【俺が】お前らの創作批判してやんよwww【ルール】

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1らき☆蓋 ◆FUTAXpF4Lc
※はじめに
・2chのアドバンテージは匿名ですが、作品への意見に関しては一貫性を望む需要もあろうかと思い立てました。
・批判の試みですので各創作のユニークを削り出すことを目的としています。
・作品はこのスレに貼り付ける必要はありません。URL等ご提示ください。(勿論貼り付けもご遠慮なくどうぞ)
・分量にもよりますが時間をいただきます。即レスご容赦。
・俺がルール。

※参加の目安
・創作の反応が見たい、数が欲しい、感想が知りたい→この板で真っ当に発表するのが一番。
・作品テーマ等、突っ込んだところへの意見が欲しい→腹を決めて創作系の友人に見て貰うのがお勧めです。
・上二つの中間、批判に興味がある、リアル友人に見せるのはまだちょっと……、等→当スレをご利用ください。

※その他
・何にしろ要望がある場合はとにかく書いてみてください。可能な限り対応します。
2創る名無しに見る名無し:2008/12/11(木) 16:13:23 ID:dxZmmvxK






3創る名無しに見る名無し:2008/12/11(木) 16:14:57 ID:RdYw8GFP
小説、新ジャンル、音楽、料理、ゲーム、イラスト、漫画

創作物といっても色々ある訳なんだけど、
>>1が対処できないジャンルとかあったりする?
4創る名無しに見る名無し:2008/12/11(木) 16:27:10 ID:4YZ/LwVr
良スレの予感
5らき☆蓋 ◆FUTAXpF4Lc :2008/12/11(木) 16:40:49 ID:BwPToqDR
>3
 その中では、あまりにも音楽。
 「音楽も来る可能性があるのか!?」といま脂汗すごい。
 それと、料理のレシピ等は再現性の関係でwebを通してのやり取りは非常に難しいと思う。

 文字情報をやり取りする掲示板との相性を考えると、文章ベースの創作が一番扱いに無理がないか。
6創る名無しに見る名無し:2008/12/11(木) 16:44:42 ID:2R7MleHL
仙台人は自分たちが東北で一番だと思っています。
その自意識を保つためなら高校駅伝で黒人を使うくらい朝飯前。野球で関西人を輸入することも朝飯前。
7 ◆NN1orQGDus :2008/12/11(木) 16:54:14 ID:frJCrmV3
一茶忌の 行き先知らぬ 我が身かな

麦の根の 踏み分け楽し 霜柱

枯れ葉舞う 吹き付け強し 空っ風

山眠り 枯れる木の葉と 散る落ち葉

つごもりに 年の瀬越さん 除夜の鐘


主義者として投下してみたり
8らき☆蓋 ◆FUTAXpF4Lc :2008/12/11(木) 17:29:22 ID:BwPToqDR
>7
 拝見しました。
 早速の投下ありがとうございます。
 しかし俳句短歌の「鑑賞」は「批判」とはかなり相性が悪いものでして、単なる批評、感想であれば
述べることもできましょうが、枝葉をそぎ落としていって最も核にあるユニークを見定める、という
「批判」の精神で見ようとしてましても……。
 俳句短歌ってのは、もうそれ以上ないくらい五七五に凝縮されてありますし、単語一つ一つの選定そものもが
すでに個人の感性に依るというまさにユニークの塊でありますれば。私の力ではこの定型からさらに踏み込んで
「批判」を試みるには、俳句に関する素養教養が不足しております。申し訳ない。

 僅かに一か所だけ、三番目の句の「吹き付け強し 空っ風」という部分。
 「空っ風」という名詞にかかるという意味では「強き」という単語を持ってくる選択肢も、文法上はあったかと考えます。
 そこを敢えて一度終止形で文章的には終わらせておいて、最後にテーマを持ってくることで強い印象を出す、
という技法は(一般的な技法なのかもしれませんが)作者の意図を感じさせました。

 してみると二番目の句の「踏み分け楽し」も「楽しい」という主観の表現ではなくて同じ技法なんだろうか。
しかしこのように論理的に考察しても究極的には「理論は何ら意味を為さない」。
 フゥーハハハー本当に詩歌は地獄だぜ。
 以上です。ありがとうございました。



 ピラミッドの石組にはカミソリの刃が入る隙間もないというが。本当に五七五は素にして極。
9 [―{}@{}@{}-] ◆LV2BMtMVK6 :2008/12/11(木) 17:30:15 ID:fiTBI2yi
延白砂数里
芳青松尚冬
潮風強日利
浜歩耽随想

同じく主義者として。

【こういうの】創作文章発表【なくね?】
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1220129521/
ここで俺ができなかったことを成し遂げてくれ
10創る名無しに見る名無し:2008/12/11(木) 17:31:01 ID:RdYw8GFP
後、他のスレに貼った作品を
ここで批評してもらうことは可能かな?
それともここに貼り直した方がよさげ?

このスレには期待してるから頑張ってくれ
11創る名無しに見る名無し:2008/12/11(木) 18:23:50 ID:frJCrmV3
このスレは詩はありなん?
12らき☆蓋 ◆FUTAXpF4Lc :2008/12/11(木) 19:14:04 ID:BwPToqDR
>9
 拝見しました。
 文化圏の違う外国の人が「古池や……」と俳句を読んで曰く。
「で、カエルが水に飛び込んで音がして、それが何を意味するんだい?」
 つまり素養、教養のない読み手からすると、事実描写の背景にある意味合いが汲み取れないわけでして。
 私にとって漢詩というのはまさにそんな感じであります。字面は追えるが読み解けない。

 そこを勘弁していただいたうえで一つだけなんとかとっかかりを探しますと、和辻哲郎がどこかで書いていた
「松風」についての考察が確かあって、浜辺の松が潮風に煽られてしゃらしゃらと音を立てる風景の話。
 海際の強風と松、という組み合わせからは「音」の要素が感じられても良いところが、この詩は徹底して音がない。
無音の世界。

(この部分は解釈になってしまうので批判(ユニーク削りだし)からは離れますが。)
 そこから考えて、全てが情景描写ではないかと考察します。物思いに耽るというのも、一見すると浜辺を歩いている
人物の主観と見せかけて、実際にはそれも前三行と同じく客観。
 だがいわゆる「神の視点」の客観描写だとしたら、音がないのはちと気になる。
 してみるとこれは、深く深く内的世界に沈み込んでいく「人物」の思考が、肉体を遊離して自らを取り巻く風景を
客観視出来てしまっている状況であるかと。集中しているから音はない。だが足は動く。
 単純作業中の集中、或いは回峰行であるとか、そういった修験道の営みにも似た情景を想起します。

 と、以上は解釈・考察でしたので閑話でしたが、ユニークはやはり音のない風景という、ここにありましょう。
 以上です。ありがとうございました。



 しかしリンク先のスレではガッツリ「評価」まで踏み込んでみなさんコメントしてますな。自分はチキンでしてなかなかそこは。
13らき☆蓋 ◆FUTAXpF4Lc :2008/12/11(木) 19:17:39 ID:BwPToqDR
>10
 特段にここへ貼り付けていただく必要はありません。長い文で別の場所に上げている場合などもあるでしょうし。
 あと板内の別のスレできちんと発表ジャンル決めて出したものを「ついでに」こちらに依頼して頂ける場合など、
わざわざの貼りなおしも手間ですし。

>11
 ここまで二件の「批判」を見た上で、あんな感じで宜しいようでしたら喜んで。

 ただ、ポエムは、詩歌は、やはり主として感性の産物ですから、「装飾をそぎ落としていってユニークを掴む」という
批判的なアプローチに意味があるかどうか……。
 最初っからユニークが露出していて、あとはそれを鑑賞者がどう感じるか、というのがポエムのキモであるような気もします。
14創る名無しに見る名無し:2008/12/11(木) 19:53:43 ID:frJCrmV3
豪快と言うよりは繊細。
風景を吟っているようでいて心情を吟っている。
砂浜の白さと松の青さのコントラストが映えてるね。
李白っつーか杜甫っぽい感じ。

書き下し文を付けた方が親切ではなかろうか?
15 [―{}@{}@{}-] ◆LV2BMtMVK6 :2008/12/11(木) 20:19:56 ID:fiTBI2yi
そうかここは書き下していいのか


白砂は数里に延び
青松冬尚ほ芳し
潮風日に利きて強く
浜を歩きて想ひに随ひ耽る

韻のためにやや無理をした感は否めない
16 ◆NN1orQGDus :2008/12/11(木) 20:34:22 ID:frJCrmV3
白浜を 歩いて見やる 松の葉の 揺れる青さに ひたる 潮凪


ただ投下してもつまらないから串の人の詩を本歌取りしてみたり。
17 ◆X2Xgi1JYW6 :2008/12/11(木) 22:38:41 ID:G3hLxlQx
おっしゃ、1の批判、批判してやんよwww
18らき☆蓋 ◆FUTAXpF4Lc :2008/12/12(金) 09:53:45 ID:5M+AFAXB
>16
 拝見しました。
 重ねて申し上げますが詩歌に関しては「批判」が意味を為さないところもありまして、「鑑賞」にならないように
気を付けて書きますと非常に端的ではない、枝葉のような話になりがちなところはご容赦ください。
 本歌取りということもあり、選択されている要素自体は同じでありながら、「見やる」という表現に
視点と松との距離が感じられるほか、「ひたる」という表現、および潮風の吹く風景に「潮凪 」という言葉を
充てたことで、元歌よりも潮風の吹く浜辺がクローズアップされている様子がうかがえます。
 してみると「見やる」という動詞は最終的にそれ以降の風景全体にかかっていく構造と読み取れ、
「個人の見ている情景」を読み手の脳裏に投影する効果が高いと考えられます。

 この先は二行ほど書いたのですが削除。やはり「書かれているものをどう読み取るか」へ踏み込んでしまうと、
そこに手を出したら他の見解をとる鑑賞者とは(場合によっては)殺し合いですから、どうもそこは躊躇されます。
 詩歌の受け取り方はその人の魂自身と直結していますから、一期一会に横から口を出すのも無粋。
 またこのスレでは、テンプレにも書きましたように批判を志向しています。評価・感想という意味では
前にご紹介のあった別スレが機能していますから、重複は避けておきます。
 というわけで、批判としては、情景全体を擬人化してそのこころに寄り添おうとする姿勢をユニークと見ます。

 以上です。ありがとうございました。
19創る名無しに見る名無し:2008/12/12(金) 12:41:48 ID:WP5Nfbr2
ここまで書けるのはすごいな
20創る名無しに見る名無し:2008/12/12(金) 16:48:39 ID:CJV0cihN
またアホがクソスレ立てたのかと思ったら、何かすげーのがいるお
21 ◆NN1orQGDus :2008/12/12(金) 20:10:16 ID:DmvTKb5M
“クレヨン”
1/2

 子供の頃、クレヨンが好きだった。私は12色しかの物持っていなかったから、24色に憧れていた。
 その中でも一番憧れたのは銀のクレヨンだ。キラキラと、ピカピカと光っていて、とても綺麗だった。
 あの色で空や雲、海を描けたらさぞかし幸せだろうなぁ、そう思っていた。
 12歳の冬、小学6年生の時にバラ売りの物を画用紙と一緒に小遣いで買った。
 思うままに描いてみたは良いのだけれど、銀と言うよりはネズミ色みたいな雲と水平線は幼心にがっかりして、ちょっとしたトラウマになった。
 だけど、今では良い思い出だ。
 それでも、短くなった銀のクレヨンはとても綺麗で、大事にとっておいてある。
 苦くて悲しいけど、甘くて嬉しい、子供の頃の大事な思い出だ。

「なあ、なんでアンタはそんなにパステルが好きなん?」
 モダンアートの課題を描いていたら、友達が不思議な顔で、訊ねてきた。私は手を止めて答える。
「んー、好きなんだよね、パステル」
「あー、アンタそんな感じやわ。ペールトーンやね。味で言うとだだ甘やね」
 ペールトーン、パステルカラー。
 うすく淡く、女性的な弱さを持ち合わせた優しい色だ。
「そうね、あんたをたとえるとポスカラかなぁ」
 ビビッドトーン、ポスターカラー。
「ビビッドやね。鮮やかで目立つからウチにピッタリやわ」
「生きが良すぎて騒々しいけどね」
 なにか思うところがあるのか、ほっぺたを膨らませてなんとぉー、と怒りだした。
 どうにも仕方がないので頬を挟むように両の人差し指でつつく。
「なにすんのぅっ!」
22 ◆NN1orQGDus :2008/12/12(金) 20:11:18 ID:DmvTKb5M
2/2

「うん、なんでだろうね。そこにほっぺがあるからだろうね」
「そんな理由じゃ納得できひんっ!」
「大丈夫。あんたを味にするとケレン味だから」
「ケレン!?」
 んが、と唸って愕然として、金魚みたいに口をパクパクと動かす彼女は表情がコロコロと百面相して面白い。
「褒めてるつもりだけどね。私にはあんたみたいな味が出せないし」
「それ、褒め言葉やないやろ!」
 キーンコーンカーンコーン。
 丁度良いところで終業のチャイムがなった。
 課題は次回に持ち越し、との先生の言葉に安心したら、騒がしかった私達二人は後で職員室に来るようにと言われた。
「アンタのせいで怒られるんや」
「いーや、その言葉は熨斗を付けてお返しします」
「ウチのせいやない! アンタがウチをケレン味言うたんが悪いんや」
「そう? 十把一絡げの味より個性的な味の方がいいじゃん」
 お互いに責任転嫁をするけれどその言い合いは馬鹿馬鹿しくて、顔を見合わせて笑う。

 二人揃って怒られるのも、銀のクレヨンみたいに、きっと後で大事な思い出になるだろう。
 多分、銀のクレヨンみたいにいつまでもキラキラと綺麗に光っているに違いない。

 ――宝物が一つ増えたような気がした。

 了。
23 ◆NN1orQGDus :2008/12/12(金) 20:12:34 ID:DmvTKb5M
以上、投下終了。S−1に投下したものをちょいと改変。
これならち批判出来るっしょ
24らき☆蓋 ◆FUTAXpF4Lc :2008/12/13(土) 01:13:57 ID:HZspqDFr
>21-22
 拝見しています。
 眠くないときにもう一度読んでから書き込ませていただきます。
25創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 01:15:25 ID:cNYbkYwX
この>>1は間違いなくできる子
26創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 01:55:38 ID:VIlufryc
また糞スレか…と思いきや、以外と良スレになりそうな予感
批評用のスレが初心者スレくらいしかなかったから、丁度いいかもね
27らき☆蓋 ◆FUTAXpF4Lc :2008/12/13(土) 11:47:48 ID:HZspqDFr
>21-22
 拝見しました。
 主人公の一人称内面描写有りの形式で、子供の頃のクレヨンのエピソードと、現在の人格や
性格に対する考え方を重ね合わせて読ませる二重構造が核と判断されます。
 してみるとこの核の関連性がスッキリしていないところがあります。銀のクレヨンに関しては

1.憧れていた
2.使ってみたらそれほどでもなかった
3.でもそれなりに気に入っている

 という、持ち上げて落として、また持ち上げる構造で評価が成り立っています。
「色々あったが銀のクレヨンとは良いものだ」
 対して後半の部分は

A.個性は色々でよい
B.先生に怒られるのも良い思い出であろう

 という、二つの別個の要素が描写されており、前半の部分が「銀のクレヨン」という芯を持って
書かれていることと比べて関連性が掴みにくくなっていると考えられます。

 内容に深みを出すために複層的な価値観を読み取れる構造にしたいという意図があるのではないかと
考えますが、文章の長さから見てあまり色々な要素を扱おうとすると読み手に与える印象が散漫になってしまう
可能性もあり、シンプルに行くつもりがあるのなら、前段と後段の関連性をスッキリさせて構造をわかりやすくする
手法は有効ではないかと思われます。

・以下は構造把握から導き出される「スッキリさせ方」の(勝手な)案
1.銀のクレヨンに関わる思い出を主体に、「思いこみで好きだったものは使ってみるとそうでもないが、でもやっぱり味がある」
みたいなところを書きたい場合(一見マイナスでもプラス的発想)
→「パステルカラー」、「ポスタルカラー」、「ケレン」等の諸要素が、現状では「基本的に個性的で良いもの」と
肯定されているので、これら諸要素のマイナス面、世間的には悪いと思われている面などを少し入れることで、
銀のクレヨンと同じく「落として、持ち上げる」構造とし、関連性をわかりやすくする。
(※現状でも登場人物の会話文の中でマイナス面の提示はあるが、銀のクレヨンのマイナス描写である
「ちょっとしたトラウマ」と比べるとかなり弱い。あるいは、銀のクレヨンへのがっかり感を「トラウマ」ほど
強い言葉を使わずに書き表すことでフラットにバランスを取る方向もアリ)

2.さらにシンプルに「個性は色々でよい」的な方向の味付けを強くしたい場合
→前段の銀のクレヨンについての思い出描写、「憧れ」だけど「ちょっとしたトラウマ」で、「だけど良い思い出」という
複層的な叙述をもう少しシンプルにしてデメリット描写を後ろへ下げ、「世界に一つだけの花」的に全肯定へ。

 以上の案はあくまで案というか、「こういう構造と読み取ったのでこういうアプローチも考えられる」レベルの
話ですので、実際には作者の方がより適切に手の入れ方は思いつくでしょう。現状でも散文的な、日常描写の
文章としては一定の水準を満たしています。特に関西弁というツールを使いこなし、会話文の文章を読んだだけで
「どっちが誰の台詞か」がわかる、という点は完璧。
 案の方はあくまでも「銀のクレヨン」効果、複層構造が核としてそれを生かすなら、という前提で申し上げました。

 また以下は枝葉ですが、「」書きの会話文に読点をつけない、感嘆符の後を一マス空ける、等の記述からは
文章表現の作法に一定の留意を持っていると見受けます。してみると地の文での口擬音、特に
「キーンコーンカーンコーン」は他の表現に差し替える余地もあるかと考えます。
 銀のクレヨンの「キラキラ」は文章の核とも関わる表現なので別ですが、ある程度硬質な文章作法と
「キーンコーンカーンコーン」の間にはギャップが大きいのです。枝葉末節ながら。

 以上です。ありがとうございました。
28創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 13:01:15 ID:CHq2OMgJ
このスレは4コマはあり?
29創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 13:38:45 ID:+nh52R7+
創作ダンスの動画リンクしたらどうなんだろ
30らき☆蓋 ◆FUTAXpF4Lc :2008/12/13(土) 13:50:42 ID:HZspqDFr
>28
 ここまで見ていて「批判」というフィルタを敢えて望まれるなら、或いは意義があるやも。

>29
 そのレベルになると上に挙がっていた「料理」と同じで一期一会になってくるから相当難しいのでは。
31 ◆GQ6LnF3kwg :2008/12/14(日) 23:07:26 ID:bzJyUYe8
ちょっと貼るには長いかもですが、あえて貼らせていただきます。
どうぞご批評よろしくお願いします。
32まっくろーちゅ!1/6 ◆GQ6LnF3kwg :2008/12/14(日) 23:10:23 ID:bzJyUYe8
『まっくろーちゅ!』



 背筋に走った嫌な感覚が、俺を眠りから引き戻す。
 濃紺の夜空に浮かぶ金色の月。美しくも眩しすぎるその光に目を細めた。
「くそっ、こんな時間に……」

 狭まった視界に映るひとつの影が、鮮明になる意識と共にその輪郭を際立たせる。
 それは艶のある長い黒髪と、闇に溶けるような漆黒のローブ。整った顔立ちは余裕の表
情で満ち、輝く赤い瞳からは強い意志が感じられた。
「あら、起きちゃったかしら」

 この狭い部屋の中、俺と彼女がこうして対峙する事に理由は必要ない。なぜなら彼女は
生物学上『ゴキブリ』と呼ばれる存在なのだから。

「寝込みを襲う事が卑怯だとは思わないでね、あなたと私にはすでに体格というハンデが
あるんですもの」
 窓際で隙間風にたなびく髪が、俺の足元にまでその影を伸ばしている。
「ああ、その通りだ。俺たちの勝負にルールはない。その小さい脳みそで考えたにしては
上出来じゃないか」

 強がってはみたものの暗闇のゴキブリほど恐ろしいものはない。圧倒的に不利なのは明
らかに俺だった。
 ここから電気のスイッチまではおよそ二メートル。彼女の素早さを考慮すると背中を向
けて走るわけにもいかない。確実にその姿を見失ってしまうだろう。今は最初の攻撃をい
かに防ぐか、それだけを考えろ。好機は必ず訪れるはずだ。

「ずいぶん落ち着いてるのね。それとも何か対策でも練っているのかしら」
 冷たい汗が頬を走る。ゴキブリごときに考えを読まれているというのか。
「小ざかしい。そのよく喋る口にホウ酸団子でも突っ込んでやろうか?」
 瞬間、耳元を掠める強烈な羽音が髪を揺らした。たったそれだけでも全身の肌が粟立つ。

「ほら、何も出来なかったじゃない」
 嘲笑が闇に響き渡った。
 まずい、見失ってしまったのか。この状態で視覚に頼るのは得策ではない。落ち着け、
目を閉じて耳を澄ますんだ――

「貰ったわ!」
「前か!」
 俺は素早く布団を掴み、思い切り跳ね上げた。目の前に作り出した巨大なバリケードが、
寸前まで迫っていた不快な音を遮る。
 小さな悲鳴と、かさりと跳ねる音。

「よし、やったぞ! クソッタレが!」
 俺は転がり落ちるようにベッドから脱出すると電気のスイッチを入れ、そのまま玄関ま
で走った。目的はそこに置いてあるホームセンターの買い物袋だ。
「逃げるの! 人間のくせに!」
 追ってくる叫び声を背に、袋に手を突き入れ『それ』を取り出す。
「逃げるだって? 冗談じゃあない。こいつがさっそく役立つとは思わなかったよ」
 距離をおいて足を止めた彼女が裾で口元を覆った。見せただけでもこの威力とは。

「そ、それは!」
「大学の帰りにホームセンターに寄ってね。見つけたんだよ、こいつを。最新のジェット
式なんだぜ」
「ジェット式ですって!」
「そうさ。こいつはな、気管に吸い込まなかったからといって助かるようなチャチなもん
じゃあない。少量浴びただけでも皮膚から体内へ浸透し、お前を死に追いやるんだ」
「何度やっても勝てないからって、そんなものを使うなんて……」
33まっくろーちゅ!2/6 ◆GQ6LnF3kwg :2008/12/14(日) 23:11:49 ID:bzJyUYe8
 勝利すること。それはシンプルでいて明確なひとつの基準だ。しかし『勝利に値する勝
者』になるのであれば話は違う。戦いに対しての自分自信を尊敬できるか否か、そういう
戦いを出来たかどうかにかかっている。
 それは彼女とて同じはずだ。寝込みを襲うなんて言ってはいたが、こいつは俺が起きる
まで待っていたのだからな。
 お前は俺の知るどんな人間よりも気高いゴキブリだ。不愉快極まりない。

「どうとでも言え。俺は今まで一度たりとも負けたなどと思ったことはないからな」
 刺激して逃げ出されないよう、ゆっくりと片膝をついた。
 スプレー缶を見せ付けながら左手へ移し換え、彼女の大きな瞳がしっかりと固定されて
いることを確認する。
 いける、今日こそやってやる――俺は空いた右手をそっと後ろに回し、そこにある古新
聞の束を握り締めた。

「あの時、お前は言ったじゃないか、一度でも自分に勝てれば何でも言うことを聞くと。
どれだけ自信過剰なのかと思ったけどな、今その意味が判ったよ」
「何がよ」
 微かに揺れた黒いローブが、逃げ出す体勢になったことを伝えた。彼女の素早さを知る
俺には分かる。例えこの状況でトリガーを引いたとしても確実に逃げられるだろう。

「動くな、黙って話を聞け」」
 ノズルの先端を彼女の中心から左にずらし、逆側への意識に僅かな隙を作りだす。

「あの台詞は自信からくるものじゃなかった。お前にとっての一度の敗北とは、死そのも
のを意味するからだ。戦いの中で死にたい。あれはそういう意味なんだろう?」
「違うわ! 私はただ……」
 会話の内容はどうでもいい。重要なのは動揺を誘う事。これは心理戦だ。このスプレー
が生み出したのは、張り詰めた空気そのもの。緊張と安堵の落差――それは油断。その時
が貴様の最期だ。

 俺はわざと溜め息をつきながら、役目を終えたスプレーを床に置いて見せた。
 きょとんとする彼女の姿に笑いさえこみ上げてきた。しかし油断は禁物。

「冗談だよ、冗談。さあ、もうこんな時間だ、明日は大事な用があるんでね。今日は一緒
に眠ろうじゃないか。毎日風呂場じゃ寒いだろ」
「えっ?」

 一瞬怪訝な表情を見せたものの、返事の変わりに微笑みを返してやると、その瞳からは
徐々に戦意が失われ、代わりに白い頬が淡いピンクに染まっていくのが分かる。ここまで
効果があるとは予想外だが。
「一緒にって! ほ、本当にいいの!」
「あ、ああ。いいとも、お前もベッドで寝てみたいと言ってたじゃないか」
「でもどうしよう! 今ご飯食べてきたばかりだから……ほら、ちょっと汚れてて」
 そう言いながら自分の身体を見回す姿はまるでデート前の少女だ。戦いはまだ続いてい
るというのにおめでたい奴だ。

「あのね! 私ね!」
 満面の笑顔で向き直った彼女、絶好のチャンス到来。俺はその瞬間を見逃さなかった。
 後ろ手で丸めていた古新聞を握り締め、弛緩させていた筋肉を引き絞る。全ての意識を
右手に集中し、出来る限りの力をもって抜刀。
 緊張と歓喜が絞り出す神経伝達物質は感覚を研ぎ澄まし、全てをスローモーションで映
し出す。弧を描く軌跡。彼女の身体まであと数センチ、これでついに俺の勝――

「なんだと!」
 消えた! そんなバカな。なんという速さだ!
 腕を完全に振り抜き、無様な格好をさらした俺に残されたのは、恐怖という二文字。
 どこだ、どこに消えた!
「しまっ――」
34まっくろーちゅ!3/6 ◆GQ6LnF3kwg :2008/12/14(日) 23:13:01 ID:bzJyUYe8
 ゴキブリが顔に張り付くというおぞましさは、何をもってしても表現しがたい。生理的
嫌悪による思考の拒絶が顔の表面から感覚を取り除き、僅かな時間差をともなって全身に
及んでいく。
 脱力感。自分の重みを支えることができなくった俺は、見慣れた部屋が斜めに倒るのを
見ていた。そして感じる鈍重な衝撃と暗転する視界。

「ひどいなあ、もう。そろそろ潔く負けを認めたら?」

 薄れていく意識の中で、その言葉だけが脳裏に強く刻みつけられていた。この台詞を聞
くのは、もう何度目なのだろう。



 勝った方が相手の言うことを何でも聞く。それは初めて彼女に出会った時に宣告された
子供じみた契約だ。
 もちろん最初はそんなくだらないものを守るつもりはなかった。しかし戦いを重ねるに
つれ、いつしか真剣勝負に変わっていた戦いは、俺の心に一つの変化をもたらしていた。
 本気で戦っている相手との契約を破ることはできない。ましてや相手はゴキブリなのだ。
そんな契約すらを守れないようであれば、俺はゴキブリ以下なのではないか。

 今の俺を支えているのは『負けを認めない』こと。そこまで追い詰められていた。ゴキ
ブリごときに負ける訳にはいかない。負けを認めるのはその心が折られた時だ。



 ――どれぐらいの時間がたったのか、いびきのような激しい呼吸音が自分のものだと気
がつき、俺は目を覚ました。どうもおかしな姿勢で気絶していたらしく、胸と腕が痛む。
 時計に目をやると既に三時。気を失っていたのは短い時間らしいが早く眠らねば。
「くそう……」
 悔しさは胸の痛みを強め、一歩一歩踏みしめるひんやりとした感触が、情けなさに拍車
をかける。なんて忌々しいんだ。

 はるか昔、ゴキブリは不気味な昆虫のような姿をしていたという。
 人間との永い戦いを経て弱い種は自然に淘汰され、また生き残ったものは進化し、小さ
いながらも人間と同じような姿を得るに至った。
 しかし、進化と引き換えに失ったものもある、それは環境適用能力だ。彼女はこの部屋
の外で生活することができないのだ。

 そうした経緯を持つゴキブリにとって、生まれ育った場所を守る事は自然な流れだった。
故に俺のようにやってきた人間を敵視し、戦いを挑み、追い出す。このような古いアパー
トではごくありふれた光景なのだ。
 しかもこの部屋はもともと曰く付きの格安物件で、既に何人もの人間が彼女に敗れ去っ
ていったと聞く。戦いに敗れれば俺も同じ運命を辿るのだろう。

 痛む腕を電気のスイッチに伸ばす――と、そこに広がる光景に俺は目を疑った。
 一体何だこれは。考えられない! ゴキブリがベッドに寝ているじゃないか!

「おい貴様、何やってんだ!」
「え、だってさっき一緒にって……」
 ピンクと白の可愛らしいストライプパジャマに、同じ柄のナイトキャップ。もちろんゴ
キブリ用サイズだ。一体誰がこんなものを作ったのか、見つけ出してぶん殴ってやりたい。

「なあ、今日はかんべんしてくれ。もういいじゃないか」
「それとこれとは別でしょ?」
「これとは何のことだ」
 眉を寄せた俺を見ると彼女は口を尖らせ、抱えた枕を小さな手でぱんぱんと叩き始めた。

「もう、だから! たまにはこうやってお互いの事をよく知るのも大事じゃない!」
「あのな、なんで俺がゴキブリと友情を深めなくちゃならないんだ」
35まっくろーちゅ!4/6 ◆GQ6LnF3kwg :2008/12/14(日) 23:14:12 ID:bzJyUYe8
「何でって……だってほら、あれ。どうして使わなかったの」
「ああ? スプレーのことか? あれは弱い奴が使うもんだ。使った時点で負けなのさ」
「ふーん、そういうもの? だまし討ちする方がよっぽどひどいと思うけど?」

 俺は憤りを溜め息にしながら床に胡坐をかいた。スウェット越しに感じる冷たさが、眠
気をどこかに吹き飛ばす。

「いいか、よく聞け。俺は何も間違っちゃいない、嘘をつこうが何だろうが自分の身体ひ
とつで戦ってる事に変わりはないんだ。あんなものを使う事と一緒にするな。騙してでも
相手の心を折った方が勝ちなんだよ」
「心を折ったほうが勝ちねえ……で、どうなの。今日で心は折れた?」
「ふん、馬鹿も休み休み言え。人間がゴキブリなぞに心を折られてたまるか」
「いやー、普通の人間ならとっくに逃げてる思うけど」
 
 けらけら笑う声と時計の音が俺の睡眠時間を削っていく。なんとかこいつをベッドから
追い出さねばならないのだが、今の俺にそれを実行できる策はもう用意されていなかった。

「もういいじゃないか、あっち行けよ。ゴキブリの分際でベッドに寝るな」
「ゴキブリゴキブリってね、ちゃんと名前教えてあげたじゃない! 名前で呼んでよ!」
「あほか、呼べるかそんなもん!」
 俺は覚えていた。ゴキブリの名前とは思えない菓子パンのような愛くるしい名前だ。
 しかし何が悲しくてゴキブリと名前で呼び合わなければならないのか。そんなもの俺の
プライドが許さない。
「あなたの名前も教えてよ。もう三ヶ月も経つのにちっとも教えてくれないじゃない」
「名前なんてどうでもいいだろ、ここには俺とお前しか――」

 言いかけたとき、ふと脳裏によぎるものがあった。
 ――名前? そうだ、これは使えるんじゃないか?

「あ、ああ……そりゃすまなかったな。外の表札に書いてあるだろ」
「口で言ってくれればいいじゃない!」
 帽子を激しく揺らしながら再び枕をたたき始める。一体この枕には何が入っているのだ
ろうか。いや、今はそんなことを考えている場合ではない。

「お前が知りたいなら自分で見て来いよ」
「何よもう! じゃあ見てくる。ひらがなで書いてあるの?」
「ああ、ひらがなで書いてあるよ。お前にも読めるだろ」
「よーし!」

 とたんに笑顔を取り戻し、枕を持ったままベッドからひょいと飛び降りると、俺のすぐ
そばで足を止めた。
「次からちゃんと名前で呼ぶね!」
「ああ、そいつはどうも」

 かさかさと音をたてて走り去る姿を目だけで追い、彼女が外に出た事を確認してから、
ガムテープを持ってドアまで忍び寄る――
「読めないよ! これひらがなじゃないじゃん!」
 扉越しに聞こえてくる間抜けな声をよそに、俺は手にしたガムテープをドアの隙間に素
早く走らせた。とっさのアイディアにしては素晴らしい。
36まっくろーちゅ!5/6 ◆GQ6LnF3kwg :2008/12/14(日) 23:15:49 ID:bzJyUYe8
「ちょ、ちょっと! 何してるの! 入れないじゃない!」
 バレたか、しかしもう遅い。
「当たり前だ。入れないためにやってるのがわからないのか?」
「ひどい! また騙したのね!」
 冷たい鉄の扉をこつこつと叩く音が響く。
 いい気味だ、大逆転じゃないか! 俺は天才なのかもしれないぞ。
「負けを認めるなら中に入れてやってもいいぜ」
「そうしたらあなたは私をこの部屋から追い出すんでしょ!」
「当然だ」

 これは嘘だ。追い出すつもりはない。ゴキブリは苦手だが、お前の事はそれほど嫌いな
訳じゃない。正直言うと尊敬している部分さえある。もしこれで勝てたなら命令は既に決
めてある。
 キチンと風呂に入り、服も毎日洗濯し、ゴミを食べるのではなく俺の用意した食事を食
べろ。清潔であるなら俺はお前に何も干渉はしない。なんなら一緒に寝てやってもいい。

「イヤよ! 絶対にイヤ!」
「意地を張るんじゃないぞ! ゴキブリは人間に負けて当然なんだよ!」
「お願い。部屋に入れてよ、寒いのは苦手なのよ!」
 なんて奴だ、こっちの気も知らずに。そんなに負けを認めるのが嫌だというのか?
 俺はだんだん怒りがこみ上げてきた。
「勝手にしろ! 負けたくないなら今日はそこで寝るんだな!」
「お願い、お願いだから……」

 部屋と玄関ではそれほど環境に違いはない。一晩ぐらいそこで寝ていても別に大したこ
とはないだろう。勝つことはできなくとも、これで今夜の安眠は約束されたのだ。
 俺はようやく電気を消し、ベッドに身体を埋めた。布団も冷えてしまっているが、徐々
に温まってくるだろう。風邪でもひいたら台無しだ。

 そう、明日はクリスマス。センチメンタルになった訳ではないし、ゴキブリに関係があ
るとも思えないが、実はケーキを予約してあるのだ。特注の奴なんで明日は早くから遠く
の店まで行かないといけない。あいつが好きな黒豆をまぶしてあるやつだ。
 一人暮らしのクリスマスなんて寂しいものだし、一日ぐらいそういう日があってもいい
じゃないか。

「あいつ、きっと驚くだろうな……」
 扉を叩く小さな音は次第に弱くなり、やがて消え、俺も深い眠りへと落ちていった。



 良い寝覚めとは言いがたいが、差し込む朝日の心地よさは十分に身体が休まった事を感
じさせてくれる。
 何時間眠れたか、などと考え始めると憂鬱になるので、そのままテレビのスイッチを入
れるのが俺の朝のパターンだった。

『今日は今年一番の冷え込みとなり、実に八年ぶりのホワイトクリスマスとなりました。
とてもロマンチックな夜が期待できそうです。このショッピングモールでは早くから若者
で賑わい――』

「何だって?」
 俺はカーテンを乱暴にひき開けた。雪……雪が降ってるじゃないか!
 考える間もなく、俺は玄関へ走った。
「冗談だろ! 雪が降るなんて聞いてないぞ!」

 ノブをひねり、ドアを開け―― 開かない! 自分で張ったテープに阻まれているのか、
俺は一体何をやってるんだ。
 最小限の部分だけ剥がし、あとは力任せに押し開く。周りを見回すと玄関のすぐ脇の排
水溝で、枯葉にくるまって彼女は寝ていた。
 寝ているだけであってくれ、頼む。
「おい、起きろゴキブリ! 大丈夫か!」
37まっくろーちゅ!/6 ◆GQ6LnF3kwg :2008/12/14(日) 23:17:32 ID:bzJyUYe8
 様子がおかしい。既に身体の半分が雪に覆われているのだ。ただ彼女の髪だけが冷たい
風とともにそよいでいる。
「嘘だろ……」
 
 そっと彼女に手をのばし、その小さな身体に触れた――が、反応はない。
 俺は愕然とした。とてつもない絶望感だった。
 昨日あれだけ元気で、嬉しそうに笑っていたというのに。あれだけ勇ましく立ち向かっ
て来たというのに。
 それが今では、重さなど殆どない、ただ冷たい感触だけの存在になってしまっていた。
 そんな、たったあれしきのことで……

 彼女が死んだなんて考えたくなかった、起こすように揺すったり、暖めてやれば目を覚
ますんじゃないかと優しくさすってやったりもした。
 そんな事をどれぐらい続けていたのだろう。俺はこみ上がる感情を抑えつけ、彼女の亡
骸を部屋へ持ち帰り、ベッドの上にそっと置いてやった。
 力なく横たわり、すでに抜け殻のようになってしまったその姿を前に、俺はなんともい
えない圧迫感を胸の奥に感じ始めていた。

「馬鹿か! 冗談じゃねえぞ!」
 何故負けを認めなかった! どれだけ意地っ張りだというんだ! くだらないプライド
なんか捨てて、参ったと言えばこんな事にならずに済んだんじゃないか!
 馬鹿だ! 大馬鹿野郎だ! 死んでしまえばいいんだ!
 俺なんか――

 俺は彼女の名前、今まで一度も呼んでやることのなかったその名前を声に出した。何故
今までそれができなかったのか、全くわからない。
「すまない……こんなことになるなんて。寒かっただろうな……」
 俺の薄っぺらで無価値で、ちっともたいしたことのないプライドが、ひとつの命を奪っ
たのだ。一体なんのプライドなのか。俺は何様なのか。命よりも大切なプライドなどある
訳がないのに。
 それから何度も何度も彼女の名を呼び、謝り、子供のような嗚咽と混ざって溢れ出る涙
が彼女の身体を暖めるように濡らしていった。

 しかし、とうとう奇跡が起こることはなかった。
 最悪のクリスマスだ。

「ごめんな、俺が間違ってたんだ。お前は偉大だった、ゴキブリだからなんて馬鹿にして
た自分が恥ずかしいよ。本当は生きてるお前に言ってやりたかったけど……」
 そんな事を言っても返事が返ってくるわけでもなく、ただただ流れる沈黙――

 しばらくして俺は注文していたケーキを取りに行くことにした。供養という訳でもない
のだが、これもせめてもの罪滅ぼしだ。帰ってきたら今日はずっと一緒にいよう。

 俺はドアを開いた。

――人間とは、なんて残酷な生き物なのだろう。いや、そういう言い方はずるいな、俺は
なんて馬鹿だったのだろう。
 ゴキブリという忌み嫌われる存在に、自分がいかにちっぽけな人間かを思い知らされる
とは思わなかった。
 いや、あいつは気づかせてくれたのかもしれない。三ヶ月という短い期間だったが、俺
は本当に正しいもの、本当に大切なものをあいつから学んだ気がする。

 もしも天国や地獄なんてものがあって、俺が死んだ時にお前ともう一度出会えるなら、
その時は必ず決着をつけよう、そして言わせてくれ。
「ごめん、そしてありがとう」と――
38まっくろーちゅ!7/6ごめんw ◆GQ6LnF3kwg :2008/12/14(日) 23:18:43 ID:bzJyUYe8
エピローグ

 真っ白なキャンバスに、穢れのない一滴の水を落としたように、それは小さく弾け、消
える。誰もいなくなった部屋に響いたのは、まぎれもなく小さな『くしゃみ』であった。

「はー! 寒かった!」
 純白のベッドシーツで光を浴びる小さな少女。それはゴキブリ。

「騙してでも心を折った方が勝ちって言ってたよね。さーて、何して貰おうかなっ!」



おわり
39 [―{}@{}@{}-] ◆LV2BMtMVK6 :2008/12/14(日) 23:19:35 ID:bKIvX8s9
イイハナシダナー

最後までゴキブリの勝ちだな
40創る名無しに見る名無し:2008/12/14(日) 23:21:03 ID:7JHqfMEz
やはりあったかエピローグwww
こうこなくっちゃ駄目だよなwww
41 ◆GQ6LnF3kwg :2008/12/14(日) 23:25:40 ID:bzJyUYe8
唐突な展開とかやっぱり自分だとなかなか判断するのむずかしいよね。
構成とか誤字脱字(見てはいるのだけど、、)なんでもお願いいたします。
42創る名無しに見る名無し:2008/12/15(月) 18:49:01 ID:RZAEh30N
道の話


「ねえ、少し休もう」
 黙々と隣を歩いていた少女が私に提案した。Tシャツにジーンズ、それにショルダーバックを掛けた格好で、
私と変わらない服装である。避難所では水野と名乗っていた。
「そうだね、だけどあと少し歩けば休憩所があるはずだから」
「……了解です」 会話は途切れ、二人は再び無言で歩き出す。気まずさがある訳ではない。ただ単純に会話を弾ませる気力が無いのだ。
日差しは鋭く、風は草いきれを運んできたが、別段不快な暑さではなかった。毎日歩き詰めでさえなければ。
 遥かに続くアスファルトの路面は陽に灼かれ、水平線の境界は陽炎に揺らめいている。道の両側に広がる草原には風が涼しげな波紋を描いていた。
しばらく歩を進める内に、遠く陽炎の中、小さな木造建築が蜃気楼の様に見えてきた。
 「あれだ!行こう!」
 甲高い声で叫ぶと、急に快活さを取り戻した水野さんが跳ねるように駆けていった。私も慌てて追いかける。
 たどり着いた休憩所は案の定、木製の長椅子に屋根が付いたような粗末なもので、筆で「休憩所」と書かかれた紙が誇らしげに貼られているのが
物寂しさに拍車をかけている。要は寂れたバス停留所に休憩所の名を冠しただけの代物だった。休憩所にたどり着くと、肩からショルダーバッグをドサリと降ろし、
少女の横に座る。椅子の端に赤錆の浮いた、相当な年代物であろうラジオが鎮座していた。眼を閉じ、荷の下りた肩の血の巡りが良くなっていく感触と、
古びた木の匂いに浸る。十分ほどそのままでいた所に、不意に水野さんが声をかけてきた。
「今頃、都会の人たちはどうしているんだろうね」
「さあ、でもまだまだ悪戦苦闘しているのは確かだね。敗色濃厚だけど」
「心配だなあ、連絡だけでも取れたらいいのに」
「本当にね、無事だといいけど。でもまあ不安がってばかりいてもしょうがないし、私達疎開組はのんびりいこう」
「うん」
 水野さんは柔らかい笑みを返した。都会、というよりは元都会に残してきた知人が気がかりではあるけれど、先に行ってしまった友人達とも会えるかもしれないし、
そう悲観的になることは無いと思う。疎開、なんて言葉を使っちゃいるけれど、別にどこかの国と戦争してる訳ではない。資源の枯渇や、
天災続きといった不幸のおかげで都市圏のライフラインが維持できなくなったので、住み良い僻地に目を向けたというだけの話である。自然との闘い、
なんて言い換えることもできるかもしれない。原因の半分が自己責任なので、その言い方はいささか滑稽には過ぎるけれど。ラジオの電源を入れ、つまみを捻る。
いくら弄っても雑音ばかりしか入ってこない。しばらく調節するとかろうじて人の声が聞き取れる局が一つだけ見つかった。国営放送だ。
機械的なナレーターの声が、各地の情報を淡々と告げていく。交通網が絶たれると、あれほど狭く思えた世界は突然広大になり、私達を断絶した。
そんな状況下で、かつての世界はこれ程までに広大だったのか、なんて感慨を抱く私は楽観的に過ぎるのだろう。けれど各地の被害や、行方不明者の名を無機質に述べているのを聞くのは、
暇つぶしにしてもさすがに気が滅入るので、すぐにラジオを消した。
 並んで座りながら、水野さんとしばらくたわいも無い話をする。学校や、家族、住んでいた街とかの話題には、既にどうしようもない懐かしさが伴っていた。太陽が天頂を追われた頃合。
できることなら一日ここで休んでいたかったが、水筒の水を一杯、一息に呷って立ち上がる。
「まだ道程の半分も歩いて無いんだから、そろそろ行かないとね」
「もう少しだけ休ませて」
 水野さんの返事は気だるげだった。私は自分のショルダーバッグを引っつかむと、小走りで休憩所を離れる。
「あ、待った!」
 背中を声が追うけど、止まらず走る。少し走ったところで足を緩めて、開放感に任せて歌を歌った。純朴なメロディに、故郷への道を歌った歌詞。今歩いてるのは反対方向だと思うと、なんだか可笑しな気分になる。
気が付けば、いつの間にか独唱は合唱になっていた。遮るものの無いパノラマに、二人分の歌声は朗々と響く。旅路の終わりまでの距離を測るなんて真似は、野暮なのかもしれない。
道の果ては地平よりもずっと遠くて、私達はその半分さえも歩いていないのだから。



以上です。
どうぞ批評をお願いします。
当方この板は初書き込みなので、自分で文章を改行する際の目安などを教えてもらえると助かります。
43創る名無しに見る名無し:2008/12/15(月) 19:41:58 ID:VpkmCTTD
>>32
ゴキ子可愛いなー、名前違うだろうけど

>>42
水野さん可愛いなー、なんか素敵な雰囲気がする
44創る名無しに見る名無し:2008/12/15(月) 19:44:54 ID:vgV+QEwL
>43

どんだけ欲求不満だよw
45 ◆GQ6LnF3kwg :2008/12/15(月) 23:09:04 ID:vgV+QEwL
ところで、イラストも批判してくれるとの事でしたので32に投下した
ゴキブリ女のイラストを描いてみました。
色をつけるほどの技量がまだないので、線画だけなのですが、
小説のイメージとあっているか、もっとこうしたらゴキブリらしくなるのでは
などご意見いただけると嬉しいです。

もちろん技術的な面でも何でも受け止めますので、お願いします。
らき☆蓋さまもご多忙だとは思いますので、余裕ができたときにでもよろしくです。

ttp://www6.uploader.jp/dl/sousaku/sousaku_uljp00589.jpg.html
46創る名無しに見る名無し:2008/12/15(月) 23:50:11 ID:vjWtMvws
腰にも手か足付けるといいと思うよ
擬人化するなら、誰の目にも解る特徴は最低限押さえるべきだよ
ゴキブリ女です。って補足がないと、ただの女の子のイラストにしか見えない
47創る名無しに見る名無し:2008/12/15(月) 23:52:16 ID:MdpFwZhZ
>>45
なんか見れないよ、俺>>1じゃないけど
48 ◆GQ6LnF3kwg :2008/12/15(月) 23:53:43 ID:vgV+QEwL
なるほどー、それもそうですね。
言われてみれば小説のほうでもただの小さい少女になってる気味があるんで、
その辺も含めてちょっと見直してみたいと思います
49 [―{}@{}@{}-] ◆LV2BMtMVK6 :2008/12/15(月) 23:54:29 ID:Qgd8dsOl
俺は見れた
創発ろだ重いよね

俺はいいと思ったけれど>>1がどう思うかとは別の話だな
50創る名無しに見る名無し:2008/12/15(月) 23:57:28 ID:D9euxRyB
ここにらき☆蓋氏以外が
感想やら批評を書くことに関してどう思ってるのか聞いてみたい
51創る名無しに見る名無し:2008/12/16(火) 00:01:27 ID:MdpFwZhZ
あ、見れたわ
あと言っとくけど俺は欲求不満じゃないよ!コロネネちゃんと一緒に寝たいだけだよ!
52 ◆GQ6LnF3kwg :2008/12/16(火) 00:05:29 ID:cLyIBbJB
>>50

確かにそれだけで埋まっちゃうようだと問題かもしれないね。

ただ、投下した身としては蓋氏の批判がくるまで(それが的確なものだけに)
待っている間になにかしら感想をもらえるのはなんかちょっと心が和らぐかもw

このへんは蓋氏の意見も聞けるといいね、俺がルールwww
なスレな訳だし、そこに異存はないなー
53記憶喪失した男 ◆cnhIMeWufo :2008/12/16(火) 02:53:03 ID:Bs+HSjh4
http://novels.bookstudio.com/list.php/10/1/
おれの最高傑作「この神は脆弱だ」に感想をくれ。原稿用紙二百枚。
54創る名無しに見る名無し:2008/12/16(火) 03:12:28 ID:SBW9KVjX
リザちゃん優勝おめでとう。
55らき☆蓋 ◆FUTAXpF4Lc :2008/12/16(火) 15:50:25 ID:jVEvqeAJ
 需要がありまして嬉しい悲鳴です。手が遅くて申し訳ない。

>『まっくろーちゅ!』
 拝見しました。
 最初にこれはゴキブリを擬人化したナンセンス系の作品と読み取って見ていました。
 熱血馬鹿系と言いますか、この手の作品はバカバカしいことを本気でやらないと面白くない。
書き手が照れてしまったら読んでる方もサムい。そういう意味で本作はナンセンス系の
バトルものとしてまずはきっちり作られてあると考えられます。真面目に作り込んである。

 そこにプラスして、叙述トリック、ギミックとして一枚、読者の裏をかく仕込み。これは実に鮮やか。
私のように自称自分はオタ系作品に詳しいと思ってる人間ほど引っかかる作りですね。
実際阿呆みたいにスパッと「ああ。これはゴキブリを擬人化して書いてるのね。どれどれ」のルートに
踏み込んでました。ナンセンスと見せかけてきちんと設定がある、それを小出しにすることで
読者を置いてきぼりにせずに共通認識を作る、というのは優れて高度な演出的仕掛けによる
読み手脳内のパラダイム・シフトでありますれば、昔のゲームですがガンパレードマーチを彷彿とさせられました。

 さてこういうギミックを仕込むと、しかし往々にして書き手の自己満足、「こんな面白い設定思いついた!」
の発表会になりがちですが、本作においてはこの点を、豊富な叙述量によって下支えし、ギミックだけに
頼った作りにならないようにしてある。書き出し月姫的な最近流行のクドクド描写ラノベ系と見せかけて、
その描写量がなければ「新ジャンル・ゴキブリ」の一言で終わりそうなところが一つの作品に昇華されてある。
アイディアを筆致によって作品に高める過程が見えすぎ。全米嫉妬チャート独走。

 以上の批判的アプローチによって構成を把握したという錯覚をもとにいくつか個人的な意見を。
(↑投稿者コメントより多少の踏み込んだアプローチも許容範囲と判断違ったらゴメン)

1.構成
 これだけすっきりした構造を把握できる作品でありながら、何故か全体を通して読むとスパッとしない感あり。
突き詰めて考えると、主人公が筋を通した好漢でありながら、変なところで意地を通しすぎていたり、
命にかかわるような場面の判断で浅慮を見せていたりするところがすっきり来ないと考えられる。
 一人称による叙述の中で、地の文の中にも主人公の人間的魅力がよく見える分、作中での行動との間に
齟齬を感じてしまうということは大変悩ましい。主人公が魅力的に書け過ぎている? 或いは、短文の中で
ドラマ性を出すために無理に事件になるように進んでいる、そんな感じ。
 ひらったく言うとこの主人公でああいう事件は起きないだろうに、何故。と読み手は思ってしまえる。
 作者は>40さんの感想を是非注視して頂きたい。
 「本編」と「エピローグ」の関係、書きたいものをどういった構成で届けるか。
 高度な創作物でありながら、エピローグがなかった場合のこの作品の読後感はモヤモヤしたものとなっただろう。
 その旨を良しとするか? まさに作者の主義による。

2.叙述
 上記の構成上のことを何らかの方法で整理する前提で、雰囲気作りのための掛け合い的な
(=重要情報密度の薄い)台詞のやり取りが多いことを活用し、説明的な地の文の内容はこのような掛けあいの中に
少しづつ織り込んでいくことで、よりスムースな世界観の読み手脳内敷衍と「台詞のやり取りの塊の後に
説明的地の文の塊がある」という構成にアクセントをつけることができるかもしれない。
 但し、構成上さらに「濃く」書き込むことで主人公の人格と作中行動の整合性を図る場合には↑このアプローチは
あんまり意味がないかもしれない。

3.誤字等
「見慣れた部屋が斜めに倒る」は送り仮名忘れ? 演出表現ならスマン。
「環境適用能力」は「環境適応能力」かもしれんがこれもテクニカルタームならスマン。
「部屋と玄関ではそれほど環境に違いはない。一晩ぐらいそこで寝ていても別に大したこ
とはないだろう。」
 これは内容とも関わってくるけれど、確かに玄関(屋内)なら問題かもなーとは思うけれど、
この場合の玄関は屋外のことだろうと思うので、「いや寒いだろ外は」と突っ込みが入る余地はある。

 以上です。ありがとうございました。
56創る名無しに見る名無し:2008/12/16(火) 16:10:21 ID:VdAAU7qY
俺、らき☆蓋に惚れるかもしれない……
57創る名無しに見る名無し:2008/12/16(火) 16:39:28 ID:+L4XAP+b
これはなんという素晴らしすぎる批評
素直にスゴすぎる
58らき☆蓋 ◆FUTAXpF4Lc :2008/12/16(火) 16:51:23 ID:jVEvqeAJ
 すいません訂正最後の方

玄関(屋内)なら問題かもなーと

玄関(屋内)なら問題「ない」かもなーと

 に差し替えてください。ミスでした。申し訳ない。
59 ◆GQ6LnF3kwg :2008/12/16(火) 20:44:34 ID:cLyIBbJB
>>蓋氏

ここに投下してからずっと裸で正座しておりました。
本当にここまで自分の作品を読んでいただけただけでも、ただ感謝です。

ご指摘のありました箇所、全て自分の中で「おk」ではなく「まいっか」とした部分であります。
ただ、おかげでどう直せばよいのか見えてきた気がします。
また、誤字脱字に関しては、こちらにまったく意図はございません、全て間違いです。
(句読点のうち間違いとかいっぱいあって死ぬかとおもった)

と、まあいろいろ自分語りしたくなってしまうところを抑えて、最後に一言だけ。



これはひどい良スレwwwwww俺がんばるwwwww
60創る名無しに見る名無し:2008/12/16(火) 23:28:26 ID:H8NK/9Rt
こんなスレだったのか
1凄いなww
6175:2008/12/17(水) 06:28:18 ID:YNrygI8C
おはようございます。
某スレで連載を行っている者です。
ご批評をお願いします。

http://www6.uploader.jp/dl/sousaku/sousaku_uljp00600.txt.html

推敲、修正、書き直し、好き勝手にやって頂いて構いません。
62創る名無しに見る名無し:2008/12/17(水) 15:59:58 ID:suka8Fn/
なんかすげーな。尊敬するわ。頼むから俺の作品が出来上がるまでまっててくれ!
63らき☆蓋 ◆FUTAXpF4Lc :2008/12/19(金) 21:10:09 ID:b50xsKgo
>42 『道の話』
 拝見しました。長く拝見しておりまして、大変難しくありました。
 改めて「批判」を試みています、という前提を申し述べたうえで。
 この文章のユニークは、「日常風景描写」と見受けました。シーン、情景ということで、
ある範囲をカキっと切り取って出している。そういうもの。内容も「男女が二人連れで旅の途上」で明白です。
 何度か述べておりますように批判というのは「余計な(この場合の「余計な」というのは「邪魔な」とかそういう
マイナスの意味ばかりではなく、一番中核にある本質を掴むために、核以外であろうと考えられるものは
全て弾いていく、という意味での「余計」であります)ものを取り除いていって中核・本質をつかむ」行為でありますが、
今回私が批判をやってみて大変手強く感じたというところを、具体的な手順でもってちょっと書いてみようと思います。
 まず、文章全体を見て最初に目についたのが情報量の多さであります。
文章全体の短さに比して、会話以外の、地の文から入ってくる情報がとても多い。
 で、この情報量の多さがユニークかどうかを検討してみると、たぶん違う。
作者は「たくさんの情報を伝えたい」わけではなかろう、と。なぜならば、地の文の情報で述べられていることは
「世界の文明が停止しているという状況」であって、要するに背景描写であります。
このような特殊な背景事情のある世界なんだよ、という説明があって、ではそういう世界での
主人公たちの様子を書きたいのだろう。このように見定めました。
 してみると構図としては「非日常的な状況の中での日常風景」がやりたいのかなあ、と判断されるわけですが、
実はここが良くわからない。何故かというと、「こんな特殊な状況でも普通の暮らしをしている」というギャップを狙うにしては、
「特殊な事情」の説明が基本的に地の文だけになってしまっているので、まさに「説明書き」になってしまっていて、
読者側としてはこれに関しては「そうなんだ。そういう設定があるんだ。……で?」と、いったん流してしまって
読み進めるような形になるわけですが、実際に主人公たちが動いている描写や会話文を見ていると、
これが背景設定と乖離してしまっていて「単に日常風景」に見える。こうなってみると「背景の特殊な事情」は
置物と同じであって、フレーバー以上の役目は果たしていない。
 ここで開眼。仮に文章の核を「男女二人連れの風景」とテープで留めておいてみて、最初に目についた「情報量」を
再検証してみると、この文章の、特に地の文における情報の多くは単なるフレーバー以上の役目は果たしていない、
ということに気づきます。
 誤解を恐れず平ったく言いますと、ある種の「伏線」としては機能していない。推理小説を読むときであれば
「これは重要情報ではない」と判断して弾いてしまうような、そういう描写の積み重ねで地の文が構成されている。
「雰囲気」を重視した文章であると考えられます。
 ところで、「情景描写」と「雰囲気」であったら、「雰囲気」が文章のユニークである可能性もあるわけです。
しかしここで地の文のなかでも、背景設定の説明文以外の文をもう一度見てみると、ニュートラル描写とでも言いましょうか、
文章の本筋に影響を与えないように作ってある描写が多いことに気づきます。まさに「フレーバー」。
少なくとも雰囲気が主役ではない。
 ここにおいて文章の核は「情景描写」であろう、と判断されたわけです。
64らき☆蓋 ◆FUTAXpF4Lc :2008/12/19(金) 21:11:49 ID:b50xsKgo
 さて。
 時間を元に戻して、じゃあこれにて批判終了? しかしいや待てよ。これは書き方、読み方によっては荒れるなあ……。
 今回、以上のように批判的手法によって、文章の中核ではないと考えられるところを削ぎ落としていった結果
「情景描写」がユニークであると判断したわけですが、しかし「この文章のユニークは情景描写です」と端的に書いてしまうと、
読む人によっては「俺の文章はテーマも何もない、単なる情景描写だと!?」という受け取り方をして、非常に荒れる。
或いは心静かに凹んでしまわれる。これはどちらも実に本意ではないわけです。
 勿論、情緒的な読み方をすれば、伝わってくるものはあるわけです。批判の途上でも書きましたが、おそらくは
ゆるやかな世界終末の情景の、その中でさえ前向きに状況を受け止めて進んでいこうという主人公たちの生きる姿勢を、
タイトルの「道」に仮託して述べてみよう、という意向があっての文章だろうなあ、と。
 だがそれは「批判」ではない。批判ではない評価のスレは既にこの板に存在するわけだし、私に出来る活動のユニークは
批判的アプローチなわけだから、ここを外すわけにはいかない。
 ではどうするか。どう書けば叩きや貶しとしてではなく、有意義な批判として受け取ってもらえるかどうか。
「……とりあえずそのまま書くか―」(←今ここ)
 というわけで今回は批判的アプローチの経緯を全部そのまま書いてみました。大変くどくどしかったと思いますし、
毎回はやりませんです。ハイ。
 最後に少し。批評でオッケーということですので、批判・評価と判断しまして、以下は批判ではなくて評価的なことを。
 文章の核以外の部分で「描写過多」「水増し」「意味のない記述」と思えるような部分が散見されました。
(ここはしんどいと思うが叩きだと思わないで聞いてくれよ)
 非常にまじめに、というか真摯に、というか、「文章を書こう」という意気込みを感じます。しかしこと描写に関しては
シンプルイズベストという面もありまして、「結局この情報は受け取っても雰囲気以上のものじゃないのか?」と
読み手に思われてしまうような情報は、あんまり入れ過ぎても効果がない場合もあると思うのです。
 このスレの上の方に詩を投稿してる方がいるんですが、その詩なんかを見てみると、少ない文章量でも
きっちりと情景が伝わってくる。「情景を読み手の脳の中で想起させようとする」文、というのもあるわけです。
板書と同じで先生があんまりなんもかんも書いてしまうと読み手は逆に「はいはい情報ね」と流してしまう。
 そういう意味では、敢えて描写を抑えてみる、というアプローチも一つあるのではないかと考えます。
改行のことでご質問がありましたが、個人的には改行はまさに文章のリズムを作り、情報の区切りを示すものと思います
ので、そこのところがやはり、書き手さんの中でもう一つ整理しきれていないところがあるのではないかと。
「このパートではこの情報を伝えて、こっちの情報は次の水野さんのセリフで匂わせて、二つ並べて読者の頭の中で
整理すると『ああ。この世界ではインフラが終わってるのかな?』と推論できるようにしてみよう」とか。
組み立てられるようになりますと、改行についても自然に上手いことやれるようになるかと考えます。
 大変長くなりました。また上から目線に感じられたかもしれません。失礼お詫び申し上げます。
 以上です。ありがとうございました。
65創る名無しに見る名無し:2008/12/19(金) 21:14:20 ID:4P3DeKIQ
なんというみっちり…
これは間違いなくものすごい批評
いやはや本当にあんた凄いよ、マジで凄い
66創る名無しに見る名無し:2008/12/19(金) 21:18:54 ID:7mA/Hpkp
俺は自分が恥ずかしくなってきたよ・・・
67ルシファー ◆wT1lR7Pglw :2008/12/19(金) 21:43:44 ID:CEEzOA2p
誘導されてここに来たのだけれど、>>1さんがとても親切で、感激しました。
これから見に来させて頂こうと思います。
68創る名無しに見る名無し:2008/12/19(金) 21:52:09 ID:Jdwhjvdv
69創る名無しに見る名無し:2008/12/19(金) 23:37:19 ID:q4ehaqkH
ごめん、らき☆蓋の文章で泣きそうになった
批判なのかどうかすら分からなくなったけどアンタ凄いよ

>>63-64、超乙
70創る名無しに見る名無し:2008/12/21(日) 00:05:30 ID:kN+iK1fr
人口爆発と大戦争がもたらした未来。

それは貧と富の二極化だった。
徹底的に管理された大都市に住む富める人々と、彼らによって荒野のスラムに追いやられた貧しき人々

そして、”遥かなる闇”によって支配された砂漠地帯に住む放浪集団流れ人。

これは彼らが理想郷を探す物語。

流れ人の伝説によると、理想郷を見つけた者には、自分の世界の理想像がこの世界で実現するらしい 
普通に探しても理想郷は見つからない。
流れ人は誰にも味方しない。理想郷の理に従って生きるのみ

彼らは妖術師とも大地の魔法使いとも呼ばれる。その由縁は彼らは天候を操ったり、呪文(目くらまし、火おこし)を唱えたりするからである。

富める社会は、集団を求め異質を排除した管理社会。周りはHANMU(ハンム)という謎の兵隊によって警備されている。外にでる事ができない。
富める社会の規範を犯した者は、どこかに連れて行かれ、二度と姿を現さないという。

貧しい社会の中には国に対抗する革命派の組織がある 
彼らの中には、富める社会の為に、半ば奴隷のように働かされている者もいる。

流れ人は、普通どちらにも味方しないが、一人の流れ人が理想郷の真実を知った時、世界が動く。

主人公…かつてある事件により、友をあやめた過去を持つ青年。亡き友と約束した理想郷を探すため、流れ人になる。理想郷を目指すうちに真実を知る事になる。

旅の仲間達

スターム・・盗賊団”義軍”のぼさぼさ髪の団長。貧しき民。仲間思いの性格だが、仲間以外の者には(特に富める者)容赦しない。
      単細胞でけんかっぱやくい。何でも盗るのがモットー。主人公の言葉に心を動かされ盗賊団を解体し、理想郷を目指す。
  
パール・・理想郷の精霊。理想郷の案内人。明るいムードメーカー。

カイン=マシアス=ルイ・・名門マシアス一家の一人息子。富める国のエリート軍人。頑固で自尊心が強く、貧しい者を軽蔑する。ある事件がきっかけで主人公に同行する。

ジール・・ある者に復讐を誓う女剣士。絶対的な強さを欲す。主人公と度々敵対する。

シーク・・元富める国の騎兵団長。今は流れ人。どんな人にも敬語を使う優男。その過去とは・・??
71記憶喪失した男 ◆cnhIMeWufo :2008/12/21(日) 02:40:39 ID:McSUiMXU
>>70 面白い設定だけどさ、主人公の知ることになる真実って何さ。
実は人口爆発に逃れて暮らせる理想郷がありましたじゃ、平凡だよ。
人口爆発は、人口管理をする政府の謀略でうんたらとか、そんなのが欲しいよ。
72創る名無しに見る名無し:2008/12/21(日) 02:59:47 ID:7BQZ7AIG
キター
73創る名無しに見る名無し:2008/12/21(日) 04:06:58 ID:MVgO0IPB
私は他板やこの板でSSをいくつか書いているのですが、自分の書いてるものってどうなんだろう、と思ってるところにこのスレを見つけました。
このスレは、批判される作品も批判そのものもレベル高いので、やや気後れしますが、
恥をかかずに上達なし、ということで、投下させて頂きます。

もとは星新一スレに書こうと思って考えたネタなんですが、
どうしても1レスに収められなかったものですが、ご批判を願います。

「証明不能」

 エヌ氏はテレビ、映画業界で有名な経営者。いくつか会社を持ち、自身が金持ちでもある。
 そんなエヌ氏のもとに、ある日、ロボットを研究しているという科学者がやってきた。
「さて、どんなご用件ですかな」
「実は、実験に協力していただきたいのです」
 エヌ氏は首をひねった。
確かにエヌ氏はいくつか会社を持っているが、どれもテレビや映画に関わるものばかりで、
新型ロボットの宣伝をしてほしいというならともかく、実験とは関係ありそうもない。
 そんなエヌ氏の様子を見て、科学者は続けた。
「私が開発しているのは、防犯用のロボットなのです。大変な自信作なのですが、困ったことがある。
 間違えて善良な方にご迷惑をおかけすることのないよう、
 これから犯罪を犯そうとしている人間を見分け、その人間だけに反応するようにしたのですが、
 逆に言えば、実際に犯罪を犯そうとしている人間がいなければテストができません。
 しかし、お恥ずかしい話ですが、私はそれほど裕福でも有名でもありません。
 泥棒に入られたり、自分や家族が誘拐されたりすることなど、まず考えられないのです」
 ここでエヌ氏も話が見えてきた。
「ははあなるほど。それで私の家か会社にそのロボットをしばらくおいて、
 実際に泥棒に入られるかどうかした時にどのような反応をするか確かめたい、というわけですな」
「おっしゃるとおりです」
「しかし、私の家も会社も、いくつもの最新の防犯装置で守られている。そう簡単に泥棒に入られるとは思えませんが」
「そこです。いままでの防犯装置で防げてしまうくらいの犯罪者を捕まえられる程度では新しく作る意味がありません」
「大変な自信ですな」
 科学者の熱のこもった話に、エヌ氏は実験への協力を引き受けることにし、
その防犯ロボットにデータを取るためのカメラやマイク等を取り付けて自宅におくことになった。

 数日後の夜。エヌ氏の家に入り込む、怪しい人影があった。最新の防犯装置の数々を難なくすり抜け、金庫のある部屋へ向かう。
そこへ、音もなく何かが近寄ると、あっという間に泥棒を抱え込んだ。言うまでもなく、あの防犯ロボットである。
泥棒は驚いて暴れて逃げようとしたが、ロボットの力は強く、まったく振りほどけない。
そこへ、ロボットから警報が入ったのか、警官がやってきて泥棒は御用となった。
74創る名無しに見る名無し:2008/12/21(日) 04:09:20 ID:MVgO0IPB
「いやはや。まったくたいしたものですな」
翌日、またたずねてきた科学者を前に、エヌ氏はロボットをほめちぎった。
「泥棒が入ってきたときにあのロボットがいたのは、家の中でも侵入場所からは遠いところだった。
 それでも最新の防犯装置もすり抜けた泥棒に気付いて捕まえた。
 その上、ご説明では、細かい故障くらいなら自分で修復する機能まであるので定期的な点検の必要もないという。
 もっとも、複雑なため、滅多なことで中を開けられたら困るからそうなさったそうですが。
 いや、実にすばらしい性能です」
「おほめにあずかり光栄です」
「こんなにすぐれた防犯ロボットなら、実験の間と言わずずっとおいておきたい。ぜひ購入させていただきたいですが」
「それですが、実は……」
科学者が言ったロボットの値段を聞いて、エヌ氏は考え込んでしまった。
「うーむ。その値段では、さすがにいくつもある私の会社や別荘すべてにおくことはできない。
 しかし、あんなすばらしいロボットなら、これくらいの値段がしてしまうのも仕方がないでしょう」
「そこで、これをごらんいただきたいのです」
科学者がそう言ってポケットから出した箱のようなもののボタンを押すと、部屋にロボットが入ってきた。
そのロボットを見て、エヌ氏は言った。
「なんだ、また同じ防犯ロボットではないですか」
「そう思われるのも当然です。
 なにしろ、これはあの防犯ロボットと全く同じ外見で、
 それに特殊な金属で覆われているため、分解しなければ中がどうなっているかもわからない。
 つまり、外側からはあのロボットと全く区別がつかないのです。
 しかし、このロボットの方は、旧式の警備ロボットと同じくらいで、
 せいぜい決められたコースを回るくらいのことしかできません。
 ただし、当然あの防犯ロボットよりずっと安く作れます」
「どうしてまた、そんなものを」
「このロボットと、あの防犯ロボットを混ぜて使うのです」
「なるほど。こっちのロボットなら、たくさん買える。
 実はあの防犯ロボットのように優秀ではないが、しかし、外から見てもどちらかわからないから、
 犯罪者の側としては、あの防犯ロボットかもしれないと警戒する。
 それで犯罪を思いとどまらせることができるというわけですな」
「その通りです。そこまでお分かりいただけるなら、話が早い。実は、また別のお願いがあるのです」
「なんでしょう」
「今の話が成立するためには、あの防犯ロボットの優秀さが広く知られている必要があります。
 そこで、データを取るために取り付けていたカメラの映像を使って、宣伝をして欲しいのです」
「なるほど、全くです。ぜひご協力させていただきましょう」
それで映像制作に関わっている自分のところに来たわけか。エヌ氏はすっかり感心してしまった。
最新の防犯装置を備えたエヌ氏の家に忍び込んだ泥棒がロボットによって捕まえられたことは、
すでに新聞やニュースで取り上げられていたから、宣伝の効果も高いだろう。

「やれやれ、まったくたいしたものだ」
 エヌ氏はロボットの売れ行きを見て感嘆のため息をついた。
今まで様々な商品の宣伝を手掛けてきたが、この価格でこの売れ行きというのはまったく驚きだった。
 さまざまな企業や金持ちが買っていった。商店街などで、共同で購入する例もあった。
売れ始めてからすぐに、防犯ロボットとそれにそっくりなロボットは、
購入した側でもどちらだかわからないように混ぜられるようになった。
なにしろ、もし身内の人間がどれがそっくりなほうのロボットか漏らしてしまえば、それで効果が失われるかもしれないのだ。
そして、こんなロボットを購入するような企業や人間ほど、身内にそのような人間が出ることを警戒しなければならぬものだ。
それに、別にどちらがどちらか分かっている必要もなかった。
どちらのロボットにも、ある程度までの故障なら自分で修復してしまえる機能が付いているし、
それで直らないほどの故障なら、どのみちあの科学者がつくった工場に送り返して修理してもらわなければならないのだ。
もっとも工場に送り返さなければならないほどの故障など、まず起こらないといってもよかったが。
 エヌ氏の家に入って防犯ロボットに捕まえられた泥棒は、最新の防犯装置を難なくすり抜けただけあって、
犯罪者仲間の間で評判が高かったのか、犯罪抑止効果は絶大だった。
それにはやはり、エヌ氏の行った宣伝の効果によるところも大きかった。
75創る名無しに見る名無し:2008/12/21(日) 04:10:52 ID:MVgO0IPB
「しかし……」
 エヌ氏はふと考えてしまわざるを得ない。
 あの科学者は、本当に防犯ロボットをつくっているのだろうか。
まったくつくっていないということはなくても、防犯ロボットとして売っているうちの何割かをそっくりなロボットにして、
実際に払われるべきより多くの金額を要求していないだろうか。
 しかし、外からは確認のしようがないのだ。
本物の犯罪者にしか反応しないから、犯罪者のふりをして確かめるのも無理だ。防犯ロボットのほうは、それほど優秀なのだ。
中身を見て確かめるのは、高価な防犯ロボットを壊してしまう恐れがあった。
購入した側が確かめるには、もはや犯罪者をけしかけるしかなかったが、そんなことまでする人間はいない。
 といって、これはあくまで、あの科学者が本当に不正をしていないことを証明できないというだけのことである。
逆に、本当に不正をしていると証明することも出来ないのだ。
 もっとも、その証明のしようがないということは、それだけロボットを見分けられないということを示しているわけでもあり、
それは、防犯効果の上では明らかにプラスなのである。

 エヌ氏はそこで考えるのをやめる。
もし科学者がそんな不正をしていてそれが発覚したとすれば、自分までその片棒を担いだとされてしまいかねない。
 それに極端な話、仮に科学者が不正をしていたとしても、必ずしもだまされたとは言えないかもしれないのだ。

 問題は鳥を追い払えたかどうかであって、そこに立っているのが人間書かかかしかではないのだから。
76創る名無しに見る名無し:2008/12/21(日) 04:11:30 ID:MVgO0IPB
以上です。よろしくお願いします。
77創る名無しに見る名無し:2008/12/21(日) 04:16:02 ID:rb+3YStd
リアルタイムで読んだが面白い。十分に星新一テイストが出ている。
しかしいくらか不自然なところがあったり、誤字もある。
推敲はしっかりすべきだな。
まあそういう指摘はこのスレの趣旨とは違うか


この話、現実に起こってもおかしくはないことだよな
たとえば食品偽装みたいなものだ

テレビの宣伝では有名人とかが非常に美味そうに食ってるわけだが、
下の鈍い人間が実際にその店を訪れたとして、
それが本当に美味いのかどうかはわからないわけだ

なんかテーマが余りにも身近すぎて、既出な気もするが
まあ、なんだ、センスあるよ
78創る名無しに見る名無し:2008/12/21(日) 05:03:14 ID:dWc97Mlh
これはいい、発想も面白いが文章の組み立て方がまた上手い。
星新一の文章って単にアイディアが奇抜というだけじゃなく、一つ一つの事柄がなぜ起こ
りその結果どうなったかということまで考え、短い中でもきちんと言及してるんだよね。

らき蓋先生の批評が楽しみだ。
79創る名無しに見る名無し:2008/12/21(日) 12:22:52 ID:cmZveDbs
博士がロボットに捕まるのかな…? と思ったけどそんなことはなかったな。
80創る名無しに見る名無し:2008/12/21(日) 12:42:30 ID:/NNJ94AJ
>下の鈍い人間が実際にその店を訪れたとして
お、お前も間違がっとる
81創る名無しに見る名無し:2008/12/21(日) 12:46:01 ID:862im6Qv
>>71
スレありがとう!!
今考えてる理想郷の真実としては、すでに理想郷に行って願いをかなえた者がいる。
そして主人公達が住んでる世界は実は理想郷の願いが実現しつつある世界だという
予想以上に平凡だと思いますが・・。人口爆発等は政府の陰謀だというのはほとんど当たりです。

すいません、昨日書けなかった設定また投下します
・理想郷に行ってすぐに願う世界が実現するとは限らない。少しずつ変わる。
・理想郷に行った者が死ぬと、理想郷は実現されない。

導く者(ロード)・・この物語の重要な存在。理想郷に到達した者に使える。
         この世界を理想の世界に変える役目を持つ。現世にいる時は人間の姿をしている。
         他人の心に現れたり、空間を移動したりする者もいる。

富める国の政府のトップはロード。
82創る名無しに見る名無し:2008/12/21(日) 21:37:10 ID:iEdnMFBR
俺は最初のロボットの中には人間が入ってて
泥棒とグルなんだと思った
83らき☆蓋 ◆FUTAXpF4Lc :2008/12/21(日) 21:54:38 ID:wJSjT7x8
>45 Cornene
 拝見しました。
 小説のキャラクターのイラスト化ということで、原作との関連性を中心に見ることとしました。
 この場合批判の必要もなく、着眼点はまず作中描写との整合性です。
 で、個人的にはゴキブリの生理的嫌悪感とも連動した「怖さ」の一つは「顔面に向かって飛んでくる」
ところである、という知人女性の談に非常に同感したことがありまして、作中で顔面に張り付いてきた時も
羽根で飛んできたんだろうなと勝手に思っていましたので、イラストで羽根がなかったことは意外でした。
 してみると主人公の顔面に張り付いたのはジャンプしたか舞空術的に空を飛んだのか。後者だとしたら
作品の世界観をもう少しファンタジー寄りに修正するべきなのかな、などと考えました。
 同じく脳内想定との差異は服装でして、パジャマの印象が強かった分、人間の服は勝手にベッドに
入っているシーンでおめかしとして着替えていたのかと思っていましたが、最初からもう
「ちっちゃい人間」だったのですな。よくよく読み返してみると冒頭で「黒いローブ」という描写が確かにあったわ。
あったんだけど、読み手として勝手に「これはゴキブリの外装を比喩で敢えて月厨っぽく書いてる修辞だな」と
判断しちゃっていたもので抜けていました。お恥ずかしい。
 ともあれ以上のように、このイラストを作中キャラクターのイラスト化と位置付けてみますと、作者において
想定しているヒロインは相当に「ちっちゃい人間」である、ということが設定情報として前面に出てくることになります。
皆さんお気づきのように単純に善し悪しを感性に基づいて述べるような価値判断はこのスレの目指すところではないので、
それがいいか悪いかは作者の方で改めて練って頂くとして、もっと「ゴキブリ的な」昆虫造形を期待する向きには
拍子抜けの面もあるのだろうな、とは思いました。(というか実際にもう感想が寄せられていますね)
 ↑作者に置かれてはこの点は客観的に受け止めておられるようで流石であります。
 流石ということではもう一つ、イラストの構図ですね。これはまさに「顔面に向かって飛んでくる」ところを想起させます。
彩色がないとかそういうことよりも、所謂「設定画(文章系創作同人誌の隙間に申し訳程度に掲載された鉛筆書きの、
なんか立ってるだけみたいなイラスト+表情集みたいなヤツ)」に終わらず、きちんとキャラクター性を確立した、
読者のイメージに作者の方向性を伝えようという意図が感じられる点が「表現」になっていてユニークと見定めました。
 文章もそうですが全般的に創作と反応に対する姿勢が真っ向勝負で素晴らしいと感じます。見習いたい。
 以上です。ありがとうございました。

(※技術的なお話はどうしても価値判断を含みますので、そこに手を出すなら殺し合いになります。
今回、「殺し合いになるとしてもこれだけは言わなければ」という技術的な要素はなかったと考えますのでこれにて)
84らき☆蓋 ◆FUTAXpF4Lc :2008/12/21(日) 22:17:36 ID:wJSjT7x8
>50
 ちっと微妙な話題ですんで、名無しから振ってもらってとても助かった。多謝。
 個人的に、この板に来る前にも2chの創作系の板でいろいろ見たり書いたりしてきた中で、「いわゆる批評スレは荒れる」
というのを見てきた気がするので、何か有意義なアプローチはなかろうか、と考えてやってみてるのがこの「批判」という
試みであります。
 というわけで、自分で書く分には荒れるばっかの「批評」にならないように気を付けていくつもりだし、もし失敗して
荒れてしまったとしてもそれは自分の責任、技術の低さなので甘受するしかない、という点は納得しているつもりです。
 これを逆に言うと、「自分以外の人の『批評』的な書き込みがあって、それが元で創作系板批評スレ伝統の主観的
荒れ荒れ論争になってしまったら、これは残念」ということは実に強く思っております。
 しかしここは2chでして、誰が何を書き込むこともオッケー。それが匿名掲示板のユニーク。ですのでそのユニークを
殺してしまうような、「俺以外は書くな!」みたいなことを言う気は全くありません。そもそも、これは結果論からの
見方ですが、「荒れない分には反応はいっぱいあればあるほど投稿者からしたら有り難い」のですよな。
 というわけで「2chなので俺が何を思おうと何の意味もない」ということを前提とした上で、「荒れないんだったら
なんでもいいんじゃないかしら」という身も蓋もないことを思っております。

 なお、このスレのここまでを見てきて、やっぱり荒れるかどうかはスレ住人にスルー力があるかどうかの問題で、
vip等の環境的に厳しい板でも荒れそうな書き込みを全住民がガン無視の完全スルーしてる分には、スレ的には
その書き込みが「無い」ことになるので全く問題なく進行するのよね、ということを改めて確認した思いです。
 創作系のスレで荒れてしまうのは、やっぱり投稿者が自作に思い入れがある分、あまりに一方的で主観的な
(ある種の「失礼」な)書き込みをスルーすることができず、わかっちゃいるのについつい噛み付いてしまうことで
その後一生gdgd、というケースが多いように思います。
 大変難しいことですが、有意義な批判・評価・感想は有り難く受け止めつつ、「わかってない」書き込みに関しては
完全にスルー(存在すら認識している様子を見せないことがその手の書き込みに対する真っ当な評価でありましょう)
することで、「俺が何を思おうとどんな書き込みがあろうとスレ自体は粛々と進行する」ということが、或いは可能では
ないかと。そんな風にも今は思えています。

↓参考資料は大変有名な文書ですが最近webに参加された若い方などはご存じないかもしれませんのでご紹介を。
ttp://wstring.pos.to/moebana/storm/aorigaku.html(「やさしい煽り学」)

>52
 それが有意義なものなら、作品への反応だけでスレが埋まるなんて素晴らしいことですよな!
 他力本願でサーセンwwwwwww
85創る名無しに見る名無し:2008/12/21(日) 22:26:36 ID:iEdnMFBR
これはすげー本当にすげー
しかしらき☆蓋さんこのレベルで続けていって大丈夫か?倒れたりしない?
86創る名無しに見る名無し:2008/12/22(月) 05:56:20 ID:UBiWr0W6
惜しむらくはスレタイが……
87創る名無しに見る名無し:2008/12/22(月) 07:35:17 ID:y/01wEcm
このスレタイはわざとでしょ
いかにもな感じを狙ってると思うね
88 ◆GQ6LnF3kwg :2008/12/22(月) 18:34:42 ID:ysfkadge
>>蓋氏

小説に引き続きご批判ありがとうございました。
一言一言が本当に自分の不安だった部分だったり、適当にすませてしまった部分だったりと
恥ずかしいです、、

ここで頂けた言葉をこの作品や、今後の作品にも活かしていきたいと思います。

どうかお体に気をつけて、これからも頑張ってください。
では名無しに戻ります。

ありがとうございました!
89創る名無しに見る名無し:2008/12/22(月) 20:08:25 ID:HoSUOAxL
けどの続きくらい自分で想像しろよw
嫌いじゃない(肯定的) けど  その次に続くのは否定的な意見だろう
そしてまあ自分の作品を読み返せば自ずとわかるんじゃないか?
知らないけど
90創る名無しに見る名無し:2008/12/22(月) 20:10:11 ID:HoSUOAxL
激しく誤爆
9142:2008/12/22(月) 23:38:57 ID:Rs1bfovp
>>63-64
アク禁に巻き込まれたお陰でレスが遅くなりました。
幾度も読み返させてもらっています。
あのような拙い文章にここまで素晴らしい批評をありがとうございました。
的確な解析の元での御指摘、文章構成の方法の提示には目から鱗が落ちる気持ちです。
らき☆蓋氏の文章に対する真摯な姿勢にはただ感服するのみでした。
ひとつだけ言い訳(?)させていただくなら、主人公も女子のつもりで書いたのです……orz
非常に肝心な所の情報が欠けていた、ということに反省しきりです。

非常に長い批評に短いレスで気が引けるのですが、以上です。
御批評本当にありがとうございました。
これを励みに、今後も頑張ろうと思います。
92創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 12:33:39 ID:GYKwj9pk
ここって長編の途中とかはアウトかな?完成してないと設定とかわからんからやっぱアウトか?
93創る名無しに見る名無し:2009/01/09(金) 20:58:58 ID:bzSYbXqQ
意図によるんじゃね?
全体の設定整合性とかを踏まえた上でなけりゃ評価できない
場合もあるだろうし、その部分の文章的な流れとかを評価して
もらいたいなら、一部分でも十分な事はあるだろうし。
94らき☆蓋 ◆FUTAXpF4Lc :2009/01/10(土) 21:40:33 ID:KwoLbpnm
 あけましておめでとうございます。
 ひどいペースですが本年も宜しくお願い申し上げます。

>53 へげぞ「この神は脆弱だ」
 拝見しました。
 初の長編完結作品ということで気合入りました。
 しかし、長い文章を今までのご依頼の作品のように批判しようとしますとえらいことになりますので
「長い作品ほど思い切って鉈を振るう」という方向で敢えて短めに書かせていただきます。
 投稿されているページのジャンルが「SF」でしたのでどうしてもそちらに引っ張られて読んでしまいましたが、
作品の構成としては山田風太郎・忍法帳シリーズより伝統の「超絶異能者バトル」と読み取りました。
 つまり、SF的な味付けのバトルもの、という点がユニーク。というわけで「1.バトルものとして面白いか」
「2.SF作品として面白いか」という二点を読解の鍵として読んでみました。

(※勿論、SFでありバトルである以上、総合的な評価は「SFバトル作品」という全体に対して行われるべきですが、
それやっちゃうときめ細かさがえらく必要になりますので、「批判」ということではまず諸要素に分解したうえで
それらをとっかかりに切り込んでいく、ということでご容赦ください)

 さてまずバトルものとして。超絶異能者バトルはジャンプ系漫画作品などで特にお馴染みですが、
本作では「ほぼすべての対戦が一対一」というのがユニークです。
 元祖超絶異能者バトルこと忍法帳シリーズも、たとえば最近アニメにもなった『バジリスク』などを見ると
基本的には一対一の戦いで、稀に多対一という感じなのですが、本作では多対一は状況としてはあっても
実質の中身は一対一という感じですね。

 閑話。
 一対一基本のジャンプ系バトル漫画は星闘士星矢とか、あんな感じで必殺技の応酬的なバトルが多く、
その後ドラゴンボールで戦術的な要素がかなり盛り込まれ、現在では戦闘が「描ける」漫画家は多対一、
戦術面に凝ったバトルを好むように思われます。ハンターハンターなどはむしろ戦術の方が基礎となって
毎回のバトルが推移しているようにも思われます。(+富樫は戦略戦も描ける漫画家)
 しかしこの戦術戦、小説とはなかなか相性が悪い。私が知る中で相当に戦術戦に凝った作家は
神坂一ですが、彼もスレイヤーズにおいては戦闘中の描写視点を度々変えることによって臨場感を出そう、
という変則的な試みを行っていたことが印象深いです。しかし普段リナの一人称で進む文体の中に
突然三人称で戦闘描写が入るのは成功だったのか否か。微妙。
95らき☆蓋 ◆FUTAXpF4Lc :2009/01/10(土) 21:42:26 ID:KwoLbpnm
 閑話休題。ともあれそんなわけで、小説という媒体を考えれば基本一対一のバトルを描くことに徹したのは
一つのユニークであったと思われます。そんでもって戦いの内容もまさに「超絶異能者バトル」で、
お互いの特殊能力、異能を繰り出すやり取りが基本となっており、これは「ジョジョ」から発し「武装錬金」などへ
つながった系譜でしょうか。「読者の中にあるキャラクターのある異能のイメージがあり、その異能を使って
『どのように』戦うかをある程度想像できる土壌を作っておいて、そこへ別の『異能』をぶつけることで
読者が想像できる戦いを展開する(でもって最後に読者の想像を超える)」というのが基本となります。
 先ほど「ジョジョ」を例に出しましたが、たとえばスタープラチナは「精密でパワーがあるが射程が短い」とか、
そういう情報が読者の脳内にある。そこへンドゥールが攻撃を仕掛けてくる。この相手は「超遠距離攻撃で
パワーもあるがなんか目が見えないらしい???」という「情報」が与えられ、それをもとに読者は想像する。
「どうなるのか」「どうやってこの敵を倒すのか」「俺だったらどうするか」と。
 この点が超絶異能者バトルのある種の醍醐味であり、またこの「想像遊び」のためには、一対一という状況は
大変都合が良いわけです。ハンターハンターの戦闘は超面白いけれど、複数キャラの念能力が入り乱れる
チーム戦は読者的には「想像」がやや難しい。勢い「来週が楽しみですな」という受け身になってしまいやすい。
 本作においても残念ながらこの点は、読者が受け身になりがち、という点は似通ってしまっている様子。
これは思うに、一つには各キャラの「異能」についての説明が「地の文」で行われてしまっている傾向が強く、
「こういう説明がしてあるなー」と読み手が流してしまう向きが強いからではないかと考えます。つまり想像力を
働かせて受け止めるのではなく、「知識」として各異能をストンと入れ込んでしまう。
 もう一つには、これは昨今のSF書き全ての宿命であろうとも思われますが「SF=科学知識=難しそう」という
読み手の側の構えもありましょう。山田風太郎が「忍法かまいたち」と書けばなんとなくどんな規模の攻撃か
予想がつくところを、「小型ブラックホール」みたいな書き方だと「???」となって、とにかく考えるより先に
読み進めよう、という頭のスイッチが入り、その攻撃が炸裂しても「へー」となってあまり引っかかりがない、と。
 この宿命とどう戦うかというのは本当にSF書きの命題のようでして、瀬名なんかは「バイオホラー」みたいな、
作品ジャンルをなんとなくわかったような気がする方へ捻ってみたりしましたよな。ひと昔前だったら全部「SF」
と呼ばれたであろう作品群がなんとなくなんかわかったような新ジャンルになっている。
 本作に関してももしキモがバトルであって「バトルもの」が書きたいのであれば、ジャンルの変更も
選択肢として考えられるようなところではあります。
 が。

 次にSF作品として。まず、本作におけるSF的要素、科学交渉はまさに「少し不思議」ことSFでありまして、
昨今のリアル志向で「SF」という看板すら外す作品群とは一線を画し、まさに「これはこういう設定」の力押し。
(・∀・)イイ! (・∀・)イイ!  この風、この肌ざわり、この匂いこそSFよ。
 山田風太郎だって「塩水に溶ける忍者がいるであろうか? いるのだ!!!」みたいな力押しでやっとるのです。
わかりやすい面白い作品を書くのに細かい設定考証に凝り過ぎるのはバッド。
 ただし、古き良きというか、非常に正統派のSF的作品を「現代に」書くという点に関しては、天地開闢を語ろうという
重さは、太陽に突っ込むほど冴えてたり、猫が歩いてると未来への扉が開いたり、三つの願いを必死で考えたり、
そういう時代に慣れてしまった読者にはかなり歯ごたえがあることは否めないかと。
 特に最初の設定が「十名規模の運命を賭けた個人戦」と見てとれる時点で、読者の想像の枠はある程度そこへ
収斂しているわけで、枠を広げるに際して何らかのクッションを設けないと、「え? これそんな壮大な話なの?」
という点で読者置き去りになってしまう可能性が無きにしも非ずんば虎児を得ず。是非御一考いただきたい。
 まあ、そういう細かいことは横に置けば本作はまさにセンス・オブ・ワンダーであります。
96らき☆蓋 ◆FUTAXpF4Lc :2009/01/10(土) 21:43:27 ID:KwoLbpnm
 と、以上二つの要素を個別に見ると、多少癖があることは間違いないとしてもきちんと正面から勝負している。
それにプラスして、総合的な批判を考えた時に、この両要素がきちんとお互いに融合して生かし合っている、
というユニークがもう一つあるわけです。
 超絶異能者バトルの異能要素がSF要素であり、バトルの最後の勝敗が単なる勝敗ではなくSF的な解決になっている。
 逆から見ると、SF的なストーリー回しの中で各キャラクターに戦う必然性が描かれ、戦いが行われたことの意味が
作品の理念と密接に絡み合って出されている。
 「SFじゃなくてもいいじゃない」「バトルいらないんじゃね?」という評を寄せ付けない。見事な融合であってこれは完全に
プロットが昇華されていると考えられます。

 「SF超絶異能者バトル」というプロットを真っ向勝負で描き切った本作は、まさに本人が「最高傑作」と言うに相応しい
内容であったと考えます。やはり完結させた作品を持っている人は強い。お見事であります。

 蛇足ながら感想をということでしたので、批判を終えた上で個人的な感想を述べさせていただくならば、昨今の作品としては
ややキャラクター性が弱い、ということは言えるかもしれません。露骨な萌え描写などはいらないにしても、もう少し各キャラの
差異化を図るために描写を増やすという方向性はあったかもしれません。
 他の要素、作品的なわかり易さであるとか、バトルにおける戦術性の少なさであるとか、そういったことは「そこを改善しようと
思うくらいならプロット自体を変えろ」という話になることですので、このプロットではここまで書いたら「よし」として
棚に仕舞って次だ次! で絶対に間違いなしであります。

 短く書くとか言っといてえらく自分の勝手なトークで長くなりましたが以上です。ありがとうございました。
97創る名無しに見る名無し:2009/01/10(土) 21:46:17 ID:6vzLMvv+
らき☆蓋さんキター
よかったもういなくなってしまったのかと心配してたよ
しかしこの批評はいつにも増して凄い
批評で支援レスを入れようかと思ったの初めてだよ
98らき☆蓋 ◆FUTAXpF4Lc :2009/01/10(土) 21:50:03 ID:KwoLbpnm
>59 まっくろーちゅの人
>全て自分の中で「おk」ではなく「まいっか」とした部分であります。
 わーいそんなに読みが外してなかったぞー。よかったばんざーい。
 いやー「批判」とか大看板上げといて作者の引っかかりと違う場所ばかり取り上げてたらアレですからな。

 それはともかく「直す」という文面があったのでアレなのですが、「まっくろーちゅ」に手を入れてより完璧な
「まっくろーちゅ」 に直す、という方向よりも、これはこの段階の作品としては一つの成果、ということで
棚に仕舞って次の作品を、という方向の方をよりお勧めしたく。
 「この神は脆弱だ」さんのを例に挙げるまでもないかもしれませんが、やっぱり書いて終わったものは
「これはこの段階の最高傑作!」と自信持って人に見せられるようにしておいた上で、改善点は「次」に
生かす方向で創作を是非。(戦力100の作品一つより70と90の2枚看板の方が、なんというか、強い)
 ↑とっくにそう思ってたら御免なさいね。ではでは。ノシ
99らき☆蓋 ◆FUTAXpF4Lc :2009/01/10(土) 22:21:16 ID:KwoLbpnm
>61 学園島戦記譚 -序章編- 第一話
 拝見しました。
 率直に言って、済みません。今回拝見した範囲ではコメントが難しくあります。
 描写力は水準以上、「ある戦況」を描いた場面としては非常にわかり易い文章であったことは間違いありません。
 しかし、「批判」的な視点で様々の要素を削ぎ落としていくと、今回拝見した範囲においては、最後に残る「核」の部分が
無かったように見受けます。テーマというか、書きたいものですね。
 そりゃもう「序章」の「第一話」でテーマを全部描き切る人はいませんですから当たり前なんですが。なんかすいません。

 えーと批評でもなんでも幅広く書いて良いということで、ちょっとは役に立つことを書こうと思って、そう。
 例えば『七都市物語』的なところを狙っていきたいのだと仮定しましたら、キャラクター性に関してはもう少し掘り下げても
良いのではないかと考えます。
 というのも、今のところ、軍記物のように見受けますが、全般的にキャラクターの描写がステレオタイプと言いますか、
どこかで、それこそ田中芳樹の作品で見たようなパーツが多く、オリジナリティーのようなものを強くは感じないところが
あります。
 これは必ずしも悪いことではなく、他に深めたいテーマがあってそちらへ掘り進んでいっている場合には「癖のない」
描写は好ましくありますが、赤川宮部的な文章は「つるつる入って後に何も残らない」という側面もあるわけでして。
 軍記物(だと仮定して、ですが)のキモはキャラクターの魅力でありますれば、もしこのまま戦況描写で押していく
つもりなら、読者が「このキャラクターがどんな戦略・戦術で戦うか楽しみである」という引っかかりを作るために
少し工夫があるとさらに良いかと。
 せっかくたくさんの戦術描写をしても、そこで戦っているキャラクターに興味が持てないと読者の脳内的には
「ふーんすごい作戦なんだー。で?」という感じで、流されてしまうのではないかと考えます。
 俗な表現でいえばカタルシスをどうやってもたらすかという、そのへんに作品的なのびしろがあるのではないかと。
 ↑なんか偉そうで済みません。以上です。ありがとうございました。
100 [―{}@{}@{}-] ◆LV2BMtMVK6 :2009/01/10(土) 22:23:40 ID:g96fa1oI
あ、俺と同じこと言ってるー
でも言い方がものすごくいいなあ
えらい違いだ……

(七都市物語、あれは面白い
101創る名無しに見る名無し:2009/01/10(土) 22:30:12 ID:6vzLMvv+
やっぱり1次創作である程度長編となると
キャラ立ちの問題が出てきがちなのかな
102らき☆蓋 ◆FUTAXpF4Lc :2009/01/10(土) 22:31:13 ID:KwoLbpnm
>62
 ご覧のペースですからご心配なく。お待ちしてますので必ず完成を。

>67
 私は親切ではないです。現在志向しているのが「批判」という営為ですので、「批判」である以上
「誰がやってもこうなる」のです。本来。
 前にも書きましたが日本ではなーんか「批判」が「難癖をつける」みたいな意味で解釈されていて残念なのです。
 本来の「批判」は非常に有用で大切なもので、民主主義社会においては皆が批判的精神を身に付けてないと
ヤバいのです。たぶん。
 で、特に創作においては作品のレベルアップのためのツールとして有効であるということを示せれば良いなあと。
 そういうわけで繰り返しますが親切とは違います。今のところたまたま、批判の意義を良く理解される方しか
投稿してきてないから荒れてませんが、今後ボコボコの殴り合いのgdgdになる可能性も当然あります。
 あんまりフィルタリングせずにありのままを見ていただけると幸い。

>70
 拝見しました。これはプロットの手前、といったところでしょうか。
 ”設定はわかった。話を動かしてくれ”
 という感じでしょうか。これがゲームやアニメのキャラ設定のようなビジュアルがあるものでしたら
「萌える」とか「萌えない」くらいの適当なことは言えるのですが、文章ではせめてプロローグだけでも
書いてみて頂けないと、「動いてるとこ」見ないとなんとも申し上げられないところはあります。
 以上です。済みませんでした。 
103らき☆蓋 ◆FUTAXpF4Lc :2009/01/10(土) 23:03:27 ID:KwoLbpnm
>73 「証明不能」
 拝見しました。
 このスレにわざわざ来てくれてる、おそらくはある程度以上、自分で「書いてる」人たちの群れから
これだけ好意的な反応が出て来てるわけですよ。私もわくわくして読みましたですよ。(皆さんのレスは
リアルタイムで見てるけれど作品は批判のその時まであんまり読まないようにしてます)

 批判的な読みをしなくちゃならんのですけどね。清川元夢さんがEVAについて「昔の芝居は見た人がそれぞれに
色々な感想を持って語り合えた。EVAというのはそのような作品だと思う」みたいなことを言ってましたがね。
アレを思い出すというか、自分で物語を作って考えてる人たちが「俺はこう思った」というのを語りあわずには
おれないような、この空気にどうしても引っ張られますね。幸福なことですが、いかんいかん。俺のユニークを果たさねば。

 本作最大のユニークは>77さんの言う「星新一テイスト」で決まりでしょう。サイエンスなフィクションでありながら
少しのブラックなユーモアが含まれた、短編でサクッと読ませる三人称変則視点固定型。
 しかも「一所懸命いじりまわして整えた」という雰囲気が微塵も感じられない、「書いたらこうなった」的な流れ。
投稿しようとしていたスレから察しますに、この手の文章をたーくさん読んで型が身についた人が
書いた様子が伺えるこなれた文章で、読んでいて気持ちが良くなります。快感フレーズ。
 >77さんは「センスある」と書いてますがこれですね。センス。星新一的な感性。
 >78さんが「文章の組み立て」という言葉を使っているけれど、ここが頭で考えて組んだんじゃなくて、
センスで組んでる感じがするというか。情緒的な物言いになって恐縮ですが、頭で考えて計算で組み立てた文章は
もっとガタガタしがちなもので、特にSFだと論理が勝ち過ぎて星新一からは離れていきそうなところを、
非常にまとまりよく仕上げてあると考えます。理に適うも理に走らず。
 >78さんの指摘してるもう一つ、「発想」というのも、私これ読んでて思わず「フーム」と唸ったのが三回くらい
ありましたよ。こんな短い文章で「なるほど」と思う箇所が三つも。ユニークとしか言い様がないです。
 しかも読後に「考えさせる」。投げっぱなしというか、作中だけで何かが完結しているわけでなく読んだ人間の
脳の中で何かの化学変化を起こさせる。ここのところがまさに正統派星新一。ユニーク。
 桂馬や角や飛車がないのに、歩が進んできているだけなのに何故か攻め込まれている、読者が次の展開を
想定できないような突飛な要素は一つもないのに、「ほう」と思える死角、想像の一歩だけ横へ滑りこんでくるこの感覚は
まさに日本型・星新一式のセンスオブワンダーでありましょう。
 ユニークです。ユニークであることが自動的に評価に繋がってしまうとわかっていてもここは押します。ユニークです。
 大変面白かったです。ありがとうございました。

 冬月先生じゃないけど「読むと語りたくなる」話だけれど、俺はコテハンなのでやせ我慢して黙るぜ。
104らき☆蓋 ◆FUTAXpF4Lc :2009/01/10(土) 23:20:38 ID:KwoLbpnm
>81 プロットの人
 同じコメントで申し訳ないです。設定は良いとして、あとはそれをどう動かすかという感じで。
 新人賞応募とかそういうレベルで書いてる人達の中では、設定をあんまり頑張って突き詰めてると
だいたい討ち死にする、というのが冷たい現実であるようなところもあります。
 設定の良し悪しは動かしてみないとわからんし、「書いてりゃ変わることもある」という現実もありますれば。
 そろそろ筆を動かしちゃってみても良いかもなのです。

>88 まっくろーちぇの人
 それだけ書けるならあとは数か、次は長いのか。
 でも長いの書こうとして書けなくて筆が止まるくらいだったらどんどん書いた方が良いでしょうし。
 とにかく先へ、先へ。書ける方で好きな方は書くべきであります。良い一年を。

>99 道の話の人
 いや……。
 そうでしたか二人とも女子でしたか。これは一つ、発想の死角を突かれた思いです。
 言われてみれば「男子だ」と決めつける要素は一つもないわけで、これはこちらが読み取る際に文章上の
筆致にばかり気を取られて構成を見落としていました。恥ずかしいってのもあるんですが。
 これ、なんか武器になりますかね。「読み手の想像の死角を突ける」ってのは明白な強みになることは
間違いないわけで、木を隠すには森じゃないですけど、描写にまぎれて大事な情報を気が付きにくいように
する、というのを、狙って技術として出来るようになったら、推理小説的な文章などでは武器になるかもしれません。
 ともあれ一本取られました。悔しいんだぜ。

>92
 >93さんが完全に言ってくれた。
 そのような感じで一つ。

>97
 ペースが遅い代わりにいつまでも消えない。それがダメコテ。

>100
        ゴガギーン
             ドッカン
         m    ドッカン
  =====) ))         ☆
      ∧_∧ | |         /          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     (   )| |_____    ∧_∧   <  おらっ!出てこい>>1
     「 ⌒ ̄ |   |    ||   (´Д` )    \___________
     |   /  ̄   |    |/    「    \
     | 61 | |    |    ||    || 串 /\\
     |    | |    |    |  へ//|  |  | |
     |    | |    ロ|ロ   |/,へ \|  |  | |
     | ∧ | |    |    |/  \  / ( )
     | | | |〈    |    |     | |
     / / / / |  /  |    〈|     | |
    / /  / / |    |    ||      | |
   / / / / =-----=--------     | |

 違う! 本当に被っただけで僕オリジナルの読みなの信じて!

>101
 長編を「読ませる」ための手段として、てっとり早い要素の一つであることは間違いないと考えます。
 どんなに高レベルな文章でも「読んでもらえない」状況では勝負にならん、というのが私の個人的な意見。
105創る名無しに見る名無し:2009/01/11(日) 01:07:17 ID:aBlbIfe4
ずっと・・・ずっと待ってたんだから・・・///
106創る名無しに見る名無し:2009/01/16(金) 12:15:18 ID:0rsFseBi
ageてもいいんだろうか?
107証明不能作者:2009/01/18(日) 00:44:11 ID:f0D5XRcs
>>103
ご批判ありがとうございます。
うかつにもいつもの癖でトリップつけなかったため、自分だという証拠がないので、書き込むか躊躇したのですが、
自分で批判を求めておいて、あれだけ書いて頂いて、お礼も言わないというのは失礼だろうと思い、レスしました。
ご批判を読んでの感想はまず一言、「身に余る光栄」です。
特に、>「書いたらこうなった」的な流れ のくだりは、
「(分析的な読みをされていない場合には)上手いと思われるものを書くな」を一つの目標とする
(分析的な読みをされていない場合でも上手いと思われるということは、
 意図・工夫を見切られており、 さらに、作品そのものに読者を引き込み切れていないということだから)
私にとって、非常に嬉しいものでした。
しかしまさか、自分の執筆の癖までバレるとは予想出来なかった。
実際に私はセンスというか感覚的に話を組む人間で、
理屈的に考えるのは、チェックや、話を組むのに使う「部品」の作製等にあたってなのです。

前にも書いた通り、私は他スレでSSを書いているのですが、
そちらのほうは、褒めて頂いた内容の裏返しというか、
他の方の良くないところとしてらき☆蓋氏が指摘されている点がまんま当てはまってしまう代物で、
何かプレッシャーですが、頂いたご批判を胸に、「俺はやれば出来る子」と信じ、頑張りたいと思います。

最後に、実際にご批判を頂いた者として、らき☆蓋氏の批判は創作に際しての力を湧かせられるものだと感じています。
これからも、このスレに訪れる創作者のために頑張って下さい。
このスレで批判を求める人は、高い内容の批判のためには、ゆっくりじっくりで待てる人達だと思うから。

感想を頂いた方へ:読んで頂いてありがとうございました。
一言お礼を書き込こもうかとも思っていたのですが、私の性格からいって、余計なことまで書いてらき☆蓋氏の批判に変な影響を与えそうな気がしたので、らき☆蓋氏の批判が書き込まれる後まで待ちました。
108創る名無しに見る名無し:2009/01/25(日) 00:55:54 ID:aXb8j/Yt
ここまでの素晴らしいレスを拝見しました
ハルヒの創作なのですが、ここに上げても構わないでしょうか?
109らき☆蓋 ◆FUTAXpF4Lc :2009/01/25(日) 01:59:57 ID:Pouhblhv
>108
 ここまでログ読んでくださってて「じゃあ投稿してみよう」と判断されたならご遠慮なく。

 ところでこの板って投稿する前にいっぺん「投稿してもいいですか?」って聞くのがデフォになってるんでしょうか。
 個人的には>>1のテンプレ読んでなお、「誰かに許可取らないと……」と不安に思う気持ちがちょっとわからない。
 ええとこれは>108さんに「gdgd言ってねえで投稿しろよ!」って文句付けてるのではなくて、この板って他のスレ見ても、
なーんか投稿する人が許可を求めてるレスが多いなあという気がしてまして。不思議よね。

 繰り返しますけど>108さんを責めてるアレじゃないですからね!

 あ。あとフェアにやらないと不味いから先にお断りしておきますが、私は二次創作が一番の専門でして、
特にここ数年はハルヒと縁がありますもので、たぶんどうしても「書いた人」の読みにはなってしまいます。
完全に客観的な読みはできないだろうなあ、と思いますのでその点のみご承知置きいただければと。 
110らき☆蓋 ◆FUTAXpF4Lc :2009/01/25(日) 02:09:54 ID:Pouhblhv
 これだけだとなんなんで。

>105
 紅い蝶の「ずっと……。待ってた……」のAA探してみたんですけど見つかりませんでした。残念。

>106
 うーん。今、批評スレの方がいいペースで作品投稿されて回り始めてますから、あそこの邪魔になると
申し訳ないところもあります。正統派の批評スレは向こうとして、こっちは潜行しておくのもいいんじゃないかと。
 などと言いつつ、2chですから誰かが上げようと思えばいつでも上がるのが世の常。

>107
 ギャグ漫画描いて友達に見てもらって、一言も笑ってもらえなくて「ネタ選びが秀逸だよね」とか言われても、
そう。「いや、分析もいいけど、笑ってもらえないと……」ってのはすっごくありますよね。
 面白いと感じてもらうための仕掛けに凝ってみて、作品を書いて、感想が「面白かった!」なら勝ったも同然。
「仕掛けが凝ってたよね!」だと、あー。没頭してもらえるほどの出来ではなかったかー……。
 わかります。これが、創作者のSAGAか……。

 あとちょっと、これは思っただけなので聞き流してもらえればってレベルの話ですが、
センス主体で創作に挑む方は(私の周囲で見てると)比較的「書けない」期間もあったりはするようです。
スランプになった時、理詰めで戻ってこられないからなんかの具合でスイッチが入りなおすまではなかなか
書けない、って感じなんでしょうかね。
 もし証明不能の人がそういう傾向があるなら、そこはトレードオフだからあんまり気にしない方がいいですぜ、とだけ。

 あとトリップなくてもまあ、「書いてもらってみれば」偽物が出てきても一瞬で本人確認出来ると思った。
111 [―{}@{}@{}-] ◆LV2BMtMVK6 :2009/01/25(日) 02:12:21 ID:JQx63IrA
まあ文見れば判別一瞬だよな
112創る名無しに見る名無し:2009/01/25(日) 12:32:28 ID:aXb8j/Yt
ご指導、よろしくお願いします。

<<ここから>>

俺は今、驚愕していた。
ただただ思い出すことを拒んで、6年間かけて必死に忘れようとして、それでも決して忘れる事が出来なかった、その名前。
妙に心地よいその名前は、目の前にそびえ立つ看板にはっきりと書き記されている。
『涼宮家 式場』、と。

6年前に高校を卒業した俺は、一人単身で上京した。
地元で生きていけば良いのに――。そんな家族の的確な忠告に、耳を貸すことはなかった。
当時の俺は、この街から出たいというそれだけの衝動に駆られて生きていたのだ。

東京ではそれなりに充実した大学生活を送ったし、そこそこの企業に就職した。
年相応の異性との付き合いもしているし、はたから見ても不幸とはかけ離れた日々を送っている。
そんなある日、会社の重役の息子の結婚式という何気ない日常の断片のようなこの場で、俺は残酷な現実を突きつけられた。

地元行きの新幹線に乗ったその瞬間から、俺の胸は高揚していた。
それは地元を懐かしむ気持ちでもなければ、久々に家族に会える期待でもなかった。
ただ、俺を3年間振り回し続けたあの女に、その後6年もの間 片時も忘れる事のなかったあの女に、会えるかもしれないという一抹の期待が、胸を昂ぶらせる。
もう1回会って、あわよくば言葉なんかを交わして、またいつかみたいに愚痴を言い合いたい。
そんな淡い希望で満たされた僕の心が、今、凍り付いている。

俺は受付の女性に力のこもらないありきたりの挨拶をすると、会場の自分の席についた。
周りに知っている人など一人たりともいない。
俺はまわりの喧騒に身を委ねつつ、手元の案内に書かれた新婦の名前を見つめた。
113創る名無しに見る名無し:2009/01/25(日) 12:33:25 ID:aXb8j/Yt
3年間の高校生活は、涼宮ハルヒという存在に振り回されて流れていった。
ただ迷惑をかけるだけならともかく、この女の一番厄介なところは、俺の心の熱い部分をいつも掴んで離さない事だった。
「好き」という感情である事に気付くまで、俺にはちょうど3年掛かった。

卒業式のあの日、外は降りしきる雨の中、いつものように部室で下らない議論をしていたあの瞬間。
俺はふと、目頭が熱くなる自分に気付いた。
この当たり前の日々が今日で終わってしまう事に、この世が終わるような絶望を感じた。
言葉で説明できない電流のようなものが体を走り、理性が入る隙もないくらい熱情的になって、
ふと我に返ったとき、目の前のハルヒは俺に押し倒されていた。
ゆっくりと手をほどくと、彼女は驚きと怯えが交じり合った顔をした。
まるで自分で見えているものが信じられないような、そんな表情だった。
やがてハルヒの目からは一滴の涙が滴り落ち、それが手に零れ落ちて初めて彼女は自分の涙の存在を認識し、俺をちらりと睨みつけると、部室を飛び出した。

その後は、雨音が延々と頭に響いていた事だけを覚えている。

あの時の自分を思い返すと、情けなさと悔しさと懐かしさとやりきれなさで胸が苦しくなる。
4年前のあの日以来、6年もの間1日も、彼女の涙にゆがむその表情を忘れる日はなかった。

ようやく式が始まった。
美形の新郎と手を繋ぎ 満面の笑みで幸せをあふれんばかりに輝かせるドレス姿の新婦は、厚化粧こそしていたが、まぎれもなく3年間俺を振り回し続けた、忘れもしないあの女だった。
もし6年前のあの日、俺が至って普通のぎこちない告白をしていたら、今頃は 僕がハルヒの手を握ってバージンロードを歩いていたのだろうか。
そんな下らない事を考えては、そんな自分を嘲け笑って、それがたまらなく悔しくて、壇上の寄り添う2人などとても直視できなかった。

しばらくすると、新郎新婦が各テーブルを回り、挨拶を始めた。
ハルヒは俺の事を覚えているだろうか
俺を見た瞬間、どんな顔をするだろうか
まさかこんなところで会えるとは思わず、すごく驚くんだろうな
もしかしたらあいつの事だから、「やっぱりキョンと結婚するわ!」とか言い出すかもしれない
そうしたら、のんびりと2時間ほど諭して、考えを戻すように説得してやろう
いやいっそ、2人で式場を抜け出そう
2人で手を取り合いながらウェディングドレス姿で街中を疾走して、通行人を驚かせてやろう
そして、二人だけで、誰にも邪魔される事なく、のんびりと愛を育もう
一生一緒にいようね なんて照れずに言い合えるその日まで、2人っきりで恋を育てようね

平常心を保てと心に言い聞かせつつ、それでも心臓は爆発しそうなくらい狂い踊っていた。
ようやくこのテーブルの番となった。
光り輝くその笑顔が、すぐ目の前にある。

「本日はお越しいただき、ありがとうございます」

二人はテーブルの客をぐるりと一瞥すると、息の合った社交辞令を述べる。
そして二人は再び手を取り合い、見つめ合いながら照れくさそうに隣のテーブルに向かった。

式が終わり、俺は一人、式場のトイレの前にいた。
新幹線の時間に余裕があるので、ちょっとだけ時間を潰している。
誰に聞かれる訳でもないのに、そんな言い訳を勝手に作っていた。
今日結婚する新婦に何を期待していると言うんだ
そう考えると、自分自身が情けなくなる。
それでも、これでこの式場を後にする訳には行かなかった。
あのおかしな自己紹介をした時の大真面目な顔を、みくるを連れて来た時の得意気な顔を、イタズラをしたときの無邪気な顔を、思い通りに行かなかった時の不機嫌な顔を、そっと心配そうに上目遣いで覗き込んできたあの顔を、卒業式の苦痛に歪めたあの顔を、
僕は忘れる事が出来なかった。
114創る名無しに見る名無し:2009/01/25(日) 12:34:05 ID:aXb8j/Yt
「キョン・・・? キョンなの?」
うつむいた俺の顔を、輝いた二つの瞳が覗き込んだ。
「キョン・・・・・・来てくれたのね。
 ぁ・・・ありが、とう」
ぎこちなさそうに言い慣れない言葉を言うと、彼女は満面の笑みで微笑んだ。
しかし次第にその顔は歪み、しわくちゃになっていく。
「べ、別に・・・あの日の事とか、気にしなくて・・・良い、から
ゎ、わたしだってアンタのことなんか、なんとも、思って、なかったん・・・だから
ほら、変に気にされるとこっちが気持ち悪いじゃない?」
涙混じりに、無理矢理繋いでいくような、そんな声。
「なんで何も言ってくれないのょ。キョン? ねぇ、なんか言ってよ!
私だって、ほんとは、ほんとうは、ずっとずっとキョンと――!」
その刹那、俺はハルヒに小さな唇を重ねた。
自分でも何をやっているのか分からないような、そんな感覚。
「結婚、おめでとう」
自然と出た言葉だった。
「ぁ・・・アンタだって、さっさと良い女見付けて結婚しなさいよねっ!」
顔を真っ赤にしたハルヒはそう言い放つと、顔を覆うようにして駆けていった。

会場の外に出ると、雲間から少しだけ太陽が姿を覗かせていた。
新幹線の時間はもうすぐだった。
東京に着いたら、溜まっている仕事を片付けよう。
俺はそう自分に囁くと、丘の上の小さな結婚式場を後にした。

<<ここまで>>

長文、失礼致しました。
115らき☆蓋 ◆FUTAXpF4Lc :2009/01/25(日) 14:34:06 ID:Pouhblhv
>112
 拝見しました。
 最初にちょっとコンセンサスの話というか、二次創作とはなんぞやということで。
 基本的に二次創作というのは既存の作品世界・キャラクターを拝借して物語を組み立てる行為です。
よって、背景世界やキャラクターの同一性が保持されてある、ということは大前提となります。
ここが保持されていないならば、「じゃあオリジナルでやればいいじゃない?」という話になりますれば。
 なお、この場合の特例は「崩し系」と呼ばれる作品群ですが、今回拝見した限りでは
敢えて「崩し系」を狙っているようには見受けられませんでしたのでこの際は特例は無視。
 さて。するってぇとまず、二次創作の最大のユニークは「二次創作であること」ですので、
ハルヒの世界・キャラクターを借用しての作品として成り立っているかどうかは大事なポイントであります。
 で。背景世界の方を見ると、本作ではハルヒ世界の設定のうち、ハルヒの異能がスルーされていることに
気づきます。任意による情報操作、閉鎖空間の作成、といった要素にコミットせずに、書かれてある。
 ハルヒ系は未完のシリーズでありまして、涼宮ハルヒの能力とは実際何なのか、
またそれが種明かしされるのか、というのは今後の谷川に凄まじいプレッシャーとして圧し掛かっている
ところでありまして、現時点では誰しも憶測でしか語れないところではあります。
 しかしこの部分、「世界の根幹を揺さぶる涼宮ハルヒという存在」というものが、涼宮ハルヒシリーズの
作品世界設定におけるユニークであるのは間違いのないところでしょう。そこにタッチせずに、
多少エキセントリックな女性、というキャラ立てで追い込んでしまっている点はユニークであります。
 次にキャラクター描写。これも勿論世界設定素描の一種なのですが、ウェイトが大きいので別建てで見ます。
 するとこちらも、谷川が原作で用いている「個々の特異であったり破綻しているパーソナリティが、『SOS団』という
括りで活動することによってまだしも社会化されている」というメソッドがスルーされていることに気づきます。
 情緒的・文学的な物言いで言いますと「絆」であるとか「人間同士のつながり」ということになりますが、
原作において谷川は上手いこと「人間関係が構成されざるを得ない」状況設定を筆致によって書き記し
「SOS団」というフィールドを機能させているわけですが、立ち上げられたフィールドで登場人物は相応の年数、
本作においては未来の話になっていますので最低でも高校三年間まるまる、「人間関係」の中で
活動していたわけで、たとえば原作の雪山エピソードにおける古泉などのように、「SOS団」の内部においては
異常に特異な複数の体験を積み重ねていった集団内部の連帯感、「絆」エピソードが発生するのが自然である。
少なくともその余地はある、ということは言えると考えられます。
 本作においてはこの種の「絆」的要素がすっぱり切り捨てられており、この点もハルヒ系創作としてはユニークであります。
116らき☆蓋 ◆FUTAXpF4Lc :2009/01/25(日) 14:34:35 ID:Pouhblhv
 さて、私も自分が二次創作作品を書いていての経験からの発言になりますが、二次創作作家にとって一番厳しい
突っ込みは、「これこの作品でやる必要あるの?」「キャラ使いたいだけじゃないの?」「つーか原作関係なくね?」
系の発言であります。
 この視点から見たとき、原作のユニークを敢えて外して物語を組み立てた時は、相応なる理由づけ、読んだ人間が
納得できるある種の「言い訳」を用意しておかないと戦えません。
 本作に関して、さらっと一読した限りで思いつく「原作との関連での突っ込まれポイント」としましては、上述の
原作ユニーク要素、世界編。
「ハルヒって自分の都合で世界を改変できるのになんで他の人と結婚してるの?」
「これ、閉鎖空間が大発生するんじゃないの?」
「つーか卒業式の事件の時点で問題起きて時間止まるんじゃね? ここまではどうやって進行したの?」
 等々。或いはキャラクター編。
「SOS団3年間活動して、二人の間柄はこんなもんで終わる程度だったの?」
「ハルヒの結婚という事態が確定して終了するまで、キョンもハルヒも6年間全く連絡を取らないタイプのキャラか?」
「長門朝比奈古泉の誰一人としてこの間何も手を打たずに傍観していたのは何故か?」
 等々があります。

 いまこれ読んで「無茶苦茶叩かれてる!」と感じられてるかもしれませんが、身も蓋もないことを言いますと、
ここは、たぶん、叩かれます。無論私の経験則でのお話なので世の中にはもっとまったりした空間もあると思うのですが、
私が参加していたようなコミュニティでは、二次創作というのはオリジナルに比べて、キャラクターを立てたり、
世界観を説明したりする苦労がなく、出来合いの、誰かが心血注いだ、イメージもヴィジュアルも読者の頭の中にある
キャラクターを「借りて」自分の好きな物語を組み立てることができる、という点で非常に恵まれておるわけです。
 恵まれた立場である上に、しかも原作のキャラクターを「自分の書きたい物語用に都合よく」改変して駒のように
私用している、と思われてしまうと、これは、非常に印象が悪くあります。
 端的に言って鉄棒で頭をぶっ叩かれます。ハルノートです。しかも周りは誰も同情してくれません。

 若いころの想い出と、失恋の話。哀しいけれども綺麗な話。これは成立しています。
 しかし、「二次創作」「涼宮ハルヒの憂鬱」という視点で見ると、これは、成立しているかどうか。非常に難しい。
少なくとも原作のユニークに関しては、どう解釈して処理しているのか、そこのところを作者の料理法として
見せておかないと、「これハルヒでやる必要無くね?」という根源的な問いからは逃れられないかと考えます。

 再度申し上げますが「或る男女の物語」としては語られていますし、「ハルヒのキャラクターを使ったパロディ」
としても、とりあえずキャラクターの口調は押さえてあるわけで、成立していると考えます。
 作者本人が「ハルヒの創作」と位置づけておられましたので、涼宮ハルヒの憂鬱シリーズを原作とした
二次創作である、と規定して批判を試みました。正直、相当にハードルの高い話になっていたかと思います。

 以上です。同志がいていて嬉しいのですが。まるっきり昔痛い目に遭った経験者の自分語りですいませんでした。
117創る名無しに見る名無し:2009/01/25(日) 17:20:08 ID:aXb8j/Yt
二次創作など書いたこともなければ ろくに読んだこともないもので、
大変勉強になりました
本当にありがとうございました
118創る名無しに見る名無し:2009/01/25(日) 17:20:46 ID:aXb8j/Yt
ありきたりの感謝になってしまったので、もう一言付け加えさせていただきます

あなたは、すごい人です。
119創る名無しに見る名無し:2009/01/25(日) 17:35:59 ID:iB9KTT5v
やっぱり二次創作は難しいよなー
原作好きじゃないとやってられないと思う
120創る名無しに見る名無し:2009/01/25(日) 17:41:43 ID:tSzZ42Z5
キチンと理解した上でやんないとダメだからね。
そりゃ難しいと思うよ。

シェアードワールドなんかでもそうだね。
121らき☆蓋 ◆FUTAXpF4Lc :2009/01/26(月) 23:47:24 ID:FnuXtDf4
 二次創作の話はどうしても肩に力が入っちゃいますね。今回はお役に立ったようでよかったですが。
自分が関わってる話題に客観性を保持するのはなかなか。

>117
 これは私的な感想になりますが、二次創作にあんまり触れたことがなくて、敢えてハルヒの二次創作を書いてみた、
という心の動きには興味津々です。
 そのへんの、執筆動機を上手いこと作品に絡めていけると、より踏み込んでいけるのではないかという気もしまする。
 二次創作は修羅の道なので踏み込むことが良いことか悪いことはちょっとアレなんですが。たぁーのしーぃよぉー(ウソ)。

 私が変に拘ってるような「重い」二次創作ではなく、もう少しライトな間口としてはVIPとかで流行の
台詞だけで進行していく系小説群もあります。
 この系統はかつては「スパロボ小説www」などと揶揄されていたもんでしたが……。良作がザクザク出てきて
もはや笑えなくなってしまった……。 
 まあ、百聞は一見にしかずで、もし興味があるのならお暇な時にちょっと見てみると良いかもしれません。
ご自分のハルヒ小説と比較検討してみるのも面白いでしょうし。
 個人的に「ぷん太のニュース」でvipの小説系スレをジャンル別に保存してくれている中にハルヒもありますので、
あそこなんかを見て来るとちょうどいいんじゃないかなとお勧め申し上げます。

 
122創る名無しに見る名無し:2009/01/27(火) 00:28:56 ID:s1LknThl
耳が痛いなあ
123創る名無しに見る名無し:2009/01/27(火) 07:30:24 ID:I/Vxhv4G
本末転倒になるけど、
>つーか原作関係なくね?
を突っ走った挙句に、あとで固有名詞を変えて、そんで、設定説明の文章を間にチョコチョコ挟めば完全なオリジナルだよね。
創作のとっかかりってそれでもいいんだよね。
124創る名無しに見る名無し:2009/01/27(火) 09:19:06 ID:Gh295bwl
VIPのハルヒ系まとめに関して、ハルヒだったら

ハルヒSSまとめサイト+α
ttp://vipss.main.jp/

ここを見た方が良い
本当ならスレの全てを追って読んだ方が良いんだけど、それだと時間がかかる
上のは基本的に投下者のレスだけがまとめられてるから、サックリ読みたい時に便利


>>らき☆蓋さん
アフィやってる個人サイトを勧めるのはいただけない
今後はコピペブログには触れない事を推奨する
125らき☆蓋 ◆FUTAXpF4Lc :2009/01/27(火) 21:36:54 ID:5oWaw8i/
>123
 いやいやいやいや然り然りしかり然り。
 本末転倒じゃないと思うですよ。私もオリジナルはそうやって書き始めましたし、創作という意味では
文章じゃないけど絵とか漫画の人とかはもっとそういう傾向が強いですよな。
 好きな創作物を見て「こういうの創りたいなー」と思って「まず」模倣から入る、ってのは、まさにオリジナル創作の
入口の王道だと思うですよ。ずっと模倣のターン! だとアレですが。

 しかしまあ、邪道・崩し系を突っ走ってる間は世間様の「それは正統派じゃないよね」という指摘は
甘んじて受けないとならんわい、と。ここのところで「俺の方が作者よりこのキャラを生かせてる!」とか
勘違いが始まると痛いですよな。
 個人的には、オリジナル書ける人は二次創作「だけ」に限定してないで、原作からかけ離れたキャラで
自分の好きに筆を走らせるよりは、自分のキャラで自分の物語を紡いだ方がいいとは思うんですけどね。
 何故ってゼロからのオリジナル創作の経験は必ずや二次創作にもフィードバックされるから。

 あと二次創作からオリジナルに入った人の全滅フラグはキャラクター描写経験の不足。
 具体的にはアイコンやAAや原作によるキャライメージのないところで、台詞だけで読者の脳内に
キャラクターを表現するには限界があるわけで、ここが地の文というか描写の壁に突き当たった人たちの203高地。

 ……いかん最近二次創作論垂れ流しスレになってる。本家二次創作スレの人たちに怒られる前に撤収!
126らき☆蓋 ◆FUTAXpF4Lc :2009/01/27(火) 22:11:27 ID:5oWaw8i/
>117さんへちょっと補足
 >124さんが紹介してくれてるサイトは網羅的にスレッドが保存されてるアーカイブですので、
収録作品数、作風の幅という意味では圧倒的にこちらの方が上です。もし本格的にハルヒ創作の方向を
検討してみようと思っているなら、お時間ある時に是非偵察に行ってみてください。
 ただ、「サックリ読みたい時に便利」という>124さんのコメントも出てますように、ユニークは大量の作品を
サクサク読んでいけることですから、ちょっと読んで「これは面白くないかなー」「俺には合わないかなー」
という感じがしたら無理に通読しないで次へ次へ行ってしまう方が宜しいでしょう。

 アーカイブですからね。資料庫としての価値が高いということは、もう、手が届く限り収集してるという感じで。
中には毒もあるわけで。エログロの中には無理に読まない方がいいのもあります。(大体はタイトルでわかるだろうけれど)

 私の紹介した方のサイトのことも補足しようかと思ったけれどまあ、そんなことより野球しようぜという流れなのでこれにて!
127証明不能作者:2009/02/01(日) 02:22:51 ID:WjJxxfRc
>>110
>あとちょっと、これは思っただけなので聞き流してもらえればってレベルの話ですが、
>センス主体で創作に挑む方は(私の周囲で見てると)比較的「書けない」期間もあったりはするようです。
>スランプになった時、理詰めで戻ってこられないからなんかの具合でスイッチが入りなおすまではなかなか
>書けない、って感じなんでしょうかね。
>もし証明不能の人がそういう傾向があるなら、そこはトレードオフだからあんまり気にしない方がいいですぜ、とだけ。
ここまで当てられると空恐ろしくなってくるな…… 実際、私は書けないときは全く書けません。
ただ私の場合、 「何か書きたい」→「考える」→「書く」 という流れで書くのではなく、
        「ふと何か思いつく」→「コレ俺以外の人にも見せたいなあ」→「書く(描く)」 という流れなので、
あまりそのことでの悩みはありません。長いものを書いてて思いつかない部分で悩むことはありますが。
サイト・サークル・同人・投稿等の活動を一切やっていないので、
どうしても書かなくてはならないという状況に追い込まれることもありませんし。
だからこの板みたいな場で名無しとして描くのがあっているのです。
 プロは要求があれば常にやらなければならないですが、
アマは良いものができると思ったときだけやるで許される
(常に合格点が要求されるプロの苦しさについては星新一氏も書いてましたね)。
その特権を享受しているという奴です。孫子も推奨してるやり方ですし
(「敵を知り己を知れば百戦危うからず」は本来こういう意味。
 彼我についての正確な情報があれば、避けた方がいい戦争を見分けて避けることができると言っている
 「彼我の情報があれば100%勝てる」という俗な解釈は誤り)。

 ただ、そのようなプロの厳しさを理解したうえで言うのですが、
「常に合格点を出す」人間の創作物(文章・芸術に限らず)だけで、
「落第点ばかりだが、時にそのような評価基準では測れないほど優れたものを生み出す」人間の、
偶然のような優れた創作物が世に出ないとしたら、それは極めて世の中を貧困にすることだ、と思います。
その辺りに、この板のような場の存在意義の一つがあるような気がします。
現在のように、不況ゆえに守りに入る傾向がある状況下では特に。

何か変なことつらつら書いてすみません。私の創作の癖をぴたりと読まれてあまりに驚いたもので。
それでは。
128 ◆LNPZY.1xLA :2009/02/02(月) 00:18:02 ID:kklgPZDe
お願いします。
ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1222782546/766-767
↑これであってるかな…【お題で創作】月間創作発表グランプリ作品投稿スレの、
>>766-767です。
長文を貼り付けられない環境なもので、URLで失礼。
129創る名無しに見る名無し:2009/02/03(火) 22:37:52 ID:PODlZWE8
なんか、ふんわりとした文章ですね
130創る名無しに見る名無し:2009/02/10(火) 01:40:46 ID:kIDNFo/Q
批判お願いします
自サイトで連載してるシリーズ作品で、プロローグ+2話まで公開しています
プロローグのみの批判でも凄くありがたいです

ttp://tsudurare.web.fc2.com/html/novel/original/yasashisa/yasashisa_index.html
131創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 00:47:55 ID:UYVulffw
少女が徒歩で旅をするなんて厳しくね? と思ったら空を自由に飛べるのかよ!
仲間もいるし特殊能力も持っているし主人公達は恵まれすぎ
人々から忌み嫌われ恐れられているといってもその能力を使って歩み寄る努力ができるのではないか?
主人公の能力は土木作業にうってつけだし。自分からは何もせずに優しさが欲しいというのはエゴなのでは?
路銀の心配もなく観光気分で旅をする主人公達に共感できないなあ
優しさを見つけるカタルシスを得るために主人公のひどい境遇を語るべき、もしくはひどい目に遭わせるべき
文章は読みやすいですマル
132創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 02:14:05 ID:yBRGVGY2
>>131
レスありがとうございます

主人公達の過去エピソードなどは、完成次第公開予定です
指摘されている周囲への対応などに関して、確かに考慮するべき点が多々ありますね……
能力の説明などに関しても説明不足が目立つようなので、そのあたりにも気をつけたいと思います
ありがとうございました
133 ◆fDz63mSTEE :2009/02/12(木) 20:22:23 ID:j43YZdqd
六レス頂戴いたします
四ヶ月程前にエロパロ板に投下した処女作を書き直してみました
よつばと!の二次創作ですが未読の人でも楽しめるように書いたつもりです
厳しい批評批判よろしくお願いします
134よつばと結婚紹介所 1/5:2009/02/12(木) 20:25:26 ID:j43YZdqd

 日曜日の昼下がり。
 窓から差し込むうららかな秋の陽射しを浴びながら、男はあくびを噛み殺した。
 テレビをつけっぱなしにしたまま、クッションを枕にして床に寝転がっている長身痩躯の優男。年齢は二十代
後半。ボサボサの髪が肩まで伸びていて一見綺麗な浮浪者風だ。端正なマスクは女性にモテそうだが、今は覇気
の無いだらけた表情がそれを台無しにしている。秋もそろそろ終わりに近いというのに、家の中とはいえ未だに
Tシャツとパンツ一丁のだらしない格好だ。
 男の苗字は小岩井。名前はまだない。いつになったら判明するのかは、原作者のみぞ知る。
 職業は翻訳家で自宅で仕事をしている。自宅といっても借家で、この夏に引っ越して来たばかりだ。
 小岩井は昼飯を片付けた後、すぐに仕事を再開するのが億劫になって、リビングでまどろんでいた。
「とーちゃん! みろ! みろ!」
 かん高い元気一杯な声が聞こえて、小岩井は夢うつつの状態から引き戻された。目の前で小さな子供が興奮し
た様子でテレビを指差している。
 子供の名前はよつば。
 若草色の髪と四つのおさげが人目を引く、今年で五歳になる可愛い一人娘だ。娘といっても、髪の色が示すと
おり日本人ではないし、小岩井とも血は繋がっていない。数年前に小岩井が世界中を放浪していた時に拾って、
成り行きで育てる事になったのだ。法律的に大丈夫なのか? と心配される方もいるかもしれないが、面白けれ
ば何でもありなのである。――たぶん。
 小岩井が眠い目を擦りながら起き上がってテレビを見ると、画面には芸能人の結婚披露宴が映されていた。
 芸能界に疎い小岩井にはそのカップルが誰なのか分からなかったが、よつばの興味はそこではないらしい。
「でっけー! ケーキのおしろだ!」
 よつばは画面一杯に映し出された、天井まで届きそうな巨大なウエディングケーキに夢中になっている。
「とーちゃん、よつばもアレたべたい!」
「よつば、あれはウエディングケーキといって結婚式でしか食べられないんだ」
「よつばひとりでぜんぶたべきれるかなー」
 よつばは口の端からよだれを垂らしながら画面にかじりついている。
「……聞いちゃいねぇ。しかも一人で全部喰う気かよ」
 小岩井の呟きを聞き流して、よつばは高らかに宣言する。
「よつばもけっこんしきする!」
「誰とするんだ?」
 興味本位でよつばに聞いてみた。
「とーちゃんと!」
 娘を持つ父親なら一度は言われてみたいセリフを聞けて、小岩井は感無量になった。よつばが大きくなったら
しよう、と言いたいところをグッと我慢する。まだ小さな子供だがここは涙を飲んで真実を教えてやらねばなる
まい、と小岩井は非情な選択をした。
「よつば、気持ちは嬉しいけど……、とーちゃんとよつばは親子だから結婚は無理だ」
「そーかー。じゃあいーや」
「えっ! いいの?」
 随分とあっさり答えるよつばに小岩井のプライドはズタズタだ。よつばはそんな親の気持ちも知らずに新たな
質問をしてくる。
「とーちゃんのけっこんしきのよていは?」
「残念ながらありません。そもそも結婚相手がいないからできないぞ。アッハッハッ……はぁ」
 自分で言っておきながら惨めな気分になって落ち込む小岩井だった。
 現在、恋人募集中。昔は彼女もいたのだが、放浪癖のせいで愛想をつかされてしまった。そしてよつばを拾っ
てからは仕事と子育てに手一杯で、新しく彼女を作る暇も無く今に至っている。まだまだ若いつもりでいるが、
そろそろ三十路が見えてきた。焦ってはいないが、よつばのためにも母親は必要なんじゃないかと思ってみたり
もする今日この頃だ。しかし自宅で仕事をしている現状では女性と知り合う機会はそうそう無かった。
「そーかー。ざんねんなー」
 小岩井と一緒になってションボリするよつばだが、何かを思いついたのかニッコリ笑顔になった。
「よつばがとーちゃんのけっこんあいてをみつけてやる!」
 そう言うと、よつばは元気良く部屋から飛び出した。小岩井は慌てて小さな背中に呼びかける。
「おい! どこに行くんだ?」
「おとなりー!」
 玄関のドアが勢い良く閉まる音が聞こえた。そしてテレビの音だけがむなしく響き渡る。
 迷惑をかけなきゃいいのだが、と心に少し不安がよぎるが今更気にしても仕方がない。
 小岩井はテレビを消すと、立ち上がって大きく伸びをした。
「……まぁ、いいか。仕事しよ」
 そう呟いて、頭をポリポリ掻きながら二階の仕事部屋に向かうのであった。
135よつばと結婚紹介所 2/5:2009/02/12(木) 20:27:02 ID:j43YZdqd
 家の外に飛び出たよつばはいつもどおり、ほぼ毎日のように通っているお隣の綾瀬家に向かった。
 この辺りは閑静な住宅街で、家の前の道路では滅多に車を見かけない。
 しかし今日は綾瀬家の門の前のスペースに見知った車が止まっているのを発見して、よつばのテンションは急
上昇した。とーちゃんのけっこんあいてがふえた、とニンマリ笑う。よつばは車内を覗き込んで持ち主の女性が
いない事を確認すると、車の脇を通り抜けてチャイムを鳴らさずに門をくぐった。
 道路側から見て小岩井家の右隣の綾瀬家はかなり立派な邸宅である。どれくらいかと言うと、小岩井の友人に
ジャンボというあだ名の、身長二メートルを越す巨漢がいるのだが、彼が頭を下げる事無く余裕で出入りできる
両開きの玄関のドアを備え付けていると言えばお分かりになるだろうか。
 よつばはその大きなドアを勝手に開けて入っていく。
 もうすでにここは我が家も同然だった。
 まず手始めに一階のリビングを覗いた。――誰もいない。
 隣のキッチン兼ダイニングから物音が聞こえたのでそちらを覗くと、よつばのお目当ての人物がいた。
 嬉しくなって駆け寄る。
「かーちゃん!」
「あら、いらっしゃい。よつばちゃん」
 流し台で食器を洗っていたベリーショートの茶髪の女性が、よつばの声に振り返って答えた。この家の主婦の
綾瀬母である。名前が不明なのでこう呼ばせてもらおう。
 年齢は四十を過ぎているが若々しく整った顔立ちは、三十代と言っても十分通用しそうだ。
 よつばはかーちゃんと呼んでいるが、もちろんよつばの母親ではない。よつばもそれは理解しているが、いつ
も温かく迎えてくれて、おやつも出してくれる(これが重要なのだ)彼女を実の母のように慕っていた。だから
一番に声をかけようと心の中で決めていたのだ。
「かーちゃん! とーちゃんとけっこんしてくれ!」
「えっ? とーちゃんってよつばちゃんのお父さんの事?」
 ウンと頷くよつばに綾瀬母は鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をしている。背後からゴホゴホという音が聞こえ
たのでよつばが振り返ると、テーブルに向かって座っていた中年男性がコーヒーをこぼして咳き込んでいた。
「おっちゃん、いたのかー」
 おっちゃんと呼ばれた男性はこの家の大黒柱の綾瀬父である。優しげな雰囲気を漂わせるナイスミドルだが、
よつばが遊びに来る時間帯には滅多に家にいないため、よつば脳内ランキング綾瀬家部門最下位の人物だった。
 実際穏やかで口数も少ないため、女性陣の発言力が強い綾瀬家では最も影が薄い存在である。
 綾瀬母は布巾でテーブルを拭きながら、からかうような口調で夫に話しかけた。
「ウフフ、プロポーズされちゃった。どうしましょ」
「どうするって、おまえ……」
 綾瀬父は困惑した表情でお茶目な妻を見つめる。
 綾瀬母は夫の困った顔を十分に楽しんでから、よつばに返答した。
「残念だけどもうこの人と結婚しちゃってるのよねー。あと十年早かったらなー」
「計算が合わないだろう」
 苦笑いしながら綾瀬父がツッコミを入れた。
「かーちゃんはけっこんしてたのかー。しらなかった」
 一般常識に欠けていると思われるかもしれないが、よつばはまだ五歳なのである。突飛な発想の持ち主だが、
同年代の子と比べるとかなり聡明なお子様だろう。
 残念そうな顔をするよつばを綾瀬母がフォローする。
「安心して、よつばちゃん。我が家には私に似た美人の娘が三人もいるから好きなのを持っていきなさい。今日
はみんな家にいるわよ」
「ウチの娘達はモノじゃないんだから……」
 綾瀬父が妻の乱暴な提案に難色を示していると、ロングヘアの子供が顔を覗かせた。噂の娘の一人だ。
「よつばちゃん、来てたんだ」
「えな!」
 よつばがそう呼んだあどけない顔の可憐な美少女は、綾瀬家三女の恵那である。
 小学生の彼女は三姉妹の中で一番歳が近い事もあって、よつばとはよく一緒に遊んでいる仲だ。
「私の部屋でおままごとしようか?」
 恵那が笑いかけながら遊びに誘う。
「いまはそれどころじゃないの!」
 よつばの剣幕に恵那のクリッとした可愛らしい大きな目が更に大きく見開かれた。よつばはそんな少女を頭
の天辺からつま先まで嘗め回すように見た後、頭の中で父親と恵那の並んでいる姿を思い浮かべた。 
「えなはまだちっちゃいからだめだな。つぎいってみよう!」
 よつばはそう言ってキッチンを後にして階段を駆け上がっていく。
「よつばちゃんの方が小さいのに……」
 訳が分からない恵那は不満顔で両親に愚痴をこぼした。
 綾瀬夫妻は苦笑して顔を見合わせるのであった。
136よつばと結婚紹介所 3/5:2009/02/12(木) 20:28:09 ID:j43YZdqd
 二階に上がったよつばは、次なる標的のいる部屋のドアを勢いよく開けた。
「たのもー!」
 部屋の中には美女二人。
 一人掛けソファーに腰掛けている髪の長い方が、綾瀬家長女のあさぎである。モデルのような容姿と、金色に
染めた腰まであるストレートの髪が自慢の美人女子大生だ。
 そして床に座ってベッドに寄りかかっている髪の短い方が、大学の友人の虎子である。ショートの黒髪でスレ
ンダーな彼女は中性的な魅力を醸し出している。名前は虎子だが、どちらかと言うと豹を連想させる雰囲気の持
ち主だ。ちなみに表の車の持ち主でもある。
 この二人はよつば脳内ランキング綺麗なお姉さん、格好良いお姉さん部門の各一位で、よつばのお気に入りの
お姉さん達だった。
「よつばちゃん、今日も元気だねー」
 あさぎは友人との話を中断して、近寄ってきたよつばに笑顔を向けた。虎子はポーカーフェイスのままだ。
「あさぎ! とーちゃんとけっこんしないか?」
「へっ?」
 よつばの唐突な申し出にあさぎは素っ頓狂な声をあげるが、すぐにいつもの冷静さを取り戻した。
「いきなりだなぁ。小岩井さんに頼まれたの?」
「よつばがおもいついたの! とーちゃんがかわいそうだから!」
 よつばの当初の目的はウエディングケーキを食べる事だったが、今は父の結婚相手を探す事に置き換わってい
た。それにしても五歳の娘に同情される父親というのもどうだろう、とあさぎは虎子に向かって苦笑した。
「だそうよ、虎子。アンタどう?」
「なぜ私に振ってくる?」
「んー、虎子と小岩井さんってなんとなく見た目が似てるからねー」
「なんだ、その理由……」
 そう呟いて虎子は親友を睨み返した。男性に似ていると言われて気分を害したようだ。
 よつばはあさぎの意見に賛同してウンウンと頷いた。
「にてるにてる! とらもとーちゃんもかっこいいからなー。どうだ? とら!」
 褒められた気がしない虎子は憮然とした表情でお断りする。
「遠慮しておこう」
「えんりょかー。とらはニッポンじんだなー」
 よつばの感想がツボに入ったらしく、あさぎは笑い出した。
「アハハ、そうだねー。そう言うよつばちゃんはナニ人なのかな?」
「よつばはチキュウじんだ!」
 よつばは腰に手を当てて胸を張る。あさぎは笑いながら緑色の髪を突っついた。
「本当にー? 髪の色が宇宙人っぽいぞー?」
「それはいっちゃダメー!」
 あさぎの言葉によつばは癇癪を起こした。よつばの髪の色は触れてはいけない話題らしい。申し訳なさそうに
両手を合わせて謝るあさぎ。そんな二人のやりとりを見ていた虎子が素朴な疑問を口に出した。
「よつばのお母さんはいないのか?」
「よつばのかーちゃん? いないぞ!」
 よつばは屈託の無い笑顔でそう答えた。あさぎがソファーから立ち上がって小声で虎子に耳打ちする。
「聞いた話によるとよつばちゃん、拾われっ子なんだって」
 真実を知らされて、虎子は自分の迂闊な質問を後悔した。異国の地で母親も知らずに明るく振舞っている健気
な幼い少女だと考えると胸が苦しくなった。
 虎子はよつばを手招きして優しく頭を撫でる。あさぎも便乗して一緒に撫でた。そんな二人をよつばは不思議
そうに見ていたが、あさぎの返事をまだ聞いていない事に気付いた。
「あさぎ、けっこんは?」
「うーん、今日はそういう気分じゃないのよねー。残念だけどまた今度にして」
 あさぎは訳の分からない理由をつけて、よつばの求婚を煙に巻く。
「そーかー。それじゃあしょうがないかー」
 それでもよつばは納得したようだ。話を聞いていた虎子がそんな理由でいいのか、と目を見張った。
「とーちゃん、にんきないなー……」
 悲しそうに呟くよつばを見て、あさぎが助け舟を出す。
「私達よりもっとお似合いの子がいるじゃない。あの子ならきっと大丈夫よ。まだ聞いてないんでしょ?」
 あさぎの提案によつばは目を輝かせて頷く。
「いまからいってくる!」
 よつばは元気を取り戻して、勢い良く部屋から飛び出していった。虎子は呆れた顔であさぎを見ている。
「実の妹に面倒を押し付けるなんて鬼だな」
「あら? 私はあの二人、お似合いだと思うんだけどね。面白くなりそうだから様子を見に行きましょうか?」
 あさぎは悪びれた様子も無く、心から楽しんでいる顔をしている。虎子はヤレヤレといった表情で親友を見つ
めるのであった。
137よつばと結婚紹介所 4/5:2009/02/12(木) 21:07:15 ID:j43YZdqd
 あさぎご推薦の少女は、日曜日だというのに自分の部屋でゴロゴロしていた。
 正確に言うと、床に仰向けに寝転がって雑誌を読みながら、両足を浮かせていた。見た目は標準体型だが、本
人は少し太り気味なのを気にしてダイエット運動をしているところなのだ。
 綾瀬家次女で現在高校二年の彼女は、ショートボブの黒髪で、今時珍しく眉毛が太い健康的な美少女である。
 姉の部屋が騒がしいな、と考えていた少女は、バタバタと部屋に近づいてくる足音に気付いてドアの方に目を
向けた。――奴が来る。案の定勢い良くドアが開いて、お隣の可愛い小さな大怪獣よつばが姿を現した。
「ふーか! とーちゃんとけっこんしてやって! もうふーかしかいないんだ!」
 風香はよつばの発言に驚いて、慌てて飛び起きた。
「けっ、結婚? 小岩井さんと? 駄目駄目! 私まだ高校生だし!」
 そう言って手に持っていた雑誌をブンブンと振って拒否する。
「こうこうせいはけっこんできないのか?」
「十六歳だから、出来ない事もないけど……。そんな事よりもよつばちゃん。いきなり結婚じゃなくて、最初は
恋人からでしょ。もっとこう、手順を踏んでからじゃないと」
「じゃあ、とーちゃんとこいびとになれ!」
 あきらめてなるものか、とよつばは必死に食い下がる。風香はよつばの無茶な要求に赤面した。
 小岩井とは一緒に海や山やプールに遊びに行ったり、高校の文化祭に来てもらったりしたが、あくまでよつば
の父親としてであり、今まで男性として意識した事はなかった。急にそんな事を言われても困ってしまう。
「簡単に言うけど好きな人同士じゃないと恋人にはなれないのよ」
 風香はお姉さんぶって人差し指を立ててよつばに説明した。
「ふーかはとーちゃんきらいなのか?」
 よつばは悲しそうな目をして聞いてくる。そんな小動物のような瞳で見つめられたらひとたまりも無い。
「そっ、それはまぁ好きか嫌いかで言うなら、好きだけどさ」
 風香は顔を真っ赤にして五歳児の質問に真面目に答えた。
「だったら、もんだいないな」
 一片の曇りもない満面の笑顔のよつばの答えに、風香は胸がトクンと鳴るのを感じた。
 ――小岩井さんも私が好きと解釈してもいいのだろうか。でも仲の良いお隣さんとしての好きであって、異性
として好きという意味ではないよね。そこのところどうなのよ、よつばちゃん、と風香は頭の中で一人漫才を繰
り広げる。これは恥ずかしくて聞くに聞けない。悶々としているところによつばが父親を猛プッシュしてきた。
「とーちゃんはオススメだぞー。かっこいいからなー」
「そ、そうだね……」
 小岩井の容姿を思い浮かべて一応同意しておく。実際に文化祭でよつばを連れた小岩井を見て、クラスメイト
がかっこいいと言っていたのを知っている。普段はボーっとしているが、キリッとした表情をすればかっこいい
に違いない。――そんな顔は見たこと無いのだが。それに普段はだらしない格好をしているが、ちゃんとした服
例えばスーツを着れば背が高い小岩井は格好良く見えるに違いない。――そんな姿は見たこと無いのだが。
 風香がそんな失礼な事を考えているとよつばが更に追い討ちをかけてきた。
「とーちゃんはりょうりもうまいぞー。イチオシはぎゅうにゅうだ!」
「牛乳は料理じゃないでしょ。でも料理が出来る男性ってポイント高いよねー」
 本当は小岩井の料理の腕前はたいした事はないのだが、気持ちが傾きかけた風香は真剣に交際を考えてみた。
「小岩井さんって二十代後半だよね。……うーん、歳が離れすぎだなー」
「アイにとしのさなんてカンケーない」
「そ、そうだね……」
 何処で覚えたのだろうか? おませな五歳児の言葉に風香は説得された。
 もし友人に知られたらどうなるだろうか、と頭の中でシミュレートしてみる。
「風香、大人の男性と付き合ってるの?」と驚く友人A。
「すっごーい! 風香ちゃん、おっとなー!」と感心する友人B。
「そんな事ないよー。エヘヘ」と謙遜する風香。
 ――妄想完了。何だかすごくいい感じだ。
 その気になってきた風香だが、そうなると気になるのが小岩井の仕事だ。以前よつばからこんにゃく屋と聞か
されていたのだ。果たして本当なのだろうか、と半信半疑で問いただす。
「小岩井さんって、本当にこんにゃくを作ってるの? あの家で作ってるようには見えないんだけど」
 風香の疑いの眼差しによつばは両手を上げて憤慨する。
「とーちゃんが『こんにゃくや』っていったの! いつもパソコンでカチャカチャやってるの!」
「えっ?」
138よつばと結婚紹介所 5/5:2009/02/12(木) 21:12:41 ID:j43YZdqd
 パソコンでこんにゃく作りとはいったいどういう事だろうか? 成分分析をしてデータを取っているのだろう
か? それとも遠隔操作で工場に指示を出しているのだろうか? もしかして小岩井さんって社長さん? あの
歳で青年実業家? ――風香の妄想が暴走する。
 よつばの辞書に翻訳家という文字がなかったために、風香はとんでもない勘違いをしている。
「小岩井さんってすごいんだね」
「ふーかもよーやくわかってきたかー」
 大好きな父親を褒められてよつばの機嫌はすっかり直ったようだ。

 ――それから数分後。
 風香はクッションを抱きしめながら遠くを見つめて妄想している。かなりヤバい状況だ。
「結婚すると綾瀬風香が小岩井風香に変わるのかー。語呂は悪くないよねー。イニシャルがFA……ファイナル
アンサーからFKになっちゃうんだ……。うーん、何だろう? JFK? ジャパン・フウカ・コイワイ……」
「ふーか、ダイジョーブか?」
 心配そうに顔を覗きこむよつばに気付いて、風香は正気を取り戻した。
「わっ! あれっ? 私、口に出してた?」
 先走りし過ぎた自分が恥ずかしくなった風香は、頭をブンブン振って邪念を振り払った。深呼吸をして、もう
少し冷静になって考えてみた。
「もし私が小岩井さんと結婚したら、私がよつばちゃんのお母さんになるんだよ。分かってる?」
 風香は正座をすると真剣な眼差しでよつばを見た。
「ふーかがよつばのかーちゃん? それはどーだろー?」
 よつばは困った顔をして悩んでいる。どうやら理解していなかったようだ。
 喜んでくれると期待していた風香はよつばの反応にショックを受けた。
「よつばちゃん、お母さんが欲しいんじゃないの? どうしてお父さんと結婚させたいの?」
「けっこんしきにケーキがでるから」
「はぁ?」
 予想外の言葉に風香はポカンと口を開けた。
「ふーか、しらないのか? でっかいケーキがでるんだぞ! よつばはソレをぜんぶたべるんだ!」
 よつばは嬉しそうに笑顔で語る。
 開いた口がふさがらない。
「ケーキが食べたいだけなの?」
 呆れて怒る気力も出てこない。
 先ほどまでの妄想が走馬灯のように頭の中を駆け巡る。
 穴があったら入りたい。
 風香は恥ずかしさのあまり、勢い良くベッドにダイブして枕に顔をうずめた。
 そんな風香を尻目によつばはベッドの側の窓を勝手に開けた。斜め向かいの窓は小岩井の仕事部屋だ。
「とーちゃーん! おーい! そこにいるかー?」
 よつばは大声で呼びかける。ものの十秒もたたないうちに仕事部屋の窓が開いて小岩井が顔を出した。
「よつば! 大声を出さない! 近所迷惑だぞ!」
 父親のお叱りもどこ吹く風でよつばは嬉しそうに報告する。
「とーちゃん! ふーかがとーちゃんとけっこんしたいって! よかったなー!」
 それを聞いた風香は急いで飛び起きてよつばを取り押さえた。
「ちょっ、ちょっと! 違いますぅー! そんな事言ってませんからー!」
 顔を真っ赤にしながら否定する風香を見て小岩井は苦笑している。
「風香ちゃん! 幸せにするから!」
 からかう小岩井の言葉に風香は耳まで真っ赤になる。
「こらーっ! 人の話を聞きなさーい! 親子揃って私をからかってー!」
 風香が喚いていると、突然ドアが開いて綾瀬家の住人が部屋に雪崩れ込んできた。
「風香、結婚おめでとう。まさかアンタに先を越されるなんてねー」と笑いながらからかうあさぎ。
「嬉しいわー。初孫が見られるのはいつかしら?」とこちらも笑いながらからかう綾瀬母。
「風香お姉ちゃん、おめでとー。よつばちゃんは私の姪っ子になるんだよね」と心底嬉しそうな恵那。
「お父さんは結婚なんて許さないぞ!」と本気で怒る綾瀬父。
 虎子は呆れた表情で廊下から見守っている。
 突然の家族の乱入に風香はパニック状態だ。
「なんで集まってるのよー! みんな大嫌いだー!」
 泣き喚く風香を取り囲んで、綾瀬家の面々は笑顔でなだめている。
 向かいの窓からその様子を見ていた小岩井はバツが悪そうに頭を掻いている。
 よつばは嬉しそうに綾瀬家の人々の周りを駆け回っている。
 そして滅多に笑わないクールな虎子も、小岩井家と綾瀬家の人々の愉快なやり取りを見て、口元から笑みを
こぼすのであった。                                                   おしまい
139創る名無しに見る名無し:2009/02/13(金) 23:01:42 ID:swjCpr+k
おかえりなさい!何回読んでもあったかくてしあわせだー 色々悩むところもあるんでしょうが、続き待ってます!
140創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 05:08:19 ID:MXbvi4f4
よつばといいなー
ほんわかあったかくてやっぱり好き
原作知らない人にもわかるように、という配慮なんだろうけど
少し説明くさすぎる感じがするな
もっと説明部分ははしょっていいと思う
141らき☆蓋 ◆FUTAXpF4Lc :2009/02/21(土) 01:12:53 ID:L3W1760v
          _Y_
            r'。∧。y.
         ゝ∨ノ       >>1が糞レスに          ,,,ィf...,,,__
          )~~(             失望してる間に   _,,.∠/゙`'''t-nヾ ̄"'''=ー-.....,,,
         ,i   i,                        ,z'"    ̄ ̄ /n゙゙''''ー--...
         ,i>   <i     作品はどんどん投稿さ  r”^ヽ      く:::::|::|:::〔〕〔〕
         i>   <i.     れてく・・・・・・。       入_,..ノ ℃      ̄U ̄_二ニ=
`=.,,ー- ...,,,__  |,r'''"7ヽ、|  __,,,... -ー,,.='           >ーz-,,,...--,‐,‐;;:'''""~
  ~''':x.,,  ~"|{ G ゝG }|"~  ,,z:''"                     ___
      ~"'=| ゝ、.3 _ノ |=''"~      <ー<>         /  l ̄ ̄\
        .|))    ((|        / ̄ ゙̄i;:、      「 ̄ ̄ ̄ ̄| ̄| ̄ ̄ ̄\
             ))|       r'´ ̄「中] ̄`ヾv、   `-◎──────◎一'
                   ├―┤=├―┤ |li:,
                   |「 ̄ |i ̄i|「.//||「ln|:;
                   ||//__|L_」||__.||l」u|:;
                   |ニ⊃|  |⊂ニ| || ,|/
                   |_. └ー┘ ._| ||/
                   ヘ 「 ̄ ̄ ̄| /

 がっかりしてばかりもいられないので頑張ります。書き手諸氏多謝。
142創る名無しに見る名無し:2009/02/21(土) 01:17:34 ID:KnGOpds4
お、蓋さんだ。おかえりー
143創る名無しに見る名無し:2009/02/21(土) 01:51:38 ID:wjslz2mh
おかえりなさい
144創る名無しに見る名無し:2009/02/21(土) 04:50:18 ID:J+0LZr0w
蓋さんきた!!
これで勝つる!!
145創る名無しに見る名無し:2009/02/21(土) 07:24:53 ID:jtPVEm3+
AAチョイスのセンスが秀逸w
返事のタイミングを失ってましたが、蓋さんも良いお年を。
今年は色々なものを書いてみたいと思います。
146創る名無しに見る名無し:2009/02/21(土) 22:58:30 ID:GNuwsaAW
らっき蓋さんだー
無理しないでね
147創る名無しに見る名無:2009/02/23(月) 18:21:16 ID:LDNVC+uz
きた!!
148創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 15:44:23 ID:UQaJtsTM
このスレ、音楽には対応してないんだね(´・ω・`)
149創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 12:47:20 ID:AfwZbM4U
蓋さーん、生きてるかー!!
150創る名無しに見る名無し:2009/04/03(金) 21:18:36 ID:O/MWZBOD
age
151創る名無しに見る名無し:2009/04/07(火) 04:38:17 ID:Zq3IOza5
ラキさんスゲエな。ラキさんの認める創作リンク集(二次含)とか見てみたいわ
152創る名無しに見る名無し:2009/04/18(土) 09:04:07 ID:bwp31bop
うはw
153事務職のジミー:2009/04/25(土) 02:10:24 ID:8xszEGjO
胸をお借りするつもりで書きました。
いつもは、SFとか、特殊な路線なんですが、、何となく、
リアルな感じで、描いてみました。ちなみに日記調です。


「本当の努力」


ギターを初めて弾いた時から、もう5年になる。
プロのギタリストになりたいなどと思いながら、
ずっと過ごしてきた。頭の中では、僕は既に伝説の音楽家を経験しているが、
現実においては、ただのワーキングプアである。ギターの実力は最低である。
現実と理想の狭間で、5年の間にギターは埃をかぶり、部屋の片隅に鎮座している。


5年の歳月が流れても、僕自信が、何も進歩出来ていないことが一番つらかった。


僕は思う。世の中には役割分担があるのだろうと。
例えば、アリの才能は、何だろうか。そしてアリにとっての努力とは何だろうか。
また、クモの才能は、何だろうか。そしてクモにとっての努力とは何だろうか。
アリがクモになろうとすることは、努力だろうか。僕は言う。
「それは努力ではない」と。
もっと例えるなら、
ロバにとってのすべき努力は競走馬になることだろうか。僕は言う。
「それは違う」と。
僕なら、ロバは、優秀なロバになることを目指して欲しいと思うだろう。
そして、僕のギターは部屋の片隅で、調音すら、してもらえずにいるのである。

僕はギタリストになりたいと望みながら、スーパーのレジの店員をしている。
僕にはレジの才能があるだろうか。僕は優秀なレジの店員になるべきなのか。
人はそれぞれ役割を担う。それが自分が望むものとは限らない。
理想と現実は違うのである。


でも最近は、少しだけ、以前とは違うことがある。
今、僕のギターの横には、鏡音リン・レンがいる。
僕は、今は、ほんの少しだけ前向きになれた気がする。
何か、自分に足りなかったものに気がつくことが出来た気がする。

今、僕は思う。
僕が、プロのギタリストになることは重要では無いのだと。
僕自身が僕らしく生きていくことが重要であり、大切なのだと。
僕が目指すべきところは、「優秀な僕」であることなのだと。
それがギタリストである必要はない。
5年間の紆余曲折が、今日のほんの1歩のために存在していることもあるだろう。
僕は、優秀な僕になるために、
前に進まないといけないと今は思っている。


終わり
154創る名無しに見る名無し:2009/04/25(土) 02:14:24 ID:8xszEGjO
文章表現は難しい。
155創る名無しに見る名無し:2009/04/25(土) 20:47:49 ID:oSgblJue
新しいレスがついていると、らき☆蓋氏が帰ってきたのかと思って
ついスレを覗いてしまう。二ヶ月以上音信不通。お元気でしょうか?
>>153
唐突に鏡音リン・レンが出てきて、Vocaloidを知らない人には
何のこっちゃ状態ですよ。知っていてもドン引きです
今の僕には、「そんなあなたがいい」と言ってくれる彼女が傍にいてくれる。
とかなら格好つくのに、オタク向けアイテムがあるから前向きになれるだなんて
悲しすぎます。でもある意味、現代社会の若者を風刺しているんですかね
156事務職のジミー:2009/04/26(日) 10:49:31 ID:SmoY55zZ
>>155
レスありがとうございます。
不快な思いをさせてしまい申し訳ありませんでした。

この作品では、
漠然とした夢に取り憑かれて、
フリーターやニートから抜け出せなくなった人が
他者の助けなく、這い上がる姿を
簡単に描くことを目的としています。

「鏡音リン・レン」の辺りで拒否反応が出るのは、
当方が用意した仕掛けの意味も含んでいるためです。
この仕掛けには、
「リア充とか、低脳女子の読む作品じゃないからね」
という意味が込められています。
拒否反応が出るのは良いことです。
あまり深く考えずに、生きていかれれば良いかと思います。

この話は、誰にも助けてもらえない人が
ふとしたきっかけで、前向きになり這い上がっていくという話です。
ふとしたきっかけは、一般的に共感できるものではありません。
それは、人それぞれ違うものだからです。
誰にでも共感のもてる要素をここに配置することは、ありえません。
そのことをご理解頂きたかった。

当方は「鏡音リン・レン」のことは、良く知りません。
でも決して、オタク向けの愛玩用ドールの類では無いでしょう。
Vocaloidソフトには将来的には声優や歌手を脅かす因子があります。
進化によって業界にとって脅威となりうる力を秘めているのです。
前知識が必要というのが、この話の練り足りない部分だったと思います。

僕は、恋人のおかげとかでなく、何かしらのふとしたきっかけで
立ち上がっていく人はすごい力を秘めているのではと感じています。
だから、それを物語にしてみたのです。
そのエネルギーはどことなく基地外じみているものかもしれませんし、
浅く生きている人達には到底理解できないでしょう。

この作品が、少しでも悪くないと思えた方は、
話の中身は全然違いますが、
「秒速5センチメートル」の最終話や「セカチュー」も見られては
よろしいのではないかと思います。

ありがとうございました。
157創る名無しに見る名無し:2009/04/26(日) 12:01:16 ID:SmoY55zZ
>>153
この作品で、僕の作品は最後となります。ありがとうございました。
創作板のみなさんにご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ありませんでした。
158創る名無しに見る名無し:2009/04/26(日) 17:05:31 ID:L/6J20oY
>>156
別に不快に思っていませんし、謝る必要もないですよ
こちらこそあなたを不快にさせたようですみませんでした
前向きになった過程を端折っているから唐突に感じただけです
それと些細な事ですが、鏡音リン・レンに思い入れもないようなのに
なぜそこをもっと知名度の高い初音ミクにしなかったのかが分かりません
159創る名無しに見る名無し:2009/04/26(日) 20:14:57 ID:SmoY55zZ
>>158
端折ってあるのは、文章表現の力不足が原因です。

言葉だと、完璧に意味が固まってしまう気がして、特に微妙な「間」を
作りだすことが、非常に難しいため、うまくいっていないですね。
やはり弱い部分がネックになるものです。
文章を長く、多くすれば、可能なのかもしれませんが、
スレにあまりにも長い文章を書くのは、個人的に好ましいことと思いませんので、
僕の限界でした。
頭の中でアニメのようなイメージを作った上で、無理に文章化しているので、
粗がどうしてもでてしまいます。

初音ミクは、女性的イメージが強すぎることと、知名度が高すぎるので
あえて避けました。鏡音リン・レンは子供の女の子、男の子ということとで
2次元愛的な印象を持たれることは避けられると判断したのです。

中途半端なものを書き込んだのは良くなかったです。
160創る名無しに見る名無し:2009/04/27(月) 20:01:05 ID:HNyEB5gY
はいはい、ワロスワロス
161創る名無しに見る名無し:2009/04/27(月) 20:01:54 ID:HNyEB5gY
>>141
ボスの到来はまだか
162創る名無しに見る名無し:2009/04/28(火) 18:16:18 ID:1f04r1oo
倖田來未の気の毒なファン(中卒・18歳キャバ嬢)の絵本の文章。

ぼくわ くらげくん

ぼくわ 透きとぉッた月の夜に 生まれた

ぉ母さんわただ 優しくぼくを包みこみ そッと 泣ぃた

星たちの歓声が 海にこぼれぉち
ぁたリ一面 きらきらと光リかがゃき
海と夜空わ・・ ひとつになった


淡ぃピンクの珊瑚礁 レモンイエローの熱帯魚 ミントグリーンの海草さん

いつも 見ぁげれば ただどこまでも 広がッている空のょぅに いつもど-んとしてぃる
マンボゥさんわ とッても物知リな このぁたリのリーダー

ぃつも見ぁげると ふわふわと漂ッてぃる ぁのふしぎな白ぃ雲と 同じ色をした 器用なィカさんと ぼくわとッても仲ょし

今日 ぼくわ はじめて ひとリで ぉ月さまのすべリ台へ あそびにぃくんだ

つづく・・・

http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/tubo/1237730403/l50

http://blog.crooz.jp/usr/riririnnn/rinkorinpuroron/?guid=on
163創る名無しに見る名無し:2009/04/28(火) 21:04:22 ID:qOv7dmOQ
>>162
その、「ぉ」とか「ぁ」とか読みづらいんだが。
それは、日本語に対する挑戦?それとも反抗?
まぁ、いいけど別に。
164創る名無しに見る名無し:2009/04/28(火) 21:10:09 ID:+mk4LTUy
最悪板からのマルチ転載なのでスルー推奨です。
165創る名無しに見る名無し:2009/04/28(火) 23:13:50 ID:8sIFREHi
過疎板だしその人来てほしいな
166創る名無しに見る名無し:2009/04/29(水) 10:30:19 ID:1F8GFpWU
文章から女臭がするのに、「ぼく」と言う言葉を聞くと、
なんかいやなきもちになる。
167創る名無しに見る名無し:2009/04/29(水) 12:23:54 ID:Sy1LXX1x
絵本なんだからしかたねぇべさ?
168創る名無しに見る名無し:2009/07/16(木) 17:03:08 ID:YmiVtMT5
らき☆蓋氏の文を見れば批判も創作行為だということが分かる
169創る名無しに見る名無し:2009/08/21(金) 02:15:44 ID:TXB6HYKc
妹「兄さん、学校はじまりますよ?」
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1249491117/

お願いします。
170創る名無しに見る名無し:2009/08/21(金) 03:09:47 ID:/03Bo+wQ
>>169
優しい方でも書きましたが、何を求めて書いているのか
何を目指して書いているのか、少し考えてほしいと感じました。
それがなくては表現も浅いものになると自分は思いますね
171記憶喪失した男:2009/08/21(金) 13:56:26 ID:ybR/0+aY
>>94-96 返信遅れました。感想ありがとです。
楽しんでいただけたようで、たいへん満足です。
172創る名無しに見る名無し:2009/09/13(日) 00:53:13 ID:J3LhIUL1
『蜥蜴の夢』

お辞儀をする男の首を
巨大な歯車が

その男が誰なのか
誰も知らないまま
男は干からびて骨になり
砂にかえっていった

子どもたちは震え
老婆も震えた

それは丸い形をしていたのかい?
いいえ、楕円の形をしていたそうですよ
そんなことはありえないだろう
ありえないのでしょうか?

陰で笑う青い蜥蜴は自分は死なないと思っている
青い蜥蜴の孫の蜥蜴は棺桶を納屋に隠す

今晩も穴が掘られる
子どもたちが遊びのフリをして穴を掘る

一体、誰が、真実を、知りうるのか?

麻薬のように翻弄された末路で
青い蜥蜴は真実の夢を見た
「それはアタシの尻尾に詰まっているのだからね」

そうなんだってさ と
おでこの男の子が笑うと
笑うほどのことじゃないわ と
おかっぱ頭の女の子は目を伏せる

夜明け 埋められた穴の上で
子どもたちは輪になって歌い始める
すました顔で自分たちの価値を知っている
湿った土の上で千切れた蜥蜴の尻尾が畝っても
見向きもせずに自分たちの価値を知っている

消えた青い蜥蜴
返品できない棺の前で膨らむ孫蜥蜴の夢
それは昔
青い蜥蜴も見ていた夢
173創る名無しに見る名無し:2009/09/15(火) 12:44:04 ID:rEzdaTb6
>>172
貴方は一度病院にて精密検査を受けられる事をおすすめします。
174創る名無しに見る名無し:2009/09/15(火) 13:04:13 ID:5cCqKNGi
精神科は不要だろう
こういうのはただの中二病だ。意味ありげな表現をつなぎ合わせれば誰だってできる
175創る名無しに見る名無し:2009/09/15(火) 13:30:46 ID:7b8D4mTY
読んでくれて、ありがとう。
176創る名無しに見る名無し:2009/09/15(火) 13:38:56 ID:ErxYK3yQ
>>175
このスレは評価主がいないので、もし評価を希望するのであれば
他の評価系スレか詩スレに持っていくのがいいかも。

俺はそう悪いとは感じなかったけども、このスレ(個人の評価スレ)ではあまり突っ込んだことを言えない
っていう人もいるのでね。
177創る名無しに見る名無し:2009/09/15(火) 23:15:27 ID:6Y4iA2C1
ありがとう。

精神科とか意味ありげな表現とか、
そういう言葉が出てきて、ホッとしてるんだ。

読んでくれる人をちょっとザワザワさせたい、
と思って書く時もあって、
これがそういう詩であれば、何だか嬉しいです。
178創る名無しに見る名無し:2009/09/16(水) 01:59:43 ID:HUZIRk+a
s e n r o

【プロローグ】
田舎町、夜8時ごろ。路上に尻をついて座っている流屋文人(ながれや・ふみひと)。
サラリーマン風の男が寄ってきて、ぼろいフロシキにばら撒かれた無数の写真を見る。
「『どれでも一枚100円』か。ええと、このワンダフルな模様をした猫は
どこで撮ったんだい?外国産かい?」
しゃがみ込み、一枚を指さすサラリーマン。ワンダフルな猫が写っている。
「…さあな。そんなのいちいち覚えちゃいないさ」
覚えていないのではなく、覚えないようにしている。
思い出すと困るから。
「色んなところに行ったようだね?」
「行ったんじゃあなく、『出て』行った。この町だって、あと数日でおさらばさ。
もっとも。あんたが全部大人買いしてくれれば、明日になるんだろうけどな」
睨むように、恨むように笑って見せる文人。
これも演技、自分に対する演技。未練が残ると辛いから。
構わず物色するサラリーマン。
「おや、これは?」
不思議そうな顔をするサラリーマン。
その手がゆっくり、写真を持ち上げる。
写っていたのは、麦藁帽子に手をあてた15、6歳くらいの少女。
はにかんでいる、大きな樹を後ろに。
異様なのは、少女の身体に無数の糸のごとく巻きついた光。
まるでサナギのような、あるいは聖母が赤子を抱く布のように。
「もう今日は店じまいだ」
「おいおい、急だな。その写真の女の子、何かいわくでも付いてるのかい?
可愛いらしいけど、うん。変な写真ではあるな」
文人は答えない。さっさと風呂敷をたたみにかかる。
「なら、別の写真を見せてくれよ。その写真が大切な君のものなら、
僕は無理には買わないさ。事情も聞かない。
つまりは『大人買わず』ってやつだね。はっはっは」
立ちあがる文人。
「確かに外装はこんなナリしてるが、俺の店は閉店時刻だけはキッチリしてる。
まるでスイス人みたいだって、ご近所にはもっぱらの評判なんだ。
この信用だけは落としたくないのだ」
フロシキを背中にぶら下げてずんずん歩いていく文人。
その背中が闇に溶けていく。腕時計を見やるサラリーマン。
「そのキッチリが夜の8時13分か。13分、ずいぶんと半端にキッチリだぞ。
スイス人が聞いて呆れるな」
***
ここは海。下は消波ブロック。文人は足を垂らす。
手にはあの写真を持っている。BGMは波の音。ザザザー。ござを擦るような音。
しばらく写真を眺める文人。無言。波の音。
「ひなお。緋菜緒。ひなお。天路、天路ひな―――」
言いかけて、ぱっと手を離す。何かに驚いたように。
少女の写真は、折り紙のように落ちて波に混ざった。
刹那に消えていく波のような、永遠に消えない波のようなひと夏の日々。
これは、そんな記憶の物語。


179創る名無しに見る名無し:2009/09/16(水) 11:31:45 ID:m4C4/i7M
>>178
描写が足りない。
ただ文章をてきとーに配置したように見える。
あんたは一度「孤独のグルメ」を見て勉強した方がいいと思う。
180創る名無しに見る名無し:2009/09/16(水) 13:44:03 ID:j0cxGyxv
このスレに投下する人結構いるな
>>1がいないの分かってるんだろうか
181創る名無しに見る名無し:2009/09/16(水) 19:11:46 ID:JV22yhaj
晴天カンタータ
樋口耕作

 トスカーナ地方には、田園があるそうだ。

 遠野物語を読んでいて暫し泣いた。
 その痛みが、化膿し剔られ、あぁ“星の王子さま”になったんだなぁと思った。遠い過去のことだ。
 やれやれ今月の決済もまた黒点を放物線とさせている。苦かったと言えばそれまでになるが、
だれだってオレンジを食べようとしてくつを磨くゎけじゃない。 フル装備のビデオテープがあまり
にも下着に似ていたからってめがねを負っちゃいけない。“ある程度の”可能性は残しておくべき
だろう。こわしてこゎして遺ったものは、大量の金。笑顔に負けたって、咀嚼の意味がわからな
くたってそれは自然なことじゃない。これは声を大にして言いたい。無論、くちづけなど必要ない。
もうゲームは終わったんだからね。

 「だから大好きだったんだ」と言って三ヶ月待ってみたが、その当日がミルフィーユだったとは
知らなかった。だってトルティーヤがあまりにもおいしいんだもの。怪物のチェスじゃないよ。
三段構えにしてやってみた黒いランプは、残酷なほど正確で二秒おくれていた。滑稽じゃなく貧血だ。
 「まだ知らないことのために生きる」そんな駄文があった。高校三年生のチーズの箱かな。「懺悔」
という文章を書いて、アライグマになった気分だ。そう先生は言っていた。まちがいなくまくらは斜めに
跪いていたんだろう。よくよく考えて見たまえ、きみたちの住むこのカレンダーはジーンズと女の子を
素にしているんだよ? 科学の授業が見えたようだった。うだつのあがらないピンボール。いまと
なっては写真機さえカップラーメンだ。ポップな言葉を並べて悦に入っているのは、だれだ?
 まちがえなくそれは、くびをうしろから剔られた便座になるだろう。

 「ゆーくんとゆーくんちのピアノ線はどんな風にやっぱり白いの?」
 なかなかの疑問だと思ったけど、ぼくは立ち止まれなかった。あまりにもとんぼがイヌに見えたから。
 「そんなつもりじゃない」
 知っていたけど、もうおしりの辺りが“たまらない”んだ。くつをかぶってみるとRADIOになれるって
いったのはヒーローだったじゃない。うそだったんだ。オレンジのしわ寄せはやっぱりみかん箱に来る。
新製品のお茶の段ボールが、自分にはやや短足でもう少しよこに広かったらなあとペペロンチーノを
食べわすれてから気がついた。そういえば、前回だってアイマスクをブラジャーと間違えたじゃないか。
 世の中は実におもしろい。足の悪い帽子や着崩された白髪。それに極めつけは美男子がより多くの
ものを欲しているという事実。

ttp://www.mag2market.com/file/2221/

 好評であればつづき載せます。友人には一人称が過ぎる、意味不明と言われました(笑) 樋口
182創る名無しに見る名無し:2009/09/17(木) 09:14:39 ID:+QZXiXRa
>>180
俺が居るから>>1が居なくても十分。

>>181
友人の指摘通り。
小説なのに一人称すぎる、エッセイじゃないんだから真面目に書け。
あと自己満足の境地。著者が勉強不足なのか知らんが意味不明。これで金を取ろうとする根性がおこがましい。
183創る名無しに見る名無し:2009/09/17(木) 09:46:35 ID:WWPy8UZo
晒しage

そういうのは批判とは呼べない
しかし値段にはワロタ
184創る名無しに見る名無し :2009/09/17(木) 16:08:38 ID:LBo/brpj
>>182

舞城「・・・・」
西尾「・・・・」
きのこ「・・・」
185創る名無しに見る名無し:2009/09/17(木) 16:24:40 ID:CEDwp94L
批評の批評、批判の批判は泥沼ループの入り口です。
思う所があるならば、別の批判を以てあたるのが正道ではないでしょうか。

>>181
洒落た言い回しを摸索されている様子は好印象。
ある種の意味不明さを狙っているようだけど、読者を突き放しているのが難点。
「判りやすいありふれた文章」の中に少々放り込んでこそ生きそうなんだけどな。
出て来た文章一つ一つはそれぞれが興味深い不条理に満ちていると思います。
でもそれだけでは、意味不明という感想以上の感想は第三者には難しい。
序盤のようだからこの後に物語的な仕掛けがあるのかもしれないけど、
序盤だからこそ誰でも理解可能な判りやすい誘導が欲しいですね。
この部分だけでは294円は払えない。立ち読みでもそのまま閉じそうだw
商品説明でEVAや1Q84引き合いに出す意味も良く判りません。
186創る名無しに見る名無し:2009/09/17(木) 19:12:42 ID:cL5SSZ6v
自分が書いたものですが、せっかくなのでここでも見てもらおうと思います。
お願いします。

ttp://anond.hatelabo.jp/20090915041937
187創る名無しに見る名無し:2009/09/17(木) 20:44:26 ID:W7bjhDBc
 「恋愛風に吹かれて〜〜♪〜〜船底のマリンバは〜〜」
 こんな歌が流れたのは、赤いリンゴのことだったか、古い映画の改訂版だったか。
 
 ---
 
 懸念していた図書館戦争が起こる。フォークボールがいちごやレモンになっても女子の
腰が巻(ひね)くれ者になっても、やっぱり登山靴は歪な方眼紙に限る。“売り”は逆のこ
とを意味し、スピーカーの折れた大手町は、午前二時をまわっていると思う。
 詩人が好きでも死臭という詩集を出してはいけない。それは聖書のように間違っている
からだ。正しく間違わなくてはいけない。だってそれはP!NKにゆくわけにいかないから。
占い結果を逆さに読みカネの生命力もリモコンと大木の断片となるのかとやや疑問だった。
だからメロンパンを二つ買っても、冷凍庫に牛丼があってもそれはやはり、摂理の貶めと
いうことだろう。造花はうつくしいが無害で微かな薫りさえないからだ。
 丸いめがねをし、漢和辞典を片手にぼくの師匠は真理を語った。それは時に、スピーチ
にもなった。師匠の話はもう少ししなければと思いつつ、かれははさみを凝視し快感の渦
へとDXXしていった。
 
・青年よ、いま苦しむことをやめたら、すべてが無駄になる(二〇〇四・一・二〇)
・人間は、大いなる誤解だ(二〇〇二・八・一〇)

 これがいわゆる死臭だ。根底の崩れた埋もれたテレビという招き猫をおびき出すたんなる
小指のマジック。
 光の中で踊り子が笑い、チャイルドが「失敬」と言って通り過ぎる。…考えすぎだ。
 



みなさん感想ありがとうございます。
また全文載せられませんでした。小説家になるならば、みなさんのアドバイスを元に
出直したいと思います。樋口
188創る名無しに見る名無し:2009/09/17(木) 21:00:52 ID:YffAibAa
わざ下手の誤爆かな?
189創る名無しに見る名無し:2009/09/17(木) 21:49:12 ID:CEDwp94L
このシュールさどこかで既視感あったんだけど、妙に自動生成臭いのかもw
http://non-chang.heteml.jp/labo/JavaScript/autoScenario.html
こういうやつ
190創る名無しに見る名無し:2009/09/17(木) 21:56:41 ID:W7bjhDBc
>>186
おもしろいですね! 読み耽ってしまいました。
背中の脚が性欲と絡むところが非常にいいです。
続編期待します。
191創る名無しに見る名無し:2009/09/17(木) 22:07:33 ID:W7bjhDBc
>>189
このシナリオマスター(仮)というのは自分の文章とそっくりですね。
天才プログラムと言葉の断片が、人間の脳を凌駕するんですね。
コンピューターに毒されている自分は、反論できません。

逆に
>>185
「判りやすいありふれた文章」の中に少々放り込んでこそ生きそうなんだけどな
という手法しかないようです。

ただシナリオマスター(仮)が全部やってくれるのなら自分の存在意義はないようです。

本屋に行っても、文芸書は考え得る限りのことをやっていて、
自分の入る余地があるのかやや疑問です。
(未開の地に足を踏み入れるほど、優秀な人間ではありません)
192創る名無しに見る名無し:2009/09/17(木) 22:54:54 ID:CEDwp94L
>>186
ブログで読者に問いかけるという着想にはなかなか味わい深さを感じましたw
でもオチの方は、ネット上であるからこそ無理のある言葉になっていってる気が。
サラリーマンならエロサイトを当たるだろうし、構造上、ねえw
この手口でおぞましさを感じさせるには、物語の方にもう一工夫要るのかもしれませんなぁ
文章および展開自体は、読みやすくご立派と思います。
あ、ついでに俺の気付いた誤字のご指摘まで。租借→咀嚼
193186:2009/09/18(金) 23:32:35 ID:aFqJv6uP
感想、ありがとうございます。

>>190
ありがとうございます。
そういっていただけると、嬉しいです。

>>192
>サラリーマンならエロサイトを当たるだろうし、
あぁ、確かにそうですね。そこまで気が回りませんでした。
もう少し、描写を突っ込んだ方が良かったと思います。

ありがとうございました。
194創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 21:47:30 ID:8/flDolD
◆タイトル: 『対消滅的な彼女』
◆あらすじ:
人類最知哲のテロリスト『エーテル少佐』と
人類最粗暴の殺人鬼『ステータス』が日本に現れた。
その目的はある一人の少女『ハウリング』の強制強奪。
現場に居合わせたのは古来ゆかしき『言葉聞き』の大学生、
『音木ひろし』。果たして音木は地球最悪の殺戮者二人を相手に、
『ハウリング』を守り切れるのか?

■ステータス
人類最粗暴の殺人鬼。
握力2トン、拳破力(パンチストッピングス)10トン。
跳躍力・垂直10メートル平行30メートル。
ピストルでうっすら血が滲む程度。
反応速度は1メートル手前で発射されたマシンガンを全弾回避する腕前。
遺伝子操作で生まれた怪物。

■エーテル少佐
人類最知哲のテロリスト。IQ380超(計測不能)。
ブレインマシンによりハーバード大学普通科相当を2歳で卒業。
数学・物理学・化学・生物学・心理学などあらゆる自然科学をマスター。
某国で核爆弾を爆発させ首都を壊滅した、生きながらに・犯罪者にしながら
既に全世界の世界史教科書に載る『歴史的人物』。

■音木(おとぎ)・ひろし
日本古来ゆかしきなアニミズムの権化『言葉聞き』。
現役大学生でありかつ年少神主であり、周囲にある物質の声を聞くことができる。

■ハウリング・エレメンタルアドレストゥーフィフティーワン
「筑波機関(ツクバオルガノン)」の開発した、45kgの肉体全てが
不活性反物質(マッシブ・リアクタンス)で出来ている人間爆弾。
その肉体全てを特定の手段で反応させれば、日本列島が消し飛ぶ。

http://logos3.seesaa.net/
195創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 22:09:28 ID:pTsqZH9Z
>>194
………。
ぼくのかんがえたすごいはあどぼいるど小説せっていしゅうはチラシの裏に書いてくれ。
設定ばかりで内容が無いモノは小説じゃなくてゴミだね。


とりあえずSAN値の低下が見受けられるので病院に入院する事をお勧めします。
196創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 22:14:23 ID:Kn9g/KpX
うにーくを見つけ出すのが批判
ただの批難ならそれこそチラシの裏に書いてればいいと思うよ
197創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 22:16:50 ID:8/flDolD
入院しろとまで言うか
人格批判もしてくれるのかい?
198創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 22:41:32 ID:+SpJHJWV
>>194
えっと、とりあえず、だけど。

現実的ではない数値を書けばいいってものではないと思うよ。
例えば、子供向けの特撮とかだと、それこそ万やtでガンガン誇張を
きかせて「うわーすげー!」って思わせる事に意味があるかもしれないけど、
ある程度歳重ねた人に読んで貰おうと思ってるなら、ある程度そこら辺の
バランスは考えた方がいいと思う。ぶっちゃけ、万やトンをうかつに使っちゃうと、
滑稽になっちゃうんだよね。それが意味のある万やトンならいいんだけどさ。
演出としての設定であるなら、そこまで数字を大きくする事に意味は無い。
っていうか有害ですらあるだろうね。もっと言うと、数字自体設定しない方が
いい場合すらあったりするし。「あらゆる自然科学をマスター」とかにしてもそう。
それを明言してしまうと、それに縛られてしまう事になって、話が
転がらなくなってしまう事がままある。数字と同じで、意味がある設定
だという事ならいいんだけどね。これから本編を書くにあたって、着想としての
設定を書いているという事なら、こういう万能設定はやめておいた方がいい。

あとは、ね・・・。
反応速度は腕前って言わないとか、ピストルでうっすら血が滲む程度って、
ピストルで撃たれても肌にうっすら血がにじむ程度、でいいのかなとか、
IQは最高値があったはずなんだが・・・とか、反物質爆弾使っちゃったら
地球なくなっちゃうんだけどな・・・とか、まあ最後の方は突っ込む方が
野暮かもしれないとは思うけどw、まあ色々気にかかるところはあった。

設定だけ評価してもらおうって事なのかもしれないけど、
できればちゃんと中身が出来てからこういう場には投下した方が
いいと思うよ。でないと、上でも言ったような、その設定に意味があるのか
無いのかの判断とかができないし。

正直設定の内容的評価を端的に述べるとすると、>>195の言っている
「ぼくのかんがえたすごいはあどぼいるど小説せっていしゅう」にしかなってないと思う。
設定だけで評価してもらおうとするにしても、えーっと、まあ、ざっくり
言ってしまうと、陳腐通り越して子供っぽい、かな。
199創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 22:54:48 ID:8/flDolD
>>198
ありがとうございます
参考に致します。
200創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 23:49:29 ID:8Vr2PXWH
キャラ設定とかあらすじだけの投下ならこんなスレもあるよ


オリジナルストーリーの「あらすじ」投下スレ
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1236096121/

キャラ設定考えて 作るのを練習するスレ
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1220305473/
201創る名無しに見る名無し:2009/09/23(水) 00:21:55 ID:jQwE9VBF
>>200
ありがとうございます。
設定などだけの場合はそちらに書くように致します。
202らき☆蓋 ◆FUTAXpF4Lc :2009/09/23(水) 20:54:11 ID:TAvfs0QV
 リハビリモードですんません。

>128 ◆LNPZY.1xLA「一月のホーム・フロム・ホーム」
 一読しての単純な感想は、とにかくスートーリーテリング最高。
 分析無粋を承知で言えば、情報が小出しにされてその集積が読者の頭の中でイメージを形作っていく。
それでいて、読み手の頭の中に既に構築された像が後出しの「公式設定」で上書きされることは少なさそうな作り。
 渡すべき情報のピラミッドは出来ていて、それを適宜積んでいく構成。ピラミッド以外のところはいくらでも
読み手が想像して可。そんな差配。

 で、しかしテーマ不在。ここが不完全燃焼。

 そこではじめて前提要素を加味すると、むむむ。これは三題話系、お題スレへの投稿作であったか。
 すると、テーマ不在はある意味当然で、創作上の最重要ポイントは「お題消化」ということなわけで、
様々のお題をこれだけ取り入れながら、更に「書きたかった物語」まで語るのは大変であると同時に、
そもそもお題スレへの投稿文章は肩慣らし、「お題に沿って書いた文」であって、特にテーマは
設定せずに習作している可能性もあるわけだからなるほどね、となった。

 これは要するに音取り、発声練習であって、そういう意味ではパーペキです。
 でも「歌」ではないので、上手だなあと思った後に「本番」が聞きたくなることしきり。
「じゃあ、この人はどんな歌を歌うのか?」という、そっちに興味が行ってしまいます。

 あとはまあ無理に「お題対応」としての完成度を上げるなら、それぞれの要素が「単語だけ出てきてる」
面もあるので、これらを貫徹する一つのテーマを持ってお題をまとめていくと作品に深みが、ってなあ。
 「そこまで労力をかけて」お題文章をやるんだったら、絶対書きたいものを書いた方が良いと思う僕こと俺。

 本スレでテーマが一期一会みたいな感想があったけどヒロインをこれだけ魅力的に書いておいて
そっちがテーマではないだろーと思いたい俺でした。ともあれ投稿多謝。えらく遅れてタイミング外しで済みません。

PS
ヒロインの外見描写をぜってぇやらないで魅力的に書くのはきっとポリシーですねわかりますと書いてみる。
203創る名無しに見る名無し:2009/09/23(水) 22:06:06 ID:89drXgMe
おおう、蓋さんお帰りなさい
204創る名無しに見る名無し:2009/09/24(木) 00:19:28 ID:zlg8LM4T
205創る名無しに見る名無し:2009/09/24(木) 01:17:20 ID:eBkYi1+J
蓋さん降臨ktkr
206創る名無しに見る名無し:2009/09/24(木) 17:57:11 ID:M2JEQymp
>>204
全体を評価してもらいたいなら小出しにしない方がいいよ。
207創る名無しに見る名無し:2009/09/24(木) 21:51:53 ID:GyANGaqJ
>>204
読ませて頂きました。

恋人未満の男女があることをキッカケに進展していく
そんな感じの日常風景を描写した作品とお見受けしました。
独特の比喩表現が多用されていて作者さんの持ち味がよく出ていると思います。
まだ全然>>194のあらすじにも到達していないのでとりあえず、ですね。

気になったところですが、大学にはクラス委員のような概念はほぼないので
「委員長」っぽいからあだ名として委員長呼ばわりされている、みたいな感じのほうがいいかと。

あとは、字下げがしてあったりなかったりで適当です。
やるならやる、やらないならやらないでいいと思います。
208創る名無しに見る名無し:2009/09/24(木) 22:34:36 ID:oytDiRyj
2009年09月24日

ガタガタ五月蝿えな
「大学にクラスが、そしてクラス委員長がいるなんておかしい」などと一部の酔っ払いがわめいているが、
フィクションと現実の区別がついてない危ない奴だと言わざるを得ない。
例えばアニメの高校生に対して「髪の色がピンクや緑なのはおかしい」とツッコむ奴がいるだろうか?

大学の「委員長」も同様、世界観に必要な設定だから導入されたわけであり、
妄想と現実の区別をつけられぬまま社会に放り出されたキモオタはとても危険だ。
例えば来期は、1つの学校に生徒会が三つあるラノベアニメとか出るじゃん。
それに比べれば「委員長」のいる大学など些細なもんだよ。このまま執筆続行する

posted by 論理卿X at 20:58| 「対消滅的な彼女」 | | http://logos3.seesaa.net/
209198:2009/09/24(木) 22:51:58 ID:M2JEQymp
>>207を受けての話なのかわからないけど、一応。

>>208
上で「設定を大仰にするなら、その意味が無いと駄目」って書いたけど、
その時に言った事をもう一度読み返してもらいたいかな。

対象とする人間の年齢とか考えて、ある程度そこら辺の使い方というのは
考えないと、って書いてるのは、何も数字的設定に限った話じゃない。

委員長という存在が物語りに必要不可欠であり、それが大学に存在する
のにも理由があるというのなら、そこら辺は物語から読み取れないと
駄目なんだよ。年齢的に上の人間に読ませようとしているなら、ね。
髪の毛が緑だとか、そういうもう「アニメや漫画では当たり前の事」という
認識が既に多くの人に存在しているような事項ならともかく、普通委員長は
大学にはいないはずなんだから、そこの意味を説明できていない段階で
「意味のある事なんだから黙ってろ」と言うのは、小出しにしている人間が
言うべき言葉ではない。
意味のある事が後に説明されるという事なら、その事を説明して
理解を求めた方がいいんじゃないかな。
でなければ、最初から小出しにする事自体をやめた方がいいと思う。
そういう点で突っ込まれるのは、小出しにしている以上当然なんだから。

逆に、既に説明はしているのに理解してない人が多いという事なら、
そこは書き方に工夫が必要だと思うよ。

まあ、これも「後々委員長という呼び方がされる意味が明かされる」
という事なら、という前提付きだけどね。それに意味がなく、ただ単に
緑髪なのと同じように、何となくキャラの個性としてそうしているだけ
という事なら、小出しにしても全部出しても同じことだけれど。


追記しておくと、一応「クラス」については、大学でも無いわけじゃない。
とはいえ、小中高におけるそれとはまた違うので、やはり委員長は
ありえないんだけどね。
210らき☆蓋 ◆FUTAXpF4Lc :2009/09/24(木) 23:59:23 ID:ykw2a3Oz
>130 「優しさと残酷の狭間」シリーズ
 たまたまの流れかもしれませんが、こちらもユニークを切り落として行ってみてみると、
「テーマ」が核ではないかと見えてきました。特には「優しさ」とは何ぞや? ですね。

 と、最初にユニークを見定めてみた上で寸評的なことを少し。
 筆致は淀みなく、やや台詞多めのト書調にも見えますが、台詞だけで発言者が特定できる
書き分けの技術があるのでこれは流れを良くする上で効果的に働いています。
「――と、十津川は言った」が多すぎるタイプの小説とは真逆。
 表裏として惜しむらくは、世界の様々の背景設定を「口で説明」している場面が多いこと。
スパロボ系や今のVIP系のスレッド小説などではこれは普通の演出なんですが、
地の文信奉者からするとちょっとライトに感じる向きもあるでしょう。
 ライトな印象を強くしているもう一つの要素として、大変に上から目線の発言のようで恐縮ですが、
ある種の語彙の少なさ、ことばの軽さ、ということが言えるかと思われます。
 無論のこと、平易な表現であるテーマを掘り下げて書くことは、難度と意義の高いことです。
その点において、「ライトで悪い」ということを言うつもりは神掛けて御座いません。
 ただ、「優しさ」という人類普遍のテーマを、それこそ文学作品や戯曲で扱うような骨のあるテーマを、
現代ライトノベル的台詞センス文章で料理するのは、これは非常に手強い行程。
 言うなれば針金で自転車を組み上げるような、と申しましょうか。工夫と努力とセンスで出来ないことはない。
しかし非常に大変。という印象を、率直に申し上げると持ちます。

 しかし、それでも「うわーやっちゃった」「こりゃ先を読むの辛いなー」という印象にならないのは、
この作品が「優しさ」というテーマで一貫しているからだと考えます。故にここをユニークと見たわけです。
211らき☆蓋 ◆FUTAXpF4Lc :2009/09/25(金) 00:00:56 ID:jtO0MILO
 一例を挙げますと、ティアの話、この手の「読者の立場によって見解の異なる、正解のない命題」を扱うのは、
ちょっと前のアニメやラノベの流行りでありまして、るろ剣、トライガン、えばんでげりおんな例のアレ、等々
いろんな場所でわりにメジャーなテーマでした。
 こういう作品の多くが「正解のない状況に追い込まれた主人公達の葛藤」を描いているのと同じように、
「ティア」においても、特異な力を持った魔女の立場と、そのような力を持たない一般市民との立場では
正義が異なるのは当然であるし、また一般市民の立場の方が一見正義に見えやすいようなギミックも仕込んであり、
少なくとも「魔女が可愛そうだから正しい」「魔女が主人公だから正しい」「萌えキャラの方が正しい」といったレベルの
安易な結論規定型二元論に陥ることが防がれています。
 無論、文章の短さや先ほど述べました語彙の「軽さ」もあって、重厚な描写で説得力のある、読んだ人が鬱になるような
ギリギリの場所での正義論の葛藤が描かれているわけではありませんが、これはこれでいーのです。
 何故ならば、キモは「一見、何が正義かわからない状況」に、「優しさ」というテーマが快刀乱麻を断つというこの点だからです。

「何が正義か規定できない状況だしその子が犠牲にならないと大勢が困るんだよ!」
「……優しくない」
「!!!?」

 見よこの一刀両断。俺のカタルシスを伝えるためにいくつかの世界をアリスに斬ってもらおう。
212らき☆蓋 ◆FUTAXpF4Lc :2009/09/25(金) 00:02:06 ID:jtO0MILO
・使用前
「姉サンを殺した貴様が何故幸せに生きている!? 絶対に許さんぞ抜刀斎!」
「巴……。薫殿……。ううっ……。拙者は……(鬱)」

・使用後
「姉サンを殺した貴様が何故幸せに生きている!? 絶対に許さんぞ抜刀斎!」」
「不殺で頑張っている人をそんな風に言うのは優しくない」
「そっ、そりゃ優しいか優しくないかで言えば優しくないけど、でも姉サンが……」
「いつまでも過去の責でぐちぐち言って優しくない」
「……。」

・使用後
「こないな時代やと人生は絶え間なく連続した問題集や(中名台詞略)
 ……選ばなアカンねや!! 一人も殺せん奴に一人も救えるもんかい!」
「その考えは優しくない」
「やっ、優しくはないねんけど、選ばなあかんねんで?」
「凄い実力があるから選ぶとかしないでいい」
「さっ、左様で……」

・使用後
「さあ、僕を消してくれ。 そうしなければ君らが消えることになる。
 滅びの時をまぬがれ、未来を与えられる生命体は、一つしか選ばれないんだ」
「一つしか選ばれないとか優しくない」
「……君が何を言っているのかわからないよ」

 ダメだ。ちゃんと伝わってない気がする。たぶんダメだ。
 まあ、ダメでもいいです。とにかく、魔女という特異な存在を抱えた世界を見る読者にとって、
単純なキャラ萌え等では済まされない、考えさせられる葛藤の状況が「あった上で」、
さらにそれを明確に切り分ける価値「優しさ」が提示されていることで、読者が考える端緒がある。
これはどう考えてもユニーク。今のところ全作品この優しさロンギヌスの槍が貫通してますし。
213らき☆蓋 ◆FUTAXpF4Lc :2009/09/25(金) 00:02:49 ID:jtO0MILO
 多少、webで「批判」とか言っていい気になってるキモオタから「語彙が軽い!」とか難癖付けられても、
こんだけテーマを持たせた一連の文章を書けてる人は少ないんだから、全然気にする必要ないッスね。
これは是非完結させるべき。エピソードを書き切ることにきっと意味があると考えます。

 という結論を出した上で、批判を越えてコメントを付することとしては、やはり語彙力、
あと演出センスはもう少し鍛えたい。今現在のものに大いに不足があるというよりは、ええと、
『バクマン』とか見てますかね。台詞を磨くことで推理漫画としてもっと洗練される、みたいな描写が
あったと思うんですが、ああいうノリで。
 現状でこの作品を手っ取り早く「強くする」のは、語彙と演出の強化であると考えます。
描写がくどくなっちゃうと作品の良さが殺されるので地の文を月姫チックに書き込む方向ではなくて、
たとえば……、ってやめた。添削をやるコーナーじゃなかった批判批判。
 まあ、アレです。同じような堅調の、人類普遍のテーマを扱った小説を、出来たらそれこそ明治大正の
文豪達の小説を、教科書に載ってるのでいいからちょっと見直してみると、きっと発見があると思います。
「舞姫」「こころ」あたりが教科書に載ってるんじゃないかな。まあ、そのへんを適当に。

 最後に思いつきレベルのことを書くと、全方位的に徹底的に強めることを考えるなら、
この作品はラノベ的に挿絵効果なんかも結構高いんじゃないかと思いました。
 少なくとも挿絵があると「悪くなる」作風じゃないし、何より、いくら台詞のセンスに絶大な自信があっても、
女子四人とか今後プラスアルファを描き分けるとなるとだんだん厳しくなる可能性もあり、
ヴィジュアル一つポンと読者の頭に放り込んでおくと理解を助ける上でそれなりに効果はあるかと。
 まー挿絵は読者の想像力を停止させる面もあるんで善し悪しではあるんですが。

 うーん。今作のユニークを掴んだ自信はあるけど、書いた人の参考になるかは全く微妙な文になってしまった。
お詫びしつつ投稿どうもありがとうございました。
214創る名無しに見る名無し:2009/09/25(金) 00:04:23 ID:h3jvp1wy
すげー。
蓋さんすげー。
215創る名無しに見る名無し:2009/09/25(金) 00:13:29 ID:VIhZ+bif
蓋節を久しぶりに見させてもらったぜ
216創る名無しに見る名無し:2009/10/11(日) 17:08:50 ID:Dgfmv9WL
若干グロいかもしれません。一応ホラーです。
批評頂ければ嬉しいです。

【兎】

 ランドセルを背負ったまま僕は人気の無い運動場を歩いていた。砂埃が風に煽られて僕の
視界をささやかに茶色く染めている。目前の影は長い。後頭部にじりじりと傾いた夏の太陽
を感じた。
 僕は真っ直ぐに運動場を横切った。背中から飛び出したリコーダーが僕の影を歪にしてい
る。歩いて歩いて辿り着いた先には、金網で仕切られた小屋があった。金網は塗装が剥げて
しまって錆びた黒色が覗いている。金網に掛かった腐りかけの木の板には元の色さえわから
ないほど荒んだインキで中にいるはずのイキモノの名前が書いてあった。

「ウ、サ、ギ」

 辛うじて読めるその文字を僕は声に出して読み上げた。振動が音になってやがて風が金網
を揺らした。金網の向こうの薄汚い小屋が微かに揺れた気がした。
 小屋の中から転がるように出てきたのは白い毛を持った兎だった。だが、その毛皮は美し
い白なんかではなく、どこかくすんでいて、毛が抜けたのかピンク色の地肌が所々見てとれ
る。だが、何よりも僕を不快にさせたのは体の肉という肉が全て削げ落ちてしまったような
骨の浮き出た体だった。愛玩動物らしい丸みのあるフォルムではなく、そこには生気を失っ
た一匹のイキモノがいる。
 兎はヨロヨロと僕の立つ金網まで歩み寄って来ると真っ赤な目で僕を見上げた。体から反
り出したような気持ちの悪い血の色に似た双眸が僕を見つめている。絶えず動いている小さ
な口は今にも何かを喋り出しそうな気がした。骨張った白い腹に真っ赤な血管が見えた。
 兎は口を動かすのを止めない。
 僕はポケットに手を突っ込んで何かないかとまさぐった。出てきたのは昨日食べたチョコ
レートの銀紙とネリケシの欠片だけだった。
 銀紙を指で掴んで金網の中に放り込む。銀紙は兎の頭にぶつかって乾いた土の上を転がっ
たが、兎は銀紙に見向きもしなかった。赤い赤い目が僕を見て盛んに口を動かしている。
 僕は脅されたようにランドセルを背中から下ろしてつまみをひねって逆さに振った。中か
らは落書きだらけの教科書やノート、校長先生の似顔絵なんかが飛び出してそこらに散乱し
た。
 僕は最後の最後に出てきた潰れたパンの一欠片を指先で摘み上げた。兎と目線を合わせる
ようにしゃがみ込んでパンを摘まんだ指を金網の中へ入れる。兎は動かし続けていた口を即
座にパンに近付けた。大きなパンの欠片はすぐに兎の口の中へと消えていく。僕はパンから
指を離そうとした。なのに、パンにまるで接着剤がついているみたいにパンは指から離れな
い。
 兎はどんどんパンを視界から消していく。
 もう、小指の爪ほどもパンは残っていない。
 僕は尻もちをついてパンを持っていない手で金網を押してその場から離れようとしたけれ
ど、体はその場からぴくりとも動かなかった。
 カリカリと聞き慣れない音が金網の中から聞こえた。
 見てみれば兎が僕の指を齧っている。既に人差し指の先はほとんどどこかに行ってしまっ
ていた。
 僕は不思議とその様子を見て心の中から恐怖が消えるのを感じとっていた。指はどんどん
無くなっていって、僕はその度に金網の中に引きつけられていく。兎の前歯が僕を削ってい
く感覚だけが妙にリアルに感じられた。
 夕日が地平線に沈むころ、金網の前にはもう誰もいなくなっていた。残ったのは黒いラン
ドセルと散乱したその中身だけだった。
 散らばった物の中に茶色い染みのついたプリントがある。プリントには一年間の係の仕事
と担当の名前が書いてあった。
 風がプリントを金網の近くへと運んで行く。
 金網の向こうには一羽の兎がいた。兎はその赤い目で“ウサギ”の欄に僕の名前があるの
をただじっと見つめていた。
 一度たりとも止まることの無く口元を動かしながら、その痩せこけた兎はやがて夜が来る
前に薄汚い小屋の中へと戻って行った。
217ごんべえ:2009/10/13(火) 02:31:52 ID:uttPxoGA
 この村は、何かがおかしい。 
 確かにこの村は、他の村と比べ、潤っているし人口も多い。だが、何かがおかしいのだ。他の村とは違う邪悪で陰湿な「もの」が、この村にはある。
 俺がその違和感を感じだしたのが、今から三年前だ。つまり、村の外れに教会ができた年である。この日を境に救いようもないほどに廃れたクリープ村は、不自然なほどに栄えた。
 どう考えても普通ではない。はっきり言ってこれはもう超常現象である。教会がたった一箇所できただけで、廃村寸前の貧乏村が、今では大型ショッピングモールが建つほどの潤いぶりを見せる……
 こんな馬鹿な話があるか!?
 だが、これは現実なのだ。間違いなく今、現在進行で俺の目の前に迫り来るリアルなのだ。
 村の連中は皆、神のご加護だとかなんだか訳の分からないことをほざきやがるが、いい加減にしろ!! 神だのキリストだのそんなもんこの二十一世紀の世知辛い世の中に存在する訳ねえだろうが!!
 そうだ……これは陰謀なのだ……
 ユダヤが俺たちの村を乗っ取るために仕掛けてきた大陰謀なのだ!! 
 つまり、ユダヤがこの村を拠点にアメリカの経済を独占しようと企んでいる訳だ……
 これはまずい。限りなくヤバイ。誰かが戦わなきゃならない。でも誰が! 誰がそんな勝ち目のない無謀な戦いに身を投じるというのだ……
 もうだめなのか……俺たちはこのままなす術もなくユダヤやキリストに蹂躙されてしまうのか?
 いや!そうじゃない!!
 WWUを思い出せ!!かつてジャップ……いや、失礼。誇り高き日本人は負け戦にも拘らず、神風アタックで我々に真の武士道を見せつけたではないか!!
 いまこそ俺たちは、その誇り高き精神を見習いこの腐れた村に愛と勇気と革命を___________
 


「はい、ジョン・ブラーソン君。素晴らしい演説ありがとう」
 あの糞ババア!俺の素晴らしい演説を中断させやがって!!
 ん?なんだか周りの視線が痛いなぁ……俺の耳を劈くのはまさか、賞賛の言葉ではなくブーイング?
 ……なんだよ、その哀れみと軽蔑の入り混じったような目は!!
 ……見るなよ……そんな目で俺を見るなよ!!
 こうして、俺の学校革命大作戦!!は、失敗に終わり元々変人扱いされていたのがもっと酷くなってしまった。
 だが、見てろよ!俺はいつかこの味気ない毎日にピリオドを打ち、この学校に愛と勇気と革命をもたらしてやる。
 そう心に決め俺はトボトボと家路に着いた。

 他スレで批評して頂いたのですが、できれば批評して頂けたら幸いです。
218創る名無しに見る名無し:2009/10/28(水) 12:55:38 ID:ngabBqnC
http://poemvador.seesaa.net/

『天体観測』
『天体観測』詩学卿 ジャンル:ホラー サスペンス
 容量:60ページくらい

天体観測・画像.zip
ttp://poemvador.up.seesaa.net/image/C5B7C2CEB4D1C2ACA1A6B2E8C1FC.zip
219創る名無しに見る名無し:2009/11/19(木) 22:44:57 ID:KD6Ii6lU

>>216
これが批評になるかどうかわかりませんが……

本来恐怖というものは自分の身に迫ってくるものでないと何も感じないのではと私は思うのです。
見知らぬ登場人物がただ無残に殺される。
そこにグロはあっても恐怖はないと思います。
文章がホラーであるためには、読者が物語の登場人物、
もしくは状況に感情移入するだけの準備を整える必要があるのではないでしょうか。
220創る名無しに見る名無し:2010/03/30(火) 06:42:50 ID:ETBcdXi3
てすと
221きり番ゲッター:2010/07/04(日) 16:18:38 ID:k5XMgn5X
面白くない却下!
222きり番ゲッター
222ゲット!

創作活動頑張ってください。