日本語のLinuxディストリビューションのほぼすべてに収録されている,東風(こち)明朝フォントなどの
フリーの日本語アウトライン・フォントに,著作権侵害の問題があることが判明した。これは,一部のビットマップ・フォントを含め,
フリーの日本語アウトライン・フォントの多くが字母(の一つ)として使用している32ドットのビットマップ・フォント(渡辺フォントなどと呼ばれている)が,
1980年代にタイプバンクと日立製作所デザイン研究所 (現在の日立製作所 デザイン本部)により開発された商用フォントを
ほぼそのまま複製したものだったことに起因する。ディストリビュータらは対応に苦慮している。
東風明朝フォントは,開発者である古川 泰之氏が,問題の32ドットのビットマップ・フォントにウエイトを落とす(文字を細くする)などの
変更を加えたものを字母(原字)としてアウトライン・フォント化し,独自にデザインした仮名や英数字フォントと組み合わせたもの。
東風明朝フォントのCID(Character IDentifier-Keyed)フォント化に取り組んでいる狩野 宏樹氏が,前述の複製に2003年6月15日に気づき,
情報サイトのスラッシュドット ジャパン(
http://slashdot.jp/articles/03/06/18/1054209.shtml )に書き込んだことなどから,この問題が知れ渡った。
現在,古川氏および狩野氏は東風明朝フォントの公開を停止している。なお,東風明朝フォントの代替フォントとして利用されることを念頭に,
塩崎 量彦氏らは急きょ,今回の著作権の問題とは無縁なフリーのアウトライン・フォントを編成している(
http://sourceforge.jp/projects/efont/files/ )。
2003年6月23日時点での各ディストリビュータや配付元の対応はソース参照してください。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/LIN/NEWS/20030624/1/