クラスのキモイ男子を冷やかしてきます

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277特厨非FAN ◆AntiT24WoA
(はぁ、うちに帰りたいなぁ・・・)
>>1は畳の上にあぐらをかいてため息をついた。

 静寂の中ザッザッと音がした。>>1はびくっと顔を上げ息を殺してあたりの
様子を窺う。 少し離れた場所を人が歩いている・・・!?足音から判断するに、
相手は複数いるようだ。

(やっとアイツが帰って来た・・・?それとも―――)

 少しして響くように野太い男達の話し声が聞こえてきた。マサ○コではないようだ。
大人の男たちのようだ。なぜこんなところに?
 >>1はさらに聞き耳を立ててみた。

「で、兄貴。例の競売物件ですがね、落札者の奴、俺ら立ち退かせるために同業者雇おう
 って動きがあるみたいなんすよ」
「同業者?どこらへんだ?」
「へぇ、おそらく黒薔薇商会かと」
「ちっ、面倒だな。よしわかった。そっちに2〜3人回そう。それまで現場のもんには
 粘らせろ。あと、そうだな・・・・・・示談金の方は2割下げて向こうの出方を見てくれ。」
「へぇ、わかりやした」

 物騒な会話に>>1は震え上がった。
(ま、マフィア・・・・・・なな、なんでこの家に・・・)
278特厨非FAN ◆AntiT24WoA :05/01/21 03:02:06
>>1が部屋の隅で縮みあがってるのを知ってか知らずか、
マフィア達はマサ○コの家の庭をザッザッと歩いていく。どうやら、
駐車場の方に向かっているらしい。

「・・・・・・で、それはいい。別の話だ。ここ数ヶ月に気になってたんだが、下部組織からの
 上納金がめっきり減ってるようじゃねぇか。どうなってんだよ?」
「へ、へぇ。それがですねぇ。・・・・・・んあっ?アニキっ!」
「どうした・・・?」
「くく・・・車が・・・・・・アニキの車の窓のガラスが・・・」

>>1は背中に冷水を浴びせられたような心地がした。
(私が・・・・・・さっき・・・割った・・・・・・・てっきり、マサ○コのものとばかり・・・)

誇りくさい部屋の中で震え上がる>>1。家の外で激しい剣幕で怒鳴る男たち。
「おいおいおお!まったく冗談じゃねぇぜ!いったいどこの糞野郎がやりやがったんだ!?」
「見つけたらただじゃおけませんな、アニキ。」
「当たり前だ。単車で山中引き回した上に、クチャクチャのミンチにして東京湾に捨ててやんぜ」

>>1(ひぃ・・・こ、ここ、殺される・・・・・・わ、たし、ここ殺され・・・)
279特厨非FAN ◆AntiT24WoA :05/01/21 03:10:19
遊び気分でやってきた>>1は、いつのまにか人生の危機に晒されていた。
もっとも彼女が割ったのはMOVAの窓ガラス。ベンツなどの高級外車ではない。
冷静に考えれば、賠償金もそれほど高額のものではないのだが。
パニクっている>>1の頭の中には、東京湾に浮かぶ自分の姿しか頭になかった。
>>1は普段は信仰もしていない神様に祈った。

>>1(かか、神様。お、お願いです・・・。あいつらが、家に入ってきません
   ように・・・私が、見つかりませんように)

ヒンズーの神だかゾロアスター教の神だかは知らないが、
とにかく>>1は必死に祈っていた。

しかし―――

>>1の淡い望みは断ち切られた。
彼らの足音が玄関の方に向かってきた。

(そ、そんな・・・?)
>>1はがばっと身を起こして立ち上がった。どこかに隠れなきゃ。
もう、やぶれかぶれだ。>>1は部屋の中を見回したが、隠れられそうな場所は
仏壇の後ろぐらいしかなかったので、その隙間に無理矢理入った。

(お願い・・・見つかりませんように―――お願い、お願い)
壁と仏壇の隙間で胎児の姿勢で縮こまる>>1
280特厨非FAN ◆AntiT24WoA :05/01/21 03:18:02
 どれだけ時間が経っただろうか。そのままの状態で、>>1はひたすら目を
閉じて息を殺していた。静寂が夜を支配していた。先程からずっとそうして
いるが、何も変化はない。マフィアの男達はもう帰ったのだろうか?
 時計を見ると、時刻は23時40分。仏壇の裏に隠れてから10分ばかりしか
経っていなかった。しかし彼女にはその10分が永遠の時のように長く感じ
られたのだ。
(助かったのかな、私・・・)
少し気持ちがリラックスしてきた>>1はほっと一呼吸しようとした。
その刹那――
 ピ〜ロ〜リロリ〜、ピ〜ロ〜リロリ〜♪

 玄関の方からその場にはまったく不釣合いなテンポのいい着メロが
聞こえてきた。

>>1(しまった玄関に携帯置きっぱなしだ・・・)
281特厨非FAN ◆AntiT24WoA :05/01/21 03:29:09
 先ほど玄関で、T子達に二度目の電話をした後、携帯をその場に置きっ放しに
していたのだ。玄関からは相変わらずセカチューのテーマソングがけたたましく
響いていた。いつもなら心打つメロディだが、この状況下では音がまったく
不愉快なメロディだ。

 額から汗が噴出してくる。
(き、き、き、聞こえた・・・?)
 
 >>1はおびえた顔で窓の障子の向こうを見た。聞こえてしまったのかも
しれない。ここに私がいることが気付かれてしまったかもしれない。
>>1(ああぅ・・・あ、あ、あああ)


    ガ ラ ガ ラ ガ ラ ・・・
 おもむろに家の引き戸が開けられ、数人の人間が入ってきた。
のどかは脂汗でじっとりと濡れた手を握り締める。
(怖い、怖いよ、助けてT子、F代・・・・・・マサ○コ!)
282特厨非FAN ◆AntiT24WoA :05/01/21 03:36:40
「おい、これ・・・」
「ほほう。こいつは愉快だなぁ」
 玄関の辺りから男達の卑しい笑いが聞こえてきた。

「見ろよ。この学生靴と携帯。工房か?」
「この携帯、女物ですね。女子高生じゃないすか?」
「げっへっへ。俺の愛車の窓を割ったのは女かよ・・・」
「みたいっすね。ひひ、すぐに見つけてやるから待ってろよ」

「おーい、お前らー!ちょっと来いやーっ!!」
兄貴格の男が外に向かって声を張り上げた。

「どうしたんだ・・・?」
 ぞろぞろとたくさんの足音、そして声が聞こえてきた。
どうやら玄関前に、10数名のマフィア達が集まってきたらしい。

「俺の車ぶっ壊した女がこの家の中に隠れてやがるんだよ。しかも女子高生」
「許せねぇな。早く見つけちまおうぜ」
「おうよ。今夜はお仕置きだな」

 マフィア達が台所や居間に土足で上がってくる音が聞こえる。
あまりの恐ろしさに>>1は息が出来なかった。
(たすけて・・・おか、おか、おかぁさん、お母さ〜ん)
283特厨非FAN ◆AntiT24WoA :05/01/21 03:44:34
「お嬢ちゃーん?隠れてても無駄だよー。早く出て追いでー」
「優しくしてやるから心配しないで出て来いよー」
「嘘付くなよお前、どうせリンチする気なんだろ?」
「ばーか。言うなよお前。お嬢ちゃんがびびっちゃうじゃねぇか」
「びびってる女かー、そそられるなー」
「変態か、お前はw」
「そりゃ、お互い様だろーが」
 マフィア達は風呂や便所、納屋にあるものをあちこちひっくり
返しては練り歩く。>>1は拍動する心臓の音が彼らに聞こえや
しないかと気が気でなかった。
「うりゃあ!」
鬼畜の一人が居間の窓に蹴りをかまし、窓を割った。
「こらぁー早く出てこねぇと、ひでぇ目に合わせるぞ?」

パリィン!
別の鬼畜が台所のガラスの食器戸棚をナックルパンチで破壊した。
「出て来いっつってんだろ!ぶち殺されてぇのかよ!!」

民家を荒らしまわるマフィア達の狼藉ぶりに、>>1は頭が真っ白になっていた。
(いやぁ・・・いやぁ・・・)
284特厨非FAN ◆AntiT24WoA :05/01/21 03:50:31
そしてとうとうマフィア達が寝室にやってきた。
「残るはこの部屋だけだな。」
「おい、そこ・・・」
マフィア達は部屋の片隅に置かれた仏壇に視線を集中させていた。
(ああ・・・見つかっちゃったよぉ)
目をぎゅっとつぶり、恐怖に打ち震える>>1

「見ぃーつけたぁ!」
鬼畜の一人が仏壇を少し引っ張った。
急に隙間が広がりバランスを崩した>>1は、じゃがりこの袋を取り落とし、
畳の上に転がった。闇の中から白い片足がなまめかしく浮かび上がった。
マフィアがその細い足に手を伸ばした。
「いやぁっ!」
>>1は反射的に身体を引っ込め、再び仏壇の裏に隠れた。
 マフィアの内の何人かは、スッと懐からトカレフを取り出した。


 淫獣達は仏壇の影の少女に向かって猫撫で声をかける。
マフ「お嬢ちゃんよ、さっさと出ておいで」
>>1「いっ・・・嫌です。出てって、出てってよぉ!!」

パン!
鬼畜の一人が、銃弾を仏壇に向けて放った。別の男も天井に向けて撃つ。
パン!パン!
仏壇に飾ってあった釈迦像の首が飛び、天井の板の破片がパラパラと落ちる。
「いやぁ!止めてっ!」
「死にたくねぇなら、出て来いよ!」
「うぅ・・・やだぁ・・・・・・」
285特厨非FAN ◆AntiT24WoA :05/01/21 03:58:12
 パン!パパン!ドパパパ・・・
鬼畜達は誰もいない壁や天井、床に向かって銃弾を次々と打ち込む。
ガシャァン!
机が弾け飛び、掛け時計が落下した。
 >>1はありったけの声を振り絞って叫んだ。
「わ、私っ・・・!謝りますっ!・・・く、車のことっ!だから、助けてっ!」
銃声が一時的に止む。
「よし、それなら両手を上に上げて投降しろ!」
「あぅぅ・・・」

 数秒ためらった後、>>1は震えながら仏壇の影からのそのそと出てきた。
既にその表情は涙と恐怖で崩れている。
「おいおい、マジで女子高生かよ・・・・・・」
「結構かわいい顔してんじゃねぇか」
「まぁとにかく、ガラス割った責任は取ってもらわないとな」

 鼻息の荒いマフィア達は、じたばた弱々しくもがく少女の腕を掴んだ。



がんばれ、>>1たん!
マフィアなんかに負けちゃだめだ!!