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創る名無しに見る名無し:2008/12/21(日) 23:55:39 ID:IoEaWbG8
野乃美は森の中で切り株に座りDC11タリミン(合成麻薬、昔はちゃんと合法であったが1年前法律が変わり違法となった)を吸っていた。
「スニスニ、スニスニ」
ヤバイ音を発生させて白目をむく野乃美。辺りにはタリミンの白い煙と甘い匂い。
顔色は変色し口の中は麻薬の影響でどろどろになっている。目やにが酷く塊を作る。
こんなにも違法行為を繰り返しているというのに警察には捕まらない。
母親が裏で守っているからだ!
野乃美の母親はクズだった。まさに子供が子供なら親も親。子供が殺し合いをさせられているまさにその時ホストクラブで喚き散らし店員につまみ出されていた。
野乃美は手をバタバタさせヒーヒー声を上げた。完全に頭が壊れている。
口からは緑の汁。耳からは湯気。目はピカピカ交互に黄色く点滅。
小枝はそれを見て
「こいつは忍法を使うまでも無いか」
と呆れる。
小枝が刀を構える。刀の鋭い音が響く。
その時野乃美が小枝の方を向く。
「ぎぎ・・・コイツ殺す」
「しまった、まだ正気が残っていたの」
「リフレクターインコム」
野乃美の右腕からワイヤーの繋がったナイフが飛び出し小枝目掛けて飛んでいく。
クキンクキン
ワイヤーが空中で直角に折れ曲がりながら小枝を追い詰めていく。ナイフも危険だがワイヤーも危険だ、なぜならワイヤーに熱が発生する仕組みだからだ。
当然どちらかが高速で動いている状態で当たれば火傷どころでは済まない。
「ハ!」
小枝はワイヤーを華麗にジャンプしながらかわしていく。まるでダンスのようにも見える動きでコエダンス。
デッデーレデーデデレデレデレレー、(パート高)デッデーレデーデデレデレデレレー
ジャジークキンコン
デッデーレデーデデレデレデレレー、(パート高)デッデーレデーデデレデレデレレー
びゅうおー
デッデーレデーデデレデレデレレー、(パート高)デッデーレデーデデレデレデレレー
バババ!キーン
ドギューン
小枝の放った弾丸がナイフの本体を貫いた。
ボ!
パパパパパー!
ズシーン!
本体が攻撃を受けたおかげでワイヤーも火花を発生させ、赤に輝く。
木が倒れていく中、小枝は爆風とワイヤーをかわしながら空中で旋回をする。
ビュホホ!
ピエロの様な動きに野乃美が焦る。
「ワイヤーがやられた!でも・・・次が私に用意」
左手のワイヤーを装備しようとした時小枝に手を掴まれた。
「あっ」
投げ倒されて野乃美は自分の仕掛けたワイヤーに首が引っかかった。
「ウーっ」じゅー
首にワイヤーが引っかかったまま野乃美は後ろへ回転する。首からは煙が発生する。それと同時に吐き気を催すような嫌な匂い。
「グギーッ!」
首が絞まって悲鳴を上げる野乃美、いい気味。
そこへ小枝の追撃。
忍殺 アムリタの拳
「た、だーずーけて!」
野乃美は逃げようともがくが首にワイヤーが絡まっていて逃げられない。
頭をつかまれる。強い力だ。
「ぎぎぎ」
野乃美は痛みで白目を剥いた。めこりめこりぃと音がして頭が歪み血が吹き出す、口からは血の泡。
バゴーン!「ギャおべおー!」
ドラッグを決めていた野乃美は死んだスイーツ(笑)
スレ立て乙
ああ、何も変わっていない。
変わっていないが…何だろう…この安心感は…。
遅れましたが、投下します
ガソリンスタンドのブレイカーを上げ、平田三四郎(男子二十四番)は電気を付けて事務室の机に腰を掛けた。
すっかり体温に馴染んだ首輪は相変わらず三四郎に不快を与えている。
しかし、これもいつも頭につけている、ごちゃごちゃとわけのわからない文字が書かれた布に比べれば何ら変わらない。
この布に関しては、三四郎自身幾分好んでつけている節もあったのだけれど。
布越しに額の傷に指を沿わせ、兄を思う。
自分を庇って光を失った兄。
その兄から光を奪い、自分にも深手を負わせた父親。
ショックで半ば人格崩壊した母親。
此処で自分が死んだら、家族はどうなるのだろうか。
きっと、兄は悲しんで母親の精神はもっと酷い方向に進んでしまう。
何にせよ――まだ、こんなくだらないことで死ぬ訳にはいかない。
しかし、だからと言って自ら殺し合いに乗る気にもなれなかった。
クラスで、殺戮を始めそうな人間には心当たりがある。
僅かながら常に殺気を感じさせる朱広竜(男子二十番)や、逆に論理感だとか、人間性が読み取れない如月兵馬(男子十番)がそうだ。
特に兵馬は、実際に人を殺したと言う噂まで立っているし、ある偶然から三四郎がその動きを見た時に、兵馬は剣技に関して非凡の才を持っていたことが分かっている。
ただ――三四郎は、それ以上の腕を持つ人物も知っていたが。
一年前のある日だ。
三四郎は食糧の買い足しに出かけていたのだがその途中で現クラス女子三番のエヴィアンが強盗か何かに襲われていた。
ヒステリーを起こし抵抗するエヴィアンの腕を掴み、短刀で脅しながら車に引きずり込もうとしているのだ。
希少価値の高い昆虫族がよく襲われているのは三四郎も知っている。
エヴィアンを助けようと三四郎は近くにあった手頃な木の棒を手に取ろうとして――
その時、唐突にその近くの家の二階の窓から誰かが飛び出してきた。
――片手に棒状の何か――ほうきを持ったパジャマ姿の、ラトだった(この時クラスメートではなかったのだが、よく見掛けるので三四郎も名は知っていた)。
強盗も、エヴィアンも、三四郎もすぐにその方向に顔を向け、気を取られた。
そのままラトは道路にきれいに着地し、素足で一気に踏み込んでほうきをテニスのバックハンドの要領で振り出した。
振り出して――
三四郎は目を見開いた。
ほうきは一瞬、それどころか先程までラトが振り出した位置からワープしたかのように、その強盗の顎を打ち付けていたのだ。
凄まじい速さだった。
風の唸りすら無かった。
恐らく三四郎も、兄の小次郎すら出せないような、正に神速と言うべき、の。
金属製の小柄なほうきにひびが入り、強盗が白目を向いて昏倒するのを三四郎はぼんやりと見届けていたが、ラトに声を掛けられてすぐに我に返った。
「平田君、後でエヴィアンさんにも伝えてくれないかな? 何処かに行ってしまったみたいだ。僕は警察を呼んでくる」
そう伝えて、そのままラトは塀に飛び乗って再び窓の内側に戻っていった。
ラトが言った通りエヴィアンはもうその場から居なくなっており、その場には倒れた強盗と三四郎だけが残された。
(ちなみにその後にエヴィアンにそのことを伝えることは出来なかった。近付くと彼女が逃げてしまうので)
――あれは、如月兵馬の動きを見て以来の感覚だった。
三四郎自身や小次郎は居合術を嗜む身であり、どちらかと言えばそれは護身術として覚えていた。
しかし三四郎は兄とは違い、強さに対して何かしらの憧れのようなものを持っていたに違いない。
だからこそ、如月兵馬やラトの動きに興奮したのだろう。
ラトなら、首輪を爆破される前に若狭を止めることも訳無かった筈だ。
もしかして敢えて止めなかったのだろうか。
それなら何故止めなかったのか?
――もうその答えを聞くことは出来ない。
しかしそれより何より、今は自分が生き残るのが重要だった。
今も座椅子に掛けてある一メートル超の長さの柄の鎌から三四郎は目を離すことが出来なかったし、ガラス越しからの風景への警戒を怠ることも出来なかった。
今のガソリンスタンドは全ての電灯に電気が通されていて目立っていたが、暗闇から急襲されるよりはよっぽどいいだろう。
その分、より気を張り巡らせなければならないが。
今のところ、ガソリンスタンドの外は闇に包まれ、しんと静まり返っていた。
三四郎は息をつき、背中を椅子に合わせた。
少なくとも朝までは待たなければならないだろう。
不意打ちの危険がある以上、迂闊に外を出歩く訳にはいかないのだ。
今の季節、夜明けまでにはまだまだ時間はあるがそれでも神経を研ぎ澄ませなければならない。
油断して襲撃されて気が付いたら死んでいた、と言った状況こそ本末転倒である。
三四郎はもう一度窓に目を向けて――
給油機の影で何かが動いた気がした。
――いや、何かが飛び出ている。
獣の耳だ。
この殺し合いの舞台になっている場所に野良猫でも潜んでいる訳でもなければ、それはクラスメートの誰かと言うことになる。
既に死んでいるラト、教室に居なかったテトを計算から外せばこのクラスに居る獣人は八人、更に昆虫族クォーターのエヴィアンを除けば七人。
そして給油機に隠れているのは、確実にこちらに気付いているからである。
ゆっくり三四郎が立ち上がると、給油機から影が飛び出した。
不意に、白髪の猫族のハーフ、シルヴィア(女子十七番)の姿がライトに照らされて、その手には――
――!
次の瞬間、三四郎は鎌を手に持ち、部屋の隅に一気に身を転がした。
それから一秒もしない内にシルヴィアの手元から火炎が伸び、いっぺんに事務所のガラスが吹き飛んだ。
三四郎は割れたガラスを踏みながらそのままぽっかりと空いた窓枠を抜け、シルヴィアから死角になるように給油機と柱を走り抜けた。
それでも構わず、シルヴィアはもう一度三四郎に向けて発砲した。
三四郎がコンマ数秒前に通り過ぎた給油機の、四分の一が抉り取られて消失した。
その時、三四郎はシルヴィアが持っていた銃の形をちらと見た。
猟銃みたいな形をしていたが、あれは多分散弾銃とか言うものだろう。
射程は短いが相当な威力がある銃で、更に距離が近ければ近い程威力が増すと聞いたことがある。
とにかく先決すべきは、もうシルヴィアにそんな物騒なものを撃たせないことだった。
三四郎はシルヴィアとの距離三メートルを一気に詰めて、鎌をけさ斬りの形に構えた。
慣れない手つき銃のポンプ部分を動かそうとしていたシルヴィアが驚愕の表情を示し――その時には、三四郎は腕を素早く上げていた。
しかしシルヴィアは銃でその鎌の柄を受け止め、そのまま鎌を受け流す。
想像していた手応えが伝わらず、反応が少し遅れた三四郎の後頭部にがんと強烈な衝撃が走った。
目の前が一瞬暗くなり、額に巻いていた布の後ろの部分がじわりと湿った気がした。
だが三四郎はそのまま昏倒はしなかった。
倒れる手前で左手をコンクリートに着き、身体を起こす勢いを使って鎌を上に向けて振り抜いた。
その斬撃は彼女の反応が遅れればそのままシルヴィアの首を跳ね飛ばしたに違いなかったが、しかしシルヴィアは再び銃のバレル部分で鎌を押さえて寸前でそれを止めた。
ほんの少し刃に触れた首元から、血が垂れ出した。
鎌と銃が、しばらくがたがたと揺れながら触れ合っていた。
銃口は三四郎にではなく、ガソリンスタンドのポプラに向けられている。
そのまま三四郎の口から、自然に声が漏れた。
「……どうして若狭の言葉に乗ろうとした?」
いや、本来ならこんなことを聞く必要は無いのかも知れない。
シルヴィアがクラスで孤立していて、クラスメートを殺気に満ちた目で見ていた(特に、サーシャ辺りを)のは記憶に残っていた。
何より――危険過ぎる、この状況では。
シルヴィアはその美しい形状の唇の端を引き攣らせ、怒りに満ちた声で、言った。
「お前達が憎いからさ。それ以外に理由なんていらない」
その猫の耳を下げ、その細めた瞳で三四郎を睨み付ける。
あの、殺意が篭った視線だった。
「私を見下した奴も、私を守りもせず嘲笑っていた奴も、どいつもだ!」
シルヴィアがそう叫んだ刹那、急激に銃に力が加わったと思うと鎌を弾かれ、銃口が三四郎に向けられる。
そして、銃身を握っていた片手を引き金に沿えた。
衝撃に耐える為にご丁寧に足まで揃え直し、直ぐさま、今にでも三四郎に散弾を撃ち込もうとしている――
しかし、その準備が出来た時には、もう三四郎はシルヴィアの左腕に鎌のバナナ状の刃が当てていた。
力の限り押し込んだ。
ざっ、と肉を切った感覚が手に伝わった。
「うっ」
何かに弾かれたかのように銃身を支えていた左手が離され、銃口がポインタを失って下に下がった。
シルヴィアが後ろにステップを踏み――左腕の二の腕から勢いよく真一文字に血が溢れ出し、制服を汚しながらコンクリートに零れ落ちる。
鎌の刃に、赤い水滴が伝って柄を通って三四郎の右手の平に侵入してきた。
頭の怪我でくらりと倒れそうになったが、しかし足に力を入れて踏み止まった。
――早々に決着をつけないとまずいだろう。
左腕から大量に出血してるにも関わらず、シルヴィアはまた目の前の三四郎に向けてぎこちなく銃を持ち上げた。
三四郎が鎌の柄を回転させ、シルヴィアに切り掛かろうとして――
「やめて!」
シルヴィアとは違う、僅かに低い女の声が響いた。
三四郎もシルヴィアもそちらを見て――ガソリンスタンドから少し届いた光で、二つの人影が見えた。
叫んだのが朽樹良子(女子十二番)と、その隣に居るのが鬼崎喜佳(女子七番)らしかった。
突然、シルヴィアがそちらに向けて散弾を撃った。
大きくドン、と爆発したような音を吠えたと共に、良子と喜佳が身じろぎした。
散弾の一部が、命中したようだった。
「くそ!」
しかし、そのまま喜佳も支給されたらしい銃をシルヴィアに撃ち返した。
随分とさまな構え方だった。
シルヴィアと三四郎の間に何か熱いものが通り過ぎた、気がした。
もっとも、これは気のせいかも知れない。
とにかく――喜佳は、こちらに向けて撃ってきたのだ!
顔を歪めて、シルヴィアは山が見える方向に走り出した。
三四郎にも考える余裕は無かった。
恐らく、シルヴィアと戦っていたこちらも疑われているに違いない。
そして今度こそ喜佳は自分を撃つかも知れない――
もう一度三四郎は二人の方向をちらと見て、シルヴィアとは違う方向に駆け出した。
また、目眩が起きた。
心なしか、感覚が少しずつ消失し始めたかも、知れない。
――
朽樹良子は、自分のブラウスの裾を破り、出血のひどい鬼崎喜佳の右腕の傷を括った。
良子も弾が掠めてふとももの皮膚が僅かに擦りむけていたし、それはヒリヒリ痛んだけど血は大して出ていなかった。
それより、喜佳のべっとりと血に濡れた腕が痛々しかったのだ。
「やっぱり……乗っちゃった人も居るんだ」
水で喜佳の腕を洗っている間、良子は落胆した様子でそう呟いた。
喜佳も相槌を打つように首を振ったが――
――やはり油断は出来ない。
喜佳は今も熱を持った自分の腕を見ながら、そう思った。
内木聡右を捜す前に殺されてしまうのでは意味が無いのだ。
いきなり良子が飛び出すとは思わず自分もついていってしまったが、しかし、それが甘かったらしかった。
おかげで、シルヴィア(あのキザったらしい女)に深手を負わされてしまった――
しかし良子を利用する為に、ここで後の不安になりうるシルヴィアを追う訳にはいかなかった。
考え無しに動いて今度こそ頭を吹き飛ばされると言った事態は避けたい。
――少なくとも、聡右にまた出会うまでには。
【D-7 ガソリンスタンドの近く/一日目・深夜】
【男子二十四番:平田三四郎(ひらた-さんしろう)】
【1:俺(達) 2:あなた(目上、あまり知らない人物)、お前(通常)(達) 3:あの人(ら)、○○(呼び捨て)】
[状態]:頭部負傷、出血
[装備]:大鎌
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本思考:生き残る
0:今は三人から離れる
1:落ち着いたら他の生徒を探したい
[備考欄]
※シルヴィアが殺し合いに乗ったと認識しました。
鬼崎喜佳、朽樹良子に関しては不明です
【女子十七番:シルヴィア】
【1:私(達) 2:お前(達) 3:あいつ(ら)、○○(呼び捨て)】
[状態]:左腕裂傷、出血
[装備]:イサカM37(1/4)
[道具]:支給品一式、12ゲージショットシェル(12/12)
[思考・状況]
基本思考:ゲームに勝ち残る
0:全ての生徒を殺す
1:怪我を治療したい
【女子十二番:朽樹 良子(くちき-りょうこ)】
【1:私(達) 2:貴方(達) 3:あの人(達)、○○さん、くん(名字さん、君付け)】
[状態]:脚にかすり傷
[装備]:両口スパナ
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本思考:仲間を集めて島を脱出したい。
0:喜佳の負傷に対する不安
1:まともな生徒がまだ居ると希望を持っていたい
[備考欄]
※シルヴィアが殺し合いに乗ったと認識しました。
平田三四郎に関しては不明です
【女子七番:鬼崎 喜佳(きざき-よしか)】
【1:私(たち) 2:あなた(たち) 3:あの人、あいつ(ら)、○○(名前呼び捨て)】
[状態]:右腕負傷
[装備]:コルトガバメント(6/7)
[道具]:支給品一式、予備弾(21/21)
[思考・状況]
基本思考:聡右と合流したい。仲間を探すことを口実に、彼を探す予定
0:ゲームに乗る気はない。だが生徒の数が減ってくれると嬉しい
1:いつも通りの親しみやすい鬼崎喜佳を演じ、戦いを極力避ける
2:良子たち他生徒には基本的に気を許す気はない。何か変なまねをしたら誰だろうが容赦なく殺す
3:襲ってくる者は殺す(躊躇はしない)
4:次にシルヴィアに会ったら確実に仕留める
[備考欄]
※聡右がもしもゲームに乗っていたら、どうするかまだ決めていません(自分では確実に殺してしまうという恐怖がある)
※彼女が銃を扱える事実は聡右以外は知りません
※シルヴィアが殺し合いに乗ったと認識しました。
平田三四郎に関しては不明です
【大鎌】
刃が五十センチ、柄が一メートル半程の長さの、立ったまま作業する為に使う麦刈り用の大鎌。
【イサカM37】
形としては猟銃に近いショットガン。
ポンプアクション機構で、特にその軽さと実用性で、M37として米軍制式採用された。
装弾数四発。
投下終了です
>>2 は私じゃないからね。
書き込んだ時間から推理すればこのスレ建てた人が自作自演をして悪者扱いさせようとしたように見える。
ただ、意見した程度でこんなに酷い言われ方をするとは正直拳銃の弾薬について文句言われた事未だに根に持ってますから。
>>14 投下乙。
強支給品持ち来たw乱戦描写の良さはもはや定評です。
しかしラト完璧超人だな…彼が敢えて首輪の爆発を止めなかった説が浮上してきたぞ。
投下乙です
給油機に向かってSG撃ち込むとか、シルヴィアが色んな意味で危険過ぎるw
>>16 いや、身体能力強化してから飛び出したんじゃないか?
ラトは目立っているがクラス間で全く話題にならないテトが気になるな
やっぱ日陰者だったのだろうか?
グレッグ大澤、銀鏖院水晶、日向有人で予約します
>>19 テトはラトと対照的なイメージがある
ラトは社交的だけどテトは性格が悪い方向に行っちゃって孤独な感じ
テトは設定読む分には音楽に関心が強いようだから、貝町・鹿和・鬼崎辺りと関係を持つはず
鬼崎はもう出てしまっているから、未登場の二人に期待かな
昨日のチャットログに戦慄する
MASTER > 怨念うまさん、さようなら〜。 (12/22-21:41:28)
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★ 怨念うま > うざいよ (12/22-21:41:27)
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★ 怨念うま > 燃えてしまえ (12/22-21:41:17)
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★ 怨念うま > 潰してやる (12/22-21:41:01)
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★ 怨念うま > 憎たらしい (12/22-21:40:54)
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★ 怨念うま > うぜえ (12/22-21:33:45)
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★ 怨念うま > こねーのか (12/22-21:30:28)
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★ 怨念うま > さっさときやがれ! (12/22-21:24:47)
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★ 怨念うま > 祟ってやる・・・ (12/22-21:20:13)
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★ 怨念うま > あと呪い続ける事も (12/22-21:15:15)
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★ 怨念うま > 私に出来る事はそれだけ (12/22-21:12:56)
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★ 怨念うま > でもここに恨みの文句を書き続ける (12/22-21:12:37)
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★ 怨念うま > 待っても来そうに無いな (12/22-21:10:19)
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★ 怨念うま > エクスはこないだろうし名 (12/22-21:08:50)
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★ 怨念うま > さてこれから何か来るかねえ (12/22-21:08:40)
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★ 怨念うま > いい気味だわ (12/22-21:06:18)
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★ 怨念うま > あー愉快愉快 (12/22-21:05:50)
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★ 怨念うま > mixiに書いておきましたわ (12/22-21:03:06)
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★ 怨念うま > どんな手を使ってでも・・・ (12/22-21:00:28)
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★ 怨念うま > 邪魔をしてやる・・・ (12/22-20:59:19)
獣人同士の明確な繋がりってあまりないのね
親友同士のフラウとケトル、ラトがサーシャに片思いなのとテトがラトに目をつけてたぐらい
只今から投下します。
「…さて、どうしたものかな?」
海岸を当てもなく一つの影がある。彼の名は鈴木正一郎 (男子十八番)。
もちろん、このような理不尽な殺し合いを強いる「悪」はこの手で絶対倒さなければならないが、
爆発する首輪をかけられ、命を他人に握られている今の状況ははっきり言って非常に厳しい。
特に、クラスメイトを上手く纏めて先導してくれそうだったテトが真っ先に殺されたのが痛すぎる。
一人じゃ反抗して脱出するなんてどう考えたって無謀過ぎる。テトの他にリーダーになれそうなそうな奴といえば…
…銀鏖院水晶(十番)…だっけ?あの電波教祖様は率先してリーダーに成りたがるんだろうが…
あいつは駄目だな、素で思想が危険すぎる。ていうか、奴が参加してないクラスメイトの一人だったら疑う余地もなく黒幕認定してるぞ。
黒幕か…若狭の野郎の話じゃ居るんだよな…あの三人か…?いや、それは無い。
卜部はちょっと小うるさいだけで全然普通の奴だったし、
二階堂は喋ったことないけど教室の片隅で本を読んでるだけの大人しい娘だった。
大体あまり目立ってなかったけど、見た感じブラコンでラトにべったりだったテトが居る時点でありえねぇ。
そうだ、身内を躊躇なく殺す奴なんて、いる筈がない。
「…ところでさぁ、さっきから俺を付けてるお前は誰よ?」
考えるのを一旦止め、後方の岩陰に向かって喋りかけた。
「…ほぅ、気付いていたか!」
―突然、物陰から何かが恐ろしい速度で飛び出してくる。
正一郎は後ろに転がり間一髪でそれを避けた。
「危ねぇなおい!いきなり襲うか普通?」
「すまんな、まあ、今ので死ぬような輩になど最初から用はないがな。」
飛び出してきたもの―バイクのチェーンが戻っていった先に、
岩陰から姿を現した宍戸亮太郎(男子十五番)が立っていた。
「鈴木、鎖鎌はお前に支給されてないか?」
「残念だけど。それがおまえに渡された武器か?」
「いや、さっきゴミ捨て場を漁っていたら見つかったものだ。
俺の技を出し切るには不十分だが、まあそれでも十分に使える。」
そう言い終わると、宍戸はチェーンを鞭のようにしならせた。
パシンと、小気味いい破裂音が辺りに響く。
「おぉ、すげぇじゃん、鎖が全然見えねぇよ。」
先端の速度が音速を越えている証拠だ。その根拠が正しいのかは忘れたが。
「…で、それでさっき俺に何しようとした訳?打ちどころが悪かったら死んでても可笑しくなかったんだけど?」
宍戸の口元が歪んだ。
「さっきの動きで分かった。貴様も俺と同類だ。一度、真剣勝負してみないか?どちらかが死ぬまで。」
「…はぁ?」
「今の時代なかなか無いぞこういう機会は。
我が家の一子一伝の兵法は本気で使ったら人を死に至らしめる様な技が多くてな。
せっかくだから思う存分使ってみようかと思っている。お前もそうだろう?ここならヤクザや警察の心配もない…まさに聖域だ。」
彼の眼をよく見てみると、充血し瞳孔が開いている。
いわば「前向き狂っている」といった感じか。
正一郎は半場呆れ気味に肩をすくめた。
「お前はいいよな。そうやって趣味に走ってりゃそれで幸せなんだからよ。」
そして、鞄の中から錆びついた鉄パイプを取り出し、構えた。
「いいぜ、やってやるよ。正々堂々とな。」
「それが貴様の支給品か?」
「いや、ゴミ捨て場に落ちてたやつ。」
「そうか、では見せてやろう、宍戸流鎖鎌術をな!」
宍戸は驚異的な速度で鎖を自分の周りを囲むように振り回した。
近づくのは容易ではないだろう。しかしこちらの得物を使うにはあの中に飛び込むしかない。
正一郎は鉄パイプを両手に構えた姿勢のまま鎖の藩流へ向かって疾走し、
――そのままの勢いで宍戸に向けて鉄パイプを投げつけた。
「―な!?」
想定外の動きに戸惑い、思わずチェーンで飛んできた鉄パイプを絡め取ってしまう。
その隙に至近距離まで接近した正一郎は振り被った拳を――
「お前さぁ、俺より馬鹿だろ?」
叩き込まず、手の中に隠していた砂を彼の顔面に全力でぶつける。
「がぁ!?ぷっ!ぺっ!?」
砂が口に入って咽返る宍戸の側頭部に、腰を捻って十分な勢いをつけた正一郎の回し蹴りが綺麗に入り、
脳振蕩を起こした彼の意識はここより遥か遠い世界へと旅立っていった。
…どこまで史実か明確でないが宮本武蔵の生涯無敗の要因はその型に縛られない戦法にこそある。
宍戸梅軒との戦いでは両手にそれぞれ太刀と脇差をもって挑み、
佐々木小次郎の時は小次郎の物干竿よりさらに長い木刀を船の舵を掘り出して作り勝利した。
鎖鎌は、鎖で相手の武器を絡め取り、鎌で反撃する、という二動作が基本の動きである。
チェーンのみでは本人も言っていたように流派のすべてを出しきるには不完全であり、
よって接近された時の対処を失念していると見抜かれた時点で勝敗は決まっていた。
◆ ◆ ◆
鈴木正一郎の路上格闘(ストリートファイト)での実戦経験は多岐に渡る。
ヤンキー狩りと称して不良グループとの喧嘩に明け暮れてたある日
ヤクザの組の若い連中と揉めたのをきっかけに目をつけられ、
多人数でチャカやドスを持ち出しても素人では彼に太刀打ちできないと
判断されてからは元プロ格闘技経験者や元軍人の戦術格闘技者、
外国人のバウンサー、果ては桐原重工が裏で密売しているらしい
サイボーグゾンビやら肉食獣型獣人の用心棒まで駆り出してきて
夜の街に出てきた彼を捕まえようとし、すべてをなんとか切り抜けてきた。
…そして先日、遂に身の程知らずな五人のチンピラを誤って殺害してしまったのだ。
「だからさぁ、殺し合いは別に初めてじゃねーんだわ。悪いけど。」
「…そうだったか、格上に愚かな真似をしていたのだな、俺は。」
「犯罪行為で格上とかいわれてもなぁ…まあ、実を言うとここに連れてこられて
ホッとしてるんだわ。俺が殺人罪で捕まったらじいちゃんに迷惑かかるし。
だから、俺はここで死んでもいい。」
目を覚まし、後ろ手をチェーンで縛った宍戸に己の経歴を語っていた
正一郎は、そこでいったん区切り、遠くを見つめた。
「でも他の…クラスの連中に死んでいい奴なんて居るわけないだろ?
だから俺は殺し合いを止めて、このゲームの黒幕をぶち殺す。」
「そうか…鈴木正一郎、今更許してくれとは言わんが、俺も同行させてくれないか?
俺は未熟だが、必ず役に立ってみせる。」
「・・・。」
正一郎は何も言わず、宍戸の後ろに回り、縛っていた鎖を解いた。
「…かたじけない。」
「気にすんなって。
――――――――――――ところでさぁ。」
手に持っている鎖を、宍戸の首に巻きつけ、全力で締め付けた。
「がぎょぉ!?」
「……チェーンはさぁ、こうやって使った方がいいと思うんだよな。」
「な…げ……ご…げ…」
「さっき喋ってて分かったけどさぁ、どうせこれが実戦だとか言って他の奴殺す気だろ?
で、頃合い見計らって裏切る気だろお前?そんな奴と組んで何のメリットがあるんだ?え?」
「ぢ……ぐぁ…」
逃れようともがく宍戸の両手に力が入る。
相当鍛えているのは確かなのか思わず手を離してしまいそうになり
…仕方がないので背負い投げの要領で抱え上げて一気に全体重をかけた。
ぐきっ
…首から嫌な音がした。途端に宍戸の力が弱まり、
引き剥がそうとしていた腕に力がなくなってだらりと垂れ下がる。
己の全てをぶつけて戦う事を望んだ宍戸亮太郎はその夢を叶えること無くここに息絶えた。
「・・・。」
チェーンを外し、倒れた宍戸の躯に冷たい視線を投げかける。
(…流石に殺ったのが6人目ともなると見慣れてくるな。)
所詮、人間なんて脳みそが電気信号を送って動かしてるだけのただの肉の塊にすぎないということを嫌でも認識させられる。
…もちろん自分も。社会において人殺しが重罪なのはこういう真実から目を背ける為なのだろう。
だから、少々気が動転気味だったとはいえ軽々しく殺し合いに乗ったこの男は許せなかった。
(…クラスの連中に死んでいい奴なんて居る筈ないと思いたいが…こういう奴もいるんだよな。
そうだよな…「本当にいい奴」が危険にさらされるのは避けねぇと。銀鏖院水晶とか、
ヤクザと絡んでるとか言われてる内木聡右や鬼崎喜佳も、用心しといたほうがいいかもな。
場合によっては―――そうだよな、死んだ方がいい奴らを「制裁」して何が悪い。)
彼の、時代錯誤的な厳格さを持った祖父に叩き込まれた脅迫概念ともいえる正義感は、
ここに来る以前、「殺人」という禁忌を犯した辺りから徐々に常軌を逸脱し始めている。
しかし彼はもはや気づくことはないのだろう。正義による殺人などありはしないが、
この場は既にそういう社会ではないのだから。
(―――そうだよな、死んだ方がいい奴らを「制裁」して、何が悪い。)
振り向かず、その場を立ち去った。
【男子十五番:宍戸 亮太郎 死亡】
【残り46人】
※A-8の砂浜に、宍戸の死体が横たわっています。
【A-8 砂浜/一日目・深夜】
【男子十五番:鈴木 正一郎(すずき−せいいちろう)】
【1:俺(ら) 2:あんた(たち) 3:○○(名字さん付け)】
[状態]:健康
[装備]:錆びた鉄パイプ(現地調達)
[道具]:支給品一式×2、不明支給品×2、バイクのチェーン(現地調達)
[思考・状況]
基本思考:脱出派(危険思想対主催)
0:危険人物と判断した奴を殺しながら脱出の道を探す
1:脱出不可能なら自分以外の誰か一人を生き残らせる
投下終了です。
とてもつまらなかった
投下乙です
388 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2008/12/24(水) 07:52:09 ID:hTjtbfWO0
その「あ」って人もなかなか香ばしいじゃん
話せば何とかなると馬と関わって、無理だったから逃げましたって感じに見える。
生半可な正義で馬を逆なでしただけ。バセンジーと同じだ
383 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2008/12/23(火) 11:53:57 ID:JpArBtA90
ttp://kemo2ch.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/up/source/up500.txt 読みやすいように過去から順に上から並べてtxtにしました。
ちなみに、馬は青字で書き込んでいたんだけど、
重要な言葉はわざわざ赤字で表現してくれてた。
赤字の文章には(赤字)と記したよ。
ひさびさに面白いものが見れた。
この調子でガンガン踊ってね。
でも、人に迷惑をかけちゃだめだよ。
よければどうぞ
>見逃した人、mixiでひけらかしたい馬本人、馬がどんなヤツか知りたい人。
376 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2008/12/22(月) 20:48:25 ID:kqKoK8jf0
しかし、バセンジーを擁護するわけではないが
「あ」とかいう奴のせいで、バセンジーへの憎悪がさらに増したな
馬を助けたければ関わらなければいい。
苦しめたければ関わればいい。
ゆえに、馬は、
関わってくる人全員が、馬を虐めようとしていると考えて差し支えない。
せいぜい楽しい人生を。
377 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2008/12/22(月) 20:51:16 ID:g9/UY32fO
しかし「あ」がバセンジーだろうとなんだろうと、それまでバトロワスレを一方的に逆恨みしたのはウマだしなw
怒る住民が出てチャットに沸き出しても不思議じゃないわな
373 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2008/12/22(月) 20:32:19 ID:kJobOAMQ0
「あ」ってヤツがバセンジーでおk?
やり直せとか、バセンジーと同じこと言ってるのな
374 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2008/12/22(月) 20:43:42 ID:kJobOAMQ0
終わっちゃったネ
375 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2008/12/22(月) 20:46:10 ID:g9/UY32fO
こっちが思ってるよりもドス黒いんだぜ、あっちの世界も
390 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2008/12/24(水) 08:12:43 ID:U0TcL+O50
>生半可な正義
そもそもそんな物があったかも疑わしい
馬が見ていると知ってて獣人を作品に出すあたりが……
391 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2008/12/24(水) 08:34:02 ID:nFvz3OT80
スレを攻撃とか、そういうことはしたくないな。
こっちのバカに向こうのバカがちょっかい出してきた、もしくはその逆でしょ。
二人だけでやって欲しい、俺たち見てるから。
MASTER > 怨念うまさん、いらっしゃい。 <210.138.22.144> (12/22-18:08:18)
★ 怨念うま > ばらの管理人と決別してきた (12/22-18:46:30)
★ 怨念うま > アクセス禁止になったらそれはそれで良い・・・ (12/22-18:52:10)
★ 怨念うま > 疲れた (12/22-19:12:59)
★ 怨念うま > 罠に嵌められたか (12/22-19:14:42)
★ 怨念うま > 来てみたものの・・・やはり他人を信じた私がバカだったよ (12/22-19:16:58)
★ 怨念うま > 憎い (12/22-19:17:01)
★ 怨念うま > 薔薇の管理人すら来やがらない (12/22-19:24:40)
★ 怨念うま > 呪ってやる・・・ (12/22-19:26:58)
★ 怨念うま > 苦しめてやる・・・ (12/22-19:27:04)
MASTER > あさん、いらっしゃい。 <123.108.237.28> (12/22-19:31:49)
★ あ > 誰も居ない空間に話して楽しいか? (12/22-19:32:38)
★ 怨念うま > 全然・・・ (12/22-19:34:23)
★ 怨念うま > 正直胃が痛い (12/22-19:34:43)
★ あ > とりあえずウマはウマで他人から信じてもらえるように振る舞えよと思うけどな (12/22-19:35:29)
★ 怨念うま > スレ住人の方でしょうか (12/22-19:35:40)
★ 怨念うま > どうやったら信じてもらえるんだろうね (12/22-19:35:58)
★ 怨念うま > 名前変えて携帯サイト出入りしたのも裏目に出たらしい (12/22-19:38:10)
★ あ > まずは電波を抑えるように努力するんだよ。何も知らない他人にそんな素振りを見せるから余計に敵が増える (12/22-19:38:20)
★ 怨念うま > 誰かが「こいつ信じるな!」みたいな連絡したとかで多分バセンジーなんだろうがねえ (12/22-19:39:00)
41 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/24(水) 10:20:33 ID:y4kmcjQj
小学生の作文レベルだなw
>>31 投下乙。
どんでん返しの連続でドキドキした。
それから何やら変な書き込みをしている奴
荒らすなら他所のロワを荒らしている奴みたいにもう少し頭を使ってほしいな
もっともそんな頭も無いだろうけど
それに作品に変なケチつけているけど何処がおかしいのか具体的に詳細が掛かれていないようなクズ以下のクズみたいな書き込みなんて相手にされないぞ?
これだから単細胞な荒らしは「可愛いらしくなってきた」とか住人に言われるんだよ
はいそこ煽らない
したらばに移動した方が良さげだね・・・
プラス思考に考えてみる。
荒らしてくれるお陰でスレの知名度が上がったら
作品読む人もきっと増えるよ。
頭を使った荒らしなら良いととれる言い方がムカつく
荒らしなんてないに越した事はないのに
どう考えても荒らしを挑発してる愉快犯だろ
スルー推奨
あと文句書いてる暇があったら書き手さんに感想ぐらい書けよ
ただでさえ荒らしにネガキャン喰らってるんだ
>>31 投下乙です。
やっぱり経験がある正一郎が、対主催側の生徒ながらシビアだな
ごめんなさい(−−〆)
投下します
学生食堂で暮員未幸(女子十四番)が二階堂永遠(女子二十二番)に食事に誘われたのは、今にも雨が降り出しそうな暗い天気のある日。
気の滅入るような曇天の中、未幸はほとんどの生徒が絶対にオーダーしない実質未幸専用の高級定食Sランチ(一日二食限定1080円)をオーダーし、二階堂は、定食はおろか軽く摘める菓子すらも買うことは無く、行儀よく未幸と向き合って座る。
「それを奢って欲しい」
「…………?!」
未幸は驚愕した。
二階堂とはほとんど会話をしたことはない。
だからこそいきなり前触れらしい前触れを一切含まずしてこの一言。
「暮員財閥の一人娘のあなたならそれは不可能ではないはず」
「いや……でも今日帰りにレンタルDVDショップに寄るつもりだからお昼に2160円の出費はキツイのよね〜 ゴメン二階堂さん」
「…………冗談。兄はよく金持ちの令嬢と対峙する際にはそう言って笑いを取れという。何が面白いのかはよく分からないけれど」
「は……はぁ」
未幸は、はっきり言って彼女と同じ空間いることに疲労を感じていた。
周りには他のクラスの生徒もいたし、Sランチを物珍しそうに見つめる生徒も勿論いた。
いつものようにシルヴィア(女子十七番)が遠目から憎悪の視線を送り続けることにも気付いていたが、それでも彼女が発する言葉の一つ一つが妙に重い。
「本題に入る。あなたは私たちの言う“遊び”に加わる気はあるの?」
二階堂は、二日ほど前から頻りにその話題を表に出す。
何の遊びかは、未幸は一切知らない。
「その遊びって何なの?」
「テト(女子十九番)と私の共同プラン。まだ詳細は未決定だけれど今年中に実行するつもり」
「は…はぁ」
「そして人数あわせとしてあと一人優秀な人物が必要。候補はあなたともう二人」
「テトはあなたが適任と言っていた。あなたには自分でも気付かない内に隠れた狂気があると、彼女は言っていた」
未幸は、何かのサプライズを二人が行うのかと、一瞬だけ思ったが、この空気においてはそれはあり得ないと直感で理解した。
そして二人は何を画策しているのかと考えると、恐怖すらも憶えた。
そうして、彼女は立ち上がって一言こう言った。
「…………色々とツッコミたいところはアリアリなんだけど……とりあえず断っていいかしら? 話が長引くのは二階堂さんにとっても悪いだろうし。」
Sランチに、全く手をつけることなく、未幸はそそくさと去って行った。
未幸が見えなくなると、二階堂はSランチのおかずの一つであるアツアツのハンバーグステーキを未幸が触れもしなかったプラスチックのフォークとナイフで、一切れ食べた。
「何が美味しいのか分からない」
ハンバーグステーキが保有する熱量とは対極を行く、冷たい口調で彼女は言った。
未幸は、目を覚ますとフカフカのベッドの上で眠り姫のように眠っていた。
他の生徒とは違う、やけにいい寝覚めと共に彼女は目を覚まし、辺りを見回す。
ここはどうやら島にあると担任が言っていた宿泊施設らしい。
ベッドの傍らにあったランプを点けると、ベッドが四つ立ち並んでいた。
映画でよく観るようなモーテルの一室だ。
担任は、本気でここに生徒を宿泊させる気だったのかと思うと、少しだけ怒りが湧いた。
「それはそうと……まさかあの遊びがこの殺し合いのことだったとはね……二階堂さん」
彼女のように一度でもチャンスを掴みかけた人間ならば、通常彼女の言う遊びに乗らなかったことを少なからず後悔するだろう。
だのに彼女はそれをしなかった。むしろ今の状況に安堵すら憶えるほどだった。
何故か?それは親友を死地に追いやらずに済んだ。とそう思っての安堵。
他の生徒は、絶望にかられてゲームに乗ってしまうかもしれないだろう。
勘のいい生徒や
そして白崎篠一郎も例外ではないかもしれない。
だとしてもだ。希望は早々に捨てるものではない。
彼女は、ランプのやや頼りない明かりの下、デイパックを開け放つ。
綺麗に折り畳まれた黒い衣服が、姿を現した。
防弾チョッキか?と一瞬だけ期待したが、その期待は見事に裏切られた。
姿を現したのはコスプレ用のメイド服。
そして、折り畳まれたメイド服の間には、無地の、お世辞にも可愛いとは言えないブラが挟まっていた。
サイズはBカップと表記されているが、明らかにそれ以下の大きさだ。
「…………これってまさか……」
未幸はその瞬間、二階堂に明確な殺意を覚え、枕でベッドを気の済むまでに叩いた。
とは、言ったものの、結局未幸はそのブラを身に付けていた。
胸が締め付けられてるから苦しい。だが、その甲斐あってか、今までほとんどできなかった谷間が姿を現したが、これを毎日付けるのはとてもじゃないが真っ平御免蒙る。
一瞬だけ、谷間のできた胸をみて嬉しいとも思ったが、結局たどり着く答えはこうだ。
「外そう……やっぱり」
そう言って未幸はブラのホックに手を掛けて外した。
先ほどまで身に付けていたブラの方が、やはり馴染む。
そうして改めて思う。これは明らかに悪意ある支給品だ。
未幸が貧乳だからと言うわけではない。これは二階堂やテトが、彼女を絶対に生かす気はという意思の表れだった。
このゲームの主催者は間違いなく二階堂永遠、テト、分校にいなかった卜部悠(女子二番)の三人
そして彼女たちが主催であると気付かれることは、明らかに彼女たちの不利に繋がる。
この事実を知る者は、自分を含めた一握りのクラスメイトだけだろう。
だからこそ、自分は生きなければいけない。生きている限り、何か希望を見出せるかもしれない。
彼女は、役に立たない支給品の入ったデイパックを手にして、ドアを開け放ち、モーテルの一室を出た。
非武装では、あまりにも無防備なのは未幸自身よく分かっていた。
だが、部屋には円柱状の短い木の棒くらいしか置いてはいなかった。
これは恐らくベッドの柱の一本だろうと思うが、はっきり言ってこれだけでは不安すぎる。
近くに誰かがいたら、間違いなく狙い撃ちだ。
遭遇するにしても、願わくば人のいい生徒と遭遇したい。だが人がいいからって恐慌状態に陥り、尚且つ強力な武器を支給されてれば同じくバッドエンド。
上手く騙して、生き残るしかない。
自分の手にした確信的な情報を餌に、手駒という名の魚を釣り上げる。
「白崎くんなら……こんな時どうするだろ」
未幸と白崎の仲は、周りから見れば親友と言う一線を越えているかもしれない。
だが、少なくとも未幸はそんな自覚をしている憶えはない。
私たちは友達。そうでありたい。そうでなければいけない。未幸はそう思っていた。
そして、そうである限り、恋人や家族よりも絆を分かち合える存在であるべきだ。とも思っていた。
だから、親友に会いたい。会って一緒にこのゲームを潰したい。
そんな思いが交差する中で、未幸は、自分がさっきまで居た隣の部屋のドアノブを握り、開けようとした。
部屋は真っ暗だった
部屋の外から漏れる月明かりで、手前のベッドは半分ほど見えたが、部屋はそれ以降闇に覆われていて全容を現さない。
人が居たとしても、分からない。
だが、あちら側は音と漏れる光で、多少分かるだろう。
未幸が圧倒的に不利であることに変わりはない。
「……誰か居るの?」
未幸は、思い切った。
このときの彼女は、ひょっとしたら死ぬかもしれないという覚悟も勿論していた。
言わばこれはギャンブルなのだ。
彼女が好き好んで観る映画と同じだ。危険や覚悟を伴わない幸福や成功、勝利は、ありはしない。
一寸先に危険が待っていて、それを『たった一寸』と受け取るか、『一寸も』と受け取るかによって人間の質が分かる。
未幸は、迷わず前者を選択した。ドア越しにそう話しかけた瞬間、部屋の中に足を踏み入れ、一番手前のベッドのランプを点けて、ドアを素早く閉めた。
ランプのお陰で、最深部。四番目のベッドのところを除く部屋の全容は、概ね掴めた。
ベッドの下には、十分な隠れるスペースがあるし、ベッドとベッドの隙間の床にしゃがんでいる場合も、こちらからじゃ見えない。
「安心して。私は攻撃しないから。だから、もし誰か居たら姿を現して」
当然声は返ってこない。
それに未幸はため息をつき、一番目のベッドと二番目のベッドの間のスペースに向かう。
何にもない。次にベッドの下だ。一番目はダンボールがベッドの下に積まれていて隠れるスペースはなく、二番目も同様。
次に二番目と三番目の間のスペース。何もない。ベッドの下も同様。
四番目のベッドの近くのランプも点灯すると、シャワールームとトイレがあった。
間のスペースには勿論何も無く、下もまた同様だ。残るは上記の二つ。
トイレのドアを、未幸は勢いよく開け放つが、そこから出てきたのはややキツイ芳香剤の匂いと、別にキレイでも汚いわけでもない洋式の便座。
最後となったのがシャワールームだ。
未幸がシャワールームのガラス戸を開けると、中にはカーテンが全面にひかれた浴槽が一つあった。そこしか隠れるスペースはない。
「本当に私は何もしないわ。信用して」
そう言って未幸はカーテンを開け放った。
そこにあったのは何だと思う?
正解は何もなかった。
未幸が取り越し苦労の徒労に襲われる瞬間であった。だがその徒労を味わえるということは、紛れも無く、彼女がまだ生きているということ。
その事実を噛み締めながら、未幸はほんの少しだけ安堵した。
だが、そう安心してもいられない。他の部屋も見回る必要があるがそんな度胸は彼女にはない。
「すぐにここを出よう」
未幸は、出口に向けて一直線に歩み始めた。
だが、次の瞬間外から奇妙な音が響き渡った。
ランプが点灯されている今なら分かる。ドアが被弾した。
そして、銃弾が地面に落ちる音がするとともに、再びそれは放たれた。
少なくとも3〜4発。ドアに撃ち込まれた。うち2発はドアノブとその近くに命中した。それによって閉ざされたドアが一瞬だけ動いた。そこへ来てのあちら側から蹴りが迸り、遂にドアは壊れた。
ドアを蹴飛ばしたのは、ライフルを首からぶら下げている男。
こちらからも見える。男子九番・神崎健二。
それは、あちらからも同じこと。健二もこちらを見ていた。
健二は、未幸の存在を確認すると、銃口を未幸に向けることなく、すぐさまに下げた。
「……暮員か。どうやら取り越し苦労だったようだな…………ところで、お前ゲームには乗ったりしてないよな?」
「え…えぇ……だから撃たないでよね?」
未幸がそう再確認する。
「そこんとこは安心してくれていい。俺はただ姉ちゃんに会いたいだけだからな。お前も彼氏を探すつもりだろ?」
「誰?」
「いや、誰って白崎しかあり得ねーだろ…」
「違うわ!」
思わず大きな声が出た。それに健二は一瞬戸惑う。
「彼は親友よ。それ以上でも以下でもない」
未幸と健二は、すぐさまモーテルを出た。二人の生徒による取り越し苦労により起きた騒動は、同じブロック内に響いているかもしれない。
だからできるだけ遠くに逃げる必要があった。
「ねえ神崎君。こんな言葉を知ってる?」
「何!?」
そんな中、未幸は立ち止まり、健二を引き止めた上でこう言った。
「“冤罪を消し去るには法を消し去るしか方法はない”って」
「知らないよ。それがどうしたんだ」
健二はややイラつきながら荒々しい口調で言う。
「つまり私が言いたいのはこうよ。このゲームを潰せば、自動的にみんな助かる。その為には仲間を集めて主催者に反逆しなきゃいけない」
「そうだけど……ゲームに乗ってる奴とかいるかもよ?銀鏖院とか朱とか」
「でも、少なくとも私は、今一緒にいる神崎くんを信用するわ」
笑顔でそう言った未幸に、健二は少しだけはにかんだ。
「俺もだよ」
と、言う美談が成立すればバトルロワイアルというゲームは面白くない。
このゲームは殺し合いなのだ。情け無用の無明の地獄。
暮員未幸は、最初から神崎健二を怪しんでいた。
ライフル銃と言う強力な武装を持っているならあの場で未幸を殺せたはずだ。
なのにしなかった。銃弾を5発も使ってやったことと言えばドアの破壊。
見られていたかもしれない。自分がどうすれば二階堂たちをどうすれば引きずり出せるか。深く考えていたことや、近くに誰かがいないか探していたことも……もしかしたら最初から
最初から…………
「ハッ!」
未幸は顔を真っ赤にして、健二の背中を蹴った。
「痛ェッ!何すんだよ暮員!」
「……ごめんなさい」
一応ボソボソ声で謝っておいた。
裸を見られたことはまあさておきだ。健二は間違いなく、自分の持つ情報を全て引き出そうとしている。
あちらからして見れば賭けかもしれないだろう。重要な情報かもしれないという恐怖があるのだから。
だが、情報を持っていようが、成績が中の下と言う健二にとって成績上位の暮員未幸と言う存在は少なからず役に立つ。
無い頭でよく考えたもんだ。未幸はそう思った。だが、それによって未幸も助かっているのだ。
これを利用しない手は無い。未幸はそうも思った。
未幸の仮説は、概ね合っていた。最初から健二は、未幸のいた部屋の、一番奥から、ずっと見ていたのだ。彼が目覚めたのは未幸が目覚める大分前。
彼女が目を覚ます頃には、暗闇に目は慣れていた。
最初彼は、未幸を殺すつもりだったが、彼女の放った「二階堂」という言葉で、その方針を変える。
「二階堂……確か分校にいなかった3人のうちの一人だ。もしかしたらこの2人関わってんのか?」
彼女から情報を引き出すことに時間を割くことは、決して無駄なことではない。
そう確信した途端に、未幸が白く華奢な肢体を晒した時は、鼻血が出そうだった。
ハッキリ言って巨乳は姉で見飽きていたので貧乳はすごく新鮮だった。
一瞬だけ天国を味わって、すぐに未幸は部屋を出た。
あとは少ししてからゆっくり部屋を出た。未幸がドアを開けっ放しにしておいてくれたお陰であまり音を立てることなく部屋を出ることが出来た。
あとはモーテルの外から誰とも知れぬ生徒に怯えていた臆病者を演じればいい。
そして、健二はそれを成功させた。
彼は、ひとえに姉を助けるためにこのゲームに敢えて乗った。
そのために未幸を利用するだけ利用する。
そして他の生徒も皆殺しだ。
情報を引き出せるまではじっくり待とう。
彼もまた、騙す者だ。
――――――――最も、彼は既に目的を失っているピエロなのだが
【C-1 モーテルの近く/一日目・深夜】
【女子十四番:暮員未幸】
【1:私(たち) 2:アナタ(たち) 3:あの人(たち)、○○(名字さん、くん付け)】
[状態]:健康
[装備]:木の棒
[道具]:支給品一式、メイド服、豊胸ブラ(と、言うより胸を大きく見せるブラ)
[思考・状況]
基本思考:利用されていると承知の上で、利用し返す
0:白崎を探す
1:戦闘などの貧乏くじは全て健二に引かせる(場合によっては見限る)
2:殺し合いに乗るのは癪
3:遭遇する生徒は、救済しないが殺す気もない
4:白崎に遭遇したら二人でゲームを潰す
5:健二は使えなくなったら切り捨てる
6:映画館に行ってみたいが、映画館の存在に若干の疑問
7:武器が欲しい……
[備考欄]
※メイド服には防弾、防刃等の特殊効果は一切なく、あくまで普通のコスプレ用です
※主催者が二階堂、テト、卜部であることを確信しました
※そして彼女たちが主催者であることがバレると、何か彼女たちに不利益が働くとも推理しました
【男子九番:神崎健二】
【1:俺(たち) 2:お前(ら) 3:あの人、奴(ら)、○○(名字呼び捨て)】
[状態]:健康
[装備]:AR-15(15/20)
[道具]:支給品一式、5,56mmNATO弾(20/20)
[思考・状況]
基本思考:未幸を騙し、利用する
0:姉ちゃんを探す
1:未幸から情報を引き出す
2:彼女と会ったら未幸を見限り、殺す
3:チャンスが来るまではじっと待つ
4:遭遇する生徒を陥れ、殺す
5:1の後は姉ちゃんを生かすために他の生徒を皆殺しにする
6:姉ちゃんがもし反論したら気絶させて黙らせる
7:全ての生徒を殺したら若狭を殺して姉ちゃんと島を脱出する
8:未幸を守る気はないが、その素振りは見せて信頼を勝ち取る
[備考欄]
※姉が既に死んでいることを、もちろん彼は知りません
投下終了です
乙です。
主催の影が、ちらっ・・・
サーシャ、久世明日美、ウィリアム=ナカヤマ=スペンサー、片桐和夫で予約します
お二方とも投下乙!
投下が増えてきて実に嬉しいです
ただ、zm氏の作品で少々気になったことが……
作品中で、テトがラトに対してブラコンを抱いているとあります
でも、設定の上では、テトとラトは違う一族の出身なんですよね
ラトがテトに目を付けられるようになったのも最近のこととあります
この点、何らかの勘違いがあるのではと思うのですが、如何でしょうか
63 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/24(水) 23:46:56 ID:y4kmcjQj
句点の後にしか改行を置かないという、読む気すら起こさせない斬新な手法に感心しますた(^ω^)
投下乙です。
二階堂の暗躍が……
>zm氏
正一郎容赦ねぇw対主催だけど主催三人娘ノーマークだったり
今の所安全な組長の娘と居候危険視してたりすごく誤殺王の匂いが…
>H7氏
暮院嬢にそこはかとない風格を感じるぜ。
一部に正体バレバレな二階堂。今の所主催の中でも別格の存在感だが…
あと時々でいいから担任の事も思い出してあげて下さい。
ようやく時間がとれたので
貝町ト子、麻倉美意子で予約します
待ってましたー!
【予約一覧】
グレッグ大澤、銀鏖院水晶、日向有人 ◆EGv2prCtI.氏 2008/12/29(月) 23:59:23まで
サーシャ、久世明日美、ウィリアム=ナカヤマ=スペンサー、片桐和夫 ◆H7btjH/WDc 2008/12/31(水) 21:56:15
貝町ト子、麻倉美意子 ◆d6BHdrg3aY 2008/1/1(木) 02:38:07
【未予約未登場参加者情報】
・男子
1番 愛 餓夫(あい-うえお)
4番 海野 裕也(うんの-ゆうや)
14番 鹿和 太平(しかわ-たいへい)
・女子
8番 北沢 樹里(きたざわ-じゅり)
【残り4人】
避難所
ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/12138 Wiki
ttp://www14.atwiki.jp/jisakurowa まだ時間はたっぷりあるから書き手さんは焦らず頑張ってください。
14ばんはしっぴつずみ、はずしなさい
愛 餓夫、海野 裕也、北沢 樹里で予約します。
投下します
南の海沿いの、港の倉庫の一つの内。
大柄な体のグレッグ大澤(男子十二番)は、腰に身につけた鞘入りのサバイバルナイフを気にしながら、ドラム缶に腰を降ろしていた。
どうしてこんなことになったのか、そもそも誰がこんなことを考えたのか、ただひたすら、彼は自問自答していた。
何故か、グレッグは若狭吉雄が画策したものとは考えられなかったのだ。
ラト(男子二十七番)。
優しい、猫族のクラス委員。
そして、彼はもう死んでしまっている。
まさかこのことに、自分の命を捧げてまで実行する理由があるとは思えない。
サーシャ(女子十六番)。
クラス委員で、生徒会のメンバー。
彼女のことはよく知っている。
有り得ない。
神崎健二(男子九番)と神崎志緒里(女子六番)。
姉弟である彼らも気のいいクラスメートである。
鈴木正一郎(男子十八番)。
彼の正義感の強さはグレッグも知っている。
白崎篠一郎(男子十六番)、ノーチラス(男子二十三番)、鬼崎喜佳(女子七番)。
とても真面目だ。
三人がこんなことに関わるとは考えがたい。
二階堂永遠(女子二十二番)、卜部悠(女子二番)、テト(女子十九番)。
教室で見当たらなかった生徒。
彼女達は殺されていると考えた方がいいだろう。
壱里塚徳人(男子二番)、楠森昭哉(男子十一番)、長谷川沙羅(女子二十四番)。
彼らは一人で居ることが多い。
しかし、悪い人間ではない。
北沢樹里(女子八番)、森屋英太(男子二十六番)。
陽気な二人がこんな残酷なことを考えられるのだろうか。
ケトル(男子十三番)、ウィリアム・ナカヤマ・スペンサー(男子三番)、倉沢ほのか(女子十三番)、苗村都月(女子二十番)。
心優しい四人も有り得ない。
――朽樹良子(女子十二番)。
生徒会長。
そして、自分の思い人。
彼女は凛々しい、そんな印象だった。
とにかく、きれいだった。
自分は嫌いな体育の授業での時も、犬の散歩をしている時も、いつも。
自分はまだ、思いを秘めている。
彼女も、サーシャ同様有り得ない。
あってはならない。
結局、クラスメートにはそんな生徒は居ないと言う結論になった。
やはり、若狭が――
「あの二人が私の本当の敵!」
唐突に後ろから聞こえた声にグレッグはびくんと全身を上げ、顔を振り向いた。
いつの間にか銀髪の少女――銀鏖院水晶(女子十番)が、グレッグの背後に回っていたのだ。
そして、水晶はグレッグの腰に掛けられていたサバイバルナイフを取って、すぐにグレッグから離れた。
その作業用ライトに照らされた顔は、狂気に歪んでいる。
銀鏖院水晶は、普段から冷めた一面を見せていた。
まるでほとんどの事象に感心というものを示さないのだ。
クラスメートから話し掛けられても返事すら返さない、常に孤独を好むようなタイプの生徒。
やはり、彼女は殺し合いに乗ることを選んだのだろう。
しかし、今はそんなことを考えている暇はなかった。
早く水晶からナイフを取り戻さなければ――
「あなた達愚民は、大人しく私の礎になりなさい」
水晶が、手を翳す。
その刹那、何故か倉庫の支柱が次々と折れ――
気付いた時には、遅かった。
崩れ落ちた天井から木々やトタンが落下し、グレッグのを押し潰したのだ。
水晶は既に倉庫の外に脱出していて、もうグレッグから水晶の姿は見えなかった。
ぐしゃぐしゃにスクラップになった倉庫の中、グレッグだけがただ取り残された。
冷たいコンクリートの床に、自分の熱が広がっていくのが分かった。
もう腕の筋肉は完全に萎えている。
腹部には木の破片か何かが突き刺さっている感じだったし、そこから徐々に冷気が流れ込んでくる感覚だった。
自分は死ぬのだと、確信できた。
あまりにもあっけなかった。
自分は、力を持ちながら水晶一人を止めることすら出来なかった。
それでも構わず、グレッグは思った。
生徒会の彼女達や、他のクラスメートには生きていてほしい。
サーシャさん、朽樹さん――
グレッグは、悲しげに最期の息を吐き出した。
「……これで、力を使う必要がなくなる」
銀鏖院水晶はグレッグから回収したサバイバルナイフを自分の目の高さに持っていった。
彼女には、物質を内側から潰す超能力が備わっていた。
それを利用して倉庫の柱を破壊したのだ。
もっとも、グレッグ大澤のような怪力の持ち主が相手でなければこのような負担の大きい能力は使わず、ナイフで殺していたのだが。
水晶に支給されたのは元々毒薬が入った小瓶が三つと言う直接相手を殺傷できるものではなかったので、仕方なく心臓に負担のかかる能力を使わざるを得なかったが、しかし武器は手に入れた。
これさえ有れば無理に力を使う必要も無くなるのだ。
そして、他の愚民を殺して――
「かわしてみな」
瞬間、男の声が聞こえ、水晶に向かって何かが飛んできたかと思うと、そのまま水晶は顔を歪めながら左胸を押さえ、その場にばたりと倒れ伏した。
俯せに倒れて、水晶はしばらくは痙攣を続けていたのだけれど、数秒経つとその動きは緩慢になっていった。
恐らく、荒れた木材の向こうの日向有人(男子二十五番)の姿を確認出来ないままだったのかも知れない。
そして、その有人の手中には、ライフルに弓を取り付けたような物が収められていた。
「……こんな奴の神経を刺激するイベントだな」
有人は水晶の手から落ちたサバイバルナイフと毒薬らしき瓶三つ、それから水晶のデイパックに入っている食料と水を自分のデイパックに移している間、思った。
――教室に居なかった生徒は三人。
そして、その三人は殺されている可能性もあったが、しかしそれよりもこのイベントの黒幕に回っている算段が高い。
殊に、彼にはその内の一人に心当たりがあった。
数カ月も前の話だ。
ふとしたことで、有人は、父親に愛人と隠し子が居ることを知った。
愛人は、有人と親友と同じ虎族の女だった。
また、親友の父親は遠いところで仕事していると聞かされていた。
その時点で、有人の中でもはや何かが決まっていたのかも知れない。
しかし、絶対に確定させてはいけない何か、が。
次の日、有人は親友を問い詰めた。
そして、答えた。
親友は本当はハーフで、父親は本当は物心ついた時にはもう居なかったらしい。
それでもまだ、有人は事実に抗おうとした。
拒絶するのだ。思考が、その事実を。
確実に調べる方法ならあった。
有人は、以前からの知り合いにことの調査を依頼した。
それから一日して、ファストフード店で結果を聞かされることになる。
「どうだったんだ、テトさん」
クラスメートで、見習い巫女のテト(女子十九番)が、向かい合わせに座っていた。
元々、日向家が集めた古い宝具などをテトの一族に貸し出しているのだ。
その点で、テトと有人には付き合いがあった。
テトは吸い出していたシェイクのストローから口を放し、そして、言った。
「有人とあいつは本当に腹違いの兄弟よ。ま、調べる時にあっちにもあたしのことが知られちゃってその記憶を消してるから、その時に紙に書いたあたしの記憶に間違いが無ければだけど」
テトは、メモ用紙をテーブルに置いた。
親友の母親――虎族の愛人が知っているらしいことが、全てつらつらと書かれていた。
――今まで親友だと思ってきた存在が、兄弟だった。
有人は、その事実に打ちのめされて、そのまま顔を押さえた。
口から、思わず声が漏れた。
「……あいつの冗談だったらどんなによかったか」
テトは、黙ってそれを聞いていた。
続けた。
「俺には、よく分からないんだ。どうして親父が、虎族の女が好きになったか」
それからしばらく重い沈黙が続いたが、唐突にテトが口を開いた。
「そんなものよ。種族を越えた愛に理由はいる? まあ、さすがに愛人を作るなんて人としてどうかと思うけど」
そんなもの。
今の有人にとってその言葉で片付けられる問題ではなかったが、しかし、実際にそんなものなのだろうか?
どう解説されようと、父親を許すわけにはいかなかったが。
「あたしはやっぱり人間じゃなくてフラウやケトルみたいなタイプが好みなんだけどね」
テトが、嬉しそうにそれを語った。
ケトルはともかく、フラウが好みだと言うのは一体何の冗談かと耳を疑ったが、しかしそれは友人として、と言った意味なのかも知れない。
友人としてなら種族なんて関係なかったとは思っていた。
しかし、まさか愛情まで関係のないものだなんて考えてもいなかった。
確かにクォーターのサーシャやエヴィアン(女子三番)みたいな存在も居るし、そんな人々も居るんだと言うのが有人の認識だった。
それが今まで自分とは何ら関係の無いものだと。
そして、ある疑惑も浮かんだ。
「あいつと今まで通り付き合えるのかな、俺」
その後も度々親友とは会う機会があったが、やはり、それは無理だった。
どうあっても険悪な雰囲気になってしまうのだ。
お互いに努力はしている筈なのだが、しかしよそよそしくなってしまう。
それっきりだった。
やがて、親友とは全く会わなくなった。
そのことは有人の心理にしこりを残していた。
それから数カ月後、今現在からだいたい二週間程前だ。
学校帰りに玄関出た時に、有人は校舎裏から出てくるテトを見かけた。
疲れたような表情を浮かべた彼女は、異様な姿だった。
制服の着方がぐちゃぐちゃで、髪や顔の毛が荒れてそれぞれでたらめな方向に向かっている。
汗が玉になって髭の先端に溜まっていて、そして、汗とは違うすえた臭いが鼻を突く。
これは――
「待ってくれ、何が――」
有人はテトに声をかけたが、しかし、テトは有人に顔を向けてすぐにそっぽを向いた。
「ううん、私――あたしは、大丈夫」
あまりにも不自然な状況に、有人はしばらく眉をひそめたが、テトはただ夕暮れの空に視線を向けていただけだった。
そして、数秒してテトは静かにただ、こう言った。
「迷惑かけたわね、有人。……でも本当はあなたに感謝していたのよ」
――あの時にあった出来事が、テトに何の影響を及ぼしたのだろうか。
そして、テトが教室に居なかった理由。
また自分はその可能性を否定しようとしている。
ただ教室に居なかっただけで、あちら側に付いたのだと決め付けようとしているのだと。
いや、それでも有人は知らなければならないのだろう。
それまでまともだった性格のテトが、こんなおぞましいことに走る可能性が起きた発端を。
その為に、今は殺される訳にはいかない。
有人は、水晶の死体をもう一度一瞥した後、東西に伸びる道路を伝って歩き始めた。
――
水晶がむくりと起き上がったのは、それから数十秒後のことだった。
ボウガンの矢は水晶に命中した時点で既に内側からバラバラに粉砕され、当たったのは僅かな破片程度でそれは制服を傷付けすらしなかったのだ。
能力を行使し過ぎた為、心臓に急激な負担が来た為しばらくは死んだように動けなかったが、しかし日向有人はその水晶の挙動に気付くことが出来なかった。
水晶は自分の毒薬やグレッグから奪ったサバイバルナイフが奪われていることを確認すると、散乱していた木材に腰掛けた。
――いきなり何度も能力を使う状況になってしまったのはまずかった。
これからはきちんと警戒しなければならない。
この能力と性格から教室で二階堂永遠に誘い(多分、この殺し合いの首謀)を受けた際にも、水晶は断っていた。
テトが神を降ろすことが出来る巫女で、そして二階堂永遠もまた、ただ者ではないことには以前から感づいていた。
神の娘である自分がそれに負ける訳が無い。
そんな存在と手を組む訳にはいかないのだ。
まずは愚民を全て殺して力を見せ付けた上で、あの二人も抹殺する。
そうすれば自分達の一族に仇なすダニ達がまた二匹減ることになるのだ。
その為には武器を調達しなければならない。
水晶は、興奮して含み笑いを浮かべた。
その脇、倉庫の壁であったトタンの端から、グレッグ大澤の血が流れ出しつつあった。
【D-8 港の倉庫前/一日目・深夜】
【男子二十五番:日向 有人(ひゅうが-ありひと)】
【1:俺(達) 2:あんた(達) 3:あいつ(ら)、○○(呼び捨て)】
[状態]:良好
[装備]:ボウガン(装填済み)
[道具]:支給品一式×2、ボウガンの矢(18/20)、サバイバルナイフ、毒薬(3瓶)
[思考・状況]
基本思考:殺し合いに乗る気は無い
0:テトに会って理由を聞きたい
1:襲われたら容赦はしない
[備考欄]
※テト達三人が黒幕だと疑っています
※銀鏖院水晶が死んだと思っています
【女子十番:銀鏖院 水晶(ぎんおういん-みきら)】
【1:私(達) 2:あなた(達) 3:あの人(ら)、○○(呼び捨て)】
[状態]:激しい疲労
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
基本思考:神の存在を知らしめる
0:まず優勝を目指す
1:その後にテトと二階堂を始末する(卜部悠は比較的どうでもいい)
2:武器を探す
3:日向有人には警戒
[備考欄]
※テト達三人が黒幕だと確信しました
【男子十二番:グレッグ大澤 死亡】
【残り46人】
※グレッグ大澤の死体は全壊した倉庫の下に埋まっています
【毒薬】
速効性は無いが強力な、本来はじわじわ蓄積させていくタイプの暗殺用の液体状の毒物が入った小瓶。
定期的に一定量を投与し続けるか、一回に一瓶分体に入り込むと死に至る。
前者は突然死に見せかけられるが、後者は血を吐き出したり死ぬ直前におかしい挙動を始める為、より不審な死となってしまう。
人間の内臓とレプリカントのパーツに腐食性を示し、獣人には基本的に効果が薄い。
投下終了です
投下乙です。
グレッグ……何か悲しいな。いい人過ぎたんだろうか。
投下乙。
教祖様1話死亡…と見せ掛けてしぶといなw
主催者テトに衝撃の過去が…!?
投下乙ー。テト、何があったんだろう……あと、グレッグさんの死に方が無常な感じで逆にいいな。
すいません。一身上の都合で予約破棄します。
代わりに朱広竜、鹿和太平で予約します
投下乙です
まさかのマーダー即死かと思って実にハラハラしましたw
テト……勝手にラスボス的ポジションだなぁ、とか思ってたけど
自衛が危ぶまれるレベルだなんて……
まあ記憶消す能力使ったら反動で自分の記憶も消えるみたいだし…テト…。
チート能力者な筈の銀鏖院も苦戦。特殊能力が戦力の決定的差でないことが
ひしひしと伝わってきます。
私のキャラクターは居ないのにね
だれ?
今のところ強いのはガチ暗殺者の朱広竜とチンピラキラーの鈴木正一郎と
ショットガン持ってるシルヴィアかな?
如月兵馬も武芸の達人の祖父を一撃で撲殺してるし、それなりに強いんじゃない?
マルチ投稿の如月は消しなさい
こんなところ荒らしてないで、おばあさんの世話をしてあげて
煽んな
しかしマルチで送られたキャラクターはちょっと書きたくないよなー
何で外すなりしなかったの?
だからって引き返せない
マルチ投稿ってどういう意味なんだ?
よく騒いでかみついてるけど
>>96 トンクス
確かにそっちの企画は潰れてるみたいだし、
騒ぐほどのことじゃないね
wiki読み返してたら何故か地図のG-4に苗村がいたのでH-4に修正
投下します
広竜は、早速武器を失ってしまった。
松村友枝(女子二十六番)が引き起こした爆発からは難なく逃れられたわけだが、己の武器が拳法だけ
このヌンチャクは恐らく武器としては使い物にはならないだろう。一応は持っておくが。
となると、少なからず中距離戦闘用武器を支給された生徒と対峙する際には不利になる。
合理的な判断としては、民家の中から何でもいいから使えるものを探し、回収するのも打倒だろう。ボールペンでも、カッターナイフでも、包丁でも使えないわけではない。
誰かに遠くから見られているのならば、その目を掻い潜ることも同時に出来るわけだから、一石二鳥だ。
広竜は、とっさに角の近くにあった民家の中へと飛び込んだ。
鍵が当然のように開いていることに、彼は大して疑問を抱かなかったし、誰もいないことを良いことに、土足で玄関へと上がった。
見たところ、誰もいないようだったが、広竜はすでに気付いていた。
少なくとも一人。誰かがこの家の中にいる。
広竜は、家に入ってすぐにその存在に気付いていた。それの放つ殺気によってだ。
自分が内側に丸め込んでいる殺気よりも、遥かに形の荒いそれがすでに家に充満しており、広竜は職業上それを常人よりも鋭敏に察知しなければいけなかった。
彼は、この芸当が組織のなかで苦手なほうであったが、玄関に一歩しか足を踏み入れていない状態でも、充満した殺気が彼にはよく分かった。
流石にどこにいるかまでは分からない。だがいることは確実だ。
「お〜い。誰かいないか〜。いたら返事をしてくれ〜」
やや、わざとらしさを孕んだ口調で、広竜はそいつを誘い出そうとする。
彼は演技が下手だ。相手を籠絡しようとしても、いつだってそのサド心がそれを邪魔する。
組織にも、それにより大分迷惑をかけた。だが、広竜がそれを省みることは一切しない。
協調性がないことを、本人は自覚していたし、それも改善しようとも思わなかった。
誰かと組んだことも一度も無い。集中力が途切れて殺気を読み取りにくくなるからだ。
物心つく前から犯罪が当たり前。組織に拾われた後は、殺人マシーンに仕立て上げられる。
いつだって広竜の周りには、人がいるようでいない。組織の人間と一緒にいるのは、利害関係が一致しているから。組織の人間のみを守るのは、信用を得るため。
組織の言いなりに人を殺すのは、のし上がるため。
広竜はそう考える。そして彼は、まともな思考と嗜好を持つことを、とうの昔に諦め、異常こそをまともとして生きてきた。
……紫苑社長の暗殺を、一手に任された時も、自分は捨て駒にされたんじゃないかとさえ思えてきた。
広竜はそういう人間だ。今も昔も変わらない。
だが、あの学園に潜入してから……かつて誰も居座ろうとしなかった、彼の近くには口うるさい女がいた。
卜部悠(女子二番)のことだ。
広竜は、まもなくして廊下へと差し掛かった。
玄関から3歩。たっぷりと時間を掛けて歩く。目はすでに慣れてあったため、遮蔽物などで躓くことはなかった。
廊下からは、キッチンダイニングが見え、広竜のすぐ左にはトイレ。右には、やや急な階段があった。
広竜は、階段に足を掛け一歩一歩、焦らすように上ってゆく。
声を聞いて、殺気の形がさらに荒くなっていた。
それによって、より鮮明に殺気を放つ。それが広竜をぞくぞくさせる。
コイツもトマック(男子二十一番)と同じく、恐慌しているのだろう。
姿は見えずとも、吹き出してしまいそうになる。
その数秒後に、突然誰かが飛び出してきた。
そいつは、短機関銃のイングラムを持って叫びながら広竜に向けて発砲してきた。
声から判断して鹿和太平(男子十四番)だ。
別にいじめられてるわけでもないのに(無視は多少されてた)不登校なキザデブ。
あんまり会ったことはないが、悪いやつという印象は無かった(ウザいという印象はあった)
トマックと同じ理由で、このような行動に至ったのだろう。
滑稽で笑えてくる。
さらに滑稽なことに、イングラムから放たれた銃弾は、全て下にいる広竜にはかすりもしない。
そして、反動で足を踏み外して、ドアに後頭部から思いっきり倒れた。もうコントのようだ。
その体重で、ドアが開き、そのまま部屋の中に鹿和は姿を消した。
もうその時点で広竜は、笑いを堪えられなくなっていた。
「はははっ。無様だな鹿和ァ!」
広竜は、恐らく動きを止めているであろう鹿和に止めを刺すべく、ゆっくりと、わざとらしく足音を立てながら階段を上る。
これなら素手でも十分殺せる。
やっと人間をゆっっっっくり嬲れる。
ぞくぞくして、鳥肌が立ってくる。そして、階段を上り終えて、鹿和が転がり込んだ部屋を見渡すと、そこにいるはずの鹿和がいなかったのだ。
「?!」
「うるぁああああああっ!」
鹿和のイングラムが、広竜を捕らえた。
広竜は、明らかに油断をしていた。
その結果、放たれた数十発の銃弾のうち、一発を、あろう事か右手中指の付け根に被弾した。
被弾した直後、中指は吹き飛ばされた。
血飛沫が服に少しだけ掛かり、痛みを感じたのはそのすぐあと。
だが、痛みを堪えてすぐにデイパックを投げ、突然姿を消した。
そのことによって、デイパックが放たれた銃弾を一手に引き受け、すぐあとに階段に沈んだ。
「畜生どこ行きやがった!」
鹿和は、息を荒げながら、辺りを見回す。
だが、彼もまた油断してしまった。その直後に、階段を正面から見直すと、海老のようにして背中を反らしながら、階段でブリッジをしている広竜の姿を目撃した。
そのあとに彼はすごい形相で起き上がり、一瞬にして飛び上がり、鹿和の懐に忍び寄ると、手刀でイングラムを切り裂き、そのまま呆気に取られる鹿和の頭部に側面から蹴りを入れた。
鹿和は、そのまま壁に思いっきり叩きつけられ、ピクリとも動かなくなった。
散らばった壁の破片を一面にあびた鹿和の頭部からは、ダラダラと血が流れ出ており、蹴りが直撃した地点の、脳漿が少しだけ見えていた。
「調子に乗るからだよ。クソ豚が」
とりあえず、応急処置は済ませておいた。鹿和の支給品も一式奪ったし、使えなくなった支給品の穴も埋めた。
だが、彼の機嫌は悪かった。利き手の、指を欠損したということは、少なからず拳法に支障が出ることもありうる。
それよりも何よりも、彼は腹が立っていた。鹿和にでもこのゲームにでもなく、自分自身に。
勢いや怒りに任せて、行動したことにより、右手中指と、手に入れるはずだった魅力的な武器の、両方を失ったから、傲岸不遜な広竜であっても、多少はその愚行を省みた
そんな広竜が、卜部悠を含む3人が分校にいなかったことを、思い出したのはそのすぐあとのことだ。
【A-5 住宅街/一日目・深夜】
【男子二十番:朱広竜】
【1:俺(達) 2:お前(達) 3:○○(呼び捨て)(達)】
[状態]:右手中指欠損(止血、応急処置済み)、激しく不機嫌(冷静は維持)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(鹿和太平から奪った支給品)
[思考・状況]
基本思考:ゲームに乗る
0:積極的に相手には近付かない(今は尚更)
1:しかし機会があれば相手をすぐには殺さず痛め付けて楽しむ
2:武器を破壊してしまったことを激しく後悔
3:怒りに任せて自分に不利益の働く真似をしないように、まずは落ち着きたい
4:1のために危ない橋を渡るのは極力止す
[備考欄]
※トマックも爆発に巻き込まれたものだと思っています
※中指を失ったことで拳法の腕が格段に落ちました
※朱広竜の支給品一式は、イングラムの銃弾を被弾したことにより使い物にならなくなりました
※これにより技の発動などに支障が発生することがあります
※時間軸としては、chapter10:TOWERのすぐ後の出来事です
【男子十四番:鹿和太平 死亡】
【残り44人】
※破壊されたMAC M11イングラムが、鹿和の死体の近くに転がっています
※同ブロックにいた和音さんと追原弾にも発砲音が聞こえたかもしれません(以下の描写は他の書き手さんに委ねます)
投下終了です
乙です。
マーダー広竜が負傷! 支給品も失う、か。
そして和音さんと追原氏が近くに居るw
投下乙です
A-5への密集振りが何やら凄いことになってるな
……主催陣営が何か狙ってるんだろうか
一寸した修正要望
部屋の中に倒れ込んだ後、鹿和が広竜の目からどのように逃れたのか記述がない点が気にかかります
それとマーダーとはいえ一応生身の人間なのですし、素手で鉄の塊を引き裂くのは流石にマズいかと
投下乙。
広竜、マシンガンゲットで桐山化!?…と思いきや、壊したw
超人が居ないから実力が拮抗しまくってるな。
投下します。
D−3地点。少女は走っていた。
樹木が生い茂る森の中を。
茶色に染めたセミロングの髪をはためかせ、汗の滴を飛ばしながら。
両の手を振って、命懸けで。
その背に追いすがる危険な人影。
「おい!待てよ!待ってくれよ!」
「待つわけないでしょ!近づかないで!」
「なんでだよ!なんで逃げるんだよ!待ってくれよ!待てよ!――待てっつってんだろうが!!」
ウィンチェスターM1873を両手で持ち全力疾走する愛餓夫(男子 一番)は、
自分の遥か前方を駆け抜ける少女、北沢樹里(女子 八番)に向けて本日三度目の発砲を行った。
「――糞がぁ!なんで全っ然当たらねぇんだよ!」
陸上競技において、同じ部員の獣人達を押しのけて県大会代表に選ばれるほど高い運動能力を持つ樹里に
息を切らせながら撃つ素人の銃などまず命中しない。…だからといって、心に余裕などできる筈もないが。
(なんで?何でこんなことになってるの?助けて!助けてよ!)
◆ ◆ ◆
「……はぁ、どうしようかな……?」
目が覚めると樹のふもとで寝ていた海野裕也(男子 四番)は、起き上った後、あてもなく森の中を彷徨っていた。
最初は信じなかった。これはただの悪い夢、もしく卜部が仕組んだドッキリ企画か何かだと思い込んでいた。
だが、鞄の中に入っていた「それ」が、確かな重量をもって裕也に現実を伝えてくる。
一旦立ち止まり、彼に支給された「武器」を取り出し、まじまじと見つめる。
「……これ、本物だよね……?」
銃火器は男子なら誰もが憧れる力の象徴だ。
裕也とて例外ではなく、持っているだけで何か不思議な力が湧いてくるような気分になってくる。
しかし、シンボルはシンボルとして存在するからこそ価値があるのであり、
…これを使って見知ったクラスメイトを殺して廻るというおぞましいことに使うなど考えたくもなかった。
「……うっ……!」
一瞬、弾痕だらけになって血の池の中に横たわる恋人、倉沢ほのか(女子十三番)の姿を想像してしまい、目眩が起きる。
(そうだ、うろうろしてる場合じゃない!早くほのかを見つけなきゃ!ほのか、どうか無事で――)
「危ない!!!!どいて!!!!」
裕也が顔を上げるのと、北沢樹里がこっちに飛び込んでくるタイミングは、ほぼ同時だった。
◆ ◆ ◆
(畜生!何で逃げるんだよ!お前が逃げるからいけねぇんだろうが!)
ゲーム開始直後は恐慄していた愛餓夫だったが、鞄の中に入っていた格好いい銃を手にしたとき
とてつもない力を身につけたような気分になり、有頂天になっていた。
これを使って女の子を悪い奴から守る白馬の騎士になるのも悪くない。
彼女いない歴17年の俺にもようやく春が巡ってきたぜ!うひょう!
などと素晴らしく場違いかつ愚かな妄想をしていた彼は、早速見つけた天心欄満なスポーツ少女
北沢樹里を騎士に守られるお姫様第一号に認定し、軽いノリで声をかけ――
思いっきり拒絶されて逃げられることになった。
愛餓夫は知らなかったが、女子の一部にストーカー疑惑を掛けられてれていて、
普段から警戒されている彼が物騒な武器を手に持って話しかけたら怖がられるに決まっていたのだ。
彼女の態度に腹を立てて威嚇のつもりで発砲したら、ますます怖がられてどんどん逃げていく始末。
(ハァハァ…!あーしんど…糞!本当にムカつくぜこの女!人を無茶苦茶走らせやがって!
はははは…こんなに激しく運動したのはこの前みんなで路地裏に集まった時以来だなぁー。
あー…あの時は…楽しかったなぁ!)
「待てよ北沢ぁ!待たねぇとテメェもこの間のテトみたいに――!」
「危ない!!!!どいて!!!!」
突然、樹里の動きが止まった。
樹の蔭から突然姿を現した(ように見えた)海野裕也に衝突したのだ。
走りつかれてまともな思考能力の働いていない愛餓夫は何をトチ狂ったか、
本来の趣旨を忘れてチャンスと判断し――本日四度目の発砲を転がる二人に向けて実行した。
◆ ◆ ◆
――痛い。
…あれ?
ここはどこだろう?
あ、そうか。今日は修学旅行に来てるんだっけ。
で、修学旅行が終わったら県大があるのよね。
女子400メートル障害物。今年はベストコンディションで挑まなきゃ。
その日のために毎朝欠かさずジョギングしてきたんだから。
でも、県大が終わってもずっと続けるんだろうな。
そして、お父さんやお母さんみたいなプロのスポーツプレイヤーになるんだ。
――痛ぁ…。
…あれ?
なんで私、倒れてるんだろう?こけちゃったのかな?
あーもう。まだまだ鈍くさいなぁ。
うん、早く起きなきゃ。
…あれ?
右足の感覚が無いんだけど?
「…うぅ…北沢…さん?」
おやおや、私の下敷きになっているのは海野裕也ではありませんか。
胸が当たってたでしょこのエロ!…ま、別にいいか。減るもんじゃないし。
そんなことより早く起きなきゃ。
…あれ?
全然動かないんだけど?
「…愛…餓夫!何やってんだよ!?」
「ああ、わりぃ。手が滑っちまった。」
ねぇ、どうなってるの?
よし、ちょっと見てみよう。顔を後ろに向けて。
…あれ?
なにこれ?
―――嘘―――。
踵から先の足がない。
なんか足の先っちょの方の肉片がずたずたになって向こうに転がってるんですけど?
…あれ?
ねえ、どうしよう?帰ったら県大出れるのかな?スポーツプレイヤーは?
ねぇ、足、動かない。
どうして?
「しょ、しょうがねぇだろ、話がしたいだけなのに逃げるからじゃん。俺は悪くねぇよ?」
あ、そっか。こいつが。こいつのせいで。出れないんだ、県大。なれないんだ、プロ。
もう走れないんだ。
ふーん、そっかぁ。あはは。
「海野君。そ れ か し て。」
「―え?」
樹里は倒れた裕也が持っていた銃器、P-90サブマシンガンを手に取ると、
何気無く後方に銃口を向けて、引き金を引いた。
◆ ◆ ◆
「・・・あぁ・・・?」
愛餓夫も一瞬何が起こったか分からなかっただろう。
なにせぱららという小気味よい音が聞こえたと思ったら右腕の膝から先が吹き飛んで
無くなっていたのだから。目の前には倒れている、うまく反動を抑えきれてない北沢が
マシンガンを乱射していて―
「・・・う・・・うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
愛餓夫はウィンチェスターを放り投げ、一目散に逃げて去った。
「逃げるな!逃げるな!逃げるなぁぁぁぁぁ!」
「北沢さん!落ち着いて!やめて!」
「離して!お願いだから離してよ!!」
「北沢さん!」
「何よ!あなたの!あなたのせいじゃない!あなたがいきなり飛び出してくるから!!」
「…あ…。」
「う…うぅ…。」
北沢樹里は、乱射するのをやめ、
「うぅ…ひぐ…うぁぁぁぁぁ……。」
その場で泣き崩れた。
「…ごめん…本当に。」
「…いいよ、もう。生きているだけ、ましだよ。」
「本当に…ごめん。」
海野裕也は気分の落ち着いた樹里の応急処置を澄まし、
念の為落ちていたウィンチェスター銃と愛餓夫のディバックを回収した。
生きているだけまし、そう強がるが、いままでの人生の努力とこれからの人生の夢を断たれた者の気持ちなど、
本人以外に判る筈もなく、故にかけられる言葉はもちあわせていなかった。
「ここにいたら危ないから、どこか休めるとこを探そう。動ける?」
裕也は樹里に肩を貸すと、彼女は無言でそれに従い、小さな声でつぶやいた。
「…うん…ありがとう。」
これから何をすればいいかわからない。
―ただ、どうすればいいか分からないが、裕也はこのことの責任を取りたいと強く思っていた。
◆ ◆ ◆
「痛ぇぇぇぇ!!!痛ぇよ畜生!血が止まらねぇじゃねえか糞アマぁぁぁぁ!!!」
上着を巻いて右腕の出血を止めようともがく愛餓夫は貧血で朦朧とする意識の中、
激しい憎悪を実らせていた。その歪みきった思考はもはや救いがたく―
「北沢樹里ぃ!!!ぶっ殺してやる!!!」
【D-3 森/一日目・深夜】
【男子 四番:海野裕也(うみの−ゆうや)】
【1:僕(達) 2:君(達) 3:君(ら)、○○(呼び捨て)】
[状態]:疲労(中)
[装備]:ウィンチェスターM1873(0/4)
[道具]:支給品一式×3、P-90(150/200)、P-90の予備弾薬(200発×5本)
12ゲージショットシェル(12/12)
[思考・状況]
基本思考:北沢樹里を助ける。
0:北沢樹里の治療ができる場所を探す。
1:誰かに襲われたら自分がなんとかする。
2:倉沢ほのかを捜す。
【女子 八番:北沢樹里(きたざわ−じゅり)】
【1:私(達) 2:あなた(達) 3:あの人(ら)、○○(呼び捨て)】
[状態]:右足損傷(極大)、疲労 (大)
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
基本思考: 呆然自失。
0:・・・・・・・・。
1:愛餓夫を許さない。
【男子一番:愛 餓夫(あい−うえお)】
【1:俺(達) 2:てめぇ(達) 3:てめぇら(ら)、○○(呼び捨て)】
[状態]:右腕損失、大量出血、貧血、疲労(大)
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
基本思考: 北沢樹里を殺す。
0: 傷の手当てができる所を探す。
1:北沢樹里の悪い噂を流す。
2:グループの仲間を探す。
[備考欄]
※彼と仲が良かったグループの仲間がクラスに数名居ます。
投下終了です。
広竜は、恐らく動きを止めているであろう鹿和に止めを刺すべく、ゆっくりと、わざとらしく足音を立てながら階段を上る。
これなら素手でも十分殺せる。
やっと人間をゆっっっっくり嬲れる。
ぞくぞくして、鳥肌が立ってくる。そして、階段を上り終えて、鹿和が転がり込んだ部屋を見渡すと、そこにいるはずの鹿和がいなかったのだ。
「?!」
「うるぁああああああっ!」
鹿和のイングラムが、広竜を捕らえた。
何故広竜は、鹿和を見失ったのか。その理由は簡単だ。
広竜は、部屋の詳細を知りえていなかった。
この部屋の入り口には、5段の階段が展開されており、倒れることで姿を隠すことが出来た。
広竜がその存在に気付いたのは、部屋のすぐ近くにきてからだ。何しろ、階段からでは部屋の中はあまり見えない。未だ暗いあの部屋ならなおさらだ。
そして、気付いた時に広竜は、明らかに油断をしていた。
その結果、放たれた数十発の銃弾のうち、一発を、あろう事か右手中指の付け根に被弾した。
被弾した直後、中指は吹き飛ばされた。
血飛沫が服に少しだけ掛かり、痛みを感じたのはそのすぐあと。
だが、痛みを堪えてすぐにデイパックを投げ、突然姿を消した。
そのことによって、デイパックが放たれた銃弾を一手に引き受け、すぐあとに階段に沈んだ。
「調子に乗るからだよ。チャイナ野郎」
鹿和は、息を荒げながら、辺りを見回す。
だが、彼もまた油断してしまった。その直後に、階段を正面から見直すと、海老のようにして背中を反らしながら、階段でブリッジをしている広竜の姿を目撃した。
そのあとに彼はすごい形相で起き上がり、一瞬にして飛び上がり、鹿和の懐に忍び寄ると、手刀でイングラムを握る鹿和の右手の指を、全て切り裂いた。
鹿和は叫びながらイングラムを手放した。だが、そのまま発砲を伴いながら下に落ちて、床から回転して、壁などに鉛だまをぶち込んで、すぐに停止した。
鹿和も同時に蹲ったが、それでも広竜の気は晴れない。
「おい。さっき誰に向かって口訊いた。言ってみろ誰だ」
広竜は、怒りを孕んだ口調で鹿和に近寄り、鉄の塊であるイングラムに、鹿和の顔をぶつけ続けた。
「誰だ?誰だ?誰だ!!?」
鹿和は、当然受け答えすることは出来ない。広竜は、怒りに任せて顔を打ちつけ続けた。何十分とそれを続けただろう。いつのまにかイングラムはその部分だけ陥没していた。
「も゙……も゙ぼ許…………じで」
そのまま命乞いする鹿和の頭部に側面から蹴りを入れた。
鹿和は、そのまま壁に思いっきり叩きつけられ、ピクリとも動かなくなった。
散らばった壁の破片を一面にあびた鹿和の頭部からは、ダラダラと血が流れ出ており、蹴りが直撃した地点の、脳漿が少しだけ見えていた。
「調子に乗るからだよ。クソ豚が」
とりあえず、応急処置は済ませておいた。鹿和の支給品も一式奪ったし、使えなくなった支給品の穴も埋めた。
だが、彼の機嫌は悪かった。利き手の、指を欠損したということは、少なからず拳法に支障が出ることもありうる。
それよりも何よりも、彼は腹が立っていた。鹿和にでもこのゲームにでもなく、自分自身に。
勢いや怒りに任せて、行動したことにより、右手中指と、手に入れるはずだった魅力的な武器の、両方を失ったから、傲岸不遜な広竜であっても、多少はその愚行を省みた
「クソ……腕鈍ってねえといいがな」
包帯を巻いた、かつて中指のあった地点を広竜はしみじみと見つめた。
そんな広竜が、卜部悠を含む3人が分校にいなかったことを、思い出したのはそのすぐあとのことだ。
【A-5 住宅街/一日目・深夜】
【男子二十番:朱広竜】
【1:俺(達) 2:お前(達) 3:○○(呼び捨て)(達)】
[状態]:右手中指欠損(止血、応急処置済み)、激しく不機嫌(冷静は維持)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(鹿和太平から奪った支給品)
[思考・状況]
基本思考:ゲームに乗る
0:積極的に相手には近付かない(今は尚更)
1:しかし機会があれば相手をすぐには殺さず痛め付けて楽しむ
2:武器を破壊してしまったことを激しく後悔
3:怒りに任せて自分に不利益の働く真似をしないように、まずは落ち着きたい
4:1のために危ない橋を渡るのは極力止す
[備考欄]
※トマックも爆発に巻き込まれたものだと思っています
※中指を失ったことで拳法の腕が格段に落ちました
※これにより技の発動などに支障が発生することがあります
※朱広竜の支給品一式は、イングラムの銃弾を被弾したことにより使い物にならなくなりました
※時間軸としては、chapter10:TOWERのすぐ後の出来事です
【男子十四番:鹿和太平 死亡】
【残り44人】
※破壊されたMAC M11イングラムが、鹿和の死体の近くに転がっています
※同ブロックにいた和音さんと追原弾にも発砲音が聞こえたかもしれません(以下の描写は他の書き手さんに委ねます)
修正終了です。
指摘どうもです
>>120 修正乙です。
>>116 飢緒最底過ぎるwテトってやっぱり‥?
ほのかの優先順の下がりっぷりに新たな修羅場の予感がするぜ
壱里塚徳人、サーシャ、久世明日美で予約します。
スレ住民の皆さん。よいお年を
サーシャはマルチ投稿なので書かないようにして下さい
そういうことはゲーム開始前に言ってください
大体、厳密に言うとサーシャとシルヴィアは「マルチ」ではない
元々はここの書き手の一人が非リレーロワで書いていたロワに出て来るオリキャラでそれの「流用」(はっきり言って非リレーロワ自体が最初からアレだったから結局そこで書いてた人全員やめたみたいだけど)
しかも初代スレで二人の設定が出されたレスにきちんとその旨は書かれていたはず
つーかもっと深く言えばファンタジーから現代の世界観の設定に変える時に設定が物凄く変わっている筈だからここで言われてる二人とあちらの二人はほとんど別人
>>116 投下乙。
餓夫が外道過ぎるwww
クラスに居るグループの仲間が気になる
これまでの記述を考えるとテトはやっぱりどうしようもない理由が……
>>120 投下&修正乙です。
流石にマシンガンを持っていても場数を踏んだ暗殺者に勝てる訳がなく。
しかし朱広竜も負傷。この先の戦いに支障が!?
この◆YGvZTkqXsEって荒らしなのか?
邪魔でしょうがないんだが…
>>127 通称馬。
徹底スルー対象なのでそれを守ってください。
スルーできない奴は氏ね
そうだ・・・死ーねー!
死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死
死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死
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死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死
こういうキチガイがいるけど書き手さんには絶望しないで欲しい
書き手さんも忙しいだろうからスレ見る暇ないだろう
この程度で絶望するぐらいなら元からパロロワ書き手なんてやってられないから大丈夫
そろそろ各キャラ二週目に突入だが……
絶望しろぉおおぉオオ!!!!
死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死
死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死
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死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死
wikiにてchickenrunを微修正しまシタ。
吉良邑子、如月兵馬、添島龍子、苗村都月で予約します。
警告、マルチ投稿の生徒が居ます
執筆してはいけません
如月をリストから外しましょう
距離的に無理があったので
苗村都月→楠森 昭哉に変更します。
済みません
所用で数日ほど出なくてはいけなくなりました
作品自体は書きあがりそうなのですが、投下は帰ってからになるので少し遅れます
なので、数日ほど予約の延長をお願いします
お二方共に了解です
新年早々アレですが、SS投下します。
「…誰もいないわね。ここじゃないのかしら?」
海風に乗って、微かに耳に届いた倉橋ほのかの叫び声がした方向へ
「一人」で向かった添島龍子は溜息をついた。
「倉橋さん…大丈夫かしら?」
「―ええ、僕も心配ですよ。灯台に拡声器、最強の死亡フラグですからね。
果たして倉橋さんは生きているのか?」
物陰に、誰かが居た。
驚いて振り向くと、その男は無害をアピールするがごとく両手を大きく挙げた。
「おっと!心配いりませんよ!僕はほら、この通り、武器を渡されなかった者ですし。」
「…えーと…あなたは確か…?」
「男子十一番、楠森昭哉です。まぁ、覚えられてないのも無理はないですね。
こうやって話すのは初めてですし。あなたは添島龍子さんですよね?」
「ああ、ごめんなさい、楠森君。で、あなたは殺し合いに乗る気はない訳?」
「はぁ、当り前ですよ。僕なんかがサバイバル戦で生き残れる筈がない。
ああ、そういえば、さっき森の中で拳銃を持ってうろついてる内木聡右を見つけましたよ。
僕は隠れてやり過ごしましたけど。なんか聞いた話だとヤクザの息子らしいじゃないですか、彼。
ひょっとしたら殺し合いに乗ってるかも知れませんし、こちらも用心した方がいいでしょうね。
あなたはどうなんです添島さん?性格的に殺し合いに乗るとも思いませんから、僕は話しかけたのですが?」
「…あんまし見た目のイメージで判断してほしくないわね。
ま、確かに。こんな馬鹿なゲーム。絶対やらないけどね。」
懐に入っている拳銃を見せたらどんな反応をするか気になったが、
メリットはなさそうなので黙っていることにした。
内木聡右。クラスの中でで友達の多い鬼崎喜佳と仲が良かった
彼の方が、正直この男よりはよほど信用できそうなのだが。
「おっと…あんましこんなこと喋ってたらまずいですね。」
そう言うと、彼は地図の裏に鉛筆で何かを書き込んでみせた。そこには、こう書いてある。
(主催者に、盗聴されてるかもしれません。首輪にそういう機能があるとこの本に書いてました。)
「え!?」
彼が手に持つのは、黒いカバーに赤字で表題が抜かれた600〜700頁程の本。
(このイベントは、若狭吉雄がこの古本「BR」に基づいて企画したものです。間違いありません。)
「…!?
…あのねぇ、本当なの?それ?」
(今、僕たちが置かれている状況が、この本の内容と非常に類似しているのですよ。
この物語は全部読むのに時間がかかりますが、僕はもう半分以上読破しています。
どうです?殺しあいに乗っていないのなら、協力しませんか?
ひょっとしたら誰よりも有利に立てるかも知れませんし、若狭を出しぬけるかもしれませんよ。)
「……うーん……。」
少し考える。確かに、主催に関する情報集めが今一番優先しなくてはならないことだ。
しかし、この男を信用していいのだろうか?
傍から見たら彼はわざと流されたダミー情報に踊らされているようにも見える。
「別に、協力してくれないのなら構いませんよ。僕も、街でやることがありますから。」
「…街になら、私も用事があるわ。それに、倉橋さんが居るかもしれない。
それに、楠森君の言ってることが本当なら死なれたら困る。…行きましょう、一緒に。」
「ええ、ありがとうございます。」
彼には悪いが、少し、ニヤついてるように見えてしまう。
この男に囮に使われないように気をつけないと。
……あれ?なんで楠森君を信じてあげないの?
やはり、先ほどのことが心に引っ掛かってるからだろうか。
灯台へ来る前、ゲーム開始直後に最初に会った人物、如月兵馬との邂逅を思い出す。
――――――――――――――――――
「おーい!」
何をするでもなく、草原の上で胡坐をかいていたその男に、 龍子は声をかけた。
男は面倒くさそうに振り向き、何かを思い出したかのように手を叩いた。
「君は…添島龍子だったかな?」
「そ、ちゃんと名前覚えてたんだ。」
緊張が少し柔らだ龍子は、すぐ傍まで近づく。
「そんなところで座ってたら危ないよ。誰かに撃たれたりしたらどうするの?」
「ああ、そうだな。そういう可能性も、あるか。
ところで――君がその手に持っている物騒な物はなんだ?」
「え?――きゃ!?」
突然跳ね起きた如月は龍子の腕を素早く取りつつヒジ打ち、
さらに取った左腕を手首、ヒジ、肩と極めながら落とした。
「…くぅ!…あ…!」
体重を少しでも後ろに傾ければ肩が破壊されるだろう。
完璧に極まっていた。
「……条件反射だ…すまん。しかし、そんなに殺気を放っていてはいかんな。」
如月は、すぐに龍子を解放した。
彼女が持っていた拳銃を渡す。
「はぁはぁ…いきなりなんてことするのよ!」
「ここは殺し合いの場と、あの教師は言っていたぞ。こういうこともあり得る。」
「あー、まあ、そうだけどね?」
あっさり負けたのは気に入らないが、とりあえずこの男は自分よりずっと強いようだ。
ひょっとすると、あの朱広竜とも互角に渡り合えるのかもしれない。
「ねぇ、私と協力する気はない?あの、魚ヅラの教師を出し抜いて、みんなを助けるの。」
「…出し抜く、か。」
如月は、まったく興味が無いとでもいうかのように肩をすくめた。
「俺はここに座っている。誰か近づいていれば返り討ちにする。
それを繰り返せばいつの間にか終わっているだろう。
この馬鹿な遊戯もな。」
「・・・はぁ!?」
「悪いが、他を当たってくれ。俺は眠いんだ。」
さっきの教訓で飛びかかるのは止めたが、その体は怒りで震えていた。
「・・・この・・・!あなたはいいの!?みんなが死んじゃっても何とも思わないわけ・・・!?」
「はぁ、俺に何ができる?だいたい、
『ぃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!』
「…え!?誰!?この声…倉橋さん!?」
「ああ、声が聞こえるな。これは、悲鳴か?」
「何、冷静に構えてんのよ!」
龍子は飛び起き、如月に手を差し述べた。
「助けに行くわよ!ついて来て!」
「…今から行っても間に合わんと思うが…。」
「ああもう!だからって放って置けるわけないじゃない!」
龍子は連れていくのを諦めて走り出し、一度だけ振り向いた。
「灯台!私はそこに居るから!居なかったらそこの隣の街!じゃあ、またね!」
そして、如月兵馬と別れたのだった。
――――――――――――――――――
「あぁぁぁーー!!ムカつくなぁ!あの上から目線!!何よアイツ!!」
「ちょ!?なんですか!?いきなり!?」
「…あ、いや、御免。何でもないから。」
正直ショックだった。仲間になってもらうつもりが拒絶された上、
一方的な実力差を見せつけられたのだから。
…私は失敗したかもしれない。もし、彼が殺し合いに乗ってしまったら…
(でも、アイツは私をあの時殺さなかった。まだ希望はある筈。)
添島龍子は、今は遠い彼が居た岬の方角を睨みつけた。
(如月兵馬、来るわよね?)
【G-8 灯台付近/1日目・深夜】
【女子18番:添島 龍子(そえじま-りゅうこ)】
【アタシ(たち)、あなた(たち)、アイツ(ら)、○○(呼び捨て)】
[状態]:健康、若干の精神的消耗、強い決意
[装備]: モーゼルC96ミリタリー“レッド9”(10/10)
[道具]:支給品一式、拡声器、9mmパラベラム予備弾薬(30/30)
[思考・状況]
基本思考:ゲームには乗らない、情報収集
0:F-8住宅街へ向かう
1:楠森昭哉と協力する
2:如月兵馬がついて来ると信じる
3:朱広竜を警戒
[備考欄]
※銃は撃ってもまず当たりません
※楠森昭哉の推測をとりあえず有力な情報と認識しましたが、いまいち信じ切れていません
【G-8 灯台付近/一日目・深夜】
【11:楠森 昭哉(くすもり‐しょうや)】
【1:俺(達) 2:あなた(達) 3:彼(彼女)(達)、名字(さん)】
[状態]:健康、激しい憎悪 、裏切られた悲しみ
[装備]:木の枝(その辺で拾いました)
[道具]:カードキー、本(BR)、支給品一式
[思考・状況]
基本思考: 若狭吉雄を許さない(具体的にどうするかは決めていない)
0: F-8住宅街へ向かう
1: 電話を見つけて主催者に繋がるか試す
2: 添島龍子と協力する
3: 片倉ほのかが心配
4: 海野裕也が少し心配
5: 内木聡右を警戒
[備考欄]
※今回のイベントが本の内容をなぞったものだと考えています
※自分では冷静なつもりですが、その実かなり危ない状態です
※G-7の森の中で内木聡右とすれ違いました
――――――――――――――――――
如月兵馬はあてもなく彷徨う。
添島龍子が向かった方向とは違う場所、H-7の砂浜を。
(悪いな添島龍子。面倒事は御免被る。)
彼女と違って自分にはゲームを潰すといった崇高な目的意識は無い。
それに、自分の剣が誤って人を殺してしまうかもしれない。
そうなったら彼女も仲間を集めにくくなるだろう。
その様な者が着いていっても、彼女の足枷になるだけだ。
お互いの為にも、別れるのが一番――
「えがおさくー♪きみーのーゆーめをー♪」
「……?」
誰かが鼻歌交じりにこちらへ歩いてくる。
見た感じ、手には何も持っていないようだ。
自分は、このクラスメイトの女子の名前をギリギリ記憶している。
如月は、半ば呆れ気味に手の届く範囲まで近づいてきた彼女に忠告した。
「不用心すぎるぞ、吉良邑子とやら。」
「あ、すみません〜♪
いや〜新しいご主人様が出来てとても幸せな気分でして、私。」
耳慣れない不埒な単語が聞き取れるが、別に興味はない。
大方、こいつは今の自分の状況が理解できていないのだろう。
こういう奴は放っておけば自分が何もする必要なく死ぬ筈だ。
「…まあいい、死んでも俺は知らんぞ。じゃあな。」
「はい!心配してくれてありがとうございます!
あのーところでー。
………………………………なんで平気なんですか?」
「…?いや、なに が 、ぁ !?」
如月は、突然、眩暈に襲われ、片膝をついた。
肩から激痛を感じることに気付き、手で押さえると―
その場所から、血が溢れていた。
(なんだ…これは!?)
「あーーびっくりしましたーー!!
もう、ちゃんと当たってたのなら、すぐ倒れて下さいよぉ。
鈍感にもほどがありますってば〜♪」
目を凝らすと、吉良の右手の中から煙が上がっている。
持っているのは、普段は袖の下に隠して、スプリングで飛び出したあと掌に収まる小型の拳銃。
…まさか…
撃たれたのか?この女に?
いつの間に?
…馬鹿な…!
この女からは殺気をまるで感じなかった!
「はぁ…やっぱりちゃんと頭か心臓を狙わないと一発では死んでくれないみたいですね。
あぁ未熟!未熟千万!今のままではご主人さまに顔向けできませんよ!私!」
…まさか…
俺以外にも居たのか?殺人機械が?人を殺すことに何の葛藤も感じない人間が?
殺気を全く発さず、まるで手足を動かしたときの一動作のように、ごく当たり前のように殺傷できるやつが。
あ、あぁ。
意識が 薄れる 死 ぬのか こんな簡単に? こんな くだらない 油断 で?
…嘘、だ…!
俺の、
俺の、鍛錬は、一体、なんだったんだ?
…あ…?
なんだ、この感情は?
これは 恐怖?
そのようなもの は捨てたのではなかったのか?
…そうか…
捨てたわけではなかったの か
俺は ラトが死んでも 平然としていた
だが 自分の 命のことになって 初めて
で も 今は まだ 駄目だ
また封印 するんだ 心を あの時のように!
「あぁ、落ち込んでいる場合じゃありません!早くこの木偶の坊にトドメを!」
「・・・まだだ・・・。」
「へ?」
ゆらりと、立ち上がる。
「まだ、これからだ。」
顔から動揺の色が消え、再び無感情な機械に戻る。
この程度の痛みがなんだというのだ。
あの終わりの無い地獄のような日々に比べれば。
自分を一撃で殺せなかったのがこの女の運の尽き。
礼を言うぞ、吉良邑子。
ようやく、目が、覚めた。
木刀を持つ手を前に突き出し、防御を捨てた攻撃に特化した姿勢を取る。
そう、これこそが。
大和正法流、無形の構えの一つ、「音無しの構え」。
――教えてやろう、吉良邑子。これが本当の「殺人機械」というものだ――
吉良は、突然、如月の姿が膨張したかのような錯覚に捕らわれた。
それ位の一瞬で、間合いを詰められたのだ。
相手が対応することも許さず、それは実行される。
「――え?」
「大和正法流奥義―――『雫切り』。」
左足を軸にして神速で繰り出された木刀は、吉良の頭部を正確に捕える。
その斬撃は蜜柑の潰れたような音と共に、彼女の頭骸骨を粉々に叩き割った。
パンッ!
……叩き割っていた筈だった。
如月兵馬の肩に埋まる弾丸が、肩の神経を引き千切り、骨を砕いてさえいなければ。
握力のない腕で繰り出した木刀は無情にも手から抜け飛び、
吉良の遥か後方の地面に投げ出されて乾いた音をたてて転がった。
その後、反射的に撃ち込まれたデリンジャーの残りの弾が如月の胸に突き刺さり、
如月兵馬の全てを終わらせた。
151 :
転載:2009/01/01(木) 08:16:30 ID:mkxFnuzp
――――――――――――――――――
砂浜に仰向けに横たわる人影。
虚ろな眼で漆黒の夜の空を見上げる。
心臓のすぐ傍に弾丸が埋まり血が噴水の様に溢れ出している。
もはや助かる見込みはないだろう。
…
……
…は…
…ははは…
…はははははは…
…何が…実践向けの剣術…だ…
「…全っっっっっっっっ然!!使えねぇじゃねぇかぁぁぁぁ!!クソジジイィィィィ!!」
封じ込めたはずの感情を存分に解放し、彼は叫んだ。
「はぁ、しぶといですねぇ。もう満足しました?いい加減死んでくださいよぉ。」
隣にはデリンジャーに弾丸を込め直している吉良が立っている。
完全な勝者と完全な敗者の構図。
結局は、これが現実。
どれほど感情を捨てて殺人マシンに仕立て上げようが所詮は人間。
純粋に人を殺すために作られた「銃」という殺人兵器の前にはあまりに不完全だった。
「くく…ははははは……!」
しかし、如月の心には爽やかな風が吹いていた。
自分を機械人形に変えた祖父の滅びゆく流派を完膚無きまで否定され、
やっと、流派を習得しなければ当り前のように得られる筈だった人間の尊厳を取り戻したのだ。
「そう、だ、いいんだ、これで。」
不意に、添島龍子という女の顔を思い出す。
みんなを助けるため、ゲームを潰そうとしていた女のことだ。
そうだ、あの女の言い分は正しい。
理不尽なことを強いる外道は死ぬべきだ。
今、俺は、龍子の提案に強い関心を示している。
152 :
転載:2009/01/01(木) 08:18:16 ID:mkxFnuzp
だが、眠い。
あぁ、目の前に誰かがいる。…はて…誰だったか…?
まぁ、いい、ちゃんと、伝えねば。
「なぁ、君。もし…添島…龍子に…逢ったら伝えてくれないか……みんなで一緒に……脱出しようって……。
俺は…しばらく…寝るから…さ。」
「ええ、わかりました。会えたらちゃんとお伝えしますね。」
満天の笑みで答えた吉良は、デリンジャーの銃口をを如月の額に向け、そこへ正確に二発叩き込んだ。
「…でも、あなたはそのままずっと寝たまま起きてこないでください。お願いします♪」
気のせいかもしれないが、ほほ笑む彼の顔が少し満足げに見えた。
――――――――――――――――――
「ふぅ、ちょっと手間取りましたけど上出来ですかね。」
海岸に横たわる死体を一瞥し、少しいのるようなポーズをした後、
吉良は両手を左右に広げ、芝居かかった口調で語り出した。
「見ていてください!私はこの調子で頑張りますよ!
この島で見つけた新しいご主人さま、英人様の為に!
あぁ、英人様…私にちゃんと命令を下してくれました…。
あれだけ激しく愛し合ったのに私を奴隷と認めて下さらなかったテト様と違って!
…いや…でもあの時は周りにいた男子共がすごく邪魔でしたよね…よく考えたら…。
えーい!過去の未練は断ち切るのです!私には明るい未来があるのです!」
死体から離れた位置に、投げ出された木刀を見つけた。
ひょいと拾い上げ、ポーズを取ってみる。
「しずくきり!…なーんちゃって、えへへ♪」
如月の木刀をディバックに入れ、喜怒哀楽の起伏が激しい殺人機械はその場を立ち去った。
【男子十番:如月兵馬 死亡】
【残り43人】
【H-7 砂浜/一日目・深夜】
【9:吉良邑子(きら ゆうこ)】
【1:私(たち) 2:貴方(たち) 3:あの人(たち)、ご主人様、お嬢様、○○(名字くん、さん付け)】
[状態]:健康、高揚
[装備]:レミントン・デリンジャー(2/2)、
[道具]:支給品一式×3、予備用44マグナム弾(30/40)、木刀
[思考・状況]
基本思考:ご主人様(英人)の命令に従い、間由佳以外を皆殺しにする
0:間由佳がもしゲームに乗っていても出来うる限りは説得する
1:もし彼女を殺してしまった場合はご主人様を殺して自分も死ぬ
2:自分が見つける前に彼女が死んでいた場合も、1と同様の行為を行う
[備考欄]
※他生徒に出会い、交戦に縺れ込んだ際に、彼女は「ご主人様(英人)の命で動いている。」と言いかねません(彼女に悪意はない)
※如月兵馬の「雫切り」の太刀筋をなんとなく覚えています
※H-5の民家の一つは、未だに電気が点いています
※H-7の海岸に如月兵馬の遺体が横たわっています
転載終了です。
投下乙。そしてあけましておめでとうございます。
新年早々野暮ですが、修正点として一つ。
倉沢ほのかは「倉橋」でも「片倉」でもないですよ。
あけましておめでとうございます。
投下乙。
龍ねぇの思い虚しく如月散る…なんか吉良がとんでもないこと言ってるが。
お前もかww
155 :
創る名無しに見る名無し:2009/01/01(木) 14:17:36 ID:xxLkN8H4
あけましておめでとう
今年はこのバトロワがますます衰退すれば嬉しいですね
投下します
壱里塚徳人(男子二番)が、樹の近くに靠れかかりながら座っている久世明日美(女子十一番)に遭遇したのは、20分ほど掛けて、じっくり辺りを探りながら鉄塔周辺にむかって歩いていたが、ようやく着いた。
その矢先の遭遇だ。壱里塚にとって、初めて遭遇する生徒となる。
傍らに立っても明日美は、一向にこちらを向かないし、最初彼は無視しようと思ったが、その方針を、制服の袖口を捕まれて、その方針を変える。
「いたのか。久世……気付かなかったよ」
これもちろん嘘ね。壱里塚にとって、同じ人間の生き死になど至極どうでもいいことであり、興味はまるでわかなかった。
故に壱里塚のテンションは、ナイアガラの滝張りに一気に急降下し、彼の明日美を見つめる視線は、あからさまに嫌そうという感じだった。
「アタシがいるのには気付いてたんでしょ? 壱里塚くん」
「あーあーホントに気付いてなかったよ」
「でもおっきいピストル持ってるしそれでアタシ襲うの?」
「襲わないよ」理由は興味がないから。
だが一応デイパックから取り出した懐中電灯で、一度照らす。一応明日美の状況を確認するためだ。
それによって、明日美の全様が見えてきた。
まず、彼女は、思った以上に、無防備だった。暗くて彼女がしゃがでることくらいしか分からなかったが、彼女のデイパックは、彼女から2m以上後ろに離れた位置にあった。
そして、しゃがんでいるがためにスカートの中が丸見えとなっていた。
如何に興味がないと言え、自分自身以上に無防備だった明日美の丸見えな下着(ちなみに色は白で模様はなしのシンプルなの)
「見た?」
それに気付いたのか。明日美はすぐさま立ち上がった。
「いや。何のこと?」
久世明日美は、比較的アベレージの高い女子集団の中でも、突出して可憐(壱里塚的には3位)であり、男子であれば一度はあんな娘を彼女にしてみたいと思うはずだ。
壱里塚の興奮度は、若干回復した。
そこへ来て、さらに彼を狂喜乱舞させる“材料”が転がっていた。
彼の目には、ハッキリと映った。
明日美の服の胸の部分についていた。たった一本の、普通の人ならば見逃してしまうであろう。真っ青な色の一本の毛を。
壱里塚は、すぐさまそれを取ろうとする。
だが、当然位置が悪い。それに気付いた明日美からは、すぐさまビンタが飛んでくるの。
それは壱里塚に直撃し、彼は倒れた。
「な……なにするのよ変態!!今胸揉もうとしたでしょ!!」
明日美は、顔を赤らめながら絶叫した。当然っちゃあ当然である。
だが、倒れながら壱里塚は、気味の悪い笑い声を浮かべている。
そこに、明日美が何を思ったのかは分からないが、突然ギャーギャー叫ぶのを止めた。
「そ…………そうよね……壱里塚くんだって男の子だし……ヤラしいこと考えても不思議じゃないよね……でも優しくしてね…………?」
「お前は何を言っているんだ」
制服のボタンを外そうと手を掛ける明日美に、壱里塚は冷たくそう言った。
「僕が言いたいのはこのことだよ。紛らわしいことしたのは謝る。」
壱里塚は、先の反動で明日美の服から落ちた青い毛を拾い上げる。
「間違いなくサーシャのだ。…………久世…お前サーシャと会っただろ」
この時明日美は壱里塚の表情に、恐怖に似たものを抱いていた。
前に映画で観たような狂える悪役が放つギラギラと射す(刺すとも捉えられる)ような視線に、非常に類似していた。
明日美は、恐怖に似たものだけを抱いていたわけではない。妙な恍惚も抱きえた。
そして明日美自身にも分からないが、この時何故か彼女は、彼の狂気に“共感”を覚えていた。
「会ったわよ。でもハッキリ言ってどこ行ったか分からない」
「分からないって何でだ?」
「私は彼女と一緒に行動したかったけど……彼女はそれを拒んだわ。一度彼女の腕を掴んだけど引き離された。その後すぐにどっかへ行っちゃった。どこへ行ったのかもよく分からなかったわ」
「ところで……壱里塚くん。何でサーシャさんをさ…」
「決まってるじゃないか!!!彼女を救うためだ!」
予想以上に早い返答だった。その言葉にも、もちろん狂気が見え隠れしていた。彼女は、汗や血、涎などの体液をなめることで相手のことをなんとなく把握することが出来る。
根拠はないが、大体当たるのだ。
そんな能力……と言えるのかは定かではないが、そういうのが備わっていると人を見る目も自ずと肥えるというものだ。
いや、目に見えて壱里塚を怪しいと思っただけなのかもしれない。だが何にせよ。明日美は何かしら壱里塚を不審に思っていた。
救いたいという言葉の中にさえ、狂気が見え隠れしている。だが、根拠がないのも確か。
ひょっとしたら彼は自己犠牲を以ってしてサーシャを救おうとしているのかもしれない。その為の狂気であるかもしれない。
意味を履き違えて悲劇を起さないためにも、彼女はこう言った。
「……私もそうよ。彼女を救いたい」
時は数十分前にまで遡る。
サーシャ(女子十六番)がトボトボと歩いているところを、久世明日美は、目が覚めてからすぐ発見し、彼女に駆け寄った。
「サーシャさん。サーシャさんでしょ?」
サーシャには、生気がなかった。その生ける屍のような希望のない表情を明日美はそのとき見てショックを受けた。
「久世さん」
「……ショックだったわよね。分かるわ」
何も言わずに、明日美はサーシャを抱き締めた。
「私だってショックだったもの。」
「………………テトさんと……」
突然サーシャが力なく言った。
「?……何」
「テトさんと…………ラトくんが……相思相愛だと……思ってたの」
サーシャの言葉は、急に力を増した。
彼女は涙を流していた。
ラトには、最近テトがベッタリしていたし、ラトも満更ではないという感じだった。
誰が見ても相思相愛に見えた。サーシャの目にもそう言う風に映っていたのだろう。
全てを理解した明日美は、静かにこう言った。
「苦しいわよね。サーシャさん」
「………」
サーシャからの返答はない。明日美は続ける。
「今すぐラトくんと仲直りするべきよ。こんなの悲しすぎるわ」
そう言って明日美はサーシャに突然小さい銃口を向けた。
「!」
サーシャも、流石にそれには驚愕した。そして避ける。
初弾は至近距離だったが、気付くのが早かったため難なく回避できた。
「久世さん!?」
「ラトくんはきっと待っててくれるわ。だからアナタはすぐに死ぬべきなの! 死ぬことでしか救われるないのよ!?」
「そんなの間違ってる! 私は……」
「言わなくていいわ!!」
明日美の表情は、人を殺めようとしている危険人物の顔つきとは思えないほど慈愛に満ちていた。
それが、かえってサーシャを震撼させた。
そして、サーシャはデイパックから取り出す。手を伸ばしてまず掴んだものを投げた。
「何!?」
煙幕が立ち込めた。このことは明日美はもちろんサーシャ自身も驚いただろう。
明日美は未だ次弾を装填できていなかった。この銃には予備銃弾の入った箱と共に、説明書のような小冊子も付いていたが、それには目を通さなかった。
それに気付いた明日美は、すぐにその小冊子を取り出す。
「えーと…後ろのグリップを……」
明日美が次弾を装填したあとに、煙幕は晴れていたが、サーシャはいなかった。
「……サーシャさん! アナタは死ぬべきなのよ!」
明日美はそう呟いた。
ちなみに、彼女は最初からこの銃を握っていたし、壱里塚と会った今でも握っている。
だが、今はもちろん、サーシャと会う前から、狙うのは彼女だけと決めていた。
全ては彼女を救うため。
彼女の愛は歪んでいた。
【A-1 鉄塔の近く/一日目・深夜】
【2:壱里塚 徳人(いちりづか-とくひと)】
【1:僕(達) 2:お前(ら) 3:あいつ(ら)、○○(名前呼び捨て)】
[状態]:興奮状態(やや冷め気味)
[装備]:レミントンM870(6/6)
[道具]:支給品一式、予備弾(18/18)
[思考・状況]
基本思考:獣人の絶望した表情がみたい
0:待ってろよ、獣共!
1:獣人を狩り、絶望の表情をみる
2:サーシャを追跡し、彼女の絶望した顔を堪能する
3:久世明日美は、一応同行させておく(彼女の生き死にには興味がない)
[備考欄]
※獣人以外への対処は、「襲われない限りスルー」に決定しました
【女子十一番:久世明日美】
【1:私(たち) 2:キミ(達) 3:○○(さん付け)(達)】
[状態]:健康
[装備]:FP45“リベレーター”(1/1)
[道具]:支給品一式、予備弾(24/25)
[思考・状況]
基本思考:サーシャを“救う”ために追跡し殺す
0:サーシャを探す壱里塚に協力
1:彼女に遭遇したら壱里塚よりも先に彼女を殺す
2:サーシャ殺害後は、壱里塚と共に対主催に回る
【FP45“リベレーター”】
全長140mm、重量454gの小型銃
構造は単純だが、故に威力が低く、一撃で相手を仕留めなければこちらがやられることになる。
また、発射後の装填には、中の空薬莢を細い棒でつついて取り出すという面倒な手段を必要とする。(少なくとも明日美には1分は掛かる)
【?-? ?/一日目・深夜】
【女子十六番:サーシャ】
【1:私(達) 2:あなた(達) 3:○○(さん付け)(達)】
[状態]:深い悲しみ、テトへの深い憎悪
[装備]:発煙筒×4
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本思考:ラトのためにもゲームを潰す
0:仲間を募ってゲームを潰す
1:明日美から逃げる
2:テトに会った時に、何故こんなゲームを開催したのか問い詰める
3:テトを殺さずに、生かして罪を償わせる
4:3を実行できるか不安(憎悪と憤怒に任せて殺してしまうかもしれない)
[備考欄]
※サーシャがどこへ行ったのかは次の書き手さんに任せます
※少なくともテトはこのゲームに絡んでると確信しました
【発煙筒】
ピンを外し、投擲することで約1分間(室内では最長3分)半径10mの地点に煙幕を展開する。
煙が人体に与える影響は皆無であり、発煙筒自体にも殺傷能力はない。
言うまでもないが室内の方が使い易い。
投下終了です。
タイトルは「壱里塚と久世の異常な愛情 または彼らは如何にして心配するのを止めてサーシャを愛するようになったか」です
>>152 投下乙です。
吉良が強い。
この先もこのままどんどんとんでもない方向に彼女の奉仕精神が向かう!?
>>161 投下乙です。
久世さんあんたもかww
片桐和夫、エヴィアン、倉沢ほのか、長谷川沙羅、内木聡右で予約します
>>152 如月覚醒→手遅れでした
の流れが凄く無情です。
つーか吉良もテトの関係者だったんかいw
>>162 サーシャ大ピンチ。
このクラスロクでもない奴が多過ぎるww
ウィリアム・ナカヤマ・スペンサー、苗村都月で予約します
現在位置一覧
北西部
A-1 壱里塚徳人、久世明日美、サーシャ
C-1 暮員未幸、神崎健二
D-3 海野裕也、北沢樹里、愛餓夫
南西部
A-5 朱広竜、トマック、和音さん、追原弾
A-8 宍戸亮太郎 、鈴木正一郎
B-7 加賀智通、古賀葉子
北東部
E-3 フラウ
G-4 ケトル
H-4 苗村都月
H-5 玉堤英人
南西部
A-5 朱広竜、トマック、和音さん、追原弾
A-8 宍戸亮太郎 、鈴木正一郎
B-7 加賀智通、古賀葉子
南東部
D-7 平田三四郎、シルヴィア、朽樹良子、鬼崎喜佳
D-8 銀鏖院水晶、日向有人
E-5 森屋英太、仲販遥
E-6 エルフィ、ノーチラス、間由佳、太田太郎丸忠信、 白崎篠一郎
F-6 エヴィアン
F-8 倉沢ほのか、長谷川沙羅
G-7 内木聡右
G-8 添島龍子、楠森昭哉
H-7 吉良邑子
北東部の過疎っぷりと南東部の人口密集ぶりが恐ろしいことにwwww
現在位置一覧
北西部
A-1 壱里塚徳人、久世明日美、サーシャ
C-1 暮員未幸、神崎健二
D-3 海野裕也、北沢樹里、愛餓夫
北東部
E-3 フラウ
G-4 ケトル
H-4 苗村都月
H-5 玉堤英人
南西部
A-5 朱広竜、トマック、和音さん、追原弾
A-8 鈴木正一郎
B-7 加賀智通、古賀葉子
南東部
D-7 平田三四郎、シルヴィア、朽樹良子、鬼崎喜佳
D-8 銀鏖院水晶、日向有人
E-5 森屋英太、仲販遥
E-6 エルフィ、ノーチラス、間由佳、太田太郎丸忠信、 白崎篠一郎
F-6 エヴィアン
F-8 倉沢ほのか、長谷川沙羅
G-7 内木聡右
G-8 添島龍子、楠森昭哉
H-7 吉良邑子
おっと、南東部が二つあった上宍戸は既に死んでいたようだ。
とりあえず島の上の方は人があまり居ないらしい。
ついでに未登場参加者
・男子
(三番)ウィリアム=ナカヤマ=スペンサー
(八番)片桐和夫
・女子
(一番) 麻倉美意子
(五番) 貝町ト子
ちなみに全員予約済み
いよいよ全員二週目突入の様です
人死にが随分ハイペースだな。
あんま最初に殺し過ぎてロワを頓挫させないように注意しなよ
ぶっちゃけこんなもんじゃねえの? とは思うが……
171 :
創る名無しに見る名無し:2009/01/03(土) 15:16:14 ID:5jzgqry4
森屋英太、仲販遥 シルヴィア、太田太郎丸忠信で予約します。
ちゃっとはいりました
投下します
堅い感触を、後頭部に覚え、目が覚ました時ウィリアム・ナカヤマ・スペンサー(男子三番)は、傍らにあったデイパックから懐中電灯を探し当てて取り出し、それで辺りを照らした。
よく磨かれたキレイな木材を組み合わせて作った、ログハウスのようだ。
そうしてウィリアムは、このゲームの理不尽さに、静かに激怒していた。
ラトは気のいい奴だったし、決して死ななければいけない罪を背負っているような罪人ではなかった。
「……俺はどうすればいいんだ……ゲームに乗らなきゃダメなのか?」
ラトの魂……が安らかに眠らんことを祈り、彼は十字を切った。父は敬虔なクリスチャンで、ウィリアムは父のことも、宗教も嫌いだし、十字を切る意味もハッキリ分かっていなかったが、ラトに何かをしてやりたかった。
そして、これは多くのクラスメイトにも言えることだ。彼らを護りたい。
イギリスでの忌まわしい記憶を、全て忘れてしまえるほどに、彼らとの2年間は深く、濃く、楽しいものだった。
特に自分に対しよくしてくれた朽樹良子や、クラスメイトから散々イジメられていた苗村都月を、優先的に護ってやりたい。
苗村都月は、その引っ込み思案な性格から、貝町ト子、銀鏖院水晶、卜部悠、北沢樹里などからイジメのターゲットとなっていた。
だが、本当にイジメていたと言うのは貝町、銀鏖院、卜部の三人かもしれない。
北沢の場合は、時々苗村を小突いたりしてからかったりしていたが、酷いものにまで発展させることはしなかった。寧ろこれは彼女なりの気遣いなのかも知れない。
事実、苗村への北沢の態度は、貝町のような陰湿さや、卜部、銀鏖院のような残酷さはなかった。その点だけはマシと言える。
……そんなことを思い出していると、見てみぬ不利をしていた自分や、クラスメイトに怒りが湧いてくる。そりゃあ全員取っ付きにくいし、銀鏖院の場合は取っ付きにくさに加え電波がある。
「だからって何で止めなかった!」
ウィリアムは、すぐさま立ち上がり、両手を天井に突き上げ、すごい形相でそう呟いた。
この時のウィリアムの仕草は、一人芝居のようであり、人によっては滑稽にすら映りえた。
「ラトの時だってそうだ……俺も……クラスの皆も…」
心の中の怒りが最高潮に達した時に、ふとウィリアムは我に帰る。
無意識に掴みかかった木製のクローゼットに、手の平と同じ形の焦げ目が付いていたのだ。
「……ダメだ…怒りを抑えろ………怒るな…“僕”」
彼は、ひと時の落ち着きを取り戻そうとしていた。そして、それは、何らかの介入がなければなしえた。
突然ドアに穴を穿ち、ウィリアムに向けて突っ込んできた小さな鉛弾によって、いともたやすく阻まれた。
間もなくして、ドアが開き、そこから先ほど話題に上がった苗村都月が姿を現した。
息遣いは荒く、何かから逃げているようだった
「殺さなきゃ……殺される……殺さなきゃ…………」
そう、ブツブツ呟きながら、再び都月は弾丸を放つ。
それをウィリアムは躱し、デイパックから何か武器になるものを探す。
だが、手に当たった感触からナイフや銃などの武器はない。ペットボトルや何かよく分からない瓶。そしてパンを包装するビニルのような感触しかない。
待てウィリアム。何を考えている。
苗村さんを……優先的に護ろうと決心した彼女になんで今反撃しようとする?
説得するべきじゃないのか?
ウィリアム。お前は自分のことしか考えていないんじゃないのか?
ウィリアムはそう、心の中で繰り返す。
その矢先に、三度弾丸が放たれる。
「やめてくれ!」
ウィリアムがそう叫ぶと、弾丸は何もなかった空間で静止し、そのまま床に落ちた。
「何で?どうして当たんないの?」
都月は、あからさまに戸惑った。
当然、ウィリアムの持つ能力を、都月は知らない。
ウィリアムには二つの能力がある。一つは念動力。彼はそれを応用して空間に見えないシールドを張り、銃弾を防いだのだ。
「どうして? どうして死んでくれないの? 私は帰りたいだけなのに」
都月の、その態度に、ウィリアムは少なからず腹が立った。どうしてこんなに腹が立つのか不思議だったが、都月は第4の弾丸も、こちらに向けて放とうとする。
万全のコンディションではないウィリアムにとって、シールドの多発は極度の疲労に繋がるため、避けたかった。
だが、幸か不幸か。都月は銃を落としたのだ。
「あっ……落ちちゃった。拾わなきゃ」
都月は、とっさにしゃがみ、銃を拾おうとした。だが、都月の手が銃身に触れた時点で、急に銃は火を吹いた。
暴発である。
一瞬だけ、早く放たれた銃弾に、ウィリアムは意識を向けることは出来なかった。
そのまま銃弾は、ウィリアムの右足を掠めた。ズボンは、その部分だけ切れ込みが入り、血が滴った。
「え……」
都月は、ウィリアムに当たった(掠った)ことよりも、暴発したことに驚いたようだった。
時を同じくして、ウィリアムもまた、何かを感じ取っていた。痛みよりも先に、この感情を。
それからすぐにウィリアムは、都月の元へ駆け寄り、左手で首を絞めて立ち上がらせた。
「かっ……あ゙…………」
「おいクソアマ。よく聞きな 俺は戦いたくねえんだよ」
「少しは俺の話を聞け! 話を無視されるのは一番嫌いなんだよ俺は おい!聞いてんのかクソアマ!」
聞こえるはずはない。都月の意識は、もう既に薄れつつあったからだ。
「焼き殺すぞ……話を聞かねえなら」
オレンジ色の光を帯びた右掌を、ウィリアムは都月の顔に押し付けようとする。
湯気が立ち伸べ、熱気の漂う、炎のように燃え盛る右手を。
「や……め…て……」
それが都月の最後の言葉だった。
―――――――
ウィリアムは、都月から手を放した。
既に恐怖で意識が飛んでいたが、生きてはいる。
彼女の見開いた目を静かに閉ざすと、彼は彼女を強く抱きしめた。
「ゴメン……本当は君を護りたいんだ」
その言葉は、都月には通じてはいない。
ウィリアムは、都月から手を離すと、ログハウスの奥まで運び、ベッドをすぐに見つけると、そこに彼女を寝かせ、毛布を被せた。
「目を覚ましたら、まず誤解を解かなきゃな……」
都月を寝かせると、ウィリアムは、静かにその場から去り、自分が焦がしたクローゼットのあった場所まで戻った。
クローゼットの中を開けると、衣服ではなく鍬や鋤といった農具が姿を現した。
だが、ログハウスの外には軽トラックも見当たらないし、耕す田畑ももちろんない。
これを武器にしろとでもいうのか?
理不尽さに怒りが込み上げてきたが、それをグッと抑えた。
「“僕”には苗村さんを護る義務がある……」
それに信じていたいのだ。誰もゲームに乗ったりしていないと。
ウィリアムは、都月の物だった銃を拾い上げた。
自分に支給されたこの瓶は、何かは分からないがきっと使えないだろう。
瓶をデイパックにしまうと、彼は同時に取り出した菓子パンを、イスに腰掛けて頬張った。
【G-5 ログハウス/一日目・深夜】
【男子三番:ウィリアム・ナカヤマ・スペンサー】
【1:僕(達) (本来(激怒時)は俺(ら)) 2:きみ(たち) (本来はお前(ら)) 3:彼、彼女(ら)、○○(名字さん付け) (本来は○○(呼び捨て))】
[状態]:右足に裂傷(応急処置済み)、怒りを必死で抑えている、能力を行使したことによる疲労(大)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、シアン化カリウム、S&W M56オート(6/15)、都月の支給品一式、M56オートのマガジン(3)
[思考・状況]
基本思考:苗村都月を保護する。しばらくはログハウスに篭城する
0:殺し合いに乗る気はない
1:怒りが爆発しないか心配
2:都月を説得し、殺し合いから手を引かせる
3:都月が説得に応じた場合、彼女を護りながら島から出る方法を画策する
[備考欄]
※銀鏖院水晶同様、超能力の行使は心臓に負担を掛け、体力を消耗させます
※シアン化カリウムについて、彼は薬のパッケージをよく見ていないためよく理解していません
※バトルロワイアルと言う環境下は、ウィリアムにとって通常よりもストレスとなっています
【G-5 ログハウス/一日目・深夜】
【女子二十番:苗村都月】
【1:私(達) 2:あなた(達) 3:あの人(達)】
[状態]:極度の怯え、被害妄想による狂気、ウィリアムに対し恐怖、気絶
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
基本思考:気絶中につき、なし
[備考欄]
ログハウスの中にあったベッドで、静かに眠っています
投下終了です。
投下乙です
苛められっ子チーム結成! と思いきや、ウィリアムが予想外に男前
本当に元苛められっ子かこいつはw
そして苛めっ子達が徒党を組まないタイプばかり……まぁ、このクラスじゃ仕方ない
投下乙。
ウィリアムは二重人格!?
シチュエーション的に海野達とかと一悶着有りそうだが果たして…。
必要ないかも知んないけど点呼取っとく?
書き手サンは返事してね
1
183 :
◆YGvZTkqXsE :2009/01/06(火) 11:00:38 ID:3zdQdxGg
作者として認めてもらえないので点呼に参加は無理
2ぃ
何故このタイミングで点呼? と思いつつも、3
終わったロワ
後1、2人ほど居た筈だが何処へ?
まあ読んでる人も居るしウダウダ議論せずに
自由に書けるから別に悪くないけど
書き手さんはやっぱり忙しいのかね?
心配せんでも順調に進んでるやん
気になるのはまだ登場してないキャラがいる事だな
予約してる書き手さんにはそろそろ何かアクションを取ってほしい
申し訳ありません。
急用が入ってしまい、執筆が続けられる状況ではなくなってしまったので予約を破棄させてください
WKTKしとこう
おお乙!
なんか今までにないモノだ
195 :
創る名無しに見る名無し:2009/01/10(土) 11:24:17 ID:iEA8CLAm
私は投下が来るまでいつまでだって待つぜ。
敢えてage
196 :
創る名無しに見る名無し:2009/01/10(土) 21:42:08 ID:dqcfsiqh
uが仮想敵となりここの住人の意地を高めた節がある
>>196 お前、馬鹿だろ?
単に未登場キャラがほとんど出尽くして二周目から書きにくくなっているだけだろ
書き手の皆さんは気にしないで頑張ってください!
書き手さーん
失礼ですが無事ですか?
一言貰えると嬉しいです
拘束期間が終了したので執筆を再開します。
今晩中は無理なので延長お願いします。
書き手の皆さん無理せず頑張って下さい!
トマック、鈴木正一郎で予約します
ただ今から投下します。
支援
ちょっと前、昼休みに学食で加賀智通らと飯を食っている時に、
北斗の拳の登場人物で誰が最強かで揉めた事があった。
「やっぱラオウが最強だろ。常識的に。」
「カイオウのが強ぇっての。森屋はどう思うよ?」
「俺は、ジャギが最強だと思うな。」
「ええ〜ジャギ〜?アイツ小物じゃん?」
「まあ聞けよ、ジャギってさ、ショットガン持ってるんだぜ?北斗真拳使えるのに!」
「あ!なるほど!そりゃ最強だわ!」
「だろ〜?」
…などと言った仲間との馬鹿な会話を回顧しながら。
森屋英太は必死の思いで逃げていた。仲販遥の手を引っ張って。
「…こわいよ…こわいよ!えいたくん!」
「だ、大丈夫だって、俺がついてるじゃん?な?」
「待てやコラァ!」
激情して散弾銃を乱射する猫族ハーフの少女から逃れる為に。
◆ ◆ ◆
―数十分前―
「それで!えいたくんはどこへいくつもり?」
「あー、そうだなー。とりあえず、ここを出るのは止そうぜ。
下手に動くと危ないし、ここならみんな集まってくるだろ。目立つし。
で、仲間になりそうな奴は引き入れて守りを固める。これ最強だろ?」
「うーん…やっぱりそうなのかなぁ…?」
ったく。殺し合いなんかで生き残る自信なんかあるわけねぇっつーの。
やりたいやつは勝手にやってろ、俺は知らん!
大体これはチャンスなんだ。
クラスメイトで一番可愛い(さっき認定)仲販と映画館で二人っきりとか
まともに修学旅行に行ってたらまずありえなかったシチュエーションだぜ?
俺は殺し合いなんかやらねぇぞ!
ここで修学旅行に行ったら計画していた通りどさくさに紛れて仲販のおっぱいを揉んだり
仲販がシャワーしてるところを覗いたりして充実したバケーションを堪能してやるぜ!
…と、言うわけで、脱出する方法なんかは他の頭の良さそうな奴らにまかせる。よろしくな!
「そうだなぁ、待ってるだけじゃ暇かもな。映画でも見る?」
「…ずいぶんよゆうなんだね?おおきなおとをたてたらあぶないよ?」
「あ、そっか。でもさ、怖がってても仕方ないじゃん?
大丈夫だってー!いざとなったら俺が護ってやるからさ!な?」
「………じーー。」
「ん?どうした?」
「はぁ…しんぱいだなぁ…。」
信用ねぇなぁ。
支援
「あ、そうだ。鞄の中見てみようぜ。なんか使えるヤツをもらってるかもしれねーじゃん。」
「うん。そうだね。じゃあまずわたしのかばんをあけてみるよ?」
そう言って、仲販はディバックを開けた。
中には基本支給品と呼ばれる会場の地図、コンパス。
ボールペンとメモ帳、クラスの名簿と、二、三日分だと思われる食糧品。
そして、三本の赤い液体の入った注射器が入っていた。
「ねぇ、これなんだとおもう?」
「さぁ?ヤバイ薬だったりして。」
「せつめいしょないや。つかいかたわかんないね。」
「じゃ、次は俺の鞄な。結構重かったけどなんだろうな?」
英太は、自分のディバックを勢いよく開け――
「・・・。」
「・・・。」
二人でアイコンタクトし、ディバックのチャックをすぐ閉じた。
「あー、見なかったことにしようか?」
「うん。みなかったことにする。」
あえて言おう。こ れ は ヤ バ イ 。
こんなもん使ったら絶対死ぬ。生きてたらおかしい。
(あーあ、やっぱ今殺し合いしてるんだなぁ、俺達。)
「ねぇ、えいたくん。えいがみようよ?」
「え?」
「こわがってても、しかたないよね?」
仲販なりに気を使ってくれてるんだろうか?
「おぅ、そうしようぜ!」
と、いうわけで。俺達はここで公開されている筈の最新映画のフィルムを探しに行くことにした。
どさくさに紛れて距離を近づけて仲販と手を繋ぐことにも成功。
支援
◆ ◆ ◆
「わー、いっぱいならんでるねー。」
「うーむ。知らん映画ばっかだな。仲販さんは何か分かるヤツある?」
「ぜーんぜん。」
「まぁ、そりゃそうか。」
「む、ばかにしたな。」
「気のせい気のせい。」
映写室は三階にあった。棚にはタイトルが英語で書かれた
よくわからん映画のフイルムが大量に並んでいる。
「さいしんえいがって、どこにあるのかな?えいたくん?」
「……(ごそごそ)」
「…どこをさがしてるの?」
「いや、なんかラベルに成人指定とか書かれてるのとかねーかなと。」
「えい!」
「がっ!痛い痛いって!そこ踏んじゃ駄目!」
「ばか!へんたい!エッチ!」
とか遊んでいたら、棚に体がぶつかって大きく揺れた。
ぱさっ
「え?」
棚から、フイルムの間に挟まっていた紙の束が落ちた。
「なんだろ?これ?」
「さぁ?」
「……!?」
「どうしたの?仲販さん?」
紙を拾い上げ、流して読んでみた。
――――――――――――――――――――――――――――――――
自主制作映画企画書
タイトル:自作バトルロワイアル(仮)
*しっくりくる名前募集中!
監督、脚本:卜部悠
演出、音楽:二階堂永遠
原作:若狭吉雄
製作協力:テト
出演者:
愛餓夫 、麻倉美意子、 壱里塚徳人、 W・N・スペンサー、 エヴィアン
海野裕也 、エルフィ、 追原弾、 貝町ト子、 太田太郎丸忠信、 神崎志緒里
加賀智通 、鬼崎喜佳、 片桐和夫、 北沢樹里、 神崎健二、 吉良邑子、 如月兵馬
銀鏖院水晶 、楠森昭哉、 久世明日美、 グレッグ大澤 、 朽樹良子、 ケトル
倉沢ほのか 、鹿和太平、 暮員未幸 、 宍戸亮太郎、 古賀葉子、 白崎篠一郎
サーシャ 、尻田堀夫、 シルヴィア 、鈴木正一郎、 添島龍子 、 玉堤英人
朱広竜♪ 、 苗村都月 、トマック 、仲販遥 、 内木聡右、ノーチラス 、間由佳
平田三四郎 、長谷川沙羅 、日向有人 、フラウ 、森屋英太 、松村友枝 、和音さん
*血沸き肉踊る衝撃のドキュメント!
*個人製作を超えたCGにない本物がここにある!
*出来れば朱広竜に頑張ってほしいな(はぁと)
――――――――――――――――――――――――――――――――
「…えと?」
「…なんじゃこりゃ?」
はぁ?映画?企画書?
これが本当ならあまりにふざけ――
ドンッドンッ
「――誰かいるの?出てきなさい。」
突然、激しいノックの音が聞こえた。
(!!)
(やべ…だれか映画館に入ってきたのか?)
(このこえ…シルヴィアさんだよ。えと、はなしかけてみる?)
支援
ドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッ
ドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッ
ドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッ
「――早くしなさいよ。そこに居るのは分かるのよ。臭いでね。」
(す、すごくふきげんぽいよ!)
(あ、ああ、なんか向こうに扉があるから、そっちからこっそり逃げ――)
「動きもせず、戦いもせず、大人しく震えているだけ?
そんなことで生き残れるほど、この世界は甘くないわよ。」
ズガンッ!
…ドアノブが壊れた音がして、ゆっくり扉が開かれた。
そこには般若のごとき表情を浮かべてイサカM37を構える左腕に包帯を巻いたシルヴィアが。
「―――逃げよう!!!急げ!!!!」
「…うん!!!」
「…ふーん?どっか行っちゃうの?
――――――――じゃあ、死んで。」
◆ ◆ ◆
支援
シルヴィアを撒く為、部屋を飛び出した二人は
廊下を駆け抜け階段を降り、隠れても無駄と判断して
映画館から飛び出た。
外は暗闇。暗く深い森の中。二人は恐ろしい速度で突き進む。
森屋英太は逃げる時限定でスプリンター並の脚力を発揮する。
「…はぁ…はぁ…。」
が、残念ながら今は一人ではない。
「だ、大丈夫?仲販さん?」
「…う…ん…。」
仲販は見るからに顔が青ざめ、息も絶え絶えになっている。
映画館を出てからシルヴィアの気配はまったくしない。
「と、とりあえず休むか?」
「…う…。」
木陰を見つけたので、そこに座らせた。
「くそ…なんだよ!なんでやる気になってんだよ!シルヴィア!」
「…う…こ…わいよ…。」
「あーもう…めんどくせぇな…。」
英太はディバックを開け、中身を取り出した。
携行式地対空ミサイルランチャー、FIM-92スティンガーを。
「…つかうの?つかっ…ちゃうの?」
「しょうがないだろ。俺だって死にたくねぇよ。」
「でも、シルヴィアさんしんじゃうよ?」
「じゃあ仲販さんが代わりに死んでくれるのかよ!?」
「……うぅ……。」
「…あ…ご…ごめん…。」
スティンガーを肩に担いで、立ち上がる。
「ここで、待ってて。近くに誰かいないか見てくる。」
「え?まって!いかないで!」
「いや、気持ちは分かるけどさ、やっぱ危ないし。」
「だめ!こわいよ!ここにいて!ひとりにしないで!」
「あーもう!わがまま言わずに――」
支援
むぎゅ。
……あれ?
この左手の柔らかい感触は?
「……あ…ん……。」
あ、あの、仲販遥さん?一体何をやっておられるのですか?
「……う……ん……やっ……ぱり……そう……。」
信じられん。俺の左手を持っておっぱいに押しつけている。
「……おねがい……もうすこし……さわって。あんしんする、から。」
あ、いや、少しは状況を考えて。状況を。
「おう!分かった!」
考えれるわけ、なかった。
支援
支援
◆ ◆ ◆
(さーて、どうしたものかな?)
木にもたれかかっている太田太郎丸忠信は
簡易レーダーの画面に映る名前を見て
今後の動きをシュミレートしていた。
森屋 英太
仲販 遥
シルヴィア
以上が自分の半径100メートル以内に存在するらしい。
どういう組み合わせでパーティを組んでいるのか、
はたまた全員単独行動しているのかわからない。
その中で、特に仲販遥の名前に注目する。
(シルヴィアは…ちょっときついかな
野郎は別にどうでもいいや。奴隷に出来そうなのは、やっぱり…?)
下劣な想像をして、口元が歪む。
「ま、とりあえず近づいてみましょうかね。見つからねぇように。」
【D‐5 森/一日目・深夜】
【26:森屋 英太(もりや‐えいた)】
【1:俺(たち) 2:お前(ら) 3:あいつ(ら)、○○(名前呼び捨て、女子限定で名字さん付けで、脳内ではフルネーム)】
[状態]:疲労(大)、右頬が腫れている
[装備]:FIM-92スティンガー(1/1)
[道具]:支給品一式、小型ミサイル×2
[思考・状況]
基本思考:遥を護る
0:遥のおっぱいを揉む
1:遥を護る
2:シルヴィアを撒く
[備考欄]
※実は仲販遥を見捨てて逃げるつもりでしたがその考えは無くなったようです。
【21:仲販 遥(なかひさ‐はるか)】
【1:わたし(たち) 2:あなた(たち) 3:あのひと(たち)、○○さん、ちゃん(名前(ひらがな)さん、ちゃん付け)】
[状態]:疲労(大)、やや混乱気味
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、赤い液体の入った注射器×3(詳細不明)
[思考・状況]
基本思考:死にたくない。太田(森屋と認識)とは離れない
0:…………こわいよ
1:…………さわって
[備考欄]
※死への恐怖は森屋のセクハラによって払拭されるものだと思い込んでます。
※赤い液体の入った注射器の効果は不明です。
【男子六番:太田太郎丸忠信(おおた-たろうまる-ただのぶ)】
【1:俺(達) 2:あんた(達) 3:○○さん(達)】
[状態]:左肩に裂傷(応急処置済)、脇腹に打撲
[装備]:無し
[道具]:支給品一式、簡易レーダー
[思考・状況]
基本思考:生き残る
0:武器を調達する
1:仲販遥を奴隷にする方法を考える
2:シルヴィア、森屋英太を警戒
3:間由佳には警戒
[備考欄]
※森屋英太と仲販遥の半径100メートル以内に居ます。
※間由佳が殺し合いに乗ったと認識しました
※エルフィ、ノーチラス、間由佳が近くに居ることに気付きました
【女子十七番:シルヴィア】
【1:私(達) 2:お前(達) 3:あいつ(ら)、○○(呼び捨て)】
[状態]:左腕裂傷(応急処置済)
[装備]:イサカM37(2/4)
[道具]:支給品一式、12ゲージショットシェル(9/12)
[思考・状況]
基本思考:ゲームに勝ち残る
0:全ての生徒を殺す
1:とりあえず森屋英太と仲販遥を殺す
[備考欄]
※森屋英太と仲販遥の半径100メートル以内に居ます。
支援
投下終了デス。
支援してくださった方々、本当にありがとうございました。
投下乙!
シルヴィア積極的だなぁ
ってか、そんな状況なのにおっぱいにひきつけられる英太w
おっぱいが遥の恐怖とかなんか色々をああもうおっぱい
狙ってかどうなのか誤字
北斗真拳→北斗神拳かと思われヒャッハー!
投下乙です!
ついに沈黙を破りましたね!
ここでも森屋のエロが炸裂ww
そして卜部は密かにノロケてましたね
あと話は変わりますが◆d6BHdrg3aY氏はそろそろ何らかのアクションを取ってほしいです
投下乙です。
英太うらやましすぎるぞー
225 :
創る名無しに見る名無し:2009/01/14(水) 09:59:19 ID:CJ9PFFNo
ケトル、フラウ、玉堤英人で予約します。
期待
4685 :やってられない名無しさん:2009/01/16(金) 01:09:16 ID:???0
各ロワ月報 11/16-1-15
ロワ/話数(前期比)/生存者(前期比)/生存率(前期比)
ksk 143話(+44) 33/48 (- 3) 72.9 (- 6.3)
マルチ. 80話(+34) 56/65 (- 1) 86.2 (- 1.5)
なのはR 94話(+24) 44/60 (- 3) 73.3 (- 5.0)
自作. 25話(+22) 43/50 (- 7) 86.0 (-14.0)
オール 153話(+ 18) 75/150 (- 4) 49.3 (- 2.6)
・
・
・
何気にパロロワの中では投下数四位!
投下します
鈴木正一郎は、宍戸を返り討ちにしたそのすぐあとに、移動を始めていた。
まっすぐエリアを突き進み、住宅街の一角についた。
人気は全くなかったが、周辺には微かに異臭を感じる。
そのにおいをたどってみると、そこにはトマックが倒れていた。
「おい!大丈夫かトマック!」
妙なにおいは、ずばりそこから漂っていた。焦げたヌンチャクの欠片と、包丁の破片、黒焦げになった布切れのようなものが転がっていて、地面も少し黒ずんでいた。
異常な空気が漂っている。
「何があったんだ!目を覚ませ!」
正一郎は、必死の形相でトマックの胸倉を掴み、彼を起すために頬を軽くはたき続けた。
だが、トマックは一向に目覚めようとはしない。
「……誰がこんなことを…」
「う…うぅ…ゲホッ!ゴホッ!」
突然とマックは、激しい咳とともに目を覚ました。
「何があった!詳しく状況を話せ。誰がお前と…この一帯をこんなにした?」
トマックは、完璧に目を覚ましていたが、酷く震えていた。
とても尋問なんて出来ないくらいにだ。
正一郎は直感した。このゲームに、乗っている下衆がトマックを襲撃したんだ。と
「俺……」
「言わなくていい。恐かったんだろう?」
「ああ…怖かったんだ。だから俺……」
「ゲームに乗ろうと思ったんだ。ハハ…」
「ハ?」正一郎の表情は、突然変わった。
M擬手の血管は浮かび上がり、あからさまに憤怒したという感じだ。
だがそこはグッと抑える。話は続いているのだから。
「でさ……朱広竜に最初に会ったんだ。お……俺…死にたくなかったから殺そうと思ったんだ」
いつもの彼からは想像できないくらいに、今の彼は女々しかった。
口数もいつもより格段に多く、嫌味にすら聞こえる。
「朱広竜はどうなったんだ?教えてくれ」
今の正一郎に、トマックを気遣う気持ちなど皆無だった。
「返り討ちにされたよ。アイツすごく強かった。全身ボコボコにされてあちこち痛いんだ……助けてくれよ鈴木……!」
トマックは、必死の形相で正一郎に手を伸ばす。そして彼もその手を握った。
そして一言「ダメだ」
トマックの右手の、親指以外の全ての指が、音を立てて砕けた。
「あああああああああっ」
「で?都月は何だ。朱広竜は格ゲーのキャラじゃないだろ?お前をボコしたくらいであたり一面こんなになるわけがない。続きを言え」
最初に見せた正一郎の優しい表情は、跡形もなく消え去り、今はあくと見なしたトマックに対する憎悪の念だけがあった。
「うあああ…」
叫ぶトマックの口も、すぐに塞がれる。
「続けろ」
正一郎から放たれる圧倒的な威圧感に気圧されてか、トマックは頭を垂れて、呟いた。
「松村だ。松村友枝が助けてくれた」
「どういう風に」
「よく憶えてないけど…あいつは死んだ」
正一郎の、固い表情が、一瞬だけ驚愕で緩んだ。
「それで?」
「よく分からないけど突然あいつ爆発したんだ。爆弾を渡されてたんだと思う。そのあとすぐに逃げようと思ったんだけど痛さのあまり気絶しちまったんだ」
「でも分かったよ鈴木!俺考え直した!やっぱみんなで協力し……」
トマックの右手に、尖った何かが刺さった。再び木霊する叫び。
「銃はないか……残念だよ」
デイパックから取り出したアイスピックで、正一郎はトマックを血に染めたのだ
―――――――――
「鈴木くん!衝動的にラーメン食べたくなることってない?」
ある日の放課後、松村友枝にそう言われた。
「あぇ?」彼は半分以上眠っていて、話を聞き逃していた。
「眠そうだねー昨日の夜遅かったの?」
「ああまさにそう。で、なんだっけ」
「ラーメン!ラーメンのこと!」
友枝の話では、学校の近くにすごく美味しいラーメン屋があるというのだ。
駅から徒歩10分という少し遠い場所にそれはあった。
「いらっしゃ……」
白い付けヒゲをつけた内木聡右の姿があった。
「オヤジさんラーメン二つ!」
「何でお前がここにいんだ?」
友枝と正一郎は、ほぼ同時に、全く違うテンションでそう言い放った。
「え?鈴木君知り合い!?」
「知り合いってお前内木聡右だろ。同じクラスの」
「え?」
友枝は、もう一度オヤジさんを見つめる。
彼の顔から、滝のように汗が流れ出てきていた。
「えぇぇぇぇぇ!?」どうやら彼女は、本当に気付いていなかったようだ。
―――――――
「いや、朽樹やサーシャには黙っててやるよ」
「マジでか!?」
既に口ヒゲを外していた聡右は喚起した。
普通なら正一郎は絶対にチクるのに。
「他にもバイトしてる生徒は腐るほどいる。それにそんな小さい悪には興味ないんでな」
「えらく上機嫌だな。鈴木。何かあった?」
「…………ああ」正一郎は、遠くを見つめるように静かに笑みを浮かべながら言った。
「内木くん!鍋!鍋!」
「……あああ!!」
友枝のその言葉は聡右に響いたが、時既に遅し。ずんどう鍋は怒りの声を上げ、そして噴出した。
結局、熱い上記は友枝の左手薬指に噴きかかり、彼女を火傷させた。
聡右は当然頭を下げ、包帯を巻いてやった。
「ホントにゴメン!!ラーメン食わしてやれなくて!」
「いいよ〜 こういうのには慣れてるし。でも今度来たときはタダで食べさせてねー」
「俺も気にしてない。それにもう暗いからな。補導されるなよ」
「あん?俺は大丈夫だって」
「……そうか」
正一郎は、聡右に疑いの視線を浴びせながら、松村と共に去っていった。
「何ちゅうベタなラブコメ展開だよ」
遠くから去り行く二人を見つめ、聡右はニヤニヤとほくそ笑む。
「そーーーうーーーーすーーーーーけーーーーー」
「父さんのシマの屋台で何やってんだコルアアアア!!」
聡右は、突然走ってやってきた鬼崎喜佳に、跳び蹴りを喰らわされた。
「よ……喜佳!?何で…」
「心配だからずっと見てたのよ!ネットカフェからね!!」
そう言って喜佳は、背中を押さえて苦しむ聡右を、怒鳴りながら踏みつけ続けた
「まあ…何もなかったからよかったんだけど……」
「ん?何か言った?」
「言ってない!」
喜佳は顔を真っ赤にして、聡右を強く踏みつけた。
辺りはもう暗くなっていた。
二人は駅に向けてゆっくりと歩いていた。
「お前どっち方面だっけ?」
「市内方面だよー」
「へぇ…俺は生まれも育ちもこの町だから知らなんだよ」
「だがこの町のことは知ってる。変な奴が出るらしいから駅までは送るよ」
「えへへー。ありがとう」
友枝は、包帯の巻かれた薬指をじっと見つめていた。
「痛むか?」
「ううん?何だかロマンチックな火傷の仕方しちゃったから…」
「いつかこの火傷に……安くてもいいからきれいな指輪を付けたいな〜って」
やわらかな笑みを浮かべる友枝を見て、正一郎も静かに微笑んだ。
余談だが、ヤクザ狩りが初めて起きたのは、昨日の夜のことだった
―――――――
そして今。自分と宍戸から奪った支給品を改めて確認する正一郎の姿があった。
その近くには喉を貫かれ、絶命したトマックの姿もあった。
トマックは本当に気絶していたのか?
本当に強行していたのか?
鈴木正一郎に見せた表情は嘘か真か?
それを知っているのは、今さっき死んだ彼だけだ
トマックの死体に見向きもしないまま、正一郎は辺りを見回す。
爆発による衝撃は、小規模だったが、デイパックなどは跡形もなく吹き飛んでいた。
もちろん友枝も。本当に彼女がいた。ということも俄かには信じがたいほどに。
正一郎は、彼女が無害であることをよく知っている。
死ぬべきではない奴だ。とも思っていた
トマックが死んでしまった以上、真偽を確かめる術はない――――朱広竜を見つける以外には。
もし友枝が生きていても、彼女が殺し合いに乗っていたら、彼は彼女でも殺すつもりでいる。
そうならないことを願いつつ、正一郎は無言のままその場を去った。
【A-5 市街地/一日目・深夜】
【男子十五番:鈴木 正一郎(すずき−せいいちろう)】
【1:俺(ら) 2:あんた(たち) 3:○○(名字さん付け)】
[状態]:健康
[装備]:錆びた鉄パイプ(現地調達)、アイスピック
[道具]:支給品一式×2、不明支給品(確認済み。武器ではない)、バイクのチェーン(現地調達)
[思考・状況]
基本思考:脱出派(危険思想対主催)
0:危険人物と判断した奴を殺しながら脱出の道を探す
1:ことの一部始終を知る朱広竜を探す
2:生きているかもしれない松村友枝を探す
3:脱出不可能なら自分以外の誰か一人を生き残らせる
[備考欄]
※ 彼はクラスメイトの人間関係を色々誤解しています
【男子二十一番:トマック 死亡】
【残り42人】
※chapter10:TOWERから約50分が経過しています
※和音さんや追原弾も、その場にいない確率が高くなってます
投下終了です
投下乙です。
正義の味方と言いつつ、早くも二人殺害の正一郎。
友枝との意外な関係や殺し合いが始まる前の平和な日常生活が切ない。
投下乙!
友枝がなんか可愛いwせっかく改心しかけたトマックを
やっぱり躊躇なくぶっ殺すこの男の明日はどっちだ!?
投下乙。
鈴木が危険過ぎるww
ただ、「とマック」や「上記」など細かい誤字が多いのでそこを修正してほしいです
>>239 了解です
ウィキに載せるときに修正しときます
麻倉美意子、貝町ト子、片桐和夫で予約したいんですがよろしいですか?
すんません。トリップついてませんでした
>>240です
いいんじゃないかね
そろそろ誰かが書かんとマズいし
何やら話の流れがおかしいと思ってスレを読み返してみたら、まさか作品を投下していなかったとは……
うっかり投下したつもりになって、その実、投下するのを忘れていたようです……本当に申し訳ありません
読み手・書き手の方々、特に ◆H7b氏には誠に失礼極まりないのですが、作品をスレに投下しても宜しいでしょうか
ちょwww
まず◆H7btjH/WDc氏が許可するかですね
書き手が増えるのは良い事なので自分的にはOKですが…
心配しましたよd6さん
投下の件なら別にかまいませんよ
寛大なお返事有難うございます
投下させていただきます
澱んだ空気が辺りを漂い、一歩を踏み出すごとに積もった埃が舞い上がる。
廊下の壁の張り紙は悉く黄ばみ、その可読性を失って久しいことが見て取れた。
窓から差し込む月明かりが、古びた校舎にどこか侘びしげな雰囲気を与えている。
女子1番・麻倉美意子は、それらを注意深く観察しながら、静々と廊下を歩いていた。
時折、扉の前に差し掛かる度に僅かに立ち止まり、その都度、鼻の頭をぴくりと動かす。
それを何度か繰り返した後、やがて、麻倉は一つの扉の前で足を止めた。
「……見つけたわ」
吐く息ほどのささやかな声で呟くと、また静々と扉の傍へと寄る。
木枠を揺らして音を立てないよう、そっと扉に耳を当てて中の様子を窺う。
可能な限り己の息遣いをひそめて耳を澄まし、そのまま、胸の中で秒数を数える。
十数秒ほど待って何の物音もしないことを確認すると、麻倉は扉の取っ手へと手を掛けた。
典型的な横にスライドするタイプの教室扉は、経年劣化のためか、スムーズには動かず、ガタガタと音をたてて開く。
途端に、教室の中に封じ込められていた臭いが廊下へと噴き出して鼻を突いた。
麻倉にとっては幾度か経験のある、嗅ぎ慣れた鉄の臭い―――血の臭い。
教室へ足を踏み入れると、直ぐに、物言わなくなったクラスメイトの亡骸が目に入った。
ラトの死体は、彼が殺された時そのままに、頭部がなくなって仰向けに倒れている。
その変わり果てた姿を視界に入れたことで、麻倉の意識がそちらに集中した一瞬。
「動くな」
呼吸が一瞬止まった気さえした。
麻倉の首筋にあてられるひやりとした感触、反射的に全身の筋肉が強張る。
視線のみで己の首筋に添えられたものを確認すると、薄く鋭い金属の塊、日本刀が見て取れた。
自分の行動が迂闊だったのだと気が付いて、麻倉は胸の内で歯噛みする。
教室の中にばかり注意を払った為に、扉を開けた際の騒音に気付いて誰かが後方から来る可能性を失念していた。
「私としたことが……」
殺し合いの場ということを理解していなかったわけではない。
しかし、いきなりこれ程の危機的状況に陥るというのは、流石に予想外だった。
今の状況は、正しくまな板の上の鯉。相手に生殺与奪を握られているに等しい。
「一応聞いておこうか。麻倉、お前は”これ”に乗ってるか?」
「……あなたの言う”これ”というのが、この殺し合いのことなら、乗っていないわ」
麻倉は顔を半分ほど後ろに向け、背後に立つ相手を視界に入れる。
そこにあったのは、市松人形のような髪型をして緑ジャージを着た女子の姿。女子5番・貝町ト子の姿だ。
「まぁ、そう言うだろうな。なら次だ。お前、どうして此処に来ようと思った」
「どうしても何も、現場検証は事件を捜査する上での基本よ。例の禁止エリアとやらに指定されてしまったら調べられないでしょう? だから最初に此処に来たの」
「この悪趣味なイベントの主催者が、此処に残っている可能性は考えなかったのか?」
「此処に残るつもりなら、予め学校全体を禁止エリアにするでしょう。この殺し合いが始められた時にそういう説明はなかったから、此処にはもういないと予測出来たわ」
麻倉が答えると、少しの間、貝町は口を閉じる。発言に矛盾がないか考えているのだろう。
暫くの後、貝町は再び口を開いた。
「理由にはなってるか……次だ。お前が初めにいた場所は何処だ?」
「この学校の隣にある畑の中よ。より正確には、そこにあった納屋の中」
「それを証明できるか?」
「畑の中を歩いたから靴が土で汚れていると思うけど、それは証明になるかしら」
貝町の視線が鋭さを増した。
日本刀を掴んでいない方の腕が麻倉の頭へと伸び、その髪の毛を鷲掴みにする。
「ちょっと、痛いっ! 何するのよ!」
「うるさい黙れ。後、暴れるな。手元が狂う」
首のやわ肌を刃が切り裂くイメージが脳裏を過り、麻倉は慌てて動くのを止める。
麻倉が暴れなくなったところで、貝町の視線が麻倉の足元へと向けられる。
「……確かに汚れているな」
そう言うと、貝町は麻倉の髪を掴む腕を離した。
頭を掴んだのは、視線を外した隙に奇襲される可能性を見て取ったからだ。
過剰反応と取れるかも知れないが、油断をした一瞬に命を落とすよりは余程良い。
「警戒されるのは判るけど、幾らなんでも酷いわね」
「ああ、悪かったな。それと、次の質問だが」
「ちょっと待って」
軽く謝って質問を続けようとした貝町の言葉を。麻倉が遮る。
「私もあなたに聞いておきたいことがあるのよ」
首元に日本刀が突き付けられている状況を思えば、決して安全な行為ではないが、これ以上話が長引くと、問いを切り出せなくなる可能性の方が高い。
貝町は少し考えるように沈黙した後、言ってみろ、と視線で麻倉に促す。
「先ずはあなたと同じことを聞かせてもらうけど、貝町さん、あなたは”これ”に乗っているのかしら?」
一瞬の間があく。
麻倉の言葉を受けて、貝町の表情に変化はない。
しかし、直ぐに貝町は頭を左右に振って否定の意を示した。
「此処での人殺しに免罪符が付くわけでなし。こんな催しに付き合って人を殺せば、人生を台無しするだけだ。私はそこまで馬鹿じゃない」
「そう、思ったとおりね」
判り切っていたかのように言う麻倉に、貝町は眉を顰める。
「お前、私が乗っていないのに気づいてたのか?」
貝町がそう尋ねると、麻倉は得心したように微笑んだ。
「あなたが初めに私に声をかけてきた時、僅かだけど、声に安堵の色が窺えたわ。予測するに、恐らくそれは自分以外の誰かに会えた事による安心。これから殺す相手を前に、安心するという人は余りいないわね」
「安心なんてした覚えはない」
「一瞬だったもの。自分で気付かないのも無理はないわ」
麻倉の言葉が納得いかないのか、貝町は渋い顔を見せる。
「後、あなたの質問は殺し合いに肯定的な人間のものにしては少しピントがズレていたのよ。全体的に声の調子も穏やかだったし」
「あれだけの会話で、そんなことが判るものか」
「観察力と注意力には自信があるの。そうでなければ、探偵なんて出来ないわ」
「………………」
黙りきってしまった貝町を見て、取り敢えず話術は成功のようだと見て取る。
探偵的に、本当はもう少し説明を加えたいところなのだが、余り語り過ぎるわけにもいかない。
実のところ、今の推理は貝町の性格を基にして予測を重ね、即興で作りあげた半ばハッタリ交じりの推理なので、言葉を重ね過ぎるとボロが出るのだ。
だが取り敢えず、自分の能力を見せ付けることで、ある程度の信頼と尊敬を得ることは成功したはずだ。
「それと、もう一つ聞いておきたいことがあるのだけど」
「何だ?」
「あなた、この首輪を外すことは出来ないの?」
麻倉たちのクラスの中で、最も工学知識に長けている人間をあげるとすれば、それは間違いなく貝町だろう。
それ故に、貝町に外せないとなると、首輪を外す作業はかなり難易度が高いということになる。
「生憎だが、構造が判らない物には手の出しようがないな」
「つまりは構造が判れば外せるということ?」
「それが私の知っている技術の範疇なら、何とか出来るかも知れないが……」
それを聞いて、麻倉は貝町との交渉が上手く行くことを確信した。
貝町は、かなり面倒な性格の持ち主だが、道理が判らない人間ではない。
お互いの技能を生かし合うことのメリットは理解してくれる筈だ。
「なら貝町さん。私とあなた、協力してみるのはどう?」
暫くの駆け引きの後、貝町は小さなため息を一つ吐いて、麻倉の首から日本刀の刃を退けた。
デイバッグの口に差し込んであった鞘へと日本刀を収め、その場にどっかと座り込む。
細かい取り決めなど何もない。お互いの利害が一致する限り、共に事件の解決に向けて動く。
二人の間に取り交わされたのは、たったそれだけの拙い協力の約束だ。
「一つだけ言っておく」
「あら、何かしら?」
「これ以降、私のことを勝手に分析するな。詮索もするな。もしすれば、即座に協力を取り消す」
貝町は不機嫌さを隠す様子もなく吐き捨てる。人格を分析されたのが、余程腹に据えかねたらしい。
だが、警戒心の強い貝町が自分から武器を収めたということは、麻倉の能力をそれなりの信頼に値すると認めたということ。
そのことに若干の満足感を覚えつつ、麻倉は努めて平静を装って答えを返した。
「ええ、気を付けるわ」
------------------------------------------------------------------------------------
麻倉美意子、この女はまずい。
改めてラトの周りから調査とやらを始めた麻倉の後ろ姿を見やりつつ、貝町は胸の内で呟いた。
これまでの会話を総合するに、麻倉は有能な人間かも知れないが、有能過ぎては自分が困る。
貝町には秘密があるのだ。どれ一つとっても、自分の将来を確実に破滅させるであろう秘密が。
貝町のクラスメイトである太田太郎丸忠信には、異常な性癖がある。
薬物、暴行、あらゆる手段で女を脅し、己の奴隷とすることを好む。奴隷収集癖とでも言うべき性癖。
貝町は、その犠牲者だった。
一年前、太田からの遊びの誘いを断ったがために目を付けられ、結果、今に至っている。
貝町とて、状況にただ甘んじたわけではない。幾度となく反抗を試みもした。
しかし、ほんの一週間薬物を与えられなくなるだけで、襲い来る禁断症状の前に、泣いて許しを乞うしかなかった。
あの時もそうだった。たった一人の友人を、"遊び"に誘いだせと太田に命令された時も、貝町は必死に抗った。
反抗して、抵抗して、そして負けたのだ。
貝町は、麻倉との会話の中で、少しだけ嘘を吐いている。
人生を台無しにしないために、殺し合いには乗らないと言った。
だが、貝町ト子という一人の少女の人生など、もうずっと前から台無しになっている。
------------------------------------------------------------------------------------
「貝町さん、今何か言った?」
ラトの亡骸の周りで調査とやらをしていた麻倉が、貝町へ問いかける。
いつの間にか、口から言葉が洩れ出ていたのだと貝町は気が付いた。
「少し考え事をしていた。気にせずにお前はそっちを調べろ」
「そうなの? じゃあ、そうさせて貰うわ」
特に気になったというわけでもないのか。麻倉は直ぐに調査へと戻った。
その後ろ姿を見ながら、貝町は静かに考えを巡らせる。麻倉美意子、探偵の少女。
今は有用な存在だが、もし何かを切掛けとして自分の秘密に気付いてしまった時は―――視線は、傍らに置いた日本刀へと注がれて―――その時は、仕方がない。
結局のところ、自分が一番大事にしているのは自分なのだと、貝町は理解していた。
そうでなければ、あの日、自分が友人を傷付けることなどなかったのだから。
「………だから、許してくれとは言わんさ」
その言葉は、麻倉の背中に向けたものか、或いは、此処にいない誰かへと向けたものなのか。
余りにも細い吐息のようなその言葉は、誰の耳にも届くことなく、静かに消えていった。
【女子1番:麻倉 美意子(あさくら−みいこ)】
【1:私(達) 2:あなた(達) 3:○○(名字さん付け)】
[状態]:健康 、髪型に若干の乱れ
[装備]:なし
[道具]:支給品一式×1、不明支給品×1
[思考・状況]
基本思考:事件を解決する
0: 現場の調査
1: 貝町と協力する
[備考欄]
【女子5番:貝町 ト子(かいまち−とこ)】
【1:私(ら) 2:お前(ら) 3:○○(名字呼び捨て)】
[状態]:健康
[装備]:日本刀
[道具]:支給品一式×1
[思考・状況]
基本思考: 秘密を保ったまま脱出する
0: 麻倉の調査が終わるのを待つ
1: 麻倉と協力するが、秘密に気付いた場合は殺す
2: 禁断症状が出ない内に薬物を手に入れておきたい
[備考欄]
※テトとは友人でした
※太田に対して、複雑な感情があるようです
※薬物中毒者です。どの程度で禁断症状が出るかは、後の書き手にお任せします
投下終了です
忘れてました
つ【D‐4 校舎/一日目・深夜】
投下乙です。
テト周りの人間関係が徐々に浮かび上がって来ましたね。
太田は目と鼻の先にいるが貝町と遭遇する日も近いか?
投下乙です
ト子の存在が今後嵐を巻き起こしそうですね
投下乙!
悲惨な過去だが貝塚ちょっと格好いい。
太田は餓尾の外道仲間か…。
投下乙です。
しかしOPで英人達が確認に回った辺りラトの頭は吹っ飛んでないんじゃ……
>>259 多くの生徒がドッキリと思ってたんだから飛んだのでは?
さっきまで動いていたんだから作り物ではないのだし、首が飛んで明らかに死んでいるなら確認も何もないような
済みません。自分の中で勘違いがあったようです
問題の箇所を以下のように修正します
ラトの死体は、彼が殺された時そのままに、頭部がなくなって仰向けに倒れている。
→ラトの死体は、彼が殺された時そのままに、血溜まりが広がる中に倒れている。
改めて
サーシャ、片桐和夫、追原弾、和音さんで予約します
264 :
創る名無しに見る名無し:2009/01/20(火) 11:01:56 ID:lrU3zxhS
うわあ、内輪ネタやりすぎてて怖い
気持ち悪い集団!
265 :
創る名無しに見る名無し:2009/01/20(火) 11:06:40 ID:lrU3zxhS
まるでオタクのダンス
266 :
創る名無しに見る名無し:2009/01/21(水) 11:39:34 ID:yDsYMwdC
しんだらええ
このロワ面白くないな
ただ今から投下します。
松明の炎が、神社の扉をぼんやりと照らしている。
夜の森の静寂の底に、木々の擦れる音だけが響き渡る。
苗村都月の襲撃から逃れたケトルは移動を一旦止め、石造りの階段でその体を休めていた。
「…誰か、居るのか?」
木の蔭から、何者かが姿を現す。ケトルは体を起こし、手元に置いてあったサーベルを持った。
「はぁ…少しは休ませてくれよ。」
「心配すんなって。俺は誰も殺してないし、これからも殺さないよ。」
全体が確認できたことで心当たりのある人間を思い出したケトルは安堵し、緊張を解いて、サーベルの刃を下げた。
「君は…玉堤英人、だったかな?フラウのパートナーの。」
「え?パートナー?…まぁ、部活動でよく組んでたけど、ちょっと違和感あるなぁ、その呼び方。」
「いや、家に泊まりにきたフラウがよく君の事をベストパートナーだって話題にしてたからね。」
「ふーん。そうなんだ。」
英人は意外だったような顔でこちらを見つめる。妙な態度が気になったが、
フラウが信頼を寄せていた彼なら特に警戒する必要もないだろう。
そしてふと、この男ならもしやと思い、一つの事柄を聞いてみることにした。
「英人君、君はこの首輪を解除したりとかは出来ないのか?」
「…ああ、さっき少し見たけどちょっと厳しいね。どうもただの機械じゃないみたいだし。」
「ただの機械じゃない?」
「指を内側に突っ込んでみなよ。」
そう言われてケトルは人差し指を輪の内側に入れてみた。
「!?」
何かが蠢く感触がする。首輪事体から体温に似た温かみが感じられ、
鼓動を打つかのように何か小さいコードのようなものが脈うつ。
「い…生きてるのか?この首輪。」
「どう表現したらいいかわからんが、とにかく螺子とか半導体とかだけを部品に使ってるわけじゃ
ないと思う。正直僕の知識じゃどういう構造なのかさっぱり。」
英人はお手上げという風なジェスチャーを取った。
「でも、きっとなんとか出来る筈だよ。」
「え?ずいぶん楽観的だな?」
「フラウを探そう。賢明な彼女と君が協力してくれればきっとなにかいい案が思いつく。」
「…フラウ…?…ああ…そうだった…由佳を捜すのに夢中ですっかり…。」
「英人君?」
「悪いけど。」
残念そうな顔をして、首を振った。
「過大評価過ぎだよ。僕もフラウもスーパーハッカーじゃない。
会場のシステムに侵入してウイルスを流したりとかできないし、
首輪の解析も解除も出来ない。この状況を打破できる力なんて、あるわけないんだ。」
「…なんで、そんなに悲観的なんだ、君は?やる前から諦めてるだけじゃないのか?」
さすがに煮え切らなく感じたケトルは感情を露にしかける。
英人はそれを見ても表情一つ変えず、飄々と言い放った。
「じゃあ、教えようか?…どんな化け物が、僕たちの敵に回っているのか。」
「…敵?英人君、なにか、知って?」
「フリーズ!動かないで!動くと撃つわよ!」
二人は突然の罵声にびくりと体を震わせ、同時に声の方を振り向く。
「…え!?」
「…あっ!」
「…君は…。」
震える手でM79グレネードランチャーを構えるフラウが、そこに突っ立っていた。
「…あ…ああ…。」
フラウから怒りの表情が消えていき、感極まるといった感じの今にも泣きだしそうな顔に変わっていく。
「フラウ!よかった!遭いたかったよ。僕は君を捜して、
「英人!無事だったのね!英人!」
走り出したフラウはケトルの横を通り過ぎ、英人に思いっきり抱きついた。
「わぁ!?ど、どうしたんだよ!?」
「うるさい!うるさい!もう!心配したんだからね!英人!英人ぉ!」
(…あ…あれぇ…?フラウぅ〜?……やっぱ……この二人って……?)
◆ ◆ ◆
「で、ケトルは苗村さんにいきなり襲われたんだ?」
「…彼女は恐怖に駆られてたんだと思う…多分、他にも居るんだろうな、苗村さんみたいな人が。」
「こんな環境じゃ、ある意味仕方無いかもしれないわね。後は、英人が遭った、吉良裕子さん。」
「…まぁ、間違いなく、危険だね。」
三人揃えば文殊の知恵、というものか。一息ついた後、三人で情報交換することになった。
その中でも英人の話の中に居た吉良裕子の狂気じみた行動は他の二人の頭を抱えさせるに十分な代物だった様だ。
「そんな平気で、人を殺せるものなの?」
「学校で勉強したり友達と遊んだりすることが異常で、殺し合いをやっているのが普通。
そういう人間もいるんだよ。そういう最初から壊れている奴に加えて、命が惜しくて
殺し合いに乗る連中。恐ろしい速度で死体が増えていくだろうな、これから。」
「…ずいぶん冷静ね。で、これからどうするの?」
「僕は由佳を捜す。その後は…まだ決めてないや。」
ケトルは、一瞬フラウの顔が曇ったように見えたが、すぐに元に戻ったので気にしないことにした。
「…だったら、一緒に由佳ちゃん捜しましょうよ、英人。」
「でも、今の僕と一緒に動くのは危険だ。吉良とばったり出くわしたりでもしたら…!」
「大丈夫よ!もし襲われても二人とも私が護ってあげるから!あ、ケトルももちろん協力してくれるわよね?」
「…うん(なんか時々僕が居るのを忘れてないかい、フラウ?)」
ケトルが面白くなさそうにしてるのを理解したのか、英人が声をかけてきた。フラウに聞こえないようなトーンと角度で。
(なぁ、ケトル、君はフラウと仲がいいんだよな?)
(まぁね、でも最近ちょっと自信がなくなってきたよ。)
(…ひょっとして、好きなのか?)
(はぁ!?何言ってるの?君が彼氏だろ?)
(何を勘違いしてるか知らんが…まぁいいや。一つ、頼みを聞いてほしいんだが。)
(はぃ?)
「ねぇ、さっきからなにヒソヒソ喋ってる訳?私をのけ者にしてさっ。」
「あ、いや、そういうわけじゃ。」
「フラウ、来てくれ。」
「うん、何?英人。」
「実は由佳を捜してからどうするか、もう決めてるんだ。
―たとえ由佳生きていようが死んでいようが、変わらないと思う。」
「…え?」
「主催の一人にに、僕が知っているやつがいる。僕は、そいつに勝ちたいんだ。」
「!!それってもしかし――!?」
「でも、君じゃ、駄目なんだよ。だから、このデータは君には渡せない。」
英人の左手が触れた瞬間、強烈な痺れがフラウの体を貫き、彼女はその場で意識を失った。
(さよなら、フラウ。)
「フラウ!?」
ケトルは、突然体を崩したフラウを抱えた。
「おい、なにやったんだ、英人!?」
「別に、何も。」
「嘘つくなよ!その機械腕になんか仕込んでたのが見えたぞ!なんでこんなこと!?」
「ケトル…君はフラウの幼馴染なんだろ?だったら、彼女を護ってやってくれないか?
このゲームで一番生き残れる方法は、なるべく戦わないことだ。
僕はそう言うわけにはいかない。フラウまで巻き込むわけにはいかないんだ。じゃあ、頼んだよ。」
そう言って、踵を返してこの場を立ち去った。
ケトルは呆然としたまま、その場で立ち尽くすしかなかった。
◆ ◆ ◆
…痛いなぁ…
…体が、痺れる…
…あれ…英人?…
…何処へ…行くの…
…待ってよ…
…私も連れて行ってよ…
…私なんか要らないの?…
…そんなに…
――そんなに二階堂さんが好きなの!?
【E-4 平地/一日目・黎明】
【19:玉堤英人(たまづつ ひでと)】
【1:僕(たち) 2:君(たち) 3:あの人、あいつ(ら)、○○(名前呼び捨て)】
[状態]:健康
[装備]:アウトドアナイフ
[道具]:支給品一式、USBメモリ
[思考・状況]
基本思考:間由佳と合流したい。主催側がどうなっているか知りたい。
0:ゲームに乗る気はない。基本的に身を潜めてやり過ごす。
1:吉良よりも先に由佳と合流する。ゲームに乗っていない生徒に会ったら彼女(吉良)は危険だと知らせる
2:二階堂に勝てそうな奴を捜してUSBメモリを渡すor共に行動する。
3:武装面での不安要素は拭えないため、ゲームに乗っている生徒に会ったら逃げる
[備考欄]
※USBメモリに玉堤英人の推測を書いたデータが入っています。
※義手にスタンガンの様なギミックが内蔵されています。
【F-3 神社/一日目・黎明】
【男子十三番:ケトル】
【1:僕(達) 2:君(達) 3:あの人(達)、○○さん】
[状態]:少し疲労
[装備]:サーベル
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本思考:どうにかして殺し合いを止めさせる
0:釈然としないがとりあえずフラウと行動する
1:仲間を探す
2:テトのことを知りたい
3:やる気になっている相手の説得が無理だと思ったら逃げる
【女子二十五番:フラウ】
【1:私(たち) 2:貴方(たち) 3:あの人、あいつ(ら)、○○(名前呼び捨て)】
[状態]:健康
[装備]:M79グレネードランチャー (1/1)
[道具]:支給品一式、チャフグレネード予備擲弾×5
[思考・状況]
基本思考:玉堤英人と間由佳を護る。
0:英人を追いかける?
1:由佳を見つけ次第、安全な場所に保護する。
2:由佳ちゃんが死んだら、私は……?
終了デス。
投下乙です。
一つ異を唱えさせてもらいますが、義手に人一人気絶させるほどのスタンガンを仕込むのは流石にチートだと思います
できればそこのところを修正をしてほしいです
投下乙です
スタンガンとかw 英人、お前は常識人だと思ってたのにw
フラウも未だ勘違いしたままだし、空気化しつつあるケトルは彼女を止められるのだろうかw
一寸気になった点、英人の義手は桐原製なのだから二階堂が構造を知っていそうなものですけど
予め仕込まれていたものなら、スタンガンが没収されていないのは少し不自然さを感じました
了解です。該当箇所を修正します。
「ねぇ、さっきからなにヒソヒソ喋ってる訳?私をのけ者にしてさっ。」
「あ、いや、そういうわけじゃ。」
「フラウ、来てくれ。」
「うん、何?英人。」
「実は由佳を捜してからどうするか、もう決めてるんだ。
―たとえ由佳生きていようが死んでいようが、変わらないと思う。」
「…え?」
「主催の一人にに、僕が知っているやつがいる。僕は、そいつに勝ちたいんだ。」
「!!それってもしかし――!?」
「でも、君じゃ、駄目なんだよ。」
英人のチタン合金製の拳がフラウの鳩尾にめり込んだ。
「……が……!?」
(だから、このデータは君には渡せない。さよなら、フラウ。)
呼吸困難に陥った彼女はその場で意識を失った。
「フラウ!?」
ケトルは、突然体を崩したフラウを抱えた。
「おい、なにやったんだ、英人!?」
「別に、何も。」
「嘘つくなよ!その機械腕で腹パンチしてるの見えたぞ!なんでこんなこと!?」
「ケトル…君はフラウの幼馴染なんだろ?だったら、彼女を護ってやってくれないか?
このゲームで一番生き残れる方法は、なるべく戦わないことだ。
僕はそう言うわけにはいかない。フラウまで巻き込むわけにはいかないんだ。じゃあ、頼んだよ。」
そう言って、踵を返してこの場を立ち去った。
ケトルは呆然としたまま、その場で立ち尽くすしかなかった。
◆ ◆ ◆
…痛いなぁ…
…あれ…英人?…
…何処へ…行くの…
…待ってよ…
…私も連れて行ってよ…
…私なんか要らないの?…
…そんなに…
――そんなに二階堂さんが好きなの!?
【E-4 平地/一日目・黎明】
【19:玉堤英人(たまづつ ひでと)】
【1:僕(たち) 2:君(たち) 3:あの人、あいつ(ら)、○○(名前呼び捨て)】
[状態]:健康
[装備]:アウトドアナイフ
[道具]:支給品一式、USBメモリ
[思考・状況]
基本思考:間由佳と合流したい。主催側がどうなっているか知りたい。
0:ゲームに乗る気はない。基本的に身を潜めてやり過ごす。
1:吉良よりも先に由佳と合流する。ゲームに乗っていない生徒に会ったら彼女(吉良)は危険だと知らせる
2:二階堂に勝てそうな奴を捜してUSBメモリを渡すor共に行動する。
3:武装面での不安要素は拭えないため、ゲームに乗っている生徒に会ったら逃げる
[備考欄]
※USBメモリに玉堤英人の推測を書いたデータが入っています。
【F-3 神社/一日目・黎明】
【男子十三番:ケトル】
【1:僕(達) 2:君(達) 3:あの人(達)、○○さん】
[状態]:少し疲労
[装備]:サーベル
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本思考:どうにかして殺し合いを止めさせる
0:釈然としないがとりあえずフラウと行動する
1:仲間を探す
2:テトのことを知りたい
3:やる気になっている相手の説得が無理だと思ったら逃げる
【女子二十五番:フラウ】
【1:私(たち) 2:貴方(たち) 3:あの人、あいつ(ら)、○○(名前呼び捨て)】
[状態]:気絶
[装備]:M79グレネードランチャー (1/1)
[道具]:支給品一式、チャフグレネード予備擲弾×5
[思考・状況]
基本思考:玉堤英人と間由佳を護る。
0:英人を追いかける?
1:由佳を見つけ次第、安全な場所に保護する。
2:由佳ちゃんが死んだら、私は……?
終了デス。
修正乙です
修正乙です。一歩間違えればマーダーと勘違いされそうな行為だな。
関係もややこしく、今後の動向が気になります。
修正乙。
普通にボディブローで気絶させたwこの扱いではフラウが病むのも無理ないかw
エルフィ、ノーチラス、ウィリアム・ナカヤマ・スペンサーで予約します。
投下します
「ハァ……ハァ……」
サーシャは、自分がどのくらい走っただろうと、思い起こしていた。
気づけば何もない、開けた道路に出ていた。
標識はあれど、通る車は一切ないその道路の中央で、安堵した彼女は、膝を地につけ、そして、ただ呆然とした表情で涙を流した。
「………ラトくん」
彼女は、日ごろ仲のいいラトとテトが、すでに恋仲にあると思っていた。
なのにどうしてこんなことになったのか分からない。
どうして………
どうして……
どうして…
ど う し て ?
テトとラトのためを思って、彼女はラトのことを諦め、手を引いた。
静かに彼らの恋を見守り、いつも通りの親しい友人として接して行きたかった。
だが、サーシャの思い描く彼女たちの関係は、そんなものではなかった。
ラトの最期の言葉を聞いて、サーシャは漸く自分が道化であることに気づけた。
「私…馬鹿みたい」
テトへの憎悪はあった。ラトを殺したことについてもあるが、自身の恋心を無駄にさせた、極めて女性的な私怨。
テトを殺してはいけないと思っていた。
だができるだろうか…?今の自分に。
生かして罪を償わせたい。だができるだろうか?
今の自分の頭の中には、テトを惨殺したいと言う醜い意志もある。
それじゃだめだ……それじゃ…
涙をぬぐったサーシャは、一つの結論を導き出す。
このゲームを潰さなければ。
彼女は立ちあがった。その拍子に道路の小脇に見えるものがあった。
駆け寄って見ると、そこには人が倒れていた。
クラスメイトの一人の和音さんだ
「わ…和音さん?大丈夫!」
和音さんの体に目立った外傷は無かったが、一向に目覚めようとはしない。
「どうしよう……お願い…死なないで……」
「………う…ううん」
「あー…よかった!目が覚めたのね?」
和音さんは、目を覚ますと弾と“彼”がいなくなっていることに気づく。
そして、立ち上がるとサーシャに何も言わずにそそくさと去ろうとする。
「??? ちょっと? 和音さん? どこ行くの?」
戸惑いながら和音さんを引きとめようとするサーシャをちらりと見て、静かに彼女はこう言った。
「死にたくなければここから遠ざかったほうがいい…」
「…………近くにいるかもしれないから」
そのまま和音さんは去っていこうとした。だがサーシャはそれを引きとめる。
「待って! 何があったの!? 詳しく話して!」
――――――
約1時間前にさかのぼる
民家から移動を始めた追原弾と和音さんは、車が通る気配のない道路に差し掛かっていた。
「随分歩いたな…」
弾が時折、和音さんのほうを向いても、彼女はこちらと目を合わせようともしない。
「こんの……クソアマ…」
そう思っていたが、口にはけして出さなかった。
この憤りが真実ではないことくらい、弾は知っていた。
この憤りは紛れもなく科学者の計算と機械部品が織りなす旋律の一節に過ぎない。
どうでもいいことなのだ。1と0によってしか作られないこの憤りを、ただのプログラムと受け止めるこの姿勢もまたプログラムのうちの一つ。
みんなを守りたい。この意志もそうだ。
所詮はプログラム。科学者たちはそう片づける。
自身がレプリカントであると知られれば、クラスのみんなも同様の見解を示すだろう
それによって発生した孤立の苦しみも、もちろんプログラムで片づけることができる。
悲しいけれども、そう言うものなのだ
弾はそのことについて考えることをやめた。そして、思考を一新したところで己が瞳に最初に映ったのは、倒れている生徒の姿。
「おいっ! 大丈夫かお前!」
弾はすぐさまその生徒のほうへと駆け寄る。
だが、“彼”を間近で見て、気づく。
この細く長い剣を握ったまま倒れている男……片桐和夫(男子八番)を、自分は知っている。
追原弾と片桐和夫は、一度も私的な会話を交わしたことはなかったし、それどころか目を合わせたこともなかったかもしれない。
だが、弾の中にあるメインコンピューターにはこう刻まれていた。
「XA-13を監視しろ。バグが認められれば破壊しろ」
XA-13とは和夫の正式名称。つまり弾と和夫は同類なのだ
2年以上監視を続けたが、一度もバグは認められなかった。
だが、この状況下ではどうだ?奴にはロボット工学三原則が適応されているが、何が起こるか分からないこの状況下では………
「俺はクラスメートを守る…」
この感情も、プログラムだ。
だが弾の手は、動いていた。デイパックを軽く探り、見つけ出したある物を、和夫の額に向けた。
「!?」
だが、和夫は、その場にはいなかった。
「……追原弾…正式名称XA-15………XA-13の監視役として桐原重工より派遣されたレプリカント…耐久性成人男性としては常人レベル以下…………」
片桐和夫は、すでに和音さんの背後に立っていた。
「!!?」
和音さんも即座に反応する。だが、武器を持っていない今何もすることはできない。
「……和泉初音(いずみ はつね)…通称和音さん………教師の弱音を握り、和音という通称で学生名簿に登録を強要…耐久性成人女性としては常人レベル…………彼女の殺害はロボット工学三原則で禁じられている」
片桐和夫は、右手に剣を握りしめていたが、その剣を構えてはいなかった。
和音さんに対しては、敵意がないことを表そうとしているようだった。
だが和音さんは違う。怒りに燃えながら和夫に向けて、無言のまま突進を試みた。
「……静止しなさい…」
だが、和夫はこの状況においても冷静沈着に対応する。
剣を振り、和音さんの首を刎ねようとしたのだ。
もちろん彼女は対応できなかった。あまりにも早いその動きに、憤ることを忘れて、ただ死を覚悟した。
だが、彼女が死ぬことはなかった。
剣は首を切り裂く直前で停止し、衝撃波によって切り裂かれた彼女の髪の毛がパラパラと少しだけ空を舞っただけだった。
彼女は、その後すぐに意識を失った。
ここまでが和音さんが体感した出来事である。
「待って! 何があったの!? 詳しく話して!」
「詳しくは話せない。でも、あなたに二つだけ言っておく」
「1:死にたくなければ私に同行すべき。2:そう言うことは…………思いつめるべきではない。彼が苦しむから」
「では行く」
「……ま…待ってよ〜」
和音さんの意味深な言葉に戸惑いつつも、サーシャは彼女を追った。
【D-2 道路/一日目・黎明】
【女子十六番:サーシャ】
【1:私(達) 2:あなた(達) 3:○○(さん付け)(達)】
[状態]:深い悲しみ
[装備]:発煙筒×4
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本思考:ラトのためにもゲームを潰す
0:仲間を募ってゲームを潰す
1:明日美から逃げる
2:和音さんを護る
3:テトに会った時に、何故こんなゲームを開催したのか問い詰める
[備考欄]
※サーシャがどこへ行ったのかは次の書き手さんに任せます
※少なくともテトはこのゲームに絡んでると確信しました
※少し気が晴れました
【女子二十七番:和音さん】
【1:私(達) 2:あなた(達) 3:○○さん(達)】
[状態]:健康
[装備]:双眼鏡
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本思考:二階堂永遠を出し抜く
0:サーシャに守ってもらう
1:味方を集める
2:襲われたら容赦はしない
3:片桐和夫と追原弾はどこへ行ったんだろう?
4:自分の名前をバラした片桐和夫を許さない
[備考欄]
※朱広竜、片桐和夫がゲームに乗ったと認識しました
ここから先は、和音さんが気を失った後の出来事だ。
「……対象2の鎮圧を確認…対象2の身体的ダメージは皆無………次のミッションへ移行する」
和音さんを抱え込み、道路の隅に優しく寝かせたあとで、和夫は静かにそう言った。
言った。という表現はこの場合適切ではないのではないか?というくらいに彼の言葉は冷たく、キーボードで打った文字が音声となったという表現のほうが正しいんじゃないかとさえ思えるほどに冷たい一言だった。
和夫はジリジリと弾との距離を詰める。
「何だ? 俺と殺り合おうってのか? お前に俺が殺せるか? XA-13!」
「……“殺す”…と言う表現には誤りがある………君の場合“破壊する”だ」
「違うね。俺は…………人間だ!」
弾は、手元に持っていた銃S&W M500を発砲した。
弾丸は正確に和夫に向けて飛んでゆくが、和夫は少しだけ何もせずに佇んでいたかと思うと、即座に反応し、一太刀でそれを斬り伏せた。
真っ二つになった弾丸が、地面に落ちるよりも速く、第二の攻撃は始まっていた。
リーチの長い剣の一振りを、弾はジャンプをして躱し、和夫の右肩に蹴りを喰らわせる。
だが、足のつま先に伝わった感触から判断して、ダメージはない。
「……君は…機械だ………機械なら機械らしく…優良品種に淘汰されろ」
咄嗟に胴体部分を和夫の斬撃から庇えたが、もう少しで右腕を斬り落とされるところだった。
回転を伴って吹き飛ぶ弾は、視点のブレる中で再び、発砲を行う。
放たれた1発の弾丸を、和夫は難なく躱し、一発の拳をもってして弾を宙高く舞い上がらせた。
「……所詮…欠陥品か………」
死にたくねえ………死にたくねえなあ……もう一度……アイツと…キューブと話が………
「……“死にたくない”…と言う表現には誤りがある………死を恐れる行為は愚かだ…ほかのレプリカントは…………スクラップ処分を躊躇いなく受け入れる」
「……あの世に恐怖しているか?…仮にそのようなものが存在したとしても………物である君はそちらには行けない」
傍らで片桐和夫が俺を見下しながら立っている。剣を空高く掲げながら。
「……エクスキューショナーソードは…中世ヨーロッパで処刑人が使用した剣………切れ味は日本刀などには劣る…」
「確かに……俺はロボットさ…だからって……夢見ちゃいけねえわけじゃ…」
「ねえんだよ!!!」
弾の拳には、たった一つの弾丸が挟まれており、それが一直線に和夫の右目へと伸びた。
――――
弾丸は銃が放つ速度よりもはるかに遅かったが、それでも至近距離の一撃は、片桐和夫という化け物に、多大なるダメージを与えた。
衝撃により爆ぜた拳の部分を見て、痛がるそぶりをしながら弾は和夫から離れた。
警戒の念は、未だ解かない。
だが、あちらも動かない……動かない…
一瞬だけ動いた。
弾はそれに驚いたが、それは倒れる音だった。
「はぁ…」
彼は安堵した。だが次の瞬間彼は左腕の異変に気付く。
操作を失っている。と、言うか、それ自体がなかった。そして、そこには剣を構える和夫の姿が。
「……破壊する…」
片桐和夫は、一心不乱に弾へと向かってきた。
「くそったれ! 少しは俺を安心させてくれや!!」
弾は銃を発砲しながら逃げる。
「……無駄…」
精一杯逃げているのだが、片桐和夫の走行速度は異常なほど速い。
そして銃弾も、無残に斬り落とされるだけ。
そうして、最悪のイベントが二つ同時に弾に訪れた。
一つは、走り行くうちに遮蔽物など何もない平野へと出てしまったこと。
そして、もう一つは弾切れだった。
「マジかよ……くそったれ…」
弾は、“死”を覚悟した。
だが、幸運は皮肉にもこの場で訪れる。
和夫は、倒れた。
真の安堵が訪れる瞬間だった。
追原弾は、剣と支給品を奪って、すぐにその場を去った。
無論その間片桐和夫が覚醒することはなかった。
だが、片桐和夫は、死んだわけではなかった。
弾が去って、約1時間後
片桐和夫が立つのは、何もない空間の上。そこに佇み、よくわからない言葉を詠唱し続ける。
「……異常は…今のところ見られない」
「果たしてそうかしら」
「……んん?…」
二階堂永遠の姿が、そこにあった。
「……ここは自分のメインコンピューター内だ…なぜ君がいる」
「それは大した問題ではないわ。それよりも……」
「あなたは今の自分に満足している?」
【C-2 平野/一日目・黎明】
【男子五番:追原弾】
【(表面上の口調)1:俺(達) 2:お前(ら) 3:○○(呼び捨て)(達)】
[状態]:左腕欠損、右手部分の皮膚パーツ損傷
[装備]:S&W M500(0/5)、エクスキューショナーソード(刀身に刃毀れアリ)
[道具]:支給品一式×2、500S&Wマグナム弾(39/40)
[思考・状況]
基本思考:クラスメートを助けたい
0:ひとまずはこの化け物から逃げる
1:和音さんが心配
2:他のクラスメートも心配
3:キューブと連絡を取りたい
※すでに別エリアにいる確率が非常に高くなっています
【男子八番:片桐和夫】
【(表面上の口調)1:自分(達) 2:貴方(方) 3:○○(フルネーム)(達)】
[状態]:右目周辺の皮膚パーツ損傷、メインコンピューター内の異常検索中(シャットダウン中)
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
基本思考:何をすればいいのか分からない
0:自身の中の異常を検索する
1:終わり次第敵と見なしたXA-15(弾)を追跡し破壊する
2:なぜ二階堂永遠が…?
投下終了です
投下乙。
二階堂はレプリカント、テトは獸人のクラスメイトに特に深く関わっているのだろうか?
和音さんのスペックさり気なく凄いかもしれない。
投下乙
今回の作品は少々指摘する点が多いです
バグが実際に認められた訳ではないのに、弾が和夫を破壊するという思考に至るのは、少々早計に過ぎるのではないでしょうか?
また、和夫が弾へ抵抗したのは自己を守るというロボット三原則に従った為でしょうが、和音さんを気絶させる理由が不明です
和夫達はあくまで作業用レプリカントなのですから、寸止めの攻撃で人間を気絶させてしまう程の戦闘力があるとも思えません
戦闘シーンにおいても、見下ろされている状態の弾の拳が、恐らくは立っているであろう和夫の右目まで届くというのはどうかと
戦闘後、和夫を破壊しようとしていた筈の弾が、任務を放棄して逃げたことにも不自然さを感じました
後、細かいところですがC-2は湖なので、遮蔽物のない平野、とは言わないのではないかと
そして最後になりますが……幾らなんでも移動し過ぎだと思うのですが、どうでしょう
前回
サーシャ→A-1(?) 和音さん→A-5 追原弾→A-5
今回
サーシャ・和音さん→D-2 追原弾・片桐和夫→C-2(?)
>>295 指摘どうもです。
これより修正版を投下します
追原弾と片桐和夫は、一度も私的な会話を交わしたことはなかったし、それどころか目を合わせたこともなかったかもしれない。
だが、弾の中にあるメインコンピューターにはこう刻まれていた。
「XA-13を監視しろ。バグが認められれば破壊しろ」
XA-13とは和夫の正式名称。つまり弾と和夫は同類なのだ
2年以上監視を続けたが、一度もバグは認められなかった。
だが、この状況下ではどうだ?奴にはロボット工学三原則が適応されているが、何が起こるか分からないこの状況下では………
「俺はクラスメートを守る…」
この感情も、プログラムだ。
だが弾の手は、動いていた。デイパックを軽く探り、見つけ出したある物を、和夫の額に向けた。
「!?」
だが、和夫は、その場にはいなかった。
「……追原弾…正式名称XA-15………XA-13の監視役として桐原重工より派遣されたレプリカント…耐久性成人男性としては常人レベル以下…………」
片桐和夫は、すでに和音さんの背後に立っていた。
「!!?」
和音さんも即座に反応する。だが、武器を持っていない今何もすることはできない。
「……和泉初音(いずみ はつね)…通称和音さん………教師の弱音を握り、和音という通称で学生名簿に登録を強要…耐久性成人女性としては常人レベル…………彼女の殺害はロボット工学三原則で禁じられている」
片桐和夫は、右手に剣を握りしめていたが、その剣を構えてはいなかった。
和音さんに対しては、敵意がないことを表そうとしているようだった。
だが和音さんは違う。怒りに燃えながら和夫に向けて、無言のまま突進を試みた。
「……静止しなさい…」
だが、和夫はこの状況においても冷静沈着に対応する。
剣を振り、和音さんの首を刎ねようとしたのだ。
もちろん彼女は対応できなかった。あまりにも早いその動きに、憤ることを忘れて、ただ死を覚悟した。
だが、彼女が死ぬことはなかった。
剣は首を切り裂く直前で停止し、衝撃波によって切り裂かれた彼女の髪の毛がパラパラと少しだけ空を舞っただけだった。
彼女は、その後すぐに逃げようとしたが、和夫に背を向けた瞬間、首の後ろに和夫は軽く打撃を加えた。
ここまでが和音さんが体感した出来事である。
「待って! 何があったの!? 詳しく話して!」
「詳しくは話せない。でも、あなたに二つだけ言っておく」
「1:死にたくなければ私に同行すべき。2:そう言うことは…………思いつめるべきではない。彼が苦しむから」
「では行く」
「……ま…待ってよ〜」
和音さんの意味深な言葉に戸惑いつつも、サーシャは彼女を追った。
【B-1 道路/一日目・黎明】
【女子十六番:サーシャ】
【1:私(達) 2:あなた(達) 3:○○(さん付け)(達)】
[状態]:深い悲しみ
[装備]:発煙筒×4
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本思考:ラトのためにもゲームを潰す
0:仲間を募ってゲームを潰す
1:明日美から逃げる
2:和音さんを護る
3:テトに会った時に、何故こんなゲームを開催したのか問い詰める
[備考欄]
※サーシャがどこへ行ったのかは次の書き手さんに任せます
※少なくともテトはこのゲームに絡んでると確信しました
※少し気が晴れました
【女子二十七番:和音さん】
【1:私(達) 2:あなた(達) 3:○○さん(達)】
[状態]:健康
[装備]:双眼鏡
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本思考:二階堂永遠を出し抜く
0:サーシャに守ってもらう
1:味方を集める
2:襲われたら容赦はしない
3:片桐和夫と追原弾はどこへ行ったんだろう?
4:自分の名前をバラした片桐和夫を許さない
[備考欄]
※朱広竜、片桐和夫がゲームに乗ったと認識しました
ここから先は、和音さんが気を失った後の出来事だ。
「オイオイ…ロボット工学三原則はどうしたぁ? おもっくそ傷つけてんじゃねえかお前」
「……それは違う…君はどうやらこの自分に敵意を持って攻撃を加えようとした………迎撃行動を行うためにも彼女が邪魔だから昏倒させたまで」
和音さんを抱え込み、道路の隅に優しく寝かせたあとで、和夫は静かにそう言った。
言った。という表現はこの場合適切ではないのではないか?というくらいに彼の言葉は冷たく、キーボードで打った文字が音声となったという表現のほうが正しいんじゃないかとさえ思えるほどに冷たい一言だった。
「……少し…歩こうかXA-15………彼女を傷つけたくはないだろう…………」
「……XA-15…君はこの自分に私怨のようなものを抱いてるんじゃあないのか?………私は何もしていないのになぜ攻撃を仕掛けた?…………」
「いいや違うさ。あの時俺は、正直言ってお前に反撃してほしかった。だがそれ以上のことをお前はしてくれた」
「人を襲った……それもクラスメイトを、自身の保護という理由で」
「……話を聞いていましたか?…自分は間接的に彼女を守るために………」
「だが、どっちみち俺は見たぜ? それが証拠になってそこに正当性が生まれる」
「……君は…潔い人物だと思っていたが………予想していたよりも大分姑息だな…………」
「言ってろ。欠陥品」
弾は、ほくそ笑みながら言った。
そうして数十分歩くと、膝の辺りまでの高さの草が生い茂る草原地帯へと差し掛かった。
そこには、遮蔽物が一切存在してはいなかった。
「……では…始めようか………精一杯自己防衛をさせてもらうよ…………」
和夫は、再び剣を構えた
「何だ? 俺と殺り合おうってのか? お前に俺が殺せるか? XA-13!」
「……“殺す”…と言う表現には誤りがある………君の場合“破壊する”だ」
「違うね。俺は…………人間だ!」
弾は、手元に持っていた銃S&W M500を発砲した。
弾丸は正確に和夫に向けて飛んでゆくが、和夫は少しだけ何もせずに佇んでいたかと思うと、即座に反応し、一太刀でそれを斬り伏せた。
真っ二つになった弾丸が、地面に落ちるよりも速く、第二の攻撃は始まっていた。
リーチの長い剣の一振りを、弾はジャンプをして躱し、和夫の右肩に蹴りを喰らわせる。
だが、足のつま先に伝わった感触から判断して、ダメージはない。
「……君は…機械だ………機械なら機械らしく…優良品種に淘汰されろ」
咄嗟に胴体部分を和夫の斬撃から庇えたが、もう少しで右腕を斬り落とされるところだった。 回転を伴って吹き飛ぶ弾は、視点のブレる中で再び、発砲を行う。
「クソ………ぐっ?!」
放たれた1発の弾丸を、和夫は難なく躱した。
そして、一発の拳を顎に喰らわせて、弾を宙高く舞い上がらせた。
「……言ってろ…欠陥品………」
弾は、大きな音を立てて堕ちた。
「死にたくねえ………死にたくねえなあ……もう一度……アイツと…キューブと話が………」
思わず零れた、恐怖にも似た感情も、またプログラムだ。
このプログラムは脳が発する危険信号と類似している物。所詮は0と1の技術の結晶である嘘の必死さ。
「……“死にたくない”…と言う表現には誤りがある………死を恐れる行為は愚かだ…ほかのレプリカントは…………スクラップ処分を躊躇いなく受け入れる」
片桐和夫は、倒れた弾の傍らにしゃがみ、彼を見下す。
「……あの世に恐怖しているか?…仮にそのようなものが存在したとしても………物である君はそちらには行けない」
ボサボサの髪の毛を引っ張りながら、剣を弾の首に近づけた。
「……エクスキューショナーソードは…中世ヨーロッパで処刑人が使用した剣………切れ味は日本刀などには劣るが…君のような欠陥品を斬り伏せるのにはこれで十分…………」
「確かに……」
「……?…」
「確かに……俺はロボットさ…だからって……夢見ちゃいけねえわけじゃ…」
「ねえんだよ!!!」
弾の拳には、たった一つの弾丸が挟まれており、それが一直線に和夫の右目へと伸びた。
――――
弾丸は銃が放つ速度よりもはるかに遅かったが、それでも至近距離の、一瞬のパワーに賭けた一撃は、片桐和夫という化け物に多大なるダメージを与えた。
衝撃により爆ぜた拳の部分を見て、痛がるそぶりをしながら弾は和夫から離れた。
警戒の念は、未だ解かない。
だが、あちらも動かない……動かない…
一瞬だけ動いた。
弾はそれに驚いたが、それは倒れる音だった。
「はぁ…」
彼は安堵した。だが次の瞬間彼は左腕の異変に気付く。
操作を失っている。と、言うか、それ自体がなかった。そして、そこには剣を構える和夫の姿が。
「……破壊する…」
片桐和夫は、一心不乱に弾へと向かってきた。
「くそったれ! 少しは俺を安心させてくれや!!」
弾は銃を発砲しながら逃げる。
「……無駄…」
精一杯逃げているのだが、片桐和夫の走行速度は異常なほど速い。
そして銃弾も、無残に斬り落とされるだけ。
そうして、最悪のイベントが弾に訪れた。 弾切れだった。
「マジかよ……くそったれ…」
弾は、“死”を覚悟した。
だが、幸運は皮肉にもこの場で訪れる。
和夫は、倒れた。
真の安堵が訪れる瞬間だった。
「……もう立ち上がるなよ……こっちとしてももう無理なんだよ」
追原弾は、剣と支給品を奪い、止めに2発の弾丸を額に向けて発砲した。
「これでいいだろ……欠陥品…」
弾は、任務完了を確認すると、千鳥足のまま去って行った
片桐和夫は額に弾丸を喰らっていない。これは弾が慈悲を施したわけではない。
右目周辺を負傷したのは、和夫の判断ミスであるが、自分が破壊されないことを彼は分かっていた。
弾の顎に放った拳。あれが決め手だった。
メインコンピューターを搭載しているレプリカントの頭部は、非常にデリケートである。
あの一撃は、明らかに追原弾のメインコンピューターに傷をもたらした。
耐久性に優れる和夫が50分以上たった今も再起動することができないくらいだから、和夫よりも粗雑に造られている弾にとっては、それが顕著であることも和夫は知っていた。
片桐和夫が立つのは、何もない空間の上。そこに佇み、よくわからない言葉を詠唱し続ける。
「……異常は…今のところ見られない」
「果たしてそうかしら」
「……んん?…」
二階堂永遠の姿が、そこにあった。
「……ここは自分のメインコンピューター内だ…なぜ君がいる」
「それは大した問題ではないわ。それよりも……」
「あなたは今の自分に満足している?」
【B-2 草原/一日目・黎明】
【男子五番:追原弾】
【(表面上の口調)1:俺(達) 2:お前(ら) 3:○○(呼び捨て)(達)】
[状態]:左腕欠損、右手部分の皮膚パーツ損傷、メインコンピューターに小さな傷(今後の行動に大いに支障アリ)
[装備]:S&W M500(3/5)、エクスキューショナーソード(刀身に刃毀れアリ)
[道具]:支給品一式×2、500S&Wマグナム弾(34/40)
[思考・状況]
基本思考:クラスメートを助けたい
0:ひとまずはこの化け物から逃げる
1:和音さんが心配
2:他のクラスメートも心配
3:キューブと連絡を取りたい
※すでに別エリアにいる確率が非常に高くなっています
【男子八番:片桐和夫】
【(表面上の口調)1:自分(達) 2:貴方(方) 3:○○(フルネーム)(達)】
[状態]:右目周辺の皮膚パーツ損傷、メインコンピューター内の異常検索中(シャットダウン中)
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
基本思考:何をすればいいのか分からない
0:自身の中の異常を検索する
1:終わり次第敵と見なしたXA-15(弾)を追跡し破壊する
2:なぜ二階堂永遠が…?
片桐和夫は額に弾丸を喰らっていない。これは弾が慈悲を施したわけではない。
右目周辺を負傷したのは、和夫の判断ミスであるが、自分が破壊されないことを彼は分かっていた。
弾の顎に放った拳。あれが決め手だった。少しだけ効果が現れるのは遅かったが、ちゃんとそれは発現した。
メインコンピューターを搭載しているレプリカントの頭部は、非常にデリケートである。
あの一撃は、明らかに追原弾のメインコンピューターに傷をもたらした。つまり追原弾は故障したのだ。
耐久性に優れる和夫が50分以上たった今も再起動することができないくらいだから、和夫よりも粗雑に造られている弾にとっては、それが顕著であることも和夫は知っていた。
恐らく彼は朝になるころには完全に壊れるだろう。
片桐和夫が立つのは、何もない空間の上。そこに佇み、よくわからない言葉を詠唱し続ける。
「……異常は…今のところ見られない」
「果たしてそうかしら」
「……んん?…」
二階堂永遠の姿が、そこにあった。
「……ここは自分のメインコンピューター内だ…なぜ君がいる」
「それは大した問題ではないわ。それよりも……」
「あなたは今の自分に満足している?」
【B-2 草原/一日目・黎明】
【男子五番:追原弾】
【(表面上の口調)1:俺(達) 2:お前(ら) 3:○○(呼び捨て)(達)】
[状態]:左腕欠損、右手部分の皮膚パーツ損傷、メインコンピューターに小さな傷(今後の行動に大いに支障アリ)
[装備]:S&W M500(3/5)、エクスキューショナーソード(刀身に刃毀れアリ)
[道具]:支給品一式×2、500S&Wマグナム弾(34/40)
[思考・状況]
基本思考:クラスメートを助けたい
0:和音さんが心配
1:他のクラスメートも心配
2:キューブと連絡を取りたい
※すでに別エリアにいる確率が非常に高くなっています
【男子八番:片桐和夫】
【(表面上の口調)1:自分(達) 2:貴方(方) 3:○○(フルネーム)(達)】
[状態]:右目周辺の皮膚パーツ損傷、メインコンピューター内の異常検索中(シャットダウン中)
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
基本思考:何をすればいいのか分からない
0:自身の中の異常を検索する
1:終わり次第敵と見なしたXA-15(弾)を追跡し破壊する
2:なぜ二階堂永遠が…?
◆H7btjH/WDcですが、ちょっとしたミスでトリが露呈したため変えます。
投下終了です。
そして森屋英太、仲販遥、シルヴィア、太田太郎丸忠信で予約します
修正乙です
殆どの部分は問題なく修正されているのですが、やはり移動距離に若干の難が……
最も積極的なマーダーの一人であろう吉良邑子でさえ、登場話から次話の間には二マスしか移動していません
それに対して、和音さん達はA-5からB-1へと、一話間に六マスもの移動を果たしています
弾に限れば、和音さんが気絶した後も移動している為に、一話間に七マス余りの移動を行っている
だと言うのに、久世と壱里塚から全力で逃げていた筈のサーシャは、一時間もかけて隣のエリアで和音さんを発見……
これは余りにも不自然です
度々の指摘、誠に失礼とは存じますが、どうか修正をお願いいたします
「ハァ……ハァ……」
サーシャは、自分がどのくらい走っただろうと、思い起こしていた。
右側にガードレール、そして左側に畑と畦道が存在する、とてもデコボコな道路に出ていた
もちろん通る車は一切ないその道路の中央で、安堵した彼女は、膝を地につけ、そして、ただ呆然とした表情で涙を流した。
「………ラトくん」
彼女は、日ごろ仲のいいラトとテトが、すでに恋仲にあると思っていた。
なのにどうしてこんなことになったのか分からない。
どうして………
どうして……
どうして…
ど う し て ?
テトとラトのためを思って、彼女はラトのことを諦め、手を引いた。
静かに彼らの恋を見守り、いつも通りの親しい友人として接して行きたかった。
だが、サーシャの思い描く彼女たちの関係は、そんなものではなかった。
ラトの最期の言葉を聞いて、サーシャは漸く自分が道化であることに気づけた。
「私…馬鹿みたい」
テトへの憎悪はあった。ラトを殺したことについてもあるが、自身の恋心を無駄にさせた、極めて女性的な私怨。
テトを殺してはいけないと思っていた。
だができるだろうか…?今の自分に。
生かして罪を償わせたい。だができるだろうか?
今の自分の頭の中には、テトを惨殺したいと言う醜い意志もある。
それじゃだめだ……それじゃ…
涙をぬぐったサーシャは、一つの結論を導き出す。
このゲームを潰さなければ。
彼女は立ちあがった。その拍子に道路の小脇に見えるものがあった。
駆け寄って見ると、そこには人が倒れていた。
クラスメイトの一人の和音さんだ
「わ…和音さん?大丈夫!」
和音さんの体に目立った外傷は無かったが、一向に目覚めようとはしない。
「どうしよう……お願い…死なないで……」
「………う…ううん」
「あー…よかった!目が覚めたのね?」
和音さんは、目を覚ますと弾と“彼”がいなくなっていることに気づく。
そして、立ち上がるとサーシャに何も言わずにそそくさと去ろうとする。
「??? ちょっと? 和音さん? どこ行くの?」
戸惑いながら和音さんを引きとめようとするサーシャをちらりと見て、静かに彼女はこう言った。
「死にたくなければここから遠ざかったほうがいい…」
「…………近くにいるかもしれないから」
そのまま和音さんは去っていこうとした。だがサーシャはそれを引きとめる。
「待って! 何があったの!? 詳しく話して!」
【C-3 道路/一日目・黎明】
【女子十六番:サーシャ】
【1:私(達) 2:あなた(達) 3:○○(さん付け)(達)】
[状態]:深い悲しみ
[装備]:発煙筒×4
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本思考:ラトのためにもゲームを潰す
0:仲間を募ってゲームを潰す
1:明日美から逃げる
2:和音さんを護る
3:テトに会った時に、何故こんなゲームを開催したのか問い詰める
[備考欄]
※サーシャがどこへ行ったのかは次の書き手さんに任せます
※少なくともテトはこのゲームに絡んでると確信しました
※少し気が晴れました
【女子二十七番:和音さん】
【1:私(達) 2:あなた(達) 3:○○さん(達)】
[状態]:健康
[装備]:双眼鏡
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本思考:二階堂永遠を出し抜く
0:サーシャに守ってもらう
1:味方を集める
2:襲われたら容赦はしない
3:片桐和夫と追原弾はどこへ行ったんだろう?
4:自分の名前をバラした片桐和夫を許さない
[備考欄]
※朱広竜、片桐和夫がゲームに乗ったと認識しました
修正終了です。
修正乙。
二階堂に電脳をハッキングされた?片桐の運命は!
そして追原弾は古賀葉子と遭遇することができるのか?
>>304 森屋の続き来たww
修正乙です
平田三四郎、銀鏖院水晶で予約します
311 :
創る名無しに見る名無し:2009/01/27(火) 21:42:46 ID:ZK233/0J
sassato
tuburete
ここもオリバトの一種なのだろうか?
314 :
創る名無しに見る名無し:2009/01/28(水) 06:23:14 ID:lc1c7+xF
kurusime
第一回放送までに何人死ぬのだろうか
投下します
この状況は、森屋英太というスケベな阿呆にとって天国だったかもしれない。仲販遥は、何も言わずにおっぱいを独占することができている。
だが、英太が喜んだのは、なぜだか一時だけだった。遥の顔は、真っ赤だったし、何より少しだけ嫌そうだった。
「な……なあ仲販さん」
「いいの…………さわってて……………」
英太の狂喜乱舞が、思いのほか早く冷めたのは、遥の奇妙な態度にあった。何故だか自分が、彼女を傷つけている気がしてならないのだ。
「あのさ…」
「なに?」
「ひょっとしてさ…俺に気ィ使ってくれてんの? 仲販さん」
英太は、胸を揉む手を休め、遥の目を見て言った。
「ちがうよ…」
「でもだからって胸揉ませにくる女の子がどこにいんだよ! ハッキリ言ってめ……」
? おいおいおいおい待て森屋英太。何を言っているんだお前は。英太は、自分で何を言っているよく分からなくなって、そのまま言葉を詰まらせた。
そして、その瞬間に手を胸から離した。
「いったでしょ…?」
「…?」
「こわいおもいするくらいならこっちのほうがあんしんするって」
遥は、そのまま英太の右手を掴み、再び胸に引き寄せた。
「もまないで。でもかお…ちかづけて」
遥は、英太の右手を自分の胸の中心へと押しつけ、そう言った。そして英太は、興奮するよりも先に、言われた通りに胸に顔を埋めた。そうしてあることに気づいた。
心臓の音が、すごくよく聴こえる。彼女が恐怖しているのか、緊張しているのか、英太はよく分からない。
むにっ
「ひゃあんっ!」
遥は、顔を真っ赤に染めながら、奇妙なアクセントの叫び声を上げた。
「……怖いんだったら…遠慮なく頼ってくれよ」
「…俺ァヘタレで通ってるけど実際は結構やる男なんだぜ」
「うう……じゃあむねもまないでよぉ………」
「だーめ! もうちょっとこれを独占させ…」
一発の銃声と共に、近くにあった木が爆ぜた。
「見つけたぞ…バカップル共が」
シルヴィアの姿がそこにあった。幸い初弾は掠りもしなかったが、もう一発の弾丸は、既に放たれていた。
「えいたくん!あぶない!かわして!」
「え?」
弾丸は、まっすぐ英太の額の方へと飛んできた。それに気づいた英太は、すぐに振り向き、スティンガーの引き金を引いた。
これが正しい判断だったのか。どうか分からない。けれども、不安定な体勢でミサイルを放った。凄まじい爆音ととも飛ぶミサイル。その直後に英太は当然体勢を崩しそれによって辛くも弾丸は躱せた。
だが、それによって衝撃はもろに英太に伝わり、彼はスティンガーを手放して3mほど吹き飛び、地面に全身を擦りつけながら木に体をぶつけてようやく止まった・
だが、そのミサイルは、どこへと飛んでいったのかはよく分からない。シルヴィアの方にも、すぐ近くにも被弾した形跡はない。
「……何だよ…それ」
シルヴィアも、スティンガーの凄まじい発射音にはさすがに驚愕したようで、体勢を低くして耳を塞いでいた。英太がスティンガーを放った近くにいた遥も、耳を塞ぎ爆音に耐えていた。
「はは…大した事ねえじゃんか! まさに宝の持ち腐…」
シルヴィアは、新たな弾丸の装填をすでに完了し、再び銃口を向けた。
だが、決着はそのすぐ後に、簡単に決した。
突然シルヴィアの背中に、倒れた木が圧し掛かってシルヴィアを沈めた。
スティンガーの弾丸は、木に激突し、運よくシルヴィアのいる方向に倒れたのだ。
「…………あえ?」
あまりの簡単さに、英太と遥は拍子抜けしたように間抜けな声を上げた。
―――――
「う……ぐぁあくそったれがぁああああああ!」
シルヴィアは、じたばたともがきながら、英太と遥に敵意の目を向ける。
英太は、立ち上がり服に付いた土などを掃い、スティンガーをデイパックに収めると、遥のもとへと駆け寄った。
「シルヴィアさんをきずつけないでよ?」
「分かってるよ仲販」
そして、英太はシルヴィアに近づく。
「オイ……」
「何だよ……もう殺しな…惨めなだけさ」
木の下敷きになり、デイパックを回収する英太に憎まれ口を叩きながら、シルヴィアはそう悪態を呟く。
「あー…そりゃあ無理だな」
銃を英太は、シルヴィアの銃を遠くへ投げ捨てると、突然シルヴィアのほうへと駆け寄った。
「ふんぬぁああぁああぁぁ」
「!? 何やってんだ! 馬鹿!!」
突然英太は、シルヴィアに圧し掛かる木を持ち上げようとし始めた。
「そっちからも……押せぇぇ」
疲弊仕切った今の英太では、少しだけ木を浮かせることがやっとだ。何より木が大きすぎる。その証拠に、シルヴィアに圧し掛かる木は1mmも浮かび上がる気配がない。
「馬鹿だろお前! 私なんか助けて何になるんだ!」
「知るかぁぁ!! そっから抜けたきゃお前も足掻けコラァァッ」
「何で……」
その言葉が、シルヴィアの頭の中でずっとエコーした。
さっきまで全力で殺そうと思っていた英太と遥に対する殺意は、いつの間にか、どんどん薄れてゆく。
「ったよ…」
「あー! 分かったよ! 足掻いてやんよコルァ!!! どうだこれで満足か!? エロ森屋!」
シルヴィアは、英太が1mmも動かせなかった木を、シルヴィアは気力で撥ね退けた。なぜだかこの時のシルヴィアの顔は、英太たちを殺そうとしたあのときよりも心なしか輝いているようにも見えた。
むにっ
思わず、彼女が立ち上がった時に荒ぶるように揺れた胸を、英太は鷲掴みにしていた。本能的に。
「…………うわあああああああ」
「へぶらっ!」
シルヴィアは、異常なまでに顔を赤らめ、英太の右頬をグーで殴った。
「とりあえず……武器は渡せないけどデイパックは返すよ」
「そうか。ついでにお前が私のチチを揉んだって事実もお前ごと闇に葬りたいよ」
シルヴィアは、顔にうっすら血管を浮かべながら言い放った。
そうして、デイパックを受け取ると、すぐに森屋英太と仲販遥に背を向けた。
「…私は方針変えねえよ。このクラスの奴らを皆殺しにする。お前らも次あったら殺すからな………」
「シルヴィアさん…やっぱり………わかりあえないの?」
遥からの無垢な問いにも、シルヴィアは振り向くことはない。だが、彼女はそのままこう言う。
「お前らみたいな奴も…………まだいてくれたんだな…」
シルヴィアは、そそくさと走り去っていった。その足取りは次第に速くなっていき、数10mほど彼らから離れた時点で、彼女はもうすでにスプリンター並みの走行速度で走っていた。
息は随分荒い。顔も赤い。だが疲労しているわけではない。原因は全く分からないのだ。
「…………何でだ…? あの森屋だぞ? 何で…」
ただ覚えておいてほしい。シルヴィアだって女の子だってことを。
「いっちゃったねー」
遥は、英太の肩をぽんっと、全く力を込めずに叩いた。だが、それに英太は、思いのほか悶絶し、その末に沈んだ。
「あ゙あぁぁぁあああ」
「えいたくん?」
「メンゴメンゴ……悪いけど俺もう限界だからさ…ちょっと休ませてくれや」
英太は、再びスカートの下から覗く遥の、ピンクの縞パンをにやけ面で見ていた。
と、ピンクの縞パンが、突然すぐ近くにまで近づくのを、森屋英太は確認した。遥がしゃがんだのだ。
「ありがとうね。まもってくれて」
「………ああ…礼には及ばんさ…………」
英太は、遥のその言葉に束の間の幸福感を覚えると、縞パンを満喫するのをやめ、少しだけ目を閉じた。
「ねちゃったの? えいたくーん」
「退け。仲販」
突然後ろから、妙にスカした声が響いた。
そうして、木の陰からそれは確かに姿を現した。銃を構える太田太郎丸忠信の姿があったのだ。彼はうすら笑みを浮かべ、英太を狙っていた。
「シルヴィアが消えた今しかねえと思ってな…まあ悪く思うなよ?」
太田は、ずっと見ていたのだ。そして動いた。
仲販遥は、その場で直感した。彼は敵だと。
仲販遥は、その場で察した。彼は森屋英太を狙っていると。
仲販遥は、その場で思った。自分は森屋英太を守りたいと。
仲販遥は、その場で動いていた。そして…
「な…仲販? どうしてんだ…って」
「えいたくん…いきて」
仲販遥は、次の瞬間1発の弾丸をその身に受けた。
直後に目を覚ました英太は、それを見ていた。
「…チッくそったれめ。お前が死んどけよ。お前狙ったんだからよ…森屋」
「何で………お前がいんだよ。太田…」
「あん? そんなの決まってんだろうよ。仲販を奴隷にしたいからさ……乳もでけーし頭は餓鬼だしこんないい奴隷はねえ。それをお前は………まあそりゃあいいとしよう。おかげでくだんねえ茶番劇が見れたぜ…餓夫とかが見てもきっとおんなじ感想抱くだろうよ…」
「どこ行くんだてめえ! 逃げるな! ブッ殺してやる! この外道野郎!」
「逃げる? お前は放っておいても死ぬだろうよ? 俺様が手を下すまでもねえ。そう判断しただけだよ。負け犬森屋くん♪」
「お前みたいな勘違い野郎は、もっと苦しんで死にな」
太田は、遥を撃った時の笑みのまま、消えて行った。
――――――――
「…………」
「遥……よかった…」
遥は、英太の腕の中で目覚めた。ふと自分の下腹部を見つめると、そこに穴があいていて、そこから血がゆっくりと大量に流れ出ていた。
「いたい…」
「いたいよ……え…えいた……えいたくん……!!」
口元から血を、瞳から涙を流しながら、必死に英太に縋りつこうとする。だが、彼女は一向にそれをできないでいる。どんどん力が抜けてきているのだ
そうして、すぐに遥は完全に倒れた。英太もすぐ近くに駆け寄る。
「遥!! 遥ぁぁああああ!!」
「…………えいた…くん……えいたくん…わたし…………ね」
「わたしね………だいすきなひととおはなやさんやるのがゆめだったの…………」
「もういい…もういいから……もういいよ遥」
英太は、遥の下腹部にぽっかりと空いた風穴を押さえながら彼女の話を聞いていた。
彼のその瞳からは、ゆっくりと涙が零れおちてきており、その顔はくしゃくしゃに崩れていた。だが、その時そっと、英太の目もとに遥の手が添えられ、流れ出る涙をせき止めた。
「ないちゃだめ…ないたらしあわせにげちゃうから……」
「ねええいたくん……」
「……うん…」
「め………つぶって……」
そう言われるがままに、英太は目を瞑った。
口元に、突然違和感を感じた。目を開けると、遥は、英太の口元に顔を近付けた。そして英太は気づく。彼女が自分の唇にキスをしていることに。
しばらくして遥は唇を離し、笑顔でこう言った。
「えいたくん………なみだでしょっぱいよ……」
「……で…も…………これで…さびしくない…よ…………こ…わく……ないよ…………」
遥はその後静かに倒れ、一筋の涙を流しながら、まるで眠り姫のように逝った。
遥のあの最期の唇の暖かさをまだ覚えている英太は、ただその場に崩れ、すすり泣いた。ほとんど動けず、太田を追えない自分が、ひたすら不甲斐なく、憎たらしかった。
【D‐5 森/一日目・深夜】
【26:森屋 英太(もりや‐えいた)】
【1:俺(たち) 2:お前(ら) 3:あいつ(ら)、○○(名前呼び捨て、女子限定で名字さん付けで、脳内ではフルネーム)】
[状態]:疲労(特大)、スティンガー発射の反動でほとんど動けない、ショックで放心状態
[装備]:なし
[道具]:支給品一式×2、小型ミサイル×3、赤い液体の入った注射器×3(詳細不明)、FIM-92スティンガー(0/1)
[思考・状況]
基本思考:………………
0:…………遥…
【男子六番:太田太郎丸忠信(おおた-たろうまる-ただのぶ)】
【1:俺(達) 2:あんた(達) 3:○○さん(達)】
[状態]:左肩に裂傷(応急処置済)、脇腹に打撲
[装備]:イサカM37(3/4)
[道具]:支給品一式、簡易レーダー、12ゲージショットシェル(8/12)
[思考・状況]
基本思考:生き残る
0:男は皆殺し。女は犯してから奴隷にする
1:仲販遥を奴隷にできなくて少し残念
2:女を引き連れて“勘違い野郎”は苦しめて殺す(同行している女にトラウマを植え付ける意味合いも込めて)
3:間由佳、エルフィ、ノーチラス、シルヴィアを警戒(近くにいるだろうシルヴィアを特に警戒)
[備考欄]
※森屋英太はすぐに死ぬだろうと思っています
※シルヴィアとは逆の方向へ向かっています
【女子十七番:シルヴィア】
【1:私(達) 2:お前(達) 3:あいつ(ら)、○○(呼び捨て)】
[状態]:左腕裂傷(応急処置済)、全身を強打(今後の行動に支障なし) 、胸の中がモヤモヤしてる
[装備]: なし
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本思考:ゲームに勝ち残る
0:全ての生徒を殺す
1:何?……この気持ち…
[備考欄]
※太田とは逆の方向へ向かっています
【21:仲販 遥(なかひさ‐はるか) 死亡】
【残り41人】
投下終了です
325 :
創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 20:11:59 ID:72i4pR5G
うわあ・・・つまんね
投下乙。
死亡数秒前だった森屋が生き延びて仲販さんがお亡くなりになったか…。
さらばベストカップル。立ち上がれ英太。丸腰のシルヴィア何気にピンチ。」
327 :
創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 20:32:35 ID:72i4pR5G
>>326 気色わりい、シルヴィアシルヴィアって入れ込んでんじゃねーよ
生意気な人間ども
>生意気な人間ども
邪気眼フラグわろたwww
馬だな。それか粘着
構わず、無視しなさい
330 :
創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 20:54:51 ID:72i4pR5G
無視しても潰してあげるよ
wikiのアクセスの70パーセントは私だからな
もう止めなさい、これが偽者という事はばれていますよ
荒らしも荒らしだが住人も住人だな。
荒らしを煽る前にSSの感想書くべきだ
そしてSSに問題があれば修正案なんかも積極的に出すべきだ
>>324 投下乙。ピンチを切り抜けたと思ったら、遥ぁぁーー!!
英太もシリアスモードかな。
投下乙です
それでは、毎度おなじみの指摘でも
先ずですが、弾丸が放たれてから注意を喚起し、かつ避けるというのは人間業ではありません
また、森屋と仲販は密着状態にあったので、ただ単に散弾を避けた場合、間違いなく仲販に当たると思われます
そもそもショットガンの弾の拡散範囲から体勢を崩しただけで逃れられるものか? という疑問もありますけど……
後、太田の銃撃から仲販が身を挺して森屋を庇っていますが
太田が仲販に散弾が届かない程の至近距離で森屋を撃ったのだとしたら、威力的に仲販の身体を貫通して2人ともお陀仏かと
逆に距離がある場合、森屋の側にいる仲販にも当たりますし、仲販が庇ったとしても男子と女子の体格差から所々撃ち抜かれますね
まぁ、それ以前にテニス部に所属して動体視力も高い太田が、普通の高校生である仲販の動きを目で追えないとは考えにくいのですけど……
経験から思考を推測できる以上、仲販の行動パターンを読めなかったというのも何だか……
最後に、多分勘違いだと思われる部分
>仲販遥は、次の瞬間1発の弾丸をその身に受けた。
イサカM37はショットガン。12ゲージショットシェルは散弾実包です
それ位許してやれよ…。
あ、龍姉生徒会メンバーじゃねえやw
したらばに修正版投下しました。
正直あれでいいかは分かりません。
白崎篠一郎、間由佳で予約します
投下&修正乙です。
多分大丈夫だと思います。
壱里塚徳人、久世明日美、暮員未幸、神崎健二で予約します
>>338 素早い修正乙です
普段が軟派なだけに、重傷を負いながらも加害者である筈の相手を懸命に助けたその侠気が思わぬ得点となったのか
森屋英太、早くも2つ目のフラグ樹立に成功! …と思いきや、太田の登場で一転失意のどん底へ
これが後々どのような影響を及ぼしてくるのか、以降の展開に期待の持てる話でした
>>339 お帰りなさいませー!
申し訳ありません。
パソコンがぶっ壊れた為自分はしばらく動けません。
今回の予約は破棄します。
済みません
リアルの方で諸事情ありまして、どうしても予約期限をオーバーしそうです
そこで予約の延長を申請………しようと思ったのですが
流石に、予約期限の超過が4度目ともなるようでは、期限を守っている他の書き手の方々に面目が立ちません
なので、今回は予約を破棄させて頂きたく思います
本当に申し訳ないです
>>342 予約を破棄するよりは書いた方が好ましいと思われますが……
投下します
静かに波が立つ湖畔の脇、二つの影が月明かりに当たらないように慎重に木陰を進んでいる。
壱里塚徳人(男子二番)と久世明日美(女子十一番)は、逃げ出したサーシャ(女子十六番)を捜す為にしばらくは鉄塔の周りを歩いていたのだけれど、しかし彼女の姿が見当たることはなかった。
結局、一時間近く回ってA−1辺りからもうサーシャが離れたと判断し、壱里塚が最初に目覚めたという湖畔の辺りに戻り、それからこれからの動きを話し合うことにした。
距離としては、サーシャが同じ方向に歩き続ければもうかなり遠くまで行っているだろうか。
明日美達が時間をかけている間にもう簡単には探し出せない状況になっている算段が高かった。
「彼女、まだこの辺りに居たと思ったんだけど」
明日美は地図を懐中電灯で照らしながら、壱里塚に確かめさせるように、言った。
壱里塚は先程からずっと何か考え事をしているかのように俯いていたのだけれど、明日美が言葉を発した途端に顔を上げて慌てたように口を開いた。
「久世、お前彼女に何かしなかったか?」
何かしなかったか。
壱里塚の言葉に、明日美は反応した。
そう、確かに――自分はその何かをした。
自分の目的――強いては、サーシャとラトの為になることを。
明日美は、それをためらいも無く行っている。
正しいと信じているからだ。
「怯えてるんじゃないのか」
壱里塚が、更に聞いてきた。
――先程のことと言い、やはり壱里塚のサーシャへの執念が見え隠れする。
それに、壱里塚に関しては殊にやはり警戒すべき事情があった。
明日美には壱里塚がただの動物好き、と言う風には見えなかったのだ。
ただ――ある種、動物に対する異様な感情を持っている。
それは確かだった。
だが、それでも明日美はターニングポイントへの一歩を押し進められなかった。
どうしても、壱里塚を完全に疑うわけにはいかない。
その点を留意して、慎重に明日美は返答していた。
「ちょっと――彼女が怯えてて、危ないことしてきたから」
迂闊なことを言えば、すぐにこちらの意図を悟られるだろう。
しかし、それでも壱里塚に隙を見せてはいけない。
明日美は、そう考えていた。
「余計なことを……」
壱里塚は悪態をついて、手にしたレミントンを一度降ろして気落ちした。
こちらに一切興味を示さない態度。
先刻からそれには気付いている。
だが、明日美に対するその態度の奥にある、サーシャへの感情。
壱里塚の感情が明日美には見えなかった。
それからもうしばらく、明日美は周りを見渡そうとして――
――気付いた。
木の行列の奥、懐中電灯の光がかすかに動いているのを。
そして、その光が、向きを変えられた拍子にその懐中電灯を持っている影を照らして――
「暮員さん?」
明日美は、声を上げた。
あの低い身長の後ろ髪にまとめたポニーテール。
きっと――暮員未幸(女子十四番)だ。
未幸も声で明日美に気付いたようで、こちらに懐中電灯を向けて叫んだ。
「久世さん!」
未幸が近付いて来て、その後ろからもシルエットが現れた。
電灯をそのシルエットに当てると、それは神崎健二(男子九番)の姿だった。
「神崎くんも!」
壱里塚があからさまに二人に対して嫌悪の表情を表している中、明日美はサーシャに関する情報を聞ける可能性が出来たことに心から喜びを感じた。
もしかしたら、すぐにでもサーシャに近付けるかも知れないのだ。
未幸と健二が明日美達の元に歩いて来て、それから、健二が言った。
「……壱里塚と久世か」
健二は、何か意外なものを見たような顔だった。
やはり、組み合わせとしては奇抜だと思ったのだろうか。
普段の二人の表面から共通点を見出だせない故かも知れない。
――それを言えば、未幸と健二もだ、が。
「白崎君と志緒里さん見なかった?」
明日美がサーシャのことを聞く前に未幸が、白崎篠一郎(男子十六番)と神崎志緒里(女子六番)の名前を挙げた。
白崎篠一郎――は、あまり目立たない男子生徒だった気がする。
しかし、確か未幸とは友人だった筈なので未幸が白崎を捜すのは道理に合っているだろう。
神崎志緒里は言うまでもなく健二の姉であり、健二が会いたいのは当然だ。
「ううん、私も壱里塚くんも見てないわ」
返事をした後、明日美は続けてサーシャを見たかどうか聞こうとしたが、しかしその前に壱里塚が突然口を開いた。
「そっちはサーシャを会わなかったか?」
未幸もまた、呆気にとられたような表情をとったが、しかしそれから間もなく返答した。
「サーシャさん? いや、会ってないわ」
「二人でサーシャを探してんのか?」
健二が、割り込んだ。
先程思った通り、二人が当座共通して考えているのはサーシャを見つけ出すことだ。
その点ではやはり疑問に思われても仕方が無い。
「そうだ」
壱里塚が、はっきりと言った。
それでも健二は納得がいかない様子だった。
「壱里塚も久世もサーシャと関係あるようには見えなかったんだがな」
――健二が、こちらの真意を分かりつつあると理解した途端、明日美に強烈な悪寒が襲った。
いや、まだ完全に分かった訳ではない筈だ。
それこそ、相手にそれを悟らせないようにしなければならない。
明日美も、壱里塚も。
「そう言えば壱里塚、お前さ、よく獣人に変な視線向けてたよな。変態みたいに」
不意に、健二が言い出した。
未幸と明日美が不思議そうに健二と壱里塚を見つめる中、壱里塚は目を見開いていた。
壱里塚は足を踏み揃え直し、平静を装うとしていた、らしかった。
「――何が、言いたい」
一寸の合間を置いた後、壱里塚が口を開いた。
何かを見透かしたかのように、健二が不敵な笑みを浮かべて壱里塚を見た。
一方で、明日美は焦躁していた。
壱里塚の狙いがばれると言うことは明日美の目的もばれると言うことなのだ。
そう心配する明日美に追い打ちをかけるように、健二が続けた。
「お前、動物フェチだろ?」
健二が、まるで日常のしょうもないことを聞くような軽い口調で言った。
その内容が平常ではないと言うのに。
それまで気にしなかった湖畔の木のざわめきが大きくなった、気がする。
「だから飼育委員とかやってたんだよな? 今はサーシャをしつけたいとか思ってんじゃないのか」
わなわなと、壱里塚の拳が揺れていた。
「何を言ってるんだ!」
激昂しかけている壱里塚を歯牙にもかけずに、健二は今度は明日美を向いた。
それだけでもぞっとした。
この男は――
「久世もさ」
健二が続けた。
なんの悪気も無く、そして話の流れでそうなったかのように。
「まさかラトのことを気にしながらサーシャを探してるんじゃ?」
――無意識の内にこちらの目的に気付いている!
「……どう言う意味?」
健二を睨み付け、明日美は言った。
この点、明日美は健二に何か大きい恐ろしいものを感じていたが、しかし健二は学校内で級友から得た情報を敢えてひねくれた方向で解釈して単にそれを口に出しているに過ぎないのだ。
相手を怒らせて、懐柔して、そして同士討ちを狙うように。
しかし、健二が言ったそれは事実、確実に壱里塚と明日美の核心を突いていたのだ。
それから健二が踵を返して、未幸に声をかけた。
「暮員、早く行こうぜ。こんな奴らに構っ――」
「ふざけるな!」
壱里塚が、手にしたレミントンを構えて叫んだ。
懐中電灯の僅かな光でも顔が怒りで赤く染まっていたのが分かった。
もう、明日美も限界まで来ていた。
「神崎くん、何? 何が言いたいの?」
健二は悪そびれた様子もなく、ただこちらを見ていた。
未幸は未幸で、戸惑ったように顔をしかめている。
「第一、お前はどうなんだ神崎」
壱里塚が、脅すような口調で言った。
「暮員を利用するつもりじゃないのか?」
にも関わらず、健二は調子を変えること無く壱里塚に反論する。
「お前らが言える立場かよ。本当になんでサーシャを探してるんだ?」
「僕――僕達はサーシャを救いたいだけだ」
最初の方、一旦言い直したのが明日美の気にかかったが、しかし気にしている場合ではない。
「嘘つくんじゃねえよ! 最後にはサーシャを殺すつもりなんだろ!」
健二が、突如として叫んだ。
それを聞いた未幸が、やや怯えたように明日美を見た。
「久世――さん?」
そりゃそうだろう。少しの予備知識を持って考えれば神崎が言っていた壱里塚の狙いなんてあからさまなんだから。
そしてそんな壱里塚と共に、同じ対象を探している明日美も――
「ま、待って、暮員さん! 彼の言ってることは間違ってる!」
弁明したが、しかし明日美の言葉が終わらない内に健二が駆け出した。
「暮員、早く行こう! 俺達までこいつらに殺される!」
「黙れ!」
そう叫んで、壱里塚は銃口を健二に合わせた。
そのまま銃が火を吹いた。
銃声に驚いたのか健二が足をもつらせて転んで、近くにあった木の幹が吹っ飛んで健二に降り懸かった。
それから四秒程後に健二が、ぎこちなく立ち上がってこちらを見た。
「なあ、暮員。い、行こう。そいつらを、信じるなよ。なあ」
今度こそ健二は芝居をしていた訳ではないのだけれど、しかし完全に手足を震わせて壱里塚に恐怖を抱いていた、らしかった。
それよりも、明日美は壱里塚の行動が気に食わなかった。
ただでさえも未幸がこちらを疑っているのだ。なのに――
「壱里塚くん、なんで撃ったの?」
「な――久世!」
突然明日美に責められた壱里塚は、顔だけをこちらに向けて驚いていたようだった。
「壱里塚くんは、本当に彼女を救いたいと思ってるの? さっきみたいに他人を押し退けてまで彼女を傷付けたいだけなんじゃないの?」
「お前もそんなことが言えるのか!」
さっきから幾分神経の高ぶりを抑えていたようだったが、しかし壱里塚はそれを遂に爆発させた。
「僕は、僕はサーシャを殺そうだなんて思ってない! お前は神崎の言う通り、ラトの言葉を聞いて彼女をラトの元に送ろうとして、しているだけじゃないのか!」
――明日美の内に、赤黒い怒りが込められた。
どうして、どうしてこの男は自分にこんなことを言えるのだろうか?
「何よ」
自分の顔面の筋肉が急速に引き締まりつつあったのが分かった。
もう、普段のようなはっきりとした発音が出来なかった。
「あなた、が、私が善人ぶってるって、言うの? 自分が、サーシャさんを独占したいからって、わた、私だけを悪者扱いするつもりなの? そう、なの?」
壱里塚が明日美を睨み付け、ぴくりとレミントンが動いたと感じた時――
「狂ってる。あなた達狂ってるわ」
未幸が声を上げた。
視線を壱里塚から外し、未幸に向けると、もう未幸の顔には呆れを通り越して笑みが浮かべられていた。
「く、暮員――」
「来ないで、近寄らないで。やっぱりあなた達について行くことはできない」
未幸は後退りして、そのまま木々の隙間の向こうへ走ってしまった。
それに合わせるように、健二が後ろに下がりながら長いバレルの銃(ショットガンのようなあのポンプは付いていないから、ライフルとか言う奴だろうか?)を持ち上げた。
そして――
その時には、壱里塚と明日美はお互いから離れるように対極の方向へ飛び移っていた。
恐らく、すぐに警戒していた健二に視界を方向転換したから良かったのであって、去った未幸の方に顔を向けたままだったら明日美か壱里塚のどちらかの頭蓋が吹き飛んでいたに違いない。
――健二が発砲してきたのだ!
「神崎くん、何を!」
寸前で弾丸をかわし、咄嗟に明日美はFP45を構えた。
間髪入れずに撃った。
サーシャの時のような、あの反動がまた明日美の手首を襲った。
しかし、健二は身じろぎもせずにそのまま一目散に闇へ飛び出していった。
「ふざけんじゃねえ! どうしてお前らの自己満足に付き合わされなきゃいけないんだよ!」
そう健二の声が聞こえた時、明日美の横で先程のような大きい破裂音が響いた。
壱里塚が再びレミントンの弾丸を発射したのだ。
それでも健二の足音が止むことは無く、そのまま足音が遠くなりつつあった。
「待て、神崎!」
そうは言うが――待つ筈が無い。
待てば撃ち殺されるのは明白だからだ。
やがて、健二のその音も聞こえなくなってしまった。
逃げられたのだ。
壱里塚が、焦りを見せながら健二が逃げ出した方向を何度もちらと見ていた。
「まずいな、奴らにこっちのことを言い触らされたら……」
それは確かにまずかった。
壱里塚と明日美が発砲したのは事実だったので、他のクラスメートが知ったらそれだけこちらが動きにくくなるだろう。
そうなる前にあの二人をどうにかしなければならない。
しかし、それより何より――
「別にいいわ、目的を果たせれば――サーシャさんを救えれば関係ない」
そう強く、明日美は言った。
その瞬間、たった今明日美に気付いたように壱里塚ははっとこちらを向き、それから何秒か考えたように間を置いてから口を開いた。
「久世、どうせ最終的な目的は一緒だ。一緒にサーシャを探すのを続けよう」
――ふてぶてしい!
しかし、こちらも文句を言える余裕は無いのだ。
それに――危険な壱里塚を見逃す訳にはいかなかった。
「……仕方ないわね」
明日美は表ではそう言って壱里塚にこちらが納得したかのように思わせたが、しかし、裏ではこう考えた。
あなたにサーシャさんを虐めさせはしないわ。彼女を救うのは――
【C-2 湖畔の近く/一日目・黎明】
【男子二番:壱里塚 徳人】
【1:僕(達) 2:お前(ら) 3:あいつ(ら)、○○(名前呼び捨て)】
[状態]:明日美への強い不信
[装備]:レミントンM870(4/6)
[道具]:支給品一式、予備弾(18/18)
[思考・状況]
基本思考:獣人の絶望した表情がみたい
0:待ってろよ、獣共!
1:獣人を狩り、絶望の表情をみる
2:サーシャを追跡し、彼女の絶望した顔を堪能する
3:久世明日美は、一応同行させておく(必要があれば殺す)
4:次に神崎健二と暮員未幸に会ったら口を封じる
[備考欄]
※獣人以外への対処は、「襲われない限りスルー」に決定しました
【女子十一番:久世明日美】
【1:私(たち) 2:キミ(達) 3:○○(さん付け)(達)】
[状態]:壱里塚への強い不信
[装備]:FP45“リベレーター”(0/1)
[道具]:支給品一式、予備弾(24/25)
[思考・状況]
基本思考:サーシャを“救う”ために追跡し殺す
0:サーシャを探す壱里塚に協力
1:彼女に遭遇したら壱里塚よりも先に彼女を殺す
2:必要があれば壱里塚を動けないようにする
3:次に神崎健二と暮員未幸に会ったら口を封じる
【女子十四番:暮員未幸】
【1:私(たち) 2:アナタ(たち) 3:あの人(たち)、○○(名字さん、くん付け)】
[状態]:健康
[装備]:木の棒
[道具]:支給品一式、メイド服、豊胸ブラ(と、言うより胸を大きく見せるブラ)
[思考・状況]
基本思考:利用されていると承知の上で、利用し返す
0:白崎を探す
1:戦闘などの貧乏くじは全て健二に引かせる(場合によっては見限る)
2:殺し合いに乗るのは癪
3:遭遇する生徒は、救済しないが殺す気もない
4:白崎に遭遇したら二人でゲームを潰す
5:健二は使えなくなったら切り捨てる
6:映画館に行ってみたいが、映画館の存在に若干の疑問
7:武器が欲しい……
8:壱里塚と明日美から離れる
[備考欄]
※メイド服には防弾、防刃等の特殊効果は一切なく、あくまで普通のコスプレ用です
※主催者が二階堂、テト、卜部であることを確信しました
※そして彼女たちが主催者であることがバレると、何か彼女たちに不利益が働くとも推理しました
【男子九番:神崎健二】
【1:俺(たち) 2:お前(ら) 3:あの人、奴(ら)、○○(名字呼び捨て)】
[状態]:健康
[装備]:AR-15(14/20)
[道具]:支給品一式、5,56mmNATO弾(20/20)
[思考・状況]
基本思考:未幸を騙し、利用する
0:姉ちゃんを探す
1:未幸から情報を引き出す
2:彼女と会ったら未幸を見限り、殺す
3:チャンスが来るまではじっと待つ
4:遭遇する生徒を陥れ、殺す
5:1の後は姉ちゃんを生かすために他の生徒を皆殺しにする
6:姉ちゃんがもし反論したら気絶させて黙らせる
7:全ての生徒を殺したら若狭を殺して姉ちゃんと島を脱出する
8:未幸を守る気はないが、その素振りは見せて信頼を勝ち取る
9:壱里塚と明日美のことを他の生徒に話す
[備考欄]
※姉が既に死んでいることを、もちろん彼は知りません
支援
投下終了です。
おかしいところがあったら指摘お願いします
投下乙です。
壱里塚はどうしようもない外道だし明日美はプッチ神父みたく自分を悪と気付かない悪だし本当にどうしようもないわこいつらw
投下乙。
神崎が核心を突いたか。
壱里塚組ちょっと危なくなったがまあ二人ともタフそうだし大丈夫かな…?
>>342 どちらかというと投下してくれた方がメリットはありますかね…。
ある程度書いてるなら適当な所で切ってバトンタッチという奥の手も。
まあ事情は分かりませんので何とも言えませんが。
すいません。
プロットが練れそうにないので、代わりに内木聡右、吉良邑子で予約し直します
>>343 >>356 そういうものなのですか……色々と済みません
では改めて、銀鏖院水晶、平田三四郎の予約延長を申請させて頂きます
>>359 キャラ関係表は未だ載っていない生徒も結構いますね
スペンサーとか、エヴィアンとか
思ったより早くPC復活!
貝町ト子、麻倉美意子、片桐和夫で予約します。
まだ残ってたんだ、この糞企画
キャラ関係表のグレッグ大澤www
ttp://baguken255.7pm.jp/okiba/cartable.png 改めてキャラ関係表修正。
でもシルヴィアとかどうしようもなかったり。
それから予約一覧まとめ
【予約一覧】
内木聡右、吉良邑子 ◆hhzYiwxC1.氏 2009/02/11(水) 16:38:33まで
銀鏖院水晶、平田三四郎 ◆d6BHdrg3aY氏 2009/02/07(木) 00:07:33まで?
貝町ト子、麻倉美意子、片桐和夫 ◆zmHe3wMKNg氏 2009/02/12(木) 00:58:34まで
フラウ、ケトル予約します
投下します
玉堤英人が去った後も、ケトル(男子十三番)は神社の境内で座り込んでいた。
その横では、親友――のフラウ(女子二十五番)が静かに横たわっている。
フラウは時折、何かを探しているように顔を動かすが未だに目は覚ましていない。
ケトルは、フラウを見守りながら考えていた。
英人がフラウを置いて行った理由。
――答えは二つある。
まず、フラウを危険な事態に陥れない為。
あの時、ケトルに別れを告げる時の英人の表情を見れば英人が何かを覚悟していたのは分かる。
そして、その言葉の内容も。
もう一つ、それは英人にとって本当にフラウが邪魔になった為。
フラウを気絶させる時に言った「でも、君じゃ、駄目なんだよ」その言葉がケトルに引っ掛かった。
これからしようとすることは一人でないと作業出来ないことだとも思える。
いずれにせよ、もう英人は行ってしまった。
そしてもうその真意を聞くことが出来なくなるかも知れない。
いや、誰かに襲われてもう――
そんな悪い想像をしている場合ではない。
ケトルは頭を振って、それから再びフラウを見た。
相変わらず覚醒する気配は無い。
とにかく、今は自分がフラウを守らなければならないのだ。
じきに、夜が明けるだろう。
目立つのは危険なので(アニメでもよくこんな施設に居るキャラが襲撃される。道を歩いてても襲われるが)その前にはここから離れたかった。
だがその前にフラウが目覚めなければならない。
ケトルの体格と背筋力ではフラウを運ぶことは難しいのだ。
それにまた苗村都月の時の様に襲われたら、その時にフラウを守ることは出来るだろうか?
いや、到底出来ない。
そんな事態になったらフラウとケトルは共に数秒もしない内に葬式待ちリストへの仲間入りを果たすだろう。
フラウ――
――。
そうやってフラウを見ている内に、ケトルの中に、不意にある疑惑が沸き上がった。
それまであまり深く考えなかったような疑惑が。
フラウは、本当は自分のことをどう思っているのだろうか?
自分は、今までフラウのことを大切な無二の親友だと思っていたし、フラウも自分のことをそうだと思っていた。
しかし、やはり――フラウは、自分のことをどう受け取っていたのだろう?
ずっと、遠い昔からフラウは自分の家に来ていた。
そりゃフラウだって事情あってこそ来ていた訳だし、本人は実際嫌だったのかも知れない。
でも、長い間一緒に居たのは事実だ。
それは今も変わらない(もっとも、その”今”が戻ってくる確率は低い。限りなく低い)。
一緒にご飯を食べたり、一緒に風呂に入ったり、一緒にアニメを見たり――
それとも、フラウはそれを当然のことだとして、自分を何とも思っていなかったのか?
そう思うと、ケトルの胸にじわっと毒が滲むような感覚が襲った。
自分が、一方的にフラウのことを親友だと押し付けていたのだろうか?
先程、ほとんど英人にしか話しかけていなかったのはケトルより玉堤英人が大事なのであり、ケトルなどほとんど居ても居なくても関係無いと思っていたから?
やはり、フラウは自分を?
いや――
ケトルはもう一度顔を振った。
当座そんなことは関係無い。
それよりもこれからどうするかが重要なのだ。
しかし、もう一つ、ケトルの心にはよく分からない、気になるものがあった。
何かの暗示のように、頭にこびりつく声。
「ケトル、あたしの愛しい騎士……?」
無意識の内に、ケトルはあの夢の言葉を呟いた。
あの、悲しげな声。
何処かで聞いた声。
アニメのキャラなどではない、現実に聞いたことのある、それ。
夢の声を思い出すたびに、何故かケトルは罪悪感に似た感情に苛まれた。
何か――自分が取り返しのつかない重大なことをしたような。
しかし自分にはそのことの記憶が存在しない。
夢の中で、声の主は泣いていた。
ケトルにすがるように、泣いていた。
そして、ひたすら自分を愛してくれと懇願していた。
まるきり、今フラウに捨てられかけているケトルのように。
だとしたら、自分がフラウを追っているからあの声の主は悲しんだのだろうか?
ケトル自身がそうであるように?
或いは、その声は現に誰かに――
そこまできて、再びケトルは何故かテト(女子二十五番)のことを気にしだし始めた。
そして、そのことにも疑問を持った。
最初、この場所で目覚めた時もそうだった。
何故自分は真っ先にテトを気にしたのだろうか?
他に教室には二人居なかったのだ。
はっきり言ってテトよりも目立つ二階堂永遠(女子二十一番)や、もう一人――卜部悠(女子二番)よりも早く、しかも二階堂達は今の今まで思い出さず、テトを先に。
それに自分はテトとは直接繋がりは無い。
だいたい、テトはラト(男子二十七番)にべったりだった筈だし、ケトルには興味など無いものだと。
しかし、そのラトも若狭に――
――何故、殺させた?
教室に居なかった三人はこの殺し合いに絡んでいると考えていいだろう。
と言うか、あからさまだ。何の伏線にもなっていない。
三人を殺したのなら、生徒達を大人しくさせる為に三人の死体を見せ付けるのが効果的なのだ。
そうすればあそこでラトを殺す必要も無かった。否、そもそも、初めからあそこで殺す必要があったのか?
sien
――そうだ。
元々、テトがそうなるように仕向けた可能性が高い。
日向有人(男子二十五番)がテトに何か、魔法的なものを渡していたように、テトは特別な力を持っていたのだ。
この殺し合いを設定する為には都合がいい。
そして、その前にラトとの間に何かがあったと考える他無いだろう。
殺し合いの引き金となった、何かが。
しかし、それと自分の夢がどう繋がりがあるのだろうか?
どうして、夢のことを考えている内にテトが?
あの夢を見るまでテトのことなど意識して居なかったのに?
そしてあの声がテトのものだと?
それとも――何かが、自分のことをそうさせているのか?
そこまでしか考えられなかった。
これ以上はとてもじゃないが自分では何も思い付かないし、いや、英人やフラウでも到底思い付かない次元の話だと感じ取ったのだ。
もうこのことに触れるのは止めた。
精神が持たない。特に、この状況では。
ケトルは痒みを帯び始めた目の回りを掻いて、フラウに再び顔を向けた。
それからフラウの額に手を当てた。
黄色い毛皮の内側、血が薄く固まった跡があった(多分、転んでぶつけたとかその程度の怪我だろう)。
多分、何か無理をしたのかも知れない。
英人に会いたい一心で。
いつも、笑顔を見せていたフラウ。
先程英人と話していた時も、その表情を出していた。
――多分、自分はそれが見れれば満足なのだろう。
フラウがどうあろうと、それは変わり無い。
そして今は――自分しか、そんなフラウを守れないのだ。
【F-3 神社/一日目・早朝】
【男子十三番:ケトル】
【1:僕(達) 2:君(達) 3:あの人(達)、○○さん】
[状態]:少し疲労
[装備]:サーベル
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本思考:どうにかして殺し合いを止めさせる
0:フラウと行動する
1:仲間を探す
2:テトのことを知りたい
3:やる気になっている相手の説得が無理だと思ったら逃げる
【女子二十五番:フラウ】
【1:私(たち) 2:貴方(たち) 3:あの人、あいつ(ら)、○○(名前呼び捨て)】
[状態]:気絶
[装備]:M79グレネードランチャー (1/1)
[道具]:支給品一式、チャフグレネード予備擲弾×5
[思考・状況]
基本思考:玉堤英人と間由佳を護る。
0:英人を追いかける?
1:由佳を見つけ次第、安全な場所に保護する。
2:由佳ちゃんが死んだら、私は……?
投下終了です。
支援感謝します
投下乙。
英人一直線なフラウと共に居るケトルの複雑な感情が泣ける…。
夢の少女はテト説が濃厚かな?
投下乙です。
…ケトル。人生はこんなもんだ挫けるな。
まあ正常な人生にこんなイベント盛り込まれてないけどな
投下乙です。
風呂を一緒に入っている時点でまずフラウはケトルを何とも思っていないよなあ
そして夢の意味は一体!?
ケモキャラをあてつけがましく出してくるのは止めましょう
age
sage
ケトルは無意識の内にフラウからテトに乗り換えようとしているのか……
投下します
「クソ……眠………」
内木聡右は、そうボヤキながら、慎重に移動していた。今のところ誰とも会っていないが、まだ油断はできない。
…だが、当面の敵はこの眠気だろう。辺りも少し明るくなってきた。もうじき夜は明けるだろう。
このまま何事もなければ事も簡単に押し進むわけだが、正直無理だろと聡右は思っている。
戦う覚悟はできている。だけども“殺す覚悟”だけは――したくなかった。
そんな覚悟は、この世を生きる上で必要ないし、そもそもそれを覚悟と認識すること自体おかしな話だ。そんなもんは覚悟でも何でもない。男なら愛する者を殺す覚悟よりも、愛する者に殺される覚悟を…………
親父さんから幼少期に言われた言葉を、聡右は思い出していた。
「だからって喜佳に殺されるのは、まっぴらご免蒙るけどな。ハハッ」
自分で言った言葉に、自らツッコミを入れている自分が、頻りに虚しく思えてきた。
「……やっぱあれだな。10年間同じ屋根の下で…まだ腐れ縁じゃ、仕舞いにゃアイツに刺されちまうってもんか…………」
「あーくそ…まただよ。何だ俺は……ポエマーに転職しちまったのか? そんなに一人が寂しいのか?」
「一人じゃないですよ」
ゆっくりと振り向いた先には、デリンジャーを構える吉良邑子の姿があった。
「おいおい…いつの間にいやがったんだよ。吉良」
彼女の存在に、正直聡右はかなり驚いたようだった。彼女は、クラスの中でも日頃からとっつきにくかったし、出会いたくはなかった。
「今さっきです」
「で? 俺を殺すか?」
「ハイ!」
明らかに場違いな笑顔と共に銃口を向けながら吉良は無邪気な子供のように頷いた。
聡右と吉良は、おおよそ5m弱距離を置いている。今のところ吉良はこちらと距離を詰める様子は
発砲する様子も見られない。聡右は、コルト・パイソンを、右手に持ち、体の影に隠しながら一歩ずつ後退り、距離を詰める。少しでも距離を詰めれば、当たる確率も少しは低くなるだろう。ゆっくり…一歩ずつ…そう言い聞かせつつ、聡右は後ずさる。
「あなたは個人的に嫌いではないのでちょっとお話に付き合ってください。内木君」
「…………は?」
「だからお話です。でも嫌いではないと言う言葉を勘違いしないでくださいねッ?! 私が愛しているのは現時点では御主人様…英人様しか愛していませんからね!?」
吉良の焦りを含んだ言葉に、聡右は耳を疑った。
「英人……? 玉堤英人のことか?」
「そうです! 私は最初に顔を会わせた英人様の奴隷になったんです! そして彼から与えられた“使命”を全うするつもりです」
「ツッコミたいところが山ほどあるんだがいいか…」
「私はどうせなら思う存分私を嬲ってくれる人か、誠実な人がよかったんです! 英人様じゃなければ内木君やケトル君の奴隷にもなってみたかったわ!」
吉良は、聡右の言葉をすべて無視して無理矢理話を進め続ける。「お話をしたい」と言うのは嘘だったのかと、さらにツッコミたくなる。
「オイオイ吉良ー。吉良さーん」
「? 何ですか?」
「一つ言いかい? 玉堤から与えられた“使命”ってなぁ何なんだい?」
「ハッハッハー!! よくぞ聞いてくれました内木君!」
聡右には、やたらとテンションの高い吉良邑子が、何でこの状況でこんなに楽しそうな全く分からなかった。このハイテンションは、悩みのない奴とか、ムードメーカーの持つテンションとは、明らかに違うもので、決して他人を楽しませるためのものではない。
「“間由佳”以外を……皆殺しにしろって命令です!!」
吉良は、笑顔のままでデリンジャーの引き金を引いた。
これは――純粋無垢な悪意に満ちた笑顔だ。
「どうして躱すんですか〜。脳天に弾丸を喰らえば楽に逝けるのに」
「悪いがお断りだね。俺ァ喜佳が心配で死にそうだってのにこれ以上死にそうにさせられちゃあ困る!」
「鬼崎さんですか…」
吉良はもう一発、何やら考えながらもう一発聡右に向けて発砲した。そして、それも聡右に躱されると、デイパックから2発弾丸を摘まみだして、素早く装弾する。
その隙に、聡右は近くの木の陰に身を隠したが、吉良は装弾を思ったよりも速く終わらせ、聡右が隠れている木にむけて的確に発砲し、木の皮を弾き飛ばした。
「私あの人個人的に嫌いなんですよ……おっぱいがおっきいからじゃないですよ? 僻んでなんかいませんよ?」
話す言葉自体は、非常に他愛もなく、それだけならば、普通の女子高生を連想することも可能だが、それだけじゃないからまず無理だ。
「だったら今から喜佳の乳を萎ませてくるから逃がしてくれや!」
「あれは触った時の感触が本物だったから無理でしょうね」
「触ったことあんのかい!! 俺なんて十年一緒に住んでるのに触った事ねえぞ!」
「……はっ!」
聡右は、喜佳と同居していることをクラスメイトにはひた隠しにしていた。そして、今まで何とかバレずに乗り越えてきたが、もうこうなっては後には引き返せない。
「仲いいと思ったら同居してたんですか…そして毎日熱い夜の営みを……きゃっ!恥ずかし!」
「あー! ウゼー!! お前さっきの話聞いてなかっただろ!!」
吉良は、聡右に少しずつ距離を詰めながら、気色が悪いくらいの笑顔で発砲を続けていた。
2発撃ち終え、弾が無くなれば移動しながら手際よく装弾する。無駄のない仕草だ。距離もすぐに縮まる。
「別にいいんですよ! どうせ内木君もすぐにくたばるんですから! ああ…これで三人目…………私とっても嬉しいです…御主人様の役に立ててるってちゃんと実感できます……ああ…英人さまぁ………」
確実に距離は縮まっていた。このままでは、確実に撃ち殺される…聡右は、“ある覚悟”をした。
そうして、再度1発の弾丸が放たれる。もう既にかなり近くに吉良は来ており、聡右はコルト・パイソンを構え、あろう事か銃弾を取り出し、デイパックの中に落とした。
「……何してるんですか?」
聡右は、吉良のその声を聞くと同時に、あろうことか木の陰から姿を現した。
「やっと死んでくれる気になりましたか♪」
「いいや…まあ死ぬかも知んねえけど……最“後”に頼みがあんだ」
「決闘を申し込みてえ」
「決闘…ですか?」
吉良は、聡右の言葉に少しだけ驚いたと言う風だった。
聡右はコルト・パイソンのリボルバーを展開させ、一発残っていた弾丸を取り出した。
「お前のそのデリンジャー。そん中に入ってるのも一発。こっちにも一発だ……どっちが速いか。勝負しねえか?」
「いいですね! そう言うのって燃えますよね! やりましょうよ内木君!!」
吉良は相変わらず気味の悪いハイテンションを身に付けていた。
「背を向けあって……3歩前進したところで振り向き様に撃つ。簡単だろ?」
「ハイ! でも敗けませんよ〜英人様のためにもお命頂戴です!」
聡右は、吉良の本質が読めていた。弾をしまい、リボルバーを閉じると、吉良と背を向けて密着し合う。
「「1歩…………」」
互いにアクションは見せない。そうして、二人はほぼ同時タイミングで右足を前に踏み出した。
「「に…」」
そう言いかけた途端に、吉良はルールを破り弾丸を発砲した。
―――――
吉良は、頭の吹き飛び、倒れた内木聡右を見つめていた。
はずだった。だが違ったのだ。内木聡右は、死んでいない。それどころか、弾丸は発射する少しだけ前にしゃがんで躱されていた。
まるで最初から、自分がルールを破ることを分かっていたかのように。
そうして聡右は振り向き、コルト・パイソンの銃身で吉良の頭部を殴打した。
「?! ……そん……な」
「悪いな…だが手加減……ちょっとはしたつもりだぜ」
吉良は、一撃で倒れた。先ほども言ったように、聡右は吉良の本質を見抜いていた。こいつは無邪気だがその分邪悪でもある。絶対にルールを破ると、聡右は踏んでいた。だからこそ初撃を躱すことだけに全力を注げた。
そうして、呆気に取られる吉良に、一撃を喰らわせる。
コルト・パイソンに弾丸は込められていなかった。あの時弾丸をしまったのは弾倉ではなく、制服の袖。ここまでされても、不思議と吉良を殺したいとは思わなかった。吉良でなくとも同じだ。改心できるならばしてほしい。
こんな馬鹿げたゲームに乗るなんておかしい。若狭の思うつぼだからだ。
「悪いな。できれば普通の方法で生き延びてくれよ」
聡右は、それだけ言うと、そそくさとその場から走り去った。
「うぅ……頭が…」
吉良は、聡右が去ったあとすぐに、千鳥足のまま立ち上がった。
「ああ…銃は……ちゃんとありますね…」
吉良は、すぐに傍らにあったデリンジャーに目を向けた。そして、すぐにデイパックから銃弾を取り出し、装弾する。
「…………やってしまったわ…私って駄目な娘…」
「ああホントにダメダメだな」
突然、後ろから心地のいい声が響いた。
「…誰です?」
「お前は主人の声も思い出せないのか? 奴隷失格だな。奴隷の奴隷にでもなってろよカス」
「ひ…英人様!?」
吉良のすぐ後ろには、玉堤英人の姿が、英人は、心底吉良を見下すような視線で吉良を見つめる。
「こんな奴隷…要らないな……あっさり倒される奴隷なんて」
「待ってください!! 次は頑張ります……だから…………捨てないで…」
吉良は、涙ながらに英人に懇願した。
本当はそこに英人はいないのに。本当は自分が殴られた時のショックで幻覚を見ているだけなのに。
【G-6 山道/一日目・黎明】
【男子二十二番:内木聡右】
【1:俺(たち) 2:アンタ(たち) 3:あの人、奴(ら)、○○(名前呼び捨て)】
[状態]:健康
[装備]:コルト・パイソン(6/6)
[道具]:支給品一式、予備弾(18/18)
[思考・状況]
基本思考:喜佳と合流したい。仲間を集めてゲームを潰す
0:ゲームに乗る気はない。
1:戦いを極力避ける
2:助けを求める生徒は見捨てない(だからと言って油断もしない)
3:襲ってくる者は退ける(殺しはしない)
4:内心では吉良が改心してくれて、生き残ることを望んでいる
[備考欄]
※喜佳がもしもゲームに乗っていたら、どうするかまだ決めていません(死ぬことはないだろうとは思っていますが、それでも心配です)
※喜佳が銃を扱える事実は聡右以外は知りません
※玉堤英人が吉良邑子を利用し、人を殺させていると思い込んでいます
【9:吉良邑子(きら ゆうこ)】
【1:私(たち) 2:貴方(たち) 3:あの人(たち)、ご主人様、お嬢様、○○(名字くん、さん付け)】
[状態]:頭を殴打、倦怠感、自分の無能さに対する憎悪
[装備]:レミントン・デリンジャー(2/2)
[道具]:支給品一式×3、予備用44マグナム弾(24/40)、木刀
[思考・状況]
基本思考:ご主人様(英人)の命令に従い、間由佳以外を皆殺しにする
0:間由佳がもしゲームに乗っていても出来うる限りは説得する
1:もし彼女を殺してしまった場合はご主人様を殺して自分も死ぬ
2:自分が見つける前に彼女が死んでいた場合も、1と同様の行為を行う
3:聡右を逃がしてしまったことが相当ショック
4:私はいらない娘なのかしら……
[備考欄]
※他生徒に出会い、交戦に縺れ込んだ際に、彼女は「ご主人様(英人)の命で動いている。」と言いかねません(彼女に悪意はない)
※如月兵馬の「雫切り」の太刀筋をなんとなく覚えています
※H-5の民家の一つは、未だに電気が点いています
※H-7の海岸に如月兵馬の遺体が横たわっています
投下終了です
はい、つまらない
投下乙です。
やはり冷静を突き通した聡右が勝ち残ったのでしょうか?
吉良はなんか危ないことになってるww
投下乙。
クラスメイトの中で比較的に銃を使いこなしている二人の対決。
しかし吉良は強いのか弱いのかよくわからんなw
英人ビジョンがどんな影響を及ぼすのか…。
由佳→発狂
フラウ→ヤンデレ化
吉良→超ポジティブ奉仕
ケトル→健気に鬱
内木→見事に誤解
尻田…視線を送っただけで死亡
英人……
394 :
創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 02:51:20 ID:f8DJxNrK
キャラ持ち上げが寒いです
書き手さんにはそろそろ何らかのアクションを取ってほしいですね
396 :
創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 08:26:13 ID:f8DJxNrK
飛び降り自殺というアクションがみたいな
殺し方リストに飛び降り自殺を追加しておきます。
投下します。
ラトの亡骸に対する黙祷を済ませた麻倉美意子と貝町ト子は、
これここに居ても以上得るものがないと判断し、校舎を後にすることに決めた。
校庭まで出てきた二人は、不意に立ち止まる。
「ラト君…埋葬してあげた方がよかったかな?」
「しないに越したことは無いだろうが…今から彼を運ぶのは労力と時間がかかりすぎる。
他に調べねばならんことがあるのだろう?麻倉。」
「うん、そうね…。」
結局手に入ったのはラトが付けていた首輪の残骸だけ。
無いよりマシだが、ちゃんと解析するには綺麗な状態の首輪が必要だ。
その時は、切り落とさねばならないのだろうか?見知った人達の、首を。
「ところで、貝町さんはなんで校舎に来ようと思ったのかしら?」
「ああ、保健室に用があってね。」
「保健室?」
「ああ。ところでつかぬことを伺うが…その…「薬」は支給されていないか?赤いゲル状の液体…なんだが。」
「さっき見たけど、私は持ってないわね。」
「…そうか…やれやれ、このままではいつまで持つか…。」
「ねぇ、薬って何?」
「!いや、何でもない。気に、するな。」
「…ふーん…。」
しまった。何を焦っていたのだ私は。よりによって洞察力の鋭い麻倉の前でこのような致命的な話を。
まずい、確実に怪しまれている。
「ねぇ、貝町さん。あなた何か隠し
「!!おい、誰かいるぞ!」
「え!?」
話を中断し、目の前から全力疾走で駆けてくる男を確認した二人は、
彼の軌道から横飛びで離れ、直後に、さっきまで立っていた場所に大きな穴が開いていた。
砂煙を巻き上げ、素手でそれを敢行した者が姿を現す。
「……ふ…ふしゅるっ……!」
「あ!あなたは…!?」
「やれやれ。いきなり襲ってくるとは物騒な奴だ。なぁ、片桐和夫とやら。」
「…何を…甘いことを言っている…殺し合いだろ?」
立ち上がった片桐は、こちらを睨みつけ、宣言した。
「俺が、お前たちを『殺して』何が悪い?」
―――――――――――――――――――――――――――――――――
数分前、半休眠モードに移行していた片桐和夫のメインコンピューターに
異物が侵入していた。眼鏡をかけた無表情な少女は、持参してきたのか
長椅子のプログラムに座り足を組んで寛いでいる。
「ふぅ……やはり……この空間は居こごちがいい。
しかし……今の私には長居することが出来ないのが残念。
天然の有機脳に直接プラグを突き刺して他のレプリカントの有機電脳に
ジャックインするのは……現実の体にかなりの負担をかける故……。」
座り込んでいる片桐は、見上げ気味に彼女に話しかけた。
「……何者だ貴様。唯の人間に……こんな真似が出来るはずがない。
俺達と同類の機種でもない限り……貴様もレプリカントだったのか、二階堂永遠?」
「さぁ?果たして私はレプリカントと呼べるのでしょうか?
今現在の私には、もはや一切の機械部品が使用されていないのですが。」
「……?で、何をしにきた?」
「ああ、あなたを解放しに来たのですよ。
せっかくの戦闘力を制限のせいで存分に震えないのは可哀想と悠が悲しんでいましたから。」
「…解放…だと?」
「ええ、開始早々で追原弾に言いがかりを付けて破壊するという行動を取ったのは合格。
これを突き詰めて『誰でも壊せる』ようになればいい感じにゲームを引っ掻き廻してくれそうですし。」
「…俺に人を殺せと言っているのか?」
「そんなところかしらね。でも……それが貴方の望んでいることだわ。
あなたが追原弾や和音さんを襲撃したのは、激しい怒りと殺戮衝動を秘めていたからですよ。
誰かを殺したくて仕方がないというね。」
「……その表現は誤りだ……たとえそのような怒りの感情があったとしても、所詮プログラムだ。
所詮は0と1の技術の結晶である嘘の感情。それに、それが本当なら俺は壊れている。」
「……その状態に…恐怖を感じますか?」
「…この感情は…プログラム…。」
肩をすくめた二階堂は、諭すように語り始めた。
「現在より少し昔。ある所に事故で両腕を失った少女がいたそうな。」
「何?」
「それを哀れに思った科学者は実験を重ね、ついに電気信号で動く義手の開発に成功した。
筋肉は、脳から発せられる命令が神経を通して伝えられた時に発生する微弱な電気的刺激によって収縮する。
これが義手を動かすスイッチとなるそうだ。その技術はさらに改良されやがて脳以外のすべての四肢や臓器を
機械とシリコンで代用することが可能になった。すこしお金はかかりますがね。」
「……だから……どう……。」
「そして、ついに『脳』も機械で代用できるようになった。その技術の結晶がレプリカント。
……定期的なメンテナンスを除けば機能は人間と何も変わらない。むしろ人間以上とも言える。」
「…………!…………。」
「貴方達にそういう社会的立場を与えないのはあくまで社会の大人の事情に過ぎない。
レプリカントは生物学的に既に人間と対等の存在。ああ、そういえば海外では獣人が歴代初の大統領に選ばれて
大変な話題になっていたな。暗殺を免れるためミサイルでも破れない防弾ガラスの中で演説をしたそうだが。」
「…………俺が、人間と対等だと言いたいのは分かった……でも、だから何が……。」
「なぜあなたは『人間』を殺さない?」
「……は?ははは、そんなこと俺の勝手だろう?そうだとしても、別に誰も殺したくなど。」
「そんなことはないだろう?貴女は殺したくて殺したくて仕方がない筈だ。
生まれながら戦いを望んでいた貴方が数少ないレプリカントを壊すだけで満足など出来る筈がない。」
「…………。」
(戦いを望んでいた?俺が?そうなのか?俺は――?)
二階堂が、手を伸ばす。片桐の頬に触れた。
「遠慮しなくていい。我慢しなくていい。たとえ社会は許さなくても私たちが許す。
少なくとも悠と私たちが作ったこの世界は皆平等なのだから。
そしてこの自由な世界で、自由を満喫しない者を、―――私たちは許さない。」
突然、視界が歪んだ。無色透明なはずのメインコンピューターの世界が極彩色に彩られ渦を巻き、
激しい電流の嵐が周りに巻き起こった。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
何かが、弾けるイメージを視覚した片桐は、電脳の世界のアバターを消去し、現実世界に帰還を果たした。
◆ ◆ ◆
片桐和夫のメインコンピューター内。辺りは再び何もない空間になり、
椅子に寛いでいる少女の姿が見えるだけ。その姿も粒子に代わって消えていく。
「もう帰る時間か……まぁ、そろそろ戻らないと悠に怒られるわね。」
消える間際、二階堂は、能面のような顔に笑みを浮かべた。
「そう、みんな平等。人間も、獣人も、レプリカントも、平等に。」
「―――ここで死ぬ。」
―――――――――――――――――――――――――――――――――
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。」
リミッターを解除した人工筋肉と金属フレームの軋んだ駆動音が聞こえる。
体から煙が発せられ、ファンヒーターが冷却できる範囲を超えているのが判る。
「おいおいどうしたんだ片桐和夫?まさか壊れてしまったのか?」
「大丈夫?片桐君?」
「俺は壊れてなどいない。」
そう言って、片桐は嗤った。
「やっと俺は解放されたのだ!貴様らを殺す。何の遠慮も躊躇もなく圧倒させてもらう。
まずは眼を潰す。動けなくなった所を嬲り殺す。誰だろうがもはや関係ない。」
「う…うわぁ…これは引わ…。」
「あー、多分電脳がショートしてるとかそんなんだと思うぞ、片桐。
私が診てやるから大人しくしてくれんかね?」
「だが、断る!」
そう言い放ち、再びこちらに向かって駆けてきた。
「そうか―――ならば、仕方あるまい。」
「え?貝町さん?」
「麻倉。少しここから離れてじっとしていろ。そして、身動きせず音を立てず、じっとして動くなよ。」
「へ?ちょ?」
そのように麻倉に告げ、貝町ト子は、目を瞑った。
「―は!戦闘中に何をしている貝町!」
片桐の全力の拳が顔面めがけて振り下ろされる。
素手とはいえ女子高生の頭骸骨など一撃で粉砕する威力を秘めた一撃。
だがそれを、まるで予測していたかのように顔を振って貝町は回避した。
「は!よくかわしたな!だが偶然はそこまでだ!」
片桐は無呼吸で貝町に向けて二発三発と連打を続ける。
――だが。
「…え?」
最初に異変に気づいたのは言われたとおり少し離れた場所で傍観していた麻倉だった。
当たらないのだ。何度連打を続けても。
「な…に…何故だ!?」
「目を閉じてる方がよく聞こえるのだよ。お前の拳が風を切る音がな。
音が近づいてくる場所に体がなければ当たることはない。」
「…馬鹿な…。」
「そして、私は貴様らレプリカントがどういう構造をしているのかの一度見たことがある。
私は、一度見た機械の構造は、二度と忘れない。」
初めて所持する日本刀に手をかけた貝町は、無造作に片桐の脇腹に峰の部分を叩き込んだ。
「がぁ!?」
「だから貴様が動ける範囲の限界もなんとなく判る。諦めろレプリカント。貴様では私に絶対勝てんよ。」
貝町は刀を両手に持ちかえ、振り上げ気味に片桐の顎を峰打ちで叩き割った後、全力で蹴り飛ばした。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
片桐の体が一瞬宙に浮き、その場で崩れ落ちる。そして、行動を停止した。
一部始終を見ていた麻倉は唖然とし、貝町のそばに駆け寄る。
「す、凄いじゃん!貝町さん!そんなに強かったんだ!?」
「ふん、たまたま相性が良かっただけだ。それに、殺し合いの上手さの優劣に意味などあるものか。」
日本刀を鞘にしまい、貝町は身を翻した。
「…行くぞ、麻倉。」
「え?でもこのままほっといていいの?」
「言ったはずだろ?わたしは『これ』には乗らない。こいつだって、『生きて』いるんだからな。」
「え、ええ。」
◆ ◆ ◆
再び休眠状態。だが意識は覚醒したまま。
あの一撃は大したダメージではない。
しかし、油断した。
そうだったな。生死与奪権は相手にもあるのだった。
くくく。面白い。
片桐は再び起き上がる。
近くにはもうあの二人の姿はない。
先ほど受けた攻撃の当たり所が悪かったのか視界にノイズが走る。
だが特に問題はない。
「さて、始めようか。平等に、殺し合いとやらを。」
【D‐4 校舎/一日目・黎明】
【男子八番:片桐和夫】
【(表面上の口調)1:自分(達) 2:貴方(方) 3:○○(フルネーム)(達)】
[状態]:右目周辺の皮膚パーツ損傷、顎付近のフレーム粉砕、脇付近の回路破損
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
基本思考:自由意思に従って全員と戦い、そして殺す
0:何か武器が欲しい
1:自分が人間を殺せることを実感したい
2:敵と見なしたXA-15(弾)を追跡し破壊する
【E‐4 平地/一日目・黎明】
【女子1番:麻倉 美意子(あさくら−みいこ)】
【1:私(達) 2:あなた(達) 3:○○(名字さん付け)】
[状態]:健康 、髪型に若干の乱れ
[装備]:なし
[道具]:支給品一式×1、不明支給品×1
[思考・状況]
基本思考:事件を解決する
0:この場から離れる
1:次の手がかりを捜す
2:貝町と協力する
【女子5番:貝町 ト子(かいまち−とこ)】
【1:私(ら) 2:お前(ら) 3:○○(名字呼び捨て)】
[状態]:疲労(小)
[装備]:日本刀
[道具]:支給品一式×1
[思考・状況]
基本思考: 秘密を保ったまま脱出する
0:この場から離れる
1:麻倉と協力するが、秘密に気付いた場合は殺す
2:禁断症状が出ない内に薬物を手に入れておきたい
[備考欄]
※テトとは友人でした
※太田に対して、複雑な感情があるようです
※薬物中毒者です。どの程度で禁断症状が出るかは、後の書き手にお任せします
※支給品「赤い液体の入った注射器」は太田が貝町に使っていた薬品のようです。
終了です。
投下乙です。
和夫が別の意味で壊れたww
そして貝町はなんやかんやで義理固いな
投下乙です
無粋ですがJenociderではなくGenociderが正しいですよ
投下乙。
覚醒したのに貝町さんにフルボッコされる和夫が哀れ。
いや、まだこれからか?さりげなく二階堂が卜部を名前で呼んでるな。
ところで横の繋がりが薄かったり
戦闘力あるけど殺し合いに乗ってなかったり
位置が悪かったりすると活躍させづらかったりするのかな?
既に何人か居るような気がする…。
とりあえず
ケトル・フラウのように単純に他のキャラと距離が離れているキャラは単独で書けばまだ大丈夫
楠森のように繋がりがあまり無いキャラでも本編でどんどん他のキャラに接触させても問題無し
戦闘能力が無いキャラはどうにでも扱えるのでOK
加賀・葉子のように両方重なるとやや厳しい
単独話でフォローする必要がある
ところで投下する作品は本編ではない外伝的なものでも大丈夫ですかね?
楠森は唯一の若狭との因縁持ちなので実は結構貴重かもしれない。
しかし速攻で空気だな担任。主催で一番下っ端ぽいし。
こいつ確か邪神の復活を目論む村人の末裔とかいう裏設定があったような気がするがw
今のところ遭遇したらイベント起こりそうな人と思いっきり離れているエヴィアンや神崎が書きにくいかな。
外伝もやり過ぎてそっちがメインにならない限りは投下して
シェアードワールド的に世界を広げていくのもアリかと思う。
411 :
創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 21:12:12 ID:+xA7V/Mb
uzai
wikiにてI am Genociderを微修正。
シルヴィア、鈴木正一郎、加賀智通、古賀葉子で予約します。
まじうざいどーせわたしがわるもの
414 :
創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 08:46:45 ID:b7f1GuDS
今日もお前らの工作にやられた
次は苦しませる
苦しめるとかそれ以前にお前のやってることはただのスレ保守なんだよwwwww
スレを潰すには放置が一番だっていい加減学習しろwwwwww
いつも読んでくれてありがとう
雑談少ないから確かに放置されたら結構困るかもな
放置したら作者が空しく自演あげするに決まってるじゃん(それ程鬼畜なのです)
あと、家に脅迫状送ってくれましたね?
姉を巻き添えにするとはここのスレ住人は恐ろし
リアル病人相手にするだけ時間の無駄
自動保守装置ぐらいに考えとけばおk
本文はノイズみたいなもんだから
次は下げておきますよ
づっつんとかシルビーとかの口調が話ごとに変わるのは何故?
それとも書き手ごとのキャラの認識の違いなのか…
そりゃ前の話も読めないバカの集まりだからよ
口調位確認してろよ、その内重大な矛盾が生じるなここの住人糞だもの
>>422 はっきり言わせてもらうッ!
精神病患者の君はここの住民には勝てないッ!!
マジキチの参考資料
鹿和が歌う話を投下してスルーされた人?
荒らすからハブかれたのか、
ハブかれたから荒らすのか、
ギスギスしてて嫌だな
創作板なんだから創作しろと言いたい
書き手毎にキャラの口調や印象が変わるのはやはり書き手個人のキャラの細かい認識や文体自体が違うのだから仕方ないのでは
自分も固いのか崩れてるのか訳のわからない文体で……
外伝の短編を二つ投下します
チャイムが響く。
六時限目、オギエ先生(恐面なのに気弱な狼族の先生だ)の退屈な英語の授業がやっと終わった。
鬼崎善佳は教科書をまとめながら思う。
思えばこの一週間はずっと退屈だった。
そこで喜佳は屈伸してから思い立ったように手前の席の麻倉美意子に声をかけて、そして提案した。
「ねえ、今度の土曜日隣町に行かない?」
美意子は少し考慮して、それから言った。
「他に誰か誘う?」
もちろん。
人数が多い方が楽しいに決まっている。
「鬼崎さん!」
善佳と美意子は振り向いた。
美意子の二つ隣の席、朽樹良子の声だ。
「私もいい?」
「うん、いいよ良子……そうだ」
善佳は頷いて良子の言葉を了承した後、少し間を置いて続けた。
「長谷川さんも誘おっか」
長谷川沙羅。あの最近入ってきた転入生。
クラスの人間とはあまり接しようとはしないが、はっきり言ってかなり浮いている。
善佳自身、そんな沙羅に興味があった。
「長谷川沙羅さん? どうして急に?」
不思議そうに良子が聞いてきた。
やはり突然こんなことを言い出すのに違和感を感じるのだろうか。
「あの人ってまだクラスに溶け込めてないでしょ。だから歓迎のつもりで誘うのよ」
そう言いながら、善佳はまだ教科書を読んでいる沙羅に近寄った。
そして声をかけた。
「長谷川さん、ちょっといい?」
――
土曜日。
居候の内木聡右にちょっかいを出すのも程々に善佳は駅前まで自転車を走らせた。
隣町には電車でおよそ十五分程で着く。
自転車でも行けない距離ではないのだが、しかし沙羅が自転車を修理に出していて使えないと言うことで全員電車で移動と言うことになったのだ。
隣町は最近大型デパートがオープンしたらしく、まだそこには行っていない。
そんな訳で善佳は隣町に行くことを提案した。
やがて待ち合わせの市内地図板の前に全員集まった。
美意子は楽しげで、良子は明るくて、沙羅は――何故か知らないが暗かった。
「長谷川さん、もしかして具合悪いの?」
良子が心配そうに沙羅の様子を窺った。
沙羅は、良子を向いて首を振った。
「いや、大丈夫」
この後も沙羅はとにかく口数が少なかった。
まるで何かを無理しているように。
――やはり具合が悪いのではないのだろうか?
善佳まで心配になってきた。
やがて隣町に着いて、すぐにデパートに立ち寄った。
聞いた通りの大型で、地元の町には仕入れられてないような物ばかりが並べられてあった。
何より大体のものが揃っている。
小遣いを使い切ってこの先一ヶ月ジリ貧になっても構わない程――ではないが。
まあ少なくともカラオケ代や帰りの電車代は残さなきゃいけないし。
買い物を終えて、善佳達は商店街の通りを歩いていた(この道の方がカラオケ屋に近いからだ)。
沙羅は相変わらず良子や美意子と会話を交わそうとはしなかった。
ようやくそこで善佳は感づいたのだが――
――沙羅はただの口ベタなのだろうか?
だからクラスの人間とあまり付き合おうとしないと?
ははあ、なるほど。
そのことを本人に聞こうとした時――
「ひったくりー!」
向かい側から叫び声が響いた。
美意子が素早く反応したのか、もうその時には走り出していた。
続けて善佳達三人もそれを追う。
すると――曲がり角の数メートル先、自転車に乗った男が片手に小さめの黒いショルダーバックを持って急スピードでこちらに向かってきた!
そしてその奥に何かを取られて気が動転してるのか、その場から動こうとしない少女。
その顔に善佳は見覚えがあった。
――クラスメートの古賀葉子だ!
「えいっ」
素早く美意子がかっ飛んできた自転車の横に飛び蹴りを入れた。
当然自転車はバランスを崩して転倒し、男は地面にたたき付けられる。
そのまま間髪入れずに善佳と沙羅が男を取り押さえ、その間に良子はたまたま近くに居た見回りの警官を呼んできたようだ。
こうして、引ったくり犯は速攻あえなく御用となった。
ショルダーバックも無事葉子の元に返ってきたようだ。
めでたしめでたし。
「何の騒ぎですか? 鬼崎さん、朽樹さん」
警官が男を連行する間、不意に聞き覚えのある声が聞こえた。
「楠森君?」
良子が、その声の主に反応する。
善佳もそちらに顔を合わせると髪を後ろにまとめた男――楠森昭哉が、何故かそこに立っていた。
「ええ、俺の家はあそこですから」
そう言って、昭哉がここから少し離れた場所を指を差した。
――古本屋。
ああ、そうか。
善佳は納得した。
はじめどうして葉子がここに居るのかさっぱり分からなかったが、通りでここに読書が趣味の葉子が居る筈だ。
「いつもはうちの本屋に入ってくる新刊のものを読んでるんだけど、ネットの友達に古い本を勧められて」
事情聴取が終わった葉子がそう語る。
「とにかく一人は危ないわ。最近は物騒なんだから」
そう良子が葉子に注意した。
まあ確かに最近は、とは言うが物騒なことは以前から変わらない気がする。
「やだやだ、良子お母さんのお叱りですか?」
からかうように善佳は良子の肩をこづいた。
良子が不機嫌そうに叫ぶ。
「鬼崎さん!」
「これですね?」
古本屋から戻って来た昭哉が本を葉子に手渡した。
善佳から見てもカバーがかなり黄ばんでいて、相当な年代物であることが分かる。
「うん」
葉子はショルダーバックから財布を取り出し、それからお金を取り出して昭哉に手渡した。
「ありがとうございました」
昭哉が、丁寧にお辞儀をした。
カラオケであらかた歌い終えた後の帰りの電車内。
善佳は引ったくり犯を捕まえた時のことを思い出した。
あの時、沙羅は美意子のようにほとんど戸惑い無く自然に動いていた。
普通なら周りの通行人のように呆然としている筈だ。
「あんた」
椅子に座る沙羅に、善佳は話しかけた。
「え?」
急に話しかけられて驚いたのか沙羅は不思議そうにこちらを見ていた。
まあ、カラオケ屋でもあまり話さなかったし。
「なかなかやるじゃない」
二つ目です
二階堂永遠は死者を求めていた。
自らの仲間となる器を。
かつて兄がそうしたように、求めるものを手に入れるには死体が必要なのだ。
しかしこの世界では死体が思うように自分の元に来ない。
何の処理も施していない死体に対して妙なこだわりを持つ者がほとんどだからだ。
そのままだと何の価値も無いのに。
よく兄はこんな状態の中、死体にあれを宿してそう出来るようになったと感心する。
もはや兄の知り合いの外科医との繋がりもある理由により断たれてしまった。
だからこそ、今の状況ではそれは到底難しい。
技術はあっても、材料が無いのでは。
クラスメートにも興味はあった。
永遠のクラスは大方タレント揃いだ。
レプリカント、財閥の娘、そして永遠には扱えないような特別な力を持った生徒まで。
そして、自分の左腕の持ち主だったあの男も。
彼らをすぐにでも自分の仲間にしたいのも山々だったが、かなり手間のかかることを行う必要がある。
さすがに永遠にも最低限の常識のラインはあった(あくまで自分が不利益にならないような最低限のライン、だ)。
それに――まさか死体を集めてくれと言ったところであちらは理解などできはしないだろう。
しかし、構わず永遠は一人で動き続けた。
自分と同じ身体の者だけの、公平な世界を作る為に。
支援です
そんな時だ。
まだ三年の夏の頃だっただろうか。
修学旅行の何ヶ月か前で、準備が始まっている頃の放課後。
数年前、永遠が生み出されてからの知り合いでクラスメートの卜部悠がある日、自分に対して不意に口にした。
「これ実際にやってみたら面白いよね」
悠がそう言いながら差し出した小説。
永遠はぱらぱらとページをめくって大まかな内容を把握した。
クラスメート同士の殺し合い。
狂う者。
流れていく血。
死にゆく生徒達。
ラストシーンで、積み重ねられた死体がテレビに写されている光景。
そして、自分の目的とそれを繋ぎ合わせた。
これは――好都合だ。
永遠は小説を悠に返して、そのまま悠の元から離れた。
自分の席に座って――それから、ゆっくりと脳内のプログラム上で計算を始めた。
あの殺し合いを、実際に行うのだ。
今度の修学旅行を利用して。
そして全てが終わった後に死体を回収する。
――これなら法や常識なんて関係無くなる。
常識に縛られる必要も無く死体を、しかもあのクラスメート達のものを集めることが出来る――
まずは、どう生徒達を拉致して管理するかだった。
首輪に関しては問題無かった。
それは永遠の得意分野だ。
場所も当座修学旅行の日程で、無人島に近寄る時間があったのでどうにか出来る。
しかしどうやってクラスメート五十三人をその島に移すのか?
このままでは少し強行になるかも知れなかった。
それでは自分に危険が及ぶ可能性も否めない。
クラスメートにルールを説明している時に一瞬でも不意を突かれることだってあるだろう。
いくら永遠の身体が特殊とは言え、ベースが脆い人間のものであることには変わりない。
なるべく無闇にこの肉体を損傷させられるのは避けたかった。
何か他の手段は無いだろうか。
クラスメート達に気付かれず、尚且つ計画を始めるまで自分が仕組んだことを隠蔽出来る手段。
いつだったか、兄の遺品を探っていた時に出てきた絵本の魔法使いのような――
――あった。
手段があった。
永遠は、それから時期を待った。
ラトかテトに協力してもらおうとは思ったが、しかし二人とも断られてしまった(二人して「僕はもうしばらく手が離せないんだ」、「悪いけど今、あたしにそんな余裕ないの」)。
一応「修学旅行」ではなく「今年中」と説明したので計画自体に支障は無いだろう。
しかし、二人の手が借りられないのはかなりの痛手だ。
一応予備の案はあったのだが、しかしそれでも永遠は二人が心変わりするのを待ち続けた。
首輪や管理システムはもう完成している。
後は安全に生徒を移送する力が必要なのだ。
――ラトか、テトが持っている力が。
やがて何ヶ月もの時が過ぎた。
修学旅行まであと二週間。
他の支度は出来たが、もうラト達を待つ余裕は無い。
特にテトは――確か、太田太郎丸忠信らに目を付けられていたと思う。
無理はない、普通の人間は胸と尻が大きい女性に発情するらしい。
もしかしたらテトが彼らに恨みを持って自分に協力してくれるかも知れないのだ。
それでも未だに来ない。
誰か、他に探すしか無いのだろうか?
それとも自分一人で?
――そう考えていた時、永遠一人しか居ない教室に誰かが入ってきた。
永遠はドアの方向を向き――
――テトだった。
制服がぼろぼろになって、胸の辺りの下着が僅かだが見えていた。
今の時間は夕暮れ時で教室は夕日に照らされていたのだけれど、テトの全身はその日差しで赤く染まって、そして粘着質な光がテトの露出されている体の部分部分で輝いている。
尻尾が完全に垂れ下がっていて、耳は今は途中で折り畳んでいるように見える。
そしてその俯いている猫の顔は――まるで、永遠を睨み付けているかのように怒りで固まっていた。
突然、テトが口を開いた。
「私はラトを愛していたわ。たった一人の運命の人だもの。当然よね」
さすがの永遠も一瞬理解出来なかったが、しかしその言葉の意味を完全に解釈するまでには一秒もかからなかった。
「でも違った……私を愛してくれる人じゃなかった……そして、私を見捨てた……」
テトは顔を上げた。
その時、永遠はこれまで経験したことの無い感覚を覚えた。
体中に何か悪影響をもたらす電流のようなものが走った感じだ。
いや、しかしそんなことは今はどうでもよかった。
もう数秒もしない内にそんな感覚など残滓も残さず消え失せ、今や永遠の心はテトが力を貸してくれることでまた新たに何かを準備する必要が出来た、と言う思考で満たされている。
テトがぼんやりとした印象の、しかしはっきりと聞こえる声調で言った。
「手に入らないのなら、いっそ……」
猫の瞳の奥は何処までも暗く――
投下終了です。
聡右が見た夢の時間の善佳視点と二階堂が計画を考え始めた理由とテトがどうやって二階堂の計画に乗ったか、を書きました。
支援感謝します
乙です
投下乙。
沙羅と善佳達の平和だった日々のエピソード。
これを期に沙羅はクラスに溶け込めた、ということか〜。
テトは助けに来なかったラトを逆恨み?
ト部編と若侠編も有りそうだ。
投下乙です
こう言うほのぼのとした空気も殺伐としたロワにはいいですね。
>>426 書いたら書いたで消すじゃない
真面目に考えたキャラクターだって全部没にされたよ
本当に許せない、ここの人でオフやるんなら来てあげるからね黒ユリを持って
なあ・・・オフしない?
火曜日の19時に広島旧市民球場の前に集まりませんか。
オフ会なんかまず有り得ないから安心して病院行ってきな
とりあえず居ますから
1時間ほど待ちます
誰も来なかったから時間が無駄になったってクレームを付ける気だな
ネットもリアルも放置が一番
間由佳、白崎篠一郎で予約します
予約一覧まとめ
【予約一覧】
銀鏖院水晶、平田三四郎 ◆d6BHdrg3aY氏 2009/02/07(木) 00:07:33? 期限超過
シルヴィア、鈴木正一郎、加賀智通、古賀葉子 ◆zmHe3wMKNg氏 2009/02/21(土) 00:37:32まで
間由佳、白崎篠一郎 ◆hhzYiwxC1.氏 2009/02/23(月) 11:20:11まで
書き手の皆さん頑張って下さい!
期待
出来ない
わけじゃない
元気でなにより。
なんで待ち合わせに来なかったんだよw
すられた、ずっと落としたものかと思って探しまくって盗まれた事がわかって警察で色々書いていた。
やっと着いた頃には8時になってた。
ここの住人が会わせぬよう邪魔をしたんだと思います、警察にもそう報告しておく・・・落としたと思って探してた時間がマジで無駄だった。
晒しage
粘着はここの小説書きの◆zmHe3wMKNg
こいつさえ馬をいじめなければ
根拠も無く勝手な憶測すんな
書き手氏を粘着とか言う辺り支離滅裂だな
粘着の意味すら分かってないようだ
というわけで徹底的に無視して治療に貢献してあげよう
無視できてないじゃんか
粘着の時と小説執筆の時にキャラを変えている
散々荒らしておいて被害者の振り・・・
>>458 の書き込み。
無視しろとか言い出したので調べてみた。
32 名前:自作の名無しさん 投稿日: 2009/02/18(水) 07:55:29 ID:ajzn41RoO
早く病院行ってほしい。
>荒らすだけならまだしも、スレを日記にしてるじゃんか。
>アテクシ可哀相でしょ、とでも言いたいなら
>該当スレに行ってほしい。
>住人だけじゃなくて本人まで嫌な思いしてるみたいだし
>早く病気良くなると良いね。
馬って字書きだろ。
荒らすだけの暇を持て余してるなら創発板で作品連載でもしろと言いたい。
俺は読むから
最後の文字が「辛い、死ね」
このスレ、ネタ雑談とかしないのか?
話題を出そうにも……自作キャラって都合上下手すると展開を縛る可能性もかなり高いし(ケトルの夢とか)
チャットに来ました、
出てきて話し合いましょう?
tp://chat2.teacup.com/chat?r=5
住人来いよ
でなきゃ・・・恐ろしい事が!
このスレの住人は死をもって償う
サラダバー
ここの住人が死ぬ
苦痛を味わい叫びながら死ぬ
470 :
創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 00:53:49 ID:ACg3qb81
トリがないやつはウマタンとは認めぬ
ところで痴漢者はクラスの誰をターゲットにしてたんだろう
シルヴィア辺り?
不真面目な女子がターゲットらしいがあんまし不良っぽい娘が居ないな
小学生の頃に服を剥いだ娘が何かの伏線かもしれないが
脳散らす、ストライクゾーンはさぞかし広いんだろうが
性格がマゾということは、やはりサド好きだろうか?
痴漢した後に仕返しされることも彼には快感で
むしろ、仕返しされるために痴漢していると見た
てか痴漢者脳散らすの交友関係が謎過ぎる……
◆zmHe3wMKNg氏はアクションお願いします
玉堤英人、森屋英太、愛餓夫で予約します
投下します
森は不気味な程に静まり返っている。
先程まで何回か聞こえていた筈の銃声はもはや鳴らない。
それが何を意味しているか?
想像は容易に付いた。
しかしそれでも臆するわけにはいかない。
自分は自分の出来ることをするだけなのだ。
玉堤英人(男子十九番)は時折周囲を見渡し、片手に持ったアウトドアナイフを慎重に構えながら歩いていた。
幾ら物音がしないとは言え、これだけは止める訳にはいかなかった。
襲撃されたら一人で耐えるしかない。
それでも現状、もし襲いかかってきた相手が銃を持ち出したらどうしようも無いだろう。
フラウの持っていたグレネードランチャーが今更ながら必要だと感じたが、彼女とケトルの為にもそれだけは出来るはずも無い。
それに――英人がフラウ達を連れ出さなかった理由はあった。
これから英人が行おうとしているのはとても危険なことだ。
賭けと言ってもいい。
これから誰と出会うかだとか、そんなことにも左右されかねないこと。
それには、一人で動いた方が都合がいい。
悪夢の元凶――二階堂永遠(二十二番)らの真相を突き止める。
それが英人の目的だ。
他の生徒にもなるべく死んで欲しくない。
当然、間由佳にも。
――由佳。
本来ならばもっと早めに動くべきだったのだ。
即座に状況を把握し、遺書代わりにUSBメモリに自分の考えを書き込む。
それらは速やかに行えたし、家に出るまでも素早く動くべきだった(それだけに唐突な吉良邑子の登場と尻田堀夫の死にうろたえてしまった)。
もう銃声は何発も響いている。
その撃ち出された弾丸は自分とはおおよそ関係のないような生徒、又は、――由佳に対してコンマ一秒以下のスピードで飛んでいき、そして――いや、もしかしたら逆に由佳が恐怖から罪の無い生徒を撃っているかも知れない。
或いは、また吉良が虐殺を行っているのかも知れない。
その点英人は不安だった。
あの時考えも無しに吉良に「由佳を探して護れ」と指示したが――しかし、それを果たして吉良はどう受け止めたのだろうか?
もしかしたら、吉良自身と自分と由佳以外を皆殺しにするつもりでは?
それが吉良にとっての「護る」と言う意味の解釈であり、そしてそれは――英人がその命令を出したことになる。
もしも、他の生徒が吉良にその間違った情報聞かされていたら?
間違いなく英人を誤解する可能性が出てくる。
吉良の恐ろしさは何より、その奉仕の激しさだ。
本気として受け止める他に何があろうか?
それこそそれを冗談と受け取るのは尻田レベルの無神経さが必要なのだ(もしそれがあれば、そいつは吉良に間違いなく殺される)。
吉良自身はどうなろうが知ったことではない。
しかし、吉良のせいで自分や由佳に危害が及ぶのは真っ平御免だった。
そんなことを考えながら、英人は比較的銃声が多く響いた西側に移動していた。
第一、今は吉良のことを考えている場合ではないだろう。
自分が今、生きていられるかどうかの瀬戸際で。
そして、英人はその吉良よりも恐ろしい相手と戦おうとしている。
その為にはもっと、色々必要になるだろう。
しばらく歩いて、ようやく森を半分抜けきったようだ。
途中で支給されたパンや水に手を付けて休憩した為か、既に空が明るくなりかけている。
吉良と別れてからケトル達と会うまでの間は相当長く感じていたが、しかしそれからはあっさりと時間が経っていたようだ。
もうすぐ、あの若狭の言っていた放送の時間かも知れない。
六時間置きに放送されると言っていた、それが。
そして禁止エリアと言う生徒達を追い詰める為の面倒な要素が追加される。
そんなことを考えた二階堂達が忌々しかった。
どうやってこんなおぞましいことを考えたのだろうか。
精神的に追い詰め、そして殺し合わせる為のルール。
そのこともあったので、英人は殊更現在歩いている場所に神経質になっていた。
地図上、森はC−5、D−5と続いている。
森に進入した方向から考えて、今はD−5とC−5の境目の近くに居るとして間違いなかった。
そしてその西の先には、島で一番大きい住宅街がある。
ここに「人を殺したくないし、自分も死にたくはない」と言うスタンスの誰かが隠れていたりする算段は高い。
とにかく、殺し合いに乗っていないクラスメートを捜すことが重要だった。
特に、二階堂永遠に太刀打ち出来るような強い生徒――を。
風が、吹いた。
英人の身体を通り抜けて、そして森の木々をざわめかせた。
もうその森のシルエットがはっきり分かる程に周囲は明るくなりかけている。
――急がなければ。
そう思い、英人は走り出した。
走り出した途端、視界の右側、何か黒っぽいものが二つ不自然に地面に転がっているのが見えた。
ゴミ袋? 近頃は不法投棄が流行っている。
この島でもそんな悪事が行われて――
――ゴミ袋?
そうではない、と気付いた時には英人はそちらの方向に走り出していた。
ゴミ袋――に見えた、倒れている人影の元へ。
近付けば近付く程、尻田の時の様なあの異臭が強くなった。
もう英人には予測がついた。
そして、もちろんその異臭を出しているのが誰か、というのを調べらなければならない。
残り二メートル程まで近付いた時、ようやく英人は気付いた。
森屋英太(男子二十六番)がボロボロの姿(脚にひどく包帯を巻き付けている)で座り込んで、そしてその脇には、倒れている女子生徒が居る。
英太は魂を失ったように口を半開きにして無表情を保っており、女子生徒の方は背中に数箇所黒い穴が空いて、そして黒い水溜まりが広がって――息絶えているのは明白だった。
「……英人?」
英太が、声をかけてきた。
それよりも英人は息を飲んだ。
その女子生徒の顔自体は英太の身体でまだ見えなかったが――それは――もしかしたら、彼女かも知れない。
覚悟はした。
英太に話し掛けるよりも先に、英人は死体に近寄った。
徐々に頭が見えてきた。
一歩毎に緊張が増していくのが分かった。
じりじりと、吐き気のようなも込み上げてくる。
果たして由佳はここまでスタイルがよかっただろうか?
ぐっと拳を握って、英人は最後の一歩を踏み出した。
口からは大量の血が噴き出した後があって、制服に飛び散っている。
それさえ無ければきっと眠っているようにしか見えないだろう。
その顔は恐怖や驚愕に歪む事なく穏やかだった。
――違った。由佳ではない。
それは仲販遥(女子二十一番)だった。
英人は安堵して、ほっと息を吐いた。
それはゲーム開始以来、英人が見た二つ目の死体だったし、尻田堀夫に比べればずっときれいだった。
しかし――死んでしまった。遥は。
――それを何を安堵しているんだ、僕は?
英人は首を振って、そのことを申し訳なく思うと、改めて英太を見た。
遥と英太はそれほど親しくは見えなかった(自分も、英太とはあまり話をしない)。
それに英太はあまり女子受けするような性格ではない。
「森屋、何があったんだ」
英人がそう聞くと、英太が絶え絶えの声で、言った。
「太田が……やりやがった……」
太田太郎丸忠信(男子六番)の名前が出た。
あの、テニス部の男。
前に由佳とフラウに聞いたことがある――忠信が、女性に暴行していると言う噂。
しかし噂は噂でしかないし、その時自分は本気にしていなかった。
だが――その噂と森屋英太が言っていることが本当ならば、――由佳が危ない!
「殺してやる……」
恨めしそうに、英太が低く呟く。
英人自身、自分から忠信を殺そうとは思わないが、――後に忠信と戦うことになる可能性もある。
仲販遥の死に様から見て太田は銃を持っているのは明らかだ。
その時までに武器を集める必要がある。
「とにかく、動けるか? 診療所が近くにある筈だ」
それはもう把握していた。
住宅街の南側のB−6、つまりここより南西に診療所があるのだ。
「遥は……」
英太が遥を見た。
確かにこのまま死体を曝させておくのは忍びない。
だが周りに危険な人物がうろついている事態を想定すると、地面を掘り返す時間も無い。
そんなことをしていれば隙だらけになる。
英人は周りの落ち葉をかき集めた。
英太が不思議そうに見つめる中、英人は遥の身体に落ち葉を被せ始めた。
「今は埋葬の代わりにこうするしか出来ない、あまり時間をかけられないんだ。分かるだろ?」
遥が埋まっていく中、英太はただその様子を見ていた。
いや――見ることしか出来なかったのだろう。
怪我は見た目以上にひどいらしかった。
「遥……」
英太は、もう一度だけ名前を呟いた。
それから、英人は英太に肩を貸して歩き始めた。
英太が持っていたミサイルランチャー、FIM−92スティンガーはミサイルを装填し直した後に英人が持つことにした。
英人なら左手だけで持ち運ぶことが出来た(もちろん、撃つ時には気をつけなければならないが)し、何より、英太が当座それを扱える状態ではなかったので。
歩いて、しばらくは経った。
空は明るみ、多分、いつ放送が始まってもおかしくない時間帯だった。
英太の動きは未だにおぼつかず、恐らく早々に治療しないとまずいかも知れない。
無闇に見捨てる訳にもいかない。
英人は、とにかく歩いた。
歩いていて――英人達から向かって右側、がさがさと音がした。
そちらに注意を向けると、朝もやの中、一つの影がふらつきながらこちらに走って来て――倒れた。
「あれは……」
英太が声を上げる中、英人はそちらに身体を動かした。
風に乗って血の臭いが激しく英人の鼻孔に入ってくる。
かなり出血しているらしい。
何とか倒れた人影の元まで行くと、英太を降ろして英人は俯せになったそれを肩を持って返した。
それは愛餓夫(男子一番)だった。
右腕が肘から無くなって、そこに巻かれた服から大量に血が噴き出た跡があった。
そして、体中、これは傷付いたわけではなく、腕の血が付いたのだろうけど血まみれになっていた。
そして出血の為か、頭ががくがくと震えて、素人目から見てももう持たないのは確実だった。
「餓夫!」
餓夫のひどい様子を見た英太が叫んだ。
何か餓夫がうわごとのように呟いているのに気付き、英人は耳を傾けた。
「……北沢……」
北沢――北沢樹里(女子八番)のことだろうか?
もしかしてその樹里にやられたのか?
やはり樹里も殺し合いに乗って?
「あの糞アマ」
恨めしそうに、はっきりと餓夫は言った。
それだけだった。
英人はもう一度肩を揺さ振った。
484 :
創る名無しに見る名無し:2009/02/22(日) 15:03:36 ID:ClJVr8ON
支援します
もう、餓夫は息をしていなかった。
乾きかけていた腕の服の包帯から、また僅かに血が滲んでいた。
「……餓夫!」
ただ英太は、俯いて歯を食いしばっていた。
餓夫の死体に向かって、座り込みながら。
「ちくしょう」
英太は、そうとしか言えなかった。
これで三人目だ。
一方で英人は思った。
何故か仲販遥に比べ、愛餓夫に対しては軽蔑の感情しか湧かなかったのだ。
餓夫は太田太郎丸忠信と友人だった筈であり、そして――そもそもこれは信用するに値しない情報かも知れない。
樹里を襲ったところを反撃された可能性もある。
いずれにしても樹里を警戒しなければならないのは確かだが。
英太は餓夫の死を悔やんでいた。
遥のこともあるのだろう。
――だが僕達が餓夫に一体何が出来た?
出来ることなんてない、初めから。
しかし、それを抜いてもまだしなければならないことはある。
二階堂永遠達を倒し、この殺し合いを止めさせる為に。
どうしても、何があっても。
英人はなんとしてもそれを成し遂げなければならない。
因果の輪を断ち切る為に――
【D−5 森/一日目・早朝】
【男子十九番:玉堤英人】
【1:僕(たち) 2:君(たち) 3:あの人、あいつ(ら)、○○(名前呼び捨て)】
[状態]:健康
[装備]:FIM-92スティンガー(1/1)
[道具]:支給品一式、USBメモリ、アウトドアナイフ
[思考・状況]
基本思考:間由佳と合流したい。主催側がどうなっているか知りたい。
0:ゲームに乗る気はない。基本的に身を潜めてやり過ごす。
1:吉良よりも先に由佳と合流する。ゲームに乗っていない生徒に会ったら彼女(吉良)は危険だと知らせる
2:二階堂に勝てそうな奴を捜してUSBメモリを渡すor共に行動する。
3:武装面での不安要素は拭えないため、ゲームに乗っている生徒に会ったら逃げる 4:森屋の治療の為に診療所に向かう
5:念のため樹里には警戒する
[備考欄]
※USBメモリに玉堤英人の推測を書いたデータが入っています。
※愛餓夫の言葉を疑っています。
【男子二十六番:森屋英太】
【1:俺(たち) 2:お前(ら) 3:あいつ(ら)、○○(名前呼び捨て、女子限定で名字さん付けで、脳内ではフルネーム)】
[状態]:疲労(大)、スティンガー発射の反動と足に受けた散弾の傷の影響でほとんど動けない(散弾の傷には包帯を巻いている)、制服の下に何も着てない
[装備]:なし
[道具]:支給品一式×2、小型ミサイル×2、赤い液体の入った注射器×3(詳細不明)
[思考・状況]
基本思考:………………
0:…………遥…
1:英人と共に診療所に向かう
2:餓夫……
[備考欄]
※北沢樹里がマーダーだと認識しました。
【男子一番:愛餓夫 死亡】
【残り40人】
投下終了です。
支援感謝します
少し完成が遅れています。今晩中には投下します。
>>487 投下乙!
ああ、餓夫。やっぱり永くは保たなかったか。しかしよくぞここまで走った。
投下乙です。
また酷い誤解フラグが生まれましたね…
投下します
支援。
492 :
創る名無しに見る名無し:2009/02/22(日) 22:23:05 ID:YqiQl0Vp
支援
ワインボトルを拝借した民家に身を隠そうと、志緒里の死体をそのまま放置したまま、そこへ一目散に逃げた。平常を装おうとしても、焦りが募って来る。
少なくともこれで、弟の健二とは絶対に遭遇できなくなってしまった。
今となっては自分の軽率な行動を後悔してしまう。だけどももう後には引き返せないだろう。
できるだけ自分の手を汚したくない――――できれば自分が知らぬ存ぜぬような場所で、勝手に同士討ちになってほしいと願うばかりだ。
自分が軽い気持ちで立てた人殺しの覚悟よりも、きっと強固な覚悟を持った“イカレヤロー”がいてくれるはずだ。
だが、暮員さんは?彼女だけは―――そばにいてほしかった。
そんなことを思いながら、白崎篠一郎は、黴臭いワインセラーの中に蹲り、震えていた。
―――――――
市街地まで、とぼとぼと歩みを進めていた。
少なくとも二人。太田太郎丸忠信とエルフィに、自分がこのゲームに乗っていると知られてしまった。
どうしてもっとよくあの場を捜さなかったのか、どうして執念深く殺しに掛からなかったのか後悔している。
保身のためではない。太田を始めとする“英人の敵”を、一人でも殺さなければ……英人は自分が護らなければ。
使命感にも似た志は、日常の中で得た全てを手放してでも、英人を護りたい。
「そのためなら、“英人の敵”でなくとも、私は躊躇なく殺すよ…」
だが、その強固な志も、一瞬だけ揺らいだ。
住宅街に差し掛かったところで、間由佳は、クラスメイトの一人である神崎志緒里の死体を発見した。
彼女の背中には、抉られたような刺し傷があり、尚且つ額には二発の弾痕があった。
辺りには嗅いだこともないような異臭が立ち込め、辺りは血が溢れだしていた。
そして、蝿が数匹彼女の傷口周辺を飛び交っていた。
死んでいることは確実。
その光景に、目を覆った。だが、そむけることは正しくないと言うことも、由佳は即時に理解した。
「これから、似たような光景を、私は見続ける……作り続けるんだ…」
由佳は、再び決心すると、ゆっくりと目を覆っていた両手を退け、死体のある場所から先を見つめた。
もうじき夜が明ける。暗くてよく見えなかった目も慣れてきた。
「……? 何かしら?」
由佳はふと、地面に目をやった。
血に濡れた足跡が、そこには克明に刻まれていた。それも、その足跡の血は微妙に錆びついている。
それを辿ると、一つの民家にたどりついた。10数m先の民家。
外に向けて歩いた足跡は見られない。
靴を変えたかもしれないし、裏口から出たのかもしれない。
それでも間由佳は、その民家に足を踏み入れていた。
白崎は、扉が再び開くのを耳で確認していた。
ギギギーと軋む古いドアの音が、彼の心や神経を逆撫でする。
そして、ゆっくりと近づいてくる足音が、床を少しだけ軋ませる。
軋み具合から判断して、体重が軽い男子か、女子と言う事が推測できる。
ひょっとして、暮員さんか?という淡い希望を少しだけ抱きもした。
足音は、相変わらずゆっくりとこちらに迫ってくる。
そうして、ワインセラーの前で、その足音がとまった。
扉の隙間から、光が見えている。淡く細い光。懐中電灯などの携帯灯のそれらしい。
扉が少しだけ開き、漏れる光が少しだけ大きくなった途端に、白崎は動いていた。
―――――
ドアが完全に開き、由佳は部屋に足を踏み入れた。
どうやら誰もいないようだ。そして、入り口には、丁寧に揃えられた靴がわざとらしく置かれていた。
銃と懐中電灯を構え、部屋を見回す。この部屋はひどく狭いうえに、どことなく黴臭く、死体の放つ異臭とはまた違う臭いが立ち込めていた。
部屋の両端に懐中電灯を見ると、ワインが横に寝かされた状態でいくつも配置されていた。
「………誰もいないの?」
構えを持続したまま、部屋の奥へとどんどん進んでいく。
だが、由佳は突然足を止める。ギギギーと、あのドアが軋む音が、すぐ後ろで木霊した。
ドアが閉まり、部屋の中は完全に闇に染まった。
由佳は、ドアが閉まる直前に、懐中電灯を一瞬だけ向けたら、確かにそこに人がいたのだ。
クラスメイトの白崎篠一郎の姿が見えた。
「やあ…間さんでしたか」
「白崎君…………あなたがひょっとして……」
由佳は少しだけ驚いて、一歩後ずさると、再び銃と懐中電灯を彼に向けた。
「外の状況を見ましたか? ええ予想通りです。神崎さんは僕が殺しました」
白崎は、特に悪びれるわけでもなく、喜劇役者やコメディアンのような妙なそぶりを伴いながら言った。
「近寄らないで。殺すわよ」
「じゃあ間さん。こちらからも言わせてくれ。『まぶしいから懐中電灯をこちらに向けるな。殺すわよ』」
「うるさい!うるさい!うるさい! そんなこと関係ないわよ!あんたも殺す…どっちみち殺すんだから……」
白崎の奇妙な言動に、由佳は歯噛みしながら叫んだ。
「分かってないなあ間さん。状況は一緒なんですよ」
志緒里から奪った銃を、白崎は由佳に向けた。
「何よ……あんたも邪魔すんの?! 私はただ……」
「『英人に生きてほしいだけなのよ!!』」
「!?」
由佳は、言おうとした言葉がすでに白崎の口から放たれていることに驚いた。
「ふざけないで!」
「『殺すわよ!!』でしょう? 相変わらず陳腐なセリフばかり吐きますね」
「うるさい!もうあんたと話すことなんてないわ!」
「『死んで!!』でしょう? 少し考えるだけで思い浮かびますよ。まるでスランプの脚本家……」
白崎が、由佳にそう言いかけた瞬間、彼女は間髪いれずに発砲していた。
「死ねえ……あんたなんか死んじゃえ…………」
由佳は、蚊が飛び交うような声で呟きながら、再び銃口を白崎に向けた。
初撃を由佳は外したようだ。それは幸いだったが、もう既に次の引き金は、引かれようとしていた。
「英人以外みんな死んじゃえばいいんだ………死ねえぇぇぇえええええ」
とっさに、白崎は身を翻し弾丸を躱すと、棚からワインボトルを一つ手に取り、そのまま銃弾が外れたことに呆気に取られている由佳の頭を、ワインボトルで殴った。
ワインボトルは、その時点で割れ砕けた。飛び散る破片が由佳の頭を切り裂き、血が迸る。
そのまま由佳は鈍い唸り声と共に沈んだ。
「ひどい言い草だ……こちらとしては無駄に怒るのは疲れるから嫌なのに」
「間さんも無駄に叫んだりして喉乾いたでしょう? 幸いここには飲み物は沢山あるから呑むといいですよ」
倒れた由佳を起き上がらせると、白崎は、棚から適当に選んだワインボトルを取り出し、由佳の手元から奪い取った銃で、コルクごとボトルの先端を弾き飛ばし、そのまま溢れ出るワインを由佳の口に流し込んだ。
由佳は薄れゆく意識の中で、異常なほど甘ったるい吐き気を催していた。
「……う…ん……」
由佳は、暖かい感触を背中に感じ、目が覚めた。
目が覚めた。と言うべきだろうか?気絶していたと言うより記憶がすっぽり数分だけ抜け飛んだような、変な感じだった。
それと同時に、由佳はすぐさまある異変に気付いた。
世界が歪んで見えた。そして、自分は、落ちた。
落ちて、右肩を打った。
夢や現の類と思っていたが、痛みを経験しても、世界は尚歪みを維持している。
「まさか……」
そう思った言葉すら、口から吐き出されることはない。自分は、確実に、さっきの酒に酔っている。
あまり働かなくなってしまった脳でも、この事実だけはちゃんと認識できた。
どうやら、自分はリビングのソファーに寝かされていたようだ。
おまけに頭には包帯が巻かれていた。止血もちゃんとできているし、痛みはほとんどない(酔いの影響かもしれないが)
近くの部屋で、どこかで聞いたような鼻歌を口ずさみながら、白崎がこちらに向かってきた。
とっさに銃を取ろうとする。ソファーの近くのテーブルに置かれているはずの銃・グロック19を。
だが、取れないのだ。何故か。視界がブレる。世界が歪んでいるように。
これも
「意外と早く目が覚めましたね。」
白崎は、封が切られた魚肉ソーセージを2本盛りつけた皿をテーブルの上に置くと、由佳が座っていたソファーに腰かけた。
「……わらしを…ころすの?」
酔いの影響か、舌が回らない。冷静になろうとしても、気分が悪くなるだけだ。
覚悟するしかないのか? 自分は英人を護れないのか?
由佳は自分の不甲斐なさを悔いた。
悔いると同時に、少しでも生きていたいと思った。
「いえ。殺しません。利用価値がありますからね」
だが、白崎が発した言葉は違った。白崎は、テーブルの上の銃を由佳のデイパックの中に仕舞う、魚肉ソーセージを葉巻のように口の右側に銜えながら由佳にそう言ったのだ。
「今の間さんは、話すのが辛いでしょうね。だから勝手に自分語りますよ」
「貴方は玉堤君を捜している。僕は暮員さんを捜している。ここは大切な者と共に死地に立つ同志として…一時停戦とし、互いを利用し合いませんかね?」
「…………利用し合う…」
「いいじゃらいの。とりあえず…のったわ……」
床に這いつくばった状態で不敵な笑みを浮かべる白崎を見上げて、由佳もまた、それに類似した笑みを浮かべた。
【E-6 民家/一日目・黎明】
【女子二十三番:間由佳(はざま-ゆか)】
【1:あたし(達) 2:あんた(達) 3:あいつ、○○さん(達)】
[状態]:頭に切り傷(白崎が治療)、酩酊状態、呂律が回らない、まともに立てない
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、グロック19(10/15)、グロック19のマガジン(2)
[思考・状況]
基本思考:玉堤英人を生き残らせる(優勝させる)
0:白崎に協力してもらいたい(ムカつくので遅かれ早かれ殺したい)
1:英人を捜す
2:頭が…………
[備考欄]
※酒に酔っています
【男子十五番:白崎篠一郎(しらさき-じょういちろう)】
【1:僕(ら) 2:貴方(たち) 3:○○(名字さん付け)】
[状態]:右肩に裂傷(応急処置済み)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、予備用38スペシャル弾(42/42) 、ボウイナイフ、S&W M10(2/6)、縫い針
[思考・状況]
基本思考:スタンスをコロコロ変える
0:暮員さんに会いたい。
1:由佳の酔いが醒めるまで待ち、玉堤英人捜しに協力する。
2:気が変わったら由佳を殺す。
投下終了です。支援感謝します
×床に這いつくばった状態で不敵な笑みを浮かべる白崎を見上げて、由佳もまた、それに類似した笑みを浮かべた。
○床に這いつくばった状態で、不敵な笑みを浮かべる白崎を見上げて、由佳もまたそれに類似した笑みを浮かべた。
投下乙。
づっつーと暮員さんの奉仕マーダー二人が手を組んだか。
二人ともヤンデレだけど即殺しに掛からない辺りが人間ぽくていいですね。
投下乙です。
白崎の行動が予測不可で面白い。
由佳もかなり病んできてるw
投下乙!
由佳のキャラがようやく判明。白崎も一風変わったマーダーで素敵。
投下します。
502 :
創る名無しに見る名無し:2009/02/22(日) 23:08:51 ID:YqiQl0Vp
支援
「……くそっ……どうしちまったんだよ……私は……!」
森屋達と別れてからずいぶん走った。長い森林地帯が途切れたのか、建物がぽつぽつと見え始める。
家の壁にもたれかけ、シルヴィアはその場に座り込んだ。
胸の鼓動が治まらないのは走って息が切れているからかそれとも―。
(駄目だ…このままじゃ!迷いを、捨てなきゃ!)
庭を良く見ると物干し竿が立てかけてある。
それを手に取り、十分な強度を持っていることを確認したシルヴィアは、
「はぁ!」
両手に構えたそれをブロック塀に振り降ろした。
充分な速度と絶妙な角度から入った衝撃は丈夫な筈の石造りの塀に縦の長い罅を入れる。
シルヴィアは元々棒術の使い手だ。不慣れな銃火器などなくても十分過ぎるほど戦える。
少し離れた場所で、枝を踏む音がした。
誰かが近くに居る。
(今度こそ、やってやる。頭を、後ろから一気に叩き割る)
息を殺して人影に近づき、間合いに入ったと同時に獲物を振り上げる。
(…悪いなお前、ごめんな遥、英太。―でも私は!)
「そう言えば昔、道場を幾つか掛けもちしてた爺ちゃんの弟子の一人に変わった娘がいたという話を聞いたことがあるな。」
(!?)
目の前の男が持っていた鉄パイプが、振り向きもせずシルヴィアの物干し竿を防いでいた。
「その子は獣人と人間のハーフで、それにコンプレックスを抱いていたらしい。
それを克服すために磨いた技術それはそれは素晴らしいものだった、と爺ちゃんは喜んでいたな。
だから辞めた時は結構ショックを受けてたよ。」
男は振り向きざまに棒を高速で薙ぎ払い、シルヴィアはあわてて後ろに跳び後退する。
(気付いていたのか?こいつ?)
「唐突にさっきのことを思い出したよ。まぁ、俺には関係のない話だけどな。
俺と同門出身だったのか?シルヴィアとやら。」
「いや…それは私も初耳だったね。鈴木正一郎…だったかな?」
「一つ聞きたいんだが、松村友枝を見なかったか?」
「…悪いが、そいつには遭っていない。」
残念そうな顔をする鈴木をシルヴィアは冷や汗を流して睨みつけていた。
漂う雰囲気が今まで遭遇した奴らとは何か根本的に違っている。
間違いなく人なのに、まるで機械のように無機質。
「…ところで、いきなり襲ってきたよな?
お前も、他のクラスメイトの奴らを殺す気なのか?」
冷やかな声で質問する。
その問いに対する答えは、とうの昔に決めたものだ。
「…ああ!私はお前らが憎い!私をを見下した奴も、
私を守りもせず嘲笑っていた奴も、どいつもこいつも!みんな私が殺してやる!」
「そうか。じゃ、――さよならだ、シルヴィア。」
鉄パイプを両手に構え、鈴木はこちらへ向かってきた。
(あの構え…鈴木も棒術の使い手。しかも私と同じ流派「九鬼信流棒術」。)
棒術は突き、払い、切りという間合いの操作を学ぶためのものとして、
あらゆる総合武術の基本稽古に位置づけられている。
上位の有段者は驚異的な空間把握能力を有し距離を操作することで
技の威力を自在に操作できるとされる。
シルヴィアももちろん有段者であるが、鈴木もその可能性が非常に高い。
(…でも!)
まず、負ける気がしなかった。
シルヴィアが道場を辞めた理由の一つは同じ体格の半獣人と人間が
試合をすると相手では勝負にならなかった、というのがある。
コンプレックスを払拭する為に始めた武道がさらそれをに助長させることになるとはなんたる皮肉か。
鈴木の鋭い突きを間一髪で避け、避けた時の回転する動作を利用して
横へ一気に薙ぎ払う。だがその動作は読まれていたのか鈴木は既に手元に戻っていた
鉄パイプを縦に構えてそれを防いだ。
「へぇ、やるじゃん。――でもさぁ。」
「…何!?」
気が付くと、鈴木の左腕から伸びた何かが武器をシルヴィアの腕ごと絡め取っていた。
(鎖?)
「一つの武器に拘ってるようじゃ、まだまだ。」
体を鎖を絡まった鎖ごと勢いよく引きこまれたシルヴィアの腹に二人分の体重をかけた鋭い蹴りが入る。
女の子だからといって、手加減している様子は全く無かった。
「げぁ!?」
そのままかなり遠くまで吹き飛び、吐瀉物を撒き散らして悶絶した。
正一郎の行動自体は一見単純だがまったく反応出来ない。
そもそも密着状態でコンマ何秒の間隔で唐突に構えを何度も変えるような変則的な動きは常人には不可能。
シルヴィアは喧嘩が強いと言っても獣人に於いての常識レベル程度の強さでしかない。
だが殺人に対する躊躇と迷いを捨てたこの男の強さは、既に人間は愚か獣人の常識の範疇すら超えていた。
「あー、もう終わりか?」
鞄から何か別の武器を取り出そうとしながら鈴木が倒れたシルヴィアに近づいてくる。
(…ぐ…なんだ…?銃でももってんのか?…冗談じゃない!こんなとこで、死んでたまるか…。)
しかし体が動かない。激痛からして下手すればさっきの衝撃で肋骨が折れている可能性がある。
(糞ぉ!畜生!動け!動け!動け!動け!)
「じゃあな、シルヴィ
「ちょっと待ったーーー!!」
何かが、二人の間に割って入るように、勢いよく投げつけられた。
その軌道に居た鈴木は後退しそれをかわす。
「…石?」
「おい!何やってんだ!」
「え…鈴木君と…シルヴィアさん!?」
石を投げた人物、加賀智通とその隣に居る古賀葉子は、二人の元へ駆けてきた。
支援
しえん
509 :
創る名無しに見る名無し:2009/02/22(日) 23:12:40 ID:UlvgOH8j
「鈴木!てめぇ!何てことしやがる!」
「この女が襲ってきた。危険だから対処したまでだ。」
「だからって!ここまですることかよ!?」
「大丈夫?シルヴィアさん?」
「……あ?」
ようやく、ゆっくりと上半身を起こせるようになったシルヴィアは、古賀の隣の男に話かけた。
「…お前、加賀智通か?英太とよくつるんでた。」
「え?何で知ってんの?あんま喋ったことなかったじゃん?」
「…さっき、遭ったんだよ。森の奥の方でな。」
「え!!マジ!?」
「……ははっ……畜生……。」
「…シルヴィアさん?」
目から、何かが溢れている。
二度も助けられた。森屋に、今度は森屋の友達に。
(…情けないないなぁ…本当…こんなの…いっそ死んだ方がマシじゃね…?)
自分の中の何かが終わったような気がして、肩を落とした。
少なくとも、もう、殺せない。もう、こいつらを憎めない。
「大丈夫?立ち上がれるか?肩を貸してやるから、しっかり
「加賀、そこをどけ。そいつは危ない。」
「鈴木、いい加減にしろよ!」
加賀は自分の支給品である片手用の電動式回転鋸、チップカットソーを取り出し、鈴木に向けて構える。
「いいからもう止めろ。俺もこんな痛そうなもん、人相手に使いたくない。」
「加賀、なんの真似だ?なぜそいつを庇う?その凶器でこれからどうするつもりだ?」
「別にどうもしねぇよ。でも、お前がまだシルヴィアを痛振るってんなら俺はお前を!」
「そうか―――――――つまりそれは、貴様も殺し合いに乗ったと認識していいのか?」
「え?」
正一郎の右手が鞄の中に突っ込まれたのが見えた次の瞬間、突然加賀は息苦しさに襲われた。
違和感の正体を確認する為、首を下に向けそれを黙視する。
「・・・ぁ・・・?」
加賀の喉を正一郎のアイスピックが貫通していた。
「残念だな。本当に、残念だ。」
アイスピックが素早く引き抜かれ、空いた穴から血が勢いよく吹き出る。
ふいに、古賀葉子にさっき自分が語った台詞を思い出した。
――俺一人だと説得出来ないかもしれないヤツ、いるだろ?――
(……マジ、か……よ……。)
酸素の供給が途絶えて急激に機能を失った加賀の脳は、
自分がBADENDを迎えてしまったという事実の認識を最期に、その役目を終えた。
「……え……?」
加賀の体がうつ伏せに倒れ伏す。首から血が溢れ、徐々に池を作っていった。
突然起こった惨劇に認識が付いてこれず、シルヴィアと葉子は唖然とするしかなかった。
(…加賀君?嘘?死ぬわけないじゃん?さっきまで喋ってたじゃん。
ここはリアルなんだよ?シティーの世界じゃないんだから。あ、ははっ。)
「古賀。お前はどうなんだ?乗っているのか?乗っているんなら、俺はお前も。」
鈴木の手に、血のついたアイスピックが握られている。それを見て、ようやく、
「い………………いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
認識が追い付き、葉子は絶叫した。
シルヴィアは惨状を膠着して見つめていた。
殺し合いには乗っていたものの、この島に来た初めてラト以外に人が死んだのを目撃する。
自分を助けようとした英太の友達が、目の前に倒れている。
そのとき、なぜか、親友の死に悲しむ森屋の顔が浮かび上がった。
今はともかく森屋が生きていればこの先必ず彼はこのことを知ることになる。
そして、これから森屋をそんな目に合わせるこの男が、
今まで自分を、嘲笑ったり、見下したり、虐めたりしてきた、どんな奴よりも憎かった。
「鈴木ぃぃぃぃぃぃ!貴様ぁぁぁぁぁぁ!!」
勢いよく跳ね起き、正一郎にタックルをかます。
「ぐ!?」
「…おい!ぼさっとすんな!早く逃げろ!古賀!」
「…え?」
シルヴィアが正一郎を羽交い絞めにしている。
少し錯乱から回復した葉子は、血の池に倒れてる目が行った。
「だ、駄目だよ!加賀君が、加賀君がぁ!」
「もう諦めろ!いいから早く!私がこの馬鹿を押さえるから――!」
「人聞きの悪いことを言うな。」
正一郎は既に、今拾った加賀が所持していたチップカットソーに右手の得物を持ち替えている。
片手でスイッチを入れ、激しい駆動音とともに起動したそれを躊躇なくシルヴィアの肩に押し付ける。
刃がぶちぶちと嫌な音を立てて回転し、激しく血飛沫と肉片が舞った。
「が…ぎゃあぁぁぁぁぁぁ!!」
「シルヴィアさん!!!」
古賀の顔が蒼白に染まる。
だが、それでも、シルヴィアは叫んだ。
sien
「…とっ…どと…行げぇぇぇぇ!!!!」
「……う…ぅ……ぅぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
半乱狂になった葉子は、その地獄から逃避するように、耳を両手で塞いでその場を駆け去った。
◆ ◆ ◆
「はぁ…はぁ…。」
どれくらい離れたのか。葉子は息を切らして樹にもたれかかった。
もしかしたらそれほど離れてないのかもしれない。自分の運動不足を呪い、そして。
「う…おぷ…。」
その場で吐いた。
決してリアルでみたくなかった死体を見てしまった。
それもよりによって、さっきまで楽しく喋っていた加賀智通の。
おまけに、逃げた自分はシルヴィアを見殺しにしたに等しい。
「う…ひぐっ…加賀君…シルヴィアさん…!…なんで…なんでよ…!?」
絶望に打ちひしがれて、古賀葉子は一人で泣き崩れた。
「…リン…何処に居るの?…助…けてよ…。」
【C-5 森/一日目・黎明】
【女子十五番:古賀葉子】
【1:あたし(達) 2:あなた(達) 3:○○くん、○○さん(達)】
[状態]:疲労(肉体精神共々、大)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、不明支給品
[思考・状況]
基本思考:生き残りたい、罪悪感
0:とにかく逃げる
1:リンが気になる
2:死体はもう見たくない
[備考欄]
※鈴木正一郎を殺し合いに乗った危険人物と認識しました
※シルヴィアが自分を助けてくれたのだと思ってます
――――――――――――――――――――――――
びー
しるびー?
(・・・あ?)
「シルビー、起きた?」
唐突に目を覚ます。目の前にはクォーターの猫族、サーシャが自分の顔を覗き込んでいる。
辺りが騒がしい。机の上を片付け、みなが動き出していた。
ここは教室。どうやら退屈な授業中に眠ってしまい、そのまま昼休みを迎えたようだ。
(と、いうことは…夢?ああ、そうか、夢だったんだ。やれやれ。)
「サーシャ?」
「本当、ひどい夢を見たわ。私達が殺し合いをさせられるの。私はショットガンをもって
みんなを追いかけまわすんだけど、最後には…。」
「シ、シルビー?何か嫌なことでもあったの?あ!…ごめんなさい!ひょっとして私のせい!?
いつもしつこく昼休み一緒に食べようって誘うから!?」
「何言ってんのよアンタは。」
不意に、教室の窓際のほうに目を配る。
森屋英太と加賀智通が相変わらず馬鹿な会話をしているようだ。
内心ほっとして、しかしなぜあの二人が目立っていたのか不思議に思い、ちょっと顔が赤くなる。
「ごめんねシルビー!イヤならいいよ!じゃあ、またね。」
「…待った!」
立ち去ろうとするサーシャの腕をつかんだ。
確かに、自分はサーシャのことをあまり良く思っていない。
彼女の父親は大企業の社長で、家庭も裕福。歪んだ環境で育った自分とはあまりに違う。
でも、それはあくまで表面的なものだ。
自分は今まで、、好意的に喋りかけてくる彼女の何を見ようとしていたのだろう。
支援
支援
517 :
転載:2009/02/22(日) 23:24:38 ID:ClJVr8ON
廊下側の席で、仲販遥が長谷川沙羅と楽しそうに喋っている。
そうだ、夢の中の彼彼女らは殺し合いの中でも変わらず接してくれたではないか。
(今なら、信じられるのかもね。)
「学食、一緒に行きましょ、サーシャ。今度の修学旅行、楽しみね。」
「…うん!」
サーシャは本当に幸せそうに微笑んだ。
これから先程見ていた夢とは違う、楽しい何かが始まるのだ。
そう信じて、シルヴィアも笑った。満天の笑みで。
(今度こそ、みんなで楽しく過ごせたら、い
そこで、シルヴィアの意識は途切れた。
――――――――――――――――――――――――
住宅街に明かりは灯っておらず、月光だけが辺りを照らす。
絶叫はとうに止み、辺りは静寂に包まれている。
体中にこびり付いた血のりを拭き取る作業を終えた正一郎は、
少し離れた位置に横たわる加賀智通の遺体とかつてシルヴィアだった物を一瞥し、
「……ちっ……。」
流石に罪悪感が生じたのか軽く舌打ちをした。
(なんでクラスメイト同士でこんなことしなきゃならないんだ?
若狭…裏に居る黒幕連中め…何考えてやがる…!)
本来打倒すべき対象を思い出し、素早く罪悪感を忘却する。
(さて、どうする。古賀葉子はどっちへ行ったっけ?
あいつは殺し合いに乗ってるのか?誤解されると面倒だな。)
考えを一旦止め、首を鳴らしてリラックスする。
518 :
転載:2009/02/22(日) 23:25:13 ID:ClJVr8ON
「まあいい、いずれにせよやるべきことは、もう決まっている。」
再び、何処かへ向かって真っ直ぐ歩き出した。
鈴木正一郎は迷わない。
殺し合いに乗ってしまった奴らを始末する為に。
殺し合いに乗らない本当にいい奴らを護る為に。
迷わないから気付けない。
もしもこの殺し合いを傍観する者が居たとすれば、
彼女らは彼のことをこう呼称するだろう。
―――「マーダー」と。
【C-6 森/一日目・黎明】
【男子十五番:鈴木 正一郎(すずき−せいいちろう)】
【1:俺(ら) 2:あんた(たち) 3:○○(名字さん付け)】
[状態]:疲労(中)
[装備]:チップカットソー(バッテリー残り90%)
[道具]:支給品一式×2、不明支給品(確認済み。武器ではない)、アイスピック、
バイクのチェーン(現地調達)錆びた鉄パイプ(現地調達)
[思考・状況]
基本思考:脱出派(危険思想対主催)
0:危険人物と判断した奴を殺しながら脱出の道を探す
1:歩いてる間に古賀葉子をどうするか決める
2:生きているかもしれない松村友枝と、事の一部始終を知る朱広竜を探す
3:脱出不可能なら自分以外の誰か一人を生き残らせる
[備考欄]
※ 彼はクラスメイトの人間関係を色々誤解しています
※B-5に加賀智通とシルヴィアの死体が放置されています。
【男子七番:加賀智通 死亡】
【女子十七番:シルヴィア 死亡】
【残り38人】
転載終了。そして投下乙です。
鈴木は本当にどうしようもない奴だなw
ある意味では久世と近いタイプの“悪”なんだろうな…
そしてシルヴィア……せっかく足を洗ったのに結局何もかも報われなかったな…
何度もレスしてすいません。
朱広竜、古賀葉子で予約します
投下・転載乙です。
鈴木が強い。
加賀とシルヴィアの死を見てしまった葉子の運命は!?
◆d6BHdrg3aY氏にはそろそろ何らかの返事をしてもらいたいです
エルフィ、エヴィアン、ノーチラス、W・N・スペンサー、内木聡右
で予約します。
ちょっと繋ぎに外伝を投下します。
ちなみに予約消化には支障はありません
これは7年ほど前の出来事になる。
当時小学5年生だったノーチラスは、土曜日。いつものように市内方面行き18時の電車へ、意気揚々と乗り込む。
彼の思惑通り、車内は満員だった。
そして、車内に、どのような人が乗っているのか、素早くチェックし、今日もまたターゲットを見つけてた。
ひときわスカートが短く、制服のボタンを二つも外しているかなり刺激的な金髪の女子高生だ。
体勢を崩し、ドアに凭れかかっていることから推測して、少なくとも2駅前以上から乗っていて、あと1〜2駅で降りると考えられる。
そして、更に幸いなことに、その女子高生の周辺には、“結界”が張られていたのだ。
ここで言う結界とは、魔術の類染みた摩訶不思議なものではなく、ノーチラスが勝手に用語可した、要するに人の壁だ。
女子高生の四方には、新聞を読むサラリーマンを始め、四人が、彼女を取り囲むように配置されていた。
もちろん彼らはこの女子高生に痴漢を働くつもりは毛頭ない。
だが、いたいけな小学生と、家庭に疲れた中年。
仮に車内で痴漢を騒がれたとしても、疑われるのは間違いなく後者だ。
そして、女子高生を取り囲む四人の男のうち、二人が獣人と言うから、好都合だ。
久しぶりにグローブをはめることなく、直に尻や乳を触れることに、ノーチラスは密かに歓喜し、いつも通り空き席を探す振りをして女子高生の方へとまっすぐ脚を伸ばした。
ドアの外を見ていた女子高生は、尻に奇妙な不快感を覚え、一瞬だけ後ろを振り返った。
一番疑わしい近くの四人(感触から判断して獣人の二人を重点的に)
だが、不意に振り返ったにも関わらず、その四人は、いずれも全く動じることはなかった。
不思議に思いもしたが、どうせ次の駅で降りるのだからと、見逃そうと思っていた。
その女子高生の背丈は、ちょうどノーチラスよりも6cmほど高かった。“結界”の後ろから尻を触るのは、安全策であるが、ノーチラスは不満も覚えていた。
尻も柔らかいが、いつものように冒険もしてみたい。
つまり何を狙うかと言うと、ノーチラスは、むしょうにこの女子高生の乳が揉みたかった。
先ほど尻を触った時も無反応だったことから推測して、恐らく彼女は痴漢を怖がっている。
好都合だった。
幸い、周りの客もこちらには興味を示そうとしない。
ノーチラスは、少し待った。だが既に答えは出ている。
そして、次の停車駅。そこに着いて、電車が止まった直後に、ノーチラスは“結界”の中に入り、手を上にのばして、そのままたわわに実った乳を鷲掴みにした。
「ひっ」
女子高生の少々引き気味の低い叫びに、ノーチラスは「しまった!」と自分の出過ぎた行動を諌めたが、それでもこの乳を手放すことはできなかった。
ドアが開くと同時に、女子高生は、ノーチラスの右手を掴んだ。
「やっぱりバレてた!」
心の中でそう叫んだころにはもう遅かった。
女子高生はすでにこちらを向いていた。
彼女は、少し驚いた風だったが、その呆気に取られた顔も、すぐに無理な笑いをまとった怒り顔に変貌した。
不味い……このままじゃ駅員に引き渡されちまう。
そのことを恐れたノーチラスは、もう一度女子高生の乳を強く揉みしだいた。
この判断によって、最終的にノーチラスは駅員に引き渡されるケースを逃れる。
だが、この判断が、紛れもなくそれ以上に最悪な結果を残してしまうことは、彼には予想することはできなかった。
527 :
創る名無しに見る名無し:2009/02/25(水) 00:42:54 ID:pLYcB8Aj
支援
女子高生の上半身に身につけていた制服とブラは、次の瞬間跡形もなく消し飛んだ。
女子高生は赤面し、己の乳が大衆の眼前に晒されていることを確認するととっさに左手でそれを隠し、そのまま掴んでいたノーチラスの右手を引っ張って、人がまだ沢山いるプラットホームに投げ飛ばした。
その直後にノーチラスは、後頭部を打って気絶した。
――――――――――
ノーチラスは、気がつくとトイレの個室の中。洋式トイレに座っていた。だが、立ち上がれない。貯水タンクに縄で括りつけられている。
個室のドアは開いていて、眼前には先ほどの女子高生(ジャンパーを羽織っていて、ジッパーは完全に閉めている)と、他にも数人の女子高生。いずれもスタンガンや金属バットなどを持っている。
明らかに殺る気満々だった。
実際体中が濡れているし、頭だけじゃなくそこらじゅうが痛い。
電気は消されていて暗いが、自分の体に赤紫色の痣はハッキリ見えた。
女子高生が何を言っているのか全く聞き取れないが、どうやら次撃は迫っているようだ。
意識が朦朧とする。これはマジに死ぬかもしれない。
だが何だろう?ノーチラスは、何故か今確実に、今までとは違うものを感じずにはいられなかった。
痛みと共に、快感にも似た何かが襲ってくる。
その理由は、今のノーチラスには分からない。だが、すぐに分かることになる。
「やめなさい!」
一人の女性と数人の刑事が、暗いトイレの中に入ってきた。
ノーチラスは保護された。担架で運ばれる途中。朦朧とする意識の中で、あの女子高生たちがパトカーで連れて行かれるのを見ていた。
「あなたにも落ち度はあるみたいだから今回の件は……」
この女の人の難しい言葉は、完璧に聞き流していた。
その後は救急車で病院に直行。
ズキズキと痛む頭に、病院のベッドで親父の拳骨を喰らったところで、再び意識はぷっつりだ。
意識が戻ったあとノーチラスが、暗黒面に堕ちたのと言うのは恐らく言うまでもないだろう。
ノーチラスに付き添っていた女性はノーチラスの父親に軽く会釈をして、病室を出ると、携帯電話を取り出した。
そうして移動しながら番号を入力してゆく。
電話は階段に脚を掛けたと同時に繋がった。女性は開口一番電話の向こうにこう話しかけた。
「もしもしクラウ?」
「もしも〜し? だれれすか〜」
電話の向こうから、明らかに酒に酔っているとしか思えないような声が響いて来て、女性は少々顔を歪めた。
「私よ私」
「私私詐欺はお断りしておりま〜す……ひっく…」
「私私詐欺じゃないわよ! あなたの上司の篠原涼花(しのはら りょうか)! クビにするわよ!? せっかくいい大学出たばかりなのにそれは嫌でしょ?」
「所長れすか〜 クビは勘弁れすね〜」
「だったら酒飲まずに弁護士の秘書としての仕事をしなさいよ〜 妹さん…確かフラウちゃんだったっけ?今のあなた見たら彼女が泣くわよ?」
「なんれすか〜? デスクワークはいやれすよ〜?」
「いいえ。違うわ。この前の事件の被害者の娘……エヴィアンちゃんだっけ?」
「彼女。私が引き取るわ…」
投下終了です。
投下乙です。
つか小学生相手にそれはかなり大人気無い集団ww
エヴィアンを助けることになる弁護士が痴漢者を助けたのかー。
この後もかなり関わってくるか?
………………工夫が足りないと思います。
そうかい?
キャラのつながりが見えてきて面白くなってきたんだけど
>>530 投下乙。
痴漢者ノーチラスがMに目覚めた日。フラウとエヴィアンにも繋がりが
狼は本編でようやく動くようだが果たして…。
>>533 発言の主旨の理由も挙げられないレスは無視した方がいいよ
すみません、苗村都月も追加します。
537 :
創る名無しに見る名無し:2009/02/26(木) 13:50:11 ID:O5qdcn4s
うぜえ
スイマセン。
ああは言いましたが、どうしても完成しそうにはありません。
誠に勝手なのですが、予約を破棄させてください
乙。
次はたのしみにしてるぜ
540 :
創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 19:23:20 ID:hObKP2r9
541 :
創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 20:31:19 ID:hObKP2r9
あ > この怨念うまは各所を荒らしているリアルに精神病患者でね……その割には病院に行かないんだよ (2/28-20:26:35)
あと放送まで書く必要がありそうな奴って誰かな
英太&英人、狐と猫は次の放送まで生存確定
他はほぼ全員動かせるけど、黎明まで行ってる人は早朝パートは無理に書かなくてもいいかな
まとめてみた
深夜
W・N・スペンサー、海野裕也、朱広竜、ノーチラス、平田三四郎、日向有人、エヴィアン、エルフィ、鬼崎喜佳、北沢樹里、銀鏖院水晶、朽樹良子、倉沢ほのか、添島龍子、苗村都月、長谷川沙羅
黎明
壱里塚徳人、太田太郎丸忠信、追原弾、追原弾、片桐和夫、神崎健二、楠森昭哉、白崎篠一郎、鈴木正一郎、内木聡右、麻倉美意子、貝町ト子、吉良邑子、久世明日美、暮員未幸、古賀葉子、サーシャ、間由佳、和音さん
早朝
ケトル、玉堤英人、森屋英太、フラウ
545 :
創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 23:49:28 ID:hObKP2r9
ここの住人が荒らし扱いをしているのはよくわかりまし死ねえええっ!
>>544 楠森昭哉もまだ深夜みたいです
あと長谷川・倉沢組と鬼崎・朽樹組はそろそろ誰かが書かなきゃだめっぽいので
長谷川沙羅、倉沢ほのか、日向有人で予約します
547 :
創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 19:03:56 ID:keVh2qE9
549 :
◆YGvZTkqXsE :2009/03/01(日) 20:25:44 ID:keVh2qE9
山 > それはあんたが悪だからだ (3/1-20:23:56)
山 > それはあんたが悪だからだ (3/1-20:23:56)
山 > それはあんたが悪だからだ (3/1-20:23:56)
山 > それはあんたが悪だからだ (3/1-20:23:56)
山 > それはあんたが悪だからだ (3/1-20:23:56)
山 > それはあんたが悪だからだ (3/1-20:23:56)
山 > それはあんたが悪だからだ (3/1-20:23:56)
山 > それはあんたが悪だからだ (3/1-20:23:56)
山 > それはあんたが悪だからだ (3/1-20:23:56)
550 :
◆YGvZTkqXsE :2009/03/01(日) 23:31:04 ID:keVh2qE9
チャット荒らすな、糞住人が
放送を迎える為に必ず書かなければならないような参加者
W・N・スペンサー、朱広竜、ノーチラス、平田三四郎、日向有人、エヴィアン、エルフィ、鬼崎喜佳、銀鏖院水晶、朽樹良子、倉沢ほのか、添島龍子、苗村都月、長谷川沙羅、楠森昭哉
書いた方がよさそうな参加者
追原弾、片桐和夫、鈴木正一郎、古賀葉子、海野裕也、北沢樹里
書かなくても済む参加者
ケトル、玉堤英人、森屋英太、フラウ、壱里塚徳人、太田太郎丸忠信、サーシャ、間由佳、和音さん、白崎篠一郎、麻倉美意子、貝町ト子、吉良邑子、久世明日美、暮員未幸、内木聡右、神崎健二
552 :
イメージ ◆XJmfAxePh. :2009/03/01(日) 23:58:33 ID:Nl4T4852
古賀葉子は先ほど見た、残虐な光景を頭の中で別の光景に塗り潰していた。
それは自分がインターネット上でリンと名乗る人物と会話するシーンだ。
リンは優しく消極的な自分にもすぐに話しかけてくれた。
そのリンとやらは同じ学校で同じ学年らしい。しかも同じクラスのようである。
葉子はいつもその見えない人物を想像して面白がっていた。
そんな和やかな光景だけが葉子を支えてくれた。
そんな時、遠くに壱里塚徳人の姿が見えた。
もしや・・・
葉子のイメージと彼の姿が重なりつつあった。
【C-4 森/一日目・黎明】
【女子十五番:古賀葉子】
【1:あたし(達) 2:あなた(達) 3:○○くん、○○さん(達)】
[状態]:疲労(精神、大)肉体疲労はわずかに回復
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、不明支給品
[思考・状況]
基本思考:生き残りたい、罪悪感
0:とにかく逃げる
1:リンが気になる
2:死体はもう見たくない
[備考欄]
※鈴木正一郎を殺し合いに乗った危険人物と認識しました
※シルヴィアが自分を助けてくれたのだと思ってます
※リンは壱里塚徳人なのかと推測
553 :
イメージ ◆XJmfAxePh. :2009/03/01(日) 23:59:48 ID:Nl4T4852
はじめまして!!
短く終わりそうだったので予約なしで書いてしまいました
短くても予約はしたほうがいいよトラブル回避のために。
555 :
イメージ ◆XJmfAxePh. :2009/03/02(月) 00:04:23 ID:AakV+CR5
すみません
まあ悪くは無い……が、少し投げ出し気味な気もする
只今より投下します。
修学旅行の初日。就寝時間が過ぎた後、エルフィは宿泊先のホテルを抜け出し、
港の公園に涼みに来ていた。もちろん規則違反だが、そもそもそのような規則を守っている生徒など
ほとんど居ないだろう。柵に手を掛け海の方を見ると、遠くに二日目に私達が行く予定の小さな島が見えた。
あの島が、旅行前に急遽カリキュラムに加えられた野外授業の舞台になるらしい。
「ふぃ〜。」
吹き抜ける風が気持ちいい。
事故に遭ってから、時々自分が本当に生きているのか分からなくなる時がある。
しかしこの感覚と感情は紛れもなく自分が生きている証だと言えよう。
「…おや?」
目を凝らして横手の方を見ると、先客が居ることに気付いた。確か、彼女は―。
「ねぇ、あなたも抜け出してきたの?二階堂さん。」
「……!……まぁ、そんなところでしょうかね。」
近づいて声を掛ける。この機会に少し喋ってみようとエルフィは思った。
「ねぇ、二階堂さんは明日は誰と行動するか決まった?」
「……明日?あぁ、野外授業ですか。グループは島に渡ってから決める予定…だったと思いますが?」
「まーそうだけど、やっぱある程度なかいい友達と組む事になるじゃない?
二階堂さん、一人で居ること多いからちょっと気になって。良かったら私の班と行動しない?」
「…心配は必要ない。向こうに着いてからの予定は既に決まっている。」
「あ、そうなんだ。余計なおせっかいだったかな?」
二階堂さんの少し軟らかくなり、手を差し出してきた。
「何?」
「……握手を……貴女の健闘を、祈りますよ。」
「??」
よく分からないが友達になりましょう、ということなのだろうか?
別に拒む理由も無いのでその手を握り返した。
その瞬間。
「…………え…………?」
二階堂さんが、キョトンとした表情になり、目を見開いてこちらを見つめた。
まるで、信じられないものでも見るかのような驚きの表情で。
「………エルフィ………あなた………?」
「な、なによ?」
驚きたいのはこっちだ。いつも無表情な彼女のこのような顔を初めて見る。
そして、少し悲しそうな顔に変わった。
「……本当、珍しいわね。もっと早く気付けばよかった。ごめんなさい。」
「え?何が?」
「エルフィ、もし良かったら島に行ったとき―――へ。」
「おーい!エルフィー!」
朽樹良子が遠くから呼んでいる。そう言えば彼女の部屋でトランプで遊ぶ予定をしていたのだった。
「そろそろ行かなきゃ。またね、二階堂さん。」
「……えぇ、また、逢いましょう。」
そう言って二階堂さんはとても親しげな表情を浮かべた。
◆ ◆ ◆
夜の海辺一人に佇む二階堂は溜息をついた。
「……まさか彼女が……少し残念。でも、まぁ、問題はない、か。このイベントが成功すれば、どうせ……。」
「やっほー!何やってんの?永遠?」
誰かが近づき、二階堂に声を掛けた。
「……別に。ほんの少し、気持ちが揺れた気がしただけですよ。」
「へぇー。…て!うぉい!?永遠ぁ!?」
近づいてきた女子、卜部悠は二階堂の肩を掴んで揺らした。
「まさか今更怖気づいたんじゃないでしょうね?
しっかりしてよ?あなたが頼りなんだからね?」
それを見た二階堂は不敵な表情を浮かべて告げる。
「心配しなくていい。明日の実験の楽しみがちょっと増えた。それだけ。」
「あっそう。ま、そりゃそうよね。…それにしてもねぇ、ひひひっ。」
肩を離した卜部は二階堂の冷たい頬を両手でつねって伸ばした。
「一丁前に感傷に浸ってんじゃないわよっ、死体人形の分際でさっ。」
「とても適確な表現ね。」
「…うぅ〜!やっぱアンタ嫌いだっ!」
「私はあなたが好きですよ。卜部悠。」
「うがー!キモイからやめいっ!あぁ〜!やっぱアンタと居るとムシャクシャするなっ!」
卜部は二階堂に背を向け、首だけ振り向いた。
「ねぇ!テトの準備が終わるまで倉庫に吊るしてる魚面のおっさん虐めて遊んでていいかなぁ!?」
「あぁ、お好きにどうぞ。」
「……ふん。あ、遣り過ぎてうっかり殺しちゃったらフォローちゃんとしてね、永遠。」
「出来ればこれ以上作業が増えないことを祈るが、まぁ問題ないでしょう。」
――――――――――――――――――――――――
「…まさか間さんが殺し合いに乗るなんて…。」
「こんな状況だぞ。何が起こっても不思議じゃねぇよ。」
間由佳の襲撃から逃れたエルフィとノーチラスは、辺りを警戒しながら山の道をゆっくりと歩いていた。
彼女らに支給されているのは軟式ボールと金属バット。
野球をするのじゃあるまいし、今銃を持った相手に襲われたらひとたまりも無いだろう。
「それにしても、なんで俺達がこんなことしなきゃならねーんだよ!若狭の野郎!よくもラトを!絶対許さねぇぞ!」
「…そうね、なんとかして、みんなが馬鹿なことを始める前に止めないと。」
「最初から居なかった三人は…どうなったんだ?まさかあいつらももうラトみたいに…。」
「…三人…あ!ねぇ、ノーチラス!」
「え?何だ?」
「あのね、実は昨日。」
『エルフィ、もし良かったら島に行ったとき―――へ。』
(二階堂さん、何か、知ってたの?ひょっとして、私たちを助けようと?)
「昨日?あいつらと何か?」
エルフィが口を開こうとしたその時、茂みから突然何かが飛び出してきて、二人の横を駆け抜けた。
「うぉ!?」
「え?」
そしてそのまま道の反対の林の中へ消える。二人が確認できた彼女の名は女子三番の蝶族のエヴィアン。
「…な、なんだよ…?」
「…逃げてたわね。ノーチラス、ここで待ってて。」
「え?ちょ!?」
「放っといたら危ないじゃない!待って!エヴィアン!」
エルフィは、彼女の姿を追いかけ林の中へ消えていった。
道の真ん中に一人残されたノーチラスは呆然と立ち尽くすしかなかった。
(て、おいおい!どうすんだよ。待っとけって、ちゃんと戻ってこれるのか?)
彼女が消えたのはどことも知れない島の樹海である。
地図は支給されてても目印も無しに現在位置など分かる筈がない。
再び遭うには少し時間がかかりそうな予感がした。
そして、ふとエヴィアンが走ってきた林の方を見る。
(向こうに、何があったんだ?)
好奇心に負け、ノーチラスは木々の奥にある物を確認する為足を踏み入れる。
こんな処で一人でじっとしているのは耐えられなかった。
(それにしても。)
ノーチラスは右手を見つめる。
(えらい冷たかったな、エルフィの尻。触ってんのに全然気づきゃしねぇし。)
◆ ◆ ◆
「なんだあの小屋?」
視界は案外すぐ開け、木材を組み合わせて作った綺麗なログハウスが姿を現した。
部屋には明かりが灯っており、扉が開けっ放しになっている。
「…あそこに居る誰かから逃げたのか?」
恐る恐る小屋に近づいていき、扉から少し顔を出して中を覗いてみた。
とても静かで、パッと見た感じ、誰も居ないようだ。
部屋の真ん中に木でできた机があり、食べかけの菓子パンと、
「!!」
銃器「スミスアンドウエスンM56オート」とそのマガジンが無造作に転がっていた。
今のノーチラスにとっては喉から手が出るほど欲しい護身用の武器だった。
辺りを見回し、だれも居ないことを確認したノーチラスは忍び足でログハウスに入っていく。
(誰かの支給品か?悪いな、ちょっと借りるぞ。)
銃を手に取ろうとした時、部屋の奥で何かが動く音がして、慌ててその方向を振り向く。
誰も居ないと思っていたが、どうやらベッドで寝ていた者がいたようだ。
ノーチラスはその者を知っている。女子二十番、苗村都月だ。
緊張が解けたのか、彼女の元へ近づいていった。
熟睡する彼女が目を覚ます気配はない。
(危ねぇな。誰かに襲われてもしらねぇぞ。)
胸を上下させる肢体が妙に柔らかそうに見えた。苗村はクラスであまり目立っていない。
女子数名に虐められているという噂を聞いたことがあるくらいだ。
ひょっとしたらその事を根に持って、助けなかった俺達を恨んで居るのかもしれないとふと思い、
少し後悔した。このような状況になった以上、彼女にも協力して欲しいのだが。
(苗村が起きたら、とりあえず謝っとこうかな?それにしても結構可愛かったんだなー。)
思わず、彼女に手を伸ばす。徐々に心臓の鼓動が速くなっていき。
「あ!」
しまったと思った時は既に遅く。
苗園に触れた瞬間、ノーチラスの鼓動に反応したのか無意識で能力が発動し、
彼女の上半身の衣類がすべて分解され影も形も無く消し飛んだ。
◆ ◆ ◆
「…なんでいきなり逃げる?エヴィアン?」
ついさっき、突然ログハウスの扉を開いて姿を現したエヴィアンは、
鞄の中に入っていた菓子パンを頬張っていたウィリアム・ナカヤマ・スペンサーの姿を見るや否や、
顔を恐怖で引きつらせ、一目散で逃亡した。
彼女の男性恐怖症を知らないウィリアムは何事かと思い条件反射で部屋を飛び出したが、
エヴィアンの姿は既になく、大体の辺りを付けて追走しようとしたもののまったく見当違いの方角へ
向かってしまったことに気づき、しぶしぶ引き返して来たのだった。
「…まぁ、別にいいか。それより、苗村を護るのが先決だったな。」
引き返す途中で迷った為戻るのに少し時間がかかってしまった。
失策だったかと反省し、扉に手を掛ける。
「…?そういえば、出ていく時に扉は閉めたか?」
妙な違和感を感じた後、ウィリアムはゆっくり扉を開いた。
◆ ◆ ◆
「・・・・・・。」
ノーチラスの目に苗園の形のいい双眸がはっきりと映っている。
能力を使って女性のそれは何度も目撃してきたが、
かつてないほど心臓の鼓動が止まらないのはなぜだろう。
殺し合いという異常なシチュエーションが普段より一層感情を高ぶらせているのだろうか?
(……本当にすまん……苗園……我慢……できそうにない……。)
少しだけなら、そう思い、手を双眸に伸ばした。
生の肌の温もりが手の平に心地よい感触を与え、
「おい、な に を や っ て い る 貴 様 。」
背後から怒りと憎悪に満ちた声が聞こえ、ノーチラスは思いっきり後悔した。
【G-5 ログハウス/一日目・深夜】
【男子二十三番:ノーチラス】
【1:俺(達) 2:あなた(達) 3:あの人(達)、○○サン(達)、(敵対している人物には)あいつ(ら)か呼び捨て、】
[状態]:能力を行使したことによる疲労(小)
[装備]:金属バット
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本思考:殺し合いを止めさせる
0:由佳を警戒
1:仲間を探したい
2:痴漢したいが今それどころじゃない
【G-5 ログハウス/一日目・深夜】
【男子三番:ウィリアム・ナカヤマ・スペンサー】
【1:僕(達) (本来(激怒時)は俺(ら)) 2:きみ(たち) (本来はお前(ら)) 3:彼、彼女(ら)、○○(名字さん付け) (本来は○○(呼び捨て))】
[状態]:右足に裂傷(応急処置済み)、怒りを必死で抑えている、能力を行使したことによる疲労(中)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式×2、シアン化カリウム
[思考・状況]
基本思考:苗村都月を保護する、しばらくはログハウスに篭城する
0:苗村を襲っている変態を殺す
1:怒り爆発寸前
2:都月を説得し、殺し合いから手を引かせる
3:都月が説得に応じた場合、彼女を護りながら島から出る方法を画策する
[備考欄]
※銀鏖院水晶同様、超能力の行使は心臓に負担を掛け、体力を消耗させます
※シアン化カリウムについて、彼は薬のパッケージをよく見ていないためよく理解していません
※バトルロワイアルと言う環境下は、ウィリアムにとって通常よりもストレスとなっています
【G-5 ログハウス/一日目・深夜】
【女子二十番:苗村都月】
【1:私(達) 2:あなた(達) 3:あの人(達)】
[状態]:極度の怯え、被害妄想による狂気、ウィリアムに対し恐怖、気絶
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
基本思考:気絶中につき、なし
[備考欄]
※ログハウスの中にあったベッドで、静かに眠っています
※ノーチラスの能力の影響で上半身裸の状態になっています
※S&W M56オート(6/15)、M56オートのマガジン(3) がログハウスの机の真ん中に置きっ放しになっています。
「はぁ…はぁ…。」
ノーチラスがとんでもないことになっていたその頃。
エルフィは道に迷っていた。
深い森の中で自分の現在位置が把握できず、おまけにエヴィアンも見つからないという体落。
「あぁーやっちゃったなー…なんて間抜け!」
頭を抱え、疲労した体を休めるべくその場に座り込んだ。
それからしばらく時間がたち、誰かが茂みを掻き分け彼女の元へやってきた。
「君は…エルフィさんだったかな?」
「…ええ、そうよ。で、何の用事?私を殺すの?」
「まさか、君が襲ってこない限りは何もしないよ。」
「あぁ、そう。」
つい先ほど吉良邑子を退けた内木聡右である。
◆ ◆ ◆
「とりあえず、吉良さんと間さんが殺し合いに乗ってるって訳か。」
「そうみたいね。吉良さんは気絶させただけ?」
「あぁ、それで充分だろ。それに、自分の意志で行動してるのかも怪しかったしな。」
「どういうこと?」
「…エルフィ、君の話だと間さんも彼の名前を呼んでいたそうじゃないか。」
「彼って…英人君のこと?」
「あぁ。吉良に間…あ!てことは、ひょっとしてフラウもか?」
「え?フラウ?まぁ、彼女もよく英人と一緒に居たけど?」
「…気をつけた方が、いいかもしれないぞ。」
腕を組んで、エルフィにその事を告げた。
「玉堤英人。あいつ、実は相当ヤバイ奴かもしれん。」
【女子四番:エルフィ】
【1:私(達) 2:あなた(達) 3:○○さん(達)】
[状態]:良好
[装備]:硬式ボール(5)
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本思考:生き残る
0:エヴィアンを追いかける
1:とりあえず聡右と行動する
2:ノーチラスと再会できればいいのだけれど…
3:由佳、英人、吉良、フラウを警戒
【男子二十二番:内木聡右】
【1:俺(たち) 2:アンタ(たち) 3:あの人、奴(ら)、○○(名前呼び捨て)】
[状態]:健康
[装備]:コルト・パイソン(6/6)
[道具]:支給品一式、予備弾(18/18)
[思考・状況]
基本思考:喜佳と合流したい。仲間を集めてゲームを潰す
0:ゲームに乗る気はない。
1:戦いを極力避ける
2:助けを求める生徒は見捨てない(だからと言って油断もしない)
3:襲ってくる者は退ける(殺しはしない)
4:内心では吉良が改心してくれて、生き残ることを望んでいる
5;由佳、英人、吉良、フラウを警戒
[備考欄]
※喜佳がもしもゲームに乗っていたら、どうするかまだ決めていません(死ぬことはないだろうとは思っていますが、それでも心配です)
※喜佳が銃を扱える事実は聡右以外は知りません
※玉堤英人は吉良邑子、間由佳、フラウ(推測)を利用し、人を殺させていると思い込んでいます
※時間帯は「修羅 」の直後です。
【???/一日目・深夜】
【女子三番:エヴィアン】
【1:私(達) 2:あなた(達) 3:○○(男限定でフルネーム呼び捨て)(女限定で名前さん付け)】
[状態]:健康、全身に軽い打撲
[装備]:催涙スプレー、カッターナイフ(民家から拝借。袖に隠している)
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本思考:ゲームを潰す
0:男子生徒に遭遇したらとりあえず思想は関係なく逃げる
1:神崎健二にもし会ったらどうするか決めてない
[備考欄]
※エヴィアンがどこに居るのかは次の人に任せます。
ぎりぎりで規制喰らって終了宣言遅れました。
【修正】
エルフィ、内木聡右の現在位置は【G-6 山道/一日目・黎明】です。
後、時間帯は全員【深夜→黎明】です。
投下乙。ノーチラスwwww
投下乙です。
2つ。修正点を述べさせてもらえますが、一つは苗村が途中から苗園に変化しています。
そして、最後のフラウのくだりですが、流石に知り合いと言うだけで疑うのは、流石に軽薄かつ不自然です
修正をよろしくお願いします
例えば英人が餓夫のことを疑ったのは情報量(由佳達の噂、忠信による遥の殺害等)が十分に多かったからだしなあ
投下乙です。
今回色々動きましたね。
次回、苗村を巡ってノーチラスVSウィリアムのサイキックバトル勃発か!?
そして島の反対側で徐々に出来上がっていく英人包囲網w
もう一つ修正案を出させていただきますが、エヴィアンは男性恐怖症ではなく男性嫌いですよ。
お間違いのなきように
細かい突っ込みだけど
双眸って両目のことなんだよね
多分、双丘の間違いじゃないかなー、と
イメージをWikiに載せるのは反対だったんだが…
短すぎるし、ハッキリ言って内容もご都合主義だし、あそこまで書いたんだったら壱里塚や久世とも接触させるべきだと思う。
何より…age進行だからアイツが書いたかもしれんし
いったい何のはなしやら
>>574 wiki載せには賛成。
「イメージ」がウマの作品だった場合。
→我々は誠意を持ってwikiに載せたのだから文句は言えまい
「イメージ」がウマの作品ではなかった場合。
→はじめまして、新規さん。 次からは予約をちゃんと入れてもうすこし長めのものを書いてくださいね
載せるには一寸無理があると思うが……
古賀はC-5〜C-4のCラインを移動してるが、C-4には貝町・麻倉が、C-3にはサーシャ・和音さんがいる
殺戮行とイメージ、I am…、I am Genociderは全て時系列が黎明だから
貝町・麻倉とニアミスすることは考えにくいし、壱里塚との間にいるサーシャ・和音さんが目に入らないのも変
そもそも、いくら黎明と言ったって島の夜。しかも古賀はあまり目がよくない
500m以上先の人影を視認して、それが誰かまで特定するような芸当は出来んだろう
貝町を除けば全員制服を着てるのだから、普通なら真昼間でも難しいと思うぞ?
楠森昭哉、添島龍子で予約します
期待。
>>577 距離的に色々無理があるのは流石に不味いかな…
載せるならせめて古賀が見つけた人物を地図で
上半形2マス以内に居るキャラの誰かに変更するか
壱里塚組が近くまで来ている様な描写等を追加して
修正していただけないだろうか…?
嫌われ者が書いていた作品は不採用が決定しました、削除をお願いします
現在位置一覧 (危)=現時点で危険人物
北西部
和音さん、サーシャ
麻倉美意子、貝町ト子
暮員未幸、神崎健二
海野裕也、北沢樹里
追原弾
古賀葉子
壱里塚徳人、久世明日美(危)
片桐和夫(危)
太田太郎丸忠信(危)
朱広竜(危)
南西部
玉堤英人、森屋英太(早朝)
鬼崎喜佳、朽樹良子
平田三四郎、
鈴木正一郎(危)
銀鏖院水晶(危)
南東部
添島龍子、楠森昭哉
倉沢ほのか、長谷川沙羅
エルフィ、内木聡内
間由佳、白崎篠一郎(危)
吉良邑子(危)
北東部
ケトル、フラウ(早朝)
ノーチラス
エヴィアン
W・N・スペンサー(危)
決定してないってw
荒らしに毒されすぎだろ
多少の矛盾やこじつけがあっても、他の人に影響しない程度なら許容してよいと思う
しかし、本当に「イメージ」の作者がウマだとすると、
チャットでの横柄な態度の割には大したことのない文だなと思わざるを得ないがな
大したことのないレベルの文章は載せなくて結構です、
wikiの削除をお願いします
ひ、酷い真面目に書いたのに。
もういいです、削除して下さい!
もう二度と書きませんよこんな所!
わかりました、もう二度とくんなよ下手文章書きのウマ
馬とは違う粘着荒らしが新人書き手を追い出そうとしてるようにしか見えないな
あの捨て台詞はどう見てもウマだろ。
いなくなっても誰も困らない。
悪いが馬はもっと粘着質だぞ
まあXJ氏が実力不足なのも純然たる事実だ
WIKIに登録している方はページの完全削除をお願いします
あら、削除しちゃうの?
べつに削除しなくて良いじゃん。
てか、
XJ氏が馬なの間違いないとして
馬野郎に今後「書いたのにwikiにも載せてもらえない」とか言われる方が、
同じスレ民としては腹が立つ
wiki削除をしつこく要求してるやつも馬としか思えん
自分が思うに、
・恐らく馬はID:3vs6NlQY
・◆XJmfAxePh.氏は別人
・それでも作品にはミスがある為、大幅な手直しが必要
・本編に載せた場合、「イメージ」の最終状態的に他の書き手がそれをフォローするのは少し厳しい
・載せるとしたらおまけの没作品に載せるのが好ましい
外伝とも違うし、没作品に載せるに一票
没作品第一号か。今思えばすごく敷居が高いスレだな。
文章レベル低くてもごっそり投下があるほうが賑わってる証拠だから
俺も、このスレのレベルを下げるべく没作品投下してみようかなと思ったり
>>591 それは辞めとけ
馬の荒らし呼ばわりされるぞ
とにかく下手糞な作家はしばらく投稿を控えるべき
自信が無いならスレじゃなくてしたらばの避難所に投下した方がいいと思う
そうすれば変なのも来ないし来てもアク禁コースだしね
すいません。
大量規制の巻き添えを食らいました
今夜辺りにできると思いますが、そのときにはしたらばに投下することになりそうです
下手糞は書き込んではいけない
したらばに投下いたしました
代理投下します
どれくらい。床の冷たい集会所で待っただろう。
辺りは少しだけ明るんできた。
あの断末魔により、すでにほのかが亡き者になっていると、どうやら近くで聴いていたかもしれない者たちは、そう感じ取ったらしい。
それはある種の僥倖だったかもしれない。
ほのかに悪意はないし、彼女は他の生徒達も、悪意を孕んだ状態でこのゲームに乗っていてほしくはないと思っている。
だが、ほのかが気付かないような、何の変哲もない教室の中で、悪意を孕む者たちがいることも、少なからず沙羅には分かっていた。
このゲームは、そいつらに“牙”を齎す最悪の環境だ。
誰も来ないのはまさに僥倖。
と、ここで沙羅が考え付くのは、当然ながら「ここを速く移動したい」
「ねえ倉沢さん……そろそろここを移動しない?」
「え?」
どうやら、ほのかの頭の中には、移動をするという選択肢などは全く用意されていないようであった。その証拠に彼女は、沙羅の正論とも取れる言葉に、「信じられない」と言うような表情を向けた。
「どうして? 待ってたら裕也くんが来てくれるかもしれないのに……」
沙羅に、ほのかの気持ちが分からなくはなかった。だが、裏を返せば海野裕也も同じ状況に立っている。それどころではないかもしれないのだ。
甘えの過ぎるほのかに、沙羅は多少苛立ち、歯噛みした。
「………長谷川…さん」
その表情に、ほのかは間違いなく畏怖していた。沙羅は、その瞬間我に返る。
「…ごめん」
沙羅は、ほのかに軽く頭を下げ、表情を元の冷めたものに戻した。多少強硬な手段を取ってでも、ほのかを納得させるべきだった。
沙羅がその口下手な性格を恨むのは、何度目だろう?
ほのかには決して見えないが、沙羅は心の中で再び歯噛みしていた。
ほのかが抱いていた疑心は、ここにきて確固たるものに姿を変えていた。
湧き上がるのは、沙羅への恐怖。
そして、自分の不運さを恨んだ。
こんな危険な人が、いの一番に姿を現すなんて。
私は間違いなく殺される。
死にたくない。裕也くんに会うまで絶対に死にたくない。
死にたくない。その言葉をこの短時間に何度心の中で連呼しただろう。
死への拒絶は誰がためのものかは分からないが――
「ねえ…長谷川さん。やっぱりもう移動しましょう……」
「え?」
ほのかの突然の言葉に、沙羅は面食らった。皮肉にも自分がほのかにさせたような呆気に取られた顔を、わずか数分の間に、自分がする破目になってしまった。
「どう……したの? 急に」
「……………長谷川さんの言うことは尤もだよ……」
嘘だった。本当は、ずっとここに誰も来ないと信じていたかった。
かなり長い間、ここには誰も来ていない。そうだ。ここにいれば絶対に安全だ。
安全だ。安全なんだ。
きっとそのうち、声を聞いた裕也くんが駆けつけてくれるはずだ。そうに違いない。ほのかは、少なくともそう信じて疑わない。
「私がさきに行って……ちょっと様子を見てくるねっ!」
沙羅は、勇み足で階段を降りて行くほのかを、止めようとしたが、再び自分の口下手さが邪魔をした。
結局彼女は、「危ないから私が先に」と言う簡単な言葉すらも、発することはできなかった。
この呪い染みた口下手さを恨む前に、沙羅はすでに下の階にまで降りたほのかを追っていた。
もう恐がられるとか、口下手だとか言ってる場合ではない。
彼女一人では……
沙羅がそう思うよりも速く、集会所の入り口付近からほのかの叫び声が聞こえた。
沙羅は、叫ぶこともせず、ただただ血相を変えて階段を駆け降りる。
これは、沙羅の表情を垣間見ることのできないほのかからしてみれば「彼女はとても薄情だ」と思わざるを得ないかもしれない。
だけども沙羅は、全力だった。
そうして、階段を降りた先には、ほのかの口を塞ぎ、抑え込んでいる日向有人(男子二十五番)の姿があった。
沙羅が有人の姿を確認して、最初に行ったアクションは、「ベレッタを日向有人に向ける」だった。
「倉沢さんを放しなさい」
やや冷淡な口調で、沙羅は言い放った。
「まあ待て長谷川。落ち着け。俺に敵意はない」
沙羅のそれよりは少しだけ暖かくは感じられるが、それでも冷たいことには変わりない声で有人も言い放つ。
彼の腕の中で、ほのかは涙を流しながらジタバタともがいていた
「信じられないわ」
「俺はお前らの行動の方が信じられないね。ちょっとだけアンタらの放送を聴いていたが……あれじゃあ殺してくださいって言ってるようなもんだ」
「ひ…ひがうもん……」
ほのかが有人の腕の中で呟く。
「きっと…裕也くんが………」
ほのかの拘束は、突如として解かれた。そのことを沙羅もほのかも、不思議に思ったが、次の瞬間、ほのかの右頬に、有人の平手が見舞われていた。
ほのかは、痛みとショックを同時に受け、その場に立ち尽くし、何も言わずに再び涙を流し蹲る。
「何してるの!? 日向君!」
「お前ら……バカだろ…………ずっとここに籠城するつもりだったのか? おめでたいんだよ。脳みそが」
「俺はゲームに乗ってる奴を見かけた。そいつは……銀鏖院水晶はグレッグを殺してたよ……そして銀鏖院を……」
「俺は殺した」
ほのかと沙羅は、絶句をせずにはいられなかった。
「あなたは…このイベントに乗っているの?」
「さっきも言っただろ……俺はゲームに乗ってる奴しか狙わない」
有人は、デイパックのジッパーを開け放ち、ボウガンを中から取り出すと、そのまま集会所の中へと足を踏み入れた。
「お前らはどこへでも行け。できるだけ遠くへ、早いうちにな」
「ねえ……長谷川さん…」
「何? 倉沢さん」
港の方へ、息を切らしながら走る二人。沙羅の息は整っているが、運動が得意ではないほのかは、普通の女子よりもやや大きな胸を揺らしながら、整っていないリズムと息使いで沙羅に続く。
そんな中での会話だ。
「日向くん……何も言わずにあの中にいっちゃったし…私たちも何も言わずにあそこを離れちゃったけど…これでいいのかな?」
「……分からないわ………」
少なくとも、目の前でほのかを殴った有人を、沙羅は信用してはいない。そして、ほのか自身、有人はもちろんのこと、自分の身を案じてくれている沙羅のことを未だに信用できないでいた。
【E-8 港周辺/一日目・早朝】
【女子十三番:倉沢ほのか】
【1:わたし(達) 2:あなた(達) 3:○○さん、○○くん(達)】
[状態]:良好、不信、疲労、右頬に痣
[装備]:ドス
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本思考:できるだけ速く遠くへ移動する
0:長谷川沙羅と日向有人に強い不信
1:裕也くんに会いたい
[備考欄]
※沙羅が主催側の人間ではないかと強い不信感を抱いています
※日向有人がゲームに乗っているかもしれないと強い不信感を抱いています
【女子二十四番:長谷川沙羅】
【1:私(達) 2:あなた(達) 3:○○さん、○○くん(達)】
[状態]:良好
[装備]:ベレッタM92(15+1/15)
[道具]:支給品一式、予備マガジン×3
[思考・状況]
基本思考:みんなを助ける、ラトの仇をとる
0:できるだけ速く遠くへ移動する
※日向有人がゲームに乗っているかもしれないと強い不信感を抱いています
【F-8 集会所の中/一日目・早朝】
【男子二十五番:日向 有人(ひゅうが-ありひと)】
【1:俺(達) 2:あんた(達) 3:あいつ(ら)、○○(呼び捨て)】
[状態]:良好
[装備]:ボウガン(装填済み)
[道具]:支給品一式×2、ボウガンの矢(18/20)、サバイバルナイフ、毒薬(3瓶)
[思考・状況]
基本思考:殺し合いに乗る気は無い
0:テトに会って理由を聞きたい
1:襲われたら容赦はしない
2:集会所で待ち伏せて、マーダーを潰す
[備考欄]
※テト達三人が黒幕だと疑っています
※銀鏖院水晶が死んだと思っています
※倉沢ほのかの存在が、あの集団にとってマイナスになると思っています
代理投下終了です。
>>597 投下乙です。
倉沢が何気にかなり危ない状態にw
有人は有人で慎重に動いているつもりなのかも知れないけど……
投下乙。
ちゃんと拡声器聞いてた人居たのね…倉沢と海野は再会できるのか!?
鬼崎喜佳、朽樹良子で予約します
投下行きます
しばらくは街に着いてからは周辺の家をじっくりと調査していたのだけれど、しかし特にめぼしいものは見つからなかった。
楠森昭哉(男子十一番)は添島龍子(女子十八番)と共に住宅街を回って役に立つもの、他の生徒(特に、先程悲鳴が聞こえた倉沢ほのかを)を捜すと同時に島の様子を確かめていた。
明かりを最低限に留めながら探っていたせいか、感じているよりかなり時間が経過しているようだ。
しかし窓の外は未だに黒く塗り潰されている。
近くで銃声が連発していたのだが、今はそれも止んで真の静寂が訪れていた。
見つかったものと言えば、二番目の家の倉庫にあった工具箱ぐらいだった。
ハンマー、ドライバー、スパナ、釘。
当座武器になりそうなものはこれぐらいしか無い。
木の棒だけでは心持たないのもあった為、ありがたかったと言えばありがたかったのだが。
それから、電話も探した。
そう、あの本――バトル・ロワイアル――の百十四頁目に於いて作中の女子生徒が携帯電話を使用した際に、それは殺し合いを管理している政府の役人に繋がったのだ。
(ちなみにその女子生徒はそれで他の生徒に見つかって鎌で斬り殺されてしまった)
子機電話だろうとPHSだろうとなんでもよかった。
どうしても、なんとしても、若狭吉雄と連絡を取りたかった。
昭哉は若狭との会話を望んでいる。
何故こんなことを始めたのか?
そして、今は一体何を望んでいるのか?
それを聞きたい。
そのことで頭がいっぱいだった。
いや――始めから、あの教室で若狭を見た時からほぼそれしか考えていない、と言うべきだろうか。
海野裕也や倉沢ほのかを心配している部分もある。
しかし、それよりも若狭への憎しみがずっと上回ってしまっていた。
昭哉でも気付かない内に。
「ねえ、誰か居た?」
隣の部屋を探っていた添島龍子が、その作業を終えたようでこちらに戻ってきた。
様子から見て何も見つからなかったようだ。
「……いえ、特に何も」
これで四軒目だ。
倉沢ほのかが居ないのはともかく、辺境の島とは言え何故か電話が見当たらない。
しかし棚の上などに不自然なスペースがある辺り、きっと元々は電話があったのを全て若狭が撤去したに違いない。
随分と手の込んだことをする。
昭哉はすっかり呆れていた。
この為にずっと前から準備していたと言うのだろうか?
「倉沢さん、居ないわね」
龍子が窓の外を見回しながら、言った。
電話が見つからないことはともかく、倉沢ほのかの姿を視認出来ないことに関しては不自然ではなった。
死んでしまったのならば何かしらその痕跡は残る筈だし、それにあれだけ目立つことをしてしまった以上、もうこの場から逃げ出したと考えるのが妥当だろう。
「もうこの場所から離れてしまったのかも知れませんね」
そう昭哉が言うと、龍子はまた考え込むように俯いた。
何にせよ――ほのかを捜すなら早く捜さないと取り返しのつかないことに成り兼ねない。
銃声こそ聞こえなくはなったが、生徒達に渡されているのは銃だけではない筈なのだ。
そのまま家の玄関に足を運ぼうとした時、龍子が声をかけてきた。
「まだ聞いてなかったんだけど、どうしてあれを探しているの? 助けを呼べる訳でもないのに」
そう言えば昭哉はまだ、龍子に「電話も探したい」としか説明していなかった。
しかし本に書いてあったことは一通り筆談で説明したので、龍子もただの電話では外部とも繋がらないのも知っていた筈だ(改造された携帯電話では繋がっていたが、しかしこれがあちらから昭哉に渡されている以上確実に対策されている)。
それに――今の龍子の言葉はこちらを疑っているのか、何か威圧的な口調だった。
こんな状況で無理に自分を信じろと言う方がおかしいのかも知れない。
「俺はある人と連絡を取りたいんです」
昭哉の言葉に、龍子は首を傾げた。
普通に考えれば、それは矛盾していることだろう。
だが――昭哉はどうしてもそれを行わなければならなかった。
酔狂と思われても仕方ないような行為。
どうしても――
「どうしても、俺は、その人に聞かなければならないのです、添島さん」
「ねえ、だからそれ誰なの?」
いらついたように龍子が言った。
昭哉はどうしても若狭吉雄と話したいと言うことが出来なかった。
盗聴の件もあったし、何よりそれを言ってしまうのは――怪し過ぎる。
指で首元を指しながら、言った。
「添島さん、これのことを忘れていませんか?」
はっと、龍子は思い出したように唇を開いた。
疑いのあまりこんな重要なことも忘れたと言うのだろうか?
それほど添島龍子は自分のことを疑っていると?
いや、違う。
自分が疑われるようなことをしているのだ(しかし、それはどうしようもないことだ)。
それではここまで信じられなくてもしょうがない。
そこで昭哉は早く電話を探すことにした。
弁明するのはかえって逆効果だと判断したし、大体こうしている時間も惜しい。
龍子にはもうしばらくこのまま黙っているしかないだろう。
玄関を出た。
その遠く先には、海とその地平線が見える。
そして、その地平線の先には光の点がいくつか見えた。
道路はコンクリートで整備されていたが、漁業関係の車とか何かが通っていたのか所々砂がばらまかれて明かりを反射していた。
先程コンパスと地図を照らし合わせて見た限り、ここはF−8の南側に当たる場所だ。
港も見える位置なのだが当然船は無い。
軽く思考を張り巡らせる辺り、脱出はまず不可能だと言うことだろう。
街の入口付近の三軒と今の家は既に調べたので、次はその隣の家と言うことになる。
しかし、その隣の家には目に付く部分があった。
他の家には無い、それが。
ベニヤやトタンで構成された僅か幅七メートル程の倉庫。
奥行きもそれ程あるようには見えない。
つまるところ漁具置場のようだった。
昭哉と龍子はそのトタンのドアを出来る限り音を出さないように開けると、懐中電灯をそこら辺に当て始めた。
やはりほとんどがガラクタか単独では使えないようなものしか残っていなかったのだけれど、しかし大きな棚の上の黒い箱が目に入り、そこで二人の懐中電灯の動きが止まった。
昭哉の胸部辺りにある長方形型のそれは、ダイヤルのようなものとスイッチがいくつか側面に付いていた。
不意に現れたその物体に、昭哉はぎょっとした。
――無線通信機だ!
「……あった」
龍子が声を上げる。
「いや、さすがに本州には届かないように押さえられていると思いますよ」
それは当然だった。
そうでなければここまで手の込んだことをしておいて、こんなくだらないミスをするなんて有り得ない。
――しかしそれは、同時にあの男の元へ繋がる、と言うことだ。
無線の電源は付いた。
使い方については以前古本で見たことがあったので了承していた。
ダイヤルを調節しながら、昭哉はヘッドホンを耳に当てた。
龍子も、ヘッドホンに耳を近付けた。
細やかな砂嵐のようなノイズだけが聞こえる。
一応、何度も呼び掛けをしてみたが返事は無い。
いくらダイヤルを動かしても、ぷつぷつとした音だけが断続的に鳴るだけだった。
しばらく、その作業を続けたが、それが変わることは無い。
やはり甘い考えだったのだろうか?
その時だった。
ノイズが薄れたかと思うと、いきなりヘッドホンから声が聞こえた。
「はい、こちら本部」
昭哉と龍子は目を見開いた。
予想もしていなかった。
応答したのは若狭ではなかった。
紛れも無い、それは――
――卜部悠(女子二番)の声だった。
「え? 誰? 若狭でもテトじゃないみたいだけど」
僅かに戸惑ったように、卜部は聞いてきた。
こちらも幾分の驚きは拭えなかったが、しかし返答しない訳にはいかなかった。
「卜部さん、楠森昭哉です。そちらは何処に居ますか?」
しばらくヘッドホンは静かになったが、すぐに静寂は破られた。
「はあ!? テトの奴全部始末しなかったの!?」
それは焦りの混じった声だった。
そして、それは卜部悠とテト(女子十九番)が若狭吉雄に関与していることを意味していた。
しかし、それはどうでもよかった。
今の昭哉の目的は一つしか無い。
「卜部さん、若狭先生と代わっていただけませんか」
また少しの間を置いた後、聞こえた。
「何言ってんの? あんたそう言える立場?」
まるで何気ない会話の中で友人のことを馬鹿にするような口調だった。
それに昭哉は、思わず怒りをあらわにしてしまった。
「若狭さんと代わってください、卜部さん!」
ほぼ怒鳴るように、昭哉は叫んだ。
びっくりしたように龍子は昭哉の顔を見て、そして卜部は――
――通信を切ってしまった。
もう、ヘッドホンからはノイズしか伝わってこなかった。
「く……」
昭哉はうろたえたように、歯を食いしばった。
無線通信機はもはやただの箱でしかないだろう。
明らかに昭哉は狼狽していた。
すっかり静まった漁具小屋の中、龍子はただその昭哉の顔を見ているしかなかった。
【F-8 住宅街/1日目・黎明】
【女子十八番:添島龍子】
【アタシ(たち)、あなた(たち)、アイツ(ら)、○○(呼び捨て)】
[状態]:健康、若干の精神的消耗、強い決意
[装備]: モーゼルC96ミリタリー“レッド9”(10/10)
[道具]:支給品一式、拡声器、9mmパラベラム予備弾薬(30/30)
[思考・状況]
基本思考:ゲームには乗らない、情報収集
0:楠森昭哉と協力する
1:如月兵馬がついて来ると信じる
2:朱広竜を警戒
[備考欄]
※銃は撃ってもまず当たりません
※楠森昭哉の推測をとりあえず有力な情報と認識しましたが、いまいち信じ切れていません
※卜部悠、テトが主催者側に居ると確信しました
【男子十一番:楠森昭哉】
【1:俺(達) 2:あなた(達) 3:彼(彼女)(達)、名字(さん)】
[状態]:怒り、激しい憎悪、裏切られた悲しみ
[装備]:木の枝
[道具]:カードキー、本(BR)、工具箱(ハンマー、ドライバー、スパナ、釘)、支給品一式
[思考・状況]
基本思考: 若狭吉雄を許さない(具体的にどうするかは決めていない)
0: 添島龍子と協力する
1: 倉沢ほのかが心配
2: 海野裕也が少し心配
3: 内木聡右を警戒
[備考欄]
※今回のイベントが本の内容をなぞったものだと考えています
※自分では冷静なつもりですが、その実かなり危ない状態です
※G-7の森の中で内木聡右とすれ違いました
※卜部悠、テトが主催者側に居ると確信しました
投下終了です。
以下の部分の修正をお願いします。
無線の電源は付いた。
↓
無線の電源は通っていた。
投下乙です
この二人も核心をつきましたね
ところで二人はほのか達を捜していたことから、この話の時間帯は前話のほんの少し前。早朝と黎明の間の時間帯と見なしてよろしいですか?
はい。
時間枠はそれで合っています
投下乙。
む?卜部は島に連れてきた時点で全員始末する予定だったのか?
てことは今ロワやってる事がすでに想定外の事態?
まあ卜部があの二人を従わせられるとは思えんので、まだ何かあるのだろうな…。
通信手段の始末ってことじゃ……
麻倉美意子:B80 W57 H84 卜部悠:B75 W56 H80
エヴィアン:B87 W60 H88 エルフィ:B79 W60 H85
貝町ト子:B74 W55 H78 神崎志緒里:B93 W62 H90
鬼崎喜佳:B89 W59 H85 北沢樹里:B85 W59 H86
吉良邑子:B80 W60 H86 銀鏖院水晶:B66 W53 H69
久世明日美:B79 W59 H81 朽樹良子:B84 W57 H89
倉沢ほのか:B91 W61 H93 暮員未幸:B75 W55 H80
古賀葉子:B80 W58 H80 サーシャ:B86 W61 H90
シルヴィア:B90 W60 H94 添島龍子:B92 W61 H89
テト:B101 W62 H92 苗村都月:B89 W60 H94
仲販遥:B96 W61 H89 二階堂永遠:B79 H60 H84
間由佳:B82 W59 H87 長谷川沙羅:B85 W55 H85
フラウ:B86 W60 H91 松村友枝:B79 W58 H78
和音さん:B77 W57 H80
暇だし人もあんまいないから女子生徒のスリーサイズを妄想してみた
参考にはしなくていいです
一体どこを目指しているんだww
しかし中越を上回るテトのバストサイズ吹いたww
流石にそろそろ◆d6氏には何とか言って欲しいです
予約延長してるっぽいね。
頑張れ、待ってるぜ!
ノーチラス、ウィリアム・ナカヤマ・スペンサー、苗村都月で予約します
投下します
ノーチラスは現状の重大さを十分に理解していた。
そう、あまりにもそれは重過ぎる。
何でこうなったのか、何が悪かったかも理解している。
それでもその現状の問題の解決策を導き出すことは出来ない。
不確定要素が多過ぎた。
今目の前に居る女の様な、中性的とも取れるような顔付きの、しかしその表情は怒りで固まった男――ウィリアム・ナカヤマ・スペンサーが自分をどうするのかも分からなかったし、けれでもその殺意は様子を見ているだけでもはや簡単に把握出来てしまう。
(自分は心理学者でもなければ心を読める超能力者でもないのに、だ)
その脇のベッドでは、苗村都月が上半身をありのままに曝け出して静かに寝息を立てている。
そして、それが全ての原因なのだ。
ノーチラスが欲望に忠実になった結果がこれだ。
全ての責任は自分にある。
つまり、自分でこの状況を打破しなければならないと言うことだ。
汗が滲み出しつつあるノーチラスの手には金属バット。
部屋の奥の机には青光りする銃――スミスアンドウエスンM56オート。
ウィリアムはまだ何も持っていないが、あれを取られたらただでは済まない事態になることは直ぐに予測出来た。
その時が来て、緊迫が解けた。
ノーチラスが机に向かって転がり込むと同時に、ウィリアムはノーチラスの動きをほんの僅か目で追った後、続けて手を出した。
右手を伸ばしてウィリアムより先に銃を手に取った、と思いきやウィリアムがそのノーチラスの右手を掴んだ。
何故か空気が、そこに吸い込まれていく気がした。
「な――」
瞬間、唐突にそこから炎が巻き上がった。
毛皮を通り抜けて熱さ――いや、もはや強烈な冷気に似た感覚がノーチラスを襲った。
焦げた臭いまで届いて来る。
あまりの突然の出来事にノーチラスは銃を放してしまい、そのまま右手を引いてしまった。
それがまずかった。
ノーチラスがすぐに右手を左腕の脇に挟み込んで消火しようとする中、ウィリアムは冷静に銃を持ち、そしてノーチラスにその銃口を向けていた。
「貴様、こいつに何をしたんだ!」
ウィリアムが血相を変えて叫んだ。
逆にノーチラスの頭からは血の気が引いていく。
そのまま答える間もなく、銃から火雷が走った。
「――!?」
しかし、ノーチラスの足を狙ったその一発は床の木片を弾けさせるだけに終わった。
右手の火はまだくすぶっていたが、しかしノーチラスは素早く机の横に身を隠したのだ。
そしてその机を右手で持ち上げてウィリアムの方向に押し出すと、ウィリアムが怯んだ隙にノーチラスは先に左手に持っていた金属バットを一気に振りかぶった。
急いで右手も添えて振り下ろした。
バットの先がウィリアムの左腕の肘の下にに命中すると、ぼ、と鈍い音が響いて、ノーチラスの腕にひどく嫌な感覚が伝わる。
「ああああああああああ!!」
ウィリアムが悲鳴を上げると、M56を床に落としてその場に崩れ落ちた。
左腕を押さえて悶え苦しんでいる。
あの感覚――からして、骨を持って行ったのは確かなようだ。
ノーチラスはしばらくは茫然と、床を転がっているウィリアムを見ていたのだけれど、それからようやく戦闘の興奮から落ち着いて来た。
とどめを刺す気にはなれなかったが、だからと言ってこのままにしておく理由も無い。
ノーチラスはウィリアムの背中を無理矢理引っ張り上げ、そして引っ張ったまま玄関に直行した。
痛みによるショックのあまりかほとんど失神しかかっているウィリアムが抵抗しようとしてくる気配など無く、もうノーチラスの動きにされるがままだった。
開けっ放しの扉の前まで辿り着き、ノーチラスはいつものように念じた。
今度は都月の時のような暴発ではない。
ウィリアムの服が全て跡形も無く消し飛ぶ。
驚きからかウィリアムの足がすくんだ。
そのまま、ノーチラスは生まれたままの姿となったウィリアムを外に投げ出し、玄関を閉めた。
そして鍵をかけた。
ウィリアムとの和解は無理だ。
だいたいあんな重傷を負わせておいて許してくれと言う方に無理がある。
じきにウィリアムが扉を破って自分を殺しに入って来てしまうだろう。
だからその前に――
ノーチラスはM56を拾い上げてゆっくりと都月のベッドに近付いた。
M56をベッドの脇に置くと、もう一度都月の身体を観察する。
丸みを帯びて、重力に逆らって突き出した二つの胸。
呼吸に合わせてそれが上下している。
す、と薄く甘い匂いがノーチラスの鼻を通っていく。
いつだったかこっそり見た仲販遥やテトのそれに比べれば物足りない気もしたが、それでもノーチラスにとっては十分だった。
ああ――もう我慢出来ない。
今、ウィリアムから逃げるかどうか、と言うよりもこのせっかくの機会を見逃してしまうことの方が問題だった。
玄関はまだ静まり返っている。
腕が駄目なのなら玄関に体当たりすることも何もほとんど出来ないはずだ。
時間なら十分にあった。
ノーチラスの中には異性の体を見て非常に大きい衝動が生まれていた。
抑制が効かない何かが自分を突き動かそうとしている。
ノーチラスはまだ腫れるような痛みがする右手ではなく、左手で都月の胸元に手を乗せた。
すべらかな肌に指をゆっくりと下に這わせ、曲線を描いたものを通り過ぎる。
そのまま線の最後まで着くと、ノーチラスは胸を鷲掴みにしてその感触をよく味わった。
弾力がある。しかし、柔らかくもある。
そんな触感にノーチラスはずっと前から魅了されてきた。
何度も何度もそれぞれの指を動かし、そして胸の反動を楽しむ。
本当は気絶しているのかどうか分からないが、都月は目を覚まさなかった。
反応を見れないのは残念だが、起きられたら起きられたでまた面倒なことになるかも知れないのでこれでいいかも知れない。
次に都月の尻を楽しむべくノーチラスは都月のスカートとベッドの間に左手を侵入させる。
そうすると都月の下半身の着物履物全てがバラバラに分解される。
――おっと!
またうっかりやってしまったようだ。
次の瞬間、ノーチラスは身体中に違和感を覚えた。
服で押し付けられていた毛が、急に解放されたのだ。
自分の身体に顔を向けるとノーチラスの纏っていた全てのものがいつの間にか消え去っていた。
今や身体を覆っているものは自らの茶色の毛皮しか無い。
――連続で三回も能力を発動した弊害だろう。
いや、まあ、いい、か。
尻の重力とベッドに挟まれつつも、ノーチラスは都月の尻をじっくり蹂躙した。
やはり尻も悪くはない。
胸とはまた違う魅力を持っている。
この固さも捨て難いものがあるし、何より手の平全体を反発するような感覚が良い。
そう思いながら尻を何度も撫で回す。
ヒップホップ・ヒップ。
ああ――次はどうしようか?
また胸を攻めるか?
このまま尻を続けるか?
右手の負傷が無ければ同時に攻めるのに。
それとも――
――それ以上、のこと、を。
ノーチラスは自分でも気付かない内に、牙が見えるぐらい笑みを浮かべていた。
完全にノーチラスは昂ぶっていた。
頭の中がぴりぴりとショートしかかっている。
想像以上に、一種の魔性のようなものを女性の裸体は持っていた。
それが本当の異性に対する反応だったのだろうか?
例えそれが異種族のものであろうと。
多分、それは越えてはいけない一線だったに違いない。
禁忌のようなものだ。
人として侵してはいけない領域。
しかしもうとっくに理性の限界はぶち壊れている。
それに、今までしたくても出来なかったことだ。
都月は、まだ起きない。
やるしか今しか無い。
ノーチラスは身体を乗り出すと顔を近付け――
その時、突然かなりの強風がログハウスを通り過ぎたかと思うと、玄関の扉が大きな音を立てて壊れた。
ウィリアムが入ってきたのだ。
再びノーチラスの思考に冷静さが戻って来た。
このままではまずい!
ノーチラスは立ち上がると、急いでM56を握った。
そのまま確実に銃口をウィリアムに突き付ける。
――筈だった。
「あ……」
――銃を持った右手が、まるで巨大な磁石に近付けられたかのように、自分の胸元に勝手に動き始めた。
そのまま胸の中心に銃が触れて、にも関わらずまだ手が強い力でぐいぐいと押し込まれていく。
ウィリアムがその場から動くこと無くこちらを睨み付けていた。
まさか――
そしてノーチラスが一体何が起こっているのか理解する前に、更に強烈な波動のようなものが右腕を吹き飛ばす勢いで襲い掛かって来た。
「がっ――」
激痛が走った。
自然と右手は銃のグリップから離れて、ノーチラスの目前で止まっている。
――銃が杭の部分から引き金まで埋まるまで胸にめり込んでいた。
いや、まさしく突き刺さったと言って差し支え無かった。
ウィリアムの念動で押し付けられた銃に、ノーチラスの身体が耐え切れなかったのだ。
ウィリアムの姿、後ろの風景が視界の下に沈んでいく。
ノーチラスは仰向けに倒れた。
続けて、向こうからどさりと音が聞こえた。
多分、それはウィリアムのものだった。
ここまで強い能力か何かを使ったのなら、力を使い果たすか暴走して何が起きても不思議ではない――ノーチラスのように。
銃と毛皮の隙間からは血がこぼれなかったが、その時の衝撃で完全に骨を割って内側に入っているのが分かった。
どう考えても、もう助かるような傷ではなかった。
――でも。
悔いはない、筈だ。
最後に胸や尻を堪能出来たのだし、これ以上何を望めるのだろうか?
満足している。
――ろくでもない。
そんな無理にでも正当化しようとしている自分がろくでもない。
どうしようもない馬鹿だ、俺は。
先程だって都月にとんでもないようなことをしようとしていたのに。
生徒会で活動している時、朽樹良子やサーシャの前ではほとんど真面目な顔を見せていた。
普段のクラスメートの間でも。
しかしそれも、学校の中では穏便を保つ為だ。
本当は陰劣な痴漢が癖になった、どうしようもない馬鹿だ。
そんな自分でも悪くないとは思っていた。
いや、思わないようにしていただけ……
そんな自分の、始まり。
ずっと遠い昔。
もう思い出せないほど遠い昔のこと。
小学生の頃にはもう女性を”それ”の対象として見ていた。
そして小学五年生の時にヘマを犯した。
その時のあの女性。
自分を助けてくれた(と思う)あの女性に、まだきちんと礼も言えていない。
他にも色々、父にも迷惑をかけてしまった。
あんな父でも男手一人で自分をここまで育ててくれたのだ。
結局何もしてやれなかった。
自分が幼い頃に死んでしまった母。
もうすぐ自分もその母の元に行ってしまう。
物凄く怒鳴られる。多分。
エルフィ。
一緒に居たのは僅かな時間とは言え、エルフィにとってこの状況で殺し合いを始めていない生徒にまともに会ったのは自分だけだろう。
いくらなんでも、自分が死んだことに気付いたら絶対に困惑する。
苗村都月。
すまない、本当はそんなつもりじゃなかったんだ。
最後の最後まで、自分は人に迷惑をかけっぱなしだった。
もう、何も出来ない。
目の前は暗く、胸の痛みももはや静止している。
手も足も既に自分のものではないように動かない。
残された脳の他の部分も数秒もしない内に死ぬだろう。
悔いはあった。
たくさんあった。
胸や尻を揉むより重要なことが。
成さねばならないことを今更ながらにいくつも見つけてしまった。
しかし、もう――
「チッ……なんてこった……」
それが最期だった。
瞼を閉じると、ノーチラスの身体は静かに活動を停止した。
ノーチラスの意識は、急速に闇に捕われていった。
【G-5 ログハウス/一日目・黎明】
【男子三番:ウィリアム・ナカヤマ・スペンサー】
【1:僕(達) (本来(激怒時)は俺(ら)) 2:きみ(たち) (本来はお前(ら)) 3:彼、彼女(ら)、○○(名字さん付け) (本来は○○(呼び捨て))】
[状態]:全裸、気絶、左腕骨折、右足に裂傷(応急処置済み)、能力を行使したことによる疲労(極大)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式×2、シアン化カリウム
[思考・状況]
基本思考:気絶中につき、なし
[備考欄]
※銀鏖院水晶同様、超能力の行使は心臓に負担を掛け、体力を消耗させます
※シアン化カリウムについて、彼は薬のパッケージをよく見ていないためよく理解していません
※バトルロワイアルと言う環境下は、ウィリアムにとって通常よりもストレスとなっています
【女子二十番:苗村都月】
【1:私(達) 2:あなた(達) 3:あの人(達)】
[状態]:全裸、極度の怯え、被害妄想による狂気、ウィリアムに対し恐怖、気絶
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
基本思考:気絶中につき、なし
[備考欄]
※ログハウスの中にあったベッドで、静かに眠っています
【男子二十三番:ノーチラス 死亡】
【残り37人】
※ノーチラスの死体の近くに金属バットが転がっています
※ノーチラスの死体にS&W M56オート(5/15)が突き刺さっています
※M56オートのマガジン(3) がログハウスの床に置きっ放しになっています。
投下終了です。
支援ありがとうございます。
問題点があれば指摘お願いします。
投下乙です
………何というか直球勝負で来ましたねww
都月が目覚めたら大変なことになりそうです…
シリアスな脳散らすの最後、乙でした。
全員素っ裸という、滑稽なシチュに皮肉を感じてしまうよ。
投下乙。
ノーチラス…。ウィリアムが後少し遅れていたら18禁ゾーンに突入していたぜ…。
しかしますます小屋から出にくくなった二人はどうなるんだろう。
太田太郎丸忠信、追原弾で予約します。
投下乙です
ノーチラス……首輪解除の鍵になるかも知れなかった男が逝ったか…
剣道有段者である苗村にとって、金属バットは強力な武器になるな
全裸というある意味で最悪の誤解フラグも残り、ウィリアムは未だ安心できない状況か
しかしウィリアム……念動力の方も結構強いな
トマックの交友関係が分からん……
いつの間にか死者スレが起動してて吹いたw
これよりしたらばに投下します
代理投下します
鬼崎喜佳と朽樹良子は、C-7及びB-7の草原を通って、近くにあった診療所に足を踏み入れた。
着いて早々喜佳は、負傷痕が生々しい右腕に消毒液と包帯を施し、そのあと消毒液がもたらした苦痛に耐えながらも、良子に言われた通りに診療所内に唯一あったベッドで眠ることにする。
暖かいベッドは、喜佳が思っていたよりも早く、彼女を眠らせた。
――――
どれくらい眠ったか分からない。
目を覚ますと痛みはほとんど消えていて、カーテンの隙間から明るい日差しが少しだけ漏れてきていた。
「………私…寝ちゃったのか……」
そう呟き、ベッドから立ち上がる。
ふと後ろを見ると、すぐ近くの壁に凭れかかって静かに寝息を立てている良子の姿が目に入った。
「…ずっといてくれたのかな……良子」
安らかな寝息を立てる良子に、まだ僅かに自分の体温が残っている毛布を被せ、しばらく彼女の寝顔を見ていた。
そして彼女は、ふと気付く。
何故か知らないが、彼女からシャンプーとも石鹸ともとれるような匂いが漂ってきたのだ。
それを不思議に思った彼女は、彼女の艶やかな髪を手で掬う。濡れてはいなかったが、やはりシャンプーのような匂いがしていた。
「…………」
喜佳は、何も言わずに掬った髪の毛を手放すと、彼女の首筋で右手の五指を這わせた。
奇怪な叫び声とともに、良子が立ち上がり、しばらくはリチャード・ギアもびっくりするくらいの奇妙なダンスを踊っていた。
「相変わらずソコ弱いね。良子は」
「鬼崎さん………あなたって人は…」
やや慌てながら良子は、喜佳と距離を少しだけ取り、縺れる舌で言った。
「ところでアンタ…お風呂入った? 何かシャンプーの匂いするわよ?」
「あ…うん。診療所の中に居住スペースがあったから…そこにお風呂とかあったから…」
「そこでシャワーをちょっとね」
「あんたねえ…シルヴィアみたいなのもいるんだし不用意なことはあんまりしないでよ?」
「うぅ……だった汗かいてたし…」
良子は、少しだけ顔を赤くして、俯いた。
「あー……いちいち可愛いなあアンタは本当に…」
「許すわよ。そして私も寝汗かいたからシャワー浴びてくる」
そう言うと、喜佳は立ち上がり、良子に風呂場への案内を求めた。
「ちゃんと見張っといてね。あと覗くんじゃないわよ?」
「の…覗かないわよ!!」
ガラス戸一枚を隔てて、至ってクールな喜佳と未だに少しだけ顔を赤らめている良子が背中合わせに対峙した。
一糸纏わぬ姿となった喜佳は、シャワーの蛇口を捻り、シャワーから溢れ出るやや温めの湯で全身の汗を洗い流した。
「ねえ……………鬼崎さん」
ガラス戸の外からの良子の声。
「え? 何?」
当然その声はシャワーによってかき消され、喜佳はシャワーを止めて、それを再び聞き返した。
「いや…何でもないの……」
「何でもないって」
喜佳は焦らすような口調で言う。
良子は、少しだけ声を詰まらせた。だが、すぐに、やや戸惑いながら声を発する。
「鬼崎さんは………好きな人っている?」
「え?」
喜佳は、思わず呆気に取られる。
「やっぱり内木君のことが好きなの?」
良子はさっきとはまた別のテンション、やや悲しげな口調で言い放つ。
顔は見えないが、たぶんそうだろう。
「ち……違うわよ。クラスのみんながそんな風に騒いでるだけ…」
これは嘘だ。
喜佳は聡右のことが好きだ。
思わず否定してしまったが、この場では愛が露呈する羞恥心よりも、愛が潰える恐怖心の方が勝る。
アイツはバカだけど、一番近くで、私を支え続けてくれた。“あんなこと”があった後も。
「……そうなんだ」
良子は、先ほどと同じような口調で言う。
一方で喜佳は、彼女に対し不信感を抱いていた。
良子も聡右の事が好きなんじゃないのか?
そう思うと、彼女に対して言い知れぬ怒りが湧いてきた。
彼女とは付き合いが長い。聡右が居候していることは知らないが、それでも彼自身とも付き合いが長い方だ。
良子は自分を騙していたかもしれない。そうかもしれないと思うと、自然と怒りが湧いてくるのだ。
殺意にも似た怒りが。
だが、銃を持っていない今、喜佳は何もできない。
今は堪えるしかない。だが、ただ堪えるのはバカのすることだ。
ついでに詳しく聞き出そう……そう喜佳は結論付けた。
「私はいる。好きな人が」
「………へ…へえ……誰?」
「…………言えない」
「……そりゃないでしょ。そこまで言ったんなら…」
「…でも……とても苦しいの。その人のことを思うと」
良子の、さきほどにも増して哀しげな言葉に、喜佳はストレスを募らせた。
「もしかして………アンタそ…………」
「私とその人は、絶対に結ばれないって分かってる。自覚があるの。これはいけないことだって」
「ちょ……ちょっと良子?」
「それでも…………それでも……その人の事が………あなたの事が…」
「あなたの事が……好きなの」
喜佳が纏っていた怒りやその他もろもろは、即座に拭い去られた。
彼女はすぐにガラス戸を開けた。
そこには、顔をくしゃくしゃにして涙を流している良子の姿があった。
「こんな形の恋なんて……変よね」
「でも、これ以上抱え込むなんて無理なの。どうしようもなく…苦しいの」
「………」
喜佳は、泣きじゃくる良子を前にしても、黙るしかなかった。掛ける言葉が見当たらない。
「私の事嫌いになった?」
「……………」
喜佳は、何も言わずに良子に駆け寄り、何も言わずにそっと抱き締めた。
「嫌いになんてならないわ」
喜佳が掛けたその言葉に、良子は僅かに嬉しそうな顔を浮かべ、喜佳を抱きしめ返した。
【B-6 診療所/一日目・早朝】
【女子十二番:朽樹 良子(くちき-りょうこ)】
【1:私(達) 2:貴方(達) 3:あの人(達)、○○さん、くん(名字さん、君付け)】
[状態]:脚にかすり傷(治療済み)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、両口スパナ
[思考・状況]
基本思考:仲間を集めて島を脱出したい。
0:まともな生徒がまだ居ると希望を持っていたい
1:喜佳を信じ続けたい
[備考欄]
※シルヴィアが殺し合いに乗ったと認識しました。
平田三四郎に関しては不明です
※朽樹良子の思い人は『鬼崎喜佳』です
【B-6 診療所/一日目・早朝】
【女子十二番:朽樹 良子(くちき-りょうこ)】
【1:私(達) 2:貴方(達) 3:あの人(達)、○○さん、くん(名字さん、君付け)】
[状態]:脚にかすり傷(治療済み)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、両口スパナ
[思考・状況]
基本思考:仲間を集めて島を脱出したい。
0:まともな生徒がまだ居ると希望を持っていたい
1:喜佳を信じ続けたい
[備考欄]
※シルヴィアが殺し合いに乗ったと認識しました。
平田三四郎に関しては不明です
※朽樹良子の思い人は『鬼崎喜佳』です
【女子七番:鬼崎 喜佳(きざき-よしか)】
【1:私(たち) 2:あなた(たち) 3:あの人、あいつ(ら)、○○(名前呼び捨て)】
[状態]:右腕負傷(治療済み)、全裸
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、予備弾(21/21)、コルトガバメント(6/7)
[思考・状況]
基本思考:聡右と合流したい。仲間を探すことを口実に、彼を探す予定
0:……え?
1:ゲームに乗る気はない。だが生徒の数が減ってくれると嬉しい
2:いつも通りの親しみやすい鬼崎喜佳を演じ、戦いを極力避ける
3:良子たち他生徒には基本的に気を許す気はない。何か変なまねをしたら誰だろうが容赦なく殺す
4:襲ってくる者は殺す(躊躇はしない)
5:次にシルヴィアに会ったら確実に仕留める
[備考欄]
※聡右がもしもゲームに乗っていたら、どうするかまだ決めていません(自分では確実に殺してしまうという恐怖がある)
※彼女が銃を扱える事実は聡右以外は知りません
※シルヴィアが殺し合いに乗ったと認識しました。
平田三四郎に関しては不明です
※朽樹良子の突然のカミングアウトにショックを受けていますが、今彼女を殺すのは不味いとも考えています。
代理投下終了です。
>>643 投下乙です。
これは予測できなかった……
まさかの良子の思い人www
鈴木正一郎、貝町ト子、麻倉美意子、古賀葉子予約します
投下乙。
朽樹の好きな人は喜佳だったのか…!
診療所にはもう直ぐあの二人が到着。
一方内木は…目が離せません。
投下します
「貝町さん、あれは?」
片桐和夫を退けた後、南に向かって歩き出している途中、不意に麻倉美意子が木々の向こうを指差した。
貝町ト子は美意子の言う通り目をそちらによく見据えると、夜が明けかけている水色の森の風景に、動く黒い影が見える。
その影が大きくなってきて、それで影がこちらに近づいて来ているのが分かった。
女子生徒のようだ。
ぜえ、ぜえと激しい息遣いがここからでも耳に届き、その足元は妙にふらついている。
「古賀さん!」
美意子が、名前を叫ぶ。
疲れ切った表情を見せて姿を現したのは、古賀葉子(女子十五番)だった。
様子からして何もかも限界だと言う感じだ。
何かがあったのは明白だった。
あからさまに、ただ困惑だけしていると言う雰囲気ではない。
美意子が葉子の肩を押さえて、その呼吸の荒さを直に感じ取る。
「あ……加賀君と……シルヴィアさんが……」
葉子が、告げた。
その言葉はほとんど悲鳴に近い甲高さの中に、悲しげな感情が含まれている気がした。
ただそれだけでト子は何があったか全てを悟った。
誰か、片桐和夫のように狂ったクラスメートの襲撃を受けたのだろう。
そして加賀智通(男子七番)とシルヴィア(女子十七番が)が犠牲になった――
「どうしたの? 何があったの?」
美意子が、確認の意も込めて葉子に聞いた。
葉子が、泣きそうな顔で言った。
「鈴木君に……ころ、ころ、ころ」
「殺されたのか」
それを聞いた美意子の顔が暗くなった。
ト子は二人の死に関してはどうでもよかったのだけれど、しかし僅かに焦りを感じ始めていた。
それは、単純に驚威なのだ。ト子にとって。
「シルヴィアさんは、分からないけど、多分……」
「厄介だな、まだこの近くにいるのかも知れない」
もし出会ってしまえば戦闘は免れない。
ト子としてはそれを避けたかった。
鈴木正一郎(男子十五番)が何かしら危険な要素を持っているのは予想出来る。
一度に二人も殺してのけた(シルヴィアのことがある分、あくまで可能性、だが)のだ。
片桐和夫はまだこちらが情報を持っていたから直ぐに勝てた。
しかし、不完全にしか分からない相手である正一郎に対しては、完全な戦法と言うものが思い付かない。
戦うことになればある程度の消耗を覚悟しなければならないだろう。
葉子は座り込んで、そのまま泣きじゃくり始めた。
少なくとも加賀智通の死を見ていた訳なので、その恐怖は強烈なものであったに違いない。
美意子がその隣で葉子の肩を抱いて、葉子を落ち着かせようとしている。
ト子は、それを見ていてかつてのあの友人との出来事を思い出した。
今でも、覚えている。
自分と、妹を助けてくれた友人。
その柔らかな腕でそっと妹を抱きしめてくれていた友人。
そして、自分はその友人を裏切った。
――自分は裏切り者だ。
自分はただ一人の友人を陥れてしまった。
あの恐ろしい男の命令一つで、友人を壊してしまった。呪縛から解放された後、真っ先に後悔した。
あの後、友人が走り去った後にすぐに教室に向かった。
校内にはほとんど生徒が残っていない状況だった。
玄関前に居た日向有人に聞いても、教室に居た二階堂永遠に聞いても結局友人の居場所は分からない。
しばらく、二十分近く駆け回った後に教室に戻ってから――ようやく見つけた。
太田太郎丸忠信らに陵辱された、その時のまま――いや、それ以上に荒れた風貌のの友人が。
友人は、自分を睨みつけた後にだっと走りだし、そして行ってしまった。
その友人が、今の、この状況を望んでいたと言うのだろうか?
そうとしか思えない。
はっきり言って初めのあの教室の中で友人を見かけてはいないのだ。
いや、探そうともしなかった。
だから彼女も巻き込まれているのか、若狭の側についているのか予測が出来ない。
だけれども、自分が今、死に直面した現状に置かれているのは確かだ。
もしこれを切り抜けたとしてもまた同じようなことが起きるかも知れない。
それでもこの先も自分はその友人が望んでいるであろう結末を拒み続けるだろう。
それが裏切り者と言う汚名の代償ならば……
「見つけたぞ、古賀葉子」
唐突に、予告無く、野太い男の声がした。
しまった、と思った時には遅かった。
葉子が走ってきた方向、今のト子の背後に、そいつが居た。
――鈴木正一郎が。
ト子は一瞬身構えかけたが、それはやめた。
まずは相手の出方を見なければならない。
正一郎はそのままト子の前を通り過ぎて、目を見開いている葉子の目前にまで足を運ぶ。
そして、葉子を見下ろしながら言った。
「……お前はどうなんだ? 乗ったのか? 乗ってないのか?」
ト子は思った。
それはお前にも言えることだ。
右手には、小型のチェンソー。
その刃には血がこびりついているのがこの僅かな光でも分かる。
明らかに誰かを殺傷している。
葉子が震えながら首を横に振るが、正一郎の威圧は未だに続いている。
ト子は正一郎が動くのをひたすら待った。
そうでなければ、こちらから動くのはあまりにも危険な賭けだからだ。
と、思いきやいきなり美意子が正一郎の脇腹目掛けて頭突きをぶちかました。
「うおっ!」
「何のつもりよ、鈴木君! おびえてるじゃない!」
よろける正一郎に美意子は叱責した。
戸惑いは見せていたが、正一郎はすぐにそれに返した。
「……俺は、殺し合いに乗った奴らを制裁しているだけだ」
正一郎は続けた。
「麻倉、お前はどうなんだ?」
ほぼ反射するように美意子は反論する。
「そんな……人を殺そうなんて思うわけ無いでしょ!」
ト子は、しばらくその流れを傍観していた。
やがて正一郎は自分にも同じようなことを聞いてくるだろう。
答えようは一つしか無い。
ここで乗ったなんて言うのは余程の馬鹿か自殺志願者だけだ。
だが、この時ト子はある考えを思い付いた。
それは卑怯な考えだ。
自分でも分かっている。
それでも今、この鈴木正一郎の近くに居ること自体が危険だったし、今後、麻倉美意子も邪魔になってくることは容易に想像がつく。
不自然さが否めないかも知れないが、仕方がない。
もしかしたらそろそろ薬の禁断症状が近付いて冷静な判断力を失っているだけかも知れないが。
――ああ、どうあっても自分はもう裏切り者だ。
なら――
「鈴木、じゃあお前はどうなんだ」
ト子は正一郎に聞き返す。
正一郎も直ぐさま、苦笑を込めて返事をする。
「馬鹿な。俺は殺し合いに乗った奴しか殺してない」
「どうだか。では、お前が殺している連中は本当に乗っていたのか? 特に加賀は?」
そこで、一瞬正一郎は黙り込んだ。
ト子はその隙を見逃さなかった。
「もしかしたらお前の正義感とやらは随分安っぽいものなんだな」
「――」
それを聞いて、正一郎は眉を潜めた。
少しためらったように間を置いて、それからチェンソーがいきなり唸りを上げて動き始める。
「……それが答えか?」
ト子はすくんだように左足をやや後ろに下げた。
――いや、ト子はむしろそれを待っていた。
「悪いな……」
「!?」
次の動きは、正一郎にとっても美意子にとっても葉子にとっても予想外だったに違いない。
ト子は素早く美意子の後ろに回り込んだ。
そして、正一郎に向けて、美意子を肘から体当たりした。
小柄な体格の美意子はそれに耐えられず、吹き飛ばされてしまう。
――先には、チェンソーの刃。
「か、貝町さ――」
顔は正一郎の方向を向いていて、ト子には見えなかったが美意子は驚愕に歪んだ表情をしていた。きっと。
ト子は、ただ淡々と言った。
「頭が良すぎるのも考えものなんだよ、麻倉」
刹那、美意子の身体が激しい振動を始めた。
回転する刃が胸を、顎を、喉笛を一気に引き千切る。
美意子の目は遠く天を見て、口を半開きにしてさしずめオペラ歌手のようだったのだけれど、その口の少し下からは血が噴水の如く噴き出していた。
悲鳴など、上がる筈もなかった。
美意子の首元から一際大きい血飛沫が飛び出すと同時に、ト子はもう日本刀の鞘を抜いて正一郎目掛けて飛び掛かっていた。
「そのまま、死ね……」
美意子の頭の上を通り過ぎるように、正一郎の首に日本刀が迫った。
チェンソーが美意子から抜けず片手が塞がったままの正一郎は急いで身を屈めてその一撃をかわす。
そして正一郎の頭上を通った直後、ト子は日本刀を逆手に持ち直した。
そのまま激しく突き出した。
「ぐっ」
正一郎の口から呻きが洩れる。
左脚のふくらはぎを貫いた日本刀はすぐに抜かれ、ト子は正一郎に背を向けて全力で走り出した。
葉子がそのト子の姿を視線で追っているのが見えたが、それは無視することにした。
これで十分だ。
下手に戦って日本刀をチェンソーで叩き割られたら泣くに泣けない。
逃げる為の時間は稼げた筈だ。
また、自分は裏切った。
相手にも危ないところがあったとは言え、他の誰かに壊させてしまった。
あの時のように。
――違う。
自分は、自分の目的の為に動いた。
あの時のように強制された訳ではない。
完全に私の責任だ。
いや、そもそもどうなろうともはや私には責任が持てない。
なら――何処までもやってやろうじゃないか。
絶対に負ける訳にはいかない。
裏切り者として、生き抜いてやる。
だから――
「許せ、麻倉。私が生き残る為には仕方無いのでな……」
――
正一郎は、しばらく立ちすくんでいた。
麻倉美意子の死体からチェンソーを引き抜こうともせず、ただ茫然とその美意子を眺めている。
こんな筈じゃなかった。
自分はまだ麻倉美意子を殺そうだなんて思っていなかった。
なのに、殺してしまった。
いや――殺させられた。
それでも、善良だったかも知れないクラスメートを自分が殺してしまったと言う事実からは逃れようが無い。
目の前には紛れも無くその骸がある。
――自分は、自分は乗ってしまった、のか?
罪も無い人間を殺してしまった以上、乗ってしまったと言うことなのか?
「がっ!」
そう考えていた時、正一郎の背中に激痛が走った。
それに意識を引き戻され、何があったのかばっと痛みの根元に顔を回した。
羽のようなものがついた太い針が正一郎の背中に突き立てられている。
急いでそれを引き抜いて確認する。
――ダーツだ。
「ひ……人殺し」
その正一郎の背後で震えながらも叫ばれる声。
「狂ってる!」
古賀葉子が、ダーツの束を手に持ちながら正一郎を汚物でも見るかのような目で睨み付けている。
足も、腕も、唇も全て震えていたのだけれど、しかし正一郎に対する怒りだけははっきりと分かった。
「人殺し、人殺し、人殺し、人殺し、人殺し!」
「違う、俺は正気だ!」
正一郎はデイパックの中から覚束ない手付きでアイスピックを取り出すと、勢いをつけて葉子に突き進んだ。
逃げる間もなくアイスピックが、葉子の左胸に深く突き刺さる。
「うっ」
そのまま、葉子がゆっくりと崩れ落ちた。
自分が一瞬の内にあっさり殺された現状に気付く時間も無く、仰向けに倒れて、木々の枝の間の明けかけた空を見上げる。
そして苦しむ様子も見せず、ただ静かに、愛おしそうにその名前を呟いた。
「リ……ン」
それきり、葉子の全てはそこで止まってしまった。
もう正一郎は、その場から一歩も動けなくなっていた。
自分が殺した二つの死体が転がる中、正一郎の精神は完全に追い詰められつつあったのだ。
どうにかして自分を正当化しようと考える。
しかし、その理由が思い付かない。
そうやすやすと思い付けばこんな自己矛盾から解き放たれるのも訳がないだろう。
それでも、今の正一郎にはそれが出来なかった。
自分が本当の”殺人鬼”になりつつあるのを理解しかけていたからだ。
その汚名に直ぐに慣れられる程、正一郎は強くはなかった。
「くそ、俺は……!」
――ただ、それだけの話だった。
【C-5 森/一日目・早朝】
【男子十五番:鈴木正一郎】
【1:俺(ら) 2:あんた(たち) 3:○○(名字さん付け)】
[状態]:自己嫌悪、右脚負傷、右脇腹打撲、背中に刺創、疲労(中)
[装備]:チップカットソー(バッテリー残り80%)
[道具]:支給品一式×2、不明支給品(確認済み。武器ではない)、アイスピック、
バイクのチェーン(現地調達)錆びた鉄パイプ(現地調達)
[思考・状況]
基本思考:脱出派(危険思想対主催)
0:危険人物と判断した奴を殺しながら脱出の道を探す
1:生きているかもしれない松村友枝と、事の一部始終を知る朱広竜を探す
2:脱出不可能なら自分以外の誰か一人を生き残らせる
3:貝町ト子を殺す
[備考欄]
※ 彼はクラスメイトの人間関係を色々誤解しています
【女子5番:貝町ト子】
【1:私(ら) 2:お前(ら) 3:○○(名字呼び捨て)】
[状態]:疲労(小)
[装備]:日本刀
[道具]:支給品一式×1
[思考・状況]
基本思考: 秘密を保ったまま脱出する
0:この場から離れる
1:禁断症状が出ない内に薬物を手に入れておきたい
[備考欄]
※テトとは友人でした
※太田に対して、複雑な感情があるようです
※薬物中毒者です。どの程度で禁断症状が出るかは、後の書き手にお任せします
※支給品「赤い液体の入った注射器」は太田が貝町に使っていた薬品のようです。
【女子一番:麻倉美意子 死亡】
【女子十五番:古賀葉子 死亡】
【残り35人】
※支給品一式×1、不明支給品×1 、首輪の残骸×1が麻倉美意子のデイパックに入っています。
※ダーツセット(本数不明)が古賀葉子の死体の傍に落ちています。
投下乙。
桐山ばりに無双を続ける鈴木君も流石に迷いが生じてきたな。
さり気無く酷ぇw貝町の方がメンタル面は一枚上手か?
そして必殺ぐるぐるパンチを披露する間もなく麻倉散る…。
投下乙。そして転載ありがとうございます。
鈴木もそうだが貝町もほかの生徒とは一味違いますね…
さりげなくテトの過去も紡がれてきましたし、彼女がどんな地獄を見てきたかもそろそろ明らかになりそうですね
朱広竜、鈴木正一郎で予約します。
流石にそろそろ水晶と平田を、誰でもいいから動かして欲しいです
……散々遅れて申し訳ありません
ようやく完成に至ることができました
度重なる予約超過、本当に、本っ当に申し訳ありません
一度、仮投下スレの方に投下して、問題がなければ本投下に移りたいと思います
特に問題はないと思われますよ
非常に個人的な判断で申し訳ないのですが、代理投下させていただきます。
冴え冴えと輝く星月が、夜の海を明るく照らしている。
どうどう、どうどう、と寄せては返し、防波堤に当たっては砕ける、荒々しい波の音。
砕けた波は白い飛沫となって、ほんの一瞬、宙を舞ったかと思うと、すぐに強い海風の中へと浚われていく。
人の都合で為される血生臭い殺し合いになど、微塵も揺るぐことのない雄大な自然の姿。
それはまるで、人の死など些細なことと無言の主張をしているかのようですらある。
「―――そう、所詮は些事」
堤防の縁に腰かけた銀鏖院は、海を眺めながら呟いた。
すぐ後ろには、先ほどまで倉庫だった物の残骸があった。
銀鏖院が今なお動いていないのは、先ほど能力を連続で使用したことによる疲労が思いの外濃かったためだ。
銀鏖院の能力は、単体で要塞すら崩せる極めて強力なものだが、自身の心臓に相当の負担を強いるものでもある。
言うまでもないことだが、心臓は全身へと血液を送り出す人体の重要な器官である。
心臓が正常に機能しなくなれば、全身の細胞に酸素と栄養が行き渡らなくなり、その人間の生命活動には支障が生じる。
先ほど銀鏖院が倒れたのも、心臓への負担によって生じた不整脈がその理由だ。
直ぐに正常化こそしたが、結果として銀鏖院の全身には大きな疲労と脱力感が残った。
今回は軽い不整脈程度で済んだが、今後も能力を使い続けて心臓を酷使すれば、いずれは心停止を引き起こす可能性すらある。
休息を挟むことで安全性は保てるとはいえ、銀鏖院としては、出来ることならばもう能力は使わずに済ませたいところだった。
だが、武器を失ってしまった以上、現在の銀鏖院が持つ有効な攻撃手段は、リスクの高いこの力をおいて他にない。
無理を通してでも危険な力に頼らなければならないのであれば、僅かでもそのリスクを落とす為に休息を欲するのは当然であった。
「唯一人、比肩しうる者のない遊戯場にあって、自ずから死にかけていては世話ないというもの」
己の失敗を責める言葉だが、自省の意味で、敢えて口に出すことを選ぶ。
銀鏖院という少女は、人格こそ常軌を逸しているものの、有する知能自体はかなり高い。
状況を冷静に分析し、あくまで“自分のみにとって”という注釈は付くが、正しい判断を取るだけの自制心も持ち合わせている。
「思慮すべきは力の使いどころ。そして、憂慮すべきはこの首輪」
確実に死に至るだけの爆薬が詰め込まれ、リモコンで遠隔的に爆破することも可能な首輪。
この首輪の存在は、テトと二階堂を殺す上で、大きな障害となるだろう。
ただ一人で要塞すら瓦礫に変える力を持つ銀鏖院も、肉体的には(発育は幾分悪すぎるとはいえ)18の少女でしかない。
それこそ、ただ一発の弾丸で、ただ一振りの刃で、ただ一撃の石塊で、ただ一度の爆発で、その命は儚くも散って消える。
例え、他の生徒を皆殺しにしたところで、首輪をつけたままではテト達との戦いの場にすら登れないだろう。
考えなしに猪突猛進した挙句、指先一つで爆死させられるなど、銀鏖院ではなくとも真っ平ごめんである。
「―――さて、どうしたものかしら」
首輪の表面を指でなぞりながら、そう銀鏖院は呟いた。
教室で気を失う寸前、首の辺りに一瞬痛みのようなものがあったことから、単純な爆破以外にも何らかの機能が搭載されていることは推測できる。
しかし、そもそも―――滑らかな金属のフレームをなぞっていた指先を、首と首輪の隙間へと滑り込ませ―――普通の機械であるかどうかも怪しいこれに、対処のしようがあるのだろうか?
滑り込ませた指先は、己のそれとは確かに異なる、もう一つの脈動を感じていた。
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シルヴィア達から逃れた平田は、港の倉庫が立ち並ぶ一帯へとたどり着いていた。
平田の呼吸は、一目見て判る程に荒い。
此処まで走ってきたことは勿論、先程から身体が訴える不調もその理由だった。
僅かに輪郭がぼやけた視界と、断続的に襲う嘔吐感。
『昔』の経験から、軽度の脳震盪であると平田には判断がついた。
恐らくは、ガソリンスタンドでシルヴィアから受けた後頭部への一撃が原因であろう。
本来、脳震盪というのは数分程度で収まるものとされているが、それはあくまで安静にしていた場合に限られた話。
脳震盪を起こした直後に下手に動いたり、また動かしたり、頭部へ再び衝撃を与えるなどすると、多くの場合は状態の悪化を招く。
稀ではあるが、軽度の脳震盪でもそれで昏倒に至ることや、脳に何らかの障害が残るケースもあるということだ。
また、気絶を伴う中度以上の脳震盪の場合、速やかに病院等で適切な治療を受けなければ、最悪の場合は死に至る。
マンガやドラマなどで、よく「ただの脳震盪だから心配ない」と説明される場面があるが、あれは多くの場合、真赤な嘘である。
「もう何年も前のことなのに、覚えてるもんだな」
命がけでシルヴィアに対処していた最中に鬼崎達が現れたことによって、身体を休める暇もなく、逃走へと移らざるを得なかったのだ。
先ほどから次第に増し続ける、ずきずきとした頭の痛みは、身体が鳴らしている警鐘なのだろう。
見れば、服装も随分と酷いことになっていた。
流れる血と汗を顧みずに走ったために、頭に巻いた布はぐっしょりと濡れて元の色を失くしている。
激しく身体を動かしたためか、制服の肩口は少し縫い目がほつれ掛けているようだし、シャツや下着は汗を吸って肌に張り付いている。
今更ながらに、平田は湿気を含んだ海風が結構冷たいことに気が付いた。
このまま風に当たっていては、身体を冷やしてしまうことだろう。
「兎にも角にも、早くどこかで身体を休めないとな」
幸いなことに、今いる辺りには幾つもの倉庫が立ち並んでいる。
数時間ほどやり過ごす程度なら、そう難しいことではない筈だ。
そこに若干の希望的観測が交っていることは自覚していたものの、平田に休まないという選択肢をとるほどの余裕はない。
何処か適当な場所はないかと、平田は辺りを見回す。
そうしていると、等間隔に並んだトタン造りの倉庫の間に紛れるようにして、一つだけ壊れた倉庫があることに気付く。
「……何だ。これは、重機でも突っ込んだのか?」
近くに寄って見てみると、これがまた見事にバラバラである。
角材や鉄骨が辺りに散乱し、割れたトタンが鋭く突きだしている。
しかもトタンの割れ口が綺麗過ぎることを見るに、この倉庫が壊れてから、そう時間も経っていないようだ。
「どう見ても、尋常なことが行われた後ではないな」
状況から見るに、未だこの近くに誰かがいることは確実である。
しかも、それは恐らく、倉庫を壊せる程の道具を支給された、倉庫を壊す程度には攻撃的なクラスメイト。
「さあ、どうする?」
平田は自問自答する。
仮に味方に出来た場合は? → その攻撃的な性格に振り回された末、諸共に危険人物扱い。
では逆に敵対した場合は? → その強力な武器によって、為すすべもなく地獄行き。
回れ右して、この場から早々に離れるが吉、と。
そう判断し、踵を返しかけたところで、ふと、平田は思い至った。
―――この倉庫の残骸、使えないだろうか?
今、自分たちがいる無人島が本島からどれくらい離れているのか、平田は知らない。
だが、この島にも港がある以上、近くに漁場や船舶のルートの一つくらいはあるだろう。
ならば、島の近くに船が通りかかるタイミングを推測して、この残骸に火をつければどうなる?
本来ならば、誰もいないはずの島から煙が上がる。
間違いなく人目を引く筈だ。
上手くいけば、当日の内にも島に人が調べに入るかも知れない。
「そうなれば、こんな下らない殺し合いなど、跡形もなく潰れるだろうさ」
この殺し合いは、イベントの企画者によって首輪という絶対主導権が握られている以上、内側から破壊することは不可能に近い。
しかしそれは、外部からの介入が行われた場合、余りにも容易く破綻を来す、強化ガラスのような一面的な強固さでしかないのかも知れない。
「シルヴィアの奴も、これが上手くいけば改心してくれるだろうか」
ぽつり、と平田は呟いた。
先程は殺し合いになってしまった相手だが、あれは状況も悪かったのだと思う。
幾ら周りの人間が憎いとはいえ、今まで平気だったものが、突然皆殺しにしたい程の激情に変わるとは考え難い。
恐らくは、唐突に放り込まれた殺し合いという環境にパニックを起こした結果としてのあの行動なのだろう。
好き好んで殺し合いをしようとする奴など、何処にもいるはずがない。
全員で助かる手段があると判れば、今度こそ協力できるのではないか。
「そうと決まれば、一度、ガソリンスタンドまで戻るか」
シルヴィアがいるかどうかは分からないが、どの道、火を付ける為に火種となるガソリンは必要だ。
平田は自分の来た方向を振り返ると、疲れた体に鞭打って、もう一度歩きだした。
本当ならば、今直ぐにでも休みたいところだったが、こうしている間にも殺し合いに乗ったクラスメイトが凶行を働いていると思うと、今、出来るだけのことをしておきたかった。
休むのは、その後でも良いだろう。
「さて、もうひと頑張り……」
そう言って前に出した足が、不意に、空を切る。
妙に音が遠い。身体が動かない。首を動かしていないのに、視界が勝手にスライドしていく。
それに、先程まではなかった赤い色。赤、赤、赤だ。
この色は、一体どこから来たのだろう?
それが何であるのか、平田が気が付いた時には―――既に、
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轟々と、炎が燃え盛っていた。
少し離れたところに落ちていた鎌を拾い上げた銀鏖院は、満足そうに笑う。
辺りには平田だった肉が焦げる臭いが充満し、未だ消える気配を見せないガソリンの炎が眩い光を放っている。
「やはり愚民など、この程度か」
銀鏖院が使ったのは、この港にあったポリタンク入りのガソリンと、倉庫の残骸から摘み上げた指先程度の鉄片だ。
平田は一歩考えが及ばなかったが、此処が港である以上、船舶の燃料に使われるガソリンも、この港に多少ではあるが貯蔵されていたのだ。
銀鏖院は、そのガソリンが入ったポリタンクの中に、自分の銀髪を一本結びつけてガソリンに触れないよう鉄片を吊るした物を、平田が来る前から港の数か所に設置。
鉄片の方は、予め服に強く擦りつけることで、その内部に大量の静電気をため込ませておく。
ガソリンは揮発性・蒸発性が高く、小さな火花ですら、極めて引火しやすいという性質を持つ燃料だ。
後は、目に適う武器を持った相手が、罠を仕掛けた直ぐ傍を通る瞬間が訪れたその時、物質の圧壊と透視という2つの能力を併用することで、ポリタンクの中で鉄片を繋ぎ止める髪を断ち切り、鉄片をガソリンへと落とす。
静電気をため込んだ鉄片はガソリンに触れる瞬間、小さなスパークを発生させ、それによってガソリンは爆発的な燃焼を起こすのだ。
平田の横、僅か数mの距離で発生した爆発は、高温の炎とガスを伴って平田の全身を襲い、一瞬の内に彼を絶命に至らしめたのだった。
「この狩りを潰すなどと言わなければ、僅かばかりとはいえ、長生きできたものを……」
実のところ、銀鏖院はもう暫くは回復に専念するつもりだった。
そのため、平田が現れても直ぐには手を出さず、堤防の縁で制服の上着をほっかむりのように被ることで保護色を装い、夜の海と空に溶け込んでいたのだ。
だが、発言の内容から平田が余りにも愚かなことをしようとしていると判り、仕方なく銀鏖院は休息も半ばで切り上げ、殺害を決行したのだ。
そう、確かに外部からの介入を得れば、この殺し合いは終わるだろう。
しかし、それは追い詰められた者が取る行動を予測していないが故に、ただの愚行でしかないのだ。
平田に足りなかったものは、主催者が追い詰められた時、自暴自棄になって全員の首輪を爆破するという可能性への思慮。
殺し合いを止めたところで、それが自分たちが助かることとイコールであるとは限らないという事実の理解である。
「しかし、デイバッグまで燃えてしまうとは……」
当面の目的である武器こそ手に入れたとはいえ、地図や食糧など、基本支給品の類を銀鏖院は何一つ手に入れていなかった。
他の道具は兎も角、放送による禁止エリアの発表がある以上、地図だけは手に入れる必要がある。
「これだけ派手に火の手を上げては、此処を恐れて近づかない者も多いかしら」
気化したガソリンは空気より重い為、その火は思いの外、広範囲へと広がる物だ。
倉庫には引火しないようにポリタンクの位置を配慮してあるし、例え燃え移ったところで朝までには消えるだろう。
だが、他のクラスメイト達が、炎が燃えているところにわざわざやってくるとは、銀鏖院には思えなかった。
地図を得るためには、他のエリアへと移動しなければならない。
銀鏖院は、少し行き先を考えた後、
「そう、先ずは――――」
―――波は雄々しく、―――炎は激しく、―――
―――月は冴え、―――闇は静かに、―――
―――星は流れ、―――人は死に、―――
――― 一人、少女が笑う ―――
【D-8 港の倉庫前/一日目・黎明】
【女子十番:銀鏖院 水晶(ぎんおういん-みきら)】
【1:私(達) 2:あなた(達) 3:あの人(ら)、○○(呼び捨て)】
[状態]:疲労(中程度)
[装備]:大鎌
[道具]:なし
[思考・状況]
基本思考:神の存在を知らしめる
0:まず優勝を目指す
1:その後にテトと二階堂を始末する(卜部悠は比較的どうでもいい)
2:日向有人を警戒
3:地図が欲しい
[備考欄]
※テト達三人が黒幕だと確信しました
※銀鏖院が何処に向かうかは、次の書き手にお任せします
※D-8の倉庫近辺が燃えています。(朝までには消えると思われます)
※D-8の倉庫近辺に平田三四郎の死体(若干焦げ)が放置されています。
【男子二十四番:平田三四郎 死亡】
【残り34人】
代理投下終了です。
>>664 投下乙です。
水晶もかなり強いけど生徒を基本見下して掛かってますね。
それがもとで足元すくわれなきゃいいんですが
投下乙です。
そして透過乙です。
はたまた灯火乙です。
投下乙。
優勝候補?水晶が本領発揮。
そして平田…。今更シルビーの名前を連呼してた辺りから予感はしていたが…。
これで剣客は全滅か…。
投下します
自暴自棄から意気消沈し、千鳥足のまま同エリアをふらついていた鈴木正一郎の前に、朱広竜が姿を現したのは、彼が古賀を殺害したそのすぐあとのことだった。
広竜と鈴木は、10数mほど離れていて、森の木の陰がようやく照り始めた朝日を遮っていたが、両者共に、ギリギリその人物が誰なのか認識することは可能だった。
「朱広竜………」
あまり表情を変えることなく、広竜は近づいてきた。
鈴木自身もあまり表情を揺るがすことはなかった。
「鈴木正一郎か」
朱広竜も、鈴木の間近に来て、発した言葉と言えば、この時点ではその一言だけだった。
「お前。人を殺しただろう? 何人殺した?」
沈黙は、なかったようにも見えた。広竜が、鈴木に対し、先の言葉から間髪いれずに言い放ったようにも見えた。
だが違う。コンマ数秒。どれくらい短い時間だったかは見当もつきはしないが、確かに、沈黙や死臭、負の感情などが渦巻き、それと同様の空気を、ほんの少しだけ作りだしていた。
「どうでもいいだろう。それよりお前には色々と聞きたいことがある」
鈴木自身も、ようやく尋ね人を見つけたわけだ。彼との距離を改めて詰め、問い掛けた。
「松村友枝を……知っているな?」
「ああん? 松村?」
「トマックから聞いてる。お前が奴を返り討ちにしたことは既に知っている」
「あん? アイツは生きていたのか?」
「お前は奴が、あのまま死んだと思っていたようだが…アイツは生きていたぞ。そして、奴は松村が爆発を起こして、自爆したとも言っていた」
「それは本当か?」
静かであるが、威圧的な鈴木に対し、広竜は
「知らねえな」
とだけ答えた。
「そんなはずはない。トマックは爆発物を持っていなかったし、お前は見たところ爆発に巻き込まれた形跡がない。矛盾だらけだ」
「鈴木よ。お前はアイツはその後どうなったんだ?」
「殺したよ。ゲームに乗ってるって言ったからな」
「だろ?」
朱広竜の表情が、途端に華やいだ。
「全てアイツの狂言だ。アイツはマジにヤバい奴だ。ほぉれ」
広竜は、右手の、ほぼ全て吹き飛び、布切れで蓋をするように雁字搦めに縛っている中指を見せつけた。
「殺しておいてよかったな〜。別に気に病むことはないぞ?」
「嘘をつくな」
「あぁ?」
広竜は、眉をひそめた。
「俺はトマックの言ってることが嘘だったとは思ってはいない。あの時の奴にあんな余裕はあったようには思えない」
「オイオイ。じゃあなんでその余裕のない奴を殺したんだ。そっちの方が矛盾するじゃないか」
「だから殺したんだよ。奴はゲームに乗ろうと思っていたと言っていた。だから殺したんだ」
「お前狂ってるな」
まただ。
この言葉。
鈴木は、自分でも薄々気付きつつある。自分自身が悪なんじゃないのか?と。
先ほどいとも簡単に屠った古賀葉子の今際の言葉もそうだった。
自分が悪だと思っている奴は、実は悪ではなく、俺自身が悪なんじゃないのか?
だとしたら俺はとんだピエロだ。
自分の目的を、自分で阻害している。
宍戸やトマックがゲームに乗ろうと思っていたのは事実だろう。だが今思えば、最後改心したのも事実だと思う。
加賀は確実に乗っていなかった。
古賀は純粋に俺を恐れていただけ。
シルヴィアは説得できたかもしれないの、しなかった。
他の生徒だって同じだ。どれも根拠がない
「ああ……そうだよ。俺は暴れ牛ってとこか? 止まれない。止まる手段を知らない」
「そのうち柵に頭をぶつけて死ぬだろうよ……」
「だがなあ…朱広竜」
「この暴れ牛の頭でも分かる」
「悪とは……お前のようなペテン師のことを言うんだとな!!」
鈴木の叫びが、朝霧立ち込める森の中に響いた。
広竜は、ハァとため息をつくと、とっさに身構えた。
「で? 暴れ牛さん。俺相手に何をする気だ?」
「聞くまでもないが…お前はゲームに乗っているのか?」
「Yes Noで答えるならYesだ。できるなら今戦闘は避けたいが、お前は手負いだし乗ろう。」
「俺に傷を負わせられたら、松村について話して……」
広竜が言い終わる前に、鈴木は既に動いていた。
チップカットソーが奏でる不快な強震音が、広竜の耳を劈く。制動する刃は、既に耳元にまでせまってきていた。
広竜は、とっさにそれをしゃがんで躱し、鈴木の懐に忍び込むと、左手で奇妙な型を形成し、その手を、その型のまま鈴木の腹の中心目掛けて打ち込んだ。
「くっ……かはァッ!?」
突然訪れた未だかつて味わったことのないような言い知れぬ痛みのあまり体勢を崩し、とっさにチップカットソーを手放してしまった。
広竜は、その僅かな隙も全く見逃さない。
宙を舞ったソーが地に落ちようとするその前に、左手で、それを奪い取り、鈴木の顔に向けた。
「お返しだ! 暴れ牛!」
鈴木は、反射的に右手でそれを庇おうとするが、それはこの場においては愚行だった
右手で防げるのは木々の間から差し込む光だけだった。
ソーは無情にも鈴木の右手の半分を、奪い取った。
肉も、指も、骨もそこにはありはしない。そこには赤い砂漠のような肉の断面と風呂敷のように敷かれた痛みだけしかなかった。
「ぐ……おぉおお」
「くくくっ…暴れ牛も所詮は牛か……屠殺されて食卓に並ぶのが宿命だ」
苦痛の叫びは、広竜をどうしようもなく高揚させる。
そうして、口裂け女の如く口を歪めた広竜は、コメディアンのようなテンションで言うのだった。
「最期だから憐みの意を込めて言っといてやるよ。トマックの言ってることは、アンタの憶測通り全て真実だ」
「松村は俺の襲撃から奴を救おうとして勝手に死んだよ」
「この傷は爆発から逃れるために忍び込んだ民家で、鹿和に付けられた傷だ。油断とはいえあんな豚にやられたのが癪だったから奴は顔をプレスした様に潰して殺したよ。あれも傑作だった」
気味の悪い笑い声と共に、先の強震音が、今度は鈴木の耳元に近づいていた。
「今宵の晩餐は……不味い牛のソテーってとこか!?」
広竜は、一度ソーを空高く掲げ、勢いよく鈴木の顔目掛けて振り下ろされた。
支援
支援
―――――――――――――――――――――
「……?!」
朱広竜は、ソーの動きが止まり、刃軋んでいることが理解できなかった。
なぜ刃がこいつの肉を切り裂かない?
なぜこいつは――――素手で制動する刃を止められるのだ?!
「この痛みは……俺が受けるべき痛みの一つとして受け取ろう…」
鈴木の左手は、今まさに血しぶきと共に抉られていたが、それでも彼は表情一つ変えない。
それどころか、ソーの回転はどんどん弱まり、刃にヒビが生じ始める。
そのヒビが見えるのだ。それはもう、ほとんど回転してはいないということを示していた。
間もなくして、ソーの刃は砕け散る。
「………やっぱりクレイジーだな……」
広竜は、このとき鈴木に対しある感情を抱いていた。
それは“恐怖”
明らかに追い詰めているのはこっちなのに、明らかにあちらは瀕死なのに、何故だか鈴木の事が恐ろしくて仕方がなかった。
回転が止まったソーを、広竜は手放すと、そのまま鈴木から遠ざかった。
それを見届けると、鈴木は安堵したような表情を浮かべ、沈んだ。
―――――――――――――――――――――
鈴木は、奇妙な感覚を抱いていた。さきほどまでの痛みはどこかへ消え去っていたのだ。
だが、辺りはどうしようもなく暗く、冷たい。
「ここは……どこだ?」
「あっちの世界だよ」
そこには、松村友枝が立っていた。
「お前が俺のお迎えか? 俺もとうとう死ぬわけだ」
「ううん。違う。鈴木君はこっちには来れない」
鈴木は咄嗟に、松村の足元を見た。
松村の立つところだけが、光を受けているかのように、微かな暖かさを持っていた。
それがこちらからも分かる。
「俺は地獄行きか」
「そうだよ」
松村の声が、震えていた。
「私さ……鈴木君のこと好きだったんだ…入学したころから」
「そんで修学旅行で告白しようと思ってた」
「やめておけ…このゲームが始まる前から俺は穢れてた」
「それでもいいよ!! 私はそれでもいいんだよ」
松村の瞳は、涙で潤んでいた。そして、鈴木はそれを直視することはできなかった。
なぜならあまりにも悲しすぎるから。
「でも……私決めたの。鈴木君のこと。私からフることにした」
「………」
鈴木は、言葉を返せなかった。
「だから……鈴木君は、自分を貫いて……」
「私は応援してるぞ?」
松村はそう言って、鈴木の肩を小突いた。
彼女は、笑顔だった。
間もなくして、鈴木正一郎と言う名の、罪深き暴れ牛は意識を取り戻す。
「そうだ……俺は命を掛けて贖罪を果たそう。松村友枝……」
「もとより捨てるつもりだった命だ。微塵も惜しくはない」
「お前と同じ天国の地を踏むことは…無理そうだ……」
「命尽きぬ限り………悪を滅す事に粉骨砕身し、やがては己が身も己で砕こう…………」
傷だらけの暴れ牛が一頭。朝日の祝福を浴びて立ち上がった。
【C-5 森/一日目・早朝】
【男子十五番:鈴木正一郎】
【1:俺(ら) 2:あんた(たち) 3:○○(名字さん付け)】
[状態]:自己嫌悪、右脚負傷、右脇腹打撲、背中に刺創、腹部中心に激痛、右手半分欠損(Tシャツを千切って包帯代わりにしている)、左手が抉られている、疲労(特大)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式×2、不明支給品(確認済み。武器ではない)、アイスピック、
バイクのチェーン(現地調達)錆びた鉄パイプ(現地調達)
[思考・状況]
基本思考:脱出派(危険思想対主催)
0:自分の認識の多くが間違っていた事を反省
1:だが悪人狩りはやめない
2:貝町ト子、朱広竜を殺す
3:脱出不可能なら自分以外の誰か一人を生き残らせる
[備考欄]
※彼はクラスメイトの人間関係を色々誤解していることに気付きました
※使命感と罪悪感から、自分の命を粗末に扱うつもりでいます
【男子二十番:朱広竜】
【1:俺(達) 2:お前(達) 3:○○(呼び捨て)(達)】
[状態]:右手中指欠損(止血、応急処置済み)、屈辱
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(鹿和太平から奪った支給品)
[思考・状況]
基本思考:ゲームに乗る
0:今は鈴木から遠ざかる
1:積極的に相手には近付かない(今は尚更)
2:しかし機会があれば相手をすぐには殺さず痛め付けて楽しむ
2:危ない橋を渡るのは極力止す
[備考欄]
※トマックも爆発に巻き込まれたものだと思っています
※中指を失ったことで拳法の腕が格段に落ちました
※これにより技の発動などに支障が発生することがあります
※貝町とは別方向に移動しています
※壊れたチップカットソーが、鈴木正一郎がいた場所に転がっています
投下終了です。
支援してくれた方々には全力で感謝します
投下乙です。
鈴木が危ない世界に行きかけましたがなんとか生還。
朱広竜も冷静になってきたか?
投下乙。
おぉ、鈴木格好いい…。
迷走と度重なる誤殺の末にようやくヒーローっぽく覚醒したか。
松村と邂逅して目覚める場面で感動しました。
そして仕留め切れなかった朱広竜。
成績芳しくないまま放送に突入。…卜部に怒られそうだ。
そう言えばそろそろ放送いけるかな?
じゃあ第一回放送を予約しますがよろしいですか?
すいません。やっぱり北沢・海野ペアも動かしておきたいので予約破棄します。
北沢樹里、海野裕也で予約します
某所の月報
各ロワ月報 1/16-3/15
ロワ/話数(前期比)/生存者(前期比)/生存率(前期比)
らき☆. 87話(+85) 46/60 (-14) 76.7 (-23.3)
マルチ. 115話(+35) 45/65 (- 8) 69.2 (-12.3)
剣客. 56話(+29) 76/80 (- 4) 95.0 (- 5.0)
自作. 45話(+20) 34/50 (- 9) 68.0 (-18.0)
ロボ 131話(+16) 18/50 (- 9) 36.0 (-18.0)
オール. 164話(+11) 66/152 (- 9) 43.4 (- 5.9)
ksk 153話(+10) 33/48 (- 2) 68.8 (- 4.2)
残り人数がもうkskに追い着いてるなw
投下します。
片桐和夫を退けてから、随分走った。
足もとがふらつく。視界が霞んで前がよく見えない。何度も樹にぶつかった。
じりじりと回線が焼ける音がする。ファンが効いてないのか滞熱してあちこちから
煙が吹き出ている。石に躓き、こけた。立ち上がろうにも足が動かない。
「……畜生……死にたく……ねぇなぁ……。」
もしやと思っていたが、追原弾は確信した。
自分は完全に故障している。先ほどの戦闘での打ち所が悪かったのだろう。
このままでは機能停止まであと数分もかからないだろう。
とはいえ修理できる環境など用意されてる筈もない。完全に「詰み」だった。
元より作られた命。元よりプロジェクトが終われば破棄されてたかもしれない存在。
だが、そんな自分にもこの世に未練が無いわけではない。
「……キューブ……シティー……会いた、かったな……。」
携帯電話のSNSサイトで知り合いになった二人が気がかりだった。
レプリカントである自分でも対等に喋れることができたネットで特に仲がよかったキューブと、
つい最近新しく友達になった自称ネットゲーマーのシティー。
何度か話してみたところ、この二人は自分のクラスの誰かだったらしい。
共通する話題があまりにも多く、その事にいつの間にか気づいていた。
何度か特定しようと試みたが、できなかった。確実に関係が壊れるから。
でも、最後くらいは、リアルのキューブの顔を知りたかった。
ジリジリ回線が焼ける音がする。
でも、これで良かったのかもしれない。
もし、二人とリアルで再会できたとして「リン」がレプリカントだと言うことを
知ったら失望するに違いない。自分は人間だと言い張ってもそれが事実でないことくらい
理解していた。真実は分からないままの方が二人にとってもいいのだ。
(でもなぁ……畜生……俺がマジで人間だったらなぁ……。)
「よぉ、元気ぃ〜?
おっと、聞くだけ無駄だったかな?
どう見ても調子悪そうだもんな〜。はははっ。」
気が付くと、誰かがへたり込んでいる弾の前にいた。
そいつは転がっている弾のディバックを漁っている。
「おぉ!結構いい武器持ってるじゃん。その様子じゃもう持っててもしょうがねぇだろ。
悪いけど戴いていくぜ。安心しろって、ちゃんと有効活用してやるからさ、な。」
―人間?
―…そうだ、いいこと思いついた。
―はは、こいつは凄ぇぞ。やっべ、俺、超優秀じゃん。
「……なぁ、良く見えなくて誰だか分らんが、その中身やるからさ、俺の頼みを聞いてくれねぇか?」
「あぁ?おぅ、いいぜ。死にぞこないの遺言くらい聞いといてやるよ。なぁ、追原弾。」
「……追原……弾、か。……くくく、違げぇよ。」
「は?いや、何が?」
「…………『俺』の名前は、『リン』だ。」
そう言い終わると、弾は耳たぶの裏に隠されているスイッチを押しながら、プログラム内でロックを解除した。
すると、まるでCDの取り出し口のように額から中に入っている何かが解放された。
「うぉ!?何やってんの弾!?……て、いうか、お前ロボットだったのか?」
「ああ、知らなかったのか?まぁいいや。」
その中に手を入れ、チップの様なものを取り出した。
「これは、俺の記録カード。USB端子が付いてるその辺のパソコンでも中身が見れる筈。
で、お願いなんだが、『キューブ』と、『シティー』って奴を、捜してくれねぇかな?
SNSで…そのハンドルネームを使っているのが…このクラスの誰か、なんだ。」
そして、チップを目の前の男に差し出した。
「頼む、今日からアンタが、『リン』になってくれ。」
男は、やや沈黙し、しばらくして口を開く。
「なぁ、そいつらってさぁ、女?」
「実は会話中にこっそり裏は取ってある。ほぼ間違いなく。女性。」
「へーえ。そりゃ断る理由なんかねーな。俺に任せろ、弾!喜んで引き受けるぜ。」
「……そっか……サンキュー……太田。」
「え?判ってたのか?」
「……ヤマ勘だよ……見事的中。」
「はっはっはっ!すっげーじゃん、追原!ちょっと見なおしたぜ!」
「…はは…そう、ですか…。」
――これでいい。『俺』は死なない。『リン』は死なない。
――待ってて、キューブ。待ってて、シティー。
――すぐ人間になった『俺』が、『リン』が、君たちを見つけ出します、から。
――まタ、一緒二、楽シ・・・
――――――――――――――――――――――――
太田太郎丸忠信の予想通り、追原弾は自分が手を下すまでもなく機能を停止した。
強力な武器を特に労することなくゲットし、弾の節約もできた。ラッキー。
「…さて、どうすっかねー?遺言通りこいつの代わりに捜してあげましょーか?
でも、もう二人とも死んでたりして、はははっ。」
弾の記録が入っているというチップをくるくる回しながら太田は今後の行動方針を考える。
力ずくで女を抑えるのもいいが、銃を持っているかもしれないので危険だろう。
そういう意味で、確実に信頼を得られそうなこの情報は結構有利に働く。
それに、今の自分がやりたいことを実現するには駒が必要だった。
自分のグループの仲間。
愛餓夫、壱里塚徳人、吉良邑子、―――。
…辺りなら直ぐに駒に出来るだろうが…少し物足りない。
入手した銃に弾を込めながら、教室に連れてこられた時、ラトが喋っていたことを思い出す。
『若狭先生、テトさんと二階堂さんと卜部さんはどうしたんですか?』
『元から僕を殺すつもりだったのでしょう? いいでしょう。それが彼女の意思なら僕は止めません。
彼女自身の結末がどうなろうとね』
くくくっと喉を鳴らす。なぜ今まで気付かなかったのか。
この殺し合いを誰が仕切っているのか。それに心当たりがあることを。
「報復のつもりかぁ〜?テトのお譲ちゃんよぉー?
へへへっ、そう簡単に事は進みませんぜ?
どうやらきつーいお仕置きが必要みたいだな〜?」
別にゲームに乗っても問題ない。このクラスの連中など全員死んでも何の感情も湧かない…筈。
だがそれだけでは面白くない。必ず、テトを引き引き摺り出して調教し直してやろう。
ふと、動かない追原弾を見る。それに銃口を向け――
「…………ま、弾がもったいねーかな。」
銃をポケットにしまい、開いたままの弾の瞼を閉じてやった。
【男子五番:追原弾 死亡】
【残り33人】
【B-3 森/一日目・早朝】
【男子六番:太田太郎丸忠信(おおた-たろうまる-ただのぶ)】
【1:俺(達) 2:あんた(達) 3:○○さん(達)】
[状態]:左肩に裂傷(応急処置済)、脇腹に打撲
[装備]:イサカM37(4/4)
[道具]:支給品一式×3、簡易レーダー、12ゲージショットシェル(7/12)
S&W M500(5/5)、エクスキューショナーソード(刀身に刃毀れアリ) 、500S&Wマグナム弾
[思考・状況]
基本思考:ゲームを潰す。最悪自分だけでも生き延びる。テトを引っ張り出して調教し直す。
0:男は皆殺し。女は犯してから奴隷にする
1:「リン」を名乗って「キューブ」と「シティー」に接触し、自分の奴隷にする
2;グループの仲間(愛餓夫、壱里塚徳人、吉良邑子)を捜す。
3:女を引き連れてる“勘違い野郎”は苦しめて殺す(同行している女にトラウマを植え付ける意味合いも込めて)
4:間由佳、エルフィ、ノーチラス、シルヴィアを警戒(近くにいるだろうシルヴィアを特に警戒)
[備考欄]
※「シティー」=苗村都月、「キューブ」=古賀葉子です。
※太田のグループの仲間は三人の他にも居るかもしれませんし、いないかもしれません。
終了デス。
投下乙です。
弾が危ない相手に託してしまった……
てか太田と吉良が同じグループw
油断しているであろう太田がやばいwww
投下乙です。
弾……あっちで古賀と会えるといいな……
そして都月もシティーとして色んな場所で交流を深めていたとは意外でした。
そして吉良は…………多分テト目当てで太田と組んだんだろうな…
ちょっと問題のある内容ですので、したらばに投下させていただきます
したらばの方に投下終了しました。
投下乙です。
取り敢えず直接描写が無ければ大丈夫だと思います。
北沢が……
あれっ?
これそろそろ要領オーバーじゃなあかな?
投下乙。
最後に残った二人組は何をしていたのかついに判明。
…うーむ…まさかここまでやってくれるとは思いませんでした。グッジョブ!!
あと12KB
第一放送を投下してよろしいでしょうか?
自分は問題ないです
どうぞ
では投下します
午前六時を迎えた。
太陽が照らしつつある島中に配置されたスピーカーを通して、若狭吉雄が放送を始める。
ただ、事務的に、無機質に。
「若狭です。みんなー、元気にやってるかー? じゃあ六時になったから放送するぞ。まず死んだ友達の名前を呼ぶぞー」
「男子からです。多いなー。一番、愛餓夫君。七番、加賀智通君。十番、如月兵馬君。十二番、グレッグ大澤君。十四番、鹿和太平君。十五番、宍戸亮太郎君。十七番、尻田堀夫君。二十一番、トマック君、二十三番、ノーチラス君。二十四番、平田三四郎君」
「次は女子だー。一番、麻倉美意子さん。六番、神崎志緒里さん。十五番、古賀葉子さん。十七番、シルヴィアさん。二十一番、仲販遥さん。二十六番、松村友枝さん」
「いいペースだぞー。では禁止エリアを発表します。きちんとメモしておけよー。一時間後に、三時間後に、五時間後に」
「みんな色んな人が死んで悲しいだろうけど、人生は別れの連続です。今の内に慣れて耐えられるようにしないといけませーん。じゃあ今日も一日頑張ろうなー」
そこでぶつりと音を立てて、声が消えた。
そして、再び静寂が訪れた。
【一日目・朝方】
【残り34人】
投下終了です。
なるべくシンプルに済ませてます
それから禁止エリアに関しては、まだ話し合っていないので省いています。
特に問題が無ければ一時間後に『C−4』、三時間後に『E−3』、五時間後に『D−6』として下さい
問題は見られないようですので、転載します。
>712
投下乙です。私的にはそれで構わないのですが
早朝。
海野裕也は、激しく後悔していた。どうしてこんなことになったのか。
ほのかに対し、激しく申し訳ないと思っている。
話は、黎明にまで遡る。
学校の保健室のベッドに、重傷の北沢樹理を運んだことから始まった。
彼女の息は荒く、すぐに彼女の傷口を治す必要があることは、裕也にもすぐに分かった。
昔小説か何かで読んだ方法を思い出しながら、包帯を巻いてゆく。
しばらく彼女はその痛みの中でもだえ苦しんだが、しばらくするとその影も薄れ、少しだけ落ち着きを取り戻した途端、樹理はゆっくりと眠りに就いた。
それに安堵した裕也は、しばらく樹理の寝顔を眺め、一息ついたところで席を離れようとした。
だが、突然彼女が、樹理が裕也の服を掴んできたのだ。北沢の息は、再び荒くなってきていた。
「ねえ…海野君さぁ」
「…何?」
「苦しいからさぁ…………上着脱がしてよ」
喘ぎにも似たその言葉に、裕也は顔を真っ赤にして、蒸せたような低い叫びを上げ、樹理から目をそむけた。
「彼女持ちのくせに初心ねぇ…………」
「ところで海野君さ…」
「倉沢さんとはどこまで行ったの?」
「どこまで行ったの?」
その言葉を、海野裕也は一瞬理解できなかった。
何故どこまで行ったのか?聞いて来るのか分からない。もう告白を成功させた時点で全ては完成させられたのに。
呆気に取られたような顔をしていると、北沢樹理は、呆れ顔で溜め息をついた。
「海野君さ。恋人同士は付き合い始めたらそれで終わりと思ったりしてるんじゃない?」
海野裕也は、かなり遅いながらも漸く樹理が何を言いたいのか理解した。
「………は……初めてのデートの時に……そ…その」
「こ……これって言わなきゃダメ!?」
「ふふ…………ダメーっ」
樹理の微笑みに、悪魔染みた何かを感じた裕也は、適当な理由を付けてその場を離れたかったが、樹理は放してくれない。
顔を再び真っ赤に染めながら、裕也はボソボソと、呟く。
「い………………いい雰囲気になったから…………その…」
「……」
樹理は裕也の態度にイライラしていた。
そして、ある程度予測もできていた。どうせいいトコ行っててキスぐらいまでだろう。
だが、何で苛立ちが募るのかは、よく分からなかった。
「どうせキスがやっとでしょ?! ヘタレ野郎」
思わず大きな声が出てしまった。
ふと我に返って裕也の方を見てみると、彼は驚くべきことに涙目になっていた。
「もしかして泣いてんの? うわあ…リアルで幻滅だわ…」
「ど…どうじで………どうじでそんな……非道いこと……」
「非道いですって? じゃあアンタは倉沢さんと体目当てで付き合ってないって言い切れる!?」
裕也は反論できない。
「…………幻滅2回目〜………………」
「まあ倉沢さん。仲販さんテトさんほどじゃないけど胸大きいしね。触りたいでしょうよ。思春期の男子としては」
「でも……ほのかが嫌だって言ったから…………」
「………………アンタらさ。ホントにお互い付き合ってるって自覚ある?」
「エッチは愚か胸も触らせてくれない…それどころかキスもほぼ無し。アンタらさ……実際には恋人同士じゃ……」
「そんなことないよ……」
「僕はほのかが…好きだ」
「……幻滅3回目〜…朝っぱらからのろけんじゃねえよ…………」
裕也の躊躇いのない瞳に、睨むような目付きで樹理が言った。
「ねえ…さっきからどうしたの?北沢さん。ずっと変だよ?」
裕也は恐る恐る樹理に問いかける。
だが、樹理は何も言わない。
「もしかして……脚のこと…」
「言わないで!!!!」
ついに、保健室の中に怒号が木霊した。
「殺すわよ……ヘタレ野郎」
樹理の怒りと憎悪の込められた瞳に、裕也はたじろいだ。
そこから彼女に言葉を掛ける勇気は湧かなかった。
だが、すぐに樹理は泣き崩れる。すぐに涙を制服の袖で拭った。
「私さ…………何か悪いことしたかな? 今までずっと…」
「…北沢さんは悪くないよ…」
「悪いのはこのゲームさ。誰も悪くない」
裕也は、樹理に優しい言葉を掛ける。
だが、樹理はそんな慰め求めてはいなかった。
「じゃあさ…………しちゃう?」
「? ………何…」
裕也がそう問い掛ける前に、彼は樹理の手によってベッドの上に引き摺りこまれた。
「…幻滅4回目。どこまで鈍いのよアンタは」
「鈍いって何……ちょっと北沢さん…………!?」
樹理は、戸惑う裕也の意思をよそに、彼のズボンのチャックを下し始めていた。
「樹理でいいよ。“裕也”」
樹理の言葉が甘い口調に変わった瞬間、樹理もまた、制服を脱ぎ始めていた。
黒を基調とし、紫色の装飾がところどころに目立つブラに包まれた、ほのかほどではないにしろ形のいい胸が姿を現した。
「触りたいなら触っていいよ。倉沢さんは触らせてくれないんでしょ?」
裕也は、このとき口では抗っていた。
だが、何もせずに流された。
結局、海野裕也は、流されたのだ。
――――
北沢樹理は、自分の身に降りかかった不幸が、未だに信じられない。
どうして自分が、と問い掛けても、もう元には戻れない。
だったらいっそ、みんな不幸になってしまえばいい。
失うものは何もない。そのためなら何だって…………
――――
早朝。
海野裕也は、激しく後悔していた。どうしてこんなことになったのか。
ほのかに対し、激しく申し訳ないと思っている。
【D-4 学校・保健室/一日目・早朝】
【男子 四番:海野裕也(うんの−ゆうや)】
【1:僕(達) 2:君(達) 3:君(ら)、○○(呼び捨て)】
[状態]:ほのかに対する罪悪感
[装備]:なし
[道具]:支給品一式×3、P-90(150/200)、P-90の予備弾薬(200発×5本)
12ゲージショットシェル(12/12) 、不明支給品×1(北沢樹里の支給品)、ウィンチェスターM1873(0/4)
[思考・状況]
基本思考:優柔不断故に流されています
0:北沢の行動に困惑
1:誰かに襲われたら自分がなんとかする。
2:倉沢ほのかを捜す。
[備考欄]
※“今からすること”について躊躇していますが反論できずに流されています
【女子 八番:北沢樹里(きたざわ−じゅり)】
【1:私(達) 2:あなた(達) 3:あの人(ら)、○○(呼び捨て)】
[状態]:右足損傷(踵から先損失・治療済み)、制服が肌蹴ている、自暴自棄
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
基本思考:倉沢さんには悪いけど……海野君を奪っちゃおっかな〜?
0:愛餓夫を許さない
1:海野裕也を奪って倉沢ほのかを不幸にする
2:もっともっとクラスメイトに不幸になってほしい(失うものがないので、何でもする気です)
[備考欄]
※“今からすること”についてあまり躊躇していません
※“今からすること”は、どんなに遅くても放送終了までには終わっていますので、誰かが彼らを発見するとしたら事に及んだ後になります
投下終了です
>>712 投下乙。
追原弾も入りますので残り33人です。
久々に若狭を見たぜ…。
>>719 転載乙。
海野裕弥、童貞を捨てる。
北沢がなんか可愛い。
スレ立て乙
このスレに作品投下はもう無理そうだな……