参加者リスト
6/6【うたわれるもの@アニメ】
○ハクオロ/○エルルゥ/○アルルゥ/○ベナウィ/○カルラ/○トウカ
6/6【BACCANO!@小説】
○フィーロ・プロシェンツォ/○エルマー・C・アルバトロス/○ラッド・ルッソ/○クリストファー・シャルドレード/○グラハム・スペクター/○クレア・スタンフィールド
6/6【ひぐらしのなく頃に@アニメ】
○前原圭一/○竜宮レナ/○園崎魅音/○北条沙都子/○古手梨花/○園崎詩音
5/5【スクライド@アニメ】
○カズマ/○劉鳳/○ストレイト・クーガー/○橘あすか/○無常矜侍
5/5【ローゼンメイデン@漫画】
○桜田ジュン/○真紅/○翠星石/○蒼星石/○水銀燈
5/5【ワンピース@漫画】
○モンキー・D・ルフィ/○ロロノア・ゾロ/○ウソップ/○トニートニー・チョッパー/○サー・クロコダイル
4/4【ジョジョの奇妙な冒険@漫画】
○東方仗助/○広瀬康一/○吉良吉影/○ジョルノ・ジョバァーナ
4/4【とある魔術の禁書目録@小説】
○上条当麻/○御坂美琴/○一方通行/○土御門元春
4/4【ポケットモンスターSPECIAL@漫画】
○レッド/○イエロー・デ・トキワグローブ/○サカキ/○ミュウツー
3/3【終わりのクロニクル@小説】
○佐山・御言/○新庄・運切/○ブレンヒルト・シルト
3/3【トライガン・マキシマム@漫画】
○ヴァッシュ・ザ・スタンピード/○ニコラス・D・ウルフウッド/○リヴィオ・ザ・ダブルファング
3/3【Fate/Zero】
○衛宮切嗣/○アーチャー(ギルガメッシュ)/○ライダー(イスカンダル)
3/3【BLACK LAGOON@漫画】
○レヴィ/○バラライカ/○ロベルタ
2/2【コードギアス ナイトメアオブナナリー@漫画】
○ナナリー・ランペルージ/○ゼロ
2/2【ドラえもん@アニメ】
○ドラえもん/○野比のび太
2/2【WORKING!!@漫画】
○小鳥遊宗太/○伊波まひる
1/1【ARMS@漫画】
○高槻巌
1/1【あずまんが大王@漫画】
○春日歩
65/65
【能力制限】
◆禁止
・ハクオロのウィツァルネミテア化(@うたわれるもの)
・ローゼン勢のNのフィールドへの侵入(@ローゼンメイデン)
・吉良吉影の"第三の爆弾バイツァ・ダスト"(@ジョジョの奇妙な冒険)
・ジョルノ・ジョバァーナの"ゴールドエクスペリエンス・レクイエム"(@ジョジョの奇妙な冒険)
・ドラえもん本人の四次元ポケットは没収(@ドラえもん)
◆制限
[BACCANO!]
・不死者の耐久力(頭部切断、出血多量など通常では致命傷に成り得る負傷を受ければ死亡、回復速度に衰え)
[スクライド]
・アルター威力制限&支給品のアルター化は禁止。
特にカズマの第三段階以降、劉鳳の第二段階以降、クーガーの脚部限定時の速度、無常のホワイトトリックは制限
[ワンピース]
・ワンピース勢の身体能力制限
・スナスナの実に関しては下記のとおり
あまり広範囲には広がれない
砂化しても首輪は取れない
砂化した状態でも、首輪が爆発したら死ぬ
[ジョジョの奇妙な冒険]
・ジョジョ勢のスタンド(視認と接触可、威力制限。クレイジーダイヤモンドによる怪我の治癒時に掛かる疲労増大)
[ポケットモンスターSPECIAL]
・ミュウツーの全能力制限(超能力、自己再生の速度、身体能力など)
[終わりのクロニクル]
・概念兵器の威力低下、概念核兵器は誰にでも扱えるように制限し、特に威力を低下させる
[トライガン・マキシマム]
・エンジェルアームの威力低下
・プラントの力は原作よりかなり早く進む黒髪化と負荷の増大
・回復力は速度低下
[fate/Zero]
・Fate/Zero勢の身体能力制限、宝具使用に必要な魔力と疲労増大。
・霊体化不可、物理攻撃有効
・切嗣の「固有時制御」について←2倍で小ダメージ、3倍で中ダメージ、4倍で使用後に戦闘不可能
・宝具は支給品(威力低下などの制限あり)
・王の財宝は使い手の所持品から展開
・神威の車輪は速度と高度制限
・王の軍勢は元々作中でも消耗ゆえに3回が限界点
(詳細な制限は出した書き手、もしくは戦闘などで使用する書き手が決めるなど)
[コードギアス ナイトメアオブナナリー]
・ナナリー&ネモのマークネモは制限
ナナリーとネモはセット。マークネモは10分しか使用できず、二時間経過しなければ再度使用できない。
マークネモのスペックは全面的に制限あり。
・ゼロの身体能力、耐久力、瞬間移動能力は制限(銃弾でも負傷し、通常の状況での致命傷は死亡。瞬間移動は隣のエリアまで)
支給品は話し合っているときりがないので、作中に明らかにまずい品、バランスブレイカーが出た時にフレキシブルに対応していきます
ごめんなさい……ここはpart8です
>>950 次スレはpart9なんでお願いorz
>>1-4 スレ立て乙!
前回に引き続いてスレタイ間違いだなw
最高に
>>1乙ってやつだァー!
どこまでうっかりが続くのかw
ハッ!これはもしやトウカさんの呪い…!?
とりあえずあっちは誘導用にちょっと残しとく、でいいのかな?
埋めちゃっていいんじゃない
どうせなら雑談でもするか
だね
それにしても詩音はぶっちぎってるよなw
修正、というほどでもないだろうが、
電電虫を預けたのにヴァッシュと康一がサカキの名前を知らないのは
おかしくないかなぁ?
予約キター!
またもダブルクロコダイル!
ルート分岐かな。どっちも楽しみだ
12 :
創る名無しに見る名無し:2008/11/19(水) 08:58:42 ID:xSbHDDR1
○
ク……クロコダイルだと?
ルート分岐ですか
久しぶりのルート分岐だねぇ
今のところ、A-1とA-2の違いは上条さん、一方通行の生存だから、どちらとも矛盾はしないとなると、
さらに分岐して、4ルートになるのかな。
おお、また予約きてたか!
クロコ期待×2だな
それに、なんだかんだでまだ全員出揃ってる訳じゃないんだよね
ブレンヒルト先輩なぁ…。
まだ、終わクロ1巻の下の後半までしか読んでなくて…。
もう本屋に終わクロ置いてないorz
ブックオフも探してなかったから遠出か注文になりそうだぜ……
前スレによれば二巻まで読めばいいらしいから、ある意味把握は楽なのかな?
確かに。
禁書目録はアニメになってるくらいだから、本屋にはあるだろうが…。
逆を言えば、古本屋にはなかなかないから原価入手になるんだよなぁ。
古本屋にも結構あると思うぞ
始まったのはだいぶ前なんだし特に最初のほうの巻は
ラノベなんて大抵105円なんだから探してみなよ
そうするわ。
禁書目録は何巻くらいまで読むのがお勧めだろ?
キャラ把握や設定把握的に。
とりあえずは四巻かな
ごはあっ>4巻
御坂だけなら、youtubeでアニメ見て、漫画の「とある科学の超電磁砲」を読むって手もあるw
バカノとおわクロと禁書の把握するために古本屋をまわった。
全部一冊350円てなによ、
350円て……お財布干上がるわ
超電磁砲はおもしろいね
禁書目録は俺にはさっぱりだw
古本屋で終わクロは着々と集まるのに、禁書が全く見つからない俺は…やっぱりアニメか?
350円もするか?
あ、まんだらけとかは人気があるやつは高値つけるって聞くな
ブックオフとかのほうが安いんじゃね
禁書はアニメ化でブックオフでも数が減ってるんだと思うわ
中古でも大抵300〜400くらいだね。特に終わクロなんて分厚いからそれより高くなったりする
このロワに参戦してる作品を105円の棚でほとんど見たことが無いと元ブックオフのアルバイトがいってみる
終わクロの最終巻は……昔発売したのを見たときは、凶器かと思った。
・―――最終巻は鈍器になる
だれかいる?
一応
投下です。
時刻はすでに午前二時を回っていた。
依然として空は暗く、日が昇るにはまだ幾許かの時間を要するだろう。
それまでの間、いかに光を欲しようとも限られただけしか与えられないのだ。
だが、この場ではその限られた光すら許されない。下手に光を求めればその先は、死。
ここはそういう場所だった。
現在、彼らは地図の境目、つまり会場のループが行われる地点にいた。
出発点の映画館からの距離にして約2km。いかに周りを注意しながら慎重に行動してもここまで遅くはならないが、
それには理由がある。彼らはこの境目に着く前に消防署に立ち寄っていたのだ。
結果として其処で大した物は得られなかった。中は完全に無人で、其処に人がいた形跡は無かった。
切嗣は事務所内に配備されている地図を確認したが、ものの見事に支給品の地図と同じものに刷りかえられていた。
車庫にあった消防車についてだが車の鍵は署内にあったし、車にはガソリンも入っておりエンジンもかかった。
それでも切嗣と圭一は消防車を使わないことにした。第一に、圭一の目的である仲間を探すことが難しくなるからだ。
車の音で警戒されて隠れられ、発見が難しくなる。第二に、敵の標的になりやすいということだ。移動手段としては
十分だが移動時の音が大きいことと、いかに車と言えど人間が十分に対応できる速度であり、防弾でないのに真正面
から撃ち込まれてはあまりにも拙いだろうと切嗣が判断したためである。
実際、消防署ではロープ数本、消火器、双眼鏡、ヘルメットと防火服、それにカッターナイフを失敬しただけで後にすることになった。
ヘルメットは既に被っている。無いよりはましだということだろう。
不思議なことに、このデイバッグはどんなに物を入れても重さも体積も変わらない。それなら車も入れてしまおうと圭一が
実行したが、さすがにバッグの口が狭くて車が入ることは無かった。
もし入ったなら上空から車を落として奇襲に使おうと切嗣が考えていたのは秘密である。
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さて、切嗣は双眼鏡で前方を確認していた。暗闇とは謂えど道には街灯が灯っており、それに強化の魔術により
眼を強化していたのである程度は前方の確認が出来た。しばらくして切嗣はあることに気がつく。
「圭一君、この会場はおそらくループしているかもしれない」
「はあ!?」
思わず圭一は聞き返す。
「声が大きい。おそらくだがね、距離的に考えてここは既に地図に載っていない位置になるし、かといって全く別のエリアでも
なさそうだ。遠くだが前のほうにそこそこ大きな建造物がある。ループしているならアレがこの地図のモールになるんじゃないかな」
圭一は地図を確認する。確かに切嗣の言うとおりループしているならば圭一には見えないが其処にはモールがあるのだろう。
ほかにもよく見てみれば、右と左の道がつながっていたりするのできっとそうなのだろうと思った。
「じゃあ切嗣さん。今から向こうに移動するんですね?」
「ああ、そういうことだ。疲れるだろうが、移動するなら日が昇る前の今しかない。」
頭に被ったヘルメットを正し、立ち上がろうとする。
瞬間、何かが地面に当たり弾ける音がした。
圭一が何が起きたのかを確認する前に、切嗣は圭一を引っ張り近くの民家の塀に転がり込んだ。
突然の奇襲で相手の詳しい位置が分からない以上この判断は順当なものだろう。
すかさず切嗣は銃を構え、圭一も刀の柄に手をかける。
「切嗣さん、俺も戦う。援護させてくれ」
「いいや、君はダメだ」
突然の拒絶に圭一は驚く。
「なんでだよ!少しでも手伝えるかもしれないだろ!」
それに対し切嗣は塀の向こうを睨みながら応える。
「あまり思い上がるな。君はあくまでも一般人でしかない」
「でもそれでも……!」
「君にはやらねばならないことがあるんだろう?それなのに此処でみすみす命を危険にさらしてどうする」
確かにそうだ、と圭一は思った。自分の目的は仲間と共にこの殺し合いから脱出すること。それなのに自分が死んでしまっては
元も子もない。自分はまだ此処で死ぬわけにはいかない……が、
「でも切嗣さん、本当に一人で大丈夫なんですか?」
やはり切嗣のことが心配であった。今は切嗣と共に行動しているが出会ってから数時間しか経過しておらず、お互いのことは
まだ知らないことも多い。そういった点で切嗣が果たしてこの危機に対応できるのかは不安ではあった。
「大丈夫だよ、いざとなったら逃げることも出来る。自分の状況くらい判断できるさ」
切嗣のこの言葉と落ち着きように圭一は少し安心する。
「信じていいんですね?」
「ああ、何せ僕は魔法使いだからね。」
「え?」
冗談なのだろうか。勿論否である。それを知らぬ圭一はいささか突拍子の無い言葉にポカンとしたが、なんとなく納得させられた。
「それじゃあ塀をつたって家越しにあの場所まで戻るんだ。6時までに戻らなければ僕のことは無視して行動してくれ。」
「分かりました。必ず生きてください、切嗣さん。」
そう言うと、圭一は民家の裏に行った。
「ククク……話し合いは済んだか?」
圭一とは違う低い男の声が塀の向こう側から聞こえてきた。
「―――――何者だ?」
切嗣は姿の知らぬ声の主に問いかける。
「馬鹿が。今から死ぬ人間にそんなことを答えると思うか?」
「同感だ、だが……」
「馬鹿はお前だ」
そういい終わる前に家の門より飛び出し、ちょうど飛び込み前転のような形で相手の銃弾を避けながら正確に相手の心臓部に
スプリングフィールド弾を命中させ、向かいの民家に身体を隠した。
遮蔽物の無い場所にいる以上相手に声で位置を悟らせるようなことをしてはいけない。その時点で声の主は切嗣にしてみれば
馬鹿としか形容出来なかった。
だが、すぐに切嗣はその意味を理解する。
「見事に命中させたのは褒めてやる。だがな、その程度では俺は死なねえんだよ」
違和感は銃弾を命中させたときに感じた。見間違いかとも思ったが再び塀にに隠れるときに眼の端で貫通した相手の傷口から
砂のようなものが出ている気がしたが、確かに銃弾は命中したはずだ。少なくとも立っていられる筈が無い。
だがそれはあくまでも普通の人間の話であった。切嗣は失念する。そう、彼のように魔術師が呼ばれているのなら
別に超常の者がいてもおかしくは無い。だが、彼もいつまでも動揺はしない。彼は今まで常に条理の外の敵と戦ってきたのだから。
「どういうことだ?」
「いちいち無駄な行動されるのもうっとおしいから教えておいてやる。俺の能力はスナスナの実によるものだ。
それを食って俺は砂人間になった。銃だろうが刀だろうが俺には全く通用しねえ。つまりだ……何を言いたいかわかるか?」
その発言にいくつかの疑問を切嗣は感じたが、おそらく取り合わないだろうと判断し、彼は自らの呪文を呟く。
「大人しく俺に殺されろ」
同時に、男の姿が切嗣の後ろに現れる。
身の丈は切嗣より高い。髪はオールバックで、肌には血の気の色があまり無く、傍目から見れば病人のようにも見えるかもしれない。
左手には黄金のフックをつけており、右手には拳銃を握っている。
決して切嗣が知ることの無い世界において、七武海として名を馳せたサー・クロコダイルそのものだった。
クロコダイルの拳銃から銃弾が発射される。常人では避わすことすら不可能な距離。銃弾はこのまま切嗣の胸と頭を貫くのだろう。
だが、切嗣もまたそのような条理にある者ではない。
銃弾が発射される前に超人的なスピードでその場から脱出し、路上に飛び出る。
すかさずクロコダイルも身を翻し残りの銃弾を放つがそれすらも切嗣によって回避された。
今度は位置が逆となり、二人は向き合う。
眼にも止まらぬ勢い。これは決して常人が発揮できる身体能力ではない。それを切嗣が成し遂げたのは、彼の行う魔術にある。
特定の空間の内側を外界の時の流れから切り離し、意のままにする魔術。切嗣の祖である衛宮家は代々この時間操作についての
魔術探求を継承してきた。だが、この魔術はあくまでも大掛かりな魔術であることが前提とされており、戦闘においては本来
無用の長物でしかない。しかし、切嗣はこの魔術を自らにカスタマイズさせるための応用を編み出していた。
自らの体内のみで時間操作を行うことにより、自らの負担を軽減し数秒の時間を操作する。
これが衛宮切嗣の我流魔術、『固有時制御』である。
先ほどの回避において、クロコダイルの放った銃弾4発を避けるために回避に必要な身体のあらゆる機能を全て倍速に加速した。
銃弾の軌道も十分に読み取ることが出来たため、後は反射速度さえあれば避けるのは至近距離であれ難しいことではない。
実際、すぐに撃たれていれば間に合わなかったかもしれないが、クロコダイルは自らに危険が無いのをいいことに慢心していたため
銃弾も放たれるのが少々遅かったことがより切嗣が弾を回避するのを容易にしたといえよう。
クロコダイルの能力は現時点でのこのバトルロワイヤルにおいてかなり有利なものである。
たとえ能力の正体を知られても対処法まで看破されることはまず無い。いくら砂人間だからといって水をかければ砂にはなれないと
誰が思うだろうか。おまけにその対処法を知っているのはこの会場では麦わら海賊団の一味、いや、モンキー・D・ルフィだけかもしれない。
それ故に、彼の全員皆殺しというスタンスは対クロコダイル作戦等と対策を立てられることを考えれば上策ではある。
ただし、相手を初見で仕留められればの話だが。
「チョロチョロと逃げやがってこのネズミめが……」
何度も標的を仕留め損なったことにクロコダイルは自身に苛立つ。
この男にでは無いにせよ、自分は一度負けている身である。そもそも慢心する余裕などは無かったのだ、と。
彼は切嗣を睨みつけながら銃をデイバッグに収め、乱麻を断つが如く右腕を振り下ろした。
「砂漠の宝刀(デザート・スパーダ)!」
自らの腕をまるで剣のように変形させ、直線的に対象を切り裂くこの技。
否、切り裂くというレベルではない。
振り下ろされた砂の剣は切嗣に到達する前に路上のアスファルトを抉り砕きながら尚もそのスピードを緩めることも無く切嗣のいる場所に
到達する。しかし、切嗣もただ案山子のように立っているだけではない。すでに2度目の固有時制御を自らに掛けており、容易にその
一撃をも回避した。切嗣は体勢を整えながらもその威力に眼を見張る。
アスファルトに刻まれた亀裂は切嗣の後方にまで伸び、しかも幅も深さもとても一撃で為したとは思えないほどの威力だ。
喰らえばとてもじゃないがただで済むとは思えない。
対峙する相手はもう二撃目を繰り出そうと振りかぶっている。
現状で切嗣の攻撃はクロコに通用しない。持久戦など以ての外。このままではいずれ切嗣が隙を突かれるであろう。
そして切嗣は決断する。
「Time alter ― triple accel(固有時制御、三倍速)!」
先ほどの加速をも更に凌駕する加速。ただしそれは回避のためだけではない。
クロコダイルに向かって逆方向に、全力で駆け出したのだ。つまり、戦闘離脱である。
すかさずクロコダイルも砂の手を伸ばし切嗣を捕らえようとするが、既に切嗣は届かぬ範囲へと逃れてしまった。
「チッ……」
従来のクロコダイルならば切嗣を捕まえることも簡単だったが、このバトルロワイアルにおいて彼は広範囲の攻撃を制限されていた。
前の戦闘で薄々感づいてはいたがようやくクロコダイルは確信した。
「余計な事しやがって……あのギラーミンとか言う奴も殺すか」
無論、彼に他人と協力する気は無い。自分で生き残り、その上で主催を殺そうと考えているのだ。
「とりあえず、あのネズミでも追うか」
そう言うと、クロコダイルは切嗣の逃走した方向に向かって歩き出した。
クロコダイルから離れること300メートル。
切嗣は、彼の仮説が正しければ存在するであろうモールへと足を運んでいた。
先の戦闘の所為か、切嗣の呼吸は少し乱れている。いや、正しくは彼の行使した魔術に因るものである。
固有時制御の最大の欠点は、肉体にかかる極度の負荷だ。
時間調整の術は必然的に結界内外の時間流に誤差を生じさせることとなり、結界が解ける、つまり魔術の行使が終了した
途端にその時間差を補おうと「操作された側」に修正が働くことになる。この場合、切嗣の肉体そのものを元の時間流に合わせようと
押し曲げるのだ。肉体を損壊させずに行使できるのは精々倍速止まりであり、それ以上はまさに血肉を削ることになる。
今、切嗣は表情に表れていないものの身体にはかなりの負荷がかかっている。休息もなしで立て続けに戦闘を万全に行うことは
不可能だろう。それでも、切嗣は歩を止めることは無い。勿論一段落着けば休もうと考えてはいるが、彼には
一刻も早くこの殺し合いから脱出し、自らの戦争を終わらせ、聖杯を獲得する使命がある。
それが切嗣の望みであり目標であった。
【サー・クロコダイル@ワンピース】
【1日目 現時刻: 黎明】
【現在地:H−5 路上】
【状態】:ダメージ無し、やや疲労
【装備】:
【道具】:基本支給品一式、拳銃(28口径)0/6@現実、拳銃の予備弾36発、ウシウシの実・野牛(モデル・バイソン)@ワンピース
【思考・状況】
1 皆殺し(主催も殺す)
2 麦わらの一味はやや優先度高く殺害する
3 ネズミ(切嗣)を追うか……
※切嗣、圭一の名前は知りません
【衛宮切嗣@Fate/Zero】
[状態]:全身にダメージ(中)、疲労(中)
[装備]:コンテンダー・カスタム29/30@Fate/Zero 、防災用ヘルメット
[道具]:コンテンダーの弾薬箱(スプリングフィールド弾30発入り)
くんくん人形@ローゼンメイデン(支給品はすべて確認済)、基本支給品一式
[思考・状況] 基本:なんとしてでも元の世界に帰る
1:脱出の方策を練る
2:モール?に向かう
3:クロコダイルから逃げる
4:圭一と合流する(余裕があれば圭一の仲間も助ける)
※ギラーミンには全く期待できないと思っています。
圭一からコンテンダーと弾薬箱を貰い、代わりに雪走を渡しました。
会場がループしていると考えました。(もう少しで確信するところ)
クロコダイルの名前は知りません。
スナスナの実の大まかな能力を知りました。
闇夜を独り、少年が走っている。
「ハアッ……ハァッ……」
彼は切嗣との約束どおり、あの場所まで戻っている。
そこは切嗣と圭一が初めてあった場所、映画館だった。6時までに切嗣が映画館にたどり着けなれば
圭一は一人で行動することとなる。何時までも同じ場所に留まっているよりはいいだろう。だが、圭一にしてみれば
この状況をとても一人では対応できないと考えていた。自分一人では必ず殺される、そう理解していた。
「切嗣さん……必ず戻ってきてくれ……」
そう願いながらも、圭一は切嗣ばかりには頼っていられないとも思った。万が一のことがあれば、
自分で行動しなければならないのだから。
このゲームに二度目は存在しない。消して書き換えることの出来ない時間。
果たして今度も彼に、いや、彼らに奇跡は起きるのだろうか……。
【前原圭一@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:疲労(中)、不安
[装備]:雪走@ワンピース
[道具]:双眼鏡(支給品はすべて確認済)、基本支給品
[思考・状況]
1:仲間を助けて脱出したい
2:切嗣と早く合流したい(切嗣のことをそれなりに信用してます)
3: 万が一のときに覚悟が必要だ
4:魔法使い……?
※時系列では本編終了時点です
切嗣から雪走を貰い、代わりにコンテンダーと弾薬箱を渡しました
クロコの名前を知りません。
……以上です。
かなり遅れて本当に申し訳ない。散々遅れてたったの13kbとは……
Aルート(上条くんが死んでるルート?)に送ります。
ところでクロコの攻撃範囲は30〜40メートルくらいでいいですかね?
修正及び疑問点あれば行って下さい
ミスった。A-1ルートです
ところで酉がおかしいのは題名まで入れたからです。
題名は「闘争と逃走と」です
重ね重ねすいません
投下乙です!
やっとループを理解したキャラが現れたか
クロコダイルもH3の廃鉱にいたはずだし、知らずにループ超えしてるんだろうね
すごくかっこいいバトルでした!乙です!
クロコダイルやっぱり制限されてるんだな
そうだよな、全開全力でいけたらチートだもん
しかしそれでもやたら強いやつが切嗣を追って圭一もいる方向へ向かっている…
先がどうなってしまうのか凄くきになる展開だ
>>54 今いるのH5だからまだループ超えはしてなくね?
投下乙ってやつだァー!
Fate/Zero知らないんだけど切嗣かっこいいな
そしてその切嗣と相対したことでクロコの余裕が消えて引き締まったか……!
圭一と切嗣が再び出会えるのか楽しみだ!
GJでした!
そして、やっとループに気付いた俺が現れたw
って、1に書いてあったのか……orz
げ!切嗣と圭一の位置表示忘れてた!
切嗣がA-5路上下部、圭一がH-5路上上部です。
投下乙!
スピーディなバトルで互いの魅力が感じられて良かった!
切嗣カッコいいなぁ、未把握だけど冷静で良いキャラ!能力も面白そうだし。
圭一が再び切嗣と出会えるどうかも気になるなぁー。
そしてまた、新たな予約が……!
投下乙!
圭一逃げる方向レナ方面だったら合流できて、レナが精神安定したかもしれんのに…w
クロコはやっぱり本気だせないんだな
でも能力制限っても身体能力も凄いだろうからハンデになるかね?
分岐性だからって無闇に分岐させんのは控えてほしいけどな
最終的にはどっちかを捨てなくちゃいけないんだし、その選択をするのは他の書き手なんだから
どっち選んでも角が立つじゃん
今回のような場合はA−1、A−2両方に◆TEF4Xfcvis氏の作品を繋げて、◆SH/Mp7eP/Q氏はA−1、A−2のどちらか好きな方を選んで繋げて新しいルートを増やすって事になる
要するに今あるルートは
A−1(最新作は◆TEF4Xfcvis氏の作品)
A−2(最新作は◆TEF4Xfcvis氏の作品)
A−3(最新作は◆SH/Mp7eP/Q氏の作品で、◆TEF4Xfcvis氏の作品が投下される前のA−1、A−2のどちらから◆SH/Mp7eP/Q氏が選択し、選んだ方から繋がる)
となる
いや、ごめんね?
自分が書いてる途中に他の人がクロコ入れて予約してたからルートわけなきゃいけないかなと思って
>>62の言ってる通りでいいなら共通ルートにします。
もうルート分岐なしにして一本化しないか?
矛盾する話はどーすんの?
分岐があると、ルート把握やwikiの編集とかが大変になるのかな?
俺はほとんどスレで追っちゃってるし序盤だから多分平気だけど
あ、それはそうなんだよね
新しいルートの目次はそのルートを作った人が編集して欲しい
っておお! また新たに予約がきてるな!
レヴィとクレアか…
レヴィの幸運を祈るとしようw
俺はアルルゥとイ丈助の無事を祈っておこう……。
レヴィの幸運が祈られる日が来ようとはw
投下乙です!
おお、ループに気付く人があらわれたか!
しかし三倍速でようやく切嗣が逃げ切れるって、やっぱりクロコ強いな
勝てそうじゃなかったらとりあえず逃げて搦め手でしとめる切嗣の性格は
初見でしとめたいクロコダイルには相性悪いとしか言えないけどw
でもまだ追っかけてきてるみたいだし、先が気になる展開だ
乙です!
クロコが自分から能力の説明をしてしまうところがワンピースっぽいとちょっと思ったw
どっちの予約も強い危険人物とめぐり合う…こりゃヤバイw
逃げてー幼女超逃げてー!
しかしレヴィの精神状態とか性格を考えると…レヴィ頑張れ!超頑張れ!
待て、クレアはマーダーと決まったわけじゃないと思うぞw
今のところのマーダーってベナウィ、詩音、ラッド、水銀燈(とゼロ?)、無常、クロコダイル
リヴィオ、大阪、バラライカ、ミュウツー、ライダーってとこかな?
ギルガメッシュとか吉良とかレヴィは微妙なラインだけど、マーダーかどうか。
>>74 でもクレアは喧嘩売られたら容赦しなさそうではあるw
しかもクレアは原作で二挺拳銃のクリスを相手に手加減状態で互角、本気出したら一瞬だったからな
正面から仕掛けようものなら敗色濃厚じゃね?
ラジカルレヴィちゃんになれば勝てるかも……………無理だなw
>>79 おおお! 地図更新乙!
やっぱり地図があるとわかりやすいなー
GJです!
あ、梨花ちゃんはまだ存命ですぜ
地図を見てやばいことに気づいた。
切嗣モール通り越してるじゃん
A-5路上上部の方がいいですかね
あ…!うわ何故に赤に…!?
直してきます
地図がキタ!!
やっぱり綺麗だなー乙です!
>>84 迅速な対応乙です!
確かにたくさん死んでるから仕方ないですよね!w
ありがとうございます
おお、乙!
やっぱ中心とか、北西とかが人もマーダーも多くて危険だな。
遊園地の周辺は、明確なマーダーがいなくて安全地帯っぽいが。
おお、wiki更新もきてる! 乙です!
ちょいと予約してた分を延長させてもらいます
了解!待ってま〜す
>>78 初っ端からカズマと殴り合った時は2828したな。
多ロワを荒らしてる奴、ここの住人だろ
いい加減にしろ!
今来てる予約って2つであってる?
レヴィ、クレアのやつとクロコのやつ
この3連休で投下来るだろうから楽しみだー
あってるあってる。
レヴィとクレアはまあ、まだ希望があるが。
クロコの方は大分幼女が心配だな。
スナスナの実もあって、今いるマーダーの中でも耐久性は抜きん出てるからなぁクロコ。
普通あの弱点はわからんからなー
ルフィはじめ、同じ出展のキャラたちを殺そうとするのもわかる
あんな安直な発想(水に濡れれば砂になれなくなる)は普通出来ねえよなあ
知らん奴がクロコ倒すにはルフィから話聞くしかないだろ
逆に知られてしまえば弱いけどな
弱い?
消防車で水ぶっかけたら弱いと思う
水に濡らされりゃ銃でも死ぬだろ
すみませんが予約期限の延長を申請します。
了解です!
ゆっくり書いていってね!
でも確かクロコって水吸収できるよね
濡れなければ砂で乾燥できる
そこで消防署ですよ
いやいやど真ん中にでっかい湖があるじゃないか!
>>102 了解です!
右手で水分を吸い取れる。
「渇き」こそスナスナの能力の真髄らしい。
というか弱点わかったくらいで簡単に勝てるなら七武海入りしてないだろうし
ロビンが瞬殺でルフィが瀕死まで追い込まれて敗北しないだろ
ハクオロはエルルゥの肛門を犯している最中にアルルゥにナタで殴られて死んだが、同時に絶頂に達したエルルゥも天国を味わいながら死んだ。
そのアルルゥも近所のガキが投げた空き缶が頭に当たって昏倒死。
それを笑いながら見ていたベナウィとカルラは、腹を減らしていたトウカに食い殺される。
一方、ハローワークで求職中のフィーロ・プロシェンツォとエルマー・C・アルバトロスは、高校中退と中卒の学歴を嘲笑われて火病る。
ハローワークの待合室で大暴れし始めたところを、競馬ですったラッド・ルッソが怒鳴り散らしながら傘を振り回して二人を刺し殺す。
ハローワークの職員でもあるクリストファー・シャルドレードとグラハム・スペクターは警察に連絡しようとするが、西成暴動の暴徒がなだれ込み、そこに居合わせたクレア・スタンフィールド共々死亡。
もともとゲイである前原圭一は、竜宮レナにそれを打ち明けたところ、何故か逆ギレしたレナが大暴れ。
園崎魅音が武装した配下の者たちを連れてレナを抑えようとしたが、それを察した北条沙都子が古手梨花に連絡。
古手梨花は覚醒剤で完全に狂った園崎詩音をけしかけて村中で乱闘を引き起こすが、そのとき火山が噴火して全員火山灰に埋もれて死亡。
カズマと劉鳳とストレイト・クーガーと橘あすかと無常矜侍は面倒くさいので全員即死。
桜田ジュンと真紅と翠星石と蒼星石と水銀燈は、エイズで死亡。
モンキー・D・ルフィとロロノア・ゾロとウソップとトニートニー・チョッパーとサー・クロコダイルは、名前が厨っぽいので死亡。
東方仗助と広瀬康一はホモ関係だったが、それに嫉妬した吉良吉影に1p刻みで切り殺される。が吉良吉影はジョルノ・ジョバァーナに食べられて死亡。
それでも満足しなかったジョルノ・ジョバァーナはトウカに躍り掛かるが、互いに肉体を食いちぎりあってる内に二人とも出血多量で死亡。
上条当麻と御坂美琴と一方通行と土御門元春は、盗んだパンティに仕込まれた青酸ガスをくんくん嗅いでいるうちに中毒死。
レッドとイエロー・デ・トキワグローブとサカキとミュウツーはバカなので即死。
佐山・御言と新庄・運切とブレンヒルト・シルトは三人まとめて階段から転げ落ち、たまたま通りかかったダンプによって挽肉にされて死亡。。
ヴァッシュ・ザ・スタンピードとニコラス・D・ウルフウッドとリヴィオ・ザ・ダブルファングも名前がバカなので死亡。
衛宮切嗣とアーチャー(ギルガメッシュ)とライダー(イスカンダル)は自分がしたうんこの匂いがくさすぎて死亡。
レヴィとバラライカとロベルタは、乗ってた船が沈没してサメに食われて死亡。
ナナリー・ランペルージとゼロも名前がアホっぽいので即死。つーかこんなキャラでバトロワしようとする人間のセンスの酷さが死因となった。
ドラえもんと野比のび太は別スレで大活躍中なので、この戦いから足抜けしているので死亡認定。
小鳥遊宗太と伊波まひるはくだらないキャラとして誕生させられたことに悲観して死亡。
高槻巌はウリ専ゲイやっててエイズと梅毒とC型肝炎になって死亡。
春日歩もとにかく死亡。
以上で全て終わり。
ところで気になったんだけど黒鍵って概念武装としての黒鍵?
まあこのロワじゃ意味ないかもしれんけど
クロコの予約って期限きれてないか?
ちょっと待ってって言ってたよ
>>113 うん、だから延長分(2日)も含めて過ぎてると思うんだが……。
一応報告は欲しいよね
遅くなりましたがレヴィ、クレアを投下します。
「チクショウ……なんだってこんな面倒なコトに……あーーー! ぶん殴りてぇ!!」
紡がれた言葉は悪態をついたもの。
周囲一帯に犇めく森林が僅かに揺らぐ。
怒りに満ちた声の主に対してまるで木々が恐れを抱くかのように。
周りには誰も居ない。
存在するは支給されたデイバックを担ぎ、少し猫背気味に機嫌悪そうに歩く一つの人影。
必要以上にギラついた双眸で時折辺りを見回す姿は獲物を求める獣のそれに近い。
黒髪をおさげに纏め、大胆に肌を露出させたタンクトップとホットパンツ姿は活動的な雰囲気を匂わせる。
そう。その人物――一人の女性は捜していた。
憂さを晴らすように土を踏みしめ、跳ね除けても見つかるわけでもないだろう。
だが、抱いた感情は燻ぶり続け、彼女から平常を失わせていく故にそれは仕方のない事。
彼女――名簿上ではレヴィと表記されたその参加者は怒りを露わにしながら、歩いていた。
「やっぱりあいつか? あのヘンテコな腕をした眼つきの悪いガキ……それかあの黒マントって線が妥当か。
あんなふざけたコトをこのレヴェッカ様にかましてくれた、勘違い野郎は……!」
レヴィとは一種の通り名。
レヴェッカという本名を持つレヴィは相変わらず愚痴を零す。
今も記憶に新しい数時間前の出来事。
気に入らない男共でもぶん殴ってやろうと思っていた矢先に飛んできた奇妙な物体。
生憎上手い対抗手段もなく、撤退という手を取ったレヴィ。
そこまでは辛うじてレヴィの堪忍袋の御を切れずにいた。
だが、問題はその後、突如彼女を襲った閃光と馬鹿みたいな強さで吹き荒れた突風。
憎々しい事をやってくれた人物は何処のどいつか――と、レヴィが疑問に思うのは自然な話である。
またレヴィの機嫌を損なう要因はそれだけではない。
愛用の二丁拳銃、ソードカトラスは何故か手元にない。
それどころか只の一丁の銃ですらもレヴィは所持しておらず、彼女の苛つきはかなりの域をいっている。
殺し合いをしろというのなら、せめて希望の武器でも持たせる位はやってもいいだろう。
このふざけた集まりの主催者と思えるギラーミンという奇妙な男への怒りもままならない。
しかし、今は自分をこんな目に遭わせてくれた人物を捜すのが先の問題。
怒り心頭のまま、レヴィは森林地帯を歩き周り辺りに目を配っていた。
目的地も碌に決めてはいない。
只、己の勘が赴くままに恐ろしい形相で、徘徊を続けるレヴィに進んで近づくのは殊勝な人間位だろう。
「ん? 人か……よし!」
やがて暗闇の中、レヴィが両目を凝らして呟く。
良好とはいえない視界の中でレヴィが確認したのは一人の参加者。
名前などレヴィが知る由もないがそんな事を彼女は気にはしない。
若干機嫌を持ち直し、レヴィは林を掻き分けて前方を歩く参加者へ近づく。
幸い目的の人物は此方へ背を向けているため、逃げられる事もないだろう。
取り敢えずの忍び足を含ませて、レヴィはその人物に接触を図ろうと声を掛けようとする。
支援
「――何か用か?」
しかし、先に口を開いたのはレヴィではなくその参加者――白い車掌服を着た男の方。
10メートルは離れた距離で男はくるりと振り向き、レヴィに問う。
既に開きかけていた口からは次の句を繋げずに、レヴィは思わず両目を見張った。
気づかれていた筈はない。無駄な音を出す程のヘマはかましていない。
だが、目の前の男はさも当然な様子で眺めてくる。
まるで大分前から自分の存在には気付いていたとでも言わんばかりの落ち着き。
更には一見武器を持たずに無防備な素振りだが其処には隙が見られない。
堅気の職に就いているとは到底思えず、自分達がやっている運送屋のようなものに近いのだろう。
時には法に触れる事もする――まさしく以前、同僚のロックに対して言った表現が相応しい。
レヴィは気を引き締めると共にその男に対し軽く苛つく。
それは八つ当たりと似たような感情だが、出鼻を挫かれた事に対し悶々としながらもレヴィは改めて口を開き始める。
「あんた、銃とか持ってねぇか? もしあたしに譲ってくれたら、その分はあんたを守ってやってもいいぜ?」
ギブアンドテイク。
未だに怒りの感情はあるものの、冷静を装いながらレヴイは交渉を持ち掛けた。
ロアナプラでの揉め事を通して、ある程度の取っ組み合いには自信がある。
だが、レヴィの本業は二丁拳銃を携えての荒事処理。
二丁とは言わずとも拳銃が一丁もなくてはレヴィの真価は発揮できず、彼女も落ち着かない。
銃はレヴィをいつでも守ってくれたのだから。
彼女の大事な半身ともいえる商売道具であり、物言わぬ相棒は彼女になくてはならない。
此処は精一杯の妥協をし、レヴィは男の反応を窺う。
見たところ細い身体つきをしており、お世辞にも良い肉体とは言えないが。
彼の言葉を一言も逃さず、そしていつでも跳びかかれるようにレヴィは身構える。
(さぁて、どうするかな。 名無しの兄ちゃんよぉ?)
理由は単純。
目の前の男が平和ボケした人間でない事を疑う余地は最早レヴィにはない。
男が着こむ高そうな白い車掌服には斑点があった。
赤黒い、仕事上で何度も見てきた返り血の跡が点々とその存在を示す。
加えて両の拳も拭き取ったらしいが未だに赤く染まっている。
きっと既に誰か人一人でも負傷させ、若しくは殺したのだろう。
名も知らぬ死人にはご愁傷様としか言えないため、特に感想もない。
重要なのは男がどれ程の練度、どんな人柄の者かという事。
軍人崩れの気まじめな男か、殺人に興奮を見出す快楽者かそれとも見かけ倒しの臆病者か。
知り合いの同業者の顔をルーレットでも回すように思い浮かべ、一体どいつに当て嵌まるのかと考える。
荒事もなく済むのなら別に構わない。
男を気に入らないのは依然としてだがそれでも先程、突風を起こした人物に対してのそれよりは弱い。
兎に角銃を手に入れる事をレヴイは目的としていたのだから。
「断る、俺にお前の助けは必要ない。見知らぬ奴の世話になる程俺は弱くない」
「へぇー……大した自信だな、あぁ?」
レヴィの表情が急に曇り始める。
簡単に渡してくれるとは思ってはいなかったが、どうにも気に障った。
確かに男が醸し出す雰囲気はロックとは程遠く、言うなればバラライカのものに近い。
だが、此処まで自分に対して自信を持っているのは不思議さを通り越して不快感すらもある。
レヴィの眼前に立つ男は血に濡れているが見たところ素手であり、武装も皆無。
なのに男の表情には特に変化もなく、レヴィが軽く睨みを利かせても動じない
やがて男は、今度は自分から言葉を紡ぎ始める。
「当然だ。何故ならこの世界は俺のものであって俺のためにある。
俺が死ぬというコトはこの世界が終る事に等しい……だったら俺が弱いわけがない。
いや、許されないといった方が正しいかもしれない」
空いた口が塞がらないとはこの事だろう。
あまりにも突拍子のない事を言って退ける男に対し、レヴィは呆れかえる。
一種の冗談かと思ったがそんな様子にも見えない。
自分に対してではなく、どこか遠くの方を見やるように堂々と口を開き続ける目の前の男が。
気に入らない。
「だってそうだろう? 俺が死ねば世界も終わる、世界が終ればこの世界に住む人間も一人残らず死に絶える。
俺はそんなコトは望んではいない。
ガンドールの兄貴達にも未だ借りは返せていないし、それに俺の花嫁になってくれるかもしれない女も居るからな。
だから俺が死ぬわけはないというコトだ」
次第にレヴィの眉間に血管が色濃く浮き出る。
段々と腹が立ってきたのだろう。
別に自分の事を罵倒されたわけではないが、それでも憤りを感じるのは無理もない。
男の緩み切った一言、一言がレヴィを刺激する。
あまりにも舐め切っている。
レヴィだけではなく、彼を取り巻く全てのものに対して――
「オーケー、もうわかったから黙りな。力づくでも荷物確認させて貰うぜ。
お前の話聞くとムカついてきたからな……!」
デイバックを投げ捨て、レヴィは更に男へ近づく。
右手と左手を絡め、ボキボキと鳴らしながら向かうその姿は只ならぬ様子である事は間違いない。
一発もしくは五、六発でも殴り倒してやろうとレヴィは考えているのだろう。
いや、もしかすれば殺してやろうとでも思っているかもしれない。
自分が死ぬわけがないと、まるで幻想染みた事を言う男がレヴィはハッキリいって気に入らない。
不幸自慢をするつもりは毛頭ないが、それでもレヴィは生きるのに苦労をした。
汚い事はなんでもやり、只日々の日常を生き残るのに精一杯だった。
幾度かの転機を乗り越え、ラグーン商会の一員となり、ようやく腰が落ち着ける居場所を掴む事になる。
その過程の中で『自分は死なない』などふざけた事を言えただろうか。
絶対にNO。そいつは甘い、甘過ぎる考えだとレヴィは考える。
ジョークならまだしも、仮にも殺し合いと銘打たれた此処で良くもそんな事が言えたものだ。
きっと男は生温い国で今まで過ごしてきたに違いない。
そう。ゴミ溜めのような場所で無我夢中に生きていた人間の事などこれっぽちも想像できないのだろう。
現実を、果てしない現実の厳しさを教える意味合いも兼ねてレヴィは確実に男に近づく。
「あたしはレヴィ、お前の名は何て言うんだ? 教えろ」
「――――だ。もしくは『線路を辿る者(レイルトレーサー)』か『葡萄酒(ヴィーノ)』とも呼ばれている。
だが、お前では俺には――」
「オーライ、よーく覚えておくぜ、このクソ野郎おおおおおおおおおおおおおッ!!」
男の声をレヴィの叫び声が強引に打ち消す。
同時に男へ飛び込んできたのはレヴィの右の拳。
女性にしては程良く付いた筋肉から捻り出された拳骨が、怒りと共に軌道を描く。
振りかぶった一撃は自分の名前、通り名を律儀にも教えた男の顔面に突き刺さる。
支援
支援
「無駄だ、俺にとって遅過ぎる」
だが、それは男が只の車掌であればの話。
素早く右腕を上げ、男はレヴィの右手を掴む。
受け止めただけでなく、がっちりと固定しレヴィはそれ以上拳を進める事は出来ない。
予想以上の反応、そして握力の強さにレヴィは驚くが未だに彼女の意思は折れていない。
「けっ! 女みてぇな名前の癖にやるもんだ!」
「ッ!―― 後悔するなよ」
「おわぁ! 上等だッ!!」
意気込みは十分だったがレヴィの身体は急に浮き上がり、彼女は思わず叫ぶ。
下を見れば何故か今まで自分と向かい合っていた筈の男の姿が。
言ってみれば答えは至極簡単な事にしか過ぎない。
そう。レヴィの身体は一瞬で上に持ち上げられ、彼女の身体は宙を舞っていた。
そして唐突に厳しさを増した握力による拘束の痛みに、レヴィは顔を顰めずにはいられない。
今までとは違う。心なしか男の語気にも荒々しさが見えたような感じを受ける。
何か『スイッチ』が入ったのかもしれない。
上等だ。思わず心が躍り、レヴィのテンションも今以上に膨れてゆく。
投げ出された空の中で体勢を整えるが、男によりそのまま木々の方へ片腕で飛ばされる。
しかし、一本の大木に激突するかの勢いをレヴィはものともせずに両足を向け、蹴り飛ばす。
前方に一度転がり込み、即座に男の次の行動に備えるレヴィの動きには無駄はない。
既に戦闘体勢は整えたレヴィは急いで男の姿を見上げるが、彼女は思わず眼を疑った。
何故なら自分の目の前に転がり込んできた物体――一丁の拳銃が其処に転がっていたのだから。
「銃が欲しいんだろう? ならそれを使えばいい。幾ら何でも俺がそれを使えばお前とはあまりにも勝負にならない。
かといって素手同士で闘り合っても俺の勝ちは明確だ。
まあ、俺としては手っとり速く終わるし構わないといえば構わないが、どうせならお前の方に少しでも勝機がある方がいいと思ってな。
その方がこっちにも潰しがいがある」
レヴィの目に飛び込んできたものは、一丁のスプリングフィールドXDと呼ばれるハンドガン。
それは目の前の男の余裕から齎された、餞別だという事実をレヴィは漸く確認。
待ち望んでいた銃が手に入り、レヴィの表情にはキャンディーを貰った子供のように喜びが浮かび上がる。
いや、そんな事は一体あり得るだろうか。
確かに無償で銃が手に入った事は紛れもなく幸運な事に違いない。
事実、レヴィの身体はまるで残像を残すかの如く跳び跳ねてデザートイーグルを掻っ攫う。
再び転がり込み、片膝を地につかせながらレヴィは右腕を突き出す。
握られたものは言うまでもなく、銀色の光沢が闇夜にも眩しい拳銃。
右手の中でスプリングフィールドが滑らかに一回転し、男のご好意に応えるかのように銃口が向く。
月光をバックにし、映し出されるレヴィの表情には――喜びなどという感情は一片もない。
「クソったれがッ!!」
銃弾に籠った想いは一つ。
只、男に対する揺らぎようのない殺意。
グリップを握りしめ、トリガーを引き絞りレヴィは躊躇なく発砲する。
サイレンサーもついていないため銃声を聞きつけて、更に面倒な参加者も駆けつけてくれるかもしれないが関係ない。
最早、数時間前の出来事すらも忘れたかのようにレヴィは目の前の男へ敵意をむき出しにする。
自分を低く見られ、銃すらも分け与えられるという屈辱は夢にも思っていない。
口汚く罵った言葉と共に銃弾が宙を駆けてゆく。
「おっと」
が、男の姿は既に其処には居ない。
耳を劈くような銃声が木霊する中で、新たに起きた一際大きな音は林がざわめいた事によるもの。
気軽な掛け声で男は横っ跳びに身体を投げ込み、銃弾から逃れた。
更に一息つく間もなく、もう一度身体をバネのように使っての跳躍。
それは一発目が外れたと確認するや否や、レヴィが撃ち込んだ追撃の銃弾を避けるための必要動作。
再び地に降り立った男は、今度は跳ぶ事はせずに両足で大地を駆け巡り始める。
男が走った後には不自然な凹凸が幾度も生まれるが彼は碌に気に留めない。
既に何発かの銃弾を弾き出したスプリングフィールドの銃口より常に一手、二手先の軌道で動き回る男。
奥歯を噛みしめ、雄たけびのような声を上げながら新しい銃弾を放ったレヴィをよそに男の姿は動いた。
一瞬で、レヴィの視界から消え失せるかのような動き――と言っても過言ではない。
「チョロチョロと……ああ! マジでムカつくぜてめぇはッ!!」
しかし、レヴィが男を見失ったのは一瞬。
日常が命を掛けた過酷なものであったため、レヴィの戦闘によるセンスは荒削りだが光るものがある。
一本の太木をほんの数歩駆け上がるように蹴り飛ばし、その反動で反転しながらレヴィの方へ向かった男を彼女は捉える。
まるで何処かのサーカス団員のようなイカレた動きだが、レヴィにその動作に対し拍手する気など毛頭ない。
強いて言うなれば、お礼として是非とも特上の鉛玉を全身にでも撃ちこんでやりたいといったところか。
レヴィが割とどうでもいい事を考えたのもまた一瞬。
直ぐに先程からレヴィの脳を支配する一つの感情に塗り潰されていく。
そして怒りに満ちたレヴィが視線と、男のこれまた程良く膨れた怒りに満ちたそれがぶつかり、互いに敵を確認。
いつまでも同じ場所に立っている義理もなく、レヴィは横へ走りスプリングフィールドの銃口を逸らす。
右の拳を振り上げて、宙から傾れ込むように跳び込んだ男から距離を取りながら一撃を見舞う。
狙った先は男の左即頭部、容赦など微塵もない銃撃。
タイミングに抜かりはなく、レヴィの勘は思わず『HIT!』という単語を告げる。
「吼えるな、なにせ俺は不死身。どうせお前では俺には勝てないからな」
だが、男からは苦渋に満ちた嗚咽も、地に滴る赤い鮮血も見られない。
そう。阻むものはなく、男の身体を貫く筈だった銃弾が地に生い茂った林を暴力的に抉り取っただけ。
男は強引に身を捩じって、頭部を軽く引く事で着弾から逃れた。
次に重力に引かれて地に落ちてゆく自らの身体を、男は片腕を地に突き出して支える。
腕一本で逆立ちに固定した身体を再びその腕に力を込め、力強く跳ね飛ばす。
相当の筋力があれば決して不可能ではない動作だが、レヴィの反応は遅れる。
何故ならその動きはあまりにも早かったためであったから。
大きく外れた自らの射撃に舌打ちし、レヴィは男を追い縋るように駆け出す。
しかし、前方に男の姿は見えない。
既に男は大木に生える太い枝を狙い、それらに両足を掛けてまるで空中ブランコの演技をするかのように飛び去っていた。
時間は遅く、周囲の暗さもかなりのものであり、一旦茂みの中に隠れるつもりか。
せわしなく左右に視線を飛ばすがレヴィの視界には男の姿は映ら――いや、映った!
前後左右ではない。そう。男の両脚は地についていなかった。
支援
支援
支援
「――上か! チクショウがッ!!」
横目で捉えた影に向かって、レヴィは咄嗟に首を捩じって後ろを振り返る。
先程と良く似た光景にレヴィは歯ぎしりを隠せない。
空に輝く月を背に、自分へ向かって飛びかかろうとする憎々しい男。
先刻の応酬とは違って、レヴィは後ろを向いているため反撃にしにくい。
付け加えて二人の距離は既に数メートル程くらいしか離れていなく、レヴィにとってあまりにも不利な状況。
幸いレヴィの身体には大した怪我もなく、避ける分には体力的にも距離的にも十分だろう。
只、男の攻撃から今は体勢を整える意味も兼ねて、避ける事に専念すれば問題はない。
その筈であった。
「けっ! ここで逃げたら『二丁拳銃(トゥーハンド)』の名が廃るってもんだぜッ!!」
しかし、今はたとえ一丁の、それも使い慣れていない銃を使う事になってもレヴィは二丁拳銃(トゥーハンド)』
邪魔する奴には鉛玉を喰らわせ、請け負った仕事は必ず完遂する。
その仕事の中で逃げの文字などは存在しない。
ラグーン商会ことブラックラグーン号の仲間達からの指示なら、状況によっては従う事もある。
だが、今この場には彼らは居ない。
レヴィを縛れる者といったら名簿に載っていた戦争マニアことバラライカのみ。
よってレヴィの行動は何事にも干渉されない――よって逃げるという選択肢を彼女が選ぶ筈もなかった。
身体は後ろを向いたまま、右腕を自らの右肩に担ぐように置く。
男との距離を考えれば振り向く時間すらも惜しい。
今も接近する男に碌に眼もくれずに、且つそれでいて狙いに狂いは生じていない。
引き金を引き絞り、肩を通して伝わる反動をものともせずにレヴィは男へ向かって発砲。
レヴィの言葉、反撃を試みたその意思に対して驚いたような顔を見せた男は再び身を逸らす。
宙に浮いた状態では考えられないような動きだが、レヴィは関心を見せない。
振り向きもせずに、依然として男に対し背を向けているのみ。
何故なら全ての神経を集中させ、レヴィは賭けていたから。
避ける事も身を守る事も投げ捨て、只、ワンモアチャンスを成功させるために。
レヴィは正確にもう一度銃弾を弾き飛ばす。
男が先程の銃弾を避けた直後に既に付けた狙い。
瞬きする間もなく行われたレヴィの挙動により銃口は、一瞬で男に対し一直線に向かれていた。
男の頭部に向けて寸分の狂いもなく発砲された銃弾が空を切り、男へ突き進む。
そんな時、男は徐に右腕を動かして――弾丸を弾き飛ばした。
「……まさかこれを使う羽目になるとはな」
男は素手で迫りくる銃弾を跳ね飛ばしたわけではない。
意外そうに呟く男の右手に握られたものは鋭い輝きを放ち、蒼黒い柄に赤い紐状の装飾を施した一本の刃物。
それはレヴィと腐れ縁を持つ同業者、シェンホアが愛用するグルカナイフ。
仕込んでいたグルカナイフの刃先を翳し、男は難を逃れた。
またもや銃撃が通らなかった事にレヴィの表情は怒りと驚きで染まる。
男の口振りから当初は使うつもりはなかったに違いない。
手持ちの武器を温存していた事を自分への侮りだとレヴィは受け取ったのだろう。
増幅された憤りを糧にし、レヴィはもう一度銃身を動かすが既に男との距離は近い。
そう。あまりにも近すぎた。
支援
「――がッ!!」
レヴィが右手に力を込めるよりも先に、男の右脚が弧を描く様に振り下ろされる。
右脚による打撃はレヴィの腰に叩きこまれ、耐え難い衝撃が彼女を襲う。
両脚による踏ん張りも利かずに、レヴィの身体は敢え無く後方へ吹っ飛ぶ。
受けた痛みにより碌な受け身を取る事も出来ずに、地面に対してしたたかに身体を打ちつける羽目となった。
一度目の回転の後、レヴィは距離を取るためにその勢いを利用してもう一度横へ転がる。
顔を上げて男の行方を追うレヴィだが、彼女はふいに背筋が凍るような悪寒を感知。
背中越しに強烈な視線が此方を見ている事に気づき、その場から咄嗟にその場から離れようと飛び退く。
「て、てめぇ……!」
「動くな、チェックメイトというやつだ」
だが、一手早く男はレヴィを羽交い絞めにし、手早く後ろ手に両手を掴む、
更に強引にレヴィの身体を押し倒し、彼女を地に這い蹲せる形を陣取った。
グルカナイフをレヴィの首筋に当てて、男が低い声で呟く。
そのまま腕を引いてしまえばレヴィの命は簡単に奪ってしまえるだろう。
実際、男はレヴィを殺すつもりで今まで彼女と戦闘を行っていた。
しかし、何故か男は馬乗りの体勢で彼女の動きを封じ込める以上の動きを見せない。
屈辱的ともいえる状況で、なんとか抜け出ようとするレヴィはトドメが来ない事を疑問に思っていた。
やがて男は再び、口を開き始める。
「お前はなかなか見どころがあるな。正直、このナイフを使うとは俺は夢にも思わなかった。
ここでお前を殺すのは簡単だがそれはどうにも面白くない。
ああ、残念だ……丁度お前は三番目の俺の恋人候補。もっと早く出会えれば順番待ちもなかったのにな。
ということで今回だけは見逃してやるさ、レヴィ。いや、『二丁拳銃(トゥーハンド)』って言った方が良かったか?」
「……後悔する事になるぜ、クソが……ッ!」
「悪いな、生憎俺は想像力に乏しくてお前が俺を殺す姿は想像出来ない。機会があればまた会おう」
男は勝手な事を言い連ね、レヴィに己の意図を告げた。
まさに理解不能、もしかすれば口に出した言葉にはあまり意味はなく、気が滅入っただけかもしれない。
はっきりしている事は、今の男にはレヴィに対しての殺意はないという事。
禍々しい程に放っていた殺意は既に消え失せ、逆に気だるそうな表情すらも男は浮かべた。
但し、戯言のような言葉には依然として絶え間ない自信が漲っている。
自分はレヴィには殺されない――と、そんな自信を持っているからこそ男はこの場でケリをつける事を取りやめたに違いない。
対するレヴィも未だに諦めてはいなく、発する言葉から隙あらば男へ飛び掛かろうとしているのだろう。
何を言われようともレヴィの意思は既に決まっている。
そう。散々コケにしてくれた男の人生を此処で終わらせて、言いようのない後悔を染み込ませる。
男の言葉から察し、彼の力が抜ける瞬間を虎視眈々と狙うレヴィの両目が異様な鋭さを伴っていく。
そしてグルカナイフを握りしめた男の腕が動き、レヴィが行動を起こそうとした瞬間。
――レヴィは思わず大声で叫んだ。
支援
「があああああああああああああああああああああッ!!」
掛け声ではない。
これから男へ危害を加えようとする感情ではない。
それはレヴィが今まで生きていた中で経験した事のあるものと同質なもの。
そして何度感じてもその度に不快感を促す感覚であった。
レヴィの叫びと彼女の背中辺りに液体が飛び散る。
真っ赤な、真っ赤な液が彼女の身体に垂れて――何かが地に転がった。
肌色をした小さな肉片がコロリと音を立てて。
「だが、俺の名前を女のような名前だと言ったのは気に障ったな。まあ、そのお詫びに小指一本なら安いものだろう、ん?」
「殺す! ぶっ殺す! 絶対に殺すぞ! てめえええええええええええええええッ!!」
そう。転がった肉片はレヴィの左小指。
グルカナイフを用い、第一関節の辺りから男は器用にレヴィの小指を切断していた。
痛みのあまりにのたうち回るレヴィの上で男は彼女を押えつけながら平然と構える。
レヴィが知る由もないが男は自分の名前が女のような事を気にしていたためである。
不運にも男の怒りを買っていたレヴィは、振り構わず暴言の限りで罵り、両眼には明確な殺意を宿す。
しかし、男の言葉は終わっていなかった。
「あーそれと一つ、俺は『クソ』でもなければ『てめぇ』でもない。
『線路を辿る者(レイルトレーサー)』や『葡萄酒(ヴィーノ)』なんて呼ばれてるが俺は俺であって、それ以上でも以下でもない。
そう。俺は――」
グルカナイフを逆手に持ち換え、柄の刃がついてない方の先端を向けて振り下ろす。
瞬く間に手荒く抵抗してしたレヴィの脳天を突き、彼女は気を失う。
漸く大人しくなったレヴィの身体から離れて、男は夜空を見上げながら続ける。
まるでレヴイに言い聞かせているのではなく、大空に向かって己の存在を示すかのように。
燃えるような赤く、短い毛髪を生やした男は見たところ細見の肉つきで、とても先程の戦闘で見せた異常な動きが行えるとは思えない。
だが、実際に男はやって見せた。
自分には出来るという絶対的な自信を持つ限り、男は必ずそれを実現する事が出来る。
その人物こそレヴィが闘っていた相手であり、『線路を辿る者(レイルトレーサー)』や『葡萄酒(ヴィーノ)』と言った異名を持つ男。
そう彼こそ所謂BACCANO(バカ騒ぎ)という名のストーリーを盛り上げる役者の一人。
「――クレア、クレア・スタンフィールドだ。覚えておけ……まあ、もう聞こえていないかもしれないがな」
クレア・スタンフィールドが胸を張り、我が物顔に一人立ち尽くしていた。
◇ ◇ ◇
「さて、準備運動はこんなものか」
急に立ち止まり、身体を伸ばしながらクレアは言葉を洩らす。
準備運動。クレアにとっては一方通行を撲殺した事も、レヴィの左小指を切り落としたのも大した事ではない。
スポーツ選手が練習を行う際、事前に軽く身体を温める程度の意味しかないのだから。
既に今も生きているであろうレヴィにも『元気にやってるかな?』と、気楽な気兼ねがあれば上出来な方だ。
更に先程使用したグルカナイフは既に仕舞っており、同時に支給されたもう一本も準備している。
どうやらこの場にはそれなりに出来る手合いが揃っている事は一方通行とレヴィを見ればわかる。
しかし、クレアが武器の用意をするのは不測の事態を見越してではない。
殺し屋を生業とするクレアは素手でも十分過ぎる程闘えるが、それでも武器があった方が殺しの効率も上がるというのは自然な話。
そう。クレアは他の参加者を『さっさと』殺すために用意を整えていた。
「ギラーミンと言ったか、まあ今はのんびり構えているといいさ」
既に見極めは終わった。クレアは一つの方針を打ち出す。
よく考えればクレアには此処から抜け出すための理由がある。
幼い頃から世話になり、本当の兄弟となんら変わりない絆で結ばれているガンドール兄弟への恩義。
フライング・プッシーフット号の甲板上で、自分の愛の告白へ何らかの返事を返してくれたであろう女との再会。
そしてクレアが車掌を務め、今もなお黒服と白服の二大テロリストの危機に晒されている乗客達の保護。
やるべき事は幾らでもある。そのどれもが絶対に零れ落としたくはない。
自分にやるべき事が残っている事は未だ自分の死は世界は許さない事にも等しい。
きっと世界は自分自身を必要としているのだろう。
まあ、当然の事かと若干笑みを見せながら拳を握りしめる。
先ずは達成すべき目的はフライング・プッシーフット号の無事を確かめるために、この場からの脱出。
一番手っ取り早いのは優勝だろう。
集団を組んではギラーミンとやらに接触を図るのは時間が掛かり、そもそもクレアには他者と群れる程困ってはいない。
狙いはこの殺し合いでの迅速かつ圧倒的な単独優勝。
そしてギラーミンと対面した暁には、自分を此処まで連れて来た手段を洗い浚い吐いてもらう。
首を吹っ飛ばすという爆弾だがそれもクレアの気にする事ではなかった。
――何故ならクレアには自分の首が爆発により四散するなどという幻想はイメージ出来ないのだから。
「さあ、俺は今から怪物だ。お前達――全員の全てを消し去るためのな」
この場に居る参加者全てに死の宣告を与え、クレアは闊歩し始める。
それは化け物がこの場に降り立った事を示していた。
支援
【G-2 遊園地周辺 1日目 黎明】
【クレア・スタンフィールド@BACCANO!】
[状態]:健康 若干の疲労 拳に血の跡
[装備]:シェンホアのグルカナイフ×2@BLACK LAGOON
[道具]:支給品一式×2 未確認支給品0〜1
[思考・状況]
1:優勝し、ギラーミンから元の世界へ戻る方法を聞き出す。
2:優勝のために他の参加者を殺す
3:レヴィと再び出会った時には彼女を殺す。
【備考】
※何処へ向かうかは後続の片にお任せします。
※参戦次期は1931~特急編~でフライング・プッシーフット号に乗車中の時期(具体的な時間は不明)
「ハァ! ハァハァ……あの野郎、絶対に許さねぇ……!」
四本の指となった左手を押さえながらレヴィは鼻息荒く、大声を上げる。
支給品の一つであった応急処置用の道具を使い、止血はしたが小指がくっ付くわけもない。
消せそうにない怒りでどうにかなってしまいそうな錯覚すらも起こるかもしれな。
そしてクレアにより、気絶させられたレヴィが眼を覚ました時に既に彼は居なく、すっかり彼の居場所がわからなくなっていた。
殺そうと思えば殺せただろうに、そうしなかったのもまたクレアの余裕によるものだろう。
堪らない。木々をクレアに見立てて、何度も蹴り飛ばすが一向にレヴィの気は収まらない。
更にそれでだけではなく、ご丁寧にスプリングフィールドの予備弾薬すらもクレアは置いて行っていた。
どうせ、これがないと自分が直ぐにでも死んでしまうからとでも言いたいのだろう。
何せクレアには心配がない。死ぬという心配はない。
この世界はクレアのためにあるのだから――
クレアが平然とほざきそうな事をそこまで考え、レヴィは一際強烈な一撃を大木に叩きこむ。
「いいぜ、やってやるよ……そうさ、どっちにしろあたしにはこっちの方が似合ってる」
伸びきった脚から、電撃のように伝わる痛覚もレヴィは碌な関心も見せない。
思う事は、深く刻まれた屈辱を晴らす為の方法の模索。
あの男、いや化け物というべき存在を殺すにはもっと武器が必要だ。
最上の武器を、ソードカトラスを手にいれて最高のタイミングで思いっきり叩きつける。
レヴィにとってどんな奴が持つ小指よりも、価値がある彼女自身の小指の礼をするためにも。
既にレヴィの中ではクレアへの復讐はこの場で己の命の次に優先するべき目的。
別に汚い手段でも構わない。あの男の死に行く様をこの眼で焼きつかせればそれでいい。
新たな武器を手に入れるには他の参加者に譲ってもらう必要があるが――交渉などあまりにも面倒。
『お願い』が聞き入られない場合は講じる手段はある。
クレアとの闘いで更に冷静さを失ったレヴィはスプリングフィールドを力強く握りしめた。
「四の五の言う奴はぶち殺す……!そしてあのクソったれを殺っちまえばそれでノープロブレムってやつだ」
気に入らなければ他者の命すらも厭わない。
ドス黒い感情に答える者は一人も居なく、スプリングフィールドがキリキリと軋む音を立てるのみ。
言葉とは裏腹にレヴィの表情には満足げな色はない。
只、彼女は浮かべていた。
過去の事を話す時に決まって見せていた死んだ魚のような目つき。
何故かその目つきと今のレヴィが見せていたそれは似ていた。
そう。それはレヴィの復讐の幕が上がった合図。
レヴィに迷いはこれっぽちもなかった。
【H-2 森の中/1日目 黎明】
【レヴィ@BLACK LAGOON】
【状態】:疲労(中)、全身に軽い負傷 、左小指欠損(応急処置済み),ブチギレ
【装備】:スプリングフィールドXD 9/9@現実 スプリングフィールドXDの予備弾丸30/30@現実
【道具】:基本支給品一式、ランダム支給品(銃器類なし)0〜2 応急処置用の簡易道具@現実
【思考・状況】
1:クレアを必ず殺す。
2:爆発?を起こしたゼロを許さない。(レヴイは誰がやったかは知りません)
3:他の参加者に武器を、特にソードカトラスがあれば譲ってくれるように頼む。断られたら力づく、それでも無理なら殺害。
4:気に入らない奴は殺す。
【備考】
※クレアが何処の方向へ向かったかは知りません
※何処へ向かうかは後続の方にお任せします
※参戦時期は今のところ未定です。
支援
投下終了しました。支援どうもありがとうございました。
ルートは予約スレに書いた通りA-1という事で。
それでは誤字など指摘や感想などまってます。
支援
ちょっと待ってね今読むから
投下乙!
ただではすまないと思っていたけど……!
指だけですんだのはある意味助かった方か?w
しかし、クレアの自信がめちゃめちゃ溢れてたSSでした!
危険な二人、これからの行動に眼が離せませんな。
GJでした!
投下乙!
クレアはマーダーに周ったか……とんでもない強敵だ。
でも、幼馴染のフィーロがいるのに、ってことは名簿見てないのかな?
レヴィもレヴィで悪い方向に……マーダーとは言えないけど、危険人物のラインだなぁ。
戦闘も緊張感があってよかったです、GJ!
投下乙です!
クレアもレヴィも凄くそのキャラらしいな!
レヴィが飛ばされた地点からしてかなり不穏だったけど
やっぱりクレアとあって大変なことにw
しかしクレアやっぱり強いなー
投下GJ!
クレアもレヴィもいきいきとしてるなー
この二人にはロワを思いっきりかき乱してほしいw
投下乙!
レヴィが生きてるよ!
やったー!
投下乙!
楽しませていただきました
それにしてもこのロワのマーダーのレベル全体的に高くないですか?
クロコダイルやバラライカにクレアまでとか
レヴィもあやしいところだし
ところで疑問点がふたつあるのですが
ひとつめはクレアが名簿を見たのか否かということです
先に書いた人もいますがフィーロは?ということからです
ふたつめはクレアの服装です
シャーネに出会った後だとすでに全身血みどろでは?と思ったからです
ギラーミンに存在が不利にならないようになにかされたと考えることもできますが
いろいろ書きましたが見事な戦闘もありとてもおもしろかったです
とりあえず明確な優勝狙いのマーダーは…。
イスカンダル(部下募集中だがとりあえず優勝狙い。
現在珍走族だが、サーヴァントの力とEXクラスの宝具は脅威)
大阪(一般人マーダー故、体力や純粋な戦闘力は差ほどではないが、
石ころ帽子という強力なステルスアイテムにより思わぬダークホースかも)
カズマ(まさかの優勝狙いマーダー。アルターによる攻撃力はトップクラス。
しかも、さらなる進化の可能性もあり、厄介この上ない主人公マーダーである)
クレア(アクロバットなんでも男。身体能力はいわずもがな高く、冷静な判断など
自分の信じる事はできる、と断言する通りなんでもできてしまうようなスペックの持ち主)
クロコダイル(スナスナの実の能力により、耐久性に関しては随一。攻撃も『乾き』の特性のため
一撃を受ける事も危険。純粋な戦闘力も高く、狡猾な知性もある強者)
水銀燈(飛行能力や羽による遠距離攻撃が得意。何より元からアリスゲームで貪欲なため、
ロワでもその執念が光るかもしれない。ゼロと手を組んでいるところも脅威の1つか)
園崎詩音(悟史ラブのヤンデレさん。元々の凶暴、残虐性もさることながら、ハナハナの実の能力を
持った上、防御では月霊髄液と、派手な攻撃力はないものの倒すとなれば強敵になるだろう)
バラライカ(言わずもがなのボス。いきなり容赦ない振る舞いで二人を殺すという印象的な登場をしてくれた。
既に不死者への対策も気付いており、その経験と容赦のなさは対主催にとって恐怖の対象となるだろう)
ベナウィ(同じ参加者を優勝させようとしているのは彼のみ。奉仕マーダー故、ちょっとやそっとの説得では揺るがない。
近接の武器ばかりなものの、元世界から活躍したその腕は充分他に比肩しうる)
無常(サングラスの彼です。ハンドガンやフッシーなど良い武器を持っている上、アルターを
まだ温存している。アルターを発揮すればその力は更に恐ろしいものとなる)
ラッド(殺人狂。なのだが、マーダー決心した直後にいきなりバラライカに殺される。
不死者なので助かったが、それを知った時どうなるか。戦闘力は高いのだがどうも空回り気味)
リヴィオ(二重人格のダブルナンバー。強化された身体能力や、制限はあっても治癒能力を持ち、
銃による立ち回りでは恐ろしい攻撃力を見せる。パニッシャーを手に持っていないのがまだ幸いだが)
……確かに、レベル高い…かも?
Fate/Zeroあとがきの『敵がみんなラスボス級』を思い出した…
感想どうもありがとうございます!
>>151 ご指摘どうもです。
では名簿の方は未確認、服装に関しては血みどろ状態に+レヴィの反応にも若干の修正させて頂きますね。
wikiに収録された際に行おうかと思ってます。
>>152 おお、見やすいまとめ乙です。
改めてみるとメンツが濃い……w
投下乙!!
確かにマーダー連中恐すぎww
マーダー同士の対決とか考えただけでも、興奮せざるを得ないwww
>>152 まとめ乙!
どう転ぶかわからない奴&カツラを人質にとられてるミュウツーも怖いよな
特に吉良なんて……
156 :
創る名無しに見る名無し:2008/11/26(水) 20:38:14 ID:U+9aMGEb
クソスレ
157 :
創る名無しに見る名無し:2008/11/26(水) 20:47:22 ID:U+9aMGEb
○
ああ、ミュウツー忘れてた。
ミュウツー(近距離・単体戦闘ではスプーン、遠距離・複数戦闘ではサイコウェーブと、戦闘スタイルに
穴が無い。ダメージを負ってはいるが、じこさいせいもあるため依然強力なマーダー)
あと、優勝狙いではないけれど、危険な人物。
ウソップ(マーダーを狙っているものの、誤解などが起きた場合の悲劇が恐ろしい)
吉良(今のところは大人しいが、スタンドと平穏を望む精神がいつ爆発するか)
ギルガメッシュ(対主催ではあるが、他の参加者の身を考えるはずがないので何を起こすかわからない)
クリストファー(翠星石を手先に優勝を目論む。とりあえず脱出も念頭には入れているのだが)
サカキ・ロベルタ(裏世界の大人コンビ。こちらも脱出の為には手段を選ばなさそう。手を組むかはまだわからない)
ゼロ(水銀燈と組んでいる。ナナリー優先なため、いつ奉仕マーダーに切り替わってもおかしくはない)
沙都子(錯乱状態ゆえ、覚醒後どちらに傾くかわからない)
劉鳳(本人的には純粋に対主催なのだろうが、こちらも誤解の時が恐ろしい)
レヴィ(現在クレア打倒命。武器の入手に躍起で、その過程で一騒動起こるかもわからない)
レナ(今のところは対主催だが、疑心暗鬼状態でL5のフラグバリバリ。不安定なのでこちらにカテゴライズ)
私の主観とか入っているのはご了承を。
さらに乙w
しっかし、こうやって書き出されてみるとすごいな
うーん一筋縄でいかない連中だらけだなぁw
今日、ナナナを読んでゼロのバケモンさを知ったから個人的にゼロの活躍に期待ー!
そして、また新しい予約来たな!これも期待!!
危険っていうのじゃカルラもか? 聖上に何かあったら……
ナナナのゼロのマッチョっぷりはあれだけで危険だw
おお、予約きてたか!期待せざるおえない
今まとめwiki見ていて気づいたんだけど
「終わりのクロニクル」のブレンヒルト・シルトがひとつも書かれていないのはいいの?
>>163 誰も書かないんだよねぇ…
もう隠れてたとかで後から出てきてもいいけど
書きたいとは思うんだが、今時間が……
近所の古本屋に終わクロ売ってないぜ……まあ、次の放送までには出てくるさ。
と、信じたい……。
予約できる程できてないが今話を練ってるから誰も居なけりゃ書くよ
主催者側に何かあったとかで登場が遅れたとか
まぁどういうキャラかまったく知らないけどw
>>168 主催者側に何もなくても登場が遅れるぐらいあると思う
本家バトロワだっけ終盤になってから出てきたようなキャラがごろごろいたじゃないか
>>170 すいません、本家きちんと読んでなかったので
本家でも遅れるとかあったんですね
なんか齟齬がある気がしてきた
参加の時間が遅れるんじゃなくて、SSへの登場が遅れるんだよ
隠れてたとか、他の人には会わなかったとかで他のSSと矛盾が生じなければそれでおk
パロロワでもよく、早朝とかで初登場ってのもよくある話。
さすがに第1回放送までには、なあ。
今のところ2巻の下の途中までは読んだんだが…。
>>170 いや、灯台組とか琴弾とかは序盤にちらちら出ていた
真のパッと出キャラは光の戦士
>>172 本家でも参加の時間が遅れたやつがいたと誤解してましたw
176 :
創る名無しに見る名無し:2008/11/27(木) 00:39:58 ID:0il7OBys
ぷりーしあwwwでぃきあんwwwwみずほwwwwww
終わりのクロニクルの話を把握しようと思ったが……
量が多いな、コレ。
読み終わる頃にはロワ終わってたりして……
なんとか簡単にキャラ、お話をつかめる方法は無いのか!
2巻まで出いいんだよ、それで充分把握できるから
もちろん話が面白くて続きが読みたかったら人が殺せると評判の厚さの7巻まで読んでもいいけど
キャラ把握だけと思って読み始めても、いざ書こうとするとき最低限の把握だと未読部分に矛盾が出てないかと不安でしょうがない
ドラマCDが出てて
1はニコ動に置いてあるよ
前編だけで50分以上あるけど
50分以上とか長すぎだろwww
しかも前編だけで50分w長すぎだw
でも終わクロは原作でも台詞の掛け合いが面白いから、意外といけるかも?
でもドラマCDはかなり内容縮めているから個人的には小説読んで欲しい
>>179 今日3巻の上(原価)を買ってきたまさに俺だ。
上中下、を見たとき倒れるかと思ったね。
先輩、もう少し待っててください。
というか先輩って一巻のあとってしばらく出てこなかった気が(ry
普通に一巻の把握分で大丈夫だよ
特に裏設定があるキャラでもないし
でも一巻終了時と五巻終了時と七巻終了時じゃ割と参加者組に対する態度も違うだろうし
支級品になりそうなもろもろもたくさん出てくるし、まあ出さなきゃ済む話だが
187 :
創る名無しに見る名無し:2008/11/28(金) 08:13:28 ID:zP7NoyWj
とりあえずルフィとカズマのガチバトルが見られるなら。
どっちも肉体派だしな
魔女っ娘武煉蛭斗マジパネェすよ
そういやレッドとフィーロ涙目だなw
まさかクレアがマーダーとは考えてないだろ
>>190 まぁ、クレアが名簿見てないだけじゃね?
レッドはともかく、流石にフィーロは殺さないだろう。
クレアは修正で名簿未確認という方向になってるよ。
しかしだな、重要なのはフィーロとクレアの参戦時期にズレがある事だと思うぜ……。
確かにフィーロだけ参戦時期が2000年代だな
もしかしたらこれからの原作の展開次第で矛盾が起こる可能性もあるのか?
ラッドがOPの会場にいたのに気づいて
いろんな時系列から来てるかもしれないと感ずいてるのけど
どの時代のクレアがいるかは分からないはずなのに
助言をしている時点で……
いや、子供でも老人でもクレアはクレアか
フィーロの感覚ではクレアは90超えて海賊の宝を探しに海に潜るようなやつだからな
たぶんクレアはフィーロを殺せないんじゃないかな?
シャーネやガンドール兄弟がいい例じゃないかな
シャーネがヒューイにクレアを殺せといわれて刃を向けたとしてもクレアはすべて避けてでも愛するとか言ってるし
グスターヴォにガンドール兄弟を始末しろと命令されたときは3京ドルという不可能な金額吹っ掛けてるし
フィーロはクレア自身が親友って言ってる人物やし
クレアってキャラ自体も基本が弱者には良い奴だし、何だかんだでレッドも殺さない気がするが
クレアが普通の子供を殺し狙いで強襲はありえんだろ。チェス君みたいな凶悪な子供じゃなければ
むしろ保護する側だろう
>>197 そういえばクレアって戦場で少年兵が自分に向かってきても助けるって言ってたな
最終的に殺すかどうかは少年兵の態度しだいだけど
だってクレアにとってそれが強者の特権である余裕だからという理由で
あった人間がみんなあんなのだから参加者は皆殺し合いに乗ってると思ったんじゃないか?
確かに血の気の多いやつらばっかりだw
殺しあいしろって放り込まれた場で出会う人がノリノリで殺しあってたら、
そりゃクレアだったら乗るよなぁw
おいお前ら、それよりもだな……また新しい予約が来てるぞー。
最近予約が途切れなくて良いなぁ。
おお、本当だ。
……って、何ぃぃぃぃぃ!
本人強いけど支給品が駄目駄目なウルフウッドさんと、本人なんか駄目だけど支給品が結構良いジュンに、
奉仕マーダーベナウィだとっっ!
楽しみな組み合わせだ。
真紅と玉男の人の予約って今日?
はい、今日です…。
というわけで、これから
真紅、玉男……じゃなくて、橘あすか、投下開始します。
がたん、ごとん。
擬音ならばそう表現される重厚な金属音を響かせ、『それ』はその動きを止めた。
銀色の箱に穴が横並びに開き、その全ての穴にはガラスが嵌められている。
箱の下には大きな車輪が数個。
箱の上には鉄で構成されたパンタグラフという部分があり、それが上を走る電線と接触している。
その箱はいくつも存在し、それが繋がっている。先頭の箱、その正面にはライトが2つ、その上に大きな枠にガラスがある。
箱はその動きを止め、その横に小さな入り口をいくつも同時に開けた。
ある世界では、『電車』と呼称されるものである。
その電車が入り口を開いている場所、ホーム。
その反対側にあたるホームに、何者かが階段を昇って駆け上がってきた。
優男、という印象の顔にコート系の制服をした青年は肩に乗せる形で抱いた人形にぽかすか叩かれながらもホームに滑り込み、目の前の電車を凝視した。
既に電車は到着している。となれば、発車するのはもう間もなくだ。
電車と言う機関を知っている者ならばある程度予想が付く。青年もそれに思い当たったらしく、自分がいる側のホームを見渡す。
反対側のホームへ通じる階段は、青年から大分離れている。しかも、1回上に上がり渡り廊下状の通路を通って線路を横断、そしてまた階段を下りてやっとホームに着くという、回り道の形式だ。
既に電車の扉が開いている状態ではとても間に合うものではない。朝の通勤命のサラリーマンという人種でも、諦めるしかないような距離だ。
しかし、青年は生憎『サラリーマン』ではない。
青年が立っているホーム周辺の物が、突然抉られたような後を残して消え去る。それも一つではなく、いくつも。
青年を叩いていた肩の人形も、その光景に動きを止め、青年を見やる。
青年はただ反対側にある電車を見据える。
目的地は、そこにある。
迂回? そんなことはしていられない。
ならば、彼の最短ルートはどこか。
簡単だ。
「エタニティ・エイト!!」
直線だ。
*****
「はぁ…はぁ…」
「……あすか……」
「はい、なんですぐはっ!」
息を切らした青年、あすかに人形、真紅は容赦ない右平手を叩き込んだ。
「な、何するんです!」
「何ではないのだわ!」
なぜここまで真紅が激怒しているのかと言うと。
事の発端は、2人が出会った民家を出てその周辺の家屋をあらかた捜し終えた時のことだった。
あすかと真紅は地図を見て互いに次の目的地を検討していた。
すると、突然あすかが地図を凝視し始めた。目線を世話なく動かし、地図の端から端まで見ているようだった。
突然の豹変に真紅が戸惑い、声をかけたが無視された。
起こった真紅があすかの足にローキック(あすかにとってはローローキックだが)をかまそうとした瞬間、あすかが突然走り出した。付いてきて下さい、とだけ言って。
命令されるのにイラっとしつつやむなく真紅もあすかの後を走ったのだが……そこは流石に圧倒的なまでの歩幅の差。あまりに速度が違いすぎて、真紅が遅れてしまった。
結局あすかが無理やり真紅を担ぎ走ったのだが……その間、『抱き方が違う』と真紅にぽかすか叩かれまくっていた。
はたかれつつも彼が到着したのは、駅だった。
『G-7駅』
あからさまな駅名に真紅が呆れるのもあすかは無視し、駅に入って改札を、走る勢いでそのまま飛び越えた。
そのまま彼が走りこんだのは、ホーム。だがその向い側に電車が既に到着していた。
それを見たあすかは、自らのアルター、エタニティ・エイトを出現させ、足の下にそれを浮遊させる事で宙を舞い、
電車を飛び越え向こう側のホームへ入ってから電車の中へ滑り込んだのだった。
その後ろで、電車のドアは閉じた。
というわけで、真紅とあすかは電車の中にいる。そして今に至る。
「仕方ないでしょう! 次に来るのを待つよりは、今来たのに乗ったほうがいい!」
「一体私がいつ電車に乗る、などと言ったの?」
「地図を見てた時、僕が決めました」
「……」
あっさりと真紅の意見をまるで聞いてないことを肯定するあすかに、真紅はため息しかつけない。何しろここまで全く説明もされなかった。
(頼りになると思ったのだけれど……見込み違いだったかしら)
冷ややかな目で見る真紅を無視し、あすかはデイパックからコンパスを取り出してそれを見ている。
既に電車は走り出している。駅からだんだん加速し、もう市街から森へと出て行くところだ。
「何をしているの?あすか」
「見てわかりませんか。方角を見ているんです」
コンパスを見たままそう言うあすかに、真紅はまたもイラっとする。
どうにもあすかは自分勝手な嫌いがある、と真紅は思った。もっとも、それを彼女をよく知る者がいたなら『人のこと言えない』と突っ込むだろう。
「なら、なぜ方角なんて見ているの?」
「この電車が進んでいる方向を明確にしたいんです。……北よりの東、か……」
「……あすか。そろそろ教えてくれないかしら。なぜこんな電車に乗ったのか、しかもあんな強引に」
「……」
あすかは無言でデイパックから地図を取り出し、真紅に渡した。さっきまで凝視していた地図だ。
「さっき僕たちが乗ったのはG-7、と書かれていましたね」
「ええ、間違いないわ」
「単純にエリアをあらわした駅名だとしたら、僕らがいたのはG-7ということになります」
確かに、真紅が地図を見れば、G-7には駅が存在している。さっきまで自分たちがいたのはそこのエリアだったわけだ。
「その駅から僕たちは、北寄りの東に進んでいます。つまり、この北に延びる線路を進んでいるわけです」
「そうなるわね。……あすか」
真紅が何かに気付いた様子で顔を上げた。それにあすかは特に笑みを浮かべるわけでもなく答える。
「やっとお分かりいただけましたか。そう。この電車はもうすぐ、この地図の東端に到達します。僕の目的は、そこなんです」
「……このまま脱出、できるとでも? 柵かなにか、私たちを阻むものがあるに決まって」
「それならばそれを確かめます。ですが、僕の推測が正しければ……別のものがあるはず。とりあえず、もう少し待ってください」
「……」
またも説明を先延ばしにされ、不服な真紅は気晴らしに外を眺めて見る。少し傾斜のついた、草ばかりの風景。だが、その中にもいくらか民家が点在している。
「……」
真紅はその民家をただ、イライラの気晴らしに眺めるだけだった。
その民家に、いくらか前まで自らがミーディアムの契約を交わした少年、桜田ジュンが居た、などと言うことを彼女は知る由もなかった。
*****
「……どういうこと?」
「僕の推測どおりだった、そういうことです」
数分後、2人は既に電車を降りていた。
そして、ある物の前に立って、それを見上げている。
エリアを囲む柵? エリアを見張る警備所? いや、どれでもない。
その入り口の看板には、『E-2駅』と書かれていた。
唖然としていた真紅が呟く。
「E-2……? なぜ? 私たちはG-7から西に進んでいたはずなのに。
それに、そもそも……なぜ、エリアの端に辿り着かなかったの?」
真紅があすかを見上げ尋ねる。これが、彼が見せたかったものであると思えて。
「僕はずっとコンパスを見ていました。その結果、電車は多少北に傾く程度には進路を変えましたが、大きく曲がったりはしていません。
北西方向に進み、このE-2駅に付いたわけです」
「北西方向に、E-2……!?」
真紅が何かに気付いたように、地図を見た。
E-2には確かに駅がある。
北西に進んで、ここに着いた。つまり、自分たちの乗ってきた線路は南に延びているものだ。
だが、それは。
「エリアの端で……途切れているはずなのだわ」
そう、このE-2駅南側の線路も、エリアの端に繋がっている。G-7北側と違うのは、自分たちがエリアの端を始点にしたはずだ、ということだ。
「私たちは西端に辿り着いたはず。けれど、柵などはなく、東端で途切れている線路から、私たちはここに辿り着いた……。
!? あすか……まさか」
「そう、その通りです」
あすかが真紅の驚愕の表情を見て、全てを悟ったと判断し、ついに自分の推測を述べた。
いや、それはもはや……彼にとっては、『事実』だ。
「この地図で示されている地域は……ループしています。
西は東に、東は西に。そしておそらく、北も南に、南も北に、ね」
*****
「それならば、僕たちがG-7からE-2にたどり着いたのも説明できます。
この電車は、G-7を来た方向に発車し、東端でループ、西端につながり、E-2駅へ。そのまま北進してC-4駅、そしてまた北進し……A-6の北端でループ。
H-6南端につながり、G-7へと戻ってくる。
時刻表を確認した限り、どうやら電車は北方向へ走る一つのみ。
1周15分程度しかかからないようですから、それで充分なんでしょう」
あすかの説明を聞き、真紅は沈黙した。
確かに、ここへ来る途中、河を越えた。地図で言えばF-1、F-2境目のものだろう。
周りの風景も、市街と言うよりは、木々に囲まれた草地。地図で示された3つの駅のうち、市街にないのはE-2のみだ。
極めつけは、南のほうに見える観覧車。観覧車、といえば遊園地。比較的遊園地が南方向に近く見えるのは、E-2だ。
やはり、自分たちはG-7を出て……E-2に辿り着いた。それは間違いなさそうだ。
「なぜ、ループを推測できたの?あすか」
「最初は線路でした。貴方に会う前に、僕は駅を一度見かけていたので、そこでどこへ向かおうかと思って、線路を目で辿っていたんです。
そうしたら……G-8で途切れている線路の位置と、G-1で途切れている線路の位置が」
そう言って、彼は地図を縦に折りたたむ。
「……同じね」
「そう、平行的に見た場合、同じ位置だと気付いたんです」
折りたたまれた地図の端、線路と線路がぴったりとくっ付いている。
「そこからはあっという間です。線路の北端A-6と南端H-6もまた同じでした」
「それだけ?」
「いえ、後は……車道と河です。
これも、ほら」
あすかが地図を縦に、横に折りたたみ真紅に見せる。
確かに、学校から延びる白い車道、もしくは歩道をあらわすであろう道は、北はA-5、南H-5、西はF-1、東はF-8で途切れていて、位置も一致。
河も、西がE-1、東がE-8で途切れている。折りたたんだ時の位置も、やはり一致。
「電車の途切れた場所、2組。車道の途切れた場所、2組。河の途切れた場所、1組。
僕にはこれがとても偶然とは思えなかった。だから、駅に向かい、電車でエリア端に向かうのが1番と考えたんです」
「説明も禄にしなかったのは何故?」
「その時間も惜しかったんですよ。この事実は、早くに確認しておいた方がいいと思いました」
「……その結果は、あまり良いものではないのに?」
真紅としては、それはとてもプラスの情報ではない。
エリアが柵で囲まれ、警備している人間がいるならば、集団による襲撃など野蛮ではあるが強硬手段はあった。
だが、エリアの端がループしているとなると……どうしようもない。
端には何もなく、出ても戻るだけ。
行く先にあるのは暗雲だけではないのか。
「そうとも限りませんよ。そもそも、ループなんていうのは自然を完全に捻じ曲げている。
となれば、それを起こしている何かがあるはずです。
僕としては、『アルター』と言いたいところですが。貴女のような存在もいると考えると、一概にそうとはいえないみたいですし」
「ローゼンメイデンといえど、現実世界の空間を歪めたりはできなくてよ?」
「一例として、です。人としてもつ能力かもしれないし、何か装置かもしれない。
ともかく、そんなものがいる、あるとすれば、この地図内にある可能性が高いとは思えませんか。
このような大規模なループ。離れてできるとは思えません」
「易々と発見される所にあると思って?」
「そう、ですが……それを見つけなければ……脱出などできませんよ」
あすかが真紅を見る。
真紅は感じる。
あすかの使命感。それが本気だと分かる。
けれど、逆に危うさも感じる。
それは、見る目を変えれば独断的なそれにも思える。
真紅に今まで禄に説明をせず、時間だけを気にしていたように。
彼の能力は認める。だが、彼は少し他人への気遣いに欠けている。
(私が、それを何とかするしかないのかしら)
「そうね……その何かを、見つけるのが大事ね」
「ええ。勿論、劉鳳たちも見つけて人手は増やしたいですが」
そう言って、彼は背後の駅を見上げた。
「僕としては、地図内のエリアを一通りは見ておきたいので、次の電車でG-7まで一周したいのですが……」
「でも、人を発見してすぐに会うのは、電車ではできなくてよ?あすか」
「う……」
言葉を詰まったあすかに、真紅は提案した。
「1周15分ならば、1,2時間程度このあたりを探索してもいいと思うわ。
ここからその程度で行く事ができそうなのは、地図で見る限り南の遊園地と北のホテル。
どちらに向かうか、あるいはここで電車を待つか……貴方の意見を聞きたいわ、あすか」
そう言って、真紅はあすかの答えを待つ。
目の前の青年を自分が支える。
本来ならば逆だが、彼は自分を守る対象として見ている。逆にへそを曲げそうだ。
ならば、そこはかとなく彼に助言した方がいいだろう。
真紅はそう決めた。
あすかがやがて口を開いた。
「僕は……」
【E-2 駅前/一日目 黎明】
【真紅@ローゼンメイデン(漫画版)】
【装備】:庭師の鋏@ローゼンメイデン
【所持品】:基本支給品一式、不明支給品0〜2個(未確認)
【状態】:健康
【思考・行動】
1:殺し合いを阻止し、元の世界へ戻る。
2:あすかの意見を聞き、行く場所を決める。
3:ループを生み出している何かを発見する。
4:ジュン、翠星石、蒼星石、劉鳳、クーガーと合流する。
5:カズマ、水銀燈に用心する。また、水銀燈が殺し合いに乗っているようであれば彼女を止める。
【備考】
※参戦時期は蒼星石死亡以降、詳細な時期は未定(原作四巻以降)
※あすかと情報交換し、スクライドの世界観について大雑把に聞きました。
※蒼星石が居る事や、ホーリエが居ない事などについて疑問に思っています。
※ループに気付きました。ループを生み出している何かが会場内にあると思っています。
※どこへ向かうかは次の書き手さんにお任せします
【E-2 駅前/一日目 黎明】
【橘あすか@スクライド(アニメ版)】
【装備】:なし
【所持品】:基本支給品一式、不明支給品1~3個(未確認)
【状態】:健康
【思考・行動】
1:ギラーミンを倒し、元の世界へ戻る
2:駅で電車を待つか、遊園地かホテルに向かうかを決め、真紅と相談する。
3:ループを生み出している何かを発見する。
4:ジュン、翠星石、蒼星石、劉鳳、クーガーと合流する。
5:カズマ、水銀燈に用心する。特にカズマは気に食わないので、出来れば出会いたくもない
6:できれば会場全体を一通り見ておきたい。
【備考】
※参戦時期は一回目のカズマ戦後、HOLY除隊処分を受ける直前(原作七話辺り)
※真紅と情報交換し、ローゼンメイデンの事などについて大雑把に聞きました(アリスゲームは未だ聞いてない)。
※ループに気付きました。ループを生み出している何かが会場内にあると思っています。
※何処へ向かうかは次の書き手さんにお任せします。
※電車は北方向に1つ分進んでいます。1周15分程度(停車時間含む)。
詳しい車両数や、車掌や運転手の存在の有無、詳しい内装は後続の書き手に任せます。
投下終了です。
支援ありがとうございました。
電車運行に関しては、計ったところ1周13km程度だったので、15分程度としましたが、
このあたりに関して、意見等あれば是非お願いします。
タイトル元ネタはON/OFFの歌『輪廻-ロンド-』より。
投下乙です!
とうとうループについて完全に理解したグループが出たか…
1周13km程度で、停車時間も入れて1周15分ってことは
電車は時速60kmほどで走ってるのかな
個人的には倍ぐらい遅いほうがいいんじゃないかと思うけどどうだろうか
投下乙です!
行動を伴ったループ考察、お見事としかいいようがない!
初のループ完全理解者はこの二人か、ちょっと意外だ
しかしスクライド勢は暴走がデフォなのかw
玉男、じゃなかった社長も見事な暴走っぷり、ここは兄貴に期待するしか…!
そして!真紅かわいいよ真紅!
GJです!
一周15分…私はちょっと速すぎるかな、と思うので一周30分位に賛成ですね
投下乙!
社長の行動力の高さがらしいなぁ!
考察もわかりやすくて、真紅よりも俺の方が感心しちゃってましたわw
これはこの二人の行動から目が離せない! GJでした!
時間は20分↑がいいかもです
15分だと、かなりの頻度で電車が走ってるように感じちゃうので
>>207 地図を見ながら確認したのですが・・・
電車が北に進んでいるのなら
「E-2……? なぜ? 私たちはG-7から西(東)に進んでいたはずなのに。
それに、そもそも……なぜ、エリアの端に辿り着かなかったの?」
真紅があすかを見上げ尋ねる。これが、彼が見せたかったものであると思えて。
「僕はずっとコンパスを見ていました。その結果、電車は多少北に傾く程度には進路を変えましたが、大きく曲がったりはしていません。
北西(北東)方向に進み、このE-2駅に付いたわけです」
「北西(北東)方向に、E-2……!?」
真紅が何かに気付いたように、地図を見た。
E-2には確かに駅がある。
北西(北東)に進んで、ここに着いた。つまり、自分たちの乗ってきた線路は南(北)に延びているものだ。
だが、それは。
「エリアの端で……途切れているはずなのだわ」
そう、このE-2駅南側の線路も、エリアの端に繋がっている。G-7北側と違うのは、自分たちがエリアの端を始点にしたはずだ、ということだ。
「私たちは西端(東端)に辿り着いたはず。けれど、柵などはなく、東端で途切れている線路から、私たちはここに辿り着いた……。
!? あすか……まさか」
ではないのでしょうか?
()の中が正しい方角?
自分の勘違いなら理解力が無かったということで確認してくれないでしょうか?
>>223 すいません、書き忘れてました
投下乙です!
ループとか理解させちゃうのはまだ早いんじゃないの?
まだ第一放送すら終わってないのに
普通に気づくやつは気づくだろ
地図を見てるなら端が気にならない奴がいないわけがない、と思う
俺みたいな馬鹿は気付かない
さすがにすぐループしてるという発想に至るのは稀だろうけど
マップの端が気になるのは当たり前だと思う
感想&意見、どうもありがとうございます。
運行時間については、確かに1周30分程度の方が良いですね。
セリフの訂正は……た、確かに間違ってますね。ううむ、自分の方向音痴があからさまに。
双方とも、wiki収録後に直させていただきます。
ループに気付くのが早い、というのは私も少し思いましたが……。
2人程度早い段階でいてもいいのでは、と。
あすかの洞察力が高すぎる、ということならば問題ですが、私はそうは思いません。
この問題は、破棄しか解決方法が見当たらないので、答えさせていただきました。
橘はカズマと行動した時にかなりの考察してるから、その点に関しては全く問題ないと思いますわ
むしろ、そこでキャラに“らしさ”を感じましたw
これでいいだろ
二人の言動にも特に不審な点は見られなかったし。
しかしマーダーが多い分この二人にはぜひとも頑張ってもらいたいw
てか、サカキとかバラライカなんかは
地図みただけで感づきそうだよな
フィーロ、ハクオロ、ドラえもんあたりも
あとはこの手の謎解きはさとこやウソップなんかも強そうだし
確証は無いにしてもループを予想してる人は多そうだよな
参加者の中で1番強いのって誰かな?
それは状況と場合によるから絶対わからん
では、ウルフウッド、ジュン、ベナウィを投下しますね。
支援
「はぁ、どうなるのかな……僕」
デイバックを背負って、眼鏡を掛けた少年が暗闇を歩く。
彼は殺し合いが始まった直後、空き家に身を寄せていたが次第にもの寂しさを感じていた。
危険な事はわかるがそれでもせめて、周囲の光景が変化すれば気が紛れるかもしれない。
そう考え、彼は襲われてもいつでも逃げられる準備をしながら、取り敢えず線路を目印に沿って早足で歩いていた。
彼の名は桜田ジュン。現在はとある事情により所謂引き籠りを続けている中学生。
唐突にギラーミンという男により殺し合いに巻き込まれた現状。
まるで漫画やアニメのような筋書きに則った出来事をどうするか。
今のジュンが考えるべき事はその事だけであり、他の事については碌に考えが回らない。
只、もし参加者の中に警察の人が居れば自分を保護してくれるかもしれない――と、半ば願望に似た感情はあったが。
また、既にモンスターボールは説明書とやらを見つけ、使い方はわかった。
そのため思わぬ形で出す事になったエイバムことエーたろうとやらは、モンスターボールに戻してある。
但し、ジュンは滅多な事でなければモンスターボールを使う気はない。
気味の悪い紫の毛色、馬鹿でかい頭部と大きく発達した両耳、そしてまるで三つの指が生えたような長い尻尾。
猿の一種のように見えるがどれをとっても異常であり、ジュンの常識を超えている。
説明書に『ポケモンの一種』とは書いてあるものの、肝心のポケモンが何かは特に書かれていなかった
更にこれはギラーミンが用意した品の一つであり、必ずしも自分にとって得になるという保障もない。
よって必要以上にモンスターボールは使わない事を決め、今はズボンのポケットに収まっている。
「何か良い考えが浮かぶかとは思ったけど……駄目だ、何も浮かばない……浮かぶわけないだろ。
こんなわけわかんない場所じゃ……」
線路に則した歩道を、ある程度の辺りまで歩いた所で思わず零れた呟き。
歩行と思考、警戒に意識を傾け過ぎていたため此処がエリアF-1の中心である事も気づいていない。
また、最早時間の間隔すらも忘れかけ、ジュンは時計を取り出して確認する気にもなれなかった。
単身外へ出歩き始めた事を、後悔し始めるが既に時は遅し。
必死に周囲に気を配り、怪しい人間が居ないか探るが己の疲労が高まるばかりで、碌に安心も出来ない。
少し眼を放せばその間に……一度でもそう思ってしまえば恐怖心を拭いさるのは容易ではない。
段々と歩幅の間隔も狭まり、視線すらも俯きがちになっていた。
まるで自分には不釣り合いな、重い荷物を背負わされているような感覚がこびりつく。
投げ出したい。
さっさと何処かにでも投げ捨てて楽になりたい。
本音を言ってしまえばたった一言で終わってしまう。
元々体力にも自信があるわけではなく、ジュンが早々に根を上げるのは特に可笑しい話でもない。
だが、楽になりたいと言葉にするのは容易だが実際に行動へ移すとなるとわけが違う。
優勝してギラーミンに頼んでここから抜け出す?
考えるだけでも馬鹿らしい。
ジュンには人を殺す力もなく覚悟もなく、何より自分がそこまで行動力があるとは思っていない。
ならば楽になるにはどうするか。
思い当たる節はある事はある。
毎朝、姉が学校に行った後に一人で行う朝食で何度も耳にしたキーワード。
あの時は自分には関係のない話だと思っていた。
自分には自分の部屋という誰にも侵されない領域がある。
他の同世代の奴らとは違って、ずっと此処で生きていればいい。
自分達を放り出し、外国にでも行ってしまった両親達も流石に生活費ぐらいは、これからも送ってくれると思っていたから。
だから、今までのジュンには明確なイメージは出来なかった。
毎日毎日飽きもせずに、大勢の人が色々な方法で行っているらしい行為――
――自殺という最後の手段を。
支援
マジかよJUM……
「――ッ」
無意識的に奥歯で自分の舌の感触を確かめた。
予想以上に弾力があるような気がする。
コリコリと、分厚いゴムを触ったのに近いような感じ。
いつだったかはわからない。
テレビかネットでは確か舌を噛み切れば、自分の命を絶つ事が出来るらしい。
切断面を境目に残った方の肉片が丸まり、そのまま喉を塞いでしまう。
酸素を吸いたくても吸う事は出来ずに窒息状態に陥り、やがて待つものは死という結末。
怖いとは思う。
きっと舌を噛み切ってしまった時には、口の中で苦い鉄の味が広がるに違いない。
美味い筈もない。
ただただ嫌悪を催す臭いなど、出来れば嗅ぎたくない。
だが、それでも映画のワンシーンで見かけるような拳銃や刃物での殺害に較べれば未だましではと思いもした。
嫌なのは一瞬の事。
只、あまり発達してない顎の力を使って、力の限り噛み潰せばいいだけ。
一思いにやってしまえば――この地獄から逃れる事が出来る。
しかし、ジュンの身体は一向に動きを示さない。
「……無理だよ、僕にはそんな度胸もないんだ……そんなものがあれば学校にだって……!」
そう。ジュンには自らの命を絶つ程の行動に伴う覚悟はない。
普段のジュンならば絶対に言わなかったであろう、自分の不登校に関しての弱音すらも吐き捨てた。
いつしか歩みは完全に止まり、その場に一人立ち尽くす。
まるで全身から力が抜けきった、抜け殻のような様子さえも今のジュンからは見て取れる。
耐え切れない不安を、どうにか振り落としたく思うが、ままならない。
代わりに崩れ落ちたのはジュンの身体。
遂には歩道の真ん中で頭を抱えながら蹲る。
全くの無防備と言えるその姿を親切心に注意してくれる者も居る筈もなく、ジュンもそこまで気が回らない。
確かに震え、自分の意に反するかのようにざわめくちっぽけな体躯を必死に抑えつけるのに意識を傾ける。
どうにもならない現実、止まらない恐怖や後悔、そしてふつふつと湧き上がる疑問。
何故、自分がこんな目に遭わないといけないのか。
答えらしい答えは見つからず、『運が悪かった』という言葉だけでは納得がいかない。
だが、いつまでも此処に留まるわけには、時間を無駄にするべきではない事もジュンはおぼろげに感じていた。
「兎に角、あの真紅とかいう人形に会おう……もしかしたら何か良い方法があるかもしれない……」
未だ共に過ごした日は浅い、奇妙な少女人形――真紅。
胡散臭い奴ではあるが、それでも赤の他人よりは信頼は大きい。
現実から目を背ける様に、たった一人だけの知人である真紅との合流をジュンは深く心に刻みつける。
そう思い始めた先にほんの少しずつ冷静さが蘇り、ジュンは大きく深呼吸を行い、やがてゆっくりと立ちあがった。
が、その時、視界に見慣れない影がある事にジュンは漸く気づいた。
安心したぜ
「だ、誰――」
長身、黒髪の男。
パッと見ただけでも、男の着込んだ服装はジュンの常識ではあまり馴染みはない。
甲冑、西洋の騎士が着装する鎧に似ているが、それでいてどこか和の風味も漂わせる。
しかし、ジュンに男の外見についてあれこれ考える時間はなかった。
こうしている間にも、刻一刻とジュンには別の事について決断を迫れている。
男に対する疑問の声を上げ終わる前に、ジュンは無我夢中で右腕を突き出す。
自分でも驚くぐらいに早く、一度乱暴にポケットに突っ込んでから。
お目当てのモンスターボールを、焦りのために生じた汗に塗れた右手で掴み終わってから――ジュンは精一杯の威嚇を行おうとした。
理由は目の前の男が片手に握り締めた一物。
鋭い切っ先を引っさげた、赤黒い槍を男がジュンに向けて走ってきていたのだから。
『止まれ!』と、大声で叫ぶと同時にモンスターボールを使えば男の動きは鈍るかもしれない。
反射的に後ろへ身を傾けながら、ジュンはそう思い立ったが――ふいに彼の右腕に何かが走る。
そう。所詮、ジュンは只の中学生であり、彼の身体能力、反応の速さは男のそれらと比べものになっていなかった。
「う、うわあああああああああああああ!!」
絶叫。
冷静な状態なら、自分がこれほど大きな声を出せたのかと思う程に、ジュンの叫びが周囲に響く。
走ったものは電撃のような痛み、乱暴に己の一部を引き裂かれた感覚。
見れば自分の右手の甲から何かどす黒いものが更に赤みを帯びながら、生えている。
痛い。
声を出してしまう程に感じる痛みから、それは自分の右腕を刺し貫いた槍の矛先である事がわかった。
槍は右腕で掴んでいたモンスターボールごとジュンの右手を刺し貫き、モンスターボールの成れの果てからは不気味な液体が滴り落ちている。
そこで何が起きたか想像するだけでジュンは気分が悪くなり、密かに心の奥底で謝った。
何故なら、今のジュンには酷な言い方であったが自分の身の方が心配であったから。
「痛い! 痛い! 痛いよ……なんで、なんでこんなコトするんだ!? 僕が……一体何をしたって言うんだ!?」
男から一刻も早く離れるために、無我夢中に右腕を引き抜く。
幸いモンスターボールが衝撃を和らいでくれたせいか、ジュンの力でも引き離す事は出来た。
しかし、刺された右腕を己の身に引いた瞬間、更に傷口から大量の血を失い、ジュンの表情は思わず引きつった。
段々と肌からは血色が失われ、確実にジュンの命の灯を奪ってゆく。
必死に自分の不運さを言葉にして呪うが、男は答えない。
只、全身を伝う恐怖と痛みでグシャグシャに歪んだジュンの顔を凝視し、無表情に槍を構え直す。
ジュンが零れ落とすのは涙、男が零れ落としたように見えるのは一切の感情。
ジュンがしきりに放出するものは叫びに似た言葉、男が只、黙って秘めるものは明確な殺意。
無反応な男により一層の恐怖を覚えるジュンは、必死に助けを願い続ける。
誰でも良い。
出来るものならば誰か、誰かに自分を助けて貰いたい。
たとえ身なりは悪く、近寄りがたい大人でも構わない。
昔、テレビで見た事があるような、正義の味方が駆けつけてくれたらどんなに良いことか。
そう。今にも自分か名前も知らない男の後ろから駆け寄って――夢のような話をジュンは無性に信じたかった。
だが、ジュンの耳に、視界に飛び込んだものは彼が望んでいたものとは違っていた。
支援
あわあああああ……
支援
「――すみません」
誰に対して謝ったのだろう。
ジュンが疑問を抱いた矢先に、男が動いた。
速い。さっきよりももっと速い。
距離が近いせいなのかもしれないとおぼろげながらに思った。
右胸を押し潰すように迫ってきた痛みをハッキリと受け止めながら。
「あ――――」
不思議とあまり声は出ない。
いや、正しくは出す暇すらもなかった。
男が勢いを乗せて繰り出した剛槍――ゲイ・シャルグの切っ先がジュンの一点を突き進む。
真っ直ぐに差し出されたゲイ・シャルクがジュンの肉を裂き、赤一色に染まり、心の臓を貫く。
痛い。
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。
声に出して、この痛みを訴えてやりたいのにそれすらも行う力がない。
声の代わりに出たものは己の吐血。
身につけていたパーカーが朱色に染まり、口の中で苦味が広がる。
全身から大事な何かが抜けていくのがわかり、思わず掴むように手を伸ばした。
伸ばした手に広がる赤い血だまりをぼんやりと見つめ、ジュンは口をパクパクと動かす。
眼の淵からどろりと、感触の悪い液体が零れ出ているような気がしたがその流動は止まる事はなくジュンの頬を伝う。
それはゆっくりと、ジュンの全てを奪う痛みの速さと反比例の関係を保つかの如くに動き続ける。
やがて男は突き出した筈のゲイ・シャルグを、ジュンの胸から勢い良く引き抜く。
あまりにも悲痛な顔で泣き叫ぶジュンに同情したのか。
違う。
ジュンの代わりに抜いてやったかのように見えた動作には優しさは見られない。
只、これ以上は必要ないから、と告げるような淡々とした挙動。
付着した血を振り払うためかゲイ・シャルクを器用に振り、男は矛先を下に向ける。
そしてジュンの身体も動く。
ジュンが意識したわけでもないし、男がそう意図したわけでもない。
極自然に、既に両の脚では支えきれなくなり、ジュンはゲイ・シャルグの矛先に頭を向けて前のめりに倒れ伏す。
歩道に打ちつけたショックで額が切れ、更に出血が起きたのをジュンは息苦しさに咽びながら理解する。
両肩を震わせ、なんとか楽な体勢を取ろうと身体中をくねらせるがもうどうしようもない。
涙や唾液や胃液、そして鮮血が入り混じった溜まりに浸されながら、ジュンは何もかもが手遅れなのだと実感した。
(嫌だ……こんなの嫌だ…………)
支援
支援
だが、受け入れたくはない。
このまま死にたくない。
未だ……生きたい、自分の人生を歩みたい。
もしかすれば学校に行けるようになるかもしれない。
そんな自分の未来を少しでも見てみたい――言葉に出来ない、言葉にしたい希望が喉まで来ているのだがそれ以上押し出ようとはしない。
両腕を、グシャグシャに潰された右腕すらも足掻くように必死に動かす。
自分の下に広がる歩道帯に手を伸ばすが、柔土で出来ているわけでもなく碌に掴む事も叶わなかった。
その行動の末の結果が、自分の全てを否定されたような気がしてジュンの表情が一段と崩れる。
そう思った矢先に一際大きな嗚咽をあげて、込み上げていた赤黒いものを外へ吐き出す。
何も出来ない。
結局、何も出来なかった自分を再びちっぽけな存在なのだと確認し、ジュンはやがて身を委ねる。
見知っている人物の顔が順々に浮かんでは消えてゆき、これが走馬灯なのかとぼんやりと思いながら――
(僕は……………)
ジュンの意識はゆっくりと深き闇へ沈んでいった。
【桜田ジュン@ローゼンメイデン:死亡確認】
◇ ◇ ◇
「先ずは一人、と言ったところでしょうか」
ジュンの命を奪ったゲイ・シャルグを携えて、彼のデイバックを漁って謎のカギと忍術免許皆伝の巻物仮免を手に入れた男がそう呟く。
ベナウィ。
それが男を示す名前であり、かつてはケナシコウルペという国の侍大将であり騎兵衆隊長としての肩書きも持っていた人物。
しかし、今のベナウィは違う。
現在はこの殺し合いの参加者の一人、ハクオロが治めるトゥスクルの騎士。
そして、ハクオロの生還のためにはどんな事も、どんな命も辞さない覚悟を返り血で染めた騎士甲冑を纏い、そう決めていた。
「後戻りなど出来ない、するつもりもありません」
何も抵抗してこなかった。
いや、抵抗出来なかったジュンの命を蹴落した事にも既に後悔はない。
態々奇襲という策は取らずに、真正面から挑んだのはベナウィの気真面目さによるもの。
自分が何をするまでもなく蹲っていたところ余程この状況に怯えていたのだろう。
無理もない。
ベナウィにも一切の動揺がないわけでもなかった。
突然突きつけられたこの状況は、特に年端もいかぬ少年や少女には耐えがたいものだと想像には難しくもない。
そんなあまりにも哀れな姿を見て、自分は凶槍を奮う頃合いを、若干遅れたと言われれば完全に否定出来る保証はない。
己の力を過信するつもりはないが、もしそうでなければもう少し早く終わらせる自信がベナウィにはあった。
だが、これからのベナウィにはそんな小さな迷いのようなものは絶対に生じないだろう。
何故なら、既に一人の命を奪う事はやり遂げた。
秘めた想いの果てに奮ったゲイ・シャルグで他人の命を引き換えに、己の為すべき事を為す覚悟は更に強まっている。
途中で断念する事は出来ない。
投げ出してしまえば、自分に肉と血を捧げる形となったジュンが報われない。
一国に仕える騎士や兵士ではなく、守られるべき存在であったジュンには殺される覚悟もなかっただろうから。
やがて惨劇が行われた路線を沿うのを止め、ベナウィはある建物の前で立ち止まる。
それはエリアE-2に位置する一つの駅。
ベナウィの住む世界には駅という施設はなく、列車という概念もない。
故にベナウィは興味があった。
駅たる施設には一体どういう意味合いが隠されているのだろう。
騎馬の一頭でも其処で繋がれているかもしれない。
もし現実の話であるならば騎兵であるベナウィにとってこの上なく利点がある。
気づいた時は既に歩き始めてかなり経っており、エリアD-1の辺りを歩いていた。
更に此処は慣れない地形のため、先ずは最寄の駅とやらに続く道に辿り着き、其処を辿って目的地を目指す。
時間が制限されているわけでもなく、確実に迷う事のない道を取り、ベナウィは歩き、そしてジュンと出会ったというわけだ。
入り口に足を踏みしめ、ベナウィは駅内に侵入する。
「この身が朽ち果てる、その時まで――必ず」
そこに迷いはない。
支援
しえーん
【E-2 駅入り口 1日目 釈明】
【ベナウィ@うたわれるもの】
[状態]:健康 甲冑に返り血
[装備]:破魔の紅薔薇(ゲイ・シャルグ)@Fate/Zero、腰に和道一文字@ONE PEACE
[道具]:支給品一式 シゥネ・ケニャ(袋詰め)@うたわれるもの 忍術免許皆伝の巻物仮免@ドラえもん 謎のカギ
[思考・状況]
1:聖上を生き残らせるため、殺し合いに加担
2:かつての仲間を優先的に殺したい
3:駅内を探索する。出来れば馬も欲しい。
※破魔の紅薔薇:あらゆる魔力の循環を遮断する事が可能で、対象に刃が触れた瞬間その魔術的効果をキャンセルする。ただし、魔術そのものを根元から解除するわけではない。破壊される、触れてから一定時間経過などすると効果は解除される。
※『忍術免許皆伝の巻物仮免@ドラえもん』
ハテノハテ星雲にあるアミューズメントパーク・ドリーマーズランド
における忍者の星における忍者の免許皆伝のための実地試験の
忍術が少し使えるようになる巻物。使える術は次の3つ
壁抜けの術:その名の通り壁をすり抜ける事が出来る。しかし厚すぎる壁は越えられない
バッタの術:バッタのように高く飛ぶことが出来る。だいたい一般家庭における屋根裏までが限度
ネズミ変化の術:少しの間、小さなネズミの姿になることが出来る。ある程度時間がたつと元の姿に戻ります。
※『謎のカギ』
詳細不明、何のカギでどこに使うのかは後続の書き手におまかせします。
「あーさむさむ……なんでワイがあんな目にあわなあかんねん!」
黒スーツ、いかにも堅気の職に就いてないと言わんばかりの風貌の男が愚痴る。
両肩を抱く様にトボトボと歩く男はウルフウッド、ニコラス・D・ウルフウッド。
世界を渡り歩く巡回牧師は表の顔であり、裏の顔は一流の殺し屋。
GUNG-HO-GUNSの一員、ミカエルの眼で殺人術を叩きこまれた男だがウルフウッドは此処に来て以来災難に見舞われている。
けったいな殺し合いに巻き込まれたと思えばいきなりのダイブ。
水。それもかなり冷たい水が張り巡らされた湖への理不尽な突入。
当然、身体中は水浸しになり、折角支給された銃器も使いものにならなくなった。
無事であった円盤は何故だか使う事も出来ずに、全くどうしようもない。
やばい。代謝機能の異常強化により、そこらのトーシローよりしぶとく生き残る自信はある。
だが、武器がなければ心細い。
そう。心細過ぎる。
知り合いの金髪トンガリのノーテンキな奴は『な、なんとかなるさ!』とでも言うかもしれないが、生憎ウルフウッドは違う。
きっちりと身の装備を整えて、たとえば敵に対し頭に二発、心臓に二発銃弾を叩き込めるような準備はしておきたいものだ。
「べーくっしゅい! あーあかん、風邪でも引いたらどないしてくれるんじゃボケェ!」
よってウルフウッドは、何処かに手頃な武器はないかと、辺りを手当たり次第に散索していた。
ちなみに地図はよれよれで、文字の所々が消えており、良く眼を凝らせば何処に何があるかはわかる。
そのため自分が居る位置はわかっていたが、特にこれといって目的地もない。
そんな時、ウルフウッドはふと疑問に思った。
地図の端はどうなっているのだろう、と。
そのまま此処から脱出でも出来たら儲けの至り。
まあ、そんな甘い話は転がってないだろうとは思うが、ウルフウッドは取り敢えず試していた。
湖に落ちたのはエリアE-8、其処から東に向けて前進。
途中で小さな河川を通って歩きやすそうな道路を踏みしめて、また前進。
未だ完全に水気は抜けず、ひんやりとした冷たさを感じながらも、またまた前進。
どうなるかはわからないが、やばいと感じれば一目散に逃げればいいだけの話。
逃げ出す事はウルフウッドにとって慣れ親しんだ行為であり、身体が覚えている。
平和ボケのトンガリ――ヴァッシュ・ザ・スタンピードと馬鹿をやり合った旅で何度もそんな羽目に陥った。
そう。何度も何度もやってられるかー!と叫んだ旅の中で。
「まあ、なんや。トンガリは……多分大丈夫やろ。あいつはそうそう死ぬタマやあらへんし」
そしてヴァッシュもこの殺し合いに呼ばれている事は、デイバックに入っていた名簿でわかっている。
一言で言えば甘い男。
ウルフウッドにとってはあまりにも危うく、己の命を今にも投げ捨てそうな様子さえある。
たとえ全身に銃弾を受けたとしても、一つの愛を、誰かの幸せを守れればそれでいい。
本気でそう思っているような男だが、ヴァッシュの銃の腕は抜きん出ており、他にも様々な力を保持している。
GUNG-HO-GUNSの一人、『チャペル』という名で呼ばれるウルフウッドはヴァッシュを彼の兄、ナイブズの元へ連れてゆく仕事があった。
故にこんな良くわからない場所でのヴァッシュの死は避けておきたい。
気に掛かるのはヴァッシュが誰か見ず知らずの他人ですらも庇い、己の命を散らせるような事を仕出かす事だ。
殺し合いをしろと宣告されているため、異常な状況に慣れていない人間には激しく動揺している者も居るだろう。
慎重に行動しなければ後ろからバッサリと……いっても可笑しくはない。
幾らヴァッシュといえども首を切られるなどの致命傷を受けてしまえば、彼とて死からは免れないであろうから。
流石に向こう見ずな行動は取らず、少しは慎重に動くだろうとウルフウッドは推測する。
「……あかん、前言撤回や。ムッチャ想像出来るで、おい……」
だが、ウルフウッドが見せたものは冷や汗が流れ始めた表情。
自分では否定したものの、一瞬でその自信は何処かへ消え去ってしまった事によるもの。
幾ら状況が過酷なものであっても、ヴァッシュはやる。
一人でも多くの人間を守るためには、どんな痛みすらもヘラヘラとした笑いで誤魔化す。
そう。ヴァッシュはそういう男なのだ、とウルフウッドは次第に呆れ返ったような顔をつくりながら、確認するように胸中で思う。
やがてヴァッシュの事より、一人の男の方をウルフウッドは考えだした。
名簿に載っていた、ウルフウッドが知っているもう一人の名前の事を。
「それよりも、リヴィオ……生きておったんか」
リヴィオ・ザ・ダブルファング。
いつも泣いてばかりであったが、優しい心を持っていた少年。
ウルフウッドと同じ孤児院で育ち、そしてある事件を境目に姿を消してしまった男。
『ザ・ダブルファング』という名称にウルフウッドには聞き覚えがないが、どうにもあの泣き虫リヴィオの気がしてならない。
そして同時に嫌な胸騒ぎがしていた。
孤児院から殺し屋養成の人材として引き取られ、やがて名前を貰った自分のように――。
これ以上、自分のような殺すためだけの全てを注ぎ込まれた人間が出せないためにも。
そう思い立ち、己の師であり諸悪の根源でもあった、マスターチャペルを事故に見せかけて殺したのは遅すぎたのだろうか。
答えは一向に出ず、それが遅すぎたと言われるのもウルフウッドにはどうにも堪えられない。
兎に角、このリヴィオ・ザ・ダブルファング――恐らくあのリヴィオに間違いない――には必ず会うべきだ。
堅く心に留め、歩き続けていたウルフッドはやがて行き着く。
数十分前程に、敢え無く命を落とした桜田ジュンの元へと。
「……運が悪かったな、坊主」
ウルフウッドが足を止めたのは一瞬の事。
もう少し早く此処に着いて居ればジュンの命を救えたかもしれないが、関係ない。
確かにジュンは未だ若い年齢であり、不憫だとは思うがウルフウッドとは接点はゼロ。
所詮、他人が一人死んでしまっただけの事であり、ウルフウッドは仇打ちをしてやろうなどという気はこれといって起きなかった。
そう。自分の生を生きるだけで精一杯なのに、他人の事にまで首を突っ込むなど自殺行為に等しい。
良くも悪くもヴァッシュとは反対の価値観の持ち主であり、それゆえにウルフウッドは次の行動に移る。
ランタンを取り出して、辺りに小さな光を齎す。
光に浮かんだジュンの姿を確認。
しっかりとデイバックを背負っている事も見て取り、ウルフウッドは近寄った。
中腰の体勢でうつ伏せに倒れているジュンの遺体の後ろへ手早く回る。
密かに、こっそりと『堪忍なぁ』と小声でジュンに謝りながらウルフウッドは何か銃器を得るために、荷物漁りを始めた。
「あかんか、そらぁ持ってたとしても殺ったヤツが持っていたんやろなぁ……」
デイバックを器用にジュンの身体から取って、探ってみるが碌なものはない。
残っていた名簿や地図は一応回収したが、一丁の拳銃も見当たらない。
着用していた衣服も調べた所、ご丁寧に『桜田ジュン』と女の字で書かれたため、名前はわかったがどうでもいい。
予想していた事だが、現実を突きつけられるとショックはあるものだ。
ならばもういいだろう。
そう思い、デイバックをジュンの背中にでも戻してやり、立ち去ろうとウルフウッドは顔を上げようとする。
そんな時、ふとウルフウッドの視界に映るものがあった。
「ん? なんや……」
力なく倒れたジュンが伸ばした左腕の先に赤い線が走っているのをウルフウッドは見つける。
赤い線の正体は言うまでもなく、滴り落ちた血液。
ジュンの胸部を起点として円心状に広がっている血だまりによって、指にでも血液が付着したのだろう。
ウルフウッドは血の線が何かの文字を描いているように見えた。
死ぬ前に何かメッセージでも残したのだろうか。
たとえば自分を殺した人物への恨み事が、それともその人物の名前か。
若しくは只、簡潔に『死にたくない』といったような自分の不運さを嘆いたものかもしれない。
死者が最期に遺した言葉を見てやろうなど、あまり趣味の良い話ではないがウルフウッドは一応牧師の職に就いている。
ついさっき死んだと思える人間が果たして、どんな気持ちであの世とやらに逝ったのか。
小さな興味ではあるが、どうせ荷物漁りまでもやってしまったのだから、とウルフウッドはランタンを向ける。
ハッキリと、地面に何が書いてあるのかを確認するために。
きっと力がなくなっていく身体を無理に使い、書いたのだろう。
所々、不自然に歪んで汚い字ではあったがウルフウッドはその両眼で、その血文字を焼きつけた。
――『おねえちゃん』と書かれた文字を
支援
「――ッ!」
なんでもない。
きっと仲の良い姉に宛てた言葉だったのだろう。
そうだ。服に態々名前を書いてくれる程に世話焼きの姉への言葉に違いない。
ありふれた文字であり、なんら可笑しくはない。
だが、ウルフウッドは自身でも驚くほどに衝撃を覚えた。
「あかん……あかんぞ、ニコラス。オドレはもう手一杯なんや、銃も碌に持ってないオドレが……あのトンガリのような真似は無理やろうが!」
思わず上げた叫び声。
現実を見定めろという声と、激しい感情を訴える自分の声が正面からぶつかり合う。
死んだ少年が桜田ジュンだとわかったせいではない。
そんな名前は聞いた事がないし、ウルフウッドが気に留める事はない。
只、考えるだけで全身が震えてしまった。
万が一の話だ。もし死んでしまったのがあの孤児院に居た誰かだったら。
いつも一人ではトイレに行けず、自分に連れて行ってくれるように頼んだ少年でもいい。
猫を追いかけて、屋根にまで上ってしまい、泣きべそをかいたあの少女でもいい。
あの中の誰かがこんな風に死んでしまったら。
憐れむ程にか細い文字で遺したら。
『二コにぃ』と、自分に対しての最期の言葉を遺したら、果たして自分は何を想うだろう
か――
きっと――解き放つだろう。
滾らせて、あまりにも膨張させた想いを連ねて拳を叩きつけるに違いない。
しかし、その事はジュンの死とは関係ない。
そう。関係ない筈なのだが――ウルフウッドはなかなか落ち着かなかった。
やがて、ウルフウッドは徐に立ち上がる。
両の拳は固く握りしめ、鋭い眼光は雄々しさを印象付けるもの。
そう思いきや、ウルフウッドは踵を返し、歩き出す。
「ええか、今回だけや。乗りかかった船や……期待せんで待っとれ。 なぁ、坊主……」
何でも一人で背負い込む子と、親代わりの保母にかつて評された男が。
一人の少年が最期に残した言葉に、風変りな男がこれまた風変わりな形で応える形となる。
そう。ウルフウッドにとって危険と成り得る人物。
ウルフウッドの言葉は、そこに名も知らない一人が新たに入った事を意味していた。
支援
支援
【F-1/中心部/一日目/黎明】
【ニコラス・D・ウルフウッド@トライガン・マキシマム】
[状態]:健康
[装備]: [道具]:基本支給品(地図と名簿は二つずつ) デザートイーグル50AE(使用不能) SPAS12(使用不能) スタンドDISC『スター・プラチナ』
[思考・状況]
1:襲われたら返り討ち、必要以上に危険な事に首は突っ込まない。
2:ヴァッシュとの合流、リヴィオとの接触
3:ジュンを殺害した者を突き止め、状況次第で殺す。
4;武器を手に入れる、出来ればパ二ッシャー
【備考】
※リヴィオは自分が知っているリヴィオだと思っています。
※まだループには気づいていません
※どこへ行くかは次の方にお任せします。
※参戦時期は未定です
支援
投下終了しました。
支援ありがとうございます。
誤字などがありましたご指摘お願いします。
投下乙です
マーダー補正全開のベナウィに期待
投下乙です
ジュンンンンンンンンンンンーーーーーーーーー!!!!!!
そりゃ引きこもり中学生がやる気満々の武人に襲われたらこうなるよなぁ
最後のダイインメッセージの「おねえちゃん」が涙腺崩壊ものでした
ニコ兄がジュンのメッセージと名前を知ったことで
いつか薔薇乙女達にジュンのことが伝えられるのを期待
投下乙でした!
ジュンがどうなるかと思いきや……。
ベナウィのマーダーっぷりもさることながら、ニコ兄も恰好良かったです!
しかしジュン……!
なんかもうホントにGJです!
……ジュン……!
投下乙!
ジュンーーーー!あとエーたろうーーー!
ジュンの反応がなんとも一般人らしかったです。
ベナウィも駅に着いたか……あれ?
ジュンを殺したベナウィと、真紅(あと玉男)が鉢合わせ!?
こいつはやべえ!
ウルフウッドも、特にダイイングメッセージへの反応がなんとも彼らしかったです。
果たして彼はジュンの仇を討てるのか?
改めてGJ!
投下乙です!
ピンチだけど、かっこよくニコ兄が助けに来てくれる…そんなふうに考えていた時期が俺にもありました。
ジュン、ジュゥウウウウウウンンンンン!
なんという…!このなんとも一般人らしい…!
うわああああ、ジュンの絶望が伝わってくる、読んでいるこっちまで痛くなってくるような素晴らしいSSでした!
そしてニコ兄がこんな形で関わってくるとは…!
くそうかっこいいぜニコ兄!
そしてやっぱりジュンーーー!エーたろうーーー!
本当にGJ!
ベナウィ容赦ないぜw
ダイイングメッセージの内容が悲痛で…残されたキャラがどうなるか楽しみー
盛り上げる為になんか語りたいが…マーダー、危険人物はざっとまとめてみたし、
対主催…は、キリがないか。
黒幕まだ決まってないの?
ある程度きめとかないと出た時に関連人物全員死亡とかなってそうで怖いんだが
むしろ今のうちに決めて関連人物に生存ロックかけるのもなぁ……と思ってしまう
これから先の本編の流れ次第で決まるもんじゃないかね、そういうのは
でもここで候補を出してみてそれを雑談のネタにするのはいいかもなw
どんなキャラがいるのか今のうちに知っておけば、所々にネタを仕込めるかもしれないし
例えばどんなキャラがいるんだろう
ワンピじゃ、エネルとかモリヤとか浮かぶが…機械や平行世界には詳しくなさそうだ。
黒幕か………
パッと考えて思いついたのが
・ブリタニア皇帝(コードギアス)
・アーロン(ワンピース)
・小鳥遊四姉妹(ワーキング)
・スティール夫妻(ジョジョ7部)
あたりかな
個人的に夢幻三銃士のボス(名前何だっけ?)とか見てみたいかな
これからの展開を期待してギンガ団(ポケスペ)とかもありかもとか
あー。ナナナなら、ロロもありだな。ギアスもボスクラスだし。
ヒューイとかアリかと思ったけど、それならエルマーが参加するはずないんだよなぁ
運営能力自体は終わクロあたりからの適当なアイテム使えば誰でも主催が出来るし、大事なのは動機付けなのかしらん
あ、バッカーノのマッドサイエンティストなお姉さんとかどうかしら
・ヤナギ(ポケSP)、セレビィ手に入れた未来とかすれば平行世界に移動可能。
本人の強さも作中ダントツで強い(主人公ら7人がかりにも快勝するほど)
組織力もある(ロケット団新首領だった)。他にルギアホウオウとかも手もちにいる。とにかくチート、強すぎる。
・DIO(ジョジョ)、ありきたりな気がするけど、【天国】に行くための方法をかねて、
OPの一つにも名が挙がってるし、カリスマあり肉の芽あり組織力も執念もある。
時を止めることに耐性のあるものが(承太郎)がいないこのロワで時止め世界はそうとうな脅威。
・ディー(うたわれるもの)、うたわれるもののラスボス、神(ハクオロ)の半身。でもこいつギャルゲで出てるんだよなぁ……
思いついたのはこんなところか
てか黒幕いるの確定なの?
ギラーミンにバトルロワイアルを開催、運営できるだけの器量も能力もあるとは思えないが
作中で何人か言及してるけど、願いをかなえてもらえるのがギラーミンに勝った後だからねー
ギラーミンが死んだら誰が願いをかなえるんだって話にはなるでしょ
>>282 じゃあ何でギラーミン主催にしたの?
黒幕が必要になるなら、最初からそのキャラを主催にしとけばよかったじゃん
バッカーノのキャラが活躍してたからだよ
ギラーミンがどんなキャラなのかも知らないのに、
「バッカーノのキャラが活躍してるから」ってだけで票入れた奴が多かったから
「ギラーミン知らないけど、ドラえもんのキャラだし秘密道具で何とかなる」とか言ってるバカもいたしね
予約キター!
ついに…あの人が…
287 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/06(土) 00:23:31 ID:0mZTmFnj
>>285 究極のアイテムであるもしもボックスを使えば何とでも出来るから事実だな
が、原作においてギラーミンがドラえもん(もとい秘密どうぐ)について把握はしていない
よってギラーミンにドラえもんのことを説明した者が必ずいるはず
>>287 俺が言ってるのはそういうことじゃないんだけど
てかそれもうわざとやってないか?
また不毛な争いをしているな。
ひとをバカ呼ばわりするくらいなら投票の前に毒吐いとけよって感じ。
今は分岐制もあるし揉める理由がわからない。
予約見てきた
うお!こ、これは…!
>>290 言ったけど無視されたんだよ
それに、分岐制は関係ないだろ
OPからの分岐は出来ないんだから
今更、文句言ってもしょうがないだろ。
黒幕がいてもいなくても現在はギラーミンで何とかするしかないんだよ。
これほどドラえもんファンを馬鹿にしてる企画もそうそうないよね
もしバッカーノとかのキャラが同じ扱いを受けたら大荒れだろうね
ああ悪い。OPからは無理なのか。覚え違いをしていた。
でも無視されたのはギラーミン選んだやつのせいじゃないだろ。
当時からいるけど「ギラーミンは役者不足」ってレス、印象に残ってねえし。
今更ごねてどうしたいんだよ。OPからやり直す? OP分岐の交渉がしたい? ただ荒らしたいだけ?
強いていうなら、荒らしたいだけかな
一部の作品を活躍させるために、他の作品を蔑ろにするようなのがまかり通るんだったら、そんな企画潰れればいい
ところで、スクライドの無常を把握するなら第何話くらいからかな?
なかなか出てこない…
主催者交代も黒幕出現もパロロワならよくある話。
本音を言えば、キースシリーズであってほしかったけどね
少し質問。
ここって所謂メインルートってどっちなんでしょうか。
??O????C????v????[?g????C???[?g???
?????v???????M????????
A1だよ
結構後半で出てくるよな、無常。
戦ったりするのはラスト数話か?
登場は、14話か15話のどっちか。
バトルの描写は、23話、24話かな。
無常に拡声器使ってほしいなあ
「はいィ、本土側のアルター使いの無常矜侍です」
こんなんがあのイントネーションで大音量で流れてきたら、吹くわww
しかし拡声器か……誰が使うかな?
拡声器か。そういえばまだ誰にも支給されてないなぁ。
色々と美味しいアイテムだと思うし、今後に期待しよう。
そして新しい予約きた!楽しみだ。
ほんとだ予約来てる!
ライダーのおっさんが原作で拡声器なしでよびかけてたな
なんだかんだで予約が途切れないのはありがたいな。
おお、ホントだ!
wikiも更新されてるしねー
本当、乙ですわ
さて、まー予約等のルール説明とかまとめに書いてないわけなんだが……
テンプレ作って避難所投下>問題なければまとめに転載って流れでいい?
ルールについてを?
それでいいじゃなかろうか
それではクーガー、リヴィオ、大阪を投下します。
315 :
支援:2008/12/11(木) 00:16:51 ID:l/o19bl2
316 :
支援:2008/12/11(木) 00:17:46 ID:l/o19bl2
しえn
漆黒――備えられた窓ガラスから見える光景。
感想――特に思う事もない=時刻を考えれば可笑しくない。
感覚――問題なし=綺麗に磨かれた通路を歩きながらそう感じた。
感触――やけに軽い。当然だ。普段手にしている銃とは違い過ぎる。
結論――前進。内に秘めた感情を馬に見立てて、力づくで乗りこなす。
恨みごとを言っても銃が変わる事もない。
爆発しそうな不満が広がる――ガラにもなく、押し込んだ。
この感情をぶつけてやろう。発散してやろう。ブチ撒けてやろう。
歪みゆく表情――昂揚感/充実感が全身を満たす。
自然に両手に力が籠る。この場での仮初の相棒。
自分の代わりに誰かの血を奪う存在――ソードカトラス/ベレッタM92カスタム。
グリップを握り、まるで大切なものを抱擁するように――但し、相手の事は考えずに力強く。
歩く。周囲に目を配って/辺りを窺って/獲物を捜して――ある到達点へ。
男――ラズロは病院のドアを開けて、暗闇に身を投じた。
「しけてんなぁ……ガキの死体しかねぇ」
呟き。隠しきれない落胆を思わずぼやく。
受付口付近で見かけた一体の死体。
ジョルノ・ジョバァーナ――ラズロにとって知らない/興味もない相手。
故に碌な反応も見せずに通過。
否、生きている相手と出会えなかった事への嘆き――唾を溜めて、弾かせる。
収まらない衝動/苛つき/激情を絶えず胸中に。
名簿で見かけた、知っている顔を思い浮かべる。
ヴァッシュ・ザ・スタンピード/ニコラス・D・ウルフウッド――殺すべき存在。
己の師/恩人/即死を確認――裏切り者、ウルフウッドによって首が有り得ない方向に曲がった男。
マスターC(チャペル)の無念が疼く。
一刻も早く殺せと騒ぐ――ラズロはそれら全てを受け入れた。
「来いよ、あんまり俺を退屈させるんじゃねぇぞ……。
俺がグシャグシャにしてやるから出て来いよ……この際だ、生きてるヤツなら誰でもいいんだからよぉッ!!」
だが、ラズロの意思に反するように生憎、格好な対象は居ない。
人どころか一匹の犬すらも居なく、まるで生物が生きている心地すらもしない。
違和感。自分が立っている場所に対する疑問が疼く。
しかし、即座に振り払う――自分の目的には些細な事。
眼につく参加者の殲滅/皆殺し/ヴァッシュとウルフウッドの始末を達成する。
単純な指令(オーダー)。もう一人の自分、甘ちゃんリヴィオなど出る幕もない。
あまりにも大きな才能のために、一つの肉体に二つのナンバー――人格を持ちし男。
リヴィオ・ザ・ダブルファング+ラズロ・ザ・トライパニッシャー・オブ・デス――揺るがない二人一組(ッーマンセル)。
ヘマをかますわけがない。そんな事は許されない/許せない。
マスターチャペルの仇を討てぬ自分など――認められない。
故に歩を進める/暫く歩き続けながら首を回す。
常人とは較べものにならない感覚で、周囲を索敵。
強化改造された身体と感覚――『ミカエルの眼』による賜物。
刹那、何かを勘づく。何かが周囲に――そこで突然の意識の中断が起きる。
支援ー
「おおおおおおおおっとぉ! 遂に見つけたあああああぁ! この俺以外の参加者にいいいいいいいッ!!
俺は今、確かに己の幸運を感じている! こんなにも速く、誰かを見つけられたコトをなあああああああッ!!」
馬鹿でかい声。駆け込むように跳び込んできた男によって。
半ば呆れた表情を浮かべるラズロの前に現れた男――ストレイト・クーガー。
図書館を抜けた後、歩行、走行、そして疾走とも取れる爆走を経てやって来た。
特徴的なサングラス――怪しい。
青と白のコントラストが目立つ制服――更に怪しく思う。
猛烈な速度を押し殺し、サッと体勢を整える挙動――怪しいなんてものじゃない。
背中に義手を生やし、左顔面に刺繍を施しているラズロは自分の事を棚に上げて、そう思った。
だが、そんなどうでもいいような事を考えた時間――ほんの少し。
口角をニィっと吊り上げて、ラズロは近づく。
「……あんたの名は?」
「俺はストレイト・クーガー! 誰よりも速さを追い求める男だッ! そういうお前さんの名前はなんていうんだ?」
「ラズロ。リヴィオとも書かれてるけどな。まぁ、いいや。
五月蠅ぇ奴だがなんでもいい……相手してくれや、おっさん」
銃を握る手に力を込める――無言の合図。
いつでもやれる/自信の現れ/ブチ殺す用意は既にOK。
浮かべた表情が意味するのは殺意が籠ったGOサイン/突撃(ガンホー)。
眼の前の男を舐めるように眺め回す。
観察――自分とどこまでやれるかの見積もり。
『おっさん』――何故だかその言葉を言った途端、酷く男が衝撃を受けたようだった=つまらない発見。
そう、つまらない――瞬時に抱いたラズロの感想も同一。
男には銃器や刀類など見たところ武器が何一つない。
徒手空拳に優れているのか/自分のように身体に特殊な改造が施されているのか=沸き立つ疑問。
だが、その疑問も直ぐに無意味なものになるとラズロは確信している。
何故なら今から自分が殺すから――100%の正しい回答を持っているのもまたラズロ自身。
「……なるほど、これはちょっと俺の目論見が違ったというコトだな。
オーケー、わかった。このストレイト・クーガーは逃げも隠れもしない! お前に見せてやろうおおおおおおおおッ!!」
身構えるラズロに呼応するかのようにクーガーが腰を落とす。
荒れ果てた大地――ロストグラウンドの治安の維持を目的とする組織=HOLY。
入隊の経緯はある引き換え条件によるためだが、それでもクーガーは一流のHOLY隊員。
目の前の男がこの殺し合いに乗っていると判断し、排除に乗り出す。
長く、鍛え抜かれた両脚――クーガーの全て。
クーガーがこの世で最も信じるものを織りなす。
まるで削り取られたように消失したもの――黒々とした大地の一角。
次第に広がる粒子がクーガーの周囲で群れを成す――虹色の煌めきが暗闇を照らしてゆく。
訝しむ。思わずラズロの表情が、目の前の出来事に訝しむように歪む。
己の常識を超えた何か――視覚した超常現象がラズロのクーガーへの印象を転覆。
咄嗟に突き出した右腕――ソードカトラスの銃口が向かう先はクーガー。
エルロイ文体ktkr!
「ラディカルグッドォッスピイイイイッドオオオオオオオオオオーーー!! 脚部限定ッ!!」
全身を経て、凝縮した虹色の発光が一点へ進む――クーガーの両脚に集まる=それは形成の証。
ピンク色の装甲に覆われた脚部が一瞬の内に出現。
発現の理由――高次物質変換能力、通称“アルター”によるもの/唯一無二の力。
そのアルター能力を持つ者こそがアルター使い――そしてクーガーはAクラスのアルター使い。
アルターの形成が終るや否や、クーガーが己の存在を誇示するかのように駆け出す。
踏みしめる力は強大且つ、最速の速度で直進。
一瞬の内に舞い上がる砂埃の理由――消失/発進/一直線への跳躍。
大きく見開かれたラズロの眼が意味するものは驚き。
いつのまに近寄ったかすらも、確かな実感が湧かないクーガーの速さ。
予想外/侮った――舌打ちをしながらラズロは後方へ身を飛ばす。
ラズロが蹴り飛ばした大地の上方で唸りを上げるもの――メタリックパープルの蹴撃。
クーガーの右脚による上段回し蹴りが宙を切り裂く。
「舐めるなァッ!」
一方、背中を向けながら跳び退いたラズロ――怒声一発。
食い入るように見つめる人影/クーガー/気に入らない男――躊躇う筈もない。
今まで何の役目を果たせていない己の武器――沈黙のソードカトラス。
ラズロも碌な時間も掛けずにソードカトラスを向ける。
流れるような動き/無駄のない動きがラズロの突出した技術を匂わす。
ラズロの本来の得物は三挺の、それも最凶の個人兵装といえる代物――パニッシャー。
普段使いなれた銃よりも遥かに軽い得物を手の中で廻し、力を込めてトリガーを引く。
止められる術はない。
鉛玉/弾丸/死への誘いの使いがクーガーの肉体に減り込む――否、それは所詮ラズロの観測。
「遅い! 俺に較べたらあまりにもスロウリィ!」
陽気とも取れる声色でクーガーが叫び、次に何かが弾け飛ぶ音が響く。
音の正体――クーガーがお返しと言わんばかりに、振りぬいた左脚に弾き飛ばされた銃弾の成れの果て。
そう、その場で再び上段――但し、左脚による回し蹴りでクーガーは銃弾を蹴り飛ばしていた。
理由――先程、リヴィオが己の感覚の鋭さによって、大きくバックステップを取ったのが幸い。
依然、十分に開いた距離/ラズロの射程内/クーガーにとっては遠い両者の空間に流れる静寂――たった一瞬の事。
何も起きないわけがある筈もなく、男達は互いに動く。
ソードカトラスの銃口を横に寝かせ、片腕を突き出す――ラズロの追撃。
軽く腰を落とし、両手を地につかせて、一気に飛び出す――クーガーの疾走。
支援
「どうせ死ぬんだ、ならチョロチョロ動くんじゃねぇよ!」
ラズロの足元では空の薬莢が瞬く間に大地で跳び跳ね、その数は一本ではなく、無数。
たんたんと、一定の音程を刻んでいくかのように音を鳴らすそれらに追従するもの――鉛玉。
今度は一発一発ではない/弾の数もこの際考えない/やり慣れた連射を瞬く間にやってのける。
鬼気迫る勢いで走り込むクーガーには遠距離の攻撃手段はない。
ならば、距離を取りながら銃撃を行うのがセオリー――だが、ラズロはその場に留まる。
ラズロには余裕がある/小細工なども要らない/マスターCの教えを請うた自分が負ける事など夢にも思わない。
只、クーガーに無数の弾丸を叩き込む事がラズロの意識を支配する。
ぶれる事もない弾道が示す――ラズロの揺るがない自信/意思。
やがて何発もの銃弾とクーガーの身体が、一直線にぶつかるように交わる。
青と白の制服の下に潜む肉体から噴き出すものは赤い飛沫――しかし、止まらない。
クーガーの速さは止まらず――寧ろ加速(ヴェロ)を以って増していく。
まるでそれが当然であると示すかのように。
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!」
身を逸らしたが、左肩に受けた銃弾を気にせずに走り抜けるクーガー。
二人を隔てる距離――近い、近づく、更に近づき――やがて終着を迎えた。
左脚を振り上げて、抉り取るように振り抜く軌道が一閃。
ラズロの脇腹に迫る左脚の勢いは当に弾丸の如く。
依然としてソードカトラスの引き金を絞っていたラズロ――故に新たにクーガーの右脇腹の辺りに銃弾が食い込む。
だが、それはラズロの逃げ道が塞がれた事と同義。
ぎりぎりまでトリガーを引き続けていたツケ――回避のための距離の喪失。
咄嗟にラズロは両腕を交差させ、ソードカトラスの銃身でクーガーの蹴りを受け止める。
息をつく暇もない――横殴りで襲い来る蹴撃によって、火花に包まれたソードカトラスがギシギシと軋みだす。
衝撃を逃がす――半ば本能的に/反射的に受け止めた腕を下へ=間に合わない。
完全に抑えきれなかったため、ラズロの身体が宙に吹き飛ぶ――が、地には落ちない。
不慣れな体勢のまま、ラズロは更に射撃を続行。
ミカエルの眼による強化改造にお陰で、蹴り飛ばされた衝撃も気にする程でもない。
引き金を絞る度に、腕から伝わる感覚――発砲の感触に身を委ねがら笑う=心地よい。
自分が今、この場に生きているような/必要とされているような心地に胸を躍らせる。
「遊びは終わりだ、そろそろ使わせてもらうぜッ!」
重力に引かれたままの状態での射撃、そしてクーガーの技量によりそれ以上の銃弾は当たらない。
だが、ラズロの表情に浮かぶものは――依然、余裕。
何故なら、未だにラズロには隠し手ともいうべき武器がある。
手に持つだけでわかる、この威力は――本物だ。
エンジェルアームの弾丸――禁忌の疫災/禁断の兵器/生みだすは凄惨な光景。
未だラズロは知らない/月すらにも穴を開ける程の威力を発揮する武器を用いれば、勝敗を決するのは容易い。
殺すべき標敵共――ウルフウッドとヴァッシュの二人に全弾撃ち込みたかったが、気が変わった。
既にカートリッジを装填し終えている、もう一挺のソードカトラスに眼をやる。
思わず零す、にやけ顔――我慢出来ない/抑えられない/衝動が止まらない。
この銃に込められた弾丸を放てば、この五月蠅い男はどういう顔を見せるのか。
出来れば一瞬で終わるのではなく、じわじわと苦しまないだろうか――ラズロの密かな希望。
望み通りに叶うか否か――確認のために、余裕に浸りながら力む。
数秒もせずに弾き出すはエンジェルアームの弾丸――だが、それよりも更に速く動くものがそこにはあった。
投下――支援!
「終わりだと!? ああ、確かにそうだ! 否定はしない! 俺はお前のその言葉に完全なる肯定で答えよう!
但し! それはお前の終わり――衝撃のおおおおおおおおおおおおおおおッ!!」
予想――緩んでいたラズロの想定していた場所よりももっと近い。
ソードカトラスを見入ったために生まれたラズロの一瞬の油断――十分な時間=最速の男にとっては。
一度、ラズロの前を横切る/助走をつけて駆け抜ける――最速の域に達するため=MAXIMUMの領域。
あまりにも早く、前に突き出す両脚の動きなど終える筈もない――クーガーが最速の男と言われる理由。
咄嗟に現実に引き戻され、ラズロは余裕をほんの少し、かなぐり捨てて構える。
鋭敏な感覚を振り絞り、直ぐに狙いをつけ直すラズロ――しかし、消失(ロスト)。
理由――ラズロの予測を越え、既にクーガーは更なる高みを以って跳んでいたため。
クーガーの両脚に形成されたアルターを視界の隅に捉える程がやっとの事――そして叫ぶ。
吐き出す言葉は猛々しく、軽薄な印象は持たせない――持たせる筈もない。
彼の身体を包む虹色のアルター粒子が/サングラスの下に潜ませる鋭い眼差しが嫌でも物語る。
クーガーが未だHOLYに入隊する前、彼を兄貴と慕った男――一人の反逆者(トリーズナー)。
彼の自慢の拳による名称の由来――本家本元の一撃を見舞う体制に入るクーガー。
瞬時に大きく跳躍していたクーガーの身体が駒のように回転――暴風すらも巻き起こせそうな勢い。
対するラズロも負けじと咆哮に似た声を上げ、腕を突き出すがクーガーには最早聞こえない/興味がない/聞く必要もない。
答え――既に完成しているのだから。
そう。そのキーワードはとても単純――
「ファーストブリッドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
大音量の掛け声と共に、ラズロの身体に飛び込む。
繰り出すは回し蹴り――だが、今までのものとは衝撃も速さも段違い。
“ファーストブリッド”――クーガーが持ちし技の一つ。
ラディカルグッドスピードの圧倒的な速度から撃ち出される一撃は正に弾丸(ブリッド)の如く。
脇腹をしたたかに蹴りつけられたラズロの身体が、これまた強大な加速に引かれて吹き飛ぶ。
グングンと止まる事も知らずに、クーガーから離れていくラズロの身体。
そんな最中、ラズロの身体はふいにある一帯――大きく広がった湖に飛び込む。
既に戦闘を経て、互いに立つ位置をエリアE-6に移していた二人。
怒りで顔を引き攣らせながら、ラズロは只、流水に飲まれていく事となった。
◇ ◇ ◇
「……ヘマかましたなぁ」
湖に突き飛ばされる屈辱。
ずぶ濡れになった身体で地上へ這い上がる。
ファーストブリッドの衝撃は確かに大きかったが、ラズロの身体には異常ともいえる自修復の力がある。
制限により未だ痛みは残るものの、動かすのも支障はない。
たが、意外にもラズロの表情はどこか淡白なもの。
水を被った事によって、逆に頭が冷えたのかもしれない。
表面上は、あくまでも表面上は冷静さを保つラズロ。
残弾を気にしながら、獲物を求めるためにラズロは再び歩き出す。
「マスター、聞こえてるか?
もう一人ぶっ殺してぇヤツが出来たんだ……もう一人、すげぇ気にいらねぇヤツが……」
先程の男、ストレイト・クーガーへの恨みは忘れずに。
【E−7/湖付近/黎明】
【リヴィオ・ザ・ダブルファング@トライガン・マキシマム】
[状態]:健康。ラズロ状態。 左脇腹に痛み有り。ずぶ濡れ。
[装備]:M92AFカスタム・ソードカトラス×2(@BLACK LAGOON)、45口径弾×10.45口径エンジェルアーム弾頭弾×24(@トライガン・マキシマム)
[道具]:支給品一式、.45口径弾24発装填済みマガジン×4、.45口径弾×24発(未装填)
[思考・状況]
1:片っ端から皆殺し。
2:ヴァッシュとウルフウッドを見つけたら絶対殺す。 あとクーガーも。
3:機を見て首輪をどうにかする。
4:ギラーミンも殺す。
【備考】
※原作10巻第3話「急転」終了後からの参戦です。
「まあ、なんだ。あれじゃあ当分動けないに違いない。結果オーライというコトにしておこう」
ラディカルグッドスピードを解除し、クーガーが呟く。
銃弾を受けた個所はアルターで防ぎ、既に血は止まっている。
クーガーの表情にうっすらと浮かぶのは、ラズロを仕留めきれなかった事に関する心残り。
たとえ己の速さが普段通りではなかったとしても、かなり手強い相手だったラズロ。
だが、そう言っても仕方がない――何故なら既にラズロを見失ってしまったのだから。
ならばどうするか――考えるまでもない疑問に答える。
一秒でも無駄にする事なく、最速の名に恥じぬように――クーガーは動き出す。
「蛇ヤロウは当然、倒す。だが、それだけが俺の仕事じゃない。そう、そして既に一枚は張り終えた!
一枚は何処かに張って、残りの一枚は俺が持っていれば他の人達に最速で情報を伝えるコトが出来る!
ああ、完璧だ! まさに完全調和……パーフェクトハーモニーと言うのに相応しい!!」
蛇ヤロウ――本土側のアルター使い/いけ好かない奴/倒すべき相手=無常矜持。
あんな特徴的な名前がこの世に二人も居るとは思えない。
きっとこの場でも何か碌でもない事を企てているのだろう――ならば止めなければならない。
また、クーガーが握りしめるのはボロボロな二枚の紙――彼に支給されていたもの。
本来は同じものが三枚支給されていたが、クーガーが言うように一枚は既に張り付けてある。
その場所は病院。判り易いように入り口のドアのど真ん中に――ラズロとの闘いを終えた後に行った。
何故なら、一人でも早くこの情報を知っておいて貰いたかったから/丁度地図の真ん中に位置していたから。
人の良さそうな顔だが、共に書かれた文字が本当であれば気にしないわけもいかない。
そして、クーガーは意を決したかのように走り出す。
(カズマ、劉鳳……無茶はするんじゃねぇぞ……!)
自分が見出した希望――ロストグラウンドの、アルター使いの未来を切り開いてくれると思わせた二人。
カズマ、劉鳳の二人の身を密かに案じながら。
【E-5/南西部/黎明】
【ストレイト・クーガー@スクライド】
[状態]:健康 、左肩、右脇腹などに銃弾による傷(アルターで処置済み)
[装備]:HOLY部隊制服、文化的サングラス
[道具]:支給品一式 不明支給品(0〜1) ヴァッシュ・ザ・スタンピードの手配書×二枚
[思考・状況]
1:ジラーミンに逆らい、倒す
2:無常、ラズロ(リヴィオ)、ヴァッシュには注意する
3:カズマ、劉鳳、橘あすかとの合流。弱者の保護。
4:ヴァッシュの手配書を何処かに貼り付け、もう一枚は自分で持っておく。
【備考】
※病院の入り口のドアにヴァッシュの指名手配書が貼ってあります。
※ジラーミンとは、ギラーミンの事です
誰も居なくなったエリアF-6。
無音――生物が居るわけでもなく、特に可笑しくもない。
そう。誰も居なくなった筈であったのに――唐突に何もない空間から一人の少女が姿を現した。
「……あんなん反則ちゃう? わたしなんか勝てるわけないやん……」
ピンクを基調とした制服を着込んだ小柄な少女が、意気消沈といった様子でそう呟く。
春日歩――知人も一人も居なく、この場に集められた別段普通な女子高生。
黒のストレートヘアーが印象的な、どこか危なっかしい印象を抱かせる少女。
転校初日に大阪と安直な渾名を付けられた過去を持つ――只、関西の方から越してきた理由=なんの捻りもない。
そして歩――大阪に支給された品は石ころ帽子なる代物。
様々な制限はついているが、掻い摘んで言うと自分の姿を消してくれる道具。
大阪はその石ころ帽子を使って、観察していた。
そう。先程まで闘い続けていた二人の男――クーガーとラズロの闘いを。
まあ、途中からは更に戦闘の進行も速まり、全てを観たわけでもないが。
それでも、大阪の気を削ぐ事に十分であった。
「近づこうにも無理や、絶対無理……怖くてなーんもできへんかったし……」
死にたくはない。
ならばこの殺し合いで生き残らなくてはいけない。
よって一人でも参加者を減らすために、大阪は漁夫の利を狙おうとした。
そこまでは良かった――少なくとも大阪はそう思っている。
いや、ぼーっとした事に定評がある大阪にしてみれば、かなりいい判断の部類に入るだろう。
だが、足りなすぎた/開きすぎていた/次元が違った――大阪と二人の何もかもは。
体格の問題はいうまでもなく、クーガーが誇る速さも、ラズロの持つ射撃技術も大阪にとってはこの上ない脅威そのもの。
もし、奇襲が失敗すれば自分が無事に逃げられるわけがない――そう思うと近寄る事すらも出来なかった。
隙を見せれば不意打ちの銃弾でも喰らわせてやろうと思っていたのに。
そして大阪は今後について考える。
金髪の少年――ジョルノ・ジョバァーナ/大阪の知らない男の子を、殺せた時程に今後も要領良くいくだろうか。
絶対に無理だとは言い切れないが、上手くいく保障もどこにもない。
たった一回の失敗で全てが終わる――もう二度とあの学校に登校するのも叶わない。
一癖も二癖もあるが、大切な友達とも会う事すらも出来ない。
認めたくはない未来――必死に振り解くかのように大阪は歩を進めた。
一つだけ、気になる事が大阪にはあったから。
支援
ツマンネ
「……こーんな優しそうな人やのに、悪い人なんやね……信じられへんなぁ、わたし……」
両眼をまん丸に見開いて大阪は見つめる――一枚の貼り紙=先程クーガーが張り付けた何か。
まさに心底驚いたと言わんばかりに驚きにそまった表情を浮かべて、じっと見入る。
そこには一人の男の顔写真が載っていた。
何故か読める、記された金額の凄さ――男がどんな悪事をやってきたのだろうか思わず考える。
赤い、まるで血のように赤いコート――あんまり趣味は良くなさそう。
お洒落の一環であろうと思われるピアス、そしてホクロ――だけど、不思議とあまり怖い印象はない=寧ろ優しそうとも思える。
こっちが恥ずかしくなってくる様な満開の笑顔――こんな笑い顔を間近で見せられたら碌に会話も出来ないかもしれない=信頼には充分。
そう、大阪には自分の目の前に映る写真の男が危険人物――賞金を掛けられた指名手配者であるという事に驚きを隠せない。
思わず右腕を伸ばし、写真の口元の方へ手を伸ばす。
何かを求めるように/探るような手つきで/撫でるように小さな右手が動く。
「けど――こないな人ですらも悪いコトしたんや。きっと騙して、油断したとこを……だからこんな紙に貼り出された……。
わたしがあの男の子を殺したみたいになぁ……」
だが、その手は止まり、ゆっくりと離れゆく。
大阪にはこの状況で誰かを信じられる程の余裕はなかった。
きっとこんな馬鹿げた殺し合いに反感を抱く人間は居るだろう。
しかし、人の嘘を見破るのは口で言うほど簡単ではない。
友達の他愛のない冗談ですらも、真に受ける事が度々ある大阪には――特に難しい。
更に日常とは違い、一度見誤れば待つものは死という概念――既に自分が一人の少年を殺した事実が重く圧し掛かる。
罪悪感がないとは言えない。
だけど、いきなりこんなヘンテコな場に呼び出されれば――半ば、強引に自らの行動を正当化する。
何故ならこれからも、自分が選んだ過酷な道を進むのには必要な事だから。
「そうやーしっかりせなあかん、しっかり……しっかり……しっかり……しっかり――」
やがて大阪は歩き始める――足取りはフラフラと非常に危うい。
だが、その小さな胸に秘めた意思はしっかりとしている。
生き残る――非常にシンプル且つ難しい目的。
ぶつぶと暗示のように呟く大阪は次の獲物――油断さえしてくれたら自分でも倒せそうな相手を探しに行く。
出来れば二人以上で、疑心暗鬼をも引き込めそうな集団が良いかもしれない。
そこまで考えて、大阪はふと振り返る。
暗闇の先――先程、十分に鑑賞した男の手配書。
その男こそ行く先々で常にトラブルを巻き起こし、ついた渾名は『人間台風』。
そのため、一種の災害と見なされ、今は懸賞金が掛けられていない人物。
更に、大阪が考えるような犯罪染みた事に手を染めていない――名はヴァッシュ・ザ・スタンピード。
「しっかりな」
そんなヴァッシュの笑顔が今の大阪にとって、何故だかとても眩しいものに見えた。
【E−5 病院近く/1日目 黎明】
【春日歩@あずまんが大王】
[状態]:健康、心神喪失状態
[装備]:グロック17@BLACK LAGOON(残弾15/17、予備弾薬51)、石ころ帽子@ドラえもん
[道具]:支給品一式×2 不明支給品(1〜4)
[思考・状況]
1:生き残るために全員殺してギラーミンも殺し、現実に帰る。
2:あまりにも強そうな相手とは関わらない、あくまでも不意をつけば倒せそうな相手を狙う。
3:お人よしの集団に紛れるのもいいかもしれない
4:ラズロ(リヴィオ)、ヴァッシュを警戒。
【備考】
※サカキを榊@あずまんが大王だと思っています。
※『石ころ帽子について』
制限により、原作準拠の物から以下の弱体化を受けています。
大きな物音、叫び声などを立てると、装備者から半径30m以内にいる者はそれを認識する。
鍛えた軍人レベル以上の五感を持つ者に対しては、上記の制限(距離、"大きな物音、叫び声"の判定)がより強化される。
(具体的には、より遠い距離、微かな気配でも装備者の姿が認識されやすくなる)
さらに、常人のそれを超えた五感を持つ者に対しては完全に無効。
支援
投下終了しました。
支援どうもありがとうございます!
誤字などのご指摘があればお待ちしていますね。
少し投下の仕方を間違えて、ネタばれっぽくなったのは申し訳ないです……orz
投下GJ!
エルロイ文体の戦闘は新鮮で、けれど面白かったです。
クーガーとラズロの超人対決、まずはクーガーに勝ち星か……
復讐心に燃えるラズロが今後どんな活躍を見せてくれるのかに期待!
その一方で大阪のフォローもしっかりとやっているあたり流石ですね。
一般人としてどう立ちまわっていくのか……最後のヴァッシュの笑顔との対比が上手いな、と思いました。
投下乙!
いきなりあんまり見ない文体がきたからびっくりしたよ
そうか、これがエルロイ文体というものか
情報量が多いから情景描写とかが多くなっていいね
しかし、一般人大阪が見るには本当にきつい超人バトルだったなw
投下乙!
おおう、うぶ方スタイルを思わせる文体に思わず魅入りました。
独特だけど色々分かりやすくて、バトルもわかりやすく想像がしやすかったです!
クーガー、ラズロ共に強力。今回はクーガーがアルターで競り勝ったけれど、AA弾もあるし、まだまだ
ラズロも油断ならない。湖から上がって更に殺意を振りまくラズロ、どうなるんだろ。
クーガー……ある意味スクライドの良心?いや、社長も頑張ってるけどね?
大阪……まあ、超人バトルを見せられたら萎縮するわなぁ。
対主催にもぐりこんだら……石ころ帽子的な意味でなく、本当にステルスマーダーに!?
彼女もどうなることやら。
最後に、とりあえず悪印象が広まりそうなヴァッシュ……(泣)
がんばれ
投下乙です!
震えるぞハート!!燃え尽きるほどヒィイイイイイイイトッ!
うぉおおおおおおおお、熱い、熱すぎるバトル!
特徴的な文体がまた兄貴の速さを遺憾なく演出していて、時々支援を忘れるほどに引き込まれました!
GJです!
こんな超人中の超人同士の争いを眼にした大阪が哀れだw
しかし見たことにより一般人マーダーからステルスへ持ってくるとはなんとも驚き
結構逸般人や超人が多いこのロワでどうステルスするのか今からwktkしますな
そして本人が全然知らないところで危険人物扱いされている人間台風涙目w
投下乙ー
なんか微妙に読みにくかった感があるけど、こういう文体なのか……
まあそれはそれとして、誤解フラグが徐々に……w
クーガー本人に悪気はないんだろうけどw
投下乙!
超人対決が熱すぎる……!
印象的にはクーガーが勝ってるように見えるけど、
ラズロの再生能力があって分けに近いか、ラズロの勝ちな印象があるなぁ
大阪も“しっかり”動き出していて今後の動きが楽しみです!
それにしても……ヴァッシュw
狙われる種がまかれてるとは思ってないんだろうなぁww
GJでした!
orz
誤爆大変失礼しました〜!!
ルフィ、エルルゥ、バラライカ、ラッドの予約きてる!
これはwktk
おお、ホントだ!
やっとルフィとエルルゥは着地出来るのか……w
大量予約wwwこれは週末が楽しみだwww
? あ
? ぃ
? い
? ぅ
? う
? ぇ
? え
? ぉ
? お
? か
? が
? き
? ぎ
? く
? ぐ
? け
? げ
? こ
? ご
? さ
? ざ
大量予約?
ちょwwwwマジだwwww
一度に3人っていったい何が起こったwww
な、大量予約、だと……!?
ィイイイイイヤッハァアアアア!!
これは今から全裸で待つしかない!
お前ら……まだ驚きは早いぜ。
wikiも見てみな……乙、とだけ言っておこう。
wiki?
こ、これは!?
参加者情報がすげー埋まってる!
更新履歴がすごいことにwwww
・ルフィ、エルルゥ、バラライカ、ラッド
・ナナリーとブレン先輩
・ライダー(イスカンダル)
・伊波まひる、新庄・運切
この計4人、キャラ数でいうと9人の予約とはSUGEEEEEEEEEEEEEEE
wiki職人さん頑張りすぎだろw
GJ過ぎるw
9人…なんてこったい
そしてブレン先輩念願の初登場だな!
新書き手2人に期待。
特にいきなり4人パートの人、チャレンジャーだぜ。
だな!
遅ればせながらの初登場さ!
ば、バカな……さっきまでの、驚きも序の口…!?
11人…だと…!
な、さらにもう一人予約が追加だと!?
これはなんという予約ラッシュ!!
ゼロ、水銀燈も追加とかww
な、なん…だと…!?
あ…ありのまま 今起こった事を話すぜ!
『おれはパソコンの前で9人予約に驚き喜んでいたと思ったらいつのまにか11人になっていた』
な…何を言っているのかわからねーと思うがおれも何をされたのかわからなかった…
頭がどうにかなりそうだった…大量予約だとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ
もっと素晴らしいものの片鱗を味わったぜ…!
うぉおおおおお、これはwktkせざるを得ない!
何故こんなにもラッシュがwww
まあ、金・土・日は、職にもよるが執筆しやすい期間だろうし。
後は空気読んだ、ってところか?
しかし、もし全部破棄とかなくて成立したら、深夜の人があっという間に一桁になるな。
早朝、いけるか?
特にゼロ水銀燈の人は昨日投下したばかりじゃないか
速さが足りすぎている、なんというアニキ…!
ほんとだwちょうどクーガー書いてるw
Woさんは、2ヶ月ぶりの投下以来、充電していたかのようにペースが凄いからなあ。
もう、あの人のあだ名は最速兄貴で…。
大量予約にwiki大量更新……!
GJとwktkがとまらねええええ!!111
おお、gj!と言いたいところなんだが……ジュンはF-1まで移動してから殺されたような。
地図までキター!!
おお!地図乙です!これで書きやすくなる!!
地図GJ!
これで汚い手書き地図と向かい合う必要もなくなるぜ……!
修正乙ですー!
素早い修正乙です!
おおう、地図までくるのか!
GJ!そして修正乙です!
これがどう動いていくのか楽しみすぎるw
まあ、なにしろ。もうすぐ冬休みですし
月明かりが仄かに照らす、けれどそれでも暗い森。
山道を歩くことの少ない現代人にとっては、そこから抜け出すことさえ一苦労である。
ましてそれが、盲目の少女であればなおさらであろう。
少女の名は、ナナリー・ランペルージ。
彼女のハンデは盲目だけではない。彼女の足は鋼鉄の車椅子。
歩けず、目も見えない彼女にとって、山道というものは移動することさえままならない、そんな場所であった。
だが――
「その先は木の根がある。右に回れ」
森の中、声が響いた。ナナリーと同じ顔をした、ナナリーだけが知覚出来る、魔女を模した魔導器――ネモ。
ただの泥人形に過ぎなかったネモがナナリーと同じ姿を得ることが出来たのは、ある契約を交わしたからだ。
ナナリーの負の感情――怒り、悲しみ、そこから生まれる復讐心――を共有することにより、ネモは泥人形から、より高次の存在へとシフトした。
そしてそれと引き換えに、ナナリーは或る力を得ることとなる。
その力とは二つ。一つは圧倒的な破壊の力――マークネモ。
そしてもう一つが「未来線を読む」ギアス(能力)。つまり未来予知だ。
この二つの力が、現在のナナリーの戦力であった――が、マークネモの召喚は制限されており、ギアスもまた、絶対のものではない。
それでも少女は、懸命に車椅子を動かす。
先ほどギアスの力で見た、未来のヴィジョン――あれを、現実のものとしてはいけない。
いや、最愛の兄だけではない。誰の命も、これ以上失わせてはいけないのだ。
けれど。
「――きゃ!」
車輪が拳ほどの大きさの石に乗り上げ、ナナリーは車椅子から転げ落ちることとなる。
からからと車輪の回る音が聞こえる。車椅子は横に倒れてしまったようだった。
抱え起こそうと手をかけるも、ナナリーの腕力ではなかなか動かすこともできず、十分ほど苦戦した末にようやく起こすことが出来た。
ナナリーは、自分の無力さを改めて痛感する。
殺し合いを止めるには、少女の腕はか細すぎた。
これでは自分の身さえも満足に守れないだろう――それなのに、他者の命まで救うことがナナリーに出来るのだろうか?
「だから言っただろう、ナナリー? お前の『怒り』は、そうは言っていないと。
二つ――私たちが選べる選択肢は二つだ。殺し合いに乗るか、否か――」
「私は……他人の命を奪って、その末に勝ち取る生など望みません!」
「――まだ、時間はある。ゆっくりと考えて……それから選んでくれればいい。私は……」
「あなたは……私の負の心……だから?」
ネモはそれ以上何も答えない。微笑みを絶やさず、ナナリーの傍にただ在るだけだ。
何故……何故こんなことになってしまったのだろうか。
自分はただ、兄と二人でいつまでも平和な暮らしを享受出来れば、ただそれだけで良かったのだ。
(お兄様……あなたは今、どこにいるのですか?)
シンジュクゲットーのあの騒動以来姿を消してしまった兄の事を、ナナリーは思う。
あの日ナナリーは、ルルーシュと買い物に行く約束をしていた――なのに、それきりルルーシュとは会えていない。
その前日にルルーシュと交わした約束――指きりという日本の約束のしかた。
嘘をついたら針千本だって――お兄様は、それはオオゴトだと言って笑って――それでもしっかりと約束してくれたのに。
けれどネモは、ルルーシュは死んではいないと言った。生きているかも分からないとも言っていた。
それがどういう意味かは、まだはっきりとはしないけれど――今はただ、敬愛する兄と、もう一度会いたい。
それまでは、この歩みを止めるわけにはいかないのだ。
感覚を必死に研ぎ澄ませ、車輪から伝わってくる微妙な感触の差異を確かめる。慎重に、けれどしっかりと着実に進む。
時折風に吹かれ、森の木々が音を立てる。その中に、何か違うものが混じっていないか、耳を澄ます。
脚が使えないのなら、目が見えないのなら、他の部分で補うしかないのだ。
――と。
ナナリーの聴覚が、早速異変を捉えた。
――これは、足音? 多分、女の人の……こちらに近づいてくる!?
この場所に送られて、初めて会う人間だ。どうする? 相手がこちらに害を与えるような人間なのかどうか、ナナリーには何も見えない。
人と会うことを想定していなかったわけではないが、それはあまりに唐突だった。
足音の主との距離がおおよそ10メートルを切ったころ、ようやくナナリーは声をかける。
「あの……私はナナリー・ランペルージと申します。どうか……私の話を聞いて下さいませんか?」
ナナリーの言葉に、しかし投げ掛けられた者は足を止める素振りも見せず、盲目の少女へとどんどん近付いていく。
5メートル、3メートル、1メートル――0。
両者の間に、既に距離はない。接近者は、不躾にその手をナナリーの首筋へと伸ばす。
突然の接触に、びくりと身を震わすナナリー。得体の知れない相手に、身体を触られている――恐怖が悪寒となって背筋を這っていく。
手の触れる部位が、段々と上のそれとなっていく。ナナリーの細い顎を通過し、唇へと。
本来は薄紅色の乙女のそれは、今は恐怖により青ざめている。だが、そこも興味はないと、手は更に上へ。
鼻筋を通り、目もとへと近づいていく。そこでようやく手は止まった。
少しずつ、確かめるように指は動く。目もとから目じりへと――ゆっくりと滑らせ、その後にナナリーの長いまつげをちょん、と触った。
予想外の刺激にナナリーが驚いたのを見て、手はナナリーの顔から離れた。
「あ、あの……」
「――私の名前はブレンヒルト・シルト。ごめんなさいね、いきなり」
「い、いえ、それは構いません。その代わりといってはなんですけれど――」
「話なら聞くわ。その代わりといってはなんだけど――」
「はい?」
「私に貴方を守らせなさい。以上」
◇
暗い森の中を進むのは二つの人影だ。ナナリーの乗る車椅子を、後ろからブレンヒルトが押す構図である。
困惑した表情で、ナナリーはブレンヒルトへと尋ねる。
「ブレンヒルト……さん?」
「なにかしら。……っと、意外と車椅子を押すのも大変なのね……」
「あ、あの、そんな無理をなさらずに……私だって自分のことくらいは自分で……」
「ええと……つまり貴方はこう言いたいのかしらナナリー。
『私は貴方みたいな年増より若くて体力もある。だからさっさと自分の負けを認めてはどうかしら?』って」
「そ、そんなこと言いませんし考えてません!」
「ええそうよね。もし本当にそんなこと考えてたら今頃私大暴れよ。
貴方の可愛い顔を傷つけるのは同性の者として気が進まないけれど――腹なら、目立たないかしらね?
……ああ、冗談よ。そんな青ざめた顔しなくていいから」
「その口ぶりは冗談に聞こえませんっ!」
「冗談よ。本気なら(自主規制)くらいはやるつもりだから。
……それに、言いだしっぺは私なんだから、最後までやらせなさい。半端な申し出は互いの関係を駄目にするわよ?」
ブレンヒルト・シルト――ここで少々、彼女と、彼女を取り巻く世界とを紹介しておく必要があるだろう。
彼女は、人間ではない――更に言うならば、地球を含む、我々の世界の者でもない。
――そう、世界は一つではない。所謂、「我々の世界」であるLow-Gを中心とした異世界群――その中の一つ、1st-Gが彼女の生まれ故郷だ。
異世界群は、それぞれが独自の法則を持っている。その根底にあるのが「概念」だ。
・――重力とは下向きの力である
・――光は直進する
我々の世界においては常識であり、その理由を突き詰めた際に「それはそういうものだから」と言わざるを得ない部分――それが概念だ。
だが、それは本当に当たり前のことなのだろうか?
・――重力は横にかかる
・――光は自らの意志で動く
そんな原則を持った世界が存在しないと――貴方は言い切れるだろうか?
言い切れないはずだ。何故なら、「それ」は実在する。
1st-G――ブレンヒルトの世界の基礎概念は文字を力と変えるものだ。
・――文字には力を与える能がある
たとえそれが爪楊枝であろうと、「名刀」と書けばその切れ味は比肩するものはなく。
キンキンに冷え切った缶ビールがあったとしても、その缶に「あったか〜〜〜〜〜〜〜い」などと書いてしまえばグツグツと煮えたぎる灼熱の溶岩ビールの出来上がりだ。
概念を戦う術とする、それが1st-Gの魔女、ブレンヒルト・シルトである。
だが、彼女の世界は失われてしまった。
俗に言う、「概念戦争」――その結果によって。
1999年――異世界群は、崩壊すると予言された。全ての世界――G(ギア)がその周期を同じくし、衝突の衝撃は世界を滅ぼすと。
生き残れるのは崩壊するその瞬間、もっとも多くの概念を所持しているGだけだとも予測された。
そして――世界は、概念を巡り争いを始めたのだ。それが概念戦争である。
世界の基礎である概念を失くした世界は消滅する。
詳細は省くが――結果、1st-Gは崩壊した。ブレンヒルトが生きているように、住人の殆どは我々の世界――Low-Gに帰順し、生き延びてはいる。
とはいえ、故郷を滅ぼされた恨みつらみはそう簡単に消えるものではない。
反Low-G感情が高まり続ける中、Low-Gは交渉を持ちかける。
「世界がまた、崩壊の危機を迎えている。是非協力をしてほしい」
馬鹿にするな、と、ある者は吠えた。徹底抗戦を掲げる者もいた。
その者たちの相手をしたのが、佐山・御言だ。かつて異世界を滅ぼした「悪役」を継ぐものである。
全竜交渉と名付けられたその交渉は、当然難航を極めることとなる。
だが結果として、佐山は1st-Gとの交渉を成功させる。その交渉の過程で、ブレンヒルトは――気づいた。
過去に縛られていた自分にだ。
現在はその呪縛からも解き放たれ――佐山率いる全竜交渉部隊を、表立ってではないが、陰ながら援助している身である。
と、ここで話をナナリーとブレンヒルトの二人のそれに戻そう――
「――ありがとうございます」
「礼を言われるようなことでもないわ。私がやりたいことをやっているだけだもの」
「感謝の気持ちは、相手から求められるものではなく、自分の心から出づるもの……私はそう教わりました」
「そう。良い教育を受けたのね。貴方の感謝の意、ありがたく受け取っておくわ。
それで、貴方の話についてなのだけれど……」
「あ……は、はい! ブレンヒルトさん……率直にお願いをいたします。
私はこの殺し合いを止めたいと思っています。どうか……私に力を貸して下さい!」
ナナリーの口調は真剣そのものだ。この少女は、本当に殺し合いを止めるつもりでいる――おそらくは、自分の無力さを知った上で、だ。
それが分かるからこそ、ブレンヒルトは即座に返答することをためらう。
今のブレンヒルトは――何の力も持たない、ただの人間である。
概念による魔術を行使するためには、そのための兵装が必要である。今のブレンヒルトは、それを持っていない。
力の無い者二人が集まったところで、何が出来る?
――だが。
少なくとも、今のナナリーは――ブレンヒルトよりも弱い人間だ。
それを見捨てることは、
「誰よりも、私が許さない――か」
うん、と小さく頷き、ブレンヒルトはナナリーを見つめる。
――さっき守らせろと言った手前、今更ノーとは言えないし。
そんな理由をつけること自体、照れ隠しに近いものがあるということを、ブレンヒルトは自覚している。
「ナナリー」
「……はい」
「約束しましょう。1st-Gの魔女、ブレンヒルト・シルトは――ナナリー・ランペルージの力になると」
「ブレンヒルトさん……!」
ただし、とブレンヒルトは額をつたう汗を、手の甲で無造作にぬぐいながら続ける。
彼女の着る尊秋多学院の制服も流れ出る汗で湿り気を増し、ほのかに上気していた。
うむ、ほんのりエロティック。
「あのね、正直に言っていいかしら……やっぱりこれ、きつい……」
「ええと、やはり私が自分で――」
「私がやってこれだけ辛いんだから、貴方がやったらもっとでしょうが。一度言った以上、最後まで責任は持つわよ。
ただ……目的地だけ決めさせて頂戴。地図を見れば……あ、ごめんなさい」
「いいえ、いいんです。目が見えないこと、歩けないこと、それも今は私の確かな一部分なんですから」
「本当にしっかりしてるわね、ナナリー……私の知り合いどもにも貴方の爪の垢を煎じて飲ませてあげたいくらいだわ。
で……目的地の話だけれど、貴方に会う前にとある場所を通ったのよね、私」
「そこに向かうと? ……ええと、実は私、自分が今どこにいるかもよく分かっていなくて」
「そこを通った後、まっすぐ北に動いてきたから……地図で言うと、北東の端のほう、A-7のあたり。
ああ、説明しておくと、地図には縦と横を8等分するように線が引かれていて、上からA、B、C……左から1、2、3……と番号が振られているの。
なんとなくでも分かってくれたかしら?」
「はい、ありがとうございます。……やっぱりブレンヒルトさんと出会えて、私は幸運でした。
一人のままだったら、私はこの場所がどんな場所なのか……それどころか、地図を持たされていたことにすら気付かなかったかもしれません」
「ん、別にいいのよそのくらい。で、話は戻して目的地のこと。行きたいのは、ズバリ――温泉!」
「温泉……ですか?」
「少し汗もかいたし、一度お風呂にでも入ってすっきりしてから……それから今後のことを考える。良いと思わない?
無駄が多すぎたLow-Gで、私が認める数少ないモノ――それが銭湯、ひいては温泉の存在」
「は、はぁ……そうですか……」
「何よ、反応が薄いわねー」
「いえ、少し驚いただけで……」
「まぁいいわ。――いざ! 目指せ温泉よ!」
◇
目指せ温泉とは、暢気なことを言う魔女もあったものだ――ネモは、そう思う。
ナナリーがネモのことを話さなかったのは好都合だった。
これで――マークネモ、そしてギアスの力は隠し玉として使うことが出来る。
ブレンヒルトの能力は、完全に未知数――先にこちらの手の内を見せることは、最悪の場合弱みに繋がる。
ネモは――ナナリーを守る騎士、「ナイトメア・オブ・ナナリー」だ。
「ナナリーを守るのは、この私……」
今ここが、二人と一人のスタートラインだ。
この先、その道はどう進むのか――そのゴールは、はたしてあるのか――何も、誰も分からないまま――バトルロワイアルは進行していく――
【A−7 雑木林/1日目 黎明】
【ナナリー・ランペルージ@ナイトメア・オブ・ナナリー】
[状態]:軽度の疲労
[装備]:車椅子、ネモ
[道具]:支給品一式、全て遠き理想郷(アヴァロン)@Fate/Zero
[思考・状況]
1:ブレンヒルトと行動を共にする
2:お兄様と合流する
3:バトルロワイアルを止める
※ナナリーを守る(ネモの思考)
※参戦時期はサイタマ事変前
※『全て遠き理想郷』はある程度の防御力の強化、受けたダメージのワンランクの軽減、治癒力の向上に制限されている。
【ブレンヒルト・シルト@終わりのクロニクル】
[状態]:中度の疲労
[装備]:汗に濡れた尊秋多学院の制服
[道具]:支給品一式、不明支給品1〜3(1st-Gに関連するものではない)
[思考・状況]
1:温泉へ向かう
2:1st-G概念を行使できるアイテムを手に入れる
3:ナナリーを守りながら状況の打開策を考える
投下終了です。
誤字・脱字、矛盾点など見つけられたらご指摘くださいませ。
まずはブレン姉さん投下乙です。
二巻以降ということはわかるが、まだ参戦時期は不明……と。
移動手段があればよいのでしょうが、なければ車椅子はきついだろうなー。
おわクロ世界の丁寧な説明に感心、しかし前途は多難といったところでしょうか。
それにしても温泉……エロスか、エロスなのか!
>2:お兄様と合流する
これに関してですが、基本思考に分類した方がいいかと思います。
まだゼロがルルーシュだということは知りませんしこれだとロワ内で合流するみたいにとられるかも
投下乙!
とりあえず、ブレン先輩初登場おめ!w
ナナリーとブレン先輩の会話のテンポがこんなに良くなるとは思わなんだw
終わクロの世界観も説明されてて、わかりやすかったです!
……それにしても、ナナリーはブレン先輩に会えて本当に良かったなぁ
そしてブレン先輩、温泉なんて――GJッ!GJッ!GJッ!
も一つオマケにGJでした!
イヤッホオオオオオオイ!!
投下乙です!
ブレン先輩登場おめ!川上節がさりげなく混じってて、良い再現度です!
ナナリーも、とりあえずの保護者を得たが、ネモが果たして何を思うか。
まさかの魔女コンビ(トリオ?)の今後に期待。
何より、『ナイトメアオブナナリー』『終わりのクロニクル』未見の人にもわかりやすく、
丁寧な描写に天晴れ!
投下乙!
遂に最後の参加者が登場で嬉しい!
両者のキャラや世界観、特にブレンの方の描写が分かりやすく、終わクロ自体にも興味を持ちました。
重力が〜や光が〜などの具体例で説明されると凄いすんなり頭の中に入ってきたので……!
なんとも姉御っぽいブレンとナナリーのコンビは期待! ネモがブレンを未だ警戒している辺りが今後、何か大事を引き起こしそうで怖いなぁ……w
そして文の所々に散りばめられたユニークな表現に吹いたwなんとも、エロティックとかwww
GJ!!
投下乙です!
ブレンヒルト初登場オメ!
しかし(自主規制って何やるつもりだ先輩ー!?
まったく終わクロは変態の宝庫だぜフゥハハァー
しかし温泉とは…これはネモの活躍を待つまでもなく裸祭り、来るか!?
先輩いい仕事するぜ!
それにしてもナナリーは本当にいい子だな
GJ!
ただ、先輩が守らせなさいといったのは突然すぎてその心情がわかりにくいから
その説明がほしいかな、とは思います
・――終わクロのターンはまだ終わってないぜ。
ってなわけで(?)
伊波まひる、新庄・運切 投下開始します。
支援!
「あ、あの、誤解を招くような言い方しないでください!」
「…………」
「…………」
沈黙が流れる。
「……あ……」
そそそ……。
「あの、今更木陰に戻っても……」
つい大声を出して隠れていた木の陰から飛び出してまで叫んでしまった少女、伊波まひる。
相対するのは、メカポッポ一号を手に取り、まひるを見つめる新庄・運切。
そそそ、と木陰に戻って行くまひるに新庄はすかさずいつもの癖で突っ込んでいた。
「伊波、さん……で、いいですか?えっと……誤解、なんですか?あなたのことに付いて」
「え」
新庄がまひるに向かってそう聞いた。
なぜ新庄がこんな事を聞いたのかといえば……彼女の『誤解』という言葉を確かめたかったからだ。
なにしろ新庄にとって、『男性を見ると無差別に襲い掛かる』という彼女の情報は、微妙に気にしないわけにはいかない情報だったのだ。
新庄・運切は特別な体質の持ち主だ。
その体質とは、新庄の性別に関してである。
新庄は、男性でもあり女性でもある。
『お前は何を言っているんだ』と言いたくなるだろうが、本当だから仕方ない。
周期は約半日。午前5時半〜6時の間に、新庄の肉体は女性から男性に変わる。顔つきはさほど変わらないのだが、胸や……えー、股間、とかは大きく変化する。
変化自体はあまり時間が掛からず、霧のようなものがかかり、それが晴れると変化が既に終了している。
そして午後5時半〜6時の間に、男性から女性に肉体が変化し、以下このサイクルが続く。
これが彼、もしくは彼女の特異体質である。
ちなみに肉体が変化するなら精神はどうなのか、と言うと新庄の精神自体は1つである。男の人格と女の人格が別々に居る、とかはない。
その精神自身の性別、に関しては答えにくい。
閑話休題。
そういうわけであり、今は女性の肉体である新庄だが、それも午前5時半まで。
さっき確認した現時刻は、午前2時を回った辺り。肉体変化が起こるまで、数時間しかない。
数時間で新庄は『男性』になるのだ。
そういうわけで、新庄にとってまひるの『男性を見ると無差別に襲い掛かる』という情報に関しては真偽を確認しなければいけないことだった。危険な意味で。
もし、本当だったなら。
『おっと、5時半になってしまった。実はボクは男の子だったのさ!なんていうジェンダーシンデレラ!』
『嫌ァァァァァァ!』
『ひでぶ!』
めたたたぁ!
【新庄・運切@終わりのクロニクル 死亡確認】
(今の想像のボク、変装した佐山くんでしょ)
『さあ、なんのことかね』と白々しく言っている佐山の姿が夜空に幻覚で見えてしまったが、新庄はとりあえず見なかったことにした。
今の想像は過剰だったにしても、襲われる事はあり得てしまうわけだから、新庄としては誤情報ならとても有難い。
誤解と言った以上、是非まひるには完全否定してもらいたいのだが。
「えっと……その……無闇に……男の人を、殴ったりは……」
(目が泳いでる……!)
さっきと打って変わって、言葉を選んで、というより言葉を濁して目線が明らかに逸れ、動揺が顔に如実に表れている。
やっぱり本当なのかな、と新庄が思っても仕方ない。
支援
吹いたw
支援
・――レスは支援となる
「でも、男の人を見ただけで殴るなんて……なんで?」
「そこには彼女の父親が関わっている」
「うわ!? メカポッポくん!?」
ふと呟いた言葉に、メカポッポ1号が反応して久しぶりに声を発した。
どうやら新庄が呟いた言葉を質問と認識し、『まひるの性癖の理由』を答え始めるらしい。
新庄としても、それは正直興味が遭った、のでそれについ耳を傾けてしまった。
「彼女の父親は彼女を溺愛していた。故に、彼女に男を近づけないようにする為、男と接触するのを阻むだけに飽き足らず、幼少の頃から伊波まひるに男は恐ろしいものだと教え込んだ。
言葉で教えるだけでなく、男が悪役のビデオやDVDばかりプレゼントし、伊波まひるに男の恐怖を教え込んでいった。結果、彼女は男性が目の前に居るだけで反射的に殴るようになってしまった。
それで自分まで嫌われてしまったのは計算外だったようだが。更に、彼女の腕力を上げる為、彼女の持ち歩くカバンに鉄板を入れて彼女が気付かないうちに彼女の腕を鍛えていった。
それによって彼女のパンチは、バイト先の壁に穴を開けるほどになり更に男が寄らなくなった。しかし彼女自身はだんだんと男にも歩み寄ろうとしている。
なぜなら、彼女は同僚の小鳥遊宗太が」
「いやーーーーーーーーーーーーーー!!」
ガシャアアア!!
まひるの叫び声が響いた瞬間、新庄の手元で喋っていたメカポッポ1号が、鈍い音を残して……消えた。
新庄の手元のすぐ上には、まっすぐ伸ばされたまひるの腕がある。
腕の先の拳は……グーに握られている。
新庄からいくらか離れていたはずのまひるはいつの間にか新庄の近くまで接近していて、その顔は真っ赤、湯気が上がっていそうにも思えるほどで、少し涙目にもなっている。
何が起こったか、を簡単に説明すると。
メカポッポ1号によって大いに自分の過去を暴露されてしまったまひるは、気恥ずかしさやら怒りやら戸惑いやらがごっちゃになり、混乱。
更に、自分の秘めたる思いに情報が及んだ瞬間、本能のままにその暴露元にその脅威の脚力で接近し、その脅威のパンチでメカポッポ1号をぶん殴り、空の彼方へかっ飛ばしてしまったのだった。
空にキラン、と何かが輝いた。
『俺、このロワイアルが終わったら、sfさんと結婚するんだ……』
言ってもいない死亡フラグなセリフが聞こえた気がするが、気のせいだろう。
「あっ!?」
我に返ったまひるが新庄を見やる。
見れば、新庄はメカポッポを掴んでいた手をそのまま空中に固定したままに、俯いている。
まひるは冷静になり、気付いた。
よく考えれば、自分がしたことは他人の支給品(多分)をぶっ飛ばしてしまったわけで……怒られても仕方ない。
彼の知っている男ならば、小さい物を吹っ飛ばしたら烈火のごとく怒るだろう、とかもなぜか思い浮かんだ。
まひるは自分がしでかしてしまった事に気付き、新庄に謝罪しようと思った。
「ご、ごめんなさ「ごめんなさい!」……え?」
まひるは唖然となった。
謝ろうとした瞬間、新庄が先に謝罪の言葉を言って、頭を下げたからだ。
「ボク……そんな事情があっただなんて、知らなくて……変に怖がったりして」
「い、いえ、気にしないで」
「気にするよ! だって……だって、酷いよ……そんなの」
「え……」
支援
支援
メカポッポ―――ッ!
新庄は憤っていた。
自分の体質の悩みは先天的なもの(詳しくは分からないが、おそらく)だ。
誰かによって施されたとか、では……多分ない。
どう生きるかを悩んだ事はあった。けれど、そこにはまだ選択の余地があった。
けれど、まひるにはそれがない。幼い頃から教え込まれたそれは染み付いて、もう反射的なそれになってしまっている。
選択のしようがない。彼女の体が、もう男性を拒絶するようになってしまっている。
あまりに、理不尽だ。
「子供は親の所有物じゃないのに」
「あっ」
新庄が呟いた言葉に、まひるははっとした。
その言葉は、同僚の小鳥遊宗太が父親に言ってくれた言葉と同じだったからだ。
(この人は、見ず知らずの私の為に……怒ってくれてる)
新庄の悲しそうな、それでいてどこかに怒りを滲ませた表情に、まひるはそれを感じた。
すっと、何かが動いた。
「え……」
まひるがそれに気付くのには少しかかった。
自分の目の前に誰かが立ち、その誰かの手が背に回って……。
(抱きしめられてる?)
そう。新庄がまひるをそっと抱きしめていた。
まひるはその胸に明確な感触を感じた。
大きな、胸。
当然、それは向かい合わせの相手のものだ。
「ボクは……女だよ。だから、今は安心して。ここに男はいないから。これくらいしか、ボクにはできないけど」
*****
(言っちゃった……)
新庄は落ち着いたらしいまひる(なぜか少し落ち込んだようにも見えるが)の体を離し、少し心の中で思った。
自分は女性であり、男性である。数時間すれば男になってしまう。なのに、嘘をついてしまった。
けれど、まひるの事情を知ってしまった新庄には他にできることが思いつかなかった。
せめて、今ここでだけでも彼女に安楽をもたらしたかった。そんな、お人よしな考え。
(佐山くんなら、多分もっと別の解決方法を思いつけるんだろうなぁ……)
新庄にできないことは佐山ができる。
佐山にできないことは新庄ができる。
自分と佐山は逆の存在。
だからこそ、共にいたい。そんな存在。
「あ、あの……」
「? 何?」
『私より……大きい』とか呟いていたまひるが、立ち直ったのか新庄に顔を向けていた。
何か聞きたそうにしているので、新庄はそれに答えた。
「女性なのはわかりましたけど……なんで男の制服を?」
「あっ」
しまった。
そう、説明するとかいうよりそもそも、新庄の格好は尊秋田学園の『男子』制服だ。
おそらく、男性の切として過ごしている間にここに連れてこられたのだろう。
その途中、女性になってしまったのだ。
(ど、どうしよう)
「も、もしかして……男装の、趣味が?」
まひるのこちらへの視線が怪訝なものになっている。
まずい。
新庄としてはせっかく遭えた、無害そうな女性だ。正直、ここで彼女を不安にさせたり、自分との間に亀裂を入れたくない。
どうすれば。
『新庄君』
そのとき、幻聴とともに新庄に妙案が浮かんだ。
それはおそらくまひるとの仲をなんとか穏便にできそうな案だ。けれど、躊躇いも覚える案だ。
なぜなら、その案は……確実に、ある人物を犠牲にすることになる。
けれど。
(佐山くん……ボクに、力を貸して!!)
新庄は決断した。
どこかにいるであろう、パートナーの姿を思って。
目の前の少女を救い、これからのために!
新庄は、決意と共に!!
wktkがとまらねえw
「これは……ボクがいる寮のルームメイトの、趣味なんだ!!」
「…………」
「…………」
「…………男装の、趣味?」
「ううん。女性に、男装させるのが趣味」
「…………」
ここでまひるの脳裏に浮かんだのは、先の小鳥遊宗太である。
実は、彼は幼少の頃父親によって女装させられていたとても嫌な記憶がある。
その写真によって、姉や同僚に脅されるほどである。
まひるは思った。
(娘に女装させる父親がいるくらいだから……ルームメイトに男装させる人も、いる!!)
「ひ、ひどい!!」
「そうなんだよ!
その人ってば、生まれた頃からなんか普通の人と何かがズレてるっていうか、ネジというよりボルトというよりもはや設計図がいくらか書き間違えちゃった感じで!
佐山宇宙が頭の中にあって、いつのまにか佐山空間を作り出して! それていで、ボクの体を……触ったり」
「犯罪!?」
「あ、いや、そこは彼もいくらか抑え……てくれるから、いいんだけど……と、ともかく!これはその人の趣味で、ボクは女の子だよ!」
「わ、わかりました……でも……気持ち、わかります」
「え?」
「私の同僚も……ちょっと、変なところが」
「いや、ルームメイトに比べたら」
「彼、小さいものが大好きなんです」
「それはよくあるんじゃない?」
「彼、『12歳以上は年増』だって」
「おかしいよその人!!その人の成年って何歳から!?」
「小さい女の子とかも……『親になりたい』って」
「その人なんとかしよう!」
「私のことなんて……『虫以下』…って」
「もう駄目としか言えない!」
小鳥遊にもまひると同じく家庭環境とか色々あったのだが……答えてくれるメカポッポ1号は、もういない。
がしっと、新庄がまひるの手を握った。
その目には、何か共通な何かを互いに感じた。
「伊波さん……」
「……えっと」
「あ、新庄です。新庄・運切(さだきり)」
「……新庄さん……」
2人は、熱く手を握り……少し涙目になっていた。
「頑張ろうね、伊波さん!」
「はい!頑張りましょう新庄さん!」
「いろんな意味で!!」
「いろんな意味で!!」
男と女の間で悩んだ新庄・運切。男を殴ってしまうことに最近悩んできた伊波まひる。
変だけど頼れる男と共にある新庄・運切。変だけど優しい男に好意を抱いた伊波まひる。
支援ー
共通点、といえるほど綺麗なものではない。
けれど、どこか似たような感じを得る2人は、殺し合いと言う環境下でも……今、友情の芽生えを感じていた。
熱く、力強く。
ちなみに、夜空に。
『ははは。覚えていたまえ新庄くん』
『ははは。覚えていてください伊波さん』
と、怖い笑顔で嗤っている2人の少年の姿が幻覚として見えていたが……まあ、気にしないでいいだろう。
*****
共通点、といえるほど綺麗なものではない。
けれど、どこか似たような感じを得る2人は、殺し合いと言う環境下でも……今、友情の芽生えを感じていた。
熱く、力強く。
ちなみに、夜空に。
『ははは。覚えていたまえ新庄くん』
『ははは。覚えていてください伊波さん』
と、怖い笑顔で嗤っている2人の少年の姿が幻覚として見えていたが……まあ、気にしないでいいだろう。
*****
支援
「伊波さんの知り合いは、変だけど大丈夫だと思う小鳥遊くんだけ、だね?」
「はい」
即答。
「それで、新庄さんの知り合いは、ブレンヒルト・シルトさんと、変だけど殺し合いには乗っていないと思う佐山さんでいいんですね?」
「うん」
また即答。
「あと、伊波さん……敬語じゃなくていいよ?ボクら、歳近いと思うし」
「え? じゃ、じゃあ……お言葉に甘えて」
新庄はこうは言ったものの、ブレンヒルトについてはやや微妙な考えだった。
なにせ、彼女との面識はそれほどでもない。直接会話したことも……大分ない。
彼女と親交(?)のあるのは、尊秋田学園図書館司書ジークフリートや独逸UCATディアナくらいのものだ。
ジークフリートとはよく話すほうだが、それでもブレンヒルト自身とはそれほどでもなかった。
だから、彼女がこの殺し合いに乗っているか否か、佐山ほど自信を持って断言はできない。
「とりあえず、まずはメカポッポくんを捜しにいこうよ。心配だし、彼の情報は必要だと思うから」
「そ、そうね。……ごめんなさい」
「いいよ。すぐに止めなかったボクが悪いんだから。それに……」
「え?」
「う、ううん!なんでもない!あっち、だよね?」
「う、うん。多分あっちに」
まひるが指差した方角を新庄は見据え、そちらに足を進めた。
(謝られる資格、多分ボクないから。だって、ボクだけ何も言ってない)
まひるは自らの過去を暴露した(というかさせられた)。けれど、新庄は自らの秘密を語っていない。ましてや嘘をついてしまった。
新庄はいつか告白したいと思っている。どっちにしろ、数時間すればバレてしまうことだ。あまり隠し事はしたくないし、隠し続ければ疑念を抱かせることになってしまう。
昔のように女性『新庄・運』と男性『新庄・切』の双子として演技するのも無理だ。なにせ、名簿で『新庄・運切』と明確に書かれてしまっているのだから。
けれど、気がかりがある。まひるの男性恐怖症だ。
2人きりで、自分が男でもあると告白したり、目の前で姿が変わったら、先のようにまひるは暴走し、錯乱してしまう可能性がある。
この殺し合いと言う物騒な環境下で、それはあまりに危険だ、と新庄は思う。彼女が目の前から走り去ってしまったら、最悪の事態だ。
だから、仲介役が欲しい。新庄が秘密を語った時、まひるを落ち着かせられる仲介役が。
1番の適役は彼女の唯一の知り合い、小鳥遊だろうが、女性ならば誰でも大丈夫かなと新庄は思った。
メカポッポを捜しに行き、その近辺で安全な女性を捜し、同行してもらう。
女性には前もって自分の事を説明してから、5時半以降に女性同伴の元、まひるに新庄の秘密を明かしたい。
男性は、見つけても避けるしかないだろう。何せまひるの恐怖症はかなり根深い。新庄1人では、男性とまひるを一緒に行動できるように取り計らうのは無理がある。
5時半がタイムリミットだ。正確には、5時半から6時までの間に、ランダムのタイミングで体が変わる。
つまり、5時半ジャストかもしれなければ、6時少し前かもしれないわけだ。
それまでに、同行できる女性を見つけられなかったなら……覚悟を決めて、告白しよう。彼女が混乱せずに信用してくれることに期待するしかない。
佐山や、運命のスプーンの指す先も心配だが、まずはまひると自分の秘密についてなんとかしよう、と新庄は決めた。
とりあえずの方針を決め、新庄はまひると共に森を歩き始めた。
行く先は、メカポッポ1号の消えた先。
全てを解決できる選択肢。
『まひるを見捨てる』という選択肢は、新庄にはなかった。
新庄はその選択肢が思いつけないほどには、お人好しだった。
支援
支援
【G4/森/黎明】
【新庄・運切@終りのクロニクル】
[状態]:健康
[装備]:尊秋多学園の制服、運命のスプーン@ポケットモンスターSPECIAL
[道具]:支給品一式
[思考・状況
1・メカポッポ1号が吹っ飛んだ方角へ向かう。
2・メカポッポ1号と、小鳥遊、もしくは仲介役の女性を捜す。
3・まひるに自分の秘密を告白する。
4・まひると行動する。
5・佐山と合流しここから脱出する
6・ブレンヒルトについてはまだ判断できない。
7・人殺しはしない。
※まひるを信用しています。
※小鳥遊宗太については、彼の性癖とかは聞いています。家庭環境は聞いていません
※まひるの支給品を知りません。
※新庄の肉体は5:30〜6:00の間にランダムのタイミングで変化します。
変化はほぼ一瞬、霧のような物に包まれ、変化を終えます。
午前では女性から男性へ、午後は男性から女性へ変化します。
【伊波まひる@WORKING!!】
[状態]:疲労(中)、足に擦り傷・切り傷
[装備]:学校の制服
[道具]:支給品一式、不明支給品(0〜2)、ARMSのコア(中身は不明)@ARMS
[思考・状況]
1・メカポッポを捜しに行く。
2・新庄と行動する。
2・諦めない。
※新庄を信用しています。
※佐山・御言に関しては変な人ということを聞いています。ブレンヒルトについては、知り合いということだけ聞いています。
※新庄の特異体質を知りません。
※運命のスプーンのことは知りません。
※メカポッポ1号がまひるに殴られてどこかに吹っ飛ばされました。
1kmはさすがに飛ばないので、G−4エリア内、もしくはG−4を囲む9エリア(ただしG−4寄り)のどこかに落ちると思われます。
吹っ飛んだ方角、落ちるエリアなどは後続の書き手に任せます。
殴られたショックで、どこかが故障、破損している可能性があります。
※メカポッポ
参加者のある程度詳細な情報を持っています。他の知識、自我の有無は次回以降に任せます。
支援
投下終了です。
多数の支援ありがとうございました。
こっちも川上節に少し挑戦しましたが…やはり難しい。YYさん、すげえですたい。
タイトル元ネタはSee-Sawの歌曲『君は僕に似ている』より。
投下乙です。
おわクロのほうしか原作知らないが、佐山の素晴らしい笑顔が脳内に浮かぶ素敵展開でしたw
『ははは、おぼえていたまえ新庄君』が、もうw
そして何気に誤解フラグがー。これがどんな展開に繋がるのか分からないのがリレーの面白いところ。
もう一度、お疲れ様でした。GJです。
投下乙!
>>432と
>>435の投下が他に比べて少し時間が空けられたのにはやられた!
というか新庄くんは、男が苦手のいなみんに佐山の変態を吹き込んでいいのか?w
その場を誤魔化すためとはいえ、合流したら大変なことになりそうだw
メカポッポがぶっ飛んでったのにも笑ったけど……
>>421でいきなりあれはwww
『ジェンダーシンデレラ』に擬音……笑わしてもらいましたw
GJでした!
投下GJ!
いやー、面白かったw 完全に負けた気分だw
二人の掛け合いが上手くて話に引きずり込まれました。
新庄の嘘が今後どんな影響を及ぼすのか……数時間後の二人が楽しみーw
うん、この二人は素直に応援したくなるコンビだと思った。
佐山も小鳥遊君と接触しそうだし……WORKING把握しよう、うんw
だが一つ。Sfは至の侍女だ! てめぇには譲れねぇぇぇぇぇっ!
おおう、また予約きてる!
投下乙です!
二人の共通点!意外!それは(パートナーが)変態ッ!
な、なんだこの誤解スパイラルはwww
いや誤解じゃない、誤解じゃないんだがなんかずれてるー!?
まさか変態だということが橋渡しになって友情が成立するとは誰が予測したかw
佐山にさりげなく全責任を押し付けてるとか空に消えたメカポッポとか、ああもう俺の腹筋返せw
GJです!
というかさりげなく嫁宣言w
だがSfが即座に「Tes. 全世界を探してもロボットと婚姻関係を結べる法律はありません」というツッコミが入る光景が脳裏に
しまった……!
『メカポッポのセリフ』(幻聴)と書くのを忘れていた…!
私自身はsfさんに手を出そうなんて滅相もない!
私はブレン先(謎の概念攻撃)
おー、二つも投下が…!
どちらもそれぞれのキャラの持ち味が出せてていいなぁ
特に伊波と新庄、いいコンビだw
新予約だと……? い、いったい何が起きてるんだ!?
新手のスタンド使いの襲撃があったとでもいうのか!?
……と、これとは別に書き手として返答をば。
>>414さん→ナナリーの行動方針について
ナナリーは登場話にて「未来線を読むギアス」を使い、ルルーシュが死ぬビジョンを見ています。
このことから、ナナリーがルルーシュも参加させられているという思考に至るのは不自然ではないと考えています。
また、ナナリーは盲目である=名簿が見れないため、ルルーシュの名前が書かれていないことにはまだ気づいていないと思われます。
>>418さん→ブレン先輩の心情について
うむ、確かにその通り。完全にこちらの落ち度です。
加筆して修正版を投下しようと思っています。
ところで修正版って本スレじゃなくてしたらばの仮投下スレあたりに投下したほうがいいですかね?
ここに投下すると容量圧迫にもなるし、全面的に弄るというほどでもないので。
>>452 ブレン先輩に尻を(にゃー)される役目は俺がもらった
はい、仮投下スレで良いと思いますー
ではライダー投下します
まさかの支援
うおおおおおおお、マジ予約ー…て投下うえええええ!?
連続!
支援!!!
深夜の図書館。
暗い夜の帳に包まれた周囲の空間から、一際明るい光に包まれて浮かび上がった建物は、すぐに見つかった。
入り口には二つの車輪と鈍く輝く金属で構成された鉄騎を置いて、そして自らは重い足音を響かせてそこへ侵入する大男がいる。
分厚い胸板に丸太のような腕。
2メートルをゆうに越える巨躯を支える両の脚はまさに大樹の根にも例えられる。
褐色の肌。赤い炎のような髪。そしてそれと同じ色をした立派な顎鬚。
一目見ればまるで熊のような大男である。
それでいてただ凶暴とはいえない。ヒトとしての確固たる意思と知性の輝きが双眸には宿っている。
服装は金糸の刺繍で縁取られた赤いマントに古代ヘレニズムの鎧姿。
その男から発せられる雄大な威厳は、まさしく人を統べるにふさわしい、王たるそれであった。
彼の名はライダー。
このバトルロワイアルの名簿にはそう記されている。
だがこの巨漢にはもう一つ、本当の名前がある。
遥か古代のギリシャ地方の小国マケドニアに生を受け――、
齢二十にして暗殺された父王の後を継ぎ――、
僅か二年でギリシャを統一――、
そこからペルシア、エジプト、中央アジアを経てインドへ――、
王となってからその死まで僅か十三年で前人未到の大帝国を築き上げた――、
アレクサンドロス三世こと、征服王イスカンダルその人である。
「ふむ、これだけの爆音を響かせて走ってきたにもかかわらず誰も寄ってこぬとはな。
このあたりには腰抜けしかおらんのか、嘆かわしい」
どすどす、を通り越して、どしんどしんと床を鳴らして図書館の中へ入っていく征服王。
彼のマスターであった矮躯の魔術師がいれば適切な突っ込みを入れてくれたであろうが、あいにく人の気配は周囲に存在しない。
ライダーはやや物足りなさを感じる自分に苦笑しつつ、目的の書物を手に入れるべく歩みを進めていく。
図書館は二階建て。エントランスの正面は吹き抜けのホールとなっていた。
そこに位置する閲覧者用の椅子や机を取り囲むようにして膨大な数の本棚が並べられている。
以前の聖杯戦争で訪れた冬木の図書館と規模は同程度くらいだろうか、とライダーは判断した。
「むぅ?」
そのまま真っ直ぐ歩いているうちに彼は異変に気付いた。
そこは読書のために用意された閲覧者用のスペースであり、丸テーブルに長方形のテーブル、集中して調べものを行うために左右に仕切り板を張ったテーブルなどがあった。
そのうちの一つが、ある一点を中心にして抉られたように綺麗に消失していた。
破片や汚れもなにもない。削り取られた分の物質は一体どこへ行ってしまったのか。
よし、支援!
支援
暗がりの暗殺者すら察知するライダーの感覚が研ぎ澄まされる。
この破壊と呼ぶには奇妙すぎる痕跡は一体誰の仕業なのか。
沈黙――静寂。
沈黙――静寂。
沈黙――静寂。
沈黙――静寂。
「なるほど、入れ違いであったか。惜しい」
楽しげに呟いた。
とりあえず周囲に何らかの気配は感じられない。
何があったのかはわからない。
だが、それによって怯えるなどありえないのがイスカンダルという男だった。
未知なるものは、何であれ彼の好奇心を刺激してやまない。
何せこの男は最果ての海を見たいがためにアジアの果てを目指して大遠征を始めた、規格外の大馬鹿にして大英雄なのだから。
◇ ◇ ◇
求めるものは結果としてさしたる時間もかかることなく見つかった。
英語版ホメロスの詩集、イリアス。
ついでに世界地図も探したが、どうにも奇妙なことがあった。
最後まで勝ち残って望みをかなえ、そして受肉して世界を征服するにもその対象を把握せねば始まらない。
ゆえに以前の聖杯戦争でも新たな戦いの舞台となる世界の地図を求めたのだ。
だが世界地図といって探してみれば、あまりに違いすぎる地形が描かれたものがずらりと並んでいたのだった。
「1st-Gだのノーマンズランドだのグランドラインだのなんだのと、わけの分からん地図ばっかりだのう……。
悪戯にしてはやたら微細に書き込みおって……と、あったあった。ん? ナチス? こっちはブリタニア?
ここはいつの時代だ!? ええい、面倒な。どうせいくらでも入るならば全部持っていくぞ!!」
そして探し物はとりあえず見つかり、それから鎧姿の巨漢は閲覧者用の椅子の一つに移動して、どっかりと腰を下ろした。
目の前にはやはり閲覧者用の大きな丸テーブルがある。
テーブルの周りを囲むように合計で十人分の椅子があったが、それは現在ライダーの手で隅のスペースに追いやられていた。
十人分の巨大な円卓に、デイパックから取り出した支給品一式と今しがた持ち出したイリアス、さらに合計18の世界地図を置いて、眼前のスペースにはこのバトルロワイアルの戦場が描かれた地図を広げる。
デイパックから取り出した支給品には他に正方形のカメラのようなものと、服のデザインが描かれたイラストが数枚入っていた。
・――レスは支援となる
支援ー♪
支援
説明書きが付いており、【着せ替えカメラ】と記されている。
このカメラで被写体を写すと差し込んだイラストに描かれた服装に一瞬で着替えることができるらしい。
「ほほう、興味深い!! うーむ、どれがいいかな。む、これに決めたぞ!」
満面の笑みでライダーはイラストを差し込んだカメラを自分に向け、シャッターを押した。
古代ヘレニズムの戦装束が一瞬で消え去って、新たな衣装に切り替わった。
バラライカやレヴィといったロアナプラの住人ならばその服装を見て、とある香港マフィアを仕切る男を連想したかもしれない。
いや、ひょっとしたらそれは無理な話かもしれなかった。
本来、このコーディネイトに身を包んでいた男は「ベイブ」と呼ばれるほどの童顔だったからだ。
ダークスーツに黒のネクタイ。
さらに黒いコートと肩にかかったロングマフラー。
そしてティアドロップのサングラス。
2メートルを越える西洋人の偉丈夫がこんな格好をしていたら、そこらの子供は泣く。間違いなく泣き喚く。
――どうみてもヤクザどころの騒ぎではない大悪党です。本当にありがとうございました。
「はっはっは、セイバーがあの『すーつ』とかいう今世風の衣装を纏っていたときから興味深かったが、こうしてみるとやはりいいものだな!」
だがどうやら本人はかなりのご満悦らしかった。
征服王の好奇心はどんなときも未知なるものに魅了されてやまないようだ。
「さて――――」
そこでゆっくりと息をついてライダーは椅子に腰を下ろした。
僅かに、だが決定的に声の質が変わっていた。
目の前の円卓には8×8のマスに区切られた、この戦場の地図がある。
ここで征服王たるイスカンダルは何をすべきか――――問うまでもないことだった。
「征服王がなすべきは征服、よな」
だが征服すべき敵の姿が今のところ見えぬならば是非もなし。
ここはいったん布陣を敷いて、これからの戦略について思案すべきである。
名簿を眺めた。
これは聖杯戦争である。
自身が聖杯を望むべくサーヴァントとなった存在なのだから、呼び出されたとあっては是非もない。
だがこの聖杯戦争にはマスターは参加しない。
ライダーとアーチャーの名前が名簿にあって、何故だか他のクラスのサーヴァントが記されていない。
彼自身に供給されるはずの魔力経路を感知することもできないし、彼を召喚したのがギラーミンならば何故ともに戦わないのか。
あまつさえ最後まで生き残ったあかつきには自分と戦えという。
カオス図書館支援
支援
支援!
首輪の爆弾で――マスターであるなら令呪で――命を掌握しているのなら、勝ち負けなど分かりきっているであろうに。
そもそも召喚された時点でこの手のルールに関しては、自動的にサーヴァントにインプットされているはずなのだ。
それらの知識は一切与えられず、転生すれば覚えていないはずのマスターのことは覚えている始末である。
「そしてゴルディアスホイールも使えん……」
そのための発動装置であるキュプリオトの剣が呼び出そうとしても応えてくれぬ。
イスカンダルという英霊の宝具であるはずのあの剣が使えない。
だが知識はあり、自身がイスカンダルであると、疑いようもない自意識も確固としてある。
だから自分がイスカンダルではない――――ということはないはずだ、とライダーは考える。
そもそもこの聖杯戦争のルールによって使えないなら使えないなりに、この理由についても自動的にインプットされているはずではないだろうか。
わからんな――と、首を振る。
現時点で分からないことを考えてもやむなし、だ。
それよりも――――最後まで勝ち残るのはいい。
だがそれにはイスカンダルにつけられた首の枷、ひいてはその枷の鎖を握るギラーミンが障害となる。
何せ、望みを叶えたいなら自分に勝て、とはっきり言ったのだから。
ならば勝つためにはこの首から目障りな枷を外さなければならないという結論になる。
「むぅ」
こめかみに拳をぐりぐりと押し付けながら、円卓の征服王は更なる思案に耽るのであった。
【D−4 図書館/一日目 黎明】
【ライダー(征服王イスカンダル)@Fate/Zero】
[状態]:健康
[装備]:張維新の衣装とサングラス@BLACK LAGOON
[道具]:基本支給品一式 きせかえカメラ@ドラえもん きせかえカメラ用服装イラスト集 ヤマハ・V−MAXセイバー仕様@Fate/Zero
イリアス英語版 各作品世界の地図
[思考・状況]
1:バトルロワイアルで優勝。聖杯で望みを叶えて受肉する。
2:首輪を外すための手段を模索する。
3:有望な強者がいたら部下に勧誘する。
4:アーチャー(ギルガメッシュ)を警戒する。
【備考】
※ヤマハV−MAXは図書館入り口に停めてあります。
※原作ギルガメッシュ戦後よりの参戦です。
※深夜の時間帯にA−4からD−4にかけての道路沿い周辺でバイクの排気音を聞いたキャラがいるかもしれません。
【きせかえカメラ@ドラえもん】
正方形のカメラの形をした道具。着せ替えたい服装のデザインをカメラにセットし、対象の人とデザインを合わせてシャッターをきる。
すると対象の人が今着ている服を原子レベルにまで分解してデザインの服に変える。
但し故障もしくは服装デザインの入っていない状態でカメラを使うと服が消えてしまい、対象の人は裸になる事がある。
服の分子が分解だけされて再構成しないのであると思われる。
【きせかえカメラ用服装イラスト集】
きせかえカメラ用の服装デザインが描かれたイラスト。
いくつかバリエーションがあるようだ。
【イリアス英語版】
詩人ホメロスによって作られたと伝えられている叙事詩である。英語版なのはFate/Zeroの原作に拠る。
ギリシア神話を題材とし、トロイア(イリオス)戦争 十年目のある日に生じたアキレウスの怒りから、イーリオスの英雄ヘクトールの葬儀までを描写する。
【各作品世界の地図】
参加作品中の時代と世界観に準拠した地図18種類。
【張維新の衣装とサングラス@BLACK LAGOON】
きせかえカメラによって出現したのでサイズはライダー(身長213cm)準拠。
香港マフィア・トライアドの幹部、『張さん』こと張維新の衣装とサングラス。
なんというヤクザw
支援
投下しゅーりょーです。
支援感謝。
ご意見ご感想ありましたらば、よろしくお願いします。
投下乙です!
相変わらずの豪放磊落イスカンダル。
服のアレさが相変わらずだよこの人!
図書館はなんともカオスだなあ。
地図だけでもアレだから、他にもまだまだあるかもわからないな。
イスカンダルは聖杯戦争の形式からロワを考察するか。
しかしこの人、優勝狙いだからとりあえずマーダーのはずなのに、そう見えないのは何故だろう。
バイクの音を聞いたかもしれないのは……レナ、チョッパーくらいか?
描写はなかったが、後で補完されるかな?
ともあれGJ!
投下乙!
ライダーの描写格好いいなぁ
張さんの服を着込むとは……外見でみんな警戒しそうだw
18枚の世界地図は考察の材料となるんだろうか……
というか他のGまでカバーしてるんなら終わクロ世界だけ枚数多すぎるってレベルじゃなくなる気がw
投下乙!
ライダーはホント魅力的なキャラだなぁ!
一挙手一投足が面白すぎるwきせかえカメラでご満悦のところなんかもうww
キャラクターが丁寧に書かれてて、知らないのにかなり楽しめました!
そして、地図が凄く面白そうだ
現実に近い世界観の作品の地図もあったり……
でも、イスカンダルってそれを有効活用出来るキャラなのか?w
めっちゃ作品把握したくなる投下でした!GJです!
投下乙です!
イスカンダルがなんとも格好いいな!
しかしその格好どうみてもヤクザですからー!
まあ優勝狙いでかつ聖杯戦争と思っているみたいだから、警戒されても本人はまったく気にしなそうだがw
世界地図はさまざまな考察の対象になりそうでwktk!
異世界の住民同士が集まっている事を確信する材料にもなりそうだ
GJです!
ふぅ……昨日はなんだか凄い一日だったぜ……
まさかの三作投下とはな……
内容も
【ブレン先輩登場】
【佐山小鳥遊散々】
【ライダー自重せず】
で濃かったしな…。
今日は投下ラッシュだなあw
ライダーが豪放磊落でいいねぇ
これからどう行動するのか気になるぜ
>>483 なんという三本立てw
信じられるか?予約ラッシュから一日たってないんだぜ
まったく、書き手の皆さんどれだけ速さ足りすぎているんだ
修正乙です!
なるほどーこういう感情をもったからブレン先輩はナナリーにいきなり守らせてくれといったのか
ナナリーが襲われるっていうので蟲を思わず重い浮かべてしまった俺w
今気が付いたけどさらに予約も来てるのな
これはwktk
>>486 理由もわかりやすくなって、問題ないと思います。
お、したらばで延長申請が……。
ど、どこまでチャレンジャーなんだあの人は
クーガー追加予約とはw
ほんとだ、クーガーも追加されてるw
そして今日はゼロ、水銀燈の期限だから楽しみだな。
それでは完成しましたので、ゼロ、水銀燈を投下します。
投下乙
ゼロの描写がうまくて、感動しました
殺し合いの会場に設置された一件のログハウス。
特に記述する事もない、一般的な造りで建てられたもの。
風に吹かれる度に、もの寂しい様子をひしひしと感じさせる。
そんなログハウス――無人の空間とも言うべき場所に小さな活気があった。
否、外部に気取られぬように密かに動く影が姿を見せていた。
「で……質問はもう良いわけぇ? 私はアンタとお喋りなんかするのはこれっぽちも楽しくないのよ。
わかってるんでしょうねぇ、そのコト」
心底つまらなそうに言葉を吐き出す小さな少女――少女の姿をしたアンティークドール。
漆黒と真白で織り成ったゴシック調のドレス、黒い天使を彷彿させる真っ黒な翼、ワインレッドに輝く妖艶な瞳の持ち主。
細い指で、長く伸びた銀混じりの長髪の一部をクルクルと回しながら、壁に背を預けている。
少女の名は水銀燈――人形師ローゼンのより造り出された、命を持つ人形達の一体。
それも一番目、誇り高き第一ドールの薔薇乙女(ローゼンメイデン)――それが彼女を指し示す言葉の羅列。
“アリスゲーム”と名付けられた闘いで、同じ姉妹達を倒し、最後の一人になる事が彼女の目的。
アリスゲームに勝利するという、何百年の時を経ても未だ一向に消えない願いを叶えるためにも壊れるわけにいかない。
ローゼンメイデンの命ともいうべきローザミスティカを集めて、究極の少女――アリスになり、お父様とお会いする。
よって彼女には他の参加者がどうなろうとどうでも良い。
周囲の人間を殺せば、こんな馬鹿げた場所から抜け出せるというのなら何も抵抗はない。
だから彼女はこの殺し合いに乗った。
そう、たった一人でこの殺し合いとやらに勝ち残る――その筈だった。
「ああ、手間を掛けさせて悪かった。感謝しよう」
現実は水銀燈が想定していたものと少し違っていた。
水銀燈の言葉に一人の男が答える。
男は此処に来るまでの間、そしてたった今まで水銀燈について幾つか質問をしていた。
水銀燈の素性など様々な事を。
そして男は不敵にも備えられたテーブルに両脚を投げ出し、両腕を組んでいかにも思慮にふけている。
それだけなら良い。
いささか態度が大きくとも、この異常事態で冷静に考え事をするのは賢い行動といえるだろう。
だが、問題は男の身なりがとても多少とは言えない程に奇抜なものであったせい。
成り行き上、共に――但し、互いに信頼関係などはないが――この殺し合いに身を投じる事になった男。
ゼロ、またの名をルルーシュ・ランぺルージの姿が水銀燈にとっては異質以外の何ものでもなかった。
(……慣れないわねぇ、この格好は)
胸部を始めとして、身体の各所を守るような防護装甲らしき装飾――許容内
特徴的な漆黒のマントを、身体中に巻きつけている――まだ許容内。
更に全身にもこれまた黒色のかなりピチピチなスーツ、所々に走るものは幾つもの線――辛うじて未だ我慢は出来る。
極めつけに、薄い青色で塗られたまん丸の円盤状の物体が中心に付随した仮面――流石に無理。
俗にいう変質者にしか見えない。
だが、幾ら言ってもゼロは気に留めないだろう。
何故なら、ゼロの提案でこの民家に身を潜めようと、移動を始めた時から既に何度か言及していたのだが効果はなかったからだ。
嫌味ったらしく言ってやったというのに。
半ば諦めに似た感情に浸りながら、水銀燈は思わず盛大な溜息をつく。
別に隠す必要もなく、目の前の男が気を悪くしても構わない。
わざわざ見せつけるかのように、いかにも男の服装を疑うような素振りを見せる。
しかし、水銀燈の予想通りに男は何も言わない。
予測が当たっても当然嬉しくも何ともない水銀燈は、ふと首を回す。
水銀燈の視線の先――窓の外、何処までも続いていそうな漆黒の闇。
それは何度も何度も、この場に送られる前からあの病室のベッドの上で見た光景――
支援
支援
「確か――桜田ジュン、真紅、翠星石、蒼星石。この四名は君と対立している、で合っていたな?」
「……ええ、そうよぉ。あの子達はみーんな、わたしの獲物……アンタが出る幕はないわ」
「ふむ、了解だ」
そんな時、ゼロの言葉が結果的に水銀燈の意識の中断を担う。
あまりいい心地はしない。水銀燈の表情に険しさが増していくのは言うまでもない。
当のゼロは知ってか知らずかはわからないが依然、憮然とした態度を貫くのがまた腹立たしい。
そしてゼロの言葉を受けて、水銀燈が思い浮かべるは三人の姉妹達と一人の人間の姿。
蒼星石――自分と同じように、己の目的のためなら何かを犠牲にする覚悟はあり、見所はある。条件次第なら仮初の協定を結べるかもしれない。
翠星石――双子の妹の蒼星石とは違い、どうしようもない。蒼星石が居なければ何も出来ない愚図であり、ローザミスティカ以外に特に価値はない。
桜田ジュン――憎々しい、真紅に力を与える媒体。 真紅と二人揃われると厄介だがバラバラでは恐るに足らず。
真紅――気に入らない。アリスとなるには一番の障害と思える存在であり、自分をジャンクと称した女。第一の目標――絶対に倒すべき相手。
水銀燈の答えを聞いた後、ゼロは拡げていた自らの分の参加者名簿を静かに閉じ終える。
今度こそ気が済んだだろう。
さも迷惑を被ったと言わんばかりにゼロから顔をそむけて、水銀燈は徐に歩き始める。
自分のデイバックを忘れずに、先程見ていた窓の方へ視線を飛ばす。
「何処へ行く?」
「ちょっと外の空気を吸ってくるだけよぉ、だいたい水銀燈が何をしようがアンタには関係ないでしょ」
「いつまでもここで時間を無駄にするわけにもいかない、可能な限り早く帰ってきたまえ」
「うるさいわねぇ。 わかっているわよ、そんなコト!」
ゼロの忠告にも似た言葉に感情的な返事をぶつけ、水銀燈はそのまま彼を無視して窓際で立ち止まる。
次に窓を開けて、両の翼を振って外の世界へ向かう。
デイバックの重みで普段通りの優雅さは生憎叶わなかったが、それでも外へ出る事ぐらいは出来る。
フラフラと飛び立っていた水銀燈を横眼で見送り、其処にはゼロ一人だけが残される事となった。
――己を『魔王』と自称する男が。
◇ ◇ ◇
支援
黒黒支援
依然、テーブルに足を投げ出し、両腕を組んだままのゼロがじっと天井を見つめている。
無言――話すべき相手も居ないため、一時の静寂が場を我が物顔に居づく。
仮面で隠されているために、ゼロの表情の変化は見えない――そして、彼が潜ませる真意すらも。
そんな時、ゼロはふと呟く。
水銀燈の話から訊き出した、信じ難い情報を思い出しながら。
「……日本、か」
日本――ゼロが知る限りでは、ブリタニア帝国に侵略され、11(イレブン)と不名誉な名で呼ばれる事となった国家。
ゼロことルルーシュが己の妹であるナナリー、そして後の親友となる枢木スザクと幼少時代を過ごした場所でもある。
だが、水銀燈から聞いた話では日本はブリタニアに占領されていないらしい。
此処に連れて来られる前はどの国の何処にいた――何気なく訊いた質問による成果。
日本は日本のままであり、イレブンという忌々しい名の概念もない。
俄かには信じられない話だが、ゼロは水銀燈が嘘を言っているようにも思えなかった。
寧ろ、言う必要がないだろうと考えている――彼女は割と自分のや知り合いの事について話をしてくれたのだから。
別に無警戒だったと言うわけではない。
具体的に何が出来るか、などの返答は拒否されたため、自分を信用していないのはわかる。
只、関係ない、興味がないためだったのだろう――どうせ、自分はこの殺し合いに勝ち残る。
ならば、最低限の警戒は厳守し、自分が勝ち残るために必須ではない情報――たとえば自分が居た世界などは重視しなくても可笑しくはない。
しかし、水銀燈にとって重要ではない日本についての情報は、ゼロにとってこの上ない程に大きな意味を持っていた。
そう、ゼロは主催者、ギラーミンなる男について思考を巡らす――
(あのギラーミンという男の持つ技術……明らかに異常だな)
仮説と言う程のものでもない――既に確信すらにも近く、改めて確認するまでもない。
ブリタニアと日本の関係の相違は既に言うまでもなく、それに加えてゼロが居た世界にはローゼンメイデンと呼ばれる人形はない。
自律行動すらも可能になる人形が確認されれば、直ぐに何処ぞの国の軍事機関の目に止まるだろうに。
未だ情報を完全に訊き出せたわけでもないのに、現時点であまりにも違う、ゼロと水銀燈の各々の世界。
更に総勢60名以上の参加者の拉致すらも可能にさせるギラーミン――もしくは彼の一派の技術力。
最早、『強大』との表現では生温い、『異常』なのだ。
今現在、ゼロ達を取り巻くこの世界を含めて彼らの存在は。
よって、ゼロはあっさりと捨てる――あくまでも普通の人間による『常識』を。
(そして、ブリタニアによって侵略されない日本……奴は私が知らない世界の住人すらも、呼び寄せる手段を保有している可能性があるという事か)
そう、タイムマシンのような、異なる時代や世界に介入出来る装置。
何かの空想科学雑誌で、以前に読んだ事のあるようなものをギラーミンは保有しているとゼロは考える。
何を馬鹿な事と、碌に信じようとはしない人間も居るかもしれない。
わからなくもない、寧ろ自然な反応とも評価出来る。
タイムマシンなど所詮、空想上の産物でしかなく、実現に移すのは到底不可能だろう。
だが、ゼロは魔女――C.C.との融合を果たし、常識では考えられぬ力を手にした存在。
その能力――銃撃すらも碌に意を介さない生命力、長距離すらも可能なワープ、5m程の機動兵器と戦闘を行える驚異的な身体能力など。
人間を超えた、所謂『超人』であり、それら超常のものに触れたゼロだからこそ考え付く。
どんな経緯かは検討がつかないが、ギラーミンもまた、C.C.のような人類の手には余る力を手に入れたのだろう。
タイムマシンの原理と酷似した、何かとてつもない力を――と。
そうでなければ水銀燈の話と己の世界を照らし合わせ、浮かんだ矛盾に納得がいかない。
支援
ゼロ考察支援
わかっていた事だが、かなり状況は深刻のようだ。
残り全ての参加者――勿論、一人は除いて――を倒し終わった後でも、未だ障害は残っている。
最期の参加者には自分と闘う権利を与えようと言っていたギラーミン。
言動からはかなりの余裕が窺える。
実際、首輪の起爆スイッチも保持している事だろうし、余裕なのだろう。
思わず虫唾が走る。
大方、今もなんらかの手段で自分達を安全な場所で観察しているであろう――しかし、何もしないわけがない。
(だが、裏を返せば奴の持つ技術を接収さえすれば全てを覆せる。
ブリタニアを潰すコトすらも可能な力を……私の手中に収められるというものだ。
そのためにもこの殺し合いを制する必要がある……!)
態々最後に自分と戦う権利を与えると言ったところから、ギラーミンは戦闘行為に少なからず快感を覚えるタイプなのだろう。
同時に、それなりに自分自身の力に自信を持っているとも窺える――勿論、程度は不明だが。
しかし、ギラーミン自身が戦場の舞台に立つというのならば突けいる隙はある。
なんらかの力で制限を掛けられている自分の能力の問題もあるが、それはこの先どうにかすれば良い。
まあ、この場に呼び出されてからいつの間にか付けられた忌々しい首輪か、得体の知れないこの会場。
どちらか二つに参加者達の力を制御する何かがあるのではないかと、若干の予想はつくが――所詮は憶測でしかない。
そして、最終的に時間や世界すらも超えられる力は必ず手に入れる。
今はもう、既に居ない母上――マリアンヌ・ヴィ・ブリタニアの仇。
かつての祖国である、ブリタニア帝国への正義の裁きを下すにはもってこいだ。
ならば勝つしかない、回りの人間を蹴落としても必ず。
水銀燈と組んでいるのは只、効率が良いため――そして監視だ。
どうやら完全に優勝を狙っていると思われる水銀燈に、態々教える必要もない。
自分が守るべし存在が、この会場に居るという事は。
やがてゼロは両腕を解き、固く握りしめた拳を上へ突き上げて、無言で決意を打ち立てる。
あの時、黒の騎士団の存在を全世界へ知らしめた時の高揚感を胸に秘めながら。
支援
悪魔とすらも契約してまでも繋ぎとめたこの命――無駄には出来ない。
この身を今以上に返り血で染める事になろうとも――構わない、
修羅の道を進み、世界の全てを敵に回す事になろうとも――構わない
地獄に叩き落とされ、永遠の時を苦痛で濁す事となろうとも――構わない
己の復讐を、そして何よりも為すべき事を、守りたいものを守れれば――それでいい。
全ての参加者を殺し、自分とナナリーだけになった時、彼女は自分を拒絶するかもしれない――ならばナナリーの生存を優先するだけだ。
故にゼロはギラーミンの意図に、自らが死ぬというもしかすればあり得るかもしれぬ未来に――
――全てに反逆する。
(優しい世界……創って見せるさ。 だから、全部お兄ちゃんに任せておけ…………ナナリー)
たった一人の妹、ナナリーを必ず守る。
彼女が絶えず笑って生きていけるような世界を造る為に、今の腐った世界を創り変える。
ゼロは本当に一瞬だけ、己の全ての感情を晒して、そう宣言する。
其処には魔王でもなく、ゼロでもなく、ましてやルルーシュ・ランぺルージでもない――
――只、妹を気遣う、心優しい一人の兄が居た。
◇ ◇ ◇
ゼロの野望支援
支援
「そろそろ行こうとするか、水銀燈」
「わかったわ、それで何処か目的場はあるわけぇ?」
程なくして戻ってきた水銀燈とゼロは出発の準備を整える。
互いに一人で何をしていたのかを、二人は特に聞き合わない。
彼ら二人が同盟を組んだ理由はこの殺し合いに生き残るため。
そのために、会話は最小限に、必要以上に言葉を交わす必要もないためだ。
やるべき事は残りの参加者の数減らし――だが、未だ具体的な目的は決めていない。
よって水銀燈はゼロに疑問をぶつける。
「中心部に集まる人間は多いかもしれない、標的を捜すにも困らないだろう。だが、それよりも私はこの地図の端はどうなっているのか気になってね。
まあ、恐らく楽に此処から脱出出来るようにはなっていないだろうが、行き止まりか何処かへ続いているかは知っておいて損はない」
「……真ん中に急ぐ理由もないわよねぇ、わたしもべつに構わないわ」
そういえばそうだ。
思い出したように水銀燈は地図に書かれていた端のエリアを考える。
この先は、地図に書かれていない先には何があるか。
既に何人かの参加者はこの地形が反対側のエリアにループしている事に気付いているが、水銀燈には知る由もない。
それは勿論、ゼロにとっても同じ事。
そしてギラーミンが用意したこの会場を調べる事は、彼の力の一端を知る機会になるかもしれないとゼロは考えていた。
「では、改めて行こう。守りたいものを取り零すコトのないようにな」
ゼロの意思は固い――言うなれば不退転の意思。
漆黒のマントを翻して、ゼロは歩き出す。
水銀燈もデイバックを担ぎ、ゼロ少し後ろを追うようについていく。
大きい、漆黒のスーツに覆われたゼロの背中が水銀燈には嫌に大きく見える。
『守りたいものを――』ゼロがそう口に出した時、水銀燈は彼の雰囲気が変わったように思えた。
しかし、ゼロとは信頼関係もなく仮の協力者に過ぎない。
直ぐにゼロの事など意識の片隅に置き、水銀燈はあくまでも自分の事について考え始める。
支援
マッチョ転じて支援
(わたしの守りたいもの……ばかねぇ、そんなコト考えるまでもないじゃない。アリスになって、お父様に会う……これが私の望み。
それ以外はなんにもいらなぁい……だけど――)
自分達を造って、直ぐに消息を絶ったローゼン。
愛するお父様の事を考えるだけで、水銀燈はいてもたってもいられなくなる。
一刻も早く、抱きしめてもらいたい、褒めてもらいたい――頭を撫でてくれるだけでも構わない。
自分の名前を優しく呼んでくれ、自分だけに愛を注いで貰える日を掴むまで、水銀燈は脱落するわけにもいかない。
だが、その筈であったのに何故か、水銀燈の脳裏にローゼンの他にもう一人の人間が浮かぶ。
何故、浮かびあがったのかは幾ら考えても理由はわからない。
そう、病弱な身であり、いつも病院の病室で自分を待っていた少女――自分を“天使様”と称した不思議な人間。
(まったく、なんなのよ……もう……)
自分の媒体、柿崎めぐが自分に向かって笑みを浮かべている姿が水銀燈にははっきりと見えていた。
支援
似たもの同士支援
【B-3 中心部 ログハウス近く/1日目 黎明】
【ゼロ@コードギアス ナイトメアオブナナリー】
【状態】:疲労(小)
【装備】:大戦槍@ワンピース
【道具】:基本支給品一式、強力うちわ「風神」@ドラえもん、MH5×4@ワンピース
【思考・状況】
1:ナナリーの捜索。
2:ナナリーの害になる可能性のある者は目の届く範囲に置く、無理なら殺す。
3:マップの端がどうなっているか調べる、その後中心部を目指す。
4:ギラーミンを殺して、彼の持つ技術を手に入れる。
5:自分の身体に掛けられた制限を解く手段を見つける。
【備考】
※都合が悪くなれば水銀燈は殺すつもりです。(だがなるべく戦力として使用したい)
※ギラーミンにはタイムマシンのような技術(異なる世界や時代に介入出来るようなもの)があると思っています。
※水銀燈から真紅、ジュン、翠星石、蒼星石、彼女の世界の事についてある程度聞きました。
※ナナリーの存在は水銀燈に言っていません
【水銀燈@ローゼンメイデン】
【状態】:健康、服に若干の乱れ
【装備】:卵型爆弾@バッカーノ、チェスの長メス@バッカーノ
【道具】:基本支給品一式、ランダム支給品0〜1
【思考・状況】
1:優勝を狙う。
2:しばらくはゼロと組んで行動する。
3:守るべき者って……バカバカしい。
【備考】
※ナナリーの存在は知りません
む、ここでか?
支援
投下終了しました。
支援どうもありがとうございます。
なんかPCの調子が悪く、投下に時間かかってすみません。
では、ご指摘などあればお待ちしていますね。
厨臭い話だな
もっと漫画ロワ見習え
誤爆してスマン
投下乙
ゼロの描写がうまくて、感動しました
投下乙です!
むむむ、黒いマッチョ仮面に黒羽人形…結果は違えど、互いに中身は結構似てるなぁ。
マーダーコンビ(?)の内面がわかりやすかったです!
にしても、水銀燈はともかく、ゼロはマーダーとも対主催ともわからないスタンスにいるなあ。
危険対主催、だろうか。これからの行動が1番読めない男かもしれない。
水銀燈は果たしてゼロを利用できるか? 改めてGJ!
投下乙!
色んな考察を同時にやるとはさすがゼロ!
黒衣のマッチョなシスコンってだけじゃない!
手を組んでいるけど、肝心な所ではお互い気を許してないのが
これからどう展開に関係していくのかが楽しみでなりませんわ
GJでした!
ゼロは目的のためなら手段を問わないからなー…
このコンビがどう動くか楽しみだ
投下乙です。
ゼロの覚悟がヒシヒシと伝わってくるぜ……こいつの思考、考察には「スゴ味」があるッ!
やるといったらやる「スゴ味」がッ!
てな訳でGJでしたー
投下乙です!
マッチョ転じてカッコイイ!
まじめに考察をしているのに、魔王ゼロの外見の視覚の暴力がたまらないなw
水銀燈はわかりやすい優勝狙いだけど、ゼロはナナリーがいるから危険対主催っぽい位置か?
ゼロはシスコンなだけに、ゲームに乗る者に強力な強さを持つものが多いとわかったときどうなるか…目が離せない!
実は似たもの同士の初のマーダーコンの今後に期待!
あ、ひとつ誤字らしきものが
>>504が自分が守るべし→守るべき
じゃないでしょうか
感想どうもありがとうございます。
>>524 誤字ですね。ご指摘どうもです。
wikiに収録された時に修正しますー。
流石ACE氏だ。面白い。
最初からこんな風に進めていきたかったな。
投下乙!
ゼロの外見に呆れる銀様とかもうねw
はてさて、ナナリーがいるゼロは今後どう動くのか?
銀様とゼロの意外な共通点に感心。なるほど、そう来たか、という感じ。
このコンビも行く末が気になるのぉ……
せっかく参加者も出揃ったことだし、個人的に今後に期待してるキャラでも挙げていってみないか?
俺は変態揃いの終わクロ連中が気になって気になってしょうがないw
俺も俺もw
特に佐山なw
終わクロいいよな
あそこまで変態ぞろいだともう拍手するしかないw
だが俺は変態sを対に持つ苦労人ツッコミコンビの新庄・いなみんコンビを挙げさせてもらう!
昨日のSSで二人に対する高感度がうなぎのぼりだ
あれはぜひ小鳥遊と佐山も出会ってほしいと思ったなw
終わクロとWORKINGは把握したい
しかし時間の余裕がさっぱり無い、後者は立ち読みで少し読んだが
WORKINGは薄い漫画5巻だから把握は簡単なはず
注意するのは作者のHPで長期連載してるやつは同名だけど違うシリーズだということだ
予想を完全に裏切った方向に動くスクライドの主人公二人に期待してる
宇宙開拓史の漫画版かってきて、残りはやっとナナナ二巻以降とfateだけだ
あの人にはあれを使わせたいしあの人とあの人はああしたい……いろいろ妄想が広がるな
支給品にして面白そうなものもいろいろ豊富だよな
ブレン先輩、ナナリーペアからも目が離せないな
今気が付いたけど
延長&追加予約でドラえもんとカルラきてるね
おおう、ホントだ!
深夜のキャラは大分減ってきたなぁ
最終登場が深夜の人物は12人だな。
予約済み 7人
ルフィ、エルルゥ、ラッド、バラライカ
梨花、カルラ、ドラえもん
未予約 5人
ウソップ
土御門
ギルガメッシュ
吉良
無常
なんだろう、この未予約を見て思う感想は……『曲者ばかり』?
やっぱ全員黎明まで言ってから早朝行くんだろうか。
黎明すっとばしても、その間何やってたかの説明くらいあれば別にいいのかもだけど。
全員が黎明行くまで待つとかはしなくていいと思う
この5人って一人でしか行動してないんだよね
1人な分、動かしやすいとも言えるがな。
なんか濃い面子の中でぽつん、といるウ……しゃげキングが不憫だw
何でギラーミンが主催なの?
お、予約追加本当だ!
一見対主催だけどカルラが不安定だからなぁ、どうなるか楽しみだ
未予約キャラは見事に一癖あるやつだらけだなw
ブレが見えるのはウソップ位で、他は全員わが道を行くマイペースキャラってどういうこったw
バラライカ、ラッド、ルフィ、エルルゥ、クーガー投下します
「キャアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
二人の人間が空を飛んでいた。
物凄い速度で。
風を切り。
一直線に。
少女は自分の成し得る最大の声量による絶叫、少年は右手で麦藁帽子を抑え左手で少女を掴み、その飛行がさも当たり前のように平然とした顔で前を見続けている。
それどころか――
「な、早ぇえだろ?」
――笑いながら脇に抱く少女へと語り掛けていた。
勿論、恐慌状態の少女にそんな言葉が届く筈もない。
返ってきたのは恐怖を伝える絶叫のみ。しかし残念な事に空中を滑走する速度は一向に弱まらない。
文字通りロケットと化した二人が地面に降り立つのはもう数分後。
少年にとっては慣れっこの、少女にとっては地獄のような数分――
「アアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァ…………」
―――果たして少女は意識を保っていられるのか。
―――ロケットは止まらない。
○
「――ゴムゴムの風船!」
「ヒャア!」
永久にも思える程の数分は唐突に終わりを告げた。
麦わら帽子の少年が突如膨張、迫る地面と少女の間に身体を滑り込ませた。
数瞬の抵抗感の後に、ベクトルの掛かる向きが真上へと変換され少女は二メートルほど宙を浮き、そして地面に叩き付けられた。
「なはは、結構飛んだな〜。大丈夫か?」
この期に及んでも全く悪びれた様子もなく笑顔を見せる青年――モンキー・D・ルフィ。
対する少女――エルルゥは時が止まったかのように地面へ突っ伏したまま動かない。
その獣耳だけがピクピクと揺れていた。
「エルルゥ? どうしたんだ―――」
「―――いきなり、何をするんですかぁッ!」
瞬間、スパンという小気味良い音が深夜の森林を駆け抜ける。
それは、三億ベリーの賞金額を賭けられることとなる男でさえも反応しきれない
神速の張り手。
完璧に頬を捕らえている。
並みの人間なら悶絶もの。
痛い顔の一つでもすればエルルゥの鬱憤も少しは晴れるだろうが、
「効かん!」
残念なことにこの男は普通じゃない。
加えて空気を読むこともしない。
その一撃を堂々と耐え抜き、誇らしげに胸を張った。
来た!支援!
効かん、じゃねえw支援
これにはエルルゥも肩を落とすしかない。
エルルゥは呆れ顔で深い深い溜め息を一つ吐く。
「はぁ……もう良いです。先に進みましょう」
「おう。早くエルルゥの仲間を見つけねぇとな」
仲間という言葉を出した一瞬、ルフィの表情がほんの少し精悍なものへと変化した。
あの時、ホテルで見せた時同様の真剣な表情。
さっきまでの陽気な面とはまた違うルフィの一面―――船長としての顔がそこにはあった。
「なぁエルルゥ、さっきの『たんちき』って奴には何か映ってねぇのか?」
その言葉にエルルゥはハッと顔を上げ、デイバックの中へと手を伸ばす。
―――忘れてた。
先ほどの飛行と言うには無理やり過ぎる飛行に、その存在を完璧に失念していた。
慌てて取り出したそれには山のような光点が灯っている。
「……どっちに行きましょう?」
横から覗き込んでいるルフィへと問い掛けるエルルゥ。
光点が密集している所に向かえば沢山の人とも会えるが、それは殺し合いに乗っている参加者とも遭遇する確率が高くなるということだ。
言うなれば命の懸かった選択。
選ぶ方角を間違えれば死が待っているかもしれない。
一人で決断するにはあまりに重すぎる選択。
そう考え、エルルゥはルフィへと問い掛けた。
「こっちに行こう!」
答えは即答。
指した方角は北東―――光点が最も密集している地点であった。
「人も一杯いるし、エルルゥの仲間と会える確率高いだろ?」
「でも殺し合いに乗っている人が居たら……」
「大丈夫だって! 危ねぇ奴がいたら俺がぶっ飛ばしてやるから」
その眼光には恐怖など欠片も感じられない。
あるのは自信と決意。
不思議と人を引き付ける光、誰よりも純粋な光がそこにはあった。
「分かりました……でも無理はしないで下さいね」
「おぉ! 任せとけ!」
力強く胸を叩くルフィ。
そんなルフィを見て微笑むエルルゥ。
凄惨な殺し合いの場だというのに、二人の間には朗らかな空気が流れている。
これもまた、誰よりも自由な海賊を目指す青年が持つ力か。
二人は深淵の森へと足を踏み出した。
支援
●
バラライカは引き金を引いた。
僅かな躊躇いも感情の起伏も見せずにきっかり二発、手に持った銃器から鉛玉を排出した。
だがしかし、それらの鉛玉は標的を捕らえることは叶わない。
――女が狙撃に失敗した?
それは絶対にない。
生ける死者の集まる街ですら恐れられる女帝が的を外すなど、唐突に現れたゴジラがペンタゴンを壊滅させるくらいに有り得ない。
――女がわざと外した?
それも、いやその方が有り得ない。
女は殺し合いに乗ることを決めた。
そんな女が今更狂人相手に情を見せるなど、ゴジラがペンタゴンを(ry
――ならば何故二発の銃弾は外れたのか。
答えはシンプル且つ明快。
男が銃弾を避けたのだ。
常人には到底不可能な反応と動きで大きく横に飛び、飛来する弾丸を二発、回避したのだ。
そして、再度地を蹴り女へと距離を詰める。
その疾走もまた尋常ならざる速度。
女が再び引き金を引くよりも早く、自身の拳が届く間合いへと足を踏み入れる。
「さっきは、よくも、やりやがったなぁぁぁあああああああああああああああ!!!」
放たれるは右ストレート。
肩口から標的へと一直線に走る、惚れ惚れするような見事な一撃が女の顔面へと向かっていく。
女は首を傾け、それを回避。
掠めた拳が頬の皮膚を僅かに削ぎ、一筋の血が流れ出た。
そして女は――
「キャンキャン喚くな。耳が痛くなる」
――身を屈め、男の右腕を潜るように前方へと動き、男の背後に回り込んだ。
そのまま女は男から距離を離す。手には何時の間にかサバイバルナイフが握られていた。
「痛ぇな、この野郎」
先程までの憤怒とは対照的に、男は気味が悪いほど静かに女の方に振り向く。
それを見て女は舌打ちを一つ。
一瞬だけ、手の中のサバイバルナイフに視線を落とした。
既にサバイバルナイフからは笑顔狂の血と脂は拭き取られていて、新品同様の輝きを見せている。
だが、その輝きを見て女は再度舌打ちをした。
予想が確信へと変わったからだ。
―――男と交差した一瞬、自分はサバイバルナイフで男の右脇腹を斬り付けた。
相手の動きに支障が出るくらいには深く、しっかりと、刃を通した。
だというのに男は平然と振り向いた。
サバイバルナイフにも血痕がない。
それらの事象が語ることは一つ。
この男は不死者―――先の笑顔狂と同様の化け物だ。
「次から次に化け物ばかりが現れる……ここはゴーストシップの中か?」
「おいおい、なにシカトこいてんだよ!! てめぇはこのラッド・ルッソに不意打ちをかました!! このラッド・ルッソから物を奪った!! このラッド・ルッソにナイフを掠めさせた!!
このラッド・ルッソに痛ぇ思いをさせた!! この手で殺す筈だった女を!! 誰とも分からねぇ糞野郎に殺され!! 傷心状態のラッド・ルッソにだ!!!」
脇腹を斬り裂かれた痛みなど、この怒りの前には消えてなくなっていた。
ラッドはただ前方を睨む。
目の前の女を殺す為、恋人を殺した男に辿り着く為、そしてその男を殺して殺して殺しまくる為に、ラッドを拳を構える。
「だから何だと言うのだ、イタ公。駄々をこねる子供のように叫ぶことがお前の攻撃方法か? ハッ、そういうのはママの目の前でやるんだな。もしかしたら玩具の一つでも買ってくれるかもしれんぞ?」
男が見せる烈火の如く憤怒に、女は氷の如く冷徹で返した。
その挑発に、男の表情が愉悦に歪む。
なかなかどうして骨のある女。
自分の死を理解していない糞共とは違う。
自分の力に酔っている糞共とも違う。
血も涙も感じさせない殺戮機械(キリングマシーン)。
それが目の前に立つ女の本性だ。
「へ……言うねぇ、言うねぇ。ま、影から殺そうとする臆病者(チキン)よりは数十倍マシだけどな」
「残念ながら、私は貴様のような単純な脳みそを持ち合わせていなくてな。暗殺を臆病者(チキン)呼ばわりする思考回路がどうにも理解できないようだ」
女に銃を使うつもりは無かった。
不死者を相手に銃撃など、ただの弾の無駄遣いに過ぎない。
狙いは首。
このサバイバルナイフで奴の首と胴体を斬り離す。
首輪がついてる以上、それで死ぬ筈だ。
とはいえサバイバルナイフで首を斬り落とすのは些か心許ない。
ならばどうするか?
答えは簡単―――相手の力を利用すれば良い。
つまり奴の突進の勢いを利用し、カウンターの要領で奴の首を両断。
それであの男は死亡。撃墜マークに星一つだ。
「いいね、いいね、いい感じだ!! やっぱぶっ殺すならお前みたいなムカつく奴に限るぜ!! こっちも罪悪感が残らねぇからなぁ!!」
「ほぅ、これは驚いた。罪悪感を感じるだけの脳があるのか」
だから今すべきは挑発。
頭に血が昇るほど攻撃は直線的になり、単調となり、カウンターを取り易くなる。
「いいぞ、その感じだ!! やっぱてめぇは殺りたくなる性格してるぜ!! てな訳で――」
小刻みに、リズムを取るように、男は身体を上下に揺らし始める。
そして両の拳を上げ、俗に言うファイティングポーズを取った。
「――死ね」
その一言と同時に男は地を蹴る。
それは女でさえも目を見張る程の速度。
だがそれでも女の身体は自然に動作を始めていた。
生き抜く為に覚えた技術を、無意識の内に身体の奥底から呼び起こす。
サバイバルナイフを地面と水平に構え、男の襲来と共に振り抜こうとし――
「バレバレだぜ。火傷顔(フライフェイス)さんよぉ」
――動きを止めた。いや止めざるを得なかった。
男が直進を止めたから。
交差点まであと数メートルの地点で、男が立ち止まったから。
女はナイフを振り抜くことが出来ない。
驚愕に目を見開く女へと、男は羽織っていた真っ白なタキシードを投げつけた。
(目隠しか)
支援!
女はデイバックからマシンガンを取り出すし、躊躇うことなく引き金を引く。
既に、男のイレギュラーな行動により弾の節約などと言っている場合ではなくなっていた。
轟音と共に放たれる弾丸が、視界を占領するタキシードをただの布切れへと変貌させる。
だが血が噴出することはない。
目隠しを利用し拳を叩き込んでくると予想していた女は、虚を突かれた表情を浮かべる。
(奴は――)
「――甘ぇなぁああ!!」
―――結果だけを言うならば、女の予想は外れていない。
確かに男は目隠しを利用し距離を詰め、拳を握っていた。
だがその接近は、女の予想したタキシードの後ろから、ではない。
まるで地を這う獣のように、または地面スレスレを飛行する戦闘機のように、限界まで身体を屈め頭を低くし女へと接近していたのだ。
顔の高さは地面から十数センチの位置。
身体は今にも崩れ落ちそうに傾いている。
だがそれでも男は駆けた。
そして―――遂に自身の距離へと入ることに成功する。
「死ぃぃぃぃぃいいいいいいいいねぇぇぇぇぇええええええええ!!」
身体を起き上げる反動を利用しての右アッパーカット。
女の策を読み取り、裏をかき、超人的な肉体を存分に駆使しての一撃。
―――だが迫る拳を前に女は笑っていた。
―――何のことはない。
僅かなイレギュラーはあったが、事態は何も変化していない。
右手はマシンガンで埋ましまったが、サバイバルナイフは左手がしっかりと握っている。
相打ち、もしくはカウンターを失敗する確率が高まったが、そんな事は大した問題ではない。
自分はただの死人。
動き、息をする死人。
命など紙よりも軽く、儚いもの。
そんなモノを守る必要など皆無だ。
(及第点だ、イタ公)
風を切り迫るアッパーカット。
月光に煌めくサバイバルナイフ。
両者は徐々に近付いていき、遂に交差する。
どちらが先に獲物の喉元に食らいつくのか。
その答えは――
「―――スタンプ!!!」
――一人の青年により闇の中へと消え去った。
支援
支援
●
バラライカが見た物は二つ。
自分の直ぐ横から突如飛び出した肌色の何かと、それに吹き飛ばされていく不死者。
不死者は接近してきた時の何倍もの速度で後方に飛び、肌色の何かも物凄い勢い
で収縮を始め背後に戻っていった。
「ル、ルフィさん! や、やり過ぎですよ!」
「なんだよ、エルルゥが止めなくちゃって言ったんだろ」
「そ、そうですけど! 加減ってものが……!」
そして聞こえてきた二人分の声。
バラライカはゆっくりと油断なく振り返る。
そこに居たのは二人の男女。
獣耳を生やした少女と麦わら帽子を被った少年。
どちらもまだ子供と呼べる容姿である。
「よ! 大丈夫か、バアサン」
「ルフィさん! そんな失礼なこと言っちゃ駄目ですよ!」
片腕を上げ、屈託なく笑い掛けてくる少年。
それを諫めるように言葉を飛ばす少女。
そのどちらにも敵意は見られない。
自分が襲われてると勘違いし、助け舟を出したのか。
成る程、この二人組がどのような人物なのかが、バラライカには良く分かった。
だから答える。
至極簡単な解答を二人へと見せ付ける。
「俺はルフィ! こっちはエルルゥだ! よろし―――」
その答えは少年の挨拶を遮るように、発せられた。
少年の声より何十倍もの音量を有した破裂音―――即ち銃声。
バラライカは、呑気な表情を見せる少年へと弾丸を見舞ったのだ。
驚愕に固まる獣耳の少女。
不意に音速で身体を貫かれ身を反らす少年。
先程の不死者を吹き飛ばした攻撃力を見るに、この少年は相当な実力者。
だが甘い。
何を勘違いしたのか自分を助けてしまった。
獣耳の少女も同様、全てを甘く見ている。
ここが殺し合いの場だと分かっていない。
甘い。
甘過ぎる。
だから死ぬ。
だから殺されるのだ。
バラライカは次の標的へと銃口を向ける。
獣耳の少女は未だ驚きから抜け出ていない。
これで四人目。
バラライカは再度引き金を引こうとする。
―――が、そこである異変に気付いた。
麦わら帽子の少年が倒れないのだ。
銃撃を受けたにも関わらずしっかりと両の足に力を込め、立っている。
そして、
「効かーーーーーーん!!」
その腹から、弾丸が放たれた。
いや、放った訳ではない。弾丸を返したのだ。
まるでゴムのように伸びた腹が衝撃を殺し、パチンコのように弾き返したのだ。
「なんだと……?」
返品された弾丸はバラライカの右頬、先程ラッドの拳に裂かれた箇所の直ぐ上を通過する。
計二筋の血液が頬から流れ始めた。
だがバラライカはそれを気にも止めず、麦わら帽子の青年を睨み付ける。
「あービビった。何すんだよ、いきなり」
「貴様は一体……」
バラライカは、不死者を見た時同様の驚愕を覚えた。
必殺の銃弾を跳ね返した男。
少なくとも自分の世界にはこのような人間は居なかった。
「俺はルフィ。海賊でゴム人間だ!」
「海賊……ゴム人間……?」
ゴム人間―――とても信じられる物ではないが実際にソイツは居る。
ということは、先程不死者が吹き飛んだ時に見えた肌色はコイツの身体の一部か。
「不死者と同類……また化け物か。笑えてくるな」
「あ、そうだ。バアさんは殺し合いに乗ってんのか?」
「乗ってる……と言ったらどうするのだ?」
「ぶっ飛ばす」
ルフィはパキパキと指を鳴らし、楽しそうな笑みと共に拳を構える。
バラライカは自分の見立てが外れていた事を理解した。
―――コイツはただの脳天気な餓鬼ではない。
―――コイツは命のやり取りを知っている。
―――餓鬼ではない兵士だ。
「……面白い」
「ん?」
「教えてやろう、小僧。私は殺し合いに乗っている。そこに転がっている餓鬼共を殺したのは私だ」
「そうか。んじゃ、行くぞ」
グルグルと右腕を回すルフィ。
バラライカは、拳銃を懐に収め、サバイバルナイフを取り出す。
数秒後、ルフィの右腕が回転の勢いを加え飛び出した。
その拳はさながら銃の如く。
「ゴムゴムの銃(ピストル)っ!!」
互いに、数メートルの距離を開けていた。
だがその伸びるパンチに間合いなど意味を成さない。
風を砕き、一直線にバラライカへと迫る。
「ッ!」
その超速の拳をバラライカは横に跳ぶ事で何とか回避。
伸びきった右腕をナイフで斬り裂こうと身を翻し――
「ゴムゴムの……鎌!」
――猛スピードで迫る麦わら帽子の少年が視界を埋めた。
ほぼ反射的に身体が防御体勢に移行する。
重心を低くし両腕を十字に構え、身体と顔を護る。
―――衝撃。
ゴムの収縮を利用した身体ごと叩き付けるラリアットがガードの上にぶち当たった。
宙を舞う身体。
まるで木の葉と化したかのように軽々と一回転、二回転、縦方向にロールし、地面へと背中から落下。
まるで車と激突したかのような衝撃が身体を駆け巡る。
防御した両腕は痺れてしまい感覚がない。
背中から伝わった衝撃は内蔵にまで響いていた。
受け身に失敗していれば命に関わっていたかもしれない。
少なくとも数分は行動不能―――バラライカは客観的に判断した。
「うっし、終わり!」
勝利を確信したルフィの声が辺りに響き渡る。
そんなルフィに走り寄るエルルゥ。
地面に倒れ伏すバラライカ。
その誰もが気付いていなかった。
先程、宙を舞っている時、バラライカの肩から一つのデイバックが抜け落ちた事を。
そのデイバックをある男が拾った事を。
全長十数メートルの海王類すら仕留める前蹴りを喰らったことにより、男の殺意を示すメーターは限界値を軽く天元突破している事を。
男が、デイバックからある支給品を取り出し三人へと照準を合わせている事を。
―――三人の誰も気付いていなかった。
そしてその時は唐突に訪れる。
「―――てめぇらこう思ったろ? 敵は全員倒した。俺達は死なない、ってな」
真っ先にその声に反応したのはモンキー・D・ルフィ。
しかしルフィが振り向いた時には「それ」は発射されていた。
「それ」とは砲弾。
男が背負ったバズーカ砲から飛び出した砲弾。
それは真っ直ぐにルフィ達の方へと進み、そして――――炸裂した。
急速に広がる『ぐれん』が森林を染め上げる。
木々に燃え移った炎が男を照らす。
「ヒャハハハハハハハハ!! 甘い、甘いねぇ!! 甘すぎるぜ、この馬鹿共が!! ヒャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
男は笑っていた。
これ以上なく楽しげに、顔を歪め、狂ったような爆笑を続ける。
立つ者は男以外、誰も居ない。
辺りに残るは物言わぬ二つの死体と笑い続ける不死者だけであった。
○
「いやービビった、ビビった。危なかったなエルルゥ」
そしてそこから数十メートル程離れた木の上にルフィとエルルゥの二人は居た。
ルフィは不安定な足場の上に楽々と立ち、エルルゥはルフィの脇に抱え込まれている。
流石は三億の賞金首と言ったところか、ルフィは眼前にまで迫った砲弾を超人的な身体能力で回避した。
横にいたエルルゥというオマケ付きで。
「は……は……」
「? おい、大丈夫か?」
声にならない声を出しているのはエルルゥ。
襲われてる女の人(エルルゥの勘違いだが)を助けたと思ったら突然の発砲、戦闘、そしてバズーカによる砲撃。
あまりに密度の濃い数分間にエルルゥは茫然自失であった。
「エーールルゥーー? 寝てんのかーー?」
そんなグロッキー状態などお構い無し。
ルフィはエルルゥの耳元に顔を近付け、声を挙げた。
その大声にエルルゥも漸く自分を取り戻したのか、ゆっくりと顔を上げる。
「ルフィ……さん?」
「大丈夫か? 疲れたんならどっかで休むか?」
「いえ、大丈夫です……」
エルルゥを抱えたまま、器用に木から降りるルフィ。
木へと寄り掛からせる形でエルルゥを地面に座らせると、ルフィは辺りを見回し、自身もその隣に腰を下ろした。
「ルフィさん……?」
「疲れた」
「は?」
「エルルゥが疲れてなくても俺は疲れた。休憩タイムだ」
そう言うと、ルフィは「シッシッシッ」とエルルゥへ笑い掛ける。
その笑顔を見てエルルゥは、ルフィの真意に気付いた。
そして心の底からの微笑みを浮かべ、隣に座る少年に聞こえないよう小さく呟く。
「ありがとうございます」、と。
「ん? 何か言ったか?」
「フフフ、何も言ってませんよ」
「……よし、飯にしよう!!」
「いきなり何を……駄目ですよ。何があるか分からないんですし、食料は節約しなくちゃ」
「ばかだなー、お前こういうことわざがあるんだぞ?『腹が減ったら食うんだ』」
「そんなことわざありません。兎に角ダメです。せめてもう少し経ってからにしなくちゃ」
「何だよ、ケチだなー」
「ケチじゃありません! ……全く」
この人といると安心するな、とエルルゥは思った。
凄く強くて、ゴム人間で、でも子供みたいに無邪気な男。
心強く感じる。
こんな怖い殺し合いの中でも、この人と一緒なら皆と再開できる気がしてくる。
(ハクオロさん、アルルゥ、カルラさん、トウカさん、ベナウィさん……)
必ず再開する。
誰一人欠けることなく、この殺し合いを脱出してみせる。
「……ルフィさん、そろそろ行きましょう」
「大丈夫か?」
「私なら大丈夫です。アルルゥやハクオロさん達だって頑張ってる筈ですし、私だけが休んでる訳にはいきません」
「……よし、分かった! 行こう!!」
―――それはあまりに突然過ぎた。
ルフィが立ち上がり大きく両腕を上げる。
その様子に苦笑しながらエルルゥも立ち上がる。
そして、轟く―――銃声。
まるでビデオの逆再生のように、エルルゥの身体が後方へと傾く。
先程まで寄り掛かっていた木にぶつかる。
大量の血を木に塗り込みながらエルルゥは地べたに倒れた。
「エル……ルゥ? おい!! どうした、エルルゥ!? おい!!?」
ルフィの絶叫が、綿が耳の穴に詰まっているかの如く、エルルゥにはボンヤリと聞こえた。
視界の中では、ルフィが驚愕と焦燥をない交ぜにした顔を見せている。
それはエルルゥの見たことのないルフィであった。
「大丈夫ですから……」そう言おうと口を動かすが、口からは生暖かい液体が湧き出てくるだけだった。
「エルルゥ、待ってろ、今すぐチョッパーんとこ連れてってやっから!!! チョッパーはすげぇんだぞ!! そんな傷、簡単に治しちまうんだ!!! だから……だから我慢しろ、エルルゥ!!!」
何故だろう、瞼が重い。
目を開いていられない。
とても寒い。
身体に力が入らない。
「エルルゥ!! エルルゥーーーー!!!」
何時しか視界は黒色に包まれていた。
体験したことのない濃度の暗闇。
明かりのない場所で目を瞑った時よりも遥かに暗い。
これは何なんだろう。
そんな疑問を思い浮かべることでさえ億劫に感じる。
ふと闇の中に誰かの姿が浮かび上がった。
それはエルルゥも知っている人物だった。
男の人にしたら長い、肩まで掛かる髪の毛、小さな角が二つ付いた白色の仮面を被った男の人。
「ハクオロさん……」
―――エルルゥが最期に見た者は再開を望んだ愛しの人であった。
支援!
支援
●
バラライカは森の中を走っていた。
足音を立てぬよう慎重に、だが全力で、木々の間を駆け抜ける。
時折立ち止まり、掌に乗った漆黒の箱に目を移すバラライカ。
標的は動いていない。
箱に映る光点を確認すると、再び音もなく駆け始める。
ルフィとの戦闘によるダメージは抜け始めていた。
まだ背中や両腕に鈍い痛みを感じるが、こうして走る分には問題ない。
(予想以上に上手くいくものだな……)
バラライカは心の中でその獰猛な、獣を思わせる笑みを浮かべる。
全てが計画通りという訳ではなかったが、イレギュラーが起きればそれを補うように幸運も転がり込んできた。
あまりの幸運に、自分自身が恐ろしくなる。
バラライカは再び立ち止まり、漆黒の箱を取り出す。光点は動いていない。
木の間から首を出す。
僅か五メートル程の距離に標的は座り込んでいた。
バラライカに背中を向け、もはや物を言わぬ肉塊と化した少女を前に俯いている。
此方に気付く様子はない。
バラライカは木の陰に身体を隠し、サバイバルナイフを取り出した。
(二歩……いや三歩あれば届くか……)
ゴム人間といえど斬撃は防ぎきれない筈。
気配を殺しつつ近付き、その隙だらけの後頭部に振り下ろす。
それだけであの化け物を仕留めることが出来る。
容易な任務だ。
嘲りの微笑みと共にバラライカは集中力を高める。
息を吸い、吐き出す。
息を吸い、吐き出す。
息を吸い、吐き出し―――そして駆け出す。
一直線に、その赤いシャツを目掛け、疾走する。
手の中のナイフが月明かりを反射し、闇に光る。
ほんの僅か開いていた距離は直ぐさま狭まり、そして――――ナイフを通して肉を斬り裂く感触がバラライカへと伝わった。
真紅の血が周囲に飛び散り、地面を染めた。
まさかの悲劇支援
支援
む、さるさんか
代理投下開始します。
●
バラライカの計画――その達成目的はルフィとエルルゥ、可能ならばラッドの殺害。
だが計画と言ってもそう複雑な物ではない。むしろ手段としては比較的単純。
策略と呼ぶ程のものでもなかった。
―――その手段とは不意打ち。
相手が自分から関心を無くした瞬間を見透かし、銃もしくはナイフにより攻撃で仕留める、と言ったもの。
バラライカがこの策を考え付いたのはルフィの初撃――ゴムゴムの銃を回避した時である。
バラライカは、あの一撃でルフィと自身の実力差を理解した。
圧倒的な速度と破壊力、そして銃撃や打撃を無効果するゴムの身体。
真っ正面からこの化け物を殺害することはできない。
少なくとも今の武装では不可能。
幾多もの死線を潜り抜けてきたバラライカだからこそ分かってしまう、その実力差。
あの一瞬、バラライカは冷静に、そして客観的に自身の勝機の希薄さを受け入れた。
そして考える―――この化け物の「殺害方法」を。
別段、バラライカはルフィの殺害を諦めた訳ではない。
ただその実力差を認識しただけ。
そしてその認識こそが勝利の道を切り開くことを、様々な戦線を通しバラライカは知っていた。
考える。どうすればあの男を殺せるか。
純粋な戦闘では勝ち目は希薄。ならば策を労するしかない。
言動や行動を見るに、幸い奴の性格は単純。
罠や騙し討ちが効果的だろう。
そしてあの段階で実現可能な「騙し」――――それは、「死んだ振り」。
わざと倒れ、恐らく立ち上がってくるであろう不死者とルフィが戦闘している隙を付く―――それがバラライカの行き着いた作戦。
だから、バラライカは、あの時「ゴムゴムの鎌」を避けなかった。
ギリギリではあるが回避できた筈のラリアットにわざと当たり、戦闘不能に陥った振りをした。
ただ誤算だったのはルフィの攻撃力。
不死者が吹き飛ぶ光景によりある程度の予測は立てていたが、その攻撃力はバラライカの想像の遥か上を行っていた。
そして演技ではなく本当に戦闘不能に陥ってしまった。
まぁ、だがそれでもまだ計画の範疇。むしろ演技をせずに済む分、楽と言えば楽。
後は不死者とルフィが戦い始めるまでごゆるりと待機し、身体が動くようになれば隙を突き殺害すれば良い。
ルフィがトドメを刺してくる可能性も皆無ではなかったが、それまでの雰囲気を見る限り、それは低い。
そう考え地面に倒れ伏していたバラライカだが、ここでまた一つ誤算が、イレギュラーが発生する。
ルフィとぶつけ合う筈だったラッドが武器を手にしていたのだ。
それもバズーカという強力な武器を。
これにはバラライカも肝を冷やした。
身体は動かず、回避はできない。
絶体絶命と言っても過言ではない状況。
ラッドがルフィを狙ったことが幸運か。
爆風に空を舞い、爆炎に身体を炙られながらも何とか生き延びた。
だが同時にそれは、ルフィも見失う結果をもたらし、バラライカの計画の破綻を意味した。
周りは暗闇に包まれ、視界状況は不良。
とてもじゃないが捜索は出来ない。
それ以前にラッドから逃げた事により不意打ちをするなど、叶わぬ夢でしかなくなっていた。
さしものバラライカもルフィ達の殺害を諦めかけた。
―――しかし此処でバラライカに二つの幸運が舞い降りる。
一つ目の幸運はあるアイテムを拾ったこと。
手のひらサイズの黒色の直方体。
中心には半球状の何がが埋め込まれているソレ―――エルルゥが装備していた筈の探査機がバラライカの直ぐ側に落ちていたのだ。
恐らくはあのゴタゴタの中エルルゥが落としてしまったのだろう探知機は、何の因果かバラライカの手へと渡ってしまった。
これがバラライカにとって一つ目の幸運。
数分間身体を休ませ、バラライカは再び行動を開始した。
ダメージを引きずりながらも、探知機を頼りに森林を進む。
数分に及ぶ歩行―――バラライカは遂に二人を発見する。
バラライカはただ一番近くにある参加者の元に進んだだけ。
ルフィ達を発見できたのは完全な偶然でしかない―――これが二つ目の幸運。
一本の木を背に笑い合っている、あまりに隙だらけな二人組。
バラライカは迷うことなく銃を取り出し、狙いを定め、指をほんの少し動かす。
放たれた弾丸はバラライカの狙い通りに、心優しき少女の胸部へと命中。
一人の少女を死に至らしめた。
―――しかし、バラライカはまだ止まらない。
仲間の死に茫然自失としている少年を仕留める為に、動き始める。
居場所を特定されないようにルフィを中心に円を描くように走り、攻撃に最適な位置まで接近。
そして、サバイバルナイフを振り下ろした。
ルフィ達は何処までも不運だった。
バラライカは何処までも幸運だった。
ただそれだけ。
「運」という、ただそれだけの些細な事が命運を分ける。
そう、バラライカは幸運だった。
―――この一瞬まで。
「なに……?」
その声の主はバラライカ。
サバイバルナイフを突き立てた姿勢のまま驚愕の声を上げた。
ナイフは確かに肉を斬り裂き、血を滴らせている。
ならば何故バラライカが動揺をしているのか?
その全てはルフィの行動が物語っていた。
「貴様……!」
それは右手。
サバイバルナイフはルフィの後頭部に突き刺さる寸前、ルフィの右手により進行を阻止されていた。
肉を斬り裂いた感触はその右手のもの。
滴り落ちる血もその右手のもの。
押しても、引いても、ナイフはボルトで固定されたかのように動かない。
人間離れした握力がその動きを封じ込め、そして――
「馬鹿な……」
――鉄製のナイフを握り砕いた。
サバイバルナイフが、まるでクッキーのように易々と砕け散ったのだ。
自身の目の前で繰り広げられた有り得ない現象に、バラライカは無意識の内に後退し、そして走り出す。
それは恐怖からではない。
想像を越えたルフィの実力に、一厘の勝機も見いだせなかったからだ。
ただ全力で闇の中を走り、森林へと隠れ込む。
ルフィから逃亡を果たすべく、バラライカは森林を突き進む。
「ゴムゴムの銃乱打(ガトリング)!!!」
―――瞬間、轟音が後方から噴出した。
何かを砕くような喧しい音が連続で何度も何度も繰り返し、聞こえる。
同時にバラライカの脳内で鳴り響く警報。
バラライカは自身の勘に従い、その場に伏せた。
一瞬後、頭上を通り過ぎるは暴風の如き拳の連打。
その拳群は森林という空間を形成するに必要不可欠な木々を根こそぎ吹き飛ばし、またへし折っていく。
バラライカに出来るのは暴風の終わりを待つことだけ。
シャワーのように降り注ぐ木々の破片に埋もれていく。
「―――と」
不意に暴雨と轟音は止んだ。
代わりに聞こえたのは一文字の言葉。
バラライカは顔を上げる。
「戦斧(おの)ぉぉぉ!!!」
そこには麦藁帽子の少年が居た。
片足を天空に伸ばし、怒りの表情でこちらを睨む少年が。
脳内の警報が先程以上にけたたましく鳴り響く。
バラライカは横に転がり、立ち上がった。
一秒と間を置かず、先程まで自分が寝転がっていた地面に、神速のかかと落としが突き刺さる。
地面がガラス窓のようにひび割れた。
「―――と」
また声がした。
それと共に視界が暗転、奇妙な浮遊感が身体を包む。
腹に灼熱が走っていた。
「バズゥーーーーーカァァァァァァ!!!!」
後から発せられた咆哮は最早、バラライカに届いていなかった。
ゴムの特性を存分に生かした一撃に巨大マフィア女幹部は意識を彼方へと手離した。
○
「エルルゥ……」
それから数分後、ルフィは一人森の中に立っていた。
ルフィの眼前には少し盛り上がった土の山。中央には一本の金属バットが刺さっている。
その中には一人の少女が眠っている。
二度と目を覚まさない少女が。
「ハクオロ、アルルゥ、トウカ、カルラ、ベナウィ……だな」
ルフィの手には青と白を貴重にした輪っか状の布が握られている。
ある少女が首に纏っていた首飾りだ。
それをルフィは大事そうに折り畳みポケットへ入れる。
「絶対に連れてきてやる……皆揃えてエルルゥの前に連れてきてやるから……」
その言葉を最期にルフィは歩き始めた。
彼女のデイバックとその中身は全て墓前に置いてあった。
それは彼なりの弔いの現れか。
海賊が独り、森を歩く―――。
【E−2:一日目、深夜】
【モンキー・D・ルフィ@ワンピース】
[状態]:右手のひらに切り傷
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式 ・三代目鬼徹@ワンピース
[思考・状況]
1:エルルゥの仲間を探し、エルルゥの墓前に連れて行く
2:ギラーミンブッ飛ばす!
3:ワニ(クロコダイル)は会ったらブッ飛ばす!
4:一応探すけど、ゾロ達は一人でも大丈夫だ!
【備考】
※原作44巻(第430話)終了後から参戦。
ギア2およびギア3の能力低下、負荷は凄まじいものになっています。
※悟史の金属バッド@ひぐらしのなく頃に、基本支給品一式、アミウダケ@ワンピース 、サカキのスピアー@ポケットモンスターSPECIAL、
庭師の如雨露@ローゼンメイデンはデイバックに詰められ、エルルゥの墓の前に置かれています。
○
ルフィが居た場所から少し離れた森林にその男は立っていた。
肩には男の背丈を越える大型のバズーカ。
相当な重量であろうそれを事も無げに持ち上げながら、ラッドはグルリと辺りを見回す。
そこは惨状と呼ぶに相応しい景色が広がっていた。
折れ、砕け、引き抜かれ、その一帯だけ全ての木々が倒れている。
何かが起こったことは一目瞭然。
ラッドはその光景を見て、溜め息を吐く。
「はぁ……コレやった奴はこう思ってんだろうなぁ。俺はこんなに強い、こんな殺し合いで死ぬ訳がない!って……あぁ殺してやりてぇなぁ……」
気に食わない三人をバズーカで消し飛ばした後、ラッドは異常な音を聞いた。
物凄い力で何かを打ち付けるような、あまりに暴力的な音。
当然、ラッドはその音に釣られて足を運ぶ。
そして見つけたこの光景。
ラッドは死体やらデイバックやら利用できる物がないか辺りを探索したが、収穫はゼロ。
時間を浪費しただけであった。
「ま、いっか。アホみたいなトンデモ武器も手に入れたし、早くやることやんなくちゃあな」
ラッドが手に入れたバズーカ。
それは、空に浮かぶ島にてゲリラとして戦っていた青年が愛用していた物。
砲身の中にある貝(ダイヤル)を入れ替えれば、大樹すら貫通する柱状の炎を放出するバズーカにもなる。
共に入っていた説明書により、ラッドは既にその利用方法を把握していた。
「サラっと皆殺しにして、サラっとギラーミンを殺して、ルーアの敵を討つ…………いや、ギラーミンはサラっと殺したら駄目か。苦しめて、苦しめて、苦しめ
て、苦しめて、苦しめて、苦しめて、苦しめて、苦しめて、苦しめて、苦しめて、苦しめて、苦しめて、苦しめて、苦しめて、苦しめて、殺してやんなきゃな」
男はそれきりその場を後にする。
漸く登ってきた太陽を反射し、バズーカ砲が煌めいた。
【D-2/森林/深夜】
【ラッド・ルッソ@BACCANO!】
[状態]:健康、不死者化
[装備]:ワイパーのバズーカ@ワンピース、風貝@ワンピース
[道具]:基本支給品一式
[思考・状況]
1:あのギラーミンとかいう糞野郎をぶっ殺す。
2:そのためにこの会場にいるやつを全員殺す。とにかく殺す。
※麦わらの男、獣耳の少女、火傷顔の女(バラライカ)を殺したと思っています。
※自分が不死者化していることに気づいていません。
○
ルフィから少し離れた位置にいるラッドよりも更に数km離れた地点。
C―4に位置する駅の正面に、一人の男が風を巻き上げながら現れた。
「2分18秒……また世界を縮めてしまった」
男は自身の成した偉業に、笑みを浮かべている。
まぁ偉業といっても彼の中だけの話だが。
「さーてと、何処か開いてる部屋はないか……と、此処がいいな」
クーガーは軽やかな足取りで駅内を進み、ある一つの部屋―――事務室へと入っていく。
彼の予想通り中は無人。
クーガーは部屋の隅に置いてあるソファへと近付き、背負っていた女性を寝かせた。
彼も一つ短い息を吐き、側にあった椅子へと腰を下ろす。
不快な鈍い音が静寂の事務室に響いた。
(それにしても酷いもんだ。これ程の美女を殴り飛ばすとはな……)
クーガーの脳裏によぎるは先程見たある光景。
その光景の中では、麦藁帽子の少年が眼前の女性に向け熾烈な攻撃を浴びせていた。
ゴムのように伸びた足を振り下ろし、これまたゴムのように伸びた両腕を叩き付ける。
その威力はクーガーからしても凄まじい物。
女性は抵抗する暇もなく吹き飛ばされていく。
それに追い付き、追い越し、キャッチする自分。
その場は女性の身を案じ撤退した。
(勿体無いことをするもんだぜ。レディの扱い方が分かっちゃいねぇ)
きっかけはラッドが放った砲弾による爆音。
それにクーガーは引き寄せられ、そしてその途中でルフィが森を破壊する音を聞いた。
直ぐさま現場に直行したクーガー。
そして前述の光景を見た。
(……さっきのモヒカン男と言い麦藁帽子と言い、どーして殺し合いに乗るのかねぇ、全く)
クーガーはソファに眠る女性へ視線を送る。
顔には痛ましい火傷痕。
だがその火傷痕もまた妖艶に感じさせる程、女は美しく見える。
何時しか女に見取れていたクーガーであったが、不意に顔を上げ、何を思ったかデイバックの中からペンと二枚の紙――ヴァッシュの手配書を取り出した。
「『モヒカン男と麦藁帽子の男に気を付けろ byストレイト・クーガー』と……んー、我ながら良いアイディアだ」
記した文字を口に出して読むと満足そうに微笑みクーガーは、その紙をデイバックへと入れ直す。
「さて彼女が目覚めるまで、食事としますか!」
世界一恐ろしい眠り姫を前に、最速の男は晩餐会を開始した。
あと少し速さが足りていれば、眼前の女性がルフィに襲い掛かっている光景を見ていれば、最速の男は勘違いなどせずに済んだかもしれない。
だが結果的に男は気付かなかった。
気付かずに勘違いという名の道すらも最速で突っ走る。
だが残念なことに、その道にゴールはない。何処までも何処までも最速の男は突っ走る。
【C-4/駅・事務室内/黎明】
【ストレイト・クーガー@スクライド】
[状態]:健康 、左肩、右脇腹などに銃弾による傷(アルターで処置済み)
[装備]:HOLY部隊制服、文化的サングラス
[道具]:支給品一式 不明支給品(0〜1) ヴァッシュ・ザ・スタンピードの手配書×二枚
[思考・状況]
0:女が目覚めるまで休憩
1:ジラーミンに逆らい、倒す
2:無常、ラズロ(リヴィオ)、ヴァッシュ、ルフィには注意する
3:カズマ、劉鳳、橘あすかとの合流。弱者の保護。
4:ヴァッシュの手配書を何処かに貼り付け、もう一枚は自分で持っておく。
【備考】
※病院の入り口のドアにヴァッシュの指名手配書が貼ってあります。
※ジラーミンとは、ギラーミンの事です
※ヴァッシュ・ザ・スタンピードの手配書×二枚に『モヒカン男と麦藁帽子の男に気を付けろ byストレイト・クーガー』とメモ書きされています。
【バラライカ@BLACK LAGOON】
[状態]:気絶、腹部に重度のダメージ、身体全体に火傷(小)、頬に二つの傷
[装備]:AK47カラシニコフ(30/40、予備弾40×3)、AMTオートマグ(0/7、予備弾×28)
[道具]:支給品一式×3、デザートイーグル(0/8、予備弾×32)、不死の酒(空瓶) 、探知機
のび太の不明支給品(1-3)、
[思考・状況]
1:戦争(バトルロワイアル)を生き抜き、勝利する。
※のび太から、ギラーミンのことや未来のこと、ドラえもんについてなどを聞き出しました。
※のび太の不明支給品の中には武器、秘密道具に属するものはありません。
【エルルゥ@うたわれるもの 死亡確認】
代理投下終了です。
576 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/15(月) 23:51:16 ID:aR9lWhee
投下乙です!
迫力あるバトルに、逆転、また逆転。
ラッドの狂気に、バラライカの計略。
悲劇も挟みつつ、怒りがありありとにじみ出るルフィの3連攻撃。
密度たっぷり、読んでてひき込まれる作品でした!
エルルゥ南無…けれど、君の姿はちゃんとルフィに残っているよ!
ルフィはうたわれ勢を捜しに出たが…トウカは死亡、ベナウィはマーダー…切ない。
同エリアにはベナウィ、南にはカルラと絶好の位置にいるんだけどなぁ。
やはりルフィは強いなぁ。戦闘のスピーディさとパワフルさでよくわかる。
ラッド…不死者だと気付けw。
バーンバズーカも手に入れちゃったとは…鬼に金棒としか言いようがない。
恐ろしい純粋マーダーだ…果たしてどうなる。
3人殺しで殺害数トップのバラライカさんも、さすがに3連撃の前に散った、と思いきや。
クーーガァァァァァ! 何しちゃってんだあんたぁぁぁ!w
しかもルフィ、誤解フラグが立ってしまった。懸賞首仲間とはいえ、ヴァッシュもろともに。
むむむ、目覚めたバラライカさんがクーガーにどう対応するかが見物だな。
改めてGJ!
エ、エルルゥ……orz
助かったと思ったらまさかの不意打ち……
だがマーダー連中の動きも、クーガーの勘違いっぷりも、ルフィの怒りも良かった……
くっそー、頑張ってくれー!
追記ですが、少し気になった点が。
クーガーがラズロとの戦闘をして病院を出たとき既に【黎明】。
その後、ルフィに吹き飛ばされるバラライカを助ける。前話からしてここも【黎明】ということになります。
ですが、その後のルフィが【深夜】。
ラッドはともかく、少し時間的におかしいのでは、と思いました。
なんだかケチをつけているようでアレなのですが。
代理乙
最後まで誰が死ぬかいつ死ぬかとヒヤヒヤしっぱなしだった。最後のも先がどうなるかわからなくてハラハラするな
な……ナンテコッタイ/(^0^)\
凄まじいバトルではあったがエルルゥとばっちりじゃねーか!
そしてどいつもこいつも勘違い野郎が多いぜ!困ったもんだ
それにしてもマーダーが大変だ
沢山の感想、そして代理投下ありがとうございました。
>>579 ルフィの時間表記はコチラのミスでした。
【黎明】に変更をお願いします。
あとwiki編集の際、ルフィの道具欄に「エルルゥの首飾り@うたわれるもの」を付け加えておいて下さい。
投下GJ!
面白かったぜ……!
マーダー連中といい、ルフィといい、それぞれのらしさを活かした戦闘が良かった
投下乙でした。
二転三転の大乱戦、ラッドとバラ姉さん、ルフィの掛け合いがとても、らしい!
そしてクーガーまで加わって、まあこの濃い面子に巻き込まれたエルルゥに合掌……。
ところで予約についてのテンプレを作成して、避難所のテスト板に仮投下してみました。
なにか不足しているところがあれば指摘をお願いします。
したらばの修正議論スレで、ブレンヒルトの装備についての質問?が来てるんだけど……
あれって1st-G製の賢石が必要だよな?
手元にある原作一巻上のラストで確認してみると、術の前後に青い石を使ってるし。
確かなことは言えないしこっちのほうが知ってる人多そうなのでこちらで話を振ってみた。
投下乙です!!
規格外のバトル。エクセレント。堪能させて貰いました。エルルゥ、安らかに…。
そしてふと、皆様忘れてるかもしれませんが、アルルゥ組の書き人はどうしたの?破棄宣言も無く放置ですか……これだとキャラ拘束されたままで、動かせにくいのでは……
アルルゥの人破棄でいいんじゃね?かれこれ何日も経ってるし
>>585 それだと支給品として出した方がいいよなあ
また、予約がきたぁぁぁぁぁぁーーー!
おおっ、本当だ!
近頃予約多くて嬉しいな
ってマーダー三人集じゃないか!こいつは一体どうなるんだ…!
>>584 テンプレ読んだよ
ブラボー! おお…ブラボー!!な出来だ!
ただ、「予約期限が過ぎたら問答無用で予約無効」ってところは、
本スレで頼みこめばちょっとだけなら伸ばしてもらえることもあるかも、と書いておいたほうがいいと思う
原則は予約破棄だけど、あまりガッチガチなのもどうかと思うし
>マーダー三人集
ウソップと吉良は一概にそうは言えないけどなあ、まだ。
ウソップはマーダー狙いだし(ただし誤解や勘違いもありえるけど)。
吉良はまだ平穏望んでるだけで、ゾロにも手を出してないし明確に優勝狙いは公言されてない。
どうなるか気にはなるな。
>テンプレ
見て噴いたわ。
あの人、まさかの出張り。ワタシハトウヒョウノトキイナカッタカラムジツダヨ。
ガチガチ、ついては…まあ、過去の例もあるわけだし、頼み込みの余地は作った方がいいかと。
それでも、いくらの猶予を与えるかは決めたほうがいいかもだけど。12時間?
自分も
>>590とほぼ同意です。
期限をきつきつにされると何か合った時に怖いですから
それ以外はGJッス
セイバー、いっそのことここのマスコットになってしまえ
おおおおぉ!?
本当だ予約きてる!
これはwktk
2日延長でも書ききれなかった場合頼み込みで1日までなら待ってもいいと思う
再延長の件、了解しました。
期間については、書きたいという人が他にいれば尊重したいですし……。
どうしても、ということがあって、本スレでお願いされた場合、他に書く人がいないときにはフレキシブルに対応、ということでどうでしょうか。
>>595 それでいいと思います、
そしてテンプレありがとうございました
まずは書き手の皆さん、投下乙です
先週からの投下ラッシュのおかげでこのロワ今すごい賑わってるな
このままの勢いがあれば一気に進みそうな雰囲気になってる
この勢いを続かせられるかどうかが、現在の課題か?
とりあえず読み手側も積極的的に感想雑談をしようと思う
いや書けよ
おお、また予約が来てる!
マジだ!
アーチャーと圭一か
これはwktk
wikiの更新もされてるな
マイヤってフェイトゼロのキャラなのかい?
ととと、更新乙です!
フェイトゼロのキャラだな。
切嗣の、相棒?
予約が途絶えないのは本当にいいな。
圭一が心配だが。
おお、予約来てる!
ギルと圭一…圭一涙目の予感がするのはなぜだw
アーチャーというと、どうしても背中で語る赤い人のイメージになってしまう
wikiもどんどん便利になっていくねぇ
古手梨花、ニコラス・D・ウルフウッド、ドラえもん、カルラを
投下します。
「なんやこれ、けっこうウマイやないか」
とりあえず道なりに歩き始めたウルフウッドが見つけた
街路樹に生っていた謎の小さな果物
ものは試しと一粒食べてみたらこれが意外とウマかったので
ディパックにいくらか入れて再び目の前の道を進む。
ひょっとしたらこの先にトンガリがいるかもしれない
ひょっとしたらこの先に少年を殺した犯人がいるかもしれない
ひょっとしたらこの先にあの泣き虫だったリヴィオがいるかもしれない
そんなことを考えてウルフウッドは目の前の道を進んでいく。
月明りのみが照らす暗闇のなか、見張りのいない遊園地の出入口を一人の少女が通り抜ける。
このゲームに乗るつもりはない、いや彼女の場合、乗らない理由は自分の非力を知っているからであろう
かつて園崎詩音に注射器をもって向かっていったが返り討ちにあっているのだから、
もし彼女に戦いを勝ち抜くだけの力があれば違った選択をしていたのかもしれないが…
とにかく、今大事なのは自分の身を守ることと信頼できる人間、出来れば部活の
メンバーと何とかして合流を果たしここから脱出することである。
「そのためにも今は誰かに出会って、…いいえあせってはダメ
慎重に、注意を払って行動しないと」
幸い近くに人の気配はしない、だからといって油断するような真似はしないが、
果たしてここは何処なのかと考えてながら道路へと向かっていった。
少なくても雛見沢にこんな遊園地なんてないし、近くの町にもこんな娯楽施設があるなんて
見たことも聞いたこともない、テレビで言っていた今年の春、東京に出来たという
巨大なアミューズメントパーク、通称ネズミの国とも違う。
キター!!支援
支援
少なくとも雛見沢から大分離れたところなのは間違いなさそうだ。
しかし、だからといってそれが事態を打開する物になるとも思えず
頭の中は呪われてる自分自身の運命への怒りへと変化していった。
なぜこうも苦しいことが続くのか、なぜ鷹野の野望を潰しても
このような殺戮の舞台に巻き込まれるのか、なぜ呪いのような運命が続いていくのか…
「運命なんて、俺があっさり打ち破ってやるぜ」
かつて、圭一が言った一言がふと頭をよぎる
根拠や裏打ちなど何も無い、勢いまかせの発言だが、真っ直ぐ前を見ている言葉
そうだ、弱気になってはいけない、それこそ碌な結果にしかなりえないのだから
沙都子を叔父から救い出したのも村のみんなが希望を捨てなかったからであり
なにより私自身が希望を捨てずに最後まで諦めなかった結果起きた奇跡なのだから
それなのに今の自分はどうかしていた、部活のみんなはこの狂ったゲームを壊そうと
している筈なのに、少なくとも圭一なら間違いなく動き回っているだろう
そう考えると体に乗っかっていた重荷が取れた感じがした。
力が無い、それに加えて武器も道具も無い、特にあのあちこちが破けた服なんてハズレにしてもいくらなんでも酷すぎる。
でもだからといって下を向く必要など無いのだ、少なくとも今、弱気になるのは間違いないのだから
などと考えてるうちに私は大きな通りに出ていた、遊園地の入り口側ということもあり、
ジュース、酒、タバコ、インスタントカメラなどの自動販売機が置いてあり、隣には線路も通っており所々に外灯が道路を照らしている。
☆ ☆ ☆
支援
観覧車を降りた二人は辺りを見回す、近くに人がいないことを確認すると近くにあった待合室のようなところに腰を下ろした
さっきまで上から周囲を見ていたが夜と言うこともあり今一つここらへんのの状況が分からないからだ。
遠くの建物から何かが飛び出ていくのがに気づいたが何が飛び出したのかは分からなかった。
まさか飛び出していったのがエルルゥだとは全く気づかずに
なぜ待合室で腰を下ろしたかというとお互いの自己紹介や簡単な情報交換こそさっきまで観覧車の中でおこなったが
ここは何処なのか、近くに誰かいるのかといった情報が欲しかったからである。
カルラはそこまで慎重に行くまでも無いと言っていたが、ここはドラえもんの意見を尊重することにしたのだ。
そのためにまず、周囲の状況を確認したのだが……
「近くには誰もいませんでしたね」
「そうみたいだね」
戦場を幾つも潜り抜けてきた戦士であるカルラは勿論、ドラえもんもなにかと修羅場を幾つも越えている
もし、近くに誰かが息を潜めていれば余程の達人でもない限りどちらかがすぐに見つけることができるはずである。
その二人が周囲を確認して出した結論は、とりあえず近くに人はいないことは間違いなさそうだった。
「まずは、どうやってあるじ様と合流するのか、方法を考えませんと」
「そうなんだよね、でも近くに何があって何処にだれがいるかなんて僕にはさっぱり……」
と持っているディパックに目を向ける。この会場に来た時に隣に置いてあった鞄で
ドラえもんとカルラで1つずつ分けて持っていたのだが…
「ひょっとしたらこの中に地図かなにかが入っているかも」
そういって待合室の明かりを付けてディパックの中身を調べ始めた。
窓にはガラスがなく、代わりに笹のカーテンが付いており
光が漏れてしまう危険はあまり無い、ただし、音によって敵に居場所を教えてしまう危険に関しては
否定できないが逆に誰かが近づいた時には対処しやすくなるからあまり大きな問題ではない。
ディパックの中からは水や食料、筆記用具、懐中電灯等と共に地図や名簿が出てきたので早速みて確認しようとしたが
同時に銃と不思議な剣が出てきたことにより2人の目線は武器にいってしまった。
そして最後に出てきたのは謎のボールであった、ドラえもんがボールを見てみると中に何か生き物がいるのが分かる
尖った耳、赤い頬、つぶらな瞳、そして黄色い体の小さな生き物である。
一緒に出てきた説明書をカルラは見つけて読んでみる、だが……それが拙かった。
「えっと、ピカチュウ、名前はピカ、電気の究極技を使うイタズラでんき“ネズミ”」
支援!
ネズミはまずいw
支援
「えぇっ!!」
その一言を聞いてドラえもんは急に冷や汗を流す、そしてボールに目を向け
中に入っているピカチュウと目が合う……
「ぎゃあああああぁぁぁぁぁーーーーねっねっ、ネズミィィィーーーーー!!!!」
静かだった夜の遊園地に突如大きな悲鳴が鳴り響く、彼は知ってしまったのだ、目の前の生き物がネズミだということを
かつてネズミによって耳を失いそれ以降はドラえもんの天敵となってしまっている生き物ネズミ
そのネズミが今自分の持っているボールの中にいる、その結果状況も考えずに大声を上げてしまったのだ
「いやっ、ネズミこわいネズミきらいネズミこわいネズミきらいネズミこわいネズミきらいネズミこわいネズミきらいだーー」
「ドラえもん、少し落ち着いてくれませんと」
なんとかカルラがボールを奪い取りどうにか慌てふためくドラえもんを落ち着かせることは出来たが
あんな大声を出してしまった以上は誰かがやってくるかもしれない
あるじ様が来てくれれば大助かりだがそこまでうまくいくとは思えない
ならば、ここには長居は無用と考えドラえもんを引き連れて道具をしまい待合所を後にした。
手には一本の剣を持って
しえん
【F-2/遊園地・待合室/黎明】
【カルラ@うたわれるもの】
[状態]:健康 、ドラえもんへ少し呆れている
[装備]:神剣フラガバッハ@ARMS
[道具]:支給品一式、不明支給品1〜3 、モンスターボール(ピカ)@ポケットモンスターSPECIAL
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いには乗らない。ハクオロたちと共に脱出してトゥスクルへ帰る。
1:まずはこの場から立ち去る
2:ドラえもんをハクオロに会わせる。(ドラえもんへの不安もある)
3:ハクオロを探して守り抜く。
4:もし、あるじ様が死んでしまったら……。
5:ネズミ、ねぇ〜
【備考】
※ドラえもんやギラーミン、他の世界の参加者たちを異星人と考えています。
※カルラの支給品、名簿などは未確認です。
※電気の究極技に興味を持ちました。
※どこに向かうかは次の書き手にお任せします。
※地図は確認していません
※神剣フラガバッハに興味を持っています。
【ドラえもん@ドラえもん】
[状態]:恐怖 (大)、パニック
[装備]:君島邦彦の拳銃@スクライド
[道具]:支給品一式、
[思考・状況]
基本行動方針:ギラーミンを止める。
1:ネズミ はやめて〜
2:ネズミ嫌い
【備考】
※他の世界の参加者たちを異星人と考えています。
※名簿などは未確認です。
※周囲にドラえもんの叫び声がF-2周辺に響きました
※高い建物(ホテル)から“何か”が飛び出していったのに気づいていますが
何が飛び出したかはわかりませんでした。
☆ ☆ ☆
けど、ピカチュウはネズミには見えないよなあ
「みー、どっちにいけばいいんですか?」
しゃべりかたこそ冗談っぽく聞こえるが本当に何処に行くべきかは迷うところである。
片方の道は端へと続く、反対側は近くに駅がある、道路と線路を越えた先
にある古寺や古城跡といった施設がある。
するとさっきまでいた遊園地から大きな声が聞こえてきた。
「ぎゃあああああぁぁぁぁぁーーーねっねっ、ネズミィィィーーーーー!!!!」
(誰かが……遊園地にいる?)
突然遊園地から聞こえてきた大きな悲鳴に反応する
誰かが襲われて……いや、どちらかといえば目の前に苦手なものが現れた時のように
そう例えば羽入にキムチを食べさせたときのように……まさか羽入がいるの?
……そんなわけ無いわね声がぜんぜん違うわ、沙都子やレナの声とも違う
でも誰かがいる以上は戻る価値もあるってこと
こんな所で大声を出すマヌケ相手なら仮に危険な相手だったとしても逃げることはできるだろう。
それにひょっとしたら部活のメンバーのだれかと手を組んだ相手の悲鳴かも知れないし試しに接触してみる価値はあるかもしれない。
魅音や圭一ならそんなマヌケな人間であっても仲間なら見捨てたりする真似はしないだろうから
むしろ近くにいて今の悲鳴を聞いて向かっていくなんてことも……
でも逆に平気で人を殺すような奴らも今の悲鳴をどこかで聞いているはず……
もし今そんな奴にばったり出会ってしまったらそれで終わり、どうする、そうすればいい?
遊園地に戻るか否かを考えていると謎の音がこちらに向かって来ている
がたん ごとん がたん ごとん
大きな音を立てて電車が暗闇の中を走ってくる
道路の脇に線路がある以上はそれはなんの変哲もないただただ当たり前のことであり
ヘッドライトが電車の進行方向を照らし彼女のすぐ脇を通り過ぎていく
さっきの悲鳴に気をとられてたおかげですぐ近くまで電車が来ていることに気がつかなかったのだ
あっという間に彼女の近くを電車が通り過ぎていく
突風や轟音とともに、そして彼女はあることに気づく事が出来た。
(今の電車誰かが乗っていた?)
夜走る電車を外から見た場合、車内が明るいために意外と簡単に電車の中を見ることができる
もっとも電車のスピードを考えれば完璧になにがあったかを把握するのはまず不可能であるが、
少なくとも一人、もしくはそれ以上の人数が今の電車に乗っていたのは間違いない。
どのような人間が乗っているかは分からなかったが
それならば駅に向かえば電車に乗った人と合流できる?
いや、たしか地図を見る限り駅の数は3つ電車に乗っていた人が近くの駅で降りるかどうかは分からない以上は裏目に出てしまう可能性がある
それに電車に乗ってる人間が安全だとも限らない
明るい故にどうしても目立ってしまう夜の電車のなかにいるってことは
余程の馬鹿か腕に自信のある人間なのは間違いない!
遊園地の中から大きな声が聞こえさらに電車の中にも人影を見つけた。
二つの出来事が一度に起こり選択を迫られる
そのために彼女が気づくのに遅れてしまった。さっき電車の来た方角から足音がだんだんと近づいてくることに
足音は既にすぐ近くまで来ている、どうして気づかなかったのかと後悔するももう相手はすぐ近くに来ている
せめてもの救いは暗闇のおかげでおそらくこっちの姿までは気づいていないだろう
ひょっとしたらまだ私に気づいていないと希望的な予測をして、私は近くにあった自動販売機の陰に隠れた
どうしてこんなことがいっぺんに起こるのか
そしてこの足音の主は果たしてこのゲームに乗っているのか
ゲームに乗っていないなら接触をするべきなのか
果たして彼女の取った選択は……
支援
【F-2/遊園地入り口前/一日目/黎明】
古手梨花@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:健康 (少々の不安はあるが前向きに)
[装備]:
[道具]:支給品一式、王の財宝(の鍵剣)、インデックスの修道服@とある魔術の禁書目録、ランダム支給品×1 (本人確認済)
[思考・状況]
1:近づいてくる男にどう対処するか
2:その後に遊園地か駅にいると思われる人に対してもどうするか
3:必ず生き残る。
4:圭一達を見つける。
5:安全な場所に行きたい。
6:ネズミ?
※王の財宝の使い方(発動のさせ方)を分かっていません。(説明書もありません)
※残りのランダム支給品は後の書き手にお任せします
※現在自動販売機の陰に隠れて近づく足音の主(ウルフウッド)を警戒しています
※電車に誰か(橘あすか)が乗っているのに気づきました真紅に気づいたかどうかは不明です。
【ニコラス・D・ウルフウッド@トライガン・マキシマム】
[状態]:健康
[装備]: [道具]:基本支給品(地図と名簿は二つずつ) デザートイーグル50AE(使用不能)
SPAS12(使用不能) スタンドDISC『スター・プラチナ』@ジョジョの奇妙な冒険
チーゴの実×4@ポケットモンスターSPECIAL
[思考・状況]
1:襲われたら返り討ち、必要以上に危険な事に首は突っ込まない。
2:ヴァッシュとの合流、リヴィオとの接触
3:ジュンを殺害した者を突き止め、状況次第で殺す。
4:武器を手に入れる、出来ればパ二ッシャー
5:なんや今の悲鳴は?
6:この木の実結構ウマイ
【備考】
※リヴィオは自分が知っているリヴィオだと思っています。
※まだループには気づいていません
※古手梨花が近くにいるのに気づいているかは不明です
※参戦時期は未定です
支援
【支給品解説】
チーゴの実@ポケットモンスターSPECIAL
ポケモン世界のあちこちに生えている木の果実
やけどなおしの効果ももっているが
どこまで治るかどうかはわかりません
しかしポケモンたちのやけどは治ります。
他の所にも別の木の実が生えているかもしれません
インデックスの修道服@とある魔術の禁書目録
10万3000冊の魔道書の内容を把握する少女の普段着で
外観は純白の布地に金の刺繍という派手な修道服
しかし上条当麻の手でバラバラにされ現在は安全ピンによって留められている
神剣フラガバッハ@ARMS
巨大な軍産複合体を背景とする極秘組織、エグリゴリを統率する最高幹部の筆頭で、キースブラックの持つ、
刃先が単分子レベルの厚みしか持たないARMSの世界で最も鋭利な剣
君島邦彦の拳銃@スクライド
カズマの親友でロストグラウンドで斡旋するフィクサー、君島の拳銃
作中では君島の死後カズマによってアルター化されている
指のないドラえもんに使うことが出来るかどうかは次の書き手にお任せします。
ピカ(ピカチュウ)入りのモンスターボール@ポケットモンスターSPECIAL
レッドの手持ちでありおそらくポケモンの中では最も有名な種族
電気技のほかにも「みがわり」や「どくどく」「なみのり」
といった技が仕える。
【補足】
東京(正確には千葉)に巨大アミューズメントパークができたのは
雛見沢で事件のあった昭和58年です。
投下終了です。
正直仮投下にしようか迷ったのですが……
誤字、脱字等の指摘があればお願いします。
ちなみにタイトルの由来は……おや、誰か来たみたいだ。
投下乙です!
ドラえもんがネズミと聞いちゃったらヤバイw
投下乙です!
カルラーー!そいつネズミ一匹見かけただけで地球破壊爆弾出すようなやつだからー!
これはピカ出させてもらえないw
しかし、片手には剣、片手には悲鳴を上げている見た目タヌキ…やばい、こいつはやばいぞ!
そういやひぐらしは当たり前になってるあのネズミの国ができた年が舞台なのか。なんか新鮮だ
それにしても梨花ちゃん考えすぎだってw
なんか石橋をたたきすぎて壊してしまいそうだw
投下乙!
ドラがピカチュウをひきあてたのがピンポイントすぎるw
まあ、ネズミで大騒ぎするドラを見たらさすがのカルラも呆れるってもんだ
木の実は面白そうだなー
他にどんなものが生えてたりするんだろうか……
他の投下作品とのリンクが面白いなぁ
それにタイトルのネズミの国の元ネタが、
明らかにミ
ドラが地球破壊爆弾を持ってなくて良かったなw
ところどころ文章の最後に句点がないのが気になるけど……これってわざとなのかな?
投下乙!
ドラえもんにネズミはダメだよな、拳銃を乱射しかねないw
ピカはドラがいる限り出番は無さそうだな
投下乙!
遊園地入り口周辺で色々複雑に動いているなあ。
梨花はかなり慎重だなあ、まあ経験的に仕方が無いか。
不安定なのが意外に多いひぐらし勢の良心の1人だけれど。
さて、ウルフウッドとの接触はなるのか?
一方獣耳カルラと耳なしドラえもん。
支給品が悪かったなぁ、うん。
ピカ…出せればかなりの戦力なのになぁ。多芸だし。
出せば強いけど、ドラのせいで出せない…なんだこのジレンマは(汗)
深夜時点じゃなんか平和だった遊園地が、入り口付近では4人がどうなるかわからず、
南からはマーダークレア接近中。北には、こちらに向かう可能性のある橘真紅ペア。
東には、メカポッポの行く先によっては来るかもしれない伊波新庄ペア。
と、何が起こるかわからなくなってきてる。クレア1人でもかなりかき回しそうだし。
ともあれ、GJ!
遅くなってしまいましたが感想ありがとうございました
>>636で指摘された点は未熟な自分のミスです。
つきましては修正して仮投下したいのですが
こちらの都合により明日か明後日の夜に仮投下スレにミスを修正して投下
したいのですがよろしいでしょうか?
それと君島の拳銃の装填できる弾丸の数って何発でしたっけ
バラライカの状態表見てこっちも必要だと思ったので
いいと思うー。
しかし、君島の拳銃の数か……分かる描写あったっけ?
新予約キター!
おお、ほんとだ。
って……これは
>>640 ゆっくり投下していってね!
ん?予約…
!ローゼン紳士予約キター!!
変態(が)パートナーコンビとin the skyメカポッポと暴走カズマの予約ってw
やべぇ、wktkが止まらないw
最速兄貴か!
これは……これはどうなるんだ!?
見間違いスイマセンorz
すげぇ、最速兄貴の名に恥じない予約っぷり!
もうこれは全裸で待機するしかない!
あまりに待つのに暇だ……こうなれば、今できているグループのあだ名でも考えるか!
真紅&橘あすかペア『玉男と少女人形』
俺のネーミングセンスが露呈しただけだった…OTZ
でも、橘は参戦時期的には本当に“玉男”って感じなんだよねw
おぉー予約が一杯で嬉しいなぁ。
>>646 玉男は聞こえが悪すぎるwww
いや、まあ、アルター的に間違ってはいないんだが……w
玉男ってww
あ、玉男ってのは俺のオリジナルじゃなくって、前にレスで出た奴な。
>>650 ああ、知ってる知ってるw
あの時はちょっとツッコミし損ねたからw
他のグループも適当につけてみるか?
今のところは
2人
園崎魅音・ハクオロペア
ブレンヒルト・ナナリーペア
ヴァッシュ・広瀬康一ペア
水銀燈・ゼロペア
サカキ・ロベルタペア
クーガー・バラライカペア
ゾロ・小鳥遊宗太ペア
佐山・蒼星石ペア
橘あすか・真紅ペア
ドラえもん・カルラペア
新庄・伊波まひるペア
東方仗助・アルルゥペア
3人
竜宮レナ・チョッパー・グラハムグループ
クリストファー・翠星石・北条沙都子ペア
梨花とウルフウッドは距離は近いけど同行してるわけではないので除外しました。
本来なら書き手がつけることが多いけど、まあ暇潰し、雑談で。
使うのは書き手の自由。
また、予約が来てるぜーーーーっっ!
リーゼント幼女にレヴィだと……
マジだ!
これはwktk
ドラえもんとカルラはネコ科コンビだな
クーガー・バラライカ組からは誤解フラグの臭いがプンプンするなw
3人グループってどっちも
『不安定状態のひぐらし出典』/『戦闘力高のバッカーノ出典』/『癒し小さい系』
の組み合わせなんだよな。
偶然?
あれ、確かにそうかも
おお、偶然だろうがなんかバランス取れてるw
とりあえずグラハム起きてくれw
なんだ、一晩経ったら……新予約が二つだと……!?
そういやバッカーノ勢とブララグ勢って縁があるな
バラライカとラッドは殺し合ったし
グラハムはロベルタに殺されかけたし
レヴィはクレアに殺されかけたし
だから何って話だけどね
「偶然って面白いね」
ってことじゃない
本当だ
昨日の夜にいったい何があったんだよ
なんだこの予約ラッシュ嬉しいじゃないか
おおう、仮投下にきてるじゃあないか!
え、マジで?
ほんとここのしたらばは動きが大きいな
これはだたお気に入りに入れておくんじゃなくて
いつもタブ開いて巡回コースに入れておくべきか…
吉良吉影、ウソップ、 ミュウツー
代理投下します
深い深い森の中、拓けた処に一軒の温泉宿が静かに建っていた。
きちんと整備されているもののそこに人気はなく、なにより宿に通じる道が全く存在しなかった。
何のために建てられたのかを知る術はないが、この場においてそれを考える必要はないだろう。
なぜならすでにここを含む一帯はそれを上回る非条理に覆われているのだから……。
「ふむ……此処ならば静かに過ごせそうだな」
その温泉宿の前で、吉良は一人呟いた。
地図とGPSを頼りに近場で最も他人に遭遇しそうになく、休めるところを探してつい先ほどここに辿り着いたのだ。
此処に行く途中にゴミ処理場があることは知っていたがそのようなところで寛ぐのは何となく嫌だったらしい。
中に誰もいないのを確認するとさっそく彼は宿の扉を押して中に入った。
当然ではあるが、中は暗く、ネズミ一匹の気配も感じられなかった。
吉良は辺りを一瞥し、案内板を確認するとツカツカと奥の方へ歩いて行く。
目指すは、浴場。
山中を何時間も歩いたことによっていささかの疲労が溜まっていたため、吉良にとっては有り難いことだったが。
が、電気が点いていないということは、即ち温泉も機能しているかどうか怪しいということである。
故に彼は真っ先に浴場の方へと向かったのだ。
結論からいえば、その心配は杞憂に終わった。
浴場は露天風呂となっており、そこからは湯気がもうもうと湧き上がっている。
電灯は点いていないのに温泉のモーターやポンプはきっちりと作動しているのは何ともおかしなことではあるが、
吉良はさほど気に留めた様子も見せず、脱衣所の電気を点けて早速スーツを脱ぎ始めた。
* * * * *
しばらくして、吉良の他にまた一人、温泉にたどり着いた者がいた。
「ここは……温泉?浴場かぁ……」
オレンジ色の奇妙なマスクを被った、傍目から見れば変質者ともとれるような格好をした男。
彼の名はウソップ、……いや、今は『しゃげキング』だが。
彼は目的を遂行するにあたり、地図に書かれている要所要所を虱潰しに調べることにした。
そのため、吉良よりもここに辿り着くのが遅れたのは必然のことだろう。
但し、ウソップにとっては此処も通過点でしかない。
仲間のために自らを偽り、人殺しを行う。
これを彼の仲間が知ったとき、仕方の無い事だと彼を笑って許してくれるのだろうか。
それとも、姿を偽り行動したことを叱責するのだろうか。
尤も、彼の仲間ならばそのようなことは気にしないだろうが。
ウソップもまた、吉良と同じように館内へと進入する。
やはり中は暗く、それに何より静かであるのがウソップの恐怖を駆り立てた。
抜き足差し足でじりじりとロビーを隈なく見て回る。
ふと、突き当たりの廊下の奥の方に光が灯っているのを確認した。
(……誰かいるのか?)
ウソップは恐る恐る、それでも慎重にその光の方へ忍び寄っていく。
手にはピストル一丁。覚悟はすでに決まっている。仲間のために戦い抜くと彼は決めたのだ。
暖簾をくぐり、さらに奥の方へと向かっていく。
「ふう……実にいい湯だった」
脱衣所と書かれたドアの向こうから男の声が聞こえた。
ウソップには男が何と言ったのかはわからなかった。それどころではないほど心臓がバクバクと五月蠅かったのだから。
何時もならば有り得ないほどの緊張感を彼は感じていた。このような特殊な状況だからだろうか?それとも彼が一人だからか。
(大丈夫だ……やれる、やれる!出来る、出来る!)
一瞬の間をおいた後。彼は思いきりドアを開けて、前方にいるであろう姿も知らぬ男に銃を向けた。
「動くな!…………え?」
「なんだ君は。部屋に入る時はノックをしろと親に習わなかったのか?」
ウソップは先ほどの緊張は何処へやら、唖然とした様子で目の前の男を見る。
男は全裸だった。
* * * * *
「お、お前……ナニモンだ!?」
「何故名前を聞く必要がある。お友達が作りたければ他を当たれ。私は一人でいたいんだ」
目の前の男はパンツを穿きながら面倒臭そうにウソップに答えた。
気まずい雰囲気が流れるが、それを感じているのはウソップだけだろう。
ウソップは少し躊躇ってから、また男に質問した。
「じゃあ、なんで裸だったんだ?」
「そんなことも分からないのか?温泉に入っていたに決まっているだろう」
さらにズボンを穿き終えて、シャツに手をかけながら男は答えた。
その答えにウソップはまたもや唖然とする。
この殺し合いの最中に、風呂に入っている余裕があるなど彼には到底理解できなかった。
「で、何時まで私に銃を向けているつもりだ?」
言われて彼はハッとなったが、それでもまだ銃をおろすわけにはいかない。
自分がこうして銃を向けているにもかかわらず、目の前の男は余裕の態度で服を着ている。きっと何かあるに違いない。
そう、ウソップは確信したからこそ銃をおろさなかった。
そして彼は、服を着終えた男に言い放つ。
「いいや、まだおろさねえ。お前が危険かどうかわからないからな」
「フン、心外だな」
そうは言いつつもウソップの前にいる男―――――吉良吉影は内心イラついていた。
(ふざけるなッ!妙な覆面をしやがって……この私に銃を向けるなど一体どういう了見だッ!)
しかし吉良は目の前の覆面男を十分あしらえると確信していた。
すぐに撃ってこなかったということは、無差別な殺戮者ではないということ。ならば付け入る隙はあると思っていた。
(どうしても退かないなら私のキラークイーンで殺してやってもいいが……それにはまだ及ぶまい)
「では……どうしたら私が危険でないと信用してもらえるんだ?」
「お前のバッグの中の武器を全て出せ!」
この状況下でこのようなことを言われても従うものは殆どいないだろう。
自分の武器を失うということは即ち身を守る手段が無いということ。普通の人間ならば到底聞けるものではない。
それを見越してウソップはこう言ったのだが、
「それならそこのバッグを自分で探れ。銃が入っている筈だ」
吉良はあっさりと答えた。
ウソップは一度吉良を睨みつけ、右手に銃を持ち、それを吉良に向けたままバッグを探りに行く。
「だけど信じられねえな……」
「何がだ?」
「どうして武器を失って平然としていられるんだ?」
静寂。
(畜生……そういうことかッ!)
吉良は表情には出さないものの自らの軽率さを恥じる。
さっきの返答は、武器を失ってもスタンドがある、という彼の地震によるものだが、今の場合はそれが逆に仇となってしまった。
武器を失うことに何の躊躇いも持たない吉良に、結果としてウソップは余計に疑念を持つことになったのだ。
「まだ何かあるんだろ?武器がなくても余裕でいられるその理由が!」
「ああ……そうだな」
(仕方ない……ここで始末するか)
吉良はウソップを見据え、キラークイーンを発動させる。
二メートルもあるかと思われる桃色をした体躯が吉良の背後より現れる。
その瞬間、ウソップは引き金を引いた。
銃弾は真っ直ぐに吉良を目がけて飛び出す。
しかし吉良は少しは驚いたものの驚異的な速度でスタンドにより自らの体を逸らし、弾丸を回避した。
間髪入れずに二発目の銃弾が吉良を襲う、が、今度はキラークイーンの拳により弾丸を弾く。
その間に吉良は柱の陰に隠れ、体勢を立て直す。
(スタンドを出したと同時にいきなり撃ってくるとは……まるでキラークイーンを確認したかのような……)
そこではた、と気づき、驚愕する。
「馬鹿な……貴様、見えているのか!?」
答えは返ってこない。
三発、四発と銃弾が柱を掠めるが、吉良には当たらない。
(スタンド使いか?いや、なんにせよもうここでケリをつけるしかない。ならば……)
「行け、第二の爆弾『シアーハートアタック』」
すると、キラークイーンの左手の甲から丸い物体がゴトリと床に落ちる。
ソレにはキャタピラが付いており、ドクロのマーク、いや、顔があしらわれている。
「お前は私の平穏を妨げる『トラブル』であり『敵』というわけだ……よってお前を」
吉良は恐らく近くにいるであろうウソップに言葉を紡ぐ。
「始末するッ!」
死神の疾走が始まった。
(なんだアレ……人形か?それにしてはいきなり現れたけど……なんにせよアイツは危険だ。
ルフィ達が会う前に倒さないと……)
前より落ち着きはしたものの、やはりウソップはビビっていた。
確実に狙ったと思った銃弾が巨大な人形に弾かれたのだから。
「男の方を狙うしかないかなァ……」
(そうは言ってもこの場所はどうも遮蔽物が多すぎる。なんとかしてヤツをここから追い出さないと)
そんなことを考えていると、ウソップの耳に何やら地面を転がるような音が入ってきた。
「な、なんだ?」
前を見るが何もいない。しかし音は近付いてくる。
「何処だ!出て来い!」
「コッチヲ見ロォ〜」
「え?」
後ろだった。
「ギャアアアアアアアア!!」
絶叫が室内に響き渡る。
「シアーハートアタックからは誰も逃れられん。じゃあな」
吉良はデイバッグを担ぎ、脱衣所を後にする。
「ああっ!オイ、待て!」
シアーハートアタックの追走から必死に逃れながら叫ぶも、吉良を止めるには至らない。
「チクショウ!」
自分に迫る髑髏のボールに銃弾を撃ち込む。
だが、確かに銃弾が当たったはずなのにソレは傷一つ付くことがなく疾走を続ける。
ウソップは慌てて浴場へ入りドアを閉めるが、そのドアすらもブチ破ってウソップを追跡した。
「しまった、行き止まりだ!」
そう気づいたものの、時既に遅し。シアーハートアタックから必死に逃れようとするも
湯船を隔てた壁側で行き詰ってしまう。
「あ……ああ……」
自分に迫ってくるそれが一体どういった攻撃をしてくるのかは知らないが、きっととてつもなくヤバいものだと
ウソップは感じた。
髑髏のボールはカタカタ笑いながらキャタピラを回転させ、ウソップへと物凄いスピードで近づく。
そしてそのままウソップの顔面へ目がけて――――――
ボチャン
――――――飛び出さなかった。
「え?」
湯船へと落下した……というよりは飛び込んで行ったソレはウソップへの追撃を止め、お湯の中をグルグルと
回り続け、壁に衝突している。
「な、何が起こったのかさっぱりわからねーが……今のうちだ!」
彼は急いで浴場のドアへと向かった。
吉良吉影は宿の外に出ていた。
シアーハートアタックが戻るまでキラークイーンは未だに出たままである。
(全く……なんという一日だ。地図に書かれている場所の方が行きやすいのは確かかもしれん。
ならばそうだな、森を抜けてみるか。)
GPSで方向を確認して、足を進めたそのときだった。
「待て!!」
何、と後ろを振り返る。果たしてそこにはシアーハートアタックに爆殺されたであろうウソップの姿があった。
「……何故だ。スタンドが見えるのはまだいい。だがどうやって私のシアーハートアタックから……」
「なんだか知らねーがあのドクロは湯の中に落ちてったぜ!」
(何?……クッ、そういうことか!)
シアーハートアタックは体温以上の熱を感知してそれを追跡する自動追尾型爆弾である。
通常ならばそれで充分なのだが、別の場所により高い温度の物体があるとそちらに向かってしまうのだ。
温泉の温度はウソップの体温よりも高かったので、そのまま水に落ちていったというわけである。
「もうお前は逃がさねえぞ」
「それはこちらのセリフだ、馬鹿め!」
両者の距離は10メートルほども離れていた。
一見すれば銃を持っているウソップの方が有利に見えるが、何故か吉良も銃を手にしている。
「先程に私から銃を奪っておかなかったのは失策だったな」
「あ゛!」
そう、実はウソップはあの時に銃を探しきれていなかったのだ。
結局、銃は吉良のバッグの中に入ったままだったのである。
(くっそお〜!あの人形さえなけりゃ楽なんだろうけど……そうだ!)
ウソップは素早く森の中へと飛び込む。吉良はそれを見て銃を撃ち込むが、木に阻まれて当たらなかった。
(確か支給品の中に……あった!)
一方、吉良はまだ近寄ることはなくその場で待機している。
(シアーハートアタックを取りに戻りたいところだが……今はまだその時期ではない。
しかしあの覆面、何をするつもりだ?)
突如、メキメキと木が折れる音がした。
「うあああああああああっ!」
叫び声とともに木を薙ぎ倒し、現われたのは巨大な戦車だった。
戦車といっても、さながらヘレニズム時代のものを思わせる古風なものだが、それを牽いているのは馬ではなく
隆々と筋肉をうねらせる二頭の牡牛だった。
それらの蹄が地を蹴り、戦車を牽きながら猛然とした勢いで吉良を轢き潰さんと突進してくる。
すぐさま吉良は右に飛び退くが、まさに地を削る程の戦車の蹂躙で礫が吉良へと飛んでいく。
キラークイーンで防御したものの、吹き飛んだ土砂により少なからずダメージを受けた。
(ぐっ……あんなものに当たったらひとたまりもないな)
それは素人目から見てもわかることだが、それでもスピードは見切れるレベルだった。
おそらく乗り手が慣れていないのか。
「それならば……」
(まだ乗りなれないけどしばらくしたら大丈夫だろう。隙を見てその時に……狙い打つ!)
戦車の振動に体が安定していないウソップではあったが、確かにしばらくすれば普通に乗ることができるだろう。
そしてUターンをして、再び吉良の方へと突進する。吉良も避けるのに精一杯で、とても銃を撃てないし、人形も
防御に回している。勝てる、とウソップは確信した。
そして3度目の追撃。
ふと、視界の端に小石が映る。戦車が跳ね飛ばしたものだろうか?
ならばそんなことは気にしていられない。今はただ、目の前の敵を倒すことに集中するだけ―――――
―――――ウソップの世界が、爆ぜた。
(な……何が?……)
くらくらとした意識で自らの状況を確認する。
(戦車から落ちたのか?何で?……体が痛え)
必死に立ち上がろうと両手をつく、が、右へと倒れてしまう。
(右手の感覚が無い…………え?)
ウソップの右腕が、肘のあたりからごっそり無くなっていた。
「うわああああああああああああッ!」
絶叫が響く。
彼は何も考えていない。ただ、腕の痛みと、右腕を失った喪失感が彼の覚悟や決意を粉々に砕いていく。
「五月蝿いなクソカスが。おとなしくしてろ」
そう言いながら、吉良はウソップと共に放り出された銃やバッグの中身を自分のバッグに移し替える。
「フン、普通に戦っていればまだ勝機はあったものを」
キラークイーンはただ突っ立っているだけの人形ではない。キラークイーンが右手の指で触れたものは
爆弾に変えることができる。さっきもこれで小石を爆弾に変え、ウソップの眼前で爆発させたのだ。
少し遠かったために、ウソップは即死に至らなかったが。
そしてキラークイーンがウソップの頭に指先で触れる。
「ま……待てっ!まだ勝負はついてない!」
「何だ?衝撃で頭がおかしくなったのか?……まあいい。私の『攻撃』はすでに終わっている」
ウソップにはその言葉の意味が理解できない。だが、理解する必要はなかった。
彼の命はもう終わっているのだから。
キラークイーンが右手の親指をスイッチを押すように下ろす。
それと同時に、ウソップの全身は今度こそ弾け飛び、文字通り世界から消滅した。
「名前は知らなかったが……私にはどうでもいいことだ。ああ、それとシアーハートアタックを回収しに
行かないとな」
ふと、吉良はやけに疲れが溜まっていると感じた。
何故なのかは分からなかったが、単に戦闘をして疲れただけなのだろうと考えた。
吉良は乗り手を失い停止したままの戦車をデイバッグに収め、再び宿の中へと戻った。
【B−7 温泉/1日目 黎明】
【吉良吉影@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:中度の疲労
[能力]:スタンド「キラー・クイーン」
[装備]:ニューナンブM60(残弾4/5)、GPS、
[道具]:支給品一式×3 、スチェッキン・フル・オートマチック・ピストル(残弾15発)@BLACK LAGOON、
スチェッキンの予備弾倉×1(20発)、神威の車輪@Fate/zero、
不明支給品0〜2(ウソップの分が0〜1、土御門から奪った分が0〜1)
[思考・状況]
1・なるべく戦闘に参加しない。どうしても必要な時において容赦なく殺害する。
2・東方仗助、広瀬康一は始末する
3・森を抜ける。
※参戦時期は単行本39巻「シアーハートアタックの巻I」から。シンデレラによる整形前の顔です。
また、第三の爆弾バイツァ・ダストは使えません。
※キラー・クイーンの能力制限にはまだ気が付いていません。(視認されているとは考えています)
※ウソップは粉微塵になって死亡しました。「お父さん帽子@あずまんが大王」も同時に消滅しました。
※男湯はシアーハートアタックによりボロボロです。女湯は無事です
【神威の車輪(ゴルディアス・ホイール)@Fate/Zero】
アレキサンダー大王の伝説に登場する戦車。
速度や威力は制限されているものの、当たれば絶大なダメージを誇る。
付属でついている牛を殺したり、乗り手を失うと戦車は止まる。
【キラークイーン@ジョジョの奇妙な冒険】
第一の爆弾、第二の爆弾、共に使用可能。
爆発の規模は家一軒破壊程度まで調整可能。但し、最大だとかなりの疲労が襲う。
爆発させられるのは人型ほどの大きさまでで、支給品は直接爆破できない。
【ウソップ@ワンピース 死亡】
投下&代理投下乙!
ウソップぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!
安らかに眠れよウソップ
しかし吉良マジつえーな
あと温泉でぐるぐる回り続けるシアーハートアタックはその発想は無かったw
それから30分後、がさり、がさりと草を踏み分ける音がした。
その音の主は異形の者。彼の名はミュウツー。戦闘により負傷した体を休めるためにここまで彷徨ってきたのだ。
「なんだこれは……」
ミュウツーは目の前の惨状に驚くと同時に、警戒心を高めた。
建物の前では何本もの木々が薙ぎ倒され、地面にはなにやら削られた跡がある。
「すでに去った後か」
地面に染み込んでいる血の飛翔末を見咎め、宿の中へと入った。
しばらく中を徘徊し、二階へと上る。
二階は客室になっており、ミュウツーはその中の一つに入ることにした。
「電気をつけなければ……気づかれることはあるまい」
そしてミュウツーはそこで暫くの休息を取ることにした
【B−7・温泉/1日目 黎明】
【ミュウツー@ポケットモンスターSPECIAL】
【装備】:なし
【所持品】:基本支給品一式、不明支給品0〜2個(確認済み)
【状態】:健康 大ダメージ(じこさいせい中)
【思考・行動】
1:マスター(カツラ)を救う為、24時間以内に参加者を32人以下まで減らす。
2:体を休める。
3:魅音かハクオロが細胞を移植し、自分を追ってきたら相手をする。
※3章で細胞の呪縛から解放され、カツラの元を離れた後です。
念の会話能力を持ちますが、信用した相手やかなり敵意が深い相手にしか使いません。
※念による探知能力や、バリアボールを周りに張り浮遊する能力は使えません。
※じこさいせいは直りが遅く、完治には数時間以上を要します。
※名簿を見ていないため、レッド、イエロー、サカキの存在を知りません。
※ギラーミンに課せられたノルマは以下のとおり
『24時間経過するまでに、参加者が32人以下でない場合、カツラを殺す。
48時間経過するまでに、ミュウツーが優勝できなかった場合も同様。』
※カツラが本当にギラーミンに拉致されているかは分かりません。偽者の可能性もあります。
※この時点で吉良吉影はすでに温泉から去っています。
177 :吉良吉影は静かに過ごせない ◆TEF4Xfcvis:2008/12/20(土) 13:36:58 ID:mzFt3/62
あー、こんなのですみません。
なんか吉良がやけにおっちょこちょいな気がするな。
疑問点、修正点に気づいた方はぜひ言ってください
申し訳ない、ここで代理投下終了です
算数出来てなくてすみませんでした
俺も算数できてなかった
そうだよ登場人物3人だったじゃないか
ミュウツーを忘れるとはなんたる手落ち
投下乙! 算数出来てなくて申し訳ありませんでした……。
吉良のおっちょこちょいに関しては問題ないと思いますw
むしろ、整形前の感じが出ているかと
全裸の所では、脳内映像に擬音がつきました!
そしてウソップううううッ!! 嗚呼、なんだかルフィの関係者が次々に……。
ミュウツーが温泉で休息をとっているのが、
これからどう展開に関わっていくか楽しみでなりません!
GJでした!
投下乙!
ウソップゥゥゥゥゥ!
スタンド使いに善戦はしたが、やはりキラークィーンには敵わなかったか、南無…。
ルフィがどんどん不幸街道まっしぐら…。
吉良は相変わらず平穏主義だなぁ。優勝にがっついていないのが逆に怖いか。
宝具まで手に入れて、果たしてどうする。
ミュウツーがニアミスで温泉に入ったが…直にナナリーとブレンヒルトが来るんだよな。
どうなるか、心配だ。
ともあれGJ!
投下乙です。
嗚呼ウソップ……orz,
こんなにすぐ逝ってしまうとは。
吉良とのバトルも発熱したバトルも面白かったです。
そして半壊した温泉に向かうナナリー達の運命は如何に
そういえばゾロは拳銃渡した相手がウソップを殺したってわかるのかな?
投下乙です!
ウソップ、ウソップゥウウウウウウウウウ!!
こんな所で死んじまうなんて…
シアーハートアタックから逃れられたときは大丈夫かと思ったが
さすがに能力がずば抜けてる吉良にはかなわないよな
臆病者だからそのまま逃げてもよかったのに、立ち向かった勇気が仇となったか
マーダー達を殺してでも仲間を守ろうとした勇気は本物だ
ウソップ、安らかに眠ってくれ!
エルルゥを守れなかったルフィが仲間の死を聞いてどうなるのか…ゴクリ
691 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/20(土) 23:18:03 ID:PZdjEASX
>>689 確か吉良はゾロに名乗らなかったはず。
だからポケベルに吉良の名前が出ても彼だとは分からないはず。
そっか、ゾロはポケベルでウソップの死を知っちゃうのか……ショックだろうなぁ。
ルフィもエルルゥに続いての犠牲だし……
しかし、他ロワもそうなんだろうが、黎明の間に各所で色々巻き起こってるなぁ。
派手なバトルから、ほのぼのまで。
本当だ、確認してみたら名前言ってなかったや
はやとちりだったっす
それではカズマ、新庄、伊波、メカポッポを投下します。
支援
しえーん
キター!支援
大空に浮かぶものが一つ。
それは水平ではなく、山なりに向かう軌道に身を任せている。
いや、任せられざるを得ないといった方が正しいかもしれない。
だが、そんな間にも重力に引かれて、それは順調に地面に近づいていく。
白と茶色の鳩を模したような物体――メカポッポ一号は己の身に迫る危機を感知していた。
彼にははっきりとした自我があったのだから。
「――!」
鳥型ポケモン、ポッポを真似て造られたメカポッポ。
機械の身体を積んでいるといえ、彼とて一応は鳥である。
だから当然、彼にはプライドがあった――勿論、鳥としての。
さっと身を捻り、閉じていた翼を開いて、その姿を大空の下に晒す。
そして、空を滑るように体勢を整えて、無事に地面に降り立つ。
予想以上に大きな衝撃に少し驚きもしたが、次に周囲をくまなく観察する。
取り敢えず視認出来る限りでは人影は見えず、メカポッポは安堵とも取れる息を一つ吐いた。
「少し悪かったかもしれないな……」
やがて、内蔵されたスピーカーを通して響かせた音声には、後悔の念のようなものが感じられる。
メカポッポはサファリパークと呼ばれる、一種のレジャー施設――ポケモンの捕獲を趣向とした――で案内役を務めていた。
ちなみに彼は一号であり、二号は恐らく修理中だろう。
そして、彼の会話機能は十分で、来客者に正確な情報を与える自信はそれなりにある。
しかし、その正確な情報記憶システムに基づくメッセージが仇になった。
そう、彼が強烈なパンチを喰らってしまう羽目になった理由――伊波まひるの過去を惜しげもなく暴露してしまった事だ。
この会場での持ち主である、新庄・運切の希望に従ったといえども、流石に喋りすぎだろう。
人には、あまり触れられたくない過去があるというものだから――少なくとも、彼はそういう風に認識している。
自分の説明のせいで、仮初の主である新庄と伊波の協力関係に、溝が出来ては不味い。
次に彼女等と再会した際には、伊波に対して何か謝罪の言葉でも伝えよう。
思いを改めて、メカポッポは早速、新庄達との合流を試みようとする。
だが、そんな時、彼のカメラアイが一人の人間を捉え、彼は問うた。
「お前は、確か……」
片腕を押さえながら、徐々にメカポッポの方へ歩いてくる人影が一つ。
少し不規則気味な足音が、静寂の中では隠しようのないくらいに大きくなる。
恐らく向こう側も気づいているだろう。
メカポッポは己のデータベースに検索を掛け、自分が確かに視覚している人間の情報を洗い出す。
直ぐに完了――対象のデータは、彼が住んでいた世界のものとは極めて異質なものであり、印象に残っていた。
当の対象――いやに素行が悪そうな男が醸し出す雰囲気は穏やかなものではない。
片方の瞼が閉じているのを、まるで意に介していないように、男は確実にメカポッポに近づく。
そう、何故なら彼は只、目の前を見続けていたのだから――
「カズマか?」
メカポッポの機械音声による問いかけが、森林地帯に響く。
その言葉には、警戒の念はそれほど込められていない。
理由は簡単。
持ちうる情報を照らし合わせた結果、メカポッポは彼――カズマがこの殺し合いには乗らないと思っていた。
他人の言うことを、ましてや殺し合えなどという命令には従わないだろう。
全ての情報があるわけでもない、ギラーミンのよって与えられたものであり信憑性も確かではない。
伊波の反応から考えれば、彼女に対する情報は正確なものであったらしいが、カズマの場合も必ずしもそうだとは限らない。
所詮、100%の確信が伴っているとは言えない憶測を――メカポッポは僅かな希望に置き換えて、カズマに言葉を発した。
彼との協力を取り付ければ、新庄の生存に大きなプラスとなるに違いない。
正しい。メカポッポの推測は確かに正しかった。
カズマの力は間違いなく新庄の、この殺し合いに逆らう者達の助けになる。
だが、彼には運がなかった。
「……ああ」
低く、とても低い声で呟くように声をあげるカズマ。
生憎、彼はメカポッポが想定していた道とは、また違った道に眼を向けていた。
拳を固く握りしめ、今にもメカポッポを殴りかかろうと、身構えたカズマは――既に歩くべき道を、己の意思で決めていたから。
「カズマだ……!」
この殺し合いで優勝する――それがカズマの答えであったのだから。
◇ ◇ ◇
目的地など何処にもない。
只、一刻も早く此処から抜け出すために――勝つ、何もかもに。
そう考え、歩き続けたカズマが行き着いた先には一羽の鳥が見えた。
首輪は見当たらない。参加者ではなく、野生のものだろうかとも思った。
しかし、あまり生物らしさは感じられないのが気になる。
挙動にはあの劉鳳のアルター――絶影のような、機械染みた印象がどうしても拭えない。
柄にもなく、あれこれと考えている内にカズマは、声を聞いた。
「カズマか?」
一瞬の硬直、後に沸き起こる疑問。
得体の知れない鳥に、名前を言い当てられたカズマ。
自分も有名になったもんだ――等と、気楽な感想を抱く事もない。
不快感。良い気持はしない。だが、お陰で直ぐにでも行動に移せる。
今も首を傾げるように、こちらを見続ける鳥を睨みつけ、カズマは結論づけた。
(……やるしかねぇ)
自分の事を知っている鳥は、この先邪魔な存在となるかもしれない――だったら潰す。
碌な思考も用いない、なんとも短絡的過ぎる答え。
その事に対し、カズマは自分を責めるという考えには至らない。
基本的に頭を使う事は好きではなく、何よりどうでも良かったのだから。
どうせ、自分はこの殺し合いで優勝するために動く――味方は一人も居ない。
ならば相手が誰であれ、どんな奴であれ、叩き潰せばそれで良い。
カズマが此処で立ち止まれない理由。
生きるだけでも必死だった、クソったれの大地、あのロストグラウンド。
親の顔は覚えていない、居たのかどうかすらも記憶が危うい。
己を指し示すは『カズマ』と、たった三文字の短い言葉のみ。
生まれながらに持ってしまったアルターにより、周囲から避けられ、いつも行き場を彷徨っていた幼少時代。
何もない。哀れに思う程に空っぽだった自分を思い出す。
しかし、その名前を優しく呼んでくれる人が居た――少女とカズマは出会った。
世話焼きで、どうしようもない自分を支えてくれた少女。
初めてだ。いつも、何かに打ち勝ち、反発する事しかしなかったカズマが初めて抱いた感覚。
守らなければいけない――只、純粋過ぎる想いにカズマは己を、その感情に任せて震えさせる
無常矜持により連れ去られた由詑かなみを少しでも早く助けるためにも、全てを蹴落とす。
(まってろよ、かなみ……直ぐに戻ってやるからな……!)
意思は既に固い。燃え滾るように膨れ上がった決意を――弾丸に込める。
全てのものに対する敵対――即ち、翳すは『反逆』。
反逆者(トリーズナー)としての、意地にも似たような信念は、今も色褪せる事はない。
カズマに敵対の意思があると、漸く悟ったメカポッポはカズマから離れようとする。
遅い。クーガーの兄貴の言葉を借りればあまりにもスロウリィ。この距離ならアルターを使うまでもない。
顔を上げているメカポッポに拳をくれてやろうと、カズマは踏み込みながら腕を振り上げる。
メカポッポにそれを避ける手だてはない。
カズマが、当のメカポッポですらもそう思った瞬間――そこに介入する者が居た。
「メ、メカポッポくんから離れて!!」
草木の中から躍り出るように、姿を現した人影――それは一人の少女。
長く伸びた、柔らかい黒の毛髪、いかにも気の弱そうな瞳を必死に見開く。
少し裏返った声と比例するかのように、全身が小刻みに揺れている。
作った表情は真剣そのもの。
同様に、息を切らしながら駆けてきたもう一人の少女に眼を向けない程に、真っ直ぐ前を見ている。
そう、少女にはあまりにも不釣り合いな一挺の銃を、震えながらもカズマに向けていた。
――新庄・運切(さだきり)こと新庄・運(さだめ)が、伊波まひるを引き連れる形で、其処に居た。
◇ ◇ ◇
伊波によって何処かへ飛んで行ってしまったメカポッポ。
彼を捜すために、新庄と伊波は彼が吹っ飛んで行った方向を頼りに進んだ。
そして、漸く太陽の光が確かなものになってきた時。
新庄達はメカポッポを見つけた――今にも、見知らぬ男によって叩き潰されそうな彼を。
自分でも驚くほどに機敏な動き。
自分の方が伊波よりは荒事には慣れているという自信はあった。
新庄は護身用にと、用意していた銃――道中、伊波から預かった――を手に取り、新庄は飛び出していた。
何度も何度も悲しい思いをしながらも、只、笑顔を絶やさない様に、消させないように日々を過ごしていた青年。
ヴァッシュ・ザ・スタンピードの愛用の銃を構えて、新庄はカズマと対峙する。
(し、新庄さん、あたし、あの人怖いよ……)
(ボ、ボクだって凄い怖いよ!あの人、いかにも臭い飯食ってきましたって感じがするし)
(そ、それでこの後どうするの? このまま襲われちゃうかもしれないよ!?)
(そ、それはボクも知りたい。思わず出てきちゃったけど……言うこと聞いてくれなかったらどうしよう!?)
(え――――!? し、新庄さん〜……そんなぁ……)
新庄の背に隠れるように、カズマをおどおどした様子で観察する伊波。
カズマの人を寄せ付けないような、鋭すぎる目つきは、男性恐怖症の伊波にはあまりにも酷な事だった。
そしてそれは新庄にとっても同じ事。
最早、照準を正確に合わせられない程にも動揺し、新庄は伊波と必死にひそひそと言葉を交わす。
答えが出ない小さな議論。
メカポッポを助けたいとは思うものの、カズマへの恐怖を払う事は出来ず、碌に身体も動かせない。
威勢が良かった割には、なんとも頼りのない乱入者達の醜態に、メカポッポとカズマは思わず動きを止める。
だが、その硬直は一瞬の事――やがてメカポッポの躯体が、飛ぶように跳ねた。
「あっ!」
「メカポッポくん!」
ほぼ同時に上げられた、二人の叫び声が木霊する。
カズマによって蹴り飛ばされたメカポッポが、無情にも二人の目の前を過ぎてゆく。
横方向への衝撃。何かが潰れる音が、新庄と伊波の耳にこびりつく様に残る。
一方のカズマは既に次の行動に移っていた。
メカポッポの事など、既に微塵にも思ってない――勿論、既に逸れ過ぎている、新庄の照準に対しても。
「お……おおおおおおおおおおおおおおおお!!」
大きく響く、カズマの雄叫び。同時に、削り取られたかのように何本かの木々と大地が消失する。
程度の差はあれど、驚きのあまり思わず互いに身を寄せる二人は、更に未知なる現象をその目に映す。
苦しそうな声を漏らしながら、片腕を突き出したカズマ。
その右腕が縦三枚に分かれ、光が煌めく輪のような物体が幾重にも腕を包む。
やがて強引に一本に戻り、気がつけば真紅の羽を三本伸ばし、黄金の強靭な腕に形状を変えた。
カズマの、籠手(ガントレット)のアルター――シェルブリットの形成。
誰かが息を呑んだ事による音が、確かに反響する。
「シェルブリットのカズマだ……さぁ、かかってきな」
カズマが直ぐにシェルブリットを発現した理由。
それは先程の少女との戦闘――御坂美琴がアルターとはまた違う、何か異能を持っていたため。
そう、一見、何も力を持っていないような人間でも油断は出来ない――たとえば目の前に居る新庄と伊波の場合も同じ事。
警戒など自分らしくもないと思う。だが、負けられない理由がある。
かなみのためにも、自分は生き延びらなければならない。
たとえ、胸が張れない生き方をする事になっても――強引に押し込む、ゴリ押しで突き進む。
己の中の葛藤をねじ伏せて、二人の様子を観察するカズマだが、次第に彼はある考えに辿り着く。
(ちっ……ただの人間かよ、こいつら……)
そう認識するしかない。こればっかりは首を横に振らないわけにもいかない。
何故なら、シェルブリットを使用した後、数秒程の間で二人の少女は碌な動きを見せなかった。
明らかに動揺している。半ば本能的にカズマは悟り、何故だかほんの少しだけ戦意が削がれた。
落胆にも似たような感想。向こうもやる気ならこちらもやり易いものだろうに――
そこまで考え、カズマは直ぐに翻す。絶対にNOと、強い意志を滲ませて。
一瞬だけ抱いてしまった、甘い考えを思考の片隅に飛ばして、カズマは見やる。
判断の決め手となった理由――恐怖のあまり、身を縮めている伊波の方をしっかりと。
(な、なにあの人……映画の登場人物みたいな腕……わ、め、眼が合っちゃった…………)
新庄の小さな背中を頼りに、伊波は驚きと恐怖に震えきっていた。
ただでさえ、男が近くに居るというのに更にその人物は常識を超えている。
いつもは怖さのあまり、男を殴り飛ばす際には異常な身体能力を発揮する伊波だが、今回はそうもいかない。
カズマと伊波の間には圧倒的な差が、極めて鮮明に存在している。
戦闘センス、持ちうる能力、信念に基づく覚悟――そして生き抜く事への執着。
何も伊波の生に対しての意識が弱すぎるわけでもない。彼女とて、自分の人生を棒に振るような真似はしたくはない。
只、過酷な場所で生きてきた、カズマの方が強すぎるだけだ。
そして、その相違ははっきりと、彼らの行動に色濃く反映されている。
凝視するかのような視線を飛ばす事しかしてないカズマに対し、伊波は眼を逸らそうとするが、それも叶わず、身を震えさせる事しか出来ない。
捕食者と被食者の関係――その言葉が、残酷なほどに似合っていた。
(怖いよ……助けて……小鳥遊くん…………)
映像(ヴィジョン)が浮かぶ。呆気なく、蹴り飛ばされたメカポッポの姿。
今もピクリとも動けない彼と、自分がダブった光景が、どうしようもなく意識に根付く。
意識したわけでもないのに、思わず呟いた小鳥遊の名前。
不思議と気恥かしさはあまり感じない。
只、この状況を抜け出したいと思う気持ちの方が格段に強い。
生憎この場には小鳥遊はおろか助けてくれる人間は一人も居ない。
恐らく自分は何も抵抗出来ずに、このまま殺されるだけだろう。
ネガティブな考えに押し潰されるかのように、みるみる内に伊波の表情が青白くなっていく。
しかし、伊波には見落としている事があった。
そう、彼女が今も必死に、しがみつくように身を寄せている少女――
「……謝ってよ」
両手でしっかりと銃を握りしめた、新庄は未だ諦めてはいなかった事に。
◇ ◇ ◇
新庄が、今までカズマに銃弾を撃てなかった理由。
それには勿論、カズマの常軌を逸した気迫に押されていた事もある。
だが、新庄も仮にUCAT――概念戦争と呼ばれる戦いに勝利した組織――に所属している身分。
概念戦争終結後の後処理を一任する専門部隊――全竜交渉部隊(チームレヴィアサン)の一員。
有事にはそれなりに慣れており、戦闘の経験も全くないわけでもない。
只、引き金に手を掛けた瞬間に迷いがあった。
此処に来るまでに、何度も何度も抱いた感情が新庄の動きを止めていた。
今ですら慣れない拳銃――これを引き絞ってしまっては人の命を奪ってしまうかもしれない。
周囲の人間からも良く呆れられた、戦士としての甘さ。
だが、新庄は重すぎる足枷になっていたそれを振り払い、改めてカズマと真正面から対峙する。
「メカポッポくんに……謝ってよ」
眉尻を上げて、新庄の口から紡がれるのは、依然としてカズマへ謝罪を要するもの。
少し、驚いたような表情を浮かべるカズマ、両目を見開いてかなり驚いているような伊波。
前方と後方。二方向から来る二種の視線を一身に受けながらも、新庄は決して放さない。
カズマへの視線、なけなしの武器であるヴァッシュの銃――そしてこの場での全員生還の可能性。
「あいつとお前達の関係はなんだ? そんなに古い仲なのか」
「違うよ、出会ってから一日も経ってない……」
「あぁ? なんだそりゃ。碌に知らねぇ奴のために、おまえはこんな真似をするのかよ」
「確かにボクは、メカポッポくんのコトは未だ良く知らないよ。でも、もっと知りたいとは思ってる……。
そして、ボクは助けたいんだ……メカポッポくんを、伊波さんを……誰にも居なくなって欲しくはない」
「……甘ぇ考えだな。あいつの方はお前のコトなんて何とも思っていないかもしれねぇ。
いつか裏切られて、後悔する目に合うかもしれねぇぞ……あいつの場合に限らずにな」
「……そんなコトはない。たとえメカポッポくんがボクを信じてくれなくても……でも、それでも――」
厳密に言えばメカポッポには生きるや死ぬという概念はない。
新庄の知人、sfのように造られた存在であり、壊れた時には修理すれば事なきを得るだろう。
でも、それでも壊れる様子を見るのは忍びない。
宙を舞って、地に落ちたメカポッポの姿は新庄に恐怖を齎すと共に――奮い立たせていた。
殺人への危惧を忘れたわけでもないが、この場で何らかの行動を示さないと状況は悪化の一途を辿る筈。
そう思いながら、新庄は小さな口を動かして――
「――信じようと思わないと、何も始まらないじゃないか……!」
大きな意思を叩きつける。
お世辞にも威厳のある声とは言えない。どちらかと言えばか細い声に近い。
だが、眉尻は下がらず、カズマが漂わせる威圧にも臆する様子は見せない。
再び、何か戸惑いのような感情を表情に映したカズマは咄嗟に言葉を返す事は出来ない。
「伊波さん、走って! 此処はボクがなんとかするから……メカポッポくんを連れて、何処か安全な場所に……急いで!」
更に新庄が続ける言葉は、己の名前が出た事によりビクっと身を揺らした伊波に対して。
銃による牽制は忘れない。既に引き金を引く覚悟は――出来ている。
後は伊波をこの場から逃がす事を考える。
話を聞くだけでは何も力は持たず、戦闘行為にも慣れていない筈。
そんな彼女を庇って戦うのは、自分ではあまりにも難度が高い行為。
いや、そうじゃない。確かに自分が生き残る確率は少しでも高めておきたいのは事実だ。
自分の親を、家族の名前と顔を知らないままこの世からお別れはしたくない。
UCATに身を置いているのは、自分の家族を捜すためでもあるのだから。
だが、同じ様に、伊波を守りたい気持ちが確かにあった。
互いに変な、何処か放っておけない友達を持ち、不思議な共感を得た伊波との交流は――楽しかった、とても楽しかった。
また、あんな風に会話を交わしたいと思う――今度は互いに話したい、それぞれの友達も交えて。
これ以上、自分の周りで傷つくものは見たくない、出させない。
守る。それだけの想いを全身に込める。
寄りかかる伊波に対して、逃げる事を促すように新庄は出来る限りの強がりを振りまく。
「――え!?」
だが、そんな時、ふいに新庄の身体に一際強い感触が生まれた。
予想外。想定外の出来事に――新庄は思わず眼を疑った。
咄嗟に首を回し、後ろを振り向いて凝視する。
「ずるいよ……新庄さん、ずるい……。そんなコト言われて逃げるなんて……私、出来ないよ!」
新庄は口を開けて、思わず出すべき言葉を見失った。
視界一杯には、今にも泣き出しそうな伊波の顔がある。
赤茶色の髪に、可愛いヘアピン。数分前と然程変わらない、恐怖に打ちひしがれた表情。
怖いのだろう。勿論、そうに決まっている。
決意を決めたが新庄自身も恐怖を完全に拭えきれたわけではない。
だが、伊波が発した言葉にも確かにあった――何かを決めた、固い意志が。
「逃げるなら二人で、ううん……あの子と一緒に逃げよう! 私も、頑張るもん……もう、新庄さんだけに押し付けないよ……!」
「伊波さん……」
伊波は徐に、小さな球形の何かを手に取る。
新庄に銃を預けた時に、ほんの少しだけ眼を通した支給品。
ARMSと良くわからない単語が並んでいて、いまいち用途はわからない。
だが、何かの役に立つかもしれない――最もそれがなくとも伊波の意思は変わらなかったが。
出会って碌な時間が経っていないが、新庄を見捨てるなんてとても出来やしない。
彼女もまた、男性に対しては兇暴ではあるが優しい心があったから、お人良しであったのだから。
新庄は伊波の言葉を聞きながら、背中越しに一段と彼女の肌を感じる。
暖かい。この状況に似つかぬ不思議な感覚が、新庄の全身に広がってゆく。
溜め池に投げ込んだ石が、波紋を起こすように――確かに新庄の中で響いている。
そう、言うなれば勇気にも似たような感情を、新庄は伊波の温もりから受け取っていた。
そして、新庄は僅かに両目を細めながら――引き金に掛けた指に更に力を加えようとする。
彼女等の動きに対して、咄嗟に腰を落とし身構えるカズマは右腕を突き出す。
しかし、彼らの動きは予想外の一言で中断を受ける。
「……俺を忘れては困るな」
三人の首がそれぞれ、違った速度で動く。
そしてこれまた程度の差はあれど、三人の表情に映るものは主に意外だと言わんばかりの感情。
「しぶてぇな……」
カズマの場合は純粋な驚き、新庄と伊波の場合は半分以上が、喜びと言ったような表情をつくる。
彼らの視線の先にはヨロヨロと立ち上がるものが、一つ。
「「メカポッポくん!」」
新庄と伊波の声が重なり、その名を呼ぶ。
そう、既に機能を停止していたと思われていたメカポッポ一号が、機械音声を上げていた。
自慢のボディには大きなへこみが生じ、見ているだけでも痛々しい。
だが、不思議とメカポッポの表情には険しさは見られない。
それは新庄や伊波と同じように、見る者に不屈の意思を感じさせる。
メカポッポの無事を見て、新庄と伊波は直ぐに彼の元へ走り寄ろうとするが、静止を受ける。
片方の翼を開き、前方に翳したメカポッポによって。
支援
「二人とも、此処は俺に任せてくれ。俺はギラーミンによって、この場に用意された存在
……あいつのデータは十分に揃っている。
そして、俺には戦闘モードへ移行するシステムが搭載されている……この男のシェルブリットにも負けない力が。
そう――『進化』だ、メカピジョンを経てメカピジョットという第三形態が俺にはある!」
自信満々に言葉を並べるメカポッポには余裕すらもある。
自分の力を貶されたカズマの表情が曇るが、何故か沈黙を貫く。
理由は不明だ。只、『進化』という言葉を聞いた瞬間、カズマは少し警戒を強めた様子がある。
アルターの進化――身近に起きた、自分が以前に起こした現象を思い浮かべたのかもしれない。
「ダ、ダメだよ、メカポッポくん!」
「そうだよ、私達も一緒だよ!」
一方、新庄と伊波の二人は黙っているわけにもいかない。
確かにメカポッポは支給品であり、なにかとんでもない力がある可能性もないとは言い切れない。
だが、既にボロボロなメカポッポを一人だけにするのは心苦しい。
抗議の言葉を投げ掛けるが、それに対してメカポッポは――笑っていた。
何故か、心地良さそうな笑みを見せながら。
「大丈夫だ。新庄、伊波――信じろ。お前達が信じようとしてくれたこの俺を信じろ。俺もお前達、二人のコトは信用している。
俺に、全てを任せてくれるコトをな。だから、行け――――佐山・御言、小鳥遊宗太の二人との合流を目指せ! お前達の……友人達との!!」
一瞬、新庄と伊波は忘れていただろう。
自分が今話しているものは、所詮機械でしかない存在ではない事に。
だが、メカポッポは機械の身でありながらも、感情を持てる程の、高い技術を持って造られた。
人間と同じように喜怒哀楽の表現すらもする――たった今、二人に対して行った激励のような言葉も発せられる。
両眼をまん丸に開き、驚いたような表情を浮かべた新庄と伊波は暫くの間何も言えず、やがて動き出した。
「し、新庄さん……」
「……絶対だよ、戻ってこなかったら……ボク達嫌だからね」
「Tes.君達の世界ではこう言うのだったな」
「もう、メカポッポくんたら……。伊波さん……」
「うん、わかった……もうあのコト怒ってないから、だから……」
「ああ、了解だ。こちらこそ詳しく言い過ぎた、許してくれ」
「うん……じゃあ――またね……!」
交わした言葉は少ない、だがそれでいて要点は捉えた重要な意思の疎通。
全てを交差させた後、新庄と伊波は走り出す。
時折、チラチラとメカポッポの様子を見やる二人の姿はどこか心非ずといったような印象すらある。
恐らく、メカポッポの身が危なくなれば、また引き返そうとも思っているのかもしれない。
お人良し二人組は、奇妙な仲間を案じながら全力で走って行った。
【G2/中部/早朝】
【新庄・運切@終りのクロニクル】
[状態]:健康
[装備]:尊秋多学園の制服、運命のスプーン@ポケットモンスターSPECIAL 、ヴァッシュ・ザ・スタンピードの銃 6/6 @トライガン・マキシマム
[道具]:支給品一式 予備弾丸36発分
[思考・状況
1:メカポッポを信じ、今は逃げる。後に彼の到着を待つ。
2:小鳥遊、もしくは仲介役の女性を捜す。
3:まひるに自分の秘密を告白する。
4:まひると行動する。
5:佐山と合流しここから脱出する
6:ブレンヒルトについてはまだ判断できない。
7:人殺しはしない。
※まひるを信用しています。
※小鳥遊宗太については、彼の性癖とかは聞いています。家庭環境は聞いていません
※まひるの支給品を。
※新庄の肉体は5:30〜6:00の間にランダムのタイミングで変化します。
変化はほぼ一瞬、霧のような物に包まれ、変化を終えます。
午前では女性から男性へ、午後は男性から女性へ変化します。
※本当に引き金を引けたかどうかは不明です
※カズマを危険人物だと認識しています
【伊波まひる@WORKING!!】
[状態]:疲労(中)、足に擦り傷・切り傷
[装備]:学校の制服
[道具]:支給品一式、不明支給品(0〜1)、ARMSのコア(中身は不明)@ARMS
[思考・状況]
1:メカポッポを信じ、今は逃げる。後に彼の到着を待つ。
2:新庄と行動する。
3:諦めない。
4:佐山、小鳥遊と合流する。
※新庄を信用しています。また、彼女の特異体質を知りません
※佐山・御言に関しては変な人ということを聞いています。ブレンヒルトについては、知り合いということだけ聞いています。
※運命のスプーンのことは知りません。
※ARMSのコアの事は一応目を通しましたが、何の事かよくわかってません。
※メカポッポ :参加者のある程度詳細な情報を持っています。
◇ ◇ ◇
メカポッポ君かっけー
め、メカポッポ君が漢だ……!
やがて、二人の姿が完全に見えなくなったところでカズマが漸く口を開く。
「……ごちゃごちゃしたコトは、全部終わったか?」
「ああ、待たせて悪かったな。もう何もない」
「そうかい、じゃあさっさと見せてみろよ。てめぇの『進化』ってヤツをなぁ!」
不機嫌そうなカズマの声にメカポッポは答える。
既にカズマのやる気は十分過ぎる程に滾っている。
この状態でシェルブリットを撃ち出せば間違いなく、メカポッポなど一撃の元で粉砕されるだろう。
全ての破片を集める事も叶わずに、修復が不可能な領域にまでに。
何故なら、メカポッポはあくまでも、レジャー施設でのお客様案内用ロボット。
戦闘能力など持ってはいない。
「ああ、あれは嘘だ。俺の基となったポッポは確かに進化が出来るが、生憎俺にはそんな機能はない。
まあ、半分は願望が混ざっていたようなものだったと思ってくれ」
「ッ! ふざけるんじゃねぇ! なんだってそんな手の込んだ真似を……!」
そう、だからメカポッポが進化出来るなど、真っ赤な嘘であったのは至極当然な話。
カズマが声を荒げるのは無理もない。
ふざけた茶番に巻き込まれた腹立たしさが、我慢ならない。
怒りを拳に乗せて、直ぐにでもメカポッポを叩き潰そうと更に近寄る。
だが、疑問はあった。何のためにメカポッポはこんな下らない話をしたのか。
先程の、新庄と伊波の二人は戦力にならない。じっと観察していたからわかる――あいつらは自分の相手は務まらない。
誰か、他の頼りになる救援者を待つための時間稼ぎだろうか。
そこまで考えて、カズマはふいに翻す。
「てめぇ、まさか……」
「勘付いたか。そうだ、データを見る限りではお前の性格は単純極まりない。彼女達が逃げるための時間……稼がせて貰ったぞ」
「……要するにだ。口先で俺を騙したってコトだろ。 けっ、こんな情けねぇ真似しか出来ない自分が、嫌にはならねぇのか?」
時間を稼ぐという意味では合っていた。
だが、それはメカポッポ自身の安全ではなく、新庄と伊波の身を考えての事。
したり顔を見せるメカポッポにカズマは問う。
情けない、胸の張れない生き方――自分が考えてしまった道。
少し、表情を微妙に歪めながらカズマは、今も健在なメカポッポを見つめる。
「情けないとは思わない、俺は作戦を取ったまでのコト。俺にはアルターとやらの力はない――だから使ったまでだ。
あいつのように……レッドのようにな」
メモリーに一際強く焼きついた一人の少年――レッドを思わず考える
若さのあまり相当の無茶をやってくれた。だが、何も考えていないわけでもなかった。
サファリパーク内で遭難する事になった際に、彼は機転を利かし、幾多の危機を乗り越えた。
きっと、彼はあの後、自分と別れた後も様々な経験を積んだのだろう。
そしてこの会場にも居ると思われる――自分が身を挺してまでも、助けた少年。
彼が今、何をしているかを気に留めながらも、目の前の問題に対処する。
「そして、何も俺はお前への抵抗を止めたわけじゃない――当然のコトだが」
与えられた翼を左右へ大きく開く――動かしづらい。
先程、貰った衝撃はボディだけではなく、大事な翼の部分にまで損傷を与えたようだ。
これじゃあお客を案内する本業にも支障が出るかもしれないな。あまりにも場違いな感想。
一瞬で漏らし、同じ様に一瞬でメカポッポは己を一迅の突風と見なす。
助走を経て、大きく跳躍――そして飛翔。鳥型ポケモンを模して制作された事は伊達ではない。
少し強く吹く、大気のうねりに身を乗せて、メカポッポはカズマへ弾丸のように跳び込む。
同時にクチバシに当たる、金属状の突起物をカズマの顔面へ向けている。
「チッ!」
その速度は常人にとってはかなり早いが、カズマには十分に対応できるレベル。
だが、それは万全の体制である時の話。
嘘をついた事から、カズマは既にメカポッポは抵抗の意思はないと思い込み、反応が遅れた。
顔を横に逸らして直撃は免れるが、右頬に痛みが走る。
横一文字の、数cm程にしか満たない裂傷が赤い雫で溢れる。
しかし、カズマがそれだけで終わらせる筈もない。
咄嗟に振り向き、シェルブリットを形成した腕を振い、横を通り過ぎるように飛び去ったメカポッポに裏拳を放つ。
浅い当たり――だが、体格差の問題からメカポッポに対しては必殺の一撃。
直ぐに地面に落とされ、何度かの跳ねりを終えてから、メカポッポは沈黙。
至るところから火花が飛び散り、翼や足の部分は変な方向へ曲がっている有様だ。
「よぉ、これでラストだな……」
近づき、言葉を呟くカズマには笑みはない。
何故だか嘲笑ってやりたかったが、そういう気にもなれない。
不思議と嫌な感じがしなかったせいだ。
メカポッポが既にガラクタ同然の身体を、いや、首だけを動かす。
何か、納得がいったような笑みを見せながら。
「まあ、こんなものだ……ろう……俺には無理だったよう……だ……な…………」
音声が確実に小さくなっているのがわかる。
カズマは何も言わない。メカポッポの言いたいようにさせている。
右腕を構え、いつでも介錯のシェルブリットを撃てるように準備は忘れずに。
だが、メカポッポの言葉は一言も聞き落とさない――そう言っているようだった。
「なぁ、どうおも……う?さっきの……ふた……り、しょうさいはかのじょ……たちのことをかんがえてふせ……るが、やさしいこたちだ……」
「……今度会ったら倒すだけだ」
「は、はは……そういうと…………おもっ……た……が、ひとつ……きいてく……れ……」
カズマの眼光は依然、鋭さを失っていない。
只、冷めた目つきでメカポッポが次に紡ぐ言葉を待っている。
そんな義理も確たる理由もないというのに。
やがて、メカポッポは続けた。カズマにとって予想外の言葉を。
「ふたり……の……ち、からに……なってやってくれない……か…………?」
「ッ! 馬鹿か、てめぇは。 俺がイエスとでも言うと本当に思ってやがるのかよ……! 絶対にノ――」
「だが!……カズマ、おま……え、は……――」
カズマにはわからない。
こいつはこの期に及んで、何を言っているのだろうか。
もし、万が一の話だ。自分にそんな気があればとっくの前に――
いや、所詮そんな事はあり得ない。そんな過程は考えるだけ意味がない。
当然、メカポッポもわかっているだろうに。
そう思っても、何故か真剣な眼差しを此方へ必死に向けてくるメカポッポから眼を離せない。
カズマの返答を強引に妨害し、メカポッポがガクガクと振動しながらも続ける――
メカポッポ支援…!
「おまえは……トリーズ……ナーなの……だろう…………。
たった……ひとりで……ここか……ら……ぬけだす……そのよわ……いかんがえ……に……はんぎゃくす……る……。
おれは……しんじ…………る……おまえが……やってくれ……る……ことを…………はんぎ…………ゃ……くを……な…………」
既に機能停止寸前のメカポッポから聞こえるは、確証のない希望。
所詮、相手の事など考えていない、身勝手な願いに過ぎない。
だが、その言葉は重かった。理屈では説明出来ない程に――非常に。
込められた真意はわからない。
只、恐らく自分への皮肉なのだろうというのはわかった。
シェルブリットのカズマ――そして反逆者(トリーズナー)と知られるカズマを示す言葉は、『反逆』の二文字。
敢えてこのタイミングで自分に言った理由を考えるよりも、先にカズマは動く。
「……もう、終わりだな。あばよ……」
「ああ……やって…………くれ。あのこ……たちに…………よろしく…………な……」
頷かない。
カズマは頷かない。
右腕を振り上げて――唸る。
「衝撃のぉ……!」
黄金の腕を一直線に大地へ、メカポッポが居る地点へ。
外すわけがない。全ては一瞬の内に終わる。
零距離でぶつける衝撃のファーストブリットが全てを潰す、叩き潰す。
メカポッポは動かない――彼は既に満足していたのだ。
自分の願いが――という事を確信していたのだから。
「ファースト……ブリットォ……!!」
そしてカズマの声が響いた後、メカポッポの機能は完全に終わりを告げた。
◇ ◇ ◇
支援
木々に囲まれる一帯で、カズマが一人立ち尽くす。
右腕のアルターは解除し、今は一時の休憩を取っていると言えるだろう。
そう、疲れた。戦闘行為自体には疲労はなかったが、言いようのない疲労がカズマに圧し掛かっていた。
だが、止まるわけにもいかない――止まれない。
自分の道を通すためにも、これから先も闘わなくてはいけない。
やがて、デイバックを担ぎ、カズマは右の頬を片腕で拭う。
「……勝手に押しつけやがって。 俺は誰の言う事も聞かねぇ、俺は俺がしたいようにする
……それだけだ」
出血は殆ど乾いていたため、赤黒い汚れは目立たない。
だが、カズマはその事については興味がないように見える。
彼の視線の先には、先程まで言葉を交わしていたメカポッポが居た地点がある。
少しだけその場所を見つめた後、やがてカズマは踵を返す。
「だが、ムカツク野郎だったが……刻んでおくぜ。メカポッポとやら……。 そうさ、俺は――」
右腕を肩に水平に翳し、カズマが小さく唸る。
何かが解きほぐされる音が響き、虹色の粒子が結晶へ移り代わってゆく。
それらはメカポッポの成れの果てが織りなした事によるもの。
支給品はギラーミンの手により、アルター化は出来ない。
しかし、既に機能を停止し、只の『物質』となったメカポッポになら可能だ。
形成したアルターを己の右頬に凝縮。
裂傷を覆ったあのアルターは何故か、メカポッポの色と同じく、白と茶色で構成されていた。
その事を知ってか知らずか、カズマは歩き出す。
「――カズマだ」
メカポッポに対し言った言葉をもう一度、只、力を込めて。
カズマは誰に言うわけでもなく、吐き捨てるように口にした。
いや、彼は自分の事をずけずけと口にしたメカポッポに今一度、自分の名を叩きつけたかっただけかもしれない。
そう、結局、ファーストブリットを当てられず、途中で止めてしまったメカポッポに対して――
何故か、無性にも。
【H-4 北部/1日目 早朝】
【カズマ@スクライド】
【状態】:疲労(中) 墜落による全身に軽い負傷 砂鉄まみれ 右腕に痛み 右目の瞼が上がらない 右頬に小さな裂傷(アルターで応急処置済み)
【装備】:なし
【道具】:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
【思考・状況】
1:とにかくあの野郎をぶん殴る。(誰かはよく分かっていない)
2:優勝狙い。
3:次に新庄、伊波と出会ったら……
4:メカポッポが言っていたレッド、佐山、小鳥遊に興味。
※ループには気付いていません
※メカポッポとの交流がどんな影響を及ぼしたのかは不明です。
※参戦次期はかなみが無常に攫われた時期辺りです(恐らく原作20話辺り以降)
※何処へ行くかは次の方にお任せします。
投下終了しました。
支援どうもです。
早速ですが、ミスがあったので自己申告を……新庄、伊波の状態表に以下の文を付け加えておきます。
※何処へ行くかは次の方にお任せします。
それではご指摘や感想などお待ちしていますね。
投下乙!
メカポッポォォーーーー!!
まさかただの支給品のメカポッポがここまでかっこいいとは思いもしなかった
凄いよ漢だよこいつ
ただの詳細名簿代換品ではなくひとりの意思を持った鳥だったんだなぁ
カズマの心理描写も多くてあくまで優勝を目指す心情が伝わってきた!
新庄の覚悟もいなみんの決心もみんなみんなGJとしか言いようが無い!
メカポッポがメカのくせに熱すぎるw
勝負自体はあっけなかったが、カズマに刻ませたのは大きいな
これがどう影響するかなー
投下乙です!
メカポッポーーー!!
まさか彼がこんな活躍をするなんて思わなかった!
伊波、新庄を逃がした上にカズマに名を刻ませるとは。
伊波、新庄も立ち向かう姿がかっこいいし、カズマもカズマでらしい描写に唸りました。
改めてGJ!
新庄…もう早朝になっちゃって、残り時間やばいw
しかし熱い!ほんと熱いなこの話は
特にカズマとメカポッポが半端ない
>>738 そうだよw
もうすぐ男になっちゃうのにどうするんだ新庄
Wott氏に続きましてハクオロ、魅音を投下しますー
支援ー!
休む暇もなく支援!
何の含みもない微笑を浮かべたその顔は、まるでまだ生きているかのように清々しく、また美しくさえあった。
やることをやり、成し遂げた表情。少なくともハクオロにはそのように見えた。
まだ薄く開いた目を静かに閉じてから、呆然とトウカの遺体を見つめている園崎魅音へと目を向ける。
短く息を吐き続け、硬く口を閉ざしている。疲労と人死にの衝撃が一体となって押し寄せ、精神的に疲弊しているのだろう。
自身も何も感じていないわけではない。寧ろ無情にも命を奪った白い怪物――確かミュウツーといったか――への怒りを露にして追撃を開始したい気持ちではあったが、まだそうするわけにはいかないと戦の指揮官としての自分が言っている。
トウカから譲り受けた剣の、へばりついてまだ固まってもいない彼女の血が、道を違えるべきではないと叫んでいる。
自分は命を預かっただけに過ぎない。トウカという人の生き様、在り様、それらを伝えていかなければならない義務を背負っただけだ。
今に始まったことではない。トゥスクル、テオロ、ソポク……様々な人々の犠牲の上に己の存在があることは重々承知している。
生きることは、既に義務と同義だった。血で血を洗い、憎しみや悲しみが連鎖する戦国という時代で、人を殺してまで生きる理由。
受け止める。誰かの怒りも哀しみも、力に変えて進む。それが上に立つものの義務だ。
そうすることで、エルルゥやアルルゥ、他の仲間達を守っていけるのだから……
熱した感情を徐々に冷まし、己の体内にトウカの意思が塗り込められていくのを知覚して、ハクオロは言葉を発する。
「荷物をまとめるぞ。こんなところで立ち止まっている時間はない」
冷えた鉄のような言葉。思った以上に低くなっている声に、魅音が体を震わせたのが分かった。
が、特に動くでもなく、小刻みに視線を揺らすだけだった。
様子が変わって別人のような冷たさを宿したハクオロを怖がっているようでもある。
一つ息を吐いたハクオロは、なら一人でやるとトウカの手荷物から支給品を取り出し、魅音と自分の両方のデイパックに選っていく。
「ちょ、ちょっと待ってよ」
意を決したかのように、それでもまだ距離を残しながら魅音が声を出す。
「トウカさん、お墓を作ってやらなくっていいの? だって、あんなに大切な仲間だって……野ざらしなんて、あんまりだよ」
「時間がない。第一、墓を作るのは手間がかかる。我々には穴を掘る道具だってない」
「そりゃ、そうだけど……でも、こんなのって」
納得がいかないという風に魅音は語調を弱めながらも、何か反論の糸口を見出そうとしているようだった。
誰よりも大切な仲間。そのことを語っていた魅音の優しい顔を思い出す。
彼女からすればこのままにしておくことは出来ないのだろう。自分も、魅音自身をも命を賭してまで助けてくれたひとへのけじめとして。
だが、トウカの死を無駄にしないためにも自分達は早急に仲間を集め、殺し合いに立ち向かわなければならない。
トウカに拘って、エルルゥやアルルゥのような力無き者を守れないのではそれこそトウカに叱られてしまう。
背を向けたままから、ハクオロは魅音へと向き直って表情を見据える。
顔をぐしゃぐしゃにして今にも崩れそうな魅音と、使命のうちに己の感情を律する自分。
仲間という存在に対して共通の見解を持ちながらも、一方では違った解釈をする二人の人間の姿があった。
「我々は先に進まなければならないんだ。自分だってトウカをこのままにしておきたくはない。だがここで手をこまねいていてはこの瞬間にもまた誰かが命の危険に晒されているかもしれない。それは自分の仲間……もしくは、君の仲間かもしれない」
思い出したのだろうか、魅音がはっと息を呑むのが見て取れた。
しかしすぐに口をへの字に結んで、まだ反抗する瞳をこちらに寄越す。
ハクオロは目を逸らさず、それをじっと見つめる。
「理屈ではそうだって分かるけど……でも、本当にこれでいいの? トウカさん、こんな勝手なことしてた私に命張ってくれてさ……申し訳が立たないよ、このままじゃ……
ひょっとしたらこういうことで時間をかけるっていうのはトウカさんだって望んでいないかもしれないけど、私の我侭かもしんないけど、でも、意思を継ぐっていうのはこういうことじゃないと思う……
理屈だけで受け止めるんじゃなくて、その先のもっとなにか、上手く言えないけど、ちゃんと誠意を示してあげないと、って思うんだ」
礼には礼を尽くす。それが私のやり方だ――そう伝えた魅音は、不安を内包しながらもこの言葉は決して間違っていないという意思をハクオロに見せた。
誠意、という言葉にハクオロの心がぐらりと傾く。
うっかり者と揶揄されながらも、それでも誠実に己の忠義に生きようとしたトウカの姿。
真っ直ぐで曲がったことなど知りもしない、ただ実直なだけのトウカが脳裏に思い出される。
それを自分は、ただ言葉だけで受け取ってこの場に捨て置こうとしているのではないか。
こうするのが理屈では正しく、そうしないと助けられないと分かった風になって?
そう思いながらも、だがトウカはもう死んだと、戦の世界に生きる冷徹な自分がいるのも感じていた。
今は一刻も早くこの殺し合いを打開するための仲間を集めるべきで、死者の弔いはその後。
感傷に囚われて本当に守るべきものを守れなくてどうする? 自分が行動しなければならないのだ。上に立つものとして……
「……そうか。なら、自分は行くぞ」
自分の考えを振り切るように、ハクオロは魅音との別れを告げ、自らのデイパックを抱えて立ち上がる。
このまま時間を浪費するわけにはいかない。気が引けるが、魅音はここに置いていく。
全てを守るために別れてしまう。矛盾していると思いながらも、この選択しか出来ない。
結局、自分と魅音の選択が違っただけだ。そう断じて、ハクオロは目を伏せながら魅音の横を通り過ぎる。
「トウカの装備は均等に分けておいた。あの白い奴を吹き飛ばした武器はお前が、残りは自分が持っていく。いいだろう?」
「私は、残るよ。ごめん、行くなら先に行って」
持ち物には目もくれていない。ただトウカに対してだけの思いが、今の魅音の全てのようだった。
でもさ、とハクオロに続けた魅音の声色は、完全に拒絶し、決別したものではなかった。
「考え方は違ったけど、私達はまだ仲間だよ。また後で合流して、アイツをぶっ飛ばしてやろうよ、ね?」
「……そうだな」
その思いはハクオロも同じだった。屈託のない笑みを向ける魅音に、ハクオロも微笑を含んだ声で返す。
お互いにそれが分かっていながらも、心のうちを言葉に出し切れず、こうした結末になってしまう。
不器用に過ぎるとハクオロは思いながらも、このわだかまりを吐き出す気にはなれなかった。
その理由はきっと、今もこうして迷い続けている自分の心が、この決断でいいのかと問いかけている自分がいるからだろう。
支援
離れてしまえばいい。遠くにある、次の戦を考えていれば、その迷いもいずれは薄れる。
その時にきっと、自分の出した結論に納得が出来るのだ。……魅音も、同じに違いない。
仮面に隠れる自分の素顔はどうなっているのだろう、とハクオロは思う。
もし素顔を見られて、魅音が何か言ってくれていたら、何か変わるものがあっただろうか。
――いや、きっと変わりはしないだろう。
自分の中に数多の者の死がある限り、きっと自分はこのままだ。
真の豊かさ、平和を勝ち取るために怒りも哀しみも受け入れて進むことを義務とした自分がいる限りは……
内省の時間をそれで締めくくり、ハクオロは森の中を線路沿いに歩き出した。
* * *
ハクオロが去り、まだ夜明けにも達していない森には魅音だけが残される。
森の外では何分かを周期に電車が行ったり来たりをしていたが、流石に自分が見つかることはないだろうと思う。
闇に慣れなければ森の中はよほど暗く、足元さえ覚束ない。
こんな寂しいところにトウカを埋めるのかと思いはしたが、かといって墓地がこの会場にあるわけじゃない。
病院には霊安室はあるだろうが、あくまでも安置しておくためのものだろうし、埋葬にならない。
そもそも、そんなところまで運んでいてはトウカの遺体が傷むだろうし、死者を晒し続けるというのは無礼に過ぎる。
ここに埋めようと思い立ってから数分、まずはどうやって穴を掘るかを考える。
ハクオロの言うとおり、こちらには何も穴を掘る道具がない。手で土を掻き出すという作業をやっていてはいつまで経っても終わらない。
何でもいい、穴を掘る道具はないかと魅音はデイパックの中を漁る。
新しく追加されたものにはハクオロが宣言した通り、白い怪物――ミュウツーを吹き飛ばした貝殻のようなものがあった。
あの威力なら地面にクレーターを作ることも不可能ではないだろうが、それを使ったトウカが戦闘不能になっていたことを思い出す。
ミイラ取りがミイラになるってか。意味違うけどね。
使用に慣れていなければ自爆するかもしれない。そうなってはたまらないので他を当たろうとしたが……それまでだった。
他には自分が使っていた空気ピストルがあるのと、地図、コンパス、食料エトセトラがあるくらいで穴を掘れそうなものは皆無。
支援!
ダメか、と嘆息しかけてすぐに空気ピストルならどうだと考えてみる。
声を出してしまうのが問題点にはなるが、贅沢は言えない状況だ。
空気ピストルを手に嵌めて、地面に向けてその筒先を向ける。
すぅ、と大きく息を吸い込んで気付かれるのではというのを憚ることもなく魅音は叫んだ。
「バン! バン!」
だが、空気ピストルの放った空気弾は砂や木の葉を散らすばかりで到底地面に穴を空けるに至らない。
1、2発では無理かと思い、続け様に叫ぶ。
「バン! バン!」
しかしまるで効果もなく、魅音の叫び声だけが空しく木霊する。
バン! バン! バン! バン! バン! バン! バン!
バン! バン! バン! バン! バン! バン! バン!
バン! バン! バン! バン! バン! バン! バン!
バン! バン! バン! バン! バン! バン! バン!
バン! バン! バン! バン! バン! バン! バン!
肺から空気を搾り出し、喉が枯れそうなほどに声を出し尽くしても人が納まるほどの穴どころか、拳一つほどの穴でさえ空けられない。
「バ……けほっ、けほっ……!」
なおも声を出そうとした魅音だったが、出し続けた口腔は乾ききって掠れたような音と咳だけを残して息苦しさだけを魅音に伝えた。
呼吸が荒くなり、どれほど息継ぎもせず叫び続けていたのだろうと魅音は思った。
だが考えるのも億劫になり、近場の木の幹へと寄りかかってへたりこむ。
その視線の先では、空気ピストルの影響で舞い上げられた粉塵がトウカにかかって、その顔をも汚しているのが見て取れた。
なんだよ、誠意どころか顔に泥を塗ってるだけじゃんか、私は……!
埋葬すらできないという無力感でいっぱいになり、握られた拳は震えて、しかしどこにもぶつけようがなかった。
自分は何の役にも立てないのか。仲間も、目の前にいる恩人でさえ救えない。何もしてやれない。
言葉だけで理想を抱えて、現実を見ようとしない臆病者……
ハクオロの言葉が今更のように突き刺さる。
そればかりか、疑いかけもした。
最低だ……
その思いでいっぱいになり、魅音はうなだれて体育座りの格好で膝に顔を埋めた。どうしようという問いだけが彼女にはあった。
トウカは諦めて、このままハクオロを追うべきか。こうなったのは仕方ないんだと自分を納得させて次に繋ぐべきなのか。
所詮自分は青臭い若造に過ぎず、己の分というものをわきまえて行動するべきで……
半ばそうするしかないんだという思いで顔を上げる。まだ先程までと同じく、横たわったままのトウカの姿がそこにあった。
結局、自分は間違っていたのか。その重たさだけを頭に残してデイパックを拾おうとしたとき、そういえばと思うことがあった。
ハクオロは懐中電灯ではなくランタンを持っていた。支給品なのかと思って尋ねると、そうではなさそうだとハクオロが返答していた。
自分のデイパックにはランタンはない。……国や地域に合わせて、明かりは違うものが支給されているのだろうか?
見たところハクオロはどこか田舎のような服装だったし、何より自分の懐中電灯に対して、それは何だという質問さえ返ってきた。
自分の推測は間違っていない。いや違う、そんなことは問題ではない。ランタンには火が灯っていた。
火……そう、何も死者を埋葬するには土葬だけではない。火葬があるではないか。
「どうしてこんなことに気付かなかったんだろう……は、バッカじゃないの、私」
土葬に拘っていた自分の馬鹿さ加減に呆れる。死者を弔うといえば土葬だと何も考えずに思っていたからか。
大体、日本の葬儀形態は火葬が多いというのに。こんな異常な状況に巻き込まれて頭が回らなくなったか。それともあの惨劇を乗り越えて頭が平和ボケしてしまったのだろうか。どちらにせよ、ようやく目が覚めたのには違いない。
澱んでいた脳が働き始め、靄が晴れていく感覚が魅音の中に戻ってくる。ひとつの視点に拘らずもっと別のものを見るべきだったのだ。
なるほど、こんなボケた頭で皆が救えるはずもない。諦めさえ覚えていたわけだ。苦笑する魅音の瞳には再び活気が宿っていた。
情けない。寧ろこの状態で皆に会わなくて良かったとすら思う。特に圭一あたりには馬鹿にされるのが目に見えるようだ。
こんなことでヘタレてどうする。お前は一体誰だ? 圭一の叱咤が脳裏に響く。答えなど決まっている。
「私は園崎家次期頭首、園崎魅音……」
園崎という名字の意味を確かめるように、魅音は声に出して呟いた。
そう、自分はこれでいい。無力でも皆の先に立って進む。そうすることでついてきてくれれば、それでいい。
そのためにも投げ出してはいけないのだ。ここで諦めて、割り切って出来ないと目を逸らして、誰がそいつについて行くだろうか。
誰もついてきてくれるはずはない。人への敬意を忘れた人間に、誰もついてくるはずはない。
例えそれが傍には無駄の多すぎる行動と見られるとしても、これが自分の信条。曲げたくないし、曲げるわけにはいかない。
……バカだと思うけど、みんな、それでいいんだよね?
圭一。レナ。沙都子。梨花。詩音。
全員が一様に頷き、それでいいと自分の背中を押してくれている。トウカも仕方ないという風に口もとを緩めて、笑みの形にしてくれている。
無力で萎んでいた全身の筋肉に血が行き通り、体に熱が伝わっていく。
今の自分にはライターもない。あったとしても、それで十分でないことは分かっている。
なら、火のあるところまで運ぶだけだ。遺体が多少傷むかもしれないが、このままにしておきたくない。何より、自分のためにも諦めたくない。
魅音はデイパックを肩にかけると、続いてトウカの体を背負おうとする。
しかし男に比べて軽いはずのトウカの体でも、魅音も女性であり鍛えていても背負うのに苦労する。
ようやく背負ったものの、一歩を踏み出すだけでも重く果たして森さえ抜けられるか分かったものではない。
ちょっとやばいかなぁ……でも、いいんだ。私の行動、間違ってなんかない。今度は絶対、胸を張って言える。
「よーし、おじさんちょっと本気出しちゃおっかなー……」
確かな実感を持ちながら、魅音は気合を入れて歩き出そうとしたときだった。
「待て」
「……ハクオロさん?」
何者かに呼び止められ、魅音は思わずそちらを振り向く。危険人物ならどうしようかと危惧したのも一瞬、そこには見知った顔があった。
先程別れてきたはずのハクオロが目の前に立っていたのだ。確かに、線路沿いに歩いていったはずなのに。
目をしばたかせていると、ハクオロは魅音の背中に近づき、トウカの体をその背中に抱えた。
ハクオロの行動がどういう意図なのか分からず、呆然とその顔を見た魅音だったが、ハクオロは苦笑を浮かべるだけだった。
そのまま何も言わずハクオロは魅音の後ろにつき、さあ行けと促しているように顎を動かした。
何があったのだろう。疑問が魅音の頭の中を過ぎったが、戻ってきたという事実は確かなようだった。
……私と一緒、ってことでいいのかな、とりあえず。
目の前の不器用な男は仮面に紛れて表情を見せてはくれない。尋ねてもしばらくは答えてくれなさそうな雰囲気はあったし、考え方の違いを認識したときのわだかまりも胸の内に残っている。しかし、それでも仲間なんだという思いが魅音に少しの安心感を持たせた。
「トウカさん、火葬したいんだ。ハクオロさん、火は持ってるよね」
「ああ」
「それだけじゃ足りないと思うから、とりあえず燃えそうなものも探したいんだ」
「なら、ここの枯れ枝や枯れ葉を集めるといい。……だが、ここで燃やすなよ。火事になる恐れがある」
「そうだね。取り合えず森を抜けよう。集めるのはそれからでいいよね」
頷いたハクオロはそれ以上語ろうとはしなかった。
だが今は目的が一致している。ならいい。文句は言わない。言うとしてもトウカの火葬を終えた後だ。
魅音が歩き始めると、それに合わせてハクオロも歩き出したようだった。
まだお互いの腹の内は分からない。分かり合えるかどうかも分からない。
でも、チャンスは与えられた。話し合う機会が生まれたことは確かだった。
やはり間違ってはいなかったという思いが、魅音の中に根付いていた。
* * *
先を歩き出す魅音の背中はぴんと張っていて、トウカが死んだ直後の所在無さは微塵も見られない。
自分の進むべき道を見出した者の、決意を秘めた背中だった。
自分自身はどうだろうか。こうして戻ってきた自分は、まだ迷っているのだろうか。
これで良かったのだという思いがある一方、甘すぎるという自分が厳しい目で見ているのも事実。
支援
しかし、本心で行動したのだけは間違いがなかった。
偽らず、誤魔化さず、心の思う通りに行動したのだけは間違いない。
それが正しいのかどうか……まだ分からないし、一度は背を向けていた自分が胸を張れるわけもない。
だが、お陰でこうして魅音と向き合う機会はできた。別れたきりということにならずに済んだ。
そんなことになってしまっては、寂しすぎる。……そうだな、トウカ?
背中によりかかるトウカもまた、答えようとはしない。
ハクオロはただ苦笑して、ずれかけていたトウカの体を背負い直す。
そう、今のトウカはもう答えてはくれない。だが自分の中の、記憶に残るトウカは、確かに自分に語りかけてくれた。
一度別れたあと、ハクオロは線路沿いに歩きつつ、ふとトウカが残した剣に、まだ彼女の血がついていることを思い出した。
血がついたままの剣では切れ味が悪くなってしまうし、ここから先で人と会ったときに悪印象を持たれてしまう。
だがそれを拭く布を持っているはずもなく、已む無く自らの服の裏で拭うことにした。
人に見られてしまう可能性はあるが、このままにしておくよりはと考えた結果だった。
いざ拭こうと思い、しゃがみ込んでから刀身を見たとき、そこには映る自分の顔と……そしてトウカの顔もが映っていた。
いいのですか、とトウカが尋ねてくる。
これでいいんだとハクオロは返す。こうしなければ誰も守れはしないのだから、と。
そうではないのです、と刀身に映るトウカの姿が消え、代わりに先よりはっきりした声を頭に響かせる。
――これが、本心なのですか。
「……」
今度は、すぐに返せなかった。理屈で答えればいい問いではなく、心に問うもの。
そう、今までの思考で自分の心で考え、答えた部分などない。
全てが理屈で、合理ばかりの心のない返答。
――聖上の御心のままに進めばいいのです。
今度は頭の中に現れたトウカの顔は柔らかく表情を緩め、笑みの形を浮かべていた。
ハッとして、ハクオロはまだ剣に付着しているトウカの血を見る。
支援ー
支援
道を違えてはならない。
そう叫んでいたはずの言葉が、別の意味を以ってハクオロのうちに語りかけている。
理屈だけでも、感情だけで進んでもならない。自らが決めた、己の信義に従って行動するのが道。
それだけは間違えてはならないと語りかけている。
ハクオロの中にもう一度、今のままでいいのかという問いが湧き上がる。
このまま仲間に再会したとして、トウカを捨て置いたと知られれば、きっと自分は罵られてしまう。
主と認めてきたハクオロというのはこんな人物ではなかったと失望されてしまう。
生き方は変えなくていい。誰かの死を受け止めながら進む、その上で時には冷たい決断をしなければならないことも、変える必要はない。
だがそれは、これが自分の本心だと納得したときだけではないのか。今の自分は、本心にさえ背を向けているのではないのか。
心のままに――剣となっているトウカも、今の自分を諌めようとしてくれている。
このままではいけない、これでは情けなさ過ぎるという思いが突き上げ、素早く服の裾裏で血を拭ったハクオロは、決然とした意思を以って立ち上がる。
行こう。まだ魅音はいるかもしれない。
戻ったとて、一度生じた溝は埋まらない。しばらくは他人の時間が続くかもしれない。
しかし、それでも……このまま何も分かり合えないままに離れてしまうのは寂しすぎる。
そんなのは、御免被る――本心に衝き動かされ、ハクオロは踵を返し、元来た道を戻ることにしたのだった。
それで今に至ることになった。魅音と再会したとき、ハクオロが苦笑したのはそのような経緯があったからだった。
この空白の時間が無為だったのは事実だ。だがそれ以上に、心を無為にせずに済んだという思いがあった。
魅音はまだ自分を仲間だと認めてくれているだろうか。
自信が持てず、結局は無言のままにしてしまったが、それでもトウカを弔ってやりたいという目的は一致している。
己の本心を見失わず、今は進めばいい。それだけを思って、ハクオロは魅音の後ろを歩き続ける。
暗かった森の中に、徐々に色が差してきている。
時刻は、もうすぐ朝を迎えようとしていた――
【A-6 線路沿い/一日目 早朝】
【ハクオロ@うたわれるもの】
【装備】:ガイルの剣@ポケットモンスターSPECIAL スモーカー大佐の十手@ONE PIECE
【所持品】:大型レンチ@BACCANO!、ミュウツー細胞の注射器@ポケットモンスターSPECIAL、基本支給品一式、不明支給品0〜2個(確認済み)
【状態】:健康 体に僅かに痛み トウカの遺体を背負っている 服の裏にトウカの血がこびりついている
【思考・行動】
1:ギラーミンを倒す
2:仲間(魅音の仲間含む)を探し、殺し合いを止める。全てを護り抜く。
3:トウカを弔う。
4:ミュウツーに対して怒りの念。
【園崎魅音@ひぐらしのなく頃に】
【装備】:空気ピストル@ドラえもん
【所持品】:排撃貝@ONE PIECE、基本支給品一式
【状態】:健康 体にやや痛み 悲しみ
【思考・行動】
1:仲間(ハクオロの仲間含む)を探し、殺し合いを止める
2:詩音と沙都子にはやや不安。
3:トウカを弔う。火葬するつもり
4:線路を辿って駅に向かう?
5:ミュウツーに対して恐怖。
6:死者に対しては誠意を以って対応する
※本編終了後の参戦です。雛見沢症候群の事を知っています。
※注射器の説明書を2人はまだ見ていません。
支援
投下終了です。支援してくださった方ありがとうございますー
タイトルは「Beyond」です
投下乙!
初めは対立し、別れてしまった二人だけど……聖上、やっぱ良い人だなぁ。
ロワでは割と簡単に描写されがちな、死者の埋葬に対しての魅音の奮闘がリアルでよかったです!確かに道具がないと直ぐには出来ないしなぁ……。
二人の心理描写がとても丁寧で、すんなりと感情移入できました。
これからの二人にさらなる期待がかかっちゃうなぁ……w
GJ!!
投下乙です!
2人とも、差異はあれど上に立つ者として葛藤がいいなぁ。
トウカの死をきっかけに一度は別れ掛けても、再び一緒になったのはよかったな。
火葬も火葬で大変そうだけど。 あと注射器忘れられてミュウツーさん涙目。
たしか2人は線路の東側にいるから、大分歩かないと森は出れないんだよな。
温泉とかゴミ処理場なら別だろうけど、果たしてどこに行くか。
改めてGJ!
二人とも投下GJ!
メカポッポ君格好よすぎるぜ……!
カズマはこの先、それでも優勝を目指して戦い続けるんだろうなぁ……うん、良い馬鹿だ。そんなカズマも好きだ。
埋葬を軸にハクオロと魅音の心情を深く書いたWD氏は上手いなぁ……
最初は道を違えてしまうのかと思ったけれど、どこか似た者同士な二人の今後に期待せざるを得ない。
そうだよね、人を葬るって大変なことなんだ
迷いながら葛藤する2人の心理描写がよかったです!GJ!
って新しい予約来てた!
お相手にいろいろ変態扱いされた佐山小鳥遊に蒼い子ゾロかー
これは楽しみ
ホントだ! 新予約来てる……!
これは期待ー!
お待たせしました。
ニコラス、梨花とうかします
支援開始ー!
な、なんだってー!
なんという投下ラッシュ、これは間違いなく幸せ
ぎゅっと。
ぎゅっと目を閉じる。
力強く。
ぎゅっと。
ぎゅっと手を握る。
力強く。
汗が全身から吹き出てくるのを感じる。
落ち着け。
落ち着け。
古手梨花。
ここで物音を立ててはいけない。
見つかってはいけない。
向かってくる者が安心であるとは言えないのだから。
今私は何も武器を持っていない。
だから会うことは極めて危険。
だから、ここで会ってはいけない。
生きなければならない。
私はここで死ぬわけにはいかない。
圭一達と脱出しなければならないから。
皆と会わないまま死ぬなんて嫌だ。
絶対に嫌だから。
だから
落ち着け。
落ち着け。
落ち着きなさい。
なのにこんなにも心臓がバクバクと音を奏でている。
かすかにしている息がとても荒い。
駄目だ。
こんなのじゃ気付かれてしまう。
カツカツと足音が聞こえてきて、また段々その音が大きくなっていく。
それに連動するかのように心臓の鼓動も激しくなっていく。
私の心臓の音が足音の主に聞こえるんではないかとさえ錯覚してしまう。
大丈夫。
大丈夫。
そんな事はありえない。
今の所完璧に隠れてる筈。
大丈夫よ。
大丈夫。
支援支援
未だ、希望は潰えていない。
圭一もレナも魅音も沙都子も詩音もきっと大丈夫。
皆が居ればきっときっと。
運命だって覆す事できる。
だから私もここで死ねない。
希望を信じろ。
古手梨花。
不意に圭一達の声が頭の中に響いていく。
わいわいとやかましい声。
部活の時のような楽しい声。
皆を気にかけるような優しい声。
思いやりが溢れているやすらかな声。
声、声、声。
沢山の声。
それが何故だか私を落ち着かせていく。
あれだけ激しくなっていた胸の音が静かになっていく。
うん、もう大丈夫。
大丈夫。
ありがとう、皆。
足音も、もう聞こえない。
きっと気付かず立ち去っていたのだろう。
良かった。
本当に良かった。
ふぅと息をつく。
一先ずの危機が去った事に安心して。
とりあえずここから逃げよう。
まだ周りに居るかもしれない。
そう想って目を開ける。
だけど
「……ひっ!?」
そこには黒衣の男がわたしを見下ろしている。
サングラスをかけていて瞳が見えない。
故に何を考えてるか分からない。
可笑しい。
足音は聞こえなかったのに!?
何故なの!?
私。
ここで終わるの?
そんなの。
そんなの絶対に嫌だ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
何や……?
ワイは辺りを見回す。
さっきから気配がする。
せやけど姿は見えへん。
隠れてるのかせえへんけど……
甘い。
あれで隠れ通すつもりなんか?
そんなら甘すぎる。
バレバレや。
見つけてくださいーと言っとるもんや。
馬鹿なら騙せるかもせんけど……ワイ相手では無理や。
異能の暗殺集団「ミカエルの眼」、ニコラス・D・ウルフウッド相手には無謀や。
ワイは気配がする方に向かって歩き出す。
足音を立てずに。
程なくしてワイは隠れている主を見つけだした。
何や四角い鉄の箱の陰にひっそりと。
あっちは眼を瞑って阿呆な事に未だにワイに気付いておらへん。
そう
ガキがそこにおった。
ちみっこい姿をし震えとる。
殺し合いが怖いんやろか。
さて、ワイはどないしようかね。
ぶっちゃけめんどーや。
錯乱しとるなら更に落ち着かせんといかんし。
何より、もし一緒に行動しようにもえらい足手纏いにしかならん。
今のワイには武器もないしな。
関わらんほーがいいだろ。
あっちが接触したいならとっくに顔出しとる筈やしな。
殺気も出しては居ないし。
ほな、決めた。
ワイは踵を返した。
悪いが知らん。
トンガリとさっさと合流せんとな。
そう思い歩きだそうとした瞬間
支援だ!
あの坊主が血塗れて息絶えてる姿がフラッシュバックした。
そしてあの嬢ちゃんが死体になってる姿までも想い浮かんでしまった。
……っ!
あかん。
あかんぞ。
メンドーや。
武器もない。
そんなワイに穣ちゃんを守れる訳があらへん。
無理にきまっとる。
せやのに。
おい、坊主。
仇はとったるとはいったがこんな時まで出てくるなや。
ワイは余計なもんは背負いたくないんや。
せやけど……
……ちっ。
あーもう。
恨むで、坊主。
それに、嬢ちゃん。
隠れんならちゃんと隠れろや。
見ちまったさかい、関わってしまったやないか。
接点もってしまったら……仕方ないやないか。
ああ、クソ、イライラする。
そしてトンガリ!
本来そういうのはオドレの役目やないか。
何やってるんや。
面倒事ばっか押し付けおって。
あーなんやと?
任す?
ふざんけな、アホ。
ニヤニヤ笑ってんな。
後でぶん殴るからな。
……ったく。
えらい迷惑や。
そして嬢ちゃんの前に着く。
未だに気付いておらへん。
着たはいいがどないしよ……
そう思った矢先嬢ちゃんが眼を開ける。
眼を大きく開け震えている。
どうやらワイに驚いてらしい。
そりゃそうか。
まぁええ。
「おい、嬢ちゃん……そんなとこでなにしとるんや?」
「……何もしてないわ」
それでも嬢ちゃんは虚勢を張って応える。
まぁええか。
色々考えてたどめんどい。
もう、これでいい。
「何もしてないなら……ついとこい。ワイはニコラスや」
「……は?」
そう応えて嬢ちゃんに背を向け歩き出す。
もーめんどい。
ワイの役目やないけ。
トンガリ、お前がやれや。
……ったく。
甘くなったな。
トンガリ
……恨むで、ホンマ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
何だかよく分からない。
ニコラスと名乗った男は殺し合いに乗ってないらしい。
無愛想についとこいと。
ついてくか迷ったけど……
独りよりは良かった。
危害を与えないみたいだし。
殺せるならあの時殺してるはず。
安易な信頼をするわけじゃない。
でも……独りであるよりは良かった。
そんな訳で私は彼を追っかけている。
しかし会話も殆ど無くのしのしと歩く彼の背を私は追っかけるだけ。
あった会話は武器はあるか?という問いのみ。
私はあるのは、服、鍵、そして楽器のみだった。
無いと応えるとそうかしか言わなかった。
本当、無愛想。
その男の背は何処か怖くて無愛想。
なんかついてくのを止めたくなるぐらい。
どうなるのかしら……私。
弱気になっちゃ駄目よ、私。
まだ、死ねないのだから。
皆に会うまで、絶対。
私は、死ねない。
「……ぶっ……な、何?」
そう考え事をしていたら立ち止まってたニコラスの背にぶつかる。
何で彼は立ち止まってるのだろう?
そう思った矢先
「……うまいで? これ」
そう言われなんかの果物を渡された。
彼はまた何も言わず歩き始める。
な、何なのよ、もう。
私は渡された果物を食べる。
あ……美味しい。
そう思ったら何故かとても安心できた。
前を歩く彼の背が何処か優しく見えた。
そうか。
これが彼なりの優しさかもしれないんだとそう思う事ができて。
途端に嬉しくなって。
私の足取りは軽くなってきた。
皆。
私は大丈夫。
支援ー
だから、皆も頑張って。
絶対に。
絶対に。
会いましょう。
【F-2/遊園地入り口前/一日目/早朝】
【古手梨花@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:健康 (少々の不安はあるが前向きに)
[装備]:
[道具]:支給品一式、王の財宝(の鍵剣)、インデックスの修道服@とある魔術の禁書目録、ミッドバレイのサクソフォン(内蔵銃残弾100%)@トライガン・マキシマム
[思考・状況]
1:ニコラスと行動
2:その後に遊園地か駅にいると思われる人に対してもどうするか
3:必ず生き残る。
4:圭一達を見つける。
5:安全な場所に行きたい。
6:ネズミ?
※王の財宝の使い方(発動のさせ方)を分かっていません。(説明書もありません)
※ウルフウッドをやや信頼。
※電車に誰か(橘あすか)が乗っているのに気づきました真紅に気づいたかどうかは不明です。
※サクソフォンの内蔵銃に気付いていません。
【ニコラス・D・ウルフウッド@トライガン・マキシマム】
[状態]:健康
[装備]: [道具]:基本支給品(地図と名簿は二つずつ) デザートイーグル50AE(使用不能)
SPAS12(使用不能) スタンドDISC『スター・プラチナ』@ジョジョの奇妙な冒険
チーゴの実×3@ポケットモンスターSPECIAL
[思考・状況]
1:襲われたら返り討ち、必要以上に危険な事に首は突っ込まない。
2:古手梨花を守る
3:ヴァッシュとの合流、リヴィオとの接触
4:ジュンを殺害した者を突き止め、状況次第で殺す。
5:武器を手に入れる、出来ればパ二ッシャー
6:なんや今の悲鳴は?
7:この木の実結構ウマイ
【備考】
※リヴィオは自分が知っているリヴィオだと思っています。
※まだループには気づいていません
※参戦時期は未定です
【支給品解説】
ミッドバレイのサクソフォン@トライガン・マキシマム
ガンホーガンズの一人、ミッドバレイ・ホーンスリークの武器である楽器。
中には内蔵の銃が仕込まれている。
投下終了です。
支援有難うございました。
指摘、感想お待ちしています
投下乙です!
梨花ちゃま最初に出会えたのがニコ兄でよかったねー
投下乙!
おぉ、心理描写主体の文体……いいですね、二人の心情が良くわかります。二人とも実にそれぞれのキャラらしい
ニコ兄を警戒する梨花、ジュンの事を思い出して悩みながらも彼女を保護するニコ兄、やっぱりニコ兄は放っておけないよね。
そしてチーゴの実を互いに食べるシーンで和んだw!ミッドバレイのサクソフォンがどういう風に役立つかも気になる!
GJ!!
投下乙。
梨花の緊張した内面描写が丁寧で巧いと思いました。
孤児院の県もあるし、このテロ牧師は子供の扱いはやたら上手いからなあw
百歳のロリババァとどんな辛味を見せるのか、
おやだれかきたようだ――――
コンビ結成かー
上手く噛み合いそうでいいね
梨花の反応が可愛くて和むw
投下乙ー!
ニコ兄かっこいいぜぇ……なんだかんだいいながらやっぱり子供を保護しちゃうのがなんともw
梨香ちゃんも可愛くもあり、冷静でもあってこれからニコ兄とどう関わっていくんだろなぁ。
良いコンビ結成、おめでとー!
ではアーチャー、圭一投下します
さて、目的をひとまず定めた英雄王だが、それからいきなり動き始めたわけではない。
神社の屋根の傾斜に身を預け、支給品一式の中から地図と名簿を取り出して眺めていた。
なお、何故屋根なのかというと、彼自身の万人を見下す王としての心構えゆえである。
彼にとっては見下されるどころか、他者と同じ目線で対峙することすら許せないのだ。
馬鹿と煙は高いところが――という諺については触れないほうがいいだろう。
「ふむ……」
月夜に照らされて白く凍った表情が僅かに動いた。
見ていたのは名簿の中の「ライダー」という名前。
そして衛宮切嗣。あのセイバーのマスターであることは言峰綺礼の報告によって承知している。
令呪を用いてセイバーとの婚儀を邪魔した雑種はもちろんのこと、ライダーというのがあのイスカンダルであれば、これも手ずから殺してやらねば気が済まぬ。
どうやらこの下らぬ遊びにも、多少なりとも王たる彼――ギルガメッシュを愉しませてくれるファクターはあるようだった。
酷薄な笑みを浮かべて名簿をしまうと、今度は地図を取り出して月明かりに晒す。
8×8マスの四方系の地図。その外に何があるかは記されていない。
顔を上げ、東方向にある湖の向こう側を見渡した。
あの方向には小高いなだらかな台地が続いている。
地図上ではブッツリと途切れているが、ならばあの向こうには何があるのか。
自ら望んでもいない連中に殺し合いをさせたいのなら、容易く外に逃げられるような舞台を用意するわけがない。
だが牢獄のような壁があるわけでもない。闇が邪魔ではあるが、ただずっと何の変哲もない地形が続いているだけに見える。
「…………」
ここでギルガメッシュは一つの可能性に思い当たった。
地図を眺めてみると、上下と左右の端の地形が相似になっているのだ。
河に道路、線路に等高線らしきライン。ここまで揃えばほぼ確定といえる。
この土地は地図の左右で繋がっている。
たとえば西端から出れば東に現れ、北から出ようとすれば南にループするだろう。
これほどの大規模な閉鎖空間を生成・維持するとは、英霊の力を持ってしてもなかなかできるものではない。
だがギラーミンがどんなに大層な力を見せ付けて悦に入っていようが、それを許すわけがないのが英雄王ギルガメッシュという男だ。
何があろうと真の王は過去現在未来にいたるまで彼一人なのだ。ゆえにその王に不遜を働いた罪はすべからく死によって償うべきである。
そのためにまずは自らの推論を確かめてみようか――と金色の英霊はようやく重い腰を上げた。
支給品をデイパックにまとめ、神社の屋根から重力を無視したかのように、余裕在る仕草で音一つ立てることなく着地。
ここから地図の端に一番近いのは東だが、湖で遮られている。
ならば南だ。電車もあるようだし、使わない手はない。
ゆっくりと歩き出す。
だがふと足を止め、手に握ったデイパックを見ると、途端に不機嫌な表情になった。
「王たる我が自ら荷を持って歩かねばならんとは何たる屈辱……ギラーミンを殺すのは当然だが、まずは従者が必要だな」
◇ ◇ ◇
その後ろにはもう誰の姿も見えなくなったというのに、汗だくで息を切らせながら、前原圭一は映画館への道をひたすら走り続けていた。
自分を庇うために足止めを買って出た切嗣が負けて、あのサンマ傷の大男がこちらを追いかけてくるといった恐れを抱き、少しでも遠くへ逃げようと思ったからではない。
むしろ圭一は切嗣を信じている。恐れているのは自分の無力だった。
あの人が命をかけてまで守ってくれたのだ。
それを無駄にするわけにはいかない。
何か、何か自分にもできることがあるはずだ――と考える。
だが具体的には何も思いつかず、ただ気ばかりがはやっていくのだった。
そしてついに映画館へとたどり着いたときに圭一は見てしまったのだ。
東の空から闇を切り裂いていく夜明けの光をその身に浴びて、輝くは黄金のシルエット。
太陽に照らされてなお輝きを失わぬ、紅く邪悪に満ちた眼光を持った一人の男が立っていた。
「ほう――――」
男が声を発した。
冷たい声だった。
二人が対峙する距離は10メートルほど。
恵一の体から、先程までとは違う冷たい汗。
少しでも気を抜けば歯の根が鳴り膝が震えだすところをどうにか堪えた。
「だ……誰だ!」
問うまでもなく、あの男は危険だと圭一の本能が大音量でアラームを鳴らしている。
だが逃げ出したところでどうにかなるものでもないほどの力量差があるということも、またすでに理解していた。
「我の王気を浴びて口が利けるとは、雑種の小僧にしては見所があるな。ふむ……だが――」
男は黄金の鎧を身に纏い、その髪も同じく金色だった。
問いには答えず、僅かに感心したような表情。
刹那――――、
――――轟ッッ!!
爆音と土煙。
大地が爆ぜ、アスファルトの破片が礫弾となって上空に跳ね上がった。
爆発の起点は圭一の僅か数メートル横の道路だった。
その中心には黄色の槍がアスファルトの下の地肌すら貫通して深々と突き刺さっていた。
「は――――」
突如としておきた出鱈目な破壊を、圭一は理解できない。
肺の空気がこぼれだすように、声なき声を漏らすのがやっとだった。
「王への拝謁の栄誉に浴しておきながら跪かぬとは無礼であろう。二度は容赦せぬぞ」
目にも止まらぬ速さで槍を取り出し投擲したのだとかろうじて理解できたのはそれだけだった。
相手がその気なら圭一には避けることはおろか、そう思う前に槍が身体を貫いていただろう。
立ちすくんでいると、圭一の頭部に着弾の爆発によって上に跳ねた拳大のアスファルトの破片が直撃。
ごちんという鈍い音とともに、思わず膝が落ちた。頭を抱えてうずくまる。
「がっ……!」
「くくく、石礫すら早く跪けと言っているぞ?」
「な、んな……」
「ところで小僧。今しがた、誰だ、と問うたな。まさか間近で見てもなお分からぬとは言うまいなぁ?」
圭一の心臓がどくんと大きく跳ね上がった。
からかうような男のその声の裏には、冷たい刃の迫力が込められていたからだ。
名乗りもせぬ男の名を言え、などという冗談のような問いを本気で投げかけてきている。
もし答えられなければ――――どこの世界的大スター様気取りだチクショウ。
待て落ち着け前原圭一。クールになるんだ。
最初に切嗣さんと会った映画館で名簿は確認したじゃないか。
こいつも首にわっかを嵌めてるからには、そのどれかに名前が載ってるはずだ。
といっても、大半は聞いたこともない名前ばっかりで何がなんだか……。
ま、まだ来るとは凄すぎる!
「答えられぬか小僧。王の名をすら言えぬとしたら、それは無知無礼無駄極まりない雑種だ。我は無駄なものは好かぬ――殺すか」
チクショウ好き勝手言いやがっててめぇなんかしらねーよバーカバーカ!
ああもうくそったれこうなりゃヤケだこんなイカれた奴は切嗣さんが言ってた「アイツ」に間違いねぇ!
決めた!
もう知るか!
間違ってたら――――――――誤魔化す!!
「あ……アーチャー様ですか?」
「――――たわけ」
「ぶげっ!?」
首から上が吹っ飛んだかと錯覚するほどの強烈な衝撃が、圭一の頭部を横殴りに吹き飛ばした。
無造作に振るっただけの男の平手で一瞬、音の感覚が飛び、視界が歪む。
「分かっているのなら我に無駄な手間を取らせるな。付いてこい雑種。王の従者たる栄誉を与える」
地にへばりついた愚民を見下ろしながら男の口元は半月形に歪んだ。
うずくまってピクピクと痙攣する圭一に向かって自らのデイパックを放り投げ、地面に突き刺さった槍を掴むと――、
「ああ、そういえば名を聞いていなかったな……おい?」
「――――へ!? あ、はい!」
「貴様の名を聞いているのだ。早々に答えよ」
「ま、前原圭一ですっ!」
半ば朦朧とした意識で聞いたその言葉に対して、圭一は授業で居眠りを指摘された生徒のように殆ど反射的に返答した。
それを受けて金髪の男――アーチャーは満足したのか頷いて、そして駅へと繋がる道へと歩き出す。
一方、放置された圭一は道路にへたりこんだまま、しばらく呆然と男が歩いていくのを眺めていたが、やがて目の焦点が会うと弾かれるように立ち上がった。
「え――――ちょ、ちょっとぉぉおおおお!?」
いまだに現状についていけていない。
従者って何だ。いや、なんでございますか――と聞きただそうとしてアーチャーのほうへ一歩踏み出した瞬間だった。
「圭一――我の荷を忘れるな」
底冷えのする声。
「はいいっ!!」
圭一はやっぱり反射的にアーチャーのデイパックを拾ってしまったのだった。
【G‐6 映画館前/一日目 早朝】
【前原圭一@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:疲労(中)、混乱、頭部にたんこぶ
[装備]:雪走@ワンピース
[道具]:双眼鏡(支給品はすべて確認済)、不死の酒(完全版)(空)、基本支給品×2
[思考・状況]
基本行動方針:仲間を助けて脱出したい
1:従者って何だよ? つか、この金ぴか誰だあああああ!?
2:切嗣と早く合流したい(切嗣のことをそれなりに信用してます)
3:万が一のときに覚悟が必要だ
4:魔法使い……?
※時系列では本編終了時点です
アーチャーの真名を知りません。
クロコの名前を知りません。
【ギルガメッシュ@Fate/Zero】
[状態]:健康、不死(不完全)
[装備]:黄金の鎧@Fate/Zero、必滅の黄薔薇@Fate/Zero
[道具]:なし(圭一に持たせています)
[思考・状況]
基本行動方針:主催を滅ぼし、元の世界に帰還する。必要があれば他の参加者も殺す。
1:駅に向かい、電車に乗って地図の境目を確認する。
2:宝具は見つけ次第我が物にする。 王の財宝、天地乖離す開闢の星、天の鎖があれば特に優先する。
[備考]
※ 不死の酒を残らず飲み干しましたが、完全な不死は得られませんでした。
具体的には、再生能力等が全て1/3程度。また、首か心臓部に致命傷を受ければ死にます。
投下終了です。
タイトルは「使いっぱしりのなく頃に」です。
ご意見ご感想ありましたらよろしくお願いします。
ああ、圭一が使いっぱしりにw
ギルガメがあまりに傲慢すぎるw
投下乙です!
タイトルで吹いたw
わざわざ高いところで支給品を見る金ぴかギルガメwwwww
自分達は真面目にやってるんだろうけど、はたから見ると笑えすぎるw
>Uc氏
投下乙です
丁寧な心理描写が良いですね
梨花の緊張感が伝わってきますし、ニコ兄視点を後回しにする事で絶望感も出せた
そして自分も例に漏れず、果物シーンで和んだw
見てて応援したくなるコンビです
>Sq氏
投下乙です
何という傲慢さ……これぞギルガメッシュ
パシり圭一に未来はあるのだろうか……w
投下乙ですー
圭一wwwww
ギル相手だと今後も悲惨だろうに……w
南無w
821 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/22(月) 10:18:52 ID:kZxzpfZB
四人共に投下乙です!
熱血メカポッポに、何処か似通ったハクオロ組、何か和むニコ兄と梨花、そして思わず吹いたギルガメ圭一。
それぞれキャラを活かしきっていて面白かったです!
GJ!
◆/1LLBq1Ub2氏の「ネズミの国」の神剣フラガバッハについて疑問がありましたので、避難所の議論スレに書き込みました。
ここのスレはたびたび作品の投下ラッシュで流される恐れがあるので、指摘についてはあちらに書き込んだほうがいいと判断したためです。
若干スロウリィな感はありますが、これからARMSを支給品に出す際の基準点にもなりそうなので……。
昨日、2作目で落ちて、帰るのも遅かったので今頃感想。
>Uc氏
一人称、心理描写中心の構成がいい感じですね。
ウルフウッドはやはり梨花を見捨てられなかったか。
木の実にやはり和みました。こう使うか!上手いなぁ。
そういえば、2人とも外見と中身の年齢が違う、って意味じゃこれまた似たもの同士なんだった。
>Sq氏
パシリ圭一誕生!!
圭一、殺されなくてよかったけど、まさかこんな事になろうとは。
我様は相変わらず我様だった。危険対主催だけど、吉良やゼロと比べると対主催寄り、かなぁ?
嗚呼圭一、切嗣との待ち合わせはできそうにない…てか、バレたらやばいな。
双方とも、改めてGJ!
皆さん投下乙です
ラッシュがすごいw
>>◆Wott.eaRjU氏
全員熱い!熱すぎる!
ラストシーンのかっこよさは異常
>>◆WDKcDkBO8c氏
たしかに墓穴って普通に考えたらつくるの大変ですね
二人の葛藤がとても丁寧でよかったです
>>◆UcWYlNNFZY氏
心理描写がらしくていいなあ
ウルフウッドの素直じゃなさが面白いw
>>◆SqzC8ZECfY氏
少年系は従者が似合う
しかし英雄王の従者は大変どころじゃない苦労しそうだw
切嗣の情報で英雄王からの危機を回避するところが人の縁を感じれていいな
土御門さんと無常さんが黎明でほったらかしですが
誰も書く人いないかな?
YOU書いちゃいなよ!
土御門は書く人がいなければあのまま朝まで寝ててもよさそうだが
アーチャーみたいに、早朝まですっとんできてもいいけど、書き手がつかないとなぁ。
禁書目録、買うか。
禁書目録ってラノベだっけ?
把握してみたいけど、小説は時間掛かるからなぁ……
アニメ化もしてるよ
御琴はまだしも土御門を把握するのは結構な巻数が必要になるな
御琴はまだしも土御門を把握するのは結構な巻数が必要になるな
連投すまん
新しい予約来てた!
いいねこのラッシュ!
乗ってるよ〜
ホントだ!また新予約二つとか……すげー!
おお、予約2つ…!すげぇ!
そういえばどっちも一度ばらばらになったグループ同士だな
838 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/23(火) 13:11:29 ID:0ZkBGwu4
勢い 24.22
マジだw
これで今のところ予約は四つてことか……てか最速氏マジで速すぎだろw
あ、マジだ
ページ名を変えるには新しいページつくって古いほう削除しかないんだよなー
842 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/23(火) 18:09:34 ID:dWXYMlMz
少しみてない間に繁盛してやがる
よかったな糞住人共
改行多い書き手は消えろ
エレガントの最上級、それがエレガレント!
なんてのはとにかく、新しくページ作ってリンク貼り直しといたよ
あと、wiki編集乙です!
未収録分だけじゃなく、支給品、参加者情報までってSUGEEEEEEEEEE!
乙だよ!
あ、したらばに仮投下来てるぞ。
内容について意見求めてる。
マジで!?
ちょっと見てこよう
マジか!行ってこよう
新しいスタンドDISCのセックスピストルズか
俺ジョジョ把握してないんだよなー
俺はいいと思うが
何スレか前でdiskは6部で実際にあったやつかせめて6部に出たスタンド限定って言ってなかったっけ
それが決定したのかはわからん
通しで良いと思うけどなー。
六部登場以外のDISC禁止が決まってたとしても、ルールに明記されてなかったのはこっちの不備だし。
スーパーフライのDISCがスタプラに差し代わったのは、スーパーフライの能力があまりにヤバかったからじゃないの?
5部か…!4部までは読み終わったんだが
discが6部限定っていうのは、初めてdiscが出てきたのが6部だからだよな?
前回のはスタンド本体にちょっと問題があったからそういう話が出たんだったか
個人的にはあまりにチート過ぎるスタンドじゃなければdiscでだしても構わない気がするけどな
まあジョルノいなくなって無くなった5部成分の代わりにもなるしなw
プッチ神父なしでDISCどうやって持ってきたの? って気はするけど……
他ロワの話だが漫画ロワはスタンドDISCを安易に許容したせいでものすごく苦労したって話を聞いた事があるんだが…
漫画ロワは神父が主催側に協力してたんだよな。
うーん……21世紀の道具で神父さん操ったとか、やりようはある気はするけど……
漫画ロワは、持ちキャラって言ってもいいくらいに神父を得意とする書き手がいたんだけど
正直な話、神父はめちゃくちゃ難しいと思う……
道具で操ったにしろ、ギラーミンの性格とか考えたら主催側の話はかなりハードル高い現状で、DISCを手に入れるところの描写を入れなきゃならなくなったら……
たぶん、ものすっごい大変ではないか。そう俺は思う
まあ、兎に角意見があるなら議論スレだ。
俺はジョジョよく知らないから見送っておくけど……。
>>855 21世紀の道具っつったら今の時代の道具になっちゃうんだがw
漫画ロワ書き手だった者だけど……大変だよ。
捏造ディスクの尻拭い、死ぬほど大変だよ。本気で。
結構面白い展開だったがなー。
スタプラ以外で、原作で出たスタンドDISCってなんだろ?
DISK以外の方法でスタンドに目覚めた可能性は?
>>861 それだと、2つとして同じ能力はありえないからね。
原理から言えば、弓と矢があって適性があれば目覚める可能性はあるけど。
オリ能力捏造はさらに大変w
>>858 マジだw素でミスったw
あと皆、賛成反対だけでも良いから議論スレで意見書こうぜー
>>860 ウェザー・リポート
サバイバー
ストーン・フリー
ジェイル・ハウス・ロック
ジャンピン・ジャック・フラッシュ
ドラゴンズ・ドリーム
ハイウェイ・トゥ・ヘル
フー・ファイターズ
『世界』
マリリン・マンソン
ヨーヨーマッ
リンプ・ビズキット
水を熱湯に変えるスタンド
『世界』とストーン・フリーは、DISC化しただけで抜かれてないけど
矢が刺さりセックスマシンガンズが発現しましたでもいいんじゃ
ネタ考えるの早すぎだろw
しかも三つとかw
ロワはノリでいい
そう思っていた時期が俺にもありました……
簡単な話。
原作に出てないスタンドディスク=オリジナル支給品なんだよ。
だったらほとんどなんでもありになっちゃうだろ。
キャラがARMSに取り込まれて暴走したり、または都合よく覚醒してチートがぞろぞろ出たり、収拾つかなくなるぞ。
あんまりルールを強め過ぎてもテンプレ展開にしかならない気もするんだがな。
特に○ロワは、殆どのキャラが他ロワと被ってんだし
>>868 未踏の地を危険承知で突っ走るなら、ノリと勢いは大事なんだけど。
既に困難があることが分かってる領域に突っ込んでて、
そこに過去に突っ込んだ先駆者が警告発してるとなるとちょっと違うよ。
それはノリじゃなくてただの考えなし。
先駆者が警告発してるというが、自分も漫画描き手だったのでディスク賛成派だと言っておく。理由は描写の幅が広がるから
まあ、とりあえずその書き手に判断してもらって修正してもらえばいいさ
>>872 ああ、意見の違いはあっていいとも思うよ。
ただ、それをノリの一言で通そうとするのには反対ってだけ。
正直ジョジョ知らないからよくわからないけど
うまい方向におちつけばいいなと思うよ
あの状況でB以外選べたら勇気ありすぎだろ……
破棄か修正だろうな……あぁ面白そうだったのに
破棄は絶対ないでしょー
なんでいきなり破棄が出てくるん?
いや選択肢としての話。
Bと決めるのもどうかと思うから
@、A以外の方針で書いてくれればおk。
もし思いつかなくてもセックスピストルズが登場するシーン省いてもSSとして通用するし
破棄は行きすぎだなー、ってか書き手さんもそこまで自棄起こして欲しくはないな。色々言ったけど。
あの人の作品俺はものすごく好きだから破棄はきついな
うん、俺もあの人の作品好き
まだ本投下されてないから書いてないけど早く感想書いてはっちゃけたい
ここまでいろいろなるとは思わなかった
なんかいろいろあるのねスタンドDISCって
実はもう感想半分くらい書いてあったりw
5・6部はよくわからないので、議論の行方を待ちます
支給品が出てくる理由までしっかり考えないといけないのか……
そういうものがありましたじゃ駄目なのかね?
それをいうなら殺害者の名前が出るポケベルとかも微妙なラインになるし
スタンドDISCは前例があるから…。
完全オリアイテム(それも技術的障害の低い機械類)とは、また違う次元の問題だと思うよ。
>>854の話は実感なかったのに。まさに人それぞれか
だから、原作にない支給品だしてどーするのよって、たったそれだけだと思うんだが。
それについてはどーなんだか。
志村、名前、名前ー!
議論スレの奴キレんなwww
気持ちは分からんでもないけどwww
今議論スレ見てみたら削除されてるレスあったけど何かあったのかな
削除入ってる……何があったw
お待たせしました。園崎詩音投下します
支援
「はぁ……はぁ……ここなら、大丈夫でしょうか」
そう呟きながら長い緑色の髪を持った少女が床に座り込む。
名は園崎詩音という。
愛すべき者の為に殺し合いに乗り一人の命を奪った『鬼』、もしくは『悪魔』。
その少女が休む先に選んだ場所は小高い丘の中腹に佇んでいた古い寺だった。
既に誰かが訪れたのだろうか、人が居た形跡がかすかに残っている。
詩音は息を整えながらぐるりと辺りを見回す。
あるのは壊された仏像と使い古された蝋燭のみ。
本当に寂れた寺だった。
それを詩音はもう一度確認すると大きな溜め息をつき床に大の字になって寝転んだ。
兎に角疲れた、詩音が感じていたのはそれだけ。
(あっという間……)
本当にあっという間の時間だった。
上条当麻と名乗る少年をこの手で殺し。
メイドと親父と少年と道化のような男との乱闘を繰り広げ。
そして。
(すいませんねえ……『詩音』……あはは……でも元々『魅音』は私の元ですから……返してもらいますよ……ええ)
『魅音』を騙った。
自分の半身である彼女の名前を。
いや……元々詩音の名前だったものを。
詩音の罪を彼女に擦り付ける為に。
詩音が動きやすくする為に。
詩音は片割れを切り捨てた。
その行為に後悔もない。
罪を押し付けられる魅音に対して哀れみもない。
罪を押し付けてしまった魅音に対して謝罪する気もない。
何故なら。
詩音の心に一人の少年がずっと居るから。
ずっと。
ずっと。
待っていた人。
逢いたかった人。
いつでも。
いつでも。
傍に居た人。
笑っていた人。
そして。
今でも
今でも
うわ早い!
詩音の予約はいったの昨日じゃなかったっけ支援
大好きな人。
愛している人。
(悟史君……)
北条悟史という最愛の人が詩音の心でずっと笑っているから。
詩音の傍で、ずっと。
逢いたかった。
逢って話したかった。
逢って笑いあいたかった。
いつか、いつか逢える。
そう信じて。
今まで生きてきた。
今まで頑張ってきた。
今でずっとずっと。
待っていた。
その悟史にやっと逢えるというのだ。
やっと、やっと。
ずっと待っていたのだから。
それなのにこんな殺し合いに連れてこられたのだ。
逢えると思ってたのに。
逢いたい。
今すぐ逢いたい。
今すぐ話したい。
今すぐ笑いあいたい。
大好きな彼に。
「逢いたい……」
詩音は唯、逢いたかった。
悟史に会いたかった、それだけだったから。
そのためには
(私はなんだってやります……悟史君に逢えるなら)
詩音は『鬼』にも『悪魔』にもなる。
悟史に逢えるなら。
人を殺す事も。
魅音を騙る事も。
なんだってやってみせると。
詩音に後悔は無い。
全ては悟史に逢う為に。
悟史が好きだから。
悟史が大好きだから。
支援ー
「だから私は鬼にで……」
詩音がそう改めて宣言しようとしたその刹那
―――ねーねー
ねーねーと呼ぶ小さな女の声が詩音の耳に聞こえた気がした。
とてもか細くだけどとても愛おしい声が。
自身を姉と呼ぶ声が聞こえてきた。
「……っ!?……捨てるはずといったはずです」
それは自分が護ろうとしていた存在の声。
そしてこの殺し合いが始まった直後に捨てようとした存在の声。
愛すべき北条悟史の妹、北条沙都子の声。
彼女を護ろうとしていた、悟史の為に。
彼女を託されていた、悟史に。
沙都子と居る事は悟史の為でもあったから。
でも本当に悟史の為だけのものだろうかと詩音は思う。
あの時ねーねーと呼ばれて嬉しかった自分。
沙都子の為に尽くしていた自分。
沙都子と笑っていた自分。
それは偽りだったのだろうか?
いや、違う。
温かいものだとおもっていた。
なら。
……なら。
悟史の為に自分は沙都子を殺せるのだろうか?
沙都子をこの手で殺せるのだろうか?
沙都子を殺して悟史は喜ぶのだろうか?
そんな自分を見て悟史は軽蔑しないだろうか?
沙都子は自分を待っているのだろうか?
そう。
そう、思ってしまった。
捨てるといったはずなのに。
そのはずなのに。
沙都子はその程度の存在のはずなのに。
それなのに。
どうして沙都子を殺せないと思ってしまうのだろうか?
そう、詩音は思ってしまう。
心が揺れている。
ブランブランと激しく揺れる振り子のように。
思ってしまったら止まらなかった。
沙都子の笑顔が。
詩音を呼ぶ声が。
心に浮かぶ。
どうしようもなく止まらなくなって。
でも。
それでも。
「私は……それでもっ! 悟史君に逢うんです! 絶対っ!」
強引に押し止めた。
全ては悟史に逢う為に。
そう決めたから。
だから、迷ってはいけないと。
詩音は心に誓った。
強く。
強く。
誓った。
「行きましょう……もう大丈夫」
そして起き上がり詩音は寺から出た。
風が優しく吹いている。
見上げる空は明るくなってきて星がみえるかどうか。
でもそれでも詩音は思う。
できるなら、この想いを彼に届けてほしい。
風よ。
星よ。
私は悟史君の元に帰ると。
そう、願った。
果たして詩音は沙都子に対しても『鬼』でいられるか?
知っているのは風と星だけ。
【C-1 古寺前/1日目 早朝】
【園崎詩音@ひぐらしのなく頃に】
【装備】:なし
【所持品】:基本支給品二式、不明支給品0〜2個(確認済み) 、月霊髄液(ヴォールメン・ハイドラグラム)@Fate/Zero
【状態】:健康 能力者<ハナハナの実>
【思考・行動】
0:沙都子を殺せる?
1:優勝して、悟史のところへ戻る。
2:魅音の名を騙る。
3:沙都子に対して……?
【備考】
本編終了後からの参加
※ハナハナの実の能力を得ました。任意の場所(自身の体含む)に、自分の部位を生やす事ができる。
生やせる部位は、制限により『腕』のみです。
ただし、今は『腕』を2本、それも互いにそれほど離れた位置には生やせません。
時間の経過、能力への慣れによっては本数が増える可能性もあります。
また、生やした全ての部位に意識を向けるので、慣れていない状態では単純な動作しかできていません。
生やせる場所は、使用者を中心に15メートルの範囲内に制限されています。
生やした部位がダメージを受ければ、本人にもダメージが伝
投下終了です。
支援有難うございました。
指摘、感想お待ちしています
投下乙です!
本当に心理描写濃いなぁ…
詩音ー!沙都子のねーねーになんとかなっておくれー!
ひとつだけ指摘ですー
最後状態表が途中で切れてますよ
これはコピペミスかな?
投下乙です。
うん、スキだからやるんだよね。
間違っていても、それしかないから。
ちゃんと分かっていて、それでも迷いながらも進んでいくってのは、ここでは貴重なタイプ。
何度も何度も重ねるようにして染み渡らせていく心理描写がGJです。
投下乙!
確か予約したのは昨日だった筈……なんという速度w
詩音の悟史に対する愛が切ない……切ないよ、しかし同時にその深さも良く感じられました。
そして沙都子の事について思い直した事がどういう転機になるか、今後が気になるー。
投下乙です。
悟史のための鬼となるか、沙都子のねーねーを選ぶか……この二面性が詩音というキャラクターに深みを持たせていて、とても良かったです。
こういうタイプは好きだなぁ。頑張ってほしい。……マーダーとしてもw
914 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/24(水) 02:30:46 ID:1SlJkaJo
投下乙
915 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/24(水) 02:32:11 ID:1SlJkaJo
一度殺して生き返らすと考えるかも
詩音に弱みが生まれたか…
こういう人間味溢れる奴は大好きだ
投下乙!
『原作(アニメ)終了時』というのがここでやっと活きてきたなぁ。
ここが目明し詩音とかの違い。
きちんとその辺りの違いを出して繋げる、いいSSです。
え?にしては魅音があっさり切られてるって?
……まあ、魅音だし……あれ、誰か着――
投下乙です。
詩音の苦悩が良い!
沙都子と悟子の間で揺れ動く心は何処に向かうのか……GJでした
ところで地図見て気付いたんだが遊園地入口周辺がヤバいなw
深夜の辺りじゃ平和だなー、と思ってたんだがなー。
今や
入り口周辺のF2エリア:梨花&ウルフウッド(早朝)
カルラ&ドラえもん(黎明)
北のE2エリア:橘&真紅(黎明)
ベナウィ(黎明)
ルフィ(黎明)
南西のG1エリア:仗助&アルルゥ(早朝)
南のG2エリア:クレア(黎明)
新庄&伊波(早朝)
ものの見事に北南をマーダーに押さえられている上、タイムリミット間近新庄や、プッツンしやすい仗助やら、
騒動の種が大分多いんだよな。
さらにドラえもんの悲鳴もどこまで聞こえてるのか、とかもあるし
ラッドや御坂あたりもこっち来そうだし
おっかないな
あちこちできな臭くなってきてるよな
修正終わったので、レヴィ、仗助、アルルゥ本投下します
支援
その時、東方仗助は、普段あまり使っていない脳をフル回転させていた。
肩の上では獣耳の幼女が愛くるしい寝顔を見せているが、今の仗助の目には映らない。
視線は手元――手に持った一枚の紙と縦が短い円柱の物体に釘付け。
ともすれば頭から煙が出そうな程に思考を続ける。
そして数分の時間が経つた頃、
「さっぱり分かんねーーーーッ!! コンパスと地図だけで位置の把握なんか出来るかっつーーの!!」
その全てを放り投げ、頭を抱えてその場に座り込んだ。
デイバックから水を取り出し喉を潤す。
程良い温度の水がオーバーヒートを起こし掛けた脳を冷やしてくれる。
ペットボトルの約五分の一を飲み干し、仗助は空を見上げた。
(承太郎さんならまだしもよォーー俺がこんなもん分かる訳ねぇだろうがーーー!! ギラーミンの野郎もちっとは物考えろよなぁーーー!!)
先程まで彼が行っていた作業は地図とコンパスによる現在地の特定。
そしてアルルゥを休められる施設が設置された方角の把握。
しかし残念なことに仗助が居る位置は森の中、目印となる建物は一つもない。
それに加え仗助は、親友のスタンド使い程ではないにせよ頭が良い方ではない。
とてもじゃないが、コンパス一つで自身の位置を判断など不可能。
仗助はうなだれることしか出来なかった。
「はぁ……マジでどうすっかな……」
呟きと共に仗助は大きな溜め息を吐く。
―――取り敢えずアルルゥに怪我はない。ただ気絶しているだけだ。
だが、休ませるにせよ他の参加者に見つかり易い外はマズい。
万が一、さっきのスタンド使いみたいなプッツン野郎や吉良のような殺人鬼に遭遇したら、気絶中のアルルゥを抱えての戦闘となってしまう。
それはあまりに危険だ。
自分もそうだが、何よりもアルルゥが。
例えクレイジー・ダイヤモンドがあるにせよ、こんな純粋な子供に痛い目は合わせたくない。
せめて何処か身を隠せられる場所には辿り着きたい。
(とは言っても、絶賛迷子中だからなぁ……くそ、情けねぇ……)
二度目の溜め息を吐き、仗助は立ち上がった。
背中にアルルゥを抱え、周囲をクレイジー・ダイヤモンドで見回し警戒しながら、歩き始める。
行き先は決めていない。
ただ自身の勘を頼り前に進む。
何もせず管を巻いているよりは何倍もマシな筈―――そう判断し、仗助は行動を始めた。
(それにしてもよぉー、何でこの名簿には吉良の名前が載ってんだ?)
その名は今だ記憶に新しい。
平穏な杜王町の影で行われていた凄惨な殺人劇、その首謀者・吉良吉影。
触れもの全てを爆弾に変える恐るべきスタンド能力を持った男。
自分がこの手でブチのめし、承太郎さんにもブチのめされ、そして最後は事故で死んだ糞野郎だ。
(まさか生き返った? ……有り得ねぇ……そんなのクレイジー・ダイヤモンドにも……いや、どんなスタンドにも不可能だ……。
なら同姓同名の別人? こんなヘンテコな名前が二人も居るとは思えねーけどなぁ……)
歩きつつも思考を続けるが、しっくりくる解答は浮かばない。
駄目だ。考えたって分からないことは山のようにある。
これはその中の一つだ。
深く考えない方が良いだろう。
支援
(それに、この吉良吉影が本人だったとしても、もう一回ブチのめしてやれば済むことだしな……)
そこまで考え、仗助は取り敢えず思考を打ち切った。
背中のアルルゥは未だ目を覚まさない。
寝息を立て、気持ち良さそうに夢の世界へと旅立っている。
頭から犬のような耳を生やした幼女。
不思議で仕方がない外見だが、スタンドや吸血鬼、幽霊などの存在を知った今となっては大した驚きは覚えない。
ただ純粋に「護ってやらなければ」という感情が湧いてくるだけであった。
「絶対『おとーさん』と『おねーちゃん』に会わせてやるからよ……お前は何も気にせず寝てて良いんだぜ……」
その頭を撫でる。
くすぐったそうに笑うアルルゥ。
そんなアルルゥを優しげな瞳で見詰た後、仗助は前方を見据えた。
―――必ずこの殺し合いをぶっ壊して見せる。
何時しか仗助の瞳には光が宿っていた。
それは、「正義」の輝きの中にある「黄金の精神」。
その瞳は、誰にも負けない優しく力強い光を映し出している。
彼の中では今、まさに、「黄金の精神」が怒りと共に燃え盛っていた。
――しかし仗助は気付いていない。
自分の進み始めた方向が、本来向かおうとしていた中央部から全くの反対だということに。
自分の勘が完全に外れているということに。
そして地図の端に到達し、そのまま足を踏み出してしまったことに。
ループする会場。
当然ながら、仗助の身体は自身も気付かぬ内にH-1へとワープしていた。
□
歩き始めてどれだけの時間が経ったか。仗助は建物の一つも見つけ出せずにいた。
歩けど歩けど風景は変わらない。
あるのは緑色の葉を付けた木々のみ。
体力に自信はある仗助であったが、流石にこれだけ歩き続けていると疲労も覚える。
仗助は小さく溜め息を吐き、木にもたれ掛かり水を飲んだ。
―――パキリ
すると何かをへし折ったような細い音がした。
水をバックに積め直し、周囲を見回す仗助。
その音は仗助自身に聞こえた訳ではない。聞いたのは隣に浮かぶクレイジー・ダイヤモンド。
人間を遥かに超越した聴覚で、その些細な音を聞き取ったのだ。
そして数秒もせずに、仗助は暗闇の中から音の主を発見する。
(……女?)
それは、あのプッツンスタンド使い以降、久方振りの参加者。
異様に露出度が高い服装、右肩には巨大なイレズミ、明らかに普通でない容姿をした女性。
仗助は警戒を解かずに、だがそれを相手に悟られないよう表情を緩め、歩み寄る。
向こうも仗助の存在に気付いたのか、ゆっくりと近付いてきた。
支援
支援!
「俺は東方仗助って言います。えっと、あんたの名は――「黙れ」――何て言うんスか? …………ぅて、え?」
女性が発したのはたった二文字の言葉。
相手に警戒心を与えないよう浮かべていた仗助の笑顔が固まる。
そして、見た。
一瞬の内にホルスターから懐から取り出され、自分へと向けられた拳銃を。
端から見ても一目瞭然な程の憤怒を浮かべた女の顔を。
「あの、今なんて……?」
「黙れって言ったんだよ。お前のその耳は飾りか? あ?」
(……………………な、何なんだよ、この展開はぁー! 俺が何かしたっつーのかよォーーー!!)
仗助は心の中で叫んだ。
二連続でプッツン野郎と遭遇した自分の運のなさに。
そんなプッツン野郎へ不用意に近付いてしまった自分の甘さに。
「良いか、今からあたしが二つ質問する。イエスかノーで答えろ。それ以外は何も喋るな。喋れば殺す、何か不審な動きをしても殺す、分かったな」
女の言葉に頷きながら、仗助はうなだれた。
直ぐ目の前では銃口がプルプルと震えている。
今にも引き金を引かれそうで心臓に悪い。
「真っ白な車掌服を着て赤色の髪をした男を見たか?」
真っ白な車掌服。
赤色の髪。
白色の服を着たプッツン野郎とは会ったが、赤色の髪ではなかった。
そして残念ながらそれ以外の参加者とは遭遇していない。
「ノ、ノーっス」
「ちっ、こっちじゃなかったか……ミスったな」
途端、女は仗助の存在などを忘れたかのようにボヤき始めた。
頭を掻き揚げ、落ち着かない様子で足をパタつかせる。
よくよく見ると女の身体は傷だらけだった。
全身至る所に小さな傷があり、左手の小指など欠損している。
(……もしやこの女『赤髪で車掌服を着た男』に襲われたんじゃねーのか? それならこの「怒り」にも合点がいく……)
未だ女はブツブツと愚痴を呟いている。
その癖、銃口はシッカリとこちらに向いていて、離れない。
一筋の冷や汗を流しつつも仗助は脳をフル回転させる。
(なら、何とか落ち着かせて傷を治してやれば仲間になってくれるんじゃねーか? オォ流石は仗助くん、良いアイディアだ!)
銃口から女へと視線を移し、仗助は大きく息を吸い込む。
意を決し声を掛けようとし―――しかしそこで女が再び口を開いた。
支援
「二つ目の問題だ。何か銃を持ってねぇか? 持ってたら今直ぐよこしな」
「い、いや、その質問もノーっス……」
出鼻を挫かれた仗助は、開いた口を質疑応答の為に使用してしまった。
あまりのタイミングの悪さに、何度目か分からない溜め息が口から出る。
と、そこで女が自分を見詰めている事に仗助は気がついた。
その視線は氷のように冷たい。
仗助は警戒心を高めた。
「……お、俺の顔に何か付いてますか?」
「……気に入らねぇな」
「は?」
「……てめぇの使えなさにもそうだが、何よりその余裕が気に入らねぇ……自分が今、死ぬかどうかの瀬戸際に立ってるってことに気付いてねぇだろ?」
「いや、そんな事はないんスけど――」
――その言葉を言い切る前に、仗助の身体は後ろに吹き飛んだ。
周囲に鳴り響くは耳をつんざく轟音。
女が銃を撃ったのだ。
十メートルと離れていない距離から、放たれた弾丸は空気を切り裂き仗助に飛来する。
プッツン野郎―――仗助が眼前の女に抱いた印象は決して間違っていなかった。
ただ一つが解釈を間違っとするならその度合い―――女の『プッツン具合』を見誤った。
普段の女なら、確かに多少プッツンしている所はあるがまだ仗助の予想の範囲内だっただろう。
だが今の女は違う。
ある世界での最強と謡われる殺し屋と戦い、苦い敗北の汁を舐めたばかり。
要するに、女は何時もより遥かにプッツンしていたのだ。
そして、元々殺人を忌避しない性格も重なり、ただ気分に任せ、女は引き金を引き絞った。
「敬語はちゃんと使え、ボケが」
女の思った通りに仗助は吹き飛び、倒れた。
女は冷酷な呟きと共に、唾を吐き捨てる。
ふと、男が変な耳を生やした幼女を背負っていたことを思い出したが、流石にあんな子供を仕留める気にはならず、女は銃をホルスターへと収めた。
女は、バックを奪う為に男の死体へと近付いていく。
――そして気付いた。
男の身体に重なるように存在する巨大な人形に。
その人形が「何か」を摘まんでいることに。
その「何か」が自分が撃ち出した弾丸だということに。
「何しやがんだ、このアマーーーーッ!!」
男が何事もなかったかのように立ち上がる。
その身体は怒りに震え、眉間には深い皺が寄っている。
男の身体から浮き上がる、鋼のような筋肉を纏った人形。
最初上半身だけだったそれには下半身が付け足されている。
―――クレイジー・ダイヤモンド
全てを破壊し、そして全てを治す事ができるスタンド。
それが女の目の前に具現化された。
支援
□
「このプッツン野郎が! こっちが下手に出てりゃつけあがりやがってよぉーーッ!!」
(何だ、この野郎! 弾丸を……摘み取りやがった!!)
女――レヴィは反射的にその場から飛び退いた。
レヴィが取ったその選択は正解。ベストとも言える解答であった。
何故なら、レヴィが下がると同時に、目の前の男から現れた人形が拳の連打を繰り出したから。
間一髪、そのラッシュはレヴィに当たる事なく空を切った。
「ドララァッ!!」
だが人形はまだまだ止まらない。
続いてレヴィに襲い掛かるは蹴撃。
残像すら見える速度での連続蹴り。
何とか身を捻り避けようとするも、一発の蹴りがレヴィの脇腹を叩く。
レヴィの身体がその場から吹き飛んだ。
三回ほど地面の上で回転し、その勢いを利用し何とか立ち上がるレヴィ。
直ぐ様、銃を構える。
その顔には変わらぬ怒りと驚愕、そしてダメージが見て取れた。
「てめぇ……何なんだよ、それは……」
「何だ、オメーもスタンド使いかよ」
「スタンド……?」
「出せよ。どんなスタンドだろうと俺のクレイジー・ダイヤモンドがぶっ潰してやるけどなッ!」
怒りに沸騰する頭でレヴィは思考する。
――奴が今言った「クレイジー・ダイヤモンド」、「スタンド」とは、恐らくあの人形の名称。
近距離から放たれた銃弾を摘み、阿呆みたいな力と速度で連打をかました超ハイスペック人形。
何故今まで出さなかったのかは知らないが、相当に厄介な相手だ。
(チッ……何でこう貧乏クジばかり引くんだよ!)
ゲーム開始して早々に出会った化け物二人――変態マスクと派手な右腕をした男。
次に会ったのは思い出すだけで殺意を抱かせる糞男――クレア。
その全員が、まるでコミックブックから飛び出したヒーローのように馬鹿げた身体能力を持っていた。
それは目の前の男も同様。
「スタンド」、「クレイジー・ダイヤモンド」を操る化け物――確か名前はヒガシカタ・ジョースケと言ったか。
まさにクレイジーだ。
割に合わない。
金を積まれての依頼ならまだしも、ノーリターンで始末する奴等じゃない。
(―――だけどな)
レヴィは引き金を引きつつ後退し、仗助との距離を離す。
仗助は弾丸に怯むことなく一歩一歩近付いてくる。
弾丸はクレイジー・ダイヤモンドにより見当違いの方向へ逸らされている。
支援
支援
し え ん
支援
支援
(てめぇみたいな小便垂れのガキから逃げたとなっちゃあ、信用もプライドも地に落ちちまうんだよ!!)
銃弾すら弾く敵。
決して軽くない負傷。
武器は、使い慣れた愛銃ではない一丁の拳銃。
自慢の二挺拳銃も発揮できない状況。
普段なら撤退も考える―――だがレヴィは引かない。
プライドが、何より奥底から溢れ出す感情が、撤退を許さない。
「GO! GO! GO!」
レヴィは単純に思考した。
単発が防がれるのなら連射すれば良い。
その単純な思考の元、引き金に掛かった人差し指を七回動かす。
不可視の螺旋を描き直進する七つの弾丸。
流石のクレイジー・ダイヤモンドでも全て摘み取るのは不可能に近い。
「ドララララァッ!!」
――そう、摘み取るのは、だ。
摘み取れないのなら逸らせば良い。
拳の壁が全ての弾丸を弾き飛ばす。
クレイジー・ダイヤモンドの脚力で地面を蹴り、レヴィへと向かう仗助。
(速い……が、着いて行けねぇ程じゃねぇ!!)
確かにクレイジー・ダイヤモンドを用いての移動は速いが、レヴィもまた銃弾飛び交う戦場を無傷で潜り抜ける逸脱人。
まだ反応できる速度。
直ぐさまマガジンを入れ換え、再び仗助へと狙いを定める。
しかし、引き金は一回しか引けなかった。
それと同時にクレイジー・ダイヤモンドの射程距離に入ってしまったからだ。
「ドラァッ!!」
「チィッ!!」
銃弾はやはり弾かれた。
代わりにレヴィの顔並みに巨大な拳がうねりを上げて迫る。
その拳速にはさしものレヴィでも避けきれない。
拳は見事に顔面を捕らえ、レヴィの身体を浮き上がらせた。
「少しは目ぇ覚めたか、プッツン女が!」
闇の中に消えていくレヴィ。
レヴィが吹き飛んだ方に指を向け、仗助は腰に手を当て立ち尽くす。
その言葉とは裏腹に、その額には冷や汗が浮かんでいた。
この時、仗助はある考えに行き着いていたからだ。
その考えこそが仗助に冷や汗を流させる原因。
(やり過ぎちまったか? スタンド使いじゃねぇ普通の人間相手に……)
――その考えとは、戦闘を繰り広げているこの女がスタンド使いでは無いのではないか、という事。
先程から相手は、拳銃を使用しての何の変哲もない攻撃しか行わない。
それどころかスタンドを使う素振りすら見せない。
確かに女の動きには目を見張るものがあるが、それでもクレイジー・ダイヤモンドの速度から見れば圧倒的に遅い。
追い詰めているのは自分。
追い詰められているのは相手。
なのにスタンドを使う兆しすら見せない。
おかしい。
この状況ならどんなスタンド使いだろうと、防御くらいにはスタンドを見せる筈だ。
支援!
――それらの事柄から予測できる事は、相手が非スタンド使いでは無いかということ。
何故、スタンドを見る事が出来るかは分からないが、そう考えなくては現状を説明できない。
そして、その結論に行き着くと同時に頭に昇っていた血が下がり、怒りは何処へともなく消えていった。
(このまま寝ててくれると助かるんだけどな……これ以上殴るのは流石に抵抗あるしよぉーー……)
正当防衛とは言え、非スタンド使いをスタンドで傷付けるのは罪悪感が宿る。
それにクレイジー・ダイヤモンドは近距離パワー型、人を簡単に殺害できる力を有したスタンドだ。
その力故に、躊躇いは倍増する。
(頼むぜ……寝ててくれ……)
いるか分からない神様に祈る仗助。
右肩にはこれだけの戦闘音にも目を覚まさないアルルゥが寝言を呟いている。
その時、レヴィの吹き飛んでいった方角から何かが現れた。
(ボール……?)
クレイジー・ダイヤモンドの視力がその全貌を見透かす。
赤と白に塗り分けられた、ポケットに入りそうなサイズのボール。
半透明のそれの中では何かが動いている。
その正体を探ろうとクレイジー・ダイヤモンドの視覚に意識を集中させる。
(猫……?)
ボールの中に居た動物は、仗助の知識の中には存在しない生物であった。
猫のような輪郭、だが猫とは、いやどんな動物だろうと有り得ないまん丸とした饅頭のような身体。
念の為クレイジー・ダイヤモンドを前方に出現させ、何が起きても対応できる体制を整えておくが、仗助は未だに事態に着いて行けていなかった。
そして遂にボールが地面に触れる。位置は仗助から数メートルと離れていない。
そして――
「何ぃぃいいいいいッッ!!!?」
――仗助の身体が、クレイジー・ダイヤモンドごと大質量の何かに吹き飛ばされた。
とっさにアルルゥを自身の両腕で抱き締め、同時に大柄な仗助の身体が宙に舞い、縦回転を始めた。
抗いようのない力に宙を舞いながらも、仗助はその一部始終を見た。
地面に触れた瞬間に消えたボール。
その代わりに現れた、ボールと同サイズの小さな猫。
だがその猫は、コンマ数秒と経たない内に巨大化していった。
そして遂には自分へと到達し、クレイジー・ダイヤモンド毎、自分を弾き飛ばす。
思わず抱き締めたくなる柔らかそうな胴体、そこから生える極端に短い手足、そして八重歯の可愛い細目の猫の姿を、仗助はしっかりと捉えていた。
「ホームランだな、糞ガキ」
――同時に視界の隅を掠める一人の女。
悠々と地面に立つ女は歪んだ笑みと共に拳銃を構えおり、その銃口は、空中できりもみ回転中の仗助へと向けられている。
マズいと思う仗助であったが、如何せん状況が悪すぎる。
身体はグルグルと回転しており防御体制を取ることすら困難。
自分が上下左右のどちらを向いているのかすら、把握できない状態だ。
(ヤ、ヤベェ!)
四方八方にクレイジー・ダイヤモンドの手を伸ばすが、虚空を掴むのみ。
何かを治し、その力で移動することも不可能。
全方位へのラッシュで銃弾を防ぐ?
無理だ。一発だけならまだしも連射されれば確実にどれかは当たる。
何でも良い。
打開策を考えろ。
この状態をぶち破る策を――
(――だぁあああああ、何も思い浮かばねぇーーッ!! マジでヤベェぞ、これはッ!!)
「死になッ!!」
その最終宣告に身体が無意識に動いた。
当たるとは思っていない。
だがただの的のまま終わる気もない。
最後まで足掻く――その意志が仗助を動かしていた。
クレイジー・ダイヤモンドの右腕を左肩に掛かったデイバックに突っ込む。
満足に確認していないデイバックの中から、最初に触れた球体状の物質を取り出す。
上下が赤と白に色分けられた、どこか見覚えのある「ソレ」を握ったまま、思い切り振り被る。
命中すれば僥倖。
当たらなくても僅かに攻撃の手を休められれば充分。
クレイジー・ダイヤモンドが渾身の力で「ソレ」を投げ付ける。
そして同時に鳴り響く轟音。
「ドラララララララララララララララララララ!!」
直ぐさまラッシュ、ラッシュ、ラッシュ。
上下左右斜めに至るまで、全てを拳の弾幕で埋め尽くすつもりで連打、連打、連打。
―――拳に何か触れた。
弾丸だ。そう思う間もなく、右の太股に灼熱が掠める。
痛い。ほんの僅かだが、肉が削ぎ落とされた。
だがそれでもラッシュを止める訳にはいかない。
「ドラララララララララララァッ!!」
痛覚を咆哮で誤魔化す。
数秒に渡るラッシュの後、身体が地面と激突。
背中と後頭部に鈍い衝撃が走り、一瞬視界が黒に染まる。
受け身は取れなかったが、アルルゥはしっかりと抱きかかえ死守する。
(寝てる場合じゃねぇ……早い所逃げねーと……)
今のフラフラの状態であの女と戦うことは不利。
そう判断し、力が上手く入らない脚を根性で動かす。
亀よりも遅い足取りだが一歩一歩確実に前へと進んでいく。
何故かは知らないが、追撃の弾丸は飛んでこない。
クレイジー・ダイヤモンドで後方を覗くが、まるで山のような巨体で寝転がる猫が邪魔で女の姿は確認できなかった。
(そーいや、一発しか撃たれなかったしな……向こうも何かトラブったのか?)
此処に来て舞い降りた幸運に感謝しながら、仗助は森の中へと姿を消していく。
その右肩では幼女が幸せそうな笑みを浮かべていた。
支援
支援!
支援
□
顔面を殴られる。
数瞬後、地面に激突。
凄まじい衝撃と痛みに逆に呼び覚まされた意識。
レヴィは、自身の身体で地面に大の字を描きながら、考える。
奴を、東方仗助をブチのめす方法。
近距離からの銃撃は防がれた。
連続の銃撃も防がれた。
一丁しか拳銃がない以上、真っ正面からの射撃は不利と言える。
なら逃げるのか?
それも無理。
一日に二度コテンパンなされて、のうのうと生きていられる程お気楽な性格ではない。
絶対にブチのめす。
一発でも良いから奴に鉛玉をぶち込む。
そうでなくては気が済まない。
そして考え付いた。
奴をぶっ飛ばせるかもしれない作戦を。
取り出すは一つの球体。
自分に支給されたモンスターボールという名前のアイテム。
付属の説明書を見ると、「ゴン」という名のポケモンが入っているとのこと。
「ポケモン」という生き物が何なのかは分からなかったが、この「ゴン」と共闘
すれば奴を倒せるかも―――そう思い、仗助へとボールを投げ付けた。
そしたら、次の瞬間奴は宙を舞っていた。
穴の空いた風船のように激しく回転しながら。
「スタンド」を出し、もがいていたが、依然回転を続けたまま。
どうやらボールから飛び出し巨大化したカビゴンに当たり、吹き飛ばされたらしい。
いくら銃弾を防げるといってもあの状況下では不可能だろう。
当初の予定とは全く違うが、結果オーライ。
満開の微笑みと共にレヴィは引き金を引き――――何かが顔の直ぐ近くを通過した。
仗助に銃口を向けたまま横に飛び、瞳だけを動かし飛来した何かを見る。
「……は?」
そこに居たのは余りに奇妙な生物。
見事なまでに形の整った球体。
その球体から生える短い二本の腕と二本の足。
球体の中央に鎮座するやけに目つきの悪い顔。
肌は岩のような、というか岩にしか見えない物質で覆われている。
唐突に現れた怪物に、レヴィは引き金を引くことすら忘れ呆然とその生物を眺めていた。
(オーライ……オーライだ、レヴェッカ。一旦落ち着こう。そうさ、慌てることはねぇ。此処は「スタンド使い」とかいうコミックヒーローが山の様に居る世界
……言うなりゃファンタジーワールド。今更こんなエイリアン見たくらいで驚くことはねぇ……クールだ、クールに対応しろ、レヴィ……)
レヴィはゆっくりと銃口を目の前のモンスターに向ける。
同時にモンスターが一歩此方に足を踏み出した。
「ストップだ。それ以上近付いたらぶっ放すぞ」
遠方では何かが落ちる音。
恐らく仗助が地面に落ちたのだろう、とレヴィは予測。
だが銃口を向ける訳にはいかない。
眼前のモンスターが明らかに敵意を見せているからだ。
支援
支援
支援
(これもスタンドって奴か……訳が分かんねえ)
ギリ、と歯を鳴らす。
数メートル先で聞こえる足音がドンドンと遠ざかっていく。
――奴は生きている。また「スタンド」を使い避けやがったか。
その思考に行き着くと同時にレヴィは、仗助を追い掛けるべく横に動いた。
が、それに追随する動く岩石。
岩石は、仗助が居るであろう方角に先回りし、短い両腕を広げ立ち塞がった。
「何だってんだ、テメェは」
苛立ちがそのまま口から出る。
言葉が通じているのか、いないのか、岩石はピクリとも動かない。
心の中では、レヴィの堪忍袋の尾が限界を訴えていた。
「どきな。これが最終勧告だ」
なけなしの理性を集めての言葉。
だが岩石は動かない。
敵意ある眼でレヴィを睨むだけ。
レヴィの頬がヒクヒクと痙攣し、眉間が徐々に吊り上がっていく。
そして数秒後、遂に爆発した。
「どけっつってんだよ、石コロが!」
結果的に岩石は、レヴィが放った怒声にもピストルから放たれた弾丸にも、僅かな反応しか示さなかった。
怒声は右から左に聞き流し、弾丸は岩の身体が弾く。
多少の痛みはあったらしいが、それでも僅かに顔をしかめただけ。
それどころか、あわやレヴィの脳天に跳弾が突き刺さるとこであった。
支援
支援
結果的に岩石は、レヴィが放った怒声にもピストルから放たれた弾丸にも、僅かな反応しか示さなかった。
怒声は右から左に聞き流し、弾丸は岩の身体が弾く。
多少の痛みはあったらしいが、それでも僅かに顔をしかめただけ。
それどころか、あわやレヴィの脳天に跳弾が突き刺さるとこであった。
(銃は効かねえってか……ならよ……)
ならばと、右に左に走りモンスターを振り切ろうとするが、岩石はゴロゴロと器用に転がり再び前に立ち塞がる。
ゴンに命令し何とかどける事に成功するが、既に仗助は影も形もなく、僅かに明るさを増した森が広がっているだけだった。
「ちっくしょう!! 次会ったらその鳥の巣みてーな頭、吹き飛ばしてやるからな!!」
森林に向かって吠えるが、勿論返事はない。
途端に虚しさが込み上げてきた。
レヴィはがっくりと頭を垂れ、後ろに振り返る。
そこには、巨大な猫に抑え込まれながらも抵抗を続ける岩石と、その抵抗に四苦八苦しながらも従順にレヴィの命令をこなす巨大猫の姿。
自分の世界には存在しない珍獣達のダンスを、レヴィは疲れた顔で眺めていた。
【H-1/森/早朝】
【レヴィ@BLACK LAGOON】
[状態]疲労(中)、全身に軽い負傷、左小指欠損(応急処置済み)、軽いイライラ、顔面と左脇腹に鋭い痛み、
[装備]スプリングフィールドXD 7/9@現実、スプリングフィールドXDの予備弾21/30
@現実、カビゴンのモンスターボール@ポケットモンスターSPECIAL
[道具]支給品一式、不明支給品(銃器類なし)0〜1、応急処置用の簡易道具@現実
[思考・状況]
0:コイツ等どうすっかな……
1:この状況を何とかする。
2:クレアと仗助を必ず殺す。
3:爆発?を起こしたゼロを許さない。(レヴィは誰がやったかは知りません)
4:他の参加者に武器を、特にソードカトラスがあったら譲ってくれるように頼む。断られたら力付く、それでも無理なら殺害。
5:気に入らない奴は殺す。
※クレアが何処へ向かったかは知りません。
※参戦時期は今のところ未定です。
※スタンドの存在を知りましたが、具体的には理解していません。
※あと数分で「レッドのカビゴン@ポケットモンスターSPECIAL」、「イエローのゴローニャ@ポケットモンスターSPECIAL」共にボールへと戻ります
□
仗助は歩き続ける。
先程のダメージも時間が経つにつれ抜けて来ており、気分も楽。
あの女も撒いたようだ。
仗助は漸く安堵の顔を見せた。
「それにしても不思議なスタンドだったな……」
仗助は十数分前のことを思い出す。
小さなボールから出現した巨大な獣。
自分は弾き飛ばされただけだったが、もしアレが頭上で展開されてたら危なかった。
あの数百kgは有りそうな巨体に押し潰されていたかもしれない。
支援
支援
「あの白服のスタンドなんか音石のレッド・ホット・チリペッパーよりも速かったしよー……厄介なスタンド使いばっかりだぜ……」
こうなると康一の奴も心配になってくる。
エコーズも強力なスタンドだが、それでも安心はできない。
事実、数時間しか経過してないにも関わらず、自分は二度も戦闘に陥っている。
そのどれも、決して雑魚ではないスタンド使いばかり。
「これは予想以上にヘビーかもな……やれやれ、グレートだぜ」
三度目の溜め息と共に仗助は歩き出す。
疲労は見せているが、未だ「黄金の輝き」は翳りを見せない。
何よりも優しいスタンドを持つ東方仗助、何よりも純粋な心を持つアルルゥ。
彼等の冒険はまだ、終わらない。
【G-1/森/早朝】
【東方仗助@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]疲労(小)、背中に打撲、頬に細い傷、右太股に銃弾による掠り傷
[装備]なし
[道具]支給品一式、不明支給品(0〜1)
[思考・状況]
1:プッツン女(レヴィ)から逃げる
2:アルルゥをどこかで介抱する。
3:しばらくしたら、劉鳳を捜す事も検討。
4:ギラーミンを倒し、ゲームから脱出する
5:うたわれ勢や康一と合流する
6:軽率な行動は控え、できるだけ相手の出方を見て行動する
※アルルゥからうたわれ勢の名前を聞きました
※ループしたことに気が付いていません
※レヴィ(名前は知らない)をスタンド使いだと勘違いしています
【アルルゥ@うたわれるもの】
[状態]健康、気絶
[装備]おはぎ@ひぐらしのなく頃に
[道具]支給品一式、ニースの小型爆弾×4@BACCANO!、不明支給品(0〜2)
[思考・状況]
1:??
2:ハクオロ達に会いたい
3:仗助と行動する
※ココが殺し合いの場であることをイマイチ理解していません
支援
これにて投下終了です。
昨日は皆さん協力ありがとうどざいました。
修正点などが見つかりましたら御指摘お願いします
投下乙です!
うわあ、プッツン2人が見事にかち合ってしまった…。アルルゥ起きなさいw。
にしても、仗助は会う相手が2/3で好戦的な暴走タイプとは…運が悪いなぁ。
そしてその2/3はスタンド使いだって勘違いになってるわけだ。こりゃ会場内全員スタンド使いだと思っても
おかしくなさそう(異能力者はまあいっぱいいるけど)。
レヴィはゴンを得たか。ゴロすけも、放置になるから入手かな。
どちらも防御や攻撃向きのポケモンだけど、レヴィの対応が楽しみです。
バトルもかなり動いて、ハラハラしました。
改めてGJ!
投下乙!
レヴィと仗助、どちらもらしくて良かった。
何気にレヴィがポケモンマスターを目指すフラグが立ったようなw
修正に関しても、これで問題ないと思います。
投下乙です。
まさかのポケモンマスターレヴィ爆誕w
仗助とレヴィの掛け合いもとてもキャラの個性が出ていて面白かったです、GJ!
投下乙です!キャラが立っててとってもよかったです!
皆も言ってますがポケモンマスターレヴィに期待!
投下乙!
本当仗助ついてないなw
よりによってプッツンレヴィに出会うとは
プッツン同士の戦いGJでした!
メリークルシミマス!
佐山、蒼星石、ゾロ、小鳥遊投下を皆さんへのクリスマスプレゼントとかえさせていただきますー
ktkr!
と、思ったけど……容量足りないぽいです……
もう少しお待ちを
うわわもう970だもんな
次スレ立ていってくるわ
>>972 スレ立てありがとうございます。
スレタイ間違いについては……やっちまったもんはしょうがないということでw
次スレに投下します。普通に投下してもさるにはならないと思いますが、念のため余力ある方支援レスして頂ければ幸いです。
了解です!
ここもう498KBだったんだな
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l || |レ-_、,V {fひl| l.トリノ
レ \ll〃iぃ. 、てノl ljク、
/ ハ 、tリ, ⊂⊃ ./イ \
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