。 「どうしたのお姉ちゃん」 「どうしたのって……アンタはあっちよ」 姉が指差した先には、同じ様な入り口があった。 青地の暖簾には白抜きで「男」と書かれている。 ふと目を戻し上を見上げると、こちらの暖簾には「女」と書かれてある。 「ひょっとして、僕一人で入るの?」 「当然じゃない、まさかアンタ此処にきて他の女性を視姦する気? このder HENTAI、 我が弟ながら情けないわ。さぞかしお父様も嘆くのだわ」 「ち、ち、ち、違うよ! ただ僕、こんな場所初めてだから……」 「ただ湯に漬かるだけでしょ? 30分ぐらいしたらまた落ち合いましょう」
弟の狼狽を気にも留めず、姉はさっさと中へ入って行った。 後にはポツンと一人、ジークフリードが残される。 「……まったくもう、強引なんだから」 しばらく思案にくれていたが、どうという考えも浮かんでは来ない。 陽は落ちてだんだんと風も寒くなってくる。 ぶるると、ジークフリードは身震いをした。 このままでは風邪を引きそうだ。旅先早々で寝込むとは面白くも無い。 しょうがない、と意を決して中に入る事にした。 中には様々な人がいた。自分よりはるかに年配の人もいる。 各々湯に浸かったり身体を洗ったりしている。 その中をおずおずとジークフリードは進んでいた。 温泉という施設は知ってはいたが、何しろ勝手がわからない。 とりあえず人気の無いところでゆっくりとしたかった。 辺りを見回すと、ふと、一つの湯船が目に止まった。 側の看板には盛背之湯とある。結構な広さの露天風呂だが、湯船には誰もいない。 足の先を入れてみるが、なかなかの湯加減だ。 ジークフリードはこの湯に浸かることにした。 肩口まで湯の中に入ると思わずフゥ、と声が出る。 頭上を見上げると、一番星が輝いていた。 思えば遠くに来たものだ。 旅路の疲れが湯の温かさによって癒される。 頬を撫でる夜風が心地良かった。 「……まあ、こういうのもいいよね」 ずぶずぶと首筋まで浸かり、またため息を洩らした。 両腕で顔を撫でる。 ジークフリードはこれからの事に思いを馳せてみた。 色々と不安を感じるが、日本は治安の良い所と聞く。 大丈夫とは思うが、やはり一抹の心配を感じる。 「お姉ちゃんならどうするかな……」 姉ならどんな所だろうと自分を見失わないだろう。 きっと悪態をつきながらジークフリードを嘲るのだ。 そういう時は、少々姉の性格が羨ましくもある。 しばし思案にくれながら、ジークフリードは湯加減を愉しんだ。 どれほど時間が経ったであろうか。 ふと、備え付けの柱時計をみると大分時間が過ぎている。 そろそろジークリンデと会う時間だ。 ジークフリードは湯からあがる事にした。 「……あれ? あれれ?」
ジークリンデは先に外にでてジークフリードを待っていた。 ガラガラと戸が開き、ジークフリードが出てくる。 姉の姿を見ると、とことこと近づいてくる。 「お姉ちゃん……」 長湯したのかその頬は上気している。 もじもじと、落ち着き無く両手を動かしていた。 「ああジーク、どうだった? 露天風呂もいいものでしょう?」 「あ、うん、お姉ちゃん……あのね」 「ここにいると湯冷めしちゃうわ、さっさと戻りましょう」 「あ、あのお姉ちゃん、その、あの―――」 何か言いたそうなジークフリードを無視し、ジークリンデは腕を掴んで帰ろうとする。 そのままずんずんと帰路につき箱庭館へとやってきた。 中で管理人が二人を出迎える。 「よう、お嬢ちゃん。どうだった?」 「なかなかだったわ」 「そうかい、そりゃよかった。じゃあこれをどうぞ」 そういって二人に服を渡す。 「何かしらこれ?」 「これは浴衣という日本の服さ。宿泊するならこれを着るのが仁義さ」 「JINGI? よくわからないけど、しきたりなら仕方ないわね」 ジークリンデはさっそく受け取り、部屋へと戻ろうとする。 その後ろから、ジークフリードが声をかける。 「あ、あのお姉ちゃん、あのね」 「どうしたの、ジーク? そういえばさっきから何か言いたそうだったわね」 「う、うん……僕、おかしくなっちゃった」 「頭が?」 「そうじゃなくて……」 ジークフリードは服のボタンをはずし始めた。 上着をはだけ、ジークリンデの手をとって自分の胸へと押しやる。 「……え!?」 その感触に、ジークリンデは驚いて目を開いた。
ジークリンデの手に柔らかい感触が触れた。 わさわさと手を動かしてみる。 「お、お姉ちゃん。ちょ、ちょっと……」 「こ、これは一体?」 ジークフリードの胸は、少しばかり控えめに膨らんでいた。 そう、まるで女性の胸のように。 「知らなかったわ……弟と思っていたのが、妹だったなんて…… ジークリンデ一生の不覚だわ」 「ぼ、僕はれっきとした男だよ!」 「じゃあこれは何なの!?」 むにゅ、とジークリンデは胸を揉んだ。 その感触にジークフリードは身悶えした。 「あ、ちょ、お姉ちゃん」 「しかも私より……ジーク、瘤取り爺さんて話は知ってるかしら」 ぎゅう、とジークリンデの手に力がこもる。 その強さにジークフリードはたまらず悲鳴をあげた。 「イ、イタッ! 痛いよお姉ちゃん!」 「おだまりなさい、抜け駆け野郎!」 喧々囂々とする二人に、管理人が割って入った。 「まあまあお二人さん、きっと坊ちゃんはあそこの盛背銭湯に入ったんだな」 「盛背銭湯? なにそれ」 「あ、僕入りました」 「その湯には老若男女問わず、胸を膨らます効果があってな。まあ坊ちゃんはまだ 子供だから、効果が薄れたんだなきっと」 (だから誰も入ってなかったのか……) ジークフリードは目の前が真っ暗なった気がした。 自分はいったいどうなるのだろうか。 「あなた、知ってるのに教えないで案内したわけ?」 ジークリンデは怒りを露にして、つかつかと管理人に歩み寄る。 「おいおい、落ち着けよ」 「これが落ち着いていられるの? 弟をこんな目にあわせて只じゃおかないのだわ。 どうやって責任を取るつもり?」 「責任だ何てそんな―――」
倉刀が夕涼みにロビーに降りると、言い争う声が聞こえた。 カウンターに近づいてみると、管理人が少女から罵倒を浴びせられている。 (……師匠?) 一瞬、ハルトシュラーと見間違えたがよくよくみると違う。 第一トレードマークであるカチューシャをつけていない。 それに、あんなきつそうな雰囲気を漂わせてはいない。 少女の身体には不釣合いな、落ち着いた雰囲気をかもし出している筈だ。 もっとも、口から出る言葉は辛辣だが。 おそらく、またあの管理人が何かやらかしたのだろう。 倉刀は騒ぎの場所へと近づいた。 「いったい、何の騒ぎですか?」 突然に声をかけられ、少女はハッと振り向いた。 アナタ誰? といった表情をする。 「ああ、僕のは倉刀 作。ここに滞在している宿泊客さ」 「そう、私の名前はジークリンデ・ハルトシュラー。そしてこっちにいるのが弟の ジークフリード・ハルトシュラーよ」 (ハルトシュラー?) 奇しくも師匠と同じ名。 何か縁でもあるのだろうか。 師匠との関係を聞きたかったが、騒動とは無関係だ。 第一、この子達と倉刀は初対面である。 「これはご丁寧にどうも」 「そして俺が、箱庭館の管理人さ」 「アンタには聞いていない」 軽く聞き流し、倉刀はジークリンデに尋ねた。 「それで、何を言い争ってたんですか?」 「実は―――」 ジークリンデが手振りを交えて倉刀にこれまでの経緯を説明した。 すでにジークフリードは涙目だ。 詳細を聞き終え、がっくりと倉刀はうなだれた。
「アンタ、僕以外にも懲りずにやってたのか……」 「ハハ、細かい事は気にするな兄弟」 「あー、うん、喋るな。……え、と、ジークフリード君だったね」 「はい」 「一日だけなら、数日あの湯に入らないでいたら元に戻るよ」 「本当ですか!」 「うん。僕の場合はもっと胸が大きくなったけど、三日で元にもどったよ。 それ以上入っていたらヤバかっただろうけどね」 「俺はそれでも構わないんだぜ?」 「アンタには聞いていない」 倉刀の言葉を聞いて、ジークリンデとジークフリードは安堵した。 「よかったわね、ジーク」 「うん、よかったよお姉ちゃん」 「じゃ、もう寝ましょうか」 部屋へときびすを返すジークリンデの手を、ジークフリードが掴む。 「……今度は何?」 「あの……治るまで、ううん。できれば一晩だけでもいいから一緒にいてくれないかな」 「はあ? なんで?」 「大丈夫だと思うけど、心細くて……駄目かな」 「駄目に決まってるでしょ」 あっけらかんとジークリンデは言い放った。 「婚前の娘が殿方と一緒の閨を共にするのはいけないのだわ、たとえ姉弟だろうと。 話を聞いたでしょう? 治るんだからしっかりなさい」 それを聞いてジークフリードは顔を曇らせた。 「まあ、異国の地でこんな事があって不安なんだね。よかったら僕が寝るまで側にいようか」 「あなたが?」 「小さい頃は子供のお守りをした事もあってね。まあ初対面だから断られてもしょうがないけどね」 ジークリンデはまじまじと倉刀を見つめた。 のほほんとした雰囲気だ。すくなくとも悪い人には見えない。 仲裁にやってきたのも、根がおせっかい焼きなのだろう。 それにわざわざ、滞在している宿で揉め事を起こすとは思えない。 ジークリンデはしばし考え、ジークフリードに尋ねた。 「だって、どうする? ジーク」
ジークフリードと倉刀は、浴衣に着替えて部屋にいた。 しばしの間ジークフリードは悩んでいたが、結局倉刀の案をうける事にしたのだ。 ジークフリードは人見知りをしていたが、やがて似たような境遇に親近感を覚え、 しだいに倉刀と打ち解けていった。 「そうですか、そんな事があったんですか」 「うん、あん時は師匠の突拍子の無い言動にビックリしてね」 「あはは、僕もお姉ちゃんの行動に振り回されてですね」 部屋で小腹を満たしながら会話を交わす。 そんな事を続けていると、ジークフリードが欠伸をかみ殺した。 「ああ、ねむくなって来た?」 「……はい。すみません」 「謝る事ないよ、色々あったからね」 少年の身には旅路は疲れるものであろう。 ましてや、こんな事があったのだ。気が抜けるのも無理はない。 少年に眠るように促し、倉刀は部屋を出ようとした。 「まって下さい……倉刀、さん」 「なんだい?」 「その、あの、初対面の人に頼むのもどうかと思いますが、一緒に寝てくれますか? 姉にも呆れられますが、生来の怖がりなものですから……」 「はは、そんな事か」 倉刀は明るく笑った。まだ親と離れたくない年齢だ。 人恋しくなるのも無理はない。 人助けは師匠も無言で推奨するだろう。 「ちょっとベッドが狭くなるけど、いいかな?」 「ええ、構いませんよ」 倉刀は、ジークフリードに付き合ってやることにした。
すうすうと、背中越しに寝息が聞こえる。 どうやらジークフリードは寝入ったようだ。 自分も寝入るまで、倉刀は考え事をすることにした。 ジークリンデとジークフリード、対照的な二人。 そして師匠と同じ、ハルトシュラーという姓。 師匠か二人にその事を聞きたかったが、はたして喋ってくれるだろうか? (まあ、いいか) どのみちこの箱庭館に同じく滞在してるんだ。 顔を合わせれば、おのずとわかる事だろう。 「それに、世間じゃあ似たような人は三人いるっていうしな」 姓の件も、日本の鈴木や佐藤といったような感じなのだろう。 あまり気にする事ではない。 そう思い直し、倉刀は肩口にシーツをかけなおした。 「う……ん……」 倉刀が動いたのにあわせて、ジークフリードも寝返りをうった。 倉刀の背に、ジークフリードの胸の感触があたる。 温かい、子供特有の体温を感じさせる。 両手が間で押さえつけられるのか、ジークフリードは無意識に手を伸ばし 倉刀の脇から前へと腕をまわす。 背中越しに抱きつくような格好になった。 さらに胸の感触が強くなった。 ぷに。 そんな音が倉刀に聞こえた気がした。 実際には幻聴であろう。 なぜなら、その音は背中に押し付けられた胸から聞こえてきたのだから。 少女の未発達な乳房。 それが背中を通じ、倉刀の心臓を鷲掴みにする。 師匠に従っての修行の毎日である。 そのような倉刀に、女の性は激しく心を動かすものであった。
(―――女、いやいや待て。相手は少年だぞ、少年。落ち着け倉刀) 大きく深呼吸をする。 相手は少年、自分は何を考えているのだろうか。 倉刀は自分の不明さを恥じた。 そんな倉刀を戒めるかのように、ジークフリードの両腕が締まる。 まだ筋肉がついていない、少年の腕。 そして背中越しに感じる、ちんまりと自己主張している胸。 ふに。 その柔らかさと温かさが、倉刀の身体を駆け巡った。 倉刀は思わず、身を硬くした。 (揺れるな俺の心、揺れるな俺の心、相手は少年、しかも俺を慕ってきたのだぞ! 落ち着け、素数を考えて落ち着くんだ、素数は1とその数字でしか割れない孤独な数字 僕に力を与えてくれる―――) 「うん……」 ジークフリードが身悶えし、倉刀の背中に頬擦りするような格好になった。 倉刀は身震いをした。 (落ち着け、落ち着け、素数を考えろ―――2、4、6、8、10、12……) それから三日三晩、ジークフリードに請われ、倉刀は眠れぬ夜を過ごした。 倉刀の姿をみたハルトは、こう呟いたという。 「漢の顔になったな、倉刀」 倉刀は乾いた笑みを浮かべてこう返したという。 「士、三日会わざれば克目して見よですよ、師匠」
オチのやり取りに吹いたwww
まず弟の温泉話がここまでの大作になっている時点で吹いたww それからもう、いちいちあげたら1レス埋めちゃいそうなぐらい おもしろかったwwww GJすぎる!
ジークフリードくんかわえええw 理性を保つ倉刀も中々に漢だぜw
1/9ってとこでまず自分の目を疑ったよww想像以上にはっちゃけてるし そしてまたも人間関係が複雑に。これは閣下と姉弟の邂逅が楽しみ 変な温泉設定作ってよかった! おっぱいジークフリードばんざあい!
これはwww どんな性格であれハルトシュラーの名を冠すると、 周囲の男は大変な目に合うのね……
なんという男の顔
なかよしハウス第八話『ふりーどくんのあやまち』 床にはまだひんやりと冷たさが残る早朝。ひとけのないロビーでは木枠の窓から射し込 んでくる朝陽が、浮かぶほこりをふわふわと幻想的に輝かせている。 そこには一人の少年が、ある張り紙を前にして首を傾げていた。 「お悩み相談所?」 少年の名前はジークフリードくん。おてんばなお姉さんと共に最近この箱庭館にやって きた、なんだかとっても気の弱そうな男の子である。 「色んな人がいるかと思えば、こんな部屋まであるんだ……」 関心しながらドアノブに手をかけ、迷わず、しかしゆっくりと扉を押し開く。 施設的な名称を付けられたその部屋に、まさか魔女が生活しているとは知らずに―― 空いた隙間から流れ込んでくる、少しだけ暖かい空気と甘い香り。 すーっとそれを吸い込んだフリードくんの目に入ったのもは、ベッドの上で白いシーツ からはみ出したウサギのスマイルプリント。そう、ゆゆるちゃんのお尻であった。 扉に気が付き、もぞもぞとシーツを引きずりながらベッドから降りてくるゆゆるちゃん。 それを見て徐々に紅潮し始めるフリードくんが思わず声を出す。 「あ、あの……」 ゆゆるちゃんは自称400歳ぐらいであるのだが、見た目はただの小さな女の子であり、 多少パジャマがはだけていたところで、単に微笑ましい朝の光景と言えなくもない。 ただ、同い年ぐらいのフリードくんにとっては、そうもいかないようだった。 「ご、ごめんなさい!」 ばたんと閉めた扉に背中をあずけ、堅く目をつむって胸の鼓動を押さえる。 「ひ、人がいるなんて思わなかったんだ!」 「きがえるので、おまちください」 「はい……」 思わずそう返事してしまうフリードくんは、扉の向こうで聞こえる衣擦れの音に顔を赤 らめながら、かちゃりとドアノブが回る音に背中を浮かせた。 「おはいりなさって」 「う、うん」 再び静かに閉じられたドアには、営業中のプレートがゆらゆらと掲げられていた。 ☆ ☆ ☆
「じゃ、じゃあ。ゆゆるちゃんはここで色んな人の悩みを聞いてるんだ」 「たちまちかいけつします」 「そうなんだ……優しいんだね。お姉ちゃんとは大違いだ」 自信満々のゆゆるちゃんとは逆に、フリードくんはどうも落ち着かないといった様子で、 なかなか目を合わせようとはしない。初対面が可愛らしいお尻だったとあっては、それも 仕方のない事だろう。 「では、おなやみをどうぞ」 フリードくんにも悩みはある。 それはお姉さんの奔放っぷりや、自分の気の弱さもあるのだろうが、やはりそのへんは 「童話と民話創作スレ」あたりを参照してもらう事にして、今この時点では、得体のしれ ない箱庭館で上手くやっていけるのかという不安も大きい。 「――でも、ゆゆるちゃんみたいに可愛くて優しい子がいるなら、僕頑張るよ」 目を伏せながらもそう決意するフリードくんであるが、ゆゆるちゃんは進級試験のため に悩み相談所を開設している訳で、それが優しさからくるものなのかと言えば、ここには 多少の疑問が残る。 そんな事情を知らないがゆえ、ゆゆるちゃんを天使のように勘違いしてしまったのだろ うが、いくらなんでも魔女と天使では月とスッポンなのである。 「また、遊びに来てもいいかな」 「もちろん」 爛々と輝く熱いまなざしを最後に残し、音も無く扉が閉まる。 ぽつんと部屋に残されたゆゆるちゃんの胸には、今までとは違うガラスのハートバッジ が現れていた。 その中にはピンク色の液体が半分ほどまで入っている。 「あいじょうにんていバッジ……」 さてさて、今まで集めていた友達認定バッジは、友達ができれば一つ加えられるという 大変分かりやすい設定であったのだが、愛情認定バッジとは一体なんなのか。 「このピンクがたまると、ともだち10にんぶん」 と、こちらも非常に分かりやすく、人に愛されることでピンクの液体が溜まっていくらしい。 一体いくつのバッジを集めれば試験に合格するのかは分からないのだが、フリードくん の中に湧き上がってしまった半分ほどの恋心が満たされれば、これは大変な進歩と言える だろう。 「ゆゆる、がぜんやるきわいてきた!」 動機が不純と言えなくもないが、フリードくんのハートを射止めるために鼻息を荒げる ゆゆるちゃん。 颯爽と広げた本をぱらぱらとめくり、ぴたりと手を止める。 “ふんわりハートであの子をゲット! ラブリービスケット「徹(テツ)」” 魔女の愛情表現といえばもちろん、心のこもった手作り料理なのである。 ☆ ☆ ☆
誰もいない食堂で、時計がこちこちと音を響かせる。並んだテーブルの隅で向かい合う ゆゆるちゃんとフリードくんの間には、可愛らしく包まれた一つの袋が置かれていた。 「こ、これをくれるの? 僕すっごく嬉しいよ!」 フリードくんはお世辞にも幸福とはいえない人生を送ってきているため、目にはもう涙 などが浮かびはじめていた。ゆゆるちゃんも満面の笑顔でそれに答える。 「わあ、ビスケットだ!」 その包みから現れたのは形こそいびつであれ、どこからどう見てもビスケットそのもの なのだ。いや、普通であればこんな表現はおかしいのだが、そう書かざるをえないところ がゆゆるちゃんらしい。 「いただきまーす」 ――昼下がりの箱庭館。 どかんという鈍い爆発音が、古ぼけた天井からぱらぱらと砂埃をこぼした。 「なんで……どうしてこんなことを……」 咳き込みながらゆゆるちゃんに目をやるフリードくん。 その口や鼻からは、灰色のハート型をした煙がぽわぽわと噴出している。 「ゆゆるのこと、もっとすきになってくれた?」 「と、友達からで、お願いします……」 溢れる涙を堪えて閉じた口が、残ったビスケットを噛み潰し、再びどかんと爆発した。 「お姉ちゃん、僕もう帰りたい……」 こうして結局ゆゆるちゃんの愛情バッジは儚くも消え去り、替わりに現れた友達バッジ は、なんだかいつもよりも輝きが鈍いような気がする。 「おとこごころって、むつかしい」 ちょっぴりだけ大人の階段を登ろうとしたゆゆるちゃん。 400歳という年齢が、人間に換算すると一体どれほどなのかは定かではないのだが、 男心よりも先に学ばねばならないことが、まだまだ盛りだくさんなのでる。 つづく
328 :
創る名無しに見る名無し :2009/03/15(日) 21:11:37 ID:bmxC2snC
良作ラッシュの中、恥ずかしながらも投下終わりです。 図らずも、フリードくん受難2連発に。 でもそれはきっと愛されてる証拠なのです。
投下したものの、せっかく絵師さんが書いてくださった絵を流しちゃうのもあれなので
アンカーしちゃいます。
>>322 何回見ても良い男w
ジークフリードと倉刀がなんか被るなw
ちょwwジークフリードなんか災難w
前向きに考えるんだ 例えばメンバーを2チームに分けたときに、どっちも受難キャラがいると!
倉刀は困らせられるタイプ、ジークフリードは困らせたくなるタイプだと思うんだ
倉刀が凄いことになってるけど、投下するよっ!
「長巻って武器の長巻ですか?」 「ああ」 僕の部屋の入り口で、珍しく管理人さんが声を掛けてきたと思えば、いきなりそれだった。 なにやら頬に切り傷。いや、全身がボロボロで、目つきもそれとなく真摯なものに見える。 状況が理解の範疇を超えて、僕は傍と戸惑った。 「えっとー。状況から察するに、戦いに負けるなり辛勝するなりで、もっと強い武器が欲しくなったわけですよね?」 「ああ、そうだよ。俺の棒が不全でな」 「いや、なにと戦ったんですか?」 そこはかとなく下に進む会話を遮り、まずはと疑問を口にする。 ちなみに長巻とは、戦国時代に流行った薙刀と太刀との中間にある武器で、腕力が必要だが容易に扱える武器として知られる。 ちょうど柄と刀身が1:1程度の割合を持つ武器のことだ。 「男が棒を磨くのは、女に対してだろう?」 「意味が分かりません。というか、師匠に頼めばいいじゃないですか」 「それは意味がないんだよ」 「はぁ……」
なにやら訳有りな様子に、しばし悩む。 体つきから察するに、管理人はなにか武術をやっているような筋肉質なものだった 長巻術、と言われると確かに厚い手の皮や、適度に鍛えられたしなやかな四肢から用意に察することができる。 それらはこの館の管理で身に付いたと思っていたが、どうやらそうではなかったらしい。 「それで、僕になにか利益があるんですか?」 「……そうだな。手伝ってくれれば、利益があることは約束する。だが」 「だが?」 「それ以上にこれは、男のプライドを掛けた戦いだ」 「………」 管理人さんの眼に、見えない炎が揺れた気がした。 ゆらりと目に見えるほどではなく、しかし、業火と呼ぶにふさわしい闘志の炎。 それは師匠が創作にかける熱意と同じ類のもので、僕はバネに弾かれたように返事をしていた。 「僕の力量が役に立つと言うのであれば、やらせてください」 「恩に着る」 なんであれ、彼に男の目をさせる。いや、修羅と同じ目をさせるほどの熱意を向けられて、創作者として応えられないわけがない。 曲がりなりにも偉大なる師を持つ身。これは、一作り手の性ともいうべきものだった。 「期日は2週間。お前が出来る最高の業物を頼む」 「わかりました。必ず僕の限界の作品を、いや、限界を超えた作品を作ってみせます」 僕らふたりにしては珍しい、なにか純粋な熱を帯びた誓いが、ここに一つ交わされた。
まず問題となったのは、刃金と皮鉄に使う玉鋼だ。 刃物に関する技術の高い日本は、同時に一般の理解が少なく規制は厳しいものとなっている。 玉鋼の供給は日本美術刀剣保存協会が行っており、刀匠以外には販売していないのだ。 さらに最高クラスの1級Aは、需要の低下によってたたら製鉄の操業回数が減少し、手に入る刀匠は数が限られている。 「……自力で作るか?」 この製鉄方法は、三日三晩の時間と道具、材料があれば可能である。 いや、その材料が問題なのだ。 良質な砂鉄が取れる河川など限られているし、それが身近にあるわけではない。 なにより、この町を出ようにも、電車がこないではないか。 「どうしたの?」 「ああ、ゆるるちゃんか」 悩みごとをしていたら、どうにも庭を歩き回っていたらしい。 深く物事を考える時の小規模な放浪癖は、僕の悪い癖だ。 「んーちょっと、頑丈な鉄が必要でね」 「ほうほう」 「まあ、ゆるるちゃんに言ってもしょうがないんだけどさ」 「なるほどよくわかりました。キャンディどうぞ」 「ありがとう」 「ちょっとまってください」
疲れた頭には、糖分が必要か。 いや、きっと彼女はそんなところにまで頭が回ってはいないのだろうけれど、自分の思考を柔軟にするためにそう捉える。 んー。これは師匠に頭を下げて鉄を譲ってもらうか。いや、長巻に使う鉄の量は多い。きっと足りないだろう。 しかし、正当な手順を踏むと、時間が掛かりすぎるし、なにより長巻が規格外刀剣扱いになる。現在の銃刀法では新たに製作できない。 刀匠の免許も持たない僕が手に入れるのは、非常に難儀なことだろう。 「これをどうぞ」 「へっ?」 新たな思索に飲まれていた僕は、彼女がなにかを行っていたことに気が回らなかったようだ。 彼女の手には、鈍いピンク色の光を放つ金属の塊のような物が握られていた。 色を除けば、それはなにか加工前の金属であることは分かる。 「なんか、高そうだけど、貰っていいの?」 「どうぞどうぞ。おだいはけっこう」 悩むが、彼女に科学では説明が出来ない不思議な力があることは分かる。 しかし、この金属の特性を検査する間に、鉄を手に入れる時間はなくなってしまうに違いない。 刀とは、鉄の特性を理解し、その上でその特性を最大限に生かす技工なのだ。 「おともだちのピンチを、ゆゆるはみすてられません」 「ゆゆるちゃん……ありがとう。使ってみるよ」 彼女の魔法の力と、なにより彼女の友情に、僕は賭けてみることにした。
11レスとかwww 支援
「これが僕の限界です」 僕が鍛え上げた刀身は、加工前のピンク色から離れ、白銀の輝きを有していた。 管理人の長身を考えて柄、刀身は共に長く、軽量化を図るために樋を二本掘り、出来る限り棟を盗んだ。 刃文は古いが見目もよい大乱れで、見栄えはしないが実戦を考慮し蛤に研ぎ、反りは浅い。 なにより最大の特徴は、この巨大な刀であっても軽く感じる全体のバランスだろう。 「こいつは、見事な大業物だ」 「ありがとうございます」 だが、ここまでの仕上がりになったのも、全てはゆゆるちゃんのチートのお陰だった。 軽く丈夫で、折れず曲がらず、鉄ではないが容易に焼きが入り、加工しやすい。 まさに刀工にとって、夢の金属。いや金属であるかも怪しいが、この金属の真価を活かしきれたとは言えない。 それでこの出来だ。きっと師匠が扱えば、鉄すら斬る名刀となっただろう。 「銘はなんという?」 これならば、技術で劣ろうとも、師匠の刀を上回ったかもしれない。 プラスティックの刀と鋼の刀を比べるようなレベルで、技量とは関係なしに根本的な差がありすぎる。 「それは、あなたが目的を果たした時に」 「そうだな。ああ、それがいい。時間だ。共に行こうか? 成果を見届けに」 「分かりました」 鉄をも斬り裂く剛刀を背中に差し、男たちは歩み始める。
管理人が足を止めたのは、箱庭館の裏庭だった。 鬱蒼と茂る竹林と館の壁との間には、採光のために、やや広い庭が設けられている。 そこにはすでに先客が待っていた。 「次はないと言ったのだがな、管理人」 「俺は早いが数で補う主義でね、いくらでも再戦させてもらうよ」 なにやら剣呑な会話を交わし、師匠は腰の刀に手を当て鯉口を切り、管理人は背から長巻を引き抜く。 半身に構えるお互いが、どちらも目が本気だった。 「その刀、まさか……クラム・オブ・ヘルメスか?」 長巻を見て師匠がつぶやいた伝説の金属の名前。 なるほど、あの奇跡的なまでの加工のし易さとこの出来は、まさしく伝説であろう。 「しかし、今度は倉刀も共犯とはな。もう一切の手加減はせぬぞ? 死ね」 「いい言葉を送ろう」 瞬間、管理人の動きが目では捉えられなかった。 「ほうっ」 「追い詰められた狐はジャッカルより凶暴だっ!」
あの長大な武器を振るい、その威力をバネに爆ぜるような移動。 その勢いに任せて袈裟懸けに一刀。リーチを生かした突き。払い。反転回し蹴り。 緩急の波は激しく、元より身体的なリードは、武器の間合いがさらに広げる。 「くっぅ……」 いや、それだけじゃない。わずかだが、師匠が押されている。 管理人さんは、意外だが。本当に、ほんっとうに心の底から意外だが、強い。 それも人外と呼んで差し支えない師匠に並ぶほどに、異常なほどに、強いのだ。 「もっと! もっとだ! 俺に生きる実感をくれ!」 瞬間、僕はどちらを応援すべきか、分からなかった。 誓いを立て、自らが鍛えた武器を持つ友が、師の持つ魔剣を打ち負かすのを望むのか。 それとも、自らが敬愛する師匠が、やはり無類の強さを持って安堵を与えてくれるのか。 「与えてやるさ! 私の一太刀でな!」 ふざけた管理人の調子に合わせ、師匠が吼える。 だが、確実にじりじりとだが師匠は押されているのだ。 お互いが人と思えぬ動きで、人と思えぬ戦いを繰り広げ、そして払い間をとった。 「なるほど、確かに強いな」 「引く気になったかいお嬢ちゃん。ガンガン攻めるのもいいが、敵わない相手には身を委ねるほうがいいぜ?」 「黙れ。といいたいが、なるほど、私では貴様には勝てん」
「――だが」
師匠の魔剣が揺れる。 陽光を浴びて、芸術的な刃文が鈍く輝く。 「私は」 構えは、示現流。 高く刀を掲げ、八双より更に高く。やや寝かせたもの。 それは、トンボと呼ばれる構え。 「創作の魔王」 飛行。 三足で3間の距離を一呼吸のうちに詰めるといわれる歩法。 まさしく、彼女は飛来するように距離を詰める。 「ハルトシュラーだっ!」 ただ一太刀、豪快な袈裟。 初手に管理人が使った剣技。示現流、一ノ太刀。 だが、その攻撃は管理人の見切った動きであり、また、その速さも管理人の比ではないほどに、頼りない。 「はははっ俺の負けだ」 そして、続くはずの突きと払いは、彼女の刀から振るわれることはなかった。 その一太刀を受け、僕の鍛えた長巻は、ただ一刀の元、両断されていた。 師匠は素早く太刀を返し、金打の音すら残さず、鞘に収める。 「剣術で負けようとも、創作には負けず」 鉄をも斬り裂く剛刀は、伝説をも斬り伏せる魔剣に敗れた。 それを認識したのと、管理人が物凄い速度で僕を抱えると、一目散に駆け出したのは、ほぼ同時だった。
「はぁ……はぁ……あの魔王には勝てないか」 「いや、凄かったですよ。正直見直しました」 「やめろ。男にフラグが立っても気色悪いだけだ」 川原まで逃げて、並んで夕焼けを眺める。 息はとっくに切れており、戦わずただ共に逃げた僕でさえ疲れがピークに達している。 尋常ではない剣術の腕に、そしてその剣豪が僕の刀が振るったという事実に、例えようのない興奮が僕を包んでいた。 「師匠より剣術が上手い人なんて、初めて見ましたよ」 「そうかい」 タバコを咥えると、慣れた手つきで火を着ける。 優しい香りの煙が僕らを包んだ。 立ち登る紫煙が、風に巻かれてフラフラと頼りなく消える様を、しばし呆然と眺めて、それから彼に問う。 「なんで師匠と戦ってたんですか?」 「あ? 言ってなかったか?」 「ええ、聞いてません」 一口、煙を口に含む。 吐き出す白煙は、名残を惜しむかのように彼をまとって、それから消えた。
「ふむ、裏庭からはベランダが見えるな?」 「ええ、ちょうどベランダの直下ですから」 「つまりだ」 「はい」 空気が凍る。悪寒が走る。 今、僕はナニか聞いちゃいけないことを聞こうとしている。 だが、好奇心がそれに勝った。 「あの位置からだと盗撮に、下着奪取し放題なんだ」 「あ゙あ゙?」 「長巻にしたのはな。ほら、日本刀じゃベランダに届かないが、長巻か槍なら届くだろう?」 「えーと、つまりですね? 下着泥棒を手伝わせたと?」 「役得があるだろ? 嘘は言っていない」 「おいこらてめぇ! 僕も共犯に認定されちゃったじゃないですか!」 「うるさいっ! 共犯じゃないかっ!」 「どんな顔して帰ればいいんだよおおぉぉぉおぉおおぉ!」 綺麗なオレンジ色の空に、野郎どもの絶叫が木霊した。 - 終わり -
乙www 倉刀も負けじと受難だなwww
くだらないことにどうしようもない全力を尽くす、それが男という生き物だと思うんだ 正直やりすぎたと思っている
ちょwwwwそんなオチwwww
351 :
便乗 :2009/03/16(月) 11:58:05 ID:dSOS1AEn
はさみ(…………) はさみ(あれこそが、薩摩示現流一ノ太刀!) はさみ(閣下ほどの達人を以ってすれば、あれ程までの鋭さを放つのであるか……) はさみ(そして倉刀君の、長巻) はさみ(慣れぬ金属を使用しており経験ゆえの荒さも目立つが、それにもましてあの切れ味……!) はさみ「ふむ……。どうやらわたくしも、負けては居られぬようだな」 フェアリー「『負けて』って、はさみさん……もしや貴女も下着泥棒を?」 ジークリンデ「男装なんかしてるからまさかとは思ったけど、これは確実ね」 記憶少女「私、怖い……もう何も信じられない」 ゆゆる「おふろにはいらないわたしかちぐみ」 はさみ「エーッ!? ちょ、ちがっ!? 同じ刀としてとか剣士としてとか、そういう意味!!」
は、はさみさんは女の子だよう><
>>336 管理人さん、えろいけど筋が通っててカッコいいww
こういう戦闘がかけるのはうらやましいなあ。
おもしろかたw
>>351 きっとあれだよ、はさみさんは洗濯物がほつれてたから
ちょきんとやりたくなったんだよ!
しかし凄まじい投下量だw
. |:::ノ |ノ _,、-ー':':':':':':':':'-.、_ / :::: .:::.. ::::::.....ヽ, ./ ..::::::i,:::_:,i,:,:_l:,:,:i、_:,:,::::i, .l...:::::,-' ,-- ---、l:i,, l::::::::l _ l::l 人人人人人人人人 l::::::::l ,、--、 , '~ `-l::l < > l::::::::l ,、、、、, .l::l < たのしくはこにわ! > l:::::::::l '' l l .ノ,::l < > l::::::::::`-、,,_ '、,、-'''''''< lノ ヽ/ヽ/ヽ/ヽ/ヽ/ヽ/ヽ/ l:::::::::::::/ ヽ~,l l l l::::::::::::l \-, l l l_::::::::::l `i l '、 ~`'''-i, _、-''~l .lノ '、 / `-'' lヽ, .l:: :'i / l: : ヽノ: :'i、. / ):: :: : : :: l つ l ノ: : : : : :ノ mつ
朝、ジークフリードが目を覚ますと、ジークリンデの姿はすでに無かった。 どうやら自分をおいて出かけたらしい。 机には書置きが残されている。 起こしたけど起きなかったので出かけます 朝食は頂きました ジークリンデ 壁にあった時計をみると、九時を少しまわった所だ。 いったいこんな早くからどこへ行ったのだろう。 まあ、考えが突拍子も無いのはいつもの事である。 「ここのメニュー、何があったっけ」 自嘲して、身だしなみを整えるとジークフリードは部屋を出た。 廊下を歩くと、ところどころで騒がしい。 この箱庭館に来てから幾人かと挨拶を交わした事があるが、ずいぶんと個性的な 人たちが集まっているように思える。 今まで姉はとんでもない人物だと思っていたが、他にも大勢といた。 世界はやはり、広いのである。 とりあえず、当分ビスケットは食べたくないな。 そんな事を考えながら一階の食堂にたどり着くと、管理人と出会った。 「おはよう、ジークフリード君」 「おはようございます」 「ああ、悪いね。朝食は君のお姉さんが二人分食べちゃったんだ」 「わかってます。すみませんが、作ってもらう事はできますか。料金はお支払いしますので」 「ああいいよ。何か要望はあるかい?」 「出来れば、バタートーストとコーンポタージュを」 「あいよ」 席に座って本を読んでいると、やがて料理が運ばれてきた。 甘い匂いと温かさが食欲をさそう。 遅めの朝食をとりながら、ジークフリードは管理人に尋ねた・ 「お姉ちゃんがどこへ行ったのか、わかりますか?」 「うーん、残念だけど知らないな。悪いな」 「いえ、ありがとうございます」 行き先も告げずに飛び出すのはいつもの事だ。 多分夕方頃には帰ってくるのだろう。 「僕はどうしようかな……」 本屋か図書館でもあればそこに行くのだが、この街の地理にはまだ詳しくない。 とりあえずジークフリードは箱庭館の周りを散歩する事にした。
箱庭館の後ろには、綺麗な庭があった。 所々に卓と椅子が設置されてあり、くつろげるようになっている。 箱庭館の宿泊者が、ここでティータイムを愉しんでいるの見かけた事がある。 ジークフリードはその中を進んでいた。 「わぁ……」 ジークフリードの前にひらひらと、ピンクの花びらが舞い落ちた。 自分の何倍もある木から舞い落ち、その周辺を染めていく。 「もしかして、これが桜?」 図鑑で見た事はあるが、実物を見たのは初めてだ。 ジークフリードは、しばしその光景に目を奪われた。 舞い落ちる花びらと、木々のさんざめきが心を落ち着かせる。 「綺麗だな……」 どれほど時間を忘れて見上げていたのだろうか ジークフリードは、後ろから声をかけられた。 「桜が好きか、少年」 そう尋ねられ、ジークフリードは後ろを見ず返した。 「ええ」 赤や青とは違う、柔らかな色。 それが辺りに舞い落ち、桜色に染め上げる。 目を奪われないという方がおかしいというものだ。 「でも、実物を見たのはこれが始めてですけどね」 はにかみながら振り向いたジークフリードは、次の瞬間 キョトンとした顔に変わった。 「……お姉ちゃん?」 そこには見知った女性が立っていた。 自分がよく知る人物、ジークリンデである。 ジークリンデは、ジークフリードの顔を見ると驚いた顔をした。 しばし呆然としたが、ニッコリと微笑みこう言った。 「私は君のお姉さんではないよ、ジーク…フリード。私の名前は……ハルト、 ハルトと呼んでくれ」 「あ、すいません。ハルト…さん」 ジークフリードは相手をもう一度見てみた。 なるほど、自分の姉によく似た人物だ。 だがよく見てみるとどこか違う。 何が違うと聞かれても答えようがないが、しいていうならば雰囲気か。 姉とは違って落ち着いて大人びた雰囲気だ。 それに、カチューシャをつけている。 姉がそういった類の物を身につけていた所は、生まれてこの方見た事が無い。 うっとうしいから、という理由で装飾品はつけたがらないはずだ。
ジークフリードは向きなおって、会釈した。 「ごめんなさい、お姉ちゃんに似ていたから」 「世間にはよく似た人物が三人いるというからな」 「あはは、そうなんだ」 「立ち話もなんだ、あそこで座りながら話でもしないかね」 ハルトは近くにある卓を指差した。 ジークフリードはうなずき、そこへ座ることにした。 両隣に座って、一緒に桜を眺めているとハルトが口を開いた。 「桜は、何故綺麗かわかるかね。ジーク」 「……うーん、なんだろ」 「一説によれば、桜の下には死体が埋まっているという」 「……それ、ホント?」 怪訝な顔をしてジークフリードは、ハルトの顔を見つめた。 ハルトは視線をそらさずに真っ直ぐ前を見ながら続けた。 「桜は人間の死体から血を、精気を吸い取り幹へと宿らせ、花を咲かす。 だからこそ、紅いのだと」 「……怖いね」 ジークフリードは桜の根元を見つめた。 それが本当なら不気味な事この上ない。思わず身震いをした。 だが次の瞬間、ハルトは笑って答えた。 「……まあ、それが本当なら、桜並木の通りには死体がいっぱいあるわけだが、 それを植えた工事業者達は殺人集団という事になるな」 「ハハ、そうだよね!」 つられてジークフリードも笑った。 それから色々と桜や、周りにある花の話を続けていると、倉刀がやってきた。 「ここに居たんですか師匠、探しましたよ。それとジークフリード君、こんにちは」 「こんにちは倉刀さん……師匠?」 ジークフリードは隣のハルトを見た。 姉と変わらなさそうな年代の少女、それが大人の倉刀の師匠とでもいうのだろうか。 「あ、そうか。君の隣にいるのが僕の師匠、ハルトシュラーさ。 こう見えても、僕なんかよりずっと経験を積んでいるんだよ」 ジークフリードは倉刀とハルトを交互に見つめた。 どうやら本当らしい。 大人びた雰囲気を感じさせるわけだ。 「あ、どうもすいません、ハルトシュラーさん」 「そんなにかしこまらなくていい、ハルトで結構」 「あ、はい」
それにしても……とジークフリードは思った。 「奇遇ですね、僕の姓もハルトシュラーなんです。ジークフリード・ハルトシュラー」 「でしょう? 偶然の一致て凄いですよね、師匠―――」 「倉刀」 凛とした声で、ハルトは倉刀の声を遮った。 「私を探しに来たのは無駄話をするためではあるまい、何か伝えに来たのであろう」 「あ、すんません」 はっとした表情で、倉刀は帽子をかぶりなおす、そして困った顔をしながら答えた。 「実は……鋏さんと管理人が決闘をしてまして」 「ほう」 「仲裁に入ったんですが……他の皆さんは遠巻きに眺めてるだけでして」 「ふむ、それはわかった。しかし何故私が出ねばならんのだ?」 「あの…その…言いにくいんですが、懲りずに……下着泥棒を試みようとした管理人を 濡れ衣をはらす! とはさみさんが真剣を抜いて大立ち回りを……」 「ほほう」 空気が張り詰める音を、ジークフリードと倉刀は聞いた。 殺気によって温度は下がるのだという事を二人は覚えた。 「あの下衆、二度ならず三度までも……修羅の貌も三度までという事をその身体に教えてやろう」 ゆっくりとハルトは立ち上がった。 ジークフリードに見せていた笑みはもう浮かべていない。 「すまんなジーク。もっと話していたかったが、急用が出来た」 それでは、とハルトは箱庭館の方へ駆けていった。 それはまるで一陣の風のようだった。 「はは、じゃあ僕も行くとするかな」 後に続いて行こうとする倉刀にジークフリードは尋ねた。 「あの、ハルトさんは倉刀さんの師匠と聞きましたけど、何を習ってるんですか?」 「う〜ん、何をと言われても……全部、かな?」 「全部?」 「絵画、彫刻、作曲、その他色々考えうる全て、あの人はああ見えてずっと長生きしている。 さっきも言ったけど、僕なんかよりずっと経験を積んでいるんだよ」 「……そうなんですか」(……やっぱり、口の聞き方に気をつけるべきだったな) ジークフリードは少し後悔したが、ふと疑問に思ったことを倉刀に聞いてみる事にした。 「そういえば、ハルトさんて名前は何ていうんですか?」 「名前?」 う〜ん、と倉刀は首を傾げる。 「師匠はあんまり過去や自分を語りたがらないからなぁ……イニシャルがSという事だけしか」 「S? S・ハルトシュラーですか?」 「うん、そう」 「S…ハルトシュラー、ですか……」 ハルトが去った方角を見つめながら、ジークフリードはボソリと呟いた。
ジークリンデが帰ってきたのは、やはり夕方だった。 それも、珍妙な客を伴って。 「オメーがジークフリードかよ……俺はエーリヒ、世露死苦!」 「よ、よろしく……お願いします……」 !? ダチ ダチ 「オイオイ……ビッとしろよ……リンデの『親友』はよ、俺の『親友』なんだからよ!?」 「あらあら、ジークは親友じゃなくて、弟よ?」 「こまけー事はいいんだよ!」 !? (どうしよう……) ジークリンデが連れてきた人物は、今までジークフリードがあった事のない人物だった。 いかつい格好に、強持ての風貌。 白地の服の背中には、黒字の刺繍がしてあった。 「懸流曼魂」 ゲルマンだましい、そう読むらしい。 それを聞いたとき、ジークフリードは何故だか目の前が真っ暗になった気がした。 姉は気にかけず、エーリヒと話に華を咲かせている。 スピードノムコウガワ 「早く逝けってよう……囁くんだよう……『アーリア人』に辿りつけってよう……」 「そうよね、これぞ我が闘争! て感じなのだわ」 「さすが、わかってんじゃねーかよ……リンデよぅ」 ビキビキ… !? ジークフリードは倒れそうになりながら、なんとかエーリヒとの会話をやりすごし ジークリンデに聞いてみることにした。 「お姉ちゃん、あのさぁ」 「どうしたのジーク?」 「僕たちの他にさ、ハルトシュラーて人がここにいるんだけどさ」 「ああ、居たわね。なんかボロ雑巾に向かって鉄棒を何回も振り下ろしてたわ」 「ハルトの姐御はよ、半端じゃねーぜ……」 「何か感じなかった?」 「何かって?」 キョトンとした顔でジークフリードを見つめるジークリンデ。 「例えば、お姉ちゃんに似てるとか」 「はぁ?」 ジークリンデは呆れたような顔をする。 「似てるわけないじゃない。似てるわけないわ、アタシはアタシ、私だもの」 「おう、リンデと姐御はよ、別モンだぜ!? ジーク!」 !? ビキビキ… ビキビキィッ!?
「は、はぁ……」 「世間にはよーく似てる奴がいるモン、だぜ!?」 !? 「そうそう、他人の空似って奴だわ」 傍らのエーリヒは、似てるとは思っていない。 当人の姉ですから否定している。 やはり、自分の考えすぎなのだろうか。 「そんな事より、ジーク。今夜は徹夜よ」 「ええ!? なんで?」 「嬉しいんだよう……同郷の奴と、こんな所で会えるなんてよう」 !? この男と故郷は同じなのか。 あまり信じたくないが、そうらしい。 ジークフリードは結局、二人につきあわされた。 解放されたのは深夜になってからである。 乱雑とした部屋を片付けるのは明日にしようと決め、ジークフリードは寝る事にした。 寝る前に机に座り、今日あったことを日記につける。 「―――エーリヒ君は怖いけど、根は良い人みたいです。明日も良い日になるといいです、と」 パタン、と日記帳をとじ、背伸びをする。 今日も色々あった。 姉は楽しそうだが、自分には疲れる。 この箱庭館に来てからは特にだ。 ふぅ、とため息をつく。 シャワーを浴びて寝間着に着替え、ベッドに入ろうとしたが、 ジークフリードはふと、足をとめて日記帳を開いた。 さらさらと、ペンを動かす。 Siegfried Hartschuller ジークフリード・ハルトシュラー、それが自分の名前。 さらさらとまた、ペンを動かす。 Sieglinde Hartschuller ジークリンデ・ハルトシュラー それが姉の名前。 「S・ハルトシュラ……まさか、ね」 ボソリと呟き、ジークフリードは灯りを消してベッドの中へ入った。 もうだいぶ眠い。きっと明日も色々あるのだろう。 とりあえず、身体を休めよう。 目を閉じたジークフリードはすぐに夢の世界へと足を踏み入れた。 もうすでに、胸の中に抱いてた疑問は、あやふやな物となっていった。
乙です 姉弟も頭文字Sだったのか!
これは思わぬ方向に
3人のハルトシュラーが出会ったか
出会うはずのない三人がついに…!これがクロスオーバーの醍醐味か!
前回までのあらすじ。
あれ? 記憶のやついねえじゃん。
「ていうか、本当にあれれ?
え〜と、でも今はさみさんが元気だってことは、おつかいは無事に終わったわけだよね?」
えぇまあ。
>>159 で油が手に入ってるという事は、多分そういうことかと。
「ナレーションさん、おつかいの時にも地の文担当してたよね?」
あの後、なんか有耶無耶になっちゃいましたけどね。
オードリーネタも適当にやっただけなんで、ぶっちゃけ。
「……え? その後は?」
わかんねえです。正直、付き合いきれなかったんで見棄てちゃいました。
あいつ一体どうしたんでしょうねえ……。
「え? あの変な人なら、商店街に来たよ」
そう証言したのは、商店街の八百屋の息子である原野菜斗君。
この子も何だか久しぶりだねぇ。
「いやマジで。もうね、ぼく二度と出番が来ないのかと思ってたよ」
「それはごめん……。でも出番があったとしても碌な目に遭わないと思う」
「……それはそうかも」
やたら肩を落っことす二人です。
なにしろ主な被害者の言うことなんで非常に説得力がありますね。倉刀、哀れな。
「じゃなくて……。
菜斗君、へげぞさんのその後の足取り、しらない?」
近頃は子供相手のコミュニケーションスキルも上達した倉刀が、優しく問いかけます。
「ぼく、しらないよ」
「どんな些細な事でもいいよ? 一応同居人だからね、心配なんだ」
しかし何といっても、箱庭の町では悪名轟く箱庭屋敷の住人です。初めは倉刀を警戒していた様子の少年でしたが、やがておずおずと口を開きました。
「ううん、やっぱりしらない……けど、多分」
しかし、菜斗君の反応は意外なものでした。
「多分?」
「多分……あの人は」
「あの人は、『蟲隠し』に遭ったんだと思う」
「むし……かくし?」 耳慣れぬ単語を反芻するように、倉刀は呟きます。 菜斗君は迷信を面白がるように、けれども血の気の引いた青褪めた顔で続けます 「うん、そうだよ。 この町で人がいなくなるのは昔から『蟲隠し』の仕業なんだ」 「……その『蟲隠し』ってのを、僕に詳しく教えてくれるかい?」 剣呑な気配を感じ取った倉刀が静かに問いました。 「うん。 『蟲隠し』ってのは、この町に伝わる迷信みたいなものなんだけどね? 時々突然に人がいなくなる事は、昔から本当にあるんだ。 ……そういえば、最近も」 「人が……消えたっていうのかい?」 倉刀が唾をゴクリと飲み込みます。 人も疎らな商店街を、生暖かい風が吹き抜けました。 「うん。去年の秋頃の夜中、だったかな? ……いなくなってすぐはね、誰も気付かなかったんだ。 数人が楽しく遊んでて、夜更けになっちゃったからお開きになった。 みんながその事に気付いたのは翌朝さ」 『あれ? そういえばあいつは?』 『いわれてみれば、途中から見なくなったよな』 『呼んでみるか。おーい!』 「そいつの返事はなかった。 でも、その内に誰かが……いなくなった彼の声だけが聞こえる事に気付いたんだ」 『俺はここだよ!』 『誰か気付いてくれ!』 『おーい!』 「変だ? 何かがおかしい? 誰もがそう思った。 やがて『蟲隠し』の正体に気付いた一人が、いなくなった彼に手を差し伸べた!!」 菜斗君は、そこで言葉を区切ります。 倉刀は拳を固く握り締め、真剣な顔で聴き入っていました。 「そ、それで?」 「そう、それで」 菜斗君は悲しそうに目を伏せました。 「その差し伸べた手のおかげで、いなくなった彼は戻ってくる事が出来た。 でも……戻ってきた彼は、変わってしまったんだ……そう、 見 る も お ぞ ま し い 、 串 の 姿 に ! ! ! 」
「ぎゃああああああああ!!!」 きゃああああああああ!!! [―{}@{}@{}-]「いやあああああああ!!!」 …………。 こんなオチ。 まあ、世の中そんなもんです。 「というわけだから、夜中にあんま無茶すんなよってことで」 「な、なるほど……」 倉刀はまだ胸を押さえてゼイゼイいってます。かっこ悪いねえ。 「って! それじゃ、へげぞさんは?」 「よくわからないけど、時空の歪みに巻き込まれたんじゃないかな?」 「時空の、歪み?」 「うん。『蟲隠し』が起きる時はねえ、必ずそれがカンソクされるって、ほとりせんせーが」 あぁ……なるほどね。 なんかわかっちゃった。 「もう話はおっけ? ぼく、これから遊びに行くんだけどなぁ」 おかげさまで事情は概ね把握できました。 もういいよ、ありがとね。 「はーい、んじゃね!」 「ちょ、ちょっと!? 僕はまだ全然全くこれっぽっちも話が飲み込めていないんですが!?」 君も察しが悪いな。 なに、簡単なことだよ倉刀君。 1.へげぞ氏は蟲隠しにあった。これはわかるね? 「迷信の信頼性はともかくとして、そこはわかりますよ」 2.1にもかかわらず、おつかいは無事完了している。 ……要点はこれだけだ。 この二つの矛盾を君はどう説明する? ヒントは時空の歪みだよ。 「……ちょっと、待って下さいよ。 まさか、そんなSF的展開が……」 ところで倉刀君、後ろを見たまえ。 「後ろって……………………ゎぉ」 振り返った倉刀が目を向けた先。 立ち並ぶごく一般的な商店に紛れ込むようにして、しかし不思議な存在感を放出する一つの看板があった。 そしてその看板にはこう書かれている。 【箱庭ヌードフェンシング・スクール -一日体験入学生募集中-】
投下終了 申し訳ないことにまだまだ続きます
おおおおおおお これは続きが気になるぜ
蟲隠しwwww 規制かw規制なのかw
ほら、聞こえるだろう? 4kbAAの足音が…!
くそ、投下が二つもw ハルト三人がどうなるのか全く予想ができないwww 俺に残された選択肢はwktkだけなのだ しかも、おつかいの続きもきてるし ヌードフェンシングってなんだよ、みたいな無粋な疑問は 勢いで乗り越えてみせる!
やはりヌードフェンシングは内輪過ぎ了解です ハルト一家どうなっちゃうんだろうねえw
第九話『へげぞさんのうつわ』 その日の夜、お悩み相談所はいつもと違った不穏な空気で満たされていた。 格子窓から覗く三日月の前、腕を組んで難しい顔をしているのはへげぞさん。 Tシャツにジーパンという外見上これといった特徴を持たない彼なのだが、その発想 や思考は箱庭館随一の変わり者である。 「これで1勝1敗だな……」 挑戦的な眼差しに、困った顔を返すゆゆるちゃん。 その小さな手に握られているハンドメイド感溢れる紙束の表紙には、干からびたミミズ みたいな文字で「まじょなぞなぞ」と書かれていた。 「次も正解してやるぞ」 「そ、それではだい3もん――」 へげぞさんは謎や不思議が大好きな自称小説家であるのだが、ちょうど自作小説の展開 に詰まっていたこともあり、何かネタでもないかとやってきたらしい。 「したはおおかじ、うえはおおみず、なーんだ」 「……またそのタイプか」 低い呻き声をあげるへげぞさんの表情は、まるで人生の別れ道を選択するかのような、 非常に険しいものだった。 といっても、このなぞなぞ勝負。別段なにかを賭けているわけでもなく、ゆゆるちゃん 自身もちょっとした気晴らしにと始めたものなので、あまり真剣になるのもどうかという 気がしないでもない。 しばし眉間を手で押さえたあげく、小さく隙間をつくって鋭い眼光を放つ。 「実とみせて虚、虚とみせて実。俺の記憶に間違いがなければ、風呂でいいはずだ」 「ざんねん、こたえはちきゅう」 「何だと」 魔女なぞなぞはゆゆるちゃんのお姉さんが作って持たせてくれた、大変に姉妹愛溢れる ものらしく、その字のへたくそさに相反して非常にスケールが大きいのである。 「そうか、地球か……まるで自分の器を試されているようだな」 「つづけますか」 「当然だ!」 壁でも殴りつけそうな気迫に押されつつ、ぺらりと紙をめくるゆゆるちゃん。 ただやっていることは単なるなぞなぞなので、これもまたひとつのコミュニケーション と言えなくもなく、友達作りにはかかせない要素である。 「それではだい4もん――」 ☆ ☆ ☆
――こうして静かに繰り広げられる戦いは日付が変わろうとするまでも続けられ、とう とう魔女なぞなぞも残すところあと2問となっていた。 「だ、だい99もん。めをあいてるとみえなくて、めをとじるとみえるもの、なーんだ」 しかし、ここまで続けていたへげぞさんも、やはりただものではない。 ぐっと目を閉じ、顎を擦りながら思考を巡らす。 「……アフィン空間か?」 「せ、せいかい……」 「ふん、これで49勝50敗だな」 一体どこをどうしたらそんな回答に結びつくのかは分からないが、この魔女なぞなぞに 対し正解率5割を叩き出すその頭脳は、恐るべきものとしか言いようがない。 「どうした、続けてくれ。次で最後だろう?」 窓の外で、薄いグレーの雲がゆっくりと三日月を覆いはじめる。 かた、という音に顔を向けたへげぞさんの目には、ついに椅子に座ったまま首を落とし、 すやすやと寝息を立てるゆゆるちゃんの姿があった。 「寝てしまったのか」 へげぞさんは残念そうにため息をつき、一度伸びをしたあとゆゆるちゃんをそっと抱え 上げてベッドに降ろした。 「さすがの魔女も睡魔には勝てんのだな……」 ぱちんと電気を消すと、ぼんやりと柔らかい月明かりに染められる寝顔。 それを少しの間だけ見つめ、床の上に散らばっていた魔女なぞなぞを拾い集める。 「しかし、俺もまた器を広げることに囚われ、その枠の外へは目がいかなんだか。いくら 大きな器を有していようとも、中にしか目を向けられなければ、それもまた小さなこと」 最後に取り上げた一枚の紙には相変わらずのヘタクソな文字で、こう書かれていた。 ――だい100もん ちいさなふたばにお馬さん もひとつふたばにお馬さん 四つの葉っぱがくっついて ふんだらだめだよお馬さん―― 穏やかな笑いをこぼしながら、まとめた魔女なぞなぞを枕元へと置く。 「謎は謎のままであったほうが良い時もある。これで俺の負け……いや、部屋でゆっくり 考えさせてもらうとするか」 すっと閉じられた扉の軽い金属音と共に、ゆゆるちゃんもまた夢の中へと包まれていく。 その安らかな寝顔の胸には6つ目の友情認定バッジが、暖かく優しい光を放っていた。 つづく
投下おわりです 記憶さんの作品大好きです。 大好きなんですが、この作品はフィクションであり、 実在の人物・団体・事件などとは一切関係ありません。
乙ー、なんて難易度の高いクイズバトル 関係ないけど、バッジて友情と恋愛の他にあるのかな 強敵(とも)バッジとか宿敵バッジとか
あ、書き忘れました。トリ替わってますが、元◆GQ6LnF3kwgです。 バッジはなんか他の書き手様にも使ってもらえたらなーなんて 思ってたり自重してみたり しかし読み返してみると文の不安定さに愕然としてます。 ゆっくりかいた結果がこれだよ! ええい、次だ次!
バッジネタか… それは面白そうナリ
「あ、よく考えるとアレですね」 「どうした倉刀?」 「ふむ、如何されたかな?」 「一体急になんなのですかね?」 「ですー?」 「トゥッス!」 「あわわ」 「あ、ちょうちょ」 「遠慮しないで早く言ってみるといいわ」 「そんな、皆一斉に訊かなくても……」 「……いえね? ひょっとして僕らって、この箱庭でニートやってるようなものなのでは?」 『……………………』 『………………』 『…………』 『……』 そんなある日の休日
その時、一同に電流走るっ……!
ここって話と話の間に投下しても良い?
全然よろしいかと〜
ちなみに三人組とかでルームシェアとか駄目?
いいんじゃね ていうか新キャラですか?wktk
新キャラではなく、マイナースレからの旅行です。 期待させてごめんなさい。 夕方にでもアップします。
そいつは楽しみ ていうか、すっかり創発クロススレの様相を呈しておりますなw
スレ容量>レス数になっちゃったんで、レス増量に雑談でもどうかね?
個人的には、自分がkwskないスレのキャラほど遊びに来て欲しかったり 把握してないキャラや書き手さんのお話を読めるいい機会だし
といいますか、箱庭自体マイナースレだしねw 魔女っ子&ヒーロー学園もいまクロスオーバーやってるけど、交流は楽しいよね
「何でまた君と一緒なんだ?」 「それはこっちのセリフだよ。」 「ようこそ、箱庭館へ。歓迎するよ。」 「ワタシはヒーロー学園から研修で参りましたユキチと申します。 この島で保安ですとか、警備関係のお仕事をお手伝いするよう言われております。」 やぁ、ボクの名前はユキチ……。 ヒーロー学園 正義部 忍者ゼミに所属する5年生で、世界中でヒーローのOJTを受けてきたんだ。 今回はその総括として、この島の治安を守るお手伝いを影からすることになったんだ。 「さっさといくよ。」 「別に一緒に来たわけじゃないよな?」 紅いスーツケースを引きずっている彼女の名は、エレボスという。 彼女も同級生で実習に来ている。 学園の船から一緒だったんだけど、まさか目的地まで一緒だとは思わなかったね。 何故、悪部の彼女と正義部のボクが同じ場所で研修をするのかというのは、 将来社会に出たとき、お互いに大人の事情等を理解するためらしい。 ちなみに ボクはいわゆる正義の特殊諜報員として、この島の治安を守るお手伝いをするわけだけども……。 悪の特殊諜報員志望者であるエレボスが、この島で何の手伝いをするのかは知らないし聞くつもりはない。 どうせ悪事を手伝うに決まってし、それを探るのも課題の一部なんだ。 (でも安心して欲しい。) 体の血液を利用して、自由自在にあらゆる兵器を製造できるという特異な能力から 「動く兵器庫」とまで学園でも恐れられ悪の自治会長まで務めた彼女が、 この島の悪い連中とつるんで何を企もうと、このボクが阻止してみせる!!
「ここがユキチ君の部屋、隣がエレボスさんの部屋。」 「また覗くんじゃねぇぞ。」 「誤解されるようなこと言うな!」 ヒーロー学園にはカラクリ寮という諜報員育成専用の寮があって、 普段はボク達はそこで生活してるんだけど、 先輩に騙されて(恒例行事らしい)入浴の時間を間違えたことがあったんだ。 (あの時は死ぬかと思った。) 「あ……、管理人さんおはようございます。」 バタンとドアを開けて向かいの部屋の住人がでてきた。 「おはようってもう昼よ?ちょうど良かった。 今日からこの館に来ることになった……。」 住人はドアを開けたままフリーズしている。 「テュポンさん?」 「兄ちゃん!!」 「やべ!!」 般若の面をした住人は体を透明にして、いずこへと消えてしまった。 恥ずかしがりやだからいつもお面をしているんだけど、 逆に目立つと思うんだよね。 「今のってテュポンさん??」 エレボスに尋ねるのは、テュポンさんが彼女のお兄さんだからだ。 ちなみに彼女は上にお姉さんもいるんだけど、色々あってお姉さんの方が学年は下なんだよ。 「知り合いだったのかい?」 「ええ……、まぁ……。」 「ちょっとワタシ気分が優れませんので失礼するわ。」 そういう言い残すとエレボスはズルズルとスーツケースを部屋へ運びこみ、 すぐに中からガチャっと鍵を掛ける。
「テュポンさんはいつ頃からここに?」 「う〜ん、彼透明人間になれるだろ? だから居るのか、居ないのか俺にはよくわかんないんだけど、 最初に来たのはそうだなぁ……、 3ヶ月前くらいに自分探しに来たとか言ってたなぁ。 確か写真家だって聞いてたんだけどなぁ。」 (3ヶ月前というと……。) ちょうどテュポンさんが内定していた悪の秘密結社が、 不況のあおりで統合になって内定取り消しを受けた頃じゃないか。 「食事は食堂で取れるから。」 「ありがとうございます。」 管理人さんはスタスタと元の場所へと戻っていった。 管理人さんが用意してくれた部屋に盗聴器や監視カメラが無いかを丹念に確認、 (最近のモノはとても高性能だから、しっかり確認しないとね。) あとは早々、非常階段の場所の確認と……。 一通りの確認を終えると椅子に座り、ノートパソコンとプリンターを立ち上げる。 正義のヒーローであるボクのお約束のようにその正体を知られてはならない。 え?さっき名乗ったじゃないかって? 管理人さんは別だよ。 (さて今回は世を忍ぶ姿として何をしようかな……。) 今回はいつも通りでいこう。 この島でのボクは医者だ。 薬の調合は得意だし、医療技術もそこそこ自信がある。 人体にも精通しているから針治療だってできるし、これなら誰もボクがヒーローだとは思うまい。 (ポチっとな。) さっそく白衣や医療器具や薬品の発注しないとな。 ちなみにこれらの経費は全てゼミ費で賄われるからって無茶やってると 後からジライヤ先生に大目玉を食らうので注意っと……。
一方その頃 「兄ちゃんのことは、後で姉ちゃんに報告するとして……。」 アタシの名前はエレボス。昼と夜の顔を持つ女。 どういう意味かって? それは読んで字の如く、夜のお仕事をしてるってことよ。 詳しくは内緒★ ちなみに昼間はフリーライターをしているわ。 夜に得た情報や体験を記事にするも良し、ファンタジーを加えて小説として発表するも良しってところよ。 そんなアタシの本当の顔は……、 ヒーロー学園 悪部 裏忍者ゼミの5年生なんだけど、 この島には恒例のヒーロー研修の総仕上げとして来たわけ。 その最後の仕上げの相手の正義のヒーロー役が、 あのインテリエロコンタクトなんてついてないわ。 コンタクトといっても、目が悪いわけじゃなくて赤外線が見えたりとか、 色々な特殊な効果があるコンタクトらしいんだけど……。 (言わないとわからないから地味よね。) まぁ良い、アタシはやるからには全力を尽くす女。 長年の決着を今度こそつけるとしよう。 とりあえず、この島を仕切っている一番悪い奴を探すとしよう。 そいつをサポートすることが今回のアタシの研修目的。 ヒーロー学園物語スレより ユキチ&エレボス&テュポン 入館
投下乙です。 新しい入居ですね。 これからどうクロスしていくのか期待してます。 警察署ってあるのか?
390とかなんとか言ってたら件のヒーロー学園からキター!w 驚いたようw最近活発だねえ これまでの箱庭住人も実力者ぞろいだけど、変人ぞろいでもあるから確かに保安面では不安があるなw 職業的役割の幅も増えたし、俺も期待っす
入館3人とは豪勢な! 医者というのはなかなか良いポジションですね 期待ですです
こんにちわ!ボクの名前はユキチと申します。 まだまだ未熟者ですが、こう見えてもスーパーヒーローの卵なんだ。 今日は健康診断で箱庭小学校に呼ばれてます、 「お医者様ですね?こちらです。」 橋本先生という女の先生がボクを案内してくれた。 (次の人で最後か。) 商店街の関係者も集まったとあって、想像していた以上に大仕事だったよ。 「息を大きくすって。」 聴診器を胸にあて肺の音を聞く。 「異常なし」と……。 「ユキチ先生もあの館の人なの?」 「そうだよ 。」 「お母さんがあの館は変な人が多いから近寄っちゃいませんって」 そういえば あの館にはボクらの他にも多くの住人がいるらしいんだけど、 ライフサイクルが違うのか、 あるいは既に何か逆鱗に触れ、館八分に合わせれているのか まだ他の住人と顔を合わせたことはないんだ。
「わざわざすみませんでした。」 橋本先生がニコリと笑う。 (人の笑顔っていうのは良いもんだよなぁ。) 「いえ、医者として当然の事をしたまでです。 また何かあればいつでもどうぞ!!」 軽い足取りで夕暮れの箱庭館に戻ると、小さな女の子が食堂で料理をしている。 (管理人さんの娘さんかな。) お手伝いなんて感心感心。 あんまり良い匂いはしないけど、何を作っているのだろう? 鍋ではグツグツと黒い物が煮込まれているんだ。 「わたしのなまえは、ゆゆるです。」 「初めましてボクはユキチといいます。」 「これは何を作ってるんだい?」 「たべますか?」 答えを聞く前にスープをお皿に注がれてしまったら、断れるわけないじゃないか。 「どうぞ」 このヘドロのようにヌメヌメしたスープ(らしきもの)を飲めと言うんだね。
(いや待てよ。) 料理は味が命じゃないか 「たべてくれないんですか?」 もしかしたら、 味に全精力を注ぎ込んで匂いのことまで、気が回らなかったのかもしれない。 「いただきます。」 両手を合わせてから、スプーンを握りスープを口に運ぶ。 恐る恐る飲み込んで、前言撤回をさせてほしい。 (これはひどい。) 「どうですか?」 (でも待てよ。) 率直な感想を述べて良いものなんだろうか。 こんな小さな女の子が、お父さんのお手伝いを一生懸命しているんだよ。 味なんかより、気持ちの問題なんじゃないだろうか。 仮にも正義のヒーローを目指すボクが、 少年少女の気持ちを傷つけてまで感想を述べたとして、 それが果たして良いことなのだろうか。 「どうですか?」 この純粋でピュアな瞳を見てごらん。 どこかのギャル風ダークヒーロー希望者(エレボス)と違って、こんなに綺麗な目をしてるじゃないか。 でも正義のヒーローとして嘘をつくことは許されないんだよね。
(どうしたら良いんだろう。) こんなときのことは、ジライヤ先生にも教わっていないんだ。 (正解なんてあるんだろうか。) どうする。考えるんだユキチ……。 お前はヒーローを目指すんだろう。 (こんなことは、これからいくらでもあるんだ。) さぁゼミや授業で学んだその知識を思い出せ、思い出すんだ。 「個性的な味で好きな人は好きな味だよね。」 色々考えてみたんだけど、今のボクにはこれが精一杯。 きっとジライヤ先生や、アカカゲ先生ならもっと上手いこというんだろうけど……。 「ほんとですか。」 (ん?) 作った本人がもの凄く驚いてるってどういうことだ。 「おかわりもたくさんあるから食べてください。」 そのとき、フラっと眩暈がする。 なんだ急に力が抜けてきた。 「参考までに聞くけどこれって何が入ってるの?」 「きんぱつのおねえさんから、 とってもきもちはよくなるスパイスをもらったのでいれてみました。」 な……なんだ…… 力が…抜け……。 「教えてくれて、ありがとう。」 ここで倒れることは許されない。 自分の作った料理にそんなものが仕込まれていると知ったら、ショックを受けることだろう。 「あ……り…が…と…… 」 意識をしっかり持たなければ……。 針で秘孔を突いてみたけど駄目だ。 「あれ ユキチさんもうねるんですか?」 「う……、うん……。」 駄目だ。まだ寝ては駄目だ。 「おやすみなさ〜い。」 薄れゆく意識の中、ボクは彼女を見送った。 終わり
俺の名前はテュポン。 ヒーロー学園最強にして、ウサギのように臆病な男と覚えておいて欲しい。 『パシャリ、パシャパシャ』 市長と地元企業の癒着という衝撃のシーンにカメラのシャッターを押す親指は止まらない。 ここ1週間、夜な夜な張り込んだかいがあったというものだ。 狙撃と写真は似ているというが まさかここまでハマることになるとは、思ってもみなかった。 さて、この島に来たのは偶然だった。 今更就職活動をしてみたところで、ロクな組織があるわけもなく、 途方にくれていて帰りの船を乗り間違えたのだ。 最初はすぐに学園に戻ろうかとも思ったのが、 6年生の俺が戻ったところで何があるわけでもない。 それに周りの連中が「運が悪かった。」とか哀れむような目で見てくるのがうっとうしい。 というわけで、俺は今月に一度学園に帰る位で基本的にココを拠点に行動しているのだ。 就職先が潰れてわかった これからは使われる奴は駄目だ 使う側にまわらなければ……。 (そのためには金がいる。) この3ヶ月間でこの島の悪の勢力図を分析できた。 本来ならば一番大きい勢力に潜り込み組織ごと乗っ取る予定だったが、 ヒーロー研修で来たのがあのユキチということで、俺の計画は大幅な変更を余儀なくされてしまった。
一番大きい組織はそう遠くない近い将来潰されることだろう。 エレボスが助っ人して多少延命はするかもしれいが、相手がユキチである以上もはやそれは必然。 運命には何者も逆らえないのである。 二番目に大きな組織もほぼ同規模なため、一番大きい組織と抗争が絶えない。 ここも大事をとってパスした。 三番目の組織はまだ規模も小さく、縄張りも狭いわけだが……。 この組織を利用すると決めたのには理由がある。 一つ目は なにぶん俺はまだヒーロー学園に籍があるからして、 表立って悪の秘密結社を組織するわけにはいかないので、 馬鹿なボスを用意しなければならないというのを満たしているから。 二つ目は この組織がちゃんとした企業を隠れ蓑にしているので これからは力だけでは駄目だ、『征服ではなくいかに巧妙に支配するか』という 学園で学習したことが最大限に役に立つと考えたからだ。 他にもいくつか理由はあるのだが、 それはまた別の機会に語るとしよう。 さて この写真がどうして金になるかというと、 もちろん双方を恐喝し金を引きずり出すのは勿論だが、 いずれ利用価値がなくなる直前に、盗聴テープとともにマスコミに売りつける予定なのだ。 (情報を制する者は世界を制する。) 大きなことをするには時間と金がかかる。 (焦ってはいけない。) 細心の注意を払って慎重に行動するのだ。 終わり
一応これで3人のパーソナリティーの紹介は良いのかな。 さて誰かがユキチを起こしてくれるまで暫くお預けかな。 まぁもしかしたら テュポンやエレボスで絡んでみるかも?
投下するぜ
あの一件以来、僕の胸に一つの疑念が渦巻く。 管理人さんは、きっと師匠に負けては居なかったのではないか? 負けたのは、刀。いや、僕ではないのだろうか? 最後の一撃を避けずに受けたのは、管理人さんの判断ミスであると思う。 だがそれは彼が僕を信頼し、その期待に応えられなかった僕の、未熟さが招いた敗北だったのではなかろうか? ――カーン!カーン! そもそも師匠は、剣術が出来るわけではなく、試し斬りのために扱いを知っている程度ではある。 居合いが出来る人間でも、チャンバラでは素人に毛が生えた程度の経験差にしかならない。 腕の良い刀鍛冶が、料理はできなくとも包丁の扱いを知るように、純粋に刀の扱いを知っているだけなのだ。 斬る動作が出来ようと、それ以前に攻撃を当てることを前提とする、戦いの技術を師匠は持ち合わせてはいない。 ――カーン!カーン! 時折見せた剣技も、ただ管理人さんの技を見てコピーしたに過ぎない。 それは、ただ一目で模倣する達人的才能であり、並の剣士では師匠に触れるまもなく斬り捨てられるだろう。 以上を踏まえれば、充分に師匠は、規格外の存在であるという証明にはなるはずだ。 ――カーン!カーン! しかし、管理人さんは間違いなく、それ以上に強い。刀の扱いでは負けるかもしれないが、戦闘面は疑う余地もない。 挙動から察するに、他流派に通じているのだろう。 薩摩示現流の一ノ太刀から繰り出した蹴りは、タイ捨流の応用だろうし、新陰流だと思われる基礎的な動作も見受けられた。 体捌きに限定すれば、この館に住む人間の誰にも負けることはないのかもしれない。 ――カーン!カーン! 一心不乱に鉄を打ち鍛えながら、思うは一つ。 高次元に居る少女と、それを超えようとする男との間を隔たるたった一つ、しかし超えることの出来ない絶大な壁。 ただただ、武器の差。
ならば、賭けることは出来ないだろうか? 師匠に勝つという一つの結果を。事実を。証拠を。あの男になら、きっと。 「こんなもん、かな?」 炎の生み出す熱は、頬を赤く火照らせて、揺らめく光が髪を照らす。 打ち鍛えるは、鉄ではなく少女から託された魔法の金属。 頭を下げて、可能な限りの製鉄を貰い受けたのだ。 「うーん、でもまだ師匠には勝てないなぁ」 日本刀とは、本来オーバーテクノロジーとも呼べる高度な技術の結晶である。手間のかかり方は尋常ではない。 そもそも金属は、硬度以外にも様々な性質があり、刀剣に置いては靭性、つまりしなりやすさが関係する。 靭性と硬度が高ければ、硬く曲がりにくく、しなるが、限界を迎えると折れる。 どちらも低ければ、硬度が低いので曲がり折れないが、しならず曲がったままとなる。 硬度だけが高ければ、硬く曲がらないがしならずに折れる。 靭性だけが高ければ、柔らかいために曲がるが折れずに元に戻る。 「もう一本、鍛えるか」 それらを全体で一つとして扱うのではなく、組み合わせることで靭性と硬度のバランスを取った武器。 それが日本刀である。 単純に重さや速度で断ち切ることを目標とする他国の刀とは一線を駕していた。 前もって棒状に伸ばしておいた金属を手に、次の刀へと気合を入れる。
まず地金。 炭素量の少ない「靭性・硬度が低い鋼」を背に「靭性・硬度が高い鋼」を刃として組み合わせる。 だから、切れ味は鋭いのに、折れにくい。 「焼き入れ速度が鉄と違うのかな?」 そして、鍛造。 槌で打って鋼を圧着し、形を整え、鍛造効果で硬度は増す。 だが、背側の鋼は柔らかいため、砕けにくく、しなやかなままとなる。 さらに脱酸効果もあって鋼の純度は上がる。 「融解点や熱に寄る相変化の温度も変わってるみたいだし、いや鉄と同じだと考える方がおかしいのか」 最後に熱処理。 水焼入れを使用し、焼き入れ速度が速ければ速いほど、鋼は硬く、もろくなる。 そのため、刀身に泥を塗り、刃だけを露出させて焼き入れを施す。 当然刃先は硬くなるが、刀身は冷却速度が遅いのでしなやかさを保つのだ。 「というか、炭素合金で硬度が上がる性質が一緒なだけかも」 これほど複雑なプロセスをサブウェポンに使うのだから、日本という国はまさに神秘と呼べるのだろう。 少なくともただ鋳造しただけである他の武器では、日本刀の刃は欠けるが折れることはない。 大剣には振りの速さで勝るし、レイピアなら砕け、ともすれば中国刀も叩き折る事が可能である。 唯、欠点はその重さや重心、形状、特殊な切れ味の関係上、扱いが難しいことであるが、それも管理人クラスなら問題はない。 「悩んでいるようだな倉刀」 「師匠!?」 あれこれと思索にのめり込み、いつの間にか部屋を訪れた師に気が付かなかった。 見上げれば、すぐ間近で鉄相手に悩む僕を覗き込んでいたのだ。
濃いキャラですなぁ。 今後どうクロスしていくのか非常に楽しみです。 ユキチはみんな放置したりしてねw テュポンは誰か勧誘したりとかしそうだね。
肩に掛かった髪を払いながら少女の眼が、師のそれとなる。 艶やかな髪が炎の朱を受け、鈍く輝いた。 「集中することはよいことではあるが、周囲にも気を払え」 「はい、肝に銘じます」 「さて、刀に熱中するのも良いが、お前に知るべきことを伝えにきた。とりあえず来い」 「伝えるべきこと、ですか?」 入館者でも来たのであろうか、だとすれば挨拶に出迎えるのは住居者の務めだろう。 ともかくも、首に掛けた手ぬぐいで汗と煤を落とし、少女の背中に続く。 「倉刀。お前はここがなんだかわかるか?」 「なんだ? と言われましても。うーん……」 「ふむ。ならば答えよう。ここは箱庭だ。意味は自ら考えておけ」 さて、と言葉を区切り、少女はある部屋の前で止まった。 迷い家ほどではないが、この館もなんだか奇妙な構造をもっているような気がしてならない。 気のせいか、あるいは僕の認識や固定観念から接合性をもってしまったのかは、わからない。 「ユキチという男が新しい入居者になったのだがな。何があったか倒れていたよ」 「え? 大丈夫なんですか!?」 「さあな。ゆゆるちゃんから眠った云々は聞いたが、彼女は放置したらしい」 「……管理人さんに後ろの穴掘られてないかが問題ですね」 「ああ」 師匠は頷き、扉を開く。
扉の向こうには、白衣を着た青年がベッドに腰掛けていた。 横顔に、知的な理性と強い信念を感じるような男だ。 ノックもせずに部屋へ押し入った少女と僕に、彼は特に咎めることもなく笑顔で迎えてくれた。 「ユキチ。具合はどうだ?」 「いえ、おかげさまでもう平気です」 「そうか。医者が倒れては本末転倒だからな。肝に銘じておけ」 どんな相手にも、たった一人のゆゆるちゃんという例外を除き、師匠の不遜な態度は崩れることはない。 その高圧的な態度に苦笑いしながら、僕は続いて挨拶をする。 「どうも、倉刀作と申します。よろしく」 「初めましてボクはユキチといいます」 医者か。師匠は医学に関しての知識を得て、創作に活かせと言いたかったのかもしれない。 だが、予想はすぐに覆された。 挨拶を交わすと、少女が無理にでも話を進めたいかのように素早く質問をしたのだ。 「早速だがユキチ。お前はどのような手段でここへきた? 言え」 なんだろうか、師匠が怖い。 「え?……船ですよ。絶海の孤島にそれ以外の手段があるんですか?」 「は? なにいってるんですか!? ここは陸続きです! だって電車が――」 言葉を遮るように、扉が力任せに開かれた。
「待て!何をしているハルトシュラー!」 声を張り上げたのは、管理人さんだ。 なにを焦ったのか、どうにも走ってここまできたらしく、息を切らし、眼は警戒一色に染まり、師匠を睨んでいる。 あの剣豪が放つ殺気が部屋を満たし、今にも空気が破けて散りそうであった。 「お前とは違う、管理だ」 「一つ忠告だハルトシュラー。貴様が何を企んでいるかは知らんが、ここは私の館だと伝えておく」 「くくっそうか。心に刻もう」 少女が凄惨な笑みを浮かべて、管理人の怒りに応える。 恐怖が僕の足や口を縫いとめてしまったかのように、動かない。 それが怒りに身を任せた管理人の姿を僕が初めて見たためだと気がついたのは、今になってだ。 「さて、長居は無用だ。帰るぞ倉刀」 「はっはい、師匠」 師匠が僕の金縛りを解いたかのように、やっと言葉が出る。 同時に、疑問も開放された。 だが、管理人にも師匠にも、それを訊けるような雰囲気ではない。 何故、ユキチさんはこの町を絶海の孤島などと呼んだのだろう? いや、島にだって橋を伝って電車は来るだろう。僕は寝ていたから気がつかなかっただけだ。 じゃあ、その橋がここから確認できないのはなぜ? そもそも、管理人さんは師匠をお嬢ちゃんと呼んではいなかったか? 疑問が渦になって僕を責める。対する答えは、持ち合わせてなどいない。 ただ、これが師匠の伝えたいことだと、僕になんらかのアクションを待っているのだと、理解した。 何もかも忘れて創作に打ち込みたいと言う衝動が、まるで逃避のように襲ってきた。 - 続く -
というわけで、ヒーロー学園のネタを拾ってみた 面白いほどにみんなが狙った伏線を敷いてくれることに感謝 そして遅れたけれど◆ccu2hP6PPA 投下乙!
>>面白いほどにみんなが狙った伏線を敷いてくれることに感謝 どういうことなんだー でも乙! 管理人さんはエロいけど謎めいてて好きだなあw
416 :
◆ccu2hP6PPA :2009/03/29(日) 19:03:20 ID:HLatEfs1
ちょっと思いついたので投下します。
「ただいま〜。」 今夜の一仕事を終えたアタシは箱庭館に戻る。 「おかえりなさい。」 この魔女のゆゆるは実に良い働きをしてくれたわ。 子供と少女に弱く人を疑うということを知らないアイツは、まさか彼女が魔女だとは気がつくまい。 「ただいま。あらそちらは?」 「私の名前はジークリンデ・ハルトシュラーよ。」 「アタシの名前はエレボス、フリーライターをしているの。」 (悪の秘密結社なんて言えるわけが無いじゃん。) 「ここへは何か取材か何か?」 「ええ、まぁそんなところよ。 ここだけの話、聖杯伝説の取材をね。」 自分で言うのもなんだけど、完璧なカモフラージュじゃないの。 「せいはいってなんですか?」 「持つ者の願いを何でも叶えるらしいわよ。」 アタシも詳しい事は何も知らないから追求されるとまずいな。 (さて何の話題に変えようか……。) ジークリンデとは初対面だし、もう少し彼女のことを探ってみるとしよう。 「アンタは何しに来たの?」 「静養ってところかしらね……。 弟と来てるわ。」 「兄弟居るんだ?アタシにも姉と兄がいるの。」 「テュポンさんから聞いてるわ。」 なんでここで兄ちゃんの名前が出てくるんだろうか。
(こういうのがタイプだったのか。兄ちゃん……。) 確かにちょっと清楚な感じなキレイ系だ。 ジーと頭の先から足の先までを採点していく。 (だけど、なんか胡散臭いんだよねぇ。) 女の勘というか、なんというか、言葉の節々から違和感を感じるの。 アタシがこういう性格じゃない。 同じ穴のムジナというか、類は共をよぶというか……。 そんな気がするんだよね。 「ああ、別にちょっとしたフォトグラファー仲間ですよ。」 怪しむアタシの視線に気がついたのかジークリンデが関係を説明する。 珍しい単独行動を好む兄ちゃんが……。 (透明人間になるのに、1人じゃないと意味が無いからねぇ。) ていうか兄ちゃん本当に写真を撮ってるだけなんだね。 (ちょっとガッカリだよ。) 「どうかしましたか?」 「いえいえ、」 「ゆゆるはおかしのいえがほしいです。」 こんな感じで朝までゆゆる、それにジークリンデと語り明かしたの。 続く
(屈辱だよ……。) いったいボクは何時間寝ていたのだろうか。 医師を装っていながら、薬を飲まされるなんて……。 それも迂闊にも初対面の人間が調理した料理を口にしてとは、 恥ずかしくて研修レポートにも書けない。 管理人さんの中では、 ヒーロー学園の評判が地に落ちてしまったかもしれない。 それどころか、ゼミ担任のジライヤ先生の顔に泥を塗ってしまった (腹を斬るか。) ここまで恥をさらして以上 ツルヒメ先生に教わった方法で、死んでお詫びするくらいしか思いつかない。 色々考えたんだけど、 それだと研修を遂行できなかった半端者が忍者ゼミにいたと記録に残るだけだよね。 ここは屈辱を糧に出直すのが得策なのかも。
(それにしても……。) エレボスの奴、 まさかボクにもわからないような無味無臭な薬を作れるようになっていたとは、 一体ボクは何の薬を飲まされたんだろうか。 血液分析等思いつく限りの検査をしてみたんだけど、未だに主成分さえ解明できていない。 もしこれが実戦だったらと思うとゾッとするよ。 (これは挑戦状。) 『お前なんかいつでも殺せるんだよ!』というメッセージに他ならない。 実際もしこれが即効性の毒だったら、ボクは二度と目を覚ますことは無かったはず。 いたいけな少女を利用するとは、相変わらず手段を選ばない卑劣な奴だ。 (甘かった。) まずは何を飲まされて、どうして特殊能力が使えなくなったかの分析から始めよう。 エレボス退治はその後だ。
「具合はどうですか?」 倉刀君がお見舞いに来てくれたようだ。 「まだ完全とはいえないけど、もう大丈夫だよ。」 「それにしても、誰がそんな物騒な物作ったんでしょうか?」 気になるのはゆゆるちゃんが、金髪の女の人と言っていたこと、 エレボスの髪は確か薄い紅い色だったはずだよね。 100%の証拠が無い以上、 それはあくまで疑惑であり、疑わしきは罰せずの原則により、 ここで倉刀君に彼女の名前は言うわけにはいかないんだ。 「ところでユキチさんはどうしてここに来たんですか?」 「ボクかい、ボクは伝説の針を探しに来たんだ。」 「伝説の針?」 (しまった……。) これはちょっと無理があったよね。 ボク自身意味わからないもの。 続く
テュポンの悪の秘密結社に入っても良いよってキャラはいらっしゃいますか? スカウトの話とか書きたいんですけど、 みんなヒーローっぽいから駄目かな。
入居順に ハルト:面白そうなら入りそう 倉刀:閣下に言われたら入る はさみさん:適当に煽ったら勢いで入りそう 管理人:エロいことが出来るなら入る フェアリー・テール:英国ためって言えば入りそう 記憶:規制中 なんかもうここまで書いて、ノリが良すぎるから皆入りそうな気がしてきた
うおおお! ちょっと見ない間に沢山投下が……お、追いつくぞ >>ファースト・コンタクト さっそく洗礼を受けてしまわれたかww 素直そうな子はすぐ餌食になるのが箱庭のジンクス
>>野望 箱庭にも悪の組織、いたのね そもそも箱庭屋敷住人こそ悪(というか困った人たち)の温床のような気もしますがwこうしてまた伏線がばらまかれたのです!
>>疑惑 今まで見せなかった管理人の一面!? 俺も伏線が気になる! しかし知ったらそれを壊してみたくなっちゃうだろうからw楽しみにwktkするに留めておきますよう
>>女の勘 ほうほう。ヒーロー学園メンバーがそれぞれでちょっとずつ関係を形成して行くわけですな そして聖杯wテキトーに出した設定がまたややこしくなりそうなww
>>決意 おお、また伏線が。だがやっぱユキチ君はもうちょっと世間擦れすべきだw 何だか色々とややこしくなってきましたよ?
連レスしてしまったが気にしない
>>424 その予想には完全同意w
キャラに関しては色々勝手にいじっちゃっても大丈夫ですぜ。ていうかそういうスレだよw多分
432 :
超適当にかいたアレ :2009/03/30(月) 21:15:34 ID:kep0bQf8
平和な箱庭館ですが、天敵が現れてしまいました。 そうです。体重計です。 血生臭いで有名な学園島戦争を生き抜いた私なのですが、実は体重計が天敵だったりします。 つまり。 体重計は悪魔の兵器です。 凄惨な第一次学園島戦争を体験した私が断言します。 乙女の秘密を数値化する体重計は悪なのです。 体重計は悪魔の兵器です。 大事な事なので二回言いました。 決してアフタヌーンティーを楽しんでばかりいたから体重計にのるのが怖いわけではありません。 なぜなら。 体重計は悪魔の兵器でありその存在は全ての乙女に厳しい現実を突きつける忌まわしい存在なのです。 とても大事な事なので三回言いました。 そんな訳で健康の為にウォーキングを始めた私だったりします。 決してダイエットの為に運動をする訳ではありません。 非常に大事な事であり、大英帝国の魔法兵である私の名誉に関わる問題ですので、もう一度言います。 私はダイエットの為に運動するのではなく、大英帝国の魔法兵として身体を鍛えなければならないから運動するのです。 服がきつくなったからではないのです。 そこら辺を是非とも理解して頂きたい。 川沿いの道を歩くと土手に満開の桜が数えきれないほど咲いていました。 無数の桜の花びらが舞い散り、足元のアスファルトは仄かな桜色に覆われてとても幻想的です。 風はあたたかで、空は青の絵の具をたっぷりの水に溶かしたみたいに淡く澄んでいます。 耳をすませば春の到来を祝福するような鳥の囀りが聞こえました。 癒されますね。ええ、癒されますとも。 非人道的なバトルロワイアルを主催した為に傷付いてしまった私のガラスよりも繊細な心が癒させます。 桜吹雪の中、花びらを手のひらで受け止めると、思わず涙が溢れてしまいました。 学園島では味わうことが出来ない平和な光景に、ピュアな乙女の心が反応してしまったのです。 目を閉じれば瞼の裏に、あまり活躍をしなかったシャクシャインさんを始めとした戦友たちの姿が浮かんできました。 私が箱庭スレ生活を楽しむ為の礎になった人たちの事を思うと、正義やら悪などといったくだらなくてとるに足らない概念が消えていきます。 すみません。自分に酔ってしまいました。 それはもう、べろんべろんです。
433 :
超適当 :2009/03/30(月) 21:16:52 ID:kep0bQf8
私の為に犠牲になった人たちに思いを馳せながら、その思いを振り払って私は歩き続けます。 そうです。 大英帝国の魔法兵にはメランコリーな気分やセンチメンタルな気分はいらないのです。 そんな事を考えるよりも、乙女の天敵、体重計に打ち勝つ事の方が大事なのです。 それから一時間ばかり歩いてから箱庭館に戻りますと倉刀さんがみたらし団子を食べている所に出くわしてしまいました。 「きゃーっ!」 新手の嫌がらせでしょうか。アフタヌーンティーを我慢している私の前でみたらし団子を食べるなんてとてもひどい行為です。 「わ、私、倉刀さんがそんな事をするお方だなんて思いませんでした」 「え、何かしましたか?」 何を言うんでしょうかね、この人は。いけしゃあしゃあにも程がありすぎます。 一方的に信じていた私はわーんわーんと泣いてしまいました。 私の泣き声を聞き付けたのか、はさみさんやハルトシュラーさん、ゆゆるさんがやって来ました。 乙女な皆さんですので、状況を察してくれたのか、物凄い怖い顔で倉刀さんを引きずって何処かに行ってしまいました。 「誤解だ! 無実だぁーっ!」 ドナドナみたいな倉刀さんの叫びが響きますが、自業自得です。 ちょっぴり可哀想ですが、ちょっぴりなのでどうでも良いです。 体重計に勝負を挑む私にはそんな事を気にする余裕なんてないのです。 結論から申しますと、体重計には勝ちましたが、身長を測るアレに負けました。 伸びていました。 身長が。 つくしんぼうみたいにせいたかのっぽなの気にしている私なのですが、伸びていました。 やはり乙女の悩みは尽きそうもありません。 ――to be continued on the next time.
434 :
超適当 :2009/03/30(月) 21:22:19 ID:kep0bQf8
以上、投下終了。 フェアリー・テールさんは正義とか悪なんて関係ない人だと思うよ。 自分にとって都合が良ければ入るだろうし、そうじゃなきゃ入らない。 もしくは入っても直ぐに飽きるw
ちょw倉刀完全にとばっちりw
乙ですww うん、フェアリー・テールさんについては俺も誤解してたよw むかし書かせて貰ったときはそういうキャラだと思ってなかったw
本場のフェアリーテールさんが帰ってきた!!
まとめwikiとか早めに用意した方が良いんじゃない? 項目は現在の居住者の出身スレ一覧とか あらずじとかもまとめたほうが新規も入りやすいような?
ところがこのスレは1スレで終わっちまう予定なのですよw なので容量的にはもう折り返し地点だったり でも、創作発表クロスオーバーまとめとかはあっても良いかもしれないね こういう企画は他でももっとやっていいと思う
え?終わっちゃうの? 創作発表クロスオーバースレって続くのかと思ってたよ。 残念。
創発クロスオーバー本スレは……どうしようw いつか立てたいとは思ってるんだけど、箱庭盛り上がってきたし、立てたい人がいればもう立てちゃってもいいのかも?
立てたほうがいいじゃない? で今までのをコピペして一から始めたほうがみんなわかりやすい気がする。 俺立てようとしたけど、駄目でした。
俺も駄目w今日別のスレを立てようとして立てられんかった 一からってのも、ここの住人の皆さんにも聞いてみないことには 少なくとも、序盤の箱庭設定議論が終わった時点で容量が確か5、60KBくらいだったから、 コピペしてもスレ容量的にはそう変わらないよ
個人的な意見としては立てなおすってのはありだと思うよ。 「創発クロスオーバー(箱庭館版)スレ」とかの方が見る人も多い気がする。 名は体を現すではないけれど、箱庭モノだとピント来ない作者さんも居るかもしれない。 このスレの残りを本スレとして利用してはどうだろう
箱庭は箱庭で終了させる方がいいと思う
次スレはまた別のお題でクロスオーバーてな感じで
1スレでリセットさせた方が、新規さん把握しやすいと思うし
新スレ立ってから参入しやすいと思う
とりあえず仮案として
>>441 で学園クロスオーバーも面白そうかも
自分もリセットに一票。 その方が色々できて楽しそうだし。
>>431 画像サンクスです。
しまった。1スレ限定それは計算してなかった。
複線回収せんと。
学園クロスオーバーってどんな感じでやるんだろう。
ウチからはまた別の面子がいけそうだな。
俺もリセットする気満々で今まで無茶な話を書いてた件
リセットするなら世代を変える気でいたりする。
「先帝の無念を晴らす!」
フェアリー「いいですか倉刀さん。 私たちはインペリアルクロスという優雅な陣形で戦います。 防御力の低い私が後衛、 両脇をハルトシュラーさんとゆゆるちゃんが固めます。 倉刀さんは管理人さんの前です。 ある意味、一番危険なポジションです。覚悟して戦って下さいね」 倉刀「(゚Д゚;エーッ!! それ別の意味で危険すぎるだろーっ!」 管理人「倉刀君、後ろは俺に任せろ」 倉刀「絶対にいやだーっ!!」
454 :
創る名無しに見る名無し :2009/04/02(木) 04:48:45 ID:Xw9DoGtf
よくわかんないけどなんですのん?
>>452 ちょwwwww
倉刀がいじられキャラになっとるwwwww
リンデ「倉刀、あんたホモなの?」 倉刀「なんですか急に……」 リンデ「あんた、ジークと一緒の時に荒い息吐いてたっていうから」 倉刀「ち、ちがいますよ! 人聞きの悪い事言わないで下さい! あれは未熟なゆえ、胸があたって動揺したので―――」 リンデ「ホモじゃなくて、おっぱいが好きなの?」 倉刀「そう!」 リンデ「変態……」 倉刀(アレ? なんか誤解されてる?) 倉刀「あ、あの、だからそういう意味じゃなくて、おっぱいとか好きだけどそういう意味じゃなくて なんていうか、若い女性の雰囲気というか、女体の神秘というか―――」 リンデ「ふ〜ん……」 倉刀(じろじろと眺めてる……訝しがっているのか?) リンデ「倉刀さんて―――童貞?」 倉刀「あwせdrftじこpl!!!!」 リンデ「へぇ〜〜〜〜〜」 ニヤニヤ 倉刀「な、なんですかそんな目をして、大人をからかわないで下さい」 リンデ「倉刀作にはあだ名がある〜♪童貞♪ドーテイ♪DOUTEI♪」 キャハハハハ 倉刀「ちょ、ちょっと! なに歌ってるんでうsか! ちょっとまって! お願いだから!」
小悪魔めww
書き込みが停滞してるのは、皆さん創作中だからだと思いたい それにつけても倉刀の悲しき事よ 不幸は彼を中心ににして起こる
まったくこれだから最近の子供は
もてあそばれてんな倉刀w
夕陽の川原にて 倉刀「はぁ……なんで俺って、こういう扱いなのかなぁ……」 カァーカァー がさがさっ エーリヒ「聞いたぜ、倉刀さんよ……」 倉刀「君はたしか……エーリヒ、君?」 エーリヒ「おなじ漢として見過ごすわけにわな、わかるぜアンタの気持ち」 倉刀「そ、そうか……ありがとう」 エーリヒ「だからコレを渡しておこうと思ってな……」 すっ 倉刀「?」 『スピード15分 秘密厳守 男性スタッフだけの医院です! ○×クリニック』 倉刀「こ、これは……」 エーリヒ「漢にも、誰にも言えない悩みってあるよな……安心しな、誰にもいわねぇよ……」 スッ…… 倉刀「あ、ちょっと……」 カァーカァー 倉刀「どうしろと……」 がさがさ ジークフリード「倉刀さん、ここにいたんですか探しましたよ」 倉刀「ああ、フリード君こんにちわ。……その花束は?」 ジークフリード「ええと、お姉ちゃんが倉刀さんに、リアル魔法使いおめでとうって渡してこいと。 よくわからないけど、倉刀さんおめでとうございます!」 スッ 倉刀「…う…う……うわあぁぁぁぁぁぁぁんっ!!!」 ジークフリード「どうしました倉刀さん、泣くほど嬉しいんですか? 倉刀さん? 倉刀さん!?」
倉刀wwwww
これは泣くw
リンデドSwwwww
倉刀「ふぅ……なんかどっと疲れた……今日はもう帰ろう……」 とぼとぼ…… 倉刀「……おや? 箱庭館に垂れ幕が―――って、ちょ!」 倉 ジ 刀 ョ お ブ 作 め チ さ で ェ ん と ン う ジ ♪ 鋏美「どういう事ですか?」 フェアリー・テール「なんでも、倉刀さんがウィザードになられたとか」 ゆゆる「おんなじ……ゆゆるうれしい」 ジークリンデ「Lvアーップおーめでとぉー♪ Lvあーっぷオーメデトォー♪ レベルアーップ、おーめでとうー♪ レベルアップ、御目出度う〜〜〜♪♪」 倉刀「しかも、高台で軽やかに歌ってるしぃぃぃぃぃ! ちっくしょぉぉぉぉぉぉぉおおおおっっっっ!!!」 ―――次の日 ジークフリード「お姉ちゃん、ハルトシュラーさんが倉刀さんを探していたけど、何か知らない? なんでも、昨日から帰ってこないんだって」 ジークリンデ「さあ? しらないわ。そんな事よりフレンチクルーラーきれたから買ってきて」
Lvアーップおめでとうの歌懐かしいw てかジークリンデひどいなw
垂れ幕www
これはきっとアレだ。 好きな子につい意地悪したくなっちゃうみたいな部類のアレだ。 そうとでも思わない限り、倉刀が間違った方向に行きそうで心配だw
誰か続き書かないかなぁ
君が書くといいね その胸にたぎってる何かを投下するよろし
471 :
スカウト ◆ccu2hP6PPA :2009/05/19(火) 21:41:48 ID:pOsvkIiR
やはり女が欲しい。 (ん?) すまん、いきなり性欲の権化のような発言をしてしまったか。 俺はヒーロー学園悪部バイオ科からやってきたテュポンだ。 この島に来てもう随分になる。 さて俺は今この島で悪の組織を結成しようと考えている。 なんで女かって? ヒーロー物のお約束ではないか。 悪のヒロインと正義のヒーローが恋に落ちて、 ヒーローが戦えなくなるみたいなのを期待しているのだ その弱ったヒーローをぶちのめすが楽しみでしょうがない。 まだ組織すら存在していないのに、この想像力我ながら素晴らしい計画性じゃないか。 (しかし、どうしようか。) 何しろスカウトするのは、悪の組織だからな。 「君……君…悪のヒロインなってみない?」 「はぁぁ?お巡りさん〜(ユキチ)」 となるのが見え見えである。 出来れば相手と2人っきりというのが好ましい。 断られたときの処理も考えて、あの館の中は避けたほうが良さそうだ。 候補は3人 ジークリンデ はさみ フェアリー・テール 魔女っ子は最近関係各所の規制が厳しくなって来ているので自粛だ。 アメリカに進出する際は人質として前面に押し出して、 ヒーローを無効化するというのも良いかも。 あの国のヒーローは女・子供に弱いと評判である。 求める性格は 少しおおざっぱなくらいがいい。 自分で言うのもなんだが俺は几帳面だから、俺と子分のクッションになってもらわねば。
あと、ヒロインとはいえ最低限の強さと教養を持っていて欲しい。 小規模な我が組織には、お姫様的なヒロインにのほほんと居てもらうゆとりはない。 むしろジャンヌダルクよろしく、敵の本陣へ先陣を切ってくれるような人材…… そういう人材を求めている。 「あらテュポンさん?」 (ん?この声は?) グラスを持ったまま振り返ると、そこにはジークリンデが立っていた。 「珍しいな。1人か?」 「ええ……。同じモノください。」 『かしこまりました。』 バーテンダーがグラスに酒を注ぐ。 「テュポンさんってこの島で何かしてるの?」 この女何を企んでいる? 「さっき出掛けようと思ったら、館の前でテュポンさんを待ってるって人がいたから……。」 あの馬鹿……、あれほど館には近づくなと言ったのに。 ヒーロー実習の巻き添えを食ったら、漁夫の利どころではなくなることがわからないのか。 「それで?」 「何してるのかなぁ?と思って。 確か雑誌に写真を投稿してるって言ってたよね?」 「ああ……。」 「写真見せて〜。」 ふん……、その程度の小道具は用意している。 これがキャバクラだったら、写真撮ってあげるから部屋においでとか言えるのにな。 流石に一つ屋根の下の住人にはできない。 「ねぇ、私も写真撮るんだけど良かったらチーム組まない?」 「は?いや、それは困るというか何と言うか……。」
「なんで?どうして?ずっと1人で見張るの大変でしょ?」 「実はな、俺の撮る写真はただの写真じゃない。 俺はいずれ世界を征服する男だ。」 「へえぇ、夢が大きいのね。 ジークフリードにも見習わせたいわ!」 この女既に酔っているのか? 顔が真っ赤である。 「いや、まぁ今は悪の組織の仲間を探してる状況なんだが……。」 「面白そう。アタシも手伝ってあげようか?」 「いや、しかし家族にも組織のことは内緒にせねばならん。 もし喋ったら……。」 「喋ったら?」 「世にも恐ろしいことが起こるであろう。」 「ふぅーん。 まぁたまには1人で行動するのも悪くないし、面白そうだから私も入ってあげるよ。 年間費とか入会費とかいくらかかるの?」 この女……、悪の秘密結社をビデオ屋の会員かなにかと勘違いしてないか? 「で……その組織の名前って何ていうの?」 「名前?」 「そうよ、まさか考えてないの?」 「卒業と同時に組織を乗っ取る予定だったので、特に名前は考えてなかったのだ。」 「なるほど、ヒーロー学園の学生は大変なのね。 じゃぁ、私が考えてあげるわ。」 こうしてまず1人仲間が出来た。 卒業まで後120日……
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超久しぶりに書いてみた。 みんなどうしてるんだろうか
投下乙ー 自分も投下したいな、とは思っているがネタが浮かんでこない 何かお題というかネタ振りが欲しい
それもそうなのだが、他人が投下したネタとは違った物も書いてみてー、という我侭な自分がいる お題にそって書けても、発想というか想像力がないんだよなー
>>478 ネタならいくらでも振られてね?
実際一ヶ月誰も書いてなかったわけだし……
好きに書いていいんじゃない?
悪の組織結成の話、読みたいなぁ ジークリンデは加入なんか? 弟はどうなるん?w
加入っていうより、引っ掻き回すだけ引っ掻き回して、飽きたら勝手に抜けそう 弟だけ取り残されたりしてw
482 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/28(木) 15:57:48 ID:rcJPN4Hd
それはありそうだな。 何にせよ そういう話は読みたいもんだ
頭上から降り注ぐ太陽の熱気を、ときおり吹く風がやわらいでくれている。 桜の花はすでに散って、周りの木々は夏の様相へと変わろうとしていた。 初夏。 これから更に暑くなるのであろう。 ジークフリードは額に浮かんだ汗をぬぐい、ふうと息をついた。 日本には梅雨という物があるらしいが、まだまだ先らしい。 この暑さが和らぐのなら雨は歓迎だ。 もっとも、当地の人達にとってはうっとうしくなる季節らしいが。 「そういえば、HANABIって見たことないなぁ……」 姉はいつまでここにいるつもりなのだろうか。 長く滞在するのならHANABIは見てみたい。 箱庭館の庭を散歩しながら、ジークフリードはそう思った。 木陰のある所で少し休もうと、周りを探していると人の姿がみえた。 S・ハルトシュラー。 自分と同じ姓で、自分とは違う人。 どうやら木陰で涼みながら、本でも読んでいるようだ。 ハルトシュラーと視線が合うと、彼女は微笑んだ。 「散歩かね」 「あ、ええ……はい」 「そうか。立ち話も何だ、座るかね?」 そう言って傍らにある椅子を指差す。 断る理由も特に無い。ジークフリードは座る事にした。 そばで見るとやはり姉に似ている。 だが落ち着いた雰囲気は姉に無い物だ。 しかし一族に、姉に似ている従姉妹がいるとは聞いた事がない。 倉刀もあまりハルトシュラーの身の上は知らないようだった。 (いったい、ハルトさんは何者なんだろう……) 彼女はいったい何者なのか。 どうして大人の倉刀が彼女に付き従っているのか。 ジークフリードはハルトシュラーに、純粋に知的好奇心を感じた。 見られている事に気づいたのか、ハルトシュラーが尋ねてくる。 「どうかしたか? ジーク」 「あ、ええ、その……」 ふふ、とハルトシュラーは笑った。 「女性を詮索するのは紳士に欠ける、違うかね?」 「え、ええ……すみません」 ジークフリードは己を恥じた 確かにそうだ。自分が抱く疑問は彼女には関係ない事だ。 他人には言いたくない事だって沢山あるだろうに。
恐縮しているジークフリードに、ハルトシュラーがそっとカップを差し出した。 中にはゆらゆらと緑色の液体が注がれている。 「日本の御茶、緑茶という物だ。口にあうといいが」 「あ、ありがとうございます」 ジークフリードは勧められて、それを嚥下した。 次の瞬間、思い切り顔をしかめる。 「……苦」 「はは、やはりお子様には少々合わなかったか」 しかめ面をしたジークフリードの顔をみてハルトシュラーは笑った。 「だがこの苦さこそ甘さを打ち消すに絶妙でな。倉刀に菓子を買ってくるように頼んだのだが まだ戻って来ないようだ。いれば菓子と一緒にすすめたのだが、すまんな」 「はあ、そうなんですか」 さぁっ、と一陣の風が庭先に吹いた。 その先に倉刀の姿はいまだ見えない。 どうやら此処にいるのはジークフリードとハルトシュラーだけらしい。 ふむ、とハルトシュラーは顎に手をあてた 「倉刀が来るまで話でもするかね? じきに帰ってくるとは思う」 「はい」 返事をしてからジークフリードは内心、しまったと思った。 本ばかり読んで同年代の女の子と話した事はない。 ジークリンデは話になんか興味を持たず、外に出かけて狐狩りなんかに夢中だ。 どうすれば気の利いた事を言えるのか。 まだ幼いジークフリードには結構な難問だった。 そんな葛藤を知ってか知らずか、ハルトシュラーが語りかけてきた。 「君は、童話や昔話が好きだったね」 「はい」 「では、こんな話は知ってるかね?」 そう言って、ハルトシュラーは一つの物語を語りだした。 それは、こんな話だった。
ある所に、一人の少女がいた。 娘は貴族の家系に生まれ、何不自由なく育てられた。 少女には弟がいて、両親は変わらぬ愛情を二人にそそいだ。 だが家を継ぐのは長男である。 自分はいずれ、偉い人へと嫁がされていくのであろう。 少女は、親が愛情ゆえに進路を整えてくれているのは十分理解していたが それ以上に、他人に人生を決められるのが嫌だった。 顔も見た事の無い許婚に嫁いで、家の中で暮らすより、 もっと多くの世間を、世界を、少女は見たかったのだ。 そして、少女はある日家を出た。 外の世界。 何者かもが新鮮で、あらゆる物が楽しかった。 少女はさらに、世界の果てへ果てへと探求の旅をつづけた。 旅をつづける中、やがて少女は多くの知識と技量を身につけるようになった。 少女の類まれなる才能は多くの出来事を吸収し、改良し、己の物と化した。 少女は戯れに己の力を試すことにした。 手のひらから何かを生み出すことなど、少女にとっては造作もなかった。 人々の頭の中にしか無かった空想上の生き物は、地上に自分の場所を築くべく その地にいた人々を駆逐しようとした。 人々は、少女を魔王と呼んで怖れた。 生み出した「娘」は男共を虜にし、「竜」は空を駆け周りを灰燼と化し、 「薬」は人々に黒い斑点を生み出し、全土を恐怖に陥れた。 少女が自分の過ちに気づき、事態を治めた時には、 地にすまう多くの生物が、黄泉路を通り、あの世へと旅立っていた。 ―――自分に愛情を注いでくれた、家族までも。 少女は悲嘆した。 何かを生み出す力を持ってはいたが、既に失った物を呼び戻す力は自分には無かったからだ。 少女は旅を続ける事にした。元に戻す事ができると信じて―――。 旅を続け、やがて少女は極東の島国へとたどり着いた。 そこで一軒の屋敷を構え、自己の鍛錬に没頭する事にした。 その結果、多くの物が生み出された。 だが、愛する家族をこの手に取り戻す術を生み出す事は適わなかった。 少女は絶望に打ちひしがれた。 手に入れたあらゆる知識と技量は、少女に死ぬ事を許さなかったのだった。 身内もおらず、目的も無く、ただただ生きていくだけの時間の牢獄。 過ぎていく時間の中で、少女は自分が誰であるかも忘れていった。 そんな少女の屋敷に、来訪者が現れるようになった。 各地を旅してきた自分の作品に感銘を受けた者達。 それらが技術を学ばんと、門を叩いてきたのだった。 少女は自分が何者であるかを思い出した。 あのような事が起こる事を怖れた少女は、屋敷を外界と隔絶させた。 そして、己の名前を伏せるようなった。 それでも、高名な噂を耳にした創作者達は、少女を一目見んと居場所を探した。 魔王と呼ばれた少女は、いつしか時が経つ内に芸術の神と呼ばれるようになった。 少女はその噂を聞いて自嘲した事であろう。 ただただ、人を怖れて引き篭もっているだけなのに、と―――。 過去の作品が多く有って、近年の作品を聞かないのは何故かしら、と―――。
「いかがかな」 語り終わって、ハルトシュラーはジークフリードにむきあった。 「悲しい……お話ですね」 ジークフリードはポツリと呟いた。その顔には複雑な表情が浮かんでいる。 「覆水盆に返らず……生きていくうちに後悔する事が人には出てくる物だ」 「はあ……」 「ジーク、姉は好きかね?」 「え?」 突然の質問にジークフリードは面食らった。 首を傾げしばし考え込む。 そして口を開いた。 「色々とやんちゃな所もありますけど―――」 「…………」 「僕は、お姉ちゃんが好きですよ」 「……そうか」 ハルトシュラーはその答えを聞いて笑った。 心なしかその笑みは乾いているかのようだった。 「……では」 ずい、とハルトシュラーは顔をジークフリードに近づける。 息遣いが聞こえそうな距離。 ごくり、とジークフリードは唾をのんだ。 「君にもし恋人が出来て、分かれ道に姉と恋人が居たとする。片方を選ぶともう片方の道が崩れ 奈落へと真っ逆さまに落ちていくとしたら―――」 真剣な目。凛とした、それでいて詰問するかのような声。 「―――君は、どちらを選ぶかね?」 「え……」 先ほどより、ずっと難しい質問。 自分にはまだ恋とかはよくわからない。しかし姉は嫌いじゃない。 だが、どちらを選ぶと言われたら? ジークフリードの視界が、ぐるぐると渦をまく。 「あ……う……」 答えられない。答えられるはずが無い。 だが、もし。もしも。 将来、そんな事が起こりうるとしたら?
ふぁさ――― 「あ……」 悩むジークフリードを、ハルトシュラーが抱きしめた。 「すまない、意地悪な質問をしてしまったな」 怯える子供を落ち着かせる母親のように、ハルトシュラーは優しく背中を撫でる。 「あ、いや、き、きにしないでください!」 どぎまぎと、赤面しつつジークフリードは身体を離した。 バクバクとなる心臓を落ち着かせるために、緑茶に口をつける。 今度は味が全然わからなかったが、その冷たさは幾分自分を落ち着かせた。 「あ、あの、ハルト……さん」 「なんだ?」 「その―――」 ジークフリードはハルトシュラーに尋ねようとした。 その質問の頭を、喧騒が掻き消した。 「こんな所にいたのね、ジーク!」 声のした方を振り向くと、そこにはジークリンデが立っていた。 つかつかと二人のほうへと歩み、ぐい、とジークフリードの腕を掴む。 「館の中を結構探し回っちゃったわ。あなた部屋に居ないんだもの。さ、行きましょ!」 「え、ええ? 行くってどこに?」 「それは行ってからのお楽しみよ!」 満面の笑み。 姉がこういう笑みをするのは大抵自分にろくでもない事と認識している。 そして一度こうと決めたら、己を曲げない事も重々承知している。 ジークフリードは観念してジークリンデに付き合う事にした。 「あの、ハルトさん。お姉ちゃんに呼ばれたので」 「そのようだな、茶会はまた今度にしよう」 「はい、すみません」 「なに気にするな」 ハルトと会話中も、ジークリンデはお構い無しに腕を引っ張ってくる。 「う〜ん、ジークに相応しいのは何かしら……死神博士? イカゲルゲ?」 「何言ってるのか全然わからないよ、お姉ちゃん」
喧々囂々とする姉弟に、ハルトシュラーが尋ねた。 「弟は好きかね? え…と、ジーク…リンデ?」 「はあ?」 呆れた顔でジークリンデはハルトシュラーを見つめた。 いったい何を言ってるのか? と言った表情だ。 「当たり前じゃない、何言ってるのよ。可愛い弟だしね」 (それなら、なんで厄介ごとに巻き込むのかな……) 姉の傍らで、弟が複雑な顔をする。 その言葉を聞いてハルトシュラーは頷く。 「ならば、良し」 「そう、良かったわね。行きましょジーク」 「あたた……引っ張らないでよ、お姉ちゃん」 二人が去っていった後、ハルトシュラーは緑茶を口につけた。 すでに幾分か温くなっている。 ハルトシュラーは注ぎ直すとそれを飲み干し、目を閉じて倉刀が帰ってくるのを待った。 どれだけ風を感じた事であろう。 遠くから倉刀の声が聞こえ、ハルトシュラーは目をあけた。 「いやすいません師匠、此処らへんの地理はまだ詳しくなくって」 皿に買って来たドーナツを広げながら、倉刀は話す。 「ミスダードーナツ探すのに手間取りましてね。これが新商品のクッキークルーラーみたいですよ」 「うむ、すまんな。私では陳列棚の上まで届かんのでな」 「へへー気にしないでくださいよー。あ、お茶貰いますね」 自分のぶんの菓子をわけ、倉刀は自分のカップへお茶を注ぐ。 そんな倉刀を、ハルトシュラーはまじまじと眺めた。 「……なんですか師匠? なんかついてます?」 「……いや、そういえば似ていたのだな、と思ってな」 「え? 何がですか?」 「知らん、黙って食え」 「ちょっとー、教えてくれたっていいじゃないですか」 倉刀の問いかけに答えず、ハルトシュラーは目の前の菓子に手を伸ばした。 黙々と次々にドーナツを頬張る。 そんな師匠をみて、倉刀は呟いた。 「黙ってれば、年相応の娘さんなんですがねぇ……」
更新キタ━━(゚∀゚)━━ヨ どちらを選ぶかってなんかのフラグかな
490 :
創る名無しに見る名無し :2009/06/08(月) 17:25:30 ID:G5hkORrz
投下乙です プラグ立ってるな
長編来てる! この関係もこれからどう展開されていくんだろ
492 :
創る名無しに見る名無し :2009/06/25(木) 15:24:49 ID:FWPX+AqQ
もう投下ないんかな
493 :
創る名無しに見る名無し :2009/06/25(木) 16:17:00 ID:FWPX+AqQ
続きないかな
続きを期待してるなら、とりあえず作者さんのモチベーションのためにも感想でもつけてみたらどうだい? とかいってみる
496 :
創る名無しに見る名無し :2009/06/30(火) 22:28:09 ID:SPAYY26L
複線どうやって回収するんだろ?
一瞬、実存世界から剥離されたような奇妙な浮遊感を感じた後、無事に 目的の座標へと到達した。モバイルによって発生した超空間の移動は、何 度経験しても慣れることが出来ない。その代わり、今回は収穫があった。 目標地点にあった物体と私がいる水槽とが丁度入れ替わる形で、移動する ことが出来たのだ。今後は障害物のある地点への転移も可能となるだろう。 それにしても、ここはどこだろう。どこかの洋館の一室であることは分 かる。食器が収納されている棚や竈などがあるところを見るに、この部屋 は調理場であろうか。木造の趣ある内装ではあるが、一見したところ、何 か特殊な施設であるようには見えない。神格生物との交信により得た支持 であるから、ここに来たことには何らかの意味がある筈だが――。
498 :
創る名無しに見る名無し :2009/09/09(水) 01:23:55 ID:4zP9RA27
「あれ? おかしいなあ。師匠、今日はいい魚を仕入れたって言ってたのに」 この館の者であろう。帽子を被った、人の良さそうな青年である。 「魚なんてないじゃないか。この水槽に入ってるのは、どう見ても魚じゃ ないよなあ」 どうやら、私をすぐにつまみ出そうという気はないらしい。この部屋に 違和感なく溶け込めているようだ。 「……そうか。師匠はあえて無茶な食材を与えることで僕に創作料理を――」 彼は何かに納得した様子で、私の水槽に手をかけた。やれやれ、一時は どうしてよいか分からなかったが、とにもかくにも事態は動き出したよう だ。私はひとまず胸をなで下ろした。 ―ウーパールーパー・入館―
動きがなくて寂しかったので投下 たまにはこのスレのことも思い出してあげて
ついに来たかウーパーw そして早速食われそうだww
このスレの存在忘れてた そして早くも死亡フラグがw
このスレ大好きだ ただ未だにキャラが全部把握できてない
別のスレから来ているキャラばっかりだしな でも、みんな個性的だってのは把握している
ジークフリード&リンデ姉弟って、童話スレのオリジナルキャラなのね 今さら知った で、童話スレにも行ってみたけど、他の作品もなかなか面白いな 「とある昔話」の閣下、カッコいいし美しい。惚れるわ
私の魅力に気づくとは見所のある奴 褒美にマックスコーヒーを取らす ────y──────────―─―――― ___ .'´,,==ヽ .|´iノハルト〉 _。_ ∫ Y .j l| ゚ -゚ノ| ∬ c(_ア |!γリ春jリつ〔凵 -=ニニニニ=- ||(ン llゝヘヽ || 厂 ̄ル(ノ、j┘ 儿
>>505 マッ缶すかww
閣下、それ、すんげー甘いっす…
勘弁して下さい
でもリアルでは時々飲む。ホットで
マックスコーヒーキャラ定着してるなw
俺は信じてるぜ いつの日かまたこのスレが動き出すと
510 :
創る名無しに見る名無し :2010/05/23(日) 00:32:33 ID:v62Uip9N
これは凄まじくGJ! とでも言うと思ったか? 言ってやるさ何度でも!GJ!
まさかのww GJ!
超乙!