−Rozen Meiden− ローゼンメイデン

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1名無しさん@お腹いっぱい。
「ローゼンメイデンのSSを書くスレです。
 名前欄にタイトル必須、トリップ推奨。
 エロ、グロなどの18禁ネタはエロパロ板の該当スレで。
2 ◆o6TyagXj/I :2008/08/31(日) 16:33:29 ID:HA0Jg2am
>>1ありがとう。
では僭越ながら……。 
3年ほど前に書いて別の場所に公開したものだが、投下します。
3翠星石の憂鬱 ◆o6TyagXj/I :2008/08/31(日) 16:36:57 ID:HA0Jg2am
「はぁ〜い。そういうわけでぇ、今日のデザートはみんなの大好きないちごよ〜。」
 
 のんびりとした声がダイニングに響くと、一瞬だけ夕食時の喧騒がぴたりと止まった。
 そして、またフォークやナイフを使う音や、おしゃべりの声などで騒がしくなる。
 この家に人間は二人しか住んでいないが、何故かいつも賑やかなのは、
3体の不思議な人形たちがいるからだ。
 そのうちの一体、桃色のドレスを身にまとった幼女姿の人形が、
他の誰よりも目を輝かせている。雛苺だ。
 
「わぁ! いっちご! いっちご! のりぃ、ヒナ早くいちごほしいのー!!」
「はいはい、ヒナちゃん。ちゃんとご飯を全部食べてからね。」
「えー! ヒナ、もうご飯食べちゃったよ?」
「そう? あらぁ、ヒナちゃん、まだ人参が残ってるじゃない。」
「ぶー。にんじんきらーい。」
「だ・め・よ、好き嫌いは。残さずちゃんと食べてね。」
「えー! いやなのいやなのー! いちごー!!」
 
 言い争い合うのりと雛苺の横で、緑色のドレスをまとい、白いレースを頭にかぶった人形、
翠星石が渋い顔をしながら考え込んでいた。
 
(いちご……ですか……。)
 
 緑色の右目と赤い左目。流れるような栗色の長い髪。
 翠星石の脳裏には、一週間以上前にした雛苺との喧嘩の記憶がよみがえっていた。
 正確に言えば、他のもう一体の人形である真紅と、のりの弟であり、
翠星石や真紅のマスターでもあるジュンとを巻き込んだ、小規模な攻防戦だ。
4翠星石の憂鬱 ◆o6TyagXj/I :2008/08/31(日) 16:38:14 ID:HA0Jg2am
 そもそものきっかけは、その日のおやつのときに、翠星石が雛苺の大好物の
ショートケーキのいちごを食べてしまったことにあったのだが、
翠星石はその事実をしらばっくれ、結局喧嘩の後にも、謝ったりはしていない。
 別にそれで気にしたりはしていなかったのだが、こうしていちごを見てみると、
なんだか少しばかり苦しいような気分になった。
 
(そう言えば……明日って……。)
 
 翠星石は食卓の上に置いてあった小さなカレンダーを見た。
 カレンダーの日付には黒マジックで毎日バッテンが書かれているが、
今日の日付から未来の日付には何も書かれていない。
 今日より一つ先の未来、つまり明日の日付をチェックする。
 やはりそうだった。
 
(チビチビの誕生日……ですね……。)
 
 正確には、雛苺が完成し、初めてゼンマイを巻かれた日だ。
 その日から雛苺は、翠星石たち薔薇乙女の妹として動き始めたのだ。
 
 翠星石は、自分の前に配られたいちごの入った容器を頭上に掲げると、
まだ夕食を食べていたり、いちごを食べ始めていたりの二人と二体に向かって
高らかに宣言した。
 
「きょ、今日は翠星石、もうおなかいっぱいですぅ! 
 このデザートのいちごはれいぞーこに入れて明日にとっておくですぅ! 
 だから、お前ら、絶対に手をつけるんじゃねーですよ! 特に、チビ苺!!」
 
 「チビ苺!!」の部分でびしっと雛苺を指差し、腰に手を当て大きな態度を取ると、
翠星石は食卓の椅子から下り、容器を包むためのラップを探しに行った。
 残された者たちは、翠星石の奇妙な言動にしばし呆気にとられていた。
 翠星石の前にあった皿には、しっかりと人参が残されていた。
5翠星石の憂鬱 ◆o6TyagXj/I :2008/08/31(日) 16:39:59 ID:HA0Jg2am
 明くる日は休日で、朝も早いうちから、のりは台所でいそいそと何か作っていた。
その傍らには真紅がいて、のりの作業を物珍しそうに見ていた。
 
「真紅ちゃん、そこのナイフ取ってくれる?」
「これで良いの?」
「ありがとう。真紅ちゃんがいてくれて助かるわぁ。」
「こんなことくらいお安い御用なのだわ。」
 
 翠星石の目覚めたのは昼も近くなった頃。昨日はあまりよく眠れなかったのだ。
 彼女が台所への扉を開けると、のりや真紅はさっとその場にあったものを隠そうとした。
 だが、扉を開けたのが翠星石だとわかると、落ち着いた様子でそれを隠すのをやめ、
二人とも翠星石に向かって微笑んだ。
 
「お寝坊さんね、翠星石。貴女にしては珍しいわ。」
「何してたです? 真紅、のり。」
「ああ、これ? ケーキを焼いたのだわ。のりがね。」
「真紅ちゃんに聞いたのよ〜。今日はヒナちゃんの誕生日なんですって? 
 だから、ヒナちゃんの大好きないちごショートケーキを作ってあげようと思って。」
 
 翠星石の表情に暗い影が落ちたのを見て、のりは取り繕う。
 
「ああ! 大丈夫よ! 翠星石ちゃんの昨日のいちごは使っていないわ。
 ちゃんと冷蔵庫にあるわよ。実はね、もう一パック買ってたのよ。このケーキのために。」
 
 ほらと、のりはパックに入ったいちごを翠星石に向かって見せた。
 翠星石は自分が無意識のうちに浮かない表情になっていたのに気付き、
それを打ち消すように笑った。
 
「あ、そ、そうです、よね。それなら良いんです。じゃ、のり、真紅、頑張ってです。」
 
 だが、その笑顔はひきつっていた。声にも覇気がなかった。
 翠星石はまた廊下に出ると、大きな鏡などが置いてある、暗い物置部屋に向かって走り出した。
 残されたのりと真紅は、顔を見合わせ、肩をすくめた。
6翠星石の憂鬱 ◆o6TyagXj/I :2008/08/31(日) 16:41:17 ID:HA0Jg2am
(どうせ……。どうせ、あのケーキの後じゃ、翠星石のあげるプレゼントなんて……。)
 
 翠星石は暗い部屋の隅っこに座り込み、ひざを抱えた。
 そう、翠星石は、昨日残した分のいちごを、雛苺への誕生日プレゼントにしようと
考えていたのだった。
 普段は雛苺いじめに没頭している翠星石の、わずかながらの良心からの気まぐれだった。
 
 雛苺はとにかくいちごが大好物だ。
 何より好きなのは苺大福だが、いちごの乗ったショートケーキも負けないくらい好きだ。
のりの作ったショートケーキは、いちご単体よりもきっと何倍も雛苺に喜ばれるだろう。
 翠星石は抱えたひざに顔をうずめた。
 
「ここにいたのか、性悪人形。」
 
 声をかけられ、翠星石の見上げた先にはジュンがいた。
 何時間経ったのかわからない。だが、ジュンが探しに来るということは、
相当の時間が経っているのだろう。
 
「ケーキ食うんだってさ。お前も来いよ。みんな待ってるぞ。」
 
 そう言って、立ち上がらせようと腕をとったジュンの手を、翠星石は振り払う。
 
「ほっといてです。翠星石、そんなもん食べる気しねーです。」
 
 振り払われた腕を上げ、頭をかき始めるジュン。
 
「あのなぁ……。何いじけてるか知らないけど……。」
「ジューン。翠星石、見つかったのー?」
 
 翠星石をなだめようとしたジュンの声に、雛苺の無邪気な声が重なる。
 とてとてと走る足音が近付き、ほどなく翠星石の横に雛苺が立った。
 
「翠星石、のりがケーキ作ってくれたのよ。一緒に食べるの、ね?」
 
 小さな両手で袖をつかまれ、翠星石はやむなく立ち上がった。
7翠星石の憂鬱 ◆o6TyagXj/I :2008/08/31(日) 16:43:19 ID:HA0Jg2am
「誕生日プレゼントって、やっぱりあげた方が良いです?」
 
 洗い物をするのりの背中に、翠星石が問いかける。
 夕食前のひととき。今日は十分食料があるので、のりは買い物に出かけず、
色々と片付けなどをしていた。
 翠星石は食卓の椅子に座り、のりの作業をじっと見つめていた。
 
 おやつの時間はちょっとしたパーティーだった。
 のりのケーキは、やはり悔しいくらいに美味しかった。
 雛苺も死ぬほど喜んでいた。
 普段であれば、雛苺の喜ぶ姿はなんだか癪に障るといっていじめていた翠星石だったが、
今日は何もせず、ただぼーっとケーキを口に運んでいるだけだった。
 
「ヒナちゃんに? あー、わかった。昨日のいちご、ね?」
 
 勘のいいのりはすぐに気付いた。翠星石が元気のない理由までも。
 少々翠星石には気の毒なことをしたかなと、胸を痛めつつも、のりは優しく微笑んだ。
 
「誕生日プレゼントって、特別じゃない? いくら貰ったって嬉しいわ。
 ヒナちゃん、いちごがとっても大好物だもの。きっと喜んでくれるわよ。」
 
 のりの笑顔に、翠星石の瞳にもひとすじの光が差す。
 
「そう……ですかねえ……。」
 
 口では疑うようなことを言いながらも、翠星石は椅子から下り、冷蔵庫に近付き、
奥の方に大事に仕舞っておいたいちごを取り出してきた。
 その姿を見て、のりは慌てて洗い物の手を止め、濡れた手をタオルで拭いてから、
食器棚などをあさり始めた。
 そして、どこからかピンクのリボンを取り出してきて、翠星石に渡した。
 
「前にね、クッキーを包んでいたリボンなの。良かったら、その容器に結んで。」
 
 翠星石はリボンを受け取ると、満面の笑みでのりに向かってうなずいた。
8翠星石の憂鬱 ◆o6TyagXj/I :2008/08/31(日) 16:44:28 ID:HA0Jg2am
 雛苺はジュンの部屋で楽しげにお絵描きをしていた。
 ちょうどジュンや真紅は階下でニュースを見ていた時間だったので、二人っきりだった。
 
「チビチビっ!」
 
 ぽかんとした顔で振り向いた雛苺に向かって、 翠星石はピンクのリボンの結ばれた容器を
差し出した。
 少し離れたところからその中身を確認し、雛苺は例のごとく目を輝かせた。
 
「こ、これやるです。」
「わーい! いちごー!!」
 
 雛苺が喜んで駆け寄ってくる。
 その姿になんだか嬉しくなった翠星石は思わず笑みを浮かべた。
 
 だが、その瞬間、雛苺の顔が凍りついた。足を止め、後ずさりを始める。
 
「な、何たくらんでるなの? 翠星石……。」
 
 翠星石の微笑みは嬉しさからのものだったのだが、普段から笑顔でいじめを受けている
雛苺にとっては、ほくそえんでいるようにしか見えなかったのだ。
 
「うわーん! きっと何かわながしかけてあるのー!! 助けてー! のりー! 真紅ーーー!!」
 
 雛苺は一目散に部屋から飛び出し、逃げていった。
 翠星石はしばし呆然としていたが、我に返ると、雛苺の態度に憤った。
 
「な、な、なんですか!? せっかくの翠星石の好意を無にしやがったですねーっ!!!」
 
 顔から湯気が出るほど怒りながら、翠星石は容器の中身をやけ食いしはじめた。
 ヘタがついたままだったが、気にせず一気に流し込んだ。
 
「覚えていろですぅ、雛苺……。この恨みは百年先までですぅ!!」
 
 
 
 
 
 その日から翠星石の雛苺に対するいじめは加速の一途を辿った。
 そんな翠星石の姿を見ながら、マスターであるジュンはこっそり心の中でつぶやいた。
 
「やっぱ極悪だよな、あいつ。契約解きたくなってきたよ……。」
 
                                            (終わり)
9名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/31(日) 22:52:23 ID:1qsup5fX

読みやすい長さだった
10名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/31(日) 23:31:58 ID:qiPihXTc
かわゆす
11名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/01(月) 08:12:02 ID:osEFC1c6
 
12名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/02(火) 06:32:19 ID:g0pVEPA6
かわいそう
13 ◆o6TyagXj/I :2008/09/02(火) 21:27:52 ID:Ui07Ldyy
過疎ってるのであげてみる。
他の人の作品も見たい。
 
>>9
ありがとう。
自分でも書きやすい長さだったんだ。
 
>>10
誰が? 翠星石がかな? 
こんな文章を書いているが、翠星石は好きなんだw
ゆがんだ愛情と言うヤツだね。
 
>>12
翠星石がかな? 
そうだね。バッドエンドだからね。
まさかこんなオチとは思わないだろうと思って書いてみたw
14名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/02(火) 21:34:47 ID:xtrLdBKE
ヨーグルトスレのほうが伸びてるなんて……くやしいっ!
15名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/02(火) 21:38:45 ID:0Pq347Ak
今度VIPとここで同時投下してみようかな
16名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/03(水) 09:26:44 ID:/teF4mGo
>>1-2
自演乙
17 ◆o6TyagXj/I :2008/09/03(水) 19:20:06 ID:yfJf7SIr
>>16
そんな意味のない自演なんかするかよwww
自分が立てられないから立ててもらって素直にお礼を言ったまでだ。
18久保竣公@匣の中の人形:2008/09/03(水) 21:10:30 ID:KPDFI16L
此方に移転していいかしら〜?
19名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/03(水) 21:16:39 ID:MRBWBjI7
だめ
20所謂普通のニート:2008/09/03(水) 23:40:57 ID:qEgnrgx4
自分はスレの立て方を知らないので、こちらにラストワルツ第二話を投下させていただきます。
第一話は【ノーマル】ローゼンメイデンのSSスレ 8【一般】の591〜から始まっています。

では、投下します。
21ラストワルツ@所謂普通のニート:2008/09/03(水) 23:42:26 ID:qEgnrgx4
 窓から覗ける景色は、暖かい光が溢れていた。
 そこはNのフィールドと呼ばれている次元に存在する、とある少女の心を表す世界だった。その世界は時間が深夜にも関わらず、天からの明かりを失わない。しかし、楽園を思わせるこの世界も常に明るい訳ではなかった。
 少女本人の心が迷い乱れれば空は曇り、場合によっては雨も降る。ただ、本人以外が影響する事もある。それは招かざる客が来たサインでもあった。
「…また、あの子が来たのね」
 視線すら動かさず、この世界の主人 真紅が呟いた。
 確認など、必要無いのだ。彼女の世界に無断で立ち入る者は一人しかいないのだから……
「久し振りねぇ、真紅」
 漆黒の翼をたたみ、招かざる客が到着した。
 ローゼンメイデン第一ドール、水銀燈。間柄で言えば、彼女は真紅の姉に当たる。
「今日は何の用なの?」
「そんなの決まっているでしょう」
「……アリスゲーム」
 彼女の目的は、今も昔も変わらない。思うのは父 ローゼンの事、そしてその為にアリスになる事だ。
 ドールズは全員がローザミスティカと呼ばれるものを持っている。アリスになるには全てのローザミスティカが必要であり、それを奪い合うのがアリスゲームだ。
「水銀燈、貴女はまだアリスゲームを続けるつもりなのね…」
「当然でしょう。私たちはアリスになる為に生まれたのだから」
「前の戦いの時、貴女も聞いた筈よ。お父様の言葉を、道は一つじゃないって…」
「貴女が戦わないって言うのなら…先に翠星石から始末しようかしら?」
 その一言で真紅は顔色を変えた。痛い所を突かれてしまったのだ。
 翠星石は少し前、水銀燈に最愛の妹 蒼星石を奪われてしまっている。もし今、水銀燈が目の前に現われるような事があれば、翠星石は冷静ではいられない。間違い無く、彼女の中に眠る復讐心が顔を出してしまう。
 そうなれば、たとえ罠だと分かっていても戦いに赴いてしまうだろう。
「あの子のローザミスティカは一つだけ…勝負になれば良いわねぇ?」
「水銀燈!!」
 挑発だと分かっていても真紅は声を荒げてしまう。水銀燈ならやりかねないと言う焦りが、真紅の冷静さを奪っていた。
「ふふふっ…明日の夜十時、私と貴女の闘いに決着をつけましょう。場所はここ、貴女の世界よ」
「……大した自信ね。今度はどんな罠を思い付いたの」
 真紅は皮肉を言ったつもりだった。だが、水銀燈は薄ら笑いも浮かべずに真紅を睨んだ。
「…小細工なんかしないわ。いえ、必要無いわ」
 水銀燈は翼を大きく広げて、自らの羽を散らす。彼女の手の中に集まった羽は剣に変わり、真紅に向けられた。
「明日の闘いはローゼンメイデンの誇り、そして私の総てを賭けた一対一の決闘よ」
 普段の他人を馬鹿にしたような余裕など微塵も無い。
 真っ直ぐに向けられた強い眼差しには、今まで感じた事が無かった誇りを感じる。
「信じる信じないは貴女の自由よ。それじゃあまた明日…」
「…夜十時、この場所で!」
「楽しみにしてるわ、真紅」
 羽根で作った剣を床に刺し、水銀燈は姿を消した。
 残された真紅は、自分が嫌な汗をかいている事に気付いた。
「アリスゲームを続ける…それが貴女の答えなのね……」
 水銀燈が残していった剣が、真紅に答えるように妖しく輝いた。
22名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/03(水) 23:43:29 ID:ouXAR2A6
第一話から再投下するか、もしくはせめてスレのURLくらい貼った方が
23ラストワルツ@所謂普通のニート:2008/09/03(水) 23:43:36 ID:qEgnrgx4
―――翌日の夜

「う〜たは〜風〜、ひ〜かり〜導〜く〜…」
 夜の病室にメグのかすかな歌声が響いていた。
 珍しく水銀燈の方から歌ってと言ってきたのが少し気に掛かったが、メグはそれを問う事無く歌っていた。彼女はこの歌を歌っている時だけは、水銀燈がどこにも行かない事を知っているのだ。
 水銀燈は真紅との戦いを数時間後に控えているのに、不思議と落ち着いている自分について考えていた。
(妙な気分ね……でも、悪くない……)
 感じた事の無い感覚に翻弄されるでもなく、気持ちが昂ぶるでもない。穏やかな一時が過ぎていた。
 しばらくすると、不意に歌が途切れた。どうやらメグが咳き込んだようだ。
「なぁに? また発作なの?」
「ごほっごほっ…ごめんね、折角水銀燈が来てくれてるのに…うぐっ…」
 メグが急に胸を押さえてベットに倒れ込んだ。不自然なほどに身体を反らせたまま、動こうとしない。
「メグ?」
「ぐっ…う"あ"ぁぁぁ……」
 聞く者が耳を塞ぎたくなるような呻き声が上がる。
「どうしたのメグ!?」
「…すっ……水ぎ…と……」
 身体を痙攣させながらメグは必死に手を伸ばした。ナースコールではなく水銀燈にだ。
 水銀燈も差し出された手を躊躇う事無く掴むが、嫌な胸騒ぎを覚えた。メグの握り返す力がどんどん弱くなっていたのだ。
「メグ、しっかりしなさいよ…」
「…やっと……楽…に……」
 すぅっとメグの手から力が失われる。
「ち、ちょっと何の冗談よ。目を開けなさいよメグ、メグ!」
 ピィーと心拍停止を告げる耳障りな機械音が部屋中に響き、水銀燈の焦りは頂点に達した。
 メグは水銀燈がいくら揺すっても、声を張り上げても、まるで人形のように全く反応を返さない。一刻でも早い何らかの処置が必要としている事を悟ると、水銀燈の行動は早かった。
「くっ……レンピカ!」
 水銀燈は自分ではなく、奪った蒼星石の人工精霊を呼び出した。
「…分かってるわね?」
 レンピカが水銀燈の周りをクルクルと回る。どうやら意思は通じているようだ。
(メグ、ごめんなさい!)
 水銀燈は自らの羽を集めて剣を作ると、それを逆手に持ち替える。
 そして、彼女は意を決して自分の腹部を貫いた。
「ぐっ……あぅ…い、今よ…」
 剣を引き抜くと同時に合図を送る。それを受け、レンピカは水銀燈の傷を通り、身体の中へと侵入した。
「あぐっ……う…あ"ぁ…」
 水銀燈が膝をついた。彼女の内部に臓器などは無いが、身体の内部を異物に掻き回されているのだ。大きなダメージはもとより、かなりの不快感が付きまとうだろう。
「ひぎぃ…」
 ひときわ大きなダメージの後、レンピカと共に虹色に光る物が身体から出て来た。
 蒼星石のローザミスティカだ。それを受け取り、水銀燈は立ち上がった。
「ぐっ…はぁ…はぁ……す、蒼星石…こんな事、貴女に頼むなんて筋違いだって百も承知だけど……でもお願いよ……貴女の力を貸して!」
 かつて自分が妹から奪った命の源に詫びながら、水銀燈はそれをメグの胸へと押し込んだ。
 メグがミーディアムだからなのか、ローザミスティカは大した抵抗も無く彼女の身体の中へと消えた。
「目を覚ましてメグ。もう一度…もう一度あの歌を聞かせて!」
 必死で痛みに耐えながら、水銀燈はメグの復活を祈り続けた。その祈りが通じたのか、しばらくしてピーッ、ピーッと規則正しい機械音が鳴り始めた。
 水銀燈から安堵の息がもれ、頬には生まれて初めての嬉し涙が流れる。
「よ、良かった…間に、合っ……」
 張り詰めていた緊張の糸が切れたのだろう。水銀燈は意識を失い、そのまま床に倒れてしまった。
24ラストワルツ@所謂普通のニート:2008/09/03(水) 23:45:46 ID:qEgnrgx4

「うぅ…やっぱりのりの紅茶は不味いです。成長してないんじゃないですか?」
「えぇー、必死に勉強して上手になったつもりなのに…」
「料理はほっぺたが落ちるくらい美味しいのに…どうして紅茶だけ不味いのか不思議です」
 桜田家では、相変わらずあまり美味しくないのりの紅茶に対して、翠星石の毒舌が炸裂していた。
「確かにそうなんだよな。姉ちゃんは昔っから料理は普通に作れるのにさ…何故か紅茶だけは例外なんだよな。ずっと進歩無しで未だに不味いまんま」
「おぉ、チビ人間も言うようになったです。気をつけた方がいいですよ、のり。ジワジワと獲物を追い詰めた後…弱った所をグワァーッと襲うのはケダモノの常套手段です」
「ジュン君がお姉ちゃんをぐわーと……」
 ナニを考えたのか、のりの顔はどんどん赤くなっていく。
 それと同時に、ジュンの顔を見るのりの眼が微妙にいやらし〜い眼に変わっていく。
「ちょっと待て、お前何の想像してるんだよ」
「何って…ねぇ…」
 普段は少し鈍いくらいなのに、のりはこんな時だけ妙に想像力が逞しくなる。
 しかも…
「きゃあぁぁ、チビ人間がのりを襲うつもりですぅ、鬼畜になったですぅ」
「誰が鬼畜だ。怪奇現象のくせにふざけた事を…」
「男は狼なの〜よ〜、気を付けなさ〜い〜♪」(ピンクレディ/SOS)
「横で変な歌を歌うなー!」
「そうよのり。狼は誇り高い生き物よ。ジュンを狼に例えるなんて狼に対する侮辱だわ」
「そうですそうです、チビ人間なんて精々その辺をウロウロしてる野良犬が関の山ですぅ」
「お、お前ら…言わせておけばぁ!!」
 のりが想像した事を察した翠星石がジュンに追い討ちを掛ける。自分への注意が逸れると、今度はのりの出番が回ってくる。
 そして時たま真紅が駄目押しを決め、ジュンはくたくたになるまで玩具にされるのだ。桜田家では珍しく全員揃って平和?な夜のティータイムを過ごしていた。
「まったく、どいつもこいつも…」
 静かなら静かで、どこか少し寂しい感じがする。かと言って、騒いだら騒いだで喧しい。
 ジュンは複雑な気分だった。雛苺、蒼星石が居た時と同じように笑えるのは嬉しい事だ。だがそれは、彼女たちの存在を忘れる事と同じような気がしてしまう気がした。
(ん? 真紅の奴、一体どうしたんだ?)
 ジュンが不審に思うのも当然だった。
真紅は先程のやり取りから時間が止まったように動いていない。手に持ったままのティーカップからは湯気も消えて、すっかり冷めてしまっている。
(……今夜の…十時…)
「…なぁ真紅。今日のお前、何かちょっと変だぞ?」
「!」
 時の流れを思い出したのか、真紅はティーカップを置いた。
 そしておもむろに立ち上がり、心配そうに顔を覗いていたジュンの足を一蹴した。その結果、いつもの如くジュンは床を転げ回る。
「いっでえぇ…」
「淑女(レディ)に面と向かって変とは失礼よ。ちゃんと憶えておきなさい」
「様子がおかしいから心配してやったのに何だよ、その態度は!」
「そっちこそ自分の心配をしたらどうなの? 最近勉強が滞ってるんじゃないの?」
「うっ、そ…それは…」
 真紅の反撃が決まった。ジュンは最近、巴に頼んでいた本の翻訳文を読み漁っている。
 当然、勉強の時間は減る一方だ。しかしその理由を話す事は出来ない。真紅たちには秘密にしているからだ。もっとも、真紅たちには既にバレているのだが…
 図星を指され不貞腐れたジュンは、何も言わずに足をさすりながらソファに座り直した。
(…あの態度、絶対に何かあったな)
 真紅は昔から一人で背負い込む癖がある。しかし問い詰めた所で、素直に話す性格でないのはジュンもよく知っている。
 こんな時は様子を見るのがいいのだ。それが分かるのは付き合いが長くなったからだろう。それに手を貸すのは彼女が何をするのか、それを見極めてからでも遅くは無い筈だと思った。
(くそっ…こいつらはいつになったら静かに笑って暮らせるんだよ…)
 そんな事をぼんやりと考えながら、ジュンは指に光る指輪と真紅を交互に眺める。
 思えば真紅と初めて会ってから、もうすぐ一年が経とうとしていた。もしあの頃、彼女に出会わなかったら、自分は今も部屋に引き篭もっていたんじゃないのか。
 そう思うと真紅と翠星石、両者との契約の証がさっきよりも重く感じた。
25ラストワルツ@所謂普通のニート:2008/09/03(水) 23:47:12 ID:qEgnrgx4

コツンッ…コツンッ…

「…うぅ……」
 顔に何かが当たって水銀燈は目を覚ました。
 目の前をぐるぐる回る紫の発光体。水銀燈の人工精霊メイメイだ。レンピカも水銀燈から見て下方に居た。必死に水銀燈の腹部の傷を癒している。
「…馬鹿な子ね。放っておけば蒼星石の仇を取れたかもしれないのに…」
 人工精霊は命令が無い限り、何もしなくていい。つまり、レンピカには水銀燈の傷を直す義務は無いのだ。さらに言えば義理も無い。
「…水銀燈、そこに居るの?」
 声は聞こえるがベットから動く気配は無い。
「メグ、気が付いたのね」
 水銀燈は立ち上がってメグの様子を窺う。
 別段変わった様子は無い。どうやら窮地は脱したようだ。
「気が…付いた? そうだ、私…発作を起こして…」
「どうやら無事みたいね。危ないトコだったわよ」
「そう…私、また死に損なったのね。今度こそ死ねるって思ったのにね」
 メグの気持ちも分からなくは無い。彼女は今までずっと、苦しむだけ苦しんで死ねなかったのだ。言うなれば生き地獄だ。楽になれるのなら死んでもいいと考えたくなる。
「…メグ、身体の調子はどうなの?」
「残念だけど…しばらく死ねそうにないくらい元気みたい」
「そう、少し安心したわ。あの歌を聞くのが今夜で最後になるかもしれないのに……中途半端に終わられたんじゃ後味が悪いわ」
「最後、か…そうよね、私はいつ死んでもおかしく無いもの…」
 メグは勘違いをしていた。だが、水銀燈はそれを違うと否定しなかった。
 時計の針はもうすぐ十時を指してしまう。水銀燈の思っていた以上に時は進んでいた。名残惜しいが、メグとお喋りをしている時間はもう無いのだ。
「メグ、私はちょっと用事があるから行くわ。だから一つ約束して…」
「約束?」
「私が戻るまで絶対に死なないって約束。もし破れば…二度と私には会えなくなるわ」
「うん、約束する。だから…水銀燈も絶対に帰ってきてね」
 まるでこれから真紅と闘う事を知っているような口振りだ。
「言われなくても私は帰ってくるわよ」
「…そうね、待ってるわ」
 水銀燈は病室の鏡からNのフィールドに旅立った。
26ラストワルツ@所謂普通のニート:2008/09/03(水) 23:48:02 ID:qEgnrgx4

「帰ってくる、か…私らしくも無い……」
 咄嗟にいつもの「遊びに来る」ではなく「帰ってくる」と言った。
 らしくもない決闘を選び、メグを助ける為に馬鹿にしていた筈の自己犠牲を行った。その代償が蒼星石のローザミスティカだ。それにまだ腹部の傷も癒えてはいない。しかも真紅には強い絆で結ばれたミーディアムがいる。どう考えても勝てる気がしない。
「皮肉よね。散々真紅を馬鹿にしたくせに…私が一番馬鹿じゃない」
 それでも不思議と悪い気はしていない。今まで知らなかった感情に驚く事ばかりで、妙にスッキリした気分だった。
「メグ…待っててね…」
 目の前にある扉を開き、水銀燈は穏やかな光がさす庭園に足を踏み入れる。
「…来たのね」
 真紅は自然が作った緑の絨毯の上に白いテーブルとイスを置き、優雅に時を過ごしていた。
「十時になるまで後七分残ってるわ。それまで…良かったら一緒にどう?」
「悪くないわね。どうせ貴女とはこれが最初で最後のお茶会になるんだし…」
 水銀燈は真紅に薦められるまま席に座り、紅茶を口にした。
「どう? お味の方は?」
「…残念だけど私の口には合わないわね。これだったらヤクルトの方がまだマシだわ」
「それは悪い事をしたわね。生憎、貴女の好みは知らないものだから」
「そうね。こうやって貴女と話すなんて初めての事よ。でもそれも終わり…」
「…ええ、時間よ」
 二人がゆっくりと席を立った。
「出来れば……一度でいいから私たち姉妹が全員揃ったお茶会をしたかったわ」
「無理な相談ね。アリスを目指す以上、全員が敵になる。それがアリスゲームよ!」
 水銀燈が剣を、真紅がステッキを互いに向け合った。
「さぁ始めましょう、真紅。貴女と私の…最後のアリスゲームを!!」
「私は…負ける訳には行かない!!」
 


次回予告

「長かったわ、真紅。貴女を倒して、私はアリスになる」
「私は負けられない。私はアリスゲーム以外の方法でアリスになると誓ったのだから!」
「「さぁ、決着を着けましょう!!」」

「完っ全に忘れられてるな」
「当然ですぅ、ヒキコモリに出番は無いのですぅ」
「そう言うお前もほとんど出番無かったぞ?」
「う、うるさいです。次は翠星石の出番が一番多いのですぅ!」
「そうかな〜…」
「次回、ローゼンメイデン ラストワルツ…『決闘』。今度こそ、アリスゲームを終わらせる…」
                           ラストワルツ第2話「決意」 糸冬
27名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/03(水) 23:48:55 ID:yfJf7SIr
なんでダメなんだ?荒らしがついてるコテなのか?
過疎ってるし、SS書いてくれるなら誰でも歓迎なんだが。
28名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/03(水) 23:51:02 ID:yfJf7SIr
うはwww リロード忘れスマソw

>>20
乙。
後で読む。

Rozen関連スレは保管庫があるからそこもリンクした方が良いのかな。
29所謂普通のニート:2008/09/04(木) 00:14:50 ID:WaS2br1k
>22様
 ご忠告、痛み入ります。
 当方、まだネットに疎くスレのURLを張るのも遅くなりましたが…

【ノーマル】ローゼンメイデンのSSスレ 8【一般】
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1198461642/l50

 作業遅くてホントすいません……

>28様
 ありがとうございます。
 読んで少しでも笑っていただければ幸いです。
30名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/04(木) 03:28:09 ID:BIg42g7b
ローゼン関連過去ログ倉庫。
もしもこのスレに続編ができたら、>>1のテンプレに入れるべきかな?

ttp://rozen-thread.org/ パソコン用
ttp://rozen-thread.org/i/ 携帯用
31名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/04(木) 04:10:33 ID:9N9Qvya6
>>30
そこすげー
そんな綺麗に体系化されてて2ch全体なんて範囲が広いサイトなかなかないぞ
32名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/04(木) 04:22:16 ID:BIg42g7b
ローゼンの愛されぶりにびっくりするよねw
33名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/04(木) 11:58:35 ID:BIg42g7b
>>29
乙。面白かったよ。
34 ◆o6TyagXj/I :2008/09/05(金) 03:10:52 ID:VgO+XGO1
やっぱりなんだか過疎っているので、もう一つ投下。
今度は原作準拠の翠星石と蒼星石の話。
35蒼ちゃんと翠ちゃん ◆o6TyagXj/I :2008/09/05(金) 03:11:53 ID:VgO+XGO1
「大嫌いだった……。」
 
 胸の奥底に響く悲しい台詞。
 
 あの日から繰り返し見る夢。思い起こされる惨劇。
 むせ返るような薔薇の香りの中で、起こった忌まわしい出来事。
 
 蒼星石はもういない。
 ローザミスティカを失った彼女は、もう二度と動くことはない。
 覆すことのできない事実は残酷に翠星石を襲う。
 
「蒼星石……。」
 
 瞳から涙がこぼれる。
 蒼星石と対になっている、紅と緑のオッドアイ。
 一筋では収まらず、幾筋も幾筋も、涙の川は頬の上を流れていく。
 
「大嫌い……だけ…ど……誰より……大……」
 
 このときの蒼星石の台詞を、翠星石はよく覚えていない。
 『誰より大好きだよ』と、彼女は言おうとしていたのだが、この直後、
水銀燈に蒼星石のローザミスティカを奪われてしまったことの方が
翠星石にはより衝撃的だったからだ。
 悔やんでも悔やみ切れない想いを抱え、翠星石は今日もまたあの日の夢を見ていた。
36蒼ちゃんと翠ちゃん ◆o6TyagXj/I :2008/09/05(金) 03:13:27 ID:VgO+XGO1
 暗く、冷たい闇の底。
 翠星石は膝を抱えて泣いていた。
 自分に対する怒りと蒼星石への切ない想いに身を焦がしながら。
 あのときのことに関しては、水銀燈に対するよりも、自分に対して翠星石は怒っていた。
 勿論、水銀燈が憎くないわけではないが、油断していた自分が悪いのだと、
一番近くにいたのに油断していた自分が悪いのだと、今でも自分自身を責め続けているのだ。
 
 そんな翠星石の元に、一筋、光の糸が下りて来ていた。
 気付いた翠星石が顔を上げると、ふわふわとした雲のようなものの上に、
蒼星石の姿があった。
 
「駄目だよ。この暗闇でそんな顔をしていては、悲しみに呑まれてしまう。」
 
 凛と響く声は間違いなく蒼星石のものだった。
 光の糸は彼女の右手の指先から下りていた。
 思わずその糸を掴みながら、翠星石は叫んだ。
 
「蒼星石……!」
 
 少年のように凛々しい姿。涼しい目元。
 そして、誰より大好きな笑顔がそこにあった。
 
「そう。蒼星石……。僕の名前だね。名前なんて便宜上の些細なもの。だけど、大切なもの。」
 
 どこともなく遠くを見つめて自分の中の古い記憶を呼び覚まそうとする蒼星石。
 そんな彼女に若干戸惑いを覚えながらも、翠星石はもう二度と会えないと思っていた
蒼星石の姿を、瞳に焼き付けるかのようにじっと見つめた。
 すると、蒼星石は光の糸を手繰り寄せ、翠星石を引き上げた。
 翠星石は軽い人形なのだし、ここは夢の中。
 翠星石は、蒼星石の乗っている雲の上にいともたやすく引っ張り上げられていた。
37蒼ちゃんと翠ちゃん ◆o6TyagXj/I :2008/09/05(金) 03:15:14 ID:VgO+XGO1
「君が呼んでくれたおかげで、僕は大切な自分の名前を思い出せた。ありがとう。」
 
 首を少し傾げると、サラサラとした髪が揺れる。
 蒼星石の無邪気な微笑みに、翠星石は少し顔を赤らめた。
 両手をしっかりと繋いで、蒼星石が翠星石を見つめている。帽子はかぶっていない。
 蒼星石の思いつめたような瞳に、翠星石が何故だか空恐ろしいものを感じた瞬間、
異常なほどに顔が近付いていた。
 翠星石は思わず声をあげる。
 
「だ、だめですぅ! 蒼星石……! 姉妹同士で、こんな……こんなの……!」
「姉妹……? ああ……そうだったね……。僕たちは薔薇の絆で結ばれた姉妹……。
 永遠の薔薇乙女たち……。そして、僕と君は特に仲良しの双子……。」
 
 蒼星石は翠星石の頬を愛しそうに撫でながら、更に唇を寄せる。
 
「だから……こうするのが自然だろう……?」
 
 翠星石は目を閉じた。
 これからされようとしていることに抵抗感はあるが、翠星石にとって、蒼星石は大事な妹。
 それも、姉妹の中でも特に大好きな妹なのだ。
 蒼星石を傷つけるのが怖い翠星石は、抗い切ることができず、蒼星石の唇を受け入れてしまう。
 
 一線を越えてしまった。翠星石にはもう残された砦などなかった。
 執拗に繰り返される口付けに、体をまさぐる両手。
 もう何をされても拒まなかった。
 むしろ、自分からも蒼星石を求めてしまっていることに、翠星石は気付いていた。
 
「大好きだよ、翠星石……。本当に……愛してる……。」
 
 蒼星石が甘く囁く声がはっきりと聞こえている。
 翠星石は言葉でなく態度で表そうと、蒼星石の首に手を回した。
38蒼ちゃんと翠ちゃん ◆o6TyagXj/I :2008/09/05(金) 03:16:11 ID:VgO+XGO1
 
 
 
 
 
 
 
 
「翠星石! 翠星石っ!」
 
 翠星石の開かれた目の前にあったのは真紅の顔だった。
 真紅は湯気が出そうなほど真っ赤になって、少し怒ったような表情を見せている。
 これほどまでに近くで彼女の顔を見たのは初めてだった。
 それは、唇が触れる寸前の出来事だった。
 
「真紅……?」
 
 未だ寝ぼけたままの翠星石は、真紅の首に自分が手を回しているのに気付いた。
 慌ててその手をほどき、真紅を解放してやる。
 首にかかった手が離れるとすぐに、真紅は高圧電流にでも触れてしまったかのように
その場からさっと飛びのいた。
 
「の、のりがご飯ができたからって……。は、早く目を覚ましなさい。もう……。」
 
 真紅の顔はまだ赤いままだ。
 彼女は昼寝をし過ぎていた翠星石をただ呼びに来ただけなのだった。
 なのに突然翠星石に抱きつかれ、唇を奪われそうになり、焦っていた。
 ジュンも一部始終をはたから見ていて、いつになく冷静さを欠いている真紅の姿を笑っていた。
 真紅はそんなジュンのすねに一撃与えると、部屋を飛び出していった。
 
 残された翠星石は、まだ夢うつつの区別のつかない頭のまま、
先ほどまでの蒼星石とのことを思い出していた。
 
(夢って、自分の願望が表れるもの……ですよね。)
 
 だとすれば、翠星石は深層心理ではあれを望んでいたということだろうか? 
 そのことを思いついたとき、翠星石も真紅に負けないほど顔を真っ赤にしていた。
 
「何変な顔してんだよ、性悪人形。」
 
 嫌味ったらしいジュンの声に、はっきりと目が覚めた翠星石は、
真紅が蹴ったのと違う方のすねに蹴りを入れ、そそくさと部屋を出て行った。
 
                                     (終わり)
39名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/05(金) 03:25:48 ID:VgO+XGO1
>>20
GJ! 面白かったよ。
だが、めぐって「メグ」ってカタカナだったっけ? 
アニメの方は覚えてないんだが、原作だと「めぐ」だよな。
40名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/07(日) 11:01:53 ID:tidbhe3Z
なんかネタくれ。
文章にしてみる。
41名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/07(日) 11:06:43 ID:UKjFahXG
えーっと…
思いつかない、誰かかんがえてくれー
42名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/07(日) 11:16:13 ID:EXWETZwz
第一次桜田家お菓子大戦
43名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/07(日) 11:54:44 ID:tidbhe3Z
よし、書いてみる。
ゆっくり待っててくれ。
44名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/07(日) 12:16:29 ID:UKjFahXG
まったり待っとく
45名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/07(日) 12:35:36 ID:FzTCajY5
 どうしようもない日々、無価値な日常。私は死の延長線上にただ生きているだけ。
 いっそこのまま消えてしまえたらどんなに楽か。あるいは、生のあらゆる束縛からの逃避行。
 それも素敵。でも、せめて最期くらいは劇的に散りたい――。けれどもそれは無理なのだ。私は病室という籠に閉じ込められた哀れな小鳥。
 だから、私はいずれやってくる死神を待たなければならない。それまでの時間が酷く苦痛――。
 その時、私は目を疑った。“くろいはね”が見えた。カラスなんて下品なものじゃない。
――天使、漆黒の羽を持つ天使が舞い降りたのだ。直感的にこの天使は死神より素敵に、私を殺してくれると確信した。
 私は久々に狂喜を噛み締めた。


よく覚えてないけどめぐってこんな感じの中二だろ?
46名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 01:45:52 ID:tZn9VoZv
そうだよ。
つか、君、SS書かないか?
47名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 02:49:00 ID:bP+POV8b
構わんが……
ローゼンを読んだのは結構前だから設定目茶苦茶になるかもよ
48名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 07:34:23 ID:1t4CZUM/
いいよいいよ
49名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 07:57:14 ID:7TPNpnf9
>>47
wktk
50名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 09:36:02 ID:L2hlEUP9
ふぉ
51名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 23:22:17 ID:bP+POV8b
科研
52名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/12(金) 06:00:24 ID:dFlef/gt
絵とか漫画もOKみたいなスレにしない?
53大決戦! 超ローゼン7姉妹 1 ◆FIvCkC2XSg :2008/09/13(土) 22:34:43 ID:jMAL57SA
大決戦! 超ローゼン7姉妹

舞台はnのフィールドによって繋がった幾多の並行世界の中の一つ。
そこはローゼンメイデンは存在せず、あくまでも漫画・アニメのキャラクターとしてのみ認識されている。
それ故にその世界における真紅達はドールでは無く、姉妹でさえ無く、人間として生を受けた身となっており、
真紅は普通の女子中学生として桜田ジュン(その世界ではヒキコモリになっていない)と学校へ通い、
水銀燈も普通の女学生としてめぐ(その世界では心臓病になっていない)と学校に通っているなど、
それぞれの道を歩んでいる。

そんなある日、真紅は自分がローゼンメイデンのドールとなっている夢を見る。
その事を水銀燈や翠星石に話した時、二人もそれぞれにローゼンメイデンになる夢を見たと言う。

それから数日、真紅は怪人形と遭遇する。あくまで「生きているドール」の存在が
フィクションの中の産物としてしか認識されていないその世界故、真紅は困惑する事しか出来ない。
しかし、その時に彼女はやって来た。ローゼンメイデン第7ドール雪華綺晶。
この世界においてはフィクションの産物に過ぎないはずの雪華綺晶に真紅は同じく困惑するが、
雪華綺晶は怪人形と戦い、それを倒す。

雪華綺晶は「ローゼンメイデンの実在する並行世界」から来たドールであり、謎の存在から
「ある世界に危機が迫っている。その世界にローゼンメイデンは存在しない。」と言われ、
nのフィールドを通ってこちらの世界にやって来たのだと言う。

雪華綺晶はこちらの世界における水銀燈や翠星石と出会い、ローゼンメイデンである事を
告げようとするが、こちらの世界の水銀燈や翠星石達はあくまでも人間であり、
逆に雪華綺晶が頭のおかしい人扱いされてしまう。

だがその最中、また新たな怪人形が出現する。怪人形は街を破壊し、雪華綺晶が立ち向かっていく。
その光景はTVでも報道されており、
「片方は人気漫画、ローゼンメイデンのキャタクターに酷似しており…」
とキャスターが言う。

怪人形を苦戦しながらも倒したが、同時に疲弊していた雪華綺晶は新たに出現した怪人形によって
ブロンズ像へ姿を変えられてしまう。

ブロンズ像に変えられた雪華綺晶を見つめ、真紅は途方に暮れる事しか出来ない。
54大決戦! 超ローゼン7姉妹 2 ◆FIvCkC2XSg :2008/09/13(土) 22:36:30 ID:jMAL57SA
しかし、間も無くして新たな怪人形が同時に三体も出現し、街を破壊して行く。
それまでフィクションの中の産物としてしか認識していなかったこの世界の人々は
ただ困惑し、逃げ惑う事しか出来ない。

だがその状況にあって、希望を捨ててはいけないと呼びかける人の姿もあった、
そして、真紅は記憶を取り戻す。nのフィールドの彼方にある並行世界において
ローゼンメイデン第五ドールと名乗っていたもう一つの自分の記憶。

真紅はローゼンメイデン第五ドールとなり、怪人形軍団へ立ち向かって行く。
一対三と言う状況に苦戦を強いられながらも必死に戦って行く真紅の姿を見て、
水銀燈と翠星石もまた記憶を取り戻し、ローゼンメイデン第一・第三ドールとなって
真紅に加勢、それぞれ手分けして三体の怪人形を倒す。忽ち上がる人々の歓声。

ローゼンメイデンの活躍で怪人形軍団は全滅したかに見えたが、それまで倒された
怪人形の怨霊が一つに集合し、巨大怪人形となる。その圧倒的な力に真紅・水銀燈・翠星石は
苦戦を強いられるが、それでも人々の応援を受け必死に立ち向かって行く。
その様子を見ていた残りの三人、金糸雀・蒼星石・雛苺もまた記憶を取り戻し、
ローゼンメイデン第ニ・第四・第六ドールとなる。そしてローゼンメイデンの持つ
不思議な力でブロンズ化された雪華綺晶を蘇らせ、そこで初めて七人のローゼンメイデンが揃う。

七体全員が揃ったローゼンメイデンの力は∞であり、死闘の末に巨大怪人形を倒し、
人々の歓声と共に平和が戻った。

雪華綺晶は元の世界へと去り、真紅達はローゼンメイデンとしての記憶を胸に秘めたまま
新たな未来へ向けて歩み始める。
                   END
55 ◆FIvCkC2XSg :2008/09/13(土) 22:37:45 ID:jMAL57SA
今日見に行ったばかりの某映画に感激しちまったせいで勢い余って書いちまったけど
反省などする気は無い
56名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/13(土) 22:51:26 ID:q7RsKKfy
なにこのB級ストーリー
















おもしろいんですけど
57 ◆o6TyagXj/I :2008/09/17(水) 06:02:25 ID:ueN+BMLx
>>55
同じく面白かった。
 
>>52
>>1の文を考えた張本人だが、絵や漫画、その他の創作物もありだと思う。
SS限定になんてしてしまってスマソ。
自分がSSしか書けないからって先走り過ぎちゃったよな……。
58名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 13:52:45 ID:EYmYczYv
>>55
グリッター真紅、翠星石V2&蒼星石V2は出ますか?
59名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/19(金) 03:45:38 ID:/FHlNDt7
ほっす
60名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/19(金) 18:18:22 ID:XzTB2Sem
立ったときはどうなることかと思ったけど
意外といろいろ投下されてにぎわってきたな
61名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/20(土) 22:01:25 ID:mfWnqnLF
これからこのスレの良さを出していけば良いじゃない
なんかこう、ローゼンの二次創作スレが多いとごっちゃになりそうだけど・・・
自分はグロ、虐待(いじめ、叩き)できないし、したくないから
このスレに常駐にさせて貰います。
62 ◆FIvCkC2XSg :2008/09/21(日) 00:26:46 ID:AsC4YFr7
注意
人によっては「お前はローゼンメイデンの何たるかが分かって無い!」と怒りかねない内容ですが
ご了承下さい。
63帰ってきた真紅ちゃん ◆FIvCkC2XSg :2008/09/21(日) 00:27:42 ID:AsC4YFr7
時は近未来。世界各地に突如として出現した人形によって、人類は未曾有の危機に瀕していた。
事の発端はローゼンメイデンが行っていたアリスゲーム。本来、ローゼンメイデンを作り出した
人形師ローゼンが求める究極の少女アリスへ孵化する為ローゼンメイデン同士が戦うと言う
神聖な物なのだが…ローゼンメイデンでは無い他の人形達にとっては違った。
彼等はアリスゲームを「人形世界最強決定戦」と間違った認識を持っていたのである。
だからこそ、我こそ最強のドールと名乗る人形達が次々アリスゲームに介入するべく、戦いを始めたのだ。

人形達の戦いの影響は人間の住む世界にも及び、人間達に感知されてしまう程にまで大きな影響を与えていた。
ローゼンメイデン同士で行われる本来のアリスゲームはそうでは無かった。ローゼンメイデンが選んだ
マスターとその関係者を除き、あくまでも人間の感知しない場所で密かに行われる戦い。
ローゼンメイデン最凶のドールを自称する第一ドール水銀燈でさえ、不必要に無関係な人間を
巻き込む様な事はしなかった。しかし、他の人形達は違った。
彼等は人類の受ける被害などお構い無しに、場所を選ばずに戦っていたのである。

もはや世界各地で戦う人形の存在は人類にとって脅威となっていた。
しかし、手をこまねいて見ている程人間は愚かでも無力でも無い。
世界各国が連携し、対人形用の特殊部隊「DAT」を設立したのである。
「DAT」とは「ドール・アタック・チーム」の略称であり、ドールのスペシャリストで
構成された隊員達と、人類の持てる技術の粋を集めた超科学兵器で武装した防衛組織であった。

「東京湾上空に人形出現! テディベアを思わせるクマのぬいぐるみと鎧武者を思わせる五月人形の二体が
空中で戦闘を行いながら東京に接近しています。」
「よし! DAT出動せよ!」

人形の出現により、DATは出動する。そしてDATに配備された高性能戦闘機、ダットアローが発進する。
ダットアローはDATの為に開発された対人形戦闘機である。その性能は米軍のF−22さえ凌駕したら良いな〜

ワンダバダワンダバダワンダバダン ワンダバダワンダバダワンダバダン
ワンダバダワンダバダワンダバダン ワンダバダワンダバダワンダバダン

DATのテーマ(?)が流れる中、DAT基地から発進したダットアローは東京湾上空を目指す。

東京湾上空で二大人形を迎え撃つダットアロー。対人形ミサイルを次々と発射して行く。
湾岸においても隊員達がダットシュートやダットガン等の対人形用に開発された特殊拳銃で
二大人形を攻撃する。しかし、二大人形も強力だ。流石のDATも苦戦を強いられる。

「こ…このままあの人形達の侵入を許したら…東京は火の海だ!」

湾岸でダットアローを援護していたDAT隊員「桜田ジュン」
彼がこの物語の主人公となる。
64帰ってきた真紅ちゃん ◆FIvCkC2XSg :2008/09/21(日) 00:28:28 ID:AsC4YFr7
この世界における桜田ジュンは、他の世界と異なりヒキコモリになる事は無く
一流大学を出てDAT隊員となっていた。しかし、彼にはもう一つの秘密があったのである。

「こうなったら…こうするしかない!」

ジュンは人気の無い物影に隠れ、右手を高々と上げた。

「真紅ー!!」

そう叫んだ直後ジュンの全身が紅い薔薇に包まれ、姿が変わって行く。
そして…ローゼンメイデン第五ドールの真紅が現れるのである。

アリスゲームの本質を理解せず、単なる殺し合いに堕としてしまった人形達を
ローゼンは許さなかった。だからこそ、ローゼンメイデン達は人形達を駆逐するべく、
各世界へ散った。こうして真紅はこの世界へやって来たのだが…
この世界においては、何故か真紅は誰か人間と融合しなければ活動出来なかった。
だからこそこの世界の桜田ジュンと融合し、一心同体の身となっていたのである。
ジュン本人も通常は普通の人間と何ら変わらない姿として暮らしながらも
人形と戦う際には真紅に変身する能力を授かっていたのであった。

「真紅ちゃんが…帰ってきた!」

真紅の姿を見たDAT隊員が口々にそう叫ぶ。ちなみに態々真紅を呼ぶ時に「ちゃん」を付けるのは、
ヒーローの名前とかに「○○マン」と付くのと同じ理論で、かつ語呂が良いからに他ならない。

真紅は二大人形を倒すべく東京湾上空へ飛び上がる。すると、今まで争っていたはずの
二大人形が揃って真紅へ攻撃を始めたでは無いか。何故なら真紅は本家ローゼンメイデンのドール。
他の人形にとっては何としても倒すべき敵だったのである。テディベア型のクマのぬいぐるみは
クマ故の怪力で迫り、鎧武者型の五月人形は手に持つ刀を振り回す。
これには流石の真紅も苦戦を強いられてしまうが…

「真紅ちゃんを援護せよ!」

DATの隊長の号令によりDAT隊員達が二大人形へ火力を集中し、真紅を援護する。
二大人形を倒すには至らないが、真紅の反撃のチャンスを作る事は出来た。

この世界における真紅のテーマが鳴り響く中、真紅の反撃が始まる。
65帰ってきた真紅ちゃん ◆FIvCkC2XSg :2008/09/21(日) 00:31:12 ID:AsC4YFr7
               「帰ってきた真紅ちゃんの歌」

君にも見えるnのフィールド 遠く離れて日本に一人
人形退治に使命をかけて 萌える街に後わずか
とどろく叫びを耳にして 帰ってきたぞ 帰ってきたぞ 真紅ちゃん

薔薇の花弁 狙った敵は ローズテイルの贈り物
大地を跳んで絆パンチ 近くに立ってローゼンチョップ
凶悪人形倒す為 帰ってきたぞ 帰ってきたぞ 真紅ちゃん

ジャンクと化し 崩れる人形 戦い済んで朝が来る
扉の彼方に輝く星は あれがあれが故郷だ
ドールの秩序を守る為 帰ってきたぞ 帰ってきたぞ 真紅ちゃん

こうして…真紅と桜田ジュンの戦いの日々が始まったのである。

以下ダイジェストでお送りします↓

・強力なバリアを持つ人形、キングドール三世に持っていた技の全てを防がれ、一度は敗れてしまった
真紅だが、桜田ジュンの猛特訓によって身に付けた「ローゼン流星キック」でバリアを破り、倒す。

・宇宙からやって来た人形に敗北し、水銀燈から万能兵器・ローゼンブレスレットを託されて宇宙人形を倒す。

・暗殺を得意とする人形にジュンの恋人(巴・斉藤さん、どっちでも可)を暗殺されてしまい、心に
動揺があった為に暗殺人形と、それが対真紅用に訓練した人形、黒王の猛攻に敗れてしまい、処刑されそうになるが、
駆けつけて来た水銀燈と翠星石に救出され、再度リベンジ。またも苦戦を強いられ苦境に立たされるが
真紅は負け無い。水銀燈と翠星石の友情が心の支えとなっているからだ。

・最後はローゼンを直接攻撃しつつ、真紅も倒そうとする二段構えの作戦で来た人形と戦い、
それを打倒した後、ローゼンのいる所へ侵攻した別同部隊を倒す為、「ローゼン五つの誓い」を残して
この世界を去る。(しかも桜田ジュンと融合したままw)

ローゼン五つの誓い
一つ、何時までも引きこもらぬ事!
一つ、周に一度はくんくんを視聴する事!
一つ、PEACHI-PIT先生の作品の単行本を全部揃える事!
一つ、他人の力を頼りにしない事!
一つ、トイレで紅茶を飲まぬ事!

真紅はこの世界を去った。しかし、またこの世界に人形の脅威が忍び寄る時、
彼女は再び帰ってくるに違いない。ありがとう、真紅ちゃん。

                        END
66 ◆FIvCkC2XSg :2008/09/21(日) 00:31:41 ID:AsC4YFr7
滅茶苦茶やりすぎてスマソ
67名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 17:52:55 ID:W1rH3GWV
何となーく開いてみてびっくりしたじゃねえかよばかやろうwwwwwwwwww
新ウルトラマンネタ自重しろwwwwwwwwwwwwww
68名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 12:43:34 ID:fsZhxtGl
真紅ちゃんSUGEEEEEEEEE
いや面白いよこれwww
まさかこういうネタで攻めてくるとは
69名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/03(金) 22:19:38 ID:IGQaeky6
70名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/04(土) 13:36:58 ID:s/ztwotI
71名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/04(土) 19:51:01 ID:hkzeofTT
72名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/04(土) 19:53:44 ID:HWfgPkI6
73名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/05(日) 06:14:37 ID:Jx8M++yQ
今更過ぎるが新マンフイタwwwwwww
74ローゼンセブン ◆FIvCkC2XSg :2008/10/06(月) 23:32:54 ID:eiOGOad3
時は近未来。人類は人形の脅威に苛まれ、未曾有の危機に立たされていた。
ある人形は夜の街に堂々と現れ、通行人に襲い掛かると言う通り魔的な犯罪を重ね、
またある人形はドール超能力で人を呪い殺す。挙句の果てには…

「人間など我等にとって見ればぬいぐるみの様な物だ。」

どう見てもクマのぬいぐるみにしか見えないくせに、態々TV電波をジャックして
この様な挑発をしてくる人形まで現れる始末であった。

確かにかつてならば人形が勝手に動くなど夢物語も甚だしかった。
しかし、今は違う。人形はもはや人類にとって恐るべき脅威となっていたのだ。

人形の脅威から人類の平和と自由を守る為、世界各国が連携して地球防衛軍を設立。
そして、地球防衛軍の中でも特に選りすぐられたドールのスペシャリストを集めた部隊があった。

             その名も…「ローゼン警備隊」

隊長の結菱一葉を筆頭とし、桜田ジュン隊員・柏葉巴隊員・柿崎めぐ隊員・斉藤隊員の五人の
猛者達で構成される対人形用特殊部隊である!

そして、人形による人間消失事件を追う中でローゼン警備隊に協力し、
事件解決に大きく貢献した、自称風来坊の謎の少女…キラキ=ショウの功績が認められ、
ローゼン警備隊六人目のメンバーとして入隊する事となった。

キラキ=ショウを加え、六人となったローゼン警備隊は今日もまた人形犯罪に挑んで行くのであったが…

ローゼン警備隊が危機に陥った時に突如現れては人形を倒し、去っていく謎のドールの存在があった。

その名はローゼンメイデン第七ドール・雪華綺晶。人形でありながら人間に味方し、
数々の超能力を駆使して悪の人形を倒して行く謎のドールである。

ローゼン警備隊の危機を救い、人形犯罪解決に大きく貢献する謎のドール…雪華綺晶を
ローゼン警備隊のメンバー達はローゼン警備隊七人目のメンバー…「ローゼンセブン」と呼んだ。

だがローゼン警備隊の皆は知らない。
雪華綺晶ことローゼンセブンの正体こそ…キラキ=ショウその人である事を…。
75ローゼンセブン ◆FIvCkC2XSg :2008/10/06(月) 23:33:58 ID:eiOGOad3
雪華綺晶は元々アリスゲームの為にこの世界を訪れた。しかし、行く世界を間違えてしまったのか、
アリスゲームを競い合う対象である他のローゼンメイデンのドールズはこの世界にはいなかった。
そうとは気付かない彼女はアリスゲームに備え、自身を鍛える為にキラキ=ショウと言う人間に
姿を変え、風来坊として武者修行を兼ねて世界を見て回っていたのだが…その中で彼女は知る。
日本…いや全世界が数々の人形の魔の手に苛まれている事を…。

しかも数々の人形犯罪を独自に調査した結果、ローゼンメイデンのアリスゲームに原因があった事を知る。
確かにアリスゲームの中で、半ば人間を巻き込んでしまう事はあった。だが、それはあくまで事故であり、
最初から人間を巻き込もうとしてやった事では無い。だが、ローゼンメイデンでは無いただの人形達は
にとっては違った。彼等はローゼンメイデンのアリスゲームに触発され、人間に代わって世界を
支配しようと考える様になっていたのである。

人形達の恐るべき野望と、ローゼンメイデンにも責任がある事を知った雪華綺晶は
世界を守る為に人形達と戦う事を決意する。そして、キラキ=ショウとしてローゼン警備隊に
入隊し、ローゼン警備隊でもどうにも出来ない様な人形事件が発生した時に
ローゼンメイデン第七ドール・雪華綺晶となって恐るべき人形達に立ち向かって行ったのだ。

キラキ=ショウに待ち受けていたのは恐るべき人形達との過酷な戦いだけでは無かった。
ローゼン警備隊の隊員、桜田ジュン隊員と次第に良い仲になり…ローゼンメイデン第七ドールでは無く
人間キラキ=ショウとして生きて行くのも悪くないと思い始める様になっていた。

しかし、日夜人類を狙う人形達がとの過酷な戦いの日々がそれを許さなかった。
雪華綺晶の強さが逆に人形達の強化を促し、次第に雪華綺晶さえ圧倒する人形や、
謀略に富んだ高度な頭脳を持つ人形までもが現れる様になって行ったのだ。

日々強化されて行く人形達に苦戦を強いられる雪華綺晶。だがローゼン警備隊の仲間達と
協力し、その苦難を乗り越えて行った。だが…それも何時までも続かなかった。

幾度に渡る激しい死闘は雪華綺晶の疲労を蓄積させた。それはnのフィールドを通って
この世界にやって来たラプラスの魔によって
「これ以上この世界で戦ってはいけない。」
と警告されてしまう程だった。しかし、その最中にまたも新たな人形犯罪が発生。
キラキ=ショウはラプラスの魔の警告を無視し、雪華綺晶へ変身し、人形と戦い
何とか一度は撃退する事は出来たが…その身体は命の危険が危ぶまれる程にまで衰弱してしまっていた。

もはやこれ以上この世界に留まる事は出来ないと悟ったキラキ=ショウは
自らの正体を桜田ジュン隊員に告白し、別れを告げた。そして桜田ジュン隊員が止めようとする中、
死を覚悟した最後の変身を行い、再び出現した人形に対し残る力の全てを振り絞って戦った。
立っているだけでも辛い程衰弱した今の雪華綺晶は人形の前に忽ち窮地に立たされるが、
桜田ジュン隊員の報告によって、キラキ=ショウの正体が雪華綺晶と知ったローゼン警備隊の
応援を受け、何とか勝利を収め………皆に見送られる中…nのフィールドへ去って行った…………。

        「明けの明星が輝く頃、一つの光がフィールドへ飛んでいく…それが私…。」

「ショウは死んで帰ってくるのだろうか…。だとしたら…ショウを殺したのは我々人間だ…。
奴は傷付いた体で最後の最後まで…人類の為に戦ってくれたんだ。ショウを殺したのは我々なんだ…。」
「そんな馬鹿な! ショウが死んでたまるもんですか!」
「ショウは生きてる! きっと生きてるよ! 遠いnのフィールドから…私達の世界を見守ってくれるよ!
そしてまた…元気な姿で帰って来る!」

               キラキ=ショウの〜名を借りて〜♪
              ローゼンセブン〜ヒロイン〜セブン〜♪
               ローゼンセブン〜セブン〜セブン〜♪
                  倒せ〜火を吐く大人形〜♪
                ローゼンビームでストライク♪

                     おしまい
76名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/06(月) 23:41:42 ID:jANYOEJR
また来やがったwwリアルタイムで投下に居合わせちゃったよwww
ていうか、セブンネタの方がわかる人多そうじゃねえかw犠牲者増やすなww
↓で俺が質問したのは何を隠そうお前のことだよこのやろうwwww
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1220177427/57
77戦え! 薔薇水晶 ◆FIvCkC2XSg :2008/10/09(木) 09:23:59 ID:w4zBVB+5
                   「戦え! 薔薇水晶!」

時は近未来、人類と人形の長き戦争は未だ終結する気配を見せないでいた…。

現在、人類の平和は特殊防衛組織「DAC」が守っていた。
DACとは「ドール・アタッキング・クルー」の略称であり、
ドールのスペシャリストを集めた対人形特殊防衛チームである。

DACの精鋭達の中にローゼンメイデン第七ドール雪華綺晶ことキラキ=ショウの姿があった。
nのフィールドで傷を癒し、再びこの世界に帰ってきたのである。そしてローゼン警備隊の隊員として
活躍した経歴を買われ、DACの隊長に任命されていたのであった。

彼女は普段は人間キラキ=ショウとしてDAC隊長の職務に精を出し、DACの戦力でも
どうにもならない様な強力な人形が現れた時のみ雪華綺晶に変身し、人類を狙う恐るべき
人形達と戦っていたのだが…それは起こった。

                「雪華綺晶が死ぬ時! 東京は沈没する!」

その日、雪華綺晶は双子人形と戦っていた。ローゼンメイデン第三ドール翠星石と
第四ドール蒼星石の二人を髣髴とさせる双子人形の息の合ったコンビネーションに
歴戦のドール雪華綺晶も苦戦を強いられてしまう。しかし…その絶体絶命の状況から
さらに新たな人形が雪華綺晶の前に姿を現したのだ。

                  その名は「溶岩石」

名前の通り溶岩から発生した人形である溶岩石は、双子人形の人形を従える人形のボスでもあった。
と同時に双子人形との戦闘で疲弊した雪華綺晶を一方的にいたぶる残虐性も持ち合わせていた。

もはや雪華綺晶は絶体絶命。もはや誰もが絶望したが…希望は完全に失われていなかった。
双子人形に加え、溶岩石の猛攻に苦しむ雪華綺晶を救うべく、何とあの薔薇水晶が駆け付けて来たのである。

そう。ローゼンの弟子の槐によって作られ、アリスゲームに介入して大暴れした擬似ローゼンメイデンとも
言えるあの薔薇水晶である。擬似ローゼンメイデンであるにも関わらずローザミスティカを六つも
取り込んだ際の負担に耐え切れずに砕けてしまい、槐と共に行方不明になっていたはずの
薔薇水晶が何と雪華綺晶のピンチに駆け付けて来たのである。

実はあの後、薔薇水晶はアリスゲームへの介入を諦め、槐と共にnのフィールドで静かに暮らしていた。
しかしそこで突如として溶岩石の急襲を受け、平和な一時を奪われてしまったのである。
そして槐は薔薇水晶を逃がす為に身を挺し、溶岩石に殺されてしまった。

辛うじて逃げ延びた薔薇水晶はこの世界の日本に流れ着き、そこで「バラス=イショウ」と言う
人間に姿を変え、人間として暮らしていたのだが…この世界にもまた溶岩石の魔の手が伸びた事を知り、
父…槐の仇である溶岩石を倒す為に再び薔薇水晶へ変身したのであった。
78戦え! 薔薇水晶 ◆FIvCkC2XSg :2008/10/09(木) 09:25:10 ID:w4zBVB+5
父の仇を取るべく奮戦する薔薇水晶だが、彼女はかつてアリスゲームに介入し…
本家ローゼンメイデンを圧倒した姿からは想像も出来ない程にまで弱体化していた。

ローゼンメイデンでは無く、ローゼンの弟子たる槐に作られた擬似ローゼンメイデンでありながら
ローザミスティカを六つも取り込んだ際に受けた多大なる負荷は、槐によって身体を修理された後も
大幅弱体化と言う形で後遺症が残っていたのである。

結果、双子人形は何とか出来たが溶岩石は取り逃がしてしまい、また雪華綺晶の受けた傷も深く、
片脚は折られ、あろう事か雪華綺晶へ変身する力さえ失ってしまった。

雪華綺晶へ変身する力を失ったキラキ=ショウに代わり、薔薇水晶ことバラス=イショウは
DACへの入隊し、人類を狙う恐るべき人形達から世界を守る為に戦う事を決意する。

DACへ入隊したバラス=イショウを待っていたのは隊長であるキラキ=ショウから
課せられる辛く厳しい特訓の日々だった。今の彼女の実力では、次々襲い来る人形と
戦う事は出来ないし、人間バラス=イショウとしての状態で鍛えれば、鍛えた分だけ
薔薇水晶に変身した状態でも強くなるとキラキ=ショウは見ていたし、また自分がドールとして
戦えない分、バラス=イショウに自分の持てる技の全てを叩き込みたいと言う想いもあった。

しかし、キラキ=ショウからマンツーマンでの特訓を受けるバラス=イショウを他のDAC隊員達は
快く思わなかった。DACの中でも新参者でありながら隊長直々の特訓を受けるバラス=イショウの姿は
他のDAC隊員には隊長から特別扱いされている様に見えたのである。

それ故にDACの中でのバラス=イショウに対する風当たりは、下手をすればキラキ=ショウの課す
特訓以上に辛く…厳しい物だった。だがバラス=イショウは逃げ出す事はしなかった。元々溶岩石に
住処を滅茶苦茶にされ、逃げ延びた果てに辿り着いたこの世界だが…今は第二の故郷として…愛していた。
だからこそ、どんなに辛くともこの世界を守るべく戦う強い決意を固めていたのだ。

それでも心が挫けそうになった時、バラス=イショウの心の支えになってくれたのが
DACに入隊する以前に暮らしていた町の人々だった。

溶岩石に父である槐を殺され、この世界に逃げ延びて来た薔薇水晶ことバラス=イショウを
温かく受け入れてくれた心優しい町の人々…。

例え隊長のキラキ=ショウから課せられる特訓が厳しかろうが…DAC内での風当たりが辛かろうが…
もはや彼女にとって第二の故郷となったこの世界を…心優しい町の人々を守る為…
バラス=イショウは薔薇水晶となって、人類を狙う人形と戦った。

敵である人形は強力だった。やる事は基本的に夜道を歩いている人に突然襲い掛かると言う
特に理由の無い通り魔かつ辻斬り的な規模の小さい事であったが、それ故にDACとしても襲撃を
事前に予測かつ捕捉が難しく、そのくせ直接格闘になってもこれが中々強力だった。

次々現れる多種多様な人形の前には、さしもの薔薇水晶と言えども敗北する事も少なくは無かった。
だが、その度に薔薇水晶は人間バラス=イショウとして特訓を重ねて会得した新技を引っさげ
リベンジを果たして行ったのである。
79戦え! 薔薇水晶 ◆FIvCkC2XSg :2008/10/09(木) 09:27:01 ID:w4zBVB+5
アリスゲームに介入した際に受けた後遺症により、一度は大幅に弱体化した薔薇水晶も
幾度に渡る特訓と実戦を小さな積み木を一つ一つ積み上げて行くかの様に…積み重ね、
少しずつ…少しずつ本来の実力を取り戻して行った。

物語も中盤に差し掛かり、ここで一度路線変更が行われる。

作風が余りにもシリアスかつ重苦しすぎた為、一部に熱狂的ファンこそいたものの大衆の支持が
得られたとは言い難く、また雪華綺晶ことキラキ=ショウを鬼教官化させてしまった事も批判の対象となった。
それ故に中盤から物語は大きく変化して行く事となる。

まず、毎回の様に行われていた薔薇水晶ことバラス=イショウの特訓シーン。
これもキラキ=ショウの「免許皆伝」の一言で終わりを告げ、以降から
特訓シーンは行われなくなった。

DAC内でも人事異動が起こり、それまでバラス=イショウに対して厳しい風当たりをしていた
既存の隊員達は別の部署に異動し、普通に協力的な隊員達と入れ替わり、それまでの様な
チーム内での孤立等の重苦しいシーンは描かれなくなった。また、それまでその他的な
扱いに過ぎなかったDAC隊員を一人一人掘り下げるエピソードも描かれる様になる。

物語の作風も、序盤の様な重苦しい路線とは打って変わって明るくなり、
薔薇水晶ことバラス=イショウが仲間との友情に支えられ、敵の人形と戦い勝利すると言う
王道的エピソードが作られる様になり、またコミカルな描写も目立つ様になった。

敵の人形の出現動機等も、当初はバラス=イショウの特訓に主眼を入れていた為に
どうしても特に理由の無い通り魔かつ辻斬り的なパターンばかりにせざるを得なかったが、
バラス=イショウの特訓シーンが描かれなくなった事によって尺に余裕が生まれ、
様々なバリエーションを作る事が出来る様になった。

それ故に物語の形式にも様々な試行錯誤が行われており、童話をモチーフにした
「日本名作民話シリーズ!」と呼ばれるストーリー等も行われている。
この一連のシリーズは、ただ昔話をモチーフにするのみならず、窮地に陥った薔薇水晶の所に
人形師ローゼンの化身とも言われる謎の超人形「ローゼンクイーン」が現れ、強力な武器を与える
と言ったパワーアップイベントも行われた。

また、薔薇水晶にとって槐の仇である因縁の人形…溶岩石との決着もこの一連のシリーズで
付けられる事となる。

ただ…溶岩石に熱烈な求婚を受けるが、頑なに断り続けた為にヤンデレ化した溶岩石に
危うく殺されそうになった「あらゆる世界で最も美しいと言われる人形(アリスを除く)」を
薔薇水晶が助けつつ溶岩石との決着を付けるとと言う…少しトホホなエピソードになっており、
また溶岩石の強さに関しても以前に比べて随分と弱く感じられ、序盤の強大な敵として
描かれた時の溶岩石の株を下げたと非難する者も少なくは無かったが、同時にそれだけ
薔薇水晶が強くなっていたと見る事も出来た。
80戦え! 薔薇水晶 ◆FIvCkC2XSg :2008/10/09(木) 09:29:18 ID:w4zBVB+5
何はともあれ、薔薇水晶のDACでの人形との戦いは順風満帆かと思われた…
終盤でまたも大幅な路線変更が行われる事になるのである!

          「恐怖のうにゅ〜生物シリーズ! DAC全滅! うにゅ〜は生物だった!」

その日、DACでは隊員の一人の誕生パーティーが行われていた。
普段厳かな雰囲気の強いDACもこの日だけは無礼講。大いに隊員の誕生日を祝っていたのだが…
突如として巨大な苺大福…うにゅ〜がDACステーションを急襲した!

                恐怖のうにゅ〜生物の襲来である!

苺大福の化身たるうにゅ〜生物は中から苺を思わせる真っ赤な液体を噴出し、DACステーションを
溶かして行く。DAC隊員達はダックガンで応戦するがまるで通じない。

生き残ったDAC隊員達は何とかダッキーニ号・三号に乗り込み、脱出を試みるが…
それさえうにゅ〜生物に掴まり、その内部に取り込まれてしまった。

彼女はローゼンメイデン第七ドール雪華綺晶としてでは無く…DAC隊長キラキ=ショウとして
DACステーションと運命を共にする道を選んだのだ。
最後の希望…彼女が手塩にかけて鍛え上げたバラス=イショウ…薔薇水晶に未来を託し…。

DACが全滅し、バラス=イショウはたった一人でうにゅ〜生物に立ち向かわざるを得なくなる。
これが終盤に渡って描かれる「恐怖のうにゅ〜生物シリーズ!」である。
既存の人形とは全く違う、苺大福…うにゅ〜の化身であるうにゅ〜生物の忍び寄る恐怖…
それによって図らずとも身近な人々が巻き込まれてしまう事によるバラス=イショウの苦悩等…
序盤の様なハードなストーリーが展開され、なおかつ姿を変えて日常の中に潜む
うにゅ〜生物の作り出すホラー的な雰囲気がさらなる恐怖感を煽っていた。

それでもバラス=イショウこと薔薇水晶は、姿を変え次々現れる多種多様なうにゅ〜生物と戦い続けた。

戦い続けた結果…ついに最後の戦いの時が来る。そして、うにゅ〜生物を送り込んだ主の正体は
その昔…ローゼンと敵対関係にあった別の人形師と言う事実が明らかとなり、
薔薇水晶の前に最強最後のうにゅ〜生物が送り込まれたのだ。

だが…最強のうにゅ〜生物が相手と言えども…今の薔薇水晶の敵では無かった。
人間バラス=イショウとしてキラキ=ショウから課せられた数々の厳しい特訓…
そして溶岩石を初めとする恐るべき人形達との壮絶な死闘は薔薇水晶を心身共に強くしていたのだ。
そう…かつてアリスゲームに介入していた頃を遥かに凌ぐ程にまで…。

うにゅ〜生物の主が、人間としてのバラス=イショウの友人を人質に取った事により
一度は窮地に陥れられたが、しかし…それでも懸命に戦う薔薇水晶の姿に勇気付けられた
その友人はうにゅ〜生物の主の束縛から脱し、駆けつけて来た他の仲間達と共に猛反撃。
うにゅ〜生物の主がうにゅ〜生物を操る際に使用していた水晶玉を奪い取った。

実はその水晶玉こそ最強のうにゅ〜生物の弱点でもあったのだ。友人から水晶玉を受け取った
薔薇水晶は一発逆転。水晶玉を投げ込み…ついに最強最後のうにゅ〜生物を倒した!
そして…諸悪の根源であったうにゅ〜生物の主もまた…消滅した。

戦いの日々は終わりを告げた。

全てに決着を付けた彼女は旅に出る。擬似ローゼンメイデン薔薇水晶としてでは無く、
この世界に住む人間…バラス=イショウとして、世界が平和になった事を自身の目で
確かめるべく…皆に見送られながら……旅立った。

ありがとう…本当にありがとう…薔薇水晶…バラ=スイショウ…そして…お疲れ様………

                     おしまい


ちなみに…雪華綺晶は後のシリーズで普通に復活しているので無害です。
81 ◆FIvCkC2XSg :2008/10/09(木) 09:31:40 ID:w4zBVB+5
またやっちまいました…スマソ

あと訂正…最後の部分で
× ありがとう…本当にありがとう…薔薇水晶…バラ=スイショウ…そして…お疲れ様………
○ ありがとう…本当にありがとう…薔薇水晶…バラス=イショウ…そして…お疲れ様………
82名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/09(木) 21:24:43 ID:WnPjpqd+
肉弾戦最強ドールキタ―――!!!
特訓と称した義姉妹SMが前半の肝なわけですな?wwというかレオまで来ると俺だってネタが良くわからんぜw
だって俺、月光怪獣キララと臼怪獣モチロンの話がたまにごっちゃになるようなニワカなんだぜ?


ところで俺以外に見てる人いるのでしょうかコレ? 実質俺の為に書かれてるようなものだとしたら誠に恐縮なんですが……
83名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/12(日) 03:29:17 ID:vB8Pbcf1
……え?
まさか、ほんとに見てるの俺だけなの?
84名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/12(日) 03:30:33 ID:yAv5ZzLX
そんなわけないない
85名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/12(日) 03:35:51 ID:4lGv3jwG
ごめん、薔薇水晶とか雪華水晶とかそのへんわからないからコメントしてなかった
俺初期のほうのドールしかわからんのよ
86名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/12(日) 03:36:34 ID:vB8Pbcf1
お? やはり創発板で見てるスレが100超えてるID:yAv5ZzLXさんは流石ですねw
というか元ネタの方も理解戴けてるんでしょうか(どきどき)?
87名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/12(日) 03:39:11 ID:yAv5ZzLX
元ネタ?えとウボァーか誤爆かチラ裏の話?
88名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/12(日) 03:48:05 ID:vB8Pbcf1
ごめん、ウルトラマンネタの方
ウルトラ好きの俺から見ても正直マニアックだと思うんですが、
俺だけ大喜びしてるようで、書いて頂いてる◆FIvCkC2XSg氏には恐縮なんですよ……
89名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/12(日) 08:07:59 ID:yWz5iurZ
怪獣はゼットンとバルタンとメトロンくらいしか頭に浮かばん俺だが分からんなりに楽しんではいる
当時の風俗がわからなくても時代劇を楽しめるのと似たようなもんだろうな
90ラストワルツ@所謂普通のニート:2008/10/12(日) 08:25:27 ID:05i+QMqe
ラストワルツの三話がやっと完成しましたので投下します。



「…ュン…起きるです。ジュン…」
「ん〜…真紅ぅ…」
「こんのぉ…とっとと起きやがれです!!」ドスンッ…
「ぐえぇ……」
 胸部を圧迫する衝撃に、ジュンは目を覚ますしかなかった。
「ゲホッ…な、何するんだよ……」
「翠星石が起こしてやってるのにさっさと起きないチビ人間が悪いのです」
 ジュンは胸を擦りながら、ダメージで乱れた息を整える。
 いくらドールズが小さくて軽いと言っても、勢いを付ければそれなりの威力にはなる。しかもジュンは無防備で寝ていたのだ。不意討ちはどうしても通常よりダメージが大きくなってしまう。
 だが翠星石は、ジュンの恨めしそうな視線に悪びれた様子も無く、プイッと横を向いた。
「お、お前なぁ……」
 寝る前まで考えていたジュンのセンチな想いなど、今の一撃で何処かへ吹っ飛んでいた。
「そんなことより大変なのです。真紅が居ないのです」
「えっ…」
 眼鏡を掛けたジュンが部屋を見回すと、開け放された鞄が二つ目に入った。一つは翠星石の鞄だ。そしてもう一つ開いているのは真紅の鞄しかない。
 何かの奇跡でもない限り、蒼星石と雛苺が眠りから覚める事は無いのだから…
「十時二分…あいつ、こんな時間に何処へ……まさか!?」
 ある考えに思い至った瞬間、ジュンの寝ぼけた頭が一瞬で覚醒する。心配していた事が現実になってしまった、と気付いた時にはすでに遅かった。
「くそうっ、失敗した。やっぱりあの時に無理にでも聞き出しておけば良かったんだ」
 ジュンは悔しそうに拳をベットに叩きつけた。
「……真紅の様子が変だった事、気が付いてたですか?」
「そりゃあ分かるさ。付き合いはそれなりに長いし、昔から隠し事するの下手だしな、あいつ…」
 時間が無いと言うのに、翠星石は涙腺が緩んでしまった。
 姉妹である自分が気付けなかった事をジュンが気付いていた軽い悔しさ。普段は態度に出さなくても、自分たちの事を分かってくれていた大きな嬉しさ。そんな気持ちが混ぜこぜになっていた。 
「…さぁ、急ぐですよ」
「分かってる」
 ジュンは手早くパジャマから普段着に着替え、ゆっくりとドアを開く。のりに気付かれないように足音を忍ばせながら階段を下り、大きな鏡のある物置部屋に入った。
「準備はいいですね」
「あぁ、行こう。真紅の所へ…」
 翠星石が手を触れると、鏡はNのフィールドへの入り口に変わる。二人は躊躇せずにその中へと足を運んだ。
91ラストワルツ@所謂普通のニート:2008/10/12(日) 08:26:14 ID:05i+QMqe
 暑くも無く、かと言って冷たくも無い、とても心地良い風が吹いていた。綺麗に手入れされた庭園も見える。こんな風景を眺めながら紅茶を飲めば格別だろうと思えるような場所だ。
 だが、今はそんな空間に相応しくない、物々しい剣戟の音が響いていた。
「ミーディアムを連れて来なかった事、後悔しなさい!」
 真紅から少し距離を取った水銀燈は翼を広げ、漆黒の羽根を矢のように飛ばす。一方の真紅は、手の平から出した薔薇の花びらをぶつけて応戦した。
(…チャンス!)
 羽根と花びらが完全に弾け飛ぶまでの僅かな時間。それを利用して、水銀燈は一気に距離を詰めた。
「もらったわ!!」
 近づく勢いを殺さず、真紅が居る場所を剣で薙ぎ払った。だが、そこに真紅の姿は無かった。
「いない!? 何処に…」
「ここよ」
 お互いの飛び道具がぶつかって消えた次の瞬間、真紅は真上に上昇していた。そうと知らずに突っ込んだ水銀燈は、いとも簡単に不利な状況に追いやられてしまった。
「まずい!?」
 ただならぬ危険を感じた水銀燈は、咄嗟に羽根で身体中を覆った。その直後に、ステッキの一撃と思われる衝撃を受けた。
 気が付くのが一瞬でも遅れていたら、真紅のステッキは水銀燈の頭部に直撃していた。そう考えると、水銀燈は背筋に冷たいものが走った。
「…少しは本気になったみたいね」
「今の貴女相手に本気を出す必要無いわ」
「何ですってぇ!!」
 水銀燈は真紅を黙らせようと、力任せに剣を振り下ろした。だが……
「…なっ……」
 黙らされたのは水銀燈の方だった。
 真紅をガードごと弾き飛ばせると思った一撃は、あっさりと止められていた。
「……水銀燈」
「な、何よ…」
「一体貴女に何があったの?」
 腕に力を入れて、水銀燈は真紅を押して距離を取った。
「アナタには関係無いでしょ」
「貴女のローザミスティカは輝きを殆ど失ってる。まるで今にも消えそうなくらいに…」
「う、うるさぁい!!」
「……ホーリエ!」
 それは偶然だったのか、それとも狙っていたのか。
 真紅の人工精霊は、まだ傷の癒えていない水銀燈の腹部に当たっていた。
「うぐっ……」
 水銀燈は顔をしかめて後退(あとずさ)った。その隙を見逃す理由は無い。真紅は左手から伸ばした蔓で、水銀燈を拘束した。
「い、苺わだち…くっ、このぉ!」
「今の貴女の力じゃ…抜け出す事は出来ないわ」
 真紅の言葉通り、どれだけ必死に水銀燈がもがいても苺の蔓は切れなかった。
 それどころか、そのまま締め付けられれば、弱っている水銀燈の身体は凍った薔薇を握った時のように粉々に砕かれそうだ。
「水銀燈……貴女の負けよ!」
 それを悟った瞬間、水銀燈は蔓が身体に食い込んだ気がした。
92ラストワルツ@所謂普通のニート:2008/10/12(日) 08:26:58 ID:05i+QMqe
「何してるですチビ人間、さっさとついて来やがれです」
「そ、そうは言っても……うわぁっ……」
「はぁ…相変わらず肝っ玉がミニサイズな奴ですぅ……」
 Nのフィールドを経由して真紅の世界に入ったまでは良かったのだが、ジュンは殺虫剤を掛けられた蚊のようにフラフラとしか飛べず、翠星石に罵声を浴びせられていた。
「しょうがないですねぇ…」
 翠星石がジュンの手を掴む。するとジュンの態勢は安定し、スムーズな移動が可能になった。
「わ、悪い…」
「当然の事です。ジュンは翠星石にとって大事な人なのですから…」
「えっ?」
 ジュンは翠星石の瞳を見てドキッとした。その眼差しはさっきまでと吊り上がったモノとは違い、恋する乙女のような優しい輝きに満ちていた。
「翠星石、お前……」
「あっ……か、かかか勘違いするなです。すすす、翠星石はドールズにとってミーディアムが大切な存在だと言いたいだけなのです」
 そうは言うが、顔を真っ赤にしていては説得力はあまり無い。流石はドールズのツンデレ部門に代表される翠星石だ。彼女の天然の萌え要素は、遺憾無く発揮されていた。
「なぁ、翠星石」
「な、なんです?」
「ここは…本当に真紅の世界なのか?」
 ジュンは笑いを引っ込めて真剣な顔で聞いた。彼が指差した二人の眼下には、荒れた土地と崩れた建物が見えている。
「真紅の……ドールズの心も、綺麗な部分ばかりではないのです」
「えっ? あっ……雨?」
 それに気がついたジュンは、ふと空を見上げる。すると、少し前まで広がっていた青空は、立ち込める暗雲の中に隠れていた。
「…泣いてるです」
「?……誰が泣いて……」
 翠星石はジュンの問いに答えること無く、飛ぶ高度を下げた。
「おいっ、どうしたんだよ急に…」
「一度、雨宿りするです」
「そんな事してる時間なんて無いだろ!? 早く真紅を探さなきゃ…」
 高度を上げようとしたジュンの服の裾を翠星石が掴んで止めた。
「あとで理由をちゃんと説明するです。だから…今は……」
 ジュンでなくとも、泣きそうな顔で俯く翠星石を振り払えなかっただろう。ジュンは手頃な屋根代わりを見つけ、翠星石を膝に乗せて座った。
「この雨は真紅の心の涙なんです」
「心の…涙?」
 確認するようにジュンが呟く。それに対して翠星石は首を縦に振り、話を続けた。
「真紅の心の中で溢れてしまった感情が雨と言う形になって降っているのです」
「それに何か問題でもあるのか?」
「この雨の元は制御できなかった真紅の感情です。だからこの雨に当たると真紅の感情の影響を受けてしまうのです。それも心の距離が近ければ近いほど、特に強い影響が出てしまうです。ジュンは真紅と翠星石の心に一番近い人間です。だから……」
「…分かったよ。雨が上がるまで大人しくしとくよ」
 真紅の事は心配だが、ジュンはいまの翠星石を振り切れない。だが、それ以外にも彼が翠星石の言う事を聞く理由はあった。影響と聞いてジュンの頭に真っ先に浮かんだのは、真紅の格好をした自分だったのだ。
 一方、翠星石は真紅に悪いと思いつつも、今の体勢が少しでも長く続く事を願っていた。
93ラストワルツ@所謂普通のニート:2008/10/12(日) 08:27:33 ID:05i+QMqe
 覚悟はしていたつもりだった。ローザミスティカを失い、傷付いたままの身体で真紅に戦いを挑めばどうなるのか…
 だが今、まさにその状況になった時、水銀燈の頭にメグの姿が思い浮かんだ。
(終われない……私はメグに帰るって言ったのよ!!)
 自分らしくなくていい。足掻く姿が真紅の目に滑稽と映ってもいい。水銀燈はメグとの約束を守るために、恥を晒してでも蔓から抜け出そうと腕に力を込めた。
「なっ……こ、これは何のつもりよ!?」
 腕を振るおうとした瞬間、身体中に巻きついた蔓が緩み、解けたのだ。傷を負った水銀燈には千載一遇のチャンスではあるが、敵に情けを掛けられて黙っている彼女ではない。
「もう勝負は着いたわ」
「……その余裕が気に入らないのよ!」
「そうやって力を使わないのは、ミーディアムを気遣ってるからなんでしょう」
 真紅の一言で、水銀燈の身体から力が抜けた。
 いま力を振り絞ろうとしたのは、父ローゼンの為ではなく、メグの為だった。そう思うと、水銀燈はローゼンを裏切った気分になった。
「水銀燈、私は貴女が倒れて誰かが泣く姿を見たくは無いわ。それに、私が貴女を倒す事は…多分、もう無い」
「? どう言う事よ?」
「私はアリスゲームを続けるつもりは無いのよ…」
「なっ…!!?」
 水銀燈には真紅の意味が全く理解できなかった。
 自分たちドールズは、父ローゼンが望むアリスになる為に存在している。その為の手段がアリスゲームだ。それを辞退すると言う事は、ドールズとしての存在意義を失うに等しい行為だった。
「何を驚いてるの? 前にも言った筈よ。私はアリスゲーム以外の方法でアリスを目指す、と…」
「ア、アリスゲームを続ける気が無いなら……どうしてアンタは私との決闘を引き受けたの!」
 虚勢だと知りつつも、水銀燈は剣を構えた。それでも、真紅は何も答えなかった。ただ顔を背け、目を伏せるだけだった。
「答えなさい!!」 
「…貴女が翠星石を狙うと言ったからよ」
 真っ直ぐ水銀燈を見つめる真紅の瞳には怒りの色が見えていた。
「馬鹿じゃないの? アリスゲーム以外にアリスになる方法なんてありはしないわ!」
「そうね。貴女の言う通り、私は馬鹿なのかもしれないわね」
 水銀燈は今の言葉で真紅が向かってくる事を期待したのに、完全に肩透かしを喰らってしまった。
 真紅は馬鹿と言われて、それを自分で認めた上、笑ったのだ。
「…アナタの馬鹿さ加減には怒りを通り越して呆れたわ」
 これ以上、どんな罵声を浴びせても真紅は戦わないだろう。そう感じた水銀燈は、真紅に背を向けた。
「待って、水銀燈…」
「何? まだ何か用?」
「えぇ、確かにまだアリスゲーム以外にアリスになる別の方法は見つかっていないわ。でも、もし良かったら貴女も一緒にその方法を探してくれない? 私たちと一緒に」
 真紅はゆっくりと水銀燈に向かって手を伸ばした。その姿は、まるでダンスに誘う男性のようだ。
「…冗談は顔だけにしてくれない?」
 振り向きざまに、真紅の首元へ水銀燈の剣が突きつけられた。だが、真紅は微動だにしなかった。
「私は本気よ。出来れば貴女と戦うのもさっきので最後にしたいと思ってるわ」
「これが私の答えだと言っても?」
「えぇ……」
 それから二人は、しばらく見つめ合ったまま一言も喋らなかった。長い沈黙のあと、水銀燈は剣を退いて再び真紅に背を向けた。
「…止めたわ。やる気の無いアナタを相手にしてるほど、私は暇じゃないの」
「水銀燈、私は……私は貴女の考えが変わる事、祈ってるわ」
「好きなようにすれば?」
 それっきり何も言わず、水銀燈は飛び立った。真紅は地面に落ちている黒い羽根を拾い、両手で覆った。
(お父様……姉妹で争う事から逃げる私は、アリスになれませんか?)
 物思いにふけっていると、後ろから物音が聞こえた。何事かと真紅が後ろを見ると、そこには居るはずの無い人影があった。
「そ、そんな……どうして…貴女が………」
94ラストワルツ@所謂普通のニート:2008/10/12(日) 08:29:02 ID:05i+QMqe

次回予告

「さぁ、最後の次回予告はローゼンメイデン一の頭脳派、金糸雀様の登場かしら」
「う〜ん…」
「みっちゃん? 何かお悩みかしら」
「あらカナ…いやね。私、最近カナの活躍が少ないのは何故なんだろうな〜と考えたてたのよ」
「そ、そそそんな事は…」
「私が思うに、カナには活躍する為の要素が足りないんじゃないのかな〜って思うのよ。やっぱり競争率の高い今の世の中、可愛いだけじゃ生き残れないのよ。真紅ちゃん、翠星石ちゃん、水銀燈ちゃんの三人と比べて、カナに絶対的に足りない物…」
「な、なにかしら……」
「属性よ。あの三人はそれぞれの魅力に、少なからずツンデレの属性を加えて今の地位を獲得してるの。つまり、カナもツンデレ属性を手に入れれば……」
「?? みっちゃん?」
「ダメェェェ、やっぱりカナは今のままが一番よぉぉ!!!」
「み、みみみっちゃぁぁん、ほっぺが摩擦でマサチューセッチュゥゥゥ!!!」

「はぁ…だからあの二人に予告は無理だって言ったのに……」
「たまにはいいじゃない。あの子だってファンにサービスしたいだろうしね」
「ところで、誰が予告をするんです?」
「どうやらいつもの通り、私がやるしかないみたいね♪」
「ちょっと待つです。いつも真紅ばかりは納得いかねぇです。と言う訳で、最後は翠星石が飾るですぅ」
「翠星石…貴女、自分一人だけ目立とうと言うの!」
「その言葉、そっくりそのまま真紅にお返ししてやるです!」
「お、お前ら、そんな事してる時間は……あれっ、水銀燈…」

「水銀燈、今がチャンスよ!」
「えぇ……次回、ローゼンメイデン ラストワルツ最終話…『願い』。やったわメグ、最後の見せ場を飾ったわよ!」

                            ラストワルツ第3話「決闘」 糸冬
95名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/12(日) 18:58:26 ID:6j1/ixwR
ウルトラローゼンシリーズまだー?
96ローゼンメイデン・No.6! ◆FIvCkC2XSg :2008/10/12(日) 22:19:54 ID:i/ycaseB
                       「序章」
 
nのフィールドによって繋がった数多ある世界…。
その中には「異次元人形ヨプール」の脅威に苛まれた世界があった。

異次元人形ヨプールは人形と生物を組み合わせ、人形を超える人形…「超形」を作り出し、
次々にその世界へ送り込んだ。

その世界では既に人形の脅威が認知されており、対人形用の戦術等も確立していたのだが…
ヨプールの送り込む超形の前には全く役に立たなかった。

超形は…従来の人形を遥かに凌ぐ力を持っていたのだ。

超形の前に世界は滅ぶかと思われた時、二体の人形が超形に立ち向かって行った。

      ローゼンメイデン第三ドール「翠星石」と第四ドールの「蒼星石」

異次元人形ヨプールの脅威を察知した人形師ローゼンは、ヨプールの標的となっている世界へ
翠星石と蒼星石の二人を送り込むようラプラスの魔に命じていたのだった。

流石のローゼンメイデン翠星石・蒼星石の二人も超形のパワーの前には苦戦を強いられた。
しかしそれでも二人は力を合わせ、ヨプールの送り込む超形を各個撃破して行った。

そしてついにヨプールを…最強超形ジャンボクイーンを倒すが…同時にヨプールの仕掛けた
罠により、翠星石と蒼星石はそれ以上この世界に留まる事は出来なくなり、去らざるを得なくなった。
しかし…翠星石と蒼星石の残したメッセージはその世界のヒキコモリ達に勇気と希望を与えた…………

それから少し時が流れた所から物語は始まる。

                 「ローゼンメイデン・No.6!」

この世界における柏葉巴は他の世界とは異なり行動派で、世界各地を旅しており、
その日、巴は久々に日本に帰って来た。そこで突如として超形の残党が出現。
巴は機転を利かせ、超形の残党を追い払う事に成功した。その活躍が高く評価され
巴は「ZAD」にスカウトされる。

「ZAD」とは「ザリバ・オブ・オール・ドールバスター」の略称であり、
ドールのスペシャリストと超最新兵器を結集した対人形用防衛組織であった。
97ローゼンメイデン・No.6! ◆FIvCkC2XSg :2008/10/12(日) 22:21:30 ID:i/ycaseB
そして先に巴によって一度追い払われた超形の残党がまたも出現するが……
さらにその後に現れた人形によって…超形は取り込まれてしまった!

           超形を超える人形が現れた! その名も大人形!

ZAD隊員となった巴は他の隊員達と共に大人形を倒すべく出動するが、大きな傷を負ってしまう。
しかし…そこで巴は今後の彼女自身…そして世界そのものの運命を大きく変える出会いを果たす事となる。

            その名はローゼンメイデン第六ドール「雛苺」

異次元人形ヨプールと戦った翠星石・蒼星石に代わり、超形を超える人形…大人形を倒すべく…
今度は第六ドールの雛苺がこの世界にやって来たのだ。だが、雛苺は誰か人間と同化し
一心同体とならねばこの世界で活動する事は出来なかった。そこで彼女が選んだのが巴。

他の世界において雛苺にとって大切な人間である巴。そこでは自身の不手際によって
巴を取り込んでしまいかねない状態になった事もあったが…今度は雛苺が巴と同化するのだ。
もはやこれは運命的な物としか言い様が無い。

雛苺と一心同体となった巴は、ローゼンメイデン第六ドール雛苺へと変身し…大人形に戦いを挑んだ!

      こうして…柏葉巴と雛苺…そしてZADによる新たな戦いが始まったのだ。

               雛苺 ローゼンメイデン No.6
       人形師ローゼンがいる ラプラスの魔がいる そしてヒナがここにいる
               鏡を見ろ 画面を見ろ フィールドを見ろ
                 彼方から 迫り来る 人形を
             何かが世界に 起きる時 ヒナのうにゅ〜が 輝いて
                 ヒナが飛び立つ ヒナが戦う
                    ヒナ ヒナ ヒナ
                  ローゼンメイデン雛苺

この一連の物語は、雛苺がローゼンメイデンのドールズの中でも最も幼い事もあって、
おとぎ話等を題材にしたファンタジックなストーリーが多く描かれた。

それを象徴するのが「妖怪系人形」の登場である。

過去のシリーズでは、既存の人形に魂が宿った物であったり、また超形の様に人為的に兵器として
作られた物である事が多かった。しかし、今作は最初から妖怪や妖精等の類として誕生した人形等も
多く登場する様になったのである。

無論、既存のタイプの人形も登場しなくなったワケでは無く、また過去のシリーズに登場した人形が
リニューアルされて再登場する事もあった。
98ローゼンメイデン・No.6! ◆FIvCkC2XSg :2008/10/12(日) 22:22:32 ID:i/ycaseB
敵の人形の肩書き関して、当初は「超形をさらに超える人形」としてアピールする為に「大人形」と言う
肩書きが与えられていたが、話がある程度進み「今作における人形は超形を超えて当たり前」と言う事が定着し、
超形の存在感が薄れると、大人形と言う肩書きは付かなくなり、ただの人形として表現される様になった。

ZADも他の対人形防衛組織とはやや違った毛色に描かれた。
他の対人形防衛組織では、しばしば描かれた隊員同士の対立等のハードな描写が殆ど描かれず、
むしろ基地の司令室で飲食したり、将棋を指したり、市民とスポーツに興じたりと
明るくアットホームな雰囲気を持っていた。

そのせいで「ZADはふざけすぎ」「ローゼンメイデンのシリアスな雰囲気が失われた」と
批判される事はあったが…

それでいていざ対人形作戦に入ると凄まじい活躍をし、数々の人形を撃破している。
その人形撃破数は各対人形防衛組織の中でも最高と言う恐るべき戦果を誇る。

また単純に人形を攻撃するのでは無く人形の特性を掴み、その特性にそった様々な
奇抜な作戦を取ったり、人形に苦戦する雛苺の援護や、逆に雛苺がZADの作戦を援護する
と言った描写が描かかれたのもZADの特長であった。

そんなZADでも強力な人形の前には乗機を破壊される事は度々あった。
しかし前述したファンタジックなストーリーやアットホームなノリも相まって
脱出の成功率は100%を誇り、最後まで隊員が一人として殉職する事が
無かったのもZADの大きな特徴である。

ただ人形を倒すだけでは無く、雛苺・ZADともに人類と敵対感情を持たない人形に対しては
生存権を尊重し、救うと言った心温まるエピソードも多い。

途中で路線やノリが変更する事が多かった他のシリーズと異なり、雛苺にまつわる一連の
ストーリーは最後まで殆ど路線変更は行われなかった。

だが、前述したファンタジックかつアットホームなノリと言うオブラートに包まれながらも
冷静に考えたらこれはエゲツ無いんじゃないのか? と言った描写もあった。

         それが顕著に現れたのが「雛苺の首がすっ飛んだ!」のエピソードである。

これは江戸時代に暴れ回るも、偉いお地蔵様に封印されていた閻魔大王をモデルにした人形が
山林の開発によって怒ったお地蔵様によって封印を解かれ、再び暴れ出した閻魔人形に対し
雛苺が戦いを挑むと言うエピソードなのだが…この作中で閻魔人形の手に持つ刀によって
何と雛苺が首を切り落されると言う描写が存在するのである!

もっとも…その後でお地蔵様の不思議な力で雛苺の首は元通りにくっ付いて逆転勝利しているのだが………
99ローゼンメイデン・No.6! ◆FIvCkC2XSg :2008/10/12(日) 22:24:09 ID:i/ycaseB
同化している巴の精神による+αがあるとは言え、雛苺がローゼンメイデンのドールズの中でも
幼く未熟であると言う点もあって、他のドールズの客演等も多かった。しかし…
今作における主役である雛苺を立てる為もあって、どうしてもやられ役になってしまう事も多かった。

          それを象徴するのが、まず序盤の山場「バードール三部作」

火山から出現した鳥型人形「バードール」との戦いを三話に渡って行われた巨編なのだが…
そのバードールは「鳥の人形→バードのドール→バードール」と言うシンプルなネーミングに反して
凄まじいまでの強敵だった。

バードールの猛攻に敗れてしまった雛苺に代わり、ローゼンメイデン最凶と言われる
第一ドール水銀燈が駆け付け、バードールに果敢に挑むも…バードールの口から吐いた
火炎によって頭を燃やされてしまった…………

            そして…中盤に描かれた「ドールズを超えて行け」

ローゼンメイデンに倒された数々の人形の怨念が集合して誕生した暴君人形「タイランドール」が
nのフィールドを通って雛苺やZADの存在する世界へ侵攻しようとし、その途中で
水銀燈・金糸雀・翠星石・蒼星石・果てには真紅と、ローゼンメイデンのドールズを次々に撃破する
と言う圧倒的とも言える強さを見せ付け、雛苺やZADの世界にやって来るが、残念ながら
ZAD&雛苺には敗れてしまうと言う内容となっている。

この一連のエピソードは「他のドールズで敵わなかったタイランドールに雛苺が敵うはずが無い」と批判を
受ける事もあったが「数々の人形との戦いで雛苺も成長していた」「他のドールズとの戦いで
タイランドールが消耗かつ疲弊していたからこそ雛苺は勝利する事が出来た」と好意的に受け取る者もいた。

前述の様に、他のドールズが雛苺の引き立て役に堕とされてしまったと見られるが、
必ずしもそうでは無く、一方で「姉に頼りがち」「増長しやすい」と雛苺が
他のドールズに比べ劣っている様に見せる描写もあったりと言ったフォローもされている。

こうして、ローゼンメイデン第六ドール雛苺として…ZAD隊員として人形の魔の手から世界を
守っていた巴だが、最終回で雛苺に頼り過ぎていた事による気の緩みが災いし、知り合いの
父親を死なせてしまうと言うミスを犯してしまう。そして巴は父を失って悲しむ知り合いに
これからは雛苺や父に頼らず生きて行く事を諭し、また自分自身に対しても戒めとして
雛苺の力に頼らず生きて行く事を決意。

ローゼンメイデン第六ドール雛苺としてでは無く、一人の人間…柏葉巴として
たった一本の竹刀を武器に最後の人形に戦いを挑み…ついには倒す事に成功する。

その後、巴はZADを退任。ZADの仲間達に新しい勉強をしてくると告げ、新たな旅に出る。

そして雛苺と融合したまま雑踏(休日の秋葉原の歩行者天国)の中へと消えていった……………………。

                     おしまい
100 ◆FIvCkC2XSg :2008/10/12(日) 22:26:50 ID:i/ycaseB
同じ6番目繋がりと言う事で雛苺をタロウに当てはめてみました。
ですがウルトラネタはこれで撃ち止め。少なくとも現時点ではこれ以上ネタは思い付きませんorz
101名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/12(日) 22:48:39 ID:yAv5ZzLX
おおーさらに投下きたよすげー
102名無しさん@お腹いっぱい:2008/10/14(火) 09:24:13 ID:5MgUNRhC
乙でした〜
              「ローゼンギャラクシー大人形バトル」

nのフィールドを通じて数多ある世界の内の一つに…ついにnのフィールドの存在を
科学的に突き止める事に成功した文明が存在した。そして彼等は未知の領域たるnのフィールドに
調査団を送り込む事を計画する。彼等の目には、nのフィールドは大宇宙の様な
新たなるフロンティアに見えたのだ。

彼等の技術の粋を結集して作られた次元船は優秀なクルーを乗せ、nのフィールドへ旅立った。
しかし…そこで彼等が見た物は、太古の土偶から最新式美少女フィギュアに至るまで…
多種多様なドールが血で血を洗うかの様な壮絶な激闘だった。

nのフィールドはただのニューフロンティアでは無い。人形が人知を超えた戦いを繰り広げる戦場だったのだ。

確かに次元船のクルーとしても、未知の領域たるnのフィールドにおいて何が起こるか分からないと
覚悟はしていたつもりだった。しかし…人形同士が争うその光景を目の当たりにした彼等は…
自分達の覚悟が甘かった事を思い知らされる。

そして調査団に襲い掛かる人形の魔の手。nのフィールドで果て無き戦いを続ける人形達にとって、
次元船に乗ったnのフィールド調査団も倒すべき敵と映っていたのだ。

無論、調査団も外敵との戦いを想定していないはずがない。次元船にも科学の粋を集めた強力な
兵器が幾つも積んであったし、隊員一人一人の持つ銃器一つ取っても強力な物であった。

しかしそれでも彼等は苦戦を強いられる。nのフィールドと言う特異な空間と、その地の利を生かした
人形の巧みな戦術の前に、調査団の持つ近代兵器も効果が薄かった。

もはや全滅は必至。調査団の誰もが死を覚悟した時………彼等は見た。

紅のドレスを纏った人形とも人間とも取れる不思議なドールと、メガネを掛けた謎の少年が
現れ、調査団を襲っていた人形達を一蹴する光景を………。

何はともあれ…調査団の危機は去った。間も無くし、彼等の危機を救った謎のドールに関して
次元船のコンピューターがそのデータを割り出す。

紅のドレスを纏った人形とも人間とも取れる不思議なドール…彼女はローゼンメイデンと呼ばれる
不思議なドールの内の一体…第五ドールの真紅。そして、真紅と共に現れた謎の少年は
桜田ジュンと名乗った。

半ば成り行き的に真紅とジュンの二人が調査団に加わる事となった。
二人が言うにはnのフィールドは本来この様な人形同士が無闇に争う様な戦場では無く、
もっと静かで平和な所だったと言う。そして、nのフィールドに起こっている異変の調査を
行う為に調査団の次元船にを利用したい真紅・ジュンの思惑と、再び訪れるであろう人形の襲来から
身を守る為の戦力として真紅・ジュンの力が欲しい調査団の思惑…双方の利害が一致したのだ。

途中、人形との戦いを交えながらも、同じローゼンメイデンのドールズである
翠星石や雛苺と合流しつつ、真紅・ジュン等を加えた調査団はnのフィールドの奥へ突き進む。

              nのフィールドに一体何が起こっているのか…

                     つづかない
104 ◆FIvCkC2XSg :2008/10/14(火) 23:55:14 ID:/njrjfZe
ネタが無いとか言っておきながらまた書いてしまいましたorz
105銀様考察 ◆R4Zu1i5jcs :2008/10/15(水) 01:46:06 ID:wjJTwkJ9
 私は壊れているらしい。
 欠陥品、出来損ない、ジャンク。そんな様々な言葉で言い表される自分が嫌いだった。
 私は必死に耳を塞ぎ、それを否定する。でも自分自身は現実を正しく理解しているのだ。
 だから私は私の力を主張し、それを誤魔化す。
 私がアリスに相応しい存在であると――。ただそれだけに躍起になっていた。
 でも今は違う。姉妹たちを倒さねばならない盤上で、私は束の間の安らぎを得た。
 あいつは……めぐは私以上に壊れていた。最初は戸惑い、気味の悪ささえ感じた。それほど私にとってめぐは異常だった。
 めぐは私の拒絶の態度がまるで見えぬかのように接する。そんな風にされたことは今までなかった。だから私の困惑はより一層増し、酷く混乱した。
 そんな奇妙な日々が続き、戸惑いがやがて別のものに変わっていた。めぐの側が心地よい。愛しささえ感じる。口には出さない。いや出せない。まるで心と口が分かれてしまったようだ。

 私は夢のような日々に浸りすぎたのかもしれない。夢はいつか必ず覚めるというのに……。

106夢で逢いましょう ◆R4Zu1i5jcs :2008/10/15(水) 02:24:02 ID:wjJTwkJ9
 ほぼ丸い月、煌めく星々。寒空の下、私は夜空を見上げ感傷に浸っていた。
 突然、雰囲気をぶち壊すかのように窓が開く音がする。
「水銀燈。ちょっとこっちにいらっしゃい」
 めぐが呼んでいる。こういう時は大概ろくでもないことだと決まっている。私は無視を決め込んだ。
「ねぇ、聞こえているんでしょう? 水銀燈」
 何度も何度も呼び掛ける。そうしたら夜通し呼び続けるかもしれない。しぶしぶと窓から病室へ入る。今日は特別寒い。風邪を引かれたら迷惑もいい所だ。
「何よぉ」
「たまには一緒に寝ない? 私の体温でいい感じよ」
 ……そんなことのために呼んだのか。全く呆れてしまう。
「嫌よぉ。私は空を眺めていたんだから」
「じゃあ私も見るわ」
 だからまた窓を開けたら意味がない。死にたがりは自分の体調とかに気を使わないのだろうか。
「わかったわ。わかったから」
 にこーと微笑む。まるで飴でも握らされた子供だ。
「ほらっ、水銀燈」
 布団を開けて私を待つ。……やっぱりどこか照れくさいものがある。
「んっ」
 空いたスペースに埋まるとめぐが布団を被せる。外の寒さが嘘みたいだ。
「あったかい?」
「暖かいわよ……」
 めぐの顔が正面。……は照れくさいので寝返りを打って視線を外す。
「ねぇ、水銀燈……」
 布団の中でめぐの両手が私を抱く。背中がやけにふわふわで柔らかい。慌てて抜けようにもぎゅっとされているので抜けられない。
 静寂の中、時計の針だけが動いていた。ドキドキする。めぐの息遣いが、心音が、体温が、近すぎる。
「め、めぐぅ!? ちょっと……」
 返事はなく、代わりにあるのはすーすーと健やかな寝息。人を散々振り回しておいて……。
「はぁ」
 溜め息を一つ。とりあえず寝よう。文句は目が覚めたら言ってやればいい。また寝返りを打ってめぐの憎たらしい寝顔を確認。朝まで我慢出来ず、仕返しにキスをしてやった。ざまあみろ、だ。
 瞼が落ちる。あぁ、願わくば夢で逢えますように……。

107名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/15(水) 02:25:03 ID:wjJTwkJ9
一応>>45も書いてる私……。寝ます
108名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/15(水) 09:07:10 ID:ZR8no3Pq
乙! 乙! 
待ってたよ。ありがとう。
2作も読めるなんて嬉しすぎる。
水銀燈とめぐは良いね。
仕返しにキスする水銀燈が可愛いよ。
109名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/15(水) 12:09:26 ID:4uSbDo/9
すっげーどんどん来る
今まさに創作意欲に溢れてますな?
110アルコールよりぎゅっとして ◆R4Zu1i5jcs :2008/10/16(木) 02:29:59 ID:bFWcavQz
 最近、夜になると独りの時間を放棄し、めぐの病室へ行くようになった。だいたいめぐは愚痴やら不満やらを話し、私は黙ってそれを聞いていた。
「ねぇ、水銀燈。そういえば昔、体温計は水銀を使っていたらしいわよ?」
 水銀中毒などの危険を考慮して今はほとんど使われていないという。
「ふぅん。それが何よ」
「だから、水銀燈も私の体温計れるんじゃない?」
「はぁ?」
 めぐ曰く、私の名前が“水銀”燈だかららしい。全くよくそんな変なことを思い付くものだ。
「ほら、お願い」
 髪をかき上げ、額をあらわにする。仕方なく手を当てようとするとめぐはそれを制止する。
「熱を計るんならおでこくっつけてよ」
「え〜」
 髪をかき上げたまま目をつぶっている。私はゆっくりとめぐの顔へ近付く。口紅がひかれていないにも関わらずやけに唇が色っぽい。
「んっ」
 ぴたと額と額が合わさる。めぐ熱がじんわりと伝わって来る。
「どう? 熱ある?」
 急にぱちりと目が開き、どぎまぎする。めぐとの距離は零。まるでめぐとくっついてしまったみたいだ。
「わ、分かんないわよぉ」
 本当はさほど熱はなかったが、なぜか熱く感じた。私が熱くなっているという錯覚にさえ陥った。
「分かんないの? 仕方ないわね……」
 めぐは上からパジャマのボタンに手をかけ外していく。その光景をただ見ているしかなく、その間私の時は止まっていたかのようだった。
 はらりと上着はベッドの上に脱ぎ捨てられ、めぐの白い肌と膨らんだ乳房があらわになる。その段になって私はようやく反応することが出来た。
「な、何してんよぉ……」
「ふふ、水銀燈がちゃんと計らないからよ」
 ばっと腕を回し私を抱き締める。不意の出来事に反応することが出来なかった。
「どう……」
「うん。めぐ、すごく熱いわ」
 服越しでも伝わるめぐの体温。とても優しい。そこには確かに“生命”を感じた。
「あら、風邪かしら」
 私を放し、いたずらに笑う。めぐの感触がもうすでに恋しい。
「そうねぇ、そんな格好してたら風邪ひくわよぉ」
 私はそう言ってはっとする。知らない内に口元が笑みを作っていた。たまにはこういうのもアリかも知れない。
 めぐはやがて服を着て、布団でうずくまるように寝てしまう。
 ……病なのは私かも知れない。身体のほてりを冷ますために闇夜に飛び出した。今はそれくらいしか思い付かない。

111 ◆R4Zu1i5jcs :2008/10/16(木) 02:32:50 ID:bFWcavQz
これ以上はまずい……。ぐっ、みんな離れろっ!! エロパロを書いてしまうぞ……。

今回はまぁセーフですよね。かんなぎ見ます。
112名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/16(木) 09:44:17 ID:TiG+fXzi
オナ禁8日目の俺的にはアウト
113名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/16(木) 20:02:57 ID:gjZVivhd
挿入してないからセーフ
114名無しさん@お腹いっぱい:2008/10/18(土) 09:05:55 ID:JHQ0m3Dt
どう見てもカッチカチです
本当にありがとうございましたm(_ _)m
115名無し・1001議論中@自治スレ:2008/10/18(土) 17:17:25 ID:+6LXbosP
18禁にひっかからないギリギリの線を狙うんだ!
116 ◆R4Zu1i5jcs :2008/10/18(土) 19:07:53 ID:7Ehehw6e
エロいのばっかじゃいかんと思って、雪華綺晶×水銀燈(ど突きあい的な意味で)を書こうとしたが銀様すぐやられちゃってんのな。
昔読んだから内容だいぶ抜けてるわ。うん。
117名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/18(土) 19:13:04 ID:N3C/pvK4
意外と記憶が書き換わってることあるよな
118名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/18(土) 23:19:04 ID:7Ehehw6e
一応リクエスト
話うろ覚えだが
119 ◆R4Zu1i5jcs :2008/10/20(月) 02:17:15 ID:+ejWSC5A
人いないから>>122でSS書く

書ければ
120名無し・1001議論中@自治スレ:2008/10/20(月) 09:28:07 ID:QyZM+7K4
122とな?
12110/26に名無し・1001投票@詳細は自治スレ:2008/10/20(月) 09:28:31 ID:QyZM+7K4
じゃあ121を取っておこう
122名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/20(月) 10:17:43 ID:R4s1TY1q
サザエ=銀
マスオ=紅
カツオ=蒼
ワカメ=金
タラオ=雛
波平=ローゼン
フネ=ラプラス
イクラ=翠
アナゴ=雪

このキャストで
123名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/20(月) 11:45:38 ID:+ejWSC5A
>>122
なん…だと
12410/26に名無し・1001投票@詳細は自治スレ:2008/10/20(月) 11:47:20 ID:QyZM+7K4
これはwww
125名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/20(月) 16:24:50 ID:ZBqOf4Sq
期待せざるをえない
126名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/20(月) 16:50:50 ID:+ejWSC5A
誰かローゼンの口調の資料みたいなの頼む
12710/26に名無し・1001投票@詳細は自治スレ:2008/10/20(月) 22:07:56 ID:QyZM+7K4
一人称と語尾のまとめとかか?
そういうのあるのかな
128名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/21(火) 04:46:11 ID:7u5wFig1
>>122
キムはスレの雰囲気悪くさせるだけだから出すのやめた方がいい
129名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/26(日) 21:17:15 ID:rFYRMV4a
【一人称】

銀=ミー
金=あちき
翠=わっち
蒼=ぼくちゃん
紅=それがし
苺=俺
薔=・・・
雪=朕

【語尾】

銀=ザンス
金=ござ候
翠=たもれ
蒼=DA☆NE
紅=ござる
苺=だぜ
薔=! ?
雪=おじゃる
130名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/29(水) 00:23:39 ID:lFc0qKXw
すまん科研
131名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/29(水) 22:30:39 ID:n363shCj
>>129
蒼星石想像したらムカツキ度が半端ない

ってかマジレスすると、口調もわからないのにSSなんて書けないだろJK
132めぐと銀 もう一つの出会い ◆FIvCkC2XSg :2008/10/31(金) 23:40:14 ID:7+a8SLtp
nのフィールドの奥に存在する世界樹。その世界樹によって繋がった幾多の世界の中に、
ついに科学的にnのフィールドの存在を突き止めた文明が存在した。
宇宙開発の為に行っていたワープ航法の研究中に発見された異次元空間…nのフィールド。
それはまさに嬉しい誤算だった。nのフィールドは無限に広がる大宇宙とはまた異なる
新たなるフロンティアになり得ると思われたのだ。

そして人類はnのフィールドへ調査団を送り出した。各分野において選りすぐられた
エリートで構成される調査団の隊員達の中に、柿崎めぐの姿があった。

この世界におけるめぐは、他の世界とは異なり心臓病に侵される事は無かった。
それどころか、防衛大を出てnのフィールド調査団の一員に抜擢される程の
立派な人間となっていたのだった。

しかし、nのフィールドでめぐは想像を絶する体験をする事となる。

「……………………。」

調査団本隊と一時離れ、nのフィールド内の一地域へ単身調査へ向かっためぐは
そこで信じられない光景を目撃した。

「に……人形が…動いてる…?」

めぐが見た物とは人形。それもまるで生きているかの様に動いているのだ。
決してロボットの類では無い。どう見てもぬいぐるみやフランス人形等のただの人形にしか
見えないと言うのに、最先端科学を駆使した如何なるロボットでも不可能な程の
滑らかな動きをしていた。まるで生き物の様に…。しかも、その人形が数十…いや…
数百とも思える程にまで沢山……めぐを包囲していたのである!

「友好的…とは思えないよね…。」

めぐは無意識に携帯していた銃を構えていた。人形が生き物の様に動くのはまさに
夢物語の様ではあるが、今めぐを包囲していた人形は決して物語に出て来る様な
代物とは違い、友好的とは程遠い物。むしろ今にもめぐへ襲いかからんとする
餓えた獣の様でさえあった。

そこで調査団本隊からの通信が響き渡る。

『柿崎隊員! こちらnのフィールド調査団本隊! どうしましたか!? 柿崎隊員!』
「来ないで!! 良いから! 私の事は放って逃げなさい!!」
『柿崎隊員! 至急帰還して下さい!! 柿崎隊員!!』
「貴方達だけでも元の世界に帰って!! そして伝えて!! 私達の世界は…
今も外敵から狙われ続けている事をー!!」
133めぐと銀 もう一つの出会い ◆FIvCkC2XSg :2008/10/31(金) 23:40:46 ID:7+a8SLtp
そう。彼等は外敵。人形こそnのフィールドと言う名の異次元から襲い来る人類の敵だった。
nのフィールドの発見は人類にとって新たなフロンティアの開拓になると同時に…この様な
新たな外敵との遭遇の時でもあったのだ。

もしここで調査団本隊の位置が知られてしまえば、人形達は一斉に本隊へ殺到し、
それによって被る被害は計り知れないだろう。だからこそめぐは自身を犠牲にしてでも
ここで人形達を足止めし、本隊の逃げる時間を稼ぐつもりだった。

めぐは単身戦って戦って戦い続けた。次々襲い来る人形を銃で撃ち落し、殴り飛ばし、蹴り飛ばした。
しかし人形の数は多く、倒しても倒しても新たな人形が現れる。もはや絶体絶命と思われたその時…

「あ…。」

そこでめぐは見た。無数の人形の前に立ちはだかる…黒衣に身を包んだ天使のごとき人形の姿を…。

          ローゼンメイデン第一ドール水銀燈 それが彼女の名だった…

人形達は一斉に攻撃を仕掛けるが、水銀燈はただ片手の一振りだけでそれを弾き返し、
逆に背中から生える漆黒の翼から放たれる炎を纏った羽の雨によって…次々に
人形達を切り刻み、消し飛ばして行った。

「くっ! くあああ!!」
『柿崎隊員! 柿崎隊員! どうしたんですか!? 何が起こったのですか!? 応答して下さい!』

今のめぐに本隊からの通信など耳に入ってはいなかった。水銀燈が人形達を消し飛ばして行く中、
次々襲い来る人形達をかわし、銃撃して行く。めぐは自身が生き残る事に必死だった。

圧倒的だった。水銀燈はただの一撃であの大軍団を追い払い…めぐに対して言った。

「ついに人間も自力でここまで来たのね。もしかしたら貴女達が私達を肩を並べられる日も
来るかもしれないかもね。それまでは私達が貴女達の世界の盾になってあげる。次に会う時が楽しみね。」

そこでめぐは初めて知った。自分達…いや…あの世界に生きる全ての者は彼女等…
ローゼンメイデンに守られていたのだと…。地球に住む者の感知しない場所で…
地球に住む者には想像も付かない様な敵から…。

元の世界へ帰還しためぐは、本格的に地球へ襲来する様になった人形達に対抗する為に
各国が連携して発足した対人形防衛組織へ志願し、隊員となってローゼンメイデンと共に
人形達と戦って行く事となるのだが…それはまた別のお話である。

                        完
134名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/07(金) 20:54:21 ID:rmKCJLLS
ほしゅ
135創る名無しに見る名無し:2008/11/21(金) 14:42:21 ID:vD7Gp2q+
誰か書かんの?
136創る名無しに見る名無し:2008/11/22(土) 10:49:19 ID:mS6xojUM
記念
137創る名無しに見る名無し:2008/12/16(火) 19:18:31 ID:gOPESVZY
休載について一言↓
138創る名無しに見る名無し:2008/12/17(水) 19:20:36 ID:opTwMejA
>>126
【水銀燈】

小さい母音を使う。
「お馬鹿さぁん」みたいな感じで結構見る
伸ばし棒「ー」「〜」「――」も使ったり

【金糸雀】

とりあえず「かしら」
語尾に「わ!」とか「ね!」も使うとそれっぽくなる

【翠星石】
「です」「ですぅ」は外人も認めている
慇懃無礼な、「〜しやがりなさい」って言い方も
あとは「全く」とか

【蒼星石】
地味だから、多少口調は特化させた方がいい
ショタキャラ意識が重要?
ジュンよりもソフトに

【真紅】
基本お嬢。
「なのだわ」を使うとそれっぽくなるけど、多用は禁物。
「〜なさい」とかの上から目線で書くとそれっぽい

【雛苺】
「〜の」「〜のよ」とか
ちゃんと台詞を言い切れてないとそれっぽい
うにゅー


ツッコミお願い
139創る名無しに見る名無し:2008/12/19(金) 08:20:04 ID:QE7+Dgkf
誰もいない…
初SS書き込むなら今のうち…
140創る名無しに見る名無し:2008/12/19(金) 08:57:34 ID:4P3DeKIQ
wktk
141創る名無しに見る名無し:2008/12/19(金) 15:37:25 ID:9nT2ic/e
原作やっと読んだばかりの俺もwktk
142創る名無しに見る名無し:2008/12/19(金) 16:50:19 ID:ZGqeqytK
こいよぉ!
143創る名無しに見る名無し:2008/12/19(金) 17:01:13 ID:TbkVSUTi
ひさびさに盛り上がる予感!
144創る名無しに見る名無し:2008/12/19(金) 17:02:37 ID:ZGqeqytK
俺も書くよぉ
145創る名無しに見る名無し:2008/12/19(金) 18:22:54 ID:4P3DeKIQ
さらにwktk!
146創る名無しに見る名無し:2008/12/24(水) 01:44:57 ID:7ncqRSgT
マダー
147創る名無しに見る名無し:2008/12/25(木) 09:47:44 ID:yU5H646V
>>138
水銀燈が口調を間延びさせるのは精神的に余裕があるときや、相手を挑発するときが多い

翠星石に「しやがりなさい」ってあったっけ?「しやがれです」は確かに言う。
あと語尾の変化形は豊富にもっておかないと、不自然になるうえ話全体のリズムが悪くなる

雛苺は特に「なの」が多い


後は概ねそんな感じだとは思うが
しかしまぁ口調合わせたらそれっぽくはなるけど、性格と関連付けされてないと意味無い
148創る名無しに見る名無し:2008/12/25(木) 10:01:26 ID:4Qu8Ztx4
>>147
ツッコミd
言われてみれば結構書き崩してたわ
ちょっと梅岡に全校集会されてくる
149創る名無しに見る名無し:2009/01/20(火) 00:12:58 ID:tiyRKqwK
>>148
ぜひともマスターたちの分も頼む。
最近、俺の中のトモエがまったく喋らなくてな。。。
150創る名無しに見る名無し:2009/01/20(火) 17:33:56 ID:gZYtt9fH
>>149
DVDBOX買って見直せよ
151創る名無しに見る名無し:2009/01/25(日) 23:07:59 ID:TDcWPJVl
100均一の人形改造して翠星石つくったぜ

これが
http://pai.no.land.to/up/src/dgz5257.jpg

こうなる
http://pai.no.land.to/up/src/dgz5299.jpg

制作は立体スレでやってるんでよろしく
152創る名無しに見る名無し:2009/01/25(日) 23:51:09 ID:2sjug6/u
ぱねええええええええええええ
153創る名無しに見る名無し:2009/02/02(月) 23:18:29 ID:eOPgH6Ud
真紅「紅に染まるこの俺をををををを」

翠「ですぅ!」
154ツルツルメイデン:2009/02/08(日) 22:25:17 ID:8zXcicM8
真紅の我侭に我慢できなくなったジュンは…ついにやってはいけない事をやってしまった。
それは深夜の1時の出来事。真紅は完全に鞄に篭って眠りに付いていたが、ヒキコモリの夜は遅く
ジュンは眠らない。そして彼の手にはバリカンと髭剃りが握られていた。

「もう我慢出来ない…。お前なんかこうしてやる!」

ジュンは真紅の篭る鞄を開き、真紅が熟睡している事を確認すると…その金髪にバリカンを当てた。

             じょり… じょり… じょりりりり…

翌日の早朝、真紅は何時もの様に目覚めていたが、その後が違った。

「何だか頭がさっぱりしてスースーするわ。のり、紅茶を淹れて頂戴。」
「おはよう真紅ちゃん…って真紅ちゃんその頭どうしたの!?」

のりは真紅の頭を見るなり凄い驚き様。それには真紅も不審に思い、頭に手を当てた。

「私の頭がどうかしたの? って…………。」

真紅は愕然とした。そこで初めて気付いたのだ。自分の長いブロンドの髪が全て剃り落とされ
ツルツル頭にされていた事を…。直後、真紅はジュンの部屋へ走った。

「ジュ…ジュンね! こういう事をやるのはジュンだけだわ!」

真紅は自分の髪を剃り落とした犯人はジュンだと悟っていた。それを証明する様に
ベッドで眠るジュンの枕元には真紅の髪を剃り落とした時に使ったと思われる
バリカンと髭剃りが置かれていた。

「ジュン! 起きなさい!」

真紅はジュンをたたき起こすが、ジュンは驚く様子も見せずむしろ悟った顔をしていた。

「どうだ真紅? 僕を怒らせたらこうなるんだ。分かったか?」
「ジュン貴方いい加減にしなさい! 誇り高きローゼンメイデン第五ドールたるこの真紅の
髪を全部切るなんて…一体何を考えていると言うの!?」

真紅は泣いていた。無理も無い。真紅の特長であるブロンドのロングツインテール…
それが全て剃り落とされツルツル頭にされてしまったのだから。ただバリカンで剃っただけでは
微妙に頭に髪が残る、俗に言う坊主頭になるだけだが、さらにその後で髭剃りを使って
頭に残った微妙な髪さえ全て剃り落とす徹底振りだった。
155創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 22:27:43 ID:jl6CotY4
なんぞこれw
156 [―{}@{}@{}-] 創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 22:27:55 ID:AF7fV2Ia
スキンヘッドww
ある意味素体状態
157ツルツルメイデン:2009/02/08(日) 22:28:06 ID:8zXcicM8
「良いじゃないか。髪なんてその内生えてくるだろ? 基本的に人間より長生きなんだから
その位お前達にとってはそう長い時間でも無いだろ?」
「何を言うの? 私達ローゼンメイデンは生身の人間じゃないわ。当然髪なんて生えるワケが無い。
一度ツルツル頭にされたら最後…今後永劫にツルツル頭よ。」
「え!? おかしいじゃないか! だって髪が伸びるのは呪い人形の黄金パターンなのに…。」
「私は呪い人形なんかじゃないわ!」

真紅を呪い人形と同列に扱うジュンに対し、真紅は頭を横に大きく振った。
今までならこれで真紅の頭を振った勢いによって巻き髪ウィップが炸裂していた所だが…
残念ながらツルツル頭の今の真紅にはそれは敵わぬ夢。そしてこの事が余計に真紅に
自分の髪が失われた事を実感させ…絶望させた。が…その時だった。

「アッハハハハハハハハハ! どうしたの!? 真紅その頭ぁ〜!」
「水銀燈!」

そこへ現れたが水銀燈。そして今の真紅の頭を見て水銀燈が笑わないはずは無かった。

「どうやら真紅はアリスゲームを諦めて尼さんにでもなる気になったみたいねぇ!
おっかしー! もう最高よぉー!」

真紅のツルツル頭がよっぽどツボに入ったのか水銀燈はお腹を抱えて大笑い。
しかし、逆に真紅にとっては面白くなかった。

「ジュン、そのバリカンと髭剃りを貸しなさい。」
「え?」

真紅はジュンからバリカンと髭剃りを取り上げると、ゆっくりと水銀燈に歩み寄った。

「アッハハハハハハハハハハ! ツルツル真紅…アハハハハハハハハッ!」

                じょり!

「ハ……………。」

一瞬時が止まった。そして水銀燈が自分の足下を見ると、大量の銀髪が床に落ちているのが見えた。
それは水銀燈自身の髪。水銀燈の自慢の銀髪が剃り落とされたのだと気付くのにそう時間はかからわなかった。

「水銀燈…貴女もツルツルにしてあげるわ。」
「い…いやぁぁぁぁぁぁぁ!」
158ツルツルメイデン:2009/02/08(日) 22:28:28 ID:8zXcicM8
部屋中に水銀燈の絶叫が響き渡った。それはもう悪夢の様な光景だった。
水銀燈の上に圧し掛かった真紅が、水銀燈の髪をバリカンで無理矢理剃り落とし、
さらにわずかに残った毛を髭剃りで全て剃りツルツル頭にしていたのだった。

「アハハハハハハ! お似合いよ水銀燈!」
「い…いやぁぁぁぁぁ! もうこんな頭じゃアリスになれないわー!」

こうして水銀燈もまたツルツルの頭になった…が…これは波乱の幕開けだった。

「貴女もツルッツルにしてあげるわぁー!」
「いやー! やめるですー!」

真紅が水銀燈の頭をツルツルにしたように、水銀燈もまた翠星石を襲いその長い髪を
バリカンと髭剃りで全て剃り落としてツルツルにしていた。

こうしてローゼンメイデンのドールズは次々にツルツル頭にされ、最終的に
七体全てのドールがツルツル頭にされてしまった。

それから時は流れ、アリスゲームの末についにアリスが誕生し、待ち望んだローゼンと
出会う日がやって来た。

「お父様ー。」
「おおアリスよ。待ちかねたぞ。さあこっちに来なさい…って何だその頭は!!」

七体のドール全てがツルツル頭になったのだ。そこから誕生したアリスもまたツルツル頭。
これには流石のローゼンもドン引きだったとさ。

                  めでたしめでたし
159創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 22:32:21 ID:nalqDV3o
これはwww
160創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 22:32:27 ID:XoNkETVy
むしろ人形なんだからいろんな色や髪型のウィッグが仕えるようになって
完璧な乙女への道が開かれたんじゃね?
161創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 22:32:39 ID:MSGKfRkU
なんかすごいものをみた
162創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 02:29:47 ID:CfwCpyoC
老人メイデン
163創る名無しに見る名無し:2009/04/04(土) 00:09:14 ID:mwGq4kal
たまにはage。
164創る名無しに見る名無し:2009/04/04(土) 16:10:36 ID:VqVkJxbk
「ねえジュン」
誰もいないと思っていた部屋でふいに声をかけられる。
慌てて振り向くと、真紅が不思議そうな顔をしてこちらを見ていた。
最悪だ。まさかこのときを見られてしまうなんて。もうこの家で僕の立場は……
「美味しいの?」
…………へ?
「今あなたが食べた鼻くそ。それは美味しいの?」
真紅はいかにも興味津々といった様子で僕に訊く。
こっそりと鼻くそを食べて悦に浸っていた僕を貶めるわけでもなく、
純粋な疑問から僕にこうして質問しているようだ。
僕は安堵する。しかしその質問にどう返していいか困ってしまう。
「私たちローゼンメイデンはどれだけ精巧に作られ、自我を持っていたとしても結局は人形でしかないわ」
「そ、そうだな……」
「だから私たちの鼻に鼻くそができることなんてありえない。だから食べることも叶わないの」
なんなんだ一体……。真紅は鼻くそが食べたいのか?
「昔話をしましょう。それは何百年も前。貴方の前の前の下僕の話よ」
いつのまにか昔語りを始めてしまった。とりあえずは黙って聞くしかない。
「彼はあなたと同じくらいの年齢の少年だった。決して裕福とは言えない家庭で彼は育てられていたわ。
 若いうちからお金を稼ぐために一日中仕事をしていたわ。いつも夜遅くに泥だらけで帰宅していたの。
 決して幸せとは言えない生活。その中で彼が唯一嬉しそうな表情をする時があったわ」
この時点でオチは読めた。だが口にする必要もないので黙って最後まで聞くことに徹する。
「鼻くそを食べる。その時だけ、彼の表情はとても生き生きしていたの。
 人をこんな幸せにできる食べ物があったなんて。私は鼻くそが食べたくなってしまったわ。
 でもそのことを彼に言う前に、その時代でのアリスゲームは終わり、私は眠りについた」
くだらない。鼻くそを美味しそうに食べていた僕が言えることではないのだがそう思ってしまった。
「次の下僕は女の子だったから恥ずかしくて聞けなかったし、もし今貴方が鼻くそを食べているのを見なければ、
 私はこのことを訊けなかった。乙女の恥じらいというやつね」
恥じらいがあるならさっきの僕を見ても顔を赤くして部屋から出て行くぐらいはしてくれ。
それが乙女ってもんだろう。
「今一度訊くわ。鼻くそは美味しいの?」
振り出しに戻る。僕は返事に困る。正直に言うべきか。言ったところでひかれはしないだろうし。
「美味しくなかったら食べないよ」
答えてしまった。その答えによってもっと返事に困る要求がくるとは知らずに。

「なるほど、それはそうよね。それじゃあジュン、私にあなたの鼻くそを食べさせなさい」
どこが乙女なんだよちくしょう!
未だ見ぬ彼女たちの創造主であり父であるローゼンに向けて、心の中で吼える僕であった。


終わり
165創る名無しに見る名無し:2009/04/04(土) 16:44:47 ID:k0Yxhj+Z
>>164
鼻くそw

いいぞ、もっとやれ
166創る名無しに見る名無し:2009/04/09(木) 22:51:45 ID:zg0wc/GD
>>164
たのむ…!
もう少し、夢を見させてくれ・・・・・・!
167創る名無しに見る名無し:2009/04/10(金) 15:59:18 ID:cMK/djfc
>>164
何が起こったのかわからない…もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ
ローゼンとゆっくりのクロスオーバー作品はありでしょうか
168創る名無しに見る名無し:2009/04/10(金) 19:50:03 ID:pkxXOnl+
>>164
最初のトイレ小部屋ネタを思い出したお…
そうだよな鼻くそが汚くてそれを食うのが恥ずかしい事だってことも知らんのか…

>>167
やっちゃえ!
169創る名無しに見る名無し:2009/04/11(土) 16:41:31 ID:r7sve+xj
「ゆっくりしていってね!!!」

「…」

私はいつもの様に目を覚まして鞄を開けた、ただそれだけなのだわ。そしたら、目の前に首だけで跳ねている黒髪で頭に赤のリボンを付けていて、肌がモチモチしていて顎の部分が下膨れてぱっと見ちょっとむかつく…。
…ドール? まあ、いたのだわ。今もいるけど。
そう、それだけ。特に悪い事もしていないし、アリスゲームも一時休戦の様なものだし、昨日取って置いたプリンが楽しみだし、う〜ん…。
…戦い? 生きることは戦い、これはまた新しいアリスへの道? 冒険、滞在は衰退の一歩!
私たちは勇気を持って一歩を踏み出さなければならない、しかし今日のおやつはわざわざ夜食べずに残して置いたプリンだから楽しみだし、ああああああ!

「おねーさん、どうしたの? 唇をアヒルさんみたいにして、首相の浮かない顔の様な表情をしているよ?」

「…ハッ! わ、私は何を考えて!? ちょっと、ジュン、ジュン!?」

「こっちが聞きたいくらいだよ! おねーさん、ゆっくりしてないよ!」

…ゆっくり、か。そういえば鞄を開けて、いきなり『ゆっくりしていってね!!!』だなんて知らない声がしたからこんなに混乱していたのでしたっけ。
それはもう待ち構えていたのでは無いかしらと疑問を抱いてしまうくらいにピンポイントで鞄を開けた瞬間に叫ばれて、驚かないほうがおかしいのだわ!
全く、レディに接する態度では無いわね!

「ん〜? どうした真紅、寝惚けているのか…、おお、ゆっくりじゃないか!」

「ゆっくり? 確かにこの子はゆっくりと叫んでいたけど、何か関係が?」
170創る名無しに見る名無し:2009/04/11(土) 16:42:33 ID:r7sve+xj
「ゆぅ〜! ゆっくり!」

「真紅は知らないのか? こいつは神出鬼没でな、現れた時はこんな風に抱えてあげて撫でてあげると…」

ジュンは床に居座るゆっくり? をヒョイと胸に抱えて頬や頭、全体を万遍なく撫でる。ゆっくりは嬉しそうにはにかみ、ジュンの胸に顔をすりすりし始めた。
ジュンはおいおいと照れながらもゆっくりを受け入れている。
私には滅多に抱っこをしてくれないのに、何なのよ…! 私だってジュンの胸に顔をうずめたいわ、撫でて貰いたいわ! ハグだけでいい、それを何よあのゆっくりは来て早々に抱っこして貰っちゃって、くう…!

「…真紅? どうした、いきなり瞳に涙を溜めて!」

「…うるさいのだわっ、ジュンの馬鹿バカ鈍感まぬけ! ふんだ!」

何よ、なによ! 別にいいわよ、私なんかどうせ…。ふんだ!
淡い期待を持ちつつジュンの側に寄り添う様に背中を向けているというのに、ジュンは一向に何もしてこないのだわ!
もう、せめて声くらい掛けて欲しいのだわ! 本当に、もう…。

「うーん、どうしちゃったんだ? …おわっ!」

「…おおっとれいむはうっかり体をひねらせて地面に落ちてしまったぞ! さらにうっかり、転がってしまいそこのおねーさんに正面から当たってしまった!」

「え? …キャッ!」

「危ない、真紅!」

いきなりゆっくりが横からターンしてきて、思い切り私にぶつかって来たのだわ!
落ちたとかいうレベルじゃない、どう考えてもわざとにしか思えない! 何なのかしら、私に恨みでもあるのかしら!?
…そう考えたのもつかの間、揺らめゆく景色もすぐに止まり、背中にポフンと感触があって背後からはジュン特有の石鹸のいい匂いが。
数秒経って、ジュンは『大丈夫か?』と私に尋ねてきて背中から私を抱きしめてくれた。さっきまで拗ねていた事が恥ずかしくなって、私はただうつむいて返事をするだけだったのだわ。
…まさか、あの子は空気を読んでくれて?

「ヘイ、お二人さん見せ付けてくれて!!! 全く嫉ましいねえ、どうだい! 今なられーむ屋特製のゆっくり饅頭発売だよ! お二人の幸運を祈って一つどうだい?」
171創る名無しに見る名無し:2009/04/11(土) 16:43:37 ID:r7sve+xj
全くそんな事は無かったのだわ。私は立ち上がりジュンから離れて、ゆっくりに近づきパンチを一発お見舞いしてやったのだわ。

「ゆ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!゛!゛!゛ い゛た゛い゛!゛!゛!゛」


「これが絆よ、覚えておきなさい」

「お、おいおい真紅! 流石にやりすぎじゃないか?」

…それもそうか。折角ジュンに構ってもらうきっかけを作ってもらったというのに、これはやりすぎか。
素直に謝ろうとした時だったのだわ。

「…おっぱい小さい癖に」

「…」

「あ゛た゛た゛た゛た゛た゛た゛た゛!゛!゛!゛ ギ゛ブ゛、ギ゛ブ゛!゛ ご゛め゛ん゛な゛さ゛い゛!゛!゛!゛
れーむが悪かった! 全面的に悪かったよもうやりませんから!! 反省してますからお゛う゛ぶ゛ぶ゛ふ゛ふ゛ふ゛ふ゛ぶ゛ぶ゛!゛!゛!゛
何さ! さっきだっておねーさんが素直に抱っこしてって言わなかったのが悪いんじゃないのさ! れーむはおねーさんをいたわって行動したというのに、ちょっとこの扱いは酷いんじゃないの!?」

「そうだぞ真紅、流石んにやりすぎじゃないか!?」 

「いいの、いいのよ! こいつは私が一番気にしている事をずかずかと言いやがったのだわ、三角絞めくらいしないと気がすまないのだわ!!!」

「そんな短気だからいつまで経ってもお胸がペタペタなんじゃないのこの芸術的洗濯板!!!
…え、何? そんないきなりれーむにまたがっちゃって太ももでれーむをクラッチしちゃって? れーむの魅力にメロメロになって欲情したの? 全く、れーむったらおねーさんをも弄んじゃうだなんてイ・ケ・ナ・イ・人♪
…ゆ゛べ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!゛!゛!゛」


「…生きるとは戦い。思考を放棄するのは、逃げよ」

「真紅…?」

床に肌がのぺーっと広がっている何やら奇妙な物体があるけど、そんなことは些細な問題では無いのだわ。
…ここだけの話、ゆっくりに技をかましている時にさりげなく感触を試していたのだけど、…とっても肌触りがいいのだわ!
見た目通りモチモチっとした感触がしていて、さらに手触りがしっとり、弾力もしっかりしたもので一日中抱きしめていようかと思ったくらい! それはもう、子供の頃に夢見たバランスボールさながらなのだわ!
これはいいわね、あとでゆっくりが元気になったらお願いしようかと考えているわ!

172創る名無しに見る名無し:2009/04/11(土) 16:44:24 ID:r7sve+xj
「…真紅、今日はおかしいぞ? さっきまで落ち込んでいたと思ったら怒り出して、さらに今はハキハキとした笑顔を浮かべて…。何かあったのなら相談に乗るぞ?」

「…えっと、うう///」

そんなに表情に出ていたのかしら? ポーカーフェイスには自信があるつもりだったのだけれど…。
返す言葉も無く、ただうつむく事しか出来ないのだわ。

「ゆはあっ! もう、死ぬかと思ったよ!」

ゆっくりは何事も無く起き上がりこちらへ擦り寄って来たのだわ。体の構造がどうなってるのか、見てみたいのだわ。

「ふふ、いらっしゃい。うちの真紅は乱暴者だけど、決して悪いやつじゃないから安心してな。…あいたっ!」

ジュンが余計な事を言うから、巻き毛ウィップをお見舞いしてやったのだわ。
全く、なんで男の人はいつも余計なことを言うのかしら!

「ゆうっ、ゆっくりしていくよ! れーむはれーむ、よろしくね!」

「れーむ、よろしく! …ねーちゃんの忘れ物を届けに行くから、俺はもう行くよ。後は真紅と遊んでいてくれ、じゃあな!」

この子の名前はれーむと言うのね。ジュンがれーむに微笑みかけて、そそくさにドアを開けて廊下に行ったのだわ。
すぐにドン、ドンと階段を下って行った音が聞こえたのだわ。…部屋内にはどこかむずかゆい、ぎごちない雰囲気が流れ出したのだわ。
173創る名無しに見る名無し:2009/04/11(土) 16:45:24 ID:r7sve+xj
今日、のりと雛苺は雛苺の要望で遊園地に行くことになったのだわ。外は晴れ模様で折角に休日だし、有効な使い道かも知れないわね。
しかし、流石はのり期待を裏切らないというか、のり特有のそそっかしさから財布を家に忘れてしまい、ジュンはそれを届けに外に出たという所かしらね。
なんでわかるかって? 今までの生活からの推測と今の言動、ジュンの片手にはのりのピンク色の財布が握られていたからかしらね。
全く、今日はジュンと一日のんびり過ごしていようと思ったのに、仮にれーむが来ていなかったとしても結局一緒に居られなかったんじゃない! 
不満をれーむに垂れつつ私はさりげなくれーむの体に手を伸ばし、柔らかそうな頬をふにふにと弄ぶ。
…やわっこい! 気持ちいい!

「ゆう〜、おねーさん。そんなに激しく触られちゃうと、恥ずかしいよ…」

「あ、ご、ごめんなさい。ついつい、可愛くて」

「やっぱり? れーむの魅力に当てられちゃ、我慢できないのも当然だよね!」

そこはかとなくいらついたのでお構い無しにれーむを撫で繰り倒したのだわ。

「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛!゛!゛!゛ こ゛め゛ん゛な゛さ゛い゛、も゛う゛や゛り゛ま゛せ゛ん゛か゛ら゛!゛!゛!゛」

…全く、どうしてこの子は敵わないとわかっている相手に対してちょっかいを出してくるのかしら?
まあ、そこもまた愛おしいのだけれど。…最初見たときにはうざいと感じた下膨れの顔も、今では可愛く見える。何かの感染かしらね、この現象。
174創る名無しに見る名無し:2009/04/11(土) 23:31:31 ID:8OtJ1DUj BE:518177243-2BP(0)
…ぐう〜、と。腹の虫が小さくお腹が空いている事を告げる。れーむにはしっかり聞かれていた様で、目を開けて凝視されてしまっている…。
は、恥ずかしい…///

「…ごほん。あー、冷蔵庫にプリンがあるの。食べる?」

場の空気を変えるため、私はれーむに提案する。れーむははち切れんばかりの笑顔で『食べるっ!』と床を跳ねながら答えた。
全く、そんなに元気いっぱいに言われてしまったらこっちも嬉しくなるじゃないの。時間的にはまだお昼も回っていないけれど、別にいいわよね。
思わずつりあがる口元をれーむに見えない様隠しつつ、私は部屋の隅に置いてある便利ステッキを手に取りドアを開けたのだわ。
れーむが私に近付いて来て、『だっこ!』と私の胸に飛び跳ねて来た。本来なら私が抱っこされる側だと言うのに…。
私の大きさから、バレーボール並の大きさのれーむを抱えるのは無理だった。その代わり、れーむが私を頭に乗せてくれて、階段を跳ねながら降りてくれた。
うーん、なんだか新鮮な気分。ちょうどいい具合の反発力があって、病み付きになりそうなのだわ!

…冷蔵庫前に着いた。普段なら届かないと言う理由で見向きもしない冷蔵庫も、れーむから降りて椅子とステッキを駆使すればなんてことのない障害なのだわ!
おやつとは乙女のたしなみ、いわば至福の時! 誰も触れない二人だけの国、それがおやつの時間というもの!
ふふふ、考えただけでよだれが垂れてくる思いだわ…、あっ。と、年頃の乙女がはははははしたないのだわ///
ともかく、今はプリン! 私は意を決して、冷蔵庫を開けたのだわ!
威風堂々と棚に立ちはだかるプリン、その神々しいカップは始めから私を待ち構えていた様に…、…あれ!?

無い、ない、ない!!?
プリンがどこにも見当たらないのだわ!!!

なんで、何故、一体どうして!?
凄く楽しみにしていたというのに! 今日最大の楽しみだというのに、そんな!
…まさか、ジュンね! レディのささやかな幸福を邪魔して反応を楽しむ、全くジェントルマンではないのだわ!
私は部屋を見回す! 姿をみたときが最後よ、覚悟しなさいジュン…、…あ! …。

テーブルの上には空の容器が二つ転がっている。そして、頬にカラメルソースがちょびっとついた、れーむの姿がそこにあったのだわ。
れーむは満足そうに、目を細めて体を震わせ『ヘブン状態!!!』とよくわからない言葉を叫んでいる。

「…れーむ。ちょっと、こっちへおいでなさい」

「ゆ、ゆゆっ!? れーむ、べべべべ別におねーさんのププププリンなんか、食べて無いよ!? カラメルが甘甘に加えてざらざらしていてとても美味しかっただなんて、れーむ知らないよ!?」

れーむが変な事をのたまいながら空の容器を加えて私から見えない位置に隠そうとしている。
しかしここはテーブル、特に障害物も無く安置の有り所が無いのだわ。
…覚悟!
175創る名無しに見る名無し:2009/04/11(土) 23:32:24 ID:8OtJ1DUj BE:431814825-2BP(0)
「…」

「な、何なにおねーさん!? そんな無言で詰め寄られちゃあれーむ恐いよ、ひきゃあ!」

「…」 ふにふにふに

「あっ、んふう、やめてねおねーさん! そんな情熱的に揉まれると、れーむ、変な気分になっちゃうよ、きゃんっ!」

「…」 ふにふにふにぷにぷにゅぷにゅ!

「あう、ご、ごめんなさいおねーさん! れーむが悪かった、悪かったからあっ!」

「分かればいいのだわ」

具体的に何をやったのかを説明するとすれば、れーむの頬をまんべんなく揉みしだいたという事かしらね。
いやあ、良かったわ! 手触りがもちもちしっかりしたもので、まるで女性のおおおおお///、…ごほん!
今度も機会があったら何かしらいちゃもんを付けて揉んでしまおうと言う位だわ! 流石れーむ、人々を魅了してしまう肌触りなのだわ…!

「…おねーさん、胸小さいもんね」

「ふんっ」

「べぐんっ」

何かとてもまずい音が聞こえた気もするけど、些細な事。気のせいね、きっと。

「ああ、くんくん! 推理により私は偉大なる貴方に一歩近付く事が出来ました、しかしそのために私は多大なる犠牲を…! ああっ!」

「またまた大袈裟な〜」

「なんか言った?」

「滅相もございません」

「わかればよろしい」

…ま、元々ひょっとしたら二個ともれーむにあげていたかも知れないしね。甘いものは時に乙女の敵なのよ、誘惑してくるから…、くうう!
あの日、何でポテチを二袋も! 我慢しとけば、2キロだなんて太らなかったのに…!
…閑話休題。ともかく、れーむに対する八つ当たりも済んだし、後はジュンを待つことにしましょうか。私はれーむの頭を撫で、胸で寄りかかる様に抱えこんだ。
バレーボール大の大きさであるれーむは何だか暖かく抱きがいがあって、うとうとしてきたのだわ。
時間は何時くらいだろう。ああ、今にもまどろんできて、体が…。
176創る名無しに見る名無し:2009/04/11(土) 23:33:56 ID:8OtJ1DUj BE:2331796469-2BP(0)
「…ん」

カーテン越しの窓から漏れて来る日差しが気持ち良い。カーテンをバッと開けて、日差しを直に体に受ける。
…んん、気持ちいいわ…。
ふと、辺りを見回すと先程まで居たリビングでは無く、ジュンの部屋のベットの上で寝かされている事に気が付いた。
いつの間に運ばれたのだろう、すぐ隣にはゆっくりのれーむが寝息を立てながら気持ちよさそうに眠っている。
悪戯してやろうと意気込んでれーむの顔を覗く。『ゆぅ…、ゆう』と寝言を言いながら時々幸せそうに上がる口の端っこが、なんとも可愛らしい。視線に気が付いたのか、びくんと体を震わせるものの瞼を閉じたまま起きる気配はさっぱり無い。
…次第に見つめている内、だんだんと変な気分になってきた。れーむの体全体から、れーむの瞳に目が言って、それかられーむの小さな唇に目線が移っていって、

…―ちょっとくらいなら、良いよね?
自分の前髪をかきあげて、両手をれーむのそれぞれの頬にそっとつける。体を入れて、じりじりと水の中を進む様に距離を詰めて…

「…ほうほう。そこから、熱烈的なキスシーンに入ると…」

「え、ええ…。でも、私、こんな胸の内が高ぶるのは初めてで、どうしたらいいか…、…。…」


「…、? どうしたの、真紅…? どうぞ、続けて」

「…き、いや、きゃ」

「きゃ?」





『きゃあああ〜〜〜〜っ!』

「ゆ、ゆうっ!? おねーさん、いきなり大声出さないでよ!」

「ご、ごめんなさいれーむ。でもでもっ、その、あれれ!?」

「そんな、大声だして。わざわざ私に見せ付けてくれた癖にぃ…♪ 気にせずにもっと続けて、いいんだよ…?」

「何がいいよ、何が続けてよ! 人のうららかな昼の時間を邪魔しに来て! …それよりも!」







「お馬鹿水晶、いつからそこに!?」

「馬鹿じゃないもん」

お馬鹿水晶はすねた様に頬を膨らませた表情で私に不満をアピールする。
すると、ドタドタと下から階段を駆け上がる様な音が聞こえてくる。バンッと強くドアを開けて入ってきたのは、ジュンだったのだわ!
帰って来てたのね! でも、いつの間に?
帰りのお迎えに行けなくて残念なのだわ…。ううん、今はそうじゃなくて!
177創る名無しに見る名無し:2009/04/11(土) 23:34:51 ID:8OtJ1DUj BE:3109061489-2BP(0)
「真紅、大丈夫かっ!? 大声が聞こえたから、…お馬鹿水晶か」

ジュンが息を切らして駆け込み! …落胆してに部屋に座り込んだのだわ。
まあ、一乙女の悲鳴ですもの急いで部屋に向かうわよね。しかし生憎ここに居るのはばらしー、力が抜けてしまうのも仕方ないか…。

「ひどい…」

酷いと思うんだったら脈絡も無く部屋に入ることをやめなさい、お馬鹿水晶。

「まあ、とにかく。どこから入ったんだ、ばかしー?」

「…ふふん。清く、正しく、麗しく、月も恥じらう、世紀末の美少女…! ばらしーちゃんに不可能など無いんだいっ…! ぶい」

お馬鹿と言われてしまっても仕方ないのだわ

「やっぱりアホのばかしーだな」

「くすん…」

薔薇水晶はしょげた様に部屋の隅でうずくまり地面に指でのの字を描き始めた。
少しかわいそうと思ったけど、お馬鹿水晶の事だからすぐに立ち直るに違いないわ。

「ところでジュン…! 明日の日曜日、私暇だから一緒にラブホテルなんて…。どう?」

「なんでそこで映画とかじゃなくてこう直球を投げてくるかな何なのかな」

「私なりの…、茶目っ気…?」

「発言には自信を持ちなさい。首をかしげない」

少しでも心配した私が馬鹿だったのだわ。ジュンは風邪でも引いたかの様なことを言うおばか水晶を軽くあしらってゆっくりのれーむをガスガスと乱暴に撫で回す。
れーむはまだ眠たいのか始めちょっと嫌な顔をするが、すぐに喜んで『ゆう〜♪』と明るい声を出した。
なるほど、優しく撫でるよりも激しく撫でてあげた方がれーむは嬉しがるのか…。ううむ。
お馬鹿水晶はまたもや部屋の隅で一人カビでも生えてきそうなジメジメとした空気をかもし出している。まあ、些細な事なのだわ。

「…れーむ。貴方はいつまでここにいるつもり?」

「ゆっ? おねーさんたちが嫌にならない位までだけど、どうしたの?」

「いや、もしかしたらすぐ帰ってしまうのかと思って。のり達が帰ってくるまで時間がかかるし、何よりここに4人集まったから。人生ゲームでもやりましょうか!」

私は皆に提案し、ジュンの部屋の押入れのスペースから人生ゲームを取り出す。
『銀行の役目は誰がやるんだよ』と隣から呆れた様な声が聞こえるけど、当然じゃないジュン。雑務は全て、下僕の役目でしょう?
春の暖かな日差しの下、私たちがボードゲームに夢中になっていくのはそう時間の掛かる話では無かったのだわ―…。

…ここだけの話、この後薔薇水晶が一人大勝ちして、怒りの収まらない私が薔薇水晶に格闘ゲームを挑みこんでボロボロに負けてしまうのだけれど、それは別のお話。



178創る名無しに見る名無し:2009/04/11(土) 23:37:52 ID:8OtJ1DUj BE:2418159078-2BP(0)
以上です、ありがとうございました。途中、時間が大幅に空いてしまい申し訳ございません。
テキストのURLですttp://www9.atpages.jp/~slowslow/slowup/img/slowslow182.txt
179創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 19:07:33 ID:wr2Nyrl8
>>178
乙。良質のギャグだった。ゆっくりはキャラとしては良く知らないが、とっても魅力が伝わっていたと思う。

一つ、教えて欲しいんだが、最初鞄で寝てたみたいだから当然ドール設定だと思ったんだが、文中で「2キロも太った」ってあるけど・・・
ドールで二キロっていったら恐ろしい増量具合だけど、もしかして人間設定なのか?
それとも、よっぽどのふとましんくなの?
180創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 16:26:24 ID:WkMM/olE
荒れ狂う空間。飛び交う薔薇の花弁と黒い羽。
ジュンは鬼のような顔で水銀燈と戦う真紅にある種の恐怖を覚えていた。
「あいつがあんなに怒ったところ見たこと無いぞ……」
ジュンの隣で頭を抱えてうずくまっている翠星石と雛苺もそれに頷く。
ジュンよりも長い付き合いである彼女らも、あれほど怒り狂った真紅を見たことはないようだ。
それだけに、ジュンは真紅を止めなければならないと思うのだが、恐怖のせいか足がすくんで動かない。
何も出来ないまま、真紅と水銀燈の死闘は続く。
「どうしてあんなことが……」
ジュンはこの戦いの原因となったであろう一つの出来事を思い出す。


それは一時間ほど前に遡る。
「ねえジュン、私のくんくん人形を知らない?」
「知らないけど。無くしたのか?」
「昨日まではあったはずなのよ。私の鞄の横に置いてその日の晩は眠ったのだから」
「」
181創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 16:43:04 ID:WkMM/olE
途中送信しちまったorz

荒れ狂う空間。飛び交う薔薇の花弁と黒い羽。
ジュンは鬼のような顔で水銀燈と戦う真紅にある種の恐怖を覚えていた。
「あいつがあんなに怒ったところ見たこと無いぞ……」
ジュンの隣で頭を抱えてうずくまっている翠星石と雛苺もそれに頷く。
ジュンよりも長い付き合いである彼女らも、あれほど怒り狂った真紅を見たことはないようだ。
それだけに、ジュンは真紅を止めなければならないと思うのだが、恐怖のせいか足がすくんで動かない。
何も出来ないまま、真紅と水銀燈の死闘は続く。
「どうしてあんなことが……」
ジュンはこの戦いの原因となったであろう一つの出来事を思い出す。

それは一時間ほど前に遡る。
「ねえジュン、私のくんくん人形を知らない?」
「知らないけど。無くしたのか?」
「昨日まではあったはずなのよ。私の鞄の横に置いてその日の晩は眠ったのだから」
「じゃあ翠星石と雛苺じゃないのか?」
「それも違うわ。今朝は二人よりも私の方が早く起きたもの」
「なら僕にも分からないよ」
「分からないじゃないわ。私の下僕なら私のために探しなさい!」
真紅は鬼のような剣幕でジュンを怒鳴る。
「はいはい……」
どうせ暇でやることもなかったジュンはしぶしぶ承諾した。
それから数十分。翠星石と雛苺にも手伝わせて探すが、一向にくんくん人形は見つからない。
「真紅ぅ、そろそろ諦めたらどうです?」
「ヒナへとへとなのー……」
翠星石と雛苺はぐでんとソファーの上に寝転がる。
「僕も疲れたよ」
「そうね、今日はここまでにしておきましょうか……」
真紅は沈んだ表情で言う。
その様子をみてジュンが少し可哀想だな、と思ったその時だった。
パリィンという音とともに窓ガラスが粉々に割れて吹き飛ぶ。
そして黒い羽が雨のようにリビングへと降り注いだ。
「きゃぁっ」
ジュンとドールズは慌てて奥のダイニングへと飛び込み、羽を交わす。
「あら、避けられちゃったわぁ」
割れた窓から水銀燈が姿を現す。手に大きな何かを持って。
「ねえ真紅、あなたが探してるものってもしかしてこれ?」
水銀燈は手に持っていたものを真紅によく見えるよう、前に突き出す。
それは茶色い汚れが大量に付着したくんくん人形だった。
「く、くんくん!」
醜い姿となった宝物をみて、真紅は悲痛な叫び声をあげる。
「う……臭いの……」
雛苺が異臭に気付き、顔をしかめる。その臭いの発生源はくんくん人形だった。
「この臭い……まさか」
ジュンは嗅ぎなれたこの臭いでくんくん人形に何が付着しているのか、気付いた。
「そうよ、これはうんこ」
「なんですって!?」
「ど、どうしてうんこなんかを?」
ジュンは水銀燈に問う。
「実はねぇ、今日は一年に一回のトイレで紙が無くなって困ってる人を助ける日だったから」
「それでうんこを拭いたっていうの?」
「ええ。今日は大量だったわ。むさい男ばかりだったけど、二十人は助ける事ができたわね」
「そんな……」
「真紅、あなたは大嫌いだけどあなたの宝物はとても役に立ったわぁ。糞まみれだけど。あははっ、おっかしぃ〜♪」
「水銀燈……」
真紅の身体がわなわなと震える。
ジュンはその声から憤怒を感じ取り、後ずさる。
「水銀とおおおおおおおおおおおおおおおおおうううううううううぃぃぃぃぃぃゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
182創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 17:14:46 ID:WkMM/olE
真紅の手から大量の薔薇の花弁が現れ、凄い勢いで水銀燈へと襲い掛かる。
「お馬鹿さぁん」
しかしそれは巨大化した羽で防がれてしまった。
「ここじゃあなたのマスターも困るでしょう」
そういって水銀燈は大量の羽で真紅の視界を一瞬奪うと、その横を通り抜ける。
そして鏡の置いてある物置部屋まで飛んでいく。
「続きはこっちでやりましょう」
水銀燈はnのフィールドへと入っていった。

時は戻る。
真紅と水銀燈は互いに一歩も譲らぬ攻防を続けていた。
「くっ……埒があかないわね」
水銀燈が一瞬苦い顔をする。予想以上の怒りで真紅の攻撃は以前の比ではなくなっていた。
「これ以上勢いだけで攻めても無駄なようね」
真紅は花弁で攻撃するのを止める。
「ならどうする気よ」
「速さであなたを仕留める。反応できないほどの速度で、ね」
真紅は憤怒にそまった表情から一変、にやりと不敵に笑う。
「ま、まさかあれを……」
翠星石は真紅の言葉に反応し、顔を上げる。
「真紅のやつ……完全に本気のようです」
「ジュンは目を瞑ってて」
雛苺もいつのまにか立ち上がっており、ジュン上りの要領でジュンの頭部まで上ると、両手でジュンの目を覆った。
「いくわよ……キャストオフ!」
真紅の纏っていたドレスが破ける。そして一糸纏わぬ姿となった。
「ち、乳がない……」
水銀燈はどうでもいい所で驚愕する。
その隙に真紅は行動を始める。
超高速の移動。真紅を抑える枷は、もうない。
「ぐふぅっ」
反応できない一撃が水銀燈を襲う。
何度も何度も、超高速の体当たりで水銀燈にダメージを与える。
「このままではまずい。こうなったら……」
水銀燈は両手を広げて叫んだ。
「来なさい真紅。私をこれで仕留められたらあなたの勝ちよ。そして仕留められなかったら――」
真紅は水銀燈の腹部に狙いを定めて限界の速度で突進する。
真紅の頭部が直撃した。誰がどう見てもクリーンヒット。だが水銀燈はそれを受けて、にやりと笑った。
「私の勝ちよ」
「!」
真紅は自分の頭が何かに挟まっている事に気付く。そう、水銀燈に腹部はないのだ。
「かかったわね。私の空のお腹はすべてを吸い込み、そして消し去る」
真紅は慌ててもがくが頭はどうしても外れない。
そしてゆっくりと水銀燈の中に吸い込まれて、そして見えなくなった。
「あはははははっ。私の勝ちぃ。あーっははははは」
水銀燈は己の勝利に酔いしれ、狂ったように笑い声をあげる。しかし――
「あなたに負けるくらいなら――」
己の腹部から聞こえる声に水銀燈は驚愕する。
「私は同士討ちを選ぶわ」
真紅はまだ生きていた。水銀燈の体内で消される事無く、最後の一撃のために力を溜めていたのだ
「くらいなさいっ!」
「い、いやあああああああああ」
「メ ガ ン テ !」
眩い閃光。響き渡る爆発音。水銀燈の体は粉々に砕け散る。
「し、真紅ーーーーー!」
翠星石と雛苺は叫ぶ。
「ちょっと待て」
しかしジュンは冷静に状況を判断し、言った。
「僕らも爆発に巻き込まれ――」
そういい終わる前に、爆発はジュンたちを包み込んだ。
183創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 17:19:58 ID:WkMM/olE
慌てて鞄を開ける。
目の前に広がる見慣れた部屋に彼女は安堵する。
「よかった……夢だったの」
「やっと起きたですかチビ苺」
「翠星石おはようなの」
「朝ごはんできてるですよ」
「今行くのよー」
雛苺は目を擦りながら、一階へと降りていった。

おしまい
184創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 18:55:10 ID:iABWM07I
夢でよかった…
185創る名無しに見る名無し:2009/05/04(月) 14:06:00 ID:Xnnfpv84
途中からなんかおかしくなってきたと思ったら、夢オチかwww
キャストオフもアレだが、突っ込み所違うだろ水銀燈ww
186創る名無しに見る名無し:2009/05/04(月) 14:09:53 ID:R5C4Ju6/
ち、乳がないww
187創る名無しに見る名無し:2009/05/24(日) 08:03:02 ID:m5N5LuwU
この過疎っぷり・・・・こりゃVIPに宣伝に来るのもうなずけるわ・・・
でもこの類のスレは数レスで終わる短編が主だから、人が流れてきても誰も書けないんじゃないか?
188創る名無しに見る名無し:2009/05/27(水) 01:12:37 ID:Gfr//rLY
VIPからきやした
189創る名無しに見る名無し:2009/05/27(水) 01:41:24 ID:AQCKVCTa
いらっしゃりーのー

どうせ1000いかなきゃ落ちない板なんで、書きたい人がここまでの経緯無視して書いちゃっていいんだと思いまふ
190創る名無しに見る名無し:2009/05/29(金) 01:15:12 ID:B8fTOlzz
VIPから来たけどここだと台詞のみで進行する形式は歓迎されないかな?
191創る名無しに見る名無し:2009/05/29(金) 01:16:57 ID:AdT3nYE/
!!!!!!!!!!!

ktkr!
あー、一応集合スレみたいなのだから名前欄に何か書いてあった方が良いかも?
後で抽出する時に便利になるからねー
192創る名無しに見る名無し:2009/05/29(金) 01:18:02 ID:3574LuV5
バッチこい
ただし直接的な性描写はアウアウだぞ!
193創る名無しに見る名無し:2009/05/29(金) 01:24:49 ID:B8fTOlzz
あ、ごめん。これからすぐ投下というわけじゃないので…。
何日かかかると思うけどこれから書き溜めるところ。
あとここの空気が全然わからないのでしばらくROMって見ます。
194創る名無しに見る名無し:2009/05/29(金) 01:30:19 ID:AdT3nYE/
はいさ了解

うん、見ての通りの過疎っぷりなんだ
空気はスレ毎に違うし、このスレは最終投下が一ヶ月以上前だしね
空気はこれから作っていく、ってのが正確かもしんない
195創る名無しに見る名無し:2009/05/29(金) 01:31:56 ID:3574LuV5
空気は読むものじゃなくて作るものだってばっちゃが言ってた
結構なんでもありだと思うよw

待ってるぜー
196まきひと ◆sZjCgDQbhQ :2009/08/02(日) 14:33:48 ID:Vs/5lko9 BE:102423124-PLT(12001)
ローゼンメイデン、当然名前ぐらいは聞いた事がある……。
何時かはネットカフェ等でまとめて読みたいと思っていたが、中々その機会に恵まれなかった。
そんなある日、2ちゃんねるという大手匿名掲示板サイトにて、
ひょんなことからローゼンメイデンのアスキーアート職人とレスを交わす機会があった。
名前は「翠星石」というらしい。「ローゼンメイデンの登場人物一覧 - Wikipedia」で調べたら、三番手ぐらいの重要キャラである事が解った。
もっとも、サイト上の登場人物紹介ページの上位と、実際の位置付けは無関係な場合も多いのだが……。

それはともかく、そのアスキーアートに彼は癒された。
匿名掲示板という性質上、中で打っている人は、当然老人なのかも知れない。小学生の男子なのかも知れない。
しかし、そのアスキーアートに癒される内に、不思議な恋心も抱いてしまったのだ……。

「文字上で恋なんて……。」

とも思ったが、文字の世界だからこそ、余計なモノに惑わされず、本質を見る事が出来るとも考えた。
悪人が、犯罪人が、こんなに可愛らしいアスキーアートを使って人を喜ばせる事が出来るだろうか。
確かに容易く別人格を作れる世界ではあるが、心の清さが画面にも反映されてると、そう思いたいのだ……。

だけど、怖い……想いを伝えるのが……。今の関係が、壊れてしまうのが……。
本気で告白しても、多分「その想いに応えられないから、自分はアリスになれなくても良いですぅ……。」とか、
「私のお手製クッキーやスコーンでも食べて落ち着いてください、一時期の気の迷いなんですよぉ……。」
とか、本気の想いがはぐらかされるのが怖い……。

だから今日も、彼女のアスキーアートを見て、癒される、この醜い世界を生きていく元気を貰える……。


                    完
197創る名無しに見る名無し:2009/08/02(日) 14:38:57 ID:wdUn2A8v
まwwきwwますかww?
なるほどこれは自己紹介w
198創る名無しに見る名無し:2009/08/02(日) 14:40:32 ID:kRRm/vD1
現実見ようぜwwwwwwっうぇwwwwwwwwww
199創る名無しに見る名無し:2009/08/03(月) 16:28:52 ID:o2o8SgZ5
まきひと晒しage
200創る名無しに見る名無し:2009/08/11(火) 11:39:53 ID:3ldcifmO
これは良スレ
201創る名無しに見る名無し:2009/08/13(木) 14:39:25 ID:Li+r+ZWx
ここを求めてた。
202創る名無しに見る名無し:2009/09/02(水) 18:13:56 ID:lYDYk+gw
新作期待age
203創る名無しに見る名無し:2009/10/11(日) 03:12:34 ID:d/XPV5b0
ジュン「お義父さん、真紅さんを僕にください!」

ローゼン「貴様のような腑抜けに娘などやるか! 出て行け!」

こんなSSが読みたい
204創る名無しに見る名無し:2009/10/11(日) 03:14:21 ID:d/XPV5b0
おっと、あげとくべきか
205創る名無しに見る名無し:2009/10/17(土) 22:46:24 ID:hgSReCl/
ここのスレ初めて知ったわ
206創る名無しに見る名無し:2009/10/25(日) 00:00:00 ID:FRObjwRz
               _rー-'⌒^⌒'ー-、_
              r'´r、_r'^;ォ冖-、     ト、
             /¨フ::///l::ヽ\`Z l } >    ここでローゼンメイデンの翠星石が2009年10月25日(日)の00:00:00を伝えるですぅ。
             〉/:://l::/::|::.::l:ヽ::ヽ〉|∨
             ,イ/:://::l|:l::.:レ';:l|_」⊥|〉 |l 八
              l;ハ::.|:l::.」Hx/::.;ノ,ォ示:l〉〃{::l:|
             |:::ヾl:找オ   ゞイ:{   )|:ト、           「 ̄`ヽ
             ∧;」::|ヾ`′'_ , ∠:{   厶l_|::\            〉   _〉
            / /  l::/>z 、 ,.ィ刋 ノ:.:.:.:.:ヽ、/ ̄二ニヽ、_  // ̄
              / /l  〃/::.:;r-‐介v' /;.:.:.:.:.:.:/7:W´: : : レヘ/レ' /
          / // /::l/r个ヽ/| |/ //:.:.:.:.:.//: : : : : : :;: -'´ /
          !/{  {::./:./}|  /‖ //:.:.:.:. ∧/L: :rヘ/  ,.イ
           /::/  V:.:.:.{ニ{ / | | |:.:.:.:.:/ __从| /  /: :|
          /::.::/   /:.:.r仁{ | /  〉ヾ、:√   ̄`丶、/|/||
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      l::杉ヘ{ :.:.}    「 ̄ ̄/_}   \_/{{:.:.:.:.:.:.:.:.l} |::.::.l|::ヽ
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     入:\:/{l :.:..:.:.:.:.:./〃 :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ヾ_〃/::.::./:::./
    {::.::.\::} ヽ.:.:.:.:./〃 :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. /:::/::/:〉
     \::.::.ヽ }|:.:.:/:.:.:.{| :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: /:::/::/::.:/
     〈:ヽ::.::.〉{L_/:.:.:.:.:{| :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.r==ミ :.:.:.:.:.:. {/::/::.:∠}
207創る名無しに見る名無し:2009/10/25(日) 00:00:45 ID:LoPEKxfp
ほうw
208創る名無しに見る名無し:2009/10/25(日) 00:18:44 ID:Zq8QylnK
やるじゃん
209創る名無しに見る名無し:2009/11/25(水) 01:31:56 ID:EKfZsBbB
すげえ
210創る名無しに見る名無し:2009/12/16(水) 19:24:28 ID:q9fP0NNA
過疎すぎる…
211創る名無しに見る名無し:2010/03/27(土) 21:08:02 ID:hI37MMWI
今年初
212創る名無しに見る名無し:2010/05/27(木) 12:25:23 ID:+eIaN4US
77 名前: 40歳無職(東京都) [sage] 投稿日: 2007/10/21(日) 22:26:21 ID:nU6siOSR0
[ 水銀党員向け回覧 ]

翠に援軍を出すべし。
相手に偽が入っているのは間違いないが、実際のところは全くわからない。

投票数:5320レス 18:30:00現在
1位 2254票 柊つかさ@らき☆すた
2位 1816票 翠星石@ローゼンメイデン オーベルテューレ


救援のメリット
・党員が翠の負けを望んでいるみたいな不名誉なうわさを否定できる。
・翠の支援なしには銀様も勝っていくのは厳しい、こちらも救援の姿勢を見せる必要あり。
・今回、アンチがローゼン潰しに成功したら、味をしめて銀様にも仕掛けてくる可能性が高い。
・もし翠が圧勝すれば、アンチローゼンの士気が落ちて、最強といわれる銀様潰しは断念してくるかも。
・なにより、苦戦している仲間を見捨てれば、銀様と党員は卑怯者の烙印を押されてしまう。

デメリット
・翠が勝ったとき枠数の関係で、銀様戦では、より激しい抵抗が予想される。
213創る名無しに見る名無し
翠星石の輝かしい戦歴

2006年度
■4回戦
1位→1位 1382票→1268票 翠星石@ローゼンメイデン トロイメント
2位→2位 1360票→0997票 アリス・キャロル@ARIAシリーズ
■5回戦
1位→2位 2685票→1518票 長門有希@涼宮ハルヒの憂鬱
2位→1位 2115票→1704票 翠星石@ローゼンメイデン トロイメント

2007年
■4回戦
1位→1位 3125→1741票 柊つかさ@らき☆すた
2位→2位 2375→1559票 翠星石@ローゼンメイデン オーベルテューレ