ストライクウィッチーズでレズ百合萌えpart12

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1名無しさん@秘密の花園
守りたいから私は飛ぶ!!パンツじゃないから恥ずかしくないもん!

●スタッフ
監督・アニメキャラデザイン:高村和宏     キャラクターデザイン原案:島田フミカネ
シリーズ構成:ストライカーユニット        助監督:八谷賢一
世界観設定・軍事考証:鈴木貴昭        メカデザイン・メカ総作監:寺尾洋之
キャラクター総作監:山川宏治・平田雄三   美術監督:小倉宏昌(小倉工房)
美術設定:松本浩樹(スタジオイースター)    カラーデザイン:甲斐けいこ・池田ひとみ
3D監督:下山博嗣                  撮影監督:江間常高
編集:三嶋章紀                   音響監督:吉田知弘
音響制作:楽音舎                  音楽:長岡成貢
音楽制作:コロムビアミュージックエンタテインメント
アニメーション制作:GONZO
原作:島田フミカネ&Projekt Kagonish(プロイエクト カーゴニッシュ)

●キャスト
宮藤芳佳(みやふじ よしか):福圓美里     坂本美緒(さかもと みお):千葉紗子
ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ:田中理恵   リネット・ビショップ:名塚佳織
ペリーヌ・クロステルマン:沢城みゆき      エーリカ・ハルトマン:野川さくら
ゲルトルート・バルクホルン:園崎未恵     フランチェスカ・ルッキーニ:斎藤千和
シャーロット・E・イェーガー:小清水亜美    エイラ・イルマタル・ユーティライネン:仲井絵里香
サーニャ・V・リトヴャク:門脇舞以

●放送局
※放送は終了しました

●関連サイト
公式サイト:http://s-witch.cute.or.jp/
まとめwiki:http://www37.atwiki.jp/strike_witches/
人物呼称表:http://www37.atwiki.jp/strike_witches/pages/50.html
百合SSまとめサイト:http://lilystrikewitches.web.fc2.com/

●次スレ
次スレは>>970or480KB超を目安に、臨機応変に立てて下さい。
必要な事前準備等があれば、>>920or450KB超を目安にして下さい。

●前スレ
ストライクウィッチーズでレズ百合萌えpart11
http://babiru.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1227637032/
2名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 02:34:14 ID:qdtOYpMn
Q.○○書いたんですけど投下してもいいですか?

A.どうぞ、ぜひ投下してください。
条件は「ストライクウィッチーズ」関連であること、
「百合」であることの二つのみです。
ジャンル、エロの有無、本編にないカップリングなどに関係なく、
このスレの住人はおいしく頂いております。
妄想だとか落書きだとか気にせずとにかく投下してみましょう。

ただし、SS専用スレではないので20レスを超えるような長編は事前に断りがあると吉です。
3名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 02:35:04 ID:qdtOYpMn
──リレーSSの手引き──

★基本ルール
○始める時は、リレーSSであることを宣言する。
○続ける人は宣言は不要だが、一行目に継承元の安価をつける。
○ただし、結末を書く場合は「次で終わっていいですか?」と訊いておく。
○継承先は指定できない。誰かが早い者勝ちで続きを書く。
○ただし自分自身の続きは書かない。最低2人は挟んでから。
○2レス以上にまたがらない。1レスでクールに。
○重複したら先に書いた方を優先する。
○作者名は名前欄に入れる。名無し希望は未入力でも可。
○リレー進行中は他のリレーは開始しない。
○もちろん普通のSSは、リレーの状況に関わらずどんどん投下してください。

★本文と書式
○語り手や文調はできるだけ継承する。唐突な視点変更は避ける。
○誤解を招きやすいため、科白にはキャラの名前をつける。(例:芳佳「おっぱい」)
○後に文が続く事を意識して、できるだけ色々な取り方ができる終わり方にする。
○「駄文失礼〜」「お目汚し〜」等の前書きやあとがきはナンセンスなので付けない。

★心構えと方針
○無理して面白くしようとしない。ナチュラルに妄想を爆発させるべし。
○不本意なカプの流れになっても泣かない。むしろ目覚めるべし。
○展開を強要したり口を挟まない。流れに身を委ねるべし。
○なかなか続きが来なくても焦らない。気長に有志を待つべし。
○多少の誤字脱字、設定違反、日本語おかしい文章には目を瞑る。スルーすべし。
○参加者はみな平等。新兵もエースもリレー主も一切特権はない。仲良くすべし。
○男はいらねえんだよ!ふたなりネタも自重すべし。
4名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 02:49:12 ID:gEhyjknU
とりあえずぬるぽ

ぬるぽだよ!
5名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 02:50:35 ID:DhKAkuMc
>>4
ガッ
6名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 07:34:27 ID:LnTmZWjP
       /                      \
       . ゙                        \
     /      //           /         ヽ
.     /      //     /   ,〃     }     ',
   ,′       l/   /    / /    ,ハ      l|
   !    i    |  /7 ─/、 /    イ │    l|
   l   i    |/ _厶./_  /  / /  |    |
.   ! {   i   │ィf{ノハ ゙ヽ / / ノ_ `ヽ.||   │
.   | l',       │代ノ:::ノ   /   ィぅュ、ノ|     |
    |:l ',     |  ¨´        んノハ}  |   l |
    │ ',     |  :::::::        ヒ:ノ '゙/ !  ,l│
       ',  {  ト、          ' :::::: ハ   !  /jノ >>1おっつー☆
       '  ,ハ从     { `  ァ    ′|   /
       V ノリ 丶、  `ー- '    ノ  | / /
        r‐√`::...、 丶.  _,.   '´     j/レ′
      丿::::.\::.::.::`::..../「[
    /{:::::::::::::..\::.::.:: 几、\::..、
   /..::::::::::::::::::::::::..\ノ:{{:.\::| ::::ヽニユヽ、
 仁二ユ:::. \::::::::::::::::::..\ヾ::.::: | ::::::: ', ::/.::::::.
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::::::::::::::::::::::::: }:::::::::::..\/.::::::::ii:::0::!!:::::::::::::ヽ:::::::::{
7名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 07:35:57 ID:VZJwWYuJ
乙です!
8名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 10:12:49 ID:Duwh7jG2
>>1
しかし、まだ前々スレ残ってるのな……なんという早さだ
9名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 10:38:30 ID:Mmz6X7m9
新スレ乙ー
前のリーネイラの続きまってます
10名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 15:03:48 ID:XAM9U6EU
11名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 15:42:11 ID:7RCwz9e5
本当のことを言えば、それだけじゃない。ルッキーニがセッティングしたことであの音速を出せたなら、
それはあたしの実力なんかじゃないって思ったんだ、だからちょっと悔しくて…シャーロットはそう考
えたけれど、口に出しては決して言うまい。さあ、また夢が一つできただけだ、そのセッティングをも
のにする、という。それならいくら感謝したって足りないくらいさ、そう思うシャーロットは楽天家だった。

「仲直りしてくれるかい?」
「うんっ!」

ようやく触れたその髪は、どこで眠ったのか知れない木の葉のくずや土埃でほんの少しくすんでいた。
くしゃくしゃにして払うと、緑がかった綺麗な黒髪に一層映える橙色。それがあんまり可愛いので、食
堂に入ってくるなり、その姿をみとめるなり忘れてしまったのだ。こんなに大事ないたずら娘を、責め
る気持ちなんて一つ残らず。そしてそれはもう、永遠に忘れたままになるはずだ。

「その花、すごくお前に似合うね。お前の笑った顔にそっくりなんだもの」

シャーロットはイスの上からちっちゃな体を抱き上げて、埃なんて構いもしないでその髪の中に鼻先を
うめながら、また感想を言った。目ざめるような、その明るさ。

「これはシャーリーだよ、シャーリーとおんなじ色、いい匂い」

久しぶりの抱擁に安心したフランチェスカは、今度はそのことで涙をこぼしながら、それでも元気に事
実を述べた。やわらかい、その花びら。やさしい匂い。陽気な二人にそっくりのその花は、二人の上に、
笑顔の種をたっぷり撒いた。
(後半につづく)

>>10すまん、ありがと

埋めネタじゃない上はみだして梅の人期待してた人ら正直すまんかった。
13名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 15:49:08 ID:DRlbqPG9
梅乙ってレベルじゃねーぞ!ww
14ether dance 01/02:2008/12/03(水) 15:59:02 ID:ElNxXM6R
>>12
梅乙! じっくり拝読しました。続き期待してますよ〜。

という訳でこんにちは。mxTTnzhmでございます。
前スレ>>463-469「ring」の後日談的なもの、その1です。
実は前スレの埋め立て目的で急造したものですが、
>>12氏が華麗に埋めて下さったので
改めて新スレの方に投下します。
相変わらず空気とか流れ読んでません。すいません。

今回はエーリカ視点で、短くエーリカ×トゥルーデを。
では「ether dance」どうぞ。

----

髪をおろしたトゥルーデの後姿は、普段の戦いの時とは全く違った“らしさ”があって。
それがたまらなく愛しくみえてしまう訳で。
私は息をつく暇を与えずトゥルーデを抱きしめた。
ぴくっと身体を震わせるその仕草はいつもと同じで私も織り込み済み。
そのまま流れおりる髪の匂いを味わって、つつっと首筋に唇を這わせる。
「や、やめろ、エーリカ。いつまでするつもりだ?」
ちょっぴり困惑気味の声。後ろから胸に手を当てる。一瞬身体が揺れるのも、いつもの事。
「胸は……そんなにないぞ」
「張りよし形よしってね」
「なんだそれは?」
「気にしない気にしない」
そのまま指でトゥルーデの身体をつつ、となぞり、肌を味わう。
「エーリカ……少しは寝ないと、明日……」
「明日は明日ってね。楽しもうよ、トゥルーデ」
いとしのひと。名を呼ぶ。何回呼んでも呼び足らない。もっとこっち振り向いてよ。
そう、私を見て。そりゃ私はリーネやシャーリーみたいに大きくはないけど、自然体で
健康的だと思うんだよ。トゥルーデともちょうど釣り合い取れてると思う。
「そう思わない?」
耳元で囁いた。トゥルーデははあ? と聞き返してきたけど、答えは聞いてない。
そのまま耳を唇で柔らかくかみ、舌を這わせ、そのまま頬をなぞり、呼吸のテンポが変わってきた
トゥルーデの唇をいっただき〜。
舌を絡ませて、少しいやらしい音を立てて、唇の端から唾液がちょっとこぼれるけど、そんなのお構いなし。
どっちが長くしていられるか、勝負。
「え、エーリカ……」
私の、勝ち。トゥルーデ、目がとろんとしてきた。表情もどこかうつろで、腕は無意識に私を求めてる。
身体を重ねると、トゥルーデは私をぎゅっと抱きしめてくれる。少し力みすぎだよ。でもトゥルーデらしいや。
そこもまた好きなんだけどね。
こぼれた雫を舌で絡め取って、もう一度唇を重ねる。
もう一度、確かめたいんだ。私達、ホントに好きなのか。愛してるのかって。
実を言うと、ホントはいつでも、どこでも、何度でも確かめたいんだけど、さすがにそれしちゃうと
他のみんなにまずいかな〜なんて思ったりもする。だけど、たまにぐっと来るんだよね。
トゥルーデの姿見てると。
今なんか特に。最初は少し嫌がるそぶり見せても、結果的には私を全て受け入れてくれる。
そんなトゥルーデが、大好きで、ただひとりの愛しのひと。
指を絡ませる。指の隙間から指輪の感触が伝わる。私もしてるよ、同じのを。
二人の大事なしるしだから、大切にしてね。私も大事にするよ。
息が弾んで来たね、トゥルーデ。私もだよ。どきどきしてきた。
もっと、しよう。
もっと、いっぱい。
ずっと、していたい。わたしのトゥルーデ。
15名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 16:00:12 ID:DRlbqPG9
送信しちゃった
ペリーヌの優しさに俺が泣いた。あと髪下ろして花差したフランカ想像したらナンカドキドキシテコナイカ
16ether dance 02/02:2008/12/03(水) 16:00:42 ID:ElNxXM6R
「遅刻じゃないか!」
時計を気にしながらあたふたと服を探して着るトゥルーデを見て、私は苦笑いした。
「だって〜。トゥルーデあの後何度も何度も……私の方が引っ張り込まれちゃったよ」
「それはお前が!」
「ま、お互い様だね」
「……かもな」
あれ、否定しないんだ。珍しいねトゥルーデ。
「ほら、早くしろ。二人揃ってなんて、みっともない」
「大丈夫。私達一緒ならみんな何も言わないって」
「それが困るんだ」
あれ、いつもなら『カールスラント軍人たるもの〜』って説教するのに、しないんだ。
ちょっぴり顔赤いよトゥルーデ。
「どうしたエーリカ。にやけて。気味悪いぞ」
「ひっどいなあトゥルーデは。情緒ってものを知らないよねえ」
「遅刻に情緒もなにもあるか」
ぶつぶつと文句を言うトゥルーデ。服着るの早いね。私は……服、どこだっけ。
「何してる? 早く服を着ろ! はかんか!」
「どっかいっちゃった」
「なに〜? 部屋の隅にでも投げたんじゃないのか?」
「一緒に探してくれない?」
「……仕方ない」
ちょっと怒った顔もステキだよ、トゥルーデ。怒りながらも、ちゃんと私をみていてくれる。
心配してくれる。一緒の時間が少しでも多ければ、って思ったり。
部屋を探してるうちに、ベッドの隙間に差し込んだ手が当たった。思わず握りしめた。
「それは私の手だ」
「知ってるよ」
我慢できずに、トゥルーデにまたキスする。もっと怒るかと思ったけど、最後まで付き合ってくれて、
「まったく……」
と一言だけで済ますのも、昔のトゥルーデじゃないよね。可愛いな、いとしのひと。
私はトゥルーデに身体を預けた。咄嗟の事なのに、しっかり受け止めてくれる。
大丈夫、戦いの時は、私が背中を護るよ。仲間は絶対におとさせない。
特に、トゥルーデはね。
「服、これじゃないか?」
「そうそう、それ」
「なんでこんな隙間に押し込んでるんだ」
「覚えてない」
「とにかく行くぞ。これじゃあ皆に示しがつかん」
「こんなのでも?」
私はトゥルーデの首筋につけたキスマークを鏡越しに見せた。かあっと顔を真っ赤にするトゥルーデ。
「私にもついてるよ? つけたのだ〜れかな〜」
「……」
斜め下を見て小さく何か言ってる。照れる仕草もステキ。
上着を着ると、私はトゥルーデの頬に軽くキスをした。
「?!」
「気合の入るおまじない、なんてね。行こ」
「ああ」
私達は部屋を出ると、ミーティングルームへと急いだ。
トゥルーデは早足で、私の先を常に走ってる。私は彼女の背中ばかり見えてる。
そう言えば、指輪をしてから少し変わった事もあるけど、変わらないことも多い。
でも、それで良いんだ。
トゥルーデと一緒なら。何処へでも。

end

----

ホントに急いで埋め用に仕上げたんで、前の「ring」と同じくかなり荒削りですけど
雰囲気だけでも味わっていただければ幸いです……。
次は後日談その2を投下しますのでその時はまたよろしくお願いします。
ではスレ汚し失礼しました。
17名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 16:22:21 ID:elJLR89H
>>16
GJ
エイラーニャ萌えだったけどゲーリカにも目覚めてきました
18名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 16:31:25 ID:Mmz6X7m9
前スレ埋めネタってレベルじゃない
続き待ってます
 
エーゲルの続き来たー
この二人は良いなぁ
後日談楽しみにしてます
19名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 17:27:54 ID:LnTmZWjP
エーゲル良い!
是非他のキャラの後日談も・・・
続き待ってます
20続・本音と建前・第三話1/4 j4ntaz3y:2008/12/03(水) 18:23:02 ID:mYwniyO+
>>1乙!
エーゲルの流れなので乗っかって前スレ>>350だったかのゲーリカのつづき投下します
前スレ>>448さんとか>>450さんとかがいいネタをくれたのでぱくってみた。けどあんまりエイラニャできなかったので
きっと他のひとがもっとちゃんとしたの書いてくれると信じています


 ミーティングルームにて、バルクホルンは朝刊をななめ読みしていた。とはいえ時刻はとっくに夕餉もすんだころで、
今朝のうちになんとなく読みはぐれていたものにいまさら目をとおしているにすぎなかった。ひとりでソファに身を沈め、
目前に独特の手ざわりの紙をおおきくひろげていた。ふと、気配がする。ふたりほどの人間がバルクホルンがただ
ひとりしかいなかった部屋にはいってきた。ぱたぱたと気のぬけた足音、エイラとサーニャだ。彼女たちは先客の存在
には早々に気づいていたが、特に気にもせずにバルクホルンとむかいあう形になるところのソファに腰かける。が、
先客は気にした。新聞のわきから見えたふたりのようす、どちらかが手にもっているのは楽譜に思われた。それから
ちらりと黒いグランドピアノをながし見る。

(お邪魔か)

 たまには気のきくバルクホルンは、ばさりと新聞をとじてたちあがることにした。

「シャーリー」

 が、唐突に頭上から響いた声に反射的にソファに腰をおちつけなおす。それからまるでページをめくるつもりだった
ような風情で新聞をひろげなおした。ミーティングルームからのびる立派な階段、そこにつづく上方の通路にもまた、
ふたつの人間の気配があらわれていた。

「あ、シャーリーとハルトマン中尉だ」

 エイラの何気ないひと言に耳をふさぎたくなった。余計なことを言わなくていい。バルクホルンはすわっている位置の
関係で、首を思いきりひねらないと声のしたほうこうを見ることができなかった、しかしそんなことをしなくてもいったい
だれとだれがそこにいるのかなんて簡単に予測がついていたのだ。そう、彼女がエーリカの声をききまちがえること
などありはしないし、言ったこともききのがすことなどないのである。むかしには意識したこともなかったが、自分は
どうやらやつからの情報はとりもらさぬようにと必死なのだ、とバルクホルンはいまになって自覚していた。ところが、
それでも真意を汲みとれないことのほうが多いわけだがその点についてはまったく気づいていない。

「最近なかいいよな、あのふたり」

 エイラがぼそぼそとサーニャに話しかける。新聞紙のむこうでサーニャは無反応にきこえるけれど、大方こくこくと
頷いているのだろう。なあ、とエイラが機嫌のよさそうな返事をした。でも、あんまりちかづきたくない組み合わせだよな、
どっちもいい性格してるんだもん。エイラはさらにつづけたが、彼女自身もどちらかといえばそのいい性格に分類される
人柄であることに意外と気づいていない。それからもふたりはなにかしら会話をしていたが、バルクホルンはそれどころ
でなく一所懸命頭上の気配をさぐっていた。目のまえのアルファベットの羅列はもはや思考の妨害にしかならなかった、
しかしそれをとりはらえばむこうの二方に顔を見られてしまう。おそらくいま自分は、おそろしく必死な表情をしているのだ。

(だれから見ても、なかがいいのか)

 しかしふとエイラの台詞を思いだして、どきどきとふたりの声を盗みぎこうと試みていたのが急激にむなしくなっていく。
なんとかっこうのつかないくだらないことをしているのか。バルクホルンが自覚すると同時に、エーリカとシャーロットが
さっていく音がした。なかむつまじいエイラとサーニャのそれのように、気のぬけた足音が遠くへいく。ばかだ、私は。
バルクホルンは勝手に結論づけて今度こそたちあがろうとする。だけれどもまたエイラが、余計なことを言ってくれる
のだ。

「なんか、ハルトマン中尉って雰囲気かわったよな」

 ぎくりとするほかない。どうしてまだその名をだす必要があるというのか。またタイミングを逸したバルクホルンは、
おとなしく英文に目をすべらせる。しかしそれは字のとおりにすべらせるだけで、もう内容など頭にははいってこない。
21続・本音と建前・第三話2/4 j4ntaz3y:2008/12/03(水) 18:23:56 ID:mYwniyO+
「……髪が、すこしながくなったと思う」
「あ、やっぱ? わたしもちょっと思ってた」

 サーニャがきっぱりと言い、エイラも同意する。そしてバルクホルンはといえば、目を見開いていた。髪、髪だって。

「ずぼらはかわらないのに、それだけでずいぶんと女の子っぽくなるよな。上官のしかも年上にいう台詞じゃないけど、
かわいい顔立ちしてんのが際立つっていうか。なあ大尉」

 かさねてぎくりとしてしまう、しかも今度は動揺で肩がおおきくゆれてしまった。新聞がおおきくてよかった、おそらく
見えていないはずだ、そうでないと非常にはずかしい。

(なぜ私にふるんだ)

 バルクホルンはごほんと咳払いをして精神の乱れをごまかす。が、その拍子に新聞がまぬけにべろりとむこう側に
たおれてしまってあわててたてなおしていては意味がない。決まりが悪く、わざわざもう一度咳払いをしておいた。

「……ハルトマンはハルトマンだろう」
「髪のばしてんのかな」
「ふん、散髪を面倒くさがっているだけだろう、あいつのずぼらは底なしだからな」
「ふうん」

 なんとかそれだけの会話を形にすると、特に興味もなかったらしいエイラは最終的に適当な頷きをこぼしてから
またサーニャにむかいあう。それからまたふたりの会話が軌道にのっていまの話題がすっかりと流れてしまうまで、
バルクホルンは息をひそめていた。

(……全然気づかなかった)

 そして深く追求されなかったことにこころからほっとしつつも、バルクホルンは驚愕していた。確かに最近妙だと思って
いた、それがなにかはわからなかったが、ふたりが見事に答えをくれた。髪がのびて雰囲気がかわった、まったくその
とおりではないか。バルクホルンは近頃の自身の不整脈の原因に思いあたった。となりにたつエーリカをふと見おろした
ときの、いままではさっぱりと見えていた目元が髪にさえぎられてかくれて妙な空気を演出していたことや、突然うしろ
からとびつかれて首筋にからみついた柔らかな髪がいままで以上に心地よかったことや、そして、それから、……。

「……!」
「うわっ」

 ばさっ、とおおきな音をたて新聞をとじ、バルクホルンはあわてて腰をあげてあるきだす。唐突すぎたものだから
エイラもサーニャもぎょっとして、しかしバルクホルンにそんなことに気をまわしていられる余裕などない。危険だ、
危険すぎる。うわ言のようにつぶやいているのをききとめつつも、エイラとサーニャは突然の上官の乱心に驚きを
かくせないままふしぎとおぼつかない足取りの背中を見送る。

「……なんだあれ。へんなの、大尉のやつ」

 エイラは瞬きをしながら思わずつぶやき首をひねる。サーニャはといえば、そんな隣人のようすをちらりと見て自分
よりずいぶんとながい髪を観察して、それから先の彼女の台詞を思いだし自分の毛先を指でつまんでじっと見ていた。
が、とうのエイラはいまだぼけっとバルクホルンのさっていった方向を見ていたので、彼女のその意味深なしぐさにも
意図にも、まったく気づけないでいたのだった。
22続・本音と建前・第三話3/4 j4ntaz3y:2008/12/03(水) 18:24:58 ID:mYwniyO+
----------

 エーリカは自室にしゃがみこみ、散らかりきった床をにらみつけていた。最後に片づけをしたのはいつだったか。
思いだそうとしていやな気分になる。最近、バルクホルンはエーリカの部屋のそうじの手伝いをしようとしなかった。

「トゥルーデの役立たず」

 ぶう、とほほをふくらませて本音をつぶやいていると、こんこんと背後のドアにノックの音。ふりかえりもせずにあいて
ますよとだけ言うと、ドアは遠慮もなく勢いをつけてあけはなたれる。それにはさすがにぎょっとして、エーリカは首だけ
をひねって訪問者を見た。

「あいかわらず散らかり放題だな」
「トゥルーデが片づけてくれないから」
「なんでそうなるんだ」

 現れたバルクホルンはふんとえらそうに鼻をならして部屋を見わたす。なにしにきたんだろう。朝に起こしにくる以外
で彼女がエーリカの部屋へとやってくるのは、実はかなり久しいことだった。もしかして、とエーリカは思う。

「トゥルーデ、なにそれ」
「え、あ」

 彼女は、新聞を片手でにぎりつぶしていた。ああしまった、そんな顔をして、バルクホルンはしわになったそれを
のばす。まるで思わずもってきてしまったような風体で、確かこれは先程ミーティングルームで読みふけっていたもの
ではないか。わざとおおきめの声でシャーロットとじゃれて、密かにいっしょにうえのほうからバルクホルンを観察して
いたけれどついぞやつはこちらをふりむくことはなかった。むかつく、と言うとシャーロットにほどほどになと頭をぽんと
なでられ、それはつまりこちらでなかよくしすぎるとバルクホルンが本気で誤解をしてどこかへさっていってしまうぞと
いうことらしかった。言われなくてもエーリカはわかっていた、あれからだ、バルクホルンが部屋の片づけをしてくれなく
なったのは。シャーロットと、なかよしごっこをはじめたころからだった。

(でもほらね、やっとひっかかった)

 エーリカは内心うかれながら、新聞を丁寧にたたんでいるひとを見あげる。すると目があって、バルクホルンは一瞬
だけ眉をひそめて視線をそらす。それからふうと息をはき、腕をくんでその二の腕のうえでおちつきなくとんとんと指を
ならした。そしてしばらくだまってから、やっと重たい口を開く。

「最近、髪がのびたじゃないか」
「……」

 ぎょっとした、思わずたちあがってしまった。最近あまりバルクホルンにかまわなかったのにしびれをきらしてやって
きたと思ったのに、事態はそれ以上の好展開だった。なんてことだろう、この鈍さに定評のあるバルクホルンが、こんなに
早くに気づいてくれるなんて。エーリカは目をぱちぱちとさせて一度だけバルクホルンを見、それからどんな顔をしていい
のかわからなくて視線をふらふら動かしてから結局足元におとすことにおちついた。しまった、思ったよりもはずかしい。
エーリカはいまさら自分がとてもかわいらしい目標をたてていたのだと思い至る。でもそれはバルクホルンも同じだ、
そのはずだ。だって彼女だって、さっきからとても挙動不審じゃないか。
 エーリカははずかしげに唇をとがらせて、バルクホルンのことばをまった。おかしいな、トゥルーデばっかりがわたし
の見ちがえた姿に動揺するはずだったのに、どうしてわたしまでこんなにどきどきしているんだろう。すこしずつ顔が
あつくなっていくことに、エーリカ自身こそが動揺していた。バルクホルンはまだなにも言わない。思わずまちきれなくて、
ちらりと上目遣いで目前のかたくむすばれた唇を見た。が、つぎにそこからとびたしてきたのはあまりにも予想外の
台詞だった。

「こら、なにをもじもじしているんだ、気味が悪いな。そんなことをしても髪を切るのを面倒くさがっているのはごまかせ
ないぞ、まったくおまえはすぐにそうやってなんでもなまけて。いいか、カールスラント軍人たるもの身だしなみにだって
ちゃんと気を」

 つかわないと。バルクホルンはすっかりと説教モードにはいりくどくどとしゃべりたおしていたが、最後のほうは言い
きれなかった。なぜかといえば、エーリカの本気の蹴りが彼女のひだりの脛に直撃したからである。
23続・本音と建前・第三話4/4 j4ntaz3y:2008/12/03(水) 18:25:35 ID:mYwniyO+
「……!」

 声もでないほどの激痛に思わずしゃがみこむ。がつ、と、いま洒落にならない音がたたなかったか。バルクホルンは
唇をぱくぱくと動かして、それからやっと先程とは真逆のたち位置になったエーリカを見あげ、なにをするんだと思いきり
どなりつけようと思った。だけれどそれよりも、あまりにつめたい視線に見おろされていると気づきぎょっとする。

「な」
「ああそうですかわかりました。もういいです、じゃあシャーリーに切ってもらうんで」

 バルクホルンは目を白黒させる。なぜ暴力をふるわれたこちらがにらみつけられているのだ。しかも、でてきたなまえ
のなんと不穏なことか。ふん、と鼻をならしてエーリカはいまだしゃがみこんでうめいている人物のとなりをすりぬけていく。

「おい、ハルトマン」
「つーん」
「つ、つーんって、おい、ちょっとま」

 ばたん。バルクホルンのすがる台詞をさえぎるように、わざとらしいほどにおおきな音をたて自室のドアをしめる。
それから宣言どおりに、エーリカはシャーロットの部屋へとむかった。

(ばかじゃないの)

 そうだ、大ばかにきまっている。だってほら、追いかけてもこないのだ。エーリカは眉をよせて、まぬけな期待をして
いた自分を叱責する。あのバルクホルンからほしいことばがもらえたことなんて、いままでありはしなかったじゃないか。
だからこんなことはなんということのないいつものことなのに、だって、あんなふうにタイミングよく思わせぶりな顔をする
のが悪いのだ。期待は禁物だとなんども言いきかせてきたのに、繰り返しくりかえしおしいところまで舞いあがらせる
から、だからこんなに。
 泣きそうだと思う、だけれど絶対に泣いてなどやらない。エーリカはかたくこころにきめて、だからぐずと鼻がなって
しまったのは、決してだれにもきかれてはいけないものなのだった。


つづく

最近はゲルトのことをマダオ(まるでだめなおねえちゃん)と呼んでいます
24名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 19:04:50 ID:LnTmZWjP
            /´ ̄ ̄ ̄`ヽ
           /          \
          |`     |\   |  |
          ) /\ /  !/ /)\
          【/V  V  <L/ヽゝ)I  
           { $  〓   〓 \|   
           v/          |
          <I\   I ̄ ̄ )   )/|
           〕ч\   ̄ ̄  ノ川 ̄
          / ||   ̄| ̄/ ̄ ̄  ミミ
          (  a | ̄く ̄  ̄ ̄ノ ミミ
              \ノl\  У    ミ
            /   ^\/  |
           / ノ|   |   〕\
         / /  |   <    ノ \
        / ノ    /    /    \  \
         ̄    |    |    |\ |
             |    |    |   ̄
              〕    |     〕ヽ
            /|   /\    |ノ
            / /    > - -<   |
           ⌒/   /   \   |
             ̄| ̄|ヾ  |\ノ
              |  /    | |
              | /     | |
              |ノ      \/
だめだめのお姉ちゃん見るとどうしてもこのAAを思い出すw
とにかくGJ毎回続きが気になってしょうがないです
続き期待してます
25名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 19:07:34 ID:Mmz6X7m9
本音と建前の続きキター!にぶさに定評がバルクホルン
続き楽しみです
26名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 19:11:25 ID:0o4qxs2g
なんという健気エーリカ
27名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 20:03:05 ID:LWBXSHlx
新スレに入った途端にまた素敵な作品の嵐
いやあやっぱりこのスレたまらんです

ということで投下
28名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 20:04:10 ID:LWBXSHlx
紺碧の空、焼け付く陽
今日は素敵な海日和


今日は宮藤さんとリネットさんの海上訓練ということで、隊のみんなで海に行くことになっている
私は迷っていた

私の手元には水着がふたつ

「サーニャちゃんは肌が綺麗で、刺激に弱いでしょう?こういう水着がいいと思うの、乙女の白肌柔肌は大事にするものよ?」
というミーナ中佐のアドバイスで購入した露出度の低い水着と
「こんだけ可愛い水着なら『あのコ』もイチコロだぜ?この色ならサーニャに似合うと思うんだけど、どうかな?」
というシャーリーさんのアドバイスで購入した、露出度の高い水着だ

暗く閉め切った部屋のカーテンを少しめくり開けるだけで、目に伝わる強烈な刺激
おそらく今日の日光は凄まじい威力をもって私の肌を焼き尽くすだろう、考えるだけで恐ろしい
しかし、頭の中で反芻されるシャーリーさんの言葉「あのコもイチコロ」
私はさらに考え、迷う

「サーニャぁ、まだ決まんないのかヨ〜。もうみんな行っちゃったぞぅ」

聞こえてくるのは、私の着替えを部屋の外で待ってくれている『あのコ』の声
私はシャーリーさんの言葉を信じて、露出度の高い黒の水着を手に取った
29名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 20:05:18 ID:LWBXSHlx
着替えが終わり、ドアノブに手をかけた所で、沸き上がる思考はピンク色

『サ、サーニャぁ〜・・・そ、そんな恰好されたら・・・わたし・・・わたし・・海どころじゃないんだナ!』ガバッ
『いや・・・エイラったらもう・・わたしたちだけはお部屋の中で真夏の海水浴だね・・んちゅっ・・・・んっ・・』

・・・いや、いやいや無い、これは無い『あのコ』に限ってこれは無い
纏わり付いた桃色の妄想を、頭をふるふると振って振り払いドアを開ける

「もう、遅かったじゃないカー!早く行くゾー!」

そう言うと『あのコ』はわたしの手を取り、引っ張って行く

わたしの姿を見て頬を赤らめたり、言葉を詰まらせたり・・・そういうわたしの望んだ反応は見られなかった
いちおう『あのコ』に初めて見せるおろしたての水着なのだから、そこに言及してくれてもいいと思うのだが
『あのコ』はわたしの手を引きながら水着とはとんと関係ないことを喋り立てている

少しふてくされたわたしは、話をほとんど聞かずに、二つ返事をしていた
太陽に痛めつけられるわたしの肌を見れば『あのコ』もわたしを気にかけてくれるだろうなどと考えていた
30名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 20:06:31 ID:LWBXSHlx
灼けつく砂浜に響くのは
穏やかな波音
ぶつかり弾ける水音
乙女達の歓声


北欧生まれで、海を楽しむということがないわたしたち以外は皆、生き生きと海を味わっていた

わたしたちはずっと、砂浜に座りそんな様子を眺めていた
容赦なく降り注ぐ光線はわたしの肌を容赦なく痛めつける
となりの『あのコ』はわたしの気持ちなど、つゆ知らずの様子だ

「・・・肌がヒリヒリする・・」

ぼやいてみる

「・・・腹減ったナ・・・」

彼女もぼやいた

「・・・・・・・・・・・・」

流れるのは沈黙と波の音だけになった

ここまで訴えても、彼女は応えてくれない
本当に哀しくなってきて、つい涙ぐんでしまい、『あのコ』に見られないよう、「眠い」とぼやいて膝に顔を埋めた
31名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 20:08:37 ID:LWBXSHlx
それからわたしは、ひそかに持って来ていた日焼け止めクリームをわざとらしく取り出してみたり
幾度となく肌が太陽に傷付けられていることをぼやいてみたが
彼女から返ってくるのはたわいの無いぼやきのみであった

この際、海に飛び込んで溺れたフリでもしてやろうかとでも思っていた、その時

ゆっくり流れていた時間を砕く非常サイレンの音、突如慌ただしくなる部隊の皆
これはもしかして、いやもしかしなくともだ

「敵襲のサイレン!ネウロイだサーニャ!!行くゾ!」

彼女は茫然とするわたしを置いて走り出した

失われた今日というチャンス
わたしの肌を痛めての決死のアピールは無駄骨と終わった

夏の日の晴れ、なのにわたしの顔を、塩辛い雨粒が流れ落ちた
32名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 20:09:54 ID:LWBXSHlx
その後現れたネウロイは、音速を越えたシャーリーさんに文字通り「貫かれた」らしい
わたし自ら、憎しみのフリーガーハマーをあらん限り叩き込んでやりたくて、ミーナ中佐に出撃許可を求めたが
「今のサーニャちゃんは、戦闘に出撃させるわけにはいかないわ」と言われた
自分の精神状態を見事に見抜かれていたようだった

流石ミーナ隊長は、皆の心を見る目が備わっているようだった・・・誰かさんと、違って


わたしは涙をごまかすため、体全体に染みわたる痛みを我慢しながら強く目をつむって湯舟にもぐる
わたし以外にこの浴場には、誰もいないのに

わたしはいつもより熱く、体を刺すようなお湯の中で

いつもより強く、彼女を、『あのコ』を、エイラ・イルマタル・ユーティライネンを想った
33名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 20:12:11 ID:LWBXSHlx
前スレ>>554様とスレ住人様の素敵なネタのおかげでようやく書けました、感謝感激あめあられ
やっぱり同じようなシチュ考える人っているもんなんですねえ、面白いなあ

この話はキャラ崩壊気味な誘い受けサーニャ視点で書いた、サーニャ→鈍感エイラみたいな話になりましたが
エイラ視点で書いてみたりするのも面白いんじゃあないかなと思います、あのシチュはホントに素敵です

何気ないワンシーンが十にも二十にもなるスレ住人の想像力って素敵!!

スレ汚し失礼しました、それでは皆様おやすみなさいませ、よい夢を
34名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 20:32:23 ID:yUynNuF/
>>24
おかしいないつの間に俺はこのAAを貼ったんだろう
蹴りだけで済んだ事にお姉ちゃんは感謝すべきだw

>>32
ませてるサーニャかわいいよサーニャ
35名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 20:33:56 ID:LnTmZWjP
>>33
GJGJ!
エイラにぶちんダナァ
>それでは皆様おやすみなさいませ、よい夢を
えらい早いな・・
おやすみ
36滝川浜田:2008/12/03(水) 20:45:45 ID:e3Gwj0IT
みなさんこんばんは、
そして今更だけど>>1乙です。

今日は前スレ>>486の続きを投下します。
暗めのエーゲルです。
37滝川浜田 『壊れた瞳』:2008/12/03(水) 20:48:22 ID:e3Gwj0IT



「ごめん…あたしはあんたの気持ちを受け入れられない」

…分かっていた。

分かっていたはずなのに、私は言ってしまった。

バカみたいだ。
勝手に押し倒して勝手に振られた。

「―――すまん―――」

私はリベリアンにこんな陳腐な言葉しかかける事が出来なかった。


――私はもう、戻れない。


――壊れた瞳――


外をふと見れば憎らしいほどの青空。
この青空は今の私にとっては、あまりにも眩しすぎる。
直視出来ない。

私はあまりにも汚れすぎた。

何故あの時リベリアンを押し倒してしまったんだろう。

楽しそうにルッキーニの話をするリベリアンが憎くなったのかも知れない。

私は嫉妬心に操られてしまった。

いくら弾みとは言え、私はやってはいけない事をしてしまった。

……これからリベリアンとどう接すれば良いのか。
考えても……分からなくなってしまった。


「トゥルーデ」

床に座り込んだまま、黄昏る私の背後から聞き慣れた声。


38滝川浜田 『壊れた瞳』:2008/12/03(水) 20:51:43 ID:e3Gwj0IT
「…エー…リカ」
「なんかボロボロだね。そんなにシャーリーの事が好きだったんだ」
「…見てたのか」
「うん、一部始終、しっかり見させていただきました」
「……なんだ、私を笑いに来たのか?
…笑いたかったら勝手に笑え。
……私はとんだ道化だ……」
「道化…か」
「私はつまらない女だな…自分の欲望をリベリアンにぶつけてしまった。
リベリアンに好きな人がいると知りながら…」
「トゥルーデ、涙拭いて」

エーリカは私にハンカチを差し出す。
この優しさが今の私にとっては、痛い。

「ああ、すまんな」

エーリカは私の傍に座る。

「トゥルーデ」
「……エーリカ。
お前は私と一緒といない方がいい。私の汚さがお前にまで…」
「トゥルーデ、私トゥルーデが汚いとか思った事は無いよ。
今日だってシャーリーが好きだから、その本能に従ったんでしょ?」
「…なんだ、フォローか?
…悪いが、それは余計辛いだけだ。…やめてくれないか」
「フォローじゃないよ。これは私の本心。想いを伝えられるって凄いよ」

エーリカは途端に真剣な顔になって。

「想いを伝えたくても言えない人もいるのに、さ」


知っていた。エーリカは私の事が好きだと。

知っていたのに、私は気付かないフリをしていた。

どうしてだろう。
エーリカが自分に想いを寄せている事を認めたくなかったのかも知れない。

いや、それだけじゃない。
39滝川浜田 『壊れた瞳』:2008/12/03(水) 20:56:37 ID:e3Gwj0IT
「…言えば良いじゃないか」
「…簡単な事じゃないよ。
それはトゥルーデも分かってるクセに」

似ていたから、かも知れない。
こんな愚かな私と。
私はエーリカに自分を見るみたいで、自然と目を背けていたのかも知れない。

「そう、だな」
「…ねぇトゥルーデ、知ってる?」
「何がだ」
「ミーナってトゥルーデの事が好きなんだって」

それも分かっていた。
ミーナの私を見る目が最近熱を帯びていたのには、気付いていた。
…だがミーナは坂本少佐に想いを寄せられている。

「……爛れているな、私達」
「恋愛ってのは大体爛れてるもんだよ」
「やけに達観した意見だな、全く」
「カッコよく言うなら“愛欲のスパイラル”かな」
「…バカか…」

エーリカは私に更に寄ってきた。

「でもトゥルーデ。私も汚れてるのかも知れないよ」
「エーリカ」
「今のトゥルーデなら…私を受け入れてくれるかなって、思っちゃったんだ」
「……もう既に汚れていたんだな、お前も」
「みんな汚れちゃってるよ、私達」
40滝川浜田 『壊れた瞳』:2008/12/03(水) 21:00:34 ID:e3Gwj0IT
「さてと」
「何処行くの?」
「今日はもう疲れたからな。少し寝てくる」
「そう。おやすみ」
「ああ、おやすみ」
「あ、トゥルーデ」
「なんだ。まだ何かあるのか?」
「……いや、なんでもない」
「…そうか」
「じゃあ、ゆっくり寝てきて」
「ああ、ありがとう」

私は食堂を離れて、廊下を歩く。
私の前からはミーナが歩いて来た。

ミーナの瞳には、悲しみが宿っているように見えた。

「ミーナ」
「あら、トゥルーデ」
「…私達は、もう汚れきっているな」
「…何の事かしら」
「……いや、なんでもない」
「…そう」


私はミーナの傍を足早に立ち去る。
すると、背後から何かを呟く声が聞こえた。

「―――――」

ミーナが何か呟いたみたいだったが、私は聞こえないフリをした。

何を言ったかは分からないが、今の私にはそれを知る勇気は無い。

だが、そんな私にも分かる事が一つある。
それは、たった一つ。

私達はもう、戻れない。

END



以上です。
次回はミーナ視点です。
まったく新スレだと言うのにこんな暗い話で申し訳ない。
もっと明るいヤツ持ってくりゃ良かったと絶賛後悔中。

そして最後にみんなGJ!!

…というワケで爺はお風呂に入ってきます…

41名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 21:23:18 ID:LnTmZWjP
じっちゃん乙!
暗い!けどそれが良い
次はミーナさん視点か
期待してます
42名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 21:43:12 ID:NfLqd+jR
リーネイラ続き
とりあえずリーネちゃんスオムス滞在一日目の夜の話
前スレで出てたネタもちょっと借りてる


もううんざりだった。
私の不甲斐なさに誰かが傷つくのも、あらぬ期待を抱いて自分が傷つくのも。
結局失うのなら、最初から持たなければいい。
だから、これからは人と必要以上に親しくするのはやめようって、そう決めたんだ。
それなのに――
「エイラさん」
それなのにリーネが隣にいるだけで、どうしようもなく嬉しいんだ。
かたく閉ざしたはずの私の心奥を、リーネはいともたやすく開けてしまった。
ダメだダメだと自分に言い聞かせても、リーネへの思いはとめどなく溢れてくる。
あの日、別れの際に見たリーネの笑顔を思い出さない日はない。
ニパに言われるまで自覚してなかったけど、リーネからの手紙を待ち遠しいと思わない日はない。
リーネの存在に触れるたびに、凍てついた心が解けていくのを感じる。
なんで私なんかにここまでしてくれるのか。
最初はたぶん、ただぽっかりと空いた穴を埋めるためだった。
お互い失ったものが大きすぎて、あのまま一人でいたら壊れてしまっただろう。
だから私達は孤独を紛らすために自然と寄り添った。
けどあのときはまだ今のような感情は抱いてなかったように思う。
じゃあいつから私は、私はリーネに――
「エイラさん、聞いてますか?」
「ああ、悪い。ナンダッテ?」
「だから、そろそろ寝ませんかって」
そういえばリーネはさっきから何度も欠伸を噛み殺している。
いつもはもっと遅くまで起きてるんだけど、リーネは長旅で疲れてるし今日はもう寝るとするか。
リーネが来るなんて聞いてなかったから、もちろん部屋など用意されていない。
なのでニパには、リーネが滞在している間は別のところで寝てもらうことにした。
「ニパさん、でしたっけ……本当によかったんですか?出ていってもらって」
「いいっていいって。今度飯でも奢ってそれでチャラダヨ」
それよりも去り際のいやらしい笑顔の方が気にかかる。
43名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 21:44:15 ID:NfLqd+jR
私は自分のベッドで、リーネは床に敷いた布団で。
ニパのベッドを使うよう勧めたのに、申し訳ないから床で寝ると言って聞かなかったのだ。
灯りを消して床につくも、リーネがすぐ近くにいるというだけで気分が高揚して、寝れそうにない。
暇を持て余しかけていると震えた声でリーネが話しかけてきた。
「エイラさん……聞いてはいたけどスオムスの夜ってこんなに冷えるんですね」
ネグリジェ一枚で寒いと感じない方が不思議だ。
「もうちょっと厚い服はないのカヨ」
「寝巻きは薄いのしか持ってきてなくて……」
スオムスを舐めてるとしか思えない。
来たときはモコモコした、見るからに暖かそうな服を着てたのに、なんで寝巻きは薄着しか持ってきてないんだ。
まあドジなとこも、501入隊当初から全く変わっていなくてリーネらしいけど。
「エイラさん、そっちに行ったらだめですか……?」
なんか今、凄い台詞を聞いた気がするけど、聞き間違いだろうか。
「……なんだって?」
「だから……さ、寒いから一緒に寝てほしいんですけど……だ、だめですか?」
聞き間違いじゃなかったようだ。
しかし年頃の女子が二人、同じベッドで寝るなんて、そんなはしたないことしていいのかな。
実際はそんなことを考えてたのは一瞬で、リーネが本当に寒そうにしている姿を見た瞬間、口が勝手に動いていた。
「ったくぅ……今日ダケダカンナー」
暗くてよく見えなかったけど、リーネの顔がパアッと輝いたような気がした。
「それじゃあおじゃましまーす……」
そろそろとリーネが私のベッドにもぐりこんできて、それに伴って私の鼓動が速くなる。
リーネの顔が下からもぞもぞと出てきて至近距離で見つめあう。
なんでかリーネは楽しそうに微笑んでいる――と思ったら突然私の、そこまで大きくない胸に顔をうずめてきた。
「オ、オイ、何すんダヨ」
「エイラさん暖かくて、優しくて、落ち着きます……」
それは違う。
優しいのは私じゃなくてリーネの方だし、あれから何度リーネに助けられたかわからない。
もしあのときリーネから連絡先をもらってなければ、私は今頃生き甲斐もやる気もないまま、無為に毎日を過ごしていたと思う。
リーネには本当に感謝してる。
それこそどれだけ言葉をつくしても語りつくせないほど。
だからここで少しでも「ありがとう」って言っておこうと思ったんだけど、
「なあリーネ、あり――」
穏やかな寝息が聞こえてきて途中で言いとどまる。
もう寝てしまったようだ。
一人息巻いてた自分がバカみたいで、私も寝ようと寝返りをうとうしたら、リーネに服をつかまれていることに気付く。
強く握られたそれは離せそうにない。
「しょうがねえナァ……」
リーネの寝息を子守唄に、私もやがて深い眠りについた。


一日目終り
44名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 21:51:02 ID:Mmz6X7m9
ここまでリーネイラが良いものだとは思わなかった
GJすぎて踊りそう
45名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 21:52:12 ID:fLaXTGP+
もうPart12か、早いなあ……。
SS職人様達もGJです。

で、mixi見てたらニヤリとしたニュースがあったので紹介

・<調査結果>「行きずりの情事」フィンランドが最多、台湾が最も保守的―英誌
2008年11月30日、米ブラッドリー大学が行った性に関する実態調査によると、
世界で最も「行きずりの情事」を楽しんでいるのはフィンランド人であることが分かった。

……アホネンみたいなのもあながち国民性として嘘じゃないんだろうかw
46名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 21:53:56 ID:7yAgszem
ちょっと離れただけでもう読み切れないほどのSSが投下されるという喜び
よし、風呂入ってからゆっくり読むぞ!
47名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 22:14:54 ID:h/1KbM9v
改めてこんばんは。mxTTnzhmでございます。
前スレ>>463-469「ring」の後日談的なもの、その2です。
「ring」と>>14>>16「ether dance」は焦って書いたせいで、
後で直したい部分が多数出てしまいました。
もう直せませんけど……orz
“拙攻”はよくないとの典型ですね。今後気を付けたい所存です。
と言いつつ早速投下と言う愚行に出る訳ですが。

では、改めて。タイトルは「cue」です。
48cue 01/04:2008/12/03(水) 22:16:12 ID:h/1KbM9v
「相談事?」
執務室に現れたトゥルーデを見て、ミーナと美緒は驚いた。
生真面目で隊の中でも優等生、実の妹の事以外は悩みとは無縁の筈の、完璧主義者。
そんな彼女が今、年相応の少女らしき、微かに恥ずかしげな表情をして、もじもじと目の前に立っている。
二人は何処か具合でも悪いのかと心配し顔を見合わせたが、とりあえず話を聞く事にした。
ミーナは椅子に腰掛け机に両肘を乗せ手を組み、美緒はミーナの横に立ったまま片手を机に付いて、
トゥルーデからの相談を待った。
が、いつまで経っても、当の本人から全く言葉が出てこない。
「どうした。何が有った?」
美緒はあくまでも優しい口調で、トゥルーデから言葉を引き出そうと努力した。
「私達にも言えない事?」
ミーナも微笑みつつ、顔を傾げる。
「大丈夫だ、私達はこう見えても口が堅いんだ。安心しろ、バルクホルン」
「そ、それ……それなんだ」
「?」
「『それ』? 何の事かしら?」
「私……いや、私達の名前の事なんだ。姓名」
「……?」
「ほら、この前の全隊休暇の時……その」
「ああ」
「そう言う事ね」
美緒とミーナは顔を見合わせると苦笑した。
「一応、けっけっ結婚するとなると、姓名はどうするんだとか、呼び方は、とか、色々考えてしまって……」
上を向いたり横を見たり床を見つめたりしながら、顔を赤くするトゥルーデ。
「ハルトマンは何と言っているんだ?」
「『今まで通りで良いんじゃないか』って。そんな呑気な……」
「そうねえ」
ミーナは本国の法律を思い出しながら言った。
「まあ、これは男女が結婚する場合の事だけど……私達カールスラントでは、結婚後の名字は、
相手の名字、ダブルネーム、旧姓のまま、の三種類から選ぶのよね。ダブルネームの場合は
自分と相手の姓のどちらを先にするかって事も決めないといけないけど」
「なるほど。我が扶桑では……これも男女が結婚する場合だが……一般的には男の方に姓を合わせる。
勿論『婿入り』や『養子縁組』など例外も結構有るがな」
「婚姻届を出した合衆国ではどうだったかしら。……美緒、知ってる?」
「流石に、私もリベリオンの結婚に関する法律は分からんなあ。……当事者のシャーリーを呼ぶか?」
「えええ!? いや、それは……」
「呼んだ?」
「うわ!? な、なぜ貴様がここに!?」
一同の前にひょっこり現れたシャーリーは数枚の書類を顔の前ではためかせた。
「これこれ。始末書提出しに来たんだけど。ルッキーニといじっててまたストライカー壊しちゃ……
いや、不調になったから一応さ」
「こんな時に壊すな! 書類は預かるからとっとと出てけ!」
「あれ、いいのかな? あたしの国の法律聞きたいんじゃないの?」
「なっ! 貴様いつから聞いていた!?」
「堅物が口ごもってる所辺りからかなあ?」
「◎※◇←#△☆%Я!!!!!!!」
「ま、待てバルクホルン、落ち着け」
わめきながら飛び掛かろうとしたトゥルーデの肩を素早く押さえつける美緒。
49cue 02/04:2008/12/03(水) 22:17:52 ID:h/1KbM9v
「ちょうど良かったわシャーリーさん。聞いていたなら話は早いわ。
貴方の国ではどうするか聞かせて貰えないかしら?」
「了解」
じたばたと美緒の腕の中でもがくトゥルーデをよそに、シャーリーは、ええっと、と上を向きながら言葉を選んだ。
「確かあたしの国だと、三種類あって……例えばそこの堅物を例に取るとリベリオンでもカールスラントでも旧姓、
リベリオンでは外国姓でカールスラントでは旧姓のまま、あとはどっちでも外国姓……だったかな」
「微妙に……解りにくいわね」
自らのこめかみを人差し指で押さえるミーナ。
「まあ、多分その辺はカールスラントと似たようなもんだと思いますよ中佐。
あと州によって違った様な気もするけど……忘れた」
「なんだそれは! 答えになってないじゃないか!」
「いいじゃん、好きなの名乗れば」
激怒するトゥルーデを見、頭の後ろで腕を組んでにやけるシャーリー。
「一応は合衆国での婚姻になるから、姓についてはそちらで決めるしかないわね。
目下の実務的な問題としては、このままの方が色々と便利だから良いのだけど……」
ミーナはあくまで実務的な面での希望を述べる。
「そ、そう、か。……なら、このままで行く。悪かった、変な事聞いて」
「いや、この前はいきなりだったからな。解らないと言うのも無理はないさ」
かしこまるトゥルーデをなだめる美緒。
「しっかし、そんなに悩むかね〜。好きにすりゃいいじゃん。好き者同士なんだからさ」
「きっ貴様!」
「それじゃ、あたしはこれで。書類宜しく中佐」
書類を預けると、シャーリーはひゅ〜と口笛を吹きながら執務室から出ていった。
これから食堂やら風呂場やらロビーやらで、他の奴等に好き勝手言いふらす気だ
と直感したトゥルーデは後を追うべく走り出した。
「待てぇリベリアン!」
「まあ待てバルクホルン。落ち着け」
がしっと肩を掴む美緒。
「し、少佐……」
「別に良いじゃないか、勝手に言わせておけ。これはお前達自身が決める事だ。
分からなければ、ゆっくり時間を掛けて決めるが良いさ」
「そうね。送付した書類が向こうに届くのもまだまだ先だし、確か後で変更も可能な筈よ」
「……」
「ゆっくり、じっくり話し合え。それで結論を出せ。良いな?」
「了解。……すまない、ヘンな事を聞いてしまって」
「何処までも真面目な子なのね、トゥルーデ」
ミーナはくすっと笑った。
「まあ、そこに当の本人が居るから、後はお前らで話し合いを持ってくれ」
「!?」
振り向けばそこにエーリカが。
「わざわざ相談しに来たんだって〜?」
ニヤニヤとトゥルーデを眺めている。
「あのお喋りめ……っ!」
「さ、話し合お、話し合お♪ じゃ、ウチのヨメがお邪魔しました〜♪」
「ヨメ!? ヨメってどう言う事だ!? おい! ちょっ……」
エーリカに引っ張られるまま、トゥルーデはずるずると執務室から退場した。
突然静寂が戻る執務室。
ミーナと美緒は視線を合わせた。二人同時に苦笑する。
「まったく……」
「さて、私達はどうする? 美緒」
「そうだな、私はミーナの好きな様にしてくれて構わんが……ってまだ何もしてないぞ?」
ミーナにつられて一瞬真面目に答えてしまう美緒。ミーナはくすくすと笑った。
50cue 03/04:2008/12/03(水) 22:19:06 ID:h/1KbM9v
トゥルーデの自室に二人は居た。
エーリカの部屋は周知の通り「がらくた置き場」と化しており、最近は頻繁に……
かなりの率で……いやほぼ毎日……トゥルーデの部屋でふたり一緒に寝起きしていた。
隊半ば公認、いや黙認の“夫婦状態”である。
ふたりはベッドをソファー代わりに腰掛け、「話し合い」の場を持った。
「カールスラント式でいいじゃん」
「そうは言うがな、エーリカ。そうなると、具体的にどうするかとか、色々……」
ごにょごにょと口ごもる姿をみて、エーリカは少々呆れ顔を作った。
「何よトゥルーデ。この前は『結婚式ごっこ』だーとか言っといて、しっかりその気じゃん」
「それは、その。お前が……」
「たまには給料もばーんと使ってみるもんだね」
トゥルーデの手を取り、左の薬指に輝くエンゲージリングを彼女自身に見せつける。
「な、なにを」
「ちゃんと、いつも肌身離さずつけてくれてるんだね。嬉しい。私も、ほら」
エーリカも笑顔で自分の左手をグーパーしてみせる。薬指にお揃いの指輪が光る。
「で、無事書類が受理されて結婚したら、今度はマリッジリング付けるんだよ? ワクワクするよね?」
「……」
「しないの?」
「いや、その……」
エーリカに唇を奪われる。そのままベッドに押し倒される。
唇が離れ、トゥルーデは顔をそむけ、恥ずかしそうに、
「……する」
とだけ言った。
「だよねえ。ワクワクするよね」
「でも、ネウロイとの戦いの時は、外すぞ」
「どうして?」
「大事なものだからだ。もし戦いの時に無くしたり壊したり、傷付けたりしたら駄目だろう」
「大事なもの、ねえ」
エーリカはにやけた。
「か、勘違いするな?」
「じゃあ私も戦闘の時は外すよ。結構高かったんだよね〜これ」
「金銭面の問題なのか……」
「短絡的に取らないでよ。私にだって、とっても大事なんだから。トゥルーデと二人だけの……わかるでしょ?」
「ああ……すまない」
トゥルーデは謝罪も込めて、エーリカを優しく抱いた。
エーリカはトゥルーデの耳元で、囁いた。
「マリッジリングはどう言うのがいいかな? シンプルなのにする?
それとも豪華な宝石散りばめたのが良い?」
「私はそう言うの疎いからな……エーリカに任せる」
「つまんないな〜。何か希望とか好みとか無いの? せめて色だけでも良いから」
うーむと首をひねるトゥルーデ。しばしの沈思の後、シンプルなシルバーなどどうだろうと提案するも、
「ちょっと地味だね」
と速攻で駄目出しを喰らう。
「聞いておいてそれか? 私なりに必死に考えたんだぞ?」
「いやートゥルーデってばお洒落っ気ないの忘れてたわ」
「エーリカ、お前って奴は……」
「まあ、マリッジリングについてはおいおい考えようよ。まだ時間あるし。
そうだ、みんなに聞いてみようか? どんなのが良いかなって」
「聞いてどうする? ろくな答えなんて返って来る筈もないぞ? ……まさか」
「?」
「皆の反応を見て楽しむつもりだな?」
「トゥルーデ、何で私の心読めたの? エスパー?」
「お前の考えてる事はお見通しだ、エーリカ。隊の皆で遊ぶな」
「遊ぶ権利有ると思うよ、私達」
トゥルーデを抱きしめ、ごろごろとじゃれつくエーリカ。
「見たいじゃん。私達のこ〜んな姿みて戸惑うとことかさ〜」
「……。“黒い悪魔”の渾名は伊達じゃないな」
んふふ〜とエーリカは鼻歌混じりで上機嫌。
51cue 04/04:2008/12/03(水) 22:20:33 ID:h/1KbM9v
トゥルーデはエーリカをぎゅっと抱きしめた。顔にはちょっとした決意と照れが混じり、頬が紅潮する。
「どうしたのトゥルーデ?」
「今日はお前を部屋から外に出さない。ヘンに聞かれたりしたらろくな事にならない」
「何その理由。もっと違う理由(わけ)、あるんじゃない?」
「……」
「……妬いてる?」
「誰が? 誰に?」
「もう、可愛いんだからトゥルーデは」
言いながら、トゥルーデの上着のボタンをぽちぽちと外し、えいっと軽く脱がせた。
「エーリカ。何してる」
「だって、外に出ちゃいけないんでしょ? なら、やる事と言ったら……」
「……なんか自爆した気分だ」
「そんな事ないって」
エーリカももぞもぞと上着を脱いで捨てた。
「この前の続き、しよう?」
肌が密着する。数ミリ近付けばすぐにでも触れ合える距離にある、お互いの顔。
拒む理由は何も無かった。勿論、拒む勇気も理性も元々無かった。
瞳の奥に見えるもの。それは形容し難い、ただひとつの共通した情念。
「エーリカ」
「トゥルーデ」
お互いの名を呼んだ。熱いキスを交わし、行為に耽るその間ずっと、身体で感じる。
二人の手が、指が絡まる。指輪が部屋の明かりを照らし、鈍く輝いた。

「もうそろそろ寝ないと」
「まだ夜始まったばかりだよ?」
ベッドの上でひそひそと話す二人。エーリカは髪しばりが解けたトゥルーデの髪を触った。
意外にしなやかで感触も悪くない。勿論、トゥルーデの匂いも。
「この前もそう言って寝過ごしただろ?」
「トゥルーデも寝過ごすって珍しいよね」
「私とした事が……」
「でも大丈夫」
エーリカはトゥルーデをきつく抱きしめた。
「愛しのひとだもん。いつも一緒じゃなきゃ」
トゥルーデは少し呆れた。
でもいつもだったら「カールスラント軍人たるもの……」と説教をする筈なのに、
今は、どうにもそう言う気分になれなかった。
トゥルーデに抱きつき目を閉じ、寄り添うエーリカを見る。
幸せそうな顔をしてる。
指には、お揃いの指輪。
そっと指輪を近付け、重ねてみる。
不思議な気分だ。
「顔がにやけてるよ〜」
エーリカが片目を開けて微笑んだ。
「私だって、……良いじゃないか。たまには、こう言う顔したって」
「たまになんてダ〜メ。トゥルーデにはいつも笑ってて欲しいよ」
「エーリカ」
「愛してるから」
「私も、愛してる」
二人は大きく呼吸すると、再び余韻に浸るのか……新たに始めるのか分からなかったが
再び逢瀬を重ねた。

end
52名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 22:22:04 ID:h/1KbM9v
以上です。
婚姻に関する法律は……現代のドイツとアメリカのものを調べ、それに準拠して書きましたが、
流石にWWU前後までの事は分かりませんでした。調査不足で申し訳ないです。
「それ以前にWWUで同性婚はどうなのよ」とか根本的なツッコミはご勘弁下さいませw
では度々のスレ汚し失礼しました。
5321X2w2Ib:2008/12/03(水) 23:03:54 ID:qdtOYpMn
今日やっといらん子買ってきた。これで安心してリーネイラの続きやらエルマイラやらが書ける!
…と思ってたら>>43が来ててびっくりだ、リーネイラいいよなリーネイラ、GJ!
自分のプロットだとエイラうじうじ展開だったからちょっと安心したよ
これは結局リレーSSみたいな扱いでいいのかな、いいのなら自分もそのまま続きを書こうと思うんだが

それと>>23超GJ…!!前スレ448も自分だったのでこれで3回連続でネタを拾ってもらったことになります、感謝!
結局シャーリーはエーリカの髪切ることなんて出来ないだろと勝手に思いながら続き期待してる
その話のエイラニャ視点、自分でも書きたいと思ってたから是非書かせていただきたいものだ

書き込みません書くまでは、と自分も思ったけどそんなことしてたら話題流れちゃいそうだから書き込ませていただく
他のSSもあとで穴があくまで読ませていただきます。とりあえず、皆さんGJGJ!
昨日の夜元気が無かったんでちょっと心配しつつスレ立てしたけど杞憂だったな
今回梅ネタ間に合わないだろうなあと思ってたんで埋めてくれた方本当にありがとうございました
54名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 23:10:04 ID:LnTmZWjP
Gj
リーネ良いなぁ
>一日目終り
一日目だと!?
wktkして待ってる
とりあえずおれも風呂入ってくる

>>52
結婚ネタGJ
この二人最高だな
55ききみみ。 1/5:2008/12/03(水) 23:13:24 ID:ezcxa3qJ
「あふぅ。 そろそろ寝ますかしら……。」
ロビーでのちょっとした歓談を終え、自室に向かう道すがら。 私は何気なくその足を止める。
別に何か理由があったわけではない。 今夜は、わけもなくアンニュイなだけだ。

(あぁ……こんな夜は坂本少佐が傍にいてくださったら……。)
くねくねと身をよじり、しばし想像に耽る。 いやね。 あの人を思うだけで、憂鬱も吹き飛んでしまうなんて。
恋わずらいとは言うけれど。 これが病気だとすれば、私は本当に重症ですわ。
くすり、と一人笑って、再び歩み出す私。 その時。

「あ……ん。」
!? はっきりと耳に飛び込んできたその声は、間違いなく、愛しのあの人のものだった。 いや、あの人のものだと思う。
断言できないその理由は。 それが私が知らない、想像すらしなかった程の、艶かしい声だったから。

「どどど、どういう事ですの!? い、一体どこから……。」
慌てふためいて辺りを見回す。 この辺りの部屋と言えば……。 その部屋が目に止まり、瞬時に血圧が上がったのが分かる。
宮藤芳佳。 そ、そんな、まさか。 嘘ですわよね? 騒ぐ心臓を抑えつつ、宮藤さんの部屋のドアに耳を当てる私。

「うふふ。 坂本さん、かわいい。 この裏っかわの所が気持ちいいんですよね?」
「こ、こら宮藤、調子に乗るな! ……んっ……そ、そんな所まで器用に引っ掻きおって……。」
さぁーっと顔が青ざめていくのが分かる。 えっ? そんな。 嘘よね。 何かの間違いよね。
あの至高にして完璧な坂本少佐と。 田舎者丸出しの、扶桑の山出し豆狸が。 頭がガンガン鳴って、うまく物事が考えられない。

そうですわきっとこれは空耳ですわ! 宮藤さんなんかじゃ、どう考えてもあの方と釣り合っていませんもの!
ふ。 ま、参りましたわね。 私ともあろうものが、事もあろうに空耳ですなんて。 早く部屋に帰って休みましょう……。

「まだまだ序の口ですからねー。 今度はこんな奥の方まで……こすっちゃったりして。」
「あっ! ばっ、ばか、宮藤。 そこは……ふっ、深すぎる……。 んっ!」
なななな何をしてらっしゃいますのぉ!!! 猛スピードでビタリとドアに張り付く。 空耳じゃないですわ! 空耳じゃないですわ!
極限まで集中してドアの中の物音を聞き取る。 な、何か呼吸音が荒くありませんこと? なぜですの!? なぜですの!!?

「ペリーヌさん、何してるんですか?」
「ひゃわぅあぅっふぃ!!??」
突然声をかけてきたのはリーネさん。 そ、そう言えばこの方、隣の部屋でしたわね。
私は急に、穴があったら入りたい気分になった。
56名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 23:14:25 ID:yUynNuF/
>>43
リーネは一緒に寝るために寝巻きを持ってこなかったとしか思えないのは俺だけか?w

>>52
GJ!勉強になるなw
このスレのSSの職人は調べた上で書いてる事が多いのかな。こだわりや説得力があって読み応えがあるものが多くてすばらしい
57ききみみ。 2/5:2008/12/03(水) 23:14:28 ID:ezcxa3qJ
恥を知りなさい、ペリーヌ・クロステルマン。 あなたは人の秘密に聞き耳を立てたのよ。
リーネさんが来てくださらなかったら、きっと今でも声を聞き続けていたでしょう。
たとえいかなる理由があったとしても。 それは淑女として、ガリア貴族として、恥ずべき行為に相違ないではないの。

「あん……坂本さん……。」
「!? よ、よ、芳佳ちゃん!!? ななななな何ですか今の!!!!」
ばびゅん! 私が悩んだり立ち直ったりしている目前で、視認できない程のスピードでドアに張り付くリーネさん。
…………。

「……あ、あの、リーネさん。 盗み聞きは、人として恥ずかしい行為ではありませんかしら……。」
「はぁぁ!? 恥ずかしい!? 何言ってるんですかペリーヌさん? そんな事よりもっと大事な事があ・る・で・しょ・うっ!!」「え、いや、その? そ、そうですわね……。」
物凄い剣幕で押し切られてしまった。 なんだか釈然としない気持ちを抱きつつ、リーネさんに倣って再び耳を押し付ける。

「み、宮藤。 私は恥ずかしながら、こういう事は、その……初めて、なのだ。 うまくできなかったら……すまん。」
「いいんです……来てください、坂本さん……。」
「いっ。 入れるぞ、宮藤……。」

「いっ、いっ? いー!? い、入れるって何をですかぁー!? 芳佳ちゃんのどこに入る気なんですかぁぁーー!!??」
「ちょちょっと! もっと静かにしてくださいまし! 気付かれてしまいますわ!」

「っ……! 痛……っ……。」
「! す、すまん宮藤! ち! 血がっ!」
「へ、平気です、坂本さん……。 私は大丈夫ですから、坂本さんの動きたいように……動いてください……。」
「宮藤……。」
血!? 血ですって!? 血が出るような事って何ですの!!? う、う、動くって何がですのーーー!!!???

「……ぬ……。」
「え? 何かおっしゃいましたリーネさん?」
「……芳佳ちゃんを…して私も…ぬ…………。」
「きゃあああ!!? い、一体何をおっしゃって……ちょ、ちょっと! ペンシルを腰だめに構えないでくださいまし!!」
うつろな表情のリーネさんを何とか押しとどめる。 私の方が体格で劣るぶん、気を抜くと一気に振り切られそうだ。

「離してくださいペリーヌさん! なんでですか? なんで止めるんですか? ペリーヌさんだって泣いてるじゃないですか!」
「えっ……?」
泣いてる? 私は泣いているのか。 私はリーネさんに言われて初めて、自分の頬を涙がつたっている事に気付いた。
58名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 23:15:24 ID:ee4SNRPH
>>43
リーネイラもいいけど
サーニャと芳佳がどうなっているのか気になるところ
59ききみみ。 3/5:2008/12/03(水) 23:15:32 ID:ezcxa3qJ
そうだ。 私は、泣いているのだ。 だって。
あれほど大好きだった人が、今、私でない誰かと睦み合っているのだ。
それが悲しくないはずがない。 それが憎くないはずがない。 それが絶望でないはずがないのだ。 でも。

「離しませんわ!」
悲しくないはずがない。 憎くないはずがない。 だから、離せるはずがない。 だって。
好きなんだもの。 あの人の幸せを尊重したいんだもの。
例え、隣がいるのが私じゃなくたって。 あの人に幸せでいてほしいんだもの!

「あなたたち、何を廊下で騒いでいるの?」
「!! ちゅ、中佐……。」
私とリーネさんが揉み合っていると、ミーナ中佐が現れた。 涙を見られた気まずさ、言い訳のしづらい状況。
私もリーネさんも何も言えず、間の悪い静寂が廊下を満たした。

「坂本さん……すごく、良かったです……。 お礼に、今度は、また私がしてあげますね。」
「ば、ばか。 私は最初にもしてもらったじゃないか。」
「なーに言ってるんですか、坂本さん。 心配ご無用です! だって……もう一つの方の穴がまだ、残ってるじゃないですか。」
ばびゅばびゅん!! 視認できない程のスピードでドアに張り付くリーネさんと私。
もっ、もっ、もっ!? もう一つのって何ですの!!? もう一つのって何ですのーーー!!!!????

「どっせーーーーーい!!!!!!」
バギャッ!!! ミーナ中佐が躊躇いなくドアを蹴破った。 すごっ!!!!
魔法を使っているわけでもないのにこの威力はなんですの!!? あ、いえ。 そういう問題ではなく!

「……あ、あの、中佐。 人の幸せは尊重するべきではありませんかしら……。」
「はぁぁ!? 人の幸せを尊重!? 何言ってるのかしらペリーヌさん? そんな事よりもっと大事な事があ・る・で・しょ・うっ!!」
またしても押し切られてしまった。 世の中って、私が思ってるよりもずっと厳しいものなのかもしれませんわ……。

されど悲しいかな、私がどんなに悩もうともドアに寄りかかっていた以上、物理法則のもたらす結果からは逃れられないわけで。
もつれ込むように部屋に雪崩れ込んでしまった私たち。
屹然と、あるいは恐る恐ると、三者三様に顔を上げた、そこには。

耳かきをしている宮藤さんと坂本少佐が、ぽかんとした顔でこちらを見ていたのだった。
60ききみみ。 4/5:2008/12/03(水) 23:16:28 ID:ezcxa3qJ
「わっはっはっ! いや、恥ずかしい所を見られてしまったな。 扶桑の撫子たるもの、耳かきくらいは嗜んでおこうと思ってな!」
「水臭いじゃない。 言ってくれれば、私だって練習台くらいにはなってあげられたわよ。」
「そうですよ。 私、大家族ですし、そういうの得意ですよ。 言ってくれたら教えましたのに。」
「あのー、それはともかく、いまだに私の部屋のドアが蹴破られた理由が分からないんですけど……。」
リーネさんの部屋に場所を移して歓談する私たち。 なんて恥ずかしい思い込みで行動していたのかしら。
生来の神経質に酷い拍車がかかって、今にも顔から火が出そうで、私はまだまともに坂本少佐の顔が見られなかった。
何事もなかったかのように談笑できるリーネさんと中佐が心底羨ましい。

「もちろん宮藤を選んだのにはワケがある! けだし、宮藤なら失敗しても治癒魔法が使えるからな! わっはっはっ!」
「えぇぇーー!! そ、そんな理由だったんですかぁーーー!!!」
「はは! いや、まぁ、勿論それだけではないぞ。 宮藤は同じ海軍であるし、同郷の身でもある。
 性格も朗らかで頼みやすかった。 それより何より……宮藤は小柄だからな。」
「? 小柄だから、ですか?」
「うむ。 実際に私が耳かきをする状況を考えてみるとだな、それは、その……母となった時ではないかと、思う。
 だからだな、その……小柄な宮藤は、想定訓練にうってつけだったのだ。」
坂本少佐の常ならぬ歯切れの悪さに、思わず笑みがこぼれる私たち。 さすが少佐……その発想までもが敬慕すべきものですわ!
少佐ならきっと良妻賢母になります。 母親として子供に耳かきする少佐……あぁ、想像するだけで素敵ですわ……。

「だが、するとされるではやはり違うものでな。 宮藤に実演してもらっても、結局正解がどんなものか今一つ掴めなかったのだ。
 ……そうだな、リーネ。 すまんが、私の目の前で、宮藤の耳かきをやってみせてもらえないか?」
「え? よ、芳佳ちゃんにですか?」
「うむ。 客観的に見ながら真似すれば、私にも極意が掴めるかもしれん。 というわけで、すまんがペリーヌ。
 私には、お前の耳かきをさせてはもらえんか? お前なら、体格も宮藤と同じくらいだしな。」
「えっ!?」
「な、何ですって!!!???」
なぜ中佐が私以上に驚いているのだろう。 それはともかく。 私が、坂本少佐に耳かきをしていただく? この私が?

「なんだなんだ。 そんなに怖がられるとさしもの私でも傷つくぞ、わっはっはっ! ペリーヌ。 どうしても嫌か?」
「い、いえ! 願ってもございませんわ! 是非ともお願い致します!!!」
ぽんぽんと自分の膝を叩いて私をお誘いになる少佐。 こ、これは! ひっ……膝枕をして頂けるという事ではありませんの!?
……失礼します。 蚊の泣くような声で呟いて、そっと少佐のおみ足に頭をもたせかける私。
天国のような感触に包まれて、私の心臓はとくんとくんと高鳴っている。 こんな。 私なんかがこんな真似をしてよいのだろうか。

キュッ。 ? 一体何の音かしら。 あえて形容するなら、ゴリラが怒りに任せて大臀筋を思いっきり引き締めたような……。
でも、こんな所にゴリラがいるはずありませんわよね。 空耳ですわ。
61ききみみ。 5/5:2008/12/03(水) 23:17:25 ID:ezcxa3qJ
ぼうっとしていた私の髪に、少佐の指が手櫛を入れる。
夢見心地で見上げると、これまでで一番眩しい微笑みを浮かべて、少佐はおっしゃった。

「そう硬くなるな、と言っても無理かもしれんが。 お前に笑ってもらえれば、私はそれが一番嬉しい。 信じろ、ペリーヌ。」


たぶん、少佐にとっては何気ない一言だったのだけど。 私も、それが分からないほどお馬鹿なつもりはないのだけれど。
なぜだろう。 その言葉を聞いた時、私は、今日かいた恥も涙も。 これまで抱え込んできた何もかも。
その全てが報われた気がしたのだった。

何か返事を返したい。 少佐の事を心から信じていると態度で示したい。
それで、とても返事ができるような余裕はなかったから。 私は、子供のように単純に、コクンと少佐に頷き返した。

「こうこう……こんな感じですね。 どうですか?」
「ふむふむなるほど……こういう手の動きだったのか。 うむ。 今なら私にもできそうだ。 いいか、ペリーヌ?」
「は、はひっ! いつでもいらしてください!」
思わず声が裏返る。 キュッキュッキュッ。 のぼせすぎているのか、空耳は酷くなる一方だ。
でも構わない。 この幸せな時が続くなら空耳くらい幾らでも平気。 いつまでもいつまでも、この時間が続けばいいのに……。

ぷす。

「あ。」
…………………………。



「きゃあああああ! ぺ、ペリーヌさんの耳から、ち、血が噴水みたいにぃー!!」
「はわわわわ! ま、魔法! 早く魔法を使わないと!!!」
「すまんペリーヌ!!! やはり私には無理だった!!! 必ずこの責任は取る!!! 安心して眠ってくれ!!!!!」

激痛に苛まれながらも、責任は取るという言葉だけはハッキリ聞こえたり、愚かにもその響きに喜んでしまっていたりして。
あぁ、恋わずらいとは言うけれど。
私はこの病気にかかって、なんだかんだでけっこう幸せなのだった。

                                            おしまい
62名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 23:22:32 ID:jaY3OjAA
>>61リアルタイム黄泉もとい読み。

うん。良かった。こんぐらいのSSのが心地よいな。
63名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 23:38:28 ID:LnTmZWjP
いきなりの投下ラッシュにビビッタ
とりあえずいまから読むわ
64名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 23:44:01 ID:PAfdisnk
>>61
唐突に乱入するミーナさんフイタww
今日は投下が多くていいなぁ。皆様GJです!
リーネイラが幸せそうでよかったw
65名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 23:52:04 ID:xXXze2df
>>61
キュにふいたwwww
ぺりもっさんいいよ、ペリもっさん!!!!GJ!!!
ペリネタが増えて嬉しい。知れば知る程ペリーヌが好きになる。
66名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 00:05:26 ID:GCRvt48d
あ、ありのまま起こったことを(ry

「たかが4時間見てないだけだからせいぜい、投下済みの作品への感想で2、3レス進んでいるだけだろうと思っていたら
 感想書くのが追い付かないほど作品が投下されて30レス以上進んでいた」


な、何を言ってるのかわからねーと思うが(ry

作者多過ぎとかスレが超スピードとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ

もっと恐ろしい百合スレの片鱗を味わったぜ・・・
67名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 00:06:59 ID:f6tA0Ttb
夜になるといきなり活発になるからなこのスレは
そのほうが助かるけど
68名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 00:32:04 ID:1UnXLARW
リレーってさ早い者勝ちだから自分が書いてても他の人が先に投下したら、無駄になるよなぁ
筆の遅い俺は無理ダナ
69名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 00:36:29 ID:KICfMmvY
職人の数だけ物語がある。
キャラの数だけ物語がある。
ようするにこのスレの物語は無限大
70名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 00:38:31 ID:CLN1s72t
おっ、新スレ行ったのかと思って流れを追い始めたらいつまでたっても終わらねえww
漸く一通り読み終わったぜ、みんなGJ!
ていうか前スレ立ったの26日だからちょうど一週間じゃん。
たった一週間で500KBのSSと妄想を書き尽くすなんて、このスレはどこまでパワフルなんだ。
俺も負けないように妄想するしかないな・・・!

で、Part7で投下されたあの開拓度合い表とにらめっこしてみたわけだが・・・。
いまだ完全にゼロといってもいい組み合わせはこんなもんかな?

芳佳&エーリカ
リーネ&サーニャ
美緒&サーニャ
美緒&エーリカ
エーリカ&サーニャ
ペリーヌ&トゥルーデ

この新境地に挑戦するツワモノは誰かおらんのか・・・!?
美ーニャ辺りならいけそうな気がしないでもない。

>>68
そういや結局まだ1度しかリレーやってないんだよな。
そろそろまたあのカオスを味わいたいところだ。
71名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 00:41:23 ID:QJm3ByMW
まとめサイトの、感想掲示板に関する意見、向こうに書いてもいいのかな?
なんか、誰も書いてないから立ち止まっちゃうぜw
みんな気づいていないのか…
72名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 00:50:03 ID:GCRvt48d
>>70
>芳佳&エーリカ

4話のハルトマンの素敵な笑顔覚えてないとは言わせませんよ
73名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 00:51:42 ID:RbwPl5GF
リーニャは前スレで書いてた人いたね
74名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 00:57:55 ID:YyaUzwym
>>70
ハルマフジはネタが一つあるから書こうと思うのだが文才ないし、時間ないしでなかなか進まない
75名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 01:04:39 ID:VOpAwbdH
ペリーヌが故郷の実家に帰ると、朽ち果てた家屋敷を包むように咲き乱れる山吹色のマリーゴールドが出迎た。
祖母が“生きる”という花言葉に孫娘への想いをこめて種を託した、マリーゴールドである。

「お祖母様・・・只今帰ってまいりました」
76名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 01:13:32 ID:oje82fod
>>74
どこの関取だよw
77名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 01:33:47 ID:keMSBrwU
>>61
笑いあり涙ありで超面白かったw
こういう役回りになるペリーヌはかわいいな
最後の「穴に入れられて血が出て責任を取る」というのは
そういう意味の比喩でいいんですよね? ね?
78名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 01:57:32 ID:GCRvt48d
>>77
「ペリーヌ・・・私の刀を・・」
「どうぞ少佐・・・ああっ・・・」

はいはいBIHFBIHF
79名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 02:12:52 ID:gA3usaPy
>>75
( ;∀;)イイハナシダナー

どうも深夜にこんばんは。またも懲りずにmxTTnzhmでございます。
前スレ>>463-469「ring」の後日談的なもの、その3出来ました〜。
前に書いた>>14>>16「ether dance」はエーリカ視点だったので、
今回はトゥルーデ視点で書いてみました。
対比になってるか寝惚け頭で書いたのでちょっと分かりませんが……。
タイトルは「drifter」、短いですがどうぞ。
80drifter 01/02:2008/12/04(木) 02:13:49 ID:gA3usaPy
またいつものあの声が、私を呼ぶ。
「ねえ、トゥルーデ」
甘い声。
声に背を向けているのは、ちょっとしつこいと言うか……、今少し、間を置かせて欲しい。
そんな自分の逃げだ。
ああ、分かっている。勝手な理屈だ。
でも構わず、その“悪魔”は私の背中をつつーっとなぞり、抱きしめた。
その抱きしめ方……力が入ってない様でいて、しっかりと私を捕らえて離さない。
空戦で真後ろにぴたりとくっつかれた感じ。でも、空戦の時に感じる焦燥感や敗北感とは無縁。
肌が、胸が背中と密着する。心の鼓動を感じるよ。嫌と言う程。
「ねえ、トゥルーデってばぁ」
今度は胸に手が来る。私はあのリベリアンやリーネと違ってそんなに大きくない。
でも気に入ってると言われて、なんだかほっとしている私が居る。
そして肌を寄せて唇を耳に這わせてくるお前の胸をもっといやらしくしたいと思ってしまう
どうしようもない私が頭の中に居るのも事実。
……やめてくれ、そこはちょっと弱いんだ。
「エーリカ、ちょっと、待て」
思わず名前を口にし、強い目で諭す。
名を呼ぶのも、本当は少しだけ、恥ずかしかったりするんだ。
昔はそんな事なんて全然無かったのに。不思議だ。
「なんでよ〜トゥルーデ、つれないなあ。まだ二時前だよ?」
「こんな深夜までいちゃついてて良いのか? また遅れたら、ミーナに何て言われるか」
「その時はその時だよ」
「昨日も確かそう言ってたよな? 結果、私達はどうなった?」
「掃除当番半日分追加〜」
「しっかりペナルティ食らってるだろ。ミーナはああ見えて怒ってるんだぞ?」
「そうかな? 本気で怒ってるんだったらもっと酷い事になってると思うけど?」
「その底抜けに楽観的なとこ、リベリアンに負けてないな」
「誉め言葉だよね? ありがと」
「だから胸をもむな! エーリカ、やり過ぎっ……」
いとも簡単にベッドに転がされてしまう。魔力を使えばエーリカの一人や二人何て事ないんだが
そんな乱暴な事が出来る筈も無い。
覆い被さってくる。身動きが取れない。
「トゥルーデ、愛してるって言ってよ」
私をじっとみつめるエーリカの目が潤んでいる。その眼差し、やめてくれないか。苦手なんだ。
どうして苦手かと言うと……エーリカの瞳の奥には何かが棲んでいる。それは渾名の通り
“黒い悪魔”か、もしくはぼやけて映る私自身……か。
そう言えばカールスラントの哲学者に「深淵を見るときは注意せよ」と警告していた人がいた。
深淵を見つめるとき、深淵も貴方を見つめているのだ、と。
つまりだ。エーリカの瞳の奥の深淵を私が見ていると言う事は、私も深淵に見つめられていると言う事か。
それは彼女のこころか、私のこころか。
こんがらがってきた所で、エーリカはその距離を更に縮めてきた。数センチ。数ミリ。
じわじわと迫り来る。
「トゥルーデ」
言葉の発音ひとつひとつが小刻みな息となり、私の顔をそっと撫でる。
それが、私の弱点のひとつ、なのかも知れない。
「愛してる、エーリカ」
根負けだ。また私はエーリカにやられてしまった。エーリカの前で理性を保つのは、正直難しい。
普段の時は普通にしてて当たり前だ。でも、時々思う。
人目もはばからずに、エーリカを抱きしめたい、キスしたい、肌を重ねたい。
エーリカも同じ様な事をよく口にする。でも、実際に出来る訳もない。ここは戦場の最前線で……、
公園や恋人の家じゃないんだ。そんな事は分かってる。だけど……
「やっと言ってくれた。私も愛してるよ、トゥルーデ」
エーリカに唇を塞がれた。反応してしまう私が憎らしい。でも、目の前で夢中に口吻を交わし
舌を絡め、肌を合わせ、一緒にめちゃくちゃになりかけてるエーリカを見ると……
だめなんだ。
名前を何度呼んだか判らない。でも、それだけ愛しいんだ、エーリカ。
81drifter 02/02:2008/12/04(木) 02:14:42 ID:gA3usaPy
時計を見る。朝の四時半。少佐はそろそろ起きて早い自主訓練に出掛ける時間だ。
まどろみから覚めきらない私達は、ひどく朦朧とした状態で、お互いをゆるりと抱き合うのが精一杯。
「もうすぐ朝だぞ」
「うん……もうちょっとだけ」
「ああ」
小さく寝息を立てるエーリカ。腕枕して欲しいのか? 好きにしろ、お前のものだ。
エーリカを出来るだけ優しく抱き寄せて、美しい髪をすくってみせる。
さらさらと流れ落ちる。指輪と絡めると、何とも言えない気分になる。
「トゥルーデ……」
寝言か、私を呼んでいるのか。
「エーリカ?」
返事は無い。きっと浅い眠りの中で、私ではない「わたし」と何かをしているのだろうか。
……気になる。
私はふと気付いた。夢の中の自分にまで嫉妬しているのかと言う事に。
そもそも、と鈍い頭で考えを巡らせる。
私はいつからこいつの事が好きになったのだろう。愛し合う様になったのだろう。
遡ってみるが、答えは出ない。エーリカなら初のキスがいつかとか、覚えているかも知れないが
今の私にはどうでもいいこと。目の前に居てくれれば、それで良い。
でも、そんな事をエーリカを目の前にして考えていると言う事は……
私のこころは、流されているのか。何処かを彷徨っているのか。
けど彷徨っているとしたら、自分の心の中か、もしくはエーリカの中でだろう。
そう、私は放浪し、漂流しているのだ。エーリカを巡って激しく、虚しく。
しかし後悔なんてしていない。エーリカがここに居るし、何処までも一緒だ。
たまに私達はどうなってしまうんだろうと心配になるときもあるけど、そんな時、私は自分の左手を見る。
薬指で控えめに輝くその指輪。エーリカとお揃いの同じ光を見る事で、私の心は癒され、励まされる。
そして思い知らされる。エーリカの事が本当に大切で、かけがえのない存在だと言う事を。
エーリカと一緒に腕を組んで、指輪を眺めっこして、微笑みあって……。私にはそれで十分だ。
寝顔も可愛い。そっと額を撫で、頬に触れる。
う〜ん、と小さく唸る様子はまるで子犬みたいで、
気が付くと、私は無意識のうちに唇を重ねていた。
「トゥルーデ……寝かせてよぉ」
いや、寝かさないぞ、エーリカ。
私の理性は、とうの昔に流されていた。もう一度、いや、何度でも、エーリカを愛したい。
だから。
「エーリカ、愛してる」
抱きしめる力を少し込めて、私はエーリカの唇を奪い、首筋に舌を這わせ、耳の後ろを軽く舐る。
小さな喘ぎ声が聞こえてきた。エーリカの弱点は知っている。
お前が私の事をすべて知っているのと同じだ。
その喘ぎ声がやがて私の名前を呼ぶ。ぞくっとする。その声が、またたまらなく愛しい。
私もエーリカの名を呼び、眠たげな瞳同士、見つめあう。
深淵と言うより澱みに近かったが、そんなのお構いなし。
エーリカ、お前だけなんだ。
だからもう少しだけ、付き合ってくれ。
夢から覚める、その前に。

end
82名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 02:19:09 ID:gA3usaPy
以上です。
深夜にも関わらず、空気を読まず投下しました。
全然反省してませんね。すいませんです。

ではスレ汚し失礼しました。
831/5:2008/12/04(木) 03:22:14 ID:3iULEeJf
>>43のつづき (勝手にリーネイラルート)

なんだろうこの気分。ふわふわとして温かい。ぬくぬくとして心地よい。
とてもいい気分で私は空を飛んでいた。上へ上へと私を押し上げる溢れるほどの揚力で、どこまでもどこまでも
高く私は空を飛びまわっているのだった。仰ぐ空はどこまでも蒼い。見下ろす陸はどこまでも白い。平和で
穏やかな、スオムスの景色。…こんな景色、はじめてみた。当然だ。まだこの国が平和だった頃、私はウィッチで
はなかったんだから。

ウィッチになって見た陸と空には、いつもどこかに瘴気の黒がくすぶっていた。当たり前だった。あの異形の脅威
からこの国を守るために、私はウィッチとしてスオムス空軍に配属されているのだから──

ふん、ふん、と。傍らで誰かが歌を歌っている。誰だろう、太陽の光と、それに反射した雪の白が眩しくて何も見え
ない。けれどもきっと、私の良く知っている人だと思った。
柔らかな空色と、白銀の雪景色の間を山並みがつないでいる。キラキラ光っているのは多分、湖。このスオムスは
雪と空と、森と湖の国なのだ。
きれいだね、と傍らを飛ぶ人が言う。私も微笑んで、頷く。この季節のこの国はとても寒いはずなのに、どうしてか
全然寒くない。むしろ温かくてまるで毛布にくるまれているようで。

「****」

口を開いて、その傍らの誰かの名前を言葉にした。
そしてそこで、夢から覚めた。



ふわあ、と大きなあくびをひとつして起き上がった。なんだかひどく幸せな夢を見ていたような気がする。…別に
悪夢にうなされて過ごしていたわけではないけれど、夜になって、いつもうるさい同室のニパも騒ぎ疲れて眠って
──ひとり、ベッドでぼんやりしているとやっぱり余計なことまで考えてしまっていたから。ブリタニアにいた頃が
辛かったなんて言わない。後悔なんてしていない。…それだから、昼間、太陽が出ている間は、私はちゃんと
笑っていることが出来た。もしかしたら違ったかもしれないけれど、少なくとも私の心はどんぞこまで打ちのめ
されはしていなかった。

そういえば、リーネの手紙は手元に届いたその夜に、いつも開いて読んでいた。…きっと、だからだ。暗くて寒くて
長い夜に、私の頭の中でいとも容易く再生される彼女の声はいつだって温かくて、私に対する気遣いにあふれて
いて。
だからきっと嬉しかったんだ。胸を覆う後悔だとか、罪悪感だとかを忘れてしまうことが出来たから。
優しい思い出だけに浸って、温かくなった気持ちのまま眠りに付くことが出来たから。


傍らで穏やかに寝息を立てている女の子の髪を、ちょいと掬って撫でてやる。結局聞きたかったこと、まだ聞けて
ない。
なんで来たんだ?ただの気まぐれ?虫の報せ?それとも何か、大切な用事でもあったのか?
これからスオムスは寒くなるばかりなのに。春になってからくればいいのに。

(あいたい)

昨日の夜耳元で聞いた、久方ぶりのリーネの声。手紙の最後の一言が、それと同じように耳元に流れてゆく。
くすぐったい感覚。どくどくと胸が高鳴っていく。恥ずかしくなって、彼女が見ているわけでもないのに残った右手で
顔を覆った。
会いたい。もしかしたら本当にそれだけの理由でリーネはこんな北欧くんだりまでやってきたのかもしれなかった。
もしかしたら着の身着のままで、ろくに旅の支度さえせずに。…出会ったばかりのリーネだったら想像でき
なかったろうけど、何せこいつは一度私を襲おうとした人間だ。今ではもう、「こいつならやりかねない」なんて
思えたりする。リーネは優しいから、きっと可哀想な私のためならこんなことも簡単に出来てしまうんだ、違いない。

842/5:2008/12/04(木) 03:22:47 ID:3iULEeJf

寒いのだろう、うう、と唸って寝ぼけたリーネが体を寄せてきた。…起きてないから恥ずかしくないもん。恥ずか
しくないもん。言い聞かせながら懸命に、今の姿勢を続ける。本当なら恥ずかしくて体を剥がしたくなってしまう
ところだけれど、そんなことをしたらリーネが風邪を引いてしまうかもしれない。…そんなの、可哀想だ。

ごめん、ありがとう。
ぽつりと呟く。どんな理由があるにせよ、ただひとつ真実として述べられるのは『私のため』だと言うことだ。
なんでだろう、それだけはなぜか確実なものとして信じることが出来る。だけど私がかつて別の相手に対して
抱いていたような盲目的な信頼ではなくて…もっと理路整然とした、けれども深い、温かな確信で。
小さく丸くなっているその様は、さながら彼女の使い魔の猫のようだ。思わず顔に笑みを浮かべて見やって
しまう。このまま撫で続けてたら、お腹を出したりするんだろうか。喉の下なでたらごろごろ言うかな。猫を使い
魔とするウィッチたちを見ていてずっと抱いていたその疑問を不意に試してみたくなるけれど、残念なことに
彼女の顔の下半分は毛布の下。

…試してみようか。リーネだったらこれくらいしても怒らないだろ。思いながら撫でていた左手を、彼女のあごに
添えたとき、パッチリとその相手の目が開いた。

「…えいら、さん…?」
「オハヨ」
慌てて手を離して、私は言う。リーネは何も思わなかったようだった。
「あ…そっか、ここ、スオムス…」
「寒いだろ、上着着るカ?」
「あ、はい…」

まだ半分寝ぼけているリーネに私の上着を手渡すと起き上がりながらぶるると震えてそれを羽織る。私に
とってはなれた寒さだけれど、ブリタニアから着たばかりのリーネにはまだまだ辛いだろう。

「…えいらさんの、においがする」
「そりゃ、私のだからナ」
「…あったかいです」
「そりゃ、ドウモ」

そのままふふふ、なんて幸せそうに笑うものだから、なんだか私のほうがずっと恥ずかしくなってきてしまう。
寝ぼけた人間の相手は慣れているはずなのに、やっぱりブランクがあるとだめだなあ。お願いだからそんな
嬉しそうな顔しないでくれよ。期待しちゃうだろう。嬉しくなっちゃうだろう。

「…私も使うんだから、今日だけ、だかんなっ」
「うん」

幼い顔で微笑むリーネ。ぶっきらぼうな物言いなんてものともしないで、素直な感謝の気持ちだけをぶつけてくる。
それだけでひどく救われた気持ちになっている。昨日の夜、甘えた素振りをしてきたのはあちらのほうだという
のになんでだろう、何だかとてもとても幸せな夢を見た気がしたんだ。
起床を知らせるベルと同時にお腹の虫も鳴り響いて、そのときになって私は自分がひどく腹をすかせていることに
気が付いた。恥ずかしさに口を尖らせてそっぽを向くと、くすくすと笑われる。そんなやりとりが、何だかひどく楽しい。
張り詰めていた何かがふっと途切れたような安らぎ。

…ミヤフジはこれで、何も気付かなかったのか。いまさらながら思う。私といつも一緒にいたあの子は無口で、
とてもとても言葉少なかった。テンポの良い会話を得意としていなかったから、私も自然と無口になった。
でもリーネは違う。確かにとてもおとなしいけれどその実とても芯の強いやつだって言うのはもう、隊のみんなの
知るところだった。伝えたいことはちゃんと言葉にするし、行動にだって表す。あんな真夜中にガリアからここまで
アポイントもなしにやってきたことがそれを如実に物語っている。

853/5:2008/12/04(木) 03:23:30 ID:3iULEeJf

好きだったって、言っていた。「芳佳ちゃんが好きでした」って、言っていた。好きで、それがちゃんと伝わっている
つもりでいた、と。
そう聞いたときの私は自分のことばかりで一杯一杯で、リーネを慰めてやる余裕なんて無かった。むしろそうした
つらいことを話してまでリーネは私のことを精一杯慰めてくれようとしていた。

なあ、ミヤフジ、聞きたいことがあるんだ。もしも尋ねることが許されるのなら。
お前はリーネの気持ちを裏切らなかったのか?同じ境遇の私に寄り添うことでしかその寂しさを埋められなかった
リーネ。間違いを犯してまで私を好きになろうとして、そうして更に自分を傷つけてた。

怒りに任せて手を上げた。サーニャにも宮藤にもひどいことした。そんな私にそう尋ねる資格は無いのかも
しれない。二人の幸せを祝福してやる権利も無いのかもしれない。
そんなひどい私にこんなにも優しいリーネが、とてもとても悲しい。嬉しいのに悲しい。
ぎゅうと抱きしめて慰めてやりたい。優しい言葉をかけてやりたい。君の言葉一つ一つが嬉しいよって伝えて、
そうして救ってやりたい。
けれど私はそれをしない。また何もしてやらないのかと、ミヤフジは怒るのかもしれないけど、できるはずが無い。
愛してなんてやれない。私に出来るのはせいぜい、大切にしてやることぐらいだ。だってリーネを幸せにしてやれる
のはミヤフジ、お前だけだったんだから。リーネは錯覚してるだけなんだから。

「メシ、食いにいくか。口に合うかわからないケド」
「はいっ」

自分の考えの情けなさと愚かしさと、リーネへの申し訳なさに目頭が熱くなって。
ごまかそうとわざと出した明るい声は無駄に上ずってしまった。きっとどうせ美味しくも無い、薄いスープとパン
くらいだ。そう言えばリーネの料理を一番最初に食べたときの、みんなの感動っぷりったらなかったな。

寒いですね、なんていって引っ付いてくるリーネ。私は顔をしかめてされるがまま。
まいったな。こんなんじゃきっと味なんて分からない。だって、その顔見てたらなんだってご馳走だろう?



「…あの、サ」
「う、うううう、ぶじでよがっだあああああ」
「あー、ハイハイ、わかったからもう泣かないでくれヨ、エル姉…」
「ネウロイが出たって、ニパとイッルが二人きりでしゅつげきしたって、でも私基地にいなくてっ!」
「ウン、知ってる知ってる」
「あんなん私とイッルにかかれば5分もありゃ倒せるってー」

それは朝食を終えて、ミーティングルームでぼんやりとしているところで。ばん、と勢いよく部屋に入ってくるなり
ニパと私に抱きついてきた、私よりも少し背の高い上官を私たちは自然と抱きとめて肩を叩いた。

「だって本軍に呼び出されてたんだろ、しょーがないじゃん」
「でもわたししきかんなのにっ」
「や、勝手に先に飛び出したの私だし…」
「……収拾付きませんネ。このままにしとこ、イッル」
「…だな」

ネガティブモードに入ったときの我らが指揮官殿は手がつけられない。特に昔から一緒に面倒を見てもらっていた
私とニパに関する心配だとそれはもうどん底まで落ちていく。
が、しかし私がブリタニアに行っている間に成人を迎えたエル姉ことエルマ・レイヴォネン少佐は戦闘にこそ
出ないものの立派な私たちの部隊の指揮官だなの。ミーナ中佐のよく言っていたように部隊を家族にたとえる
としたら…エル姉はそのまま優しくて気弱な長女、といったところだろうか。最も本人にはいろいろと事情がある
のか無いのか、「お姉ちゃん」、とくに「おねえさま」と呼ばれるのをひどく嫌がるけれど。

86名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 03:23:38 ID:XjWHWXwL
>>75
ペリーヌスレからの転載だね。
あそこはなにげに美味しいネタが転がっている。
874/5:2008/12/04(木) 03:24:00 ID:3iULEeJf

他のみんなも口々に「おかえりなさい」と苦笑しながら言う。訓練に出かけている奴らもいるから、ミーティング
ルームに人影はまばらだ。

「で、一体何の用事だったんダ?」
「え、あ、ブリタニア空軍の子が一人、スオムスに短期派遣されてくるっていうので迎えにいくって
 …えっと…いわな、かったっけ?」
「……そんなん聞いたか、ニパ」
「エル姉の名誉を取るか、人間としての誇りをとるか、それが問題だな」
「もしかしたら…わすれ、ちゃってた?」
「「…」」

無言で頷くと、ようやく顔を上げたエル姉の目じりに涙が溜まる。「トモコさん、私はやっぱりダメダメ指揮官です、
部下に連絡事項さえ伝え忘れるいらん子なんです」とかぶつぶつしゃべってる。顔を見合わせてため息をつく私と
ニパ。…なんでだろ、こうしてエル姉に抱きしめられるの、久しぶりのような気がする。

「…その子なら、たぶん昨日の夜中ここに来たよ」
ニパが言うと、エル姉はパッと顔を上げて叫んだ。
「ええええ!?そんな連絡全然…」
「連絡し忘れたんだろうな、そいつが」

はあ、とため息をつく。安堵なのか呆れなのか、自分でも良く分からない。つまりこの予測不能の事態はエル姉と
リーネのドジドジにより引き起こされたものだったのだ。…いや、どちらかというとリーネのほうが責任が重いか。
通りで昨日の晩リーネが平然とした顔で基地にやってきて、朝食を終えてすぐに射撃場に向かったはずだ。そして
リーネと来たら、それらを私を含めて誰かに報告するのを、完全に失念していたのだった。
…前々からリーネは誰かに似ていると思っていたけれど…そうだ、気弱なところといい、ドジなところと良い、
エル姉に似てるんだ、と要約納得できた。


「…今たぶん、射撃場にいるヨ。案内する」


パァン!と軽い音が射撃場に響く。見慣れた狙撃銃─ボーイズ─を構えたリーネが目を凝らしても見えないほど
(たぶん)遠くにある的めがけて腕を伸ばしていた。ごくり、とつばを飲んで見守る一同の目の前にある通信機が
「ど真ん中に命中です!」との報せを告げる。射撃場はおおおお、とにわかにどよめいた。年少のウィッチが
黄色い歓声を上げる。

「すごいんですよエルマ少佐!あのひと10発10中なんです、あんなに的が遠いのに!」
「わあ、すごいんですねえ!さすが元501統合戦闘航空団─イッルのお友達だわ!!」
「…エル姉、お友達っていう表現はどうかと…」

はしゃいだ仲間の声、それ以上にはしゃいでるエル姉の言葉、ニパの冷静な突っ込み。それらに肩をすくめながら、
私は耳をひょいとしまったリーネのすぐ近くにしゃがみこんだ。リーネはうつぶせになっている状態だったからだ。

「また、腕あげたか?」
「分かりませんけど…ここに向かっている間練習できなかったので。でも良かった。
 そこまで勘は鈍ってないようです」
「もうすっかりエースだな」
「やめてくださいよお、エイラさん」

885/5:2008/12/04(木) 03:24:50 ID:3iULEeJf

「なんだよお二人さんっ!!らぶらぶだなっ!!」
そのとき急にニパが私の上にのしかかってきた。ら、らぶらぶとかそんなんじゃ!!目の前のリーネの顔が
ボンッと音を立てそうなくらいに突然真っ赤に染まった。…隊のみんなが意味ありげな目で笑っているところを
見ると、たぶん私も同じような顔をしているんだろう。

「私はこの隊の指揮官のエルマ・レイヴォネンです。射撃の腕がすごいとお聞きしてたんですけどっ、本当に
すごいですねっ!!」
「あ、いや、それほどでもないですっ、わわわたしなんてまだまだで」
「そんなことないですっ!やっぱりイッルの行ったブリタニアの部隊は本当の本当にすごいところだったんですね…!!」
「そうじゃないですっ!わ、わ、私は突然あそこに配属されてっ!」

私と同じようにリーネのすぐ脇にしゃがみこんだエル姉がにこにこぱたぱたと叫ぶ。…これで坂本少佐より
年上って聞いたら、リーネは驚いてしまうんじゃないだろうか。そのくらい、その仕草は本当に少女のようなのだ。
恐ろしく似た性質を持つ二人の譲歩合戦は留まることを知らず、私もニパも、リーネを取り囲んでいたみんなも、
何だかおかしくて笑ってしまう。この部隊一の癒し系、エル姉が二人になったようなものなんだ。その癒され度も
単純計算で2倍。それが射撃場じゅうに、もしかしたら通信機を通して的のほうにも届いている。私も何だか
ひどく心安らいで、嬉しくてクックッと笑い声をもらしてしまった。

「…イッル、やっぱ元気になったな」
「そんなこと、ネーヨ」
ニパの言葉につい反してしまうけれど、実際のところ間違いないのは私が一番自覚しているのだった。かつて
無いくらい満ち足りた気持ちでいる自分が、自分でも分かるくらいだったから。

けれどその気持ちは、やっぱりついてないカタヤイネンの、時と場合を読もうとしてどう考えても読み間違えた
一言で崩されることになる。


「で、そのこがイッルがよく寝言で呼んでる、『サーニャ』なのか?」


和やかだった空気の一部が固まる。私と、リーネと、そしてかすかに、エル姉の周りとで。
あえて思い出さないようにしていた、意識からさえも消していた彼女の名前が頭の奥で何度も何度も反響する。
私は何も言わずに立ち上がって、そして走り出していた。逃げたかった。だれから?すべてから、世界から、
何より、リーネから。
どこまでも、どこまでも、高いところへ。白と蒼だけの世界へ、行きたい。
そう思いながら走っているその最中に、今朝の夢を思い出した。眩しくて見えなかった、傍らで飛んでいた誰か。
私は笑って彼女の名前を呼んだのだ、今朝も。

忘れようとしたってあの子の存在は、今でも大きく私の心を占めている。
だから、サーニャって。言葉にしたくないのに言ってしまうんだ。

―――
以上です。エルマさん出したくて前回ちょっと短くなってしまった
あと、素直に幸せに出来なくて申し訳ない。元話が自分の核の苦手な鬱展開だったもんで活かしたいとつい思ってしまう
でも頭の中では新婚リーネイラがキャッキャウフフしてる自分の脳の恐ろしさ

ききみみ面白すぎたw幸せなペリーヌいいよペリーヌ
あとmxTTnzhm氏仕事はやすぎるGJw
8921X2w2Ib:2008/12/04(木) 03:38:34 ID:3iULEeJf
「Hulluus Ajaksi Te 勝手にリーネイラルート2」でした自分の中での通し番号である上に
実際はもうひとつ多いという暴挙で本当にすみません。
今保管庫見たらものすごく管理人さんが計らってくださってて何だか申し訳ないです、すみません
あといらん子読んでたらエルマイラ妄想が止まらない。とまらない。スオムスっていいところ!
90名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 03:52:34 ID:XjWHWXwL
>>88
割り込んでしまってすいませんでした!!

リーネイラよかったですGJ!
91名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 06:03:28 ID:gA3usaPy
たびたびどうもおはようございます。何度もしつこくmxTTnzhmでございます。
>>75氏の話に感銘を受けたのと、>>70氏がチャレンジャーを探していると言うので
無謀にも徹夜の突貫工事でやってみました、トゥルーデ×ペリーヌ。
タイトルは「see you again」、ではどうぞ。
92see you again 01/05:2008/12/04(木) 06:04:42 ID:gA3usaPy
基地に警報が鳴り響く。それが何を示し、これから何をすべきか、隊員達は全て心得ていた。
全員がブリーフィングルームに集合し、指示を待つ。
ミーナと美緒が入室し、一層の緊張が走る。そんな中、ミーナは周辺の地図を指し示し、言った。
「監視所からの報告では、敵は112地区を現在飛行中。直線ルートでブリタニア本土に向かっているわ」
「推定時間は?」
「恐らく、あと三十分もしないうちに来るかと。今度のネウロイは小型らしいけど、油断は大敵ね」
「今回はバルクホルンとペリーヌでペアを組め。リーネは私の直援とする。各自、準備を急げ」
「他の人は基地で待機です。いつでも出撃できる様準備を」
間もなく滑走路を四人が滑るように離陸し、大空へと舞った。接敵予定時間まで、あと十分。

飛行を開始して間もなく、ネウロイの機影を美緒が探り当てた。
「敵発見!」
魔眼が光る。先日までよく飛来していた、ありがちなタイプのネウロイだ。
カールスラントの飛行船に似た、少しずんぐりした形の漆黒の塊。
飛行船に似ているのか、どこか飛び方がおぼつかない感じさえする。また罠か陽動? 一同はいぶかった。
「まずは一撃離脱で攻撃を仕掛ける」
美緒の指示で全機ネウロイよりも高度を高く持つ。高度を高く保つ事は、運動エネルギーの保持と言う点からも優位に立てる。
空戦の基本的な要素だ。
突入のタイミングを図る間、美緒は魔眼を輝かせネウロイのコアを探す。
「……見つけた。中央のやや下寄り……、皆、見えるか? あの突起物の根本だ。側面からの攻撃が効果的だ」
「了解した」
ネウロイが気付いたのか、進路を僅かにずらした。
「よし、今だ! バルクホルン隊突入!」
「了解!」
「了解しました」
美緒の合図で急降下し、攻撃態勢に移る。
「リーネ、バルクホルン隊を援護しろ」
「は、はい!」
「しっかり狙え。……慌てるなよ。大丈夫だ」
美緒はリーネを励ました。
トゥルーデは緊張した面持ちでネウロイに迫ると、二丁に構えたMG42を急所目掛けて連射した。
「ペリーヌ、私に合わせろ。外すなよ」
「了解ですわ」
ふたり揃って美緒の示したポイントを集中的に狙い撃つ。表面ががりがりと削られ、コアが露出した。
「コアだ!」
トゥルーデが叫び、MG42を更に撃射しようとした矢先、コアは呆気なく破壊された。
たった一発の弾丸がコアを撃ち抜いたのだ。
コアを失ったネウロイはそのまま高度を落とし、間もなく爆発し、美しい塵を残し、消えた。
93see you again 02/05:2008/12/04(木) 06:06:05 ID:gA3usaPy
「リーネか」
降下をやめてホバリング体勢に移ったトゥルーデが上空を見やる。
リーネは緊張したのか肩で息をしていたが、その射撃は誰が見ても完璧なものだった。
先日の超硬度コアを持つネウロイ戦以降、めきめきと腕を上げし、超遠距離からの狙撃も、空戦に於いての援護も
見事にこなせる程に成長している。トゥルーデは上昇すると、リーネの横について、頷いた。
「上出来だリーネ。腕を上げたな。よくやったぞ」
トゥルーデは戦闘ではとても厳しい事で有名だが、腕を上げれば正しく率直にその実力を評価出来る人物だ。
「ありがとうございます」
リーネは緊張から少し解放されたのか、まだ固いが小さく笑みを見せた。
ペリーヌも少し遅れて上昇して来た。きちんと仕事をこなしたのだが、いまいち消化不良な顔をしている。
「おいしいところをもっていかれたな、ふたりとも」
美緒はそんなペリーヌを見て笑う。
「と、とんでもありませんわ少佐! 貴重な戦力が上達していくのはとても頼もしくて……」
わっはっは、と豪快に笑うと、美緒は基地の司令所に居るミーナに次の指示を請うた。
「他にネウロイは居ないか? 以前の様に陽動かも分からんからな」
『周囲にネウロイの機影は見えないわ。……戦闘終了ね。お疲れ様、全機帰投して下さい』
「了解。……さて、帰るか」
「なんか少し呆気なかったな」
「毎回毎回とんでもない敵ばかりですわ! たまにはこの程度でも宜しくて?」
「それは余裕と言う意味か、ペリーヌ?」
「い、いえ、そんなつもりでは」
トゥルーデの問いに答えが詰まったペリーヌは、下を向いた。
美緒は飛行しながらペリーヌの頭を撫でてやった。
「まあそう責めるなバルクホルン。おまえ達ふたりの働きがあってこそだぞ?」
「そっそれはもうわたくし、最大限に勤めを果たしますから」
美緒に褒められ舞い上がるペリーヌ。
「頼もしいじゃないか、ええ? バルクホルン」
「ああ。確かに」
トゥルーデは小さく頷き、微笑みを見せた。

基地の滑走路では皆が帰りを待っていた。
「おかえりなさい!」
待機中だった隊員達が出迎え、労をねぎらう。
各隊員はストライカーを脱ぐと、デブリーフィングの為ブリーフィングルームに集合する。
トゥルーデは僅かな隙を見計らって整備員に声を掛けた。
「降下中の挙動をもう少し安定出来ないだろうか? ……いや、そう言う意味ではなくて、もっとピッチと……」
「トゥルーデ、すぐにデブリーフィングだよ。整備の話はあとあと」
エーリカがトゥルーデの服の袖を引っ張る。
「いや、少し話しておきたくてな」
「そう言うとこはマメと言うか真面目だね〜。ほら、行くよ」
エーリカはトゥルーデの腰に腕を回し、デブリーフィングへと誘った。
一方で、リーネは芳佳に抱きつかれていた。
「リーネちゃん聞いたよ! また撃墜したんだってね! おめでとう!」
「ありがとう芳佳ちゃん」
初めて、心からの満面の笑みを浮かべるリーネ。緊張から解放され、芳佳と喜びを分かち合っている。
ペリーヌはひとり何処か浮かない顔をしてストライカーを脱いだ。美緒はそんなペリーヌを見て
「どうしたペリーヌ。何か気になる事でも有ったか?」
と声を掛けるも、ペリーヌとしては美緒から声を掛けられただけで舞い上がってしまい
「とんでもございませんわ! わたくしこの通りいつもと全く変わりませんから!」
気丈を通り越して反り返ってしまう程元気になってしまう。
「まあそれなら良いが。行くぞ。戦闘報告だ」
「はい! 今すぐに!」
94see you again 03/05:2008/12/04(木) 06:07:12 ID:gA3usaPy
デブリーフィングも特に問題なくあっさりと終わった。
ネウロイとの戦闘が予想以上に呆気なかったと言う点が大きい。
隊員は解散するなり、好き勝手に散っていく。リーネは早速芳佳と一緒にお風呂に向かった。
美緒はトゥルーデ、そして基地に残っていたミーナ、エーリカと共に今回のネウロイについて少し話し合っていたが、
ふと気になった事を思い出し、トゥルーデに声を掛けた。
「少佐、何か私に?」
「うむ。お前の二番機についてだ」
「今回は別段トラブルも無く……」
「いや、確かに機動や戦術については、問題無い」
「では、ペリーヌが何か?」
少佐はトゥルーデに何かを告げた。トゥルーデは表情を変え頷くと、ひとり部屋を後にしたペリーヌの姿を探した。
「あー、トゥルーデぇ〜」
「少しは我慢しろ、エーリカ」
トゥルーデの事が気になって仕方ないエーリカを横に、美緒は苦笑した。

ペリーヌは基地の裏庭にひとり、佇んでいた。裏庭の一角を借りて……正確にはペリーヌが強制的に収用して……
育てているマリーゴールドの花に近付く。その花々はとても可憐で、また儚い。
祖母から聞いた、マリーゴールドの育て方。
枯れた花はすぐに摘み取るか、茎からばっさりと切りなさい。そうしないと株が弱ってしまうよ。
そしてこまめに花がらを手入れすれば、綺麗な花を幾つもつけるよ。
ペリーヌは言われた通りに育て、弱った花、枯れた花はすぐに捨てた。お陰でどの株も枯れる事なく、
裏庭の風景をひときわ美しく彩らせている。
ペリーヌはマリーゴールドの植わる一角にしゃがむと、花を愛で、ふう、と息を付き空を仰いだ。
ふと、先程の空戦が蘇る。何と言う訳でもなく、誰かが傷付くと言う事もなく、無事無難に任務を終えた。
しかし、何かが心の奥で引っ掛かる。
マリーゴールドを見る。少し痛んでいる花が幾つか目に付いた。
横に置いてある道具箱から剪定鋏を取り出すと、無心にぷちんぷちんと切り始めた。
「ここに居たか、ペリーヌ・クロステルマン中尉」
突然声を掛けられて驚くペリーヌ。慌てて鋏を背の後ろに隠し持つ。
「あ、あら大尉。如何なさいまして?」
「いや、今日の戦闘について、少し話が有る」
「戦闘報告は既に済ませましたが……」
「戦闘内容そのものについては問題ない。それは中佐も少佐も、私も同意見だ」
「では他に何か問題が?」
「それをお前に聞こうと思ってな」
「特に、何も有りませんわ」
「そうか」
ペリーヌの答えを聞いた後、トゥルーデはマリーゴールドの近くに据え置かれた長椅子に腰掛けた。
トゥルーデがそれっきり何もいわなくなったのを確認すると、ペリーヌはマリーゴールドの世話を再開した。
ぱちん。ぷちん。茎を切り落とす音が辺りに小さくこだまする。
「それは……何の花だ?
「マリーゴールドですわ」
「と言うと、この前の……」
「ええ。以前、夜間訓練の時にお出ししたハーブティーの原料でもありましてよ」
「葉を使うのか?」
「花びらを乾燥させて使うのですわ。目に良く、消化不良、発汗、解毒、傷にも効く素晴らしいハーブでしてよ?」
「万能薬だな」
「ええ。我が家のお祖母様のお祖母様のそのまたお祖母様から、代々伝わるものですから」
我が子の様に自慢しながら、痛んでいる花を遠慮会釈無しにぶちぶちと摘んでいく。
「そんなに摘み取って大丈夫か?」
「問題有りません。これがわたくしの家に代々伝わる育て方ですから」
「私は花には素人だが……そんなに乱暴に摘み取って、本当に大丈夫なのか」
「問題有りません」
ペリーヌは繰り返した。自分に言い聞かせる様に。
鋏を持つ手が止まる。トゥルーデがペリーヌの手を押さえたのだ。
95see you again 04/05:2008/12/04(木) 06:08:35 ID:gA3usaPy
「大尉、何をなさいますの?」
「その辺にしておけ、ペリーヌ」
ペリーヌは動揺を隠せなかった。
彼女を押さえたトゥルーデの左手にはエンゲージリングが光る。それがまた見せつけている様で、無性に腹が立った。
いささか乱暴に手を振り払うと、ペリーヌはトゥルーデに牙を向いた。
「きちんと手入れしなければ、この花は枯れてしまいましてよ!? 大尉はご存じないからそんな事を!」
「素人目に見ても、幾ら何でも切り過ぎだ。もうその位で良いだろう」
「この花はもっと切らなくては駄目なんです! 美しく咲かせる為にもっと! わたくしはただ……」
「花に当たるのは、良くない」
ペリーヌは息を呑んだ。鋏を持つ手の力が抜ける。
ことん、と鋏を落とした。
へなへなと座り込む。
「大丈夫か」
「ほ、ほっといて下さい!」
「座り込んだヤツを放っておけるか」
「ちょ、ちょっと、立ちくらみしただけですわ」
「なら、尚更だ」
トゥルーデはペリーヌを易々と抱きかかえ、立ち上がった。そのまま長椅子に座らせ、自身も横に座った。
下を向いて無言のペリーヌ。
「なあ」
トゥルーデは声を掛けた。慎重に、と内心呟いて、次の言葉を探す。
「お前の機動そのものは問題ない。だけど、少佐が言っていた。お前の心が心配だと」
「心、ですって?」
「人は、ストライカーは不思議なものでな。気持ちが挙動に現れる……事が有る。私もしょっちゅうエーリカに言われるよ」
「……」
“相棒”の自慢話はごめんです、と内心毒突いたペリーヌに、トゥルーデは言葉を続けた。
「私は前に一度自分を見失ってお前を……二番機を、視界から外してしまった事が有ったよな」
「あれは、わたくしの責任で……」
「いや、あれは一番機である私のミスだ。ペリーヌ、お前には、あの時の私みたいになって欲しくないんだ」
「……」
「今日のお前の機動、射線軸がごく僅かだが左にぶれていた。いつもは正確に合わせられる筈なのに」
黙り込むペリーヌ。
「前にも数度有った。例えば体調不良だったり、その都度原因らしき事が有るだろうと言う事も、
何となくだが私には分かる」
ペリーヌは足元に咲くマリーゴールドの花を見た。黙して語らず。ただ美しい色を付けるのみ。
「今回の原因が何か、私には分からない。……ただ、無理は良くない」
ペリーヌはトゥルーデを見ずにマリーゴールドをじっと見つめ続けた。
「花に当たるのも、良くない。お前の家に代々伝わる花なんだ、もっと大事にしろ。お前自身も含めて」
まるでペリーヌをよく知る父か祖父の様な言い方に、ペリーヌは我慢の限度を超えた。
「た、大尉に何が分かるんですの!? わたくしの何が!?」
「分からないさ、お前のことは。ただ……」
トゥルーデは空を見上げて言った。
「大事なものを見失って欲しくないんだ。それが何かは、お前だけにしか分からない」
ペリーヌはトゥルーデを見た。その姿は、実直、剛直、生真面目ないつもの姿と違って、何処か包容力が有る様に見えて……
何故か、ペリーヌの大事なひと……と一瞬姿がだぶって見えた。
ぶるぶると首を振る。いつもと同じ筈の大尉を、何故? 目の錯覚?
眼鏡を外し、目をごしごしこする。
「これを使え」
トゥルーデが差し出したのは、一枚のハンカチ。綺麗に洗って畳まれていた。差し出され、その上に雫が垂れるまで、
ペリーヌは自分が涙している事にすら、気付かなかった。
「気丈に振る舞うのも良いが……我々は仲間であると同時に、家族も同然だ。もっと色々無茶を言えよ。悪ふざけもしろ。
甘えたっていいんだぞ?」
涙を慌てて拭く。止まらない。何故だか自分でも解らない。
何とも無様な姿を。恥ずかしさと情けなさで、思わずしゃがみ込んで、小さく、噛み殺す様に嗚咽する。
微かに風が流れ、マリーゴールドの花を揺らす。ペリーヌに向かって軽くおじぎしている様で、元気付けている感じもした。
トゥルーデはペリーヌが泣き止むまで、じっと傍らに居た。
96see you again 05/05:2008/12/04(木) 06:10:12 ID:gA3usaPy
ハンカチを持ったまま、地面にしゃがむペリーヌ。うつむいたまま、一言も言葉を発しない。
しかし、少しは落ち着いた様だ。すすり上げる回数も殆ど無い。
ただじっと、地面を……いや、花を視界に捉えているのだろう。彼女にしか分からない事もある。それもたくさん。
「そのハンカチは持っていて構わない。替えなら幾らでもあるからな」
トゥルーデはそう言うと立ち上がった。
「……大尉、どちらへ?」
「訓練だ。通常シフトに戻った以上、私も勤めを果たさなければ」
「そう、ですか」
「ペリーヌは非番だろう? ゆっくり休め」
「大尉、あの……」
「どうした?」
一瞬の間。風に吹かれ、草が揺れ、トゥルーデとペリーヌの髪をゆらし、乱す。
「……いえ、何でもありませんわ」
ペリーヌは一瞬過ぎった妙な感情と言葉をさっと流し捨てると、髪をかきあげ、毅然と言ってのけた。
「わたくし、用事を思い付きましたわ。申し訳ありませんが、失礼します」
それだけ言うと、ペリーヌは剪定鋏を道具箱にしまい、裏庭から去った。
一人取り残されたかたちになるトゥルーデ。
「いつも通り、か。……強いな。ペリーヌ・クロステルマン中尉」
そして空を見て呟く。これで良かったのか、少佐……。と。
これから訓練すべき大空が、その時だけは何故か酷く潰れて低く見えた。

翌日。午後のお茶会で、マリーゴールドのハーブティーが出された。
「またこのハーブティー?」
「夜間訓練……だったっけか?」
「これって民間伝承じゃ……」
「……まずい」
相変わらず隊員からは散々な言われようだったが、ペリーヌは普段と同じく食って掛かり、皆は嫌々口にした。
そんな中トゥルーデはひとり、ハーブティーの淡い色を見つめ、微かに微笑んだ。
「トゥルーデ、もしかしてこれ好みなの?」
エーリカがトゥルーデの顔を見てぎょっとする。
「いや、正直そうでもないな」
と言いつつも、ひとくち口に含み、独特な味を舌に残しながら、言った。
「でもたまには良いんじゃないか、こういうのも?」

end

----

……なんか微妙な出来ですね。
結局何を言いたいのか自分でもわかりません(><;
いつもと違った「委員長的」「副官的」なトゥルーデを書いてみたつもりですが如何でしょう。
マリーゴールドの事はグーグル先生に教わりましたが、間違ってたらごめんなさい。
では度重なるスレ汚し誠に失礼致しました。流石に寝ますorz
97名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 06:35:58 ID:gA3usaPy
それと最後に。
21X2w2Ib氏、結果的にかぶせてしまったかたちになってしまい誠に申し訳ないですorz
悪意とかは全く無いです。今後は気を付けますのでお許しを……。
では……。
98名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 06:58:32 ID:TY36vnzr
>>43>>89はそろそろ別に書いた方がいいんじゃないか?
二人の脳内でかなり齟齬が発生してるように感じる
99名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 07:28:22 ID:f6tA0Ttb
そうだな
リレーSSぽいけど
正式なリレーじゃなんだから、早い者勝ちじゃなくて
職人によって違う分岐が有っても面白いと思う

あと投下したGJ!
まだ読んでないから後からニヤニヤしながら読ましてもらう
100名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 07:54:52 ID:KGQP0u0i
その齟齬を職人さんたち自身が楽しめてるんならいいけどナ
101名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 09:16:21 ID:8tPKK++0
ROM専の俺は投下されたものを楽しく読むのみ
今日も豊作でありがてえありがてえ
102名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 09:27:16 ID:1UnXLARW
リーネイラかなりの長編になってきたな
管理人さんもまさかリレーになるとは、思ってなかっただろうに。
103名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 09:29:53 ID:1UnXLARW
書き忘れた
投下した職人乙
mxTTnzhm氏仕事早過ぎw
スピードエースダナ
104名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 11:21:05 ID:/pd7k+xF
もともとリーネイラなんて無理のあるカプなわけで
10589:2008/12/04(木) 11:25:46 ID:mkZYFxZu
>>98
どうにもうまくほのぼのがかけない癖があるので>>43氏の続きの
良さを自分が壊してしまったような気がしていまさらながら後悔している、申し訳ない

前スレ345から先を全部自分が書くつもりでプロット立ててたのがあだになったのかもしれない
紛らわしいので過去の話も修正の上全部書き終わってからテキストうpしようと思います
106名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 11:41:00 ID:keMSBrwU
>>96
いいねいいね
ペリーヌとゲルトだと二人とも無理するとこがあるから
こういうさらっとした関係がすごく映えると思う
GJでした!
107名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 12:28:40 ID:x57B+mmi
>>89
忘れ切れてないのはとてもエイラさんらしいなと思う
ほのぼのも好きだけどそこまで踏み込んでるのは正直頭が下がります
うp待ってますね
108名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 12:28:52 ID:1UnXLARW
>>105

もともと暗い話だし良いんじゃない?
だれかまとめなきゃ収拾つかないし
109名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 12:45:53 ID:6JJFG8J8
お前らエイラはさーにゃとくっつかなきゃ気が済まないみたいだな
110名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 12:53:42 ID:4LdHOozw
>>109
いきなりどうしたw
とりあえず落ち着いて誰とのカプがいいか君の希望をいいたまえ
111名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 13:20:16 ID:ZJzWr0Hw
エイリーネもなかなか悪くは無い

しかしクロウカシスまだかな
112名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 13:29:09 ID:ZJzWr0Hw
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org21899.jpg
この絵を描いた奴…貴様、見ているな?
113名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 15:10:14 ID:p51TOOmb
>>109
だってエイラもリーネも正妻がいるじゃん
114名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 15:25:46 ID:1UnXLARW
エイラはサーニャのよry
まぁいろいろ組み合わせを楽しむのが虹の醍醐味
115名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 15:44:32 ID:N4bwhUhD
>>112

                             /: : : : :|: : : :.ト: : : : : : \:\:ヽ
                            /: : : : :|: : !:/:ハ| \: : | : : :\:ヽ:| .____
                            /:|: : : : :|:.ハ/:/: :|   \!: : : : : \! /
 __                       /イ:|: : |:_/|:|ノハ: :|   / ヽ: : : i: : |.|
     \ :'´⌒ヽ                {:ハ:|: : |:/_孑≧ ヘ:! ,イう示ヽ\:|_:.ヽ|  ふ 妹
      |i   " )_,,, _              |:|: :ハ!〈 うオ     弋ソノ  f トリ|  え が
 お や |i         ヽ            |ハ: :|∧ 弋ソ  、  //// /ノ/ .|  る
 姉 っ  |i      / ・ i             ヾ:ト ヘ///    _    , '<  |  よ
 ち た  |i          t               <ヘ    f/ ̄ | /:7:.ト >.|  !!
 ゃ ね  |i         〃 ●              /:/ `>ゝ - 'イ ‐'´|: |   |
 ん    |i   r一 ヽ      )           _/:/_/∧i  ̄ ト 、 |: |   |
 !    |i   |   i   ∀"           ∧ー―|   ヘ\ /| ヘミミト 、.|
        |i   |    i   ノi           / i   |    ∨|Y 「T| i   ∧|
       |i ニ|   |二二◎    ∠⌒つ  /  |    |    \/ └┘|  / \__
       |i  i    i   ヽ   /  /⌒>、 /   |ー―Lwww》=《wwN く   |
       li           }  | /  / / 7   !  /   <イ∧ ト>  ヽ {
       |i           |  L      /    ∧   _ //_ |d:|  -‐  } ヘ
  __ /          / ⌒`)⌒)7>  _∧    / } '´   {:!  | ||     /  ヘ
      ,ノ フr フ   メ   / ノ  |:.:.|  / ヘ  /  |       } |     ∧   ヽ、
116名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 15:58:33 ID:TOs5zm+y
エイリーネも好きだが、
そろそろラブラブエイラーニャが恋しくなってきた……

おとなしく保管庫見てくるわ
117名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 16:03:58 ID:odH8+D/D
リーネイラは全部>>89に任せることにするよ
楽しみに待ってるわ
118名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 16:25:14 ID:gA3usaPy
こんにちは。懲りずにmxTTnzhmでございます。
前スレ>>463-469「ring」の後日談的なもの、その4です。
前作>>92-96「see you again」ともリンクしてます。
今回も>>70氏のチャレンジャー応募と言う事で、
美緒×エーリカに挑んでみました。
かなりの無理&破綻が有りますが……とりあえず。
タイトルは「charge」、どうぞ。
119charge 01/05:2008/12/04(木) 16:26:22 ID:gA3usaPy
「倦怠期?」
ミーナと美緒は、エーリカの言葉に目を丸くした。
無理もない。あれだけ部隊中を騒がせ、何かと見せつけてきたウルトラエースコンビ……
熱々のカップルが、いきなりその様な状況に陥るとは。
執務室のソファーにどっかと座り、はぁ〜と溜め息をつくエーリカ。
「私達……どうすればいいんだろ」
美緒はエーリカに聞いてみた。
「倦怠期、か……バルクホルンに飽きたとかそう言う事か?」
「飽きてはいないよ。いつも通り」
今度はミーナが聞いてみた。
「その、毎日のスキンシップとか、出来てる?」
「そりゃもう毎日毎晩嫌になるくらい」
「喧嘩はしたりするのか」
「喧嘩なんてしてないよ。平穏そのもの」
「平穏ならいいんじゃない? それは倦怠期とかじゃなくて、単純に安定した……」
「……な〜んか、違うんだよね〜」
目の前でぐずつくエーリカを前に、ミーナも美緒もどうして良いか分からない。
ドアがノックされる。やって来たのはトゥルーデだった。
「こんなところに居たのか。行くぞ、エーリカ」
「うん。行こう、トゥルーデ」
二人仲良く手を繋ぎ……腕を絡ませながら……執務室から出ていった。
その仕草や表情に普段と変わるところは何もなく、ふたりはますます謎に思った。
「あの子達、何か勘違いしてないかしら?」
「うーむ。だとしたら、きちんと『倦怠期』とやらがどういうものか教えてやらんとなあ」
「……どうやって?」
「正直、私も分からん。何せ『倦怠期』と言うものを経験した事が無いからな」
「倦怠期ねえ……」
頬に手をやり、天井の方を見るミーナ。何かを思い出したのか。
「ミーナは、覚えが有るのか?」
珍しく美緒が顔色を変えた。
「無いわよ。私そんなに経験豊富じゃないわよ?」
笑って手を振り答えるミーナ。しかし、一瞬でも誤解させるとは、おそるべき十八歳だ。
「とりあえず調べてみよう。ちょうど明日ロンドンに行く用事が有ったな」
「そうだったわね」
「では、そのついでだ。私がハルトマンを連れて、行って来よう」
「大丈夫?」
「心配要らない。調べものをするだけさ」

翌日。
渋るエーリカを引き連れ、美緒はキューベルワーゲンに乗り込み一路ロンドンを目指した。
ブリタニア空軍、カールスラント空軍、扶桑海軍の連絡所と足早に用事をこなしたふたりは
ロンドン市街の一角に建つ、とある図書館へと足を踏み入れた。
「少佐、ここは?」
「色々な学問やら科学やら、……まあ、知識の宝庫だな」
「図書館だって事位私にも分かるよ。で、探し物は何?」
「お前さ」
指をさされてぎくりとするエーリカ。
「私? どう言う事?」
エーリカの仕草を見て豪快に笑い飛ばすも、エーリカに慌てて口を押さえられる美緒。
「図書館は静かにしないと」
「……すまん、つい」
ふたりは周囲の痛い視線を避けつつ、本を探した。
120名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 16:26:25 ID:aZXvpt3F
坂本ミーナ夫妻とその娘ペリーヌのお話書いて
121charge 02/05:2008/12/04(木) 16:27:27 ID:gA3usaPy
「おお、有った。『夫婦の倦怠期に見られる諸症状とその解消法について』……探してみるもんだな」
「へえ、そんな本有るんだ」
かなり分厚い。英語で書かれた専門書籍らしく、本の重さだけで気分が萎えてくる。
「なんかだるい……」
「お前達の為だ。一緒に読んでやるから、頑張って読め。必要ならメモを取れ」
「勉強しに来たって感じだね」
美緒とエーリカは分厚い解説書のページをめくった。
一ページ毎に、症例とその詳細な解説、その治療法が書かれていたが、どうにも眠くなる内容で、
十分後にはふたり揃って本に突っ伏していた。はっと目覚めると、周囲の痛い視線を浴びている。
二人は平謝りすると、人気の無い所に移動し、改めて、睡魔と格闘しながらページをめくった。
美緒がメモしながら、エーリカに小声で質問する。
「では行くぞ。まず症状その一。『一緒にいても楽しくない』」
「そんな事無いよ。一緒にいるといつもドキドキするよ」
「その二。『一緒にいると窒息感・閉塞感を覚える』」
「キスのし過ぎで息苦しくなる事は有るね」
「意味が違うんじゃないか? その三。『会話が減り、会話のも面倒に感じる』」
「会話はいつもと変わらないよ。私が良く喋る位かな」
「その四。『一緒に行動する機会が減る』」
「いつも一緒だよ?」
「そうだったな。その五。『相手の嫌なところが目につく』」
「トゥルーデの事しか見えないよ」
「その六。『スキンシップが義務的になる。または無くなる。性的行為も含む』」
「毎朝毎晩してる。キス位なら人目がなければ何処でも」
「お前達は……。その七。『しばらく会わなくても平気になる』」
「毎日一緒に寝起きしてるのに? トゥルーデ居ない生活なんて耐えられないよ」
「その八……『何をしようが相手の行動が気にならない』」
「気になるよ。トゥルーデのする事だもん」
本から目を離すと、美緒はエーリカの顔を見て、言ってのけた。
「若干微妙な点も有るが、お前達は大丈夫だ。問題ない」
「ええっ? ホントに?」
「全然当てはまらないじゃないか。問題無いって事だろう」
う〜ん、と首をひねるエーリカ。
「なら一応、解消法についても読んでみるか?」
「興味有るね」
美緒は本のページをめくり、つらつらと読みながら、また小声でエーリカに質問する。
「解消法、一。『二人が経験した事の無い新しい刺激を見つける』」
「あー、刺激はちょっと少ないかもね。……ネウロイとの戦いは緊張の連続だけど」
「それはちょっと意味が違うだろう。二。『二人で夢中になれる共通の楽しみを見つける』」
「毎晩楽しんでるよ」
「そうか。三。『たまに友人・知人と一緒に遊びに出かける。もしくは楽しく素敵な催し物を計画する』」
「シフト組んでるからこれが案外難しいんだよね」
「そうだな、我々は仮にも軍人だからな。四。『たまに日常から離れた行動を取ってみる』」
「この前徹夜して……ミーナに怒られたっけ」
「そうだったな。五。『旅行等の大きな計画を立て、共にプランを考える』」
「旅行かあ。トゥルーデと一緒にスオムス行ってウルスラと会う約束はしてるけど」
「ほう、それは結構な事じゃないか。……六『スキンシップに遊び心を加え、新鮮さを保つ』」
「この前ちょっと変わったプレイして、トゥルーデに怒られたっけ」
「何だそれは。七。『驚きや感動を与えるプレゼントを贈る』」
「この前マリッジリングの話ししたよ」
「楽しそうだな。八。『二人で一緒の目標をつくり、達成をめざす』」
「目標ねえ……カールスラント奪還とかそう言うのはダメ?」
「真面目にやる気あるのか」
「真面目だよぉ」
美緒は一通りメモした紙をしまうと、本を書架に戻した。
「行くぞ」
「え、もう終わり?」
「私が見る限り、お前達は問題ない。解消法も、有って無い様なものじゃないか」
「う〜ん……」
「とりあえず出るぞ。ここはどうにも息苦しくてかなわん」
軍服姿の二人はそそくさと図書館を後にした。
122charge 03/05:2008/12/04(木) 16:28:42 ID:gA3usaPy
「いやー、ブリタニアってお茶とお菓子はイケルんだよねえ」
「確かにな」
本と向き合い過ぎて気が滅入った二人は、帰り際、気分転換にと喫茶店に寄った。
昼下がり、戦時下とは言え、市街は思った以上に活気があり、喫茶店内もちょうど
時間帯と見えて割合席が埋まっている。
スコーンとベイクドケーキをお茶請け代わりに、紅茶を頂く。
「緑茶も良いが、紅茶は紅茶で趣が有るな」
静かに言う美緒。
「いっただきー」
エーリカはお菓子を頬張り、幸せそうな顔をした。
しばしお茶と菓子を楽しんだ後、美緒は椅子にもたれ、腕組みしてエーリカに質問した。
「しかし分からんな、ハルトマン。何故、お前が倦怠期だと言いだしたのか」
「う〜ん。何でだろ」
「私に聞かれても困る。何か切欠みたいなものはなかったのか?」
「切欠ねえ……特に」
「いつ頃からそう感じる様になった?」
「……この前辺り、かな」
「この前とは」
「トゥルーデと少佐達が出撃した時。ほら、あっさりネウロイを撃墜した時。リーネが一撃で仕留めたって言う……」
「ああ。ついこの前のネウロイ戦か」
「そうそう。あの後、なんだよね。何かちょっと違うなあって」
美緒はその時何か有ったか、何が起きたか必死で思い出そうと努力した。
「あの時……」
美緒ははっとした。
そう言えば、あの時ペリーヌが少し気落ちしていた様にみえたので、
当時の一番機であるトゥルーデに「様子を見て来い、何なら励ましてやれ」と言いつけた事を思い出す。
まさかそれを見ていたのか? その事が気になっているのか?
エーリカを見る。少しふてくされた感じで、紅茶に口をつけている。
美緒は笑った。唐突に笑い始めたので、エーリカは少し驚いた。
「ハルトマン。それは倦怠期ではないぞ。ちょっとした勘違い、軽い嫉妬だ」
「勘違い? 嫉妬? 誰に? 私誰にも嫉妬なんてしてないよ」
「言わなくてもいい。確かにあれは私の失策だったかも知れんな。すまん」
「?」
突然謝られて訳の分からないエーリカ。
「少佐、どう言う事?」
「直接バルクホルンに聞いてみろ。戦闘後何が有ったか。それで全ては解決する」
美緒は紅茶を飲み干し、告げた。
「そろそろ戻ろうか。時間だ」
「りょ、了解」
123charge 04/05:2008/12/04(木) 16:30:08 ID:gA3usaPy
夕食後、シフト以外で自由時間を持て余す者達は風呂に入っていた。
エーリカは広い湯船でひとしきり自由に泳いだあと、ふうと息をついて天井を見上げた。
「……なんだろ」
美緒は直接トゥルーデに聞けと言った。しかし当のトゥルーデは勤務中……夕方から夜にかけての
哨戒任務に就いているので聞く暇などない。司令所に殴り込んで無線で聞きたい気もしたが
そこまでする程の気持ちも無ければ、軍規違反を起こす気にもなれなかった。
「でも、気になる」
そこに美緒がやって来た。遠くで聞こえるペリーヌのうわずった声ですぐに分かる。
美緒はエーリカの姿をみとめると、つつと横に来て、言った。
「どうした。まだ考えてるのか」
「少佐……」
「そうか、バルクホルンは哨戒任務中だったな」
「うん」
湯船に少し顔を浸け、目を伏せるエーリカ。
「余り思い詰めるな。いつものお前らしくないじゃないか」
「だって、トゥルーデは私の大事な人だもの。私だって考えちゃうよ。どうしたら良いのか」
「私は既に答えを言った筈だぞ?」
「……分かってる」
「まあ、焦るな。焦りが更なるミスを生む。空戦と同じだ。じっくり向き合え」
「そうは言っても……じゃあ少佐、少佐は私みたいな気持ちになった事、有るの?」
「私、か?」
いつしか、ペリーヌがそっと美緒の様子を伺っている。美緒は気付いていないのか、しばし黙り込んだ後、不意に言った。
「有る」
「少佐も、有るんだ」
「ああ。離れていたりすると、不安になったりする事はある」
「……」
「でも、それは好きだからこそ、じゃないか? でなければこんな感情など起きんぞ?」
「確かに」
「ハルトマン、お前は面白い奴だな。この前の酒の時もそうだったが、不意に周りが見えなくなる時が有るんだな」
美緒は我が子をあやす様に……当人は本当にそんな軽い気持ちのまま……、エーリカの肩を抱き、頭を撫でた。
突然の事に、かっと顔が赤くなるエーリカ。
「しょ、少佐! なんてことなさいまし……」
ざばと風呂から立ち上がり、ペリーヌが叫びかけた。
「少佐!」
横から厳しく激しい声が挙がる。いつの間に帰還したのか、トゥルーデその人だった。
エーリカと美緒の前に仁王立ちになる。
「少佐、エーリカが何か」
「トゥルーデ……」
トゥルーデは抑え気味に問うたが、その声の低さから、答え次第では何をするか分からない雰囲気を持っていた。
「ん? いや、ちょっと相談事を受けてな。慰めていた」
「私のエーリカが、少佐に迷惑を」
妙に必死なトゥルーデの姿を見て、美緒はふっと笑った。
笑い声がいつもと同じ、特徴的な高笑いに変わった。
一同は、いつもの豪快な笑いを突然聞かされ、いささか脱力する。
「ほら、行けハルトマン。ちゃんと話をするんだぞ」
どんとエーリカの肩を突き、トゥルーデのもとに寄越す。
「すまんなバルクホルン。この通りだ。私のせいでお前達を勘違いさせてしまった様だ」
「は、はあ」
唐突な謝罪を受け、どう答えていいか戸惑うトゥルーデ。
「さて、身体でも洗うか」
美緒は湯船から立ち上がった。
「しょ、少佐、お背中お流し致しますわ!」
「おおすまんなペリーヌ」
勝手にくっついて行くペリーヌと共に、美緒は二人のもとから去った。
エーリカはトゥルーデとふたりっきりになった。
「エーリカ、今のは一体……」
「少佐の言う通りだから。誤解しないでよね」
「……まあ、少佐が嘘を付く様な人じゃないって事は、私も分かっている。心配するな」
「なら、安心した。後で話し有るんだけど、つきあってよ」
124charge 05/05:2008/12/04(木) 16:32:07 ID:gA3usaPy
その日の夜更け。
「で、美緒。教えて頂戴。どうしてエーリカにそこまで深入りしようとしたの」
「深入り?」
「隊の皆から聞いたわよ。風呂場で肩を抱いたとか」
「あれはちょっとした、私なりの気休めと言うか慰めのつもりだったんだがな。皆を誤解させてしまった様だ」
「貴方って人は……」
「すまん」
呆れるミーナ、苦笑いして頭をかく美緒。
「で、本題をまだ聞いていないわよ。何故?」
「いやあ、ハルトマンにこう言うのもアレだが……これは絶対に口外無用だぞ?」
「?」
「もしもの時の、事前学習を兼ねてだよ」
美緒は図書館で取ったメモを見せた。ミーナは奪い取るなり、食い入る様に読みふけっている。
「おい、ミーナ?」
「私達も、頑張りましょう」
「??」
それだけ言うと、ミーナは何か言いたそうな美緒の唇を塞いだ。

end

----

間接的にエーリカ×トゥルーデ、美緒×ミーナの要素も入ってしまいました。
と言うかそっちの方が強い気も……。
もっとストレートに二人の関係を書く事も考えたのですが、
今の私にはこれが限度ですorz

では度重なるスレ汚し失礼しました。
125名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 17:08:12 ID:Mb0pTjG6
>>112
その絵を書いたのは自分ですが
線画は3週間前から描いていたんですよ。
完成したんでうpして、朝ここ覗いたらペリゲルSS来てて、
自分でもビックリでした。
なにこの絵とSSのシンクロ〜!!
126名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 18:10:48 ID:RbwPl5GF
今回も公式は最高だなー
お互いを探しあうエイラーニャかわいいなぁ
127名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 18:28:38 ID:9QveqGwS
今日の教練を終わります!吹いたwつかサーニャのキャラがww
しかも記録集もっぺりじゃないか。よかったなあペリーヌ
128名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 18:30:10 ID:RH3sNG1U
ウィッチーズの方々は買い物とかいくとき、私服着るの?
まさか私服もローライズなのか…!?
129名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 18:31:26 ID:9QveqGwS
ズボンかベルトを穿いてるのだから問題なかろう
あと当たり前だが公式で全角かなでエイラが喋ってると変な感じがするw
130名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 18:37:04 ID:RbwPl5GF
でもエイラの文字だけフォントが違うんだよね
細かいなあ、と思ったよ
131名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 18:41:00 ID:9QveqGwS
あ、そういう意味だったのか
てっきり俺のコンタクトかモニタの解像度がおかしいのかと思ってたw
132名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 18:49:20 ID:GCRvt48d
>>130
素敵な露伴を手に入れたに見えた
133名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 18:53:09 ID:GCRvt48d
娯っごごごごごごごごご爆ばくばくばくばばばばばば
134名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 18:55:10 ID:f6tA0Ttb
>リーネ「しっかりしてる人が
近くにいると、つい甘えて
しまいますから」
>サーニャ(……なんか…隣が寒い…)

>サーニャ「……ねむい……さむい……
おなかすいた……
……エイラ、どこ……?」

芳香「…リ、リーネちゃん…?
そ、そんな、いきなり…
……困るよ…」

今回良すぎるぞw

>>124

エーゲル大好きな俺大喜び
というかほんと書くの早いな
135名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 18:57:16 ID:ZJzWr0Hw
>>130,132-133
不覚にも
136名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 18:57:17 ID:p51TOOmb
記録集といいDVD表紙といいフミカネが神すぎる
137名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 19:04:15 ID:f6tA0Ttb
映像記録鑑賞会ホント芳ーネダナ
というか夜二人でいると逢引なのか・・・
138名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 19:09:40 ID:9QveqGwS
>>132
勇気のヘブンズドアーが開いちゃったな
139名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 19:59:25 ID:jWIo4zDS
夕方、南西の空を見上げると今↓こんな風景が見れるんだけど


    ★木星
 ▲三日月

  ☆金星


 南←南西→西

美緒(三日月)に寄り添うミーナ(木星)とペリーヌ(金星)
そして美緒の一番近くで守られている事に全く気付かない傍観者芳佳(地球)
を想像してニヤニヤして他の八惑星+αも無理矢理妄想したらこんな感じに

 太陽:シャーリー
 水星:ルッキーニ
 金星:ペリーヌ
 月 :美緒
 地球:芳佳
 火星:リーネ
 木星:ミーナ
 土星:ゲルト
天王星:エイラ
海王星:サーニャ
冥王星:エーリカ

あぁ土星と冥王星、はてしない距離!決して交わらない公転軌道!
だったらエーリカとエイラ逆でもいいかも、海王星と冥王星は唯一軌道交差してるし
でもゲルト(かっこいい時)は死神、エーリカってジョーカーのイメージがね
ごめんねエーリカ
140名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 20:04:35 ID:KGQP0u0i
>>139
百合のカリスマエイラーニャですね、わかります。
141名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 21:00:43 ID:9291ex+u
投下します。タイトルは幸せの方程式と冬戦争。

どうして…本当にどうしてこんなことになってるんだ?

ーーーーーーーー

私たちの部隊は、ガリア解放という目的を達して解散した。

共に戦ってきた仲間たちとの別れはツラいものだったけれども、私の隣にはサーニャがいてくれた。

私たちはいつも一緒だった。

夜間哨戒から帰ってきたサーニャは、いつも私の部屋にやってきたし、
休みの日には二人で街中まで買い物に行ったりもした。
ロッテだっていつも二人で組んだ。

私がサーニャと別れたくなかったように、サーニャも私と別れたくなかったのだろう。
私たちは共にスオムスで暮らす約束をしたんだ。

それは、スオムスが各国から広く義勇軍を募っていたこと、
スオムスが対ネウロイの防波堤的な役割に位置する要地であったことに拠るところが大きく、
そのため、サーニャの異動願いも比較的容易に受理された。

スオムスにはエル姉やニパもいるしサーニャも一緒にきてくれる、
私は、こんなに幸せなことがあってもいいのだろうか、と考えていたんだ。

ーーーーーーーー

うん、現実逃避として私たちの軌跡を振り返って見たもののやっぱり現実は変わらないものだ。

なにが言いたいのかというと、幸せは必ずしも加算されるものではないということだ。

それは向かう先は違ったとしても、確かにどちらも幸せへと向かっているベクトルだったはずだ。
なのに二つ合わさった途端に幸せの方向のベクトルはさっさと打ち消し合い、不幸せの方向に向かうベクトルばかりが相乗した。

そんな茨の様な現実から目をそらしたい。
そう思うのはそれが例え正しくない行動であったとしても仕方のないことだと思う。

まぁ私の身に何が起こったかというと、それはつまり、私のベッドの上で侵略戦
争がおこなわれているということだ。

ここは確かに私の部屋で、これは確かに私のベッドだったはずだ。
しかし、今現在私のベッドは見事に領地分割されていた。
142名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 21:02:09 ID:9291ex+u
ベッドの左半分にはサーニャ。
いつも通り多少変わったぬいぐるみを抱きしめベッドに寝転がっている。
しかし、瞳にはいつもは決して見られない非難の色。
有り体に言えばサーニャはものすごく怒っていた。

それはもう、めったに怒るという行為をしないサーニャが怒っている。
誰がどう考えたってそれは私が悪いということだ。
本当ならどんなことをしてでも謝って、さっさと仲直りをしたい。

でもそれはベッドの右半分の領主の前では決してできないことだった。
そう、事態はなにもサーニャにベッドを半分とられたという訳ではないのだ。
それこそサーニャが私のベッドに潜り込むことなんて常であり、
決して私の気持ちを落胆させるものではなかったはずだ。

しかし世の中には組み合わせの妙が存在することを私は知った。

つまり現状は悲惨だった。
タロットをやったら塔のカードでもでるんじゃないかという程にはだ。

なにが問題だったかというと、それはベッドの右半分にはニパがいるということであった。

ニパはいつも不機嫌そうな面持ちだが、現在はそれに輪を掛けたような表情をしている。
それはつまりニパも怒っているということで、それも、もしかしたら私が悪いということなのかもしれない。

サーニャとニパの間には猫の額ほどの空虚。
それが意味するのは、今現在、私の主権が及ぶ範囲はそこのみであり、私にそこに収まれということだった。

仕方なく自らの体でその空虚を埋めると、半身にはサーニャ、そしてもう半身にはやはりニパが身を寄せる。

このような状況だ、二人からひしひしと怒りの感情を感じさえしなければどんなに幸せなことだろうか。

しかし、よくよく考えれば妙な話なのだ。
サーニャとニパは初めて出会ったときから妙に対立をしていた。
サーニャは引っ込み思案だったり人見知りだったりはするものの、決して誰かと訳もなく争うなんてことはしなかった。
ニパにしてもそうだ。
ニパは確かにいつも不機嫌そうな顔をしているけど実はすごく優しいやつなんだ。
普段、人より多くの不幸に接している分、ニパは他人の痛みに敏感だ。
そんなニパは意味もなく諍いを起こしたりはしない。

そんな二人が争っている。
それはつまり二人は譲れない理由を持っているということだ。
そして二人の対立が私を中心におこるということは、やはり原因も私に帰するということなのだろう。
私が二人を怒らせてしまったのだろうか。

なにしろサーニャとニパは、どちらが私とロッテを組むかとか、休日のシフトをどちらが私にあわせるかとか、
いちいちくだらないことを見つけてはいざこざを起こすのだ。

スオムスでは私しか知り合いのいないサーニャが私を頼ることは分かる。
しかしニパまで一緒になって争いあう理由が分からない。
今日も二人で言い争っていたと思ったら何故か私の部屋で領地分割だ…
どうやらニパがブリタニアに行く前の私との思い出を語ったのに対し、サーニャは毎日私と一緒に寝ていることを自慢したらしい。
その結果がこれだ。

全くもってどうして二人が私について言い争っているのかが分からない。
143名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 21:08:43 ID:9291ex+u
「なぁ、サーニャもニパもなんで喧嘩してるんダ?」

二人からやたらと冷たい視線が注がれる。
どうやらまた私は二人を怒らせる何かをしてしまったらしい。

「エイラ…本当に分からないの?」
「まさかここまで鈍感だったなんて思わなかった…」

どちらの言葉にもなにか見えない棘のようなものを感じる…
分からないから理由を聞いたのに分からないことを怒られるって理不尽じゃないか?
それに鈍感ってなんだ!私は未来予知の魔法が使えるから未来についてすごく敏感なんだぞ!

「ゴメンナサイ…」

言いたいことは沢山あったけれども二人が怒っているのは紛れもない事実だ。
それはやっぱり私が悪いってことを示しているのであって…そんなの謝るしかないじゃないか。

「私たちがどうしてエイラに対して怒ってるか分かったの?」

サーニャが私に問いかける。私はここで誠実に答えなくちゃいけないだろう。それならもちろん…

「ううん、ゼンゼン分かんないヨ。」

答えた瞬間、頭に衝撃が走る。なぜかニパに頭をはたかれたんだ。

「イタイナー。なにすんダヨ!」

理不尽にはたかれるなんて納得できない。
そう思って抗議の声をあげると今度は頬に痛みが走る。
サーニャ…どうして私のほっぺを引っ張っているんだ…?

「なんか私が悪いことしたカヨー!?」

私に与えられる攻撃についての弁明を求める。なんでこんなに痛い思いをしなくちゃいけないんだ…

「エイラが悪い。」
「イッルが全部悪い!」

でも結局二人は理由を教えてはくれなかった。
144名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 21:10:02 ID:9291ex+u
ーーーーーーーー
「なぁエル姉、ヒドい話ダロ?」

私は二人のあまりにも理不尽な態度について愚痴をこぼす。
あんな目に遭ったんだからこれぐらい言ってもいいじゃないか。

「本当にヒドい話ですね。」
「ダロ?」

やっぱりエル姉は優しい。
エル姉は私の味方なんだ!

「はい。サーニャさんもニッカさんもとても可哀想です。」

…え?どうして?
なんですごく怒られた私じゃなくてサーニャとニパが可哀想なんだ?

「エイラさんがそこまでダメな人だとは思いませんでした。」

なんでエル姉にまで怒られてるんだろう…

「エイラさんはもっと他人の気持ちに敏感にならないといけません!」

もう私怒られるのやだよ…

「聞いてますかエイラさん?この際ですからエイラさんにはしっかりと再教育をおこないます!」

エル姉のお説教はまだまだ続きそうだ…
そう思いながら私は幸せってどういうものかについて考えることとした。

Fin.

145名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 21:20:56 ID:1UnXLARW
鈍感エイラ乙
しかしサーニャのスオムス転属がまさか妄想ではなく公式になるとは思わなかった。
146名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 21:21:10 ID:9291ex+u

皆様GJです。
特にリーネイラは最高です。個人的にはサーニャのこと引きずって欲しいです。
あとmxTTnzhm様のペースが速すぎて末恐ろしいです。
保管庫だと自分の1個前なのでペースメーカーにしようと思ってたら相手はシャーリーでした。


最近はサーニャがスオムスに行くってことは軍服もスオムスのに変えるのかと妄想がとまりません。
スオムスの軍服が凄く好きなんでサーニャスオムス軍服Verは是非見たいなぁ。
サーニャがエイラの軍服をきてエイラがニヤニヤするだけの話が作りたいです。
あと公式のエイラーニャいいよエイラーニャ。

というわけでRU1ZZ/dhでした。
147名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 21:27:48 ID:RbwPl5GF
>>144
GJです
このサーニャさんは「カタヤイネンさんと一緒にいたらエイラまで不幸になる」くらいの毒まで吐きそうだぜぇ…
だがエイラさんへの問い詰めを見ると何気にいいコンビな可能性も…
しかしエルマさんの再教育とやらが何をする気なのか気になるw
148名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 21:28:57 ID:f6tA0Ttb
GJ
エイラ鈍感過ぎw
だがそれがいい
149滝川浜田:2008/12/04(木) 21:35:28 ID:pT53DkUc
みなさんこんばんは。
今日は>>40の続きを投下…しようと思ったのですが、なんかあんまり暗い話が続くのもアレだし、昨夜急に電波を受信したので、別のヤツを投下します。

まさかのトゥルーデ×クリスです。
150滝川浜田 『恋は雨空に謳う』:2008/12/04(木) 21:37:26 ID:pT53DkUc

病室の窓から空を見る。

私が今こうしてる間にも、お姉ちゃんは空を駆けている。

誇れる私の格好良いお姉ちゃん。
頼りになって、優しいお姉ちゃん。

私はそんなお姉ちゃんを愛してる。


――恋は雨空に謳う――


「クリス、具合はどうだ?」
「あっ、お姉ちゃん!
あれ、お姉ちゃん一人?」
「ああ、エーリカは一応起こしたんだが…。
いくら起こしても起きないから、置いてきたよ」
「アハハ、そうなんだ。…でも」

私はお姉ちゃんの手を取る。

「お姉ちゃんと二人きりになれたから、これでいいよ」
「クリス…嬉しい事を言ってくれるな」
「ねえ、お姉ちゃん」
「なんだ?」
「いつもの、して」
「ああ」

私達はキスをする。

私達は血が繋がっているのに、お互いを姉妹以上として見ていた。
このキスはその表れ。

と言っても、小鳥が啄むような触れるだけのキス。

「エヘヘ、またしちゃったね」
「まったく、毎回お前の誘惑には負けないようにしてるんだが…どうしても負けてしまうな」
「お姉ちゃん、私には甘いよね」
「そうか?」
「やっぱり、シスコンってヤツ?」
「何を言っている。私はただお前が愛しいだけだ」
「フフフ、それをシスコンって言うんだよ」

151滝川浜田 『恋は雨空に謳う』:2008/12/04(木) 21:39:33 ID:pT53DkUc

こんな他愛も無い話をしている時間は私にとって幸せで。
永遠に続けば良いのにって思えるほどに。


――翌日

「…雨か…」

私は雨が嫌いだ。
だって病室にお姉ちゃんが来てくれないから。
何より、お姉ちゃんの格好良い姿を思い描く事が出来ない。

だから雨は嫌いだ。
私とお姉ちゃんの間を裂くから。

雨音がやけに耳に入る。
その音は私にとって不愉快以外の何物でも無くて。

ああ、早くこんな雨なんか上がれば良いのに……
そうしたら、お姉ちゃんにまた逢える…

そんな事を考えてたら、いつの間にか私は眠りに落ちてしまった。

―――――――――――――――――――

「クリス、おいで」
「お姉ちゃん…」
「私はもう、お前とは姉妹でいたくない」
「えっ…お姉ちゃん…なんでっ…!?」

すると、お姉ちゃんは私をギュッと抱き締めて。

「私は…もう我慢が出来ない」

私はお姉ちゃんに押し倒される。

「お…姉ちゃん…//////」
「私は自分では自制の利く方だと思っていたが…どうやら違ったらしい」
「…//////」
「クリス……」

―――――――――――――――――――

152滝川浜田 『恋は雨空に謳う』:2008/12/04(木) 21:41:47 ID:pT53DkUc

……ん……

ああ、がっつり寝ちゃってたなあ。
…まだ雨降ってるや…ハァ…

「よく眠れたか?クリス」
「うん……ってお姉ちゃんっ!?」

私の目の前には、お姉ちゃん。
それだけで眠気が嘘のように全部吹き飛んだ。

「なななななんでっ…!?」
「なんでって、お見舞いに決まっているだろう?
クリスはおかしな事を聞くな」
「でも、雨の日はお見舞いに来れないんじゃ…?」
「ああ、それはたまたま雨の日が忙しくてな、お見舞いに行けなかっただけなんだ。…もしかすると寂しい思いをさせてしまったか…?」
「えっ、う、ううん、そんな事無いよ!そんな事無い!」
「そうか、なら良かった」

と、お姉ちゃんは柔らかく笑う。

実の姉に向かって“可愛い”って思ってしまった私はどうかしてるのかな…?

「それにしても、笑いながら寝ていたな。どんな夢を見ていたんだ?」
「えっ…//////」

まさかお姉ちゃんに押し倒される夢を見てた、なんて口が裂けても言えるワケ無いっ…//////

「な、なんの夢でもいいでしょ//////」
「ハハ、むくれるなむくれるな」

そう言ってお姉ちゃんは私の頭を撫でる。
お姉ちゃんの掌の温もりは、私の胸の鼓動を更に早める。
お姉ちゃんに「好き」だって伝える事が出来たらどんなに楽だろう。

そんな事を考えていたら。

153滝川浜田 『恋は雨空に謳う』:2008/12/04(木) 21:43:33 ID:pT53DkUc
「で、クリス…。度々申し訳ないんだが、これからまた少し忙しくなりそうなんだ。しばらくお見舞いには来れないかも知れない」
「そう、なんだ…」

分かってはいるけど、やっぱり寂しいな…

そんな私の気持ちをお姉ちゃんは表情から察したのか、お姉ちゃんは、

「クリス」
「なに、お姉ちゃ…んっ…」

無理矢理キスした。

キスだけならいつもしてるし、何て事は無い。

だけど、今日のキスは違う。
深くて、熱いちょっと乱暴なキス。

油断していた私は、すっかり茹で蛸みたいになっていて。

「お姉…ちゃん…//////」
「今はこれで勘弁してくれないか?
今お前と結ばれてしまうと仕事に支障が出てしまうからな。
お前への返事はまた後日、という事にしておくよ」
「フニャ…////////////」
「私はそろそろ帰るとするよ。
今日は雨も降っているし、冷えないようにな」
「う、うん…///」

そう言うと、お姉ちゃんは病室から出て行った。


キスの余韻で頭がグルグルしている私に、ふと疑問が降りてきた。

「……私、お姉ちゃんにいつ告白したっけ…?」

……………………………私、もしかしたら寝言で…言っちゃったっ…!?
154滝川浜田 『恋は雨空に謳う』:2008/12/04(木) 21:46:58 ID:pT53DkUc


ああああああああああああ――――――――――!!!!

はっ、恥ずかし過ぎるっ…!!//////
私バカだ!
そりゃそうだよ!寝顔見てたなら、寝言も聞いてるよ!
っていうか私、寝言で告白してたのっ…!?

「……もうダメだ…恥ずかし過ぎて死にそう…/////////」


私は赤くなったままかけ布団を被って、また眠りに落ちた。


それから数日間、私はお姉ちゃんといろいろする夢にうなされる事になる。

お姉ちゃんの…バカ…!//////

―――――――――――――――――――

「なあ、リベリアン」
「んあ?なんだよ、堅物」
「好きな相手を弄るというのは、意外と楽しいものだな」
「?????????……あ、ああ……」

END


以上です。
クリス視点を話を進めるのは思った以上に難しかった…
っていうかクリスの出番が本編ではアレだけだったのにこんなSSを書く事自体が(ry

…それでは、爺はお風呂に入ってきます…
155名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 21:47:54 ID:9QveqGwS
ああ・・・お姉ちゃんついに一線を・・・
ほんまじっちゃんは切り込み隊長やで・・・
156名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 21:51:19 ID:f6tA0Ttb
                /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::>、
             /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\:::::::ヘ
            /:::::::::::::::::::::i::::l!::::l\:::::::::::::::::::\::::::',
              /:l::::::::::::::::!::/!:ノ!:::ハ  \::::::!:::::::::::ヽ::::',
          /::::!:::::i:::::::/:/ )'ノ:::::::!    \!::_:::::::::::ヽ:!    >>154
           /;イ::!:::::ト、/l レ/ヽ::::::!   ,x≦ ヽ:::::|::::::::ヽ   いいぞもっとやれ!
            l/ !::!::::::!:/_ィ≧x ヽ::::!ー'/.r≠ `iヽ:レ-::、!
           l::ハ:::::l/ / r) ハ   ヽ!、 弋_ソ ' ヽ! ト!
           l' l::::ハ  弋ソ      //// ノ /
             !:::ハ、', ///  '        /_ノ
            V  `ヘ    r− ヽ    人二)
               <へ、  V   ノ  イハ::',
                /::/  >, 二 イ `´ l::::',
             ,、_/;;/-y' (!、   ,イ\_ l::::::',
              / ヽt――!   ヽ\_ノ l   Tー-、.!
     _        /   i    |     V !ヽ!. 「i!i 下- 」`i
   _/ ヽ、    /    l.   |    ヽ! ! L!」 !   l
  / ` >-、_)   /     l  _ ,| _,.r-ヘヽV^>_-、_ _ト、/ l
  !   /  /ヽ/      !   `´   / , Tト、ヽ、 ` ',  !
  l    '  / `7      /    ヽ/!ハ.l! `ー'     ', l、
  ヽ、    '  /      /       /  !l!       l  ヽ
   l `>、_  _ ハ     /l        l! / !l.      /    ヽ
   !  l   /   l    / l       l! / ソ     /     ヘ



いやほんとセリフと少ないキャラで書くとは流石じっちゃん
157名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 21:53:12 ID:1UnXLARW
や ば い
クリスが可愛くてしょうがない
158名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 22:09:36 ID:RH3sNG1U
>>154
こ…これはwGJ!!
つまりアレだ。クリスも重度のシスコン、ってわけだ。
しかしお姉ちゃんwついにやっちゃったな…
159名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 22:12:14 ID:kamvhx2m
>>154誰もが書くのをためらう一線を越えてしまうとはさすがじっちゃん……
gjでした!!!



公式見て思ったんだがこれ二期は芳佳がオラーシャいく所から始まるんじゃね?
160名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 22:19:48 ID:9QveqGwS
とりあえず用意しとこう
 __[警]
  (  ) ('A`)
  (  )Vノ )
   | |  | |
161名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 22:32:11 ID:f6tA0Ttb
そういえば12月24日がルッキーニの誕生日 だったんだな
イブかぁ
なんか書こうかな
162名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 22:36:15 ID:gA3usaPy
こんばんは。mxTTnzhmでございます。

>>144RU1ZZ/dh様
鈍感エイラさんまたカワユス 続きが有れば読みたいです。
エイラーニャは読んでてなんかほっとしますね。
あとなんか私がなりふり構ってない感じでホント申し訳ないですorz
他の偉大な職人の皆様にご迷惑を掛けてしまっていないかと反省しきりです。

>>154御大
素晴らしき姉妹愛(?)ステキ過ぎます。GJ! 読みふけってしまいました。


先程公式見ました。完全に芳リーネでしたね。笑ってしまう程にw

さて、私の方は相も変わらず空気も読まずSS投下します。
前スレ>>463-469「ring」の後日談的なもの、その5です。
前作>>119>>120-124「charge」の続きになります。
今回はエーリカ×トゥルーデ、タイトルは「turn up」、どうぞ。
163turn up 01/03:2008/12/04(木) 22:37:32 ID:gA3usaPy
「聞きたい事って何だ?」
ベッドに腰掛け質問前のリラックスとばかりに軽いキスを交わした後、トゥルーデはエーリカに問い掛けた。
「少佐に言われたんだけど。ついこの前のネウロイ戦の事、覚えてる?」
「ああ。リーネが一発で仕留めたやつだな。あれは見事だった」
「そうそれ。でねトゥルーデ、その後の事。教えてよ」
「その後?」
「トゥルーデ、裏庭でペリーヌと何か話してたでしょ」
「ああ……あれか」
思い出して、苦笑いするトゥルーデ。
「何が有ったの?」
「少し気落ちしてるみたいだったから、声を掛けた」
「ホントに?」
「嘘は言わない」
「確かに、嘘ついてる顔はしてないね」
「だろ?」
「でも、何か隠してるって顔はしてる」
「なっ」
「私には分かるよ、トゥルーデ。……教えてよ」
真剣な眼差し。
瞳の奥に映る自分の影が、無言で自分を覗いている。
トゥルーデ観念したかの如くひとつ息をつくと、ペリーヌとのやり取りを聞かせた。
何故か落ち込んでいたこと。マリーゴールドの扱いが酷くぞんざいだった事。
声を掛けたら泣いた事。ハンカチを貸したままの事、結局立ち直って今に至る事
……洗いざらい、思い付く限りを話して聞かせた。
「ふ〜ん」
「な、なんだ? これで全部だぞ?」
「トゥルーデ、優しいんだね」
「二番機の状態を把握するのは一番機の務めだろう? それはエーリカも分かっている筈だ」
「分かるよ。理解は出来る」
「それに、少佐に言われたんだ。見てやれって。だから……な、何だその顔」
「私、今どんな顔してる?」
「……」
気怠そうな、それでいてどこか寂しげな、エーリカの顔。
「確かに、お前にきちんと話をするべきだった。すまない」
「遅いよ、トゥルーデ」
「済まなかった、この通りだ」
「何だか私ひとり浮いちゃったみたいでさ。バカみたいじゃん」
「すまない、エーリカ」
謝る事しか出来ないトゥルーデ。
エーリカはうつむいた。そのままごろんとベッドに横になり、トゥルーデに背を向けた。
唇に指を当て、何か言いたげで、でもその後ろ姿はもの悲しげで……。
「エーリカ。許してくれ」
「別に、いいよ。もう」
それっきり、エーリカは何も言わなくなった。
トゥルーデはいたたまれなくなって、エーリカをすぐにでも抱きしめたかった。でも、下手にエーリカに触って
「触らないで!」
と拒絶されるのが怖くて、手が出せなかった。
だが、沈黙に耐えかねて、トゥルーデはエーリカの肩に触れた。
「トゥルーデ」
名を呼ばれ、びくりとした。思わず手を引っ込める。
「どうして止めるの?」
「お前が、嫌がるかと思って」
「私をそんな風に見てたの? 待ってるんだよ。ずっと」
トゥルーデは言葉を聞くなり、後ろから力強く抱きしめた。
「すまない」
「何度謝れば気が済むのよ……私が何だか重い女に見えちゃうじゃん」
「私の気持ちが私を許さないんだ。お前を裏切る様な事をしてしまったと」
164turn up 02/03:2008/12/04(木) 22:38:34 ID:gA3usaPy
エーリカは小さく凍えながら息を吸い、吐いた。ぽつりと呟く。
「私達……やっぱり……」
「な、何を言い出すんだ」
「そうだよね。私達、カールスラントの軍人だもんね」
自嘲するエーリカ。
「トゥルーデは、私よりも部隊の方を……」
「違う!」
根っからの軍人である筈のトゥルーデらしからぬ、重く、激しい情念のこもった一言。
エーリカは思わずびくりとして、トゥルーデの顔を振り返り、見た。
「お前を想う私の気持ちは、……そう、この指輪と一緒で」
トゥルーデはエーリカの左手を取って、自分のと合わせて彼女に見せつけた。
「私の気持ちは、このふたつ一緒の指輪の輝きと同じく、一点の曇りも無い!」
エーリカが固まる。
トゥルーデは、エーリカの身体を自分の正面に持ち上げると、真剣な表情で見つめ、
もう一度、しっかりと抱きしめた。
「そんな事言って良いの? 任務放棄だよ?」
微かに震えるエーリカの声。トゥルーデは構わず、エーリカを抱いたまま、
「それだけの覚悟が有る。お前に知って欲しかった。私は……」
トゥルーデは、ひとつ息を付いてから、気持ちを全て吐き出すべく、言った。
「私は、お前を愛しているから」
しばしの沈黙。
ぼんやりと揺れるランプの灯火が、ふたりを照らす。
「トゥルーデ、重いよ。その言葉。重過ぎるよ」
エーリカは嘲る様に呟いた。トゥルーデはそれでも、エーリカを離さない。
二人はまたも沈黙した。肌を通して、お互いの鼓動、息遣いが聞こえ、伝わってくる。
「でも、だからこそ。私もトゥルーデの事、愛してるんだろうね」
エーリカは他人事みたいに言ってのけた。
息を吸うも、いつの間にかすすり上げるみたいになってしまって、涙が一粒こぼれた事も気付かず。
トゥルーデは自らの肌でエーリカの涙を知り、指でそっと拭いた。優しく、名を呼ぶ。
「エーリカ」
「トゥルーデの、ばかぁ」
エーリカはトゥルーデに抱きついて、泣いた。
トゥルーデも目にじわりと来たが、自分が泣いてどうすると何とか踏み止まり……それでも涙はあふれかけたが……
エーリカを抱きしめた。
今私に出来る事、それはエーリカが閉ざしかけたこころを開いて、曇りを消し去る事。
その為には、言葉も大切だが、やっぱり身体で触れ合わないといけない。
『私達は、身体に聞いて……身体に覚えこませて……刻み込まないと、わかんない』
前にエーリカが言った事を、ただ、実践するのみ。
エーリカはトゥルーデの胸で、ただひたすらに泣いた。涙が服を濡らし、肌を伝わるのもお構いなしに、
トゥルーデは抱きしめる力を弱めなかった。
165turn up 03/03:2008/12/04(木) 22:39:34 ID:gA3usaPy
どれくらい時が過ぎただろう。エーリカはゆるゆると顔を上げ、トゥルーデを見つめた。
泣きはらした、赤く染まる目。
「もう泣けないよ。涙も枯れたよ」
「すまない、私のせいで」
「違うよ」
エーリカはトゥルーデの胸に顔を埋めた。
「トゥルーデ、重いんだもん。重過ぎて……私、見事にカウンター貰っちゃったよ」
「エーリカを泣かせるなんて、最低だな。私は」
「嬉しかったせいも、あるんだよ」
「嬉し泣き?」
「何よりも、大切なものよりも、私を選んでくれた。重いけど、嬉しいよ。とっても」
「そうか」
「トゥルーデらしいね。何処までも真面目でさ。周りが見えなくなったりひきずったりするけど」
「わ、悪かったな」
「その一途なとこが、好き」
「ありがとう」
エーリカはもう一度トゥルーデの顔を見上げた。トゥルーデも涙目になってるじゃん、ヘンなの。
エーリカは不意におかしさを感じた。
「どうした?」
「私達、何やってんだろうね。お互い目を腫らしてさ」
トゥルーデを見つめる。その潤みきった瞳は鈍く光を反射していたが、その奥にみえるものは、
以前となにひとつ変わる事は無かった。
どちらからと言う訳でもなく、頬に手を添え、そっと口吻を交わした。
気持ちをもう一度深く、強く結びつける為に。
その為に何をすべきか、二人は心得ていた。
ベッドに倒れ込むと、お互いのこころを遠慮なくぶつけあい、
身体の五感全てを使って、お互いを知る。それがいつになろうとも構わずに。
熱い吐息を絡ませながら、トゥルーデはいとしの人の名を呼ぶ。
「エーリカ」
「なに、トゥルーデ?」
「決めた。お前には今後、何一つ隠し事はしないって。エーリカが悲しむのはもう嫌だから」
「ありがとう。私も隠し事はしないよ。まあ、今までもしてなかったけどね、大して」
「……大して?」
「言葉のあやだよ。ほら、例えば私、トゥルーデの事何でも知ってるでしょ?」
「まあ……な」
ひそひそと耳元で何かを囁くエーリカ。トゥルーデは耳まで真っ赤になってエーリカを見た。
「お、お前……なんでそんな事まで」
「トゥルーデの事なら何でも知ってるって言ったじゃん」
エーリカはトゥルーデの秘密を暴露すべく、手を伸ばした。トゥルーデが反射的に甘い声を出す。
声がひとつのトリガーとなって、エーリカの心と身体を更に刺激した。
二人は時を忘れて、お互いを知る。

夜明け前。ふたりはベッドの上で、ケーキをひとつ分け合って食べていた。
「はい、口開けて……美味しい?」
「ああ、うまい。これ、ロンドンで?」
「そう。行ったついでに買って来たんだ」
ふたりは生クリームたっぷりのブリタニア風ケーキを手でちぎり、むしっては、クリームが顔や手に
付くのも構わず、食べ合った。
お互い、指に絡むクリームを舌で絡め取り、頬にぺとりと付いたクリームを舌で舐め、余韻を味わう。
「もうひとつ買ってくれば良かったね」
「また買えばいいさ。今度クリスの見舞いが有る、その時にでも行こう」
「いいね。楽しみがひとつ増えたね」
お互いを舐め合う。子犬か子猫のじゃれ合いみたいだ。でもその姿は何処か艶めかしく、
二人の関係とこころの結びつきを示すには最高のバロメータ。
二人の唇と舌は、最後、お互いの唇にとまり、接点を増し、熱くなる。
また再び、そこから愛が始まった。

end
166名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 22:40:41 ID:gA3usaPy
以上です。
昨日辺りからさんざ書き散らして
スレの皆様には大変ご迷惑お掛けしましたが……
流石にペースダウンですorz
ではスレ汚し失礼しました。
167名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 22:48:50 ID:5c8uPhpY
あんまり自虐っぽいと逆に嫌味になるからスレ汚しなんて思わなくておkおk
168名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 22:50:42 ID:5bhWM2Ba
恐縮しすぎるのも逆効果だな。
それこそ3話のリーネみたいに柱にまで謝っちまうようになるぜw
169名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 22:52:17 ID:f6tA0Ttb
書き散らかすとか
ほとんど書けない俺からすれば羨ましい
スレに勢いも活気もでるし、もっと書いて〜
170名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 22:59:01 ID:gA3usaPy
>>167>>168>>169諸氏
お心遣い&ご忠告などなど、ありがとうございます。
胸のつかえが取れた気分です……。
今後は気を付けていきますので。

また書いた時はよろしくです。ではまた〜。
171名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 23:10:13 ID:4LdHOozw
公式の国際情報にオラーシャきてる
しかし、やっぱ一緒いたころはウルスラがエリーカの面倒みてたっぽいなw
172名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 23:17:49 ID:CLN1s72t
相変わらずひでえ勢いだ、そしてmxTTnzhm氏の執筆ペースがおかしいww
じっちゃんと本数/日は同程度なのに一本あたりの字数が桁違いじゃねーかww
ともあれそれでこのクオリティなんだからすげーぜ、GJGJポチョムキン!!!!
173名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 23:33:57 ID:gA3usaPy
まいどどうも、早速mxTTnzhmでございます。

公式何度も見てたら、電波を受信しました。
速攻で書いてみましたのでご覧下さい。
リーネ視点でリーネ×芳佳、「awakening march」どうぞ。
174awakening march 01/02:2008/12/04(木) 23:34:59 ID:gA3usaPy
芳佳ちゃんは何を考えているんだろう?
やっぱり……胸の事なのかな。
この前も「おっぱ、おっぱ……」って寝言呟いてたし。
どうして、芳佳ちゃん?
確かに私は胸以外に魅力が無いかも知れないけど……。
でも、シャーリーさんだって……はっ、いけないいけない。
人の悪口はいけないってお母さんに言われたんだった。
あ、芳佳ちゃん起きた。おはよう。
「おっぱ……。……く、苦しいよリーネちゃん」
思わず窒息させかけてた。ごめんね芳佳ちゃん。そんなつもりじゃなかったの。
「どうしたのリーネちゃん、いきなりおっ……胸に顔埋めさせて」
「だって……芳佳ちゃん、言うから」
「へ? 私何か言った?」
ついさっきの夢も覚えてないの? 呆れた。こう言うところも鈍いんだから。
そんなんだから、ペリーヌさんに侮られて、バルクホルンさんには怒られて、
少佐に稽古でしごかれるんだよ? 分かってる?
「え? 何が? いきなり分かってるって言われても」
あ、ゴメン。最後だけ言っても分からないよね。朝からごめんね。
「リーネちゃん、昨日の夜、その、嬉しかった」
「うん、私も。芳佳ちゃんと一緒で……色々、嬉しいよ」
芳佳ちゃんも私も顔が真っ赤。朝なのにこんなので私達大丈夫なのかな。
ちょうど今日は食事当番じゃないから大丈夫だけど、うろたえてたりしたら
他の皆さんに何て言われるか……。
……でも、エイラさんは何故かサーニャちゃんの事になると妙にうろたえるし、
バルクホルンさんも何だか最近ちょっと照れたり、時々意外な面が見られる。
この部隊って楽しいのかもしれないね。
何よりも、芳佳ちゃんと一緒に居ると、力を分けてもらえるよ。
芳佳ちゃんの元気もそうだし、魔力も……。
そのお陰で、この前もネウロイを倒したんだよ、私のボーイズで。
芳佳ちゃんと力を合わせると、遠くの見えない敵も見えるし、
不思議と、風も読める。弾丸も私の思う通りに飛んでいく。
芳佳ちゃんが来る前はそんな事考えも出来なかった。芳佳ちゃんのお陰だよ。
「リーネちゃんどうしたの……」
あ、また芳佳ちゃん抱きしめちゃった。抱きしめる癖でもついたのかな。
でも芳佳ちゃん喜んでるし、いいかな。
「芳佳ちゃん、今日は洗濯当番だね」
「うん。頑張らなきゃ。私、戦うのは苦手だけど、こう言う事なら慣れてるから」
「芳佳ちゃんも凄いよ。魔力が凄いんだから。もっと自分を誇っていいんだよ?」
「それはリーネちゃんだよ。この前なんて基地からネウロイ狙撃したし
ついこの前は一撃でネウロイをのしたんでしょ? 私には出来ないよ」
「芳佳ちゃんの、お陰なの」
「私? 何もしてないけど」
芳佳ちゃんの手を取る。あったかい。心も同じ様に、ほかほかなんだね。
私には分かるよ。他の人と違ってそんなに強くたくましくはないけど、
この華奢な腕で、みんなを守って、その気持ちも強くて。
羨ましいよ。そのちからと想い、少しでも分けて欲しいな。
「お願い、芳佳ちゃん」
「ほえ? 何が? お願いって?」
「ああ、ううん。何でもないの」
「リーネちゃんの願いなら、何でも聞くよ? 勿論、私に出来る事なら、の話だけど」
「芳佳ちゃんにしか、出来ない事」
「私に?」
芳佳ちゃんの手を、そっと私の胸に重ねる。
……何で揉むの、芳佳ちゃん。
「ぅわっ、ご、ゴメン、リーネちゃん。手が勝手に」
「もう、芳佳ちゃんたら!」
「ご、ゴメ……んがっふぐ」
芳佳ちゃんをもう一度、顔に埋めてみる。苦しむ芳佳ちゃんもそれはそれで面白くて
何だかなごむ気がする。
175awakening march 02/02:2008/12/04(木) 23:36:06 ID:gA3usaPy
芳佳ちゃんはようやく私の胸から抜け出すと、顔を私に近付けてきた。
顔が赤い。息切れしてるのかな。それとも。
「リーネちゃん、やっぱり私ダメ。もう……」
言いたい事わかるよ、芳佳ちゃん。私も……。

長い、キス。何度したか分からないけど、もっと、何度でもしたい。
何度もお互いの名前を呼び合って、とってもキモチがよくなって……。

顔が離れる。少しでも芳佳ちゃんを感じていたくて、
ぎゅっと抱きしめる。芳佳ちゃんも私を同じくらい強いちからで抱きしめてくれる。
お互いの呼吸、肌の温もり、脈の速さが伝わってくる。
これだけでも、気持ちがあったかくなれる。
もうすぐ行かないと、朝の食事に間に合わない。
でも、たまにはこうして、時間を忘れて、ふたりで居るのも良いかも。
あとでまた中佐と少佐に怒られるんだろうな。
だけど、芳佳ちゃんとなら構わない。
一人で怒られるのは嫌。でも、芳佳ちゃんとなら。
怒られるだけじゃない。
どんな困難も、どんなに強いネウロイが来ても、芳佳ちゃんと一緒なら、
乗り越えられて、倒せそうな気がする。
きっと気のせいじゃない。間違いじゃない。
だって、その証拠に、芳佳ちゃんは私と息のリズムが一緒。
不思議だね。どんどんちからが沸いてくる。
「リーネちゃん、そろそろ食事行かないと……」
ダメ、芳佳ちゃん。
私は芳佳ちゃんの唇を塞いだ。それ以上は言わないで。
あと、もう少し、私とつきあって。
ううん、出来ればずっと一緒に。
私だけの芳佳ちゃん。

end
176名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 23:38:20 ID:gA3usaPy
以上です。
公式更新記念と言いますか、そんな感じで書いてみました。
リーネ×芳佳は見ていて和みますね。

ではまた〜。
177名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 23:40:53 ID:f6tA0Ttb
ちょっwww
仕事速いな
執筆速度が化け物だww
178名無しさん@秘密の花園:2008/12/04(木) 23:46:13 ID:1UnXLARW
書くのが早過ぎw
いいぞもっと書いてくれ
179名無しさん@秘密の花園:2008/12/05(金) 00:12:30 ID:wOmqTsbu
何を言ってるのか中略投下したと思ったらその1時間後に次作が投下されたッ!
まさに百合スレの怪物、ここに来て俺は真のエースの実力ってやつを垣間見た気がするぜ…!!
180名無しさん@秘密の花園:2008/12/05(金) 00:13:30 ID:FExcFaw5
笑いを誘うジャンルはNG?
181名無しさん@秘密の花園:2008/12/05(金) 00:14:13 ID:vnaQxV5r
おkに決まってるじゃない
182名無しさん@秘密の花園:2008/12/05(金) 00:15:37 ID:Buhplmkc
mxTTnzhm
↑この人の体が心配


>>180
全然OKかもんかもん
183名無しさん@秘密の花園:2008/12/05(金) 00:17:40 ID:3WVQTgSO
なんていうかニートしてて、感情をぶつける先が無いと
ふとしたときに作品が生まれる気がする……orz
184名無しさん@秘密の花園:2008/12/05(金) 00:27:55 ID:CEr0pJsm
新たなエースの誕生だな
185名無しさん@秘密の花園:2008/12/05(金) 00:32:56 ID:BWzwqSaz
勢いが放送中以上だな
恐ろしいスレだぜ
186滝川浜田:2008/12/05(金) 01:15:46 ID:jdIm6pkW
みなさんこんばんは。そしておはようございます。
昨日のクリス×トゥルーデの話にレスをくださいまして、ありがとうございました。

新しいCPSSを投下する時はこんなにも勇気がいる事を知りましたw

それで今夜は>>40の続きを投下します。

※注意:このシリーズのもっさんは非常に自分勝手になっています。
気をつけてください。
187滝川浜田 『鳥』:2008/12/05(金) 01:19:05 ID:jdIm6pkW

――堕ちていく。

私は貴女へと。
私は翼を失った鳥。

もう貴女の傍にいる事しか出来なくなった、愚か過ぎる黒い鳥。

羽根を散らして、奈落へと堕ちていく。
でも私は、それでも良いとすら思っている。

貴女の意識の中に、私が少しでも存在するのなら。
私はそれだけで、幸せなのだから。

貴女の為なら、堕ちたっていい。


――鳥――


「ミーナ」
「あら、どうしたの?美緒」
「ネウロイのデータ、纏めておいた」
「ああ、ありがとう、美緒」

しばしの沈黙を美緒が破る。

「…ミーナ」
「ん?何かしら、美緒」
「まだ…バルクホルンが好きなのか…?」

突然の質問。
予想はしていたけれど。

「…それを貴女が知ってどうするのかしら」
「…ミーナ」
「言ったはずよ。私はトゥルーデを愛してる。
貴女がいくら言い寄って来たとしても……私は貴女の期待に応える事は出来ない、と」
「……分かってる。…だが、私はそれでも…!」

バンッ

私は机を強く叩き付ける。
美緒の言葉が途切れる。

「……美緒。貴女の事は好きよ。
でも、それは私がトゥルーデに抱いてる感情とは違う“好き”。
貴女と私の想いが交わる事は多分無いわ」
「……そうか」
「…美緒、私は」
「だがミーナ、生憎私は諦めが悪い性格でな。
お前がいくら言おうが、私はお前を諦める事は出来ない」
「美緒、貴女」
「…ミーナ」

そう言うと、美緒は私を抱き締めた。
美緒の吐息が、私の耳を擽る。

188滝川浜田 『鳥』:2008/12/05(金) 01:21:07 ID:jdIm6pkW

「美緒、やめて」
「…ミーナ、一度だけでいい。
…私を抱いてくれないか」

美緒の声は震えていた。
そして、熱を帯びていた。

「…それは無理よ、美緒」
「何故なんだ、ミーナ」
「一度だけとは言え、私達は一線を越えたらいけない…そんな気がするの」

すると美緒は私の肩を強く掴んで来た。

「…私はこんなにお前の事を愛しているのに…何故だっ…!ミーナ!」
「ちょっと…やめてっ…!美緒っ!」
「私に何が足りないんだっ!ミーナっ!…お前の為なら、私はっ…!!」
「っ…!」

私は美緒を突き飛ばした。
そして、私達の間の時間が凍る。

「ミーナ…」
「…ごめん…なさい…美緒」
「…お前、そんなにもバルクホルンの事を…」
「……」
「……ミーナ…私はお前の一番にはなれないのか…?」

ガチャ

「何処へ行くんだ」
「…ちょっと買い出しに」
「…そうか…気をつけて行って来いよ」
「ええ」


189滝川浜田 『鳥』:2008/12/05(金) 01:22:39 ID:jdIm6pkW


――私は逃げた。
買い出しなんて無いのに、私は美緒から逃げた。

正直、今の美緒は私には怖かった。
美緒は私を愛してしまってから、変わってしまった。

そして私は、美緒を変えてしまった。

そんな深い罪悪感を抱えたまま、廊下を歩いていると私の目の前にはトゥルーデ。

心なしか、目の色がくすんでいるみたいで。

「ミーナ」
「あら、トゥルーデ」
「…私達は、もう汚れきっているな」
「…何の事かしら」
「……いや、なんでもない」
「…そう」

トゥルーデは私の傍を足早に立ち去ろうとしていて。

私はトゥルーデに聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で、呟く。


「私達、もう逃げられないのね」


たった一言、そう、小さく、小さく。


――堕ちていく。

私は貴女へと。

私は翼を失った鳥。

誰を犠牲にしても、自分が幸せになりたい。
そう思ってしまった自分は醜く、朽ち果てた黒い鳥。


自分の中に渦巻く黒い黒い感情。

それは誰にも吐露する事は無いけど、永遠に廻り続ける。

散った羽根は空に戻る事は無いし、もう羽ばたく事は出来ない。

それでも、せめて夢の中だけでも羽ばたけるのなら少しだけ、綺麗でいられる気がする。

…でも、羽根は地に堕ちた。


もう、果てる事の無い螺旋へと。


END

190滝川浜田:2008/12/05(金) 01:27:21 ID:jdIm6pkW
以上です。

なんと言うか…とりあえず謝っときます。
…ごめんなさぁーい!

もっさんはあんな自分勝手じゃない!
そんな事くらい自分も分かってますよ!
…まあでもねもっさんも人間なんで(ry

とりあえず次回のもっさん視点で、このシリーズは一旦終わりとなります。
最後までお付き合いください。

あと、前置きで一個ミスしました。
クリス×トゥルーデじゃなくてトゥルーデ×クリスでした。
すいません。

そして長文失礼。

…では爺はもう寝ます。おやすみなさい…
191名無しさん@秘密の花園:2008/12/05(金) 01:42:06 ID:udwCdWnn
最近忙しいのか管理人はめっきりダナ、やっぱり忙しいのかナ
また新システム立ち上げの任を追ってさらにこの投下量ダロ
やっぱりイロイロ頼りすぎだよナ。なあサーニャ……。

……うん………。

わたしたちに何かしてやれることないかナ

……応援………。

やっぱりそれしかないよナー。うーん。

でも、応援されると、わたしうれしい。

サーニャ…。

エイラ…。

がんばれサーニャ。

エイラも、がんばれ。

サーニャ…。わたしがんばっちゃっていいのかナ。

エイラががんばってくれると、わたしうれしい。

サーニャ…っ! ガバッ!(エイラがんばった。管理人ガンバッテね。いつもありがとうお疲れさまです)
192名無しさん@秘密の花園:2008/12/05(金) 01:49:37 ID:B45Cqm9D
>>134
いつもはエイラが探し出してるから、起きた時には必ずといっていいほど隣にエイラがいるんだろうな。なんて思ったり。

>>117
もしプロットとかあったならもったいないなとか思うんですが、あなたのリーネイラも読んでみたいとか思うのはわがままでしょうか。

新エース恐ろしいなwじっちゃんも>>146もみんなGJだ!
193名無しさん@秘密の花園:2008/12/05(金) 02:13:07 ID:P7wXSw/D
>>146
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org22922.jpg
自作絵で申し訳ないがそう言えば大分前にこんなものを描いていた
ニパとサーニャの板ばさみのエイラ…そんな淡い妄想を具現化してくれる方がいらっしゃるとは!
もちろん次の日はエルマさんの膝枕+サニャニパですよねわかります…って書くより描いたほうが手っ取り早いですね
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org22949.jpg

>>117
自分も>>192に同意。あなたのリーネイラを見たいんだ…!

投下が多すぎて読むのさえ追いつけなくなってきた…あとでゆっくり読ませていただく。とにかくみんなGJ!
194名無しさん@秘密の花園:2008/12/05(金) 02:24:50 ID:ZfWGqnTT
深夜にこんばんは、mxTTnzhmでございます。

>>190御大GJ!
続きが気になりますよ〜。

>193氏GJ!
かわええですなあ。早速保存させて頂きました。
是非もっと描いて下さいませ。

とりあえず>>70氏の新境地チャレンジ第3弾出来ました。
エーリカ×サーニャをエーリカ視点でひとつ。
一応と言うのも何ですが、話しの流れとしては
前スレ>>463-469「ring」の後日談的なもの、その6で
前々作>>163-165「turn up」の続きになります。
タイトルは「thanks」です。どうぞ。
195thanks 01/03:2008/12/05(金) 02:27:23 ID:ZfWGqnTT

「ふうん……。それで、私に相談、と」
私の言葉にこくりと頷くサーニャ。
「エイラ、酷いんだもん」
ここは基地のロビー。午後の休憩でぐーたらしてたら、妙に思い詰めた様な顔したサーニャが通り掛かって、
気になって思わず声を掛けたら「相談がある」と言われた。
そして私とサーニャはロビーの隅っこの方で今まさに話の最中。
他のみんなはと言うと、私達の事は殆ど気にしてないみたい。その方が好都合だけどね。
さて、サーニャはと言うと……出てくる言葉はエイラの名前と、ひどい、とか、悲しいとか、ネガティブな言葉ばっかり。
どうしちゃったんだろうね。
当のエイラはトゥルーデと一緒に昼の哨戒任務中。エイラとサーニャ二人まとめて話が出来たら楽なんだけどな。
私はサーニャに適当に言葉を合わせながら、解決の為の方向性を少し考えてみる。
「まあねえ。エイラもヘタレだからなあ〜。いや、決めるとこはビシッと決めるんだけどね。
無傷で回避出来るってのは羨ましいよね。……あ、戦闘の話しじゃなかったね」
サーニャは口数が極端に少ない。だから自然と私がリードする感じになる。
普段はエイラと一緒に居て、何か有っても何かと彼女がサーニャの「盾」になってる感じがするから、
余計に隠れてる感じがするんだよね。この子。
確かに夜間戦闘の腕は抜群で、私とトゥルーデは勿論、隊の他のみんなもその点に関しては百二十点満点をつけてる。
彼女の魔導レーダーの威力はハンパないからね。
でも、そんな脅威の魔導レーダーでも捉えきれないのがエイラってか。確かに“避けまくる”からね〜。
……って私何つまらない事考えてるんだ。もっと真面目に聞いてあげなきゃ。
でも、相談しに来るって事は、その時点で既にある程度自分の中で考えと答えがまとまって、
それをあとひと押しして欲しい、頷いて欲しい、認めて欲しいって時も多かったりする。
そう言う場合、なまじっか具体的に解決策とか真面目に考えたりして、それが彼女に受け容れられなかったりすると
これがまた悲惨なんだよね。……何で知ってるかって? トゥルーデと私だけのヒミツ。
よし、ここは直球でいってみよう。
「サーニャとしては、どうしたいの? エイラにどうして欲しい?」
サーニャはうつむき加減で私の指を見てる。トゥルーデとお揃いのエンゲージリングに目が行ってる。
いつかこれにマリッジリングが加わるんだ〜。……いや、私達の事はどうでもいいんだ。
サーニャ、そんなに指輪見てもこれはあげられないよ? ゴメンね、なんか見せつけてるみたいで。
……随分沈黙が長いね。大丈夫? 思い詰め過ぎてない?
「私の事、もっと見ていて欲しい」
お、やっと答えが返って来た。
「なるほどねえ。最近エイラも色々有るから仕方ないとこはあるけど……。
でも、サーニャを放っておくのはちょっとダメだよね」
私の言葉に小さく頷いてうつむくサーニャ。
地味だけど、仕草とか細かいところが可愛いんだよね、この子。エイラが惚れるのがよく分かるわ。
「私としては、幾つか提案したい事は有るけど、……なんて言えばいいかな、ちょっとした冒険が必要だから
もしミスった時うまくフォロー出来ないと後々……『危険な橋』? うん、人によってはそう言うかも」
思い詰めた顔しないで。ちょっと言葉を間違えた。ああ、トゥルーデ居たら……いや、いなくて良かったかも。
トゥルーデちょうど哨戒に出てて良かったわ。トゥルーデは微妙に鈍くて固くてヘンに一直線なとこあるから
華奢なこの子には荷が重すぎるよ。
ではまず提案その一。軽く牽制的に。
「今度休暇貰ったらさ、二人でロンドンに買い物に行きなよ。確かサーニャはぬいぐるみ好きだったよね?」
「うん」
「で、エイラにそれを買って貰うとか。サーニャも喜ぶと思うし、エイラもきっと同じ気持ちになると思うよ」
「でも、あのぬいぐるみ、売ってない」
「何で? 人気があるから? そっか。この前トゥルーデに買ったのはたまたまラッキーだったんだね。
……でもあれはもう確かエイラが持ってった筈だけど?」
「私に、渡してくれないの」
「ええっ、どうして? エイラ自ら勇んで持ってったのに」
「私がぬいぐるみ抱く癖知ってるから……かも」
少し顔を赤くするサーニャ。抱くのはみんな知ってるから大丈夫だよ。
196thanks 02/03:2008/12/05(金) 02:29:37 ID:ZfWGqnTT
でもそれはさておき。
はは〜ん、エイラの魂胆が読めたよ。ぬいぐるみ貰ったはいいけど、そのぬいぐるみに嫉妬してるんだ。
サーニャはホントはエイラに抱きつきたいしエイラもそうして欲しいんだね。
でも、それはちょっとヘタレ過ぎるね。
「サーニャ、まずそこを言ってみなよ。ぬいぐるみどうしたのって。多分ね、エイラは何かと誤魔化すと思う」
「……」
「で、その先にね。『私とぬいぐるみどっちが?』って聞けばいいよ」
「それ、もう聞いた……」
私は思わず頭を抱えてしまった。エイラみたいに先読みできたらなあ。
くじけずに先を続けよう。
「そうしたらエイラは何て?」
サーニャは何も答えない。
なるほど。エイラは多分「サーニャ」と答えたんだろう。でもその後が良くないね。
ぬいぐるみはぬいぐるみでちゃんと渡してあげないと。……何でエイラの方心配してるんだろう。
「エイラ……」
悲しい顔をしないで。せっかくのオラーシャ美人が台無しだよ。
そう言えば、この前少佐と一緒に「倦怠期の解決法」を探しにロンドンまで行ったのを思い出した。
何か役に立つかも。ええっと……有った有った。一応適当だけどメモしておいたんだよね。……この紙切れなにって?
「気にしない気にしない。ちょっとしたメモだから」
メモをちらりと見ながら、サーニャが置かれている状況を彼女のことばから推測してみる。
ふたりは倦怠期ではないと思うけど、こりゃ喧嘩に近いね。手っ取り早く仲直り出来たら……そもそも私に話してないか。
よし、提案その二、むしろ本命を一発。
「もっと、エイラと距離を縮めてみたらどうかな?」
「どんな風に?」
「物理的に。ぎゅっと近付いて。スキンシップのつもりで、手を取って、腕を組む。顔を近付ける。抱きしめる。色々あるよね」
「エイラ、いつも固まる」
何処までヘタレなんだよ、エイラ……。
「サーニャ。多分、エイラはサーニャの事を大事に想い過ぎて、動けなくなってるんだと思うよ」
「そうなの?」
「思い当たる事、無い?」
ぽっと頬が染まり、顔を手で覆い隠してる。有り過ぎるんだね。すぐに分かるよ。
そもそも、二人の間で色々有るってのは隊の中でも有名だからね。
「動けなければ、サーニャの方から動かしてあげなよ、エイラを。あと一押ししてごらん? きっと変わると思うよ」
「本当に?」
私は大きく頷いてみせると、サーニャに励ましになるよう、言葉を選んで応援した。
「サーニャにとってはすごく勇気のいる一歩だと思うけど、最初の一歩さえ乗り越えちゃえば、後は大丈夫。だと思う」
「そう。分かった。次の夜間哨戒が終わったら、私、頑張ってみる」
「頑張りなよ。応援してるからさ」
言葉に偽りは無いよ。応援したいじゃない。
「そうだ。もし良かったら、後でどうなったか少しだけ教えてくれる? 私ならアフターフォローもバッチリだよ」
こくりと頷くサーニャ。こんな健気な子、ほっとくなんて可哀想過ぎるよ。
「それじゃ、私、そろそろ夜間哨戒の準備……」
ゆらりと立ち上がるサーニャ。眠いのか、今にも倒れそうだよ。
「気を付けて。哨戒中何か有ったらすぐ駆け付けるからね。隊の大切な仲間は、私が守るよ」
「……」
「ホントは、エイラが守れば良いんだけどね。私で良ければ」
「ありがとう」
サーニャは一瞬だけ、柔らかな笑みを見せた。すぐにいつもの眠そうな顔に戻ったけど……
多分、あの笑顔……あれ以上の笑顔は、エイラかミヤフジ位にしか見せた事無いだろうね。
ともかく。彼女ならきっと。
うまく行くといいね、サーニャ。
197thanks 03/03:2008/12/05(金) 02:31:07 ID:ZfWGqnTT
私はいつの間にか誰も居なくなったロビーに一人ぽつんと腰掛けていた。
一人って言うのも確かに気楽で良いよね。誰にも気を遣わなくてさ。思いっきり自由に出来る。
でも、どうしようもない孤独感ってのも有るよね。
どっちを取るか。
私ならトゥルーデを取るね。迷う余地何て欠片も無いよ。

次の日の夕方まで、サーニャ達は起きて来なかった。
私は少し気になったけど、すぐに目の前に居るトゥルーデの事で頭が一杯になった。

翌日の朝食の時、ひどく眠そうなサーニャが私の所にやって来て、一言だけ言った。
「ありがとう、エーリカさん」
前よりもだいぶ……、いやとっても素敵な笑顔。やっぱりサーニャは笑顔が合ってるよ。
「良かったね。頑張りなよ」
「うん」
それだけ言葉を交わすと、サーニャは私から離れ、エイラの横の席に座った。
エイラはと言うと、いつもと違う様子。何が有ったかすぐに分かる。良かったね、お二人さん。
「どうしたエーリカ。サーニャと何か有ったのか?」
おっ、気になるトゥルーデ? 食いつきがいいね〜。
本当はサーニャとの秘密にしておきたかったけど、トゥルーデと私はお互い隠し事しないって決めてたんだっけ。
「後で話すよ」
私はそう言って、トゥルーデの左手をきゅっと握った。
「分かった」
少し顔を赤らめるトゥルーデがまた愛しい。
話を聞いてどんなリアクションするか、ちょっと楽しみ。その意味では私もサーニャにお礼を言わないと。
ふたりきりになれる時間が、とても待ち遠しい。
サーニャとエイラも同じ気分だろう。
きっと。

end

----

以上です。
きちんとエーリカ×サーニャになってるかどうか
ちと不安ですが一応。

ではまた〜。
198名無しさん@秘密の花園:2008/12/05(金) 07:40:53 ID:tP4PO4bQ
>>197gjではあるが、これって結局エーゲルとエイラーニャだよね
199ワンモアタイム・ワンモアセッ 1/4:2008/12/05(金) 08:34:05 ID:MJS98kRV
「フンッ!」
「わー! エイラさん、力こぶ! すごーい! ね、触ってもいいですか?」
それは小さな力こぶ。 最近体を鍛え始めた。 フフフ。 これも全てサーニャのため。 私ナイト化計画の第一歩なんダナ。
今は大した事ないけど、いずれは鋼の肉体になる予定。 鍛えあがった私の体を見たら、サーニャは私に惚れ直す事間違い無しなんダナ!
手始めに宮藤に力こぶを見せて調子に乗っていると、折りよくサーニャが現れた。

「フッフッフッ。 サーニャ、見るんダナ、この肉体美を! これがいわゆる力こぶって奴なんダナ!」
「わ。 エイラも筋トレ始めたんだね。 ふふ。 お揃いだね、私たち。 私も、ほら。」
サーニャにも力こぶを見せて調子に乗ろうとすると、サーニャも笑って袖まくりをした。 そのまま肘を折り曲げる。
ずんぼこっ。

…………え?

「わ、わ。 サーニャちゃんすっごーーーい! サーニャちゃんの力こぶ。 冗談抜きで私の頭くらいあるよ!!!」
「あんまり見られると恥ずかしいな……。 私、まだ鍛え始めたばかりだから……。」
…………え? …………え? …………………………………………え?


「サーニャが凄い力こぶ……。 サーニャが凄い力こぶ……。」
「もう、まだ気にしてるんですかエイラさん? ほら、背中流してあげますから。 元気出しましょう!」
汗を流すために風呂に来た私たち。 でも正直、さっきの光景が衝撃すぎて体を洗う気力すら湧いてこない。
わ、私の努力は何だったんダナ……? いや。 問題はそこではない。 あの華奢で可憐なサーニャが……。 サーニャが……。

「もうエイラさん。 私たち、明けても暮れても訓練訓練じゃないですか。 あのくらいの筋肉、はっきり言って普通ですよ!」
「そ、そうカナ……?」
「そうですよ! ほら見てくださいあの人のお尻。 筋肉がつきすぎて、とても女の人のお尻じゃありませんよ!」
「こ、こら宮藤、聞こえるゾ! まったく……ふふ。」
宮藤が耳元でひそひそ囁くその他愛もない話で、ようやく笑顔が漏れる。
人のお尻の品評なんて、ちょっと失礼じゃないか? なんて思ったりはするんだけど、宮藤を責めるわけにもいかない。
だって、今入ってきた人のそのお尻。 ものすごく屈強で、割り箸くらいは軽く折れそうな代物なんだもんな! あはは。

「あれ。 ……エイラに芳佳ちゃん。 二人もお風呂だったんだね。」
見上げてみれば、ほーら思ったとおりミーナ中佐だぞー。 そんな私の思惑は外れた。 口がぱくぱくするだけで言葉が出てこない。
だってその恐るべきケツの持ち主は。 誰あろう、サーニャ・V・リトヴャクその人だったのだから。
200ワンモアタイム・ワンモアセッ 2/4:2008/12/05(金) 08:35:36 ID:MJS98kRV
「あってはならないんダナ! あってはならないんダナ!」
ベッドの上をごろごろ転げ回る私。 あの硝子細工のようだったサーニャが! 神の作った芸術品だったサーニャがぁ!!
ダビデ像のようなケツも、メロン大の強靭な上腕二頭筋も、全部サーニャには必要ないものだ。
あんまりだヨ神様! 世の中には筋肉質にしていい人と悪い人がいるんだヨ!! こんなの耐えられないヨーーー!!!

どれくらい自分の無力さに号泣していたのだろう。 こんこん。 私はドアをノックする音で我に返った。

「エイラ……入ってもいい?」
「さっ。 サーニャ……。 う、うん。 どうゾ。」
サーニャが部屋に入ってきた。 でも、今の私はどんな顔をしてサーニャと話したらいいか分からないヨ……。
そう思ってチラリとサーニャを見た瞬間、その表情に私は胸を打たれた。 あぁ。 悲しんでいる。 悲しみを押し隠している。
他の誰にも分からなくたって、私には分かる。 誰がサーニャにこんな顔させてんだ? ……こんにゃろ、お前だ、エイラ。

「エイラ……変かな? 私の体。 私ね……エイラを守りたかったの。 どんな危機が訪れても。 時代の変化に晒されても。
 エイラを守れるようになりたかった。 もっと強くなりたかった。 ただ……それだけだったのに……。」
涙の粒がはらりと床に落ちる。
表に出ろ、エイラ・イルマタル・ユーティライネン。 お前なんてぶん殴られて地面におねんねしてるのがお似合いだ。

私はなんて醜い人間なんだ。 物事の上辺ばかり見て、なぜサーニャが変わろうとしていたのかなんて、考えもしなかった。
こんな小さな力こぶで、一体何を誇ろうとしていたんだろう。 サーニャの手。 もう、細腕とは呼べないけれど。
私よりもずっと大きい力こぶ。 私が想うよりも、ずっとずっと深く。 サーニャは私の事を想ってくれてたんじゃないか。

「ゴメンナ、サーニャ。 私が馬鹿だった。 でも気付いたヨ。 どんなに見た目が変わったって……サーニャは変わらないって。」
「エイラ……。」
もう私の言葉なんかに価値はなかった。 だから態度で示す事にした。 私は部屋着を脱いで、サーニャに笑いかける。
言葉なんかいらない。 いつもみたいに一緒に眠ればいい。 きっと私の下らない妄執なんて、まどろみに溶けて消えてくれるから。

サーニャも気恥ずかしそうに笑って部屋着を脱ぎ始める。 なんだ。 早とちりしすぎたかもしれない。
こうして眺めていると、ボディラインは以前と変わりないじゃないか。 ただ、ちょっと引き締まってしまっただけだ。
そう思うと、これまでのこだわりが嘘のように消えてなくなった気がする。

そうさ。 サーニャは今でも嘘みたいに綺麗だ。 ぷちぷちとボタンを外していく様を、ちょっとした陶酔の気持ちで眺める私。
その下から現れたのは、一部の隙もない六分割腹筋だった。
201ワンモアタイム・ワンモアセッ 3/4:2008/12/05(金) 08:36:57 ID:MJS98kRV
「やっぱりイヤだああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!」

力の限り大絶叫する私。 物凄い勢いで布団を蹴っ飛ばして飛び起きる。
ごめんちょっと嘘ついた! これ物事の上辺じゃないヨ!! めっちゃ本質ダヨ!!!

「ちょ、ちょっと! 一体何の騒ぎですの? 時間を考えてくださいまし!」
「なんだ、何があった! 敵襲か!!!?」
「い、今の声ここからですか? 鼓膜が破れるかと思いました!」
「もぉ〜、なぁ〜にぃ〜? こんな夜中にう・る・さ・い〜〜〜!!!」
宿舎全体に響き渡るほどの大声だったのだろう。 みんなが次々と部屋に集まってきた。

「エイラ……どうしたの?」
隣でサーニャが、眠そうに目をこすりながら起き上がる。 どうしたもこうしたもないんダナ! サーニャが! サーニャが!
……え? 隣から、起き上がった?
慌てて前を向くと、当然ながらそこに服を脱いでいるサーニャはいなかった。 ……という事は。 これは。 これはまさしく。

「サーニャぁぁあああああああああ!!!!!!!!!!」
「きゃああああああああ!!!???」
嬉しさのあまりサーニャに抱きついて、おなかやらお尻やらを夢中で撫で回す私。 夢だ! 夢だったんだ! やっほーい!!
ああ! スベスベだヨ! フニフニだヨ! つるーんのぺたーんのポヨンポヨンだヨーーーーー!!!!!

「こらーーー!!!」
あいた! どこに持っていたのか、中佐にスリッパではたかれた。 ちょっと赤面した感じで中佐ががなり立てる。

「ちょっとエイラさん、何なのこれは? 奇っ怪な大声で安眠妨害したばかりか、みんなの面前で痴漢行為なんて! 非常識よ!」
ちっ、痴漢? 私が、サーニャに!? なんて誤解だろう。 私には、やましい気持ちなんて一切無かったのに。
現実に戻ってこれた、その喜びを噛み締めていただけなのに!

「誤解です中佐! これはやましい動機による行為ではないのです! スオムスの威信に関わる発言です。 訂正してください!」
毅然と言い返してみる。 ちょっと逆ギレちっくだけど、サーニャにだけは分かってほしかったから。

「う……ま、まぁ、ちょっと強い言葉を使ってしまったかしらね。 私もあなたを信じたいです、ユーティライネン少尉。
 教えてくれますか? あなたが、えと……夜中に大声を出しながらサーニャさんの足やお尻を嬉々として触っていた、その理由を。」
こんな時に萎縮するのは逆効果だと知っている。 コクリと頷いた私は、まっすぐ顔を上げて説明を始めた。
202ワンモアタイム・ワンモアセッ 4/4:2008/12/05(金) 08:38:25 ID:MJS98kRV
「私は眠りの中、リトヴャク中尉のヒップや二の腕がカチカチの筋肉と化しているのではないかと危惧しておりました。
 そのため、可及的速やかに彼女の柔らかさを確認する必要があったのです。 そこにいやらしい気持ちは、微塵もありませんでした!」
胸を張って言い切る。 うム。 100点! 顔をめぐらして反応を見ると、みな、何とも言えない目でこちらを見ている。
……何か、おかしい所があったカナ?

「そ、そう……。 そんなにサーニャさんの感触が知りたかったの……。 それで?
 それほど待望していたものだったんですものね。 触ってみた感想はいかがだったのかしら? エイラさん?」

心なしか中佐の顔がヒクついているように見える。
うーん、中佐は笑顔が怒ってるように見えるって奴ダナ。 せっかく美人なのに勿体ない事だ。
ともあれ。 サーニャの感触と言われて顔がニヤけそうになるが、ここはふざけていられる場面ではない。
背筋を正し敬礼の姿勢をとった私は、中佐の瞳を見据えて言った。

「はっ! 超〜〜〜やわらかかったであります! フニフニでスベスベでポヨポヨ。 さらに決定的なまでのつるぺた!
 もうこれ以上は決して成長しないだろうという確信を得る事ができました! 満点であります!!!!!」



ベストを尽くしたはずの私は、なぜかサーニャにしこたましばかれたあと反省室送りになった。
軍隊って奴はいつだって理不尽なんダナ。

                                     fin
203名無しさん@秘密の花園:2008/12/05(金) 08:56:02 ID:9sjx721l
クソワロタww
さーにゃん小さいおっぱい気にしてるのにエイラに成長しないって言われてかわいそうです
204名無しさん@秘密の花園:2008/12/05(金) 09:10:34 ID:BWzwqSaz
>>197
キター!
朝になったらまた投下とか速すぎw
エイラとサーニャになにがあったのかが気になりま。す
>>202
バカスw
205名無しさん@秘密の花園:2008/12/05(金) 09:13:02 ID:BWzwqSaz
しまった!携帯からだからか打ち間違えというかミスった
206名無しさん@秘密の花園:2008/12/05(金) 09:41:26 ID:+msPkdvQ
>>202
無傷記録が破られた瞬間であるw
207名無しさん@秘密の花園:2008/12/05(金) 09:44:42 ID:B45Cqm9D
>>193
なんというハーレムw

>>197
>>198のいうようにエーリカ&サーニャとしてはちょっと弱い気がするけど話としては超GJ!
ガチは難しそうだけどもう少しエーリカ×サーニャにするにしても、エーゲルもエイラーニャもラブラブなシリーズの中では難しいかもと思った。
でもそういえばエーリカ&サーニャは開拓済みじゃなかったっけ?二人がロッテ組んでサーニャが電波放送で告白するやつ。あれはよかった。

>>202
エイラがハルカみたいだwばかすぎるww
208zet4j65z:2008/12/05(金) 12:49:46 ID:j0yME5q5
「書き込みません、書くまでは……」
とかいって忙しさに流されているうちに新スレが200を超えていた。
レス数的にも容量的にも。
つまり1レス平均約1バイトか……絶対に何かがおかしいと断言できるな。
と、いうわけで>>1乙&それ以降全部GJ! 涙あり笑いありで最高っす!

WARNING 閲覧注意 WARNING 閲覧注意 WARNING 閲覧注意 WARNING 閲覧注意 WARNING

以下の作品には「変態」「エロス」「SM」「スカトロ」などの成分が含まれています。
耐性の無い方は読み飛ばすことをお勧めします。
保管庫409 【ブリタニア1944 format by LYNETTE UPDATE MISSION】の続編となります。

WARNING 閲覧注意 WARNING 閲覧注意 WARNING 閲覧注意 WARNING 閲覧注意 WARNING
209zet4j65z:2008/12/05(金) 12:51:14 ID:j0yME5q5
●ブリタニア1944 format by LYNETTE CHECK SIX AGAIN

 準備をした。
 念入りに。

「芳佳ちゃん、包帯替えるね」
「う、うん」
「これが終わったら、身体拭いてから着替えかな。で、その後食事」
「うん。ほんと、迷惑かけちゃって……」
「ダメだよ芳佳ちゃん。芳佳ちゃんはわたしが怪我をしたらきっと同じ事してくれるでしょ。でも、その時迷惑だなって思わないよね」
「あ、うん、そうだね。看病できる事が嬉しいかも」
「わたしもそう。だから迷惑かけるとか言わないで欲しいよ」
「ゴメンね、リーネちゃん」

 大まかな流れだけ説明すると、それだけで芳佳ちゃんは安心してくれたみたい。
 笑顔の芳佳ちゃんはきっと、本当にさっきまでのことを忘れてなかったことにしてるんだな、ってそう感じた。
 そうじゃなければお互いまだこんなえっちな服装のままなのに自然な会話にはならないよね。
 そんな服を脱がす。
 包帯を剥がす。
 ちょっと恥ずかしそうにしながらも私にその身を委ねてくれる芳佳ちゃん。
 傷は痛々しかったけど、ウィッチの中でも治癒の力を持ってる芳佳ちゃんだけあって、昨日よりもかなりよくなってる。
 もしかするとこの分なら傷跡すら残さずに綺麗に治ってくれるかも知れない。
 でも、この自然治癒の早さはちょっと問題になる。
 傷が治って普通に動けるようになったら、二人の幸せな時間が終わってしまう気がした。
 少しだけそんな心配しながら、薬を塗る。
 優しく……芳佳ちゃんが苦しまないように優しく塗り込む。
 芳佳ちゃんはちょっとだけ顔をしかめるけど、でも「大丈夫だから」ってわたしに続けるよう促してくれた。
 包帯を巻き終わった後の腕に、ベルトつきのロンググローブをつけようとすると芳佳ちゃんが警戒心を露にする。

「リ、リーネちゃん……なんでまたそれを……」
「腕、動いちゃうところだし。包帯を固定するのに一番丁度良いと思うんだけど、イヤだったかな?」
「う、ううん。イヤじゃないよ。そうだよね、確かにそれならしっかり固定できるもんね。あ、後リーネちゃん。首の、外し忘れてるんだけど……」

 芳佳ちゃんの首には、赤い首輪が付いてる。
 子犬みたいな芳佳ちゃんにぴったりの赤い大き目の首輪。勿論外し忘れてるんじゃなくて、勿体無くて外せないだけ。
 わたしは芳佳ちゃんの指摘に答えずに、脚の方の処置も終わらせて、ブーツを履かせて留めた。

「よし、できたよ。じゃあ次、身体拭くね」
「え、あの、リーネちゃん?」

 何かを言いかけた芳佳ちゃんを無視して、ベッドに腰掛ける芳佳ちゃんの背中からお湯で絞ったタオルで擦り始める。
 お湯にはここで見つけたえっちになる薬をちゃんと混ぜてある。
 背中、肩、お腹……しっかりと拭く。
 違う。
 拭くと言う行為の振りをして、しっかりとじっくりと確実に、お薬を擦り込む。

「ぁ……」
「どうしたの、芳佳ちゃん? くすぐったい?」
「ん……平気……」
「じゃ、次胸、拭くね」
「い、いいよいいよだいじょうぶっ! それにいましたら……」
「ダメだよ芳佳ちゃん。大分汗もかいてるんだし、手足はまぁ仕方ないとしても、拭ける所はしっかり拭いておかないと臭くなっちゃうよ」
「え、でもでもっ……」
「ちゃんとくすぐったくないようにするから、大丈夫だよ」
「あ、ひゃっ!? ちゃんと絞っ……ああんっ」

210zet4j65z:2008/12/05(金) 12:52:24 ID:j0yME5q5
 背中側から、薬を直接塗りつけたタオルで、芳佳ちゃんのなだらかなおっぱいを包む。
 芳佳ちゃん的には、絞ってないタオルで触られたような、ひんやりとした感触がしたんだと思う。
 目の前から響く声を楽しみつつ無視して、手を動かしていく。
 そうしながら、背中と私の間合いも詰める。

「ひっ!? リ……ネ……せなっ……おっ……ぱ……」
「くすぐったく、無い?」

 喘ぎ声と、意味の無い問い。
 芳佳ちゃんがどんな返事を返してきても辞めるつもりなんて全然無いんだから。
 それに、わたしの恥ずかしいおっぱいの感触で芳佳ちゃんの喘ぎが加速するのがわかる。
 芳佳ちゃんが自分のモノの大きさを気にしてるなら、わたしが揉んで大きくしてあげればいいし、もしも恥ずかしいほど大きくなってしまったら、二人で羞恥の感情を分け合って愉しめばいい。
 だから、触って、擦って、押して、揉んで、こねって、絞って、摘まむ。
 そうし続ける……リズミカルに、奏でるように。
 芳佳ちゃんの喘ぎ声がかわいいからそうする。
 好きな人の声を聞き続けたいからそうする。
 えっちな声で私もえっちな気分になりたいからそうする。

「あっあんっ、そんなに、つよくっ……しない……でっ……」

 そうだね、強くしたらもっと鳴いてくれるんだね。わかるよ。
 あは、何て簡単な事だったんだろ。

「芳佳ちゃん、胸はもう良いよね」
「はァ、はぁ……ふぇ?」
「次は下を綺麗にするね」
「し……た……??」
「うん、ココだよ」

 太ももを割り開いて、その中心に直接手で触れて媚肉を縦になぞる。

「ひゃうっ!」
「あは、濡れてるね。お漏らし? なんにせよこのままにしておくのは良くないよね」
「え……いや、違…………だめ……ダメだよ! リーネちゃん!!」

 太ももに力が入って、そこが閉じられる。
 あんまり力を入れたらまだ脚のは痛むはずなのに。芳佳ちゃんは強いね。

「何で!? 何でまたこんなことするのっ!?」
「何で? 私は芳佳ちゃんのここを綺麗にしたいだけだよ」

 言いながら、太ももを閉じても少しだけ隙間のある股間へ、指を挿しいれてまたなぞる。

「嘘だよっ! 全然違う! 変な事してる! え、えっちなことしてるっ! 動けない私にこんな……こんな意地悪な事っ……ひどい……ひどいよっ! リーネちゃんやめてっ! やめてよぉ……」

 ほんとに、おかしいよ、こんなの……続けて小さく涙声で呟く。
 そんな芳佳ちゃんに、言葉で答をあげるのは難しいことじゃない。
 だけどその答を理解してくれるかどうかはまた別の話。
 私の想いは言葉では通じなかった。言って解らないなら、行動で解らせるんだ。
 そう、物覚えの悪い仔犬ちゃんには調教が必要なの。
 でも、それでも愛する人が悲しそうに泣いてる姿を見るのは辛い。辛いから目を閉じて、背中から左手でぎゅっと抱きしめて、芳佳ちゃんの足の付け根に差し入れた指を抜いて、左の肩越しにその指を口に含んだ。
 ちゅぱちゅぱとしゃぶる。大きな音を立てて芳佳ちゃんの慟哭をかき消しながら、指に私の涎をたっぷりと馴染ましていく。
 唇から離れた指が銀の糸を引いて、それが一瞬の内に途切れた時には、芳佳ちゃんはその異様な雰囲気に呑まれたのか、沈黙して不安そうに横目でこちらを見ていた。

211zet4j65z:2008/12/05(金) 12:52:59 ID:j0yME5q5
「芳佳ちゃん、泣き止んだ?」

 1インチの至近距離で尋ねる。

「う、うん」
「よかった、じゃ、続きをしようね」
「え!?」

 背に力を込めて前のめりになる。
 芳佳ちゃんの背中に押し付けたおっぱいが限界まで潰れてから、芳佳ちゃんの姿勢も前のめりになる。
 腰が浮く。
 脚をついて重心がかかるせいで、その太ももの傷に痛みが蘇る。
 そんな芳佳ちゃんが顔をしかめるより早く、お尻とベッドの間に指を滑り込ませて、ぬるついた中指で、一気に後ろのすぼまりを挿し貫いた。

「っ!!!!」
「ふふ、だいぶ柔らかくなってるね。すごくいいよ」
「き、きもちわるいよっ! 汚いよっ! やめてっ……やめてお願い……」

 芳佳ちゃんの声を楽しみながら、中指をぐにぐにと動かしてその粘膜をこね回す。
 そこはきゅうきゅうと締め付けてくるけど締め付けに負けずに動かし続ける。

「ぁんっ……リーネ……ちゃんっ……やだよっ! 気持ち悪いからっ! イヤなんだからっ! やめてよぉっ!」
「うん、じゃあやめてあげるね」

 大きく深く突き込んでから、一気に中指を抜く。
 そして芳佳ちゃんの背中から離れて、ベッドを降りる。
 私という支えを失った芳佳ちゃんは、荒い息をつきながらそのままベッドに倒れこむ。

「はぁ……あぁ……はぁ……ひどい……ひどいよぉ……なんで、なんで…………」
「また汗をかいたりお汁をたらしたりじゃ身体綺麗にならないね。でもね、わたし芳佳ちゃんのその……なんていうか……牝の匂いっていうのかな? 大好きだよ」
「ぇ……? なに……ソレ?」
「次の準備、するね」

 かちゃり、とベッドサイドから伸びる鎖を赤い首輪に繋いで、状況についていけていない芳佳ちゃんを置いて、準備の為に地下室を後にした。
 ワイン倉で目的のものを手に入れて、幾つかの道具と共に一人でお風呂場へ。
 そして、次に芳佳ちゃんに対して行う『洗浄』を自分の身体で試した。

 …………。
 準備したものを持って地下室に戻ると、芳佳ちゃんがベッドから落ちてぐったりしていた。
 慌てて駆け寄って抱き起こしながら呼びかける。

「芳佳ちゃんっ! 大丈夫!?」
「リーネ、ちゃん……いやだよ。わたし犬じゃないよ。なんでこんな鎖なんてつけるの?」
「でも、よく似合ってるよ。使い魔もワンちゃんだから、こういう風にしてるのが芳佳ちゃんにぴったりだよ」
「そ、そんなはず……そんなはずないでしょっ!! 変だよ、イヤだよ、そんな事言うリーネちゃんなんてっ……あ、あれ? リーネちゃん、泣いてたの?」

 身体の前で上半身を抱いた至近距離で芳佳ちゃんと見つめあう。
 芳佳ちゃんはそんなわたしの顔に泣いた後を見つめて、一瞬前までの拒絶の態度など忘れてしまったかのようにわたしの事を心配してくれる。
 わたしの大好きな、優しい優しい芳佳ちゃん
 そう、わたしはさっき泣いた。自分に試した『洗浄』があまりにも辛くて、泣いた。
 試しておいてよかったと思う。やっぱり、これは辛いかなって気のする行為は一度自分の身体で試してからでないといけないな、って改めて思った。
 そんなことを考えながら、私は笑顔で返す「大丈夫だよ。芳佳ちゃんは優しいね」と。
 言いながら芳佳ちゃんを抱き上げ、そのお似合いの大きな赤い首輪から鎖をし、ベッドから離れる。
 釈然としない感じだったけど首輪から鎖を外されただけで、少し機嫌は戻っているような雰囲気。

212zet4j65z:2008/12/05(金) 12:54:01 ID:j0yME5q5
「リーネちゃん……ねぇ、なんでこんな変なことばっかりするのかな……」

 ぽつりと、私に抱かれながら顔を伏せた芳佳ちゃんが語り始める。

「わたし、リーネちゃんに嫌われちゃうようなこと、何かしちゃったのかな……あんまりじろじろ、その、胸を見てたのが悪かったのかな?
 悪気があったんじゃないよ……ただ、その、羨ましくて……。それとも気付かないうちに何か傷つけちゃってた?」
「ううん、そんなことないよ。わたしね、芳佳ちゃんに見られてるのが何時の頃からか凄く嬉しくなってたの。どちらかっていうと、シャーリーさんとか他の人のに見とれるのが嫌だったりするかな」
「え? じゃあ、なんで……」
「うん、それは、ね……」

 抱き上げた姿勢でぐっと顔を近付ける。唇が触れ合う寸前まで体温が近づく。
 そんな状態で顔を赤くしてどいまぎする芳佳ちゃんの表情を楽しみながら、例の椅子の上に芳佳ちゃんを優しく押し倒して講義を上げるよりも早く腕を固定する。

「リ、リーネちゃんっ! またっ!? んぶっ……」

 抗議はキスで塞いで、てきぱきと腕の拘束を完璧にして、脚の固定まで終わらせる。
 まだ何度もしてないというのに、芳佳ちゃんの唇の感触はどんどんわたしの唇と舌に馴染んでいくようだった。
 手足は抵抗するそぶりを見せるのに、そこだけは舌をじゃれ付かせるようにして、お互いの唾液を混ぜあって味わって、わたしの存在を受け入れてくれる。
 だから私は確信する。
 芳佳ちゃんはすぐにわたしの事をわかってくれるって。
 だって、本当にイヤなら今すぐわたしの無防備な舌を噛み千切ってしまえばいいんだもの。
 唇を離すと、拘束されて恥ずかしい所を丸出しにされた上で上気して赤くなった肌を晒す姿が出来上がっていた。

「わ、わたし、リーネちゃんのこと嫌いになりたくないよ。だからこんなこともうやめようよ……」
「きらいになっちゃう、かな? でもね、『嫌い』ならいいよ、今一時的にそうなるだけなら、ね」

 肌の感触と体温に名残惜しさを感じながらその身体の上を離れ、水を用意する。
 今度はぬるま湯じゃなくて井戸から汲んだばかりの冷水。
 次に用意してあったワインのビンふたを開けて、1:1くらいで水と混ぜる。
 ビンのラベルには大きく×が描かれていて、代わりにビネガーと殴り書きがしてある。
 更に一つ目の『魔法の薬』を混ぜる。前にも使ったことのある、『気持ちいい感覚』を強調する魔法薬。

「な、なにをやってるの? リーネちゃん?」

 質問には答えないで、道具箱からシリンダーを取り出す。
 前に使った小さくて口の細い物ではなくて、大きくて口の太さが半インチくらいありそうな金属製のしっかりしたシリンダー。
 薬液をシリンダーの三分の一くらいまで吸い上げてから持ち上げて逆さにし、これもやっぱり感度の上昇効果を持っている潤滑剤代わりの二つ目の『魔法のお薬』をたっぷりと塗りつける。

「ねぇ、それで何をするのっ! 黙ってないで答えてよっ!」

 ガチャガチャと鎖を鳴らしながら叫ぶ芳佳ちゃん。
 その姿があまりにも一生懸命だったから、ちゃんと答えてあげることにした。

「今から芳佳ちゃんのおなかの中を綺麗にするね」
「え!?」
「凄く辛くて泣いちゃうかもだけど、さっきちゃんと自分で試したから大丈夫だよ。むしろね、今えっちな自分を抑えるほうがよっぽど辛いくらい」
「や、だ……やだ、よ……本当にイヤだよ……リーネちゃんお願い許して。これ以上変な事しないで……」
「変なことじゃなくて、おなかのお掃除だよ」

 先端をむき出しのそこに宛がう。芳佳ちゃんが叫んで反抗する。力が込められて侵入を阻まれる。

「仕方ないなぁ」

213zet4j65z:2008/12/05(金) 12:54:32 ID:j0yME5q5
 シリンダーの先に塗ったのと同じクリーム状の薬を指ですくって直接そこに触れ、塗りこむ。押し込んで馴染ませる。
 「イヤだ」と「やめて」と「きもちわるい」を悲鳴交じりに繰り返す芳佳ちゃん。
 既に体に塗りこんであった薬とさっきまでの行為で、芳佳ちゃんの体は相当敏感になってる。たぶんわたしと同じくらいに。
 そして案の定そこはかわいらしいあえぎ声の響きと一緒に、あっという間に緩み始めて指先を受け入れる。
 もちろん女の子の部分も大いに反応して、きれいなピンク色の粘膜をいやらしく濡らし、わたしの目線を釘付けにする。
 芳佳ちゃんは確実にココで感じ始めてる。素敵だよ。
 お薬の力を使ってるとはいえ、わたしと同じところまでこんなに早くに辿り着けるなんて、本当に芳佳ちゃんはえっちで素敵だね。

「はぁん……なんで……こんなぁ……」
「いいんだよ。その感じはきっと芳佳ちゃんとわたしが近づいてる証拠なんだから」
「ちかづく?」
「うん、きっとわたしたち今近づいてる。だから……準備を進めよう、ね」

 もっとそのまま触っていたい欲求を振り切ってシリンダーを握りなおし、ずぶりとシリンダーの先端を押し込む。
 さっきまでの抵抗が嘘の様に、太さ半インチの長さ2インチ程はあるそれを芳佳ちゃんの窄まりが飲み込んでいく。

「ふうっ!? あああんっ……ふ、ふといよぉ……やだ、きもちわるいよ……」
「かなりキツイから、がんばってね、芳佳ちゃん」
「ふぇ?」

 一気に、押し込む。

「っっっ!!!!!!」

 試したから知ってる。これって、わかっていても泣いちゃうほど辛いあっという間に羞恥心が生理的欲求を上回る。
 誰にも見られたくないシーンを、意識のある状態で見られる。でも、事態回避の為に投入した意志力はただ自分を虐めるだけで空回りする。
 1分と持たずに訪れる崩壊。苦悶の声。拒絶。涙。開放感。安堵。
 でも、洗浄はまだ始まったばかり。
 今度はシリンダー半分くらいまでの量を注入する。
 芳佳ちゃんの悲劇は繰り返される。
 その次はシリンダーに三分の二。
 繰り返す。
 次はいっぱいいっぱいの量を、ゆっくりと入れる。
 繰り返す。繰り返す。何度も。何度も。
 本来なら粘膜が擦り切れてしまう筈だけど、使った魔法のお薬が保護に働いてるお陰でそこは傷つかない。
 浸透した分の効果もしっかり現われてくる。
 芳佳ちゃんの声から苦しみの成分が薄れて、表情がとろける。
 今の行為の目的は気持ちよく終わらせてあげることじゃなくて、次の段階の為の洗浄だったから、よく綺麗になるように我慢させてからおなかをマッサージしたりもした。。
 そんな事を繰り返す。大きめのバケツにつくった薬液がなくなるまで、何度も。
 でも洗浄は準備の準備で、今から行うことが本当の準備だったりする。

「芳佳ちゃん」
「う………はぁ、はぁ、はぁ、あぁ、ふぅ、はぁ……」
「これで終わりだから、ほら、これをしっかり舐めて」

 直径1インチ弱から2インチくらいまでのボールの連なった、長さ6インチくらいの棒状になったそれを芳佳ちゃんの口に近づける。
 少し前までの芳佳ちゃんだったらきっと拒絶したと思う。
 でも苦しさとか気持ちよさでいっぱいいっぱいになってる今芳佳ちゃんは「これでおわり」っていう言葉にすがって、素直に口を開いて舌を伸ばす。
 ほんと、必死になって無心で何かしてるときほど芳佳ちゃんが輝くときは無い。
 だから今の芳佳ちゃんはとっても素敵。

214zet4j65z:2008/12/05(金) 12:56:21 ID:j0yME5q5
「ふぁ? んっ!? ツン……と、するぅ……」
「あ、ごめんね芳佳ちゃん。アルコールでしっかり消毒したばっかりで、まだちゃんととんでなかったんだね。わたしも一緒に舐めてあげるから、許して……はむっ」
「う、んむっ……じゅる……あむぅ」

 精も根も尽き果てる寸前の虚ろな表情が目の前にある。
 そんな芳佳ちゃんとわたしの唇が、パールホワイトのソレをはさんで向かい合い唾液を絡ませる。
 かすかに触れ合う濡れた粘膜の感触が、堪らなくいとおしい。
 そして十分に唾液を絡ませたところで顔を起こす。

「はぁ…………もう……おわり?」

 問いかける芳佳ちゃんの声にわたしははっきりと「名残惜しさ」を感じ取った。
 凄く、嬉しい。
 嬉しくてちょっと涙腺が緩んじゃうけど、涙を流したりしたらきっと優しい芳佳ちゃんの事だから、そういうところばかりには気付いて念入りに作り上げた空気が台無しになってしまいそうだからわたしは笑顔で答える。

「うん、これで本当の本当に終わりだよ」

 答えながら右手に持ったその器具を、芳佳ちゃんのお尻の穴に宛がって押し込んだ。

「ひっ!? ひゃあああああああああああああああああああああああああぁんっ!」

 響くのは嬌声。
 悲鳴なんかじゃない。純粋な悦びの声。
 芳佳ちゃんはお尻の穴で悦んでる。
 驚くほどやわらかくなったそこは、ずぶずぶとそれを飲み込んで、悦楽の歌を引き出し続けるけど、その長さには限りがあって、だから歌も終わってしまう。
 その器具は巧妙な造りで、最後に残った珠二つが大きくて、片方の珠が入ると丁度穴を前後から挟み込むように刺激する状態で固定されるようになっていた。
 この器具の挿入によって、わたしと芳佳ちゃんが結ばれる為の条件は整ったも同然だった。
 きっとあとは時間が解決してくれる。

「お、おしり、は、はいって……なにか、はいってるよ……」
「うん、いれたよ」
「へ、へん……だよ……はぁう……ん……」
「変だって思うのは、まだ気持ちいいって感覚のことをちゃんと理解できてないからだと思うんだ」

 言いながら拘束を解いて、抱き上げる。
 もちろん芳佳ちゃんは椅子から解き放たれても暴れたりなんかしない。
 ただ、抱き上げたわたしの体に、いまだ不自由な体を捻ってその薄い胸をこすりつけてくる。
 とっても芳佳ちゃんらしい、凄くわかりやすい反応。
 芳佳ちゃんは逝ってない。
 わたしもまだ逝ってない。
 芳佳ちゃんのあそこは大洪水。
 わたしの方もあそこは大洪水。
 だからベッドに向かい、そこに押し倒す。

「はぁ、ん……ごめんね、ちゃんと汗拭いたりできなくて……」

 覆いかぶさって、胸が触れる。
 先端から背筋を通って股間へと響く、抗いがたい甘い感触。

215zet4j65z:2008/12/05(金) 12:56:51 ID:j0yME5q5
「りーね、ちゃぁん……」
「ね、よしかちゃん、ちょっと魔力込められるかな?」
「ふぇ? なん、で?」
「ふふ、いいから……ね」
「こ、こう、かな?」

 耳がぴょこんと現れる。それはいつもと同じ。
 でも本当に予想通り。芳佳ちゃんの犬耳とこの首輪って本当に似合うなぁ……。自分の目利きがばっちりだったからすごく嬉しい。
 とはいえ、今はそれを喜んでる場合じゃなかった。
 いつもと違うことは、下半身側で起こっていた。

「あああああっ!? ひううううんっ!? はぁっ! あああっ……なに、これぇ……」

 予想通りの動作が発生して、予想通りの反応が返って来る。

「ううっ、ふうぅっ……お、おしりぃ……うごいてるよぉ……」

 あは……あはははは……すごい、すごいよ。
 どういう仕組みなのかわかんないけど、本当にうごいてる。
 芳佳ちゃんの中で、魔力に反応して、さっきの珠たちが動いてる。
 6インチも深く入ったものが動いてるのって、どんな感じなんだろう?
 ふふ、考えるまでもないよね。
 すごく気持ちいに決まってる。
 だって芳佳ちゃん、さっきよりももっと表情をとろけさせてる。
 気持ちいいの感覚をわたしも分けて貰いたかったから、芳佳ちゃんをうつ伏せにする。
 尻尾は尾てい骨の辺りじゃなくてお尻からはみ出した珠から生えていて、パタパタと振られていた。
 もうとっくに耐えられないところまで来ていたわたしは、その尻尾の付け根に向かって股間を押し付けた。

「ああんっ! キモチイイよっ芳佳ちゃああん!!」

 ちょっと固めの毛の感触が珠の振動とともにわたしの股間を苛む。
 すごいよ、芳佳ちゃんに犯されてるみたい……。

「ひいいいいいいいいいんっ!! だめぇっ! きちゃう! きちゃう! ああああああああん! すごいの……すごいのっ!」
「はぁああ……芳佳ちゃん、よしかちゃんよしかちゃんよしかちゃん……はああああああああああああああああああぁ…………」


 だいぶ、堪え性がなくなってきちゃったかな……。
 でもわたしたちどんどん近づいてるよね、芳佳ちゃん。

 そうして心で呼びかけながら、絶頂のあと弛緩した身体が催した液体を漏らすに任せ、心地よい開放感とともに意識を手放した。
216zet4j65z:2008/12/05(金) 13:00:06 ID:j0yME5q5
以上となります〜。

WARNING 閲覧注意 WARNING 閲覧注意 WARNING 閲覧注意 WARNING 閲覧注意 WARNING

警報、解除。

WARNING 閲覧注意 WARNING 閲覧注意 WARNING 閲覧注意 WARNING 閲覧注意 WARNING

あとがきみたいなものとかはまた後で書き込みます。ではでは〜ノシ
217名無しさん@秘密の花園:2008/12/05(金) 13:09:16 ID:3WVQTgSO
この勢いだと500に届く前に次スレに突入だなw
218名無しさん@秘密の花園:2008/12/05(金) 13:15:09 ID:xzWWCASU
1Bじゃなくて1kBだよね、っていう突っ込みは野暮なのか
219名無しさん@秘密の花園:2008/12/05(金) 13:37:37 ID:LXhSAujc
最近のラッシュは何なんだ
いやいいんだけど
220zet4j65z:2008/12/05(金) 14:16:07 ID:j0yME5q5
相変わらず二人が変態エロスしてるだけで何でこんなに冗長になるんだかよくわからんす。
一番初めに思いついたシチュエーションまでやっとたどり着いたんだけど、ここまでに既に50kb以上を費やしてる気がする。
本当は二つ前の話でここまでやるつもりだったんだけどなぁ。
とりあえず、スレ的に何人がついてこれてるのかわかんないですが、この話はまだ続きます。

ちなみに、家にいるとだらだらと動画見たりゲームやったりしちゃうので、SS執筆が一番進むのが仕事中だったりします。
今まで投下したSSの八割以上は仕事中書いたかなぁ。
周りに見つからないことを祈っていただければ幸いw

>>218 うぁ……キロが抜けてたw ナイスツッコミ
221名無しさん@秘密の花園:2008/12/05(金) 16:51:33 ID:J748j8qc
>>220
貴方の作品大好きです。期待してます。
頑張れ!
222名無しさん@秘密の花園:2008/12/05(金) 17:35:48 ID:CEr0pJsm
投下乙
勢いがホント凄いな
223名無しさん@秘密の花園:2008/12/05(金) 17:40:14 ID:TDpb12ez
勢いの話ばっかするのも悪いと思うがこの板で桁が違うもんなw
最近は速すぎるw
投下してくれる方GJ
224名無しさん@秘密の花園:2008/12/05(金) 19:05:32 ID:udwCdWnn
>>220
素晴らしいなあ! エクセレントだよ!
器具とか全然わからんけどその勤勉ぶりが期待通りの展開に予想以上のエロスを生むのか。つまるところ執拗だ。
やっぱり先生、愛があれば変態ど外道スカトロプレイもこんなに可愛くなるんですね! 感動したっ!!!
225名無しさん@秘密の花園:2008/12/05(金) 20:35:43 ID:ogpgkRam
「北欧空戦史」を読んだんだが、その中に近年撮影された
エイノ氏とニルス氏(エイラとニパのモデル)のツーショット写真があって一瞬脳が萌えでいっぱいになった
落ち着いて考えればおじいちゃん二人の写真なんだが
つまり>>143>>196はまさにドリームだ
226名無しさん@秘密の花園:2008/12/05(金) 20:37:59 ID:ogpgkRam
すまん安価ミスった >>193
227名無しさん@秘密の花園:2008/12/05(金) 20:43:13 ID:WTe3J4DD
元ネタで思い出したけどエイラはもうマンネルハイム十字勲章もらってるのかな?
二回もらうはずだけど
各キャラの勲章ネタも面白そうだよね
228名無しさん@秘密の花園:2008/12/05(金) 21:17:30 ID:zryetbJE
>>141の続き投下します。タイトルは幸せの方程式と継続戦争の始まり。

どうやらエル姉のお説教を聞き流して思想に励んでいたことがマズかったらしい。
なにかエル姉がしきりに、教育に失敗してしまいました、と呟いていてとても怖かった。

そんなエル姉が、私に再教育を施すという理由で私をエル姉の部屋へと呼ぶのを断れるわけないじゃないか。
だって今日のエル姉はなんだか怖いんだもの。

「エイラさん、私は確かにアナタへトモコさんから学んだ戦う術を全て教え込んだと思っていました。
でも、なにやらトモコさんのダメな部分まで真似をさせてしまったようです…」

うー、私が一体なにをしたって言うんだよー。
どうしてサーニャにもニパにもエル姉にも怒られなくちゃいけないんだ…

「そう、エイラさんは少し女の子にだらしなさすぎます!本当にトモコさんみたいです…いつかエイラさんも獣に、獣になるんです…。」

なにかエル姉がトラウマでも思い出したかのごとくガクガクと震えながら述べる。
確かに伝説の中隊を率いたていう穴拭智子って人は女の子を落とすのも伝説的な腕前だったって聞くけど、でも…

「それは全然私と関係ないじゃないカー!」

私はただサーニャとニパの喧嘩に巻き込まれただけで…まぁ喧嘩の原因は私にあるみたいだけど。
それに第一私は女の子とふしだらなことなんてしたことないぞ。

そりゃあしたくないかと言われたら…私はソンナ目でサーニャを見てないぞ!絶対
に見てないぞ!

「なにを言ってるんですかエイラさん!関係大有りですよ!むしろどこからその自信が出てくるんですか!」

エル姉が可哀想なものを見るような目を私向けている。
私をソンナメデミンナー!!

「もう…エイラさんはもう少し女の子の気持ちを考えてあげるべきです!」

うー、そんなコト言われても。
それに…

「エル姉!私はそんなに鈍くないゾ!」

うん、そうだ。私は鈍くない。
鈍いっていうのはバルクホルン大尉みたいなことを言うんだ。

「本当ですか?信じられませんね…。」

さっきからエル姉にバカにされてるように思えるのは気のせいだろうか?
なにかものすごく悲しくなってきたぞ。
229名無しさん@秘密の花園:2008/12/05(金) 21:20:31 ID:zryetbJE
「本当ダッテ。予知の魔法やタロットを使う私に分からないことなんてないンダ!」

自信を持って答えたのにやはりエル姉は私に疑いの眼差しを向ける。
どうして信じてくれないんだよ。

「じゃあエイラさん、私が考えてること分かりますか?」

エル姉はやっぱり私をバカにしているのかもしれない。
だってあの単純なエル姉だよ。
エル姉は美味しいものを食べれば一日中ニコニコしてるし、叱られた後はずっと落ち込んでる。
誉められたときは廊下でスキップしちゃうし、悲しい話を聞いたら自分のことみたいに泣いてしまう。
そんなエル姉がなにを考えているかなんてそれこそ誰にでも分かることだ。
それともエル姉はそんな自分に気づいていないのだろうか?
私には正解を答えられて驚くエル姉の顔がありありと見える。

「そんなの簡単ダヨ。どうせエル姉は今日の晩御飯のことかペンギンの可愛さに
ついてでも考えてたんダロ?」

どうだ!正解だろ〜、と私は自信満々だ。
エル姉の顔は私の予測通り驚愕の情を携えていた。

「ダメです…本当にダメな娘ですエイラさんは。これはやっぱり再教育が必要です。至急エイラさんに情操教育を施さなければ大変なことになります…」

あれ?でもなにかおかしい。
エル姉はまたぶつぶつと呟いていてやっぱりどこか怖い。

「私が…私がエイラさんに女の子の心というものを教えてあげます!!」

いきなりエル姉が叫ぶ。
その表情はいつものふわふわと優しい表情とは異なっており、頬は真っ赤に染まりなにやら緊張した様子だった。

「エイラさん…」

エル姉は私の名前を呼ぶと、私の右腕をつかんで自分の胸へと押し付けた。

えっ、押し付けた?
私の手のひらには小さいけれども確かに感じる柔らかさと暖かさ。
うん、まっ平らかと思ってたけどそんなことなかった。

「えええー!!ど、どうしたんだよエル姉っ!!!」
「ん、感じませんかエイラさん?」

たた、確かにとても現実のものとは思えないような柔らかさと暖かさを感じている真っ最中だけど…

ムニムニ。ムニムニ。

うん、私は今、確かに気持ちよさを感じております。
230名無しさん@秘密の花園:2008/12/05(金) 21:21:48 ID:zryetbJE
「んっ…どっ、どうして揉むんですかー!」
「えっ!違うのカ!?」

だってエル姉が私の手を胸に押しつけたんじゃないかー。
一体それ以外に私にどうしろって言うんだよー。

「胸じゃないんです!心臓です、心臓の鼓動が分かりませんか?」

あぁ、確かに感じる。
エル姉の心臓が強く高鳴っているのを感じる。
それにしてもすごくはやい。
それにまだはやくなっていく。
エル姉は心臓をあまりにもはやくならしているからなのか、頬はさらに赤く染まり、肩で息をしている。
その頬に触れるととても熱く、エル姉の感情の高まりを感じられた。

「どうしてなのか分かりますか?」

エル姉が私の耳にそっと囁く。

「どういう意味なんダ?」

囁かれた言葉の意図が分からず私は聞き返す。

「どうして私の心臓がこんなことになってるかが分かりますかって言ってるんですよ。」

エル姉は優しく私の疑問へと答えてくれた。
そんなエル姉に対して私は誠実に答えなくちゃいけないって思ったんだ。

「ううん、ゼンゼンわかんないヨ。」
「エイラさんのバカー!!!!!!!」

そしてやっぱり私は怒られたんだ。
結局エル姉も怒っている理由は教えてはくれなかった。
ヒドい話だと思うだろ?


その日の夜に私が部屋に帰ると、私のベッドの領地分割はさらに進んで3分割され
ていた。
それが私をさらに悩ませるんだ。

サーニャ、ニパ、エル姉。
どうして3人とも私の部屋にいるんだ?
そしてなぜそんなに怒りを私にぶつけるんだ?
私は今日も私に対する怒りに囲まれて寝ることとなった。

Fin.
231名無しさん@秘密の花園:2008/12/05(金) 21:29:50 ID:zaFhcIs8
>>230
まさかのエル姉参戦!!
スオムス戦線異常ありすぎだろwww
エイラさんほんと駄目すぎるwwGJw
232名無しさん@秘密の花園:2008/12/05(金) 21:38:35 ID:zryetbJE

という訳で皆様、本日もGJであります。
皆様が速筆すぎて遅筆な自分は俺はエースにはなれない…って感じです。いつか俺達がエースだ!と言えるといいです。

少しこのスレは洞察力というか妄想力がありすぎる。
>>147様には即座に再教育に含ませておいた話の存在に気付かれるし>>193様にはエルマさんまでターゲットに入ってることもばれてました…

実は内心エイラとサーニャとニパの三角関係だと思ってるんだろ?実はエルマさんも含んだハーレムなんだぜとか考えていたのにモロバレで恥ずかしい。

あとは>>193様には感謝してもしきれないほどよろしいものを描いていただきなんと幸せなことか。
実はずっとこのお方が描く絵が大好きで目覚ましアラーム画像が全て侵食されている程なので嬉しさもひとしおです。
それに自分の好きなキャラがエイラさん、サーニャ、エルマさん、ニパなので恐ろしいほどこの絵には興奮しました。

まぁ自分の中ではエイラさんは皆に愛されてる娘なのでこれからもエイラさんハーレムを進めていくぜと心にきめたRU1ZZ/dhでした。
233名無しさん@秘密の花園:2008/12/05(金) 21:46:55 ID:CEr0pJsm
早さが全てではない!
書き続ければいつか昇進していくぞ
というか俺からすればみんなエース

234名無しさん@秘密の花園:2008/12/05(金) 21:53:24 ID:BWzwqSaz
なんというハーレムw
エイラモテるナァ
235名無しさん@秘密の花園:2008/12/05(金) 22:01:17 ID:kaZ32+ZX
「穴拭智子の伝説」にワロタ
236拝啓、一番近くて遠い君へ 1/4:2008/12/05(金) 22:05:18 ID:P7wXSw/D
どうもこんばんは。
エーゲルなのか、フラウーシュなのか、自分でもよくわからないもの投下。
―――

水曜日は、手紙を書く日にすることにしている。
一番近くて遠いあの子に、私のことをつづって送るのだ。

「…ルトマン、ハルトマン!」
「……んあー?」

呼びかけられたので返事をする。ここは私の部屋の、ベッドの上。そして私は仰向けに寝転がって三分の一
ほど埋まった便箋眺めていた。右手ではペンを持って、ううん、と口許を押さえて続きを考えているのだ。

「なにやってるんだ」
「…"トゥルーデ…ゲルトルート・バルクホルンは今日もうるさいです"、っと」
「聞いてるなら返事ぐらいちゃんとしろっ」

つかつかと近づいてきて、つばが飛びそうなほどの近くでそう怒鳴ってくるものだから仕方なしに「はいはい」と
生返事を返してやる。そうやってとりあえず彼女の矛先をいなしたいから。なんてったって私は今とても忙しい
んだ。そうやって人の部屋でガサゴソドタバタと好き勝手に暴れ回っているキミに構ってる暇など無いのだよ、
バルクホルンくん。
…冗談めかしてだってそんなこといったらトゥルーデは怒髪天だろうなあ。ねえ、君はどう思う?彼女に返事を
する前にまた、そんなことを書き込んで。トゥルーデのことなんて何度も何度も書いたから、賢い君は私よりも
トゥルーデの事をわかってるかもしれないね。あれがどんなに面倒で、口うるさくて、でもいいやつだって。そう
なんじゃないの、と呆れ半分、非難半分の表情を浮かべながらも、それを言わない君の姿が頭に浮かぶ。
幼い幼いその姿。最後に顔を合わせたそのときから私も君もたぶん大きくなったはずなのに…ダメだなあ、
今の君がどうしても想像出来ないんだ。

「あー…うん、お疲れ様」
仕方なしに労いの言葉を述べるのに、それでもやっぱりトゥルーデは怒る。怒ってばっかりいる。そんなんじゃ
いつか血が全部沸騰してなくなっちゃうよ。ん?なかなか詩的な表現だと思わない?
「おつかれさま、じゃないっ」
「いいじゃん、寝てるわけでもないしー」
「目を覚ましていても働いてなければ同じだっ」

ちなみに働くと言うのはこの場合、ストライクウィッチである私たちの使命――ネウロイと戦うことを指している
わけでは決してないのだった。だってそれを言うならトゥルーデは私に対する責め句なんて無いはずだもの。
この間の受勲を引き合いに出せばわかるとおり、ちゃんと結果は残してる。だからトゥルーデは私の戦いぶり
には何も言わない。怒鳴りつけて怒ったり、しない。だからと言って「まだまだだな」と言うばかりで褒めても
くれないけど。
まあ、有り体に言ってしまえば彼女のその怒りは私の日常生活のずぼらさに向けられているのであって、更に
言えばいましているのは私の部屋の掃除なのだけれど。…なるほど、これもあなたにとったら労働ですか。
でも残念ながらお給金は発生しませんよ。私の財布の紐は固いのです。
まあ部屋のど真ん中に突っ立ってぷんすかと今日も怒り狂っている同僚にとって見たら、どんな事だって
多分名誉ある労働だろうさ、違いない。

「働かざるもの食うべからず、だぞハルトマン!どんなことも代価を払わなければ手に入らないんだ、」
「あーあー、集中できないからちょっと黙ってて、トゥルーデ!」

前回の掃除から1週間足らずですっかり散らかり果ててしまった私の部屋を見て、「明日は掃除だハルトマン!」
などとトゥルーデが抜かしたのが、昨日。「それはいいことだ」と答えはしたけれど「手伝う」なんて一言も言わ
なかった私は、彼女が手際よく部屋を片付けて、まずはベッドの上からものがなくなるのを見て取ると同時に
引き出しから便箋とペンを取り出してその『労働』を始めることにした。

週に一度、決して忘れてはいけない、とても大切な大切な私の仕事を。
237拝啓、一番近くて遠い君へ 2/4:2008/12/05(金) 22:06:04 ID:P7wXSw/D

私の不機嫌な大声に、トゥルーデは一瞬あっけに取られてそれから押し黙った。私がいつもへらへらふにゃ
ふにゃしてると思ったら大間違いだ。私にだって、怒鳴りつけてでも我を通したいときがあったりする。そして
ちなみにそれが、今こそだったりするのだ。

ガタゴト、ドタガタ。「私は怒ってるんだからな」と言う物言わぬ主張をその行動に伴い発生する音に乗せて
私の部屋専用のお掃除マシーンは再び作業を始めた。はいはい、分かってますって。トゥルーデはほら、
思っていることがすぐに音に出る。
まあ、彼女が私に対して怒ってるのなんていつもの話だ。ふう、とひとつ息をついて私もまた、再びその作業に
戻ることにした。とりあえず、一番最初から読み返してみる。


こんにちは、おげんきですか。私はあいかわらずです。


書き始めの一文は、いつもそれ。私は何にも変わっていない。君の知ってる私のままだよ。
相手がそんなこと気にしているとは思えないのに、むしろ読んだら「少しはしっかりしたらどうなの」なんて眉を
ひそめるのかもしれないのに、どうしても一番最初に伝えたいのはその言葉。相手の無事と、私のこと。
あとに続くのはトゥルーデのことか、ミーナのこととか、今いる部隊のほかの人のこととか、今週はどんな
ネウロイをどれだけ倒したとか、そんなこまごまとしたことだ。思いつくままに書いていくから、文章がうまく
繋がっていないときもある。
自分の部屋で、トゥルーデの部屋で、食堂で、ミーティングルームで…待機中だろうが何かの作業中だろうが、
出撃の最中でなければ一日中便箋とペンとを持ち歩いて、私はそれを書き綴っていくわけだ。今日はたまたま
トゥルーデが部屋の掃除に立ち会えと言うから、私は部屋にいるわけで。

てがみか?
ふと、作業を止めたトゥルーデに小さく小さく尋ねられた。
何でそんな恐る恐る尋ねるのさ。見れば分かるでしょ。「うんー」と、間延びした声で私は答える。毎週水曜日、
こうして手紙をかいているのは別に今に始まったことじゃない。てがみか?うん。そのやりとりは、よく思い
出せば何度か交わしたことのあるものだ。
…けれどそう言えばトゥルーデはその相手を私に尋ねてきたことは無いのだった。何に遠慮しているのか、
それともどうでもいいだけなのかはわからない。まあ、この部隊に配属されるまではそんなこと気にしている
暇なんて無かった、って言うのもあるのだろうけれど。

でもさ、ねえ。
その相手を聞いたら、トゥルーデだってホントの本当に、何にも言わなくなるかもしれないよ。
傍から見ると全然違う、ってよく言われる私たちだけれど、ひとつだけとてもとてもよく似ているところがある。

身長は伸びましたか。私は、この間測ったら154cmでした。そっちはどうですか?もしかしたら私のほうが
大きくなっちゃったんじゃないかなあ。発育のほどはどうでしょう?やっぱり私と同じように、胸は残念な結果
ですか?
髪も全然伸びてません。やっぱりいつもどおりの長さが、一番落ち着きます。そっちはどうですか?一度で
良いから髪を長くしてみたいけれど、やっぱり面倒だよね。
そちらは寒いそうですね。私と同じ部隊の、あなたの今いる国から来た仲間が、こっちは暑いとぼやいてい
ました。
メガネはかけたままですか。やっぱりいつも本を読んでいますか。
ねえ、お変わりありませんか?

尋ねたいことはたくさんあって、それらすべてに答えて欲しいのに、毎週送る私のそれに反して、あちらから
返って来るのは半年に一度くらいで、しかもとても短いものでしかない。たぶん正直、あの子はこの手紙を
少々うざったく感じているのではないかと私は思っている。

238拝啓、一番近くて遠い君へ 3/4:2008/12/05(金) 22:08:05 ID:P7wXSw/D

それでも送ってしまう理由なんて、たぶんひとつしかない。大切で、大好きで、心配だからだ。
ねえトゥルーデ、それって当たり前の感情でしょう?だって私のほうが、あの子よりも早く生まれたんだもの。『双子だから変わらないでしょう』なんてあの子はため息をつくのかもしれないけれど、私の中では大いなることだ。


だって同じ両親からあの子より数分でも、数秒でも、早く生れ落ちた。その時点で私はあの子の『お姉ちゃん』
なんだもの。たった一人の、双子の姉。


まるでだめな姉だった。今でもそれは変わらない。相変わらずずぼらで、あの頃君に世話を焼いてもらった
のと同じように今でもいつでも、誰かに世話を焼かれてる。ほら、今この瞬間だってトゥルーデに心配かけて、
世話してもらって、怒られてばかり。一緒にいたあの頃は君がそれをしていたね。
姉らしいことなんて何ひとつしたこと無い。そもそも姉らしいって、一体何なのか分からない。

私はブリタニア、君はスオムス。離れ離れになった私たちはお互いの場所でお互いの仲間と、一生懸命戦って
いる。自分のために、世界のために。
一緒に生まれた、一緒に育った。そんな一番近い相手なのに、今いる場所はとてもとても遠い。
こうして手紙を送ることでそれが縮まったり埋まったりするなんて考えてない。私はそんなことまで考えて
行動する性質ではないからだ。

けれども綴ってしまう理由なんてやっぱり、ひとつしかないだろう?だって私は君のお姉ちゃんだもの。
お姉ちゃんなんだから、妹の心配をするなんて当たり前でしょう?
ちょっと緊張して普段の口調よりもなぜかよっぽど堅苦しい言葉遣いになっちゃうけど、「らしくない」「そんなのいらない」
なんて君は言うのかもしれないけど、やっぱりお姉ちゃんは君がとっても心配です。だから書くんです。

私は大丈夫だよ。ねえ、あなたはおげんきですか、って。

「…トゥルーデ、君は」
「…なんだ」
「さみしんぼうさんなのかね」
「なに言ってるんだお前はっ」

先ほどからすっかり手を止めて、痛いほどに視線を送ってくる同僚にひとつため息をついて、言ってやる。
手紙の相手が気になるのなら教えてあげるのに。私だって別にトゥルーデがどうでもいいわけじゃないよ。
なんでそんなに怒るのかわからないけれど、しょうがない、今のところは折れてやろう。ごめんね、とりあえず
今は目の前の人のほうを優先させてね。
サイドテーブルに便箋とペンを置いて、起き上がる。

「いつも思ってたんだが…その、手紙の相手は…なんだ、お前の大切な相手なのか」
「?うん。」
「…」
「なにさあ、歯切れの悪い」
「…いや、なんでもない」

いつの間にやら部屋は最初の惨状から見たらひどく綺麗になっていた。出来ればこの部屋のビフォーと
アフターを写真にとって送り付けたいけれど、それをしたところであっちは戸惑うだけだろうから止めておこう。

「ねえトゥルーデ」
「なんだよ」
さきほどよりもよっぽど柔らかな声の調子に肩をすくめる。本当に分かりやすいねえ、トゥルーデは。無視
すると怒る。そうでないと普段の調子を取り戻してやっぱり説教を垂れてくる。でもずっとご機嫌な口調で。

239拝啓、一番近くて遠い君へ 4/4:2008/12/05(金) 22:10:17 ID:P7wXSw/D

「クリスのお見舞い、次はいつ行くのー?」
「…まだ決めてないが…」
「じゃ、私も行くから休暇一緒に組んどいてー」
「…またか?なぜなんだ?」
怪訝そうな顔をするトゥルーデお姉ちゃんは、妹がとっても大好きだ。シスコンの気がないとは言わない
けれど、とりあえず妹思いのお姉ちゃんだ。…おかしいね、私のほうが『お姉ちゃん』としては大分先輩なのに。

「…まあ、将来にむけて、見学かな?」
「はあ?…まあいいが…」

ねえ、例えばトゥルーデがクリスにするのと同じように君に接したら、君はどうするだろうねえ。
心底嫌そうな顔をしそうだなあ。でも一度やってみたいなあ。別に君を困らせたいわけじゃないよ。ただ、たま
にはお姉ちゃんっていう立場の特権を思いっきり行使してみたいんだ。要するに君を甘やかしてみたいんだ。
…それが、いつになるのかは分からないから今は目下、研究中。君には到底及ばないけれど、なかなか熱心に
やっているんだよ。

あとはこの麻袋をゴミ捨て場に持っていって、洗濯物を出したらすべての作業は終わりだ。要するに、トゥルーデ
の労働も、説教も、そこで終了する。サイドテーブルの上に乗っかったままの便箋に向かって呼びかける。
待っててね、そうしたらまた構ってあげるからね。ほら、今はトゥルーデがとってもうるさいからさ。
…とか言っても、別に君はなんとも思わないのかもしれないけどさ。まるで片想いでもしてる気分だよ。実際
そうなのかもしれないね。だって君ってば、昔からつれないんだもの。
でも大丈夫。もう慣れちゃったから、いまさらくじけたりなんてしないさ。お姉ちゃんの愛は無限大だよ、誰より
大切に想っているよ、ウルスラ。
だって切ろうとしたって切れないんだから。それならとことん大切にしたいじゃないか、ね、ウーシュ?


こんにちは。わたしはとてもげんきです。


半年に一度だけ、けれど忘れずに届く短い短い君からの返事の手紙を、最初のその一文を、今からもう待ちわびている。


―――
以上です。
ウルスラの名前が2回しか出てきませんが手紙の相手はウルスラです。分かりにくかったら申し訳ない
姉として生まれた以上、妹が大切なのはもう意識の奥底に組み込まれていると勝手に信じてやみません。
あ、21X2w2Ibでした。

>>232
スオムス続きキター!同じくスオムス好きとしてはたまらないものがあります。GJGJ!
ことごとくツボをついてくれるあなたは自分の中で十分エースだ…!!

あとワンモアセッ!を朝電車で見て盛大に吹いたw確かにエイラがハルカ化してるwだがそこがいい
ついでに、エーリカとサーニャの話といったら0168の「遠い空の向こうに」というフラウーシュの話がとても
好きで、何度も何度も読みました。最初のビューリングとのやり取りといい、とても大好きです。
亀にもほどがありますがあの頃自分はここに書き込んでなかったので、いまさらながら超グッジョブ!

24021X2w2Ib:2008/12/05(金) 22:14:34 ID:P7wXSw/D
うわ、改行しそこねてた…
申し訳ありません、>>238の2行目の文章を、

ねえトゥルーデ、それって当たり前の感情でしょう?だって私のほうが、あの子よりも早く生まれたんだもの。
『双子だから変わらないでしょう』なんてあの子はため息をつくのかもしれないけれど、私の中では大いなることだ。

と改行して保管よろしくお願いします。

投下されたみなさん全員本当にGJ!
自分も遅筆な方なので最近の流れのめまぐるしさについ焦ってしまう
241名無しさん@秘密の花園:2008/12/05(金) 22:24:04 ID:WTe3J4DD
G.Jジョー!
ハルトマン姉妹は仲良いのかな。いらん子時点では微妙に冷めてそうだけど
エーリカが実は妹可愛がってたらいいなー

あとゲルトさんは勿論恋人がいるのかと気になってるんですよね?w
242名無しさん@秘密の花園:2008/12/05(金) 22:24:48 ID:PdSroGD6
リーネイラとクロウカシスまだー
243名無しさん@秘密の花園:2008/12/05(金) 22:28:25 ID:ohGlRx0M
流れ読まずに久しぶりの投下、もちろんシャッキーニです!
244虎姫:2008/12/05(金) 22:29:41 ID:ohGlRx0M
シャッキーニです。
元ネタは、私の持っている絵本、チビウサギをチビ猫にするなど、若干変換、
全文ひらがなだったので、読みやすいように漢字に直しています。



『どんなにきみがすきだかあててごらん』


ちいさなくろい 子猫は、おやすみのじかん。
おおきなオレンジのウサギにつかまって、ベットに行くところ。
ちいさな子猫は、おおきなウサギにきいてみたくなった。

「どんなに、シャーリーが好きだかあててみて」
「そんなこと、わからないよ」

と、デカウサギ。

「こんなにだよ」

チビ猫は、うでを思いっきりのばした。
デカウサギのうでは、もっとずっとながかった。

「でも、あたしはこーんなにだよ」

なるほど、それは、うんとだ。
チビ猫はかんがえた。

「シャーリーのこと、せいのび精一杯すきだよ」

とチビ猫。

「あたしは、ルッキーニのこと、あたしのせいのび精一杯すきだよ」

とデカウサギ。
たしかに、たかいな。
チビ猫は、かんがえた。
あんなに、うでが長かったなら。
245虎姫:2008/12/05(金) 22:30:59 ID:ohGlRx0M
そこで、チビ猫は、いい事を思いついた。
ぴょんと逆立ちをして、木のみきに、足をぐっとのばした。

「シャーリーのこと、つま先のさきっちょまで、すきだよ!」
「あたしは、ルッキーニのこと、ルッキーニのつま先の先まで、すきだよ」

デカウサギは、チビ猫のうでをつかんで、ふりあげた。

「シャーリーのこと、飛び上がれるこんがぎり、すきだよ!」

チビ猫はわらいながら、そこいらじゅうをはねまわった。

「でも、あたしはルッキーニのこと、あたしが飛び上がれるぐらい、すきだよ」

デカウサギは、ほほえんで、おおきくひとはねすると、みみが、木のえだに、とどいた。

ほんとに、すごいや。
チビ猫はかんがえた。
あんなに、たかく飛べたらなあ。

「シャーリーのこと、この道をずっといって、川にとどくぐらい、すきだよ」

チビ猫は、さけんだ。

「あたしは、ルッキーニのこと、川をわたって、丘をこえたぐらい、すきだよ」

と、デカウサギ。

それは、とっても遠くだ。
チビ猫は、かんがえた。
チビ猫は、もう眠くって、何にもおもいつかない。

ふと、チビ猫は、いばらのしげみの向こうを、みあげた。
あたりは、すっかりくらくなり、夜空がどこまでもひろがっている。

「あたしは、お月さまにとどくぐらいシャーリーがすき」

チビ猫は、そういうと、目をとじた。

「それは、とおくだ」

と、デカウサギ。

「それは、とてもとても、とおくだ」

デカウサギは、チビ猫をベットにそっと、ねかせると、かがんでおやすみのキスをした。
それから、チビ猫のそばに横になり、ほほえみながらささやいた。

「あたしは、ルッキーニのこと、お月さままでいって―かえってくるぐらい、すきだよ」


END
246名無しさん@秘密の花園:2008/12/05(金) 22:51:32 ID:jdIm6pkW
>>245
GJ!!そして久しぶり!
シャッキーニはやっぱり甘々だな!
なのに自分が書いてるものと来たら…
まったく参ったぜ!
247名無しさん@秘密の花園:2008/12/05(金) 22:59:40 ID:SwzXpTbx
>>240
ああ、いいなあこういう話。ウルスラもきっとエーリカのこと大好きなんだよ。
ただ表現できてないだけなんだよ!

>>245
お!お久しぶりです
心が和やかになるシャッキーニをありがとう。
248名無しさん@秘密の花園:2008/12/05(金) 23:02:10 ID:BFb5opTP
>>202面白かった。二回ほど、フイタ

>>236ハルトマン姉妹キターーーーーーーーーーーーーーー
ハルトマン周りはまだまだ開拓の余地ありだなあ。俺も頑張る…
249名無しさん@秘密の花園:2008/12/05(金) 23:12:10 ID:zryetbJE
>>240>>245様乙です。

そういえば自分も21X2w2Ib様の話で思い出したけど今朝は山の手線内でワンモアセッ!を読んで笑いをこらえるのが大変だった。

あとサーニャとエーリカはブリタニア1944がすごく良かったなぁ。
250名無しさん@秘密の花園:2008/12/05(金) 23:47:54 ID:CEr0pJsm
>>239
乙!
微妙に嫉妬?してるツルーデが良い!

>>245
お久しぶりー
なんかいいなほのぼので
251名無しさん@秘密の花園:2008/12/05(金) 23:49:01 ID:CEr0pJsm
なんだよツルーデって
訳の分からん打ち間違えした・・・orz
252名無しさん@秘密の花園:2008/12/05(金) 23:52:14 ID:4AJnXpzd
>>245
いいねぇ。目がウルウルしたよ。
絵本ネタのSSって好きなんだ。

この元ネタの絵本、つきあってた彼女に一大決心して贈ったことが
あるんだよね。それもあって目頭があつくなったよ。(今は一緒になったけどなー。)
253保管庫 ◆YFbTwHJXPs :2008/12/05(金) 23:53:54 ID:wOmqTsbu
>>202を読んで笑いに耐えるのに必死だったのは私だけではないようだな……
朝の東海道線はホント地獄だぜフゥー以下略

というわけでどうも、保管庫の人です。
#0426がなんだか色々な解釈をされていて、それをSSにしてくれる人まで現れて(しかも三人!)、
文書きとしてはまさしく冥利に尽きるといった心境であります。涙で曇って画面が見えない。

で、ここまでされては自分も何か書かねばなるまい!!と思い立ったので、
あの話の私自身の解釈としての続きを少しだけ形にしてみました。
後日談というかホントに補足なので構成に山もオチもありませんが、
「本人的にはこういう解釈だったのか!!」と何となく感じていただければ幸いです。

短いですがエイラ視点の芳佳×サーニャ、「Hulluus Ajaksi Te」の続きです。
254Hulluus Ajaksi Te ◆YFbTwHJXPs :2008/12/05(金) 23:55:42 ID:wOmqTsbu
結局のところ、サーニャの一件で一番落ち込んだのが私なら、
一番あっさり終わりにしたのも私なのだった。
特にミーナ隊長なんかは私に何度となく休暇を勧めてくれて、
それでも普通に出撃して今まで通りの戦闘をこなすと、口ではホッとしたようなことを言いつつ、未だに心配そうな顔をする。

でも、
私は大丈夫。
もう、大丈夫なんだ。

────────

滑走路でリーネのやつになんだかくすぐったいことを言われた日、私はサーニャの部屋に行った。
どうしても一言謝っておきたかったからだ。
月並みな言い訳と陳腐な謝罪の言葉を、サーニャは黙って聞いてくれた。

「私の中での折り合いはもうついてるの。」

それが返事だった。

「全部終わったから、もういいの。
 そんなことでエイラとぎくしゃくするのは、もっとイヤ。
 だから今まで通りで、いい。」

その言い回しは私の知っているサーニャにはまるで似ていなくて、しかもコイツときたら部屋のそこここに宮藤の私物を置いてるんだ。
一気に全部どうでもよくなってしまった。もうコイツに私は必要ないんだ。
お互いにあんまり変わってしまったのがおかしくて、つい無意味な笑いが込み上げてきた。
よりによってあのサーニャに、私は一本取られたんだ。
「今まで通りでいい」、だって。
私にとって恋人同士の触れ合いだと思っていた関係は、
サーニャにとってはただの友達同士のそれだったってわけだ。
まったく笑える話じゃないか。笑わずにいられるほうがどうかしてる。

「なかなかヒドいこと言えるようになったじゃないかー。」
「ふふふ、芳佳ちゃんのおかげだよ。今更後悔してももう遅いんだから。」
「後悔なんてないさ。サーニャは今、シアワセか?」
「うん。とっても。」
「ならいいんだ。サーニャがシアワセなら、今はそれでいいんだ。私はさ。」

後ろめたさなんて残っちゃいない。
サーニャの屈託のない笑顔を見てやっと確信を持てた。
だからごめんの他にもう一つ、言えたら言おうと思っていた科白を、
私は自然に口にしていた。

「サーニャ、おめでとな。」
「……ありがとう。」


同じ日の少し後で宮藤にも謝ろうとしたら、「サーニャちゃんがいいなら私もいい」みたいなことを言われた。
判断は上に任せる、ってか。なんとも扶桑人らしい答えだ。
コイツはコイツで相変わらずなので、妙に安心してしまった。私も現金なもんだな。
255Hulluus Ajaksi Te ◆YFbTwHJXPs :2008/12/05(金) 23:56:52 ID:wOmqTsbu
────────

まあそんなわけで、私とサーニャはいわば親友同士になったってわけだ。
あまりの後腐れのなさに正直自分でも驚いてはいる。こういうってなんか、気まずくなったりするもんじゃないか。
だから私はたぶん幸せ者なんだ。私の恋は叶わなかったけど、
こうしてサーニャの隣で一番に「おめでとう」を言える。
二人の幸福を一番近くで祝福できるんだ。
そんな関係だって、悪くない。
もし二人が結婚したら、式は私が仲介役をしよう。
子供ができたら、名付け親になってもいい。とびきり素敵な名前をつけてやるんだ。
それで二人が忙しいときは家にお邪魔してその子の世話を焼いたりして。
そんな未来だって、悪くないじゃないか。

私はヒドいヤツだったけど、今はもう大丈夫なんだ。
だって私は、気持ちを伝える喜びを知っている。
本当に分かり合えることの素晴らしさを、こんなにも知ってしまったんだ。
だからさ、なあサーニャ。
こんな私でも、今ならもう一度、誰かを好きになれる気がするよ。
一緒にいられることが嬉しくてたまらない、そんな誰かを見つけられそうな気がするんだ。
そしてそのとき私は絶対、真っ先に言ってやるんだ。
「好きだ」の一言を、必ず伝えてやるんだ。


だからサーニャ。そのときは、
オマエが一番にお祝いしてくれよな。
約束だかんな。


break;
256名無しさん@秘密の花園:2008/12/05(金) 23:57:08 ID:ZfWGqnTT
こんばんは。mxTTnzhmでございます。
今回は501メンバーからちょっと離れて、名も無きウィッチ達の空戦をメインに書こうかと。
百合成分&501成分は1%程度しか有りませんが何卒ご容赦を……。
あとWWU当時の空戦用語や交戦時の話し方なんかはよく分からなかったので、
その辺はWWU以降の某空戦史等を参考にしました。
かなりテキトーです、ごめんなさい。雰囲気だけで勘弁して下さいませ。
一応時系列的には>>174-175の「awakening march」後の話です。
極めて微妙ですが……一応、リーネ×芳佳と言う事で。
257名無しさん@秘密の花園:2008/12/05(金) 23:58:07 ID:ZfWGqnTT
すいません、かぶってしまった……orz
258保管庫 ◆YFbTwHJXPs :2008/12/05(金) 23:58:50 ID:wOmqTsbu
以上です。
サーニャの過去をいつまでも引きずっちゃうエイラも可愛いけど、
自分の気持ちにきちんと整理をつけられるエイラだっていいじゃないかいいじゃないか。
エイラは決して弱い子じゃないって信じてる。
それで国に帰ったらきっとニッカに何やかんや言われて、
そのうち好きになって、今度はちゃんと「好きだよ、ニパ」とか何とか言っちゃったりして、
かつてのエイラのようにアタフタするニッカを見て優しく笑顔を投げかけたりしちゃったりとかもうたまらんイヤッホウ!!!!

と言いつつ、エース諸君の華麗な文戦(?)技術を目の当たりにして「リーネイラもいいじゃないか」とか思い始めてしまったので、
続きを考えてくれた御両人、最高にwktkしながら続きを待たせていただきます。

最後に全投下GJ!!どれもこれも一級品揃いで読むのが楽しくて仕方がない。
私は私で遅筆なりに色々書きつつあるので、少しでも貢献できたら幸いです。
次回作はちゃんと幸せになるエイラーニャになる……はず。
259名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 00:04:11 ID:CEr0pJsm
>>258
GJ
まさか原作者から続きが来るとは
エイラ強い子だなぁ
リーネイラの続きは俺もwktkして待ってる

>>257
さぁ次は貴方の番だ
260名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 00:05:53 ID:Y4crCUMY
もろかぶりしてしまったmxTTnzhmでございますorz

>>258保管庫様
激しく謝罪。投稿前にリロードしたんですが、私の確認ミスです。
本当申し訳ない。

では改めていきます。タイトルは「nemo」、どうぞ。
261nemo 01/05:2008/12/06(土) 00:07:00 ID:Y4crCUMY
その日の午後、ブリタニア空軍ホニントン基地に、けたたましく忌々しい音が響いた。
「警報だ!」
全員ブリーフィングルームに駆け出す。
間もなく指揮官のブレア中佐が書類を小脇に抱えて入室した。
書類を机に置き、着席したウィッチ全員を一瞥すると、直ちに指揮を開始した。
「作戦本部より承認コードTW1400、これより敵ネウロイを攻撃する。
敵ネウロイはグリッド北021地区を方位2−6−1で本土に向け侵攻中。
ボイラープレート中隊のデッドバック小隊、及びスキッドロウ小隊は直ちに迎撃を開始せよ。急げ」
「了解!」
まだあどけなさの残るウィッチ達が慌ただしくハンガーに駆け出した。
「残りの隊員は基地にて待機、直ちに戦闘行動に移れる様準備せよ。以上だ」
ブレア中佐は用件だけ伝えると部屋を出、小走りに基地の管制所へ向かう。
管制所では既に女性無線通信手が付近の施設や基地と通信を開始していた。
「現在付近を哨戒中の部隊は?」
「ボイラープレート中隊所属のアスプ小隊です」
レーダー観測員が即答する。
「よし、アスプ小隊とコンタクトだ。先行させ直ちに目標との交戦を開始」
「了解。……アスプ小隊、応答願う。状況を報告せよ」
『アスプ1及びアスプ2、現在ホニントン基地北方を飛行中』
「ネウロイだ。アスプ小隊から方位1−1−0、直ちに先行して迎撃に向かえ」
『アスプ1、了解』
『アスプ2、了解』
緊張した声が走る。
「アスプ小隊は受領したばかりのスピットファイアMk.Xだから何とかなるとは思うが……せめて時間稼ぎが出来ればな」
ブレア中佐は苦い顔をした。
「はっ。確かに」
間もなく、基地の滑走路にストライカーを装着したウィッチが四機並んだ。
ハリケーンに旧式のスピットファイアと、まさに今使えるストライカーをかき集めたと言った感じだ。
ブリタニア防空の為には、なりふり構っていられない。とにかくもっと多くのウィッチとストライカーが欲しい。
本当は、今飛んでいるアスプ小隊もそうだが、「小隊」とはシュバルム(四機編隊)で飛ぶのが定石の筈だ。
しかし、決定的に稼働可能なストライカー、そしてウィッチが不足していた。
各小隊とも定数の半分程度と言うのは何とも心苦しい限りが、それはどの基地でも似た様なもの事だった。
「ロッテ(二機編隊)で小隊とはな……」
ブレア少佐は呟いた。
それにしても、ネウロイは何故ガリア地方……いわゆる南方からではなく、北から侵攻して来たのか?
迂回したにしては監視の目がザル過ぎる。そしてもうひとつ気になる事が有った。
「肝心の第501統合戦闘航空団は何をしている?」
「監視所からの通達に大幅な遅延が生じている様で……当基地からの連絡でようやく状況を把握した模様です」
「何!? なんてザマだ。監視所(やつら)の目はザルで、口は縫い合わせてでもいるのか?」
女性らしからぬ侮蔑の言葉を二言ばかり口にすると、ブレア中佐は言葉を続けた。
「直ちに監視所連絡部に抗議しろ! ……で、501はどうすると?」
「直ちに迎撃に向かうとの事ですが、会敵予定時間は二十分後を予定との事……間に合いますかね」
「分からん。我々の魔女(ウィッチ)達に賭けるしかない。だが」
ブレア中佐は額に手をやった。
「これ以上の損失は避けたい」
偽らざる本音。
『デッドバック1、離陸準備よし』
『デッドバック2、離陸準備よし』
『スキッドロウ1、離陸準備よし』
『スキッドロウ2、離陸準備よし』
「デッドバック1、離陸クリア。離陸後無線をスイッチ3に入れて管制官と連絡を取れ」
「デッドバック1、了解」
こうして、間もなく四機のウィッチが大空に揚がっていった。ネウロイを食い止められるのか。
是が非でも食い止めて貰わねば困る。しかし、生きて戻って貰えねばもっと困る。
軽い二律背反を覚えたブレア中佐は表情を曇らせた。
「デッドバック小隊、離陸完了」
「スキッドロウ小隊、離陸完了しました」
「管制所よりデッドバック小隊、スキッドロウ小隊、共にこちらのレーダーで追跡している。
このまま高度を9000に取り、交戦に備えよ。交戦予定時間は四分後。
貴官らに先行してアスプ小隊が迎撃に向かっている。合流しつつ直ちに援護し共同して目標を攻撃、破壊せよ」
262nemo 02/05:2008/12/06(土) 00:08:06 ID:Y4crCUMY
コールサイン「アスプ1」のウィッチは咳き込み気味のストライカーをなだめすかしながら飛行を続けていた。
整備がまだ完全ではないが、悠長な事を言ってられない。飛べるだけでも整備員達に感謝せねば。
遠くに黒点が見える。高度、飛行速度共に間違いない。
「アスプ1、目標を確認(タリホー)」
『了解。アスプ小隊、交戦を開始せよ』
「アスプ1、攻撃開始」
「アスプ2、攻撃開始」
「よしアスプ2、私に続け。一撃離脱の後急上昇してネウロイの背後に着く」
アスプ1とアスプ2はネウロイの斜め上空に高度を取ると、ロールしながら降下に入る。長い栗毛色の髪が揺れる。
アスプ1はネウロイの姿形に驚いた。まるでフライパンじゃないか、と。
「本土への侵入は絶対に阻止する」
「了解……ああ、神様」
「落ち着け。何も問題ない」
問題は山積しているが、とりあえず僚機を落ち着かせる。
「ここは我々ブリタニアの空だ! 勝手なマネは許さん!」
アスプ1は手にしたイスパノ・スイザ20mm砲を構えると、急降下しつつネウロイを銃撃した。
それで気付いたのか、ビームが整列宜しく直線で飛来する。ぎりぎりスリップしつつかわし、なおも銃撃を続ける。
アスプ2も後方から銃撃を掛けている様で、ネウロイの表面装甲ががりがりと音を立てて削られていく。
急降下し、みるみる地上が迫る。ネウロイから一旦離れたところで腕の高度計を見る。
「よし今だ、アスプ1、アスプ2、プルアップ開始」
「アスプ2、プルアップ」
そのまま急上昇しつつ、ネウロイを背面から攻撃し、一時離脱する。装甲こそ削れるが、致命的なダメージには至っていない。
しかもコアを探さない限りどうにもならない。
「アスプ2、無駄弾の撃ち過ぎに気を付けろ。あとなるべく射線を集束させろ」
「りょ、了解」
無理もない。僚機のアスプ2は配属されてまだ半月の新人だ。それにしてはよく頑張っている。

「アスプ小隊、ネウロイと交戦状態に入りました。本土まで、あと4マイル」
「デッドバックとスキッドロウの両小隊は」
「間もなくかと」
「デッドバック1、見えるか?」
『デッドバック1、まだ目視せず(ノー・ジョイ)』
ブレア中佐は椅子に腰掛けると地図を見、交戦区域の辺りを指さした。
「これを突破されると第二陣を出さざるを得ない。待機中のデコレート中隊に連絡を。出撃に備えさせろ」
「了解」
間もなく通信が入る。
『デッドバック1、目標を発見(タリホー)』
『スキッドロウ1も目標を発見(タリホー)している』
「了解。両小隊、合流し次第直ちに交戦開始せよ」
「了解!」

基地の各小隊はネウロイの前方で合流した。
「ボイラープレート中隊、全機合流完了」
『了解、ボイラープレート。中隊の総力を持ってかかれ』
「了解」
「……なんだ、随分手間取ってるじゃないか」
「遅いぞ、このままだと本土への侵入を許してしまうぞ」
「大丈夫だ。六機がかりなら何とかなるだろう?」
「本来なら十二機なんだけどな!」
「とにかく、何とかなれば良いのだが」
「コアはどこに?」
「まだ分からない。恐らく中央辺りだと思うんだが」
「了解。早速その辺から探してみるか。行くぞデッドバック2」
「りょ、了解」
スピットファイアMk.Tbのデッドバック小隊はイスパノ・スイザを構えてネウロイ向かって降下する。
「スキッドロウ小隊はデッドバック小隊の援護に回れ」
「了解!」
ハリケーンを履いた二人のウィッチがブローニング7.7mm機関銃を構え、降下する。
「我々は正面から牽制する、行くぞアスプ2」
「了解」
263nemo 03/05:2008/12/06(土) 00:09:15 ID:Y4crCUMY
しかし、ネウロイの侵攻は速度こそ遅いが、じわじわと着実に本土へと迫りつつあった。
各小隊の間にも焦りが出てくる。既に何発も防御シールドでビームを防いでいるが、かなりの危険水域だ。
海岸線がくっきり見えてきた。周辺に陣地を構えた高射砲部隊が見える。
「まずいな」
「あの……」
「どうした、アスプ2」
「高射砲部隊に支援を要請しては如何でしょうか」
「我々も巻き添えを喰らうぞ」
「時間を同期させて、交互に攻撃するんです。そうすれば」
「成る程。良いアイディアだ」
アスプ1は無線のチャンネルを通じて高射砲部隊と連絡を取った。
『……ボイラープレート中隊か』
「高射砲部隊聞こえるか、あのネウロイに支援砲撃を頼む」
『しかし、それでは貴官らを巻き込む恐れが』
「構わんから全弾ありったけぶち込んでくれ! 予定時間は四十秒後に設定する。我々は一旦距離を取るからその隙を狙え」
『了解』
「全機聞こえたか、我々はまもなくネウロイから離れ距離を取る。地上部隊から素敵なプレゼントが来る筈だ」
「了解」
「よし、全機一時転進!」
六機は一斉にネウロイとの距離を取った。
沿岸に設置された、カールスラントご自慢の8.8cm高射砲三基が火を噴く。
ネウロイに高い効果を上げているので、ブリタニア沿岸の重要拠点や防御地点にはこの8.8cm高射砲が据え置かれ、
睨みを利かせている。
ネウロイの表面で弾頭が炸裂し、ぐらりとゆらめく。ウィッチ達は固唾を呑んで見守った。
確かに、ネウロイは傷付いた。だが……
コアが見当たらない。下面はかなりダメージを与えたが、肝心のコアが無い。
ひとしきり徹甲弾を見舞ったが、ネウロイはコアにダメージが無いので何とも悠長にブリタニアの空を飛び、
本土に差し掛かりつつあった。
「ダメか!?」
「高射砲部隊、感謝する。後は我々が何とかする」
『後は頼んだぞ、ウィッチ諸君!』
「間もなくお茶の時間なのにすまんな」

ネウロイは本土ぎりぎりまで迫っていた。必死の攻撃も虚しく、無尽蔵に浴びせてくるビームを被弾し、
遂にデッドバック2のストライカーから煙が吹き出した。
「デッドバック2被弾。帰還する」
「無事を祈る……無理するなよ」
「すまん」
「後は任せろ」
援護に回っていたスキッドロウ1も相次いで被弾する。まともにビームの直撃を受けたらしく、
ストライカーの右半分が吹き飛んでいた。
「スキッドロウ1被弾……」
「大丈夫か!」
「ハリケーンは頑丈です、ちょっとやそっとじゃびくともしませんよ」
「早く背中の落下傘を!」
「ぎりぎりまで粘ります、ネウロイに落下傘撃たれたらシャレになりませんから」
「……生きろよ」
「お先に失礼しますよ、“中尉殿”」
そのままスキッドロウ1はふらふらと落下していった。風に流され、地上すれすれで落下傘が開いたが、大丈夫だろうか。
既に管制所を通じて、ブリタニア陸軍の救護班が到着する筈だ。うまく連絡が取れているならば。
「残り四機……管制所、増援は?」
『間もなく出撃させる、あと十分持ち堪えられるか』
「じゅ、十分?」
絶望的な時間だ。彼女達の防御シールドは、もってあと数分。ヘタしたら一分も保たない。
「救護班の要請を予めしておくよ」
『諦めるのか? それを敗北主義と言うんだぞ』
「ジョークだよジョーク」
増援も寄越せない方こそ敗北主義者じゃないか、とアスプ1は毒付いた。
「アスプ2、付いてこい。射撃ポイントを私に合わせろ」
「了解です」
264nemo 04/05:2008/12/06(土) 00:10:42 ID:Y4crCUMY
狙いを定めて、発砲する。ネウロイもかなりのダメージの蓄積こそあれ、まだコアは見えない。
アスプ1は己の勘を信じて、一点を集中して狙った。ちょうど楕円に膨らんだ、中心よりやや右方。
アスプ2もややブレながら、射撃を加えている。
きらりと光る何かが見えた。
「コアだ!」
アスプ1は叫び、続けざまに全機に指示を出した。
「アスプ1より全機、コアを発見した。中心より右方、今僅かに露出した。全機攻撃を集中させろ」
しかし、返ってきた言葉は酷く残酷なものだった。
「デッドバック1、全弾消耗」
「スキッドロウ2、左部分に被弾です。何とか飛べますが、残弾僅か……」
「なんてこった……」
僚機が近寄って告げた。
「私も残り僅かですが、まだ有ります」
「よし。私もだアスプ2、残りで何とかするしかない。必ず奴を仕留めるぞ」
絶え間なく飛んでくるビームをかわしつつ、右方に回り込む。ネウロイは弱点を隠すべく、旋回を始めた。
「この期に及んで悪あがきか!」
ビームをシールドが弾く。激しい衝撃を受けながらも、ストライカーに魔力を注ぎ込み、旋回についていこうとしたその時。

コアが突然破壊された。
どこからともなく飛来したたった一発の銃弾が、コアの中心を綺麗に撃ち抜いたのだ。

轟音を響かせてネウロイはよろめき、間もなく爆発した。美しい塵が、辺りを覆う。
ホバリング体勢に移ったアスプ1は僚機と並び、何が起きたか状況の把握につとめた。
遙か遠くの空に、小さな点が見える。手元の双眼鏡で覗いてみる。
双眼鏡を通してもまだ豆粒みたいに見えたが、それは確かにウィッチだった。
二人居る。
扶桑海軍の制服を着た小柄なウィッチと……もう一人は、ブリタニア空軍のスピットファイアじゃないか!
アスプ1は驚いた。扶桑のウィッチと同じくらい小柄なのに、やけに大柄な対戦車ライフルを担いで、
こっちに向かって大きく手を振っている。
幾ら何でも遠過ぎて見えないだろうとアスプ1は苦笑いすると、おもむろにぐるっと大きく縦旋回して、手を振ってみせた。
見えているか分からないが、……いや、多分見えているだろう。
流石だな、リネット・ビショップ軍曹。アスプ1は誰に聞こえるとでもなく呟いた。
昔、貴官の姉妹達と皆で一緒に遊んだのを覚えているだろうか。覚えていなくて当たり前だが、流石は501所属、
ブリタニア空軍が誇るウィッチ。きっちり仕事をこなしてくれる。
「どうか、されましたか」
「いや、何でもない。501の連中が余りに遅かったから、ちょっとな」
「はあ」
「アスプ2。高射砲の提案、あれは時間稼ぎとしてはなかなか良かったぞ」
「有り難うございます」
「……よし」
残りの機が集まってきた。アスプ1は大きく溜め息をつき、銃を担ぐと管制所に告げた。
「ボイラープレート中隊、これより帰還する」
『了解した。不時着したスキッドロウ1は地上のブリタニア陸軍が収容済みだ。農場に落ちたらしい。
これから贅沢な食事が待っているそうだ』
「デッドバック2は?」
『基地に無事帰還している。一足先にパーティーの準備をするらしいぞ?』
「了解。とびっきりのご馳走を楽しみにしてるよ」
四機は連れ添って、基地へと帰還した。
265nemo 05/05:2008/12/06(土) 00:11:45 ID:Y4crCUMY
飛び去る四機のウィッチを見送りながら……余りに遠かったのですぐに見えなくなったが……
リーネは大きく振っていた手を休めた。
「ブリタニア空軍の皆さん、無事だったのかな」
「みんな帰ってったから、大丈夫だと思うよ」
「でも凄いねリーネちゃん。私には全然ネウロイなんて見えなかったよ」
「大丈夫」
リーネはボーイズを担ぐと、芳佳を抱きしめた。
「芳佳ちゃんの魔力を分けて貰ったお陰だよ」
「私に出来る事、だっけ」
「芳佳ちゃんにしか、出来ない事だよ?」
「なんか、そう言って貰えると、役に立てたかな〜って思えるよ」
「芳佳ちゃんが居なかったら、私……」
『聞こえるか? リーネ、宮藤、状況を報告しろ』
「は、はい!」
ブリタニアの空は茜色に染まりつつあった。二人は頷くと、ホバリングから飛行体勢に移った。
目指すは、我が家。みんなの待つ、あの基地へ。

end

----

「軍事的な考証がなってない」「全然百合じゃない」事は百も千も承知ですが、
自分なりに「雰囲気だけでも伝われば……」と思って書きました。
色々と突っ込み所満載ですが、笑って許して頂けると有り難いです。

ではまた〜。
266名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 00:17:20 ID:py+hOK5Y
>>265
GJ!
相変わらずの早さで
そしてこの文量凄いな・・・

>ではまた〜。
ん?これは期待して良いのか?
267名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 00:29:32 ID:xN3qvdLY
>>194
大笑いした。
ノリが銀魂を彷彿とするなぁ。

>>236
姉馬鹿なエーリカもいいかもしれないなぁと思わせてくれた。GJ!
268名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 00:31:56 ID:xN3qvdLY
すいません>>194じゃなくて>>199でした。
269名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 00:33:05 ID:BxGKsXYi
ttp://www2.ranobe.com/test/src/up30561.png

今日はビューリング少尉の誕生日というのは真か?
何も考えてなかったぜどうしよう。
270名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 00:55:27 ID:22zAiAba
>>265
相変わらずシャーリーもびっくりの速さと質に感服しました。

>>258
>もし二人が結婚したら、式は私が仲介役をしよう。 子供ができたら、名付け親になってもいい。
↑ここを違和感無く読んでしまった俺は、
もう戻れないところまで来てしまったんだな……
271滝川浜田:2008/12/06(土) 01:05:09 ID:GxIO/Zgz
みなさんこんばんは。そしておはようございます。
一日に3本もSSを書くもんじゃないと只今後悔中の自分が通りますよ。

さて、今夜は>>189の続き(っていうかもっさん視点)です。
多分このシリーズの中で一番暗いです。
苦手な人は注意してください。

では、どうぞ。
272滝川浜田 『黒の連鎖』:2008/12/06(土) 01:07:21 ID:GxIO/Zgz

――暗い。

外は晴れ渡っているというのに、執務室はやけに暗く感じる。

ミーナはバルクホルンを想っている。
バルクホルンはシャーリーを想っている。
シャーリーはルッキーニを想っている。

……そして私はミーナを愛している。

今まで陥った事の無い連鎖。


それは辛く、苦しい。

絶対に解けない、黒の連鎖。


――黒の連鎖――


私はあの執務室での出来事のあと、自分の部屋で外を見ていた。

雲一つ無い綺麗な空だ。

コンコン
「坂本少佐、少しよろしいですか?」

ドアがノックされた。
ペリーヌの声がする。

「ペリーヌか。ああ、構わない」

ガチャ

「坂本少佐…お体の調子は如何ですか?」
「リーネから聞いたのか。
ああ、大丈夫だ。まだ少しフラフラするがな」

あのあと私は突然の眩暈に襲われ、倒れてしまった。

「そうですか…良かったですわ…」

ペリーヌは安堵の表情を見せる。

「でも、まだ油断は出来ません。ゆっくりお休みになって下さい、坂本少佐」
「ああ、すまんな。迷惑をかける」
「めっ、迷惑だなんて、そんなっ…!…私は、坂本少佐のお側にいられるならっ…!」
「ハハハ、そんなに緊張するな」
「…///」

273滝川浜田 『黒の連鎖』:2008/12/06(土) 01:09:04 ID:GxIO/Zgz
ペリーヌは赤くなって俯いてしまった。
まったく、反応がいちいち可愛い。

「…良い天気だな」
「ええ、陽射しも強いですわ。
これなら洗濯物もすぐ乾きますわね」
「…ペリーヌ」
「なんですか?坂本少佐」
「…お前は好きな人はいるか?」
「なっ…なんでいきなりそんな事をっ…!///」
「…人を好きになるという事は、辛い事だな」
「…何かおありになったんですか…?」
「……まあな。だが、この恋はもう終わりだ。
これ以上辛くなる事も、苦しくなる事も無い」
「…坂本少佐」
「……すまんな、こんな話を聞かせて…気にしないでくれ」

ペリーヌはしばらく黙って、重く呟いた。

「……わたくし、そんなに辛そうにしている坂本少佐を見るのは嫌です」
「ペリーヌ」
「……わたくしでは、その方の代わりにはなりませんか…?」
「何を言っているんだ、ペリーヌ。お前は…」
「わたくしは、坂本少佐の事をずっと想っていました!
…でも、なかなか言い出せなくて…」
「……ペリーヌ」
「わたくしは、その方の代わりでも構いません!
…貴女に愛していただけるならっ…!!」
「ペリーヌ、気持ちは嬉しい。だが…」

ペリーヌは私に抱き付いて来た。
その身体は少し、震えていて。

274滝川浜田 『黒の連鎖』:2008/12/06(土) 01:10:36 ID:GxIO/Zgz
「そんなに辛そうにしている坂本少佐は嫌です!
それなら、わたくしが坂本少佐の傷を癒やしてあげたいんですっ…!!」
「ペリーヌ…お前は何故そこまで私を…?」
「理由なんてありませんわ…!
…わたくしは坂本少佐だから好きなんです…他の誰でもない、坂本少佐が…!」

ペリーヌの瞳からは、一筋の涙。

…何故、私の為に泣いてくれるんだ…?

…ペリーヌ…お前は…

「ペリーヌ、泣くな」
「坂本、少佐」

私はペリーヌの頬を優しく撫でる。

「……お前の言葉を…信じていいのか…?…ペリーヌ」
「……坂本少佐………はい、わたくしは坂本少佐を………愛してます」
「そうか……なら……」

私は体勢を変えて、ペリーヌを押し倒す。

「坂本少佐…わたくし…」
「ペリーヌ……すまん」
「…いいえ…坂本少佐は…悪くないですわ…」
「…お前をミーナの代わりとは言わない…私は私として、お前を愛する」
「……嬉しいですわ、坂本少佐…」
「………ペリーヌ…」
「……坂本…少佐……」


275滝川浜田 『黒の連鎖』:2008/12/06(土) 01:14:28 ID:GxIO/Zgz
キスをする。

そして私達はそのまま、重なり合う。



――連鎖は止まらない。

雁字搦めに絡められた鎖は、もがけばもがくほど、私達の身体を締め付ける。

私達は、もう既に壊れてしまっているのかも知れない。


だが、その破滅感でさえ、気持ちよくなる時が来るのだろうか。

それが分かる日まで、私達は抜け出す事は出来ないだろう。


……この、黒の連鎖から。


END


以上です。とりあえずはこのシリーズは終わりとなりますが…うーん、暗い、実に暗いですねえ。本当にごめんなさい。
と謝っときながらアレですが、次回投下予定の話もちょっと痛い話です(肉体的に)。
あっ、でもアレですよ、年末用にギャグものも用意してますんで…勘弁してください…

…というわけで爺は寝ます。おやすみなさい…
276名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 01:25:38 ID:Uku3XbYl
>>269
元ネタと思われるジョージ・F・バーリングが12/6生まれだから、おそらく真ですな。
ビューリング大好きすぎるのになかなかネタが出せなくて悲しい。悔しい。
自分の中ではウィルマにやいのやいの言われ、つーんとしながらも、内心結構嬉しいビューリングが絶賛流行中ですが。

つうわけでt26gFAxTです。
前回分にレスをしていただき、ありがとうございました。
ありがとうというか、ごめんなさい、か…
でももっといろんな方のビューリング話が読みたいですねえ。
とまあ、規制やらなんやらですっかり間が空いてしまいましたが、学園ウィッチーズ続きです。
今年までに終わらせようと思っていたが、ムリダナ…
けど、くじけず、頑張ります。
 ゲルトルートは目を覚まし、天井を見つめる。水を飲もうにも、寝返りを打たなかったためか、すっかり体が言う事をきかなくなっていた。しびれた体に感覚が戻るまで、目だけを動かして、部屋を見回す。
 花瓶が消えている。
 ミーナだろうか。
 今朝出会ったばかりだというのに、また来てくれるなんて。
 ゲルトルートの心が躍る。
 
 どんどんという威勢にいいノック音に、ゲルトルートは、表情を引き締めた。少し、強いぐらいに。
 ドアが開き、ひょいと顔を覗かせたシャーリーは、思わず不服を漏らした。
「なんだよ、そんな顔して」
「何を言う。私はいつもこんなだろう」
 そうだけどさ、と漏らしながら、シャーリーは、壁に立てかけてあった折りたたみのスツールをベッドのそばに引き出して、座り、腿の上に置いたヘルメットに両肘を突いて、前かがみになる。
 ゲルトルートは視線だけでその様子を追う。
 そんな彼女の状態を、じっと青い瞳に映し、シャーリーはつぶやいた。
「まだ本調子じゃないの」
「いや、体がしびれているだけだ」
 ぷふ、っと吹き出し、かかかと腹で笑うシャーリーに、ゲルトルートは、むっとしてそっぽを向いた。
「怒らないでよ」
「怒ってない」
「ほら、これでチャラにしてよ」と、シャーリーは、水差しからグラスに水を注ぎ、喉が乾いているであろうゲルトルートに手渡した。ふいに指先が触れて、シャーリーはグラスを手放しかけるが、そうなる前に、ゲルトルートが受け取り、なんとか体を傾けて、一口飲み干した。
 シャーリーは、枕を重ねて、ゲルトルートが背中を預けやすくなるよう、配慮する。
 不可解そうなゲルトルートの目つき。
「なにかあったのか、シャーリー」
 いつもと違う呼ばれ方に、どきりとしながらも、シャーリーは、座る振りをして顔を伏せ、その視線から逃れ、座ったときにはいつもの笑顔を作り上げる。
「嬉しいねえ。あんたも、他人に気を遣うなんて」
「それは……、助けてもらったんだし、仲間なんだ。当たり前だろう。それで、どうかしたのか……?」
 いつもの、無表情でいて、片目は眼帯で塞がれているというのに、視線は常に力強いゲルトルートに、シャーリーまで、感化されたかのように、表情を引き締めた。
 まるでにらめっこだ。
 シャーリーはごく冷静にそう思いながら、次の言葉を探しあてるが、踏み出せず、唇を固く結び、沈黙が苦痛にならない程度の間で、別の候補の言葉をつぶやいた。
「あんたのストライカー、来週には新しいの届くってさ。で、その調整やらなんやらでかったりーなーって」
「そうか。すまないな…」
 申し訳なさそうなゲルトルートの表情に、シャーリーはそんな顔をするなと言いかけるが、ゲルトルートがさきほどとは打って変わって、やわらかい顔つきを見せた。
「そういえば……、ミーナが話してくれたんだが、現場ではあいつを鼓舞してくれたそうだな」
「そんな大げさなもんじゃないよ」
「謙遜だ」
「そんなこと…」
「本当に、感謝している。ありがとう。本来は、ミーナが言うべきなのかもしれないが…」と、ミーナの顔でも思い浮かべているのか、ゲルトルートの口元が緩む。
 こんな表情も、するんだな。
 シャーリーは、少なからず、疎外感を覚えて、まぶたを半分ほど落とし、口を滑らせた。
「あんた、ミーナ先輩が本当に好きなんだね」
「ああ」
 と、シャーリーの漂わす独特な雰囲気に流されるように、ゲルトルートは答え、大げさに、顔を振り向けた。
 ゲルトルートの顔が、ほんのりと赤くなる。
 だが、ゲルトルートの予想に反し、シャーリーは、からかうなり囃し立てるなどはせず、優しいような、寂しいような、掴みあぐねるような顔を向け、微笑を見せている。
 ゲルトルートは、その表情に、どう出ていいか、すっかりわからなくなって、手元のブランケットを握り締めた。
「い、言うなよ。ミーナに」
「さぁてね…」
 精一杯、くだけた口調で言い切って、シャーリーは天井を見上げ、目からあふれ出そうになっているものを引き止めた。
 わずかな静寂の後、廊下から、静かに足音が響き、ドアがゆっくりと開いた。
 花瓶を持ったミーナが、挿した花の陰からそっと顔を覗かせ、シャーリーに気づき、笑顔を向け、二人に背を向ける形で、花瓶を置いた。
「二人で何を話していたのかしら」
 ミーナは、特に探るでもなく、間を持たせるように、穏やかに言うが、ゲルトルートは必要以上に動揺をし、シャーリーを一瞥する。
 シャーリーは、片方の口角をくっと持ち上げるように笑い、立ち上がった。
「内緒だよ、内緒。じゃ、おふたりの邪魔しちゃ悪いから帰るよ」
「そんな、まだ来たばかりでしょう?」と、ミーナが振り返る。
「ちょいと通りかかったから寄っただけさ。じゃあね」
 とげとげしい言葉にならないよう、最大限の努力をし、シャーリーは廊下に滑り出て、後ろ手にドアを閉め、目をつぶり、顎を持ち上げる。しばらくして、息を吐いて、視線を床に落とすと、長いオレンジの髪をひらりと翻して、その場を後にした。

 腰に回されたウルスラの手が緩むと、ビューリングは、すぐさま体を離し、窓へ向かった。
 校庭を見て、走り去っていくエーリカを見つける。窓を開けようとしたが、そのまま手を離し、背後で、レポートの続きを書くウルスラにもう一度、体を向けた。
「さっきの……、お前の言葉は本当か?」
 ウルスラは、手を止めて、顔を上げ、こくりと、無表情にうなづいた。
 ビューリングは、しばらくの間、ウルスラの心の中でも見透かそうとするぐらいの強い眼差しで彼女を眺めた。
 ウルスラは、またレポートを書き始める。
 かりかりと、鉛筆が、紙の上を踊る音が響く。
 ビューリングは、ポケットに手を突っ込んで、取り出したタバコの箱を握りつぶすと、ゴミ箱に放った。
 首を傾げるウルスラの横を通り過ぎて、ビューリングはドアに手をかけた。
「それじゃあ、付き合ってみるか……」
 ウルスラが振り返る前に、ビューリングは、廊下へと出て行った。
 ウルスラは、ため息をついて、準備室へ行き、据え付けられている鏡の前でメガネを外した。
 鏡に映る、エーリカと瓜二つの顔をじっと見つめ、そして、鏡に映る顔に向けて、口を開いた。
「私が好きなのは、あなたじゃない」

 エーリカは、息が続く限り、ひたすら走り続けていた。
 気がつけば、寮を超えていて、次第に息も切れ、速度が落ち始め、あてもなく、道を歩き始める。
 ひどく思考が乱れていることに動揺する。
 誰よりも近いところにいたつもりだったのに、誰よりもウルスラを知っていると、自負していたつもりだったのに。
 いつの間に、誰よりも、何よりも、遠くて、不可解な存在になってしまったのだろう。
 戦争で一時的に離れたから?
 生徒と教官という間柄になったから?
 なにより、なぜ、ここまで、妹の行動にショックを受けているのだろう。
 私は――
 エーリカは、その場に立ち止まり、上着の胸の辺りをぎゅっと握り締める。
 少しして、排気音を轟かせて、近づいてくるバイクの音に気づき、顔を上げると、数メートル前に、見慣れたバイクが停まり、乗り手がヘルメットを脱ぎ、乱れたオレンジ色の髪をなでつけた。
「ハルトマンか?」
 エーリカは、立ち上がり、バイクに近づいた。
「なにやってんのシャーリー、こんなとこで」
「ちょっとな……。病院、行くのか?」
 エーリカは、ミーナとゲルトルートを思い浮かべるが、ため息をついて、髪を左右に揺らした。
 いつもの余裕の笑みが見受けられないエーリカを見て、シャーリーはハンドルにもたれて、顔を覗きこんだ。
「なんて顔してるんだよ」
「自分だって」
 こいつも、悩むことってあるんだな。
 シャーリーは、うっすらと考え、ちらりと、いつもはルッキーニが乗っているサイドカーを見やり、口を開いた。
「ねえ、どっか行こっか?」
 主任教官室で、ハッキネンは、書類に目を通し、机に置くと、流れる手さばきでサインをし、万年筆を置いた。
「それでは、明日からよろしくお願いします。坂本特別教官」
「はい」
 坂本は、歯切れよく、返事をした。ハッキネンは、白く長い指で片頬を支え、坂本を見つめた。坂本はそのしぐさにまばたきをする。
「なにか?」
「いいえ。返事までに間があったのが気になっただけです。あなたなら、即答だと思ったので」
 坂本とハッキネンは、しばし見つめあい、坂本は、小さく、笑った。
「別の――別の位置から、物事を見つめてみるべきか、否か。少し、迷いが生じていまして」
 ハッキネンは、特に表情を崩すでもなく、メガネを持ち上げた。
「意外ですね。あなたでも迷うことがあるなんて」
「私を買いかぶりすぎですよ、主任教官。それでは」
 坂本は、軽く、頭を下げ、踵を返すと、部屋を出て行く。
 廊下の窓際にもたれかかり、外の風景を眺めていた醇子は、部屋から出てきた坂本に、柔和な笑顔を向ける。
 坂本も、ほんの少し、目を細め、ふと微笑んで、その笑顔を受け止めると、彼女に並んで歩き出す。
 
「ひかないの?」
 珍しく早く寮に戻り、ピアノを前にして、ぽんやりと座ったままのサーニャに、エイラが声をかけた。
 スリッパをはいた足をひきずるようにしてサーニャに近づいて、隣に座り、顔を見つめる。
 どことなく、憂いを秘めたサーニャの瞳。
 取り繕うように、小さく引き上げられたサーニャの口角に、疑いを覚えるが、小さく開いた口から言葉が出てきそうになく、ひとさし指で、静かに、鍵盤を押した。
 かよわい音が、部屋に響いて、消える。まるでエイラの心中をあらわすように。
 エイラは、臆し始めている自分を吹っ切るように、たずねてみた。
「いつから――サーニャはいつからピアノ弾いてたんだ?」
 サーニャは、悲しげな瞳はそのままに、エイラを見つめ返した。
「物心ついた時には、お父様の膝の上に座って、鍵盤に触ってた」
「そっか。サーニャのお父さんも、ピアノ弾いてたんだ」
「うん。家族揃ってオストマルクで暮らしてたから」
 初めて聞いたサーニャの過去に、エイラは、つい目を輝かせるが、さきの戦争で、真っ先にオストマルクが戦禍を被った事を思い出し、
また、言葉を見失う。
 黙りこくるエイラを眺め、サーニャは立ち上がると、窓の桟に手をかけて、わずかに曇り始めた空を見上げ、鼻歌を歌う。
 もの悲しく感じるものの、美しいメロディーに聞き入る。
 もしかして、気遣われてしまったのだろうか。
 エイラは、少し勢いをつけて立ち上がり、サーニャの横に並んで、空を見上げた。
 一滴、また一滴と雨粒が窓に当たり、伝い落ちる。
「また雨か」
 まるで、エイラの言葉を合図にしたかのように、サーニャの歌が止んで、エイラは少しだけ身を強張らせる。
「この歌、雨の日にお父様が作ってくれたんだ」
 幼い子供が自慢話をするような無邪気さで、サーニャが、急に声を弾ませたものだから、固くなっていたエイラは、鮮やかに心を奪われて、胸を熱くし、サーニャに同調するように、声を浮き立たせた。
「とても……いい曲だな。タイトルは?」
 サーニャは、考え事をするように、視線を横に向けた。
 エイラは、わずかに腰を曲げ、顔を覗きこんだ。
「もしかして、無題?」
 サーニャは小さくうなづく。エイラは天井を仰いで、眉間にしわを寄せ、腕を組んだ。
「よし」と、エイラは腕を解いて、朗らかな笑顔を見せた。「その曲のタイトルは、"サーニャのうた"だ」
 一瞬の間があって、サーニャがぷっと吹き出し、くすくすと控えめに、笑う。
「わ、笑うなよ。シンプルなのが一番だろ?」
 エイラは、唇を尖らせてそう言いながら、ようやく見れたサーニャの笑顔を前に、ほっと胸をなでおろした。

学園ウィッチーズシリーズ 第17話 終
280名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 02:11:12 ID:mbftkCxm
>
281名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 02:18:05 ID:mbftkCxm
>>220俺も一等好き。なんというか、愛を感じる
戦闘も喫茶店もリーネの残念な頭の具合も多彩に書けてしかも描写の割り振りが良い調合、しつこくない(リーネの性格はしつこい←◎)
ついでに芳佳かわいい

じっちゃんも相変わらず調合がひじょうにいい
ところで最近このスピードを凌駕する怪物があらわれたようだな

>>242
お姉ちゃんのバルクホルンをユーティライネンする話を書いた者だけど、
あまりに長くなり過ぎたのとスレの加速にうろたえて正直ROMに撤退してた
けど目を通しちゃった人には失礼千万かと思ったんで、せめて、〆らしく…
例えば投下や全文掲載しなくてもそのうち何かしら加筆してちゃんと終うことにする
脱稿はしてるから

ともかく教えてくれて、まったく、あなたという人は、その…ありがと
282名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 08:56:05 ID:wYF3i+aH
>>279
学園きたああああ!相変わらずキャラの動かし方が並じゃないぜ…
続き楽しみにしてる

>>281
お、クロウカシス来る?
待ってます!
283名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 10:42:39 ID:iKJXiBRY
>>279
学園続きキタ!そろそろ何か支援しようかと思ってたところで来てくれてすごく嬉しい

リーネイラ書き終わったんだけどかなり長いんだ
そのままtxtうpと分割zipどっちが良いだろうか
284名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 10:44:03 ID:PVmSUvzp
txtがいいでござる
285名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 11:04:26 ID:py+hOK5Y
txtでいいんじゃない?
期待してる
286名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 11:05:50 ID:iKJXiBRY
>>284
了解、ほい
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org24392.txt
具体的には60KB・3万字弱なので、いつぞやの「mix-turegret」より多少短いかな、ぐらい
287名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 11:16:40 ID:PVmSUvzp
サンキュー神様!
カーナビ取り付けたら読んでくる!
288名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 11:23:52 ID:py+hOK5Y
>>286
うあぁぁっぁぁ!GJGJ
長編お疲れ様−!
こうまでうまくまとめるとは流石
大変素晴らしかったです
次は味噌汁でエイラーニャを期待してます
289名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 11:34:23 ID:PVmSUvzp
部品が足りないから今日は諦めた。シャーリー助けて!

>>286
よくこんな長い話をまとめたなー…凄まじい手腕だ、乙です
リーネは色々肝が据わってるなwかわいいのうかわいいのう
また気が向いたらでいいからもっさん絡みも書いてくれると嬉しい
290名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 11:37:44 ID:k+95ZURD
>>286
ちょっと待った。落ちつくんだ私。
とりあえず血糖値を測れ。大丈夫、分かってる。メーター振り切った。

……いや、もうほんとドキドキしました
リーネちゃんは命かけてるし、エイラさんは一生分のなにかを使い果たしてるし!
なによりこんなとろけるような文章は私にはどうあっても書けそうにないので
読み終わって半分放心してますw ありがとう、ほんとあなたは素敵な人だ!
291名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 11:39:56 ID:e5s18xTu
>>281
クロウカシスは文学!
百合スレは人生かな...?
うわぁ・・・マジで続編待ってた。長さなど気にせず書いてくれ。
292名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 11:49:38 ID:iKJXiBRY
申し訳ない、ちょっとのっぴきならないミスを見つけたので修正
>>286は消しといた
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org24415.txt
293名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 12:14:16 ID:BErtagyp
>>292
その修正場所演出だと思ってたw
おもしろかったよ!gj!!!
リーネイラもいいものだな……
294名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 12:21:51 ID:l8xmLmmy
>>292
もう。ただのGJではとても足りません。
リーネはほんとしっかりしたいい子だー!! でれでれエイラたまらないー!! リーネイラいいな!!
サーニャとのしっとりした会話もよかった!
これからまた読み返します。本当に良い話でした。
295名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 12:30:59 ID:py+hOK5Y
どこミッスってたの?
296名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 12:58:52 ID:EDfngGDg
>>275GJ!!!!
雰囲気は暗めだけど坂本少佐×ペリーヌは大好物です!

芳佳×少佐だれか書いてくれないだろうか
297名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 13:36:24 ID:E+IWEYvT
>>292
この気持ちはなんと表現すればいいんだろうね。「もきゅもきゅ」とでも表現すればいいんだろうか
色んなことを考えさせられたよ。本当に乙
298名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 13:50:53 ID:22zAiAba
>>292
文章といいなんといい、すばらしい!!すばらしすぎる!!
だが……この喪失感は何だ?
エイラは立ち直れたけど、感情移入し過ぎて俺はまだ立ち直れないぜorz

とりあえず、あなたの過去作品でも見て、エイラーニャ分を補給してくる!!
あと、味噌汁はエイラーニャを期待していいんですよね?楽しみにしてます。
299名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 14:52:55 ID:EdLNlAvj
>>296
芳佳×少佐もいいよなぁー。なんか他の隊員とは違った信頼関係にありそうな感じが
300名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 14:57:43 ID:LXAZ/IKT
エーリカやシャーリーは普通に男作って結婚しそうなんだが
301名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 14:59:11 ID:JqrEb2KL
ロリコンシャーリーが男を作る?

ありえなーい
302名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 15:03:48 ID:Lray8VHq
シャーリーのロリコン設定はこじつけがましいから好きじゃないな
303名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 15:05:53 ID:NLxg0idQ
というか無理にこじつけるのが好きじゃない
304名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 15:28:02 ID:9yDng2uh
男相手が一番こじつけだな
305名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 15:31:03 ID:/70krLHp
シャッキーニが離れることは有り得ない、よって男が入る余地無し、これが真理
306名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 15:34:58 ID:QNBA7K7J
とりあえず百合スレで男の話はイランw
307名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 15:35:40 ID:/70krLHp
スレ違いどころか思いっきり板違いだな、というわけでこの話終了
308名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 15:51:17 ID:/h8H4FCf
>>296>>299
自由もっさん×芳佳軍の俺が呼ばれた気がしたァー!
9話で芳佳に「坂本さんのおかげでここまで」みたいな話をした瞬間のもっさんはかなりキュンキュンきてるに違いないと主張したい!
その後の段々凹んでいく芳佳も最上級に可愛い。あとぶかぶか軍服な!
309名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 16:11:35 ID:py+hOK5Y
7話の芳佳のぶかぶか軍服はかなり好きだ
310名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 16:34:24 ID:EdLNlAvj
「坂本さんは死ぬ気です!」ってもっさんの真意を理解してる宮藤が良かった。
そいで宮藤に託すもっさんもまた良かったよなー。
311名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 16:35:04 ID:BxGKsXYi
>>292にマキシマムGJを贈りたい。
312名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 16:36:34 ID:SszVAfJF
全然関係ないが…
あのサウナ…エイラが自宅から連れて来たサウナの妖精がいるのかw

あ、バルクホルンってケーキ焼けるんだなw
ケーキ焼いてるバルクホルンかわいいwww
313名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 16:41:51 ID:/h8H4FCf
>>312
あれエイラちょっとクリスと一緒に入院した方が良いんじゃないかと思ったんだが調べてみたらちゃんとフィンランドに伝わる由緒正しい妖精のネタだったんだな
トントだかなんだかいう
あとお姉ちゃんはクリスがケーキ食べたいって言ったらウェディングケーキ作っちゃったとかそんなイメージがあるw
314名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 17:30:48 ID:wYF3i+aH
>>310
あれは泣いた…
315名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 17:30:50 ID:cSVG9j2J
サウナ?妖精?だれか詳しく
316名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 17:32:08 ID:gfRbDpEc
つまりエイラは可愛いって事だよ
317名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 17:52:17 ID:Y4crCUMY
こんばんは。mxTTnzhmでございます。
秘め声CDを聞いて思いついたネタをひとつ。
wikiの情報も併せて解釈したのですが、皆さんの想像と違ってたらごめんなさい。

一応、前スレ>>463-469「ring」の後日談的なもの、その7になります。
過去作>>174-175「awakening march」の続きでもあります。ややこしいですね。
オールキャラ? と言う事で、タイトルは「on and on」です。どうぞ。
318on and on 01/04:2008/12/06(土) 17:53:36 ID:Y4crCUMY
美緒は台所で、目の前にした大量のご飯……炊いた米を前に、仁王立ちしていた。
扶桑から持ち込んだ割烹着を身に纏い、手は良く洗って湿らせ、準備も万端。
これからちょっとした軽食にと、おにぎりを作る筈なのだが……。
手が出ない。
己の不器用さは身をもって知っていた。おにぎりと言う簡単な料理の筈なのに、どうしても三角が作れない。
まる〜いかたちになってしまう。そもそもあれは「まるい」「かたち」といえるのかどうか。
良く出来てせいぜい球体状の何か。あるいは単純な「米の塊」。
「う〜む」
扶桑の女ともあろう者がおにぎりくらい作れんでどうする、と落胆する。
空戦や剣術みたいにはいかぬものだな、とため息をつく。
「坂本さん、どうしたんですか?」
同じく割烹着姿の芳佳が美緒の横に来た。
「いや。ここはひとつ、頑張らないとな」
「坂本さん、無理しなくていいですよ。おにぎりくらいなら、私がちゃちゃっと作りますから」
芳佳のなにげない言葉が、ぐさりと胸に突き刺さる。
おにぎり“くらい”……そりゃまあ確かに米に具を混ぜ握って形を整えて海苔で巻く程度だから、簡単なのだろうが。
しかしな、宮藤、と内心ひとりごちた。私はその簡単なハードルがどうしても超えられんのだ。
「いや、私もやるぞ。扶桑の女たるもの、これくらいは出来んとな。こう見えても、私はおにぎりは得意な方なんだ」
虚勢を張る。汗が一筋頬を伝う。
「分かりました。私も少し、お手伝いします」
「うむ、頼むぞ宮藤」
こうして、扶桑ウィッチーズによる、軽食の作成が始まろうとしていた。

「あれ芳佳ちゃん、今日は食事当番?」
リーネだ。紅茶か水でも飲みに来たのか、いや、芳佳を探して来たのだろうか。
芳佳をみつけると、とたとたと近付いてきた。
「あ、リーネちゃん。今おにぎり作ってるんだよ」
「おにぎり?」
「ごはんに具を詰めて、丸く握ってね……、こうして海苔を巻いて出来上がり。軽い食事にもなるし、
ブリタニアのサンドイッチみたいに作り置きできて持ち運べるから扶桑では昔からよく作って食べてるんだよ」
説明しながら、いとも簡単におにぎりをひとつ、ふたつと作って皿に置いていく芳佳。
「へえ、すごいね芳佳ちゃん」
感心するリーネ。そして辺りを見回して言った。
「でも、ずいぶんお米炊いたんだね」
「うん。隊のみんなにって、坂本さんが」
「少佐が?」
「ああ。午後の軽食にでもと思ったんだがな。何せ、おにぎりは私の得意料理だからな。宮藤程、器用ではないが」
苦笑いする美緒。
「なら、私もお手伝いします」
リーネは台所に掛けていた自分用のエプロンをささっと身に着けると、芳佳の横に並んだ。
「リーネちゃん、まず手を洗ってね。あと手を濡らさないとご飯くっついちゃうから」
「うん、分かった」
一通り芳佳から作り方のレクチャーを受けるリーネ。美緒もおにぎりを握るフリをしながら必死に聞き入っていた。
説明を聞いてると極めて簡単な筈なのに、どうしてもうまく形にならない。何故だ?
リーネは手を濡らすと、手に塩を軽くまぶし、ご飯を適量手に取り、手前にあった具……扶桑から持ち込んだ
おかかの醤油和え……を入れて、ぎゅっぎゅっと握り始めた。
「ああ、もうちょっと力抜いて。力入れ過ぎるとお米潰れちゃう」
「ごめんね。初めて作るから慣れてなくて」
「いいのいいの、はじめはみんなそうだから」
「ありがとう」
と言いつつも、あっという間におにぎりを完成させてしまうリーネ。海苔を巻いて、皿に置く。
いささか不恰好だが、俵形にほぼ近い、綺麗な丸を作っていた。
横にひとつ置かれていた正体不明の存在……美緒が“握った”おにぎりとは、天と地の差だった。
「パンをこねて形を作るのに、少し似てるね」
リーネは感想を述べ、にこりと笑った。
319on and on 02/04:2008/12/06(土) 17:54:32 ID:Y4crCUMY
「リーネちゃん器用だね。扶桑に来たらいいお嫁さんになれるよ?」
「やだ、芳佳ちゃんたら」
リーネのおにぎりを見、ふたりの会話を聞きながら、へなへなと崩れ落ちる美緒。
……初めて作ったブリタニア人に負けた? 扶桑撫子としてのプライドが打ち砕かれた瞬間だった。
「坂本さん、どうしたんですか!? 具合でも悪いんですか?」
しゃがみこんだ美緒を心配する芳佳。
「いや、気のせいだ。そう、気のせい」
立ち上がると、美緒は気合を入れなおし、深呼吸した。

「そこで何やってるんだ? まだ食事の時間じゃないだろう」
次に現れたのはトゥルーデ。訓練を終え軽くシャワーを浴びた後、たまたま食堂の前を通りがかったのだ。
台所で芳佳達が和気藹々……一部で微妙なオーラを漂わせながら……、楽しそうに何かしている姿が気になり、
思わず声を掛ける。
「おお、バルクホルンか」
美緒が振り向いた。心なしかいつもの元気がない。
「少佐もご一緒とは。何をしておられるので?」
「訓練だ」
「く、訓練? はあ……」
トゥルーデは美緒の姿を見た。扶桑の調理用衣服を着て……大量の炊いた米が大量に付着している。
「少佐、両手が凄い事に! その米は一体?」
「え? ああ、いや……くっついてしまってな」
「宮藤、お前がついていながら少佐になんて事を! 早く少佐の手を……」
「い、良いんだバルクホルン」
「?」
「これは『おにぎり』と言ってな。扶桑の米料理のひとつなんだが、それを作ろうとな」
「な、なるほど……」
美緒の両手にべっとりとへばりつく米からは、とても“料理”と言う言葉は想像出来なかった。
「おにぎりは便利なんですよ。持ち運びも簡単だし、作り置きも出来て、何処でも食べられるんです。
かたちもほら、三角、俵、まる、色々できるんです。具も変えれば味も変わるし、保存も利くんですよ」
綺麗なかたちに握られたおにぎりをみせて微笑む芳佳。
「ほう。携帯保存食と言う訳か」
三人が作ったと思しく幾つかのおにぎり……一部、何かの塊……を見てトゥルーデは感心した。
「まさにライスボールと言ったところだな」
トゥルーデは興味津々とばかりに、芳佳達の中に入った。
今エーリカは哨戒任務中だ。帰って来たら少し腹も減っている事だろう。
ここはひとつ、私が扶桑の携帯保存食とやらを作って食べさせてやろう。
そんな事を思いながら、腕をまくった。
「よし、私も挑戦するぞ宮藤。早速だが、作り方を教えてくれ」
「はい、喜んで」
「バルクホルンさん。エプロンです、どうぞ」
「すまんなリーネ。気が利くな」
「いえ」
美緒は内心どぎまぎしていた。
(バルクホルンも交えて皆で楽しく作る事に関しては問題無い。異国の隊員同士の交流を深める為にも、
それは良い事だ。ミーナもきっと喜ぶだろう)
しかし。
(これでバルクホルンにうまく作られてしまったら……私の立つ瀬がないじゃないか)
「あ、バルクホルンさん。すいません、指輪は外してください」
「ん? ああ」
「お米が付いちゃいますから。あとでべたべたになりますよ」
「それはいかんな。しまおう」
胸のポケットにそっと指輪をしまう。エプロン姿のトゥルーデは、芳佳の言われた通り綺麗に手を洗い、
指の隅々まで水で湿らせると手に少し塩を振り、早速とばかりにほかほかのご飯を掴んだ。
美緒が横でガン見している事には気付かず、トゥルーデは、よっ、ほっ、おおっと、と小さく声を上げながら、
熱々のご飯から、何とかかたちを作ろうと奮闘する。
320on and on 03/04:2008/12/06(土) 17:55:32 ID:Y4crCUMY
「意外と難しいな」
「最初は仕方ないですよ」
芳佳が笑う。
「ある程度かたちがまとまったら、海苔を巻いて……できましたね」
美緒は自分の才覚の無さに愕然とした。トゥルーデのそれも不恰好だが、一応まるに握れている。
それなのに私ときたら……。
「粘土遊びに少し似ているな。食べ物で遊ぶのは良くないが……ふむ、実に面白い」
トゥルーデも、自分でにぎったおにぎりを見て、それなりに気に入った様だ。
「しかし、みんな形がそれぞれなんだな。これは……」
美緒の握ったと思しき“何か”を見ていぶかる。
「これは……何かの魚か?」
「そ、そうだバルクホルン。かたちを自由に出来るからな、色々と、その、かたちを研究しているんだ」
「なるほど。さすが少佐」
美緒の空笑いが虚しく台所にこだまする。いかん、泣きそう。美緒は笑いながら軽く絶望しかかっていた。
横ではせっせと芳佳がおにぎりを握っていた。ペースも速ければ形も綺麗に整っている。
三角、俵、球と、三種類を器用に握り分ける。
「さすが宮藤、扶桑料理は見事だな」
「いや〜、私の唯一の得意分野ですから」
「芳佳ちゃんこそ、いいお嫁さんになれるよ?」
「そうかな、えへへ」
三人が談笑する横で、美緒はひとり離れて、孤軍奮闘していた。
何としてでも、それらしいかたちで良いから…おにぎりを作りたい。力が入る。どんどん体積が少なくなっていく。
「坂本さん、力入れすぎです」
「何っ!?」
確かに球形にはなったが、かちこちに固まってしまった。食べる時に難儀しそうだ。
「少佐……」
「いや、どこまで小さく出来るか実験をだな」
「な、なるほど」
「さて、続きだ、次行くぞ」
自分に言い聞かせる様に、気合を入れる。
「少佐がそんなに研究熱心とは」
「これも扶桑の撫子のたしなみというものだ。な、なあ宮藤?」
「は、はい」
美緒の惨状と妙な圧力を受け、芳佳は頷くしかなかった。芳佳は話題を変えるべく、手元の具材を指して言った。
「つ、次は混ぜご飯で作りましょう。かつおぶしと、鮭と、ごま塩のふりかけを用意しました。
これでおにぎり作ると、また色合いも変わって、味も変わるんですよ」
「ケーキに似てるね、芳佳ちゃん」
「そうだね。こっちは塩味だけど」
「なるほど、シンプルだが奥が深いんだな」
感想を述べるリーネとトゥルーデ。
「今度は手に塩振らなくて良いです。もう味がついてますから。手を水で湿らせて、握って下さい。弱めに握ると、
食べたときふんわりしておいしいですよ。保存用に作るなら少し固めに握った方がいいんですけど、すぐ食べるから……」
「確かにな。どれ」
トゥルーデは粘土をこねる様な要領で、適当だがまるいおにぎりを握り始めた。
リーネは芳佳に習い、いささか不揃いながらも三角のおにぎりを綺麗に作っていく。
芳佳は“おにぎりマイスター”とでも言うべく、ほいほいといとも簡単に、かたちも自在に握っていく。
さて、美緒はどうか。手の中で踊る無数の米粒とひたすら格闘していた。まるを作る。まるがだめなら三角、
三角が崩れたのでもう一度まる、まるも駄目なら球だと、こねくりまわしているうちに……、
自分でも良く分からないものが出来た。
「少佐、それは……棒、ですか?」
リーネが首をかしげる。
「そ、そうだ。棒だ。こんな形もいいかと思って」
「坂本さん、器用ですね。おにぎりで棒作るなんて」
「いやあ……」
「でも、それ食べたら、きっとぼろぼろに崩れちゃいますよ……」
芳佳の遠慮がちな指摘でとどめを刺されたのか、美緒はへなへなと腰を落とし、がっくりと頭を垂れた。
「しょ、少佐!」
「大丈夫ですか、坂本さん」
「なんだか熱が有るぞ。医務室だ! ストレッチャーをもってこい!」
美緒の突然の変調に、基地中が大騒ぎになった。
321on and on 04/04:2008/12/06(土) 17:57:02 ID:Y4crCUMY
「美緒、無理し過ぎなんだから」
ベッドに寝かしつけられた美緒の傍らで、ミーナが心配そうに呟いた。
「いや、まあ、その……」
普段は明瞭快活な美緒らしくもなく、妙に言葉に覇気がなく、歯切れも悪い。
ミーナは美緒の額に手をやると、呟いた。
「熱も下がったみたいね。安心したわ。トゥルーデとリーネさん、宮藤さんがストレッチャーで美緒を医務室に運んだ、
と聞いた時は心臓が止まるかと思ったわ。戦闘でもないのにどうしたのかと……」
「すまない、心配かけて」
「具合が悪いのに、どうして食事を作るなんて言い出したの?」
「元々具合が悪いって訳じゃなかったんだ」
苦笑いする美緒。
「そうそう、これ。宮藤さん達から差し入れだって」
「ま、まさか」
ミーナは幾つか皿に置かれたおにぎりの中から、固く小さなお米の玉をつまんだ。
「これ、美緒が作ったおにぎりでしょ?」
何とも恥ずかしくなり、ミーナに背を向け、毛布をかぶった。
「頑張り過ぎよ。でも、美緒らしい味だわ。おいしい」
「そ、そうか?」
そおっと振り返った美緒に、ミーナは微笑んだ。

一方、ロビーでは哨戒任務を終えた隊員も含めて、おにぎりの試食会が始まっていた。
エーリカは、自分の目の前に置かれた皿を見て驚いた。皿の上には幾つかのおにぎりが整然と並んでいる。
「へえ。これ、トゥルーデがねえ」
「ああ。お前の為に作った。扶桑の携帯保存食だそうだ」
「結構カラフルだね」
「色々異なる味が有るらしい」
既に指輪をはめ直したトゥルーデは、エーリカに自分が作ったおにぎりを勧めた。
「なるほどね。じゃあこれいっただきー」
白飯のおにぎりを手に取り、一口頬張る。
「哨戒で少し腹が減ったかと思ってな。……どうだ?」
「……ちょっぴり塩辛いね」
「そうか」
「でもまあ、トゥルーデが作ったんだなあ、って感じるよ。美味しいよ」
おにぎりを持つエーリカの指にも指輪が輝く。おにぎりを一口二口頬張り、エーリカは微笑んだ。
「作った甲斐があった」
トゥルーデもほっとした笑みを浮かべる。
「トゥルーデも一緒に食べようよ。せっかくだし」
その横では、沢山並ぶおにぎりを隊員達がぱくついていた。
「あ、ルッキーニ、その大きいのあたしのだろ!」
「ニヒヒ」
「何ですの、この野暮ったい形……まるで奇っ怪、悪趣味ですわね」
「それ、坂本さんが握ったののひとつで……」
「少佐が自らお作りに!? このわたくしが、ありがたく!」
強引に引っつかんで口にするも、ぼろっと脆くも崩れ落ちた。
「ああ、やっぱり」
無言で机に散らばった米粒をちまちまと拾うペリーヌ。
「エイラさん、そのおにぎり何処へ?」
「これ、携帯出来るんだロ? 夜間哨戒の準備してるサーニャに、少し食べさせてやろうと思っテ」
「たくさん持ってって下さいね。エイラさんも一緒に食べるんでしょ?」
「そ、そんなんじゃネーヨ……」
リーネは芳佳の横に座り、微笑んだ。
「芳佳ちゃん、みんな喜んでくれてるみたいだね」
「うん。良かった。……でも、坂本さん大丈夫かな」
「大丈夫だよ、きっと」
「今度は、もっとしっかり教えてあげなくちゃ」
「頑張って、芳佳ちゃん。……私にも今度教えてね?、もっと」
リーネは芳佳の裾をきゅっと握って、耳元で囁いた。
何故だか分からないが、芳佳の顔が少し紅くなった。

end
322名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 17:57:56 ID:Y4crCUMY
以上です。私なりに「おにぎり」ネタを解釈して書いてみました。
今回はオチ役になってしまいましたが、
少佐はもっと(……いや、もうちょっとは)器用なんだと信じたい今日この頃。

ではまた〜。
323名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 18:07:59 ID:iKJXiBRY
>>322
グッジョブグッジョブ!相変わらずのシャーリー振りがすごいです
少佐が可愛いなあ、可愛いなあ。あのおにぎりネタは何度使われても美味しくいただける
こういう部隊みんなでわいわいやってるのってすごく好きだ。もう一度言わせてくれ、GJ!

投下直後もどうかと思うので18:30ごろに4レスほどの話を投下します

あと、クロウカシスの続きwktk!正座して待ってる!まってる!
>>295 説明がしにくいけれども明らかなミスでした。他にも誤字見つけちゃったけどもう知らない
>>289 なぜもっさんしていなのかわからないけれど吹いたので2ヶ月ほど放置してるやつを掘り起こしてくる
3241/4:2008/12/06(土) 18:33:53 ID:iKJXiBRY
どうも再び失礼します。
>>236-239のウルスラ視点と言うか、いらん子時点での話なので過去なのですがとにかく投下。
―――

「ウルスラ曹長、お手紙ですよ。」

明かりがさえぎられ、目元が暗くなった。目の前に誰かが立ったのだ。それは同じ部隊のエルマ・レイヴォネン
中尉のものだった。
ただ話し掛けられただけなら私は彼女なんて放っておいて、いつもどおりの無反応に徹したろう。そうしたら彼女は
「…そうですよね…私なんて…」なんてぶつぶつと落ち込んだあと、「…いけないいけない、前向き前向き!」
なんて叫んで勝手に自己完結して、いつのまにかその用事なんて忘れてしまっているのだろうから。『出撃』
以外の彼女の用事なんて大したことであったためしがないから我関せずに徹するのが一番手っ取り早い。

けれど、『おてがみ』。その単語を聞いた瞬間、私は顔を上げざるを得なかった。ぱたり、と本を閉じて彼女を
見上げる。にこ、と微笑を浮かべる、私のいつものロッテの相手。「エルマ中尉は本当にいい人ねー」とリベリオン
出身の同僚が呆れ混じりに述べるとおり、彼女のお人好しぶりは相当のものだ。

「毎週必ず、送られてきますね。…恋人さんですか?」

興味津々といった様子で尋ねてくるけれど、今度こそ無反応を返した。
ああ、そう言えば一番最初の顔合わせのとき、恋人の有無がどうとか聞いていた気がする。…気になるのか。
気になるのだろう。半ば左遷も同然にスオムスくんだりまで飛ばされてきた私たちに、届く手紙なんてほとんど
無い。それに加えて普段から人付き合いの悪いどころか、無い私だ。そんな私にそこまで懸想する相手が
何者であるのか、気になる気持ちは分からなくも無い。分かりたいとは思わないけれど。

「…」

何も言わずに手を伸ばす。彼女の手にある、白い封筒。
…カールスラントの消印、『親愛なるウルスラ・ハルトマン様』の文字。
少し右上がりの文字の癖は、私のそれとよく似ている。

私がもとより返答する気など無いのを眼前の気弱な上官は理解したらしい。小さくため息をつくと「はい、」と
手を離して渡した。手を引いて裏を見やる。墨に小さく相手方の署名がある。名前だけ、姓は無い。…必要ない
と思ったのだろう。だってどうせ同じなんだから、面倒だよ。多分彼女はそう言って朗らかに笑うのだ。

返事をしなければいけない手紙がまた、一通増えたことに私はひとつため息をついた。





それは私の部屋の木箱をひとつ、すっかりと占領してしまっているのだった。何度も何度も読み返すから、
どれもよれよれになってしまっている。月ごとにまとめて、恐ろしいくらいに整理してあるそれを見やるたびに
自分は一体何をしているのだろう、と思う。恐らく手紙の送り主が見たら、「几帳面だなあ」なんて呆れたように
笑うのだと思った。そう言うあちらは恐ろしい散らかし魔で、私が何度整理整頓してもすぐにめちゃくちゃに
しては嵐のように去っていくような人間で。

(手紙、送るからね)

3252/4:2008/12/06(土) 18:35:18 ID:iKJXiBRY

別れ際に彼女が言った、その一言が本気だったなんて私は思いもしなかった。だって彼女と来たらいつだって
ひょうひょうと笑っていて、何を考えているのか全然わからないのだ。…いいや、実際のところ何も考えていない
のかもしれないけれど。その言葉だってたぶんそのときに思いついて、名案だと思ったから口にしたに違いない
のだった。なによりも驚くべきことはずぼらな彼女がそれを毎週欠かさず書き綴って、そして送ってくることだ。
封筒の裏の彼女の名前、その下に書かれる日付はいつもきっかり一つ前の手紙の一週間後。毎週水曜日は、
どうやら彼女にとって私に手紙を送る日らしい。

なぜそんなに書くことがあるのかと思うくらい、彼女の手紙はいつも長い。けれどはじまりの一文は、いつも同じ
であることを私は知っている。


"こんにちは、おげんきですか。私はあいかわらずです。"


相変わらず。たったその一言になぜかほっとしてしまうのはどうしてだろう。私の知っている彼女のままなのだと、
心に温かい何かが流れ込む。
…対ネウロイの激戦区、カールスラント戦線に送られた双子の姉の活躍は、ここ遠いスオムスまでも次々と
舞い込んで来る。『黒い悪魔』と名づけられ、次々にあの異形の怪物たちを撃墜していく優秀なカールスラント
軍人、エーリカ・ハルトマンの名声は恐らく世界中にも知れ渡っていることだろう。

黒い悪魔、なんて。誰がそんな風に呼び始めたのだろう。いつだって朗らかに笑んでいて人の円の中心にいて、
誰からも愛されていたあの姉に、そんな恐ろしい通り名をつけたのは一体誰なのだろう。…それは本当に自分の
姉なのだろうか、と思う。双子で見分けがつけられないからと、私と姉は飛行学校でもそのあとに配属された
部隊でも、別々だった。だから私は姉の戦いぶりをよく知らない。あのずぼらでやる気なしで、ズボンをはいて
いなくても平気で家を走り回っていた姉。私はその姿を見てため息をついて、仕方ないなとばかりに本を閉じて
彼女の後始末をするのが常だった。悪いねえ、ウーシュ。戻ってくるとエーリカはそう笑った。大好きだよ、
ウーシュ。そしてそう続けた。どうしてそこからその言葉に繋がるのか私には全く分からなかったけれど、
彼女が深いことを考えているわけが無かったのでただ黙って頷いていた。

もちろんその恐ろしい通り名を持ったカールスラント軍人が私の姉に違いないことは、実は私が一番よく知っている
ことなのだった。…だって、姉から届く手紙にはいつも、自分が一体どんなネウロイをどれだけ倒したかということが
事細かに書かれていたからだ。公式記録と全く比例しているから、きっと彼女はそれらを何ひとつ書き漏らしては
いない。そもそも彼女は私に嘘なんかつかない。ねえウーシュ、すごいでしょ?はしゃぐように付け足される言葉で、
私は自分の姉が悪魔であることを知る。姉の飛ぶところなんてほとんど見たことが無いくせに、たぶん誰よりも一番、
彼女の活躍を知っている。


ねえ、エーリカ。あなたは本当に「あいかわらず」なんですか。


手紙が届くたびに、私はそう彼女に尋ねたい衝動に駆られるのだった。…けれど尋ねたことは無い。そんなこと
聞いてあちらから「実は、」なんて返って来たら、立ち直れる自信が無いのだ。だからいつも安心する。『相変わ
らず』だと一番最初に書かれていることに、胸を撫で下ろしている。もちろん、あちらがそんな深いことを考えて
そんなことを書いているわけが無いのだけれど。

手紙を書いているのか、と。不意に尋ねられてぎくりとした。
ちらりを横目で見やると、無人のはずだったミーティングルームには長髪長身の同僚がいた。こちらを見ている
わけではなく、どうでもいい、と言った様相で使い魔のダックスフントと戯れている。…そう言えば、姉の使い魔も
ダックスフントであったな、と彼女の相棒を見ながらいつも思っていることを、伝えたことなど無いから相手が
知っているわけが無い。人懐っこいくせにどこか不恰好なその使い魔はなるほど姉そのものだと思っていたもの
だけど、この同僚を見るに使い魔とウィッチは必ずしも似るわけではないらしい。

3263/4:2008/12/06(土) 18:35:55 ID:iKJXiBRY

べつに、と言う気持ちを込めて、私は無言に徹することにした。ああ、これではまた、集中できない。
「ずいぶんと長いこと、かけているみたいだが」
「…」
普段と変わらない、面倒くさそうなその口調なのに少し楽しそうな、からかうような口調に感じるのはどうして
だろうか。聞く私に疚しい気持ちがあるからだろうか。そんなことない、と、ようやく音にして私は答える。どう
しても否定したかったからだ。

「どのくらい返事を書いていないんだ?」
こちらを一切見ていないくせに、彼女と来たらそうやって痛いところばかりを付いてくる。どちらかというと寡黙な
ほうで、やいのやいのとうるさい他の隊員を面倒そうに遠くから眺めている節のある彼女なのにこういうところ
ではひどく鋭い。

「…はんとし。」

仕方なしに答えると、ふ、と笑われた気がした。…からわかれている、確実に。小さく小さく口を尖らせる。
…週に一度、必ず届く手紙。半年経っても出せない返事。それが相手に失礼なことであると、私が一番理解
している。わざわざ指摘されなくても、一番身に染みている。


"こんにちは。わたしはとてもげんきです。"


便箋に書かれているのは今のところ、たったそれだけ、一行だけ。だって何を書けば良いのかわからないのだ。
どうしよう、どうしよう、と悩んで、後でいいかと読書や研究に逃げているうちにそれを責めるように次の手紙が
届く。そして私はまた悩んで、逃げて。その繰り返し。

「あて先は…姉か?」
「そう」
「書くのがいやなのか?」
「違う」

姉が嫌いか、優秀な姉と比べられるのは嫌か。そんな無駄な気を遣われているのを感じて、私は強く否定の意を
返した。私だって、姉に尋ねたいことがたくさんあるのだ。言いたいことだって、多分きっと、たくさんある。ただ
それがうまく、言葉にならないから戸惑っているだけで。

他人が思っている私の姉と、私が思っているエーリカ・ハルトマン。
その差異にいつも悲しくなる。…ネウロイの撃墜数だとか、軍人としての評価がどうなのか、なんて聞きたくない
のだ。そんなことを聞いても悲しくなるだけだ。姉はそんな人ではないと、否定したくて出来なくて、いつも唇を
かみ締める。私の姉は生粋の軍人ではない。私の姉は悪魔ではない。私の姉は、一人のずぼらだけれど
優しい、ただの女の子なのであると言いたいのだ。離れた妹を心配して、毎週毎週手紙をつづって送ってくる
ような、返事を返さなくてもかけらも怒らず何食わぬ顔で、次の手紙を送ってくるような、そんなおかしな人なのだと。

…悔しいのは姉と比べられることなんかじゃない。そんなことはどうでもいい。だって最初から似ているのは見た目
だけで、性格も好きなことも何もかも違っていた。
本当に嫌なのは姉が戦争兵器呼ばわりされることだと、私は言わないから誰も知らない。きっとエーリカだってそう
気付いていないのに違いない。でも本当はいつだって思っている。かわいそう。エーリカは、かわいそう。

3274/4:2008/12/06(土) 18:39:19 ID:iKJXiBRY

「何を書けばいいのか分からない」
「思ったことを書けばいいだろう」

それが出来たら苦労しないと、主張したいけれども面倒だからやめておく。こちらを見やる彩度の低い蒼の瞳の
奥に、楽しげな輝きを見て取ったからだ。
…この部隊に配属されてもう、4ヶ月ほどになる。つまりこちらに来てから私は一度も、姉に返事を送っていない。
あれから私の周りはずいぶんと変わった。…もしかしたら私もずいぶんと変わったのかもしれない。自覚は
無いけれど、エーリカが見たらそう言うのかもしれなかった。

…最近、エーリカからの手紙によく出てくる名前があった。真面目でお堅い、カールスラント軍人そのものだと
自分のことは棚に上げて彼女のことを評していた。恐らく今は彼女が姉の面倒を見ているのだろう。楽しげに
書き綴られる日常風景には私もかすかに胃が痛むのだから、迷惑を被っているその「トゥルーデ」とかいう
相手はそろそろ胃に穴が空いているのではないだろうか。やりすぎちゃだめだよ、何事もほどほどにね。読む
たびにそんな感想を抱いているのだけれど残念ながら伝えたことはまだ、ない。

ちらり、と紙面から目を離してもう一度、今はタバコを吸いながら宙を眺めている同僚を見やる。苦いブラック
コーヒーに、部屋を煙らせる臭いタバコ。理解出来ない領域ばかりの、不思議なブリタニアの不良児。この
部隊ときたら自分も含めて、そんな一癖も二癖もある隊員ばかりだ。…彼女たちのことをつづってみたら、
案外話題には困らないかもしれない。…私の話をエーリカは、喜んで読んでくれるだろうか。私の手紙は
彼女を楽しませることが出来るだろうか。それができる自信が無くて、今まで返事を出せずにいた。

「"姉として生まれたからには、妹や弟が大事なのなんて当然"」
不意に似合わないことを言うものだから、思わず見やってしまう。どこか遠い目で、けれどもなんとなく懐かし
そうな顔で、彼女は続けた。
「…昔、同僚が言っていた。下に7人妹と弟がいるんだそうだ。
 まあ、私にはわからないし、双子でそれが通用するのかなど興味もないが」

お前の姉はどうなんだろうな。試すような目線がこちらを射抜く。返答はしない。代わりに紙とペンとを取り
上げて立ち上がった。

「集中できない。部屋に行く。」
去り際にそう口にしたら、ふっ、と明らかに笑われた。今度こそ明らかに口を尖らせてしまったけれど、死角
だったからきっと気付いていないだろう。そう言うことにしておこう。


こんにちは。わたしはとてもげんきです。返事が遅れてごめんなさい。
今日は、私の仲間の話をしようと思います。


まずはそれだけを書き込んで、らしくない言葉遣いだと思った。なぜか口元が緩んでしまう。だってエーリカの
手紙だって、なんだかひどく堅苦しいのだ。やっぱり私は、彼女の妹なんだと思う。
こんな顔は他の隊員には見せられない。笑われたり驚かれたり頭をくしゃくしゃにかき回されたりするのは、
ごめんだ。

次にあなたの手紙が届くまでに、書き上げることができるだろうか。
今度の返事は、何だかとても長いものになりそうです。

―――
以上です。ビューリングさん誕生日ということでビューリングさん絡ませてみたけど全然関係なくなった
相変わらずいろんなことを勝手に自己解釈するのが大好きです。21X2w2Ibでした。
…題名考えるの完璧に忘れてたのに今気付いた。無題にするわけにもいかないので
「前略、とても遠くて近いあなたに」でお願いします
328名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 18:44:34 ID:/h8H4FCf
ウルスラかわいいよウルスラ
ビューリングもいらん子入って仲間想いになってるんだろうな…穴の人は爛れてるけどw
329名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 18:58:31 ID:NLxg0idQ
やべええええええエルマさんかわいいいいよぉおお
330名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 19:25:45 ID:py+hOK5Y
二人ともGJ
331滝川浜田:2008/12/06(土) 20:38:37 ID:GxIO/Zgz
みなさんこんばんは。

>>275で言っていたSSを投下したいのですが、ちょっと微グロ要素が入るので、読まれる方は十分気をつけてください。
あとかなり捏造気味なので、そこにも注意してください。
332滝川浜田 『Vampire Charlotte〈crimson blood〉』:2008/12/06(土) 20:41:12 ID:GxIO/Zgz






あたしには今、悩みがある。

最近、シャーリーがあたしとえっちしてる時、あたしの首筋を咬んでくる。

甘咬みとかそんな生易しいモノじゃない。

…痛い。とにかく痛い。
そしてなかなか痛みが抜けない上に、痕が消えない。
それは微かに血が滲むほどに。

何より驚くのはその時、シャーリーから聞こえてくるあの言葉。

シャーリーの口からそんな言葉が出るとは思わなかったから、本当にビックリした。

「ルッキーニ…お前の血、美味いよ」


―Vampire Charlotte〈crimson blood〉―


「シャーリーは絶対吸血鬼だよっ!」
「なに言ってんダ、ルッキーニ」
「だって、絶対シャーリーったらあたしの血を吸うんだよっ!?」
「あらあら、エッチの時に首筋を噛むのなんて普通じゃない?
ねえ、美緒」
「…何故私に話を振るんだ、ミーナ」
「と・に・か・く・!!
シャーリーは絶対に吸血鬼だよっ!」
「お、なんだなんだ盛り上がってるなあ」
「シャ、シャーリー…」
「ルッキーニがお前の事を吸血鬼って言い張るんダ」
「あたしが吸血鬼ぃ?」
「だって…」
「おいおい、バカ言うなって。
首筋噛むのなんてエッチしてたら普通にやる事だろ?ねえ、坂本少佐」
「……だから何故私に振るんだ」
「…でも…」
「はいはい、この話はここで終わり!
ほら、もう飯の時間だろ!」

そう言うと、両手をパンパンと鳴らしてシャーリーは無理矢理この話を終わらせた。

…でも最近のシャーリーはやっぱりおかしい。

例えばあたしが紙で指を切った時。

333滝川浜田 『Vampire Charlotte〈crimson blood〉』:2008/12/06(土) 20:43:01 ID:GxIO/Zgz
―――――――――――――――――――

「あ痛っ!」
「どうした、ルッキーニ」
「ウニャ〜〜〜…紙で指切った…」
「おいおい、大丈夫か?
ちょっと待ってろ、今消毒してやるから」
「うん、ありがとう」

すると、シャーリーはあたしの指をくわえた。

「ちょっと…シャーリー…なっ、何してるのっ…//////」
「何って、お前の血を吸い出してんだよ。なんか体にいけないもんとかあったら危ないだろ」
「そ、そりゃそうだけど…」

なんだか舐め方が異様にえっちって言うか…//////

「絆創膏貼って…これでよし!」
「あ、ありがとう」
「これから指切った時はあたしに言えよ?」
「う、うん……」

―――――――――――――――――――

それにネウロイとの戦闘の時に出来た傷とか…
何故かシャーリーはあたしの血を吸いたがる。

334滝川浜田 『Vampire Charlotte〈crimson blood〉』:2008/12/06(土) 20:45:40 ID:GxIO/Zgz
「…ねえシャーリー…」
「ん?どうしたルッキーニ」
「シャーリーってなんであたしの血を吸いたがるの?」
「…………」

シャーリーはいきなり黙り出す。

「…理由、知りたいか?」
「うっ、うん……」
「でも、これ知ったらお前絶対引くぞ」
「…………大丈夫、だと思う…」
「……そっか。じゃ教えてやるよ。
とりあえず、あたしの部屋に行こか」


あたしの手を繋ぐシャーリーの手は何故か、いつもよりも冷たく感じた。

そして、見慣れたハズのシャーリーの部屋は真っ暗で。

「ちょっと座ってて」
「う、うん」

あたしとシャーリーはベッドの上に座る。

「あたしはルッキーニの言うような吸血鬼じゃない。それは本当だよ」
「うん」
「……でも、ルッキーニの血が好きなのは事実だよ」
「そうなんだ……他の人の血じゃダメなの?」
「ダメだな!あたしはルッキーニの血の味が好きなんだ!」
「あ、ありがとう」

あたしは何故かお礼を言う。

「それであたしはもっとルッキーニの血が飲みたいんだ」
「も、もっと…?」
「そう。そこでさ」

335滝川浜田 『Vampire Charlotte〈crimson blood〉』:2008/12/06(土) 20:47:22 ID:GxIO/Zgz

シャーリーは立ち上がって、引き出しから何かを取り出す。
それは月夜に照らされて、銀色に鈍く光る。


……どう見ても……ナイフ……だよね………?

「シャ、シャーリー…!
それはっ……もしかしたらっ……!!」
「ん?ああ、安心してくれよ。別に殺しゃしないよ」

シャーリーはそう言いながら、あたしの服を脱がせて胸元にナイフを突き立てる。

「……あたしはただ、お前の血が欲しいだけなんだ……なあ、ルッキーニ……。
……お前の血をもっとくれよ……」
「シャーリー…目が怖いよぉっ…!」
「…大丈夫だよ…ちょっと痛いだけだからさ…?」

シャーリーが突き立てたナイフは徐々にあたしの肌に食い込んで行く。

「シャー…リー…」
「ス・キ・だ・よ……ルッキーニ……♪」
「シャー……リ……」


―――――――――――――――――――


「なあ、最近ルッキーニに傷が増えて来たと思わないカ?」
「…確かにそうですわね…少し心配ですわ…」

あの日以来、定期的にシャーリーにあたしの血をあげている。

「なあルッキーニ、ちょっと来て」
「うん、シャーリー」

今日もシャーリーはあたしの指にナイフを立てて、血を吸う。

「やっぱり最高だよ、お前の血」
「……ありがとう、シャーリー」


シャーリーが喜んでくれるなら、傷が増えたって、倒れそうになったって。
あたしの血をシャーリーにあげる。

「ダイスキだよ、ルッキーニ」

これが屈折した愛だって言われても。

あたしも大好きだよ、シャーリー。

END


336滝川浜田:2008/12/06(土) 20:51:32 ID:GxIO/Zgz
以上です。
まあ正直投下しようかどうか迷ったんですけど、いろいろ幅が広がれば、という事で投下させて貰いました。
一応、バッドエンドでは無い…つもりなのですが、どうだったんでしょうかね…?

今度はもうちょっと明るいSS持ってきます。

…それでは爺はお風呂に入って来ます…
337名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 20:52:29 ID:KX9ZC36i
俺も大好きだよ、爺。
338名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 21:18:04 ID:iLkaGO7B
>>228の続き投下します。タイトルは幸せの方程式と三国対立。

私を中心としたサーニャとニパの対立は、瞬く間に新たな人物、そう、エル姉を巻き込み拡大の一途を辿っていく。

見事に2等分されていた私のベッドは、エル姉の参戦により領地の割譲がなされたのか、昨夜には既に仲良く3分割されていた。
私のベッドの分割に於いてそこまで友好的な取り計らいができるのであれば、どうしてその対立を終焉に導いてはくれないのか、と言いたくもなる。

昨夜の3人の争いはなかなか、いや、かなり白熱したものであったのだ。

ーーーーーーーー

誠実な返答をしたにもかかわらずエル姉から与えられたものは理不尽な叱責であった。

サーニャにしてもニパにしてもエル姉にしても怒っている理由を決して言おうとはしない。
理由を問おうとすると私に降ってくるものは、答えではなく失望の感情を大いに含んだ言葉だ。

なぜこんなにも世界は理不尽であるのか。
もしかしたら3人は私のことが嫌いになったのかもしれない。
あまりにも厳しい現実を考えればその答えが正しいのかもしれない。

でも私はそんな答えは見たくない。
だって私はサーニャもエル姉も大好きなんだから。
…ニパ?ちょっとだけダカンナー。

あぁ、これ以上私の理解の範疇を超える現実が訪れませんように…そう願うことだけが私の本心であった。

そんな事を考えながら私は独り夕食を済ます。
いつもなら私の隣にはサーニャがいるし、時間が合ったならエル姉だってきてくれる。
ニパは私たちが夕食を済ませたあたりでちょうどやってきて、なにやら、今日もツいてない、ということが常だったが。

しかし今日は隣にはエル姉はおろか、サーニャすらいなかった。
そしてもちろんニパが夕食を済ませた後にやってくることもなかった。

やっぱり私は嫌われてしまったのだろうか…
そんな不安が私の胸を占拠する。

胸のモヤモヤに耐えられなくなった私は、もう眠ってしまおうと部屋へと急いだ。



「お帰りなさい、エイラさん。」
「エイラ…お帰り…。」
「遅いぞイッル!」

部屋に帰った私を迎える3つの言葉。
私は思わずドアを閉める…誰か状況を説明してくれ。
339名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 21:19:23 ID:iLkaGO7B
まぁつまるところ、私のベッドの領地分割がさらに進んでいたってことだ。
私のベッドにはずっと昔は私とエル姉、一昨日までは私とサーニャ、昨日になったらニパが増えて、今日はエル姉まで加わった。
よくよく考えると私のベッドが私だけのものだったことは思い出せない。
でもここ数日は異常だ。
いくら多少大きめのベッドだからっていっても完全に容量オーバーだ。

「エイラ…どうしたの?」

どうやら心配したらしいサーニャが私のもとへやってきた。

「なんでもないヨ。いや、なんでもあるにはあるけど…やっぱなんでもナイ。」

昨日からのあの状況だ。
下手なことを言ったら怒られるのは間違いなく私だろう。
それならそっとしておくに限る。
まずは現状の把握に努めるんだ。

部屋に戻るとそこにはやはりエル姉もいる。
つまり現状が昨日よりも悪化した状態だということだ。

「なぁエル姉?エル姉がここにいるのはやっぱ二人と同じ理由なのカ?」

これだけは確認しておくべきだろう。
もし同一ならその分対処が楽になる。

「はい、もちろんそうですよ。大事なものは戦って守らないといけないとトモコさんに、
 いえ、これはハルカさんに教わりました。だから私も参戦させていただきました。」

ハルカさん?
それはあの伝説の中隊の影の支配者だったという迫水ハルカって人だろうか。
なにしろ迫水ハルカという人は記録にはのこらないが撃墜王だったと聞く。
そしてその撃墜のほとんどが基地内で行われたという話だ。
一体どういうことなのか全くもって謎だ。

なにはともあれ、これで3人が怒っている理由が同じだと分かった。
それなら話は簡単だ。一人の機嫌を直せれば残りの二人の機嫌も直るってことだもんな。

よし、ならばここは個別的に対処するのが賢いやり方だ。

じゃあまずは一番扱いやすそうなエル姉からだ。

エル姉はベッドのうえにちょこんと座っていた。
その姿はとても小さく見え、本当に私より身長が高いなんて信じられない。
エル姉はベッドにいると眠くなってしまう性質なのか、なんだかふわふわした様子で、
たまに思い出したかのように、私は怒ってるんですよ、といった表情をつくっている。
340名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 21:19:55 ID:ZwoIPX1I
私も大好きだよ、皆。
341名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 21:20:33 ID:iLkaGO7B
「エル姉?」
「あっ、はい。なんですかエイラさん?」

エル姉はいつものほんわかした笑顔で答えてくれる。

「あっ!なんですか…エイラさん?」

どうやら怒っていることを忘れていたらしいエル姉は素っ気なく聞き直す。
うん、やっぱりエル姉が一番扱いやすそうだ。

「どうしてエル姉は怒ってるンダ?」

いつもペリーヌみたいにツンツンしてるニパや意外と強情なサーニャは絶対答えてくれないだろう。
だけどエル姉は別だ。
私が本気で頼んだなら、エル姉はいつも応えてくれる。
エル姉はいつだって優しいし、なんだかんだ言ったって私に甘いんだ。

「こういうことは自分で気付かないとだめなんですよ。それにたくさんヒントはあるでしょう?」

ヒントかぁ…エル姉とサーニャとニパは同じ気持ちだってこと、私が原因であること、なぜか私の部屋が占拠されていること、
それとエル姉の心臓の鼓動がとても速かったこと、これくらいだろうか?
今はどうなのだろうか?
私はエル姉の胸に耳を当てる。ドクンドクンとエル姉の心音が高鳴る。
その音はどんどん速くなるし、
比例するようにエル姉の顔も真っ赤になっていく。

「あの…エイラさん?少し恥ずかしいんですが。」

エル姉が少し震えた声で呟く。
昼は自分からやったのに変なエル姉だなぁ。
でも、どうやら多少は機嫌が直ったらしい。

真っ赤になったエル姉を眺めていると背後から圧迫感を感じる。
私が振り返るとそこにはさっきよりもあからさまに不機嫌になったサーニャとニパがいた。

「エイラ…なにしてるの?」
「そうだぞイッル…お前は一体なにをしているんだ!」

心音を聞いていただけなのになにがいけなかったのだろうか。
サーニャとニパの声には怒りの感情がのっていた。
一体どうしたらいいんだ…そうだサーニャたちはどうなんだろう?

「サーニャ、ちょっとこっち来てくれないカ?」
「どうしたのエイラ?」

なにやら少し機嫌が直ったらしいサーニャが私の前にぽつんと座る。
では失礼して…
342名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 21:21:37 ID:iLkaGO7B
サーニャの胸はとても暖かくてふかふかで、なんだかすごく落ち着く。
体中にサーニャの暖かさといいにおいが流れていって、大好きなサーニャと一つになったみたいだ。
サーニャの心臓はトクン…トクン…と小さく音を刻んでいたが、段々と音は速さを増し、より強く、
まるでサーニャの身体をもっとぽかぽかにしようとしているかのように高鳴る。
やっぱりサーニャの心臓の鼓動もとても速かった。

じゃあみんな心音が速いんだろう。
心音が速くなるのはどんなときだっけ、そんなことを考えていたら急に後ろから身体を引っ張られた。

「痛いナー。なにすんだヨ、ニパ?」

私を引っ張ったニパはさっきよりもさらに怒りを募らせた目で私を見ている。

「なぁイッル、どうして私の…私の胸には何もしないんだ!」

なぜだかニパが理不尽な理由で怒っている。
心音を聞かれたいなんて変わったやつだなぁ。
別に心音を聞くなんて手間ではないので私はニパの胸に耳を当てる。

ムニュムニュ。

なんだかニパの胸からは二人とは段違いの質量と抵抗を感じた。
なんだろうこれは…すごく柔らかい。
私の耳には確かに幸せな感触が送られてくる。
ニパ…お前はツいてなくなんかないよ。二人よりも立派なものがついてるよ。

あまりにも幸せな感触で当初の目的を忘れていた。
色々な抵抗のせいでサーニャやエル姉よりは聞きづらいけど、ニパの心臓の鼓動もとても速かった。

確かに心音が速いのは3人に共通する事実みたいだ。
心臓が高鳴るのはどんなときだろう…訓練が終わった後はいつもより心音は速いけどこれは違うだろう。

じゃあどんなとき…?
343名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 21:22:27 ID:iLkaGO7B
サーニャの水浴びを覗いたときだ。
あの時には確かに私の心音は信じられないほど速くなっていた。
なら胸が高鳴るのはドキドキしたときだ。

つまりサーニャもエル姉もニパもドキドキしてるってコトなのか?
どうして?

「サーニャ、ニパ、エル姉?」

私は呼びかける。ここまで分かればきっと3人も怒らないだろう。

「なに…?」
「なんだよ?」
「どうかしましたか?」

帰ってくるのは三者三様の返事。

「なぁ、どうして3人はドキドキしてるんダ?」

これで全ては解決する。長い戦いだった。
私は今までの理不尽な怒りから解放される喜びを味わっていたんだ。

「バカ…。」
「そんなこと聞くんじゃなーい!!!」
「エイラさんは本当にダメな娘です!!私達はアナタがその理由に気付かないから怒ってるんです!!」

三人は確かに怒っていた。最初よりも確実に怒っていた。
進歩したはずなのに怒られるなんてヒドイ話だと思うだろ?

そして私は今日もヒシヒシと怒りを感じながら眠ることになったんだ。
あぁ、誰でもいいからこの理不尽な世の中から私を助けてくれ。
私にだって少しくらい幸せがあったっていいじゃないか。
そう考えながら私は3人に囲まれて眠りについた。

Fin.
344名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 21:22:47 ID:xZ4MHnTJ
>>292
やっぱあんたの書くリーネイラは最高だわ
GJ
345名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 21:33:26 ID:iLkaGO7B

皆様本日もGJであります。
特に21X2w2Ib様のリーネイラは少し涙を流してしまいました。
皆辛い思いをしても幸せになれたのかな?と思うと救われるような気がします。

そういえば昨日は興奮しすぎて書くのを忘れてしまってたんですけど21X2w2Ib様、スオムス軍服サーニャ本当に可愛かったです。
なにか白タイツをはいているサーニャがすごく新鮮で普段とは違う明るい可愛さがとても良かったです。
正直スオムス軍服サーニャはエイラの嫁にしか見えない…自分だけでしょうか?

あと反応くださった皆様も有難うございます。とても嬉しかったです。

保管庫で自分の欄を見たらエイラさん率100%で驚愕したRU1ZZ/dhでした。
346名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 21:34:04 ID:iKJXiBRY
>>343
三等分されたベッドの真ん中が誰だったのか、誰だったのか、教えてくれ…
気になって今夜眠れるか分からない
347名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 21:39:01 ID:nf57kcl5
>>346
カエレ!
348名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 21:42:52 ID:z3nTKjoh
>>343
ついてるよテラワロスwwwエイラ十分幸せだよw
ハーレムもエイラならなんでこんなに萌えるんだw
349名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 21:45:42 ID:iLkaGO7B

>>346
まさかアナタ様に聞かれるとは思わなかった!

エイラさんが大の字で寝ているところにサーニャが寄りかかって真ん中をキープしてて
エルマさんとニパがそれぞれエイラさんの腕をつかんで寝ております。

ちなみにベッドを三分割しているときは縦に三分割ではなくベッドのヘッドの部分をエルマさんがキープして
残りの二人がベッドの下部を2分割なイメージでした。Yの字みたいな形です。
なのでエイラさんが不貞寝しなければエルマさんの膝枕で寝る予定だったのです。
350名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 21:47:12 ID:py+hOK5Y
凄い連続投下だ
GJ
いまから全部読んでくる
351名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 21:53:16 ID:Ax3n/QIA
早すぎて追いつけまへん…。

取り急ぎ
>>324
エーリカは悪魔じゃないもん、とか思っちゃったりしてるウルスラかぁいいなぁ
いらん子SS率が増えてきて嬉しいぜ
俺ももっと書いて率貢献しなきゃな
352名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 23:18:13 ID:py+hOK5Y
いつまで感想だけではあれなので、書いてみる
SSなんて読み専だから、書いた事無いので
読みにくかったらすみません
それでは投下します

---------------------------------------------------------------


隣にはいつも彼女が居た
寝てる時もご飯食べる時も
それが普通
それが当たり前
いつのまにかそう思うようになっていた――

だらか彼女が私じゃなくて
他の人の隣に居るのを見ると
隣がなんだか寒くなって
心も冷たくなってくる――
 

「サーニャちゃん」
「!・・・芳佳ちゃん・・」
「どうしたのぼーっとして?
それに珍しいね一人で居るなんてエイラさんは?」
「エイラは・・・・」

今私の隣にエイラは居ない
部屋には居なかったから、探して見たけど見あたらない
シャーリーさんに聞いて見たらリーネさんと一緒に居たのを見たという

「そっかぁリーネちゃんとねぇ
でもエイラさんがサーニャちゃんをほっとくなんてちょっと考えにくいなぁ」
「・・・どうして?」
「だってエイラさんサーニャちゃんの事とても大切に思ってるよ」
353名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 23:19:30 ID:py+hOK5Y
そうエイラは私の事をとても大切にしてくれる
そして自惚れでなければエイラは私と同じ思いを抱いてくれている
でも私達はお互いに酷く臆病でなかなか行動に移せない
エイラのベットに忍び込むのは、ささやかな訴え
早く言葉にして――
早く抱きしめてという――

「でもエイラさんは、恥ずかしがり屋だから、このままじゃいつまで経っても進展しないかも・・・」
「・・・そうかな?」
「うん。だからサーニャちゃんから行動を起こしてみれば?」
「私から?」

考えてもみなかった
確かに私はいつも遠回しにエイラに訴えるだけ
私自身から気持ちを口に出すなんて考えてもみなかった
どうしてだろ?
それはやはりエイラに甘えているからだろうか
いつかエイラが言ってくれると

――このままではいつまで経っても
私はエイラに甘えたままだ
だから――

「芳佳ちゃん相談にのって」
「もちろん!」

私は行動を起こそうと思う――
354名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 23:21:54 ID:py+hOK5Y
その頃リーネ――

「相談に乗ってくれリーネ」
「はい?いいですけど、いきなりなんですか?」
「私はいい加減行動に移さなければならないと思うんだダ」
「あぁサーニャちゃんの事ですか
やっと伝える覚悟ができたんですね?」
「うっ・・覚悟はまだできてないけど・・・
ただ・・・」
「ただ?」
「宮藤のヤローが最近サーニャと仲良いように見えるかさ
このままじゃ、もしかしてなんて事を考えると・・・」

それは無いと思うんだけどなぁ
サーニャちゃんはエイラさんばかり見てるし
それに芳佳ちゃんは私と・・・・

しかしよく考えるとこれは良い機会かもしれない
これを機に臆病な二人を進展させてあげよう

「んー確かに最近仲良いですね」
「ヤッパリ、そう見えるよなぁ・・・・・ハァ」

ふふっいつも何考えてるのかよく分からない人だけど
サーニャちゃん絡みの事になると、とたんに感情が読みやすくなる
355名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 23:22:41 ID:py+hOK5Y
「だから行動に移そうと?」
「そう」
「なら今すぐ言ってきたらどうです?」
「今!?ムリムリムリ!」
「どうしてですか?」
「いや・・ほら・・あれだよ・・なんというかタイミング?
そうタイミングだよタイミング、今すぐはちょっと・・・」
「そんなこと言って、ただ単に勇気が無いだけじゃないんですか?」
「うっ・・・そうとも言うカナ」

ハァ
覚悟を決めたと言っても、やはりこの人は酷く臆病だ
しかしどうしようかなぁ
そうだ!芳佳ちゃんに協力して貰おう
芳佳ちゃんとサーニャちゃんが。今以上に仲良くしてる所を見せれば
エイラさんも行動に移せるのではないだろうか?
うん、決めたこの案で行こう
それにはまず芳佳ちゃんの協力を得ないと――

「エイラさん私飲み物取って来ますね」
「あっ!私も行くよ。緊張したらのど渇いちゃった」
「いいでよ、近いんですから」
「良いから良いから、ほら行コ」

そうして私の手を引いて出て行こうとするエイラさん
あぁなんて強引な
この行動力をサーニャちゃんに使ってあげればいいのに・・・
356名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 23:23:17 ID:py+hOK5Y
とりあえずここまでにしときます
続きは明日の朝にでも
では
357名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 23:24:59 ID:sLErUtrz
>>356
素晴らしい
両思いなのにすれ違う二人最高です
358名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 23:28:06 ID:yevASuOl
そして、すれ違ったまま2年が過ぎた・・・そこにはエイラの墓参りをするサーニャの姿が

という夢を見たんだ
359名無しさん@秘密の花園:2008/12/06(土) 23:36:42 ID:BxGKsXYi
>>343の構造がどっかで見たことあると思ったらあれだ、少女セクトの後日談だ。

「私がエイラの右な!」
「じゃあ左が・・・私・・・。」
「エ、エル姉は・・・?」
「そんなの決まってるじゃないですか。」

ドサッ

「!!!!」
「エイラの上」

ヲォーウ


>>356
わわわわっふるわっふる
360名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 00:22:34 ID:AsSvNMTp
エル姉が本妻ですか
361名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 00:27:03 ID:B6/fLLwg
ここっていつのまにか百合スレじゃなくてエイラスレになっちまったなぁ
362zet4j65z:2008/12/07(日) 00:32:33 ID:cHv6gMA2
少しくらい感想を書こうと思ってPageUpキーを10回くらい押したところで萎えた。
また甘えてしまうことになるけど、保管庫管理人様の仕事に期待。
みんな投下ペース速すぎwこの分だとまた一週間でスレ終わるんじゃないのかな?
仕事中SS読むのに熱中してて執筆が進みませんでした。いや、進みはしたんだけど相変わらず長編指向w
ヤンデリーネのシリーズは毎回こんなん投下していいのかな〜とか思いながらなので、
評価していただけるとほんとに励みになります。
今書いてるペリ&リネなバトル物は明日くらいに投下できたらいいなぁ。
363名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 00:54:01 ID:eCg0knGG
仕事中になにやってるんですかw
>ペリ&リネなバトル物
かなりwktk
364名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 01:44:39 ID:DmqThGiN
227 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/12/06(土) 16:19:05 ID:T5mkZ6mZ

3日目東ト&ナにストパン島キター!

708 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/12/07(日) 00:24:55 ID:lhMgxLuB
初日東Lにストパン健全島あった

初日と三日目に島か……。
どっちがSS多いんだろうなぁ。
365保管庫 ◆YFbTwHJXPs :2008/12/07(日) 02:14:46 ID:ZwdwAFiS
>>362
347kbで364レスって事は単純計算で523レス/1スレですね。
SSのレス数を数えたら100どころじゃなくてもはや笑うしかない。

が、もちろん自重する気などさらさらないので今日も今日とてエイラーニャです。
普段は似たような設定でしか書けない私ですが、今回ばかりは全く違う解釈で書いてみました。
大分前の(#353)サーニャイラではサーニャが確信的攻め要素を持っている解釈で話を進めましたが、
この話は「もしサーニャがエイラの気持ちに1%も気付いていなかったら」という仮説を基にしています。

何の前置きかというと、要するに前半部分は片思い状態なのでかなりどんよりしてます。
そしてサーニャが果てしなく後ろ向きです。崩壊シリーズのまさに正反対の想定です。
なので一応鬱モノ注意としておきます。もちろんバッドエンドではないのでご安心ください。

サーニャ視点のエイラ×サーニャで、「Солнце после Луны」です。
366Солнце после Луны ◆YFbTwHJXPs :2008/12/07(日) 02:16:06 ID:ZwdwAFiS
エイラが好き。

そのたった一言が言えたらどんなに気楽だろうかと思う。
わたしの想いを伝えたら、彼女はなんて言うだろう。
いくら考えても答えなんて出ないってわかっているけど、
それでもつい考えてしまうのだ。

────────

わたしの日課の哨戒飛行が定刻を過ぎる頃、東の空が白み始める。
だれもいない滑走路にゆっくりと着陸すると、遠くから坂本少佐の声が響いてきた。
厨房からはおいしそうな匂いが漂ってきて、もう朝なのだということを教えてくれる。
ストライカーを片付けて寮に戻り、自分の部屋の前を通り過ぎると、
すぐのところにエイラの部屋がある。

いつからだろうか。わたしは寂しくなった時や誰かの温もりが欲しくなった時、
自分の部屋ではなくエイラの部屋に帰ることにしていた。
もちろん最初はどきどきしたけど、ベッドの中にわたしを見つけた彼女は思ったよりも優しくて、
怒るでも呆れるでもなく、ただ「今日だけだかんな」なんて言ったりして、
それからそっと布団を掛けてくれるのだった。

だからきっと、悪いのはわたしなんだろう。

今はただ、この温かさを感じていたい。
最初はそれだけだったのに、最近は少し違う。
もっと甘えたい。
もっとくっついてみたい。
そんなことばかり考えている。
エイラの細くしなやかな身体に思い切り抱き締められたら……などと、
異常としか思えない欲求をさえ抱いている。
そしてその度に、胸の奥がぎゅっと締め付けられるような、
どうしようもない気持ちになるのだ。

これは罰。
優しいエイラに邪な感情を抱いたわたしに、神様が下した天罰。
エイラのことを考えるだけでこんなに苦しいのは、
ほんとうはいけないことをしているから。

それでもエイラのことばかり考えてしまうのは、
きっとわたしが世界でいちばん愚かな人間だからなのだ。

そう思っていた。

────────

それは夏の終わりのある夜だった。
久しぶりの非番が回ってきたわたしは、
しかしすることもないのでエイラの部屋にお邪魔していた。

「フーン、やっぱりな。」

枕元にタロットを広げていたエイラが呟いたので、
ぼーっと寝転んでいたわたしはゆっくりと起き上がる。
367Солнце после Луны ◆YFbTwHJXPs :2008/12/07(日) 02:17:36 ID:ZwdwAFiS
「何を占ってるの?」
「あのツンツンメガネと坂本少佐の相性。"世界"の逆位置。こりゃ無理だな。」
「…………。」

そう言ってくすくすと笑いを零すエイラがあんまり可愛いくて、
わたしは思わず心で思ったことをそのまま口走ってしまった。

「わたしは?」
「え?」
「わたしも占って。」

エイラはとてもびっくりした顔をした。
わたしからこんな風にお願いをするのは初めてだったからだろう。
数秒、気まずい空気が流れたあと、エイラは散らばったタロットを手元に集めながら、
短く「いいけど、何を?」とわたしに尋ねた。

「相性」
「……誰との?」
「エイラ」

心の中は緊張と恐怖で壊れてしまいそうなのに、
わたしは自分でも驚く程冷静に、その名前を告げた。
エイラは案の定複雑な表情のまま固まってしまったけど、
わたしが黙って見つめているとやがて観念したようにカードを切り始めた。

「……。」

嫌いになってしまっただろうか。
目の前にいる相手との相性占いをさせるだなんて、
きっとひどいいやがらせにしかならないのに。
ましてやそれが、こんなわたしとだなんて。
それでも優しいエイラは文句のひとつも言わずに、
わたしの前にカードを並べてくれるのだ。

「引いて。」
「うん……。」

抑揚のないエイラの声を聞いた瞬間、カードを引くのが怖くなった。
もし悪い結果が出たら、わたしはもうここにはいられなくなるかもしれない。
エイラとの関係がこれ以上悪くなるのを恐れて、
近づくこともできなくなるかもしれない。
でももし……もしも、いい結果が出てしまったら、
わたしはいったいどんな顔をすればいいんだろうか。
どんな反応をすれば、エイラに変に思われないですむだろうか。

「どれでもいいぞ。」
「うん……。」

しかし引かないわけにはいかない。
意を決して、一番手前の一枚を裏返した。

「……。」

エイラの顔は怖くて見られなかった。

「……"月"の正位置。」

静かな声で、そう告げられる。

「"迷い"、"不安"の象徴だな。」
368Солнце после Луны ◆YFbTwHJXPs :2008/12/07(日) 02:19:04 ID:ZwdwAFiS
────────

ああ、やっぱり────
と、わたしは心の中で呟いた。
きっとわたしなんかがエイラと一緒にいても、
エイラを不安にさせるだけなのだ。

「ごめんなさい。」

その言葉が口をついて出た。

「……何が?」
「わたし……その……」

カードを眺めていたエイラの視線がわたしに向けられる。
やめて。見ないで。エイラがだめになっちゃう。

「部屋に、戻るから……ごめんなさい……」

目を合わせないようにしながらベッドから降りる。
いきなり立ち上がったから少しふらふらするけど、構ってはいられない。

「サーニャ?」

エイラがわたしの名前を呼ぶ。早く、早く出なきゃ!

「サーニャ!」
「!?」

それなのにエイラは、前に踏み出したわたしの腕を引っ張るのだ。

「どうしたんだよサーニャ。オマエさっきから変だぞ?」
「離して!!」

勝手に大きな声が出てしまう。
それでも前に進もうとすると、エイラはわたしの腕をより一層強く引いた。

「サーニャ、私に何か隠してないか?」
「してない。」
「ウソだ。」
「嘘じゃない。」
「ウソじゃなかったら、何で逃げるんだよ。」
「それは……。」

衝動に急かされて焦れば焦るほど、エイラの手がわたしをぎゅっとする。
その体温がもたらした別の衝動を、ありったけの理性を振り絞って押さえ込む。

「話してくれよ。友達だろ?」
「いや。」
「気になるじゃないか。」
「気にしないで。」
「無理だよ!」

今度はエイラが大声を上げた。
思わず身体がびくっとして、そのままエイラに振り向かされる。

「サーニャが独りで苦しんでるのに気にしないなんて無理だ!
 そんなの、心配するに決まってるだろ!?」
「でも、わたし……。」
「サーニャ!!」
369Солнце после Луны ◆YFbTwHJXPs :2008/12/07(日) 02:20:55 ID:ZwdwAFiS
────────

掴まれた両肩を引き寄せられて、視界いっぱいにエイラの顔が映った。
触れそうになった唇から漏れる吐息の温かさまでわかる距離。

心臓が爆発しそうになった。

「私じゃダメなのかよ!?」

真剣な瞳が必死で訴えかけてくる。
ああ、なんて綺麗な瞳なんだろう。
わたしの澱んだ緑とは違う、清らかで澄んだ海のような青。

それがあまりにも美しくて────わたしは一瞬、
わたしではなくなってしまった。

「なあ、サーニャ!!」

その深い色に吸い寄せられるように、
わたしはほんの少しだけ、エイラに近付いたのだ。

唇が重なった。

「……!!」

エイラが息を呑む音がして、同時にまぶたがおおきく開かれる。
ふるえる瞳の中の虹彩が生み出すプリズムまでもが見えるようだった。

それはどこまでも純粋で、穢れのない色。

見つめ合ったままぴくりとも動かない時間が、永久に続く気がした。
370Солнце после Луны ◆YFbTwHJXPs :2008/12/07(日) 02:21:58 ID:ZwdwAFiS
────────

エイラがわたしを押し返す感触がして、
ようやくハッとした。

わたしは最悪だ。

咄嗟にエイラの身体を両手で突き飛ばした。

「ぅわ!」

短い悲鳴がした。もしかしたら痛かったのかもしれない。
わたしのせいだ。
わたしがエイラの不幸を招いているのだ。
わたしとエイラの相性が悪いから、わたしが近くにいるとエイラはダメになるのだ。
だからエイラはいつもわたしに触ろうともしないし、
他の誰かと遊んでいてもわたしの前では冷めたようにしおらしいのだ。
それなのにわたしは、エイラを穢してしまった。
自分の醜い欲望を抑え切れずに、感情を押し付けてしまった。

「サーニャ、おまえ……」

エイラの声がした。温かくて、優しい声。
全部わたしが汚してしまった。

「────!!」

もはや許しを乞う声も出なかった。当たり前だ。
わたしは決して赦されない罪を犯してしまったのだから。

「おい、待てよ、サーニャ!!」

足が勝手にドアの方に向いた。
わたしは逃げるの?
もう逃げるところなんてどこにもないのに?

「サーニャ!!」

一瞬の迷いが僅かな遅れを生んだ。
後ろから両手で全身をがっしりと固定され、身動きが取れなくなった。
エイラに捕まえられてしまったのだ。

わたしはどうなるのだろうか。
償えない罪を犯したわたしを、エイラはきっと許さないだろう。
このまま殺されてしまうかもしれないという過剰な恐怖と、
エイラになら何をされてもいいという歪んだ欲望が頭の中を支配して、
しかし思考だけは異常に冷静なままぐるぐると空転し続けた。
371Солнце после Луны ◆YFbTwHJXPs :2008/12/07(日) 02:24:52 ID:ZwdwAFiS
────────

「ごめんなさい」

長い長い沈黙のあとで、わたしは口を開いた。

「わたし、本当はこんなに悪い子だったの。
 エイラがわたしに優しくしてくれていたときも、
 心の中ではずっとこういう目で見てたの。
 ダメだってわかってるのにやめられないの。
 何をしててもエイラのことばっかり考えてて……。
 でも、もういいの。もうエイラには近付かないようにするから。」

震える喉を無理矢理押さえ込んで、何とか声を絞り出す。
エイラは何も言わずにただわたしの話を聞いた。

「エイラがわたしのこと邪魔に思ってるのは知ってたの。
 いつもわたしのためにいろんなことしてくれて、
 エイラが自分のやりたいことをする時間がないことも……。
 でもわたしは自分のわがままでそんな関係をずっと続けてきて……。
 だから、あんなことを頼んだの。わたしとエイラのことを占って、
 もし悪い結果が出たら、もうこんなことを続けるのはやめようって。
 エイラにこれ以上迷惑をかける前に、自分の力で何とかできるようになろうって……。

 だから……お願い。
 今までのこと……全部謝るから。エイラのためなら何でもするから、
 ずっと邪魔してたこと、許して────。」

許して、なんて身勝手が通るわけがないけれど、それでもわたしはそう言った。
その方がむしろ、自分の惨めさを実感することができるから。
エイラはわたしを捕まえていた腕を緩めると、わたしの身体を自分の方に向けさせた。
そして今度こそわたしを殺すために、その両手を振り上げる。

ああ、エイラ。大好きなエイラ。どうぞこの醜いわたしを殺してください。
あなたの心が少しでも晴れるなら、
わたしはこの命を喜んで差し出します────

────────

死ぬ瞬間というのは時間がゆっくり流れるように感じると聞いたことがある。
極限の緊張状態に陥った思考が、咄嗟の判断を下すためにそうなるのだという。

エイラはその両手でわたしの頭を身体ごと懐につかみ寄せ、
灼きつくような狂気を帯びた瞳でわたしを睨みつけ、
それから最も比喩的な方法で────わたしを殺したのだった。


「……っ」


それはわたしにとって、一生で最も長い一瞬になった。
372Солнце после Луны ◆YFbTwHJXPs :2008/12/07(日) 02:28:00 ID:ZwdwAFiS
唇から流れ込んでくる灼熱の情気がわたしの身体を駆け巡る。
触れ合う肌は焼け焦げ、血液は沸騰し、心臓は狂ったように脈動を繰り返す。
凍てついていた意識が音を立てて砕け散り、皮膚の上でどろりと融けて蒸発した。熱い。
熱い。
あつい!

わたしのすべてはその禍々しいまでの温度に一瞬で焼き尽くされ、
後に残ったのは鼻をつく甘い香りだけだった。
融けてなくなってしまったはずの自分の体がまだ存在していることを意識して、
何も苦痛を感じていないことを不思議に思った後で、
わたしはようやく、わたしを焦がす炎の正体に気が付いた。

わたしの唇に重ねられた柔らかなそれは、
今なお熱い唾液を流し込んで赤い幻視を見せ続けている。

エイラはわたしにキスをすることで、わたしのすべてを完璧に奪い尽くしたのだ。

とても短いキスだった。時間的にすればきっと5秒にも満たなかっただろう。
そのたった5秒が、わたしのすべてを変えた。

「愛してるんだ。」

わたしの頭を抱えたまま、エイラが言った。

「愛してるんだよ、サーニャ」

その言葉はあまりに幻覚的で、そのまま信用するには少し時間がかかった。
まさか、そんなはずはない。
エイラが?こんなわたしを?

「ずっと好きだったんだ。」

いっそ嘘だと思いたかった。
こんな姿を見せた後でそんな風に言うなんて、神様はなんて残酷なことをするんだろう。
もしもわたしが消えてなくなってしまえば、これほど恥ずかしい思いはしなくて済んだのに。

「サーニャ」

愛しいひとがわたしの名前を呼んでいる。回された腕の体温を少しだけ感じて、
わたしはやっと、さっきまでのエイラがわたしを捕まえていたのではなく、
ただ抱き締めていたのだということに気が付いた。

「エイ……、ラ」

喉から出た声はかすれていた。もしかしたらわたしは泣いていたのかもしれない。

「エイラ」

もう一度、今度はしっかりと届くようにその名前を呼ぶ。

「サーニャ」
「エイラ」
「サーニャ」
「エイラ」

見つめ合ったまま何度も、お互いの名前を呼び合った。
その存在が本当だと確かめたくて、ただひたすらに繰り返した。
いくら呼んでも足りなくて、もっと確かなものが欲しくて、どちらからともなく近づいてもう一度唇を重ねた。
触れ合ったところはただ扇情的な熱だけを帯びていて、
そしてわたしは、今度はゆっくりと、エイラの熱に融かされていった。
373Солнце после Луны ◆YFbTwHJXPs :2008/12/07(日) 02:30:01 ID:ZwdwAFiS
────────

瞼の向こうに光を感じて目を開けると、流れるような美しい銀髪が
カーテン越しの朝日を反射してきらきらしているのが目に入った。
わたしとエイラは、お互いの腕の中で眠っていたのだ。

「ん……」

エイラはわたしが目を醒ましたことに気が付いたのか、少しだけ身じろぎすると、
わたしをぐいと抱き締め直して再び深い眠りに落ちていった。

あんなにも恐ろしく感じたこの人の感触が、今はとても愛おしく感じる。
エイラはわたしに言ってくれた。「愛してる」って。
わたしが求めてやまなかったその一言を、エイラは望み通りに言ってくれたのだ。
こんな奇跡なんて、他にはない。

「エイラ」

昨晩はいやというほど呼んだその名前を、わたしはもう一度だけ口にした。

「わたしは、あなたが好き。」

ずっと言いたかった言葉。
答えを聞きたかった言葉。
眠ったあなたの返事はないけれど、
わたしはもう求めるあまり自分を見失ったりはしないよ。
だって答えはもういつでも聞けるのだから。
空にはもう月は見えない。わたしの恐れた迷いはとうに過ぎ去ったのだ。

あなたが目を醒ましたら、一番に聞きたいな。


ねえエイラ、わたしのこと、好き?


endif;
374保管庫 ◆YFbTwHJXPs :2008/12/07(日) 02:32:52 ID:ZwdwAFiS
以上です。
情熱に目覚めるカッコいいエイラが書きたかった。
あと想いは伝えれば幸せになれるんです、という対比を置きたかった。
サーニャが暗い子になってしまったが反省はしていない。むしろこの後サーニャはどんどん攻めになっていくに違いない。
サーニャは自信があることに対しては自分の力でどんどん押していけると思うんだ。
だから迷いを断ち切ったサーニャには是非ともエイラを押し倒しまくっていただきたい。

さて、明日っていうか今日は休みだし、久々にperlという名のネウロイに格闘戦を挑んでくるとしようか……。
最後に全SSにGJ!!じっくり読んでたらこんな時間だぜイヤッホウ!!
375名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 02:49:57 ID:OYWBeCSG
だがまだ投下は終わらない!寝かせない!
不足気味のシャーゲル書いてみました 中身はないけど7レス程度の投下になります。



カールスラントでは16歳から飲酒が許可される(ことにしておく)。
ロマーニャもブリタニアもガリアも同様(ということにする)なのは、自国の文化にアルコールは欠かせないからだ。
国土がネウロイに掌握されているとはいえ、私たちは母国に誇りをもっている。
だからこそ酒を飲み、美しい故郷を思い出す。
なのに、こいつはいったいどういう神経なんだ。
だいたいお前の国では16歳はまだ飲んではいけないはずだろう。リベリアン!





「リベリオンは自由の国!何があってもおかしくないの。ちょっとしたスピード違反なんて警官に『寄付』すれば見逃してくれるし。」
「そういうことを言っているんじゃない。仮にも軍人なら国の法律を遵守しろと言っている。」
「カールスラントは16で飲んでいいんだろ?同じ人間なのに生まれが違うから禁止なんておかしいじゃん。」
「屁理屈を言うな。」
「なんだよケチくさいなぁ・・・。」
「とにかく!夕食はもう済んだし今は戦闘待機中だ。分かるか?不測の事態に備えておくべきだ。そんな時間に飲酒するわけにいかん。」
「今はサーニャとエイラに宮藤も飛んでるんだし、あたしらがいなくてもなんとかなるさ。」
「お前はまたそんな気の抜けたことを・・・。」
「もしかして酒は苦手とか?」
「・・・そんなことはない。」
「全然ごまかせてないよ、それ。」
「・・・・・・。」
「ほんっと嘘つくの下手だよなぁ。でもあのワインはかなり甘くてね。ブドウジュースみたいな味だから平気じゃない?」
「しかしだな・・・私は・・・。」
「え、やっぱり飲めないの?」
「・・・・・・以前、一度だけハルトマンに無理矢理付き合わされたが・・・それ以来酒を見るだけで気分が滅入る。」
「へぇ。何を飲んだのさ?ビール?」
「いや、ウォッカとか言ったか・・・。」
「ウォッカぁ?あっはははははは!」
「笑うな!!」
「いやー悪い悪い。けどいきなりウォッカはないよなぁ。きっと中尉に遊ばれたんだよ。」
「言われなくても分かっている・・・。」
「あたしは親交を深めたいと思ってるだけだし、もしやばくなったら介抱してあげる。安心して?」
「・・・一杯だけだ。残りは自分で飲め。」
「オッケー!じゃ、持ってくるから待ってて!」
まったく・・・あいつはいつもこうだ・・・。
376名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 02:51:08 ID:OYWBeCSG
-ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

宮藤に助けられてから数日後、シャーロットは毎晩私の部屋に来るようになった。
『ちょっと話さない?』と部屋に飛び込んできた時こそ欝陶しく思ったが・・・今ではシャーロットの来訪を心待ちにしている自分がいるのだ。
話すことといえば本当に瑣末で、下らないことばかり。
ハンガーでペンキをぶちまけただの、ペリーヌにいたずらを仕掛けただの、よくもまぁ毎日話題が出てくるものだと思う。
だが、そんな話に付き合ってみても不愉快さは全く感じないから不思議だ。
それどころか、適当に相槌をうっているつもりが話に聞く入ってしまって、気付けば深夜になっていることもあった。
どうして時間は止まってくれないのか、と柄にもなく嘆いたのものだった。

ガチャリ

ノックもせずにシャーロットは戻ってきた。
バスケットを手に提げて、おまけにいつも緩んでいる頬をさらに緩ませて。
楽しそうだなと声をかけようとするも、それは飲み込むことにした。
やつときたら、この短期間で私のからかい方をすっかりマスターしているからだ。
何か余計な一言を与えてしまえば、たちまち手玉に取られてしまう。
だから私はなるべく素っ気ないフリをしている(←できてません)。
しかしそれはなんだか淋しいではないか。
せっかくこいつが部屋に来ているのに、勿体ないというか、その・・・。
ああ!いったい私はどうしたというんだ!
こんないい加減で規律にも従わない海の向こうのウィッチに、どうしてこんなに惑わされるというんだ!
機械いじりが好きで、年下のくせに肝が据わっていて、ルッキーニの母親のようで、ズボラの気があるのに面倒見はよくて、
バイクで滑走路から落っこちるくらい不注意で、でもそれを笑い話にするくらいに明るくて、
いつも笑っていて、誰とでも仲良くなれて、風呂好きで、背も高くて、胸は馬鹿みたいに大きいくせに
手足はすらりとしていて、髪はふわふわしていて綺麗で、側にいると何故だか安心できて・・・。
たったそれだけの、それだけのウィッチにどうして――

「おい。」
「ぅわあっ!」
「さっきから突っ立ってどうした?早く座りなよ。」

いつの間にかシャーロットはベッドに腰掛けていた。
人が真後ろに移動したことにも気付かないとは、本当にどうかしている・・・。
やれやれと小さく息をついて、テーブルがわりに椅子を引っ張ってきてやった。

「お、気が利くじゃん。ありがと。」

たったそれだけのセリフに、私の胸からは何かがじわりと滲み出すのだ。
くすぐったいような、締め付けられるような、変な気分になって落ち着かなくなる。
心臓はうるさくなるし、身体の動きもぎこちなくなってしまう。
ああ、くそ・・・なんなのだこいつは・・・人をいちいち変な気分にさせておいて!
私の苦悶も知らずに、シャーロットは手慣れた手つきでコルクを抜いて、ワインをグラスに注いだ。
377名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 02:53:13 ID:OYWBeCSG
白ワインなのだろうが、グラスはハチミツのような濃い黄色に染まってゆく。

「はいどうぞ。」
「ずいぶん黄色いな・・・。」
「残念ながら変なものは入ってないんだ。クラッカーとチーズはいかが?」
「いただこう。」
「はいはい。」

今度は食べやすいサイズにチーズを切ってクラッカーに乗せていく。
その横顔はさながら母親のそれだった。

「じゃ、かんぱーい。」

グラスの縁と縁がカツンと音をたてた。
苦い記憶を思い起こし躊躇していると、目で促されてしまったので、腹を括ってワインを喉に流し込んだ。

「・・・甘いな。」

フラウに飲まされた酒とは全くの別物だった。
干しブドウのような甘みと香りが鼻をくすぐり、飲み込むと胸の奥が心地よく熱くなる。
なるほどこれは美味い。

「シロップみたいだろ?この前の買い出しで見つけたんだ。お味はいかがですか?」
「いや・・・これなら飲める。うまいな。」
「よかったぁ。あんた美味いとか不味いとか言わないから不安だったんだ。」
「そうなのか?」
「気付いてないのかよ〜・・・。」
こうして私とシャーロットの時間が始まる。
今日もきっと、あっという間に時が過ぎていくのだろう。
乱暴にクラッカーを口に押し込み、ついでに残りのワインもぐいと全て飲み込んだ。
甘いワインと、クラッカーにチーズの複雑な味が舌に残った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「大丈夫?酔っ払っちゃった?」
「いや、酔っていない。酔っていないぞぉ。」
誰がどう見ても酔っ払ってると思う。
あたしがワインを持ってバルクホルンの部屋に入ってから一時間が経った。
空いたグラスにワインを注ぐたびに一気に飲み干しちゃうもんだから、すっかり出来上がったのか、語尾はのびて目が据わってる。
普通の白ワインよりも強いって言われてはいたけど、やっぱりそのことを隠すのはまずかったかな。
まぁあたしも酔いが回ってきてはいるけどまだ平気。
平気じゃなさそうなのが目の焦点が合っていない、隣にいる白シャツ姿のウルトラエース。
さっきから暑そうに手で顔を扇いでいる。
ちなみに上着はさっき二人とも脱いでしまったし、お互いシャツ姿なわけだ。
ところで、今シャツを脱がせたらどうなるんだろう・・・ぐでーっとしてるうちにボタンを外して、その後・・・
駄目だ!駄目だ!何を考えてるんだまったく!
第一そーゆー関係になってもいないし、こーゆーのはまだ早いぞあたし!
・・・期待はちょっとしてたけど。
378名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 02:59:35 ID:OYWBeCSG


「暑い・・・。」

ん、シャツのボタン外しちゃってるな・・・おいおい、上から下まで全部外してどうする!
これは相当きてるなぁ・・・水みたいにガバガバ飲むからこうなってるんだな・・・。
飲み方が悪いことが分かったところで、一息つかせないといけないよな。
中佐に絞られたらたまんないし・・・。

「ちょっとお水持ってくる。」

椅子にグラスを置いて腰をあげる。
胃薬もついでに――
・・・いや、動けない。手首、掴まれてるし。

「おい・・・どうしたのー?気分悪い?」
「・・・・・・。」

返事のかわりに、掴んだ手首をぐいと引き寄せられた。
中腰だったあたしはバランスを崩し、ベッドにお尻を沈める。
ギシリと床が軋むと今度はあたしの肩が引っ張られ、左腕はバルクホルンに抱きかかえられた。
慌てて引き抜こうとする。けど時既に遅し。手首から下はバルクホルンの太腿に挟まれてしまった。
この体勢まずくね?まずいよな?
二の腕にはこいつの胸の感触が。
そして手の甲が正面に向いたまま腿に挟まれてしまった手首は・・・中指なんて曲げたら・・・まずい所にいってしまう。
ああ、神様どうしよう、これまずいよ。
しかも今度は頬を肩にくっつけてきたよ。さっきより体が密着してるよ。
やばい!冗談になってない!
左手が温かい・・・太腿がなんだか湿ってすごい――
って何を考えてるんだあたしは!湿ってるのは手汗のせいだ!きっとそうだ!
ああんまずいよ。今ぜっっったい顔真っ赤だ・・・顔合わせらんない・・・
379名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 03:00:48 ID:OYWBeCSG

「な、なぁ?水飲むと楽になるからさ、ちょっと手ぇ離してくんない?」
「・・・やだ。」

なんでこんな時に可愛さ全開なんだよ〜・・・。
次第にバルクホルンの体重があたしに寄り掛かってくる。
ちょっ意外と重――

ドサッ

「あ、あははは・・・」
やばい。スーパーピンチ。
倒されて起き上がる間もなく、トゥルーデの すごい マウント だ!
お腹の上に乗られたからどうしようもないぞこれ。しかもすごいこっち見てるんだけど。
バルクホルンは腰を少し上げて、猫のように体を前に倒した。
そのまま彼女の両肘があたしの肩をベッドに押し付けてくる。
嫌な予感と共に不機嫌そうな顔が迫ってくるではないか!
これは――やられる!

「おいほんとに酔いすぎだって!」

虚ろな目は返事をしてくれない。
ほんのり顔が朱く染まって、目尻も垂れたバルクホルンの顔・・・息を呑むほど艶かしい。
頬に触れたくなったけど腕が動かせず、ハッと我に返った。
確かにあたしはこいつが好きで、色んなことをしたいけど・・・。
でも・・・っ!
こんなのって・・・嫌だよ・・・。

ぽすん


――あれ?
そこにあったはずの綺麗な顔は、あたしの胸に墜落していた。

「すぅ・・・・・・すぅ・・・」

それも、まるでルッキーニみたいに小さく息をして。

「おーいエースさまー、そこで寝るなー。」
「んぅ・・・。」

肩を揺すっても動く気配はない。
胸を枕にされるのは悪い気分ではないけど、正直どいてほしい。
だってあたしの心臓は、今までになく鼓動を早めているから。
今回ばかりは死ぬかと思った・・・。
でも、こうしてバルクホルンを抱いて眠るのも・・・いいよね?
あたしはワインの神様に感謝した後、シャツも脱がずにそのまま眠りに落ちていった。
380名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 03:02:45 ID:OYWBeCSG


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『気付くと部屋には日が差し込んでいて、服も着たままで、胃はむかついていて、昨夜のことは思い出せなくて・・・
そして何より私の部屋にシャーロットがいて、おはようなどと声をかけるものだからすっかり混乱してしまった。
だがこの混乱はまだ拍車がかかるのだ。
何故なら、この後私はシャーロットに愛の告白を受けてしまうのだから。』

ミーナ「・・・・・・。」
坂本「どうしたミーナ?それは日記か?」
ミーナ「え、ええ・・・誰かの落とし物みたいで・・・。」
坂本「そうか。あまり中を読んでやるなよ?」
ミーナ「そうね・・・・・・ねぇ、美緒。いいワインがあるんだけど、今晩どう?」






以上です
gdgdなssをgdgdに投下してすみませんww
381名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 03:06:22 ID:ZwdwAFiS
>>380
最近シャーゲル分が足りないと思ってたんだ、GJ!!
どぎまぎするシャーリーもいいが最後のミーナ隊長に吹いたw
382名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 03:24:04 ID:tQm2s5Du
>>373
全然鬱モノじゃないじゃないですか
イイハナシダナー

>>380
シャーリーがドギマギとか珍しくてたまらんな

>>359よ、そのエルマさんが上に乗った続きを書いてもらおうか
383名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 03:30:30 ID:VV1sRm6a
>>380
GJ!素晴らしいシャーゲルをありがとう。
384名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 07:22:55 ID:nW6G5qWp
朝になったらすごい事になってる
勢いハンパないな
385名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 08:15:47 ID:eCg0knGG
朝になったらまた投下されてる
相変わらず凄いなこのスレは

さて朝になったので>>355の続きを
---------------------------------------------------------------


その頃芳佳――

サーニャちゃんがエイラさんに気持ちを伝えようとしている
今までサーニャちゃんは受け身に回っていたので
今度はこっちから攻めないと
引いて駄目なら押してみろだ

しかしリーネちゃんとエイラさんなにしてるんだろ?
まさかリーネちゃんのおっぱいに手をだいているのではなかろうか?
もしそうならエイラさんでも許せないな
リーネちゃんは私の物なのだから――

「芳佳ちゃん?」
「えっ・・・・あぁごめんごめん
ちょっと考え事してた」
「・・・・・そう」

サーニャちゃんには相談に乗ってと言われ
もちろん! なんて力強く返事をしてしまったけれど
二人が両思いなのは傍目から見ても明らかだ
いまから二人で部屋に行って
気持ちを言えばいい気がするのだけど・・・・
 
386名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 08:16:27 ID:eCg0knGG
「エイラになんて言えばいいかな?」
「うーん 普通に好きですでどう?」
「・・・・・ストレートだね。芳佳ちゃんはリネットさんの時なんて言ったの?」
「えっ!なんでリーネちゃんとの事知ってるの!?」
「見てればわかるよ、それにリネットさんの事話す時の芳佳ちゃんすごくいい表情してるから」

そうなのか・・・そんなに自分はわかりやすいのか
確かに感情が顔に出やすいと言われつこてはよくあるけど・・・

「それでなんて言ったの」
「――私は・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
ムリムリムリ!恥ずかしくて言えないよ!」
「・・・・・・ケチ」
「だって恥ずかしいもん!」
「クスクス・・・芳佳ちゃん顔真っ赤だよ」

あぁ
この子はこんな良い顔で笑うんだ
この顔を知っているのはエイラさんくらいだろう

私達はそれからお互いの好きな人のことを話した

あの人はここが尊敬できて
あの人はこの点が気難しい
あの人はこの点が玉に瑕で
あの人はここがとても好きになれる

サーニャちゃんと今までこんな話をする事なんて無かったので
ついつい話に夢中になって
エイラさんが私達を見てるなんて気がつかなかった



387名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 08:17:24 ID:eCg0knGG
その頃エイラ――

リーネと一緒にミーティングルームに行くと
サーニャが宮藤と楽しそうに話をしていた
とても良い笑顔を宮藤に向けている
サーニャの隣――
そこは私の場所なんだよ・・・・・・私から奪わないでくれよ・・・・・

――駄目だ駄目だ!弱気になっちゃ
あそこを私の場所にするために私は行動を起こそうと思ったんだ
隣のリーネを見るとなんだか計画通りみたいな顔をしていたが
それより今はサーニャだ
私は話をしてる二人に近づいた

「よっ・・・・よう!二人で何話てるんダ?」
「エイラ!」
「エイラさん!」
「うわっ!  なんだよそんなに驚かなくてもいいじゃないかヨ」
「エイラ今話してた事聞いてたの!?」
「別に、二人の笑い声しか聞こえなかったけど・・・」
「・・・・・そう・・・なら良いの」

おいおいおいおい!
なにが良いんだヨ〜〜

小声で
「・・ヨカッタネ」
「・・・ウン」
なんて話すなよ
聞こえてるし、泣きたくなるだろぉ

「なっなに話してたんダ?」
「・・・・・・ダメ・・エイラには内緒・・・」
388名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 08:17:58 ID:eCg0knGG
ショックだ
宮藤には言えて私には内緒とは
しかもそんな赤い顔して
うぅ涙が出そう・・・・・・・・・・



「・・・・・イラ・・エイラ!」
「うお!なんだサーニャ!」
「・・・なんだじゃない・・・・呼んでるの気づかなかったの」

しまった
ショックのあまり呆然としてサーニャの呼びかけに気づかなかった

「うぅ・・・ゴメン」
「もう・・・それでね、私エイラに話したいことが有るの・・・」


まさか・・・まさか!
私芳佳ちゃんと・・・・・とかか!?

「・・・・私の部屋に行こう
芳佳ちゃん私、頑張るね・・・」
「うん!頑張ってサーニャちゃん」

頑張るってなにを?
まさかサーニャの保護者役のような私に
宮藤との仲を認めて貰うために頑張るということか?
あぁホントに涙がに滲んできた・・・・・

389名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 08:18:59 ID:eCg0knGG
サーニャの部屋にて――

「座ってエイラ」
「・・・・・うん」


なんで泣きそうな顔して項垂れてるるんだろ?

「・・・あのね・・・エイラ」
「サーニャは・・・・宮藤のこと・・・・その・・・好きなのか?」

えっ?
私が芳佳ちゃんを?

「あの夜以来サーニャは宮藤と仲が良い
さっきもとっても良い笑顔で宮藤となしていたダロ?
だから・・・」

あぁエイラは勘違いしている
だから元気がないと自惚れいいんだろうか?
もっと早く私が行動を起こせばよかったのに
うん。もう覚悟は決まった

「エイラ聞いて、芳佳ちゃんは
内気な私に話しかけてくれる
大切なお友達
でもエイラは違うの・・・
エイラは私の一番大切な人」

――そう私の願いは
 
「私はエイラに隣に居て欲しい
エイラのぬくもりをずっと感じていたい
エイラとずっと一緒に居たい
だから私の隣に居て欲しい」
390名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 08:19:30 ID:eCg0knGG
顔を上げたエイラの顔は真っ赤で
そう言って私の顔はきっともっと真っ赤だろう

「私はエイラが好き」

そう言ったとき
頭が真っ白で、体もフワフワとした不思議な感じだった

エイラはとても驚いた顔をして
それから今までで一番の笑顔で

「私もサーニャが大好きだ
ずっと隣にいて欲しい」

そう言ってくれた。


それから私達はいままで我慢してた分を
取り戻すかのようにお互いを求めた

事の後
シーツにくるまってエイラにくっついていると

「そういえば、あの時宮藤となに話してたのか教えてくれヨ」
っと聞いてきた
エイラは嫉妬してるんだろうか?
なら嬉しいな

だからエイラの耳元でつぶやいてあげた
私がどれだけエイラが好きかとゆうこと
途中でエイラが
「サーニャもういい!
恥ずかしいから、もう言わなくていいから!」

なんて真っ赤な顔で言ってきたけど
止めてあげない
これはヘタレな彼女へのささやかな復讐
そして私のエイラへの気持ちの大きさを知ってもらうためでもあるのだから―――



終わり

391 ◆eIqG1vxHTM :2008/12/07(日) 08:21:17 ID:eCg0knGG
ほんとはもっとすれ違い系を書くつもりでしたけど
私には合わないかったので、このような感じに
途中で路線変更したのでちょいと無理矢理な感じになってしまった
タイトルは『私の隣』
書いて分かったけど、書き続けてるエースの凄さを知った
機会があればまた書くと思う
ではまた
392名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 08:30:34 ID:+77de7Ax
朝からとてもいいものを読ませてもらったよ
393名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 08:37:46 ID:nW6G5qWp
GJ
最近ホント新規の書き手が凄いな
394名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 08:59:08 ID:z9FJ512K
エイラとサーニャはもう飽きた
395名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 09:10:39 ID:wB3M82nh
これだけの量があるしわからなくもないがエイラとサーニャには飽きない
飽きるとしたら表現方法の単調さ、エピソードの狭量さだろうな

それは書き手の問題だが、
ご新規さんがそれをやる一方でおもしろいことはじめてる常連の職人もいるわけで、
バランスは取れてるように思うね、俺はね
396名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 09:15:27 ID:HxT/6Wj1
文章の上手い下手はあるかもしれんが飽きる飽きないは読み手の問題だ。俺は飽きて無いし
そして個人の不満をすぐ書き込んじゃうのも読み手の問題だな

つまり書きたいネタはあるけどSS書いたこと無いから今小説とか本を読んで文の書き方を勉強してもがもがしている俺の
悩みは書き手の問題なのだ・・・ここの職人のように良いものを書きたいのだ・・・
397名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 09:37:11 ID:qtK7lZGE
飽きたのなら別に無理して読むことないのになあ
398名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 09:43:38 ID:FMhBf4EW
神光臨をスレのみんなで静かに楽しんでいる

図々しいクレクレ厨が暴言を吐く ← いまここ

いやけがさした神がこなくなる

そして誰もいなくなる

2chの盛者必衰の理
ここもそうなりつつあるのだなあ
399名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 09:57:10 ID:+77de7Ax
単発荒らしみたいなもんに構う必要なし
400名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 09:57:52 ID:tERYUpKJ
バカモン!>>394はネウロイだ!
負ける前から敗北の話をするんじゃない。いいから早く妄想を繰り広げる作業に戻るんだ。

例えばホラ、>>70で美緒×サーニャとか。
401名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 10:13:49 ID:E/ckWsfd
ガチ百合ってエイラだけだから書きやすいんだろうな
402名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 10:20:32 ID:HxT/6Wj1
>>399-400
反応してた俺が言うのもなんだがですよねーw
もっさーにゃは父と娘って感じになるんだろうなあ。6話の冒頭のやり取りが好きだ
403名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 10:31:03 ID:oeo1vy3B
飽きたとか書くやつも痛々しいがぶっちゃけ同じくらいエイラーニャ厨は痛々しいからなぁ
404名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 10:52:23 ID:3I2K0/tO
起きたら3本の投下とは…休日とは言え凄すぎるな
405名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 10:55:43 ID:PMeg1wr6
>>380
シャーゲルきてたああああああ!!!!嬉しすぎる!!!!
シャーリーにドキドキしてるゲルトもいいな!
続きっていうか愛の告白kwskお願いしたいw
毎晩部屋に行くとか日記とかシャーリーテラ乙女でかわいいなぁw
406名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 10:56:32 ID:PMeg1wr6
あ、日記はゲルトさんですねw
407名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 11:10:04 ID:m2S2zh/Y
>>391
ナイスSS!
やはりエイラーニャは良い
心が洗われる
408名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 11:44:41 ID:uY84vg1D
あのね、俺さ、Part1からここ見てるわけ。それこそ保管庫なんかができる前から。
でさ、投下されるssは一つも欠かさずに読んできたわけよ。
必ず全部読んできたわけよ。
それがさ。どういうこと?
ここ最近の2,3スレ、まだ読めてないssがあんの。
つまりアレだよ。こ の ス レ 速 す ぎ る 。

…おとなしく保管庫行ってくるわ…。皆さんGJすぎます
409名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 11:54:11 ID:HxT/6Wj1
イッツアシャーリーマジック
410名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 12:15:28 ID:naV5h1Ls
>>408
申し訳ないが盛大に吹いたw

保管庫とスレどちらか片方しか見てないって人もやっぱ一定数いるんだろうな
自分もスレと保管庫どっちも見てるのこのスレぐらいだし
411名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 13:19:38 ID:T1jjbrlV
もっさんにフラれる(置いていかれる)ペリーヌの夢を見た・・・。

ペリーヌが朝起きたら、隣に寝ているはずのもっさんが居なくなってるんだ。
そんで机の上に置手紙があって、「鍋の中に味噌汁を作っておいた。しっかり食べて頑張れよ」って書いてあるんだ。
ペリーヌはその味噌汁を飲むんだけど、なんだかいつもよりしょっぱくて、それは自分の涙のせいだって気付いちゃうんだ・・・。
412名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 13:58:23 ID:oeo1vy3B
>>398とかもおかしい書き込みなんだよな
クレクレ厨なんてここにはわいてないし
まあでもこのスレは俺を含めて頭おかしい奴がたくさんわき始めてるから腐ってきているけどな
エイラのもてもてで鈍感とかキャラ崩壊もいいところじゃん。ただエイラ好きなだけじゃん。
413名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 14:06:30 ID:tQm2s5Du
>>411
だめですわ!!そんなのぜったいだめですわ!!
414名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 14:57:09 ID:VRFr+8Zh
>>412
まぁ確かになぁ。本編でモテてんの扶桑の二人組くらだしな。
でもキャラ崩壊の事言い出したら何も書けなくなる気がする。
それこそ飽きたとか言われるんじゃないかー?

二次創作なわけだし好きな妄想を書けば良い!読み手は嫌なやつなら読まなければ良いだけだし。
まぁとりあえず職人さんGJ,それが言いたい。早すぎて読み切れない幸せなんてなかなかないぞ!!
保管庫管理人さんもホント有り難う!!
415名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 15:00:42 ID:bx4R7Lvo
このアニメ半年くらい前に終わったのに
416名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 15:02:46 ID:3I2K0/tO
他人の嗜好を全否定するような奴にレスつけるなよと
417名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 15:15:56 ID:AsSvNMTp
                          iヽ           ∧         !!
                          | ' ,         / !  ヾ、          〃
       !!                   |   >、      /  .|      空  エ
  ヾ、        〃        _ - _ | / /!_ -―  _ /   |      飛  イ  
      し 頭       、― -, '__     ' ―< |       ` 、|      ぶ  ラ
      そ が       ヽ\ /         `、         ',  =   な  と   =
      う  フ       .∧ `/  ,   ,    ヾ、         ,     .ん  繋
  =   だ  ッ  =   .{  \/  !    ハ i ,  }ゝ        }     て  が
      よ  ト       !,  ノ,   !  i / ∨!ト , ノ         ,         っ
      お  |       / /ヘ  , ! ィ/!/ ノ!=i!ソ/         ,         た
       っ        {, ,  !ヾ_ ヽゝィ≠  、 イ          ,          ま
       っ        ヘ !\y{     ̄  ̄ ´ ―- _  _  /          ま
  〃         ヾ、     / ヽ                  VT- 、  〃         ヾ、
       !!          {  \ _ - ,   ,_        } ! ヾ       !!
                   ',   / ィ⌒ヽ、 i ,  ̄i −-  ノ,_/_ ノ
                   ト-_ _/ i   \!  i       ! !
                   ',    i     !i  |    i   !i !
                    )   ,'     !i!  i    i   ! !i
                    }、  ,'     /i!', ! ,   i ,   ! !
                   ノ ヽ ,'     / i! ' ,トヽ、  i / /∧!
                 /    ,ノ     !  !  i!ヾ! 、 レ/!ヘ !'
                /    /!     !       V/> __ i!
               / /===/ !、   /、=   ̄ ̄  ヽ  ̄ - 、
              / /イ  V´      /  \       V    )
             /イ ! V       /    \- 二 -/    /
            .// .{ Vイ       ヘ、     \__ /    /
           //  !>/ ',     / / \      \/    ./
           /    !   '  _ ./イ     > 、     \  ∧
          /    ., ヘ、 _  ィ  |    /   '  ,    \/ヾ}、
         /   /    ̄! !  i   /       }' ,    ' - )
         /  /       V  ! , イ     _ _ イ   >     `  、
        i  /        /  /ヾ _!       /   ∧_   _   ヾ,
        !/         /  /   ', _ -   7   /-ヘ  ̄  `ー 、 ノ
                 , '  , '    /     /    !   ヽ、   ! ヾ!
       - ,  ____ -   , '     !      {     ∧  _ \、  ! ヽ
        _  __ _ ,  - '        !     ヾ、_ --ヘ/,/  ̄ ' ,ト、 ! !ヘ
                         ! /  ̄      !      ` ヽ !/! 



418名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 15:17:23 ID:xhZRn6Yr
二日ほど家を空けていたらこれだよ・・・。
とりあえずリーネイラ長編超GJ!だよなだよな、悪いのはエイラだけじゃないよな!よく言ったリーネ!
いきなり目の前でいちゃつかれて芳佳もサーニャも(゚д゚)ってなってたに違いない。100回以上マジ告白し続けるとかもうなんなんだ!
バカップルとか言うレベルじゃねぇ!リーネ、恐ろしい子・・・!でもハッピーエンドになったはずなのになんかさびしいのは何でだろう。
自分にも非があったことに気づいたサーニャがちょっと後悔しちゃったりすればいいとか思ったけど無駄にドロドロしそうだし黙っとく。
書ききれないけど他の職人さんもみんなみんなGJ!エイラハーレムも大好きだ!クロウカシスも期待してる!
419名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 15:39:49 ID:1JBN/NXw
>>411
演歌じゃねえかww
420名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 16:02:26 ID:oeo1vy3B
>>416
じゃあ俺がエイラ嫌いだからサーニャがエイラ殺して他のキャラ殺す話書いたらお前だって俺を否定するだろ
421名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 16:38:31 ID:KLyy+L9j
>>420
ストパンのキャラ同士で殺し合いなんざ、捏造カプ以上に世界観ブチ壊しだろw
自分で流れ変える話題だせずに文句しか言えんなら、黙ってろ
422名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 16:47:23 ID:CTA3mNaa
ここの投下率はいつもすごい
俺も鈍感エイラハーレム、学園ウィッチとか色々続きが楽しみだ。
スレのスピードがシャーリー並に早すぎてGJも追いつかない。

とりあえずここの職人さん全てにGJと言わせていただく。
新しい職人さんも、エース級な職人さん達も、保管庫管理人様も皆様GJ!!
423名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 16:54:42 ID:oeo1vy3B
>>421
そういう意味で書いたんじゃねーよ
要は俺が出した例とモテモテ設定は両方とも感情が極端な方向にいってしまってるって言いたかったんだよ
まあもう黙るさ
424名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 17:25:13 ID:EwOyz/66
書き手の職人さんがそれに萌えてるのか、それに萌えられる人がいるか、が決定的な差だよ。
それに百合なら何でもおいしくいただくがここのスレの趣旨だってw
425名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 17:32:32 ID:qtK7lZGE
痛々しい痛々しい言ってた奴が一番痛々しかったという面白話
426GAP(1/6):2008/12/07(日) 17:38:18 ID:keTOcMA7
はいはいはいはーい! 私も書く!
空気読まずにゲルトマン投下します。
-------

 39、40、41……
 秒の数を頭の中で数えながら、水底から私は浮び上がる。頭上の水面に見える日の光のゆらめき。
 それを見ながら私は浮上し、水の上に顔を出す。

「……ん」

 ストップウォッチを押して、岩の上に立つトゥルーデが頷いた。
 海上に着水した時の退避行動。501への転属が決まってから、何度もやらされた訓練を私は繰り返している。

「あと10本」
「えー? みんなそろそろ帰るよ?」

 少し離れた浜辺を見ると、みんなが海から上がり始めている。坂本少佐が「おーい! そろそろ帰るぞー」と私達に声をかけた。

「……時間切れだねぇ」
 かえろっか、といじわるく言いながら、抗議の意味もこめて、私はふらふら犬かきで泳ぎ回る。
 ぴくり、とトゥルーデの眉が跳ね上がった。

「だーめーだー。何で私達は残っていると思ってる?」
「トゥルーデが意地悪だから」
「違う! 先ほどの訓練メニューは何だった?」
「……着水時の緊急回避行動」
「そーだ。良く分かってるな」

 ぼそっとした私の返事を聞いて、ようやくペースを取り戻したのか、トゥルーデはなんかえらそうな口調で言う。
 この口調が始まると、大体説教に流れるんだよな……私は肩をすくめた。

「ストライカーユニットを装備したまま着水し、尚もネウロイが頭上を旋回中。それが想定されてるケースだったな」
「そうだね」
「お前に今更言う事でもないが、撃墜して海上に放り出された場合、遮蔽物がない上にストライカーユニットも外されるから我々はシールドも張れないわけだ」
「うんうん。とてもよく分かるよ」
「僚機が救出に向かうだろうが、それがもし遅れた場合、ネウロイのビームの的になるよな」
「そうだね。危ないよねぇ」
「でも海中ならネウロイのビームは大分減衰されるから、着水したら出来るだけ早く海中にもぐって待避するのが、最低限行われるべき行動になる」
「なるほどねー。きっとそうすれば何とかなるよ」
「そのためには重量物を抱えて潜水を繰り返しつつ移動、という行動が回避の基本だ」
「すごく良く分かるよー」
「……それなのにハルトマン中尉は、なんで訓練をしていなかったのかな?」

 お姉ちゃんに言ってごらん? と言わんばかりのにっこり笑顔。私もそれに合わせて、笑顔で答える。

「海に来て遊ばないほうがおかしいって〜」
「だからそういう所がいけないと言ってるんだ!」

 トゥルーデが爆発して、説教が始まる。

「大体お前はなんでこうムラっ気の塊というか突然急に言うことを聞いてくれなくなるん
 だ我々はこの統合戦闘航空団の中核をなすカールスラント軍人としてとりわけ規律ある
 行動を求められているんだぞそれにな他に換えの利かない戦力であるお前のそんな態度
 が上層部から問題視されてる事にいい加減自覚というものを持……」

 くどくどくどと。調子が出た時のトゥルーデの説教はMG42よりもうるさい。
 耳を塞いで逃げてもいいけど、そうするとトゥルーデが拗ねるから、黙って聞いてる。
427GAP(2/6):2008/12/07(日) 17:39:36 ID:keTOcMA7
「……とにかく、教練のメニューはちゃんと守れ!」

 ひとしきり私に向かって言って、トゥルーデは説教を締めくくった。
 確認する様に、分かったか? と聞いてくる。

「……いいぶんは、よくわかった」
「何だ? その言い方は」
「……貴官の見解については了解であります」
「いい方変えればいいってもんじゃない」

 何をふてくされてるんだ、とトゥルーデはまだ怒っている。
 ふてくされてるのはトゥルーデじゃないか、とも思ったけど、トゥルーデはこうなるとしつこい。しぶしぶ折れることにする。

「……分かったよ、もー」
「よし。じゃあ上がってこい。もう一回だ」

 私は腕を引かれて岩の上に上がる。

 ……訓練は大事なのは分かる。私たちは三人でまだまだやらなきゃいけないことがあるし、撃墜されたらそれが出来なくなる。それは嫌だ。
 だから、出撃してちゃんと戻ってくるためにも、訓練は大事。

 でも休憩になっても「次に備えて休む。それが休憩の定義だ」と言っていきなり寝そべって何も言わなくなる人とか、きっかり600秒で目覚めて次のアップをしだすような人にはなりたくはない。

 海だよ? いつもはコンクリで固めた岸壁の向こうの海しか見てないんだし、開けた砂浜を見てさあ遊べ! と言われてるように思えないトゥルーデはどうかしてる。
 そりゃ訓練は大事だし決められたメニューは守れ、という言い分は分かるんだけど。

 ……久しぶりに海に来てたのに。
 というわけで戦線離脱。泳ぎ続けるトゥルーデを放り出して、宮藤達をそそのかして遊びはじめた私を、いつの間にか海から上がってきたトゥルーデが、すごい形相で水中に引きずり込んだ。

 で、今に至る。

 確かに悪いのは私だけどさ。機嫌が悪いのは認めて欲しい。
 ……まぁ、トゥルーデには分かるはずもないけど。分かってくれても何も変わりそうにないけど。
 ほら、と重量物を持たされて、私は岩の上に立たされる。

「……小官としては、誠に遺憾であります」
「文句言うな」

 ……トゥルーデの馬鹿。

----
428GAP(3/6):2008/12/07(日) 17:40:30 ID:keTOcMA7
「遅いぞー」

 何度目かの往復を繰り返して、岸壁の上に上がった。
 身体が重い。手足が綿にでもなったかのように、力が入らない。

「だるいー」

 ぱたん。砂浜にうつぶせになって寝転がる。
 熱い砂に頬を押し当てる。目を閉じて波の音を聞く。傾きかけた日差しが暖かい。
 心地よさに私の目蓋が落ちていく。
 ──私はもうだめです。ウルスラの事を頼みます。おやすみ。

「こらー!」

 トゥルーデの罵声が私の耳を打った。顔だけそちらに向けると、岩の上からトゥルーデがこちらに歩いてくる。

「もう疲れたー。帰ろうよー」
「みんなやったんだ! 寝てないであがって来い!」

 ずかずかと歩いてきながら叫ぶトゥルーデ。──かちんと来た。
 ある事を思いつきながら、私は立ち上がる。

「……私はトゥルーデに付き合って遠泳やってたじゃんか」
「それはそれ。これはこれだ」
「なんだよそれ……いいからこっち来んな」
「よし。これで最後。終わったらゆっくり休め」
「……どーせ遊べなかったけどねー」

 岩の上から海の中を除きこむ。隣にはまだ怒ってるトゥルーデ。

「いいから、さっさと言って来い」
「はいはーい」

 追い立てられるように水の中に飛び込み、水の底を錘を抱えたままで目標のブイまで泳いでいく。
 ゆらゆら揺れる海藻と目の細かい砂。そして波と日差しが作る網模様。
 こんなのんきなところで、泳ぎ続けるわけいにはいかないよねぇ──。私は手足の力を抜いた。

 (──現時刻を以って、ハルトマン中尉は戦線を離脱します──)

 錘を手放し、仰向けの体勢のまま、水面に向って浮かんでいく。
 手足を広げて海上に浮かび上がる。閉じた目蓋の上から降り注ぐ太陽。

「おーい!」

 水に浸かったり浮かんだりする私の耳に、途切れ途切れにトゥルーデの声が響く。

「何やってるんだー!?」

 不貞寝してるんだよ。気持ちいいよトゥルーデ。

「おい! ハルトマン!?」

 遠くから叫び声と飛び込みの音。多分切れてるトゥルーデが私に向かって泳いでくる。
 水を切る音がだんだんと近づいてきて、腕を掴まれる。
429GAP(4/6):2008/12/07(日) 17:41:03 ID:keTOcMA7
「おい! ふざけるなハルトマン!」
「……」

 返事はしません。私はただのしかばねです。目を閉じたまま黙っている。

「ハルトマン……おい?」
 トゥルーデが私を抱きかかえた。
 トゥルーデは立ち泳ぎをしながら、ぺちぺちと私の顔を叩く。

「ハルトマン……?」
 トゥルーデの手が止まる。何も言わずに、多分私を見ている。
 そして私の体を何度か裏返し始めた。

「……出血……なし、……外傷は……なし、呼吸……正常……、外傷……なし……」
 変な事を言いながら私の身体を何度かひっくり返す。
 そして手を止め、突然私を抱えたまま、トゥルーデは浜に向って泳ぎだす。

「……とにかくミーナに……いやその間にフラウが……」
 落ち着け。落ち着け。トゥルーデの声が聞こえる。
 ……えーと。トゥルーデさん、あなた今ひょっとして慌ててますか。
 目を開けるタイミングを逃したというか、予想外の事態というか……どうしよっかこれ。

 浜辺に近づいたのか、トゥルーデは両手で私を抱えあげた。
「……頭は打ってないはずだし……動かして大丈夫か……? でも他に心当たりが……とにかく基地に連絡を……」
 運びながら、ずっと変な事ばかり言い続けている。

 ……どうしよっか。

 私が不貞寝していたのは、あくまでトゥルーデに抗議したかっただけで。
 どうせトゥルーデがそのうち「いい加減にしろ!」って切れて、「ごめーん」と言いながら私が目を開けて、トゥルーデがまたがみがみ言って、ぐらいの事だと思ってたから。
 トゥルーデがこんなに慌てるなんて思ってもいなくて。

 ……何やってんだよトゥルーデ。こんなの全然、トゥルーデらしくないよ。

 そう思うのは、多分私も慌ててるんだろう。
 心臓の音がうるさいぐらいに頭の中に響く。トゥルーデに抱きかかえられたまま、私は浜辺に向って運ばれていく。

 熱い砂の上に下ろされた。私の頭を抱えたまま、もう一度トゥルーデが私の頬を叩く。

「……おい……ハルトマン? ……ふざけるのもいい加減に……?」
 トゥルーデの呟く声が聞こえる。私の頬に触れた指先が震えてる。
430GAP(5/6):2008/12/07(日) 17:41:45 ID:keTOcMA7
「どうしよう……私が……」
 トゥルーデの胸に私は抱きかかえられる。震える声で私の事を呼ぶ。
「フラウ……」
「──トゥルーデ」
 私は目を開けた。トゥルーデが息を呑む。
「フラウ……?」
「……ごめん」
 舌を出して、すぐそこにあるトゥルーデの顔を見上げた。目を見張るトゥルーデ。
「…………お前っ!!」
「……トゥルーデ、慌てすぎだって」
「馬鹿っ!」
 トゥルーデが私を突き放す。砂浜に転がされる私。

 トゥルーデはその場で膝を抱えてしまった。途切れ途切れに呟く。

「何でお前は……いつもいつも……そんなに……」
「トゥルーデ……」
「──もういい! そんな態度ばっかりなら、もう訓練も付き合わない!
 撃墜でもなんでもされてしまえ! お前のことなんかもう知るか! 馬鹿!」

 膝の間に顔をうずめたまま、トゥルーデはそのまま黙り込んでしまう。背中が細かく震えてる。
 私は立ち上がって、その隣に腰を下ろした。

「──撃墜なんかされない」
 海の方を見ながら言う。
「トゥルーデもミーナも、絶対墜とさせない」
 だから許して。トゥルーデの肩に手を回して引き寄せる。
「……ごめんね、トゥルーデ」
「……うるさい……うるさい……!」

 繰り返し言い続けるトゥルーデ。
 彼女が顔を上げてくれるまで、私はトゥルーデの肩をたたきながら謝り続けた。

----
431GAP(6/6):2008/12/07(日) 17:42:42 ID:keTOcMA7

「よーし、これで最後だ」
 えらそうな口調で言いながら、トゥルーデがストップウォッチを構える。
「うぇー。もういいじゃん」
 海の中から引っ張り出してきた重りを抱えて、夕日に染まる岩に登る。
 文句はあとにしろ、と言う声を聞きながら、トゥルーデの隣に立った。

「……終わったら、ゆっくり休んでいいからな」
 珍しく静かな口調で、トゥルーデが言う。
 少しは気にしてくれてんのかな、とうれしくなって口を開く。

「そーだよね。休まなくちゃいけないよね
 ……あんなに心配されちゃったしー」
 笑顔を向けると、トゥルーデの顔がみるみる真っ赤に染まっていく。

「うん。うれしかったなー」
 照れてるトゥルーデをよそに、重りを抱え上げて、一つ伸びをする。

「……お前は……」
 隣から怒りをたっぷり含んだトゥルーデの声。拳を握り締めて眉を吊り上げたトゥルーデ。
 うん。その調子。やっぱりトゥルーデは怒りんぼだ。でもそんなに握るとストップウォッチ壊れるよ。

「照れるなよー」
「……お前はどこまでおめでたいんだー!!」

 浜辺一帯に響くような声を上げて、トゥルーデが爆発する。
 行って来い! と、叫びながら私の背中を押した。


------
以上です。季節感ゼロですみません。
前半の会話、ビームだと回避どころじゃなさそうですが、詳しい方はそっとして置いていただけると幸いです。
ゲルトさんがただの口うるさい人になってないか心配です。

GJしながらちょっと長めなのを書こうと思ってたらあっという間に1スレスルーしてしまいそうです。
早すぎて着いていけませんわ! 全く一体全体、あなたたちって人は……その……gj……。

ペリーヌにはいつかきっちり詫びいれさせてもらわんとのーなrQBwlPEOでした。ではまた。
432名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 18:15:48 ID:oCO/i+WV
ID:oeo1vy3Bの痛々しさにshit
433名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 18:23:36 ID:OYWBeCSG
>>431
なんだこのかわいらしいゲルトは・・・
434名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 19:18:26 ID:d5XqIYIP
>>431
ほんまハルトマンは黒い子悪魔やでえ…
可愛い二人だw
435名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 20:12:23 ID:tQm2s5Du
>>431
なんというかわいいトゥルーデ
436名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 21:47:20 ID:1IuxpO8s
家に帰るとなんだか荒れる原因になっていた。
なんか、すまんかった。
437名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 21:52:35 ID:ZwdwAFiS
>>436
ドウッテコトナイッテ
438名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 22:03:01 ID:eCg0knGG
もう400kb超えたのか
毎日投下があるだけでも凄いのに
何作も投下されるとは・・・恐ろしいスレ
みんなGJ
439名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 22:09:04 ID:nW6G5qWp
基本一週間に一スレだからな
ここの住人の妄想力には恐れ入る
ゲームが発売されれば、もっと盛り上がりそうだ
そして二期へ
440名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 22:12:59 ID:d5XqIYIP
職人にも感想つけたり妄想投下してスレを良く保ってる住人にも感謝の念が絶えないぜ俺は
ゲームはまあ・・・ネタになれば御の字ぐらいの気持ちで待ってようw
441名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 22:18:53 ID:oCO/i+WV
ゲームね・・・オリ主人公はいらんのだが・・・
DSの方も新キャラとやらが主人公なんだろうかね
442名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 22:55:17 ID:tQm2s5Du
正直エイラーニャやシャッキーニやエーゲルの中に入りたくない
いっそ主人公だけじゃなくて、キャラ全部新ウィッチにしてくれればよかったのに
443名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 22:58:03 ID:+4rQExR1
え・・・
444名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 23:00:27 ID:jDb/Qfig
>>440
そうだな。職人だけじゃなくて盛り上げてくれる住人にも感謝の念が絶えない。まじで。

>>442
割って入りたくないって意味か? それなら何かわかる。
きもいかも試練が、傍ででれでれしながらみてるのが俺の理想。
445名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 23:02:28 ID:OYWBeCSG
ストライクウィッチーず〜ん・・・だと・・・
446名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 23:10:02 ID:+4rQExR1
うまいなw
447名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 23:21:12 ID:PyXXOQFZ
ちょっと古いかもしれないけど
ガンパレードマーチみたいなシステムが理想なんだけどなあ
ウィッチーズ全員から操作キャラ選んで自由に行動できるって感じで
448名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 23:24:43 ID:Tamy4b6m
>>447
確かにそのシステムは激しく希望だけど、スタッフが血を吐きそうな気がw

さて、ひょっこりこんばんは。mxTTnzhmでございます。
秘め声CDを聞いて思いついたネタをもうひとつ。
一応、前スレ>>463-469「ring」の後日談的なもの、その8になります。
トゥルーデの独白と言う事で。一応トゥルーデ×エーリカになるのかな。
今回は短いですがどうぞ、「rutile quartz」。
449rutile quartz 01/02:2008/12/07(日) 23:26:04 ID:Tamy4b6m
ミーナの事か。ああ知っている。話せば長い。そう、長い付き合いだ。
あれは祖国が燃えた日だった。私は大切な人ひとり守れぬ、弱い戦士だった。
だけど、温かく接してくれる者が居た。まるで家族の様に。それがミーナだ。
的確な指揮と判断力、そして自身が持つウィッチとしての高い戦闘力。まさにトップエースと呼ぶに相応しい人物だ。
クリスを守れなかった時も……ずっと横に居て、私を慰めていてくれた。
情けない話だろう? あの頃は私も弱い、ひとりのちっぽけなウィッチで、惨めな人間だったんだ。
ミーナは、私が落胆し、荒れた時も優しく、ときに厳しく接してくれた。上官として、戦友として、そして家族として。
この前宮藤が来て私が少し動揺した時も、最後に目を覚ましてくれたのはミーナだった。
……私達は仲間であり、家族なんだよな。
私にとっては、時に頼もしく優しい「姉」に見えたんだ。……私自身も姉なんだがな。おかしな話だ。

でも、一時期……ほんのいっときの事、「姉」として見えなくなりかけた時期があった。
ミーナは私の事をどう思ってるのか、ミーナは何を考えているのか。何が好みで何が嫌いなのか。
色々と考えてしまった……考え過ぎてしまった事が有る。今思うと、あれは初恋にも似た感情なのかも知れない。
あの時と同じで、私は少し先走り過ぎてしまったんだ。

一緒に501へ配属されてから、ミーナの補佐として部隊の内外で、戦闘で、彼女を支えた。
知ってか知らずか、ミーナはたまに「バルクホルン」ではなく私を「トゥルーデ」と呼ぶ。
そう言う時、何故かどきっとしたりした。不思議なものだ。今は全然そんな事無いのにな。

そうして501で過ごしていたある時……私は、ミーナに言おうと思った。彼女の部屋に行った。そこで、見てしまったんだ。
ミーナが……。いや、何でもない。
別に、少佐の事を悪く言うつもりはない。ただ、打ちのめされてしまった。気付かれぬ様、その場を離れる事が精一杯だった。
吐きそうになった。実際トイレに駆け込んだ。でも吐き出されたのは涙だった。

そう。恋愛には謎が多い。誰もが勝者となり、誰もが敗者となる。そして誰が被害者で、誰が加害者か。
恋愛にルールなど無いって事実だけが身に染みた。ただ人を愛すだけ。“戦い”は どちらかが諦めるまで終わらない。
私はそこでも、負けてしまった。

だけど、気付いたんだ。
ずっと私の背中を見ていた人物に。涙目で歯を食いしばって耐えていた私の背中を、いつの間にかそっと近付きさすって、
抱きしめてくれたひと。確かに、ネウロイとの戦いでは、絶対に安心して後ろを任せられるヤツ……戦友だとは思っていた。
でも違った。戦いだけではなかった。いや……戦いのひとつと言えばそうなのかも知れない。
私の背中を守る。その言葉に偽りは無かったって事さ。
分かるか? エーリカ。そう、お前の事だ。

でもまだ当時は傷心だったから、お前の事なんて全然気にしてやれなかった。
お前の気持ちも全然分からず、ああ、同情して慰めてくれている、位にしか思わなかった。
でも、後に過小評価だと気付いた。
それはいつかって? 私も詳しい日にちとかは覚えてない。お前の方が詳しいんじゃないか、エーリカ?
戦いでも、日常でも、私達は一緒に居る事が増え、気付いたらお揃いの指輪までしてる。
なんてこった。守られていると思ったら、背中から派手に撃墜されていたって事なのかもな。
……言い方が悪い? 私にとってはそれだけ意外だったのさ。
確かに、お前は軍上層部に批判的だから、立場上私がお前の事をカバーしフォローする事は多かった。
私も、お前の事が気にはなっていた。噂に聞く若きエース“黒い悪魔”、双子の妹は兵器開発の悪魔的天才。
なかなか大したヤツだとは思った。だけど、まさか完全に心奪われる存在になるなんて……、
初めて会った時にはまだ分からなかった。今では、このザマだ。
私のこころの中に、いつしか大きな針となって、それがカケラに、やがてそのものになったんだ。
450rutile quartz 02/02:2008/12/07(日) 23:27:30 ID:Tamy4b6m
聞いてるのか、エーリカ。お前が話して欲しいって言うから、こうやって話しているんだぞ?
本当はこんな事、話したくは無かったんだ。隠しっこ無しって言うから話しただけで。
ミーナ? 今でも尊敬してるし、今後もしっかり補佐して、力にならなければ。その気持ちに変わりはない。
今では純粋に、上官として、戦友として、家族として力になりたいと思う。

それ以上に、エーリカ、お前の事を守ってやらねばと思う。そして、もっとお前の事が知りたい。
今更知らない事は無いだろうって? そんな事はない。言葉のあやだ。
……もっと端的に? 分かったよ。
愛してる。今でも、そしてこれからもずっと。いとしのひと。

end

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以上です。
読んでお分かりの通り、某アレのネタを少し入れてみました。
「いつまで指輪(結婚)ネタ引っ張るんだ」と思われるかも知れませんが
妄想が続く限りやれたらええな〜と。

ではまた〜。
451名無しさん@秘密の花園:2008/12/07(日) 23:34:40 ID:Tamy4b6m
>>449訂正。

>知ってか知らずか、ミーナはたまに「バルクホルン」ではなく私を「トゥルーデ」と呼ぶ。×

>知ってか知らずか、ミーナは不意に「バルクホルン」ではなく私を「トゥルーデ」と呼ぶ事がある。○

間違えて古いメモの方うpしてしまいました。ニュアンスが微妙に違ってきますね。
すいませんです。
452zet4j65z:2008/12/07(日) 23:39:13 ID:cHv6gMA2
>>450相変わらずエースコンバット好きだなぁw
読みながら勝手に脳内BGMが流れたよw
mxTTnzhmさんに似合うのはきっと『百合スレの鬼神』とかそういう称号ダナ。
ちなみにリベリオンで戸籍を入れるネタっていつか使おうと思ってたんだよなぁ。
そちらのエースはこっちより早い! 早い者勝ち! orz

orzついでに、今日は仕事真面目にやらざるを得なくて書きあがらんかった。
やっと戦闘パートに入れたのに時間ががが。
453滝川浜田:2008/12/07(日) 23:48:49 ID:HBlTloH9
よーし、オイラも投下しちゃうぞー!

…どうもこんばんは。
近頃は暗い&長いのばっか投下してたので今回は久しぶりに心が優しくなれるSS(あくまでそのつもり)を投下します。

リネ芳で参ります。
454滝川浜田 『その蒼に君を見る』:2008/12/07(日) 23:50:47 ID:HBlTloH9

「綺麗な青空だね、芳佳ちゃん」
「うん、久しぶりだよね、こんなに綺麗に晴れるなんて」

私の密かな楽しみ。
芳佳ちゃんといつもの場所で、空を眺める事。

ただそれだけ。芳佳ちゃんと一緒にいる事が出来れば、他には何もいらないから。

こうして、芳佳ちゃんと空を見ながらお喋りする事が私にとっての贅沢。

だって、芳佳ちゃんを独り占め出来るから。
芳佳ちゃんは人気があるから、なかなか二人きりでは話せない。
そんな芳佳ちゃんと二人きりになるのは、この僅かな時間だけ。

「…お母さんやおばあちゃん、みっちゃんは今頃どうしてるかなあ」
「元気だよ、きっと。だって芳佳ちゃんがこんなに元気なんだもん」
「えへへ、なんだか照れちゃうなあ///」
ほら、この照れたような笑顔。
この笑顔が見たくて、私はいつもわざと歯の浮くような言葉を芳佳ちゃんに言う。

私が芳佳ちゃんの事を好きな気持ちは、多分いくら言葉があっても言い表せないと思う。

455滝川浜田 『その蒼に君を見る』:2008/12/07(日) 23:52:05 ID:HBlTloH9
今ある言葉では、とてもじゃないけど芳佳ちゃんにこの気持ちを伝えれそうには無いから。

今はまだ、この気持ちは閉じ込めておく事にする。

告白する時も芳佳ちゃんのビックリした顔が見られると良いなあ。

柔らかな風が吹く。

「気持ちいい風だね、芳佳ちゃん」
「うん、なんか心が落ち着くよ」

思えば、芳佳ちゃんが初めてこの基地に来た時。
こんなに芳佳ちゃんと仲良くなるなんて思わなかったな。

私は芳佳ちゃんのおかげで変われたんだ。今までの自分が嘘だったみたいに。

芳佳ちゃんがいなかったら、私はここにはいなかったかも知れない。

芳佳ちゃんには感謝してもしきれない程の想いがある。


「ねえ、芳佳ちゃん」
「なに、リーネちゃん?」
「本当に、ありがとう」
「なっ、なにいきなり」
「私本当に芳佳ちゃんに感謝してるんだ。私をここまで変えてくれたのは芳佳ちゃんなんだ」
「リーネちゃん…」
「本当に…ありがとう」

私はキョトンとする芳佳ちゃんの頬に優しく、口付けた。

「リーネちゃん…!//////」
「…ほら、行こう!」

私は赤面する芳佳ちゃんの手を引いて走り出す。




「また、明日も晴れるといいね!」
「…そうだね!」


青い空が徐々にオレンジ色に染まっていく。

今日はもう青空は見られないけど、私達の中にはあの青空が残ってる。

また、明日も綺麗な青空が見られますように。

芳佳ちゃんの手を握りながら、そう願った。

END


456滝川浜田:2008/12/07(日) 23:55:40 ID:HBlTloH9
以上です。今回は短め。
ええい、リネ芳は年中無休でイチャイチャしとけばいいんだ!
久しぶりにこんな作品が書けてちょっと満足。

最後に…みんなGJ!
朝起きてたくさんSSが投下されてるなんてなんという幸せ!
お前ら最高だぜ!

…というわけで爺はこの辺で…
457名無しさん@秘密の花園:2008/12/08(月) 00:02:54 ID:+0fI/zFk
>>449
ゲルトマンGJ!
ミーナを思いつつもその思いに区切りをつけて
エーリカを思うゲルトに萌えます。
ラストの余韻がいい感じです。
>>454
ほんわかするようなリネ芳ですね。
こういうのを読むとなんか心がほっとします。
458xQl8TeR8:2008/12/08(月) 00:05:06 ID:+0fI/zFk
では自分も続けて投下させて貰います。

「もしサーニャがシャーリーの部屋に間違って入ったら」

どうしたんだい?そんな浮かない顔をして?
もしかしてお姫様が今日は来なかったからがっくりしてるのかい?
反対にアンタは機嫌良さそうだって?
まあね。ちょっといいことがあったから。

そう言えば、きょうあたしが寝てたときのことだけどさ、
あたしが寝返りを打つと手がなにか柔らかいものに当たったんだ。
最初ルッキーニがあたしの布団に潜り込んだのかと思ったんだ。
ルッキーニが寂しくなったときなんかたまにあたしの布団にくるからね。
だけど横を見て、それがルッキーニじゃなかったからびっくりしたよ。

誰かって?
サーニャだよ、隣に寝てたのは。

まぁまぁ、そう興奮するなよ。
え?「私は落ちついている」だって?
そんなに声が震えているのに?
わかったわかった。
落ちつているっていうことにしておこう。
459xQl8TeR8:2008/12/08(月) 00:06:21 ID:+0fI/zFk
なんで起こさなかったのかって?
それがサーニャはよく寝てるんだよね。
夜間哨戒が終わってほんとに疲れてたんだろうね。
だって「人が寝ているときに空を飛ぶ」なんてとってもきつそうだし。
せっかく寝たのに起こすのもなんだからと思ってしばらく一緒に寝てたんだ。
でも、あたしはちょっとばかり寝相が良くないんだ。
それにベッドは一人用だろ?
そんなに広いわけじゃない。
二人寝たらぎゅうぎゅう詰めさ。
寝返りを打ったりすると何度か手や足がサーニャに当たってしまった。
このままじゃ蹴り落とすのも時間の問題だから、サーニャをどこかに移すか、
あたしがどこかへ行くかって起きて考えたんだ。

ルッキーニならいつもべつのとこに寝ててたぶん部屋にいないだろうから、
少しの間だけベッドを借りようかな、と思ったんだ。
サーニャに布団を掛けて、あたしはルッキーニの部屋へ行った。
ルッキーニがいなかったのは予想通り。
きっと秘密基地の一つで寝てるんだろう。

あたしはルッキーニのベッドに横になった。
ルッキーニのベッド、使われなかったんだろうなぁ。
シーツ、糊がきいたまんまだったよ。
460xQl8TeR8:2008/12/08(月) 00:07:16 ID:+0fI/zFk
あたしは再び眠り始めた。
うとうとし出した頃、人の気配がしたんだ。
サーニャが寝ぼけてまたこっちに来たのかと思って顔を上げると
お気に入りの毛布を持ったルッキーニがいた。

そりゃ、そうだよな。ルッキーニの部屋だもん。
ルッキーニがいても不思議じゃあない。
というかいるのがふつうだ。
「悪い、ルッキーニ。おまえのベッド使っちゃって」
そう言うとルッキーニはあたしの胸に顔を埋めた。
「シャーリー、部屋にいなかったからどこかに行っちゃったのかと思った」
「代わりにサーニャがいてびっくりしたろ?」
ルッキーニはうなずいた。
「一緒に寝ていい?」
「いいもなにもおまえの部屋じゃないか?」
あたしは少し横にずれてルッキーニが寝やすいよう場所を作ってやる。
ルッキーニはお気に入りの毛布を抱えて横に滑り込み、ぎゅっとあたしにしがみついた。
「どうした?怖い夢でも見たのか?」
しがみつくルッキーニに聞いてみたんだけど、ルッキーニは「うん……」と言っただけであとは何も言わない。
しばらくしてからルッキーニは落ち着いたのか少しずつ話し始めたんだ。
なんでもみんなで飛んでるところに大きなネウロイがやってきてみんなが食べられてしまう夢を見たんだって。
で、自分の番になって食べられそうになるところで目覚めたと。
461xQl8TeR8:2008/12/08(月) 00:08:21 ID:+0fI/zFk
変な夢だって?
うん、変な夢だ。
でも夢ってなんか意味があるって言うじゃないか?
あんた、占いやってるんだろ?
これってなんか意味があるのかい?
夢占いは専門外だって?
なんだ、わからないのか。
じゃあ、いいや。
……そこまで言うんならタロットで占ってやる?

なになに、ルッキーニになにか不安なことでもあるんじゃないかって?
うーん、どうかなぁ?あるのかなぁ。
今度ルッキーニに聞いてみよう。

夢の話のあとに「シャーリーはネウロイに食べられたりはしないよね?」って泣きそうな顔でルッキーニが聞くもんだから、あたしはルッキーニの頭をなでて言ってやった。
「あたしがそんな簡単にネウロイに食べられそうに見えるかい?」って。

ルッキーニはあたしの言葉に首を横に振った。
あたしが笑うとルッキーニはいつもの笑顔で笑い返した。
そしてルッキーニは丸まってあたしの横で眠り始めた。
462xQl8TeR8:2008/12/08(月) 00:09:13 ID:+0fI/zFk
あの子は自分が食べられることが怖いわけじゃない。
あたしやみんなが食べられることが不安で心配だったんだ。
それを知ったとき少しうれしくなった。
ルッキーニも小さくたってやっぱりウィッチの一員なんだ、みんなが好きで守りたいと思ってるんだなぁって。

穏やかに眠るルッキーニの寝顔を見てるとあたしも眠くなってきていつの間にかルッキーニを抱え込むようにして眠ってしまった。
ルッキーニは日だまりのように温かくてそれがよけいに眠気を誘ったからね。

え?サーニャはどうしたかって?
さぁ。たぶんあたしの部屋でまだ寝てるんじゃないかな。
おいおい、そんなに急ぐと……。
ありゃ、ミーナ中佐にぶつかってら。

さてと……あたしもルッキーニを起こしに行くとするか。

463xQl8TeR8:2008/12/08(月) 00:12:34 ID:+0fI/zFk
以上5レスです。

それと保管庫の管理人様、一番最初の無題のものを
「もしサーニャがゲルトの部屋に間違って入ったら」
と変えてください。
よろしくお願いします。
464名無しさん@秘密の花園:2008/12/08(月) 00:31:02 ID:XBrp2b7t
日付が変わる頃になると一気に投下されるな
今から読んでくるー
とりあえず皆乙
465名無しさん@秘密の花園:2008/12/08(月) 00:38:54 ID:i1s7WXZH
>>456
寒さと月曜の来襲で気がめいってるところ、いいものを見せてもらいました。
466名無しさん@秘密の花園:2008/12/08(月) 00:40:57 ID:tEqGKwZv
>>457>>462
お二方ともGJ!
ほんわかできてうれしい
467名無しさん@秘密の花園:2008/12/08(月) 00:53:40 ID:RuNhGY2M
作者さんたちの自然な連携なのかなんなのかわかんないけどさ
メインキャラがみんな作品書かれてて
〇〇の作品が無い〜●●の出番が無い〜ってのがほとんど無いってすごいよね
468名無しさん@秘密の花園:2008/12/08(月) 01:01:27 ID:jgzrm+j+
>>467
まぁ、新しいペア作っちゃうくらいだしな〜
それくらいじゃないと、このスレの流れの速さは維持出来ないだろ
469続・本音と建前・第四話1/6 j4ntaz3y:2008/12/08(月) 02:07:23 ID:D4wuHQyO
遅レスもうしわけないが

>>53ちょっあれも21X2w2Ibさんだったのか!自分はどんだけ21X2w2Ibさんのネタを搾取すれば気がすむのかor2
極力期待にそえるようにはがんばるつもりですので何卒よしなに
ところでエイラニャ期待していいですか? ぜひぜひ書いていただきたいwktk
あとウルスラとエーリカの話がよすぎて放心しました。この組み合わせはかなりすき

>>380久々のシャーゲルきた!!ゲルトのせいでキョドるシャーリーは至高
自分もそろそろシャーゲルが書きたくなった。とにかくGJっす

言いつつ>>23のつづき投下します。なんか寒々しい空気になってきたのでそういうのが苦手な方は注意


「しゃーあーりー」

 間延びした声。のんきを装った空気で、エーリカはひょっとしたらもうかよいなれていると表現しても差し支えない
一室のドアをノックした。返事はない。いつもどおり。部屋の主はいつも、急にそっとドアをあけ、どうぞ、などと手を
すべらせ気障たらしいしぐさでなかへと招く。その割に、いちいちここにくるなんてほんと暇だね、と嫌味ともとれない
真意の見えぬ複雑なつぶやきをもらすのだ。来てほしくないならそう言えばいい、まあ、言われたとしてもエーリカは
訪問を自粛することはないと見えているが。
 きょうはいつもよりもドアがひらかれるのが遅いな。そう思っていると唐突に、背後からふと影がさす。

「なーあーにー」

 それから間もなく耳元で、エーリカを真似した間延びした返事。その反対の耳のうしろからは手がのびて、先程
ノックした木の扉にとんとつかれた。つまりは、シャーロットがたちすくむエーリカにうしろから、覆いかぶさる形に
なっていた。

「……気配けして近づくなんて趣味悪いよ」
「気づけないおまえも悪い」

 シャーロットは離れもしないでくっくと笑い、すぐそばにあるおもしろくないと語っている表情を楽しげに観察する。
それからおやと、かすかに大げさに瞬きをした。しまった。それに気づいたエーリカはいやな予感を覚えつつも、
どうしようもない。

「泣いた?」
「だれが、わたしが? まさか」

 至近距離から、図星をつかれる。だけれどとぼけるのはお手のものだ。エーリカは純粋に驚いた顔をしてみせて、
それからドアノブに手をのばす。くいとひくと、自然とひじがシャーロットのわき腹にあたり彼女は妙に名残惜しげに
はなれていった。おい、ハルトマン。勝手に入室すると、一歩おくれたところから声がする。先程のバルクホルンの
それとまるで同じの呼びかけに、エーリカはとりつくろうのもわすれて顔をしかめた。シャーロットのいる場所が背後
でよかった。その動揺をさとられぬように黙った結果無視するような形になると、後ろにいる彼女はその場にたち
どまる。

「……。なんかよう?」
「うん」

 もっとほかのことが言いたげな問いかけに、エーリカはちいさく頷いてからいつものとおりにベッドへと直行し
ばたんと柔らかいそれにからだをおとした。シャーロットはそのようすを、しめたドアのそばにたったままでながめて
いた。しばらく室内に沈黙がおちて、するとにわかに、気まずいと思ったのかはしれないがエーリカがみじかくふう
と息をつきそれをくずす。

「シャーリーのベッドはトゥルーデのともわたしのともちがうにおいがするね」
「そりゃあね。つかってる人間がちがうもの」
「うん……」
470続・本音と建前・第四話2/6 j4ntaz3y:2008/12/08(月) 02:08:28 ID:D4wuHQyO
 シャーロットの眉が、怪訝な気持ちを示すように寄る。いましがた廊下でつい余計な質問をしてしまったときは
ようすの異変を隠そうと必死に見えたのに、急にことばのはしに意味深な弱気を感じるのだ。どうした、シャーロット
は思わずたずねそうになったが、そのまえにベッドのうえの少女はうつぶせていたからだを反転させて、天井に顔
をむけにらむように見つめた。

「わたしは髪がのびたかな」
「……ああ、のびたよ」
「にあってる?」
「もちろん。びっくりするくらい」

 エーリカがぽつぽつと弱音のような質問をくりかえし、シャーロットはそれに答えることに緊張していた。そんな
自分がひどく滑稽だと思うのに、彼女はまちがえないように必死だった。エーリカがもとめている回答をしてやる
のに真剣になっていた。ことばをえらぶ余裕すらなくて、まいったとしか言いようがない。いつからこうなった。
シャーロットはもうすっかりとむかしのことになってしまったこの気持ちの起源を思いだそうとしてやめる。彼女が
こんな姿になるのはかわいそうでしかたがなくて、なのにそれを自分のまえにさらしてくれることがうれしかった
だなんて、浮かれたとんだばかやろうにちがいないのだ。シャーロットはこころのなかで自責し、もっとも大切な
ことを脳内でなんども反芻する。自分が見せられてよろこんでいるこの子がこうやって沈みこむようす。これの
原因は、いつだってたったひとつしかない、と、いうこと。

「でも残念だね、もう飽きちゃった」

 簡単に、事態の全貌は予測できていく。ほらね、とシャーロットはだれにも見つからないように肩をすくめ、やっとの
ことでドアのとなりからはなれてベッドに近づく。それにあわせるようにエーリカが身をおこし、ベッドのうえであぐらを
かいて前髪をつまんでははなすことを繰り返した。この髪のことで、今度はバルクホルンになんて言われた、あの
最低に鈍くてしかたのないやつに、なんて。

「そしたらシャーリーが切ってくれるって言ってたから、そうしてもらおうと思って」
「いやに急だな、飽きないって言ってたじゃないか」
「そのときはそう思ってたけど、こんなのつまんないことだったよ」

 結局意味なかった、トゥルーデはわたしがこんなことしてもまるでどうでもいいみたいだから。エーリカはなんでも
ないことのように言い放ち、そのくせ、自分の台詞に傷ついたかのように前髪にふれる手をとめた。痛々しいとしか
言いようのないそのしぐさを見ていたシャーロットは、でてきたなまえを案の定ととらえる反面で、急速に思考の芯が
熱くなっていっていることを自覚しきれずにいる。

「ふうん。でももったいないと思うけどね。ちょっとはのびたんだ、もうすこしのばせば?」
「いいよ、だってトゥルーデは」

 エーリカは言いかけたが、唐突に細い手首をくっとにぎられ発言をさえぎられる。ぎくりとして伏し目がちだったの
をぱっとあげると、シャーロットがすぐそこにいてぎくりとする。しかもその目は見たこともないほどきつく細められ、
こちらをにらみつけていた。

「いまバルクホルンの話はしてない、あたしがのばせばって言ってるんだ。あいつは関係ない」
「……な」

 シャーロットはぎしとベッドに片手と片ひざをついて、エーリカをとらえるように身を寄せる。見ているのはかすかに
おおきく開かれた両眼だった。中心は青くてすきとおって、ずっとむこうまで見えそうなそれは空に似ている。普段
から考えの読みとれないほどに澄んでいて底が見えそうになく、だけれどつきあたりは確実にあって、そこにまるで
当然のような顔をして居座っているのはきっとこの子になにもしてやれないくだらない人間なのだ。

「なんで、シャーリーがおこるの」
「おこる、だれが。おこってなんかいない」
「おこってるよ、だって」

 手首がいたい。エーリカがまるで我慢しきれなくなったというようなようすでシャーロットにつかまれている腕をひく。
はなせと、暗につきはなされて、シャーロットはやっとのことではっとした。
471続・本音と建前・第四話3/6 j4ntaz3y:2008/12/08(月) 02:09:25 ID:D4wuHQyO
「あ…、わるい、ごめん」

 はじかれるように手をはなし、ついでに寄せていたからだもはなし、その手をそのまま口元にはこんでせめて顔の
下半分だけでも隠そうとする。だけれどそんなことでこの動揺は隠せやしない。エーリカは怪訝な視線をシャーロット
にむけながら、いたいと言った手首をさすっていた。

「意味がわからないんだけど。なに、どうしたの」
「……」

 訝しくてしかたがないと言った調子の質問をなげかけるが、シャーロットはそのあいだもずっと彼女はまるで考え
こむように視線をそらしていた。それから徐々に、表情を苦々しげなものにする。

「……まあ、冷静じゃないのは確かみたいね」

 シャーロットの口からなんとかでたのは、到底エーリカが納得するとは思えない他人事のような自己分析だった。
明らかにようすのおかしい同僚に実はエーリカはかすかにうろたえていたが、そんなことはおくびにもださずにじとり
とした目をつくって事情の説明をもとめる。するとシャーロットはそこで本格的に我にかえったのかぱちぱちと瞬き
をしてから、へらりといつものようなのんきな顔で笑った。それがどこかわざとらしかったのは、おそらくエーリカの
勘違いではない。

「わかんないか、ちょっとくらい勘付いてくれてもいいと思うんだけど」
「はあ?」
「……意外と鈍いなあ、ハルトマンも」

 シャーロットの手が、先程まで自身がなでていたエーリカの前髪にふれる。さらにそれをとおりこした額にも
てのひらをはわせて、そのさわりかたはあまりに柔らかいのに、エーリカはきょとんとするばかりだ。シャーロットは
その反応にむしろほっとしながら、ふと手をはなしてから肩をすくめる。

「やっぱり切りたいかな、髪」
「なんだよ、シャーリーは切ってほしくないわけ」
「だからさっきからそう言ってるじゃないか」
「なんで?」
「髪がながいハルトマンもきっとかわいいからね」
「シャーリーはほんとに口がお上手ね」
「そりゃどうも」
「ほめてないんだけどなー」

 エーリカのつれない台詞にシャーロットがおどけたようすで再度肩をすくめると、エーリカはふうんと唇をとがらせて
からころりとベッドに寝そべった。それを見てふと笑い、だけれどシャーロットは唐突に、くいと親指で出口を示した。

「悪い、用事思いだしちゃった。部屋あけるよ、だから…」
「いってらっしゃい」
「……はいはい、いってきますね」

 でていけ。そう言うまえに部屋の主がいなくても居座るに決まっているだろうと宣言されて、思わずあきれた返事を
してしまった。なのに、ばいばい、と表情に変化をつける気もなく見送られ、シャーロットは思わずほほがゆるみそう
になるのを我慢する。まあいい、せっかくだからもどってきたときにおかえりも言ってもらおうじゃないか。一所懸命
あきれた顔を保ちながら、ドアノブに手をかけた。

「ちらかすなよ」
「はーい」

 のんきな返事を背筋にうけながら、シャーロットはぱたんとドアをしめる。
472続・本音と建前・第四話4/6 j4ntaz3y:2008/12/08(月) 02:10:28 ID:D4wuHQyO
「……」

 すると、廊下のつめたい空気が、見事にまぬけに浮かれていた思考をひやしていった。たちつくし、先程つい
エーリカをにぎりつぶしそうになったてのひらを見おろす。しかもそれと同じてのひらで髪にふれるなんて。薄暗い
そこでたちつくしたまま、影のおちた自分の手がひどくいらないものに見えた。

「……くだらない罪悪感だなあ」

 シャーロットはそれだけつぶやき、くっと苦そうに顔をしかめてからやっと、決心したように歩きはじめた。

----------

 いるもの、いらないもの、いるもの。バルクホルンは勝手に決めつけて、床にちらばるものを分類した。これは
洗濯物、これはごみ。無心に手を動かし、すこしずつ見える面積をましていく自室でないところの床にかすかな
満足感を得つつ、それなのにいちいち雑念が思考にまぎれこもうとしてくるからやっかいだった。いるもの、いらない
もの。いらないもの。

(いらないもの。だれのことだよ)

 未練がましい。なにをしているんだろう。バルクホルンはなんどもそう思いあたるのに手をとめられなくて、それは
とてもとても苦しい。
 唐突に、背後のドアがひらく。ノックもぬきで、それはつまりこの部屋の主があらわれたのだろうと思うのがふつう
は正しい。だけれどバルクホルンは、そんなことはありえることでないとよくしっていた。

「……ひとの部屋にノックもしないではいるとは、礼儀をしらない」
「ふん、だれかがいるなんて思わなかったんだ。だってここの住人はあたしんとこにいるからね」

 現れた人物の見当をつけてとげのあることばを投げれば、思ったとおりにけんか腰の声と回答が返ってくる。
ゆるりとふりかえると、いつのまにかとじなおした扉によりかかり、シャーロットがえらそうな顔でこちらを見おろして
いる。

「だれかがいるとかいないとか、そういう問題じゃないと思うがね」
「いいじゃないか、ハルトマンはおこらないよ、こんなことしても。ねえ、あんたなにしてんの?」

 こつん、と、シャーロットが足元に転がる空いた酒瓶をけった。バルクホルンは質問には答えずに、かわりにその
行為をとがめるように眉をひそめる。それを受けて、シャーロットはおどけて肩をすくめてから足元でころころとゆれて
いるものをひろいあげた。

「ハルトマンは、最近あんたが部屋を片づけてくれないってぼやいてたはずなんだけど」
「そもそも私がこの部屋を片づけることになっているのがおかしいと思うが」
「じゃあなにやってるわけ、それは」

 もっともな指摘に、バルクホルンの手がとまる。と、すかさずあははと愉快そうな笑い声があがる。

「あんまり散らかってるから見かねちゃった? ……それとも、罪滅ぼしかな」

 低い声が響く。バルクホルンはふりかえらない。かわりに作業を再開させて、するととんとんと足音が背後から
近づき、しゃがみこむバルクホルンのとなりをすりぬけてシャーロットがエーリカのベッドに腰かけた。結果ふたりは
むかいあう形になり、空気がぴんとはりつめる。

「あんたさあ、またハルトマンに余計なこと言ったんだね」
「余計なこと? なんの話をしているのかわからないな」
「おい、いい加減にしろよ」

 ベッドに両手をついてからだをささえるような気のぬけた姿勢で、それでもシャーロットの怒声は芯を持ってバルク
ホルンにたたきつけられた。そこでやっと、一所懸命散らかるそれらの分類をしていた人物が顔をあげる。予想外
の反撃だった。彼女は、意地が悪いにしても温厚なこの女がいまのような荒げた声をあげるところを見たことが
なかった。ぶつかった視線はするどくて、しかしシャーロットはふっと息をついてから、また普段どおりのとぼけた
表情になる。
473続・本音と建前・第四話5/6 j4ntaz3y:2008/12/08(月) 02:11:19 ID:D4wuHQyO
「……なんか、わざとやってるようにみえるなあ。ハルトマンが髪のばしちゃまずいわけでもあるの?」

 先程ひろいあげていた酒瓶のラベルをながめながら、シャーロットはまるで確信した口調でたずねる。バルクホルン
は動揺した。しかしそれは見せるわけにはいかない。

「ふん、私はただ髪を切るのを面倒くさがるなと言っただけだ」
「あっは。おめでたいね、あんた」
「……なんだと」

 シャーロットのひとを小ばかにした笑い声に、バルクホルンはつい眉をよせて彼女をにらみつける。だけれどシャー
ロットは気にするようすもなくあいかわらずラベルにならんだ文字に視線をすべらせていた。

「だから、あんたは最低におめでたいねって言ってんだよ。めんどくさがるだって? ばかだな、ハルトマンはのばし
たいからのばしてたのさ」
「……」

 なんだと、と、今度は声にならなかった。バルクホルンは呆気にとられたように表情をけし、だけれど瞼だけは
おおきくひらかれている。そのようすを目を細めて観察し、シャーロットはぐっとからだをまえにたおしてベッドのした
であいかわらずしゃがみこんでいるやつに顔をよせた。

「ねえ、どんな余計なこと言ったかわかった?」

 ひざのうえにひじをつき、足のあいだで両手でつかんだ酒瓶をぷらぷらと揺らしながら中身のない笑顔をうかべて
ささやく。しかしバルクホルンは頷かない、いや頷けない。バルクホルンは、わかっていなかった。髪をのばしている
と、それが事実ならどうしてあのときそう言わなかったんだ、説教から逃げる絶好の理由なのに、なぜ、あの子は
ただおこっただけなのだろう。

「……」

 わからない、どうしてだ教えてくれ。たずねればきっと、シャーロットは答えをしっている。ただしすなおに教えて
くれることはないだろうし、バルクホルン自身もすなおにたずねることなどできそうにない。
 すっと、バルクホルンはたちあがる。それから意図せずともするどくなる視線でシャーロットを見おろしてからきびす
をかえす。おい、と背後から呼び声。無視して歩きだしドアノブにふれる、すると顔の横から手がのびてどんと音を
たてて目前の木の扉にたたきつけられた。

「なんで、どこいくの。片づけ、中途半端にしてくわけ?」
「……この部屋の片づけは、おまえがやってやればいいじゃないか」
「おいおい、妙なこと言うな。なんであたしが」

 なんでだって。かっと、バルクホルンのなかで怒りの感情が沸騰しかけ、しかしそれはぐっとこぶしをにぎることで
ごまかす。ただしごまかしきれているかは疑問だった。バルクホルンは、力のこめすぎで肩までふるえていることを
自覚していた。なんでだって、だっておまえは、エーリカと、フラウとあんなに。
 バルクホルンがぐいと右のひじを後ろにまわすと、シャーロットはよけもしないでされるがままおしやられて一歩
ひく。できたすきまを利用してふりかえり、それから必死に冷静な顔をとりつくろった。

「……おまえと話していると気分が悪くなる。それがここをでていく理由だ」
「おや、理不尽なこと言ってくれるね、あんたらしくないじゃない」
「事実をのべているだけだ」

 とん、とシャーロットの手が再度バルクホルンをとおりこし扉にふれる。ふん、そりゃいいや。つぶやき、唐突に顔
が近づいてくる。
474続・本音と建前・第四話6/6 j4ntaz3y:2008/12/08(月) 02:12:18 ID:D4wuHQyO
「じゃあ、いっぱい話してあげるよ。例えば、なんでハルトマンが髪をのばしてるのかとかね」

 ぎくり、とバルクホルンの肩がゆれ、それから目が見開かれる。そうしているうちに、シャーロットはまだ持っていた
酒瓶の底をぐいとバルクホルンの心臓の位置におしつけた。あんたがあたしと話してて気分悪くなるってんなら、
あたしはあんた見てたら気分が悪くなるよ。悪意を隠そうともしないしぐさにぐいとおされ、バルクホルンはドアに背を
つける。それでもあきたらず、ぐいぐいと酒瓶はバルクホルンにくいこんでいく。

「あたしだったら、泣かせたりしない」
「……なん」

 泣かせたりしないって。だれか泣いたのか、おい、だれだい。そうやってとぼけてしまえればとても楽だった。ただし
もしそんなことができてしまっていたら、きっとバルクホルンは立ち直れないほどにうちのめされていたに違いない。
泣いたのはエーリカだ。自分のしらないところで泣いて、それはおそらくシャーロットのそば。

「ほんとはこれであんたの頭ぶん殴りたいくらいなんだけど、……ね、あたしがハルトマンに髪のばせばって言った
んだ。きっと似合うって。そしたらあんなにすなおにさ。かわいいと思わない?」

 たてつづけに与えられる理解しがたい情報に、バルクホルンは完全にことばを失っていた。ただ呆然と、すぐそば
で憎くて憎くてしかたのないものを見る目で自分をながめている人物を見かえしていた。ふと、シャーロットの気配が
はなれる。それからひょいと手をとられ、そこにいままでおしつけられていたものをおさめられる。

「……これ以上気分悪くさせちゃさすがに申しわけないかな」

 じゃあねおやすみ。シャーロットはたったそれだけを言い残し、手をのばしドアを開放してバルクホルンのわきを
わざとらしく肩をぶつけてからすりぬけていった。ばたん、と背中の至近で扉がとじる。それと同時に、手渡された
ものが彼女の手から滑り落ちた。ごとんと物騒な音をたて、それは床に傷をつける。だけれどバルクホルンは、
ひろいあげることもできないのだ。

(……そうか、あいつに言われたから。それなのに私が余計なことを言って、あんなにおこって、ないて、……)

 なさけなく、背中がドアへとおちていく。それだけじゃ飽きたらない。からだは力を保有できず、ずるずると床へと
へたりこんでいった。


つづく

秘め声とか聞いてシャーリーのあまりのさわやかさに興奮した覚えがあるのに自分がやると性格悪くなる不思議
475名無しさん@秘密の花園:2008/12/08(月) 02:55:31 ID:VxSpp8Rs
シャリー男前だなぁwww
それに比べてゲルトは…w
476名無しさん@秘密の花園:2008/12/08(月) 04:08:22 ID:lSD2mNA8
こんばんは。mxTTnzhmでございます。

>>452 zet4j65z様
何故か不思議とACネタが入りますねw SS書いてるときBGM代わりに色々流してるからかも。
あと「リベリオンで戸籍を入れるネタ」は私に構わずどんどんやって下さいませ。
「職人の数だけ話が有る」ってよく言われているじゃないですか(と私が言うのも何ですが)。
zet4j65z様の戸籍ネタSSも是非読んでみたいです。

>>456御大
GJ! ほんわか話でなごみました。

>>458 xQl8TeR8様
GJ! ほのぼのしてて良いですね。こう言う話好きですわ〜。

>>474 j4ntaz3y様
GJ! 続きが気になります。


さて、秘め声CDを聞いて思いついたネタをもうひとつ。
これも一応、前スレ>>463-469「ring」の後日談的なもの、その9になります。
前作>>449-450「rutile quartz」の続きで、今回はトゥルーデのを受けてエーリカの独白です。
前々スレ>>573-579「scarface」で起きた事も入ってますので宜しく(ややこしいですけど)。
トゥルーデ×エーリカと言う事でひとつ。タイトルは「rose quartz」、どうぞ。
477rose quartz 01/02:2008/12/08(月) 04:09:54 ID:lSD2mNA8
今度は私の番? 話す事って有ったかなあ。
一緒になった頃の事は……まあ、いいじゃない。第一印象なんて人それぞれだよ。
今は“黒い悪魔”だとか言われてるけど、一番最初の出撃はもう……言えないよ。恥ずかしくて。
……一番機をネウロイと勘違いして魔力が切れるまで逃げ回ったんだよ。もう、それだけ! 思い出しても耳赤くなるよ。
あー、やっぱり笑ってる。だから話したくなかったのに……新人では良くあること? まあ、ね。

トゥルーデ達と出会ってからは、カールスラントのエースとして、ずっと一緒に居たよね。
覚えてる? 501に配属された時の事。
あの頃はミーナもまだ祖国撤退絡みの事でけっこうしょげてたし、トゥルーデはクリスの事で随分悩んでたよね。
でも、戦いでは、私達容赦しなかった。だからこそ容赦しなかった、と言うべきかな。
私、皆と一緒になる直前にちょっと病気になってね。……風邪だよ。そう言う事にしとこ?
その時、病院のベッドの中で考えたんだ。どうすればネウロイをたくさんやっつけられるかって。
それ以上に、どうしたら、仲間を失わずに効果的に戦いを進められるかって。色々考えたよ。
勿論、ミーナみたいな特殊能力は無いから、部隊の指揮はミーナにお任せ〜だったけど、仲間を失うのは嫌だからね。
私と一緒に飛ぶ以上は、絶対にネウロイに落とさせない。自慢じゃないけど、私と一緒に飛んだウィッチで
撃墜されたのは居ないよ。今までもそう。これからもそのつもり。一応、誇りに思ってるよ。
……この前一緒に飛んでボロボロになった? トゥルーデ、あれは私が言うのも何だけど、仕方ないよ。一応撃墜ではないし。
私がしっかりしてれば、あんな状況には絶対させなかったよ。誓っても良いよ。だって私の大切なトゥルーデだよ?
……でも、その後色々面白かったじゃん。今度またああ言うプレイしようよ? ……顔赤いよ、トゥルーデ。

戦いの話はもういい? う〜ん、他ねえ。
そうだ、ウルスラの話はどう? まあ、確かに“悪魔的”天才だよね。兵器開発にかけては。
サーニャのフリーガーハマーの原型作ったのもウルスラだよ。スオムスで作ったって言ってたっけ。
仲ねえ……双子で姿こそ似てるけど、性格は全然違うって言われるよ。それでいいんだろうけど。
あの子真面目で研究熱心だけど、どうもねえ。

トゥルーデの事? いつも見てるよ。……今の事じゃなくて?
うん、そう。昔から見てる。一緒になった時からずっと。トゥルーデ気付いてなかったと思うけど、
私、トゥルーデの背中を追い掛けてたんだよ。トゥルーデを見てた。ずっと。
視線感じなかった? ……え、気付いてなかった? ちょっとぉ。
勿論戦いの時は、エース同士、ライバルとして。そして大切な仲間として一緒にいたよね。
そうじゃない時は、ほら、例えば軍のエラい人が色々言ってくるじゃん。そういうのから必死に守ってくれたよね。
私はネウロイとの戦いの時は仲間を守るけど、そうじゃない時は、ああ、私守られてるんだ、
守ってくれてるんだって思ってさ。……誰にって? 貴方だよ、トゥルーデ。何度も言わせないでよ。

気持ちがなんかモヤモヤしてたんだよね。501に入ってから暫くの時は。
トゥルーデ、少し様子がおかしかったんだもん。そりゃ気付くよ、付き合い長いんだよ?
ミーナに何か有るなって思ってた。当たってるっしょ。……よく見てるって? 褒め言葉でいいよね?
何度も言ったけど、トゥルーデの事は何でも分かるよ。お互い隠し事もしないって決めたし。
で、トゥルーデさっき自分で言ってたけど、ミーナの部屋覗き見てショック受けて、泣いてた事有ったよね。
トゥルーデには悪いけど、千載一遇のチャンスだと思ったよ。こう、照準のど真ん中に入ったって感じ?
その時は色々優しくしたけど、ホントは色々言って、遊んでみたいって気持ちも少し有ったよ。
なんかちょっと悔しいじゃん。他の女で泣いてるなんて。……ドSだって? そんな事無いよぉ。
私は私で、トゥルーデに私の方を向いて欲しくて、いつこっち向いてくれるのかって、考えてた。
早く私を見てよって正直ずっと思ってた。そりゃ私はミーナみたいに清楚で上品でもないし
部屋の片付けもあんまりしないけど……なに、その顔。まあいいや。
ともかく、私はミーナみたいな魅力は無いけど、自然体って言うかさ、私なりの……魅力って自分で言うのも
こっ恥ずかしいけど、トゥルーデに見て欲しかったんだ。
あの時、優しくしたのが結果的に良かったのかもね。背中を守ったって事になるの、かな。
478rose quartz 02/02:2008/12/08(月) 04:11:19 ID:lSD2mNA8
初めてのキス、覚えてる? トゥルーデと一緒にお酒飲んでた時、勢いでしたんだよ。
勢いでって驚かないでよ。最初に抱きついてきたのトゥルーデだよ? 酔ってクリスと間違えたんだよ。
私も破れかぶれって言うか、もういいやと思って、とりあえずしてみました〜。後悔はしてない。反省もしてないよ。
あの時のトゥルーデの顔、まだ覚えててるよ。酔ってたのに、一気に酔いが醒めてさ。
でも、その後二度目のキスまでは全然時間掛からなかったよね。その次も。不思議だよね。
私達、相性良いんだよ。戦いでも日常でも、愛し合う事も。だけど私達って意外と鈍いから、
お互い、身体に聞いて……身体に覚えこませて……刻み込まないと、わかんないんだよね。
だから、余計にトゥルーデの事が気になる。一緒に歩いてても、皆で食事してても、午後お茶してケーキ食べてても、
トゥルーデの事が気になってしょうがない。もう、ここまでくると病気だよね、笑っちゃう位にさ。
ホントは、いつでも、キスしたい。その先も。でも、さすがにまずいよね。仮にも戦場、最前線だしさ。
隊のエース二人でグダグダになってたら他のみんなももっとぐだぐだになっちゃう。

けどさ。トゥルーデ、その先がなかなか無いんだもん。……その先? ほら。この指輪は何? ちゃんと見てよ。
トゥルーデは「宝探しごっこ」だーとか言ったけど……、確かに私達の宝物だよ。間違ってはいないよ。
あの時はクリスまで使ってゴメンね。それは謝るよ。けど、クリスも話し聞かせたらノリノリだったんだよ?
え、どうしてシャーリーが婚姻届持ってるの知ってたかって? それは内緒。
……隠し事は無しだって? うーん。ルッキーニから聞いたんだ。なんか二人で色々用意してるらしいって。
だから先に頂いちゃったんだ。でも、いつリベリオンで受理されるんだろうね。ちょっと遅いよね。
早くマリッジリング付けたいよ。今度、ロンドンのお店に行こうよ。二人で色々見たいんだ。

トゥルーデ、いつも身に付けてくれてるし、私、この指輪買って良かったと思ってる。
お金で心を買うって訳じゃないけど、ふたりの結び付きって言うか、二人一緒の「何か」が欲しかったんだよね。
トゥルーデも「これと同じで、気持ちに曇りはない」って言ってくれたよね。ずしりと来たよ。嬉しかった。
指輪のお陰か分からないけど、私達、どんどん距離が縮まってると思うよ。心も身体も。
物理的にも。今まさにそうじゃん。こんなに顔近いのに? トゥルーデ、顔赤いよ。私もか。
トゥルーデ、ちょっと苦しいよ。抱きしめるのに力込めすぎ。でも、トゥルーデらしくて良いけどね。
ほら、距離がこんなに近い。もうゼロだよ。むしろマイナスかな。
……どうしてマイナスなのかって?
それは、すぐに分かるよ。
ホントは、もう分かってるくせに。
そう言うとこが、トゥルーデらしくて好き。
愛してる。ずっと一緒だよ。今までも、これからも。
私だけのトゥルーデ。

end

----

以上です。

エーリカ初出撃等に関するエピソードは、トゥルーデの秘め声CDの言及と
エーリカのイメージモデルの方のエピソードをwikiで調べて書いてみました。

ふたりがお互いに話しているシチュエーションは、ご想像にお任せします。

ではまた〜。
479名無しさん@秘密の花園:2008/12/08(月) 09:04:59 ID:UnHf7taK
>>474
続きktkr!
シャーリーは機微が分かる分意地悪したら手ごわいだろうなあ。対人戦術じゃ堅物は敵わないw
480名無しさん@秘密の花園:2008/12/08(月) 09:50:43 ID:XBrp2b7t
エーゲルが増えて俺大興奮
481名無しさん@秘密の花園:2008/12/08(月) 13:20:57 ID:AnehgzxC
大人な少佐と隊長も良いけど、この二人が初々しい時ってどんな感じだったか想像つかないな。
告白はやっぱ隊長からだろうか。
482名無しさん@秘密の花園:2008/12/08(月) 17:59:53 ID:Ox0ssWAQ
すごいなエーゲルが最近増えて普通に嬉しい
483 ◆eIqG1vxHTM :2008/12/08(月) 19:22:05 ID:Ox0ssWAQ
流れに?乗ってエーゲルを投下してみる
450kbも超えたことだし埋めネタ程度にありがちな話です


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それはある日のお昼頃の出来事

「やっほートゥルーデ」
「こら、入るときはノックしろとあれほど言っただろ」
「いやさ実は今ノックするのも大変な状態なんだよ」

ノックするのも?
そういえば動きが妙にぎこちない

「まぁとりあえず座らせて」

そう言って私のいるベットに座ってくる

「どうしたんだ?」
「昨日さトゥルーデがいきなり訓練だって事で、海に泳ぎに行ったじゃん」
「ああ」
「それで私も無理矢理連れて行ったよね」
「日頃怠けてるからな,丁度いい訓練になると思ったからな」
「知っての通り私は泳ぎが犬かきしかできません」
「あれはあれで器用な泳ぎ方だと感心してるぞ」
「それ褒めてるの?
まぁいいや兎に角、得意でもない泳ぎをずっと付き合わされ私の体は筋肉痛でガチガチです」
「おまえそれでも軍人か?」
「普段使わない筋肉だからだよ。
それでねトゥルーデにはその責任をとってもらおうと思うの」
「ちょっと待て、なんで私が責任を取らなければならない?」
「だってトゥルーデが連れて行かなければこんな事にはならなかったし、
それにこんな状態じゃ出撃しても私役に立たないかもしれないよ?」

うっ確かにフラウはいつもはだらけているが、いざ戦闘となると別人のように頼もしい
もし、フラウが役に立たないとなればこれはかなり大きな穴となる

「・・・私にどうして欲しいんだ?」
「揉んで」
「はぁ!?」
「だから私の体をマッサージしてって事」

「あぁ・・・・・そういことか」
「あれ?なに想像したの?」
「うるさい!いいから早く寝ろ!」
「せっかちだなぁ」

そう言ってうつ伏せになるフラウ

「全体的によろしく」

やれやれ勝手なやつだ
それでもフラウの言うことはなんだかんだで従ってやるのは
私がフラウに甘いからだろうか?
484 ◆eIqG1vxHTM :2008/12/08(月) 19:22:43 ID:Ox0ssWAQ
「はやく〜」
「まったくしかたないな」

とりあえずあまり強くやっても逆効果だろうから
軽くほぐす程度にしてやろう

「どうだ?」
「ん〜ちょっと痛いけど気持ちいいよ」
「ん?ちょっと強かったか」
「あっそれくらい……っ……ぁっ………んっ!!」

バッシ!

「急に変な声出すな!」
「痛い・・・・頭はたかないでよ」
「おまえが変な声出すからだ!」
「いやぁ〜トゥルーデがあんまりに上手いものだからついね」
「ついって・・・」
「ねぇトゥルーデ私の体どう・・・・・?」
「どうって・・・・・」

フラウの体
細くて繊細
この体が私と撃墜数を競ってるとは信じられない
私と違ってとても柔らかでそれでいて──

「筋肉痛がどうかって聞いたのに、なんで私の体をそんなにじっくり見てるの?」
「なっ!べっ別にじっくりなど見ていないぞ!」
「そっかぁ私の思い過ごしか」
「そっそうに決まっているだろ」
「でもじっくりマッサージしてくれのは嬉しいよ?」
「そうか?」
「うん。だってトゥルーデが私の体を触るのに集中してくれてるって事だからね」

そう言って、上気した頬をして
潤んだ目で私を見上げる
あぁまずい私は今興奮している

くるりと器用に私の下で体の向きを変え

ねぇ?トゥルーデ・・・・期待してる?」

この体勢
まるで私が襲っているみたいではないか
なんだか息が荒い
自分は今間違いなく期待してる

だから私はそっとフラウの顔に顔を近づけてた
互いの瞳にはもう相手のことしか写っていない
吐息が頬をくすぐる
我慢できず私はその残りわずかの距離を一気に──
485 ◆eIqG1vxHTM :2008/12/08(月) 19:23:12 ID:Ox0ssWAQ
コンコン

「!」

いきなりのノックの音に声も無く驚いてしまった

「トゥルーデお昼が出来たわ、食堂にいらっしゃい、ついでにフラウも呼んでね」
「あっああ分かったよミーナ」

驚いた、それに今この体勢を見られたらいい訳が出来ない

「ちぇっ残念」

そう言って私の下からするりとフラウが抜けてきた

「さてお腹空いたしおっ昼ごっはん〜」

そう言ってスキップで出て行こうとするフラウ
ん?スキップだと?

「おっおい!筋肉痛はどうしたんだ?」
「あぁもう直っちゃた」
「直るって・・・・」
「また夜になったら再発するかもね。そのときはよろしく〜」

そう言ってフラウは食堂に向かった
残された私はぼーぜんとベットに残されていた

「嵌められたのか?私は?」

あぁさすが黒い悪魔だ
無性に疲れた
倒れ込んだベットにはフラウの甘い香りがして
中途半端に高められたこの感情はどうすれば?
夜まであと数十時間
今日は長い一日になりそうだった


終わり
486 ◆eIqG1vxHTM :2008/12/08(月) 19:24:12 ID:Ox0ssWAQ
この後遅れて食堂に行って
何気ない顔でご飯を食べるフラウを恨めしく思い
挙動のおかしさをシャーリーにからかわれ
さんざんな日をお姉ちゃんは過ごしたはず
タイトルは「筋肉痛?」

ということでeIqG1vxHTMでした
487名無しさん@秘密の花園:2008/12/08(月) 20:19:23 ID:eiQMw0vU
>>485
振り回されて悶々とするおねえちゃんは大好物です! GJ!
エーリカ小悪魔だなぁw
488名無しさん@秘密の花園:2008/12/08(月) 20:35:13 ID:3wzw/+C+
おほほエーゲルきてる!
あっさりハメられるお姉ちゃん大好きです
小悪魔エーリカ大好きです
ついでにトゥルーデをからかうシャーリー大好きです
489滝川浜田 『何回君を愛したら chapter.1』:2008/12/08(月) 21:03:25 ID:4H46dhvZ
どうもみなさんこんばんは。
なんだかエーゲル祭りなので自分もエーゲル投下します。





トゥルーデの熱が私の身体を駆け巡る。

私にとってその時間は何より幸せな時間。
トゥルーデの吐息が私の心を乱す。

それは、私にとって、かけがえの無い時間で。


――何回君を愛したら chapter.1――


朝、目覚めたらトゥルーデが側にいるって言う幸せな現実。
私はそれが嬉しくて、今ある幸せをじっくりと噛み締める。

「トゥルーデやっぱり可愛いなあ」

私は、気持ちよさそうに眠っているトゥルーデの頬にキスを落とす。

すると、トゥルーデはくすぐったそうに身を捩る。

もう、本当に可愛いよ、トゥルーデ!

「ん……おはよう、エーリカ」
「おはよう、トゥルーデ」
「んん…そうか…あのまま寝てしまったのか…すまんな、お前のベッドなのに」
「ううん、別に良いよ。むしろトゥルーデなら大歓迎なんだから」
「ハハ、それは嬉しいな」

トゥルーデが時折見せる笑顔は私の意識を吹き飛ばすには十分過ぎる。

「…トゥルーデ…」
「ん?なんだ」
「えいっ!」
「ちょっと、なんだいきなり」

私は我慢出来なくなって、トゥルーデを押し倒す。
トゥルーデはビックリした顔で、私を見ていた。

490滝川浜田 『何回君を愛したら chapter.1』:2008/12/08(月) 21:05:58 ID:4H46dhvZ
「もう1ラウンドと行こうよ」
「おい、私はそんな体力は残ってないぞ」
「大丈夫!私がリードしたげるから!」
「…エーリカ」
「なに?」
「お前は“絶倫”だな」
「……それ褒めてるの?」
「お前に対する最大級の賛辞のつもりだが?」
「もう、トゥルーデのバカ」

私はそんなトゥルーデの唇に自分のそれを重ねる。

「トゥルーデ…」
「エーリカ…」

イイ感じ…だと思ってたのに、ムードはいきなりけたたましく鳴り響いたサイレンに打ち消された。

「なっ、なにっ…!?」
「ネウロイかっ…!」
「もうなんだよぉっ!イイ感じだったのに!ネウロイのバカ!」
「愚痴っても仕方ないだろ。ほら、服着ろ!」
「……絶対ネウロイなんか私が撃ち落としてやるんだから…!」

私達の第2ラウンドは突然のネウロイ出現によって、お預けになってしまった。

……ネウロイのバカ!

私の不機嫌な態度はトゥルーデにも伝わったみたいで。

「なんだ、エーリカ。むくれてるのか?」
「だって、私達の時間を邪魔されたんだよ?
これ以上の怒りがありますか!」
491滝川浜田 『何回君を愛したら chapter.1』:2008/12/08(月) 21:09:55 ID:4H46dhvZ
「まあそれは仕方ないだろうな。奴等とて侵略目的で現れているからな。
空気を読むとはとても思えんがな」
「そりゃ…分かってるけど」

すると、トゥルーデは私の頭をポンポンと叩く。

「帰ってきたら続きをやろう。…それでいいか?」
「…しょ、しょうがないなあ。トゥルーデがどうしてもって言うなら、付き合ってあげてもいいかな」
「フフ、素直じゃないな。
じゃあ、行こうか」
「…うん…!」


私達は互いの手をしっかりと握り合って、ひとまずミーナの元へ急ぐ事にした。


To be Next chapter…



第1話以上です。
言い忘れが2個ありました。
これ長編です。それで保管庫No.0364のあとの話になります。
若干辛い展開が待ってますが、前ほどでは無いと思います。
最後までお付き合いください。

…では、爺はここら辺で…

492名無しさん@秘密の花園:2008/12/08(月) 21:19:59 ID:XBrp2b7t
なんだこの流れは?
素晴らしすぎる
昔はエーゲルなんてなかなか無かったのに最近急に増えて嬉しい

じっちゃんGJ
続きまってる
493名無しさん@秘密の花園:2008/12/08(月) 22:39:37 ID:cEA4aFak
現スレKB予報士の俺が461KBをお知らせします
494名無しさん@秘密の花園:2008/12/08(月) 22:55:26 ID:SQ2hdEe4
真の予報士なら、いつ500kBを突破するかも分かるはずだ
495名無しさん@秘密の花園:2008/12/08(月) 22:57:41 ID:7eNE6A9c
予言しよう、明日中に500KB突破する
496名無しさん@秘密の花園:2008/12/08(月) 22:58:20 ID:cEA4aFak
俺も今明日中に突破するって言おうと思ったの!ww
497名無しさん@秘密の花園:2008/12/08(月) 23:24:15 ID:m7KbM4zZ
書きかけのやつ投下した上で+一人二人の協力者がいれば今晩中の突破もできるんだが、
まぁ迷惑なだけだし自重するw
498名無しさん@秘密の花園:2008/12/08(月) 23:36:06 ID:Ox0ssWAQ
>>497
協力ならするぞー
とい訳で微妙に連続になるけど投下して良い?
499名無しさん@秘密の花園:2008/12/08(月) 23:38:23 ID:qHX+CqPJ
>>497-498
どんとこい!自分も今から書く
500名無しさん@秘密の花園:2008/12/08(月) 23:43:07 ID:Ox0ssWAQ
それでは投下します

ホントは続きを書くつもりは無かったのに
いつのまにか書いていた>>485の続きです


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あれからフラウが食堂に向かった後
すぐに食堂に向かう気になれず
ベットの上で
「あー」とか「うっー」
うめき声を上げもんもんとしていた

やっとの事で食堂に向かうとすでに全員が食事を取っていた

「あら?トゥルーデ遅かったわね」
「ああっ、少しトイレに行っていたからな」
「そうなら良いのだけど・・・・・なんだか顔が赤いみたいだから
・・・・もしかして風邪かしら?」

そう言っておでこに手を乗せようとするミーナを避けつつ

「だっ大丈夫だ、今日は少し暑いからな」
「そう?でも夏風邪には気をつけてね」
「あぁ」

内心をさとられてないだろうかとヒヤヒヤしつつ、何時もの通りフラウの隣に座った

「遅かったね」
「ちょっとな」

お前のせいだよと言いたいが、隊のみんなも居るのでここは堪えた
かわりに恨めしそうな目で視線を送ったが伝わらなかった
フラウは何時も通りに元気にご飯を食べていたが、
私はなんだか胸がモヤモヤとしているので、なかなか食べれなかった

「あっ!それ食べないの?いただき!」

そう言って私のジャガイモを一瞬で取った
「あっ」と言う間にもうフラウの口のなかに収まってしまった

「こら!人の物を取るな!」
「ごめんごめん、でもトゥルーデ食欲無さそうだったから」
「・・・・そんなことは無いぞ」
「そっかでも今は食欲より性よ」
「なに言ってるんだお前は!」
「むーむー!」

とっさにフラウの口を手で覆う

「ぷはっ!いきなり何するの」
「お前!みんなの前で何言おうとしてるんだ!」
「え?だからトゥルーデは食欲よりあれで胸がいっぱ」

また手で口を塞ぐ
「もういい頼むから黙ってくれ・・・」
「ぶはっ!しょうがないな〜
さて、ごちそさま〜!」
501名無しさん@秘密の花園:2008/12/08(月) 23:44:31 ID:Ox0ssWAQ
いつのまにかフラウは食べ終わっていて、食器を片付けに行った。
部屋に戻ろうとして何かを思い出したかのように私の元に戻ってきて
耳元で
「我慢できなくなったからって一人でしちゃダメだよ?」
「なっ!」
「じゃ私午後から訓練だから!ばいば〜い」
「あっおい!待て!」

と言った時にはもうフラウは居なかった。

まったくなんて奴だ・・・
とにかく私も早く食べてしまおう

そうして食べていると
「おいおい随分良いように遊ばれてるな大尉殿」
「リベリオン・・・・」
「お前のそんな焦ってる姿初めて見たよ。やっぱ相手がハルトマン中尉だからか?」
「さぁな」
「しかしいくら仲が良いからって真っ昼間からするには、早くないか?」

こいつ、もしかして気づいてるのか・・・・・
いやそうとも限らない
これは罠だ

「なにを言ってるのか分からんが、私とハルトマンは昼は別々に居たぞ?」
「ふ〜ん」

なんだこいつの目は
とにかく早めに撤退しよう
これは戦略的撤退だ。うん負けではない

「まっいいけどさ、でも一人ではするなとはハルトマン中尉も酷だねぇ」
「ぶっ!」

こっこいつ聞こえてたのか?

「ゲッホ・・・おいお前・・・」
「あぁ私は兎だからね、足も速いけど耳も良いよ」

そう言って手を頭に乗せ兎の耳のようにする
なんだかんだで似合ってるのが無性に腹が立つ

「でもさ一人がダメなら二人ならいいんだろ?」
「??」
「鈍いなぁ〜だから私が相手をしてやろうかって聞いてんだよ」
「なっ!」

なにを言ってるんだこいつは!?

「どうだ?たまには違う相手とするのも悪くないかもしれないかもよ」
502名無しさん@秘密の花園:2008/12/08(月) 23:45:10 ID:Ox0ssWAQ
本気で言ってるのかこの兎は?
ニヤニヤとした顔で私を誘惑してくる
あぁしかしその誘惑に負けそうな自分が居る
この熱い疼きをどうにかしたいと・・・・
それに気づいて愕然とした

私はだれでもいいのか?

――いいやそんなわけは無い
私の相手はただ一人だけ――

「ふざけすぎだリベリオン」

そう言った私の声は無意識のうちに怒気を孕んでいたのだろう

それを聞いてシャーリーは
「性格も堅いが身持ちも堅いとは
まさに堅物だな」

肩をすくめそう言った

「まぁここでホントに乗ってきたら
困ってたけどね
私だって身持ちは堅いんだよ」

にわかに信じられんな

「おいおいそんな疑うような目でみるなよ。
しかし面白かったよ大尉殿、いつもは堅いお前の顔が、赤くなったり驚いたりして
まるで百面相のようだったよ」
「っこの!」
「おいおいそんなに怒るなって、ほんの冗談だよ」
「質の悪い冗談だ」
「ははっ悪かったよ、んじゃ私も午後から訓練だから」

そう行ってシャーリーは出て行った
なんだか今日はいろんな奴に遊ばれてる気がする・・・・


今日は特に訓練の予定も入ってないので、特にやることは無い
本当なら自主的に訓練をしたり、ストライカーを見たりするのだが
どうにもそんな気分になれない
あぁ私はこんなにも欲望に弱い人間だったとは・・・・
いや多分弱くさせられたのだろう
でも不思議と嫌では無いのはなぜだろうか?
やはり心を許せる人間が居るというのは大きい
人間いつまでも張り詰めたままで居るのは無理なのだから

とにかく部屋にも戻ろう・・・・
それからフラウの部屋の掃除でもしてやろう
フラフラと部屋に向かって居ると
ミーナと坂本少佐が居た

「っ!」

物陰に隠れて居る二人だが、ここからだとちょうど見える
二人がそういう仲だとゆうことは知っていたが
いざ旧知がキスしてる所をみるとなんだか変な気分になる
まぁ忙しい二人だからな、こうい合間合間でしか会えないのだろう
ここは気配を消して消えるのが部下の勤めというものだ
503名無しさん@秘密の花園:2008/12/08(月) 23:45:48 ID:Ox0ssWAQ
――トゥルーデの部屋

ミーナと坂本少佐を見て余計変な気持ちになってしまった
力なくベットに倒れ込むとかすかに香る匂い
そういえば最近とくに一緒に寝ることが多かったらなぁ
いつのまにか自分の匂いだけでなく、他人の匂いの混じった布団
それがなんだか無性に嬉しくて、ついにやけてしまう。
それにハッと気づいてすぐに顔を引き締めた

・・・・なにを一人で百面相をしてるんだわたしは
自分一人しか居ないの無性に恥ずかしくなった
はぁ時間を無駄に過ごすのは性分に合わない
フラウの部屋の掃除をしよう



――エーリカの部屋

ちょっと前に掃除してやったのに・・・・
これはある意味才能だな
散らかった部屋を眺めつつそう思った

それでも慣れた物で片付けを始めた
基本的には要る物と要らないもに別ける

「あぁ十字章をまた床に置いて・・・・」
「あいつって意外に酒に強いなぁ」

などと言いつつ手は止めず
すぐに分別が終わった

「ふぅとりあえずこんな物か」

時間はそろそろ夕方に差し掛かろうとしていた

「やれやれ今日はなんだかんだで疲れた」

そう言って一息つくために横になったベットは
フラウの匂いがして
あぁやはりこの匂いは落ち着く・・・・・
などと思いながらトゥルーデは夢の中へと落ちていった


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504名無しさん@秘密の花園:2008/12/08(月) 23:46:22 ID:Ox0ssWAQ
「ーデ・・・トゥルーデ・・・起きてー」
「あぁ寝てしまったのか・・・ん?」

体が動かない・・・?
目を開けるとそこには見慣れたフラウの顔
そして私に覆い被さっている
まるで朝とは位置が逆だなぁ
と寝ぼけた頭で考えていると、首を吸われた

「んっ・・あっ!」
「目覚めた?」
「どういうことだ?」
「どういう事だじゃないよー
折角訓練終わってお風呂入って
トゥルーデの部屋行ったら居ないからさぁ
しょうがないからトゥルーデのベットでごろごろしてたけど
なかなか帰ってこないから、一端自分の部屋に帰ってみようと思ったら
トゥルーデが私の部屋にいるんだもん」
「それはお前の部屋が汚いから・・・・・」
「あぁ掃除してくれてたんだ、ありがと
でもさぁ、私の気持ちとしては、さぁ!と意気込んで行ったのに
なんだか肩すかしを食らった気分でよけいもんもんとしてたんだよ?」
「・・・・そんな事言われても・・・・・」
「むー実は私もあのときからずっと我慢してたんだよ?
トゥルーデみたいに顔には出さないけどさ」
「・・・そうなのか?」
「そりゃそうだよーあんは中途半端で止められちゃね。
だから・・・」
「だから?」
「昼の続きをしようか?」
「・・・・いまからか?」
「もちろん!――それに」
「んっ!」
「トゥルーデだってこんなに敏感に反応しちゃって
ずっと我慢してたんでしょ?」
「・・・・・」

分かっている
フラウには逆らえないという事は、
それに私自身も我慢の限界だった
ようやく覚醒してきた思考は、すでにフラウの事だけを考えていて
昼と同じように頬をくすぐるのは甘い吐息
言葉が無くても気持ちは同じ
二人はどちらともなく唇を近づけた――



終わり
505 ◆eIqG1vxHTM :2008/12/08(月) 23:47:33 ID:Ox0ssWAQ
エーゲルは大好物だけど、ハルトマンのキャラが難しい
お姉ちゃんが匂いフェチの変態になってしまった
後シャーリーがこんな性格でない気がするけどそこは二次創作
思ってたより長くなってしまった

やっぱり文書書くのは難しい
それでもは機会があればまた
というわけでeIqG1vxHTMでした
506名無しさん@秘密の花園:2008/12/08(月) 23:49:21 ID:AB+uBN2C
GJGJ!!メロメロお姉ちゃんたまらん
そして残り10分ちょっと……!!
30kbはさすがにきついか……。
507 ◆eIqG1vxHTM :2008/12/08(月) 23:54:49 ID:Ox0ssWAQ
ぎゃー!リベリオンじゃなくてリベリアンだった
ちゃんと確認すればよかった
ごめんよシャーリー
508名無しさん@秘密の花園:2008/12/09(火) 00:01:35 ID:xOTE0ZiF
エイラとお姉ちゃんキボンヌ
509名無しさん@秘密の花園:2008/12/09(火) 00:08:59 ID:V7E2B63y
すごい速度だなぁ
510名無しさん@秘密の花園:2008/12/09(火) 00:15:33 ID:24dGaT3M
>>504
シャーリーに凹まされエーリカに振り回され…でもそんなお姉ちゃんがかわいいw GJ!
ハルトマンはキャラ分かりにくいと思います
511名無しさん@秘密の花園:2008/12/09(火) 00:21:15 ID:7nNtATHK
最近新しい書き手が増えたな
512510:2008/12/09(火) 00:25:50 ID:24dGaT3M
>>504
あ、すみません。ハルトマンはキャラ分かりづらいってのは
俺が書こうとするとつかみづらくて難しかったって意味です
小悪魔は堪能させてもらいましたw

誤解されると困るので補足
513名無しさん@秘密の花園:2008/12/09(火) 01:04:17 ID:szlmRut+
本スレにゲーム情報きてるけど
dsのほうは新キャラいるっぽいけどなんかps2のほうはいないんじゃないかを
期待させてくれるような書き方だね。まさかのキャラ選択制が来るかもしれない!
キャラ選択制なら色んなカプの妄想ひろがんだけどなぁ
514名無しさん@秘密の花園:2008/12/09(火) 01:06:09 ID:xXN9cafl
キャラ選択制来たら神だな、いままでそういうゲーム見たことないから期待薄だけど
515名無しさん@秘密の花園:2008/12/09(火) 01:14:30 ID:4DoSER02
>>514
今までこんなパンツをパンツじゃないと開き直ったアニメがあっただろうか?いや、ない
つまりそういうこと
516名無しさん@秘密の花園:2008/12/09(火) 01:42:48 ID:Rwch9uv4
ここの住人は新キャラすらカップリングを作るから問題ない
むしろスレが伸びる気さえするのでシャーゲル分を補完 3レスほど投下します




「バルクホルンさんて結構かわいいとこあるよね。」

宮藤が思い出したかのように呟く。
同時に、ホットドックをかじるあたしの口もぴたりと止まった。

「そう、なの?私は大尉のそういうところ、見たことないなぁ・・・。」

隣にいるリーネが間延びした声で返す。
たまにはハンガーでお昼を食べないか、と二人を誘ったことを後悔し始めた。

「そっかぁ・・・・・・シャーリーさんはどう思います?」

急に水が飲みたくなって、水差しに手を伸ばす。
頼むからあのシスコンを墜とした純粋な目で見つめないでくれ、宮藤。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「もうバラしちゃってもいいだろー?」

昼間の出来事を話し終わって、ベッドでうつぶせのまま、あたしは毛布を肩までかけた。
隣で横になっているバルクホルンの肩にも被せてやると、いつものお説教口調でこう言われた。

「何を言うか。本来なら我々の関係は軍人としてあるまじきものだ。それを言い触らしてみろ、営倉行きは免れんぞ。」

思わず、どうしてこいつはこんなにも頭が固いんだと溜め息をついてしまう。
エイラとサーニャも中佐と少佐も付き合ってるのはバレバレだってのに、あたしらはひた隠しにしろときたからなぁ・・・。
融通の利かなさは部隊随一の規律人間で、側にいるだけで息がつまりそうな奴だ。
真面目で努力家なのは認めるけど・・・でもこいつが堅物じゃなくなったら、あたしはどうするんだろ。
なんだかんだ言って、堅苦しさまでも好きになってしまったあたしは――。
517名無しさん@秘密の花園:2008/12/09(火) 01:44:00 ID:Rwch9uv4

「考えても無駄か・・・。」
「ん、なんだって?」
「ああ・・・二人で一つの営倉に入るのも悪くないかなって。」
「馬鹿を言え、私はお前と違って牢は好きじゃないんだ。入るなら一人で入るんだな。」
「おいおい、それじゃあたしがあそこに行くためにわざと規律違反してるみたいじゃないか。」
「違うのか?てっきりホテルがわりにしているものだと思っていたが。」

ジョーク、なんだろうか。
相変わらず真顔で言うから、本心なのかもしれないけど。
そういえば宮藤が来る前のギラギラした冷たい雰囲気はもう、あたしの前で見せることはないんだよね。
現に今、バルクホルンは少し困ったように目元を緩めて、あたしの頬を撫でだしたから。

「会心の冗談を言ったつもりだったんだがな、もっと笑ってくれてもいいだろう。」
「・・・真剣な顔で言われちゃ、笑えるジョークも笑えないよ。」
「これでも笑ったつもりなんだが。」
「あれで?全然笑ってなかったろ〜。」
「誰が何と言おうと笑ったのだ!」

また、いつもみたいにムキになった。
いつもと同じバルクホルン。
皆の前ではリベリアンと呼ぶのに、二人っきりならファーストネームで呼んでくれるバルクホルン。
皆の前では毅然と振る舞うのに、二人っきりなら微笑みかけたりもするバルクホルン。
どっちも彼女で、どっちの彼女もあたしは好き。
そういうのを全部引っくるめて、とにかくあたしはこいつが好きなんだ。
頬を撫でる手は、あの馬鹿力に似つかわしくないほどつやつやで、触られるのが気持ちいい。
その手を少しずらし、甲に軽く口付けて自分の手を重ねる。
触れる指先が暖かい。
ほんとは、このきれいな指をずっと舐めてみたいんだけど、やると怒られそうだなぁ。

「そのうちポロっと言っちゃいそうだなぁ、付き合ってるって。」
「私だって隠し事は得意じゃないんだぞ・・・我慢してくれ。」
「案外中佐は知ってたりして。」
「笑えない話だ・・・。」
「あははははっ」
「ふふ・・・」

こんなに自分と対照的な人間と笑いあう―それも互いの体を求めあった後に―なんて、考えもしなかった。
初めてここで会った時、挨拶もそこそこにどこかへ行っちゃうわ、態度は冷たいわで第一印象はもう最悪だった。
命令だ規律だとうるさくて、お堅い奴だと閉口した時もあった。
まぁ、今でもたまにあるけどね。
いけすかない上位下達人間か?なんて疑ってたけど、それが見当外れと分かるのにそう時間はかからなかった。
それに気付く頃にはもう恋に落ちていて、あの思い出すだけで恥ずかしい告白を経て・・・。
518名無しさん@秘密の花園:2008/12/09(火) 01:45:51 ID:Rwch9uv4

「いつにも増して上の空だな、シャーロット。眠いのか。」
「え・・・ああ、ごめんごめん。そうじゃないんだけど。」
「・・・私だけ満足していないように見えるじゃないか。」

消え入るような声で呟かれても、あたしをノックアウトするには充分な一言。
そう、こいつにはこれがある。
リーネのボーイズのように、連射はきかないが当たれば一撃必殺。
コアなんて粉々ってわけだ・・・何度あたしのコアが砕かれたことか。

「じゃ、お互い疲れ果てるまでしようか。」
「おい待て、そういう意味で言ったんじゃない。第一明日は食事当番――っ!」

仕返しをしてやるんだ。
年上だなんて関係ないね。
あんたは気付いてないかもしれないけど、あたしだって撃墜されっぱなしなんだから。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ミーナ「あら?今朝の当番はトゥルーデよね?」
リーネ「食堂に行ったらバルクホルン大尉がいなかったので、捜しにいったんですけど見つからなくて・・・。」
宮藤「どこ行っちゃったんだろうねー?寝坊なんてしないのに。そういえばシャーリーさんも寝坊かなぁ?」
ミーナ「ああ・・・ええと、きっとあそこに居るから・・・あ、後で呼んでくるわね。(スタスタ)」
リーネ「・・・・・・やっぱり、シャーリーさんと・・・。」
宮藤「ミーナさん顔赤かったね。具合悪いのかな?おうどん作っておいてよかったぁ。」
リーネ「芳佳ちゃん・・・ナイショだけど、シャーリーさんとバルクホルン大尉は付き合ってるみたいだよ?」
宮藤「ええっ!?そんな・・・そんなことになったら・・・・・。」
リーネ「よ、芳佳ちゃん?」
宮藤「二人の子供のおっぱいがすごいことになるよ!すごいねリーネちゃん!」
リーネ「・・・・・・。」





以上です。秘め声から色んなネタ拾えますね。
519名無しさん@秘密の花園:2008/12/09(火) 02:20:06 ID:t5sSv/js
>>514
ガンパレとか
520名無しさん@秘密の花園:2008/12/09(火) 02:32:06 ID:01wtYJbL
>二人の子供のおっぱいがすごいことになるよ
あなたの脳が大丈夫か,というか,良すぎるw
521名無しさん@秘密の花園:2008/12/09(火) 02:41:14 ID:2FZJ20eu
その理屈だと芳佳とリーネの子供は並乳ですかおっぱい魔人さん
522名無しさん@秘密の花園:2008/12/09(火) 03:20:49 ID:XUctHcUJ
芳リーネとエイラーニャの子供ネタは以前あったが胸のサイズまでは書かれてなかったなw
5231/3:2008/12/09(火) 03:39:23 ID:b38eNJYD
※埋めミーリカ

「ねーミーナー」
「なにかしらー」
「ひまー」
「あらー、そうー」

間延びした声で話しかけてくるものだから、ミーナの声もつい間延びしてしまう。
執務室に備え付けられたソファにだらしなく寝転がって、柔軟な体でごろごろとしている女の子。

「ねえ、フラウ」
「んー?」
「私、お仕事中なの」
「うん、見れば分かるよ。がんばってー」

机の上にある、片付けるべき書類は山ほどで、その中には彼女がやらかしたことへの報告書も含まれて
いる。もちろんどれもミスなど許されないものばかり。
けれどもエーリカときたらそんなの知らぬ存ぜぬといった顔で、平然と私に話しかけてくるのだ。
ぱたぱたと手を振って、にこにこと微笑んで。たまにこちらにやってきて、暇だよ構ってよ、なんて駄々を
こねる。ウィッチとしてはもうベテランの域に足を突っ込んだ、16歳だとはとても思えない。

「遊んでもらうならトゥルーデにしてちょうだい。ね?」
「いまトゥルーデ私の部屋の掃除してるから手伝わされるもん。やだよー」

仕方なしに、同郷の友人を引き合いに出すも全くもって効果なし。
そもそも『自分の部屋の掃除』を『手伝わされる』というのがおかしいのかもしれないけれど、エーリカ相手
にそんな常識が通用するとはとてもとても思えない。

だから、ねえ、構ってよ。にこにこと、人懐っこい笑顔で見つめてくる。勘弁して頂戴、とミーナは笑って
肩をすくめる。口を尖らせて、えー、なんていって、またソファの上で寝返りを打った。身動きを止めたと
ころを見ると、このまま昼寝と決め込むらしい。まるで子供、まさに子供。見た目も、中身も。どこか心が
洗われて、どうしてか笑みを浮かべてしまうほどに。

(…この子があの『黒い悪魔』だなんて)

誰が信じられるだろう?ミーナは思う。今自分の視界の端で、ぐだぐだと駄々をこねている幼い顔のあの
少女があのゲルトルートと肩を並べるほどの撃墜数を誇るカールスラント空軍、いや世界きってのウィッチ
だなんて。
だってはじめて彼女にあったときは、ミーナとて信じられなかった。思わずゲルトルートに確認をしてしまった
ほどだった。ねえ、この子が?嘘でしょう?けれどゲルトルートは力なく首を振って、彼女らしくも無く少し
笑んで、『ところがそうなんだ』と答えるだけで。

見れば分かる、と告げられて、連れ立って飛んだ空の上で、別の次元を見たことをミーナは良く覚えて
いる。ゲルトルートこそ恐らくは、世界一だと信じてやまなかったミーナだった。それは別に友人として過
大評価したからではなく、むしろ友人だからこそ辛口に評価しても、ゲルトルートの空戦センスは逸脱して
いたからだ。

それだのに、どうだろう。
ゲルトルートと二機編隊を組んだエーリカ・ハルトマンはそのゲルトルートと同等、いや、むしろそれ以上
のセンスを持っていた。…何より驚くべきはその上に更に、風を操る固有魔法をその身に宿していたこと
だ。攻撃にも応用できる固有魔法を持ったウィッチはとても少ない。ミーナのそれはどう考えてもサポート
系統であったし、ゲルトルートの固有魔法は戦闘に直接関わるものではなくて。

5242/3:2008/12/09(火) 03:39:53 ID:b38eNJYD

この世にもしも、運命をサイコロだとか、くじ引きだとか、もしくは好みだとかで決める存在がいるのだとし
たら──この少女はきっとその存在にひどく愛されて生まれたのだ、と思った。尊敬も羨望でもなく、ただ
抱いた感想は「すごい。」ひとつきり。

(…でも、『黒い悪魔』だなんて)

物思いにふけりながら書類をこなし、区切りがついたところで同僚を見やると彼女はやはり、ソファーの
上で丸くなって穏やかな眠りについていた。…まるでロマーニャのフランチェスカのようだと、思わず笑みを
漏らす。けれど彼女はまだ12歳。こちらはそれより4つも上だ。それなのに。

「風邪引くわよ、フラウ」

立ち上がって、近づいて。彼女に話しかける。フラウ、お嬢さん。戦果などとは関係なしに、その見た目
から名づけられた愛称だ。その響きはどこか、彼女のその金髪の柔らかさと似ている気がする。だから
だろうか、ミーナは彼女をそう呼ぶのが、とてもとても好きだった。
ねえお嬢さん、お嬢さん?呼びかけても一向に目を覚ます気配の無いエーリカに、何度も何度も呼び
かける。どうやらぐっすり眠っているようだ、本当に寝つきの良い子だわ。ミーナは嘆息する。呆れなのか、
感心なのか、自分でもよくわからない。

(ハルトマンのやつ、スボンを脱いでいる途中で眠ることが出来るんだぞ。しかも床で!!
 あんなに散らかった部屋の、何がおちているか分からない床で、床で!!
 信じられるか!?信じられないよな!?)

いつもは寡黙を装っているくせに、ミーナの前では、ことエーリカに関しては、非常なくらいに声を荒げる
ゲルトルートは、エーリカの話が正しいなら今頃エーリカの部屋でぷんすかと怒っているのだろう。本当は
必要とされて嬉しいことを、ミーナは良く知っているけれど。昔からのことだが、ゲルトルートは本当に
不器用で素直ではない。だからこそ、器用すぎる上に素直すぎるエーリカとしょっちゅう対立してはどちらか
がミーナのところに駆け込んでくるのだった。…恐らくは今日もその、掃除の件で二人はもめたのだろう。

…そしてお互いに文句を言いながら結局は謝りたくて、けれどどうしたらいいのかわからずにここに駆け
込んでくる二人をミーナは心底愛しいと思うのだった。仲が良いことに越したことは無いけれど、そうして
思い悩んでいる二人の相談に乗ったりするのは存外に楽しいのでつい、フォローする手を緩めてしまう。
だってそうしたらまた、どこかで綻びて自分が必要とされるから。ミーナだってたまにはこっそりわがままを
通したいときがある。

ふう、とため息をついて、クローゼットの中からブランケットを取り出した。
ねえ、お嬢さん?ソファの背からもう一度呼びかける。…反応は、無い。
ねえ、ねえ、フラウ?前面に回りこんで腰をかがめて、更に一度。黒い悪魔と評された小さな小さな女の子
は穏やかに寝息を立てるだけだ。

「…もう」
しかたないわね、と呟いて、ミーナはブランケットを広げる。彼女が体調を崩したら、本人以上に役立たず
になるものがいることなど、ミーナには簡単に想像できた。…もちろん心配するのはそれだけの理由では
ないけれど。

ゆっくりおやすみなさい、おじょうちゃん。
呟いて、ブランケットをかけてやろうとしたその瞬間。
ぐい。
腕がぎゅうとつかまれた。そして手前に引き寄せられる。今まで寝転がっていた人物がひょいと起き上が
って、そしてミーナはその傍らにぼふ、と倒れこむ形になった。

「つかまえたー」

そして間延びした声が、すぐ傍らから。

5253/3:2008/12/09(火) 03:40:51 ID:b38eNJYD

「ちょっと、冗談は止めなさい、フラウ!」
「ミーナはこれから、私とお昼寝に決まりっ!」
「だから冗談は…っ」
「冗談じゃないでーす」

ねえねえちょっと休もうよ、根詰めたら倒れちゃうよ。頭ごと抱え込むように抱きしめられる。しばらくする
といつの間にやらミーナの頭はエーリカの膝の上にあって、ブランケットはそのミーナの体の上にかけ
られているのだった。

「私は大丈夫よ、まだやらなくちゃいけないことがあるの」
「そんなのトゥルーデがやってくれるって。あれって一応副官なんでしょ?」
「…あなたはいつも、楽観的ねえ、フラウ」
「前向きって言ってちょうだいな」

起き上がろうとしても、強い力で押しとどめられる。温かいからいなくなっちゃやだー、などと理由をいつの
間にかすり替えているけれど、その裏に隠された本心なんて、ミーナはすぐに読み取ることが出来た。
…確かにここ数日、あまり休んでいないい。イレギュラーな出撃に合わせて大量の書類が舞い込んできた。
各国が好き勝手に送りつけてくるものだから、いちいち訳さなければいけないのも面倒だ。

「トゥルーデには怒られ慣れてるから、私が怒られてあげるよ。ね?」

優しい言葉と、温かい温もり。午後の日差しが柔らかく、部屋の中に差し込んでくる。
疲れが体の奥から染み出してきて、ミーナの頭に大挙して来た。多勢のそれに、理性は無勢。成すすべも
無くあっさりと陥落して、とろとろと意識が融けていく。

おやすみ、と。最後に聞いた声は彼女の金髪のように、彼女の愛称のように、ふわふわと柔らかくて。
ミーナはなんとなくもう一度「フラウ、」と呟いた。





(フラウ、ねえ…)

自分の膝の上でいとも容易く陥落してしまった上官の、最後の呟きを聞いてエーリカは一人嘆息した。
この上官が、恐ろしく柔らかい声で自分の事をそう呼ぶのをエーリカはよく知っている。どうしてか、彼女は
その愛称をいたく気に入っているらしい。

フラウ。祖国の言葉で、お嬢ちゃん。自分の容姿が幼いがために名づけられたあだ名。
からかわれているようで実はあまり好きじゃなかった、と言ったら、もしかしたらミーナは悲しい顔をする
のかもしれなかった。だからエーリカは今まで一度もそれをミーナに告げたことは無い。
フラウ。ミーナの綺麗な声が、柔らかな発音が、エーリカの耳にもう一度蘇る。なぜだろう、ミーナにそう
呼ばれることは全く嫌ではないのだった。むしろどこか嬉しい自分がいるのに、エーリカはいつも驚く。
今ではもう違和感なしに、そう呼びかけられて振り向ける自分がいる。だってミーナはやさしいからだ。
どこまでも、どこまでも、優しいから。

(ゆっくりおやすみ)

かつて妹のそれをよくやっていたように、髪をかきあげて額を撫でる。相当疲れが溜まっていたのだろう。
ミーナが起きる気配は無い。ねえ、お願いだから無理はしないでね。だってすごく、大切なんだ。
多分いつかどうせ、ゲルトルートが自分をここに探しに来る。これは二人で眠りこけて、どちらに怒れば
いいのかわからない状態にするのも面白いかもしれない。
そうほくそえんで、エーリカはミーナの体にかぶさるように眠りにつくことにした。



変更無いよね?立てに行ってくる
526名無しさん@秘密の花園:2008/12/09(火) 03:45:36 ID:CSlUdrZA
もう埋めの季節か
527名無しさん@秘密の花園:2008/12/09(火) 03:46:58 ID:b38eNJYD
ストライクウィッチーズでレズ百合萌えpart13
http://babiru.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1228761837/

立てました
埋めネタも出来てるので埋めてしまうね
528名無しさん@秘密の花園:2008/12/09(火) 03:49:47 ID:b38eNJYD
※埋めエイラーニャのようなもの 自慰表現あり


この感情が、体の反応が、どんな意味を持つのかなんて分からなかったから、私はただ無我夢中でそれを
求めて貪ったのだった。
これはあなたの求めるものよ、あなたの大好きなものよ。と私と同じ声を顔を姿をした『彼女』がそういって
差し出して来たものだから、無知だった私は何の疑いも持たずに受け取ってかじりついた。――それが甘い
甘い、けれど怖い、禁断の果実だとも知らずに。口にしたその瞬間私はひとつ賢くなって、けれどもそれ以上に
愚かになった。そして、止めることなど出来なくなった。
だってそれが触れてはいけないものだって、今まで誰も教えてくれなかったのだもの。人として生きたと語る
にはあまりにも短い十年と少しの人生の中で、私が教えられたものはたったふたつ。


それは、ピアノの弾き方と、敵の倒し方。それだけだった。


それを初めて「心地よい」と感じたのは、あるとても冷え込んだ朝のことだった。いや、当初はそのような快い
ものだとも知らなかった。それはある種の異常なものであり、けれど私の感情の海の中を頼りなくたゆたう
常識と言う名の小舟を文字通りひっくり返すのに十分な衝撃を持って私に押し迫ったのだ。
甘い甘い痺れのような感覚だった。ガリアンのあの人が放つ電流のようなものが、『それ』が『そこ』に触れた
ときに走った。それはそれは微かな疼きだった。そう、一番最初は、間違なく。


彼女の寝顔の穏やかなことをこの世で一番知っているのはこの私だと、私は胸を張って自負することが
できる。意外な程に寝相の良い彼女は私が夜間の哨戒任務を終えて彼女の居室に潜り込むと、まるで
ひとつの彫刻であるかのように一切の寝乱れもなくベッドに横たわっているのだ。不思議に柔らかな黄味を
帯びた銀色の髪が、まるで絹のように彼女の背中に伸びている。ほう、と言う感嘆の息を、私はなんど吐いた
ことだろう。

(エイラはさ、黙っていれば美人だよな、黙ってれば。)
リベリアンのあの人が、私ごしに彼女を見やりながらそんなことを言っていたのを小耳に挟んだことがある。
じゃあしゃべったら違くなるの?尋ねたロマーニャの子に肩をすくめてこう答えていたっけ。

(そりゃあれだけ『不思議ちゃん』ならなあ)

エイラの考えてることは本当にわかんないよ。そうだね、エイラのことはわかんないね。
あっはっは、と、馬鹿にするわけではなくむしろ親愛のこもった、そんな二人の笑い声を聞きつけたエイラが、
私の頭を追い越しざまにふわりと撫でて「サーニャを笑うなー!」と前に出て行って。何をするのかと思ったら
みぞおちの脇辺りをどこからか持ってきた棒でつつき始めたのだった。どうしてだろう、さらに笑い出す二人を
見て「ざまーみろ」なんてニヤニヤして、そしてすぐに私のところに戻ってきた。私のことじゃないよ、あの人
たちが笑っていたのは。一応そう訂正したら「ああそうなのか、ならよかった」なんてほっとしたように笑って、
それ以上機構ともせずにぜえぜえと苦しげに息をして身悶えしているシャーロットさんとルッキーニさんに
坂本少佐から教えてもらったのだという宣戦布告の合図、『あかんべい』をしてみせた。

それをみながら私はなぜか、たぶんエイラは自分が笑われたのだと聞かされても「ああそうなのか」で済ませ
たろうと思った。

529名無しさん@秘密の花園:2008/12/09(火) 03:50:19 ID:b38eNJYD

…シャーロットさんの言うとおり、エイラはとてもとても綺麗な人で、それと同時にミステリアスな人でもあるの
だった。どんなに掴み取ろうとしてもエイラの心はつかみとることが出来ないような気がする。それはさながら
頭上にいつも広がっているのにどれほど伸ばしても届かない空のようで。けれどもその空にぽっかりと浮か
んだ雲のような彼女の内心の切れ端に触れることで、なんとか私はここにいても良いのだと、頼りなく認識
していた。けれど実際は、それ以上を求めてもいたのかもしれない。それ以上でも良いのではと、心のどこかで
期待していたのかもしれない。

あの寒い寒い朝、眠るときいつもそうするように衣服を脱ぎ捨ててベッドに入り込んだ。シーツまでも冷たい
空気に冷えていたから倒れこむことはせず、穏やかに眠る彼女の腕を横から抱くように、私はずいと身を
寄せたのだ。

(?)

それは甘い疼きだった。エイラの体の横に当然のように倒れこんだ二本の腕の右側の、その先にある右手。
それが私の腰の辺り、有り体に言ってしまえば股間に触れてしまった。そこは自分で洗いなさい、とエイラが
いつも困った顔をして言う二つの場所の片方だ。もうひとつはそれよりももっと上にある、ささやかでしかない
二つのふくらみで。

なんであろう、ともう一度、腰をくいと動かした。エイラの指と私の下着とその下にあるその器官とが、それぞれ
こすれて熱を持って。ああ、なるほどこの感じはここをこすると生まれるのか、とそんな機械的な感想を
抱いた記憶がある。くすぐったくて少し不快な気もするのに、どうしてだろう、やめられない。それはそれは
とても不思議な感覚だった。

自慰、なんて言葉は知らなかった。性のことなんて誰も教えてくれなかった。
…だからこれが禁断の果実だなんて、私は知りもしなかったのだった。
口にしたら戻れない、けれども甘い、熱い欲望のことだったなんて。


…それは週に何回くらいだろうか。不意にそれが募って仕方がなくなることがある。欲しい、と体が言うもの
だから、抗えずに私はエイラに寄り添ってしまう。彼女の美しい肢体にほう、と息をついたあと、起こさない
ように静かに身を寄せて、下部のほうへと潜り込んで──まずは彼女のその指を、口に含んで濡らすのだ。
いっぽん、にほん、さんぼん。なぜだろう、そうしているだけで私の体は何かの期待に高まって更に熱くなって
いく。くちゅ、くちゅと部屋に微かに響く水音にエイラが起きはしないかとおびえながら、けれども止めることが
出来ずに夢中でその指をむさぼるように舐めまわす。綺麗な綺麗な指だった。真っ白で、長くて、細い。つめ
は短く切りそろえられているから、痛めることも無い。なによりもそれは、あの綺麗なエイラの指なのだった。
私にとっては彼女そのものでさえあった。

準備を終えると姿勢を正して、彼女の横顔を見るように倒れこんで。そしてその手を私の下の下着のところに
自ら導くのだった。右手を添えて、意のままに動かしても、自分の指ではないというだけで全然違う。エイラ。
ポツリ呟くとそれだけでまた体が熱くなった。目を閉じる。にこ、と笑うエイラの顔を、私は簡単に思い浮かべる
ことが出来る。サーニャ。私に呼びかけるのを、簡単に想像することが出来る。残された左手で口をふさいで、
懸命に声を抑えながら何度も何度も叫ぶ。エイラ、エイラ、エイラ。妄りの想像の中でエイラが私の股間を
まさぐって、あのいたずらっぽい顔で尋ねるのだった。

(サーニャ、気持ちイイの?)

530名無しさん@秘密の花園:2008/12/09(火) 03:50:50 ID:b38eNJYD

そうして、胸に手を伸ばす。エイラが面白半分でリネットさんやシャーロットさんにするのと同じように、ちょっと
乱暴に揉みしだく。もちろん現実にエイラがそうしているわけではないから、実際は私自身の小さな手だ。
それでもそんな想像をするだけでどうしてか気持ちはどんどんと高まっていくのだった。いつの間にか口を
おさえるのも忘れて私は声を上げている。

「エイ、ラ、ああ、あ、そこがイイの、気持ち良いのっ」

先ほどとは別の水音が部屋に響く。エイラの指に触れた箇所は、下着なんてもう何の意味も成さないくらい
ぐしょぐしょに濡れていると知っている。…この無色透明な液体が一体なにを意味するものなのかも、私には
まだわからないのだった。でもエイラに聞いてはいけないのだということだけはわかった。だって必要なことなら
エイラは教えてくれたろう。ここを触るとこんなものが出てしまうから、だからここは自分で洗わなくちゃいけ
ないんだよ、なんてお風呂で教えてくれたろう。それをしなかったということはやはり、教えられない事情が
あったのだ、多分。
じゃあ、これはもしかして悪いものなのだろうか。生理現象として定期的に排泄されるものとは明らかに違う
このおかしな液体を無意識にもらしてしまう私の体は、もしかしてどこかおかしいのではないだろうか──

(そんなこと、どうでもいい)

けれどつまるところ、そんな結論に行き着いてしまうのだった。…ふと思いついて、懸命に押し付けていた
エイラの手をはずして下着までもずりおろしてしまう。だってどちらにしても濡れているのだ、なら直接触れて
しまえ。そう言い訳して、再び禁断の果実をひとかじりした。含めば含むほどに甘い味が広がるその果実から、
私はもう離れられそうな気がしない。

「…あっ!!?」

私の操るエイラの指が、今度は直接そこに触れた。水音がひときわ大きくなる。ぐちゅぐちゅと液体がかき
回される音。指の感触が直接伝わる。ああ、こんなに気持ちよいのなら最初からこうしておけばよかった。
こうして下着の上から触れられるだけで我慢していた最初の頃なんて想像付かないくらいに、いつの間にか
私は大胆になっていた。毛布の中とはいえ、私は今ほとんど裸なのだ。

想像の中のエイラはいつもと同じように優しく、けれども激しく、私の一番気持ちよいところを的確に突いて
いくのだった。…こうして、エイラに触れられているのを想像するとさらに気持ちが良いと知ったのは、この
行為を知ってすぐのことだった。自室で何気なく触れても何だか心地が悪いだけだった。けれどあの、エイラの
指を想像した途端に、エイラの顔を思い起こした途端に、突然あの透明な液体が股間からあふれ出した。
そして私は理解した。ああ、気持ちよくなるとこれは出てくるのだと。と言うことはきっと悪いものではないの
だろう、と勝手に解釈をした。

「あ、ああ、あ、ああ」

口にする声はもう、言葉にならない。直接の刺激が心地よすぎて、快楽の波から抜け出すことが出来ない
のだ。あん、あん、と情けない犬の鳴き声のような音を漏らして、それだのに体はどんどんと高まっていく。

「えい、ら、えいら、えいら…ぁ!!!」

531名無しさん@秘密の花園:2008/12/09(火) 03:53:07 ID:b38eNJYD

想像の中で、手を伸ばす。ねえ、ねえ。キスをせがむ。なぜこの行為からそこに繋がるのかは分からなかった
けれど、とにかくその唇で何もかもに触れて欲しかった。そうしたら体だけでなく、どこかぽっかりと穴の開いた
この心までも満たされる気がした。
けれども想像は想像でしかなく、伸ばした腕も空を切るだけで。
突然、白いペンキをぶちまけたように視界が真っ白に染まり始めた。エイラの姿も消えていく。
いや、いやなの。消えないで、いなくならないで。愛して欲しいの。


…けれど想像の中のエイラは淡く笑うだけで、やっぱりキスなどしてくれないのだった。





(…また、やっちゃった)


『それ』をしたあとはいつも、言いようのない自己嫌悪に陥るのが常だった。あんなに耳元で大声を出した
のにもかかわらず、最初と同じ彫刻のような美しさで横たわっているエイラと、はしたなく下着をはだけさせて
荒い息をついている自分のこの違いに愕然とするのだ。果実を口にして賢くなった私には分かっていた。
これはたぶん、人間としてとてもとても恥ずかしい行為なのだろうと。

私の足と足との間から溢れたそれでぐしょぐしょになったエイラの指を、最初にそうしたように丹念に丹念に
もう一度舐め取っていく。罪滅ぼしになどなりようも無い、ただ自分で満足したいだけの行為。…こうしている
だけなのにまた、微かに興奮をしている自分が情けない。シーツも微かに濡れているけれど、とりあえずタオル
で軽くふき取ることしかできない。
じい、とエイラの顔を見つめる。まるで人形のように綺麗な綺麗なその寝顔。このひとはきっと私のあんな
ところに触れたりなんかしないだろう。それだのに、私が汚した。いつもいつも、汚してる。現実でも、想像でも。

ねえ、ねえ、どうか、だれか。
教えてください。この気持ちの意味を。私のしていることは悪いことですか。なんで分かっているのに止められ
ないのですか。私にはわからないのです。だって誰も教えてくれなかった。私の知っているのはピアノの
弾き方とネウロイの倒し方、たったそのふたつきり。

理由の分からない背徳感にさいなまれて、私は今日も部屋を出て行く。逃げるように隣の部屋へ、自らの
居室へ。エイラは目覚めて部屋を見回して、私のいないことを悲しいと思ったりするだろうか。…そんなことは
ないだろう。だってエイラは私の来訪を決して歓迎しているわけではないのだから。

それが小さな、けれども確かな、性欲の芽生えだとは幼い私はまだ知りもせず。
それまで懸命に寝たふりを決め込んでいたその部屋の住人がぱたりと扉の閉じた直後に大きなため息を
ついて、顔を真っ赤にしていることにさえ、気付かないでいる。



532名無しさん@秘密の花園:2008/12/09(火) 04:02:26 ID:zxZUxyKZ
微妙に足りなかった上に連投規制食らった申し訳ない
こんなことしてたら寝るの忘れてたのでレスはあとにしてひとまず寝ます

今スレのSS全部にGJGJGJ!
533名無しさん@秘密の花園

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          / ||   ̄| ̄/ ̄ ̄  ミミ
          (  a | ̄く ̄  ̄ ̄ノ ミミ
              \ノl\  У    ミ
            /   ^\/  |
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