非軍事系ガンアクション創作スレ

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1創る名無しに見る名無し
この板は『軍事系』ではなく殺し屋、マフィア、犯罪、傭兵、警察物など
非軍事系のガンアクションの創作に関する創作スレです。
正規の軍隊が主人公の話や戦争物はスレ違いとなります。
2創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 11:40:54 ID:iA5CZSRT
                                ∧∧     ローリング!!
                  フワリ  ∧∧  )  ⊂(゚Д゚,,)⊃    ∧∧
                    ⊂(゚Д゚⊂⌒つ     \  ,)〜  (゚Д゚,,)
                          ̄       ( ( |   ⊂⊂,,ヽ
            クルン  /⌒⌒ヽノ  )))          ∪     (_ (_ )ノ
                 (   )て )              ヾ
              ((( ∨∨⊂ノ               タッ
              ノ~
   ズサギコ!!  ∧∧⌒つ
         (゚Д゚;)ノ
         (ノ (ノ         (´´
   ∧∧  )    ≡≡≡≡(´⌒(´≡≡
 ⊂(゚Д゚⊂⌒つ ≡≡≡≡(´⌒;;≡
           (´⌒(´⌒;;
 2げっとズサーーーーーーーーー!!!
3創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 12:01:09 ID:gr9Rt4iF
【軍事】ミリタリー系創作スレ【兵器】
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1220331328/
傭兵系SS創作所
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1228634990/

関連してるようなスレ
4創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 14:07:18 ID:6QqVDEbl
>>3
おお、リンク貼るのを忘れていた、ありがとう
5創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 15:41:04 ID:WIMaRwSu
ウェスタンな創作!
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1229180148/

一応関連?
6創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 16:57:02 ID:6QqVDEbl
俺の頬を夜の冷えきった風がさすった。
薄汚いスラム街にそびえ立つアパート群の隙間からは冷たく照っている三ヶ月が覗いていた。
俺は今、熱く煮えたぎる殺意と得物だけを持ってこのスラムの路地を歩いていた。
あぁ、我が弟、スコット。お前の仇を討つには最高の夜だ。
お前が愛していた、死に際まで手放さなかったこのベレッタM92Fは、今俺の手の中でお前
の仇の血を吸うべく熱い闘志を漲らせていることであろう!
我が弟スコットよ、今夜、お前の無念を晴らすときが来た。

俺の視界の先、数十メートル先に人影が見えた。
一人ではない。壊れかけの街灯の薄明かりの元に、3人、4人…6人。
6人は手に手に凶器を持ち、赤黒い血にまみれボロ雑巾のようになっているアメリカらしい
肥満体型の男に暴行を加えていた。その姿はジャンキーとしか言いようが無かった。
その連中はスコットを無惨にもバラバラに引き裂いたあいつらと同じだった。
そう、彼奴等と同じジャンキー、ジャンキー、ジャンキー。
俺は無意識のうちに早足になり、ベレッタのスライドを引いていた。
7創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 17:18:38 ID:6QqVDEbl
殺すのに言葉は要らない。感情も、何も。必要なのは“殺意”というものだけ。
俺は足音に気づいて振り返った一人に向けて引き金を引いた。
スライドが激しく後退し、銃が跳ね上がり薬夾が真横に吐き出された。
俺の視線の先ではジャンキーの服の胸に赤い染みが広がっていき前のめりに倒れた。
「何だぁ?!貴様ぁぁぁ」
一人が狂ったように叫び持っていた斧を振りかぶりこちらに向かって来た。距離は十メートル。
「死ね」
俺は一言だけ言うとまた引き金を引いた。今度は頭。
俺は殺意に任せてトリガーを引き続けた。
薬夾が飛び散り、ジャンキー共が次々と血をまき散らしながら倒れていく。その様子は正に壮観。
ジャンキーが死んでいく。いいぞ、死ね、もっと死ね。
弾が無くなり、スライドが後退したままになる。その頃にはジャンキーは全て屍と化していた。
ははは。自然に笑いが漏れた。終わった、スコット、お前の願いは叶えたぞスコッ__
言いかけて、声が出なかった。
振り返ると警官がこちらに銃を構えているのが見えた。
そして視界は真っ暗になった。
8創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 17:34:52 ID:6QqVDEbl
翌日の午前中、NYPDのロン警部は若い部下の報告に耳を傾けていた。
昨夜の銃撃事件についてだ。
「名前はジョン・マーフィー、歳は31」
「ジョン・マーフィー……?聞いたことあるな」
ロンはくわえていた煙草を灰皿の淵に置いた。
マーフィー……ジョン・マーフィー…。
「ええ、三ヶ月前のジャンキーによるリンチ事件の被害者、スコット・マーフィーの兄です」
「ああ、そいつだ」
「それで、奴の体内から薬物が検出されたんです。……ここからは推測ですが、奴は弟の死の悲しみを紛らわす為に薬物に手を出し、結果こうなってしまったのではないか、と考えています」
なるほど。それなら合点がいく。
ヤクのやり過ぎで逝っちまったのかそれともヤクの奪い合いでこうなっちまったのかは知らんが合点があう。
何にせよ、ヤクがこの男を凶行に走らせたのは違いない。
「全く…ヤクって奴は怖いですねぇ。人をこうまで変えてしまうとは…」
「ホントだな……ヤクって奴は銃より怖ぇな。…戻っていいぞ」
「はい、失礼します、警部殿」
部下が去ると、ロンはその男の写真にふと目をやり、別件の聞き込みへと向かった。


思いついたので書き上げた。
後悔はしていない。
9創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 00:40:59 ID:1bjmPjEM
いいよいいよー
10創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 22:04:27 ID:wRwyuRoF
今見返してみたら何か日本語変だね、俺……

ガンアクション物を書いてる人に質問。
劇中に登場させる銃に何かこだわりある?
大藪春彦氏を例に上げるとあの人はワルサーP38とモーゼルHScにこだわったみたいだが……
俺はとにかくその場に、その状況に合ったものを選ぶようにはしている
でも時々変な方向にいっちまうんだよな……近未来の日本の警官の装備がグロック36とか…
11 【大凶】 【351円】 :2009/01/01(木) 00:25:20 ID:wkssC4LX
好みで出すので、SAAとガバ、ふたつのコルト.45口径が高確率で登場。

でも最近ドラマの影響でSIGSAUERのp226以降がw
ワルサーp99も似合うキャラが創れれば…
でもなぜかS&Wのオートとグロックにはいまいち心踊らないふしぎ

本年もよろしくおねがいします
12 【大吉】 :2009/01/01(木) 11:43:23 ID:hItrH8mX
皆さん今年もよろしくお願いします&age

>>11
P99が合うキャラって殺し屋くらいしか無いと思う
ローエンフォースメントにもテロリストにも合わないから…
あとは巻き込まれ系&逃亡者系の主人公がどさくさに紛れて奪うとか
13創る名無しに見る名無し:2009/01/01(木) 14:36:43 ID:ynwimU1O
大体自分の撃った事あるやつを出す
銃とか戦闘描写はやっぱりリアルさが売りになるから
でも銃だけを主体にしたやつは書いたこと無いな
射撃は結構すぐ飽きるからね
14創る名無しに見る名無し:2009/01/01(木) 16:42:13 ID:hP83xS+h
実射したことあるってのは強みだなあ
あとてっぽう撃つとかに限らず、行為行動自体より
その動機や意志、信念を描くことを目的としたいねえ
15創る名無しに見る名無し:2009/01/02(金) 17:46:19 ID:Ck+3oASo
やっぱ銃の台尻でしがみついてきた市民を
オールを漕ぐかのような動作で顔に一撃加え振り払ったり
拳銃のグリップで頭部や体を殴り付けて暴行を働くとか

そういうことできるやつをだな
16創る名無しに見る名無し:2009/01/02(金) 18:30:24 ID:3CH/7DWl
突撃銃の底でぶん殴るとかいい感じ
銃剣格闘はもっと注目されるべき
17創る名無しに見る名無し:2009/01/02(金) 19:15:10 ID:VNReipj1
ショットガンとかライフルの銃底で腹を突き、顔を銃底でブン殴る。
うん、漢だね。
18創る名無しに見る名無し:2009/01/05(月) 21:57:19 ID:RBI4shT8
 目の前にいるカフェで座っている男、
 コーヒーにスプーンで並々砂糖をたっぷりとそそいでいる男が、
 本当に傭兵部隊にかつて参加所属して、各地を荒らし回ったと思えなかった。
 まあ荒らし回った云々は聞いた話で本当か定かでないが。
 容貌はそこらへんどこにでもいるような顔つきである、
 体躯は多少引き締まって見えるが特にこれといって特徴のない男だ。
 なんというか元傭兵という者のそれっぽさというか、
 そんなものを期待、いや想像していたがためにいささか拍子抜けした感がある。
 
 まあとにかくコイツに依頼を頼むわけだが、
 あっけにとられたせいかちょっと心配気味である、コイツに任せて大丈夫であろうか?
 
「あなたが仕事人さんか?」
「おや依頼主さんですか? 初めまして、んじゃさっそく移動しましょうかね」

 移動先で一通りの依頼について説明した。
 説明中、何も喋らず彼はコーヒーのスプーンをずっとぐるぐるかき回していた。
 説明が一通り終ると彼は手を止めて、聞いている間に溜まった質問を
 洪水のように激しい勢いでまくし立てて質問攻めにした。彼はその度に逐一手帳に目を遣ってメモをとっていた。

「なるほどね、分かりました」
「大丈夫か、やれるのか? 無理ならほかに当たるが」
「ほほう、私こう見えて多少腕には自信を持ってましてね、なにせいままで失敗という失敗もないもので……」
「やるのか、やらないのかそれだけ言えばいい」
「やりましょうベストを尽くします」
19創る名無しに見る名無し:2009/01/05(月) 21:57:57 ID:RBI4shT8
 ベストを尽くしますだなんて、これからお仕事始める素人じゃあるまいし、
 本当にこんな奴に任せていいのか、改めて不安になる。
 前金要求されなかっただけ幸いだろうかと思ったが、何かの流儀なのだろうかを訝しみながら部屋を後にしようすると
 棚に置かれた一丁の拳銃が目に入った、一瞬少し見つめてただけだったが、
 それに気づいたのか奴は得意気な様子になったように見えた。
「ご存じだと思いますがコルト・ガバメントです。まあ一応馴染みになりますかね」
 そう言うと棚まで歩いて行って、握って見せた。
「持ってみます? どうぞ、気を付けて」
 手首にずしりとくるこの感触が心地よく、落ち着くものがある気がする。
 どこか自分とは縁のない世界の物体そんなようなものを感じて、銃をいろいろ傾けて覗いては好奇な思いに浸っていた。
 しかし妙な視線があり、変な恥ずかしさを感じ銃を机に置いた。
 
「なんかこだわる理由を?」
「いや特にないですよ、それにいつもこれってわけじゃないですし」
「なんだ、特定の武器とかにこだわりがあるかと思った」
「んなもん私の場合は特にないですよ」
「そうか……」

 傭兵と聞くから、どこか好奇心渦巻く対象に夢踊らせていたのに
 そんなものなのかと思って、思わず宙を見上げた。
「邪魔したな、後でまた連絡を寄越す」
 そう言って帽子をいつもよりも目深に被って部屋を出た。
 そしておもむろに携帯を取り出すと、依頼成功と連絡をして駅の方向に歩いて行った。
20創る名無しに見る名無し:2009/01/05(月) 21:59:51 ID:RBI4shT8
なんかいろいろ適当です、すいません一応支援投下
21創る名無しに見る名無し:2009/01/06(火) 11:24:46 ID:SSzdDmFn
投下乙です
22創る名無しに見る名無し:2009/01/10(土) 14:53:24 ID:+Z5Fgf0Y
依頼人目線というのは面白いね
アクション場面に連れてかないといけないのが
個人的には面倒くさそうだけどなあw

ではおれも申し訳程度に投下
書きかけだしアクションまだ無くてアレだけど
23創る名無しに見る名無し:2009/01/10(土) 14:53:41 ID:+Z5Fgf0Y
 ジョウはK駅下りホーム、一つしかない改札へ続く階段脇の、固いベンチに
大きく脚と腕を組んで座っていた。秋も深く、真夜中近い今は風も冷たかった。

 戦前から大して変わらない、コンクリートの土台と枠に土と砂利を盛ったホーム。
 申し訳程度に、浅葱色のペンキを塗っただけの鉄骨で支えたトタン板の屋根の所々から、
なんとかぶら下がった、傘も無い白熱灯が、橙色の灯りで周囲を温めていている。

 ジョウとホームの背後、高い金網、土手、旧国道、コンクリの堤防の向こう、
湖のような湾から巻いて返ってくる元北風が、ジョウの咥えた葉巻の煙を、
誰も居ない上りホームの方、その向こうの新国道と人気の無い町へと流していた。

 ジョウはベンチから、下り上り両ホームの屋根の間から斜め上に覗く星空を、
その小さな目で、見るともなく眺めていた。紺のPコートの襟が立っている。
 時折、葉巻の火が明々と点り、大きく煙が吐き出された。

 背後の階段を足音が降りてきた。
「お待たせしました。線路に居座ってた子供、母親に引っ叩かれたそうですよ」
 下りてきた年若い駅員がジョウに言った。ホームに居ると言い張ったジョウに、
少しでも風を避けるよう、そのベンチを勧めた駅員だった。
「お袋?親父は何やってたんだ?」
 ジョウが聞いた。星を見上げた小さな目は、星のさらに向こうを見ているようだった。
「拳骨でぶっ飛ばしてたそうです。三発めで周りが止めたら、母親が」
 駅員がやれやれ、という笑顔で応える。

 ジョウは、左手で葉巻を口から離し、小さな目を細め、膨よかな頬を膨らませ、
やけに並びのいい白い歯を見せて、駅員ににっこり笑いかけた。
「そいつぁいいや。ガキってなぁ、やってイいこととワルいことは
カラダで覚えなくちゃいけねえやな」
「そうなんですかねえ。いや、僕等もそうやって親に躾けられましたけど、世間じゃ、
もう戦後ではないとかなんとかって言いますしねえ」
 駅員は言って、苦笑いを列車がやってくる方へ向けた。
 その方向から微かに、汽笛の音が聞こえてきた。

「終わった後は、どこまで往っても後さ。もう終わりようが無ぇのさ」
 ジョウは表情を無くし、半分ほどにちびた葉巻の火を吸皿で消して、立ち上がった。
24創る名無しに見る名無し:2009/01/10(土) 14:54:10 ID:+Z5Fgf0Y
「お客さん、お客さん。終点です。K駅ですよ」
 車掌の大きな声が聞こえてきて、リュウは面倒くさそうに左目を半分開けた。
「途中あんなことがあって遅くなっちゃって、誠に申し訳ありませんが、無事到着です」
 初老の車掌が、真四角な顔全体でにっこりと微笑んで言った。

「お孫さんによろしく。ぼくはここで朝を待つよ」
 リュウは車掌に言って、開けかけた左目をまた閉じる。
「駄目ですよお客さん。泊まるところなら、うちだってありますから。さあ起きて」
 車掌がリュウの白いコートの肩を揺さぶった。

 最後の乗客が階段を登って行った後も、ジョウは階段の脇に立っていた。
 コートのポケットにしまった、ちびた葉巻を取り出して咥え、マッチを取り出した時、
一番後ろの車両から、車内の最終確認に乗り込んだ若い駅員と、折れそうに細い、
車掌と思しき、大きながま口を首から下げた老人に両脇を抱えられ、白いコートの
背の高い男が、白熱灯の鈍い光の中に出てきた。葉巻とマッチをポケットに戻す。

「どうもありがとう。連れが待っててくれてたみたいだ」
 ホームの真ん中、階段まで10メートルのところで、リュウは言って、
車掌と駅員の手を解いた。しっかりと立ち、1メートル先に立つジョウに顔を向ける。
 リュウの顔には、挑むような、ジョウの顔には嘲るような笑みが浮かんでいた。

「え……」「あの……面倒なことは……」
「心配ねえよ。さっさと行っちまいな」
「コイツとはガキのころからの付き合いでね。いつもこんな感じなのさ」
 ジョウとリュウの言葉に、車掌と駅員は足早に階段へ向かった。
 その間に、列車は車庫へ動き出した。

「で、オマエは誰なんだい?」
 ホームにジョウと二人きりになって、リュウはあかるい笑顔で、あかるい口調で言った。
「お前を迎えに来たのさ。行き先は、お前次第だ」
 ジョウは嘲笑のまま、小さな、微塵も笑っていない目を細めて言った。
「じゃあ、一番近くの、連れ込みじゃないホテルに連れて行ってくれ」
 答えるリュウの笑顔は、二人を照らす灯りよりずっと明るかった。
「行き先は二つしかねえんだ。天国か、地獄だ」
 二人の身体が動いた。
25創る名無しに見る名無し:2009/01/10(土) 14:54:37 ID:+Z5Fgf0Y
 リュウの右手に持ったオイルライターが、肩の高さで火を灯した。
 リュウの左手人差し指と中指にはさまれた煙草が、ジョウの口に触れていた。
 ジョウの右手で、コルトの銃口がリュウの左脚を向いていた。

「一服どうだい? 温まりはしないが、落ち着くぜ?」
 リュウは言って、ジョウが咥えた煙草に、ライターの火をつけた。
 ジョウは、大きく煙を吸い込み、コルトをしまって、煙を吐き出した。
 リュウが自分の分の煙草を取り出して咥える。
 ジョウは、自分のロウマッチを爪で着火した。リュウに差し出す。

 二人はベンチに座り、車も通らない新国道を眺めて、煙草を吸っていた。
 背後の旧国道を、ときおりスピードを上げた車が走っていた。
「おれを殺れば誰かに褒められたのかい?」
 リュウが苦笑して言った。
「いいや。お前が俺より凄腕だって言いやがるのが気に入らなかったのさ」
 ジョウが応える。二人とも、動きの無い新国道を眺めたままだった。
「ニシ興業のニシ社長かな? ドラ息子とじゃじゃ馬娘は元気かい?」
「さあな。元気なんじゃねえのかな」
「そりゃあよかった。あそこがまともになったら、ここはいい街になっちまう」
「ここが嫌いなのか? 悪いところじゃあないぜ」
「知ってるよ。オマエみたいな奴にはいいところさ」
「一緒にこいよ。お前だって、いい思いができるぜ」
「オマエがいるならおれは要らないさ」
「それはねえ。お前は俺より速い」
「オマエはガン。おれは煙草とライターだった。速く見えただけさ」
「なんでガンを抜かなかった?」
「持ってないから」
「しょうがねえ野郎だ。俺の予備をくれてやる。ちゃんと勝負しやがれ」
「いらないよ。そんなことの為に還って来たんじゃないんだ」
「何しに来やがった」
「女に会いに」
「じゃじゃ馬か」
「別のじゃじゃ馬さ」

 若い駅員と年老いた車掌がおそるおそるホームに現れ、二人を追い出した。
 ジョウは駅前で、リュウに新しくできた駅前のビジネスホテルを指さした。
 リュウはにこやかに、ジョウは嫌そうに、お互い手を振って別れた。
26創る名無しに見る名無し:2009/01/10(土) 14:55:44 ID:+Z5Fgf0Y
以上でございます
27創る名無しに見る名無し:2009/01/10(土) 18:14:46 ID:Q6nHoXab
もしかしてアレですか?
二人が動いたってところあるじゃないですか

それって、あのなんていうか
とっさに反応して、銃を引き抜いて相対するとか対峙しようとするとか
ああいう場面ですよね
28創る名無しに見る名無し:2009/01/10(土) 18:55:42 ID:+Z5Fgf0Y
ああっ伝わんなかったかーwまだまだおれは未熟だなあ
二人が動いて、そのまま>>25につながるんだけどね
うーん、補足できるかなあ。ちょっと直してみるか……

 二人の身体が動いた。

 次の瞬間、リュウが、肩の高さで右手に持ったオイルライターの火を灯した。
 リュウの左手人差し指と中指にはさまれた煙草が、ジョウの口に触れていた。
 その時、ジョウの右手のコルトはまだ、銃口をリュウの左脚を向けていた。

て感じで伝わるかな?
29創る名無しに見る名無し:2009/01/10(土) 18:58:31 ID:+Z5Fgf0Y
ああいかん申し訳ない。日本語間違ったw

×その時、ジョウの右手のコルトはまだ、銃口をリュウの左脚 を 向けていた。

○その時、ジョウの右手のコルトはまだ、銃口をリュウの左脚 に 向けていた。
30創る名無しに見る名無し:2009/01/10(土) 19:09:45 ID:Q6nHoXab
ああいやどうも勘違いだったwようだ

二人が動いた…の動いたに反応してしまって
とっさに相手は反応して銃を向けようとしたが、いきなりタバコ突きつけられて
拍子抜けしたというか気が抜けたんだなというか

それで銃を〜向けていたにつながるのかと
31創る名無しに見る名無し:2009/01/10(土) 19:25:31 ID:+Z5Fgf0Y
あれ?伝わってるじゃん。そのとおりだよ?
てごめんごめん、おれが勘違いしてるだけだったw

>>27に対しては、「うん、そう」 だね。
どうもおっちょこちょいでいけねえやw
日本語ムツカシイネー
32創る名無しに見る名無し:2009/01/10(土) 19:32:55 ID:yOSFca6x
お前らワロタ
ガンアクションスレでほのぼのさせてどうすんだよ
33創る名無しに見る名無し:2009/01/10(土) 19:40:56 ID:Q6nHoXab
あ、よかったのか

なんというかコメントというか、補足の確認で聞いただけだったんだがw
34創る名無しに見る名無し:2009/01/10(土) 19:52:24 ID:+Z5Fgf0Y
あ、分かったよ>>33
指摘してもらったとおり、煙草でジョウが「なんだコイツ」ってなる
ワンクッションが抜けてるから分かりにくいね。
うーむ、勉強になりました。
35創る名無しに見る名無し:2009/01/11(日) 23:34:18 ID:Sot3nhPg
よくみたら>>1の出だしがおかしかった。
「この板は」じゃなくて「このスレは」とするべきだったorz
36創る名無しに見る名無し:2009/01/11(日) 23:56:23 ID:LSZGzTfo
いまさらか!って
よく見たら確かに板になってるw

でもこの板はどちらかというと
こういう系列も新興にあたるのかな
37創る名無しに見る名無し:2009/01/15(木) 17:40:30 ID:LbqBtQVX
そういや銃撃戦とか
まだここで出てない気がする
犯人と警察とか
38創る名無しに見る名無し:2009/01/18(日) 07:57:21 ID:d+Y6D/tJ
一応投下します、アクションないんですがw撃ちません
39創る名無しに見る名無し:2009/01/18(日) 08:00:47 ID:d+Y6D/tJ
「確認したあの角だ、あの二つ目の信号の角の所を曲がってすぐの所だぜ」
 そう言って彼は、身を乗り出して指をその方向に向けた。
 その指した方向には俺たちの目指す目標、俺たちの狙うべき獲物がある。
 人生初めての犯罪行為を犯すことになる、そしてそれへの心配な気持ちで胸は一杯なはずだが、
 いよいよ始まる奪取作戦ということもあり、不思議と何故か気分は高揚している。
 手には汗がびっしょりと滴り、拭っても発汗は止まることはなく、
 何か気分を落ち着かせようと、しきりに手の平を閉じたり開けたりしてできるだけ平常心を保とうとしていた。

「どうしたね、怖いのか」
 一つ目の信号を止まって停車したところで、
 お仲間の一人の頬髭豊かな彼がしゃがれた声でいかにも愉快な調子で語りかける。
「大丈夫だろうな、ええ? 銃の準備はできてるだろうな?」
「ああ大丈夫だ、大丈夫だって! いつでもいける」
 気持ちが高ぶって緊張しているせいなのか、
 つい声も自然に上がってしまい怒っているかのように答えてしまう。

「心配するこたぁない、行って捕って帰ってくるだけのことさ。
 手際よく要領さえ押さえてりゃ問題なんかこれっぽちもないんだぜ?」
「そうは言っても銃を撃つんだ、それも人に向けてな」
「それは状況次第よ、目的を迅速にかつ効率よくこなす、
 そのための道具とでも思えばいいじゃねえか、何もそんなこと心配なんかすることあるめいよ」
 
 まったく簡単に言ってくれるもんだ。
 もうすぐそこまで例の作戦地点が迫っているというのに、なにも緊張もしていないと見える。
 ふと後ろに目をやるともう一人の俺と同じく新人の仲間であり、
 俺よりも少し年下な男がまるで眠っているかのように胡坐をかいてじっと顔をもたげていた。
 小生意気そうな短髪頭が特徴的だ、20代そこらってところだろう。

「おい君はどう思うね、やれると思うかい?」
 するとそいつはうつむき顔をもたげたまま目も開けず、うなるように喋った。
「やれる? 、やるしかないでしょそれもいまからね今更何を」
「そりゃあそうなんだが……心配だとかなんかないのかい?」
「そんなの話したところでただ心配を煽るだけで、なんもならないですよ」
 あからさまに冷たくぶしつけな態度をされて思わずかっとなる、
 コイツも初めてのくせにいかにも今までやり慣れてそうな態度で、
 平然としている冷静面が気に食わず、一つ揶揄でも吐き捨てたくなった。
「フンッ、よくできたお方だ」
 すると前から彼の重くかすれたような独特の声を上がる。
「黙りなよそろそろ着くぜお二方よ、目指し帽深く被って銃準備しときな、
このまま予定通り目標の側面に向かって突っ込んで突入するからな、仕事の時間だぜ」
 
「いよいよか畜生め! やってやろうじゃねえかよ!」
「その意気よ、ほら行くぞ……!」
40創る名無しに見る名無し:2009/01/18(日) 08:04:24 ID:d+Y6D/tJ
強盗っぽく銃撃戦がないんですがwすんません
41銃撃戦的なもの.1:2009/01/18(日) 18:02:44 ID:/n2ZI0zd

畜生!どうしてこんなことに……!
俺は心中悪態をつき穴だらけになったワゴン車の陰に飛び込んだ。
心臓は高鳴り汗が止まらない。M16自動小銃のグリップを握る手が汗で滑る。
どうしてこんなことになったのか?俺は混乱する頭で整理しようと試みた。
俺はボスの命令でメデジンの連中の取引を襲撃し構成員共を始末してヘロインを強奪する手筈だった。
だがメデジンの連中は待ち伏せしていやがったのだ!
車中から、建物の陰からサブマシンガンの連射を浴びた俺の連れはあっという間に殺られちまった!
生き残った連れと俺を合わせても3人、メデジンの連中はざっと15人…。相手はこっちの5倍だ。
「なぁ、トミーさん!」
連れの1人、T.Kが悲痛な声で俺を呼んだ。
T.Kは不慣れな手付きでメデジンから奪ったMP5Kを構えていた。
「このままじゃ3人揃って蜂の巣ですよ!」
「そ、そうですよ」
もう1人の連れ、ポールも叫んだ。ポールは俺と同じくM16をしっかりと構えていた。
確かにこのままではマズい。確実にあの世行きだ。くそっ!それだけは勘弁だぜ。
俺は辺りを見回し自分たちの乗ってきた4WD車を探した。あの中にはまだ武器もある。
42創る名無しに見る名無し:2009/01/18(日) 22:29:23 ID:GgcIowBN
ん…続きはあるのか?
43銃撃戦的なもの.2:2009/01/18(日) 23:24:39 ID:/n2ZI0zd
色々あって続きの投下は間が開くかも

4WD車……。あった、青の4WDだ。
しかし取りに行くとなると弾幕に晒されることになる。だが、取りに行かねば。
「よし、2人共よく聞け。3カウントで一気に車まで走れ?いいか…3、2、1、行け!」
2人に考える暇を与えず俺は走り出した。2人もそれに続く。
T.Kは走りながら左手に見えるメデジンに向け銃を乱射した。
俺もM16を腰だめに構え引き金を引く。NATO弾が雨のように吐き出され、反動で体が揺さぶられた。
メデジンの構成員たちはたまらず物陰に引っ込み、銃を撃ちまくった。
俺は弾が切れるとM16を車中に放り投げ、4WD車の後部座席に飛び込んだ。
「ポール、出せ!」俺の合図とともに車は急発進した。
廃工場の敷地を出るとすぐさま警察の追跡が始まった。パトカーが3台、どれも地元警察のだ。
「クソぅ、マッポだ!」
助手席のT.Kが悪態をつきながらMP5kを窓から後続のパトカーに向け乱射した。
俺も積んであった武器弾薬の中からM16の弾倉を取り出し叩き込んだ。
T.Kがいる右側ではなく左側から身を乗り出し、フルオートで乱射する。
先頭のパトカーのフロントが忽ち風穴だらけになった。
44銃撃戦的なもの.3:2009/01/18(日) 23:56:50 ID:/n2ZI0zd
先頭のパトカーはたまらずスピンし、歩道に突っ込んだ。
車はいつの間にか背の低い建物が並ぶ地方都市の市街地に入っていた。
「何とか路地に入ってサツを巻けないか?」
「…やってみます!」
ポールは思いっきりアクセルを踏み込んだ。
車は一気に加速し、助手席のT.Kがひっくり返った。
パトカーも更に加速し、横付けしようと迫ってくる。
「くそ!」T.Kが起き上がり近づいたパトカーに銃撃を加えた。
俺は後続のパトカーに向けVz61スコーピオンを片手持ちで乱射する。
車が右へ、左へと揺れたり曲がったりするおかげで全く弾がまとまらない。
「ポール、揺れはなんとかならないか?」
「駄目です!市街地なので車が多くて…」
その時、車とは違う排気音が聞こえた。
後ろを伺うと白バイが2台、しっかりと付いて来ていた。
その白バイ警官の腰には銃身の長い.357マグナムリボルバーが吊るされていた。
それぞれ白バイ警官は腰に利き手を伸ばし、素早く銃を引き抜いた。
S&WのM19。6インチ銃身モデルだ。
45創る名無しに見る名無し:2009/01/19(月) 02:49:09 ID:cP0RbAHG
キャラ設定とかありますか?
4641:2009/01/19(月) 07:48:27 ID:yB5j4lBb
キャラ設定無いとやっぱ厳しいか……

主人公の3人組はアメリカの地方都市を牛耳るマフィアの一員で、
勢力を拡大すべくライバルのメデジンの取引を妨害にしにきた訳だ。
トミーは組織の中でも下っ端を纏める若頭、という位置づけ。
T.Kとポールはトミーのお気に入り…というぐらいしか考えていない……。
トミーは大柄で筋肉質、T.Kはちょいデブ、ポールはチビ(アメリカ人としては)って感じで…。
47創る名無しに見る名無し:2009/01/19(月) 09:07:44 ID:cXrUtci3
あ、いやすいません

文中からでも分かるんですが
ちょっと他のスレで他の人の作品読んでた時に
短くキャラの設定とか書いてあって、それでキャラ把握しやすいかなと思ったので
48銃撃戦的なもの.完結:2009/01/19(月) 18:23:57 ID:yB5j4lBb

俺は警官が銃を構えるのを視認するとすぐに頭を引っ込めた。
弾はボディにめり込み、ガラスを砕き火花を散らした。
「まけ!まけぇ!」
俺は運転席に向かって叫んだ。車がガクンと傾き右へ左へと蛇行し、曲がる。
T.Kはすでに射撃を止め、助手席で様子を伺うばかりだった。
「クソっ!」と俺は叫び、銃のみを車から突き出し後方へ乱射した。
接近した白バイが転倒し、警官が吹き飛ぶのが見えた。俺は腕を引っ込め、マガジンを交換した。
そのとき、「うわぁっ」と悲鳴が上がった。
見ると、ボンネットに先ほど撃ち損じた警官の姿があった。
警官は右手でしがみつきつつ、左手のリボルバーを撃った。
すさまじい破裂音と共にガラスが砕け散り、ポールとT.Kはとっさに体を沈めた。
ポールは全く前を見ずにハンドルをきった。警官が視界から消え、路肩に流れていった。
「なんとか落とした!」
ポールは顔を上げた。車はいつのまにか田園地帯が続く田舎道に入っていた。
一体これから車はどこにいくのか?いや、愚問だ。
行けるとこまで、これが答えだ。
道の先にはパトカーの封鎖線が見える。
さて、突破できるのか?俺は銃を握る手を握り直した。


END
49創る名無しに見る名無し:2009/01/19(月) 18:26:43 ID:yB5j4lBb
結構適当に書いちまったがなんとか完結できた。
もうちょい勉強した方がいいな
50創る名無しに見る名無し:2009/01/19(月) 20:39:46 ID:zbDuUzuw
乙です
主人公達は動きからすると
今まで銃火の中を生きてきたって感じですな
三人コンビってのがまたいい、どこまでも一蓮托生という感じ

トミーは人生切り開いて生きてきたって感じがします
なんか他の仕事でもやっていけそうw自営でも
51創る名無しに見る名無し:2009/01/23(金) 10:11:52 ID:bv1dQ7NF
銃が出ればなんでもいいのかな
少しファンタジーっぽくても、銃を主人公が使うとか
52創る名無しに見る名無し:2009/01/27(火) 19:27:48 ID:eh+aiWKM
人類滅亡後の地球を描いた人外ファンタジーで
コルト45拳銃vs魔法ってのを考えたな〜
人間世界の最新兵器と魔法だとただの蹂躙になるけど
「武器、兵器、戦争道具の後世保存は行われなかった」って設定で
生活道具の学術資料として遺されたコルト拳銃と散弾銃で魔法と対決
53創る名無しに見る名無し:2009/01/27(火) 20:41:57 ID:kqbfqwhT
対○○弾とか、通常と対魔法用と二種類使うとか
これはなんか厨っぽいなw

いやでも普通の銃で魔法使いと戦うのがいいのかな
54創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 10:36:15 ID:SZe/A5sP
細い路地裏で挟み討ちに遭った。前後に一人ずつ。
男どもの動きに油断はなく、どうにも逃げられそうになかった。
思わず舌打ちが洩れる――こちらが策を練る前に前方の男が突っ込んできた。
鋭く突き出された拳を大きく仰け反って避ける。それがまずかった。
男は一連の動作で蹴りを繰り出してくる。体勢を崩している俺は、それを避けきれなかった。
脇腹に衝撃が走る。背骨まで響いた。
体が宙に浮いたと思った次の瞬間には、地べたを舐めていた。
男が俺の顔面めがけて蹴りを放つ。見えている。体は動かない。
一瞬、意識が飛んだ。視界が消え、すべてが闇になる。
「けっ、雑魚が」
「俺が出る幕もなかったな」
男どもの罵声が聞こえる。
(勘弁してくれ…)
俺は抵抗する仕種も見せず、ただ無様に、路上に這いつくばっていた。
しばしの静寂の後、不意に背中を踏みつけられた。
「ぐァッ…」
肺の空気が半強制的に吐き出された。
「確か、殺しても良かったんだよな?」
「カネさえ持って帰りゃな」
駄目だ。このままでは殺される――!
55創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 10:36:42 ID:SZe/A5sP
俺は懐のベレッタに手を伸ばした。
まさか、こんな三下相手に使う事になるとは!
俺は、背中の足を振り払うように勢いよく半身を起こした。
拳銃を抜き、セイフティを外すとともにスライドを引き初弾を装填する。
軽く腕を伸ばし、リアサイトとフロントサイトとを重ねる。
その直線上に――よろめいた男のどてッ腹がある。
「雑魚はおまえだよ」
俺は眼を細め、トリガーを二度引いた。
薄暗い路地裏をマズルフラッシュが彩った。
男は腹から涙のような血を数滴ほど垂らし、言葉もなく倒れた。
俺は立ち上がり、もう一人の男に向き直る。襲ってくる気配はなかった。
男は顔をしかめ、こころなしか体をふらふら揺らしている。
閃光に眼をやられたらしい。カメラのフラッシュを直視したのと大差ないのだから無理もないだろう。
俺は男の胸に蹴りを入れた。奴にしてみれば不意討ちに等しかったろう――あっけなく路上に倒れ伏した。
倒れた標的に照準を合わせ、引き金を絞る。軽い音を立てて男の胸に着弾した。
「がはぁっ!」
びくん、と体を痙攣させる。
中途半端なままで終わらせる気はない。
ベレッタの銃口を男の口に突っ込んだ。
「これが最後だ。貴重な弾を無駄遣いさせやがって……雑魚が」
9mmの弾丸が軟口蓋を潰し、延髄を破壊した。
血まみれになった銃身を見て、俺はため息を吐いた。
今の銃声を聞きつけて、連中は必ずここに来るだろう。
一刻も早く逃げなければならない。
俺はふたつの死体には眼もくれず駆け出した。
月も照らさない夜の道を走る。
逃げなければならない。
遠くへ。
56創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 10:46:01 ID:6QQaVIiS
支援
57創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 10:47:16 ID:6QQaVIiS
58創る名無しに見る名無し:2009/03/29(日) 13:27:12 ID:Y8ll1syZ
ザァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ
ある夜、激しい雨が降る森の中の一本道を一台の黒塗りのベンツが猛
スピードで走っていた。 後部座席にいた男が運転手に「もっとスピードを出せ
、急がないとワシは殺されてしまう。」と言う、車がカーブに差し掛かるとあたりまえのことだが
少しスピードが落ちた、その時、ソレを待っていたとばかりに「何か」が屋根
の上に「ボンッ」と飛び乗ったのだ、その音に気づいた後部座席の男が
顔色を変えてこう言った、「撃てっ、車から落とせっ。」そう言われると
前の助手席に座っていた胸元から銃を取り出し天井に向かって
「プシュップシュップシュッ」と3発撃った、銃にはサプレッサーが付いていた。
屋根の上にいた「何か」は屋根にしっかりとしがみ付き、ジワジワとボンネット
へ移動していた、運転手は突然視界をふさがれてあわてた、助手席の男は
ボンネット上にいる「何者か」を撃とうとした、だがそれより一瞬早く
「何者か」の右腕がボンネットに吸い込まれるように入った。
ドガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン
エンジンを一撃で叩き割られたベンツは闇夜をつん裂く爆発音と共に
爆裂した。 前に乗っていた二人は即死した、だが後部座席の男は間一髪
車から飛び降りていた。 「はぁわわ、痛っつぅぅぅぅ。」うめき声を
あげた後、この少し太った白髪の老人の顔は凍りついた。
目の前にボンネットの上にいた「男」が立っていたからだ。
老人は言う、「やっやめろぉ、ワシを殺さないでくれ〜。」
男は言う、「すまない、俺はお前がどうして殺されるか知らないがこれも仕事なんでな。」
男はスタスタと老人に近づく、老人は恐怖で震える目でこの世の最後の
映像を見た、男の目が緑色に光り手刀を振り上げる、老人は断末魔の叫び
をあげたがすぐに聞こえなくなる、老人の声をあげる首はすでに飛んでいた。
男はその場から立ち去る。 静けさを取り戻す森の中でベンツの残骸から
たちのぼった炎がまるでキャンプファイヤーのように赤々と木々を染めていた。
59創る名無しに見る名無し:2009/04/05(日) 12:10:30 ID:iFAO0KrJ
やっとこさ規制解除
投下乙です。ここ住人少ないな……
60創る名無しに見る名無し:2009/04/06(月) 02:22:10 ID:szF5LY88
ザアアアァァァァァ!!!

それは砂粒が波間に頽れるように、雨粒が傘を打ち鳴らすように。
コンテナの閂を抜いた途端に溢れ出した。
溢れ出したのは影、闇、暗黒──否、それは黒い携行銃“デリンジャー”の山であった。
閂を開いたスーツの男のこめかみに、夜の宵闇にあってなお黒々と影を形作るほどの、怒りの血管が浮かび上がった。
「……おい。こりゃなんの冗談だ。俺ゃブツを、薬を持って来いっつったんだ!こんな短小のエモノじゃねぇ!」
男はガシャリと黒山の一部を蹴り崩す。
その瞬間に乾いた発砲音。
男の耳が千切れ飛ぶ。
「がぁっ……!痛ぇえぇ!誰だ!誰が撃ちやがった!!」
男が取引相手の集団に銃を向けた。
男の背後で、また黒山が崩れる音。
いや、黒山は崩れたのではない。
“立ち上がった”。
「何が短小のナニだって?」
「!」
乾いた発砲音。
振り向く間もなく、集団に銃を向けていた男の顔面がザクロの果実と化した。
デリンジャーの黒山が立ち上がったかに見えたそれは、全身を黒いスーツに包んだ、黒髪の女性だった。
「これは──デリンジャーは、短小のナニなんかじゃない」
女性は右手に持っていたデリンジャーを、上に向けて高々と放った。
コンテナのそばで取引をしていた集団が、敵も味方も関係なく、みな一様に黒髪の女に銃口を向ける。
女は笑っている。
デリンジャーが放物線の頂点を過ぎ、下降に転じる。
「デリンジャーは、女の陰核だ。そして女の棘だ。舐めて掛かると──」
女を取り囲んでいた男の一人が引き金を絞った。
女はデリンジャーの山を蹴り撒く。
男の放った銃弾は蹴り撒かれたデリンジャーに弾かれた。
女はデリンジャーを蹴り撒いた不安定な姿勢のまま、左手に持っていたデリンジャーを吹かせた。
デリンジャーから放たれた弾は誰にも当たらず、先に投げ上げた、落下中のデリンジャーの“引き金”に当たった。
乾いた発砲音。
女に凶弾を放った男の顔が、またしてもはじける。
「──タマ、絞り尽くされるよ」
女は昏く笑んだ。

その日、女は数千丁のデリンジャーの山から一歩も動かずに、取引に乗じていたふたつの組をすべて撃ち殺した。
数十人の倒れた者の顔面はその悉くがザクロのように破裂していた。
顔の無いゲームブレイカー(揉み消し屋)、“リベンジャーデリンジャー”は今日もまた一つ取引を揉み消した。
61携帯 ◆4c4pP9RpKE :2009/04/06(月) 02:25:54 ID:szF5LY88
デリンジャー超兵器化。
まじめに性能考察してるとこで書いたら殺されそうだ
62創る名無しに見る名無し:2009/07/17(金) 14:53:44 ID:7DGzSmXN
「今日からお前の得物はこれだ」
マネージャーからそう受け取ったのは、ヘックラー&コッホ製のUMPだった。
全体が樹脂で包まれたサブマシンガン、弾薬は.45ACPで、俺が以前使ってたMP5と同じか。

「なあ俺が好きな銃ってさ、カラシニコフとかM4とか、サブマシンガンだったらMP5とか、
そういうちょっと昔に使われた銃ってのが好きなんだ。あでもMP5は今でも最前線だけどさ」
「お前のMP5は修理中だ。店主が換えのバレルがないとぼやいていた。
そのUMPはスポンサーが臨時で提供してくださったんだぞ。製造元はMP5と同じだから品質も抜群だ」
30代くらいのなりをした白人の男が偉そうに言う。こいつは俺のスケジュール調整についてはよくやってくれていると思うが、
他の細かな美意識ってのには興味がないらしい。

「分かったよ。じゃあこれでCQBの訓練でもしてくるか。いや今はCQCって言うんだっけ?」
こう言ってからジェネレーションギャップという言葉が脳裏に浮かんできたのは、CQCだかBBQだかとは関係ない。
黎明期の銃という物は、鉄と木のみで形作られ、大戦後くらいから積極的に樹脂が使われ始めた。
こいつもそうだが、FNハスタールのファイブセブンのように全体が樹脂で覆われた銃が現れ始めて、
今の子ども達はこういう銃が好きなのかなって思ったら、ちょっと残念な気持ちになった。

また仕事の日がやってきた。
どうやら俺は女性にもてるらしい。外を歩けば、見知らぬ若い女がこっちを見る。
その後の行動で逆ナンに出る確率は……まあ分かんないけど、かなり多い方だ。
そりゃあ男としては嬉しいが、流石にそこまで見られたら、パソコンケースに忍ばせたUMPの事が気になってしまう。
依頼主はいつものように極秘……かと思いきやそうではなく、マネージャーの親戚からの依頼らしい。
中華系マフィアのボスであるラオという男を殺して欲しいのだと言う。
聞けば親戚の仇らしく、昔かなり酷い目に合わされたようだ。

〜らしい、とか〜ようだと続いているのは、マネージャーの口調がそうだからだ。
あいつが物事を断定的に話すことは珍しい。
「どうってことはない。マフィアといっても弱小組織だ。マカロフかサタデーナイトスペシャルしか持ってない」
「珍しく断言すんのかよ」
「弱小組織だと言っただろう。奴らはコネも金もないから情報屋を黙らせられないんだ。格安でベラベラと喋ってくれたぞ」
63創る名無しに見る名無し:2009/07/17(金) 14:55:17 ID:7DGzSmXN
チャイナタウンのとある飯店。ここがラオのアジトだ。ここの裏口から、俺が単身で突入する。
目指すは調理場から階段を上った先にある、オーナーのプライベートルーム。
ここの見取り図は頭に叩き込んである。想定する相手方の武器は拳銃くらいだろう。あとは包丁とか。
表向きはまっとうな食い物屋だから、機関銃や散弾銃を取り出すのは僅かに手間取るはずだ。
UMPのストックを伸ばし、初弾装填。

疲れた顔をした下っ端料理人がごみを捨てようとドアを開けた瞬間、俺は発砲した。
あえてサウンドサプレッサーは付けない。盛大にフルオートの発砲音で敵と客をビビらせる。
目についた奴から1人、2人、3人撃った。どうだ?まだ銃を取り出さないか?
雇われのセキュリティも、カンフーの達人も姿を現さない。ヘボめ!
あのムカツキマネージャー(の親戚)の仇がこんなザルいセキュリティの上でふんぞり返っているとはね。
おっと、こんな事を考えているうちにもう目的地だ。 ドアの前のガードマンをババン!バンバンバン!!
ドアをバタン!

ラオと呼ばれた男は、案の定革の椅子にふんぞり返って葉巻をふかしていた。
「ノックもせずに入るとは、なってないなミスタ……あー、なんと言えばいい?」
俺は名乗らない。もうそんなやりとりは飽きたんだ。照準を外さないまま、冷徹に引き金を絞る。

閉め切られた室内で、盛大に響き渡る破裂音とマズルフラッシュ。この光景を度々目にするが、思い出すのは決まって
千切られた綿菓子だ。フワフワとした綿菓子は最高に美味いがこっちは別物。もう誰も近付きたくない、
穴ぼこだらけの肉の塊が完成する。

「な、」
はずだったが、硝煙が薄れていくと、銃傷も何もないピンピンしたラオの姿がそこにあった。
「挙句に挨拶もなしに銃を乱射とはな。親の顔が見てみたい」
「どんなマジックを使ったんだ?ホログラフィか?」
「いいや立体映像なんかじゃあない。私は君の事を知っている。といっても名前は知らんがね。君は……君自身の事を知っているんだろう」
64創る名無しに見る名無し:2009/07/17(金) 14:56:12 ID:7DGzSmXN
「……!」
俺の背筋に戦慄が走ったのはどれくらいぶりだろう。

「私がバージョン6.1.5だ」
「嘘、だろ……?」
「いつになく冷静じゃないな。君がそんなに取り乱したのは、ケネディが暗殺された時以来じゃあないか。冷静になれ。
世代交代だよ。君はよく頑張ってくれた。これから君の役目は私が」
動揺でガタガタと震える俺にゆっくりと歩み寄るラオ。

「これから君の役目は私が引き受けよう。君はよく頑張ってくれた。これ以降のシナリオは出来て
いる。私が君を殺し、君の脳に私のデータを上書きする。その他のバージョンアップも同時に行い、
記憶も自我も私になる。この部屋にはスイッチの切れた私の死体だけが残る。
この身体は急場しのぎのものだから気にするな。テレビではこの架空のマフィア組織の内情が
暴露され、そして一般市民の記憶から近いうち消える。マネージャーの下には私が帰るんだ」

黒幕はあのマネージャーだったのか。
「ふざけるな」
「そう思うだろう。そこでマネージャーは君にチャンスを与えてくださった。君が持っている物は何だ?」
ふとUMPに視線を落とす。
「マシンガンは私も持っている」
ラオがデスクから取り出したのはMP5だった。
「とはいえさっき見てもらった通り、細胞の修復機能は私の方が上だが……、それが決定的な戦力差とはならんだろう」

俺がUMPのマガジンを交換した次の瞬間、重なり合う二つの銃撃音が響き渡った。
65創る名無しに見る名無し:2009/07/17(金) 14:57:02 ID:7DGzSmXN
「ただいま」
奴がこのオフィスに帰ってきた。とは言っても見た目は奴そのものだが、中身はどっちに変わっているかは分からない。
「おかえり。仕事はどうだった?」
「やったよ」

我ながら面白い会話だ。これだと奴の仕事なのか、ラオの仕事なのか判らない。
まあいい。ちょっとこの不思議空間を満喫しよう。奴が勝ったか、ニューバージョンのラオが勝ったかは
後回しだ。実は以前もこんな感じで中身が誰なのか知らないまま接していた事があったな。
あれはたしか200年前のバージョン3と、1300年前のバージョン2だった。

奴の手に下げられたパソコンケースの中は……。ほう、MP5が納められていた。いやあ面白い面白い。
そうだ、奴ももう疲れただろう。奴は特に仕事熱心だった。戦前から今までよく働いてくれていた。
これからは天国でゆっくりと羽を伸ばして―、

ガチャリ
何故だか、MP5の銃口は俺に向けられていた。
「何の真似だ?ラオ」美しい顔立ちをした少年は微笑んで、
「俺、MP5の方が好きだからさ」

おわり
66創る名無しに見る名無し:2009/07/25(土) 09:36:22 ID:62WCoOI9
サイバーパンクっぽいな。
67創る名無しに見る名無し:2009/08/15(土) 17:55:42 ID:OiO/eqXE
;
68創る名無しに見る名無し:2009/10/03(土) 21:53:12 ID:cpkH3hbr
保守
69創る名無しに見る名無し:2009/10/19(月) 20:51:00 ID:RoTWCY3O
薄暗がりの倉庫の中、背後から殺気が忍び寄る。
それは俺の単純な勘違いのかもしれない。
だが、その囁きは今まで何度も俺の命を救ってきた。
臆病者ほど長く生き延びる。

かたん、と俺が背にしている貨物のむこうの床が軋みをあげた。
空気が粘性を帯びる。一瞬の判断が生死を分ける。
ごくりと唾を飲み込むことすらできない。
俺はなんとか資材の山を飛び越えた。思ったより相手の反応は鈍い。
容赦なく距離を詰め、そしてそいつの頭に短銃を突きつけた。
このタイミングでこの間合い、いつもの馴染みのものだ――ひとつを除いて
目標は思っていたよりずっと若い、というより幼かった。
突然の事態にあどけない目を動転させておずおずとこちらを見上げている。
――昔ついうっかり娘を怖がらせてしまったことを思い出した
少女はがたがたと両手を震わせる。少女の震えは、
ちっちゃな両手の隙間からプラスチックの玩具を覗かせるまで止まらなかった。
あれ?と不思議に思った瞬間――仕込みナイフだった
ナイフが俺の喉元に突き刺さり俺の体はステンレスの板の上を激しく転倒した。
刃先の毒が体中を駆けめぐる中、俺はある見当はずれなことを考えていた。
ああ、子供と話をするときには目線を合わせてあげないといけないんだっけ――
彼女は俺の拳銃を拾いあげ、躊躇なく心臓に二発そして頭に一発撃ち込んだ。
それ以上は俺の記憶にはない。徹頭徹尾プロの手際であることだけ確かだった。

……
私は既に動かなくなった男の左のポケットから、煙草を取り出し火をつける。
ヤニの臭いがつくから止めろとは言われているが、こうでもしないとやってられない。
この男はこの成長の止まった体に何を見たのであろうか?
いつもより深くふう――と煙を吐き出す。
次の任務は変態のクズがいい。何の感慨もリスペクトも必要としないのだから。

少女は、面倒くさそうに携帯を取り出し無感動に告げた。
「あ――こちらA256、こちらA256――任務完了」
容姿とは裏腹な、場末の酒場にしっくり来るようなそんな大人びた声である。
吐き出された煙が輪っかを描いていた。
70創る名無しに見る名無し:2009/10/19(月) 21:59:02 ID:3t8VPb9h
ロリババァGJ!
71創る名無しに見る名無し:2009/10/20(火) 01:33:47 ID:J44aBxJf
好みの文体だ
72創る名無しに見る名無し:2009/10/24(土) 20:50:23 ID:ZIP8siIs
俺は覚悟を決めると、梱包資材の束を思い切り蹴飛ばした。
壁に立て掛けてあったシートの束が次々に二人組にぶち当たる。
一人がうつ伏せに倒れ、もう一人がよろけて壁に手をついたのを見て、俺は
拳銃を引き抜いて歩み寄った。

立っている男が俺に気づいた時には、俺のサイトは奴の胸部を
捉えていた。引き金を二度引くと、男は胸を押さえながら蹲り、倒れ込んだ。
次の標的――もう一人の倒れた男――へと銃口を向けて、背筋に
恐怖が走る。男は早くも体を転がして、ジャケットの内から取り出した
拳銃で伏せ撃ちの構えを取っていた。
発砲は同時だった。
73創る名無しに見る名無し:2009/10/28(水) 16:22:29 ID:HRZmc6Vb
【画像あり】「同級生の女の子に頼んでみた」中学生ハメ撮りAVが流出 ★14
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1256707678/



648529052734374
74創る名無しに見る名無し:2009/12/07(月) 20:38:41 ID:1q6OIsFO
75創る名無しに見る名無し:2009/12/13(日) 13:26:14 ID:Zgg+e6Q7
76創る名無しに見る名無し:2009/12/13(日) 17:30:03 ID:oA2sx9LY
77創る名無しに見る名無し:2009/12/13(日) 23:53:41 ID:C4cEXG/e
78創る名無しに見る名無し:2010/01/19(火) 06:19:15 ID:41u8S7Ha
保守
79アラスカンサーガ:2010/01/25(月) 22:55:11 ID:hShNC1Us
「雨‥‥止んだみたいだな」

 新田新一朗は山小屋の窓から外を眺めて呟いた。
 アラスカの森の中を散策するハメになって突然の悪天候に見回れ、ようやく目的地の山小屋に着き一晩を過ごした。中には薪と缶詰等の保存食が置いてある。巡回の森林ガイドやハンターが置いて行った物だ。
 新一朗はその中からイワシの缶詰を取り出し腹の足しにする。魚缶は低温下でも脂が固まりにくいので食べやすい。なにより、日本人である新一朗は魚が好物だった。
 もっとも、その缶詰は以前に新一朗自らがこの山小屋へ置いて行った物だった。

「出来れば食うんじゃなく補充の役回りで来たかったな‥‥‥」

 思わず愚痴をこぼしてしまう。それで現状が変わる訳でもない。こんな仕事を代わりにやってくれる変わり者もいない。

「シンイチロウ、本当に奴がここに来ると思うのかい?」

「ああ、必ず来るさ。必ず‥‥‥」

 相方のロバート・K・ウェザースプーンが
その巨体を揺らして話し掛けてきた。
 身長2メートル近い彼はその威圧的な体格に似合わず人懐っこい笑顔と人柄の持ち主で、クールで分析癖のある新一朗と真逆な人物だ。
 真逆の性格だからこそ、新一朗とはいいコンビとしてやっていけるのだろう。

「まったく‥‥金持ちのやる事は理解できんな。自分で目茶苦茶しておいて、出したクソは結局俺らが始末するんだ。格好付ける事すらまともに出来ないくせにな」

「シンイチロウ、そんな事言うもんじゃないよ。その金持ちがお客なんだ。彼らが来なかったら飢え死にするのは僕らさ」

「解ってるさ。でも気に入らない物は気に入らないんだよ」
80アラスカンサーガ:2010/01/25(月) 22:56:55 ID:hShNC1Us
 事の発端は二日前に遡る。
 ハンタークラブに駆け込んできた中年の男と、青い顔をしたその男の息子がしでかした事だった。

 彼らは休暇でアラスカへハンティングをしにきた親子だ。大自然の中でキャンプをはり、ヘラジカやヤマアラシをハントしていた。さぞかし楽しい時間だっただろう。
 己の腕を過信するまでは。

 彼らはヘラジカを狙いライフルを片手に森沿い散策をしていた。あいにくヘラジカとは遭遇しなかったものの、代わりにそれを遥かに越える大物と出くわしたのだ。

 グリズリーである。

 父親は100m以上も離れた場所から、息子にグリズリーを狙うようにすすめた。
 父親はハンティング経験者であり、グリズリーがどういう存在かを十分知っていた。だが、息子に大物を仕留めさせてやりたいという思いがはやり、息子も父親の期待に答えようと銃を構えた。
 己の矮小さと、己の相手の恐ろしさを知らぬままに、だ。

 息子は狙いをしぼり、引き金を引いた。グリズリーの急所はその巨体に似合わずとても小さい。前脚の間、わずか拳ひとつ程度の場所しかないのだ。
 放たれた弾丸は、急所ではなく前脚へ命中した。グリズリーは苦痛の叫びをあげ、彼らを一瞥すると森へと逃げて行った。
 その表情は遥か離れた彼ら親子にも解るほど、激しい怒りに満ちていた。
「必ず復讐する」
グリズリーはそう言ったように見えた。

そして、アラスカ最強の生物は、その上を行くアラスカでもっとも恐ろしい生物へと進化した。

『手負いの熊』

それは死に神の名前である。
81アラスカンサーガ:2010/01/25(月) 22:58:36 ID:hShNC1Us
 息子はその迫力に気圧されるしかなかった。ただ、自分の愚かさを噛み締めるしか出来なかった。
 だが、父親は違った。彼は知っていたのだ。こういう不測の事態に対処すべく存在する連中が居る事を。
 そして、彼らは他人の出したクソを決して拒む事が出来ない事も。



「まったく‥‥223でクマを狙う事自体信じられん。連中は小口径で大物を仕留める事がカッコイイとでも思ってるのか?ハイパワーライフルでも慎重にやるべき相手だってのに。」

「それは今のボク達にも言える事だけどね。ホントはショットガンじゃなくM60でも持って来たかったよ」

 新一朗とロバートは山小屋で件の親子を思い出していた。彼らは手負いの熊を新一朗らハンターガイドに押し付け、さっさと都会へ逃げて行った。

「アマチュアめ‥‥‥」

 新一朗は悪意を込めて言い放った。日本を離れてアラスカでハンターを始めて20年経つが、こういった連中は減る気配がない。
そのたびに命懸けの『掃除』をするハメになる。

 グリズリーは執念深い。怪我を負わされたらその相手を決して忘れないと言われ、必ず報復しに戻ると言われている。
 相手が見つからなければ、手当たり次第に襲うだけだ。相手と同じ生き物、人間を。

「それにしてもなんでこの山小屋なんだい?他にも奴が居そうな場所はあるだろう?」

 ロバートはまたも疑問を新一朗に投げかけた。

「奴は人間を探しているからさ。必ず人間を探している。奴らは馬鹿じゃない。人間がどんな所に居るか知っている。それに‥‥」

「それに?」

「他の生き物がいない。シカも鳥もクロクマも、他のグリズリーの気配も無い。みんな怯えてるんだ。奴に。だから必ず近くに居る。もしかしたらもう俺らは奴に見つかってるかもな」

新一朗は手にしたレッドホークのグリップを握りしめた。


‥‥‥後半へ続く。
82創る名無しに見る名無し:2010/01/25(月) 23:08:24 ID:r9D98j3x
熊と戦う話か
これは面白そう
83創る名無しに見る名無し:2010/01/27(水) 18:53:21 ID:eTpI5ucR
>>82
プレッシャーをかけるなw

うまく行けば今日明日にでも後半を投下する。
84アラスカンサーガ:2010/01/31(日) 16:24:20 ID:LRdGyhMW
後半投下。


ーーースタームルガー・レッドホーク44mag,

 新一朗の愛用しているマグナムリボルバー。使用する44マグナムは実用性のあるマグナム実包ではもっともパワーがある。
それ以上のパワーを誇るカートリッジは多数あるが、どれもコレクターアイテムに過ぎず実用には適さない。 アメリカではもっとも普及している弾薬でもある。
 発射する銃も頑丈なスタームルガー社に絞っていた。タフな作りはアラスカで使う分にはもっとも重要な要素である。より頑丈なブラックホークを使わないのは、シングルアクションより連射のきくダブルアクションにしたかったから。

 しかし、優秀な威力を誇るマグナムリボルバーも、ハンティング用実包のマグナムライフルに比べたらとるに足らない威力しかない。
 新一朗はそれでグリズリーに挑まなくてはならないのだ。



「ロブ、奴の臭いがしないか?」

「臭い?そんなもの全然解らないよ。犬じゃあるまいし」

「そういう意味じゃない。雰囲気で解らないかって聞いてんだよ。回りの空気で感じるんだ。ブルース・リーも言ってたろ?考えるより感じろってな」

「そういうのは東洋人特有の能力だろう?ボクはアイルランド系だ」

「近くに居る。捜しているぞ。俺達を。敵意を読まれたか?」」

 新一朗は神経を尖らせ、レッドホークの弾薬を確認し、戦闘モードへ心を切り替えた。


 新一朗の言う『臭い』はよく当たる。
 過去にもいろいろと的中させ、ロバートの娘に彼氏が出来た事すら言い当てた。
 それだけに、ロバートも警戒を強めた。確実に居るのだ。

ーーーーー死に神が近くに
85アラスカンサーガ:2010/01/31(日) 16:26:39 ID:LRdGyhMW
ーーーそれは探していた。

 一歩進む事に左脚に激痛が走る。ほんの数日前、あのひ弱な生き物によって傷付けられた脚。
 ひ弱な生き物はその小さな身体からは想像もつかぬ程攻撃力が強い。とても弱いのに。とても小さいのに。
 それは恐れていた。はるか太古の昔から、それとひ弱な生き物はこの地でしのぎを削っていた。遺伝子には、そのひ弱な生き物は自身にとって唯一にして最大の脅威だと刻まれている。
 だが、怒りと痛みがそれをひ弱な生き物へと向かわせていた。
 最大の脅威が攻撃をしてきた。緊急事態だ。戦わなければ、自身が死ぬ。
 廃除せねばならない。人間を。
 殺さなければならない。自らへの脅威を少しでも減らす為に。
 人間は敵である。遺伝子にはそう刻まれている。
 それは恐れ故に、人間を探していた。ただ、殺す為だけに。

 それは既に敵の臭いを捕らえていた。二匹、森の中へ侵入したのを確認した。
 おそらくその二匹は自分を殺すために来た。放っては置けない。殺されない為に、殺す。感じていた。人間が放つ殺気を。
 そしてついに、人間が居る場所を見つけた。木で組まれた山小屋を。そして、怒りに満ちた叫びを上げたーーー



「‥‥‥見つかった‥‥!」

 新一朗は声を殺して言った。窓からはまだその姿は見えない。しかし、叫び声はすぐそこで聞こえた。戦闘の合図だ。

「ワオ!ホントに来たね。この事もそのうち『アラスカの神話』に加えられるかもね」

「俺らが奴のエサにならなければな」

 新一朗とロバートは山小屋の入口から遠い奥へと下がった。
 熊の腕力ならば、木で作られた山小屋の簡素なドアなど紙切れ同然だ。少しでも距離をとって、優位な位置を取らなければならない。

 熊は、山小屋の回りをうろつき、中へ入るべく様子を伺う。殺気を放ちながら。
86アラスカンサーガ:2010/01/31(日) 16:27:42 ID:LRdGyhMW
 新一朗はドアに意識を集中していた。
 いずれ破られるであろうドアは、今は静寂を保っている。

「シンイチロウ、あとで毛皮は貰うよ」

「いくらでも持って行け。俺の家じゃ余ってる。肉は山分けだ」

 二人はまだ会話する余裕があった。熊の毛皮や肉は貴重だ。

「今回のはデカイ奴かな?だとしたら高い値がつくね」

 人間二匹の声は外の熊にも聞こえているだろう。だが、彼らはお互い逃げる気はない。


 やがて、山小屋の回りを探っていた熊の動きが限定的になった。山小屋の『急所』を見つけたようだ。そして、ついにドアの静寂が破られた。



 それは地獄蓋が開いたとも思えるほどだった。激しい怒りが込められた叫びと同時に、山小屋のドアは亀裂とともに不自然に変形した。
 亀裂の奥からは黒い陰がこちらを覗いている。新一朗はそれと目が合った気がした。
 しばらくは動きが止まる。そして、次の一撃はドアを完全に破壊した。

 それはついに現れた。
 体長は目算で250cm。体重は600kg程だろうか。前脚には真新しい銃そう。間違いなくあの親子がとり逃がしたグリズリーだ。
 その目は怒りと恐れに満ちていた。何の迷いもなく、新一朗に殺気を向けていた。
 アラスカでもっとも恐ろしい死に神が、今、目の前に居る。

 新一朗と熊は一瞬の気合わせを行い、お互いを改めて敵として認識した。
 そして、破られたドアの破片が地面にすべて落ちる前に、新一朗とロバートは引き金を引いた。

 新一朗のレッドホークがマズルフラッシュと共に轟音を轟かせる。ロバートのレミントンが12ゲージシェルを吐き出す。
 照準は曖昧だった。至近距離から、とにかく大量の火力を一瞬で浴びせ、一気にカタを付ける。死に神相手の接近戦では、それしか戦力差を埋める方法はない。失敗すればその爪と牙でバラバラにされるだろう。

 新一朗は6発の44マグナムを撃ち、硝煙の向こうを見つめた。
87アラスカンサーガ:2010/01/31(日) 16:29:27 ID:LRdGyhMW
 うっすらとその巨体が見える。それは弾丸に倒れたか、それとも反撃すべく身を屈めてるのか‥‥‥

 新一朗は二丁目のレッドホークを取り出し、熊を見つめている。まだ殺気を消す訳には行かない。もし反撃を許せば、たとえ銃を持つ人間でも太刀打ちは出来ない。
 硝煙の向こう、そこに居るのはより怒りをました熊かも知れない。



 ほんの一瞬だっただろう。しかし新一朗には十数分に感じられた。
 新一朗が時間の感覚を取り戻したのは、不意に横から肩を掴まれた時だった。


「シンイチロウ、終ったみたいだよ」





 あれから数日がたった。
 倒されたのは体長260cmのオスのグリズリーだった。無事に倒された事を例の親子へ電話で伝えたが、もはや彼らには興味がないのか素っ気ない反応だった。

「コイツらはまたやるな。次は俺が熊の代わりに殺してやる」

 新一朗はまた親子に悪態を付く。ハンターをしていて、一番ハントしたい生き物はこういったクズ共だ。

 今日はまたあの山小屋へ向かっている。壊れたドアの修理と食料の補給のためだ。

 誰もいないこの場所はとても穏やかだ。動物達の気配を感じる。あの時は逃げていた連中はここへ帰ってきた。 もう死に神は居ない。

「ロブの野郎‥‥いつの間にこんなに食ってやがったんだ?」

 山小屋の中は空き缶が散乱していた。新一朗が知らぬ間に缶詰に手当たり次第に手をだしていたらしい。
 あの巨体を維持するにはそれくらい食べなければならないようだ。

 作業はすぐに片付いた。元通りになった山小屋は戦いの後を感じさせない。
 新一朗は山小屋を見上げ、踵を返し帰路に付く。過ぎ去った後はまた自然の中へ溶け込んでいくだろう。
88アラスカンサーガ:2010/01/31(日) 16:30:23 ID:LRdGyhMW
 新一朗らガイドの事務所では他のハンターが集まっていた。
 ベテランの新一朗はその中で中心的な存在であり、今回の事も若い連中の格好の話題になっていた。
 新一朗は皆に称賛され、或は冷やかされながら談笑を交わす。ほんのわずかな休息だ。

 おそらく、今回の事件も、『アラスカの神話』のひとつとなるだろう。
 遥か昔から続く、熊と人の戦いの物語。それは現在も、そして未来もずっと‥‥


「シンイチロウ、お客さんが着てるよ。ロビーで待たせてるから早く行って上げてくれ。」

 不意に、マネージャーが事務所でくつろぐ新一朗に言った。
「ああ。今行くよ。」

 面倒臭そうに腰を上げ、ロビーへ向かう。ロビーでは初老の男性が立っていた。
 背中にはウインチェスターと思われるケースを背負っている。

「新一朗です。私に何かご用でも?」

「実は‥‥‥クマを撃ち損じてしまったんです」
89創る名無しに見る名無し:2010/01/31(日) 16:31:08 ID:LRdGyhMW
投下終了。
90創る名無しに見る名無し:2010/01/31(日) 20:56:35 ID:kVEQRnTQ
おつおつ
91アラスカンサーガ:2010/02/12(金) 18:21:57 ID:Dk23ktpj
 荒野に銃声が響く。その音は幾重にも反射し、ただっ広い大地に拡がっていく。
 川を流れる流木は小さな破片を撒き散らしながら流れて行き、やがて視界から消えてゆく。 新田新一朗は6発の弾丸を流木へ撃ち、再びレッドホークへ弾丸を装填する。そしてまた足元の川へ拾った流木を流し、それを撃つ。

 これが新一朗が普段から行っているトレーニングだ。止まった的ではなく動き続ける標的を、それも遠ざかって行く的を撃つ
 また銃声が響き、流木は砕ける。

 アメリカでもっとも銃が必要な地域はテキサスでもニューヨークでも無い。ここアラスカだ。いざとなったら自らの力でもって野生での生存を強いられる地域はここしかない。
 現実的で日常的なアイテムとして、ライフルやショットガンが置いてある。マグナムハンドガンはその中で、目標を撃つというより轟音を出す機械といった意味あいが強い。
 例えばクマと出くわしたら、たとえライフルを持っていたとて容易には倒せない。轟音を出すマグナムなら、驚かせて敵を追っ払うのに適しているのだ。

 これだけ銃が浸透していながらも、人が銃で撃たれる事件は都市部より格段に少ない。クマの出ない都市で銃を持つ事は、つまりは人を撃つ事を前提としている。
 人の天敵は人なのだ。そういう視点で見れば、物に溢れインフラの整った快適な都市部は、この大自然のアラスカよりも『危険』と言える。

 新一朗のレッドホークはまたも弾切れだ。
 弾丸は一発漏らさず流木にめり込む。コンバットシューティングは出来ないが、単純に動く的を撃つなら新一朗はシールズにもスワットにも負けないだろう。

 辺りは暗くなり始めた。新一朗はレッドホークから空のカートリッジを取り出し、後ろにある自分のテントへ向かう。
 キャンプファイアの炎は辺りを照らし、新一朗の影が地面に伸びる。

 テントの中で新一朗はレッドホークの弾槽を外し、バレルを真鍮のブラシで磨く。相棒はだいぶくたびれている。そろそろ引退か。もっとも新しく買ったとしてもまた同じ銃を買うだろうが。
 新一朗はレッドホークのメンテナンスを終えると、5発の弾丸を込める。暴発を防ぐ為、撃鉄に当たる部分は空にする。

 新一朗はそれを枕元に置き、寝袋に包まれた。
92創る名無しに見る名無し:2010/02/13(土) 07:58:42 ID:N6MBGoBp
(゚д゚≡゚Д゚)
俺しかこのスレ居ない‥‥‥?
93創る名無しに見る名無し:2010/02/13(土) 13:39:54 ID:TmnFzfcm
俺が居る
94創る名無しに見る名無し:2010/02/14(日) 15:28:07 ID:0fytrccD
俺もいる
95創る名無しに見る名無し:2010/02/14(日) 16:57:00 ID:+eesVcOv
ロブ
「シンイチロウ、どうして投下が無いんだい?」

新一朗
「さぁな。都会と違って人口が少ないんだろ」
ロブ
「それも寂しい物があるよね」

新一朗
「喚くなよ。あくせくしても仕方ないさ。この若木みたいに自然にまかせとけばやがては森林が生まれるように、いずれはこのスレも投下で溢れるさ」

ロブ
「でも自然に消えた森林だっていっぱいあるよね」

新一朗
「言うなよ‥‥‥」
96創る名無しに見る名無し:2010/02/16(火) 18:26:11 ID:NVdUPWkJ
test
97創る名無しに見る名無し:2010/02/17(水) 19:24:03 ID:y8h1c34C
>>95
不覚にもワロタ
98創る名無しに見る名無し:2010/02/18(木) 17:59:37 ID:M/jzV6XK
>>97
ロブ:「シンイチロウ!人だ!人が居たよ!」
新一朗:「逃がすな!50口径持ってこい!」
99Where Eagles Dare:2010/02/18(木) 21:41:31 ID:MvSvuxxw
鉛色の雲が山々の頂に重苦しくのしかかった曇天のオーストリア・アルプスに、明朗なヨ
ーデルは似合わない。
ましてやレーダー探知を避けるため、氷河が抉り取ったギザギザの谷間に張り付くように
飛行する冬季迷彩を施されたユンカース52型機がお題とくれば、これはもう金管をバリ
バリ鳴らしたロン・グッドウィンのドラマティックなスコアしかない。
最大八百三十馬力を発揮する三基のBMWエンジンの、三組のプロペラと27個のピスト
ンが奏でる腹に響く爆音が、暗くて寒くてあまり快適とはいえない客室内に木魂していた。
第一○一降下猟兵侍女中隊“スクリーミング・クックロビン”を束ねるキャサリン・スミ
ス大尉(ハウスキーパー)は、アルミニウムの外板を通して機内に染み込んでくる大サン・
ベルナール峠上空一万フィートの寒気を少しでも防ごうと、MP40をコピーしたスペイ
ン製の短機関銃の放熱カヴァーに覆われた銃身を掴んで脇にどけ、メイド服の上に着込ん
だカモフラージュアノラックの襟を両手で掻き合わせると、自らが選抜したメイド達に目を遣った。
薄いキャンバス地のマットレスを敷いた向かい合わせの座席に座り、正面を向いたスミス
の目の前には、右腕と頼むクリス・シェイファー中尉(パーラーメイド)がいつもと変ら
ぬ仏頂面で、長身を折り畳む様にして蹲っていた。
防寒着の上からでもはっきりと分かる豊かな胸の膨らみの不自然に突き出した左側面は、
ショルダーホルスターに収まったでかい.44口径弾を発射するマグナム拳銃の銃把によ
るものだ。
極端に動きの少ない普段の態度は温室のワニにも引けをとらないシェイファーだが、その
右腕が稲妻の速さで翻り、優美な六インチ半の銃身を備えた銀色に輝くリヴォルバーが魔
法のように現れたとき、必ず誰かが血しぶきとともに吹き飛ぶか、装甲リムジンかスクー
ルバス、あるいはメキシコ人の荒くれ者を詰め込んだ武装列車が火達磨になって横転することになる。
その隣りでは、3.5倍率のPUスコープを装着したトカレフSVTを膝の間に挟んだイ
ングリット・パワーズ軍曹(ナースメイド)がトレードマークの(1980年に精神病患
者に射殺されたミュージシャンの名が冠された)丸メガネをずり下げ、見事な鼻提灯を披露しながらぐっすりと寝込んでいる。
強度の近視でありながら風を読む才能と精密かつ滑らかに動く指先を備えたパワーズは、
自らが調整した旧ソヴィエト製の半自動小銃を用いて四秒間に十発を撃ち、六百ヤード離
れた直径五インチの円内に全弾を集めることができた。
部下の様子を把握し終えたスミスが現在位置を確認するため操縦席に足を踏み入れた丁度
そのとき、風防ガラスが粉々に砕け、肌を突き刺す冷気とともに、オレンジ色の曳光弾が
飛び込んできた。
100創る名無しに見る名無し:2010/02/19(金) 06:19:39 ID:7e9tVSH+
ふと思ったが、FPSは非軍事になるのか?
101創る名無しに見る名無し:2010/03/06(土) 22:36:44 ID:nBuQMQYq
そりゃジャンルじゃなくてシステムの問題だろ。
102創る名無しに見る名無し:2010/03/11(木) 07:44:07 ID:Ccnx/Lzn
test
103創る名無しに見る名無し:2010/06/01(火) 06:29:14 ID:lpERAKsA
浮上
104創る名無しに見る名無し:2010/06/27(日) 21:10:35 ID:3qpTfkWG
 かちり、と鍵穴の中でまわった鍵の音でリュウは目覚めた。
 続いて、耳を澄ますまでもなく、ドアが開く音、続いて数人の、おそらくは男の足音が聞こえる。
 ――3人、4人かな?
 闇の中でリュウは数えた。

 複数の足音がベッドの足元で止まり、かちり、という3つの音。
 消音器の抑えた低い銃声と、丸めた毛布が撃ち抜かれるが続く。
 ドアの閉まる音。続いて部屋の赤色灯に灯りが灯された。
 一人がベッド右に移動。リュウはベッド下からそいつの足首を掴んだ。
 そいつの足首を、ベッド下に引きずり込みつつ、転がり出る。
「おわ!」
 そいつはベッド脇の小さなテーブルに背中から倒れこむ。
 手から消音器をつけたワルサーがこぼれ落ちた。
「どうした?」
 足元のどちらかが言い終わると同時に、リュウの手に移ったワルサーが、咳き込むような音を二つ立てる。
 9ミリの弾丸は、誤たずベッド足側に立った二人の胸の真ん中を撃ち抜いた。
 すかさず膝で床から跳ね起きる。ドアの近くに居た4人目が、ベルトの腹から
大きなリボルバーを引き抜くところだった。
 ワルサーを2連射。銃を握った手の甲と腹に撃ちこむ。
 4人目も声も発せずその場にくずおれた。三人のうめき声が合唱する。
 振り向いて、テーブルの上に大の字になっている、ワルサーの持ち主に銃口を向けた。
 そいつはテーブルの上でゆっくりと上体を起こし、両の掌をリュウに向けていた。
「皆まだ生きているはずだよ。ちょっと重いが、医者のところまで連れて行ってやるんだね」
 リュウは口元だけで笑って、両手を上げた男に言った。

 9ミリのワルサーが2丁、.38のワルサーと、.45のS&Wのリボルバーが1丁ずつ、
それぞれの弾倉に残ったそれぞれの弾丸と3つの消音器が、リュウの手元に残った。
「いきなりこれか。銃砲店を開けばやっていけそうじゃないか」
 リュウは左の眉だけを上げてひとりごちた。
105創る名無しに見る名無し:2010/06/27(日) 22:50:19 ID:Gxa5Ooma
久しぶりに投下来たな
リュウはなんで襲われたんだ?
106創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 20:10:08 ID:tG5v8HNQ
あげ
107創る名無しに見る名無し:2010/07/02(金) 00:28:07 ID:gEL8KePa
「ほうほう、そんで?姿形もわからねえお宝とやらは拝めたのかい?」
 蛍光灯に照らされた白い壁の応接室で、へらへらと笑いながらジョウは言って、
テーブルの上の大きなガラスの灰皿へ右手に持った葉巻の灰を落とした。
 茶色の本革のソファの背により一層、ゆったりと体重をもたせかける。

 リュウにお目こぼしをもらったワルサーの持ち主は、直立不動のまま、
黙ってジョウを睨みつけた。親の仇を見る目付きだった。

「ビビって手出しもできなかったアンタには何も言う資格は無いわ」
 ジョウの向かいに座ったヨーコが煙草のように細い葉巻を片手に言った。
 ヨーコの背後に立った、黒いスーツの上からも膨大な筋肉が想像できる
クルーカットに顎鬚の大男が、金メッキのガスライターでヨーコの葉巻に火を着ける。

 ジョウはにやにやと笑い続けながら口を開いた。
「ニシのお嬢さん、誘惑するのはやめてくれ。俺は弱い相手にゃ滅法強いんだぜ?」
 ヨーコの背後の大男が、懐に右手を突っ込むのと、かんしゃく玉が破裂するような
乾いた音が二つするのと、大男が左回りに回って膝まづくのが、ほぼ同時だった。
「言わんこっちゃねえ」
 笑みの消えた顔で言ったジョウの右手で.32口径の小さなコルトが、左手で葉巻が紫煙を上げていた。
 元ワルサーの持ち主の眼が、救いを求めるようにヨーコを見た。
 ヨーコは挑むように、ジョウのコルトを睨みつけていた。

「で、アンタはどうしたいの?ちゃんと言ってみなさいよ」
 左肩に2発、.32口径を喰らった大男が部屋から連れ出され、二人きりになってから、
ヨーコはジョウに聞いた。
「さあね。ああいう手合いにゃあ、ヘタな計画を立ててもしょうがねえ。せいぜい仲良くなってみるさ」
 ジョウは犬歯を剥きだして、表情だけで大きく笑った。
108創る名無しに見る名無し:2010/07/25(日) 04:58:59 ID:5jiH5p9X
ここは深夜のとあるコンビニエンススストア。
「さてドーナツと、あとタバコも買った事だし、フリーウェイに乗るとするか」
「ああ」

俺と同僚のジョセフは、つかの間の休暇を楽しんでいた。
「おいカール、お前一緒に遊ぶガールフレンドもいないのかよ」
「そういうあんたは嫁さん優先じゃないのか?ジョセフ」
「あいつとはもう冷めきっちまってるよ」
そういうただの他愛もない話をしていると、後ろから声が聞こえた。それも少女の。

「ねえ、おじさんとおにいさん」
ただの、本当にただの少女。白人でむしろ可愛いくらいだ。もしやこれは逆ナンという奴ではないだろうか。
丁度ガールフレンドもいない時期だ。多感な歳である俺の本能がそう思わせた。
「なんだい?」俺が返事をすると、
「私達ね、今ゲームをしているの。人 探 し ゲ ー ム 。でも嬉しい。私が一番乗りだわ」
「?何を言って―」突然、
バン
109創る名無しに見る名無し:2010/07/25(日) 04:59:39 ID:5jiH5p9X
耳に刺さる様な大きな破裂音。それとほぼ同時に、右耳をピュンという音が掠めた。
暗い中で少女の手元に目をやると、そこには銀色のオートマチックハンドガンが握られていた。
「何をする!?」俺は声を荒げた。こちとら警官だ。非番だけどな。
俺は腰に挿したグロックを取り出す。一方のジョゼフも長年の経歴がそう教えたのか、
タバコを投げ捨て脇のホルスターに手を入れていた。
俺はグロックを少女に向けたまま、マニュアル通りの言葉を叫んだ。
「警察だ!今直ぐに銃を捨てて手を床に―」マグナムを抜き出したジョセフと共に叫ぶが、
バンバン!!

手の施しようがないみたいだ。次のマニュアルに移ろう。今後の人的被害を考慮した上での、射殺だ!
バンバン!俺もジョセフも車の陰に回り込み、グロック17のダブルタップで応戦する。しかしどうだろう、
彼女の胸に被弾したらしく出血はしているが、倒れる気配がない。
「ジョセフ!そういえば某社の新製品、戦闘用人型ロボットの実用化って」
「いやそんなまさか、あれの発売は再来年のはずだ!」
ジョセフは何故そんな事に詳しいのだろう。仕事柄だろうか。いやそんな事はさておき、
「カール、逃げるぞ!無線で本部に応援を呼べ!」
ジョセフ自慢のマグナムが効かない。これは大事だとジョセフも気付いたのだろう。
110創る名無しに見る名無し:2010/07/25(日) 05:00:38 ID:5jiH5p9X
「こちらB-1からセントラル。武装した謎の人間が銃を乱射している!ああ謎だ!銃が効かないまるでターミネーターだ!SWATでも軍隊でもなんでも良いから寄越してくれ!」
颯爽と車に乗り込み、ジョセフが自慢のハンドル捌きで道路へと出る。
追っ手は……来ている!あの少女だ。車のスピードに脚で追従しているところから、人間でない事は確かだった。
バンバンバン!!俺はガラス越しに発砲を続ける。
「おいカール!俺の愛車が―」「そんな場合かジョセフ!」
少女は走りながら発砲しているせいか、弾筋が非常にぶれているのがありがたかった。
しかしそれはこっちも同じだ。グロック自慢の装弾数17発も底を尽こうとしている。マガジンチェンジ。
突如、目の前のガラスが大きく割れる。少女の腕がガラス越しに俺の胸倉を掴んだ。
「ジョセフ!あんたのハンドル捌きはどうなってるんだ!!」「そんな事言ってもこっちのスピードは限界だ!」

少女のとんでもない力で俺の顔が銃口に吸い寄せられる。ならばとこちらもゼロ距離で発砲。やった、少女の片目を撃った。その衝撃か、少女の手が俺から離れる。
「セントラルからB-1へ。待たせたな。ご希望のスワットを連れて来たぞ」
「遅いっつーの!敵は女だ。間違って俺らを撃つなよ」
前方の上空には一機のヘリ。そこから次々と隊員達が降下を始める。俺達の車両はその脇に滑り込んだ。
改めて、落ち着いて少女の身体を見てみる。銃傷によって露出した銀色の骨格、真っ赤なカメラのような眼。弾切れになったハンドガンを捨て、それでも尚こちらに突進してくる様は、まさにターミネーターだった。
「全員構え、撃て!」隊長の命令に倣ってMP5を発砲する隊員達。その猛火を受け、少女は完全に機能を停止した。
もうこれで俺達のお役は御免だ。
111創る名無しに見る名無し
「えー今回の事件に関しまして、我が社のテストタイプロボットの暴走により、約二名の被害者を出したという事は誠に遺憾であり、
今後このような事のなきよう最善の注意を払っていく所存であります。尚この被害者の方への補償ですが……」

某社の社長の会見では、もう聞き飽きたような台詞が並べられていた。俺はあれから外出を控え、自宅に閉じこもっていた。もうバカンスもドーナツも御免だ。
ピンポーン。玄関のチャイムが鳴る、恐らく注文したピザ屋だろう。俺は玄関へと向かうが、俺は一つ気になっている事があった。
『私達ね、今ゲームをしているの。人 探 し ゲ ー ム 。でも嬉しい。私が一番乗りだわ』

おわり