1 :
まさはる:
板違いかなと思って、こちらに移動してきました。
タイトル通りなんだけど、需要あるかな?
2 :
まさはる:2012/11/29(木) 00:34:51.43
とりあえずスペック
41のおっさん
背は高くて183ある
自分ではフツメンだと思ってる。
つか、ここは自分で2の書き込みしてよかった?
3 :
まさはる:2012/11/29(木) 00:47:45.50
とりあえず書き溜め少ししてあるので、投下してみる。
よかったら読んでな。
4 :
まさはる:2012/11/29(木) 00:48:34.46
2011年3月11日。その日は天気のいい日だった。
丁度、卒業式シーズンで、街には着飾った父兄や別れを惜しむ学生さん方が、
ちらほらみえた。少々寒かったが、和やかな時間が流れていた。その時までは。
2時46分。東北を中心とした東日本を強烈な揺れが襲った。
5 :
まさはる:2012/11/29(木) 00:49:51.02
1000年に一度のと言われたその地震は、本震以降も何度も何度も大きく揺らし続け、
街の風景を一変させ、人々を恐怖に陥れた。
その地震だけならばよかった。建物の倒壊や地面の液状化、コンビナート等の火事など、
いろいろ被害はあったが、不幸にもお亡くなりになられた方は少なかったはずだ。
東日本大震災と名付けられるこの地震の最大の不幸は、
そのあまりの規模の大きさ故に発生した大津波だ。
6 :
まさはる:2012/11/29(木) 00:50:53.89
津波は東北を中心とした東日本の沿岸部を襲った。使い古された言葉?でいうならば、
海がそのままドーンとやってきた、という感じで、
その膨大な水量と水圧で、誰彼、善悪関係なく、そこにある物、人、
すべてを黒い悪魔は何度も何度も飲み込んだ。流れてくる水に意思などあるわけがない。
想像をはるかに超えるレベルで、守ってきたもの、守るべきもの、大事なもの、
ありとあらゆるすべてを黒い悪魔は飲み込んで破壊した。
7 :
恋する名無しさん:2012/11/29(木) 00:51:19.29
ヽ(´ー`)ノやぱ
関東大震災こいとか怒ってたからかな
8 :
恋する名無しさん:2012/11/29(木) 00:52:24.15
ヽ(´ー`)ノえー
ほんまにきたわ
ヽ(´ー`)ノ吃驚ねー
9 :
まさはる:2012/11/29(木) 00:53:16.12
頑強に守られていたはずの福島第一原発も例外ではなかった。
地震と津波で全電源を損失し、暴走を始める。
もちろん、決死の覚悟で現場の方々は万策尽きたというくらい頑張ってくれたであろうが、
翌朝、時の総理大臣管直人が、献金問題等々で進退問題に揺れていた管直人が、わざわざ広報を引き連れ
、内閣総理大臣という立場でありながら、首相官邸からヘリで危険極まりない福島第一原発に降り立ち、キリッとしたあの顔を見せ、
人々の反感を大いに買い、超特大ブーメランを投げた丁度その頃、原発の周辺地域の住民の方々は、日が昇って安全に確保がしやすくなったからのだろう、
大多数の人が友人知人家族の安否という心配を抱えたまま、
地震と津波の恐怖を抱えたまま、放射能という目に見えない脅威からのがれるため、一斉に避難を始めたという。
10 :
まさはる:2012/11/29(木) 00:54:08.98
福島第一原発周辺は、震度6が襲った地域である。道路は裂け、波打ち、信号は止まり、津波で沿岸部の道路は使えない、
そんな状況なので渋滞して、まったくと言っていいほど車が進まなかったそうだ。
後に知り合うことになる親子もその中にいた。彼女らがいわき市を抜けるか抜けないかあたりで、現場作業員の決死の努力もむなしく、
午後三時過ぎ、福島台地原発一号機は水素爆発を起こす。
11 :
恋する名無しさん:2012/11/29(木) 00:54:24.62
ヽ(´ー`)ノ強烈疫病神片瀬を感知すると地震が起こる法則
ヽ(´ー`)ノ震度4
ヽ(´ー`)ノどやすぺとかぁ
ヽ(´ー`)ノまた出てきやがる強烈疫病神ドブスザコバカタレしつこい
ヽ(´ー`)ノ震度4
12 :
まさはる:2012/11/29(木) 00:55:27.64
知り合ってから聞いた話だが、この水素爆発という情報を車のラジオで聞いた時、
彼女らはしばらく家へ帰ることはできない、しばばらく故郷は放棄せざるを得ないと覚悟し、絶望したという。
彼女らが向かった先は、母親の姉のいる千葉の海べりの町のおいらの地元だった。
こういう時、やはり一番頼りになるのは血を分け合った肉親なのだ。
おいらの地元もまた、被災地であった。
13 :
まさはる:2012/11/29(木) 00:56:54.07
亡くなられた方がいなかったのは不幸中の幸いであったが、津波にものまれ、液状化にもやられ、瓦や壁の落ちた家も目立ち、ひどい有様であったが、
放射能の影響もほとんど受けることなく、その地の人々の手によって、すぐに復旧は始まった。
すぐに復旧が始まった地域がある一方、福島第一原発は、その真相は闇の中だが
、現場作業員の努力の甲斐なく、3号機4号機と爆発する。
ただでさえ近づけなくなったその周辺地域がさらに遠くなってしまった。復興どころか、捜索さえも遠のいてしまった。
14 :
まさはる:2012/11/29(木) 00:58:23.20
後に知り合う親子は三号機四号機の爆発で、暫くしたら帰れるんじゃないか、というかすかな望みも消え
、絶望しながらおいらの地元でしばらくは生活していこうと決めたのだという。
おいらは小さな飲食店を経営している。
わかりやすい例えなら、規模を小さくしたすき家の定食屋バージョンと言えばいいだろうか?
店内で食べさせたりもするし、テイクアウトも出来るって感じだ。震災の後は被災地優先というやつで、
コンビニの弁当が無くなったりとか、復旧作業にあたる人の弁当などで、テイクアウトはよく売れた。
15 :
まさはる:2012/11/29(木) 00:59:36.13
飲食店というのは、例えその規模は小さくても出入りの業者はかなり多い。
うちの例でいえば、冷食だけで業者は2件ある。
それに肉関係、乾物、テイクアウトで使う容器の業者等々、毎日のように複数の業者が出入りしている。
震災から一週間もたった頃、肉関係の業者が新人さんを連れて納品に来た。
肉関係の納品はいつも九時過ぎにある。この時間はまだおいらしかいない。
「おはようございます。○○ミートです」
「今日はロース4Kと鳥もも5K・・・」
いつものように肉屋のおばちゃんと納品の確認をしている後ろで、
暗い顔をして立っている背の高い、170以上は確実にある女性が新人さんであった。
「あのね、この子新人さん。あしたからこの子が納品に来ますんで、よろしくお願いしますね」
納品が終わって、小柄な肉屋のおばちゃんが新人さんを見上げつつ紹介する。
16 :
恋する名無しさん:2012/11/29(木) 01:00:39.49
ヽ(´ー`)ノあれマジ
冗談抜きで強烈疫病神やで
ヽ(´ー`)ノ呪いの
ゲテモノデバガメゴリラ押尾ビッチ人形みたいやん
なんであれ気持ち悪くないでテレビにしつこい出してくるん犯罪悪霊
ザコバカタレ片瀬
ヽ(´ー`)ノそいった
感覚が鈍ってるから
(゚Д゚)スンスンスンーすかー
(゚Д゚)ぎゃあぁあ地震とかぁー
東日本壊滅モードー
ヽ(´ー`)ノなるんちゃうん
ヽ(´ー`)ノなんか
近代人とかビルだらけ地域俗世民は
鈍るよな生物としての
何かが
ヽ(´ー`)ノそんなあってまだ平気で出してるて異常関東人て
ヽ(´ー`)ノ押尾ビッチ片瀬消せよ気持ち悪いゲテモノ疫病神
震度4
ヽ(´ー`)ノたこちゃ
なんやあるんやから
たこちゃがこれいやとか悪霊いうたらそやって
17 :
まさはる:2012/11/29(木) 01:00:49.77
「宮内(仮名)と申します。明日から私が配達に来ることになりましたので、よろしくお願いします」
宮内さんは見た感じ30代後半、口紅を塗るだけでたいして化粧もしていなかったが、きれいな人なのはわかった。
特徴的なのはその言葉の訛りで、おいらの福島の友人と同じイントネーションであった。
「こちらこそ、よろしくおねがいします。頑張ってくださいね。あれ、宮内さんは福島のかたですか?」
何の気なしに出てしまった、福島の方という言葉。
これが話好き世話好きのおばちゃんの心を刺激してしまったのか
「薫(仮名)ちゃんね、この子、福島の原発のあれで逃げてきたんだよ、自分の姉さんのとこに。娘さんと二人でさ。
旦那さんはまだ福島なんだけどね。大変な目にあったよね。やさしくしてやってね、おいらさん」
おばちゃんがそこまで言ったあたりで、宮内さんは目をぱちくりぱちくりとさせ、
二度ほど鼻をすすったかと思うと、うつむいてシクシクと涙を流し始め、それを
手でゴシゴシ拭った。なんとも子供っぽい仕草な感じがしたが、おいらは不謹慎ではあるが、
かわいく感じた。
18 :
まさはる:2012/11/29(木) 01:02:00.22
「宮内(仮名)と申します。明日から私が配達に来ることになりましたので、よろしくお願いします」
宮内さんは見た感じ30代後半、口紅を塗るだけでたいして化粧もしていなかったが、きれいな人なのはわかった。
特徴的なのはその言葉の訛りで、おいらの福島の友人と同じイントネーションであった。
「こちらこそ、よろしくおねがいします。頑張ってくださいね。あれ、宮内さんは福島のかたですか?」
何の気なしに出てしまった、福島の方という言葉。
これが話好き世話好きのおばちゃんの心を刺激してしまったのか
「薫(仮名)ちゃんね、この子、福島の原発のあれで逃げてきたんだよ、自分の姉さんのとこに。娘さんと二人でさ。
旦那さんはまだ福島なんだけどね。大変な目にあったよね。やさしくしてやってね、おいらさん」
おばちゃんがそこまで言ったあたりで、宮内さんは目をぱちくりぱちくりとさせ、
二度ほど鼻をすすったかと思うと、うつむいてシクシクと涙を流し始め、それを
手でゴシゴシ拭った。なんとも子供っぽい仕草な感じがしたが、おいらは不謹慎ではあるが、
かわいく感じた。
19 :
恋する名無しさん:2012/11/29(木) 01:03:28.89
ヽ(´ー`)ノヒロム
中丸くそじじぃ片瀬
ヽ(´ー`)ノこいつらが性悪いことばっかりするしてきたやろ
散々4年間
ヽ(´ー`)ノ壊滅モード
ヽ(´ー`)ノそんなんクズゴミどものばなしにしてきてた関東人
一緒に皆罰当たり
自業自得
20 :
まさはる:2012/11/29(木) 01:04:25.69
眠いとだめだ…・
また明日投下します。
質問があれば応えられる範囲で答えます。
余計な描写を省いて要点を端的に抜き出すことは苦手ですか?
22 :
まさはる:2012/11/29(木) 21:35:02.23
>>21 書き溜めしたら、なんだか小説みたくなってしまったのです
23 :
恋する名無しさん:2012/11/29(木) 21:50:05.65
ドラマ化狙ってるな
24 :
まさはる:2012/11/29(木) 21:59:46.16
電車男みたいにはなるわけないw
25 :
まさはる:2012/11/29(木) 22:05:07.25
また書き溜めた分を投下していきたいと思います
26 :
まさはる:2012/11/29(木) 22:06:41.99
「困ったこととかあったら言ってくださいね。協力しますから」
社交辞令でなく、可愛かったからでもなく、本心から出た言葉だった。
おいらには福島のいわきに住む友達がいて、外出ができない、エアコンつけられないとか、石油が買えない等々、いろいろ聞いている。
加えて、おいらはネットの住民である。震災と原発の事故で福島の人たちが大変なのは
TVと新聞が情報源の人よりはよく知っているつもりであった。
「はい。ありがとうございます」
といったのだろうと思うが、エグエグやっているので言葉にはなっていなかった。
「頑張ってくださいね」
気の利いた言葉が出なかった。
27 :
まさはる:2012/11/29(木) 22:08:38.86
いわきの友達にもそうだったが、本当に大変な目にあったひとに、そういってやること
しか出来なかった自分がなんとももどかしく感じた。
「じゃあ、私らは行きますね」
おばちゃんはそう言って、エグエグが止まらない宮内さんの肩をポンポンと叩き、
肩を抱いてというか、背中を抱く感じで店を出て行った。
28 :
まさはる:2012/11/29(木) 22:11:42.01
歴史にはIFがつきものという言葉があったと思うが、
もし、時の最高権力者が、キリッとした顔をして、原発の視察などというブーメランを
投げなければ、
この出会いはなかったかもしれない。大きな天災などが起こった場合など特に、
世の中一寸先は闇である。
おいらはこの時改めて、というか震災以降毎日何度も何度も感じたのだが、
この震災はとんでもない事だったのだなと感じた。
この後何件もお店を回らなければならない宮内さんは、ずっと泣きっぱなしなんだろうか?
などと、同情しながら余計なことを気にしていたのだが、仕事に追われ、頭の中から消えて行った。
29 :
まさはる:2012/11/29(木) 22:13:25.20
震災の後は被災地優先で、コンビニやスーパーに食料が並ばなくなり、
おいらの店みたいなとこはどこも恐ろしく忙しかったのだ。
昼の営業が終わり、午後3時くらいであったか?思いがけない人から電話があった。
午前中にシクシク泣いた宮内さんからであった。
30 :
まさはる:2012/11/29(木) 22:17:52.60
「あのぉぅ、今日お伺いした○○ミートの宮内ですけどもぉ、
今、お話聞いてもらっても大丈夫ですか?」
エグエグ泣いた宮内さんは、やっぱり語尾が跳ね上がる福島訛りであった。
「大丈夫ですよ。何か困りごとでも?」
「ええと、お店のアルバイト募集の張り紙見て電話したんですけど、まだ募集してますか?」
「え・・・・・」
避難してきてまだ一週間足らずで、掛け持ちって・・・と、おいらは言葉を失ってしまった。
すると、それを察したのか、
「あの違うんです、私じゃないんです。娘・・バイトしたいのは高校生の娘なんですよ」
と、宮内さんは説明した。
31 :
まさはる:2012/11/29(木) 22:19:50.27
この時期、卒業で学生さんがいなくなってしまう飲食店は多い。
うちの店もそうで、アルバイトの確保は急務であった。
普段ならば、アルバイトの募集の電話を親にさせるような子供は採用どころか面接さえもしない。
話を聞きながら断る理由を探す。だが、この親子の場合状況が違う。
おいらは話を聞いてみることにした。
「そうなんですか。じゃあ、そこに娘さんいれば、ちょっと代わっていただけますか」
「じゃ、代わります」
「もしもし、あの、あの、母からアルバイトの募集してるって聞いて、その、あの・・・
福島からこっちに来て、あの、いろいろ必要なもの買ったりとか、お金が必要で、
あのあのアルバイトさせてください」
こういう事に慣れていないのだろう、緊張しているのが手に取るようにわかった
。いきなりアルバイトさせてくださいと言ってしまう子も珍しい。
が、一生懸命話す様子がうかがえた。
そして変に場馴れしておらず、擦れた感じが無くてかわいいと感じた。
32 :
まさはる:2012/11/29(木) 22:26:12.19
「バイトしたいんだね?」
境遇も知っており、かわいいと感じた子には言葉が自然とやさしくなる。
「はい」
「でもね、条件とか聞いてないでしょ。こっちの条件とかそちらの希望もあるでしょ。
その話をしましょう。お店来てもらっていいかな?」
「面接・・・ですか?」
「そう、面接。いつだったら都合いいかな?」
と聞くと、彼女はいつでも大丈夫で、これからでも行けるのだという。
住所を聞くと、徒歩圏内で結構近い。
「じゃあ、これから来てくれるかな?ここの場所わかるかな?」
この三月いっぱいで辞めて行ってしまう、よくやってくれるバイトの子がいるので、
新人さんには早く入ってもらいたいという希望があったので、すぐ来てもらうことにした。
33 :
まさはる:2012/11/29(木) 22:33:29.71
「はい。わかります。じゃあ、これから支度してお伺いします。ありがとうございました」
それから30分もした頃、お店の午後の開店の少し前に宮内さんの娘はお店にやってきた。
「こんにちは。あのあの、さっき電話でこれから面接・・・・で来た宮内です。
よろしくおねがいします」
どうも、あのあのと言うのはくちぐせらしい。
緊張の面持ちでそう話す宮内さんの娘さんは、母親と同じで長身で、
170以上は確実にあった。
そしてそのことをコンプレックスにしているのかわからないが、猫背気味だった
。雰囲気は、バレーの木村沙織を少し小さくした感じと言えば近いか。
ショートカットでかわいい感じ。度の強い眼鏡をかけているせいか、
少し野暮ったい感じと真面目な感じがした。
34 :
まさはる:2012/11/29(木) 22:36:21.26
少しいやらしい話になるが、お金が必要で、真面目そうで腰の軽い子と云うのは、
大事に育ててやると、所謂“使えるバイト“になることが多い。
書いてきましたと手渡された履歴書を、ちょっと失礼と拝見させてもらったが、
採用はその前に決まっていた。
宮内さんの娘さん(娘さんとする)はできるだけ働きたいとの事で、
うちの提示した自給の額で問題ないということで、晴れて週6出勤で採用が決まった。
35 :
まさはる:2012/11/29(木) 22:40:06.47
「いつからこれるかな?」
「今日からでも大丈夫です」
慌ただしいが、その一言でそのまま出勤ということになった。
と、ここで四時出勤のバイトの女の子が出勤してくる。
リカちゃん人形みたいで非常にかわいらしい。
また働きぶりも素晴らしいという、辞めていくのが惜しい人材であった。
また、一応モデルとして活動をしている子でもあったので、以下バービーちゃんとする。
36 :
まさはる:2012/11/29(木) 22:45:01.88
「バービーさん、この子新人さんで宮内さん。
今日から仕事なんで、ちょっと着替えから仕事教えてあげてくれるかな」
普段は名前でちゃん付けで呼ぶが、仕事中なのでみよじでさん付けだ。
「宮内です。今日からお世話になります。よろしくお願いします」
「バービーです。よろしくお願いします」
と、形式的な挨拶が終わると、二人は店の二階へ上がって行った。
うちの店は店舗兼住居になっていた建物を改装して使っており、
二階は倉庫、更衣室兼休憩所、事務所という名のおいらの部屋。
住居だったので、あとはバストイレとなっている。
37 :
恋する名無しさん:2012/11/29(木) 22:51:39.27
ブヒ
38 :
まさはる:2012/11/29(木) 22:55:36.66
二階へ上がって十分もたった頃、二人は一階へ降りてきた。
僅かな時間ではあったが、二人はうちとけた様で楽しそうにしていた。
その日もやはり、テイクアウトを中心に午後の開店から忙しかった。
5時出勤のパートさんが二人来ても、それは変わらなかった。
やはり、娘さんは当たりのバイトな様で、仕事の呑み込みも早く、
教育係のバービーちゃんの金魚の糞になることもなく、よく働いた。
39 :
まさはる:2012/11/29(木) 22:58:32.24
あたふたと仕事に追われ、あっという間に閉店時間の八時半となった。
うちの店の場合、この後希望すれば食事が出る。
食べなければ一食300円が給料に加算となる仕組みだ。
いつも誰も食べないのだが、娘さんはそれを希望していた。
「おつかれさまです」
と、パートさん二人は帰って行ったが、バービーちゃんは娘さんと話し込んでいるのか、
二階の更衣室のほうからキャッキャと声がする。
楽しそうなので中に入ってみたい気もするが、おいらは調理場で食事作りだ。
40 :
まさはる:2012/11/29(木) 23:09:11.28
今日はこの辺で終わります
読んでるよ
続きよろしく
42 :
まさはる:2012/12/01(土) 20:34:15.03
43 :
まさはる:2012/12/01(土) 20:35:53.98
ボチボチ投下していきます
44 :
まさはる:2012/12/01(土) 20:37:32.31
メニューは鮭の親子丼と味噌汁。
震災時の停電で少しの間常温にさらしてしまい、
普通に食べれるが売り物には出来なくなってしまったというアラスカ産?のイクラを、
大量に出入りの業者に貰ったものがあったのだ。
親のほうの鮭はテイクアウトで使うので、旨いやつ、細かいことを言うと、
エドノフーズという会社の紅鮭が常時大量にある。
味噌汁は残念ながら、余り物のわかめとねぎの味噌汁だ。
45 :
まさはる:2012/12/01(土) 20:39:20.04
調理場でおいらが焼いた鮭をほぐしていると、
バービーちゃんが上から降りてきた。
「店長、今日、あたしも食事したいんですけど、いいですか?」
バービーちゃんは娘さんが食事をとると聞いて、
自分も食べたくなったらしい。話もしたいのだろう。
今からか・・・と思ったが、もちろん口には出さない。
おいらはよく働いてくれるかわいい子には甘いが、
仕事を離れたら、当然それがもっと甘くなるのだ。
「いいよぅ。じゃあ、もう少し待っててね」
かわいい子からお願いである。エロおやじよろしく、顔はニコニコだ。
鮭の親子丼というのは、その作り方や使う材料は人それぞれだが、
どれでも材料さえ用意すれば意外と簡単にできる。
46 :
まさはる:2012/12/01(土) 20:40:55.49
今回おいらが使った材料は、紅鮭、いくら、海苔を手でほぐしたもの、万能ねぎだ。
本当は三つ葉や錦糸卵がほしかったが、店の食材にはない。
作り方はいたって簡単で、どんぶり飯に海苔をほぐして敷き、
適塩になっている紅鮭を焼いてほぐして海苔の上に敷き詰め、あとはイクラを真ん中にたっぷりと盛ってやり、あさつきをちらして
、はい出来上がりである。あとは好みでしょうゆを回してもらえればいいのだ。
上記した様に鮭の親子丼は簡単なので、10分もかからず三人前は出来たと思う。
娘さんの分とバービーちゃん、一緒には食べないが自分の分だ。
47 :
まさはる:2012/12/01(土) 20:41:44.63
今回は二人とも初めてのうちの店での晩御飯なので、おいらは味噌汁を温めてやり、
お茶も急須に入れてやり、湯呑みを用意し、それらと箸と、一応スプーンをお盆に乗せ、
二階へ持って行ってやる。彼女たちはおいらのお客様状態だ。
まぁ、彼女達はよく働くし可愛いので、それも悪くないのだが、バイトは社会勉強でもあるので、
家と仕事場の違いみたいなものを目上の者がいろいろ教えてやらなければいけない。
おいらはお盆を持って階段を上がりながら、うるさく思われないいい言葉をあれこれ探した。
が、いい言葉は見つからない。理由は好かれようとしているからである。
48 :
まさはる:2012/12/01(土) 20:42:39.76
「おまたせ」
休憩室になっている和室の戸を開けて出てきた言葉がこれである。所謂、へたれだ。
「今日は鮭の親子丼です。今日は俺が用意したけど、今度からお茶とかは自分で用意してね」
17,8のかわいい女の子をまえにしたら、おいらはこれしか言えなかった。
全くダメな大人である。
だがしかし、娘さんはまだよくわからないが、バービーちゃんはこの程度の教育で大丈夫であろう。
良く出来た子というのはそういうものだ。
「ああ、すいません。ありがとうございます」
と、バービーちゃん。
「こういうのは自分たちでやらないとね」
解ってくれたようだ。バービーちゃんは娘さんのまえでお姉さんの様だった。
49 :
まさはる:2012/12/01(土) 20:43:40.47
鮭の親子丼を目の前にした彼女らは大はしゃぎだった。やはり、イクラは高級品であり、好きな人も多いのだ。
「わぁ、すごい。イクラいっぱーい。おいしそう」
と、バービーちゃん。彼女はどうやらイクラに目がない様子で、ご満悦の様であった。
「イクラすごいですね、いつもこんな食事なんですか」
娘さんもイクラにご満悦の様であった。やはり、料理を作る者として、作ったものを喜んでれるのはうれしい。おいらもご満悦であった。
通常であれば、おいらはここらあたりで部屋を退散するところなんだが、この日は娘さんと話がしてみたかった。なんといっても初日なのだ。タバコを一服したいのをこらえ、自分で入れたお茶をすする。
50 :
まさはる:2012/12/01(土) 20:44:48.04
今日は出かけるんで、ここで終わります。
おっさん忙しいのだw
51 :
恋する名無しさん:2012/12/02(日) 04:50:56.66
私も読んでますから宜しくお願いします
52 :
恋する名無しさん:2012/12/02(日) 11:37:17.91
追いついた
続きが楽しみです
53 :
まさはる:2012/12/02(日) 21:56:59.77
>>51 52
ありがとです。
気長にやると思うので、よかったらお付き合いください
54 :
まさはる:2012/12/02(日) 21:58:04.75
では、続きを貼っていきます
55 :
まさはる:2012/12/02(日) 21:59:57.93
「いつもこんなんじゃないよ。イクラいっぱいもらったからね」
おいらは口が軽いのか、隠し事があまりできないタイプだ。
これを言ってしまっては、少々有難味がなくなってしまう。
「そうなんですかぁ、でも、こんなにいいんですか?」
前にも書いたが、おいらはかわいい子には甘いのだ。だから、いくらはふんだんに盛ってある。
「店長さん、娘さんが可愛いから、いっぱい載せてくれたんだ」
と、バービーちゃんが年頃の女の子らしいことを言って、おいらを茶化す。
だが図星である。かわいいのは二人ともなんだが、図星である。
彼女はうちでアルバイト2年やってきているだけあって、おいらの事をそれなりに分かっている様だ。
56 :
まさはる:2012/12/02(日) 22:01:03.94
「バービーちゃん、あなたにも同じだけいっぱいもってあるんだけど・・」
そう、おいらがふざけ半分で言うと、二人は笑った。おいらもうれしくなって、笑った。
和やかなひと時であった。だが、程なくして状況は一変する。
「どうぞ、食べな」
「いただきまぁす」
バービーちゃんはそう言って、用意してやったスプーンで食べ始めた。
「んーーおいしい」
バービーちゃんはニコニコであった。
57 :
まさはる:2012/12/02(日) 22:02:16.14
その一方、どうしたものか、娘さんは鮭の親子丼に箸をつけることもなく、
目の前のどんぶりを見て固まってしまった。さっきまでは笑っていたというのに、
悲しげな表情さえ浮かべている。バービーちゃんもそれを察して心配そうに娘さんを見守っている。
「むすめさん、どうぞ」
「はい、いただきます」
娘さんの声は涙声になっていた。そして、スプーンで鮭の親子丼を口へ運ぶ。
「シャケおいしい」
娘さんは声を絞り出すように言うと、箸を持ったまま俯いてシクシク泣き出してしまった。そして
「シャケ・・・おいしい」
エグエグとしながら同じことを言うと、手でゴシゴシと涙をぬぐった。
親子というのはそういうものなのか、泣き方まで似ていた。
その涙の訳はある程度察しはついた。
58 :
まさはる:2012/12/02(日) 22:04:02.00
おいらの作ったシャケの親子丼に感動したわけではない。
娘さん(娘さんというのは味気ないので、以後シャケちゃんとします)は震災の被災者で、
原発事故で避難してきて一週間地度なのだ。何か思うことがあったのだろう。
だから、おいらはこのかわいい乙女の突然の涙でも驚きはなかった。バービーちゃんも、
おいらがいない間にいろいろ話をしてその理由が解るのか、優しいまなざしを向けていた。
「シャケちゃん、福島の事おもいだしたか」
おいらがそう聞くと、シャケちゃんはこくりと頷き、口を開く。
わずか一週間前に震災と原発事故を経験した17歳の女の子なのだ。無理もない。
59 :
まさはる:2012/12/02(日) 22:06:57.67
「あっちの人たち、避難した人たちみんなどうしてるんだろ、おいしいもの食べれてる
のかなって…あたしはここでバイト始めておいしいもの食べてて…」
少しばかり日常を取り戻したかもしれないシャケちゃんが、そう思うのも無理はなかった。
TVで映し出される避難所の生活は、大変なものばかりであった。
「いいんだよ、食べな」
相変わらず、おいらは気の利いた言葉が出ない。
それに引き換え、17歳のバービーちゃんは、少しの間にお姉さんの様になっていた。
「大丈夫。みんな優しくしてくれるから。支援すごいじゃん。心配だろうけど、みんな
親切にしてくれてるって」
そしてその言葉の端々に優しさが感じられた。本当に良い子なのだ。
60 :
まさはる:2012/12/02(日) 22:09:04.87
そうですね。そうですよね」
シャケちゃんはバービーちゃんの言葉に安心したのか、もう一度いただきますをして、
おいしいとうれしいを何度も言って、おいらを喜ばせた。バービーちゃんの眼差しもやさしい。
おいしいと何度も言って再びシャケの親子丼を食べ始めたシャケちゃんであるが、
きれいに半分も食べると、ごちそう様をしてしまった。
はて、どうしたものか、と思っていると、シャケちゃんが口を開いた。
61 :
まさはる:2012/12/02(日) 22:12:49.55
「店長さん、この丼ぶり今日お借りしていいですか」
「いいけど、たべきれなかった?」
「いえ、おいしかったんで、なんか嬉しくて、お母さんにも食べさせてあげたくて」
それを聞いたバービーちゃんの箸が止まる。
「食べかけだけど、これたべなよ」
バービーちゃんはそう言うと同時に丼ぶりを素早くシャケちゃんに差し出した。
「いや、いいですよ。バービーさん食べてください」
おいらは二人のそのやり取りを見て、嬉しくなってしまった。
だが、嬉しくなってニコニコしてばかりはいられない。
「二人ともちゃんと食べな」
そう言い残して、おいらは階段を駆け下りた。自分の分のシャケの親子丼があるのだ。
62 :
まさはる:2012/12/02(日) 22:15:40.26
急ぐ必要はあまりないが、小走りだ。うれしくて、食べさせてやりたくてたまらないのだ。
自分のシャケの親子丼を片手に部屋に急いで戻ると、二人の食べかけはそのままだった。
「シャケちゃん、これお土産。甘えとけ」
おいらは相変わらず上手いことが言えない。
本当はもっと優しい言葉を投げかけてやりたいのだが、優しい言葉が解らないというか、
出てくる言葉がそうなってしまう。
「え、それ店長さんのじゃないですか?悪いですよ」
と、遠慮するシャケちゃん。もはや自分の飯はどうでもよかった。かわいい子の二人に
おいしいものを食べてもらいたかった。
63 :
まさはる:2012/12/02(日) 22:18:28.27
「まだあるから、いいって。甘えとけ。お母さんに持ってってやれ」
おいらはこういう事を言うとき、どうしても意に反して怒った口調になってしまう。
だが、その口調が良かったのか、シャケちゃんはすぐに素直に
「はい。ありがとうございます」
と従ってくれた。
「よかったねぇ、シャケちゃん」
と、バービーちゃん。彼女のその声はちょっとばかり涙声であった。
それにつられたのか、「うん、よかった」と呟いたシャケちゃんの声も涙声であった。
そして二人は、またおいしそうにシャケの親子丼を食べてくれた。
64 :
まさはる:2012/12/02(日) 22:24:03.77
その後、お酒も飲まずにお茶だけで、ついつい時が経つのも忘れて三人で話し込んでしまった。
バービーちゃんは普段は自分からは絶対にしないモデルの話。
シャケちゃんは福島にいたときは引きこもりがちでボッチであったこと。
震災の時の大変だった話など、その他いろいろ。
おいらは、なぜ独身なのかという話を根掘り葉掘り聞かれてしどろもどろになっていた。
65 :
まさはる:2012/12/02(日) 22:25:47.32
今日はこの辺で終わります。
いい話ですね
続き楽しみにしてます
67 :
まさはる:2012/12/04(火) 16:41:52.49
68 :
まさはる:2012/12/04(火) 16:43:19.35
では、続きはっていきます
69 :
まさはる:2012/12/04(火) 16:48:03.79
いつの間にやら時は過ぎて、時計の針が10時を指したころ、お店の電話が鳴った。
店は閉めているので出ないつもりでいたが、コールが止まない。
おいらは忘れていた。18歳と17歳の高校生を預かっていたのだ。
“やべえ”と思いつつ急いで階段を下りてでんわにでる。案の定親御さんから」であった。
「今日からそちらでお世話になってる宮内シャケの母なんですが、あのぅ、店長さんですか?」
宮内さんのその声には、若干の苛立ちが見えた。どうにもこうにもバツが悪い。悪いことをして怒られている気分であった。
70 :
まさはる:2012/12/04(火) 16:49:51.64
「あのう、娘がまだ帰ってこないんですけど、まだそちらにいるんですか」
「はい。すいません、連絡もさせないで。ほかのバイトの子と話し込んでしまいまして」
「そうですか。それならよかった。携帯もでないから、ちょっと心配で」
やはり、年頃の娘を持つお母さんである。おいらは申し訳なさで一杯であった。
携帯は鳴っているのが解らなかったので、マナーモードのままロッカーの中に
仕舞っててわからなかったのかもしれない。
宮内さんは気になって店に迎えに来ているとのことだった。
71 :
まさはる:2012/12/04(火) 16:51:18.97
それを聞いて、おいらはダッシュで二階へ上がる。
「シャケちゃん、お母さん迎えに来てる。支度して。ごめんね、連絡させとくんだった」
「え、お母さん来てるんですか」
シャケちゃんはびっくりした様子だった。
バイトも初めてで、引きこもりのボッチだったせいか、こういう事は初めてなのかもしれない。
「バービーちゃん、うちに連絡して。送るから」
バービーちゃんも年頃なのだ。バービーちゃんは慌ててロッカーから携帯を取り出す。
「あーお母さんから電話来てた」
この子もマナーモードでロッカーに入れっぱなしだった様だ。おいらは慌てた。
72 :
まさはる:2012/12/04(火) 16:52:59.99
「片づけはいいから、早く支度して。お土産忘れんなよ」
おいらはそれだけ言うと、今度はダッシュで階段を下り、外へ出る。
宮内さんが待っているのだ。おいらは早く謝らなければならない。
宮内さんは暗い中、店の入り口の所にいた。背が高いので、すぐにそれと分かった。
それと店の駐車場に一台、よく知っている車が止まっていた。バービーちゃんのお母さんの車だ。
こちらにも非礼を詫びに行かねばならない。
「こんばんは。すみません、連絡せずに遅くまで」
「電話もつながらなかったんで、ちょっと気になって…」
「話し込んじゃってて、申し訳ないです。今、来ると思うんで」
73 :
まさはる:2012/12/04(火) 16:55:30.75
そういうおいらの態度のせいもあるのか、宮内さんは少々イラついている感じだった。
と、そこへシャケちゃんが店から出てきた。おいらに急かされたからだろう、
素直な彼女はダッシュで着替えたというか、着替えながら出てきた。
Tシャツ姿で上着を羽織りながらだ。そして手にはしっかりとお土産があった。
お姉さん的存在になった教育係のバービーちゃんはまだ支度ができないのだろう、まだ出てこない。
74 :
まさはる:2012/12/04(火) 16:59:24.28
シャケちゃんは宮内さん、つまりお母さんを見ると、お疲れ様もなしにおいらに背を向けて
お母さんと向き合ってしまった。そして、こちらからは見えないが、
俯いて少々シクシクしている様だった。
さっきの出来事を思い出しているのかもしれない。
「お母さん」
と言ったが、その後の言葉が続かない。
ただ、手だけは動いていてビニール袋に入ったシャケの親子丼を差し出していた。
「お母さん…」
まだ言葉が続かない。すると、宮内さんの顔がみるみる変わった。鬼の形相にだ。
75 :
まさはる:2012/12/04(火) 17:00:54.67
続きはまた後程貼っていきます
76 :
恋する名無しさん:2012/12/04(火) 17:13:14.02
続く
ってか気になる気
77 :
恋する名無しさん:2012/12/04(火) 21:51:28.15
うわっ!
すっごく気になる((( ゚д゚;)))gkbr
78 :
まさはる:2012/12/04(火) 22:54:16.21
79 :
まさはる:2012/12/04(火) 22:55:59.44
“ん”
と、思った瞬間、宮内さんの手が伸びた。
「パチーン」
おいらは何が何だかわからなかった。叩かれた人間だが、いい音がしたのはわかった。
「てめえ、シャケに何しやがった」
そう言われても、その時はおいらは何が何だかわからなかった。
もしかしたら、宮内さんは若かりし頃、ヤンキーだったのかもしれないと、
その口調から分かった。そして続けざまに二発目。
「パチーン」(いい名前が思いついたので、宮内さんは、以後パチ子にする)
痛いはずなんだが、訳もわからず痛みも感じない。おいらは頬を押さえてポカーンとしてしまった。
80 :
まさはる:2012/12/04(火) 22:57:25.32
「てめえ…」
今度は涙声になってしまっていた。
「こん畜生…」
パチ子はそう言い放つと、おいらを蹴り、顔を手で覆ってしまった。
依然としておいらは何が何だかわからない。鈍いのだ。落ち着いて考えれば、
娘がバイト→帰ってこない→電話にも出ない→男と二人でバイト先の店から出てくる
(本当は三人だが)→着替えながら出てくる→泣いている。で、想像するのはただ一点。
不純な行為だ。それがわかれば、涙声の訳も納得いく。
地震にやられ、原発事故に追われて避難してきたばかりで、その仕打ちであったならば、誰だって泣きたくなるであろう。
鈍いおいらとは違って、シャケちゃんは状況を理解した様で、慌てていた。
81 :
まさはる:2012/12/04(火) 22:59:09.26
「お母さん、違うのー」
パチ子とおいらの間にいるような形でいたシャケちゃんが、パチ子の胸を押して距離をとり、
何を話しているかわからないが、べそをかきながら訴える。
すると、怒りと悲しみでクシャクシャになった泣き顔はみるみる穏やかになった。
依然としておいらはポカーンだ。女性にいきなり張り手というのは初体験だ。
状況がなかなか飲み込めない。
いつの間にか店から出てきていたバービーちゃんもポカーンとして口を押さえていた。
さらに、バービーちゃんのお母さんも、車から出てきていて、娘と同じようにポカーンとしていた。
82 :
まさはる:2012/12/04(火) 23:01:08.52
パチ子はポカーンとしているおいらに、手を震わせながら差し出してアワアワと近づいてきた。
「ごめんなさい…痛かったでしょう…ごめんなさい…」
パチ子はそう言うと、おいらの赤くなってるかもしれない頬をスリスリ摩った。
「あたし、シャケ帰ってこないし、また泣くもんだから変な勘違いしちゃって…あああ、ごめんなさい」
「ああ、大丈夫です」
パチ子は泣きながら笑っていた。シャケちゃんの話で嬉しくなっていたのかもしれない。
そして、完全にテンパっていた。おいらはこの時点で、ようやく状況が飲み込めた。
おいらが電話をさせなかったばかりに起こってしまった出来事なのだが、
その状況を考えれば納得だが、ひどい勘違いである。
83 :
まさはる:2012/12/04(火) 23:02:45.10
「てて、店長さん、ごご、ごめんなさい。母が…」
シャケちゃんも動揺を隠せない様子で、どもりながらそう言うと、
「痛いの痛いの、飛んでけーー」
と、パチ子はもうすぐ40になるおっさんにやった。頬をさすって、それをポイッとだ。
これには笑ってしまった。
「あはは、パチ子さん、なんですかそれ」
そうおいらに言われて、パチ子はさらに動揺する。
ひどい勘違いをして男をひっぱたいた、という自覚からなのか、
「だって、だって、痛かったでしょ、だから、だからその」
と、パチ子は言葉が続かない。かと思ったら、
「痛いの遺体の、飛んでケー」
と、またやった。その慌てふためいている様子が、どうにも可愛らしい。そして可笑しかった。
84 :
まさはる:2012/12/04(火) 23:05:10.46
「あはは、大丈夫ですよ」
笑ってしまったが、もともとの原因を作ったのはおいらなのだ。
「連絡させればよかったんですけど…、すいません、勘違いさせちゃって」
「ほんとに、ほんと大丈夫?」
「大丈夫ですよ」
シャケちゃんを見ると、何やら気恥ずかしそうに俯いてもじもじとしている。と、目が合う。
「店長さん、母がすみませんでした。あのあの…」
シャケちゃんは度の強い眼鏡で小さくなってしまった眼差しで不安げにおいらを見る。
それがその続きの言葉を物語っていた。うちの店で彼女を手放すつもりなど毛頭ない。
「明日も今日と同じ出勤時間でよろしく」
すると、シャケちゃんの表情はぱっと明るくなる。
「はい。頑張ります」
そう答えたシャケちゃんは、なんだか嬉しそうにしていた。そのわきでパチ子も嬉しそうにしていた。親子で今日の出来事でも話しているのだろうか、
シャケちゃんが話役でパチ子が聞き役でとなり、嬉しそうに話をしている。
85 :
恋する名無しさん:2012/12/04(火) 23:05:42.67
今日はこの辺で終わります
86 :
まさはる:2012/12/04(火) 23:18:04.06
あら、コテハンが・・・
この辺で終わります
87 :
恋する名無しさん:2012/12/05(水) 10:52:06.24
■「内部被爆はどうしようもない、福島、埼玉、東京、神奈川、千葉など関東の人は結婚しない方がいい。子供産むと奇形発生率がドーンと上がる」…公益法人会長が講演
池谷会長は、福島のほか原発事故で放射能汚染を受けた関東地方の県名をあげ、地域の地図を示しながら
「放射能雲の通った地域にいた方々は極力結婚しない方がいい」と発言。
「結婚して子どもを産むと、奇形発生率がドーンと上がる」。
「発がん率が上がり、奇形児が生まれる懸念がある」などと話した。
池谷会長は取材に、「被曝(ひばく)で遺伝子損傷と奇形児出産のリスクが高まることを訴えた」と説明。
「一般論として私の見解を話した。差別する意図はなかった」と話した。
http://www.asahi.com/national/update/0829/TKY201208290581.html
88 :
まさはる:2012/12/05(水) 21:27:57.10
今日もぼちぼち投下していきます。
89 :
まさはる:2012/12/05(水) 21:28:50.65
ふと見ると、いつの間にかバービーちゃんはお母さんと一緒になっていた。
こちら状況がつかめないのだろう、遠巻きに二人で口に手を当ててこちらを伺いながら、
まるで世間話に没頭するおばちゃんの様にヒソヒソと話している。その様子からして、
ひどい勘違いをしているかもしれないと推測できた。
それならば、その誤解は解かなければならない。
「パチ子さん、今日はいろいろ申し訳なかったです」
と、おいらは頭を下げる。
90 :
まさはる:2012/12/05(水) 21:29:32.72
「こっちこそ、ほんとすみませんでした。あの、娘の事よろしくおねがいします。
ビシビシ使ってやってください」
パチ子は何度の頭を下げながらそう言うと、それを聞いたシャケちゃんは何を思ったか、
ビシッとファイティングポーズをとると、
「頑張ります」
と言って、拳を突き出した。
どうやらシャケちゃんは所謂天然ちゃんの要素を持ち合わせているのかもしれない。
ここで、おいらはシャケちゃんのそれを構いたかったが、そうもしていられなかった。
バービーちゃんの所へ謝りにいかねばならないのだ。
91 :
まさはる:2012/12/05(水) 21:30:47.03
おし、頑張れよ。お疲れ様でした。じゃ、失礼します」
おいらはそう言って頭を下げると、バービーちゃん親子の元へ向かう。
だが、先頬の状況が状況なだけにかなり気恥ずかしい。
「す、す、すいません。遅くまで連絡もさせないで…・」
おいらは思わずどもってしまった。それをシャケちゃん親子はニヤニヤとみる。
そして先に口を開いたのはお母さんのほうだった。
「こんばんは店長さん、今何があったの?」
もう、遅くなったことに関しては意に介していないというか、
それよりも、先ほどの一連の出来事が気になって仕方ない様子であった。
ちなみに、シャケちゃんはお母さん似である。つまりきれいな人なのだ。
92 :
まさはる:2012/12/05(水) 21:31:54.50
「あ、あ、あれは、その、勘違い…・」
おいらはしどろもどろになってしまった。
「え、何を勘違い?」
と、バービーちゃん。
おいらはこの親子がしているかもしれないその誤解を解くべく、先ほどの顛末を話し始め、
バイトから帰らない→電話がつながらない→母を見て泣くの三連コンボの話をした
。高校生の娘のいる親子にする話ではないが、仕方ない。
93 :
まさはる:2012/12/05(水) 21:40:40.52
と、その時、後ろから帰ったと思っていたパチ子に声をかけられる。
「あのぅ」
パチ子は今自分のことを話されていることがわかるのか、恥ずかしそうに背中を丸め、
シャケちゃんのお母さんと会釈をしていた。
「これ、ごちそう様です。うちに帰っていただきます。今日は失礼しました。
じゃ、私らはこれで失礼します」
パチ子の手にはお土産のシャケの親子丼があった。
そしてパチ子は照れ臭そうに二度三度頭を下げると、シャケちゃんと一緒に帰って行った。
94 :
まさはる:2012/12/05(水) 21:51:25.71
そしてシャケちゃんが帰ったのを見届けたバービーちゃんがボソッと一言。
「かわいい子だよねー店長さん気に入ったでしょ」
バービーちゃんはそう呟くと、意味ありげにおいらを見てニヤニヤっと白い歯を見せて笑うと、
「あたしたちも帰ります。お疲れ様でした」
と言って、お母さんと家路についた。
しかしまぁ、それが女の子の性なのか、バービーちゃんはそういったことに鋭い。
図星である。おいらは友達感覚で接してくれるバービーちゃんに、
改めて嬉しさを感じながら、「ふぅ」と大きく息ついてしまった。
いろいろあって気疲れしてしまったと言えば近いだろうか。
これは始まりであった。始まりの日の出来事。
95 :
まさはる:2012/12/05(水) 21:57:50.04
今日はここで終わりますね。
つか、板かと思ってここ来たけど、また違うのか?
96 :
恋する名無しさん:2012/12/05(水) 22:25:17.89
もうどうでもいいじゃね
97 :
恋する名無しさん:2012/12/06(木) 19:24:11.01
続き待ってるよ
98 :
まさはる:2012/12/06(木) 22:04:20.39
99 :
まさはる:2012/12/06(木) 22:05:46.31
続き投下していきますー
100 :
まさはる:2012/12/06(木) 22:07:54.78
翌日、パチ子は注文の品を配達に来た。もう、世話焼きのおばちゃんはいなかった。
「こんにちは。○○ミートです」
パチ子は背中を丸め、俯きながらバツが悪そうに上目使いでおいらを見る。
「昨日はほんとうにすみませんでした」
そう言いながらパチ子は照れ臭そうな笑みを浮かべる。
おいらは少し仲良くなれた感じがした。そしてなぜか笑ってしまった。
「もう気にしないで」
そのせいだろう、おいらの言葉使いも少し変わる。
「よかった」
元々、そこには悪いことをした人間など誰もいない。
ただ、行き違いと手違いがあっただけで、最後に痛いの痛いの飛んでけ、となっただけだ。
「ほんと、ごめんなさいね」
やはり、ひっぱたいてしまった者からすると、何度も言わねば気が済まないのかもしれない。
101 :
まさはる:2012/12/06(木) 22:09:51.81
「それと、これ、ご馳走様でした。おいしかったです。それに嬉しかった。どうもありがとう」
パチ子はそう言うと、昨日のお詫びとシャケの親子丼のお礼だと言って、
ケーキとどんぶりを差し出した。
「あっ、ありがとう。でも、もう気にしないで下さいね」
それに対してパチ子はにっこりと答えると、
「シャケが良い所でバイトできたって喜んでましたよ。娘をよろしくお願いします」
そう言って頭を下げると、「仕事戻ります」と言って店を後にした。
102 :
まさはる:2012/12/06(木) 22:11:03.46
その娘、シャケちゃんは少々申し訳なさそうにお店にやってきた。昨日のせいもあるが、
二時間も早く来たからだ。本来なら学校へ行っている時間なのだろうが、
避難してきているのだ。
「早いけど来ちゃいました。ここにいていいですか?」
そう言うシャケちゃんはボッチの子である。推測ではあるが、
もしかしたらおばさんの家に馴染めておらず、
お母さんのいないそこには居ずらかったのかもしれない?
103 :
まさはる:2012/12/06(木) 22:12:33.42
時計の針は二時を少し回っていた。おいらはお昼の営業が終わって、昼ご飯を食べるところであった。
「シャケちゃん、お昼はたべたか?」
「食べました」
「ケーキ食べる?」
パチ子から頂いたケーキがあったのだ。
「食べるーーー」
シャケちゃんははしゃいだ。その姿は、ボッチと聞いていたが、信じられないものであった。
おいらはシャケちゃんにお茶を入れさせ、自分は食事とレジの中身を持って、二階へ上がる。
レジの午前の精算もするので事務所の方へ入った。
104 :
まさはる:2012/12/06(木) 22:14:33.08
ここは事務所とは名ばかりで、事務仕事もここでこなすが、おいらの部屋と言って過言ではない。現に寝泊まりできる状態になっている。
シャケちゃんは事務所に入るなり、PCに興味を示した。
「pcがある。店長さん、これネット繋がってるんですか?」
事務所にあるPCなのだが、事務仕事には一切使わないPCであった。
主に、休憩時間などに2chやニコ動などの動画サイトを見るのに使っていた。
「繋がってるよ」
そう言いつつ電源を入れてやる。すると、シャケちゃんはケーキそっちのけでPCデスクの前に陣取る。
105 :
まさはる:2012/12/06(木) 22:16:22.55
その眼差しはPCに興味があるというより、使わせてくれといっていた。
おいらは黙ってパスワードを入力してやる。
「つかっていいですか?」
「いいよ」
このPCにはエロい動画も画像もないから安心して使わせてやれるのだ。
「あ、店長さんニコ動見るんですね」
包み隠さず言うならば、おいらはニコ厨である。しかもβのころからのユーザーだ。
ニコ動は子供のものというわけではないが、40近いおっさんがこれを言われると結構恥ずかしい。口を開けたまま箸を持って固まってしまった。
106 :
まさはる:2012/12/06(木) 22:18:44.75
「プレアカなんですね」
こういう事をボソッと言われると、「うっ」と声が出てしまう。
書き忘れたが、毎月500円払ってプレミアム会員である。シャケちゃんはそう言うと、
何を思ったのかニヤニヤする。嫌な感じだ。
「何ニヤけてるの?」
と、おいらは聞いてみる。すると、
「店長さんもニコ動見るのかと思ったら嬉しいっつうか、おかしくなって」
「変か?」
「いえいえ、あたしも実はニコ厨…」
嫌な感じがしたのは杞憂であった。
そして、シャケちゃんはおいらがニコ厨と分かったことがうれしかったのか、
「で、ボカロ聞いたりとかゲーム配信見たりとか、生主やったこともあるんですよ」
と、告白する。おいらもニコ動を語れる人間が身近にできてうれしかった。
107 :
まさはる:2012/12/06(木) 22:20:43.48
今日はこの辺で終わります。
書き溜めた分が終わった
書き溜め続けてるんだが、いろいろやることあって思うように進まん・・・
108 :
恋する名無しさん:2012/12/07(金) 00:10:31.00
のんびり待ってるよ
109 :
恋する名無しさん:2012/12/07(金) 09:26:22.83
ええよ
110 :
まさはる:2012/12/07(金) 22:28:29.36
ボチボチ投下していきますねー
111 :
まさはる:2012/12/07(金) 22:30:36.93
聞いてみると、シャケちゃんはニコニコのヘヴィユーザーだといことが解った。
なんでもコスプレが好きで、二度ほどマスク着用でコスプレ配信をしたことがあるという。
その時はニコ生は一番組30分なので時間にして1時間。ディスられ(けなされ)
身元を特定するようなことをさんざん聞かれ、足の裏みせてくれなどHな方向に持って
いく要求をされ、嫌になって生主はすぐに辞めたということだった。
ちなみに、シャケちゃんがしたコスプレは今を時めく初音ミクである。
ちなみにちなみに、おいらも初目ミクは好きである。なので、嬉しくなって原点であるロイツマのleva’sPolkaを、
ネギがくるくる回り続けるあれを見せて、初音ミクがネギを持っている理由を語ってしまった。
さらには久住小春はニコ動の被害者ということなどまで語ってしまった。
112 :
まさはる:2012/12/07(金) 22:33:15.84
普通の女の子ならば、こういうことを語ったとしたらドン引きするであろうが?
そこはニコ厨である。話に花が咲いてしまった。
高校生と40近いおっさんとで、お茶をすすり、ケーキをつつきつつマニアックな話に花が咲き、
いつの間にやら時計の針は3時半を回っていた。
「おはようございます」
四時出勤のバービーちゃんがいつもより少し早く出勤してきた。バービーちゃんの声を聴いたシャケちゃんは、
「コスプレの話、内緒で」
と言った。17歳の子と接していて若いつもりになってしまったのか?どういうわけか、こんなちょっとしたことが妙に嬉しくあった。
113 :
まさはる:2012/12/07(金) 22:34:33.93
バービーちゃんは事務所においらたちがいるのが解って、事務所に入ってきた。
バービーちゃんはおおきな紙袋を二つ抱えていた。聞いてみると、バービーちゃんは
TVで被災者の方たちは衣類で困っていると聞いて、持ってきたのだという。
しかし良く出来た子である。何もしていない大人なはずの自分が恥ずかしくなってしまった。
「もうすぐ引越しだから、あまり着なくなった服持ってきたんだけど、着てくれる?サイズは会うと思うんだけど」
確かに背格好は一緒なのでサイズは合うであろう。
バービーちゃんという女の子は、押しつけがましくなくさらっとこういう事を言えてしまう。親御さんの教育の賜物であろう。
114 :
まさはる:2012/12/07(金) 23:19:33.94
シャケちゃんはそれにかなり喜んだ。他の避難者の方々と一緒で、着替えで困っていたらしい。
先ほど聞いた話ではあるが、コスプレの初音ミクの衣装も当然持ってきていない。
「ありがとうございます。服何枚も持ってきてなかったから」
こういう嬉しくなってしまうような場面に立ち会っていたかったが、
おいらは彼女らより早く下へ降りて、やらねばならないことがある。
「じゃ、おれは先に降りてるから」
おいらはそう言って立ち上がり、事務所のドアに手をかけたところで聞いてみた。
「今日、晩飯は?」
すると、「たべるーーー」と二人声をそろえて言った。
115 :
まさはる:2012/12/07(金) 23:21:54.61
今日はこの辺で終わります
>>108 109
ありがとう。ぼちぼち無理のない範囲でやっていきますね
お疲れさま
続き待ってるよ
117 :
まさはる:2012/12/08(土) 23:51:27.88
118 :
まさはる:2012/12/08(土) 23:53:17.02
少しばかり投下していきますね
119 :
まさはる:2012/12/08(土) 23:55:15.06
とりあえず、おいらの晩御飯は好評であることが改めて分かったので、おいらは嬉しかった。
「店長さん、今日は何作ってくれるんですか?」
そう言うシャケちゃんはニコニコだった。バービーちゃんもニコニコしている。
これで、おかずが一品追加が決定した。
「親子丼とサラダ」
しょぼいが、サラダが追加の一品だ。
この日は唐揚げ用の鶏肉をカットしたので、端肉があったのだ。端肉とは言っても錦爽鶏というおいしい鶏である。これで旨い親子丼ができるのだ。
事務所のドアを閉めたところで、「親子丼いいよねー」などと聞こえた。二人の喜ぶ姿が目に浮かぶ。おいらは階段を下りながら一人でニヤついてしまった。
120 :
まさはる:2012/12/08(土) 23:56:16.36
その日もテイクアウトを中心にたくさんお客さんがみえた。
「コンビニに弁当はない」
「うちのほうでは、まだ水が出ない」
「スーパー行ってもたいしたものがない」
お客様はこういうことをよく口にした。そして、ここで買えて食えてよかったと言ってくれた。これにはありがたいと思うと同時に、シャケちゃんの件もあるし、改めて非日常であることを実感させられた。
忙しくしていると、時の経つのも早い。いつの間にやら営業時間が終わり、片づけが終ってパートのおばちゃんたちが帰っていく。
シャケちゃんとバービーちゃんは調理場に残って、味噌汁を温めたり食事の準備だ。
おばちゃんたちはその帰り際、シャケちゃんに声をかけ、地元のお菓子だろうか?
何かを手渡していていた。おばちゃんたちもやさしく良く出来た人たちなのだ。
この時も、シャケちゃんはパチ子と同じようにエグエグやっていた。もしかしたら泣き上戸なのかもしれない。
おいらはそれをほほえましく横目で見ながら、親子丼作りだ。
121 :
まさはる:2012/12/09(日) 00:08:48.31
122 :
まさはる:2012/12/11(火) 00:16:02.43
少し投下していきますねー
123 :
まさはる:2012/12/11(火) 00:17:50.86
先日のシャケの親子丼も簡単料理であったが、鶏の親子丼も簡単料理である。
おいらのやり方を簡単に書くと、かつお出汁で甘辛の割り下を作り、
その中に一口大の鶏肉、玉ねぎを投入。火が少し通った所で、溶き卵を投入。
蓋をして卵が固まったら、もう一度溶き卵を投入。それが半熟になったら、
三つ葉を散らしてご飯に盛って、はい出来上がりである。
親子丼は簡単料理とはいっても、3分クッキングの様にはいかない。
それに、仕事の合間を見て作っていたポテトサラダが未完であった。
晩御飯は彼女たちが二階へ上がって、五分ほどでできたと思う。
124 :
まさはる:2012/12/11(火) 00:19:26.65
彼女たちには休憩室におらず、事務所の方にいた。確かに事務所の方が、TVもあるし使うならPCもあるし、寝転がりたいならベットまである。ロッカーとテーブルしかない更衣室よりは居心地はいいはずだ。
「おまちどうさま」
朝、パチ子に頂いたケーキがあったのを思い出したので、お盆の上には親子丼とサラダとケーキだ。
これにバービーちゃんは「太っちゃうー」とは言いながらもおおよろこびであった。
もちろん、錦爽鶏を使った親子丼も、先日のエドノフーズのシャケを使った親子丼と同様、
彼女等に好評であった。
この日も、おいらは一緒にご飯は食べないが、お茶をすすりつつタバコを我慢し、
事務所でレジの精算やら伝票せいりなどをしながら、彼女たちと一緒にいた。
自分の作ったものを喜んで食べてもらえるのは、やっぱりいいものであった。
シャケちゃんは親子丼を泣かずに完食した。
それにしても、話に花が咲いてしまった女の子の食事は時間がかかる。
125 :
まさはる:2012/12/11(火) 00:22:31.36
「ごちそう様です」
その声を聴くまで随分かかり、その後もおしゃべりに花が咲くことは容易に想像できた。
なので、おいらは確認をしてみた。
「今日はちゃんと連絡してある?」
連絡したなかったとしても、まず昨日のようなことにならないであろうが、信用がなくなる。
雇い主が、特に未成年の親御さんに信用されないのはかなりよろしくないのだ。
「今日も遅くなるからって言ってあります」
という様な事を二人とも言った。二人は初めからそのつもりだったらしい。
「店長さん、いいですよね?」
今度はバービーちゃんが確認する。
「いいよー」
当然である。ちやほやされるわけではないが、両手に花なのである。かわいいのである。
会話についていけない時もあるが、40近いおっさんの気持ちは10歳は若返るのだ。
おいらは初めからそうなることを秘かに望んでいた。
126 :
まさはる:2012/12/11(火) 00:24:07.54
と、ここでバービーちゃんが洋服を持ってきていたことを思い出す。
「あ、そうだ。今日持ってきたやつ着てみてよ」
「あんなにいろいろもらっちゃっていいんですか?」
とシャケちゃん。
どうやら二人は、仕事前にそれを見ていた様であった。
「いいのいいの」
そう言いつつバービーちゃんは立ち上がって、休憩室へ行くと、持ってきた紙袋を抱えて戻ってきた。
127 :
まさはる:2012/12/11(火) 00:33:34.98
今日はこれで終わりますね。
128 :
恋する名無しさん:2012/12/12(水) 06:33:33.61
またね
あぼーん
130 :
まさはる:2012/12/12(水) 23:56:55.08
131 :
まさはる:2012/12/12(水) 23:57:50.53
すこし続きかいましたので、投下します。
132 :
まさはる:2012/12/12(水) 23:58:56.20
シャケちゃんはお洒落さんである。持ってきた服はどれもお洒落なものだった。
そして、おっさんにはわからない聞いたこともないブランド名の服まであった。
自分に出来る最大限の事をしたのであろう。
一方、おいらは・・・・
二人が紙袋から服を取り出し、キャッキャ言っているのを眺めながら、
事務所で無用のオブジェと化していたTVを使ってもらう事にしようと考えた。
「シャケちゃん、着てみてよ」
とバービーちゃん。
「はい。じゃぁ」
シャケちゃんはそう言ったかと思ったら、バッといきなり仕事着(作務衣みたいな服)を脱いでしまった。
133 :
まさはる:2012/12/12(水) 23:59:37.99
おいらは別段驚きもしなかった。キャミソールなのである。
だがしかし、シャケちゃんの反応はウブな女の子そのものであった。
「いやぁぁあぁあ〜」
シャケちゃんは白いキャミソールでいるのが恥ずかしいのか、貰った服で前を隠してしまった。
しかし、いきなり自分で仕事着を脱いで、キャミソール姿になって叫ばれても困る。
「なんでそれぐらいで・・・・」
などと思うが口には出せない。シャケちゃんの困ったような顔と、バービーちゃんの冷たい視線が痛かった。
「ごめんね」
134 :
まさはる:2012/12/13(木) 00:00:24.52
おいらはその言葉とは裏腹に、なんと理不尽な・・・などと思いつつ、灰皿を持って事務所を出て、廊下で我慢していたタバコを一服。
家の中とはいえ、暖房のない三月の廊下は意外に寒い。ホタル族の様にプルプル震えながらタバコを一本燻らせたところで、事務所からお呼びがかかった。
「店長さん、もう戻ってきてください」
事務所のドアから顔を出し、バービーちゃんが言う。顔はもうニコニコであった。
「シャケちゃん、すっごい可愛いですよ」
バービーちゃんが驚くなよとばかりにそう付け加える。ニコニコの理由はここにあるようであった。
135 :
まさはる:2012/12/13(木) 00:03:00.06
事務所に戻ると、そこにはメガネを外したシャケちゃんがいた。
シャケちゃんは眩しいような目でおいらを見る。
「さっきはすいません、店長さんいたのに…なんかびっくりしちゃって」
シャケちゃんはそう言って照れくさそうに笑う。
なるほど、バービーちゃんがニコニコになるのも頷ける。おいらも驚いた。
シャケちゃんの場合、メガネ補正は大きくマイナスに働くことが分かった。
「いやいや…それにしても、シャケちゃんメガネ外すと変わるね。素顔の方がずっといいよ」
これはお世辞でもなんでもなかった。眼鏡っ子の時はつぶらな瞳で、
バレーの木村沙織のような感じでかわいかったのだが、
度が強いメガネを外したら、目がぱっちりとなって、
田中美穂みたく垢抜けたかわいさになったと言えば近いか。
垢抜けた感じになったのは、バービーちゃんに貰った服も影響しているのかもしれない。
136 :
まさはる:2012/12/13(木) 00:14:55.95
参考画像でも貼ろうかと思ったが、ようわからん…
つか、この辺で終わりまする。
137 :
恋する名無しさん:2012/12/13(木) 00:25:39.00
138 :
恋する名無しさん:2012/12/13(木) 00:26:53.30
わてしがそれはあかんというたらあかんの
139 :
恋する名無しさん:2012/12/13(木) 00:31:19.03
押尾ビッチ片瀬
嫌がらせ犯クズゴミ中丸
嵐大麻大野
いなくてもいいみそっかすぶさいく問題ザコバカタレ三匹ぐらいすぐ消せよ
他の世の中のひとたちが害を被る
こんな性悪疫病神
みるからに気持ち悪い呪いの人形みたいな押尾ビッチゲテモノデバガメ
ゴミヨゴレギョーカイ
勘違いどあつかましい
しつこい用なしドブス
片瀬
こんなクズゴミみたいなやつらが公共の電波や社会に出てくること自体が
異常なの
バカテレビ局
よく考えよそこ
>シャケちゃんはお洒落さんである。持ってきた服はどれもお洒落なものだった。
このシャケちゃんは、バービーちゃんの間違いではないですか?
バービーちゃんが服を持ってきたんですよね?
続き待ってます
141 :
まさはる:2012/12/13(木) 23:59:43.15
>>140 >シャケちゃんはお洒落さんである。持ってきた服はどれもお洒落なものだった。
間違えました・・・
バービーちゃんはお洒落さんである。持ってきた服はどれもお洒落なものだった。
となります。
続きはまた後日に。
142 :
恋する名無しさん:2012/12/14(金) 13:00:27.24
ふぁい(^.^)/~~~
143 :
まさはる:2012/12/15(土) 00:07:59.48
144 :
まさはる:2012/12/15(土) 00:09:20.28
では、少しですが投下していきます
145 :
まさはる:2012/12/15(土) 00:10:59.60
シャケちゃんの変身に目を奪われてしまったおいらだが、ここは冷静に大人な?対応をとる。
「その服かわいいじゃん。似合ってるよ。いいのもらったね」
バービーちゃんが喜んで着せていたところを見ると、バービーちゃんは頑張ったはずなのだ。
おそらく、あまり着なくなったというのは嘘であろう。
この時も、おいらはなかなか上手いことが言えなかった。口下手な自分が恨めしかった。
この後もファッションショーもどきは続いた。お色直しは2度ほど。
そのたびにおいらは廊下に出て終わるのを待つ。
当然、仕事は進まない。というか、仕事が終わっていないことは頭から消え去っていた。
若い彼女たちのとる行動が楽しく、おっさんになったからなのか新鮮で、一緒になってその時を楽しんでいた。
146 :
まさはる:2012/12/15(土) 00:12:53.39
楽しいと時の経つのも早い。いつの間にやら昨日、パチ子が電話をしてきた時間
、10時になっていた。一応、未成年者の就労時間は午後10時までである。
それに昨日の件の時間なので、この時間で返すことにした。
「そろそろ10時になるから、そろそろお開きにしましょう」
本音を言えば、早すぎる時間なのだが、雇用者としてはなかなかそうもいかないのである。
「えぇーもうですか?早いですよ」
とバービーちゃん。彼女はだいぶ不服そうであった。
一方シャケちゃんはというと、昨日の件があったからなのか、何も言わずつまらなそうな顔をするだけだった。
147 :
まさはる:2012/12/15(土) 00:15:03.10
「送っていくから、支度して」
おいらは彼女たちに帰り支度を急かしたところで、TVの事を思い出し、
押しつけがましくない上手い言葉を探す。
がしかし上手い言葉は見つからない。
早いとこ言わなければ彼女たちは着替えに更衣室へ行ってしまう。そして出てきた言葉は
「シャケちゃん、このTV使ってないんだけど、使わない?」
なんの捻りもなくそのままだ。
「あっ、ありがとうございます。でも・・おばさんとこにあるから大丈夫ですよ」
おいらとしては残念な結果であった。こういう事は押し付けるわけにもいかない。
「じゃ、何か困ってることはない?」
バービーちゃんはその職業柄、着せ替えとかそういうことが好きなのかもしれないが、
先ほどバービーちゃんが楽しそうにしているのを見て、おいらも何かしたくてたまらなかった。
148 :
まさはる:2012/12/15(土) 00:16:26.44
しかし、バービーちゃんは良く出来た子である。
本来なら、おっさんのおいらが身を持って教えるべきことであったのだが・・・
おいらはシャケちゃんが何かを言ってくれるのを期待したが、言葉がない。
「変に遠慮するなよ」
すると、シャケちゃんは少し考えると、」
「んーそうですねー困ってるっていうか、買い物に行きたいです。この辺何もなくて…」
と言った。確かに、おいらの地元は街中には何もない。田舎なので郊外型の店が多いのだ。
しまむらに行くにも、車でないと厳しい。
149 :
まさはる:2012/12/15(土) 00:17:58.78
「じゃ、明日休みだから、連れてってあげるよ」
タイミングが良いことに、翌日はお店の定休日で休みであった。
「え、いいんですか。ありがとうございます」
シャケちゃんは避難してきているのだ。いろいろ必要なものがあるのだろう。
「買い物、あたしも行く。いいですよね?」
バービーちゃんのその一言で、三人で買い物に行くことが決まった。
その後、おいらは二人を車で送る。もちろん、何事もない。
この日は、自分は被災者に対して援助しているのか、できることを何かして自己満足に浸っているのか、
可愛いシャケちゃんに慕われたくて色々しているのか、訳の分からない一日であった。
150 :
まさはる:2012/12/15(土) 00:20:25.19
今日はここで終わります
151 :
恋する名無しさん:2012/12/18(火) 05:51:30.40
あれ、続きないね
続きまだかなまだかな?^^
153 :
まさはる:2012/12/18(火) 17:20:15.57
>>151 >>152 仕事以外にこの時期はいろいろ忙しいので、つづきができてないです・・・
きょうは後で少し投下しに来ますね
154 :
まさはる:2012/12/18(火) 21:38:20.15
翌日、待ち合わせはお店で、朝十時の予定で、近場のいろいろな店を回ることにしていた。
というか、そうした方が正解と言えば近いか。
女の子たちのお買いものなので、出来ることならば成田のイオンあたりまで行きたいところであったが、
この時はガソリンの入手が非常に厳しく、自分の車はほぼ満タンであったが、
そちらの方まで連れて行く気にはなれなかった。
また、余震もかなり頻繁に起こっていた時期で、
地鳴りを聞いて揺れを感じて恐怖することが、一日にまだ何度もあったのだ。
155 :
まさはる:2012/12/18(火) 21:40:24.71
震災の後、空いているスタンドを見つけて、ガソリンを満タンにして以来なので、
2週間弱ぶりの自分の車を懐かしく感じつつ、おいらは予定の時間よりも
1時間以上早くお店へ行った。
昨日の晩、仕事が終わらないまま彼女たちを送っていき、
そのまま自宅へ帰ったので、仕事がそのまま残っていたのだ。
事務所へ入り、何はともあれまず最初にPCを起動させる。おいらも立派なネット依存症なのだ。
そしてなんとなしに事務所の中を見渡すと、色々な事が気にかかってしまった。
ベットの布団はしばらく干していない、埃もたまっている、たばこの吸い殻はいっぱい等々、
エロ関係がないだけで、だらしない独身男の部屋そのものに近い様に思えたのだ。
自分の部屋に近い事務所へ、可愛い二人を招き入れたからそう思う様になったのであろう、
おいらは恥ずかしくない様、仕事は放棄していそいそと掃除を始めてしまった。
156 :
まさはる:2012/12/18(火) 21:41:22.11
まず窓を開け、休憩中に仮眠取るだけであったが、おっさん臭くなっているであろう布団を干す。
で、ふとんをバンバン叩いていると、シャケちゃんがこちらへ歩いてくるのが見えた。
集合時間まではまだ一時間ほど早かった。
シャケちゃんは布団をたたいているおいらを窓に見つけると、
背の高い体を大げさに折り曲げて挨拶をする。
「おはようございます」
「おはよう。随分早く来たね」
「早く来ちゃいました」
シャケちゃんは昨日貰ったパーカーを早速羽織っていた。
「おはようございます」
事務所に入ってきて、もう一度挨拶をしたシャケちゃんはにこやかであった。
「おはよう」
事務所はまだおっさん臭さが抜けないままでちょっと気になったが、
シャケちゃんはその様なことは気になっていない様であった。
157 :
まさはる:2012/12/18(火) 21:43:30.38
おいらはシャケちゃんが来たので、掃除をやめ、布団にファブリーズを振り掛けてしまった。
シャケちゃんは早く来た理由を、「おばさんのとこに居ても何もすることが無くて」と説明した。
それから、おいらは店に住み込んでいるものと勘違いしていたようであった。
シャケちゃんはお茶を三本持参してきていて、それを飲み飲み雑談していたのだが、
自然と共通の話題になる。やはりネット関係、ニコ動だ。
しかし、ニコ動は守備範囲が広い。共通の話題ではあっても、観る物はかなり違っていた。
158 :
まさはる:2012/12/18(火) 21:47:16.67
「あたし、こういうの見るんですよー」
シャケちゃんはPCの前に座ると、ニコ動を開いておいらに教える。画面には○○を踊ってみたの文字があった。
踊ってみたは少しは(やらないかとか男女等)観ていたが、正直なところおいらにはわからなかった。
シャケちゃんは、それが解らず首をかしげているおいらの前で、おいらが初めて聞く曲を口ずさみながら、うp主と同じように身振り手振りして見せた。
「かわいいですよねー」
そう言われても、そのうp主はマスクをしているのでよくわからなかった。
踊りも、おっさんの視点だからなのか、あまりそのようには感じられなかった。
「う、うん」
「で、店長さんはどんなの観るんですか?」
159 :
まさはる:2012/12/18(火) 21:49:48.54
この頃、おいらは狂った様に地震関連の動画を見ていた。
だがしかし、それを避難民のシャケちゃんに見せるわけにもいかなかった。
他には、作業にならない作業用BGMなどの洋楽関係や車載動画など、
あまりシャケちゃんの興味のなさそうなものばかり見ていた。
その中でおいらが見せたのは、↓
160 :
まさはる:2012/12/18(火) 21:51:24.38
161 :
まさはる:2012/12/18(火) 22:08:33.09
おっさんホイホイのタグがついたこれは、女子高校生にも好評であった。
「いいっすねー店長さんはボカロ聞かないって言ってましたっけ?これなんかいいですよ」
今度はシャケちゃんがPCの前に座り、初音ミクに歌わせた曲をおいらに聞かせる。
確かに、初音ミクの調教や絵師様のクオリティー、作曲した人の能力等々、
すごいのはよくわかった。
「すごいね。なんつうか、ガーションキングスレイのポップコーンの進化した奴って感じだね」
おいらは訳の分からぬ例えをしてしまった。が、シャケちゃんは褒めているとわかって、
「いいでしょ、いいでしょ」
「あたし、このミクの絵すきなんですよー」
などとはしゃいだ。シャケちゃんはよっぽど初音ミクが好きらしい。
「いいよねー初音ミク。でもこれ、最初はこんなに売れると思わなかったらしいよ」
「へーそうなんですかー。なんか、またミクのコスしてみたくなってきた」
「コミケだっけ?ビックサイトとか、ああいうとこでしてみたい?」
「友達と一緒とかだったら、してみたい。かな?」
おっさんが初音ミクの事をいろいろ話すと、ドン引きされそうだが、ニコ厨はその限りではないようだ。少なくともシャケちゃんは喜んで話していた。
初音ミクの話で盛り上がり、ニコ厨同士で交流を深めていたら、いつの間にかバービーちゃんが店に来ていた。
162 :
まさはる:2012/12/18(火) 22:11:00.95
しかし、作業用BGMというのは仕事がはかどりませんねw
とりあえず、この辺で終わります。
163 :
恋する名無しさん:2012/12/19(水) 22:29:08.73
続き待ってるよ
続き待ってる。
震災で帰郷してた彼女を亡くしたから、せめて生きてる人には幸せになって欲しい。
165 :
まさはる:2012/12/20(木) 01:30:23.77
166 :
まさはる:2012/12/20(木) 01:32:18.92
「二人供なんか楽しそうですね」
挨拶はなかった、と思う。バービーちゃんはドアを開け、そこに立っており、その眼はどことなく疑いの眼差しであった。
「何してたんですか?」
見れば解るとおり、PCで遊んでいたのだが、シャケちゃんは固まる。やはり、ニコ厨であるということが気恥ずかしいらしい。
「あの、んー」
おいらは口籠る。ちなみに、バービーちゃんにはドン引きされそうなので、ニコ厨の事は話したことはない。
167 :
まさはる:2012/12/20(木) 01:37:53.07
可愛い女の子やきれいな女性というのは、得てして目力があるものである。バービーちゃんもそうであった。おいらはバービーちゃんに目力で「教えろ」と訴えられ、ぽろっと話してしまった。
「ニコニコ動画やつ見てたんよ」
すると、思っていたものとは違う反応が返ってきた。
「なんだ。昨日も今日もなんか二人コソコソしてるみたいで・・・何してるかと思ったら、ニコニコ動画観てたんですか。あれ、面白いみたいですね」
とりあえず、おいらはホッとする。が、シャケちゃんはコソコソという言葉に反応してしまったらしく、顔こそ赤らめてはいないが、それを否定するように首をプルプルふるっていた。
「面白いよー今度観てみるか?とにかく、そろったので行きましょう」
あまりニコニコ動画の話を突っ込まれて聞かれるのは避けたかったので、その話はそこそこにして、買い物に促した。
168 :
まさはる:2012/12/20(木) 01:39:03.95
「これどうぞ」
シャケちゃんがバービーちゃんにお茶を手渡す。
「あ、ありがとう」
そう言ったバービーちゃんの手にも、袋に入った三本のお茶があった。
「じゃあ、これはまた後でね」
バービーちゃんはお茶の入った袋を持ち上げてみせる。なかなか気の利く娘たちなのだ。おいらはこのような些細な事でも嬉しくなってしまう。お気に入りであるという事よくわかる感情だ。
「二人とも気が利くじゃん」
すると、二人は嬉しそうに「えへへ」と笑った。
おいら達は店を出て車に乗り込む。まずは市内のホームセンターへ向かった。
おいらは震災まで必要性を感じていなかった携帯ラジオや懐中電気、乾電池を買いたかったが、それらの品物はどれもなかった。入荷未定や被災地優先のためと書かれた札がいくつもあり、それがどうしても被災地の生活を連想させる。
シャケちゃんカラーボックスなど、身の回りの物を買っていた。おいらは二人の後をカートを押しながら付いていく。さながら買い物についてきたパパの様になりながら、その時のおシャケちゃんの気持ちが気になった。
169 :
まさはる:2012/12/20(木) 01:39:40.71
次はしまむらへ。
ここではおいらは途中から蚊帳の外へ置かれた。何着か服を選んだあと、シャケちゃんとバービーちゃんがコソコソを話をしたかと思うと、
「店長さん、あとは外でタバコでも吸っててください」
と、バービーちゃんが言う。シャケちゃんはちょっともじもじしている。わかりやすい。下着選びなのだろう。
女の子の買い物というのは時間がかかる。おいらは外へ出て、寒さにちじこまりながらたばこを一本、二本吸っても彼女たちは出てこない。おそらく、男のおいらがいなくなったので、女の子らしくはしゃいでいるのだろう。そう思うと寒さもなんのその、おいらは満足であった。
170 :
まさはる:2012/12/20(木) 01:40:33.59
また投下しにに来ますー
C
172 :
恋する名無しさん:2012/12/21(金) 11:31:46.99
店長さんてどんな人?
ひげ生やしたおっさんイメージしてるんだけど
173 :
まさはる:2012/12/22(土) 00:53:47.41
>>171 39
>>172 職業柄、ヒゲは生やしてないです。シェフと呼ばれる人たちは生やしてる人多いですが。
誰に似てるかと問われれば、福山雅治に似てると答えます。
鏡を見ると悲しくなりますがw
174 :
まさはる:2012/12/22(土) 00:55:59.56
すこしばかしですが、投下しますねー
シャケちゃんが色々と下着を買って?しまむらの買い物は終わった。
そして本日の買い物も終わった。いろいろと見て回れるところまで連れて行ってやりたかったが、
田舎町のおいらの地元にそれはない。それでも、シャケちゃんは満足気であった。
「あたし、○○(地名)に来て、ほんとよかったです」
おいらはその言葉に、震災と原発事故をもろに食らった者との目線の違いを感じた。
それを思うと、二本目のお茶はしみじみとした味がした。
時計の針は正午を大きく回り、1時を指していた。思えば、おいらは朝から何も食べていなかった。腹減ったなぁ、と思いつつ、彼女たちに聞いてみる。
「もうお昼だし、何か食べに行かないか?」
おいらはファミレスあたりでお手軽にお昼を済ませてしまおうと思って聞いたのだが、
「店長さん、何か作ってくださいよ。そのほうがいいなぁ」
と、バービーちゃんが言う。嬉しい言葉だが、休みの日に料理を作るのは少々面倒であった。
「あのあの、あたしもその方がいいです」
シャケちゃんもそう言う。面倒ではあるが、こう言われては仕方がない。
「じゃぁ、手伝えよ」
そう言うと、二人は声をそろえて
「はーい」
と答えた。
175 :
まさはる:2012/12/22(土) 00:58:33.68
パートのおばちゃんに持おいらは車を走らせつつ、冷蔵庫の中にある物を頭の中で確認する。昨日の営業でご飯を残し、
もって帰ってもらっても残ってしまった冷や飯があったので、チャーハンと何かと決まった。
お店に戻り、早速調理に取り掛かる。冷蔵庫の中に、食品サンプルとして貰ったチョリソとか
ソーセージ色々があったので、と何かは、それを使ったスープを作る事にした。
チャーハンもスープもどちらも簡単料理で一人でもすぐにできるが、手伝わせる。
それは遠い昔にやった調理実習の様で楽しかった。
そして、彼女たちにほぼ丸投げして作らせたネギと卵だけのチャーハンは、香りの良いなかなかの出来栄えであった。
176 :
まさはる:2012/12/22(土) 00:59:41.73
出来たものとお茶を持って事務所へ入り、テーブルへそれらを並べると、
「まずいかもですが、どうぞ」
と、バービーちゃんが進める。
スプーンを持つと、二人の視線が気になった。そして一口。
「どうですか」
シャケちゃんが気になる。
二人の作ってくれたそれは、家庭的な優しい味がしておいしかった。
「おいしいよ。うまいじゃん」
それを聞いて、二人はにんまりとする。
おいらもおいしいチャーハンを食べてにんまり。
おいらはお昼を食べた後、昨日の仕事と貯めていた仕事を始めた。
「店長さん、まだかえりませんよね?」
とシャケちゃん。
二人は帰ると言い出すわけでもなく、かといって何処かへ行こうというわけでもなく、
PCをいじったり、おしゃべりしたり、だらだらと、それでも楽しそうに過ごしていた。
シャケちゃんには、自分の存在を必要とされ、新しく出来た友達と一緒に過ごせるうちのお店は、
居心地のいい場所なのかもしれない。何ごともない平穏な時間が流れていた。
177 :
まさはる:2012/12/22(土) 01:00:30.89
この辺で終わりますねー
178 :
恋する名無しさん:2012/12/22(土) 01:23:19.76
ずっとROMってたぜ
楽しみにしてます
>シャケちゃんが色々と下着を買って?しまむらの買い物は終わった。
まだ下着があればうpよろ〜^^
↑嘘ですごめんm(_ _)m
180 :
まさはる:2012/12/24(月) 00:15:25.14
>>178 ありがとう
>>179 ww
いろいろ忙しくてあまり進みませぬ・・ちょっとばかり投下しますね
181 :
まさはる:2012/12/24(月) 00:16:21.06
どのくらいの時間が経っただろうか?お昼を食べて小一時間も経ったか。
いつの間にかシャケちゃんがベットに寄りかかって微かに寝息を立てていた。
みると、口を半開きにして寝ている。その緊張感のない寝顔がなんとも微笑ましかった。
「ふふっ」
と、思わず鼻でクスッとやってしまう。
すると、隣で携帯を弄っていたバービーちゃんが目線を上げ、目が合う。
「寝てるの?」と、おいら。もちろん声は出さない。口の動きだけだ。
「寝てる」
とバービーちゃん。彼女も口の動きだけだ。そして、バービーちゃんもシャケちゃんの寝姿を一目見て、クスッとやる。
おいらもバービーちゃんもそれ以上会話しない。おいらはまた仕事に戻り、バービーちゃんはまた携帯を弄り始める。
182 :
まさはる:2012/12/24(月) 00:16:55.92
それから間もなく、突然、地鳴りとともに震度2か3程度の余震が襲った。
「うわぁ」
おいらは何百回と経験しても地震に慣れることは無かった。思わず声が出てしまう。
バービーちゃんはそれに気づいて体を起こし、あたりを見渡す。
そしてシャケちゃんは、すっと息を吸ったと同時に目を覚まし、目を見開いて動揺していた。
すかさず、「大丈夫?」とバービーちゃんがフォローに入る。
「うん。大丈夫」
大震災は終わっていないという現実に戻される瞬間であった。途端に気が滅入る。
さほど大きくない地震と分かっても、それは変わらない。彼女たちも「結構大きかったね」
などと顔では笑って言っていたが、目は笑っていなかった。
183 :
まさはる:2012/12/24(月) 00:19:25.66
「そろそろお開きにするか」
平時ではないと思うと、当時の風潮も手伝ってか、そういう言葉が出てしまう。
そう思っているのは皆一緒な様で、言葉少なに片づけをし、おいらは彼女たちを送って行った。
自宅に戻ってしばらくすると、一通もメールが届いた。
シャケちゃんからであった。
「今日はどうもありがとうございます(`・ω・´)」
184 :
まさはる:2012/12/24(月) 00:20:21.53
それでは、皆様、またです(`・ω・´)
185 :
恋する名無しさん:2012/12/27(木) 22:24:55.79
まだ来ないか・・・
186 :
まさはる:2012/12/27(木) 23:40:35.27
187 :
まさはる:2012/12/27(木) 23:42:19.77
投下していきます。
翌日もシャケちゃんは早くバイトに出てきた。やはり、ネットがつながる環境は落ち着くらしい。
事務所は、震災以前の自分のいる場所に近いのかもしれない。
その日は教育係になっているバービーちゃんが休みであったが、
パートのおばちゃんやおいらに指示されながら、シャケちゃんはイソイソと仕事をこなした。そして、店の閉店間際になった頃、おいらの友人が二人来店した。
「いらっしゃい。ひさしぶりー」
さして久しぶりなわけでもないのだが、おいらはそう言ってしまう。
震災あとは時間が長く感じられていたからかもしれない。
「ひさしぶりー」
と、二人。二人はカウンター席へ座る。
「福山(おいら。あえてこう呼ばさせて頂く)のとこは地震大丈夫だった?」
そう言った友人の名は高山(仮名)。彼は地元で某団体の長をしている。
震災の後、誰もが交わした会話だ。
「まぁ、なんとかね」
「高山は大丈夫だった?」
高山は、地震は大丈夫であったが、家が海辺なので避難所に避難した時、色々な事を気に掛けながら子供を抱いて寒さに震えながら一晩過ごしたことが辛かったという事だった。
「青木(仮名)のとこは大丈夫だった?」
青木も某団体のメンバーだ。
青木の所は、40インチのTVがやられただけで済んだという事であった。
188 :
まさはる:2012/12/27(木) 23:44:26.94
友人たちが唐揚げと生姜焼きが一緒になった定食を注文し、シャケちゃんがお茶を出す。
「どうぞ」
「お、新人さん?」
と高山が聞く。
「そうそう。ついこないだから来てもらってる」
「かわいい子ジャン」
と高山。
それを耳にしたシャケちゃんは、片付けをしながらこちらの会話を気にしている様で、
ちらりちらりこちらを伺っている。
すると、その様子を見ていた青木が余計な事を言う。
おいらにシャケちゃんの名前を聞くと、おいらを指さし、
「宮内さん、このおじさん、変態だから気を付けてね」
などと、おふざけを言う。
それを聞いたシャケちゃんは、お客様に初めて弄られてなのか、おいらが変態と聞かされてなのか分からないが、
何をどう答えていいのかわからない様子であった。
幸い、軽蔑の眼差しを向けられることは無かった。
おいらたちの周りには、くだらなくも楽しいおふざけを言いあって、
笑っていられる日常が戻ってきており、おいらはそれを嬉しく思いながら、
定食を4人前作る。友人と、シャケちゃん、自分の分だ。
おいらは友人たちが長居することが解っていたので、パートのおばちゃんたちをあげてやる。
189 :
まさはる:2012/12/27(木) 23:45:54.93
この時、おいらは高山と青木が所属する団体が支援の炊き出しと支援物資を集めるという話を聞いた。
「すげー面倒くせー」
などと高山は言っていたが、発案者は高山であった。市内の組織ではコンビニの募金に次ぐ早さではなかっただろうか。高山は照れ屋で天邪鬼なナイスガイなのだ。
シャケちゃんはおっさんたちのくだらない会話や真面目な話を聞いて、
声も出さずに笑ったりこちらに関心を持ちながら片付けをしていた。
それを見て、青木が
「楽しいか??」
と、シャケちゃんを茶化したかと思うと、おいらの方を向き、
「高校生か?」
と、聞いた。
「うん。高校生。この子、福島から原発のあれで避難してきてるんだわ」
相変わらず、おいらは口が軽いというか、すぐに口を滑らしてしまう。
とたんに、シャケちゃんの顔は真顔になり、仕事の手が止まる。高山も青木も真顔で、
何かを言いたげだが言葉が出てこない。
「なにか困ったことがあったら、言ってな」
「大変だろうけど、がんばってな」
二人の言葉は優しかった。
190 :
まさはる:2012/12/27(木) 23:47:08.44
「ありがとうございます」
そう言ったシャケちゃんの目は、すでにうるうるしてた。
「あのあの、あたしなんかは幸せです。」
シャケちゃんは、友人たちが所属する団体が復興支援の為、動き始めたと聞き、
何か思うことがあるからなのだろう、それまでおいらやバービーちゃんがあえて聞かなかったことを、
目を潤ませながらポツリポツリ語り始めた。
シャケちゃんは訴えかけるように、友人らから聞いた話、自分が避難してきたときの話、
その時に見た街の惨状を聞かせる。
TVの報道やネットの情報である程度のその惨状は知ってはいただろうが、
生の声を聴いた友人らは声が出なくなっていた。
後に、友人らが所属する団体が、福島の高校生を支援する事業をする事になるのだが、
それはこの時のシャケちゃんの話があったからなのか、それは知らない。
でもそれはまた後の話。
おいらは出来上がった定食を三つ、カウンターへ並べる。一つは無人の席だ。
「シャケちゃん、今日はここのが良いべ」
うるうるの眼をしたシャケちゃんはこくりと頷き、カウンターへ座る。
おっさん三人に囲まれ目を潤ませる女子高生。傍から見たらおかしな光景なのだろうが、
実にいいものであった。
191 :
まさはる:2012/12/27(木) 23:49:47.27
今日はこれで終わります。
忙しく過ごしておりまして、年内はどのくらい進められるかわかりませぬ。
では、またです。
192 :
恋する名無しさん:2012/12/28(金) 15:16:50.18
おつかれー
待ってるぜ
パンツ脱いで
193 :
恋する名無しさん:2012/12/29(土) 16:22:30.17
194 :
恋する名無しさん:2012/12/31(月) 23:23:10.31
今年も終わりか
明けましておめでとうございます
のんびり待ってるよ
196 :
まさはる:2013/01/03(木) 08:34:36.85
197 :
まさはる:2013/01/03(木) 08:39:14.96
年末年始、あれこれ忙しかったのであまり進んでませんが・・・
シャケちゃんは被災者という立場であったが、現場を見てきたうえで、日常を取り戻しつつあったからなのか、支援の手伝いをしたいという事だった。
「あのあの、あたしにも何か手伝えることありますか?」
シャケちゃんのその申し出に、高山も青木も驚いていたが、
「少しでもいいから、何かしたいんです」
そういうシャケちゃんに、二人はそれならばと、支援物資を集めるので、
出来る時にその受付をしてほしいと頼んだ。
しかし、その支援物資の受付場所は歩いて行くには遠かった。
「どこらへんですかそこ?」
こちらに来て、まだ日の浅いシャケちゃんはその場所がわからなかった。
「昨日行ったしまむらの近くだよ」
そう教えてやると、「え、え」と驚いている。
198 :
まさはる:2013/01/03(木) 08:41:36.65
そこで、おいらは震災の後のガソリン入手困難を受けて、
先走りしすぎて慌てて買ってしまったママチャリを、シャケちゃんに使ってもらう事にした。
「そうだ、おれ、こないだ慌てて買ったチャリがあってさ、それ使わないから、良かったらそれ使ってよ」
おいらがそう言うと、やはり思っていた返事が返ってくる。
「えぇ、悪いですよ」
すると、高山と青木が口をはさむ。
「貰っときなよ。使わないんだから」
と青木。
「宮内さん、遠慮しなくていいんだからねー」
と高山。中学からの友人の二人はおいらの代弁者であった。
「ほんと、いいんですか?」
「貰ってくれると、おれはうれしい」
おいらは震災の後に、米を買いだめしてしまったおばちゃんと同じような行為をしてしまった気がしていて、
ママチャリを有効活用してもらえることはありがたい事であったのだ。
「ありがとうございます。ほんとに助かります」
その後も、おっさん三人との食事をしながらの話は続いた。
199 :
まさはる:2013/01/03(木) 08:43:40.55
この時、シャケちゃんは地元の高校から、こちらの高校に編入する予定だという事を聞いた。
その高校は、バービーちゃんが卒業したばかりの高校であった。
食事が終わり、シャケちゃんが着替えに上に上がる。
すると、シャケちゃんが居た時には口にできないことを話し始める。
「すげー良い子がはいったねー」
「すごいかわいい子じゃん」
シャケちゃんを評価するこの言葉はよかったが、しかし
「お前、あの子の事気に入っただろ?目が違う」
「あの子はまだ高校生だからな。手を出すなよ」
「お前はちゃんと結婚相手見つけた方がいい」
ポーカーフェイスを貫いていたつもりではあったが、バービーちゃんが気づいた様に、
友人たちにもばれていた。
200 :
まさはる:2013/01/03(木) 08:45:58.43
それどころか、この時にはすでに、40を前にして恋愛に億劫になっていたというのに、
シャケちゃんにほのかに恋心を持っていた。
手を出しちゃいけない、そういったことは自分でも分かっていた。
だがしかし、そう思えば思うほど、シャケちゃんの存在が気持ちの中で大きくなっていくのも、
また事実であった。おいらに限ったことではないと思うが、恋愛の感情のコントロールなど出来るわけがなかった。
シャケちゃんが着替えを終えて店の方へ降りてくる。
思わずおいらはシャケちゃんを見てしまう。が、すぐ目を伏せてしまった。
「え?なに?」
とシャケちゃん。
201 :
まさはる:2013/01/03(木) 08:47:22.43
おいらの場合、その視線で悟られるのか、行動が怪しいのか、
隠し事が下手糞なのはこの辺にあるのかもしれない。
そんなことはさて置き、シャケちゃんが降りてくると、
「宮内さん、送ってこうか」
と、青木がシャケちゃんに声をかける。
「え、いいんですか?」
つい先ほどまで、おいらが送っていくつもりであったが、
「俺が送っていくからいいよ」
などとは言えなかった。
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
家路につくシャケちゃんにおいらは
「今日もお疲れ様」
としか、声をかけられなかった。
家路につく3人を見ながら、おいらは高山と青木がおいらの事をなんと話すのか、
その事ばかりが気になった。
202 :
まさはる:2013/01/03(木) 08:49:36.40
三人が帰った後、おいらはカウンターで覚めてしまった定食を食べていると、
シャケちゃんからメールが送られてきた。
おいらはすぐさま携帯を手に取り、メールを開ける。
「今日もお疲れ様です。
自転車ありがとうございます。
店長さんの友達の方もいい人で、あたし嬉しくなりました」
と、メールには書かれていた。
店長さんの友達の方“も”というその文面においらは嬉しく思ってしまう。その時、おいらはガキっぽいなぁ、などと思いながら、自分の気持ちを再認識してしまった。
203 :
まさはる:2013/01/03(木) 08:53:32.06
この辺で終わります
204 :
まさはる:2013/01/04(金) 23:15:02.54
少しばかりですが、投下します
205 :
まさはる:2013/01/04(金) 23:16:38.46
翌日も、シャケちゃんは元気に出勤してきた。昨日と同じように2時間近く早くだ。
これは嬉しくあったが、そのことを指摘されたこともあって、手放しでは喜べなかった。
シャケちゃんが出勤すると、早速、昨晩歩いて帰宅し、その日乗ってきた地ママチャリを見せてやる。
ちなみに使ったのは買った時とこの時だけで、見るからに真新しい。心配なのはその点であった。
「いいんですか、こんなに新しいの貰っちゃって」
「うん。使わないから、貰ってもらえると嬉しい」
「すいません。ありがとうございます」
そう言いながら笑顔を見せるも、やはり、シャケちゃんの顔に少々戸惑いがある様に見えた
206 :
まさはる:2013/01/04(金) 23:17:27.91
何でもない相手であれば、こんな事は気にしない。
だが、おいらはママチャリを押し付けた様な気がしてならなかった。
しかし、事務所へ上がって普通に話し、まったりだらだらしていると、そのことは気にならなくなっていった。
ただ、何気にシャケちゃんの顔を見てしまう機会は昨日一昨日と比べて増えたかと思う。
三時を少し回った頃、バービーちゃんが出勤してくる。
「おはようございます」
と事務所に入ってくると、シャケちゃんを見て満面の笑顔で手を振る。またシャケちゃんはそれに応える。二人はすっかり仲が良くなっていた。
207 :
まさはる:2013/01/04(金) 23:18:58.49
「下の自転車、シャケちゃんの?」
とバービーちゃん。
「うん。店長さんに頂いちゃいました」
「よかったねーシャケちゃん」
すると、シャケちゃんは満面の笑みを見せた。
それを見て、おいらは嬉しくてニヤニヤしたかもしれない。
「店長さんwww」
と、バービーちゃんはおいらを見て意味ありげにニヤついていた。やはり、ニヤニヤしたのだろう。
おいらは見透かされたことが照れ臭く、俯くが、気になる方も見てしまう。
見ると、シャケちゃんもバービーちゃんに意味ありげにみられながら、
照れ臭そうに俯いていた。長く忘れていた胸の高鳴りの瞬間であった。
とにかく、この日は仕事がしづらかったが、閉店近くにさらにしづらくなってしまう。
昨日の友人二人がこの日も来店したのだ。
208 :
まさはる:2013/01/04(金) 23:20:40.68
この辺で終わります
209 :
恋する名無しさん:2013/01/06(日) 11:11:59.35
またね
24時間以内にレスがなければ
バービーちゃんは俺の嫁
211 :
恋する名無しさん:2013/01/07(月) 08:29:57.94
良かったね(^_^)
212 :
まさはる:2013/01/07(月) 20:48:23.68
>>209 きましたよー
>>210 バービーちゃんいい子だぞー
>>211 …まぁいろいろありまして。。
週末忙しかったもんで、ちょっとばかし投下です。
213 :
まさはる:2013/01/07(月) 20:50:13.47
「よっ、バービーちゃん」
と青木。
「いらっしゃいませー高山さん、青木さん、ひさしぶりです」
高山も青木も、ちょいちょい来店してくれるので、バービーちゃんとはだいぶ前から顔見知りだ。
「いらっしゃいませ。あのあの、昨日はありがとうございました」
バービーちゃんはあいさつをしながらお茶を出し、ペコペコとやる。
「ただ送ってっただけだから、そんな気にしないでよ」
と、送って行った高山。
「そうだ、4月には支援物資集め始めるから、お願いしますね」
高山がそう付け加える。
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
そういう会話なのに、おいらは気になってちらりちらりと見てしまう。
バービーちゃんはそのやり取りを見て、おいらを横目で見て、
「www」
214 :
まさはる:2013/01/07(月) 20:51:29.47
これはおいらが自分の気持ち等々を隠すのが悪いのだが、ロリコンと言っていいのか?
何分、親と子程年齢が離れてる故(この時すでに、パチ子とはタメ年であることが解っていた)、
大っぴらにする事も憚られ、自分の感情に自分が弄ばれている状態であった。
バービーちゃんには、その一人漫才状態が可笑しかったのかもしれない。
おいらはポーカーフェースのつもりで悶々としてるというのに、
バービーちゃんはそれを楽しんでいるかのようであった。
この時、おいらは友人二人がバービー化するんではないかと危惧していたが、
二人はそれどころではない様であった。
二人を含めて某団体の人間が四人、明日から被災地支援の現地調査で被災地に入るのだという。
今日はその打ち合わせの帰りだという事で、二人はその続きに様な話をしていた。
215 :
恋する名無しさん:2013/01/08(火) 08:34:36.12
216 :
恋する名無しさん:2013/01/09(水) 00:18:19.77
>>1 あなたは人に迷惑をかけていると気づきなさいね。
217 :
まさはる:2013/01/09(水) 01:08:09.54
>>215 あ、間違えてました…
>>216 迷惑がかからないように、いろいろ手は尽くしているのですが…
少しだらだら長い
219 :
恋する名無しさん:2013/01/12(土) 00:12:27.15
小説みたいで待ち遠しいよ
220 :
まさはる:2013/01/12(土) 23:38:35.86
こんばんわ
最近、少々忙しくて放置しておりました。
>>218 それは自分でも感じてた。うまくいくかわからんけど、すこしばかり
スピードアップしてみる。
>>219 ありがとう
えー、こっちの板に移動してきて、言っていなかったことがあります。
今更なのですが、脚色あり架空の存在ありので、フィクションなってると思います。
このスレは妄想癖のあるおっさんの書いたチラ裏程度に思っていただけたら幸いです。
またノ
221 :
恋する名無しさん:2013/01/13(日) 14:56:31.71
フィクションかよw
>>221 ワロタw
しかし、店長が福山雅治似って時点でウスウス・・・
223 :
恋する名無しさん:2013/01/13(日) 18:20:45.06
>>222 例えば自称、江口洋介似の奴が実は武田鉄矢似だったりするからそのパターンかと思ったんだよw
この作者、ゲーセンの作者だったり…しないかw
224 :
恋する名無しさん:2013/01/15(火) 19:32:06.77
ええっお店やってないの?
225 :
まさはる:2013/01/16(水) 00:02:48.74
>>221 フィクションとなっております。申し訳ない。
>>224 飲食の仕事をしているのは間違いないです。
少しばかりですが、進めたので投下
226 :
まさはる:2013/01/16(水) 00:04:29.76
結局、その日、友人達はすぐに帰り、いつもの様に彼女達は事務所での食事となった。
店の営業も終わり、ここ数日と同じ様に、バイトの彼女たちがお茶などの支度を始める。それと時を同じくして、パートのおばちゃんたちが家路につく。
「おつかれさまですー」
「お先に失礼します」
そう言ったおばちゃんが足を止める。
「あ、バービーちゃん、あたしは明日来ないから、今日が最後だね」
バービーちゃんは明後日の日曜に、両親に付き添われて東京へ上京することになっていた。
「バービーちゃん居なくなると寂しくなるなぁ」
バービーちゃんは言うまでもないことだが、おばちゃんたちにも良く可愛がられていた。
227 :
まさはる:2013/01/16(水) 00:06:28.28
「○○さん、色々とお世話になりました」
「がんばってね。こっち帰ってきたら、顔だしなよ」
そう言われて、バービーちゃんは心なしか目を潤ませているようにも見えた。
この日おいらは、なにかとあたふたとしており、週末の仕込等々が全然進んでおらず、
事務所へ上がっておしゃべりどころではなかった。
飲食店というのは、ブラックな企業並みに仕事が大変だったりする。おいらも例外ではなかった。
先ほど来店した友人達と同じものを用意し、事務所へ持って行ってやる。
「お待ちどう様」
事務所のテーブルの上には、おいらのお茶もしっかり用意されていた。
下へ戻って仕事を続けたかったが、これを見ると、後ろ髪をひかれて腰を下ろしてお茶をすすってしまう。
「ふぅ、つかれたわ」
腰を下ろしたおいらは、そんな事をため息交じりに言ってしまう。
もう一口、おちゃをずずっとすすり、しばし放心。熱いお茶がありがたかった。
228 :
まさはる:2013/01/16(水) 00:09:02.24
「お疲れ様です」
その様を見て、シャケちゃんが頭を下げて言った。
それだけでおいらはちょっと嬉しくなってしまう。バカな大人なのか、幼稚なおっさんなのか、
あるいは純情なおっさんか?それはないな、と、そんなことを考えると、
一人で可笑しくなってしまった。
彼女たちはそんなおっさんのおバカな想像など関係なく、目の前の食事に夢中であった。
「いただきまーす」
と食べ始め、
「おいしいね。おいしいね」
と、顔を綻ばせて食べてくれるのを見て、おいらは満足して、仕事に戻る。
事務所を出る際に、
「バービーちゃん、帰り送ってくか?」
と聞くと、バービーちゃんは空気を読んだのか、
「あ、あの今日はお母さんが迎えに来てくれるので、大丈夫です」
という風に答えていた。
翌日、シャケちゃんとバービーちゃんは、午前の営業が終わるころに店にやってきた。
どうやら二人は、シャケちゃんがバービーちゃんの卒業した高校に編入する予定だと話をしたらしく、バービーちゃんは紙袋に制服を抱えてやってきた。
229 :
まさはる:2013/01/16(水) 00:10:35.66
今日はここで終わります。
230 :
恋する名無しさん:2013/01/16(水) 00:12:32.01
俺 39
彼女 21
来年、結婚するぜ
お前らも頑張れよ!
231 :
恋する名無しさん:2013/01/16(水) 15:36:29.12
俺のシャケちゃんいないって事?
232 :
まさはる:2013/01/18(金) 01:07:28.27
>>230 おお、それはおめでとうございます。よかったですね。
>>231 シャケちゃんはおいらの…何も言わないことにしておきます。
233 :
まさはる:2013/01/18(金) 01:09:42.49
では、投下していきますね。
バービーちゃんは顔見知りのパートのおばちゃんや姉さんに、
「お世話になりました」
と挨拶をしていた。
一方、シャケちゃんは
「こないだ入った宮内です。よろしくお願いします」
と、挨拶をする。
二人は店に一緒に入ってきて、それを同時にやるものだから、可笑しかった。
お昼の営業が終わり、パートさんたちが帰り、おいらが二階へ上がった所で、事務所へ移動となった。
一応事務所なので、おいらが居ないとよろしくないのだ。
「あーこれこれ」
事務所へ入ってすぐに、バービーちゃんが紙袋の中身を開けてみせる。
そこにはブレザーにスカート、Yシャツにリボン等々、制服が一式入っていた。
「ほんと、ありがとうございます」
「よかったら、お古だけど使ってよ」
「わーかわいい。こっち来た時に思ったんですけど、これほんとカワイイですよね」
と、シャケちゃんは喜んで目を輝かせ、それがコスプレーヤーの性なのか、ブレザーを手に取って裏表見てみたり、体に当ててみたりすると、
「着てみていいですか」
と、満面の笑みを見せて言った。
「着てみなよ」
バービーちゃんのその一言で、衣装チェンジが始まってしまった。
234 :
恋する名無しさん:2013/01/18(金) 01:10:44.08
そうして当然なのだが、おいらは婦二人の視線を受けて、事務所を出てタバコを一本。
タバコを一本も吸うと、事務所の中からお呼びがかかり、入ると、そこには少し垢抜けた感じになったシャケちゃんが居た。
「店長さん、どうですか?」
それもコスプレーヤーの性なのか知らないが、シャケちゃんはそう言うと、立ったままくるっと回って見せた。
正直なところ、すごく似合っていてかわいかった。思わず顔が綻んだかも知れない。
「店長さん、惚れ直しちゃったんじゃないですか」
バービーちゃんはそれを見透かしたのか、40近いおいらを茶化す。
おいらはそれを言われたせいもあるが、照れ臭くなって、
「いいじゃん。良く似合ってるよ」
と、シャケちゃんに本音の半分程度しか言えなかった。が、
「ありがとうございます」
と、シャケちゃんは嬉しそうに言うと、またくるっと回ってみせた。
この日はバービーちゃんのバイトの最終日であったが、そんなことは関係なく、
まったりと時は過ぎ、仕事となった。
235 :
まさはる:2013/01/18(金) 01:14:39.95
この日は週末という事もあってか、非常に忙しく、あたふたしているうちに営業時間が終わり、
帰っていくおばちゃんとバービーちゃんは最後の挨拶をしている。
おいらとシャケちゃんはそれを見ながら食事の支度だ。
この日は、冷凍させておいた頂いたイクラを使って、思い出の一品になりそうなシャケの親子丼にした。
バービーちゃんはおばちゃん達と一通り挨拶をすると、おいらの所へやって来て、
「店長さん、あたし、今日は晩御飯いいです」
と言う。
シャケの親子丼は簡単にできるので、この時すでにそれは出来上がってしまっていた。
「え、いいの?」
と、おいらが聞くと、バービーちゃんは何も言わずに俯いて首を振るだけだった。
「え、バービーさん食べないんですか?」
とシャケちゃん。バービーちゃんはそれにも、俯いて首を振るだけだった。
「じゃ、これお土産でもってきな」
おいらはそう言って、シャケの親子丼をラップにくるみ、用意してあった給料と一緒に渡してやる。
「あと、これお給料。ほんと、長い間お疲れ様でした。少しだけど、慰労金入ってるから、東京でおいしいものでも食べなよ」
「あ“りがとうございます」
バービーちゃんのその声は、涙声そのものだった。
「店長さん、ほんと長いことお世話になりました」
バービーちゃんはそう言い始めると、顔をあげる。目に涙をいっぱいため、目を真っ赤にしていた。その顔は一生懸命泣くのをこらえている様に見えた。もしかしたら、食事をしなかったのは泣き顔が見られるのが嫌だったのかもしれない。
「元気でな。東京でも頑張りな」
「シャケちゃんも、短い間だったけど、お世話になりました」
バービーちゃんはそこまで言うと、つぅっと涙を流した。
シャケちゃんを見ると、シャケちゃんはすでにぽろぽろ泣いていた。
「あれ、目か汗が・・・」
バービーちゃんは涙を見せた照れ隠しなのか、ネラーかニコ厨しか口にしないようなことを言った。
「バービーちゃんよくがんばったもんなぁ」
すると、バービーちゃんはぽろぽろ涙を流した。
「あれ、汗が汗が止まんない…」
「何だよ汗ってw」
おいらも目に汗がにじんでしまったので、つい茶化してしまう。
シャケちゃんはそのやり取りを見て、泣いて笑っていた。
236 :
まさはる:2013/01/18(金) 01:15:21.28
今日はここで終わります。
237 :
まさはる:2013/01/21(月) 23:36:45.28
ここ見てる人いるんだろうか…
まぁいい。元より独り言みたいなものだ・・
投下
おいらは、驚きと供に面接にやってきたシャケちゃんの事を思い出す。
面接ではおいらの方が緊張しまくってどもってた事、自ら進んでグリーストラップの掃除をし、
その酷い匂いに顔を歪ませた事、バービーちゃん目当てで来店した、マナーの悪いお客様と険悪な雰囲気になってしまった等々、色々あった。もしかすると、バービーちゃんも同じような事を思い返していたかもしれない。
しかしこんな時は、口下手な男というのは損だ。
「バービーちゃんのおかげで楽しく仕事出来たよ。ありがとう。お疲れ様」
言ってやりたい事はたくさんあった。しかし、おいらの口からはあまり気の利いた言葉は出なかった。
それでも、バービーちゃんはにっこりと笑顔で応えてくれる。
バービーちゃんは何か言いたげであったが、言葉が出ない。
不思議と心地いい沈黙が続き、花を真っ赤にしたバービーちゃんはそれに照れたのか、へへっと笑うと、
手の甲で目の汗をぬぐい、
「ほんと、お世話になりました。今度はお客さんできますね」
そう言うと深々と頭を下げ、泣いている様な笑顔を見せると、くるっと振り向いて小走りでお店を出て行った。
238 :
まさはる:2013/01/24(木) 00:21:25.53
バービーちゃんは店の外へ出ると、一度こちらを振り向き、おいらとシャケちゃんの名前を呼んだか?
何かを言って、手を一生懸命降ると、迎えに来ていたお母さんの車に乗り込み、
楽しく良かった記憶を皆に残し、うちでのバイトを終えた。
バービーちゃんはどこまでも可愛く、いい娘だった。
その後、事務所へ上がって食事となったのだが、やはり少々さびしい感じがした。
事務所でシャケちゃんは、しきりにバービーちゃんに救われた、助けられたという事を口にした。
おいらの見えないところで、バービーちゃんは色々と面倒を看ていたのだろう。流石であった。
おいらはその話を聞きながら、先日電話で話をしたいわきの友人を思い出す。
友人の伊藤(仮名)は20年来の友人。地震、そして原発で屋内退避指示になって打ちひしがれていた。おいらは出来ることをしてやりたかった。
「いわきに行ってこよう」
これまで、おいらの方からは福島の話はしないようにしていたが、唐突に口から出てしまった。
これはB型人間の典型と言われるが、とりあえずその話はおいておく。
「え、店長さんいわき行くんですか?」
「うん。灯油届けてやろうかと思ってさ。友達、灯油が無くてって言ってたからさ」
「あたしも行きたい。良かったら、店長さん連れてってください」
これが違う場所であれば、二つ返事で連れてってやりたい。
しかし、シャケちゃんは原発事故で避難してきている子である。
政府の直ちにとか言っている発表も信用ならない等々、状況を考えると、とても連れてってはやれなかった。
なぜ匿名で悪口書いていたのがバレてしまったのかわからない・・・・ by貴幸
240 :
恋する名無しさん:2013/01/26(土) 18:07:23.49
春はやってくるのに…うぅ〜イエイ
241 :
まさはる:2013/01/26(土) 23:20:01.69
>>239 >>240 どういうこっちゃ??
少しばかりなんだが…投下
「ダメだよ。無理」
「え、どうしてですか?」
それに対しておいらは放射能の説明をする。
「あたしの友達とかはそこに住んでるんです。変な事言わないでください」
シャケちゃんはそうきっぱりと言った。
シャケちゃんのいわきに行きたいという意思は固そうで、何を言っても聞き入れてもらえなそうであった。
事実、いろいろ話したが納得してはもらえなかった。
すべて正論で返される。
そして、おいらはついついつまらない言葉を口にしてしまった。
「やっぱり、子供は連れてけないよ」
すると、シャケちゃんはあからさまに表情を曇らせる。
「都合が悪い時だけ子ども扱いは止めてください」
シャケちゃんの眼鏡の奥の眼光が鋭かった。おいらはシャケちゃんを悲しませてしまった様であった。
「・・・・」
おいらが言葉を返せないでいると、シャケちゃんが続ける。
「あたしにだって、あっちに友達居るんです。その友達に会いにいったって、何かしてやったって・・・」
シャケちゃんは言葉を詰まる。おいらをじっと見ているその眼には、涙がいっぱいたまっていた。
「友達と話して…その子も…」
なかなか言葉にはならないが、涙をつぅーっと流しながら、シャケちゃんは思いをぶつけてくる。
こうなると、おいらは折れるしかなかった。
「わかった。でも、お母さんに断ってね」
すると、シャケちゃんの顔に笑顔が戻る。
「ありがとうございます」
シャケちゃんは高校の友達に会うことが出来ると喜んでいたが、周りの放射脳の騒ぎを見ていると、果たしてそれでよかったのか、よくわからなかった。
242 :
まさはる:2013/01/27(日) 00:14:50.53
翌日、いつもの様にパチ子が肉類の配達にやってくる。
昨晩にでもシャケちゃんから話をされたのだろう、
「福山君、いわき行くんだって?」
と、パチ子は顔を合わせるなり言った。
この頃になると、同じ年という事もあってか、パチ子はおいらの事を君付けで呼ぶ様になっていた。
「うん。いわきの友達、灯油が無いって聞いたんで持ってこうかなって」
「そっか。でさ、うちのシャケ連れてってくれるの?」
この事では怒られるだろうと思っていたので、パチ子のこの反応は意外であった。
おいらは掻い摘んで昨晩の出来事を話してやる。
「シャケ、あたしにも同じこと言ったわ」
シャケちゃんはパチ子にもおいらと同じ様に訴えたのかもしれない。
「それで、いつ行くの?」
「明後日、店休みだから明後日いく」
おいらがそう言うと、パチ子は分かった分かったといった感じで小さく何度か頷き、
「じゃぁ、明後日はよろしくお願いします」
と言って、頭を下げた。そして、
「あんた達、ほんとな仲良いわね」
と言って、意にありげに笑った。
今日はここで終わります
243 :
恋する名無しさん:2013/02/02(土) 16:06:08.00
もう飽きたん?
244 :
まさはる:2013/02/02(土) 22:48:26.93
>>243 おお、見てくれている人がいたのか。良かった。
何も反応無いから、悲しくなってしょぼくれてたわ。
しかし、誤字が多いな。気をつけねば。
というわけで、少々投下
やましいことは何もなかったが、そういう風に言われると、少々バツが悪い。
おいらは40近いおっさんでシャケちゃんは17なのだ。
パチ子のその真意は解らないが、釘を刺されたような気もした。
そうすると、大人しくしていた大人の分別と言うものが顔を出してくる。
「そお、かな?」
おいらはなんとなくバツが悪く恍けてしまう。
「あんた達仲良いって。なんか意外だわ」
パチ子はそう言って、ふふっと笑った。
何が意外なのか、それは聞けなかったが、笑ったことでおいらは安心した。
それと同時に、宮内親子はおいらの事をどう話しているのか、気になった。
パチ子はその後、
「じゃぁ、明後日はよろしくお願いします」
と、もう一度言って、店を後にした。
245 :
まさはる:2013/02/02(土) 22:49:47.48
翌日の深夜に、被災地の現地調査に行ってきた高山と青木に少しばかり話を聞くことが出来た。
二人の話では、やはり交通事情はよくないようで、福島だと5時間近く見た方がいいかもという事だった。
三月の終わりの月曜の早朝、おいらはポリタンクに5本の灯油と
、店から拝借したレトルトの食材と水を用意し、シャケちゃんを待った。
「おはようございます」
シャケちゃんは集合時間より少し前に、大量の支援物資とともにやってきた。
「なんか寒いですねー」
三月の終わりとはいえ、まだ日の上る前の早朝はまだ吐く息が白かった。
「じゃ、行こうか」
シャケちゃんの荷物を後部座席に乗せ、おいらたちは一路いわきを目指した。
246 :
まさはる:2013/02/02(土) 23:23:24.54
今日はもう寝ますので、ここで終わります。
しかし、また地震が多いですな。。。やだやだ。。
247 :
恋する名無しさん:2013/02/04(月) 20:30:16.00
拗ねてないで
どんどん更新しましょうね
248 :
まさはる:2013/02/05(火) 23:30:49.93
>>247 おうよ。
というわけで、すこし書いたので投下
車を走らせてすぐに、
「今日はありがとうございます。なんか、ちょっとデートみたいな感じですね」
とシャケちゃんは笑った。
「デートかぁ…」
車内は灯油の臭いがしているとか、とてもドライブデートには程遠い状態であった。
そしてそれは、しばらく走って茨城の神栖市に入るとさらに遠のく。人づてに聞いて知ってはいたが、
津波と液状化の被害が酷かった。
東北地方の被害の甚大さ故、取り上げられることは少ないが、千葉も茨城も被災地なのだ。
http://youtu.be/xv2kZQH079g http://youtu.be/hShV8XU5Rag
249 :
まさはる:2013/02/05(火) 23:33:06.13
元よりデートではない。
そうなって当然だろうが、お気に入りのかわいい女の子と二人きりでいるというのに、
見えてくる風景が、おいらの話す事を地震津波原発に関連したことばかりにさせた。
北に向うにしたがって、被災状況は悪くなっていく。
それがおいらを震災直後の異様な興奮に似たような状態にさせたのか、
おいらは地震に関連する事ばかり喋り捲っていた。
茨城を北上し、福島に入っていわきに着いたのは、お昼に近い時間になっていた。
いわきに入ってすぐに、おいらは友人の伊藤に連絡を取る。
伊藤は屋内退避指示区域に住んでいて、そこまで来てもらうのは悪いという事で、
何日かぶりに家を出て店の方に来てくれるという事になった。
店はいわき駅からほど近い所にある。
一方、シャケちゃんの方はと言うと、おいらがいわきの駅周辺に行くというので、
駅前で落ち合うという事になった。
そこからまたしばらく車を走らせていわきの市街地に入る。
そこはおいらが知っているいわきとは様子が違っていた。建物などはあまり変わっていない気がしたが、よく解ったのは人影が依然と比べて相当減っていた。そしてやはり、皆マスクをしていた。
見てたなう
251 :
まさはる:2013/02/07(木) 01:07:49.65
>>250 レスサンクス
進みが遅いのは勘弁してくれ
今日もちょっとばかしですが・・
いわきの駅前まで来ると、シャケちゃんが友達に連絡を取る。
「あ、みかちゃん、いま着いたよぉ。みかちゃんは?」
いわきに来て、これから会えるからなのだろう、シャケちゃんの声は弾んでいた。
友達のみかちゃんはすでに駅に着いているという事であった。
おいら達は駅の近くの駐車場に車を止め、駅へ向かって歩く。
悲しいかな、埃などを吸い込まない様にマスク着用でだ。
駅前の駅前交番の所まで来ると、シャケちゃんはみかちゃんの姿を見つける。
「あ、みかちゃん」
シャケちゃんはそう言って早歩きになったかと思うと、
「みかちゃーーん」
と叫び、走った。
「シャケちゃん」
美香ちゃんの方もシャケちゃんの名前を呼んで走っていた。
二人は顔を合わせると、手を取り合い、肩を抱き合って再会を喜んでいた。
おそらく、顔を合わせるのはひと月にもならないはずだ。それにしては大げさなくらい喜んでいた。
それは彼女らが経験した、千葉とは比較ならないくらいひどい震災被害と、
原発事故がそうさせたのかもしれない。
その様は、ドラマの映像でしか見たことは無いが、復員した兵士とその妻みたいな感じであった。
おいらはその姿を見て、シャケちゃんを連れてきてよかったと思った。
252 :
恋する名無しさん:2013/02/08(金) 00:15:49.92
東京の放射能汚染は、チェルノブイリ事故におけるキエフと同程度。キエフで起きたことが東京でも起きる!
http://www.globe-walkers.com/ohno/interview/loganovski.html コンスタンチン・ロガノフスキー氏(ウクライナ医学アカデミー放射線医学研究センターのトップ)が明かす
これから子供たちに起きること被曝は何をもやらすのか−知能の低下、左脳に損傷
(週刊現代 2011年7月16日・23日合併号)
被曝によって、がんや白血病に罹るリスクが増すといわれる。
被曝した子供たちには言語能力、分析能力の低下が見られた。
「事故当時の胎児が、いま23歳から25歳となっていますが、彼らが5〜6歳の頃から私はずっと追跡調査をしています」
チェルノブイリで起きたことと福島であったことはよく似ている。
事故後、最初にヨウ素が放出され、その後セシウムやストロンチウムが検出されるという流れもまったく同じです。
日本でいま最も心配されているのは、胎児や子供たちの健康への影響だろう。
「チェルノブイリには、深刻な内部被曝の被害者は多数います。甲状腺がんや神経系の病気の増加や、言語能力、分析能力の低下も見られました」
女性のほうが放射能の影響を受けやすい
ロガノフスキー氏らの研究チームが11歳から13歳までの被曝した子供たち100人を被曝していない子供たちと比較したところ、左脳に変化が生じていることがわかった。
ロガノフスキー氏は被曝によって白血病やがんの患者が増えるだけでなく、脳など中枢神経もダメージを受けると考えているのだ。
「チェルノブイリ事故の後、その影響でドイツやフィンランドでダウン症の子供が増えたという報告がありました。」
放射線の影響についてもっとはっきりしていることがある。それは「性差」で、氏によれば、「女性のほうが放射線の影響を受けやすいのだ」という。
低線量でも浴びれば健康を害する
では、これから福島や日東京でどんなことが起こると予想できるのか。ロガノフスキー氏は慎重に言葉を選びながら、こう話した。
「女性に関しては今後、乳がんが増えるでしょう。肺がんなどの他のがんの患者も多くなると思います。作業員では白血病になる人が増加することになるでしょう。
ただ病気によって、人によって発症の時期はまちまちです。たとえば白血病なら20年後というケースもありますが、甲状腺がんは5年後くらいでなることが多い」
子供はなるべく遠くへ逃げなさい
「福島や東京にもホットスポットがあるようですが、チェルノブイリでも同じです。
次に大事なことはクリーンな水と食べ物を口にすることです。日本政府が定めている基準より線量が低いからいいというのではなく、
私は完全にクリーンなものだけを摂ることを勧めます。これはあくまでも内部被曝の問題だからです。一度、体内に入ってからでは遅すぎます」
253 :
恋する名無しさん:2013/02/08(金) 09:27:27.14
まさはるは現実もロリコンなの?
見てたなう
255 :
まさはる:2013/02/09(土) 23:24:22.69
ぼちぼち忙しくて疲れたわ。
船坂弘軍曹には及ばないものの、体力自慢だったんだがな・・・
>>253 おいらは否定しているが、その昔、女子高生に見とれてたら、当時の彼女さんに見抜かれて、
このロリコン野郎と罵られたことはあるなw
女子高生のパンチラに遭遇した時も、、心の内を見透かされて、
ロリコンと…
また、金環日食のときに、ネットで見た溶接マスクのしまいがかわいかったんで、
保存したという話をしたら、友人にロリコン認定されたわw
>>254 レスサンキュー
256 :
まさはる:2013/02/09(土) 23:27:03.13
ちょっとばかし・・・
シャケちゃんはみかちゃんとひとしきり喜び合うと、みかちゃんにおいらを紹介する。
「あ、みかちゃん、あたしが今お世話になってるバイト先の店長さん」
シャケちゃんはそう言いながら、おいらの袖をつかんで自分の前に引っ張り出す。
「あ、あの、斉藤です」
「福山です。こんにちは」
「シャケちゃんから色々聞いてます。今日は遠い所をありがとうございます」
みかちゃんはそう言って、頭をペコペコ下げた。目はちょっとうるうるしていた。
個人的な支援ではあるが、来てもらえてありがたいのと、シャケちゃんがおいらの事を良いように話している事が伺えた。
「いやいや、たいしたこと出来なくて…」
おいらがそう言うと、みかちゃんは顔をぶるぶるふるって、
「そんなことないです」
と、きっぱり言った。
おいらはまた嬉しくなってしまった。すこしばかり、心優しきお笑い芸人エガちゃんの気持ちがわかった気がした。
257 :
まさはる:2013/02/09(土) 23:51:59.31
三人の間に、いい感じの空気が流れていたが、おいらたちはそこで立ち話をずっとしているわけにはいかなかった。
悲しいかな、当時のいわきは外出は控えめにしたい所であったのだ。
それにおいらたちはマスクをしているだけ。どこぞの国会議員の様にフルアーマーでもないのだ。
それに彼女たちはまだ若かった。
おいらは友人の伊藤へ電話を入れると、いましがた店に来たという事であった。
そこで、美香ちゃんと伊藤双方に事情を説明し、伊藤の店へ行くことになった。
258 :
まさはる:2013/02/09(土) 23:53:27.37
今日はこの辺で…寝る
またのノ
見てたなう
260 :
恋する名無しさん:2013/02/12(火) 09:01:55.00
261 :
恋する名無しさん:2013/02/12(火) 13:16:59.70
262 :
恋する名無しさん:2013/02/12(火) 16:56:36.06
・
263 :
まさはる:2013/02/13(水) 01:13:02.48
>>259 レスサンキュー
>>262 ??
伊藤は店の中で片づけをしていた。
あの地震がなければ、お昼時のその時間はランチのお客様で賑わっていただろうが、
お客様どころか前に来たときはあったはずの花瓶とか食器、色々な物が無くなっていた。
「伊藤ちゃん」
店に入っておいらは伊藤に声をかける。
「あぁぁーまーちゃん」
伊藤はおいらをマーちゃんと呼ぶ。その伊藤と顔を合わせるのは一年ぶりくらいだったと思う。
その割には何十年ぶりに会えたというか、
生きてまた会うことが出来るか分からない相手に会えたといった感じで喜んでくれた。
おいらは、震災で見てきたものや聞いたこと、背負わされてしまったものが、
自分とはあまりに違いすぎている事を感じた。
とは言っても、久しぶりに会った仲のいい友人。話題は暗いものになるが、しゃけちゃんと美香ちゃんも一緒に、笑顔を交えながら色々話すことが出来た。
やっぱり、シャケちゃんは自分の地元や知人が気になるようで、みかちゃんと伊藤に色々聞いていた。
おいら達は伊藤の店で、持ち込んだお茶とコンビニデザートをつつきながら二時間近くも話しただろうか。
おいらを含めて皆、有意義な時間を過ごせていたと思う。
264 :
まさはる:2013/02/13(水) 01:14:06.70
まだまだ話していたかったが、まだまだその時は余震も頻繁に起こる非常時であり、
あまり長居はしていられなかった。
おいらは持ち込んだお茶とデザートが終わった頃を見計らって、
「俺らはそろそろ帰るよ」
と切り出した。
それを聞いた伊藤もみかちゃんも、しゃけちゃんも寂しそうな顔をした。
もちろん、おいらも寂しかったが、致し方ない。
おいらは店を出てマスクを着用し、車を伊藤の店までまわす。
そこで支援の物資を渡し、伊藤と別れた。
「じゃーね。また来るよ」
「うん。今日はほんとありがとね。助かったよ」
そう言って笑顔でいる伊藤を見て、おいらは来てよかった、と思った。
その後、いわき市内に住むみかちゃんを家まで送る。
涙もろいシャケちゃんはやっぱり、涙の別れをしていた。それを見ながら、おいらはシャケちゃんのお父さんの存在を思い出す。
シャケちゃんからは一度もお父さんの事は聞いたことは無かったが、
肉屋のおばちゃんの話の通りなら、福島にいるはずであった。
美香ちゃんに見送られ、涙目になりながら
「今日はほんとありがとうございました。これてよかったです」
と言うシャケちゃんに、
「あ、思ったんだけど、おとうさんは?少しくらいは時間あるよ」
と言うと、シャケちゃんは黙ってうつむき、大きく息を吸ったかと思うと、
「あの人はいいです」
と、シャケちゃんはきっぱり言った。
なにか、触れてはいけないことに触れてしまった、そういう感じであった。
おいらは次の言葉が見つからなかった。シャケちゃんも口を閉ざし、
二人の間をしばし沈黙が支配する。
265 :
恋する名無しさん:2013/02/13(水) 12:42:04.39
そうなんだァ
266 :
恋する名無しさん:2013/02/13(水) 13:09:45.71
語ろうよ
俺も震災の時のどが渇いてどうしても水飲みたくて探しても無かった
仕方なかったから隣に住む小5女児にお願いしてオシッコ飲ませてもらった
見てたなう
269 :
恋する名無しさん:2013/02/13(水) 22:33:20.31
270 :
恋する名無しさん:2013/02/13(水) 22:45:06.97
■「内部被爆はどうしようもない、福島、埼玉、東京、神奈川、千葉など関東の人は結婚しない方がいい。子供産むと奇形発生率がドーンと上がる」…公益法人会長が講演
池谷会長は、福島のほか原発事故で放射能汚染を受けた関東地方の県名をあげ、地域の地図を示しながら
「放射能雲の通った地域にいた方々は極力結婚しない方がいい」と発言。
「結婚して子どもを産むと、奇形発生率がドーンと上がる」。
「発がん率が上がり、奇形児が生まれる懸念がある」などと話した。
池谷会長は取材に、「被曝で遺伝子損傷と奇形児出産のリスクが高まることを訴えた」と説明。
http://www.asahi.com/national/update/0829/TKY201208290581.html
271 :
まさはる:2013/02/15(金) 00:10:42.98
>>265 そうなんですよ川崎さんw
>>266 ぼちぼちね
>>267 おまわりさーん、ここでーす↑w
>>268 いつもさんきゅー
さて、ちょっとばかしですが、投下
先に口を開いたのは、シャケちゃんの方だった。
「あたし、変な言い方しましたね…」
声のトーンは低い。気持ちの落ちている話し方であった。
「うん。あの人って…」
「店長さん、あまり気にしないでください」
そう言われても、尚更そういう言い方になる理由が気になる。
おいらは三十数年生きてきて、色々な事を見聞きした中に、その理由を探してしまう。
下衆な勘繰りもした。
しかし、シャケちゃんは暗にそのことに触れてくれるなと言っているので、何も聞けなかった。
ただひとつ解ったのは、シャケちゃんには影がある様だ、いう事だった。
その後、シャケちゃんはその話をはぐらかしたいのか、いろいろ話をする。
4月になったら支援物資の受付をすること。
これも4月になったらだが、バービーちゃんの卒業した高校の編入試験を受けること。
これは初耳であったが、いつまでもおばさんの家に厄介になれないので、
近くアパートを借りて引っ越す、という事だった。
「引っ越しても、まだまだお世話になりますんで、よろしくお願いします」
この話をする頃には、いつものシャケちゃんに戻っていた。
しかしおいらの頭の中はそのままで、見聞きした話と妄想が入り混じり、
その理由がおかしな方向へ行っていた。
まさに、下衆の極みであった。
272 :
まさはる:2013/02/15(金) 00:11:58.22
悶々とするおいらをよそに、ポツリポツリ喋っていたシャケちゃんは、
流石に疲れたのか、いつの間にか眠ってしまっていた。
社内の暖房が少し強いからなのか、シャケちゃんは頬を少し赤らめ、
穏やかな寝顔でスースーと寝息を立てている。
その穏やかな寝顔はおいらの想像とは正反対のもので、それを見ると自分の考えていた事が、「そんなわけないわ」と打ち消されていく。と同時に、おいらは40近くになるというのに、厨二的な妄想の暴走をした自分を恥じ入った。
273 :
恋する名無しさん:2013/02/18(月) 03:12:55.69
変態的な妄想してんの?
274 :
まさはる:2013/02/19(火) 22:59:17.43
>>273 その昔、高校教師ってドラマがあってだね、峰岸徹と桜井幸子が・・・
噂話なんだが、知り合いの知り合いに、そういう、なんだ、どこの民族だよっていうのがいてねw
275 :
まさはる:2013/02/19(火) 23:01:38.45
帰りは思ったより順調に車は進み、暗くなってくるころには自分の生活圏内にまで戻ることが出来た。
そういうところまで来ると、ホッとするのかずっと運転していた疲れと、
早起きの影響がどっと出てくる。
小腹もすいたし眠気もある。おいらは少し休みたくて、ファミレスへ車を進めた。
駐車場に車を止め、水戸のあたりからずっと寝ていたっシャケちゃんを起こす。
「シャケちゃん、ちょっと起きて」
寝ているところを可哀そうだと思ったが、致し方ない。
「・・・・・」
以前、シャケちゃんは居眠りした時、余震で目を覚ましたが、おいらの声には無反応であった。
寝の強いタイプなのかもしれない。
「シャケちゃん」
名前を呼んで肩をポンポンと叩いてやると、シャケちゃんは目を覚ました。
276 :
まさはる:2013/02/19(火) 23:03:11.66
シャケちゃんは少々寝ぼけ気味なのか、今いる状況が飲み込めない様子であった。
そして、起こされたことを嫌ってか、ちょっと怖い顔をした。
「ちょっと休んでいかない?」
怖い顔をされたので、おいらは少しニヤついていたかもしれない。すると、
「なんですか、どこですかここ?」
と、シャケちゃんは強い口調で言った。
まだ少々寝ぼけていたシャケちゃんは、ニヤついたおいらの言葉、節電で暗くなった駐車場。
ファミレスの看板も見えず、それらから、どうやら男女が関係を持つ場所に
連れて来られてしまったと勘違いしてしまったかもしれない。
「え、え、え、なんですか?」
シャケちゃんは明らかに動揺していた。
おいらはそれで、勘違いしているのだなと察したが、そのことは口にせず、
「ここガストだよ」
と、教えてやった。
するとシャケちゃんは、まだ少し寝ぼけているのか、少し間を置いて、
「え」
と、言葉を発すると、アチャーという顔をして俯いてしまった。
その様子は先ほどのおいらと一緒で、恥じ入っている様であった。
しかしその様子はおっさんのおいらとは違って、年頃の女の子らしく、可愛らしかった。
277 :
恋する名無しさん:2013/02/21(木) 10:45:04.65
話が進まないからガストじゃなくて
そういう所に変更したら?
278 :
まさはる:2013/02/23(土) 00:26:17.02
パンツ脱ぐ話が好きなのかね?
話が進まないのはすまないね。腕が…
今回は、さらに話が飛ぶんだ…
279 :
まさはる:2013/02/23(土) 00:26:54.34
シャケちゃんは先ほどの一件で気変わりしたのか、ガストでご飯を食べながら、
「あの、あの、あの人って言ったのは…、あの、実の父親じゃないんです」
と、教えてくれた。
「あたし、好きじゃなくて」
とも言っていた。
おいらの見たところ、他にも何かある感じがしたが、シャケちゃんはそれ以上何も言わなかった。
前にも書いたも解らないが、やはりシャケちゃんはどこか陰がある子だった。
影がある子・・・おいらが初めて付き合った彼女さんも、陰のある子だった。
その元カノさんの影響なのか、おいらはどこか陰を感じさせる子に魅かれるところがあった
話は少しそれる。おまけ程度の考えておいてくださいな。
280 :
まさはる:2013/02/23(土) 00:29:18.02
おいらは19の頃、東京で学生をしていた。
当時のスペックを言えば、183センチの100K。上京したての頃は120あって少しやせたとはいえ、所謂デブ。ニコ厨的に言えば、ピザ。
もちろん、そんなんだから彼女等いるわけもなく、街ゆく人、
クラスメイトやバイトの同僚に思いを巡らすも、どうせデブだからどうせ…と
劣等感のあったおいらは、具体的な行動に出ることもなく、19年も童貞をこじらせていた。
転機が訪れたのは、ある秋の日の事だった。その日、おいらはいわきの友人、伊藤と入寮していた寮の近くの居酒屋で楽しんでいた。
「福山は早く女を知った方がいいよ」
常々そういうことを言っていた伊藤とその話になり、気分がよくなっていた伊藤は何を思ったのか、隣の席で飲んでいた女性二人に声をかける。
「こんばんは」
伊藤はまるで知人と話すかのように話をした。
おいらは何をしていいのかわからず、自分の席でオロオロとその様子を見守る事しか出来なかった。
281 :
まさはる:2013/02/23(土) 00:30:12.92
伊藤が何をどうはなしたかは知らない。
お酒で少し頬を赤らめている女性二人は、ご機嫌な面持ちでおいらのいるテーブルに籍を移す。
伊藤は所謂ナンパをしたのだ。その伊藤の力によって、ナンパの第一段階は突破した。
この頃のおいらは、高校の頃とは違ってバイト等の経験も積み、
女性とも近著せずに話せるようにはなってはいたが、ナンパは初めてで、
何をどう話したらいいのか訳が分からなかった。が、伊藤がその辺の事は上手くやってくれた。
彼女たちはおいら達より年上で、二人とも23歳。同じ不動産屋で事務員をしているのだという事だった。
その女性たちと一緒になって30分もした頃、
「福山、どっちがいい?」
と、伊藤がこそっと聞く。
おいらは迷わず、自分の目の前にいる、落ち着いた感じの、どこか松下由紀を連想させる子がいいと言った。
その子は、仮名由紀とします。
282 :
恋する名無しさん:2013/02/23(土) 03:05:22.05
_,,、 ─‐'''''''''''''‐.、.っ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
,、‐'`::::::::::::::::::::::::::::::::::`、 っ | |
,r.'::://:::::i:::::::::::::::::::::::::::::::ヽ っ |
>>1の母です。 |
,/::::::/:::;':i::::::!:::::::::::::::::::::::::::::::::゛、 | |
/::i:::::!i:::::::i:::::::i:::::::::::::::::::::::::::::::::::i | ・・・ごめんなさい、 |
l:i:i::::l_,|l::!:::i、:::::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::l .| 軽い気持ちで. |
!l::!:::|=、゛!`、!`ニ 、::`:::、::::::::::::::::! | このスレをのぞいた |
ヽ:!:l|  ̄`u`、:::::::::::::::::::::::ノ | 私が馬鹿でした。 |
|{l 〈 u l:l`irr、:::::::::< _ノ こんな糞スレを |
. |ハ 、,,,__ リ ,ヒノ:::::::::::::', . ̄| こっそり立てていたなんて !!|
/7'i、`='" u ' !;::::::::::::::ノ | 私が今日 |
. iY/,/,ヘ:、_,、‐'` `'---'" | このスレを読んだこと、 |
!', , , ノ l ヽ u / | |
>>1 には |
. 〈 ' ' ' / :l `i、 ,/ l | 黙っておいてくださいね。 |
i 'i | !, ,/ l. \___________/
283 :
まさはる:2013/02/27(水) 00:14:47.01
>>282 お、このスレ初のAA
でも、糞スレハ事実でも、そのAAはきついな。凹むわ・・
でも、めげずに投下
伊藤はおいらが由紀狙いという事を確認すると、もう一人の女性(亜里沙としておきます)
とばかり話す。あとは自分でやれ、そんな感じだった。
こうなると、おいらはまたどうしていいかわからなかったが、由紀が話し上手で聞き上手だったおかげで、場は持った。
おいらは緊張しながら聞かれた事に答えてばかりいたが、
どういう訳か、由紀はそれを面白いと言っておいらの話すことを喜んで聞いてくれた。
一緒になって一時間もしただろうか、女性たちがお酒でいい感じになってきたころ、
「亜里沙ちゃんそろそろ帰るっていうからさ、おらちょっと送っていくから」
伊藤はそう言う事を言って、おいらを一瞥してニヤニヤっとすると、亜里沙ちゃんと夜の闇に消えて行った。
おいらはエールを送られた気がした。
284 :
まさはる:2013/02/27(水) 00:17:55.40
伊藤はこの後、送っていくのだろうが、それだけではないだろう。セクロスまでいくのか?
そう思うと、自分にも欲が出てくる。19の盛りのついている頃である。しかも童貞。
おいらの頭の中はエッチな事で一杯になった。
伊藤が帰ってしまったので、おいらは頼る所がなくなり、生きてきた中でセクロス一番に近づいたこともあってか、どうも落ち着かなくなってしまった。
「ふ、二人になっちゃいましたね」
落ち着かず、緊張のせいかおいらはどもってしまう。
由紀は酔ってはいてもそれに感づく。
「どうしたの、福山君」
由紀のおいらを見る目が少し変わる。
元々隠し事が下手なおいらだ。頭の中をエッチな事に支配され、おいらはいつの間にか挙動不審になっていた様でもあった。
「え、どうしたのって?」
由紀を口説きたい、そう思っているのに、旨いセリフが出てこない。
「なんか、おれ変??」
それどころか、童貞なおいらはそんな気などないように装ってしまっていた。
当時、おいらのその手の指南書的な物は、アダルトビデオだった。
少なくとも、要所ばかり見ていたおいらに、AVは女性の口説き方など教えてはくれなかった。
285 :
まさはる:2013/02/27(水) 00:18:53.65
「さっきから思ってたんだけど、由紀さんて、す、すごい綺麗ですよね」
女性を口説くには、とにかく褒めることしか知らなかったおいらは、唐突にそう言ってしまう。
「・・・・」
そのおいらの言葉に対して、由紀は無言であった。
おいらは、しまった…と思ったが、由紀は不思議と嫌な顔もをしていない。
それどころか、少し微笑んでいる感じだった。
おいらは安心したが、次の言葉が見つからない。
「・・・・・」
由紀の方も何も言葉を発しない。無言のままだ。
どうする事も出来ずに、おいらは自分の思いをぶっちゃけるしかなかった。
「一目ぼれしちゃいました」
下心は隠したが、本心であった。
自分の話を面白いと聞いてくれる、きれいなお姉さんに、おいらは恋心まで抱いていた。
そのストレートな言葉が功を奏したのか、ニコッと微笑むと、
「あたしなんかの事、口説いてくれるんだ」
と、嬉しそうにした。
286 :
まさはる:2013/02/27(水) 00:21:30.01
今日はここで終わりますね。
287 :
恋する名無しさん:2013/02/27(水) 00:32:12.43
つまんないしきもいです。
面白くなってきた――!
続き待ってるからww
289 :
恋する名無しさん:2013/02/28(木) 15:24:50.64
シャケちゃんはよ
290 :
まさはる:2013/03/01(金) 01:01:57.36
>>287 残念です…
>>288 おお、ありがとう。ぼちぼちやってきますね。
>>289 この番外編みたいな話は、シャケちゃんの話とつながるので。
シャケちゃんはしばしお待ちを
291 :
まさはる:2013/03/01(金) 01:03:36.51
では、すこし投下
「はいっ」
ぶっちゃけたからなのだろう、気持ちは少し楽になったが、
おいらはかしこまって返事をしてしまった。
それは、目の前で微笑んでいる女性が、東京に住んでいる綺麗なお姉さんで、
千葉の田舎から出てきて半年の童貞なおいらにはハードルが高く思えたからなのかもしれない。
口説く宣言を由紀にしたおいらであったが、なかなか次の言葉が見つからない。
由紀はやさしい眼差しでおいらを見ていた。
「今日はバイトの給料が入ったから、伊藤とのみに来て・・・」
何を話したらいいのか訳の分からないおいらは、正直に今日こうなるに至った経緯を話し始める。
「そしたら、伊藤がいきなり由紀さんたちに声かけて…二人とも綺麗だし、伊藤が俺に気を使ってくれた…」
おいらはそこで口籠ってしまった。その先になる言葉は、正直に言えば、
早く童貞は卒業した方が良い、そういう言葉に行きつくのだ。それはなかなか言いづらい。
「ん、なんで伊藤君は気を使ってくれたの?」
そう言った由紀の眼差しは、変わらず優しかった。年上のお姉さんの魔性に満ちていた。
お姉さんの魔性、恥ずかしいことをしたり、言ったりしても、優しく受け止めてくれる様な、
甘えられる様な安心感と言えば分りやすいか?
お姉さんの魔性にやられたおいらは、またぶっちゃける。
292 :
まさはる:2013/03/01(金) 01:04:48.08
「おれ、彼女とか居たことなくて、伊藤は早く彼女作って、遊びに行ったり、
エッチとかも早くし経験した方が良いよって言ってて」
口の軽いおいらは暗に童貞だと言ってしまったが、由紀は変わらず、優しい眼差しのまま、
うんうんと聞いてくれている。これには安心した。コンプレックスだったのだ。
「今日もその話になって、そしたら、伊藤がいきなり突撃して…」
「良い友達ジャン。それで?」
「うん。伊藤には感謝してる。それで…」
おいらはまた口籠るが、由紀の優しい眼差しを見ている。
おいらの発する言葉を楽しんでいるかの様だった。そして、おいらは意を決する。
しかし何を言っていいかわからない。おいらは確実にテンパっていた。
「でね、由紀さん綺麗だしいい人だし、なんか俺その気になっちゃって…由紀さんとやりたい。です」
おいらのその言葉は、口説くにしては、あまりにも性急。しかも露骨。全く良い所が無く、最悪であった。
これには由紀も驚いていた。
「ごめんなさい」
ふと我に返った感じのおいらは、つい謝ってしまう。
293 :
まさはる:2013/03/01(金) 01:07:34.93
当然のことながら、OKの返事はもらえなかった。このチャンスも終わったかに思われたが、
意外と現実は甘かった。
由紀は隣の席のサラリーマンに話を聞かれてるみたいで恥ずかしいから、場所を変えようと、コソコソっという。
さらに、おいらの所は住込みの寮長のいる女人禁制の学生寮なので駄目だから、散らかってるけど、あたしんちで良ければ来る?と言う。
おいらはありがたくお邪魔させてもらう事にした。
由紀の家は意外と近く、歩いて行ける距離だった。
歩きながら話をする。口説くのは、また一からやり直しになった感じだった
あと少しで由紀の家の所で、由紀は思い出したように、おいらに告白をした。
「あのね、嫌われちゃうかと思って言ってなかったけど、あたしバツイチなんだ。子供はいないけどね。そんな女なんだ…」
おいらは少し驚いたが、由紀に対する気持ちは変わらなかった。気になったのは、他にも何か言いたげであったことだ。
294 :
まさはる:2013/03/01(金) 01:09:08.72
今日はここで終わります
295 :
まさはる:2013/03/08(金) 00:24:24.31
とりあえず、投下…
何はともあれ、由紀の部屋にお邪魔する。散らかっていると聞いたが、
綺麗にかたずけられた部屋だった。いい匂いもする。女性の部屋というその空気感と、
自分がこれからしようとしていることを思うと、中学の体育祭以来
、女子と手も繋いだ事もないおいらを緊張させる。
「福山君、座って」
そう言われて、おいらは腰を下ろす。テーブルに向って、二人で並んで座り、
こちらへ来るときにコンビニで買ったビールでもう一度乾杯をする。
「乾杯」
乾杯はしたものの、おいらは部屋で飲むつもりなどなかった。
テンションは居酒屋でやりたいと言ったその時と同じだった。
だがしかし、何をどう話したらいいのか、わからない。自分の部屋に招き入れてもらって、
さっきより確実に身近になっているというのに、何もできない自分がもどかしかった。
由紀と話をしているが、おいらは上の空だった。
由紀に心を奪われていたおいらは、空返事をしながら由紀をじっと見てしまう。
「ん、なに?」
「由紀さん綺麗だなーと思って…」
おいらは自分のそのままを言った。何気なく言ったのだが、それがスイッチだった。
「ありがと」
そう言った由紀が、明らかに緊張してきているのが解る。女性を始めて口説くおいらでも、
ここで行かなければいけないというのはよく解った。
296 :
まさはる:2013/03/08(金) 00:25:35.50
「あの…」
だがしかし、上手い言葉が見つからない。もう、そのままを言うしかなかった。
「一目ぼれしちゃいました。由紀さんの事が好きになりました」
「でも…」
そこまで言いかけたところで、おいらは口をはさむ。
「俺は、今の由紀さんが好きです」
言ってみて分かったが、惚れた女に、その思いをそのままいう事は、意外にたやすい事だった。
「福山君…」
由紀はそれ以上何も言わず、おいらをじっと見つめる。それが男の性なのだろう、おいらは唇を奪いたくなった。
「キスしていいですか?」
何もかも初めてのおいらは、そんなことも口にしてしまう。
由紀はそれと分かったのか、クスッと笑うと、うんうんと頷き、
手を広げておいらを懐に招き入れてくれた。由紀の体は、細く柔らかだった。
抱き合い、照れ臭くなるほどまじかで見る由紀の顔が色っぽい。
胸の高鳴りが尋常ではなかった。もしかしたら手が震えていたかもわからない。
それでも、そっと顔を近づけていくと、由紀は目を閉じる。おいらは迷うことなく、唇を重ねた。
297 :
まさはる:2013/03/08(金) 06:59:24.04
「ちょっと待って…貴方口が餃子くさい……」
そうだった、俺は伊藤とさっきまで餃子食べてたから臭いはずだよ。
「すみません!今ガムかじります!」
「もう…いいよ、なんか気分がのらなくなった」 俺はなんて馬鹿な事をしたのか後悔した。
「じゃ、俺帰ります」
惨めだった、悲しかった、辛かった、アパートの玄関まで向かうその姿はさぞかしコッケイだったろう。
「あのさ!女の子口説く時とかsexする前に臭いのある物食べるとかあり得ないから」
由紀はそれ以上何も言わず、俺が玄関を出るのをただ見てるだけだった。 「おじゃましました」
俺は玄関を出て歩きながら興奮状態のせいなのか汗がすごい流れてきた。
298 :
まさはる:2013/03/08(金) 22:54:22.92
お、おいらの成りすましがいるw
文面までちょっと似せて書いてる。でもちがうなw
>>297 長文乙
これって、2ちゃんの洗礼を受けてるってことでいいのか?w
299 :
恋する名無しさん:2013/03/10(日) 02:44:12.61
完全に騙された
少し違和感あったけどなんの疑いもなく信じてしまった
301 :
まさはる:2013/03/13(水) 00:57:11.19
>>299 300
本物でございます。読んでくれたありがとうね。
すこしばかし投下
初めて接した女の子の唇は、やわらかだった。
初めての口づけは、おいらの由紀に対する思いをさらに強くする。
と同時に、欲望も強くなる。経験がなく、イメージトレーニングばかりに勤しんできた
19歳のおとこであるが、経験の有る無しに関わらず、男は惚れた女にはこうなるだろう。
二人でじっと見つめあい、おいらの方から口を開く。
「おれ、幸せです。でも、もっと親しくしたい・・・」
おいらは自分の欲望に正直だった。上手い口説き文句でではなかっただろうが、
由紀はそれに微笑んで答えてくれる。
おいらの胸はさらに高鳴る。受け入れてくれたと解釈できたからだ。
おいらはおぼつかない手付きで由紀の肩を抱くと、もう一度唇を重ねる。
だが今度は指南書でイメージトレーニングした通りに、さっきより親しい行為ディープキスをする。
由紀は何も抵抗しなかった。それどころか、手を首に巻き、おいらの動きに合わせるように、唇を合わせてくる。
おいらは迷うことなく、欲望の赴くまま行動した。
唇を奪えば、当然の様に服や下着ない姿が見たくなるし、それに触れたくもなる。
おいらはシャツのボタンに手をかけた。そして、ボタンを外そうとするが、
これがなかなか上手くいかない。それが焦りを呼び、さらに上手くいかなくなる。
それでもボタンを一つ外す。とここで、由紀はすっと立ち上がると、ベットに腰を下ろした。
「おわた・・・・」
それだけで、何もかも初めてなおいらはそう思ってしまう。
初めてなので、チョッとした事で一喜一憂してしまうのだ。
「初めてだもんね」
由紀はおいらにそう言葉をかけると、思いもよらない行動に出た。
自分でボタンを外し始めたのだ。そしてボタンを全部外すと、シャツを脱ぎ、
恥ずかしそうにしながら、ブラまでとる。そして乳房があらわになった。
猛烈に口が渇き、おいらは生つばを飲み込みながら、由紀に見とれていた。
初めて見る惚れた女の乳房の美しさに、おいらは言葉も出なかった。
「やだ、そんなに見ないでよ、恥ずかしい」
そう恥ずかしがる由紀が可愛らしい。
「ごめん、だって、綺麗なんだもん」
ごめんと誤ったが、おいらの目は釘付けで、目が離せなかった。
由紀は恥ずかしいからと電気を消すと、
「いいよ」
と、ポツリと言った。
おいらはその言葉を聞いて、ベットに腰掛ける。そして常夜灯の明かりの元で、
由紀に口づけをし、ベットに押し倒した。
302 :
恋する名無しさん:2013/03/13(水) 04:37:52.29
303 :
恋する名無しさん:2013/03/13(水) 14:46:48.59
したかしてないだけ書けばわかるよ
304 :
まさはる:2013/03/16(土) 23:28:06.08
>>303 どういうこと??
忙しいっす・・・
しかし過疎ってるなw
少しばかしですが、投下
おいらは乱暴に自分の上着を脱ぎ捨てる。
おいらはかなり興奮状態にあった。
それでも、指南書や友人の体験談を見聞きしたのを思い返しながら、由紀を喜ばし、
自らも喜びを得るべく、一生懸命あんなことやそんな事、こねくり回して鷲掴みしたのだが、
由紀の口からは期待した言葉とは真逆の言葉が聞かれた。
「福山君ごめん、ちょっと痛い」
由紀はそう言って、少し顔を歪めた。
おいらが指南書としていたAVは、エッチのハウツー的な物ではない。それを見る男を喜ばすためのもの。
さらに、若い男と言うのは、性に対して派手な立ち回りを語りがちである。
友人の体験談も、指南書と似たようなものであった。
鵜雛おいらはそんなことなど解るわけもない。さらに、一生懸命やったものだから、事は悪い方へ進んだのだ。
「おわた・・・・」と、おいらは落胆した。
なにぶん、初めての大事な体験故、一喜一憂してしまうのだ。
「ごめん…」
おいらは体を起こし、ベットに腰掛けて肩を落とす。
由紀はそう言う事が癖なのか、おいらの手を弄る。
「ごめん、下手糞で…」
おいらがそう言うと、由紀も起き上がる。
「ううん、そんなことないよ。でも、もう少し優しくして」
由紀はそう言うと、ほっぺにチュッとやった。由紀の顔には、お姉さんの魔性が戻っていた。
全く、世話の焼ける童貞であった。そんなことはともかく、おいらはすぐに元気になって、
また由紀を押し倒す。今度は冷静になって、優しくいたわるように、あんな事やこんな事、
撫でまわしてチュチュチュだ。
305 :
恋する名無しさん:2013/03/22(金) 19:34:56.38
スレ主来ずで盛り上がるわけないw
306 :
まさはる:2013/03/22(金) 23:53:57.99
>>305 呼んだ?w
すこしばかしですがね、投下
するとどうだろう、由紀はおいらのする事に吐息をこぼしながら、おいらを褒める。
童貞のおいらに世話を焼いてくれて演技などをしてくれているのだろうが、
そんなことは解るわけもなく、おいらは歓喜した。
そして、はやる心を押さえながら、その手を下半身へと進めていく。スカートと下着を脱がし、
自分もジーンズとパンツを脱ぎ捨て、大事な所、一番敏感であろう場所へ手を進めてゆく。
由紀の体の中は、驚くほど熱かった。
おいらの指が動くたび、由紀は体をよじらせ、声を微かに出して反応する。先ほどまでは、
おいらは教えられる様な立場にあったが、対等な関係になった気がした。
常夜灯の明かりの下で、身悶える由紀は驚くほど綺麗だった。そうさせている自分。
その雰囲気に、おいらは酔った。それがセックスと言う行為が持つ力というやつなのか、
おいらの口から自分では信じられないセリフが出てくる。
「由紀さん、きれいだよ。世界で一番きれいだ」
すると、由紀は色っぽい顔に笑みを浮かべ、
「福山君、ねぇ、福山君」
と、二度おいらの名前を呼んだ。
由紀が何を求めておいらの名を呼んだか、それは」童貞でもすぐに分かった。
胸の鼓動がたかなる。おいらはそれを感じながら、ゆっくりその感触を噛みしめながら、
由紀の中に入って行った。
そしておいらは童貞を卒業した。
由紀は顔を赤らめて、悦楽の表情を浮かべ、おいらに身を任せる。おいらにも快感と、
由紀を喜ばせているのだという満足感が襲う。
おいら達は言葉も交わさず、ただ見つめあうだけで、快楽をむさぼった。至福、いや、それ以上のひと時であった。
楽しい時間というのは時が過ぎるのも早い。何分初めてだし、避妊具をつけなかったというのもある。
その時が来るまであっという間だった。
特別強い快感がおいらを襲い、この時ばかりは指南書にならって、由紀の上で果てた。
あんなことやこんな事、パンパンパンでみこすり半になってしまい、おいらは早いことが気に係ったが、
おいらの腕の中で小さくなりながらおいらの顔をつねったり弄っている由紀を見ると、
それは気にしなくてもよいのだと思えた。
307 :
恋する名無しさん:2013/03/25(月) 22:39:35.58
影がある女の子がすきなのと
細かい描写の童貞卒業がどうつながるかが楽しみだ
308 :
まさはる:2013/03/26(火) 18:48:13.59
>>307 レスサンキュー
ほんの少しですが…
男が賢者となる時間、惚れた女が生まれたままの姿で自分に身を預けているというのは、
他では味わえない幸せな時間であるという事を、おいらはこの時知った。
おいらは由紀に意味もなく顔を弄られながら、伊藤が言い続けてきたことの意味を知り、
そして感謝した。
まったり心地いい時間が流れる。取り留めもない会話が楽しい。
「福山君やせたら、福山なんとかっていう芸能人に似てるかも」
ゆきがおいらのほっぺを引っ張りながら、そう言う。
「誰それ?福山って?」
当時、おいらは福山雅治がどんな人だか知らない。
「かっこいいよ」
その一言だけで、おいらは今まで痩せようという気にもならなかったのに、
痩せたいという願望が生まれた。本気で腹の肉が憎らしく思えたのは、初めてだった。
おいらは由紀と知り合って女を知り、変わった。それは遅まきながら、東京デビューした瞬間でもあった。
おいらは由紀に惚れて、愛おしくて、どうしても由紀を彼女にしたくてたまらなくなった。
309 :
まさはる:2013/03/28(木) 00:23:33.05
「あのぅ、由紀さん、おれ、由紀さんを彼女にしたい。付き合ってください」
多少改まったが、男女の仲になったという事もあってか、おいらの口からそういうセリフが案外簡単に出た。
男女の関係になった、その事実が、おいらにいい返事を期待させたが、由紀の口からは思っていなかった返事が聞かれた。
「あたしなんかより良い子いっぱいいるでしょ。あたしなんかでいいの?あたし…」
由紀はそこまで言うと、口を噤んだ。また先ほどと同じ様なセリフだ。
影があり、今度は迷いも感じた。
意に反したセリフを聞いたが、おいらの気持ちは全く変わることは無かった。
「おれは由紀さんしか考えられない」
「なんで?」
「好きになった」
おいらは上手いことは言えなかったが、ありのままを喋って、押して押しまくると、由紀は笑顔を見せて、いい返事を聞かせてくれた。
「あたしなんかで良かったら、よろしくお願いします」
こうして、おいらは由紀と付き合うようになった。
由紀と付き合うようになって、おいらの生活、おいら自身もは激変した。恐ろしく忙しくなったが、それは充実したものであった。
時間が許せば由紀と会い、週末はバイトが終わったら由紀の部屋へ直行して、寮には帰らづ外泊。
私生活が充実すると、仕事にも精が出るもので、バイト先では親方に認めてもらえるようになり、
バイトのリーダーの様になった。
朝は、由紀に煽てられ褒められ乗せられて、通学の時に二駅ほど歩くようにし、
大好きだったスナック菓子を止め、日々の忙しさも相まってか、三桁あった体重は二月ほどで70キロ台まで落ちた。
これで困ったのは、着れる洋服がなくなったくらいである。
なんというか、当時の言葉でいうならば、由紀はあげまんであった。
310 :
まさはる:2013/03/30(土) 00:31:35.53
寝る前に少しだけ・・
由紀との交際は順調であったが、気になったことがある。おいらが浮気をした時の事だ。
減量に成功して、おいらに対して女子の見る目が少し変わったのを、
もてたという前歴がないおいらはそれをモテる様になったと錯覚し、
調子に乗ってしまった。気持ちが浮ついてしまった。
相手は学校の同じクラスの女子。当然のことながら、すぐに由紀にばれた。
おいらは上手くごまかしたつもりであったが、女の勘というのは恐ろしいもので、
すぐにばれた。
他にもおそろしい事があった。由紀の態度だ。、おいらは由紀がどんな態度をとるのか、全く解らなかった。
泣かれるのか、それとも罵られ怒られるのか、別れを切り出されるのか。しかしじっさいはそのどれでもなかった。
由紀はひたすら謝り続けるおいらを相手に、実に淡々としていた。
それどころか、少々楽しそうでさえあった。
おいらは由紀の掌で転がされていただけなのかどうなのか、それは知らない。ただ、由紀が怒りも泣きもしなかったのは、すごく気になった。
結局、おいらは由紀に許してもらい、元のさやに納まった。
311 :
恋する名無しさん:2013/04/01(月) 23:51:57.00
1
お前実はイケメンだろ!
312 :
まさはる:2013/04/02(火) 23:40:36.98
>>311 お、レスが。サキュー
イケメンだったらなァ…
鏡見ると、どの角度からでも角度詐欺できなくて悲しくなるんだが
番外編を書き終えて、投下するつもりだったんだが…
とりあえず、投下
そんなこともあったが、幸せな日々を送った。正月には、バイト代を貯めて二人で旅行した。
おいらの就職も、バイト先のナンバー2がお店を出すから就いてきてほしいということで、
非常にいい感じで決まった。
細かいことをあげれば切りがないが、自分は順風満帆であると思っていたが…
おいらには是非、由紀に身に着けてもらいたいものがあった。
それはおいらが自分のお金で買った指輪。左手薬指に指輪をはめて、その手を握って歩きたかった。
指輪をはめる時のセリフまで考えていた。
「今度こうするときは、婚約指輪かな」
それがその頃のおいらのささやかな夢だった。
お金もたまり、その夢が叶えられるようになった、桜咲く頃。
実家に用事があると、二日ばかり帰省して帰ってきた由紀に、
「話があるの。福山君ちょっと遅いけど、これから会えない?」
と、電話で言われた。時計の針は十二時を回っていた。
由紀と付き合うようになってから、おいらはマー君と呼ばれていた。
久しぶりに福山君と名前で呼ばれる。それを聞いて、おいらは違和感を感じた。
「いいけど…」
違和感は嫌な予感に変わり、おいらにそういう微妙な返事をさせた。
おいらは住込みの寮長の目を掻い潜って寮を抜け出し、足を由紀の部屋へと向ける。
足取りは重いが、近所なのでものの十分で着いてしまう。
インターホンを押すと、神妙な面持ちの由紀が顔を出す。
「入って」
由紀のその声とは別な声が、中から聞こえた。
「じゃ、あたしら・・・・・」
女の人の声だった。そしてその声を聴くと同時に、女性が二人、部屋の中から出てきて
おいらに会釈をして何処かへ行った。
一人はナンパで由紀と知り合った時に、伊藤が連れて行ったありさちゃんだった。
おいらは会釈を返し、中へ入る。
「え、何…」
おいらは由紀の部屋の代わり様に、そんな声を出してしまった。がらんどうで何もなかったのだ。
「ど、ど、どういうことなの?」
それに由紀は涙を浮かべて力なく笑って答える。おいらはその顔を見て、嫌な予感が当たったのだなと、確信する。
「引っ越すの?」
由紀はそれに、首を縦に振ってこたえる。
話を聞くと、由紀は福島の実家に帰ると涙ながらに話した。その涙が、その後の別れ話を確信させる。
やはりそうであった。由紀はすぅっと息を吸うと、おいらの聞きたくない、自分でも話したくはないであろう話を吐き出し始めた。
「急だけど、あたし実家帰ることになったの」
「うん」
「だから、もうマー君とは付き合えない」
「なんで?」
「こないだ帰った時にね、お見合い…っていうか、紹介された人と付き合うことになったの」
313 :
まさはる:2013/04/03(水) 23:59:28.22
待ってる人がいるのか知らないが、ちょっとね
由紀にそう言われて、おいらの頭の中は何が何だか、パニックになっていた。
「なんで?わけわかんない」
由紀は泣いたまま、下を俯いて何も答えなかった。
「その人の事、すきになったの?」
由紀はそれに首を横に振って否定すると、また声を出し始める。
「マー君真っ新な人だから。真っ新だから、マー君の事好きになると辛くて…」
「え…」
おいらは由紀の女心が全く理解できなかった。由紀は言葉を続け、核心を話し始める。
「あたしね、バツイチだし…」
前にも聞いた言葉だ。由紀はそこまで言うと口籠ったが、意を決したのか泣き顔を力なく笑って見せると、
「あたしね、前の旦那の借金返すのに、風俗やってたの。そんな女なの。どうしても言えなかった。ごめんね、ごめん…」
由紀はそこまで言うと、しゃがみこんで嗚咽した。
314 :
恋する名無しさん:2013/04/04(木) 23:31:50.18
甲状腺がん 東京でも内部被ばくの可能性
東京電力福島第1原発の事故後1年間に摂取した飲食物による内部被ばくで、
都内に住む乳幼児の場合、10万人当たり2〜3人の確率で一生のうちに甲状腺がんになるとの推計を、東大の研究チームが発表した。
事故の影響が東京の子どもにまで及ぶことを示す結果。
チームの村上道夫特任講師は「外部被ばくより影響は小さいが、がんの確率が高いか低いかは、人によって受け止め方が違うだろう」と話している。
がんの確率はディーゼル車の排ガスの影響より低いが、シックハウス症候群の原因物質のホルムアルデヒドや、ダイオキシン類より高い。
315 :
まさはる:2013/04/07(日) 23:29:29.47
>>314 こんな過疎すれにコピペ貼り付けてどうすんだ・・・
明日出来たら投下しますね。
つか、見てる人はいるのだろうか・・
見てますよ
>>315 ノ
シャケちゃんルートまだー?
ユキさんもいいけど
ヾ(≡^ω^≡)ノ
319 :
まさはる:2013/04/09(火) 01:08:07.61
>>316 お
>>317 おお
>>318 おおお
みんなありがとーおっさんうれしくなったよ
では、ちょっとですが投下
「え・・・・」
由紀に、見合いをした風俗をやっていたと聞かされて、かなり衝撃を受けたが、不思議と怒りもわかなかった。
裏切られたとも思わなかった。嫌いになった、という事もない。
ただただ、「別れなきゃいけないの?」「風俗ってなにそれ?」そういう受け入れたくない現実を前にして、
頭の中が真っ白になっただけだった。
放心状態になってしまったおいらは、嗚咽する由紀を傍観することしか出来なかった。
受け入れたくない現実と、泣き崩れる由紀を前にして、自分はどうしたいのか、それが解らずどのくらい時間が経っただろう、
「由紀」
と、呼ぶ声がした。声は亜里沙ちゃんで、ドアを開けて立っていた。
なかなか部屋から出てこないので、様子を見に来たのかもしれない。
「由紀」
もう一度名前を呼んだ時、亜里沙ちゃんと目があった。すると、亜里沙ちゃんは悲しい笑顔を見せる。
その顔は、全部分かっているよ、そんな風だった。
由紀は亜里沙ちゃんに肩を抱かれて部屋を出ていく。
すれ違いざま、由紀は立ち尽くすおいらに、
「マー君ごめんね・・・ありがとう」
と、最後の言葉をかけて行った。
部屋を出て行った由紀の足音が遠ざかっていく。未だ由紀の事を想う気持ちがおいらを突き動かすが、
足は由紀の姿が見えたところで止まった。おいらはそれ以上踏み出すことは出来なかった。
この時、由紀はおいらの前からいなくなった。初めての彼女との別かれ。
不思議とこの時は喪失感や悲しい気持ちは少なかったが、それは日を追うごとにおおきくなって行った。
良かった楽しい思い出ばかりが思い出される。未練もタラタラニなってくる。
おいらは女々しい引きずり男なのだ。以来、おいらはどこか由紀に似たような娘を追うようになった。
その容姿、バツがあってどこか冷めた感じな娘。そして、どこか陰のある娘。
320 :
恋する名無しさん:2013/04/09(火) 16:55:23.34
浮気するとか最低ーー
321 :
まさはる:2013/04/10(水) 00:06:03.54
>>320 一応、断っておくとフィクション。そう思って読んでいただければあと。
でも、現実にそういうことあったからな…最低は否定できん・・
322 :
まさはる:2013/04/10(水) 00:43:00.49
今日はこれだけしか投下できぬ。
そして話は唐突に戻る。
シャケちゃんの持っている影は、父親が実の父親ではない、そういう事だけなのか、
おいらはそれがすごく気になったが、知ろうとはしなかった。由紀と付き合って、
爆弾を抱えるが知らない幸せを学んだのだ。
「それにしても、シャケちゃんよく寝てたね」
おいらはそんなことを言って話をそらすが、やはり内心気になって仕方ない。
頭の中では、ドラマ等で見聞きした話が渦巻いている。妙なドキドキ感と緊張感があり、
それが何だか不思議と心地いい感じがした。
323 :
恋する名無しさん:2013/04/10(水) 14:21:43.07
父親とうまくいってないからって
そんないかがわしい想像普通しないだろw
324 :
まさはる:2013/04/10(水) 23:17:46.20
父親とうまくいかないから、援交とか風俗とかにいってしまう女の子は
多いと思います。
自分も父親と関係をうまく作れなくて、チカンにあったと訴えても
「お前がボーっとしていたり、物欲しそうにしているからだ」と言われて、強烈な不信感を持ち、
男性とはちゃんと付き合えていません。セフレとか紐とか・・・
逃げていてはだめなのですが、「自分が悪いのだ」と
コンプレックスになっています。
関連は絶対にあると思います。
ちゃんと読んでいますよ!
応援しています。
326 :
恋する名無しさん:2013/04/11(木) 11:25:06.58
>>319 そういう目で見られるシャケちゃんかわいそう
327 :
恋する名無しさん:2013/04/11(木) 12:01:18.41
>>325 それはあると思うけど、父親とって言うのはねえ…
328 :
恋する名無しさん:2013/04/11(木) 12:01:58.86
そうだよ!
純粋なシャケちゃんを汚い目で見るな〜!
329 :
まさはる:2013/04/12(金) 00:33:16.71
>>325 おお、ありがとう。
良い彼氏ができるとか、何か一ついいことがあって、そこから大きな歯車が回っていくようになるといいですね
>>326 >>328 言葉がございません…
薄汚れたおっさんでごmうぇんよ
330 :
まさはる:2013/04/12(金) 00:35:57.73
少ししか進めてないっす…
すまない。これだけ投下
もしかすると、おいらにはパブロフの犬というかドМの気質があり、
同じ様な恋愛を繰り返してきて、脳裏に染みついてしまったそれが、
おかしな感覚をもたらしたのかも知れない。
そんなことはともかく、おなかすいたーと、もりもりご飯を食べてるシャケちゃんを見ていると、
そんな事あるわけないわなと思えてくるのだった。先ほどの車内の件から二度目である。
おいらは己の下衆な勘繰りに、自己嫌悪した。
本当にしょうもない恋したおっさんであった。
四月に入って程なく、シャケちゃん親子は引っ越しをした。それと時をほぼ同じくして、
シャケちゃんの高校の編入が決まった。
そうは言っても、シャケちゃんは前と変わらず毎日バイトに来る。変わったことと言えば、
学校帰りにバイトに来るので、制服で来るようになった事と、引っ越してから、「お母さんが晩御飯作って待ってるから」
と、店で食事をとらなくなったことぐらいか。
ぐらいとは書いたが、店で食事を取らなくなったのは、寂しい限りではあったが。
そんな調子なので、おいらとシャケちゃんの関係も、すごく仲のいい店長とバイトままだった。
いつも誤字多いねヾ(≡^ω^≡)ノ
>>329 ありがとうございます。
父は私の成長が怖かったのではないかな?と思うようになれました。
今は片思いですが歯車が回りだすように頑張ります。
333 :
まさはる:2013/04/13(土) 00:24:34.01
>>331 脱字も多いな(;^ω^)
ともかく、明日投下できたらしますね
334 :
まさはる:2013/04/13(土) 00:34:21.07
>>332 頑張るっつっても力が入りすぎちゃいけねえ。気楽になーー
336 :
恋する名無しさん:2013/04/13(土) 16:51:14.55
>>333 ちゃんと読んでるから誤字脱字には気付くんだからねヾ(≡^ω^≡)ノ
337 :
まさはる:2013/04/13(土) 23:51:03.78
338 :
まさはる:2013/04/13(土) 23:55:22.00
明日は早起きなんでこれだけっす。
相変わらず事務所でだらだら雑談したり、お互い空いた時間が出来ると、仲のいい親子みたいに買い物をしたり、
デートの一歩手前の様な事はしていたが、おいらは悶々としていた。
やはり、一緒に出歩くときは腕くらい組んで歩きたい。事務所にいるときだって少しくらいときめきたい。
しかしそれはデートだのチュウだのを語る以前の問題で、おいらはシャケちゃんと彼氏彼
女のお付き合いをしているわけでもなく、交際すら申し込んでいないのだ。
シャケちゃんを彼女にしたい、その気持ちは当然あった。
だがしかし、シャケちゃんはもうすぐ18になるとはいえ、その時17歳の高校三年生。
一方、おいらは40近い薄汚れたおっさん。そのことは自分でも自覚している。
そんなおっさんに、シャケちゃんはあまりにもピュアで眩しすぎる存在で、
それらの事がおいらに告白をためらわせていた。
そんな風に悶々としてばかりでも、転機は訪れる。
シャケちゃんの母、宮内パチ子はおいらの背中を押した神だった。
4月も中頃になったある日、パチ子はいつもの様に注文の品を届けに来る。
「こんにちわー」
パチ子はそう挨拶をしつつ店の中に入ってきておいらを見つけると、
「よっ」
と言った感じで手をあげる。
おいらも
「お疲れっす」
と言いつつ、手をあげて返す。いつもこういう感じなのだ。そして、品物を受け取りつつ、
しばし雑談が始まる。
「福山〜あのさ・・」
パチ子とは妙に気が合い、この頃にはパチ子はおいらの事をそう呼ぶ様になっていた。
「ん?なにパチ子」
おいらもそうやって名前で呼ぶ。パチ子はシャケちゃんのお母さんというより、女友達だった。
339 :
まさはる:2013/04/13(土) 23:56:38.43
みなさん
おやしみなさい・・・
/^ヾo
○= ノ:;☆_;;.ヽ===○
‖(⌒(´・ω・`n ‖ .‖
/(_,,..てっ..,,__ ノ  ̄./i
_,.(~ ̄  ̄ ̄~ヘ, | !
(~ ,::::::☆:::::::::☆:::::::::::::::.'' }i |
ノ ..:☆::::::::::☆:::::::::::☆::::." 丿
340 :
恋する名無しさん:2013/04/15(月) 12:35:42.05
面白くなってきた
341 :
まさはる:2013/04/16(火) 08:33:51.49
>>340 おお、サンキューです。
昨夜は力尽きて寝てしまったので、この時間に投下。
「あのさ、ん〜あんた達って今どうなってんの?」
パチ子は少々言いずらそうに言う。
「ん?あんた達って?」
シャケちゃんとおいらの事だとは分かっていたが、諸々の事情で恍けてしまう。
「バカ!あんたとシャケだ」
「え、ん〜仲良くしてるよ」
どうしても歯切れの悪い返事になってしまう。
「ああ、シャケと同じだ。あんたの事は店長さんで彼氏さん?て、
首かしげて言うんだわ・・・ところで、あんたシャケの事どう思ってるの?」
「好き、だよ」
パチ子とは友達であったが、さすがに娘のシャケちゃんとの関係を聞かれると、固くなってしまう。
「そっか・・・あの子、あっちにいる時は男嫌いみたいだったんだけど・・・あれだ、
前みたく叩かないから安心しろ」
パチ子はそう言って笑った。暗に交際を認めてやる、そんな感じだった。
母親というのは父親よりも、恋愛に関して寛容と聞くが、パチ子はかなり寛容な様であった。
一方、おいらは父親的で、躊躇いばかりを生んでいた。
もしかすると、パチ子はおいらの事をもどかしく思っていたかもしれない。
え、認めてくれるの、そう思いつつも何も言葉に出せないでいるおいらに、パチ子は
「泣かすなよ」
と言い残して、店を出て行った。
342 :
恋する名無しさん:2013/04/16(火) 08:51:04.79
寛容だな
343 :
恋する名無しさん:2013/04/17(水) 12:12:44.28
パチ子さんカッコよすぎて濡れた
344 :
恋する名無しさん:2013/04/18(木) 03:36:27.52
おやすみ前にヾ(≡^ω^≡)ノC
345 :
恋する名無しさん:2013/04/18(木) 18:04:53.01
全てうまくいっている
346 :
まさはる:2013/04/19(金) 22:01:31.39
てすと
2ちゃんビューア
347 :
まさはる:2013/04/19(金) 22:02:19.72
規制されてて書き込めんかった。
あとで投下
348 :
まさはる:2013/04/19(金) 22:05:56.63
349 :
まさはる:2013/04/19(金) 23:38:31.67
どうしてパチ子はおいらと娘のシャケちゃんの交際を認める様な事を言ったのか、
年上とでも付き合った事でもあって、それがいい経験にでもなったのか、
そんな事は全く分からないが、
そこからおいらの緊張とプレッシャー、そして少々の迷いとの葛藤が始まった。
おいらは今の宙ぶらりんな状態から前進するべく、その気になったのだ。
こうなると、仕事が手に着かなかった。やはり、40のおっさんになっても告白するとなると、
かなり緊張するものなのだ
思えば、最近シャケちゃんは誰かと頻繁にメールのやり取りをしていた。
シャケちゃんは可愛い眼鏡っ子である。シャケちゃんを彼女にしたい男が居て当然だ。
思いを寄せてくれる男の子が気になっているとも限らない。
それに、シャケちゃんはおいらには若すぎるくらい若かった。
おいらはそれらの思いと葛藤しながら、どう告白するかを考えた。
メールは論外。口頭でさらっと言うのも味気ないし、上手く言う自信がない。
考えた挙句、おいらは手紙を書くことにした。
そしてシャカリキになって休憩時間にA4のコピー用紙に2枚ほど文章を書きあげる。
内容は、一枚目は2ちゃんの泣けるコピペで感動したもの↓(一部分)のパクリだ。
350 :
まさはる:2013/04/19(金) 23:40:11.23
どうして私がいつもダイエットしてる時に(・∀・)ニヤニヤと見つめやがりますか(゚Д゚)ゴルァ!
どうして私が悪いのにケンカになると先に謝りますか(゚Д゚)ゴルァ!
どうしてお小遣減らしたのに文句一つ言いませんか(゚Д゚)ゴルァ!
どうして交代でやる約束した洗濯をし忘れたのに怒りませんか(゚Д゚)ゴルァ!
どうして子供が出来ないのは私のせいなのに謝りますか(゚Д゚)ゴルァ!
どうして自分が体調悪い時は大丈夫だと私を突き放して私が倒れると会社休んでまで看病しますか(゚Д゚)ゴルァ!
どうして妻の私に心配掛けたくなかったからと病気の事を隠しますか(゚Д゚)ゴルァ!
おまけにもって半年とはどう言う事ですか(゚Д゚)ゴルァ!
一枚目
どうしてシャケちゃんはそんなにかわいいのですか( ゚Д゚)ゴルァ!!
どうしてシャケちゃんはそんなに優しい子なんですか( ゚Д゚)ゴルァ!!
どうしていつもシャケちゃんは健気に働いてくれるのですか( ゚Д゚)ゴルァ!!
どうしてシャケちゃんはこんなおっさんに親しげにしてくれるんですか( ゚Д゚)ゴルァ!!
どうしてシャケちゃんは手抜きの晩飯に喜んでくれるんですか( ゚Д゚)ゴルァ!!
おかげで好きになってしまったじゃないですか( ゚Д゚)ゴルァ!!
お母さんと同じ年なのに好きになってしまったじゃないですか( ゚Д゚)ゴルァ!!
シャケちゃん娘でもおかしくない歳なんですよ( ゚Д゚)ゴルァ!!
今日どうしても我慢できなくなってこれ書いてるんですよ( ゚Д゚)ゴルァ!!
おいらにこんなことをさせるシャケちゃんは素敵な子ですよ( ゚Д゚)ゴルァ!!
正直、シャケちゃんほど良い子は居ませんよイワセンナ(*^Д^*)ハズカシイ
二枚目は↓
「こんなおいらですが、シャケの事が好きです。付き合ってください」
その後に、解答欄というか、シャケちゃんの気持ちをお聞かせください、と書いておいた。
これは書いておいてもらいたい書類があるという事で渡すつもりなのだ。
351 :
まさはる:2013/04/19(金) 23:42:18.34
冷静に考えれば厨二病っぽい、思い返すだけで恥ずかしくなる様な代物だが、
テンパり気味なおいらにそれは理解できていなかった。
夕方になり、シャケちゃんが出勤してくる。そしていつもと変わらない営業が始まる。
いつもと違うのはおいらだけだ。シャケちゃんを見ただけで緊張した。
前にも述べたが、おいらは隠し事が下手だ。おいらはポーカーフェースでいつもと同じように
仕事をこなしているつもりであったが、
「店長さん、なんかソワソワしてません?なんかいい事でもあったんですか?」
と、シャケちゃんに指摘され、にやーっと笑われた。
「ん?そう?」
そんな風に恍けるが、内心ドキドキであった。この時、シャケちゃんのかおが、
告白を前にして、告白補正とでも言おうか、いつもよりずっとかわいく見えた。
352 :
まさはる:2013/04/19(金) 23:56:33.41
今日はこの辺でおわりです。オツカレー(_´Д`)ノ~~
353 :
恋する名無しさん:2013/04/21(日) 01:01:16.11
乙ヾ(≡^ω^≡)ノ
354 :
まさはる:2013/04/22(月) 00:24:04.01
355 :
まさはる:2013/04/22(月) 00:25:12.84
眠くて…ちょっとばかしです。
時は過ぎ、営業時間が終わり、おいらの緊張はマックスになる。
自分の気持ちを綴った手紙を渡すなんて、生まれた初めての事だ。中高生の時分に
経験しなかったことを今経験している様で、精神年齢が少し若くなった気がした。
ソワソワしながら片付けをこなす。早く家路に着きたいおばちゃんたちは自分たちの仕事が終わると、
そそくさと支度をして店を後にする。
シャケちゃんも一緒になって行動するが、シャケちゃんは二階から降りてくると、
「店長さん聞いてくださいよー」
と、声をかける。食事を取らなくなってからは、いつもこんな感じなのだ。
「どうした?」
「今日ね・・・・」
おいらは上の空で聞いていたので、何を話したかよく覚えていない。どのタイミングでどうやってわたすか、
その事ばかりが頭にあった。
356 :
まさはる:2013/04/23(火) 17:26:29.69
(´・ω・`)やあ
今日も出かけちゃうんで、明日あたり書き込みますです
357 :
恋する名無しさん:2013/04/23(火) 17:29:30.66
>>354 こちらこそヾ(≡^ω^≡)ノ
Romantic ageるよヾ(≡^ω^≡)ノ
358 :
恋する名無しさん:2013/04/23(火) 17:33:55.61
手紙キモいよ
おっさんの書くラブレターじゃないっしょwwww
359 :
まさはる:2013/04/23(火) 17:40:28.00
>>358 きもいな。かなりきもい。だからあれなんだ。
360 :
まさはる:2013/04/25(木) 00:12:49.00
きましたよ。
では早速
シャケちゃんの学校の話が一区切りついたところで、おいらは
「あ、そうだ。ちょっと書いてもらいたいものがある」
と、思い出したように声を出す。
「え、なんですか?」
「うん、ちょっとな」
そう言いながら、おいらは事務所へ上がる。
すると、上手いことにシャケちゃんは事務所へ着いてくる。
やはり、自分の見ていないところで返事は書いてもらいたかったので、事務所へ着いてきてくれたことは都合がよかった。
「ちょっと、これ中読んで返事書いておいてもらえるかな」
おいらはそう言いつつ、ちょっとかわいい封筒に入れた例の手紙とボールペンを手渡し、
自分はそそくさと調理場へ戻る。
手紙を手渡す、これは中高生の時分に出来なかったことを遅ればせながらしている様で、
妙に新鮮さを感じた。それと同時に、緊張感も襲ってくる。
根拠の薄い妙な自信は持っていたが、それはいとも簡単に不安へと変わり、時と共に大きくなっていく。
タバコ一本の時間が妙に長く感じた。
不安に駆られ、冷静になってみると、ナチュラルハイの状態で書いた厨二病チックなあの手紙が、
黒い歴史に刻まれる代物と思えてくる。
五分が経ち、10分が過ぎ、二本目の煙草に手を着ける頃には、自分で黒歴史を確定させていた。
それと同時に、シャケちゃんには悪いことをしてしまったと、自責の念に駆られた。
間違いなくパワハラなのだ。
おいらは事務所へ上がる。自責の念が足取りを重くする。
361 :
まさはる:2013/04/25(木) 00:45:31.95
ドアを開けたらすべてが終わる気がして、ドアも開けづらかった。
だがしかし、そうはしていられない。
「シャケちゃん、ごめんなさい」
シャケちゃんは手紙を前にして、テーブルの前でペンを持って座っていたのだが、おいらの言葉に首をブルブルと振るった。
おいらには、それが何を否定したのか解らなかった。
「おれ、おれ、シャケちゃんと仕事したり出かけたりしてるうち好きになって、その…
変な手紙ごめんなさい…」
おいらがそう言うと、シャケちゃんが口を開く。
また明日ヽ( ´ー`)ノ まったね〜
362 :
まさはる:2013/04/26(金) 00:39:37.47
きましたよ・・・
「あの、あの、あたしどう返事したらいいか分かんなくて…」
シャケちゃんはこちらに顔を向けてはくれなかった。ちらりちらりと目線を向けるだけで、
明らかに動揺、緊張している様子が伺えた。
「ほんと、ごめんなさい」
すると、シャケちゃんはおいらの方を向いて、また顔をぶるぶるっと振るうと、
「店長さん違うの。あたし、嬉しいです。でも、どういう風に返事書いたらいいか分かんなくて」
シャケちゃんはそう言って、おいらのあの手紙を手渡してくれるが、手紙から手を放してはくれなかった。
おいらは恐る恐る一枚目をめくる。すると、シャケちゃんは恥ずかしげに下を俯いてしまった。
その理由は、返事の文面の様だった。
キタ━(゚∀゚)━!
でも少しおそいぞ( ゚Д゚)ゴルァ
ウソです。
あたし嬉しいです(*´ω`*)
こちらこそよろしくお願いします(*´ω`*)
心優しいシャケちゃんは、返事をおいらの文面に合わせてくれたのかもしれない。
だけれども、恥ずかしくなってしまった様であった。その証拠に、シャケちゃんは
上目づかいでおいらを見て、読んだろうなと確認すると、手紙をすっと引いておいらの手から奪い、
その手紙で目だけを出して顔を隠してしまった。
「うわぁ、はずかしぃ・・・・」
そう言いながら、座ったまま地団駄を踏んだように体をゆするシャケちゃんが可愛らしかった。
363 :
恋する名無しさん:2013/04/26(金) 20:23:54.67
age
364 :
まさはる:2013/04/26(金) 23:37:20.61
>>363 どもです。
今日はちょっと調子悪くて…
明日出来たら続き投下します。
365 :
恋する名無しさん:2013/04/27(土) 08:47:49.90
まだ書いていたのか
頭のおかしいひと
366 :
恋する名無しさん:2013/04/27(土) 09:12:48.34
頭はおかしいけど書くのは構わんやん
毎回シャケ握り食べたくなる
367 :
恋する名無しさん:2013/04/27(土) 09:19:09.80
いや?不快だから
お大事にヾ(≡^ω^≡)ノ
369 :
まさはる:2013/04/27(土) 23:27:14.42
>>368 いつもどうもです。
昨晩よく寝たので、よくなりますた。
370 :
まさはる:2013/04/27(土) 23:30:38.97
明日は早起きなのでこれだけっす
シャケちゃんは尚も手紙で顔を隠しながら、ちらっと上目づかいでおいらを見てはニヤニヤ、
またちらっと見てはニヤニヤを繰り返す。
その可愛らしい仕草を見ながら、手紙はあれであったが、告白してよかったなと、
おいらは背中を押してくれたパチ子に感謝した。
それと同時に、おいらは顔を隠している手紙を奪って、唇まで奪いたい衝動に駆られた。
だがしかし、それは、大事そうに手紙を折りたたんで封筒に入れ、
「手紙の返事のキタ━(゚∀゚)━!とかそういうの、内緒にしてくださいね」
そう言いつつ嬉しそうにしながら手紙をバックに仕舞うシャケちゃんを見て、
この子は帰ったらまた見るんだろうな…などと思うと、シャケちゃんのそのしおらしさに、
ちょっと先に進みたい衝動は掻き消された。
「おれも、かなり恥ずかしいから、内緒にしておいてね」
371 :
恋する名無しさん:2013/04/28(日) 08:27:42.58
頭おかしんじゃね
372 :
恋する名無しさん:2013/04/29(月) 07:01:41.28
ごめんなさい
373 :
まさはる:2013/04/29(月) 22:30:53.44
>>372 なんだかよくわからんが、きにすんな。
しかし地震こえぇぇ
また
374 :
まさはる:2013/04/29(月) 23:44:19.92
そう言いつつ、おいらは、こんな大人じゃいかん、と言動や行動を反省した。
反省はしたが、やっぱり少しくらい前に進みたい。おいらはおっさんのちょっとではなく、
ピュアなシャケちゃんに合わせた。
「ちょっと、隣行っていい?」
そう言うと、体育座りで小さくなっているシャケちゃんはちらりとこちらを見て、こくりと頷く。
それは今までもしてきていた事なのだが、シャケちゃんはそれだけで照れている感じだった。
肩を並べて座る。二人の距離は近く、肩が触れる。
それだけの事なのに、シャケちゃんがそうさせるのか、おいらも妙に照れた。
375 :
恋する名無しさん:2013/04/30(火) 12:19:27.76
ここは実話か?
376 :
恋する名無しさん:2013/04/30(火) 19:19:51.09
長谷川さんヾ(≡^ω^≡)ノ
377 :
まさはる:2013/04/30(火) 20:35:19.29
・・・
378 :
まさはる:2013/04/30(火) 21:34:00.58
379 :
まさはる:2013/05/01(水) 00:17:00.12
380 :
まさはる:2013/05/01(水) 00:17:42.88
隣り合って座ったが、変に意識してしまってか言葉が出てこない。
それはシャケちゃんも一緒なのか、モジモジして何も話さない。
が、示し合わせたかのように目を合わせると、照れて二人でふふっと笑って俯いてしまう。
あの手紙で、ほんの十数分前とは明らかに違う関係になっていた。
おいらは、自分がこんなにも若々しすぎる恋愛感情を持つとは思っていなかったので、
自分にびっくりした。それと同時に、あと20歳若ければと、どうしようもないことが恨めしかった。
これはおいらだけなのかもしれないが、告白した後というのは、
どういう訳か好きになっていった経緯を話したくなる。この時もそうだった。
「おれね、シャケちゃんが面接着た時、かわいい子だなって思ったけど、
まさかあんな手紙書く様になるとは思わなかったよ。だって、おれおっさんじゃん」
「あたしも、避難してきて、バイト始めて、まさか店長さんとこうなるなんて思わなかったですよ」
「じゃあ、何でこうなったんだろうね?」
おいらはそう言って笑う。
「なんでだろう?」
シャケちゃんもそう言って笑う。
この出会いは経緯は喜んではいけないのだろうが、おいらはシャケちゃんに出合えたことを感謝した。
そんな思いを持ちながらポツリポツリ話していると、シャケちゃんの形態が鳴った。
母パチ子からであった。
381 :
まさはる:2013/05/02(木) 23:15:58.83
連休中は忙しいので、ちょこっとです。
「うん、さっき終わった。うんうん。わかった〜」
これまで何度も見てきた、別段普段と何も変わらない電話のやり取り。
「え…なんでもないよ。うん。じゃーね」
シャケちゃんはそう言って電話を切ると、
「お母さん、何かあったのだって?なんでわかんだろ?」
と、不思議がった。
母パチ子は、女の恐ろしい勘なのか、母親だからなのか、間違いなく後者であろう、
おいらには全く気付かなかった変化に気づいたようであった。
「じゃぁ、あたしそろそろ帰ります。お母さんご飯食べないで待ってるみたいなんで」
おいらとしては、ドキドキしながらまったりしていたかったが、なかなかそうもいかない。
「そっか。送ってくよ」
そう言って、おいらも席を立つ。
階段を下り、店を出て、自転車の所まで来る。自転車はおいらが押す。そして、自転車を押しながらそっと手をつなぐと、
シャケちゃんはおいらをちらっと見て俯き、か弱い力で握り返してくる。
「手紙はあれだったけど、今日は気持ち伝えてよかったよ」
「あたし、すごくうれしかった。ありがとうございます」
またさっきと同じような話をするが、つまらないということは無かった。
ただただ、手をつないで歩いているだけで幸せだった。
一人の帰り道、自分がピュアなおっさんになってると思うと、それが妙におかしかった。
長谷川さ〜んヾ(≡^ω^≡)ノ
383 :
恋する名無しさん:2013/05/04(土) 22:44:54.56
384 :
まさはる:2013/05/04(土) 23:17:54.26
連休中は忙しいので、連休開けたらまた書き込みしますね。
ではでは、皆様よい連休を。
良スレ(Д)ノ
386 :
まさはる:2013/05/07(火) 02:25:37.64
>>382 福山だw
>>385 良スレ頂きました。ありがとうございます。
では続きをば
店へ戻って片づけを済ませ、さて家へ帰ろうかという頃、一通のメールが来た。シャケちゃんからであった。
「店長さん、これからもよろしくお願いします?」
ハートの絵文字に思わずニヤけつつ、おいらは光の速さで返信する。
「こちらこそよろしくね?」
おいらはハートの絵文字を使ってしまう自分に照れ臭さを感じつつ、やっぱりこういうのはいいな、
と、幸せに浸った。
と、そこへまたメールが入る。シャケちゃんの返信ではなく、バービーちゃんであった。
仲のいい二人の事だ、先ほどの出来事はもう知っており、そのことに関することが書かれていると思われた。
メールを開いてみる。すると、やはりであった。
「店長さん、お久しぶりです。聞きましたよ〜可愛い彼女できて良かったですね!!お幸せに?」
それを見て、おいらはさらに嬉しくなってしまう。そして急ぐ必要もないが、電光石火の速さで返信。
「ありがとう。俺にはもったいないくらい可愛い彼女が出来たよ。なんか、スッゲー嬉しい」
この返信をする時も、ニヤニヤは止まらない。やはり恋愛の力は偉大である。
こんなおっさんでも華やいだ気持ちになるのだ。
そして、まったりと幸せな気分に浸る暇もなく、またメールが入る。
「おのろけ、ごちそう様です。じゃあ、また」
その返信をする間もなく、今度はシャケちゃんからメールが入る。
「ごはんおいしかったー。お母さんよかったねーって言ってくれたよ」
シャケちゃんとのメールのやり取りはその一文から始まり、延々と続いた。
そのやり取りで分かったことは、それがニコ厨、ネットに依存するものの性なのか、
普段よりも発言が大胆になる事だった。
「事務所で店長さんにキスされるかと思って、ドキドキしちゃいました?」
そんな一文を見たとき、見抜かれてたか、というのと、待ってたのか?というので、
おいらは二度驚いた。
387 :
恋する名無しさん:2013/05/07(火) 18:52:46.04
388 :
まさはる:2013/05/09(木) 00:37:43.79
389 :
まさはる:2013/05/09(木) 00:39:35.58
それでは続きをば
結局、その日は何々をしながらで、おやすみの挨拶をするまでメールのやり取りを続けた。
多くの人がそうであろう、私生活でいいことがあると、仕事にも身が入る。
朝、おいらはシャケちゃんから、学校行ってきますのメールをもらって気合が入った。
昨晩から分かっていたことだが、シャケちゃんはメール魔なのだ。
仕事を意気揚々と始めたが、暫くするとおいらは緊張しすぎてトイレに行きたくなってしまった。
納品があるからである。母パチ子に会うのだ。これまで通りでいいのか、彼女のお母さんとして接した方が良いのか、なかなか難しい。
どうしようどうしようと考えもまとまらないうち、パチ子は納品に来た。
「こんにちは〜」
「こんにちは。あのぅ」
ちゃんと挨拶しようと、そこまで言って口籠った所で、
「聞いてるよ〜」
パチ子はそう言って、ふふっと笑った。
「お付き合いさせていただくことになりました」
その後、二人で仕事を小休止し、ポツポツと少し話す。
パチ子の話を要約すると、まさか、避難してきて男嫌いの娘が自分と同じ年の男と、
付き合うことになるとは思いもしなかった、でも少し安心した、という事だった。
それと、パチ子はシャケちゃんの男嫌いだったのは自分に非がある、と、
理由は話さなかったが、自分を責めているところがあった。
「シャケの事よろしくね」
「こちらこそよろしくお願いします」
そしてパチ子は店を出ようという時、ぱっと振り向き、
「あ、あたしの事、お母さんて呼ぶなよ」
そう言ってふふっと笑って店を後にした。
390 :
まさはる:2013/05/09(木) 00:42:12.00
見てくれてる人、またです〜ヽ( ´ー`)ノ
391 :
恋する名無しさん:2013/05/11(土) 03:08:01.46
上げときますねヾ(≡^ω^≡)ノ
392 :
まさはる:2013/05/11(土) 21:58:42.83
393 :
まさはる:2013/05/11(土) 22:02:11.95
では続きを
夕方になり、パートのおばちゃん達と共にシャケちゃんも出勤してくる。
「おはようございます」
いつもと全く変わらない。それもそのはずで、パートのおばちゃん達に二人の事が知れてしまうと、色々不都合が多く、
おいらの場合、やはり年齢差などの体面的な物、シャケちゃんの場合、
ただ単に恥ずかしいと思われるが、黙っておこうという事で話はついているのだ。
しかし、やってみて分かったが、職場恋愛というのは仕事がやりづらい。おいらたちの場合、
隠していたから尚の事だ。
でも、秘密の関係という感じで、妙なドキドキ感があったのも事実だ。
やりづらいながらも、妙なドキドキ感を楽しみながら仕事をこなす。
仕事が終わると、シャケちゃんは更衣室でおいらの終わりを待っていた。
「おつかれ〜」
「おつかれさまで〜す」
と、シャケちゃんは笑顔で返してくれる。
女の子というのは恋をしたとたんに表情が変わって綺麗になったりする?が、
この時、おいらにはシャケちゃんが少し大人っぽく、綺麗になったように感じた。
「店長さん」
シャケちゃんは尚も笑顔で言う。何やら、考えがあるようであった。
「ん、なに?」
「あの、あの」
シャケちゃんはモジモジしながら続ける。
「んーと、店長さんの事、マーちゃんて呼んでいいですか?」
聞いてみると、シャケちゃんはおいらのいわきの友人、伊藤とのやり取りを見て、
自分もそう言いたくなったのだという。
「いいよ。仕事中はまずいけどね」
別段、何の問題もない。おいらは軽くOKした。
「じゃぁ、まーちゃん」
すると、シャケちゃんは嬉しそうにおいらをそう呼んだ。
改めてそう呼ばれると、嬉しいような恥ずかしいような、細やかな青臭いような幸せとでも言えばいいか?
それが40近いおっさんには少々こそばゆかった。
また明日、できたら投下しに来ますです。ヽ( ´ー`)ノ
394 :
恋する名無しさん:2013/05/13(月) 00:03:38.41
お疲れ様ヾ(≡^ω^≡)ノ
395 :
まさはる:2013/05/14(火) 05:31:36.80
>>394 おつかれっす。
なんだかんだでこの時間になってしまった・・
396 :
まさはる:2013/05/14(火) 05:35:12.51
続きです
まったりとした雑談が楽しい。だが、おいらはそれを楽しみながら、二つの自分に葛藤していた。
自分の初めての時の様にすべて奪ってしまおうとは思わないが、順序通り唇は奪いたい自分。男はオオカミなのだ。
もう一つは、なんだかんだ言っても相手はウブな子だ。昨日の今日では手が早い男だと思われる。
ちゃんとシチュエーションを作ってやって、しかるべき時にやるのだというむっつりな自分。
おいらは幸せな悩みに悶々とした。
仕事が終わって、30分も経っただろうか。まーちゃんと呼ばれるのに何も感じなくなった頃、
シャケちゃんは時計を見て、
「あ、そろそろ帰んなきゃ」
と、言った。
「え、もう帰っちゃう?」
「うん。お母さんにあまり遅くならない様にって言われてて」
シャケちゃんのその一言でおおかみは意気消沈し、おいらの中の葛藤はむっつりに軍配が上がった。
「そっか・・送ってくよ」
おいら達は店を出、昨日と同じようにテレテレ自転車を押しながら歩く。
397 :
まさはる:2013/05/14(火) 05:40:16.89
今度は、もすこしまとまってから貼り付けようかなと思ってます。
ではヽ( ´ー`)ノ
398 :
恋する名無しさん:2013/05/16(木) 03:27:27.05
よいしょヾ(≡^ω^≡)ノ
微笑ましい(Д)ノ
続き愉しみ
400 :
まさはる:2013/05/17(金) 23:09:21.06
>>398 いつもどうもです〜
>>399 続き愉しみの言葉、あざーっす。
すまない・・・まとまってからといいましたが、
明日ガッツリやろうとかなって・・
なので、今日少し投下です。
歩きながら、先ほどの話を引きずって、パチ子の話をする。シャケちゃんの話から伺えたことは、
パチ子はどうも人付き合いが苦手な方らしい。そこへもってきて、ありがたい事なのだが、
避難してきて可哀そうという眼で見られると、どうもいろいろとやりづらい、という事だった。
そしておいらは、こちらでは数少ない素が出せるひとらしい。
なんとなく、パチ子が身構えないで接してくれているのは解っていたが、
改めて娘の、彼女のシャケちゃんに言われると、素直に嬉しかった。
「そういやお母さん、店長さんに晩御飯作りに来させろとか言ってた」
普段、おいらは仕事が終わったら料理はあまり作りたくない方なのだが、
そういう事ならば話は別だ。喜んで作る。
「いいよ〜」
「来てくれるんだ。じゃぁ、お母さんに話しとくね」
「うん。何が良いだろうね?」
そんな他愛もない話をしながら、昨日と同じ所で別れた。
あくる日、いつもの様にパチ子は納品にやってくる。
「あの子、昨日あたしの事いろいろ言ってたでしょ?あんまし気にしないでね」
パチ子は挨拶の後、少々バツが悪そうにそんな事を言った。
おそらく、人付き合いが苦手で、おいらには素が出せる問う事だろう。
「ん?飯作りに来てくれ、って聞いたよ」
パチ子は元ヤンぽいが、その言動とは裏腹に、気が小っちゃくて繊細な様なので、
おいらがそう言って笑って恍けると、パチ子も笑った。
「ああ、晩御飯ね。たまには手抜きたいじゃん?で、作りに来てくれるの?」
「うん。いいよ」
「やった。福山が作ってくれたご飯おいしかったからさ。そのうちお願いね」
「わかった。頑張るわ」
おいらは、自分の料理を褒めてくれた事と、パチ子の表情が明るくなったのが、
素直に嬉しかった。
「じゃあ、あたし行くね」
パチ子はそう言って手を振るが、思いだしたようにおいらの名を呼び、
「ありがとね」
ボソッとそう言って、ニッと笑って店を後にした。
シャケちゃんがかわいいのは子の親譲りなのか、パチ子も素直でかわいいとこがある女性だった。
もし、シャケちゃんがうちでバイトをしていなければ、おいらはパチ子に恋心を抱いていたかもしれない。
パチ子は好きな女性の一人であったが、シャケちゃんの可愛いお母さんで変わることは無かった。当たり前だ。彼女のお母さんなのだ。
その彼女、シャケちゃんとは・・
401 :
まさはる:2013/05/20(月) 00:29:40.83
続きです
付き合い始めたとはいっても、まだ三日目。恋人という関係とは程遠い感じだった。
その日もいつもと変わらない。それはおいらだけで、シャケちゃんは変わっていた。
「おはようございます」
「おはようさんです」
いつもと変わらない出勤時の挨拶をしただけなのだが、何やらシャケちゃんはニヤニヤとしている。
それはいじらしい女心というやつだった。
「お、どうしたの口紅つけて。。あ、眉が」
おいらがその辺の事を気づかない訳がない。少し大げさにそんな風に言ってやると、
シャケちゃんは満面の笑みを浮かべ、
「お母さんにやってもらったんだけど、変じゃない?」
シャケちゃんはそう言うと、手で眉を隠してしまった。
「いい感じだよ」
こんな時、口下手な自分が恨めしい。
正直に言えば、素朴さはそのままに、びっくりするぐらい女っぽくなっていて、驚き、緊張感さえいだいていたのだ。
「ほんとに?」
「うん」
シャケちゃんはおいらのそんな素っ気ない返事にも鼻を上につんと向けて、
ルンと♪がつく感じでニコニコだった。
何となく上気したまま仕事をこなすが、若い男のお客様のシャケちゃんを見る目が違ってきている様で、
仕事にあまり身が入らなかった。
そしてそのテンションはそのままに、仕事を終える。
シャケちゃんはおいらの終わりを二階の事務所で待っていてくれた。まったり時間を過ごすならば、
こちらの方がいいので、そういうことを言っておいてあったのだ。
「おつかれさまでーす」
そう言ったシャケちゃんの唇は、塗りなおしたのか、綺麗になっているように見えた。
お疲れ様の言葉と唇を見ると、若い男の視線のせいで、先ほどまで苛立ちに似た感情を持っていたが、
それがすっと消えていく。
おそらく、友人らはこの辺をみてわかりやすいというのだろう。
402 :
まさはる:2013/05/21(火) 09:58:11.33
明日あたり、続き貼りますねー
403 :
恋する名無しさん:2013/05/22(水) 16:23:34.63
404 :
まさはる:2013/05/22(水) 22:20:15.48
>>403 こんな過疎スレに貼ってどうすんだ
まぁ、rすなんて見ないだろうが
405 :
まさはる:2013/05/22(水) 22:21:59.93
とりあえず、続きを。
「おつかれです」
シャケちゃんは雑誌を読んで待っていた様で、膝の上にページを開いた雑誌が置かれていた。
「何見てんの?」
「洋服〜ね、ね、このワンピ良くないですか?」
目をキラキラさせてシャケちゃんがそう言って見せてくれた雑誌には、お洒落なワンピを着たモデルさんが載っていた。
いつもシャケちゃんは可愛い感じの服装ばかりだったので、少々意外な感じがしたが、
もしかしたら歳の離れたおいらに合わせてくれているのか?と思うと、嬉しくなった。
「いいなぁ〜」
シャケちゃんは目を輝かせる。それで、もうすぐ来る誕生日のプレゼントは決まった。
そんな事よりも、おいらはシャケちゃんが気になって仕方ない。
おいらも男。普通の恋人同士がする様に、今まで自分がしてきた様にしたくてたまらない。
可愛かったシャケちゃんが、少し大人っぽく変わった事で、おいらの中で願望が欲望となり、
ためらいを超えてしまったのだ。
こうなると、おいらはあれこれ考えて、口数が少なくなってしまう。自分もカッコよく決めたいし、それ以上にいい思い出にしてやりたい。
406 :
まさはる:2013/05/23(木) 00:38:16.40
すこしばかしですが、続き
「マーちゃん、店長さん??」
ワンピの話をしていたが、いつの間にか自分の世界に入ってしまっていたおいらは、そう言われてしまう。
かなりソワソワしてただろうに、シャケちゃんはおいらの変化に気づいている様子はなかった。
「え、ああ、うん」
シャケちゃんは変な返事をするおいらを見てニコッとすると、また視線を雑誌に落とす。
「あたし、こういうの似合うかな?」
しまむらをこよなく愛するシャケちゃんは可愛い系が多く、少し大人っぽいファッションが
似合うか気になるようであった。
「似合いよ。絶対似会う」
テンションがおかしいせいか、なぜか」むきになって答えてしまう。
「そっかなぁ?」
そう言いつつ、シャケちゃんはご満悦の様子で、顔が綻んでいる。
「うん。似合うよ。だって、おれ、今日びっくりしたもん。大人っぽくなって」
おいらがそう言うと、シャケちゃんはふふふっと笑った。そしてこの時おいらの気持ちを察したのか、
おいらの顔を見たまま、ゆっくり真顔になっていった。
407 :
まさはる:2013/05/24(金) 23:42:50.53
しかしレスがないな・・・
オナヌースレだわw
ともあれ、続きっす↓
自分が思い描いた展開とはまるで違うし、夢見がちな年頃のシャケちゃんには少々悪い気がしたが、
仕方ない。こうなってしまったら、引き返すのも罪だ。
「まーちゃん・・」
声は出さないが、シャケちゃんの口がそんな風に動く。シャケちゃんは明らかに緊張していた。
当然、おいらも緊張している。これまで、キスは星の数もしてきたが、これほど緊張したのは由紀以来であった。
緊張のせいもあるだろうが、言葉が出ない。それ以前に、次の言葉が見つからない。
それなりにロマンチストなおいらは、それなりの言葉をあれこれ考えてしまうのだ。
「シャケちゃん…」
「なぁに?」
「愛してる」
残念ながら、ロマンチストなおいらは、ど真ん中の直球を投げるスキルしか持ち合わせていなかった。
それでも、気持ちはシャケちゃんに伝わった様で、綻んだ笑顔と蚊の泣くような声で
「あたしも…」
の、嬉しい返事をもらった。
次の言葉はもう決まっていた。緊張感がおいらを支配する。おいらはそれを振り払い、
「キスしよっか」
と、ど真ん中のストレートで、きもちをシャケちゃんにぶつけた。
すると、俯いていたシャケちゃんは顔をあげておいらを見ると、顔を真っ赤にして、
恥ずかしいのだろう、持っていた雑誌で目から下を隠してしまった。
408 :
まさはる:2013/05/25(土) 00:23:40.16
続きはまた明日出来たら貼ります
ではでは(`・ω・´)
楽しみにしてます。続けてください。
411 :
まさはる:2013/05/25(土) 22:44:39.34
レスがないのに業者とか・・・
明日は5時おきなので、ちょっとしか・・
続き↓
そうしながら、こくりと頷く。
おいらはそっと、その雑誌を取り上げる。雑誌の向こうのシャケちゃんは顔を真っ赤にして照れ笑いを浮かべていたが、顔から笑みがだんだんと消えていく。
シャケちゃんはおいらから目を離すことは無かった。
おいらは見つめ合いながら、ベットで並んで座るシャケちゃんを抱き寄せて、そっと唇を重ねた。
唇から温もりを感じる。ぎこちなく、体を固くしながら身をおいらに預けるシャケちゃんが、
たまらなく愛おしかった。
唇が離れ、目を開けると、そこには大人っぽく色っぽいシャケちゃんが居た。
412 :
まさはる:2013/05/26(日) 05:49:52.36
>>410 レスさんきゅうです。見落としてたわ・・
413 :
恋する名無しさん:2013/05/26(日) 20:11:33.33
もー☆
まーくんは仕方ないなぁヾ(≡^ω^≡)ノ
寂しがり?w
414 :
恋する名無しさん:2013/05/26(日) 21:33:27.17
ホッこりホッこり
続き愉しみ(Д)ノ
楽しみにしていますよ〜!
416 :
まさはる:2013/05/27(月) 00:47:39.16
>>413 そ、そんなことないよ
レスがなくったって、なんて強がってみるw
>>414 >>415 あざーっす。ちょびっとづつですが、がんばりまーす。
続きです↓
唇が離れ、目を開けると、そこには大人っぽく色っぽいシャケちゃんが居た。
おいらがそういうシャケちゃんに、もう何度目かもわからない心のときめきを覚えたのも束の間、
キスの後に見つめ合っていた事に照れ臭くなった様で、
「恥ずかしい・・・」
シャケちゃんはそう言いつつ、頬を赤らめると、目から下を両手で隠して上目づかいでおいらを覗き込む。
いつもの可愛らしいシャケちゃんだった。幸せそうなその様が気持ちいい。
おいらはたまらず、肩を抱き寄せる。すると、シャケちゃんは甘えるようにおいらの肩に頭を預けてくる。
言葉は交わさない。ふと、お互いの顔を見ては「ふふっ」とやるだけだ。
まったりの極致とでも言おうか?言葉も何もしない至福のひと時であった。
いつの時代、どんな時でも楽しい時間というのは終わりが来るのは早いもので、
そろそろ帰してやらないと、晩御飯を食べないで待っているパチ子がしびれを切らして・・・
そんな時間になっていた。
「そろそろ帰るか。お母さん待ってるでしょ」
「うん。じゃあもうちょっとだけ」
シャケちゃんはそう言うと、おいらの手を握る。そしてつないだ手をまじまじと見て
「ゴッツイ手だ」
そう言って笑顔を見せると、またしばらくまじまじと手を見ていた。
そしていつもの帰り道の別れ際、おいらがお疲れ様を言いかけたところで、
シャケちゃんは自転車を押すおいらの手を引くと、ほっぺにチュッとやった。
「エへへ」
シャケちゃんはそんな感じで笑う。
「お、お疲れ様」
シャケちゃんはいつの間にか、少し大担にもなってた。
417 :
まさはる:2013/05/28(火) 01:24:46.19
ただ今帰宅。
なので、つづきは明日?かな
ではではノ
418 :
恋する名無しさん:2013/05/28(火) 04:06:02.07
まーくんおやすみヾ(≡^ω^≡)ノ
いつもちゃんと読んでるからヾ(≡^ω^≡)ノ
419 :
まさはる:2013/05/29(水) 00:43:05.89
>>418 頑張って誤字減らしてますよーでもあるかもw
では続きをば↓
翌日、いつもの様にパチ子は配達にやってくる。
「おはようございます、○○ミートです」
そしておいらを顔を見ると、不敵な笑みを見せる。
昨晩、宮内親子にどんなやり取りがあったのか知らないが、シャケちゃんが何も話さなくても、
パチ子はその変化に気づいたであろう、あたしは全部知っている、そんな感じだった。
「福山〜」
パチ子は何か言いたげに上目づかいでおいらを見て、おいらの名前を言う。
「え、え、なに?」
やっぱり少し動揺。
だが、パチ子はふふっと笑って「何でもないよ」と言うだけで、昨晩の事には一切触れなかった。
代わりに、パチ子は鼻を上につんと向けると、
「ねえ、あんたいつ晩御飯作りに来てくれんのよ?あたし、またシャケの親子丼食べたい」
そして目線を上に向けて考えるような仕草をすると、
「ん〜唐揚げと生姜焼きもいいなぁ」
と、付け加えた。
これらは依然、お店の晩御飯でシャケちゃんに食べさせてあげたものであった。
おそらくシャケちゃんがうちに帰ってから、おいしかったとでも話してくれたのだろう?
そう思うと、途端に嬉しくなる。おいらも料理人の端くれなのだ。
「いつでもいいよ。でも、それでいいの?」
おいらはもっと手の込んだものを作る気でいる。おいらは少々お調子者でもあった。
「うん。あたし、生姜焼きとから揚げ食べてないから、それ食べたい。でね、あした、いい?」
「うん。わかった。じゃーねー、ご飯炊いて待ってて」
「じゃー明日ね」
そこで話が切れて、お互いが仕事に戻ろうかと言う時、
「あ、あのさ、シャケこっち来てから変わったんだよね…これからも仲良くしてやってね」
パチ子は思い出したようにそう言うと、じゃ、と手をあげて店を後にした。
以前、パチ子はあたしの事お母さんて言うなよ、と言ったことがあったが、
関係だけは、同学年の友達から、彼女のお母さんという、不思議な関係になっていた。
420 :
恋する名無しさん:2013/05/29(水) 23:12:56.27
仕事遅く迄お疲れさます
和みage(Д)ノ
421 :
まさはる:2013/05/30(木) 00:33:41.55
レスあざーっす。
続きは明日貼りますね。ではではノ
422 :
まさはる:2013/05/31(金) 00:05:47.22
続きちょこっとです・・・
どうして恋人ができると気持ちが華やぐのか?それはおっさんになっても若い頃と変わらない。
おそらく、老いも若きも男も女もそうなるだろう。しかし、気持ちが華やいで良い事ばかりではない。
気になることも増えてくる。一つは恋敵の存在だ。
それは、その日の夜、おいらの前に唐突に現れた。
「いらっしゃいませ」
来店したのは、すこしチャラチャラした感じの若い男の子が一人。着ている制服で、
シャケちゃんと同じ学校の生徒だなと分かる。
こういう若い子が一人で来店して、バイトの子に声をかけるなりする場合、そのバイトの子を狙っていることがほとんどだ。それはバービーちゃんで何度も何度も見てきた。
「あ、○○君」
どうやら、顔見知り、おそらくクラスメイトであろう。とりあえず、○○君は佐藤君としよう。
佐藤君は、その時は認めたくはなかったが、ナカナカイケメンだった。
佐藤君は「ここいいっすか?」と、おいらに聞いて、カウンターのおいらの前に座った。
佐藤君はソワソワした様子で、注文を聞くと、生姜焼きとから揚げの、明日シャケちゃん
のとこで作ってやるやつを注文した。
423 :
まさはる:2013/05/31(金) 23:28:46.32
また来ましたよ。
つづきでっす↓
頼んだ定食が出来るまで、佐藤君は少々落ち着きがなかった。時折、仕事中のシャケちゃんを目で追う。
そしてその眼は、明らかに恋した男子の眼であった。
目の前には恋敵。シチュエーション的には敵対心を持ってもおかしくないのだが、
それは生まれなかった。佐藤君はチャラチャラとした見た目とは裏腹に、うぶな感じがするのだ。
「佐藤君だっけ?佐藤君はうちの宮内さんと同じクラス?」
おいらはなんとなく声をかけてみたのだが、
「はい。佐藤です。宮内さんとは学校で同じクラスです」
佐藤君はハキハキと礼儀正しい。体育会系な感じだ。
「そっかぁ。宮内さん、こっち来てまだ日が浅いからさ、仲良くしてやってね」
話の流れで、おいらが心にもないことを言うと、佐藤君はちょっと照れた感じで嬉しそうに笑い、
「ウィッス」
と、返事をする。なんというか、佐藤君はその返事や態度から、昭和ぽいとでも言えばいいか?
そんなな感じもあった。後輩だったら、可愛がってやりたいタイプだ。
逆に、その可愛さが罪悪感になる。仲良くしてやってね、は申し訳ない気がした。
424 :
まさはる:2013/06/01(土) 00:34:30.53
も少し続き↓
でも、申し訳ないと思ったのはその時だけで、ガシガシと飯を食う様がカッコいいので嫉妬し、
「旨いっす」
そう嬉しいことを言ってくれるが、何というかそのさわやかさに嫉妬し、
結果、おれよりお似合いだよな、と思いたらせる佐藤君は、かわいいがやはり恋敵に違いなかった。
仕事が終わり、雑談タイムになる。シャケちゃんは事務所で待っていて、
おいらが事務所へ入るとお茶を出してくれたのだが、
シャケちゃんは「はい」とも「どうぞ」とも何とも言わない。無言で、ドンと出てきた。
「え、どうしたの?」
少々不服そうな面持ちのシャケちゃんにそう投げかけると、
「マーちゃん…佐藤君に仲良くしてやってって何?」
シャケちゃんはおいらと佐藤君の会話を聞いていたのだった。
そして初めてのケンカ。ただし痴話喧嘩だ。
明日は出かけると思うので、日曜続きはりますね?
425 :
恋する名無しさん:2013/06/03(月) 02:10:59.74
女怖ーーーーーーーーーーー
426 :
まさはる:2013/06/03(月) 07:06:18.46
昨日は早い時間に爆睡してしまい…
>>425 怖いか??では、続きをどうぞといいたいが、夜でw
427 :
恋する名無しさん:2013/06/04(火) 03:06:28.75
誤字減ったけどまだあるよヾ(≡^ω^≡)ノ
428 :
恋する名無しさん:2013/06/04(火) 03:08:28.88
スレタイドラマのタイトル?
429 :
まさはる:2013/06/04(火) 09:28:45.10
昨日の夜は申し訳ない…
>>427 いつもどうもです。まだありますか…
>>428 ドラマのタイトルって、そんなドラマある?
昨日貼る予定の続きっす↓
「え、何って??」
おいらは不機嫌な意味が分からない。
「だって、彼氏がほかの男子に仲良くしてやってって、普通言う?」
「普通言うって…社交辞令みたいなものじゃん。シャケちゃん編入したばっかだし」
おいらが青臭い事を言うシャケちゃんにそう正論を言うと、
シャケちゃんは唇をとがらせてモジモジしてしまった。
どうやら、おいらの言い分は解るが、認めたくない様子。
それにしても、シャケちゃんの拗ねている様が可愛らしい。
「何拗ねてんの」
ついつい、おいらはそのことをかまってしまう。
「拗ねてないもん」
駄々をこねている様で、可愛らしい。
「拗ねてるって」
「拗ねてないもん」
「拗ねてる」
「拗ねてない」
このままでは明らかにイジメになってしまうので、ちゃんとした事の真相を聞いてみると、
佐藤君は以前から、街を案内しましょうかとか、カラオケ行きましょうとか、
色々誘っていたらしい。そういう事があってのあの発言と言う訳だった。
おいらは薄々感づいてはいたが、改めてシャケちゃんの口からそのことを聞かされると、
動揺した。そして、ちょっと反省した。
「ごめんね、拗ねてるって言って」
そう言うと、シャケちゃんは目をウルウル潤ませる。
「ごめん、シャケちゃん可愛かったから、ついつい言っちゃった…」
そうおいらが言うと、今度はふくれっ面になって、「いじわる〜」と言いつつ、
シャケちゃんはおいらの背中をペシぺシ叩く。
「ごめんて、痛い」
「も〜」
痴話喧嘩はほんのり幸せな物だった。そして痴話喧嘩の終わりは、あれだw
その様子から、シャケちゃんもそれと分かっている。
「じゃー仲直り」
そう言って、おいらはシャケちゃんの肩を抱いて、チュウ。
シャケちゃんの事を青臭いと書いたが、おいらも相当青臭かった。
430 :
まさはる:2013/06/04(火) 09:31:15.82
読んでくれてる人、またですヽ( ´ー`)ノ
431 :
まさはる:2013/06/06(木) 01:16:38.82
続きでーす↓
翌日、おいらは朝からご機嫌であった。
やはり、彼女の母、パチ子と仲が良いとはいっても、家へ招き入れてもらえるという事は特別な事なのだ。
以前、おいらは成り行きで突然お邪魔した当時の彼女さんの家で、
おいらにも非はあったが、針のむしろになった経験がある。
それが、なおさら特別な思いを持たせるのかもしれない。
ともあれ、おいらはいつもの様に納品に来たパチ子に出張料理の話をする。
「おはよう」
そう挨拶をしつつ、ニヤニヤ。気分が良いことの表れだ。
「おはよ・・・何ニヤついてんの?」
パチ子はそんなことを言いつつも、おいらに釣られたのか、
はてまた昨晩の事を知っていてそうなったのか、おいらの顔を見て、ニヤニヤ。
「別に何でもない。でさ、今晩なんだけど、八時半ぐらいに行くけど大丈夫?」
何でもないと言いつつも、おいらのニヤニヤは治まらない。
「うん。大丈夫。ご飯炊いて待ってます。つか、そんな嬉しそうにして…うち来るのそんな楽しみ?」
「うん」
おいらは屈託なく、そう返事をしたが、気に係ることが一つあった。
身近な所には居ないが、旦那さんがいるのだ。おいらは遊びに行く気分なので、
それを思うと、少々後ろめたい。
「でも…旦那さんに悪い気がして…」
おいらがそう言うと、パチ子は鼻でため息をフーッとついて、困った顔をすると、
「旦那さんか…気にしないで」
そう言って、そのことをそれ以上話すことを嫌ったのか、
「じゃーあたしご飯炊いて待ってるから」
そういうと、パチ子は手を小さく振って、ささっと店を後にした。
以前のシャケちゃんの態度、今日のパチ子、宮内親子はあまり触れてほしくない、
ちょっと難しいことを抱えている様であった。
432 :
恋する名無しさん:2013/06/06(木) 23:50:52.91
嫉妬かわいかったな
ぎゅんな展開楽しみ(Д)ノ
433 :
まさはる:2013/06/07(金) 00:17:23.25
>>432 あざっす。続きはまた明日にします。
それにしても、テンポがカメで、見てる人申し訳ないっす(´;ω;`)
まーくんヾ(≡^ω^≡)ノ
435 :
まさはる:2013/06/08(土) 00:49:08.95
>>434 カメでも頑張ってるぞーw
続きです↓
おいらはその事について、あまり気にしない様にした。気にしたところで何も変わらないだろうし、
気にしすぎて、それが解ったら逆に嫌な顔をされるだろう。
そんな事よりも、夕方の営業が始まり、シャケちゃんの顔を見ると、ソワソワしだしてそれどころではなくなった。
仕事帰りに友達の家へ行く感覚でいたのだが、その時間が近づくにつれ、
やっぱりシャワーでも浴びて小奇麗にした方が良いかとか、
彼女さんの家に招かれるのに、手土産はケーキだけでよかったか?そんなことを考え始めたらキリがなかった。
気分的には、遠足前夜の小学三年生、そんな感じだった。
あれこれ考えても結論は出なかった。だけども時は過ぎていく。こういうソワソワは時が過ぎるのが早く、いつの間にか営業時間が終わっていた。
「お先に失礼します」
パートのおばちゃんたちが帰っていき、店にはおいらとシャケちゃんだけになる。
「パチ子って・・・お母さんてケーキ好きかな?ショートケーキなんだけど…」
出張料理の仕込をしながら、まだそんなことが気になって、おいらはそう聞いてしまう。
シャケちゃんはショートケーキと聞いて顔を綻ばせる。彼女は甘党なのだ。
「大丈夫。お母さん酒飲みの甘党だから」
シャケちゃんはそう言うと、手でOKマークを作ってみせた。
仕込みはいつもやっている事なのですぐ終わり、手早く身支度を済ませると、
二人で宮内親子のアパートへ向かった。
「今日はありがとうございます。お母さんも楽しそうだし、なんかよかった」
「うん」
「お母さん、こっちきてからちょっと…」
シャケちゃんは、こちらに来てまだあまりなじめていない母パチ子の事が気がかりな様で、
アパートまでの間、パチ子の話をしていた。
「ただいま〜」
アパートのドアを開けると、ご飯と味噌のいい匂いがする。その匂いと一緒にパチ子が顔を見せる。
宮内親子のアパートは2DKで、入ってすぐDKで、パチ子はそこで味噌汁を作っていた。
「おかえり」
「お邪魔します」
と、おいら。
「どうぞ〜福山…今日はありがとね」
そう言ったパチ子は穏やかに微笑む。
さっきの話があったので、おいらはパチ子の微笑みがしんみり嬉しかった。
436 :
まさはる:2013/06/09(日) 00:04:30.95
ちょこっとっす・・・
つか、もう少しまとめたほうがいいだろうかね?
宮内親子のアパートの部屋は、必要なものがあるだけで、本当に何もなかった。
それが避難してきているんだなという事を実感させるが、その事には触れずに、
おいらは晩御飯作りにとりかかる。言い換えれば一時的にここに住んでいる?そういう事にもなる。そんなことにおいらは触れたくはなかった。
「福山〜なんか手伝おっか?」
パチ子はたまには手を抜きたいと言っていたくせに、おいらの手元を覗き込んでそんなことを言う。
やっぱり、女性としては座って見てはいられないのかもしれない。
「大丈夫。簡単だから」
「シャケ、あんた手伝いなさい」
「大丈夫だよ」
おいらはそれも断る。仕事の延長みたいなもので、本当に簡単なのだ。
仕込みは済んでいる。あとは唐揚げを揚げて生姜焼きを焼くだけなのだ。
ものの十数分の仕事であった。
ひさしぶりに来たらまだ順調にやってて良かった
またちょくちょく来るわ
438 :
まさはる:2013/06/11(火) 22:39:17.66
>>437 テンポ悪いけど、ボチボチやってますよ
またですノ
439 :
まさはる:2013/06/11(火) 22:42:38.83
続きですだ
↓
おかずが出来上がり、盛りつけてやってテーブルに並べてやる。
宮内親子はご機嫌で、特にパチ子は、娘の彼氏が作ったからなのか、
ただ単に人に晩御飯を作ってもらったからなのか、主婦のパチ子はやたら嬉しそうで、
「飲んじゃおっかな?」
と言いながら、行動は冷蔵庫のドアを開けている始末だった。
「福山飲まない?」
そう言われて、断る理由は何もなかった。と言うよりも、おいらも飲みたい気分であった。
世の中の雰囲気、度重なる余震で気分がそがれ、そんな人も多いだろうと思うが、
震災以降二月ぶりくらいのお酒であった。
「うん。ありがと。いただきます」
おいらがそう答えると、パチ子は冷蔵庫から500m完のビールを二本取り出す。
「マーちゃんもビール飲むんだ」
その様子を見ていたシャケちゃんがそう言う。
「うん。飲むよ〜」
おいらがそう答えると、パチ子がおかしそうに笑っている。
「マーちゃん・・・」
パチ子はそう呟くと、クックックッとやっている。おいらがマーちゃんと呼ばれるのが、
ツボだった様だ。どうにもコソバユイが、結構いい気分であった。
440 :
まさはる:2013/06/13(木) 00:51:31.06
シコシコ続きを書いてみました↓
「おつかれさま〜」
おいらとパチ子でお疲れ様の乾杯をする。シャケちゃんは残念ながらお茶でお付き合いだ。
大人の特権、久しぶりのビールがしみじみ旨い。パチ子は彼女さんの母親だ。そのパチ子と
お疲れ様の乾杯をできるというのは、幸せな事であった。ビールの旨さはその事も加味されていたのかもしれない。
おいらの作ったおかずは、好評であった。旨い飯と旨い酒。可愛い彼女と友達関係のそのお母さんとでテーブルを囲めば、
楽しくない訳がない。話は弾んだ。それと一緒にビールも進む。勧められるまま二本目を頂き、
久しぶりのアルコールが効いてきてほろ酔い加減になってきた頃、若い頃の話になり、おいらが由紀とお付き合いしていた頃、パチ子とは同じ沿線に住んでいたころが解った。
「え〜〜福山京王線使ってたんだ。で、どこに住んでたの?」
「おれ柴崎」
「あたしつつじヶ丘」
聞いてみると、同じ市内。しかも一駅しか離れていないところに二人は済んでいたのだった。
こうなると、ほろ酔い加減の二人は調布の話で夢中になってしまう。おいらは知らず知らずの内に、
シャケちゃんを袖にしてしまっていた。それに気づいて顔を向ける。
シャケちゃんは両手で立て肘をついていた。ふと目が合うと、意外にもニコニコ。ご機嫌な様子。
「昔さ、おれとパチ子すっごい近くに住んでてさ・・・」
おいらがそう言うと、
「ふ〜ん」
と、シャケちゃんはそんなことはどうでもいい様子。かと思ったら、
「マーちゃんお父さんだったらいいのにな」
と、ぼそっととんでもない事を呟いた
441 :
まさはる:2013/06/15(土) 00:02:34.73
少しだけど続き↓スレ落ち回避w
おいらは、シャケちゃんが言ったことはすぐには理解できなかった。
お父さんだったらいいのに・・・シャケちゃんが呟いた言葉の意味は解ったが、
やっぱり訳が分からない。どういうこっちゃと、周りに意見を聞くわけではないが、
おいらはキョロキョロしてしまう。
おいらが訳が分からない一方、パチ子は言葉もなく、俯いて凍り付いており、その様は、
シャケちゃんが言った言葉に身に覚えがある感じで、かなりショックを受けている感じだった。
「お母さん、ごめん」
シャケちゃんは悪びれる様子はなかったが、母パチ子の様子を見て、表情を一変させるとそう言った。
思えば、以前いわきに行った時に見せた、お父さんはいいのと聞いた時の態度といい、
今日のシャケちゃんの言葉とパチ子のその姿といい、目の前にいる親子は、
難しい問題を抱えているのだという事は簡単に想像できた。
442 :
まさはる:2013/06/15(土) 00:23:56.07
しかしチマチマしたテンポで申し訳ない・・
443 :
まさはる:2013/06/15(土) 01:18:25.91
もすこし続き↓
「お母さん、ごめんね」
シャケちゃんはもう一度謝る。
「ううん、いいって」
パチ子はそう言うと、力なく笑った。まだ、言葉の続きがありそうだったが、
おいらが居るからなのか、それ以上何も言わなかった。代わりに、
「福山〜気にしないでね。シャケ、あんた彼氏にお父さんは無いでしょう」
そう言って笑って見せたが、やっぱり目は悲しげだった。
「ごめんね、マーちゃん。なんか、お母さんとマーちゃん仲が・・・」
シャケちゃんはそこまで言って言葉を濁す。
「ん、もう気にしない気にしない」
おいらはちょっと恍けてビールを飲んでみせる。正直なところ、不快にも思ってないし、
逆に、難しい関係が解って、愛おしさが増した感じだ。
それに、もうこの件には触れたくないし、触れない方が良いと思ったのだ。
「食べようよ。ねっ」
そう言って、おいらは残りのビールをぐっと飲む。
そして宴はまた再開されたが、先ほどの楽しさに戻ることは無かった。
444 :
恋する名無しさん:2013/06/15(土) 23:23:15.59
Great!!
自分のペース大事(Д)ノ
いつもお疲れさんす
445 :
まさはる:2013/06/18(火) 01:00:56.27
>>444 あざっす。
自分のペースも大事だけど、おいら堕落したひとなので・・・w
もう少し頑張るわw
446 :
まさはる:2013/06/18(火) 01:42:26.53
堕落した自分にカツを入れてすこし続きw
また、どうしてシャケちゃんはおいらの事をお父さんだったら…と言ったのか、
その心理を理解しようと考えたが、ちゃんと理解することは出来なかった。
しかし、それは翌日にまた少し理解できるようになる。
「こんにちは〜○○ミートです」
母パチ子とはかなりの頻度で顔を合わせているのだ。
「あのさ〜福山」
俯き加減で上目遣いのパチ子は、少々話ずらそうであった。
「考えたんだけどさ、福山には教えておいた方が良いかなって思ってさ」
パチ子は俯いて話しづらそうにしながらも続ける。
「はずかしいんだけど、あたしさ、バツイチなのね。だから今の旦那、シャケにはままちちなのね。
それで…上手くいってなくってさ。それで、うん…」
パチ子はそこまで言って、次の言葉に困ると、顔をあげて力なく笑ってみせた。
パチ子が今言ったことは、シャケちゃんといわきに行ったときにシャケちゃんの口からきいて知っていた事であったが、
改めてパチ子の口から聞かされると、違ったものが見えてくる。
おいらは、宮内親子と初めて会った日の晩に有った出来事の様な事が、
幾度となくシャケちゃんは見てきたのかもしれないと想像した。
447 :
恋する名無しさん:2013/06/20(木) 05:34:15.76
あげとこう
448 :
まさはる:2013/06/21(金) 00:53:07.55
三日ぶりのこんばんわ。
すこし続きを↓
「そっか…」
色々聞きたいところではあったが、相談を受けているわけでもないので、こちらからは聞きづらい。
だが、パチ子はシャケちゃんの事を分かってほしいのだろう、続きを話し始める。
「あたしバカだからさ…いろいろあって、隠してたつもりなんだけど、全部わかってんだよね」
「うん…」
気になる事で知りたくはあったが、少々気が重い。
パチ子はさらに続ける。
「前の旦那ともさ…あたしが悪いんだよね…シャケには悪いことしたわ」
パチ子はオブラードに包んだ言い方をしたが、シャケちゃんが昨日の発言に至ったのは、
自分に原因があると言いたいようだった。
449 :
まさはる:2013/06/22(土) 00:17:44.95
今日も少しばかし続き↓
それにしても、彼氏に父親だったらと…その発言の原因をパチ子に断片的に聞かされても、
シャケちゃんの女心をなんとなくしか理解できなかった。
「あのさ、昨日の事はあまり気にしないで、シャケと仲良くしてやって」
もちろん、おいらもそのつもりだ。
「うん。言われなくてもそうしてた」
おいらがそう言って笑顔を見せると、パチ子はホッとしたように笑った。
パチ子のその顔その言葉から、シャケちゃんは福島にいる時と比べて、良い方向に変わったのかな?
と、おいらはそんな風に思うことが出来た。それはすごくうれしい事だった。
と、ここで来客があった。
「こんにちは〜ヤクルトです〜」
店に来たのはヤクルトレディーのお姉さん。彼女は毎週決まった曜日に販売にやってくる。
パチ子はお姉さんの姿を目にすると、
「じゃ、あたし行くわ」
そう言っておいらに背を向けたが、ピタッと立ち止まる。
「あらぁ、オメデタですか」
お姉さんは妊婦さんで、お腹がちょっと大きくなってきており、ヤクルトは来週までと聞いていた。
妊婦さんを目の当たりにすると、特に出産経験のある女性は、目じりが下がって優しい人になり、出産についての話になる。
パチ子もそうであった。嬉しそうに出産に関する立ち話。
おいらも一緒になって目じりを下げるが、蚊帳の外だ。
パチ子は立ち話のついでにか、ヤクルトを1パック十本買うと、それをその場で開けて、
おいらとお姉さんに一本づつ手渡すと、
「まー飲んでくれ」
そう言ってふふっと笑うと「じゃーね」と言って店を後にした。
いつの間にか、パチ子はいつものパチ子になっていた。
450 :
恋する名無しさん:2013/06/23(日) 11:18:44.88
頑張ってるね
451 :
まさはる:2013/06/24(月) 00:05:23.43
おっ、レスが来てた
ボッチ気分のおいらにはうれしい限りw
>>450 ぼちぼちやっております。
452 :
まさはる:2013/06/24(月) 00:42:30.62
少しばかし貼りますね。
少し筒貼って、また成りすまし出たら困るが…
一方、シャケちゃんはと言うと、いつもとまるで変わらない。
「あのあの、昨日言った事、気にしないでください」
少し緊張している様子ではあったが、そう言っただけで、後はいつもの様に屈託なく笑い、健気に働く。
時折目が合うと、ニヒーッと笑ってみせる。
ただひとつ違った、というか、それは今まで気づかなかっただけかもしれないが、
シャケちゃんは親子連れのお客さんを見る眼差しがやさしかった。
おいらは時折見せるその眼差しを見ながら、今朝のパチ子の話、昨晩の出来事を思い出す。
父親、平穏な家庭への憧れがあるのかな…そう思うと、色々と合点がいった。
そういう事が何となしに分かっても、おいらの気持ちも変わることは無かった。
毎日みてるよ
あんま書き込めないけど楽しみにしてる
454 :
まさはる:2013/06/26(水) 00:26:22.30
>>453 ありがとう
ボッチになった気分だったんだよ・・・w
おっさん頑張っちゃうわw
455 :
まさはる:2013/06/26(水) 00:46:10.85
てことで、すこし続き
そしてそれまでと変わることなく、進展こそないものの、楽しくいい関係を続けていたが、
後々にそれにひびが入る出来事が起こる。一週間後の事だ。
「こんにちは〜ヤクルトです」
週一のヤクルトのお姉さんが販売にやってくる。お姉さんは自分の引き継ぎの子を連れていた。
その子はニコニコと愛想がよく、少々落ち着きのない感じであたりをキョロキョロ物珍しそうな感じで見まわしている。
見た感じ、女優のミムラに似た感じなのでミムラちゃんとしよう。
ミムラちゃんは美人さんであった。おいらはちょっとドキドキしてしまった。
しかしどこかで見た顔。おいらはそれが誰なのか、全く思い出せないでいた。
「今度、こちらの担当になったミムラです。よろしくお願いします」
ミムラちゃんはニコニコしながら挨拶をする。
「よ、よろしく」
ミムラちゃんのニコニコは、初対面の人間に向けたものとは思えなかった。
誰だっけか?そう思っていると、ミムラちゃんの方からその答えが出た。
「店長さん、あたしですよ。○○子。忘れちゃったんですか?」
構ってちゃんね見てるわよ
457 :
恋する名無しさん:2013/06/26(水) 16:16:15.42
458 :
恋する名無しさん:2013/06/26(水) 22:10:44.87
成り済まし、てそんな頻発してるの?
堕落って何、塩っぱいのか(Д)ノ
459 :
まさはる:2013/06/27(木) 01:45:49.30
>>456 我ながら、かまってちゃんだなと思いますわw
レスサンキュウです。
>>458 成りすましは一度だけっすね。でもあれは気持ち悪いですよ〜
堕落のことはスルーでw
460 :
まさはる:2013/06/27(木) 01:54:18.66
では続きをば↓
ミムラちゃんのフルネームが解って、おいらはミムラちゃんが誰なのか思い出す。
ミムラちゃんと最後に顔を合わせてから十年ほどの月日が経過していた。
言われてみればミムラちゃんなのだが、当時とはまるで別人になってた。
「あ…○○子ちゃん、久しぶり」
おいらは先ほど、ミムラちゃんが誰か分からず、綺麗な人だなと思ったことも手伝ってか、
かなり気まずい気分であった。
気まずくなるには理由があった。
ミムラちゃんと初めて会ったのは、彼女が高校三年の時。12月の週末の晩の事だった。
「今日、友達泊りに来るんですよ〜」
と、その頃うちにバイトに来ていた英ちゃん。
英ちゃんはサバサバしていて、テキパキと仕事をよくこなしてくれる女の子だった。
「今日はバイトが終わったら、あたしんちでオール」
英ちゃんはウキウキした様子で教えてくれた。待ち合わせは、うちの店という事だった。
そして営業時間も終わりになるころ、外はいつの間にか雨模様になっていた。
ふと店の入り口の所を見ると、冷たい雨に打たれている女の子がいた。それが、ミムラちゃんであった。
「あの子ともだち?」
英ちゃんに聞いてみると、そうですとの答え。
「じゃあ、入れてやんなよ。寒いでしょうに」
おいらはミムラちゃんに店に入ってもらった。雨に打たれる女の子を見ているのは忍びないものなのだ。
「ありがとうございます」
そう恐縮しながら店に入ってきたミムラちゃんは、今と違ってかなりぽっちゃりとしていて、
その太めの体は、思ったよりビショビショに濡れていた。
「もう少しで終わるから、座って待ってなよ」
おいらはそう言いつつ、手元の引き出しに大量にある業者のお中元タオルをとりだし、
ミムラちゃんに渡してやった。
「使って」
「ありがとうございます」
髪を拭きながら、ミムラちゃんは寒いのだろう、雨に打たれた子犬の様にプルプル震えていた。
目の前で震える女の子を見るのも忍びないもので、おいらは裏で片づけをしていた英ちゃんにお茶を入れさせた。
「あったかい」
ミムラちゃんはお茶をすすって少しあったまって落ち着いたのか、そこで初めて笑顔を見せた。
おいらに下心は無かったが、何気ないこんな一件があって、おいらはミムラちゃんに好意を持たれた。
461 :
恋する名無しさん:2013/06/27(木) 03:22:28.48
久々に上げヾ(≡^ω^≡)ノ
462 :
恋する名無しさん:2013/06/29(土) 00:03:51.80
久々にハゲ
463 :
まさはる:2013/06/29(土) 00:05:37.65
>>461 まいど〜サンキュウデス。ぼちぼちやっておりますデスヨ
464 :
まさはる:2013/06/29(土) 00:19:21.02
465 :
まさはる:2013/06/29(土) 00:23:24.40
少しばかしですが…
ムラちゃんは楽天的というか、ラテン系な感じのする子で、明るく積極的な子だった。
「ドライブでも連れてってください」
「カラオケ行きましょう」
友達の英ちゃんを介して電話番号メールのアドレスを教えてやると、そういう連絡が頻繁に来るようになった。
それはそれですごくうれしい事だったが、おいらはその都度、その誘いを断っていた。
それは歳の差、世間体その他諸々。そして何より、その気もないのに一緒に出歩いては、
弄んでいる感じがしてならなかったからだ。
「店長さん、付き合っちゃえばいいじゃないですか?あの子良い子ですよ。それに、まだ処女」
と、英ちゃんは女同士の会話の様な、結構どぎつい事をおいらに話していた。
ミムラちゃんはそんなことを言われていることを知っているのか知らないが、
時折、英ちゃんのバイトの出勤日に一緒に店までやって来ては、おいらの顔を見せて帰っていく。
そして何度目のお誘いだったか?「ご飯連れてってくださいよ」の誘いに、おいらはOkした。
根負けしたわけでもなく、ミムラちゃんのいじらしさなどに魅かれたのだ。
だが、付き合おうという気持ちはなかった。東京に進学も決まっている子だ。
難しいであろうが、おいらは友達としていたかった。
暮れが近づいてきて、師走の慌ただしさが増してきた頃、おいらは店の休みの日に、
学校帰りのミムラちゃんをご飯に連れて行った。
466 :
恋する名無しさん:2013/06/29(土) 00:26:27.05
自慢
468 :
まさはる:2013/07/01(月) NY:AN:NY.AN
>>466 467代弁サンキュウ。
自慢じゃないが、リアルな話、おばちゃんにはもてるぞw
469 :
まさはる:2013/07/01(月) NY:AN:NY.AN
で、続きを↓
車で少しブラブラしてからパスタ屋さんへ。
ミムラちゃんは明るいままだったが、二人きりになると楽天的な感じは影をひそめた。
それに代わって、ミムラちゃんは女の子の色気を身にまとう。
パスタ屋さんからの帰りの車中、おいらは二人で出かけたことを後悔し始めていた。
ミムラちゃんの色気が、その先に待っていることを想像させる。
ミムラちゃんは好きな子であったが、付き合おうという気持ちは無かった。
だんだん家が近づくにつれ、ミムラちゃんの様子が変わってくる。会話がなくなって、
緊張感だけが車内にあふれる。
「店長さん、良かったらあたしと付き合ってください」
家まであとわずかという所で、おいらは告白を受けた。ミムラちゃんに、楽天的な明るさは無かった。
ミムラちゃんはぽっちゃりはしているが、可愛らしい子で嫌いなわけじゃない。
自分お腹で結論は出してはいたが、改めて考えてみるが、
「ごめんね…」
それが結論だった。
「あたしみたいなデブ嫌ですか…」
「ううん、そんなんじゃない。ミムラちゃん“高校生だし”…」
おいらは少しくらいフォローする言葉を言いたかったが、口から出た言葉はそれだった。
「…」
そうこうしているうちに、車はミムラちゃんの家の近くまでやってくる。
「あの、この辺で」
そう促され、おいらは車を止める。
「今日はご馳走様でした」
ミムラちゃんは深々頭を下げてそう礼を言うと、車から降りた。今にも泣きだしそうな、そんな顔をしていた。
それが最後に見たミムラちゃんだった。
470 :
まさはる:2013/07/01(月) NY:AN:NY.AN
明日はまた出かけるので、貼るのは火曜?
471 :
恋する名無しさん:2013/07/02(火) NY:AN:NY.AN
毎回ちゃんと読んでるよヾ(≡^ω^≡)ノ
472 :
恋する名無しさん:2013/07/03(水) NY:AN:NY.AN
コンニャロ!おばちゃんにもモテモテとは裏山(棒
今日は早めにage(Д)ノ
473 :
まさはる:2013/07/03(水) NY:AN:NY.AN
昨日は寝てしまった。すまぬorz
>>471 いつもサンキュウでっす(・∀・)
>>472 どういうわけか、実年齢より十以上年上の女性にもてるんだがw
では、また後程
474 :
まさはる:2013/07/04(木) NY:AN:NY.AN
少しだけ↓
そういう子が、今目の前でニコニコしている。
十年の月日は悲しい思い出を、昔の思い出に変えていたのかもしれない。
「ミムラちゃんやせたね〜わかんなかったよ」
そう言いながら、おいらはちょっとドギマギ。
その一方、ミムラちゃんはサラッとしていて屈託がない。
「あの後、あたしすっごい頑張ったんですよ」
ミムラちゃんはちょっと口をとがらせながら、そう言って笑う。
ラテン的な感じは昔のままだった。
ミムラちゃんも奥さんか…綺麗になったなぁ…などと思いつつ、
「そっかぁ…」
相槌を打つ。そしておいらはバイトの英ちゃんの言葉を思い出す。
「付き合っちゃえばいいじゃないですか?それにまだ処女」
そして生まれてしまう後悔の念。悲しいかな、おいらはやっぱり下衆な男であった。
475 :
まさはる:2013/07/04(木) NY:AN:NY.AN
も少しだけ
「じゃぁ、私たちはそろそろ…」
おいらとしてはもう少し話していたい気分であったが、彼女達は仕事中だ。他にもたくさん回る所があるのだろう、
なかなかそうもいかなかった。
だがしかし、ミムラちゃんと話す機会は思ったよりすぐに訪れる。
ミムラちゃんが子供を連れてお弁当を買いに来店したのだ。
「こんばんは〜」
と、ミムラちゃん。すると、子供も真似して
「こんばんは〜」
その子はふっくらしていて、高校生の頃のミムラちゃんと瓜二つで可笑しかった。
「こんばんわ〜」
そしておいらはついつい昼間の続で、色々と話してしまう。それは明らかに友人に対する接客であった。
もしかすると、浮ついていた顔をしていたかもしれない。
女の子というのはこういう事に敏感で、シャケちゃんも例外ではなかった。
476 :
まさはる:2013/07/06(土) NY:AN:NY.AN
続きっす↓
気づくと、シャケちゃんはおいらを横目でジィーッと見ていた。その眼差しは、
どこか不安げで、疑っているようでもあり、気が気でない様子が伺えた。
無用なケンカなどしたくはない。まずいか…そう思いつつ、
ミムラちゃんの死角となる場所に仕事を作ってそちらへ行くと、
シャケちゃんはそれを待っていたかのようにそこへやってくる。
「ねぇ、マーちゃん誰?」
シャケちゃんはその気持ちの表れなのか、仕事場でおいらの事を「マーちゃん」と呼んだ。
「昔バイトに来てた子の友達」
さすがに、告白の事は隠したが、おいらは嘘をつかなかった。
「元カノとかじゃないの?」
ミムラちゃんは元カノではないが、女の勘というのはつくづく恐ろしい。
「違うよ」
「そっか」
シャケちゃんは言葉では納得したことを言っていたが、気持ちが晴れた顔になることは無かった。
話をそこで止め、カウンターへ戻ると、そこにはニヤニヤしたミムラちゃんが居た。
ミムラちゃんはチラリとシャケちゃんの方に目をやると、
「彼女?」
と聞いた。
「・・・」
昔の事がある。おいらは黙ってしまった。だがしかし、おいらが黙っていてもそれと分かるようで、
「可愛いね。でも若いよね。高校生?」
彼女と断定した物言いで核心に迫る。
「・・・」
やはり、何も言えない。すると、ミムラちゃんは鼻を上に向けて、フ〜ンとコクリコクリトやると、
いたずらっぽくニヤーッと笑っただけで、何も言わなかった。
477 :
恋する名無しさん:2013/07/07(日) NY:AN:NY.AN
>>1の母でございます。
息子がこのようなスレッドを立ててしまい、皆様には大変ご迷惑をおかけしております。
深くお詫び申し上げます。
息子は幼い頃に父親を亡くし、そのショックで内気な子供になってしまいました。
そのせいか、小・中学校ではいじめにあっていたのです。
この歳になるまで、恋人はおろか友達さえもいないようで、
大変心配しておりましたが、この2ちゃんねるというサイトを知って以来、息子も
少し明るくなったようです。「今日○○板でね、ドキュソがさあ…」
と、とても楽しそうに夕食の時に話してくれるのです。
どうぞ皆様、息子を暖かく迎えてやってくださいまし。本当は良い子なんです。
よろしくお願い申し上げます。
478 :
まさはる:2013/07/07(日) NY:AN:NY.AN
479 :
恋する名無しさん:2013/07/08(月) NY:AN:NY.AN
>>477 いえいえこちらも楽しく読んでますよ
お母様も色々気苦労されたんですね
でもマサハルさんが元気になって良かった!
こちらこそこれからもよろしくお願いします
480 :
恋する名無しさん:2013/07/08(月) NY:AN:NY.AN
「あなた!…子どもができたみたい!」
>>1の母は言った。父も喜んだ。母はお腹の中の
>>1に対し、時に話しかけ、お腹をさすり、明るい未来を想像していた。
父親もお腹に耳をあてては、「今動いたぞ!」などと言っていた。
>>1が生まれ出ることを両親ともに楽しみにしていた。
眩しい日々である。
>>1には輝かしい未来が待っていたのだ。
「よし、この子の名前は
>>1だ!立派な人間に育てよう!命に代えても守ろう!!!」
しかしながら、運命は残酷なものである。どうして
>>1がこのたび、このような糞スレをたてるに至ったのか。
決して両親の育て方が良かったとはいえないのも事実ではある。
そうであっても、御両親ばかりを責めるのはよろしくない。責任は
>>1にあるのだから。
子どものころから周囲と協調することができない
>>1。ずっと下を向いていた
>>1。
親の愛情を踏みにじり、家の中は
>>1の王国と化している。
パソコンの中でしか自分の存在を確認できない哀れな
>>1。
諸君、どうかこの
>>1がつまらない、無価値な人間であっても、
責めないでいただきたい。
>>1には生まれてくる前に愛してくれた両親がいるのだ。
今だって、御両親は「
>>1が人さまの迷惑にならなければ…」と思っていらっしゃる。
(実際はこういった糞スレを立てることが迷惑千万であるのだが。)
引きこもった
>>1の部屋の外で、母親は息子の為に今日も食事を作り、父親は汗を流して
働いている。
(もっとも、両親とも、他人と息子の話になるといつも複雑な表情になるのだが)
それでも御両親は
>>1を愛している。我々はこの愛情をないがしろにしてはいけないのだ。
母はこんな糞スレを立てさせるために、
>>1を産み落としたのではない。
父はこんな糞スレを立てさせるために、取引先に頭を下げているのではない。
どうか、どうか、
>>1の腐った心身の膿と共に生み出されたこのスレを生温かい目で見守ってほしい。
481 :
恋する名無しさん:2013/07/09(火) NY:AN:NY.AN
ひどい!
お母様今のまさはるさん見て喜んでるじゃない!
お父様もお母様もあなたが言うようなこと考えなんかないんだから
まさはるさんが元気なだけで嬉しいはず
だから
まさはるさん、気にしちゃだめですよ
482 :
まさはる:2013/07/09(火) NY:AN:NY.AN
何がなんだかよくわからんぞw
>>477はよくできた部bb消化と思ったが、昨日某スレで同じ文面を見たぞ。コピーか?w
失望したw
>>479 >>480 >>481 なかなか面白いwかまってちゃんのおいらをいじってくれてるのね?
ここ数日、いろいろ忙しくてね。続きは明日出来れば貼ります
483 :
恋する名無しさん:2013/07/10(水) NY:AN:NY.AN
○
>>1 乙 もうお前に用はない
く|)へ
〉 ヽ○ノ
 ̄ ̄7 ヘ/
/ ノ
|
/
|
/
484 :
まさはる:2013/07/11(木) NY:AN:NY.AN
>>483 そんなこと言うなy
しかし、シュールなAAだのw
あ、用事があったんだw続きだw
その様は、昔の事はもう関係なく、おいらの事を面白がって冷かしている感じだった。
そうこうしているうちに注文の品が出来上がる。
「じゃあ、また来ますね」
「おじさん、バイバイ〜」
そしてお会計となるのだが、お会計はシャケちゃんの役目であったが、
シャケちゃんはそれを嫌っておばちゃんに代わってもらっていた。
そしてその様子を、仕事をしつつチラリちらりと気になる素振りのシャケちゃん。
その純情な娘そのものの姿に、おいらは萌えてしまった。
十数年ぶりの再会があったこの日、ミムラちゃんの変貌に驚き、普通に話しが出来る事に安堵し、
シャケちゃんには萌えさせられ、とてもいい一日になるかと思ったが。
時は過ぎて仕事後。
仕事が終わると、シャケちゃんはいつもの様に事務所でおいらの終わりを待っていた。
485 :
恋する名無しさん:2013/07/12(金) NY:AN:NY.AN
さっき発見した。
おもしろくて夢中で読んでたらこんな時間だ。。。
続き楽しみに待ってるよ〜(・ω・)ノ
おやすみ〜♪
486 :
まさはる:2013/07/13(土) NY:AN:NY.AN
>>485 読んでくれてありがとぅ
カメですが、続きボチボチやってきますよ。
てことで↓
「おつかれ〜」
と、事務所に入っていったが、返事がない。
そして、おつかれさまの代わりに疑いの眼差しと、「さっきの人だれ?」という言葉と一緒に
お茶を一杯もらった。
シャケちゃんはミムラちゃんとの事を疑っていたのだった。
「え、前にいたバイトの子の友達だよ」
浮気等々何もやましいことなどないが、たった一つの事を隠していたせいで、
少々挙動不審になっていたかもしれない。
ウソをつくことも下手だが、隠し事も下手なのだ。
乙女というのは、こういう所を見逃してはくれない。シャケちゃんも例外ではなかった。
「マーちゃんなんか変。ウソついてない?」
俯き、横目でおいらを見上げるシャケちゃんの悲しげな眼が、おいらにはビンタより痛かった。
涙ほどの破壊力はないが、その眼は正直にすべてぶっちゃけるという選択肢しか与えてくれなかった。
「ウソついてないってば」
しかしながら、告白されたことがあるとは、さらなる疑いをもたれそうで言いづらい。
口調にもそれが出てしまう。
すると、シャケちゃんはまたさっきと同じ眼をして無言でおいらを見る。
その眼は「ちゃんと話せ」と語っていた。
487 :
まさはる:2013/07/14(日) NY:AN:NY.AN
ねるまえにちょっとやってみた。ねむいわ・・・
「あのさ、バイトの子の友達なんだけどさ・・・」
おいらはウブだとばかり思っていたシャケちゃんのその眼に圧倒されて、
十数年前のミムラちゃんとの出来事を話して聞かせた。
これで疑いも晴れ、シャケちゃんの機嫌も少し良くなるかと思われたが、
「へぇ、モテんだね」
冷ややかな目と覚めたテンションは変わらない。
全く抑揚のない声も1オクターブ下がっていた。
基本、甘えたがりで、これまで姉さんタイプの女の子と付き合ってばかりだったおいらには、
どういう訳か、シャケちゃんが今にも別れを切り出してくるように感じた。
なんでだ??やばい??おいらは訳も分からず焦った。
488 :
恋する名無しさん:2013/07/16(火) NY:AN:NY.AN
さっさと続き書けや
489 :
まさはる:2013/07/16(火) NY:AN:NY.AN
>>488 サーセン
いつものことながら、少しだけっすw
訳が分からなくなったおいらは、やましい気持ちなどないのに、謝ってしまう。
「別に…」
このシャケちゃんの釣れない答えが、さらにおいらを焦らせる。
惚れた弱みというやつなのだろうか、傍から見れば些細な恋人同士のやり取りなのに、
当の本人は冷や汗脇汗タラタラだった。
「別にって…やっぱり怒ってる…」
すると、シャケちゃんは唇を尖らせると、おいらの方を向いて、
「だって、あの人綺麗で…マーちゃんデレデレしてんだもん」
と言った。
やっぱりシャケちゃんはウブであった。
そう思わせてしまったおいらに罪があるのかわからないが、しょうもない男の性にイラ立つシャケちゃんが可愛らしかった。
「なんだ、そんなことで怒ってたんだ」
シャケちゃんに対して後ろめたい過去もなく、今現在もそれがないおいらは、
顔をニヤつかせてしまう。
「デレデレしてないって。久しぶりに会った友達みたいな感じでしょ」
それに対してシャケちゃんは口を尖らせたままだった。
490 :
まさはる:2013/07/16(火) NY:AN:NY.AN
まー続きってやつだw↓
チラリとおいらを見て、拗ねたように俯いてしまう。まだ、シャケちゃんは不満な様子。
ここで、何も後ろめたいこともなく気持ちが大きくなってしまっていたおいらは、
何時か年下の彼女さんが出来たら、やってみたいなと妄想していた事を実行する。
「そっか、ごめんなぁ。デレデレしてる様に見えちゃったか」
すると、シャケちゃんは口を尖らせたままコクリと頷く。
ここで、おいらは
「ごめんな」
そう言いつつ、横に座るシャケちゃんの頭をナデナデしてやった。
これは謝りたい気持ちと、おいらの願望が入り混じった行為であったが、
シャケちゃんもまんざらでもない様子。おどける様に口をさらにとがらせながら笑顔になった。
491 :
まさはる:2013/07/19(金) NY:AN:NY.AN
見てくれてる人、カメでもうしわかない・・・
492 :
まさはる:2013/07/19(金) NY:AN:NY.AN
ちょっと貼り付け
そしてシャケちゃんはバサバサの頭のまま、おいらを上目使いで見上げると、
「もう、デレデレしないでね」
と、ボソッと言った。
シャケちゃんはこれを天然でやったのだろうが、おいらにはど真ん中のストライクで、シャケちゃんは小悪魔そのものだった。
こうなると、この後ちょっとイチャイチャしたことは言うまでもない。
傍から見たら、きもいおっさんとそれに不釣り合いな彼女なのだが、
当人同士が良いからいいのだ。
おいらの頭の中には、その後のムフフな展開があった。シャケちゃんもお年頃だ。
考えていなくもないだろう。だが、こういう事は、男で年上のおいらが動かなければ、
事は動かない。
493 :
恋する名無しさん:2013/07/20(土) NY:AN:NY.AN
朝勃ちあげ(Д)ノ
オレも煽り便乗 ハリアップ
もうしわかない
ゲラゲラ もうしわかない
494 :
まさはる:2013/07/20(土) NY:AN:NY.AN
>>493 毎度どうもです。
おっさんになるとね・・・この話はおいておいて、パンツは履いておいてくれたまえw
こういうことだから↓
ここでもまた、初チュウをした時の様に、大人の分別とやらが邪魔をする。
ハグしてチュウしておいて何をいまさら、という感じだが、そういうものなのだ。
シャケちゃんはそう言う事をしても、屈託なくケラケラしている。
その子供っぽい様を見てしまうと、おいらのムフフな気持ちは萎えてしまう。
また、ムフフなことをしなくともそれはそれで非常に楽しく、ムフフは復活することは無かった。
そうこうしているうちに、門限は決められていないが、暗黙の了解の時間がやって来て、
おいらはシャケちゃんを送ってやる。そして別れた後、満たされた感はあるのに、
実に残念な気分になった。
495 :
まさはる:2013/07/23(火) NY:AN:NY.AN
不健全な間柄が、健全なお付き合いをしている、つまりおいら達の事なのだが、
それが友人たちに知れる事となった。
きっかけは支援物資の受付。この時、シャケちゃんは支援物資を集める事業の手伝いをしていた。
この支援物資の受付をしている者の中に、友人青木の姿があった。
ここで、シャケちゃんと青木にどういう会話があったか、わからない。
おそらく、青木の行動を想像すれば、こんな感じだろう?
「シャケちゃん、手伝いありがとうね」
「いえいえ、ちょっとでも役に立ててうれしいです」
「ところで、バイト先のおじさん元気?」
「元気ですよ」
「元気すぎて、変な事してこない?」
「あのあの・・・してこないです」
このシャケちゃんの様子で、青木は察する事となる、そんな感じだろうか。
ともかく、青木から親しい飲み仲間の間に「福山から色々報告があるようなので、今晩集合」
というメールが流れた。
できたらまた夜にでも続きを。
wktk
497 :
まさはる:2013/07/24(水) NY:AN:NY.AN
>>496 ワクテカしてくれんのか。うれしいわ。
じゃ、つづきを
このメンバーで、集合のメールは飲みに行くという事であった。
震災以来、忙しさといつ来るかわからない余震に、
自粛ムードも手伝って、個々に顔を合わせて話すことはあるものの、
皆で集まって酒を飲むという事はしていなかった。
何かしらのきっかけが無ければ集まることは無かったであろう。
おいらもただ一点だけを除いてそうであったが、未曽有の災害をもたらした震災の後の近況報告もしたかったこともあって、
すぐに集まることは決まった。
夜の営業が終わり、シャケちゃんを送って店に戻ると、シャワーを浴びて急いで支度をして集合場所に駆けつける。
集合場所の居酒屋に行くと、すでにおいら以外メンバーはそろっていた。
お疲れ様の乾杯をすますと、会話はすぐに「地震の後どうだった?」という、
震災の後誰しもが交わした会話になる。
そしてその会話が落ち着いてくると、話はおいらの報告に向けられる。
「福山〜報告あるんだよな?」
498 :
恋する名無しさん:2013/07/24(水) NY:AN:NY.AN
499 :
まさはる:2013/07/24(水) NY:AN:NY.AN
>>498 ホモ??
まぁ、そっち系に見られることもなくもないがw
500 :
まさはる:2013/07/24(水) NY:AN:NY.AN
じゃ、も少し続き
青木はにやりとすると、おいらに話せと促す。
「え、報告って?」
シャケちゃんの事だという事は百も承知だが、おいらは恍けてしまう。高校三年生の彼女だと、
やはり素直に彼女が出来たとは言えなかった。
「シャケちゃんの事だよ。聞いたぞ」
と、青木がそう言うと、
「彼女の話だよ。恍けんな」
と、高山が加勢する。高山も青木と一緒に聞いたのかもしれない。
こうなると、おいらは恍けては居られなかった。
「最近、付き合い始めた子がいるんだ」
おいらのその報告に、お〜〜という声が上がる。
「おお、彼女できたんだ。おめでとう」
と、金野。金野は水産加工の会社を経営しており、さばさばした性格で、
物事をはっきり言う男であった。
「お、おめでとう。やっぱり、おめでたい話はいいねぇ」
と、森ちゃん。森ちゃんは獣医をしていて、心優しい男だ。
「で、どんな子なんだ?」
と、二人の質問に、おいらが
「場¥うちのバイトの子なんだけどさ、まだ高校生なんだよね…」
と、答えると、シャケちゃんを知らない二人は表情を曇らせて固まってしまった。
女子高生とおっさんカップル
あーきもい!
502 :
恋する名無しさん:2013/07/24(水) NY:AN:NY.AN
ぬるぽ
(Д)ノ
503 :
まさはる:2013/07/24(水) NY:AN:NY.AN
504 :
まさはる:2013/07/26(金) NY:AN:NY.AN
505 :
恋する名無しさん:2013/07/26(金) NY:AN:NY.AN
寝る前に少し・・・
「なんか、素直に祝福できねぇ」
と、金野。森ちゃんは
「それはいかんだろう」
と、言った。
その後論調は変わり、
「お前はちゃんと結婚できる相手を探した方が良い」
だとか
「年上に憧れる年頃ってやつだから、そのうち冷めてくるよ」
とか、付き合う時に吹っ切ってきたことを改めて突き付けられる。
これで、シャケちゃんに対して迷いなどが生じることは無かったが、少々辛いものがあった。
そしてこれから先、同じ様な事があるだろうと考えると、げんなりした。
506 :
恋する名無しさん:2013/07/26(金) NY:AN:NY.AN
少し過ぎwww
507 :
まさはる:2013/07/27(土) NY:AN:NY.AN
>>506 すまんの。きょうはもうチット多めでw
それでも、たった二月ほどだが、かなり久しぶりに感じる集合は楽しいものであった。
友人らは、良い顔はしていなかったが、おいらとシャケちゃんが、
少々問題はあるものの、ちゃんとした恋愛だと解ると、先程の事以上何も言わなくなった。
ほろ酔い加減で家に帰り、部屋に戻ると、入手したばかりのシャケちゃんの誕生日プレゼントのワンピが目に入る。
おいらはほろ酔い加減でご機嫌なはずなのに、急に冷静になって先ほど友人に言われた言葉を思い出してしまう。
ちゃんと結婚できる相手云々。
年上に憧れる年頃云々。
それだけ年が離れてるといろいろ大変云々。
それらはどれも正論で、おいらは少々複雑な気分になってしまった。
だがしかし、似たような境遇の人なら皆同じだと?おもうが、
複雑な気分になっていたのもシャケちゃんの顔を見るまでの間だけだった。
「まーちゃん、明後日の夜なんだけど」
バイトに来たシャケちゃんのその声を聞いただけで、複雑な気分はすべてとんだ。
じつに単純な男なのだ。その変貌ぶりに自分でも呆れて仕舞うどころか、
この子の為なら何でも頑張れるだろうな、そんな風に思ってしまう始末。
なんだかそれが妙におかしく、思わずニヤニヤ。
「明後日なんだけど、お母さんがうちでやろうよって?」
明後日はシャケちゃんの誕生日で、仕事が終わった後、二人でお祝いをしようと予定していたのだ。
508 :
まさはる:2013/07/30(火) NY:AN:NY.AN
出かける前に少しだけ…
パチ子も加わって三人でお祝いも悪くはなかったが、おいらはチョッとテンションが下がってしまう。
先日、シャケちゃんとの関係をヤイノヤイノ言われた身の上だ。
パチ子はおいらの下心を見透かして…そんな風に勘ぐってしまったのだ。
全くバカな男である。
そんなことはともかく
「いいよ」
と、返事をすると、シャケちゃんはニッコリと笑うと、
「マーちゃんごめんね、お母さん嬉しそうで…」
と、言った。
こればっかrで済まない。
身ってくれてる人、またねノ
509 :
まさはる:2013/07/31(水) NY:AN:NY.AN
又貼りに来ますた。しかし誤字がひどいな・・・
少しばかしですが↓
どうも、シャケちゃんは母パチ子に気を使った言い方であった。
その理由は、翌日垣間見えることになる。
「こんにちは〜○○ミートです〜」
いつもの様に、パチ子が店に納品にやってくる。そしてお決まりっとなってきている少々の雑談。
この日はやはり、前日の誕生日の事であった。
「ねぇ福山、あたしんちで、あたしが混じっちゃって、ほんといいの?」
パチ子は上目づかいで、少々バツが悪そうにおいらを覗き込みながらそう言う。
あたしなんか邪魔だろ?そんな感じだった。
「うん。いいよ。そっちの方がよくない?」
パチ子のバツの悪そうな顔を見て、おいらは少々気を使ってしまう。
「良かった。毎年お祝いしてやってきたからさ…」
そう言ったパチ子の顔は寂しそうだった。
パチ子は姉がいるとはいえ、異郷の地に娘と二人で避難してきて、
その娘も自分から離れていってる。パチ子はそれでそういう表情を見せたのかもしれない。
そしてシャケちゃんはその空気を読んだのであろう。
おいらは少しばかりの罪悪感はある物の、ほのぼのとした気分になって、自然と笑みがこぼれた。
その笑みがよかったのかどうか?パチ子は寂しそうな顔をしたのはその時だけで、
後はノリノリで、
「こないだはごちそうになったから、今度はあたしが用意するから、福山は来てくれればいいよ」
と、一方的に決め、
「ハッピバースデー歌ってくれるよね?」
と、選択肢のない言い方をしておいらに首を縦に振らせると、パチ子は満足そうな顔になって、
「じゃーね〜」と、店を後にした。
510 :
恋する名無しさん:2013/08/02(金) NY:AN:NY.AN
?
511 :
恋する名無しさん:2013/08/02(金) NY:AN:NY.AN
身ってくれる方てなあに
512 :
まさはる:2013/08/03(土) NY:AN:NY.AN
>>511 510は511?
見てくれてる方なんだよね・・・誤字が多くて申し訳ない
513 :
まさはる:2013/08/03(土) NY:AN:NY.AN
すこし続き
悪いが、ここまでで寝る
パチ子は楽しげではあったが、後姿の哀愁が、寂しいのかな?いろいろ大変なのかな?と感じさせた。
その日、出勤してきたシャケちゃんに言わせれば、「お母さん、はしゃいでるの久しぶりに見た」
という事だった。
そして誕生日。おいらは有休があるリーマンをうらやましく思いながら、仕事をこなした。
シャケちゃんは、「誕生日だし、休みでいいよ」というおいらの申し出を断り、
ソワソワしながら仕事をしていた。
そして、意図的に少しばかり店の営業を早く終えると、おいらは急いで支度をし、
シャケちゃんはすぐに家路についた。
何年ぶりの彼女さんの誕生日だろう?ワクワクしている自分が妙にかわいく、
若返ったように思えて、「フンっ」と、鼻で自分を笑ってしまった。
久しぶりヾ(≡^ω^≡)ノ
515 :
まさはる:2013/08/03(土) NY:AN:NY.AN
>>514 ひさしぶりです( ・∀・)
あいかわらずぼちぼちやってますよ。
516 :
まさはる:2013/08/03(土) NY:AN:NY.AN
あしたは5じおきなんで、つづきはできたらアシタに
517 :
まさはる:2013/08/04(日) NY:AN:NY.AN
とりあえず・・
シャワーを浴びて、着替えを済ませると、おいらはプレゼントと差し入れのお茶とビールを持って、
宮内親子宅へ向かった。
「こんばんは」
玄関を開けると、パチ子が出迎えてくれた。
「待ってたよ〜なぁ上がって」
「お邪魔します。あ、これ差し入れ」
そう言いつつ、お茶とビールを手渡しながら部屋を一望する。
テーブルには誕生日のごちそうが用意されていたが、主役の姿が見えなかった。
「あ、ありがとう。ん、シャケは今シャワー浴びてるんだわ。ちょっと待って」
そう聞いて、おいらは期待をせざるを得なかった。所謂ハプニングだ。
自分でも、ガキンチョみたいでしょうもないと思ってしまうが、男はおっさんになってもこういう物なのだ。
518 :
まさはる:2013/08/05(月) NY:AN:NY.AN
寝る前にも少し・・
パチ子はそんなおいらの浮ついた気持ちを見透かしたのか、風呂場を覗き込むと、
「シャケ〜マーちゃん来てるよ〜早くしな」
と、シャワー中のシャケちゃんに声をかける。
期待は空振りに終わった。
「いいよ、そんな慌てさせなくても」
そんなことを言いつつ、自分の心の家を見透かされない様に取り繕うが、
「あの子さ、パンイチで出てきたりすんだよね」
と、パチ子はボソッと呟くように言うと、おいらを見てニヤニヤ。
「な、な、何で笑うんだよ…」
明らかに見透かされていた。恥ずかしいやらパチ子が怖いやら、ちょっと純情な自分がおかしいやら。しかし楽しいひと時であった。
そうこうしているうちにシャケちゃんがシャワーから出てくる。
「マーちゃん早かったね」
当然のことながら、ハプニングは何もなかった。だが、おいらはハッとしてしまう。
519 :
まさはる:2013/08/06(火) NY:AN:NY.AN
とりあえず、少し
シャワーを出たばかりなのだ。ということは、当然濡れ髪。
「マーちゃん、待たせちゃった?」
シャケちゃんは、タオルで髪を拭きつつおいらの前に出てきたのだ。
これは圧倒的多数の賛同を得られるだろう、男というのは風呂上がりの濡れ髪に心惹かれる物なのだ。
拭いている姿も尚良し。
「あ、あ、うん。待ってないよ」
心を奪われていたおいらの分かりやすい返事。体もどういう訳か、ビクッと反応していた。
そのおいらの様を見て、パチ子はニヤニヤ。年の功というやつか。一方、シャケちゃんは
若いからわかっていないのだろう、少々挙動不審のおいらと、意味ありげにニヤつく母を見て、
頭の上に?を三つ並べている感じだった。
母パチ子を交えてのシャケちゃんの誕生会は、大人たちはお酒も少々入って、実に楽しい時間であった。
シャケちゃんの小さい頃の話、パチ子と同じ沿線に住んでいた調布での話、
いつの間にかばらされていた告白のお手紙の話。
先日の約束通り、歌も歌った。これは素で音程を外してしまうのだが、喜んでもらう事が出来た。
520 :
まさはる:2013/08/07(水) NY:AN:NY.AN
もうすこし・・
途中、プレゼントについて「シャケには高価すぎる」と、パチ子にダメ出しを受ける一幕もあったが、
少し大人っぽくなったシャケちゃんが見ることが出来て、おいらは満足だった。
シャケちゃんも、「覚えててくれたんですね。でも高いですよ…」
と、謙遜する様な事を言ってはいたが、やはりうれしい様であった。
楽しい宴というのは時が経つのが早いもので、ワハハオホホしているうちに午前様まであともう少しとなっており、
シャケちゃんがあくびを一つしたのを合図に、そろそろお開きにしましょうという事になった。
「マーちゃん、今日はありがとね」
シャケちゃんはそう言って、玄関のドアをバタンと閉めると、ニヒーッと笑い、
目を瞑っておいらも見上げる様にする。その顔にはかすかに笑みが浮かんでいた。
そしておいらは迷うことなく、チュッとしてやった。
521 :
まさはる:2013/08/08(木) NY:AN:NY.AN
今晩も来ましたよって・・・ボッチかw
ちょびっとばかし・・
しかし慣れというのは恐ろしいもので、おいらもシャケちゃんも少々行動が大胆になりつつあった。
それでも、二人とも人目を忍んで行動していたのだが、狭い田舎町だ。世間が狭い。
何処の誰が教えたのか、おいらの両親がいつの間にか彼女が出来たことを知っていた。
仕事を終えて、家でまったりとしていると、母親が部屋に入ってきて、こう言うのだ。
「まさはる、お前、彼女が出来たって聞いたんだけど、ほんとか?」
「お、おぅ…」
ああ、来てしまったか、という感じであった。おいらはこれまでの経験から、
ものすごく面倒な事になるというのは解っていた。
「今度うちに連れてきなよ」
これまで婚活やら、母親が持ってくる見合いの話を一切拒否し、
結婚という言葉さえも嫌ってきたバカ息子に対し、母親の声ははしゃいでいた。
その声を聴いてしまうと、なかなか適当な事は言えない。
「そのうちね」
おいらはそんな風に、気乗りしない返事しか出来なかった。
522 :
恋する名無しさん:2013/08/08(木) NY:AN:NY.AN
ましゃ実家住みかよ
523 :
まさはる:2013/08/09(金) NY:AN:NY.AN
>>522 実家住みだよ。出たいがいろいろあってな・・
524 :
まさはる:2013/08/09(金) NY:AN:NY.AN
今日も来ましたよ。すこしばかし貼っときます
おいらはシャケちゃんを家に連れて行くことはしなかったが、連れてきなよと言ってから
幾日もしないうちに母親と顔を合わせる事となる。
おいらは家業の今の店を継いだのだが、今も両親は取締役として会社に残っており、
人手の足りない時に手伝ってみたり、細々としたようじをしたり、様子を見に来たりするのだ。
「新しく入ったバイトの子、良く働くな」
随分と久しぶりに店に顔を見せた母親が、シャケちゃんの働きぶりを見て、感想を言った。
「うん。あの子、良く働いてくれるんだわ」
「良い子が入ってくれて良かったな。ああいう良く働いてくれる子を嫁にしないとな」
40近い独身の息子を持つ母親は、皆同じだと思うが、
すぐに結婚、嫁さんという言葉が出てくる。
「あ、ああ」
シャケちゃんという彼女が出来て、少し気分は変わったが、
それでも嫁さんという言葉は食傷気味であった。
「ああ、って、お前大事な事なんだからな。ところで、彼女って何してる子なんだ?」
は海鞘のその問いかけに、おいらは本領を発揮してしまった。
「あの子だよ」
525 :
まさはる:2013/08/09(金) NY:AN:NY.AN
これっぽっちですが、つづきをば・・・
母親(以下母美とします)の評価が思ったより高かったせいか、気を良くしたおいらは、
ついつい口を滑らせてしまう。
そのおいらのポロリを聞いた母美は、自分の耳を疑ったのかどうか?一点を見つめて固まる。
そしてそのまま口だけを動かす。
「あの子が彼女なのか?」
シャケちゃんはどこに出しても恥ずかしくない子なのだが、悲しいかな、相手がおいらだというのがよろしくなかった。
それを自覚しているだけに、かなりバツが悪い。
「ん、うん・・・」
すると、母美はこっちへ来いと、事務所へいざなった。
「ちょっと事務所に上がってるから、忙しかったら声かけてね」
おいらは調理場の方にそう声をかけて、母子に続く。
正直、かなり気が重かった。友人たちと同じ事を言われる事は分かっている。
それはどれもこれも、悩んで出してきた結論が今ある姿なのだ。
526 :
恋する名無しさん:2013/08/10(土) NY:AN:NY.AN
楽しみに読んでますよ!
527 :
まさはる:2013/08/10(土) NY:AN:NY.AN
>>526 おお、それはありがとうございます。
今日はでかけるので、続きは後日。
ではではノ
528 :
恋する名無しさん:2013/08/12(月) NY:AN:NY.AN
続きはよヾ(≡^ω^≡)ノ
529 :
まさはる:2013/08/13(火) NY:AN:NY.AN
>>528 お盆前後は忙しいっす。遅くなりますた。ちょっとですが↓
「まさはる、あんた・・・・」
やはり、母美は友人らと同じ様な事を言った。やはり、どれもこれも正論であろう。
「年が離れてるからって、好きになっちゃいけないのか」
「遊んでるわけじゃない」
おいらはちゃんと説明したが、なかなか分かってはもらえなかった。
恋愛する事には否定はしなかったが、シャケちゃんの若さが納得できない様であった。
「勝手にしろ」
最後にその言葉を聞いて、おいらは調理場へ戻った。
母美の気持ちも解らないでもないだけに、納得してほしかったが、こればかりは折れるつもりは毛頭なかった。
調理場へ戻ると、シャケちゃんがススッと寄ってきて、
「あとでちゃんとお母さんに紹介してくださいね」
と、嬉しそうにする。当たり前だが、シャケちゃんも認めてもらいたいのだろう。
その嬉しそうな様を見ると、痛い気持ちになった。
「おつかれさまですー」
母美が店を後にする時、シャケちゃんはすごくいい笑顔を見せていた。
なんとかしなくては・・・そう思えど、いい方策は思いつかなかった。
530 :
まさはる:2013/08/15(木) NY:AN:NY.AN
ちょっとだけ…明日はやいネン
おいらとシャケちゃんの関係は、当然ではあるが、なかなか両親には歓迎されなかったが、
前と変わらず淡々と続いた。
ミムラちゃん、佐藤君の事で、焼きもちを焼いたり何だかんだはあったが、しかしなぜ淡々なのか?
それは罪悪感からくるためらいがあって、なかなかどうして、チュウ以上の関係になれないでいた。
シャケちゃんの方から、やけにベタベタしたりとかモーションとも取れない事もあったが、
おいらは自分でも驚くほど、奥手な童貞君の様になっていた。
531 :
まさはる:2013/08/18(日) NY:AN:NY.AN
明日、また来ます。そん時に続きを。
ベビーカステラで一財産です
ぼろいです
都内で店舗無料です、売れるものは違うね
533 :
まさはる:2013/08/20(火) NY:AN:NY.AN
おまたせ・・・
つづきです
そんな自分が何とももどかしく、悶々としながらも、おいらはかなり幸せを感じながら日々を過ごしていた。
「マーちゃん、今度の週末休ませてもらっていいかな?」
制服が夏服に代わって、汗ばむようになってきたある日、シャケちゃんはおいらにそんなことを言った。
聞けば、東京のバービーちゃんの所へお泊りに行きたいのだと言う。
「おお、バービーちゃんのとこ遊びに行くんだ。いいよ〜いっといで」
これまで休むことなく一生懸命働いてきた彼女だ。おいらは快く送り出してやった。
シャケちゃんがバイトに来てからほぼ毎日、顔を合わせ、最近は共働きの夫婦ぐらい
時間を共にすることが多かったせいか、シャケちゃんの顔が見えないというのは、
大事なものが足りないという感じだった。
仕事をしていても、休みでいないと解っていても、
「宮内さん」
と、何度か名前を呼んで仕事の指示を出そうとしてしまう始末であった。
そんな風に気の抜けた感じで仕事をこなし、閉店間際になった頃、パチ子が来店した。
「今日はあたしだけだから、お弁当。手抜きだ」
パチ子はそう言って笑ったが、心なしかいつもの明るさが無い。
弁当が出来るまでの間も、沈鬱な面持ちで携帯を弄っているだけだった。
「ぱちこおまたせ、できたよー」
おいらが弁当を渡してやると、パチ子は俯いて何か考えるような仕草をすると、
「福山、仕事終わったら、ちょっとつきあえる?」
と、真顔で聞いた。
534 :
恋する名無しさん:2013/08/20(火) NY:AN:NY.AN
こんな若い子相手にちゅー以上を考える方がどうかしてる
535 :
まさはる:2013/08/21(水) NY:AN:NY.AN
536 :
まさはる:2013/08/21(水) NY:AN:NY.AN
続きを少し↓
パチ子は話したいことがある、という感じだった。
おいらは動揺した。シャケちゃんとはちゃんとした付き合いではあるが、健全とは言い難い関係なのだ。
その自覚と、シャケちゃんの居ない今日と云うのがおいらを動揺させたのだ。
「う、うん。大丈夫だけど…」
「じゃあ、仕事終わったら連絡貰えるかな?」
「うん。わかった」
そして、仕事が終わると、おいらはパチ子に電話をする。仕事中もそうであったが、ずっとソワソワしっぱなしであった。
「も、もしもおし。今仕事終わったんだけど…」
「福山悪いね、ちょっと話したいことがあってさ…」
パチ子の声のトーンは低かった。それがこれからの話の内容を連想を悪いようにさせる。
パチ子は表ではちょっと話ずらいという事であったので、結局、おいらの店へ来ることとなった。
電話を切って、程なくしてパチ子はコンビニ袋を抱えて店にやってきた。
「悪いね、付き合わせちゃって。少し飲まない?」
パチ子は持っていたコンビニ袋を持ち上げてみせる。中には酒とつまみが入っているのが解った。
537 :
恋する名無しさん:2013/08/21(水) NY:AN:NY.AN
朝立ち揚げ(Д)ノ
まとめ読みした、
焦れったい
538 :
まさはる:2013/08/22(木) NY:AN:NY.AN
>>537 いつもどうもです。
じれったいのは勘弁して
539 :
まさはる:2013/08/22(木) NY:AN:NY.AN
寝る前に少し↓
「いいよ。」
この時、おいらの頭の中には?がいくつも並んだ。
どうも、思っていた展開にはならなそうな雰囲気なのだ。
おいらは、ほっと安堵しつつ、話したい事ってなんだろうと考えたが、解らなかった。
お店の中では人目についてしまうので、事務所で飲もう、という事になった。
事務所へ入ると、パチ子は物珍しそうにキョロキョロと見渡す。
「適当に座って」
おいらがそう言うと、親子だからなのか、偶然か、いつもシャケちゃんが落ち着く場所にパチ子は腰を下ろす。
「へぇ〜ほんとにベットもあって、普通の部屋みたいなんだね」
パチ子はシャケちゃんに聞いて知っているのか、聞かされているのか、事務所の事などをいろいろ知っていた。
そしてパチ子は何を考えたのか、ニヤニヤ。パチ子は先ほど弁当を買いに来た時とは打って変わって、
妙に楽しそうだった。
何はともあれ、缶ビールを合わせて、お疲れ様をする。
パンツ脱いで待ってるのだが…
カゼ引いた。
541 :
まさはる:2013/08/22(木) NY:AN:NY.AN
>>540 パンツは履いといてねw
ちょっとばかし続きをば↓
パチ子はビールをググッとやると、
「福山、あんた達、今どんな感じなの?」
と、いきなり核心をつくことを言った。
そして、またニヤニヤ。あたしはすべて知っている、そんな感じだった。
「う、うん。仲良くさせてもらってるよ」
チュウ以上の関係になりたいんだけど、そうなっていいものか悶々としてる、
などとすべてぶっちゃけられるわけもなく、真意を濁すようにそんなことを言うと、
またパチ子はビールをググッとやってニヤニヤ。
そして、偶然だろうと思うが、パチ子は釈然としないと言った様子で、
ふ〜んとやりながら目線を机の方へやる。
その机の中には、チュウ以上の関係を意識した時から、その時に必要なエチケット用品が
隠されている。おいらは正直、パチ子が少々怖かった。
「な、何笑ってんの・・・」
こうなると、おいらはしどろもどろだ。
542 :
まさはる:2013/08/23(金) NY:AN:NY.AN
今日はもうちょこっと
パチ子は母親の顔を脱ぎ捨て、友達の顔になっていた。
「仲良くさせてもらってるって、どういう風に?」
「え、あの、こないだ誕生会したしいつもここで話したり…」
「ふ〜ん。で、キスくらいはしたの?」
おいらはパチ子にはサディスティックな一面があるように思えてならなかった。
「え、あ、その・・・」
パチ子は母親だと思うと、口籠ってしまう。
「チュッチュしてることぐらい知ってるよ」
パチ子はそう言ってケタケタと笑う。サディスティックない一面はあるようではなく、あった。
「え、ええ、あの・・・」
「まぁー確かに言いづらいわな。ちょっと意地悪だった」
「あ、いや、そんなことないよ」
パチ子はサディスティックな一面はあるのかもしれないが、気持ちのいい女性である。
「でも、あたしの娘の彼氏なら、もっとシャキッとしろ」
パチ子はそう言って、おいらの背中をぱちんとひっぱたいた。
恥ずかしながら、またしてもパチ子に背中を押された、おいらはそんな気がした。
シャケちゃんとの関係の話はそれで終わり、パチ子はビールをグググッと煽ると、
「あのさぁ」
と、声のトーンを低めて話題を変える。パチ子の話したい事はそれだった。
543 :
まさはる:2013/08/24(土) NY:AN:NY.AN
明日は早起きでして…すこしばかし。
話を聞けば、パチ子は今日福島へ行ってきたという事だった。
思えば、今日は珍しくパチ子の配送ではなかった。
パチ子は酔ってぶちまけたい事でもあるのか、ビールをぐいぐい煽った。
「福島どうだった?少しはよくなってた?」
「んー・・・まだまだ全然。メチャメチャだった。それにしても、疲れた〜朝出て、さっき帰ってきたとこなのよ」
パチ子はそう言って、笑顔を見せてはくれたが、作り笑いにしかなっていなかった。
「そっかぁ。おつかれ。んで、今日はうちとか行ってきたの?」
おいらがそう聞くと、おもむろに煙草を取出し、「吸っていい?」と断ると、
娘の前では吸わないという煙草を一口吸うと、それで少し落ち着いたのか、答え始める。
「今日さ、家言っていろいろ荷物取ってきて、その後旦那のとこ行ったのよ。
言ってなかったけど、あたし別居してんだわ」
パチ子の話したい事の核心はその辺にあるようで、声に涙が混じって来ていた。
「でさ、なんとなく分かってたんだけど、あいつ、女引っ張り込んでた…」
544 :
恋する名無しさん:2013/08/24(土) NY:AN:NY.AN
【NHKスペシャル 『MEGAQUAKEV 巨大地震』(NHK総合)】
■第3回 「よみがえる関東大震災」
2013年8月31日(土) 19:30〜
地震学がたどり着いた最新の知見、超巨大地震のメカニズムのCG、詳細なシミュレーション、世界各地のルポも交え、次の巨大地震に迫るドキュメンタリーシリーズ「MEGAQUAKE 巨大地震」の第3シリーズ。
3回目は、関東大震災を徹底的に検証し、日本の首都の地下に潜む“プレート境界型地震”の脅威に迫る。
1923年(大正12年)9月1日、首都圏を襲った巨大地震・関東大震災。東京市街は火の海となり、10万5千人もの命が一瞬にして奪われた。
今年の9月1日はその90年目の節目の命日にあたる。私たちの祖父母が生きた時代の未曾有の災害でありながら、すでに記憶の風化は甚だしい。
あの日、どんな揺れが襲い、多くの命がどこでどのようにして奪われたのか。
最新の科学的知見や、未整理のまま残されている膨大な映像資料、そして存命する被災者達の証言を徹底的に洗い出し、ドラマやリアルCGなどを駆使しながら「あの日」の完全再現に挑む。
更に、もし今、関東大震災と同じ“プレート境界型地震”が首都圏を襲ったときに何が起こるのか。
現代の都市が抱えたリスクを科学的に検証する。
【NHKスペシャル 『MEGAQUAKEV 巨大地震』(NHK総合)】
■第4回 「南海トラフ 見え始めた“予兆”」
2013年9月1日(日) 21:00〜
M9の巨大地震が発生、日本に甚大な被害をもたらすと恐れられている、南海トラフ。
ひずみをためながら沈黙を続ける南海トラフが、実は、不気味な“予兆”を発していることが、最新の観測技術で明らかになってきた。
地下深くのプレート境界で、岩盤が非常にゆっくりと動く、「スロー・クエイク」と呼ばれる現象だ。四国東部では、ここ数年、急増しているという分析もある。
この謎の現象は、巨大地震とどのような関係があるのか。
科学者たちは急ピッチで解明を進めている。そして、東日本大震災の1か月以上前から、巨大地震の震源のすぐ東側で、「スロー・クエイク」が発生していたことが明らかになった。
巨大地震の引き金となっただけでなく、津波を巨大化させる要因にもなったと考えられ始めている。
南海トラフでも、同じメカニズムで、巨大津波が引き起こされる恐れが懸念されるのだ。
メガクエイクV−第4回は、最新の科学によって見え始めた南海トラフの“予兆”を手がかりに、巨大地震の謎を解明しようと挑戦を続ける科学者たちを追う。
546 :
まさはる:2013/08/27(火) NY:AN:NY.AN
パチ子はポロッと涙を流した。そして泣いている自分に気づくと、
「ごめんね、福山。お姉ちゃんとこじゃこんな風に話せないし・・・後、今日の事、
シャケには内緒にしておいて」
と、言った。
確かに母パチ子とはいえ、二人きりで事務所でお酒を飲んでいるというのは、
何もないにしてもヨロシクない。教えない、知らない幸せというやつだ。
「う、うん。わかった」
バレタ時の事を考えるとかなり不安だったが、OKする。
「メンドクサイ女でゴメンね」
女友達のパチ子はそう言って、またビールをグイグイ煽る。
女を知ってから二十年。おいらのあまり多くない経験から、こういう時の女の子というのは、
酒のピッチがすごく早い。パチ子も例外ではなかった。
547 :
まさはる:2013/08/27(火) NY:AN:NY.AN
2ちゃん閉鎖の噂だが、どうなんだ?
ま、それはともかく,続きを
パチ子は酒を酎ハイに切り替え、酔って気持ちを紛らわせたいのだろう、さらに飲む。
そして、色々とぶちまけてすっきりしたいのだろう、おいらに今日の出来事から、
時には涙交じりに昔話まで色々と話して聞かせる。
パチ子は寝不足と福島の往復で疲れているからなのだろう、酔うのが早かった。
そして、お酒がまわって目がとろんとしてきて、状況としては彼女の母親とのフラグが経ったところで、
パチ子の携帯が鳴る。
着信を見るパチ子。
「あ、シャケからだ」
その途端に目をシャキッとさせ、母親の顔に戻る。
「もしもし。あ、うんうん。行ってきたよ。それであんたは?そっか。うんうん。
え、飲んでないよ。うん。じゃ、気を付けてね」
パチ子が母親の顔に戻るその様がなんとも可笑しく、おいらは声を殺してクスクスとやってしまった。
またあとでくる
548 :
まさはる:2013/08/28(水) NY:AN:NY.AN
昨日は寝落ちしてしまい・・・
そんなことより、2chどうなる?
とりあえず、続きをば↓
電話を切ると、パチ子は何がおかしいという眼をおいらに向ける。すると、今度はおいらの携帯が鳴る。
「シャケだろ」
と、パチ子。着信を見ると、その通りであった。
「話合わせてね」
聞こえるわけもないのに、おいらはなぜか黙ってウンウンと頷いてしまう。
「もしもし、あ、マーちゃん。今何してんの?」
「さっき仕事終わって、いまは書類片づけてる」
そのやり取りを見て、パチ子もクスクスと笑っていた。
シャケちゃんの話では、今日は色々買い物をして、いまはバービーちゃんの家で女子会という事だった。
「今日、あたし居なかったけど、仕事大丈夫だった?明日も休みだけど、頑張ってね」
そういう様な、2ちゃん的に言えば社畜的な発言をされ、希望とはいえ働かせすぎたかな…
と反省をしていると、シャケちゃんは驚くことを言い放った。何度となく経験しているが、
女性の勘というのは恐ろしい。
「お母さん飲んでるみたいでさ、もしかしたらそっちに行ってないよね?」
そう念を押すように聞くのだ。もちろんおいらは
「来てないよ」
と、答えるが、危うくどもる所であった。
「そっか。明日帰るから。じゃーねー」
電話が終わると、少々の罪悪感が残った。そしてそれとは別に、パチ子と些細なウソを共有したからなのだろう、今日のお酒と相まって、また少し仲良くなれた感じが良かった。
昨日、待っていたんだよ〜。
楽しみにしていますよ!
550 :
まさはる:2013/08/29(木) NY:AN:NY.AN
>>549 待っててくれたのね。申し訳ない・・・
楽しみの言葉、アザーッス。
そして続きを↓
シャケちゃんから電話が来た事で、その場の雰囲気は変わった。
パチ子はフゥッと息を着くと
「まったく・・・なんだかね」
そう言って、笑った。その顔には先ほどまであった悲壮感は無くなっていた。
パチ子はおいらに色々ぶっちゃけたことで、少しは楽になったのかもしれない。
でも、酒は進んだ。
「今日の事は絶対内緒だかんね」
という事で、また飲み始める。
「メンドクサイ女でしょ。ごめんね」
パチ子はそう自虐的な事を言いながら、さっき聞いた話をぶり返して話す。
たださっきと違ったのは、パチ子は甘えているのかな?という事だった。
まぁ、パチ子の事を知っている限り振り返ってみれば、こんな時は女の顔になって、
誰かに甘えたいというのもよく解る。おいらとしては、こんな時ぐらい甘えたって、と思うが、
何分パチ子は彼女さんの母親なのだ。パチ子にその気はないであろうが、
状況は完全にフラグが経った状態である。おいらの理性が崩壊するとも限らない。
551 :
まさはる:2013/08/29(木) NY:AN:NY.AN
2chおかしいか?これで長文とか…
「ありゃ、もぅ無くなっちゃった。もう少し飲みたかったな…」
パチ子の持ち込んだお酒が底をつき、だいぶ眠そうにしながらも、
まだ飲みたいとパチ子が言ったのを口実に、おいらはコンビニに行ってくると、外へ出た。
気分を変えないと・・・と思ったのだ。
553 :
恋する名無しさん:2013/08/30(金) NY:AN:NY.AN
554 :
まさはる:2013/08/30(金) NY:AN:NY.AN
555 :
まさはる:2013/08/30(金) NY:AN:NY.AN
>>553 それは・・・
では続きを
というより、パチ子とシャケちゃんは親子で、やはりよく似ている。
おいらがシャケちゃんの好きな所も多分に持っている。おいらはそんなパチ子に、
恋愛感情を持ちそうで、そこから逃げ出した、と言った方が近いかもしれない。
お酒も入っておかしなテンションなおいらは、なんか良くないなぁ、どうしよ?と、
堂々巡りをしながらコンビニまでトボトボと歩く。
そしてお酒とたばこを買うと、足取りも重く、トボトボと時間をかけて店へ戻り、
事務所へ入ると、夢の中にいるパチ子がそこに居た。
パチ子はおいらの気持ちなど知らないであろう、穏やかな寝顔で寝息をスースーたてている。
「あらら」
パチ子はベットの上で無防備な姿でいたが、その寝顔がいつか見たシャケちゃんの寝顔と
瓜二つで、その穏やかな寝顔を見ると、おかしなテンションは急速に落ち着いていく。
こうなると、こんにちわしているヘソが何だか可笑しかった。
「寝かしとてやろう」
笑うのもそこそこに、おいらはパチ子に毛布を掛けてやると、パチ子は一瞬目を覚ましたが、
またすぐに眠りに落ちていった。
556 :
まさはる:2013/08/31(土) NY:AN:NY.AN
今晩はもう少し
パチ子は目を覚ました時、ボソッと何か言った様であったが、おいらには何もわからなかった。
おいらは事務所に居ずらく、買ってきたお酒を抱えて、更衣室でそれをチビチビやった。
その後、パチ子が目を覚ましたのは、もうしばらくしたら、空が明るみ始めるころだった。
その時はおいらも眠ってしまっていた。隣の事務所の物音で目が覚めたのだ。
「起きたか…」
事務所で、パチ子は飲んだ後の片づけをしていた。
「あっ」
パチ子はおいらを見ると、虚ろな目で俯いてしまう。そして、上目づかいでみると、
「福山、あたしたち・・・・」
パチ子はそこで口を噤んだが、言いたい事は解った。
「何もないって」
「だよね。だよね」
パチ子は記憶がない様で、そう言いながらも、動揺が隠せない様子だった。
「だって、パチ子彼女のお母さんなのに・・・」
おいらはそんなことを言いながらも、もしかしたら色々な物を失って、崩壊させていたかもしれないと、胸をなでおろしていた。
557 :
まさはる:2013/09/01(日) 00:02:35.70
パチ子はおいらと何もなかったと分かると、ヨソヨソしさは消えてなくなった。
「「これ、あの子に見られたらマズイよね」
パチ子はたくさんの空き缶を見て、苦笑い。
確かに、多すぎる空き缶は、シャケちゃんに見られたら、「どうしたのこれ?」
と、問い詰められそうであった。
まだまだお酒が残っていて動きたくはなかったが、おいらはパチ子と一緒になって、
飲んでいたという痕跡を消す。
「酒飲んだの隠してるって、なんか、あたしら高校生みたいで可笑しい」
パチ子がそんなことを言って、普通に笑っているのを見るのは、気分のいいものであった。
証拠の隠滅が終わると、おいらはタクシーを呼んでやる。
「福山、今日はありがとね」
こうして、パチ子との一晩は幕を閉じるのであるが、女性というのは恐ろしい。
身を以て何度も経験しているが、また思い知らされることとなる。
558 :
恋する名無しさん:2013/09/01(日) 10:42:20.87
本当は寝てる間に襲ったくせに!
559 :
まさはる:2013/09/01(日) 23:43:10.23
>>558 寝てるとこ襲わないぞ。
小心者なんでな、こんな時はおっぱいつつく事すらできないんじゃないか?w
560 :
まさはる:2013/09/01(日) 23:45:56.08
もうねるので、これだけ
翌日、店の営業を終え、書類整理などがあったので店に残って仕事をしていると、電話が鳴った。
シャケちゃんからであった。
「あ、マーちゃん。今帰ってきたー」
「おかえりー東京どうだった?バービーちゃん元気だったか?」
「うん。よかったーバービーちゃん元気だったよ。でさ、まだお店?」
「うん。まだ仕事残ってる」
「じゃあ、これからお土産持ってくね」
東京で楽しい事でもたくさんあったのだろう、シャケちゃんの声ははしゃいでいた。
それから程なくして、シャケちゃんはおいらの前に姿を見せる。
シャケちゃんはプレゼントのワンピにカーディガンを羽織っていた。
「これ、マーちゃんに貰ったやつ」
シャケちゃんはニコニコと嬉しそうに回って、ワンピを着ている自分を見せてくれる。
当然、贈ったおいらもご満悦だ。
しかし、二人でご機嫌でいられたのはこの時までであった。
「はい、これお土産」
シャケちゃんはお土産の名菓ひよこをおいらに手渡すと、ベットに腰を下ろす。
この辺りでシャケちゃんの様子が変わった。
これまで毎日の様に出入りし、まったりしている部屋なのに、初めて来た部屋の様にあたりを見渡し、
「ねぇ、マーちゃん、昨日ここに誰か来た?」
と聞いた。
561 :
恋する名無しさん:2013/09/02(月) 17:40:10.05
まさはるってさ、読んだあとにいちいち反応してあげないと
拗ねるところがめんどくさい
562 :
まさはる:2013/09/02(月) 21:03:25.11
なんも反応無いとさびしいじゃん。
そんなこと言っていじめないでおくれよ。
と言いつつ喜ぶ俺w
あ、これから出かけるんで、続きはないっす。
563 :
恋する名無しさん:2013/09/03(火) 03:28:19.25
マーちゃん、続き気になるから早く焦らず急いでゆっくり自分のペースでいいので書いて!!
564 :
まさはる:2013/09/03(火) 22:21:36.41
>>563 よーし、おっさん頑張っちゃうw
てことで、続き↓
「え?来ないよ」
かなり驚いたが、パチ子とは何もやましいことは無かったので、平然とウソをつくことが出来た?
がしかし、シャケちゃんはいつの間にかおいらの性分を知っていた様で、僅かな心の動揺も見逃してはくれない。
「ほんとに?」
おいらは髪を染めているパチ子の髪の毛が落ちてはいないか気になったが、その動揺にも似たその気持ちを押し殺す。
「来ないけど、何で?」
「ベットのシーツとか、灰皿なんかも洗っているし…なんかいつもと違う」
それらは少々だらしない独身のおいらではなく、パチ子のした仕事であった。
素朴で純情そうでも、シャケちゃんは女性の目を持っていた。
おいらは動揺を隠しつつ、
「あぁ、昨日掃除したからだよ」
と、少々ぶっきらぼうに答える。
そのくらいでは、シャケちゃんの疑いの目は変わることは無かった。
「ほんとに?ミムラさんとか…」
おいらはミムラちゃんとの浮気を疑うシャケちゃんがかわいそうに思ったが、
声を荒げた。要は逆ギレだ。だが、こればかりは仕方がない。浮気などしていないのは事実だ。
ただ、昨晩は都合のいい男になっただけなのだ。おいらは申し訳ないと思いつつ、
「ミムラちゃんて…なんで?俺の事信用できないの?」
この時、おいらは自分がどういう表情をしていたか?悲壮感あふれる顔でもしていたか?
シャケちゃんはおいらの顔をじっと見た後、
「マーちゃんごめんね」
と、申し訳なさそうにする。
浮気の疑いはかなり晴れた感じではあったが、こうなると、申し訳なさが倍加する。
「ごめん,怒鳴っちゃって」
たまらず、おいらは取り成してしまう。
すると、シャケちゃんはイヤイヤと首を振り、
「浮気なんてしてないよね?」
と聞いた。
「してないよ」
おいらはきっぱりそう答えると、目をウルウルとさせながらもシャケちゃんの顔に笑顔が戻る。そしてシャケちゃんはそのウルウルした目のまま、おいらに東京での楽しかったことを聞かせるのであった。
おいらはその話を聞きながら、昨晩のおかしなテンションを恥じた。
565 :
まさはる:2013/09/05(木) 06:22:05.23
翌日、いつもと違って少々バツが悪そうにパチ子は納品に来た。
「福山…ごめんね。大変だったんでしょ」
昨晩の出来事をシャケちゃんに聞いたのだろう、パチ子は俯き、チラチラおいらを見てそう言う。
「ほんとに…浮気してると思われたんだかんね」
その言葉とは裏腹に、別に迷惑したとも思っていないので、笑顔を見せてやると、
パチ子はそれで安心したのか、いつもの調子になって、
「ほんと、ごめん。で、ミムラちゃんだっけ?」
と言って、おいらを驚かせる。
「え?ミムラちゃんて・・え?」
以前から感じてはいたが、シャケちゃんの知っていることは、
パチ子も知っていると思って間違いない様であった。
566 :
恋する名無しさん:2013/09/05(木) 06:50:02.33
逆ギレで怒鳴るなんてひどい男だねー
567 :
まさはる:2013/09/06(金) 06:59:56.88
>>566 ミムラちゃんに浮気を疑われたので、つい・・・
仕事前に少し↓
「ヤクルトの子だよね」
「え?あ、うん」
おいらとしては、この話題はなんとなく避けたかったが、パチ子はそうはさせてくれない。
「ねえ、どんな子なのよ。会ってみたいわぁ」
女性というのは色恋話が大好きである。パチ子もやはりそういうのが大好きな様で、
嬉々としていた。
おいらは、「おいおい、じぶんのことはどうなんだよ」と思ったが、それは黙っていても自分で考えるだろう。
それは黙っておいた。
「ねね、どんな子か興味あるんだけど、いつ来んのよ」
パチ子のその願いが実現したのは、それから二日後の事だった。
ヤクルトレディーのお姉さんは、回るコースが決まっていて、いつもそれは変わらない。
ミムラちゃんは毎週水曜日、開店前の九時半ごろやって来る。
「こんにちわーヤクルトです」
顔を合わせると挨拶をし、ジョアを購入。そして世間話になっていくのだが、
おいらは慌てた。
「今朝、店長さんの彼女見かけましたよ」
と、タイムリー事を言うのだ。そして、その顔には面白がっている様がありありと見える。
ミムラちゃんもまた、色恋話が好きな様であった。
568 :
まさはる:2013/09/06(金) 23:34:32.56
「え、あ、そう」
毎度のことながら、心の内が言葉と態度に出てしまう。
それをミムラちゃんは見逃してはくれなかった。
「あ、あっ?」
「な、なんだよう」
「あれ、なにがあったんですか?」
ミムラちゃんのニヤニヤが止まらない。
「たいした事じゃないよ」
何もないよ、そう言えばいいのに、バカなおいらはそんなことを言ってしまう。そういう仕様なのだ。
「え、なになに?何があったんですか?」
ミムラちゃんの目は、爛々と輝いてしまっている。アチャーと思うが、後の祭りであった。
「たいした事じゃないってば」
そう言っても、ミムラちゃんは聞いてくれない。
えーーと言って、口をとがらせる。
おいらは困ってしまった。ハラハラしていた。ミムラちゃんと浮気の容疑などと言えるわけもないし、
さらにパチ子の事は極秘なのだ。さらにさらに、肉屋の納品も九時半ごろ。今にもパチ子が姿を現すであろうと思われたのだ。
「こんにちわー○○ミートです」
予感は的中した。パチ子は表に置いてあるヤクルト仕様のジャイロを見て、それと分かったのだろう、
すました顔をしていたが目を笑わせて店に入ってきた。
569 :
恋する名無しさん:2013/09/07(土) 16:02:33.17
長すぎて読みにくい
簡潔に頼む
570 :
まさはる:2013/09/07(土) 20:48:29.21
>>569 長すぎるか・・その辺は勘弁してくださいな。
で、今日は短めで。出かけるんでね
「こんにちは」
パチ子はさりげなく挨拶をかわしつつ、ミムラちゃんの事をしっかり見ていた。
「じゃあ、私はこれで」
パチ子は話が切れたところで帰ろうとするミムラちゃんを呼び止め、ヤクルトを買った。
「ほんと綺麗な子なんだね。ありゃシャケも気になるわ」
ミムラちゃんが帰ると、パチ子はそんなことを言う。
「な、なんだよ」
「ところで、シャケが言ってたけど、あの子バツイチ?」
「う、うん」
前に販売に来た時に、その事はチラッときいていたのだ。
パチ子はミムラちゃんが独身だと分かると、おいらをジィーッと見る。
無言の圧力であった。
楽しみが減るから長めでお願い
パチ子さんかわいそう。まさはるとパチ子が結婚すればいいのに!
ヾ(≡^ω^≡)ノ
574 :
まさはる:2013/09/10(火) 20:09:11.72
>>571 これまで通りでやってきますよー
>>572 それはちょっと・・・
>>573 ( ^ω^)
続き↓
「なに?」
ちょっとデレデレはしたが、やましいことなど何もないので、そういう言葉になる。
「いや、別に」
パチ子はそう言って、ヘヘヘッと笑った。
おいらには、パチ子が浮気すんなよという意思表示をしたのか、
ただ単にふざけただけなのか、分からなかった。
おしゃべりしながらの時間の掛かった納品が終わる。
「じゃあ、あたし仕事戻るわ。じゃーね」
いつもなら、パチ子はそんなことを言って仕事に戻るのだが、この日は少し違っていた。
「なぁ、福山。あのさぁ」
そこまで言うと、パチ子は口を噤み、照れ笑いに似た感じの笑わない顔を見せる。
「ん、なに?」
「うん…やっぱいいや。ごめんね。じゃーね」
パチ子はそう言って足早に店を後にした。どうやら、パチ子は自分の事で話したい事がある様だった。
これが、シャケちゃんの事であればパチ子は口にしただろう。口を噤んだところを見ると、
おそらく旦那さんの事であろうという事は察しがついた。
その日、シャケちゃんの方から「今週の日月と休ませてもらいたい」という申し出があった。
聞けば、福島に行ってくるのだという。
「なんか、色々手続きあるみたい。あたしも会いたい人いるし、前は線量とかで家いけなかったから行きたいし…」
シャケちゃんはそんなことを話したが、今回の福島息の最大の目的は、パチ子の問題にあるのではないか、
と感じた。
そしておっさんが女子高生の処女奪い、結婚しました。
終わり
576 :
まさはる:2013/09/10(火) 22:10:08.04
577 :
まさはる:2013/09/11(水) 00:44:30.93
今晩はもすこし
それと、親しく付き合うようになってからはまり感じなかったが、やはりシャケちゃんは
福島の子なんだな、という事を実感を持って感じさせられた。そこを突き詰めて考えると、
あまり良い未来は見えてこず、別れたくないくせに、この子と付き合ってていいのだろうか、
と、ネガティブな思考になっていく。
健気に明るく、一生懸命仕事をこなすシャケちゃんを見ていると、それは余計に感じた。
おいらは平静を装って仕事をするが、あの仕様だ。
仕事が終わって、事務所で待っているシャケちゃんにお茶を出してもらって開港一番、
「マーちゃんどうしたの?なんか変だったよ。なんかあった?」
と、言われた。
「ん?どうしたのって何?」
そう恍けるも、シャケちゃんはおいらの仕様を知っている。お見通しであった。
「やっぱおかしいよ。どうしたの?」
それにおいらは、
「何でもないよ」
と、答える。そうとしか答えられなかったのだ。正直なところは言えないし、
放っておいて欲しかったが、彼女としては話してほしかったのだろう、
「やっぱ変だよ。あたしが浮気疑ったから?」
シャケちゃんは心配そうな面持ちになる。
「うううん。違うよ。心配しないで」
首を振って浮気の容疑の事を否定し、そう言うも、シャケちゃんの表情が明るくなることは無かった。
その時のおいらには、その優しさが心苦しかった。
578 :
恋する名無しさん:2013/09/11(水) 02:36:22.70
週刊現代・ポスト合同「一番嫌いな都道府県民は?」全国10000人アンケート(2011年6月)
1位 東京都 3752人(震災後の低民度で身勝手な行動、東電の原発事故隠蔽、韓流のゴリ押し・・・悪い事はすべて隠蔽する東京=朝鮮半島)
2位 福島県 853人
3位 岩手県 711人
4位 神奈川県 596人
5位 埼玉県 483人
「治安が悪過ぎて東京に遊びに行くのが怖い」(千葉県・30代女性)
「東京は至る所にホームレスがいる」(神奈川県・50代男性)
「東京は民度が低い、シナ中国人=トンキン東京人というイメージ」(北海道・50代女性)
「東京人は特にネット等でやたら大阪に絡んでくる印象」(大阪府・20代男性)
「東京のテレビ番組を見てると近畿のイメージを悪くする偏向報道ばかりで呆れる」(京都府・30代女性)
「東京のサッカーファンは何故あそこまで馬鹿騒ぎ出来るのか不明」(兵庫県・30代男性)
「福島から労働力を奪い、大阪から大企業を奪うばかりで、盗むしか能がない東京=泥棒のイメージ」(愛媛県・30代男性)
「東北を放射能で汚染した東京(電力)に東北を馬鹿にする資格は無い」(宮城県・60代女性)
「東京は地方の人・モノを搾取することしか能の無いイメージ」(愛知県・40代男性)
「東京発のメディアは韓流ばかり流しているが、左翼が多い土地柄なのか」(広島県・50代男性)
「東京は凶悪犯罪が多過ぎる」(福岡県・20代男性)
「東京の方が臭いから」(埼玉県・40代男性)
「東京マスゴミによる東京マンセ〜朝鮮韓国マンセ〜、東京マンセ〜がウザすぎる」(石川県・20代女性)
579 :
恋する名無しさん:2013/09/11(水) 21:32:42.81
お疲れさんす(Д)ノ
ゴーストライター発見した、ああうえや成り済ましってヤツだったアレだ
シャケちゃんさんは巨乳__φ(.. )なるる
580 :
まさはる:2013/09/12(木) 00:32:28.44
>>579 お疲れです。
おいら、シャケちゃんは巨乳って書いたっけ?
サオリンは巨乳だけどw
続きをば↓
こう気落ちしてしまうと、話をしていても、沈黙している時間が長くなってしまう。
おいらは男で年長者だ。シャケちゃんに余計な心配はさせたくないと、
頑張って明るくふるまうも仕様が仕様なだけに空回りしてしまう。
シャケちゃんの不安で寂しそうな面持ちを見ているのも辛く、ちぐはぐな会話の後の長い沈黙で、
堪らずおいらは
「送ってくよ」
と、言ってしまう。
それにシャケちゃんは、返事もせずにこくりと頷くだけだった。
店を出て、いつもの様においらが自転車を押して手をつないで歩く。
すると、いつもしてきていることをしたからなのか、気持ちが落ち着いた。
「ごめんな、ちょっと思う事があってさ」
「思う事って?」
「あのさ…おれが彼氏でほんとに良いのかって…」
おいらがそう言うと、シャケちゃんお顔はみるみる強張る。
「いいんだよ。好きなんだから」
シャケちゃんはそう言って、背中をバシッ。
「もー心配したんだから」
といっては、口をとがらせて両手でバシバシ。
「痛い痛い」
そう言いつつも笑いながら、血は争えないな、などと思ってしまうおいら。
根が単純なおいらは、そんなことで吹っ切れていた。
581 :
まさはる:2013/09/14(土) 06:10:55.61
少しばかし
翌日、納品に来たパチ子はニヤニヤ。そのニヤつきで、パチ子は昨晩の事を知っているのだな、と分かる。
パチ子もおいらと同様、分かりやすい人なのだ。
「福山〜」
おいらはその後、少々頼りないおいらに活を入れる言葉を投げかけられるのかと思ったが、
言葉は無く、パチ子なりの意思表示なのだろう、肩をバシッと叩かれただけだった。
そして話題を変える。
「ねぇ聞いた?今週末の話。また福島行ってくる。ゴメンね、
忙しいとこシャケのやつ休ませちゃって」
「いや、気にしないで。大丈夫だから。んで・・・」
おいらはそこまで言って、言葉を濁した。旦那さんと話し合いかなどとは聞けない。
でも、パチ子はそれを察したようで、
「うん。旦那と会って、話してくるよ」
と、言う。
パチ子はそんな思い話をサラッと話していた。
582 :
恋する名無しさん:2013/09/14(土) 09:53:48.03
半分くらい読んだ。面白いよー、そのうち追いつきますw
583 :
まさはる:2013/09/15(日) 00:05:37.09
>>582 お褒めの言葉ありがとう。
進むの遅いですがよろしく。
で、つづきをば↓
「そっか・・・」
パチ子はどうするつもりなのか、朝帰りの件もあり、気になるが、さすがにそれは聞けない。
でも、パチ子はその事を口にする。
「こっっち来る前から考えてたんだけど、別れようと思ってさ」
「そっか・・・」
こういう話をすると、やはりどことなく暗い空気になる。パチ子はそれを嫌ったのか、
「あんたたち見ると、幸せそうだって思ってさ、あたしも幸せになるんだよ」
そんなことを言って、ヘヘッと笑った。
幸せか…思えば、シャケちゃんがもたらしてくれる幸せはたくさんあった。
キス以上の関係になれずに悶々としながらも、それはそれで結構いい関係で、
満足しているのも幸せだったし、
シャケちゃんと付き合う事をいい顔をしない両親に、どう認めさせるかと考える事も、
幸せな事と言えば幸せだし、
そもそもシャケちゃんの様な子と付き合えるというのが幸せな事であった。
おいらはパチ子に釣られて笑いながら、
「おれ、幸せそうに見える?」
と、聞いてみる。
「うん。メチャメチャ幸せそう」
パチ子は即答で答えた。仕様が仕様なだけに、そういうオーラが出まくっていたのかもしれない。
「そんな幸せそうに見えるか・・」
「うん。こっちまで気分良くなるぐらい」
パチ子はそう言ってひとしきり笑うと、「じゃあ、あたしはこの辺で」と言って、
やたら時間の掛かる納品を終えて、店を後にした。
584 :
まさはる:2013/09/17(火) 09:34:20.99
パチ子の問題の話は、シャケちゃんの口からも聞かされた。
いつもの様に仕事が終わって、事務所でお茶を一服。と言っても、熱くなってきたので麦茶なのだが、
それを飲みながらぽつぽつと話をしていると、シャケちゃんは唐突にその事を口にした。
「あ、そういや、お母さんあの人と別れるみたい」
以前福島に行った時に何かを感じさせたシャケちゃんは、実の父親でないこともあってか、
特別な感情も見せずに淡々と話す。
「お母さん、その事話に行くんだって。ごめんね、やすんじゃって」
パチ子のその話題は、先日の朝帰りの件もあるし話ずらい。
「そっか…」
そんなつまらない返事になってしまう。すると、その空気を察したのか、
自分でも触れたくない話題であったのかもしれない、
「それでさ、あんたたち幸せそうでいいねって、お母さん言うの」
と、話題を微妙に変えた。
どうやらパチ子は、母親の顔としてもおいらと同じ事を話している様だった。
「あ、俺もそれ言われた。メチャメチャ幸せそうに見えるだって」
「へぇーそうなんだ」
シャケちゃんはあまりにおいらを身近に見ているせいなのか、意外そうな言葉を口にする。
そして、答えは分かっているだろうに、多くの女の子がそうであるように、言葉の確証がほしいのだろう、
「んで、マーちゃんはほんとに幸せ?」
と、ニンマリしながら聞いた。
これはおいらがシャイなのか、おっさんと言えども本人を目の前にすると少々気恥ずかしい。
「え、うん。幸せだよ」
テレがあって、お前が傍にいてくれるから、そんな言葉が抜けてしまう。日本人の気質というやつだろうか?
それでも、シャケちゃんはニヒーッと喜びの表情を見せてくれる。
その顔を見ると、答えはわかるが、おいらも聞いてみたくなる。
「シャケちゃんは幸せ?」
すると、シャケちゃんはニヒーッとした顔をさらに綻ばせながら、ウンウンと頷く。
シャケちゃんのその仕草その表情が可愛らしく、おいらはさらに構いたくなる。
「ほんとに幸せ?」
すると、シャケちゃんは甘えたいのか、照れ隠しなのか抱きついてくる。
「エへへへ」
おいらは抱きついたシャケちゃんの肩を抱いて、そう笑いあった。
「エへへ」
二人で笑うたびに、胸が高まる。
「エへ」
そして訪れる沈黙。それは嫌な沈黙ではなく、それを予感させる、胸の高まりが支配した沈黙だった。
585 :
恋する名無しさん:2013/09/17(火) 10:42:36.84
586 :
まさはる:2013/09/19(木) 06:29:05.26
ほんとちょっとだけ↓
おいらはその気になっていた。シャケちゃんもそうだろう。おいらから目を離さず、
何もしていないのに息があがっており、肩を抱いた手が、体温と微かな震えを感じる。
そういうおいらも、口を開けて大きく息をしていた。
もう、おいらは年齢の事とかは考えられなかった。
おいらは今肩を抱いているのは、最愛の彼女、という事しか頭になかった。
「シャケちゃん…」
もっと気の利いた言葉があるだろうが、おいらの口から出た言葉はそれだけだった。
すると、シャケちゃんは少しは緊張が解けたのか、ギュッと服を握っていた手が緩み、
微かに微笑む。
587 :
まさはる:2013/09/19(木) 23:58:13.82
パンツは履いといてねw
おいらはシャケちゃんと見つめ合う。
それが本能なのか、これまでそうしてきた経験がそうさせるのか、そっと唇を重ねようとする。
ためらいが多かったからなのだろうか、これまでシャケちゃんとはもう何度したか覚えてないくらいキスをしたのに、
緊張感が半端ない。と、その時、
「ごめん、マーちゃん」
シャケちゃんはそう言って、おいらの動きを止めた。
「え・・・」
永遠の様な一瞬。事故を起こした時などに見る走馬灯のように、おいらの頭の中に色々な事が駆け巡った。
シャケちゃんは男が苦手だったと聞いている。おいらもそこまでは踏み込めないのか…
おいらはおかしな行動をとったか…?
臭かったか…
臭いのは間違いないと思われる。飲食店の調理場は、6月ともなれば調理場は灼熱と化す。
8月などは地獄だ。汗みどろになって働くこの季節、おいらの場合、
休憩中にシャワーを浴びることが通例となっている。
「マーちゃん、あたし絶対汗臭い。シャワー浴びていい?」
何の事は無い。シャケちゃんはおいらと同じことを気にしたのだった。言われてみれば、
着ているTシャツがしっとりとしている。
「仕事頑張ってたもんな。行っといで。タオル引き出しに入ってるから」
そう言いつつ、おいらは自分の臭いをかいでしまう。
おいらは間違いなくほんのり臭かった。
「くさっ・・俺もシャワー浴びないと・・」
おいらがそう言うと、シャケちゃんは微かに笑顔を見せたが、緊張の面持ちのまま、事務所を後にした。
588 :
まさはる:2013/09/21(土) 13:23:34.21
事務所で一人になると、再び訪れる胸の高まり。もう、あれこれつまらない事を考えることは無かった。
おいらは只々シャケちゃんに事を考え、緊張し、たまらず窓を開けてホタル族の様にタバコをふかしてしまう。
おいらはタバコを吸っても、ソワソワして落ち着かなかった。
長く感じるようでも、着実に時は進む。どれくらい経っただろう、
シャケちゃんがシャワーから戻ってくる。
シャケちゃんは事務所のドアに隠れて、少しだけ姿を見せる。
「マーちゃん、電気消して。ちょっと恥ずかしい」
恥じらいがそうさせたのか、シャケちゃんは下着姿にバスタオルを巻くという出で立ちだった。
シャケちゃんは恥ずかしいのだろう、何も言わず、おいらに背を向けていた。
「あ、俺もシャワー行ってくる」
入れ替わりに、今度はおいらがシャワーに入る。
脱衣所に、シャケちゃんの服が綺麗に畳まれておいてあった。
それを見ると、少し落ち着いてきたというのに、リアルな実感がわいてきて、
またソワソワして落ち着かない。だからなのか、必要以上に慌てて体を洗ってしまう。
この時のおいらは、まるで魔法使いになりかけていた童貞君の様であった。
ともあれ、事務所に戻ると、シャケちゃんはベットに腰掛け、電話をしていた。
「・・・・うん。じゃーね、バイバイ」
俯き加減で髪に隠れて良く見えなかったが、その横顔はほんのり微笑んでいた。
589 :
恋する名無しさん:2013/09/21(土) 13:24:14.72
これなんで書くの?
キタ━━(゚∀゚)━━!!!
591 :
まさはる:2013/09/22(日) 00:24:58.63
それはそのぉ…そんなこと気にしないでくれ。
/)
///)
/,.=゙''"/
/ i f ,.r='"-‐'つ____ こまけぇこたぁいいんだよ!!
/ / _,.-‐'~/⌒ ⌒\
/ ,i ,二ニ⊃( ●). (●)\
/ ノ il゙フ::::::⌒(__人__)⌒::::: \
,イ「ト、 ,!,!| |r┬-| |
/ iトヾヽ_/ィ"\ `ー'´ /
592 :
まさはる:2013/09/22(日) 00:27:13.63
593 :
まさはる:2013/09/22(日) 00:28:09.50
で、すこしつづき
いつもしているように、格好は違えどシャケちゃんの隣へ腰を下ろす。
「お母さん?」
その問いに、シャケちゃんはこくりと頷くと、
「今日、遅くなるからって・・・・」
そう言って、ニコッと笑顔を見せると、下唇をかんで、恥ずかしそうに俯く。
「う、うん」
それにしてもこういう時の女性というのは、特にシャケちゃんはどうしてこうもおいらの心…
これに萌えるのはおいらだけではないだろう。多数いるはずだ。
どうしてこうも男心をくすぐるのか?
DNAというやつか?
とに角、おいらはその仕草に萌えた。
心臓の鼓動がさらに増して、半端ない。
ざまあだな
無能は復讐されても指くわえて見てるだけか
素晴らしい知能犯だ
595 :
まさはる:2013/09/24(火) 07:11:25.36
>>594 どういうこと?
とりあえず、寝ちゃってすこしだが・・余裕があって冷静であったなら、へまはしない様に、シャケちゃんは気分いい様にとか、そんなことを考えるだろうが、
そんな余裕はなかった。
女性を知って、早二十年余り。それでも下手な小細工などできないおいらだったが、
本能がそうさせたのか?気づけばシャケちゃんの肩を抱いている。
そして、上手い事を言うスキルも、余裕もないおいらは、只々自分のその時の気持ちを口走っていた。
「おれ…シャケちゃんが大好きだ」
それを聞いてシャケちゃんは、俯き加減の顔を上げ、恥ずかしそうに笑顔を見せる。
「あたしも、マーちゃんの事大好き」
シャケちゃんはそう言って、一度視線を落とすが、またおいらに視線を向け、見つめ合う。
そして、シャケちゃんの顔にあった笑みがだんだんと消えていき、それが無くなった時、気付けばおいらはシャケちゃんにキスをしていた。
596 :
まさはる:2013/09/25(水) 01:37:35.22
↑改行しくじった・・・
見てくれてる人はわかると思うが・・
それにしても、594はなんなんだろう?
まぁとにかくつづきをば
今までで、一番長いキス。唇が離れた後、そっとおいらに寄り添うシャケちゃんが狂おしいほどに愛おしい。
たまらず、またキスをする。そしておいらは肩を抱いたまま、重なり合う。
常夜灯の薄明かりの下で、シャケちゃんはすべてをおいらに許し、受け入れてくれた。
淡々としながらも、幸せに満ち溢れた時が流れていく。
おいその息遣い、表情、眼差しから感じる、喜ばせてあげることが出来た、という実感が、
おいらをさらに幸せな気分にさせる。
シャケちゃんはその逆だっただろうと思う。おいらの胸に顔を横に置いて離れなかった。
男が賢者となる時間、シャケちゃんは毛布をかぶっておいらの腕の中にもぐりこむ。
そして、二人で顔を見合わせて「えへへ」と笑った後、おいらの顔を弄り始めた。
ほっぺをフニフニサワサワする。
「マーちゃんのあんな真剣な顔初めて見た」
そしてまたフニフニ。かと思ったら、おいらのほっぺをそのままビローンと伸ばして
イヒヒッと笑う。
「そうかなぁ」
そういう指摘が心地よくも照れ臭い。思わず、ニヤニヤ。
シャケちゃんも釣られたか、ニヤニヤ。
そんな会話が心地よく続く。賢者の時間は只々時が過ぎるのがもったいなかった。
ずっとROMってて、展開的にまさかなとは思ってたけど。誕生日で18歳になってるからいいのかw
598 :
まさはる:2013/09/27(金) 00:35:00.32
>>597 ロムってないで出てきてよ。
でも、お巡りさん呼ばないでねw
んで、続きを
心地良いだけではなく、ドキッともさせられた。
シャケちゃんはおいらの顔を弄るのに飽きてきたのか、口も動き始める。
こういう時の女性は、得てして口が大胆に、開放的になる。シャッケちゃんは間違いなくそうだった。
一方、男はというと、穏やかな海の様に広い心を持つ。
シャケちゃんはおいらの腕の中で「フッ」と笑うと、
「また男の人とこういう事になるとは思わなかった」
と言う。その声からは、喜びが感じられた。そしてなんだか急に大人っぽいというか、
色っぽくなる。シャケちゃんはその話を続ける。
「あたし、男の人が嫌いっていうか、すごい苦手になっちゃっててさ」
「彼氏いたんだ…」
「うん。いろいろあった。でも、もういい」
シャケちゃんはそう言って優しくニコッとすると、ギューッと抱きついてくる。
しかし、シャケちゃんに限らす、女性と言うのはなぜこういうシチュエーションで数段魅力があがるのか?
野暮なおいらには知る由もないが、おいらはそれにやられた。
そしてまた、先程おいらの顔を子供の様に弄るシャケちゃんとのギャップに、やられた。
楽しい、幸せな時は時が過ぎるがとても速い。以前話したこともある、初めて会ってからの心境の変化などをベットの上で心地良くしていると、いつの間にやら時計の針は10時を大きく回っている。
いくら遅くなるとは言ってあっても、そろそろタイムリミットであった。
「そろそろ帰ろっか」
おいらはそう言いながらも、シャケちゃんが傍から離れてしまうのが名残惜しくてたまらなかった。
599 :
恋する名無しさん:2013/09/27(金) 03:00:45.34
通
報
し
ま
せんでしたヾ(≡^ω^≡)ノ
いまだ希望の光は見えないが
俺は必ず復活する
百倍返しだ
601 :
恋する名無しさん:2013/09/28(土) 23:06:54.78
震災後、君等の「御かげ」で、生き残れた。まだいけると再確認した。
本当に有難う。
602 :
まさはる:2013/09/29(日) 00:11:25.53
>>599 おひさしぶるですー
誤字とかあるけど頑張ってますよw
>>600 よくわからないが、がんばれー
>>601 元気があれば何でもできる。どこかで聞いた言葉だが、真理だ。
がんばってなー
ではでは、頑張りの足りないおいらの続きw
出来る事ならこのまま朝まで…そういう気持ちはシャケちゃんにもあるのだろう、
「うん。でも、もうちょっとだけ」
シャケちゃんはそう言うと、ギューッと抱きついてきて、エヘヘと照れる。
惚れた弱みもあるだろうが、シャケちゃんは何でこうも一々かわいいのか。
こうなると、大人の余裕も糞もへったくれもない。おいらもギューッとする。
言葉はあまり交わさず、顔の表情で語り合う。只々、ひたすら幸せだった。
十分、二十分、もっとそうしていたかったが、なかなかそうもいかない。
「送ってくよ」
「うん」
シャケちゃんは一々可愛かった。
ベットから降りて着替えをする。明らかに今までとは違う関係になったんだな、
と思わせる瞬間がその時あった。
表に出ると、いつの間にか雨が降っていた。
603 :
まさはる:2013/09/29(日) 00:32:24.05
おいらもちょっと頑張ってみた。続き↓
なので、自転車は置いて、おいら達は車に乗り込む。
助手席にはシャケちゃん。そのシチュエーションで、おいらは思い出し笑いをしてしまった。
以前、いわきに行った時の帰り道にガストへ寄った時の事を思い出したのだ。
「ねぇ、マーちゃん何笑ってんの?」
「前いわきに行った時の帰り、ガストでさ・・・フフッ」
車を走らせながら、おいらはシャケちゃんをかまう。そんな些細な事でも楽しくてたまらない。
シャケちゃんもそれを楽しんでいる様で、
「だってぇー」と、甘えた声を出していた。
そうこうしているうちに、車は宮内家のアパートに着き、チュウをして特別な夜は終わった。
604 :
恋する名無しさん:2013/09/29(日) 00:35:04.04
おいひろゆき運命の人教えて欲しいなら俺を笑せてみろ。
全部読みました。続き期待です。
スレが立ってからだいぶ時間が経過しているが
ハッピーエンドであってほしいなあ。。。
606 :
まさはる:2013/09/30(月) 00:51:28.87
>>604 ???
>>605 読んでくれてありがとう。
最後はどうなるでしょうね?
まぁぼつぼちやってますので、たまに覗いてください。
んで、続きをば
店に戻って事務所でやり残した事務仕事をしていると、先程の余韻が手伝って、
一人ニヤついてしまう。
しかし、仕事など手に着かず幸せな気分でいられたのはわずかだった。
やはり、気になったことはすぐに思い出してしまう。元彼の話だ。
穏やかな広い海に、ザワザワとさざ波が立つ。
おそらく、シャケちゃんは元彼との間につらい出来事でもあったのだろう。当然、イラつきの矛先は
元彼へと向かう。
だがしかし、顔も名前も知らない相手。ましてや関係の終わっている相手。
おいらは悶々とすることしか出来なかった。
そんな状態なものだから、手違いも起こす。売り上げが合わずにムキィーとなっていたら、
メールが入った。シャケちゃんからであった。
それと分かると、おいらのイラつきは一瞬にして消え去る。おそらく、ニヤニヤしていたに違いない。
実に分かりやすい。この時ばかりは自分でもそれがよく解った。
なにはともあれ、おいらはすぐさまメールを開く。そこには期待していた甘い文面は無かく、
「おなかすいたよーーーー」
とあった。
おもえば、今日はご飯食べに行くから遅くなる、そういう事だったのだ。
帰るときは、おいらはもう胸いっぱいで、その事はすっかり忘れていた。
おにぎりの一つや二つ握ってやればよかった、と思うも、後の祭りでしかなかった。
とりあえず、その事をメールする。すると、
「マーちゃん、お腹すいたよぅ」
と、返ってくる。
おいらはその日の晩、なんだか申し訳なくて晩飯を食えなかった。
腹減った…腹は鳴っても胸はいっぱいで、おいらは幸せだった。
もしかしたら会社の連中に覗かれていたんじゃないか…と
そう考えたら気が触れそうだから考えないようにしてる
考えても仕方ないから信じる事に決めた
608 :
恋する名無しさん:2013/10/01(火) 12:20:57.65
>>602 お久しぶるw早速誤字w
がんばれーヾ(≡^ω^≡)ノ
609 :
恋する名無しさん:2013/10/01(火) 20:51:48.10
610 :
まさはる:2013/10/02(水) 04:35:40.33
>>607 ??
>>608 その辺は仕様ということでw
少しですが続きです↓
こう幸せだと、色々な事にポジティブになるが、生活のリズムはたいして変わらない。
いつもの様に朝が来て仕事行って、パチ子が納品にやって来る。
いくら認められているとはいえ、おいらはさすがに緊張した。
シャケちゃんは昨晩ウソをついているので話すことは無いだろうが、
パチ子は母親なのだ。同じ様な道を歩んで来ているのは間違いない。
人の上に立ったり親になればわかるが、こういうウソはバレているものなのだ。
「こんにちわー○○ミートです」
パチ子はいつもと変わらない。
「お、おはよぅ」
おいらは例の仕様であった。
611 :
まさはる:2013/10/03(木) 00:10:12.35
続き↓
緊張し、妙に畏まってしまう。何かを話そう、と思うが、何を話していいか分からなかった。
おそらく、おいらは挙動不審であっただろう。パチ子は「なに?」という顔をしていた。
「昨日、遅くなっちゃってごめんね」
ふと、頭に過ったその事を、おいらは詫びた。それは避けたい話題なのに、どういう訳か口から出てしまう。
すると、パチ子は真顔になってふと考えた後、フッと笑って顔を小さく振って、
遅くなったことをイイってとやると、
「あんた達、ほんと幸せそうだね」
と言って、笑顔を見せてくれた。
パチ子はやはり、分かっている様であった。そして、笑顔を見せてくれたことで、
おいらは嬉しくなってしまう。
「うん」と正直に気持ちを表し、照れ臭くなって笑ってしまうと、
「でも、夜遊びも程々にな」
と、釘を刺された。でもパチ子は笑っていた。
野暮な物言いではなく、粋な感じが何ともいい感じだった。それがおいらみたいな男には、
すごくありがたかった。
612 :
恋する名無しさん:2013/10/04(金) 00:56:12.11
続きが楽しみです
いつも期待してパンツ下ろして電話持ちながら読んでます
うわー・・・うわ・・・・・・・・・・
614 :
まさはる:2013/10/04(金) 23:27:05.28
>>612 ありがとう。でも、パンツは履いといてね。
>>613 ん?
キモいのは承知しているが、なにか?w
とりあえず、続きを↓
この頃から、おいらはモテ期に入った?
マスター、店長さん、呼び方は様々だが、
「最近、良い男になってきたね。いい人でもできたのかい?」
そういう事を店の常連のネーさん、正確に言えば、常連のバーチャンに言われるようになった。
恋愛というのは、おっさんを少しいい男に変える力があるようであった。
後日、ミムラちゃんも同じような事を言う。
「店長さん最近ちょっと変わりましたよね。なんか、ちょっとカッコよくなった」
「え、そんなことないって」
ミムラちゃんはフフッと笑うと、
「彼女可愛いもんね、だからだよ。いいなぁあの子」
ミムラちゃんは冗談だと付け加えたが、おいらはドギマギしてしまう。
そんな会話があった。
615 :
まさはる:2013/10/04(金) 23:28:52.33
もう少し
一方、シャケちゃんはというと、そういう事については何も口にしなかった。
以前から変わってきたことと言えば、あの日の晩を境に、急に女っぽくなって、
彼女だという主張と、甘えが強くなったくらいだ。そしてそれをあまり隠さなくなった。
こうなると、パートのおばちゃん達にもおいら達の関係が分からない訳がない。
でも、おいら達はそれをオオッピラにしているわけではないので、おばちゃん達は
ヒソヒソその事を話す。
「店長さんが…ヒソヒソヒソ」
「シャケちゃんて…ヒソヒソヒソ」
おばちゃんになっても他人の恋バナは鉱物な様で、そんな声がよく聞こえた。
シャケちゃんが福島へ戻った日、シャケちゃんが居なかったからなのか、
おばちゃんたちの声は大きかった。
「店長さん、今日シャケちゃんが居ないから、寂しいんだよ。イヒヒ」
616 :
まさはる:2013/10/05(土) 00:18:15.39
もう少し…
寂しいのは否定できなかったが、その日はシャケちゃんが居ないので忙しく、
おいらは仏頂面を下げていたかもしれない。
それにしてもこの言われ様。気恥ずかしさと煩わしさがあった。
「勝手に言っとけ」と、シカトを決め込み、いつも上手く立ち回ってくれるシャケちゃんが
居ないのをもどかしく思いながら、仕事に精を出す。
そして、閉店の時間が近づき、客足が途絶えたころ、知人というか友人の来店があった。
ミムラちゃんであった。
617 :
恋する名無しさん:2013/10/05(土) 03:24:56.42
う
618 :
恋する名無しさん:2013/10/05(土) 09:08:50.95
一ヶ月くらいひさしぶりに来たが、あんまり進んでないなw
2人の関係は進展してるけど
619 :
まさはる:2013/10/07(月) 00:28:21.21
>>617 え?
>>618 進んでないのは勘弁して。
もうちょっと頑張ってみるよ。
んで、頑張ったw続けないといかんのだがねw
「店長さん、まだ大丈夫ですか?」
ミムラちゃんは閉店間際ということで、少々慌てていた。
「大丈夫だよ」
聞けば、ミムラちゃんは同居している弟君の弁当を買いに来たという事だった。
要はパシリだ。
ミムラちゃんは弁当を一つ注文すると、それが出来上がるのを何時か座った席で待つ。
「あれ、今日は彼女いないの?」
「え…うん。休みだよ」
おいらがシャケちゃんを彼女だと認め、今日は休みだと分かると、ミムラちゃんは目を輝かせる。
「へぇ、やっぱり彼女なんだ。」
そう言ったミムラちゃんの顔に、歳の離れた彼女との事を弄ってやろうというのが、
ありありと見えた。
「ねぇ、どっちが告白したんですか?」
「ねぇ、どういう風に告白したんですか?」
ミムラちゃんは嫌味もいやらしさもない。それがおいらの口を滑らせる。
何ともこそばゆく、照れ臭い。
ふと気づくと、調理場の方から
「浮気?浮気?」
と、声のでかいヒソヒソ声が聞こえてくる。
おそらく、おいらの背後、見えない所ではおばちゃん二人が口に手でも当てて、
嬉々として話しているだろう。
おばちゃんというのはそう云う生態なのだ。いちいち気にしていての仕方ない。
「あの子さ、福島から避難してきてさ」
馴れ初め…こういう話は、やはり何ともこそばゆく、照れ臭いが、なかなかどうしてそれも悪くない。
「なんかね、大変なのに健気でさ、一緒に仕事し足り出かけたりしてたら…
高校生なんだけどさ、なんだ、うん」
おいらはテレながらも口を滑らせてしまう。
すると、ミムラちゃんはふぅーんとニヤニヤ。かと思うと、じっとおいらを見る。
「店長さん最近ちょっと変わりましたよね。なんか、ちょっとカッコよくなった」
「え、そんなことないって」
「彼女可愛いもんね、だからだよ。いいなぁあの子」
そう言われて、前記した通り、おいらはドギマギしてしまう。
「あたしも高校生だったんだけどなぁ」
ミムラちゃんは遠い目をしていた。それはかなり下手な演技臭かったが、おいらは更にドギマギ。
「え、あ、・・・」
「冗談ですよ」
ミムラちゃんは笑っていたが、おいらはチョッとドキドキしていた。
この一件で、おいらがシャケちゃんとの間に持っていた、将来という小さくない隙間に、
気づかないうちにミムラちゃんが入ってしまっていた
その日、おいらは何日ぶちかに家に帰った。
620 :
恋する名無しさん:2013/10/07(月) 13:07:28.38
最後、あともう少しだったのにねw
621 :
恋する名無しさん:2013/10/08(火) 09:45:22.89
ぶち(笑)(笑)
じわじわ伝わってくるううううう
まちゃはる文才あるううううう
がむばれえええええ
622 :
まさはる:2013/10/08(火) 23:07:43.54
>>620 二股はいかんなぁw
>>621 お褒めの言葉、ありがとう。
がんばるわー
つうことで、続き↓
家へ帰ると、夢のような現実を否定され、目を背け蓋をしてきた現実を指摘され、
言い争いになるので、足が遠のいていたのだ。
その日はシャケちゃんがおらず、仕事が終わって一人になったらちょっとさびしかったのと、
数日前、言い争ってプイと出てきてしまったので、少しは分かってもらいのもあって帰ったのだ。
「お前、あの子とは20も歳が離れてんだぞ」
「お前はもう40だ。遊んでるような歳じゃない」
「ちゃんと結婚できる相手と付き合え」
その日も、そういう正論を浴びせられる。
「好きになった子と付き合って悪いのか?」
「年の差があったら悪いのか?」
おいらもそう返す。これまた正論。
親の言い分もよく解るが、はいそうですかと気持ちが変えられるわけもないし、認めたくもなかった。
おいらは親を納得させることも出来ず、話は平行線のまま変わらない。
只々、親の悲しい顔を見るのが辛いだけだった。
こうなると、自然と足が外へ向く。
「まさはる…あんたにあの子は合ってない。別れるのはあの子の為にもなるんだぞ」
家を出る際、言われたその言葉が、胸にぐさりと刺さった。
623 :
まさはる:2013/10/09(水) 23:59:37.41
家を出ても行く当てなどなかった。かといって店に戻る気にもならず、気を紛らわしたくもあり、
自然と足は自分の存在を求めてくれるところへ向かう。
震災前はチョコチョコと顔を出していたスナックだ。酒を飲むのが一番手っ取り早い解決法と思ったのだ。
行きつけのスナック××は週末であったが、震災後の世の中の風潮もあって、
お客様はまだらだった。
「おぉ、福山ちゃん、久しぶり」
と、××のけい子ママ。
「ひさしぶりー」
そう返してしまうが、実は久しぶりというほどでもない。
けい子ママは2コ上の先輩で、うちのお客さんという世間の狭い田舎町仕様で、
あいさつ程度で話はしないものの、最近もうちの店で顔を合わせてはいたのだ。
「福山ちゃんのとこ地震大丈夫だった?」
「うちは店の中グチャグチャになった程度だけど…ママのとこは?」
「うちはグラスとボトル全部やられたよ…」
カウンターに座り、焼酎のボトルを入れ、震災後に知人と会った時に誰もがしたそんな話をする。
そして近況報告。おいらは酔っぱらいたかったが、そういう雰囲気ではなかった。
624 :
まさはる:2013/10/10(木) 00:59:13.44
家を出ても行く当てなどなかった。かといって店に戻る気にもならず、気を紛らわしたくもあり、
自然と足は自分の存在を求めてくれるところへ向かう。
震災前はチョコチョコと顔を出していたスナックだ。酒を飲むのが一番手っ取り早い解決法と思ったのだ。
行きつけのスナック××は週末であったが、震災後の世の中の風潮もあって、
お客様はまだらだった。
「おぉ、福山ちゃん、久しぶり」
と、××のけい子ママ。
「ひさしぶりー」
そう返してしまうが、実は久しぶりというほどでもない。
けい子ママは2コ上の先輩で、うちのお客さんという世間の狭い田舎町仕様で、
あいさつ程度で話はしないものの、最近もうちの店で顔を合わせてはいたのだ。
「福山ちゃんのとこ地震大丈夫だった?」
「うちは店の中グチャグチャになった程度だけど…ママのとこは?」
「うちはグラスとボトル全部やられたよ…」
カウンターに座り、焼酎のボトルを入れ、震災後に知人と会った時に誰もがしたそんな話をする。
そして近況報告。おいらは酔っぱらいたかったが、そういう雰囲気ではなかった。
625 :
まさはる:2013/10/11(金) 00:17:11.35
あああああ、かぶっとる・・・・間違った・・・すまぬ・・・
続きっす↓
「なつみちゃーん」
ママと入れ替わりになつみちゃんという女の子が隣に来る。
この子が居たからチョコチョコ顔を出していたのだ。所謂オキニ。口説こうと思いつつ、
口説けなかったバツイチ30歳の女の子だ。
「福山さん久しぶり。地震大丈夫だった?」
やはり、この子とも地震の話をしてしまう。それが震災後の日常であったのだ。
今となってはどうもしない彼女だが、そこはやはりオキニ。話せば楽しく、
考えたくない現実を忘れて話をしていた。
「あ、福山さん電話鳴ってる」
小一時間も話した頃、携帯が鳴った。シャケちゃんからであった。
おいらは携帯を手に取って表へ出るも、通話のボタンを押すのをためらってしまう。
その時すでに、おいらは飲む前の心境に戻っていた。今、話をするとそれを悟られそうで嫌だったのだ。
黒電話の着信音がおいらを急かす様だった。
何度目のコールだろうか?携帯を持ちシャケちゃんがどんな顔をしているのか、
それが気になった時、おいらは通話ボタンを押していた。
「マーちゃんお疲れ様。お休みありがとね」
シャケちゃんの声ははしゃいでいた。それもそのはずで、聞けば今晩は友人の美香ちゃんの家へお泊りなのだという。
その声を聴くだけで、先程の親の言葉がリピートされて暗くなっていたおいらの顔が綻んでしまう。
だが暗くなった気持ちは変わらず、努めて明るく振る舞うが、分かりやすいのは電話でも変わらない。
「まーちゃん、なんかあった?」
そう危惧していたことを言われる。
考えるに、彼女の態度が安定しないのは、自分の態度に原因があるのであって、
それはつまり自分が気まぐれな人間であって、対人関係においてそれを隠すこ
とが出来ない未熟な人間であるということで、コミュニケーションが安定して
取れない人間である自分とのコミュニケーションが安定する道理はどこにも
ないのであり、自らの煩わしさが全て招いたことである、と得心するに至った人
TS
627 :
まさはる:2013/10/12(土) 23:24:33.16
>>626 おいらは未熟なのか…そう思えるが故に鬱w
何はともあれ続きだw
そういう事を気付いてもらえるのは嬉しいが、身勝手だが、この時ばかりは逆に煩わしかった。
「ん?なんもないけど…ちょっと疲れた」
「そう…それならいいんだけど」
そんなことを言っても、シャケちゃんの「なにかあった?」の疑いは晴れていないのが
口調から解る。
シャケちゃんと話すのが何との心苦しく、早く電話を切りたかったおいらは嘘をつく。
「これから出かけるから、もう切るね。じゃーね」
「うん。じゃーね…」
シャケちゃんのトーンの落ちた声が、更においらを心苦しくさせた。
店の中に戻ってまた飲み始めるものの、そんな急に気分は浮かばない。
おいらは浮かばない顔をして飲んでいたのだろう、
「福山さん、彼女とけんかでもした?」
なつみちゃんがドキッとすることを言う。
「え、な、なんで?」
何でそんなこと知っているのかと、おいらがそれを言葉にできないでいると、
なつみちゃんはニヤニヤし始め、それを説明する。
「よく二人で手つないで歩ってるよね。あの子彼女でしょ。あたしね、何回も見てる」
ここでも田舎町仕様だ。
628 :
恋する名無しさん:2013/10/15(火) 08:56:25.07
ちょっとだけwまたよるにでも来ます
なつみちゃんの夜の出勤時間と、おいらがシャケちゃんを送っていく時間が同じくらいなのだろう。
「あ、見られちゃってたんだ」
「うん。いつもチャリ押してるよね。でさ、今の福山さん見てたらバレバレ」
なつみちゃんはそう言って、あははと笑った。
シャケちゃんとの関係を認め、あははと笑われたら、今の自分の憂鬱を笑われた気がして、
おいらの気持ちはちょっと軽くなった。
「喧嘩じゃないんだけどね」
そう言いながら、おいらはフッと笑えた。
629 :
まさはる:2013/10/15(火) 22:58:53.69
↑コテハンついとらん・・・まさはるだw
続きを
「ふぅーん」
となつみちゃんは頷き、そのことについては何も聞かなかった。代わりに、
「福山さん、彼女できて良かったね。でも、全然顔見せてくれなくてあたしはちょっとさびしかった」
などと言い始め、明らかに震災以前とは違った雰囲気でおいらに接してくる。
おいらの隣に座って頭を肩に乗せてきたりとか、ちょっとイチャイチャする感じだ。
夜の酒場で見るなつみちゃんの眼も少し違って見える。
おそらく9割は営業なのだろうが、ミムラちゃんのちょっとカッコよくなった発言が
おいらの中でそれを8割とし、
「ねぇ福山さん、彼女もいいけど、あたしもかまってよ」
「えぇ、困らせないでよ。って、また構いに来るけどさ」
全くその気がないわけでもない、そんな浮気コントみたいなやり取りが楽しく、
おいらは憂鬱を忘れてなつみちゃんとのお酒を楽しんでいた。
震災以降しばらくは、皆そうだったと思うが、そんなにがっつり飲もうという気にならず、
程々の所で切り上げる。当然、なつみちゃんとのコントはコントのまま終わった。
630 :
まさはる:2013/10/16(水) 23:57:52.17
スナック××を出て、おいらは家ではなく店へ戻る。
そしてここ最近はほぼ自分の部屋と化している事務所に入り、ベットにドカッと腰を下ろして水を一口とため息。
当然のことながら、人気は感じない。その一人の世界で考えてしまうのは、やはりシャケちゃんの事。
お酒と過ぎた時間がおいらを落ち着かせて、少しばかり楽天的にさせる。
「年が離れてても好きなもの同士良いじゃない。少しづつでも認めてもらえばいいさ」
そういう以前と変わり映えのしない結論だが、それが出ると気が楽になった。
日付が変わろうとするその時間、いつもシャケちゃんは事務所には居ないが、
その日に限ってそれが寂しく感じられる。先程までは憂鬱を抱えてシャケちゃんと話す事が
心苦しかったくせに、今度は声が聞きたくなってしまう。
その駄々っ子ぶりに自分で呆れつつ、自分は今、親子ほど年の離れたシャケちゃんに甘えたいのかな?と思うと、
自分で呆れるやら照れ臭くなるやら、苦笑いしてしまった。
631 :
まさはる:2013/10/18(金) 00:14:52.56
駄々っ子なおいらは、とりあえずメールを送る。今日は友人の美香ちゃんの所へお泊りだという話だから、
夜更しして起きているだろう。
「さっきはごめんね。起きてる?」
やはり起きている様で、返信はすぐに帰ってくる。
「起きてるよ。どうしたの?」
おいらはそれを返信するのももどかしく、電話をかける。
「もしもし、ごめんね夜分に。なんかさ、声が聞きたくなって…」
おいらがありのままをそう話すと、電話の向こうでシャケちゃんはちょっと戸惑っている様子だった。
それもそのはずで、昨日も顔を合わせているし、それどころかついさっき電話で話したばかりなのだ。
「やっぱり今日のマーちゃん変だよ。なんかあったの?」
おいらの憂鬱は去ったのだが、心配された。
やっと追いついたw
シャケちゃんは夏帆で脳内再生おk?
>>632 追加です。
俺もまさはると同年代だけど同じくらい年の離れた子を好きになってしまったよ。
キモいって言われるのとか、シャケちゃんに対する気持ちとかよくわかる。
俺はその子には何もしてやれないけどまさはるは頑張ってくれ!
ってフィクションなんだっけw
634 :
まさはる:2013/10/18(金) 23:50:55.76
>>632 >>633 脳内再生は好きな子でOKじゃないかな。
ちなみにおいらは、今は能年ちゃんで想像しとりますw
フィクションなんだけど、それを聞くとうれしくなるわ。ありがとう。
毎度のことでちょっとですが、、、
シャケちゃんが心配して不安げな声をしているというのに、逆においらはホッと安心してしまう。
今さっきまであった気持ちのモヤモヤの事を話したくなるが、それは言わない。
「なんもないよ。ちょっと声が聞きたくなっただけなんだよ。」
おいらはシャケちゃんの声を聴けただけで十分だった。
そして、ちょっと釈然としないシャケちゃんにお休みの挨拶をし、
まだ冷めていない酔いの中で気持ち良く眠りについた。
635 :
恋する名無しさん:2013/10/19(土) 12:34:43.81
黒木
岡村
山崎
安田
中村
636 :
まさはる:2013/10/22(火) 07:31:03.89
>>635 ??
明くる日曜日、店は忙しく、おいらは一日を通して仕事に追われた。
仕事が終わり、事務所に上がって一服してベットに腰を下ろすと、体を動かすことが億劫になってしまった。
「なんか疲れたな…」
そう思うと同時に、夜更しとがっつりと14時間労働で、「これくらいで疲れるのか」と驚いてしまう。
自分の中で、僅かに老いを感じた瞬間であったが、おいらはそれを認めず、
「いやいや、俺はそんな華奢じゃない」とベットから机に移動し、事務仕事を始める。おいらは若くありたい理由があるのだ。
夜にでもまた来ます
637 :
まさはる:2013/10/22(火) 21:37:15.62
来ましたw
事務所に居てもお茶を入れてくれる人もおらず、それを少々さびしく思いながら伝票整理をしていると、
メールが入った。シャケちゃんからであった。思わず、顔がニヤける。
「お疲れ様です。お休みありがとう。今水戸あたりで遅くなるからおみやげは明日持ってきます」
メールの文面はそんな感じだった。
「お疲れ様。じゃあ明日待ってるね」
おいらは仕事を終わりにしてベットに寝転んで、そう返信する。
その後、シャケちゃんから返信があると思ったが、それは無かった。
夜更しをした睡眠欲の強いシャケちゃんだ。以前もあったように車に揺られつつ寝てしまっているのかも知れなかった。
おいらも、体は正直で疲れをごまかすことは出来ず、いつしかそれが睡魔と変わって眠りに落ちてしまった。
目が覚めたのは朝の5時頃。これまでほとんどしたことが無かった、風呂も入らず歯も磨かずの寝落ちに自己嫌悪する。
それは同時に、気に掛けてくれる人が傍にいないという、独り者の悲しさを感じる瞬間でもあった。
638 :
まさはる:2013/10/23(水) 01:23:18.35
またきたぞw
「結婚か・・・」
図らずも、嫁さんというのを何となしに意識した瞬間でもあった。
結婚を意識はしても、それは考えたくはなかった。
今の気持ち、シャケちゃんが好きだという気持ち、それだけを持ち続けたかったおいらは、
何はともあれ汚い自分を小奇麗にし、身支度を整えると、車のハンドルを握った。
気持ちが落ちていきそうな時などに良くそうしていたのだ。
窓を開けて走ると、朝の空気が気持ちいい。海辺の潮の香りも何とも心地よく、
それがおいらのテンションをまったりとおおらかに変えてくれる。
「結婚を考えて付き合わなくったって、いいじゃない」
店に戻ると、また新しい一日が始まる。
仕込みをしていると、いつもの時間にパチ子がやって来る。
「こんにちわー○○ミートです」
声は元気だったが、パチ子は冴えない顔をしていた。
別れるのは一緒になるより何倍も疲れる、と経験者に聞いたことがあるが、それは事実らしい。
パチ子はそれについて何も言わなかったが、おいらの顔を見てついたため息がそれを物語っていた。
それとは対照的に、シャケちゃんは目を輝かせていた。
いつもの様に仕事が終わった後での事務所での二人の時間に、
「あたし、看護師さんになりたい」
シャケちゃんはおいらに将来の夢を語った。聞けば、震災の時に友達の美香ちゃんのばあちゃんが
看護師さんに大変世話になったとかで、看護師になりたいという夢を持った美香ちゃんにその時の様子を聞かされ、
感化された様であった。
「あたしでも誰かの役に立てるようになるかな?」
シャケちゃんは目を輝かせる。
「なれるよ。いいじゃん看護師さん」
おもわず、おいらの顔もほころぶ。
シャケちゃんは震災後の原発事故で避難してきている身だ。おいらは震災の後しばらくして、
「あのあの」という口癖と共にやってきたシャケちゃんを知っている。
そんな彼女が現実的な将来の夢を語ってくれるのは、こんなに嬉しいことは無かった。
まさはる乙です
いつも読ませてもらってますよ。
皆がハッピーエンドになったらいいね。
640 :
まさはる:2013/10/23(水) 23:48:15.84
>>639 乙です。
読んでくれてありがとう。
先のことは何も言いませぬw
その先のことをすこし↓
おいらはいとこの看護師から聞いた話など、知りうる限りの看護師の事を夢中で話して聞かせてやる。
シャケちゃんはおいらのたいした事のない知識でも、目を輝かせて聞いてくれた。
「聞いてはいたけど、看護師さんてやっぱり大変なんだね。でもいいなぁ」
シャケちゃんの希望に満ちた目、顔、そのすべてが、出来ることは何でも協力しようという気にさせる。
「ねぇマーちゃん、ちょっと手貸して」
何を思ったのかシャケちゃんは、おいらの手を取ると脈を取り始める。
「うん、異常なし。健康・・かな?」
「え、ほんとに健康?」
「たぶん健康」
シャケちゃんはニヒーっと無邪気な笑顔を見せてくれる。
お医者さんごっこみたいなやり取りなのだが、それが何とも楽しい。
キスをしたり、ベットの上で感じる幸せとは違った幸せがそこにはあった。
気持ちのいい時間は瞬く間に過ぎてしまうもので、気付けばパチ子に怒られそうな時間になっていた。
田上
井木
出山
田淵
松子
642 :
まさはる:2013/10/24(木) 23:55:38.74
>>641 わけわからん・・・
まーつづきを
「そろそろ送ってくよ」
そう言うと、シャケちゃんはつまらなそうな顔をした。おいらももっと話をしていたかったが、
こればかりは致し方ない。
帰り道も、やはり看護師の話の続きをする。その道すがら、おいらは話しながらふとパチ子の事が気になったが、
それを聞くのは、話を追ってしまうのと、パチ子に悪い気がしてそれには触れなかった。
シャケちゃんはアパートの傍まで来ても、気持ちが冷めやらぬ様子。
そのせいなのか、この日は二人の決まり事の様になっていた、じゃーねのチュウもその雰囲気も無かった。
「そうだ、マーちゃん、あした面白いもの魅せてあげる」
チュウは無かったが、シャケちゃんはふと何かを思い出した様で、そう言ってデへへと笑った。
643 :
恋する名無しさん:2013/10/25(金) 01:21:05.27
も少し続き
「え、なに?」
と聞くも、シャケちゃんは笑うだけで教えてはくれなかった。
それが解るのは言った通り、翌日の事だった。
翌日、店は休み。なのだが、おいらは朝から銀行行ったり買い物したり結構忙しい。
シャケちゃんは学校は夕方終わるが、店が休みだとそこから支援物資の受付の手伝いに行く。
いつも会う時はそれが終わった後だ。
夕やみ迫る頃、遅い午後においらは知人の所で食べた蕎麦でお腹が膨れたせいなのか、
事務所でニコ動をボーっと見ていたら、いつの間にか気持ちよく眠ってしまっており、
電話が鳴って目を覚ます。
「マーちゃん、今どこにいる?」
電話はシャケちゃんからで、事務所と答えると、今から来るという。
シャケちゃんがデへへと笑うので、昨日言ってた面白いものを見せてくれるんだな、と分かった。
644 :
まさはる:2013/10/26(土) 00:27:47.41
わかると思うけど、↑おいらだからね。
で、続きをすこし
電話を切って10分もした頃、シャケちゃんは大きめの紙袋を抱えてやって来る。
「これね、あっちから持ってきた」
シャケちゃんはそう言って、中身を一つずつ取り出す。
水色のボンボンの様なもの、グレーのシャツ。その時点で、おいらはそれが何か分かってしまう。
さすがはβからのニコニコ愛好家というやつだ。
「ん、初音ミクのコス?」
シャケちゃんは、ニヒーッと笑顔で答え、残りのものを取り出す。
水色のネクタイ。黒い袖、水色のラインの黒いスカート。間違いなく初音ミクのコスであった。
「着てみる?」
シャケちゃんは袋の中身を全部取り出すと、上目づかいでそんなことを聞く。
どうも、シャケちゃんはおいらの同意がほしい様であった。
もちろん、おいらは同意する。これまで実物は見たことは無かったが、大好物なのだ。
「うん、着てみてよ。見たい」
すると、シャケちゃんはウキウキしだし、着替えるからとおいらを事務所から追い出す。
645 :
恋する名無しさん:2013/10/26(土) 01:23:37.91
ましゃが着てみるか聞いたんじゃなくて?
やっと追いついた
続き頑張ってくり
647 :
まさはる:2013/10/26(土) 20:50:12.65
>>645 解りづらかったかな・・・
おいらが聞いたんだよ。
>>646 続き頑張るよー
でもね、今日は出かけるので、続きはないです・・・
648 :
恋する名無しさん:2013/10/27(日) 12:52:05.79
大鳥
大鷲
九事
歳帆
天塩
気が付くと悪者として扱われていた人
なぜ?と聞くと、お前のせいだ、としか言われなかった人
よってたかって問題を大きくした奴らに、お前が問題をややこしくしていると言われた人
味方の少ないお前の自業自得だ、と言われた人
無視していたのに、2ちゃんで絡み続けていると言われた人
説明を求めたら、ことごとく拒否された人
なのに何も行動しなかった、などと言われてしまう人
今さら何も望んでない人
ただやっぱり思い出すとムカつく、なんてアホらしい時間だったんだろうと思う
650 :
まさはる:2013/10/29(火) 19:27:06.12
>>649 どういうこと?
>>648もよくわからん。暗号か?
そんなことはともかく、続き貼ります
おいらは、ウキウキしながら、前にもこんなことあったなぁと、思いながら、お呼びがかかるのを待った。
ウキウキしながらも時間を持て余してきた頃、
「マーちゃん良いよ」
と、水色の髪になったシャケちゃんからお呼びがかかった。
おいらはヤラシクニヤニヤしてしまわないかと、くだらない事を危惧しながら事務所に入る。
そこには、ネギこそ持っていないが、初音ミクと化したシャケちゃんが居た。
おおおおと、思わず手を叩いてしまうおいら。
「良いじゃん。似合ってるよ」
彼女さんのミクコスを目の当たりにして、おいらはご満悦であったが、レイヤーのシャケちゃんはどこか浮かない面持ち。
「ありがと」
と、笑顔を見せるものの、それに続く言葉は「でも、なんかね…」
で、シャケちゃんは首を傾げてしまった。
それを聞いてみると、いざ着替えて自分の姿を見てみたら、あたし何やってんだろ?と、なってしまったのだと言う。
それでも、初音ミクの姿を見せてくれたのは、おいらが以前に見たいと言っていたからであった。
651 :
まさはる:2013/10/29(火) 23:23:07.04
もすこし続き
おいらは福島にいた頃のシャケちゃんを断片的にしか知らないが、
初音ミクになって覚めた顔になっているシャケちゃんを見ると、
シャケちゃんは変わったんだなと、感じた。
シャケちゃんは居心地が悪いのか、それからすぐに初音ミクの最大の特徴である水色の髪をとってしまう。
その気が無いのにコスプレなどさせられるものではない。おいらはほんのチョビット残念であった。
コスプレのお披露目が終わって、二人でお茶をすすっていると、
自然と看護師の話になった。
シャケちゃんは昨日の興奮をそのままに、結構なハイテンションであったが、
おいらはハイテンションを装いつつも冷めていた。
シャケちゃんが将来の夢を持てたことはおいらにとっても喜びであったが、
それは同時に、進学すればおいらの下を離れて行くであろうという事も意味していた。
おいらはずっとシャケちゃんにそばにいてほしい気持ちはあったが、
震災で被災して、原発事故で避難してきているかわいい子の夢を奪う様な事は、
おいらには出来なかった。
652 :
まさはる:2013/10/31(木) 23:23:11.76
風邪ひいて、きつい。。。。
出来たら、明日あたり続きを。
653 :
まさはる:2013/11/01(金) 23:02:43.21
続きですだ↓
とは言っても、現実感はまるでなく、少し冷めた目でシャケちゃんを見ていたのだが、
次第にハイテンションは伝染し、昨日したピントはずれのお医者さんごっこなんかをしてしまう。
もちろん、若き童貞君の妄想の様な展開にはならない。正直に言えば、
おいらも下心のある男だ。そういう事は一瞬頭に過ったが、シャケちゃんの健全すぎるほどの明るい雰囲気が、
おいらが先生になる
↓
触診。熱があるようですね。
↓
お注射しましょうか。
エトセトラエロセトラ
などという完璧なまでの童貞の妄想は、一瞬頭に過っただけで終わらせた。
654 :
まさはる:2013/11/02(土) 23:22:36.58
続きっす。明日早起きなのでこれだけ↓
この時はこれで終わったが、健全な男子としての欲望はすぐに芽生える。
つい先日、一緒に幸せな時間を共有したばかりなのだ。健全な男子としては、当然なのだ。
看護師の話も終わり、二人でベットに座ってマッタリしていたのだが、ふとした瞬間、
大人っぽく色っぽい表情を見せる。それで、おいらのスイッチは入ってしまった。
こうなると、ミクコスのミニスカートもたまらなくなる。ドキドキドキドキ胸の鼓動が半端ない。
いつの間にか、おいらは半分自分の世界に入ってしまっていた。シャケちゃんの声にも空返事だ。
「ねぇ、マーちゃん」
と言ったかどうか?その声と共に、シャケちゃんは脇腹をつついてくる。
「あぁ、なに?」
シャケちゃんは横目でニヤニヤ。
「なにって、マーちゃん、エッチな事でも考えてたんでしょ」
もしかすると、おいらは鼻の下でも伸びていたのかもしれない。全くもってその通りと言った感じの指摘をされた。
正確な指摘と、シャケちゃんの横目のニヤニヤが、おいらを正直にさせる。
655 :
恋する名無しさん:2013/11/03(日) 23:30:10.08
通報待機
656 :
まさはる:2013/11/05(火) 19:34:05.27
>>655 やめてくれーーw
作り話なんだよーーw
やっと余裕で来た。で、続き。ちょっとねw
しかし、露骨に「そうだよ。えっちぃ事考えてた」などとは言えないし、少々照れ臭くもある。
おいらは少しバツが悪そうに首をすくめると、「うん」と頷いて、
「ごめんね」
と謝ると、
「ひどい。人に話も聞かないで」
と、シャケちゃんはその言葉ととがらせた口とは裏腹に、顔は笑っている。というより、
ソワソワしている感じだ。
つい先日、シャケちゃんと二人で幸せな時間を共有したばかりだ。おいらはそう信じて疑っていない。
おいらはシャケちゃんのソワソワした様を見て、自分と同じ気持ちなのだろうと確信する。
更新遅いし内容もそろそろ飽きてきたぞw
読んでる人もいるんだからそういう人たちのことも考えて書いた方がいいんじゃないか
反論あれば読むの止める。
659 :
まさはる:2013/11/07(木) 22:44:45.04
>>657 >>658 なるべく頑張るが、更新遅いのは勘弁して。
ご意見は参考にするので、ありがたく頂戴する。反論なんてないですよ。
つづきを
「ゴメンゴメン、でも…」
すると、シャケちゃんはまた脇腹を何度もつついてジャレテくる。
「マーちゃんのスケベ」
「そうだよ。スケベだよ」
おいらは開き直る。それでもシャケちゃんはその手を止めない。
「くすぐったいって」
おいらがそう言ってシャケちゃんの手を取った時、示し合わせたかのように見つめ合ってしまった。
「スケベ」
シャケちゃんはそう言いつつも、おいらを拒まない。おいらはシャケちゃんの肩を抱いたまま、
ベットに倒れこむ。
「やだ,エッチィ」
「だめ、マーちゃんのスケベ」
嫌よ駄目よも好きの内なのだ。
「ねぇ、電気消して&#9825;」
そして訪れる幸せな時間。
それは賢者となる時間になっても変わらない。変わったと言えば、
広い心とポジティブな思考をシャケちゃんに授かったくらいだ。
いつの間にか、おいらはシャケちゃん居ない生活など考えられない様になっていた。
ちょっときつい書き方してすみませんでした。いつも楽しみに読んでいたのでついそんな風に言ってしまいました。
661 :
まさはる:2013/11/08(金) 23:45:44.23
>>660 ありがたいお言葉サンキュウです。
今日も少しですが、続き↓
その事は翌日、パチ子に言われる。
いつもの納品時の雑談タイムに、パチ子は僅かだが日が経って少し気持ちが落ち着いたのか、
自分の方から先日の話し合いの事を聞かせてくれる。というよりは、少し愚痴りたかったのかもしれない。
パチ子の話を要約すると、パチ子はさすがに愛想が尽きて、別れる方向で話を進めたかったが、
旦那さんにそのつもりは無く、話は何も進まなかったという事だった。まだ一歩前へ進んだだけだが、
やはり別れるのは一緒になるより何倍も疲れるというのは事実な様であった。
「あんた達は幸せでいいよなぁ」
パチ子は一つため息をつくと、フフッと笑ってそんなことを言う。
おいらは思わずニヤニヤ。
「シャケも福山も、最近変わったよね」
「そうかな?」
「うん。シャケなんか最近大人びてきてさ。特にあんたと付き合うようになってから
明るくなった。感謝してるよ。でも・・」
パチ子はそこまで言うと言葉を濁す。
パチ子がおいらとシャケちゃんの付き合いを諸手を挙げて賛成しているとは思っていなかったが、
何かしら否定する部分があると分かった瞬間であった
662 :
まさはる:2013/11/10(日) 23:53:15.35
今日も少しです↓
「うん?」
でもの先が気になったが、おいらはその事には触れなかった。何となくではあるが、
パチ子の言いたい事は想像がつく。その事をパチ子の口から聞くのは、少々怖かった。
「え、いや、何でもない」
パチ子は少々慌てる。それがおいらの耳に痛い事だと思わせた。
おいらのそんな事など関係なく、パチ子は言葉を続ける。
「そうだ、あのさ、また飲まない?今度はどこかお店でさ」
パチ子のそのお願いが、ネガティブになってしまったおいらには、シャケちゃんの進学に
関しておいら達の付き合いに思う事とか、そんな感じの話し合いの場かなと思ってしまう。
「こないだはさ、ちょっとまずかったから、今度は外でと思ったんだけど…ダメ?」
俯いている顔を上げて見てみると、パチ子はバツの悪そうな顔をこちらに向けている。
そして聞いてみると、なんてことは無く、パチ子はここの所ストレスが溜まって、
飲まなきゃやってらんない、という事であった。
「いいけど、シャケちゃんは?」
おそらく、前回と同様今回もシャケちゃんには内緒であろう。おいらはその事が気になった。
その事についてパチ子が説明する。
「あの子さ、やっぱり週6はきついんだって。んで、学校の仲良い子とも遊んだりしたいんだって」
だから、母パチ子によれば、今日あたりシフトを減らしてほしいという話があるだろう、との事だった。
663 :
まさはる:2013/11/13(水) 00:58:18.64
続きを少し
「あの子が出かけていない時、ちょっと付き合ってよ」
「え、うん。いいよ」
一抹の不安はあったが、おいらはパチ子とまた飲む約束をした。
その日の夕方、母パチ子の言った通り、出勤してきたシャケちゃんから、シフトを週6から週4に
減らしてほしいという申し出があった。
パチ子から聞いて知ってはいたが理由を聞いてみると、やはりいきついのと、こちらでできた友達とも遊んだりもしたいのと、生活に必要な物はほぼそろったので、さほどお金は必要ないので、
そうしたいという事であった。
「ごめんなさい、わがまま言って」
シャケちゃんはそう言って、小さくなっておいらの返事を待っている。
「うん。わかった。」
所謂使える子に育っていたシャケちゃんに週2回ぬけられるのは、雇用者として痛かったが、
仕事に縛り付けるのが良いとは思わない。おいらとしてはちょっとさびしい気もしたが、
快くそう返事をした。
664 :
恋する名無しさん:2013/11/13(水) 03:14:25.69
がんばれ支援ageヾ(≡^ω^≡)ノ
665 :
まさはる:2013/11/13(水) 23:39:07.54
>>664 支援ありがとうー
明日も早起きなので、少しだけ…
すると、シャケちゃんはニコニコッというより、ほっとした様な笑顔を見せて、
「ゴメンね、マーちゃん」と言う。
おいらは自分の事ばかり夢中になっていて気付いてやれなかったが、
シャケちゃんは友達とも遊びたい、むしろそうした方が良い年頃なのだ。
これまで、遊ぼうよ、の誘いをバイトだからと断ってばかりいたかもしれない。
週6の出勤だとそういう事が多くなってしまうだろう。
シャケちゃんのほっとした様な笑顔は、そういう事を感じさせた。
また少しだけ、シャケちゃんが遠くに行ってしまうような、そんな寂しさも感じた。
この頃から、おいらはシャケちゃんに対して、好きだ愛してるという感情意外に、
言葉は悪いいが、自分は踏み台だ、という感情を持つようになった。
踏み台の話はともかく、その翌週からシフトを変更し、その週末に早速パチ子と飲む機会が訪れた。
666 :
恋する名無しさん:2013/11/14(木) 01:46:35.82
なんかぼやけてるけどおじさんは法を犯したのか?
667 :
まさはる:2013/11/15(金) 06:30:16.80
>>666 法は犯してないことになってますw
家出る前に少しばかし
休みにしてほしいと言っていた土曜日、シャケちゃんはこちらの高校で出来た友達の家へ
お泊りに行くのだという。
「里恵ちゃんちに泊まりに行くんだ」
里恵ちゃんと言う子は、シャケちゃんとの話ではよく出てくる子で、
シャケちゃんの話によると、ちょっとオタクが入っていて面白く、しかもかわいい子という事だった。
里恵ちゃんはシャケちゃんと同じく、看護師を志望していた。
その話を聞いた翌日、いつもの納品時の雑談タイムの時、早速パチ子の方からお誘いがかかる。
「あのさ、シャケ、明後日さ、友達のとこ泊りに行くんだって。聞いた?」
「うん。聞いた。里恵ちゃんだっけ?」
「うん。そうそう。面白い子なんだけどさ。んで、その時どう?飲まない?」
「うん。いいよ」
もちろん、おいらはOKする。
668 :
まさはる:2013/11/17(日) 00:07:31.29
また少しばかしで申し訳ないが…
「じゃー明後日ね。決まり」
ストレスの溜まったパチ子には、他に何も楽しめる物でもないのか、おいらと飲むのが楽しいように見えた。
シャケちゃんのシフトが減って、おいらは家へ帰ることが増えた。
それは、シャケちゃんが居ないので仕儀とが終わって店にいてもつまらないし、
ずっと仕事をしている様で落ち着かなかったこともあるが、
これまでシャケちゃんとの付き合いを完全否定してきていた両親が、何度も店に顔を出してシャケちゃんと接しているうち、発言が変わってきたのだ。
「若いのによく気が利くし、いい娘だな」
そういう事を言うようになったのだ。少しばかりだが、認められた感じがおいらは嬉しかった。それが、おいらを家へ足を向かせた。
しかし、肯定したわけではなく、
「いい娘だけど、お前には若すぎる」
そういう所は以前と変わりなかった。
669 :
まさはる:2013/11/19(火) 23:31:28.43
なんか、ずいぶんご無沙汰な気が…
続きです↓
その週のシャケちゃんのシフトは金土で、おいらは金曜の晩、自宅に戻った。
そして茶の間にて一人で遅い晩飯を食べていると、母美が携帯を片手にニヤニヤしながらやって来て、
おいらの隣に腰を下ろすと、携帯を弄り始める。が、おばちゃんの常で携帯の機能の使い方が解らない様子。
「ちょっと使い方が分かんないんだけど」
「じゃ、ちょっと貸してみ」
おいらは、どれ、と言った感じで手を差し出して携帯を受け取る。
それで、何が解らないのか聞いてみると、保存した画像が開けないとの事であった。
「根本さんに送ってもらったんだけどさ、わかんなくなっちゃった」
根本さんとは母美の友人で、おいらもよく知っている人で、
そう言ってニヤニヤしている母美の保存していた画像は、2点しかなかった。
それは小さくてよく解らないが、女の人が写っている。おいらはそこまで持ってきて
母美に携帯を戻すと、
「お前、ちょっと見てみろ」
と、なぜか携帯が戻ってくる。依然として母美はニヤニヤしたままだ。
おいらは一連の母美の行動を変に思いながら、画像を開いてみると、
やはりそれは二枚とも同じ女の人で、何やら恥ずかしそうに画像に納まっていた。
「誰だこれ?」
「根本さんが働いてる会社の事務員さん」
ここで、おいらはソワソワしている母美の目的がなんとなく分かった。
見合いと言うほどの事でもないが、会ってみろとでも言うのだろう。
それはやはりその通りで、それをわかって黙ってしまったおいらに母美は言葉を続ける。
「結婚失敗して離婚してるんだけど、子供もいないし、歳も32でちょどいいと思うんだけど、
どうだ?」
母美はおいらの様子を伺いながら喋っている。その姿がおいらには罪悪感を持たせる。
が、それでおいらの気持ちが変わるわけでもない。
「悪いけど、断ってよ…」
すると、やはり母美は悲しそうな顔をする。
「バイトのシャケちゃんはいい子だけども、まだ18歳だぞ。お前、もう少しで40なんだよ。
その辺よく考えないと…こんなチャンスはもうないかもしれないのに…」
母美の必死の訴えが、おいらにはその理屈が解るだけに辛いものであった。
「もう、ほっといてよ」
おいらはそれしか返す言葉が無かった。それを言うと、母美は
「良く考えておいて」
という言葉を残しておいらの前から去っていった。
その日の晩、おいらはなかなか寝付かれず、嫌でもその事を考えてしまう。
でも、結論は前と変わらず、今の気持ちを大事にしたいだった。
670 :
恋する名無しさん:2013/11/20(水) 12:27:30.33
おいついたー!お仕事忙しいでしょうけど頑張って〜!\(^^)/
671 :
まさはる:2013/11/21(木) 00:30:58.93
>>670 読んでくれてありがとう。ぼちぼちがんばるよー
てことで、続きを↓
結論は出たが、モヤモヤは残ったままだった。それは一晩寝て翌朝になっても変わらない。
結構ちゃらんぽらんなおいらだが、朝からそんなことを考えてしまう。それだけ重大な事なのだ。
仕事を始めても、時折手を止めてふと同じ事を考えてしまう。そんな風に仕事をしていると、
パチ子が納品にやって来る。
「こんにちわー○○ミートです」
と、営業挨拶の後は
「よっ、おつかれ」
と、友達の挨拶。おいらも同じように返す。毎日のように繰り返される、納品という名の
気楽な楽しいおしゃべりな時間。
その日、パチ子は何やらウキウキした様子。
「ねぇ、福山。今日なんだけどさ、大丈夫?」
パチ子のウキウキの訳は、それだった。
「うん、大丈夫だよ。仕事終わったら連絡するよ」
この日はおいらの方が飲みたい気分だったかもしれない。
「じゃーお願い。待ってるね」
パチ子はニコニコっと嬉しそうにした。
この日、パチ子は何でもすごく忙しくて大変ということで、他に何も話さず、店を後にした。
しかしその足取りは、言っている事とは逆で、フフン♪と鼻歌でも歌っているかのようであった。
そういうおいらも根が単純なのか、今晩はパチ子と飲むんだ、と目の前に楽しそうな事が出来ると、
それまでのモヤモヤは影をひそめた。
夜になり、シャケちゃんが居ないせいもあって、慌ただしくしている内に仕事は終わった。
仕事が終わって一息ついたところで、さてパチ子に電話するかと携帯を手に取って開いてみると、
慌ただしくしていて気付かなかったが、メールが届いていた。シャケちゃんからであった。
「これから里恵ちゃんのとこ行ってくるねー」
とあった。そしてその他に、
「今日はお母さんの事よろしくね」
とも書かれていた。内緒だとばかり思っていたが、パチ子は飲みに行くことを教えていた。
672 :
恋する名無しさん:2013/11/21(木) 01:47:48.11
おっさん頑張れ
673 :
まさはる:2013/11/22(金) 00:47:09.22
>>672 ありがと。がんばるよー
すこしばかし、つづきです↓
これには少々驚いたが、別に下心を持って飲みに行くという訳でもないし、
ヤバかった前回と違って今回は外飲みなので、あまり気にしない様にした。
おいらはすぐに、パチ子と飲みにいってくるよー、シャケちゃんも行ってらっしゃい、
という旨の返信をし、パチ子に電話をする。
「もしもしーおつかれー今仕事終わったよ」
「「お疲れ様。じゃー何時にしようか?」
30分ぐらいしたら、タクシー拾ってそっちへ拾いに行く、と段取りを決めた後、
パチ子にシャケちゃんのメールの件を聞いてみると、
「黙って飲みに行ってばれたらどうすんだよ」
と、おいらは笑いながら怒られた。
それはともかく、おいらは急いでシャワーを浴びて身支度をする。
アタフタしている30分は意外とすぐに過ぎてしまうのだ。
30分後、おいらは言った通りタクシーの車中にいた。そこからパチ子に電話をする。
「もしもしー、もうすぐそっち着くよ」
「うん、わかった。じゃー外出てるね」
パチ子のアパートは近いので、すぐに着いてしまう。パチ子が表に出てきたのは、
それとほぼ同時だった。
674 :
まさはる:2013/11/23(土) 23:51:44.19
「ごめんね、待った?」
そう言いつつタクシーに乗り込んできたパチ子は、大人っぽく化粧をしたシャケちゃんにしか見えなかった。
「うううん、今北とこだよ」
そのやり取りが何とも恋人っぽく感じて、ちょっとおかしな感じがした。
とりあえず、おいら達は居酒屋の個室に入ってビールで乾杯する。
「今日は付き合ってもらって、ありがとね」
前に、今度はあたしが引きこもりっぽい、と笑っていたパチ子は、ご機嫌であった。
飲み始めてしばらくは世間話であったが、お酒がまわって来るに従って、
パチ子は思う事をストレートに言うようになってくる。
おいらもまた一緒で、ぶっちゃけて話すのが楽しい。お酒の席で傍観者では楽しめない。
「あのさー聞いてよ」
飲み始めて小一時間も経っただろうか、パチ子は憂鬱な事でも笑って話せるようになったのか、
旦那さんの事を話し始める。
「帰ったら、女と一緒に居たって話したじゃん。それで、やっぱり別れるしかないと思ったんだけど、
旦那が同意しないのよ・・・」
675 :
恋する名無しさん:2013/11/26(火) 01:20:21.15
ヾ(≡^ω^≡)ノ
676 :
まさはる:2013/11/27(水) 00:27:14.50
>>675 毎度どうもです。
週末とか自分の休みって何かと忙しくて、またご無沙汰な感じが・・・
とりあえず、すこし
パチ子の話ではシャケちゃんには愚痴れないし、お姉さんには説教されるだけになるし、
身近に愚痴れる相手はおいらだけという事だった。
「なんか怪しいなと思って黙ってあいつの家行ったら、女いるでしょ。もう、修羅場だよ修羅場」
パチ子は女の子のそれで、話すとすっきりする様で、おいらはずっと聞き手に回っていた。
「ほんと、ふざけるなって感じだよね」
パチ子はもう吹っ切れた感じで、悲壮感は無く、聞いていてこちらも辛いという事は少ししかなかった。
ビールからサワー系に変え、5杯か6杯開けた頃、パチ子はぶっちゃけトークをしてすっきりできたのか、
話題が変わる。
「そう言えばさ、最近シャケが福山がおかしいとか言ってたけど、なんかあったの?」
正直に言えば、おいらもぶっちゃけたいが、なかなかそうもいかない。
677 :
恋する名無しさん:2013/11/28(木) 00:13:47.25
有働
宇佐美
木梨
有吉
光金
678 :
恋する名無しさん:2013/11/28(木) 01:11:16.48
追いついた!
長いことやってるんですねw
面白いので頑張って続けてください
679 :
まさはる:2013/11/29(金) 01:10:12.57
>>678 面白いの言葉、あるがとう。がんばるよー
で、続きです↓
「ん?なんもないけど…」
パチ子は友人だが、彼女の母親でもある。それがおいらの言葉の歯切れを悪くさせる。
いつもの仕様だ。だからだろう、何もないというのに、
「進学の事?」
と、パチ子は核心をついてくる。
それに、おいらは何と答えたらいいか分からず黙って俯いてしまった。
「そっか…」
パチ子もそれだけ言うと、悲しげな面持となって黙ってしまった。
もしかすると、パチ子はおいらの知らない何かを知っているのかもしれない。
そうであっても、パチ子は黙っているのでおいらはそれを知る由もなかった。というより、
気になるが知りたくなかった。
そういう事が、沈黙を気の重たいものとしてしまう。
重たくなってしまった空気の中、先に口を開いたのはパチ子だった。
「飲みが足りねーよ。もっと飲め」
目の前のウーロン杯をちびりとやったら、パチ子が屈託なさそうな感じに笑顔を見せてくれている。
おいらはパチ子の優しさが身に染みてありがたかった。そしておいらは言われるままに、
目の前のグラスを一息で空にすると、なんだかちょっと笑えた。
「いけるじゃん。おねーさーん」
パチ子はもっと飲めと、接客のお姉さんを呼ぶ。
「ほら、食べな」
今度は焼きそばをおいらの前に寄越す。
「イイから、食え」
パチ子はそこで、へへへと、素の笑顔を見せる。パチ子は照れ屋でぶっきらぼうで、いい女だった。
680 :
忍法帖【Lv=3,xxxP】(1+0:8) :2013/11/30(土) 00:37:59.54
おっさんのハーレムもーそー乙
681 :
恋する名無しさん:2013/11/30(土) 01:27:22.87
682 :
まさはる:2013/12/01(日) 00:20:27.61
>>680 おぅ。まったくもってその通りだw乙
妄想の続きを
おいらはパチ子の行為に甘えつつ、なかなか難しいが気持ちを切り替える。空元気というやつだ。
「まぁパチ子も飲みなよ。はい、かんぱーい」
二度目の乾杯。そして東京にいた頃の話などしながらグラスを2杯も開けた頃、
パチ子が今この時の話をしだす。
「それにしてもさ、今こうして二人で飲んでるじゃない。あんな地震あると思わないし、
世の中わかんないね」
「そうだね。どうなるか分かんないよね」
今、こうして飲んでるのは、地震だけではならなかっただろう。
パチ子の所は津波の被害はなかったという事なので、もし管元総理が福一に行かなければ、
東電がもう少し津波対策をしていたら、おいらはパチ子やシャケちゃんとは出会っていなかったかもしれない。
おいらも、それはしみじみ感じていた。
「あたしさ、お姉ちゃんのとこでジッとしてられなくて、お使いで○○ミート行ったんだけどね、
その時パートの募集してたから、その時お願いしますって」
パチ子は「もし」というのが好きなのか、さらに細かい事を話し始める。
「そんな感じだったんだ」
「うん。それで、初日に福山のとこ行ったら…」
パチ子はその間で話すと、アチャーという顔をする。それに続く言葉はシャケちゃんの事だからだ。
代わりに、アルコールの力も手伝って気持ちが落ち着いていたおいらが続ける。
「うちにアルバイトの募集があったと。それで、今こんな風に飲んでるって」
そう言っておいらが笑うと、パチ子も「えへへ」と笑った。
いつも楽しみにしてます
今 時間軸的にいつですか?
684 :
恋する名無しさん:2013/12/04(水) 00:31:48.79
今の内にサイン貰っとくかな、文学賞、直木賞
鯣作品、読めば読むほど味味わい深い
ご無沙汰揚げ(Д)ノ
685 :
まさはる:2013/12/04(水) 01:07:13.50
>>683 ありがとうございます。
7月の頭頃と思ってください。
>>684 いつもどうもです。
サインなんてめっそうもないですっ。駄文ですよーー
しかし地震怖いわーそれはともかく、つづきをすこし
そして、パチ子はおいらに続く。
「娘の彼氏でタメで。まさかねぇ、避難してくるときはこんな事になるなんて思わなかったよ」
おいらはパチ子のその話を聞いて、随分昔の話に思えた。震災後はちょくちょくある余震に怯えながら、
色々な事がたくさん起こりすぎて時間が長く感じられたのかもしれない。
おいらはバイトの面接に来た時のシャケちゃんを思い出す。やはりそれも、
随分昔のような気がした。
踏み台…少しづつ、シャケちゃんが自分の下を離れて行くのだろうな、そんな思いがそんな気にさせたのかもしれない。
「ほんと、おれもこんな風になるとは思わなかった。それにしても痛かったなぁ」
おいらはパチ子と初めて会った日、シャケちゃんのバイトの初日の事を思い出して頬をさする。
ちょっとしたおふざけをして笑ったが、笑ったのは顔だけだった。
686 :
まさはる:2013/12/04(水) 01:37:21.96
もうちょいw
「ゴメンね、あんときは。ちょっとさ、色々おかしかったんだよ…いいよその話はいいよ。つうか、福山…」
パチ子はそこまで言いかけて口を噤む。
「うん?」
「やっぱりいいや」
パチ子はおいらとシャケちゃんとの関係が気になるのだろう。しかし何も聞かなかった。
おいらは、パチ子はおいらが踏み台になる、そういう事も頭にあることを分かっている様な気がした。
ちょっとなので、名曲でも一つ
<iframe width="420" height="315" src="//www.youtube.com/embed/bwB2A9HHaCU" frameborder="0" allowfullscreen></iframe>
687 :
まさはる:2013/12/04(水) 06:40:18.79
しくじった・・・こうか?
<iframe width="420" height="315" src="//www.youtube.com/embed/bwB2A9HHaCU" frameborder="0" allowfullscreen></iframe>
688 :
まさはる:2013/12/05(木) 01:09:39.85
おろ・・・これを貼ればいいのか?
http://youtu.be/bwB2A9HHaCU まぁつづきを
またちょっと陽気な酒ではなくなった感じがした時、パチ子の電話が鳴った。
「もしもしー、あぁ、今一緒に飲んでるよー」
シャケちゃんからであった。
「ああ、うん。うん。ちょっと待って」
パチ子は電話でそう言うと、おいらに代われと携帯を手渡す。
携帯を耳に当てると、シャケちゃんと里恵ちゃんと思わしき女の子の声が聞こえる。
キャッキャと、女の子二人だけでもにぎやかだった。
「もしもし」
「あ、まーちゃん、今日は忙しかった?休み入れてくれてありがとね。」
律儀にお店の事を気にするシャケちゃんの声のほかに、彼氏?彼氏?と、
里恵ちゃんと思わしき声が聞こえた。おいらは妙に照れ臭くささと、ちょっとさびしさを感じた。
「そんなこと気にしなくっていいって」
そのあと、二言三言話をして、シャケちゃんはおいらに
「あまり飲みすぎちゃダメだからね。お母さんにも言っといて」
と、釘をさすと、「またあしたね、バイバイ」と電話を切った。
ありがと、と携帯を返すと、
「なんだって?」
と、パチ子。
「ん、二人ともあまり飲みすぎちゃだめだってさ」
「しょうがないな・・・」
パチ子はまだ飲み足りない様であった。おいらも、もう少しお酒がほしい気分であったが、
パチ子と同じく、しょうがないなとなってしまう。
おいら達は少々物足りなさを感じつつ、お開きにして家路についた。
光金
羽生
島野
星田
飯井
690 :
まさはる:2013/12/08(日) 00:52:01.04
つづきっす
「ねぇ、マーちゃん、昨日楽しかった?」
「うん。楽しかったよ」
翌日、出勤してきて挨拶を交わした後のやり取り。
「お母さん、大変じゃなかった?」
「大変て?」
「まーちゃん、お母さんに飲めって、一杯飲まされそうなんだもん。お母さん、鬱憤溜まってるみたいだったし」
シャケちゃんはそんなことを言ってケラケラ笑った。シャケちゃんは屈託なく明るかった。
それは仕事が終わった後も変わらない。
「マーちゃん、おつかれさまー」
と、先の仕事を終えていたシャケちゃんが麦茶を出してくれる。
「お疲れ様。ありがとう」
「あのね、昨日さぁ・・・・」
シャケちゃんは昨日のお泊りで楽しかったことなんかを話し始める。今までとなんら変わらない日常だ。
「最近、福山がちょっとおかしい」
それをおいらはパチ子から聞いている。シャケちゃんが務めてそう振る舞っているのかと思うと、
何ともいじらしく、愛おしくなった。それに反比例して、寂しさも強く感じた。
おいらは寂しさを押し殺し、これまでと変わらない、シャケちゃんにベタ惚れな自分を前面に出す。
「そういえばさ、里恵ちゃんだっけ?昨日は電話の後ろで彼氏?彼氏?言ってたね。
おれ、すんごい照れ臭かった」
お泊りの話の流れでおいらがそう言って頭をポリポリ掻くと、
シャケちゃんはニヤニヤっとやたらと嬉しそうな顔を見せる。
「あたしもメッチャ恥ずかしかったよ」
シャケちゃんはおいらをじっと見つめてニコニコ。なかなか目を離させてくれず、
イヒヒっと笑うと、ついにはおいらの顔をうずめてくる。
そして上目づかいでおらを見上げ、
「イヒヒ」
やっぱりシャケちゃんはいじらしくて愛おしくて、可愛くてたまらなかった。
691 :
まさはる:2013/12/10(火) 16:08:49.36
今日もまた出かけてしまうので、続きは明日にでも。
ではでは
692 :
恋する名無しさん:2013/12/11(水) 06:02:04.02
有働
宇佐美
木梨
横浜湖
光金
693 :
まさはる:2013/12/12(木) 00:55:42.80
少しだけっす…
おいらはネガティブな思考など忘れ、手を肩に回してしまう。
すると、シャケちゃんは嬉しいのか、おいらをイジイジと甘えてくる。こうなると、
男女の自然の摂理でチュッチュとなり、おいらはシャケちゃんを求め、シャケちゃんはそれを受け入れる。
そして訪れる賢者となる時間。おいらは幸せだったが、いずれはという様な寂しさも感じた。
シャケちゃんはそうすることで幸せな気分になれるのか、ただ好きなだけなのか、
おいらのほっぺや少々ぷより始めた腹をつまんでつついて、ニヒィーと笑っている。
それは初めての時と変わらない。
「ねぇ、マーちゃん少しやせた?」
腹をうにうに弄っていたシャケちゃんがそう言う。
思えば、自分は踏み台という事を意識し始めてからというもの、食欲は落ちていた。
おっさん化して痩せずらくなったが、年相応でない恋煩いで痩せたのかもしれない。
「もう夏だからね。腹がブヨブヨだったら格好悪いじゃん」
おいらが本当の所を隠してそう言うと、シャケちゃんは
「マーちゃん女の子みたい。あたしも痩せなきゃ」
と、笑った。
694 :
恋する名無しさん:2013/12/12(木) 02:06:44.02
金返せ
695 :
恋する名無しさん:2013/12/13(金) 09:24:58.39
有働
宇佐美
木梨
横浜湖
光金
696 :
恋する名無しさん:2013/12/13(金) 17:30:22.27
ましゃ金借りてるの?
なら返さなきゃだよ
697 :
まさはる:2013/12/14(土) 00:26:01.26
698 :
恋する名無しさん:2013/12/14(土) 12:24:23.00
シャケちゃんが借金まみれとか?
それなら福山がはらってあげないとねー
699 :
まさはる:2013/12/14(土) 23:25:48.39
>>698 それが事実ならば、それも考えなきゃ…って、お金の話はよしましょ
明日は早いので、こんだけw↓
「なんで女の子なんだよ。男だって気にするんだぞ」
「えーー女の子じゃないのに、なんか変なの」
シャケちゃんはそう言って笑う。
まったりとした空気感が余計な事を考えさせないでくれる。
余計な事を考えないでいれれば、シャケちゃんと一緒に居る時間は、幸せそのものだった。
おいら達はベットに二人で寝転んで、ついつい話し込んでしまった。
いつもよりいくらか遅れてシャケちゃんを家まで送る。
幸せな賢者タイムはそこで幕を閉じ、言いようのない寂しさが顔を覗かせる。
「飲むか…」
おいらは酒に走ろうかと考えたが、生憎スナック××は定休。自分もなんだか疲れている事もあり、
自宅に用足しもあったので、おいらは自宅に戻った。
700 :
まさはる:2013/12/18(水) 00:28:16.58
家へ帰って、一人でビール片手にコンビニ弁当という侘しい一人晩酌をしていると、
物音で気付いたのか、風呂上がりの母美が顔を見せる。
「帰って来てたか。ごくろうさん」
そして一しきり商売の話をした後、母美は本題に入る。
「そういえば、バイトの子看護学校行くんだって?」
「あ、ああ」
「だったら、この間の話、もう一回よく考えてな」
母美の言いたい事はそれだったのだろう、それを言うと、母美はおいらの前を後にした。
母美の理屈はよく理解出来た。しかし、おいらの心情がそれを許さない。
しかし、おいらは何も言葉を返せなかったが、楽しくも切なく、幸せでありながら少々辛い、
そんな踏み台…それでよかった。
701 :
まさはる:2013/12/20(金) 01:45:19.55
踏み台でいい、そんなおいらとは対照的に、おいらがこの頃仲良くしていた女性たちは、
新たな人生を切り開いて行っていた。
パチ子と飲んでから幾日か↓ある日、いつもの納品という名の雑談をする時間、
「福山〜あたし、また独身になっちゃったよ」
顔は笑っていたが、パチ子は弾まない声でそう言った。
「いろいろ話聞いてくれたりして、ありがとな」
なんだかんだ言っても喪失感でもあるのか、寂しげな声を出すパチ子の話によると、
離婚になかなか至らなかった理由として慰謝料があったのだという。
「慰謝料はいらないって言ったの。その代り、シャケの学費出してくれっていったら、
あいつすんなり判押したわ」
パチ子はこの話をすると、色々な事が脳裏に甦るのだろうか、
少し泣きそうになっていた。
「そっか…じゃあ独身に戻ったお祝いに、また飲むか?」
いつものことながら、肝心な時に気の利いたことが言えない自分の仕様が恨めしい。
が、気の付く女性のパチ子は、言葉足らずなおいらの気持ちをくみ取ってくれる。
「うん、飲む」
と、パチ子は涙目のままニィーッと笑顔を見せてくれる。
そしておいらがそれにニッと笑顔で返すと、パチ子は涙目なのが恥ずかしいのか、
目をぐりぐりこすると、照れ笑いに代わり、
「じゃー近いうち飲もうな」
と言って、店を後にした。
少しばかりさびしげに見えるパチ子の背中を見て、パチ子はこの先どう生きていくんだろう、
という事が気になった。
パチ子の娘のシャケちゃんも、自分の道を切り開いていた。
「あたし、看護師さんになりたい、なれるかな?」
という希望から、
「あたし、看護師になる」
という風に代わり、具体的な行動をとるようになっていた。
702 :
恋する名無しさん:2013/12/20(金) 09:53:27.87
ましゃってリアルでもおいら呼び?
703 :
まさはる:2013/12/21(土) 00:59:37.39
>>702 おいらはネット上だけですねw
僕・・・
なんてこともないっす。普通におれw
しかし、見てる人がいてよかったw
でも、続きは明日…
704 :
恋する名無しさん:2013/12/21(土) 21:12:15.36
支援ヾ(≡^ω^≡)ノ
705 :
まさはる:2013/12/22(日) 00:28:02.03
>>704 毎度どうもです。支援ありがと。
少々つづきを
それから、ミムラちゃんもヤクルトレディーのお姉さん以外の顔を持つようになっていた。
しかしこの時、おいらはまだそれを知らない。それを知ったのは、それからまた幾日が過ぎた週末、
シャケちゃんがテスト中だったので、七月の中頃の金曜日の事だ。
この日、おいらは店の休憩時間に銀行等に所要があり、銀行の絵行時間ぎりぎりの時間であったので、
車を慌てて走らせていた。
田舎町の狭い繁華街の中に、おいらの行先はあった。
慌てていたおいらは、銀行を目の前にして信号に止められたことに「チッ」と舌打ちをしていると、
目の前の横断歩道を高校生の一行が渡っていく。男が三人女子が三人。
そして明らかにその一行と雰囲気の違うその輪の中に入れないでいる、チャラい男がひとり。
何処かへ行ったのか、はてまたこれから何処かへ行くのか、やたら楽しそうにしながら
おいらの前を横切っていく。
自分が体重百キロ超だった高校生だった頃、開き直ったとは言いつつも、
羨望と嫉妬の眼差しで見ていた光景だ。
おいらはその一行の中に、良く知る者の顔を見たとき、ハッとして、
どういう訳かマズイものでも見た気分になった。
というのも、一行の中の女の子の一人はシャケちゃんだったのだ。
ちなみに、一人浮いていたチャラい男の子は、最近店に顔を見せなくなっていた昭和な男子の佐藤君。
佐藤君が、シャケちゃんをまだまだ狙っているというのは明明白白。あまりにもわかりやすい図式であった。
おいらの前を横切った一行は、普通の高校生が送るであろう青春をしていた。あまりにも、
自分とは住む世界が違うんだと感じさせられる。
シャケちゃんはおしゃべりに夢中になって、おいらが目の前にいるのも気付かない。
ため息が出た。
おいらは後ろからクラクションを鳴らされるまで、シャケちゃんを目で追ってしまった。
ニセの情報をわざと流してみた。
案の定、食いついて2ちゃんで晒し始めたw
どうしようもないやつだな
栃木
横浜湖
北海道
南朝鮮
茨城
708 :
恋する名無しさん:2013/12/25(水) 21:36:13.94
クリスマスだよー
しゃけちゃんとレッツパーリー?
709 :
まさはる:2013/12/26(木) 01:28:34.93
>>708 メリークリスマスですな。
おいらのクリスマスは、おいらの休みに合わせて一日早く終了っすw
クリスチャンじゃないし、こんなもんでしょw
少々つづき
解ってはいた事だが、リアルな現実をまざまざと自分の目で見てしまうと、
シャケちゃんとの関係に違和感を覚えてしまう。やっぱりショックだった。
その日、シャケちゃんは休みで、お店にシャケちゃんの姿は無い。
顔を合わせてあれこれ話でもしていれば少しは違ったのかもしれないが、
とに角おいらは仕事をしていてもその事が頭に過って落ち着かなかった。
それは仕事が終わっても変わらない。
落ち着かないおいらは何となく…いや、シャケちゃんと接点を持ちたかったのかもしれない。
今日、3時頃見かけたよ。どこ行ってきたの?そんなことをメールしてみたが、シャケちゃんは寝ているのか、
勉強中で分からないのか?返信はこない。
こうなると更に落ち着かなり、おいらは酒に救いを求めた。
行先は毎度毎度のスナック××。
「あ、福山さん、いらっしゃい」
と、なつみちゃんが出迎えてくれる。
「ふくやまちゃん、いらっしゃい」
と、ママ。なつみちゃんが居てママが居て・・いつも見るメンバーの他に、××では初めてだが、所謂新人さんだが、良く知っている子が居た。
その子が、おいらが席についておしぼりを持ってきたとき、二人で同時に「あーーーっ」
と、声を出してしまった。
「店長さん」「ミムラちゃん」
スナック××の新人さんは、ミムラちゃんであった。
710 :
恋する名無しさん:2013/12/26(木) 01:57:26.81
ましゃはめんどくさい男だね
711 :
恋する名無しさん:2013/12/26(木) 18:56:03.19
見ているこっちが胸騒ぎしてしまいます・・・
712 :
まさはる:2013/12/27(金) 00:43:51.35
>>710 めんどくさい??全くもってその通りかもしれないw
>>711 かきてとしては、それはほめことばっす。ありがとう。
続きは明日?ではでは
713 :
まさはる:2013/12/28(土) 00:59:42.47
本日もまたちょっとになってしまったorz
夜見るミムラちゃんは化粧もしっかりしていて、ヤクルトレディーのお姉さんの時とはまた違う雰囲気であったが、綺麗な人、というのは全く変わりなかった。
ミムラちゃんはそのままおいらの席に着く。
「ミムラちゃんがここにいるなんて、びっくりしたよ」
「あたしもびっくりだったよ」
そんな話をしながら、焼酎のボトルが入っているので、それを出してもらう。
「店長さん、個々に一人で飲みに来るんだ」
今日で二回目の出勤だというミムラちゃんは、お酒を作る手がぎこちない。
「子供にお金かかんのよ。ヤクルトだけじゃきつくてさ、ちょっとだけバイト」
そんなことを言っていたミムラちゃんの、そのおぼつかない手つきを見たら、なんだかおいらは嬉しくなってしまった。
この時すでに、お酒が入ってないにもかかわらず、おいらはシャケちゃんの事を忘れていた。
「たまにね。飲みたくなったら来るよ」
すると、ミムラちゃんはにやぅとしたかと思うと、忘れていたことを思い出させる。
「店長さん、一人で女の子がいるとこ来て、彼女焼きもちや家内?大丈夫?」
714 :
恋する名無しさん:2013/12/31(火) 04:25:22.85
疲れてるんか
715 :
まさはる:2013/12/31(火) 11:10:20.82
>>714 ここしばらくやたら忙しくて…
今日もまたこれから出かけたりするんで、少しばかりですが↓
この時、おいらはどういう態度を取ったのかはわからない。しかし、おいらのあの仕様だ。
「あれ、彼女と喧嘩でもした?」
と、心の内を読まれた。
「喧嘩はしてないけど…」
ミムラちゃんはそれに、ちょっと考えてウンウンと頷くと
「ま、いろいろあるよね」
と言った。その言動と物腰が、これまであまり感じなかった、いろいろ経験している大人な女性を感じさせた。
高校生時代のイメージが強かったから、あまり感じなかったのかもしれないが、
やっぱりミムラちゃんは30歳のいろいろ経験している女性なのだ。
そこから来る安心感が、気持ちを落ち着かせて話をさせてくれる。
「まぁね、いろいろあるね」
ミムラちゃんはおいらの話を肯定も否定もせず、ウンウンと聞いてくれるが、悲しげな眼差しを向けていた。
おいらは話を聞いてもらったことで、少しすっきりはしたが、湿っぽい空気、
ミムラちゃんのその眼差しが嫌で、話をそらす。
「ごめんね、こんな話しちゃって」
と、バツが悪い様に作り笑いをして見せる。
すると、ミムラちゃんはそれに反応して
「ほんとだよ。あたしだってあの時高校生だったんだから」
と、怒ってみせる。ミムラちゃんの告白の事は、もう昔の事で半ばネタになっていたのだ。
716 :
まさはる:2013/12/31(火) 11:12:18.65
読んでくれている人、今年はこのスレにおつきあいいただきありがとうございます。
来年もどうぞよろしくお願いします。
ではでは
717 :
恋する名無しさん:2013/12/31(火) 19:03:19.38
はい良いお年をー
また来年ね
718 :
まさはる:2014/01/02(木) 09:22:25.56
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願します。
719 :
まさはる:2014/01/03(金) 11:19:48.73
今年もおつきあいよろしくです。
ではでは、すこしつづきをば
「ごめんごめん」
ネタ…そうではあったが、ミムラちゃんは笑い顔が本気ともネタとも取れる面持ちとなると
「ねぇ店長さん、あたしとあの時付き合ってたとしたら、やっぱりなやんだ?」
と、おいらが飲ませたお酒にでも酔ったのか、そんなことを聞く。
当然、答えはこうなる。
「悩んだでしょ」
すると、ミムラちゃんはそれにウンウンと頷いて答えると、氷貰いますね、と席を立つ。
ミムラちゃんはそれを聞いてどう思ったのか、それは分からないが、氷を持って席に戻ってくると、
当時の事をあれこれおいらに聞かせる。
ミムラちゃんは30になって子供もいてお母さんだが、当時から今に至るまでを話す様は
女の子そのものだった。
ミムラちゃんとのお話は楽しいものであったが、こういう所はなかなかそういう時間が続いてくれない事が多い。
新規のお客さんが入ってきて、
「めぐみちゃーん」
と、ミムラちゃんは源氏名を呼ばれておいらの席から移ってしまった。
ミムラちゃんは先ほど入ってきたオッチャン二人の席に着く。
ミムラちゃんはオッチャンの席で、作り笑いを浮かべ、何ともやりづらそうにしているのが分かる。
「福山さんこんばんわ」
ミムラちゃんの代わりに、かつてのオキニになってしまったなつみちゃんがおいらの席に着く。
そうはいってもやはり、なつみちゃんも楽しい。しかし気になる。
「福山さん、めぐみちゃんばっかり見てる」
と、なつみちゃんは拗ねてみせる。
確かにそうであった。なつみちゃんと楽しく話してはいたものの、気持ちの半分はミムラちゃんの方へ行っていたのだ。
「そんなことないって」
そう言いつつ、おいらはちょっとベタベタしすぎのオッチャンに、
作り笑いを浮かべつつ辟易しているミムラちゃんを苛立たしく思いながら見ていた。
おいらは苛立たしく思うが、こればかりは彼女の仕事なので、あまりなんやかんや言う事ではない。
おいらが苛々悶々としていると、さすがにママが動いた。
「なつみちゃーん」
と、おいらの所にいる成美ちゃんがママに呼ばれ、一言二言。そしてミムラちゃんの所へ行って耳打ちする。
「福山さん…て、ちゃんと名前で呼びなさいって」
そしてミムラちゃんはおいらの席へ戻ってきた。どういう思いがあるのか、ちょっと涙目になっている。
720 :
まさはる:2014/01/05(日) 00:01:49.06
理由はどうあれ、涙の理由は飲み屋のお姉ちゃんになったからに由来することは間違いなかった。
「どうしたの?」
そう聞いても、ミムラちゃんは更に目をウルウルさせるくせに
「なんでもない」
と、言って、何も答えずにお酒を作る。
その後は、ミムラちゃんの胸の中にどういう思いがあるのか分からないが、あまり話は弾まなかった。
おいらはミムラちゃんの彼氏でも何でもないが、この子にこの仕事はさせたくないなと、
ミムラちゃんは夜はそっくりな娘ちゃんと和やかに団らんしていてほしいと、身勝手に思った。
しかし、ミムラちゃんは明日もこの仕事だと言っていたが、続けられないのではないかとも思った。
あまり素行のヨロシクないオッチャンが帰った所で、程よい時間になっていたので、おいらもお愛想をした。
そして何となく携帯をチェック、というより、シャケちゃんとお付き合いを始めてから
メールのやり取りが頻繁になったので習慣化し、携帯を見たところ、つい先ほどシャケちゃんからメールが入っていた。
お昼は友達とカラオケ行ってたんだー テスト勉強してたから、返信が今になっちゃってごめんね、メールのない湯はそんな感じで、そのメールを見たおいらは、強く後ろめたさを感じた。
ミムラちゃんとの間に、浮ついた気持ちが芽生えていたからだ。
721 :
恋する名無しさん:2014/01/05(日) 11:18:51.71
ここからの展開がどうなって行くのか・・・
722 :
まさはる:2014/01/06(月) 00:58:29.58
>>721 どうなるんでしょうかねw
これからもこのスレにおつきあいいただけたらと思います。
続きはこのように↓
結局、おいらは後ろめたい気持ちがあるせいか、メールの返信がなんとなく出来なかった。
翌日の土曜日はシャケちゃんのバイトの出勤日。
「おはようございます」
おかしいのはおいらだけで、シャケちゃんはいつもとなんら変わらない。
少し早く出勤してきたシャケちゃんと暫しおしゃべり。
「昨日はごめんね、返信すぐしないで。勉強してた」
と、笑うシャケちゃん。
「おれはメール返さなくってゴメンな。あの・・友達と飲んでたんだよ」
と、おいらは嘘をつく。
シャケちゃんはそれに、
「そっかぁ、そっかぁ。楽しかった?」
と、返す。それにおいらが「うん」と答えると、シャケちゃんは
「いいなぁ、あたしも早く普通に飲めるようになりたい」
と言って、エ?という様な顔をして半笑いになる。
「結構いける口?」
と、おいらがそれに突っ込んでやると、シャケちゃんはデへへといった感じで屈託なく笑った。
やはり、シャケちゃんは可愛い。身勝手な言い分だが、浮ついた気持ちを持ってしまい、それに対する罪悪感はあったが、
シャケちゃんに対する気持ちは、これまでと何ら変わりなかった。
723 :
恋する名無しさん:2014/01/06(月) 04:48:22.57
もうすぐ震災から三年か
724 :
まさはる:2014/01/08(水) 01:21:56.59
>>723 もう少しで三年になっちゃいますね。
このスレ主やってるから、おいらの中では風化してないけど、一般的には風化しちゃってるのかな?
ま、ともかくつづきを
今日、シャケちゃんと会って後ろめたさを感じ、今日も出勤のミムラちゃんの事が気になって仕方なかったのだが、
もうしばらく××へは行くまい、ミムラちゃんの事は考えない様にしよう、と決めたのの束の間の事であった。
お店の営業時間もあと少しとなった頃、一人来店があり、弁当の注文を頂いた。
ミムラちゃんであった。しかしこの時、おいらはそれを知らない。
「店長さん・・・・」
パートのおばちゃんたちがおいらをチラチラ見ながらヒソヒソ話をしている。
なんなのか?と思っていたら、お客さんでミムラちゃんが来ていたという訳だ。
ミムラちゃんだ…そんな風に意識してしまうと、やっぱり目があってしまう。
そして目があって、あっという顔をされると、先程の思いはあっても知らんぷりは出来なかった。
調理場の中で片づけをしていたおいらが、手を止めてカウンターの方へ行って、
「いらっしゃいませ」
と、声をかけると、昨日おいらがシャケちゃんとの話をしてしまったからなのか、
調理場で片付けの手伝いをしているシャケちゃんをちら見して、バツの悪そうな顔をする。
「きのうはどうも」
ミムラちゃんにいつもの明るさは無かった。
「今日もこれからバイト?」
そう聞くと、ミムラちゃんは顔を曇らせると苦笑いをして「うん」と頷く。
「今日は時間があまりないから、お弁当」
そう言うミムラちゃんの顔は、バイトは嫌だと語っていた。
725 :
まさはる:2014/01/09(木) 01:15:10.53
すこしばかし
「そっか。大変かもしれないけど、頑張って」
そんなおいらの気の利かない言葉では、ミムラちゃんの曇った顔が晴れることは無かった。
それから程なくして注文の弁当が出来上がり、緊張気味な面持ちのシャケちゃんが
品物を持ってきてお会計をする。
「あの・・おまたせしました」
シャケちゃんは緊張のせいなのか、レジのキーを打ち間違いをしてしまう。
「あのあの、すいません…」
すると、ミムラちゃんの曇った顔は、優しい面持ちとなり、
「大丈夫よ、大丈夫」
と、優しい声が出てくる。
それシャケちゃんの緊張は解けたのか、「すいません」と、はにかんだ笑顔になった。
「そのくらいの間違い、気にしなくっていいって」
そう言うミムラちゃんを見て、おいらはシャケちゃんの前で不届きにも、
やっぱりミムラちゃんはいい子だわ、などと思っていると、
「かわいい子だね、店長さん」
と、ミムラちゃんはこの日一番いい顔を見せると、おいらをちょっとからかう。
シャケちゃんはミムラちゃんにそう言われてうれしいのか、二ヒヒとしていた。
726 :
恋する名無しさん:2014/01/09(木) 21:26:48.70
チャイナタウン
チャイナタウン
チャイナタウン
チャイナタウン
727 :
まさはる:2014/01/10(金) 00:18:39.00
これだけですが・・・
「お世話様でした」
と、ミムラちゃんが店を後にした後も、シャケちゃんの二ヒヒは止まらない。
「ミムラさんて、なんかいい人だね」
片付けをしながら、シャケちゃんはこれまでミムラちゃんと接点が無かったくせに
悪い人だとでも思っていたのか、そんなことを言う。
そのくせ、おいらがそれに
「ミムラちゃん良い子だよ」
と答えると、おいらがニヤッとしたのがいけなかったのか、シャケちゃんは口をとがらせると、
おいらのお尻をグニッとつねる。
「もぉ、マーちゃん」
気付くと、おいらのやり取りはおばちゃん達にガン見されていた。
おそらく、コソコソ言いたい放題言われているだろう。おいらはいい気分ではあったが、
気恥ずかしくてたまらなかった。
728 :
まさはる:2014/01/11(土) 23:28:23.87
何かと忙しいです。
次は火曜にでも続きをと考えております。ではでは
729 :
恋する名無しさん:2014/01/11(土) 23:37:49.50
長。
全部スッとばし。
730 :
恋する名無しさん:2014/01/13(月) 03:54:50.42
いつの間にか話の中のシャケちゃんの年齢を超えてた
731 :
まさはる:2014/01/14(火) 23:15:05.59
>>729 確かに長いな。文字は苦手か?
>>730 かれこれ一年以上やってるからな・・・長くなりすぎたw
では続きを
「もぉ、何ニヤニヤして」
と、おいらの耳元でチクチク言っているその辺が鈍いシャケちゃんも、さすがに気付いて
エㇸへと言った感じで、顔を赤くする。
やっぱりシャケちゃんは、どうしようもなく可愛かった。
仕事の後、シャケちゃんはいつもの様に事務所でおいらを待っていた。
「マーちゃん、お疲れ様」
「おつかれー」
シャケちゃんは、どうぞと麦茶を出してくれる。それが当たり前になってしまっていたが、
おいらの心境に変化があってからというもの、一日の労をねぎらってくれる好きな子が傍にいるという事が
どれだけ幸せな事か、おいらは思い知った。
「ありがと」
ただの水出し麦茶だが、しみじみ旨かった。
麦茶を飲みながら、先程の事などをぽつぽつと話していたら、
「あーテストヤバいんだよな。勉強しなきゃ…」
と、話がすっ飛んだ。
おいらは血液型がB型なのだが、シャケちゃんもB型で、この辺は似ている。
そんなことを言いつつ、その行動に移らないのもB型の特徴かなと思うのだが、
シャケちゃんはそれどころか、
「あぁーっ」
と、声を出し、ベットに腰掛けたかと思うと、うーんうーんと呻く様な声を出してベットの上で寛ぐ姿勢を見せている。
「ここで寝てて大丈夫なのか?」
おいらがその姿勢にそう突っ込むと、シャケちゃんは危機感のない顔で二ヒヒと笑う。
しかしシャケちゃんを何がそうさせたのか、良い事でもあったみたいな感じだった。
「なんだ余裕そうじゃん」
すると、シャケちゃんはそれに言葉では答えず、フフンと言った感じで笑って答える。
実際、昨日は友達とかとカラオケに行っていたくらいだ。余裕なのだろう。
結局、おいらはシャケちゃんを早く家へ帰すという事はしなかった。
後は書かなくてもわかるな?幸せなひと時であったという事だ。
732 :
まさはる:2014/01/16(木) 01:23:03.89
少しだけつづきー
やはり、シャケちゃんと同じ時を過ごすと、浮ついた気持ちは霞となってぼやけていく。
おいらはこの先どうなっていくんだろうと、自分の近い将来の事が全く想像つかなかった。
この時、おいらはまだ気づかないが、この日を境にミムラちゃんはおいらとの間に距離を置いた。
テストが終わると、シャケちゃんには暑さと一緒に夏休みがやって来る。
おいらは夏休みに入れば、シャケちゃんは時間に余裕ができるだろうと思ったが、間違いであった。
パチ子と一緒に福島に帰ったり、おいらの友人の高山、青木らが所属する某団体が企画した、
原発事故で支援の手が伸びない福島の子供たちを支援しようという企画を手伝い始めたからだ。
「まだ飯大丈夫?」
「シャケちゃーん、またきたよー」
などと、高山や青木が某団体メンバーと一緒に夏休み前後から良く訪れる様になっていたのだ。
「わぁー青木さん、高山さん、○○さん」
すでに、シャケちゃんは支援物資を集める仕事を手伝っていたので、某団体のメンバーとは顔見知りなのだ。
そして、シャケちゃんは仕事みょくやって、なおかつかわいい子なので、某団体メンバーからは
良く可愛がられている様子。
おいらはそれがちょっと誇らしくあったが、おいらのついていけない話で盛り上がられるのは、
少々嫉妬した。
733 :
恋する名無しさん:2014/01/16(木) 01:28:25.50
おいらが乗れないのが悪い
734 :
恋する名無しさん:2014/01/17(金) 17:36:16.44
そーだそーだ
ましゃが悪い
735 :
まさはる:2014/01/18(土) 01:06:32.77
>>733 744
うぅ・・その通りなんだが、話には続きというのがございましてな。
その続きを↓
嫉妬したおいらは、やっぱりその話の輪の中に入りたくなる。
話しでは、いわきや相馬といった福島の地名がよく出てくる。地震と津波、
そして原発事故の影響を受けた地域の子供たちを支援するのだろう。
高山や青木の所属する某団体のメンバーは、心優しいものたちなのだ。
自分の友人らがそういう事をしていると思うと、誇らしかった。と同時に、
自分も何か、という思いが湧いてくるが、今はそう言う場合ではない。
おいらはたまらず、浜氏の流れだとか考えずに、
「みんな福島に支援しに行くの」
と、話の輪に加わろうとしたところ、
「支援しに行くんじゃなくて、こっちに呼ぶんだよ」
という答えが青木から帰ってきた。
「マーちゃん、あっちの子たち、放射能であまり表で遊んだりとかしない様にしてるのね、
それだけじゃないんだけど、こっちへ呼ぼうってことなの」
と、シャケちゃんが青木の補足をする。シャケちゃんも随分しっかりしてきたな、
その言葉はそんなことを感じさせた。
おいらは妙の嬉しくなりながらどういう事をするのかと尋ねたところ、
バーベキュー、お祭りの見学等、地元の学生たちとのレクリエーション等々色々な事を
行う事になっていて、話をちょっと聞くだけで大変だという事が分かった。
「なんか手伝おっか?」
おいらの仕様だ。思ったことがすぐにポロット出てしまう。
すると、某団体のメンバーの顔が、オオッとなる。どうやら何か困っていたことがあるらしい。
736 :
恋する名無しさん:2014/01/18(土) 01:48:15.36
737 :
恋する名無しさん:2014/01/19(日) 10:42:20.44
ガーリックトースト
博多 ←※重要
ガーリックトースト
ロサンジェルス
738 :
まさはる:2014/01/20(月) 01:15:47.33
今日もまた少しなんだが・・・
「じゃあさ、ちょっと頼みたい事があるんだけど…」
高山が口を開く。
「え、何?」
すると、高山は申し訳なさそうにして「あのさぁ…」と口籠っている。どうやら大変な事らしい。
「なになに?」
「あのさ、福島の子たち来た時にバーベキューやるんだけど・・・」
高山のお願いは、70人分のバーベキューの下準備をしてほしいという事であった。
某団体は男所帯。しかも人手不足の所へ大きな事業なので猫の手も借りたいくらいという事であった。
加えて、それをやるならば、時間的に地元の花火大会の最中にやるしかなかった。
シャケちゃんを含めて申し訳なさそうな顔と切実な目が八つ、おいらの言動を見守っている。
シャケちゃんは支援事業の手伝いを張り切っているので、あちら側の人なのだ。
ちなみに花火大会デートは、福島の子が来ていて手伝いがあるので振られている。
「出来る?」
「うん。大丈夫」
花火大会デートを振られたおいらは、、もちろんそう答える。これまで被災地へは
募金だとかたいしたことが出来ていなかったおいらは、某団体の事業に少々携われた事が嬉しかった。
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740 :
恋する名無しさん:2014/01/21(火) 11:13:18.68
中華バー
中華タウン
潜伏先中華ウォーターバー 貴重水
浮気in中華タウン
光金シリア詐欺
741 :
まさはる:2014/01/22(水) 00:04:12.27
わけわからん人はかまってほしいのか?
まぁとりあえず続き
夏休み中の飲食店というのは忙しい。震災の有ったこの年は、高山らの某団体以外の
支援事業にも首を突っ込んだことで、仕事以外にも関わることが多くてやたらと忙しく、
瞬く間に一週間が過ぎた。そんなある日の事。
「こんにちわー○○ミートです」
パチ子が納品にやって来る。この声を聴くのは二日ぶりであった。パチ子は○○ミートの
定休日に合わせて福島に帰っていたのだ。
「よっ」
と、友達の挨拶をして、納品という名の雑談が始まる。
「はぁ、疲れた」
パチ子の第一声は笑ってはいたが、ボヤキだった。シャケちゃんの話では、昨日は随分帰りが遅かったらしく、
疲れが取れていないのだろう。
「昨日は何時に帰ってきたの?」
「え、十二時。友達と話し込んじゃってさ」
パチ子はそう言って笑う。疲れたとぼやくのも無理はなかった。
「友達は郡山の方に避難したんだけど、地震から会ってなくて話が止まんなくなっちゃって・・・」
パチ子の話は続いた。パチ子の話によると、友達は中学からの友人で、
シャケちゃんと同じ年の娘が一人いるという事だった。
「そんで、線量とか見ながらだからまだわかんないけど、子供たち学校卒業したら戻ろうよって」
パチ子はそこで話を区切ると、さびしげな表情を浮かべた。
パチ子はまだわからないとは言っていたが、返る事に決めた、という感じがした
742 :
まさはる:2014/01/23(木) 01:21:08.87
つづきをすこし
当時、原発はだんだんと少しずつだが落ち着きを取り戻しており、
そう遠くない将来こうなるだろうとは分かっていたが、あまりにも普通に身近な存在になっていたので、
改めてパチ子の口から聞くと驚きに似た衝撃を感じた。
しかし、とんでもない天災、人災に巻き込まれ、一変してしまった生活が、
少しづつでも元に戻っていくというのはやはり喜ばしい事であった。
「そっか・・・よかったじゃん」
そうは言っても、○○ミートのおばちゃんに連れられてきて泣いたり、パチーンとビンタされたり、
一緒に飲んだり、そんなことが思い起こされて、仲良くなったぶんだけ良かったねと思うし、
寂しくなってしまう。
それはパチ子も同じな様で、
「うん。原発も落ち着いてきたからね。良かったよ」
パチ子はそう言って、口元ばかりでウンウンと笑った。
ふと、おいらはシャケちゃんはこのことをどう考えてくるんだろうか、と気になった。
∩_∩
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東北大学大学院院ペニス生。ハッテン空ケツ吉川裕うんこ間史学研究会委員 アナルローズ
ホモ近世思ガチムチちんこ想史。特に文人裕(特ホモに服部食糞南郭らを中心吉川とした
寝隠弁寝隠弁寝隠弁寝隠弁寝隠弁寝隠弁寐隠辯寐隠辯寐隠辯寐隠辯寐隠辯寐隠辯
744 :
恋する名無しさん:2014/01/24(金) 11:57:31.24
チャイニーズ中華学校料理 沖縄海そば
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ちょろちょろ・・・
ちょっとアンタ何みてんのよ・・!
ここは男子トイレよ!!
746 :
まさはる:2014/01/25(土) 01:20:21.97
すこし続きを
その話をパチ子から聞いた日、シャケちゃんは出勤日であった。
出勤してきたシャケちゃんはいつもと変わらない。テキパキと仕事をこなし、
パチ子が福島に帰るという事を何も口にしないまま、仕事が終わる。
「マーちゃん、おつかれー」
「シャケちゃんおつかれー」
そしておいらは冷たい麦茶を頂き、ありがたく幸せを感じつつのどを潤す。
いつもとなんら変わらない、仕事の後の事務所での二人の時間だ。
「今日はなんか忙しかったね」
などと、仕事の話をしていたが、何の脈絡もなしにシャケちゃんの話は飛ぶ。
「そういえばさ、今日は青木さんたちとか来なかったね。聞きたいことあったんだけどな」
シャケちゃんは、支援事業を一生懸命になっていたのだ。
そんなシャケちゃんは、支援事業の事を熱くおいらに聞かせる。
シャケちゃんは余程嬉しいのか、以前に聞いたことがある話も、繰り返し熱く語った。
そうこうしているうちに、時計の針は時計の針はいつも家に返す時間。
「そろそろ、送ってくよ」
シャケちゃんの自転車をおいらが押して、二人で並んで歩く。いつものスタイルだ。
シャケちゃんは先ほどの興奮が急に冷めたのか、俯き、言葉少なというか、
おいらの言葉にうんうんと言うだけだった。
そして、あと少しでアパートだという所で、シャケちゃんが口を開く。
「ねぇまーちゃん、お母さん来年帰ることにしたみたい」
シャケちゃんは俯いたまま、ボソボソっと言う。
おいらはその言葉の裏に、シャケちゃんの色々な思いを感じた。
ちんちんから出てくるお水
おいしいんだよ
みんな知らないみたいだけど
748 :
恋する名無しさん:2014/01/27(月) 20:05:26.03
なおみパンツは毎日替えなさいね
749 :
恋する名無しさん:2014/01/28(火) 15:19:48.06
チャイニーズ空気プレン 沖縄そば 日テレマー君
チャイニーズ空気プレン 沖縄そば 日テレマー君
チャイニーズ空気プレン 沖縄そば 日テレマー君
チャイニーズ空気プレン 沖縄そば
750 :
まさはる:2014/01/29(水) 01:21:41.00
少し続きを
「うん、聞いた。まだわかんないけどって…」
おいらはシャケちゃんはどうするの、とは聞けなかった。別れ話ではないけれど、
辛い話になってしまうと思ったのだ。
「そうなってくれないと困るんだけどね」
もしかすると、シャケちゃんはおいらのその言葉を待っていたのかもしれない。
それが分かっても、おいらは自分の正直な気持ちの、遠くに行ってほしくない、自分は踏み台でいい、
そんなことは言えなかった。
おいらもシャケちゃんも言葉が続かなくなってしまい、ぎこちない空気になってしまう。
「じゃーね」
おいら達は何も話さないまま、その日は分かれた。
751 :
恋する名無しさん:2014/01/30(木) 14:37:39.11
中華バー
中華タウン
潜伏先中華バー
浮気in中華タウン
グラサン光金シリア
752 :
まさはる:2014/01/31(金) 01:29:16.45
つづきを少し
そうあるべきで、自分でもそう思っており、そうなるよう行動するだろう。
だが内心はそうなってほしくない、
シャケちゃんはパチ子と共に福島へ帰る、確実にそうなるだろうと感じる物が、その空気の中にあった。
その日の晩の事が尾を引いて、おいら達は仲良くはしているが、どこかぎこちない雰囲気になってしまった。
八月に入ると、おいらもシャケちゃんも猛烈に忙しくなる。八月の第一週の金曜、五日だったか、
福島の子たちがこちらへ来るのだ。
シャケちゃんはそんな中、明るく振る舞っていたが、時折考え込む様な顔を見せる。
それが、シャケちゃんは将来の事を一生懸命考えているのだと感じさせた。
忙しいと時が瞬く間に過ぎていく。一日が経ち、二日経ち、三日。ここの所年による衰えなのか、
疲れやすくなったおいらは、疲れ切っていた。
仕事が終わって、事務所のベットに倒れこむと、動きたくなくなった。その日シャケちゃんは休みで、
お疲れ様の麦茶は無かった。
疲れてはいても、真夏の仕事後はやたらのどが渇くし腹も減る。
おいらはやろうと思っていた事務仕事を、今日はやらないとして、シャワーを浴びてコンビニ向かった。
家へ帰るのも、店で晩飯を作るのも億劫だったのだ。
コンビニでビールの入った籠を片手に、トボトボと歩いて店内を歩いて蕎麦、弁当とかごに入れ、
レジに並ぶと、おいらは後ろから声をかけられた。
「おじさーん」
と、若い子が手を振っている。ミムラちゃん親子であった。
753 :
まさはる:2014/02/03(月) 00:35:47.44
風邪ひいてしまいました・・・
続きは明日か明後日に。てか、ここ見てくれてる人いる?
見てるよ〜
風邪早く直して続きを書いてくださいね。
待ってます!!!
755 :
まさはる:2014/02/04(火) 23:29:12.32
>>754 ありがとうございます。
風邪治りました。それにしても弱くなった・・・
ではでは続き
ふと立ち寄ったコンビニに知人の顔があるというのは田舎の仕様なのだ。
「こんばんは」
と、ミムラちゃん。数日前にヤクルトを持ってきた時もそうであったが、どこかよそよそしい。
その他人行儀な感じが、お風呂上がりの濡れ髪という、男子諸君、少なくともおいらはハッとしてしまう
居出立ちなのに、おいらをドキドキさせない。それに比べて娘ちゃんの凛ちゃんは屈託がない。
「こんばんは」
と、ママミムラちゃんのまねをして、ニヒーッと、どういう訳かご満悦の様子。
おいらがそれは何でと問うまでもなく、凛ちゃんがそれを教えてくれる。
「アイス買ったの」
凛ちゃんはそう言って、籠の中をおいらに見せてくれる。
「あ、そおなんだ。よかったねぇ」
すると、凛ちゃんはイヒィーッと笑ってはしゃいだ。
やはり、はしゃいでる子供と言うのは可愛い。懐いてくれて、ミムラちゃんの子供だと思うと
尚更可愛い。そして、その場を和ませる。
「この子、なかなか寝てくれなくて、それで車に乗せたら、もぉアイスアイスって聞かなくって…」
と、ミムラちゃんは少々苦笑い。いつの間にか、ミムラちゃんのよそよそしい感じはしなくなっていた。
756 :
恋する名無しさん:2014/02/05(水) 13:21:39.84
チャイニーズ首脳オークション 沖縄海中華焼きそば
チャイニーズ首脳オークションTVバンク 沖縄海中華焼きそば
チャイニーズ首脳オークションTVバンク 沖縄海中華焼きそば
チャイニーズ首脳オークションTVバンク 沖縄海中華焼きそば
757 :
まさはる:2014/02/06(木) 01:27:36.68
すこし続きを
「そうなんだ、おつかれさま」
おいらは普通に笑えた。
「ホントにもぉ・・・」
みると、凛ちゃんは大人たちの会話が訳が分からないのだろう、イヒィと笑っている。
そんなことを言っているうちに、おいらの会計が済む。次はミムラちゃんだ。
「店長さん、これから晩御飯?」
「うん。今から」
ミムラちゃんとそんな話をしていると、凛ちゃんはおいらの手を引く。
「おじさん、だっこぉ〜」
凛ちゃんはニコニコの笑顔で抱っこをねだった。以前、抱っこしてやって大喜びだったので、
覚えていたのかもしれない。
「コラ」
と、ミムラちゃんが怒るが、恐さはまるでない。顔も笑っている。凛ちゃんはニコニコのままだ。
「よし」
と、凛ちゃんを抱っこしてやると、やっぱり凛ちゃんは大喜びだった。
「ゴメンね、店長さん」
と、謝るミムラちゃんと一緒に店を出る。
「いやいや全然。それにしても、凛ちゃんかわいい」
正直なところ、凛ちゃんを抱っこしていると熱かったが、逆にその熱さとギュッとおいらをつかむその小さな手と、
その無邪気な笑顔。おいらはすっかり凛ちゃんにやられてしまった。
758 :
恋する名無しさん:2014/02/06(木) 11:52:14.53
チャイニーズシリア慰杏空気プレン 沖縄海数の子焼きそば
チャイニーズ空気昼帯びプレン 沖縄海数の子焼きそば レディオスペシャル
チャイニーズ空気昼帯びプレン 沖縄海数の子焼きそば
チャイニーズ空気昼帯びプレン 沖縄海数の子焼きそば
759 :
恋する名無しさん:2014/02/06(木) 12:44:15.15
頑張って東日本
760 :
恋する名無しさん:2014/02/07(金) 10:44:22.08
チャイニーズオオレ空気プレン 沖縄海長中華焼きそば
チャイニーズオレオレ空気プレン 沖縄海長中華焼きそば
チャイニーズオレオレ空気プレン 沖縄海長中華焼きそば
チャイニーズオレオレ空気プレン 沖縄海中華焼きそば
761 :
恋する名無しさん:2014/02/07(金) 14:40:37.46
おいついた
見てるよ
762 :
恋する名無しさん:2014/02/07(金) 15:10:10.45
over
763 :
まさはる:2014/02/08(土) 01:01:58.67
>>759 がんばりましょう!!
>>761 ありがとう。なんか安心しましたw
すこし続きです
「親心ってやつか」
これまでそう思う事は度々あったが、この日は「友人らは早く結婚して子供作れ」と言うのは
これの事を言うのだなと、ミムラちゃんの子供だから余計にそう思うのかなと、
しみじみ実感しながら、気になっていた××の事などの話をしていると、
「なんか、彼女に悪いな」
と、ミムラちゃんは何の脈絡もなしにボソッと呟いた。
「え?」
いきなりの事だったので、おいらは何が何だかわからない。
「こないださ、お弁当階に行った時に、あたしのことすっごい不安そうな顔で見ててさ、
あんな顔されたら普通に話してても、なんか彼女に悪い」
ミムラちゃんはおいらの心境を知っているだけに、余計にそう思うのかもしれない。
「んーそうなのか…」
「うん。なんか切ないなぁ」
そんな大人たちの会話は退屈なのか、はてまたおいらの胸が居心地がいいのか、
いつの間にか凛ちゃんは寝てしまっていた。
「あぁ、凛ちゃん寝ちゃった」
おいらがそう言うと、ミムラちゃんは買い物の理由を思い出す。
「ああ、アイス溶けちゃう。じゃーあたしら行くわ」
「ほら凛、おきな」
と、おいらの胸で眠る凛ちゃんを起こし、車に乗せると、「またね」と家へ帰っていった。
その日のお酒は、家庭だの子供だのとツラツラ考えてしまい、ただ酔う為だけに飲んでいる感じになってしまった。
764 :
恋する名無しさん:2014/02/09(日) 08:57:03.27
早起き寝坊チャイニーズ総会3Dカード教師 沖縄海長缶づめそば
早起き寝坊チャイニーズ総会3Dカード教師 沖縄海長缶づめそば
早起き寝坊チャイニーズ総会3Dカード教師 沖縄海長缶づめそば
早起き寝坊チャイニーズ総会3Dカード教師 沖縄海長缶づめ
765 :
恋する名無しさん:2014/02/09(日) 19:11:36.91
今何月ですか?
766 :
恋する名無しさん:2014/02/10(月) 10:33:32.60
密航チャイニーズ光金空気警察プレン 沖縄海局員うどんそば
密航チャイニーズ交通混乱空気オレオレプレン 沖縄海局員マー君焼きそば
チャイニーズ交通混乱空気オレオレ警察プレン 沖縄海局員マー君焼きそば
チャイニーズ交通混乱空気オレオレ警察プレン 沖縄海局員マー君焼きそば
767 :
まさはる:2014/02/11(火) 02:12:57.82
>>765 8月の頭ですね。
あたふたしとりまして、また少しですがつづきを…
いつもならば眠れぬ夜を一晩過ごすのだが、この日は疲れている体にアルコールが良く効いて、
おいらはいつしか眠りに落ちていた。
それから間もなくして福島の子たちがやって来る。
福島に子たちがやって来ると、他にも支援事業の手伝いを増やしたことで、更に忙しくなってしまい、
仕事と手伝いとてんてこ舞いであった。
そんな中でも、おいらは手伝いをしているシャケちゃんを見つけると、知らず知らず目で追ってしまっていた。
そこに映っていたのは、光る汗と眩しいくらいの笑顔と、ちょっと苦しそうな顔と初めて聞く叫び声。
おいらの前ではあまり見ない姿、おいらが高校生の時分に眩しい目で見ていた様なシャケちゃんの姿があった。
シャケちゃん青春してるな、と嬉しく思う半面、住む世界が違うのだなと思い知らされる。
それを思うとため息をつきたくなるが、そんな思いは忙しさの中で掻き消されていった。
768 :
まさはる:2014/02/12(水) 00:56:42.08
すこしばかし続き
日が明けて花火の上がるお祭りの日。この日もやっぱり恐ろしく忙しい。
日中はタバコもほとんど吸うことも出来なかった。この日はお祭りなので、お店は早じまいで夕方までであったが、
仕事が終わっても忙しさは変わらない。明日の準備等々があるのだ。
夕方になると、お祭りの会場が近いので、お店の前を浴衣などで着飾った男女が続々と歩いて行く。
やっぱりみんな楽しそうである。そういうのを見ながら一人で仕事をするというのは、
何とも切ないが仕方ない。
この日はお祭りなので、お店のパートさんたちを早く上がらせたこともあって、
店の片付けも相当残っていた。もちろん、シャケちゃんは支援事業をしているので居ない。
もしシャケちゃんと付き合っていなければ、黙々と仕事をしたかもしれないが、
楽しそうにしているカップルを見るとまた少し切なくなった。
日が落ちて辺りが薄暗くなってきた頃、おいらは店の片づけを終わらせて、一息ついた。
タバコを一本吸って落ち着くと、腹が減っている事に気付く。忙しくて昼を抜いていたので当然であった。
祭りの喧騒に誘われて表に出ると、夜店の臭いが鼻につく。おいらはソースの焦げる香りに誘われて、
焼きそばとバナナチョコでも買おうと、ふらふらお祭りの会場に足を向けた。
テクテクと歩いていると、鳴り物の音が近くなってくる。浴衣に夜店にもうすぐ花火。
震災後という事もあって、開催も危ぶまれたが、やっぱりお祭りはいいなぁなどと思っていると、
「あ、店長さん」
と、声をかけられた。ミムラちゃんであった。
769 :
恋する名無しさん:2014/02/13(木) 09:27:11.53
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770 :
まさはる:2014/02/14(金) 01:34:49.41
つづきを少し
「おお、ミムラちゃん」
すると、下の方からも声が聞こえる。
「おじさん、こんにちは」
声の主は凛ちゃんであった。二人は浴衣で着飾って、お祭りにワクワクしている様子。
「店長さん一人で来たの?」
と、ミムラちゃん。シャケちゃんと一緒じゃないの?と言いたげな感じだった。
聞けばミムラちゃんはママ友と一緒に花火見物という事で、待ち合わせ中という事だった。
と、突然、花火の絶え仕打ちがあがり、うわぁーと言う歓声があがる。
「ねぇママ見えなーい」
子供の凛ちゃんでは人混みで何も見えるわけもなく、地団駄を踏んでいる。
と思ったら、
「おじさん抱っこー」
と、おいらの方に目が向く。
ミムラちゃんは「こら、駄目よ」と言ってはいるが、おいらとしては抱っこしてやりたい。
着ている浴衣がはだけてはしまわないかと、そんな心配はあったが、「よし」と抱き上げてやると、
「良く見えるー」とはしゃぐが、肝心の花火はまだ上がらない。
「ねぇ、花火は?」
「花火はもう少ししたら、ドーンと上がるよ」
そんな風にちょっとした父親気分を味わいながらミムラちゃんと談笑しつつ一緒に歩いていると、
おいらを鋭い目で見る者と出くわしてしまった。佐藤君であった。
771 :
まさはる:2014/02/15(土) 01:06:35.48
今日もまたちょっと…
佐藤君はおいらの前にデンと仁王立ちになると、更に眼光を鋭くしておいらをにらむと、
何をいう訳でもなく、ただ睨んだだけでくるっと踵を返すと、おいらの前から足早に去っていってしまった。
その後を友人らしき男の子が二人、「おいおい」と追いかけていく。
おいらは声をかけようかとおもったが、佐藤君の目がそれを許さなかった。
その時は後ろめたいことをしているつもりも何もなかったので、「何?え何?」
と言う感じだったが、その時の状況を考えれば佐藤君がそうなるのも解る。
「今の子なんなの?」
ミムラちゃんがそんなことを言っても、鈍いおいらは頭の中に???とあるだけだった。
「変な勘違いされちゃったかな・・・」
そう気づくのは、その数日後であった
772 :
まさはる:2014/02/15(土) 01:07:24.77
今日もまたちょっと…
佐藤君はおいらの前にデンと仁王立ちになると、更に眼光を鋭くしておいらをにらむと、
何をいう訳でもなく、ただ睨んだだけでくるっと踵を返すと、おいらの前から足早に去っていってしまった。
その後を友人らしき男の子が二人、「おいおい」と追いかけていく。
おいらは声をかけようかとおもったが、佐藤君の目がそれを許さなかった。
その時は後ろめたいことをしているつもりも何もなかったので、「何?え何?」
と言う感じだったが、その時の状況を考えれば佐藤君がそうなるのも解る。
「今の子なんなの?」
ミムラちゃんがそんなことを言っても、鈍いおいらは頭の中に???とあるだけだった。
「変な勘違いされちゃったかな・・・」
そう気づくのは、その数日後であった
773 :
恋する名無しさん:2014/02/15(土) 15:50:27.90
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774 :
恋する名無しさん:2014/02/18(火) 19:18:24.32
見てるよ
775 :
恋する名無しさん:2014/02/19(水) 01:32:32.43
見てるお
776 :
まさはる:2014/02/19(水) 01:46:48.21
>>774 >>775 見てくれてるのね。ありがとう。
ここ二三日バタバタしてて続きないのです・・明日あたりにでもまた来ます
777 :
まさはる:2014/02/20(木) 00:13:14.74
きますた。また少しですが・・
ともあれ、ミムラちゃんはその後すぐに待ち人と会い、おいらは焼きそばを買って店に戻り、
翌日のバーベキューの仕込をした。
それにしても、この仕込みがなかなか大変で、仕事の疲れもあってぐったりしてしまったが、
後日、福島の子たちと直接接することのないおいらに、高山達やシャケちゃんが
「この事業やってよかったよ」
「福島の子たち、すんごい喜んでた」
などと、目を輝かせながらそういったことを教えてくれたので、おいらの気持ちは報われ、手伝ってよかったとなった。
高山達が企画した事業は実のあるいい事業になったとの事で、おいらも手伝いをしていて大変ではあったが、
終わってしまえば良い気分と、まだまだ復興には程遠い福島に、たいした事の出来ない自分に、
少々もどかしい気持ちが残った。
福島の支援事業が終わっても、おいらの忙しいのは変わらない。飲食業は夏場は忙しいもので、
これまでと変わらない忙しい日常が戻ってきた。
ただ、気がかりなのは、シャケちゃんの事だけだ。これまでとなんら変わらな様に見えるが、
おいらには感じるものがあった。おそらく、福島の子たちと三日以上行動を共にして、
自分の将来についての考えが固まってきているのだろう。
おいらは福島についてはもどかしい気持ちを持ったが、シャケちゃんはさらに強くその気持ちを持ったであろう。
おいらには、シャケちゃんは福島に帰る事にした、という事が解った。
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779 :
恋する名無しさん:2014/02/21(金) 01:38:30.83
780 :
まさはる:2014/02/22(土) 00:54:10.35
つづきを少し
「マーちゃん、あたしね、いわきの学校受験することにした…」
シャケちゃんは近い将来、そういうセリフをおいらに言うだろう。
分かってはいたが、覚悟はしていたが、そうなった方が良いと思っているのに、
それを思うと、やっぱりどうしようもない位寂しく、やるせなかった。
「あの、あのねマーちゃん、あたしね、いわきの学校受験することにしたんだ」
支援事業が終わって幾日か経ったある日、いつもの仕事上がりの二人の時間に麦茶を飲んでいると、
シャケちゃんは少々緊張した面持ちになると、おいらの想像通りの事をサラッと言った。
セリフは想像通りで、おいらの思い描いた様になったが、違ったのはシャケちゃんが緊張はしているものの、
あまりのもサラッとしている事だった。
おいらは少々拍子抜けしたが、でもやっぱり動揺し、
「そっか、やっと帰れるんだ。頑張りなよ」
と言う気の利かない、自分の心にもないセリフをやっとこさ言うと、
「うん、良かった。お母さん一人に出来ないし、こっちに居ては復興もね」
と、シャケちゃんはおいらと違ってサラッとしていた。
781 :
恋する名無しさん:2014/02/24(月) 10:20:11.95
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782 :
まさはる:2014/02/25(火) 23:43:34.15
続でっす
「そっか」
おいらはそれを言うのが精一杯であったが、シャケちゃんは次の言葉を言うと、
表情を一変させる。
「でも、あたし帰ったら、なかなか会えなくなっちゃうね」
おいらはそれに何も言えなかった。気持ちの上では離れたくないが、それは言えない。
ただ顔で気持ちを語るしかなかった。
すると、シャケちゃんは更に言葉を続ける。
「でも、ネットがあればスカイプも使えるし、いつだって話は出来るし」
以前の引きこもっていた頃のシャケちゃんならそれで良かったのかもしれないが、
今は違う。全く本意ではない事はありありと分かった。
おいらはそれに頷くことしか出来なかった。もちろん、おいらも本意ではない。
しかし、本意を伝えれば、シャケちゃんの人生を狂わせる事にもなりかねない。
「もう決めたことだ。そうすることが一番いい」
と、自分に言い聞かせ、おいらはただ頷くことしかしなかった。
そんな冷たい様な態度をとるおいらに、シャケちゃんは甘えてくる。
これまでであれば、それを受け入れて喜んでイチャイチャするところだが、
只々辛いばかりで、甘えてくるシャケちゃんを何も言わずにギュッと抱いてやることしか出来なかった。
783 :
まさはる:2014/02/27(木) 01:54:06.36
つづきを
シャケちゃんがいつもと違う顔をしたのはその日だけで、翌日からはいつもと変わらないシャケちゃんに戻ったように見えたが、
やはりお互いにわだかまりがあるせいか、それを意識してしまって少々ギクシャクした。
そんなギクシャクした感じでも、そのわだかまりは受け入れはられないが、慣れなのだろうか、
少しづつ以前の感じに、例えて言えば、別れ話をしたカップルが元の関係に戻っていくように、
少しづつ元の感じに戻っていった。
夏の飲食店と言うのは忙しい。特にお盆の時などは特別である。うちの店も例外ではなく、
嫌と言うほど忙しかった。特に13,14日とシャケちゃんが帰省をしていたので、
その時おいらは馬車馬のように働いた。
そのシャケちゃんが居なかった日の事。
馬車馬のように働いたおいらは、ぐったりと疲れ、家へ帰るのも億劫、晩飯を作るのも億劫で、
冷たい麦茶でまったりすることもなく、おいらはコンビニへ行った。
するとそこで、「おじさーん」と、声をかけられる。
声の主は凛ちゃんであった。
「店長さん、こんばんは」
と、もちろんミムラちゃんも一緒で、何時かの再現となった。
784 :
恋する名無しさん:2014/02/28(金) 02:11:40.50
なんか終盤臭がしてきた
785 :
まさはる:2014/03/01(土) 01:09:51.87
>>784 そんな感じするのか…
内容については何も答えないで起きます。
では続きを
この時、おいらは後々知る事となるが、おいらとシャケちゃんの関係を知る者に、
浮気現場として目撃されていた。
ともあれ、そんな事とは全く分かっていないおいらは、抱っこをせがむ凛ちゃんを抱き上げたり、
ミムラちゃんと談笑したり、仕事でキツキツになっていた所をほんわかさせてもらっていた。
お盆の最終日、シャケちゃんはおみやげを持って出勤してきた。もう少しゆっくりさせてやりたいところではあったが、
シャケちゃんももう少しゆっくりしたかっただろうが、なかなかそうもいかない。
それでもシャケちゃんはご機嫌で帰ってきた。福島でいい時間を過ごせたのだろう。
しかしであった。翌日の朝、いつもの様に二日ぶりに納品に来たパチ子におかしなことを言われたのだ。
「ねぇ、あんた達何かあった?」
いつもの納品と言う雑談の時間に、そんなことを言われたのだ。
もちろん、喧嘩したわけでもないし、おいらはやましい事などした覚えもないし、
「え?何もないけど」
と答えると、
「ならいいんだけど…」
と、パチ子は心配そうになっていた。
はて、どういうことだ?とは思ったが、身に覚えのない事なので、
さして気に留めていなかったのだが、夕方になって出勤してきたシャケちゃんの様子がおかしい。
おいらと目を合わせてくれないし、あっても泳ぎっぱなしなのだ。
おいらは、なんでだなんでだと動揺し,慌てた。
786 :
まさはる:2014/03/03(月) 01:29:22.34
つづきを
シャケちゃんの様子に動揺して、おいらは少々おかしくなっていたが、それ以上におかしくなっていたのは
シャケちゃんであった。
ぽぉーっとしている様な、目を泳がせて心ここに非ず、と言った感じで、仕事でミスを連発してしまう。
それでも、なんとかやっとこさ仕事をこなし、いつもの仕事後の二人の時間。
いつもならば、この時間はマッタリだったり、デレデレだったり、気分のいい時間なのだが、
この日ばかりはいつもとは違った。
おいらはシャケちゃんを病ませた自覚はまるでないが、今朝のパチ子の「あんたたちなにかあった?」
と言う言葉、シャケちゃんは何も言わないが、仕事中のおいらを見る目、
原因はおいらにあることは間違いなかった。
仕事が終わって事務所へ行くと、シャケちゃんは事務所で待っていた。
「おつかれさまー」
おいらのその言葉に、シャケちゃんは
「お疲れ様です」
と、返してはくれるが、蚊の鳴くような声で、やっぱり目も合わせてはくれない。
麦茶も出してはくれるが、無言ですっと出てくる。
おいらは何か言葉を発するのが怖くなったが、そうは言ってはいられない。
「シャケちゃん、なんか今日はおかしいよ。どうしたの?」
と、おいらが意を決してそう聞くと、俯いていたシャケちゃんは顔を上げ、虚ろな目でおいらをじっと見ると、口を開く。
「ねぇ、まーちゃん、浮気なんてしてないよね?」
と、聞く。
「え…浮気なんてしてないよ」
勿論おいらはそう答える。すると、
「こないだ、コンビニで綺麗な人といるの見たって、花火大会でも女の人といるの見たって…
花火大会はずっとお店で仕事してたんでしょ?」
思い返してみなくても、浮気をしていると勘違いされる原因を、おいらは作っていた。
787 :
まさはる:2014/03/05(水) 01:48:07.58
続きをすこし
コンビニはたまたま会ってしまったが、花火大会は確かにずっと仕事はしていたが、
「ずっと仕事だったのかな?ご苦労様」
と、シャケちゃんに言われて、
「うん」
とだけ答え、支援事業で動き回っているシャケちゃんには悪い気がして、
空腹でや焼きそばを買いに行って、ミムラちゃんと会ったことは話していなかったのだ。
「ああ、それ、ミムラちゃんに会った時の事だ」
そしておいらは、コンビニでミムラちゃんとばったり出会った経緯と、花火大会の事で
ミムラちゃんと会ったことを話さなかった理由を説明すると、シャケちゃんは
「そうだったんだ」
と、口では納得した様な事を言ったが、表情が晴れることはまるで無かった。
おいらは暗い顔をしたシャケちゃんを見て、ベットの上で聞いた話を思い出す。
詳しい内容までは話さなかったが、シャケちゃんは元彼の裏切りとウソで、
人の視線がやたら気になるようになり、そしてそれが怖いくらいになって、
学校にもあまり行きたくなくなった、という事だったのだ。
「いやな思いさせちゃってごめんね」
成り行きの出来事で、悪気も何もなかったとはいえ、悪い事をしてしまったと反省したが、
それでシャケちゃんの表情が晴れることは無かった。
788 :
恋する名無しさん:2014/03/05(水) 23:32:10.98
789 :
まさはる:2014/03/07(金) 02:09:56.73
続き。少しです
「んーん、気にしてないよ」
シャケちゃんはそう言ったが、沈んだ声と表情がそれは嘘だと言っている。
こうなると、その先おいらは言葉をかけずらくなる。シャケちゃんは暗く沈んだままだ。
そして訪れてしまう辛い沈黙。おいらはただひたすら申し訳なく思いつつ、
「ごめんね」
と、謝罪の言葉を口にすることしか出来ず、その度にシャケちゃんに
「もういいよ。気にしてないから」
と言う言葉を言われていた。
そんなやり取りを何度か繰り返す。やっぱり時間は長く、いつも帰るまでの時間が
倍以上に感じた。
「じゃあ、あたしそろそろ時間だから帰るね」
いつもの時間になって、シャケちゃんがそう言う。
「お、送ってくよ」
いつもなら、すっと口に出る言葉だが、この時はそれを拒否られるのが怖くて怖くて、
なかなか言葉が出なかったが、
「うん」
と、シャケちゃんは声は出さないがコクリと頷いてくれた。
790 :
恋する名無しさん:2014/03/07(金) 19:45:53.56
>>789 今日、見つけて一気に読みました。
次が気になるので、続きお願いします。
791 :
まさはる:2014/03/08(土) 01:26:19.05
>>790 ありがとうございます。ボチボチがんばってやっていきますね。
ではつづきをすこし
それはそれで嬉しかったし、ホッとはしたが、シャケちゃんの顔が晴れやかになった訳ではなく、
おいらの頭の中には申し訳ない事をしてしまった、という事しかなかった。
帰り道も、そういう気持ちを引きずってか、上手く話しはできない。
「何を話したらいいんだ?どうすれば気分直してくれるだろう…」
と、こういう事は時間をかけるしかないと分かっているのに、その時のおいらは
そんな風に焦るばかりだった。
たいした事も話せないまま、シャケちゃんの笑顔を取り戻すことも出来ないまま、
おいら達は宮内家のアパートに着いてしまう。
「シャケちゃん、お疲れー」
「マーちゃん、お疲れ様」
そこで、シャケちゃんは微かにだが、ニコッとしてくれた。その日初めて見た笑顔であった。
シャケちゃんを送った帰り道、シャケちゃんの微かな笑顔を見たことで、ちょっとほっとしたからなのか、
緊張の糸がぷっつり切れて、ここしばらくの疲れがどっと出て、ぐったりしてしまった。
しかしこの時、ただぐったりしただけではなかった。体の節々が痛い。どういう訳か
肌までうっすら痛い。これまで風っぽい位しか経験した事のないおいらが、
初めて経験する熱っぽいというやつだった。
792 :
恋する名無しさん:2014/03/08(土) 01:34:57.66
まーくんの方がガキだな
793 :
まさはる:2014/03/10(月) 01:32:36.04
>>792 全くおっしゃる通りでw
つづきです
店に帰って事務所のベットに横になると、疲れがどっと出てしまった感じで、
おいらは動きたくなくなってしまった。
夜とはいえ、お盆の時期は当然暑い。エアコンをつけると、火照って痛い様な肌に風が当たって心地いい。
そしておいらは飯も食わず風呂にも入らないで汚れた体のまま、いつしか眠ってしまっていた。
夜の闇が白み始めた頃、おいらは猛烈なのどの渇きと体のだるさで目を覚ました。
水を飲もうと達がると足がふらついてしまう。頭も痛い。
「なんだこれ…風邪か?」
風邪っぽいしか経験した事のないおいらはボーゥっとする頭で、訳が分からなくなっていたが、
どこからどう見ても、風邪をひいて熱が出た、と言うやつだった。
とりあえず下へ降りて水を飲み、冷や飯に味噌汁をかけて腹を満たし、ここはねておいたほうがいいだろうと、
気付けば寒いくらいになっているエアコンを切って、また眠りについた。
翌朝、おいらは大量の汗と共に寝苦しさで目を覚ます。
「風邪くらい一晩寝れば治るだろう」と言う考えをおいらは持っていたのだが、
それは見事に打ち砕かれた。昨日は出ていなかった咳もでる。昨晩より具合が悪い感じなのだ。
そんな状態でもおいらはどうにかこうにか店を開け、営業をするが、午前の営業だけで
限界であった。
丁度お盆も過ぎた事もあったので、突然ではあったがおいらはお盆休みをもらう事にした。
予告なしの休みであったので、当然、働いてくれる人たちに連絡していく。
シャケちゃんの所へ電話をすると、シャケちゃんは納品の時に顔を合わせた母パチ子から聞いたのか、
おいらの風の事を知っていた。
「マーちゃん大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ」
シャケちゃんが優しい言葉をかけてくれたので、おいらは思わず嬉しくなってはしゃいでしまったが、
それは声だけで、体はひどく辛かった。
この時、おいらは風邪と言うのはこんなにも辛いものなのだという事を思い知った。
また、風邪は夜になると、どういう訳か症状が悪化する。
夕方から寝て、九時ぐらいに目を覚ますと、熱がさらに上がってしまったのか、おいらの頭は更にボーっとしていた。
おいらは何も考えられずにボーっとしていると、電話が鳴った。シャケちゃんからであった。
「マーちゃん大丈夫?お店にいるんでしょ?」
シャケちゃんはパチ子と車で店の前を通りかかった時、事務所の電気がついていたのを見て、
おいらが居るのが分かったという事だった。
795 :
まさはる:2014/03/12(水) 00:55:30.79
震災から三年たちましたね。
福島の友人によると、復興はまだまだとのこと。頑張りましょう。
とりあえず、続き
「ご飯は食べたの?」
「薬は飲んだ?」
そういう優しい言葉がなんともうれしい。人気のない所で熱を出して寝ているというのは、
経験が無くてわからなかったが、かなり不安も感じるものだったのだ。
「熱は?」
「わかんない」
おいらは体温計は所有した事がない。
すると、シャケちゃんの口調は学級委員長的に変化する。
「やっぱり…もぉー駄目じゃない」
おいらは飯も食わず、薬も飲まずにいたのだ。これでは注意されても仕方ない。
「もぉ、しょうがないんだから」
大人の威厳と言う物が全くなくなってしまったが、おいらは嬉しかった。
そして、さらにおいらを嬉しくさせたのは、シャケちゃんは心配になって見に来ていて、
もう下にいるという事だった。
電話でカギは空いているよと教えてやると、シャケちゃんは事務所へ上がってくる。
「マーちゃん大丈夫?」
心配してきてくれたシャケちゃんは、市販の風邪薬と消化のいいうどん、体温計等々を持ってきてくれていた。
「ちょっと調理場貸して」
とシャケちゃん。
シャケちゃんがうどんを作っている間、おいらは支持された通り体温を測る。
すると、おいらは38度を超える高熱を出している事が解った。
うどんを持って事務所に上がってきたシャケちゃんにそのことを報告すると、
シャケちゃんは有無を言わさずおいらの額に冷えピタを貼る。
「疲れてたんだね。ご苦労様」
その言葉を聞いたおいらは、ボーっとした頭でもほろっときてしまった。
そしてまたうどんを頂き、ほろっと。忙しいようだが仕方ない。それはともかく、
シャケちゃんお手製のうどんを頂き、用意してくれた風邪薬を飲むと、強い睡魔が襲って来て、
おいらはいつの間にか眠ってしまっていた。
朝になって目が覚めると、シャケちゃんはベットに突っ伏して寝息をたてている。
シャケちゃんの初めてのお泊りは、たいした話も何もできず、看病だけで終わってしまった。
けれど、おいらは幸せであった。
796 :
恋する名無しさん:2014/03/12(水) 18:30:00.16
見てるぞ
797 :
まさはる:2014/03/13(木) 01:32:52.49
>>769 ありがとう。亀の歩みですが、見てやってくださいなw
つづきを
おいらの風邪は、強靭な肉体とシャケちゃんの看病が相まって、すっかり良くなっていた。
寝ているシャケちゃんを起こさない様に体を起こし、熱を測ってみると36度7分であった。
ただ、咳だけは残っていて、コンッコンッと咳が出ていた。
それにしても、シャケちゃんの寝顔寝姿は良いもので、おいらは改めて惚れ直してしまった。
そして「この子はいいお嫁さんになるだろうな」と、自分の彼女なのに、
そんな悲しい思いを持ってしまった。
出来る事ならこのままずっと時は過ぎないでほしい、そんな思いを持ちながらシャケちゃんに見惚れていると、
おいらの視線を感じたのか、シャケちゃんが目を覚ます。
「おはよ」
「あ、マーちゃん起きてたんだ、おはよ。んで、具合どう?」
「おかげさまで良くなったよ」
おいらがそう言って、自分の体の状態の事を教えてやると、シャケちゃんは殊のほか喜んでくれた。
シャケちゃんはこういう事がしたくて、看護師さんになろうとしているのかな、などと思う。
具合の良くなったおいらは、朝ご飯をチャチャット作って二人で食べる。
この日は大事を取ってお盆休みにしてあったので、具合がよくなって調子に乗ったおいらは、
この後二人でイガでもどうだろう?と思って、その事をシャケちゃんに話すと、
「ダメっ。あたしも今日は用事あるし、マーちゃんは今日は一日寝てなきゃだめです」
と、叱られてしまった。
来れないときもあるけど、ずっと見てるよ
ましゃは宣言しないと寂しがるからねー
で、イガってなに
799 :
まさはる:2014/03/14(金) 01:07:19.56
>>798 見てくれてるのね。ありがと。
エガって・・・ミスったw映画です。
ちょっとだけつづき
しっかり者の若い嫁に、その尻に敷かれるバカ亭主みたいだな、と思うとおかしかったが、
笑った後に寂しさに襲われ、冷めた感じの笑いが出る。
「何笑ってるの?」
シャケちゃんは不思議そうな顔をする。それに、おいらはありのままを答えられるはずもなく、
「ちょっと思い出し笑い」
と、とぼけた。
朝飯を食べ終えると、シャケちゃんは用事があるとの事で、薬とレットブルと
「ちゃんと寝てないとだめだからね」
と言う言葉を残して、家に帰っていった。
あまりにちょっとなので、名曲でも
http://youtu.be/9Q7Vr3yQYWQ
800 :
まさはる:2014/03/16(日) 00:34:58.70
つづきを
おいらはシャケちゃんに、
「ちゃんと寝てないとダメだかんね。絶対ぶり返すから。風邪は万病の元なんだかんね」
と、きつく言われていたので、たかが風邪とバカにしないで、その日は一日、
事務所のベットでゴロゴロと過ごした。
するとどうだろう、おいらの風邪はシャケちゃんの心遣い等々で、ほぼ完璧に治った。
ただ、乾いた感じの咳だけが残った。
その事に関して後日出勤してきたシャケちゃんは、
「マーちゃんはタバコの吸いすぎでのどが荒れてるんじゃない?」
と、いう。
「うん?そうなのかな」
「これを機会に、良い事なんてないんだから、マーちゃんはタバコやめなきゃダメです」
シャケちゃんは両手を腰に当てて、そう言う。
おいらはその怒られている様な、注意されている様な感じが、
また尻に敷かれている感じがして可笑しかった。
確かに、おいらは少々タバコの吸いすぎな感はあった。シャケちゃんの言うとおり、
喉でも荒れているのか、タバコがあまり旨くない。
しかし、そんなことはそのうち治るだろうと、全く気にしなかった。
おいらは両親に、
「あんたは喉が弱い」
と、小さい時から聞かされていたので、そのせいもあって咳がずっと出続けるのかな、と思って、全く気にしないでいいた。何日たっても咳が治まらなかったのだ。
が、おいらが気にしていなくてもおいらを気に掛けてくれる、シャケちゃんだったりパチ子だったり、
友人や両親が、口々に「おかしいよ」という事を口にした。
801 :
恋する名無しさん:2014/03/18(火) 09:56:33.11
もしや悪い展開?
802 :
まさはる:2014/03/18(火) 12:18:04.08
>>801 それはちょっと・・・お楽しみということでw
続き↓
「マーちゃん、お医者さん行かなきゃダメだよ」
中でも、シャケちゃんの声は悲痛だった。
おいらはありがたい事だと思いつつも、みんな大げさだなぁ。症状悪くなる様だったら、
医者行こう、と軽く考えていた。が、シャケちゃんの悲痛な声、友人らの言葉を聞いていると、
だんだんと不安になってくる。
九月の初め、おいらは友人の森ちゃんの先輩と会っていた。
それを遡る事一週間ほど前、おいらは友人の森ちゃんとお酒を飲む機会があった。
獣医をしている森ちゃんの持論は、
「動物も人間も同じ病気にかかる」
と言う物だった。その事だけではないだろうが、森ちゃんはやたらと病気の事に詳しい。
「聞いてたけど、ほんと変な咳するな」
森ちゃんはそう言って、思う事があるのだろう、色々な事を聞いてくる。
咳はよく出るのか?痰は出るか?それに血は混じるか?などなど一通り聞いた後、
「最近、痩せたよな」
と言って、表情が浮かない。森ちゃんは友人だ。どういう事を想っているのか、
手に取るように解る。おいらは不安に襲われた。
「早く医者行け」
その断定的な口調に、おいらは更に不安になる。たいして具合も悪くないだろうと思うのに、
識者に医者に行けと言われるのがこんなにも怖いものなのかと、おいらはその時思い知った。
「え?大丈夫でしょ。どこも痛くないし」
出来る事なら医者など行きたくはない。不安で不安でたまらないおいらからはそんな言葉が出てしまう。
そこは友人である。森ちゃんはおいらの不安などは見通していて、うん?とちょっと考えると、
「俺の先輩に内科医が居るんだわ。それだったら、少しは気が楽だろ。
良く話しておいてやるから行って来いよ」
森ちゃんはおいらの住む地区では最も優柔な高校に行っており、その時の先輩で、
東京で内科医をしている先輩を紹介してくれるというのだ。
おいらは事の大きさに、更に不安が増したが、友人のありがたい申し出だ。
こんないい話、断れないし断るわけもない。
「うん。ありがとう。ほんと助かるよ」
そういう経緯があって、森ちゃんの先輩と会ったのだ。
803 :
まさはる:2014/03/19(水) 02:04:33.00
つづきをば
先生は椎名桔平似な天は二物与えた様なイイ男なので、桔平先生とする。
桔平先生は、都内のとある大きな総合病院の呼吸器科のドクターであった。
桔平先生は色々と気を使ってくれ、何度も来るのは大変だろうからと、一泊の検査入院。
森ちゃんとほぼ同じ事を聞いた問診から始まり、詳しく調べちゃいましょうという事で、
一時検診を飛ばしてCTとPETなど.。
bronchogenic carcinoma
気管支原性癌
T1b
N0
M0
さまざまな検査をした結果が上記のとおりだ。つまり、転移していない、所謂初期の肺がん。
おいらは森ちゃんの様子を見て、多少こういう事を覚悟してはいたが、改めて医師の口から
病名を告げられると、絶望した。
おいらは自分の祖父がガンと分かって、そこから急激に弱って死んでいったのをつぶさに見ているのだ。
桔平先生は絶望して呆然としているおいらに、
「今の医学なら十分治りますから、そんなに気を落とさないでいいですよ」
と、声をかけてくれたが、絶望は絶望のままだった。
うむ。見てるぞ。
うわーっ
マーくんが今書き込んでる場所ってもしかして
そんな悲しい話だったらヤダ
806 :
まさはる:2014/03/21(金) 01:11:07.69
>>804 見てくれてるのね。ありがとう。
>>805 ネタ晴らしはできんw
ほんと少しだけつづき
さらにおいらを絶望させたのは、手術が難しい位置に病巣があるという事だった。
「抗がん剤に放射線を合わせれば、完治も難しくありません」
桔平先生はそう言い切ったが、その時のおいらには、ただの気休めにしか聞こえなかった。
「ただ、福山君はこちらへ通うのは難しいだろうから、○○病院知ってるでしょ?
あそこに私の後輩が週2で行っているから、紹介しましょう」
○○病院とは桔平先生の地元の病院で、おいらも全然通える距離の病院であった。
そこで嘱託医をしている優秀な後輩が居るので、」紹介してくれるのだという。
おいらはそう言うありがたい話を、上の空で聞いていた。自分のこれからを思っていたのだ。
自分のこれからの事を考えた時に、真っ先に浮かんだのがシャケちゃんの事だったので、
シャケちゃんの事を考えていたと言った方が良いかもしれない。
807 :
まさはる:2014/03/22(土) 01:18:57.10
つづき
おいらの頭の中で、シャケちゃんと出会ってからの事が走馬灯のように甦っていく。
バイトの面接に来て、緊張して「あのあの」と言っていた事。
シャケの親子丼を食べて泣き出してしまった事。
バービーちゃんと一緒に三人で買い物をしたこと。
いわきに一緒に物資を届けに行った事。瞬く間にそれらの事が浮かんでくる。
そしておいらの頭に自分の気持ちを伝えた手紙を思い出した時、走馬灯のように
甦った思い出が、その歩みを止める。
以下が、おいらが気持ちを伝えた手紙の元ネタとなる有名なコピペの全文だ。
どうして私がいつもダイエットしてる時に(・∀・)ニヤニヤと見つめやがりますか(゚Д゚)ゴルァ!
どうして私が悪いのにケンカになると先に謝りますか(゚Д゚)ゴルァ!
どうしてお小遣減らしたのに文句一つ言いませんか(゚Д゚)ゴルァ!
どうして交代でやる約束した洗濯をし忘れたのに怒りませんか(゚Д゚)ゴルァ!
どうして子供が出来ないのは私のせいなのに謝りますか(゚Д゚)ゴルァ!
どうして自分が体調悪い時は大丈夫だと私を突き放して私が倒れると会社休んでまで看病しますか(゚Д゚)ゴルァ!
どうして妻の私に心配掛けたくなかったからと病気の事を隠しますか(゚Д゚)ゴルァ!
おまけにもって半年とはどう言う事ですか(゚Д゚)ゴルァ!
長期出張だと嘘言って知らない間に手術受けて助からないとはどう言う事ですか(゚Д゚)ゴルァ!
病院で俺の事は忘れていい男見つけろとはどう言う事ですか(゚Д゚)ゴルァ!
こっちの気持ちは無視ですか(゚Д゚)ゴルァ!
正直、あんた以上のお人よしで優しい男なんか居ませんよ(゚Д゚)ゴルァ!
それと私みたいな女嫁にすんのはあんた位ですよ(゚Д゚)ゴルァ!
もう一つ言い忘れてましたが私、お腹に赤ちゃん出来たんですよ(゚Д゚)ゴルァ!
あんたの子供なのに何で生きられないのですか(゚Д゚)ゴルァ!
そんな状態じゃ言い出せ無いじゃないですか(゚Д゚)ゴルァ!
それでも言わない訳にはいかないから思い切って言ったら大喜びで私を抱きしめますか(゚Д゚)ゴルァ!
生まれる頃にはあんたはこの世にいないんですよ(゚Д゚)ゴルァ!
元気な子だといいなぁってあんた自分の事は蔑ろですか(゚Д゚)ゴルァ!
病院で周りの患者さんや看護婦さんに何自慢してやがりますか(゚Д゚)ゴルァ!
病気で苦しいはずなのに何で姓名判断の本で名前を考えてやがりますか(゚Д゚)ゴルァ!
どうして側に居てあげたいのに一人の身体じゃ無いんだからと家に帰そうとしますか(゚Д゚)ゴルァ!
どうしていつも自分の事は二の次何ですか(゚Д゚)ゴルァ!
医者からいよいよダメだと言われ泣いてる私に大丈夫だよとバレバレの慰めを言いますか(゚Д゚)ゴルァ!
こっちはあんたとこれからも生きて行きたいんですよ(゚Д゚)ゴルァ!
それがもうすぐ終わってしまうんですよ(゚Д゚)ゴルァ!
バカやって泣きそうな私を包んでくれるあんたが居なくなるんですよ(゚Д゚)ゴルァ!
忘れろと言われても忘れられる訳ないでしょ(゚Д゚)ゴルァ!
死ぬ一週間前に俺みたいな奴と一緒になってくれてありがとなですか、そうですか(゚Д゚)ゴルァ!
こっちがお礼を言わないといけないのに何も言えず泣いちまったじゃないですか(゚Д゚)ゴルァ!
あんなに苦しそうだったのに最後は私の手を握りしめて逝きやがりましたね(゚Д゚)ゴルァ!
何で死に顔まで微笑みやがりますか(゚Д゚)ゴルァ!(゚Д゚)ゴルァ!(゚Д゚)ゴルァ!
そんなのは良いから起きて下さい(゚Д゚)ゴルァ!
生まれてくる子供を抱いて下さい(゚Д゚)ゴルァ!
子供に微笑みかけて下さい(゚Д゚)ゴルァ!
たのむから神様何とかして下さい(゚Д゚)ゴルァ!
ダメ女な私にこの先一人で子供を育てろと言いやがりますか(゚Д゚)ゴルァ!
そんなあんたが死んで5ヶ月...
子供が生まれましたよ(゚Д゚)ゴルァ!
元気な女の子ですよ(゚Д゚)ゴルァ!
808 :
まさはる:2014/03/22(土) 01:20:04.35
目元はあんたにそっくりですよ(゚Д゚)ゴルァ!
どこかで見てますか(゚Д゚)ゴルァ!
私はこの子と何とか生きてますよ(゚Д゚)ゴルァ!
あんたも遠くから見守って居てください。
何かしらの事情があって、福島へ帰らなくなったら・・・踏み台になると心に決めたとはいえ、
少なからずそういう気持ちはあった。が、そういう気持ちは持てなくなった。自分は
肺がんなのだと分かった今、手紙の元ネタの様になる可能性は高い。シャケちゃんを不幸にしかしないのだ。
シャケちゃんは若い。若さゆえの暴走があるかもしれない。おいらはシャケちゃんに病気の事は伏せ、
踏み台になるのだと決心した。
・゜・(ノД`)・゜・。
治ったとしても10代の女の子に癌経歴のあるオサーンはキツイな
810 :
まさはる:2014/03/24(月) 01:12:15.43
>>809 間違いなくきついですね…
すこし続き
桔平先生は大変良くしてくれて、おいらは紹介状を書いてもらい、さらには直接電話までしてもらった。
つくづく友人と言うのはありがたいもので、森ちゃんが居なかったらと思うと恐ろしい。
自分の性格を考えると、そうとうガンが進行してから病院へ行っていたかもしれない。
無駄に自分の体に自信を持っていたのだ。
帰りの車中、おいらは、自分はあとどのくらい生きれるんだろう?そんなに長くは無いんじゃないか?
と、絶望しながらも、どうすればシャケちゃんが明るく希望に向かって進んでくれるだろう、
と考えたが、どうすればいいのか全く見当がつかなかった。シャケちゃんは以前、
元彼に裏切られる様な事があって、引きこもりがちになった。また、先日のおいらの浮気の疑いがかかった時の気持ちの落ち方。メンタルがあまり強い子ではないのだ。
おいらはシャケちゃんに、明るく希望を持っていてほしかった。そして嫌われることなく、
嫌な思いをさせることもなく、おいらの元から羽ばたいて行ってほしいと思ったが、
難しい話であった。
ともあれ、気持ちが落ちていたおいらは、何をどうしたらいいのか思いつかないまま
地元まで帰ってくる。
そしてその足で、森ちゃんの動物病院へ向かった。例と報告と、口止めだ。
811 :
まさはる:2014/03/26(水) 01:13:34.86
すこし続きを
正直なところ、おいらは森ちゃんにも検査の結果を話す事は気が引けた。
TVとかの病気の告白等々を見ていると、可愛そうな人扱いを受けるだろうと思われる。
自分が病気と分かって分かったのだが、そういう扱いを受けるのは、あまり気持ちのいいものではないだろう。
しかし、そんなことは言ってられない。森ちゃんのおかげで病気が分かったのだ。
動物病院を訪ねると幸い患者はおらず、森ちゃんは暇を持て余してか、最近ハマっているゴルフの素振りをしていた。
森ちゃんは真顔になっていたわけだが、おいらの顔を見ると、いつもならばニコッとしてくれるのだが、
眉間にしわを寄せてハッとした様な顔をした。
「福山、結果どうだった?」
開口一番、森ちゃんは挨拶もなしにそう聞いた。それだけ気にしてくれているのだ。
「うん…初期の肺がんだって」
おいらがそう言うと、それを予想していたのだろう、驚くことは無かったが、
絶望した様な顔になる。
おいらはその表情と自分の病気の事を口にしたことで、急に怖くなった。
そして、森ちゃんを心配させないため、自分がその恐怖から逃れるためだろう、
おいらは自分のがんが初期で、抗がん剤と放射線で行けるでしょう、と言われたことを
ぺらぺらと話して聞かせた。そして最後に
「あのさ、この事は仲間内だけで人に話さないでほしいんだ。特にシャケちゃんには知られたくない」
そう付け加えた。
すると、それを聞いた森ちゃんは「ん?」という顔をする。
「前から考えてたんだけど、シャケちゃんと別れようかなって。つか、ガンとかってなったら、
別れないとダメでしょ。人生狂わせそうだもの」
おいらがそう言うと、悲しい笑顔を見せる。
これもこれで、その事を口にすると実感がわいて悲しくてたまらなくなった。
「辛いな」
これにはおいらも、悲しく笑うしかなかった。
実は書き込んでいるのはシャケちゃんという予想
813 :
まさはる:2014/03/28(金) 01:20:51.32
>>812 なんでそんな風に思うんだ?w
つづきを
森ちゃんに報告を終えると、今度はシャケちゃんに報告。
森ちゃんの紹介で、東京の病院で検査を受けることになったと分かった時、シャケちゃんは
気をもんで気をもんで、鬱陶しく思えてしまうぐらいだったのだ。それで、返ってきたら
連絡をすることになっていたのだ。
おいらはシャケちゃんに連絡する前に、まずお店へ向かう。そして事務所でPCを開いてgoogle先生にお伺いを立てる。
おいらは病気の事にはまるっきり疎いのだ。
そしておいらのその症状などから咳喘息と言う病名をお教えいただき、おいらはシャケちゃんに電話をする。
「もしもし、今帰ってきた」
気持ちとは裏腹に、おいらは弾んだ偽りの声を出す。その声で少しは落ち着いたとは思うのだが、
シャケちゃんの声が緊張している。
「おつかれさま。そ、それでどうだった?」
そしておいらは約束してから幾日も経たないうちに約束を破った。
「うん。どうも咳喘息ってやつみたい。気にして損した」
おいらは嘘はつかないという約束を破ったのだ。
「咳喘息も大変だけど、もっと悪い病気じゃなくて良かったね」
シャケちゃんの声は電話を通しても明るくなっていくのがよく解る。
「よかったね。うんうん。ほんとよかった。」
明るくなった声と安どの言葉が、グサリグサリとつきさるように心が痛かった。
「森ちゃんが脅かすんだもん、なんてことなくてよかったよ」
自分のウソも、また心に痛い。あまりに痛くて気持ちが折れて、
洗いざらいすべてぶちまけたい気持ちになるが、あのコピペを思い出して思いとどまる。
おれはシャケちゃんを不幸にしたいのか?悲しませたいのか?いや違う。
電話で話しながらの自問自答。
「じゃーね、また明日」
「うん、また明日」
電話を切った途端、涙が出た。
814 :
恋する名無しさん:2014/03/30(日) 09:09:24.23
うむ、切ない。
815 :
まさはる:2014/03/31(月) 01:30:33.53
>>814 切ないですか。
こういう話嫌いじゃなければ幸いです
つづきを
森ちゃんとシャケちゃんだけではなく、親兄弟、気をもんでくれた親しい友人に話さねばならなかった。
これがまた辛く、泣かれたり心配されたり大変であった。
おいらがガンと分かって、周りに迷惑やら心配やらをかけ、自分もガンと言う病気に恐怖したのだが、
桔平先生に処方してもらった咳を止める薬が良く効き、体調も悪いということは無かったので、
表面上は病気だか何だか分からなくなった。
○○病院の予約は一週間後。そこで治療方針やらいろいろ決まる。
それまでは仕事は少し楽になるようにするが、これまで通りの予定だ。
「仕事であまり無理をしない様に」
桔平先生の言葉なのだが、これまで通りが無理をしているかどうか分からないが、
それをなかなか出来ないのが個人自営業者である。
翌朝、おいらはいつも通りお店で仕事を始めた。そして、いつもの様にパチ子が納品にやって来る。
「こんにちわー○○ミートです」
おいらはこの時も、まだパチ子には病気の事を話すべきか話さざるべきか迷っていた。
宮内親子にウソを突き通すのか?パチ子には事の真相を教えて、別れなきゃいけない理由を知ってもらって楽になるか、どうするのが良いのか、どうすればシャケちゃんを苦しませないか自分も苦しまないか、
訳が分からなくなっていた。
しかしパチ子はもう目の前にいる。
「おはよっ。聞いたよ。良かったねぇ、大したことないみたいでさ」
おいらはそう言われて、返事に困って固まってしまった。自分ではわからないだろうが、
返事が出来なくてワナワナしていただろう。
「ん?どうした?」
それでも返答が出来ないおいらはどんな顔をしたのか分からないが、おいらが解りやすいのか、
果てまた年の功なのか、パチ子はおいらが明らかにおかしいという事に感づく。
「福山、あんた本当は違うのか…」
こうなると、おいらはもう話さざるを得なかった。
「あのさ…シャケちゃんには言わないって約束してほしいんだけど、いい?」
これは大事な話なのだ。これまでパチ子に見せたこともない様な真剣な顔になっていただろう。
パチ子も生唾でも飲む様な顔になると、ウンウンと頷く。
「分かった」
おいらはその言葉を聞くと、ありのままを話す。
すると、パチ子の顔はみるみる強張っていく。まさか、と言った感じだ。かと思うと、
悲しいか顔をおいらに向ける。
「福山…」
おいらは言葉を続ける。
「おれさ、こんなんなっちゃったからってのもあるし、シャケちゃんと別れようと思う。
でさ、この事は知らない方が良いと思うんだ。内緒にしてね」
おいらはその気持ちの裏返しか、変に明るくそんなことを言ったが、実際は涙をこらえるのが大変だった。
816 :
まさはる:2014/04/02(水) 01:38:51.23
つづきをすこし
おいらはその後の言葉が続かず、なんだか分からないが笑ってしまう。
すると、パチ子は嘆く様にため息をつくと、何か言いたげにワナワナする。
しかし言葉に詰まったのか、パチ子の口からは言葉が出てこない。
そんなパチ子を見ると、これまであった色々な事が思い返される。
「ごめんね、おれ、シャケちゃん泣かしちゃうと思う」
泣かすなよ、おいらはそうパチ子に言われたことを思い出すと、そんな言葉が出た。
パチ子はそれを聞くと、つらそうな面持ちとなってポロッと涙を見せると、首を振って否定する。
「そんな事より、自分の体のこと心配してよ」
パチ子のその悲痛な声を聴くと、おいらもさらに辛くなった。
その後、おいらとパチ子は何も話なせなかった。
「絶対よくなるから。また一緒に飲むんだからな」
帰り際、パチ子はおいらに声をかける。
「おう」
少々ぶっきらぼうで優しい言葉が身に染みた。
その日は夕方になるとシャケちゃんが出勤してくる。
健気に働き、ニコニコしているシャケちゃんを見て、この先自分が仕様としている事を思うと、
心が痛んだ。
いつも通り仕事をこなし、仕事の後の二人の時間。シャケちゃんは冷たい麦茶を用意して
事務所で待っていた。
817 :
まさはる:2014/04/04(金) 01:28:22.10
つづきを
「お疲れ様。良かったね、マーちゃん。大したことなくて」
開口一番、シャケちゃんはニッコリ笑ってそう言った。当然、おいらの言葉を信じて、
全く疑っていない様子。
おいらはその無垢な感じに強い罪悪感を覚え、
「あ、ああ、うん」
と、はっきりと返事が出来ない。非常に分かりやすく、おいらはマズイバレると思ったのだが、
何処までも無垢なシャケちゃんは、その事に一向に気付く様子は無く、
「あ、マーちゃん、タバコはもうダメだかんね。ほんとに悪い病気になっちゃう」
と、真顔になって言っている。おいらは半端ではない罪悪感を感じると同時に、
どう別れたらシャケちゃんの傷が少ないか、それがわからないでいるおいらは、
ちゃんと別れを実行に移せるのかどうか、不安になった。
その後、おいらの身を案じて、シャケちゃんは一頻りタバコの害についてあれこれ話をすると、
話が飛んで急に友達の話になった。
「あ、そういえばさ、あゆみちゃんに彼氏で来たんだよ」
「ええっ、ほんとに?」
ちょっと驚いて、そんな声を上げてしまった。
あゆみちゃんとは少々お話したことがあるのだが、典型的な真面目ちゃんの眼鏡っ子。
彼氏と言うより、勉学と言った感じの子であった。
「もうね、コンタクトにしたり、すっごい可愛くなったよ」
「あゆみちゃんも女の子だねーよかったねー」
病気をしたからなのだろうか?人の幸せな話を聞くと、やたらと嬉しくなる。
「眉整えちゃってるし、お化粧ばっちりだし」
シャケちゃんもそれがうれしい様で、うふふとやっている。
おいらは、お前もなーなどと思ったがそれは口に出さなかった。
「ほんとよかったねー」
そんな話をしたからなのだろう、おいらを指でつついたりして来る。
やっぱり可愛くいじらしい。おいらはそう感じると、逆に気持ちが覚めて行った。
可愛ければ可愛いほど、おいらは何もできなくなった。
818 :
まさはる:2014/04/06(日) 00:45:13.86
つづき
その日は何もしないまま、シャケちゃんの気持ちを受け入れず、アパートまで送り届けて終わった。
「じゃーね」
別れ際、シャケちゃんは寂しい様な不安な様な顔を見せる。
これまで、おいらはシャケちゃんのそういう気持ちを汲み取らないことは無かった。
また、おいらは年甲斐もなくがっついていたと思うので、これまでであったらこんな事はあり得ない話だったのだ。
お互い好きなもの同士、シャケちゃんも悲しかったであろうが、おいらも悲しかった。
翌日もシャケちゃんは出勤日。いつも通り出勤してきて、明るく振る舞い、イソイソと健気に働く。
いつもとなんら変わらない。ただいつもと違うのは、おいらのシャケちゃんを見る目だ。
おいらに向けられる笑顔、イソイソと働く姿、ちょっと考え事でもあるのか、物思いにふける姿、
おいらはシャケちゃんを見ているのが辛かった。
それだけでも辛いのに、シャケちゃんは麦茶を用意しておいらの仕事の終わりを待っている。
「おつかれさまー」
いつもの様に、はいと冷たい麦茶が出てくる。
「おつかれー」
「今日はマーちゃん忙しくて大変だったね。そういえば、忙しくても咳でなくなってよかったね」
言われてみると、おいらは忙しい時に限って咳き込んでいた気がする。シャケちゃんはよく見ていたのだ。
心遣いと優しい言葉が、身に染みるほどありがたく嬉しいが、その分だけ辛い。
その日も、シャケちゃんは友達の恋愛話をして、おいらをつついたりして意思表示をする。
が、おいらはまたそれを知らんふりする。その気持ちをくみ取ってやりたい気持ちはあれど、
出来ないものは出来ないのだ。
帰り道、シャケちゃんは言葉少なだった。ほぼ無言でトボトボと二人で歩く。
そして、アパートまであと少しと言ったところで、シャケちゃんが口を開いた。
「まーちゃん、何かあった?なんか冷たい…」
「え?そうかな…何もないけど」
おいらはまたウソをついた。寂しげな暗い顔をするシャケちゃんに、おいらは心の中で
「ごめんなさいごめんなさい」
と、つぶやくことしか出来なかった。
病状は酷く無いのに流れうつすぎる
まーくんは保険入ってたの?
820 :
まさはる:2014/04/07(月) 01:28:27.73
>>819 親しい友人に保険屋さんがおりましてね。付き合いもあり、これ以上は言わないにしますうw
マジで少しだけつづき
そのまた翌日、シャケちゃんは休みで顔を合わせることは無かったが、仕事が終わった頃に
メールが入る。
これもいつもと変わりない。シャケちゃんは休みの時、必ずおいらが仕事が終わった時間を見計らって
メールを入れてくる。
いつも決まって、マーちゃんお疲れ様―から文面は始まり、今日は○○してきた―と言った感じで続く。
仕事終わりの二人の時間に話している事がメールになっただけだ。
その日は今日は友達とご飯食べてきた―と書かれていた。
これまで通りなら、お、どこで食べてきたのー、とでもすぐに返信するのだが、
おいらは返信しなかった。いつもと違って返信が来ない事をシャケちゃんはどう思っているのか、
それを考えると胸が痛かった。
こんな事を続けてはいけない、そう思えど、何をどうしたらシャケちゃんを傷つけないで済むか、
おいらはいくら頭を悩ませても思い浮かばなかった。
821 :
恋する名無しさん:2014/04/07(月) 10:45:12.57
どう言ってもキズ付かない方法はないと思う
正直に伝えたほうがお互いにとって最小限のキズだと思います
お互い乗り越えられれば、そのキズはキズナに代わると思いますよ
822 :
まさはる:2014/04/10(木) 00:33:46.94
>>821 マジレスありがと。
ちょっと心が痛いです。
実話じゃないので・・
その話の続き
こんな事を続けてはいけない、そう思えど、何をどうしたらシャケちゃんを傷つけないで済むか、
おいらはいくら頭を悩ませても思い浮かばなかった。
その日はその後もシャケちゃんからはメールや電話などは無かった。
その翌日、いつもの様にパチ子は納品にやって来る。
「こんにちわー○○ミートです」
いつもならばパチ子はおいらの姿を見て、「よっ」と手をあげて笑うのだが、
その日もパチ子は手を挙げて「よっ」と笑うが、悲しい作り笑いだった。
「よっ」
おいらもあいさつを返すが、やっぱり普通に笑えない。さらに、おいらは何を話したらいいか分からなかった。
それはパチ子も同じな様で、パチ子も悲しい顔を崩さないまま口を開かない。
重い空気は流れるが、気まずいということは無かった。
パチ子は友達だというのに、何を話したらいいのか考え、探してしまう。それはパチ子も同じだったかもしれない。
先にそれを見つけたのはパチ子の方だった。
「福山、仕事してて大丈夫なの?」
「うん。無理しなきゃ大丈夫」
おいらはそんなことを言いながら、どうしても作り笑いをしてしまう。
それが痛々しいのか、パチ子は更に顔を強ばらせると、
「そっか。ならいいんだけど…でさ、シャケの事なんだけど…」
と、お互い話したかったが触れずらかったことに言及した。
「うん」
「あの子ちょっと弱いとこあったから、福山はそれ心配してるんだろうけど、
もう大丈夫だから。だから、お願いだから福山は自分の心配して」
シャケちゃんはここ数日のおいらの事を話しているのだろう、そんな事を言った。
しかし、シャケちゃんの気の落ち方を見ていると、
「う、うん」
と、返事に迷った。おいらはよくは知らないが、福島にいた頃は引きこもりがちだったと言う
シャケちゃんに戻ってほしくなかった。その原因を作ったのは彼氏だったのだ。
しかし、おいらにはシャケちゃんがそうならないための具体的な案が無い。
おいらは下を俯いて、もう何度も何度も考えた同じ事を考えてしまう。
もし願いがかなうならば、シャケちゃんと付き合っていきたいが、それはかなわない。
ならば、願うのはシャケちゃんの幸せだ。
なら、別れた方が良いに決まっている。元々年の差がありすぎなうえに、おいらはガンという病気を患ってしまった。
将来の夢を持ったこれからの女の子と付き合っていいわけがない。
若い子は突っ走りがちだ。自分が楽になりたいが為、ぶっちゃけて病気の事など話せば、
ともすれば、おいらはシャケちゃんの夢や未来を奪わないとも限らない。
それはおいらの望むところではない。
では、どう別れたらいいか?おいらは出来るだけシャケちゃんを傷つけたくない。
だが、それがわからない。いくら考えても解らない。考えても考えても考えても、分からなかった。
どれくらい考え込んだだろう、ふとパチ子を見ると、パチ子はつらそうな顔をしていた。
それはおいらもまた同じ様で、
「そんな苦しむなよ」
と、パチ子は言う。かと思うと、パチ子はフッと笑うと、
「元気出せよ」
と言って、おいらをバシッと叩いた。
実話じゃない
824 :
まさはる:2014/04/12(土) 06:15:35.65
すこし続きを
実にパチ子らしい、男っぽい様な少々ぶっきらぼうな優しい心遣いがありがたい。
おいらは少し気持ちが楽になった。
とは言え、何も解決はしていない。
だが、焦りの様な苦痛なプレッシャーはだいぶ消えた。
それにしても、幸せを作るのは困難があっても楽しいものなのに、
幸せなのに、幸せでいたいのに、まだ幸せでいられるのに、その関係を壊さなければならない。
その困難は非常に苦しいものであると、頭では分かっていたが、しみじみと思い知った。
おいらはフラれた経験はごまんとあるのでわかるが、フラれた方が遥かに楽だった。
そうは言っても、現実は思う様にはならない。好きなのに、好いてくれているのに、
顔を見るのが辛く、顔を合わせたくないとは思っていても、その時は一分は一分だけ正確に時は刻まれていく。
シャケちゃんは出勤日なのだ。
825 :
まさはる:2014/04/14(月) 01:15:38.99
つづきを
おいらは例のコピペを思い返す。仕事をしながらでも、何度も何度も思い返す。
そして、これまで何度も出した同じ結論を出し、自分に言い聞かせる。
今、自分が望むことはシャケちゃんの幸せだ。ならば、今は辛いだろうが、別れた方が彼女は幸せになると。
夕方になり、パートのおばちゃんたちに交じってシャケちゃんも出勤してくる。
ここ数日の事があってか、シャケちゃんの顔は暗かった。
その日は日曜という事もあって忙しく、仕事に追われた。
それでも、おいらはシャケちゃんを知らず知らずの内に目で追ってしまう。
忙しい中、何度か目があったが、目があってもシャケちゃんは目を伏せてしまう。
シャケちゃんはこれからおいらが何をしようとしているのか、分かっている様だった。
シャケちゃんも辛いのがよく解る。
「ごめんな、どう考えてもこうするのが一番なんだ」
その都度、おいらは懺悔の気持ちで心の中でそう呟く。
そう懺悔したところで、シャケちゃんの辛さは癒されないのは分かっていても、
そうすること以外出来なかった。
仕事は忙しく、感傷に浸っているどころではなく、瞬く間に時は過ぎた。
店の片付けが終わると、パートのおばちゃんたちが上がっていく。シャケちゃんも一緒だ。
いつもならシャケちゃんは着替え等をすますと、事務所でおいらを待っていてくれるのだが、
その日は違った。
「お先に失礼します」
と、おばちゃんたちが家路につく。その中にシャケちゃんの姿もあったのだ。
シャケちゃんは伏し目がちにチラリチラリとおいらを見、目を泳がせながら
挨拶もせず、おいらから逃げる様に店を後にしてしまった。
その様子が挙動不審と言うか、気を病んでしまった者の様な感じだった。
「ごめんな、ごめんな」
おいらはまた懺悔する。しかし、いくら懺悔しても懺悔しても、気持ちが落ち着くことは無かった。
826 :
恋する名無しさん:2014/04/14(月) 17:40:20.18
【勝手連・速報】
例の三陸の方・旅館 文金高島田?来て遣るらしい件に関して
職員と役場ボランティア 瓦礫拾いの人とか来たい人来ての方向 ナイト海でバーベキュー遣るしい。
他に福島原発デモ、七ヶ浜国際村や渡波辺りの人もゴールイン 今、被災地・地婚や入籍11日とか多い。
827 :
恋する名無しさん:2014/04/14(月) 17:46:37.90
被災地ってマンパワーってか愛を感じる。触れ込みまた自主
名前を聞かなかったけど、聞いたら出版関係の方、拘置所婚もある。
828 :
恋する名無しさん:2014/04/14(月) 17:50:54.49
鬱
829 :
まさはる:2014/04/15(火) 02:44:52.07
>>828 おいらも書いてて鬱
つづきを
その翌日もシャケちゃんは出勤日。
その日の朝にパチ子から再度、
「あの子は大丈夫だから。ね、福山は自分の事だけ考えて」
と、おいらの気がかりを見透かしたかの様な言葉をもらった。
おいらはその言葉をもらった時、パチ子と初めて会った日の事を思い出す。
パチ子がパチ子たる所以のあった日の事だ。人生と言うのは面白いもので、
泣かれ、叩かれた相手と仲良くなり、今はこうして娘の、彼女の事でフォローしてもらっている。
おいらは初めて会った日の事を思い出しながら、そんな事を考えていた。
そう、おいらは昨日空ぶった事もあってか気持ちは吹っ切れていて、
罪悪感、申し訳なさ、未練、そんな事はそのまま残っていたが、落ち着いていたのだ。
夕方になり、シャケちゃんはちゃんと出勤してくる。もしかしたら休んでしまうのではないか、
そう思っていたが、シャケちゃんは挙動不審になりながらもバイトに出てくる。
その責任感の強さをありがたく思いながら、その様子にただひたすら申し訳なく思った。
仕事が始まっても、シャケちゃんの様子はやはりおかしい。目が泳いでしまって挙動不審。
おいらは苦しかったが、
「いずれ話さなければならないことだ。このままずるずるするのも良くない」
と、自分に言い聞かせ、店が終わる頃シャケちゃんに声をかける。
「話したい事があるから、事務所で待ってて」
それを着たシャケちゃんの顔からは、表情と言う物が全くなくなってしまった。
これにはおいらも苦しかった。出来ればこういう事はやっぱりしたくない。
だが、もう後戻りはできなかった。
830 :
まさはる:2014/04/16(水) 00:45:57.93
つづきを
片付けが終わって事務所へ上がると、シャケちゃんは麦茶を用意して待っていた。
「お疲れ様」
「お、お疲れ様です」
シャケちゃんの声は少々上ずっていた。麦茶も、どうぞでもなく無言で目を伏せたまま
ススッと出てくる。それだけで、シャケちゃんが果てしなく緊張しているのが解る。
そして、それはおいらにも伝染した。話す事はちゃんと考えていたのに、
頭が真っ白になって全部飛んだ。何を話したらいいか、分からなくなってしまった。
当然、シャケちゃんは目を伏せて緊張の面持ちでおいらの言葉を待っている。
こうなると、どうしても沈黙に支配されてしまう。
「どうして好きなもの同士なのに、こんな事になるんだ」
と言う思いが込み上げてくるが、おいらはこうする事がシャケちゃんは幸せになると、
何度の何度も出した結論を自分に言い聞かせ、思い直す。
おいらは口下手で話下手だ。それはこういう時でも変わらない。おいらはこんな時でも
ストレートな物言いしか出来なかった。
「あのさ、俺色々考えたんだけど…」
おいらが口を開くと、シャケちゃんは更に顔を強ばらせていった。
少しばかりなんで、名曲でも
http://youtu.be/bwB2A9HHaCU
831 :
恋する名無しさん:2014/04/17(木) 10:58:07.45
833 :
まさはる:2014/04/18(金) 01:32:51.43
つづき
おいらはそこまで言うと、口籠ってしまった。そうそう簡単にサラッといえる事ではないし、
別れたいなどとは思ってなどいないのだ。
「・・・・」
シャケちゃんは何も言わない。俯き、顔を強ばらせ、目を泳がせながらおいらの言葉を聞いている、
と言うか、おいらの声は聞こえているのか、と言った感じだったが、どうしようもない位緊張しているのが伝わってくる。
「イヤ…イヤ…」
声にならない叫びも聞こえてくる。
そんな姿を見、叫びを聞くと、更に口が開かなくなるが、おいらは心を鬼にしなければならなかった。
どう考えても、付き合い続けてシャケちゃんの未来は明るくない。
「俺、前から考えてたんだけどさ…」
また口籠ってしまう。嫌いなわけでもなく、愛おしい子に別れを告げるなど、
おいらにはなかなか出来る事ではなかったが、看護師の学校行って、同世代の彼氏でも作って、などというおいらにとっては切なくさびしいが、自分の希望のシャケちゃんの明るい未来を考え、
おいらは口を開く。
「考えてたんだけど…別れよう」
834 :
まさはる:2014/04/20(日) 00:10:47.43
つづきを
それを聞いたシャケちゃんは身動き一つしないが、泳いでいた眼が、ただ一点を見つめる様になる。
そして口を開いた。
「イヤ…」
シャケちゃんは絞り出し様な声で気持ちを吐き出す。
それにおいらはまともな返事は出来ない。本当の事は言えないのだ。
「勝手言ってごめんなさい」
下手なウソはバレるし、そうなったらなったでシャケちゃんを傷つけるだけだ。
おいらはそれしか言えなかった。
すると、シャケちゃんは息をすっと吸って面を上げると、潤んだ目でおいらを捕まえて離さない。
「なんで?やだよ」
シャケちゃんは涙声にもなっていた。薄々解ってはいただろうが、やっぱり辛いのだろう、
寂しいのだろう、悲しいのだろう、おいらと同じ気持ちだというのが嫌と言うほど伝わってくる。
「俺だって別れたくなんてないよ。やだよ。でもダメなんだよ」
おいらのその心の叫びは言葉に出来ない。
「ごめんなさい」
その言葉を口にするのが、おいらは精いっぱいだった。
「分かんない…あ、あの…マーちゃん好きな人で来たの?」
シャケちゃんはミムラちゃんが気になっているのかもしれない。
「好きな人が出来たなんてあるはずないだろうが。俺はガンになった。こうするほかは無いんだよ
ごめんな、ごめんな」
泣きたくなるような心の叫びはあるが、これも口には出来ない。
「そうじゃないけど…ごめんなさい」
おいらはそうとしか言えない。自分の心の内を、さらけ出せないというのは、苦しく辛いものであった。
こういう所はちゃんと大人だな
836 :
まさはる:2014/04/23(水) 00:51:04.55
>>835 恥ずかしくなるので、そういうことは…
つづきを
おいらも辛く苦しかったが、シャケちゃんもまた同じであった。
「マーちゃん、あたしの何がダメなの?」
シャケちゃんは嫌な所があったら、直したいとでも言いたいのだろう。もちろん、そんなところは無かったのだが、
その切ない女心にもおいらはちゃんと答えない。
「そういうのじゃないんだ。ゴメン」
「年の差があるから?」
「遠距離になっちゃうから?」
そういうことにも、おいらはごめんと言うだけでちゃんと答えなかった。
それではやっぱり納得も何もできないのだろう、
「マーちゃん、ゴメンばっかりで全然わかんない」
シャケちゃんはそう言うと、俯いて涙を流し始めてしまった。
「ほんと、身勝手でごめんなさい」
やっぱり、おいらはそれしか言えない。
そして交わす言葉もなく、シャケちゃんのすすり泣く声だけが事務所を支配する。
一分が五分にも感じられる辛い時間、おいらは
「ごめんな。俺、ガンになっちゃった。こうした方がシャケちゃん絶対幸せだから」
と、謝りつつ、シャケちゃんの未来の幸せを願った。
どれくらい時間が経ったか、泣き止んだシャケちゃんは涙を手で拭うと、立ち上がっておいらを見て、
「あのあの、あたし仕事は?」
と聞く。
「もう俺ら会わない方が良いと思う。だから…」
その先は、おいらは口に出せなかった。
おいらもシャケちゃんとのつながりを完全に断ち切ってしまう事を口にするのは辛いのだ。
おいらが口にするのは辛いと思ったことを感じているのだろう、
それを聞いたシャケちゃんの眼から、また涙が溢れてくる。
シャケちゃんはその涙をぬぐおうともせず、
「短い間でしたけど、お世話になりました」
と、最後の挨拶をすると、事務所を後にした。
肩を落としたシャケちゃんの背中が、その心情を語る。
「ごめんな。ごめんな。幸せになってな」
おいらは伝わらないだろうが、遠く離れて行ってしまうシャケちゃんの背中に向かって、
声もなく語った。
こうしておいらとシャケちゃんとの短い恋愛関係は終わった。
見てくれている人、長い事お付き合いありがとう。
おわり
なんてことは無いので、まだまだお付き合いよろしくですw
837 :
恋する名無しさん:2014/04/24(木) 02:11:40.67
ずっとみてるよ
年の差恋愛したことあるし別れるとき同じようなことした(笑)
つらすぎた、、、
838 :
まさはる:2014/04/25(金) 00:29:23.92
>>837 ありがとうございます。
わかってくれるひとがいてうれしいw
つづきを
肩を落としたシャケちゃんを見送ると、終わってしまったんだなと、それが実感を伴って襲ってくる。
と同時に、シャケちゃんとの思い出がフラッシュバックする。
バイトの面接で緊張していた事。そしてそのまま仕事をして、晩御飯で泣いてしまった事。
バイトの先輩、バービーちゃんとファッションショーもどきをした事。
支援の手が届かないいわきの友人の所へ、二人で物資を届けた事。その時に、
おいらはバカな勘違いをしてしまった事。
今、思い出すだけでも恥ずかしい告白の手紙を出してしまった事。
仕事後の二人の時間を過ごしたこと。
どれもいい思い出で、思わずほっこりしてしまうが、フラッシュバックする思い出が止まった時、
もう新たに思い出を作っていくことは無いのだな、と言う思いが込み上げてくる。
そしてまた襲ってくる、終わってしまったんだという実感。寂しさ。絶望。
覚悟はしていたが、その喪失感はやはり大きなもので、おいらはぐったりと肩を落とすと、
何もできなくなってしまった。
酒でも飲むか…おいらは少しでも気を紛らわせたく、そう思ったが、明日はこちらの医者の方で診察を受けなければならなかった。
酒に逃避することを許されなかったおいらは、喪失感、悲しみ、絶望、それらと一緒に一晩過ごさねばならなかった。
そんなものを抱えていては寝れたものではなく、長く苦しい夜となった。
結局、やはり一睡もすることは出来ずに、おいらは朝を迎えた。
一睡もできずに朝日が昇っても、その苦しみは癒されることは無かったが、
おいらは大変難しい事だが、気持ちを切り替え、シャケちゃんを引きずってはいられなかった。
今日は病院の診察がある。桔平先生の話だと、おそらく治療方針も決まるだろう。
言わば、今日から病魔との戦いが始まるのだ。
肺がんか・・・
おいらは死ぬつもりなど毛頭ない。ガンという病気と付き合っていくという気も、当然ない。
未練タラタラなおいらには、健康な体に戻ったらまたシャケちゃんと、という身勝手なきもちがある。
しかしそれは出来ないだろうし、すべきではないだろう。
それがかなわなくとも、おいらはシャケちゃんの幸せな姿を見て、未練を断ち切りたいと思った。
シャケちゃんを失って、病気とだけ向き合った時、少し気持ちが変わった。
839 :
恋する名無しさん:2014/04/26(土) 13:13:12.23
840 :
恋する名無しさん:2014/04/26(土) 13:14:08.42
どうりでね。街道沿いのホテル、UJIE、カサブランカ、ルネッサンス、アイネ、その他、ファッションホテルが混んでるわけね。
目から生理食塩水が
842 :
まさはる:2014/04/30(水) 01:12:18.51
>>841 目から汗じゃないのねw
つづきを
おいらはちょっとだけ気持ちを持ち直すと、まだガラガラな海辺も道を車で流し、
風呂に入り、思えば昨日の昼から食べていない飯を味噌汁で胃に流し、
少し早かったが病院へ向かった。
桔平先生が紹介してくれた先生は、おいらと同学年で眼鏡の、
真面目を絵にかいたような先生であった。以下真面目先生とします。
「うーん、検査結果を見させてもらいましたけど、手術は難しいですね」
電子カルテで送られてきた検査結果を見た真面目先生の診断の結果は、桔平先生と一緒であった。
「抗がん剤と、放射線療法を合わせた治療をお勧めします」
PCと向き合って話していた真面目先生は、それをおいらと向き合って言う。
そしていろいろ話した結果、二種類の薬、プラチナ製剤の何とかと言うのと、
もう一種類の薬を飲み、放射線療法をすることになった。
そうは言っても、おいらの生活は今までとあまり変わらない。
親との話し合いの結果、飲食店ではありえない週休二日にお店をした事と、
予定だがシャケちゃんの後釜を二人入れて、仕事を楽にするぐらいだ。
だから、抗がん剤治療が始まった翌日も仕事で、いつもの様にパチ子との納品と言う名の
雑談の時間がやって来る。
この日はせんじつのことがある。やっぱりパチ子と顔を合わせづらかった。
「こんにちわー○○ミートです」
パチ子もおいらと同じなのだろう、声のトーンが低かった。
よっと、手を上げるパチ子がいつもの感じではなかった。
少々気まずく、話ずらく、聞いていいものかどうかわからなかったが、おいらは気になってどうしようもない事があった。
言うまでもなくシャケちゃんの事だ。
「おはよ。シャケちゃんどうしてた?」
パチ子はそれを聞くと、表情を曇らせ悲しげに笑顔を見せると、
「大丈夫だから。気にするなよ」
と言うが、パチ子の顔と仕草はそうじゃないと物語っていた。
843 :
まさはる:2014/05/01(木) 23:45:46.91
今日もまた少し
それが解ると、おいらは気が気でない。未練たっぷりなのだ。
「気にするなって言われても…ほんと大丈夫?」
「まぁ泣いてたけどね。大丈夫だよ。心配スンナ」
「うん…」
気になって気になって、どうしようもない位気になって、何とかしてやりたいと思うが、
結局おいらには何もできないのだ。おいらはパチ子の言葉納得に納得できないが納得して、後は本人とパチ子や友人に託すしかなかった。
おいらは相当しょぼくれていたのだろう。がっくり肩を落としていたかもしれない。
パチ子はそれを見かねてか、おいらの肩を抱いてポンポンと叩くと、
「福山の気持ちは分かるよ。でも、あの子はもう大丈夫だから。心配ない。あたしもついてる。って違うか」
パチ子はそう言ってフフッと笑顔を見せると、
「福山は早くガン治せ。また飲みに行くんだからな」
と、話をガラッと変えて笑った。
ちょっと男っぽい感じだが、パチ子の優しさが身に染みた。そのせいだろう、目から汗もちょっと垂れた。
そして、この親子なら大丈夫かなと、ちょっとだけ安心できた。
パチ子のおかげで、シャケちゃんの事はちょっと安心できたが、そのシャケちゃんがバイトで抜けた穴はとにかくでかかった。
シャケちゃんの抜けた穴を埋めるまでは、おいらは休みたくとも休めたものではない。
早急に二名バイトを入れる必要があった。
844 :
まさはる:2014/05/04(日) 23:03:03.76
れんきゅうでいそがしいっす。まぁつづきを
その日の午前中の内に店に張り紙をすると、その日の内に三件の問い合わせがあった。
そのうち、一人はおばちゃん。後は高校生の男の子と女の子で、面接になったのは高校生の二人であった。
その翌日面接をして、二人とも即採用となったのだが、新人君の方はあまり覇気も感じられず、
大丈夫かなと不安を感じさせたが、女の子の方は良かった。
問い合わせの時に感じたのだが、言葉の感じが福島の訛りで、つまり喋り方がシャケちゃんと似ていたのだ。
それだけで動揺して声が上ずっていたのは言うまでもない。面接の時もまた同じ。
その時に聞いたのだが、やはり福島の子で、やっぱり原発のあれでいわきから来ていて、
家は漁業関係だという事で、学校はシャケちゃんと一緒で、二年生という事だった。
これはシャケちゃんの影響だろう、福島からきているというだけで印象がすこぶるいい。
そうでなくとも、容姿はショートの小西真奈美の様でかわいいし、受け答えはしっかりできるし、
何も言うことは無かった。以下、真奈美ちゃんとします。
面接が終わって採用を言い渡した後、おいらは真奈美ちゃんに質問された。
「あのぉ、ここで福島の子バイトしてますよね?」
「ああ…こないだ辞めちゃったんだよね…」
「そうですか・・・」
真奈美ちゃんはこの千葉の田舎町にも、同郷で同じような境遇の子が居ると知って、
仲良くしたかったのかもしれない。実に残念そうであった。
それを考えると、真奈美ちゃんはシャケちゃんが引っ張ってきたような子であった。
この真奈美ちゃんが良く働いてくれて、気も利いて、何も言うことは無かったのだが、
ただひとつ難点があって、それは真奈美ちゃんの福島訛りがシャケちゃんを思い出させることだった。
何とも女々しいようだが、その通りだ。それはともかく、その一方新人君はと言うと、
無断欠勤を一度して注意をしたら、辞めるも言わず、来なくなってしまった。
キーパーソンの予感