代数的整数論 014

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594Kummer ◆g2BU0D6YN2
補題
K を複素数体とし、G をコンパクト群とする。
G の K 上有限次元の連続な既約ユニタリ表現の同値類(>>71)全体を
Ωとする。
各 α ∈ Ω に対して U_α を α に属す既約ユニタリ表現とする。
U_α のユニタリ行列による表現を R_α(s) = (R_α(i, j)(s)) とする。
G 上の関数 R_α(i, j)(s) の全体(α および i, j を変化させる)を Ψ とする。

f(s) を K 係数の Ψ の有限個の元の一次結合で中心的(>>316)とする。
このとき、f(s) は G の有限個の既約指標(>>370)の K 係数の一次結合となる。

証明
各 α ∈ Ω に対して U_α の次数を d_α とする。

f(s) = f_1(s) + ... + f_r(s) と書ける。
ここで、各 f_i(s) は R_α_i(k, l)(s), 1 ≦ k, l ≦ d_α_i の
K 係数の一次結合である。
ただし、i ≠ j のとき R_α_i ≠ R_α_j である。

>>593より、任意の t ∈ G と各 i に対して、
f_i(tst^(-1)) は R_α_i(k, l)(s), 1 ≦ k, l ≦ d_α_i の
K 係数の一次結合となる。

f(s) は中心的であるから
Σf_i(tst^(-1)) = Σf_i(s) である。
>>358>>359により、Ψ は K 上一次独立であるから
この等式より、f_i(tst^(-1)) = f_i(s) である。
よって、f_i(s) は中心的である。
よって本補題の主張は>>590より得られる。
証明終