クラスのキモイ男子を冷やかしてきます

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233特厨非FAN ◆AntiT24WoA
しびれをきらした>>1は強引に取っ手のノブに手をかけた。
「キィィ・・・」
あっさりとドアは開いた。中を覗くと真っ暗だった。

「え・・・・・・」
>>1は予想外の自体に仰天した。

「おーい、何やってんのよー。マサ○コー!」
しかし返事はない。
>>1は心細くなり、友達のT子に連絡を取ろうと携帯に手をかけた。
>>1「今アイツんちー。なんかアイツ家真っ暗にして出てこないんだけどー。」
T子「えー何それー。まぁいいじゃん、そのまま入っちゃえ♥」
>>1「ちょっとちょっとー、他人事だと思って〜。この私が襲われたらどーすんのよ」
T子「だってこれ罰ゲームじゃん。・・・・・・ってか、アンタマサ○コ相手にびびってんの?w」
>>1「ばば、ばっか。ンなわけないじゃん。」
T子「なら早く、いきなよ。きゃははは」
>>1「わ、わかった。わかりましたよ。・・・・・・んじゃね」

>>1は携帯の電源を切ると、暗闇をにらみ付けた。
きっと今頃T子やF代は私の痴態を予想して笑い転げてるのだろう。
彼女らは今、T子の部屋に集まっていた。

>>1はだんだん腹が立ってきた。
(んもう、私が恥かいちゃったじゃない。・・・マサ○コのやつ、ただじゃおかないんだから!)

>>1は玄関にあったコウモリ傘を握り締めると、家の中にズンズンと入っていった・・・。
234特厨非FAN ◆AntiT24WoA :05/01/20 02:27:29
 ガタッ・・・段差につまづき、>>1は倒れた。尻餅をついて>>1
畳に右手をついた。
>>1(んもう、何なのよ・・・)

暗くて周囲の様子が把握しづらい。
さっそく立ち上がって電気のスイッチを探す。
「あった。」

カチッ。
「・・・・・・!!」
なんと、電気が付かない。

>>1は狐につままれたような心地になった。
「嘘でしょ・・・」
これもあのキモヲタのいたづらなのだろうか?

>>1(まさか、あの馬鹿・・・。本当にこの私を襲おうと思ってるんじゃないでショーね)

>>1は自問自答した。
クラス内ではキモヲタで通っているあの男に、まさかそんな度胸があるはずないんだけど・・・。

>>1は声を張り上げた。
「ちょっと、いい加減にしなさいよ。怒るわよ、私。」
早生まれということもあってお姉さんらしくビシっと言うつもりだったが、
声が上擦ってしまった。恥ずかしい。

>>1(なんか私・・・すごく無様・・・。たかがマサ○コ相手に・・・)
235特厨非FAN ◆AntiT24WoA :05/01/20 02:38:43
>>1はいったん身の安全の為に家を出ると、
駐車場に回った。そこには一台のMOVA(軽自動車)が泊まっていた。

>>1(なんで高校生なのに車が・・・?)
そう。日本では高校2年生は車の免許が取れないはずだ。
ま、いっか。
元々が楽天家な上に、立て続けに起こったマサ○コによる(?)冷やかしにすっかり頭にきていた彼女は、
あまり疑心暗鬼になっていろいろ考える気になれなかったのだ。
今の彼女の頭の中は、あのヲタク野郎を詰問することでいっぱいだった。

彼女は足を高く掲げた。
パリィン!
彼の愛車らしいMOVAにカカト落としをかませ、助手席の窓を破った>>1は、
インナースペースから懐中電灯を取り出した。

>>1(やっぱりね・・・。)
>>1は自分の母親の車に、普段から懐中電灯が備え付けてあるのを知っていたので、
マサ○コの車にも同じように懐中電灯が常備してあると思ったのだ。

>>1「わざわざ懐中電灯買いにコンビニなんて行ってられないわ。お金もないし。
   第一、あんまりモタモタしてるとまたT子から電話かかってきて馬鹿にされるし・・・」
236特厨非FAN ◆AntiT24WoA :05/01/20 02:51:19
>>1は今度は足音を忍ばせて再び玄関に近づき、家に戻った。
懐中電灯を持ち直し辺りを照らす。

>>1「思ったより汚いわね・・・。」
彼女はボソッとつぶやいた。おそらく闇の中で息を潜めている彼には聞こえてるんだろうが。

ところどころ埃が目立つし、虫嫌いの彼女にとっては
今にも蜘蛛が出そうな
この闇の一軒家は早く出たいシロモノだった。
もっとも、怖がってる素振りを見せたら、こっちの負けだ。
あんなキモヲタにこの私がびびらされるなんて、冗談じゃない!
彼女はせいいっぱい口元に笑みを作って見せた。

しかしどうしても笑いは引きつってしまう。
それもそのはず、この一軒家は周囲の民家とは隔離されている上に
周囲は雑木林に囲まれていた。
懐中電灯だけが頼りだった。

>>1(もしかしたら、本当にアイツ、今ここにいないんじゃない?)
そんな考えも頭をよぎった。
例えおどかすにしたって、そろそろ出てきてもいい頃だし。
何か突発的な事情があって、まだ家に帰ってきてないとか。
もしかして、あたしの為に、なんかお菓子とか買出しに行ってくれてたりして・・・?
もしそうだったら、この私の怒りはどうしてくれよう。

>>1は頭を横に振った。
「だいたい、アイツが悪いのよ。11時に行くって約束したんだから。
 レディーを待たすなんてサイテーよ!」
237特厨非FAN ◆AntiT24WoA :05/01/20 03:01:22
 それにしても古臭い家だった。来たのは初めてだった。
噂で聞いた時は、
「へ〜、一軒家に一人で住んでるなんて結構金持ちなのね、アイツの親」
なんてことを思ったが、来てみて理解できた。

 これじゃ、借り手がいないわけだわ。まるで50年前の家じゃん。
いくら田舎とはいえ。

 玄関にわらじの切れた下駄が一足落ちている。左手は家屋と繋がった納屋の
ような構造で、床は石でできており、壊れた冷蔵庫が放置されている。電源コードは
切れていて中に何も入っていない。 アイツ、つくづくだらしないわね。

 最初に入った時つまずいた数十センチの木製の段差を上がると、正面には
台所があった。床は木の板でできており、流しは乾いていて、割れた皿の破片が
散らばっている。

>>1「なにこれ・・・?なんか生活感ないね。
   普通一人暮らしって、洗い残しの食器が流しに放置されてるようなイマージ(※)だけど・・・」

※彼女はイメージのことをイマージと間違えて呼んでいた。そのため影では「イマージちゃん」という
  あだ名までついていた。

 木製の食器棚は空で中には蜘蛛の巣が張っている。いやな感じだ。水が出るかと
思って蛇口をひねる。が、当然のように水は出ず、蛇口は回す時の抵抗感なしに、
キュルキュルと空回りした。

>>1(どうなってるの・・・?いたづらにしては、手が混みすぎじゃないの・・・)

>>1はたまらなくなって叫んだ。
「ねぇ、ちょっといい加減にしてよ。マサ○コ。出てきなさいよ!
 ・・・悪い冗談は止めて。」

 最後の一言は声が消え入りそうになっていた。
238特厨非FAN ◆AntiT24WoA :05/01/20 03:16:56
彼女はポケットから携帯電話を取り出した。
プルルル・・・

甲高いT子の声が聞こえた。
T子「どうー?もうマサ○コとは犯っちゃったのー?」
>>1「ば、馬鹿言わないでよ。それどころじゃないんだから」
T子「え・・・?」
>>1「まだアイツに会ってないのよ。家真っ暗だし。何度声かけても応答ないし」
T子「ハァ・・?何やってんのアンタ。」
>>1「ねぇ・・・もう帰ってもいいかな。私、明日朝練あるし」
T子「ちょっとー。馬鹿言ってんじゃないよー。どーせマサ○コのいたづらでしょ?
   からかわれてるのよアンタ。・・・あ、ちょっとF代に代わるわねー。」
F代「なになにー。まだ会ってないのー?」
>>1「そうなのよ。さっきからもう10分ぐらい経ってるのに、いっこうに人の気配しないし・・・
   それにここ、周りも暗いしね。もう帰ってもいいでしょ?」
F代「あはははは、だめだよそれじゃ。罰ゲームになんないじゃん」
>>1「でも・・・」
F代「てか、あんたヲタク男に完璧に手玉に取られてるじゃん。
   このまま帰ったら、明日からマサ○コのいたづらにびびって逃げ出したって
   みんなに言いふらしちゃうよーw」
>>1「そんな・・・」
F代「もしかしてマジでびびってんの?やっだー恥ずかしー」
>>1「そっ・・・!そんなわけないよ!誰がアイツなんかに・・・」
F代「じゃあ、続行で決まりね。また何かあったら電話して。クスクス」
>>1「・・・・・・う、うん。」
F代「ほんじゃ」

>>1は電話を切った。受話器の向こうではみんなが爆笑していた。
これじゃ私がアイツを冷やかしに来たのに、まるで私が冷やかされてるみたいじゃん。
このままじゃクラスのいい笑いものだ。
あの男、タダじゃ置かないんだから!
>>1は後に引けなくなってしまった。
239特厨非FAN ◆AntiT24WoA :05/01/20 03:30:22
「きゃっ」
 突然蛇口からボトッと黒い塊が落ちた。>>1は驚いて懐中電灯を
取り落としてしまった。

心臓が高鳴る。流しから身を引いて、床に転がった懐中電灯におそるおそる手を伸ばす。
(ゴ、ゴキブリ、かな・・・?)
あまり気が進まなかったが、彼女は再び懐中電灯で流しを照らした。

「あれ、いない・・・」
 蛇口の下には何もなかった。気のせいだったのだろうか、それともカサコソと移動
してしまったのだろうか?
また後でばっと目の前に出てこられても心臓に悪いなぁ。
 
 とにかく流しには、ゴキブリか何かがいるみたいで気持ち悪いので、
彼女は玄関から入って右手側の畳のある部屋に移動した。

>>1(もしかしてこれもアイツの演出じゃないわよね・・・?まったく、お化け屋敷じゃないんだから)
240特厨非FAN ◆AntiT24WoA :05/01/20 03:41:43
 入ったときは真っ暗だったが、目がなれてきたせいか屋内が
うすぼんやりと見えてきた。和室の障子の外から薄い月明かりが
入ってきている。部屋の中央に囲炉裏があり、焼け焦げた墨が
残っている。障子は色あせていたが穴は一つも無かった。
その代わりに畳があちこち破れてささくれになっている。
隅の一角にTVが置かれていた。最近流行の液晶TVではなく、
ブラウン管の15インチのものだた。

>>1「ふんっ!一人暮らしにふさわしいTVね!」
虚勢を張り上げる>>1

 懐中電灯で天井を照らすと、真ん中にゴルフボール大の穴があり、
そこからちぎれた電源コードが伸びていた。
>>1(やだ・・・。なんで直してないの?これじゃこの部屋、明かりつかないんじゃないの・・・?)

 もう!いったいどうなってるのよ。今度T子やF代にも絶対同じ目に
あわせてやらなくちゃ。まったく私だけこんな目に!冗談じゃないわ。
 「助けて〜。もう帰らせて〜。>>1〜」なんて言ってるあの子達の姿が
目に浮かぶわね。

 玄関側と振り返ると、入り口の上の壁に大きな掛け時計が埋まっていた。針は2時13分の
位置で止まっていた。この畳の部屋は居間のようだ。
241特厨非FAN ◆AntiT24WoA :05/01/20 03:55:04
 居間の奥にはもう一つ部屋があり、そこもやはり畳の間になっていた。
居間との間に障子で敷居をすることができる仕組みのようだ。障子は
脇に寄せられ、二つの部屋の間は最初から開いていた。深呼吸してから、
>>1は暗い奥の部屋へ歩いていった。

 そこは寝室のようだった。左手前に仏壇が埃を被っている。

>>1(なんで、ぶ・・・仏壇があるのよ?一人暮らしの工房のヲタ男の家だよね・・・ここ・・・。)

 仏壇の隣には木製の本棚と小さな机があり、やはり埃を被っていた。右側は
居間と同様、やはり窓になっており、内側に障子があり外から直接部屋がのぞ
けないようになっている。


※ >>1が足を踏み入れたヲタ男の家

   _______
   |    |風呂  |
   |流 台  便所  |______
――|し 所 |____|仏 掛軸 |
納   ̄   ̄|     |壇     |
屋  玄関   居間   寝室  |
―‐‐|     |      |      .|
   |引き戸 |―――┴――――|
    ↑>>1
242特厨非FAN ◆AntiT24WoA :05/01/20 04:04:36
 >>1は窓と反対側の壁を懐中電灯で照らしてみた。
そこには一枚の掛け軸がかかっていた。

「何なの、これ・・・?」

 掛け軸には一体の生き物が描かれていた。猿に似ているが、
全身に毛がない。全身が茶色っぽく、顔だけが赤らんでいる。
鼻は丸く腫れたように大きく、口から歯が前に突き出しており、
小さな目は黄色く濁ってこちらを見据えている。頬の部分が
油っぽくてかっており滑らかだが、目の周りには深い皺が刻まれ
ていた。その表情は獲物を威嚇しているようでもあり、にやついて
いるようにも見えた。しかし何よりも不可解なことは、腕が四本
ついていることだった。焼け焦げたように黒く細長い四本の腕・・・。
その奇怪な猿が草原の中で四つん這いになり、顔だけをこちらに
上げているのだ。

>>1「キ、キモい・・・まるでマサ○コじゃん。」