フレッシュプリキュアで百合3

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1名無しさん@秘密の花園
フレッシュプリキュアの百合について語ろう!
二次創作等も自由にどうぞ

前スレ
フレッシュプリキュアで百合
http://babiru.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1237612270/

フレッシュプリキュアで百合2
http://babiru.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1250244090/

プリキュア5までの百合を語りたかったら↓
じゅうににんはYES!百合キュア
http://babiru.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1197494966/

フレッシュプリキュアで百合SS保管庫 @ ウィキ
http://www12.atwiki.jp/fleshyuri/pages/1.html

次スレは>>970を踏んだ人が立てること
もしくはスレ容量を見て判断しよう
2名無しさん@秘密の花園:2009/09/01(火) 07:41:44 ID:k0nKhhaA
>>1
3名無しさん@秘密の花園:2009/09/01(火) 10:33:04 ID:4XMQO9hD
>>3
吹き荒れよ!>>1乙の嵐!ありがとうございました〜。
4名無しさん@秘密の花園:2009/09/01(火) 23:17:41 ID:dnTGqo+4
>>1
乙パッション
5名無しさん@秘密の花園:2009/09/03(木) 23:49:55 ID:tLgubyof
保守
6MH22S ◆Tp0rBcFpoc :2009/09/04(金) 00:09:56 ID:H25Wsh9h
スレ移行記念投下。友情=百合として。

【ハートの繋がり】
私がこの町に住んでしばらく経ち、学校へ行く事になった。

学校には知らない人がたくさんいる。期待よりも不安が強かった。
ラブがいなければ間違いなく逃げ出していただろう。


「学校ってすっごく楽しいトコなんだよっ!」
そう言ってラブは私に満面の笑みで微笑んでくれる。
もちろん、四六時中ラブとこれからも一緒に居れるのは嬉しい。
何があってもこの関係が崩れることは無い。絶対に。


考え事をする時は決まって夜、私はベランダに出て空を見上げる。


色々な事を経験した。たくさんの事を学んだ。星の数だけ輝きがあるように。

泣いて。
笑って。
怒って。


そして、友達も出来た。かけがいのない大切な友達。時には命を預けるパートナー。
蒼乃美希。
山吹祈里。

4人でいる時もまた幸せだった。私の居場所はここなんだと実感出来たから。
特別扱いせず、私を一人の人間として見てくれた。
まだ二人には言えてないけど・・・。


―――――ありがとう―――――
7MH22S ◆Tp0rBcFpoc :2009/09/04(金) 00:10:49 ID:H25Wsh9h
学校も4人で行けたらいいのに。

少しばかり欲も出てきた自分がもどかしい。今も十分すぎる程、幸せなのに。


ベランダにいると夜風が気持ちいい。
いつしか不安だった心は落ち着いていた。
隣の部屋にはラブがいると言う喜びを噛み締めながら・・・。


私の部屋にはダンスユニット、クローバーとして活動してる時の写真が飾ってある。
4人はとても凛々しく輝いている。大切な宝物。

宝物と言えば、美希から貰ったアロマとブッキーが書いてくれたトレーニング本。
ほんとに嬉しかった。いつかお礼しなくちゃ。


美希とブッキーは放課後や休みの日しか会えなくなるけれど、いつも一緒よね。


心が通ってるから、4人は。
ラブに聞いたら「絆」って教えてくれた。


ラブからもらったペンダントを壊してしまった事は今でも後悔している。

その代わり、あの時見つけた四つ葉のクローバーは今でも肌身欠かさず持ち続けている。

どれも欠けちゃいけない。

ラブ、美希、ブッキー、そして私。ハートはいつでも繋がっているわ。



そう思えたら期待の方が強くなってきた。学校でも精一杯、頑張るわ!
見守っていてね、美希、ブッキー。と、学校でも宜しくねラブ。


〜END〜
8名無しさん@秘密の花園:2009/09/04(金) 07:19:11 ID:Vrxcndfc
>>7

GJ!

いよいよ新学期回が近づいてきた。
予告見る限り、ここの百合妄想には
あんまり影響もない気がしている。

ここでも良作たくさん見たいな。
9名無しさん@秘密の花園:2009/09/04(金) 07:37:09 ID:BDBTmF/6
こっちだったのね。>>1乙キュア!
投下もあって朝から幸せゲットだよ!
10名無しさん@秘密の花園:2009/09/04(金) 10:18:11 ID:KeDFoF34
なかよし版フレプリって、単行本出ないのかなぁ・・・・
11名無しさん@秘密の花園:2009/09/04(金) 17:37:30 ID:eHPAG6ij
取りあえず本誌買ってない組なんで、まるパみたいな形でも良いからとにかく全て読みたい。
SSみたいなのは勘弁だ。一巻だけ出ていいとこで切れてるなんてorz
12名無しさん@秘密の花園:2009/09/04(金) 17:58:15 ID:RZ73qq9I
>>8
俺も来週は多分大丈夫だと思うけど(理想としては大輔がせつなを友達として受け入れるぐらいで)
ラブと大輔の関係でこのスレ的にドゥームズデイなのは終盤なんじゃないかと思う

百合スレで言うのもなんだけど、せつなと大輔が同じラブ好きで意気投合という展開はあってもいいけど、
ライバル関係になるのは正直どうかと思うし(女児向けアニメなので)、
大輔自体がそんなに扱いが大きくないからな…現時点ではミユキさんやカオルちゃんよりも扱いが下
くっついて終了するには出番も見せ場も少なすぎる
設定上はラブとの関わりは長いけど、劇中ではせつなの方がラブとの関わりが多く、親密に描かれている

最悪、ラブと大輔が急接近し、せつなが二人の仲を応援する立場になるにしても、
ラブの方が意識しないとキャラ的に不自然な気もする
個人的妄想も含むけど、せつなの場合「ラブの幸せが自分の幸せ」と思うだろうし、
未だラブが意識していない現状で二人の仲を応援しても幸せに繋がらない気がするし、
せつながラブを応援するのは兎も角、せつなが大輔を応援するのは展開的にも不自然
フレプリは割と過去の描写とか伏線は丁寧に拾っていってるから、いきなり急接近とかはやらないと思う
…とはいえ、今後大輔が主軸に立つ可能性も充分にあるのだが…

一番いいのは(百合スレ住人ではなく一視聴者としての視点で)、これまでのプリキュア同様に、
劇中ではラブと大輔の関係は友達のまま物語が完結するのが角も立たないと思う

>>10
講談社が単行本を出す事に難色を示してるからねぇ…
フレプリの掲載誌が週刊少年マガジンとかでもない限りは出さないと思う
その代替案が、ムック本になかよし版フレプリを収録なんだろうけど
13名無しさん@秘密の花園:2009/09/04(金) 18:35:06 ID:4yXJigIJ
新スレ移行乙
14名無しさん@秘密の花園:2009/09/04(金) 18:38:44 ID:ojvXlWMK
現在精々出来ることはまるパを布教したりして皆で買うことだと思う…
15名無しさん@秘密の花園:2009/09/04(金) 18:59:26 ID:89VeDoMI
本編では男だろうと女だろうと、あんまり露骨にくっついてほしくないのが本音かな
百合は好きだけど、あくまでプリキュアという女児向け作品のちょっとしたネタで妄想するのが面白いのであって
作中でやられるとかえって興ざめする(ありえないけど

百合を露骨に売りにしてるアニメなんて、どれも見てて面白いとか萌えるとか全然思えない
マリみてみたいなソフト百合みたいなのが一番盛り上がる作品なんだろうね
16名無しさん@秘密の花園:2009/09/04(金) 19:05:39 ID:UgPq97T7
素人の妄想なんざ公式の前では無価値だし、ガチであるに越したことは無いが
さすがに一般向けアニメに無茶は求めないw
17名無しさん@秘密の花園:2009/09/04(金) 19:08:54 ID:UgPq97T7
だから大輔とそういうコトになっても文句言う気は無いなぁ
もう見なくはなるだろうけど、全く期待してなかったのがまあ半年は楽しめたんだから感謝して去るさ
18名無しさん@秘密の花園:2009/09/04(金) 20:02:54 ID:BDBTmF/6
熱いねみんな。
百合っぽい感じが確かに面白いのかもしれませんね。

実際は無理なんだろうけど、今回のプリキュアはマジ百合を感じちゃうんですよ…。

なかよし見たら加速しちゃったしw
19名無しさん@秘密の花園:2009/09/04(金) 20:34:15 ID:7wiBG/Xf
>>18
なかよしについて詳しく

俺もフレプリは百合を感じるプリキュアだ
5とGOGOは公式でヘテロを推してたし、百合を感じられなかったんでひとしお
20名無しさん@秘密の花園:2009/09/04(金) 20:39:24 ID:8ucsnJSU
>>19
今月号で初めてなかよし買ったけどラブさんのセリフがなんだかやらしい
「せつながあたしン家で暮らしてるなんて……でへ? サイコー!」
21名無しさん@秘密の花園:2009/09/04(金) 20:43:51 ID:8ucsnJSU
文字おかしくなってた
下手に特殊文字使うもんじゃないな
「でへ?」→「でへ(ハートマーク)」
22名無しさん@秘密の花園:2009/09/04(金) 20:51:28 ID:tGoLoKbK
それはなんとまあ、百合フィルターとか関係無しに・・・
23名無しさん@秘密の花園:2009/09/04(金) 21:00:41 ID:BDBTmF/6
ふたご先生はやっぱりラブせつ百合展開を描くつもりだ!

美希ブキが空気になるのが嫌だ…
24名無しさん@秘密の花園:2009/09/04(金) 21:29:58 ID:89VeDoMI
ページ数の都合上仕方ないとはいえ、本当に空気だもんな・・・美希祈里
アニメみたいに個別回があるわけでもなく、せつなとの絡みを描いてもらえるわけでもなく
美希と祈里好きには、漫画の完成度が高いだけに余計虚しいことになってる

まあアニメ以外の展開だとラブせつなが主役だから仕方ない
幼女向け雑誌はピーチ×パッション、付録はピーチとパッションだけゴムキャラで他2人は紙
キャラクターショーもピーチとパッションが主役、パッションはピーチとの絆が弱くなると弱体化するという設定まで付いてる
設定資料集だとピーチとパッションのイヤリングだけ同じもの
もう美希と祈里に関してはアニメに期待するしかない
25名無しさん@秘密の花園:2009/09/04(金) 21:56:47 ID:Celv/qU1
>>18
自分もそーですね。歴代の中じゃ一番の百合だと思います。
だって保管庫出来ちゃうぐらいだもんw
SSも書きやすかったし。男キャラが身近にいなかったのも
大きかったかなー。

>>19
なかよし気になるなら買った方がいいですよ。設定資料集より
重要と言われただけあったw
自分は両方重要だけど。

まるパ扉絵にも先生は書いてるけど、限られたページは辛そう。
ほんとはミキブギも描きたいハズなんだよ・・・
26名無しさん@秘密の花園:2009/09/05(土) 06:23:49 ID:QTPxL/l9
設定資料集届いた。カラーじゃなくて残念だったが。決定時期とかも載ってんだね。

なかよしはあえてスルーしてる。アニメの方が四人輝いてるし。
27名無しさん@秘密の花園:2009/09/05(土) 09:24:50 ID:3wW2MwHh
俺も最近になってようやく○パ買って読んだら
ブッキーのエピソードが削られてて・・・・・・って感じだった
内容もアニメ以上にラブ×せつなに偏ってるし
最新号の画像とかネットで見ても、フレッシュプリキュアというより、ふたりはプリキュアって感じだよね
このスレ見るまで気づかなかったけどページ数制限の弊害か


百合でも「みんなで仲良くしてる」上でのな話が好きだから、なんかモヤモヤするわ
>>26のいうとおりあえてスルーは賢い選択かもしれない
28名無しさん@秘密の花園:2009/09/05(土) 10:24:46 ID:oceuL6dg
漫画はあのページ数で話の焦点を極限までしぼって
よくまとめてあるよなぁ…しかも百合のツボを的確についてくる
今回はTVでフォローできなかった所を綺麗に処理してあるし

もう少しページ数やってくださいよ編集さん 明らかにページ足りてない
あと単行本
29名無しさん@秘密の花園:2009/09/05(土) 12:10:55 ID:QTPxL/l9
ラブせつ推しにはなかよし必需品なんだよね。

このスレ来るまではラブせつ一本だったけど、いろんなパターンもアリだなって最近思う。

保管屋さん以外のSS投下が無いんだが、新作まだかなー
30名無しさん@秘密の花園:2009/09/05(土) 12:46:59 ID:AztBpaeZ
>>1乙です。
夏終ったからねぇ…新作SSも前ほど頻繁には投下されないかな…。
明日の大輔回弾き飛ばすようなの来て欲しいんだが。
そんな中>>7さんGJです!
31名無しさん@秘密の花園:2009/09/05(土) 13:08:53 ID:DrZGM6z4
せつな「ねえラブ、最近書き込み少ないみたいね。どして?」
ラブ「んー、よく分かんないけど、燃料が無いとかどうとか…」
せつな「燃料??」
ラブ「あ、美希タンとブッキーが分かりやすい例えかも」
せつな「…あー、何となく分かったわ。確か今日も二人でデートだって言ってたわね」
ラブ「いやいやアツイねー。あの二人なら書き込み促進間違い無しだよ」
せつな「少しでも書き込みが増えればいいわね」
ラブ「て、せつな!今はせつなのウエディングドレス選んでるんだからそれに集中しないと!」
せつな「あ、ごめんなさいラブ。これタキシードだっけ?ラブに似合うと思うわ」
ラブ「タハー!照れるよせつなぁ」

神作が投下されるまで付合せ代わりに。独身なんで実際こういう状況があるかは分かりません!
32名無しさん@秘密の花園:2009/09/05(土) 13:13:50 ID:F0A5hNXP
○パの挿絵からラブせつ派な予感はするが、いかんせんページが少なすぎる
ページがあれば美希ブキをもっと描画してくれるはず
33 ◆BVjx9JFTno :2009/09/05(土) 13:32:25 ID:72wjlsQx
こんにちわ。
ゆうべ投下しようとして寝てしまいました。

新スレ移行記念でひとつ。
前スレに投下したせつな看病編と対になります。

オチも無いですが、お目汚し失礼します。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

部屋の天井を、
ぼんやりと見ていた。

熱を測る。
38度5分。

病院で注射を打ってもらい、
薬をもらって家に戻ってからは、
部屋で寝ている。

部屋でずっと寝ているのは、
あたしの性に合わない。

みんなと一緒に居たいけど、
まず自分の体を治さなきゃ。
我慢我慢。

34 ◆BVjx9JFTno :2009/09/05(土) 13:33:20 ID:72wjlsQx


少し眠っちゃったたみたい。
外はもう暗い。

かすかに、台所でお母さんとせつなが
話している声が聞こえる。

普段なら、みんなでわいわいご飯食べて、
テレビ見ながらせつなと一緒に笑って、
お部屋で寝るまでおしゃべりするのに。

何か取り残されたようで、寂しい。
風邪なんて、ひくもんじゃない。





ちょっと落ち込んでいると、
ふいにドアが開き、
せつながご飯を持ってきた。

え?せつなが作ってくれたの?

わは!せつなの手料理ゲットだよ!
食欲無いなんて言ってられないよ!
たまには風邪ひくのもいいじゃない!

35 ◆BVjx9JFTno :2009/09/05(土) 13:34:19 ID:72wjlsQx

卵雑炊は、お母さんが作ってくれる
いつもの味よりはちょっと薄いけど、
体が暖まっておいしい。


せつなの顔を見る。
とっても優しい表情。


「...どしたの?ラブ」
「うん、せつなの笑顔ひとり占めだなぁって」

「もう...ちゃんと治してよね。
 明日、一緒に洋服見に行く約束でしょ」



ちょっと前までは、強がって、
泣きながら闘っていたせつな。

悲しかったけど、闘った。
せつなが、自分に素直になれるように。


もう大丈夫ね。
これから、いっぱい楽しいことしようね。

って、その前にあたしが風邪治さなきゃ。

36 ◆BVjx9JFTno :2009/09/05(土) 13:35:36 ID:72wjlsQx

薬を飲んで布団に入ると、
せつなが手を握ってくれた。
あたしの熱が高いせいか、
せつなの手はひんやりと感じる。


手を、かるく握ってみる。
せつなも、かるく握り返してくれる。


何かとっても幸せで、
涙が出そうになりながら、
あたしは、静かに眠りに落ちた。

37 ◆BVjx9JFTno :2009/09/05(土) 13:37:35 ID:72wjlsQx

目が覚めると、熱が下がっていた。
頭もすっきり。朝の空気が気持ちいい。


ベッドから体を起こし、
大きく背伸びをする。
あたしのスイッチが入った。


「おっはよー!」
居間のドアを勢いよく開けると、
お母さんとせつながお茶碗を並べていた。


「おはようラブ。熱下がったみたいね」
「うん!せつなのおかげで100%復活だよ!」

「ラブったらすっごく嬉しそう。何かいい夢でも見たの?」
お母さんがあたしの顔を見て笑う。

「うん!どんなのか忘れちゃったけど、
 とっても幸せな夢見たんだ!」


せつなとキスする夢だったなんて
言えないよね!

38 ◆BVjx9JFTno :2009/09/05(土) 13:38:28 ID:72wjlsQx

以上です。

明日の放送内容から逃げるように書いた。
反省はしていない。

39名無しさん@秘密の花園:2009/09/05(土) 13:54:55 ID:AAJwxYL6
>>38
静かな文体がとても素敵でした!読後感も爽やか!
ありがとう!
40名無しさん@秘密の花園:2009/09/05(土) 17:02:34 ID:QTPxL/l9
おぉ!早速どうもです。やっぱ同居は百合を加速させるねえ。
夢じゃないぞラブ!

結婚ネタも面白い!みんなどんどん投下しておくれ。

明日の放送、ホント期待されてないなw
41名無しさん@秘密の花園:2009/09/05(土) 21:40:00 ID:dBHrDG+Q
>>31
中継ぎありがとうございました!ナイスアイデアです!
宜しければ題名お願いします。

>>38
逃げても良作は良作。いつもありがとうございます。今日も
保管させて頂きました!どうか反省などでず投下宜しくですー

せっちゃんスレにも出てたんですが、なかよし今月号でね、
せつなが着てるTシャツの文字がMOMENT IN LOVEって書いてあるんです。

Yahoo!翻訳
原文         訳文
MOMENT IN LOVE 英⇒日 恋をしている瞬間
だそうです。ふたご先生ったらもう・・・
42名無しさん@秘密の花園:2009/09/05(土) 21:43:57 ID:P5JwtPyE
なかよしで、せっちゃんが着てるシャツのプリントが「MOMENT IN LOVE」というのは既出か?
43名無しさん@秘密の花園:2009/09/05(土) 21:52:19 ID:jS5xH12D
せつな(刹那) = moment にもかかってると思うよ
だから「ラブの中にいるせつな」とか
「恋真っ只中のせつな」とかにも読める

うはww
44名無しさん@秘密の花園:2009/09/05(土) 22:10:57 ID:VaCSZ/fk
さすがネ申北ふたご神・・・!
マジであなどれんな・・・
45名無しさん@秘密の花園:2009/09/05(土) 22:21:52 ID:H9spEXfx
>「ラブの中にいるせつな」

ビミョーにエロすなぁww
46名無しさん@秘密の花園:2009/09/05(土) 22:35:47 ID:ELwasl9D
恋の真っ最中…だと…?
47名無しさん@秘密の花園:2009/09/05(土) 22:37:38 ID:H9spEXfx
【MOMENT IN LOVE】

ラブ「ねぇねぇせつな、そのTシャツに書いてある英語ってどーゆー意味?」

せつな「え…これは…」

ラブ「せつな?顔が赤いよ?ねぇどーゆー意味?」

せつな「…MOMENTがせつなで、LOVEがラブで、INが〜のなか、つまり…」

ラブ「クッハー!アタシはせつなで満たされてるってコトだよね!!」

せつな「んもぉラブったら!わかってるなら聞かないで!」
48名無しさん@秘密の花園:2009/09/05(土) 22:41:18 ID:P5JwtPyE
よかったよかったw
49名無しさん@秘密の花園:2009/09/05(土) 22:52:32 ID:amNAiDyQ
ショートだがいいねぇ
ツボだw
50名無しさん@秘密の花園:2009/09/05(土) 23:10:04 ID:dBHrDG+Q
ラブせつ祭り来る!?
>>47
投下ありがとう!マジ最高です。保管しときますね。

>>40
SSは二つ出来てるんだけど、どっちもせつない系でラブせつじゃ
ないんです。明日が明日だから投下しずらいw
51名無しさん@秘密の花園:2009/09/05(土) 23:42:22 ID:H9spEXfx
>>50

ラブせつ祭り来ましたw いつも保管ありがとうございます!
という訳で投下。

【異分子】

「せつなちゃーん、ちょっと洗濯もの取り込んでくれないかしら」
「はーい、お母さん」
そう答えながら、私は読みかけの本を置いて立ち上がり、自室を出て階下へと降りる。

私がラブの家にお世話になり始めてから、ずいぶんたった。ラブはいそいそと私のことを構ってくれるし、お母さんやお父さんは娘の様に優しく接してくれている。相変わらずの日々。

でも、こんなにも穏やかな日常のなかで、ふとした拍子に浮かび上がる感情がある。波のない凪いだ海が急に時化た時のような…これが不安というものなのだろうか。

「せつなぁ」
名前を呼ばれて、洗濯ものをたたんでいた手が止まる。
笑顔のラブがリビングに入って来て、横に座る。たたむのを手伝いながら、こう切り出した。

「せつな、どうかした?」
「…かなわないわね、ラブには。隠したっていつもお見通しなんだから」
ラブはまっすぐに私を見つめている。
「何考えてたの?」

ラブに不安を吐き出すのは心苦しいけれど、ラブだからこそ、言えるのかもしれない。
「私ね、今とっても幸せなの。でも、幸せ過ぎて時々不安になるみたい。
時々ね、まだ全然この世界に馴染めてないって感じる瞬間があって、すごく怖くなるの…。
この世界から受け入れられていないんじゃないかって。ねぇラブ、私、本当にここにいていいの?」

「当たり前じゃない!」ラブは声を荒げた。
「せつな、アタシの家族や美希タンやブッキーはちゃんとせつなを受け入れてる。それに…」
ラブの両腕が伸ばされ、強く抱きしめられた。ラブの温もりが私を包む。
「例えこの世界がせつなを受け入れなくても、アタシがせつなの居場所になるから」

「ラブ…ありがと」
嬉しかった。さっきまでの漠然とした不安を、ラブの言葉が消し去ってくれたみたい。
「やだなぁー泣かないでよ、せつな。アタシ、せつなの笑った顔が大好きなんだから」
「私もなりたい、私もラブの居場所になりたい」
「…もうなってるよ」
ラブは照れながら、そっとキスをくれた。
52名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 00:14:48 ID:7nTDHhla
続き書くとエロくなった。
皆さんを見習って、もっとピュアなものが書きたかったのに…。
深く反省しています。
53名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 00:52:21 ID:NqeirpaV
どうぞどうぞ。
54名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 00:55:18 ID:O3nafs4L
いやいや俺が
55名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 02:22:10 ID:M8fAgCqO
前スレで黒ラブ書いてた者です。ブキ→せつ書いてみたんですが、長い…。


一応、前に書いたラブせつが基本のつもりですが、前を読んでなくても
一応関係無く読める…はず。


タイトルは『初恋の終わり方』で。
56名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 02:22:47 ID:M8fAgCqO
…どうして、彼女なんだろう……。


始めは気が付かなかった。いつも視線の先に彼女がいる。
ふと気が付くと彼女の事ばかり考えている。
どうすれば喜んでもらえるか。どうすればもっと笑顔が見られるか。
どうすれば、もっとわたしを見てもらえるのか……。
ずっと、そんな事ばかり考えている自分が少し不思議だった。

だから必死に理由を考えた。
彼女はこちらの世界を何も知らない。すべてを失い独りきりになってしまった彼女。
仲間なんだから、友達なんだから、心配するのは当たり前。
彼女にはわたし達仲間しかいないんだから。もっともっと仲良くならきゃ。
心配して当然よね?


それはとっても納得の行く理由でわたしをホッとさせる。
何もおかしくないよね?気になって当たり前よね?そうに決まってる。


でも、気付いてしまった。
わたしが彼女を見つめている、それを刺すような視線で
射抜かれている事に。


その瞬間、すべてが分かった。



わたしは初めて人を好きになった。
人を好きになるって不思議。自分が恋してる筈なのに、自分で相手を選べないなんて。
気付く筈がない。相手が同い年の女の子だなんて。
気が付かないから、気持ちが止められない。
だから、自覚した時にはもう手遅れ。


恋の神様はとんでもなく意地悪。
突然、初恋に落としておきながら、その相手は絶対に手に入らない人だなんて。
だって見れば分かる。彼女の眼にはたった一人しか映ってない。


彼女は、せつなちゃんは、ラブちゃんしか見ていない。
57名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 02:24:07 ID:M8fAgCqO
恋の神様はとんでもなく残酷。
初恋は実らないって言うから、文句を言うのはお門違いかも知れない。
でも自覚した途端に失恋決定なんて、ちょっとあんまりだと思うの。


そして次に感じたのが、ラブちゃんに対する信じられないくらいの苛立ち。
どうして、そんな目でわたしを見るの?もしかして分かってないの?
せつなちゃんはとっくにラブちゃんのものじゃない。
あんなに近くでせつなちゃん見てる癖に!信じられない!


無性に腹が立った。今までラブちゃんに、いいえ、誰に対してでもこんな
苛立ちを覚えた事なんてなかった。
わたしがどんな欲しくても手に入らないモノをとっくに手に入れてる癖に、
その事に気付きもせず、こちらに嫉妬を向けてくる。
ラブちゃんにこんな面があったなんて。ついでにわたしにも。



ほんの少し、意地悪したくなったの。
ラブちゃんの視線に気付かない振りをする。
わざとせつなちゃんの体に触れ、二人で出掛ける約束を取り付ける。
ラブちゃんには解らない様な本の話をする。
こちらの事を勉強したいって言うせつなちゃんに、色々本を薦めたのはわたし。
元々すごく頭が良いんだろうな。砂が水を吸い込むようにって
こう言う事なんだと思った。
せつなちゃんは勉強熱心で、好奇心旺盛で、今ではわたしの方が
教えて貰う事もあるくらい。


せつなちゃんは馴れ馴れしいくらい親しげなわたしの態度にも、
嬉しそうに可愛い笑顔を向けてくれる。
ふざけて抱き付いたりしても、「なあに、ブッキー?」なんて警戒心の欠片もない。
わたしはその夜、せつなちゃんの甘い香りと感触に一晩中眠れなかったくらいなのに。


せつなちゃんの笑顔に触れる度、どんどん心が削られて行く。
見る度に幸せになれた筈の笑顔が、どんどん苦い痛みを打ち込んでくる。
だって、それは友達だから見せる笑顔。それ以上でも、それ以下でもない。


でも、もし彼女がわたしの気持ちを、いいえ、わたしの中に渦巻く欲望を知れば……
それすらも得られなくなる。
58名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 02:25:22 ID:M8fAgCqO
このままじゃ何もかも失ってしまう。大好きな人も、親友も、自分の心さえも。
恋心を隠して友達として側にいる。それが一番だと思ってた。
手に入らない。諦められない。でも失いたくない。
こんなに苦しいなんて知らなかったから。
そしてせつなちゃんを想うのと同じくらい、ラブちゃんの気持ちが痛い。
だって分かるから。ラブちゃんがどんな気持ちでいるか。

いつも元気いっぱいで天真爛漫なラブちゃん。引っ込み思案なわたしには
ラブちゃんは憧れだった。
太陽の様な笑顔はいつも眩しくて、どんな時でも周りを明るく照らしてくれる。
ラブちゃんが大丈夫って言えば、どんな事でも大丈夫。
ラブちゃんが頑張ろうって言えば、辛くても踏ん張れる。
ラブちゃんはいつも自分の事は後回し。人の為に笑って泣いて。
周りの人の笑顔が自分の幸せ。
そのラブちゃんが、初めて身勝手なまでの独占欲を見せて執着している。


『あたしのなんだから!』『誰にも渡さないから!』

その瞳が、そう叫んでる。
物心つく前から一緒にいたんだから、分かる。
あんなふうに、ラブちゃんが我が儘とも言える欲望を剥き出しにするなんて、
もうこの先ないんじゃないかな。
一生に一度の我が儘を、血を吐くような思いで叫んでる。

『お願いブッキー、…諦めて。』


少し前まではいくらでも涙が出た。
せつなちゃんとの何気ないやり取りが嬉しくて。
叶わない想いが辛くて。
ラブちゃんの視線が痛くて。
親友にそんな思いをさせている事が恐くて。
自分のどろどろした心が穢い物に思えて。
でも、今は何を思っても涙は出ない。
どんなに胸が締め付けられても、心が悲鳴をあげても、
出てくるのは焼け付くような溜め息ばかり。



わたしは、決めた。壊れてしまうのを恐れて自分を磨り減らすより……

自分で、いえ、せつなちゃんに終わらせてもらおう。
せつなちゃんがラブちゃんを裏切る事は、あり得ない。
だから、告白して、叶う筈のない頼み事をして、
……思い切り、振ってもらえばいい。


せつなちゃんは、ショック受けちゃうかな。泣いちゃうかな。
でも、いいよね?せつなちゃんにはラブちゃんがいるから。
きっとラブちゃんが慰めてくれる。
59名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 02:26:30 ID:M8fAgCqO
「せつなちゃんが、好きなの……友達としてじゃなく……。」



そう言った瞬間、今すぐ世界が崩壊しても構わない。本気でそう思ってしまった。
魂が抜けて行くのが見えるみたい。それくらい全身の気力を振り絞った。
言わなきゃ良かった。でも言わないと、わたしがどうなかなっちゃいそうで。
いやいや、もうとっくにどうにかなってるのかも。


でないと、できるはずがない。女の子同士で、しかも親友の恋人に告白なんて……。


せつなちゃんは新しいプリキュアの仲間。新しいクローバーのメンバー。
そして親友の、…ラブちゃんの大事な大事な人。


散々悩んで、決死の覚悟で臨んだのに、言葉が口から離れた瞬間から
後悔で身が縮み上がる。

せつなちゃんの顔が見られない。その顔にどんな表情が浮かんでいるのか、
恐くて 確認出来ない。

暫くたっても何も言わないせつなちゃんに、恐る恐る、顔を上げる。
その時彼女の顔に浮かんでいたのは、驚きでも、軽蔑でも、嫌悪、哀しみでもなく…
わたしが怖れていた、どんな否定的な表情でもなかった。

ただただ、恐ろしいほどに真剣な、真摯な顔。こちらが怯みそうなほどに。


「それで、ブッキー。あなたはどうしたいの?」
その言葉には揶揄するような響きも、こちらへの侮蔑も感じられない。
ひたすら誠実に、相手の気持ちに向き合おうとする真っ直ぐな視線。

「私は、あなたの気持ちには応えられない。…それは、わかってるんでしょう?」


せつなちゃんの視線に射竦められる。
もっと動揺されると思ってた。驚いて、おろおろして、
もしかしたら泣いてしまうんじゃないかって。
けど、目の前にいるせつなちゃんには、そんな弱さは微塵も感じられない。
どんなものからも絶対に逃げ出さない、毅然とした姿がそこにあった。
60名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 02:35:23 ID:M8fAgCqO
「ラブちゃんが……好きなのよね…。」
そう言うと、せつなちゃんの眼がふっと柔らかくなった。
「分かってるの……わたしなんか入り込む隙間はないって…、でもね、でも…」

「ありがとう。」
「…!?」
「ありがとう。私を好きって言ってくれて。」

穏やかに、微笑みさえ浮かべて彼女は言う。

「ブッキーが、好きになってくれて……私は嬉しいわ。」
「……せつなちゃん…。」
多分、わたしは呆然としてたんだと思う。だってあまりにも予想外な言葉だったから。
悲しい顔で拒否される。ブッキーは大切な友達だと諭される。
このどちらかしかないと思ってた。
間違っても、『ありがとう』や『嬉しい』なんてどんな形でも言われるなんて
想像の埒外だ。


「…せつなちゃん、ワケ、分かんないよ。…わたし、振られたんだよね…?」
「そう…かしら。正直な気持ちなんだけど…。ブッキーは大切な人だから。」
「友達として…でしょ?」
「……うーん。ちょっと、ちがうかな。」
じゃあ、何なの?私の戸惑いが伝わったのか、せつなちゃんもちょっと
考え込むような顔をする。

「……水……かな……。」
「…水……?」

そう、と彼女は頷く。
水がなければ人は生きていけないでしょ?
いくら太陽が照らしても水がなければどんな生き物も死んでしまう。
だから、あなたは私にとっては水なの。

そう言ってわたしを見つめるせつなちゃん。正直よくわからない。
はぐらかされてるような気もしなくはない。
でも彼女は大真面目な顔で。
その顔を見てたら何だか少し可笑しくなってきた。
まさかこの場面で笑える自分がいるとは思いもしなくて…。


「じゃあ、わたしがいないとせつなちゃんは死んじゃうの?」
「死んじゃうかも知れないわね。」
「わたしが水ならラブちゃんは太陽?」

そう聞くとせつなちゃんは嬉しそうに、にっこり笑う。
その笑顔があんまり可愛くて、ちょっぴり意地悪な質問をしてみる。
「じゃあ、太陽が無くなったら?」
水がなければ死んでしまう。それなら太陽が無くなればどうなるの?


「…あのね、世界が滅ぶの。」


相変わらず大真面目にせつなちゃんは答える。
死んでしまうのと、世界が滅ぶの、どう違うのか。
同じように思う。でも全然違う気もする。
分かるのは、せつなちゃんにとっては全然別物だって言う事。
61名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 02:40:29 ID:M8fAgCqO
「その時は…せつなちゃん、どうするの?」
「どうもしないわよ。世界が滅ぶんだもの。それで、おしまい。」

さらっと言ってるけど、内容はとんでもないよ。せつなちゃん。
でも、何となくわかった。せつなのすべてはラブちゃんがいることで始まってる。
だから太陽が無くなり、世界が滅んでしまえば、死すら意味がなくなる。
辛い事も悲しい事も、恐怖さえもどうでもいいこと。
でも、言ってる事はのめり込み過ぎで怖くなるくらいの筈のなのに、
思わず口に出てしまった言葉は…


「……いいなぁ、ラブちゃん。」

そう思ってしまった。羨ましいって。
こんなにも誰かに想われるってどんな気持ちなんだろう?


「そう?ちょっと気持ち悪くない?入れ込み過ぎでしょ?」
「…それ、ものすごいノロケてるよ。せつなちゃん。」

ラブは大変だと思うわよ、なんて相変わらずせつなちゃんは真面目顔のままで
うんうんと頷いている。


「そっかあ…」

そっか、そうなんだよね。始めから分かってたのに。
わたしが好きになったのは、ラブちゃんが大好きなせつなちゃん。
もし、ラブちゃんではなくわたしを選ぶようなら…それはわたしが好きになったせつなちゃんじゃないのかも知れない。


(でも、水だって相当大事よね。なんせ、無いと絶対に死んじゃうんだし。)
例えそれが、太陽があってこそのものだったとしても。
わたしは彼女の世界になくてはならないものなんだもの。


「私ね、欲張りになることにしたの。大事なものは一つもなくしたくない。
だから……だから、ブッキーにも側にいて欲しい。ずっと…今までみたいに。」
「…わたしが、側にいるのが辛いって言っても?」
「そう!」
「わたしが泣いても?」
「そう!」
「勝手ね。せつなちゃん。」
「何とでも言って!」


せつなちゃんは少し怒ったような顔をして……、あぁ、分かっちゃった。
ずっと泣きたいの堪えてるんだ。
62名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 02:44:08 ID:M8fAgCqO
わたしは俯いて肩を震わせてしまった。どうしよう、堪えられないかも…
あぁっ、せつなちゃんが泣きそう!まずい!


…ぷっ…クスクス!

良かった、笑えた!せつなちゃん、ほっとしてる。


「…もうっ、ブッキーったら…。」
「クスクス…っごめん、だってせつなちゃん、何だかラブちゃんに似てきたんだもの。」


せつなちゃんは小さな子供みたいにほっぺを膨らませて赤くなってる。
可愛いなぁ、もう。やっぱり大好き。
だからもう、いいや…。


「うん、いいよ。」
「……??」
「側にいてあげる。」
「……ホントに…?」
「うん、わたし達は親友。そうよね。」
「……いいの?」
「ダメって言ったら諦めるの?」
「絶対にイヤ!」


そこは即答なのね。あらら、何だかせつなちゃんふにゃふにゃになってる。
実は物凄く力入ってたんだろうな。わたしもだけど。
言っちゃおうかな。でも言ったら、またせつなちゃん困っちゃうかな。
でも、これだけは最初から決めてたんだし…。


「あのね、それでね…一つだけ、お願い聞いてくれないかな。」
最後にこれだけ。これでこの恋は絶対におしまいにするから。お願い。
ずっとずっと、してみたかった事なの。絶対にせつなちゃんでなきゃ、嫌なの。だから、お願いします。


「キス……したいな。」


言っちゃった……。
ああ、また顔上げられなくなってきた。なんでこんなにうじうじしてるんだろう。
もっと潔くなりたいのに。

「…わかったわ。」
「?!!!」
「私から、させてくれる?」
63名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 02:45:29 ID:M8fAgCqO
俯いたわたしの顔をせつなちゃんがそっと両手で挟む。
小さな手。細い指。
せつなちゃんの気配が近づいてくる。
わたしは目を閉じてゆっくり顔を上げる。
ふわり…と、前髪がはらわれ、額に柔らかい感触。
違う…、思わず目を開け、そう言おうとする…


すぐ目の前にせつなちゃんの顔。ドキッとした。なんて綺麗なんだろう。
わたしの好きな人は、本当に本当に綺麗な人。

黙って…そう言うように、せつなちゃんは微笑んで唇に人差し指を立てる。
もう一度、額に。次に閉じた瞼に。頬に。
触れた場所からせつなちゃんがふわふわ染み込んでくる。
渇いた胸の奥から温もりが泉のように溢れ、指先まで潤していく。
そして、最後に唇の両端に口付けたのち、唇同士が重なるように押し付けられる。
更にゆっくり、角度を変えて何度も重なって…唇が離れて行く。
全身でせつなちゃんの息遣いを感じる。
思わず、ほぅ…と息が漏れる。


その時、僅かに開いたわたしの唇にもう一度強く唇が押し当てられ、
唇よりも更に柔らかく熱いものが滑り込んでくる。
それはわたしの口の中を戯れるようになぞり、ほんの一瞬、舌先を絡め取っていった。


甘美、と言うのはこういう感覚なのだろう。
痺れるように甘く、震えるくらいに切ない感触。


「さようなら、祈里。」


吐息のような彼女の声が耳朶をくすぐり、全身を包んでいた柔らかな気配が
遠ざかっていく。


(ありがとう。)そう言おうと思ってたのに。
声が出ない。体が動かない。呼吸すら忘れてしまったかのよう。
少しでも長く、彼女のすべてを刻み付けておきたくて。

いつしか、全身を満たしていた潤いが瞼から零れ、頬を濡らしている。
もう、一生泣く事なんかないんじゃないかと思ってたのたのに。
64名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 02:46:43 ID:M8fAgCqO
どれくらい経ったのだろう。
漸く息をつき、目を開けるともうそこにせつなちゃんの姿はなかった。
夢だったの…?そんな気さえするくらい体も頭もクラクラしてる。
視線の先に、トレイに乗ったままの汗をかいたグラスが二つ。
確かに彼女はここにいた。

大きく深呼吸して…
「悪く…ないと…思うのよね。」
声に出してそう呟いてみる。
初恋の終わり方としては、悪くないんじゃないかって気がするの。
好きで好きで、どうにかなってしまうんじゃないかって思うくらい
好きな人に決死の覚悟で告白して。振られて。
でも最後に大好きな人は震えるくらい甘い、恋人同士のキスをくれた。


初恋は実らないって言う。でも、そうじゃなかった。
わたしの初恋は実らなかったんじゃない。ただ終わっただけ。
だって、あの瞬間だけ、あの人は確かにわたしの恋人になってくれたんだから。

恋の神様はそんなに残酷じゃない。
こんな初恋をくれたんだから。それに……
わたしはきっとまた、誰かを好きになれる。今度は、わたしだけを見てくれる人を。
ラブちゃんとせつなちゃんみたいに、お互いでなきゃダメって人に。


わたしは大丈夫。
明日から、また笑顔になれるはず。
それに、わたしは、きっともっと素敵な恋に巡り会える。
そう、わたし信じてる。
65名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 02:57:06 ID:M8fAgCqO
以上です。
途中、改行大杉って叱られちまったんで、改行変えました。
どんな風になるのか今一わからん…。


対の看病話、すごい好みです。端正な文章で読みやすくて綺麗!
>>6さんのミキも可愛い。いつかミキ話も書きたいんですけどね…。
難しい。


自分もラブせつなんでなかよし必須!MOMENT IN LOVEの小話嬉しい。
やっぱ投下があるとテンション上がりますね。
66名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 03:04:32 ID:zPdRjDI9
なんという力作GJ!!!!!!!
67名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 03:07:57 ID:3zBWs5t7
なぜあなたは俺の好きなシチュをことごとく
おさえてくるんだGJ

せつなは出血大サービスだな
失恋もので後味がいいってのも珍しい
68名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 03:56:13 ID:09g9Ffhz
遅くなったけど>>1乙です。
今まではラブせつ一筋だったけど、他の組み合わせもいいなあ。
けしからん、もっとやれ。
俺に技量があればなあ…
69名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 06:33:40 ID:5HMvkd+4
みんなでラブをとりあえばいいよ!
70名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 06:47:11 ID:tByVV/Gr
朝からすごいものを読んでしまった!黒ラブ作者さんの文章大好きです。失恋モノなのに後味が良いって素晴らしい。
ラブは太陽、祈里は水、それじゃあきっと美希たんは空気かな…?いや、良い意味でねwwww

>>69
私もラブさんモテモテ大好きです。あんなかっこいいんだ、惚れない筈がない。
71名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 07:37:44 ID:PQuPSJDq
>>65

朝からいいもん読ませてもらいました。GJです!
ブキせつでありながら、ラブせつを感じました。

失恋しつつ、付き合いを続けるのは辛いけど
ブッキーが前向きで良かった。

わたしだけを見てくれる人、居るよ!居る!
俺俺!(←氏ね)

72名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 09:05:25 ID:3zBWs5t7
なんか普通に面白かったな
ベランダデートの演技が細かくて萌え死ぬかと思った

せつなの声が異様に甘く感じたのは幻聴かもしれんが
73名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 09:05:33 ID:Ps0KD1d3
何この祭りっぷりw
読んでから今日の放送語るわ。
74名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 09:08:28 ID:z6JBzqfR
見過ごした・・・
今回の放送はここの住人にとって絶望だったのか?
75名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 09:09:54 ID:FW+0Dmgy
せつなの好きな食べ物って全部ラブが好きな食べ物のような気がしたが。
あ、そうか。ラブが好物をせつなにアーンして食べさせてるから自然と好きになったんだな。
76名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 09:10:27 ID:i7VKCqsl
前評判では欠番候補だったが実際には大した事はなかった
っていうか作画も綺麗だったし普通に面白かったよ
77名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 09:11:28 ID:kPJv8hiP
>>74
そうでもない
ラブと大輔はあからさまに友達の雰囲気しかないし、
むしろせつなとラブの方がいい雰囲気だった
78名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 09:12:37 ID:Adia8WxD
良作投下ありがとうございました!保管しますのでお待ち下さい!
ベランダデートとかイイ響きだわー

ベリーソードきたね。ちょっと感動しちゃった・・・。
大輔の教室での発言以外はダメージなかった。

さて、たっぷり燃料は補給された。さぁみんなで語ろうかw
79名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 09:13:38 ID:xewWVnnG
>>74
いや別に、それ程でも
簡潔に言えば「平行線に落ち着く」な感じで
「こりゃラブがもっと鈍くなければ、そして大輔が意地を張るのを辞めない限りは進展は無理だなぁ」と思った
あと、何だかんだでせつなはラブの事をよく視てるなw
80名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 09:18:19 ID:PQuPSJDq
おっしゃあああああああ
大輔回終了!

焼け野原にならなくてよかった。
みんな無事でなにより!


さあ、妄想しようかwww
81名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 09:23:25 ID:NkDQangz
>>80
さあ、再開しよう、妄想を

しかしそれほど酷くなくて何よりだ
安心してラブせつを語ろう
82名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 09:24:10 ID:aXhtHmWl
2人が似てる発言とかラブが大輔に素直になれないとか言い出したり
まぁ公式は大ラブやるんだろうね、って感じだったな

俺はブッキーとパインのあまりの愛らしさに脳みその血管切れそうだったけど
83名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 09:28:16 ID:z6JBzqfR
本スレで「百合厨が静かになるな」とか書かれてて心配してたが、大丈夫なようだな
例え過剰にあまずっぺーな展開になろうとも、なかよしと百合フィルターさえあれば戦えるさ!
84名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 09:31:10 ID:FW+0Dmgy
>>41
ごめんなさいタイトル忘れてました。
とりあえず【燃料の自覚】としておきます。

一言ネタ
ラブ「ねえせつな、一緒にやろ?」
せつな「せい一杯頑張るわ」
美希(何故?普通の会話なのに何だか変な感じが…)
祈里「二人ともやり過ぎには気をつけてね」
85名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 10:04:28 ID:GWrerp++
生徒「東さん、好きな食べ物は?」
せつな「ドーナツとアイスクリームとケーキとコロッケとハンバーグと、それとラブかな♪」
生徒「えっ」
せつな「えっ」
86名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 10:16:45 ID:7JyOd/Y/
今回のせっちゃんの発言には終始「妻の余裕」みたいなものが感じられたんで
俺的には一切無問題です。
87名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 10:28:19 ID:tKOfVCLf
せつな、一般女子にもモテてたのが良かったな
88名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 10:28:23 ID:IQYx1JmL
アンチスレでは大輔が肯定されてるよ
89名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 10:53:23 ID:opar7/kd
まあ、アンチ云々は置いとくとしても、流石にあれは約束忘れてたラブが悪いとは思ったわ
90名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 11:00:02 ID:8KxVUAG3
個人的には予想を裏切るラブせつ回だったな。
ベリーのリンクルンも出番があったし普通におもしろかった。
大ラブはこのまま平行線に落ち着きそうで一安心。
大輔は空気の読める子だって、私、信じてた!
91名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 11:05:03 ID:7JyOd/Y/

「四番!キュアパッション!」
(…ん、ピーチからサイン?
 「ここで」「ホームランを打ったら」「後で」「ご褒美のキス!?」
 精一杯がんばるわ!!!)

…その後、ナケワメーケそっちのけでピーチに突貫しようとして
ベリーに首筋つかまれた子がいるかもしれませんが
TVには映っていなかったので俺にはわからない
92名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 11:19:46 ID:xewWVnnG
まあ、あの後で大輔がせつなに謝っても、事情を良く知らないせつなにしてみれば「?」な反応になるだろうし、
あれはあれでいいかもしれん(後々フォローがあると最高だが)
ラブと大輔に関しては、ラブの方に非があるのは同意だな
とはいえ、夏休み前の約束を覚えてろって言うのもかなり無茶なものがあるわけで…
93名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 11:21:05 ID:VV3ubtKb
ああよかった!ああーーよかった!! 今模試なんだが、このスレの様子をみる限り、大大したことにはならなかったようだな!!ホント良かった・・・
94名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 11:31:05 ID:S1/ZSt8N
安心して模試っとけ、ってここ一応十八禁板だぞ。
ベランダの展開といい逆に百合妄想かきたてられたわ。
95名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 11:36:21 ID:3jE0job6
せつなが逆転の四番・・・意味はわかるな?
96名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 11:37:30 ID:oOaJRyGB
>>86
確かに妻の余裕だwww
まぁ、だいすけは愛人の位置にすらいないんだがな

約束いい加減すぎだし、ちゃんと伝えなおさない奴も悪いだろ
休み明けとしかいってないじゃないか!
だから、奴も伝え直そうとしてヤキモキしてたんだろうが、言えない自分を棚に上げて逆ギレとはな
97名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 11:44:38 ID:Adia8WxD
ふぅ。SS用にと図書館行って小説とか借りてきたらこの伸びw
良かったよ、ほんと良かった。燃料には十分すぎる程の回だった。

同居してる時点でもう越えられない壁になってるんだよ。

自 己 解 決
98名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 11:59:14 ID:KBbzNKc4
大輔の出番・・・・・・・・


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99名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 12:12:02 ID:UvJhQCbW
ドーナツやけ食いしてるラブ、ほっぺたおべんとだらけにしてるのは
どう見てもせつなが舐め取るための前フリだよな。
100名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 12:21:41 ID:Ps0KD1d3
モーメント〜投下連発〜仲直り回〜大輔不発とこの板的に燃料大杉だろw

職人さん良作ありがとう。いつも楽しみにしてるから、これからも宜しく!
101名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 12:24:40 ID:Adia8WxD
保管完了です。投下された方ご確認を。
>>85>>91
小ネタでGETしてあります!

由美ちゃんもせっちゃんに惚れてたようなwww
102名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 13:06:21 ID:rV8oZWaf
今日はラブせつの制服夏姿が見れただけで満足
103名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 14:01:10 ID:u5pHU+VB
一緒に暮らしていることはスルーだったのか
104名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 14:36:23 ID:nsDrZkWs
>96
「だいすけ」と書かれると「まさお」の息子を思い出すのだが。
好感を持たれるラッキーとは偉い違い。

関係ないけど「まーご」が大好き。
105名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 15:34:36 ID:vqGyo054
「クスッ あたしはラブの素直なところしか見たことないけど」(うろ覚え)

萌えすぎてフイタ
何言ってんですかあンたァーーーッ!
106名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 15:44:44 ID:UvJhQCbW
「ラブのここってば、本当に素直よねえ(クスクス)、
口ではやめてって言いながら、もうこんなになってる・・・。」

こうですか。
107名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 15:54:36 ID:Ps0KD1d3
夜は夫婦逆転かーーー!やべ、それだけでプリキュアカレー何杯でもイケるw
108名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 17:19:53 ID:7JyOd/Y/
>>105
観直した
「私は素直なラブしか知らないけど」ですな

公式でガチなノロケ台詞が聞けるとは…
大輔の入り込む余地、全く無し!
109名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 17:34:57 ID:iP4FKU2Y
今日の話みて
せつなが攻めでもいいかもと思ってしまったw
110名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 17:50:12 ID:tTqAh6+U
勃起が止まらん
111名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 17:56:18 ID:FW+0Dmgy
逆転てこんな感じかな?分力が無いんで台詞だけでご勘弁を。

せつな「学校でずっと私の事見てたわよね。どして?」
ラブ「え?ほ、ほら、せつなって皆に大人気だったでしょ?大丈夫かなーって…」
せつな「もしかして嫉妬?ラブは私の事信じてくれてないの?」
ラブ「し、信じてるよ!だけどせつなってとーっても可愛いでしょ?ちょっと気になっちゃって…」
せつな「どうもラブには、私がどれだけラブに惚れてるか体で分かってもらうしかないようね」
ラブ「ちょ、せつな…」
せつな「ラブったら可愛い。そんな表情もするのね。フレッシュな桃を頂いちゃおうかしら」
ラブ「せ、せつにゃぁ…」
あゆみ「ほらー二人共!リビングでイチャついてないで早くお風呂に入んなさい!」
ラブせつ「はーい」
112名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 18:32:33 ID:u5pHU+VB
リビングで何やってんだwwしかもお母さんの口調からして日常茶飯事なのかよw
113名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 18:54:03 ID:Ps0KD1d3
>>111
百合板行って投下して。かなり好きな展開だわ、これw
114名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 18:56:17 ID:Ps0KD1d3
ごめん誤爆したorz
かなり反省してる
115名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 19:10:27 ID:PQuPSJDq
>>108

>>「私は素直なラブしか知らないけど」ですな


大輔君、あなたには悪いけど、
私は素直なラブしか知らないの。

私だけに見せてくれる、
素直なラブを知ってるの。

私だけが知っている、
素直なラブの...
言えないわ、こんなところで。



こうですかわかりません><
116名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 19:13:39 ID:w9W2cFwv
Kumi「それは大輔回ですか?」
Ms.Green「いいえ、違います。これは野球回です」
117名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 19:15:18 ID:1+f8UQ0e
118名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 19:21:24 ID:1+f8UQ0e
お前ら、今日はしゃぎすぎw
と、携帯から書き込もうとしたら
>117 になってしまった…
申し訳ない…
119名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 19:22:39 ID:opar7/kd
ちくしょう、なんで自分はマイナーカプばっかり好きになるんだ
ラブせつラブみたいに心行くまで語り合いたいぜ…

誰か、誰かイース×美希とかラブブキとか美希せつが好きな輩はいないのか?
強気な娘がSに言葉責めされたり純朴な娘が堕ちていくのが好きな奴はいないのか!
120名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 20:03:56 ID:aXhtHmWl
>>119
俺もラブせつはあんまり興味なくて、他の組み合わせの方が萌える派だ
ていうか元はラブせつやイスらぶに萌えてここに来たんだけど、SS読みまくったり書きまくってたら飽きた
今作中で一番登場シーンが多くて妄想する余地も少ないし
日常の描写にしても結構描かれてるから、どうしても本編と比較して読み書きしてしまう
描かれすぎて逆にSSネタとしては枯れてきた感じ
今は全然食指が動かない
このスレもちょっとそんな感じだったんじゃないかな、美希祈里とか多くなってきたし

美希と祈里とかいいよね
容姿も性格も真反対で、背丈もずいぶん違うのに幼馴染みで仲良いとか
個人的にはそれだけでも萌える
祈里も困ったらすぐ美希に電話かけてたり、第一話で美希が祈里に抱きついてたり、2人だけで並んで歩いてたり
でも作中では一時期完全に空気だったし、学校の様子がほとんど分からなかったりと描写が甘い
最近はこの2人の話ばっかり考えてる
121名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 20:27:24 ID:7JyOd/Y/
>>120
その書き込み、後半部だけでいいよね
122名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 20:56:14 ID:Adia8WxD
>>119>>120
了解。頑張って作ってみる!今日中に投下してみせるさ。
123名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 21:33:01 ID:7Y5Jm85B
今北
やっぱりらぶせつ最高だった…学校生活に溶け込んでいくせつなかわいいよせつな
124名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 21:49:48 ID:u0hAKp38
シフォン関係のカプ萌えする人いる?
なんかせつなの制服姿に目キラキラと似たような反応をするラブシフォに萌えた。
シフォンのいたずらに性的に開発されるせつなとか
125MH22S ◆Tp0rBcFpoc :2009/09/06(日) 22:44:55 ID:Adia8WxD
ごめん、さすがにプリプー様は無いw
【蒼き炎×漆黒の堕天使】ベリー・イース、百合少な目、若干長い

それは、アタシが二人目のプリキュアとして命を受けた翌日の事。

いつも通り、区民センターのプールで汗を流していた。
昨日の戦闘後とは思えない程、みんなも平然と泳いでいる。



たった一人を除いて・・・ね。



さっきから視線を感じる。
それも冷たい目線を。


あの子はアタシを知っている。
何故かそう思えた。



しばらく様子を見るか。

それともこっちからアプローチをかけるか。


答えが出る間も無く、事は進む。


その少女は音を立てる事無く近づいて来た。



―あなたプリキュアでしょ―
126名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 22:45:37 ID:M8fAgCqO
ども、黒ラブです。
感想くれた方々、ありがとうございます。あんなに長いの初めてだったんで
かなり不安でしたが、GJ貰えて幸せゲットです。
何とか前向きエンドき持っていけてホッとしました。

それで、あまりにも美希スルーもあれなんで、おまけの小話書いてみました。

タイトルは『太陽と水と…?』で。
127MH22S ◆Tp0rBcFpoc :2009/09/06(日) 22:45:46 ID:Adia8WxD
心臓を一突きされたような衝撃だった。
やはりこの子はアタシを知っている。
胸騒ぎは止まらない。


「昨日一緒にいた子はどこ?」


「あの子は関係ないわ。それより名前ぐらい名乗ったら?」



「ふっ・・・。我が名はイース。これから長い付き合いになるぞ!」



「それはごめんだわ。アタシは忙しいの。あなたに付き合ってる暇はなくってよ。」



―チッ―



互いの目と目は交差し、火花を散らす。


「蒼乃美希。表へ出ろ。気に入った。」

「上等よ。と、その前に着替えぐらいさせてよね。これじゃ完璧じゃないわ。」



「逃げるなよ・・・」



時間稼ぎにはあまりにも足り無すぎる。ラブをたとえ呼んだとしても間に合わない・・・。

(くっ・・・。まだキュアベリーとしてアタシは・・・)
どこか吹っ切れないでいた自分の感情が邪魔をする。

が、やるしかない。家族や親友、四葉町を守るためにも!
128MH22S ◆Tp0rBcFpoc :2009/09/06(日) 22:46:19 ID:Adia8WxD
「遅いぞ!逃げなかっただけ褒めてやってもいいが。」

「アンタに褒められる筋合いはなくってよ!」

―――チェィィィンジ・プリキュアッ!!―――

―――ビーーート・アーーップ!!―――


「ブルーのハートは希望のしるし!! つみたてフレッシュ、キュアベリー!!」



「イースとか言ったわね。ここじゃ戦いに集中出来ないわ。場所を変えるわよ。」

「っ!私に指図するなっ!!!」

「付いてきなさいっ!」

「チィッ!」


アタシは四葉町から出来るだけ遠くの場所を選んだ。今、アタシに出来る事はそれぐらいだと。


「えぇいっ!もういいだろ!」

「そうね。」

暁色の夕日がアタシたちを照らす。
129MH22S ◆Tp0rBcFpoc :2009/09/06(日) 22:46:49 ID:Adia8WxD
「キュアベリー。まずはお前を倒して、アイツをFUKOにしてやろう。」
氷のような冷たい口調。この子には愛を感じなかった。この時は。


「そうはさせないわ!と、一つだけ教えてあげる。」

「何だ?」



「あの子に手出ししたら・・・。アナタを殺す。例え、刺し違えても。この身が滅びようともっ!!!」



疾風の如く拳を突き立てる。間髪入れずに後ろ回し蹴り。そして肘打ちを浴びせる。
怒号が空中で響き渡り、イースも激しく応戦する。


「何故お前はそこまでして戦う!所詮人間などっ!」


「アナタこそどうして戦うの!?守るべきものがそこにはあるのっ!?」

一瞬怯んだイースの首元に、アタシは手刀を下ろした。


時が止まる。


「何故止めるっ!私は敵だぞ!」
130MH22S ◆Tp0rBcFpoc :2009/09/06(日) 22:47:31 ID:Adia8WxD
「・・・教えて欲しい・・・。アナタ・・・、いやイースは誰かに愛されてる?それとも、誰かを愛してる?」
今アタシの行動は自殺行為だった。敵を仕留める所か、彼女を助けたいと言う気持ちが生じていて。



「私は・・・。」
怒りに満ち溢れていたイースの顔が少しばかり緩んだ。それはどこか寂し気で。


「戦いじゃ何も産まれない。アナタも完璧を目指したいなら、まずは誰かを愛する事よ。それが出来ないのであれば
誰かから愛される人になればイイ。」
そう言うとアタシはイースの体を包み込んだ。やはり氷のように冷たかった。

が、希望は捨てちゃいけない。


「離せっ!」

「イース!逃げちゃダメよっ!」

「私に指図するなと言っているっ!!!」



再び視線と視線がぶつかる。アタシは一歩も引かなかった。
131MH22S ◆Tp0rBcFpoc :2009/09/06(日) 22:49:59 ID:Adia8WxD
「お前とまた、拳を交えてみたいな。」


「嫌よ。」


「貴様・・・。まぁいい。」


「あ、一つだけ条件があるわ。」

「何だ?」


「ちゃーんと体は温めるもんよ。そんなんじゃ風邪引くわ。今度は着こんで来なさいよね。」


「フ・・・。お前こそ、よくそんな格好して言える。」
そう呟くイースの口元が笑っているかのように思えた。


「お互い様ってトコじゃない。まぁイイわ・・・。あっ、そうだ!」

「まだ喋るのか?」



「アタシ、アナタの事キライじゃないから。」



―――!?―――

「お、覚えていろっ!蒼乃・・・、キュアベリー!」

明らかに戸惑いを隠せなかったイース。その後姿は、夕日で眩しくて最後まで
見えなかったケド・・・。

伝わったかな、アタシのハート。〜END〜
132名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 22:51:54 ID:Adia8WxD
ごめん黒ラブさん!投下どうぞ!
133名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 22:59:21 ID:M8fAgCqO
こちらこそ、タイミング悪く割りこんじやってすみません!
よく確認するべきでした!

んじゃ、せっかくだから投下!


後、ベリーカッコいい!久しぶりのイースに懐かしくて涙出そう。GJ
134名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 23:00:31 ID:M8fAgCqO
「ねぇ、せつな。」
「ん?なあに、美希」
「ラブは太陽で、ブッキーは水なんですってね。」
「!!!!」


おぉ、赤くなってる赤くなってる。可愛いじゃない。

「…やだ、ブッキーったら。美希に話たの?」
「うん、それでアタシは?」「…えっ?」
「だ・か・ら!アタシは?アタシだけ何も無しってコトないわよねぇ。
アタシだって仲間だし。友達だし。」
「…あーー…。」


おぉ、目が泳いでる。案外、小心者?
ちょっとは困りなさい。まったく。アタシは空気じゃないっての。


「……空…かな…。」
「空?なんで?」
「だって青いし。」
「…いかにも取って着けたみたいね…。」
「だって、海だと水関係でブッキーとかぶっちゃうし。」
「………。」
「それにね。」


太陽も、雨を降らせてくれる雲も空にあるじゃない。

ニッコリとそれはそれは無邪気な笑顔。


「!!!」
不覚!つい本気で可愛いって思っちゃったじゃない!


「…クスクス…美希、顔が赤いわよ。」
「……ふん!まぁ、それで納得してあげるわよ。」
「それに時々、雷も落ちるんでしょ?」
「!!?」
「『心を鬼にした美希』はラブが泣いちゃうくらい恐いんですって?」


今度は悪戯っぽく上目遣いにこちらを見てくる。
まったく!こう言うとこにラブもブッキーもやられちゃったの?
油断ならないんだから!


ハイハイ、参りました。アタシの負け。


「…空も、いい感じよね。」
「うん、いい感じだと思う。」
「じゃあ、それで行くかな。」
「合格?」


うん、合格。せつな、アナタ可愛いわ。
135名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 23:31:33 ID:Adia8WxD
乙でした。
アンタ最高だよ。
136119:2009/09/06(日) 23:37:22 ID:opar7/kd
>>131
うおぉぉGJ! なんか催促したみたいになってすまん。
やっぱりイース良いな…。
もちろん、今の柔らかくなったせつなも好きだけどな。

>>134
黒ラブもGJ!
137名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 23:38:37 ID:3nVDhk6N
今回のOA見たが、ラブの方から恋愛ベクトルは出てなかったから現状はまあセーフかな
もし最後の握手のシーンでラブも赤くなってたらヤバかったけど
138MH22S ◆Tp0rBcFpoc :2009/09/06(日) 23:43:21 ID:Adia8WxD
>>135とIDが一緒なんだけどwwwあるのこんな事!

>>119
初めてイース書きました。上手く出来たかな?
>>134
ツンデレ美希たん最高。この板では美希たんのポジションが重要!
139名無しさん@秘密の花園:2009/09/06(日) 23:44:04 ID:VV3ubtKb
再開か?SS祭再開なのか?燃料補給は充分だったのか?!
140名無しさん@秘密の花園:2009/09/07(月) 00:01:05 ID:Ps0KD1d3
保管屋&>>134良い仕事!これでゆっくり寝れるw

>>120
枯れてるか?ラブせつ以外でも十分語れるのがこのスレのイイとこだろ。別に飽きた訳じゃないぞJK。
14138:2009/09/07(月) 00:06:49 ID:Tpi1WmEL
>>41

保管有難うございます。
タイトル忘れてました。「ひとり占め」でお願いします。


鬼門の大輔回をクリアした!
SSがまた投下されはじめた!
職人の皆さんGJです!

ラブせつSSは腹一杯くらいの量があるけど、
エピソードに事欠かないので、私は全然飽きずに
楽しませてもらっています。
142名無しさん@秘密の花園:2009/09/07(月) 00:08:06 ID:Ky9tEAXP
連投申し訳。
>>111
保管したので題名あれば教えて下さい。

燃料は31話のおかげでかなり補給出来たはずw雑談もSSも
当分イケそう。って私、信じてる!
143名無しさん@秘密の花園:2009/09/07(月) 00:16:29 ID:RLoVh9p9
ラブせつ好きだが今回の放送を見てせつラブも相当
美味しいことに気が付いた
普段は強いラブが弱音を吐いたときせつなは思いっきり抱きしめてやればいい
144名無しさん@秘密の花園:2009/09/07(月) 07:16:11 ID:Tpi1WmEL
31話のベランダトークいいね。

2人ともパジャマだったら
最高だったんだが
145名無しさん@秘密の花園:2009/09/07(月) 07:25:19 ID:EI79SskN
一話から見てたらイースのかわいさとエロさに惚れた。受け受けしさに満ちてるなw
もちろんせつなも好きだけど!
146名無しさん@秘密の花園:2009/09/07(月) 07:37:38 ID:4MnnbltS
>>144ベランダデートと言おうじゃないか?

ここに投下されたSSが現実に!と思ったなー
147名無しさん@秘密の花園:2009/09/07(月) 08:17:37 ID:FaO5u75V
スタッフもこの板見て…ないよなw

鬼門回突破したお陰で朝から気持ちイイわ。
148名無しさん@秘密の花園:2009/09/07(月) 12:06:02 ID:BlnCPcRh
公式に百合もとめるなんてズレた考えもいいところだからな
大友が勝手に妄想して楽しむものなんだから
たとえ公式が大ラブやろうと関係ない話だ
149名無しさん@秘密の花園:2009/09/07(月) 12:20:05 ID:P6YNEJRc
150名無しさん@秘密の花園:2009/09/07(月) 12:36:12 ID:fBChf64D
後れ馳せ、まるごとキュアパッション買ってきた
お赤飯のほうが、ってあゆみさん何をwww
151111:2009/09/07(月) 12:45:52 ID:X/7zt7yC
>>142
ま、またタイトル忘れてました…。
【ありふれた日常】なんてどうでしょう?
152名無しさん@秘密の花園:2009/09/07(月) 13:57:28 ID:FaO5u75V
完全に百合フィルターが脳内入ってるから、美希ブギが一緒に待ってるだけでもうwww

で、こっちはラブせつが仲良く登校な訳よ。

もうダメだ_| ̄|○
153名無しさん@秘密の花園:2009/09/07(月) 20:14:29 ID:kN3yTjkh
>>152
気持ちは分かる。
自分もSS読んだり書いたりしてたら美希ブキに嵌ってしまったw
>>149見ただけでたまらんですよ。重症www
154名無しさん@秘密の花園:2009/09/07(月) 21:20:03 ID:FPG/0tLi
大輔の気持ちも分かる。
ラブせつの夫婦っぷりはガチ。入りこめる余地なし。嫉妬するね、あれは。
ていうかせつなは大輔が近づいてたのが分かってたのに、スルーするほど余裕。妻としての貫禄あるね。

何気に1話でイースが貴様とは長い付き合いになりそうだと予言してたけど、
占い当たったね。
155名無しさん@秘密の花園:2009/09/07(月) 21:25:11 ID:tG8pzHgR
なんかもう一回大ラブ回あるっぽいな
156名無しさん@秘密の花園:2009/09/07(月) 21:33:14 ID:Tpi1WmEL
>>155

あるとしたらクリスマスかね。
多少はアマズッペになるだろうけど
手つなぐくらいいいんじゃないかな。

どうせ家に帰ったら
せっちゃんと別の場所をつなげ(ry
157名無しさん@秘密の花園:2009/09/07(月) 21:33:36 ID:P6b+2k6L
決定的な破局を迎えて欲しいね
158名無しさん@秘密の花園:2009/09/07(月) 21:35:46 ID:4MnnbltS
本当にあと一回でいいよ・・・さすがに一回で二人の仲に急展開!は無いだろうし。
159 ◆BVjx9JFTno :2009/09/07(月) 22:06:02 ID:Tpi1WmEL
こんばんわ。

百合かどうかわからんけど投下します。
箸休めにどうぞ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

なあシフォン、聞いてくれるか。
今日の話やねんけどな。

兄弟から連絡があってな、またドーナツ食べ放題にしたるから
芸やって客集めてくれと。

ワイも男や。兄弟の頼みは二つ返事や。

そんで意気揚々と公園に向うたら、なぜかピーチはん、
パッションはん、ベリーはん、パインはんも居ててん。

何や、あたしらも手伝うからドーナツ食べ放題にさしてくれ言うて、
兄弟もノリノリで、じゃあ100人に裁いたら食べ放題にしたるわって。


そしたらまあ、やることがえげつないわ彼女ら。

160 ◆BVjx9JFTno :2009/09/07(月) 22:06:56 ID:Tpi1WmEL

ベリーはんがブルン呼んで、みんなに制服着せたってん。

ピーチはんはピンク、パッションはんは赤、ベリーはんは水色、
パインはんは黄色、それぞれの色と白のストライプで、
同じ色の帽子もかぶって、白のエプロンやねん。
めっちゃかわいいねん。


で、とどめが超ミニスカやねん!
四つ葉中の制服なんか比べものにならへんねん!


それで客呼び込むもんやから、客がわらわら来ますねん。
パッションはんなんか礼儀正しいもんやから、
ドーナツ渡すときに深々と頭下げはんねん。


パンツ見えてるっちゅーねん。
男衆みんな背後に回ってるっちゅーねん。

161名無しさん@秘密の花園:2009/09/07(月) 22:07:37 ID:zXNQRmiQ
D輔、良かったら由美ちゃんと付き合えば?先輩からGETだよw

まるパのあゆみさんお赤飯発言、あれはただの祝いだよねwww
○○がキタ訳じゃ・・・(自重

せっちゃんにはD輔なんて視界にすら入ってないな。さすが良妻。

じゃSS作ってきます。精一杯頑張るわ!
162 ◆BVjx9JFTno :2009/09/07(月) 22:07:46 ID:Tpi1WmEL


そのうち、調子にのったピーチはんがはしゃいで
みんなのスカートめくり始めましてん。

そこからはもう、みんなでスカートのめくりあいや。


え?シフォン何?パンツの色?
あんさんも結構お好きでんなぁ。

ピーチ版はピンクで、パッションはんは白やってん。
ベリー版は水色やってんけど、問題はパインはんや。

これがもう、ほんまに...ワイの口からは
よう言えんくらい...その...ごっついやつで。

ピーチはんは鼻血出すし、パッションはんは精一杯
参考にするわなんて言うてはるし、ベリーはんは
ブッキーこの後ウチにおいでなんて誘ってはるし、
えらいことになりましてん。

163 ◆BVjx9JFTno :2009/09/07(月) 22:08:13 ID:Tpi1WmEL

まぁこうして、100人どころやないくらいの客さばいて、
めでたくドーナツ食べ放題になってんけど、


彼女らは着替えもせんと、みんなでベリーはんの家に
行きましてん。何や女同士の大事な話があるっちゅうて、
ワイだけ先に家に返されましてん。



...そうやなシフォン。
ピーチはんもパッションはんも遅いなあ。


今頃、違うもん食べ放題してるんちゃうか?


164 ◆BVjx9JFTno :2009/09/07(月) 22:08:51 ID:Tpi1WmEL
以上です。

関西弁があやしいです。
お目汚し失礼しました。

165名無しさん@秘密の花園:2009/09/07(月) 22:10:21 ID:Tpi1WmEL
誤字だらけだorz

脳内変換してください。
166名無しさん@秘密の花園:2009/09/07(月) 22:27:48 ID:G+GyiJfe
>>165
GJ!!! こういうの大好き!
取り敢えず、パインのぱんつがどんなだったか妄想するわ。
黒レースのTバックで横は紐で結ぶヤツ、とかはありきたり過ぎ?
167名無しさん@秘密の花園:2009/09/07(月) 22:32:03 ID:zXNQRmiQ
>>164
保管屋ですw挟んで申し訳!誤字修正しますよ。教えて下さい。

てかパインのアレが気になって製作進まないんだw
168名無しさん@秘密の花園:2009/09/07(月) 22:37:12 ID:Tpi1WmEL
>>167

挟み全然おkです。
さるさん防止にもなるし。

誤字修正すみません。


裁いて →さばいて
版 → はん

です。お恥ずかしい。


題名は「ブルンのチカラ」でお願いします。
169名無しさん@秘密の花園:2009/09/07(月) 22:44:35 ID:FXXvbc5N
>>165
同じくGJです。
美希の下着が一番派手そうだけど、ブッキーみたいな子って下着もそうだけど、
ブログとかプリクラとかもかなり派手に頑張ってそう。
2ちゃんとかmixiも好きそう。
170MH22S ◆Tp0rBcFpoc :2009/09/08(火) 00:15:23 ID:6HcpbAjj
見事に日付またいだw ラブ×ブッキー 保管庫1-920、2-457参照
【Love Story〜優しいあなたへ】
ちょっとカッコ悪かったけど、あれはアレで、あたしらしいと言うか。


―――私は山吹祈里さんが大、大、大、大、だーい好きですっ―――


ずっと一緒だった。小さい頃からずっと。
ブッキーはあたしの側をちょっと後ろをから追いかけてくる感じで。

あたしは一人っ子だから、ブッキーは妹みたいだった。
ブッキーも一人っ子だから、あたしはお姉さんに見えたのかな?
ちょーっと、おっちょこちょいだけど・・・。


違う中学校に通う事が決まった時は、ほんと泣きまくったよね。
別にお別れする訳じゃないのに。
遠い所へ引越しする訳でもないのに。



けど、やっぱり寂しかった。一人で大丈夫かな?ってのもあって。



ブッキーが困った時や辛い事があった時は全力疾走で駆け付けたの覚えてる?
学校抜け出した事もあったんだよー。もち、後で先生には大説教大会だったけど。たはー、、、
171MH22S ◆Tp0rBcFpoc :2009/09/08(火) 00:16:40 ID:6HcpbAjj
あたしがダンスに誘った時、実はちょっぴり不安だったんだ。
ブッキーは引っ込み思案なトコ、気にしてたでしょ?
強引に誘うのはNGだろうなーって。

でも、ついつい調子に乗っちゃってさ、あたし。
気づいたら自分ばっか喋っちゃって・・・。
ほんとごめんね。


あっ!練習着のプレゼント、超超ちょー嬉しかったんだよ!!!
あの後、お父さんとお母さんにも自慢しちゃった!
あたしの大切な宝物だよ。


ブッキー、どうもありがとう。ずっと大切にするからね・・・




「ラブちゃん?ラブちゃんてば!もぅ・・・、さっきからずっと呼んでるのに・・・。」

「うおっ!ご、ごめーん、考え事してた・・・。あはっ。」

「で明日のデート、どこへ連れてってくれるの?」
172MH22S ◆Tp0rBcFpoc :2009/09/08(火) 00:17:21 ID:6HcpbAjj
「あたしンち。」


「ちょっとぉ・・・」

「あ、嘘嘘。」
冗談まじりでする会話も、あたしにとって最高の幸せ。
二人で同じ時を過ごせる喜び。


「でも・・・、わたし、ラブちゃんちでもイイよ。」
そう言って、あなたは優しいKISSをしてくれる。

「あーっ、ちょっとソレ反則だよー!」
今度はあたしがお返し。


互いの柔らかい唇が触れ合う。



――ぐぅ〜――

「やだ・・・」

「あたしの手料理、ご馳走しちゃうぞっ。」

「お願いしまーす・・・」


これからも宜しくねブッキー。ずっと、ずっと一緒だよ!
あたしの大切な人。
大好きな人。


―愛してる、祈里―

〜END〜
173名無しさん@秘密の花園:2009/09/08(火) 07:08:09 ID:aGblNxvZ
また投下増えて来たのね。これも奴のおかげなのかw

次は妖精メインだから百合的展開薄そう…
174164:2009/09/08(火) 07:21:53 ID:DX4ToNTN

感想有難うございます。

ブッキーは女子校だから、その辺の雑誌とかが
結構おおっぴらに流通しそうでついw


>>172もGJです。
ラブとブッキーは確かに姉妹っぽい感じですね。

でも、ブッキーが本気で怒ったりしたら、
誰もかないそうにないなぁと妄想してみる。

175名無しさん@秘密の花園:2009/09/08(火) 12:36:14 ID:0BbTQQ2S
祈里「大好きなの!」

せつな「そんなに好き?」

ラブ「アタシだって大好きだもん!」

美希「ゆずりあいなさいよ!」

祈里「イヤ!これだけは絶対ゆずれない!」

ラブ「アタシだってそうだよ!」

美希「じゃあジャンケンで決めるとか」

祈里・ラブ「ジャンケンポン!」

せつな「ブッキーの勝ちね」

ラブ「イヤアアアアァ!!!今のなし!今のなし!」

美希「ラブったら!諦めの悪い子ね」

ラブ「お願いブッキー!せめて半分こにしようよー」
祈里「イヤ!わたしが勝ったんだから、わたしだけのものよ!」

美希「ブッキーが独占欲むき出しにするなんて、めずらしいこともあるものね」

せつな「そんなに欲しかったの?」

祈里「うん!だーい好き。いっただっきまーす!うふ、美味しい!」

ラブ「ウッウッウッ、アタシの大好きなチョコドーナツがぁ…」

美希「何も泣くことないでしょ!カオルちゃーん、ドーナツ追加ね」
176名無しさん@秘密の花園:2009/09/08(火) 18:33:42 ID:fWtOdX2+
大輔なの!
177名無しさん@秘密の花園:2009/09/08(火) 22:41:10 ID:6HcpbAjj
>>173
見ない事にはわからないですが、4人が輝いてくれれば満足でw
百合要素無くても頑張ります、いろんな意味でwww

>>174
ブッキーって案外、流れに乗りやすいのかもしれませんね。
乗るまでが一苦労なんだろうけど。
今後も投下宜しくです!いつもありがとう。

>>175
保管しますので題名あれば是非!
178名無しさん@秘密の花園:2009/09/08(火) 22:45:30 ID:dPR7j/0F
すみません、保管SSってどこにあるんですか?携帯からでも見れますか?
179名無しさん@秘密の花園:2009/09/08(火) 22:59:46 ID:aGblNxvZ
見れるよー。携帯も桶。>>1に保管庫アド貼ってあるぜ
180MH22S ◆Tp0rBcFpoc :2009/09/09(水) 00:24:24 ID:FRUSSOez
【祈りの妖精×漆黒の堕天使】パイン・イース、百合ほぼ無、若干長い

昨日の出来事が未だに信じられない。


何もかもが夢のようだった。
まだ、フワフワした感じが体から逃げない。



朝を迎え、わたしは日課の散歩に出かけた。
向かった先はあの川原。わたしが戦ったあの場所。


土手に腰掛けて、流れる水面を見つめる。昨日の激しい戦いとはまるで似つかない、静寂な時。



「あっ」
橋からわたしを見つめる一人の少女。昨日の・・・


「またここに来るとはな。本当に単純な生き物だ、人間と言う物は。」

気づいた時にはわたしの目の前に立っていた。冷たい目をしてこちらを見ている。


「な・・・、何か・・・?」
怖かった。同じ女の子なのに・・・。わたしは体が金縛りにでもあったかのように硬直して。
181MH22S ◆Tp0rBcFpoc :2009/09/09(水) 00:25:09 ID:FRUSSOez
「他の奴等はどこにいる。」
「し、知りませんっ!」

「隠しても無駄だぞ。それとも・・・、お前から倒してやろうか。」
そう言うと彼女はわたしに近づき、首を締め付ける。人間とは思えない程の冷たい手で。


「く、くるしい・・・。やめ・・・て」


「お前、本当にプリキュアか?恐怖で体が震えてるじゃないか。フフフ・・・。」


「わ、わたし・・・は・・・」


人を見下した態度。笑いすら浮かべ、わたしを侮辱する。
「くくく。昨日の戦いからすると、戦士としてはまだまだ・・・。所詮、お荷物って所か。」


                 !!!

       (わたしは・・・。わたしはお荷物なんかじゃないっ!)
 
自分で決めた。自分を信じた。人は変われる。


変えれるんだ!!!


「わたしはっ!キュアパイン!!!」
最後の力を振り絞って、首にかかっていた冷たい手を払いのける。


「何っ!?」
182MH22S ◆Tp0rBcFpoc :2009/09/09(水) 00:25:39 ID:FRUSSOez
―――チェィィィンジ・プリキュアッ!!―――


―――ビーーート・アーーップ!!―――



「イエロハートは祈りのしるし!! とれたてフレッシュ、キュアパイン!!」




「今の言葉、撤回して下さいっ!わたしはお荷物なんかじゃないっ!!!」

悔しかった。やっとみんなと同じスタートラインに立てると思ったのに。
それを否定された事。また何も出来ない自分に戻ってしまうのかと。


「面白い。お望み通り、私が相手をしてやろう。行くぞっ!」

(速いっ!)

やはり戦いになると、わたしは防戦一方の展開になってしまう。

「どうしたキュアパイン!昨日の勢いは何処へ行った!!!」
連続する攻撃に何とか活路を見出そうと様子を伺う。


「っ!まだ!わたしは負けないっ!」

相手のキックをかわし、カウンターの掌ていを浴びせる。

「ぐっ」
ひるんだ隙に、背後へ回り腕関節を決める。これならっ!


「痛っ・・・」
わたしはその声に思わず力を抜いてしまう。
「あっ、ごめんなさい!」
183MH22S ◆Tp0rBcFpoc :2009/09/09(水) 00:26:16 ID:FRUSSOez
「甘い!」
ほどいてしまった腕はするりと抜け、再び合間見える二人の少女。


「貴様もか。何故、敵である私に手加減をした。」



「わからない・・・。だけど、誰だって痛いのは嫌でしょ?だから・・・」



「お前・・・、それでは自分の命を縮める事になるぞ。」


「わたしは・・・、プリキュアである前に!一人の人間、山吹祈里でいたいんですっ!」





「虫唾が走るな。」


朝焼けが二人を照らす。太陽の光が彼女に差し掛かる。

「答えろ、キュアパイン。」


「何ですか?」


「お前は誰かに愛されてるか?それとも誰かを愛しているか?」


「えっ。あ、うーん・・・。愛されてるかなぁ?愛して・・・、やだっ」
184MH22S ◆Tp0rBcFpoc :2009/09/09(水) 00:26:55 ID:FRUSSOez
「バカにしてるのかっ!!!」

「ご、ごめんなさーい。あっ!あの・・・」


「何だ?」

「お名前は?」


「我が名はイース。貴様とも長い付き合いになるぞ!」


「宜しくお願いしますね、イースさんっ。」


―――!?―――

「頭がおかしくなる、お前といると。」


「ん?何でですか?あ、今度は戦いじゃなくてお喋りとかおべんと食べたり・・・」


「有り得ない!!!チッ・・・、我が名をよく覚えておけ、キュアパイン!」


最後は慌ててたみたいだけど、わたし、何かしたっけ?
太陽さんが眩しくて最後までイースさんを見れなかったけど。


あー、首痛いよぉ・・・。

〜END〜
185名無しさん@秘密の花園:2009/09/09(水) 04:55:29 ID:KkU9pw4B
>>184
ま、まさかせつなの天然はブッキー譲り…
186 ◆ZU7CldKWo2 :2009/09/09(水) 05:42:55 ID:QV4P55DH
大型案件も無事終了の運びとなり、ほっと一息。

なんだか久々に投下する気がいたします。

せつなメインのSS。

【弱気の虫】
187弱気の虫  ◆ZU7CldKWo2 :2009/09/09(水) 05:44:50 ID:QV4P55DH
 風邪ね、とお母さんに言われた。今日は学校、お休みしなさい、とも。
 大丈夫、と強がろうと思ったけれど、お母さんの厳しい目付きを見て、素直に頷いた。
 普段は優しいお母さん。でも、怒らせると怖いことは知っている。

「せつな、大丈夫?」
「平気よ。気にしないで、学校に行って?」

 遅刻ギリギリに出るまで、ラブは私の側にいてくれた。おかげで髪を梳けなかったのだろう。お気に入りの髪型
じゃなく、下ろしたまんまで走って出ていった。
 ごめんね、ラブ。

「大丈夫かい? 今日はゆっくり寝てるんだよ」
「わかったわ、お父さん」

 出かける間際に、お父さんも部屋に来てくれた。ゆっくりと頭を撫でてくれる。
 なんとなく、ほっとする。大きな、お父さんの手。優しくて、あったかい。
 ありがとう、お父さん。

「んー、やっぱり私、今日はお休みしようかしら」
「心配しないで、お母さん。ちゃんと横になってるから」

 パートの仕事を休もうとするお母さんに、私は何度も平気と言った。お薬を飲んで、だいぶ楽になったから、と。
ちょっとだけ、嘘。でも、心配をかけたくはなかった。
 結局、何度も何度も、何かあったら連絡するのよ、と言って、お母さんは出て行った。
 行ってらっしゃい、お母さん。それから、嘘付いてごめんなさい。

 お母さんが出かけていってから、大人しくベッドに入っていた私。熱で少し朦朧とする頭。
 やがて本当に薬が効いてきたんだろう。
 気が付いたら私は眠っていた。





    弱気の虫

188弱気の虫  ◆ZU7CldKWo2 :2009/09/09(水) 05:46:16 ID:QV4P55DH
 夢を見ていた。
 ラビリンスにいた頃の夢。

 灰色の街。どんよりと暗い空。鈍く輝く太陽。
 その中を、足並みをそろえて歩く人々。
 ただ前だけを見ている。その視線は、けれど、誰も見ていない。
 立ち止まった私。でも、誰も私のことなど気にしていない。

 それが当たり前だと、思っていた。
 人は一人で生きていくもの。友情や愛情なんて言葉は、それが出来ない弱さを隠す為の嘘っぱちだと思っていた。 



 まどろみから、ゆっくりと目が覚めていく。チク、タクと時を刻む部屋の時計の秒針の音が、やけに大きく聞こえる。
 短針が指し示すのは、十三時。長針は、十五分のちょっと前。

「目、覚めたんか?」
「キュアー?」

 心配そうな声に、顔を向けると、そこにはタルトとシフォンの姿があった。二人とも、その表情を曇らせていて。

「平気よ、これぐらい」

 笑って言ってみるが、自分でもわかるぐらいに弱々しい。私のその様子に、タルト達は余計に心配そうな顔になる。
 ほぅ、と息を付きながら、布団の中から手を出して頬に当てる。やっぱり、まだ熱い。汗をかくほど体は熱いのに、
背筋はゾクゾクと寒いまま。そして全身が、気だるい感じ。

「なんかして欲しいことあるか、パッションはん」

 タルトの言葉に首を横に振ってから、私はベッドから起き上がる。やっぱり体は重いし、ちょっとだけフラフラする
けれど、立てない程じゃない。

「なんや、どないしたんや? 無理せんときやー、何か欲しいもんがあったら、わいが取りに行ったるさかい」

 いつも以上に多弁になって、私を寝させようとするタルトに、私は小さく、

「おトイレよ」
「あ・・・・・・えろうすんません」
189弱気の虫  ◆ZU7CldKWo2 :2009/09/09(水) 05:47:45 ID:QV4P55DH
 おトイレの後、私はタルト達と一緒に一階に降りる。寝ていたせいで、まだお昼ご飯を食べてなかったから。
 本当は食欲はなかったけれど、食べないとお薬を飲めない。だから、ちょっとでもいいから食べなさい、と
お母さんに言われていた。
 鍋の中のおかゆをあっためて、お皿によそう。

「梅干を入れるとええで」

 タルトの言葉に、冷蔵庫の中から梅干を探して、その身をほぐしておかゆに混ぜる。見ているだけで酸っぱくなる
口の中。どして?

「ちぃっと食欲、出るやろ?」
「うん、ホントね」

 タルトの言う通り、思っていたよりはすっとお腹に入っていった。心なしか、少し元気になった気がする。
 そういえば、お母さんが、冷蔵庫の中にリンゴをすったのが入ってる、って言ってたっけ。
 探してみると、ラップがされたお皿があった。それを開けて、食べ始める。ヒンヤリほど良く冷たくて、気持ちがいい。
なんだか熱も下がってきたみたい。

「シフォンも食べる?」
「タベゥー」

 小皿によそって、シフォンにもお裾分け。タルトにも、ちょっとだけ。

 だいぶ良くなってきたけれど、お薬を飲んで、またお布団に潜り込む。タルトとシフォンは、寝るのを邪魔しないようにと
気を使ってくれて、今は一人きり。
 ほっぺに触ってみる。だいぶ、熱くなくなってきた。けど、油断は禁物。私は目を閉じる。

 けれど、なかなか寝付けない。

 目を開けて、天井を見る。そっと、耳をすませてみても、何の音も聞こえない。時計が時を刻む音以外は、何も。
 ぼんやりとそうしているうちに、ふと、気付く。
 そういえば、こんな風に病気で寝込むなんて、初めてのことだったっけ、と。
 ラビリンスにいた頃に、私は風邪などひいたことがなかった。何しろ、寿命ですら管理される世界。体調だって全部、
管理されていた。病気で寝込む、なんてことはありえなかった。

 だから、というわけではないだろうけれど。
 不意に、寂しくなった。
 ラブがいない。お母さんがいない。お父さんもいない。
 タルト達はいる。けれど今はお昼寝でもしているのだろう。呼べば来てくれるだろうけれど、そこまでは。

 一人。部屋に、一人。
 あれ? 私、こんなに寂しがりやだったかしら。
 横になって寝ているだけなのに、どんどんと弱気になってくる。
 寂しくなってくる。

 イースだった頃。
 私は、いつも一人だった。
 ウエスターやサウラーと一緒に暮らしていたけれど、それはただ一緒に暮らしていたというだけだった。
 干渉されたくなかったし、干渉するつもりも無かった。
 一つ屋根の下に暮らしていても、家族なんて言葉とは程遠い。食事だって別々だし、他の二人が何をしてるか
なんて、まったく興味がなかった。まったく顔を合わせずにいたことだって、しょっちゅうだった。
 時々、ウエスターが思い出したように構ってくることがあったけれど、ウザい、と一言で切り捨てていた気がする。

190弱気の虫  ◆ZU7CldKWo2 :2009/09/09(水) 05:49:23 ID:QV4P55DH
 そんな私が、今は、一人の部屋に、寂しさを覚えている。
 不安を覚えている。
 もしかしてラブ達は帰ってこないんじゃないか。私はずっと一人、ここにいなきゃいけないんじゃないか。
 なんて、そんな馬鹿げた想像をして、勝手に怖がっている。
 今までそんなこと、考えたことも無かったのに。なんでだろう、弱気の虫が騒いでる。



 私。弱くなったのかしら。



 そんなことを考えているうちに、またまどろんでいたらしい。
 今度は夢を見なかった。



 目を覚ますと、額に置かれた冷たいタオル。ひんやり気持ち良い。

「あ、起こしちゃった?」

 小さな声に、私が目を動かすと、申し訳なさそうな顔のラブがいた。

「ラブ・・・・・・帰ってきてたの?」
「うん。割と前にね」

 ニッコリと笑う彼女の服の裾を掴む。ギュッ、と掴む。
 私のその行為に、少し驚いた顔をした後、ラブは小さく笑いながら言った。

「寂しかった?」
「――――!! ・・・・・・うん」

 見抜かれて。
 私は戸惑いながらも、小さく頷いた。そんな私の頭を、ラブはゆっくりと撫でてくれて。

「大丈夫だよ」

 その笑顔は、優しくて、あったかくて。ちょっと、ラブのお母さんの笑顔に似てる。
 キュンとせつなくなる胸。やだ。涙が出そう。たったこれだけのことなのに。
 熱が出ると、涙もろくなるのかしら。

「アタシもね、風邪を引いた時、一人で家にいることがあってさ」

 ベッドの端に顎を置いて、私と同じ高さの視線で、ラブはゆっくりと言う。

「すっごく、寂しかったんだ。病気なんだけど、なんだか寝付けなくて。けど起き上がれる元気はなくて、みたいな」

 ちょうど、さっきの私と同じかしら。

「お父さんもお母さんも、このまま帰ってこなかったらどうしよう・・・・・・って、考えたりしてさ。自分が世界で一人ぼっちな
気がしちゃったりとか」

 やっぱり、私と同じみたい。
191弱気の虫  ◆ZU7CldKWo2 :2009/09/09(水) 05:51:12 ID:QV4P55DH
「意外ね。ラブってそういうこと、考えなさそうなのに」
「うーん、やっぱり病気にかかると、弱気になっちゃうのかも」

 苦笑するラブ。普段の元気いっぱいなラブしか見ていないから、そんな彼女の姿が思い浮かばない。

「だから、せつなももしかして寂しいと思ってるかなって、急いで帰って来たんだよ」

 ニッコリと、また優しい微笑み。それにね、とラブは続ける。

「多分、今頃――――」

 言いながら、彼女は枕元の私の携帯を開いて、覗く。そしてうん、と頷いて、私に渡してくる。
 寝る時にサイレントモードにしていたから気付かなかったけれど、いっぱいメールが入っていた。友達や、お父さん、
お母さんから。その中には美希や祈里の名前もあった。
 開けてみると、どれも私のことを心配する内容。

「学校でね、せつなが病気で休みだって話したら、皆、すっごくせつなのこと心配してたよ」

 頬を涙がつたって、こぼれ落ちる。 
 やだ。やっぱり私、涙もろくなってる。
 胸がジーンとして。一通一通、見るたびにジンワリ涙が溢れてくる。

 ああ、そっか。
 私、弱くなったんじゃないんだ。
 ラブやお父さん、お母さん、友達がいることに慣れちゃってたんだ。
 だから、皆がいないことが寂しくなったんだ。
 ラビリンスでは、風邪をひくことが無いかもしれないけれど、私を想ってくれる人もいなかった。だって、ずっと一人だから。
 けど、この街では、この世界では。
 こんなにも皆が、優しい。当たり前過ぎて、忘れてしまいそうになっていたけれど。

 だとすれば。
 この寂しさも、弱気の虫も、幸せの一つ、と言えるかもしれない。

 だって、私に思い出させてくれるから。
 貴方はこんなにも愛されているのよ、ということを。

 友情や愛情は、弱さを隠す為の嘘っぱちなんかじゃない。
 それは時に人を寂しくさせてしまうけれど、でも。
 想うこと、想われることは、力になるから。一人で生きていては、絶対に出せない力を。


「ね、せつな。早く元気になろうね」
「ええ――――精一杯、頑張るわ」

 治ったら私、皆に言うわ。
 一人で生きていたら、絶対に言わない言葉を。

 ありがとう、って。
192 ◆ZU7CldKWo2 :2009/09/09(水) 05:54:43 ID:QV4P55DH
というわけでした。

皆様の燃料になれば幸いですよ。
193名無しさん@秘密の花園:2009/09/09(水) 06:18:15 ID:SZ7vpdnD
>>192

弱気のせっちゃん可愛い。GJ!
いつもながら、日常を切り取るのがお上手ですね〜。
ゆりんゆりんしてないのに、愛にあふれてて感動してしまう。

それと、連載完結お疲れ様でした。
めっちゃ読みごたえありました。

キュアシトラス見てぇw


>>177

いつも拙作なんかの補完ありがとうございます!
タイトル、【ゆずれないもの】でお願いします。
194名無しさん@秘密の花園:2009/09/09(水) 06:27:16 ID:YocMwp6u
>>184

GJです。
闘ってるのに頭がおかしくなるってwww


>>192
家に一人ぼっちのときの寂しさが伝わりました。
GJです。優しさにあふれてますね。

大型案件お疲れさまでした。
読みごたえありました。
195名無しさん@秘密の花園:2009/09/09(水) 07:14:54 ID:Z3azRIk6
読んでて色々思い出した。イース時代のせっちゃんはここでもエゲツないなw
友情のクローバーの回とか、美希ブギを邪魔とか言ってたし。
てか、ブッキー下手したら死んでる_| ̄|○

せっちゃんはやっぱパワーダウンしてる?人間界に飲まれすぎたか。
恋愛だってした事ないはず。女同士でもイイんだよ、と誰かw
ラブせつに関しては、燃料不足になる事ないな。
二人共投下ありがとう。たまには昼にも投下してくれるとありがたい。
196名無しさん@秘密の花園:2009/09/09(水) 07:40:26 ID:o9f0sdRp
そういえばブッキーは生身でラッキーを説得してたな
今考えると凄いことやってる
しかも下手するとイースに再凶暴化させられたラッキーに殺されるところだった

25話であっさりとラッキーがせつなに懐いてたのは、脚本上の都合とはいえちょっと強引だったな
結局タケシには自分の正体明かしてないから本当に許してもらえたわけじゃないし
ミユキへの謝罪無しといい、やはりアニメは女児向けの限界がある
197名無しさん@秘密の花園:2009/09/09(水) 08:40:19 ID:znH4zwrr
>>196
ワンちゃんは一度刻み込まれた上下関係は忘れないものよ

謝罪は自己補完しましょ
198名無しさん@秘密の花園:2009/09/09(水) 12:15:41 ID:C3gstSHk
>>196
某動画サイトでもほとんど同じ批判動画があったなw
25話は作画も脚本も演出もフレプリ最低回の呼び名が高い
パッション編の〆があれってのはちょっとやっちゃった感じ
個人的にはタケシのミーハーっぷりがちょっとイラっときた
199名無しさん@秘密の花園:2009/09/09(水) 12:56:21 ID:Z3azRIk6
そこでなかよし購入な訳ですね、わかります。

テレビで無かった部分が今月号もあったけど、あれを放送しちゃうと重いか子供には。
ラブせつメインでタップリ読みましたがw
200名無しさん@秘密の花園:2009/09/09(水) 13:25:45 ID:wF7KhM3l
25話はラッキーに舐められてる時のせっちゃんの声が
「イヒッ、イヒヒヒヒッ♪」
て感じでなんか萎えた。
201名無しさん@秘密の花園:2009/09/09(水) 17:36:13 ID:Bp3g797W
>>196
あれ以上は(ミユキさんへの謝罪込みで)子供には重過ぎるというのもあると思うけど、
今回のプリキュアは一般人にも存在が知れ渡ってるから、終盤に正体バレエピソードが来るんじゃね?
その時にせつなへの更なる追い込み(一般人にキュアパッション=イースとばらす等)とかやりそうな気がする
今は敢えてそれをやらないだけで、重くなっても問題の無い終盤の方に取ってるとか
(漫画は話数やページ数の都合上、今のうちに回収できる話は回収しておく意図もありそう)

痛いとこ痒いとこに割と手の届く(前の話の伏線とか些細な描写とか回収する)フレプリで、あのまま放置とも考えにくい
202名無しさん@秘密の花園:2009/09/09(水) 17:46:15 ID:C3gstSHk
あれは漫画独自の展開じゃないかなぁ
ラブ母ネタも織り込んでやってるし
全員の正体バレやった場合、それだとせつなだけにスポット当たってしまって他三人のバレ悲壮感が薄れてしまう

ところでちかちゃんに送った色紙、あれのせいで後々大変なことになるという関係者っぽい書き込みがかなり前にあったが
正体バレはその辺が絡んでくるのかね
203名無しさん@秘密の花園:2009/09/09(水) 18:12:26 ID:YE+lXQqO
>>196
まあ、「せつなは謝罪するべき」っていう考え方は女児向けだからこそ出て来るんだがな。
ドラゴンボールならベジータが一般人殺しても贖罪イベントなんかないし。
今の女児向けで本格的な悪役が寝返るってのはかなりのチャレンジだったんではないかと。
あと、漫画版は一応Pのチェックを受けてやっていることだから、もしかすると謝罪の件はアニメにも入ってくるかも。
204名無しさん@秘密の花園:2009/09/09(水) 18:16:36 ID:y9i40o5Z
>>200
俺はせつなの旭化成笑いかわいくて好きだけどな
風変わりなのは認めるが
元はイースなんだから、照れが抜けないんだろう
205名無しさん@秘密の花園:2009/09/09(水) 21:04:54 ID:FRUSSOez
現時点までの投下、及びタイトル設定完了してあります。ご確認を。

>>192
さすがでございます。まだまだ燃料は尽きませんね。実際に
放送でありそうですし、読んでて疲れません。
一人じゃないって素敵な事ね。
206MH22S ◆Tp0rBcFpoc :2009/09/09(水) 23:11:02 ID:FRUSSOez
昼は仕事で投下出来ないw ブッキー・せつな 保管庫1-997リメイク
【親友の彼女】

今日のレッスンはせつなちゃんとの組み合わせ。

普段の立ち位置は美希ちゃん、せつなちゃん、ラブちゃん、わたし。

だから、滅多にないチャンスにちょっと・・・


どきどき



「せつなちゃん、ちょっとイイかな・・・」

「ん?なぁにブッキー。」


わたしが作った練習着をせつなちゃんが着てくれてるだけでまた・・・



どきどき



はぁ・・・。これじゃまたミユキさんに怒られちゃう。
夏合宿が終わってから、妙にせつなちゃんを気にしてるわたしがいて。
最近では意識しすぎてダンス練習も身に入らず・・・。


「どうしたのブッキー。ぼーっとしてるけど。」

目の前には不思議そうにわたしを見つめるせつなちゃん。

「わっ!あ、いや、その・・・」
かわいいよぉ。せつなちゃん、ほんとかわいい・・・。
207MH22S ◆Tp0rBcFpoc :2009/09/09(水) 23:12:13 ID:FRUSSOez

ぎゅうぅっ


気が付くとわたしはせつなちゃんを抱きしめていた。


「きゃっ!」
突然の事にびっくりするせつなちゃん。わたしも何でこんな事しちゃったかわからず。


「あっ!しーーーっ。静かに・・・。ラブちゃんたちに声聞こえちゃうから・・・。」
無我夢中だったのかも。今しかない!と、言うか。


ほんの数秒の出来事だったんだけど、わたしにはもの凄く長い時間に思えて。
せつなちゃんの顔はその時見る事は出来なかったんだけど。


せつなちゃんの体を離すと、聞こうと思っていた事を思い出す。



「せつなちゃんて、ラブちゃんの事・・・」
最後は声にならなかった。わたしが聞いといておかしいんだけど、聞くのが怖かったと言うか。


「ラブがどうかしたの?それよりブッキー、何で私を抱きしめたの?」
問うどころか、逆に質問されてしまい、わたしは行き場を無くして。


「あっ、あの・・・、その・・・、ラブちゃんが羨ましいなぁと思って。」
せつなちゃんを独り占めしてるんだもん。私の本音が私の体を動かしたんだと思う。
208MH22S ◆Tp0rBcFpoc :2009/09/09(水) 23:12:56 ID:FRUSSOez
「羨ましい?どして?」
わたしの感情など理解出来るはずも無く。せつなちゃんはほんとにピュアだから。
それもまた彼女の魅力。


「せつなちゃん・・・。時間のある時でイイから。たまには・・・、わたしも構って欲しい・・・」
叶わぬ想いであると知りながら、つい言葉にしてしまった事を後悔する。

と、同時に一粒の涙が目からこぼれた。



「ブッキー?何で泣いているの?」


「ごめんなさい。へんな事したり、聞いたりして。でもね、わたしだってせつなちゃんの事・・・」


難しい顔に変わったせつなちゃん。わたしさっきから何してるんだろう。せつなちゃんは困ってるのに・・・。



「私、どうしていいかわからないわ。でも、今日の練習、精一杯二人で頑張りましょ!」
難しい顔から一転、今度はその明るい笑顔と声にわたしは救われた。泣いてしまった事も反省。



「そーだよね。頑張ろっ!二人なら上手に出来るって私、信じてる!」


せつなちゃんは不思議な魅力を持った子。ラブちゃんよりも早く出会いたかったな・・・

〜END〜
209名無しさん@秘密の花園:2009/09/09(水) 23:43:09 ID:SZ7vpdnD
>>208

ぬああぁぁグッジョブ!
貴方様のお書きになったブキせつ好きだな〜。

読んだあと妄想が広がるのなんの…

夫婦円満だが、やや倦怠期気味なラブせつ。そんな中、せつなに近づき無理矢理身体を奪い、なし崩し的に不倫に突入するブッキー。
「ラブちゃんには言わない。だから私とも逢って」

ふたりの関係に気づいたラブは、せつなを愛して過ぎているため問いつめることができずに、毎晩せつなの身体を求めてしまう。

ある日、ブキせつの逢瀬を目撃し深く傷ついたラブは、壊れかけた心をひきずるように美希に逃げ場所を求め、その身体を貪るのだった…。

今日休みだったのに、自宅に引きこもって一日中こんな妄想してた自分オワタ
210YM:2009/09/09(水) 23:48:25 ID:0G29m6XN
初投下になります。
wikiでは少数派のようですが、美希ブキが
好きなので書いてみた次第です。

タイトルは『message for you』で。
211YM:2009/09/09(水) 23:49:36 ID:0G29m6XN
「えぇ〜っ!?」

 金曜日の放課後。
 いつものドーナツカフェに、美希と祈里の叫びが響いた。

「せ、せつなちゃんに…」
「ラブレターですって!?」
「そうなの〜! あたしもビックリだよ!!」
「???」

 当のせつなは、今一つ状況を呑み込めない顔で、ドーナツを齧る。

「しかも送り主は、ちょーイケメンで有名な3年生!
 この前引退するまでサッカー部のレギュラーで、女子人気ナンバーワン!
 そんな人から、せつな宛のラブレターが来たんだよっ!
 けさ学校に行ったら、せつなの下駄箱に入ってて…」

 我が事のように目を輝かせ、状況を説明するラブ。
 美希は興味津々といった風情で、

「で…せつな、返事はどうするの?」
「返事?」
「ラブレターの返事よ! まさか、もうOKしちゃったとか?」
212YM:2009/09/09(水) 23:50:23 ID:0G29m6XN
 テーブルから身を乗り出す美希に、圧倒されるせつな。

「へ、返事って言われても…手紙は読んだけど、よく分からなかったし…」
「え?」

 その言葉に、美希は一瞬固まってしまう。
 “よく分からないラブレター”。
 そんなものが存在するのかどうかの方が、美希にはよく分からなかった。
 言い回しが、やたら難解だったのだろうか。
 それとも、字が雑だったか、逆に達筆すぎて読めなかったとか…?

「よく…分からない?」
「ええ。“つきあってください”って書いてあったんだけど、
 何につきあってほしいのか、書いてなかったのよ」
「は?」
「一緒にサッカーをやりたいってことなのかしら?
 でも私、サッカーのルールってよく知らないし…。
 あ、それとも、私たちと一緒にダンスを習いたいとか…。
 まさか! 私の正体を知っていて、プリキュアになりたいとか…!?」
「…ラブ、ちゃんとせつなに説明した?」

 ラブはポリポリと頭をかきつつ、

「え、え〜っと…タハハ、説明してませんでした…」
「やっぱり…あのねせつな、ラブレターっていうのは、
 自分の好きな人に想いを伝える手紙のことなの。分かる?」

 呆れ顔で説明する美希。

「好きな人に…伝える手紙…」

 せつなはしばらく考え込んでいたが、やがて、

「…うん、分かったわ」

 と、力強く頷いてみせる。

「よしっ! さすが、アタシの説明、完ぺ…」
「私、ラブに手紙を書くわ」
「…はい?」
「もちろん、美希やブッキーにも手紙を書くわ。
 私、みんなのことが大好きだもの!
 好きな人に手紙を書くのが、ラブレターなんでしょう?」

 その答えに力尽きた美希は、テーブルに思い切り突っ伏した。
213YM:2009/09/09(水) 23:51:22 ID:0G29m6XN
「み、美希たん!?」
「美希、どうしたの?」
「ごめん…ラブ、アタシ限界。後の説明は任せるわ…」
「う、う〜ん…えっとね、せつな、ラブレターっていうのは…」

 身振り手振りを交えつつ、熱心に説明するラブ。
 せつなは小首を傾げつつ聞いていたが、首の傾きが次第に大きくなる。 

「だからね、好きな人っていうのは、そういう意味じゃなくて、もっと他に…」
「他に好きな人…? あ、私、ラブのご両親も好きよ。とても優しいもの」
「だから、そうじゃなくって…あ〜!」

 どうしてよいか分からず、頭を掻きむしるラブ。
 そんな二人のやりとりを見つめつつ、美希は苦笑混じりのため息をついた。

「はぁ…こりゃ、手紙書いたイケメン君も災難だわ。ねぇ、ブッキー?」
「………」
「ブッキー?」
「えっ!? あ、ごめん美希ちゃん、何の話だったっけ…?」
「ラブレターの送り主の話よ。ブッキー、どうしたの?」

 美希が尋ねると、祈里は小さく頷く。

「うん。すごいなぁ…って」
「転入してから、一ヶ月も経ってないのにね。でも、当の本人があの調子じゃ…ねぇ」
「あ、ううん、そうじゃなくって」
「そうじゃ…なくって?」
「手紙を書いた先輩さんが、すごいなぁって」

 意外な視点での評価。
 思わず美希は、目を丸くする。

「すごい…って、何が?」
「うん。だって、断られるかもしれないのに手紙を書いて、
 せつなちゃんに送ったんでしょ?」
「まぁ、そうよね」
「私には、絶対真似できないなぁ…って思って。
 好きな人に手紙を書いて、想いを伝えるなんて…」

 遠くを見つめて、呟く祈里。
 ところが、

「えっ、なになに? ブッキー、好きな人いるの?」
「え、えぇっ!?」

 突然話題に喰いついてきたラブに、思わず祈里は後ずさった。

「え、あああの、別に、いるというか、いないというか…」
「どんな人? あたしたちも知ってる人だったりするの?」
「えっと、その、知ってるというか、知らないというか、その…」
214YM:2009/09/09(水) 23:52:06 ID:0G29m6XN
 誤魔化しきれず困り果てる祈里に、美希が助け船を出した。

「ラブ、別にいいじゃない。誰だって、好きな人くらいいるわよ」
「え、美希たんも好きな人いるの?」

 美希は一呼吸おいて、いつもの口調で言った。
 一瞬だけ、祈里に視線を移したように見えたが。

「…まぁね。誰なのかは、とりあえずナイショ、かな」
「えっ…」
「えぇ〜! いいじゃん美希たん、教えてよ〜!」
「ダ〜メ。ラブみたいなお子ちゃまには、まだ早いわよ」
「ひっど〜い!」

 口を尖らせるラブ。
 だが、美希の口調から、恐らく冗談だとでも思ったのだろう。
 決して、本気で怒ってはいないようだった。
 そんな二人の会話を見ていたせつなが、ある異変に気付いた。

「…ブッキー、大丈夫?」
「え…?」
「顔、真っ青になってる。気分でも悪いの?」
「あっ…ううん、大丈夫。ゴメンね、せつなちゃん」
「そう? それなら、いいんだけど…」
「もう…帰ろっか?」

 珍しく、真っ先に席を立つ祈里。
 ラブと美希も、腕時計に目をやる。

「あら、もうこんな時間…」
「そうだ、今日の夕食、ラブが作るんでしょ?」
「あ、そうだった。買い物して帰らなきゃ! せつな、つきあってくれる?」
「ええ。こういうのも、ラブレターになるのかしら?」
「だから、そうじゃないってば…」

 不毛なやりとりを繰り返す、ラブとせつなだった。

「そうだ! みんな、明日は予定空いてる?」
「明日? 美希たん、何かあるの?」
「ほら、ミユキさんがお仕事で、レッスンはお休みでしょ?
 アタシは午前中だけ雑誌の撮影があるけど、午後は暇だから…。
 みんなで、久々に買い物でも行こうかなって」
「あちゃ〜…ゴメン美希たん、あたしとせつなはパス…。
 明日は、家族みんなで出かける予定があるの」
「そっか…ブッキーは?」
「え、あ…その…私も、ちょっと用事が…」
「ブッキーもダメか…しょうがない、和希にでも電話しよっかな」

 ちょっと残念そうに微笑む美希。
 その美希から、祈里は逃げるように視線を外した。
215YM:2009/09/09(水) 23:52:39 ID:0G29m6XN
その日の夜。
 自室で一人、ため息をつく祈里の姿があった。

『美希たんも、好きな人いるの?』
『まぁね』

「美希ちゃん…好きな人、いるんだ…」

 考えてみれば、当たり前のような気もする。
 美人で、優しくて、大人っぽい美希のこと。
 好きな相手どころか、恋人がいても全然不思議じゃない。
 その“誰か”と腕を組んで歩いたり、デートしたり…。
 想像すると、目の前が真っ暗になるような錯覚に襲われる。

「そうだよね…美希ちゃんなら当然、だよね…」

 机の引き出しを開ける祈里。
 中にあった封筒を見て、ため息をまた一つ。
 半年以上、机に入れられたままの封筒。
 その中に封じ込められた想い。
 伝えられない、許されない、想い。
 祈里自身は、そう思っていた。
 そして。
 封筒には、宛名が記されていて。




「 蒼乃美希 様 」




〜 To Be Continued 〜
216YM:2009/09/09(水) 23:53:26 ID:0G29m6XN
とりあえず、ここまでです。
続きはまた後日。
お目汚し、大変失礼しました…。
217名無しさん@秘密の花園:2009/09/09(水) 23:59:54 ID:YocMwp6u
>>216

GJっす。
初投下とは思えないくらいうまいです。
218名無しさん@秘密の花園:2009/09/10(木) 01:34:33 ID:N6LYXzjK
>>216
GJです!!!
これは続きが気になる…!
美希ブキ好きだ。
219名無しさん@秘密の花園:2009/09/10(木) 01:52:24 ID:+KWQPlqm

イ  |    l  |―- 、\ \     |  \\  ヽ     |   l| N /
 〉  |    l  |  ,≧zト \ \   |  ィ≦\\  |    |   l| N{
 } /ハ     \ |y/斥テh!  ̄ \  l´/斥テh!Yキ |    /  l| Nヽ     この感じ・・・
ノ 8 ヽ.    | Y {{:::しリ;l|     `¨` {{:::しリ;l| }}V   /    l| 8 \
  〇  \   | ハ 弋;;少           弋;;少 ノ |   /l    l| 〇  \
  ハ    l\ ヽ ゝ 二´          `二 ィ ノ /ノ     l|  ハ    }
―――――───────────────────────────────
                |: : l :|: : : : : : : : : : /: :/         _  -‐\: : :|: : : : :|| : :
                    l: : V|: : : : :/: : : :/: :/`\      /´-―- ハ: :|: : : : : ||: :
                  \/゙|: : : : |: : : :/ィ笊示ミy        ィf笊示ミメy: :|: : : : : !/: : :
 もしかして・・・            l |: : : : |: : :/{:爪_ノリ     /     {:爪_ノリ}  V|: : : : :ハ: : : :
                  ヽ|: : : : |: :/` ー--‐      l    ‐---一 '´ |:|: : : :/ 厂: :
                       |: : : : |:/              |               j:j: : :/ ノ: : : :
────────────────────────────────────
 l    /  :|  /   \l | \     /:.:./ レノ/ヽ  |.:  l |  ヽ \ |
ノ|   l   :.:.、 ! y≠劣トlー  l   /:/,≠劣ミメ、 } /.:  l/   \ }ノ
:ノ  !  :.:.:.l\|/ /{{_ }i|   l /´   |i{{_ }ハ Yリ.:.:  /       V
    人  :.:.! {{ {入__r〈  ノ'´    {入__r〈  }}.:.:  /l      |  SS祭り・・!?
   {:.:.:.\ :.:\   ゞ==’           ゞ==’  /.:. / /:.       /
   }:.:.:.:.:.:{` T¨` `^^¨´         `¨^^´ナナ´ /.:.:.:.    /
220名無しさん@秘密の花園:2009/09/10(木) 04:29:33 ID:qHStoNaf
>>216
GJ!
初めてって・・・ほんとか・・・??
4人の性格、設定、よく活かされてるっすね〜!せっちゃんがラブレター貰う話は話題に上がったことがありますが、SSのネタにされたのは初めてじゃないでしょうか?おもしろかったです
221名無しさん@秘密の花園:2009/09/10(木) 06:39:34 ID:ntYvFjG1
>>206
ブッキー可愛すぎるよ。朝から胸キュンだよ…。どうか幸せになっておくれ。
毎日投下ありがとうございます。お仕事頑張ってwww

>>210
>>206の後に読んだから続きみたいに思えた。失恋した後に美希たんの魅力に気付いて…。
勝手すぎるかw
てかせつなどんだけww
222名無しさん@秘密の花園:2009/09/10(木) 07:15:04 ID:cU5l4VjT
>>215
美希ブキすきです。続きまってます!!
223名無しさん@秘密の花園:2009/09/10(木) 07:56:23 ID:wspY4Ghn
>>216

イース「初めて…だと?信じられないな、GJ!」

ラブ「そうだよね!スッゴク上手い〜」

祈里「なんで私の心のなかが>>216さんには見えるのかなぁ?」

タルト「よっぽどパインはんの気持ちがバレバレなんやろうな」

シフォン「プリプ〜!」

せつな「ねぇ美希、ラブレターって、ラブの書いた手紙のこと?」

美希「だから違うから!」

祈里「続きが気になるわ、今夜投下あるかしら」

ラブ「きっとあるよ!ワクテカだね〜」

美希「アタシ授業が手につかないかも…」

祈里「あぁっ美希ちゃん!鼻血出てるよ!」

せつな「どして?」

イース「これだから人間というヤツは…!」

224名無しさん@秘密の花園:2009/09/10(木) 08:09:39 ID:ntYvFjG1

面白いなw保管対象になるぞ
225名無しさん@秘密の花園:2009/09/10(木) 12:13:00 ID:ntYvFjG1
そーいえば誕生日設定ってあったっけ?結構重要なイベントだよなー。この板的にも。
226名無しさん@秘密の花園:2009/09/10(木) 13:13:05 ID:wspY4Ghn
あくまでイメージだが


ラブは早春、桃の花の咲く頃に産まれた。あゆみふんばった。

美希は夏の朝、紫陽花が朝露に濡れてる涼しい時間帯。

ブッキーは秋かな。木枯らしが吹いて、落ち葉がひらひら舞って。

せつなはアカルンに出会いパッションに産まれ変わった日。放送日になるのかな?

イースは冬。管理社会ラビリンスに季節があるのかわからんが、あの国はいつも寒そうな感じ。
227名無しさん@秘密の花園:2009/09/10(木) 14:19:44 ID:Z45HWsO5
ラビリンスはまんまPCとかの基盤がモデルだったな
インフィニティが無限メモリといい、アーキテクチャ的な要素満載なんだろ
下手するとマトリックスばりにアーキテクトみたいなのが出てくるんじゃないか
228名無しさん@秘密の花園:2009/09/10(木) 18:59:05 ID:Zrh4q7W8
前になにかで読んだ「せつなが桃園家に来た日がせつなの誕生日」みたいなSSがよかった
229名無しさん@秘密の花園:2009/09/10(木) 19:27:01 ID:ntYvFjG1
>>226
ラブママGJとか言わないよwでもその設定何かイイね。

せつな誕生日SSは保管庫ある?それともサイトのかな?探してみるか
230名無しさん@秘密の花園:2009/09/10(木) 19:49:01 ID:qHStoNaf
そうだ!それはサイトのだ!おれは信じてる!>>229が例のサイトにたどり着けること!
231名無しさん@秘密の花園:2009/09/10(木) 22:59:22 ID:ZIiFfRjU
>>209の妄想がツボったので一つ書いてみた。
ブキが無理矢理せつなをって部分ね。


エロありです。勝手に>>209に捧げるwww
かえってイメージ崩したらすまん。
232名無しさん@秘密の花園:2009/09/10(木) 23:00:08 ID:ZIiFfRjU
(これでよし、と…。)
祈里は慎重にゼリーを型から外し、器に盛り付ける。
硝子の器には直径5センチ程の色とりどりの球形のゼリーが並んでいる。
いかにも女の子が喜びそうな可愛らしい見た目と裏腹に、
中身は殆んどが高アルコール度数のテキーラ。ネットで偶然レシピを見付けた。
度数の高いお酒に濃く甘い味を付けて、球形の氷を作る型に入れて、固める。
見た目の可愛らしさに騙されて口にすると…アルコールに慣れていない人は
数個でメロメロに酔い潰れて、ちょっとやそっとの刺激では目も覚めない、らしい。
一部では有名な大人のナンパアイテムだそうだ。

もうすぐせつなが家にやって来る。ひとりで。
少しくらいおかしい、と感じても生真面目なせつなの事だ。
手作りだと言えば残さず食べてくれるだろう。


(ごめんね。)
自分のしようとしてる事。とても現実とは思えない。
良心の呵責と罪悪感。でもそれ以上にゾクゾクするような興奮と高揚感。
でもこうでもしないと、あの人を手に入れる事はできない。
心は、とうに諦めた。だから、せめて体だけでも。どんな卑怯な手を使ってでも。
例えそれが、取り返しのつかないほどの傷を伴うものでも。
233名無しさん@秘密の花園:2009/09/10(木) 23:04:04 ID:ZIiFfRjU
「お邪魔します。」
せつなちゃんは相変わらず堅苦しいくらい礼儀正しい。
玄関でお母さんに挨拶したんだから、わたしの部屋に入る時までいいのに。


「今日もラブちゃんは補習なの?」
「そうなの。小テストの結果が悪かったんですって。でもラブったら、
勉強嫌いなのにわざわざ勉強の時間増やすような事するの、どして?」


どうやら、一度で合格すれば余計な時間を使わずにすむのに、そうしないのが
不思議らしい。
皮肉ではなく本当にそう思ってるらしい表情に、少しラブちゃんに同情する。
そううまく行くもんじゃないのよ、せつなちゃん。

暫し他愛ないお喋りに興じる。しかし内心は気もそぞろだ。


「そうだ、おやつ食べない?初めて作ったヤツだから味の保証は出来ないけど。」


何気無いふうを装い、例のゼリーをせつなちゃんの前に置く。
不自然にならないように自分の前にも同じ物を。
ただし、わたしのは本当にただのゼリーだけど。


「これなあに?すごく綺麗ね。」
警戒心のない笑顔で問い掛けられ、少し胸の奥がチクっとする。
「えっとね、少しお酒の入ったゼリーなの。ちょっぴり大人の味?」
「へぇ、ブッキーは何でも器用に出来てすごいわね。」


一つ、スプーンで掬って口に運ぶ。少し、せつなちゃんは驚いた顔をする。


「んっ…、結構、お酒効いてるわね。」


そりゃあ、そうよ。殆んどテキーラなんだもん。


「ホント?ごめんなさい。苦手だったら残してね?」
「平気よ。ちょっとびっくりしただけ。すごく美味しい。」
せつなちゃんは続けて口に運ぶ。
こういう言い方をすれば、彼女は断れない。それを分かってて言うんだから、
ずるいな、わたし。


わたし達はお喋りしながらゆっくり食べる。わたしはもう食べ終わった。
せつなちゃんの器には、後一つと半分。
せつなちゃんの顔を見ると眼が熱っぽく潤み、頬が紅潮している。
会話の受け答えが緩慢になり、かみあわない。
かなり、効いてるみたいだ。
234名無しさん@秘密の花園:2009/09/10(木) 23:06:31 ID:ZIiFfRjU
「せつなちゃん、まだ残ってるよ。」


食べさせあげる。そう言ってわたしはスプーンで残りを口に運ぶ。


「あーん、して。」


彼女は虚ろな眼で、素直に口を開く。つるり、とゼリーが滑り込む。
開いた唇から白い歯と、奥にピンクの舌がチラリと見えた。
それがなぜかすごくイヤらしく感じてイケナイものを見てしまったような気分になる。


程なく彼女はわたしのベッドにもたれるようにして、うとうとと船を漕ぎだす。
寝るなら、ちゃんと横にならなきゃ…彼女を気遣う素振りで手を貸し、
そっとベッドに横たえる。
もう、そんなわたしの声も届いていないようだ。
ベッドの感触に安心したのか、すぐに規則的な寝息が聞こえ始める。


それから五分、十分…聞こえるのは彼女の寝息と時計の音。
そして、外に聞こえてしまいそうなくらいの自分の鼓動。


肩を揺すり声をかける。
「……せつな…ちゃん…?」
軽く頬を叩いてみても全く反応しない。
眼が、自然と規則正しい寝息を立てる唇に吸い寄せられる。
(…おいしそう……)
ペロリ、と唇を嘗め、ちゅっと音を立てて吸い付く。甘いゼリーの味。
鼻をアルコールの匂いが掠め、自分まで酔ったような気分になる。
制服のネクタイをほどき、シャツのボタンを外して行く。
白い肌が露になり、年に似合わぬ豊かな胸が現れる。
背中に手を回し、ブラのホックを外す。
無理に手を差し込んだせいで、せつなは身動ぎ、軽く呻いて寝返りをうつ。
その隙に半袖シャツの腕からブラの肩紐を外し、ブラを完全に脱がせる。


(綺麗……)
再びせつなを仰向けにして、ゆっくりと乳房を手のひらで包み込む。
柔らかい、それなのに力を入れると指が押し返されそうな弾力のある感触に
祈里は陶然とする。
(気持ちいい……せつなちゃんの胸。)
235名無しさん@秘密の花園:2009/09/10(木) 23:08:33 ID:+KWQPlqm
>>209
そのアイデアで作ってみたい・・・。が!H描写が激しく苦手orz
この板はほんと、いろんな組み合わせが出来るからイイですわぁ。

>>216
凄いなぁ・・・。せっちゃんの天然ぷりからブッキーの一途な片思い
までの構成力。今夜も投下してくれるって私、信じてる!

>>223を保管するにはどこに分類しましょう?YMさんのおまけがイイのかな?

誕生日設定無いんですよ。設定資料集に載ってるか!?と期待してたんですが。
>>226さんのイメージでSS作れそうです!

ここまでのは保管してあります。確認して見て下さい。雑談もSSも
毎日が祭りなら・・・、疲れるかw
236名無しさん@秘密の花園:2009/09/10(木) 23:09:51 ID:ZIiFfRjU
最初は乳房を撫で回すように、次第に力を加えゆっくりと揉みしだく。
先端が徐々に尖り、ぷつりと手のひらに当たる。


「……ん…んん…、ふぅ…」
吐息に微かに声が混じる。乳首が擦れる度、息が上がってくる。


(殆んど意識ないはずなのに…。)
明らかに感じてるらしい反応に祈里の愛撫が大胆になってくる。
可愛い桃色の乳首は摘まんで捏ねると、だんだん色づき弾けそうなくらい
張り詰めてくる。
唇で挟み、舌でくすぐり、軽く甘噛みする。


「んあ…、はぁっ…あっ…んっ…んぅ…」
祈里の舌が、指が動く度にせつなは切な気な吐息を漏らし、身を捩る。
(…本当に、眠ってるの…?)
反応の良さについ、そんな事を考えてしまう。
でも意識があったら抵抗しないはずないのに。
胸元に顔を埋めたまま、そろそろと太ももを撫で、下着に手を潜りこませる。
秘裂を指でなぞると、そこはもう、蕩けるように熱い。
中指が軽い抵抗を受けながら呑み込まれる。
待ち兼ねたように蜜が溢れ、肉が絡み付いてくる。


くちゅくちゅと卑猥な音を立てて熱く狭い肉の中を探る。
こんなにされても起きないのか…、胸元から顔を上げ、せつなの様子を窺う。
せつなはきつく眼を閉じたまま微かに眉を寄せ、下腹部の感覚に集中している…
ように見える。
指を入れたまま、性器の上にある突起を摘まんでみる。
せつなの体がビクンと跳ね、中がきゅうっと締まる。

「…あっ、あっ、あっ…はっ…あんっ…ああっ」
小刻みに体が震え、ひときわ声が高くなってくる。

普段の低く、落ち着いた声とは違う、鼻に掛かった甘えた声音。
確かに同じ声のはずなのに。


ビクッと大きくせつなの体が震え、力が抜ける。
(もしかして、イッちゃった…?)
237名無しさん@秘密の花園:2009/09/10(木) 23:12:39 ID:ZIiFfRjU
荒い息遣いで胸を喘がせているせつなに口付ける。少し迷って
軽く舌でせつなの歯を抉じ開ける。
せつなの方から舌を絡めてくる。それに応えるよう、強く祈里も舌を絡める。
ただただ、嬉しかった。自分の拙い愛撫でせつなが達し、口付けに応えてくれる。


「……ラ…ブ、んんっ…ラブぅ…」


心臓を冷たい手で鷲掴みにされた気がした。思わず体が強張る。
せつなはそんな事にも気付かない風に、祈里の背中に腕を回し
愛し気に抱き締める。


(…なんだ…、ラブちゃんと間違えてるんだ。)
道理で抵抗しないわけだ。愛しい恋人の愛撫なら、逆らう理由なんてない。


せつながうっすらと眼を開けそうになる。祈里は慌てて、手のひらで
せつなの瞼を覆う。


「……せつな…可愛い。大好き…」
そう、耳元で囁く。
「いい子ね…、お休み……。」


せつなは安心したかのように、また静かな寝息をたて始める。


(これから……どうしようか……?)
祈里はせつなが目を覚ました後の反応を想像する。
自分を抱いていたのがラブではなかったと分かったら……。
信頼していたはずの親友が、自分を騙して犯したのだと知ったら。


(…このくらいで、壊れたりしないよね?せつなちゃんは強いもの。)


祈里は椅子に腰掛け、せつなを見下ろす。
わざと着衣は乱したままにしておく。


(…早く、起きないかな…。)


祈里はゆっくりと微笑みを浮かべる。これからの事を思い浮かべながら。
238名無しさん@秘密の花園:2009/09/10(木) 23:16:07 ID:ZIiFfRjU
以上、勢いで書いた。反省はしてない。


でも、急なアルコール接種は危険だから、よいこは真似しないでね。
フィクションだから多目に見て。


しかし、せつなが不憫だ。ブキ黒いし。


タイトルが思いつかないんだけど、どうしよ。
239名無しさん@秘密の花園:2009/09/10(木) 23:16:07 ID:G1xR9H07
アルコールはゼラチンが固まるのを邪魔するから、酔っ払うほど入れたら
ゼリーは固まらないんだぜ
寒天なら大丈夫だけど
240名無しさん@秘密の花園:2009/09/10(木) 23:21:56 ID:ZIiFfRjU
>>239、そうなんだ。知らんかった。じゃあ寒天って事で脳内補完しといて。

実際作ってるルポ?みたいなの読んだ事あるんだけど、あれ寒天だったのか。
確かに写真でも固そうな感じで、ゼリーよりは寒天っぽかった気がする。
241名無しさん@秘密の花園:2009/09/10(木) 23:23:58 ID:mp5PtNvp
>>238

GJ。ブッキー黒すぎ。
この後どうなるのか...

せっちゃん目覚める
パニくってスイッチオーバー
私が味わった以上のFUKOを吸い取ってやる
ああもっと踏んでください
踏んでもFUKOにならないのかこいつは


こうなるんでしょうかわかりません><
242209:2009/09/10(木) 23:52:44 ID:wspY4Ghn
>>235

>>223の保管場所はYMさんのおまけがイイな。


>>238

捧げ物受け取った>>209だが、危ねぇ…萌え殺されそうになったぜ。…グッジョ〜ブ
黒ブキのエロ具合が凄くて、幸せの余り泣き笑いしてしもうた。
テキーラゼリーとかもう想定外だし。
願わくば我が妄想の続きを投下していただけないでしょうか。
全裸で待機しててイイ?
243名無しさん@秘密の花園:2009/09/11(金) 00:04:23 ID:kM3Ld0to
>>242
服は着ろww

喜んで貰えたなら光栄だ。妄想の続き(せつなお目覚め編)は考え中だが
今日はもう無理ww なるべく明日投下できるよう頑張るよ。
エロはないかも知れんが。

ID変わっちゃったけど、>>238でした。
244名無しさん@秘密の花園:2009/09/11(金) 00:41:23 ID:ouj/c1UY
こりゃ18禁だわなwww久し振りのエロあんがと。
245YM:2009/09/11(金) 01:03:28 ID:jCMiehcL
美希ブキ編を書いた>>216です。

たくさんの感想をいただき、ありがとうございました。
早速続きを…といいたいところですが、仕事の関係で
なかなか時間がとれません。
申し訳ありませんが、もう数日猶予をください…。
246MH22S ◆Tp0rBcFpoc :2009/09/11(金) 01:06:55 ID:q0aSe0sd
YMさん、楽しみに待ってます!その間は自分がセットアップしておきますw

【温もりを感じて】
あの時のアタシは醜かった。柄にも無い感情がアタシを包み込んだ。


せつな・・・、いやイースは間違いなくラブを倒そうと拳を握っている。
阻止しようとアタシとブッキーも拳を構えるが、それを拒む一人の少女。


「どうして!?」



「これは・・・、あたしたちの戦い・・・。」


わからなかった。アタシたちはずっと一緒だった。幼馴染み、親友、そして・・・。


悔しくて、歯がゆくて。
ブッキーは最後までその戦いを見届けた。アタシは途中までの
記憶しかない。記憶よりも・・・


              
              ジェラシー



ラブが遠くに行っちゃう気がして。それも敵であるイース、東せつなと共に。


4人でいる時は気が付かなかった。
けれど・・・
247MH22S ◆Tp0rBcFpoc :2009/09/11(金) 01:07:38 ID:q0aSe0sd
ラブはせつなの事が好きなのかもしれない。あなたを裏切った人間なのに。




戦いが終わり、ラブの家へ戻る3人にいつもの笑顔は無かった。特にラブの落ち込みようは
計り知れないものがあった。見ているこっちも辛くなる。が、アタシは心を鬼にした。


「しっかりしなさい!」

昔からそうだった。ラブとブッキーのお姉さん的役割。


ホントは嫌だった・・・。
アタシだって一緒に落ち込んだり、泣いたりしたかった。



一括するとラブは必ずアタシに抱きついてくる。小さい頃は、その姿が妹のように見えた。


大きくなるにつれ、色々な事で悩み、考え、落ち込み、泣いて。その度にアタシの元へやってきたラブ。


気が付くと、その光景はアタシの片思いに変わっていた。


ラブを助けたい・・・、愛してあげたい・・・と。



「ごめんね、美希たん・・・。」
アタシの胸の中で顔をうずめるラブ。そっと抱きしめる。


あたたかい。
248MH22S ◆Tp0rBcFpoc :2009/09/11(金) 01:08:19 ID:q0aSe0sd
「話し合えばきっと分かり合えるって私、信じてる!」
ブッキーの言葉で我に帰る。ラブは今、せつなの事で頭が一杯なんだ・・・。



自分の感情は押し殺してきたつもり。
いつだってアタシは完璧でいたい。

再び、揺らいだ心を落ち着かせる。


「ほら、元気出して!納得するまでとことんやってみればイイじゃない!」


「うん!美希たんありがとっ!」


ラブの温もりを感じて。いつまでもこのままでいたかった。

だって、あたたかい気持ちが、嫉妬する心を溶かしてくれると思ったから・・・。



けど、見守るのもアタシの役目。


そして、いつか・・・



 次回、ブッキー視点で描きます。
249名無しさん@秘密の花園:2009/09/11(金) 01:14:29 ID:q0aSe0sd
>>238
H描写書ける人尊敬します。保管してあるので、タイトル決まったら
教えて下さいね。

ラブ×美希の甘いor甘酸っぱいSSどなたか・・・。自分以外の作品を
是非読んでみたいのです。おねがーい(祈里風
250名無しさん@秘密の花園:2009/09/11(金) 01:18:31 ID:40W2UUTJ
>>248

ぬぉおぉ…この展開は…

せつな→←ラブ←美希←ブッキーですか…

実にけしからん!見事に甘酸っぺぇ!
GJ!

両思いもイイが、片思いもキュン死しそうw
251名無しさん@秘密の花園:2009/09/11(金) 01:30:14 ID:40W2UUTJ
>>249

まず描くんだ…妄想しながら、頭の中で想像したキャラ達の動きを、スケッチするように文章に起こす。

描くうちにだんだん筆がノッてきて、いつのまにかキャラ達が勝手に愛を交わしはじめるのだ。
252名無しさん@秘密の花園:2009/09/11(金) 01:34:02 ID:ouj/c1UY
>>248
エロの次は片思いかー。今日は住人を寝かせないつもりかいw
もち良いお仕事だ!明日も期待age

てか深夜だけ盛り上がる板ってトコがやっぱ18禁なんだよなwww
ネタは幼児向けアニメなのに。
253名無しさん@秘密の花園:2009/09/11(金) 02:13:24 ID:eRNuDx57
>>252
まあ、平日昼間は仕事の人が多いみたいだからね
254名無しさん@秘密の花園:2009/09/11(金) 02:42:49 ID:8va9i6PC
>>250さんの言う通り
せつな→←ラブ←美希←ブッキーだとしたらもうたまらないな。
それこそ全裸で待機するレベル。

このパターンが個人的には一番好きなんだ。
255 ◆ZU7CldKWo2 :2009/09/11(金) 03:43:01 ID:TXvnLqd9
>>193-194 あちらも読んで頂いて、ありがとうございます。
>>195 会社のパソコンから2chに書き込み出来ないので・・・・・・というか、百合板は規制対象なのか、
     見ることすら出来ないよ|ω・`)
>>205 この数日のSS祭りを見たら、燃料不足なんてことが無いことはわかりましたw


そういうわけで、久々に百合。ガチで、ただしR-18ではありません。ホント、>>238さんみたいな人を尊敬します。

祈里→ラブで。

『star story』
256 ◆ZU7CldKWo2 :2009/09/11(金) 03:44:06 ID:TXvnLqd9
 いつも一緒にいられるあなたを。
 羨ましいと思う。



「それじゃブッキー、まったね〜」
「さよなら、ブッキー」
「うん。ラブちゃん、せつなちゃん。バイバイ」

 胸の前で小さく手を振る。今日の日は終わり、わたしは薄暗闇の帰り道を歩く。冬の太陽が落ちるのは、
ホントに早い。吐く息は白く、汗をかいた体は、上にコートを羽織ってもまだ寒い。
 ダンスレッスンは、今日もハードだった。ミユキさんは優しい人だけど、レッスンの時はホントに厳しい。
容赦が無い感じ。
 もちろんその分、自分の上達は肌で感じられる。引っ込み思案のわたしだけど、ラブちゃん達と一緒に
ダンスを始めて、本当に良かった。

「クシュン」

 そんなことを考えていたら、くしゃみが飛び出した。ズズ、と鼻をすすって、身震いする。やっぱり、汗を
たくさんかいたから、体が冷えてるのかな。早く帰ってシャワーを浴びないと。
 少し歩みを速くする。その理由は、けれど寒いからというだけじゃなかった。いよいよ太陽が隠れていって、
どんどんと闇が深くなってきたからだ。街灯にも灯が入り、本格的に夜になっていく。
 お化け屋敷はあんまり怖くないけれど、夜の暗さはちょっと怖い。一人だと余計に。
 そう。今日はわたし一人。いつもは美希ちゃんと一緒に帰っているのだけど、今日は美希ちゃん、お仕事で
レッスンをお休みしてたから。長く伸びる影も、一人ぼっち。それもだんだんと、夜に溶けていって。
 一人。孤独。
 だから、かな。
 余計なことを考えてしまう。

 ラブちゃん――――と、せつなちゃんのことを。

 今頃、二人で帰ってるんだろうな。
 一緒に住んでる家に。
 楽しく話しながら、笑いあいながら。
 きっと二人なら、夜だって怖くないだろう。そういうわたしだって、美希ちゃんと一緒なら、不安になんて思わないし。

 ただ、時々。
 隣にいるのがラブちゃんだったらな、なんてことを考えてしまうわたしは、きっといけない子。
 美希ちゃん。ごめんね。美希ちゃんのことも好きなんだよ。
 でも。
 わたし、自分の心を止められない。
257star story ◆ZU7CldKWo2 :2009/09/11(金) 03:45:09 ID:TXvnLqd9
 ラブちゃんは、わたしの初めての友達だった。
 最初に出会った時、恥ずかしがり屋のわたしはお母さんの背中に隠れてしまっていた。お母さんの
スカートの裾を掴んで、もじもじとしていたわたしに、ラブちゃんは笑顔で手を差し伸べてくれた。

「いっしょに遊ぼ?」

 あまりに楽しそうに言うラブちゃんに、わたしは見惚れてしまった。そして子供心に思ったんだ。この子と
一緒にいたら、すっごく楽しいんだろうな、って。

「ね、遊ぼ?」
「・・・・・・うん」

 もう一回、差し出された手を、わたしはおずおずと握った。

「えへへ。これでアタシ達、トモダチだね!!」
「ともだち・・・・・・?」
「そう!! トモダチ!! いっしょに幸せ、ゲットだよっ!!」

 言って笑うラブちゃんは、とっても明るく輝いていて。
 わたしも思わず、笑っていた。


 多分、幼稚園にも入っていないぐらいの昔の話。
 それでも、鮮明に記憶に残っているのは。
 出会ったその日から、わたしが、ラブちゃんを好きだから。


 いつも一緒だった。
 美希ちゃんが呆れるぐらいに、わたし達は仲良しだった。
 当たり前のように、手を繋いで歩いていたこともあった。
 そんな時、ラブちゃんはいつも以上に楽しそうに笑っている気がした。
 勘違いかもしれないけれど、でも、すごく嬉しかった。

 ブッキーには黄色が似合うよ、って言ってくれたのも、ラブちゃんだったっけ。
 服を買いに行った時、だったかな。ラブちゃんがわざわざ持ってきてくれたんだよね、黄色のお洋服を。
 それからわたし、黄色が好きになった。いつも黄色を身に着けてる。
 また、似合ってるよ、って、笑って言って欲しくて。



 でも。
 いつの頃からだろうか。
 手を繋いで歩かなくなった。いつも一緒にいることも、なくなった。
 中学だって、別々だ。
 それは少しずつ、大人になったからだろうか。それとも。


258star story ◆ZU7CldKWo2 :2009/09/11(金) 03:45:48 ID:TXvnLqd9
 せつなちゃんのことを少し、考える。
 いま、せつなちゃんはラブちゃんと一緒に暮らしている。一つ屋根の下で。
 すごく――――すごく、羨ましい。
 小さな頃、ラブちゃんの家にお泊りするのが楽しみだった。
 ううん。今でも楽しみ。
 無邪気な気持ちで、ずっと一緒にいられると思っていたあの頃に戻れた気がして。
 星空を見上げる。
 冬の星座が、わたしを見下ろす。
 あれは確か、オリオン座。ずっと昔、ラブちゃんの家のベランダで、夜空を眺めたことがあったっけ。
小学校でもらった星座盤を見ながら、北極星や色んな星座を探したんだ。
 楽しくて、嬉しくて。ずっとこうしていられたらな、って思った。
 一緒のおうちに住んで、一緒に暮らせたらって、思った。

 うん。
 わたし、引っ込み思案で良かったのかもしれない。
 そうじゃなく、思ったことをすぐに口にする性格だったら、お父さんお母さんに我侭を言って困らせてた
かもしれない。
 美希ちゃんにひどいことを言って、傷付けてたかもしれない。

 わたし、引っ込み思案で良かった。


 でも、ちょっとだけ。
 ちょっとだけ、残念。

 わたしの気持ち、伝えられないから。

 ラブちゃん。好きよ。大好き。
 想いに名前を与えるなら、きっとそれは、恋。
 ううん。愛――――ラブ、かな。
 あなたの名前と一緒。
 わたしの心は、ラブ一色に染まってる。


 だから、せつなちゃんが羨ましい。
259star story ◆ZU7CldKWo2 :2009/09/11(金) 03:46:29 ID:TXvnLqd9
 ラブちゃんとせつなちゃんを見てて、二人が仲良しなのを感じて。
 胸が痛くなる時がある。

 せつなちゃん。
 わたし、せつなちゃんになりたかった。
 一緒のお家で暮らして、一緒にご飯を食べて。
 毎晩、ベランダでお月様とお星様を見ながら、ラブちゃんとお喋りしたいよ。

 ねぇ。せつなちゃん。
 せつなちゃんは、今の幸せ。
 わかってるのかな?

 ――――やっぱりわたし、引っ込み思案で良かった。
 こんなこと言ったら、せつなちゃんを悲しませる。
 そして、多分、ラブちゃんも。

 やだな。
 わたし、ひどい子。
 こんなこと思ってるなんて、知られたくない。誰にも。
 特に、ラブちゃんには。

 ずっと一緒にはいられなくても。
 ずっとトモダチではいたいから。



 真ん丸いお月様と、ポツポツとまばらに光る星達。
 あの頃、一緒に見上げたのと変わらない風景。

 だけど何故か、とっても悲しくなる。涙を必死にこらえる。
 どうしてそうなのか。理由はもう、わかってる。

 ラブちゃん。あなたの隣に行きたいよ。
 一緒に見たいよ。この星空を。

 そうしたらきっと、たとえ冬の真っ只中でも。こんなに息が白くても。
 わたしは寒いと感じないんだろうな。


   star story  〜inori side〜
260 ◆ZU7CldKWo2 :2009/09/11(金) 03:49:16 ID:TXvnLqd9
・・・・・・・・・・・・

く、黒くないんだからね!! ブッキーは、その、や、優しいから本当に思ってることをつい、胸に秘めちゃう
だけなんだから!!


というわけで。

明日に続かせて頂きます。明日はせつな視点で。
261名無しさん@秘密の花園:2009/09/11(金) 04:56:48 ID:8va9i6PC
gjです!深夜に良いもの見せていただきました。
262名無しさん@秘密の花園:2009/09/11(金) 04:59:47 ID:GCPZlV0H
祈里の心情描写がすっごくGJ!!!

> わたし、引っ込み思案で良かった
っていうところとか!もう!!
263名無しさん@秘密の花園:2009/09/11(金) 05:40:11 ID:fz9m+BnV
くそっ、こんな時間に読んだら
二度寝できなくなった。


>>248
美希たんにふっとよぎる、
弱い面に萌えました。


>>260
気持ちの揺れというのを文字で表すのが
本当にうまいです。


ここの職人に燃料切れという言葉はないのか。
果てしなくGJ

264名無しさん@秘密の花園:2009/09/11(金) 07:58:23 ID:ouj/c1UY
投下時間がもうwww
本気だったんだな、寝かせないってw

ブキは一番女の子らしいよ。この板では一番人気じゃない?心情が痛い程伝わってきました。ガチ百合最高!
265名無しさん@秘密の花園:2009/09/11(金) 10:18:14 ID:40W2UUTJ
>>260

もちろん黒くない悩ブキ祈里さんも大好物です!
精一杯GJするわ!
ガチ百合まつりワーイワーイ!

かのサイト〆切り早ぇっすよ…
書き込みしようとアクセスした瞬間、秒殺でした。やべえ泣きそう…
せつなサイドで我慢します!投下お待ち申し上げます
266名無しさん@秘密の花園:2009/09/11(金) 20:04:51 ID:kM3Ld0to
こんばんは、夕べのエロブキ書いた>>238
267名無しさん@秘密の花園:2009/09/11(金) 20:10:29 ID:kM3Ld0to
途中で書き込んじまったいorz


続きと言うか、せつなお目覚め編、投下させてもらいますね。
今回もややエロ?かな。


相変わらすブキ黒いんで、嫌な人はご注意。
268名無しさん@秘密の花園:2009/09/11(金) 20:11:05 ID:kM3Ld0to
(……頭…痛い……。)


頭の奥がズキンズキンと疼く。体も鉛のように重く、動かない。


重い瞼を必死の思いで開く。何も見えない。どして?
部屋が暗いのだ、と分かるまで少し時間が掛かった。
目が慣れてくると、見馴れぬ天井と電器。
(…ここは……どこ?)
霞みの掛かった頭で何とか記憶を手繰る。
(あぁ…そうか、私、ブッキーの家に来て…)


部屋に上がり、お喋りして、おやつをご馳走になった。でも、その後の記憶がない。


(なんで、こんなに頭が痛いの…?)
ズキンズキンと音を立てて、不快な痛みが神経を逆撫でする。
起き上がろうと頭を動かすと軽く吐き気がする。
不意に、さっきまで見ていた夢が脳裏によみがえった。
ラブの手と唇が体を這い回る。でも、その感触はいつもと少し違った。
遠慮がちで少し躊躇うような、拙い愛撫。初めて、触れ合う時のような…。


「気がついた?」
ぼんやりとしたせつなの思考は祈里の声によって破られた。
「よく眠ってたね、もう夜よ。」
少し離れた場所で祈里は椅子に腰掛け、微笑みを浮かべている。


「おうちには電話しておいたから。せつなちゃん、具合悪くなっちゃったんで
少し休ませて今夜はうちに泊めますって。」
私、具合悪くなっちゃったの?だから、寝かされてるの?
よく…、覚えてない。でも大丈夫。少し頭が痛いけど、ちゃんと帰れるから…。
急に泊まるなんて迷惑だし。
せつなはまだ働きの鈍い頭で考える。
それに、祈里がすぐ側にいるのにラブとの情事を夢で見てたなんて…。
頭の中を覗かれた訳でもないのに無性に恥ずかしく、そしてなぜか、祈里に対して後ろめたかった。


「電話、ラブちゃんが出てね。迎えに来るって聞かないの。
もう遅いし眠ってるからって言ったら渋々諦めたみたいだけど。」
クスクスと祈里は楽し気に笑っている。
せつなは重い体を何とか引き起こす。
ごめんなさい、迷惑掛けて。大丈夫、帰れるから…。

(………えっ……?)
せつなは自分の体に違和感を覚えた。
シャツのボタンが全部外されてる。それに……
上も、下も、下着を付けていなかった。
269名無しさん@秘密の花園:2009/09/11(金) 20:13:32 ID:kM3Ld0to
(な…に…これ…。)
身動ぎすると胸の先端がシャツに擦れ、思わずゾクリと身が粟立つ。
体が敏感になってる。それに、腿の間のぬるく滑った感覚。
それは、せつなには何度も覚えのある馴染んだ……事後の感覚だった。


さっきの夢。どこか不器用で、不馴れな感触。
遠慮がちに肌を這い、少しもどかしいような拙い愛撫。
クラクラと目眩がする。暗い部屋。痛む頭。体に生々しく残る情事の感触。
そして、部屋いるのは二人だけ。
何があったのかなんて考えるまでもないはずなのに、目の前にいる祈里と
その行為がどうしても結び付かない。


(……嘘よね。…何かの間違い……)
その考えは虚しくせつなの中を滑り落ちていく。
助けを求めるように、祈里に視線ですがり付こうとする。


祈里はそんなせつなの様子を相変わらす楽し気な、悪戯っぽくさえ見える
微笑みで眺めている。
「せつなちゃんって、すごく可愛い声も出せるのね。いつも大人っぽいから
ちょっと意外。びっくりしちゃった。」
クスクスとからかうように祈里が笑う。それに……
「それに、ラブちゃん一筋かと思ってたけど、案外そうでもないのね。
心と体は別?気持ち良くなれれば結構誰でもいいんじゃないの?」


(何を……言ってるの…?)いつもと変わらぬ優しく甘い笑顔の祈里。けど、その口から出る言葉は…
中身が別人とそっくり入れ代わってしまったのではないのか。
私は、こんな祈里は知らない。


「……ど…して…?」


祈里は立ち上がり、せつなに近づく。
せつなは反射的に逃げようと後ずさる。しかし狭いベッドの上では
すぐ後ろに壁があるだけだった。
キシッと音を立て、祈里がベッドに身を乗り出す。
せつなは壁に背を預けたまま逃げられない。


「だってせつなちゃん、全然気付いてくれないんだもの。」
拗ねた子供のような口調。
「わたし、ずっと見てたのに。せつなちゃんったらラブちゃんに
夢中で他の人なんかまったく眼中になかったでしょ?」
わたしだってせつなちゃんが大好きなのに。息がかかるほどに顔を寄せ、祈里が
囁く。
270名無しさん@秘密の花園:2009/09/11(金) 20:14:43 ID:kM3Ld0to
「安心してね。ラブちゃんには言わないから。
せつなちゃんがラブちゃんを裏切った…なんて、ね?」


心臓が凍り付いた気がした。全身から血の気が引くのが分かる。
せつなの顔色が変わるのを祈里はいかにも楽しいそうに眺める。
壁に縫い付けられたように、体を強張らせているせつなの頬に指を這わせる。
クスクスと笑い声すら立てながら祈里はなおも言い募る。
「せつなちゃん、わたしの手でイッちゃったんだよ。気持ち良さそうに、
可愛い声上げてしがみついてきたの。」


(…やめて、……どして…?)
せつなは壊れた人形のように弱々しく首を振る。いつの間にか
目尻から涙が溢れてくる。

「あぁ、泣かないで。ね。せつなちゃんを困らせたいわけじゃないの。」
ラブちゃんには言わない。もう一度繰り返し祈里は言う。
ラブちゃんと別れてとか、わたしを愛してなんて言うつもりはないの。
だって無理でしょ?そんなの。せつなちゃんはラブちゃんが大好きなんだもの。
ラブちゃんに嫌われるくらいなら、死んだ方がマシなくらい…ね。
だからね、内緒にしててあげるから、時々わたしともこんなふうにして?お願い?
ラブちゃんとは今まで通り仲良くして。バレないように、分かる?


頭が痛い。体が動かない。ただ祈里の囁きだけがせつなの中を支配する。
(ラブを…裏切った…?)
せつなにとってそれは魔法の言葉。ラブに嫌われる、ラブの側に居られなくなる。
それは、せつなにとって恐怖意外の何物でもない。


祈里はせつなの目尻から雫を吸い取り、そのまま口付ける。
そのキスは涙と暗闇の味がした。
271名無しさん@秘密の花園:2009/09/11(金) 20:17:25 ID:kM3Ld0to
以上です。


ちょっとブキ黒過ぎで、お前誰だよ状態ですが。

そしてせつなが不憫……。誰か幸せにしてやって。
272名無しさん@秘密の花園:2009/09/11(金) 20:28:03 ID:6kHonT0Q
うおおおおおおおおおお!!!!
>>271 GJ!!!!!!!!

これは続きが気になる!!!!!

>そのキスは涙と暗闇の味がした。
この表現が好きだ
273名無しさん@秘密の花園:2009/09/11(金) 20:48:47 ID:ouj/c1UY
せつな可哀相…。GJなんだがちょっと萎えた。黒ブキも人気あるから仕方ないのか…。
274名無しさん@秘密の花園:2009/09/11(金) 20:56:27 ID:w/oH7pFO
>>271
GJ!!
ぞくぞくしました。描写が繊細で引き込まれるし、本当に上手いですね。
「ラブ…。わたし汚されちゃった。ラブに愛される資格なんてないわ…。」
「そんな!せつなぁ!」
すみません。勝手な妄想止まりません。せつな幸せになってほしいなぁ。。
275名無しさん@秘密の花園:2009/09/11(金) 21:01:28 ID:2GhEHv4I
驚きの黒さ!!
GJなんだが・・・気になった下りが。

「せつなには何度も覚えのある馴染んだ・・・」
何 度 も ? ラブやんとの絡みが日常的なものなら、そこからも黒ブキ せっちゃん ラブやんの三人を掘り下げられそう!
276名無しさん@秘密の花園:2009/09/11(金) 22:04:28 ID:40W2UUTJ
>>271

> ちょっとブキ黒過ぎで、お前誰だよ状態ですが。

闇ブキ祈里さん、またの名を病みブキ祈里さん。
ブッキーとは別人格で、せつなを好き過ぎて生まれた黒人格だと補完してます。

ひとつだけ言わしてもらえるならば…

>>271、おれはアンタが好きだw
277 ◆BVjx9JFTno :2009/09/11(金) 22:19:06 ID:fz9m+BnV
こんばんわ。
美希ブキ初挑戦です。
ラブレター編の続きが気になりますが、
空気読まずに投下します。
長くてすみません。お目汚し失礼します。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

小さい頃から、祈里はいつも
アタシの横にいた。

アタシがあげたハンカチを
色があせてもずっと使い続け、
アタシがあげたフレグランスを
いつも身にまとっている。

いつの頃からか、祈里のアタシに対する
気持ちには、気づいていた。

でも、女の子同士でそう言う関係になるって
ありえないと思っていた。

恋愛は、男女でするもの。
アタシは、恋愛も完璧にこなすんだから。


そう思っていた、はずなのに。


278 ◆BVjx9JFTno :2009/09/11(金) 22:20:14 ID:fz9m+BnV

学校からの帰り道、祈里を見かけた。
御子柴君...だっけ?
メガネの男の子と一緒だった。

楽しそうに笑っている祈里を見て、
胸の奥で、チクリと痛む感覚があった。


ん?

何なのよ、アタシ...


気持ちがもやもやしたまま、
何をするでもなく、公園のベンチに座る。

すっかり秋の空になり、
涼しい風が吹き抜けている。

誰かが散らかしたパンくずを、
鳩がつついている。

279 ◆BVjx9JFTno :2009/09/11(金) 22:21:33 ID:fz9m+BnV

どのくらいぼんやりしていたんだろうか。
日が暮れかかっている。


横に人影を感じて、顔を上げると
祈里が座っていた。

「どうしたの美希ちゃん、ぼーっとして」
「ううん、何でもない。ブッキーこそどうしたの?」

「占いしてもらった帰りなの」
「占い?」
「うん、恋占い」
「そう...で、何だって?」
「近く、すばらしい進展がありますって」


「...あの男の子のこと?」
「えっ...?」

「さっき一緒にいたじゃない」
「...見てたの...?」

「いいじゃない、お似合いで」
「あれはただ、帰りにたまたま会って...」


「やっぱり恋愛は男女ですべきよ。
 男同士とか女同士とか、おかしいわ」

「...」


「それに、あの子優しそうじゃない。
 祈里とはお似合いだと思うな。
 付き合っちゃいなよ」


何でアタシ、こんなに
突っかかってるんだろう。


280名無しさん@秘密の花園:2009/09/11(金) 22:22:00 ID:nv1A+PYF
うおーたまんねー
黒ブキは好きなのでなんの問題も無い
これを知ったラブが黒くなるか白いままかで展開が分かれるな
281 ◆BVjx9JFTno :2009/09/11(金) 22:22:54 ID:fz9m+BnV

長い沈黙があった。

「やっぱり...そう思ってたんだ...」

震える声に、ハッとして祈里を見た。

祈里は唇をかみしめていた。
涙があふれそうになっている。

「...私は...ずっと...」


祈里が席を立ち、小走りで
公園から出て行った。



どうやって部屋まで戻ってきたか、
よく覚えていない。

ベッドで膝を抱える。

恋愛は男女でするものでしょ?
祈里が男の子と付き合うの、普通だよ。

その方が幸せだよ。
アタシの方を見てるよりも。


...



アタシは、
それでいいの?


結局、その夜は一睡もできず
同じ事ばかり何度も考えていた。


282 ◆BVjx9JFTno :2009/09/11(金) 22:25:24 ID:fz9m+BnV

霧雨が降っている。

ママと一緒に、和希のお見舞いに行く予定だったが
こんな気分では、和希の顔も笑顔で見れない。

風邪気味ということにして、家に残る。


少し眠ったようだ。
時計は正午を指している。

ラブから電話が入った。

「明日、買い物にいかない?」

「みんなで行くの?」

「ううん、あたしとせつなと美希たん。
 ブッキーは御子柴クンとデートだって。
 いやー、ブッキーもついに、って感じだね」

「え...?」

「御子柴クンってば、ここんとこずっとブッキーの
 学校の前で待ち伏せして猛アタックしてたから、
 ブッキーも押されちゃったんだろうね」


アタシはリンクルンを落としそうになった。
体が震えている。


283 ◆BVjx9JFTno :2009/09/11(金) 22:28:04 ID:fz9m+BnV

祈里が、離れていく。


「...美希たん?あれっ...美希たん、おーい...」


震える手で電話を切り、祈里に発信する。
3コール、4コール、5コール...

出ない。



胸の激しい鼓動で、息苦しくなる。


祈里が、離れていく。

祈里が、そばにいなくなる。



嫌。

嫌よ、そんなの。



祈里が、好き。

そばに、いて欲しい。



「馬鹿!」
たまらず、自分に叫ぶ。


やっと、アタシは自分の気持ちに
正直になれた。

こんな状況になるまで、解らないなんて。
アタシ、全然完璧じゃない。

284 ◆BVjx9JFTno :2009/09/11(金) 22:29:05 ID:fz9m+BnV

靴を履くのももどかしく、外に出る。

霧雨が体を濡らす。
構わず、走る。

家の角を曲がったところで、
黄色の傘が近づいてくるのが見えた。


祈里と、目があった。

「...ちゃんと、会って伝えたくて...」

祈里がアタシを見つめる。


「美希ちゃん...ごめんね、今まで」

霧雨が、冷たく体を濡らす。

「ずっと美希ちゃんのこと見ていたけど、
 もう...あきらめるね」


言い終わらないうちに、祈里の目から
涙があふれる。


祈里が背を向け、走り出そうとする。

アタシは、背を向けた祈里に追いつき、
後ろから力一杯抱きしめる。

傘が落ちる。

285 ◆BVjx9JFTno :2009/09/11(金) 22:30:34 ID:fz9m+BnV

「行かないで!祈里!」


名前で呼ばれた祈里の体が、
びくっと震える。


「きのう言ったの、全部嘘!
 あの子とつきあって欲しくない!」

腕に、力を込める。


「...美希ちゃん...」

「アタシ...祈里が好き...!」


ほおを伝っているのが、霧雨なのか
涙なのかわからない。


「祈里がいなくちゃ、駄目なの...!」

286 ◆BVjx9JFTno :2009/09/11(金) 22:31:34 ID:fz9m+BnV

「...ホントに?」

祈里の体が激しく震えながら、
アタシの方を向く。

「祈里を、離したくない...!」

祈里の顔がみるみる崩れる。
アタシの胸に顔を埋め、激しく泣き出す。

「ごめんね...ごめんね...」
アタシは祈里の頭をしっかりと抱く。

冷たいしずくと暖かいしずくが、
アタシのほおを濡らす。


どのくらい泣いただろう。
しばらくして顔を上げると、びしょ濡れで
泣きはらした顔の祈里と目が合った。
アタシも多分、同じような顔だろう。

「美希ちゃん...すごい顔」
「祈里だって...」


お互いに、クスッと笑った。


「風邪...ひいちゃうよ」


287 ◆BVjx9JFTno :2009/09/11(金) 22:33:25 ID:fz9m+BnV

アタシの家に祈里を入れ、
交互にシャワーを使った。

部屋には、まだ何の香りもない。

意を決して、アロマオイルのスタンドから
新品の1本を取り出し、封を切って
アロマライトの受け皿に数滴落とす。

イランイラン特有の、甘く
エキゾチックな香りが拡がる。

南の島では、この花びらを
新婚初夜のベッドに撒くらしい。


「...いい香り...」

「大切な人と過ごす時のために、買っておいたの」

「大切な、ひと...」


祈里を見つめる。
ゆっくりと、祈里が目を閉じる。

唇を重ねる。
甘い香りが鼻孔をくすぐる。


ベッドで、優しく、ゆっくりと肌を重ねる。

甘い香りと慈しむような愛撫の中、
数え切れないほど昇りつめ、
お互いの体温を感じながら、まどろむ。

心が、祈里でいっぱいになる。


やっと、わかった。
感じたまま、人を好きになればいい。


288名無しさん@秘密の花園:2009/09/11(金) 22:49:43 ID:r1Ouz4mD
sien
289名無しさん@秘密の花園:2009/09/11(金) 22:56:42 ID:q0aSe0sd
秋のブッキー祭り開催中by保管屋
290 ◆BVjx9JFTno :2009/09/11(金) 23:00:21 ID:fz9m+BnV

ショッピングセンターには、
いつもの4人の顔があった。

小声で祈里にささやく。

「祈里、今日のデート断ったの?」
「デート?」

「え?...ねぇラブ、昨日電話で...」

言い終わらないうちに、ラブが人差し指で
アタシの脇腹をつつく。

「世話が焼けるなあ、美希たんは」

耳元でささやいたラブが
顔を離し、ウィンクする。


「せつな!今日はせつなの秋の服を選ぶよ!」
「ええ、似合うのあるかしら」

ラブとせつなが洋服屋さんに飛び込んでいく。


力が、ふっと抜ける。

「ありがと、ラブ」

291 ◆BVjx9JFTno :2009/09/11(金) 23:01:09 ID:fz9m+BnV

ラブがせつなを試着室に押し込み、
大量の洋服を渡している。
これは相当時間がかかりそうだ。

「アタシ達、ちょっと他の店に行ってるね」
「うん、わかった!あとで合流するね。」


アタシは祈里を誘い、雑貨屋さんに向かった。
「せっかくだから、おそろいのアクセサリー買っちゃお」
「うん!」

祈里がアタシの手をとり、指を絡めて手を繋ぐ。
アタシも、繋いだ手をきゅっと握る。


祈里の笑顔が、まぶしい。


祈里が思っているのと
同じくらい、アタシも好きだよ。

292 ◆BVjx9JFTno :2009/09/11(金) 23:01:36 ID:fz9m+BnV

以上です。
お目汚し失礼しました。

さるさん食らってしまいましたorz

途中間があいてすみませんでした。


293名無しさん@秘密の花園:2009/09/11(金) 23:05:09 ID:q0aSe0sd
二人とも題名決まったかしら?
と、黒いのりんまで保管完了してます。
さぁ、ブキ祭り続けよう!
294名無しさん@秘密の花園:2009/09/11(金) 23:35:41 ID:kM3Ld0to
>>271っす。

皆さん感想&GJありがとう!

ブキが黒過ぎるんで、ブキ好きには不快に感じさせちゃうかもしれないけど
ごめんなさい。


ラブせつの関係について言及があったけど、自分>>209の妄想をもとに
書き始めたんで、ラブせつは夫婦同然!夫婦って事は当然…と思ってくれ。


しかしSS書くって思ったよりスゲー疲れるな。
>>292さんとかコンスタントに長編UPできるの尊敬する。
しかも文章綺麗で雰囲気あって大好きだ。白ブキ可愛いよ…。


保管屋さんもいつも整理のみならず投下もしてるんだもんなー。
あなたの作品も作風が多彩で大好きだ。
295名無しさん@秘密の花園:2009/09/11(金) 23:38:38 ID:kM3Ld0to
本題書き忘れた…orz

タイトル決めました。
昨日の黒ブキは「堕天使の罠」、今回は「暗闇の入り口」、でお願いします。
296名無しさん@秘密の花園:2009/09/11(金) 23:41:50 ID:40W2UUTJ
>>292
白ブキGJ!
秋のブキ祭り、萌えます萌えます。

いっそ白黒ふたりとも俺の嫁にしたい
297名無しさん@秘密の花園:2009/09/11(金) 23:44:16 ID:HjSYba9R
>>271
GJ!!
たまには黒ブキも悪くないぜ
タイトルセンスいいな

>>292
GJ!!
美希ブキかわいい。そしてラブさんが天使すぎる

ブッキー祭り最高
298名無しさん@秘密の花園:2009/09/11(金) 23:47:33 ID:q0aSe0sd
秋は祈里の季節。祈れば素敵な雑談やSSに出会えそう。ほら、
今日もこんなに出会えたでしょ?
じゃあセットアッパーは私が。今宵はまだまだ続くはず・・・
299MH22S ◆Tp0rBcFpoc :2009/09/11(金) 23:49:54 ID:q0aSe0sd
【温もりを届けたい】ラブ←美希←祈里 昨日の続きですよ。
わたしには全てが夢に思えた。その光景を目の当たりにして、正常にいれるはずがなかった。


せつなさん・・・、いや、イースが近づいて来た目的はわたしたちを倒す事だったから。


わたしたちは愛と平和を守るための戦士、――プリキュア――


美希ちゃんとわたしも応戦しようと身構える。
けれどラブちゃんはそれを拒否して。



「これは・・・、あたしたちの戦い・・・。」



プリキュアとして戦ってきた仲間。それ以前に幼馴染み、そして親友。何でも話せる仲。
けれど、あんな顔したラブちゃんを見るのは初めてだった。


何かを決意しているような殺気だったあの感じを。



隣では美希ちゃんが俯いて唇を噛み締めていた。いつも凛と構えていた美希ちゃんとは
まるで似つかない表情。今にも泣きそうなその顔を、わたしは今でも覚えている。


そして、目の前で繰り広げられる残酷なシーン。あんなに仲良かった二人が戦っている。
夢なら早く覚めて!とずっと心の中で叫んでた。だって・・・
300MH22S ◆Tp0rBcFpoc :2009/09/11(金) 23:51:01 ID:q0aSe0sd
――美希ちゃんが悲しんでるから――


美希ちゃんはラブちゃんを好きだったんだよ?ずっと近くにいたからわたしにはわかるの。

だけど、ラブちゃんは美希ちゃんの言葉を振り切ってせつなさんとの運命を選んだ。



そう。ラブちゃんはせつなさんを愛しているのよね。




苦悩の戦いが一旦幕を閉じ、ラブちゃんの家へ戻るわたしたちに笑顔は無かった。
もちろん、ラブちゃんが落ち込んでるのは心配だったけれど、わたしはそれ以上に美希ちゃんが落ち込んでいるように思えた。
見ていて辛かったし、胸が苦しかった。


思わずわたしは泣きそうになる。それを察知した美希ちゃんはわたしを見てウインクを投げかける。
いつものサインだ・・・。


ラブちゃんを励ます時はわたしに。
わたしを励ます時はラブちゃんに。



「しっかりしなさい!」


ラブちゃんとわたしは一人っ子。いつも美希ちゃんはわたしたちのお姉さんだった。

だけどホントは嫌だった・・・。
わたしだけ≠フお姉さんでいて欲しかった。


だから二人でいれる時はほんとに幸せだった。美希ちゃんを独り占めに出来るって。
気が付いた時には、それがわたしの初恋=片思いになっていて。
301MH22S ◆Tp0rBcFpoc :2009/09/11(金) 23:51:37 ID:q0aSe0sd
けれど、3人でいる時もわたしは幸せだった。ラブちゃんはいつも優しくしてくれる。
美希ちゃんがいなければ、わたしはラブちゃんに恋してたはずだから・・・。
都合良過ぎるのかな?わたしって。



美希ちゃんは優しくラブちゃんを抱きしめていた。今も昔も変わらぬ温かさで。


羨ましかった。


ラブちゃんにも幸せになって欲しい。ラブちゃんが苦しむのもわたしは嫌だから・・・。



「話し合えばきっと分かり合えるって私、信じてる!」



一瞬、美希ちゃんの表情が曇ったのをわたしは見逃さなかった。
それでも心配なんだよね。美希ちゃんも苦しいんだよね。




再び、泣きそうになる自分を落ち着かせる。




美希ちゃん、今度はわたしが温もりを伝えたい。あなたのお姉さんになってあげたい・・・。


「そんなに強がらなくてもいいんだよ?」と。


神様、どうかラブちゃんと美希ちゃんとせつなさんを幸せにしてあげて下さい。



そして、いつかわたしも・・・
302名無しさん@秘密の花園:2009/09/12(土) 00:06:09 ID:D4YeXUjH
>>260
ツンデレ化してるわよコメントwやっぱ当たってたwww
せつなサイド待ってます。投下時間が凄すぎて吹いた

>>271
たっはー!歪んだ愛マジ危険すぎ・・・。お酒は20歳になってから。
このスレでは黒いのりん人気ありすぎて萌えた

>>292
お待ちしてました。投下してくれるって私、祈ってた!
御子柴生きろ。そして美希たんいいわぁ・・・。大好きすぎる・・・

全ては同志のため、愛するFPのため、保管作業は苦になりませぬ。
今日は雑談も多くて嬉しい!ブッキーナイトばんざーい
303名無しさん@秘密の花園:2009/09/12(土) 00:17:24 ID:PjoK5abG
おまいらどんだけ盛り上がるのよwww
日中カキコないから変だなって思ったら、ブッキー祭りのフラグだったんかい!
304292:2009/09/12(土) 00:23:10 ID:bJjyl/A1

感想ありがとうございます。
美希ブキの組み合わせはなかなか難しくて
半分以上書き直しましたwww

保管ありがとうございます。
題名は「Faithfully」でお願いします。

今日はブッキーナイトですね。

>>271
黒ブッキー凄いわ。
スイッチオーバーしそうな勢いだ。
サウラーを遙かに超える精神攻撃w


>>301
ほぼ毎日投下してるのに駄作なしというのが
GJすぎます。毎回楽しませてもらっています。
305 ◆ZU7CldKWo2 :2009/09/12(土) 00:49:18 ID:Hoo2UTzI
SS祭りですね。力作揃いで、私も負けていられません。

>>261->>265 >>304
感想ありがとうございます。ガチ百合は難しいですね。
>>265さんには申し訳ないことをしたと思うのですが、まさか24時間経たないうちに
15個もリクエストが入るとは思ってなかったのです。ありがたや、ありがたや。

さて。今日は早めに投稿出来そうです。
ブッキーナイトなのでどうしようか迷ったのですが、一応、昨日に宣言しているので、
せつな視点。

ガチ百合かつちょっと生々しい感じですが、R-18ではないってわたし、信じてる!!

【star story 〜setsuna side〜】

※先に言っておきますが、決して百合を否定しているわけではありませんからね。
306star story ◆ZU7CldKWo2 :2009/09/12(土) 00:50:04 ID:Hoo2UTzI
 あなたの視線、気付いていたわ。
 その意味も。

 あなたは知らないのよ。
 熟れたての果実が目の前にあるのに、それをもぐことを許されないことの辛さを。




    star story  〜setsuna side〜





「あ〜気持ち良かった!!」

 お風呂から出てきたラブを、リビングで迎える。お母さんは晩御飯の食器を洗っている最中。お父さんは
まだ仕事から帰ってきてない。

「長かったわね、お風呂」
「うーん、今日もミユキさんのダンスレッスン、ハードだったからね〜」

 お風呂の中でゆっくり揉みほぐしてたんだ、と伸びをしながら言って、ラブは私を見る。

「ね、せつな。お願いしていい?」
「ええ、いいわよ。けど、私にもお願いね?」
「オッケー、任せといて」

 私達はダンスレッスンの後、お互いにマッサージをし合っている。腕や脚、背中の張りを取るの為に。
それだけ、ダンスのレッスンは疲れるということ。

「せつなのマッサージ、超ウマイんだもん。気持ちいいんだよ〜」
「そりゃ、毎回のようにやってたら、上手になるわよ」

 リビングのカーペットの上でうつ伏せになったラブの上に馬乗りになり、まずは肩をゆっくりと揉み解していく。

「ふわ〜。気持ちいい〜」

 本当に気持ち良さそうなラブの声を聞きつけて、お母さんが笑っている。
 私も、笑う。
 けれど、本当は余裕なんて無かった。

 ラブの下ろした髪から香るのは、桃のシャンプーの香り。
 私と一緒の匂い。なのにどうしてこんなに、ドキドキするんだろう。

 肩から腕に手を移す。ゆっくり、じっくりと張りをほぐす。少しずつ、少しずつ。
 うっかりするとラブは、このあたりで眠ってしまう。交代で私にもしてあげる、と言っていたとしても、だ。
 一度、私がそれを責めたら、照れ臭そうに笑いながら、

「だって、せつながあんまり気持ち良くしてくれるんだもん。それでうっかり・・・・・・」

 無邪気に笑う彼女に呆れながらも、私は責められない。
 だって、たとえラブが眠ったとしても、私が念入りなマッサージを続ける理由は、ただ一つ――――
307star story ◆ZU7CldKWo2 :2009/09/12(土) 00:50:56 ID:Hoo2UTzI
 桃色のパジャマの上から、背中を親指でギュッ、ギュッと指圧のように押す。
 図書館で借りたマッサージの本で勉強したせいか、どうやら私はだいぶマッサージが上手になってきたらしい。
今もラブは、幸せそうな、そして今にもまどろんでしまいそうな声で、

「あ〜、そこそこ。そこ気持ちいい〜」

 なんて言っている。
 わかってるわよ、ラブ。あなたの気持ちいい所ぐらい、私が知らないとでも思ってるの。ほら、ここを触られるのも
好きなんでしょ?

「ふわ〜」

 掌をお尻に当てながら、腰骨の周りの筋肉を親指でほぐすと、いっそだらしない、と言えるぐらいの声を出すラブ。
どんな顔してるのかしら。そんなことを思っていると、台所から出てきたお母さんがラブの顔を見て、呆れたように
言った。

「ラブ、よだれ、よだれ」
「ふえ? お、お〜っと」

 手の甲で口の辺りを吹いて、にはは、とラブは照れ笑いをする。やっぱり、寝かけてたらしい。

「ごめんごめん、せつな。また寝ちゃいそうになってたよ」
「もう。後で私にも、って約束、守ってよ?」

 わざと唇を尖らせながら、また横になったラブの、今度は脚をもみ始める。
 太ももに触る時は、要注意。ラブはここが一番敏感だから。特に太ももの内側が。一度、うかつに触ったら、
よほどこそばゆかったのか、キャッ、と叫んでラブが上げた足が、私の顎を直撃したことがあった。だから要注意。

「んん・・・・・・」

 少し、艶のある声になるラブ。私はゆっくり、ゆっくりと太もものこりを揉み解す。ギュッ、ギュッと。時々、ピクッって
ラブの身体が強張る瞬間がある。多分それは、よっぽど気持ち良いからだろう。

「ホントに、せつなはマッサージが上手だよねぇ」

 そんなことを言うラブに、私は黙って笑う。


 ごめんね、ラブ。
 マッサージが上手になったのには、わけがあるの。
 とてもラブには言えない理由。


 それはね。
 あなたの体に、触れたいだけなの。
 誰の目も、気にすることなく。


308star story ◆ZU7CldKWo2 :2009/09/12(土) 00:51:36 ID:Hoo2UTzI
 いつだったかしら。
 ブッキーのいる前でもラブは同じことを言ったわよね。
 せつなと毎晩マッサージをし合ってるんだ、って笑顔で。私は何気ない口調で、し合ってるんじゃなくて
私がしてるの、ラブはすぐ寝ちゃうじゃない、と言ったのだけど。

 けれどね、ブッキー。
 その時のあなたの悲しそうな目。そしてそこに込められた、羨望。
 私、気付いてたわ。


 そうね。私、知ってる。
 ブッキー、あなたがラブのことを好きなことを。
 友達としてでなく、それ以上の存在として。

 そんなあなたからしたら、こんな風にしていられる私のこと、確かに羨ましいと思うでしょうね。もしも私が
逆の立場だったら、同じように思うだろうから。

 けど、ブッキー。
 あなたは知らないのよ。

 幸せは甘すぎる果実だってことを。
 一口、食べられれば満足。
 最初はそう思っていても、どんどんと食べたくなる。
 もっともっとと貪欲に欲しがるようになる。
 まるで麻薬のよう。

 こうして、マッサージと称して、私はラブの体に触れている。
 時々は、ラブに触れられている。
 その時、私の心臓は早鐘のようになっている。

 ラブが気持ち良さそうな声を出すたびに、衝動に襲われる。
 抱きしめたい。ラブを、ギュッと抱きしめたい。
 もっと、気持ち良くなって欲しい。もっともっと、その声を聞かせて。
 そして私も一緒に、気持ち良くなりたい。
 そんな衝動に。

 私のこの感情は、邪まだ。
 ブッキー。あなたのようにピュアなものじゃない。プラトニックなものじゃない。
 心が満たされればそれでいい。そう思うのは、幸せと言う果実を食べていないから。
 一口、食べてしまえば、貪欲になる。
 心だけじゃ、物足りなくなる。体が、欲しがるの。求めるの。
 ラブという存在を。


 でも、それは許されないこと。


309star story ◆ZU7CldKWo2 :2009/09/12(土) 00:52:49 ID:Hoo2UTzI
 一つにそれは、私達が女同士だから。
 ラビリンスにだって、結婚という概念はあった。全てがコントロールされた世界だったけれど、だからこそ、
それは全て異性婚だった。子供を生み、増やす為には、男と女が結ばれなければならないから。
 この世界に来て、しばらくたって。私は自分の感情に戸惑った。同性のラブに、こんなにも執着するのは
どうしてだろう、と。
 こっそりと図書館で調べて、知ったわ。世の中には同性を愛する、ううん、同性しか愛せない人がいる、
ってことを。
 多分、私がそれなんだ。
 私はラブしか、愛せない。女の子のラブしか。

 けれど、ラブは?

 愛は、一人では完結しない。同じように、ラブが私を愛してくれなければ。

 ラブはどうなのかしら。私と同じで、女の子を愛する人なのかしら。
 もしもそうでなかったら――――私の気持ちは、ラブを困らせるだけだ。

 いつも私に笑顔を向けてくれるラブ。時々、手を繋いでくれるラブ。私が冗談を装って抱きついたら、
ギュッと抱きしめ返してくれるラブ。

 でもそれが、友情以上のものでなかったなら。
 想いを、拒絶されたら。

 私は、どうすればいいのだろう。

 だって私には、この場所しかない。
 この家にしか、私の居場所は無い。
 なのにラブとギクシャクしたら――――いたたまれない。
 だから私は言えない。この想いを。



 そして、もう一つ。


310star story ◆ZU7CldKWo2 :2009/09/12(土) 00:53:32 ID:Hoo2UTzI
「ただいまー。いやー、今日も疲れたー」
「あ、おかえりなさーい、お父さん」
「おかえりなさい、あなた」
「おかえりなさい」

 帰ってきたお父さんが、肩を回しながらリビングに入ってくる。そこで私がラブをマッサージしているのを見て、
お父さんは苦笑した。

「またラブはせつなちゃんにマッサージしてもらってるのかー。いっつもされてばっかりだな」
「そうよね。ラブったらいっつも、せつなちゃんにマッサージされてる間に寝ちゃうから」
「きょ、今日は違うもん!!」

 ガバッと起き上がったラブは私に、

「せつな、さ、横になって。今度はアタシがせつなを気持ち良くしてあげる」

 さぁさぁと詰め寄ってくるラブに、私は苦笑しなが首を横に振る。

「私はいいわ。それよりも」

 言いながら私は、お父さんに目を向ける。つられて目を動かしたラブ。
 自分でも言ってたけれど、よっぽど疲れてるんだろう。スーツを脱いでハンガーにかけた後、お父さんは首を
回している。肩、こってるんでしょうね。
 それを見て、私が言いたいことがわかったんだろう。ラブは立ち上がって、椅子に座ったお父さんの背後に立った。

「お父さん。お仕事、お疲れ様!!」
「お、なんだ、急に」

 ビックリするお父さんの肩を、ラブはトントンと叩き始める。最初は驚いてたお父さんも、嬉しそうな顔でされるが
ままになっている。

「あら、いいわね〜、お父さんったら」

 台所から出てきたお母さんが、その光景を見て和んだように笑う。

「お母さんには、私が」
「せつなちゃんが? うーん、じゃ、甘えちゃおうかしら」

 お父さんの隣に座ったお母さんの肩を、私は優しく揉み始める。最近、パートで出かけることが多いから、
疲れてるんだろう。だいぶこっているのが、掌から伝わってくる。

「うーん、気持ちいいね〜」
「ほんとにね〜」

 二人の言葉に、私とラブは顔を見合わせて笑う。

「お父さん、お母さん」
「いつもご苦労様」


 それはきっと幸せな光景。
 家族。そのあり方としては、最高のものだろう。


 私はそれを、壊したくない。


311star story ◆ZU7CldKWo2 :2009/09/12(土) 00:53:59 ID:Hoo2UTzI
 一緒にいて。
 もしかして、って思う時がある。
 もしかして、ラブも私のことを愛してくれてるんじゃないかって。
 私の気持ちを、受け止めてくれるんじゃないか、って。

 心だけでなく、体をも重ねあわせたいという欲求を、ラブも持ってくれてるんじゃないか、って。
 唇を重ねあって。抱き合って。素肌で相手のぬくもりを感じたいと思ってくれてるんじゃないか。

 そう、思う時がある。

 でももし、私達がそうなったとしたら。
 一線を越えたとしたら。

 お父さんは、お母さんは、どう思うかしら。
 私のことを――――どう思うのかしら。

 居候、っていう言葉があることを、私は知ってる。
 私の立場が、まさにそれだ。
 桃園家の一員として、迎えられた私。家族として、お父さんお母さんが私を愛してくれていることもわかってる。
 そしてそのことに、私はすごく感謝してる。
 だから、ラブにした時よりもさらに念入りに、お母さんの肩を揉み解す。
 大事な大事な、家族だから。

 そう。大事な家族。
 だから、壊したくない。

 居候として入ってきた私が、ラブと愛し合ったとしたら。
 お父さんは。お母さんは。
 私に、裏切られたと思うんじゃないだろうか。
 変わらず家族として、私を受け入れてくれるんだろうか。




 私は気付いてる。気付いてしまってる。

 私の想いは、この幸せな家族を壊す。

 それは決して、許されないこと。



312star story ◆ZU7CldKWo2 :2009/09/12(土) 00:54:35 ID:Hoo2UTzI
 ねぇ、ブッキー。
 これでも一緒にいたいと思う? 一緒に暮らしたいと思う?

 ベランダで並んで、星を見る私達。
 その肩は触れ合っている。
 でも、それ以上は。

 私にとってラブは、うれたての果実。
 手を伸ばし、もぐことが出来るんじゃないか。食べられるんじゃないか。そう思えるほどに、近い。


 けれど私は、それを星だと自分に言い聞かせる。
 遠い、遠いところにあって、手が届くように錯覚してしまうけれど、絶対に手が届かないものだと思い込ませる。
だから、手を伸ばすような馬鹿なことはするなと、自分に命じる。
 そうでなければ。
 全てを壊してでも、禁断の果実を食べてしまいたくなるから。


 ねぇ、ブッキー。
 私はあなたがうらやましいの。
 あなたは、知らないから。

 満たされきらない幸せというものが、どれほど身を焦がし、心を狂わせるか。
 どれだけ辛く、厳しいものか。

 あなたは、知らないから。
313 ◆ZU7CldKWo2 :2009/09/12(土) 01:01:56 ID:Hoo2UTzI
というわけで。

ブッキーはピュアだけど、せつなは情熱的な気がするんですよね。パッションなだけに。

で。

家族として受け入れたせつなが、ラブを愛しあってたとして。
あゆみと圭太郎なら。

「お父さん! お母さん! アタシ、せつなのことを愛してるの!」
「あら、素敵ね」
「ラブ、ちゃんとせつなちゃんを幸せにしてあげるんだよ」

とか言いそうですけどねw


それにまだ気付かないせっちゃんの独りよがり乙ということで。


あ。これだとブッキーがカワイソスになるので。


「ずるい、ラブちゃん。わたしもラブちゃんのこと、愛してるのに!」
「あらあら、ラブったらモテモテね」
「ラブ、祈里ちゃんのことも幸せにしてあげるんだよ」
「もっちろん! みんなで幸せ、ゲットだよ!」


両手に花。まさにラブ無双。

美希たんはいずれフォローします。
314名無しさん@秘密の花園:2009/09/12(土) 01:08:19 ID:qSM/Qj/Z
何だこの祭り状態は・・・たまげたなぁ。
全ての書き手の方々に吹き荒れよ、乙の嵐!
315名無しさん@秘密の花園:2009/09/12(土) 01:12:48 ID:MmkMpAMK
初投下、エロSみきたんです。
316名無しさん@秘密の花園:2009/09/12(土) 01:13:38 ID:MmkMpAMK
気付いたら美希の顔がすぐそばにあった。

ラブが委員の仕事で遅くなるからと、一人で下校する途中、偶然、美希と逢った。
しばらく立ち話をしていたが、近くだからと誘われ、美希の部屋に寄ることになった。
今まで美希と会うときはいつも4人だった。初めて2人きりで話して、なんだか新鮮だとせつなは思った。

美希はせつなの学校の話、家での話、せつなにとっては新しくて驚きでも、
美希たちとっては当たり前でつまらなそうな話も、うんうんと楽しそうに聞いてくれた。
「それでね、ラブがね…」
「ラブったらね…」

それまでせつなの目を見て相槌を打ってくれていた美希がふいに目をそらしてぽつりと言った。

「せつなは本当にラブのことが好きなのね」
317名無しさん@秘密の花園:2009/09/12(土) 01:14:51 ID:MmkMpAMK
「えっ??えぇ、そうね。大好き。美希だってラブやブッキーが大好きでしょう?」
美希は俯いたまま返事をしない。

「ど、どしたの、美希…?何かあった?」
せつなは心配になって美希の顔を覗きこんだ。

次の瞬間、美希がせつなの手を握って真剣な顔で言った。
「好きよ、ラブもブッキーも。大好きな友達。でも…あたしはせつなが好き」

美希の手に力がこもる。

「友達としてじゃなくて、好き」

そして気付いたら美希の顔がすぐそばにあった。
318名無しさん@秘密の花園:2009/09/12(土) 01:15:49 ID:MmkMpAMK
せつなは抵抗しなかった。ただ驚いていた。

知ってる。テレビで見たことある。これはキスだ。
テレビでは、男の人と女の人がしていたけど、女の子同士でするのは普通なの?

美希の唇はあたたかくて、首筋からはアロマの香りがした。
美希が唇を動かす度に小さな水音がして、その音を聞く度にせつなは体の中が疼くような気がした。

耳元で美希が囁いた。
「キス、したことある?」

せつなは首を振った。

「嫌…だった?」

せつなはまた首を振った。
「よくわからないけど、美希から良い香りがして、ドキドキした」
319YM:2009/09/12(土) 01:15:49 ID:HZzi/i19
どうも、>>216です。
先日はたくさんのコメント、ありがとうございました。
1日おいて来てみたら、ブッキー祭りと化してる…。
しかも皆さん、白ブキ黒ブキとステキすぎる!


というわけで、『message for you』第2話です。
ウチのは何ブキになるんだろ。
320名無しさん@秘密の花園:2009/09/12(土) 01:16:53 ID:MmkMpAMK
不安げだった美希は驚いたように目を開き、その後すぐに妖艶な目つきになった。

「気持ちよかった?」

せつなは恥ずかしそうに頷いた。

「そう…じゃあ、もっと気持ちよくしてあげるわ」

そう言って再びせつなの唇を覆った。

美希は容赦なくせつなの口内を侵した。溢れた唾液が唇の端から流れる。それを美希の舌がすくいとってせつなの唇へ戻す。

しんとした部屋の中で、息遣いだけが響く。

口付けたまま、美希の右手はせつなの制服のボタンを一つずつ外していく。
やがて、下着に包まれた白い胸元があらわになった。美希はすばやい手つきでホックを外す。
321名無しさん@秘密の花園:2009/09/12(土) 01:17:37 ID:MmkMpAMK
「みっ、美希…!」
「なぁに?」
「あたしたち、な、なにするの?」
せつなが焦ったように手で胸を押さえて聞いた。

「大丈夫よ、キス、気持ちよかったんでしょ?もっといいことしましょ」
「でっでも…!」

美希はせつなの胸を下から揉みあげる。
「あんっ」
思わず声を上げて、せつなは驚いたように口を手で押さえた。
322名無しさん@秘密の花園:2009/09/12(土) 01:18:20 ID:MmkMpAMK
「これは?」
美希は硬くなったせつなの胸の先端を唇で咥え、舌で小刻みに刺激する。もう片方の先端を指先で執拗に弾く。

「ぁ、ぁあっ、んっ、あっだ…めぇ…」
「ダメじゃないでしょ、もっとって言ってごらん?」
美希は刺激を続ける。
「ゃ…ゃぁ…んっあぁ、らめぇ…」

胸元をまさぐっていた右手は、いつのまにか下方へ移動していた。
スカートに滑り込ませる。下着のすきまに指を挿し込む。そこは十分に潤っていた。膝を曲げさせ、脱がされた下着はせつなの左足にだらしなくひっかかっていた。

「すごい濡れてるわよ、せつな?どうして?」
せつなの敏感な突起を探り当てた美希は、それを指先で撫で上げながら耳元で囁く。
くちゅっ、くちゅっ…いやらしい音が響く。
「あっ、ぁあ…!美希っみきっやめて…」
323名無しさん@秘密の花園:2009/09/12(土) 01:18:46 ID:MmkMpAMK
美希はせつなを後ろから抱き、膝を抱えるようにして、壁際にある全身鏡に向かって両足を開かせる。

「せつな、見て。せつなのココ、キレイね。たくさん濡れてるの、わかる?」
そう囁くとまた、蛇口が壊れたようにせつなの中から溢れてきた。せつなは喘ぐだけで精一杯だった。
「はずかしいの?」
せつなは泣きそうな目で頷いた。
「いいのよ、はずかしい方が、その分気持ちよくなれるから。」
 美希はせつなの中へ指を挿れ入れを繰り返す。
 ちゅ…くちゅ…くちゅ…規則正しい音とせつなの喘ぎが繰り返される。
「ほら、ちゃんと鏡見て。あたしの指こんなに奥まで入ってるのよ。せつなはエッチな子ね」

「気持ちいい?」
「ゃあっんん…ぁっ」
「気持ちいいなら、気持ちいいって言わないと、もっといじめちゃうわよ」
「んっ、ぃもちぃ…きもちぃいっ」
「よく言えたわね」
324名無しさん@秘密の花園:2009/09/12(土) 01:19:20 ID:MmkMpAMK
美希は指を中で動かしたまま、せつなの足の間に顔を埋める。せつなの敏感な部分を舌で転がし、唇で吸いながら、指の動きを一層激しくする。

「あぁっ、ひゃ…ぁあ、やぁぁんっ…ああぁ」
せつなの愛液は溢れ出て止まらない。声も少しずつ大きくなっていた。

「みきっみきぃ…みきっ…」
せつなが甘えた声で両手を伸ばす。
みきは指を止めることなくもう片方の腕でせつなを抱きしめ、キスをした。
「みきっ、あたし…、おか…おかしくなっちゃい…そう」
せつなが美希にしがみつきながら言う。
「いいのよ、おかしくなっても。あたしがいるから、ね。力抜いてごらん?」

せつなの強張った身体が一瞬軽くなって、次の瞬間ビクッと震えてせつなは頂点に達した。
325名無しさん@秘密の花園:2009/09/12(土) 01:19:58 ID:MmkMpAMK
気付くと、せつなは美希の腕の中でベットに横になっていた。
「気が付いた?」
「美希、あたし…」
「せつな、可愛かった。」
「さっきの…」
「気持ちよかった??」
「……うん…」
「ラブには内緒よ?すればするほどもっと気持ちよくなるから、また1人でいらっしゃい。」
「わかったわ。あのね、美希」
「なに?」
「もう1回キスして?」
326YM:2009/09/12(土) 01:38:55 ID:HZzi/i19
>>216です。
誤爆して>>315さんの流れを切ってしまったようで、
大変申し訳ありませんでした。

改めて、『message for you』第2話です。
327YM:2009/09/12(土) 01:39:50 ID:HZzi/i19

「ぅわ〜っ! 美希たん、それカッコイイ!」
「うん、すっごくキレイ…」
「これはね、ロケットっていうんだって。ママが買ってくれたのよ。
 ほら、ここが開くんだから」
「あ、ホントだ…でも、ここに何か入れるの?」
「ここに好きな人の写真を入れると、その人と結ばれるんだって」
「美希ちゃん、好きな子がいるの?」
「ううん。でも、大きくなったら、好きな人の写真を入れるんだ。
 そして…アタシは、その人と結ばれるの!」
「うん! きっと美希たんなら、ちょーイケメンの彼氏と、幸せゲットだよね!」
「そうだね。私も、信じてる!」









「はぁ…」

 土曜日の昼下がり。
 祈里は一人、隣町のデパートへ来ていた。

 キレイな洋服に、可愛いアクセサリー。
 ペット用品売り場に、書店の「動物の本」コーナー。
 いつもは楽しい買い物のはずなのに、ちっとも楽しくない。
 きっと、今朝見た夢のせいだろう。
 それはまだ、許されぬ想いを抱く前のこと―。


【 message for you・第2話 】

328YM:2009/09/12(土) 01:40:53 ID:HZzi/i19

 あれは確か、中学に入る少し前だったろうか。
 親友の胸元で、銀色に輝くロケット。
 大人びた雰囲気の美希に、とてもよく似合っていた。
 あのロケット、今はどうしているのだろう?

 ふと、想像してしまう。
 彼女の細い首から提げられた、銀のロケット。
 その中には、きっと私の知らない誰かの写真―。

「…はぁ…」

 私、信じられない。
 私、信じたくない。
 想像すればするほど、気分は重くなる。
 今も一人、ベンチに腰掛けてため息をつくばかり。

『…美希ちゃん…』

 今頃、どうしているのかな。 
 カズちゃんとお出かけ?
 それとも、別の誰かと?
 その“誰か”の隣で、美希ちゃんは楽しそうに微笑んで。
 手をつないで、腕を組んで、そして―。

「……っ……」

 胸の奥が、きゅっと締め付けられる。
 そんな美希を想像して。
 そんな美希を祝福する、自分の姿を想像して。


『おめでとう、美希ちゃん!』


『すっごく素敵な人ね!』


『ううん、美希ちゃんなら当然だよ。私、信じてた!』



 ……何を?

329YM:2009/09/12(土) 01:41:36 ID:HZzi/i19

『もう…帰ろう』

 祈里は、ベンチから立ち上がった。
 一度深呼吸をして、トートバッグの中を覗き込む。
 その中には、美希に宛てた白い封筒。

 こんなもの、もう捨ててしまおう。
 そうすればきっと、この想いも忘れられる。
 だから、誰にも見つからないように、隣町までやってきたんだもの。
 ビリビリに破いて、どこかのゴミ箱に捨ててしまおう。
 封筒も、手紙も、私の想いも。
 そしたらきっと、いつもの“ブッキー”でいられる。 
 みんなと笑いあって、カオルちゃんのドーナツを食べて、ダンスに打ち込んで。
 そんな、いつもの私に戻れる。
 …私、信じてる。

 祈里の歩調は、いつになく早かった。 
 やがて視線の先、エスカレーターのすぐそばに、ゴミ箱を見つける。
 何もかも、これで終わりになる。終わりにできる。
 そう思うと、足取りは更に早くなる。
 そして祈里は、

「……っ!」

 脇の通路から現れた人影に、気付かなかった。

「きゃっ!」
「きゃぁっ!」

 尻餅をつき、バッグの中身を床にバラ撒いてしまう祈里。 
 見ると、相手の荷物も床に散乱してしまったようだ。

「ご、ごめんなさいっ!」

 ぶつかってしまった相手の顔も見ず、慌てて荷物を拾い集める。

「いえ、こちらこそ…って、ブッキー?」
「えっ…美希ちゃん…?」

 祈里は思わず固まってしまった。
 一番会いたかった人。
 一番会いたくなかった人。
 そんな美希に、出会ってしまったから。
330YM:2009/09/12(土) 01:43:13 ID:HZzi/i19

「これでよし…っと」

 荷物を拾い終え、立ち上がる二人。
 とりあえず、美希に封筒を見られる前に、バッグに入れる事はできた。

「本当にゴメンね、ブッキー。大丈夫だった?」
「うん…私の方こそ、ごめんなさい…」

 視線を合わせられない。
 目の端に映る美希は、どこか訝しげな表情だ。

「ブッキー、用事じゃなかったっけ。もう済んだの?」
「う…うん…まあ…。美希ちゃんこそ、カズちゃんと一緒じゃないの?」

 それがね、と美希。

「ゆうべ電話したんだけど、和希も先約があるんだって。
 お陰で、一人寂しくショッピングってワケ」

 美希は苦笑混じりに肩をすくめる。 

「そ…そうなんだ…」
「でも、ブッキーに会えたのは運が良かったわ。
 良かったら、一緒に回らない?」

 笑顔の美希だが、祈里は答えに困ってしまう。

「え…その…私…」
「あ、もしかして、これからお昼?
 だったら、ここのレストラン街に行きましょ!
 先月、すっごく美味しいパスタのお店が…」

 そう言って、美希は祈里の手を握る。
 いつもの調子で、ぎゅっと。
 だけど。


「い……いやっ!」


 祈里は、美希の手を払いのけてしまった。

「えっ…?」
「あ…」

 その瞬間、二人の時間が凍りつく。
 美希は、何が起きたか分からない表情を見せていて。

「あ…あの…わ、私……ご、ごめんなさいっ!」

 気がついた時には、祈里は美希に背を向けて駆け出していた。

「ちょ…ブッキー!? ブッキー!」
331YM:2009/09/12(土) 01:44:42 ID:HZzi/i19

 その夜、自分の部屋で。
 椅子に座り、勉強机に突っ伏す祈里の姿があった。

「美希ちゃん…」

 その名を口にしただけで、胸が苦しくなる。
 手のひらに残った、美希の手の温もり。
 指先に残った、しなやかな美希の指の感触。
 苦しくて、せつなくて、愛しすぎて。

「………」

 視線を移した先は、机の上のフォトフレーム。
 ミユキさんがいて、ラブちゃんがいて、美希ちゃんがいて、私がいて。
 3人でのダンスレッスンを始めた日、記念に撮った写真だ。

 あの日、笑顔で迎えてくれた美希ちゃん。
 “ようこそブッキー”って、横断幕まで用意してくれて。
 帰り道、字を間違えていたことに気付いて、頭を抱えてたっけ。

「せっかくブッキーのために用意したのに…アタシ、完璧じゃない〜っ!」

 気にしない気にしない、とラブちゃんが笑って。
 私も、こっそり苦笑いして。
 凹んでいた美希ちゃんも、つられて笑って。
 そんな時間が大好きだった。
 大好きだった、のに。

「美希ちゃん…」

 写真の中で、二人は並んで笑っていた。
 今日だって、美希ちゃんは笑ってたのに。
 それなのに、私は―。
 悔やんでも、悔やんでも、悔やんでも、悔やんでも。
 悔やみきれない想いに、祈里の胸は張り裂けそうだった。
332YM:2009/09/12(土) 01:45:22 ID:HZzi/i19

「あ…」

 バイブレーションの音。
 リンクルンのディスプレイには、<蒼乃美希>の文字。
 もう、メールは3回も来た。
 そしてどうやら、今度は留守電のようだった。
 でも、メールを読む気にも、メッセージを聞く気にもなれない。
 
『もう、寝ちゃおう…』

 眠れるかどうかは分からないけれど、とりあえずベッドに入ろう。
 椅子から立ち上がり、床に置いてあったバッグを掴む。
 結局、今日は捨てられなかった手紙。
 またいつか、時間を作って…。

「…あれ…?」

 祈里は、異変に気付いた。
 バッグの中から出てきた、白い封筒。
 美希に宛てたものだが、自分の字ではなかった。
 しかも、封筒の隅には会社の名前と住所。
 確か、美希がよく登場するファッション誌の出版社だ。

『まさか…!?』
333YM:2009/09/12(土) 01:46:32 ID:HZzi/i19

 一方、美希の部屋では。

「それじゃ、また明日、レッスンでね。
 …もし、もしこれを聞いてくれてたら…連絡、くれると嬉しいな…じゃ…」

 メッセージを伝え、電話を切る。

「はぁ…」

 そして、出るのはため息。
 落ち込んでいても仕方ない。
 明日ダンスレッスンで会うのだし、ブッキーにはその時にでも話そう。
 そう自分に言い聞かせているが、どうしても気持ちが前向きにならない。

「ブッキー…」

 とりあえず、今夜は寝てしまおう。
 そう決めて、美希はドアノブに引っかけたままのバッグを掴んだ。
 今日の撮影の時、雑誌社の人からもらったチケット。
 とあるブランドの発表会への、特別招待券だ。
 忘れないうちに、机の中にでもしまっておかなくちゃ…。

「…あれ…?」

 美希は、異変に気付いた。
 バッグの中から出てきた、白い封筒。
 自身に宛てたものだが、どこかで見覚えのある字だった。
 しかも、封筒の隅に書かれていたはずの、雑誌社の名前が無い。
 美希は首を捻りつつ、封筒を裏返す。

「…あ…」

 封筒には、差出人の名が記されていた。



「 山吹 祈里 」




〜 To Be Continued 〜
334YM:2009/09/12(土) 01:47:15 ID:HZzi/i19
今回はここまでです。
長々と失礼いたしました。

次回辺りで完結出来れば…と思っています。
335名無しさん@秘密の花園:2009/09/12(土) 01:56:57 ID:wPXkMw+l
SS祭り、皆GJ! GJと思うんだが・・・

前の人が書き終わってすぐに投下するのはどうかな。

感想が書きにくいと思った。深夜だから仕方ないかもしれんけどね。
336名無しさん@秘密の花園:2009/09/12(土) 01:57:54 ID:MmkMpAMK
>>315です。
一応あれで終わりです。
>>216さん
いえいえ、慣れてなくてすみません。。。
337名無しさん@秘密の花園:2009/09/12(土) 06:52:12 ID:D4YeXUjH
感想と保管は帰ってきてからにしよう。見事なブッキーナイトでした!
338名無しさん@秘密の花園:2009/09/12(土) 07:56:04 ID:bJjyl/A1

ゆうべは、すごかったね...


なんて思うくらい、SS祭りでした。
皆さんGJすぎ。何度も読み直してます。

>>313
やっぱり表現がすばらしいです。
我慢しているせつながいじらしい。

>>325
やっぱり美希たんは黒役が多いw
鏡に映されるってハズカシイ
でも萌える

>>333
ラブレター編の続き来た!
すれ違う感覚がもどかしくて
続きが楽しみでしょうがない。
339名無しさん@秘密の花園:2009/09/12(土) 08:58:21 ID:9mP0RZqQ
>>292
イランイランとか、細かい設定とか描写が想像力を刺激してくれます。
世話焼きラブちゃんGJ!


>>301
片思いのブキたん切なくって可愛い!ぎゅうぎゅう抱きしめたいっす。


>>313
ちょw
エロすなぁ!
マッサージしながら濡れてくるせっちゃんとか妄想できちまう…
生駒さん史上で一番エロい気がするのは、気のせいか?w


>>325
美希たんの愛撫に素直に感じてくせっちゃん可愛ゆす。
鏡プレイ、ヤバイ…mjd興奮します!


>>334
ラブレター完結キタ!と思ったら、続くんすねw
何気に連載、気になる!焦らしプレイですか〜〜
早くブキたんが幸せになりますように!

あー、やっぱブッキー癒しのプリキュアだわ。
ブキ祭り さ い こ う だ
340名無しさん@秘密の花園:2009/09/12(土) 11:31:31 ID:OoJ31PJH
数日ぶりに見たら読むのがおっつかないぞw
乙すぎる
341名無しさん@秘密の花園:2009/09/12(土) 13:33:35 ID:PjoK5abG
盛り上がりすぎて突っ込んだぐらいだwww
さ、明日はどんな放送になるかな。
342名無しさん@秘密の花園:2009/09/12(土) 20:46:05 ID:lY8EukBV
また珍獣が主役だからな
緩急の緩だな
343名無しさん@秘密の花園:2009/09/12(土) 21:30:15 ID:C43d92Cd
作品的には超重要回だけどな
344名無しさん@秘密の花園:2009/09/12(土) 22:09:30 ID:D4YeXUjH
保管屋です。投下された方々、保管完了してありますのでご確認を。
>>305
最後のパパママの下りとブッキーも付属として保管しました。何か良かったw

>>315
題名良かったらお願いします。もちろん18禁よw
と、若干改行修正しました。

>>334
待望の第2話、ありがとうございました!You、ずっと連載してくれるって
みんなが信じてるw

明日はどんな燃料きますかね〜。珍獣ってwww
345名無しさん@秘密の花園:2009/09/12(土) 22:40:34 ID:HvCpULe7
>>344
保管屋さんいつもおつかれさまです。
見たいのをすぐ見れるからほんと便利。
346名無しさん@秘密の花園:2009/09/12(土) 22:53:45 ID:PjoK5abG
フレプリだけ?保管庫あるのって。
347名無しさん@秘密の花園:2009/09/13(日) 00:10:51 ID:4VrpcMi9
>>346
ググッてみ?プリキュアSSで検索ちゃんしたらスプラッシュスターで出るけどw

さ、フレプリまで8時間とちょいだ。愛しのクローバーまでもう少し寝るとしようw
348MH22S ◆Tp0rBcFpoc :2009/09/13(日) 00:16:29 ID:j7S9YArj
昨日の祭りが凄すぎて今日は静かね、、、
久しぶりのラブせつ。思いの他投下なかったコレでどうでしょう

【ベランダデート】
――私は素直なラブしか知らないけど――


そう言ってせつなは悪戯に笑った。

何か照れくさかったかな。
あたしの事、全部把握されてる気がして。

まだ一緒に暮らし始めて間もないのにね。


せつながこの家に来るまで、あたしがベランダで夜空を見上げる時は
大抵、嫌な事を忘れたかった時だけだったんだ…。


日中はあんなに賑やかな四葉町も、夜になるとこんなに静かで。

一人で夜空を見上げてると、何か落ち着けたんだ。

心がキレイになるって言うのかなぁ…。
349MH22S ◆Tp0rBcFpoc :2009/09/13(日) 00:17:11 ID:j7S9YArj
ねぇ、せつな。あたしって素敵な女性になれるかな?

勉強も出来ないし、運動も苦手。おっちょこちょいで世話焼きでお喋りで。

取り柄と言ったら一直線な明るさといつも元気な所、それと料理が出来る事ぐらいなんだ…。



でもね!あたしはこんな自分が大好き。おバカさんでも毎日が楽しければ。

だから…、自分には嘘が付けないのかもしれない。



素直なあたし、チャームポイントになるかな?

もっともっと自分を磨いて、可愛くなって。



いつか本当に素敵な女性になれたら…



――素直になるって難しいね――
350MH22S ◆Tp0rBcFpoc :2009/09/13(日) 00:17:53 ID:j7S9YArj
あたしの隣には今日もせつながいてくれる。

二人で夜空を見上げると、明日もまた頑張るぞー!って思える。


ベランダでこうしていられる事があたしの幸せ。

せつなと一緒にいられる事があたしの幸せ。

せつなはあたしと一緒にいて幸せなのかな?



ちょっとでもイイ…。あたしといる事が幸せと感じてくれたら。


そしてまた、


明日も明後日もずっと…。ずっとね、ベランダデート出来たら嬉しいな…。
〜END〜
351 ◆BVjx9JFTno :2009/09/13(日) 00:47:12 ID:hfRgSkSW

こんばんわ。

昨日の祭りの余韻がまだあり、自分で投下したのを
読み返しているうちに、ブッキー視点で書きたくなったので
投下します。

また長いです。すみません。
さるさん食らうかも知れないので、支援いただけると幸いです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


美希ちゃんは、私のあこがれだった。

テンポが遅い私は、小さい頃男子によくからかわれ、
その度に、ラブと美希ちゃんがかばってくれた。

クラスでも一番の美人、しかもスポーツも万能な
美希ちゃんが一喝すると、男子はおとなしくなった。


美希ちゃんは、たまたま商店街に来ていた
プロダクションの人に目をつけられ、雑誌に載ったら
たちまち人気となり、モデルさんとして活躍を始めた。

私は応援する反面、美希ちゃんが遠くに行った
ような感じがして、寂しかった。


美希ちゃんは今まで通り四つ葉町にいて、携帯も
メールも知ってるし、呼んだらすぐに会えるのに。


352 ◆BVjx9JFTno :2009/09/13(日) 00:49:40 ID:hfRgSkSW

その頃から、私は自分の気持ちの変化に気づいた。

ひとりの女の子として、美希ちゃんが好きだってこと。

美希ちゃんが私に笑いかけるたびに、
私の心はとても幸せになり、
美希ちゃんのフレグランスが香るたびに、
私の胸はドキドキと高鳴っていた。


でも、美希ちゃんは完璧なモデルさん。
芸能界に入って、かっこいい男の人と恋愛して
どんどん磨かれていく人。

私なんかが想っていても、
邪魔なだけ。


それでも、ひょっとしたらって思ってた。

私が想い続ければ、その想いに
応えてくれるんじゃないかって。


みんなで誕生会したとき、私へのプレゼントに
美希ちゃんが選んでくれたハンカチ。

美希ちゃんがアロマに凝り出した頃、
私をイメージして作ってくれたフレグランス。

今でも使っている。
美希ちゃんがそばに居てくれる気がして。


さっき、学校の帰りに寄った占いコーナーで出た
「近く、すばらしい進展があります」という結果は
信憑性はともかく、何か嬉しかった。


美希ちゃんとも、進展するといいな。

353 ◆BVjx9JFTno :2009/09/13(日) 00:51:33 ID:hfRgSkSW

「山吹さん」
後ろから声をかけられた。

御子柴君だった。
遊園地にみんなで行ってから、
ほとんど会っていなかった。

「今、帰りですか」
「うん、ちょっと寄り道しちゃった」

「先日はすみません。僕、何だか格好悪くて」
「ううん、人には苦手なものがあるし。
 私こそ、苦手なものに付き合わせてごめんね」

「そうですか...よかった」
「私だって、動物病院の娘なのに、フェレットが苦手だったの」

「えっ?そうなんですか?」
「ふふっ、意外でしょ」

たわいもない会話が続く。


「あっ...」

私は、今日発売の雑誌を
買っていないことに気づいた。

「私、本屋さんに行かなきゃ。
 こっちに曲がるから。バイバイ」

「はい。さようなら」

御子柴君と別れて、本屋さんで雑誌を買う。
ついでに色々立ち読みしていたので、
時間が経ってしまった。

354 ◆BVjx9JFTno :2009/09/13(日) 00:54:20 ID:hfRgSkSW

家に帰る途中、公園のベンチに座る
美希ちゃんを見かけた。

考え事しているみたい。
私が近づいても、全然気づかない。

ふわっと、いい香りがする。
横に座り、美希ちゃんの横顔を眺める。

ようやく、美希ちゃんが私に気づいたみたい。


「どうしたの?美希ちゃん」
「ううん、ちょっと考え事していただけ。
 ブッキーこそ、どうしたの?」

「恋占いしてもらった帰りなの」
「そう...で、どうだった?」

「近く、素晴らしい進展があります、って...」


「あの男の子と?」
「えっ...?」

「さっき一緒にいた男の子よ。
 いいじゃない、お似合いで」


違うよ、全然違う。


「やっぱり恋愛は男女ですべきよ。
 男同士とか女同士とか、おかしいわ。

 それに、あの子優しそうじゃない。
 祈里とはお似合いだと思うな。
 付き合っちゃいなよ」


355 ◆BVjx9JFTno :2009/09/13(日) 00:56:28 ID:hfRgSkSW

心に、穴があいた気がした。

私が美希ちゃんを想っていることは、
美希ちゃんに伝わってはいたみたい。

「やっぱり、そう思ってたんだ...」

失望が、口から出る。

「私は...ずっと...」

視界がにじむ。
あふれてくる寂しさを、抑えられない。

この場に居られず、走って公園を出た。


ずっと、
ずっと、
好きだった。


でも、美希ちゃんの答えは、

拒絶。

女同士なんて、あり得ない。

356名無しさん@秘密の花園:2009/09/13(日) 00:58:55 ID:4y6IgqYt
shien
357 ◆BVjx9JFTno :2009/09/13(日) 00:59:26 ID:hfRgSkSW

通りに出ても、涙が止まらなかった。
涙を拭くために取り出したハンカチ。

美希ちゃんがくれたハンカチ。

拭けば拭くほど、涙があふれる。
商店街のベンチで座り込む。

人が走ってくる音がした。

「ブッキー!どうしたの?」
肩を激しく揺すられる。

顔を上げると、ラブちゃんが
心配そうな顔で覗き込んでいた。

「ラブちゃん...私...」

ハンカチを見つめる。
また涙が出てきた。

「ブッキー、そのハンカチ...」

ラブちゃんの前でみっともないけど、
しばらく声を上げて泣いた。

家まで、ラブちゃんが送ってくれた。
泣くばかりで何も言えない私に、
ラブちゃんは何も聞かず、
黙って背中をさすってくれた。

握りしめたハンカチは、涙を拭く場所が
無いほど濡れてしまった。

358 ◆BVjx9JFTno :2009/09/13(日) 01:00:20 ID:hfRgSkSW

夕ご飯も食べず、部屋にこもる。

机の上の写真。
ダンスレッスンの時に、3人で撮った。

めずらしく美希ちゃんの横に私が居る。
嬉しくて、ちょっと美希ちゃんに寄ったので
3人というより、2人と1人みたいな写り方。

写真立てを、パタンと倒した。

こういうときは、思いっきり泣いた方がいい。
雑誌にもよく書いてあるよね。
失恋したときの忘れ方。


アルバムを見ながら、
色々と思い出しては泣き、
明け方になって泣き疲れた頃、
ようやく眠った。

359 ◆BVjx9JFTno :2009/09/13(日) 01:02:54 ID:hfRgSkSW

起きると、昼過ぎだった。

鏡を見ると、泣きはらした
ひどい顔の私が居た。

外は霧雨が降っている。

心の中で、踏ん切りが付いた。
もう、あきらめよう。

美希ちゃんは、普通の幼なじみ。
何もなかったように、過ごそう。

ただ、美希ちゃんにはちゃんと伝えないと。
女の子に好かれて、迷惑だったろうから。


重い足取りで、家を出る。

霧雨が風景を霞ませている。
傘を差していても、雨が舞い込む。


商店街のひとつ手前の路地。
美希ちゃんの家の裏口が見える。

足取りはいっそう重くなる。

360 ◆BVjx9JFTno :2009/09/13(日) 01:05:42 ID:hfRgSkSW

傘もささず、走ってくる人影があった。
私の前で止まる。

美希ちゃん...?

でも、ちょうど良かった。
ここで気持ちを伝えて、帰ろう。

それで、今まで通りの、幼なじみ。

「美希ちゃん...ごめんね、今まで。
 迷惑だったでしょ。

 ずっと美希ちゃんのこと見ていたけど、
 もう...あきらめるから、安心して。」


吹っ切ったつもりだったのに。

いざ美希ちゃんを目の前にすると、
枯れたと思っていた涙があふれる。


「今まで、好きでいさせてくれて...ありがとう」
ほとんど言葉になっていない。

来た道を、走って戻る。


後ろから、抱きすくめられた。

傘が、落ちた。

361 ◆BVjx9JFTno :2009/09/13(日) 01:07:52 ID:hfRgSkSW

「行かないで、祈里!」

祈里と呼ばれて、体が硬直した。


「きのう言ったの、全部嘘!
 あの子とつきあって欲しくない!」


えっ...


「アタシ...祈里が好き...!」


頭が、混乱する。

美希ちゃんは、女同士って
あり得ないって言ってた。

でも、私のこと好きって...。

同情?
私が、かわいそうだから?



でも、美希ちゃん、

泣いてる...。

362名無しさん@秘密の花園:2009/09/13(日) 01:11:53 ID:j7S9YArj
同時進行で保管中ですよ。さるったかな?
363 ◆BVjx9JFTno :2009/09/13(日) 01:12:09 ID:hfRgSkSW

振り返る。

私を見つめている美希ちゃんの顔は、
いつも見るお姉さんじゃなくて、
ひとりの普通の女の子。

「祈里を、離したくない...!」

泣きながら、私を見つめている。

嘘じゃない。
同情なんかじゃない。

美希ちゃん、本気で私のこと...。


感情が、抑えきれない。

美希ちゃん。
私、もう我慢しなくていいんだよね。

美希ちゃん。
私、美希ちゃんを好きでいていいんだよね。


美希ちゃん。

美希ちゃん。


涙で、美希ちゃんの顔がかすんでいる。
抑えようとしても、嗚咽の声が漏れる。

私の頭を、美希ちゃんがしっかりと
胸に抱いてくれた。

私は、声を上げて泣いた。


美希ちゃんの涙が、私のほおに落ちる。
暖かい、しずく。

心が震えるような感覚が治まり、
顔をあげると、私と同じくらい
泣きはらした顔の美希ちゃんと
目があった。

霧雨の感覚が、急に感じられた。

「風邪...ひいちゃうよ」

364 ◆BVjx9JFTno :2009/09/13(日) 01:14:19 ID:hfRgSkSW

美希ちゃんの家で、シャワーを借りる。
暖かいシャワーを浴びていると、
何か不思議な気持ちになる。

家を出るときはあんなに重く
つらい気持ちだったのに、

今はとても安らいだ気持ちと、
これからのドキドキが混じった、
何とも言えない気持ち。


私の服を乾燥機にかけている間、
美希ちゃんの服を借りる。
私には大きいので、シャツだけ着る。


美希ちゃんがシャワーを浴び終えて、
部屋に入ってきた。

バスタオル一枚の姿を見て、
私は思わず下を向いた。

365 ◆BVjx9JFTno :2009/09/13(日) 01:16:20 ID:hfRgSkSW

部屋にいい香りが拡がる。

甘く、心を落ち着かせる香り。
かすかにひそむ情熱的な香り。

「とってもいい香り...」
「大切な人と過ごすために、買っておいたの」

それって...私?

顔をあげると、美希ちゃんと目があった。
私だけを見てくれる、優しい瞳。

美希ちゃん...


自然に、目を閉じた。

唇が重なる。

心が、素直になる。
体が、素直になる。

ゆっくりと、ベッドに倒れ込んだ。


重なる肌。

ひとつになる吐息。

美希ちゃんで
満たされていく。

甘い香り。
幸せな時間。

何度も、昇りつめる。

...

美希ちゃんでいっぱいになった私は、
訪れた眠気に、素直に身を任せた。

366 ◆BVjx9JFTno :2009/09/13(日) 01:16:59 ID:hfRgSkSW

意識が戻ってきた。

急に、夢だったんじゃないかと
不安になる。

唇が触れる感触があり、目を開けた。
すぐ近くに、美希ちゃんの顔があった。

「ごめん、起こしちゃった?」
美希ちゃんがささやく。


夢じゃ、ない。


「ううん、こんな起こし方なら大歓迎」
今度は私から口づける。


私のおでこに、美希ちゃんのおでこが触れる。

「あらためて、これからもよろしくね、祈里」
「こちらこそ。美希ちゃん」

想い続けていて、良かった。


私が想っているのと同じくらい、
美希ちゃんも想ってくれたら、嬉しいな。


367 ◆BVjx9JFTno :2009/09/13(日) 01:18:30 ID:hfRgSkSW

以上です。
長々とお付き合いありがとうございます。
支援助かりました。


正直、これだけの情報でフェイク電話かけられる
ラブやんが超人ですが、美希たんの気持ちが
バレバレだったということにして、細けぇ(ryでひとつよろしく。


368名無しさん@秘密の花園:2009/09/13(日) 01:24:45 ID:j7S9YArj
>>367
御子柴生きろwそして諦めろww
ブッキーにはやっぱ美希たんがピッタリ・しっくり来るなぁ。
憧れがリアルに使えるんですよね。

お互いが素直になった時の感動がもうね。。。
で、微エロな展開がさらに。。。

良作GETだよ!題名「Faithfully」に何か足しますか?
369名無しさん@秘密の花園:2009/09/13(日) 01:36:14 ID:hfRgSkSW
>>368

今回は祈里視点だったので、普通に
「Faithfully@inori」でお願いします。
370名無しさん@秘密の花園:2009/09/13(日) 01:36:17 ID:6fIxWnYS
秋の夜長のブキブキナイトw
371名無しさん@秘密の花園:2009/09/13(日) 02:01:23 ID:hfRgSkSW
>>349

ベランダデートいいですね!
ラブやんは素直なのが一番。
磨かれたらちょっと残念な気がするwww
372 ◆ZU7CldKWo2 :2009/09/13(日) 03:37:21 ID:zLpIw5w0
今日も今日とて、SS祭り。
すさまじいスピードですね。良作を生み出すその力量に感服。そして自分も負けてはいられないなと。

保管、ありがとうございました。そして感想下さった皆様、ありがとうございました。
昨日のは、確かに自分の中でも一番、R-18に近付いたかな、とw
なので今日はキャッキャウフフな方向で。
(・∀・)ニヤニヤしてくれればいいと思うよ!!


『Sunset Walk, My Secret』
美希せつです。
373Sunset Walk, My Secret ◆ZU7CldKWo2 :2009/09/13(日) 03:38:22 ID:zLpIw5w0
「そういえば」

 ふと、思い出したようにせつなが言った。

「この前、美希が腕を組んで歩いてた人、彼氏なの?」

 思わずあたしは、飲んでいたコーヒーを噴出しそうになってしまった。




    Sunset Walk, My Secret




「大丈夫?」
「へ、平気・・・・・・」

 なんとか噴出すような無様なことにはならなかったけれど、あたしはすっかりむせ込んでしまった。
 十分、無様か。あたし、全然完璧じゃない。

「あたし、彼氏なんていないわよ」

 せつなが差し出してくれたティッシュで口の周りを拭きながらのあたしの言葉に、彼女は首を傾げて、

「でもラブが言ってたけど。あの人が美希の彼氏だって」
「ラブもいたの?」
「ええ。確か、前の日曜日だったかしら。駅前のデパートにいたでしょ?」

 思い当たる節はある。
 ラブの奴・・・・・・!!

「あれは弟よ、弟」
「弟? 美希、弟なんていたんだ?」
「ま、ね。わけあって、一緒には暮らしてないんだけど、時々は会ってるの。ラブも知ってるんだけどね」

 そうなんだ、と言いながら、せつなは自分の前にあるコーヒーカップを手に取って、ゆっくりと口に運んだ。
374Sunset Walk, My Secret ◆ZU7CldKWo2 :2009/09/13(日) 03:40:11 ID:zLpIw5w0
 最近、あたしとせつなは仲が良い。放課後にこうして外で待ち合わせて、一緒にお茶したりしてる。
 自分でも驚いてるんだけど、せつなといると楽しい。
 彼女がイースだった頃は、正直、少し苦手だった。警戒してた、という方が正しいか。ラブに近付いてるのも、
何かの魂胆があってのことじゃないかと思えて。
 ま、実際にそれは正しかったんだけど。さすがあたしの勘。完璧だわ。
 けど、キュアパッションとして生まれ変わって、仲間になってからのせつなは、すっごく素敵な女の子。何事にも
精一杯に頑張ってる姿は、見ていて微笑ましいし、あたしも頑張ろうって気になる。
 それに、この世界のことをまだよくわかってないから、色々と教えてあげなきゃ、って気になる。
 前にせつなのおつかいに付き合った時、マグロが見つからなくて困ってた。パックに入ったマグロの刺身を
取ってあげたら、首を傾げてあたしにこう言った。

「これ、お魚なの? 図鑑で見たマグロと全然違うわ」

 って。魚は切り身で泳いでるって思ってた、って子供の話は聞いたことがあるけれど、せつなの場合はその逆で、
どんな魚も魚の姿のままで売ってるもんだと思ってたみたい。
 そういう勘違いも、可愛らしいんだけれど、ね。
 なんというか、せつなって、母性本能をくすぐってくる。頼りにされると嬉しいし。
 だから最近は、あちこち連れまわしてたりする。色んなことを教えてあげるために。
 特に、女子力を磨くようなところが多い。せつなって可愛らしくて、あたしから見ればダイヤの原石みたいなもの
なんだけど、その自覚が無いのよね。お化粧なんてしたことないみたいだったし。それであの綺麗さなんだから、
ちょっとずるい、って思っちゃうけれど。
 そんな風にあたしがせつなと一緒にいることが多くなって、ラブから一度、ブーイングを食らったことがある。

「美希たん、最近、せつなと遊び過ぎ。アタシだってせつなと遊びたいのにー」

 いいじゃない、ラブ。あなたはせつなと一緒に暮らしてるんだから。他の時間はあたしにくれたって。
 ま、そんなやり取りがあったわけだけど、多分、ラブったらそれを覚えてたのね。だからせつなにあんな嘘を
教え込んだんだ。
 まぁ、悪意の無い冗談だろうけれど。ラブのことはよくわかってるから、何を考えてるのかもわかる。ちょっとした
悪戯なんだろうけれど、せつなに言ったら信じ込んじゃうじゃない。
 って、あたしもラブに、和希のことを彼氏みたいに言ったことがあったから、おあいこか。


「でも」

 またふと、何か疑問に思ったのか、せつながあたしを見つめてくる。

「腕を組むのって、恋人とか、夫婦とか、そういう人同士じゃないの?」

 お父さんとお母さんも、時々、腕を組んで歩いてるわ。彼女はそう続ける。
 そうなんだ。ラブのところのお父さんとお母さん、相変わらず仲が良いのね。ちょっと、羨ましいかな。あたしの
場合、物心ついた時にはお母さんしかいなかったから。
 って、そんなこと考えてる場合じゃなかったわね。

「家族でも腕を組むことぐらい、あるわよ。あたしの場合がそう」
「ふぅん? じゃあ、あの子達も家族なのかしら?」

 せつながあたしの背後に目を向けて、そう言った。振り返ると窓の外には、高校生と思しき女の子達が二人、
腕を組んで歩いていて。
 どう見たって彼女達は、家族じゃない。

375Sunset Walk, My Secret ◆ZU7CldKWo2 :2009/09/13(日) 03:41:13 ID:zLpIw5w0
「あれは友達だからね」
「友達でも、腕を組むことはあるのね」

 なるほどね、と頷く彼女に、あたしの中の何かが囁く。危険信号、と言ってもいい。

「言っておくけれど、せつな。男友達とは腕を組んじゃだめよ?」
「え? どして? 友達でも、腕を組むんでしょ?」

 心底驚いた、といった感じの顔を見せるせつな。あたしは、やっぱり、と心の中で呟く。最近のあたしの勘、
せつなに関してはものすごく鋭くなってる。

「男の子と女の子が腕を組むのは、恋人とか、夫婦とか、家族の間でだけ許されるの。友達にはしちゃダメよ」
「難しいのね」

 ううん、と顎に手をやって、せつなは考え込む。そんなに真剣になるようなことでも無いと思うんだけど。

「女の子同士で、友達なら、腕を組んでもいいのね」
「そうね。男の子と女の子が腕を組んでたら、ま、恋人か家族と思えばいいと思うわ」
「それはわかったけれど、じゃあ、男の子同士でも友達なら腕を組んで歩いたりするの?」

 う、と言葉に詰まる。やられた。想像を越えてきた。完璧だった筈の話の流れは、せつなの一言で崩壊する。
 ええと。ええと。なんて答えればいいのかしら。

「ねぇ、どして?」

 首を傾げて純真な目で見てくるせつなは、やっぱり可愛い――――じゃなくて。
 ああもう。誰か助けてよー。

 結局。
 あたしはせつなの問いに、しどろもどろになりながらも、なんとか誤魔化した。
 彼女は釈然としない顔をしてたけれど、全部説明するのは難しいし、恥ずかしい。
 ようやくせつなが話題を変えてくれた時には、あたしは結構、ぐったりしてた。世間知らずは可愛いんだけれど、
ほどほどにして欲しいわ・・・・・・。
376Sunset Walk, My Secret ◆ZU7CldKWo2 :2009/09/13(日) 03:42:59 ID:zLpIw5w0
「あ、もうこんな時間」

 せつなが腕時計を見て、ビックリしたような声を出す。
 窓の外の空は、夕焼け色。せつなといると、時間が経つのが早い――――けれど、彼女が気付いちゃったことが、
ちょっと残念。
 実はあたしからは、せつなの背の向こうに時計が見えていた。だから今、何時かも全部、わかっていた。
 あんまり遅くなったらいけない、とわかってたんだけど、少しでも一緒にいたくて、ついつい黙ってしまってた。
 ちょっとだけ、罪悪感。ごめんね、せつな。葛藤はあったのよ?
 でも、本音を言えば、もっとあなたといたかったわ。

「じゃ、行きましょうか」
「ええ」

 お会計を済ませて、外に出る。ちょっとだけ、アンニュイな気分。
 あーあ。楽しかった時間もこれで終わり、か。残念。
 ホント、夕焼け空が恨めしい。ずっとせつなといられたらいいのに。
 なんてことを考えてたら。

「――――!?」

 不意に、右腕に絡まってくるせつなの腕。

「せ、せつな? 急に、どうしたの?」
「え? 女の子で、友達同士なら、腕を組んで歩いてもいいんでしょ?」

 ビックリして裏返った声で尋ねるあたしに、せつなは不思議そうに見上げてくる。

「う、うん。確かにそうなんだけど・・・・・・」

 右肘には、柔らかい感触。前から思ってたけれど、せつなって案外、グラマーなのよね。しかもまだ大きく
なってるって言ってたし。それにしても、気持ちいい。ぬくもりも、その柔らかさも――――ってあたし、何、
考えてるのよ!?

「美希、あたしと腕を組むの、いや?」

 無言になったあたしを、せつなは不安そうに見上げてくる。心なしか、瞳がうるんでいて。
 あたしは、その問いかけに全力で首を横に振った。

「いやなわけないわ。むしろ、あたしも腕を組んで歩きたいな、って思ってたぐらいだし」

 ああ、良かった。空が赤くって。あたしのほっぺの真っ赤さ、せつなに感付かれてないわよね?

「そうなんだ。良かった。美希に嫌われてなくて」
「嫌うわけないでしょ、せつなを」
「ありがと、美希」

 嬉しそうに言いながら、せつなはギュッとあたしに体を寄せてくる。ぷにぷに。肘の感触に、あたしの理性は
崩壊しちゃいそう。
 ちゃんと言ってあげないといけないって、本当はわかってる。女の子同士の友達なら、そんな風に引っ付いたり
しないんだって。せつながしてるのは、恋人同士みたいな腕の組み方なんだって。
 ああ、でも。
 まぁ、女の子同士なら、おかしくはないかもしれない。ううん、きっとおかしくないわ。たまにそういう風に引っ付き
たくなること、あるもんね。うん。そうよ。あたし間違ってない。
 完璧な言い訳を自分にしつつ、あたしは。
 せつなにギュッと腕を抱きしめられながら。
 幸せな気分で、夕焼けの帰り道を歩いたのだった。
377Sunset Walk, My Secret ◆ZU7CldKWo2 :2009/09/13(日) 03:43:39 ID:zLpIw5w0
  〜後日譚〜

「ねぇ、せつな。ラブともこうして、腕を組んで歩いたりするの?」
「ううん、しないわ」
「え? どうして?」
「――――さぁ。どうしてかしらね」

 クスクスと笑う彼女に、あたしは。
 せつなって、基本さえ知れば、すっごく応用を利かせる子なんじゃないか、って感じて、ちょっと怖くなったりも
したけれど。
 ギュッ。せつながいつも以上にあたしの腕を抱きしめてきて、まぁいいか、って思ってしまう。

「私がこんな風に腕を組んで歩くのは、美希だけよ――――美希は?」
「も、もちろん、あたしもよ」

 ごめんね、和希。もうあなたと腕を組んで歩けなくなっちゃったわ・・・・・・
 意志の弱いお姉さんを許してちょうだい――――
378 ◆ZU7CldKWo2 :2009/09/13(日) 03:45:36 ID:zLpIw5w0
せっちゃんは天然で他人を骨抜きにすると思うわけで。
根拠はパッションスレの伸びの速さ。

私? 私も骨抜きですよ。
379名無しさん@秘密の花園:2009/09/13(日) 04:40:16 ID:6fIxWnYS
美希せつ、いやこれは…そう!せつ美希キタ!!

わはー!ダハー!おいちゃん、照れっちゃうぜー!!
380名無しさん@秘密の花園:2009/09/13(日) 05:30:26 ID:iRaVUgY8
>>378
2828がとまらないw
せつなの天然は美希の完璧を超えるのか!

>>379
祈里「ラブちゃんヨダレヨダレ!もーぅ」
フキフキ
ラブ「タハハー、ごめん。でもブッキーだからフキフキじゃなくてブキブキだね!」
祈里「結局ダジャレか〜い」
ラブキ「はぁ〜、スイーツスイーツ♪」
381名無しさん@秘密の花園:2009/09/13(日) 07:07:58 ID:hfRgSkSW
>>377
GJ!
せつなの破壊力はすごいなぁ。
ニヤニヤしちまった。
和希残念!生きろwww
382名無しさん@秘密の花園:2009/09/13(日) 08:30:01 ID:j7S9YArj
フィリップ、俺たちも腕組んでみるか?

やめてよ、気持ち悪い。ほら、早く保管してよ。

ふ…。もう終わっている。さ、プリキュアで検索だ。
383名無しさん@秘密の花園:2009/09/13(日) 09:00:24 ID:bfnIwbuv
せつ美希くる?
384名無しさん@秘密の花園:2009/09/13(日) 09:01:22 ID:4VrpcMi9
おい、百合ゼロじゃねーか_| ̄|○
予告無かったら逝ってたかもw
385名無しさん@秘密の花園:2009/09/13(日) 09:02:10 ID:6fIxWnYS
っしゃあキタコレーーーーーー…
386名無しさん@秘密の花園:2009/09/13(日) 09:03:56 ID:j7S9YArj
SS的なネタとしても2個しかメモれなかったwww
来週はいよいよ待望の美希×せつなですね!
387名無しさん@秘密の花園:2009/09/13(日) 09:04:26 ID:hfRgSkSW

予告での美希せつ背中合わせに萌えた

388名無しさん@秘密の花園:2009/09/13(日) 11:04:06 ID:oIipJEdW
ヤバイ、美希せついいかも。
せつなの為に怖いの我慢して立ち上がる?らしきカットに萌えたw
389名無しさん@秘密の花園:2009/09/13(日) 11:19:58 ID:4VrpcMi9
仲間になってから結構時間たったのに気まずいとか、製作側もアクセント付けるのウマい…のか?
390名無しさん@秘密の花園:2009/09/13(日) 11:26:37 ID:P0J3UwoZ
>>389
仲間になったと言っても日常ではあまり接点が無いからな
学校も違うし
391名無しさん@秘密の花園:2009/09/13(日) 11:29:16 ID:Nm3JsZuY
でも漫才やったりふつうに話してたり、別にきまずいとか苦手な感じはなかったが
せつな加入からずっと二人がよそよそしかったらイメージ悪いし、その辺は子供向けアニメか
392名無しさん@秘密の花園:2009/09/13(日) 11:35:46 ID:dxEPIUgI
今まで完全に二人っきりってのはなかったしな
皆で一緒にいる時はそれなりに話せるが二人っきりになると話題はなさそうだ
なんか友達の友達って感じはしてた
393名無しさん@秘密の花園:2009/09/13(日) 11:47:44 ID:j7S9YArj
で、来週我々が発狂する展開が待ってる訳ですね。わかりますw
394名無しさん@秘密の花園:2009/09/13(日) 12:14:39 ID:4VrpcMi9
漫才も噛み合わなかった時点でよそよそしかったかw
それ以上にラブさんがアタックしまくりだったもんね。
395名無しさん@秘密の花園:2009/09/13(日) 12:57:34 ID:CJrlqXdW
どっちでも幸せだけど、美希せつよりせつ美希っぽい気がする。
どうだろう?
396名無しさん@秘密の花園:2009/09/13(日) 13:32:28 ID:LUrnDbXk
CPの前後を言いだすと限りがないからな
自分の好きなほうでいいと思うぜ
397名無しさん@秘密の花園:2009/09/13(日) 14:49:34 ID:+EvKzMOz
美希「せっかくだからせつなのお洋服も買いましょう!」
せつな「え? いや私は別に…」
美希「いいからいいから服脱いで。完璧に似合う服を選んであげるわ!」
せつな「ちょっと!? どこ触ってるの美希!?」
美希「ワハー! せつなの太ももゲットよ!」
せつな「ここじゃ恥ずかしいわ…。場所を変えましょう。続きはしまむらで」
398名無しさん@秘密の花園:2009/09/13(日) 16:32:35 ID:FVvS0euq
しまむらならいいのかよ!
399名無しさん@秘密の花園:2009/09/13(日) 16:48:43 ID:4VrpcMi9
これも保管庫逝くのかw
400名無しさん@秘密の花園:2009/09/13(日) 16:57:59 ID:wG+p9mOz
この間から鬱展開な黒ブキ書いてるもんです。


続きと言うか、

ふたりの関係に気づいたラブは、せつなを愛して過ぎているため問いつめることができずに、毎晩せつなの身体を求めてしまう。


今日はこの部分を文章化してみた。


相変わらず、長い・暗いのでご注意。
401名無しさん@秘密の花園:2009/09/13(日) 16:59:04 ID:wG+p9mOz
(……起きなきゃ…。)


せつなは時計に目をやり、のろのろと身をおこす。
頭が重いのも、体がだるいのも既に当たり前になっている。
疲労と睡眠不足、何より毎日神経を磨り減らし精神的に疲弊しきっていた。
今日も一日、笑顔で過ごさなければいけない。
今のせつなには、それは途方もない苦行に思えた。


あの日以来、祈里から時々来るメール。件名も何もない、『来て』ただそれだけ。
その場で削除する。そして、アカルンで移動する。直接、祈里の部屋へ。
遊びに行くわけじゃない。だから玄関も通らず、お母さんに挨拶もしない。
祈里は相変わらすニコニコと穏やかに微笑んでる。
私は…黙って制服のボタンを外し、下着を脱ぐ。
言われるがままに体を開き、事が済めば、また黙って衣服を整えて部屋を後にする。

(もう嫌、……もう、許して…)

せつなの懇願を祈里は天使のような微笑みで黙殺する。
言葉で、体で、せつなを責め苛む。まるで、せつなを嘲笑うかのように。

『せつなちゃんが悪いんだからね。』
『せつなちゃん、ラブちゃんにもこんなふうにしてるの?』
『ねぇ、教えて。夕べはどんな事したの?』


そして、必ずせつなにこう言わせる。


好きよ…祈里


わたしも、せつなちゃん……そう言って祈里は私を掻き抱く。
祈里は、虚しくないのだろうか。私が好きなのはラブだけなのに。


その言葉を口にする度にラブを裏切っている事を
思い知らされる。
祈里はそれを分かってて、わざと言わせてるんだろうか……。


祈里は私が好きだと言う。
それなのに、なぜ私が苦しくなる事ばかりするんだろう。
402名無しさん@秘密の花園:2009/09/13(日) 17:01:05 ID:wG+p9mOz
そして夜が来る、また、ラブに抱かれる。
この頃ラブは毎晩せつなを求めてくる。それも飽くことなく、何度も。
昨夜も明け方まで眠らせて貰えなかった。
ラブは、何か気付いている。何処までかは分からないけれど。
せつなの体をまさぐりながら、その瞳が時々何かを観察するような光を帯びる。
そう、せつなにラブ以外の痕跡が残っていないかどうか。


愛撫も以前の慈しむような優しさが減った。
まるでせつながどこまで耐えられるか試すように、敏感な部分にわざと
歯や爪を立て、乱暴につねる。
既に達しているせつなの体をお構い無しに休む間もなく弄ぶ。


それでも、せつなはラブを拒めない。
それでも、ラブに触れられるのが嬉しいと感じる。
だって体を重ねていれば、まだ愛されている気がするから。
まだ嫌われていない。まだラブの側にいてもいいんだ、そう思えるから。


「…好き、…ラブ」
眠っているラブに体を擦りよせ、そっと囁く。
今は、ラブの目を見られなくなってしまった。
ラブが好き。ラブだけが好き。そのはずなのに、体は与えられる刺激を無視出来ない。
意志とは関係なく、体は祈里の愛撫に応えてしまう。
指で唇で敏感な部分を責められると、噛み殺す事の出来ない嬌声が漏れる。


ラブじゃないのに……。


自分がとても汚らわしいものに成り下がってしまったような気がする。
ラブだけのものじゃ無くなってしまった。
もう、ラブに愛してもらう資格なんかない。
そう思うのに……。
離れられない。この温もりを失うのが怖い。


そして、ラブがどんな気持ちで自分を抱いているのか…。
ラブは気付いてる。なのに何も言わない。
責めることも、問い質すこともしない。
皆の前では変わらぬ態度。朗らかに笑い掛け、冗談を言う。
そして、二人きりになると黙ってせつなの体を貪る。


せつなには、わからなかった。
ラブの気持ちも。祈里の気持ちも。
403名無しさん@秘密の花園:2009/09/13(日) 17:02:38 ID:wG+p9mOz
(せつなって隠し事出来ないんだな。)


祈里の家で具合が悪くなり、そのまま泊まる事になった翌日。
せつなは傍目にも分かるほど蒼白い生気のない顔で帰ってきた。
お母さん、慌てて着替えさせてベッドに入らせてた。
せつながあんなふうに具合が悪くなるなんて家に来て初めてだったから。
薬は?病院行く?世話をやくお母さんを見て、祈里の家に泊まるって聞いて
何だかモヤモヤしてた自分が恥ずかしくなった。
ちょっと嫌な予感がしてたんだよね。
でも本当に辛そうな顔で横たわってるせつなを見たら、祈里にも申し訳なく思った。
心配して泊めてくれたのに、変なヤキモチ焼いちゃったって。


結局、その時感じた嫌な予感はあたってたんだけど。


その日からせつな、明らかに態度がおかしくなった。
家族皆でいる時や学校で友達とお喋りしてる時のせつなはいつもと変わりなく見える。
でも二人きりになると、あからさまに目も合わせようとしない。
それ以前に極力二人きりにならないようにしてるみたいだ。


そしてそれ以上に、祈里に対する態度が不自然過ぎた。
祈里を見ると表情が固くなる。絶対に隣に座らない。
傍目には普通に話しているようにも見えた。でもそれは祈里が一方的に話し掛け、
せつなが返事をしてるだけだった。


あれでは『祈里と何かありました』と言ってるようなものだ。
その『何か』を考えようとすると、いつも途中で思考が止まる。
だって、どんな道筋を辿っても行き着く場所は一つしかなかったから。
404名無しさん@秘密の花園:2009/09/13(日) 17:04:35 ID:wG+p9mOz
(せつながブッキーと……)

古典的な手段だな…と思いつつ、ラブはせつなのいない隙に携帯に手を伸ばす。
今までは恋人のメールを盗み見る、なんて話は軽蔑してた。
(コソコソせずに話し合えはいいじゃん!)
こっそり覗くなんて相手を信頼してない証拠。そんなだから不安になるんだよ!
実際に友達との恋愛話のなかでそんな事を言ったような気もする。
それが、実際はどうだ。自分を嘲笑いたくなる。


(………ビンゴぉ!ってやつ?)
几帳面なせつならしく、メールはきちんと名前別にフォルダに振り分けられている。
ラブ、美希、他にも学校の友達や家族。どれも他愛ない雑談や連絡事項。
そして、祈里。直接的なメールは何もない。
むしろ、不自然な程に何もないのだ。
メールはあの日を境に今日までぷっつりと途絶えている。
恐らくせつなが帰った直後に送られたであろう、
『昨日はありがとう。またね。』
これも、少しおかしい。せつなは体調を崩してたはずなのに、それを気遣う
様子は微塵も見られない。着信、発信もゼロ。


そして、今日の午後に一件だけ。


『来て』


ただ、それだけ。


ドクン…と心臓が脈打つ。メールの来た時間。せつなはその直後にいなくなってる。
そして、まだ帰らない。
せつなは今、祈里といる。予感ではなく確信。心に冷たい水が染み込んでくる。

祈里がいつもせつなを見てた事は分かってた。憧れるような、熱っぽい視線。
あたしに対しては嫉妬と羨望の混じった視線。
あたしは…祈里に優越感を抱いていたのかもしれない。
(仕方ないじゃない。せつなは、あたしが好きなんだもん。)
せつなは今までに会ったどんな子とも違う。そんなせつなに甘い憧れを
抱くのも仕方ない。
いずれ時間が解決してくれる。だってせつなだって祈里が大好きなんだから。


ただし、友達として。



せつなは今何してるの?今まで、あたしといない時間何してたの?
焦燥感に身が焼かれる。今すぐせつなを問い詰めたい衝動に駆られる。


けど、実際にせつなを目の前にしたら、何も言えないだろう。
せつなが、あたしの目を見られないように。
405名無しさん@秘密の花園:2009/09/13(日) 17:06:57 ID:wG+p9mOz
あたしはせつなに何も言わない。せつなもあたしに何も言わない。
ただ、体を重ねる。焦燥感を忘れようとするかのように。
せつなは何も言わない。拒む事も、抵抗もしない。あたしが何をしても。


時々、せつなは物言いたげな視線をよこす。
でも視線が絡む直前、自分から目をそらす。
たぶん、せつなはあたしからの言葉を待ってる。
『何があったの?』
そう聞けばせつなは話してくれるだろう。せつなは、あたしに嘘はつけない。



組み敷いたせつなの体が熱い。この熱だけが心を引っ掻く焦燥感を忘れさせてくれる。
まだ大丈夫。せつなはあたしを求めてくれてる。
まだ、愛してくれてる。そう思えるから、何度も何度もせつなを求める。
時間が深夜を過ぎても。せつなの体が、とうに限界を迎えてるのが分かってても。


うとうとと微睡みながら、せつながあたしの髪を撫でているのを感じた。
この上なく大切なものに触れてるような、愛しむような優しい指。
こんなふうに、せつなからあたしに触れて来るのは久しぶりのはず。
意識ははっきりしてきたけど、目が開けられない。起きてる事が分かったら、
もう撫でて貰えない気がして。


「…好き、…ラブ…」


吐息のような囁く声。でもはっきりと耳に届いた。
あたしを起こさないようにか、そっと身を寄せぴったりとくっついてくる。
以前と変わらぬ優しい温もり。
(ホントに…?…せつな)
好き、確かに彼女はそう言った。
涙が出そうになる。
(信じても、いいよね……?)


せつなはあたしが好き。あたしだけが好き。
あたしがせつなを好きなのと同じように。
ちゃんと、信じよう。逃げるのはやめよう。信じなきゃ、ダメだ。


(あたしは、覚悟を決めなきゃならない。)



せつなの寝息を感じながら、そう、思った。
406名無しさん@秘密の花園:2009/09/13(日) 17:11:14 ID:wG+p9mOz
以上!タイトルは「心の距離」で。


しかしここまで妄想をいじくり回されて>>209は呆れてないだろうか…。


こうなったら意地でも完結させると、勝手に責任感に燃えてる自分www


ここの優しい住人達なら、ウザがらずに読んでくれるって、
わたし、信じてる!
407名無しさん@秘密の花園:2009/09/13(日) 17:48:30 ID:6fIxWnYS
驚 き の 黒 さ ! !

丸く収まる気がしねえ!だが時に暗い話も良いものでw

黒ブキさんの行く末や…いかに!!
408名無しさん@秘密の花園:2009/09/13(日) 18:03:50 ID:dxEPIUgI
暗い話が好きな俺に良し
先の話のあらすじを知っていてもワクワクが止まらん
409名無しさん@秘密の花園:2009/09/13(日) 18:17:33 ID:bfnIwbuv
>>406
ひぎぃ…なにこれ好きだ!!ナイスドロドロ!
続き書いてくれないとFUKO汁でるわ。待ってます
410名無しさん@秘密の花園:2009/09/13(日) 18:37:47 ID:hfRgSkSW
>>406

黒すぎる!
これ昼ドラでそのまま使えるぞwww

続きwktkして待ってます



411名無しさん@秘密の花園:2009/09/13(日) 19:23:05 ID:hhrJv3uG
>>236
GJ
412名無しさん@秘密の花園:2009/09/13(日) 20:15:14 ID:j7S9YArj
「小ネタも勿論保管するんだろフィリップ。」

「うん、バッチリだよ。こちらの黒い話も完了済み。」

「検索…嫌、確認して欲しいな。」
413名無しさん@秘密の花園:2009/09/13(日) 20:52:59 ID:4L7iUnab
タイトルは名前欄にいれてくれると嬉しい
414名無しさん@秘密の花園:2009/09/13(日) 21:40:24 ID:4y6IgqYt
>>406
GJ!
続き楽しみにしていました。また引き込まれてしまった。。
お互い想い合っているのにもどかしいっていうか、二人の心の葛藤が切ないです。
完結するまでがんばってください!
415名無しさん@秘密の花園:2009/09/13(日) 21:48:35 ID:4VrpcMi9
純愛や甘い話は実際には無いんだろうな、百合って。
こうした泥沼の方がリアルなのかねぇ。
416名無しさん@秘密の花園:2009/09/13(日) 22:05:07 ID:Nm3JsZuY
>>415
女子校行ってた友達に聞いたことあるけど
恋人ごっこみたいな百合でも、やっぱ泥沼になりやすいんだってな
女同士は依存しあうから
一番多いのがどちらかに彼氏が出来て終わるパターンだってさ
417名無しさん@秘密の花園:2009/09/13(日) 22:07:13 ID:ZIBLIQH9
>>209のラブ美希浮気展開は美希がブッキーのこと好きとかだとさらにドロドロ化現象でいいかもね
…とかいってみるw
418YM:2009/09/13(日) 22:08:28 ID:oK8OSxnw
>>406
GJです!
何か昼ドラみたいな愛憎劇にドキドキですよ。
続き楽しみにしてます!
419名無しさん@秘密の花園:2009/09/13(日) 22:21:23 ID:j7S9YArj
>>415
やっぱりそうなんですかね…。自分はハッピーエンドや甘酸っぱい
のしか書けないから、もっと勉強した方がイイのかもしれないなー。

>>416
うわ、超リアルw依存し合うとかまさに>>406さんの展開だ。

奥深いなぁ、百合って。もっと修行しなきゃ駄目だorz
クローバーのキャラを生かすの難しすぎる…
420名無しさん@秘密の花園:2009/09/13(日) 22:33:37 ID:f47JWbI+
女子高出の姉にマリみての漫画読ませたら

ワシ「笑っちゃうだろ??」
姉「いや、生徒会は実際こんな感じだったよ?
あの子が結婚したって聞いて、うへーよく結婚できたなーって思ったもん。」

こんな反応が返ってきてビクーリしたことある。
421名無しさん@秘密の花園:2009/09/13(日) 23:14:02 ID:4VrpcMi9
>>419
幸福終焉や甘甘好きな人もココにはいるから。いろんな作品あるからこんだけ盛り上がってるハズだし。俺は文才無いから書ける人は尊敬してるよ。

4人は雰囲気や性格が違うからね。文字にするのは本当に難しいだろうな。

>>420
女子高とかすげーんだろうなw

美希はめちゃモテ、せつなは告白されまくり。ブッキーはイチャつき、ラブは明るく百合ってそうな妄想をしてみたよw
4人同じ高校行ったら即死出来る
422名無しさん@秘密の花園:2009/09/13(日) 23:22:19 ID:hfRgSkSW
>>419

自分も甘甘ハッピーエンドしか書けませんww

>>406みたいなドロッドロの展開は顔を覆いつつ
指のすき間から見ている感じです。

保管庫見るといろんな種類あって面白いですね。
数もパネェwww

423名無しさん@秘密の花園:2009/09/13(日) 23:59:14 ID:wG+p9mOz
>>406です。感想たくさんサンクス!
夕方の人のいない時間に投下&まだ他の職人さん降臨前のせい?


休みだってのに出掛けもせず、シコシコ書いてた甲斐があったってもんだww


正直、軽い気持ちで書き始めたのがこんなことになるとは
夢にも思わんかった。


でも書き始めたからには、精一杯完結させるわ!


続き、なるべく明日投下できるよう頑張る。
多分、あと2〜3回で終わると思う。
424名無しさん@秘密の花園:2009/09/14(月) 00:12:37 ID:7lXsFuNU
こんばんは。最近は職人の仕事っぷりがすごいなー。
続き物とか先が気になりすぎて困るぜ。

美希ブキです。エロどころか山もなし。
ブッキーが策士っぽくなってしまった。
あとラブさんが空気です。申し訳ない。
タイトルは 夏の終わりとアイスティー で。タイトル考えるの難しいな。
駄文ですが箸休めにでもどうぞ。
425名無しさん@秘密の花園:2009/09/14(月) 00:14:44 ID:7lXsFuNU
晴れた空はどこまでも高く澄んでいた。
少し暑さが和らいできて、いい季節だと感じる。
ダンスレッスンが終わって、アタシたちはいつものようにドーナツを食べにきていた。
今日はミユキさんも一緒だ。
3人と2人に分かれて席につく。
さすがに1つのテーブルに5人は狭い。
どういう経緯でこの組み合わせになったのかはわからない。
きっと意味などない。流れでそうなったのだろう。
ともかく、アタシはミユキさんと2人で座ることになった。


ミユキさんと話すのは楽しいし、ためにもなる。
いつもの4人でたわいないことを話すのもいいが、たまにはこういうのも悪くないと思う。
芸能界やダンスのことに始まり、
最近おいしいケーキのお店を見つけたことまで、ミユキさんは楽しそうに話す。
それを聞いていると、自然に笑みがこぼれる。
話に夢中でずっと置いたままだったドーナツに手を伸ばすと、
それを待っていたかのようにミユキさんの携帯が鳴った。


「ちょっとごめんね」

申し訳なさそうなミユキさんに、いえ、と笑顔で返す。
テーブルから離れていく彼女から、何気なく向こうのテーブルに視線を移す。
一瞬、ブッキーと目が合った気がした。



「ねえ、せつなちゃん何飲んでるの?」
「これ?アイスティーよ」

2つのテーブルの距離はそこそこ近い。
別に聞くつもりはなかったが、向こうの会話が耳に入ってくる。
なぜこのタイミングでそんなことを聞くのだろう。
アタシはわずかに首をかしげてブッキーを見る。
少しだけ嫌な予感がした。
426名無しさん@秘密の花園:2009/09/14(月) 00:16:32 ID:7lXsFuNU
「ひと口くれない?」

いいわよ、と快諾するせつなにお礼を言うと、ブッキーはストローに口をつける。
あ、と思わず声が漏れた。
間接キス。
そう意識した瞬間、ずきりと胸が痛む。
何でもないことなのに、どうしてだろう。


「ありがとう。おいしかったわ」

にっこりとブッキーがせつなに笑いかける。
アタシはその光景から反射的に目をそらした。
ムッとする。
あんな笑顔をアタシ以外に向けるなんて。



はっとした。
自分はせつなに嫉妬している。それもこんな些細なことで。
それが、余計におもしろくなかった。
じっとしていられなくなって、ミユキさんが帰ってくるのを待たずに立ち上がった。

「アタシ、用事あるから帰るわね」

3人にそっけなく言うと、逃げるようにそこから立ち去った。



風が冷たい。もう夏は終わってしまったのだろうか。
ひんやりとした風は、心まで冷ましてくれるようで今のアタシにはありがたかった。
少しだけ気持ちが落ち着く。


後ろから足音が聞こえた。だんだん近づいてくる。
誰かと気になって振り返ると、そこにいたのはブッキーだった。
思ってもみない人物の登場にアタシは戸惑う。
427名無しさん@秘密の花園:2009/09/14(月) 00:18:42 ID:7lXsFuNU
「美希ちゃん、あのね」
「何?」

息が切れている。ずいぶん走ってきたらしい。
普段なら、どうしたの?大丈夫?なんて優しい言葉をかけるところだが、
生憎、今はなんとなく顔を合わせたくない気分だ。
態度もそっけないものになってしまう。
しかし、ブッキーは大して気にした様子もなく、ひとつ大きく息を吐いて続けた。


「本当は、このあと用事なんてないでしょ」


アタシは自分の耳を疑った。
たしかに用事なんてないが、それをブッキーが知っているはずがない。
それならば、なぜこんなことを言うのか。
わからない。何を言えばいいのかも。



「ほら、やっぱり」


はめられた。
くすっと笑うブッキーを悔しまぎれに睨む。


「どうして嘘までついて帰ろうとしたの?」


あなたがせつなといちゃいちゃするから腹が立ったんです、なんて言えるわけがない。
そもそもあれはいちゃついていたわけではない。
自分の見方が偏っていたせいだと今ならわかる。
黙ったままのアタシをブッキーが上目遣いに見る。

「もしかして、やきもち?」
「なっ…そんなわけないでしょ」

ずばりと言い当てられて、頬が熱くなる。
それを気取られまいと、顔を背けた。
428名無しさん@秘密の花園:2009/09/14(月) 00:21:48 ID:7lXsFuNU
「…そっか。そうだよね。わたしったら何勘違いしてるのかしら。
 美希ちゃんがやきもち焼いてくれるなんてあるはずないのに・・・ごめんなさい」

なんで謝るのよ。
一転してしゅんとするブッキーに、アタシは焦る。
そんなに悲しそうな顔されたら、たまらなくなるじゃない。
ぐっとこぶしを握る。
今ブッキーを笑顔にできるのは、アタシだけ。
だったら、つまらないプライドになんて、かまっていられない。

「美希ちゃん?」
「あーもうわかったわよ!さっきのは嘘!ブッキーが言ったとおり、アタシ妬いてたわ」


それを聞いて、ブッキーが目を輝かせる。
今更恥ずかしくなって、「ちょっとよ!ちょっと!」とアタシは慌てて付け足した。
そんなアタシを見てブッキーが笑う。
ブッキーがあんまり嬉しそうだから、つられてアタシも笑った。


「ところで、ブッキー」

あのとき、あなたもミユキさんにやきもち焼いてたんじゃない?
そう言いかけてやめた。そんなこと今はどうだっていい。
それに、言ったところでうまくはぐらかされる気がした。
でも、このまま引き下がるのもなんだか癪だ。
それならば、次はやっぱり。


「喉、渇かない?」


少し先に見える自販機にアイスティーはあるだろうか。
アタシは、こんなところでも負けず嫌いだ。
小さく笑うと、答えを聞くより先に、彼女の手をとった。
429名無しさん@秘密の花園:2009/09/14(月) 01:08:26 ID:vJ1Ax6WS
424-428の方、投稿終わられたのでしょうか?
430名無しさん@秘密の花園:2009/09/14(月) 01:19:58 ID:En//ScbW
連投規制?
規制はよくわからんが…
431YM:2009/09/14(月) 01:33:16 ID:LR0Bc3Az
1時間近く空いた所を見ると…ここまでなのかもしれませんね。
美希ブキのやりとりがとても爽やかで、読んでて楽しかったです。
GJ!
432名無しさん@秘密の花園:2009/09/14(月) 01:45:56 ID:vJ1Ax6WS
大丈夫なようですので、投下させて頂きます。


コンコン
ノックの音。
聞こえてくるのはドアでなくて、窓ガラスの方。
夜も遅いこの時間に、この部屋に、ましてや窓からの来訪者となると一人しかいない。
だから部屋の主、桃園ラブは窓を向いて、にっこりと笑って声を掛ける。
「空いてるよ、どうぞ、せつな」
「うん……おじゃまします」
窓をカラカラと開ける音と共に、部屋に入ってきたのは枕を持った赤いパジャマ姿の少女。
ラブの隣の部屋の住人、東せつなだった。


「それじゃせつな、おやすみ」
「おやすみ」
電気を消した後、二人は枕を並べてラブのベッドにもぐりこんだ。

せつながこの家に来て、しばらくしてから始めたこと。
彼女がまだ時々悪夢にうなされていることを知ったラブが誘った。
いや、

「あたしが一緒にいれば、夢の中でもキュアピーチになって駆けつけて
 せつなを苦しめてる悪い奴をやっつけちゃうんだから!」

そんなことを自信たっぷりに言いながら、押しの強さに任せて応じさせたというのが正しいか。
最初は苦笑しつつ、ラブに誘われた日だけ付き合っていたせつなだったが、
今では自分からラブの部屋にやってくることの方が多くなった。

不思議と二人で一緒に寝ている時は、悪夢を見ることがない。
本当にラブに守ってもらっている、そんな気持ちになれる。
そして、ラブのぬくもりと寝息を間近で感じることが出来て、
そこにドキドキしている自分の心臓の音がリズムのように重なるこの空間がとても心地よい。
(前に読んだ本に書いてあったわね、こういうことは癖になるって……本当なのね)
部屋とベッドを用意してくれたラブの両親に申し訳が無いので、流石に毎日ということはないが
せつなにとってはこの時間はささやかな楽しみの一つになっていたのだ。
433名無しさん@秘密の花園:2009/09/14(月) 01:48:21 ID:vJ1Ax6WS
「ラブ、起きてる……?」
「ん、どしたの、せつな?」
「ちょっと、話をしてもいい?」
「うん、いいよ……でもそれなら今日はドアから入って来れば良かったのに。
 あ、もしかしてお喋りもしたいし一緒に寝たいってこと?せつなってば欲張りさんだなーっ!」

お喋りしたり、普通に過ごしたい時は、部屋のドアをノックすること。
一緒に寝たい時は、窓からノックする。
「一緒に寝たい」と口に出すのが恥ずかしいせつなの為にラブが決めたルールである。

「んもう、からかわないでよ。
 ……ちょっとラブの顔、見ながらだと話しづらくて」
「ごめんごめん、それで?」
「ラブは……私の名前をどう思う?」
「せつなの名前?それがどうかしたの?」
「ラブはこの前、自分の名前のこと、教えてくれたわよね」

カメラのナケワメーケとの戦いで、思い出の世界に閉じ込められたラブ。
その中で彼女は、祖父の源吉に再会した。
そして、自分の名前の由来を知った。

「ラブって名前は、お爺ちゃんが私の為に
 愛情をいっぱい込めて名づけてくれたものなの」

あの時、ラブは仲間達に思い出の世界での出来事を説明した。
「愛情を持って何かをなしとげる子になってほしい」
それが彼女の名前に込められた源吉の思い。
それをみんなにも聞いてもらいたい、と思ったから。
434名無しさん@秘密の花園:2009/09/14(月) 01:49:06 ID:vJ1Ax6WS

「それをラブに教えてもらった時、私は……羨ましいと、思ったの」
「羨ましい?」
「だって、私の名前は……」

せつなの生まれた世界、管理国家ラビリンス。
そこは学校も、仕事も、恋愛も、結婚も、全てが管理された世界。
そして名前すらも。

彼女に与えられた名前はイース。
9桁の国民番号でお互いを識別するのは効率が悪いという理由だけで付けられた、固体識別名。

「東せつなは確かに今の私の、キュアパッションとして生まれ変わった名前よ。
 でもこれも元は、この世界で正体を隠して行動する為に与えられたコードネーム。
 イースもせつなも、ただ必要だから、与えられた名前」

それ以上の意味など持たない名前。
誰かの思いも、家族の愛情も込められていない名前。

「でも、イースだった時の私は、それを気にすることは無かった。
 ラビリンスの全ては総統メビウスが決めること。
 それが当然のことだったから。
 でも、私はこの世界で、名前にも意味があることを知ってしまった。
 ……知らないほうが良かった、かも」
「え?」
「だってそれは、私には決して手にすることの出来ないものだから」
「……」
「だから、ラブが、美希が、祈里が、
 一人一人が愛情と思いが込められている名前を持つこの世界の人達が
 とても羨ましくて、そうで無い私が、少し寂しい、そう思うことがあるの」
「せつな……」
「……ごめんね、変なこと言って、さあ、もう寝ましょう。おやすみ、ラブ」
435名無しさん@秘密の花園:2009/09/14(月) 01:49:50 ID:vJ1Ax6WS
言葉と共に、部屋の中を沈黙が支配する。
その中でせつなは思う。
なんでこんな話をしてしまったのだろう。
みんなに囲まれて、優しくしてもらって、幸せをいっぱい貰っているのに、
私はまだ、人の幸せを羨んでいるんだろうか。
これがサウラーに言われた、私の心の闇なのかもしれない。
そうやって思考を巡らせているせつなを

キュッ

ラブがそっと抱きしめる。

「ラ、ラブ?!」
「せつな、また自分のことを悪く考えてるでしょ?
 あたしはいつだって、せつなのことを心配してるんだからわかっちゃうんだよ。
 ……ダメだよ。そういうのは。
 せつなはもっと自分のことを好きにならなきゃ。
 そうしなきゃ本当の幸せはゲット出来ないんだよ?
 だから、せつなが自分を好きになれるように、私の愛で包んであげるんだからね」 

そういうとラブはせつなをさらに抱きよせる。
ちょうどラブの胸元に頭を抱きかかえられるような姿勢になる。

「ラ、ラブ……これはちょっと…恥ずかしいわ」

赤面しながらそう小さな声で抗議するせつなだが、ラブは放してくれない。

(わ……ラブの体、やわらかい。それにとってもあたたかいし……
 ラブの匂い……シャンプーの匂いがしてとっても良い匂い……
 じゃなくて!)

次から次へと流れ込んでくるラブの情報に思考が押し流されて、完全に混乱するせつな。
だから、

「私は好きだよ、せつなって名前」

その中で発せられた言葉が最初の自分の質問への答えだと、一瞬理解出来なかった。

「え?え?ラブ、今、好きって……」
「うん、好きって言った。
「だってせつなと出会ってからずっと呼び続けてきた名前だもの。
 初めて名前を教えて貰った時も、せつながイースだとわかって悲しかった時も、
 せつなが一人で苦しんでた時も、一緒に暮らすようになって、
 せつなの笑顔がいっぱい見れるようになってからも、
 ずっと、ずーっと呼び続けていた名前なんだよ?
 そこに、私のせつな大好きーーーーーーって気持ちをいっぱい込めてね」

そう言うラブの顔は、いつか見た笑顔。
まだ誤った道を歩んでいた時の自分に向けられた、全てを包み込む、慈愛に満ちた微笑。
あの時は眩しすぎて直視出来なかったその顔が、あの時よりも間近にある。
そこから伝わってくる、せつなを思う気持ち。
それとせつなを思う言葉とが、彼女の心の中の小さな闇を跡形もなく消滅させていく。

「うん……ありがとう、ラブ」

そして後に残ったのは、素直な感謝の気持ち。
それをせつなは、言葉と態度で−−ラブを抱き返すことで形にする。
436名無しさん@秘密の花園:2009/09/14(月) 01:51:27 ID:vJ1Ax6WS
しばしの沈黙。
あるの音は、寄り添う少女達の、呼吸と互いを思う、心の音。
そんな時間がしばらく続く。

「あの……ラブ?!」

先に口を開いたのは、せつな。

「何?」
「そろそろ……放してくれない?本当に……恥ずかしいから」

それは、今にも消え入りそうな声での懇願。

「だーーーーめっ」

でもラブは笑顔で拒否。

「ええ?どして??」
「だってせつな、まだ自分のことを悪く考えてるかもしれないでしょ?
 あたしはいつだって、せつなのことを心配してるんだからまだまだ安心出来ません!」
「もう考えてない!考えてないから、だからは・な・し・て!」
「うっ!そんなに嫌がるなんて……せつな、もしかして私の事、嫌い?」
「なんでそういう話になるのよ!嫌いなわけないでしょ?」
「じゃあ大好きってことだよね、じゃあ、ラブさんが大好きなせつなとしては
 あたしを安心させる為にもう暫くこのままでいることを受け入れるべきだと思います!」
「その理屈はおかしいわよーーっ!」
「……」
「……」

またしばしの沈黙。

「……プッ」
「……ふふっ」
「あははははっ」
「クスクスクスクス」

笑い出したのは、二人同時。
抱きしめて、抱きしめられた姿勢のまま、暫く笑い合う二人。

「全く、ラブったら……今日だけだからね」
「え?ほんとに?」
「うん、ラブの気持ちをいっぱい貰ったから……そのお返し」
「やったー!これで朝まで幸せゲットだよっ!」
「朝までっていってもお母さんが起こしに来るまでよ。
 こんなとこ見られて変に思われたら困るでしょ?」
「ええー、お母さんは別にそういうの気にしないよ?」
「私が恥ずかしいの!……もう寝るわよ!おやすみっ!」
「あ、まって、せつな、その前にもう一つだけ」
「何?」

一度深呼吸。
気持ちを落ち着かせて、首をかしげてこちらを見るせつなを真っ直ぐ見る。
437名無しさん@秘密の花園:2009/09/14(月) 01:53:09 ID:vJ1Ax6WS
「あのね」
「うん」
「『一瞬一瞬を大切にして、幸せに生きて欲しい』
 ……これが、せつなという名前の意味なんだよ」
「!」

目を見張るせつな。

「一瞬一瞬を大切にして、幸せに……それが、私の名前の、意味?」
「あたしが込めた思いだけどね、えへ」

それは、ラブが最初にせつなの話を聞いた時に、決めていたこと。
思いが無いと言うなら、私が込めてあげよう。
愛情も忘れてない、当然だ。
せつなの為に何かをしてあげる時にはいつでもたっぷり詰め込んでるんだから。

「ねえせつな、受け取って、くれる?」

照れくさそうに、ちょっとだけ不安を覗かせてせつなの顔を覗き込んで来るラブの顔。
それにせつなは柔らかい笑みで応えて、

「全く……ラブはいつでも、私の欲しいものをすぐにくれるんだから。
 私、いつもいつも貰ってばかりで、心苦しいと思ってるのよ?
 それなのにこんなに大きいものを貰ってしまったら、心苦しさがいっぱいになって
 押しつぶされちゃうかもしれないじゃない」
「え?それじゃ……ダメ?」
「ううん、そうじゃないわ。今まで貰ったどんなものよりも嬉しい。
 最高のプレゼントよ、ラブ。喜んで頂くわ」
「よーし、やったー!これでまた、幸せゲットだね、せつな!」

ガッツポーズを取って喜ぶラブ。
そんな彼女の様子を見ながら、せつなは心の中でさっき貰ったばかりのラブの思いを反芻する。

(『一瞬一瞬を大切にして、幸せに生きて欲しい』か……)

何度も何度も、かみ締めるように言葉を繰り返すなかで、
ラブの思いに応えられるだろうかという一抹の不安がよぎる。
しかしそれをせつなはすぐに否定する。
大丈夫だ、きっと応えられる。いや、応えてみせる。
だって思いをくれたラブがいつでもそばに居てくれるのだから。

「ねえラブ」
「ん?」

だからせつなは、ラブが源吉の思いに応えることを誓ったように、誓いの言葉を口にする。

「私、精一杯、がんばるわ」
438名無しさん@秘密の花園:2009/09/14(月) 01:56:47 ID:vJ1Ax6WS
以上です。
タイトルは『込めた思い、応える誓い』で。

SSまともに書いたのは限りなく初めてだとか
一人称視点メインのスレに三人称の文章書いてて
もしかして空気読めてないんじゃないかとか
いろんな意味でドキドキものなのですが
お時間のある方は読んで頂けると幸いです。

それでは失礼いたします。
439名無しさん@秘密の花園:2009/09/14(月) 02:37:21 ID:p4PNYCZt
>>406
>>209だが、もっといじくりまわして!みたいなw
なんつーか、自分の妄想がまんまSSになったらこうなりましたって感じ。
アンタすげぇよ…
この前言ったろ?信じないならまた言うが、アンタが好きだ!ぶっちゃけ結婚してw
妄想が完結するのを今か今かと全裸待機中。また書いてくれないと服着ませんから!

>>428
お互いヤキモチ焼きあってるふたりが微笑ましい。可愛いすぎ!
アイスティーが飲みたくなったい。爽やかカポーGJ!

>>438
お時間なくても読んじゃって眠いのなんのw
自分に言わせると、3人称の方がムズイんだわ。
初めて…?(一瞬エロい想像した)十分上手い!GJすぎ!


また今夜も祭だな
読んで感想書いたらSS書く時間ないが余計書きたくなるかも〜
440名無しさん@秘密の花園:2009/09/14(月) 03:00:53 ID:p4PNYCZt
夜も更けたから、台詞のみ短編で

【お土産】
祈里「せっ、せつなちゃん!」

せつな「あら祈里、今帰り?」

祈里「こっこれ、旅行のお土産なの。巣鴨の」

せつな「え…私に?ありがと、嬉しいわ。開けていい?」

祈里「もちろん!喜んでくれるって私信じてる!私のと色違いのお揃いなの。
私のは黒でせつなちゃんのはもちろん赤。」

せつな「真っ赤な紐パンティ…」

祈里「赤い下着を身につけると運気が上昇するんですって!」

せつな心の声『…今夜ラブに見せたら、きっとむしゃぶりつくわね。
朝まで寝かしてもらえないかも…
ああっ、想像したら濡れてきちゃうぅ』

祈里心の声『あぁ〜これを着けたせつなちゃん、想像するだけでドンブリ飯3杯はイケる〜』

せつな「祈里、ホントありがとう!」

祈里「こっちこそ喜んでもらえて嬉しい!」


以上。テキーラゼリー食わされる前のせっちゃんでした。
441名無しさん@秘密の花園:2009/09/14(月) 07:16:58 ID:RsEVVkp8
ちょっと早く起きたら
読みふけってしまった

>>428
GJ!31話のドーナツ屋さんのシーンで
この座り順だったね。目の付け所が鋭いわ。

ブッキー策士だけど、これは
美希たんじゃなくても萌える!落ちる!ww


>>438
これまたGJ!爽やかだったなぁ。
ラブやん天使だ。

>>440
このあと>>232から>>406の流れを読むと鬱度倍増!www
442YM:2009/09/14(月) 07:43:49 ID:LR0Bc3Az
おはようございます!
出勤前に、美希ブキラブレター編の続き投下します。
全3話の予定でしたが、終わらなかった…orz
443YM:2009/09/14(月) 07:44:19 ID:LR0Bc3Az

<ブッキー、今日はゴメンね。
 パスタ屋さんは、また今度いっしょに行こうね! M・I・K・I>


<今日はごめんなさい。
 ぶつかっちゃったけど、ケガとかしなかったかな?
 何もなければ、いいんだけど。
 明日のレッスン、がんばろうね。  美希>


<アタシ、もしかしたら、ブッキーのこと、怒らせちゃったかな。
 無理に食事に誘おうとしたりして、ごめんなさい。
 ブッキーの都合も、ちゃんと聞けばよかったよね。
 もし怒ってたら、本当に本当にごめんなさい。
 埋め合わせは、いつか絶対にします。
 また、明日会おうね。  蒼乃美希>


『もしもし、アタシ、美希です。
 ブッキー…今日は、本当にごめんなさい。
 いきなりぶつかっちゃったり、無理矢理食事に誘ったり。
 それ以外でも…もしかしたら、ブッキーを怒らせちゃったり、
 傷つけちゃったり、気付かない内にしてたのかもしれない。
 もし、もしそうなら謝るから、教えてほしいな。
 やっぱり、ブッキーとケンカなんてするの、嫌だもん。
 それじゃ、また明日、レッスンでね。
 …もし…もし、これを聞いてくれてたら…連絡、くれると嬉しいな。…じゃ』


 違う。
 違うんだよ、美希ちゃん。
 美希ちゃんは、何も悪くない。
 私が、私が勝手に。
 あなたを、好きになっちゃったんだから。


【 message for you ・ 第3話 】
444YM:2009/09/14(月) 07:45:47 ID:LR0Bc3Az

「みんな、おはよう!」
「おはようございまーす!」

 日曜日の朝。
 いつもの公園に、元気な挨拶が響き渡った。
 だが、やってきたミユキは、怪訝な表情を浮かべる。

「あら…祈里ちゃんは?」

 その言葉に、顔を見合わせるラブ、せつな、そして美希。

「それが…何の連絡も無いんです」
「私やラブも、何度か電話してみたんですけど…美希、何か知ってる?」
「………」

 黙ったままの美希に、せつなは心配そうな口調で。

「…美希?」
「えっ!? あ…その…ア、アタシも、よく分からなくて」
「そう…ねえラブ、もう一度連絡してみましょうか?」
「そうだね。あたし、電話してみるよ」

 さっそくリンクルンで祈里の番号を入力し、応答を待つラブ。
 見つめるミユキも心配そうに、

「確かに、祈里ちゃんが無断で遅刻や欠席なんて、今まで無かったものね。
 まさか…例のラビリンスが出たんじゃ!?」
「それは無いと思います。何かあれば、シフォンが反応するはずですし」

 せつなとミユキの視線の先には、木陰のベンチ。
 ベンチには寝息をたてるシフォンと、それを隣で見守るタルトの姿。
 ナケワメーケが出現したのなら、すぐさま反応するはずだ。

「…みたいね。となると…急病か、事故か…」
「急病…事故…!?」
「美希?」
445YM:2009/09/14(月) 07:46:06 ID:LR0Bc3Az
 途端に、美希の顔が青くなる。
 病弱な弟がいるせいか、親しい人の体調には人一倍敏感な美希。
 ここに来る途中で倒れる祈里、苦しそうにうずくまる祈里―。
 そんな姿を想像し、いてもたってもいられなくなってしまう。

「ア、アタシ、ブッキーの家に…」

 その時だった。

「あ、ブッキー! どうしたの? ミユキさんもみんなも、心配してるよ?」

 どうやら、電話がつながったようだ。
 ひとまず家にいることは分かり、美希もミユキもせつなも、胸をなで下ろす。

「えっ、カゼ? 熱は? そっか…うん、分かった。ミユキさんに伝えておくね。
 ううん、気にしないで。…うん、それじゃ、お大事に…」

 電話を切り、一同に向き直るラブ。

「ブッキー、カゼひいちゃったんだって。熱があるから、今日は家で寝てるって」
「そうだったのね。ブッキー、大丈夫かしら…」
「病院に行くほどじゃないし、薬飲んで様子を見るって言ってた。
 ミユキさんには、連絡が遅れてスミマセンでした…って」
「そういうことなら、仕方ないわね。今日は3人で練習しましょ?」
「はいっ!」

 だが、返事をしたのはラブとせつなだけ。

「…美希ちゃん?」

 ミユキに呼ばれて、ようやく美希は我に返る。

「あ…す、すいません。よろしくお願いします!」

 慌てて頭を下げるものの、いつもの美希の表情ではない。
 事実、レッスンが始まった後も、美希の動きは明らかに悪かった。
 踊っている最中も、振付の説明を受けている時も、祈里の事が頭から離れない。

『ブッキー、どうしてるかな…』
446YM:2009/09/14(月) 07:46:54 ID:LR0Bc3Az

「はぁ…」

 昼下がり。
 部屋着姿の祈里は、ベッドに横たわっていた。

「レッスン、もう終わったかな…」

 壁の時計を見つめて、一人呟く。

 生まれて初めて、仮病を使った。
 両親には「ちょっと身体がだるいから」と。
 親友たちには「カゼをひいた」と。
 美希と顔を合わせる勇気が、無かったから。 

「美希ちゃん…」

 悪いのは全部私なのに。
 あんなに責任を感じて、何度も連絡をくれて。
 なのに、私は一度も返事をしなかった。
 美希ちゃんと話すのが、怖かったから。

 美希ちゃんを勝手に好きになって。
 美希ちゃんの手を振り払って。
 美希ちゃんの前から逃げ出して。

 悪いのは、全部私なのに―。
 

 コンコン。

「はい…?」

 ノックの音に返事をする。
 
「祈里、起きてる? 美希ちゃんが、お見舞いに来てくれたわよ」
「えぇっ!?」

 母親の声に驚く間も無く、扉が開く。
 そして、入ってくる美希の姿。

「こんにちは、ブッキー。具合、どう?」
「み、美希ちゃん…」

 穏やかな笑顔を浮かべる美希。
 レッスンが終わってから、シャワーでも浴びたのだろうか。
 ボディソープの優しい香りが漂う。
 母親が部屋を後にすると、美希は床に腰掛けた。
 祈里はベッドの縁に腰掛けるが、美希の顔をまともに見られない。

「熱、もう下がったの?」
「う…うん、まあ…」
「そっか…良かった。ミユキさんも、ラブもせつなも、心配してたよ?」
「…ごめんなさい」
「謝らなくてもいいって。謝るのは…」

 美希は一度言葉を切ると、覚悟を決めたような表情で言った。

「謝るのは…アタシの方なんだから」
447YM:2009/09/14(月) 07:48:05 ID:LR0Bc3Az

 祈里を見つめる美希。
 その真っ直ぐな眼差しから、祈里は視線を逸らしてしまう。

「その前に…これ、返しておくね」

 そう言って、美希はバッグから一通の封筒を取り出す。

「あ…!」

 それは紛れもなく、祈里が美希に宛てた手紙だった。
 震える指先で封筒を受け取り、握りしめる祈里。

「あ、あの、違うの、これは…」
「心配しないで。中は見てないから。というより…怖くて、見れなかった」
「えっ?」
「昨日のこと…ううん、もしかしたら、それ以外でも…。
 アタシ、ブッキーを怒らせたり、傷つけたり、しちゃったのかなって」
「え…そ、そんな…」
「だから…ブッキー、アタシと会うのが嫌になって…それで、レッスンも…って。
 もしそうだったら、ブッキーに謝らなくちゃって…だから、だからアタシ…」

 そこまで言葉を続けて、美希も祈里から視線を逸らす。

「その手紙を見つけた時も…中、見れなかった。
 もしアタシへの絶縁状だったりしたら、どうしよう…って。
 そう思ったら、怖くて…怖くて…っ!」
「み、美希ちゃん…」
448YM:2009/09/14(月) 07:48:37 ID:LR0Bc3Az

 再び、祈里の方へ向き直る美希。
 不安そうな、怯えたような、眼差しで。

「ねぇ、ブッキー。
 アタシ…アタシ、ブッキーを怒らせるようなこと、しちゃったかな?
 ブッキーに嫌われるようなこと、しちゃったかな…?
 もしそうだったら、教えて? 
 アタシに悪い所があったら、すぐに直すから。
 完璧に直してみせるから…だから…だから…ブッキー…っ…」

 俯く美希の肩は、小刻みに震えていた。

「…嫌いに、ならないで…」
「え…」
「ブッキーに嫌われるの…ブッキーと会えなくなるの…やだよ…。
 大切な人と会えなくなっちゃうのは、もう…もう、やだよ…っ!」
「あっ…」

 そうだった。
 美希が、何より恐れていたこと。
 大切な人と、会えなくなること。
 その辛さを、美希ちゃんは誰よりも知っているのに。
 そしてそれを、私は知っていたのに。

「ブッキー…お願い…アタシ、ブッキーに嫌われたくない…。
 アタシ、アタシ、ブッキーのことが…」
「…違うのっ!」
「え…!?」

 美希の濡れた瞳が、祈里を見つめる。
 祈里は唇を噛みしめて、両手をギュッと握りしめて。

「美希ちゃんは悪くない…。
 悪いのは…本当に悪いのは…私なの…!」


〜 To Be Continued 〜
449YM:2009/09/14(月) 07:50:39 ID:LR0Bc3Az
というわけで、今回はここまで。
結局、3回でまとまりませんでしたorz
一応、次回で何とかラストに出来れば。

それにしても、美希が別人みたいだ…。
450名無しさん@秘密の花園:2009/09/14(月) 07:56:42 ID:YAmA0wXd
>>438
GJ!せっちゃんスレの住人を思い出したw

665 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/07/26(日) 23:29:29 ID:qcfk3GTd
明日長女の出生届出してくるんだが
名前を「せつな」にしたw

嫁には「一瞬一瞬を大切に生きて欲しいから(キリッ)」とか真顔で説得した
ちなみに俺がフレプリの重度視聴者であることは知らないと思う、PCでこっそり視聴してるし

たぶん娘の同級生には「せつな」が何人かいるはずだw
451名無しさん@秘密の花園:2009/09/14(月) 08:36:50 ID:kKGX6gzP
モーニング投下キターw
ありがとう、通勤が苦じゃなくなる。
昨日の放送がアレだったもんだから…
452名無しさん@秘密の花園:2009/09/14(月) 12:07:41 ID:D2kYZlh0
>>449
美希が可愛すぎるGJ
453名無しさん@秘密の花園:2009/09/14(月) 13:12:01 ID:hpRoikSi
>>440
GJ
454名無しさん@秘密の花園:2009/09/14(月) 14:29:47 ID:bmlRG+lf
>>438
ラブやんカッコ良過ぎてキュン死するw
せつなを幸せにしてやってくれ

>>449
続きキマシタワー
美希のブキ好きっぷりが2828

仕事やプライベートで疲れても、このスレがあれば生きて行けるんだぜ
職人の皆様ありがとう
455名無しさん@秘密の花園:2009/09/14(月) 17:45:01 ID:e7UqNbyt
黒ブキです。今日はちょっと夜来られないかも知れないんで、
先に投下だけ。



タイトルはズバリ「情事」。
ラブ目撃編どす。



今日も今日とて鬱展開…。御容赦を。
456名無しさん@秘密の花園:2009/09/14(月) 17:45:37 ID:e7UqNbyt
「あら、ラブちゃんいらっしゃい。」
「こんにちはぁ。せつな、来てませんか?」


祈里のお母さんに挨拶して奥に通してもらう。
小さい頃から何度も通った部屋。もう、おばさんもいちいち案内したりしない。
声だけ掛けて、適当に上がり、帰っていく。半分自分の家みたいなものだった。
でも、こんなに緊張して部屋へ続く階段を登ったのは初めてだ。
何となく、足音を忍ばせるようにゆっくりゆっくり登る。


おばさんはせつなは来ていない、と言った。祈里は帰ってから勉強すると言って
部屋に籠っているそうだ。
集中したいから部屋には誰も来ないで、と言ってるらしい。
「ラブちゃんなら構わないでしょ。あまり根を詰めないように言ってやって。」
このところ、ずっとそうなの。笑って言うおばさんにあたしは複雑な気分になる。


せつなは部屋にいる。アカルンがあれば誰にも見られず出入り
するなんて簡単。
たぶん、今までずっとそうして来たんだろう。
覚悟を決めて来たはずなのに、すくみそうになる。
祈里と、話をつける。もしせつながその場にいるなら、引き摺ってでも
連れて帰る。
考えて考えて、そう決心してきた。


(……怖いよ…。)


祈里の部屋が見える。ドアが、ほんの少し開いたままになってる。
それを見た途端、すぅっと体が冷える。その意味が分かってしまったから。


あたしも、いつもそうしてる。
せつなと愛し合う時、夜はしっかりドアを閉める。中の声が漏れないように。
でも、明るいうちは、わざと少し開けておく。閉め切ってしまうと
却って外の気配が分からないから。
少し開けておけば、外の音が聞こえる。階段を登って来る音が聞こえるから。
そっと、足音を忍ばせて近づかない限り。今のあたしみたいに。



「……ふふっ…、うふふ……せつなちゃん、とても上手。」
少し、湿り気を含んだ祈里の声。間違っても、勉強してて出る声じゃない。
「…んんっ……すごく、気持ちいい…」


(…イヤ、見たくない…)
457名無しさん@秘密の花園:2009/09/14(月) 17:46:49 ID:e7UqNbyt
それなのに、目は意志に逆らいドアの隙間に吸い寄せられる。
祈里は制服のまま、勉強机の椅子に片膝を立て足を開いて座っている。
そして、その足の間に跪いて、頭を埋めているせつなが見える。
ピチャ、ピチャと微かに濡れた音が聞こえる。
せつなは背中しか見えない。でもシャツの前を全開にされているのが分かる。


舌が凍りつき、喉が乾上がる。棒立ちになったまま動けない。


「…ねぇ、いつも…ラブちゃんにも、してるの?だから、こんなに上手なの?」
祈里はせつなの髪に指を絡めながら、からかうように問う。
せつなは答えない。祈里は焦れたように、少し前屈みになり
せつなの前に手を伸ばす。
ピクン、とせつなの背中が震える。胸を、触られたのだろう。
「クスクスクス……答えてよ、せつなちゃん?」



どうやって外に出たのか覚えてない。
ラブはふらふらと危なっかしい足取りであてどもなく歩く。
何を見ても逃げない。せつなを取り戻す。そう決心してきたはずだった。
でもそんなものは現実の光景の前には何の役にも立たず、
呆気なく砕け散ってしまった。心と共に。


(……なんか、もう…いいや……)
自分が怒ってるのか、哀しんでるのか、それともその両方なのか。
それすら、どうでもいい気がした。すべてが虚ろでふわふわと雲の上を
歩いてるみたいだ。
昨日までの焼けつき、身を捩るような焦燥感さえ、どこか遠くへ行ってしまった。
自分の体の現実感さえあやしい。



「ラブ?!」


聞き慣れた声。でも、誰だっけ……?


「ちょっと!どうしたのよ。大丈夫?」



「……美希たん………」
458名無しさん@秘密の花園:2009/09/14(月) 17:48:05 ID:e7UqNbyt
余程、酷い様子だったのだろう。美希は有無を言わさずあたしの手を引いて
自分の家に連れてきた。
ぼんやりと部屋で座っていると、美希が紅茶を持ってきてくれた。


(……甘い。)
濃くて、甘いミルクティ。ゆっくり口に含むと、空っぽになったと
思ってた心に、じんわりと温かさが広がってゆく。


「美味しい……。」
素直にそう口にする。
良かった。そう、美希が優しく微笑む。


そして、それと同時にさっきの光景がフラッシュバックする。
様々な感情が津波のように一気に押し寄せ気を失いそうになる。


美希は躊躇いがちに口を開く。
「…ねぇ、せつなと、何かあったの?それに、ブッキーとも。」
止めて、今その名前は聞きたくない。
そんな思いにも構わず、美希は言葉を続ける。
「こんなコト言いたくないけどさ、アナタ達この頃おかしいわよ。」
ヤメテ、お願い!
「やだ、ラブ!!ゴメン、どうしたの?」


膝を抱え、その間に頭を埋めてしまったあたしを見て、美希がオロオロと
背中を撫でる。
「ゴメンっ!ラブ。アタシ、無神経だったかも!……でも、心配してたのよ?
アナタ達、何も相談してくれないしさ……」


背中から美希の温もりが伝わる。
膝の間から顔を上げると心から心配してくれてる美希の顔。
美希はいつも優しい。口ではつっけんどんな言い方をしても、
心底から人を突き放せない。
クールな見た目と裏腹に、実はすごく情に脆くて世話焼きなのを知ってる。


女らしくて素敵な美希。いつも爽やかないい匂い。
……アロマの香りに頭がクラクラする。



「…美希たん、あたしのこと…好き?」
459名無しさん@秘密の花園:2009/09/14(月) 17:49:01 ID:e7UqNbyt
以上!
取り敢えず、ここまで。中途半端でスマン。
460名無しさん@秘密の花園:2009/09/14(月) 17:59:05 ID:hpRoikSi
>>457
GJ
461名無しさん@秘密の花園:2009/09/14(月) 18:15:35 ID:En//ScbW
>>459
GJ!
黒ブキの人好きだww
黒ラブの人も好きww

自分がこんなに黒好きとは思わなかったwww
462名無しさん@秘密の花園:2009/09/14(月) 18:21:58 ID:7lXsFuNU
>>424です。
感想いただけてうれしいです、ありがとう
終わりがわかりにくくて申し訳ない
ちゃんと報告するべきだったわ


>>438
初めてとは思えない、GJ!
この2人にはしあわせゲットしてほしい
それと、かなりお待たせしてしまってごめんなさい。

>>440
GJ!
巣鴨ふいたw

>>449
ラブレター待ってた!GJ!
続き楽しみすぎる

>>459
GJ!
ドロドロしてきてさらに続きが気になるぜ
463名無しさん@秘密の花園:2009/09/14(月) 18:27:41 ID:p4PNYCZt
>>459

精一杯のGJするわ!

このシリーズ、まさにスレ史上始まって以来の黒さ…
今日もごちそうさまでございました!
続きが果てしなくwktk
464名無しさん@秘密の花園:2009/09/14(月) 18:31:14 ID:bgRXKytm
>>459
んぬぐはあ〜!
ま、まだか。続きはまだか〜〜!
465名無しさん@秘密の花園:2009/09/14(月) 21:41:01 ID:RsEVVkp8
帰ってきてスレ開いたら

何なんですかこの黒さはw
もう全員スイッチオーバーしていいよwww

職人の皆さんGJ!
466名無しさん@秘密の花園:2009/09/14(月) 22:08:17 ID:e7UqNbyt
黒ブキです。思いがけず早く帰宅できた。
で、投下したの確認してたんだけど…

すんません!!!>>458の最後が途切れたまま投下しちまった!


保管屋さん、保管する時は以下の部分を足して貰えるとありがたい。↓



「もちろんよ!当たり前でしょ?だって親ゆ……んんっ!んぅ!」
だって、親友なんだから!

そう続くはずだった美希の言葉はラブの唇に塞がれてしまった。


ラブは美希を抱きすくめ、唇を噛み付く勢いで貪る。
制服の裾から手を突っ込み、薄い乳房を揉みしだく。
唇も胸も匂いも…せつなとは、全然違う感触。同じ女の子なのに……。



(もう……どうでもいいや……)



美希……助けてよ………。


↑ここまでが本当だった。めちゃくちゃ中途半端な場所で途切れさせて申し訳ない。
467名無しさん@秘密の花園:2009/09/14(月) 22:40:17 ID:kRusZMM1
はーい、保管屋ですよ。
さきほど保管作業完了しました。投下された皆様、確認お願いします!

昨日の放送分よりみんなのSSが参考資料になってる件w

タルト頑張れよwww
468名無しさん@秘密の花園:2009/09/14(月) 23:06:35 ID:RsEVVkp8
>>467

そりゃあワイかてもっと頑張りたいけど
>>458見たらワイの居場所あれへんねん。

ベリーはんのところに避難しようか思たら
>>466になっててもっと危ないやんか!

シフォン助けてー
クローバーがドロドロやー
469名無しさん@秘密の花園:2009/09/14(月) 23:30:49 ID:zHJfyUGc
空気を読まずに黒くないSSを初投下w
せつなとラブの学校行事ネタの第1話です。
タイトルは、 思い出のアルバム です。


「それでは皆さん、明日から2日間の職場体験学習で地域の方々との交流を深め、働く事の大切さを学んできて下さい。今日はこれまで!」


私が中学校に通い始めてから二週間が過ぎた。
クラスのみんなは相変わらず私に優しく接してくれているし、授業にも大分慣れた。
先生の言葉の通り、私たち2年生全員は、職場体験学習という学校行事に参加する。
ラブや他のクラスメイトは夏休み前に体験先と活動内容を決めていたけれど、
転入したばかりの私は、先生の計らいでラブと同じ体験先である幼稚園へ行かせてもらえることになった。


「せつな、明日は幼稚園だねー!しかもあたしと二人だけで一緒の組だからすっごく楽しみだよ!」

「ええ、そうさせてくれた先生に感謝するわ。ところでラブ。私、お願いがあるんだけど。」

「ん?何、せつな。」

「私、幼稚園がどういう所かよく分からないの。ラブは幼稚園に行ってたんでしょ?」

「うん、まあ・・・。でも小さい頃の事なんで、ほとんど忘れちゃった。タハハ・・・」

「そうなの・・・?残念だわ。」

「あ、ウチに帰れば何かあるかも・・・。さ、早く帰ろっ、せつな。」

「ええ。・・・って、待ってよーラブぅ〜」


小走りで教室から出て行ったラブにようやく追いつき、下校を始めた。
家に着くと、今日はパートが休みのお母さんが出迎えてくれた。


「お母さーん、ただいまー!」

「ただいま、お母さん。」

「あら、お帰り。今日は二人共早かったのね。」

「うん。あのね、明日せつなと幼稚園に職場体験学習に行くんだけど・・・」

「私、幼稚園に行ってなかったのでどんな所か知りたいの。」

「ああ、それならラブの卒園アルバムがあるわよ。」

「そつえん・・・アルバム・・・?」

「そう、幼稚園での思い出が詰まった写真がいっぱいのアルバムよ。」

「わはーっ!それなら早く見よっ?ね、せつな?」

「え、ええ。お母さん、そのアルバムを見せて下さい。」
470名無しさん@秘密の花園:2009/09/14(月) 23:33:49 ID:zHJfyUGc
お母さんが持ってきてくれた卒園アルバムをラブの部屋へ持ち込み、テーブルの上に置いた。
【平成○年度 クローバー幼稚園 卒園アルバム】と書かれた表紙を開くと、園児の集合写真が現れた。


「せつな、これは入園式の時の写真だよ。これがあたしで、こっちが美希たん。ブッキーはこの子で・・・」

「ふふ、みんな可愛かったのね。あ、もちろん今のラブたちも可愛いよ。」


「これは動物園に遠足に行った時の写真。ブッキーったら動物の事になると、普段とは別人のようにイキイキしてたわ。」

「さすがは獣医さんの娘ってとこかしら。」


「これはお遊戯会の写真だね。この時は美希たんが主役だったよ。」

「美希のことだから演技も完璧にこなしたんでしょうね。」


写真を見たことで思い出がよみがえってきたのか、ラブは次々と当時の話を私にしてくれた。
私には分からない事も多かったが、ラブは一つ一つきちんと説明をしてくれた。
そんな中、アルバムも半分を過ぎたあたりでラブがページを開いた瞬間、私は彼女の表情のちょっとした変化を見逃さなかった。

(あ、これは・・・・・・)

ラブはめくろうとしたページをすぐに戻してしまった。

「何、どしたの?ラブ。」

「いや、何でもない。・・・せつな、そろそろ夕ご飯の時間だから続きは後でね。」

「嘘よ。ラブ、どして隠すの?私に見られたくない物があるっていうの?」

「え、えーっと・・・。」

「そんなの、写真を撮ってくれた人やアルバムを作ってくれた人に失礼じゃない?」

「で、でも・・・。」

「あっそう。それなら美希やブッキーの家でアルバムを見せてもらうわ。ラブは見せてくれなかったってね。」


少しキツい言葉になってしまったけど、どうやらラブも観念したようだ。

「そ、そんなぁ〜。わかったよ、せつな。見せるわよ。見せればいいんでしょ!」

「よろしい。さあ、ページをめくってもらおうかしら。」

「その代わり、絶対に笑わないでよ!絶対にだよ!」
471名無しさん@秘密の花園:2009/09/14(月) 23:36:42 ID:zHJfyUGc
ラブは再びアルバムに指を当て、そっとページを一枚めくった。
開かれたそのページには、上半身が裸の園児たちが色とりどりの絵の具を塗りたくっている姿が写し出されていた。


「ラブ、これは何なの?」

「これは、ボディペインティングっていう遊びで・・・」

「どして隠そうとしたの、ラブ?」

「え・・・だって裸だし、絵の具でベタベタだし、恥ずかしいよ〜」

「そんな事ないわ。恥ずかしくなかったんでしょ、その時は。」

「ええ、まあ・・・。」

「だったらいいじゃない。ここに写っているみんな、いい顔してるわ。」

「そ、そうだね!何かはじけてるっていうか・・・ねえ、これ見て。」

ラブが指で示した一枚の写真には、絵の具まみれの3人の女の子が写っていた。

「これは・・・ラブたち?」

「うん!真ん中でピースしているのがあたし。左が美希たん。」

「美希、この時からモデルさんポーズしてたのね。」

「で、右がブッキー。親指を口にくわえて上目づかいなんて、今見たらクッハー!って感じだよ。」

「しかも、3人それぞれピンク、青、黄色の絵の具をおもに塗られているところが面白いわね。」

「あはー、言えてる!この時の色が今のプリキュアの色になった・・・ってのは考えすぎかな?」

「まあ、ラブったら。フフフ・・・」

「あははは・・・」
472名無しさん@秘密の花園:2009/09/14(月) 23:38:14 ID:zHJfyUGc
「ラブー、せつなちゃーん、ごはんよー。」


階下でお母さんが呼んでいる。アルバムを閉じてラブと一緒に食卓へ向かった。
夕ご飯の席で、ラブの幼稚園時代のことをお母さんに聞くことができた。
ラブは「やめてよー」とか色々言っていたけど、きっと全てがいい思い出だったんだろう。
気が付くともう入浴の時間だ。ラブに先にお風呂に入ってもらい、続いて私が入浴を済ませた。


「ラブ、お待たせ。アルバムの続きを見ましょう。」

「ごめん、せつな。今日はもう遅いからまた今度ね。」

「そうね、寝坊して中学生の私たちが幼稚園に遅刻じゃ格好悪いものね。」

「せつな、おやすみ。明日がんばろうね!」

「ええ、精一杯がんばるわ。おやすみ、ラブ。」


ラブと合図を交わした後、私は自分の部屋に入り、ベッドに横になった。
明日は今まで知らなかった幼稚園が、初めて会う園児たちや先生方が私を待っている。
そう思うと楽しみと不安が交錯してしまって寝られなくなるので、深呼吸をして気分を落ち着かせた。
今度は眠れそうだ。おやすみなさい・・・。


〜つづく〜



以上です。次回は幼稚園での1日目編です。
皆さんのSSを参考にしながらの初投下でしたが、中々難しいものですね。
タイトルは卒園ソングの定番から取りましたがw
473名無しさん@秘密の花園:2009/09/14(月) 23:43:31 ID:lgIZN3Oi
>>472
リアタイでGJ!

エキサイティングなスレだなここ。惚れそう。
しかし職人さんたち、焦らしすぎ!全裸待機は多少厳しい季節になってきたぞw(でも待機)
474名無しさん@秘密の花園:2009/09/14(月) 23:54:44 ID:N+El+Jwe
こんなところにいられるか!
黒いSSが投下されるまで俺は部屋に戻るぞ!
475名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 00:02:04 ID:p4PNYCZt
>>472
GJ!黒くなくても、こんな可愛いSS書くなら、皆さん大好物ですよ!
476名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 00:04:18 ID:ZtWqdAmX
>>468
なぁタルト、投下は黒くなくても全然OKなんだよ。
もちろん投下じゃなくても百合な雑談だってOKなんだ。
みんなフレプリ大好きな18歳以上だって信じてるけどなwww

>>472
早速保管しましたよ。初投下ありがとうございました!
優しい文章が心を揺さぶった!
続くと言う事は裸待機命令なんだねwww

だってほら、>>473がすでにw
477名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 00:04:36 ID:VhjTiQV7
>>474
テラ死亡フラグwww
478名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 00:04:37 ID:FSyea96J
皆さん、連載待ちでしょうが、少しスレお貸し願います。
一番好きなキャラであるイースを書きました。
479名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 00:05:36 ID:FSyea96J
【せつなとイース せめぎあう心】

我が名はイース、ラビリンス総統メビウス様がしもべ…のはずだった。
アイツ、、、桃園ラブに出会うまでは。

――――――――――――――――――――――

リンクルンとか言う変身道具を奪うため、コードネーム東せつなとして近づいた私を、アイツは友達だと言った。

友達だと…?笑わせるな!私には友達など必要ない。メビウス様さえいればいいのだから。
まあいい。友達ごっこをしてやろう。メビウス様の使命を果たすため。

けれどあの日から、私の中にもうひとりの私が住みついてしまったのだ。
新しい力を手に入れたはずなのに、痛みに耐え切れずプリキュアとの戦いに敗れた夜。
敗北感に打ちのめされて横たわる私に、心の中で誰かが呟いた。

『ひどくつらそうね』
「なっ…お前は誰だ!なぜ誰もいないのに声が聞こえるのだ!?」
焦る私に囁くように答える声もまた、確かに自分の声だった。

『私はせつな。イースから生まれたもうひとりのあなた』
「くっ、あれはただの変装だ!…幻聴が聞こえるとは、私も少し疲れたか?」
『信じないなら構わないわ。それよりも、こんなにも苦しくて痛いのはどして?』

せつなと名乗る声は、不思議そうに尋ねた。
「幻聴に付き合うほど暇ではないのだが…まあよい。このカードだ。このカードが私に新しい力をくれる。それには代償が必要なのだ」
私は自嘲気味に吐き捨てる。自分と会話をしているなんて、どうかしているな。

『そんなに痛くて苦しいのなら、もう闘うのはよせば?』
「馬鹿なことを!メビウス様のご命令なのだ。やめるわけにはいかない。お前が私から生まれたと言うのなら、メビウス様の使命が絶対だとわかっているはずだろう?」

いつのまにか、見えない声を相手に、まるで幼い子供に言い聞かせるように話している自分がいた。

480YM:2009/09/15(火) 00:06:18 ID:dH+p7cEa
保管屋さん、いつもお世話になっています。
そして、皆さんGJすぎる!

>>438さんのコメントで気づきましたが、
確かにここって一人称が多いんですね。
私的には苦手な手法なので、一人称で
面白い話が書ける方って尊敬します。
481名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 00:06:32 ID:FSyea96J
『どしてメビウス様はあなたを痛くするの?あなたはメビウス様を崇拝しているけれど、じゃあメビウス様はどうなの?なぜあなたを大事にしてくれないの?』
「なっ…」

せつなに言われて、初めて疑問に思う。
こんなにボロボロになるまで尽くしても、なぜメビウス様は私を見てくれないのだろう。

「あのお方のためなら、たとえこの命尽きても構うものか!」
『ほんとうに?』
せつなの言葉に、自問自答する。本当にそうなのだろうか。
『あなたは何のために闘っているの?』

それはいつも心の奥深くにしまい込んだ疑問だった。
頭で考えたわけではなく、自然に言葉が流れ出る。

「私はただ…メビウス様に見てほしかった。ラビリンスのために闘う自分を褒めてほしかった。私という存在を、誰かに認めてほしかった」

『その誰かって、メビウス様でなくてもいいんでしょう?』
誰かって誰だ?せつなの言葉で、急にアイツの顔が浮かぶ。
『そう。その子よ』

「アイツは敵だぞ!」
『敵なんかじゃない。ラブは友達よ』
友達…。友達とは何なのだろう。
よくわからない。けれど、アイツを思い出すと胸が苦しい。

『イース…泣いてるのね』
せつなに言われ、自分が涙を流していることに気づく。
「泣いてなどいない!泣いてなど…」
私は涙を拭った。けれど熱い液体は、あとからあとから溢れ出し、止まらない。

「…私は…どうすれば…」
メビウス様に逆らえば、どうなるのかは知っていた。
「私は怖い…私が私でなくなっていくのが怖いんだ」
弱音をむき出しにした私に、せつなは優しく言った。
『違うわ、あなたは変わろとしているだけ。自分ではまだ気づいていないだけなの』

「私にも変われる日がくるのかな」
『ええ。いつも私はあなたのそばにいるわ。あなたが光に照らされるその日まで』
482名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 00:07:16 ID:j5XKWsID
>>474
んな事言わないでくつろいでいけよ。今日はタルトだって来てんだぜ?
483名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 00:07:41 ID:FSyea96J
以上お目汚し失礼しました
484名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 00:20:56 ID:ZtWqdAmX
>>478
イースを書いて欲しいと言う人が以前いましてね。すっごく喜んでると
思いますよ!イース×せつな、二人の葛藤はもしかしたらTVorなかよし
でやるかも。で、最後はこのような形になってくれたら僕は嬉しい。

分類どうしましょう?新しくイース×せつな作りましょうか?

>>480
自分は指摘を受けて改善しました→一人称。わざわざ一覧を作って頂いた
方もいらっしゃったぐらいで。
いつも投下作品、勉強になってます。やられた!って感じでしたよー。
485名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 00:25:48 ID:upyz4K5f
黒ブキです。


確認してきた。保管屋さん、世話掛けてすまねぇ。


しかし今夜も良作てんこ盛りだな。大ポカやらかした心に染みる。


そんなわけで心の傷を忘れるために、今までエロSS書いてた。
珍しく黒くないよ!


>>440のネタいじらせてもらった。紐パンwww
あんたどんだけ人のツボ、どストライクなのwww
そんなわけで、その日の夜だと思ってくれ。
ラブを紐パンにむしゃぶりつかせて見たw


タイトルは「プレゼント」


そんな事より、続きを書けって?
ゴメンよ、あまりの鬱展開にちょびっと息抜きしたくなったの…。
明日、投下できるよう精一杯頑張るわ!
486名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 00:26:15 ID:j5XKWsID
容量がもうすぐ300Kになるな。なんてエキサイティングな伸び率www
487名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 00:29:52 ID:FSyea96J
>>484

イース=せつな
↓ ↓
 ラブ

なので、分類はラブせつの変化系になるのでしょうか?
けれど何処でも構いません。保管していただけるだけで身にあまる喜びなので。
488名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 00:31:47 ID:upyz4K5f
「後で、部屋に来てくれる?」
プレゼントがあるの。
そう、せつなに、はにかんだ上目遣いで見られてドキドキした。
部屋なんて言われなくても毎日行ってるんだけど、あんな顔見せられたんじゃ
いやが上にも期待してしまう。何なんだろ?プレゼントって。

夕飯後、約束通りせつなの部屋へ。
もうお風呂も済ませたはずなのに、せつなはいつものワンピース姿。
とっくにパジャマ姿のあたしはベッドに腰掛けて、せつなの様子を窺う。
なんか……、もじもじしてるし。

「ねぇ、プレゼントって?気になっちゃうよ。」
つい、我慢できずにあたしから聞いちゃう。せつなから言うの待とうと思ってたのに。



「……うん…、これ…。」



せつなはあたしの前まで来ると、ゆっくりスカートをめくりあげる。


その場で鼻血吹かなかった自分をほめてやりたい。
目に飛び込んで来たのは……


極端に布の少ない深紅のおぱんつ。横を細い紐で蝶結びにしてある。
白い肌と深い赤が絶妙のコントラストで、こう言うの、何て言うんだろ?
挑発的?いや…扇情的?

せつなは熱っぽく潤んだ目であたしの様子を窺っている。
ほっぺが赤い。精一杯、『恥ずかしいけど頑張ってみたわ!』と言う風情だ。
いやいやいや、これはこれは……。

思わず手を伸ばして、下着の縁をなぞるように指を這わせる。
せつなが、ぴくっと震える。



「…………ほどいて…」


その場で倒れなかった自分をほめてやりたい。
せつな、あたしを殺す気?

這わせていた指を、横の頼りない紐に伸ばし、ゆっくり引っ張る。


しゅるん…と微かな衣ずれの音。はらりと小さな布切れが落ち、
せつなの下腹部が露に……


と、思った瞬間、せつなはめくっていたスカートをぱっと下ろし、


「ふふふ、おしまい。……これがプレゼント。」


そんなぁ、それはないよ!
489名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 00:33:18 ID:upyz4K5f
あたしは座ったまませつなを抱き寄せ、スカートの中のおしりをなでまわす。
たった今、下着をとってしまったんだからもちろん生肌。
うん、相変わらずスベスベ…。


「プレゼント、って事はさ。さっきのはラッピングでしょ?」
あんな事しといて、それだけで済むと本気で思ってんの?この子。


「……ほら、おいで。」
あたしはベッドに深く腰を掛け直し、あたしを跨がせるように
せつなを膝立ちにさせる。

……くちゅ……


腿の間を探ると、すでにぐずぐずに潤んでいる。


「ねぇ、まだあたし何もしてないよ?何でこんなになってるの?」
あれでおしまい、なんて本気じゃないよね?
せつなは目を伏せて真っ赤になってる。
あたしはせつなの羞恥を煽るようにわざと音が出るよう指を前後させる。


「あっ、あっ…ラブ!…んんんっ!」
敏感な突起はすでにぷっくりと勃ち上がり、震えながら刺激が与えられるのを
待ちわびている。
それに愛液を塗りつけるように、くりくりと指の腹でなでまわす。


「あぁあっ!…っダメ!それダメ…あっあっ…やめてぇ!」
ダメじゃないでしょ?せつな、これ大好きだもんね。
涙を浮かべながら、イヤイヤをするように首を振るせつな。
すごい、えっちな顔してる。


「ラブぅ…お願い…、電気…消して……ぁん、んっ!」
それには答えず、中指と人差し指をせつなの入り口にあてがう。
つぷっと言う手応えと共に指が飲み込まれる。
空いてしまった突起は、今度は親指で弾くように刺激する。
電気?消さないよ?だって、こんな明るいとこで、
せつなが可愛い顔見せてくれるなんて滅多にないもん。


「やぁああん!はぁっ!ダメっ…ダメなのっ!やぁっ…めぇ…ラブっ!ラブぅ!」
んん?もうイッちゃいそうかな?今日は随分早いね。
あたしは指を、ぐっと奥まで突き入れ、突起をこねる親指のスピードを上げる。

「ひぁっ……、はぁん…あっあっあっあっ…んっくぅ…」
せつなの腰がガクガクと痙攣し、指が抜けなくなるんじゃないかと
思うほど中がキツく締まる。
熱い体液が奥から溢れ出し、手のひらからこぼれそうなくらいだ。
490名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 00:34:46 ID:upyz4K5f
肩で息をするせつなの両目から涙が一粒ずつこぼれる。

「随分、派手にイッちゃったねぇ。」
少しからかうように顔を覗きこむと、
せつなはあたしの肩に額を擦り寄せてくる。
耳元で、くすん、と鼻をすすり上げるせつな。


「なに?恥ずかしいの?」
言わずもがなだろうに、意地悪く聞いてみる。
せつなは黙ってあたしの首に腕を回してかじりついてくる。



「……ふぅ…ん、……はぁ…」
まだ入れたままの指をゆるゆると掻き回すと、せつなは鼻に掛かった甘えた吐息をもらす。



「………続ける…?」



せつなが肩口でコクンと頷く。



夜はまだ始まったばかり。
491名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 00:43:48 ID:upyz4K5f
以上!鬱とエロしか書けないダメな俺。


幼稚園見学とか清らかで心が洗われる。
続きを待ってます。でも風邪気味だから全裸は許して。


イースに惚れてフレプリにハマッた身としては、この上なく嬉しい!
イースは強気の間に見え隠れする脆さがいいんだよね……。



ところで、紐パンは何となく横を結ぶタイプだと思って書いたんだが、
ひょっとして>>440はTバックの後ろが紐とか、そんなタイプの
つもりだったんだろうか?
だったらすまん。


どうしても、ラブがぱんつの紐をドキドキしながらほどくシチュが書きたかったんだ…。
492名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 00:57:40 ID:ZtWqdAmX
記録的な投下に見舞われておりますw各自全裸待機にはご注意下さい!
ここまでの作品コンプリートです。職人様各位、保管庫チェック宜しく!

>>491
悟り開かれましたね、拝みますw
リフレッシュプリキュア!ですよ。
鬱とH書けない自分には本当に参考になってる訳であり。

すっげーなぁwww
493 ◆ZU7CldKWo2 :2009/09/15(火) 01:08:48 ID:Z48bvBq4
どうもこんばんは。

>>379->>381
コメント、ありがとうございます。
(・∀・)ニヤニヤしてもらえて嬉しいです。

さて。

今まで百合スレにいながら、R-18やブラックは書いてきませんでしたが、初挑戦。
短いよ。

『Eas of Evanescence』
せつラブで。R-18、ちょっぴり黒なSS。
494Eas of Evanescence  ◆ZU7CldKWo2 :2009/09/15(火) 01:10:21 ID:Z48bvBq4
「ねぇ、ラブ――――私のこと、好き?」
「え?」

 答えを聞く前に、せつなは相手の唇を塞ぐ。
 驚く彼女の手首を掴み、壁に押し付けて、口内を舌で蹂躙する。

「ん、んんっ――――」

 もがくラブ。苦しみから生れる挙動は、しかし、拒絶のそれではない。それを敏感に感じ取って、せつなは
思う存分に彼女を味わう。
 やがてラブの体から力が抜けていき、応えるように舌を絡ませ始めて。
 クチュ、クチュという濡れた音が。初めての、そして淫らなキスの感覚が、彼女の思考を焼きつかせる。
 女の子同士なのに――――そんなモラルも、一瞬に消え去る。もっと味わいたい。この快楽を。

「ね、ラブ。私のこと、好き?」

 唇を離し、耳元で問いかけるせつなに、ラブは頬を染めながら、コクリ、と無言で頷く。

「そう。いい子ね」
「――――んんっ」

 耳たぶを軽く噛まれて、背筋がゾクリとする。けれど、嫌な感覚じゃない。腰が砕けそうな快感に、幼い少女は
翻弄されて。

「ね。言って? 私のこと、好きって」

 問いかけは、誘惑。そして、強制。
 耳元で囁かれるだけで、くらくらする。けれど、それだけ。
 もっと触れて欲しい。その唇で、自分を味わって欲しい。
 だから。

「好き、だよ――――せつな」
「私もよ、ラブ」

 もう、立っていることすら難しいのか。目を閉じてしがみつくラブは、気付かない。せつなが薄く、しかし邪まな
笑みを浮かべていることに。

 なんて、簡単。これがプリキュアだなんてね。

 心の中でそう呟きながら、せつなは――――イースは。
 ラブの首筋にキスの嵐を降らせながら、彼女の服の中に手を潜り込ませ、胸をゆっくりとまさぐるのだった。




      Eas of Evanescence


495Eas of Evanescence  ◆ZU7CldKWo2 :2009/09/15(火) 01:11:58 ID:Z48bvBq4
 占いの館。せつなの――――イースの居室。
 隣で眠るラブの、くすんだ金の髪をせつなは手で梳る。
 一体何度、彼女は達したのだろうか。両手では到底、数え切れないほど。あまりの快楽に息も絶え絶えに
なるラブを、せつなは休むことなく責め続けた。

 もうダメ。もうダメだよ、せつな。ああっ――――

 言葉では必死に拒んでいても、彼女の体は貪欲だった。
 せつなの指に、唇に、舌に。
 翻弄されて、もっともっとと求めてくる。それを敏感に感じ取って、彼女はラブの望む快楽を与え続ける。
 そして、彼女が達しようとした瞬間に、尋ねるのだ。

「ねぇ、ラブ。私のこと好き?」
「好きっ!! 好きだよ、せつなっ!! だから――――っ!!」

 拒んでいたことも忘れて、必死に求めてくるラブに、せつなは満足したように笑って、彼女を天国へと導く。

「――――――――っ!!」

 体を強張らせて、奔放に喘ぐラブ。だが、彼女が満ち足りたと思っても、せつなはそれ以上の快楽を、幼い体に
注ぎ込む。そしてまた、尋ねる。

「ねぇ、ラブ。私のこと好き?」

 そうしてせつなは、ラブの心に楔を打ち込んでいった。
 刷り込んで、確かなものにしていった。
 抗えないように、するために。
 自分のものに、するために。

 眠る彼女の額に、口付けをする。んん、と身をよじらせ、半分まどろみながらも目を開ける彼女を抱きしめる。
 素肌と素肌を、重ね合って。
 また耳元で尋ねる。

「ねぇ、ラブ。私のこと好き?」
「好きだよ、せつな――――けど、もうダ・・・・・・んんっ」

 彼女の言葉を最後まで聞くことなく、せつなはラブの胸に顔を埋め、桃色の乳首を唇に含む。そして舌で何度も
なぞる。
 強張っていたラブの体が、徐々に弛緩していく。汗で冷えていた体が、徐々に熱を帯び始める。吐息には甘い
ものが混じり始め、せつなの舌が胸を這うたびに、ビクンと腰が跳ねる。

「あんなに何度もイッちゃったのに、まだ足りないんだ?」

 ラブの体にのしかかりながら、半身を起こし、せつなはラブの顔を覗き込む。その顔には、微笑み。淫らな、
かつ、いたぶるような。
 彼女の言葉に、ラブは顔を真っ赤に染めて、顔を背ける。そして恥じるように、自分の体を抱きしめて。
 だがせつなは、そんな彼女の首筋にキスをして。

「いいのよ、ラブ。もっと気持ち良くなって? 私がいっぱい、イカせてあげる」

 だから、とせつなは続ける。

「私のこと、好きって言って?」

 それを聞いて、ラブは。
 一度、目を閉じて。
 そしてうるんだ瞳で、彼女を見上げる。
496Eas of Evanescence  ◆ZU7CldKWo2 :2009/09/15(火) 01:12:44 ID:Z48bvBq4
「好きだよ、せつな」

 それを、合図にしたかのように。
 せつなの指が、ラブの秘所に触れる。甘い蜜に潤うそこを、慈しむようにそっとかきまわす。ふあ、と堪え切れず
喘ぎ声をあげるラブ。
 せつなの舌が、ラブの唇を、首筋を、胸を、乳首を這い回って。
 徐々に激しくなる動き。淫らな音が室内に響き渡る。自分の体から生れる響きに、ラブは酔いしれる。まるで
自分が楽器になったよう。その奏者は、愛しい人。
 やがて全てが白濁していき、何も考えられなくなる。せつなが触れているところだけが、自分のように思えてくる。

「ねぇ、ラブ」

 いつものように問いかけようとする彼女の唇を、ラブは自分から塞ぐ。驚くせつなの舌を追いかけて、自ら絡ませて。
 息が苦しくなって、ようやく離すが、彼女の首に回した腕は離さない。そしてラブは、自分から言う。

「好き。好き。大好きだよ、せつな――――っ!!」

 言い終わると同時に、頭の中を閃光が駆け抜けて。体が意思を離れて何度も跳ねるのを感じながら、ラブは。
 幸福の絶頂の中で、意識を薄れさせていったのだった。



 馬鹿な子。
 そうせつなは心の中で呟く。
 自分を信じ切って。私が何を考えているかも知らないで。
 リンクルンを奪うことは出来なかった。だから彼女は、標的を変えた。リンクルンを奪えないのなら、プリキュアと
なる少女の心を奪えばいい。そう、せつなは考えたのだ。
 そして手始めに、自分に最も近い少女、ラブの体を奪った。心と体は、直結するものだから。狙い通り、彼女は
せつなに心と体を開いた。
 寝息を立てるラブを、冷めた目で見下ろす。ぐっすりと眠る彼女からは、警戒心の欠片も感じない。戦士としての、
自覚も。
 こんな子が、プリキュアで――――何度も辛酸を舐めされてきたなんて。
 ギリッ、と奥歯が嫌な音を立てる。
 せつなの手が、ラブの細い首に伸びて。
 今なら、殺せる。驚く暇すら、与えずに。
 そう。少し、指に力を入れるだけで。
 ラブの、プリキュアの命が自分の手の中にあるのだという感覚に、せつなは酔い痴れる。
 だが。
 まだ、その時じゃないか。
 思いとどまって、せつなは指を解く。
 まだあと二人いる。蒼乃美希と、山吹祈里。彼女達は、ラブと違って、せつなに警戒心を抱いている。だからこそ、
ここでラブがいなくなってしまっては、彼女達に近付くことすら出来ないだろう。
 けれど、いつか。
 何も知らずに眠る彼女を見て、せつなは薄く笑う。
 いつか、私の手で。
 幸せから、不幸のどん底に叩き落して上げる。その時は、あなたの命も。
 それまでは、こうしていてあげる。
 あなたの好きなせつなでいてあげる。

 思いながら、せつなはラブの隣に横になり、目を閉じる。
 まるで仲睦まじい恋人のように、寄り添いながら。
497Eas of Evanescence  ◆ZU7CldKWo2 :2009/09/15(火) 01:13:07 ID:Z48bvBq4
 せつなは、夢を見た。
 夢の中で、彼女はラブに抱きしめられていた。

「ねぇ、せつな。私、せつなのこと好きだよ?」

 何度も問いかけて、言わせて。心に刻み込ませた台詞。従属の言葉。
 だがそれを口にするラブの声は、悲しみに満ちている。

「せつな――――何をそんなに、怖がってるの?」

 怖い――――?
 違う。私は怖いなんて思ってない。思ってなんかない。
 何度も言わせているのは、彼女を自分のものにする為。
 確かめないと不安だなんて、思って、いない。
 思ってないのに――――どうして涙が、流れそうなんだろう。


 せつなは、夢を見た。
 もしかしたらそれは、現実だったのかもしれないけれど。
 せつなは――――イースは。
 それを、夢だと思い込むことにした。
498 ◆ZU7CldKWo2 :2009/09/15(火) 01:18:58 ID:Z48bvBq4
以上です。

そういえばイースを書いたことって無かったな。このスレでもあまり見かけないし。
なんて考えから、イースがプリキュア三人を篭絡していくアイディアが生まれ。
常々、書かないと言っていたエロとブラックだなぁ、と思いつつも、書き上げてみました。


やっぱ難しいですね。エロとブラックは。黒ブキの人とか尊敬しますわー。
499名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 01:21:26 ID:VhjTiQV7
GJGJGJGJGJGJ!!!!!!!!

お二人とも凄すぎ…つかエロすぎ…ww

読んでてドキドキした。
百合最高!!!
500名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 01:27:47 ID:ZtWqdAmX
>>498
ネ兄 解 禁
ハイスピード保管完了!
イース様バンザーイ!バンザーイ!



ほんとはせつなが望んでいた現実…
501名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 01:29:00 ID:FSyea96J
>>498
18禁初めてなのにこのエロさ…
能ある鷹はナントカって本当ですね。

美希タンとブッキーがイースに喰われちゃうんですね続くんですねナルホドナルホド…
502 ◆ZU7CldKWo2 :2009/09/15(火) 01:29:05 ID:Z48bvBq4
|ω・`)  気が向いたら美希編、祈里編も書こうとは思ってるんだ。期待しないで待っててくれ。

|彡サッ




|ω・`)  黒エロSS祭りもいいものですね。
503名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 01:32:36 ID:j5XKWsID
タルト何とかしろw
眠れなくなるだろ!さっきから更新押しまくってんだよwww
504名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 01:38:37 ID:upyz4K5f
黒ブキっす。眠れねぇwwwww


生駒さん、リミッターはずしたアンタ、スゲェ!!!
文章うまい人はエロもうまいんだな!詩的なくらい優雅なのに、
ハンパなくエロい!


美希・祈里編も期待してていい?
風邪が治ったら全裸で待ってるから!
505名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 01:41:44 ID:FSyea96J
>>503
せやかてワイもアズキーナ思い出してしもて、ツライんや…
ああっ、体がこないに熱うなってしまったやないか〜

職人はん、アンタらどないしてくれるんや!
ホンマみんなでよってたかって、ワイ、眠られへんようになってしもたやないか。ちっとは責任感じて欲しいわ…

アズキーナぁ…
506名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 05:11:34 ID:MpW29oFF
生駒さん…生駒さぁん!!
ああたってひとは…ああたってひとはあ〜〜〜ッ!!!

イースが三人を籠絡する…か。なんという
ネ申 シ チュー !!!今までに無かったんだぜ…おれは妄想すらしたことが無かった!これが…レヴェルの差だというのかッ…!!

読ませて頂きました。アンタの…ホンキぃ…!!実は、これを打っているおれは既に死ん(ry
507名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 05:15:10 ID:MpW29oFF
すいません。イース“様”でしたわ。これ言うために生き返っちゃった♪
508名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 05:45:21 ID:eP0mCnU2
>>506、7
朝っぱらからナニイッテンダ
え?俺?こまけぇことはいいんだよ!
みんなと同じくワクテカし過ぎて寝れなかったのさ…orz
509名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 07:16:01 ID:oUelL7vE
おはようさん!

ゆうべは投下が空爆並みで
眠られへんかったなぁ。

どのSSも想像力かき立てるもんばかりや。
職人の皆さん、果てしなくGJでっせ!

アズキーナはん、かんにんや。
我慢できず抜いてもうたわ。

全裸待機中の皆さん、風邪ひかんといてや。
ワイみたいに全裸慣れしてないと風邪ひきまっせ。

510名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 07:22:35 ID:F3Ch9u0N
なにこの絨毯爆撃w全裸待機も苦にならないw
みなはんGJ!!
511名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 07:24:21 ID:j5XKWsID
おはよう職人&保管屋&タルトw
見事に寝不足だが、おかげで朝からせつなの声も聞けたよ。

日曜まで長いな。
512名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 07:26:49 ID:rQO6FHEp
昨夜投下した>>469です。
保管&感想ありがとうございます。

第2話は期待してくれてる方たちのために、なるべく早くUPしますので。。
513名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 08:23:15 ID:MpW29oFF
おはようございます!>>726さん。黒闇の中に一輪の花!あんさんのサワヤカSSが、他の黒いSSをひきたて、またその中であんさんのSSが一際光るんや〜
514440:2009/09/15(火) 08:27:10 ID:DC3r8vFu
>>491
アンタ見えてるんかい!w
おれの妄想でも、もちろん横で結ぶ紐パンだったさ…
妄想以外のもどんどん投下待ってる!
エロと鬱しか書けないアンタが好(ry

>>502
生駒さん、ついにまたひとつ高みに昇りましたな…
どうして今まで書いてなかったんすか!
もったいねぇ…
それとも今までは焦らしプ(ry
515名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 10:50:38 ID:DC3r8vFu
陵辱モノ書いちまった…
嫌いな人はスルー推奨。

いらんかもしれんが、勝手に>>491に捧ぐ
516名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 10:51:12 ID:DC3r8vFu
【視線】

あ、まただ。また誰かが見てる。
せつなが学校に行き始めてから、誰かの探るような視線を感じるようになった。
…ラブ以外の。それも複数。
視線に気づいてからは、常にそれが纏わりつき、
絡めとろうとしてくる気がして不快だった。
どして?いったい私の何を知りたいの?
けれど、視線の先にいるはずの誰かは、
せつなが姿を探し始めるとすぐに視線を外してしまう。

「せつなぁ、帰ろう!」
「うんラブ!」
ラブと話しながら廊下を歩いていると、
またあの視線に気づく。あぁもう!何なの?
顔を歪めたせつなに、気遣うようにラブが訊ねる。
「せつな?どうかした?」
「実はね…最近いつも誰かが私を見ている気がして。何かヤなの」
「そっかぁ、せつな可愛いし、人気あってもてるからね」
「もてるって何?」
「ええと…そだね〜、あ!あとで美希タンに説明してもらお!」

そういえば、体操着がない。
かばんの近くに置いてたはずなのに、気づかなかった。
「ラブ、体操着が見当たらないの。ちょっと教室に探しに行ってくるわね」
「一緒に行こうか?」
「平気よ、先にダンスレッスン行ってて」
せつなはもと来た廊下を戻り始めた。
シンと静まり返った教室には誰もいない。
机の中やロッカーを探してみるが、やはり見当たらない。
「どこに行ったのかしら…」
せっかく買ってもらった体操着なのに、
無くなったりしたらお父さんとお母さんに悪い。
そう考えていて、急に目の前が暗くなった。
517名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 10:52:21 ID:DC3r8vFu


気づいたら、せつなは真っ暗なところにいた。
目が慣れてくると、そこはどうやら使われてない古い教室。
両手首をひとつに縛られて、頭の上でどこかに固定されている。
「ん、んんー!」
声を上げて助けを、ラブを呼ぼうとしたが、猿ぐつわで叫べない。
「ようやく気づいたな」
そう話しかけるのは、何度も見た顔だった。名前は知らないけど確か上級生の男子。
いつも見ていたのは彼だったのか。
「これを探してたのか?」
男が目の前にちらつかせたのは、胸のところに『東』と書いたゼッケン。
確かにせつなの体操着だった。

「狙い通り戻ってきたな。しかもひとりで。
 ラブってのも美味しそうだったけど、
 ひとりの方が好都合ってもんだ。
 俺さ、ずっと狙ってたんだ。アンタをね。
 …東せつなサン」
視線の先にいつもいた人物が、今やせつなの目の前にいた。

男は、自由の利かないせつなのブラウスのボタンを、
ひとつひとつ外していく。
ブラウスがはだけ、白いブラジャーが顔を覗かせた。
男の手の動きで、せつなは自分が危機に陥っていることを実感した。
やめて!それはラブだけにしかされたことがないの!
ラブだけよ!
せつなの思いとは裏腹にブラジャーはずり上げられ、
ぷるん。せつなの白くて大きな胸があらわになった。
ひんやりした外気に晒されて、桃色の頂が形を変える。

「やっぱ女の子って、寒いと起つんだな。
 それとも触って欲しくて、興奮して起っちゃったとか?」
男は人差し指と親指で突起を摘み、弾いた。
「んん!」
電流が身体を貫いた。
手のひらで揉みしだきながら指で刺激されていると、
どんどん身体が熱くなっていく。
男はせつなの胸に顔を埋めて、顔を動かし胸に押し付ける。
あごで乳首に触れると、わずかに伸びたひげが当たって擦れる。

男の唇がせつなの膨らみを捕らえた。口に含み、甘噛みする。
「ん…んん…」
こらえきれず声が漏れる。
「気持ちよさそうだな。初めてじゃないのか?下はどうなってるんだ?」
スカートをまくられ、下着の横から指を入れられる。
蜜があふれ、男の指に絡みついた。
「おい、もうこんなに濡らしてるぞ」
イヤ!身体を許しているのはラブだけのはずなのに、
無理矢理されて気持ちいいなんて。感じているなんて。
誰か助けて!助けて!ラブ!!
518名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 10:52:48 ID:DC3r8vFu


「悪いの悪いの飛んでいけ!ラブサンシャイーン、フレッーーーッシュ!」
ピンクの光が男を包み、一瞬にして部屋が桃色の光で満たされた。
「うわああああああ!…シュワシュワ〜」
ラブの必殺技で、男は欲望を浄化され、気を失っているようだった。
「せつな!大丈夫?」
ようやく猿ぐつわがはずされ、せつなはラブの胸の中で搾り出すように泣いた。
「ラブ!ラブ!怖かった!わたし、わたし…ああああああ!」
「心配になって来てみたらこんなことに…
 せつなゴメン、やっぱ一緒に来ればよかった」
大声で泣き叫び、せつなはようやく少し落ち着きを取り戻した。
けれど、やっと泣き止んでも、まだラブは手首の縄を外してくれない。

「…?ラブ、縄、ほどいてくれないの?」
「せつな、すっごい気持ちよさそうだったね」
「やめて!言わないで!私はラブだけが好き!信じて!
 あんなことされたいと想うのはラブだけなの!」
「わかってるよ。アタシね、ホントはもう少し前に来てたの。
 せつなが胸を揉まれてる時ぐらい」
「え?じゃあどしてもっと早く助けてくれなかったの?」
「だって…あんまり色っぽいせつなを見て身体が動かなかった。
 それに、せつながアタシ以外の人にされて感じてるとこ初めて見て、
 嫉妬しながら興奮してた…ゴメンね。
 けど、コイツがせつなのアソコを触りだして、理性が戻った。
 助けなきゃせつながヤられちゃう。
 流石にヤバいってそう思ったら、…変身してたの」

そう言いながら、ラブはせつなの胸に触れる。
ラブは変身したままの姿で、胸の部分が薄い布地を持ち上げるように屹立している。
「せつな…このまましていい?アタシもう我慢できない」
「ラブ…イヤよこんなところで。せめて縄だけでもほどいて、ね?」
そう言うせつなの胸の突起は、ラブの愛撫で硬くなりみるみる尖っていく。
ラブは、せつなの懇願を無視し、突起にくちづける。
「んぁっ!ラブぅ、こんなとこでダメ…いやぁ、ほどいてぇ!」
れろれろ…舌先で優しく舐めると、せつなは甘い声を出した。
「はぁん!んん…っあ、ふぁ…」
「これは罰なんだよ」
「罰…?」
「そう。せつながアタシじゃない人に触られて感じちゃった罰」
「そんなぁっ…許して、ラブぅ…ああぁ」

せつなの潤いきった秘所に、ラブがそっと手を伸ばす。
せつなは両脚をひらき、ラブの愛撫を受け入れる。
「ね、せつな、ここは誰のモノ?」
わかってるくせに。せつなの言葉で確認しなければ、ラブは気がすまないのだ。
「んぁ…ラブのものよ…んん…ソコもココも全部、はぁっ…
 私はラブだけのもの…」
指をせつなの膣に出し入れしながら、ラブはもう片方の手でクリトリスを擦る。
「あ…ああっ…ラブぅ!ラブぅぅぅ!」
ラブの名前を呼びながら、せつなは頂点に達した。

弱々しくけいれんするせつなの縄をほどき、ラブは彼女をきつく抱きしめた。
「ごめんせつな…アタシ嫉妬でおかしくなっちゃってる。
 でもこうするしかなかった。あの男のことは忘れて。
 どこにも行かないで。ずっとアタシのせつなでいて」
欲望のままに嫌がるせつなを、強引に蹂躙したことを悔やみながら、ラブは泣いた。
「…可愛いラブ。私はどこにも行かないわ。
 ラブだけのせつなでいる。ずっとラブのそばにいるから」
519名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 10:53:52 ID:DC3r8vFu
以上。スレ汚しすまん。
すこしだけ後悔してる…
520名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 12:32:04 ID:4aoy4IJt
なんでだろう?凌辱なはずなのにシュワシュワーで笑ってしまうw
つまりGJ!
521名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 13:01:26 ID:4colqs8n
GJGJGJ!!!!!!!!
まさか変身したままからむとは…あ^〜ラブやんエロいよ〜
522名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 14:31:49 ID:ZVHMkyq7
>>518
GJ
一般人相手に容赦無ぇw
523名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 17:08:34 ID:upyz4K5f
黒ブキです。

>>581 一般人とかwww なぁ、俺たちそろそろ真剣に結婚につい(ry
とにかく捧げ物は心に刻んだ!GJ!


それにしても、変身後の絡みって殆んどないね。生駒さんの戦闘シーンと
後、イースvsベリー、パインの戦闘も一本ずつあったか……。


やっぱ日常に絡めた話が殆んどだから、どうしても書きにくいわな。
変身するのって非常事態な訳だし。


しかし、プリキュア状態…。いいかも知れん(エロ的な意味で)

誰かピーチ×パッションとか書いてくんないかなww


それでは、今日の分投下。
タイトルは「胸にある答え」
524名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 17:09:45 ID:upyz4K5f
(美希……いい匂い。)
あたしは美希の感触にうっとりした。
手入れの行き届いた長い髪は、さらさらしたシルクのよう。
肌も、何かパウダーでも付けているんだろうか?
サラリと乾いていて、するすると指を滑っていく。


せつなの、しっとりと吸い付くような手触りとは違う、でも心地良い感触。
こんなふうに、せつなもあたしと祈里の体の違いを思ったりするんだろうか……。




バッシーン!と顔に強い衝撃。思い切り突き飛ばされて、体が横に吹っ飛ぶ。
焼けつくような痛みと熱さで、思いっきりひっぱたかれたんだ、と分かった。
美希を見ると、目に涙を溜め、真っ赤な顔で大きく喘いでいる。


「なに考えてんのよ!!!」
耳がビリビリするような声で怒鳴られる。
「どうして?美希たん、あたしの事キライ?せつなだったら気にすることないよ、
だって、今頃……」
バシンっと、今度は反対側を叩かれた。


「…いっ…たぁ…。」
てか、これ絶対腫れるよね。やば、口ん中切れてるよ。
「いーーーかげんに、しなさいよ!!!逃げるのも大概にしなさい!」
美希たん、声大きい。ご近所まで聞こえちゃうよ。


「ねぇ、ラブ?聞いてる?何があったか知らないけどさ。
アナタいったいどうしたいのよ?アタシに逃げるつもりだったの?
冗談じゃないわよ!!アナタ達3人でなんかドロドロやるのは勝手だけどさ、
アタシを巻き込まないでよ!」
美希、あたし、猫の子じゃないんだよ。そんな首根っこガクガク揺すんないで。
それに、相談してって言ってくれたじゃん……


どうやら、無意識に口に出してぶつぶつ言っていたらしい。
「相談しろとは言ったけど、誰が襲っていいなんて言ったのよ!」
「………!!!だって!だって!どうしたらいいかなんて、
あたしが教えて欲しいよっ!!」



「うわあぁああぁーーーーん!!!」
あたしは床に突っ伏して、子供のように泣きじゃくった。
逆ギレもいいところだ。美希、きっと呆れてる。
あぁ、美希にまで嫌われちゃう。あたし、一人ぼっちだ。


しょうがないなぁ…、と言う顔で美希がにじり寄ってくる。
ポンポンと頭を叩かれ…、

「……取り敢えず、さ。話すだけでも話してみたら?」
525名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 17:10:47 ID:upyz4K5f
あたしは、美希に話した。今まで誰にも言えなかった事を。
あたしとせつなの事。祈里の事。せつなと祈里の事。そして、今日見てしまった事。


「あっ!あたっ…し、どっ…したら、いっか、わかっ…ないの!
せっ、せづなはっ…なんであんな!…あたしっ、あたしの事、すっ好きって…
うぅ…うぇっ!」
ブィィーーーン!あぁ、ハナ、ティッシュ一枚じゃ足りないよ…、あれ?もうない…。
あたしの前には丸めたティッシュが山を作っている。
美希が呆れたように、新しいティッシュの箱を差し出してくれた。
さすが、気が利く。あたしは立て続けに二枚、派手な音をたてて鼻をかんだ。


「つまり、ラブはせつなが好き。せつなもラブが好きなはず。
なのにブッキーと、…その、ね…何て言うか…」
「……やってたの…。」
「あぁ…まぁ、ぶっちゃけて言っちゃえばそうよね…。」
「…どうして?」



「…弱み、握られてる、とか?」
「…はぇっ?」
「だから、ブッキーは何かせつなの弱味を握ってる。だから、せつなは逆らえない…とか。」
「…ブッキーが?」


正直、その発想はなかった。なんか、イメージに合わないって言うか…。
それを言うなら、せつなに手を出すこと自体、想定外だったから
何とも言えないんだけど。

「ブッキー、ずっとせつなが好きだったんでしょ?こう言うのも、
恋は盲目って言うの?恋に目が眩んじゃうと、普段からは
考えられないようなコト、しちゃうかもしれないじゃない。」
さっきのラブみたいに!と美希に軽く睨まれ、あたしは縮み上がる。


でも、もしそうなら何となくせつなの態度も腑に落ちるかも。
あたしに何も言えなかったのも、あたしに知られたくない事を祈里に知られて…


「あああーー!!もう!!!」
あたしが自分の考えに沈み込みそうになってると、美希が突然、
頭を掻き毟りながら机に突っ伏した。
「なっ…なに?どしたの、美希たん!」
「…………アタシの、ファーストキスが……」
526名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 17:14:18 ID:upyz4K5f
「……へ?…美希たん、初めだったの?」
美希は美人で大人っぽい。当然めちゃめちゃモテる。モデルやってて
出会いも多いだろうし、キスの1つや2つや3つや4つ…、てかそれ以上やってても
何の不思議も……
そんな思いが思い切り顔に出てたんだろう。


「あのねぇ!アタシ達、中学生なのっ!じゅうっ!よんっ!さいっ!」
美希は両手でテーブルをバンバン叩きながらエキサイトしてる。
ビシッとばかりにあたしを指差し、


「アンタ達が、爛れ過ぎてんのよ!!!」


爛れ……、ってすごいね。でも、まぁ、はい…すみません。
言われてみれば確かにあたしだって、ほんの数ヶ月前までは
キスどころか恋愛の影すら……。グループデートが精々で。
考えてみれば、ものすごい急展開だよね。
今となっちゃあ、せつなとエッチしない生活なんて考えられないし。


「……その、マコトに申し訳も……」
「まぁ、それは置いておくわ。ラブも普通じゃなかったし。」
今回のはノーカウントって事で。
……どうやら、勘弁してもらえたらしい。


「で、どうするの?」
「………なに?」
「せつなとブッキーは現在進行形で真っ最中。これは事実よね?……ああ、もうっ!そんな顔しないの!」無茶言わないで。思い出しちゃったよ。せっかくちょっと落ち着いてたのに。


グズグズになりかけてるあたしに構わず、美希は言葉を続ける。
「先ずはラブの気持ちでしょ?何でせつなは、とか、何でブッキーが、
とかは取り敢えず考えない。ラブは、どうしたいの?」
「……………。」
「せつなと別れる?何ならブッキーに熨斗でも付けて……」



「絶対やだ!!!」
考えるより先に言葉が出た。そして、ちょっと驚いた。
あたしはめちゃくちゃ悩んでた。ショックで、哀しくて、怖くて。
でも一度も、せつなと別れるとか考えた事もなかった。
ただ、ひたすら怖かった。
せつながあたしを好きじゃなくなったんじゃないか。
せつなが離れて行ってしまうんじゃないかって。



「なんだ、もう答え出てるんじゃない。」
「……美希たん…。」
そうだ、あたしはせつなが好きなんだ。
祈里との関係が分かっても。…あんな、場面を見てしまっても。
泣きたいくらい、せつなが大好き。
527名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 17:17:46 ID:upyz4K5f
「ちょ、ちょっと!ラブ?!」
あたしは力一杯美希を抱き締めた。さっきの事があるせいか、
美希は腰が引け気味だけど、そんな事はお構い無しにぎゅううっと力を込める。
あたし、今、世界で一番美希が好きかも。変な意味じゃないよ?
だって美希が、美希だけが昔のあたしを思い出させてくれた。

あたしは勉強もスポーツも苦手。取り柄と言えば明るい事くらい?
でも毎日張り切ってたよ。幸せ、ゲットするため。みんなの幸せゲットを
応援するため。
大好きなみんなと笑顔でいたい。そのためなら、どんな事だって頑張っちゃう。
あたしはいつだって前を向いて走ってた。

いつの間にか、そんな気持ちを置き去りにしてた。
暗い穴で踞り、見たくないものから目を背け、耳を塞いでいた。
美希は、そのまま沈みこみそうになってるあたしに、光を思い出させてくれた。
今日美希に会えなかったら、あたし、本当に壊れちゃってたかも。

美希、大好き。美希はあたしが自分の望む姿を思い出させてくれた。
強くなりたい。優しくなりたい。誰かを包み込む手になりたい。
理想には程遠いけどね。
いつも美希だけがあたしを叱ってくれる。
迷いそうになるあたしに渇を入れてくれる。


「美希たん、大好き。」
あたしに他意がないのが分かったらしく、
美希はおずおずとあたしの背中に手を回し、ポンポンとしてくれた。


「もう、そろそろ帰んなさい。ね?」
優しい声。お母さんみたい。って言ったら、また怒られちゃうかな。


「美希たん……。」
「ん?なに?」


ちゅっ!


あたしは美希の唇の端っこに口付けた。


「!!!」
「わはっ!美希たんのセカンドキスもゲットだよ!」
「!!!もうっ、せつなに言うわよ!」
「いいよーだ!せつなに怒る権利ないんだから!」


もちろん、冗談。ゴメン、美希。テンション上げるの勝手に手伝ってもらった。
でも浮気じゃないよ?ある意味ホンキだよ?本当に大切だから!


「ありがと!また来るね!」
部屋を飛び出すあたしの視界の隅に、やっぱり呆れ顔の美希が見えた。


早くせつなに会いたい。心から、そう思えた。
528名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 17:24:08 ID:upyz4K5f
以上!


一応、昨日の分で>>209の妄想?は終わり。
これからラストまでは自分なりの解釈で完結させてもらうつもり。


今回のはあんまり黒くなかったっしょ?


一応、終わりまでの流れは出来てるんで、完結はさせられすはず!



タルト、美希の貞操は守ったぞww
蒼乃家は聖域だ。いつでも逃げ込めw
529名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 17:59:55 ID:1x4STq2J
( ;∀;)イイハナシダナー

530名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 18:20:04 ID:MpW29oFF
これは…この展開はまさか2ひ(ry
531名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 18:20:41 ID:MpW29oFF
じゃねえ3ひ(ry
532名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 19:51:24 ID:ZVHMkyq7
>>526
GJ
常識人が居たー!w
533名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 20:35:38 ID:t6s8XOUn
気持ちいいビンタだったGJ
ここで分岐しないと完全なBADエンドだったなー
ブッキーの扱いがどうなるか全く読めない
534名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 20:37:32 ID:VhjTiQV7
>>528
GJ!!
美希たんすげーいい女!
535名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 21:32:16 ID:ZtWqdAmX
>>515
初めての陵辱物。勝手に男はアイツ≠ニ脳内変換しちゃいましたがw
って午前中にコレ投下とかwww
ラストでホッとした自分はピュアかもしんない…。

で、保管庫確認してみて下さい。空気間を出すための改行と、若干の
文章修正してあります。ほんのチョットです。お気に召さないようでしたら
元に戻しますので。

>>黒ブキさん
まず分類悩んだんですが、自分しか書いてないラブ×美希に収めてあります。
OKでしょうか?

読んでてこっちがほっぺ痛くなった件orzそれもダブルかい!

クローバーのキャプテンである美希たんはやはり頼りになりましたね。
少々うろたえてましたが、これもまた愛くるしくて。てか14歳なんだけどw
こうなったら4ぴ・・・(ry
536YM:2009/09/15(火) 21:44:40 ID:dH+p7cEa
皆さんGJ!
白もあれば黒もある、相変わらず凄いスレです。

>>535さん
ラブが「リーダー」なら、美希は「キャプテン」。
本当にそんなイメージですよね。
537名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 22:05:10 ID:F3Ch9u0N
愛されてうろたえちゃうイース様とか
過度なスキンシップに抵抗できないイース様とか
ひとに触れられるのが苦手な彼女…、しかしラブはナチュラルに手を!脚を!胸を!touch!的な
とにかく受けイース様がみたいです
538名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 22:17:16 ID:ZtWqdAmX
>>537の案件と黒ブキさんのピーチ×パッションを融合してみた。
SS設計図は出来たのでお二人、しばらく時間もらえないだろうか?

リクエスト案件だと思うので、他の方もチャレンジしてみてはどうでしょう
539名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 22:20:20 ID:j5XKWsID
>>536
せつなスレにも前あったわそれw
ラブがリーダーで美希はキャプテン。せつながエースで、ブッキーは学級委員長なのよ。
全部一緒だろ!ってなw
540名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 22:27:59 ID:nVW6dPR7
美希タソに「爛れ過ぎ」指摘される3人ワロス。www
541名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 22:36:00 ID:4t8BK0Lo
↑すみません、何て読むんですか?
542名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 22:37:01 ID:dN0Xs53w
「ただれすぎ」
543名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 22:44:40 ID:FSyea96J
秋晴れの空を見ていたら浮かびました。
美希ラブ投下します。
544名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 22:45:01 ID:FSyea96J
【失恋記念日】

時々考えていた。
もしもあの時、せつながパッションとして生まれ変わっていなかったら。イースとして寿命を全うしていたら…ラブはアタシのモノになっていたのだろうか?

せつなが嫌いだとか、せつなが憎いとかいう感情は、不思議となかった。
今までたくさんツライ目にあってきたせいか、人の痛みがわかる子。
イースの時に持っていた憎しみは、生まれ変わった時に消え失せたようだ。

今では明るく振る舞えるようにもなり、よく笑顔も見せる。
皆に愛されるすっかり可愛い女の子になり、イースの面影など跡形もない。
けれど、それはラブのおかげ。

始めは親友だったのだろう。
けれど、他の誰よりも強い絆で結ばれた者同士。
そんなふたりが一緒に住みはじめたのだから、それが親友以上の間柄に発展するのは、時間の問題だとわかっていた。

ふたりが結ばれた翌日、わかってしまった。
ふたりが時々絡ませる熱い視線。
テーブルの下でこっそり握りあう手と手。

アタシにはわかった。
ラブが遠くに行ってしまったこと。
一緒に行ったのがせつなだったこと。
ふたりだけの王国があり、今もふたりはそこにいると。
アタシにはわかった。アタシはずっと、ラブだけを見ていたから。

ラブはいつもアタシを照らす。あの太陽のような笑顔で。
だから、勝手に勘違いしてしまっていた。
アタシだけを照らしてくれていると。いつまでもそばにいてくれるのだと。
そうじゃなかった。太陽は月だけを見ていた。

ラブとせつな。ふたりは運命なのだと素直に思う。
アタシの入り込む余地なんて、1ミリだってない。
だから、悲しさよりも、大好きな人が幸せで嬉しい。ラブが幸せなら、それがアタシの幸せ。
ラブの幸せをアタシの幸せにすればいい。
負の感情なんて、そんなのアタシに似合わない!

爽やかな風が髪を撫でた。
秋の空の下で思いに耽りながら、紅茶を飲んでいると、心が落ち着く。
やっぱりアールグレイ最高だなぁ。
今日はアタシなりに、気持ちに整理を着けた。
誰にも知られず、こっそり失恋。なんてアタシらしいかもね。
ん!アタシ完璧!

あ、ブッキーが来た。ふふ、走ってくるブッキーって可愛いな。

いつの日か、ラブ以上に思える人に巡り会えるのかな。
そしていつか…その人に愛される女の子になりたい。
それが今のアタシの目標なのだ。
545名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 22:45:47 ID:FSyea96J
以上短め。連載の合間のお茶受けに。
546YM:2009/09/15(火) 23:07:33 ID:dH+p7cEa
>>545

美希たん、カッコ良すぎる…!
爽やかで切なくて、素敵なお話でした。
547名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 23:28:58 ID:ZtWqdAmX
>>545
厚く御礼申し上げたい!ラブ美希・美希ラブが欲しかったの!
早速保管させて頂きます!!!

1ミリなくても0じゃなければまだ可能性はあるの。最後まで諦めないで。
美希の幸せはみんなの希望だ!
548YM:2009/09/15(火) 23:32:46 ID:dH+p7cEa
遅くなって申し訳ありませんでした。
美希ブキラブレター編、ようやく完結です。
549YM:2009/09/15(火) 23:33:31 ID:dH+p7cEa

 好きな人がいます。


 とても優しくて、あたたかい人。


 今までずっと、一緒にいてくれた人。


 それは、許されない気持ち。


 伝えたらきっと、あなたと“友達”じゃいられない。


 でも、それでも。


 あなたが、好きです。


【 message for you ・ 最終回 】
550YM:2009/09/15(火) 23:34:07 ID:dH+p7cEa

「美希ちゃんは悪くない…。
 悪いのは…本当に悪いのは…私なの…!」

 絞り出すような、祈里の声。
 美希は涙に濡れた瞳を、親友に向ける。

「ブッキー…?」
「私が…私がいけなかったの。私が、勝手に意識したから…」
「…意識?」
「美希ちゃんは、大切な友達で、幼なじみなのに。それなのに、私が…っ」

 そこまで言って、祈里は言葉に詰まる。
 その先を口にしたら、どうなるだろう。
 きっと美希ちゃんは、私を嫌いになる。
 気持ち悪い子だって、遠ざけるようになる。
 会えなくなって、話せなくなって。
 ダンスだって、プリキュアだって、いっしょにはできない。
 それでも、私は。

「私…私が美希ちゃんを、好きになったから…!」
「えっ…!?」

 もう、止まらない。

「ずっとずっと、友達だと思ってた。
 でも…でも、いつのまにか、美希ちゃんを好きになってた…」
「……!」
「女の子同士だって、分かってる。
 気持ち悪いって、分かってる。
 でも、それでも、美希ちゃんが…好きで…。
 好きで、好きで、好きで…たまら…なくって…。
 ごめんなさい…美希ちゃん…本当に、本当に…ごめ…な…さ…」

 それ以上は、言葉にならなかった。
 静まり返った部屋に、祈里の啜り泣く声だけが響く。

「ごめん…なさ…美希…ちゃん…美希…ちゃ…許して…許してっ…!」

 時折漏れるのは、ひたすらに謝罪の言葉。
 長年の友情も、絆も、全て砕け散ってしまった。
 きっと、二度と、こんな風には会えない。
 目も合わせない、言葉も交わせない、触れることもできない。
 絶望と恐怖で、涙が後から後から溢れてくる。

 だけど。

「…ブッキー」
551YM:2009/09/15(火) 23:34:54 ID:dH+p7cEa

 美希の声は、優しかった。
 そして、肩に手が触れる。

「…ごめん…!」
「え…?」

 一瞬、何が起きたのか、祈里には分からなかった。
 ただ、気がついた時には。
 祈里は、美希の両腕に抱きしめられていた。

「美希…ちゃん…?」
「ブッキー…アタシも、アタシも…」

 美希の声も、涙で震えていて。

「アタシも…ブッキーが好き…ずっと、ずっと前から、ブッキーが好きだった…。
 ブッキーのコト、好きで…ずっと、好きで…!」

 祈里を抱きしめる両腕も、小刻みに震えていた。 




 …のだが。
552YM:2009/09/15(火) 23:35:56 ID:dH+p7cEa

「え、えええええええっ!?」

 祈里は美希の両腕から脱出すると、壁に激突するまでベッドの上を後ずさった。

「…って、何よそのリアクション」

 突然のことに、美希も唖然として祈里を見つめる。

「だ、だだだ、だって、美希ちゃんが、私を…って…」
「ええ、言ったわよ」
「み…美希ちゃんが、私のコト、す…すす…好きだ…って…」
「だから、今言ったじゃない」
「だだ、だって、美希ちゃんこの前、好きな人がいるって」
「ええ、言ったわね」
「それなのに、私のコト…」
「だから、アタシの好きな人っていうのは、ブッキーのコト」
「え…う、嘘…」
「あ〜〜〜〜っ、もう!」

 しびれを切らした美希が、声と共に立ち上がった。
 床に置いてあった自らのバッグを取り上げ、中から出したのは…。

「ハイ、証拠物件!」
「あ…それ…」

 あの時の、ロケットだった。
 昨日夢に見た、美希のロケット。

「中、開けてみて」
「う…うん…あっ!」

 写真には、並んで微笑む二人の少女。
 見覚えがある、ありすぎる。
 だって、私の机の上にも、同じ写真があるから。
553YM:2009/09/15(火) 23:36:37 ID:dH+p7cEa

「この写真…」
「初めてブッキーが、ダンスレッスンに来た時の記念写真。
 あんまり可愛い笑顔だったから、その写真にしたの」

 アタシも隣に写ってるしね、と美希。

「じゃあ…あの、美希ちゃん…本当に…」
「…ん。アタシも、ブッキーが好き。
 ず〜っと悩んでて、迷ってて…ブッキーに、先越されちゃったね」

 悪戯っぽく微笑む美希。
 だが、その笑顔は、途端に困り顔になった。

「…ってブッキー、泣かないでよ…」
「だ…だって、だって…美希ちゃんが、美希ちゃんが、私なんかのコト…」
「“なんか”じゃないよ」

 美希もベッドに上がり、祈里の手を優しく握る。

「え…」
「とっても優しくて、とっても可愛くて、とってもあったかくて。
 一緒にいると安心する、陽だまりみたいな女のコ。
 そんなブッキーが、アタシは好き。…大好き!」
「み…美希ちゃん…美希ちゃん…っ!」

 美希にしがみつき、大声で泣きじゃくる祈里。

「あ〜、も〜、泣かないでってば…」
「だ…だって…私、美希ちゃんのこと、ずっとずっと…好きだったから…」
「うん」
「美希ちゃんは美人で、大人っぽくて、カッコ良くて、何でも一生懸命で…」
「うん」
「真面目で、まっすぐで…怒ると、少し怖いけど…とっても、とっても優しいの…。
 そんな美希ちゃんが、好き…大好き…!」
「…うん」
「美希ちゃん…美希ちゃん…!」
「…うん…アタシも…アタシも、大好き…」

 美希は、任せるままにしていた。
 祈里の、愛しい人の、背中を優しく撫でながら。
554YM:2009/09/15(火) 23:37:39 ID:dH+p7cEa

 やがて。

「…落ち着いた?」
「うん…」

 ようやく泣きやんだ祈里が、顔をあげた。
 ずっと泣いていたせいか、目は真っ赤になっている。

「あっ…ごめんなさい。私のせいで、美希ちゃんの服が…」

 見ると、美希のブラウスが涙でたっぷりと湿っていた。

「あら。…まぁ、しょうがないか。今回は大目に見るわ」
「でも、せっかくの服が…」

 オロオロする祈里の姿に、美希は何かを思い立ったのか、ニヤリと笑った。

「ね、本当に悪いと思ってる?」
「えっ? う、うん。だって、私のせいで…」
「じゃあ…一つだけ、アタシの願い事を何でも聞く…ってのはどう?」
「えぇっ!?」
「悪いと思ったんでしょ?」

 ずいっと身を乗り出す美希に、

「う…うん…」

 圧倒されたまま、頷いてしまう祈里。

「ふっふっふ〜、じゃあ、ねぇ〜…」

 ニヤニヤと笑いながら、美希の顔が近づいてくる。
 …どんなこと、要求されるの!?
 あわあわと混乱する、祈里の耳元で。
 美希は、そっと囁いた。


「…名前で、呼んでもいい?」


 肩に手を乗せて。
 小さな小さな声で。
 でも、とっても嬉しい願い事。

「……うん」
「…アリガト。大好き…祈里」
「美希ちゃ……んっ……」
「ん……」

 二人が重なって。

 時が止まって。
555YM:2009/09/15(火) 23:38:23 ID:dH+p7cEa

 そして、また動き出して。

「ふぅ……ふ、ふふっ……やっぱり、ちょっと照れるね。祈里…って」
「ふふっ…うん。でも…私、嬉しい」

 “ブッキー”じゃなくて、“祈里”。
 すごく、すごく、特別な感じがするから。
 満面の笑みを浮かべる祈里を、美希が

「あ〜っ、やっぱり可愛いっ!」
「きゃっ! み、美希ちゃん!?」

 ぎゅ〜っと、抱きしめる。

「可愛いし、優しいし、抱き心地も最っ高だし! …よし、アタシ決めたっ!」
「決めた…って、何を?」
「これまで悶々としてた分、祈里に目一杯甘えるっ! 目一杯、祈里とイチャイチャする!」
「み、美希ちゃん!?」

 親友の、否、“恋人”の突拍子もない発言に、驚く祈里。

「…ダメ?」
「え、あ、ダ、ダメじゃないけど…」
「じゃ、決まりね。今まで以上に…いっぱい、い〜っぱい! 祈里を好きになる。ねっ?」

 ニッコリと、今までで一番の笑顔。
 そんな美希に、祈里もつられて笑顔を浮かべた。

「…うんっ! 私も美希ちゃんを、もっともっと好きになる!」
「祈里、大好きっ!」
「美希ちゃん…大好き!」

 二人はしばらくの間、笑顔で抱きしめあっていた。
556名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 23:41:30 ID:m7D+oCZJ
職人の皆さんGJ!
黒ブキは・・・あれだ、陵辱物でも出てたけどラブサンシャインフレッシュで
しゅわしゅわ〜ってやっちまえば(ry
557名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 23:46:00 ID:oUelL7vE
>>555

いやー、GJですわ。

黒祭りの中、シュワシュワーってなったわ。
こりゃあ、クセになるで...。
558名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 23:52:44 ID:4colqs8n
大雨の中ずぶ濡れになった体と心が暖まったのは、この美希祭り(なのか?)のお陰だ…職人さんたち、ありがとう!!
559名無しさん@秘密の花園:2009/09/15(火) 23:55:43 ID:oUelL7vE
こんばんわ。

黒祭り真っ最中ですが、箸休めにどうぞ。
ヤマもオチもなくてすみません。

タイトルは「my mother」です。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

夜空には、雲ひとつ無い。
星が瞬き、半円形の月が出ている。

今日は、家族で温泉旅行。

「温泉って...何?」
家族で話している時の私の一言で、
お父さんが奮発してくれた。

初めて入る温泉は、外でお風呂に入るということが
ちょっと恥ずかしかったけど、体が芯から暖まり、
肌もすべすべになって、とても気持ちが良い。

ラブと背中の流しあいもして、ゆっくりと
お湯につかりながら、色んな話をした。

私は何だか眠るのが惜しくて、みんなが眠った後も
部屋にしつらえてある縁側に座り、夜空を眺めていた。


560 ◆BVjx9JFTno :2009/09/15(火) 23:56:43 ID:oUelL7vE
トリ忘れてましたスマソ


ーーーーーーーーーーーーーーーー

「どうしたの?せつなちゃん」

声がして振り向くと、お母さんが起きていた。
私の隣に座る。

「何だか眠るのが惜しくて...」
「...そう...きれいな夜空ね」


しばらく、ふたりで空を見上げていた。
月明かりが、私たちを優しく照らす。


「何だか、夢みたいで...」
「夢...?」

「私、自分がこんなに幸せな気持ちに
 なれるなんて、思ってなかったから...」

心地良い風が、ほおを撫でる。

「そっか...私も今、とっても幸せなの」

お母さんの横顔は、静かに
微笑みをたたえている。

「今のせつなちゃんとラブを見てると、本当に
 昔からの姉妹、いや双子かな。そう見えるの。
 最近は何だか、顔まで似てきちゃってるみたい」

お母さんがクスリと笑い、
夜空を見上げた。

「せつなちゃんはもう、うちの娘だもん。
 家族の顔が似るのは、当たり前かもね」



561 ◆BVjx9JFTno :2009/09/15(火) 23:57:22 ID:oUelL7vE


私の、家族。


物心ついたときには、既に施設だった。
親の顔は、知らない。

食事、教育、訓練。
言葉を発することは、許されなかった。

そのうち、誰ひとり話をしなくなった。
ひとりっきりで、生きてきた。

ずっと憎んできた、幸せ。笑顔。
それは、裏返せば、私が憧れていたもの。
ずっと、望んでいたもの。


旅先の夜空のせいか、心がとても
素直になる。

言いたかった言葉がある。
今こそ、口にしてみる。

「ありがとう...おかあ...さん」

私の、お母さん。

お母さんが私に寄り、
私の頭を抱く。

「そう、それでいいのよ。
 私が、せつなちゃんのお母さん」

あふれそうになる涙を、ぐっとこらえる。
この街に来てから、私はちょっと泣きすぎだ。


562 ◆BVjx9JFTno :2009/09/15(火) 23:58:14 ID:oUelL7vE

晴れた空に、うろこ雲が拡がっている。
すっかり秋の空だ。

山登りには自信があったが、
ことレジャーとなると、ラブの体力は
体育の授業とは比べものにならない。


「わはー!すっごく綺麗!」


先に山頂に着いたラブが、
歓喜の声を上げる。

「せつな!お父さん!お母さん!早くおいで!」

少し遅れて、私も山頂に着く。


「わあ...綺麗...!」


360度、視界を遮るものがない。
空と、山と、鳥の声。

深呼吸する。
新鮮な空気が、体をきれいにするようだ。


後から登ってくるお父さんとお母さんに
自然と声が出た。

「お父さん!お母さん!とっても綺麗!」


ラブが、きょとんとした顔で私を見た後、
満面の笑みで首に飛びついてきた。

「きゃっ!...危ないよ、ラブ」
「あはっ、せつなあ」

ぎゅうっと抱きしめられる。
ラブの思いが、体から伝わる。


私には、こんなに素敵な家族がいる。


私とラブは、お父さんとお母さんに
手を振りながら、登ってくるのを待った。

563 ◆BVjx9JFTno :2009/09/15(火) 23:59:53 ID:oUelL7vE

以上です。

タルト腹痛回の冒頭、せっちゃんの馴染みっぷりが腑に落ちず、
勝手に脳内補完しました。チラ裏かつお目汚し失礼しました。

564YM:2009/09/16(水) 00:03:54 ID:dH+p7cEa
>>563
GJです。
たぶん、TVに映ってないところで、こうやって
絆を強めてるんだろうなー…と思います。

ちなみに、さっきの>>555、まだ続きがあります。
あとちょっとだったのに、連投規制がorz
565YM:2009/09/16(水) 00:05:27 ID:3+RAvrFP
>>549->>555の続き。
今度こそ、これでラストです。



 そして、しばらくして。

「…あ、そういえば」

 美希が何事か、思い出したようだった。
 抱擁を解かれて、祈里は困惑する。

「美希ちゃん?」
「あの中身、見てなかったわよね」
「…中身? …あっ!?」

 見ると、美希の手には例の手紙が。

「コ・レ。アタシ宛てだし、読んでもいいわよね?」
「ダ、ダメっ!」

 慌てて取り返そうとするが、美希は涼しい顔で祈里から逃れる。

「祈里からの手紙で、アタシ宛てで、結果こうなった…ってことは、コレ、ラブレターよね?」
「えっ!? あ…あの、その…」

 途端、真っ赤になる祈里。
 その純情な反応に、美希はニンマリと笑う。

「祈里からアタシへの、愛が綴られてるってワケよね。
 さぁ〜て、中身は…っと」 
「ダ、ダメだってば!」

 飛び付く祈里。
 美希は手紙を持った腕を伸ばし、その追及をかわそうとする。

「いいじゃない、減るもんじゃないんだし」
「そういう問題じゃ…もう、美希ちゃ〜んっ!」


 美希ちゃんを好きな気持ち…私、完璧。


 祈里をずっと好きでいるって…アタシ、信じてる。


〜 Fin 〜
566YM:2009/09/16(水) 00:07:22 ID:UtnMswma
…以上、今度こそ完結です。
全4回、長々とお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
567名無しさん@秘密の花園:2009/09/16(水) 00:30:17 ID:ff3+ga6G
>>528
張り手GJ。イカス姐御だぜ。
もうすぐ連載終了だな…
完結したら、アンタとも完結しちまう気がして寂し(ry

>>535
D≠ノしようか迷ったが、それだとリアルに萎える気がしてやめにしたw
文章修正、読みやすくなったな、ありがてぇ!
いつも保管アリガトウゴザイマス
>>538
なかなかいいお題…ムズいが書きがいがありそう。

>>555
GJ爽やかすぎ!
白VS黒、秋の大運動会だねぇ。
ロケットとか美希タン可愛すぎますから!

>>563
せっちゃんが初めて素直に「お母さん」と言えた…泣かすなよ!
浴衣のせっちゃんの映像が浮かんだ。新しい妄想が頭をもたげた。(続)

>>566
おーい、ラブレターの中身が気になるよぉw
追加GJでした!
568名無しさん@秘密の花園:2009/09/16(水) 00:36:39 ID:EcdJDYhG
>>YMさん
美希ブキ・ブキ美希も根強いファンがいますからねー。今回のラブレター
全4話は、みなさんがGJされた作品ではないでしょうか。
メールばかりな時代にあえて手紙に着目したトコ、二人の距離感、想い。
全てにおいて勉強になりました。大変良いお仕事!

>>563
お待ちしておりました。ヤマ≠ヘありましたよね、山はwww
せっちゃんもイメージ変わったとか言われてましたが、それも桃園家の
愛がたっぷり注がれた証だと思ってます。
優しい文章、ほんと大好き!
569名無しさん@秘密の花園:2009/09/16(水) 00:43:13 ID:+sWiO8DF
秋のSSバトル【白VS黒】開催中。勿論、投下終わるまで全裸待機な
あの子は苦しんでいた。

心が泣いていた。


体もボロボロになりながら…。



憎き相手だったイース。みんなを散々困らせたあの子。

なのに、あたしは何故か助けたい≠ニ思った。

だって…


――泣いているから――


女の子が泣く時は、寂しい時・辛い時・悲しい時・嬉しい時って決まってる。
今のあの子は寂しくて辛くて、悲しい時なんだ…。


あたしはその涙の理由を、嬉し涙に変えてあげたいと思った。


「イース…。寂しいんだよね?とっても辛いんだよね?悲しいのならあたしの胸で泣いてイイんだよ?」


「私が泣く!?ふざけるなっ!私はどんなに辛く苦しんでも泣いたりなどはっ!!!」

「嘘っ!」
「嘘ではないっ!」
イースの形相が変わると同時に、体には無数の傷が浮かび上がる。
「イース…。ダメだよ、自分に嘘付いちゃ…。」
そう言ってあたしはあの子の体を抱きしめた。口調は優しく、抱きしめる力は強く。誰にも奪われないよう…



瞬間、二人を包む光の衣。



「う…、うぅん…」
「…ここは…どこだ?」


一面、綺麗な花に囲まれた丘とでも言うのだろうか。こんな景色見た事無い。


「パラレルワールドっ!?」


「いや、違うな…。ここはラビリンスでもない。」


さっきまでの言い争いは嘘のような、静かな空間に二人は取り込まれてる。


「ま、いっか…。ねぇ、イース。」

「何だ?」


「あたしたちって戦わなきゃイケないのかな?」

「……」

「気持ちイイよ、ほら。」
「あっ…」
ラブ、いやピーチは私の腕を掴むと、そっと自分の腕に組んで花の絨毯の上に寝転ぶ。


目を閉じると戦っていた時の記憶が薄れていくのがわかった。


それは二人とも、同時に感じとれた不思議な感触。


「傷まだ痛む?大丈夫?」
優しい顔したピーチが私に微笑む。


「平気…。」


変な感じ。でも嫌じゃない…。初めての感触なのだが、どこかその…。



「腕外してくれないか?」

「なんでー?」




「照れる…。」


「ふふ。可愛いね、イースって。」




「お前もな。」
私が私で無くなっていくような感じ。体もどこか熱い。顔も熱くなってるのがわかった。


「熱くないか?」

「ん?全然。」
「そろそろ離してくれないか?」

「やーだ。」



「怒るぞ…。」

「あ、ごめん…。」
そう言ってラブ、いやピーチは私の傍から離れる。さっきから何なんだ私は…。



少し縮まったあたしたちの距離。もう少しだけ頑張ってみようと思う。

「イースの体にあった傷消えてるよ!」
無理矢理な嘘。そう言ってあたしはイースの背中にキスをする。

――chu――

「んっ…」
思いもよらぬイースの声に、あたしも一瞬ドキっとする。


「あたし…、イースともう少しだけこうしていたい…。」
私はお前の敵なんだぞ!体に…触れるな…


この不思議な空間で触れ合う二人の少女。その時間はあっという間に過ぎ


「またこうして一緒にいたいよ、イースと。」



「生まれ変われたならな。」

再び二人を包む光の衣。元の世界に戻るのが惜しいぐらいに感じた時間だった。



「イースって胸大きいね!」
「なっ!?」

次回、ピーチ×パッション。全裸待機しなくてイイよw
574名無しさん@秘密の花園:2009/09/16(水) 00:48:37 ID:ebXG3s18
ワイも待ってるで。
シフォンはもう寝や。
オトナの時間やねん。
575名無しさん@秘密の花園:2009/09/16(水) 00:58:26 ID:EcdJDYhG
>>537
もう少し書けます、実はwお気にめされたでしょうか?

>>574
いらっしゃいタルトちゃん!今日は午前中から投下あってビックリ
しちゃったよwみんな一生懸命投下してくれて嬉しいねー。種類も
豊富で保管作業も楽しいよ!全ての職人に敬意を。
576名無しさん@秘密の花園:2009/09/16(水) 03:51:02 ID:fQb5P+N2
>>566
GJっした!message for you シリーズ、完結おめでとうございます!美希、ブキのキャラと、関係の雰囲気をよっく理解してらっしゃるw
577名無しさん@秘密の花園:2009/09/16(水) 06:35:12 ID:ebXG3s18
>>573
これはもしかして、まるパの
書き下ろし絵につながる話!

面白いシチュですね。GJです!
578名無しさん@秘密の花園:2009/09/16(水) 07:06:57 ID:+sWiO8DF
そうか!あの扉絵のSSだ。ん?もっと書けるだと…。何故書かない!?

スイッチオーバーwww
579名無しさん@秘密の花園:2009/09/16(水) 12:59:50 ID:ff3+ga6G
ひと気がないとわかっていても、居心地のイイこのスレについフラフラと来てしまう。
そして気づけばまた…エロい妄想を書いている自分…
真っ昼間なのにort

何枚目かの目玉カードを使ったが、負けてしまい、
雨の中倒れてしまったイースたんというシチュで投下。
580名無しさん@秘密の花園:2009/09/16(水) 13:02:22 ID:ff3+ga6G
【抱擁】
なんだか身体が熱いな…
特に胸の辺りが…そういえば、いったいここは何処だ?
確か私は、プリキュアに敗れ、そのまま意識を失ったような…

「気がついた?」
話しかけられ、後ろから抱きすくめられていることに気づいた。
き、貴様はプリキュア!キュアピーチ!
「何故貴様がここにいるのだ!?」
「帰ろうとしたらアナタを見つけたんだよ。あのまんま放っておけなくて、誰も住んでないボロアパートにこっそり運んじゃった。良かった、気がついて」

布団の中で、ピーチが腕や脚を絡ませている。
温かいな…。温めてくれていたのか…。
モミモミモミ…気持ちイイな…胸を揉んでくれているのか…ちょっと恥ずかしい…うは!じゃなくて!

「貴様!何故私の胸を揉んでいるのだ!」
「たはー!気がついた?だって…モミ…おっきくて…モミモミ…
 羨ましいなーって見てたら、つい…モミモミ」
「ん…ヤ…メ…は、離せ…あぁっ…」
「ねぇ、前から思ってたんだけど、この衣装ヤラしいよねぇ。だって着たまま揉めちゃうもん」

そう言いながらおもむろにピーチは、私の胸あてと胸の間に手をすべりこませ、直に蕾に触れてきた。
ピーチの少し冷えた手のひらが心地いい。

581名無しさん@秘密の花園:2009/09/16(水) 13:03:40 ID:ff3+ga6G
「ふ…貴様の衣装の方が、あっ…イヤラシイ、と思うぞ…っく」
負けず嫌いな私は、後ろ手にピーチの股間をまさぐってみる。
ふわふわとしたマイクロミニスカートの下には、な、何も着けていない。

「な!ノーパンとは!どういうわけだ」
「さあ、製作サイドの都合じゃないのかなぁ」
そう言いながら、ピーチは後ろに回した私の両腕を紐のようなもので結びはじめた。

「貴様やはり…!私を拷問するつもりだな!口が裂けてもラビリンスの情報は漏らさないぞ」
「え?違うよ。触られてたらイースに集中できないんだもん」

結び終えると、ピーチは私を布団に座らせ、後ろから抱きしめた。
「イース…アタシずっとこうしたかったの」
耳元で囁きながら、再び胸を弄びはじめる。
左手で胸の突起を摘みながら、右手で股間に触れる。

「この衣装、上と繋がってるの?んもー!着せたまましたいのになー」
ピーチはそう言って、私の腹部の辺りを縦に裂いた。
「へへー、こういう時パワーがあるって便利だねっ」
裂いて出来た隙間から右手を差し入れる。
中指で茂みに分け入ると、そこはすでに蜜であふれかえり、ぴちゃぴちゃ音を立てる。
「すご…イースのココ、熱くてとろけそうだよ…」
「っく、やだぁ…ふ…」
「やだって言うけど、ココは嫌がってないみたいだよ?ほら…」

ピーチの指が私の敏感な部分を捕らえた。蜜をすくいながら指で塗りたくられ刺激されると、自然に甘い声が出て腰か浮かぶ。
「声、出しちゃダメ。誰か来ちゃうよ。我慢して」

ピーチは私の耳を舐めながら、胸をまさぐり、秘部を擦り、言葉で責める。
「イースのココ可愛いね。膨れてきたよ…もっと、もっとって言ってるみたい。あれ?下のおくちがヒクヒクしてるよ、入れてほしいのかなぁ?」
582名無しさん@秘密の花園:2009/09/16(水) 13:04:21 ID:ff3+ga6G

ヌプ…
「ん…!ふあぁ、やだ!はあ…っ」
「入っちゃった。ヤだった?じゃあ出さなきゃ…
 でもぬるぬるしてて気持ちイイから出したくないなぁ」
ピーチは指を出し入れしながら、指のつけ根で硬くなった部分を擦る。

「んん!っは…も…おかしくなっちゃう!」
「イク?イク?」
「ん…イク…あああイイィ!ピーチィ!」
敵の指でイカされ、私は果てた。

しばらく羞恥心と快感の余韻で動けなかった。
悔しい…情けない…。
「腕が痛い…ほどいて」
「あ、ゴメン、今ほどくね」
ほどいてくれたピーチは、私を抱きしめくちびる同士を合わせた。

「気持ち良かった?」
「あ、ああ…何故くちびるを合わせるんだ?」
「だって好きだから。好きだから触りたいの」
そう聞くとなんだか恥ずかしい。
「ふん!…き、貴様も気持ち良くしてやろうか」
「平気。アタシはイースがイク顔見れただけでイっちゃったよ!」

私はピーチのスカートの中に手をすべらせる。
「嘘をつけ…」
ピーチのそこはちゅくちゅくと音を立て、私の指を受け入れる。
「洪水のようだな…」
「くはー!まいったなぁ」
触りはじめると、何故だか止まらない。
「ねぇ、舐めて…」
「こ、こうか?」
怖ず怖ずと確認する私に、ピーチは細かく指示を与える。
「そう、そこ…上手だよ…んふ…」

ぴちゃぴちゃ…舐めながら見上げると、ピーチは自ら胸元に手を入れ、乳房をあらわにし慰めはじめた。
どれくらい舐めつづけたのだろう。
「あ」
突然ガクンと跳ね上がり、ピーチは達したようだった。

「イースにイカされちゃうなんて…最高だなぁ」
「バカ…」
ピーチのくちびるに自分のをそっとくっつけた。
583名無しさん@秘密の花園:2009/09/16(水) 13:05:41 ID:ff3+ga6G
終わり!
お粗末さまでした
584名無しさん@秘密の花園:2009/09/16(水) 13:12:17 ID:0TtS4S5t
>>581
ぱんつはいてないGJ
585名無しさん@秘密の花園:2009/09/16(水) 15:37:18 ID:UzWV1Vg+
586名無しさん@秘密の花園:2009/09/16(水) 16:35:05 ID:E8LCL6vJ
>>583
こりゃ昼間っからえろいものをwGJ!
587名無しさん@秘密の花園:2009/09/16(水) 16:36:21 ID:CmAdcTtH
百合っぽくないけど、投下しちゃいます。タイトルは「幸せの町」です。
588名無しさん@秘密の花園:2009/09/16(水) 16:37:40 ID:CmAdcTtH
ここはクローバータウン。幸せが集う町。
そして数年前、人々を不幸にする謎の集団から伝説の戦士が守った町でもある。
今は不幸と言う文字は存在せず、ただ幸せな一時があるだけ。

「ママー!お母さーん!みさとちゃんと遊んでくるねー!」
「うふふ、愛那ったら美里ちゃんとほんと仲良しね」
「そうだね。なんだか以前のあたし達みたい」
「む。それじゃ今は仲良しじゃないみたいじゃない」
「タハー、ごめんごめん。今も前と変わらず…ううん、前よりずっと大好きだよ!」
「も、もう!愛那の前で恥ずかしいじゃない」
「ママとお母さんを見てるとあたしまで幸せになっちゃうみたい。どしてかな?」
「愛那も、美里ちゃんと仲良くしてれば分かるわよ」
「あいなちゃーん!遊ぼー!」
「あ!みさとちゃんだ!じゃあ行ってきまーす!」
「愛那!幸せゲットだよ!」
「精一杯、遊んでらっしゃい」
「はーい!」
とある家族の何気ない風景。
そこから湧き出る幸せの泉。
様々な場所で湧き出るその泉はクローバータウン全体を覆うように広がっている。
いつしか町が幸せの湖と呼ばれる日がくるのかもしれない。

「みさとちゃん!あたしみさとちゃんが大好きだからね!」
「ありがとう、私もあいなちゃん大好きだよ!」
589名無しさん@秘密の花園:2009/09/16(水) 16:40:33 ID:CmAdcTtH
短いですが、以上です。
余談ですが、愛那と美里には羅刹と祈希という兄弟がいて、その二人は河原で拳と拳で語り合う仲だったり。
まあそれは別のお話しって事でw
590名無しさん@秘密の花園:2009/09/16(水) 16:47:20 ID:fQb5P+N2
な・なんだって〜・・・
591名無しさん@秘密の花園:2009/09/16(水) 16:48:12 ID:E8LCL6vJ
>>589
これはGJと言わざるをえない!
愛那・羅刹、美里・祈希って!!ラブせつ美希ブキ…愛の力か…。
二組のかぽーに乾杯。
592名無しさん@秘密の花園:2009/09/16(水) 17:11:48 ID:ff3+ga6G
>>589
祈希…いのき?w
593名無しさん@秘密の花園:2009/09/16(水) 17:12:34 ID:fQb5P+N2
せつながお母さん、ラブがママ。祈里がお母さん、美希がママですね!わかりません。
594名無しさん@秘密の花園:2009/09/16(水) 18:59:34 ID:SOLMvFki
黒ブキです。投下しにきました。
最近、生活が変わって夜来られない…
深夜の祭りに混じれないのが悲しい……


保管屋さん、いつもいい仕事!分類はお任せします。
しかし美希ラブ、言われるまで気付かんかったww

◯パのイラストいいねぇ。せつなでもパッションでもなくイースってのがまた…
ふたご先生はよくわかっていらっしゃる。
それを文章化したのもGJ!

ってか、まだ書けるんなら焦らさんといてw



他にも投下多くて感想書きたいけどおっつかん。


取り敢えず、>>538、ピーチ×パッション、書いてくれるなら肺炎になっても
全裸で待ってる!



では、投下。タイトルは「君を離れ」
595名無しさん@秘密の花園:2009/09/16(水) 19:03:53 ID:SOLMvFki
この部屋は時間が止まっている。秒針すら動かない気がする。


頭の上で祈里の息遣いが荒くなる。せつなは舌の動きを速める。
祈里が甲高い声を上げ体を跳ねさせると、蜜がせつなの唇の端から溢れ、流れた。


「次は、せつなちゃんの番ね。」
祈里は自分の愛液で汚れたせつなの唇を指で拭うと、そのまま乳房に手を伸ばした。


「…ねえ、好きって言って?」
いつもなら、虚ろな瞳で心の籠らない台詞を繰り返すせつな。
しかし、せつなは祈里の手首を掴み、自分の胸を弄ぶ指を引き剥がした。


「……もう、止めましょう…」


せつなは顔を上げ、祈里の眼を真っ直ぐに見つめた。
あの日以来、せつなはラブの眼も祈里の眼も見られなくなっていた。
ラブに対しては後ろめたくて。祈里に対しては……


見たく、なかったのだ。
親友だと思っていた少女が、自分の体を恣になぶっている。
その顔にどんな表情が浮かんでいるのか。
そんなものは、見たくなかった。



情事の最中の祈里をはっきり見るのは、これは初めてだ。
上気した頬に、熱っぽく潤んだ瞳。でも、その顔は相も変わらず
聖女のように清らかで……
とても同い年の少女に自分の秘所を舌で奉仕させ、達したばかりなどと思えない。

「……ふぅん、ラブちゃんに…」
バレてもいいんだ。そう続けようとすると……


「…ラブに、話すわ。」
祈里は少し目を見開き、探るように問う。


「なんて?祈里に騙されて強姦されました…って? わたしの事、悪者にするんだ。」
あんなに感じて、何度もイッた癖に。そのあとも、ずっとラブちゃんを
裏切り続けた癖に。

祈里の言葉はいつも、一番せつなが言われたくない事を正確に突いてくる。
いつもなら、ここで項垂れ、また人形のように祈里のおもちゃになるはずだった。


「そんなことは……、言わないわ。」
だってラブが哀しむもの。
恋人に裏切られ、しかもそれは親友が罠にかけたから。
そんな事知ればラブはどんなにか傷付くだろう。


ラブ……その名前を聞いた途端、柔らかな微笑みを浮かべる祈里の瞳に
すっと氷の膜が張るように醒めた光が宿る。
596名無しさん@秘密の花園:2009/09/16(水) 19:05:55 ID:SOLMvFki
「じゃあ、なんて?どちらかが無理矢理手を出さないと、
こんな事にはならないでしょ?
誘惑されて、ついフラフラと?」
こんな時までラブの事しか頭にないせつなに祈里は苛立つ。
どうすれば、もっとせつなを追い詰められるのか…


「…じゃあ、わたし、せつなちゃんに誘惑されたって言っちゃおうかな?
ラブちゃん、どっちを信じるかな。幼馴染みで親友のわたしと、
出会ってまだ一年と経ってない、しかも最初はラブちゃんを騙して
近づいたせつなちゃんと。」
それは、せつなだろう。と祈里には分かっている。
せつながどれだけラブを愛しているかは誰が見たって明らかなんだから。
事実なんて、どうでもいい。ただせつなの心を揺さぶる事が出来ればいいのだ。

「……ラブは、気付いてるわ。」
せつなは臆せず祈里を見つめ返す。
……知ってる。祈里もとうに気付いていた。ラブが、サインを送ってきたから。

最初は左乳房の脇にあった。
次は右乳房の下に。そして内腿の付け根、足を広げなければ見えない場所に。
花弁のような、赤い痣。
普段は見えない、けれど、その体を愛でようとするものには、嫌でも目に付く場所に。
『これはあたしのモノ』、所有権を主張する、印。


それは、日を追うごとに増えていった。
祈里がせつなを抱いた、その翌日でも。
せつなが自分に体を開いたその日まで、夜はラブを受け入れている。
その事実は祈里をこれでもかと、打ちのめした。
祈里との情事があった日くらいは、気まずくてラブを寄せ付けられないのではないか。
そう、思ってたから。
だから、せつなをますます言葉でいたぶる。


『せつなちゃん、エッチね。一日に一人じゃ満足出来ないの?』
『淫乱って、せつなちゃんみたいな子の事いうのね。』
『本当は、まだ足りないんじゃないの?欲しいって言ってごらん。』


「ずいぶん自信、あるのね。許してもらえると思っての?
言い訳なんて出来ないと思うよ。」
いっそ、心配そうにすら聞こえる声で祈里は言う。
無駄に、傷付くだけよ……。
597名無しさん@秘密の花園:2009/09/16(水) 19:13:30 ID:SOLMvFki
「……許してもらえなくても、いい。軽蔑されたって……」
せつなの声が震える。
「このまま、嘘を続けるよりは、いいもの。」


泣くのかな?そう思った。
でも涙はせつなの瞼の淵にとどまり、目をそらすことなく見つめている。


「……側にいるって決めたの。」



「どうやって?」
意地悪く、祈里は続ける。
「ラブちゃんが、顔も見たくないって言ったら?出ていって欲しいって。
せつなちゃん、あの家追い出されたら行くとこなんてないのよ?」


「惨めよね、せつなちゃん。泣いてすがるの?『捨てないで』って。
恥ずかしくない?」



「……惨めなんかじゃないわ。」
せつなの瞼から塞き止められなくなった涙が溢れる。

「恥ずかしくなんて、ないもの。祈里は、違うの?」
泣いて、すがって、それで好きな人の側にいられるなら、いくらでもそうする。
他に欲しいモノなんてないのだから。
どう思われたって構わない。
ラブがどう思おうと、好きなのはラブだけだから。



「…祈里のことは、好きよ。でも、ラブより好きになれる人なんていないの。」
598名無しさん@秘密の花園:2009/09/16(水) 19:15:30 ID:SOLMvFki
祈里の神経がささくれ立つ。好き?馬鹿にしてるの?

「……ここまで来て、取り繕う事ないのに。」
これ以上嫌いになりたくない。せめてそう言えばいいのに。
嫌いなんて言ったら、わたしが傷付くとでも思ってるのかしら?今さら?


「そこまで、いい子ぶらなくてもいいのに。自分が何されてきたか分かってる?」
殺したいほど憎まれても仕方ない。その自覚はあるもの。



「………本当よ。不思議だけど。」
酷い、と何度も思った。
それでも、祈里を憎む気持ちは湧いてこない。
ただ悲しかった。祈里の気持ちが。



「………嘘つき。……わたしのこと、考えたことなんてないくせに。」



「もう……、ここにはこないわ。」
祈里の呟きには答えず、せつなは鈍い動きでボロボロの体を引き摺るように、
のろのろと身支度をする。
いつもの光景。
違うのは、目をそらしているのが、せつなではなく祈里だと言う事。


赤い光に包まれて、せつなの気配が消える。


薄暗い部屋に取り残された祈里に、もう微笑みは浮かんでいなかった。
599名無しさん@秘密の花園:2009/09/16(水) 19:16:59 ID:SOLMvFki
以上!相変わらす夜毎の投下ラッシュ!!

朝イチで読むのが一日の活力だ。
600名無しさん@秘密の花園:2009/09/16(水) 19:23:14 ID:zpJUnZDj
過去いろんなSSスレをヲチしてきたけどオリキャラが出てきたらたいがいのSSスレは荒れ、廃れます
ついにこのスレもその時が来たようですね
601名無しさん@秘密の花園:2009/09/16(水) 19:24:53 ID:fQb5P+N2
? オリキャラ?
602名無しさん@秘密の花園:2009/09/16(水) 20:29:21 ID:/4B619FP
黒ブッキーを癒してあげたいよ〜
603名無しさん@秘密の花園:2009/09/16(水) 20:38:41 ID:CpUQWDH5
最近 黒系とかイースラブが読めて凄く嬉しい。
604名無しさん@秘密の花園:2009/09/16(水) 20:41:25 ID:UYzQfibW
もう素直な気持ちで本編をみれませんw
605名無しさん@秘密の花園:2009/09/16(水) 21:00:38 ID:ebXG3s18
>>598

GJや!物語が動きましたな!
ワイは昨日からずっと全裸待機しててん。

今夜も待機や!
606名無しさん@秘密の花園:2009/09/16(水) 21:19:01 ID:C7v/6plY
つかタルトは全裸でない状態があるのかw
607名無しさん@秘密の花園:2009/09/16(水) 21:28:56 ID:fQb5P+N2
首の青っぽいの。あれは体の一部なのだろうか?
608名無しさん@秘密の花園:2009/09/16(水) 23:15:10 ID:EcdJDYhG
>>577>>578
正解w気付いたら扉絵のSS無かったので、台詞アレンジして作って
みました。申し訳ないっ!

>>583
真昼間からwww
お互いエロコス…。あ、大人の邪念が。。。
Hになるとさらに深まる二人かな。字余りw

>>589
是非、美希ブキ夫婦Verもお願いしたい。分類は複数で保管してあります。
自分が描く未来もこうなったら幸せだなって思いました。
と、SS製作のヒントも得られました。ありがとう!

>>黒ブキさん
思いの他ピーチ×パッション製作に難航してますorz
病気になったらココへGO!
ttp://ranobe.com/up/src/up396120.jpg
コラじゃないよw車でちょっと行けばほんとにあるのwww

キスマークはココで生かされたか!ウマすぎる…。あなたもラブさんも。
ブッキーはどうなっちまうんだ…。みんなが心配になってきた。
美希様またクルー!?
609名無しさん@秘密の花園:2009/09/16(水) 23:37:13 ID:bbEz2eec
>>469=>>512です。
執筆の経過報告ですが、第2話は幼稚園1日目の3分の1(午前の前半)になりそうです。
何とか短くまとめようとしているのですが、幾分慣れてないもので・・・。
今夜の投下はありませんが、もうしばらくお待ち下さい。

>>513
遅くなりましたが、お褒めの言葉ありがとうございます。お礼にこれを。

つ【アイス券×3枚】

ピーチはんとパッションはんにも分けてやってや〜
610 ◆BVjx9JFTno :2009/09/16(水) 23:47:20 ID:ebXG3s18
こんばんわ。
黒ブキ編が衝撃の展開を見せる中、白ブキです。
毎度妄想のみでヤマありません。すみません。

>>277->>291の続きです。
タイトルは「pieces」です。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ダンスレッスンに、
今日も美希ちゃんは来ていない。

ここのところ、撮影が目白押しで
美希ちゃんは忙しそう。
週末は泊まりがけでロケだって。

先月の雑誌にも、美希ちゃんが
たくさん載っていた。

アウトドア特集での爽やかな笑顔。
乗馬体験での、おっかなびっくりな顔。
大人っぽいドレスを着て、すました顔。

どの美希ちゃんも、とても魅力的。

611 ◆BVjx9JFTno :2009/09/16(水) 23:48:07 ID:ebXG3s18

写真を見ていると、ふっと不安になる。

私を好きって言ってくれたけど、
美希ちゃんは、華やかな世界で生きてる人。

雑誌の写真だって、男のモデルさんに
ご飯食べさせたり、みんなで肩を組んで
にっこり笑っている表情が、とても自然で。

こんな人たちが居るところなら、
出会いだってたくさんあって、そのうち...。


胸元の飾りに、手を触れる。

ちょっと背伸びしたアクセサリーショップで
美希ちゃんと一緒に買ったネックレス。

勾玉のような、ゆるいカーブを描いた
小さな銀色の飾りがついている。

美希ちゃんと選んだとき、一緒に
指さしたのが、これだった。

ひんやりした感触が、心地良い。

私にとっては、一番大切な宝物。

でも、美希ちゃんにとっては、
たくさんある大事な物のなかの、
ひとつなのかな。


612 ◆BVjx9JFTno :2009/09/16(水) 23:48:52 ID:ebXG3s18

最新号のファッション雑誌が発売されていた。
公園の端にあるベンチに座り、ページを開く。


「あっ...」
私は思わず声をあげた。


『人気モデルの私服紹介!
 今月は、人気モデル蒼乃美希ちゃんの
 普段着を紹介しちゃうぞ!』


...............................

アタシ、私服だって完璧に決めてるの。

モデルは家を一歩出たら、絶えず見られることを
意識しないとネ。

アクセサリーのポイントは、
胸元のネックレス。

かわいいでしょ。
大切な人とおそろいなの。

え、彼氏?それはナイショ!

...............................


人差し指を唇に当て、いたずらっぽい
笑みを浮かべている美希ちゃん。

胸元には、私と一緒に買ったネックレス。


613 ◆BVjx9JFTno :2009/09/16(水) 23:49:39 ID:ebXG3s18

嬉しさと、会えない切なさが混じって、
つい、美希ちゃんの写真にキスしていた。

「何やってんの?」

突然後ろから声をかけられ、
私は飛び上がった。


「みみみみみ美希ちゃん!!!」

「やだ、どうしたの?祈里」

「いや、なな、なんでもないよ。
 ちょっと写真にキス...いや、違っ...」

美希ちゃんがクスクス笑い、
私の方に両手をのせ、後ろから
雑誌を覗き込んだ。

「あ、これね」

フレグランスが、ふわっと香る。
美希ちゃんの、匂い。

「最近祈里に会えてなかったから
 ちょっと私的にページ使っちゃった」


舌をペロっと出した美希ちゃんは
遠い人じゃなかった。


私のとっても近くにいる、大切な人。

614 ◆BVjx9JFTno :2009/09/16(水) 23:52:53 ID:ebXG3s18

「えええ...えっと...」
「ん?」

「...ありがとう...」
「うふふっ、顔真っ赤だよ」

美希ちゃんが自分のネックレスを差し出す。

美希ちゃんのネックレスには、
同じ銀色の飾り。

私のとは、向きが逆。

私のネックレスの飾りを、
美希ちゃんの飾りに合わせる。

流れるような、ハートの形になった。

「いつも、一緒」
「うん」


視界が、雑誌で遮られた。

美希ちゃんの方を向いた瞬間、
唇が重ねられた。

雑誌で隠れて、公園の人たちからは
多分、見えない。

「祈里が、一番だからね」

唇を離し、美希ちゃんがささやく。

私の心が、読めるんだろうか。
美希ちゃんの大胆な行動に、
私はもうすっかり骨抜き。


「今日は撮影で使った衣装借りてきたの。
 これからうちで祈里のファッションショーやるよ!」

「ええ...似合うかな、私」
「大丈夫!祈里に完璧に似合うのを選んだから」


手を繋いだ私たちは、美希ちゃんの家に
向かって走りだした。


ずっと、この幸せが続くといいな。

615 ◆BVjx9JFTno :2009/09/16(水) 23:54:01 ID:ebXG3s18
以上です。

甘甘です。
お目汚し失礼しました。

616名無しさん@秘密の花園:2009/09/17(木) 00:19:35 ID:D60YI48g
>>615
全裸待機した甲斐があったってもんだぜ・・・GJ!
617名無しさん@秘密の花園:2009/09/17(木) 00:28:48 ID:Y3xSXNYW
>>615
キュン死した。。。
写真にキスとかもぅね、全然やりましたよwww
あーえなーいじかんがー、あーいそーだーてるのさー。
ナイスカップルだわ、やっぱり。お揃いのアイテム最高すぐる!!!
保管してきまーす。
618名無しさん@秘密の花園:2009/09/17(木) 02:02:54 ID:Y3xSXNYW
>>609
幾らでも待っちゃうからw
あなたの頑張りに刺激され、ピ×パ作ってます。自分も今日は無理だorz
619名無しさん@秘密の花園:2009/09/17(木) 02:04:39 ID:P1rLEih2
全裸待機してたのに…。FUKOだ。タルト、ちょっとアズキーナ呼んできなさいwww
620名無しさん@秘密の花園:2009/09/17(木) 05:28:53 ID:Y2yV2zt/
>>619
アズキーナはんなら、さっきまで
濃厚な夜を過ごして、ワイの横で
寝てますわ。...って、
何で兄弟が寝てはんのやろか?
621名無しさん@秘密の花園:2009/09/17(木) 07:43:20 ID:fmslKLOj
投下の無いタイミングみたいなのでちょっと質問です。

職人の皆さんはクローバー4人の変身前、変身後の髪の色を
文字で書くときには何色と書きますか?

ラブ:黄というにはちょっと色が暗い?
美希:青
祈里:茶
せつな:亜麻色

ピーチ:金
ベリー:青系だけど変身前よりちょっと明るい?
パイン:金だけどピーチより暗い?
パッション:桃

自分はラブ、ベリー、パインが「何色」と言われると
ちょっと的確な色がわからないですね。
622YM:2009/09/17(木) 07:46:02 ID:Wl+t/NP2
>>615
GJすぎる…!
朝からイイもの見せていただきました。
623名無しさん@秘密の花園:2009/09/17(木) 08:00:08 ID:P1rLEih2
深夜投下無しか…。昨日投下してくれた職人は貴重だな。ありがとう、読み返してくるわ。

ダンス絵本がまだ届かないんだがタルト、何とかしてくれよ。アズキーナとイチャついてないでw
624名無しさん@秘密の花園:2009/09/17(木) 08:38:05 ID:PwFfD+On
黒ブキっす。
保管屋さん、いつもサンクス! 肺炎になったら迷わずその病院行くから
連絡先(ry

ピーチ×パッション、楽しみです。
他にも考えてくれてる人いるみたいだし、自分も考えてみようかな?
また鬱かエロになりそうだけど……


>>615
相変わらす綺麗な描写GJ!
既に甘酸っぺぇ!から酸味が抜けて完熟ですか。
甘い、甘いよ……。


>>621 自分の場合ですが、

せつな→黒、暗い・濃い色系の表現
ラブ・ブキ→明るい色
美希→質感のみ


具体的な色名は書かないようにしてます。癖のある、とか、サラサラした、
みたいな質感とかでイメージするようにしたり。
625名無しさん@秘密の花園:2009/09/17(木) 10:55:21 ID:VIDUtx5Y
>>595
GJ
今度はブッキーが美希先生のカウンセリング受けに行きそうw
626名無しさん@秘密の花園:2009/09/17(木) 17:45:12 ID:k0S1XTgn
フレッシュプリキュアで百合SS保管庫 @ ウィキ
http://www12.atwiki.jp/fleshyuri/pages/1.html

1のリンクが変です.
これで直してください。

http://www12.atwiki.jp/fleshyuri/

627名無しさん@秘密の花園:2009/09/17(木) 17:53:46 ID:k0S1XTgn
>>626
すみません.
このリンクも変ですね. 私のコンピューターの問題のようです。

orz
628名無しさん@秘密の花園:2009/09/17(木) 19:40:59 ID:P1rLEih2
過去スレ2は見れないか。1は飛ぶから見れるわ。保管屋さんお願いね
629名無しさん@秘密の花園:2009/09/17(木) 21:33:29 ID:Y3xSXNYW
保管屋ですよ。
過去スレ2、調整しました。恐らく見れるはず。と、sage進行で宜しくねw

>>621
自分も黒ブキさんと一緒で、表現があいまいになっちゃうから、
色にはこだわってないかも。設定資料集にも色は書いてないし。
公式で設定色教えてくれればイイのにねぇ。。。

ttp://www.colordic.org/w/
参考までに。的確な色を文章で表現すると難しいのかな。
質感や感触を例えた方が色気あるかもです。

みんなはどう思います?プリキュアたちの髪色。
ラブ×せつな〜ピーチ×パッション・白百合・長め・おうちで夕ご飯の後で



「住む所を探しているなら家に来るといい。」

「ラブから話は聞いているわ。」

帰る所の無かった私に手を差し伸べてくれたお父さんとお母さん。

そしてラブ。

私は嬉しかった。本当に嬉しかった。初めて幸せを肌で感じる事が出来た。



「お邪魔します…。」


「話を聞いて、ある程度は準備したんだけどねー。まだ片付いてないんだ!」
お父さんは汗を掻いたフリをして私を笑わせる。

「今日はラブの部屋で寝てもらってイイ?散らかってるけど。」
お母さんはちょっと呆れた顔をしてる。

「ちょっとお母さん!それじゃまるで、あたしがいっつもだらしないみたいじゃん!!!」

「当たってる当たってる。」
「図星でしょ、ラブ。」

「とほほー」


「くすくす…」

私、また笑ってる…。これが『幸せ』なんだ。
「せつなー、まだまだ寝かさないよー!いっぱいお喋りしちゃおー!」
「僕も参加するぞー!」
「コラっ!お父さんは明日も仕事でしょ!ラブもダンス練習あるんでしょ!」

「はい…」
「はーい…。ぶぅ…」

「さ、せつなちゃん。部屋に行ってゆっくり休んでね。と、これは着替えね。」
「ありがとうございます。」
お母さんに会釈。

「おやすみ、二人とも。」
「おやすみなさい。」
お父さんにも会釈。



「さ、どうぞっ!あたしのお部屋へ!」

二人は着替えを済ませ、ベッドに腰掛ける。

「今日はせつながベッド使ってイイよ!あたしは下で寝るから。」

「え?いいわよ、あたしが下で寝るから。」

「いいのいいの。遠慮しない!さ、どーぞ。」

「あ、ありがと…。」

布団と言う物はとても温かくて柔らかかった。と、いい香りがした。ラブの匂いなのかしら?
ベッドの下に寝場所を準備するラブ。

私は何だか申し訳なくて。
「じゃ、電気消すね。」
「ええ。」




「たっはー!緊張して眠れないよっ!」
「きゃっ!び、びっくりするじゃない…」

「ごめん…」



「せつな覚えてるかな。」
「何?」

「不思議な光があたしたちを包み込んで、お花畑みたいな所へ運んでくれたのを。」

「ええ、覚えているわ。不思議な光だったわよね。」


「あれから毎日考えてたんだ。また行ってみたいなって。」

「……」


「あたしね、あの時気付いたんだ。せつなの事が好きなんだって…。」

「えっ!?」


「でもね、恥ずかしくて言えなかった…。けど、一緒にいれるだけであたしは幸せだったんだよ?」


「……私も。あんな感触、初めてだった。人を好きになるって…事。」

私には無縁だと思っていた感情。

好きになると言う事。
愛すると言う事。

それを教えてくれたのはあなた。
「また行けるといいわね、あの場所に。」

「うん!」


「ラブ…。今日は本当に……、ありがとう。」

「せつな…。」

お互いを大切に思い合う心。愛し、愛される喜び。全ての運命に感謝する二人。


(ずっと一緒にいようね、せつな。)
(ラブ。これからも私の事、宜しくお願いします。)


幸せを枕に、そっと吐息を立てて眠りに付く二人の少女。



その時、互いのリンクルンが眩い光を放ち二人を包み込む。

一瞬の出来事。二人は目を閉じたまま。


「う…、うぅん…」
「…ここは…どこ?」

一面、綺麗な花に囲まれた優しい場所。見た事のある風景。


「ピーチ?」
「パッション!?」

あの光はリンクルンから放たれた物だった。互いが平和の戦士、プリキュアの姿を
してる時点で二人は、その置かれている現状を把握する事は出来た。


「また来れたのね。」
「やったー!パッション、幸せゲットだよ!」

「ほんとね。幸せかも。」
「でも私、ピーチに謝らなければならない事があるの。」

「何?」


「ペンダント。大切なペンダントを私…」


「いいよ、もう。」
そう言ってピーチは私を抱きしめる。あの時と一緒。言葉は優しいけど、抱きしめる力は強い。


「パッションは大切な仲間。親友で家族で…」

「……」


「恋人っ!ほら、四つ揃った!幸せのクローバーだよっ!」

「ピーチ…」
止め処なく溢れる涙。こぼれた涙に、パッションのリンクルンが光を照らす。

それに合わせてピーチのリンクルンも光を照らし。

「あっ!」
「これは…」


奇跡がまた起きる。四葉のクローバーのペンダントが二人の下へ。


愛の結晶。その名にふさわしい二人への贈り物。


そっと手に取る二人。互いを見詰め合う。


「ピーチ…」


「…パッション」



重ねる唇。ペンダントを握ったお互いの手と手を絡め合う。


何度も何度もキスをする二人。唇から頬、耳、そして首へ。
漏れる吐息が二人を熱くする。
「パッションと一緒に………なりたい。」


「……私、初めてだから…。」


「…あたしも。」


パッションはそっと頷き、ピーチを迎え入れる。


ピーチは不器用ながらもパッションの衣を剥いでいく。


「ちょっと…、くすぐったいよ…。」

「ごめん。」


「優しく…ね。」
「うん。」

初めて見る愛しき人の体。透き通るような白い肌。女性特有の美しい曲線。


「あたしのも…。お願い。」

「わかった。」


パッションもまた、慣れてない手つきでピーチの衣を剥いでいく。


「恥ずかしい…な。」

「そうね。私も恥ずかしいわ。」



「大好き。」

「私も。」
互いの温度を感じながらそっと寄り添う二人の戦士。
愛を確かめ合い、幸せを感じた合った時間はあっと言う間に過ぎて。



「またこうして一緒に来れたらいいな、パッションと。」


「ピーチとなら喜んで来るわよ。」


再び目を閉じる二人。優しい時間が過ぎ去っていく。




朝の光が窓から差し込む。眠たそうに部屋の主が起き上がる。



(……夢……だったのかな?せっかく一緒になれたのに。)


それにしては妙な感じがする。記憶がハッキリとしているのだ。


「ん…?…ぅんっ!?」
重たかった瞼が一瞬にして開かれる。横にはベッドで寝ていたはずのせつなの姿が。

ほんの少し、吐息を立てながら寝てる姿が愛おしい。


(夢なんかじゃない!)
しばし呆然とするラブ。が、考えるのも面倒臭いので…


「あと15分だけ寝よ。」
再び布団に潜り込む。彼女を起こさないように、そっと。



瞳を閉じると、二人が居たあの場所へ戻れそうな気がした。


今日から始まる新たな生活。二人の愛と幸せの証は夢なんかじゃない。


隣で寝ている彼女の小さな手の中には、クローバーのペンダントが優しく握られているのだから。

〜END〜
637YM:2009/09/17(木) 23:09:48 ID:Wl+t/NP2
YMです。
保管屋さん、いつもお世話になってます。
ウチの駄文を保管していただき、感謝感謝です。


>>621
僕も、黒ブキさんや保管屋さんと同意見ですね。
アニメキャラの髪の色って、文字で表現すると
余計に現実味が無くなってしまうような気がします。
せつなは「黒髪」としても良さそうですが…。
638名無しさん@秘密の花園:2009/09/17(木) 23:36:10 ID:P1rLEih2
タルトよ、投下があったら真っ先に教えろと言っただろうがw
これはもう全裸待機命令じゃないか!
639名無しさん@秘密の花園:2009/09/17(木) 23:58:16 ID:Y2yV2zt/
>>638

かんにんや。
ワイも連日の全裸待機で寝不足ですねん。
この時間まで寝落ちしてましてん。


640名無しさん@秘密の花園:2009/09/18(金) 00:52:57 ID:2Xqe1UOF
たまげたなぁ、帰ってきたらピーチ×パッションといい美希ブキといい甘くてとろけちゃいそう…
641名無しさん@秘密の花園:2009/09/18(金) 01:18:01 ID:zcSbSRmq
>>636

GJ!やっぱり初夜wwは
同じ部屋で寝たんだろうね!

電気消した後に叫ぶラブが
いかにもという感じで良い!

○パの扉絵は想像力をかきたてますなぁ。
642621:2009/09/18(金) 01:48:02 ID:xxdWTSSu
>>624
質感で違いを出すというのは思いつきませんでした。
参考になります。

>>629
リンク先拝見しました。
結構近い色がありますが
ちょっと普通には使わない名前が多いですね。

>>637
とあるネタで敢えて髪の色で
キャラを識別出来るような描写が欲しくなりまして…
仰るとおりなのは重々承知なのですが

皆様レスありがとうございました。
いつかこの辺の描写が入ったSSが投下されることがあれば
「ああ、こいつだったのか」
とでも思ってくださいませ。

それでは失礼いたします。
643名無しさん@秘密の花園:2009/09/18(金) 04:21:48 ID:3hchm42g
おはよう、黒ブキです。
昨日は投下は保管屋さんだけだったのか。
貴重な投下、隅から隅まで舐めるように読ませてもらったよ。

しかし、初体験が変身後。しかも場所は秘密の花園……。
思い付かんかった…!
ぎこちなく脱がしっこする二人が初々しい。
しかも愛の証って、そこでそう来るとは…。

ニヤニヤしながら楽しませてもらいました!
保管屋さんは多作だけど、あの手の色っぽいシチュは初めてだよね?
また書いてくれたら嬉しいww


さて、早朝から暗い長文だけど、投下。
タイトルは「祈り」。
644名無しさん@秘密の花園:2009/09/18(金) 04:23:19 ID:3hchm42g
せつなが消えてどれくらい経ったのか。
時間の止まった部屋に祈里もまた、足止めされている。


一人取り残された祈里は乱暴にベッドに身を投げ出した。


ふわり……、とせつなの香りが全身を包む。


(匂いだけなら………)


匂いだけなら、まだこんなにも愛しい気持ちになるのに。



辛い。そう思っていた頃がいかに幸せだったか思い知る。
ふと目が合う。不意に肩が触れ合う。笑顔であだ名を呼ばれる。
それだけが、自分に手に入るすべてだった頃が。



辛い、そう思ってた。自分を見てくれない。気持ちに気付いてくれない。
どんなに焦がれても、手が届かない。
眠れぬ夜を過ごし、ラブへの嫉妬で身を揉んだ。
けど、その思いは決して穢れたものではなかったはずだ。


よく、こんな事が出来たものだと思う。自分だったら死にたくなるだろう。
自分の行為を棚上げして、他人事のようにそう思う。


酷い、事をした。誰が聞いても眉をひそめ、自分を糾弾するだろう。
『許して』、その言葉を口にするのすらおこがましい。


「好きよ」
「本当に、不思議だけど」


せつなが自ら発した言葉だとしても、本心だと言う保証なんてどこにもない。
逃れるために、口にした保身のための台詞だとしてもおかしくはない。


心のない、虚ろな繰り事を飽くことなく強要してきたのは、
他ならぬ祈里自身なのだから。


「……『好きよ』だって。」
馬鹿にしてるの?わざと投げやりに聞こえるように声に出してみる。

上手く、いかない。

嬉しい、確かにそう感じている自分がいるから。
645名無しさん@秘密の花園:2009/09/18(金) 04:25:02 ID:3hchm42g
許してもらえるの?
あり得ない事を考える。
どうしたって、言い訳すらするのは卑怯だろう。


確かに辛かった。どうしようもなく。
しかし、だから何だと言うのだ。
そんなこと、せつなには関係ないのに。
一度たりとも、せつなに直接思いを伝えた事なんてなかった。
それを、せつなが気付かないからと言って、彼女に何の責任があると言うのだ。


自分の狡さを直視すれば、自分が壊れてしまう。



本当は分かってた。せつなが自分を見てくれない。そんなのただの言い訳だって。
わたしは、自分のものにならないと分かってる物を壊してしまいたかっただけ。
だから、その責任を壊される本人に擦り付けようとした。



『せつなちゃんが悪いんだからね』
そう言いさえすれば、よかったのだ。
そうすれば、せつなに何をしても自分は悪くない。そう、
自分を騙す事が出来たから。


言い訳さえ手に入れれば、せつなにはいくらでも辛く当たれた。
体を弄ぶばかりでなく、心も苛んだ。
人として、こんな事は絶対に言われたくないだろう言葉を敢えて投げ付けてきた。


せつなは一度として反論なんてしなかった。


呼び出せば、いつでも応じる。
最初は震えていた。特に初めて呼び出し、わたしが本気でなぶる気だと
理解すると紙のように白く血の気を引かせていた。


始めの数回は、終わるといつも堪えきれないように泣き叫んだ。
許してくれと言う懇願を、わたしは子供の戯れ言程にも相手にしなかった。
せつなを完全に支配下に置いたかのような、歪んだ満足感。
わたしは、どうにでも出来る、と。


しかしその内、せつなは心を閉ざし、人形のように空の体を差し出す事で、
自分を守ろうとするようになった。



心の中から自分を消し去ったせつなに祈里は苛立ち、ただ、せつなをいたぶる。
いつの間にか、そんなふうになっていた。
壊れてしまえばいい……本気で、そう思いながら。


心は諦める。せめて体だけでも。………そう思っていたはずなのに。
646名無しさん@秘密の花園:2009/09/18(金) 04:30:44 ID:3hchm42g
せつなの体の甘美さは祈里を陶然とさせた。
夢中で貪り、すべてを忘れた。

しかし、せつなの心は祈里の一切を無視した。
拒絶ですらない。せつなは自分を弄ぶ祈里を、心に蓋をし、完全に閉め出した。

体は確かに愛撫に応える。でもそんなものは、ただの反射に過ぎない。
目にゴミが入れば涙が出る。食べ物を口にすれば唾液が涌く。
それと、同じ事。分かっていた。

だから、敢えてせつなの体の変化を事細かくせつなに聞かせた。


(気持ちよさそうね。ラブちゃんじゃなくても、感じちゃうんだ。)


ラブの名を口にしたときだけ、せつなの瞳が揺らぐ。
愛撫を快感として受け入れる自分の体に罪悪感を覚えている。
そんなせつなの様子に祈里は暗い満足感を覚えていた。



「もう、ここには来ないわ。」



何がせつなにそう言わせたのかは分からない。
今のせつなに鎖を断ち切り、振りほどく力などないと思っていた。
でも目をそらさず、そう、確かにせつなは言い切った。
本気で、ラブに話す気なんだろう。



わたしが好き。わたしの気持ちが悲しい。
せつなは、真っ直ぐに目を見てそういった。


先に目をそらしたのは、わたしの方。


(わたし…勘違いしちゃうかもよ……)


謝れば…、許してもらえるのかも……って。



謝るなんて卑怯だろう。
傷付けた相手に、許しを強要するなんて。


後悔してる……なんて、口が裂けても言ってはいけな。
謝って楽になる。わたしに、そんな贅沢は許されないはずだ。


踏みつけにした相手にすがって、許しを乞う。
自分にそんな勇気があるとは思えなかった。
647名無しさん@秘密の花園:2009/09/18(金) 04:36:24 ID:3hchm42g
せつなは自分の部屋に戻るなり、へたり込んだ
(アカルンって便利よね……)


こんな姿、誰にも見られなくてすむもの。


立っていられない。平衡感覚がおかしい。ベッドまで這って行く気力もなかった。
蛇口が壊れてしまったかのように、涙が止まらない。
私は、おかしくなってしまったんだろうか。


祈里の言葉が頭を回る。


「わたしのこと、考えたことなんてないくせに。」


本当に、その通りだったな。と今さらながら感じる。

今まで愛情も、優しさも何一つ与えられた事はなかった。
その私が、生まれ変わって溢れんばかりの愛情に包まれた。
家族、友達、そして何より大切な人。
空っぽだった心身にそれらは惜しむことなく注ぎ込まれ、溢れて、こぼれていった。
そして私は、慣れない幸福に溺れてしまったのかもしれない。
こぼしてしまったものの中に、取り返しのつかない大事なものがあったかも知れないのに。


祈里は大好きだった友達。ラブを除いて、「東せつな」として
生まれ変わってから、初めて出来た友達。
ラブとは違う、私がイースだった過去を知った上で、
微笑んでくれた。



『気持ちよくなれれば、誰でもいいんじゃないの?』初めての夜、祈里に言われた。
深い意味はなく、ただなぶるために投げられたのだと言う事は分かる。
でも今になって、心に突き刺さる。



(本当に、そうだもの。)
半分当たっていた。今なら、そう思う。
ラブとはまた違った、控え目で柔らかい祈里の空気が好きだった。
祈里といるとホッとする。ゆったり時間が流れて、癒されるって
こんな感じなのかと知った。


でも私は、本当に祈里が好きだったの?
ただ、祈里がくれる心地よい空間が好きだっただけ。
自分を優しく包んでくれる空気。
そう、心地よい気分にさせてくれるなら誰でもよかったのかも知れない。
祈里でなくても……。
648名無しさん@秘密の花園:2009/09/18(金) 04:37:42 ID:3hchm42g
そして、ふと、心をよぎった思いがある。



どれほど、心身が悲鳴をあげても私はラブに抱かれたかった。
例えラブの目に探るような固いしこりが見えても。その手から優しさが消えても。
体だけでも繋がっている。そう思えるだけで、嬉しかった。


(祈里も……そうなの…?)

心が手に入らないなら、体だけでも。
無理矢理にでも体を重ねれば、何かしら相手の心に自分を刻めるかも知れない。

祈里を、自分に重ねてみた。
もし、ラブが…自分を見てくれなかったら。
ただの友達。それだけならいい。我慢できる。みんな同じなら。
誰も特別な人などいなく、みんなと同じ、ただの仲の良い友達。

でも、そのラブの目にはいつも他の誰かが映っていたら。
『あなただけが特別』、誰が見てもそう思う相手が、すぐ身近にいたら。



ラブが自分を他の誰かの代わりに抱く。
どれほど体を重ねても、ラブの心に自分の影すらない。
愛し気に愛撫を繰り返しながら、他の誰かの名前を呼ぶ。


考えただけで、心が凍り、ヒビが入る気がする。


たぶん、正気では、いられないだろう。



私が、祈里にしていたのは、そういう事。



(もう、止めなければいけない。)



祈里の心が壊れてしまう前に。


そう思った日、初めて祈里を思って涙が出た。



ラブは許しくれないかも知れない。
穢らわしい物を見るような目で見られるかも知れない。


けど、ラブにどう思われようと、側にいることは出来るはずだ。
ラブが、許してくれなくても私がラブを好きでいる事は出来るんだから。
649名無しさん@秘密の花園:2009/09/18(金) 04:39:16 ID:3hchm42g
私が心を閉ざし、踞っている間にどれだけラブも祈里も傷付いただろう。
自分が一番辛いと思い、目も耳も塞ぎ、過ぎるはずのない嵐をやり過ごそうと
意味の無い我慢を重ねていた。


私さえ、ちゃんと目を開いていれば、もっと早く終わらせる事が
出来たはずなのに。


(私って、本当に馬鹿……)


今日だって、祈里とちゃんと話そうと思って行ったのに。
いざ、祈里を前にすると体がすくんだ。きっぱり拒否する事も出来ず、
伸ばして来た手を押し留めるのが精一杯だった。


それに……、祈里と話すために行ったのに、口から出るのはラブ事ばかり。
あれではますます祈里を傷付けただけではなかったのか。
最後に、取って付けたように『祈里が好き』。
後は逃げるように帰ってきてしまった。


優しくしてくれるから、祈里が好きだったわけじゃない。
何を言われても、どんな事をされても嫌いになんてなれなかった。

だから、もうこんな事はやめにしたい。


そう、伝えたかったのに。


祈里は、私の言葉を信じてくれただろうか。
もう、元には戻れないのかも知れない。。
来てしまった道を後戻りは出来ない。
けど、また違う道に進む事は出来るのではないか。


話せばすべてが壊れてしまうかも。


でも、このまま暗い穴の中へみんなで堕ちていくよりは、
ずっとマシだと信じたい。


まだ、間に合う。……そう、信じたかった。



(………お願いします。)



祈った事なんてなかった。でも、今は何かに祈らずにはいられなかった。
650名無しさん@秘密の花園:2009/09/18(金) 04:45:04 ID:3hchm42g
以上。このスレのうちに完結出来るのか、不安になってきた。


しかし、軽い気持ちで妄想→SSに手を出したのを、多少後悔している……。
ホント言うと、「堕天使の罠」「暗闇の入り口」だけのつもりで、
後は書くつもりなかったんだよ……


続きとか言われて、調子こいちまった俺のバカ……
651名無しさん@秘密の花園:2009/09/18(金) 04:51:08 ID:G0asQ4Ld
早朝から良いものを見た。
正直このシリーズ大好きです!気にせず調子こいてください。
652名無しさん@秘密の花園:2009/09/18(金) 04:53:15 ID:cnWbE661
いまさらだな!こんな時間にスタンバってるおれのようなやつもいるんだぜ!GJ!
653名無しさん@秘密の花園:2009/09/18(金) 05:20:08 ID:zcSbSRmq
>>650
続き来た!待っとったで!
ぐいぐい引き込まれて読んでもうた。
暗い行為の裏にある心の揺れが見事ですわ。
全裸待機してて正解や。

654名無しさん@秘密の花園:2009/09/18(金) 05:31:16 ID:cnWbE661
もう400KBに達したか…早え〜
655名無しさん@秘密の花園:2009/09/18(金) 06:20:05 ID:jfNZ9qis
投下禁止にしたらコメントは1000まで行くかな。

断固拒否だがwww

百合雑談が減ったのは寂しいが、それは日曜に期待しよう。

>>636
ラブパパワロスw
描写綺麗だね。感動回がバッチリフォローされてる感じ。最高すぎてとろけた。GJ!

>>650
やっぱ後悔してたか、ブッキー。親友の彼女だもんな。やっちまった事は謝るしかないが、ラブやんキレるか!?

職人て苦労してんだな。すらすら書けてるのかと思ってたよ。
656名無しさん@秘密の花園:2009/09/18(金) 08:00:36 ID:2Xqe1UOF
朝に…投下……だ…と…
これで精一杯仕事頑張れるわ♪♪
657SABI:2009/09/18(金) 18:55:21 ID:Yfo70qxm
人生初SS
美希メイン
タイトルは「疑念」

「おかしいのよね・・」


恒例のミユキさんのダンスレッスンの帰り道、アタシはラブや祈里と別れ、一人だった。

東せつな。
ラブが森の奥の占いの館で出会った、少女。

太陽の光を浴びていない青白い肌、生気のない瞳、
まるで一度も笑ったことのないようなぎこちない笑み。

ミユキさんともう会うなと言ったり、
アタシは初めて会った時から胡散臭いものを感じていた。

ブッキーも同じように思っているのかもしれない。
オウムのナキワメーケが現れた時、
ラブちゃんを傷つけるなんて許さない、そう言っていたのだから。

でも、彼女の魂胆がわからない。
ラブのことを恨んで・・ってことはないか。

アタシならもしかしたら自分の気付かないところで、
他人を傷つけているのかもしれない。恨みをかっているかもしれない。

けれど、ラブや祈里は違う。
ラブは他の人の痛みを自分の痛みとして感じられる子。

だから、せつなを疑うことのできないラブをアタシが守らなくちゃ。
でもどうやったら、ラブを守ることができるの?

と考え歩いていると、家の前まで来た。

あ、そうだ、
蚊を知り、己を知れば百戦殆からず
って言うじゃない。
敵情視察にせつなに会いに行けばいいんだ。
アタシ、完璧。

それを言うなら、彼を知り己を知れば百戦殆からず やろ――。
というつっこみがどこからか聞こえた気がした。


続く
658SABI:2009/09/18(金) 19:06:43 ID:Yfo70qxm
以前の空爆並の投下から一転。
ここ数日の少なさといったら。
とうとう書いてしまった。
駄文で申し訳ありません。
659名無しさん@秘密の花園:2009/09/18(金) 19:06:54 ID:cHX3ffGQ
>>657
カレをカって読んだのかw
660名無しさん@秘密の花園:2009/09/18(金) 19:29:41 ID:cnWbE661
>>658
GJです。漢字で完璧じゃないところをチラ見せしちゃう美希たんはかわいいですよねw

ここ数日の投下…というより、書き込み自体が少ない。自分はちょうどSSの嵐が吹き荒れ始めたころ見るようになったんすが、それより前はこんなもんだったの?
661名無しさん@秘密の花園:2009/09/18(金) 19:46:04 ID:Rs1RzI+p
百合要素が全くなかった回とかだと放送後ですら一レスもつかず一週間過疎る事もあった
あまりにもなさすぎてシフォンハーレムいけるんじゃね?とカオスなころもあった・・・
それに比べれば今のほうが格段に雑談は多いし毎日レスがある奇跡と喜んでいる俺がいるわけだが
662名無しさん@秘密の花園:2009/09/18(金) 20:16:59 ID:MgVnLxAz
>>660
本編でも「祝」って思い切り間違ってたし
663名無しさん@秘密の花園:2009/09/18(金) 20:59:26 ID:jfNZ9qis
sageないと怒られるぞw

生駒さんが社会人で忙しいし、保管屋さんも夜しか来ないしね。
トリ付職人たちも深夜だし。18禁板だから日中は過疎るだろうな。

SSが尽きてきたかと思うと、こうやってまた誰かが投下してくれる。

そして俺はキャストオフして今日も待つ!
664SABI:2009/09/18(金) 21:52:22 ID:Yfo70qxm

タイトル「地獄の扉」 「疑念」の続き
美希メイン
ようやくせつなが出てきます。


「あれー、お嬢ちゃん一人?」

「うん。ちょっと忘れ物したから」
「ドーナツおまけするよ」
「あ、ごめんね。ちょっと急いでいるから」


初夏の夕方。
まだ日が高いといっても、森の奥に行くのだから、少しでも早いほうがいい。

後ろから、冷たいとか、グハッ、とか切れ切れに聞こえてきたが、構わず進む。


占いの館は、森の奥の洋館。
アタシは生まれた時からこの街に住んでいるが、今まで森に洋館があるって聞いたことがない。
洋館の存在を知ったのは、つい最近。

もしかしたら、子供が洋館で遊ばないようにと、大人たちが存在を隠していたのかもしれないけど。


もし、アタシ達が子供の頃、洋館の存在を知っていたら、
多分、肝試しとか称して、探検に行っていただろうな。
665SABI:2009/09/18(金) 21:53:57 ID:Yfo70qxm

ラブはああ見えて、怖がり。
雷の音とかが苦手。本人は必死に隠そうとしているけど。

ブッキーはああ見えて、豪胆。
おばけ屋敷にいったときも、アタシやラブの知らない動物の名を挙げ、
あのおばけさん、似てるー。可愛いよね。と言ってきたっけ。
って、ブッキー、誰も知らないよそんな動物。


知らず知らずのうち、笑みがこぼれ、緊張が少し解けた気がした。

あ、アタシ、緊張しているんだ。
そう気付き、深く息を吐く。


洋館は目の前にあった。


どう見ても、アタシの生まれる前から建っているよね。
目の前の古ぼけた洋館は、そう思って見ているせいか、禍々しく見える


意を決し、扉の前へと進む。

すると、突風が吹き、扉が開いた。


「ようこそ、占いの館へ」
扉の開いた先には、東せつなが立っていた。


続く
666SABI:2009/09/18(金) 21:55:07 ID:Yfo70qxm

今日の仕事中、こんなことばかり考えてた。

でも、明日、運動会。
もう寝ます。
続きは明日以降に投下します
667名無しさん@秘密の花園:2009/09/18(金) 22:37:50 ID:qS3NfjnW
大変長らくお待たせしました。>>469の続きの第2話です。

[タイトル:マイヒーロー、マイヒロイン(前編)]


「おはよー、せつな!今日も1日よろしくね。」

「おはよう、ラブ。こちらこそよろしく。」


私がラブの家に住み始めてから、もう何十回目の朝を迎えたのだろうか。
朝のあいさつもよそよそしかった最初の頃に比べて、今ではごく普通に交わしている。
今日は中学校の行事である、職場体験学習の1日目だ。


「ラブ、ジャージ姿で登校なんて何か新鮮ね。」

「うん、せつなは何を着てもサマになるねぇ。」

「ありがと・・・って、ちょっとラブ!それって褒めてるの?からかってるの?」

「さあ、どっちかしらね〜あはは!」


走って逃げていくラブを追っかけているうちに、学校に着いた。
朝のホームルームが終わり、学年全員が校庭に集まった。
私たちは同じ体験先ごとに数人ずつ連れ立って行った。
幼稚園に行くのは私とラブのほかに、他の2クラスからいずれも女子が2人ずつ。


「この子があたしのクラスに転入してきた、せつなだよ。」

「東せつなです。はじめまして。」


彼女ら4人は、ラブやクラスメイトが羨ましいと言っている。そんなに私って人気者なのかしら?
話をしながら歩くこと十数分、目的地の幼稚園に到着した。「クローバーようちえん」と書かれた看板が見える。
昨日ラブと一緒に見たアルバムの表紙と同じ名前だ。


「ねえ、ラブ。ここがラブが通ってた幼稚園なの?」

「うん、そうだよ。いやー、昔を思いだしてきたよ。」
668名無しさん@秘密の花園:2009/09/18(金) 22:39:56 ID:qS3NfjnW
私たち6人は職員室を訪れた。先生方にあいさつした後、中学のクラスごとに2人ずつに分かれた。
私とラブは年少組の担当だ。3人の中で最も若く見える女の先生が迎えてくれた。


「四つ葉中学から来ました桃園ラブです、よろしくお願いします!」

「同じく東せつなです。どうぞよろしくお願いします。」

「ラブさんに、せつなさんね。私はこの幼稚園の年少組の先生よ。よろしくね。」

「はい、先生。」


私たちは先生に連れられて、年少組の教室へ移動した。
しばらくすると、園児が1人、また1人と教室に入ってくる。
私たち2人に気付いたのか、大きな声であいさつしてきた子もいた。こちらもおはよう、とあいさつを返す。


「はい、全員そろいましたね。みなさん おはよー ございます!」

「せんせー おはよー ございます!」


先生も園児たちも、聞いたことのないイントネーションでゆっくりしゃべってる・・・どして?


「今日はね、みんなのお姉ちゃんたちが幼稚園に来てくれました。」
「ラブお姉ちゃんと、せつなお姉ちゃんです。それじゃ、自己紹介よろしくお願いします。」

「みなさん、おはようございます!桃園ラブです。」
「ラブって、ちょっと変わった名前だけど、あたしはこの名前が大好きだよ!みんなよろしくね。」

「おはようございます。東せつなです。」
「私は幼稚園に来たのは初めてですけど、みなさん仲良くしましょうね。」


「はい、よくできましたー。みんな拍手ー!」


私たちは園児たちから拍手の祝福を受けた。
ただあいさつしただけなのに何だか照れくさいわ・・・。
669名無しさん@秘密の花園:2009/09/18(金) 22:41:44 ID:qS3NfjnW
「さあ、みなさん。今日はお絵かきをします。」
「今回のテーマは『ぼくの・わたしの好きなヒーロー・ヒロイン』です。」
「みなさん、おうちからお手本となる物を持ってきましたか〜?」

「は〜い!」


園児たちが元気に答える。中にはヒーロー物の人形を高々と掲げる男の子もいた。


「それじゃみなさん、これから画用紙を配りますので、もらった人から描いて下さい。」
「ラブさん、せつなさん。画用紙を配るのお願いね。」


ラブと私は先生から画用紙をもらい、園児たちに1枚ずつ配っていった。
みんな「ありがとう」とお礼を言って受け取ってくれた。
入園して半年足らずでこんなにお行儀がいいなんてスゴイわ・・・。


「ラブさん、せつなさん、画用紙配りご苦労さま。よかったら、あなたたちも一緒に描いていかない?」


先生が私たちにも絵を描くように勧めてきた。


「あ、あたしはエンリョしときま・・・」

「ラブ、せっかくだから描いていきましょ。美術の自主制作だと思えばいいじゃない。」

「う、うん。ホントにせつなは真面目だなー。じゃあ、お願いします。」


先生から画用紙と色鉛筆を受け取り、お互い向き合って椅子に座った。


「せつなー、あたしたちお手本になる物を持ってないよー。一体何を描けばいいの?」

「ラブ、これがあるじゃないの。」

「あ、そっか!リンクルンの画像フォルダね。せつな、あったまイイー!」

「お世辞はいいから早く描く題材を決めて。描ける時間は少ないわ。」
670名無しさん@秘密の花園:2009/09/18(金) 22:42:47 ID:qS3NfjnW
リンクルンを開き、保存されている画像をチェックする。
テーマに一番見合った画像を決め、完成イメージを思い浮かべて色鉛筆を動かす。
ラブもどうやら描く絵を決めたようで、リンクルンと画用紙を交互に眺めながら絵を描き始めた。


「はーい、みなさん。絵は描けましたか〜?」


先生の言葉と共に、描いた絵の発表タイムがやってきた。


「じゃあ、みなさんより先にラブお姉ちゃんとせつなお姉ちゃんの絵から見てもらいましょうね。」
「まずは、ラブお姉ちゃんからどうぞ〜」

「わは〜、自信は無いけど一生懸命描きました。それじゃ、見て下さい!」


ラブは教室の前方にあるホワイトボードの前に立ち、自分の描いた絵を全員に披露した。
少女漫画チックに描かれたその絵には、笑みを浮かべ両手でハートマークを作っている女の子の姿が。
描かれているのは・・・私?


「あら〜、ラブお姉ちゃんはせつなお姉ちゃんを描いたのね。よく描けているわ。」

「てへへ、ありがとうございます。この笑顔のせつながあたしのヒロインです!」

(まあ、ラブったら・・・ありがとう、うれしいわ。)
671名無しさん@秘密の花園:2009/09/18(金) 22:44:01 ID:qS3NfjnW
「さあ、次はせつなお姉ちゃんの番よ。」


私は最前列へと移動する。
途中でラブとすれ違う際に軽くハイタッチし、ウィンクでエールをもらった。


「私も絵を描くのはあまり得意ではないのですが・・・みなさん、見て下さい。」


絵が描かれた画用紙を自分の胸の前に掲げる。
しばらくすると、「おおーっ」とか「すごーい」などの声が聞こえてきた。


「せつな、これあたしだよね?ダンスレッスンのシーンか〜。」

「せつなさん、あなた上手だわ。今にも絵の中のラブさんが動き出しそうよ。」

「あ、ありがとうございます。ダンスをしているラブが一番輝いているから・・・。」


ラブが私のもとにやってきて、両手を前に出すように促す。
私も描いた絵を教卓に置いて、ラブに向かってそれぞれの手を差し出した。
ラブは右手、次いで左手で私の逆の手を握り、こう話し掛けてきた。


「せつな、あたしを描いてくれてありがとう。本当にありがと・・・。」


私に感謝の言葉を述べるラブ。その目は潤んでいるようだ。


「ううん、私にとってのヒロインはラブしかいないから・・・。」

「せつな・・・!」

「ラブ・・・。」


つないでいた手を離し、ラブが両腕を大きく横へ広げたその時だった。
672名無しさん@秘密の花園:2009/09/18(金) 22:45:00 ID:qS3NfjnW




「せつなさん、ごめんなさい!」


私は先生に突然左腕をつかまれ、脇へと逸らされてしまった。
敵の気配を感じる事が得意な私も、この時ばかりは無警戒だった。
私をつかみ損ねたラブが軽くよろける。


一瞬静まり返る教室。


「ラブおねえちゃん、かっこわるーい!」

「ホントだー、あははは!」

「せんせー、グッジョブ!」


園児たちからいくつもの言葉が発せられた後、教室は笑いの渦に包まれた。
一方、ラブは顔を赤くして呆然と立ち尽くしている。


「ラブ、いつまでそうやってるの?」

「だって、せつなぁ〜。」

「ラブさん、ごめんなさいね。子供たちが見ている前で、あれより先は続けてほしくなかったの。」

「先生・・・。」

「あなたは少し恥ずかしい思いをしたでしょうけど、みんなの顔を見てごらんなさい。」


園児たちは先程の爆笑劇からか、皆楽しそうな顔をしている。


「ラブ、あなたいつも言っているでしょ。」

「・・・何、せつな?」

「みんなで幸せゲットだよ!って。まさに今がそうじゃない。」


「そうだね。そう思えば何だかやる気がわいてきたよ!」

「よかった。ラブが元気になって。」

「さあ、絵の発表タイムの続きよ。今度は子供たちの番ね。」


私とラブはそのまま教卓の両脇に用意された椅子に座り、園児たちが絵を見せに来るのに備えた。
子供たちにとってのヒーローやヒロインって誰なんだろう、と楽しみにしながら。


〜つづく〜
673イース→ラブ:2009/09/18(金) 23:08:45 ID:qud22fEc
>>672
かわいい話だなあ大好きwGJ!!

なんかスレ見てたら触発されてSSなんか書いてみちゃいました。勢いにまかせて投下させてくださいw
イース→ラブをせつなが振り返るかんじ。


本当は気づいていた。私の心は奪われてしまったのだ。憎き敵であるはずだったキュアピーチ――桃園ラブに。
 
 私はプリキュアを憎んでいたつもりだった。メビウス様のために、憎んでいなければならなかった。
けれど私はひとりの人間だった。
人間の感情は操作することなどできないもので、自分がみとめていなくても、心はいつも正直だったのかもしれない。
メビウス様のお役に立つため、と頭の中で反芻しながら、なんどもラブに会いにいった。

 いつのまにか友達とよばれていた。

 私はなにも持っていなかった。
だから、たくさんのものを持っているラブに惹かれたのだろう。

 そのひとつが、笑顔。
彼女の曇りなき笑顔が、くすんだ私に向けられるその時、どうしようもなく胸が苦しくなったのは、私が彼女を愛しはじめていたから。
それはラビリンス総統の僕・イースとして許されない想い。
この痛みはプリキュアへの憎しみからくるものなのだと正当化した。
 
 しかしこのちっぽけな心は、感じたことのないなにかでだんだんと埋めつくされていったのだ。
こんな私を、信じてくれているひとがいる。好きだと、友達だといってくれるひとが。

  ラブの笑顔とことばが好き。
  ラブが好き。

 もう想いを内に閉じこめることはできなかった、それでも閉じこめなくてはいけなかった。
だって私はイースだから。
苦しくて、ひとり涙をながす夜があった。
自分が泣くなんて、想像したこともなかったのに。
はじめて流した涙は暖かかったけれど―、どこか冷たくもあった。

 ただ心が痛むだけの行為だとわかっていても、私は彼女と彼女の心を求め、街へ赴いた。
ラブに会いたいと想う気持ちは知らずのうちに強まっていた。純粋な愛情を与えてもらうことの心地よさを、私は知ってしまったのだ。

 そんなある日。ラブは、眉尻を下げながらも意志のつよい瞳で私を見据えた。

「……なに、ラブ」
「…ねぇせつな、悩み事があるなら、言って?」

 あまりに胸が痛むから、顔を歪めていたのだろうか。
いいえ、表面に出していなくても、きっとラブにはわかってしまうのだ。

「悩み事なんて……」

あなたにだけは、話せないこと。
もちろん他のだれにだって話すわけはないけれど。
 
     ◆◇◆

 そんな日々が少し続いてからだった。私がラブに正体を明かしたのは。

674イース→ラブ2:2009/09/18(金) 23:09:22 ID:qud22fEc

  私はあなたを騙していたの。いままで築いた友情なんて、かりそめにすぎないんだから。
  これ以上私の心に踏み込まないで。
  “我が名はイース”あなたたちの敵。
  いままでどれだけの人々を不幸にしてきたと思ってるの?
  やめて。そんなに優しい瞳でみつめないで。
私は…、私には優しくされる権利なんてない。
  いっそ嫌ってよ、私のことなんて!
  死にたい。こんな苦しみがあるなんて、知らなかった。
  死にたくない。助けて、
  痛い、痛いの、
ラブ…!

 心が泣き叫んでいた。爆発するんじゃないかと思うほど高ぶる感情に、張り裂けそうな私の身体。

ラブの身体がいつのまにかゼロ距離にあった。
握られた手ががたがた震えた。

イース。
 抑えつけなくていい。自分に嘘をつかなくたっていいんだよ。

 あなたは愛されていいんだよ。
 ひとを愛して、いいんだよ。

全身に、ラブの心が伝わってきた。“イース”という存在が途絶えることを、――まるで他人事のように――確信した。

     ◆◇◆

 あの雨の日、イースの生命は尽きた。それでもなお、記憶は東せつなの奥底に残る。
イースが確かに自分のなかにあったことを、私は認めなければならない。そしてその罪を、人々をしあわせにすることでつぐなっていくべきなのだ。
ひとを不幸にすることよりも、しあわせにすることのほうがずっと難しい。

「せつなはもっと、自分のことをみとめてあげて。自分を好きにならなきゃだめ!」

 ラブはおしえてくれた。
私にはしあわせを作り出す力がある。
ラブは、深い闇の中で腕を抱いて震えていた私を、光のもとへ連れ出してくれた。
だからこんどは、私がうつむいているだれかをしあわせにしてあげなきゃ。

しあわせになってはいけないひとなんて誰一人いない。
もちろん、イース、あなただって。

ねぇイース。私はいましあわせなの。だって私はラブを愛しているから。自分の気持ちに正直になったから。
あなたはもう死んじゃったけど、私のしあわせを三分の一わけてあげることはできるのよ。

「あたしはイースもせつなもパッションも、みーんなだいすきだよ!」


   Fin

以上です。
なんかわけわかんなくてさーせん。SSかくのってむずいわ…。題名もおもいつかない…
まぁあれだ、みんな幸せがいちばん(?)。読んでくださった方ありがとうございました
675名無しさん@秘密の花園:2009/09/18(金) 23:36:13 ID:zcSbSRmq
>>674

初投下おめでとうございます。
読みやすかったですよ。

嫌ってよ、のくだりが良かった!
22話の最後で逆スイッチオーバーしたときの
表情がまさにソレでしたよね。

676YM:2009/09/18(金) 23:47:25 ID:PucDJWsV
お、花金投下祭りとなってますな!
こりゃサガ2やってる場合じゃないな。

どうも、YMです。
先日の美希ブキラブレター編の続編…というか、
ちょっとした後日談を書いてみました。

タイトルは
「お手を拝借 〜message for you after〜」で。
677YM:2009/09/18(金) 23:48:23 ID:PucDJWsV
 あの日から、一週間。
 また、日曜日がやってきた。

 今日はミユキさんがお仕事で、レッスンは無し。
 そこで昨日の夜、アタシは“彼女”に電話をした。

「明日、いっしょに映画でも観に行かない?」

 “彼女”は、すぐに応じてくれた。
 ちょうど観に行きたい映画があったんだって。
 というわけで、隣町の駅前広場で待ち合わせ。
 一緒に行けばいいのに、って?
 だって、待ち合わせした方が、それっぽいじゃない。


 アタシと祈里の、初デートなんだもの!


【 お手を拝借 〜message for you after〜 】


「まだかなぁ…」

 って、当たり前よね。
 いつもより、早く目が覚めて。
 いつもより、少しだけ念入りにシャワーを浴びて。
 いつもより、メイクとセットに時間をかけて。
 で、辿りついたのは、待ち合わせの30分前。
 5分前行動はよく聞くけど、30分前行動なんて聞いたコトない。
 やっぱり、いつもと違うんだ。
 今までだって、“ブッキー”と二人で買い物…っていうのは何度もあるけど。
 でも、“祈里”と出かけるのは、初めてだもの。
 想像しただけで、ワクワクが止まらない。

『美希ちゃん、お待たせ! 遅くなってごめんなさい…』
『ううん。アタシも、今来たトコ』
『そうなの? 良かった…』
『じゃ、行きましょうか?』
『うんっ!』

 そうそう、そんな感じで…あれっ?

「その後…」
678YM:2009/09/18(金) 23:50:23 ID:PucDJWsV
 その後…どうしよう?
 映画館に行くのは、もう決まってる。
 いつものようにおしゃべりしながら、目的地へ向かえばいい。
 …でも、それじゃ前と何にも変わってないような…?
 もっとこう…こ…恋人っぽいことを…。 
 でも、恋人っぽいこと…って、何?
 いきなりキス…は、さすがに無いわね。
 腕を絡める…のは、この時期ちょっと暑いし。
 う〜ん……あ、そうだ! 手をつなごう!
 それなら暑くたって平気だし、女の子同士でも不自然じゃない。
 しかも、十分恋人っぽい。
 これだ、これだわ!
 さすがアタシ、初デートでも完璧っ! …でも、待てよ。
 どうやって…手、つなげばいいんだろ?

「う〜ん……」

 アタシはその場で、腕を組んで考え込んでしまった。

 無言で手を握る?
 ダメだ、これじゃ誘拐犯だわ。

『さぁ祈里、手を…』

 これも却下。
 あのコのことだ。

『手を、どうするの?』

 とか聞いてきかねない。

『祈里、手、貸して!』
『? 何かのお手伝い?』

 ダメだ、これもボツ。

『祈里の手相、ちょっと見せて?』

 これじゃ、ただのセクハラオヤジじゃない。
 だいたい、何でアタシが手相占いを…。
679YM:2009/09/18(金) 23:52:06 ID:PucDJWsV
< 好きな人と、手をつなぐ。>

 簡単なことなのに、どうしたらいいのか分からない。
 もっと自然に、もっとさりげなく。
 それでいて、少しカッコよく。

『祈里…手、つなごうか?』

 まぁ、この辺りが妥当かな。
 自然だし、アタシがリードできるし。
 この言葉といっしょに、さりげなく手を差し出して。
 その手を、祈里が握って。

『祈里…』

「美希ちゃん…」

 お互いの温もりを感じて、

「…美希ちゃん?」

 二人で穏やかに微笑み合って、

「あの…美希ちゃん…?」

 よし、これでいこう!
 やっぱりアタシ、完……

「美希ちゃんってば!」
「……ぺきっ!?」

 一瞬、目を疑った。
 アタシの前に、祈里が立っていたんだもの。

「い、祈里!?」
「美希ちゃん、どうしたの? 何回呼んでも、返事が無いし…」
「う、ううん、別に、何でも! 祈里、今来たの?」
「うん、たった今。早すぎたかと思ったけど、美希ちゃんがいたから。
 …でも、なかなか気付いてくれなくて…」

 しょんぼりとうなだれる祈里。
 何やってんのよアタシ!

「あっ、ご、ごめんね! ちょっと、今日の予定を考えてて…」

 もうしどろもどろ。

「と、とにかく行きましょ!」
「…うん」
680YM:2009/09/18(金) 23:52:54 ID:PucDJWsV
 とりあえず、映画館へ向かうアタシと祈里。
 幸い、祈里はすぐに笑顔を取り戻してくれた。
 学校のことやダンスのこと、ラブやせつなのこと―。
 祈里もアタシも笑顔で、とりとめのない話を続ける。
 でも、ゴメンね祈里。
 アタシ…祈里の手ばっかり意識してる。
 小さな、それでいて柔らかそうな手。
 指先はほっそりしていて。
 爪は綺麗に切りそろえられていて。
 …あ、可愛いブレスレットしてる。
 ほんの少し手を伸ばせば、触れられる距離。
 その誘惑に、アタシは、勝てなかった。

「…あ…」
「…っ! ご、ごめんっ!」

 一瞬だけ、手と手が触れて。
 火傷しちゃったみたいに、アタシは手を離して。
 その拍子に、二人とも足が止まってしまった。

「美希…ちゃん?」

 祈里は、キョトンとした顔でアタシを見つめる。
 あ、その表情も可愛い…って言ってる場合じゃない。
 どうしよう、どうしよう、どうしよう―。
 そうだ、さっき考えたとおりに!

「あ…あの…い、祈里…」
「何、美希ちゃん?」

 言え、言っちゃえ、アタシ!

「あ…あの、さ…」

 さりげなく、自然に、カッコよく―。

「?」
「手……つなご……っか」
「えっ…」

 あー、ダメだ。
 アタシ、全っ然完璧じゃない。
 もっとカッコよく、自然に言うつもりだったのに。
 頬がカーッと熱くって、祈里の方を見られなくって。
 おまけに、声も裏返っちゃった。
 誰かさんのセリフを借りるなら、吹き荒れるのは自己嫌悪の嵐。
 祈里、こんなアタシに幻滅しちゃったかな…?

「…うん」

 そりゃそうよね、もっとカッコ良く…えっ?
681YM:2009/09/18(金) 23:54:20 ID:PucDJWsV
「え…えっと…祈里…」
「うん…手、つなご?」

 見ると、祈里も顔が真っ赤だった。
 それでも、差し出された小さな手。
 アタシは―。

「…んっ」

 その手を、ぎゅっと握った。

「あ……」

 あったかい。
 やわらかい。
 祈里の体温を感じられる。
 それだけで、嬉しかった。

「…祈里」
「…美希ちゃん」

 頬を染めたまま、微笑む祈里。
 見てると、愛しくて愛しくてたまらなくなる。
 
「…あ」

 一つ気付いた。
 とっても大事なこと。

「どうしたの、美希ちゃん?」
「あ…ううん、何でもない。さ、行きましょ?」
「う…うんっ!」

 そして、アタシたちは再び、映画館に向かった。
 気付いたには気付いたけど、さすがに言えないわよ。
 アタシ、完璧に祈里のトリコ……なんてねっ。


 えっ、結局あの手紙はどうしたのか?
 実はあの日、後でじっくり読ませていただきました。
 隣に座った祈里は、顔真っ赤。
 パインどころか、あれじゃトマトだったわね。
 アタシが音読しようものなら、半泣きでしがみついてくるし。
 やっぱり祈里は可愛いな〜。

 内容?
 それはもちろん…ナ・イ・ショ。
 え、どうしてかって?



 だってあの手紙、アタシ宛てでしょ? 


〜 Fin 〜
682YM:2009/09/18(金) 23:55:51 ID:PucDJWsV
というわけで、今回はここまでです。
毎度毎度、お目汚しで恐縮至極…。
683名無しさん@秘密の花園:2009/09/19(土) 00:01:21 ID:k2J4U1ue
>>681

甘いよ!GJ!
トマトwww

そういえば、手紙の内容は
明らかになっていなかったですね。
妄想します。
684名無しさん@秘密の花園:2009/09/19(土) 00:02:26 ID:YvcDEZ3j
>>642
投下お待ちしてますよー。色彩を使われるとの事で、自分も勉強になるはず!期待age

>>黒ブキさん
黒からわずかながら明るい光が…。ブッキーは悪い子じゃないんだ!でもこうするしかなかったんだね。
もっとわかりあえれば違う道があっただろうに…。これも運命か、、、

って後悔しないでーwあなたのファンがいっぱいいるじゃない!黒ブームはあなたからwww

>>666
初投下お疲れ様でした。続編物ですね。美希たん視点での展開、せつなとの接触、緊張感が…。
仕事中もたっぷり百合って下さいw自分もですからw
って運動会!?精一杯頑張ってくれるって私、信じてる!

>>672
何て優しい文章なのでしょう。あなたには100点満点あげちゃいますw
幼稚園でも愛の劇場が繰り広げられるとは…。
子供にも見せてイイんじゃないかw先生止めるなよ!続き楽しみにしちゃいます〜

>>674
こちらも初投下ありがとうございます。イース物を読みたいと思われてる方が沢山いると思います。
喜んでくれてるはずですよ!
ラブの優しさは一人の少女の闇を壊してくれました。これこそGJ!な訳ですよ。
題名ゆっくり考えて下さい。決まったら教えてね。

と、言う訳でレスしたら日付またいだw
ここまでの作品はバッチリ保管してあります。各自チェック宜しくです!
685名無しさん@秘密の花園:2009/09/19(土) 00:03:05 ID:hkIUxEB/
>>682
続編ktkr!GJ!!
よかったらこれからも気がむいたら投下して下さいな
686名無しさん@秘密の花園:2009/09/19(土) 00:23:11 ID:YvcDEZ3j
>>YMさん
全裸待機命令じゃないですかwww
もうね、キ ュ ン 死。
大好き、こーゆー展開。そりゃ美希さん宛てだもん、我慢しますよ。
え?泣いてますけど何かw

容量470越えたら新スレ立てましょうか?にしても怒涛の勢いで
投下されまくりましたwありがとうみんな!by保管屋

>>661
この数日、カキコや投下が少ないのはやはりアズキーナのせいかw
百合要素無かったですからねー。鬼門回突破した後の祭りは吹いたwww
687名無しさん@秘密の花園:2009/09/19(土) 00:28:08 ID:Ksi7XNPm
おまいら容量使い杉w
読むの追いつかねー!

明日はみきせつ回だし、タップリ燃料注がれるんぢゃない?
688 ◆BVjx9JFTno :2009/09/19(土) 00:48:20 ID:k2J4U1ue
こんばんわ。
イース物に便乗してみましたが、
どうしてもこんな描写になってしまうww

チラ裏かつ百合度極小でスマソ。
14話ベースです。

タイトルは「甘美な傷」です。
お目汚し失礼します。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

こいつか。

私はプリキュア達と一緒にいる女を睨んだ。

プリキュアが4人いるらしいという情報は
ウエスターから聞いていた。

プリキュアの3人が集う場所であれば、
4人目のやつとも会っているだろう。

読みが的中した。


こいつから始末してやる。

体を素早く寄せたつもりだったが、
あと少しのところで、ラブに逃がされてしまった。

追いかけようとする私たちに、
プリキュアの3人が立ちはだかった。

689 ◆BVjx9JFTno :2009/09/19(土) 00:48:59 ID:k2J4U1ue

3対3。


ウエスターとサウラーが、それぞれの相手に
狙いを定めて襲いかかる。

私は、キュアピーチと対峙した。
この世界での私、東せつなに
心を許している、馬鹿な女。

今まではナケワメーケに闘わせていたが、
今日は直接、お前の力を見てやる。


キュアピーチが地面を蹴り、
私に向かってくる。

遅い。
体をちょっとずらすだけてかわせる。

反転して向かってくる前に、私は地面を蹴り
キュアピーチの懐に潜り込む。

肘。
キュアピーチが吹っ飛ぶ。

地面を蹴り、左足を放つ。
キュアピーチの体が、ボールのように飛んだ。

跳躍し、キュアピーチが落下する前に
反動をつけた踵を振り下ろす。

キュアピーチが地面に叩きつけられる。

着地する。
息ひとつ乱れない。


690 ◆BVjx9JFTno :2009/09/19(土) 00:50:27 ID:k2J4U1ue

腹が立った。
とても戦闘とは言えない。

向かってくる目には、戦闘で一番
必要なものが宿っていない。

殺気。

戦闘は遊びではない。
目の前の敵を、「物」に変える。

出来なければ、自分が
「物」になり、地面に転がる。


そういう闘いばかり、続けてきた。


何故、お前達が戦士なのか?
憎しみは、無いのか?


思考の間隙をついて、
キュアピーチが体を寄せる。

しまった。
かわすのが、一瞬遅れる。

左足。右の脇腹に食い込む。
右足。左腕のガードでしのぐ。
拳。口のあたりをかすめる。
肘。ようやくかわす。

懐に入り込む。
右、回し蹴り、右。

私の癖のようなコンビネーションだが、
簡単に決まり、キュアピーチはまた
吹っ飛んだ。

調子に乗るな。
腹立たしさが、殺気となって漲る。


始末してやる。


691 ◆BVjx9JFTno :2009/09/19(土) 00:51:08 ID:k2J4U1ue

地面を蹴った瞬間、キュアピーチが
身を翻し、走り出した。

追いかける。

何故、逃げる?
闘う気がないのか。


目の前から、姿が消えた。
周りを見渡すと、いつの間にかウエスターと
サウラーが居た。

プリキュア3人が、いつの間にか
私たちを見下ろしている。


囲まれた。


プリキュアから、光線が飛ぶ。
瞬間的に、跳躍した。

光線を、ぎりぎりでかわす。


愕然とした。

個々に闘いながら、離れていても
見事に連携したというのか。

連携する戦闘になった場合は、
私たちはあまりにも不利だ。


「勝負は、預けたわ!」

私たちは、ひとまず
占い館に引き上げた。


692 ◆BVjx9JFTno :2009/09/19(土) 00:51:53 ID:k2J4U1ue

自室に戻ってからも、
疑問はつきまとった。

憎しみの無い、戦闘中の瞳。
戦闘中の連携誘導。


強いのか弱いのか、
わからない。


キュアピーチの攻撃を受けた部分が、
鈍く、疼く。


少し、動揺した。


大した攻撃ではなかった。

普段の格闘で受ける肉体の
ダメージには、慣れているはずだ。

相手の、私に対する憎しみが痛みとなる。
私は、それ以上の痛みと苦しみを相手に与える。

相手が自分の視界から消えるように、
痛みも、勝手に消える。

しかし、この疼きは
初めての感覚だ。

693 ◆BVjx9JFTno :2009/09/19(土) 00:52:46 ID:k2J4U1ue

脇腹、腕、唇。
ピーチの、いや、ラブの攻撃を受けた部分。

痛くはない。

しかし、残る感触に
憎しみが感じられない。


ラブの手が、脇腹に触れるかのうように。
ラブの手が、腕をきゅっと掴むかのように。
ラブの指が、唇を撫でるかのように。

甘美とも言える、疼き。
感じるのは、優しさ。


机の引き出しを開ける。

緑の、ペンダント。

取り出し、軽く触れてみる。
鮮やかに浮かぶ、ラブの笑顔。

『せつなの、おかげだよ!』
『せつなもいつか、幸せゲットできますように!』


694 ◆BVjx9JFTno :2009/09/19(土) 00:53:46 ID:k2J4U1ue

「ラブ...」


ペンダントに、唇をつける。


はっと、自分の行為に気づき、
私は舌打ちをした。


くだらない。
優しさなど、いらない。


胸のダイヤに、手を触れる。


メビウス様、お導きを。


いつまで待っても、
答えは聞こえなかった。


695名無しさん@秘密の花園:2009/09/19(土) 00:55:49 ID:k2J4U1ue
以上です。
何かすっきりしない終わり方でスマソ


696名無しさん@秘密の花園:2009/09/19(土) 01:21:34 ID:YvcDEZ3j
>>695
イースの言葉の冷たさが伝わってきました。戦闘描写がウマすぎる!
ピーチからのダメージポイントが鍵になったか…。すご!!!
勉強になります。

ペンダントにキス。これだけで胸キュンなんですがw
早速保管しましたよ!
697名無しさん@秘密の花園:2009/09/19(土) 01:34:00 ID:Ksi7XNPm
>>695
この時期のイースが一番好きかも。気付き始めてんだよな、ラブの愛に。でも素直になれないみたいな。

幼児アニメじゃない展開だったし。

GJ!俺もペンダントに唇が触れたトコに惚れた!
698 ◆ZU7CldKWo2 :2009/09/19(土) 02:58:09 ID:1evlJ5E9
シルバーウィークですね。
なんだか時間があっという間に過ぎていきますなぁ。
そしてこのスレの消化の速さもすごい。一ヶ月持たないんじゃないだろうか。

どんどんと新しいSS作家さんが生れてきて、一読者としても楽しいです。
そして、前回のエロ黒が好評なようで、おっかなびっくり出した身としては
ホッと胸を撫で下ろしました。
続きは、またいずれ書きます。美希タンとブッキーをどうしようか、あれこれ
妄そ......コホン、構想中です。



ま、それはさておき。
SS投下。

『Thesis of A Cruel Angel』
美希ラブです。R-18ではないですが、少し黒いか?
699 ◆ZU7CldKWo2 :2009/09/19(土) 03:00:56 ID:1evlJ5E9
「それでね、せつなったらおかしいんだ」
 にこやかな笑顔を見せるラブ。
 そうかしら。あたしはそんなの、普通だと思うけれど。


「聞いて。せつなったらひどいんだよ」
 怒った、というよりは、拗ねた顔をするラブ。
 そうね。せつなったらホントにひどいわ。 


「どうしよう。せつなに嫌われちゃう」
 泣きそうな顔で俯くラブ。
 そう、嫌われちゃったのね。あたしなら、ずっとあなたの側にいてあげるのに。

 口を開けば、せつなのこと。
 楽しそうに。悲しそうに。怒ったように。泣いているかのように。
 色んな表情を見せながら、ラブはせつなのことを話す。


ホント、うんざりしちゃう。

 なんて言ったら、どういう顔をするのかしら。
 驚く? 怒る? それとも――――泣いてくれる?

 冗談よ。言うわけないわ。
 だって。あたし。

 ラブのことが、好きだから。




     Thesis of A Cruel Angel
700 ◆ZU7CldKWo2 :2009/09/19(土) 03:03:24 ID:1evlJ5E9
 この気持ちに気付いたのがいつか。
 それはもう、わかってる。
 中学に入った頃だ。

 幼馴染のあたし達。ラブとブッキー、三人いつも一緒だった。
 一緒に学校に行って。一緒に遊んで。
 ホント、ずっと一緒だったなぁ。

 けれど、あたし達の道は違えた。
 原因は間違いなく、あたし。

 あたしには夢があった。小さな頃からの夢。
 モデルになりたい。モデルになって、世界中の人に希望を与えたい。そんな、
子供じみた夢。ま、本当に子供だったんだから、しょうがない。
 中学校に上がる時、今の学校を選んだのは、芸能活動に理解があったから。
公立の学校に行ったら、束縛されることも多いだろう。一日でも早くモデルと
して活躍したかったあたしには、それが耐えられなかった。

「えー。美希タン、一緒の学校に通わないの?」
「ええ。あたし、中学に上がったら、もっともっとモデルとして頑張りたいの」

 ごねるラブに、あたしは毅然として言った。
 その頃のあたしは、色んなオークションを受けていて、その中のいくつかには
通っていた。まだそれは、雑誌の端っこの方に載るぐらいだったけれど、でも、
確かな前進だった。
 その歩みを、止めたくはなかった。もっと多くの活躍の場を手に入れたいと思った。
 だからあたしは、ラブ達と別の道を歩むことを決めた。
 最初は少し拗ねていたラブも、やがてあたしの決意が固いのを知ると、応援
してくれるようになった。寂しそうにしていたブッキーも、何か思うところが
あったのか、ラブともあたしとも違う学校に進学することを決めた。
 そうしてあたし達は、別々の学校に通うことになり、いつも一緒、ではなくなった。
 といっても、引っ越すわけでもなければ、喧嘩をしたわけでもない。
 会いたくなったら、いつでも会える。こんなに近くに住んでるんだから。
 だから、笑顔でお互いを見送ろう。そう、思っていた。
 小学校の卒業式では、さすがに少し、泣いちゃったけれどね。

 そして、待ちに待った中学生活。
 想像以上に、楽しいものだった。クラスメイトにも恵まれたと思うし、モデル
の仕事もいい感じ。
 順風満帆、あたし、完璧!!
 ――――って、そう思ってたんだけど。
701 ◆ZU7CldKWo2 :2009/09/19(土) 03:05:51 ID:1evlJ5E9
 いつからか。
 物足りなくなっていた。
 不満があるわけじゃない。新しい友達は楽しいし、仕事場で会う人達は、厳しい
けれど優しくもあった。これを不満に思ったら、バチが当たるだろう。
 じゃあどうして。
 ある日の放課後。一人で教室に残って、考えてみた。
 どうしてあたし、物足りなく思ってるんだろう、って。
 夢をかなえることに、確かな手応えを感じている。少しずつだけど、理想の
自分、完璧な自分に近付いていっているという認識もある。
 なら、どうして。
 思ってた時に、携帯が鳴った。見ればそれは、ラブからのメール。

『美希タン!! もう学校、終わったのかな? 終わったんなら、カオルちゃんの
ドーナツカフェにGo!! ブッキーと二人で待ってるよ〜ん』

 顔文字と絵文字がたっぷり入った、ラブらしい、可愛いメール。
 それを読んだ時、何故か胸がジーンと熱くなった。塞ぎこんでた気持ちが、
一気に晴れやかなものになった。
 すぐに鞄を持って、外へ駆け出したわ。早く会いたい一心で。

 その時、気付いたの。
 あたしが、何を物足りなく思ってるのかってこと。
 それはね。
 あたしの見ている風景の中に、ラブ、あなたがいないことが寂しかったのよ。

 学校は楽しい。でも、ラブがいたらきっと、もっと楽しい。
 仕事は辛いことだってある。でも、ラブがいたらきっと、負けずに頑張れる。

 ラブの待つドーナツカフェに向かいながら、あたしはようやく自分の気持ちに
気付いたの。
 あたし、ラブのことが好きだったんだ。

 その時、初めてあたし、後悔したわ。ラブと違う学校にしたことを。
 同じ学校に通ってたら、もっと側にいられたのに。ずっと長く、一緒にいられ
たのに、って。
 それでも、状況に負けてはいられなかった。
 今まで以上に、ラブ達と一緒の放課後を過ごそうって決めた。
 気心の知れた幼馴染とよく遊ぶのは、不思議なことじゃないもの、ね。
702 ◆ZU7CldKWo2 :2009/09/19(土) 03:08:08 ID:1evlJ5E9
 やがて時は過ぎ行き。
 あたしの気持ちは、徐々に徐々に、大きくなっていった。
 会えない時間が、胸を痛めるようになった。
 ダメね。あたし。全然、完璧じゃない。自分から、決めた道の癖に。

 そんなあたしだったから、プリキュアになったこと、一緒にダンスをするよう
になったことは、すごく嬉しいことだった。
 だって、たくさん会える理由が出来たってことだから。
 モデルとプリキュア、そしてダンス。三つをいっぺんにこなすのは大変だったし、
諦めなきゃいけないこともあったけれど、でも。
 ラブが、いてくれたから。


 そんなあたしの前に現れた、少女。
 東せつな。
 デート、って言葉をラブが口にした時、内心、ドキッとした。
 この想いを自覚した時からずっと、覚悟はしていたつもり。
 ラブ自身は気付いてないみたいだけど、彼女は男の子からの人気が高かった。
元気で、明るくて、可愛くて。
 ラブだっていつか、誰かに恋をする。あたしの知らない誰かに。告白することや、
告白されることだって、きっと、ある。
 とうとう、そんな日が来たのね。
 覚悟を決めていた筈だったけれど、いざとなると、やっぱり。

 だから、ラブの相手がせつなだってわかって、ほっとした。なんだ、女の子
だったんだ、って。

 けれど。
 ほっとしたのは、間違いだった。

 それからのラブは、新しい友達のせつなにぞっこんだった。
 もちろん、あたし達との時間も大切にしてくれた。プリキュアも、ダンスも、
友達も。ラブは何かもを手に入れようとするから。ひたむきなのよね、何事にも。
欲張りって言うことも出来るけど。
 けれど、それにしたって。
 ラブの、せつなへの興味は、日に日に増していった。あたし達の知らないところ
でも、会ってたみたいだし。
 あたしはといえば、彼女のことを、不気味に感じていた。ラブに変なことを
吹き込んだり、ラブを惑わせようとしたり。
 ラブを傷付けようとしてるなら、許さない。
 そう思っていたこともあった。


 そして。
 あたしの勘は、正しかった。
703 ◆ZU7CldKWo2 :2009/09/19(土) 03:10:17 ID:1evlJ5E9
「ピーチ!! 彼女は敵よ!! せつなは、ラビリンスだったのよ!!」

 東せつなは。
 ラビリンスの人間。イースだった。


 いつも元気な彼女だからこそ、塞ぎこむラブの姿は、見ていられなかった。
 何よりも、思い知らされる。彼女の心の中で、せつながどれだけ大きい存在
だったかということを。
 こんなに沈み込んでしまう程、ラブは、せつなを大事に思っていたなんて。
 悲しみは、怒りに変わる。
 せつな。せつな。どうしてラブを、あたしの大好きな人を、こんなに傷付けて
しまったの。

「せつななんて子は、いなかったのよ」

 心を鬼にして言った言葉。ラブを奮い立たせようとしたのは、間違いない。
 けれど、ほんの少しだけ、黒い気持ちがあったことは否定出来ない。
 せつななんて子はいなかった。だから気付いて。もっと側に、あなたのことを
大事に想う人がいるってことに。

 ピーチと、イースが、思いの丈を拳に乗せてぶつかるのを見て、あたしは。
 羨ましく、思った。イースのことを。
 あんな風にあたしも、受け止めてもらえたら、と。

 そして、思った。
 せつなは、ホントは真っ直ぐな心の持ち主なんだ、って。
 イースという姿は、鎧。自分を守る為に、作り上げられた存在。
 あたしは、その表面しか見ていなかった。
 ラブに見えていたものが、あたしには。


 キュアパッションとして生まれ変わり、ラブの家に住むようになったせつな。
 あたし達とも、少しずつ、仲良くなっていった。
 最初は二人きりだと、気まずくて、ぎこちない時もあったけど、今は平気。
二人でお出かけだってする。
 時々、頓珍漢なことを言ったりするのはご愛嬌だけど、可愛らしくて頼りになる、
大切な仲間。
704 ◆ZU7CldKWo2 :2009/09/19(土) 03:12:06 ID:1evlJ5E9
 でもね。せつな。


 やっぱり、あたしにとってあなたは、ライバルなの。
 恋の敵と書いて、ライバルよ。
 だってあなたは、ラブの心を奪っていってしまったから。

 あなたといる時のラブは、すごく輝いている。
 あなたの話をする時のラブは、すごく楽しそう。

 そのどれも、あたしには向けられたことのないもの。


 ――――せつなみたいに可愛くて、いい子になら、負けたって仕方ない。
 それに、二人はお似合いだし。せつなになら、ラブを託せる――――
 ――――なんてこと、絶対に思えない。

 たとえ本当に、二人がお似合いだったとしても。世界中の人が、祝福したとしても。
 あたしはそれを、認めたくない。 



 どす黒い感情が、心の奥底に溜まっていく。
 ドロドロと薄汚れて、粘っこくて。あたしの心を侵していく。

 だって、仕方ないじゃない。
 あたしはラブが好き。
 ラブの全部が好き。

 それは恋。
 そして恋は、エゴイスティックなもの。

 自分だけのものにしたい。
 あたしだけを見てて欲しい。
 側にいて。誰かに心奪われないで。

 影が囁く。
 手段を選んでる場合?
 奪ってしまえばいいじゃない?
 簡単よ。あなたはラブの一番の親友。とても信頼されている。
 少しずつ、少しずつ。
 毒を流し込んでいけばいい。ラブとせつなの間に。
 そうして壊していけばいい。ラブとせつなの仲を。

 恋をしているから。
 恋する女の子は、強いから。なんだって、出来るから。

 だから今日も、あたしは、ラブと話をする。
705 ◆ZU7CldKWo2 :2009/09/19(土) 03:13:55 ID:1evlJ5E9
「それでね、せつなったらおかしいんだ」
 にこやかな笑顔を見せるラブ。
「ホントに? フフ、おかしいの」
 あたしは、ラブと一緒になって笑う。


「聞いて。せつなったらひどいんだよ」
 怒った、というよりは、拗ねた顔をするラブ。
「まぁまぁ。せつなだって、本気で言ってるわけじゃないんでしょ」
 あたしは、とりなすように言いながら、せつなを庇う。


「どうしよう。せつなに嫌われちゃう」
 泣きそうな顔で俯くラブ。
「大丈夫よ。せつながラブを嫌うことなんて絶対に無いから」
 あたしは、力強くそう言って、ラブを励ます。




 心と、裏腹に。
 あたしはラブとせつなを応援する。

 そう。
 恋をしているから。恋する女の子は、強いから。
 自分の心の弱さにだって、負けたりなんてしない。

 だって。
 あたしが好きなのは、笑顔のラブだから。
 自分の言葉で、ラブが悲しむ姿は見たくない。
 笑っていて欲しいの。ラブ。

 それに。
 とても困ったことだけど。
 せつなが悲しむ姿も、見たくない。勿論、ブッキーの悲しむ姿も。

恋という程の気持ちではないけれど、あたしはせつなのことも、好きになって
しまったんだ。
 恋敵と書いてライバル。そして親友とも言う。

 友達の信頼を裏切るなんて、全然、完璧じゃない。

 そして、結局。
 あたしはラブを笑わせる。笑顔が見たくて。
706 ◆ZU7CldKWo2 :2009/09/19(土) 03:15:01 ID:1evlJ5E9
「――――そうかな? 嫌われたりしてないかな?」

 上目がちにあたしを見るラブの不安そうな表情に、あたしは大きく頷く。

「絶対に、大丈夫よ。それにね、悪いのが自分だってわかってるなら、ちゃんと
謝ればいいじゃない。せつななら、受け入れてくれるわ」
「――――うん!! そうだね!! ありがと、美希タン!! アタシ、早速、謝ってくる!!」

 そう言うやいなや、立ち上がって駆け出すラブ。その心の先には、東せつな、
ただ一人の姿だけがあって。
 あたしの気持ちに、気付くことなく。あたしを置いて。
 彼女は、走っていく。


 その背中に、あたしは翼を見たような気がした。
 天使の翼。

 うん。
 彼女は、天使。
 無邪気で、残酷な。

 手の届かない、存在。
707 ◆ZU7CldKWo2 :2009/09/19(土) 03:16:35 ID:1evlJ5E9
以上。

いかがでしたでしょうか。
黒くない、とは思うのですが。

シルバーウィーク、どれぐらい書けるかな?
708名無しさん@秘密の花園:2009/09/19(土) 03:49:35 ID:1tGYACpY
>>707
GJ!美希タンの嫉妬可愛いw
何となく毒(ポイズン)という言葉を思いだした。

もしかして生駒さん、シルバーウィーク休みなんすか?
SSテンコ盛り楽しみすぐるw


明日に備えて、18禁エロ投下します。○○×美希で。
709名無しさん@秘密の花園:2009/09/19(土) 03:50:37 ID:1tGYACpY
【覚醒】

最近、やけに眠い。毎晩21時にはベッドに入るようにしているのに、朝起きるのがつらい。
それに、確かにパジャマを着て寝たはずなのに、起きたら違う服だった…って事が多い。
一体どして?

「ふわあ〜おやすみ、せつな!また明日ねー」
「おやすみなさい、ラブ。いい夢見てね」
ラブと私はそれぞれの自室へと入る。
明かりを消して、瞳を閉じた。

小1時間も経った頃、せつなは突如ムクッと身体を起こした。
「やっと寝てくれたな…ようやく自由時間だ」
いそいそと着替えると、アカルンでテレポートする。
「美希の部屋へ」

赤い光に包まれ、せつなは美希の部屋に。
ベッドでは、美希が静かに寝息をたてていた。
『水色のネグリジェか…半透けではないか!これはたまらん、鼻血モノだな』

せつな―――否、せつなの中でもうひとつの人格として覚醒したイースは、夜毎のように美希の部屋に夜ばいをかましていた。

「ノーブラ、ノーパン…なんてイヤらしい格好だ」
両の鼻にティッシュを詰めたイースが、美希のネグリジェを舐めるように見つめて考える。

『せつなはラブが好みなようだが、私はなんといっても美希派だな。
 ラブやブッキーはまだまだお子ちゃまだし。
 しかし、見ているだけなんて、そろそろ限界だ
ろ』

イースは、美希の胸元へそうっと手を伸ばした。
布越しに桃色の部分に触れる。
最初はフニャフニャした触り心地だったが、少しずつ硬く尖ってゆく。
「…ぁん…ダメぇ…」
美希が甘い声をあげた。

710名無しさん@秘密の花園:2009/09/19(土) 03:51:42 ID:1tGYACpY
『む、起きてしまいそうだ。仕方ない覚悟を決めよう』
イースはベッドに上がり、美希のそばに横になる。
身体をくっつけ、美希にくちづける。

舌を使い、くちびるをこじ開け、歯列を舐める。
刺激によって美希が口を開けると、舌を絡めとった。
濃厚なキスを続けながら、手は美希の胸を揉みしだく。

「ん…ちゅぷ…ぴちゅ…っ、ぷはっ!せ、せつな!?」
「起こしたか?」
「起きるに決まってるでしょうが!ひとんちのベッドで何してんのよ!」
キスの事実に、美希は真っ赤になった。

その間も、イースの手は絶え間なく美希の胸に快感を与え続けた。
「んあっ…なんで…こんなこと…」
「美希、お前が好きだ」
「ええっ!?…あ、そうか!アナタ、せつなじゃないのね」
「よくわかったな」

イースは次に、美希の恥丘に手を伸ばした。
さっきからの前戯によって、そこはすっかり潤んでいた。
イースの指が、秘芯を擦りあげる。

ヤバイ…自分でするよりも何倍も気持ちイイかも。余りの心地佳さに、美はは抗うことすら忘れていた。

「せつなじゃないなら…んん!…アナタ、いったい誰…な、の?」
「我が名はイース…たいていせつなの中で眠っているが、お前に逢いたくなったら目覚め、こうしてここに来てしまう」

イースが最後の仕上げにかかる。
「イースッ…あっ、もう…アタシ…完璧にイキそう」「そうか、可愛いヤツめ。イクがいい!さあ、声をあげて果てろ!」
「んんんんんー!!」

抱きしめ合うふたつの影。
「また…来てもいいか?」
「しょうがないわね…皆にはナイショよ?」
ちゅっ。
711名無しさん@秘密の花園:2009/09/19(土) 03:55:03 ID:1tGYACpY
以上。人格ネタ若干続くかも。
712名無しさん@秘密の花園:2009/09/19(土) 03:59:16 ID:1tGYACpY
>>710

×…美はは抗うことすら忘れていた

○…美希は抗うことすら忘れていた

ort
713名無しさん@秘密の花園:2009/09/19(土) 04:07:15 ID:GyV9xfBS
GJ!二重人格は面白いネタだった。今後に期待してます。
714SABI:2009/09/19(土) 05:38:49 ID:kGCh4rJW

ココ百合板というのに、百合分ゼロで今まで美希しかでていないし。
何をトチ狂って投下したんだか。
でも今回は百合分少しはあるはず。多分。
でも全然甘くありません。

タイトル「絡新婦の巣」 「地獄の扉」の続き

美希メイン

突風が吹き、開いた扉の先には、東せつなが立っていた。

「ようこそ、占いの館へ」

「えっと、アタシは・・」
「知ってる。ラブのお友達よね」

「ええ。正式に自己紹介するのは、初めてだったわね。ラブの幼馴染の蒼野美希です」

「東せつなです。このまえラブが占いの館へ来て、それから仲良くしてもらっているの」
「もし良かったら、私のことは、せつなって呼んでもらえないかしら、ラブみたいに」

「ええ、じゃ、アタシのことは美希って呼んで」

「嬉しい。この街に来て間もないから、友達が少ないの」


「立ち話もなんだから、こちらに」
そう言ってせつなは背を向け、アタシを促す。
715SABI:2009/09/19(土) 05:40:19 ID:kGCh4rJW

コツコツコツ・・・
カツカツカツ・・・


アタシ達の靴の音だけが響きわたる。


確か、ラブは「大輔達は男の占い師さんに見てもらったんだってー」
って言っていたから、少なくともせつなの他にもう一人はいるはず。


けど、アタシ達の他に人の気配は全くしない。
目の前のせつなの後ろ姿さえ、現実のものでないかのような錯覚に陥る。


「美希、美希」
「えっ・・」
「あ、ごめんなさい、名前で呼んで気を悪くしたかしら」


「ううん、ちょっとぼっとしてただけ」

716SABI:2009/09/19(土) 05:41:23 ID:kGCh4rJW
「ここが私の部屋兼仕事部屋ね」
と言って、前の扉に指差し、苦笑いをする。

なんでも、休む部屋は他にあるらしいが、
仕事上の研究で(占いの研究なのかな)いつも夜遅い時間まで起きていて、
仕事部屋であるここの部屋で寝てしまうことが多いらしい。

「さあ、入って」
「お邪魔します」

3脚の椅子が並んだ先には、水晶玉が置かれた机。
占いの館らしく、薄暗い照明。
奥には暗幕が張られ、部屋は続いているようだが、
仕事道具でも置いてあるのか、こちらから窺い知ることはできない。


「どうぞ、座って」

と言って、せつなは机の奥の椅子に座る。
アタシは3脚の内の真ん中の椅子に腰かける。


「それで、用件は何かしら。用があるからここに来たのでしょう?」
「・・・」


続く
717SABI:2009/09/19(土) 05:42:18 ID:kGCh4rJW
後1話の予定です。
日曜の放映前までに完結できるよう、精一杯、頑張るわ。
718SABI:2009/09/19(土) 07:44:35 ID:FQMIDaDf
ごめんなさい。美希って蒼乃さんだったのね・・。
719名無しさん@秘密の花園:2009/09/19(土) 08:28:54 ID:YvcDEZ3j
おはようございます、保管屋ですよ。怒涛の投下爆撃で明日まで持つか!?
状態www
>>707
お待ちしてました!それも美希×ラブでの光臨…。シュワシュワーwww
毒されそうで踏ん張る・恋敵=ライバル・親友の笑顔を守る。
自分だって幸せになりたいのに…。
白のような黒も混ざる心模様。叶わぬ恋なのかorz
銀週間、みんなが全裸待機しますよwww

>>712
ぐはっ。その手があったのか、、、
イース様エロぅ〜wと、ごめんなさい!より臨場感を出すために
若干文章を修正しました。お気に召されなければ戻します。
保管庫チェックしてみて下さい。

>>717
もちろん修正済みです。ご安心を。緊張感のある展開が続きますなぁ。
果たして事はどう進むのか、、、
そして運動会ガンガレwww

保管完了済。
と、容量が460を越えました。新スレの準備しときます。
720名無しさん@秘密の花園:2009/09/19(土) 08:38:42 ID:KwzgkI48
テスト
721名無しさん@秘密の花園:2009/09/19(土) 08:50:33 ID:k2J4U1ue
>>707

気持ちの奥は黒いけど、
最後まで読むと、驚きの白さ!

笑顔を崩したくないから、
力ずくで奪わない。

この辺が切なくてイイ!
美希たんを抱きしめたくなった。

いいもん読みました。
ありがとう。
722名無しさん@秘密の花園:2009/09/19(土) 10:04:57 ID:kecaazSt
>>700
オークションに出たらあかんよ美希たん、ラブのお小遣いじゃそんな上玉落札できないぞ。w
723 ◆ZU7CldKWo2 :2009/09/19(土) 10:22:52 ID:1evlJ5E9
>>722

「はぁ」
「どうしたの?美希」
「ん。明日はオークションだから、ちょっち緊張してるのよね」
「そう。なら、本番前にまだ緊張してたら、この手紙を読んでみて?」
「せつながあたしに?わかった、ありがとう」


そして翌日。本番前。

「う〜なんでかしら。こんなに緊張するの、久しぶりかも。あ、そうだ。せつなから手紙もらってたっけ」

開けて読むと、そこには。


『あなたが受けてるの、オークションじゃなくてオーディション』




「せつなー。この前のオーディション、合格したわ」
「そう、良かったわね」




ということで。
ご指摘ありがとうございます。

わ、私が間違えたんじゃないんだからね!! 美希が間違って覚えてたんだから!!



申し訳ないですが、修正お願いします・・・・・・
724名無しさん@秘密の花園:2009/09/19(土) 10:32:36 ID:8KIg+vBw
wwwwwwwwwww
725名無しさん@秘密の花園:2009/09/19(土) 10:51:51 ID:Ksi7XNPm
ん?保管庫はオーディションになってるよ。
726名無しさん@秘密の花園:2009/09/19(土) 13:48:03 ID:oMPQ4ymU
闇オークションw
流石美希たん完璧!
727SABI:2009/09/19(土) 14:02:47 ID:xxK4gep1
保管屋さん、お手数をおかけしました。修正済、確認いたしました。

タイトル「蜘蛛の糸」 「絡新婦の巣」の続き

すみません、西さんと南さんがでてきます。
728SABI:2009/09/19(土) 14:03:40 ID:xxK4gep1

「それで、用件は何かしら。用があるからここに来たのでしょう?」
「・・・」


「どうしてラブにつきまとうの」とか、正面からぶつかっていっても、
まともに答えてくれないだろう。だから、変化球。


まず、恋愛運を占ってもらい、好きな人との恋が成就するか聞く。
もし、好きな人と結ばれるとか、せつなが言ったら、占いはデタラメ。
だって、アタシに好きな男の子なんていないもの。
占いがデタラメと知ったら、ラブだって目が覚めるだろう。
アタシの作戦、完璧。


アタシは少し顔を伏せ、真剣な表情を作ってから、顔をあげた。

「親友のラブやブッキーにも話していないんだけど、内緒にしてくれる?」

「勿論よ、私達友達じゃない。それに占い師は守秘義務があるし」

「ありがとう、実はね・・」


「分かったわ。恋愛運を占えばいいのね」
「ええ」
729SABI:2009/09/19(土) 14:05:13 ID:xxK4gep1

両手で水晶玉を撫でるような動きをしながら、真剣な表情で水晶玉を見つめるせつな。

嘘の占いと分かっていても、ドキドキする。


「何か見えた?」


「ええ。貴方の好きな人は、とても人気者のようね」
「まるで、太陽のように周りの人を惹きつける。」
「でも、貴方はその周りの惑星の一つにすぎない」
「恋愛は成就しないとは言わないけど、かなり前途多難なようね」


「やっ」
ぱり占いはデタラメだったのね。そう続けようとした。


でも先にせつなが言った。
「ふふっ。貴方の好きな人はラブね」


ぐわんぐわん頭が鳴り響く。
すぐ前でしゃべるせつなの声も、どこか遠くから聞こえる。


「心配しないで、私とラブは仲の良い友達。それ以上でもそれ以下でもないわ」
「私、貴方の恋の応援してあげる」
「もし迷うことがあったらこの占いの館へいらっしゃい」


そして、せつなの声は聞こえなくなった。


730SABI:2009/09/19(土) 14:06:33 ID:xxK4gep1

アタシがラブの事を好き・・・

分からない。


けど、ひとつだけ分かったことがある。

せつなへの感情。

アタシだって芸能人のはしくれ。
芸能界にはいっぱい嫌なやつがいる。
でも、どんなことをされても、アタシは嫌な顔をしない・・自信がある。
それが仕事だったら。

けど、せつなは違った。初めて会った時から。
はっきり言って気に食わなかった。


それがラブに馴れ馴れしく近づこうとする(ように見える)せつなへの嫉妬だったなんて。

だんだん、目の前が暗闇に閉ざされる
思考が真っ黒に塗りつぶされてゆく・・


それからどうやって帰ったのかは覚えていない。
気付いたときは家の前だった。

731SABI:2009/09/19(土) 14:07:09 ID:xxK4gep1

その頃。
占いの館。

「何故だ、イース。何故、プリキュアを逃がした!!」
「怒鳴らなくても、聞こえるわよ、ウエスター」
「・・・」

「プリキュアは一人一人では、到底、私達の敵ではない」
「確かに」
「でも、3人束になってくれば、想定以上の力を出すことがある」
「・・・」
「青のプリキュアがいなくなれば、残りのプリキュアは探すはず」
「あの黄色のプリキュアは私を疑っている。今正体を知られるのは得策ではない」

「それにプリキュア討伐の命をメビウス様から直々にいただいたのは、この私イースよ」

「イースがそう言うなら、僕は何も言わない」
そう言って、サウラーは部屋を出ていく。

「ウエスターは?」
「くそ・・気に食わない」
「あら、そんなこと言っていいのかしら。FUKOは全然溜まっていないじゃないの」
「・・・」

「あら、どこ行くの」
「ちょっと、外に出てくる」
そう言って、ウエスターは部屋を出ていく。


部屋には、イースただひとり。

思い出すのは、せつなを見る、美希の冷静な眼。
一番難関だと思っていた青のプリキュアは私の手に落ちた。

最後の一人。

それさえ、手に落ちたら、プリキュアの命脈は私のもの。

部屋には、イースの哄笑が響き渡る。



732SABI:2009/09/19(土) 14:07:42 ID:xxK4gep1

当初は、イース様に籠絡され囚われるベリー、という展開を考えていました。
けど、ベリーがいなくなったら、プリキュアに希望がなくなると思い、
このような展開になりました。

今作の作成中に、おそらく百合分がほとんどなくて、
しかも、西南出てくる話を思いついたのですが、投下してもいいですか?
733名無しさん@秘密の花園:2009/09/19(土) 14:10:06 ID:KaiMVSzT
>>732
SSはGJなんだが、メール欄にsageって入れた方がいいぞ。
734SABI:2009/09/19(土) 14:18:07 ID:xxK4gep1
了解しました。
前にも言われたのですが、
どういうことか分かっていなくて。
735名無しさん@秘密の花園:2009/09/19(土) 14:46:19 ID:k2J4U1ue
>>734
名前欄じゃなくてメール欄に入れると完璧よ。
736名無しさん@秘密の花園:2009/09/19(土) 15:34:34 ID:KwzgkI48
>>734
微笑ましいなw

というおれも今日初めてsageの仕方を知ったわけだが。
737名無しさん@秘密の花園:2009/09/19(土) 16:47:47 ID:1tGYACpY
>>734

sageは半角小文字だぞw
738735:2009/09/19(土) 18:09:31 ID:k2J4U1ue
>>734

ごめん、メール欄に入ってたね。
全角だっただけか。

ちょっとイース様に踏まれてくる。
739名無しさん@秘密の花園:2009/09/19(土) 18:17:47 ID:oMPQ4ymU
メビウス様が実は女と言ってみる。
740名無しさん@秘密の花園:2009/09/19(土) 18:26:24 ID:rxyxgf6B
やばいそれ萌える
メビウス(お姉様)とラブの間で揺れ動くせつなとかご褒美です
741名無しさん@秘密の花園:2009/09/19(土) 18:31:35 ID:KwzgkI48
某戦隊のなんとかも、中身が少女だったっけなあ
742名無しさん@秘密の花園:2009/09/19(土) 18:34:32 ID:44nGoMSz
メビウスは設定画でおっさん確定済みだからなぁ
ちなみに放送開始時点ではシルエットだけで顔とか決まってなかった
743名無しさん@秘密の花園:2009/09/19(土) 19:00:46 ID:HhsVgnZl
見た目がはげのおっさん?
なぁに…。よく目を凝らしてみな。このおっさん、ガタイがいいだろ?
中にブラック・ビューティーな女総統が入ってるに決まっている
あんたらが見てるメビウスってのは、世を忍ぶ仮の姿なのさ…
744名無しさん@秘密の花園:2009/09/19(土) 19:10:19 ID:oMPQ4ymU
>>741
自分にたどり着き難い様に、わざわざミスターなんて名乗ってるんだろうか?
部下にすら「尖り野郎」なんて暴言はかれてるし。

>>743
鎧か。
ラスボスがそうやって正体隠してるのはあるな。
745SABI:2009/09/19(土) 19:56:40 ID:xxK4gep1
SABIでございます。
皆様にいろいろ教えて頂き、本当にありがとうございました。
実は、自分のパソコンだけのことと勘違いしておりました。
ということは、私が投下してから、今まで投下した方にご迷惑をおかけしたということですね。申し訳ありません。
それで、お詫びというのもおこがましいのですが、本当は書く予定のなかったらぶせつSSを投下します。

自分的にはかなり甘いと思う、らぶせつ、ベランダデート。
746SABI:2009/09/19(土) 19:57:37 ID:xxK4gep1

暑さ寒さもお彼岸までっていうけど、
イヤー今日は、涼しいを通り越して、寒いくらいだよ。

そうね、今日はちょっと肌寒いわね。

あたしとせつなはいつもお風呂上がりに、
ベランダに出て、おしゃべりしてる。


あたしは、あたしの話にうんうんとうなずくせつなの横顔や、
あいづちを打ってくれる少し低い声が大好きで、
ついつい長話をしてしまう。

でも、あたしとせつなは学校が同じで、登下校も一緒。
しかも、ダンス練習も一緒となれば、
あたしがせつなのことで知らない事、
せつながあたしのことで知らない事を見つけることの方が難しい。

あたしの話は、せつなだって知っていることがほとんどなのに、
それでも、嫌がりもせず、むしろ喜んで聞いてくれるのが、嬉しい。


今日も、話に熱が入りすぎたらしい。
気がつくと、せつなの肩は震えていた。


もう部屋にもどろう、そう言って、
あたしは、せつなの右肩に右手を置き、肩を抱くようにすると、
せつなは、あたしの右手に自分の左手を重ね、首をふるふると横に振る。

ど、どうしたの、あたしは慌てて顔を覗き込むと、
あたしの肩口に顔をうずめ、

も、すこしこのままで

と、せつなが囁く。



寄り添う二人を見つめるのは、中天にかかる今宵の満月のみ。




日本語がちょっと変と漢字が少ないのはラブ仕様
747名無しさん@秘密の花園:2009/09/19(土) 22:42:32 ID:YvcDEZ3j
>>723
投下すぐに修正しました。ご安心下さい!と、これもオマケで付けますか?

>>SABIさん
昨日から投下ありがとうございます。と、タイトルどうしますか?
>>746はベランダデートにしてあります。句読点と「」だけ調整しました。
みなさんのSSは、より一層素晴らしい作品にしたいと思ってますので
時々調整したりします。お許し下さい

来年のカレンダー買ってきたw
SSネタに使える絵がいっぱいだったよwww
水着まであったさ!
ちょっと妄想してくるw
748名無しさん@秘密の花園:2009/09/19(土) 23:24:12 ID:1001AE56
もうカレンダー出てるのか!
749名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 00:35:02 ID:LORyuwj3
水着とな!
今日偵察してこよう。

さて、今日は待望の美希せつ回!
ベリーソード出るか?


750SABI:2009/09/20(日) 05:43:18 ID:fvIU6a7v
保管屋さん、お手間を取らせて申し訳ありません。
修正済確認いたしました。

タイトルですが、

美希せつの「絡新婦の巣」の続きは、「蜘蛛の糸」、

らぶせつのベランダデートの方は「月の下」

でお願いします。
751SABI:2009/09/20(日) 05:58:49 ID:fvIU6a7v
ごめんなさい、皆さんにあれだけメール欄にsage入れるよう言われたのに。
752名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 08:44:18 ID:X8dFSj2n
ちょwww今日イイんじゃないか!?イイんじゃないか!!?
753名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 08:56:52 ID:tBGNrwai
        /: ://: : : : : : : : : : : : : :/: : \\:. : :ヽ
              /: ://: : : : : : : : : : : : :〃|: : : : :V |: : : :ハ
            ,: : :l//: : : : : : : : : :/  l: : : : : :Y: : : : |
             |:l: : /: : : :/ : : : /      v: :|: : : l|: : : :|
             l:|: /: : : :/≠冬     ィ≦^V:|: : : :!:.: : : :|
            l:l:/: : : :;代_斤 ヽ   イk_斤_:: : :|-、: : :l
                l:l|: : :.:/_辷゚ノ  l     辷゚ノ_| : : : |ィ |: :/
               `l: : :/       |      n===========n
             |: ::ハ      〈l    rー||/_ ̄ ̄ ̄_\||⌒l
             |:./:.:ハ    __     l || {l ̄ ̄ ̄ l} ||. ヽ
             l/ V:.:.:ヽ    ‐ `   l || {l       l} ||\__)  みんなどうだった?
              {^ト、:.:.:\     /l _|| {|______|} || /      アタシとせつなも素敵なコンビでしょ?
                人 ーt:_:.:.\__ / / || `  ̄  ̄ ´  ||_ノ〉
              _{_ {入  /|     {  || O (⌒) O ||ノ}__
          ,..::´ .:::::{  /  ,|       \||  o  o  o  ||ノ   \
         /..::::::_,,. - /   //      /||\8 :8: 8/||\ _ \|
        / .:::/´   /   /         / ゞ 三三三三 彡'   \\ \
         / .::::l  //   / ̄ヽ  -−/     |            \\ \
       i ::::::::| /∠ イ^V{     _,./へ、   /|             ヽ \ l
       | ::::::/ /   || ∧  . ィ//// /  \/ ,l               l  l|
       | ::::/ /    ||/ }イ ////// /   / /             |   |'
       | ::/ /     ||//////////   ,′ {            ,'  ;
       | / /     |l////////    {  ヽ           /   /
       / {     |l//////       \  \        /   /
754名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 08:58:40 ID:lAWN9efy
最高すぎて吹いたw
755名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 08:58:53 ID:H70difT3
神回だった!!!!!!!!!!
756名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 08:59:52 ID:o0gzYftp
おい…泣けたよ今回…
757名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 09:00:32 ID:5t+sD+ph
せっちゃんのファッションセンスからしまむら臭が…
758YM:2009/09/20(日) 09:02:21 ID:hTgNK3RG
笑えて熱い美希せつ!神回でした。
ここまで「元イース」を前面に出したの、久々ですよね。
759名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 09:03:34 ID:tBGNrwai
燃料補給にはあまりにもGJすぎた!
ギクシャクデートとか背中合わせとか単独戦闘とかベリーの決め台詞とか
もう…。
760名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 09:04:16 ID:LORyuwj3
今日はよかった!
ええ話や!

燃料だらけや!


最後の美希たんの服は
正直微妙だったけどwww
761名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 09:04:39 ID:GeSDptnl
雑談時は名無しに戻そうぜ
とまあそんなことはさておき
美希せつかなり良かったw
762名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 09:06:48 ID:lAWN9efy
しまむら赤服仕様ってトコかな。
西のイース発言はちょっと嫌な感じだったが。

ベリーかっけぇ
763名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 09:13:42 ID:ujU9ssf4
今回の美希せつは最高だった
今俺の中で美希せつがきてるぞw
764名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 09:18:14 ID:PIxN4L4O
ラブ(最近せつなって美希たんとばっかり遊んでる。ま、まさかね…)
765名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 09:18:54 ID:JuUomzQg
最後の服が微妙すぎたのが残念だったなぁ
色もデザインも美希に合わなさすぎた
これはむしろ、せつなの空回りっぷりを愛でるべきなんだと思う
766名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 09:21:29 ID:tBGNrwai
白百合にもなるし、黒百合にも発展する展開ですね、わかりますw

ブッキー(ラブちゃんとこうして、二人っきりになるのも久しぶりだな…)
767名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 09:26:28 ID:GeSDptnl
甜菜
http://imepita.jp/20090920/315060
カードとかだとこの二人多いよなw
768名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 09:28:47 ID:lAWN9efy
見れない…
769名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 09:31:39 ID:JuUomzQg
ラブ(最近せつなは美希たんとブッキーばっかり見てる・・・ねぇせつな、ちゃんとあたしを見てよ・・・ッ!)

ラブはちょっと弄るだけで黒くなるな
個人的には真っ白大好きなので怖い
770名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 09:37:29 ID:yCVrx86E
いい美希せつ回だったと満足してたらエンドカードでラブせつ
フレッシュには死角がないな
771名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 09:50:12 ID:lAWN9efy
これで一通り、×せつなはやった事になるね。
で、来週から映画関係絡めていく?まだ早いか。

あのエンドカードは…
ラ「ほら!やっぱし洋服買うならしまむらでしょ、せつな!」

せ「さすがラブね!作戦成功だったわ!」

な訳ねーw
772名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 09:51:54 ID:NRNvthJX
個人的には本編での今のせつなの心情が分かったのが大収穫でした。

笑顔もはしゃぐ事も多くなったけどやっぱりどこかで不安は抱えてるんだなーと。
773名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 09:58:59 ID:tBGNrwai
せっちゃんの、怖いのはあなたたちがいなくなる事発言で思わず
(みんな一緒に暮らしちゃえよ!)
と思った私は百合脳末期www

ウエスターがイースって叫ぶから思い出しちゃったんだよ…。
あの筋肉バカw
774名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 10:01:51 ID:LORyuwj3
>>767
これイイね!
775名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 10:34:22 ID:IwxpwUqo
初デートの緊張感!

熱あるのに行こうとするラブが、せつなを盗られない様にしてる様に見える俺は百合脳過ぎ
776名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 11:04:17 ID:o0gzYftp
>>775
ナカーマ

480KBいったぞ
777名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 11:07:10 ID:lAWN9efy
ブッキーも診療手伝い能力覚醒で、一気に片付け後を追う。
良し!百合脳完璧!
778名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 11:33:18 ID:bosj1OZR
パッションの「ベリー…」にやられた
779名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 11:43:47 ID:y9fRf/Ox
次は美希がせつなの服を選んであげるといいと思うよ。
ついでにランジェリーショップで思う存分キャッキャウフフするといいよ。
780名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 12:09:47 ID:lAWN9efy
そうはさせじとラブッキーも参戦。夢の4…(自重
781名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 12:12:26 ID:JuUomzQg
そういえば着せ替え遊び用の下絵、ブッキーだけ胸が大きかったな
公式設定か
チビ巨乳とかどんだけ
782名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 14:16:41 ID:3/1+GZZZ
>>775
あれは助けに来た以外に、せつなが美希タソと二人きりになってるのを見て
危機感で飛んできたんだな。
それまでブッキーと3人かと思って安心していたら・・・。
783名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 14:39:20 ID:Ax8gipSy
>782
それはブッキーにも言える。

来る途中に血相を変えたラブと会う。
『ラ、ラブちゃん、考えることは同じなのね、だけど負けない』

同じくラブから見ても
『ブッキー、目が血走っている、負けてられないよ』
784名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 14:47:04 ID:EHIW+q5R
>>765
最後の服がパッションカラーだったのに萌えたがなあ……。
評判良くないのかね。デザインも好きだけどん……。
とりあえずナイス百合回だった。美希せついいじゃないか!
785名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 15:00:53 ID:o0gzYftp
>>784
俺も結構あの服すきだよ
美希がせつな色に染まった感じで萌えたw
786名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 15:18:53 ID:E8krmy6H
最後ドーナツのシーンで
あとから二人だけ現れるのが恋人同士にしか見えなかった
787名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 16:07:21 ID:Muv+isO2
話だけでも十分燃料なのに、背中合わせの密着アップとか
紅潮パッションとか、今日の演出担当は絶対その趣味あるだろw
788名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 16:20:54 ID:Wk4XNOm7
>>775
俺は以前美希の夢への道を潰しちゃったから、今度こそ美希の力になろうとして
熱があっても無理して行こうとしたのかなと思った
789名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 16:22:37 ID:GeSDptnl
最初の美希ぶきシーンにも萌えたのは俺だけか?
790名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 16:36:40 ID:AjRTAt9r
今回みて何故かこんな妄想しちゃった。

ラブ 「うおお…せつなについてかないとー」
美希 「ブッキーこないなんて…楽しみにしてたのに」
祈里 「うう…ラブちゃんと会いたかった…。」
せつな「ブッキーと買い物なんて楽しみだわ…」

最近なんか壮絶にこんがらがってるクローバーの面子の妄想ばかり最近浮かんできて困る。
791名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 16:47:16 ID:IwxpwUqo
ラブが熱出してるのを知ったブッキー
(つまり、今ならラブちゃんの看病を独り占め出来る!)
看護士能力覚醒!お手伝い終了
「ラブちゃんのお見舞いに行ってきま〜す!」

「ラブちゃん!お見舞いに来た「おいでやす〜」
792名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 16:48:57 ID:Vm75jgA3
背中合わせのシーン見てたら
「ねぇせつな。ラブと一緒のときはあんなにはしゃいでるのに、今日はいつもと全然違うわね。
 あたしたちがいなくなるのが怖いだなんて……」
「イースだった頃の話をするとラブ、すごく悲しそうな顔になるから……。
 だからラブの前だけでは、精一杯明るくするように頑張ってるの」
こんな会話が受信された
793名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 17:00:49 ID:HDm7R9Ln
背中あわせがこれほどまでに破壊力があるとは
794名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 18:03:01 ID:RN51wmjO
てっきり背中合わせ→恐怖を乗り越える美希

あたりがクライマックスだと思っていたけど、まだまだ先があったとは。

というか、全編クライマックスだった。
795名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 18:29:59 ID:tBGNrwai
>>791
その案件戴いてもよかですか?OKなら投下しますw
796名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 18:31:21 ID:IwxpwUqo
道歩いてる時、凄い距離があったのが、背中合わせで距離0になったところは激しく萌えた。
797名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 19:07:02 ID:IwxpwUqo
>>795
勿論OKですよ。
出来ればエロエロで。
798名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 19:27:51 ID:X8dFSj2n
誰もが思ったことだろうけど、やっぱり、23話の美希たんが手を差し出したシーンとつながってるんだなー。グッと来ましたよなー
799名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 20:18:14 ID:IBBtJCnP
ま さ に 神 回 。
せつなの不安や亡命者設定もしっかり生かされてたし
初デートに緊張する美希はかわいいし、最高だ。

>>762
悪役なんだから嫌な感じがするくらいのほうがいいような気がする。
ウェスターがあんまり楽しい奴になりすぎてもせつなの過去設定が軽くなってしまうし。
800名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 21:09:45 ID:PIxN4L4O
保管庫のSS一覧が容量多くなりすぎたせいか、見れなくなってる。
携帯は辛いな…
801名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 21:17:53 ID:nEeKLoCf
やっぱ、せっちゃんはわざと明るく振る舞ってたんだなぁ
本当は、大事な仲間がいなくなる事を何よりも恐れてる、か弱いおにゃのこ…
今日は不覚にも泣いてしまった
802名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 21:20:46 ID:tBGNrwai
>>797
ごめん!H苦手なんだけど精一杯頑張って微エロにまで仕上げたw
が、長くなりすぎておまけに新スレ立てようとしたら規制されたorz
どなたか代行出来ますか?これ次用テンプレです。

フレッシュプリキュアで百合4

フレッシュプリキュアの百合について語ろう!
二次創作等も自由にどうぞ

前スレ
フレッシュプリキュアで百合
http://babiru.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1237612270/

フレッシュプリキュアで百合2
http://babiru.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1250244090/

フレッシュプリキュアで百合3
http://babiru.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1251727459/

プリキュア5までの百合を語りたかったら↓
じゅうににんはYES!百合キュア
http://babiru.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1197494966/

フレッシュプリキュアで百合SS保管庫 @ ウィキ
http://www12.atwiki.jp/fleshyuri/pages/1.html

次スレは>>970を踏んだ人が立てること
もしくはスレ容量を見て判断しよう
基本はsage進行で

〜SS投下について〜
名前の欄に題名を入れて欲しいとの事でした。
組み合わせ(ラブ×せつな等)も表記するとさらにGJ。
イメージはあまり崩さない。これ必須。
803名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 21:40:54 ID:/10eEFbI
>>800
確かに数増えたからなぁ。
カプ別にページ分ければ見えるのかな
804名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 22:00:58 ID:tBGNrwai
工事完了!携帯OKです。ご迷惑おかけしました。
>>803さんのご指摘で、カップル別に分けてみました。
一覧の方が見やすかったかな?
805名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 22:04:33 ID:X8dFSj2n
>>804
すげぇ…すげぇよ!あんたぁ!!
超GJです。ありがとうございます!
806名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 22:07:35 ID:lAWN9efy
保管屋降臨?トップ画も見れるようななったわ。吹き荒れよ、乙の嵐!
807名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 22:11:22 ID:LORyuwj3
あらためて今日の放送見返してるんだけど
26話以来の、心にしみる回だった。

美希せつがキてるね。

背中合わせの時のBGMは
24話で刷り込まれたので、
無条件に涙腺が決壊する。

幼児向けアニメで泣く俺
\(^o^)/オワタ

808名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 22:13:16 ID:LORyuwj3
>>798

やばい
今気づいた。

あまり泣かせないでくれ。
エロSS書いてるのが申し訳ないじゃないか。
809名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 22:19:03 ID:X8dFSj2n
>>808
なんと!?投下に備えて全裸で待機だ!
810名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 22:24:49 ID:tBGNrwai
>>806
そですw
未だ規制解除されず…。誰か新スレを、、、
投下準備してお待ちしてます。ごめん!

今日はホント神回。ベリーの差し出す手にパッションが頬を染めながら
握る場面。ここで自分は涙腺ダム決壊
811名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 22:26:45 ID:TytiuQXB
保管庫管理人さん、GJ!なんだが、一つ気になったことが。
黒ぶきさんの一連の作品だが、一話だけ美希ラブにあると混乱しないか?

このスレで流れ追ってる人は分かってるだろうが、保管庫だけで見てる人は
注意書するとかしないと、話が飛んでわからなくなるのでは、と思うんだが。

確かにカプは違うが一つにまとめた方がよくない?
812名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 23:11:07 ID:4QQf5/Z1
立ててきますた。

フレッシュプリキュアで百合4
http://babiru.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1253455706
813名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 23:30:57 ID:tBGNrwai
>>811
投下された時も迷ったんです…。ここは一つ黒ブキさんの意見を
待ちましょう。補足加算or一括、どちらにも対応します。

>>812
新スレありがとうございました!
814名無しさん@秘密の花園:2009/09/20(日) 23:34:38 ID:lAWN9efy
カプ別に分けたから、やっぱ一緒にしないとわからないかもな。
もしくは続編物として、あらたに分けるとか。

勿論、保管屋GJだ。お礼にタコ焼き、店ごとどぞw
815名無しさん@秘密の花園:2009/09/21(月) 00:38:47 ID:Z/iG3dNk
毎度ながら、保管屋さんお疲れ様です。
続きものはひとまとめ…というのも、一案かもしれませんね。
816名無しさん@秘密の花園:2009/09/21(月) 01:59:19 ID:p6nf0aNR
      / : : : : : : : : : : : :// 爪: : : : : : : : ∨xxxxxxxx|、\   スレ立て乙!
     l : : : : : : : : : : : //ノ   \: : : : : : :!\xxxxxxl |\\
     |: .        . : l:l     /ヽ: : : : :|\_乂_, 乂ノ____\\__,/^ヘ、
     |: : : : : : : : : : //j:|    /,ィ示|: : : : l|: : : :<二. ―――く/// , /^\
     ∧: : : : : : : : ://_ノ'   //{ー'。j: : : : j|: : : : : : : . `ヽ      Y    r〃Y
    /_.∧:.:|: : : : : :lテ示ミ     ` 〃: : : /ヽ: : : :_:ー- 、:|     |   人{__ノ
   l //: :∧:|: : : : : :|/しハ     /l: :/: /!  `ヽ{ `ト、. |     l   /
   //: :/: : i|: : : : : :| ゝ-゚   ヽ  |_|: l: /|  /|   | |     /  /
  ./: : : : :/:|: l: : : /l\     , -_'´| |/レ{_,ノ} /: | ||    /   /
 ` ー―ァ'从ノ: : /: ̄: :>   __/.: : : :/ : : / l ∧  /    /
   ー=彡'ノハ:.: :| \: ト-==ミメ、:_: : : : : : : :/  / /l./     /
         ノ人|  ``      \ ̄ ̄厂}二 ∠∠ノ     /
        ´  ヽ         〃   / /           /
            \      //   / /          /
                 \       / /      __,. イ
817名無しさん@秘密の花園:2009/09/21(月) 02:38:32 ID:0rtNw0hH
備考に続きは〜へ、みたいに書いたりリンク貼るとかは?
続きものという項目で全部まとめるのでももちろんいいだろうけど
818名無しさん@秘密の花園:2009/09/21(月) 07:10:18 ID:YoZfWTBg
昨日が神回すぎて、日曜まで耐えられません。

なぁタルト、聞いてくれ。映画も百合脳で見たら耐えられるのか?
819名無しさん@秘密の花園:2009/09/21(月) 08:59:06 ID:fTl/kSi/
>>818
今回はパジャマパーティーあんで!
燃料いっぱいや!
映画館で全裸待機したらあかんで!
820名無しさん@秘密の花園:2009/09/21(月) 10:25:07 ID:BK7AymSx
>>819
パジャマパーティーとは、女の子達が夜な夜な乱交するというあの都市伝説か。
821名無しさん@秘密の花園:2009/09/21(月) 10:30:37 ID:hMx/SiIk
>>819
以前貼ってあった絵みたいな光景を言うんですね
あ、ヨダレが…
822名無しさん@秘密の花園:2009/09/21(月) 12:15:02 ID:lez5uz3Y
ローソンかなんかにあった冊子だとみんなでお風呂も〜

とか書いてあったしやばいね。スーパークローバータイムだわ!
823名無しさん@秘密の花園:2009/09/21(月) 12:20:22 ID:YoZfWTBg
何!?お風呂だと…。
もうダメだろw
百合脳限界、、、
824名無しさん@秘密の花園:2009/09/21(月) 13:34:40 ID:oUvmNRx/
>>822
風呂か、風呂はえろすぎるな!
乳くらべ的ななにかとか期待してまうわ…
さわりあい・もみあいとかに発展するんですねわかります
825名無しさん@秘密の花園:2009/09/21(月) 14:02:00 ID:RbYKw+Dl
ちょw子供向けだぞw触りあいや揉みあいなぞあるかwwww


でもEDあたりで一緒の布団で寝るシーンは期待していいんですよね?
826名無しさん@秘密の花園:2009/09/21(月) 15:16:03 ID:0Y4ZNQcQ
二人づつくっついて、別の寝室に入ってくとこでEDじゃね。
ラブせつ、美希ブキで。
そいで中からドアロックのかかる音で暗転。
827名無しさん@秘密の花園:2009/09/21(月) 15:23:32 ID:wdiNTNSI
ラブやんかせっちゃんの部屋、片一方に4人で寝るわけにもいかんよなあ…
828名無しさん@秘密の花園:2009/09/21(月) 15:24:31 ID:wdiNTNSI
>>827
sage忘れスマソ
829名無しさん@秘密の花園:2009/09/21(月) 16:04:35 ID:WG9n58g2
>>822
お風呂!?
まぁ子供にスキンシップの素晴らしさを教えるためならやむを得ない。
ブッキーの触診に期待!
830名無しさん@秘密の花園:2009/09/21(月) 16:13:30 ID:BK7AymSx
>>829
裸の付き合いは大切ですよね。
831名無しさん@秘密の花園:2009/09/21(月) 16:13:52 ID:fTl/kSi/
>>826
生々しいなwww
832名無しさん@秘密の花園:2009/09/21(月) 16:24:01 ID:YoZfWTBg
なぁ、タルト。布団を二つ並べて四人で寝たら、可愛らしいと思わない?

せっちゃんだって初めてだから、楽しいハズなんだよ。変な意味じゃなくてなw

美・せ・ラ・ブの並びが理想なんだが、何とかしてくれないか?
833名無しさん@秘密の花園:2009/09/21(月) 16:40:28 ID:iJ3p0J72
黒ブキです。美希せつで盛り上がってる中、空気読まずに続き投下……。
俺も美希せつ書きてえよ。

それと、前スレ>>811さんやら保管屋さん。
保管の仕方について気ぃ使ってもらっちゃってすんません。
確かにページが別れるならまとめてもらった方がいいかも知れないっすね。

一応、ブキせつのところに一まとめにしておいてもらっていいですか?
もしこの先、連作モノ何かが増えて、そのカテゴリーで分けるなら
そちらの方に移動してもらっても。



それでは、投下。
タイトルは「ただ、好きだから」、もうちょっとだけ続きそう……
834名無しさん@秘密の花園:2009/09/21(月) 16:41:04 ID:iJ3p0J72
せつなに、会いたい。


あたしは美希の家から全速力で走って帰った。さすがに心臓がバクバク言ってる。
気づけば、もうとっぷり日が暮れて月が顔出している。
お母さんにお小言くらうだろうな。


玄関にせつなのローファーがきちんと揃えて置いてある。
よかった、帰ってるんだ。

「お帰りなさい。ラブ、遅いわよ。」
お母さんがちょっと怖い顔をする。
「ゴメンナサイ。美希たんとお喋りしてたら遅くなっちゃって。」
あまり遅くまでお邪魔しないのよ、と軽くお小言。そんなに怒ってないみたい。それより……


せつなは?そう聞く前にお母さんが口を開く。
「せつなちゃん、また具合悪くて寝てるから静かにね。」
すごい熱なのよ、と、お母さんは心配そうに溜め息をつく。
「まったく、ラブと言いせつなちゃんと言い、どうして倒れるまで無理
するのかしら。」
病院に連れて行こうとしたみたいだが、せつなは寝てれば平気だから、と
頑なに拒んでいるみたいだ。
お母さんの事だ、明日も熱が下がらなければ有無を言わさず引き摺って
連れてかれるだろうけど。


せつなの部屋の前に立つ。ノック一つになんでこんなに勇気がいるんだか。
(あたし、今日こんなんばっか…)


コンコン……。
返事なし。そっとドアを開けて音を立てないように、ベッドに近づく。
せつなは浅い呼吸を繰り返している。寝苦しいのかも知れない。
額に触れると、火のように熱い。それに、何だか痩せた。


昨夜の、抱き締めたせつなの体の熱さを思い出した。
昨日も、その前もきっとずっと熱があったんだ。
考えてみれば、放課後に祈里と会い、夜もあたしがろくに眠らせない。
それにも係わらず、家でも学校でも変わらぬ笑顔で過ごしてたんだから、
ものすごい精神力だ。ストレスだって半端じゃなかっただろうに。
835名無しさん@秘密の花園:2009/09/21(月) 16:42:12 ID:iJ3p0J72
「……ごめんね。」
あたし、せつなが苦しんでるの分かっていながら知らん顔してた。
自分が傷付くのが怖くて、せつなを無視してた。
せつなはあたしが好き。そう信じてたはずなのに。
自分が一番辛いと思ってたよ。


少し汗ばんだ額にかかる髪をはらうと、せつなが軽く呻いて寝返りを打った。


「……ラブ…?」


せつなの瞼がゆっくりと開く。少し、ぼんやりしてダルそう……
「…ごめん、起こしちゃった?」


あれ?………何だろう、この感じ。


(ああ……、そっか。)


せつな、あたしの目を見てる。
弱々しい、力のない目。だけど、真っ直ぐに見つめてくれてる。
せつなの瞳に映った自分を見るのは、どれくらいぶりだったっけ。


「熱、どれくらいあるの?」
「………さっきは、38.8度だった。」
そんなにあるんだ。お母さんが心配するはずだ。
あたしはベッドの横に座り、寝ているせつなに視線の高さを合わせる。


「……ゆっくり、寝てなきゃね。」
せつなの髪を撫で、熱を確かめるように額や頬、首筋に触れる。
なるべく優しく。少し前まで、当たり前にしてたように。


少し戸惑った様子のせつな。
そうだよね、あたしだってこの頃せつなの顔マトモに見てなかったんだから。
それに……
こんなふうに、ただ何もせずに触れるだけって言うのも。
マジであたしがせつなに手を伸ばすのって、ベッドに押し倒す時だけだったな、
なんて……。せつなも倒れるはずだよ。


「お腹とか、空いてない?」
「………さっき、お母さんがリンゴ持ってきてくれた……」
擦りおろしたやつ、と少しせつなが笑う。
やっぱりちょっと戸惑ったような表情。
それでも、目はそらさない。
836名無しさん@秘密の花園:2009/09/21(月) 16:45:27 ID:iJ3p0J72
何となくそのまま見つめ合っていたい気分だった。
あたしはせつなの髪を指に絡めたり、頬や顎に触れる。
こんなにちゃんとせつなの顔を見るのは本当に久しぶりだ。



(……痩せちゃったな。)



改めてそう思う。顔色も熱が高いのに何だか蒼白い。
本当に、具合が悪そうだ。


せつなは物言いたげに何度か唇を開きかけ、また躊躇うようにつぐむ。
瞳が揺れて、伏せてしまいたいのを必死に堪えているように潤む。



「……あのね、……ラブ……」
震える声が懸命に言葉を紡ぎ始める。



「………私、……話さないと、…いけないことが、あるの……」
髪を撫でていたあたしの手を、せつなの火照った手が握る。



「………私…ね……」


握る手に力がこもり、じっとそらす事のなかった眼差しが、とうとう伏せられる。



せつなは握ったあたしの手を自分の額に押し当て、ぎゅっと目を閉じる。
まるで、神に跪き懺悔する罪人のように。
……ただひたすら、許しを乞うように。



「……せつな。」
もう片方の手で、また髪をすくように触れる。
どう言えば、伝わるか。怯えなくていいと。
分かっているから、恐がらないで……と。



深呼吸する。とても大事な事を言うために。
どうか、ちゃんと伝えられますように………



「あのね……、せつな。あたし、せつなが話したい事なら。何でも聞く。」
なるべく、優しく。出来るかぎり、心に触れられるように。
837名無しさん@秘密の花園:2009/09/21(月) 16:45:49 ID:GfKqDBr5
サイズ制限近いから 4 に投下したほうがいいかも
838名無しさん@秘密の花園
あっ、ホントだ!

ってか、新スレのつもりだった!
あっちに行ってくる!ありがと!