仮面ライダーにスーパー戦隊、メタルヒーローその他なんでもありでロワをやってみたら面白そうじゃないか。
2 :
1:2008/10/28(火) 20:05:59 ID:XgEh6/JE
* *
* + うそです
n ∧_∧ n
+ (ヨ(* ´∀`)E)
Y Y *
と、いうことは再利用スレになったということか
Gが来そうな予感がw
もし真剣にやるのなら参戦作品はどんなジャンルから絞るんだ?
大きく分けると仮面ライダー、ウルトラマン、メタルヒーロー、その他の4ジャンル?
この場合平成のみとか昭和含むのかとか、その辺から議論しないといけない。
さすがバトロワ板
なんでもあるのなwwwww
ウルトラマンは入れたいけど・・・大きさが合わないだろ。
小さくなれる奴もいるけど(セブンとか)、やっぱウルトラマンは
あの大きさであってウルトラマンなわけだし、外さざる得ないんじゃないかな
まぁウルトラは色々とややこしいからなぁ。
入れるにしてもガイアやネクサスみたいな他と繋がってないのがいいと思う
そうなるとメインは仮面ライダー、スーパー戦隊、メタルヒーローあたりか。
GAROとかも面白そう何だけどなぁ
8 :
名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/10/31(金) 21:23:08 ID:4WdUAxkP
把握の難しさ的にもやるなら平成限定とか、もうちょっと絞った方が無難。
それか平成とか昭和とかじゃなく、参戦ジャンルを絞るとか。
―――ここでスレスト―――
二週間後に落ちます。保守する人は特定連立厨と同一とみなされます。
10 :
名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/02(日) 17:44:35 ID:x3OqPkgD
9さん了解しました
11 :
名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/03(月) 22:40:54 ID:jWYM7n+n
10さん書き込まないでください
12 :
名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/07(金) 01:07:31 ID:2fUABODW
1さん自治嵐に負けないでがんばてください
13 :
名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/07(金) 23:31:33 ID:rDtZIlH4
キャシャーンキカイダー対イナズマンデビルマン
14 :
創る名無しに見る名無し:2008/11/08(土) 15:29:55 ID:aYCeQXCZ
仮面らいだあ
見える…見えるぞ…
優勝エンドの時に「あんたがこのゲームの優勝者か…だが…日本じゃあ二番目だ」とズバットがおいしいとこを持っていくのが!
爆笑しちまったじゃないかwww
おやすみなさい。
18 :
創る名無しに見る名無し:2008/11/14(金) 04:09:28 ID:CsYgd5/A
保守
また来たwwwwwwwwww
は
だ
か
賢者タイムまだかな
test
test
26 :
創る名無しに見る名無し:2009/03/15(日) 21:14:08 ID:+RiVFsry
/::.::.::/:// .::.::.::.::.::.:./ ! .::.::.::.::.::.::.::.::.::.:|::.::.::.::.::.::.::.::.
\ ゝ‐<::./::./ .::.::.::.::\/ | .::.::.::.::.::.:: /::.::.:|::.::.::.::.::.::.::.:::
\ 〃 / _ ヽ:/::.::.::.::.::.:/\ |::.::.::.::.::.:: /::.::.:: |::.::.::.::.::.ヽ::.::
{{ / / __ ヽ ',.::/::./ `ー |::.::.::.::.:: / |::.::.:/|_::.::.::.::.:l::.::
. ── | ! /r ) } |イ斤テ左≡ォz /::.::.::.::/ 斗七 !::.::.::.::.::.::.|::.::
. ∧ ヽヽ _/ /::! レヘ :::::::::/ /::.::. / j / | .::.::.::.::.:: |::.::
. , -―ヘ `ー /.::.| rー'゚:::::::/ /::.:/ テ左≠=ヵ::.::.::.::.::. |::.::
____/ { /.::.::.| ゞ辷zン // う。::::::7 /イ .::. |::.::.::.|::.::
彡_/ ヽ イ ::.::. | /ヘ:::::::/ |.::.::.:|::.::.:∧::.
〃 V ヽ ヽ.::.: | ヾ辷:ン /:l::.::./!::.:/
l { ∨ }__.::.|\ <! ・ /::.l::|::./│/
ヽ ヽ {  ̄ ̄ ̄`ヽ _ イ::.: l::|:/ j/
、 \ \ } ) / ̄ ̄ ̄l7::.:|::.::.j::l′ /
このスレは我々(らき☆ロワ)が乗っ取った!
【バトルロワイアルのルール】
1.バトルロワイアル
参加者全員で互いに殺し合い、最後まで生き残った者が優勝者となる。
2.首輪
参加者には設定されたルールを破った場合に備え、爆薬の詰まった首輪の装着を強要する。
首輪は以下のルールを破った場合に爆発し、その者の命を奪う。
A-首輪を外そうとした場合。
B-バトルロワイアル会場の外へと出ようとした場合。(30秒の猶予あり)
C-後述される禁止エリアの中へと侵入した場合。(30秒の猶予あり)
D-24時間連続で死者がでなかった場合、参加者全員の首輪が一度に爆破される。
3.放送
バトルロワイアル中、ロワの進捗と禁止エリアを報告する放送が定時毎に会場内へと流される。
放送が流れるのは、「0時」「6時」「12時」「18時」の6時間毎、1日4回。
4.禁止エリア
1回目の放送以後、2時間毎にマス目で区切られた会場のエリアが一つずつ禁止エリアとなる。
禁止エリアは、「7時」「9時」「11時」……と増えてゆき、これは直前の放送でそれぞれ発表される。
5.支給品
参加者にはバトルロワイアルを生き抜くための道具や武器が支給される。
A-「デイパック」
他の支給品を入れて持ち運ぶためのもので、容量に制限がなく重さも一定という不思議なもの。
B-「基本支給品一式」
会場の地図、参加者名簿、メモ帳と筆記用具、方位磁石、腕時計、懐中電灯、3日分相当の食糧と水がセットになったもの。
C-「ランダム支給品」
武器や防具、道具、衣装その他諸々、内容は参加者毎に変わりそれぞれ1〜3個ずつ支給されるもの。
6.優勝
バトルロワイアルを生き抜き優勝した者にはそれ以降の命と自由の保障され、その者の願いが報酬として与えられる。
7.最後に
以上以外のルールは存在せず、参加者間に禁じ手は存在しない。
また、生き残りゲームではあるがその途中で手を結んだり、徒党を組むこともルール違反には当たらない。
※
バトルロワイアルのルールは本編中の描写により追加、変更されたりする場合もある。
また上に記されてない細かい事柄やルールの解釈は書く方の裁量に委ねられる。
【書き手向けのルール】
1.リレーSS企画
当企画はリレーSS企画です。なのでルールを無視した作品の投下は受け付けていません。ご注意ください。
2.予約制度
作品を投下するに当たっては、まず該当スレにてその旨を宣言(書き込み)してください。
必要なのは書き込んだ人の同一性を保障するトリップと、作品に登場させるキャラクターの名前です。
予約以後3日間、そのキャラクターの作品を投下する優先権利が有効となります。
期間を過ぎれば権利は失効しますが投下できなくなるということはありません。あくまで優先されないというだけです。
また失効後、続けて予約することは期限が無限に続くことと同義なのでそれを禁じます。
予約スレ
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12294/1231980608/ 3.修正/破棄要求
投下された作品内に修正や部分的もしくは全体として破棄する必要な箇所があると感じられた場合、
それを指摘し改善を求めることができます。
指摘に当たっては該当スレを使用し、それが正当なものであれば誰でもその権利を行使することが可能です。
要求が出てから72時間は保留期間とし、該当作品およびそこに関わる部分の進行を凍結。
話し合いや修正/破棄により解決した場合はその通りに、そうでなかった場合は作品を破棄し投下以前の状態へと戻します。
修正/破棄要求、議論スレ
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12294/1231980961/ 4.自己リレー
リレー企画であることを尊重し、原則として自己リレー(自作の後に自作を続けること)を禁止とします。
ただし、投下以後2週間経っても続きが書かれなかった場合はそれを解禁するとします。
5.能力制限
バトルロワイアルおよびリレーがつつがなく進行するよう、それを害する能力は制限されているとします。
全体への影響力が強すぎるものだったり、ロワが成り立たなくなる能力(例えば蘇生)などがこれに当たりますが、
制限の種類や程度はそれを書かれる方の裁量に委ねられます。
そこに問題があると感じられた場合は、「3.修正/破棄要求」に基づきそれを申告してください。
6.登場時期
その参加者が原作(元のロワ)のどの時期/状態からこのらき☆ロワに参加させられるのかは作者の裁量に委ねられます。
7.支給品の選出
参加者に配布されるランダム支給品の内容は、それを書かれる方の裁量に委ねられます。
ただし、その内容の範囲は参加者達が登場する原作内(※1)または現実世界にある物(※2)までと限定します。
また、参加者と同等に扱われるようなキャラクターや能力制限に引っかかる物の支給はこれを原則禁止とします。
(※1)らき☆ロワにおいては、「らき☆すた」「各ロワ内に登場した物」「現実にある物」が支給できる物の範囲です。
(※2)首輪探知機(レーダー)や写真付詳細名簿などのパロロワオリジナルアイテムの類もここに含まれます。
【状態表のテンプレおよび時間表記について】
作品内の情報を共有するため、それをテンプレートにそって記し作品内に付け加えることを義務とします。
【(エリア名)/(具体的な場所名)/(日数)-(時間帯名)】
【(キャラクター名)@(登場元となる作品名)】
[状態]:(肉体的、精神的なキャラクターの状態)
[装備]:(キャラクターが携帯している物の名前)
[持物]:(キャラクターがデイパックの中に仕舞っている物の名前)
[方針/目的]
基本方針:(基本的な方針、または最終的な目的)
1:(現在、優先したいと思っている方針/目的)
2:(1よりも優先順位の低い方針/目的)
3:(2よりも優先順位の低い方針/目的)
[備考]
※(上記のテンプレには当てはまらない事柄)
例)
【3-C/駅構内/1日目-早朝】
【柊かがみ@らき☆すた(原作)】
[状態]:疲労(軽)、空腹(強)、右膝に擦過傷(軽)、左足首骨折(添え木にて手当て済み)
[装備]:ベレッタ 90Two(11/17発)、風華学園制服@アニ2
[持物]:デイパック、基本支給品一式、鷲巣麻雀セット@漫画ロワ、うまい棒@カオスロワ
[方針/目的]
基本方針:生き残るために行動する。
1:安全な場所で食事をとる。
2:つかさを殺した誰かを見つけ出し復讐する。
3:みゆきとは口をきかない。
[備考]
※ツインテールをといています。
コピペ用)
【-//-】
【@】
[状態]:
[装備]:
[持物]:
[方針/行動]
基本方針:
1:
2:
3:
[備考]
※
方針/行動の数は不定です。1つでも10まであっても構いません。
備考欄は書くことがなければ省略してください。
時間帯名は、以下のものを参照してそこに当てはめてください。
[00:00-01:59 >深夜] [02:00-03:59 >黎明] [04:00-05:59 >早朝]
[06:00-07:59 >朝] [08:00-09:59 >午前] [10:00-11:59 >昼]
[12:00-13:59 >日中] [14:00-15:59 >午後] [16:00-17:59 >夕方]
[18:00-19:59 >夜] [20:00-21:59 >夜中] [22:00-23:59 >真夜中]
ここまでテンプレ
代理投下行きます
拙いながらも支援
____
/ \
/ ─ ─ \ こんにちは、あなたの隣のやる夫だお……
/ (○) (○) \
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
____
/ \
/ ─ ─ \ ジョジョが壊れてしまったお……
/ (○) (○) \
| (__人__) |
\ ` ⌒´ / やる夫ー>
____
/ \
/ ─ ─ \ ハルヒも……何であんな風になってしまったんだお……
/ (○) (○) \ もうやる夫には何が何だかわからないお……
| (__人__) |
\ ` ⌒´ / やる夫ー!!>
_ ノ ̄ ̄`ヽ、―ニ 二
/ / ´`ヽ _ 三,:三ー二
/ ノヽ--/ ̄ , ` ̄ ̄ ̄
/ } ...| /! 聞いてんのかこの豚ッ!!!>
| _}`ー‐し'ゝL _
\ _,:ヘr--‐‐'´} ;ー------
/ ノ`ヾ:::-‐'ーr‐'"==-
何度目か数えるのも馬鹿らしいぐらいハルヒの拳がやる夫の顔面に叩きつけられる。
殴られ、蹴られ、鞭で尻を叩かれてもなお、やる夫は耐え続ける。
ハルヒを元のハルヒに戻すため、クラスメイトだったハルヒに戻すため。
―――ハルヒは恐怖で情緒不安定になってるだけなんだお……
―――やる夫がハルヒを守ってあげないとそれこそ彼女は本当に壊れてしまうお……
だからひたすら耐え続ける。
されるがままにハルヒの暴力……否、虐待を受けていた。
目の前にいるハルヒがやる夫の知っているハルヒとは別人で、
目の前のハルヒがとっくの昔に壊れてまっているのも知らずに……
やる夫の脳裏にはある出来事が焼き付けられていた。
やる夫の目の前で起こった惨劇……いや悲劇である。
もう二度とあの悲劇を繰り返したくない。その想いがある種の呪いのように彼の心を縛り付けていた。
あの日……やる夫がこの島に連れて来られる前。彼はまた別の殺し合いに参加させられていた時のこと。
無限とも思える再生力を有し、喰らった人間の能力を自らの物にする怪物でっていうを倒した後だった。
やる夫達がいる場所が禁止エリアに指定された。
五分以内にこのエリアから脱出しないと首輪が爆発してしまう。
やる夫達はすぐにこの場所を離れようとしたのだが……
『ダメだよぉぉぉぉぉっ!!! お姉ちゃんがこのエリアにいるかもしれない! おねえちゃーん!!!おねえちゃーーーん!!!』
『かがみーーん!!!!』
かがみがまだこのエリアに残されているかもしれない。
やる夫達と同行していたこなたとつかさはかがみを探すために今来た道を引き返したのだった。
『二人にさせたら危ないお、追いかけるお!』
二人を追いかけるやる夫とデューク・東郷
しかし彼らが前にはあまりにも絶望的で悲劇的な光景が待ち受けていた。
硝煙がまだゆれる拳銃を持った手をだらりと落とし呆然と立ち尽くすこなた。
こなたが撃ち殺したモノを見て呆然たち尽くすとつかさ。
そして……二人の傍らで倒れている『何か』の死体。
やる夫も『それ』が何なのか初めは理解できなかった。
人の形をした『異形』としか形容できなかった。
無残に焼け爛れた顔、何かに殴られたのか全身はボロボロ。
かろうじて体格からしてそれが女だとは理解できた。
そして……やる夫は理解してしまう。
焼け爛れた頭部から伸びる薄紫色の髪。ツインテールにまとめた髪。
それが柊かがみだったものだということに……
全てに絶望し、生きる気力を失ったこなたとつかさ。
禁止エリア指定まで一分を切った。
『こなたあああああああっ!!! つかさああああああっ!!!!! 生きるんだろおっ!死んじゃ駄目なんだろおっ!』
必死に呼びかけるやる夫。
これまで傷つき死んでいった仲間の想いに報いるためにも『生きろ』と。
『生き、なきゃ』
『ごめん・・・ごめん・・・ごめん・・・かがみ・・・』
やる夫の元に走り出す二人。
だけど運命というものは残酷な結末を用意する。
『世界さん、三人目』
振り下ろされたチェーンソーがつかさの顔面を砕く。
『四人目、 お願い、誠君』
放たれた銃弾がこなたの眉間を撃ち抜く。
正気を失った桂言葉はやる夫達に狙いをさだめる。
だが禁止エリア発動までもう時間は無かった。
支援
『ま・・・こ・・・と・・・く・・・』
吹き飛ぶ言葉の頭部。
そして既に動かぬ骸となったこなたも、かがみも、つかさも禁止エリア内に存在する全ての首輪がやる夫の目の前で次々と爆発する。
その終末的な光景をやる夫はその目ではっきりと焼き付けていた。
二度とあんな悲劇は繰り返したくない。
あの出来事はやる夫の心に重く圧し掛かっていた。
☆
「こなちゃん……つかちゃん……」
ハルヒに殴られ倒れたやる夫は無意識に二人の名を呟く。
ハルヒはその名前にぴくりと反応をしめす。
「やる夫……今、あんた『つかちゃん』って言ったわね? それってさあ……柊つかさのことかしら」
「ううっ……そうだお……柊つかさだお……ハルヒと同じクラスメイトだったお……」
「へぇ……そうなんだ……あいつがねぇ……」
「ハルヒはずっと気絶したままでわからなかったけど、やる夫はこなちゃんやつかちゃんと一緒に行動してたんだお……でも、でも……」
目に涙を浮かべやる夫はあの時の悲劇を語り始める。
ハルヒは珍しく静かにやる夫の話を聴いていたのだが……
,-、 nn
.r-、 _00 /::::'┴'r'
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. ̄└r''"´]_ l| | r゙=゙┐ |└ァ::/ / /
、ヽ、 ,ゞ´_::::| l| |「二:::7 .|.l └′/ / /
. \\`´ |:::|. l| l 〈::/ 、 ! '/
\ ̄ l ,>ィ''ヾト:r:‐、_
. , / ,.-、/ /::\ `‐'^ヾ;<´
/ { ゝイ /.:::::....`丶、.__戈‐
! _ | ::| |::::::::::::::::::::::::::::::;イ:l
/ `ヾl、 l:::(\____:::::::/ l::|
. { ,ム\\:`‐-‐':/ /:/
ヽ;:-ィ'´,.、 `、、 ̄´ /='ィ⌒i ←※注ハルヒ
! {. ヾ;| l \ `ヾ='´;: -‐'^'''゛
', '、 \\_,,> ノ::/ } !
ヽ,\ ヾ;、.__,/∠_ ノ/
丶丶、ヽ;:::::::;:ィ´ ゙, /
`'‐-<.___ノ
やる夫の話を聞き終えた途端、腹を抱え目に涙を浮かべながら大爆笑した。
「ハ、ハルヒ……?」
「きひ、きひひひひひひひ!! 何それ!? チョー最高ーっ! つかさざまあwwwwm9(^Д^)プギャーwwwwけひひひひ!!」
「な……何を笑ってるんだお!」
「あの柊つかさが! 神に最後まで逆らい続けた背教者が! そんなキチガイにあっさりと!? やべー腹痛いわwwwきひひひひ!」
ハルヒにとって柊つかさは最大の怨敵。
運命のいたずらとは言え前回の殺し合いにおける柊つかさの行動がハルヒを狂わせる原因(もっともハルヒの逆恨み以外何物でもないが)となり、
やがてハルヒの神への道に立ち塞がることになったのである。
そんな相手が別世界とは言えいとも簡単に殺された。
その事実を聞いては笑わずにはいられない。
「そんな……つかちゃんがハルヒに何かしたのかお……ひどいお……ひどすぎるお……」
「あん? やる夫には関係無い話でしょうが」
「そんなことないお……ハルヒもつかちゃんもやる夫の大事な友だち―――」
「いちいちうっさいわねっ!!」
/ へ \ }__/ / / ̄ ̄\
/ / | ノ ノ / ●)) ((●\’, ・
( _ ノ | \´ _ ( (_人_)’∴ ), ’ぐえあ
| \_,, -‐ ''"  ̄ ゙̄''―---└'´ ̄`ヽ て
.| ______ ノ (
ヽ _,, -‐ ''" ノ ヽ r'" ̄
\ , '´ し/.. | J
\ ( / |
\ \ し- '^`-J
ハルヒの強烈なハイキックがやる夫の喉元に叩きつけられる。
普通の人間なら首の骨が折れてしまうのではないかと思うほどの勢い。
やる夫はそのまま二、三メートルほど横に吹っ飛び地面に叩きつけられ、はずみで担いでいたデイバックの中身をぶちまけてしまっていた。
「あーあ、こんなに散らかしちゃって……ちゃんと片付けなさいよ!」
「わかったお……」
痛みを堪えふらふらになりながらやる夫は地面に散らばったデイバッグの中身を拾い集める。
そんなやる夫を汚い物を見るような視線で見ていたハルヒは地面に転がっている『ある物』を発見した。
「やる夫! ストップ!」
「へ……何かお?」
「今拾った物を見せなさいっ!」
ハルヒはやる夫の手から奪い取ったそれをまじまじと見つめてる。
ビー玉ぐらいの大きさの丸くて赤い宝石。
ハルヒはまるで旧友と出会ったかのようににやにやと邪悪な笑みを浮かべていた。
「きひひ……久しぶりね……いや私の主観的時間ではあんたと最後にあったのはせいぜい数時間前なんだけど」
「宝石に向かって何ぶつぶつと言ってるんだお……」
_ ノ ̄ ̄`ヽ、―ニ 二
/ / ´`ヽ _ 三,:三ー二
/ ノヽ--/ ̄ , ` ̄ ̄ ̄
/ } ...| /! いいから黙れ!>
| _}`ー‐し'ゝL _
\ _,:ヘr--‐‐'´} ;ー------
/ ノ`ヾ:::-‐'ーr‐'"==-
「最初にして最後の質問よ、あんたのマスターはこの私、真・神聖究極魔神HALかあのクソッタレの腋巫女のどちらかしら?」
ハルヒの問いに赤い宝石は沈黙を保つ。
ややあって、それは薄く光り輝き電子音声のような声で答えた。
『HHHHhhhAAAaaaaLLLlLLllLLるるるるぅぅぅHAL様万歳HAL様万歳HAL様万歳―――All Hail HAL!!!』
「けひゃひゃひゃひゃひゃッ!! あれだけご主人様に忠実だったあんたも立派なHAL厨よ!」
歓喜に打ち震えるハルヒ。
かつてニコレンジャーが一人、博麗霊夢が所持していたインテリジェントデバイス・レイジングハート。
それが今やハルヒに忠誠を誓うだけのHAL厨へと堕とされてしまっていた。
一緒に生死を分かち合った博麗霊夢の記憶も、
本来の持ち主である高町なのはの記憶さえも失って―――
「さあ私に力を! レイジングハートッ! 否! 『神杖レイジングハート・エターナルHALカスタムゼロ』ッ!!!!」
____
/ \
/ ─ ─ \ (何というひどいネーミングセンスだお……今時小学生でもそんな名前はつけないお)
/ (○) (○) \
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
「神杖レイジングハート・エターナルHALカスタムゼロ! アルティメットフルバーストドライブ! セットアップ!」
『Yes, Your Majesty……Non! Yes, Your GOD』
ハルヒの声と共に神杖レイジングハート・エターナルHALカスタムゼロ(以下レイジングハート)は瞬時に機械的なフォルムを持った杖へと変形する。
そしてハルヒの姿も光に包まれ術者を守護する鎧、バリアジャケットを身に纏う。
「けひひ、なかなかセンスのある服装じゃない。褒めて遣わすわ」
『感謝の極み』
ハルヒは再び自らの姿を確認する。
彼女のバリアジャケットは北高の制服をベースにやや露出度を多めにしたファンタジーチックな姿(涼宮ハルヒの戸惑、超勇者ハルヒを参照)だった。
「きひひ……どうかしらやる夫、私の新たな甲冑は?」
「す、すごくカッコイイお!(と、とてもダサいなんて言えないお……)」
「大変結構よ!」
☆
ハルヒとやる夫がいた地点からそう遠く離れてない場所。
園崎魅音は気絶した柊つかさをおぶり街中を歩いていた。
汗が額を伝って目に入っても気にしない。
ひりひりと目が染みるのも我慢して魅音はひたすら歩き続ける。
すぐ後ろにあのウェディングドレス姿の男がいてるような感覚。
少しでも、少しでも遠く離れないと。
今、つかさを守れるのは自分ひとりなのだから……
(大丈夫……あの男は追いかけていない)
後ろを振り返り追っ手がいないか確かめる。誰もいない。ほっと胸をなでおろす魅音。
今は放送局へ向かい三村と合流し、そして彼の誤解を解かなくては。
柊かがみはあんたの言うような極悪非道な魔女なんかじゃない、ただ妹思いの姉なんだと。
だが、さっきのかがみの豹変振りがしこりのように魅音の胸の奥に残り続けている。
突然鋭い目つきとともに口調も変化した柊かがみ。
(目つき、ね……)
魅音は園崎の一族が持つ『鷹の目』を思い出していた。
園崎家の頭首が持つ物でその眼光で睨まれた者は心臓が止まりそうなぐらいの強烈なプレッシャーを与える物である。
現頭首のお魎はもちろん次期頭首である魅音、双子の妹である詩音もその瞳を持っていた。
(うーん……鷹の目は交渉とかで相手をビビらすパフォーマンスみたいな物だけど……かがみの場合は……)
まるで別人のような仕草と口調。見た目と声も女性のそれであるかがみだったのだが、
あの男と対峙した時は完全に男のような仕草と口調だった。
わからない。
わからない。
頭の中が????で埋め尽くされる。
本当に三村の言う通り柊かがみは『魔女』なのだろうか?
思考が螺旋の中に囚われていく。
何が真で何が虚なのかもわからない。
(あーっダメダメ! 今はつかさを守ることだけを考えないと)
無理矢理疑念を振り払う。
それでも心にまとわりつくそれは煙のように不確かで、払っても払っても立ち込める物だった。
魅音はつかさを背中に担ぎ街を歩く。
つかさはまだ目を覚まさない無かった。
魅音は放送局へ向かうために南東の方角へ歩を進める。
本来なら北東へ向かわないといけないのだが放送局への最短ルートは既に禁止エリアによって閉ざされてしまっていた。
ゆえに南東の橋を経由して放送局へ向かわなくてはならないという事態に陥っていた。
かなりの時間のロスは否めないだろう。
放送の内容によるとこの時間帯に設定される禁止エリアはちょうど島を南北に分断する形になる。
北西に向かうのは比較的楽だが、北東方面には大幅な迂回路をとらなくてはならない。
そしてそれは北東方面にいる人間にも同じ事が言え、島の南側に行くためには南東のF-6地点の橋を通らないといけない。
狭い地域に多数の人間が集中し、ひいては危険人物とも遭遇する確率がぐんと増えてしまうのである。
(参ったなあ……あのコスプレ男とまた鉢合わせしなきゃいいんだけど)
つかさを守りつつ戦うなんて不可能。
気絶したままのつかさを背負って逃げる事も不可能。
魅音に出来ることはただウェディングドレス姿の男―――6/と出会わない事を祈ることだけだった。
「魅音さんっ!」
突然背後からの声に魅音は心臓が止まりそうなぐらい驚く。
まさかアイツが―――? いやそんなはずはない、声の主は女の物だしそれに良く知った声だったのだから。
魅音はゆっくりと振り返る。そこには見知った顔。
背中で静かに寝息を立てている柊つかさと似た雰囲気の顔の少女―――柊かがみだった。
「あ、あの、かがみ……無事だったんだ」
「ええ、何とか逃げる事ができたわ。魅音さんもつかさも無事で何よりね」
「あはは……さすがにおじさんずっとつかさを背負ったままだったから疲れたよ。少しだけ休ませてくれないかな」
「つかさは私に任せて、ありがと……つかさを守ってくれて」
魅音は気絶したつかさをかがみに預けて道路の真ん中で大の字で「疲れたーーーー!」と寝そべる。
かがみもまたデイバックを枕代わりにしてそこにつかさを寝かせてあげた。
「年は取りたくないものだねぇ……この程度でバテるなんて」
魅音はデイバックから水の入ったペットボトルを取り出すと一気に飲み干す。
当然冷蔵庫に入れてあるわけではないので生ぬるい。だけど文句は言ってられない。
魅音はかがみの方に視線をやる。かがみはつかさに寄り添うように膝を抱えて座っていた。
ふとかがみの姿を見る。
プールに飛び込んだせいで体中が濡れている。
だがそれだけだった。
あんなコスプレ男を相手にしていたのにかがみはかすり傷ひとつ負っていない。
普通に考えたら怪我の一つや二つ負っていてもおかしくない。
魅音の背筋に冷たいものが流れ落ちる。
まさか本当に、三村の言う通りかがみは魔女で、
あのコスプレ男と実はグルで自分はおろか実の妹までも騙し、殺害の機会を伺っているのだとしたら―――
(まさか! かがみに限ってそんなことあるはずない! そうクールだ……クールになれ園崎魅音ッ! 私ははただ疲れているだけに決まってるだろ!)
「どうしたの魅音さん?」
「あ、いや、何でもちょっと肩が凝っちゃったかなーって、あは、あはははははは」
ぎこちない表情で笑い誤魔化す魅音。
かがみは魅音の不自然な仕草が気になったなったものの特にそれ以上聞くつもりは何も無かった。
☆
(魅音の奴……どうも様子がおかしい……う〜ん、あいつもどこかのロワでかがみと何かあったんだろうか)
魅音の妙な雰囲気にかがみ―――いや、柊かがみの姿をした6/は怪訝な表情をする。
だけど魅音自身がこれ以上何も言ってこないのでヘタに問い詰める訳にもいかない。
正直に自分は柊かがみじゃないことを打ち明けるべきか?
いや、そんなことをしたら余計に話がこじれることになるに決まっている。
しばらくはかがみの役を演じるしかないだろう。
後、魅音がどこのロワからやって来たこともそれとなく聞きださないといけない。
(いつまでかがみになりきればいいだろうな……俺。そういえばもう一人の俺は何やってるんだろう……)
ふとまだ出会っていない三人目の自分のことを考える。
数えるのも面倒くさいぐらいロワに参加し続けた二人目の自分はマーダーになった。
じゃあ三人目の俺は?
相変わらずどこかで誤解フラグをばら撒いているのだろうか……
「ん……んんっ……おねえ……ちゃん」
静かに眠っていたつかさの表情が動き出す。
ややって瞼を開けぼんやりとした眼で心配そうに覗き込む6/の顔を見つめていた。
「お姉ちゃん……」
上体を起こしたつかさは目をこすりながら6/と魅音の顔を交互に見比べる。
まだ意識が完全に覚醒しているわけではなさそうだ。
が、それも束の間の事。
己の置かれた状況を思い出したつかさは口を開いた。
「そうだ……ゆきちゃん! ゆきちゃんだよ! お姉ちゃん……ゆきちゃんは……」
すがるような視線で6/を見つめるつかさ。
6/は無言で首で横に振った。
「そんな……」
がっくりと項垂れるつかさ。
6/は静かにつかさの震える身体を抱き締めて言った。
「私はここにいるから……そしてこなたもまだ生きてるから……」
「ううっ……お姉ちゃん」
すすり泣くつかさを赤子のように優しく抱く姉の姿に魅音もまた目頭が熱くなるのを感じていた。
そして、ようやく落ち着いたつかさは二人に自分が見た『映像』についてぽつりぽつりと話し出した。
首を刈り取られ、かがみに抱きかかえられた自分。
見たことのない少年に愛の言葉をささやいて死んだ自分。
笑いながらアザラシや人を銃で撃ち抜いてゆく自分。
姉に背負われ眠っている自分。
「……タチの悪い夢でも見たのよ、気にする事はないわ」
「そう……だよね」
6/はそう言いながらも別の所でつかさの話は真実だと確信していた。
どういう理由かは不明だが、つかさは別の世界で起きたロワの自分を垣間見ている。
(なぜつかさが……? もしかして他のらき☆すたメンバーも似たような物を?)
6/は魅音に視線をやる。
魅音の顔は明らかに引きつっていた。
「魅音さん?」
「あっ、いや、そうだよ。かがみの言う通りヘンな夢でも見たんだよ。心配しなくても平気だってあは、あはははは……」
「うん……」
(魅音……あれで誤魔化してるつもりか? 一体魅音はどこのロワのつかさと繋がりがあるんだ……)
三人の間に重く圧し掛かる空気。
誰一人として次の言葉を発する者はいない。
そんな空気がしばらく続いた後……
「おおーーーい! かがみ〜〜〜ん! つかちゃ〜〜〜〜ん! 魅ぃ音〜〜〜! 無事だったんだお〜〜〜!」
と、間の抜けた声が辺りに木霊した。
「だ……誰……?」
突然の声に驚く三人。
声のする方向に視線を向けると……
____
/⌒ ⌒\
/( ●) (●)\ こっちだお〜〜〜!
/::::::⌒(__人__)⌒::::: \
| |r┬-| |
\ `ー'´ /
「「「……………」」」」
絶句する三人。
人型の白い饅頭としか言いようのない生物が笑顔で腕を振っていた。
「お姉ちゃん……あの人、誰?」
「えーっと……かがみの知り合い?」
「いや、私に聞かれても……(ってやる夫じゃねーか! ん……その隣にいるのは……?」
やる夫のインパクトでつい見過ごしてしまっていたのだが、
やる夫の隣には一人の少女が気難しい顔でこちらを見つめていた。
_,. - ―― - . .、
/´..... : : :___ : :\
/::.::.::.::./ ´ ___ `ヽ: :ヽ
/::.::.:/::./ イ´: :: : : : : : `ヽ|:ヽ: !
/::.::ィ/、:_!: :/:./: |::_::_-‐_ヘノ:l:l
!::./ ,ト..十:T:ハ: |: : : l::..:.. l: : :|: :ト〉
|::`メ|::.::.|:..,|:| l lヽ: : ト、:: |: :|:レ|
|::.:/| |::.:..|:廾ト、 ヽ \:| ,.斗l-:l:.,1:! …………
l.::.L|{1::.:.l:.ト十::テ ー ' イォ:卞l/イ |:|
|:.|:l:Lト!:.:.ト{  ̄ ,  ̄`|:.|:Lj:l
!:|:l::.::.:l::..ト、 , -、 イ::l:..:イ:!
lム|:.|::.:ト:..l |\ ´ ̄` /7:/、/ノ′
/|: 「lト::.:|.ヽ:! ` ーァ ´}: : j/ : |「ト.
ハl: l:::l ヽ!: : :ト_- ― <|: :/: : : !!| l
i ヽ:.l:::l : : : : l _, ----l: : : : : :l:|| |
| ト:ヾヽ : : : l_ノ  ̄ `| : : : : :l:l:l !
! { ヽヾヽ : : l l : : : : /'/ {
| ヽ トヾヽ : :l !: : : :/':イ |
} V ヽヾヽ: :l fYiソ : : /'/ ハ |
| _, --、 }_ヽヾヽ |ljl/: : :/'/ / r‐- |
(ハルヒ……だよな。でも何だあの変なコスプレ姿は)
どこからどうみても涼宮ハルヒその人である。
しかし彼女は妙なコスプレ衣装を身に着けていた。
良く見ると彼女の右手にには見覚えのあるものが握られていた。
(レイジングハート……じゃああれはバリアジャケットなのか? なんでハルヒがレイジングハートを扱えてるんだ……?)
疑問は尽きないがまずはやる夫達と合流するのが先決だろう。
三人はやる夫達の所に向かう事にした。
やる夫が6/と合流する数分前の事。
ハルヒの前を歩いていたやる夫が突然足を止めた。
「何よ……いきなり立ち止まらないでよ」
「あれを見るお……」
やる夫は静かにその方向を指差す。
「もう何よ……? ―――っ!?」
ハルヒの視線がそれに釘付けになる。
道の真ん中で座り込む三人の少女。
その中央の座するショートカットの少女に注がれる視線。
―――柊つかさ。
「かがみんに……つかちゃんに……魅音だお……みんなやる夫の……ハルヒのクラスメイトだお」
「そう」
「ハルヒとつかちゃんに何があったかやる夫は知らないお……」
目の前にクラスメイトがいる。
死んでしまった友達がすぐそこにいる。
やる夫の声は今にも泣きそうなものだった。
「お願いだお……ようやく再会できたんだお……今だけでいいからつかちゃんと仲直りしてほしいお……」
「……そうね」
「ハルヒ!?」
意外なハルヒの返事。
だけどやる夫はその答えがとても嬉しかった。
「せっかく再会できたんでしょ? 今はそれを喜びましょ」
..____
/ \
/ _ノ ヽ、_ \ やっと……やっとハルヒはわかってくれたんだお……
/ o゚⌒ ⌒゚o \ やる夫は今とても嬉しいお……
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
流れる涙を拭うやる夫。
そして満面の笑顔で三人の名前を呼んだ。
「おおーーーい! かがみ〜〜〜ん! つかちゃ〜〜〜〜ん! 魅ぃ音〜〜〜! 無事だったんだお〜〜〜!」
☆
合流を果たした五人。
そしてやる夫の口から語られる衝撃の事実だった。
「まさか私達がクラスメイトだったなんて……」
「信じられないわね……(やはりやる夫もらき☆すたメンバーと関係があったか……)」
「うーん……おじさんは学校休んだおかげで助かったなんて……複雑な気分だねぇ」
「ま、信じられないのも無理はないわ。私も最初は信じられなかったんだもの」
ハルヒもやる夫と一緒にやる夫が経験した出来事を説明する。
あの時起きた悲劇も全て。
「ハルヒの言う通りだお……信じられないかもしれないけど本当のことだお。だからこうしてみんなと再会できてとても嬉しいお……」
「魅ぃちゃん……お姉ちゃん……やる夫君、きっと嘘は言ってないと思う……」
「そうね……」
「確かに……圭ちゃんが名簿に二人いるんだから、やる夫の言ってることもあながち嘘とは言えないかもね」
「みんな……ありがとうだお」
「話の腰を折るようで悪いけど……あんたたちこれからどうするか決めてるの?」
どこかつまらなげな表情でハルヒは言う。
その言葉に6/も魅音もうーんと考え込む。
「本当は百貨店に行きたかったけどもうすぐ禁止エリアなのよね……おまけに変な爆発があったし」
「確かに……じゃあ放送局に行ってみない? 私の知り合いがそこにいるはずなんだ」
「知り合い……?」
「三村信史って奴なんだけどね」
「決まりね。じゃあ早く行きましょ」
「みんないくおー!(ハルヒもみんなと馴染んでくれてるお……嬉しいお……)
放送局を目指す五人。
まずは南東の橋へ向かって歩みを進める。
やる夫とハルヒにとっては元来た道を引き返す事になる。
やる夫は「こっちだおー」先頭に立って道案内をしている。
その後ろを魅音、つかさ、6/と続き、最後尾をハルヒを歩くという形になっていた。
ハルヒは気だるげに首を回し前の四人を冷ややかに見つめている。
やがて、誰にも聞こえないような声で呟いた。
「―――けひひ」
ドンっと言う音があたり響く。
誰かが倒れる音。
「な、何だお!」
振り返ったやる夫の視線の先には右の太ももを押さえて蹲る6/の姿があった。
おびただしい量の鮮血が太ももから流れ出し地面に赤い水溜りを作っていた。
そしてその6/の背後にはこれ以上ないというほど邪悪な笑みを湛えたハルヒがレイジングハートを構え立っていた。
「かがみッ!」
「お姉ちゃんっ!?」
「がっ……ああっッ……ハルヒ……何を……!」
右の太ももにはまるで杭を打たれたかのような大穴が開いてる。
ぽっかり開いた穴からは赤い血が止まる所を知らずに流れだしていた。
傷の原因はレイジングハートから放たれた光だった。
「ハ、ハルヒ……なっ何をしているんだお!」
「いやあサーセンサーセンwwwちょっと手がすべちゃった。いやあ〜演技するのも疲れるわ〜けひひひひひひひひ!」
「演技って……そんなハルヒ……じゃあさっきのは」
「ほんっとやる夫のお人好しぶりは天然記念物モノよねー! ワシントン条約でレッドリストに加えてあげたいぐらいの希少種よあんた。ひゃはは!
第一、神が下賎な人間共と仲良くするはずなんてありえないじゃない。きひひひひひひひ」
耳障りな笑い声と自らを神と自称するハルヒ。
間違いない、このハルヒは―――
「てめぇ……HALか……糞ォッ!」
「ええ、真・神聖究極魔神HALとは私のことよ。きひひひひ」
ハルヒは蹲る6/の傷口を思いっきり踏みつける。
「ぐが……あああっ!」
「嫌ぁ! お姉ちゃんッッ!」
「ハルヒ……! あんたは……ッ!」
「少しの間じっとしてくれない? ―――拘束せよ、レイジングハート」
『Restrict Lock』
何も無いところから現れた光の輪が一瞬の内につかさと魅音の身体を拘束する。
「離して……! 離してよぉっ!」
「レイジングハートッ! 何でお前がこんなクソ外道に素直に従ってる!?」
6/の誤算はレイジングハートがハルヒと共にいたことだった。
彼女の性格を考えれば神(笑)に素直に従うなんて絶対にありえない。
あんな外道に従うぐらいなら自らの破壊を願う。そんな高潔な意志の持ち主だったはず。
だからこのハルヒは神(笑)ではなく対主催ハルヒだと思い込んでいた。
「あんたが何でこれの事を知ってるか知らないけど……これね、前の世界で私が改造した奴なのよ。今は立派なHAL厨として私を手助けしてくれるのよぉ」
「クソッ……あの時のレイジングハートなのか……っ」
そんな状態で支給されるなんて全く予想もしていなかった。
そしてそれがハルヒの手に渡ることも。
ハルヒはにたにたと笑いながら、唯一身体の自由なやる夫に視線を移す。
「ねぇやる夫〜? なんで私があんただけ自由にしてるかわかるかしらぁ?」
「わ、わかるわけないお!」
「あんたをさあ……この場にいる唯一の男と見込んでお願いがあるのぉ。けひひひひ」
「な、何をやる夫にさせる気だお……」
「男なら誰にでもできる簡単なことよぉ」
ハルヒはにたにたと笑い嘗め回すように6/の身体を見つめ言った。
「―――柊つかさの目の前で柊かがみを犯せ」
その言葉にハルヒを除く全ての人間が声を失った。
「身動きの取れない女を力ずくで意のままに手篭めにする。男の浪漫じゃないかしら?」
「そんなこと……できるわけないおっ!」
「聞こえなかったかしら……やる夫、犯せ。こういう時でもないと使う機会なんて訪れないわよぉッ! きひひひひひ!」
「いくら……ハルヒでも……それだけはッ! それだけはやる夫の……男のプライドが許さないおッ!」
「はぁ……私ね、こう見えてあんたのこと気に入ってたのよ。HAL厨にしておくのが勿体無いぐらいにね。だけどもうおしまい」
ハルヒはゆっくりとやる夫に近づいて静か微笑んだ。
これまで一度も見せたことのない満面の笑みで。
「 死 ね 」
とすっとあっけない音をたててナイフがやる夫の胸に沈み込む。
やる夫は自らの胸に生えたナイフの柄を呆然と見つめていた。
「ハ、ルヒ……」
ゆっくりと地面に崩れ落ちるやる夫。
やる夫の白い身体がみるみるうちに朱に染まってゆく。
「やる夫君……? いやああああああ!!!!」
「ハルヒぃぃぃぃ!! お前ってやつはぁぁぁぁぁ!!!」
「粗大ゴミを処分しただけなのに大げさよねぇ……けひひひ」
ハルヒはやる夫から離れ拘束されているつかさの所にやってくる。
その瞳にはいつもの常に人を見下した態度は感じられず、ただ憎悪の炎だけが浮かび上がっていた。
「ようやく、あんたに会えたわ。柊つかさ」
「ハルちゃん……どうして……どうしてこんなひどいことを……」
「『ひどい』? あんたがしたことに比べれば何てこともないじゃない。私が受けた絶望。私が受けた苦痛。全てあんたのせいよッ!」
「何を言ってるのか全然わからないよぉ……」
「そりゃそうよ。この世界のあなたは何もしてないもの……でもそんなの関係ないわ。あなたが柊つかさである限り罪を背負うべきなのよ……永遠にねェッ!」
「やめ、ろぉぉぉ!! つかさに指一本触れてみろ……! 絶対許さねぇ……!」
「吠えるな駄犬。ほんと妹思いのお姉ちゃんねぇ……? 安心しなさい……つかさはまだ殺さないわよ。私の受けた絶望と苦しみを受けてもらわないと駄目なんだから」
そう言ってハルヒはつかさの拘束を解き放つ。
「まずはあんたの肉体に痛みと恐怖を刻み込む」
ハルヒはつかさの胸倉を掴み挙げるとその可憐な顔を思いっきり殴りつけた。
いきなりのグーでのパンチを受けたものだからたまらない。
つかさはそのまま地面に崩れ落ちる。
「助けて……! お姉ちゃん! お姉ちゃぁぁぁぁぁん!」
「無理無理。お姉ちゃん足に大怪我してるから助けられないわぁ」
「やめろぉぉぉぉぉぉ!!!!」
さらにハルヒは懐から一振りの鞭を取り出し、見せ付けるようにつかさの鼻先に突きつける。
「いや……いやぁ……」
「鞭って最高よねぇ……? これだけ痛いのに死ぬような怪我なんて絶対しないもの。さあ―――豚のような悲鳴を上げろ」
ヒュンと風きり音とともに鞭がつかさの丸みの帯びた尻に叩きつけられた。
「ひぎぃ…っ! 痛い! 痛いよぉぉぉぉぉやだぁぁぁぁぁぁ!!!」
「げひゃひゃひゃひゃ! リアルで『ひぎぃ』なんて初めて聞いたわ! そう、それよ! まさに至福の悲鳴よ!」
「つかさ……ごめん……俺がいながら……こんなことに……畜生……チクショウぉぉぉおぉぁぁぁぁぁぁぉぉお!!」
「泣け! 叫べ! 嘆け! 世界を! 理不尽なこの世界を呪うがいい! この私のように! あはははははははは」
「つかさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
6/の慟哭が辺り一面に響き渡る。
目の前で守るべき人を傷つけられながらも何もできない自分。
足を撃ち抜かれ立つことすらもできない自分。
そんな6/の心の叫びですら今のハルヒにとって甘美な美酒にすぎない。
ハルヒが鞭を打つ度につかさは泣き、叫ぶ。
何度も。
何度も。
「痛いよぉ……お姉ちゃん……お姉ちゃん……お姉ちゃん……」
うわ言のように姉の名を呼ぶつかさ。手や足に浮かぶ鞭の痕がひどく痛々しい。
ひとしきり鞭を打ちつけたハルヒは満足したのかその手を止める。
つかさは制服のあちらこちらが鞭で叩かれ破れてしまっている。
それでもつかさは姉の所へ行こうと痛みを堪え必死に地面を這いずる。
「きひひ……なにその逃げ腰は? 愉快に尻振って……男でも誘ってんのぉ? まあ、男と言えばやる夫ぐらいしかいないけどねぇっ!」
「もう……やめるんだお……ハルヒ……お願いだから……」
血溜まりに沈むやる夫が息も絶え絶えに声を発する。まだやる夫はかろうじて生きていた。
ハルヒは意外な物を見るかのように冷ややかな目線でやる夫を見つめる。
「ああ、あんたまだ生きてたの。しょうがないわねえ……おっいいものみっ〜〜けwwww」
そう言ってハルヒはつかさのデイバックの中から拳銃を取り出していた。
ごく普通のオートマチック拳銃。だけど死に損ないを始末するには十分過ぎる物。
「ねえつかさ、そこの産業廃棄物を片付けてくれないかしら」
「ひぃっ……」
ハルヒは拳銃をつかさに差し出す。
ずっしりとした重みがつかさの手のひらに伝わっていた。
銃。純粋に人を殺すためだけの道具。
それを使ってやる夫を殺せとハルヒは言い放つ。
今ならこの悪魔を。
人の姿をした悪魔を。
つかさは従うふりををして銃を握り締める。
そして―――乾いた銃声が―――高速で飛来する銃弾がハルヒに―――
『―――Active Protection』
キィンと甲高い音がして、潰れた弾頭が地面にカランと落ちる。
「ナ〜〜イスタイミングよレイジングハート! このタイミングッ! 少しでも速くても遅くてもだめ。私を始末できると思ったたらキィンよキィン! あっひゃひゃひゃ!
『HAL様、あまり危険なパフォーマンスを私にさせないで下さい』
「バッカじゃないのぉ? そんなこと私がさせると思うぅ? ちょっとはココ使いなさいよコ・コ」
ハルヒはトントンと自らの頭を人差し指で叩く。
「もう一度いうわ。あの生ゴミを、やる夫を片付けなさい。今度は私が手伝ってあげるから、ね?」
「あっ……あ……」
ハルヒは拳銃を握るつかさの手を握り締める。
そしてやる夫に向けて照準を合わせてあげる。
「照準は私が合わすから。引き金を引くのはあんたよ。きひひ」
「やだっやだ……」
つかさの銃から、ハルヒの手から何とか手を振りほどこうとするが、
ハルヒの握力は思いのほか強くまったく引き剥がせそうにもない。
引き金にかかるつかさの指の上にハルヒもまた自らの人差し指を重ね合わせる。
「いやぁっ……いやあっ!」
ぐいぐいと押し込まれるハルヒの指。
必死に抵抗するも無駄だった。
パンッと音がしてやる夫の身体がビクリと痙攣する。
続けざまに二発、三発、四発の銃声。
銃声が止んだ頃にはやる夫はもう動かなくなっていた。
「はあ〜い粗大ゴミ処理完了ーーぅ! あーあ。可哀想にやる夫死んじゃったww何故殺たしwwwww」
「あ……ああああああああああああああっ!!」
殺した。
殺した。
やる夫を殺した。
何故殺した。
つかさの耳元でハルヒが囁く。
涙すらも枯れ果てたつかさは虚ろな目でハルヒの呪詛を聞かされていた。
「ま〜だ壊れるのは早いわよぉ? お楽しみはまだまだこれからなのよぉ……ねぇレイジングハート?」
『Yes, Master ―――Restrict Lock』
レイジングハートの声と共に再び光の輪が現れる。
今度は6/の身体を宙に磔にするような形で拘束していた。
「お……お姉ちゃん!」
「つかさ……逃げろ……」
足からの大量の出血が6/の意識を朦朧とさせる。
だがここで意識を失うわけにはいかない。
唇を噛み、必死に意識を繋ぎ止める。
「いい格好ね〜お姉ちゃぁ〜〜〜ん? 私の靴を舐めてHAL様万歳と懇願すれば命だけは助けてあげてもいいのよぉ? けひひ」
「バカが……勝手に言ってろ……こいつは俺からのプレゼントだ取っとけ」
ぺっと血が混じった唾をハルヒに向かって飛ばす。
べちゃっと頬に唾が付く。
「けひひ……っ」
「くくく……っ」
「あっひゃひゃひゃひゃひゃ!」
「あっはははははははははは!」
「―――神に向かって唾吐いてんじゃねぇぇょ! この罰当たり野郎がぁぁぁぁぁぁッ!」
ハルヒは6/の頭を思いっきりレイジングハートで殴りつけた。
ぱっと鮮血が飛び散り彼の顔が赤く染まる。
「やめてぇぇぇぇ!!」
「おー……今のはさすがに効いたぜ……世界広しと言えどもレイジングハートで殴られた奴なんて俺ぐらいじゃね? レアな体験だぜ……へっへっへ……」
『マスター。私を鈍器として扱わないで下さい。ボディが痛みます』
「だとよ。道具はもっと丁寧に扱うんだな」
「あんたその出血でよくそんなへらず口が叩けるわねえ」
「血の気が多いからな……これぐらい抜いてもらったほうが調子いいんだよ……けけけ」
「じゃあもっと抜いてあげるわ。そうね……何しようから」
ハルヒは何か使えそうな物がないか辺りを見回す。
すると地面に放置されているデイバックから一本の剣が顔を覗かせていた。
「良い剣ね。少し借りるわよ」
「汚い手でカリバーンに触るんじゃねぇよ……そいつはてめぇみたいな糞が持って良いような剣じゃねぇんだよ……」
煌く刀身をうっとりと眺めるハルヒ。
何と美しい剣なのだろう。まさに神である自分に相応しい剣だ。
「良いこと思いついた。あんたの運命は彼女に決めてもらおうかしら? その彼女とは? さっきからずっと空気な園崎魅音ちゃんでぇーーーっす!」
そう言ってハルヒは指をパチンと鳴らすと拘束されていた魅音の身体が自由になる。
魅音はうつむいた顔のまま一言も言葉を発していなかった。
「魅ぃちゃん!」
「魅音ッ! 頼む……つかさを連れて逃げてくれ……!」
「………ぃ」
ぼそりと魅音は呟く。
「魅音……?」
「わからない……もう私は何を信じればいいの……」
「何を言ってるんだ魅音……ッ!」
「私が知ってるかがみって……あんたのように男みたいな言葉で喋らないんだよ……女の子が自分のことを『俺』なんていうわけないじゃん……」
「あ―――」
「あんた……誰なのさ……?」
「頼む……魅音ッ! 俺はどうなってもいいッ! つかさを……つかさを……」
「プールの時からおかしかったんだよ……あのコスプレ男と知り合いみたいだったし……やっぱり三村君の言うとおり柊かがみは魔女だったんだ……」
「違うの魅ぃちゃん! この人は……この人はそんなんじゃ―――」
「嘘だっ!! つかさはそいつに騙されてるんだ! 実の妹すらも騙して……! そうだ……つかさを守らないと、魔女から守らないと……守らないと……」
熱にうなされた様につかさを守ると連呼する魅音。
その虚ろな目はつかさしか見ていなかった。
「ハルヒィィィイイイイッッ! 魅音に何をしたァァァァ!!!!」
「あら……何でもかんでも私のせいだと言うの? 陰謀論乙wwwwwwあんたが彼女に何か隠し事してたせいじゃないのぉ? やあねぇ。仲間に隠し事するなんて」
ハルヒは手に持っていたカリバーンを魅音の足元に投げる。
からんと金属質の音がして聖剣は魅音の傍に横たわる。
「ほらぁ……つかさを守るんでしょぉ。ならそのつかさを誑かす魔女を殺さないといけないわよねぇ……今つかさを守れるのはあなただけ何だもんねぇ……ききき」
「うん……つかさを魔女の手から守ってあげないと……」
魅音はふらふらとした足取りでカリバーンを手に取りその切っ先を6/に向ける。
聖剣は何も言わずただ曇り一つない刀身に太陽の光を受け続けているだけだった。
「つかさ……もう俺のことはいい……逃げろ」
「いやだよぉ……お姉ちゃんも魅ぃちゃんも残して一人だけなんて……」
「もう魅音は……壊れちまった……すまねえ……俺がもっと早くあいつに正体を明かしていれば……こんなことに……」
もし魅音に自分の事を話していればこんなことは回避できたのだろうか?
もう、後悔しても全てが遅い。
今自分にできることはもはや何もなかった。
「つかさ……ハルヒはおそらく魅音を殺さない……あいつは自らの下僕になる人間を常に探し回ってる。生きてさえいればいつかは正気に戻せるかもしれねぇ……」
「じゃあお姉ちゃんは……!」
「俺か……? 俺はもうこの傷じゃ無理だ。第一ハルヒが俺を生かしておくはずがねえ……」
「やだよぉ……お姉ちゃんも一緒じゃないとやだよぉ……」
泣きじゃくるつかさ。
目の前で泣いている少女の涙を拭ってやりたい。
抱き締めてあげたい。
抱き締めて大丈夫だよと優しい声をかけてあげたい。
だけどそれは適わぬ夢で。
魔杖が操る光の輪はそんな些細な願いですらも彼には与えない。
「おいおい……まだ俺を『お姉ちゃん』と呼んでくれるのかよ……お前の本当のお姉ちゃんは柊かがみだろ……? 俺は6/というさえない男だぜ……?」
「でもっ……でもっ!」
「いいかつかさ……っ! かがみはまだ生きてる! こなたもゆたかもみなみも黒井先生もまだ死んじゃいねぇッ! だからお前は生きろ!
どんなに辛いことがあっても絶望するな! 希望を捨てるな! 簡単に人生投げ出したら一生呪ってやるからな! だから生きろぉぉぉお!」
「うぐっ……うぇっ……うあああ」
枯れ果てていたと思っていた涙が溢れ止まらない。
ここで……ここで終わるわけにはいかない。
6/の……やる夫の想いを無駄にはできない。
涙を拭いて、痛む全身を必死に堪えて、つかさは立ち上がる。
「さよならは言わないよ……お姉ちゃん……ううん、―――6/さん」
つかさは静かに6/の頬に軽く口付けを交わす。
別れのキスなんかじゃない。再会を誓うキス。
「つかさ……」
「えへへ……また、続きができるといいなっ」
「ああ!」
「魅ぃちゃん……ごめんね! 必ず迎えにいくからっ!」
そばに落ちていた自分のデイバッグを拾い上げる。
これは希望への逃走劇。
勝利条件はつかさが無事にこの魔女の釜の底から逃げ出せる事!
「ちょっと……パーティーの主賓はあんたなのよ。逃げるなんて許されると思ってるわけ? レイジングハート、死なない程度に痛めつけなさい」
『イエス、マスター。Divine―――』
「きゃあッ!」
突然足元のバランスを崩し転ぶハルヒ。
不測の事態でレイジングハートも魔法の発動を中断させてしまう。
ハルヒは驚愕する。
自らの足をがっちりと掴む白い腕。
「つか……ちゃんはやらせ……ない、お……」
「この死に損ないがァァァァァァァァァァッ!」
完全に死んだと思っていたやる夫が足を掴んでいる。
死人とは思えないほどの力でハルヒの足を締め上げていた。
「やる夫君……!」
「ふ、ふひひ……やる夫もつかちゃんとキス…がしたいんだお……」
「離れろこの豚がぁぁぁぁぁ!」
「つかちゃん……死体が動いたんだお……ラッキーなん……だお」
ハルヒは何度もレイジングハートでやる夫を殴りつける。
それでもやる夫はハルヒの足を離そうとしない。
「つかちゃん……ハルヒに負けるなお……ファイトだ、おー」
「やる夫君も……!」
やる夫は視線の先には6/がいる。
6/もやる夫と視線を合わせ二人は頷き合う。
「行けぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!! つかさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「行くんだおぉぉぉぉぉぉ!!!! つかさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
二人の漢の魂の叫びが街に木霊する。
つかさは無言で、一度も振り返らずに走る。
運動はさほど得意ではないし、全身は鞭で叩かれ足を動かす度に激痛が走る。
それでも決して立ち止まらずにひたすら走る。
彼らの想いを無駄にしないためにも……!
【F-4/道路/1日目-午前】
【柊つかさ@原作】
[状態]:顔面打撲、全身に鞭の痣。精神的にダメージ
[装備]:
[持物]:不明支給品x1〜2
[方針/目的]
基本方針:6/とやる夫の想いを無駄にしないためにも生きる
0:とにかくハルヒから逃げる
☆
ハルヒは完全につかさを見失ってしまっていた。
そして勝ち誇った表情の男二人。
命を賭して彼らはつかさを逃がすことに成功した。
「勝ったお……やる夫たちは……勝ったんだお……」
「じゃあさっさと死ね」
ハルヒは落ちていたつかさの拳銃―――ベレッタM92を拾い上げると、
やる夫の頭に残り全ての弾を撃ち込んだ。
最初に打ち込んだ4発を差し引いた残り11発。
二度と生き返らないように、徹底的にやる夫に放つ。
やる夫はもうぴくりとも動かなくなった。
「きひひ……手間かけさせるんじゃないわよ」
「やる夫……お前は本物の漢だったぜ……」
ハルヒはやる夫の手を引き剥がし拘束されている6/の前に立つ。
「どうしたハルヒ? さっさと殺れよ。もう俺に用なんかないだろ……」
「言われなくてもわかってるわよ! 魅音!」
カリバーンを持ったままの魅音はぼうっと立ち尽くしている。
何をすればいいのかうまく解っていないようだ。
「そうだ……つかさを守らないと……一人じゃ危ないから……」
「だったら目の前の……! つかさを惑わす魔女を殺せぇぇぇっ!」
「こいつは……つかさを惑わす……魔女……柊かがみ……」
「そうよ! 柊かがみを殺せばつかさは救われるのよ!」
ゆらりと魅音はカリバーンを腰溜めに構える。
でもその手がガタガタと震えている。
「でも……かがみを殺したらつかさが哀しむよ……」
「何を言ってるんだこの馬鹿がぁぁぁぁ! こいつは魔女だ殺せぇぇぇぇぇぇぇ!」
「ああっああああああああああああああああああああ!!!!!」
魅音はカリバーンを突き出し一気に6/に向けて突進する。
そして―――
二人の影が重なり合う。
6/の背中から生える聖剣の刃。
6/の胸から生える聖剣の柄。
6/はごぼっと口から大量の血の塊を吐いて、魅音にそっと囁いた。
「魅音―――俺は……いつかお前が正気に戻ることを信じてる。だから……その時はまたつかさを守ってやってくれ……」
ずるりと刃が引き抜かれたと同時に6/の拘束も解かれる。
力なく、糸の切れたマリオネットのように地面に崩れ落ちた。
彼もまたやる夫と同じく二度と動くことは無かった。
「きひひ……処女喪失おめでとう」
「私は……私は……」
「つかさを守りたいんでしょう? なら神たる私と共に来ない?」
「ハルヒは……神……?」
「これからはHALと呼びなさい。神の力は無限。そして力を封じられた私だがその力の一部を取り戻した!」
「つかさを守れるんなら……私はHALに着いていく……」
「そして柊つかさの敵、柊かがみを殺すのよ! きひひひひひ」
ハルヒはやる夫と6/のデイバッグを拾い上げる。
最期まで神に抵抗した愚か者共だがその道具は神が有効活用してやろう。
やがて来る新世界のために―――
魅音はハルヒの後を従者のように付いて行く。
聖剣を携えた守護騎士は虚ろな瞳で神の後を追う。
「征くわよ、レイジングハート」
『Yes, My Master……いつまでも、何処までも―――』
【やる夫@やる夫ロワ 死亡】
【6/氏(かがみ)@オールロワ 死亡】
【F-4/道路/1日目-午前】
【涼宮ハルヒ@ニコロワ】
【状態】神(笑)
【装備】レイジングハート@ニコロワ
【持ち物】支給品一式×3、ナイフ@現実、マッチ@現実、ランプ@現実、青龍偃月刀@現実 ルイズの首輪、ゴマモンの首輪
コルト・ガバメント(0/7)@なのはロワ コッペパン@らき☆すた 不明支給品×1
【思考・方針】
[基本方針]
主催者と邪魔者を殺して神として君臨する。 経験を生かし、慎重に立ち回る。
1、柊つかさに絶望を与え殺す。
2、外撲を集めて、情報を集めて、首輪を分解する
3、6/(神)をいつか神の力が戻って来た時、潰す
4、レイジングハートゲットだぜ! 腋巫女ざまあwwww
【園崎魅音@ニコロワ】
[状態]:右腕打撲 、精神錯乱、HAL厨
[装備]: カリバーン@アニロワ2nd
[持物]:デイパック、支給品一式、包帯@現実、不明支給品x1
[方針/目的]
基本方針:つかさを守るため魔女かがみを殺す。
1、つかさを守らないと……
2、HALに従う
※やる夫の死体のそばにベレッタM92(0/15発)が落ちています。
【レイジングハート@ニコロワ】
ご存知高町なのはのデバイス。ニコロワ本編では博麗霊夢に支給される。
霊夢と共に最終決戦まで活躍するがハルヒに奪われHAL厨へと改造されてしまう。
らきロワではHAL厨状態で登場。
投下終わり?
代理投下以上です
あばばば
>>53は
>>51の下の部分ですごめんなさいorz
ちょっと阿部さんに尻叩かれて来る
おのれHAL ゆ る す ま じ
お前はタダの尻叩きでは許されない…やるおおおおおおぉぉぉぉ!!!
つかさはこれからどうなるのか…かがみ包囲網が着々と進展中だしかなりヤバイ
投下乙です
ああ、前回で改心フラグ立ったと思ったが実はやる夫の死亡フラグだったのか
うわ!、神(笑)がどす黒いよ。ここでhal厨レイハかよw
やる夫、マジでお前は漢だよ。悪いのは人の善意を踏みにじった神(笑)だよ
6/、つかさを守りきったお前は偉いよ。ここでも誤解フラグで苦しむことになったが最後まで折れなかったな
魅音は原作みたいに気が弱い部分を突かれたな。HAL厨の堕ちた魅音は救われるのだろうか?
久々に鬱展開で震えましたGJ
ああ、そうか…つかさだけでなくかがみも危ないな
投下乙です。
もうね、神(笑)が凄まじいインパクトw何かを通り越して惚れ惚れするぐらいの傍若無人っぷりw
だけどそれにも増してやる夫と6/の最期は熱かったw惚れ直したわw
言葉少なだがなんかこうグッときたわあ
投下乙です
やる夫ぉぉぉぉぉぉぉ!!6/ーーーーーー!!!お前ら男だよ…
しかし上にも出てるが、神(笑)はある意味オリキャラとして存分に魅力的悪役となってるなw
やっぱロワの神鬱展開に必須なのは名悪役キャラだ
なんかすげぇ…凄すぎて言葉にならないよ
とにかくGJの言葉を送りたい
ひとつだけ言えるのは神(笑)が酷すぎる!それだけだ!
投下乙!なんという神(笑)鬱展開…HAL怖ええぇぇ
やるおは意思を残して逝ったか…正直かっこよかったぞ!
HAL勢力が広がるとかやばすぐるwこいつを止められる奴はいるのか…!?w
今のところらきロワお尻叩きMVP:尻神(笑)ww自重しないまとめのおまけGJ
75 :
代理投下:2009/03/17(火) 22:29:21 ID:xTeZyk8Y
代理投下します
76 :
代理投下:2009/03/17(火) 22:30:11 ID:xTeZyk8Y
『でよーチアキがまた生意気なんだこれは。 一体どうやったらあの生意気が直るだろうね』
「ほう」
黒竜の言葉に適当に相槌を打つ。
色んな意味で変わった襲撃者との戦闘を潜り抜け、
屋内プールに向かって歩いているところである。
支給品の竜を使って飛ぼうかと思ったが、竜曰く
『疲れた』
などとふざけたことをぬかし、そのまま時間切れで降りてしまったのだ。
まああのまま飛んでいると流石に目立って余計な戦闘を繰り広げてしまうから今はいいだろう。
ともかく地図ではF4エリアに入ったはずなので、魅音達と合流できるのはもうすぐである。
もちろん支給品のテーブルかけから出した食料で腹ごしらえをするのも忘れていない。
『ほうじゃないよほうじゃ。 私はもっと面白い答えを期待していたのだよ』
知るか。
出した食料であるカレーパンを口に運びながら吐き捨てた。
封には『爆熱ゴッドカレーパン』と書いており、やけに辛いがテッカマンの口を前にすれば食べられないものではない。
それにしてもこの竜、しゃべるなと言ったはずなのに少し間を置いたらこの有様である。
本来なら、今すぐにでも破り捨ててしまいたいところだが、
生憎与えられた支給品をわざわざ無駄にしてしまうことはない。
参加者のサイズ差をも含めて考えると戦闘能力は高い部類に位置するものであり、
いざとなったら代わりに戦わせたり、こうしてアシとして使うこともできたり捨石にさえできる。
おまけにカード本体が無事であればいかなる目にあっても再び呼び出すことも可能だ。
うるさくなければ本当に優秀な支給品なのだ。 地球侵略時に従えていたラダム獣達よりも何倍も頼りになる。
使用後24時間使用不能という制限を除いてもなお魅力的なことだろう。
『さて放送聴いた限りだとハルカもチアキもまだ無事だし、私はもう少しのんびりしていますかねー』
ハルカとチアキ。 名簿上では南春香と南千秋だったか。
構う相手がいないと怠けの極地に達する姉にバカ野郎が口癖の妹、ろくなやつがいない。
どうやら彼女達もマムクートらしい。
普段は地球の虫けらと変わらないが、竜に変身する力と数百年の寿命を持つ種族らしいのだ。
そんなに強大な力を持つ生物ならば何故今までテッカマンたる自分が遭遇しなかったのだろうか。
存在していたならば地球を侵略する上でマムクートは必ず障害となって立ちはだかったであろう。
もっともテッカマンたる自分が苦戦するとは思えないが、少なくともラダム獣程度は簡単に追い払ってしまうのであろう。
結局のところは平行世界の存在に過ぎないのか、それとも当の昔に滅んでしまったのか真相は不明である。
『考え込まないで前見ろよ前・・・・・・ってあれ!?』
「どうした?」
『いや前だよ前』
素っ頓狂な声を上げる夏奈に吊られて正面の景色を眺めてみる。
よく見ると街中を横切って走っている人影があるではないか。
テッカマンの視力を持ってよく見てみるとその素性が明らかとなった。
確か柊つかさ、あのうるさい女が連れていった女の名前だ。
しかし身に着けている服はボロボロであり、そこから覗かせる皮膚は全て赤く染まっている。
なおかつその状態で集合場所を放棄して一人で明後日の方向へ息を切らせて走っているのだ。
この時点で大体何があったのかは想像がついた。
「どうやら予定は中止らしいな」
77 :
代理投下:2009/03/17(火) 22:31:00 ID:xTeZyk8Y
「はぁっはぁ・・・・・・」
草原を駆ける少女が約一名。
傷だらけの身体に鞭を打って一歩一歩大地を踏みしめながら駆けていく。
襲撃者から逃げるため、それに命を賭けた二人の男のために柊つかさは走り続けた。
自分の我侭に付き合って姉を演じてくれた6/は足を貫かれた
そして初対面であったが自分のことを思ってくれたやる夫は再起不能にまで痛めつけられた。
全ては自分を拷問するためにだ。
だがそれでも彼らは自分達を身代わりにした。
明後日の方向へ駆け出す自分が再び捕らわれないために、残された力で襲撃者を抑え付けてくれた。
破れた服から風が入り込んで傷口を痛めつけるが気にする暇はない。
自分が受けた痛みなど彼らのそれに比べたら微々たるものなのだから。
だから柊つかさはひたすら走り続けた。
彼らの願いを無駄にしないために。
しかしそれもここで終わる。
彼女の前に見慣れぬ青年が現れた。
どこかで会った気もするが、少なくともつかさの知り合いにこのような男はいない。
記憶を探っていると、彼の口から思わぬ言葉が飛び出した。
「お前が柊つかさだな? 魅音と合流を予定していた相羽シンヤという者だ」
☆ ☆ ☆ ☆
「腹が減っているなら何か好きなものを言え」
シンヤは息を切らしているつかさの前にグルメテーブルかけを出して詳細を説明する。
別につかさの腹が空いているから気を使ったというわけではない。
使用回数は十分すぎるほどあるから気まぐれに使ってしまっても構わんだろう、そんな気まぐれだ。
百貨店で大量に得た食料があるから特に問題にはならない。
「じゃあサラダを食べようかな・・・・・・」
疲労した胃に油っぽいものは入らないせいかあっさりとした料理を口にするつかさ。
そして実際に出てきたサラダとおまけのドレッシングを見るなり驚く。
されどそれも束の間、彼女はドレッシングとして用意されたバルサミコ酢をサラダに振りかけて口にし始めた。
(バルサミコ酢ってあんま使う機会ないよなぁ)
(お前は黙ってろ)
(へーい)
カードであるレッドアイズブラックドラゴンこと南夏奈が小声でシンヤに話しかけるが、彼は一言で一蹴する。
レッドアイズブラックドラゴンは強力な支給品だ、故にあまり他者に存在を明かしたくはない。
目の前の少女、柊つかさがサラダを食べている中、シンヤはつかさの支給品を確認していた。
彼女はまだ自分の支給品を見ていないらしい。 だから代わりに確認しようと進言してみたらあっさりとデイバッグを貸してくれた。
78 :
代理投下:2009/03/17(火) 22:32:22 ID:xTeZyk8Y
まったく愚かなことだ、つかさに聞こえないように呟きながらデイバッグの中を漁ると同時に彼女に起こったことを推理する。
つかさの様子を察するに、屋内プールで待ち合わせしているところで何者かに襲われて逃げ延びたのだろう。
そのとき他にいた魅音と彼女の姉である柊かがみとはぐれた、大体こんなところだ。
しかしそこまで推測したところでシンヤに一つの疑問が生じる。
(あの傷はどうやって傷つけられた?)
柊つかさは体中が何かで叩かれた後がある、
一見すると襲撃者によってつけられたものだと見れるが、そう決めてしまうのは早計だと言わざるを得ない。
第一に傷が背中、足、腕、尻、これらに集中して付けられていること。
そしてその傷があまりにも多すぎるということ。
激しい戦闘を繰り広げたならこのぐらいの傷はつくだろうが、そうだとしたら前者はおかしい。
戦闘中に相手に背を向けるのは愚の骨頂、攻撃を受けたならば必然的に傷が前面につくはずである。
彼女が戦いを行う人間だとも思えない。 小早川ゆたかのように守られるだけの力の無いタイプの人間だろう。
なので不意打ちを受けたという過程を立ててみるがそれも否定
柊つかさの背に刻まれた傷は無数と言ってもいいぐらいだ。
不意打ちで受けたにしては多すぎる。
となると結論は一つしかない。
(大方無抵抗な状態で甚振られたのか・・・・・・いずれにせよ魅音達の生存は絶望的だな)
これでデイバッグの中に未使用の銃や剣があったらとんだ笑い話だ。
あげく中に入っていたのは金細工が施された黒い手の平サイズの箱と缶詰めぐらいで、どちらも役に立つようには見えない。
缶は猫の餌とわけのわからないものであったが、どうにも黒い箱が気になる。
なので付属していた説明書を開いて読み進めることにしたのだ。
そうして紙を開いたと同時にシンヤの表情が強張る。
「あの、シンヤくん・・・・・・」
サラダを食べ終えたつかさが話しかけてきた。
シンヤが険しい顔をしていたため話しかけ辛いようだが、大分落ち着いたらしい。
その手に彼女の支給品を握り締めたまま、シンヤは話の本題に入ることになったのだ。
☆ ☆ ☆ ☆
柊つかさ、誰が彼女の悲劇を想像できただろう。
仮初とは言え、姉となってくれる存在に会うことができた。
彼女に背負われ安らかな夢を見る。 目が覚めたら彼女がそこにいて微笑んでくれる。
彼女とともに楽しいお買い物の時間。
誰もいない店内からかわいい服を彼女に着せる。
はにかむ彼女の表情がとてもかわいらしい。
楽しい楽しい『姉妹』の時間、そんな時間も終わりに近づいた。
79 :
代理投下:2009/03/17(火) 22:33:26 ID:xTeZyk8Y
―今度こそ、俺が死ねないお前に死ってものを叩き込んでやるからよぉ……じっくり、くっきりとなぁ……
現れたのは金髪スーツの男。
狂ったように笑いながら歩み寄ってきた。
口にする言葉は死。
男は彼女を知っている、彼女も男を知っている、だけど自分は男を知らない。
彼女は姉なんだ、そう自分に言い聞かせて再び彼女にしがみついた。
―いきなりの放送事故失礼したね。 では早速だが第一回定時放送を始めよう・・・・・・おい
そこからが悲劇の始まりだったのだろう。
新たに現れた少女達に助けられたのはいいが、そこに響くのは道化師の声。
放送という名目で発せられた事実はここで現実に一気に引き戻されることになる。
―えーと死亡者は
―高良みゆき
泣き疲れて眠ってしまったのでここは覚えていない。
―――けひひ
そこからが本当の悪夢の始まりであった。
―泣け! 叫べ! 嘆け! 世界を! 理不尽なこの世界を呪うがいい! この私のように! あはははははははは
―つかさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
感じる感覚は激痛、見ず知らずの魔女に拷問されている。
助けてくれるはずの彼女は自分のせいで何もできなくて、
自分のせいで傷つき倒れていく。
だけど彼女は、いや彼は―――
―いいかつかさ……っ! かがみはまだ生きてる! こなたもゆたかもみなみも黒井先生もまだ死んじゃいねぇッ! だからお前は生きろ!
―どんなに辛いことがあっても絶望するな! 希望を捨てるな! 簡単に人生投げ出したら一生呪ってやるからな! だから生きろぉぉぉお!
自分以上に痛いはずなのに、泣き出してしまいたいほど痛いのに、
傷ついた体を引きずって、自分を助けてくれた。
80 :
代理投下:2009/03/17(火) 22:34:29 ID:xTeZyk8Y
―行けぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!! つかさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
―行くんだおぉぉぉぉぉぉ!!!! つかさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
彼らの想いを受けて走り出す。
これは逃走ではない。
自分にとってのバトルロワイアルのスタートダッシュ。
残した仲間にいつかは助けると残してひたすら走り続ける。
そして柊つかさのバトルロワイアルは始まったのだ。
だが彼女の苦痛が終わったわけではなかった。
―――ドン
つかさの身体が前方に押し倒される。
立ち上がろうとするが、背中を押さえられている。
何かと思い、後ろに目をやると自分を冷たい視線で見下ろしている相羽シンヤの姿がそこにあった。
バチィィィィン!!!
バチィィィィン!!!
バチィィィィン!!!
「っ!痛っ!痛いよぉぉぉぉぉぉ!!!」
甲高い音が野に響く。
悲鳴を上げる少女は柊つかさ、
年相応の柔らかさを肌触りを持ったかわいらしい尻が何度も叩かれて、
鞭の後に加え新たな傷跡を残していく。
「痛っ!シンヤく痛っ!なんでっ・・・・・・!」
少女は苦痛に表情を歪ませながら問いかける。
だが彼女の尻を平手で叩き続けている少年、相羽シンヤはつかさとは正反対に何も感じていない、
冷たい瞳を向けながら黙々と叩き続けているのみ。
81 :
代理投下:2009/03/17(火) 22:37:08 ID:xTeZyk8Y
反吐が出る。
それが柊つかさの話を聞いた相羽シンヤの感想であった。
彼女に対する仕打ちでも、彼女をこうした襲撃者への怒りでもない。
その矛先が向いたのは柊つかさ自身である。
人間など所詮虫けらに過ぎないから彼女が何もできなかったのはどうでもいいことだ。
例えば蟻が人間に勝てないからって誰も蟻を責めはしないだろう。
元から力が違いすぎる、もし対立することがあるならばそれは運が悪かったとしか言いようがない。
ラダムに狙われた地球人のようにだ。
だがシンヤにとってはつかさはそれ未満。
―私のお姉ちゃんになってくれますか?
ふざけるな。
お前にとっての姉というものはその程度のものか。
何者かに襲撃された、拷問をかけられた、仲間が殺された、
そんなことはどうでもいい。
姉ではない人間を姉と呼んだ、それは何故だ。
同じ顔をしているから?同じ声を発するから?同じように接してくるから?
されどそれは全て作り物に過ぎないことをお前は知ったはずだ。
柊かがみに非常によく似た女性、ただそれだけでしかない。
見た目が姉であれば誰でもよかった。
まさかそこまで堕ちた虫けらだったとはね。
シンヤの中のつかさへの嫌悪感は深まっていく。
それこそ怒りを通り越して呆れさえ感じさせるほどに。
ラッドを殺せなかったこと、百貨店にて急に襲い掛かってきた女に梃子摺る自分、
最強だと思っていた誇りを兄以外の者に打ち砕かれる屈辱。
それらの経験があったから虫けら、いや蛆虫といえる存在に最も羞恥を感じさせる格好でぶつけているのかも知れない。
相羽シンヤにとって兄、相羽タカヤは尊敬の対象であるとともに超えるべき存在であった。
己よりも運動に優れ、己よりも上回る頭脳を持ち、そして己よりも父からの愛を受けて育った。
この差はテッカマンになった今とて変わるものではない。
故にシンヤよりも強く、シンヤよりも他人に愛を注ぐことができるそれが相羽タカヤという人間なのだ。
もしもこの殺し合いに参加しているタカヤがテッカマンとなる前のものだったら、平行世界の虫けら同然の存在であるとしたならば・・・・・・決着をつけるほどの価値もない、そんな相羽タカヤを想像するなりシンヤは首を振るって否定する。
そんなものは相羽タカヤなどではない。
気が済んだのか、シンヤはつかさの尻を叩くことをやめて立ち上がり、
放置したままになっていたテーブルクロスの上に置いてあった一本のビンを取る。
そして蓋をあけたまま、中身を今まで叩いていたところに零し始めた。
「――――――――――っ!!!!!!」
酸性の液体が鞭の傷跡に染み込んで、忘れようとしていた痛みを抉っていく。
叫びは最早声になっていないが、表情を見れば激痛に悶えているのがすぐわかる。
問おう柊つかさよ。
お前の姉は玩具なのか。
壊れたり失くしたりすれば買い換えればいいだけの存在、
それがお前にとっての姉というものなのか。
「お前の姉は代用品で済むものなのか?」
その一言がつかさにとってやけに冷たく感じられた。
そして相羽シンヤは悪魔の言葉を解放した。
「テックセッター」
82 :
代理投下:2009/03/17(火) 22:38:58 ID:xTeZyk8Y
☆ ☆ ☆ ☆
「お前の姉は代用品で済むものなのか?」
その一言が私の心を抉る。
お姉ちゃんだと思って近づいたら実は6/という人だった。
それは話をして直ぐにわかったことだ。
でも私はそれに甘えてしまった。
一人では何もできないから、怖かったから、彼に私のお姉ちゃんを強要させてしまった。
ただのそっくりさんなのに私、自分勝手だよね。
だから今私が受けているのは仕方の無いことかもしれない。
シンヤくんはそんな私に罰を与えているだけなんだ、そう思っていた。
いや、そう思いたかった。
「テックセッター」
聞きなれない言葉が耳に入る。
こなちゃんが聞いたらヒーローの変身の掛け声っていうだろうね。
でもやっぱり現実は違ったんだ。
光の中から現れたのはかっこいいヒーローとは全然違うものだった。
「せめてものの情けとして一瞬で殺してやるよ。 抗うのならばこれを使え」
目の前に現れた悪魔は私の元に黒い箱を投げる。
これってシンヤくんがさっき持っていた私の支給品だよね・・・・・・
正直支給品はまったく確認していなかったため、これがなんなのかは私にはよくわからない。
わからないほうがよかったのかもしれない。
一緒に落ちていた紙を見ると、それにはこう書いてあった。
83 :
代理投下:2009/03/17(火) 22:39:48 ID:xTeZyk8Y
仮面ライダー
「え・・・・・・?」
思わず声を出してしまう。
仮面ライダーというのはよくわからないけど、説明書を読む限り強いのだろう。
丁寧に能力や武器まで書いてある。
自分が今までこんなすごいものを持っていたなんて気づきもしなかった。
気づきたくもなかった。
気づいていたら6/さん達を助けられていたかも知れないのにそれをしなかった自分を認めたくなかった。
「どうした? 変身しないのなら殺してしまうぞ」
怖い声を出して長い槍を向けてくる悪魔に対して私は何もできない。
いや、何もできないと決め付けているだけかも知れない。
そうだ、私は殺し合いが始まってからずっとこうだった。
何もできないと勝手に決め付けて、誰かに頼りっぱなしてずっと怯えていたんだ。
今の私には力がある。
―いいかつかさ……っ! かがみはまだ生きてる! こなたもゆたかもみなみも黒井先生もまだ死んじゃいねぇッ! だからお前は生きろ!
―どんなに辛いことがあっても絶望するな! 希望を捨てるな! 簡単に人生投げ出したら一生呪ってやるからな! だから生きろぉぉぉお!
6/さんの言葉を思い出す。
そうだ、私が今やるべきことは一つしかない。
どんなにかっこ悪くても、どんなに苦しくても生きなくちゃいけないんだ。
だから私は立ち上がる、手の平の力を握り締めて。
転がっているバルサミコ酢が入っていた空き瓶にデッキをかざすと同時に腰にベルトが現れる。
右手を左上に伸ばし、そのまま右手を上に旋回する。
「変身!」
そう叫んで右手でベルトにデッキをはめると同時に左手を右上に突き出した。
理由はわからないけれどこうしなきゃいけない気がした。
そうしないといけない気がしたのだ。
次の瞬間、体中が熱くなる気がした。
彼女のこの動作、それが並行世界の殺し合いにある、柊つかさと僅かながらにともにした青年、
本郷猛の変身動作であることを彼女は気づくことはないだろう。
そこに現れたのは柊つかさではない、赤のスーツに銀の鎧を纏い、龍の紋章を持つ戦士、
仮面ライダー龍騎であった。
84 :
代理投下:2009/03/17(火) 22:40:40 ID:xTeZyk8Y
☆ ☆ ☆ ☆
―SWORD VENT―
龍騎の左腕に装着されているガントレット、龍召機甲〈ドラグバイザー〉から
無機質な男性の声が響くと同時に天から剣が舞い降りてくる。
赤き龍の尾を彷彿とさせる刀は龍騎のアドベントカード、『ソードベント』で呼び出されたドラグセイバーだ。
つかさは龍騎のカードデッキの説明書を読んだとき大体使い方を把握しているので特に驚くこともなくそれを手にするが、
その動作はどこかたどたどしいものである。
「やぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
ドラグセイバーを握り締めたつかさは得たライダーの脚力を持って悪魔の名をもつテッカマン、テッカマンエビルへと突撃していく。
仮面ライダー龍騎の脚力は100m5秒、そこから生み出される加速力は常人のそれを遥かに凌ぐものだ。
そして助走がついたドラグセイバーが勢いよエビルに振り下ろされた。
されど相対するテッカマンエビルは特に慌てる様子もなくテックランサーでそれを受け止める。
得物を構える両者の腕は互いの力に震えるが、それを確認したエビルはドラグセイバーを勢いよく弾き飛ばした。
「パワーはそれなり、流石は仮面ライダーの力といったところか。 だが」
エビルはドラグセイバーを拾いなおす龍騎にそのままテックランサーで切りかかる。
「―――っ!」
反応が遅れた龍騎の体にテックランサーが切り込まれた。
とはいっても致命傷には程遠く、すぐさまドラグセイバーで切り返そうとする。
「遅いんだよ」
しかしエビルは既に龍騎の背後に回りこんであり、
テックランサーの一撃が再び龍騎の体を傷つけた。
後ろにドラグセイバーを振るうもあっさり避けられてしまう。
その後はそれの繰り返しだった。
龍騎の振るった一撃は全て当たらずあるいは弾かれ、エビルのテックランサーだけが
龍騎の装甲と体力を削っていく。
85 :
代理投下:2009/03/17(火) 23:13:28 ID:Kk0tmz52
遊ばれている。
つかさはそう思った。
その気になればエビルはつかさを殺すことぐらい簡単にできるのだ。
仮面ライダーに変身することで得られるのは身体能力とカードの力だけ。
反応速度と基礎体力は柊つかさのままなのだ。
息を切らせながらドラグセイバーを杖にして立ち上がる龍騎をエビルは見下ろしている。
しかし止めは刺さない。
以前、相羽シンヤは仮面ライダーを名乗る男、村雨良を追い詰め、また追い詰められた。
だからつかさの支給品の、仮面ライダーという語に嫌悪を示したのだ。
そこで彼は考えた。
どうせ利用価値の無くなった柊つかさを殺すのであれば、仮面ライダーの姿にしてから殺そう、と。
これは戦いではなく、テッカマンによる仮面ライダーの私刑だということにつかさが気づくこともない。
「さあさっさと起き上がれよ、甚振ってやる」
仮面の奥では禍々しい笑顔を作っているだろうエビルはテックランサーを龍騎に向ける。
このままではまた同じことになる。
時間だけが浪費され、制限時間である10分が経ってしまうのだ。
そうなってしまったらつかさを守るものは何も無くなって本当にどうしようも無くなってしまう。
(まだ、私は死ねないんだ!)
それでもつかさの瞳から闘志が消えることはなかった。
仮面の奥で生きる希望を燃やし、この状況を打破するために説明書の内容を思い出していく。
まだあったはずだ、こんなときには・・・・・・
「このカードを使うのは嫌だったんだけど・・・・・・でも!」
そう意気込んだ彼女はベルトのデッキから新たなカードを取り出して、
ドラグバイザーにセットした。
―ADVENT―
「なんだと!?」
龍の咆哮が轟く。
鏡面、すなわち二体の戦いをぼんやりと映していた空き瓶から灼熱の龍が現れたのだ。
龍の名はドラグレッダー、龍騎の契約モンスターにて守護者である。
ドラグレッダーはエビルの視界から完全に離れたところから現れエビルを突き飛ばす。
まったく想定してなかった出来事に呆けたエビルはそれをまともに喰らって突き飛ばされてしまった。
そしてドラグレッダーは龍騎を守るようにして長い体で包み込んだ。
「また誰かに助けられちゃったね・・・・・・ありがとうドラグレッダー」
つかさの言葉に呼応するかのように龍が吼える。
だがまだ危機が去ったわけではない。
受身をとって立ち上がったエビルがここに来て初めて本物の殺気を出して龍騎を睨みつけた。
「ドラグレッダー、今度は私も戦うよ。 だから一緒に頑張ろう」
エビルの威圧に屈することもなく、龍騎は更なるカードを取り出す。
カードデッキや額に刻まれた紋章と同一の絵柄のそれは、つかさにとっての逆転の切り札。
―FINAL VENT―
86 :
代理投下:2009/03/17(火) 23:14:09 ID:Kk0tmz52
瞬間、龍騎が跳んだ。
跳躍に合わせてドラグレッダーが螺旋を描きながらともに昇っていく。
前方宙返りをして体を捻りつつ足をエビルに向かって突き出す。
「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
つかさの叫びとともにドラグレッダーの口から灼熱の火の玉が放たれて、
それに包まれた龍騎がそのまま蹴りを放った。
赤熱化した蹴撃は重力を加えて更に加速を増していく。
燃え盛る炎は彼女の決意を込めていた。
無力な自分から生まれ変わろうと思った。
どんなに辛いことがあっても切り開いていこうと思った。
龍騎の一撃は彗星となり、天に炎のラインを僅かに刻みながらエビルを貫こうとしていた。
―――轟音が響き、大地が揺れる。
そこから爆風が吹き荒れて、熱くなった空気が草木を撫でる。
後に残ったのは一つのクレーター、そしてその中央に立っていた龍騎のみ。
「はぁはぁはぁ・・・・・・」
慣れない戦闘に流石に疲労を感じたのか、両膝をついて息を切らしていた。
直後、制限時間が来たのか、龍騎の鎧が消えて柊つかさの姿が現れる。
その胸には勝利したという達成感、そして襲ってきたとはいえ人を殺めてしまったという罪悪感が渦巻いて、
なんともやりきれない表情を浮かべていた。
87 :
代理投下:2009/03/17(火) 23:14:41 ID:Kk0tmz52
「中々やってくれるじゃないか虫けら。 間一髪で避けたけど、今のは危なかったよ」
その声を聞いた瞬間つかさの顔が固まる。
恐る恐る振り返ってみるとテックランサーを構えたテッカマンエビルがそこにたっていた。
爆発の余波でアーマーが焦げているが行動に支障は無さそうだ。
絶望が訪れる。
ようやく希望の光を手にした少女の灯火を消し去るかのように悪魔は微笑む。
極めて禍々しき笑みと殺意を浮かべながら、僅かに残った炎をかき消そうとする。
(ごめんなさい、お姉ちゃん、6/さん、みんな・・・・・・)
大好きな姉や友人達と過ごした日常、
姉になると誓ってくれた6/さん、
守ってくれると言った魅音ちゃん、
知らないけど最後まで優しくしてくれたやる夫くん、
様々な思い出がつかさ脳内で走馬灯を作り出していく。
彼女が最後に見たもの、それは冷たく微笑む悪魔の姿、
己に突き立てられる無常な刃に黒い影、
/ ,. ,. ヤ `' ー-.ゝ-/,r、` ー l::!.l ヽ ,..、 "'ーテ彡彡彡ニl::::::::::ヽ` ー- ヽ
──┐ "7-'" ./.__ .r‐'ー、ヾO:/'´::スヽ、 ', `'^i "''-=三|:::::::::::::ヽ. | |O
──┤ / l. ``' ー- 、.._ヽ -ェ`}::i:::::::/ \ヽ ',. ! ,.-'〇. "l:::::::::::::::::ヽ | |
──┘ /-‐ ' /::/::l´ヾ:O:|::::/-、ー- 、ヾ. ', ,r 、/ _,. -一''''"ヾヾ ̄::',
_ ./ ノ .i.::∧ヽ._ ヾ:';:/.l ,r::ヽ、 ', V ィi l ,. -‐'"´ .} }:::::;ィ', ├─O
/´ i.::i '"i:::r ニ:::oヽ ` ー-:、lヽ. ', /./:// '" ___ , ', ':::く_./ │
_ -‐ " `'-.、 i.:li ';ヽ `ヾ、`:ー-.. 、.二irl/ "./ ,. - <`` ー-ユヽ、ィ'/;::`'---ミ、  ̄ ̄
.「 l.:!!.',.ヽl ヾ`'ー:'"::;;:`'::ェェ'"´ .i ゚./ ぐ=フ:::ー..ミヽ、 /:::::::}:::ヽ.、_ /::l /
./ / ./ー、. /ヽ. |:l ',. ``!:/:/´  ̄/:::乙 __, -テ l ./_ ';ヽ `ヾ、::l. `ゝ/::::::/;:::゚---、`r- '.i /
/ / .| }.iヽ. ', ||,. ---:o::゙Z二´_`''ァ:::/ ./´ ヽ.ヽヾ:::゙ヽ、 `'" /:::/oヽ. /:/ / ・
・ ・ | l. ! ヽ / / __/!!::::::l ̄``' ー' / k t、::゚:::,二::o::r '" ̄`ヾ二‐' / , 、 ,-、
,. ‐--、 |. l lヽ、ノ i.  ̄|. ',',:::::|. \ .j .|:ヾェガ、::ヽ. ` ーミー--':シ/ ./ ./ |/ ',. f
,. -'" ,、/.| |', !. i |. ',',:::|. \-.、_ ´ ヾ:、`ヾ、 ヾ:ヽ--‐'::シ三ヽ }. /./ " ',. l
r-‐'" ,. - '" l,. r.l. トミ|l i ,l -ヽ ',';:| \. `ヽ、._ ヾ:.ヾ', l::|`:::::Zコ i l. ! .〆 ',. i
,ィ:!、__,.-'" `,. ‐'" |. l. | ',. ',",. ァ / __ | ',ヽ. ` ー`'_ー-`- -./ヾ:::。:レ-ミー'" _ / ,.、 '/´.〉
/ ,. ‐'" ,. '"l`'ヽ/ `ヘ ', -'. `/ |. ', /:::::; -''|:lヾ、 `二.-''"'''" ̄ .ヽ / ./
'" ,.--‐'" ,.r:l |. \! ', ',r‐''.」、 l゙i ', ./ - '"rヤ´ヾ、. |「,. -一''"´フ ./,.ヘ / ,. '"
.l ,. '" |. | ゙!. ,.-ー! ',./ l ! ノ .| '、 ,. -‐'"´ ./ ./ヽ ||" , ' ./ ./ 〃"!./t , ' /
゙ヽ、.-" .| |. ,. / i ゙、. ',l"! | ` - 、 -‐'" ./ ヽ-ヾ , ' ,/ L-'"lィ/ /ム-'"
|/ / .| ノ i ヽ. ヽ |. ', 〆´ ./--" , -¬
88 :
代理投下:2009/03/17(火) 23:15:28 ID:Kk0tmz52
(え!?)
そして彼女の瞳にエビルとは別の黒い影が横切る。
更に人影は細い四肢に軽く一捻りを加える。
「パピ☆ヨン!」
その声とともに放たれたハイキックがエビルに向かって打ち出される。
一度不意打ちを喰らっているエビルが二度も同じミスを犯すわけにはいかない、
エビルはテックランサーを構えてそれを受け止める。
そして闖入者に反撃を試みようと回し蹴りを叩き込むが、闖入者はバック転でそれを交わした後呆けているつかさを抱きかかえてその場から離れてしまった。
「貴様、何者だ!」
つかさの処刑を邪魔されたエビルが突然割り込んできた蝶のマスクの男に怒鳴る。
されど彼は鼻で笑いながらこう言った。
「通りすがりのホムンクルスだ」
☆ ☆ ☆ ☆
「ここを禁止エリアにするとは中々嫌らしいことをするな」
時は少し遡る。
蝶人パピヨンは己の腹を満たすために百貨店までやってきたはずだった。
ようやく中途半端な空腹から解放される、そう思って百貨店に入ろうとしたとき、放送が鳴ったのである。
死者には別に興味はなかったが、高良みゆきという名前が少し気になった。
以前の殺し合いで行動をともにしていた少女、泉こなたの友人らしき人物だ。
そういえば名簿を確認するのを忘れていた。
何故だか死んだこなたやその友人の名前が載っているが、
また別の時間から呼ばれたのであろう。
それよりも自分の名前がちゃんとパピヨンになっていたことが喜ばしい。
「今回はやけにあっけないものだったな」
そういえば高良みゆきは以前の殺し合いではそれなりに生き延びていたであろうことを思い出す。
吸血鬼によって殺されてしまったというのは第2回放送以降であろうか。
舞台が変われば退場の場面も変わるのか、自分も気をつけなければ。
たとえこなたの友人とはいえ所詮自分には面識が無い、だからその程度にしか思えない。
そんなことよりも今は空腹を満たすことだ、ここが禁止エリアになるのならば早いところ食料の回収だけでもしておきたい。
そう思って百貨店の扉を開けようとしたときだ。
89 :
代理投下:2009/03/17(火) 23:16:32 ID:Kk0tmz52
――ドカン
「ん?」
百貨店の一部が崩れ去ったのだ。
幸い破片は自分を避けたみたいであるが、
見上げてみると何やら巨大な生物が百貨店にめり込んでいる。
ホムンクルスのように無機質ではない有機的な肌に鱗、それはまるで御伽噺にでも出てくる龍であった。
未知の生物にパピヨンの好奇心がそそられるが、次の瞬間には龍の姿は消え、代わりに奇怪な格好とした少女が百貨店の中に入っていた。
「気になるが今は時間が惜しいな」
少しだけ残念そうに嘆いて百貨店の中に入っていった。
「ふむ・・・・・・どうやら既に先客がいたようだな。 それにしても汚いな、品がない」
まるで獣に食い散らかされたような店内を見て嘆きつつも残った食料を回収するためにデイバッグの口を空ける。
しかしほとんど食い尽くされており、食べ物を見つけるほうが大変だ。
鯖缶の缶詰をはじめ、手軽に食べられるものはほとんど食い尽くされているではないか。
何処の大食漢なんだと愚痴を零しつつもまだ手が届いてなさそうな駄菓子コーナー等をあたってみる。
―ボオオオオオオオオオオオオオオオオオオオルテッカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!
―スタアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアライトブレイカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!
凄まじい咆哮とともに百貨店が崩れ始めるのを感じた。
上で激しい戦闘が行われているらしい、このままここにいては倒壊に巻き込まれそうだ。
食料はほとんど回収できないしこれ以上探している暇もない。
名残惜しいがここは去ることにする。
「龍の次はまた竜か」
南方へと飛んでいく竜を見るなり嘆く。
龍と竜の漢字の違い、パピヨンの場合は西洋と東洋での形状の違いで分けているが、本来はどちらも同じである。
竜は本来の竜全般を指す意味であり、龍は神獣・霊獣として扱われるそれを荘厳にするため複雑にしたものだ。
故に竜という字は、ファンタジーなどで倒すべき怪物、龍は守り神として扱われているのかも知れない。
もっともパピヨンにとってはどうでもよかったことだが。
未知の生物、見知らぬ力、これらのキーワードはパピヨンの好奇心を満たすのに十分だった。
こうしてうまい棒というスナック菓子を加えながら竜を追いかけることにしたのである。
90 :
代理投下:2009/03/17(火) 23:18:08 ID:Kk0tmz52
☆ ☆ ☆ ☆
(くだらないな)
それが少女、柊つかさの話を物陰で聞いたパピヨンの感想だった。
竜を追いかけてたどり着いたのがあの男だ。
すぐに接触してしまってもよかったのだが、オプーナの前例もある。
なので一先ず彼を尾行することにしたのだ。
もちろん感ずかれないように200メートル程離れて。
そして柊つかさという少女と合流して彼らに接する機会を伺っていたのだ。
気配を最大限に消し、話が聞こえるギリギリの位置まで近づきながら。
もちろんすぐにでも接触することはできた。
そしてあの不思議なテーブルクロスを使ってみたいと思った。
だがあえてそれはしなかった。
(相羽シンヤといったか、貴様はどうにも信用できそうになくてね)
勘、ただそれだけの理由でもないものである。
相羽シンヤという男の持つ雰囲気、目、それらがどうにも胡散臭いのだ。
あれは人を見下している目。 かつて人間というものを嫌悪していた自分のように腐ったドブ川のような目をしていたのだ。
結果的にその判断は当たっていた。
柊つかさの話を聞き終えたシンヤは突然彼女に襲い掛かったのだ。
しばらくはそこで反省してればいい。
その時つかさを見つめるパピヨンの視線もシンヤと同じものである。
姉を代用品として用意してそれに甘えていたのだ。助ける気にもならない。
惨めな格好で摂関されている彼女を眺めながらシンヤが次にどう出るか観察していく。
(ほう・・・・・・!)
パピヨンは思わず出そうになる感嘆の声を抑える。
シンヤが人の殻を脱ぎ捨てて、異形の姿へと変貌したのだ。
また自分の知らない存在を見つけたことに驚きを隠せないが、
同時にこの状況はつかさが危険だと思い立つ。
仮にもこなたが友人だと言っていた少女だ、このまま見殺しにするのも気が引ける。
が、まだ自分の出番ではないようだ。
黒の鎧を纏った怪人は見慣れぬ長方形の物体をつかさに投げつけているではないか。
抗うならばこれを使え? 変身しないのか?
怪人から発される言葉を前にあの物体への興味がますます湧いてくる。
一体あれを使って何ができるのか。
あれを使ってつかさは何をしようとするのか。
そんなことを考えていたらつかさが長方形の物体を持って立ち上がり始めた。
彼女の動作は自分が知っているそれとは違うが、まさしく・・・・・・
(仮面ライダー・・・・・・!)
91 :
代理投下:2009/03/17(火) 23:20:03 ID:Kk0tmz52
変身、そのキーワードとともにつかさの体が鏡の光にも似たそれに包まれる。
新たに現れた姿にパピヨンは思わず目を見開いた。
その姿は形こそ違うも、以前自分が戦った仮面ライダーそのものなのだ。
さてここからはデータ収集の時間。
正直戦闘の結果はわかりきっていた。
つかさが負けて怪人が勝利する、これだろう。
怪人の言動から察するにあの物体は仮面ライダーへと変身するアイテム。
まったく仮面ライダーというものもお手軽なものだ。
つかさはとても戦闘に慣れているとは思えないし、そんなものが変身したところでたかが知れている。
予想通り、つかさは力任せに剣を振るっているだけだ。 言い様に遊ばれてしまっている。
怪人に走りかかった脚力や頑丈さを見る限り、能力としては仮面ライダーと言えるのだろうが。
機会があれば鍛えてみるか。
ボンヤリと戦い・・・・・・いや私刑を眺めながらいつ登場しようかと考えている。
せっかく助けに出るなら蝶最高なタイミングで飛び出したい。
―ADVENT―
(なんだと!?)
思ったことが怪人の発した言葉と重なる。
ビンから突如赤い竜が飛び出して怪人を襲ったのだ。
今日はやけに龍と縁がある。
そういえば剣を出すときもカードをガントレッドに挿入していた。
あのカード自体に力が宿っているのか、あのガントレッドが力を引き出しているのか、
赤い仮面ライダーに対する興味がますます湧いてくる。
92 :
代理投下:2009/03/17(火) 23:21:19 ID:Kk0tmz52
―FINAL VENT―
(終わりだな)
機械音とともにつかさが飛び上がった。
どうやら必殺技を撃とうとしているらしい。
その動きは中々優雅なものであったが、今それを使うべきでないことをパピヨンは知っていた。
必殺技は文字通り必ず相手を殺す技。
故に必ずそれを当てられる状態でないと使ってはいけないのだ。
怪人は一回龍に跳ね飛ばされただけで、それ以外のダメージはない。
だから当てられそうな状況でもまだ怪人にはそれを避けようとする気力ぐらい普通に残っているのである。
弾丸のようなキックが地面に直撃する音とともに爆風から吹き飛ばされまいと踏ん張る。
後に残ったのは変身が解けた柊つかさの姿とまだまだ余裕な怪人の姿。
どうやら自分の出番が来たようだ。
つかさの首を狩ろうとしていた怪人にハイキックをかまして(防がれたけど)柊つかさを救出。
我ながら蝶☆最高なタイミングだ。
「貴様、何者だ!」
怪人が怒鳴ってきてうるさい。
そういえば人間のときしか名前を聞いてなかったね。
「通りすがりのホムンクルスだ」
というのはあまりにも偽善者ぶりすぎているので
「俺の名は帝王・パピヨン♪」
そう名乗るだけ名乗り、つかさをおぶって貰うもの貰って逃走した。
「逃がすか!」
怪人が追いかけようとしてきているがもちろん対策は打ってある。
ここに来て役に立たないと思っていた支給品を取り出し、電源を入れて怪人に放り投げた。
規制解けたかどうか試してみる。
とけたら最後投下する
,..-‐−- 、、
,ィ":::::::::::::::::::;;;;;:ii>;,、
/:::::::::::::::;;;;;;;;iii彡" :ヤi、 タピオカパン!
i::::::::::::;:"~ ̄ ::i||li
|:::::::::j'_,.ィ^' ‐、 _,,. ::iii》 イスラエルトルネードスピン!
|:::i´` `‐-‐"^{" `リ"
ヾ;Y ,.,li`~~i 運動会プロテインパワァァァァァァ!!!
`i、 ・=-_、, .:/
| ヽ '' .:/
ー-- ,,__,,, | ` ‐- 、、ノ ハルヒ!ハルヒ!ハルヒ!ハルヒ!ハルヒ!
;;;;;;;l;;;;;;;ヽ_ ̄``''‐- 、 , -‐}
;;;;;;l;;;;;;;;;;;ヽ ̄`''‐- 、l!//{`‐-、 アルマゲドン!
l;;;;;;`''=‐- \‐-ッ'´ ', ' ,ヽ;;;;ヽ\_ なぁーい!なぁぁぁい!!
;;;;;;;;;;;`'‐ 、;;;;;;;;;;;>' ', ' ,ヽ<;;;;;; ̄`'‐、 メ / )`) )
l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`'‐ / , ' ヽ/;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ メ ////ノ
;;i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l , l;;;;;;;;;;;i;;;;;;;;;;;l! メ /ノ )´`´/彡 天皇陛下バンザァァァイ!
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;-‐`‐-‐i''‐-、 _ ,, l;;;;;;;;;;;l::::::::::::l / ノゝ /
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;;;;;;;;;;;;;;;;;;;_,,_;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l;;;;;;;;;;l /;;;;;;\ _/ |ニニニニ|
※画像は音声のイメージです。
「―――ッ!」
『うるせぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!』
「バルサミコ酢ぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!」
もともとやかましい奇声が音量最大によって更にやかましくなって周囲に響く。
ある程度覚悟はしていたがやっぱりうるさい。
完全に虚をつかれた怪人はそのまま立ち止まり、抱いていたつかさも奇声を上げる。
何故だか他の女の声もしたが今は気にしている暇はない。
建物を次々を飛び越えて怪人から離れていった。
☆ ☆ ☆ ☆
『逃げちゃったな』
「・・・・・・」
『いやこの場合逃がしたと言うほうが正しいか』
「黙れ!」
叫びとともにテックランサーがIPODを貫く。
IPODはノイズを帯びた音を発した後、しばらくして何も動かなくなった。
【IPOD(キーボードクラッシャーの音声入り)@ニコロワ 破損確認】
『あーあ、勿体ない。 で、追いかけなくていいのかい?
私は追いかけないほうがいいんだけど』
「・・・・・・そうだな、今はどうでもいい」
これ以上無駄に体力を使うわけにはいかない。
ただでさえ連戦続きで疲れているのだ、しばらくは近くの民家で休もう。
どうにもここに来てから自分は感情的になりすぎている気がする。
思えば柊つかさを殺すのにあのようなことをする必要もなかったはずだ。
そんな自分を落ち着けるためにシンヤは深呼吸をした。
そして腹ごなしに例のテーブルクロスを取り出そうとするがどうにも見当たらない。
そういえば片付けるの忘れていたな、戦闘中にどこかへ吹き飛んでしまったのだろうか。
『なあ、少し言いにくいんだけどいいか?』
「なんだ、早く言ってみろ!」
腹が減っているせいか余計感情的になってくる。
空腹を満たせない憤りが支給品に向くが、とりあえず今は我慢して話を聞いてみよう。
『あのテーブルかけ、さっきの変態が持っていったぞ』
出したらしまう、人間だったときに習ったそれはどうやら正しかったらしい。
まさか見た目がただの布切れのあれを奪われる羽目になるとは。
まあいい、こんなときのために用意していたはずだ、百貨店から回収した食料が。
その日、一軒家にて寂しそうに鯖缶を食らうシンヤの姿が目撃されたとか(夏奈談)
【F-4 民家/一日目 午前】
【相羽シンヤ@アニ2】
[状態]:疲労(中)、全身に負傷(特に両腕に痛み有り)-手当済
[装備]:ブレードのテッククリスタル@アニ2
[持物]:デイパック、支給品一式(食料無し)、レッドアイズブラックドラゴンのカード(南夏奈)@カオスロワ
:ヤクルト@ニコロワ、きしめん@ニコロワ、他食料
[方針/目的]
基本方針:Dボゥイとの決着をつける。
0:今日も元気だ 鯖缶がうまい。
1:しばらくは民家にて体を休める。
2:魅音とは合流できそうにないので予定は破棄。
3:人間に正体がばれないように行動。ばれたり邪魔だと感じたら殺す。
4:村雨を殺す。
5:もう少し冷静に行動することにする。
6:Dボゥイの分のテッククリスタルを探し出し手に入れる。
7:ゆたかと出合ったら……?
[備考]
※参戦時期はアニ2、211話「The Incarnation of Devil」内でラッドに殺される前。
※力の制限、特にボルテッカに関しては大きな制限が掛けられています(威力低下、疲労感と空腹感の増加など)
※南夏奈のカードはテラカオスに殺される直前から参戦。制限はニコロワ準拠で問題ないかと。
※ラッド・ルッソを殺害したと思っています。
※現在召喚したレッドアイズブラックドラゴン(南夏奈)に乗っています。
※レッドアイズブラックドラゴンを解除した後24時間後使用不可能です。
※『柊かがみ』を死んだ者だと思っています。 魅音についても生存しているとは思っていません。
☆ ☆ ☆ ☆
「パピヨン?」
「違うもっと愛を込めてパピ☆ヨン!」
「どんだけー・・・・・・」
映画館の中で、二人の男女が談笑をしていた。
男の名は蝶人パピヨンと呼ばれるホムンクルスである。
パピヨンは、女、つかさに事情を話し、部下になるように勧めていたのだ。
つかさは部下になるということに対しては抵抗を持っているらしいが、
こなた達を助けるならば最大限に力を貸してくれるらしい。
「とりあえずそのカードデッキとやらはお前が持っておけ」
「え、いいんですか!?」
パピヨンは不思議なテーブルクロスから出した中華丼を食らいながらつかさにカードデッキを手渡す。
高みに上るためにカードデッキの解析をしてしまいたいが、今は設備がないので後回しだ。
それならばいっそ力の無いつかさに渡して護身用として使わせれば問題ないだろう。
もっともつかさはそれを単なる護身用の道具として使うことはないのだが。
「これがなければお前はただの人間だからな。 変身できない間はそれを使った戦い方でも考えとけ」
さっきみたいに無様な戦いをしないためにもな。
そう付け加えながらも、喜んでいるつかさを前に残った中華丼を食べ干した。
気が向いたら戦闘の仕方でも教えておいてやろうかな、そんなことを考えながら何も映さないスクリーンを眺めていた。
柊つかさは今、己の往く道を走り出した。
誰かに甘える、守られる、そんな弱い自分の闇から抜け出して、彼女に真の夜明けが訪れる。
全ては姉を、友を助けるために。
その決意をくれた男達のために。
その情熱ベクトルは誰かの胸を貫き通すものになるのだろうか。
彼女の道に一人の蝶人が魅せられて、あるいは蝶人の気まぐれで、二人の旅路は始まった。
【E-3 映画館/一日目 午前】
【柊つかさ@原作】
[状態]:顔面打撲、全身に鞭の痣、疲労(中)
[装備]:特になし
[持物]:カードデッキ(龍騎)@書き手ロワ、ねこ缶@オールロワ
[方針/目的]
基本方針:6/とやる夫の想いを無駄にしないためにも生きる
1:パピヨンとともに行動。
2:こなたやかがみを助けたい。
※龍騎のデッキの制限は書き手ロワ準拠です(ミラーモンスター⇒ドラグレッダーは1分間のみ出現)
※龍騎のデッキは2時間使用不能。
【パピヨン@漫画キャラバトルロワイヤル】
[状態]:腹に打撲、ハイテンション
[装備]:ひしゃげたキーボード@ニコロワ
[持物]:デイパック、基本支給品一式、グルメテーブルかけ@ニコロワ残り16回
[方針/行動]
基本方針:主催のトップを倒して帝王として君臨する
1:柊つかさと行動。 暇があったら戦闘についてでも教えてやるかな
2:ゆたか(名前は知らない)の力を何とかして手に入れて高見を目差して飛ぶ
3:朝倉(本人はでっていうだと思っている)を探しニアデスハピネスを取り戻す最悪の場合殺してでも奪い取る
4:機会と設備があれば龍騎のデッキの解析をしたい
5:オプーナとは何か情報収集する
[備考]
※漫画ロワ 242話の「襲来!蝶男の帝王舞」より参加。
※いろいろあって冷静さを少し欠いてます。本人は気付いていないものと思われます。
※朝倉涼子の名前をでっていうだと思っています
※基本支給品の食料は全て食べつくしてしまいました。
支給品解説
【猫缶@オールロワ】
猫の餌。別に猫が入っているわけじゃないよ。
【カードデッキ(龍騎)@書き手ロワ2nd】
仮面ライダー龍騎へと変身できるデッキ。
鏡やペットボトル、窓ガラスなど、
とにかく何かを映す物にかざすことでベルトが現れて誰でも変身することができる。
書き手ロワ本編では様々な人物を渡り歩く流浪のデッキであった。
基本性能や能力はwikiにいけば載っている。
必殺技についてはそこらへんの動画サイトで『ファイナルベント』と検索すれば出てくるだろう。
サバイブ『烈火』のカードを使えばサバイブ体になることができる。
なお、制限はライダーロワ準拠であり、変身時間は10分、解除後は2時間変身不能。
他の制限は能力の低下ぐらいだと思われる。(契約モンスターの捕食の必要性はなのはロワでの制限)
こちらでも。
どうやら規制が解けていたようです。
途中から本スレに書き込むことができるようになりました。
途中まで代理投下してくれた人達ありがとうございます。
恐らく他の書き手の人たちもスレに書き込めるのではないでしょうか。
投下乙
シンヤまで尻叩きとは、でも怖いぞ
パピヨンはやっぱりここのこなたは無視か、でも機転利かせて救助か
つかさ、よくガンバったな。さてどうなるのか先がきになる
投下乙
パピヨンがかっこいいぞおい。そしてつかさもみるみる男前に!
らき勢が戦闘要員として覚醒しつつあるな。今後が楽しみになってきた
とりあえずシンヤ乙w
乙です。
つかさ成長するなぁ、いい。ぱっぴーが格好いいぜ。
シンヤ侘しいwでもカナがいるから寂しくないな…!
103 :
代理投下:2009/03/18(水) 20:44:46 ID:ec72SOJe
投下します
教えてあげよう。人生の喜びを、悲しみを、そして終焉を。
人と人の縁。
相対したり同じ方を向いていたりまたは全然違う方を向いていたり、
触れ合ったりかすりもしなかったりあるいは全然気付くこともなかったり、
同じ場所にいるのに全然関係なかったり、違う時間にいたのに強く関係していたり、
人と人との間にある縁――運命は、俯瞰の視点で見れば時に”交差点”と例えられることがある。
それに気付いてみよう。
これはあの一時。交差点を通り過ぎた十人の人間のすぐ傍を掠めた、ある一人――11人目の少年の小さな物語。
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
【三村信史 編 〜The wrong man 三〜】
[06:00]
捲れ上がり畑の様に耕されたアスファルト。暴風が吹き荒れたかの様にまとめて薙ぎ倒されている街路樹。
大小様々に散乱したコンクリート塊に、キラキラと陽光を跳ね返すガラス片の数々。
まるで怪獣が通り過ぎたかの様な酷い有様の市街地。
その影。目立たない路地の奥に学生服を着た一人の少年の姿があった。
「――どういうことなんだ?」
少年――三村信史は誰に向けてでもなく呟く。
彼の手には一本の鉛筆。そしてもう片方の手には丁寧に印を打たれた参加者名簿と地図があった。
「殺せた……んじゃあ、なかったってことなのか」
名簿の中にある”柊かがみ”という欄には脱落を意味する線は引かれてはいない。
殺したはずの彼女が名乗った”クールなロリスキー”という名前の欄についてもそれは同じだった。
つまり、それは殺したはずだと思っていた彼女の名前が放送で呼ばれなかった――まだ生きているということに他ならない。
「今からでも止めを……いや」
三村は路地の中から出て通りの南の方を見やり、そして首を振った。
相手がどういった状況であろうと化物であることには違いない。
となれば切り札を使い切り金属バット一本しかないという現状ではそれは死に行く様なものだ。
ダメージを与えた――という結果で納得し、追撃の機会を欲張らないのがCOOLな男の行動というものだろう。
「ヘバっていれば禁止エリアに捕まって死ぬかも知れないしな」
フッと三村は鼻で笑う。
柊かがみが倒れた橋の上は後一時間足らずで禁止エリアに指定される。
彼女が気絶などをしていればそのままボンッだ。そうでなくと放送を聞き逃すだけでも構わない。
三村からしたらツいている。逆に柊かがみからすればツいてない。そういう事実だった。
104 :
代理投下:2009/03/18(水) 20:45:35 ID:ec72SOJe
「……しかし、川田が死んだのか」
素性の怪しい得体の知れない同級生ではあったが、ここでなら共闘もありえたかと思うと彼の死は残念だった。
もっとも、それで取り乱してしまうなどとはCOOLではないので、彼は10人と言う死者の数に対しても冷静に受け止める。
はなからそうではあったが、これは最早プログラムでもなんでもないのだ。
ならば、三村信史はそれを打破するためにサードマンとしてただこの舞台の上で全力を尽くすのみである。
「COOLだ……COOLに行く」
唯一の武器である金属バットを握りなおし、三村は放送局を目指し通りを北へと向けて歩き始める。
★ ★ ★
[06:15]
大通りに沿って北上し、風景が破壊されたものからそうでないものへと変わった所らへんで三村は”それ”に気付いた。
「足跡……?」
アスファルトの上に残った赤色の足跡を三村は指先で触れる。それは 【 血痕 】 であった。
見てみれば、それは南から北へと向かい微かながら点々と続いている。
【TIP】 「血痕」
暴走した小早川ゆたかの一撃により致命傷を負った十代が流し、地面に残ったもの。
足跡は彼を背負う忘却のウッカリデスのもので、丁度今頃彼らは例の交差点へと差し掛かっているあたりである。
「歩幅がいやに狭い。それにこの血の量……重傷を負っているってことか」
地面に残された僅かな痕跡から三村は冷静に情報を読み取る。
そこから想像できるのは怪我を負った人間。あるいはそれを背負った人間が北へと向かっているということ。
敵となるか味方となるかは不明だが、敵ならば追い打つ好機。味方ならば助ける必要がある。
それを追わない理由は彼の中には存在しなかった。
★ ★ ★
[06:35]
追っていた血痕は元々それほど目立つものでもなく程なくして見えなくなってしまった。
血とは乾きやすいものであるし、常時垂れ流してでもいない限りそれは当然のことだろう。
しかしそれで三村がその足跡の主を見失ったかというとそんなことはない。
「怪我してて、この方角っていうなら病院だろう」
地図を見直して正しくそう推測する。頭をCOOLに働かせればそれは造作もないことだ。
放送局へと向かうことを一旦置いて、三村は更に通りを北へと進んでゆく。
その視線の先に負傷した少年を背負う細身の青年の姿が見えたのはそれよりほどなくしてだった。
「見た感じ、負傷した仲間を……って風だな。悪いやつらじゃあなさそうだ」
しかし油断は禁物。あくまでCOOLに物事を見定めるぜ。と、三村はすぐには接触しようとはせずその様子を伺う。
目の前を行く青年の足取りは頼りない。いくら人を背負っているといってもフラフラとしすぎだった。
同じ学生服に身を包んでいるがあっちはがり勉タイプか?
じゃあ、そろそろ話しかけて手を貸してやるか。と、三村が足を速めたと同時に前を行く青年が足を止めた。
105 :
代理投下:2009/03/18(水) 20:46:54 ID:ec72SOJe
「(気付かれた!?)」
罠か? と、三村はぴたりと足を止める。
がしかしそれは思いすごしだったらしい。見れば通りに面した家の窓に彼らを呼び止める少女の姿があった。
三村のいる場所まで声は届いてこないがどうやら互いに既知の間柄である様に見える。
ならば殺し合いに乗っていない人間かと判断し、三村も近づこうとして……そして、気付いた。
「(――あの制服! まさかっ)」
窓から青年を呼び止めた少女の着ている制服があの柊かがみの物と同一であることに気付き三村の足が止まる。
魔女である柊かがみ。その妹であり恐怖の対象である柊つかさ。そして先程見た同じセーラー服の化物少女。
そしてあの最初の場所で見た不可解な力を使い、そして殺されたこれも同じセーラー服の少女。
柊かがみが口にしていた 【 泉こなたと地球破壊爆弾 】 という名前から彼女に仲間がいると推測するのは容易い。
そして、彼女自身と最初の場所、瓦礫の中で見た少女が揃って同じセーラー服を着ていたことをCOOLな三村が見過ごすはずがない。
あのセーラー服を着ている者は魔女。明晰な頭脳を持ってすればそれを推測することは容易かった。
【TIP】 「泉こなたと地球破壊爆弾」
COOLな三村は気付いていないが、目の前にいる少女がまさに柊かがみ(だと思っているクールなロリスキー)が
名前を出した泉こなたと地球破壊爆弾本人である。
この時、彼女達が三村に気付かなかった(?)のは十代の血の匂いに気を取られていたから。
よく観察すれば窓の中には他にも人間がいるらしいと解る。
そしてその内の一人が窓から顔を出していた少女とそっくりだと気付き、しかも血塗れであることに三村は驚いた。
だが血塗れの少女が怪我を負っている様子はない。平気な風に立ち上がっている。つまりは――
「(返り血ってわけか)」
――そういうことに違いない。COOLな頭脳はここにきて冴え渡っていた。どんな 【 些細なことも見落とさず 】 答えを導き出す。
「(あの男の血も必ずしも自分の物とは限らないよな。
背負われているのは寝ているだけかも知れない。迂闊に声をかけようとせず大正解だったぜ!)」
三村はにやりとほくそ笑むと物陰へと移り、いくらかの情報を得るためそっと彼らが潜む民家へと近づいた。
【TIP】 「些細なことも見落とさず」
些細なことかどうかは各々の主観によるところもあるが、チャイナドレスを着ている6/氏が男だとは三村は気付かなかったらしい。
その存在の特異性ゆえに外見描写が省かれがちな彼ではあるが、だからと言って気付かないのはちょっとKOOLなのかもしれない
106 :
代理投下:2009/03/18(水) 20:47:56 ID:ec72SOJe
★ ★ ★
[06:55]
「やっぱり……あいつら」
怪しげな六人組が病院の中へと入っていったのを見送り三村は舌打ちをした。
気付かれない為に距離を置いて尾行していた為に会話の内容までは読み取れなかったが、
一番後ろを歩いていた 【 赤毛の女 】 がしきりに柊かがみの名前を口走っていたのを彼は聞き逃さなかったのだ。
【TIP】 「赤毛の女」
結城奈緒のこと。中学三年生であり、何気に三村信史と同い年であったりする。
そして柊かがみや泉こなたは高校三年生。見た目じゃわからないものですよねー。
そして、小学生の様に小さなセーラー服の少女が眠っている少年を軽々と背負い運んだことも彼は見逃しはしない。
最初に背負っていた男があんなにフラフラだったのは、その少年が見た目によらずよほど重たかったのだろう。
それをあの小さな身体で軽々と……もはやそれは間違うことなく魔女の証だ。
本性は先程見た化物少女と同一なのだろうと容易に想像することができる。
「あいつらが根城にするっていうなら、火でもつけてやるか? ……それともどっかで爆弾を作れば」
三村は離れた位置から病院を見ながら思案する。
先程も言ったが現在の手持ち武器は金属バット一本のみ。これでは例え相手が普通の人間でも六人相手じゃ無謀すぎる。
そして勿論あの六人組は尋常でない魔女の眷属なのである。となれば真っ当な手段で打ち崩すことは不可能だろう。
それこそ魔女狩りよろしく建物に火をつけるなりするしかない。
確実を喫するならば爆弾……いや、それよりもはるかに強力な武器が欲しいところだ。
「とりあえずは放送局に向かってあいつらの危険性を……と、肌寒いな。海風か……?」
日が照ってきたというのに妙に寒い。と、三村は空を見上げようとして”それ”に気がついた。気がついてしまった。
「………………〜〜〜〜っ!!」
虫。 【 蜘蛛 】 と形容すべきような何かが病院の白い壁の上を徘徊していた。
四本の節くれ立った脚を器用に動かして垂直の壁の上をまるで地面の上であるかのようにすいすいと動いている。
クラスの女子みたいにただの虫に悲鳴をあげるような三村ではなかったが、しかしその虫は異様で大きかった。
【TIP】 「蜘蛛」
バルキリースカートを装着した桂言葉のこと。
ヤンデレ全開の言葉がバルスカ使って壁を登っていたら、どれだけCOOLな男であろうともビビる。
ちなみに、この時言葉をつけていた長門有希は一足先にこなた達へと接触し爆弾が十代にかけた情報操作を解除していた。
ゆえに長門と三村は互いにその存在に気付いていない。
本能が最大級の警鐘を脳内に鳴らしていた。自分の中で自分の逃げろと言う声が幾重にも反響する。
だが、蛇に睨まれた蛙とはこのことを言うのか三村の身体は震えるばかりで、全く自分の意思に従ってはくれなかった。
できることと言えば、悲鳴をあげてこちらに気付かれてしまわないように口を両手で塞ぐことぐらい。
”…………コトクンマコトクンマコトクンマコトクンマコトクンマコトクンマ…………”
風に乗ったのかその何かの発する音が三村の耳へと少しだけ届く。
それは聞く者から正気を奪うような底知れぬ不の感情が含まれており、悪魔を召喚する呪文の様でもあった。
この後、三村に出来たのは蜘蛛の様な何かが視界の外へと消えるまで必死に正気を保つことだけだった。
107 :
代理投下:2009/03/18(水) 20:48:50 ID:ec72SOJe
★ ★ ★
[07:15]
病院から通りを南へと、COOLさの欠片もなく全力疾走する三村の姿があった。
その端正な顔は恐怖に強張り、手足はバスケットをプレイしている時とは全く違うぎくしゃくとした動きを見せている。
みっともない遁走……そうとしか言えない様な情けなさである。そこにCOOLなサードマンの面影はない。
「……ハァハァ、……ハァハァ、……ここまでくれば」
交差点へと差し掛かったところで三村は足を止めて額の汗を拭う。
若さとスポーツの経験のおかげか、あの病院より1キロメートルほど離れるのにも時間はそうかからなかった。
もっとも、それが逃げ足だけは速い……などと評されては不名誉極まりないことだが。
「ぎ、逆に考えるんだ……あの化物同士が潰しあえば俺の手間が省けるってな」
ただ逃げるしかなかったという事実を覆い隠すかのように三村は言い訳めいた理屈を並べ立てる。
相手の人数が多かった。相手は化物揃いだ。こっちはただの人間。武器は金属バット一本しかない。
化物同士をぶつけ合えば労せずして漁夫の利が得られる。それは冴えたやり方。無謀と勇気は同じ意味ではない。
「……俺には、まず魔女の危険性をみんなに伝えるって仕事があるんだ。一人で戦うことじゃあない」
COOLな脳内で生み出される理屈はどれも間違いではない。
頭が回る人間ならば誰であっても彼と同じ様に考え、そして同じように動いたであろう。
だがしかし、その選択が恐怖に追われたからのものであり、その恐怖に屈したという事実は決してCOOLとは言えなかった。
「ハァ……、放送局はこっちか……と、うわぁ……っ!」
東の方へと歩き出そうとして三村は何かに足を滑らせてそこにしりもちをつく。
「な、なんだ……これ? ベトベトするし、なんか嗅ぎ慣れた匂いが……?」
手やズボンについた 【 白濁液 】 を拭いながら、三村は運命の交差点を東へと独り抜け出してゆく。
そして歩き始めて数分後。大きな音を背後に聞き、 【 信号機が倒れる 】 のを目撃すると今度は逃げ……走り出した。
【TIP】 「白濁液」
阿部さんが交差点の真ん中で自家発電した際に排出された液体。
別に身体に害のあるものではないが、匂うし乾くとガビガビになるので洗濯するならお早めに、と言いたい。
【TIP】 「信号機が倒れる」
三村が交差点を抜けた直後にやってきたラッド・ルッソの仕業によるもの。
今回の小さなな物語はこれに終了するが、かのように三村の運命は幕間を縫うようなギリギリのものであった。
物語は書き綴られることでその可能性を収束させる。とすれば一つのシーンは一つの奇跡なのかもしれない。
【C-6/市街地・放送局付近/1日目-午前】
108 :
代理投下:2009/03/18(水) 20:49:35 ID:ec72SOJe
【三村信史@漫画ロワ】
[状態]:健康、学ランが白濁液まみれ、KOOL
[装備]:金属バット@ニコロワ
[持物]:デイパック、支給品一式、光の護封剣@ニコロワ
[方針/行動]
基本方針:魔女の犠牲者を出さない。
1:放送局に向かい、放送を利用して魔女の危険性を広く伝える。
2:自分に同調する仲間を集め、魔女達に対抗できるようにする。
3:魔女やその仲間は殺す。
[備考]
※登場時期は漫画ロワ185話「誰がために」の直後からです。
※柊かがみが自分と同じ殺し合い(漫画ロワ)から来ていると思い込んでいます。
※柊かがみと同じ制服を着た者は全て魔女かその仲間だと思いこんでいます。
※現在、以下の人物を魔女やその仲間だと認識しました。
[魔女]:柊かがみ
[名前を聞いた]:柊つかさ、泉こなた、地球破壊爆弾No.V-7
[姿を見た]:泉こなた、地球破壊爆弾No.V-7、6/氏、結城奈緒、忘却のウッカリデス、遊城十代
※クールなロリスキーのことは柊かがみ本人だと思いこんでいます。
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
こうして、ある一時の11人目の交差は一区切りを終えた。
しかしそれはやはり区切りを終えただけということで交差を抜けたKOOLな彼の物語はこの後も続く――……
109 :
代理投下:2009/03/18(水) 20:53:29 ID:ec72SOJe
代理投下終わりです
相変わらずのKOOLは早くなんとか(ry
つっこみ満載な彼だが白濁液まみれかよ!
半端に有能な彼はロワでは邪魔ものだよ
続きが楽しみです
ダメだこのKOOL、はやくなんとかしないと……
書き手諸氏のリレーによりKOOLさにさらなる磨きがかかる彼。
とりあえずGJ!!
投下&代理投下乙!
だwめwだww加速するKOOL…そして嫌なものにまみれたなw
このKOOL、知らぬが仏とは正にこのことである。
彼が放送局につくまでまた騒動がありそうだなw
GJ!
忙しい人のための三村の追跡表を簡単にしたものをなんとなく書いてみた。
水族館に電話をかける
↓
つかさも危険と認識
↓
かがみによく似た人物と遭遇し殺害(したと思い込む)
↓
大暴れするyouちゃんを目撃しKOOL化がksk
↓
放送やら何やらでかなりの人数を魔女と愉快な仲間達と認識する←今ここ
それと失礼ですけど備考欄の[姿を見た]のところにyouちゃんも追加しておいたほうがいいのでわ?
トリップが出ていた・・・・・・
らき☆すた勢は本当にとばっちり受けたよな
今更だけどさ…シンヤって料理食ってばっかじゃねwww
戦闘後の消耗が激しいからなwww
百貨店から大量の食料も持ち出しているし
変身>ボルテッカ>グルメテーブルかけのコンボができなくなったのは地味に痛い
今宵も鯖缶がうまい
シンヤは二次スパで餓死しかけたからな
食料調達には余念がないのさ
予約来ないかな・・・・・・
前スレ埋め完了
死者名鑑でも作りたいな
ぜひ作ってくれ。漫画ロワ途中で見始めたとき、死者名鑑がかなり役に立ったから
ここでも作ってくれれば、後から来た人の助けになると思う
あ、でもヒナギクさんのところは…
逆鱗に触れて刺殺されたとでも書いておきゃいいんじゃね?
予約 き た こ れ かつる
更に予約来てるw
これでかつる
なんでw?みんなWBCに釘付けだったのかwww
,.へ
___ ム i
「 ヒ_i〉 ゝ 〈
ト ノ iニ(()
i { ____ | ヽ
i i /__, , ‐-\ i }
| i /(●) ( ● )\ {、 λ
ト−┤. / (__人__) \ ,ノ  ̄ ,!
i ゝ、_ | ´ ̄` | ,. '´ハ ,!
. ヽ、 `` 、,__\ /" \ ヽ/
\ノ ノ ハ ̄r/:::r―--―/::7 ノ /
ヽ. ヽ::〈; . '::. :' |::/ / ,. "
`ー 、 \ヽ::. ;:::|/ r'"
/ ̄二二二二二二二二二二二二二二二二ヽ
| 答 | こ れ で か つ る │|
\_二二二二二二二二二二二二二二二二ノ
・イチローがタイムリーを打つと、予約が入る ←New!!
午前の柔らかな日差しが眩く島を照らしている。
暑くもなく寒くもない春のような心地よい気温。
殺し合いという場でさえなければ絶好の外出日和の気候。
無人の街並みを一人の青年が歩いている。
こんなにも気持ちのいい日だというのに彼の足取りは重く、表情は憔悴しきっていた。
その瞳には蒼穹の空は映りこまず、ただ自責と後悔の念だけが瞳を染め上げる。
心はとうの昔に折れてしまったのに足だけはふらふらと前に進む。
彼の言葉を彼女に伝えないと、それが自分にできる精一杯の償い。
青年―――ジョセフ・ジョースターは彼の遺骨を携えて償いの道を歩む。
なんでこんな事になってしまったのだろうか……
もしあの時、迂闊なことを喋らなければゴマモンは死なずに済んだかもしれない。
何気ない一言が、ゴモマンとジョセフ自身の運命を大きく狂わせてしまっていた。
悔やんでも、
悔やんでも、
何度悔やもうとも過ぎ去った時は二度と戻ってはこない。
何度謝っても謝るべき彼はもうこの世には戻ってはこない。
そして何より自分が許せない。
ゴマモンを見殺しにして、あまつさえ彼の肉を美味い美味いと食べていた自分。
悪いのは全て自分自身だ。
HALは何も悪くない、川を流れていたアザラシの死体を腹が減っていたから焼いて食べた。ただそれだけだ。
あの時、ジョセフは油したたる美味そうな肉をゴマモンである事にいくらでも気がつけていたのに出来なかった。
みんなみんな俺が悪い―――俺がゴマモンを殺した。
おっと代理投下宣言忘れました
自責の念に心が押しつぶされてしまってもジョセフの歩みは止まらない。
ゴマモンがかつて殺した柊かがみに会うまでは。
柊かがみにゴマモンの言葉を伝えなければ。
ふとジョセフの鼻腔を異臭が突く。
心地よい春先のような空気に似つかわしくない、場違いな臭い。
錆びた鉄と海辺の磯の臭いが混ざった特徴的な香り。
それは紛れもなく人の流した血液の臭いだった。
そして彼は訪れてしまう。
凄惨な宴の痕。
魔女の夜会が行われた地を。
一面、血の海だった。
灰色のアスファルトを赤黒く染めるおびただしい量の血液。
その中心で倒れている二人。
一人は女。
もう一人は―――
「嘘……だろ」
ジョセフの力ない声が口から漏れる。
血の海に横たわり、白い珍妙な全身を真っ赤に染めたマシュマロのような生物。
「なん、で……お前がそこで死んでるんだよ……HALと一緒にいたんじゃねえのかよ……」
彼は小さく彼の名を呼ぶ。
「やる夫―――」
やる夫の死体は酷い有様だった。
その饅頭のような頭の半分を何発も撃たれた銃弾によって砕かれてしまっている。
単純に殺すだけならここまでするはずがない。
「すま……ねぇ……俺が離れたばっかりに……」
HALの姿はどこにもいない、うまく逃げる事が出来たのだろうかと辺りを見回す。
周囲には誰もいなかった。
そしてジョセフはもう一人の死体に目を移す。
背中まで貫通している傷を負った女。
おそらくそれが致命傷だったのだろう。
ジョセフは女の胸の傷からゆっくりと彼女の顔へ視線を移す。
「あ、れ……」
顔が見えない。
女の顔が見えているのに見えない。
気丈さと可愛らしさを合わせ持った端正な少女の顔が見えているのに、、
ジョセフの目には霞がかかったように少女の顔を認識できない。
彼の無意識は彼の理性を騙そうと必死に少女の顔を隠す。
その少女は彼の折れた心を唯一繋ぎ止める細い蜘蛛の糸。
だから認めない。
認めてはいけない、その死体は無視して先を進め。
ありったけの無意識の叫びが少女の顔を隠し続ける。
だけど都合のいい幻想はいつまでも続きはしない。
霧が晴れるように現実は彼の理性を蝕んでゆく。
無意識の抵抗も虚しく徐々に少女の顔がはっきりと認識されていく。
藤色の長い髪をツインテールに結んだ少女の顔がそこに露になってしまう。
「ああ―――」
力なく声が漏れた。
贖罪の手段すらも永久に失ってしまった。
糸が、切れた。
☆
虚ろな瞳で地面に座り込むジョセフ。
終わった。全てが終わってしまった。
彼の心を奮い立たせる物は何一つ失われてしまった。
何も音も聞こえない。
鳥の囀りも風にざわめく街路樹も何も聞こえない。
凍てついた時がゆっくりと彼の心を枯死へ向かわせる。
そこへ一人の男の声が背後から聞こえてきた。
「ようジョジョ……しばらくぶりだな」
ウェディングドレスを着込んだ青年―――6/がそこに静かに佇んでいた。
「中々面白い状況だな……お前の仕業か? ってそんなわけねえよな」
6/は静かに言い放つ。
彼もまた二つの死体を確認していた。
「……………」
ジョセフは何も答えない。
6/もまたジョセフの状態に気がつく。
以前見た自信と覇気に満ち満ちたジョセフ・ジョースターの姿はもうどこにもない。
そこにあるのは心が壊れ魂の抜けた男の姿だけだった。
「俺は……あいつの望みすらも叶えてやれなかった。やる夫も見殺しにしちまった……」
「そうか、俺には関係無いな。むしろ人が減って都合がいい」
「あいつはさ……ずっとかがみに謝っていたんだ。でも謝れなかったんだ」
「そうか」
「もう……俺ダメだわ……」
「だろうな、みりゃ解る」
6/に背を向けたまま、横たわる柊かがみの死体を見つめたままジョセフは静かに語りかける。
6/もまた静かに彼女の死体を見下ろしていた。
「お前……殺し合いに乗ってるんだろ? じゃあ俺の首やるよ……もう俺は生きていてもしょうがねえ、あの世でゴマモンに謝ってくるわ」
「元よりそのつもりだったからな。あんたが抵抗する気が無くて助かる」
「……あんた見た感じからして日本人だろ? だったらその剣でサムライみたいに介錯してくれ」
「いいのか? 俺はほとんど剣の素人だぞ……一撃で首を刎ねられるとは限らんからな」
「構わんさ、死に方ぐらい俺に決めさせてくれ」
「……わかった」
ジョセフは正座する。
不思議と清清しい気分だった。
その目に柊かがみの姿を焼き付けて死のう。
そしてゴマモンに謝ろう。
もう、迷いも苦しみも感じない。
そんな物はこの世に置いて行こう。
背後に6/が立つ。
純白のウェディングドレスが天使のように見えた。
白い告死天使は静かに銃剣を構える。
「何か俺に言い残すことはあるか?」
「そうだな……HALに会ったら『あんたは何も悪くない』と伝えてくれないか」
「守れるかどうか解らんが聞いておくよ」
「すまねぇ……さ、一思いにやってくれ」
6/は銃剣を振り上げる。
後は振り下ろせばジョセフは絶命する。
「ジョジョ、そういえば俺からもあんたに伝えるべきことがあったよ」
「死ぬ人間に言ってもしょうがねえだろ……」
「ま、聞いとけって。あのな―――」
「―――悪いけど、その死体は柊かがみじゃあねえよ」
137 :
代理:2009/03/26(木) 00:16:56 ID:GlV8697m
205 :後夜祭 ◆DiyZPZG5M6:2009/03/25(水) 22:59:14 ID:Pco6w7OY0
ジョセフの目が驚愕で見開かれた瞬間、剣が振り下ろされた。
ざんっと鈍い音がしてジョセフの首が地面に落ちる。
赤い鮮血が噴水のように噴きあがりウエディングドレスを真紅に染める。
首を失ったジョセフの身体がぐらりと地面に崩れ落ちた。
「しょうがねえよ。こいつがかがみじゃない事を知ってるなんて俺ぐらいだ。……ったく死んでも誤解フラグは健在か『俺』は」
6/は横たわる柊かがみの姿をした『自分』に視線を移す。
彼の死に顔は不思議と苦痛にまみれた物ではない。
むしろ自信に溢れ、勝ち誇った表情だった。
彼に限らずやる夫も残った顔の半分は何かをやり遂げた安らかな物だった。
(二人は誰に殺されたんだ……? つかさと魅音は何処へ行った……? それに―――)
やる夫ともう一人の自分、そしてジョセフの言葉から察するに。
つかさと魅音と自分はやる夫とハルヒと合流している。
そこで何があったのだろうか?
そして気になるジョセフのHALと呼んでいた事。
自分のことをHALと呼ばせるハルヒはニコロワの神(笑)しかいないはず。
マーダーである自分でさえも引くぐらい神(笑)はドが付くほど鬼畜で外道だと認識している。
そんな神(笑)がジョセフ達と行動なんて出来たのだろうか?
単純にジョセフがHALというニックネームで呼んでいただけなのだろうか?
疑問は多く残る。
(ま、ハルヒが神(笑)だろうとそうでなかろうと俺には関係ねえ……俺は俺の目的を果たすだけだ)
6/はジョセフの荷物を自分のデイバッグに詰め替える。
ジョセフは幸いにも銃を持っていた。銃剣で接近戦をする必要もないだろう。
後は妙な骨が入っていたが持っていてもしょうがないので捨てておくことにした。
彼は静かにこの場を後にする。
ここで何が起こったのか、
祭の当事者がいない今、それを知ることはもはや出来なかった。
【ジョセフ・ジョースター@漫画ロワ 死亡】
138 :
代理:2009/03/26(木) 00:18:20 ID:GlV8697m
206 :後夜祭 ◆DiyZPZG5M6:2009/03/25(水) 23:00:05 ID:Pco6w7OY0
【F-4/道路/1日目-午前】
【6/氏(神)@オールロワ】
[状態]:疲労(小)、精神疲労(中)
[装備]:バヨネットx2@漫画ロワ、マジシャンズレッド(魔術師の赤)のDISC@漫画ロワ
トンプソンM1短機関銃(0/50+予備弾倉50発x2)、ヌンチャク@漫画ロワ
RPG-7@現実(予備弾頭×1)、萌えもんパッチ@ニコロワ
[持物]:
[方針/行動]
基本方針:何がなんでも元の世界に帰る。
1:どこかでまともな服を調達する。
2:ハルヒの出展元が気になる。
3:かがみを殺すことについては……
4:6/(かがみ)の死に複雑な心境。
[備考]
※涼宮ハルヒの出展元を分かっていません。
※6/(かがみ)が、かがみの外見をしていることを認識しました。(経緯は知りません)
※漫画ロワ以外にも、かがみが参加しているロワがあるかもしれないと考えています。
代理投下完了。 乙です。
立ち直りできずにそのまま死亡か・・・・・・
ジョセフ、惜しいやつだった。
それにしてもこの地帯危険人物密集してるな。
投下&代理投下乙!
ジョセフ…同じく死んだやる夫達に対してこっちは無念だなぁ…誤解がこんな事になるとは。
元ロワでも死に際は切なかったが…しかしこちらは完全に無念死だわ。
そして6/(神)は立派なマーダーになっちまったぜ。黒い…衣装は白いが黒い…今は赤だが…
GJ。
そして空気読まずに言うが萌えもんパッチが6/(神)の手に
投下乙です
ジョセフウウウウゥゥゥ…死亡の連鎖が起きてる
でもHALは悪くないっていい奴だったな
相変わらず6/(神)がウェディングドレスなのがシュールww天使じゃねぇwww
そして死んでも誤解フラグ成立させる6/(かがみ)は恐ろしい子!w
投下乙。
ジョセフウウウウウウウウッ!報われない…あまりにも報われない…
こんなに鬱展開になるとは思わなかったなあ
投下代理投下乙
ジョセフ…いい奴だったのに…義理固さや人情深さはロワでは時に残酷にはたらくもんだな
しかし一連のゴマモン騒動はナイス鬱展開だった
投下代理投下乙
ジョセフが死なずに何時か立ち直ると信じてた時期がありました………
ああ、ここまであっさり死ぬなんて………
そして6/氏(神)もマーダー路線を突っ走るが目的があるなら神(笑)は関係ねえで済む相手じゃないんだが
それにしても確かにこの付近は危険人物密集してるな
投下タイム。
最後に赤を見たのはいつだっただろう。
その色自体は非常に見慣れたものだった。
それは、ちょっとした不運やミスから生まれる程度のもの。
体から僅かに零れ落ちるそれを見て、少し痛いと感じるだけだ。
それがいっぱい出るなんて、テレビの画面の向こうにしかないことだと思っていた。
だから、私は最初はわからなかったのかもしれない。
なんで目の前で人からから赤い液体を流しているのかということを。
☆ ☆ ☆ ☆
誰もいないはずの朝焼けの町で、二人の男女が歩を進める。
コンクリートの大地を踏みしめて進む先は学び舎、学校。
されど学校に行くこと自体はそれほど望んでいない。
「あのぅ、Dボゥイさん・・・・・・」
「どうしたんだ?」
女、岩崎みなみが問う。
彼女の顔に浮かぶのはささやかな疑問。
それこそ二人の望むモノ。
「ゆたかとは・・・・・・ゆたかとは・・・・・・」
「・・・・・・?」
小早川ゆたか。
その名を持つ少女こそが彼女達が捜し求めている者である。
岩崎みなみは知りたかった。
Dボゥイ、そう名乗る目の前の男が何故ゆたかを求めるのだろうかと。
彼がゆたかを知っているということ、
それは裏を返せばゆたかが彼を知っていること、ということになる。
なのに自分は彼を知らなくて、彼も自分を知らない。
ゆたかにとって大切な存在であるならば、どうして私は知らなかったんだろう。
どうして彼を教えて貰えなかったのだろう。
だから彼女は男に問おうとした。
―ゆたかとはどんな関係なんですか?
「ゆたかは何処にいると思いますか?」
たった一文の質問を尋ねたかっただけなのに、
いざ言い出すとまったく別の言葉になってしまう。
「それはわからないな。 だからこうして虱潰しに探すしかない」
「ごめんなさい・・・・・・」
「謝ることはないさ、心配なのはわかる」
なんとも言えない空気で包まれる。
とにかく言葉を発しづらい。
みなみの返事が終わり、訪れるのはまた沈黙。
しかしそれもすぐに終わる。
男でも女でもなく、天に響き渡る道化師の嘲笑によって。
☆ ☆ ☆ ☆
『おまえら人間じゃねぇ!』
「―――ッ!」
瞬間Dボゥイの顔が強張った。
人間ではない。
その事実はわかっていたはずなのに、ここに来てなお彼を苦しめる。
そして己がラダムによって改造されてしまった化け物であることを再認する。
そのために名を捨てたはずだった。
家族を奪われ友を奪われ失うモノなど何もない、だから後はラダムを全て滅するのみ。
そう思っていたはずだった。
それなのに何故あの少女を探し求めているのだろう。
会って一日と時をともにしていない少女なんぞ赤の他人ではないか。
そのような赤の他人に何を求めていたのだろうか。
結局彼は家族という因縁を捨て切れなかったのだ。
故にただの赤の他人に妹を。重ねてしまったのかもしれない。
彼の中の小早川ゆたかという人物は、護るべき少女から護るべき妹へと姿を変えてしまっているのかもしれない。
人を捨て切れないから少女を護れず、
復讐鬼に成り切れないからラダムを殺せない。
化け物という単語が彼の脳内を埋め尽くしていく。
この放送が悪戯から始まった誤報だと知る由もなく。
『いきなりの放送事故失礼したね。 では早速だが第一回定時放送を始めよう・・・・・・おい』
『は、はいピエモン様、それでは禁止エリアの発表を始めます』
放送という言葉にハッとして顔を上げる。
そして神妙は表情でメモを取る用意を始めていた。
・・・・・・
川田章吾
ピッピ
笑点のピンク
ゴマモン
の10名です!』
「ゆたか、どうやら無事だったようだな・・・・・・」
放送を聞き終え、ゆたかとシンヤの名前がないことに安堵する。
人が死んだというのにこのような態度を取るのは死者に失礼なのかも知れない。
己に反省をしつつ出発をしようと隣の少女に促したときであった。
「・・・・・・っ! おいどうした!? しっかりしろ!」
☆ ☆ ☆ ☆
「お邪魔します」
「いらっしゃ〜いみなみちゃん」
相変わらずハイテンションな叔母さんに挨拶をして、先輩の家の中に入っていく。
一般的な家庭よりは少し高級な内装の家の中を歩いて先輩の部屋まで歩く。
そして部屋の傍まで着たらノックをする。
「どうぞ」
おっとりとした先輩の声が聞こえてくる。
部屋に入ってくるのが私だとわかった
そしてゆっくり扉を開けてみると・・・・・・
「あらいらっしゃい」
「バルサミコ酢ー」
扉を開けて絶句した。
部屋の中は赤一面。
床は赤い液体で満たされていて、踏むたびにぽちゃんと音を立て、跳ねた液体が足に付着する。
ぬめっとした感触が気持ち悪い。
そこの真ん中に立つのは見知った人影。
何故か別の先輩の生首を抱えている。
でも私は知らない。 こんなに赤い液体を流す先輩なんて。
私は知らない。 赤い液体を流している人の生首なんて。
「どうしたんですかみなみさん?」
「―――ッ!」
思わず後ずさるがもう遅い。
先輩の腕が私の体をがっしり押さえると同時に赤い液体が私の腕に付着する。
真っ赤な真っ赤な液体、これは一体なんなのだろうか。 考えたくもなかった。
私の思考に関係なく液体は流れ続けていく。
「やだなあみなみちゃん、私達何か変かな? ねえゆきちゃん」
生首がしゃべり始める。
そういえば高良先輩は、人間は肺からの空気で声帯を振動させて発音するので、頭だけでしゃべることができないとかウンチクを話していた気がするけど、生首と先輩はそんなこと意にも介さず言葉を繋げる。
液体を流し続けながら。
「特におかしなところはありませんよ」
「じゃあなんでみなみちゃんはこんなに震えているのかな?」
怖い怖い怖い。
そして私は先輩の腕を振り払おうとした。
でも腕が動こうとしない。
振り向けば首のない胴体が私の両腕を押さえていたからだ。
やっぱり液体を流し続けながら。
☆ ☆ ☆ ☆
Dボゥイは困惑していた。
急に倒れてしまった岩崎みなみのことも気がかりだが、
彼女を介抱しているときに現れた第三者に対してだ。
血の臭いがする。
自分には嗅ぎ慣れた臭いであるが、やはり好くものではない。
今まで経験したどの相手とも違う、全く異質の存在。
Dボゥイの本能が告げる、こいつは危険だと。
(こいつは一体・・・・・・)
しかし彼はその意味を理解するには至らず、目の前の女に警戒体制をとるのみ。
Dボゥイの視線の先にいる女、彼女はこれまで彼の人生に置いてまったく接触したことがなかっただろう。
恐らくはその存在を考えたことすらなかったのかも知れない。
彼は知っていた。 人間は憎しみによって狂ってしまうということを。
彼は知っていた。 人間は怒りによって化け物に変わってしまうということを。
彼は知っていた。 人間の愛が憎悪にも似た物にすら歪んでしまうことがあるということを。
彼は知っていた。 故に家族、友、恋人は尊い存在であることを。
そして、だからこそ自分が護らねばならぬということを。
だが、彼は知らなかった。 突き抜けた愛の形が一つだけではないということを。
憎悪ではない、だが彼のいう愛とはまた違う全く異質なもの。
何故目の前のそれを愛と感じることができたのかはわからない。
なんとなくそうだろう、言葉にできない曖昧なもの。
今のDボゥイの目に映る女は
「長門さん長門さん長門さん長門さん長門さん・・・・・・」
恍惚の笑みを浮かべながら大量の鼻血を流していた。
まあぶっちゃけ変態というやつである。
「お、おいお前・・・・・・」
ちょっとだけ勇気を振り絞ってみることにした。
「いやぁ、みのりん因子を感じたと思ったら人違いとは私もうっかりしていたわ」
「みのりん因子? それはともかく鼻血を拭け」
朝倉涼子と名乗った女は失礼、と会釈をしながらも鼻血を拭く。
だがそれも意味はなく、血を吹いたと思ったらすぐに鼻血が垂れる。
本人は岩崎みなみから放たれるみのりん因子なる物質の性だと言っているが、正直Dボゥイにはそれがなんなのかよくわからない。
聞いてみようとしたがそれがなんなのか知ってしまうと(メタ的に)恐ろしい気がして、あえてスルーすることにした。
「・・・・・・じゃあ栓でもしてろ」
「わかった」
流石に鼻血が出続けるのは色んな意味で心配なので、
適当に調達してきたテッシュで栓をしてもらうことにした。
「ともかくお前は殺し合いに乗ってないんだな?」
「もちろん! 私の目的は殺し合いからの脱出。 もちろん最低でも長門さんと二人で」
「長門・・・・・・お前がさっき呟いていた人物の名前か・・・・・・ッ!」
Dボゥイは一つの可能性に思いつく。
長門有希。
それがここに至るまでの道中に出会った人物は唯一の少女である。
名簿にある長門有希という名前も一つだけ。
つまりは彼女こそが朝倉涼子の探し求めている人物なのではないだろうか。
彼女の長門有希への執着は先ほどの行動(というより奇行)を見ればわかる。
こうしてはいられない、早いところ彼女にこのことを教えなければ。
決意を固め、朝倉に通達しようとしたそのときであった。
「そうそう、私の『夫』の名前」
「は?」
一瞬我が耳を疑った。 待てこの少女今なんと言った?
「だから夫だよ夫。 長門は俺の嫁連合会に所属していたけど今じゃあ有希は私の嫁」
Dボゥイの世界が静止した。
別にブラスター化したわけでもないのに脳細胞がぶっ飛びかけた。
この状況を打破しようとしたDボゥイに一つの可能性が浮かべることにする。
長門有希は『男』であり、なんらかの理由で女装をしている。
着る服がなくなったとか姿を誤魔化す必要があるとかあまり考えたくないがこれはある。
うん、むしろこうしておきたい、下手に突っ込むのはやめておこう。
俺の嫁連合会とかなんとか言ったような気もするけど無視だ無視。
そう自己解決しようとするDボゥイであったがそうもいかなったようである。
「あ、うん嫁とか夫とか言っているけど私達女だから。 ちなみに新婚ホヤホヤ」
何かが音を立てて崩れた。
物理的ではなく何かが。
ここで長門⇒女で、朝倉⇒女という図式が確定。
そして二人は夫婦。 朝倉曰く『情事』を行う仲。
パヤパヤなんてレベルじゃない。
Dボゥイはいつのまにか頭を抱えていた。
「まあ世の中色んな人間がいるんだからそれを受け入れることも重y・・・・・・ぬ!?」
「どうしたんだ!?」
朝倉の様子が豹変する。
頬を赤らめ鼻を思いっきり抑えているではないか。
彼女の視線の先に岩崎みなみ。
朝倉に釣られてみなみの様子を伺ってみると、何やら不安そうな表情を浮かべているではないか。
時折彼女の口から漏れる声が彼女の悪夢を具現化させている。
Dボゥイはそんな彼女を見守ることしかできない。
だが、彼は知らなかった。 朝倉涼子という人物がみのりん因子に対して過剰なまでの反応を示すことを。
「駄目だ・・・・・・このままじゃ萌え尽きて(ry」
「燃え尽きて?」
朝倉涼子は長門有希の妻であり、誰よりも彼女のことを愛しているのである。
目にした映像、耳にした音、鼻につく匂い、口にした味、
あるいは物をぶつけたショックで、あるいはただなんとなくで人は何かを思い出す。
同様に、彼女が長門有希を思い出すきっかけがみのりん因子であるだけなのだ。
岩崎みなみから発されるみのりん因子によって刺激された彼女の肉体は一つの変化を見せ始める。
自立神経が過度の興奮とみのりん因子によって刺激を受け、鼻の粘膜が弱くなって毛細血管を切り開く。
本来は性的興奮で鼻血が流れるわけがないのだが、みのりん因子が絡んでいるのでつまりそういうことなのだ。
そこから血液が流れ出すわけだが、不運なことに彼女は鼻を抑えていたのだ。
せき止められた血液はテッシュによって外部に流れることを封じられてしまう。
「うん、それ無理」
だがそれも僅かのことだ。
鼻内に溜まった血液はそれ以上止まることをよしとせず。
「せん・・・・・・ぱ・・・・・・い」
少女の寝言とともに溢れ出した。
☆ ☆ ☆ ☆
赤い液体は止まらない。
生臭い匂いが部屋に充満し、
気づけば液体は私の膝に届くまで侵食していた。
気持ち悪かったはずの液体も、今ではただ生温いとしか感じない。
「だぼだぼだぼだぼ」
「ミコスミコスミコスミコス」
目の前の先輩も生首も今だに血を流し続けている。
何故かとても幸せそうな笑みを浮かべながら。
これはなんだろう。
流れ続けるそれを少し指につけてみて、考える。
ああわかった、鼻血だ。
【E-3/1日目-朝】
【朝倉涼子@テラカオスバトルロワイヤル】
[状態]:健康
[装備]:鉈@現実
[持物]:デイパック、基本支給品一式、ニアデスハピネス@漫画ロワ、長門画像CD
[方針/行動]
基本方針:殺し合いからの脱出。
0:だぼだぼだぼだぼ
1:Dボゥイ達と情報交換をしつつ、みなみが起きるのを待つ。
2:知り合いとの合流。(長門との合流を最優先)
[備考]
※カオスロワ5th生還後からの参戦。生還後からまだあまり経っていないものと思われる。
※自分の情報操作力について何らかの制限がかかっていると気付いています。
【岩崎みなみ@らき☆すた(原作)】
【状態】:健康、気絶中
【装備】:スペツナズナイフ@現実
【所持品】:支給品一式、不明支給品(0〜2)
【思考・行動】
基本方針:殺し合いに乗らずゆたかを見つけ出し護る
0:気絶中
1:Dボゥイと行動する。
2:ゆたかを見つける。
3:学園へ向かう。
4:長門有希が少し気がかり。
【Dボゥイ@アニメキャラ・バトルロワイアル2nd (アニ2)】
【状態】:健康
【装備】:日本刀@現実、核鉄「ブレイズオブグローリー」@書き手ロワ2
【所持品】:支給品一式、不明支給品(0〜2)
【思考・行動】
基本方針:殺し合いに乗らず、ゆたかを保護、シンヤとの決着をつける。
0:なんなんだアンタ
1:朝倉と情報交換をしつつ、みなみが起きるのを待つ。
2:みなみと行動する。
3:ゆたかを保護する。
4:学園へ向かう。
【備考】
※アニロワ2nd 173話「REASON」の後より参加。
投下乙
ダメだこの女…はやく何とかしないと…
そして気絶してしまったみなみは起きた後どうするのだろうか非常に気になるところだ。
とりあえずGJwww
投下乙
とりあえず変態でも対主催と合流出来たDさんは珍しく不幸じゃない?
でもこれみなみと行動を共に出来るのだろうか?
GJwww
投下乙
つかこれでどうやって長門と新婚生活営んでたんだよw
目を覚ましたみなみがどう出るかも気になるが、とりあえずDの胃に穴が空く予感
ちょwww出だしのシリアスどこ行ったwww
GJ!
158 :
創る名無しに見る名無し:2009/03/27(金) 13:12:21 ID:bhLs5m2W
ゴミみたいな駄文だ
荒らしや煽りはウザい
投下乙!
対主催の筈だが…ストーリーがぶっ飛びそうなくらいに問題ありありだなコイツww
同じ屋根の下に住んでるにしては変態すぎるぜ。D、大丈夫か?w
GJ!
小早川ゆたか@原作、でっていう@やる夫ロワ 投下します
\ /ニYニヽ / r'ニ;v'ニ;、
イラッシ \ /( ゚ )( ゚ )ヽ / _,!_(9i (9i:
なかまをた\ /::::⌒`´⌒::::\ で/ / `ヽ,. ┘ヽ
ごようのかた\ | ,-)___(-、| / i ′′ }
スーパード\ | l |-┬-| l | / l、 、 ,!
∨ \ \ `ー'´ / / ヽ.____,ノ` ,∠!
□ \ ∧∧∧∧∧∧ `ーァ ヘ>
\ < で > i′ ヾZ___/`i
λ...... \< w っ > | , ヾ;.、ヾ;、 !
----------------------< の w で > l、 | |,.、ヾ二_)|
―――――――――――< 予 w い >――――――――――――
< 感 w う > / ノ Y ヽヽ
< !! > o゚((●))((●))゚o
∨∨∨∨∨∨\ /:::::::⌒`´⌒:\
,、 ,、 / \ ミ .| ,-) (-| ミ ミ ミ
<((・)・), -、 / \⌒. | l ヽ__ノ l| /⌒)⌒)⌒)
</⌒ヽ '' ) ./ ,、 ,、 \ \ |r┬-| / (⌒)/ / / // バ
ヽ_,, `ーノ<l__l> / , - (・(・))> でっていう\ | | | \ ゝ :::::::::::/ ン
┌--z / oQ./o 。/! / ( '' ,r'⌒゙i>,、、.,、,、、..,_ \ | | | \/ ) / バ
γ⌒ヽ ̄ ̄l7l. __ '、j / ヽー´ ,,ノ:、. .:、:, :,.: ::`゙:.:゙:\ `ー'´ / / ン
.ゝ_ノニニ○ーヽノ / '、;: ...: ,:. :.、.:',.: .:: _;.;;..; :..‐\ l||l l||l 从人 l||l
/ ニYニヽ
/ (ー)(ー)ヽ いい加減待つのに飽きてきたって言う。あの竜が百貨店に消えてからもう何分も経ったっていう
/ ⌒`´⌒\
/ ,-) (-、\
| l __ l |
\ ` ⌒´ /
/ニYニヽ
/( ゚ )( ゚ )ヽ
/::::⌒`´⌒::::\ と思った側から人間が一匹吹き飛ばされてったていう
| ,-)___(-、|
| l |-┬-| l |
\ `ー'´ /
/ニYニヽ
(ヽ /( ゚ )( ゚ )ヽ /)
(((i ) /::::⌒`´⌒::::\ ( i))) 漁夫の利作戦実行っていうwww早速追いかけてって食うっていうwww
/∠_| ,-)___(-,|_ゝ \
( ___、 |-┬-| ,__ )
| `ー'´ /´
| /
(ノ(ノ:: `゛''ィ.,_`゛''ィ..,_ /ニYニヽ _,.ィ''"´_,.ィ''"´ ::ヾ)ヾ)
ミ,,(ノ(ノ./ /`゛''ィ., (ヽ /( ゚ )( ゚ )ヽ /)ィ´_,.ィ'"´\ \.ヾ)ヾ),,ミ
ミ,,(ノ(ノ::. /:: (((i ) /::::⌒`´⌒::::\ _,.( i)))\ ::\ .::ヾ)ヾ),,ミ゙
゙ミ,,(ノ(ノ./ :: /∠_| ,-)___(-,|_ゝ \ :: \.ヾ)ヾ),,ミ゙
゙ミ,,(ノ(ノ(ノ( ___、 |-┬-| ,__ )ヾ)ヾ)ヾ),,ミ゙
ミ,,(ノ(ノ(ノ(ノ/.| `ー'´ /´\ヾ)ヾ)ヾ)ヾ),,ミ"
゛ミ,, (ノ ,.` | / `、ヾ) ,,ミ"
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
| !? |
\____________ _________/
V
(ノ(ノ:: `゛''ィ.,_`゛''ィ..,_ /ニYニヽ _,.ィ''"´_,.ィ''"´ ::ヾ)ヾ)
ミ,,(ノ(ノ./ /`゛''ィ., (ヽ /( ゚ )( ゚ )ヽ /)ィ´_,.ィ'"´\ \.ヾ)ヾ),,ミ
ミ,,(ノ(ノ::. /:: (((i ) /::::⌒`´⌒::::\ _,.( i)))\ ::\ .::ヾ)ヾ),,ミ゙
゙ミ,,(ノ(ノ./ :: /∠_| ,-)___(-,|_ゝ \ :: \.ヾ)ヾ),,ミ゙
゙ミ,,(ノ(ノ(ノ( ___、 |-┬-| ,__ )ヾ)ヾ)ヾ),,ミ゙
ミ,,(ノ(ノ(ノ(ノ/.| `ー'´ /´\ヾ)ヾ)ヾ)ヾ),,ミ"
゛ミ,, (ノ ,.` | / `、ヾ) ,,ミ"
あ…ありのまま 今 起こった事を話すっていう!
/⌒Y⌒uヽ 『でっていうがさっきの人間を食おうと
/(○) (○)ヽ 思っていたら何かに落とされた』
_ /::::⌒`´⌒::::\
/´ | ,-) (-、| な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
/' | l ヽ__ノ l | おれも何をされたのかわからなかったていう…
,゙ / ) \ `⌒´ /、
|/_/ ヽ
// 二二二7 u' __ ヽ
/'´r -―一ァ"i .-‐ \ そろそろAAが廃れてきただとかやる夫ロワほとんど残ってねえだとか
/ // 广¨´ /' /´ ̄`ヽ ⌒ヽ そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえっていう
ノ ' / ノ :::/ / ヽ }
_/`丶 / ::i {:::... イ もっと恐ろしい尻叩きの片鱗を味わったっていう…
/ニYニヽ
/ (・)(・)ヽ いきなり何するっていう。折角の食料を見失ったっていう
/ ⌒`´⌒ \
| ,-) (-、.|
| l l |
\ ` ⌒´ /
|
\ __ /
_ (m) _
|ミ|
/ .`´ \
/ニYニヽ
/ (0)(0)ヽ
/ ⌒`´⌒ \ 仕方ないからお前を代わりに食ってやるっていうwww
| ,-) (-、.|
| l ヽ__ ノ l |
\ ` ⌒´ /
/ニYニヽ こんがり焼いてやるっていうwww
(ヽ /( ゚ )( ゚ )ヽ /) (巛ミ彡ミ彡ミ彡ミ彡ミ彡)ミ彡ミ彡)ミ彡)
(((i ) /::::⌒`´⌒::::\ ( i))) ,,从.ノ巛ミ 彡ミ彡)ミ彡ミ彡ミ彡)ミ彡)''"
/∠_| ,-) (-,|_ゝ \ 人ノ゙ ⌒ヽ彡ミ彡)ミ彡)ミ彡)''"(巛彡ミミ彡)
( __ l ヽ__ノ ,__ ),,..、;;:〜''"゙゙ ) 从 ミ彡ミ彡)ミ)ミ)
\ |r-_,,..、;;:〜-:''"゙⌒゙ 彡 ,, ⌒ヽ 彡ミ彡)" ´
| | | ::゙:゙ '"゙ ミ彡)彡'
| | |``゙⌒`゙"''〜-、:;;,_ 从从) 彡,,ノ彡〜'' "〉 ,,ミ
`ー'´ ゙⌒`゙"''〜-、,, 从从从 ,从,彡从⌒''〜''",,ミ 〜'
、′ 、 ’、 ′ ’ ; 、
. ’ ’、 ′ ’ . ・
、′・. ’ ; ’、 ’、′‘ .・”
’、′・ ’、.・”; ” ’、
’、′ ’、 (;;ノ;; (′‘ ・. ’、′”;
’、′・ ( (´;^`⌒)∴⌒`.・ ” ; ’、′・
、 ’、 ’・ 、´⌒,;y'⌒((´;;;;;ノ、"'人 ヽ
、(⌒ ;;;:;´'从 ;' ; ;) ;⌒ ;; :) )、 ヽ -‐,[]
( ´;`ヾ,;⌒)´ 从⌒ ;) `⌒ )⌒:`_,,..・ヽ/´
′‘: ;゜+° ′、:::::. ::: ´⌒(,ゞ、⌒) ;;:::)::ノ‐''"..,,_
`:::、 ノ ...;:;_) ...::ノ ソ,. r ''" `''‐,,._ X
,ゝ `く/ / 〉 / ∧_ ...::ノ '' "
- - - -_,,.. ‐''" _,.〉 / / . {'⌒) ∠二二> - - - - - - -
_,.. ‐''" _,,,.. -{(⌒)、 r'`ー''‐‐^‐'ヾ{} +
'-‐ '' " _,,. ‐''"`ー‐ヘj^‐' ;; ‐ -‐ _-
- ‐_+ ;'" ,;'' ,'' ,;゙ ‐- ー_- ‐
______,''___,;;"_;;__,,___________
///////////////////////
/ ノ Y ヽヽ
(ヽ /( ゚ )( ゚ )ヽ /) いい加減に焼けたところでいただきますっていうwww
(((i ) /::::⌒`´⌒::::\ ( i)))
/∠_| ,-) (-,|_ゝ \
( __ l ヽ__ノ ,__ )
\ |r┬-| /´
| | | | |
| | | | .|
`ー'´
/=Yニ ヽ
/(-)( 0) ヽ ん?
/⌒`´⌒ \ チラッ
|-) (-、 |
| ヽ__ ノ l |
\ `⌒´ /
\ ヽ ヽ | / /
━┓¨ ━┓¨ ━┓¨
━┛ . ━┛ ━┓¨ ━┛ ━┓¨ . ━┓¨
. ━┛ . ━┛ ━┛
\ ヽ ! | /
\ ヽ ヽ / / /
\ | / /
,イ
 ̄ -- = _ / | --'''''''
,,, ,r‐、λノ ゙i、_,、ノゝ -  ̄
゙l ◯ ゙、_
.j´ . ,-┴-、 (.
─ _ ─ { (・ω・´) /─ _ ─
). c/ ,つ ,l~
´y { ,、 { <
ゝ lノ ヽ,) ,/
/ニYニヽ
/( ゚ )( ゚ )ヽ 普通に耐えやがったていうwwww
/::::⌒`´⌒::::\ 誰かと思えばワゴン君じゃないかっていうwwwwwww
| ,-)___(-、| お前もこっちに来てたのかっていうwwwwwww
| l |-┬-| l |
\ `ー'´ /
/ ̄\
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\_/
|
/ ̄ ̄ ̄\
/ :::\:::/::: \
/ .<●>::::::<●> \ ワゴンだと? オプーナーのことか…オプーナーのことかーーーっ!!!
| (__人__) |
\ `⌒´ /
/,,― -ー 、 , -‐ 、
( , -‐ '" )
`;ー" ` ー-ー -ー'
l l
/ \Y/ヽ キリッ
/ (ー)(ー)ヽ
/:::::::⌒` ´⌒:\ オプーナーのことか… オプーナーのことかーーーっ!!!
| ,-) ヽ__ノ(-、|
| l |r┬-|| |
\ `ー'´ /
ノ \
/´ ヽ
| l \
ヽ -一''''''"~~``'ー--、 -一'''''''ー-、.
ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) ) (⌒_(⌒)⌒)⌒))
/ ノ Y ヽヽ
o゚((●))((●))゚o
/:::::::⌒`´⌒:\
ミ ミ ミ .| ,-) (-| ミ ミ ミ 何当たり前のこと聞いてんだっていうwwwwww
/⌒)⌒)⌒. | l ヽ__ノ l| /⌒)⌒)⌒) これだから即ワゴン行きのマイナー糞ゲーは困るっていうwww
| / / / \ |r┬-| / (⌒)/ / / // バ
| :::::::::::(⌒) | | | \ ゝ :::::::::::/ ン
| ノ | | | \/ ) / バ
ヽ / `ー'´ / / ン
| | l||l 从人 l||l l||l 从人 l||l
ヽ -一''''''"~~``'ー--、 -一'''''''ー-、
ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) ) (⌒_(⌒)⌒)⌒))
. r'ニ;v'ニ;、
/ ̄\
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\_/
_ |__
/_\::: /_\ オプーナーは超メジャー神ゲーだ!!
/<●>:::<●>::\ ,. -- 、 それを否定するものは例外なく地獄に落ちてもらう!!
/::::::::(__人__):::::::: / __,>─ 、
| |r┬-| / ヽ
| | | | { |__
| | | | } \ ,丿 ヽ
| | | | / 、 `┬----‐1 }
| | | | / `¬| l ノヽ
\ `ー'ォ / 、 !_/l l / }
{ \ l / ,'
\ ´`ヽ.__,ノ / ノ
\ ヽ、\ __,ノ /
 ̄ ヽ、_ 〉 ,!、__/
__ rr‐-、
l´ li |l、_i
. lー‐' ! i l
l | l |
. | | | │ ___ .__
l L_. _/ ̄ヽ !r´ i´ 〉
/⌒'| / ̄ヽi ̄ヽ /ニYニヽ / ', | ,|Y | /
r‐'i | | | |. /( ゚ )( ゚ )ヽ | | ! `´ l |
| ! ' ! ! l、 /::::⌒`´⌒::::\ ! ' | !ワゴンはさっさと国に帰れっていうwww
! ,! | | ,-)___(-、| | ' |あ、でっていうが食うから帰れなかったっていうwww
| ヽ | | l |-┬-| l | | /
. \ | \ `ー'´ / ! /
. \ / _/ ヽ、 ヽ /
\ |--‐┬=''´ `Tー‐┬ | |
/ ̄\
| |
\/ヽ/
/| \
__/  ̄  ̄ \__
\ ::\:::/:: / ガイバーユニット殖装……。
/\ <●>::::::<●> / 、 オプーナーを否定するものに神の鉄槌を……
| > (__人__) < |
\/ / `⌒´\ ヽ/
/ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ ヽ
小早川ゆたかはそんな二人……いや、二匹のやり取りをオプーナーの中、完全な第三者として聞いていた。
自分の体が言葉を発しているという自覚はまるでない。既に自分の体に起こること、自分の体が起こすことの全てが彼女にとっては人事だった。
「なんで、こうなっちゃったんだろ?」
小早川ゆたかは……いや、もはやオプーナーと化した『もの』の『一部』は考える。
何処で間違い、どうして今自分はこうなってしまっているのかと。
始まりは何処だろうか。
あの妙な刺激物を掛けられて妙なボンボンや鎧と融合したところだろうか?
変態からまともな人を守るために自らも変態になると決意したところからだろうか?
KOOLでロリが好きとか言ってた露出狂のヘンタイさんや、いい男を名乗ったヘンタイさんと出会ったところだろうか?
黒井先生を助けるために自分を捨て、最もヘンタイな変態さんであるキョンに屈したところだろうか?
最も変態でヘンタイな変態さんであるキョンに『妹の部屋』なる良く分からない部屋に拉致されたところだろうか?
最もヘンタイであり変態でヘンタイな変態さんであるキョンに出会ってしまったところだろうか?
あのルイズなんとかさんに出会って、いきなりチェーンソーで襲われたところからだろうか?
あるいは……この、こんな変態な世界に来てしまってからだろうか?
「分かんないよ……」
涙を零しながらゆたかは考える。
この世界に来たのは自分の間違いではない。どうしようもないことだった。どうしようもないことだったのだから、どうしようもない。
ルイなんとかさんに出会ってしまったのも仕方のないことだった。はじめにいた位置が悪かった。自分の力では防ぎようがなかった。これもどうしようもないことだったのだから、どうしようもない。
最も変態且つヘンタイであり変態でヘンタイな変態さんであるキョンに出会ってしまったことも、仕方のないことだった。あっちが勝手に出会ったのだ。ルなんとかさんの対応に追われていた自分には、やっぱりどうしようもない。
『妹の部屋』なんて場所に連れて行かれたのも仕方のないことだった。病弱な自分の力では、どうやっても抵抗することは出来なかった。どうしようもない。
黒井先生を助けたのだって間違いじゃない。あの後で変態になっちゃったけど、それまでの黒井先生はまともな人だったんだから、助けようとしたのは間違いじゃなかった。
それに助ける手段が他になかったのだから、ああいう態度をとったのもどうしようもないことだった。どうしようもない。
KOOLでロリが好きとか言ってた露出狂のヘンタイさんや、いい男を名乗ったヘンタイさんと出会ったのもどうしようもなかった。逃げるのに必死だったのだから、誰に会ったって不思議じゃなかった。
出会った人が全部ヘンタイさんだったのは運が悪かったとしか言いようがないけれど。どうしようもない。
変態からまともな人を守るために自分も変態になったのだって間違いじゃない。変態を倒し、まともな人を守るためには、力が足りなかった。その力を得るためには変態になるしかなかったのだから、他に選択肢はなかった。どうしようもない。
妙な刺激物を被され、ボンボンと鎧と融合したのも、仕方のないことだった。まともな人を守るために変態を倒そうとして、その変態から反撃を受けた結果なのだから、どうしようもない。どうしようもない。
変態を倒し、まともな人を守ると決意したのだ。なら、変態を前に戦わないわけには行かないではないか。
「どうしようもなかった……。全部、どうしようもなかった……」
その全ての結果として、自分はこうして体をオプーナーに乗っ取られ、好きなように使われている。体の支配が自分に戻ることはほとんどない。
単純に意志の強さがオプーナーの方が遥かに強く、それに比例するように体の支配を奪われていた。
「私は、一つも間違ってない。全部、私の責じゃない。全部、どうしようもないことだった……。なのに、どうしてっ、どうしてっ!?」
どうして、こうして誰にも聞こえない泣き声を出すことしか出来なくなってしまったのだろうか?
もう、まともな人を守るために変態を始末することは出来ない。自ら変態に身を堕としたのに、誰も守れない。
むしろ、自分が最たる変態として奇行を続ける姿を延々と見続けることになってしまった。
小早川ゆたかは嗚咽をあげて泣く。やはり、他にどうしようもなく、泣き続ける。
「酷いよ……酷いよ……」
こうなるまでに、一切ゆたかは自分の意思を挟めなかった。一切選択肢のない一本道をただ歩むことしか出来なかった。その結果が、これだ。
こういうのをなんと言っただろうか……? そう、運命だ。
「嫌だよ……こんなの、酷いよ……」
小早川ゆたかはただただ泣き続ける。一人静かに、もう取り戻すこと叶わぬであろう自分の体の中で……。
でっていうの尾が風を切ってオプーナーへと迫る。
オプーナーは片足を引いてそれを避けると、そのまま半身を反らした状態ででっていうの懐に飛び込んだ。
ガイバーユニットに包まれたオプーナーの腕がでっていうの腹部に触れる。
だが、オプーナーの腕が触れると同時に、でっていうの舌がオプーナーのその腕の軌道を逸らし、更にそこに出来た隙にでっていうが右足を突っ込む。
オプーナーはそれを読んでいたかのように体勢を低くすると、頭に付いたボンボンででっていうの足の動きを押さえ込んだ。
「中々やるっていうwww」
でっていうは右足での攻撃を諦めると、眼前のボンボンを舌で絡め取った。そのままオプーナーの体を地面に引きずり倒す。
オプーナーはそれに逆らわなかった。なされるがままに倒され、だが倒れる体をでっていうの舌に包まれたボンボンを使って強引に支えると、ボンボンを軸にそのまま回転し、足ででっていうの体を蹴り飛ばす。
でっていうはそれを避けずに、受け止めた。そのまま抱え込むように短い腕でオプーナーの足を掴むと、超至近距離から火炎を浴びせかける。
「この程度の炎、オプーナーの燃え上がるような熱い展開に比べたら、極寒の南極に過ぎぬ!」
オプーナーはその火炎を真っ向から左腕で受け止めると、残った右腕で炎の出所を殴り飛ばした。
でっていうの舌の拘束が緩み、その隙を突いてオプーナーは更なる攻撃を仕掛けるが、その時にはでっていう自慢の羽を使って遠く上空へと逃れていた。その顔に小さな痣が見える。
「接近戦は多少分が悪そうだっていうwww 遠距離から弄り殺すのが得策だっていうwww」
でっていうの口から火炎が、冷気がものすごい勢いで放たれていく。火炎は大地を焼け野原へと変え、冷気はそこらじゅうを凍てつかせる。
そんな中、火炎や冷気を、あるいは回避し、あるいは真っ直中を突き抜けながらオプーナーはでっていうへと接近していく。
「これならどうだっていう!」
叫ぶでっていうの舌が、視認するのすら困難な速度でオプーナーに肉薄する。
回避は不可能。
即座に断じたオプーナーは両腕を胸の前に交差させて防御の態勢を敷くと、衝撃に備えた。
でっていうの舌がオプーナーの腕に接近し、衝突する。そしてオプーナーの体をはね飛ばした。
ガイバーユニットの防御力はでっていうの舌の破壊力に互角以上に渡り合っていたのだが、いかんせん装着者であるオプーナーの肉体……小早川ゆたかの体重が軽過ぎた。
攻めぎ合うことすら叶わず、オプーナーの体が後方に吹き飛び、その先にあった木の一本を叩き折ったところでその動きが止まる。
「ようやく朝食にありつけるっていうwww」
でっていうの舌が再度オプーナーへと迫る。
オプーナーは飛びそうな意識を強引に現実に引き戻すと、折れた木を背に、再度防御の姿勢を敷いた。
再びでっていうの舌とオプーナーのガイバースーツに包まれた腕が衝突する。
だが、今度は先程のようにはならない。木を背にしたオプーナーは後方に吹き飛ぼうとする衝撃を木の支えを使って堪え、でっていうが舌を引き戻そうとするのに合わせて、腕を伸ばし、その舌を掴んだ。
ブニャッという不快な感覚がオプーナーの両手に走る。
だがオプーナーは構わずに、芋でも引き抜くようにでっていうの舌を引っ張った。
「でっていう!」
悲鳴? と共にでっていうの体がオプーナーに向かって飛ぶ。
だが、でっていうとてされるがままではない。飛んでいる中でも羽を使って強引に態勢を立て直すと、自らの舌を引き戻さんと、力を込める。
一瞬の均衡。オプーナーとでっていうが、互いに綱引きのような態勢で動きを止める。
先に折れたのはでっていうの方だった。オプーナーが地面に足を着けているのに対し、でっていうは空中という地理上の不利。そして何より、自分の舌が引っ張られる痛み故に、踏張りが利かない。
「だがこれも作戦だっていうwww」
オプーナーに向かって飛びながら、でっていうは冷気を吐き出す。当然そんなことをすれば吐き出される冷気よりも更に高速で飛んでいるでっていうはもろに冷気を被ることになるが……。
「氷の槍だっていうwww」
でっていうの体が冷気に包まれ、纏ったその冷気が体を一本の槍のごとく鋭利化した。
即座に防御の姿勢をオプーナーが敷く。だが、高速で飛来する巨大な槍を防ぐには、あまりにも力が足らない。
オプーナーの両腕を氷の槍が貫く。
前にオプーナーはでっていうの舌を離すと、その場から跳び、でっていうの着弾点から距離をとって離れていた。
でっていうの氷の槍が折れていた木を抉り切る。オプーナーは見届けると同時に接近しなおすと、氷の槍を殴り飛ばした。
バリンッ。
派手な音とともに氷が砕け散る。だが中から現れたでっていうは何事もなかったように攻撃を放った体勢のままのオプーナーの懐に飛び込むと、思い切り頭突いた。
舌を引き戻した反動を使っての頭突きだ。破壊力は氷の槍と同等。
オプーナーの体が再び弾け飛び、でっていうがそれを追って飛ぶ。
「これで終わりだっていうwww」
吹き飛ぶオプーナーに追いついたでっていうはオプーナーを地面に叩き付けんと頭を振りかぶり……。
<●>::::::<●>
そこでオプーナーは目を開いた。
更にその目ででっていうを捉えると同時に回転し、でっていうの頭突きの攻撃範囲の内側に潜り込むと、拳を抉るようにでっていうの腹部にぶち当て、そのまま全力を持って殴り飛ばした。
「でっていう!!」
でっていうの体が大きく吹き飛ぶ。オプーナーはその間に空中で体勢を整えると、両腕と両足、全てのバネを使って着地し、同時に弾けるように飛び出して、でっていうを追いかけた。
でっていうは吹き飛ぶ中ゆっくりと体を反転させる。そして羽を使って強引にその勢いを鎮めると、殺すべき敵であるオプーナーの姿を確認しようと視線を動かし……。
「!」
既に自分のすぐ下に跳び上がっていたオプーナーを発見することになった。
オプーナーの拳が再びでっていうを捕らえんと、迫る。
でっていうは軽く羽ばたくと自らの位置取りを少しずらし、オプーナーの攻撃の打点をギリギリ致命傷にならない位置に逸らした。更に攻撃後の隙を見せるオプーナーを蹴り飛ばして大地に叩き付け、更に距離を開ける。
距離が開き、少し余裕が出来たところで、でっていうは考える。オプーナーの攻略法を。オプーナーを倒す、明確な手段を。
/ ニYニヽ
/ (●)(●)ヽ
/ ⌒`´⌒\ (高良みゆきブレイン起動中)
/ ,-) (-、\
| l __ l |
\ ` ⌒´ /
,,.....イ.ヽヽ、___ ーーノ゙-、.
: | '; \_____ ノ.| ヽ i
| \/゙(__)\,| i |
> ヽ. ハ | ||
/ ニYニヽ
/ (●)(●)ヽ
/ ⌒`´⌒\ 全力で頭突いても、舌で攻撃しても通用しなかった以上、
/ ,-) (-、\ 今でっていうに物理的にあの鎧を破る手段はないっていう
| l __ l |
\ ` ⌒´ /
,,.....イ.ヽヽ、___ ーーノ゙-、.
: | '; \_____ ノ.| ヽ i
| \/゙(__)\,| i |
> ヽ. ハ | ||
が砕け散る。だが中から現れたでっていうは何事もなかったように攻撃を放った体勢のままのオプーナーの懐に飛び込むと、思い切り頭突いた。
舌を引き戻した反動を使っての頭突きだ。破壊力は氷の槍と同等。
オプーナーの体が再び弾け飛び、でっていうがそれを追って飛ぶ。
「これで終わりだっていうwww」
吹き飛ぶオプーナーに追いついたでっていうはオプーナーを地面に叩き付けんと頭を振りかぶり……。
/ ニYニヽ
/ (●)(●)ヽ
/ ⌒`´⌒\ かと言って、火炎で焼くことも冷気で凍らせることも出来なかったっていう。
/ ,-) (-、\ あの鎧の丈夫さは異常っていう
| l __ l |
\ ` ⌒´ /
,,.....イ.ヽヽ、___ ーーノ゙-、.
: | '; \_____ ノ.| ヽ i
| \/゙(__)\,| i |
> ヽ. ハ | ||
/ ニYニヽ
/ (●)(●)ヽ
/ ⌒`´⌒\ じゃあどうすればいいか考えるっていう
/ ,-) (-、\
| l __ l |
\ ` ⌒´ /
,,.....イ.ヽヽ、___ ーーノ゙-、.
: | '; \_____ ノ.| ヽ i
| \/゙(__)\,| i |
> ヽ. ハ | ||
|
\ __ /
_ (m) _
|ミ|
/ .`´ \
/ニYニヽ
/ (0)(0)ヽ
/ ⌒`´⌒ \
| ,-) (-、.|
| l ヽ__ ノ l |
\ ` ⌒´ /
/ニYニヽ
(ヽ /( ゚ )( ゚ )ヽ /)
(((i ) /::::⌒`´⌒::::\ ( i))) 生きたまま胃の中に放り込んでやればいいっていうwww
/∠_| ,-)___(-,|_ゝ \
( ___、 |-┬-| ,__ )でっていうの最大の武器はこの胃だっていうwww
| `ー'´ /´
| /
でっていうが火炎や冷気を撒き散らしながら下降する。
オプーナーはそれを地上で移動しながら見届けると、でっていうが降り立つであろう地点に向かって移動する。
と、冷気や火炎に混じって一本? の舌がオプーナーに向かって飛んでくるのが見えた。
オプーナーは軽く横に跳んでそれを回避すると、攻撃対象を見失った舌を、再びがっちりと掴んだ。
そしてそれを再び、思い切り引く。でっていうが再び氷の槍と化したとしても、今の、ガイバーユニットの防御力を把握したオプーナーにはいくらでも対策はある。
そう思った矢先に、オプーナーの体がでっていうの舌に包まれた。
一瞬、状況が読めず、オプーナーの動きが止まる。そしてでっていうにはその一瞬で十分過ぎた。
でっていうの舌が弾丸のような速度で引き戻される。オプーナーは抵抗しようと身を震わすが、あまりにも遅すぎる。
オプーナーの体が吸い込まれるようにして、そのままでっていうの口の中へと引きずり込まれた。
「き、貴様……」
/ニYニヽ
(ヽ /( ゚ )( ゚ )ヽ /) 誰もでっていうの舌が
(((i ) /::::⌒`´⌒::::\ ( i))) 直進しかしないとは言ってないっていう
/∠_| ,-) (-,|_ゝ \ 勘違いしないでっていうwwwww
( __ l ヽ__ノ ,__ )
\ |r-_,,..、; /
| | | .二二二二二二二二二 ̄ ̄>
| | |`| |  ̄>./
| `ー' | / /
/ <___/|
|______/
「くっ。オプーナーに、栄光あれ……」
オプーナーが断末魔の声を上げる。
でっていうは余裕の表情でその文句を聞き流すと、口に入ったオプーナーを一噛みし、やはり噛み切れないことを確認する。仕方なく、そのままの状態で飲み込んだ。
/ ̄| /ニYニヽ
| | /( ゚ )( ゚ )ヽ
| | /::::⌒`´⌒::::\
,― \ | ,-)___(-,| そこそこ旨かったっていうwww
| ___) |、 |-┬-| / 朝食にしてはカロリー高いけど問題ないっていうwww
| ___) | `ー'´ /
| ___) | /
ヽ__)_/
./ \Yノヽ
/ (0)(―)ヽ
/ ⌒`´⌒ \ 一食終わったところで早速次の食事を探しにいくっていうwww
| , -) (-、.|
l ヽ__ ノ l |
\ /
/ニYニヽ
/ (・)(・)ヽ ん?
/ ⌒`´⌒ \
| ,-) (-、.|
| l l |
\ ` ⌒´ /
/ニYニヽ
/ (0)(0)ヽ
/  ̄`´ ̄ \ 腹が痛いっていう
| ,-) (-、.|
| l ____ l |
\ `ー'´ /
/ノYヽヽ
/(0)(0):::ヽ
./ ⌒`´⌒ ::\ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| )ノ(、_, )ヽ, (::::| < 無性に腹が痛いっていう。これはやばいっていう
|.l ,;‐=‐ヽ l :::| \___________
\ `ニニ´ ::::/
/`ー---―´\
……。
でっていうは知らないことだが、ゆたかがエナジーボンボン、そしてガイバーユニットと融合した原因は、『エニグマカレー』と呼ばれる魔の料理によるものである。
その力は食したものの人格を変え、融合させ、魔に落とす。
その毒性は計り知れず、無論、消えることはない。
そんなものを諸に被ったゆたかを食したということはつまり、『エニグマカレー』の毒性を諸に引き継いだ最悪の食物の食したということに他ならない。
それでもすぐに人格が変わったり、いきなり消滅したりしないのは、でっていうの鋼鉄すらぶっちぎる異常に丈夫な胃袋あってのものだ。
とはいえ、いかなでっていうの胃袋といえど、いつまでもエニグマカレーの毒性を抑えておけるわけではない。徐々にその毒性はでっていうの体を蝕んでいく。
/ノYヽヽ
/(0)(0):::ヽ
./ ⌒`´⌒ ::\ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| )ノ(、_, )ヽ, (::::| < このままじゃやばいっていう。朝食からワゴンは重すぎたっていう
|.l ,;‐=‐ヽ l :::| \___________
\ `ニニ´ ::::/
/`ー---―´\
/ノYヽヽ
/(0)(0):::ヽ
./ ⌒`´⌒ ::\ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| )ノ(、_, )ヽ, (::::| < 仕方ないから一旦吐き出して、別のもので胃を慣らしてから改めて食ってやるっていう
|.l ,;‐=‐ヽ l :::| \___________
\ `ニニ´ ::::/
/`ー---―´\
/ニYニヽ ぺっていうwwwwwwwwwwwww
(ヽ /( ゚ )( ゚ )ヽ /)
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/∠_| ,-) (-,|_ゝ \
( __ l ヽ__ノ ,__ )
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人从 人从 ::::\、´<::-:: ::-::、:::、_:/::::::\::、::´:,::-:::从人从从
/ニYニヽ
/ (・)(・)ヽ あれ、でないっていう
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| ,-) (-、.|
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/ニYニヽ もう一回ぺっていうwwwwwwwwwwwww
(ヽ /( ゚ )( ゚ )ヽ /)
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/∠_| ,-) (-,|_ゝ \
( __ l ヽ__ノ ,__ )
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人从 人从 ::::\、´<::-:: ::-::、:::、_:/::::::\::、::´:,::-:::从人从从
/ニYニヽ
/ (・)(・)ヽ やっぱりでないっていう
/ ⌒`´⌒ \
| ,-) (-、.|
| l l |
\ ` ⌒´ /
/ニYニヽ
/ (・)(・)ヽ ん?
/ ⌒`´⌒ \
| ,-) (-、.|
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/ / / ', ', ヽ ヽ ヽ
/ / i.l / l .| .l l ', ',. ',
ノ / / l.l { ィ | l } l l ',
ー=-イ / / i ', .∧ l ! ! ハ ハ ,' ! l ヽ、_
{ i l l l ト、 l l | ', ハ / .l / l / / j ,ゝ´
l l l l ハ | ヽ! ヾ ヽ./ |:/ |' _j/l / /./
} .ハ ,l ヽ |ヘlニ;--,.._ ' ` 、',.-;‐;二__ l / /./
ノ'" l.ヘ. ト、! '弋赱!~ , ' 'T心!_ イ j l′
|rヘ lヽ ´ ` l / ノ
ヽヘ l i l /'´ フッ。妙な生物の体内とはいえ、
`l | ',、j | j /ついにゆーちゃんと一緒になれたぜ
jハ. ヘ ヽ! /! /ヽ
!ヘ ハ、 ,__,...、 /|/` ‐ヽ
i!ヘl\ ゝ-‐ニ‐-' ,. イ从'
, ィ' ヽ \ / ノ ヽ、
/ / `ヽ ヽ- '´ r' ', ヽ
/ l /iーヘ rニ' ヘ l ゙ヽ
, -イ l /`ヽOヘ / /-''ヘ. l ヽ‐、
_.. - ´ / { ,.ヘ、_>'^''< _..−ヘ. l ', ` ‐、
_.. − ´ / , -i!/ ヽ ', / ヽ |\ ヽ ` ‐ 、
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_, -‐--....、
/..:::::::::::::::::::::::::::.ヽ
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l::::::l::::::/l::/ |::/{::/|::;/l::}:;::;::i
l/i::l:::N`|メ、_|ム|/.,j/レ|::|::ト!
f^i:::l ''ZTー ィ'Zト.|::|::レ'^ヽ、
,...-',,⌒ゞミ、l::|. l l::!Y::::::::::::::.ヽ、 それを俺が
/::/..::::::::::::..ヽl_ 〉 /v':::::::::::ノ::_;;:::::j,ト、
/:::::::::::::::::::..`ー-、:l、 f===r ,ヘ:::::;::::::/ ̄ ゙''ヘュ_ノ 簡単に離すわけがないだろ!?
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:::::::::::::::::::::::::::::::::l::::::::l l ヽ_;;ァ'~ヽ;::::::::::.ヽ
::::::::::::::::::::::::::::::::::|::::::::| | i ヽ;::::::::::..\
「……ふざけんなっていう!! 死んだ奴は黙って死んでろっていう!!」
でっていうの腹の中、オプーナーの体はほんの少しだけ残っていたキョンの骨に引っかかり、決して進まなかった。
でっていうは何とかしようと必死になって転げまわったり、急降下したりしたが、キョンの骨は依然としてオプーナーの体が動くことを妨げる。
/ニYニヽ
/ (0)(0)ヽ
/ ⌒`´⌒ \ ふざけんなっていう
| ,-) (-、.|
| l ヽ__ ノ l |
\ ` ⌒´ /
/ニYニヽ
/ (0)(0)ヽ
/ ⌒`´⌒ \ でっていうはまだ全然食い足りないんだって言う
| ,-) (-、.|
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
/ニYニヽ
/ (0)(0)ヽ
/ ⌒`´⌒ \ このまま終わるなんて、そんな理不尽は許されないっていう
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
/ニYニヽ 明らかにでっていうは勝ってたっていう
/ (0)(0)ヽ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
/ニYニヽ 勝者が消えるなんて、そんなの理不尽だってい……。
〜〜〜〜〜〜
言葉が全て吐かれる事はなく、でっていうの体は静かに溶けて、消えた。後に残ったのは胃液で消化され、随分と薄くなったガイバーユニットと、上部の球体部分の溶けたエナジーボンボンを付けた、オプーナー……いや、小早川ゆたか、ただ一人。
「私は、生きてる?」
小早川ゆたかは何処か信じがたげに自分の体を、見回した。
手があり、足がある。
指があり、爪がある。
「どう、して?」
自分はもう、決して表に出ることは叶わないと思っていた。自分を乗っ取ったオプーナーの奇行を体の内側から見つめ、そして泣き続けることしか出来ないと思っていた。
けれど、今……。
「私は、こうして……」
生きている。自分の体を操れている。何故だろう? 何故かしら?
運命は常に不幸に働くと思っていた。だからそれに巻き込まれた自分は、もう決して外にでることは出来ないと思っていた。
他にどうしようもなく、泣き続けることしか出来ないと思っていた。
「運、命?」
運命が自分を救ったのだろうか? これまで延々と苛める事しかしてこなかった運命が?
そんな馬鹿なことはない。運命が味方するなんてことはありえない。これまで一方的にゆたかを苛めて来た運命がいきなり味方するなんて、そんな都合のいい話があるわけがない。
「これはきっと、運命じゃない」
これは運命ではない。きっと本来あるべき運命では、あの溶けた緑色の恐竜は、ゆたかを吐き出すことに成功し、オプーナーはいつまでも奇行を続けたのだろう。
なんだろうか? 運命を捻じ曲げ、今こうしてゆたかを解放したのは何の力だろうか?
「キョン……さん」
一人の変態を思い出す。その男は間違いなく変態だった。最悪にして最狂の変態だった。明らかに死ねばいい変態の代表格だった。まともな人を守るために真っ先に殺さなければならない変態だった。
けれど……。
小早川ゆたかは考える。きっと、自分を今、運命から解放したのはその変態なのだろうと。キョンという変態の執念があの骨に宿り、でっていうが彼女を吐き出すのを止めたのだろうと。
「変態は、死ぬべき……」
そして変態となる可能性のあるオタクも総じて死ぬべきだと、そう思っていた。
どうして変態は死ななければならないのか?
それを考えたこともあったと思う。けれど、答えは明確に出ないまま、あのオプーナーに取り込まれてしまった。
「変態はまともな人にとって危険……私と同じような目に会う人がまたでないとも限らない……。それを防ぐために、皆殺し……」
冷静にゆたかは、問いにそう結論付け、だが同時に首を振った。今のが間違った考えとは思わない。けれど、少し極端すぎるかもしれない。
「キョンさんは最悪の変態で……けれど、死んでも私を救ってくれた……死んでもなお、私のことを想い続けていてくれた……」
変態に想い続けられるなど、明らかに迷惑でしかないし、はじめに聞いたあのキョンの目的を思い出すと、想い続けているのは『小早川ゆたか』ではなく、『妹属性』というものなのだろうが、それでもキョンの執念が彼女を解放したことに変わりはない。
「キョンさんは変態だった……生きているうちは。けれど、死んだから浄化された?」
そう考えるのは早計だろう。何より、キョンの執念が骨に宿っていたというのもゆたかの勝手な解釈なのだ。
「冷静に、冷静になって考えてみよう……。キョンさんは……あくまで、初めから最後まで目的を変えなかった……死んでも」
キョンの目的……妹祭りとか言ったか。
それが最初から最後まで一貫してキョンの目的だった。そしてそのためには一切手段を選ばずに行動した。それが死後も続いた。ただそれだけのこと。
そう考えるのが一番しっくりと来た。しっくりと来て……分からなくなった。
変態は明らかな危険人物。けれど、その変態でも人を守ることがある……?
じゃあ、変態は本当に死ぬべき……?
変態であるキョンはゆたかに変態的行動を仕掛けようとした。死ぬべき。
変態であるキョンはオプーナーに取り込まれたゆたかを助けた。死ぬべきでない。
死ぬべき。死ぬべきでない。死ぬべき。死ぬべきでない。死ぬべき。死ぬべきでない。死ぬべき。死ぬべきでない。死ぬべき。死ぬべきでない。死ぬべき。死ぬべきでない。死ぬべき。死ぬべきでない……。
小早川ゆたかは考える。考える。考える。
これまでは動揺したり混乱したりでまともに物を考えることが出来なかった。だから、今全ての神経を使い、とにかく冷静になって考える。
本当に悪いのはなんだろうか? 本当に死ぬべきものはなんだろうか?
私は悪くない。翼のコスプレをした人を殺したが、仕方のないことだった。
ルなんとかさんは悪くない。大切なサイトなるもののために、仕方のないことだった。
キョンさんは悪くない。目的のために突っ走っただけだ。仕方のないことだった。
黒井先生は悪くない。私が襲われていたから変態になった。仕方のないことだった。
翼のコスプレをした人は悪くない。出会ってしまったのは偶然だった。仕方のないことだった。
刺激物を掛けてきた人達は悪くない。襲われたのだから、抵抗するのは当然。仕方のないことだった。
オプーナーは悪くない。意識を乗ったられたのは偶然の結果だ。仕方のないことだった。
全て、仕方のないことだった。どうしようもないことだった。
じゃあ、何が悪い? 一体、何が悪い? 何が死ぬべきだ?
……。
…………。
………………。
……………………運命だ。
それは、唐突な閃きだった。だが、その答えは全ての疑問に答える、無敵の解答だった。
悪いのは、運命だ。
私をこんな目に合わせたのは運命が悪い。
ルなんとかさんが私に襲い掛かってきたのは運命が悪い。
キョンさんが変態なのも運命が悪い。
黒井先生が変態になったのも運命が悪い。
翼のコスプレの人と出会ってしまったのも運命が悪い。
刺激物を掛けてきた人達に私が攻撃したのも運命が悪い。
気分が晴れ渡っていく。全ての問いかけに対し、その解答は無敵の性能を誇った。
(そうだ、全て運命だから仕方なかったんだ。悪いのは全部、運命だったんだ)
そう、結論を下すと、小早川ゆたかはゆるりと顔を上げ、辺りを見回した。
周囲の環境は酷いことになっていた。一部が凍り付いているかと思えば、別の一部は焼け野原と化している。
こんな風に環境が破壊されてしまったのも運命が悪い。全てにおいて、悪いのは運命だ。
運命、運命、運命。
悪いのは運命だった。死ぬべきは運命だった。殺さなければならないのは運命だった。滅ぼすべきは運命だった。犯人は運命だった。
「倒さなくちゃ……」
運命というものがどんな形をしているのかは分からない。このままそれに挑むのは、風車に挑むドン・キホーテのようなものだ。
だが、それでも戦わなければならない。本当に悪いものが運命ならば、それと戦わなければならない。
と、そこまで考えたところで、喉が詰まるような感覚に襲われる。喘息。何年も、慣れ親しんだ感覚だ。
「こほっ
./ \Yノヽ
/ (0)(―)ヽ キリッ
/ ⌒`´⌒ \
| , -) (-、.| .________
l ヽ__ ノ l | | でっていう植民地 |
/ヽ、-ー、__,--‐´\ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
/ > ヽ▼●▼<\ |ー、.
/ ヽ、 \ i |。| |/ ヽ (ニ、`ヽ.
.l ヽ l |。| | r-、y `ニ ノ \
l | |ー─ |  ̄ l `~ヽ_ノ____
こほっ」
幸いというべきか、咳はすぐに止まった。これまでと比べ、随分と症状が軽くなっているような気がする。咳き込んでいる最中に妙なものが見えたような気がしたが、気のせいだろう。そうに違いない。
「じゃあまずは……」
言いつつ考える。運命を倒すためには、殺すためには、滅ぼすためにはどうすればいいか。
「まずは、運命に関わる人を皆殺しにしよう……」
言葉とともに小早川ゆたかは歩き出す。その顔にはなぜか、明らかに彼女の意図したものでない笑みが浮かんでいた。
【でっていう@やる夫がバトル・ロワイアルに参加しているようです】
_,l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l,,_
,.r'´,. -┐ ':..,゙ヽ
,r' ,::;:' ,ノ ヽ、 ゙:::.ヽ
,.' _.,:;:'___ _立_ ___;;ミ゙、  ̄ノ ̄| ̄
.l厄巳厄巳厄 i王i ,.巳厄巳厄巳l ,勹 .├‐''
l´ , "´  ̄ ̄ ̄ `'''′  ̄ ̄ ̄`.:`{ ´_フ ヽ、_,
| l ;;:.,. ::、. ... '゙|
,.-''、.,! ,.::' ヽ、:.゙、 ;;.:' '' ヽ | ,.、 __l__
./ 、/ `ヾ ( ゚ ) ( ゚ ) '´〕. ヽ. |
/ {´i Y::::.. ` ´.: "i! ::. 、` ´ ゙:::.、} r、 l i,____
| ヾ_,,入;:::.. `'' " ´.::; .::i! ::.. ``` :. }ツl l
\ ノ ヾ ;:::. .:r'' :: ll! :ヽ;:..:. .: j,ノ ,! ┬‐┌,┴┐
ヽ',,;l ゙i ;::.. _ `ヽ、;;,,,,'.ィ'' _,, .::,;r'1,,,/ l__ ノl士
ッジ::::::| ゙ ,r'´:::;;;;;;;::> 弋´;;;;;::::ヽ'" |:::::゙'イィ ノ凵 l土
弍:::::::::::l /:::;r'´ ,,..-ー…ー-、 ヾ;:::'、 |:::::::::::ヒ
シ:::::::::::l i':::,! ´ |-┬-| ゙ l::::l:. |::::::::::ス __ヽ__‐┬┐
彡;:;:::::l l:::l '| | |;;;:, l:::l |::::;;ャ` ニ メ ,ノ
,r', 广'`ヽl:::l ::::. .:: `ー'´ ゙::. l::l ノ^i`、 l ̄l ハヽヽ
,イ(:::j i::;ヘ :;:. .:: l::l'" l:ヽヽ  ̄  ̄
【小早川ゆたか@らき☆すた(原作)】
[状態]:冷静ではなく超冷静、妹萌力覚醒、身体能力劇的向上
[装備]:なし
[持物]:デイパック、支給品一式、不明支給品0-2
[方針/行動]
基本方針:運命を抹殺する
0:運命に関わる者、その全てを殺す
※運命が何なのかは自分でも分かっていません
※記憶の混乱は止まりました。
※エナジーボンボンと0号ガイバーユニットは、カレーに溶けてゆたかの体内に吸収され、更にでっていうの一部も吸収されました。
※ガイバーユニット、エナジーボンボンはでっていうの胃液によって半分程度溶けました。
※魔と化したカレーの影響により彼女の精神変化が稀に起こるようですが、エナジーボンボンが半分程度溶けているため、オプーナーの影響は薄まりました。
※思考の節々にでっていうやオプーナーの影響が見られます
以上で投下終了です。色々とやり過ぎたような気がするぜ
>>185 投下乙です。
さよならでっていう。
ゆーちゃんは皆殺し路線か。このままマーダー街道を突っ走ってもらいたいね
それにしても、らきロワのキョンは自重しねえなw
投下乙
でっていう好きだったのに…………でもこの方が面白いからいいやw
らきキョンは自重しないなぁw しかし結果的にゆたかを救う………救ったのか?
運命論者というか妙な宗教じみてきたw
もうマーダーとしてとことん突っ走れwww
GJ!
ランキング作成人@オールロワ投下いたします。
今回は軽い繋ぎSSです。
過度な期待はしないでください。
「10人ねぇ…実に参加者の1/6。なかなかのペースだなおい…」
ランキング作成人は先ほど流れた提示放送に対し、そう呟く。
やはり死の瞬間を目撃したみゆきと川田の名前が呼ばれていた。
幸い自分の知り合いが呼ばれなかったことには少し安堵している。
『それにしてもやってらんねえぜ!!さっきから見つかるのは死体、死体、死体、死体、死体!!
ああ、はやく美少女に会っていろいろヤりてえよぉぉ〜〜〜〜!!』
「静かにしろバカ!」
クロスミラージュの電子音声にランキング作成人はやれやれと言葉を返す。
だが、正直やってらんないというのは作成人も同じであった。
今までに出会った生きてる参加者はマーダーと化した長門ぐらいのもの。
美少女はともかく何でもいいからまともな人に会いたいと言うものだった。
「どうしてこうも凄惨な現場に立ち合わせるのかね俺は……」
ランキング作成人は先ほど自分が目撃したことを思い出し愚痴をこぼす。
◇
黒王号の暴走の後あの場からフラップラーで逃走したランキング作成人。
彼が丁度神社の上空を通った時、拡声器を使っているのかどこからか声が聞こえてきたのである。
内容はただ助けを求めるわけでもなく、殺し合いを止めろというわけでもなく、影が濃けりゃどーたらかーたらだとか馬鹿げた内容だった。
「拡声器だと…使ってるのはどこのバカだ?」
拡声器のジンクス。
パロロワを少しかじっている者なら知っているであろう死亡フラグだ。
ましてやパロロワに深く関わっているランキング作成人がそのジンクスと恐ろしさを知らないわけがなかった。
愚痴をこぼしながらランキング作成人は声が聞こえてくる自然公園のほうへフラップラーを飛ばす。
自分は臆病ではあるが誰にも死んでほしくなかった。
(せめて俺が着くまでには無事にいてくれ!)
拡声器を使った主の無事を願って作成人はフラップラーを飛ばす。
だが彼が自然公園につく頃には拡声器からの声は既に聞こえておらず、
後に残っているのは夥しい血痕…拡声器と使用した主であろう男の頭部、胴体、手首、足首が散乱したバラバラ死体があるのみだった……
どっかで見たことあるような気がしたが作成人はどうしても思い出せないので考えるのをやめた。
といっても桃色の羽織を着ていたのなら彼はその死体が笑点のピンクのものだと分かったかもしれないが。
「…………」
トンネルで殺人を目撃した時と違って不思議と吐き気はしなかった。
二度もロワに参加している故なのかそれともグロテスクな現場を二度も目撃したからなのか。
「この俺も自分がロワに巻き込まれるのに慣れてきちまったらしいな…糞が。」
某誤解王みたいに末期にはなりたくないと思いつつ、作成人は再びバラバラ死体に視線を落とす。
「それにしてもこの殺害方法、まさか……」
頭部、手首、足首など体中の『首』を刈られたこの殺害手口。
彼はこの方法で殺害する人物に1人くらい覚えがあった。
わざわざ全身の『首』を切り取って殺害するマーダーは唯1人。
「熱血王子か。嫌な予感が当たっちまったらしいな…」
熱血王子は作成人が100%危険と判断した人物。
やはり熱血王子は死亡前から連れてこられたのだというのが分かった。
しかも手首だけでなく足首や頭部まで刈られている頃から参戦時期は最低でも『ネックブレイカー』を修得した後のはず。
「なんにしろ熱血王子が近くにいるかもしれん。とっとととんずらさせてもらうぜ。」
本当なら埋葬してやりたかったが、危険人物がまだ近くにいるかもしれないことを考えると今はここを離れるべきと考えた。
死体の近くに放置されていた拡声器は「これ以上どっかのバカが拡声器を使っちまうとヤバイ」ということで彼が回収した。
自分がロワの死亡フラグのジンクスたる拡声器を所持するのは少し抵抗があったが、使わなければ問題ないだろうということだった。
そしてランキング作成人は自然公園を後にし北上していったのだった。
◇
そして現在に至る。
ランキング作成人は仲間を得るため足の進める方向にある洋館へと向かっていた。
徒歩なのはフラップラーで空を飛んでいると目だってマーダーに追いかけられるかもと踏んだ上である。
『あ〜それにしても暇だぜ!おい作成人さんよぉどうせなら拡声器使って仲間集めちまおうぜ!』
「断る。危険人物だってくるかもしれないだろ。近くに長門や熱血王子が潜んでいるかもしれないと思うと怖くて仕方ねえよ。(ジンクスもあるしよぉ…)
運悪く俺には武器が一個も支給されてねえし。名簿を見る限りチート級の奴らがゴロゴロいるんだ。
俺みたいに力のねえ一般人は死なないように慎重に立ち回るしかないんだなこれが。
ほら、こうしているうちについたみたいだぜ。」
作成人の視線の先には目的地である洋館が建っていた。
そして彼が洋館の庭に入ろうとしたとき突然悲鳴が聞こえてきたのである。
「NOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!」
『な…なんだ!!?』
「しっ!」
騒ぐクロスミラージュを黙らせ作成人は物陰に隠れながら悲鳴のする方向へと近づいてみる。
「うぅっ…!」
『こ れ は ひ ど い』
2人は見てしまったのだ。
ランキング作成人とクロスミラージュが目撃した光景。
それはまさに地獄のようで、こんな光景ばかり目撃してしまう自分達はきっと特別な存在なのだろうと感じたとか。
ズボンを尻まで下げられた男(アムンゼン)が2人の男女に尻を甚振られている光景だった。
片方のスクール水着をきた少女はその丸出しの男の尻を蹴り続けている。
そしてもう1人の男はさらに酷いことをしている。手に持ったタバコを四つんばいの男の尻に押し付けているではないか。
被害者らしき男性は誰だか分からなかったが、加害者側の人物はランキング作成人が把握している人物、南千秋と赤木しげるだった。
事情を知らぬ作成人にとってこの光景はアカギと千秋が1人の男を一方的に嬲っているようにしか見えないわけだ。
『おい、どうするんだよ!!』
「どうするったってよぉ…」
ランキング作成人は唯の一般人。さらに武器らしき支給品は何もない。
対して向こうは二人。千秋がもしカオス出身なら竜の力を持っているし、アカギは…あれだ。関わったらいろいろヤバイ気がする。
結局ランキング作成人は情けないことにアカギ&千秋の年少鬼畜組にアムンゼンが甚振られているのをただ見ていることしかできなかった。
いや、見ていることしかできなかったという表現は正しくない。途中からランキング作成人は見ていられず両手で顔を覆っていた。
しばらくしてアムンゼンの悲鳴も収まると2人の会話が聞こえてきた。
「もうこんな奴放っといてホテル行こうぜ。」
「ああそうだな…ついでにこいつの支給品も取っておこう…」
ま さ に 外 道
◇
ランキング作成人は洋館から南西の方向へ向かって息を散らしながら走っていた。
しばらく洋館が見えなくなるまで離れたところで周囲に誰もいないことを確認し足を止める。
そして疲れたかのように腰を下ろす。何しろ彼は特別運動神経はいいというわけでもない。全力疾走すれば疲れるのは当然のことだった。
『おい!いきなり走り出しやがって…どうするつもりだ?』
「ハァ……ハァ……。これからホテルに向かうぞ。」
クロミラの問いにランキング作成人は息切れ切れながらも答える。
『よりによって何でホテル?』
「仮にお前が参加者だったとしよう。」
作成人はデイバッグから地図を取り出してクロミラに見せるように広げた。
「場所を移動したい時…現在位置の把握とかのために地図は要るよな?
じゃあ移動する時お前はどこへ行く?」
『そりゃあ…地図に表示されてる建物にいきたいだろ。目印になるし…
対主催だったら仲間を集めもできるし、マーダーだったら獲物も見つけやすいしな。
それに美少女との出会いもあるかもしれねえ!!』
「最後の言葉は聞かなかったことにしておくが…まあそんなところだろうな。」
クロスミラージュの余計な部分はスルーし作成人は話を進める。
「今回の放送で禁止エリアが一つは百貨店に後二つはトンネルや橋を跨ぐように設定されてる。
つまり北と南にほぼ分断されちまってるってことだな。
そして今俺がいる北側にいる奴らが立ち寄りそうな建物は結構限られてきてるんだぜ。まあ候補を挙げるとしたら病院かホテルだろう。
スペースや食料、道具に恵まれてそうだからな。その二つの建物に人がいるに違いない。まぁ安全なヤツか危険人物かはたまた誰もいないかは運しだいだがな。」
『でも、ホテルはさっきの危険な奴ら2人がこれから行くとか言ってた場所だぜ?
でもまあ男のほうはともかく…もう1人のスク水ロリっ子に蹴られるのは悪くないぜ。
しかもあの子ドS全開。たまんねぇ〜〜〜〜!ああセクハラしてえ!尻叩きてえ!!』
「ちっ……」
『あ……ごめん。』
作成人のゴミを見るような視線にクロスミラージュはつい謝ってしまう。
彼はただの支給品であり、魔法を使えない作成人にとっては無用の長物であり正直持ってても得はほとんどない。
むしろ勝手に喋ってくるだけのアイテムなどむしろ要らないのではないだろうか?
多分作成人の機嫌をさらに損なったら最悪破られるか……であろう。
「だからだ。あのまま病院に行っちまったらホテルで待機してるかもしれん連中とあの2人は鉢合わせして殺し合い勃発することは避けたいんだ。
しかもあの2人の性格からして安全を装って近づいてくることは間違いなし。だから俺が病院にいる連中にあの2人が危険人物であることを教える。
そうすりゃあの2人を最悪撃退できるかもしれねえ。一番いいのは無力化だけどさ。ついでに長門と熱血王子も危険だって事を知らせねえとな…」
『ふんふん、にゃるほどね〜。まぁホテルに美少j「まぁということだからさっさとホテルへ行くとするか。」
クロスミラージュの言葉を遮ると作成人はデイバッグからフラップラーを取り出す。
『おいおい、フラップラーは目立つから使いたくなかったじゃないのか?』
「ここから2〜3キロくらいあるんだぜ…さっき全力疾走して疲れてんだ。
それに今は一刻を争う時、時間をあまり無駄にはできないからな…よいしょっと。」
そういうと作成人はフラップラーに飛び乗り空中を上昇させ、ホテルのある方向へフラップラーを飛ばしていった。
自分と志を同じくする仲間を探し、殺し合いを終わらせるべく彼は空を翔る。
己の誤解に気付くこともなく。
【C-5/上空/1日目-朝】
【ランキング作成人@オールロワ】
[状態]:若干の疲労
[装備]:クロスミラージュ@ニコロワ、フラップラー@アニ2
[持物]:拡声器@ロワ全般、デイパック、基本支給品一式、不明支給品x1
[方針/行動]
基本方針:誰にも死んでほしくない。自分も死にたくない。
0:一刻も早くホテルへ行く
1:黒井ななこ、6/氏と言った知り合いを探し出し合流する。
2:ロワ破壊のための仲間を集める(こなたを仲間にしたいが、「会えればラッキー」程度の優先度)。
3:黒王号に乗った長門、熱血王子、アカギ(13歳)、南千秋を警戒。
4:クロミラがウザい。
かなり短いですが、以上で投下終了いたします。
投稿乙です
そりゃああんな光景見たらそう思う罠w
ホテルはかがみ組がまだいたら波乱に巻き込まれるぞ
先が楽しみだ
投下乙
作成人そいつは誤解…とも言えねえw
こりゃホテルは波乱必至だな
それにしてもクロミラうぜえw
投下乙です
>>185 ああ、でっていう逝ってしまうとは……。
ゆーちゃんは完全にマーダー化しちゃったな。みなみとかと会った時にどうなるかが楽しみ。
しかし、ここのキョンの自重しなささは異常w
>>194 あれを見たんじゃ仕方ない反応だわなw
しかしこのままいくと、ホテルが合戦場になる予感。しかもホテルにはかがみがいるというオマケ付きw
書き込めるか!?
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
やったああああああああああああああああああああ!!!!
あれはゆーちゃんやない…youちゃんや!!
予約来たな
本当だ来てれぅ!あの状態からどう絡むんだ…お互いに…w
アムンゼン尻丸出しのままだったら気まずいなww
とりあえず鯖缶食って待機するしかねえww
あの人なんでカオスロワに出張しているんだwww
ヒャッハー!投下準備完了だぜ!
でもすごく短いから支援はいらなかったりする。
どうも、ロアルド・アムンゼンです。
唐突ですが、このたわいもない話も今回で最後になります。
理由ですか? ではできる限り簡潔にまとめてお話しましょう。
私はあの少女達が立ち去った後、あまりの痛さに数十分間蹲っていました。
しばらくしてやっと痛みが引き、身だしなみを整えて行動をとろうとしていたその時です。
目の前にピンクの衣を着た人間が、私を一瞬見てニヤっと笑い、刃物を私目掛けて突き刺してきました。
少し格闘経験がある私をもってしても、あの素早い一撃は避けることができませんでした(実質奇襲でしたし)。
そうして私は腹部を抉られ、その勢いで転倒してしまいました。
彼は私が蹲っているのを見てもう一度にやりと笑い、今度は確実に致命傷になる私の首に向かい刃物を突き立ててきました。
そう、短く言えば私は殺される、そういうわけで今は殺される直前という事でしょうか。
え? 何故こんなに落ち着いていられるかですって?
それは一種の諦めと言うか、ああ、そう言えば死ぬ直前は、
事柄がスローに感じると言うこと聞いたことがあります。
恐らくそれと同じようなものでしょう。
しかし……どこで間違えてしまったのでしょうか……
若者達に尻にいたずらされた時でしょうか?
少年に「逃げろ」と言われた時でしょうか?
白髪の男を目撃した時でしょうか?
それとも最初の髑髏の男を発見した時でしょうか?
……いいえ、多分全て違うでしょう……いや、逆に全て正解かも知れません。
なんせ、問題が『死』ということは、どちらとも取れると思いますから。
答えは、私はこの場所に連れてこさせてから一切の『接触』を行わなかったからです。
髑髏の男の時、私は彼を危険人物とみなし、接触を怠りました。
白髪の男の時、私は彼も危険人物とみなして、接触を怠慢しました。
若い男女の時も……いや、あれは私の本能が働いてしまったからですかねえ。
ともかく、私は今まで誰とも接触をとっていきませんでした。
何故でしょうか?
もしあの髑髏の男が見た目と違い、人殺しを嫌い正義の生きる人物であったなら?
もしもあの白発の男が奇妙な行動とは違い、殺し合いを潰すことに尽力する人間であったなら?
……きりがありませんね。それに歴史や人の出来事に『もし』『たられば』を含ませることはご法度です。
接触をしなかった理由は……どうやら私は自分のことをとても可愛がっていたようです。
自分が死ぬこと、自分が傷つくこと(結局お尻は大きく傷つきましたが)、とにかく自分に被害をもたらすことを、
すべてせずにいたからでしょう。
まったく、呆れたものです。
こんな殺し合いという場で、犠牲を出さずに物事を進める筈がないと言うのに……
傷つく事も死んでしまう事態を想定してでも、誰かと接触をして、
情報を交換をし、この殺し合いに望むべきでありました。
だけど……私はしませんでした。
だからこの事態、無慈悲に殺される一歩手前まで来てしまったのです。
これは私の情けない行動への罰なのでしょう。
ですがもう過ぎた事です……あ、もう刃が私の首の皮に当たりました。
どうやら私はここまでのようです。
6/、かがみ、竜、あなた達はいま何をしていますか?
心強い仲間とともに行動していますか?
もしかして死んでしまいましたか?
仲間とともにいるのなら、最後までその人のことを信じていてください、
そうすれば必ずいい事がおきます。根拠はありませんけど。
また、死んでいるのであれば、私も今そこに行きます。
できれば犬を用意してくれるとありがたいです。
それとたわいもない話を聞いている貴方へ、
最後までこの戯れにつきあって下さいまして、ありがとうございます。
私は貴方の幸せを願っています。
★ ☆ ★
「やはりバッグは無いか……」
B-4洋館内のとある部屋で、熱血王子は一人呟く。
一人の男を無情で殺し、
そいつの持っていたデイバッグを回収し、立ち去ろうとしていた。
だが肝心の支給品の入っているバッグは見つからない。
これはある程度予想していたこと、なぜなら男を発見したとき、いくつか負傷していた。
と言うことはつまり、誰かが彼にダメージを与え、バッグを奪いその場を立ち去ったとしても何も不思議は無い。
「中途半端だな」
熱血王子は不愉快だった。
なぜこの男に暴行を加えておきながら、殺さなかったのか?
人を殺すのが嫌だから? 血を見るのが嫌いだから?
馬鹿馬鹿しい、そんな浅ましい思考なんて考える必要など無い。
暴行を加えるなんて中途半端なことをせず、さっさと殺せ。
「まあ……そんな甘い考えを持つ奴を殺すことは簡単だけどな」
そう一言だけ口にし彼は部屋を出る。
目指す所は優勝。そのためにはこんな所でいちいち考察している暇など無いのだ。
いまさら人を殺しても何も思わない。彼の心には優勝と言う二文字だけであった。
【ロアルド・アムンゼン@オールロワ 死亡】
【B-4/洋館前/1日目 朝】
【熱血王子@書き手2nd】
[状態]:黒化、両目損失(感覚に影響なし)、歪んだ笑み、変身中
[装備]:朝倉涼子のアーミーナイフ@書き手2nd、ピンクの着物@笑点のピンク
[持物]:デイパック、基本支給品一式、薬草×8@ニコロワ、ランダム支給品0〜2
[方針/行動]
基本方針:自分を自分で許せるようになるために、笑って殺して優勝する。
1:黒く染まってない奴を優先して笑いながら殺す
2:白に寝返りそうな奴も笑いながら殺す。
3:かつて戦った書き手ロワ出身者(下の※参照)は、特に確実に殺す。
※次にどこへに向かうかは次の書き手さんへ任せます。
※書き手ロワ2nd、247話「熱血対熱血〜正義の系譜〜」熱血怪人との戦いの直前から参加
※愛媛への恐怖を一部克服しました。黒さとマーダー路線はそのままです。
※書き手ロワ2ndで(この参戦時期で)遭遇したことがあり、かつこのロワに参戦しているのは、以下の2名。
クールなロリスキー@書き手2(外見:柊かがみ)と、忘却のウッカリデス@書き手2 です。
ただしどちらも名前は知らず、また、ウッカリデスは当時仮面を被っていたので顔も知りません。
えーと、すごく短いですが投下終了です。
┌┤´д`├┐<俺はもう寝る!
と言うことで何か問題があれば朝までに回答できると思います。
投下乙。
ア、アムンゼーーーーン!!何と言う不幸続き…
しかしできれば犬を用意してってwあくまでこだわるかww
熱血王子は異様に生き生きしてるな。ところでこいつ、声アカギじゃなかったか?
アムンゼンは「萩原聖人に連続して酷い目に合わされた人ランキング」にエントリーできるな
投下乙!
アムンゼン逝ってしまったかぁ…確かに避けてばっかでなぁ。積極的に接触したのが犬だけだったというw
対して黒さに磨きがかかる熱血王子。マーダー一直線が清々しいくらいだな。
しかしアムンゼンのは負傷ってレベルじゃなかったろうにww
GJ!
すごくどうでも言いことなんだけどさ
こんなトリップを発見してしまったわけだ。
HALwwwアンタって人はwww
とりあえず感想を。
アムンゼン……確かにそれは一理あるわ…
とりあえず言うなら死者スレでゴマモンを犬と間違わないように。
そして正統派無差別マーダーである熱血王子のこれからの活躍に期待せざるを得ない。
短い話だが、なかなか濃い内容だったなぁ…
投下乙。
そうだよなぁ……アムンゼン、何もしてなかったもんなぁ。
1つ1つは理性的な判断でも、確かにそれ重ねたらじり貧だわ。
そして熱血王子が早速星1つ。
このまっすぐなマーダーぶりには、なんだか応援したくなってしまう。
短いけどGJ!
5様投下乙w
アムンゼン面白い奴だったんだが、逝ってしまったか……。まあ、うっかりしてるだけじゃあ、生き残れないか。
しかし、熱血王子は真面目にマーダーやってんな……。
勝手に抱いてた、らきロワで人を殺せる奴はみんな変態かカオスな奴ら、つう考えを外されたぜw
なんか放送入ってから一気に殺し合いが加速してるなw
投下乙です
あっさりと死んだが言われてみれば確かに
ロワは過酷だといういい見本でした
短いながら納得出来る作品でした
そしてみさおに編集乙と言いたいところだ
そして予約ktkr!
WRYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!!
ちょおおまww
これはwwwどうあがいても誤解wwww
そうか今は血だらけなんだな…格好はアレだがやっぱ(神)かっけぇなww
かっこいいといわざるを得ないんだぜww
もちのろんろんでございます!
おお!ろわらじがらき☆ロワを!いいねぇ。でも仕事の俺オワタ
そういや12日だったな。
全裸になって待ってるよwww
書き込めるかテスト
┌┤´д`├┐<ヴォーテツサーン
延長していましたが、何とか投下準備完了なので、
投下したいと思います。
死。それは生きている限り必ずは起きる悲劇のひとつだ。
だがそれは必ずしもすぐ悲しむものであるかと言うと、そうではない可能性もある。
例えばこういう話を聞いたことはあるのではないか。
猫は自分の死期を悟ったとき、その姿を見せないようにひっそりと飼い主から離れて行く。
さて、こういう事態がもしあなたに起こったとしよう、
一週間、二週間と自分の目に猫が入らなかったどう思うか。
恐らくあなたがまだ生命の尊さを知らない年頃ではないのであれば、
「ああ、もうあいつはいないんだな」と静かに悟るであろう。
時がたち、その猫の死が自分の心から消えそうになったときやっとそのときの悲しみを吐き出す。
これはもちろん人間同士でも当てはまる。
ある日あなたに友人が死んだという電話が入ってきたとしよう。
その時、あなたは最初にどう思うか?
友人の急な死に泣きじゃくるか? それとも激しく動揺するか?
いや第一にはそうは思わない。
最初は必死にそれを理解しようとする。
友人の死、起きて欲しくなかった悲劇、それを理解しようとする。
だが、なかなか納得できないようなものである。
そうして数日経ったあと、葬式で友人の死体を見て理解する。
ああ、もうこいつと一緒に笑うことも、話すことも、悲しむことも出来なのかと。
そういうことを思い出したとき、ついに悲しみという感情があふれてくる。
つまり死と言うのは長い期間を経て理解し悲しむことなのである。
さてここにとある少女がいる。
少女はわけもわからないまま、殺し合いに巻き込まれた。
しかも自分だけではなく、知人友人はたまた家族までもがその場に参加させられている。
そこで問題。
今、彼女が自分の友人の死の報を聞いたらどう反応するか。
また、どういう感情を曝け出すか?
憤怒、激情、戦慄、恐怖、困惑、苦しみ、悲しみ、諦念、憎悪、空虚……
はたして……
☆ ★ ☆
「わりぃ……少し席を外すぜ……」
死者の宣告、禁止エリアの発表。
参加者に対するさまざまな酷なことを伝える放送が終わった。
この放送が終わったあと、三人の間には静寂さが滞っていた。
それから数分経ち、一番最初にアクションを起こしたのは前原圭一であった。
圭一は一言断りをいれ、席を立ちその場から離れていく。
それを聞いていたなのははそっと首を縦に振り了承した。
あれほどの猛威を振るっていたセフィロスが死んだ。
十もの人々がこのくだらない出来事で命を落とした。
なのはは放送を耳を傾け終わったあと、幾つものことを考えた。
だが一番最初に考量した、いやせざるを得なかったことがあった。
(高良みゆき……)
高良みゆき、それは死者宣告の一番最初に挙がった名前。
と同時に隣にいるか弱い少女、柊かがみのとても親しい友人の名前。
なのはは自分のことではないが激しく動揺した。
もしこのことでかがみが発狂してしまったら、もしくは生きる希望を失ってしまっていたら……
事実かがみは放送が終了してからは一貫して下を向いている。
「かがみ……」
なのはは針に糸を通すようにかがみの肩をそっと支えながら繊細にに話しかける。
十秒……二十秒と経ったあとかがみはそれに答えるようにゆっくりと顔を上げ口を開いた。
「私ね」
その言葉は決して震えてなく、一字一句ハッキリと聞き取れた。
「多分……いや今は絶対辛い状態なはずなのよ……泣いたり……喚いたりしたいはずなんだけど……
でも……」
かがみはゆっくりと気持ちを伝える。
「ここで泣いちゃいけないと思うのよ……ここで泣いたら……ここで泣いちゃったら、
今も、これからもずっと私は泣き続けると思うの……だから、私は泣かない……
放送を聴いても、みゆきが死んだなんて信じられない、だけど……信じなきゃいけないの、
信じるから、私は泣いちゃいけないの。
もしここで泣いて喚き散らしたら、なのはや圭一君に迷惑かけるし、
それに……それにみゆきはそんなこと望んでいない。私が泣くことを望まない、
私が悲しむことは望んでいない……だから……泣かない」
この発言はなのはにとって意外であった。
柊かがみは多少勝気が強いだけのか弱い少女である。
だが、そのか弱い少女がこの辛い現実を認めたのだ。
「ごめんね……みゆき……元の場所に帰ったら、いっぱい、いっぱい泣いてあげるから……
だから今は……少し我慢してね……」
「かがみ……」
かがみの言葉を、強い言葉を聞きなのはは思わず言葉がこぼれる。
なのははかがみの心境の変化を感じ取った。
もう何が起ころうと、かがみは決して自分を失わない。
この場に連れて越されてから、かがみは何度も自分を見失った、
弱音を吐き、涙を流し、どうしようもない絶望に襲われた。
だからこそかけがえの無い友の死、『高良みゆき』の死に対しては
真っ当に受け止め、理解した。
その時、柊かがみに生まれた感情、それは
『覚悟』
であった。
もう何があろうと私は退かない、犠牲を省みない。
たとえ妹である柊つかさの訃報が流れても、
たとえ唯一無二の大親友泉こなたの死を目撃しても、
私はこの殺し合いに対する覚悟の気持ちは変わらない。
「かがみッ……!」
「ちょ……ちょっと、何でなのはが泣いているのよ!!」
なのはは思わず熱い涙をこぼす。それに対してしっかりとつっこむかがみ。
「だって……本当はすごく辛いはずなのに……」
「……もう、辛いのはみんな同じよ、それに私達を引っ張るなのはがそんなのでどうするの?」
かがみはなのはの手をとり、やさしく笑顔を浮かべる。
そんなかがみを見て、ゆっくりと首を縦に振り答えるなのは。
「そうよね……私がしっかりしなくちゃ……」
なのははそう述べ、テーブルの上にあるちり紙を手に取り涙を拭く。
絶対にかがみに悲しい思いはさせない、なのはは無力の少女、
柊かがみの『覚悟』を心から受け止めた。
考えて欲しい。
何も解らず右往左往し、なのはに向け発砲をし嘔吐を繰り返していた
あの柊かがみが、脅えも戦慄も起こさず友人の死を清く認め、
振り返らずに前に前に進もうとしている。
自分でさえまだ不安や恐怖が残り、いつ弱音を吐くかもわからない状態なのに、
身体能力の劣るかがみがもう逃げださないと覚悟したのである。
その予兆は今までにも幾つかあった。
あの非道の悪魔(死んでしまったが)セフィロスに一歩も退かず、
自分の思いをぶちまけた。
これは常人では考えられない行動なのである。
なぜならセフィロスは容赦の無い男。
そんな輩に一般人である柊かがみが喧嘩を売った彼はどういう対応をするか?
言うまでも無い、かがみはこの世にはいることが出来なかったであろう。
だがかがみは殺されなかった。
もしあの場でかがみが動かなければ、なのはとかがみ
両名とも殺されてしまっていたはずだ。
なのははかがみの覚悟を見て、自身も覚悟を固めた。
絶対にこんな悲劇を繰り返しちゃいけない。
もうかがみに無理をさせてはいけない。
かがみだって本当はすごく心が痛いはず、だけどそれを我慢して行く姿を
絶対に守ってあげようとそう覚悟した。
二人の少女が今ここに覚悟を固めた。
もう二度とこんな悲劇を繰り返さない。
彼女達はどんな現実にも真っ向から立ち向かうことを。
☆ ★ ☆
「そう言えば、圭一君はどうしたの?」
ふたりが席を立つと同時にかがみが口を開いた。
「私達のことを考えて席をはずしていてて……」
「そう、じゃあ圭一君のところ行きましょ、結構辛いはずだからさ……」
前原圭一彼もまた悲劇の一員である。
なぜなら彼はほんの少しだが放送で告げられた桂ヒナギクと一緒にいた。
その報を聞いて彼はどう思ったか、いや言うまでもない、
恐らく後悔の感情があふれていると、そう思い彼女達は前原圭一の元へ向かうことにした。
前原圭一はホテル入り口突っ立ていた。
「圭一く……ん……」
かがみとなのはは彼の前に立ち彼の名を呼んだ。
だがその時彼はとんでもいことが起きていた!
((こ……これは……))
男 泣 き !
前原圭一はこれ以上もなく号泣していた。
あれほど前向きであった前原圭一がである。
なのはとかがみは大きく泣け叫んでいるをなんとか宥めようと、
やさしく言葉をかけ彼を落ち着かせる。
「いやあ……すまねえ……でも大丈夫だ、泣いたらスッキリした」
「よかった……」
数分経ったあと、やっと前原圭一は落ち着きを取り戻した。
──ヒナギクさんを埋葬しに行きたい──
落ち着いてからの圭一の第一声は、
無念にも死んでしまった桂ヒナギクの姿をどうにかしてあげたいと言う相談だった。
二人はこれに了承し、もともと放送後に行くはずであった桂ヒナギクの場へと急ぐことにした。
☆ ★ ☆
さて、皆さん。
今回のお話はここまで。
一人の少女が覚悟を決め、一人の女性がそれに同調した。
彼女らにいかなる出来事がこれから起こるか。
それは解らない。
ただ、一つだけ解ることは……
彼女達は前を歩き続けるだろう、覚悟と言う信念の火が消えない限り。
【D-5/北部/1日目-朝】
【柊かがみ@らき☆すた(原作)】
[状態]:健康、覚悟完了
[装備]:メイド服、モーゼルC96(9/10発)@現実
[持物]:デイパック、支給品一式、モーゼルC96のマガジン×4@現実
[方針/行動]
基本方針:友達や知り合いを殺し合いから守る。
1:圭一、なのはと一緒にヒナギクを埋葬しに行く。
2:なのはや圭一と協力して、絶対に悲劇を繰り返さないようにする。
3:泣いたり悲鳴を上げるのは全てが終わってから。
[備考]
※参戦時期は一年生組と面識がある時期です。
※この殺し合いに対する覚悟を固めました。
【高町なのは(StS)@なのはロワ】
[状態]:疲労(小)、左肩負傷(止血済)
[装備]:メイド服、マテバ 6 Unica(6/6発)@現実
[持物]:デイパック、支給品一式、マテバ 6 Unicaの弾×30@現実、カートリッジ×3@なのはロワ、チョココロネ×8@らき☆すた
[方針/行動]
基本方針:悲劇の連鎖を止め、一人でも多くの人間を救う。
1:圭一、かがみと一緒にヒナギクを埋葬しに行く
2:かがみや圭一と協力して、絶対に悲劇を繰り返さないようにする。
[備考]
※参戦時期はなのはロワ26話、『残る命、散った命』の直後です。
※何らかの原因により魔力が減衰しており、また能力に制限がかけられていると気付きました。
※八神はやてが、前の殺し合いで死亡したと知らされました。
また、彼女を自分の知るはやて(StS)だと思っています。
【前原圭一@やる夫ロワ】
[状態]:健康、メイド萌え 男泣き
[装備]:メイド服
[持物]:デイパック、基本支給品一式、大量のメイド服
[方針/行動]
基本方針:殺し合いからの脱出。女の子にメイド服を着せたい
1:ヒナギクを埋葬しに行く。
2:可愛い女の子にメイド服を着せまくる。
3:阿部さんや変態男(6/氏@カオスロワ)に対し警戒。
[備考]
※死亡後から参戦。
以上投下終了です。
何か問題があったら修正したいと思います。
あと遅刻してすいません。体調を整えてから(いろんな意味で)
投下すればよかったと後悔。
乙。
この圭一もシリアスなときはシリアスなんだなー
まさかのスクライドネタ吹いたwwwwww
238 :
創る名無しに見る名無し:2009/04/07(火) 20:19:54 ID:wFr3D/L/
投下乙
変態だけどシリアスに決める時は決めるかK1
そして覚悟を決めるかがみ
そんなかがみを優しく支えこれ以上の悲劇を止めようとするなのはさん
全体から見ればちっぽけかもしれないが純粋対主催チームの絆が固まった
良い話でしたGJ!
でもこの三人以外のチームってハーレム組はまだマシだが危険対主催が多いなw
投下乙!
やる夫圭一は空気読まずにふざけちまってかがみんプッツーンしちまうかと思っていたが、
やっぱシリアスなときはシリアスなんだな〜それもまたよしGJ!
投下乙。
かがみ達の芯の強さと絆がジンとくるな。何だかんだで決める所は決める圭一もいい
しかし変態も危険思想者も特殊嗜好者もいない対主催組が本当に少ないw
なあ
450 名前:やってられない名無しさん[sage] 投稿日:2009/04/08(水) 01:53:09 ID:???0
実はらきが結構厳しい。
書き手の殆どが同じ内輪ネタの書き手3に流れたんじゃないかというのが俺の観測。
ラノオルタはよく見ると書き手が錚々たる面子だったり。
流れ次第ではGR3みたいな位置づけになるかもね。
東方はgdったスタートのわりに健闘してる印象。
俺としては剣客に注目してて、ロワらしさはさっぱりだけど全体にすげえレベル高い。
西尾は投下数は少ないながらも、それっぽい文体模写の作品があって面白いな。
忍者は残念ながら完全に死んでる。
そんな感じ。
これ本当なのか? 少し不安になってきた……
まだ書き手……いるよな……?
俺しかいなかったら寂しいってレベルじゃねえ
>>241 そこに書かれた事は「へぇ〜そうなのか〜」ぐらいの気持ちで読んでいた方がいいぞ
あんまり真に受ける事はない
本当みたいな事もあるが、基本気にする事なない
>>242 そーなのか……
でも予約が無いのも寂しいものだ
ラジオが終わったらまた賑かになってほしい
まだあわてるような時間じゃない
実は新社会人になって生活リズムが(ry
でしばらく書いてない俺ガイル。
でもよく考えてほしい、3月下旬ごろに予約が来てそして止まった。
そして3月下旬といったら新作ゲームソフトの発売ラッシュだ。
ぶっちゃけゲームにのめりこんでいるだけなんじゃないかと。
ゴールデンウィークあたりは予約くるだろうよ
じゃあ次に尻を叩かれて欲しい参加者(およびその時着てて欲しい服装)の話でもしようか
水着が食い込んだチアキの尻をペンペンしてえ
いやむしろスク水が切り裂かれて欲しい
HALの服も切り裂かれて欲しい
ていうかおんにゃのこの服は漏れなく切り裂かれて欲しい
つまりアカギ(19)の予約が入ったらwktkすればいいと
俺はシグナム姐さんかなー
服装は問わない
爆弾氏は今掛け持ちロワの方の最終回の纏めに入っているみたいだからな
それが終わってくれば戻ってくると思う……そのはずw
島根県とか石川県とか福井県とか題材になっているアニメや漫画ってあるの?
誤爆
ラジオは今日の夜? それとも明日の夜?
明日の夜じゃね。後から音源落とせるよな?聞けないから心配だ
ところで明日ラジオでせっかくだから拡声器のジンクスのところに乗せたいんだけど
どこから乗せるべきかなあ?
ピンクが熱血王子にやられたところだけどOKかな?
258 :
創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 14:25:37 ID:ZkN9J8rv
支援あげ
ラジオは嬉しいけど予約0がな・・・・
予約来た
これで勝てるw
予約キタ予約!あぁ日々に潤いが
ラジオ聴き逃したぜ……OTL
しかし予約きた!
予約キター!!生きる希望が湧いてきたぜええええええぇぇぇ
ただ欲を言えば個人的に動いて欲しい所が動かないな
シグナムとスバルが気になるんだが
右上組は派手なバトルやったわりに空気化してないか、なんかw
まとめの尻叩きの経緯のとこすげー充実しててふいたwww
予約一気にktkr
らきロワの春はこれからだぜ
確かに予約が複数嬉しい
それも面白そうな組み合わせでw
遅れたけど投下します
彼女は待っていた。
薄暗いトイレの個室、一体の相棒を連れて待っていた。
時間は僅か数分。
それは朝、だるいからと床でじっとしていれば、いつのまにか経過する短い間隔。
なんとなくぼーっと、していればチャイムが鳴ってしまう休み時間程度のもの。
「まだかなぁ〜ほんっと早く放送鳴って欲しいわ」
「あわてないあわてない。 待つっていったのは貴女でしょ」
女、黒井ななこが相棒であるサスペリアに指摘される。
放送が始まった瞬間に村雨を襲う、ななこが言い出した計画だ。
本当は今すぐにでも襲いたいのだが、この施設には先ほど共にトイレに行くと告げた、いさじと教え子のかがみがいる。
ここで殺すと直後の放送で彼の名前が呼ばれるだろう。 その時真っ先に疑われるのは黒井ななこ、ただ一人。
つまり、ヤってしまうと自分の立ち位置を危なくしてしまうのだ。
「まあそうやけどな。 でも待ちきれないものは待ちきれないんや」
ななこは壁にかけられている時計を見る。
あと数分、あと数分、秒針が一周回るごとに分針が動いた。
高鳴る気持ちを抑えきれず、体をむずむずと動かしているななこ。
それはまるで遠足に連れていかれるのを楽しみにしている児童のようだ。
だがその顔に浮かべた笑みは、子供とはかけ離れたものである。
「村雨さん、きっと凄い量を搾り取れるんやろうなぁ」
頬を赤く染め、微かに涎を流しているななこの顔は、蠱惑の妄想を描いている痴女そのものであった。
『おまえら人間じゃねぇ!』
「えぇっ!! あたしのこと!?」
「た、多分ちゃうと思うで!?」
突如、早朝の静寂を破るほどの大声にななことサスペリアは困惑した。
その後も聞こえてくる奇声が、個室の中にいるという現実を忘れさせる。
『いきなりの放送事故失礼したね。 では早速だが第一回定時放送を始めよう・・・・・・おい』
『は、はいピエモン様、それでは禁止エリアの発表を始めます』
「びっくりしたわ、まさか事故だったなんて・・・・・・」
「なんやしっかりしろアホどもが!」
「こんなこと書き手ロワにもなかったわよ」
『さて今回の禁止エリアは・・・・・・
7時からE-5
9時からE-4
11時からD-3
だ。 くれぐれも首輪爆発なんて間抜けな死に方はしないように。
・・・・・・言っておく死亡者から外された首輪でも禁止エリアに反応するぞ』
「ってこれってもう放送始まっているやんかー!」
「みたいね。 とりあえず禁止エリアは記憶したわ」
『武器に使えるかも知れませんね!』
『冗談はほどほどにしておけ。 では次はお待ちかねの死者の発表をしようか』
「てかせっかくだからこのまま放送全部聴いおうか?」
「ええーい、そんなことはどうでもええんや! 早く村雨さんを、村雨さんを!」
|┃三\ /
|┃ \ /
|┃三 \ 〃
ガラッ. |┃ ヽ\'´ ̄ ̄`ヽ//
|┃三 /`ーO 三 Oヽ、
|┃ / V ヽ,
|┃三 ) ̄,ゝ'⌒ヽ r'⌒ヽ( {
|┃ r' ̄/:.:.:.:.:.:.:.ハ |/^{:.:.:.:.:.:.}`l 俺を呼んだか?
|┃ ヽ { >:.:.:.:.:.ノ‐´T`ヽヽ:.:.:.:ノ、_!
|┃\ーY´ /`7T´ ̄`T´ ̄ |ヽ ヽノ
|┃>―>' / ├  ̄| ̄ ーl ヽ|〕
|┃ヽ、`ヽゝノ ├  ̄| ̄ ‐| ,ヘハlヽ
|┃ヽ ヽ、\\__|― T ー‐|/ト,リlノ
※画像はイメージです
「「あ」」
☆ ☆ ☆
彼女は待っていた。
薄暗いカラオケルームの中で、残りの同伴者を待っていた。
後数分待てばよいだろうか。
明日のデートの予定を考えていればすぐに過ぎ去ってしまう短い感覚。
恋人と会話を弾ませた食事をしているとあっというまに経ってしまうぐらいのもの。
「村雨さん達まだかな・・・・・・」
「まだー云わないで呪文めいたその言葉」
女、ロリスキーの嘆きにいさじが忠告する。 というより歌う。
村雨と黒井が戻ってきたときに正体を打ち明ける、ロリスキーが考えた誤解を解く方法だ。
本当は今すぐにでも打ち明けたいのだが、それと相対して、言い出せない恐怖もあった。
もし正体を知ってしまったらどうなってしまうだろう、その時真っ先に非難されるのはロリスキー、ただ一人。
だが彼らの性格を見る限り、見せしめの彼女と重ねて説明することで、理解して貰える可能性もある。
それに村雨はどうやら記憶が戻った後からの参戦であり、彼ならばもしかしたら・・・・・・
「“愛”なんて羽のように軽い、
囁いてパパより優しいテノールで奪う覚悟があるのならばー」
(うんそうだよね! 覚悟完了、やっぱり打ち明けよう!)
ロリスキーは壁にかけられた時計を見る。
遅いな、まだかな、絶対言ってやるんだから、一周回るごとに分針が動いた。
もしかしたら放送が終わる後になるかも知れないが、それでも構わなかった。
いさじの歌をBGMとして聴いているのも悪くはない、むしろ良い。
「百万の薔薇のベッドに埋もれ見る夢よりも、馨しく私は生きてるの」
いさじの歌が室内に響き渡り、惚けているうちに二番に突入していく。
薔薇のような毒のある歌詞を、野薔薇のように逞しい声で歌う。
彼といる空間ならば退屈な時間でさえ、恋人と待ち合わせをしている感覚さえ感じられる。
乙女としてのロリスキーの姿は、まるでまだ見ぬ最愛の人を待っているようにさえ思えた。
ちょうどそこにだ。
空気をぶち壊す雑音が鳴ったのは。
『おまえら人間じゃねぇ!』
てめえに言われる筋合いはねぇ。
☆ ☆ ☆
(彼女は何をしている?)
村雨良は困惑する。
突如、目の前のななこが体を密着させてきたのだ。
彼女の口の先から自分のそれへと体温が伝わってくる。
熱を送られているはずなのに、何故か吸い取られている感覚だ。
この行為はなんなのか、理解不能。
それをこの場でやる意味、理解不能。
己が何をされたのかもわからぬまま、彼の時間は過ぎていく。
『えーと死亡者は
高良みゆき
ルイズ』
(いかん、まだ放送だ)
ななこの行為に頭を悩ませていた村雨の耳に、主催者達の声が聞こえてくる。
今現在行われている重要な伝達を思い出してそちらに意識を傾ける。
口内を暴れ回る異物が思考をかき乱そうとするが、気にかけている暇はない。
『前原圭一(ニコ)
キョン
桂ヒナギク・・・・・・
(ヒナギクだと!?)
新たに発せられた名前に、村雨は両目を見開いた。
脳裏を埋め尽くしていた困惑が驚愕へと塗り替えられる。
桂ヒナギク、何故彼女を救うことができなかったのだろう。
記憶を授けてくれた彼女に何をすることができたのだろうか。
『セフィロス
川田章吾
ピッピ
笑点のピンク
ゴマモン
の10名です!』
(・・・・・・)
嘲笑が消え、個室に静寂が再来する。
多くの人が死んだ。
バトルロワイアルが始まってそれほど時間が経っていないのに、もう10人の命が消えてしまった。
彼らの名前を知っていたのだろうか。 ヒナギクを除いた9人にも会ったことがない。
自分がこうしている間にも、また人々が傷つき散っていく。
しえん
「っ・・・・・・!?何さらすねん!」
突き飛ばされたななこが村雨に怒声を浴びせてくる。
だが彼は服装が変化したななこを気にする素振りもせずに、彼女を見据えていた。
「すまない、黒井さん。 だが今はふざけている場合じゃない。
こうしている間にも多くの参加者が傷ついているかもしれないんだ」
本当は全て吐き出してしまいたい。
心の中で暴れる獰猛な獣を言葉にしてぶちまけてしまいたい。
今にも爆発しそうな火山のような感情を全て噴出してしまいたい。
だがそれを彼女にするべきではない。
バトルロワイアルに対する怒りと己の無力感を心に秘めたまま、
それでもななこに理解してほしいと村雨は彼女に説明をした。
「そうか・・・・・・そうやな、見るからにいい男だったし、そんなこと言い出しても当たり前やな」
「何を言っている?」
予想外の返答に疑惑の念がこみ上げてくる。
そして村雨に映ったのは銀の代わりに金によって形成された刃、
かつて王が振るったとされる宝具、エクスカリバーだった。
「なんでうちの接吻が利かんかったのかはわからんわ」
ななこの瞳は殺意に満ち溢れ、それでいて迷いの無い。
「どういう意味だ?」
村雨はななこに問いかける。
だが口を開く彼女だが、それでも剣を振るう動作を止めようとはしない。
「それはなぁ、こういう意味や! エクス・・・・・・」
剣が輝きだす。
電灯でほどよい明るさを保っていた個室も、陰影の区別さえつかなくなる。
人の作った文明を嘲笑うが如く、光は全てを飲み込んだ。
☆ ☆ ☆
『バイニ〜』
振り落とされた腕でテーブルが大きな音を立てて、グラスの液体が揺れるが構いやしない。
また、助けることができなかった。
ゴマモン。 彼がここで呼ばれてよいものか。
こんなやつらに呼ばれてよいものか。
彼はどんな思いで死んだのだろう。
苦しかったに違いない、あの時も苦しんでいたのだから。
謝りたかったに違いない、あの時も謝っていたのだから。
そして笑天のピンク。
彼もここで呼ばれていい人間ではない。
こんな状況でさえ己の意思を貫き通し、最後まで一人の落語家であり続けたのだ。
強い明色の着物のように、何者にも染められず、笑いの星として最後まで輝き続けていた。
彼の後光の前には、動画サイトで人気者になった程度で浮かれている自分が恥ずかしくさえ思える。
「ちくしょう・・・・・・」
だから許せなかった。
こんなふざけたやつらがゴマモンの名を、ピンクの名を口にするのが。
ある意味罵倒を超える侮辱であろう。
彼らの命を、感情を、誠実な想いを彼らは嘲笑った。
「いさじさん・・・・・・」
「あ、ごめん。 俺ついカッっとしちゃって・・・・・・」
『かがみ』ちゃんが弱々しく呟く。
いけない、彼女みたいないい声の持ち主がこんな声を出しちゃ。
彼女には笑い声がよく似合う。
あいつらをぶん殴りたい怒りをこらえながら、彼女に謝罪をした。
そうだな、さっきは中断してしまったことだし村雨さんが来るまでもう一曲いっておこう。
「じゃあせっかくだから曲でも歌わない? 演歌にロックにアニソンに特撮にゲームソングに電波ソング、なんでもあるよ」
「えーっとじゃあ私はこの『もってけ!セーラー服』で」
「OK」
,,==二==、、
/ ヾヽ
ヾヽ
_. .─:─-、_ l l
,-‐: :  ̄: : `:‐´: : : : : : : : : : : :ヽ | /
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-´‐´´ /: : : : : : : /: : /: /: : : : : :, : : : : : : : :ヽ
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'´ l : : : : /: /l/、__|/ l : : :/ l l l`:、: : : : :V: : : :l
l: : : : :l: :/l |T::::::::ト l: : l l:l ヽ: : : : : : ヽ: : :l
l: : : /:/: :l l lo::::::l V:/ テ'ミ=、」、: : : l: : l: : l
l: : :/ l/.: :l 辷り V b:::::::::://〉: : :ト: : l: /
l: / l l: :l 、 ` 辷:::り/ /ヘ: ::ハ: l/
( ̄\ V l:/: 、 ,、,、__ . l:ハ: :ノ: ヽl
\_ `‐、,‐ l/: : :`>、_ `─ ' ,/:/: : l/: : :l`
( ̄ ̄` ‐' ,/ , \ l: : : : //: :`>,‐-─,<:´: :/: : : ハ: : : l
 ̄ ⊃ , ‐,` l_ /: : : : :/- '´,-' l, ヽ: /: : : :ハ: : : :l
. r ´, ‐、 ィ l , ヽ l : : : :/ /_ / /: : : :く: : l: : : ヽ
.`‐´ フT //、 /l: : : / / >´ /: : : :/==ヽ: : : :ヽ
/ 冫' //,l / l: : イ / / /: : : : /彡彡=l : : : : ヽ
曖昧3センチ、そりゃぷにってこと
,,-''" ,, --''"ニ_―- _ ''-,,_ ゞ "- ズ
て / ,,-",-''i|  ̄|i''-、 ヾ { ド
(" ./ i {;;;;;;;i| .|i;;;;;;) ,ノ ii |
,, ( l, `'-i| |i;;-' ,,-'" _,,-" |
"'-,, `-,,,,-'--''::: ̄:::::::''ニ;;-==,_____ '" _,,--''" |
 ̄"''-- _-'':::::" ̄::::::::::::::::;;;;----;;;;;;;;::::`::"''::---,,_ __,,-''" |
._,,-'ニ-''ニ--''" ̄.i| ̄ |i-----,, ̄`"''-;;::''-`-,, |
,,-''::::二-''" .--i| .|i "- ;;:::`、 ン
._,-"::::/  ̄"''--- i| |i ヽ::::i !!!!!!!!!
.(:::::{:(i(____ i| .|i _,,-':/:::}
`''-,_ヽ:::::''- ,,__,,,, _______i| .|i--__,,----..--'''":::::ノ,,-'
"--;;;;;;;;;;;;;;;;;""''--;;i| .|i二;;;;;::---;;;;;;;::--''"~
 ̄ ̄"..i| .|i
.i| |i
i| |i
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.i| |i
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i| ノ::::i:::トiヽ、_.|i
_,, i|/"ヽ/:iヽ!::::::::ノ:::::Λ::::ヽ|i__n、ト、
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/: :/: :/: : : _,:_∠L、:::/: : : /::::l l: : : : :ヽ: : ヽ
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l://://: : : イミ土=、_/: : :/:::::::::l∧: : :l: : :l `ヾ、
l/: :l l: : : イ:llo:::::::/:::/://:::テテヵl: : :ハ: : l
l: : :l: l: :/.:l.:l し: 」:::::l/:'::::::P::::/'/l: : :l:N: :l
. l: : : W/: : N 、 `‐':::l::l: : lN V
. l: : : : :ハ: : : ト、 ー= ノlハ: :ハl
l: : : : : :、: : : 「フ`‐- ,、-┬:T´: :l l/
. l: : : : :,レ、: : :ヾ、 /、`Y/:l:l: : l
/: : :rニミミヽ: : ヾ、-─┤ `┤: : l
/: : / ̄\ヾヽ: : :ヾ、 l ll: : l
/: : / ヽヾヽ: : lヽ l /l: : l
/: : / l \ヾ、: l ヽ l //l: :/
/: : :l l ハ ヾ、l、、l l////l
ちょwww
「な、なんだ!?」
歌が始まった直後に爆発音が鳴り響いた。
俺も『かがみ』ちゃんもマイクを落としてしまう。
今度は歌を邪魔された怒りよりも驚きのほうが大きい。
「この方向、トイレの方角からよ!」
「なんだってー!?」
音はそれほど遠くはない。
聞こえてきた方向も確かに彼女の言うとおりトイレの方だ。
「こうしちゃいられない! かがみちゃん、すぐに行くぞ!」
「ええ!」
村雨さん、黒井さん、二人とも生きていてくれよ。
一度歌い始めた曲を放棄するのは性に合わないが今はそれどころではない。
歌い手がいなくなっても、なお虚しく流れ続ける機器を置いて、
俺達はカラオケボックスを後にした。
☆ ☆ ☆
「やった・・・・・・んか?」
崩れたトイレの中、ななこが呟く。
元凶であるはずの彼女自身、信じられないという表情だ。
エクスカリバーの説明を信じる気にはなったが、正直ここまで破壊力があるだなんて予想外だ。
やりすぎたかなと苦笑した。
「それは生存フラグだから言っちゃ駄目!」
「は?」
サスペリアが突っ込みを入れる。
だがななこは目の前の状況に唖然しているせいか、どうにも間の抜けた声しか出てこない。
個室の壁は完全に崩壊し、精々微かな破片が転がっているだけ。
人なんて生きていられるはずがない、そんな常識に囚われる。
「とわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「なんや!?」
ななこは天を見上げる。
天井の面影をなくした個室の中心、そこで彼女は目にした。
太陽に重なって、その姿を誇らかに見せ付ける一つの影を。
地表に近づくにつれ、陰影が消え輪郭が顕になる。
やがてななこのいる位置から下方・・・・・・カラオケボックス外の道路に着地して、ななこを見上げる。
陽光を反射する真っ赤なボディに昆虫のような緑の複眼、そして腰に聳える白銀のベルトがキラリと光る。
「村雨さん・・・・・・?」
現れた異形に驚きこそすれ、恐れることはなかった。
日輪のように赤く輝く、村雨良の姿は、
人殺しの称号を受理した今の自分には眩し過ぎたのであろう。
昔、子供のころに見たことがあるTVでやっていたヒーロー、それに似ていたのだから。
「しまった、こいつ仮面ライダーだわ!」
「か、かめんライダー?」
サスペリアから発される未知の単語に、ななこは疑問符を浮かべる。
世界の平和を守るヒーローの名、与えられた力を人々のために使う者だけに与えられる称号だ。
名乗る者には、変身アイテムを使うタイプと改造手術によって改造人間となったタイプがあるが、
これは先ほど精力をほとんど吸えなかったことから、後者と見てよいだろう。
「つまり、どうあがいても搾り取ることができないということやな・・・・・・」
「それどころじゃないわ! 今はここから逃げるのよ!」
ななこは体中の不満を全て吐き出すように深く溜息をつく。
しかしサスペリアは心底焦りきった様子でななこに撤退を懇願する。
村雨良はBADANによって改造されたパーフェクトサイボーグである。
全身の99%を機械化しているので生身である部分はほとんど残っていない。
ここまでやるなら、改造するよりも一から肉体作ってそこに脳入れたほうが手っ取り早い気がするけど気にしてはいけない。
よってそこから精気を食らうことなどできるはずもない。 というか吸うって次元じゃない。 ほとんど機械だし。
「そいつがあなたと話していたやつか」
ななこの肩に乗っているサスペリアを見たZXが口にする。
改造人間特有の聴覚で、トイレの個室にいたときも聴いていたのだろう。
最初から自分たちの計画は筒抜けだったのだ。
「なるほどなぁ、つまりここはあんたを殺さなければならないわけなんか」
「なにを言っているのよ!」
相棒の宣戦布告を聞いたサスペリアは彼女を怒鳴りつける。
魔法少女(熟女)デザイア・ベルは己の性欲のためにエロスの力で戦うエロスの戦士である。
戦い方は至って単純。 男を雄に、女を雌に、生物としての本能を目覚めさせ、それを加速化、己の糧として喰らい尽くすのみ。
だがそれは生物にとっての話。
人としての肉体を放棄され、戦闘機械に生まれ変わった彼の体は、生物としては途方もない時間を過ごすことを強要されるだろう。
そこに生殖活動は必要とされず、というかそれに突っ込むのはタブーな気がするのでこれ以上は言及しない。
とにかくデザイア・ベルにとって、エロスを必要としない仮面ライダーは分が悪すぎるのだ。
「教え子のために死んでもらうで!」
エクスカリバーをZXに向けて、彼女はそう言い放ち、カラオケ店内の廊下をかけていった。
「ゼクロスパンチ!」
廊下を走るななこに向かって拳を放つ。
狙いは右肩、まずは得物を叩き落とす。
「そんなヒョロヒョロパンチ当たらないで!」
ななこはそれを意図していたかのように、身を屈ませてかわす。
そして振り返りざまにエクスカリバーを逆袈裟に切り上げる。
だが、素人の剣裁きに遅れをとるほどZXは柔ではない。
身を横にして回避したZXは彼女の腕を掴もうとする。
「エクス・・・・・・」
「ッ!」
直後、ZXはななこを拘束することを諦めて彼女から離れる。
個室を完全に破壊した聖剣の光、まともに食らえばZXとて無事では済むまい。
己の前方に飛び立ち着地した彼をななこは軽く笑う。
一本道の廊下ならば行動は著しく制限される。
高く飛び上がることはできず、かといって回り込もうとしたらエクスカリバーを放たれる。
よってZXは自然と彼女と距離を置くかつめるかの二択のみに絞られる。
「やっぱりや、流石に今の距離から放ったら耐え切れんらしいな」
「ぐ・・・・・・」
「やんないならこっちからいくでぇ」
大振りに次々と振り下ろされる斬撃をいなしながらZXは後退をする。
今日、始めてななこは剣を持ったのだろうか。
一撃が振られるたびに、彼女の手が大きく震え、次の太刀までの動作に明らかに隙がある。
そこにカウンターパンチを叩き込むのは簡単だ。
「だからヘナチョコなんやって」
ボールが何処に来るのかわかるキャッチャーのように彼女は身を仰け反らせて避ける。
―教え子のために死んでもらうで!
その言葉がどうしても引っかかった。
彼女は『柊かがみ』の教師だ。
ということは必然と、柊かがみの親友である泉こなたや柊つかさ、高良みゆきの教師であることになる。
思えば高良みゆき、彼女も放送で名前を呼ばれてしまったのだろう。
黒井ななこはかがみ達を守るために殺し合いに乗っている。
彼女の想いは形こそ違うものの、人々を救うために戦う仮面ライダーと変わらない、そんな気がして。
「エクス・・・・・・」
深い闇を秘めた歪んだ光、それに怯えたように逃げ回ることしかできなかった。
☆ ☆ ☆
「これは・・・・・・ッ!」
いさじとロリスキーは目の前の光景に我を疑った。
既に厠の面影はなく、その空間全体がえぐられたみたいにむき出しになっている。
その横からさほど離れていない廊下、その先で二つの影が対峙していた。
「ななこさんから離れろぉぉぉぉぉぉ!!!」
いさじが咆哮し、チェンソーを持ってZXに襲い掛かる。
全く見覚えの無い蟲を彷彿とさせる怪人と、メイド服を着ている同行者、
どちらを疑うかといえば答えるまでもないだろう。
「違う、話を聞いてくれ、俺だ!」
「そ、その声は村雨さん!?」
ZXの静止にいさじは困惑する。
目の前の蟲野郎は自分の名前を自分の知っている声で問いかける。
両手を前に突き出して開いている、敵意は感じられない。
聞き覚えがある声と同様の声で話す人物、村雨良は善人だ。
思考の波に囚われて、それでも考え続けていさじは這い上がろうとする。
が、それは、突然手を引かれて中断せざるを得なくなった。
「危ない!」
いさじの腕を剣先が掠る。
彼の身体がZXに引っ張られたのだ。
ZXとともに地面を1,2回転する。
「うーんよく考えればいさじさんはそのまま搾り取ってもよかったなー」
「黒井さん、あなた何を言って・・・・・・」
刃を振り下ろした張本人、黒井ななこが彼らを見下ろしながら笑顔で言う。
いさじは両目を見開き呟いた。
「黒井先生! まさか・・・・・・」
今まで沈黙を保っていたロリスキーが口を開く。
「ああそうや柊、お前の・・・・・・いやお前らのためなんや。
こうして他のやつらを殺していけば、優勝させることができるやろ?」
「優勝だと?」
ななこの言葉にZXが問う。
優勝の条件は原則一人だ。
よってこの時点でかがみ達全員を救うという目的から外れることになる。
「そうや、優勝以外に生徒を救う方法はない。
ワイやって生徒達の命を秤にかけることなんてしたくないんや。
そしてお前ら以外にも、村雨さんやいさじさんみたいなええ人がおるね。 それもわかっておるんや
でもな・・・・・・」
一感覚置いて
「それでもワイは生徒達を救いたい!
できれば柊だけやなく、泉だって柊妹だって一年の岩崎だって小早川だって救いたいんや!
誰か一人でも、一人でも生き残ってくれればよいと思っとる!
ワイはどう恨まれてもええ、とにかく生き延びてくれればええんや!」
死んだ高良も救いたかったけどな。
そう締めるとななこは再び剣を構える。
全てを吐き出した彼女を抑える鎖は最早何もない。
一切の迷いが研ぎ落とされた彼女の言葉は、己が大切な者を守る剣となり、ZX達の心に突き刺さる。
彼らに最早剣を弾く術はなかった。
「エクス・・・・・・」
黄金の剣が再び発光を始める。
ZXはそのまま引こうとするが、彼の足元にはまだ立ち上がっていないいさじがいた。
彼を連れてこの場から離れるか、しかしその思考は目の前で輝き続ける剣によって否定される。
ならば――
「カリバァァァァァァ!!!」
ZXがいさじの前に立ち上がる。
されど光がそこで止まることをよしとせず、その破壊の矛先を周囲に拡散される。
エネルギーの奔流に耐え切れなくなったコンクリート上の床がひび割れて、
人を支えるだけの力を失ったそれは、彼らを奈落へと誘った。
☆ ☆ ☆
「ん・・・・・・俺は・・・・・・」
「気づいたか村雨さん!」
誰かの声が聞こえる。
目の前の人物から発せられているようだ。
僅かに俺の両目を見開いたのを確認したのか、安堵した表情を見せた。
『これといった怪我はありませんね。 修復されているのでしょうか』
「じゃあもう大丈夫なんですね!」
何故か玩具のような杖に語りかけている。
杖も杖で意思があるようで、点灯を繰り返しながら女性の声で返答した。
傍目から見れば滑稽なその姿も、彼女がやるならばどこか微笑ましく感じられる。
『それよりもここはすぐに禁止エリアになります。 移動をお勧めします』
「わかったよレイジングハート」
それがあの杖の名前だろうか。
彼女は俺を抱えて飛翔する。
咄嗟の出来事に意識が覚醒し、一先ず現状を把握することに移る。
『さあマスター、生まれ変わったロリボディでフラグを作るのです』
「俺は村雨さんとそんな関係になるつもりはないよ」
『じゃあ生まれ変わった美声を持ってして耳元で囁くのです』
「ああ声か・・・・・・前の声がなくなったのは残念だけど、これはこれで別の領域に足を踏み出せそうだな」
例えば漢気あふれる歌を歌ってみるとか。
そんなことを言いながら彼女は苦笑いを返した。
年は10代前半だろうか。薄い桃色のショートカットに碧眼、白を基調としたローブを纏う。
そして胸には金細工がなされたブローチが着けられていた。
『ではマスターいさじ、これから何処に向かいますか?』
「まずは黒井さんを探したいな、そこにかがみちゃんもいるはずだ」
「いさじだと?」
村雨は思わず素っ頓狂は声を上げる。
突然だが説明しよう!
エクスカリバーによっていさじは村雨とともに瓦礫に埋もれてしまった・・・・・・ように見えた。
しかし、何処からか飛んできたレイジングハートがいさじの尻に命中、
その際レイジングハートの能力が発動した。
実は萌え絵も描けるいさじは、その素質をレイジングハートに見込まれて、魔法少女に物理的に変身したのだ。
『ちなみに服装は劇場版仕様です』
【D-5/上空/1日目-朝】
【いさじ@ニコニコ動画バトルロワイアル】
[状態]:健康、魔法少女
[装備]:レイジングハート@カオスロワ
[持物]:デイパック、支給品一式、スタンドが不明のDISC@漫画ロワ、日吉のフライパン@ニコロワ、チェーンソー@現実
[方針/目的]
基本方針-1:ロワより脱出する。
基本方針-2:つかさと会い、彼女を救う。
1:かがみ(ロリスキー)及び黒井ななこを探す
2:村雨と行動する。
[備考]
※登場時期は死亡後です。
※魔法少女時の姿は、薄桃色のショートカットに碧眼のロリ。
服装はなのは劇場版。
【村雨良@漫画ロワ】
[状態]:疲労(小)、身体全体に怪我(小)
[装備]:
[持物]:デイパック、支給品一式、iPod@ロワ全般、PS3@ニコロワ
[方針/目的]
基本方針:この殺し合いを潰し、BADANとの最終決戦に帰還する。
0:いさじ?
1:黒井ななこと柊かがみ(ロリスキー)を探す。
2:柊かがみ(ロリスキー)が何者か確かめる。
3:かがみ、アカギ、ヒナギク、ジョセフとの合流。
4:パピヨン、泉こなた、柊つかさ、高良みゆき、三村信二、川田章吾、ルイズとの接触。
5:エビル(シンヤ)を止める、もしくは倒す。また、Dボゥイなる人物にエビル(シンヤ)の事について訊く。
[備考]
※参戦時期は漫画ロワ254話、「真・仮面ライダー 〜決着〜」の直後です。
※ジェネラルシャドウ、こなた、つかさ、みゆき、三村、川田、ルイズの生存に疑問を抱いています。
※アカギ、圭一、6/の名前が複数ある事に疑問を抱いています。
※力、自己修復能力等に制限が掛けられています。
※テッカマンエビル(相羽シンヤ)を記憶に刻みました。
☆ ☆ ☆
川の中からツインテールの少女を抱えた妙齢の女性が出てくる。
黒井ななこはあの後、『かがみ』を連れて川に飛び込んだのだ。
元々実力差があり、また、ZXの耐久力もわからなかったので、死亡を確認することはできなかった。
瓦礫に潰されてはいるが、ヒーローのことだ。
恐らく生きているだろう。 とどめを刺そうとして返り討ちにされるなんて馬鹿な怪人みたいにはなりたくない。
「いやぁ危なかったわほんま」
「自分で言うな」
頭を掻きながら笑うななこにきつい口調でサスペリアが言い返す。
「だがあれで村雨さん達にはワイが哀れな女教師であるという印象を植え付けたはずや」
サスペリアが苦笑する。
黒井ななこが最初から殺し合いに乗っていたということは、既に村雨にばれていた。
デザイア・ベルの能力も利かないとすれば逃げるしかない。
だがそれをやってしまうと単なる殺人鬼と扱われ、今後自分のことを他人に吹聴されるとやりずらくなる。
そうなってしまえば村雨みたいな人外に立ち向かうには致命的だ。
「あなたもよくやるわね。 大げさに振舞って慈悲を誘うなんて」
ならばどうするか。
簡単である。 村雨良は殺し合いを憎んでいる、所謂正義の味方をいうやつだ。
そんな男を手玉に取るならば、自分がとことん道化を演じているのだとアピールしてしまえばよい。
「まあ、半分は本当だったんやけどな・・・・・・」
「・・・・・・」
連れてきた『かがみ』を見てななこは呟く。
そうだ、黒井ななこが道化であることには変わりない。
ピエロに踊らされて殺し合いを強要されているにすぎないのだ。
願いに溺れた人間は、ここまで汚れることができるのだろうか。
「そういえば魔力不足でエクスカリバーもう放てないわよ」
「補給すればええやん。
これからはじゃんじゃん精を絞ったるでーまずは男漁りや!」
途端に娼婦の如く、だらしない笑みを浮かべるななこ。
訂正、欲に溺れた人間はここまで醜くなれるのだろうか。
【黒井ななこ@らき☆すた(原作)】
[状態]:健康、魔力不足
[装備]:エクスカリバー@オールロワ、エロスの鐘(ミニ・サスペリア)@書き手2
[持物]:デイパックx2、支給品一式x2、チェーンソー@やる夫ロワ、不明支給品x0-3(キョン/ルイズ)
[方針/行動]
基本方針-1:こなた、つかさ、かがみ、みゆき、ゆたか、みなみのいずれかを優勝させる。
基本方針-2:このピチピチボディを維持するんや。その為に男の精気を吸う!
1:『かがみ』を安全な場所にかくまう。
2:男漁りや!
3:女とか対象外は普通に殺すわ☆
※魔力が不足してエクスカリバーの力を出せませんが、デザイア・ベル時には何の問題もないかと思います。
しまった・・・・・・
やってしまった。
私は今、『柊かがみ』として捕らえられている。
村雨さん達と合流してから打ち明けようとは思ったが、少し考えが甘かったようである。
結局私がロリスキーだということを打ち明けることはできなかった。
黒井ななこに打ち明けろ?
できるはずがない。
彼女は私を『柊かがみ』だと信じきっている。
こんなときに私が『柊かがみ』ではないと思われてしまったら・・・・・・
怖いよ爆弾、助けて・・・・・・
【クールなロリスキー@書き手2】
[状態]:不死者、吸血鬼
[装備]:綾崎ハヤテの女装時の服@漫画ロワ
[持物]:デイパック、支給品一式、大量のポケットティッシュ@カオスロワ、不明支給品x0-2
[方針/行動]
基本方針:地球破壊爆弾No.V-7を探し出して合流する。
1:ひとまずななこに従う
[備考]
※登場時期は「238:trigger」の冒頭辺り。ウッカリデスが死亡するより前です。
リロっても改行規制に引っかかって変に削ってますスイマセンorz
いさじ禁じられた遊びwww
ななこ先生色んな意味で怖っwwしかもますますやばくなってるし
男漁り…阿部さんも大概だがななこ先生と男キャラ会合もピンチだな
まさかの い さ じ 魔 法 少 女 化 wwwwwwwww
尻に直撃で能力発動とかレイハそれでいいのかww
薄桃色のショートカットに碧眼のロリだと…是非ともお尻を(ry
ロリスキー…誤解されたまんま囚われの身か〜しかしかがみは誤解フラグ立ちまくりだな
乙でした!
代理投下ありがとうございます。
で、ここでちょっと修正を。
村雨がエクスカリバーの直撃受けてダメージが少なかった理由
→ロリスキーを巻き込まないように考慮ななこが加減した。+いさじの回復魔法。
後、ななことロリスキーの現在位置をF5に設定します。
>>281以降を後編にします。
以上、wiki収録後の修正箇所でした。
とりあえずまずは一言
>>286 禁じられた遊びちゃう!
性少女領域や!!
流石に仮面ライダーvsエロスの鐘の戦いにはならなかったかwww
かなり分が悪いからな。
それにしても黒井先生はエクスカリバー持ちとはいえZX相手によく頑張ったものだ。
しかも先生いろいろヒートアップしてるしwww
男逃げてぇ〜!!
そして予想外のリ リ カ ル い さ じwwwwwwww
ていうかいい加減頭の中から「尻」を離してくださいよwwww
そしてロリスキーは災難続き。
かがみんの格好をしているが故の宿命だろうな〜
GJです!!
ちょ、魔法少女リリカルいさじwww
妙に順応力高けぇwww
投下乙
黒井先生は健闘してるなぁ。マーダーだけど応援してしまう
ロリスキーは誤解されたまま連れ浚われたがどうなるんだ?
そして1番の衝撃は魔法少女リリカルいさじwwww
確かに順応力高過ぎwwww
投下来てたー!乙です
先生大活躍ww中々策士だしこれは期待できる
村雨は本当苦労人www俺を呼んだかふいたwwwww
いさじロリ化は想定外すぐる
レイジングハートフラグ立てるの進めんなwww
ロリスキーかわいいよロリスキーかがみじゃないってばれるとやばいのか
黒井先生には是非とも男狩りマーダーとしてがんばってほしい
292 :
代理投下:2009/04/16(木) 23:25:02 ID:EU4oMg1p
209 :飢え「無我夢中」の無礼講 ◆EKhCqq9jsg:2009/04/16(木) 22:12:31 ID:pmK.LYjo0
act0
僕らの歩く道
豪華客船や有名ホテル、これらの客室はオートロックだということが多い。
アカギ達四人はそう時間をかけず全ての部屋の鍵を閉めることが出来た。
残念なことに3匹目のねこは見つからなかった。
なお一匹のねこはアカギの肩に、もう一方は春香にとことことついてくる。
本当は春香もアカギと同じように猫を抱えていたかったが、
もし何かあったら困るということをアカギが伝え
しかたなく春香は猫を手放した。
が、その猫は春香を気に入ったのか、前述した通り後ろについてきている。
これからどこへ行くか。
四人は当初春香が行きたがっていた方向、
西に足を動かしがてら相談していた。
この会場にはいくつかの施設がある
その中でどの場所に行くか。
病院という意見がフェイトの口から出た、
がこの意見はフラグビルドアカギ両名から速否定された。
理由は言わずもがなだ、病院という施設は多目的利用が出来る優秀な場所、
筆頭は傷を癒す道具の入手が容易い。
薬、包帯、その他もろもろ長期的に考えて必要になるものがたくさん入手でき、
ベッドや氷枕などで体も癒すことが容易。
ならば我先にと病院に向かいたい所だろう。
だからこそ行ってはいけないのだ、
どの参加者も一度は行きたいと思っている場所、
つまり正義に生きる人物も、それとまったく反対である極悪外道の人物さえも病院に来る可能性が高い。
そんな場所に序盤から行くべきか?
答えはNOだ。
この考えは一度『バトルロワイアル』という場に出て死線を潜ってきた人物なら誰でも考えつく場所であろう。
がフェイトは二度目の殺し合いだが、一度目はそう長くいなかった。
所謂経験不足が招いたことであろうか。
実際は赤木しげるという人物と素晴らしきフラグビルドの両名が殺し合いを理解しすぎているといった方が良いか。
ともかく病院にいくという考えは四人の考えの中から消えた。
──適当にプラプラ歩いているのもいいんじゃねえか……?──
赤木しげるはふとこのような事を切言した。
あまりにも酷すぎる意見だが、実際赤木しげるは前回の殺し合い時、
目標を決め移動したときは誰とも遭遇できずにいた。
二つ目の場所を向かうときに偶然その転機が来た。
アカギは偶然、本当の偶然でパピヨンを目撃し『火薬庫』
に向かうことが出来た。
偶然、いかにもずさんな話だが、こういう時はその偶然が功を奏する事が少なくないのだ。
もっともアカギは適切な意見を所持しているようだったが。
そうして三人はアカギの話を受け入れ誰かを見つけた事態、
適切な意見を聞くことにした。
幸か不幸か、偶然を頼りにしたおかげか、
ある人物と最悪な形で再会することになった。
一人寂しく地面に横たわる、桂ヒナギクという一人の戦友に。
293 :
代理投下:2009/04/16(木) 23:26:02 ID:EU4oMg1p
210 :飢え「無我夢中」の無礼講 ◆EKhCqq9jsg:2009/04/16(木) 22:13:06 ID:pmK.LYjo0
☆ ★ ☆
act1
Rest in Peace
「これくらいで……いいか……」
アカギさんはフェイトさんから借りた核鉄『激戦』を使い桂ヒナギクという女性を一人で埋葬し終え、
槍状態からもとの六角形の物体に戻した。
彼女、桂ヒナギクさんの遺体を見つけたとき、
アカギさんは一言「桂ヒナギク……」とだけ呟き、
死体の元へ近づいた。
ヒナギクさんは『前』の殺し合いのとき、
アカギさんと共に行動した仲間だった。
だけど運悪く、救いようもない出来事が起こり、
そのまま命を落としてしまった。
アカギさんはヒナギクさんの目をゆっくりと閉じ、
フェイトさんから暖かな場所で眠らす為に核鉄を借りた。
私やフェイトさん、もちろんフラグビルドさんも手伝おうとしたけど、
「前回は何もしてやれなかった」
と言い続けて一人でやり続けた。
なんて言えばいいのかしら……
私は何も考えられなかった、目の前で何人もの人々が死んだことがあるのに、
この人、桂ヒナギクさんを埋葬するアカギさんをの目を見たときに、
思わず頭のねじが数本抜けてしまった感じがした。
アカギさんとヒナギクさんは、家族でも長く付き合った友人でも
ましてやアカギさんが好意を寄せていたわけでもない。
(もっともアカギさんはそういうことに興味があるのかはわからないけど)
ただ一度殺し合いを共に行動しただけ。
だけど……アカギさんのそれは……
まるで長年住んでいた思い出深い家が無残にも崩れ去ってしまったような、
そんなむなしい目をしていた。
アカギさんは恐らく……ヒナギクさんのこと死んだことを相当悔やんでいるみたい。
その当時はもちろん、今も……、
アカギさん本人はたぶん否定し続けると思う、
「死に一々かまってられない」と冷たいことも言い放って。
でも……わかってしまうの。
アカギさんは自分の感情をさらさない、
いつも一人で考え続けている、そしてその感情を冷たい心に封じ込めてしまう。
感情をさらしてしまえば自分が弱くなってしまうから。
勝ちに向かえなくなってしまうから。
でもね……それじゃあよくないのよ、アカギさん。
腹のそこから笑っていいんです。
頭から湯気を立てて怒っていいんです。
心のそこから悲しんでいいんです。
だから……そんなむなしい目をしないでください。
アカギさんが感情豊かでも、その冷静さと運のよさがあればどんな敵にも負けるはずがありません。
それに人は悲しみや憎しみを負うことで強くなれる時もあります……
だから……
294 :
代理投下:2009/04/16(木) 23:28:18 ID:EU4oMg1p
211 :飢え「無我夢中」の無礼講 ◆EKhCqq9jsg:2009/04/16(木) 22:14:10 ID:pmK.LYjo0
☆ ★ ☆
act3
ザ・キャット
オッス、オラ猫2号。
姉さまに抱えられて「俺勝ち組お前らはアリシアでも嫁にしてろザマぁwwwwww」
と思っていたのに、あの顎が手に持っていると行動に支障を与えるから何とか言って、
オラの居所を奪いやがった!!
思わずおらの怒りが有頂天になった!!
顎、これが猫の世界だったら死んでいるぞ!!
アメリカだったら訴訟もんだぞ!!
それに顎、お前もイチゴウを所持しているだろう、
肩や胸に入っているからいいのか?
だったらオラもそこへダイブすればいいのか!?
そういうことで、もう一度姉さまに抱えてもらい、肩か胸へダイブすることを目標にして、
姉さま後ろについていくことにしたんだ。
そこで見つけちゃったのが……桃色の髪の美人死体……
しかもこの顎の知り合い……この疫病神め……
現在、その女性の埋葬が終わってしんみりした空気になっちまった。
ったく……男がこんな空気にさせてどうするだよ。
オラだったら三人の美女に向かって軽く微笑みかけ、
「もう二度とこんなことはさせない! 守ってみせる!」
とか言っちゃうのになあ〜。
ってあれ!? 姉さまもフェイト様も、なんとフラグビルド嬢までが、
顎の方を見守る目でみてるじゃないか!?
あれか? あの顎は女の人たちに『守ってあげたい』
と言う母性本能を持たせる男だったのか!?
くっそ〜、おい顎そこ変われ、そのポジション変われや。
お前なんかイチゴウと一緒にさびしく生きればいいんだ!
畜生畜生!!
あの顎はどんだけおらの幸せを奪えばいいんだ!!
……って、あれ?
ところでイチゴウは?
顎の胸にも肩にも、足元にもいない?
空気を読んだのかな?
いや別にいなくてもいいんだけど、
顎のライバルを増やしてやれば、おらの幸せがなる確立がぐんと上がるからさ。
アレーイチゴウサーン?ドコデスカー?
295 :
代理投下:2009/04/16(木) 23:30:53 ID:EU4oMg1p
212 :飢え「無我夢中」の無礼講 ◆EKhCqq9jsg:2009/04/16(木) 22:14:40 ID:pmK.LYjo0
☆ ★ ☆
act4
ヤング・クルセイダーズ
おっすバカ野郎ども、南千秋だ。
赤木と共にホテルへ向かおうとしていたが、
出来れば道中で服を着たいと思って色々寄り道していたが、
まったく見つからなかった。それ自体に空き家自体一軒くらいしかなかった。
もう少し地図に書かれていない秘密スポット見たいのを作っておけよ!と思わず突っ込みたくなってしまった。
さて、前置きはこれまでにして、今起こったことをありのまま話すぞ。
『人影を見つけたから近づこうとしたら、アカギに静止され目を手で覆い隠された』
何を言っているか……いや何を言ってるかはわかるか、
アカギが何をやっているのかがわからない。
私は何度も抗議をしたが、
『お子様が見ていいものじゃない』
とだけ言って手をどけてくれない。
なんだよバカ野郎!!
おまえだって確かに高校生くらいには見えるけど
私と年齢が一つか二つしか変わらないじゃないか!
そういってジタバタ暴れてみたけどアカギはさらにギュッと私の目を
包み込んでしまった。
ムムム……アカギってこんなに強かったのか、
そういえば前のときはこうやって接触することも少なかったな。
兄様が亡くなられたときくらいだったな。
行動や言動と違って手は暖かいんだな。
まあ、世の中には下品な奴もいるから、その編の奴らがいるんだろう。
そんな奴らを見させないためのアカギの配慮と思うべきだな。うん。
とりあえず私はアカギから貰ったアムンゼンが持っていたバッグから入手した
ヨーグルトをぐびぐびと飲む。
ム……なかなかおいしい。
元の世界へ返ったら姉さまに朝のお供としてこれを推薦してみるか。
296 :
代理投下:2009/04/16(木) 23:32:21 ID:EU4oMg1p
213 :飢え「無我夢中」の無礼講 ◆EKhCqq9jsg:2009/04/16(木) 22:15:33 ID:pmK.LYjo0
act5
コンチェアト
こんなことを言うのは俺らしくないかもしれない、
だが言わざる終えない。
ありのまま今起こったことを話すぜ……
『春香さんや他数名を見つけて色々と考察が捗るなと思っていたら……俺がいた!』
何を言っているかわから……いや、わかるな。わかれ。
ともかく名簿に書かれていたもう一人の俺、
つまり赤木しげるがそこにいた訳だ。
年は俺よりも幾らか上……海馬や春香さんと同じくらいか……?
もっとも俺もそれくらいの年に見られていたらしいが。
さて……俺達二人はあいつらと合流するべきか……?
答えはハッキリ言えば合流するべきであろう。
合流すれば色々情報交換でき、今後も色々優位に進められるからだ。
だけど……これは超個人的な理由だが……
俺はあいつと一緒にいたくないな。
理由は……いろんな意味で勘弁してくれ……
どうして俺がいるところで俺がいなきゃならねえ、
会場だってそんな狭くないだろう?
何の因果だと言いたい。
もし千秋が完璧に春香さんを目撃していたのなら、
俺は有無を言わさずあの場に行っていたであろう。
しかし運がよかったのか千秋は気づいていなかった。
気づいていないなら、そのまま知らないままのほうがいい、
こんなところをさっさと離れてホテルに向かおう。
千秋には悪いが……今回ばかりは俺のわがままに付き合ってく──
「ニャーン!」
──ねこ……?
何故こんな所にねこが……?
千秋が何か暴れているが気にしない。
参加者の一人か……?
だが首輪をしていない、そうすると誰かの支給品か?
そんなことを考えているとねこは俺達にむかって少し微笑みを浮かべる。
まあ、少し癒しになるかな……
そんな風に認識した矢先だった。
297 :
代理投下:2009/04/16(木) 23:34:02 ID:EU4oMg1p
214 :飢え「無我夢中」の無礼講 ◆EKhCqq9jsg:2009/04/16(木) 22:20:11 ID:pmK.LYjo0
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" '" ノ'", ''" | ,r'从;;i /::'~::::::: ゝ: : : : : : : ツツヽ:: : : : ~''ミ)ー三ー ''"/ ,、 '":::::::::::::::::: ヽ |',/ / ,、イ / ,/
※もちろんイメージ映像
猫が高く飛び上がり爪を立てて千秋に切りかかってきた。
千秋は飲んでいたヨーグルトを思い切り口と器からこぼして体制を崩した。
その千秋を急いで支えようとしたが間に合わず。
それだけでは無く思わず千秋を抱えたまま転倒してしまった。
幸い俺も千秋も怪我はなさそうだ。
「なんだなんだ? 何が起こったんだ?」
千秋が俺の胸から顔を離し腹の上で叫ぶ。
いや何か文句を言う前にどいてくれ。
俺だっていまいち状況がわかってないんだ。
とりあえず俺は顔をあげ、腹の上からどくように千秋に頼も……
あ
298 :
代理投下:2009/04/16(木) 23:35:34 ID:EU4oMg1p
215 :飢え「無我夢中」の無礼講 ◆EKhCqq9jsg:2009/04/16(木) 22:20:50 ID:pmK.LYjo0
☆ ★ ☆
act6
Triple H
なんじゃこりゃー!?
ありのまま今起こったことを話すぞ!!
『ねこの泣き声が聞こえたと思ったら、私達に襲い掛かってきた』
流石の私でも思わず変な声を上げてしまった。
いや、意味がわからん。
なんで私がヨーグルトを飲んでいるときに襲ってくるかなあ。
ねこのせいで紙パックは千切れて全身にかかってしまった。
ベトベトして気持ち悪い……
ただでさえまともな服が無かったのにこの水着まで濡れてしまうとは……
ホテルに着いたらすぐまともな服を探してやる。
「千秋!? いるの!?」
おおッ!
この声は春香姉さま!
とりあえず私は大きな声で「姉さま!」と叫んでみる。
こういう時下手に動いたら入れ違いになって大変なことになるのはよくある話。
だからとりあえず大きな声を上げて姉さまに居場所を伝える。
ん? まてよ?
もしかしたら赤木は姉さまを見つけていたんじゃないか?
だとしたらなんで目を隠したんだ。
一応私は尻に敷いている赤木に向かい尋ねた。
「おいアカギ!! 春香姉さまの声がしたぞ!! お前隠していた……ってアカギ、
なんでお前は鼻を押さえながら横を向いているんだ? 人と話すときは前を向きながらって言われなかったのか?」
「頼むから俺から降りてくれ……」
なぜか知らないけどアカギはそっぽ向きながら応対してくる。
このヤロー本当に姉さまがいたことを黙っていたみたいだぞ。
だったらここを退いてたまるか!
おい吐け! 何故目を隠したのかハッキリ言ってもらうぞ!
私もう一度アカギに問い詰めようと──
299 :
代理投下:2009/04/16(木) 23:37:31 ID:EU4oMg1p
「ちあ…………なにやってるの!?」
──する前に、目先に登場した姉さまが私に向かって言い立てた。
「春香姉さま! って、再開した途端になにやっているは無いでしょう!」
「いやでも……」
「春香さん!? 妹さんは見つかり……ってアァッ!?」
姉さまの隣から、姉さまより少し年上そうに見える金髪の女性が出現した。
だから何だよその反応は!?
「いや〜これは酷い……ここまでくればすごいの方なのかなあ」
とか何とか考えているうちにもう一人、姉さまと金髪と違ってちっちゃい緑髪の女性が……
ってあんたもか!?
「…………自分をよく見てみろ…………」
もう一人今度は男が私の目の前に現れた、
その人物は私が押さえつけているアカギと瓜二つだった。
これがもう一人のアカギ……
そうか、だからアカギは私の目を閉じたのか。
確かに自分と同じ顔した奴で性格がとんでもなく変わっていたら色々困惑するからな
だけど姉さまと一緒にいたみたいだから怪しい奴ではないのか。
長門みたいに性格が別々っていわけじゃなく。
まんまアカギが大人になったって考えていいのか?
ん? ところでこいつはなんていった?
自分をよく見てみろだって……?
私はゆっくりと自分、おなかの方向を見てみる。
何も無い。
スクール水着は真っ二つに切り裂かれて私の両脇に落ちていた。
ついでに言うと全身白濁液まみれ…………
もしかして私……
「もっとはっきり教えろよ!!」
216 :飢え「無我夢中」の無礼講 ◆EKhCqq9jsg:2009/04/16(木) 22:21:58 ID:pmK.LYjo0
☆ ★ ☆
act7
Who am I ?
世の中には不思議なことがたくさんある。
例えば一瞬目を放した隙に子供がいなくなっていた。
全身の血液を注射器で抜かれ死んだ若者が山中で見つかった。
しかし不思議だといっても殆どには明確な理由がある。
子供は誘拐され殺された、若者はギャンブルで身を沈めた。
原因さえわかってしまえばそれはもう不思議ではない、
ただ一つの三日も過ぎれば忘れてしまう事件になる。
だが今ここに……明確の理由が無く理不尽な不思議がある。
それは考えれば考えれ程呆れてくる。
不思議なのだからしょうがないで済ませることも可能。
だけども一生かかってもまともに解決しない不思議。
300 :
代理投下:2009/04/16(木) 23:39:06 ID:EU4oMg1p
桂ヒナギクを埋葬してから数分も経っていないことの話だ、
突然『なんだなんだ? なにが起こったんだ?』と言う大声が聞こえた。
その声は一度だけ聞き覚えがあった。
あの放送で一瞬だけ写っていた少女……
南春香の妹である南千秋の声そのものであった。
南春香はとても上機嫌で『千秋!? いるの!?』っと妹の名を叫んた。
それに対して妹の方はしっかり合図をしてくれたおかげで、
南春香は南千秋にいる場所を把握し駆け足でその場へ向かっていった。
ククク……悪いことがあった後には良いことがある……
まあ人生は振り子みたいなものか、俺はフェイト、フラグビルドより一歩遅れて、
南千秋の元に向かった。
数時間とは言え会いたがっていた妹と合流したのだ。
少しくらい時間を割けてもいいだろう。
だが……どうやら感動の再会って言うことにはならなかったようだ。
理由は南千秋が大変なことになっていたからか。
何も身に着けず全身には白濁液(恐らく紙パックに入っていた飲み物が飛び散ったのであろう)
誰がどう見ても感動の再会を出来る状態ではないだろう。
(予断だが俺のねこが南春香の猫の目をギュッと押さえていて、ドタバタしていたが、別に特筆することではないので省いておく)
それだけなら俺は何も考える必要も無かっただろう。
強いて言うなら南千秋自身に特別になにか(主に盗撮)をされているか否かを調べるくらいだ。
しかしだ……どうやら南千秋は誰かを尻に敷いているみたいだ。
俺はそっと南千秋に圧し掛かりを食らっていた奴の顔を確認した。
俺だった。
赤木しげるがそこにいた。
ほんの少し前、俺はこいつのことを優秀と評価したが……
撤回だ。
こいつには色々言いたいことがあるが……
まあいい、ただ一つだけ願うことは……
この鼻血を垂らしかけている変態とは行動したくない。
301 :
代理投下:2009/04/16(木) 23:40:28 ID:EU4oMg1p
217 :飢え「無我夢中」の無礼講 ◆EKhCqq9jsg:2009/04/16(木) 22:22:52 ID:pmK.LYjo0
☆ ★ ☆
act8
所謂フラグ無双
どうもみなさん。
素晴らしきフラグビルドです。
今ここB-5は、とてつもないフラグが確認できます!
恋愛、誤解、友情、ツンデレ……
今ぱっと思いつくだけでもこれだけのフラグが確認されます。
「この糞餓鬼……」
「だまれ糞顎……」
「あの、喧嘩はよした方が……」
はい、皆さんもお解かりの通り、
ここにとある同一キャラクターがいます。
その名は赤木しげる!
いやでも本当にびっくりした。
春香さんの妹の千秋ちゃんをとんでもない姿で発見し、
ついでに敷かれていた男の子、それが赤木しげる
(少しコッチの赤木しげるより背が小さいので以下アカギ(小)と表記する)ではありませんか!
イヤーなんでしょうか、最初にねこを動かしたのは私ですけど、
まさかこんな風になるとは、まるで兄二人の目の前で兄の女友達の裸を見せる行動に移す妹みたいなものでしょうか?
ともかくこのねこはいろいろな意味で凄い! 偉い!
話がそれてしまったので元に戻りましょう。
その後まず春香さんが千秋さんの全身を支給品の飲料水を使って体を洗い流し、
変身のためにたくさん持ってきていた上下服を渡しました。
幸い、一セットだけ小さいサイズがあったためそれを千秋さんに着せることが出来ました。
なお下着は履いていません。なるほど、下着だけ破れなかった意味はこういうことだったのか。
で、その間私とフェイトさんとアカギーズ(二人合わせて、赤木兄弟とかの方がいいかな?)
と情報交換をしようとしているのです。
最初の方は真面目に話し合っていました。
私達は豪華客船で合流し、色々あった末にここにいること。
アカギ(小)は千秋ちゃんと洋館で合流し、主催の知り合いである人物と接触をとりたがっている。
千秋ちゃんはその前によくわからない奴に襲われたと。
302 :
代理:2009/04/16(木) 23:47:56 ID:sURHUchw
ここまでは何事も無かった。
でもここからが拙かった。
まず赤木しげる(大)が主催の知り合い(本の僅かだけど)だったんですけど……
ハッキリ言うならアカギ(大)がアカギ(小)に対して苦言を放ったんです。
『考えるべきところが違う』と言って。
アカギ(大)が言うにはこの殺し合いは奴らのいうことを信じるなら8割以上の参加者が一度
殺し合いに参加している考えられる。
もちろんあの進行をしていた二人も一度同じような体験をしていたはず。
だから例え奴等を知っている参加者を探しても、何の特にもならない、だそうです。
さらにアカギ(大)は「何故南千秋の近くにいたのに放送の事故について考察しなかったのか」
と言い放ちました。
これは私達に一度聞かせてくれた考え。
結局のところ千秋ちゃん自身に特殊な工作をしているわけではなく、
十中八九の確率で私達全員に映像記録されていることが判明した。
でも、万が一千秋ちゃんだけに特殊な工作がしてあったら?
言うまでも無い、バトルロワイアルを終了させるための大きなアドバンテージとなる。
303 :
代理:2009/04/16(木) 23:49:22 ID:sURHUchw
だけどアカギ(小)はこのことを一切考えてはいなかった。
こんなことも考えられないのかとアカギ(大)はアカギ(小)を酷評しました。
ここまで言われたアカギ(小)は反対にアカギ(大)の行動力に苦言を呈します。
なぜ放送が終わるまで船から出なかったのか、
あんたがもっと早く船から出て行動していたら無意味な犠牲を減らすことも出来たのになと、
言ってはいけない範囲ギリギリまで言いました。
そこからはもう言う必要も無いでしょう。
大喧嘩ですよ。壮絶な罵り合いが始まりました。
(同じ顔が罵り合っているのは意外とシュール)
最初の方は思考や行動方針などまともなことを言い合っていましたが、
今はもう子供の喧嘩みたいにくだらない悪口の言い合いになっています。
そう言えば先ほどフェイトさんが「なんか仲のよい兄弟みたいですね」と思わずぼそっと呟いてしまい、
それに対して二人はコンマ一秒ずれずに
「そんなことは無い……」と言って否定したという……
本当に兄弟みたいだ……
でもこの小競り合いはいつ終わるのかなあ……
早く私はChain-情さんと再開したいのになあ。
__
. プチ! , '´// )ヽ プチ!
~" . ( ((_(ノノ_ リ) ~"
.;""`^.~" 人| _ |ノ.;""`^.~"
"・゜。゜⊂ フ∠ ⊃"・゜。゜
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∪ | .∪ |
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「アカギさん? アカギくん? くだらない喧嘩はもう止めてね?」
「わかりました春香さん……でもこのアイアンクロー早く止めてくれ……」
「存外痛いな南……」
あ、どうやら兄弟喧嘩も終了したみたい。
「もう…… 二人で何やっているんですか! それとアカギさん、千秋もいるから南じゃその内不便になるかもしれないから、
呼ぶときは出来れば名前でお願いします!」
「ああ……善処するみな……じゃなくて……春香」
「……慣れてないのか」
「なんか言ったか?」
「二人とも……?」
「「わかった……!」」
×アカギーズVS.○南春香
なんだか知らないけど春香さん凄い!!
(そしてフラグが一歩前進……)
304 :
代理:2009/04/16(木) 23:50:42 ID:sURHUchw
☆ ★ ☆
act9
clash?
とどのつまり、赤木しげるは赤木しげるであった。
赤木しげる(19)があえて三人に伝えなかった目的地とは、
D-5のホテルであった。
最初は前回と同じようにF-3にある学園に向いたかったが、
豪華客船から遠く、かつ禁止エリアが南方に固まると言うことで、
中央にあり、豪華客船戻りやすい場所であるホテルを拠点としようと考えていた。
では6人で共に行動、と言う風にはうまくいかない。
理由は常にお気づきの方も多いだろうか、
赤木しげる(19)と赤木しげる(13)、両名が両名、共に行動したくないと抗議する。
南姉妹は呆れ、フェイトは少し苦笑いをし、フラグビルドはニヤニヤする。
結局南姉妹は合流したのにもかかわらず、
二人を抑止するために別々に行動することになってしまった。
赤木しげる(19)、南春香、フェイト・T・ハウラオンの三名は西にある自然公園に向ってから、
遠回りしてホテルに行くルートを。
赤木しげる(13)、南千秋、フラグビルドの三名は雀荘を経由し、
最短ルートでホテルへ向かうことにした。
305 :
代理:2009/04/16(木) 23:52:35 ID:sURHUchw
☆ ★ ☆
act10
Ever Never
「本当にあれは俺なのか……?」
「どう見ても赤木さんにしか見えませんけどね」
アカギさんは歩きながら何度も春香さんや私に彼について色々尋ねていました。
初めて見た時は思わず兄弟みたいって、言っちゃって二人に文句を言われてしまいましたけど、
やっぱり兄弟みたいだなあ〜って改めて思う。
「何を考えているんだか、まるで自分が無類だとでも思っているのか……」
「う〜ん……でも赤木さんがあれくらいの年頃のときはどうだったんですか?」
「…………」
押し黙ってしまいましたか。
たぶんアカギさんは、アカギくんを本当に自分だと言うことを認識しているんだと思う。
幼いころの何も知らない自分に、あえて苦言を放っている。
だってアカギさんならわざわざあんなところで説教をする必要なんて無いと思うの。
けれどもアカギさんは真剣にアカギくんの考察していないところを非難していた。
アカギさんはアカギくんにもっと広い目で見て欲しいと思っているんじゃないかな。
自分の意見だけじゃなくて、もっとたくさんの人の意見を聞いて意見を持って欲しいと。
そうすればまた違った道も出てくるから。
私も春香さんも赤木しげるという人は良く知らない。
だけど、あの二人には仲良くなって欲しい、
そうすれば物凄い発見が見つかるんじゃないかって思う。
act11
茂
「だからね、同じ呼び方じゃ芸が無いから名前で言わせてもらうね、しげる!」
「う〜ん、だそうだぞ……しげる」
「あまりそう言われる機会が無いからしっくりこないな……」
いや〜アカギ二人の喧嘩のせいで、二手に分かれてホテルに向うようになったんだけど、
ま、実際六人で行動する事が良いことだらけかって言うと、
書き手の面で見ればなんともいえないわ。
けれども面白い!
この二人、さっきから少し顔を赤らめながら近づき過ぎず離れ過ぎず、
なんとまあ〜本当に小学生の付き合いみたいに、
思わずニヤニヤしちゃう。
折角だから、アカギ(小)を名前の方で呼ぶことを推薦したんだけど……
ん〜見事に……いけないニヤニヤが止まらない。
でも次の目的地はホテルか〜、
愛しのChain-情さんと一緒にホテルに入って……
って、そういう事じゃなくて……
本当はホテルとか大人数が集まるところって実は行きたくないんだよね……
でもここであのフラグを見届けないわけにはいかない。
それが私の仕事みたいなものだしね。
でも……早くChain-情さんにあいたいなあ。
306 :
代理:2009/04/16(木) 23:54:28 ID:sURHUchw
act12
我
こうして俺はホテルへ向う。
周りが何を思っているかは知らない、
あいつが何を思っているかも知りたくない。
ついでに言うとあんな奴より早く死んでたまるか。
俺は前に進まなければならない。
自分の意思が続く限り。
悔いを残さずに行くために。
悲しい目にあわせないために。
お前にはそれが出来るか、
赤木しげるッ……!
【C-4/北東部/1日目-午前】
【赤木しげる(19歳)@漫画ロワ】
[状態]:健康、額に引っ掻き傷があるけど手当て済み
[装備]:マイルドセブンワン@現実、ねこイチゴウ
[持物]:マイルドセブンワン1カートン(後7箱)@現実、激戦@漫画ロワ、六発式リボルバー拳銃+弾(12/12)@現実、
:トランプ@現実、基本支給品一式、
[方針/行動]
基本方針:あいつよりは長生きする……!
1:自然公園経由でホテルに向かう。
2:ホテルに着いたらもう一度考察する。
3:春香の決断の結果を見届ける。
4:アカギ(13)がうざい
[備考]
※死亡後からの参戦です。
※いつ死んでもいいと思っています(ただしアカギ(13)より前には死んでたまるかと思っています)
※春香の下着姿、フェイトの上下両方の恥部、フラグビルドの全裸、千秋の全裸を目撃しました。
307 :
代理:2009/04/16(木) 23:56:16 ID:sURHUchw
【南春香@カオスロワ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[持物]:基本支給品一式、ふじおか(くまの人形)@カオスロワ、不明支給品(0〜1個)
:大量の着替え
[方針/行動]
基本方針:ゲームに乗らない。仲間を集めて主催を打倒。
1:アカギ(19)、フェイトと共にホテルに向かい、もう一度妹達と合流する。
2:二人の喧嘩はあきれる……
[備考]
※5期最終話エピローグ後からの参戦です。
※龍に変身できますが、大きさと攻撃力などが制限され、
衣服がなくなります。(下着はなくならない)
また解除後はしばらく変身できなくなるようです。
※赤木しげる(13歳)、南千秋と情報交換をしました。
※猫二号は春香の後ろについてきています。
【フェイト・T・ハラオウン@なのはロワ】
[状態]:右手に浅い切り傷
[装備]:無し
[持物]:デイパック、基本支給品一式、ランダム支給品0〜2 激戦@漫画ロワ
[方針/行動]
基本方針:一般人の保護
1:アカギ(19)、南春香と共にホテルに行く。
2:なのはに似た相手(熱血王子)の事情を聞き、救いたい。
3:アカギさんたちは仲良くなって欲しい。
※愛媛のことをつかさだと思っています
※なのはロワ58話「やわらかな温もりに瞳閉じ」から参加
※アカギ(13)、南千秋と情報交換をしました。
308 :
代理:2009/04/16(木) 23:57:25 ID:sURHUchw
【C-5/北部/1日目-午前】
【赤木しげる(13歳)@カオスロワ】
【状態】神域 強運
【装備】強靭な顎と鼻(たぶんコンクリより硬い)、千年リング@なのはロワ 、マルボロライト@現実
【持物】支給品一式×2、マルボロライト1カートン(後8箱)@現実
ロードローラー@漫画ロワ、モンスターボール(ことのは)@ニコロワ、飲むヨーグルト(1リットル×2)@現実
【方針/思考】
[基本方針:仲間を集め、主催者を倒す
1:千秋、フラグビルドと共に雀荘経由でホテルへ行く。
2:ホテルに着いたらもう一度考察する。
3:共に戦った6/、アナゴ、朝倉涼子、遊城十代を重点的に探す。
彼が六期の主催だった事を知ってる者には五期の自分を語る。
4:少なくともあいつよりは長く生きる。
5:アカギ(19)がうざい。
※千年リングを装備したことにより、バクラの人格が目覚めました。
※六期カオスロワの主催者になった後の参戦です。
※千年リングは誰でも身に付ける事が出来ます。
※南千秋の全裸を目撃しました(全身隈なく)
※アカギ(19)、春香、フラグビルド、フェイトと情報交換しました。
【闇バクラ@なのはロワ】
【状態】健康 空気
【方針/思考】
[基本方針]
今行われているデスゲームを楽しむ
1:宿主であるアカギには基本的に協力はする。
※参戦時期は少なくとも自身の能力の制限に気付いた後です。
※強制憑依したら好き勝手やるかもしれません
【南千秋@テラカオスバトルロワイアル】
[状態]:健康 頭部にたんこぶ 少し恥ずかしいので顔赤い
[装備]:シルバースキン@不明、イングラムM10サブマシンガン(14/32)@現実
[持物]:デイパック、支給品一式、ハルコンネン@漫画ロワ、少し大きめな服 パンツ履いていない
イングラムM10サブマシンガンの予備マガジン9、濡れた衣服 飲むヨーグルト
[方針/目的]
基本方針:主催者を制裁する。 殺し合い?乗るかそんなもん
1:しげる、フラグビルドと共に雀荘経由でホテルへ行く。
2:ホテルで春香姉さま達と合流する。
3:ピッピを殺した大バカ野郎は制裁する
4:なんなんだあの二人
[備考]
※カオスロワ6期直後からの参戦です。
※制限により光龍(ブルーアイズ・シャイニングドラゴン)にはなれません。
※シルバースキンが漫画ロワ仕様かニコロワ仕様なのかは後の書き手に任せます。
※泉こなたのスクール水着@漫画ロワはねこイチゴウに切り裂かれました。
現在は春香が持っていた服を着ています。サイズは少し大きめですが
行動に支障はおきません。また下着履いていません。
※アカギ(19)、春香、フラグビルド、フェイトと情報交換しました。
309 :
代理:2009/04/16(木) 23:58:47 ID:sURHUchw
【素晴らしきフラグビルド@書き手ロワ2nd】
[状態]:健康
[装備]:なし
[持物]:デイパック、支給品一式(水のペットボトルx2消費)、乾きかけた衣服一式
:かいふくのマテリア@なのはロワ、桂馬@オールロワ
[方針/行動]
基本方針:私はChain-情さんと添い遂げる! (二人で生還する)
1:とりあえず赤木しげる(13)と千秋と共に雀荘経由でホテルへ行く。
2:Chain-情さんを探し出して同行する。
3:↑を達成するまでは、徹底的に危険を避ける。
4:全裸目撃恋愛フラグで今日も飯がうまい。
5:同一人物ってのも面白い。
[備考]
※死亡後からの参戦です。
※アカギ(13)、千秋と情報交換をしました。
※桂ヒナギク@漫画ロワの死体は丁重に埋葬されました。
※猫V3は豪華客船のどこかにいます。
※桂ヒナギクのダイイングメッセージは四人とも別に考えをしていたので、
死体の付近を見ていなかったため気づきませんでした。
支給品紹介
【飲むヨーグルト(1リットル×3)@現実】
思わず「どう言う事なの……」と言いたくなるおいしい飲み物。
カルシウム豊富で甘い、手や服に付くとベトベトする。
◆EKhCqq9jsg:2009/04/16(木) 22:30:35 ID:pmK.LYjo0
投下終了です。
規制で投下できないのでこちらでやらせてもらいました。
色々と露骨でゴメンなさい。
310 :
代理:2009/04/17(金) 00:03:15 ID:/H7PwknD
投下終了
ちょおおま猫wwww
お前は今度はスク水のヨーグルトぶちまけかよw
そして大人アカギはやる気を出したと言うよりやっぱり自分が嫌いだったか
あいつより長く生きるって子供っぽいが強い願望が産まれたか
ホテルを目指すがすでにかがみ組はいないんだよな。でも下手に合流するのもあれだしな
投下&代理超乙!!!
今まで割とハード展開続きだったらきロワにサービス神が降臨されたぞー!!
確かに露骨だがそこがいい!飲むヨーグルトGJ
ヒナギク埋葬でしんみりしてたら一転してイチゴウさんの脱衣拳再びてww
アカギの状態票の一番下に 千秋の全裸を目撃しました←new! 追加されたwwww
年長組と年少組で分かれたのか〜これからもフラグビルドの全裸メシウマは続く…のか?ww
しかし色々ありすぎてどんなフラグが立ってるのか混乱するぜww
久々にらきでほのぼのにやにや展開おいしいです乙!!!
投下乙
Wアカギのやり取りが面白かったです
アカギもやる気を出したし、またしてもな猫に吹きましたww
ただ、ヒナギクの事について少し言わせてもらうと
埋葬中や死体発見直後の心理描写が書かれていないにもかかわらず、
考え事をしていて四人が全員メッセージに気付かなかったという部分がなんだか無理やりな気がしました
投下と修正乙
すごいニヤニヤが止まらないww自分キメェwww
フラグビルドとイチゴウは相変わらずいい仕事しすぎだろ
イチゴウがいる限りらきロワの全裸成分は保証されている!
春香姉さまつええぇガチ惚れる…もしかしてフラグ立ってる?アカギだからよく分からんww
行き先に雀荘…このフラグはパネェwww
314 :
代理投下:2009/04/18(土) 19:38:54 ID:EDSINZaU
229 :涙の誓い(前編) ◆DiyZPZG5M6:2009/04/18(土) 08:27:49 ID:l.n7vCbg0
Agnus Dei, qui tollis peccata mundi,
(世の罪を除き給う神の子羊)
miserere nobis.
(我らを憐れみ給え)
Agnus dei, qui tollis peccata mundi,
(世の罪を除き給う神の子羊)
dona nobis pacem
(我らに平安を与え給え)
―――このせかいに迷える子羊を救うかみさまなんていない。
―――あるのは運命という名の理不尽なものだけ。
いつものように朝起きて、おじさんが作ってくれた朝ごはんを食べていたら、
こなたお姉ちゃんが眠そうな顔で目をこすりながら起きてくる。
そんな毎日の朝ごはんの光景。
学校へ行ってみなみちゃん達と楽しくお喋りして過ごす穏やかな一日。
家に帰ると今日はこなたお姉ちゃんのが晩ごはんを作る日。とってもおいしいお料理。
私もお姉ちゃんみたいにうまく作れるといいなあ。
これ以上何も望むものなんて何もない。
家族と友達と過ごすおだやかな毎日が続いてくれればそれでよかった。
でもいじわるなかみさまは私からそんなささやかな幸せすら奪い取ってしまった。
何が運命だというの?
そんなたった二文字の言葉で万人が納得なんかできるはずがない。
だから倒す。
だから殺す。
だから滅ぼす。
315 :
代理投下:2009/04/18(土) 19:42:07 ID:EDSINZaU
運命という名の理不尽な神の存在を許しておくわけにはいかない。
私と同じように運命によって狂わされた人達を助けないと。
そのための力は思っていたよりもずっと近くにあった。
運命に翻弄されつつも手放すことはなかった鞄。
その中に二本の剣が入っていた。
一本は赤黒く捩れた片刃の剣。
もう一本は柄がものすごく長い大きな剣。
どちらも見た目よりもずっと軽く、手に吸い付くように私に馴染んだ。
自然とそれの使い方が頭の中に浮かび上がってくる。
これさえあれば運命を断ち切れることができる。
ふと顔を見上げた先に何人の集団がいた。
私のとてもよく知っている人がいた。
こなたお姉ちゃんと柊先輩だ。
「あ、れ……涙が……」
230 :涙の誓い(前編) ◆DiyZPZG5M6:2009/04/18(土) 08:29:24 ID:l.n7vCbg0
ぽろぽろと涙が溢れ止まらない。
やっと会えた人、私の日常が目の前にまだ残っていたことが信じられなくて、
それでも嬉しくて涙が止まらない。
変な恐竜に食べられ死ぬ運命だった私は家族と再会できた。
また一つ運命を壊すことができた証だった。
だけど二人の周りに幸せを許さないモノがいる。
男の人なのにメイドさんの服とチャイナドレスを着ている変態がいた。
運命は簡単に人を狂わし他人に感染する。
黒井先生も私を助けるために変態になってしまった。
よく見ると柊先輩もメイド服を着ている。
きっとあの二人に無理矢理着せられたんだ。
許せない。
許せない。
許すものか。
運命に狂わされたのは私一人で十分なのに、
みんなを巻き込むなんて許せない。
「お姉ちゃん! その人達から離れてぇぇぇぇッ!」
私は赤黒い剣を構え、大地を蹴った。
316 :
代理投下:2009/04/18(土) 20:11:09 ID:EDSINZaU
☆
「じゃあそろそろ行こうか、いつまでもホテルで引きこもってるわけにはいかねえからな」
ホテルを出る準備を整えた圭一とかがみとなのは。
行くあてはない、だけどこの島で行われているジェノサイドゲームを止めるために三人は志を共にする。
「ごめん……俺のわがままを聞いてもらって、でもこれだけは俺のけじめだから……ちゃんとヒナギクさんを弔ってあげたいんだ」
結果的に自分が逃げ出したことで桂ヒナギクは死んでしまった。
彼女を殺害したのはおそらく阿部高和だろう。
圭一が知っている阿部高和は決して女を殺すような人間ではなかった。
それどころか殺し合いに積極的に乗っていること自体が信じられなかった。
「阿部さん……俺の知らない世界のあんたがどんな人生を辿ったのかわからない……でもそんなの関係ねぇッ! 俺はあんたを止めるッ!」
拳を握り締め決意を新たにする圭一。
その彼をかがみは怪訝な表情で見つめていた。
「あのさ、その阿部さんって人あんたは慕っていたようだけど……あの、その、彼って……」
口ごもるかがみ、若干顔が赤い。
「ホ……ホモなんでしょ……?」
恥ずかしさで声が小さくなるかがみ。なのはも若干引きつった笑みを浮かべている。
「違うッ! 違うぞ柊! 阿部さんをホモと呼ぶんじゃない! そんなホモという偏見と侮辱に塗れた呼び方をするのは許せんッ! ゲイと呼べ!」
「どっちも同じ―――」
「わかってないわかってないわかってないぞ柊! いいかゲイというのは―――(以下略」
以後三十分近くにわたってゲイの意味とその歴史をふんだんに語られることになるかがみだった。
「―――わかっただろ? 彼を呼ぶ時はゲイと呼ぶんだ」
「……はい。(こなたと違う意味で疲れる……)」
「まあまあ圭一君、かがみもわかってくれたみたいだしこの辺で……」
「おっとすまねえなのはさん、俺としたことがつい熱く語ってしまったぜ……俺たちはこんな所で油売ってる場合じゃねえ」
317 :
代理投下:2009/04/18(土) 20:13:05 ID:EDSINZaU
231 :涙の誓い(前編) ◆DiyZPZG5M6:2009/04/18(土) 08:30:30 ID:l.n7vCbg0
まだまだ語り足りないと言ったところだが圭一は素直になのはに言う通りにする。
一方、かがみは延々と圭一の演説を聞かされて疲労困憊という状態だった。
「(ありがとなのは、うまいぐあいに話の腰を折ってくれて)」
「(あはは……でも圭一君の話術ってすごいね、私も結構真剣に聞いてたよ)」
「(まあ……確かに。政治家とか宗教家になったらすごい事になるかも)」
「二人とも、そろそろいくぜ!」
「そうだね、行こう」
「あのさ……二人とも気合入るのはいいんだけど、このカッコどうにかならない?」
かがみとなのはは自らが纏うその衣装を確認する。
彼女達は可愛らしいフリルがついたエプロンドレス―――いわゆるメイド服なのだ。
あまつさえ男である圭一さえもメイド服を着ている始末。
道行く他の参加者に出会ったら怪しまれること間違いなしである。
「柊! メイド服をバカにするなッ! メイドさんだぞメイドさん! それは人類にとって至高の存在! メイドさんとは―――(以下略」
「しまっ……」
「そろそろ学習しようね、かがみ」
再び圭一の熱い演説を聞かされてしまうかがみとなのはであった。
(私もなのはのようなスルースキルを身に付けよう……)
☆
「す、すまねえ……二人とも、また時間をロスしちまった……」
今度はただ平謝りする圭一。
「あんたの演説がうまいのは認めるけどもう少しTPOを弁えてくれない?」
「わかってはいるんだわかっては……でも萌えの伝道師としてはどうしても譲れられねぇ!」
「こなたと語り合わせたら一日中オタク話で盛り上がれそうね……」
「ああ! この前泉と一晩中チャットでスクール水着について熱く語りあったぜ!」
「うわぁ……」
二人の会話が容易に想像できて顔が引きつるかがみ。
やはり類は友を呼ぶ奴なのだろうか……
気を取り直してようやくホテルを発つ三人。
メイド服姿の男女が街中を練り歩く姿は一見異様だと言えよう。
かがみはこの格好で歩くことに抵抗を感じていたが下手に文句を言うと
またもや圭一がメイドの素晴らしさについて熱く語りかねない。
だから恥ずかしさを我慢して歩いていた。
ふとかがみはなのはを顔を見やる。
こんな格好でも全く動じていないようだったがその表情に若干の翳りが見て取れた。
318 :
代理投下:2009/04/18(土) 20:15:49 ID:EDSINZaU
「……どうしたのなのは?」
「ん……別に何もないけど……」
「はぁっ……あんたって嘘が吐けない性格ね。そんな顔で『何でもない』はないわよ」
「そう、だね……」
「柊の言うとおりだ。俺たちは『仲間』なんだから、悩み事があるなら俺達に相談しようぜ!」
あっけらかんとした表情の圭一。
知り合いであるヒナギクを亡くしたばかりなのにこの立ち振る舞い。
かがみも圭一も決して空元気などではなく心の底から仲間を勇気付かせようとする行動。
それがなのはの心をちくりと痛ませる。
232 :涙の誓い(前編) ◆DiyZPZG5M6:2009/04/18(土) 08:31:32 ID:l.n7vCbg0
「私だけ……なの……」
「? 何がなのはさんだけなんだ?」
「…………」
首を傾げる圭一に対しなのはは押し黙ったままだった。
「ねえなのは、もしかして自分だけ傷ついていないことに負い目を持ってるんじゃないでしょうね?」
「かがみ……」
「えっ? どういう意味なんだ?」
「私はみゆきを亡くした。圭一君はヒナギクさんを亡くした。でも自分の知り合いはまだ生きてる。それが負い目になってるんでしょ」
「…………」
図星を指されうつむくなのは。
かがみはやれやれと言った表情で優しく語りかけた。
「バカね……そんな事で引け目を感じることないじゃない……むしろ喜ぶべきよ、ね?」
「ごめん……」
なのはと行動を共にするようになってかがみは彼女について気がついたことがあった。
年のわりに落ち着きがあり達観とした雰囲気持っているが、その内面は意外とナイーブなのだ。
感情が表情に出やすいかがみや圭一と違って、感情や悩みを内に秘めがちな性格のようだった。
「二人共……ちょっと待って」
ふいに横を歩くなのはが足を止めた。
何だろう?という表情でかがみと圭一も足を止める。
「どうしたの?」
「誰か……近くにいる」
鋭い眼差しで周囲の状況を探るなのは。
その姿は少女のそれではなく、歴戦の魔術師としての姿だった。
「デバイスがあれば詳しくエリアサーチをかけて探れるんだけど……」
「もしかしてあの銀髪の男じゃあ……」
「ううん、気配の感覚から違うと思う」
「どの辺りか分かる?」
「あそこの角の向こう、まだこちらには気づいていないみたいだけど……」
「とりあえず俺達も一旦隠れようぜ!」
圭一に促され物陰に隠れる三人。
この場所なら向こうからは死角でこちらの姿は見えない。
三人は固唾を飲んで現れた人間の姿を確認した。
319 :
代理投下:2009/04/18(土) 20:34:48 ID:EDSINZaU
「(あれは―――!?)」
かがみの顔色が一変した。
通りの角から出てきたのは二人組みの人間。
一人は人民服をチャイナドレス風に改造した妙な出で立ちの人間。
そしてもう一人―――
青色のセーラー服を着た少女……かがみが見慣れた稜桜学園の制服。
腰よりも長く伸ばした髪。
そして高校生と言うにはあまりにも小柄なその体躯。
知らないはずがない。
見紛うはずがない。
親友の姿が―――泉こなたの姿がそこにあった。
「―――こなたっ!」
「かがみっ?!」
なのはの静止を振り切って物陰から飛び出すかがみだった。
233 :涙の誓い(前編) ◆DiyZPZG5M6:2009/04/18(土) 08:32:34 ID:l.n7vCbg0
☆
桂言葉の二度目の襲撃から逃れたこなたと6/。
しかしその犠牲も大きかった。地球破壊爆弾の捨て身の情報改竄がなければ二人共殺されていたことだろう。
命を賭けて二人を守った地球破壊爆弾に黙祷を―――
『おいおい何を勘違いしてるんDA、私はまだ死んじゃいないZE☆』
……前言撤回。彼女は死んではいなかった。
かと言って生きてるとも言えない状態でもある。
確かに彼女の肉体は情報改変の過負荷により崩壊した。
しかし肉体を失ってもなおその魂というべき物は血を媒介にして輸血用血液パックに宿っていた。
「なんつーかほんとチートな人だな……」
『あはは、でももうこうやって喋ることしかできないけどねっ』
こなたの手のひらの上でどこからともなく声を発するそれは何とも不思議な光景であった。
「ねえ爆弾さん」
『ん? どうしたのかな』
「彼女は……言葉はどうなったの?」
『……死んだよ。どんな死に方したかは結構グロいんで省略するけど』
「そっか……」
一度は言葉によって瀕死の重傷を負ったにも関わらずこなたは彼女の死に複雑な物を感じていた。
「いや、あの人も可哀想な人だったなあって……好きな人のためにあそこまで狂えるものなのかな……」
『それだけ彼女の愛は本物ってことだね。愛、愛ってなんだ〜、ためらわないことさ〜。ま、こなたちゃんも好きな人が出来たらその感覚も分かるかもね』
「私に彼氏? どうだろね」
どこか素っ気ない返事をするこなた。
『あれれ? こなたちゃんだって彼氏欲しいでしょ?』
「まあ……私だって女の子だし、恋愛の一つや二つしたいよ。でも私オタクだし、こんなロリ体型だからねぇ〜」
「そうか? 男の俺から言わせてもらうと、体型さえ眼をつぶれば結構良い線行ってると思うぜ?」
「あれあれー? 6/さんそれって私にフラグ立ててるつもりなのかなー?」
「ばーか、そんなんじゃねえよ(つーか俺の本命はみなみだし……)」
320 :
代理投下:2009/04/18(土) 20:35:28 ID:EDSINZaU
『はい、フラグ立ちました〜☆ からかう女と恥ずかしがりながら否定する男。ラブコメの王道だねっ』
「違うっての……」
ほのぼのとした空気の三人。
その時―――
234 :涙の誓い(前編) ◆DiyZPZG5M6:2009/04/18(土) 08:33:40 ID:l.n7vCbg0
「―――こなたっ!」
道路の向こう側から声がした。
こなたも6/も爆弾もよく知る声。
藤色のツインテールを揺らしながら駆ける少女の姿。
柊かがみその人において他なかった。
『メイド服かがみんktkr!!!』
「げっ……かがみ」
『あれぇ? 6/さんはかがみんと何かあったのかな?』
「べ、別に……(言えない、別世界のかがみに掘られたなんて絶対に言えない……!)」
「か、がみ……?」
まさかこんなにも早く再会できるとは思うはずもなく、
呆然と立ち尽くすこなた。
「こなた……こなたぁ……」
「あっ……」
息が切れるのもお構いなしに走ってきたかがみはそのままこなたに抱きついた。
こなたの小さな身体を決して離さないよう抱き締めるかがみ。
「ばかぁ……心配したわよ……みゆきが……みゆきが……ううっ」
「うん……みゆきさんのことは知ってる……」
こなたの胸の中ですすり泣くかがみ。
こなたの視線の先に写るかがみのうなじ。
その瞬間、厭な記憶がフラッシュバックする。
爆弾の記憶を垣間見た時の記憶。
絡み合う二人の少女の姿。
お互いの身体を貪り合う少女達。
321 :
代理投下:2009/04/18(土) 20:42:34 ID:EDSINZaU
かがみの白くて柔らかい首筋に牙を突き立てたい。
赤くて甘いかがみの生き血を啜りたい。
壊れるほど強く、強く、強く。
その首に、
牙を。
「―――ッ!!!」
「きゃっ!?」
思わずかがみを突き飛ばすこなた。
かがみは思わず尻餅をついてしまう。
とっさの出来事で何が起こったか分からずきょとんとした表情でこなたを見上げる。
235 :涙の誓い(前編) ◆DiyZPZG5M6:2009/04/18(土) 08:34:33 ID:l.n7vCbg0
「ご、ごめん! かがみ」
「私も……ごめん、いきなり抱きついて……」
こなたはかがみの手を取って立ち上がらせる。
かがみは服の汚れをぽんぽんと払うと改めてこなたとその同行者に視線と移した。
「えっと……誰?」
6/の姿を見てあからさまに怪訝な表情をするかがみ。
年の頃は二十歳ぐらいだろうか、美形とは言えないもののそれなりに整った顔立ちの青年。
然るべき服を身に着けていればまあまあおしゃれな好青年に見えるだろう。
しかし、現在この男が身に着けてる服はどうみても女物のチャイナドレスである。
「一応、初めましてかな。俺の名前は6/―――勿論本名じゃあないペンネームみたいな物だ。それと、格好の事は気にするな。これしか服がなかったんだ」
「ああ、そう……私は柊かがみよ。こなたがお世話になったみたいね」
まだ警戒を解いていないかがみ。
下手な誤解は勘弁してくれとため息をつく6/。
『やっほー☆ かがみ〜ん。私は地球破壊爆弾だよーっ』
「えっ何に? こなたの声?」
「えっと紹介するよ。この人が地球破壊爆弾さん。この人の名前もペンネームみたいなものだから」
こなたはスカートのポケットから輸血用血液パックを取り出して紹介した。
「??? 血液パックが喋って?」
こなたの声で喋る物体に当然ながら混乱するかがみ。
「おーい柊ぃ〜〜〜」
「駄目だよかがみ、いきなり飛び出したら……」
かがみの下へ駆け寄る二人の男女。
なぜか二人ともメイド服である。
爆弾も6/も良く知る人物。
あまりにも有名な二人がそこにいた。
『おやおや口先の魔術師に管理局の白いあ……じゃなかったエース・オブ・エース。これはまた頼りになる二人だねぇ……』
322 :
代理投下:2009/04/18(土) 20:47:11 ID:EDSINZaU
☆
「上位世界……か、並行世界という概念は把握できていたけどそこまでは思いつかなかったよ」
そう呟くなのは。
風変わりな人物である6/と地球破壊爆弾の話を聞いたなのははただ驚くだけだった。
当然だろう、自分もかがみも圭一も彼らの世界の創作物の世界の住人であるなんて信じられるわけがない。
だけど彼らは全く初対面の自分の素性を全て知っている。
そしてこなたも自分の存在を知っているとなると信じない訳にはいかなかった。
『私達のことは天蓋領域と呼びたまへ〜』
「ハルヒネタktkr。驚愕マダー?」
「うおお……訳わかんねえ……俺の世界じゃ柊と泉はクラスメイトで、本当の柊と泉はアニメや漫画で俺やなのはさんを知っていて、
柊達もまた6/さんや爆弾さんの世界ではアニメや漫画の登場人物……なんか気持ち悪いぜ……」
「確かにぞっとしないわね……箱を空けたら中に箱があって、その箱を空けたらまた中に箱があるのを永遠に繰り返しているというか……」
途方もないスケールの大きさに頭を抱えるかがみと圭一。
「そして俺や爆弾さんもまたより上位世界の誰かが描いた物語の登場人物かも知れないってこった」
『神の手の平で弄ばれてる感覚ってこんな物なのかね〜』
「俺達そんな奴らに喧嘩売るんだよな……」
『ん〜? 怖気づいたのかな圭一君』
「けっ前原圭一を舐めてもらったら困るな! 相手がどんな奴であっても俺は絶対あきらめねぇッ!」
『そう、それでこそ前原圭一だよ』
236 :涙の誓い(前編) ◆DiyZPZG5M6:2009/04/18(土) 08:36:17 ID:l.n7vCbg0
「ちょっといいかな……みんな」
静かになのはが話しかける。
「おう、なのはさん」
「みんなの話を聞いてるとある共通点があることに気がついたの」
「何かしら?」
「私、圭一君、6/さん、爆弾さんの共通点を考えてみて」
『……なるほど、私もその可能性は考えていたけど確証がなかったんだよね』
「これだけ共通点があればその可能性が極めて高いだろうな……」
「え? え? 俺さっぱりわからないんだけど……」
「かがみとこなたを除く全員がこの島に連れて来られる前に何らかの殺し合いに巻き込まれている。
そして必ずみんなその世界でかがみやこなたの知り合い。爆弾さんの世界で言うところの『らき☆すた』の登場人物と出会ってることなの」
「あ―――」
納得する圭一。
『正確には私の場合、私自身がこなたちゃんの姿だったんだよね〜』
「6/さん、ちょっといいかしら?」
「どうしたかがみ?」
「6/さんってこの姿になる前の爆弾さんといたのよね。彼女ってそんなにこなたと似てたの?」
「似てるってもんじゃなかったぞ、鏡合わせのように全く同じ顔の人間が二人いたからな」
「ふぅん……」
「?」
かがみはそれ以上何も言わなかった。
325 :
代理投下:2009/04/18(土) 21:05:05 ID:EDSINZaU
「(ねぇ……6/さん)」
「ん?」
こなたは小声で6/に囁いた。
できるだけかがみに気取られぬように。
「(どうした?)」
「(うーん……日焼け止めクリームの効果が薄まってきたみたい。肌が少しヒリヒリする)」
「(マジか……ん? 俺が塗るのか!?)」
「(だって……爆弾さんじゃあ塗れないし)」
『(フラグ点灯中! フラグ点灯中〜)』
「(だぁっあんたは黙ってろ! クソッしょうがねえ……)」
『(では邪魔者の私はかがみんと遊んでくるとしようか〜)』
「わりぃ、ちょっと野暮用が出来たわ少し待っててくれないか。ああ、かがみ爆弾さんを預かっといてくれ。ちょっとこなたと話があるんだ」
そう言って爆弾をかがみに手渡す6/。
「ちょっと!」
「すまん、すぐ戻ってくるから!」
6/とこなたは逃げるように近くの建物の中に消えていった。
『ゆっくりしていってね!』
「もう……何よ……」
『こなたちゃんが心配かなー? かがみん』
「そりゃあちょっとは心配よ、彼を信用できない訳じゃないけど……」
『ま、大丈夫だって私が保証するよー』
☆
326 :
代理投下:2009/04/18(土) 21:06:20 ID:EDSINZaU
私と6/さんはかがみ達と離れ、近くの雑居ビルの中へ入った。
ビル内の部屋は薄暗くカビの臭いが鼻に突く。
237 :涙の誓い(前編) ◆DiyZPZG5M6:2009/04/18(土) 08:37:53 ID:l.n7vCbg0
「しかし……難儀な身体だな……」
「仕方ないよ、これは私が望んだことだから」
「でもよ……いつまでかがみに黙っておくつもりだ?」
かがみ達と合流した時に私達が経験したことはある程度話している。
でも私が吸血鬼になった事だけはまだ話してはいなかった。
あの時静かに死を待つだけだった私。
だけど私は元の日常に帰るために過酷な生を望んだ。
決して老いることのない不死の身体。
漫画やアニメのようなことがリアルで私の身に起きている。
だけど太陽の光だけは簡単にこの身体を焼いてしまう。
だから日焼け止めクリームを塗って少しでも日光を防ごうとしていた。
だけど、やはり汗をかけば少しずつクリームは流れていくもの。
定期的に塗らないと効果がないのが面倒なんだよね……
本当はクリームを塗らなくても日の光の下を歩く方法があると爆弾さんは言っていた。
今は私と同じ姿でなく、輸血用の血液パックに宿る爆弾さん。
その血を、爆弾さんそのものである血を飲み干せば私は真に独立した吸血鬼になれると。
でもそれは……爆弾さんが私に取り込まれて消えてしまうこと。
きっと彼女の全てが私の中に溶け消えてしまうんだろう。
そうしてまで私は太陽の下で歩きたいとは思わなかった。
「……いずれ私から話すよ、でも……」
「怖い、か。まあ当然だな。自分が人でなくなったことを友達に告げる勇気は中々持てねえしな……」
私は黙ってクリームを彼に手渡した。
「……なあ、当然塗るとなったら服脱ぐんだよな?」
「もちろん、服脱がないと塗れないよ」
「いや、そうだけど俺も一応男だし、あの、その……」
「私だって嫌だよ。これでも一応女なんだから……」
さすがに私でも男の人に肌を晒すのは恥ずかしい。
けど今の爆弾さんではクリームを塗ることなんて出来ないし、
かがみにも頼むことなんてできない。
結局6/さんにしか頼めないことだった。
「…………」
「…………」
私と6/の間をきまずい空気が流れる。
少し心臓の鼓動が早くなっている。
ううっ……やだな……この感覚、この状況で男と女を意識しだすのは正直まずい。
これじゃあまるでエロゲーの1シチュエーションじゃん……
「さっ、早くして。あんまり遅いとかがみが心配して来ちゃうから」
私は意識が変な方向に行かないよう彼に背を向けて平静を保ちながら制服の上着を脱ぐ。
背中さえ塗り終わればあとは自分で塗れるんだから、少しの間の我慢。
327 :
代理投下:2009/04/18(土) 21:10:55 ID:EDSINZaU
「ひゃ……ぁんっ」
冷たいクリームが背中に触れたせいでおもわず変な声が出てしまう。
「ちょっ変な声だすんじゃねーよ!」
「だってクリーム冷たいもん」
「いいか、俺を男と忘れるんじゃねーぞ! 仮にもお前は女だ。変な仕草をすると
『っぐわ!……俺の理性が保っていられるうちに早く逃げ、ろ……!』状態になってしまうんだからな」
「わかってるよ……」
何だかんだ言ってクリーム塗りは無事に終えることができた。
特に変なことも起きなかったから一安心。
238 :涙の誓い(前編) ◆DiyZPZG5M6:2009/04/18(土) 08:39:47 ID:l.n7vCbg0
「後は自分で出来るから、クリーム貸して」
「おう、ほらよっ―――ってあっ」
突然足元のバランスを崩し倒れこむ6/さん。
もちろん倒れこむ方向は上半身裸の私。
「うそ゛っ!?」
しまった……この展開の存在をすっかり忘れていた……
そのまま彼は私を押し倒すように倒れこんだ。
「いってぇ……」
「こんな展開ベタすぎてかえってレアだよ……」
そう言って私は今の体勢を確認する。
当然のことながら6/さんは私を押し倒して馬乗りになるような形になっている。
こんな所見られたら最悪だ……
「――ッ!?」
胸に妙な感触が走って思わず声を上げそうになるのを堪える。
くすぐったいようなそうでないような感覚。
そう、6/さんの両手が私の胸をしっかりと掴んでいた。
「早くどいてよ……それとできるだけ手は動かさないようにして」
「ああ……げぇ!?」
彼もまた自分の手がとんでもないところに置かれていることに気がついた。
「あばばばばばばばば」
テンパってる6/さんの手が不意に動く。
胸に手が当たってるぐらいなら別にいいんだよ。
でもアレが手の平に当たって擦れるとマズイんだって!
「んっ……動かさないでって言ったで、しょっ……」
やば……このエロゲじみたシチュエーションのせいで感じ始めてる……
「おまっそんな幼児体型のくせに一丁前に感じてんじゃねーよッ!」
「しょうがない……じゃんっ……生理現象なんだ、よ……! コーラを飲んだらゲップが出るくらい当然のこと……っ、んんっ……」
328 :
代理投下:2009/04/18(土) 21:12:33 ID:EDSINZaU
考えが甘かった。
こんな閉鎖された環境で、いつ死ぬともわからない状況。
そんな中で二人きりの男女。
生き物としての子孫を残そうとする本能を甘く見すぎていた。
そんなのエロゲーの中だけだと思っていたのに……
このままじゃ本当に私の理性が吹っ飛んじゃうよ……
1.6/を強引に押しのける
2.6/に身を委ねる
あはは、何この選択肢。
エロゲー的には2だけど、リアルではとんでもない。
状況と本能に流されてするなんて冗談じゃない……!
.1.6/を強引に押しのける
ニア2.6/に身を委ねる
239 :涙の誓い(前編) ◆DiyZPZG5M6:2009/04/18(土) 08:41:46 ID:l.n7vCbg0
あ―――――やば―――――
その瞬間、全身の力が抜け、私は彼の顔を潤んだ眼差しで見つめていた。
自分でもびっくりするぐらい艶かしい視線を彼に送っていた。
たぶんエロゲ的に「いいよ……」な表情に違いない。
ああ……6/さんの顔が近づいてくる……
私の唇を塞ごうと。
私の理性を完全に奪おうと。
本当に、堕ちる。
あはっ、このまま彼に身を任せて獣のように快楽を貪るのも悪くないかな――――――――――
329 :
代理投下:2009/04/18(土) 21:13:28 ID:EDSINZaU
「ちょっとぉ〜いくらなんでも遅いわよ!」
『ちょっと待って……もう少しだけだから』
「ダメよ! いつまでも二人だけにさせてはおけないもの」
「かがみの言うとおりだよ、いつ危険なことが起こるかもしれないし」
「ったく何やってんだよ……!」
よく聞き覚えのある声と足音が外から響いてくる。
「ん……ここかしら……」
ぎいっと音がしてドアが開く。
「こなた何して―――」
その瞬間世界が凍りついた。
固まったまま動かない三人。
そりゃ当然、私は上半身裸の状態。
6/さんは私を押し倒して、おまけに私の胸を鷲掴みにしてるんだから―――
そして世界は動き出す。
「ア、ア、ア、アンタって人はァァァァァァーーーーーーーーーーー!!!!」
「少し、頭冷やそうか……」
「ちょっこれは誤解っ……なのはさんディバインシューターはやめっ……うわ……うわらばっ!!」
雑居ビルの一室に6/さんの断末魔の叫びが響き渡った。
240 :涙の誓い(前編) ◆DiyZPZG5M6:2009/04/18(土) 08:42:55 ID:l.n7vCbg0
【6/氏@カオスロワ 死亡】
330 :
代理投下:2009/04/18(土) 21:15:26 ID:EDSINZaU
「って俺死んでねーよッ!!!」
☆
「あのねぇ……紛らわしいことしないでよ」
「すみません……」
平謝りする6/。
端から見ればこなたを押し倒しているとしか思えない光景だからかがみ達が勘違いするのも当然のこと。
それでもこなたの説明で何とか誤解を解くことが出来た彼だった。
その代償としてかがみに殴られ、なのはにディバインシューターを撃たれる破目になったのは言うまでもない。
「むふふっかがみんたら何を想像してたのかな〜」
「だ、だってあんなもの見せられたらどうしても変な想像しちゃうに決まってるじゃない!」
顔を赤らめるかがみを見てにやにやと笑うこなた。
「おーおー赤くなっちゃって、かがみんは可愛いのうー」
「ば、馬鹿、からかわないでよっ」
「あははっ(……まあ、かがみんが来てくれて正直助かったんだよね。あの時私もマジになりかかっていたし)」
もう少しで若さゆえの過ちを犯しそうになるところだったこなたと6/。
助かったと同時に少し寂しげな感覚を持ったこなただった。
『(案外本気だったんじゃないの〜。私は見たよぉ』
「(み、見たって何かな)」
『(押し倒されてる時のこなたちゃんの顔、『私のこと……好きにしていいよ……』な表情だったもんねー)』
「(うぐぅっ!)」
『(もう少し私達が来るのが遅かったらそのまま致してたんじゃないかな? かな?)』
「(な、何のことかなー)」
『(ま、一時の感情に身を任さないでよかった。ということだよ)』
331 :
代理投下:2009/04/18(土) 21:17:10 ID:EDSINZaU
241 :涙の誓い(前編) ◆DiyZPZG5M6:2009/04/18(土) 08:44:28 ID:l.n7vCbg0
「ところで……どうして日焼け止めクリームを塗る必要があったの?」
かがみの素朴な疑問を口にした。
口ごもるこなた達。
「別に私やなのはに頼めばいいじゃない」
「………」
しばらくの間押し黙ったままのこなただったが、
意を決したような表情で答えた。
「かがみん、ちょっと見てて」
そう言うと窓ガラスのそばに近寄ったこなたはおもむろにその拳をガラスに叩きつける。
ガシャンと大きな音が鳴ってガラスの破片が床に散らばった。
「ちょ……こなた」
「見ててかがみ……」
こなたは床に散らばった鋭い破片を拾い上げる。
触れただけでも切れそうな鋭利なかけら。
それを手首に当てると一気にそれを引いた。
「ッ……!」
「こなたッ!?」
手首から赤い血が溢れるように流れ出し、床にぼとぼとと赤い染みを作ってゆく。
だけどそれも束の間。
みるみるうちに流れる血が止まり、傷口が塞がってゆく。
「えっ……傷が塞がって……?」
「これが今の私……決して年取ることがない不老不死の化物、吸血鬼……なんだよ」
「嘘……」
「嘘じゃないんだかがみ、俺はこなたが吸血鬼になった場面を見ている」
信じられないといった表情のかがみ達に6/はこなたに起きた出来事を説明した。
「そん、な――」
「どうしてもお前達と帰りたかったんだよ、そう……人であることも捨ててお前達と一緒にいたかったんだ。だからこいつを化物なんて言わないでくれ……」
「…………でよ」
「えっ?」
「私を見損ないでよ! どんな姿になってもこなたはこなたなんでしょッ! たかが吸血鬼なだけでこなたを嫌いになるわけないじゃない……!」
「そうだぜ! 泉は泉なんだろ? それでいいじゃないか」
「どんな姿になったとしても……心が人である限りあなたは人であることに変わりはないよ」
「みんな……ありがと……ちょっと目にゴミが入っちゃった……」
滲む涙をごしごしと拭くこなた。
本当にかがみが友達で良かった、良き友人を持ったことに感謝するのであった。
332 :
代理投下:2009/04/18(土) 21:19:18 ID:EDSINZaU
「……こなた」
「どうしたのかがみ?」
かがみは落ちているガラス片で指を浅く切っていた。
傷口からぷつぷつと赤い血が滲み出していた。
「ちょっ……かがみん!?」
「あんたさっき血流したでしょ? いくら傷がすぐ治るといっても体力は消費するんだから私の血をあげる。こんなんじゃ全然足りないと思うけど……」
「で、でも……」
「あーあ、指切っちゃった。ばい菌入ったらやだな〜。そだ、こなたが舐めて治して」
『ウホッ、これはいいこな×かが……シチュ的にかが×こな―――おぶっ』
「こんな時ぐらい黙ってろ!」
『もうっつれないなあ……』
242 :涙の誓い(前編) ◆DiyZPZG5M6:2009/04/18(土) 08:46:02 ID:l.n7vCbg0
かがみはこなたの鼻先に血が滲む指を差し出した。
「……わかったよ」
こなたはそっと唇をかがみの指先に近づける。
そしてそっと舌を突き出して血を舐め取った。
「ん……っ」
暖かくこそばゆいこなたの舌の感触。
こなたは顔を赤らめ、とろんとした眼差しで血を舐め取っていく。
ちゅぱ……ちゅぱ……
「ふぁ……んっ、かがみの血、凄くおいしいよ……」
「ちょっと……ん、がっつきすぎよこなた……」
「だって……とても甘くていい香り、輸血用の血なんかとは比べ物にならないよ……はぁっ……ん」
歯を立てないようまるで母親の乳を飲む赤子のようにかがみの血を吸うこなた。
一心不乱にその血を啜るひどく官能的かつ背徳的な姿に。
なのはも圭一も顔を赤らめている。
「(なあなあ6/さん)」
「(どうした圭一)」
「(血を吸ってる泉っていつもこんなのなのか……? すっごくエロい光景なんだけど)」
「(たぶんな。言っても生身の人間の血は初めてだからな。まあ吸血鬼になった時、爆弾さんに吸われてる時なんてもっと凄かったぞ)」
「(どんな感じだったんだ?)」
「(レズ物ロリAVといった表現がぴったりだったな)」
「(うぉぉぉ……)」
「(はいはい二人とも、変な会話しないの)」
「(そうは言うがななのは、この光景を見せられて興奮しない男はいないぞ……つーかお前も興味津々だろ……)」
「(えっあっ……べ、別にそんなことないって…///)」
こなたとかがみの様子が気が気でない三人。
二人はそんな外野の声なんて全く気にも留めなかったのだった。
☆
333 :
代理投下:2009/04/18(土) 21:20:30 ID:EDSINZaU
243 :涙の誓い(後編) ◆DiyZPZG5M6:2009/04/18(土) 08:47:55 ID:l.n7vCbg0
「ごちそうさまでした」
「どう……だった? 私の血は……」
「うん、すごくおいしかったよ。でも……」
「どうしたの?」
「だんだんと味覚が人じゃなくなっているのがちょっとね……」
表情が少し沈むこなた。
初めて輸血用の血液を飲んだ時。
そして初めて生身の人間の血を飲んだ今。
最初は抵抗があった血を飲むという行為に身体が順応していく事に不安を感じていた。
「こなた……」
「いやあ〜泉も柊も結構大胆だなー。外から見てるとまるでレz―――ひでぶっ!」
圭一の頭にゲンコツが振り下ろされる。
圭一の背後にはなのはが笑顔で立っていた。
「はーい圭一君ー。少し空気読もうねー?」
「な、なのはさん……目が笑ってねぇ……」
『こなたちゃーん、かがみんの血どうだった? やはり処zy―――あべしっ!」』
「あんたも空気読もうな」
何はともわれ雑居ビルでの一件で団結が深まった五人+1だった。
「そろそろ行こうよ。ヒナギクさんを弔ってあげたいしね」
なのはに促されビルを出る五人。
当初の目的通りまずはヒナギクの埋葬を行うことで五人の行動方針を固めた。
何事も順風満帆。
こんなにも頼りになる仲間達の前だと、
自分が吸血鬼であることで一々悩むことがささいなことに思えるこなただった。
そう、この時までは全てが平和だった。
だけど世界はいつだって理不尽な物。
所詮は砂上の楼閣の上で踊っているにすぎない物。
「お姉ちゃん! その人達から離れてぇぇぇぇッ!」
334 :
代理投下:2009/04/18(土) 21:23:01 ID:EDSINZaU
声がした。とても良く知っている声。
振り向いた視線の向こうに少女が立っていた。
赤い短めの髪をリボンで結った少女。
小柄なこなたよりもさらに小柄な少女。
こなたにとって家族同然の存在、小早川ゆたかが剣を構え立っていた。
誰も彼女の行動を止められなかった。
誰も彼女がそんな行動に出るなんて考えられなかった。
ゆたかは信じられないような身体能力で大地を蹴って跳んだ。
「え――――――――」
こなたの目に映る世界の姿。
全てがスローモーションで進む世界。
でも身体は全く動かなくて、跳躍したゆたかがその手に持った剣が振り下ろされるのをただ見ているだけだった。
赤黒い剣はとこなたと隣を歩いていた6/の身体に向けて振り下ろされ、彼の身体を切り裂いていた。
244 :涙の誓い(後編) ◆DiyZPZG5M6:2009/04/18(土) 08:49:11 ID:l.n7vCbg0
赤い血が勢いよく噴き出している。
まるでシャワーのようにこなたを身体を赤く染め上げる。
赤い。
赤い。
赤。
赤。
赤い6/の血。
返り血を浴びたゆたかは満面の笑顔でこなたに言った。
「お姉ちゃん、柊先輩。まずは一人目をやっつけたよっ。だからもう心配しないでね」
なんの罪悪感もなくただただ無邪気な少女の笑顔。
「ゆー……ちゃん……?」
血の海に沈む6/の姿。
血に染まったゆたかの笑顔。
「あ……ああああああああっああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」
「さてと……あと一人。ダメだよ……男の子がそんな格好をしたら……」
ゆたかゆらりと圭一のほうへ向く。
圭一は蛇に睨まれた蛙のように全く動けない。
「―――死んじゃえ」
振り上げられる剣。
だが―――!
代理投下いたします
「きゃあっ!!」
ゆたかに桜色の魔力弾が突き刺さる。
一発、二発、三発。
連続してなのはの放った魔力弾が命中する。
殺傷能力はほとんどないものの直撃すれば昏倒はまぬがれない。
それを三発も浴びせられたゆたかは吹き飛び剣を手放す。
回転する剣がこなたの足元に突き刺さる。
「ダメ……っ傷が深すぎて回復魔法が効かない……!」
なのはの悲痛な叫びがこなたに突き刺さる。
みんなが6/の周りに集まって何かを叫んでる。
だけどこなたの耳にそれは届かない。
足元に突き刺さる赤黒く禍々しい剣に彼女は手を伸ばす。
『こなたちゃん……その剣は……!』
爆弾の声も耳に届かない。
「うああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
絶叫と共にこなたが跳躍した。
人間離れした膂力をもって一気に跳ぶ!
土煙の中のゆたかに向けて剣を振り下ろす。
十分な加速度と重力を乗せた一撃、ゆたかにはかわす術はない。
しかし―――
ガキンと金属質の音がして刃が止められる。
ゆたかはいつの間にかもう一本の剣を握り締めこなたの一撃を受け止めていた。
「なんで……なんで……! 6/さんを……! 答えてよ……ゆーちゃん。答えてよぉぉぉぉ!!!」
太刀筋もあったものじゃない素人の剣戟。
ただ力任せに剣を振るうが全てゆたかの持つ大剣に受け止められてしまう。
「運命……だよ。お姉ちゃん」
「何を言ってるのか全然分からないよッ!!!」
こなたの叫びにも全く動じず涼しい顔のゆたか。
「あの人たちがお姉ちゃんを狂わすの。そういう運命だから。でも私は運命なんかに負けない。だから倒すの」
支離滅裂な理屈で6/を斬った理由を告げるゆたか。
こなたには全く理解できない言動だった。
「運命に狂わされるの私ひとりで十分……! だからどいてよッ!」
防戦一方だったゆたかが横薙ぎに一撃を振るう。
あくまで牽制の、こなたの持つ剣を弾き飛ばすためだけの一撃のはずだった。
しかし、ゆたかとて剣の素人。
思っていたよりも勢いが強くなった一撃。
「ぅ……ぐぁ……ぁっ」
弾き飛ばされたこなたの剣が後方に吹き飛ぶ。
「お姉ちゃん……!?」
ゆたかの一撃はこなたの左腕ごと剣を斬り飛ばしていた。
地面に刺さった剣を握り締めた左腕がぼとりと地面に落ちた。
「こなたッ!!!」
かがみの叫び声があたりに木霊する。
傷口を押さえ蹲るこなた。
切断面からおびただしい量の血液が流れ地面に赤い水溜りを作る。
「あ……あ、私、お姉ちゃんを……」
「くぅ……たかが左腕一本ぐらい……!」
ゆたかは信じられない現象を目撃した。
血が噴き出すこなたの腕の切断面。
こんなにもひどい出血がみるみるうちに止まってゆく。
ものの一分としないうちに出血は止まり。
白い骨と赤い筋繊維を露にした切断面だけが見えていた。
「どうして……! 傷が……治って!」
何も処置をしていないのに血がぴたりと止まっている。
いや、そもそも腕を切り落とされた時点でショック死してもおかしくない痛みのはず。
なのにこなたは苦痛に顔を歪めるがそこまで重傷のように見えなかった。
そうか―――
こなたお姉ちゃんもあの人と同じになっちゃったんだ。
ゆたかの記憶に残る翼のコスプレ男。
ああ―――お姉ちゃんも運命に飲み込まれてしまった。
「ごめんね……お姉ちゃん。私、お姉ちゃんを助けられなかった……」
「ゆー……ちゃん?」
「もう少し私が早ければ助かったのに……」
悲しげな表情で語るゆたか。
そこに狂気というものは一片も感じられず、ただ純粋に悲しみの感情を露にさせていた。
「だから―――柊先輩が壊れてしまう前にお姉ちゃん……死んで」
そう言ってゆたかは大剣を振り上げる。
剣を拾うにも距離が離れすぎている。
避けようにもゆたかの方が早い……!
「―――させない! ディバインシューター!!!」
立て続けになのはは五発魔力弾を放つ。
デバイス無しでは身体への負担も大きくなるにも関わらず連射する。
とにかくゆたかを足止めするのが目的。
「邪魔……しないでよ!」
ゆたかは剣で魔力弾を叩き落していく。
その隙は見てなのはは……
「今よ! 圭一君!」
「おっしゃあああ行くぜぇぇぇ!! うおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
なのはがゆたかを足止めしてる隙に圭一は全速力でこなたの元に駆けつけ、
彼女の軽く小柄な身体を抱え上げた。
「この隙にスタコラサッサだぜ!」
「離して! 離してよ圭一君! ゆーちゃんを……! ゆーちゃんを……ッ!!」
「バカッそんな怪我で何が出来るんだよ! あとはなのはさんに任せろ!」
「く……っ」
唇を噛み締めるこなた。
悔しいがこの場でもっとも戦闘能力があるのがなのはだけ。
圭一の腕の中で大人しくする。
すれ違う圭一となのは。
その時にお互い声を掛け合う。
「出来る限りここからは離れて!」
「ああ、分かった!」
「彼女は……私が連れて戻るから……!」
『なのはちゃんのサポートは私がするよっ』
なのはの懐から爆弾の声がする。
「わかった……ゆーちゃんをお願い」
「うん!」
頷き合うこなたとなのは。
圭一達はかがみと負傷した6/と共にこの場から逃げ出した。
☆
「お姉さん……どうして私の邪魔をするの……?」
「…………」
なのはは答えない。
ただ真っ直ぐな視線をゆたかに向けている。
「別に答えなくていいですよ、あなたは私の邪魔をする。だから私の敵、それだけですよ」
ゆたかは剣を構え、切っ先をなのはに向ける。
なのはは無言で足元に突き立った剣を握り締める。
その瞬間不思議な感触がなのはを駆け巡った。
「これは……アームドデバイス!? でもちょっと違う……!」
触れた瞬間剣の気がなのはに流れ込む。
これはただの剣なんかじゃない。明らか魔力を備えた魔剣の類。
『それはちょいとばかり持ち主の精神に干渉するけど大丈夫。なのはちゃんならそれをちゃんと扱える。さあ呼んで、その剣の……永遠神剣の名を!』
手に触れた瞬間、自然と剣の使い方と名前が頭の中に浮かび上がる。
なのはは静かに、だけど力強い声で剣の言霊を解放した。
「お願い―――『誓い』よ……私に力を貸して!」
言霊を解放した瞬間、なのはの足元に魔法陣が展開される。
そして魔力の奔流がなのはを襲う。
使用者を支配しようとする剣の意志。
「くぅぅぅぅぅっ!!」
まるで荒馬に乗ったような感覚。
だがなのはは無理に抗わず自然体で剣を手懐ける。
『さっすがなのはちゃん』
「ゆたかちゃん……少し痛いけど我慢して!」
「!?」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」
なのは一気に間合いを詰め込み斬撃を放つ。
ゆたかも剣で攻撃を受け止める。
『ゆーちゃんの永遠神剣は七位の『存在』。単純なスペックでは五位の『誓い』のほうが上だけど気をつけて!』
「わかったよ!」
『きっとゆーちゃんがおかしくなったのはきっと頭の上のあれ……あれを何とかすれば……』
ゆたかの頭上に浮かぶ半球状の物体が仄かに光を放っている。
あれがゆたかの異常な行動の原因になってるいるのだろうか?
なのははゆたかの攻撃を受け止め、回避しながら考える。
プログラム
そしてなのはは一つの呪文を組み上げてゆく。
神剣魔法となのはが扱うミッドチルダ式の魔法。
本来全く別の術式である両者だが発動媒体が存在する点には同じ。
デバイス無しでのミッド式魔法は術者が全て詠唱から発動までを負担しなければならない。
しかし神剣魔法は永遠神剣を媒体として発動する。
エミュレート
ならば永遠神剣にデバイスの機能を模倣させるッ!
同じ魔力という力を扱う以上出来ないことはないはず……!
「ディバイン……シュータァァァァァァァ!!」
「!!!」
なのはの周囲に数個の魔力弾が浮かびあがり複雑な軌道を描いてゆたかに向かっていく。
ぶっつけ本番のわりにはうまくいったとなのはは胸を撫で下ろす。
それまで直線的で一発ずつしか飛んでこなかった魔力弾が複数個誘導されながら飛来する。
アクセルシューターのように32発同時誘導発射には遠く及ばないが、
剣という武器の特性上、移動しながら撃てるそれは戦術に大きなアドバンテージを与える。
「こ、この……ッ!」
誘導弾の迎撃に手間取ると間髪いれずになのはの一撃が来る。
なのはの斬撃に気を取られ過ぎると周りを飛び回る誘導弾に当たってしまう。
「はぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」
またも振り下ろされるなのはの剣。
今度は間一髪でかわす。
体勢を崩したなのはにカウンターを決めようと剣を振るうが……
「ラウンドシールド!!」
掲げたなのはの手の前に現れた魔力障壁に弾かれる。
そして周りを飛び交う誘導弾がゆたかに突き刺さり大きく吹き飛ばされた。
「ハァ……ハァ……ッ」
吹き飛ばされたゆたかを見たなのはも間合いを取るべく距離を離す。
なのはのほうが圧倒的優位に関わらず、なのはは肩で息をするぐらい疲労が蓄積されていた。
『大丈夫なのはちゃん?』
「まだいけるけど……長くは持たないかな。二つの術式の同時併用はさすがに魔力の消費が……」
なのはが永遠神剣に施した術式。
魔力消費量を度外視した発動時間の短縮。
これによってディバインシューターとラウンドシールドはレインジングハート装備時と遜色ない速さで魔法を展開できるのだが、
反面莫大な魔力を消費する。なのはにとって初歩的な魔法であるこの二つですら桁外れの魔力を消費してしまうのだ。
そして神剣魔法とミッド式魔法の接続のために常時魔力許容量を占有しているためさらに消費魔力に負荷がかかってしまっていた。
☆
「勝てない……私じゃ勝てない……」
圧倒的な力の差。
付け焼き刃の力では目の前の魔術師に勝てるわけがない。
だから諦める?
運命に翻弄されて惨めに死ぬ?
「そんなことできるもんか……私は運命なんかに負けるものかぁぁ!」
存在を握り締め強大な敵を見つめるゆたか。
「オプーナ! まだ私の中にいるんでしょ! だったら力を貸してよぉぉぉぉ!!!」
返事は無い、しかし返事の代わりに頭上のエナジーボンボンが激しく光を放ちだした。
『ゆーちゃんの様子が……!』
ゆたかの周囲に膨大な魔力が渦巻き一点に収束を始めてゆく。
『うそ……存在でオーラフォトンビームを撃つなんて……何なのゆーちゃんの力……』
臨界点を迎えた存在が白色に輝き出す。
ゆたかは存在を一気になのはに向けて振り下ろした。
「いっけぇぇぇぇぇ!!! オーラフォトンビィィィィィム!!!」
「ラウンドシールド!!」
凄まじい光の奔流がなのはを包み込む。
例え初歩的な魔法とはいえなのはにとっては鉄壁の魔力障壁。
そして激しい爆発が巻き起こり、もうもうと土煙が舞い上がっていた。
「これなら……あの人だって―――ッ?!」
土煙が徐々に晴れ渡る。
そして現れる人影。
「そ、んな……」
あの光の奔流で中を物とせずになのはが立っていた。
ところどころメイド服が焼け焦げてはいるが外傷はほとんど無かった。
「防御の厚さには自信があるんだよ、そして魔力の収束も私の方が一日の長がある!」
なのは周囲にも魔力の奔流が渦巻き収束してゆく。
ゆたかの放ったオーラフォトンビームに勝るとも劣らない魔力の高まり。
「これで話を聞いてもらうから……! オーラフォトンレイィィッ!!!」
膨大の魔力の津波がゆたかを飲み込もうと迫り来る。
回避なんてできない。防御なんて全くの無駄。
ゆたかは思わず目を瞑っていた。
しかし……
いつまでたっても砲撃はゆたかに届かない。
恐る恐る目を開けたゆたかに映るのは……
「そんな……どうして」
/ , ', 、 \
/ / / ', ', ヽ ヽ ヽ
/ / i.l / l .| .l l ', ',. ',
ノ / / l.l { ィ | l } l l ',
ー=-イ / / i ', .∧ l ! ! ハ ハ ,' ! l ヽ、_
{ i l l l ト、 l l | ', ハ / .l / l / / j ,ゝ´
l l l l ハ | ヽ! ヾ ヽ./ |:/ |' _j/l / /./
} .ハ ,l ヽ |ヘlニ;--,.._ ' ` 、',.-;‐;二__ l / /./
ノ'" l.ヘ. ト、! '弋赱!~ , ' 'T心!_ イ j l′
|rヘ lヽ ´ ` l / ノ ま、こんなところでゆーちゃんを
ヽヘ l i l /'´ 、死なすことなんてできないからな。
`l | ',、j | j /
jハ. ヘ ヽ! /! /ヽ
!ヘ ハ、 ,__,...、 /|/` ‐ヽ
i!ヘl\ ゝ-‐ニ‐-' ,. イ从'
, ィ' ヽ \ / ノ ヽ、
/ / `ヽ ヽ- '´ r' ', ヽ
/ l /iーヘ rニ' ヘ l ゙ヽ
, -イ l /`ヽOヘ / /-''ヘ. l ヽ‐、
_.. - ´ / { ,.ヘ、_>'^''< _..−ヘ. l ', ` ‐、
_.. − ´ / , -i!/ ヽ ', / ヽ |\ ヽ ` ‐ 、
, -''''´ / / l ` ゝ− / _ -' `! \ \ `ヽ
半壊し、ボロボロのガイバーユニットを装着したキョンがなのはの砲撃を受け止めていた。
「なんであなたが……」
「俺は全ての妹の味方さ、さ、早く逃げろ。ぶっちゃけもう限界」
「キョンさんは……」
「あ、俺? 所詮ガイバーユニットに残る残留思念みたいなもんだ。早く逃げな。生きてりゃ反撃の機会なんていくらでもあるぞ」
「………」
ゆたかは無言で頷くと脱兎のごとくその場から走り去った。
「妹バンザーーーーーーーーーーーイィィィィィ!!!」
光がキョンを包み込む。
全て巻き込み浄化する光。
それが収まった時にはキョンもガイバーユニットも跡形もなく消滅していた。
「キョンさん……」
最後まで妹萌えを貫き通したキョン。
一度ならず二度までもあの男に助けられた。
素直に喜ばしい反面、あんな変態に助けられたことが少し悔しかった。
しかし、ゆたかは安堵の声を漏らしていた。
また一つ、運命に抗えた。
それだけで十分だった。
でも今回の出来事はゆたかにとって大切なものを気づかせてくれた。
上には上がいる。
あのメイド魔術師の力量は自分を遥かに超えていた。
きっとこの島にあんな存在が一杯いるに違いない。
だから力が欲しい。
運命も何かもを薙ぎ払える力を―――
【D-5/1日目-昼】
【小早川ゆたか@らき☆すた(原作)】
[状態]:冷静ではなく超冷静、妹萌力覚醒、身体能力劇的向上、疲労(大)
[装備]:永遠神剣第七位『存在』@書き手ロワ2nd
[持物]:デイパック、支給品一式
[方針/行動]
基本方針:運命を抹殺する
0:運命に関わる者、その全てを殺す
1:もっと力が欲しい
※運命が何なのかは自分でも分かっていません
※記憶の混乱は止まりました。
※エナジーボンボンと0号ガイバーユニットは、カレーに溶けてゆたかの体内に吸収され、更にでっていうの一部も吸収されました。
※ガイバーユニットとキョンの残留思念は完全に消滅しました。
※魔と化したカレーの影響により彼女の精神変化が稀に起こるようですが、エナジーボンボンが半分程度溶けているため、オプーナーの影響は薄まりました。
※思考の節々にでっていうやオプーナーの影響が見られます
☆
南の方角から眩しい光と爆発音が二度私の耳に聞こえてきた。
きっとゆーちゃんとなのはの戦いに決着が付いたんだろう。
私の目の前に6/さんが横たわっていた。
素人が見ても酷い傷だと分かる。
誰が見ても彼が命がもう持たないことは明白だった。
かがみと圭一君は必死で泣くことを堪えている。
私は呆然とその光景を見つめていた。
どうしてゆーちゃんが?
どうして6/さんを?
考えても考えても答えは出なくて、
考えることが馬鹿馬鹿しくなってくる。
ここでゆーちゃんは私達の『敵』だと割り切れたらどれだけ楽だろうか。
「みんな……! 無事なの……!」
息を切らせながらなのはが帰ってきた。
無事のようで良かったけど、彼女のそばにゆーちゃんはいなかった。
「ごめん……ゆたかちゃんはどこかに行ってしまって……」
「ああ、そう……」
そっけなく答える私だった。
「泉……腕はどう……いや腕が無いのにどうと聞くのも変な話なんだけど……」
「さっき輸血用血液パックを飲んだから痛みはもう治まってるよ、腕無くなってもピンピンしてるなんてたいした化物だね」
圭一君の問いに私は自嘲めいた笑みを浮かべていた。
「泉……」
6/さんの意識はまだ戻らない。
圭一君の持っているメイド服を破いて包帯かわりにしてもすぐに血でぐしょぐしょになってしまう。
吸血鬼の大好きな血がたくさんあるのに全く飲もうなんて気は起きなかった。
344 :
代理投下:2009/04/19(日) 00:17:45 ID:WMkFUTld
「みん、な……そこ、いるのか……」
「6/さん!」
私は目を覚ました6/さんに駆け寄る。
彼の目はもうどこも見ていなかった。
力なく伸ばされた手が私の左腕があった空間をよこぎる。
「すまん……もう……目がほとんど、見えないんだ……」
「私はここにいるよ……」
私は右手で彼の手を取る。
ゆっくりと体温が無くなっていくのが肌で感じていく。
ああ……本当に彼は死ぬんだ。
目の前で人が死んでいく光景にただただ困惑するだけだった。
「爆弾、さん……」
『何かな……』
「後を……頼む」
『こんな身体で何が出来るかわかんないけどね』
「こな……た」
急速に熱を失う6/さんの身体。
「お、前には、仲間がいる……かがみが圭一がなのはが爆弾さんがいる……一人で悩みを抱え込むなよ……」
「うん……」
みんな涙を浮かべて6/さんを見つめる。
かがみも、
なのはも、
圭一君も、
私だけが涙を流せないで彼を見つめていた。
「眠い……少し……寝るよ」
「おやすみ、6/さん……」
345 :
代理投下:2009/04/19(日) 00:19:57 ID:WMkFUTld
252 :涙の誓い(後編) ◆DiyZPZG5M6:2009/04/18(土) 09:01:50 ID:l.n7vCbg0
その言葉を最期に目を閉じる6/さん。
私の手からだらりと腕が垂れ下がり彼は静かに息を引き取った。
私は泣くことも出来ずに彼の安らかな顔を見つめ続けていた。
【6/氏@カオスロワ 死亡】
【D-5/北部/1日目-昼】
【泉こなた@らき☆すた】
[状態]:吸血鬼、精神疲労(大) 左腕切断
[装備]:エンフィールドNo.2@アニ2(6/6+予備弾24発)、団長腕章@ニコロワ、陵桜学園夏服@らき☆すた
[持物]:デイパック、支給品一式、地球破壊爆弾の血、血液パック(数個)
:魔法『フレイム・ボール』inエニグマの紙@漫画ロワ 日焼け止めクリーム@現実
[方針/行動]
基本方針:かがみ達仲間と行動する。
0:6/さん……
1:ゆーちゃん……どうして……
[備考]
※登場時期は3年生になってから卒業するまでのうちのどこかです。
※地球破壊爆弾No.V-7の話を聞いて、参加者がフィクションを含む多数の世界から集められたものと知りました。
※6/の話を聞いて、フィクションが現実に存在する可能性も知りました。
【地球破壊爆弾No.V-7@書き手2(支給品状態)】
[方針/行動]
基本方針:『らき☆すた計画』を成功させる。
1.…………
2.こなたや自分の知り合いを見つけ出しパーティに加える。
3.かがみやゆーちゃん。そしてウッカリデスと奈緒のことが気がかり。
4.さて、ロリスキーに会ったらなんと説明したものか……。
5:”涼宮ハルヒ”に会えるのが楽しみ♪
6:真・長門有希とのやりとりは秘密にしておく。
[備考]
※登場時期は「238:trigger」の冒頭辺り。ウッカリデスが死亡するより前です。
※嫁はロリスキー一筋です。
※『らき☆すた計画』が何かは現在全くもって不明です。
深遠なる野望があるのかもしれませんが、ただらき☆すたキャラと親睦を深めたいだけかもしれません。
※ただの血液状態になったので喋ること以外はほとんど何もできません。
346 :
代理投下:2009/04/19(日) 00:21:41 ID:WMkFUTld
253 :涙の誓い(後編) ◆DiyZPZG5M6:2009/04/18(土) 09:02:58 ID:l.n7vCbg0
【柊かがみ@らき☆すた(原作)】
[状態]:健康、覚悟完了
[装備]:メイド服、モーゼルC96(9/10発)@現実
[持物]:デイパック、支給品一式、モーゼルC96のマガジン×4@現実
[方針/行動]
基本方針:友達や知り合いを殺し合いから守る。
0:こなた……
1:圭一、なのはと一緒にヒナギクを埋葬しに行く。
2:なのはや圭一と協力して、絶対に悲劇を繰り返さないようにする。
3:泣いたり悲鳴を上げるのは全てが終わってから。
[備考]
※参戦時期は一年生組と面識がある時期です。
※この殺し合いに対する覚悟を固めました。
【高町なのは(StS)@なのはロワ】
[状態]:疲労(大)、魔力消費(極大)、左肩負傷(止血済)
[装備]:メイド服、永遠神剣第五位『誓い』@書き手ロワ2nd、マテバ 6 Unica(6/6発)@現実
[持物]:デイパック、支給品一式、マテバ 6 Unicaの弾×30@現実、カートリッジ×3@なのはロワ、チョココロネ×8@らき☆すた
[方針/行動]
基本方針:悲劇の連鎖を止め、一人でも多くの人間を救う。
0:ゆたかちゃんを連れ戻せなかった……
1:圭一、かがみと一緒にヒナギクを埋葬しに行く
2:かがみや圭一と協力して、絶対に悲劇を繰り返さないようにする。
[備考]
※参戦時期はなのはロワ26話、『残る命、散った命』の直後です。
※何らかの原因により魔力が減衰しており、また能力に制限がかけられていると気付きました。
※八神はやてが、前の殺し合いで死亡したと知らされました。
また、彼女を自分の知るはやて(StS)だと思っています。
※『誓い』の応用により初歩的なミッド式魔法をデバイス所持時と同じように発動できますが魔力を大幅に消費します。
【前原圭一@やる夫ロワ】
[状態]:健康、メイド萌え。疲労(小)
[装備]:メイド服
[持物]:デイパック、基本支給品一式、大量のメイド服
[方針/行動]
基本方針:殺し合いからの脱出。女の子にメイド服を着せたい
0:畜生……ッ!
1:ヒナギクを埋葬しに行く。
2:可愛い女の子にメイド服を着せまくる。
3:阿部さんに対し警戒。
347 :
代理投下:2009/04/19(日) 00:22:43 ID:WMkFUTld
254 :涙の誓い(後編) ◆DiyZPZG5M6:2009/04/18(土) 09:03:59 ID:l.n7vCbg0
【永遠神剣第七位『存在』@書き手ロワ2nd】
結@スパロワに支給。
しかしすぐに落としてしまい、その後は予約被りに定評のあるtu4氏@ギャルゲロワの手に渡る。
【永遠神剣第五位『誓い』@書き手ロワ2nd】
無明幻妖side.@アニロワに支給された。
【永遠神剣】
元々はギャルゲロワ登場作品『永遠のアセリア』内に登場する武器の名称。
神剣魔法というものを扱えるようになる。
ちなみにこの武器、下位の神剣でも身体能力強化、バリア形成、ビーム発射を可能とする
あまりにも汎用性の高いチート武器である
【オーラフォトンビーム】
魔力を収束させて撃ち出し高い攻撃力を誇る。
【オーラフォトンレイ】
こちらは誓いver.名前が違うだけで効果はほとんど同じ。
代理投下完了。
YOUちゃんの決意は歪んだ方向へ行ったみたいだな。
恋愛フラグ立てた途端に逝くなんて嘘だろ6/・・・・・・
なのはさんと圭一はネタ抜けば本当に頼れるな。 GJ!
このメンバーは正統派対主催チームみたいでいいなぁ…
全員いい人ばっかで、こういうチームを一番応援したくなるな。
そして合流してフラグ立てた瞬間6/が死ぬとは…やはりロワは無常なものだよ。
一方のマーダーyouちゃんも頑張ってほしいところはある。
あれ…?キョンがかっこいいんだが……自重知らずだったキョンだったが、終わりの時が来たのかもしれないなぁ…
鬱と熱血が混じったいい話だと思いました。
投下乙!
350 :
創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 02:20:50 ID:+4Dw3CtM
投下乙
確かに正統派対主催だな。このチームは
やっぱりyouちゃんと1緒に予約された時は誰か死ぬかもと思ったがこんな理由で殺すとは
youちゃんはマーダーとして生きるしか道がないのか?
しかしキョンは変態ながらかっこいい……でもゆーちゃんがyouちゃんになったのはお前が原因なんだがな!
とにかくメリハリ効いたいい話でGJです!
お待たせして申し訳ございません
今より投下いたします
「この2人どうしよう?ボロボロだよ!」
「アル君落ち着いて!どっか安静にできる場所へ…」
「にしても酷い怪我だな。これは急がないと危険ではないのか」
「とりあえずお爺さんはボールに戻っててください……」
「心得た」
港が廃墟と化すほどの激戦の跡地でスバルとアルフォンス…と港爆☆殺の原因をつくった爺さんが、
ボロボロになって倒れているシグナムとアナゴを介抱しようとしていた。
見たところ余程の大激戦を繰り広げていたのか身体や服も傷だらけだ。
シグナムに至っては『何故か』獣の耳と尻尾という余計なものまでついている始末。
それを見てスバルはさらに頭を混乱させる。そしてお爺さんこと東方不敗マスターアジアが存在し話しかけてくるだけで余計ややこしくなってきたので不敗をボールに戻すことにした。
不敗を黙らせ、シグナムに余計なものまで生えていることをとりあえずスルーし、スバルはどうすべきか考える。
「とりあえず病院へ行こう!そこになら治療道具だってあるはず……」
「う…うん、そうだね!じゃあ僕が二人を抱えるよ!」
方針を決めたスバル。
彼女にとって病院は過去のバトルロワイヤルで殺人鬼がいると思しき危険地帯であったが怪我人を介抱する以上はせめて治療器具くらいは手に入れたいものである。
最も、デュエルアカデミアのように病院でなくとも保健室のような部屋のある施設があればいいのだが、動けない怪我人が2人いる上に、いつ襲われてもおかしくない状況なのであたら贅沢は言えないだろう。
そしてアルフォンスは倒れているシグナムとアナゴを抱えようとした時…
『おまえら人間じゃねぇ!』
『あぁん?あんかけチャーハン?』
『おいこら、お前らか、私の服を剥ぎ取っt
『やべっ!間違えた!』
『誰だよニコ動見ているやつは!』
『つか参加者の映像●RECしてんじゃねぇロリペド野郎がっ!!』
「…………」
2人が見たものをありのまま話そう。
『空に巨大なスクリーンが現れたと思ったらわけの分からない映像が流れた。』
放送事故だとか(ry
スバルとアルフォンスは理解しかねる映像を呆然としながら見ていた。
『いきなりの放送事故失礼したね。 では早速だが第一回定時放送を始めよう・・・・・・おい』
突如画面は砂嵐状態になり、次に映ったのはこの殺し合いを開催したピエロの男。
上の空になっていた2人は我に帰る。
そう、バトルロワイヤルではもはや定番の提示放送がたった今始まったのであった――
◇
前略ニーサン……アルフォンス・エルリックです。
突然2度目の殺し合いに呼ばれてしまいましたが僕は元気です。
開始早々変な怪獣に襲われ前途多難でしたが、前の殺し合いの時に一緒だったスバルと出会うことができたのはニーサンと違って日頃の行いがいいからでしょうか。
そしてその怪獣を何とかやっつけることができ、襲われていた男の人と女の人を助けることができました。
そういえば僕はその『前の殺し合い』の途中でこちらに攫われてしまったわけですが、ヒューズさんが心配です。
何しろスバルがここにいるし、そして名簿を見る限りこなたまでこっちに来ているようです。いきなり僕たちが姿を消してヒューズさんは慌てているんじゃないでしょうか。
そして兄さんはどうしているでしょうか。兄さんのことだからきっと殺し合いに乗った人たちを千切っては投げ千切っては投げているんでしょうね。
とりあえず、一刻もはやくスバルやこなたと一緒にそちらに戻りますから待っててくださいね。
先ほど、僕らを2度目の殺し合いに巻き込んだ張本人だと思われるピエロの人の放送がありました。
放送と言えば、僕の前の殺し合いの最後の記憶は放送時間直前の話でしたね。
そちらが何人尊い命を散らしてしまっているのか気になるところでありますが、今はこちらのことを気にするべきでしょうね。
知り合いの無事を祈りながら聞く人もいれば、自分のスコアに愉悦に思っている人もいるんじゃないでしょうか。
もちろん自分は前者で、特にこなたが無事かどうかが気掛かりでした。
危うく発表される禁止エリアの聞き逃しかけたほどです。仲間の無事に気を取られてもう一つの重要なことを放っといてしまうのはいけませんよね。
どうやら追加された禁止エリアは現在僕らがいる地点からは結構離れているところです。
僕らが行こうとしてる病院も無事みたいなので僕らの行動に支障が無いようで安心しました。
禁止エリアに指定されたところにいる人ははやくそこから離れてくださいね、無事を祈ります。
禁止エリアの後は死者の発表がありました。
幸いこなたや僕の知り合い…といってもここに呼ばれているのは僕と目の前にいるスバルだけですけどが、死んでいないようです。
どうやらスバルの知り合いも無事なようで、僕はホッとして胸を撫で下ろしました。
ですがスバルの表情は暗いです。一体どうしたんでしょうか…
「スバル、どうしたの?暗い顔してるけど…知り合いは死んでないんでしょ?」
僕はスバルに聞いてみました。スバルは暗い表情のまま下を向いていた顔を僕に向け――
「うんなのはさん達は簡単に死ぬような人じゃないと信じているし…私だってこなたが無事なことは嬉しいよ。
でも――10人も死んだんだよね…。私、素直に喜べなくて…」
そうか…確かに10人の命が亡くなったことは少し悲しいよね。
「…私ね。憧れてる人がいるんだ」
そう言ってスバルは名簿に書いてある名前を指差した。
『高町なのは』と書いてある。う〜ん…前の殺し合いにはこんな人はいなかったなぁ…
そしたらスバルはその高町なのはさんって人のことを話し始めたんだ。
昔その人に助けられたこと、自分はそれがきっかけで災害から多くの人を守るため…そんな魔導師を目差していること。
ちなみにスバルの職業だと思われる魔導師というのは俗にいう軍人みたいなものだってヒューズさんから聞いた。
話によれば魔法という錬金術よりずっとありえないものまであるみたい。いやありえないことはありえないよね。
「魔導師って言ったって…10人の人の命を助けられず、死なせてしまったなんて……
所詮デバイスのない私なんてただのサイボ……女の子―――」
「そんなことないよ。スバルは頑張ってるよ。
僕は見ていることしかできなかったけどスバルはあの怪獣の魔の手からそこのシグナムさんて人と男の人を助けることができたじゃないか。
確かに10人も死んでしまったのは悲しいかもしれないけどさ、今はそれで落ち込むより僕たちができることをやるべきだよ。
だから今はあの2人介抱することだけを考えよう」
落ち込んでいるスバルのことが見ていられなくて僕はスバルにそう言った。一応最後に使い古された言葉かもしれないかもけどさと付け加える。
問題のすり替えといわれると確かにそうかもしれない。
でも僕は思うんだ。きっと暗闇の中にいても、僅かな希望さえあれば意志さえあればきっといつか脱出へとたどり着くかもしれないと信じて。
「アル君…ありがとう」
スバルはしばらく下を向いて沈黙していたけれど
僕の言葉がスバルの心に響いてくれたのか顔を上げて僕にお礼を言ってくれた。
お礼を言われるほどじゃないさ。
「じゃあこんなとこで落ち込んでいるわけにはいかないよね。はやく病院へ向かおう」
「うん、じゃあ僕はあの2人を抱えるから―――」
僕とスバルは立ち上がった。
とりあえず僕は倒れている2人を抱えることにする。
こういう荷物運びは疲れることがない僕のほうが適任だからね。
そして僕が2人を抱えようと倒れている2人のほうへ向かおうとした矢先―――
「ぶるあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
あぁぁーっ、テステス!本日は晴天なり本日は晴天なり!!」
突然辺りに響き渡る咆哮に僕とスバルは大声が聞こえてきた方向へと振り返る。
するとそこにはさっきまで倒れていたはずのタラコ唇の男の人が立っていた。
正気なのかどうか分からないけれど、とりあえず無事でよかった。
何故か怪我の回復が早い気がするけど…
「おぉい!そこの鎧に女人!」
「「はいぃぃっ!?」」
余りの迫力に僕らはつい怯みながら返事をしてしまう。
「さっきまでここにいた恐竜を知らねぇぇかぁ!?」
「え…あぁ……」
「さっさと答えろ!!!!」
「あ…安心してくださいっ!あの恐竜は私たちがやっつけました!!
もう心配はありませんよ!!」
目の前の男の人の異常なほどの威圧感に僕はただ口篭ることができなかったが、
スバルは笑顔で男の人の問い……に答えた。何だか顔が引き攣ってるけれども。
「そうかぁ…なるほどなるほど…」
「「え?」」
「お前らだったのかぁ………」
◇
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!
アルたちの目の前の男、アナゴの口調が静かになると同時にこの場の空気が変わった。
男から放たれる覇気、怒り、殺意が2人に突き刺さる。
アルとスバルはただその場で固まっていることしかできず、スバルに至っては顔中に冷や汗を流している。
その時すでに2人は悟ってしまった。
目の前の存在とのいろいろな意味での次元の違い、底の知れなさ…
人の形をしているのだが人と同じなのかどうかすら怪しいものだ。
「お前らが俺を不意討ちして戦いを邪魔してきたんだなぁぁ〜〜〜〜?」
「いいえ僕たちは…」
「言 い 訳 な ん ぞ し て ん じ ゃ ね ぇ ! ! ! ! !」
2人は男の人とシグナムが恐竜に食べられかけていたところを助けただけと言おうとしたが
アナゴの一喝により遮られてしまい、その咆哮に気圧され2人は怯む。
「生憎今日の俺は紳士的じゃないぜぇ………」
そう言うと男の人はどこからか大斧を取り出した。
正確には取り出したと言うのではなく、前の殺し合いの時にアナゴに集結した若本の魂に縁のある武器が投影されたのだ。
アナゴが投影したのは若本の1人バルバトス・ゲーティアの大斧である。
アナゴは片手で大斧をぐるんぐるんと回しながら処刑人のように一歩ずつ2人へと近づいていく。
そしてひとたび斧を振り回せば確実に2人は真っ二つにされるくらいの距離に近づくとアナゴは足を止める。
彼は今まで自分の戦いを邪魔したのであろう2人を睨みつけていたが、ふと何かを感じ取ったのか急に明後日の方向を睨みつけた。
「………………クックックックッ…クカッ…クカカカカカッ……
ゲェハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」
アナゴはその顔に凶悪な笑みを貼り付け大声で笑い始めた。
気が済むまで笑った後は再び視線を固まっているアルフォンスとスバルに向け意外な一言―――
「見逃してやる」
「…え?今なんて…」
「見逃してやるよ。はやくそこで倒れている狸女を連れてどっか行け…
漢と漢の戦いに巻き込まれたくなけりゃあなぁ!!!」
◇
「…危なかったね」
「うん、何だったんだろ…あの人」
アルフォンスとスバルは走っていた。
アナゴに気圧されてロクに身体を動かすことままならず、アナゴによってもたらされる死を待つのみだった二人にアナゴが言った「見逃してやる」という言葉。
彼の突飛な発言に戸惑いつつもアルフォンスはシグナムを背負いスバルとともに病院方向へ逃走していたのだった。
後を振り返るが、どうやら追いかけてくる様子はなさそうだ。
アルフォンスとスバルはいろいろと釈然としない思いを抱えていたが、結果的に助かったのだからこれに越したことはないと考える。
それに今は気絶しているシグナムを病院へ担ぎ込み休ませるのが先決である。
自分達が来る前にあのサラリーマンと恐竜とシグナムは何をしていたのか?あのサラリーマンの男は殺し合いに乗っているのか?
そんな疑問を跳ね除けながらアルフォンスとスバルは病院に向かって走っていく。
余談ではあるが、アルフォンスは他に疑問を抱えていた。
アルフォンスにとってスバルは前の殺し合いで一緒に行動していた仲間である。
開始早々遭遇できたのはいいが…
(そういえば僕を見たとき驚いていたけどどうしたのかな?
前にもう会ってるんだし……そんなに驚かなくたっていいじゃないか…)
答えは簡単。
今回の殺し合いに呼ばれたスバルはアルフォンスとは違う世界で殺し合いをしていたスバルなのだ。
いわゆるパラレルワールドというもの。
当のアルフォンスはその答えに行き着かない。前の殺し合いでは平行世界説に感づき始めていたのに何故?(こなたの助言のおかげだが)
それはきっと2人が泉こなたと知り合いだったがためだろう。
一方スバルは元々の世界観が世界観ということで早めに平行世界説に気付いているのだが、
それを彼に伝えることを本人は忘れているのか、状況が状況だから伝えられないのかは定かではない。
【B-7/1日目-朝】
【スバル・ナカジマ@なのはロワ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[持物]:基本支給品一式、マスターボール(東方不敗)@カオスロワ、 不明支給品1〜2(少なくともみためで武器と判断できないもの)
[方針/行動]
基本方針:殺し合いを止める。出来るだけ人は殺さない。
1:シグナムを病院に連れて行き、休ませる
2:泉こなたを探し出し保護する
3:アルにパラレルワールドを説明するのは後(忘れている可能性もあります)
4:前の殺し合いのルルーシュとレイが心配
5:あのサラリーマン(アナゴ)の人は…どうしよう
[備考]
※なのはロワ 070話「誰かのために生きて、この一瞬が全てでいいでしょう」より参加。
※シグナムの参戦時期が11年前であることを知りません
【アルフォンス・エルリック@アニメキャラ・バトルロワイアル2nd (アニ2)】
[状態]:鎧胸部に貫通傷、困惑気味、シグナムを背負っている
[装備]:チョーク(1ダース)
[持物]:デイパック、基本支給品一式、対弾・対刃メイド服@やる夫ロワ、こなた×かがみのエロ同人誌@オールロワ
[方針/行動]
基本方針:事態の把握に努める
1:シグナムを介抱する
2:こなたを探す
3:とりあえずスバルについていく
4:スバルに対し少し違和感が…まあいいか
[備考]
※アニロワ2nd 091話「ひとつ屋根の下」より参加。
※二人ともでっていうは恐らくは死んだと思っています。
『とりあえず難は逃れたか…』
シグナムと合身している身であるラスカルはホッとする。
本当なら気絶している隙に始末するのがベストだったのだが、
この2人と主であるシグナムが無事なのでまあまあ結果オーライというところだろうか。
シグナムは気絶しているもののしばらく休憩すれば後は軽い処置さえ施せば助かるレベルのものだ。
会話からして彼らは病院に行くつもりらしい。
しばらくはこの2人に自分達を任せても大丈夫だろう
だが予想外だったことがある。
サラリーマン姿の男の回復が意外にはやかったということ。
それと…
『シグの字が放送を聞き逃しちまったことか…放送でシグの字が探していると言った『セフィロス』って奴が呼ばれたが、お前はどうする?
やる夫の奴も無事なんだろうな?ちっ……問題が山積みすぎるぜ…』
【シグナム@なのはロワ】
[状態]:疲労(大)、ダメージ(大)、ラスカルと合体中、アライグマの耳と爪と尻尾つき
[装備]:ラスカル@やる夫ロワ(合体中)
[持物]:支給品一式(食料少し減)、不明支給品0〜2(確認済み・少なくとも刀剣類はない)
[方針/行動]
基本方針:はやて(@なのはロワ)についての判断がつくまで態度保留。ただし降りかかる火の粉は払う。
1:(気絶中)
2:セフィロスと接触し、はやて(@なのはロワ)のその後の安否情報を確認する。
3:柊かがみに激しい警戒。
4:できればラスカルを主(やる夫)の所に届けてやりたい。
※第一放送を聞き逃しました
感じる!!
感じるぞ
闘気の道標
わざと発しそして消す
同類にのみわかる程度に
香るように
仲間だお前は……
俺と同じ
バ ト ル マ ニ ア
戦 闘 狂
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄○ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
。O
/ ̄⌒⌒ヽ
| / ̄ ̄ ̄ヽ
| | / \|
.| | ´ ` |
(6 つ /
.| / /⌒⌒ヽ
| \  ̄ ノ
| / ̄
カオスロワの戦士アナゴ。
千年リングの闇の意思と若本の意志がブレンドしてただ闘争の中で生きることを望むバーサーカーと化したアナゴは待つ。
自分が察知した彼方からやってくる強者がやってくるのをただひたすら待つ。
そしてやってきた―――
狂戦士アナゴの周囲に吹き荒れる一陣の風。
吹き荒れる風に臆することなく、吹き飛ばされることなくアナゴは立つ。
その顔に笑みを浮かべてただ吹き荒れる竜巻を眺めている。
荒れ狂う風が病んだと同時にアナゴが待ち望んだ漢が姿を表す。
それはまさに衝撃的な男…衝撃のアルベルトだった!
◇
アルベルトは目の前の男アナゴを睨みつける。
一見スーツ姿のどこにでもいるようなサラリーマンだ。
だがそれは溢れんばかりの戦意とボロボロのスーツから見える屈強な肉体がなければの話。
付け加えれば特長的なタラコ唇。
それだけでアルベルトはわかった、この男――――強い!!!
一方のアナゴも目の前の男衝撃のアルベルトを睨みつける。
一見そこらへんにいる会社員のようなクラシックスーツを纏ったその姿。
だが右目に付いている変わった眼帯……そしてそこらへんにいるような男たちとは何ランクか上の雰囲気…
そしてアナゴは見逃さなかった。スーツの下に隠れている屈強な肉体を。
付け加えれば特長的なハート型の髪型。
それだけでアナゴはわかった、この男――――強い!!!
アナゴとアルベルトは互いに睨みあう。
張り詰めた空気がこの場を支配し、常人は2人の間に割って入ることはできない。
否。許されないのだ。
361 :
代理投下:2009/04/19(日) 22:22:52 ID:+S7VE21F
93 :MURDER×MURDER ◆OGtDqHizUM:2009/04/19(日) 21:22:14 ID:ClanavcY0
そんな空気の中衝撃のアルベルトが口を開く。
「そこの男、貴様は何者だ?いや、貴様の正体などどうでもいい…
貴様はこの殺し合いとやらに乗っているのかね?」
静かで威圧感の篭った声をアナゴに叩き付ける。
これは確認でしかない。前の殺し合いの時にマスターアジアに対してしたように。
それに対し、アナゴはニヤリと口元に笑みを浮かべた。
「クカカッ…ボケてんじゃねぇのかオッサン」
アナゴは挑発した。何故ならさっきのアルベルトの質問はただの確認だと見破ったからだ。
それにこうして互いに殺気むき出しで対面している以上…
殺し合いに乗っているのか、乗っていないのか?
お前は『やる気』なのかそうじゃないのか?
何を今更?
俺たちに語る言葉など知らぬ!言わぬ!
目の前の相手は話し相手か?違う!
「語るに及ばず!!!」
アナゴは獰猛な肉食獣のような顔でそうとだけ言った。
その言葉にアルベルトはさらに笑みを浮かべる。
「そうか、これは失礼した」
そう言ってアルベルトは両手を赤く発光させる。
それを見てアナゴは全身から溢れんばかりの闘気を発する。
これから2人の間に何が起こるのかは説明するまでもない。
―――もう言葉なんてものはこの2人には要らないのだから。
◇
362 :
代理投下:2009/04/19(日) 22:25:06 ID:+S7VE21F
94 :MURDER×MURDER ◆OGtDqHizUM:2009/04/19(日) 21:23:38 ID:ClanavcY0
最初に動いたのはアナゴだった。
大量のバヨネットを投影する。
投影したバヨネットは『天使の塵』や『神父』などの数々の異名を持つ対化物狩り専門の若本、アレクサンド・アンデルセンの愛武器だ。
「シィィィィィィィィィィィ!!!」
そして両手に持つ大量のバヨネットをアルベルトを狙い放つ。
寸分狂わず、アルベルト向かって矢の様に飛んでくる銃剣の嵐。
アルベルトは驚愕の表情を浮かべたが、すぐにそれは笑みへと変わった。
飛んでくるバヨネットに対し避ける動作をせず、両拳を発光させ前へと突き出す。
(どこから取り出したのかは知らんが――――)
「ぬぅぅぅん!!」
衝撃のアルベルト――彼を象徴する両の掌から放たれる赤い衝撃波は迫りくるバヨネットを全て吹き飛ばした。
そして衝撃波はバヨネットを吹き飛ばすのみならず、そのエネルギーの奔流は目の前の対峙する人物へと一直線に向かっていった。
今度はアナゴの顔に驚愕の色が浮かんでいた。
「何ィィ!?」
辛うじてアナゴは身を回転させて迫り来る衝撃波を回避する。
そして宙に浮かぶ自分の態勢を立て直し、反撃に移ろうとするが―――
「逃がさんよ」
アルベルトはアナゴに対し掌を向ける。
そして掌から衝撃波が次々とアナゴに向かって放たれる。
「ちぃっ!」
驚愕しつつも常人の域ではない動きで衝撃波を回避していくアナゴ。
だが反撃の暇は嵐のような衝撃彼が許さずそれにより地面に着弾しほんの小さなクレーターが増えるだけ。
この戦いでアナゴは追われるものとなっていた。
ボーイ
「そっちからふっかけておいて逃げ腰というのは感心せんな。若造」
「ちくしょう……ちくしょおぉぉぉぉぉぉぉぉう!!」
―――やられた。
アナゴはそう思った。
最初にバヨネットを放ちそれを相手が回避したところで追撃するというのがアナゴの戦略だった。
彼は追うものとなっていたはずだったのだ。
だが実際は予想外の反撃により逆に追われるものとなっている始末。
アルベルトの挑発もあり、彼は自分の顔に悔しさを浮かべると同時に……
―――いや、それくらいやってもらわないと困る。
目の前の男の強さに内心歓喜していた。
俺を驚かせてほしい悔しがらせてほしいそして喜ばせてほしい。
あの狸女のように
あの化物のように
363 :
代理投下:2009/04/19(日) 22:26:32 ID:+S7VE21F
95 :MURDER×MURDER ◆OGtDqHizUM:2009/04/19(日) 21:24:26 ID:ClanavcY0
だがそうしているうちに衝撃波により地面が破壊される音はアナゴへと近づいていく。
そして止めを刺すようにアルベルトは先程より大きい衝撃波を放つ。
しかし衝撃波が当たる瞬間、アナゴの姿は消えていた。
だが、うろたえないッ!衝撃のアルベルトはうろたえないッ!
何故なら先ほどの戦闘は彼にとってデジャヴだった。
まるで前の殺し合いの時のマスターアジア戦とそっくりだ。
それを目で捉えることはできなかったが当たる瞬間に地面を蹴って空高く飛んでいるのだろう。
そう思って彼は上を見る。
彼の視界には月光に照らされたアナゴの姿が―――――なかった。
そしてアルベルトは自分の背後から殺気を感じ振り向く。
そこには――――
/ ̄⌒⌒ヽ
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364 :
代理投下:2009/04/19(日) 22:31:28 ID:+S7VE21F
96 :MURDER×MURDER ◆OGtDqHizUM:2009/04/19(日) 21:25:17 ID:ClanavcY0
「何だとっ!!?」
いつもまにやら己の背後へ瞬間移動していたアナゴの姿があった。
多少姿形が変わっているのだが、そこに突っ込んだり気にする余裕はアルベルトにはなかった。
それに……知らないうちにきっと元の姿に戻っているので書き手である私は当然のこと、この話を読んでいる読み手の人たちもどうか気にしないでもらいたい。
シャ
「殺ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」
アナゴは驚いているアルベルトに拳を叩き込む。
辛うじて反応できたアルベルトは腕で迫りくる拳をガードする。
「………!!」
その瞬間拳を受け止めた彼の腕にとてもつない振動が走る。
(この男…パワーはわしより上かっ…!)
ならば手数で攻めるまで。
と、アルベルトは受け止めていた拳を払い今度は彼が攻勢に移る。
かつてマスターアジアが行ったような拳の弾幕を打ち出した。
無論、これに対応できないアナゴではない。
一般人には手がいくつも増えたように見える拳のラッシュに彼も対抗する。
「アナゴラッシュゥ!!」
互いの拳のラッシュがぶつかりあう。
互いの拳が交差するたびに辺りに撃音が響き渡る。
拳と拳の応酬の中、再び動き出したのはアナゴ。
「ジェノサイドカッター!!」
アナゴはその必殺技の名前を叫びながらアルベルトの懐へ潜り込む。
その必殺技によって放たれる脚は円を描きながら襲い掛かる。
いきなり懐に潜られた為、アルベルトの反応は遅れたものの咄嗟に後方へ身体を反らす。
だが完全にジェノサイドカッターを回避することはできずアルベルトのクラシックスーツの前面が破れ、屈強な肉体を露にする。
さらに不運は重なる。アナゴのジェノサイドカッターを多少無理のある態勢で避けたため態勢を崩してしまった。
もちろんそれを見逃すほどアナゴは未熟者でもお人よしでもない。
態勢を崩したアルベルトに対しアナゴはさらに追い討ちをかける。
「今死ね!
すぐ死ね!!
骨まで砕けろ!!!」
「ぐぐっ…!」
アナゴの拳から放たれる三連殺。
一撃目と二撃目は防御に成功する。
だが最後に勢いよく放たれた三撃目は辛うじて防御するものの、彼は衝撃により…衝撃なだけに後方へ吹っ飛ぶ。
そしてアナゴは吹っ飛ぶアルベルトに駄目押しの一撃を加えるべく笑みを浮かべて飛び掛る。
365 :
代理投下:2009/04/19(日) 22:32:42 ID:+S7VE21F
97 :MURDER×MURDER ◆OGtDqHizUM:2009/04/19(日) 21:27:39 ID:ClanavcY0
「クカカカカカカッ!!」
「若造め!この十傑集をなあぁぁめえぇぇるうぅぅなあぁぁ!!」
無論やられっぱなしの衝撃のアルベルトさんではないわけで――
吹っ飛びながらも迫りくるアナゴに向かって右手を突き出し衝撃波を放つ。
「!!」
突然飛んできた衝撃波。
アナゴは止めを刺すのに夢中だったため回避は間に合わない。
ならば、とアナゴは両腕を前に突き出し防御する体制へと変更。
迫る衝撃波に備えた。
一方のアルベルトは空中で身体を立て直し着地する。
―――ドカン。
同時に爆音が響いた。
先ほど放った衝撃波がアナゴに直撃した音だ。
そして衝撃波を放った方向に視線を向けると、巻き上がる煙の中からアナゴが姿を現した。
全力ではないにしろ流石に無傷というわけにはいかず、服の上部が見事に吹っ飛び屈強な上半身を露にしている。
その上半身に刻まれるあらゆる古傷とこの殺し合いでつけられた傷がアナゴが歴戦の猛者であることを示していた。
だが首にかかっているリングだけは傷一つなく、太陽の光が反射しギラリと不気味な光を放っていた…
そして二度目になる睨み合いが始まった。
睨み合いの末、口を開いたのはまたしても衝撃のアルベルト。
「貴様はこの殺し合いの中で死力を尽くした闘争を望んでいる…そうだろう?そして、わしもだ」
「…それがどうした」
「何、戦いに殉じようとする者同士。倒す相手の名前を知っておいたほうがいいとおもっただけだ」
「………」
アルベルトの目の前に立つ男アナゴ。
彼の強さは自分が死力を尽くせる足りうるものだった。
戴宗と納得のいく決着をつけれなかったことも、マスターアジアと再戦する前に死んでしまった悔しさも全て吹き飛ばすほどの。
だから名前を聞いておきたい。自分と究極の戦いを繰り広げている目の前の男の名を。
「ふん、やはりワシから名乗るのが礼儀というものだろうな。
ワシはBF団十傑集の1人、衝撃のアルベルト!」
「俺の名前はアナゴ……ただのサラリーマンだ」
366 :
代理投下:2009/04/19(日) 22:33:50 ID:+S7VE21F
98 :MURDER×MURDER ◆OGtDqHizUM:2009/04/19(日) 21:28:54 ID:ClanavcY0
両者は名前を名乗りあった後、再び相手を睨みつけながら次にどう動くか考える。
パワー等に若干の差はあるものの、総合的な戦闘能力はほぼ互角。
と、なれば重要になってくるのは自分はどうするか相手はどうしてくるのか?
「たりゃああ!」
数秒の沈黙の後、先に動き出したのは衝撃のアルベルト。
両腕を突き出し衝撃波発射のポーズ。
気合と共に赤黒い衝撃波を男に向かって放つ。
初見では面食らったアルベルトの衝撃波ではあったが、今度はアナゴの顔に驚愕の色は浮かばない。
「サイコクラッシャー!!」
アナゴはアルベルトが衝撃波の予備動作をしている間に自分も攻撃に移っていたのだ。
彼もまたアルベルトのように両腕を前に突き出す動作を見せ赤く発光させる。
唯一違うのは発光するのが身体全体であること。
そして発射されたのは赤いエネルギーで身を包んだ彼自身ということだ。
サイコパワーで身を包み、自分ごと相手に向かって突撃する必殺技。それがサイコクラッシャーである。
地表にて2つの赤いエネルギーの奔流がぶつかり合う。
その瞬間互いの赤い輝きが火花を散らし、またもや周辺は震動する。
互いのエネルギーは色褪せることなく第三者から見ればまさに互角。
「ぶるあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
衝撃波とサイコクラッシャーでぶつかっている最中のアナゴは咆哮する。
あたりにダイナミック溢れる大音量が木霊し同時にアナゴのサイコクラッシャーは大きく輝きを増す。
サイコクラッシャーの赤いエネルギーの規模はさらに肥大する。
その威力たるやそれの上位互換のメガ・サイコクラッシャーに匹敵する。
そしてアナゴのサイコクラッシャーはアルベルトの衝撃波を相殺するどころか、寧ろ衝撃波をブチ破った。
「死ぃぃぃぃねぇぇぇぇぇぇえい!!」
「ちぃぃっ!やはりパワーは貴様のほうが上か!」
衝撃波を破り向かってくるサイコクラッシャーに対し、横に飛んで回避するアルベルト。
一方のアナゴは標的が回避したのを見てサイコパワーを消し地面に着地する。
アルベルトは考える。
パワーは明らかに対峙しているアナゴの方が上。
格闘戦に持ち込んでも衝撃波を放っても、向こうが有利なのは見えている。
最初のような状況に陥れば勝ち目はあるのだが、アナゴは相手を知らぬほど未熟者ではないだろう。
故に同じような手に二度もひっかかるような者だとは到底思えない。
367 :
代理投下:2009/04/19(日) 22:35:36 ID:+S7VE21F
99 :MURDER×MURDER ◆OGtDqHizUM:2009/04/19(日) 21:29:47 ID:ClanavcY0
――ならば、
次にとったアルベルトの行動。
それはアナゴの予想外のことだった。
衝撃のアルベルトは後方へ大きく飛び退きアナゴと距離をとる。
そしてアナゴに対して背を向けたかと思うとそのまま走り出した。
「なっ…!」
つまり逃走――
闘争中にいきなり逃走…うん、ごめん冗談。
「貴ッ様ッッ!!!」
アナゴは顔を歪ませアルベルトを追いかける。
漢と漢の闘いに突如逃げ出すとはどういうことだ?
これはポケットモンスターでいうトレーナー戦と全く同義。
「逃げる」を選択すると戦いの途中で相手に背中は見せられないというメッセージが出るはずだ。
それと同じように彼にとって男同士の闘いで逃走するというは男の禁忌!!
アナゴは怒りで顔を真っ赤にし、叫んだ。
「男 に 後 退 の 二 文 字 は ね ぇ !!!」
アルベルトは駆ける、ただ駆ける。
後ろから聞こえてくる男の叫びも意に介さずただ駆ける。
368 :
代理投下:2009/04/19(日) 22:37:05 ID:+S7VE21F
しばらく走るとアルベルトの前に彼の行く手を遮る壁が現れる。
それは港付近に複数立っているマンション。それを前にしてもアルベルトの足は止まることなくむしろ加速する。
そして、壁にぶつかる前に彼は跳躍する。
鍛え上げられたその脚力により、マンションを余裕で飛び越え彼は屋上へと降り立ち、駆けていく。
「どこに行こうというのかね?どこにも逃げられはせんよ」
アルベルトを追いかけるアナゴも民家の前でジャンプする。
彼もアルベルトと同様民家を易々と飛び越え、屋上に着地しアルベルトを追いかける。
そして―――
「灼熱のバーンストライク!!」
アナゴが呪文を詠唱すると同時にアルベルトの頭上から炎に包まれた隕石が数個落下する。
アルベルトは鍛えられた身体能力&反射能力で避けていく。
標的を失った隕石は全て屋上に突き刺さり大穴を開ける。
100 :MURDER×MURDER ◆OGtDqHizUM:2009/04/19(日) 21:31:02 ID:ClanavcY0
「かぁぁっ!」
そして避け際にアナゴに向かって衝撃波を一発放つ。
彼は衝撃波をかわし、ニヤリと口元を歪める。
「はは〜んなるほどなるほどぉ…逃げながら隙を伺っているというわけかぁぁ〜〜
だったら逃げさせてやるよぉ!灼熱のバーンストライクゥゥゥ!!」
「おのれぇい…またかぁ!!」
再び呪文を詠唱し、上空から炎の隕石を落下させる。
隕石は惜しくも外れてアルベルトの近くに着弾したがその余波でアルベルトをよろけさせるには充分。
アナゴはそれを待っていた。
「死をくれてやる!!」
アナゴは大斧を投影しアルベルトを狙って振り下ろす。
アルベルトは炎の隕石の余波で態勢を崩しかけていたが、必死のバックステップで回避した。
斧はそのまま空を切り屋上の屋根を砕く。
だが大斧の一撃を回避されたのにも関わらずアナゴは笑みを浮かべていた。
「後方へ飛んだかぁ…計画通りって奴だ!!」
「…!?」
バックステップで回避したアルベルトの足元の屋上が途切れていた。
アナゴは魔法を使いつつアルベルトを屋上の端へと誘導していたのだ。
そして大斧の一撃でアルベルトを屋上の外で追い出した。
支援
370 :
代理:2009/04/19(日) 22:43:05 ID:UBtzGs3D
(ゲェハハハハハハハハハハハハハハハァ!!
お前は数十メートル下までそのまま落ちるのだろうがそれでも死なんだろうなぁ…
よってそこで俺が上から追撃をかける…
足場のない空中ではぁ踏ん張ることもぉ避けることもできねぇからなぁ…
上にいる俺のほうが有利ってわけだぁ…そのまま地面に落ちるがいい!
衝撃のアルベルト…殺ったりぃぃぃぃぃ!!
―――と考えているのだろうが…)
ボーイ
「未熟者め。貴様の考えなど見え見えだ若造」
101 :MURDER×MURDER ◆OGtDqHizUM:2009/04/19(日) 21:33:15 ID:ClanavcY0
衝撃のアルベルトは空中に投げ出されても不敵で笑う。
そして両の掌を発光させる。
「ハッ!悪足掻きの衝撃波か!!」
「フフフフフフフフフフフ…」
アルベルトは両の掌から下に向けて衝撃波を放出する。
するとさながら彼はロケットの如く地面へと落ちずに宙に浮き上がり、屋上で驚愕の表情を浮かべているアナゴを見下ろす。
「何ィィィ!?」
アナゴが驚くのも無理はない。
何故なら彼の手から発射される衝撃波は攻撃のみの手段であるとしか知らなかった。
まさか手から放出してジェットのように噴射して宙に浮くとは……
371 :
代理:2009/04/19(日) 22:44:03 ID:UBtzGs3D
「でもそんなの関係ねぇ!!」
そう言ってアナゴは赤いオーラに身を包み屋上からその身を飛び出し、宙に浮く衝撃のアルベルトに突撃する。
空に浮いたからって何だ?ただ自分は地獄に叩き落すだけだ。
だがアルベルトの顔に驚きや戸惑いの色はなく、むしろ不敵な笑みを浮かべている。
そして自らの衝撃波をサイコクラッシャーを使うアナゴのように身体全体に纏う。
衝撃のアルベルトは紅い竜巻となった。
そして赤いエネルギーと化した2人の男が空中でぶつかり合う。
「俺の技をパクったくらいでよぉぉぉぉ……」
アナゴの必殺技サイコクラッシャーは衝撃波を破るほどの威力。
よって衝撃波をたかが自分の真似をして纏って突撃したところでただの付け焼刃にすぎないだろう。
でも今の2人の立ち位置を思い出してほしい。
アナゴは自分を見下ろすアルベルトに向かって突撃した。
つまりアルベルトは上、アナゴは下。
地の利がアルベルトの方にあるのは明らかだ。
よってこれから起こる結果は当然だったといえよう。
「ばっ…バカなぁぁぁぁ!!」
「フン、地獄の釜の底へ落ちるがいい!!」
アナゴの赤いサイコパワーが掻き消え、勢いが消失する。
そしてこれを好機と見てアルベルトは下のアナゴに向かって思い切り蹴りを放つ。
さらに駄目押しと言わんばかりに拳の嵐を浴びせる。
自分の身体にぶつかる風を感じて自分は下に落ちているのだとアナゴは思う。
アルベルトが浴びせてくる蹴りと拳の嵐を受けながら。
蹴りと拳そのものよりも、このまま地面に思い切り激突すれば……
間違いなくアナゴが砕ける。
372 :
代理:2009/04/19(日) 22:45:15 ID:UBtzGs3D
今のままでは確実にGO TO HELLなアナゴは吼えた。
「てめぇがぁ…てめぇがぁぁ……」
「何っ…!」
アナゴがアルベルトの拳を受け止める。
そして相手に組み付いた。
「お望みどおり天からお塩!!!」
「うおぉぉぉぉぉぉ!!」
そのまま自分と相手の位置を入れ替えんと空中で身体を動かす。
アルベルトは抵抗するがアナゴのパワーから抜け出せず…これではただの悪足掻き。
そして確実に迫ってくる地面。
その時アナゴに異変が起こった。
――ズキン。
(がああぁっ…!こんな時にぃ…あの狸女と化物との戦いの傷がぁ……)
その時若本に激痛走る―ッ!
衝撃のアルベルトという強敵とであったことにより、彼は先ほどのシグナムやでっていうとの戦いで負った傷を忘れていた。(最も生命力が異常な彼はある程度傷が回復してはいたが)
そのつけが今この土壇場で来たのである。
(奴の力が弱まった…?何だか知らぬが…)
「はぁっ!」
「ぶるあああぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁ!!」
突如アナゴのパワーが弱まったのを好機に組み付かれていた腕を振り解く。
次にアナゴを足場にして空中で態勢を立て直し、無事に地面に着地する。
そしてアルベルトの足場にされたアナゴは空中で態勢を立て直すことは無理と判断。
即座にサイコパワーを地面に向けて放ち、自分はサイコパワーの余波と受身を取り激突する際のダメージを最低限抑える。
アルベルトと違って着地することはできず無様に地面に落ちたが、即死だけは避けられただけマシか。
373 :
代理:2009/04/19(日) 22:46:17 ID:UBtzGs3D
「はぁっ…はぁっ…」
「どうした、随分とキツそうだな」
再び対峙する2人。
だが、傷を負いながらも立っているアルベルトに対し、
アナゴは呼吸が乱れ地面に片方の膝をつけている。
さらに言うと右腕が地面に激突した衝撃で折れている、どう見ても使い物にはならない。
アナゴが不利・・・というかほぼ戦闘不能なのは第3者から見ても明らかだった。
それに実は・・・若本力も尽きかけている。
「フン、腕が折れ曲がっているぞ。これ以上は無理ではないのか?」
「・・・ハ。まだ腕が折れただけだぜ?はやくかかってこいよぉ…
ハリー!ハリー!!ハリー!!!」
自分の大怪我も省みずさらなる戦いを要求するアナゴ。
それに対しアルベルトは葉巻を取り出して口に咥え、何も使わず火を点す。
一服するとアルベルトは口を開いた
「終いだな」
「ぬぁん……だとぉぉ…?」
「聞こえなかったか?終わりにすると言ったのだ」
そう言ってアルベルトは彼に背を向ける。
アナゴは自分に対し背を向ける男に対して納得できぬ思いを吐き出す。
「貴様ッ!何故背を向ける!?こっちを向けぃ!!」
「ワシに三度も同じことを言わせるな。貴様との闘争劇はこれで一旦終わりだ」
「ふざけるなぁ!!どちらかが死に至るまで終わらねぇよ!!」
アナゴの言葉をその背に受け、アルベルトはアナゴの方へと振り向く。
「フン、どうしても今続きをやりたいのなら条件というものがある」
「何だそれは…言ってみろ」
口に咥えていた葉巻を吐き捨て、アルベルトは笑みを浮かべる。
374 :
代理:2009/04/19(日) 22:49:08 ID:UBtzGs3D
「何、簡単なことだ。貴様の首にぶら下がっているその首飾りを外せばよい」
「なっ…!」
出された条件に対しアナゴは目を丸くする。
アナゴ…いや、闇若本の誕生は彼が千年リングを装備したことによるもの。
つまり千年リングを外した場合―――
「やはりできぬか、それでは仕方あるまいな。
ただ動かされるがままの人形などと究極の戦いなど望めぬからな…」
「貴様ぁ…何故ぇ…」
「フン、十傑集としての第6感という奴よ。
そうだ、貴様にこれをやろう」
そう言って衝撃のアルベルトはデイバッグを漁り、片手で持てるぐらいの
球状の物体を手に取るとそれをアナゴに向かって放り投げる。
放り投げられた物体を、アナゴは無事なほうの左腕でキャッチする。
「さらばだ、また会うことになるかもしれんな」
その挨拶を最後に衝撃のアルベルトはその場を立ち去っていった。
この場に残されたのは去りゆく衝撃のアルベルトを殺気織り交ぜた視線で睨みつける男、アナゴのみ。
―――なめやがってぇ…
アナゴは内心怒り狂っていた。
情けをかけられたにしろ、戦いを楽しめないにしろ戦いの最中に背を向けられるなど何という屈辱。
アルベルト…貴様はこの俺だけでなく闘争そのものを舐めたッッ!
この俺が元々大ダメージを受けていたから?所詮操られているだけだから?
(ふざけるなよあの野郎ぉ!!)
それに千年リングのおかげで元の人格であるアナゴを押しのけて『闇若本』という悪の若本が前にでてこれるのだ。
千年リングを外すなんて冗談ではない。
―――殺してやる。
あの男をますます殺したいと思った。
悠々去ってゆくその後ろからバヨネットで全身を串刺しにしたいと思った、大斧でその身体を真っ二つにしてやろうかと思った、
サイコクラッシャーでぶっ飛ばしてやりたいと思った、あらゆる昌術で焼き尽くしてやりたいと思った、
かめはめ波で跡形もなく吹き飛ばしてやりたいと思った、
テッカクリスタルがあればテッカマンオメガにテックセットして残虐に殺してやりたいと思った、
数体のテッカマンドールに襲わせて殺してやりたいと思った。
375 :
代理:2009/04/19(日) 22:50:13 ID:UBtzGs3D
だがアナゴはそれをしなかった。
卑怯だからと言うことではない。戦いの最中に背中を向けて勝手に終わらしたほうが悪いのだから。
でも衝撃のアルベルトは後からの攻撃に気付かない男ではないだろうとアナゴはさっきの闘いで嫌というほど思い知らされた。
負傷しているアナゴが後から殺しにいっても返り討ちにされるのがオチだろう。
それにこの殺し合いでもっと戦いを楽しむためには今は休憩する必要がある。
他に強者がいるのかもしれないし、不意討ちのせいで中断してしまった狸女と化物との戦いの続きをやりたい。
その戦いを邪魔してくれた奴はさっき逃がしたが、後で殺してやりたい。
今のアナゴにはやりたいことが多かった。
別に死ぬのならそれはその程度だったということで、悔しいが相手が見逃すと言ったのなら自ら死にに行く必要はない。
アナゴは闘争好きであって死にたがり屋ではなかった。
よって今は休憩することにした。
それに今のアナゴには闘争と同じくらい優先すべきことがあったのだ。
アナゴは先ほどアルベルトからもらった『物』を見る。
105 :MURDER×MURDER ◆OGtDqHizUM:2009/04/19(日) 21:38:15 ID:ClanavcY0
それはたった一つのメロンだった。
「おぉぉ……これはこれはぁぁ〜」
それを見つめるアナゴの目はとても輝いていた。
まるで玩具を与えられた子供のようだ。
そして片手に持つメロンを上に掲げ…
「キャッチマイハァァァァァァァァト! ベリーメロォン♪
キャッチマイハァァァァァァァァト! ベリーメロォン♪」
歌い始めた。
その口調と表情はアルベルトを睨みつけていた時とはうってかわってかなり上機嫌であった。
余談ではあるが…いい声である。
彼はメロンという単語がやたら出てくる奇妙な歌を気が済むまで歌い、最後を「お か わ り だ !!」で締めくくると片手に持つメロンを地面に置く。
そして先ほどまでメロンを持っていた手を手刀の形にし、振り下ろす。
今の彼は戦えないほど損傷してはいるが、素手でメロンを切ることは彼にとっては他愛もないことだ。
地面に置かれたメロンは彼の手刀により真っ二つになる。
断面からは果汁が溢れ、いかにも芳しい美味しそうな香りが漂う。
アナゴはそれを見てさらに上機嫌になる。戦いのときとはまるで別人だ。
376 :
代理:2009/04/19(日) 22:52:30 ID:UBtzGs3D
そして半分になったメロンの片割れを持つと、
「いただきま〜す♪」
あんぐりと口を開けてメロンに齧り付く。
口の中に溢れる果汁と甘くてジューシーな最高の味。
アナゴはしばらく口の中でメロンを咀嚼する。
そして気の済むまで味わって飲み込むと満面の笑みを浮かべ…
\ ■■ /
\ ■■■ \∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧/
\ ■■■■ < ━ ╋ ┓ ┃>
\ ■■■■ /< ━┓ ╋ ┃ ┃ ┃>
\ ■■☆■■ / < ┃ ┏╋━ ┃ ┃ >
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彡| ━ ━ |ミ /∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨\
彡彡|─◎─◎─|ミミ
─────彡彡| ┌└ ┐ |ミミ───────────────
彡彡| ─── |ミミミ
彡彡彡\\二/ /ミミミ テーレッテレー♪
彡彡彡▲\__/▲ミミミ
/彡彡▲■■■■■▲ミミ\
/ 彡彡 ■■■■■■■ミミ \
※イメージです
106 :MURDER×MURDER ◆OGtDqHizUM:2009/04/19(日) 21:40:12 ID:ClanavcY0
「…………」
アナゴがメロンに齧り付いている様子を衝撃のアルベルトは離れた場所で面妖そうに見ていた。
彼の性格上後から襲ってくるかもしれないとも考えており、そうしてきた場合は遠慮なく止めを刺してやろうと思っていたのである。
だがいつまでも襲ってくる様子はないので後ろを振り返ってみたらあの様子だ。
「どうやら相当気に入ったようだな…」
メロンを渡したことに深い意味は特にない。
ただ「せっかくだから」ということで何となくあげただけである。
「貴様との戦い…なかなか悪くかなかったぞ。
だが今の貴様と戦うよりも…今はマスターアジアを探させてもらうとしよう。
どうやら近くにいるみたいだからな…」
そしてアルベルトは東方不敗を求め、足を進め始めた。
377 :
代理:2009/04/19(日) 22:53:22 ID:UBtzGs3D
【B-7/1日目-早朝】
【アナゴ@カオスロワ】
[状態]:疲労(大)、右腕骨折、全身打撲、上機嫌、スーツの上半身部分が吹き飛んでいる、
[装備]:なし
[持物]:千年リング@ニコロワ、基本支給品一式、不明支給品0〜2 、半分サイズのメロン(残り半分は食べてる途中)
[方針/行動]
基本方針:戦いを楽しむ
1:ブルァァァァァァ!ブルァァァァァァ!ベリーメロン♪
2:今は休憩して傷を癒す
3:強者との戦いを望む。
4:シグナム、でっていう、衝撃のアルベルトとは再戦したい
※カオスロワ5thエピローグ後の参戦です
※現在千年リングの意志と若本がうまくブレンドされた状態で乗っ取られています
※若本の技と特殊能力を使えます。(カオスロワ準拠)
【衝撃のアルベルト@アニロワ2】
[状態]:疲労(中)、上半身のスーツがボロボロ
[装備]:衝撃のアルベルトのアイパッチ@アニロワ2
[持物]:デイパック、基本支給品一式、葉巻のケース@なのはロワ、ベリーなメロン@アニロワ2(残り14個)
[方針/行動]
基本方針:闘争に身を殉じる。勝利よりも『戦うこと』を優先。
1:東方不敗を探し勝負を挑む。
2:強者を求め徘徊。誰であろうと手当たりしだいに勝負を挑む。
3:この地の『柊かがみ』に対して……?
[備考]
※死亡後より参加。
※アナゴを強者と認識。
※アルベルトが感じ取った東方不敗の気配は、スバルが持つマスターボールからのものです。
※どこへ向かうかは次の書き手にお任せします
支給品解説
【ベリーなメロン@アニロワ2】
衝撃のアルベルトに支給。
ただの美味しいメロン。それ以外の特殊効果はほとんどなし。
一部の人は歌ったり踊りだすかもしれない。ついでに言うと15個ある。
378 :
代理:2009/04/19(日) 22:58:21 ID:UBtzGs3D
代理投下終了です
アナゴとアルベルトの戦闘が熱いと思ったら最後はメロンかよw
あの若本の声が脳内で蘇ったよ
後、東方不敗はここにもいるぞ。ポケモン扱いだがなw
それにしてもスバルらはこのまま空気になるのか?、なのはさんらと合流して欲しいが病院付近は阿部さんらがいるぞw
にしてもこのアナゴ、ノリノリである。
スバルとアルがいい感じに空気だな
投下と代理投下乙です
アナゴとアルベルトの戦いが熱いぜ。つうかアナゴはこっち来てからバトルしかしてねえw
しかし、ラスカルはやる夫が死んだと知ったらどうなるのかね。元ロワじゃ結構懐いてた? からなあ
381 :
創る名無しに見る名無し:2009/04/21(火) 23:58:59 ID:VaS/mpa0
また予約が来ない・・・・
その前にちゃんとwikiに纏めようぜ……
四つ一片大量の参加者は辛いぜ……
予約は出来るけどシタクナイ。
よろしいならば雑談だ。
このロワの影響でねこ鍋動画を見て見事に萌え死んだ俺ガイル
子猫のかわいさは正義
これがイチゴウかとか思いながら見てる俺きめぇ。しかし子猫は正義
白いのとミケ猫とトラがいた気がするが、
二号はどれなんだろうとまじめに考える俺。
387 :
創る名無しに見る名無し:2009/04/22(水) 22:50:04 ID:C8NTf6TN
100話突破したから、そろそろ来週一週間使って第一回放送前作品ランキングでもやらないか?
一応こんな感じで
らき☆ロワランキング
各部門3位までつけられます。
1位三点2位二点3位一点です。
【部門】:説明
【総合部門】:説明不要、自分が好きな話を評価しろ!!
【死者部門】:熱い、或いは切ない、無情な死者を称えろ!!
【台詞部門】:お前が気に入ったその言葉に興味がある!!
【対決部門】:パロロワの華、お前の血を震わせ戦いは何だ!!
投票場所:したらば雑談スレ
投票期間:4月26日00時00分〜5月2日23時59分
投票範囲:第一回放送前作品
こんな感じで、意見をください。
一応開催したときの為にトリップをつけておく
おぉ、良いな。なんなら番外編もやったり。でも人居るんだろうか。
何、気にすることはない。
まったりと行こうではないか。それこそらき☆ロワらしい
こういう時こそ住民としてらきロワを盛り上げるために頑張らなければな
投票開始楽しみだぜ
とりあえず賛成多数(?)と言うわけで、
人気投票をやりたいと思います。
らき☆ロワランキング
各部門3位までつけられます。
1位三点2位二点3位一点です。
【部門】:説明
【総合部門】:説明不要、自分が好きな話を評価しろ!!
【死者部門】:熱い、或いは切ない、無情な死者を称えろ!!
【台詞部門】:お前が気に入ったその言葉に興味がある!!
【対決部門】:パロロワの華、お前の血を震わせ戦いは何だ!!
投票場所:したらば雑談スレ
投票期間:4月26日00時00分〜5月2日23時59分
投票範囲:第一回放送まで
皆さんドシドシ投票してね!!
そしてしたらばにもはってくる。
おk
うほっ…これはいい学園生活ww
まぁらき☆ロワなんだし、陵桜学園でいいかもしんねぇな。
そういや地図の学校も陵桜学園なのかな?それは書き手に任せるとして…
とりあえずGJです。
やたらぴりぴりしていたよなWアカギ。
そして千秋wwwwww春香姉さまも再開した妹がこうなってりゃびびるわwww
GJ!
これは険悪…この台詞展開なら戦闘になりそうだ。
あと正しくはこうだったね?じゃねぇよww台詞が直ってんのかと思ったじゃねーかwww
でもむしろありがとうw
ヨーグルト、ヨーグルト!いやっほおおおおう!
リリカルいさじwww
やっぱアンタならいつか描くと思ったよww
おぉ!いさじktkrww
あんた最高ですwwwふひひw
>>401 いさじwww
しかし顔がテラかにぱんwww
>>404 したらばの没ネタ投下スレ参照
にしても元が兄貴だとは思えない魔改造っぷりwww
カオスレイジングハートオソロシスwwww・・・・・・ふぅ
406 :
創る名無しに見る名無し:2009/05/01(金) 19:37:33 ID:aeeAcG21
保守あげ
賢者タイムやめぃwww
ふう……
規制解けたから絵師さんにとてつもない感謝と敬意を示したい。
もう俺、RFG氏大好き、貴方がいるから俺は完結するまでらきロワで書いていける。
規制も解けたしGW中に一作は投下しよう。
ありがとうRFG氏!!
それはそうと
>>392 人気投票早く入れようぜ。
締め切り明日までだし。
GWなのに予約が無いか……
どの書き手さんも忙しいのか……
むしろGWは遊ぶのに忙しい罠www
普通は遊ぶよなw
遊べないどころか普段より忙しくなるやつもいるけどな
ネタの致命的な矛盾に気づいて練り直している・・・・・・ことを理由にして(ry
それはそうと
>>392、期間今日まで延長したみたい。
wikiにnk氏やRFG氏の絵を載せたいが…何だ、やり方が全然わからん
上の方に編集でだな。アップロードで画像をうP、んでアドを今まで載せてた方法に倣って…
パソコン触れたらやりたいんだが、いかんせん携帯なんでやってみてくれぃ
アップロードをクリックしても何も起こらないんだが
予約が0・・・・
と言ってる側から予約が来てるじゃないか!
wiki編集難しいな…上手くできんかった。あれでちゃんと見れるんだろか
って予約きた!!いや寂しかった嬉しい嬉しい
ちゃんと見れてました。編集乙です。
でも
>>396のWアカギを忘れてますよ。
一応自分でもやってみましたが、無理でした。
上のほうの編集でアップロードのページまでは行けたんですけど、アドレス貼ってアップロード押しても何も起こらないんですよね。
参照→自分で保存してる画像を選択→画像アドレスが出る→ページを編集 でやってみた
すまん、Wアカギはすっかり忘れてた。台詞間違ったしなぁ…
あと千秋に首輪描き足した。悉くすまん。あとアナゴ・アルベルト描いたらフリーズして消えた。畜生。
台詞間違ってても気にしないからは黒歴史にするのはやめてええええ
黒歴史にするほど白い歴史が無い件wあとで載っけときます
また予約ktkr
投下したいんですが誰かいますか?
また長くなってしまったので支援をお願いしたいです
支援する
では投下します
「これからどこに向かうつもりだ?何か考えているんだろうな」
パピヨンがじとりとした視線を私に投げかけてくる。
「私はお姉ちゃんやこなちゃんを守ってあげたい。そのためには……まず二人を探さないと。
ここに行って放送を流す事が出来れば、効率よく見つけられると思うんだけど……どうかなぁ?」
つかさは地図を取り出し、放送局を指差す。
特に反対する理由もない。放送局に向かう道程で、パピヨンの目的も達せられるかもしれない。
だからパピヨンはつかさに素直に頷いて見せた。つかさは安心したようににこりと笑う。
そして、歩き始めたのだが、つかさはすぐにふらりとバランスを崩し倒れかける。
おそらく先ほどの戦闘での疲労がかなり溜まっているんだろうな。
ただ女子高生があれだけの戦闘を何の訓練もなしにしたのだから、当たり前といえば当たり前だろう。
「しばらく休んでいくか……?」
「ううん……大丈夫だよ」
常識的に考えて大丈夫そうではないが、さっきまでの甘えたつかさとは好対照な、必死に頑張るつかさを見るのはどこか気分がいい。
だからパピヨンは特に止めもせず、そのままつかさの後ろをにやつきながら着いて行った。
▼ ▼ ▼
まどろむ意識の中、私は見た事もないくらいに美しい扉のドアノブに手をかけた。
ここがどこなのか全く見当もつかない。ただ薄靄の中をひたすら歩き続けて辿り着いた先に、この美しい扉があった。
ここはもしかして映画館の中なのだろうか。私は少しだけ不安に思ったが、すぐ傍らにいる彼の姿を見つけ、安心して微笑む事が出来た。
「どうした? 先に進まないのか?」
「ええっと……ごめん。ちょっと……混乱しちゃって」
私は照れたように頭を掻いた。ここがどこなのか見当もつかない。パピヨンがいるから怖くはないのだけど……
「心配するな。映画館からはそう離れてはいない」
パピヨンがドアノブに置いている私の手を上から握り、そして扉を開いた。
一気に霧が晴れる。私の視界が開けた。私は絶句する。
「ここは……?」
私は目を大きく開いて、辺りをきょろきょろと見渡す。扉の中は普通部屋であるはずだ。
それなのに、ここは部屋なんて言うほどに狭い空間ではない。部屋の中は校庭だった。
ポカポカと温かい、四月の一番心地いい季節。桜の花びらが舞っている。
この光景、この匂い、全身を包んでくれるようなこの暖かさ……私は知っている。覚えている。
どうして忘れるような事があるだろうか。ここは私の、お姉ちゃんの、こなちゃんのゆきちゃんの母校、陵桜学園高等部だ。
「どう……して……?」
「やあ、つかささん」
「え……?えええ?」
やけに老けた、体格のがっちりした男の人が、私に声をかけてきた。ちゃんと陵桜学園の制服を着ている。
どこかで見た事がある。そう、どこかで……だけど思い出せない。私は知らない男の人に突然話しかけられたので、しどろもどろになってしまった。
私が慌てる姿を見て、男の人は快活に笑った。恥ずかしくて恥ずかしくて、私の顔はもう真っ赤だ。
「相変わらずだな。悪いが授業に遅刻しちまうから、また後でな。つかささんも急いだ方がいい」
そう言って、男の人は校舎に向かって走って行った。私は呆気にとられていた。
「だ、誰なんだろ……あの人。会ったことないのに……」
私は気恥ずかしさを隠すため、パピヨンに向かって笑いながら言った。
「……自分の彼氏の事を忘れたのか?」
「か、彼氏!?」
「奴は川田だ。本当に忘れたのか?」
い、意味が分からないよ……
支援
「パ、パピヨン……えっと、ここはどこなんだろう?私達って殺し合いに参加させられていたはずじゃなかったっけ……」
「殺し合い……?馬鹿を言うな。それじゃあ俺はこなたと約束があるんでな。パピ!ヨン!」
「こ、こなちゃん????」
私がまたも呆気にとられているのを不思議そうに見て、パピヨンはどこかへ消えて行ってしまった。
もしかするとこれは夢だろうか。だけど、夢にしてはなんだかリアル過ぎる気もする。
だいたい夢なら、会った事もない川田という男の子が出てくるのは、少しおかしい気がする。
もしかして、殺し合いの方が夢だったのではないだろうか。
今までのは全て夢で……現実では私は今まで通りに高校生活を送り、川田君っていう人と付き合ったりして……
もしかして今までのは全部全部夢……なのかな……。
「私達が殺し合いに巻き込まれた? つかさ、あんた大丈夫?」
「ううん、やっぱり夢だったのかなあ……」
私はあの後、普通に教室へと向かった。教室の扉を開けて、お姉ちゃんやこなちゃん、
そして死んだはずのゆきちゃんに会えた時、私は嬉しくて嬉しくて泣いてしまった。
お姉ちゃん達に心配されながら、私は自分の席につき、黒井先生のホームルームを聞いた。
何でもない日常。それがこんなにも尊いものだったとは……みんながいて、みんなが笑ってくれる。
それだけで、本当にただそれだけで私は幸せだった。みんなが笑い合い、お喋りして────
|┃三 ガラッ
|┃ ____
|┃/⌒ ⌒\
|┃(●) (●) \ みんなおっはーwwwwwwwwww
――‐.|┃:⌒(__人__)⌒:::::\ 遅刻?そんなの関係ねぇおwwwwwww
|┃ |r┬-| |⌒) 常識的に考えるまでもなくwwwwww
|┃ `ー'ォ //
(⌒ヽ・ ・ ̄ /
|┃ノ /
|┃ つ <
|┃ (::)(::) ヽ
|┃/ > )
|┃ (__)
|┃
|┃ ____
|┃/⌒ ⌒\
|┃ (―) (―)\
――‐.|┃:⌒(__人__)⌒:::::\
|┃ |
|┃ /
|┃ヽ・ ・ ̄ /
|┃ \ ,.:∴~・:,゜・~・:,゜・ ,
|┃ヽ_)つ‘∴・゜゜・・∴~・:,゜・・∴
|┃ (::)(::) ヽ ・゜゜・∴~゜
|┃/ > ) ゜゜・∴:,゜・~
|┃ (__) :,゜・~:,゜・゜゜・~.
「キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
「イヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!」
「うわああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
「アッーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
「きったねえええええええええええええええええええええええええ!!!!」
/ ̄ ̄\ 毎朝毎朝放尿するな!!!常識的に考えるまでもなく!!!
/ノ( _ノ \
| ⌒(( ●)(●)
.| (__人__) /⌒l
| ` ⌒´ノ |`'''|
/ ⌒ヽ } | |
/ へ \ }__/ / / ̄ ̄\
/ / | ノ ノ / ●)) ((●\’, ・
( _ ノ | \´ _ ( (_人_)’∴ ), ’
| \_,, -‐ ''"  ̄ ゙̄''―---└'´ ̄`ヽ て
.| ______ ノ (
ヽ _,, -‐ ''" ノ ヽ r'" ̄
\ , '´ し/.. | J
\ ( / |
\ \ し- '^`-J
「やる夫の奴またやってるね〜」
「クラス替えした当初は驚いてしまいましたけど、さすがにもう慣れてしまいましたね」
こなちゃんとゆきちゃんがやる夫君を見て談笑している。
二人とも何でもないかのように流しているけど、正直言って私は引いた……
そろそろ1限目が始まる。私達はいそいそと準備を整え、椅子に腰かけた。
「つかさ、聞いたところによると、今日の世界史は一味違うらしいよ!」
隣の席に座っている魅音ちゃんが、私に元気よく話しかけてきた。一味違うってどういう事なんだろう。
「何でも世界を股にかけて活躍した本物の軍人が色んな国の文化やらなんやらかんやら宇宙生物やらを教えてくれるんだってさ!」
「う、宇宙生物!? ……それって世界史関係あるのかな……」
魅音ちゃんは楽しそうにくるくると話す。その軍人さんの話が楽しみで楽しみで仕方がないようだ。
楽しそうな魅音ちゃんの姿を見ていると、なんだか私まで、その軍人さんの話が楽しみになってきた。
授業なんて、普段はあんまり集中できないけど、今回ばかりは違う。
軍人さんの話……ううん……尊い日常を体感できるんだから、今は何もかもが楽しい!
;ヽ
l_,,,,,,,,_,;;;;i ハッハーーー!!わしが世界を股にかけて活躍した地球防衛軍の老兵、ストーム1じゃああああ!!!!
l l''|~___;;、_y__ lミ;l つかさちゃぁぁぁん!!!頑張って生きとるようじゃな!!!ハッハーー!
゙l;| | `'",;_,i`'"|;i | ほんと戦争は地獄じゃのう!!!
,r''i ヽ, '~rーj`c=/
,/ ヽ ヽ`ー"/:: `ヽ
/ ゙ヽ  ̄、::::: ゙l, サンダーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!
|;/"⌒ヽ, \ ヽ: _l_ ri ri
l l ヽr‐─ヽ_|_⊂////;`ゞ--―─-r| | / |
゙l゙l, l,|`゙゙゙''―ll___l,,l,|,iノ二二二二│`""""""""""""|二;;二二;;二二二i≡二三三l
| ヽ ヽ _|_ _ "l ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |二;;二二;;二=''''''''''' ̄ノ
/"ヽ 'j_/ヽヽ, ̄ ,,,/"''''''''''''⊃r‐l'二二二T ̄ ̄ ̄ [i゙''''''''''''''''"゙゙゙ ̄`"
/ ヽ ー──''''''""(;;) `゙,j" | | |
「な、なんか変な人だったわね……」
授業が終わった後、隣の席に座っているピンクの髪の女の子が顔を歪めて困惑していた。
「そ、そうかな……温かくて優しそうなお爺ちゃんだったけど……」
「そうだな。つかさちゃんの言うとおり、なかなか魂の籠ったいい男だった」
私の後ろの席から、野太く、男らしい、なんだか聞いていると耳が妊娠してしまいそうな男の人の声が聞こえてきた。
えっと……誰???
支援
「うーん……そうかしら。だいたい教室の中で銃をぶっぱなしている時点で変な人確定な気がするんだけど……」
「おいおいヒナギクさん。人を表面的にしか見れないようじゃあ男を下げるぜ」
「私は女よ……」
「いさじ殿の言うとおりだ。私も彼の公演には熱きものを感じた」
「いさじさんも、覚悟君も……あんた達濃いのよ……主に顔が」
3人の会話をぼんやりと聞いて、色々思ったけど、まず言いたい事は────貴方達は誰ですか?
そんなこんなで、私の久しぶりの日常は、これ以上なく充実した気分の中、過ぎて行った。
いさじさんや覚悟君、ヒナギクさん、一度も見た事も話した事もない人が何故か教室に沢山いたけれど、
みんな例外なく優しくて面白くて、とてもとてもいい人たちだった。
私はどこかで彼らと会った事があるのだろうか。何故か初めて会ったようには思えなかった。
どこが出会い、どこかで彼らと友達になったような気がする。それはいさじさんたちだけではない。
あのストーム1というお爺ちゃんも、どこかで出会い、優しくしてもらったような……そんな奇妙な感覚。
「つかささん、帰ろうか」
下校の時間になり、教室に朝に出会った川田という男の子が訪ねてきた。
私はお姉ちゃんや魅音ちゃんと談笑していたのをぴたりと止め、おずおずと川田君の方に目を向ける。
この男の子とも、何故か初めて会った気がしない。どこかで、どこかで私は川田君と出会っている。
そして、私達は愛し合っていた。何が何だか分からないけど、直感として、私はそう感じる。
「どうした?」
「う、ううん!何でもないよ!」
私の態度をいぶかしんだ、川田君の疑問を打ち消すべく、私は頭を振った。
私は川田君と付き合っているんだ。だから一緒に帰るのは当たり前の話。
こなちゃんだって彼氏のパピヨンと一緒に下校しているんだからね。
「…………」
川田君の姿に既視感を覚えるとはいえ、やっぱり私の中では川田君は今日初めて会った男の子。
二人きりでの下校中は、なんだか頭の中がぐらぐらして、ちっとも言葉が出てこなかった。
ここにお姉ちゃんやこなちゃんがいたら、もっと話が出来るのにな……
「つかささん、何かあったのか?今日はどうも様子が変だぜ?」
「そ、そうかな。何でもないよ」
ああ……お姉ちゃん来て〜
そう思った時だ。道の角から、誰かが飛び出してきた。見慣れたツインテール、あれはお姉ちゃん?
いや、違う。あれは6/さんだ。
「よお、かがみさん」
「違うよ川田君。この人は6/さん……」
私の言葉を聞いて、川田君が怪訝そうにしている。
「6/……?かがみさんじゃないのか?」
「違うよ」
6/さん……最後までお姉ちゃんになりきって、弱い私を支えてくれた恩人だ。
貴方とやる夫くんには、感謝してもし足りない。
「6/さん。ありがとう……」
涙を浮かべながら私が言うと、6/さんは優しく微笑んでくれた。
「お、おい!」
川田君が慌てている。ごめんね。でも心配はいらないよ。言葉なんていらない。私は無言で6/さんに抱きついた。
ゆきちゃんは死んでいない。6/さんも生きてる。やる夫くんも生きていた。
あの殺し合いで死んでしまった私の知り合い全員に会った時、初めて私は日常に帰ってきたんだと確信できた。
もう何も心配いらない。誰も死ぬ事はない。今まで通りに、今まで以上に、私は日常を謳歌したい。
最高の友達と一緒に……
6/さんが私の両肩に手を乗せ、私の体を6/さんの体からそっと離す。
「元気そうだな。つかさ……」
「うん!」
にっこりと笑ってくれた6/さんに向かって、私も笑顔を返す。
その瞬間辺りの壁が消え、地面には花が咲き乱れ、辺りが広大な花畑と化した。
爽やかな風が私の頬を撫でる。帰って来た。私は帰ってきた!
「おめでとう……つかさ」
6/さんがぽつりと言って、私に向けて拍手してくれた。
「おめでとう……つかささん」
川田君がじっと私の目を見つめて、拍手してくれる。
「つかさ!おめでとう!」
魅音ちゃんが元気よく手を叩く。
「つかささん……見事!」
覚悟君が丁寧に畏まって手を叩く。
「つかさ……良かったわね」
ヒナギクさんが拍手をしてくれた。
「おめでとうだお!つかさちゃぁん!」
やる夫君が放尿しながら手を叩いている。
「おめっとさん。つかさちゃん」
いさじさんの声で私の耳は妊娠した。
「おめでとうじゃのう!サンダーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
「おめでとう!!」
「おめでとうつかさ!」
「つかささん、おめでとうございます」
「おめでとう!」
「おめでとうっていうwwwwww」
「おめでとうかな。かな」
「おめでとう」
「おめでとう。精一杯やってたぜお前は」
つかさ乙! T5 おめでとう! じゃあお前がやってみろよ つかさあああああああ おめ!
さっきから鳥肌立ちまくりwwwwwwww おめwwwwwwww 支援 つかさおめwww
徹夜の上酔ってる俺が来ましたよ つかさは神 俺の嫁 なんぞこれw つかさ・・・
弾幕吹いたwww これつかさだと思うの俺だけ?____ ツカサノキワミ、アッーー つかさw
つかさktkr スイーツ(つかさ) / つかさ \つまらないならつかさ ふいたwww
つかs・・・・ねーよww .おめwww / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\びゃあ゛ぁ゛゛ぁつかさぁ゛ぁぁ 俺の嫁
ちょwww TU☆KA☆SA つかさあいしてるw / <○> <○> \なんで????これ何???
つかさが嫌なら帰れ | (__人__) | カオスwww やべ勃起して来た
これ面白いの? .つかさwww\ `⌒J´ /かわえええええええええええええw
戻る押すわノシ つかさwwwwwwwww.w / \これなんてつかさマンセー?
テラつかさwwww ちょwwじじゅうwww つかさアンチは帰れ 涙目www
AAいらん つかさGJ!!! つかさと聞いてやってきました アンチうざい アッー パターンはいった
フラグたった なぁにこれぇ なぜおめたし おめwww 妊娠した つかさ神すぎ つかさかわええ
エヴァかよwwwwwwww
支援
コングラッチュレーション
,―==7 Congratulation! コングラッチュレーション
|く ___ _> Congratulation!
fll`ーU+'
`''、 ー=| おめでとう・・・・・・・・!
_,,..-´:|ヽー-;ー..,,_
. ,−=-, ,,..-‘≡≡:| ><´|≡::|ヽ おめでとう・・・・・・・・! おめでとう・・・・・・・・!
. | l____ヽ.|≡l≡≡≡| |::| |≡:::/::|
. |(llー´_ヽ|≡|≡≡≡|.|:::|l≡::/::::| つかさおめでとう・・・・・・・・・・・・!
.. 4 l__`=|_|≡:|≡≡≡::||:::|'≡/≡|
/|\,.・|::≡:|ヽ|≡≡≡≡≡:::/|≡::| _,,.........、
≡|/}:ヽ|:≡|::::|{≡≡≡≡≡:::{ .|≡::| ヽ_,, ヽ
≡:| |:::|l≡:|≡|:|≡≡≡≡≡:::|. .|≡::| /_> |
:::≡l|:::|'≡:|≡:|::|≡≡≡≡≡:::|. .|≡::| |7 llう.. |
≡≡≡≡/|≡ヽ≡≡≡≡≡::::|. ..|≡::|. z-..,〃、 ム__ ll´.. |
::≡≡≡::/ ヽ≡ヽ≡::|―、≡≡::l ..|≡::| / ミ 1´/ヽ==,...
::≡≡≡| \≡ヽ::| ヽ≡≡l .ljヽl | 刀、ミ _,,,..-`‐三=ー-
::≡≡≡| |ヽ/ー.、.. ヽ≡≡l. .|/ | ノ= ∠i /ヽ、≡≡≡≡≡
:|¬、≡≡ヽ. |≡ゞー=ッ |≡≡| __/ (ll ー゜\|ヽ. /≡::ヽ≡≡≡≡≡
:| ヽ≡≡ヽ |≡≡ヽミ. |≡≡| l|. ll7| ヽu=/l二ll二l'''ヽ /≡:::/≡≡≡≡≡
:| ヽ≡≡ヽ≡≡| |≡≡| | | llヽ|w-ヽ/Nヽll | | /≡:::/≡≡≡≡≡≡
. / !
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<´ `丶.,、./ ;
>、 Y_ 7 _,. -‐′:\
/: : : _>-‐: :':´:i: :"`ヽ.\: : : : : ヽ.
/ : ,: : : : : : :/: : : 小: : : : : ヽ.Y: : : : : ハ
/: : : /: : :/: : : l: : : /.|. | : |: : :∧リ: : : : : : :',
. /: :/:/: : : ,': : : /l: : ,' l | : |: : : : :l: : : : : : : :!
/: /: :l: : : : |_,:斗イ: ,' | ',`メ、_: : :|: : : : : : : :|
,': /i: : l: : : : |: : :| l: i l Yヽ` : |: : : : : :i : |
|/ .|: : |: l: : :ハ: :,' __| { l ヾ \:|: : : : : :| : !
| |: : |/|: : |: V,. --、 - 、. l: : : :i: :,'.: :| ありがとう……
. |: : : :.l : ハ ゞ'´ ̄` イニ‐、.l : : ,' / : : l
. |: : :ハ:\トi / / / , / / / `ヾ: :/:/ :_: : |
',: :| ',: : :ヽ 、__ u/: :,'/: / l: :!
Y ヽ: :ト、`>-、 _,. -:'7 :/ : : :/ リ
ヽl \i:.:.^ー'´ ̄¨:.:}; :/:/l: /
,.ri―´{:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/ソーァ-/
/ |:.:.:.:.`T:. ̄:.7 ̄:.:.:.:.:.| ヽ.
▼ ▼ ▼
「という夢を見たの」
「何レスも使って語る事か?三行に纏めろ」
「……どんだけー」
当然というか、言うまでもなく、今までの一連の出来事は全てつかさの夢である。
仮面ライダーに変身して暴れたせいで、疲労が溜まっていたのだろう。
つかさは疲労に耐えきれず、映画館から出るなりぱたりと倒れるように寝てしまったのだ。
何故、つかさが知らないはずの、川田、ヒナギク、ストーム1、いさじなどの人間が彼女の夢に出てきたのか。
つかさが知る術はない。とはいえ、彼らは夢の中で、彼らに平穏を与えた。
これ以上ないくらいに至福の一時。夢の中で体験した日常は、現時点のつかさにとって喉から手が出るほどに欲しいもの。
ああ、夢の世界とはかくも素晴らしきものだったのか……。
「夢の世界で……私、幸せだった」
思い出し、ほろりと涙を一粒落とす。死んだ人は二度と生き返らない。日常はもう永遠に戻って来ない。
日常という甘美な蜜はずいぶんも前に、つかさの握りしめた両手からすり抜け、奈落へと消えて行った。
このバトルロワイアルを脱出したとしても、いったいつかさはこれから何を励みにして生きていけばいいのだろう。
「もう、二度と日常は戻って来ないんだよね……もうちょっと、夢が長く続いてくれれば……」
そう思うと、涙がとめどなく溢れてくる。出来るなら夢の世界で生きたい。
これから生きる意味なんてあるのだろうか。自分は馬鹿な、情けない考えをしている。その自覚はある。
だが、夢の中で体験してしまった日常を、夢から覚めてすぐに頭の中から除外してしまえるほど、つかさは強くない。
「情けないな。蝶不快だ」
「うん……言われなくても分かるよ」
相変わらずパピヨンは厳しい。つかさとて、自分がとても弱い考えをしている事なんて充分分かっているつもりだ。
現実から逃避して、夢の世界に縋る。そんな行為は、命を賭して自分を守り、導いてくれた6/とやる夫への最大の裏切りだ。
分かっている。それくらいつかさだって分かる。
「夢の世界……きらきらしてた……」
つかさは涙を流す。それを見て、パピヨンの目に呆れが宿る。
「私のお姉ちゃん、友達……みんなみんないた。ゆきちゃんが生きていた。やる夫くんと6/さんもいた。私には彼氏まで出来ていた」
泣きながら、つかさはパピヨンの目を凝視する。
「失って初めて分かる。日常って凄く、いいものだよね……
みんな笑ってて……みんな私に優しくて……もう一度、もう一度でいいから」
つかさが袖で涙を拭う。けれども涙は止まらない。思い出してしまったから、体験してしまったから……
────夢の中へ、夢の中へ、行ってみたいと思いませんか?
懐かしい歌が、耳の奥から聞こえてきた気がした。行ってみたい。夢の世界へ行ってみたい。
「お前の考えはただの逃避だ。理想からかけ離れた現実から逃避するために、仮の世界へ逃げようとしている。
ふざけるな……ふざけるなよ弱者め。夢にまで縋るようでは、助けない方が良かったのかもしれないな」
パピヨンの声に呆れを超えた、はっきりとした怒気が現れる。
「ごめん……パピヨン。信じて貰えないかもしれないけど、私、逃げるつもりなんて、そんなのないよ……
誰かに甘えて、守られる、そんな自分はもう嫌……6/さんとやる夫君の思いを無駄にしないためにも、
今度は私がお姉ちゃんやこなちゃんを守ってみせる。ううん……守る! だけど……だけどね……」
つかさの脳裏に、優しい姉や友達。死んでしまった恩人たち、
そして夢の中で出会った川田、ヒナギク、覚悟、お爺ちゃん、いさじの姿がフラッシュバックする。
もう二度と取り戻す事の出来ない日常。その日常の、一部分だけでも見る事が出来る【夢】という異質な現象。
夢という現象に縋る事が、空しい事だとはつかさとて理解できる。だが、縋らなければやっていけないのだ。
生きていれば、もう一度、日常の一部を見る事が出来るかも知れない。
歪んだ思いかもしれないが、歪んでいようがなんだろうが、夢で体験できる仮の日常はつかさの精神的エネルギーになり得るのだ。
想像はしていたけどやっぱり夢オチかよwww支援
「もう一度、出来る事ならもう一度だけ、夢の世界に行きたいと思う。
そう思う事って……失ってしまった日常を惜しむ事って、そんなに悪い事かな……」
つかさはぽつりと言った。つかさはよくも悪くも弱者だ。
一度見た夢を糧にして、ここから這い上がれるかどうかはつかさ次第。
このまま弱者で終わるのか、それとも強者へと進化するのかは、彼女次第……
それにしても、とつかさは意識の片隅で思う。それにしてもリアルな夢だった。
いつもとは違う、ある意味で異常な夢を見たのはこの殺し合いが始まってこれで二回目。
私、どうかしちゃったのかな……
【E-3 映画館/一日目 昼】
【柊つかさ@原作】
[状態]:顔面打撲、全身に鞭の痣、疲労(小)
[装備]:特になし
[持物]:カードデッキ(龍騎)@書き手ロワ、ねこ缶@オールロワ
[方針/目的]
基本方針:6/とやる夫の想いを無駄にしないためにも生きる
1:パピヨンとともに行動。 放送局に向かいながら、こなたやかがみを探す
2:こなたやかがみを助けたい。
3:どうして変な夢ばっかり見るんだろう。またあんな夢を見れたらいいな……
※龍騎のデッキの制限は書き手ロワ準拠です(ミラーモンスター⇒ドラグレッダーは1分間のみ出現)
※龍騎のデッキは2時間使用不能。
【パピヨン@漫画キャラバトルロワイヤル】
[状態]:腹に打撲、ハイテンション
[装備]:ひしゃげたキーボード@ニコロワ
[持物]:デイパック、基本支給品一式、グルメテーブルかけ@ニコロワ残り16回
[方針/行動]
基本方針:主催のトップを倒して帝王として君臨する
1:柊つかさと行動。とりあえず放送局を目指す。暇があったら戦闘についてでも教えてやるかな
2:ゆたか(名前は知らない)の力を何とかして手に入れて高見を目差して飛ぶ
3:朝倉(本人はでっていうだと思っている)を探しニアデスハピネスを取り戻す最悪の場合殺してでも奪い取る
4:機会と設備があれば龍騎のデッキの解析をしたい
5:オプーナとは何か情報収集する
[備考]
※漫画ロワ 242話の「襲来!蝶男の帝王舞」より参加。
※いろいろあって冷静さを少し欠いてます。本人は気付いていないものと思われます。
※朝倉涼子の名前をでっていうだと思っています
※基本支給品の食料は全て食べつくしてしまいました。
「おっそいのよ!!もっと速く走りなさい!!」
「そ、そんな事言われても……」
映画館の辺りを全速力で駆けるハルヒと魅音。魅音はハルヒにデイパックなどの荷物を全て押し付けられ、非常に走り難そうだ。
魅音の息があまりに乱れてきたので、ハルヒはイライラしながら足を止める。
辺りを見渡す。だが、相変わらずつかさはどこにもいない。やる夫達にとどめを刺した後に、すぐにつかさを追いかけたのだが、一向に見つからない。
「は、HAL様……つかさよりも、さっさとかがみを探さないと……」
つかさを狂わすのはかがみだ。つかさを保護するのも重要だが、元凶であるかがみを探した方が良いのではないか。
魅音はそう考えている。勿論、あんな惨劇の後なので、つかさと顔を合わせるのは辛いという考えもあった。
「うるさいわねぇ……誰に向かって指図してんのよ。誰に向かって」
ハルヒはイライラしながら魅音の方へと顔を向け、そして彼女の頬を思い切り殴った。
呻きながら顔を抑え、そして蹲る魅音。
「あんたは馬鹿みたいに私に従っておけばいいのよ!私の行動は全て正しい!
今はかがみよりもつかさを追いかけた方がつかさを守る上で有効なの!今度私に口出ししたらやる夫みたいにしてやるわ!」
「はい……はいHAL様……ごめんなさいごめんなさい」
「人のデイパックをいつまでもパクってるんじゃないわよ!」
蹲った魅音の腹を蹴り、そして彼女に持たせていたデイパックを引っ手繰る。
「ああもう……もっともっと遊んでやろうと思っていたのに……つかさの奴、完全に見失っちゃったわ」
つかさを貶めるのはひとまず中断しなくてはならない。ハルヒは苦しむ魅音を見下しながら、これからどうしようかと考える。
ニコレンジャーに復讐するのも大切なのだが、もっと大切な事がある。首輪である。
ハルヒは首に巻きついている首輪を忌々しげに弄った。首輪のサンプルはすでに二つ集めている。
これをどこかの技術者に見せて、解除させるのが一番手っ取り早い方法だろうか。
ともかく、このままハルヒがサンプルを持っていたところで、首輪解除は何も進展しない事は疑いようもない。
頭の回転や、一般教養に関してはそれなりに自信ありだが、首輪解除に必要になるであろう専門的知識などハルヒにあるわけがない。
そういえば、ジョセフややる夫が言っていたわね……三村とか言ったっけ……
私が知っている奴で今のところ首輪解除の可能性がありそうなのは今のところ三村だけかしら……
となるとそいつを探す事が先決……。ん? 三村……?
魅音は相変わらず腹を抑え、苦しそうに喘いでいる。
走りに走って息が切れ切れになった所に、間髪入れずに蹴りを腹に叩きこまれたのだ。
吐きそうなくらいに最悪な気分だった。だが、魅音がどれだけ苦しもうとも、ハルヒの虐待はエスカレートしていくばかりだった。
ハルヒは、ぜいぜいと喘いでいる魅音の頭を思い切り踏みつけた。ハルヒの靴についた泥が魅音の綺麗なポニーテールを汚す。
でこを地面にぶつけ、魅音は痛みで苦悶の声を上げた。
「痛い……!痛いぃぃ……痛いよHAL様ぁ……!」
「けひひ、安心しなさい!そのうち神経が擦り切れて痛みなんて感じなくなるから」
痛くて痛くて、そしてHAL様が恐ろしくて恐ろしくて仕方がない。これだけ恐ろしいのだから、ハルヒは全てを超越している神に違いない。
HAL様に逆らえば……つかさを守るどころじゃなくなる……!
「あんたの知り合いに三村って奴がいたわよね?」
ぐりぐりと頭を強く踏みつけられる。魅音を必死になって口を開いた。
「い、います。殺し合いが始まってすぐに、会いました……」
「三村は今どこにいるの?やる夫とジョセフって奴から聞いた話だけど、そいつかなり頭がいいらしいのよ。首輪解除を手伝わせるわ。くひひ」
頭がいい?魅音の頭に疑問符が浮かんだ。正直言って、そうは思えなかった。だけど、HALが言うのならきっと三村は頭がいいのだろう。
「い、今どこにいるのかは知りません。でも、放送局に行くって言ってました……」
「放送局って……ちょっと待ちなさいよ」
ハルヒは地図を確認する。ハルヒの顔色が不気味なくらい凶悪に歪んだ。
ハルヒは魅音の頭から足を退けて、ポニーテールを鷲掴みにした。
「さっさと立ちなさい!このKY!」
髪を引っ張られながら、言われたままに魅音は立ち上がる。ハルヒの顔を見た瞬間、魅音は短い悲鳴を漏らした。
不気味に歪んだ顔が、目に焼きついた。口角は少しだけ上がっている。だがあれは笑顔ではない。
魅音の要領の悪さに完全に気分を害された、という表情だ。よく見ると、ハルヒの右手にはしっかりとナイフが握られていた。
「なんでさっさと言わないのよ。ここから放送局に行くなんて、完全に遠回りになっちゃうじゃない。
「そ、そんな……だって聞かれなかったんだから仕方が」
「言い訳するんじゃないわよ!!」
ハルヒの大声が魅音の耳にびりびりと響いた。
「けひひ……本当に要領の悪い馬鹿ねぇあんたは。やる夫以下だわ」
「や、やめてよ……ごめん。ごめんなさいごめんなさい!HAL様ごめんなさい!」
魅音の顔に、少しずつナイフが近づけられていく。
「今ここはE−3の南端だから、引きかえして放送局に行くのは逆に手間がかかるわ。
ウェディングドレスの変態に再会しても面倒そうだし……このまま突っ走って、なんとかしてD-3が禁止エリアになる前にC-3に行けたらいいんだけど。
けひひ……間に合うかしら。間に合わないかもねぇ。誰かさんのせいで。初めから放送局に三村がいるって私に伝えていれば話は早かったのに。
さて、これからどうしようかしら……本当に困ったわ」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」
ナイフがゆっくりと、しかし確実に魅音の目に向かって近づいてくる。
ゆっくりとゆっくりと、ナイフの切っ先が迫る。魅音は比喩ではなく本当に、がたがたと震えた。
「本当に使えないHAL厨だわ。くひひ。貴方の神はお怒りよ……?さて、どうしてくれるのかしら?」
「三村はかがみの事を憎んでいます!かがみというのは、つかさの双子の姉です!
三村の話だとかがみは人の信頼を弄ぶ最低の魔女です!私は初めはそうは思わなくて、三村と喧嘩別れしました!
でも今では三村は正しかったんだと思います!きっとかがみのせいで、前の殺し合いでもつかさは壊れてしまって……
だから、だからお願いだから許してHAL様!!」
魅音は、知っている情報を全て吐き散らかして、必死にHALに許しを乞う。
ナイフの切っ先が迫る。目に突き刺さるまであと────
「くひゃひゃ!!かがみが魔女!?面白いじゃない!これは殺すしかないわねぇ!」
思わぬところでかがみの不評を聞けて、狂喜するハルヒ。つかさの身内であるかがみは出来るだけ残酷に殺したい。
だが、悪人ではない者をやる夫や6/のように残忍に殺し続けてしまうと、ハルヒの悪評が広まり、首輪解除に協力して貰う仲間を集めにくくなる。
しかし、かがみが悪人であると言うなら話は別だ。かがみを殺す事が出来たならむしろハルヒの評価は高まる。
そしてつかさは悲しむ。メリットだらけの美味過ぎる話だ。無論、かがみの不評は単なるネガティブキャンペーンという線もある。
けれどもその場合であっても、噂を信じてしまった馬鹿を演じる事で、ハルヒの悪い噂が広まるのを回避できるに違いない。
「よ、喜んでもらえた!?は、HAL様、許して下さい!ごめんなさいごめんなさい!」
必死に謝り続ける魅音を見て、ハルヒは気持ちよさそうににやついた。ナイフが迫る。迫る。迫る迫る迫る迫る迫る。
「けひゃひゃひゃひゃ!」
さっとナイフを引くハルヒ。魅音は顔面蒼白だ。しかし、ナイフは引いたが、ハルヒは魅音のポニーテールを掴んだままだ。
それがあまりに不気味だった。魅音はちっとも安心できない。
「座りなさい。くひひ」
ハルヒが楽しそうに命令する。魅音は言われたとおりに、ハルヒの前にぺたんと座り込んだ。
「な、何を始める気なんでしょうか……HAL様」
「決まってるでしょう。ナイフを貴方の目に突き刺すのよ」
魅音にとって、あまりに衝撃的な一言だったので、一瞬時が止まった心地がした。
「座らせた方が刺し易いわ。安定するし」
「ど、どうして、、ですか?お、おおおお、、おじさんが!私が怪我してたら……HAL様がき、ききききっと疑われる。疑われます!」
「いいえ。大丈夫よ」
「大丈夫じゃないです!!!」
「けひひ。だって、私達かがみに会ったでしょ?かがみは恐ろしい奴なんだから、私達が無傷なのはおかしいじゃない。くひゃひゃ!」
「あ、あれはかがみじゃないよお!!!!6/とかいうかがみに似た別人だったんだよあれは!!!」
「いいえ。あれはかがみよ。かがみってことにしとこうじゃないの。だいたい、あんた三村と喧嘩別れしたんでしょう?
無傷で元気な体を引っ提げて、やっぱりかがみは悪い奴だと思います、だから仲間にして下さい、なんて通ると思う?
あんたの口ぶりだと、三村は結構疑り深そうよ?」
「でもでもでもおお!!目は、目はやりすぎですHAL様ァ!!!」
泣き叫ぶ魅音を見下して、ハルヒは痛快に爆笑した。魅音はハルヒの事が怖くて怖くて、恐怖で体が震える以外はぴくりとも動けない。
「それに、あんた忘れてるでしょう?あんたは私に三村の事を伝えるのを忘れて、私に無駄足を取らせた。
その責任をとってないじゃない!有耶無耶にしようったってそうはいかないわよ!くひひ!」
「いやあ……いやぁ……でも、でも嫌だよ……怖い!怖いよ!」
「そうねえ。私も神だわ。最後にチャンスをあげるわ」
チャンスという言葉に、魅音が縋るように喰いついた。そんな魅音を見て、ハルヒはまた楽しそうに笑った。
「私がナイフを刺すまでに、千回『ごめんなさい』って言えたら許してあげるわ。くひゃひゃ!」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめっ!!!」
「────あ、あ、あ、あ、あああああああ!!!!!」
ナイフが深々と魅音の左目に突き刺さった。魅音が声にならない叫びをあげる。
ハルヒはナイフをぐりぐりと捻り、念入りに魅音を傷つける。
「あっ……あっ……あっ……ああ……」
捻じるたびに、ほぼ意識を失いかけた魅音が声を漏らした。
「くひひ。なんかエロいわね」
ナイフを一気に引き抜く。魅音のガラスのような眼球が、抜けて出てきた。
その眼球が元々嵌っていた場所は、今は血で真っ赤に染まっている。しかしよく見ると、そこには何もない穴がぽっかりと開いていた。
魅音は放心状態に陥っていた。
眼球を捨て、見つからないように地面に埋めた。ナイフについた血を拭い、しまう。
ハルヒは魅音のデイパックから水の入ったペットボトルを取り出して、魅音の頭からかける。
「血で汚れて汚らしいから洗っときなさい。けひっ」
そして魅音のデイパックにあった包帯をナイフで器用に切り取り、眼帯を作る。それを魅音の左目がかつてあった部位に当てて、括る。
「応急手当はこんなもんね。いい?これはかがみにやられた傷よ。分かったわね?」
魅音の水を飲みながら、ハルヒは当り前のように言う。
「これから私達も三村と同じように、出会う奴ら全員にかがみの危険性を伝えていきましょう。
かがみは本当に危険な奴よ。なんていったって……あんたの左目を嬉々として抉るような女だもんね。けひひっ!」
変りはて、放心している魅音の姿は、ハルヒにとってこれ以上ないほど痛快な光景であった。
魅音のこの姿が、これからかがみやつかさへの誤解を広める材料になるという事を考えると、さらに喜色に顔が歪む。
「魅音? 貴方の顔をそんな風にしたのはいったい誰?」
ハルヒにそう言われて、魅音は残った右目からぽたぽたと涙を落しながら、静かに呟く。
「かがみ……柊かがみです。つかさを貶めて、さらに私の目を抉るような魔女は絶対に許さない」
相変わらず放心していて、残った右目に光はない。ぼうっと突っ立って、人形のようにハルヒの指示を待つ。
ただ、かがみへの逆恨みと、守るべきつかさへの愛、それと、これだけ酷い事を平然とやってのけるハルヒは
やっぱり神なんだという確信だけは、魅音の中に未だに残っている。
「そう。それで正解よ。いいHAL厨だわ、魅音。────けひゃっ!」
まさに神の如くやりたい放題なハルヒの所業を二度にわたり目の当たりにして、魅音の中で、唯一神HALの存在はますます絶対的なものとなった。
ハルヒは疑いようもなく神だ。神だから全て許される。目にナイフを突き刺すのも、神だからこそ許容される。悪いのは全てかがみなのだ。
────私の不幸、そしてつかさの不幸はみんなみんなかがみのせいだ。
【園崎魅音@ニコロワ】
[状態]:右腕打撲 、左眼球損失(極簡単な応急手当済み)、精神錯乱、HAL厨
[装備]: カリバーン@アニロワ2nd
[持物]:デイパック、支給品一式、包帯@現実
[方針/目的]
基本方針:HALに従い、つかさを守るため魔女かがみを殺す。
1、HALに従う。HALは神だ
2、出会った人に、かがみにやられた左目の傷を示して、かがみの危険性を伝える
3、つかさが心配。守ってあげたい
ハルヒは魅音のデイパックに水を戻す際、デイパックの底の方に何かを見つけた。
取り出して眺めてみる。なんだろうこれは……一見、宝石のように綺麗な鉱物。
しかし眺めていると何か得体の知れない気分になって来る。
────さて、皆さんはお忘れかもしれないが、このSSには一つだけ未解読な謎が残っている。
それはつかさの見た夢。常識的に考えて、パラレルワールドで出会った人達との体験などを夢として見るなど、ありえるだろうか。
しかも一度ならず二度も。これには、やはりある秘密が隠されていた。これこそが、今回の一見何のかかわりもなさそうな二つの出来事を結ぶ鍵。
元凶は、今ハルヒが手に持ち観察している魅音の最後の不明支給品である。
種明かしすると、この鉱物の正体は、【億千万の思い出(らきロワバージョン)@ニコロワ】である。
参加者全員と、各ロワのらき☆すたキャラの思い出が詰まったこの支給品は、今までずっと魅音のデイパックの中に埋もれていた。
思い出して欲しい。最初につかさが夢を見た時、彼女は魅音に背負われていた。
次につかさが夢を見た時、実は丁度その時に、魅音とハルヒは映画館の近くをうろついていたのだ。
つまりつかさが奇妙な夢を見るときは、いつも決まって億千万の思い出を持つ魅音が近くにいたのである。
億千万の思い出の発動条件は、元のニコロワでもはっきりと明かされていない。
発動する時は発動するし、いかにも発動しそうな時でも発動しない時は全く音沙汰がない。
そんな気まぐれなアイテムなのである。しかし、ニコロワで活躍した柊つかさという少女は、
他の参加者達とは違い、この【億千万の思い出】を複数回発動させた。
そして今、殺し合いに参加している柊つかさも、今までに二度も発動に成功している。
柊つかさと億千万の思い出の相性がいいのかどうかは分からない。
分からないが、何か奇妙な一致が起きていると言えるのではないだろうか?
この偶然がつかさや他の参加者達に何をもたらすか、それはこれから、ハルヒが億千万の思い出をどう扱うかによって千差万別する。
ハルヒはこの支給品をしばらく観察した後、にやりと笑い、自分のデイパックに放り込んだ。
「さあ、どんな風にして放送局に行こうかしら……11時までにD-3を走り抜けられるかしら……
湖を泳ぐってのも、アリかもしれないわね……」
どうやら魅音からこっそりと奪い、自分の物にしたようである。
HALが何を思って億千万の思い出を自分の物にしたのか、私には分からない。
何か深い考えがあっての事かもしれないし、ただの気まぐれなのかもしれない。
神(笑)は中二病なので、彼女の考えを理解出来るのは中二くらいなのかもしれない。
何はともあれ、これまで魅音のデイパックの中で眠り続け、柊つかさの困惑の種、
そして精神的な糧となっていた億千万の思い出は、狂った自称神の手に渡ったようである。
【涼宮ハルヒ@ニコロワ】
【状態】神(笑)
【装備】レイジングハート@ニコロワ
【持ち物】支給品一式×3、ナイフ@現実、マッチ@現実、ランプ@現実、青龍偃月刀@現実 ルイズの首輪、ゴマモンの首輪
コルト・ガバメント(0/7)@なのはロワ コッペパン@らき☆すた 億千万の思い出@ニコロワ 不明支給品×1
【思考・方針】
[基本方針]
主催者と邪魔者を殺して神として君臨する。 経験を生かし、慎重に立ち回る。
1、放送局に向かい、三村に会って首輪解除に協力させる。
どんな風に放送局へ行こうかしら……
2、外撲を集めて、情報を集めて、首輪を分解する
3、魅音の怪我を見せびらかすなどして、かがみの危険性を参加者達に伝える。
4、6/(神)をいつか神の力が戻って来た時、潰す
5、柊つかさに絶望を与え殺す。見失ってしまったのでとりあえず中断
【億千万の思い出@ニコロワ】
参加者達とらきロワに参加している各ロワのらき☆すたキャラの思い出が詰まっている。
投下終了です。矛盾などがありましたらどうぞ
つかさはまだぶれてるな、パッピーがなんとかして欲しいが・・・・・・
そして尻神(笑)は億千万の能力はわかっているのだろうか。
下手すればポイ捨てとかのトラウマが振ってきそうだ。
言い忘れてた。 投下乙!
魅音とHALの現在位置が抜けてますよ
忘れてた…
魅音とハルヒは【E-3 /1日目 昼】でお願いします
トリ忘れ…
投下乙です!
つかさの復活はパピヨンにかかってる!
パピヨン頑張れ超ガンバレ
そしてつかさの夢が今後どう関わっていくのだろうか
さすが(神)wwすがすがしいまでの鬼畜っぷりww氏ねw←誉め言葉
魅音カワイソス…あの時つかさと一緒に逃げていれば…こんな目には遭わなかっただろうに
Chain-情、かえる、投下します
湖から海に向かい、穏やかに流れていく川のほとり。そこを流れに合わせて進んでいく、一頭の巨大な馬がいた。
その背には、黒いライダースーツに身を包んだ一人の青年が乗っている。
「うーん、全然手がかりがないなあ」
馬上の青年、静かなる〜Chain-情は、そう呟いて眉間にしわを寄せる。
彼は数時間前に川に落ちた二人の参加者の行方を探るため、川の流れをたどっていた。
Chain-情はそれこそ超一流の馬力を誇る黒王号の速度を極力抑えて、注意深く周囲を観察している。
だがそれでも、流された二人の手がかりになりそうなものは未だ見つかっていない。
「手がかりが残ってないってことは、問題なく川から上がってどこかに行ったとも考えられるんだけど……。
まあ、もう少し調べてみてもいいか。ここで調べるのをやめて、重大な手がかりを見逃したなんてことになったら困るしね」
独り言を漏らしつつ、Chain-情はゆっくりと前進を続ける。むろん、周囲に最大限の注意を払いながら。
そんな折、彼の視界にとある施設が入ってきた。
「あ、温泉……。そうか、スタート地点に戻ってきたんだ」
温泉を横目に見ながら、Chain-情はしみじみと呟く。
「そういえば、前のロワでは第一放送直後に温泉にいたんだっけ」
彼の脳裏に、以前の殺し合いでの記憶が再生されていく。
前の殺し合いでは、彼は第一回放送の直後に温泉を訪れていた。
そこにいた参加者たちを味方につけることに成功したChain-情は、自らは拠点防衛のために温泉旅館で待機することになった。
今にして思えば、その時がChain-情にとって一番心休まる時だったのかもしれない。
もっともその安息の時は、マーダー襲来による拠点壊滅、チーム離散という最悪の形で終了してしまったのだが。
「あの時も、フラグビルドさんにはずいぶん世話になったっけ……。
フラグビルドさん、無事かなあ。頼りになる人と一緒にいればいいんだけど」
過去を思い出すうちに、Chain-情の脳内は愛する人への想いが比重を増していく。
彼女が恋しい。彼女に会いたい。がむしゃらに彼女を捜し回りたいという気持ちが芽生えてくる。
しかしそれは、今行っている二人の参加者の捜索を放棄するということだ。
過剰なぐらいに真面目なChain-情は、とてもそんなことをする気にはなれない。
「どうしたもんかなあ……」
再び眉間にしわを刻み込み、Chain-情は考え込む。
「おーい、そこの青年」
そんな風に悩んでいたために、Chain-情は自分を呼ぶ声があることにしばらくしてから気づいた。
「おーい、おーいと言うに」
「あれ? 呼ばれてる? どこだろう」
慌てて、きょろきょろと周囲を見渡すChain-情。しかし、声の主は見あたらない。
「こっちだ、こっち」
「こっちって……川の中?」
Chain-情は、川に視線を向ける。そこには、水面に顔だけを出した緑色の生物がいた。
(そう言えば、前のロワではカエルにもずいぶん世話になったっけ)
その時Chain-情の脳裏に浮かんだのは、そんなどうでもいい事柄だったという。
◇ ◇ ◇
そんなこんなで、黒王号から降りたChain-情と陸に上がったカエルは、しっかりと顔をつきあわせて自己紹介を行った。
ちなみに、喋るかえるが参加者として存在していることに関してChain-情は特に動揺していない。
ピッピという前例に遭遇していたというのもあるが、前のロワではもっとすごい化け物に出くわしていたという点も大きい。
グロテスクとしか形容しようのないあのクリーチャーに比べれば、喋るかえるなど可愛いものだ。
ただ、このかえるが鳥獣戯画の出身だと聞かされた時はさすがに驚いたが。
「さて、Chain-情どん。二、三聞きたいことがあるのだが、よろしいか?」
「なんでしょう?」
「お主、積極的に他の者を殺して生き残ろうという考えはあるか?」
「ありません」
かえるからの問いに、Chain-情は即座に答えた。一切の迷いが感じられない返答に、かえるは彼が嘘を言っていないと判断する。
そもそも彼が殺し合いに乗っているのなら、わざわざ自分との会話に付き合ったりしないだろう。
(この男なら、情報を交わしても害にはならぬか……)
そう考えたかえるは、Chain-情に対し自身が最も気にかける話題を切り出した。
「では続けて聞こう。お主は紫の髪のかがみんというおなごを見かけておらぬか?」
「かがみん……柊かがみですか? いえ、すいませんが見ていませんね」
「そうか……」
かえるの口から、溜め息が漏れる。とはいえ、さほど強く落胆したわけではない。
自分もここに来てからであった参加者は、Chain-情で3人目なのだ。他の参加者とてその程度の数なのだろう。
そうそう都合よく、かがみんと出会っている参加者に巡り会えるとは思えない。
何はともあれ、かがみんの情報が得られないのであればこれ以上会話を続ける理由もない。
「時間を取らせて済まなかったな。では、私はこれにて失礼する」
「あっ、ちょっと待ってください!」
Chain-情に背を向け、かえるは川の中に戻ろうとする。だが、Chain-情は遠ざかっていこうとするかえるを呼び止めた。
「む? どうした?」
「情報交換っていうのは、ギブ&テイクが基本でしょう? そちらだけ一方的に質問しておいて、それが終わればはいさようならっていうのはひどいんじゃないですか?」
「ふむ、ぎぶあんどていくとやらの意味はわからぬが、こちらから一方的に質問しただけで別れるのは確かに失礼か。
わかった、そちらの質問にも答えよう」
Chain-情の言い分に納得したかえるは、進行方向を180°変え彼の前に戻る。
「では、遠慮なく聞かせてもらいます。白い鎧を身につけた小柄な人と、栗色の髪の小さな女の子を見ませんでしたか?
彼女たちは僕の目の前で、事故で川に落ちてしまって……。今、手がかりを探しているんです」
「悪いが、心当たりはないな」
「そうですか……。じゃあ、もう一つ聞かせてください。素晴らしきフラグビルドという名前の、緑の髪の女の子は見てませんか?」
「そちらも知らんな。私がここで出会ったのは、衝撃のアルベルトとか名乗った好戦的な男だけだ」
かえるは、少しだけ嘘を付いた。やはり、ゴマモンを殺したことに対する負い目があったのかもしれない。
「わかりました……。ありがとうございます」
かえるに対し、Chain-情は丁寧に礼を言う。だがそのたたずまいは、傍からでも落胆の色が見て取れた。
「すまんの、まったく役に立てなくて」
「いえ、こちらも有益な情報は提供できませんでしたから……。おあいこですよ」
なんとなくその場に流れる、重たい雰囲気。そのまま立ち去るのも後味が悪い気がして、かえるは気になったことをChain-情に聞いてみる。
「ところでその、素晴らしきなんたらというおなご……お主とどういう関係なのだ?
先の二人について聞いた時より、なんというか感情がこもっているような気がしたが」
「え? どういうと言われても……まあ、えーと、あれです。以前からの知人ですよ」
「なるほど、惚れたおなごか」
「っ!」
とたんに挙動不審になったChain-情に、かえるはカマをかける。
結果としてそのカマは大当たりであり、Chain-情はさらに取り乱した。
「いや……まあそれは……そうなんですが……」
「なに、照れることはない! 惚れたおなごのために何かするというのは、男として当然のこと!
かくいう私も、かがみんに惚れてしまって彼女を捜しているのだからな!
Chain-情どん、お主の気持ちよくわかるぞ!」
「はあ……」
朗らかな表情を浮かべ、かえるは親愛の情を込めてChain-情の体を叩く。
Chain-情の方は、なんでかえるに親近感を持たれてるんだろう、と複雑な思いに囚われていた。
「そうだ、Chain-情どん。お主を同志と見込んで、あと一つだけ訊きたいことがあるのだが」
「いや、いきなり同志に認定されても困るんですが……。まあ、話は聞きましょう。なんですか?」
若干あきれ気味な態度を見せつつも、Chain-情は律儀にかえるの言葉を待つ。
「愛するおなごを生きて帰らせるために、他の者どもを皆殺しにして殺し合いを終わらせようと思ったことはあるか?」
「ありません」
最初に質問をぶつけられた時のように、Chain-情は即座に答えを口にした。
「ほう……。愛する者のために他のものを犠牲にする、これも一つの愛の形だと思うのだがな。
お主は一瞬たりとも、そんなことを考えたことはないと?」
「確かに僕は、なんとしても彼女に生き残ってほしい。けど、そのために殺人を肯定するのは違うと思うんです。
愛ゆえに凶行に走った人を頭ごなしに否定するわけにもいかないのでしょうが、やはりそれは間違っていると思います。
まあ突き詰めていけば、結局のところは『殺人なんてよくない』という単純な思考に行き着いてしまうんですが。
すいません、長々と話しておいて、子供のような結論になってしまって」
「いや、かまわん」
「それに……」
「それに?」
「死ぬのも殺すのも、辛いですよ?」
口調自体は、先程までとさほど変わらない。だがかえるには、その一言が妙に重く感じられた。
「お主は、人を殺したことがあるのだな?」
「ええ、一人。殺したその時は、怒りに身を任せていたから何とも思いませんでした。
けど、冷静になってから自分の行動を振り返って……。ひどく罪悪感を覚えました。
相手は、明らかに自分に敵意を持っていた。でも、だからといって殺すことが許されるのか。
襲ってくる人間に立ち向かうことが悪だとは、もちろん思いませんが……。そう簡単には割り切れません」
この男、ずいぶんと繊細な心の持ち主なのだな。
Chain-情の話を聞き届けたかえるは、そんな感想を抱いていた。
かえる自身も、ゴマモンを殺したことに関しては少なからずマイナスの感情を持っている。
だがそれは、自分に非があったかもしれないからだ。
Chain-情のケースは、それとは違う。
襲いかかる火の粉を払いのけることなど、生物として当然の行動である。
このような殺し合いの場なら、なおさらのことだ。
だがこのChain-情は、そのような行動にすら後悔の念を抱いている。
あまりに脆弱、あまりに純粋すぎる。とても殺し合いの場で、長生きできる人間とは思えない。
だがそれでも、かえるはChain-情の人となりに少しだけ羨望の念を抱いていた。
別に、彼のようになりたいと思ったわけではない。あんな繊細な心では、自分の目的を達せられるかどうかも怪しい。
汚れていないことは、必ずしもよいことではないのだ。
だがそれでも、人は自分にないものを持つ他者に憧れる。
人ではないが、かえるもその例外ではなかった。
「Chain-情どん、少ししか話してはおらぬが、お主の性格はだいたいわかった。
どうやら、お主と私は少々考え方が違うようだ」
「はあ」
「すまないが、先程言った同志という言葉は取り消させてもらおう。
ああ、だが勘違いしないでほしい。お主の愛を認めぬと言うわけではない。
ただ私と、愛に関する考えに相違があるということよ」
「はい? いや、まあいいですけど……」
いきなり同志に認定されたと思ったら、数分でそれを撤回される。
かえるの心の内など知らぬChain-情にとっては、意味不明の展開である。
それでも彼は、厳しいツッコミを入れるでもなくただ当たり障りのない言葉を並べていた。
Chain-情という男、戦闘時はともかく平時は相手に流されがちな受け身体質なのである。
◇ ◇ ◇
数十分後、Chain-情とかえるは川に架けられた橋を渡っていた。
Chain-情が探す仮面ライダーと少女の痕跡は、残念ながらここまでまったく見つからなかった。
そうなれば向こう岸に渡った可能性が高いと考え、橋を渡ることにしたのだ。
一方、かえるが橋を渡ったのはもっと単純な理由である。自分は南から来たのだから、また南に戻ることもないだろう。
ただ、そう考えただけだ。
「さて、Chain-情どん」
「なんです?」
「このままお主に同行してもよいのだが、やはり人を捜すには手分けをするのが常道というもの。
ここは別行動で、お互いの探し人を捜索せぬか?」
「え?」
てっきりかえるがこのまま同行してくれるものと思っていたChain-情は、彼からの提案に動揺をのぞかせる。
「確かに人を捜すにはそっちのほうが効率的ですが……。他の参加者に襲われたらどうするんです?
僕は武器があるから何とかなりますけど、そちらは見たところ丸腰じゃ……」
「なに、川辺を進んで、危ないと感じたら川の中に逃げ込めばいい。水の中で私に追いつけるものなど、そうはいないはずだからのう。
というわけで、私は川に沿ってとりあえず自然公園とやらを目指してみる。
お主は街道沿いに進んでみてはどうかな? 話を聞くに、例の二人が川に落ちてからすでにだいぶ時間が経っているのであろう?
それならば、すでに川から離れたところに移動していてもおかしくはない」
「なるほど、一理ありますね。では、そうしましょうか」
かえるの提案を、あっさり受け入れるChain-情。何度も言うが、彼は流されやすい体質なのだ。
決して意志が弱いわけでも、自己主張できないわけでもないのだが。
その辺りは相手の意思を尊重する優しさと、星の巡りのかねあいだろうか。
「あ、でも僕がかがみを見つけたり、そちらがフラグビルドさんを見つけたりした時はどうします?
別行動となると、連絡を取る手段が……」
「ふむ、それならいい方法がある」
そう言うとかえるは足を止め、自分のデイパックをあさりだした。少しの間を置いて、彼はそこから4本の打ち上げ花火を取り出す。
そしてその内2本を、Chain-情に手渡した。
「お互いの探し人を見つけたのなら、それを打ち上げればいい。よほど遠くにいなければ、昼間でも見えるだろう」
「はあ……」
花火を受け取りつつ、Chain-情は「思いっきり水に浸かってたのに全然しけってないなんて、やっぱりパロロワのデイパックはすごいなー」などと割とどうでもいいことを考えていた。
ついでに、「これって使ったら拡声器フラグになるんじゃないかなー」とも。
「では、そろそろ別行動といこうかの。Chain-情、お主とお主の嫁の無事を祈っておるぞ」
「よ、嫁って……。まあいいです、そちらもお気を付けて」
ピョンピョンとコミカルに飛び跳ね、かえるは森の中に消えていく。
その姿を見送ったChain-情は、一つ深呼吸をして黒王号の手綱を握った。
「さあ行こうか、黒王号」
主の思いに応え、黒王号は嘶きをあげて走り出す。これまで速度を抑えていた鬱憤を晴らすように、全速力で。
(しかし、嫁かあ……。いつか、本当にそうなるといいなあ。
でもそのためには自分の想いをしっかりと伝えて、それからある程度の交際期間を挟んで……。
って、何を考えてるんだ僕はぁぁぁぁぁ!! 将来設計なんて考えてる場合じゃないだろ!
今はまず、このロワをぶっ壊すことを考えないと! それをしないで、将来も何もあるか!)
ヘルメットの下で顔を真っ赤に染めたChain-情は、大げさに頭を振って邪念を振り払った。
◇ ◇ ◇
森の中、歩を進めながらかえるは考える。自分はこれから、どうするべきか。
むろん、かがみんを見つけ出すという第一の目的は変わっていない。
だが、見つけられた後の行動に関しては棚上げしたままだ。
Chain-情への最後の質問は、自分の歩むべき道のヒントが得られるのではないかと期待してものだった。
だが彼の言葉はかえるに少なからず影響は与えたものの、明確な答えを導き出すまでには至らなかった。
(まあよい、かがみんが最優先であることは変わりがないのだからな。
第一の目標を達成せぬうちに、その先を考えるなど愚かなことよ。全ては、かがみんの安否を確認してからでよい)
結局結論は棚上げしたまま、かえるは前へ前へと突き進んでいった。
果たしてChain-情は、そしてかえるは、このバトルロワイアルの中で愛しい女性に出会うことができるのだろうか。
【B-2/道路上/1日目-午前】
【静かなる〜Chain-情〜@書き手ロワ2nd】
[状態]:健康、螺旋力覚醒
[装備]:滝のライダースーツ@漫画ロワ、騎英の手綱(ベルレフォーン)@カオスロワ+黒王号@漫画ロワ
[持物]:デイパックx3、支給品一式x3、ゼクトバックル(ホッパー)@なのはロワ、サバイブ(烈火)@書き手ロワ2nd
:カセットアーム(マシンガンアーム)@書き手ロワ2nd、打ち上げ花火@漫画ロワ×2、不明支給品×1
[方針/行動]
基本方針:バトルロワイアルに反逆する。
1:河に流されたイクサ(長門)と少女(千秋)を探す。
2:柊かがみも探す。
3:フラグビルドを見つけ、今度こそ守り抜く。
[備考]
※死亡後からの参戦です。
【B-2/森/1日目-午前】
【かえる@オールジャンルバトルロワイアル】
[状態]:全身各所に裂傷。失意。疲労(小)
[装備]:和服
[持物]:デイパック、基本支給品一式、打ち上げ花火@漫画ロワ×2
[方針/行動]
基本方針:かがみんと生還する
1:かがみんを探す
2:かがみんは本当に死んだのだろうか
3:殺し合いについては保留(かがみんと結婚してから)だが襲い掛かる相手には容赦しない。
4:Chain-情の探し人も、いちおう探す。
[備考]
※オールロワ140話「B-5周辺顛末記」より参加。
※柊かがみが死んだかどうか疑ってます。
※禁止エリアを聞き逃しました。
【打ち上げ花火@漫画ロワ】
市販の大型花火。漫画ロワでは範馬勇次郎が使用した。
元のロワでは周囲8マスに光と音が届くことになっていたが、地図の縮尺の都合で今回は届く範囲が変わるかもしれない。
以上で投下終了です
矛盾点などありましたら指摘お願いいたします
462 :
創る名無しに見る名無し:2009/05/12(火) 02:10:23 ID:T2qlrbI2
投下来てた
つかさとパピヨンは危ういのか凸凹コンビなのかわからんな
そして夢の内容に吹きつつもじ〜んと来たな
確かに平穏で平凡な日常は大事だがパピヨンの前ではな・・・・
ここで億千万の思い出が来るとは
そして魅音は完全に下僕だな。これはダメかもしれない
情さんは本当に繊細だな。ロワで不利っぽいがかえるを引き付けたみたいだからいいかもしれない
かえるのマーダー止めてとりあえずかがみん探しか。
お互い想い人に会えるかそれとも・・・・・先に期待です
情とかえるの微妙なすれ違いがいい。
両方の恋は実ってほしいもんだが、ここはバトルロワイヤルだからね。
はたしてどうなるか期待せざるを得ない。
そしてそろそろこのスレの容量がやばそうなんだぜ
次スレ↑にする?
私は一向にサムワン!!
467 :
創る名無しに見る名無し:2009/05/16(土) 23:17:01 ID:7lb7FsW8
ここ、wikiに保存出来るまで落ちないで欲しい
チャレンジしたけど俺には無理だった
全然書き込みないけど実はここって結構人いるんだなと思った
もう乱立ロワほぼないな
選択肢がほぼなくなっとるw