情報開示の是非、裁判官が判断 情報公開法改正素案
2010年4月10日4時1分
枝野幸男・行政刷新相が検討を進めている情報公開法改正案の素案が
9日、明らかになった。情報公開を巡る訴訟の際、不開示と決定された
文書や黒塗り部分を裁判官が直接読み、開示の是非を判断できるように
する制度の導入が柱。また、法律の目的として「国民の知る権利」を明記
する。改正案は6月中にまとめ、秋の臨時国会での成立を目指す。
現行法では、国の安全や他国との外交上の信頼関係が損なわれたり、
公共の安全と秩序の維持に支障があったりする場合など「行政機関の
長が認めることにつき相当の理由がある情報」を不開示にできる、として
いる。情報公開の可否を文書の所管省庁の大臣、実質的には官僚に
委ねる仕組みだ。
この条文のため、公開の是非を巡る裁判では、大臣ら行政の判断がまず
尊重され、文書や情報の中身自体が問われるのではなく、不開示とした
理由や判断が合理的かどうかが対象にされている。このため、情報公開
を巡る訴訟では、原告が敗訴するケースが少なくない。
これに対し、改正案素案では、「行政機関の長が認めることにつき相当
の理由がある情報」の部分を削除。さらに、裁判で裁判官が直接、不開示
の文書や情報の中身を見たうえで、開示の可否を判断できる「インカメラ
審査」を採用する。大臣ら行政側だけでなく、裁判官が実質的な判断に
加わることで、公開の範囲を広げる狙いがある。
また不開示決定をする場合、具体的な理由を記述させるほか、ある文書
全体を開示しない決定をしようとする場合には、あらかじめ首相に報告
することも義務づけることとしている。
素案は枝野氏が15日、自らが座長として総務政務官、民間人らと作る
「行政透明化検討チーム」第1回会合で示す。ただ、情報公開に関する
大臣らの権限を制限するだけに、閣内や省庁側からの反発も予想される。
(倉重奈苗)
http://www.asahi.com/national/update/0410/TKY201004090573.html