1 :
名無しさんだよもん:
高瀬瑞希は人生最大の危機を迎えていた。
いや、客観的に見た場合、大した危機とは言えないのかも知れない。
何故なら彼女の友人やその関係者ならばこの程度の事は日常茶飯事なのだから。
だが、彼女にとって『あの』エリアに近付くのは正に至難の技。
一歩足を進めただけでも額から大量の汗がまるでスコールのように降り注ぐ。
しかし、ここで退く訳にはいかなかった。
そう、これは使命。
高校時代からの大切な友人を悪の手から救うのは自分しかいない。
そう強く決意した瑞希は己を奮い立たすように、『あの』エリアへの侵攻を開始する。
勝利のプランは既に頭の中に描かれている。
後はその計画通りに実行するだけだ。
(て、言うか何であたしがこんな事を…)
瑞希は一人頭の中でそう悪態をつく。
時は午後一時過ぎ。
普通の大学一年生である高瀬瑞希は今現在近所のビデオショップで悪戦苦闘していた。
目的はとあるアニメのビデオを借りる事。
周囲の人間が聞いたら「何だそんな事」とか言われるかも知れないが、元よりアニメや
漫画等には全く興味のない瑞希にとってこの行動は今までの人生の中で最も難しい行為と
してその全貌を現す。
ならば、わざわざそんな行為をしなくてもいいのでは? と、思うかも知れないが彼女
には彼女なりの理由があった。
それは高校時代の男友達である千堂和樹がよりにもよって『同人誌』なるものにハマッ
てしまったのが全ての原因。
元より和樹に対して淡い恋心を抱いていた瑞希にとって最近のつれない態度は瑞希の心
に多少なりとも暗い影を落としつつあった。
それならばこっちから多少近付いていき、チャンスとあらば和樹をあんな異形の世界か
ら抜け出させてやりたい。
そんな思いが結実して瑞希は普段全く眼中にない、アニメコーナーで多量の汗をかくは
めに陥っているのだ。
(…それにしても)
瑞希は周囲の光景を見渡して思わず溜息をついてしまう。
可愛い漫画のキャラクターが描かれた大量のビデオパッケージ。
現実では絶対に有り得ない服装をした女性が色っぽいポーズでこちらを眺めている。
そのどれもが瑞希からすると、正に未知の空間。
理解すら出来ないミステリアス・ゾーン。
しかしここで怯む訳にはいかない。
敵を知り、己を知らば百戦危うからずや。
瑞希はそんな故人の語った訓示を胸に秘め、アニメコーナーの中枢に向かって徐々に近
付いて行く。
先ほどから店員の視線が無性に気になる。
瑞希はそんな己との葛藤に負けぬよう、自らの頬を叩き気合を入れ直す。
パンパンッ!
「…よし!」
客の殆どいない店内でそんな行為を繰り返す瑞希を店員がおかしな目で見つめるのは至
極当然の事であった。
(え〜と、確かこの辺よね…)
瑞希が足を踏み入れたのはアニメコーナーの中でも特に子供用のアニメを置いている
『キッズコーナー』と言われる場所である。
棚には恐らく瑞希ですら子供の頃に見た事のある、沢山のアニメビデオが大量に並べら
れている。
瑞希はその中からとあるアニメビデオを必死に探し出す。
(…え〜と、名前何だったかしら? 確か…)
ちなみに今瑞希が探しているのは、現在絶賛放映中の『カードマスターピーチ』。
その人気は凄まじく、今の同人業界を知るにはこの一本を観れば全てがわかるという超
人気番組である。
だが、人気番組の常として柳の下のドジョウが大量に出て来るのはどの業界でも変わら
ない。
故に瑞希の前には大量のピーチ『もどき』の作品がおびただしい量で並べられていた。
「え〜と、『魔法少女ピクシーサミー』だったかしら? …でも前に和樹が描いてたのと
は微妙に違うような…。あ、この『哀天使ウェディングリリィ』だったかな? んー。で
もそんなややこしい名前じゃなかったよね、確か。あ、これこれ、この『美少女剣士ブレ
ザームーン』だったかな? これならあたしもちょっとだけ知ってるし。…でも現在絶賛
放映中だって言ってたような…」
瑞希はそんな大量の魔女っ子アニメを前に悪戦苦闘を繰り返す。
元より殆どアニメの知識のない瑞希にとって、ここに並べられている作品の違いを見分
ける術などない。
「もーーーーッ! こんなのあたしにわかる訳ないじゃない!」
瑞希は目の前のアニメビデオを蹴り倒したい衝動に駆られるが、すんでのところで押さ
える。それにそんな事をしたとて自分にとって何もプラスにならないのは瑞希とて良くわ
かっていた。
(はあ…。しょうがないか…)
結局瑞希はそうやって心の中で白旗を上げながら、めぼしい作品の一巻を全て手に取り、
その場を立ち上がる。
幸い今なら他の客はいない。この状況下なら周囲の奇異の視線からも何とか絶えられそ
うな気がした。
そう判断した瑞希は少なからず大きな胸にビデオを抱きかかえながらレジへ急ぐ。
「…あの、これお願いします」
「はい、それでは会員カードをお願いします。
「あ、は、はい」
店員が事務的な口調で瑞希にそう話し掛ける。その視線はどことなく冷たい感じがした。
(やっぱりあたしみたいな大きな女の子がこんな子供向けのアニメをたくさん借りるなん
て、絶対ヘンだよね…。この店員さんも何処となく呆れた感じだし…)
実際には他に客のいない状況で自分の頬を叩いたり、怒声を轟かしたりしたら誰だって
奇異の視線で見るものだが今の瑞希に気付く術はなかった。
「…あの、お客さん」
そう心の中でヤキモキしていると店員が鋭い視線で瑞希の方に語り掛けて来る。
予想だにしなかった店員のその態度に完全に隙を付かれた瑞希は、頭の中に血を上らせ
ながら店員にまくしたてる。
「あ、あの、このビデオはですね。えーと、別にあたしがホントに観たいって訳じゃない
んですよ。そ、その。そう、人助け! 人助けなんです。だから別に気にしないで下さい
ね。今日見た事はなかったって事に…」
「いえ、そう言う話ではなく、お客さんの差し出されたこのカードはウチのレンタルカー
ドじゃないんですが…」
「…え?」
そんな間抜けな声を口にしながら、瑞希は店員の手にしたカードをしげしげと眺める。
そこには『生協お客様会員カード』と言う、おおよそビデオとは掛け離れた文字が踊っ
ていた。
「キャアッ!? す、すみません…」
そう小さく叫んだ後、瑞希は慌てて財布の中からレンタルカードを取り出す。その後は
いつもの段取り通りに事が進み、待つ事数分後。瑞希はようやくレンタルしたアニメビデ
オを渡される。
「…ありがとうございました」
そう事務的に呟く店員の目は冷たいを通り越し呆れ返っていた。が、今の瑞希にそんな
店員の態度に気付く術はない。
(和樹の馬鹿!)
ただただそう心の中で怒鳴りながら足早にビデオ屋から消えて行く瑞希の姿がそこにあ
った。
「ハア…。疲れたあ…」
無事、自宅に帰り付いた瑞希は誰もいない自室でそんな言葉を漏らす。
瑞希自身これほど疲れを感じたのは恐らく初めてだった。高校時代、真夏の太陽がギラ
つく夏合宿の時でさえ音を上げなかった瑞希が今、ベッドにうつ伏せに倒れ込みながらそ
の疲れを癒している。
今日とったこの一連の行動はそれほどまでに瑞希の精神を著しく疲弊させていた。
「…これで全然面白くなかったら承知しないわよ。もう…」
だが、瑞希はそう悪態をつくとすかさず立ち上がり、普段余り使わないビデオの電源を
入れる。
出来れば今日中に借りて来たビデオを全部観て、和樹の居る世界を少しでも知っておき
たかった。
それは和樹に文句を言う口実を作る為なのか? それともささやかな乙女心が為せる技
なのか?
瑞希自身には全くわからない事だった。
「えーと、じゃあまずはこのピクシーサミーってのを…」
そして待つ事十数秒。TV画面に華やかな女の子が現れたかと思うと、けたたましい音
楽と共にOPが始まる。
「へえ…。最近のってこんなに画面が綺麗なんだ」
正直に言うと瑞希とて悪態をつきながらも和樹がそれほどまでにいれ込んでいる世界に
多少なりとも興味があるのは事実だ。それに和樹の創作物を見る目には一目を置いている。
となると今日借りて来たアニメビデオもそれなりに楽しめるのではないか?
徒労に終わらせたくないと言う思いも当然あるだろうが、そんな期待が少なからずあっ
た。だが。
「ふあ…」
一話目を観終わった時点で瑞希は早くも欠伸を浮かべていた。
一体何と評価したらいいのだろうか?
確かに画面も綺麗だし出て来る女の子達も非常に可愛く描かれている。だが、瑞希にし
て見ればどんなに画面が綺麗だろうが、どんなに女の子が可愛いかったとしても、それが
評価の対象には絶対に成り得ない。
ぶっちゃげた言い方をすれば今観たアニメはとてもじゃないが面白いとは言えないシロ
モノだった。そうこうする内にビデオは全て再生しおえ、呆然とする瑞希を尻目に巻き戻
しを始める。
「き、きっとこれは和樹が言ってたのとは違うアニメよね。うん。そうだわ、きっと」
瑞希はそう気を取り直し、すかさず別のビデオを挿入する。
「…う〜ん、むにゃむにゃ。あ、いけない…」
「えーと、次は…」
「…くーーーーーーーーーーー…。…あ」
「あ、これさっき観たヤツだ…」
そうこうする内に時間はどんどん過ぎ去って行き。
「瑞希――――。ご飯よーーーーー。」
そんな母親の声に意識を現実に引き戻され、寝惚けた眼差しをこする瑞希。いつのまに
か時刻は夜の七時。二時頃に帰って来て五時間近くアニメを見続けていたと言う事になる。
瑞希はとりあえずその場に立ち上がり思いっきり背伸びをする。そしてベッドに座り込
み、天井を見上げる瑞希。
そんな余裕の姿を見せる瑞希の心に小さな火種が生まれる。それは徐々に大きくなり一
瞬で瑞希の心を覆い尽くす。そして次の瞬間。
「和樹のヤツ〜〜〜〜ッ!」
瑞希は誰もいない部屋の中でそんな咆哮を上げていた。
今日借りて来た全てのアニメ。そのどれもこれもがとてもじゃないが面白いとはとても
言えないモノばかりだった。
いや、それどころが今の瑞希ならはっきりと断言出来る。
全てつまらなかったと。
「何よ! 全然面白くもなんともないじゃない! 和樹ったらこんな世界にハマっちゃっ
たって言うの!? こんなのにハマっちゃったからあたしの誘いを断るようになったって
言うの? 許せない…。絶対に許せないんだからーーーーーーッ!」
既に恥も外聞もなく、そう部屋の中で声を荒げる瑞希。
その瞳は怒りの炎で燃え盛り、その声はライオンですら黙らせる迫力に満ち満ちていた。
和樹にしてみればそんな理由で怒られる筋合いは全くもってないのだが、今の瑞希にそ
んな正論が通じるとはとてもじゃないが思えなかった。
「瑞希! あんた何一人で騒いでるの? お隣に迷惑でしょ!」
「…え?」
「マジカル・ファンタスティック・レボリューション!」
次の瞬間。付けっぱなしにしていたラブリーな魔女っ子の映像と、瑞希を咎めに来た母
親が瑞希を中心に一直線上に繋がる。
TVの画面を観て呆然とした表情を浮かべる瑞希の母。瑞希はそんな母を横目にすかさ
ずTVのスイッチを消し。
「あは…。あはは…」
無理やり作った笑顔を差し向ける。だが。
「瑞希…。あんたその年になってまだそんなものを…。うぅ…っ」
その言葉を最後に口を手で覆いながら脱兎の如く駆け出して行く瑞希の母。その思い込
みの激しさと早とちりっぷりは娘の瑞希をも上回っていると言えるだろう。
「わー。お母さんちょっと待ってーーーッ!」
瑞希もそんな母親の誤解を解く為に慌てふためきながら追い掛けて行く。
(…和樹の馬鹿!)
同時にそんな事を心の中で呟きながら。
「ふえっくしょん!」
所変わって、ここは和樹の住むアパート。見た目は普通の一般人である千堂和樹もここ
最近の活動によって立派なオタク道を歩みつつあった。
「どうしたのだマイブラザー? 風邪はいかんな。そんな事では我々の野望達成に少なか
らず狂いが生じてしまう。くれぐれも健康には気を付けるのだぞ」
「…そう思うのならお前もちっとは原稿手伝ってくれよ」
「何を言うのだ同士和樹。我輩も十分手伝っておるではないか。だが、それは技術面では
なく精神面においてだ。我輩がこうやってお前を応援しているからこそ、お前も安心して
原稿に打ち込めるのだ。そうは思わないか?」
「へいへい…。わかった、わかった。そう言う事にしといてやるよ」
和樹はそうやっていつもの悪友の戯言をさらりと受け流すと再び机の方を向き直し、必
死になってコンテを書き込んだノートを睨み付ける。
だが、なかなか良いアイデアが浮かばない。
元より絵描き志望である和樹にとって漫画のシナリオというのは微妙に守備範囲から離
れたものであった。
まあ、それでも先月のこみパでなかなか良い売上を見せた和樹は勢い余って先月の倍以
上のページをたったの二週間で仕上げるつもりだった。
しかし、これがそもそもの間違い。
ちょっとした小話ならすぐに浮かぶ和樹でも、それなりの長編となると今までとは多少
勝手が違って来る。
しっかりとした構成。説得力のある台詞回し。何より先月の自分の作品を観た読者を落
胆させる訳には絶対にいかない。
そんな様々な思いが和樹の心に少なからずプレッシャーを与えていた。
「それにしても今日はいつになく苦戦しているようだな。一体どうしたと言うのだ?」
そんな和樹の姿を見て、多少なりとも気になった和樹の幼馴染である九品仏大志がいつ
もの腕組みをしながら和樹に話し掛けて来る。
「ああ、今回の話はピーチに新しいオリジナルライバルと決闘させようと思ってるんだけ
どさ。なかなか良い案が浮かばなくて」
「何だそんな事か。それなら作中に出て来る敵をお前なりにアレンジしてそのまま使って
しまえばいいだけの事ではないか」
「…いや、それじゃあ他にある同人誌とやってる事が一緒だろ? 俺としてはちょっと違
う切り口でやってみたいんだよ」
「そうは言ってはウケを狙うには多少の妥協も必要だぞ」
「それはわかってるんだけどさ。…う〜ん、何か面白いアイデアないかなあ」
時刻は既に午後九時過ぎ。
少なくとも今夜中にコンテを仕上げてしまわねば、それ以降のスケジュールに支障をき
たす。
そんなひっ迫した状況が和樹の心に更なる焦燥感を抱かせる。ふとその時。
ダンダンダンダンッ!
玄関の外から激しい音が聞こえて来る。どうやら見知らぬ誰かがアパートの階段を激し
く上って来ているようだ。
「おいおい、勘弁してくれよ」
和樹はそうボヤキながら手を耳に当て、集中力が掻き乱されないように必死に堪える。 ただでさえ良いアイデアが思い付かなくて苛ついている最中なのだ。これ以上邪魔をされ
たくない。だが、そのけたたましい足音は止む事なくどんどんこちらへ向かって突き進ん
で来る。
「…何だ?」
そう和樹が呟いた瞬間。
「和樹―――――――ッ!!」
バターーーーーンッ!
「おわッ!?」
鬼のような形相を浮かべる瑞希が怒りの咆哮を上げながら和樹の部屋に乱入して来る。
その思いも寄らない展開に和樹は唖然とした表情を浮かべながら突如現出したこの状況に
思いを巡らす。何故に瑞希は怒っているのだろうか? 何か怒らせるような事をしただろ
うか?
(…駄目だ。たくさん有り過ぎてどれの事かがわからん)
そんな寒い結論を頭の中に紡ぎ出した和樹はとりあえず平和的解決を狙う為ににこやか
な表情で目の前の瑞希に話し掛ける。
「な、何だ、瑞希か? 一体どうした?」
「どーしたもこーしたもないわよッ!」
だが、和樹のそんな作戦は瑞希には一切通用しない。それどころかご近所の迷惑を考え
ずに更なる大声をがなり上げる。
「…あんたの見入られた世界がどれだけ素晴らしいのかあたしなりに理解しようと思った
のに…。何よ! アニメなんて面白くも何ともないじゃない! あんなに恥かしい思いを
したって言うのに…。お母さんにまで誤解されちゃって…。ああ、あたしもうこの先生き
ていく気力が湧かないわ。責任取ってよね和樹!」
「…と、とりあえず落ち着け瑞希。俺には何がなんだかさっぱり…」
「これよッ!」
そう叫びながら瑞希は手に持っていた大量のビデオを床にばら撒く。それは瑞希が今日
の昼間に借りて来た魔女っ子アニメ達だった。
「あんたが『このアニメならお前にもわかってもらえるんじゃないかな』なんて思わせぶ
りな事を言うからこの世のモノとは思えない程の恥かしさを乗り越えて借りて来たって言
うのに…。和樹の馬鹿――――ッ! 馬鹿馬鹿馬鹿――――――ッ!」
「わッ! わわわッ! と、とりあえず落ち着け瑞希」
「落ち着いてなんかいられないわよーーーーッ! もうッ…!」
そしてその言葉を最後にヘナヘナとその場に座り込む瑞希。言いたい事を思い切りぶち
まげた反動で気力が抜けてしまったのかも知れない。和樹も多少落ち着きを取り戻した瑞
希の言葉の意味を探り当てとりあえず優しげに語り掛ける。
「俺が薦めてたアニメって…。『カードマスターピーチ』の事か?」
「名前は良く覚えてないけど、確かそれ…」
「…と、言うか。同士瑞希よ」
「え?」
それまで沈黙を守っていた大志がぶちまげたビデオをまさぐりながら瑞希に話し掛ける。
「ここにあるアニメの中に『カードマスターピーチ』は見当たらないのだが」
「…はい?」
その瞬間、部屋の気温が五度ほど下がった感触を覚える。それは瑞希だけでなく和樹や
大志もまた同様だっただろう。そして無限とも思える沈黙の中、瑞希がポツリと一言呟く。
「…そ、そうなの? 大志」
「うむ。ここにあるアニメ群は全てピーチの大ヒットに刺激されて登場したいわゆる『二
番煎じ』というシロモノばかりだ。無論、この中でもそれなりにヒットを記録した作品は
ある。だが、所詮は柳の下のドジョウ。ピーチの偉大さには遠く及ばぬモノばかりだ」
「そんな…。だってあたしそれっぽいアニメを全部借りて来たのに…」
「貸し出し中の作品はカウントしているのか? 同士瑞希よ。ピーチは大人気作品故、ま
ともに借りるのにも相当苦労するはずだが」
「…あ」
そう短い言葉を漏らしながら瑞希は昼間のビデオショップでの事を考える。
「…そう言えば、あたし。頭に血が昇っちゃってそこまで気が回らなかったような…」
「つまりはそう言う事だ、同士瑞希よ。己のミスを棚にあげて同士和樹を罵倒するとは愚
の骨頂。そうは思わんかな?」
「…うう」
大志にそんな痛いところを突かれて沈黙せざる負えない瑞希。冷静に考えて見ればたか
だかアニメの事でそこまで言われるのも何なんだが、最初に喧嘩を吹っかけてきたのが瑞
希本人なのだから致し方ない。
「ゴメンね、和樹。あたしちょっと勘違いしてたみたい…」
すっかり冷静さを取り戻した瑞希が途端にしおらしくなり和樹に謝罪の言葉を述べる。
しかし和樹はそんな瑞希の言葉に耳を傾けず、真剣な表情で瑞希のぶちまげたビデオの方
を注視している。
そんな和樹のつれない態度を見て、不安と言う名の雲がムクムクと膨らんで行く瑞希。
もしかして和樹を怒らせてしまったのかも知れない。そんな考えが頭をもたげ、ますま
す萎縮してしまう瑞希。その姿は先程のライオンですら逃げ出しかねない瑞希とは到底同
一人物とは思えなかった。
「あの…。もしかして怒ってるの? 和樹…」
瑞希が今にも泣き出しそうな表情で和樹の肩に手を差し伸べる。だが、その瞬間。
「これだッ!!」
和樹が天と切り裂くような大声をあげる。突然のその態度に大きな瞳を更に広げる瑞希。
「か…和樹…?」
「瑞希ッ!」
ガシッ!
和樹が嬉々としながら瑞希の手をガッシリと握って来る。想像も出来なかったその行動
に瑞希の心臓が身体から飛び出しかねないくらい跳ね回る。
「お前の持って来てくれたビデオのおかげでいいアイデアが浮かんだよ! ありがとう瑞
希。これも全てお前のおかげだ!」
「…え? え? え?」
瑞希が大きな瞳をパチくりしながらそう答える。だが興奮した和樹の耳には届かない。
「ほう、やっとアイデアが浮かんだようだな、同士和樹よ。して、どんなストーリーなの
だ?」
「ああ、ピーチと他番組のヒロインを戦わせてみるんだよ。まあ、ちょっとしたクロスオ
ーバーってヤツだな。これならかなり好き勝手出来る上に他に似た事やってるヤツも余り
いないだろ?」
「…ふむ、なるほど。さすがは同士和樹だ。我輩の見込んだだけの事はある」
「よーし、このアイデアなら何枚でも描けそうだ!」
和樹が大志と盛り上がっている最中でも和樹は瑞希の手を掴んだままだ。瑞希の頭は既
にヒートアップし、まともな考えすら既に浮かんで来ない。ただわかるのは和樹の手から
伝わって来る体温。その温かい感触。その心を包み込むような切ない感覚を追い掛けるの
が精一杯だった。
「さーて、早速コンテを切るか。とりあえず今夜中に仕上げないとな!」
その言葉を瑞希の手を振り解いた和樹は再び机に着き、一心不乱に作業を始める。
そんな和樹の姿を呆然と見つめる瑞希。一時だけ起こった夢物語をその手で抱き留めな
がら。わずかに残った和樹の体温を確かめながら。
「同士瑞希よ」
そんなボオッとした瑞希にある一本のビデオを差し向けながら話し掛けて来る大志。瑞
希は自分の頬をパンパンと叩きながら何とか意識を現実世界に向けさせる。
「な、何?」
どうにかまともに喋れるようになった瑞希が大志にそう言葉を返す。
「これが同士和樹の言っていた『カードマスターピーチ』のビデオだ。これさえ見れば
何故あの男がこれほどまでに情熱を燃やす事が出来るのかが良くわかる事だろう」
「で、でも、いくら大人気番組って言ってもアニメはアニメなんでしょ? あたしが今日
観たヤツとそんなに違いが有るとは思えないんだけど…」
「観るか、観ないかは、同士瑞希。お前の判断に任せる。我輩はそれ以上何も言わん」
そうしてビデオを瑞希の手に渡す大志。
瑞希は何とも言えない表情でそのビデオを見つめる。本当にこのアニメが和樹を狂わせ
るほど面白いモノなのだろうか? 今日観た一連のアニメ群とそれほど違うと言うのだろ
うか? 今の瑞希にはそんな疑念を抱く事しか出来なかった。
「ああ、ちなみにそのビデオは本放映の頃から標準で録画していたいわば我輩の宝物だ。
一話目の予告は元よりピーチ関連のCMのみを残すと言う神懸り的な技をもって仕立て上
げたいわば芸術品と言っても差し支えないだろう。そんな極上の環境で観られる事を感謝
するが良い、同士瑞希よ」
「そんな事言われたってわかんないわよ!」
いつもの自分を取り戻した瑞希の怒声が原稿描きに没頭する和樹の部屋に響き渡ってい
た。
時刻は午前十二時過ぎ。
和樹の部屋から自宅へ戻って来た瑞希は『カードマスターピーチ』のビデオを手に持ち
ながらこれからどうするか頭を悩ます。
このアニメをこれから観るべきだろうか?
確かに昼間アニメを観ていたとはいえ、その半分以上眠りこけていた瑞希に今のところ
眠気はない。
かと言ってこれから観るとなると結構な時間まで起きていないといけないのもまた事実
である。
「どうしようかな…」
瑞希は一人そう呟きながらTVの前にボケーと座っている。時計の針の音がどう行動す
るべきかせかすように逐一瑞希の耳に届いて来る。
「ま、いいか…。どうせつまらないのはわかってるんだから、頃合を見計らって寝る事に
しよっと」
そう判断した瑞希は手に持ったビデオをデッキに挿入し、再生ボタンを押す。
一応観る気になった瑞希だったが、今日の一件でアニメに対する個人的価値は限りなく
ゼロに近付きつつあった。
いくら和樹が気に入ったとは言え、それは和樹が元々そういう素養があったと言うのが
瑞希の今の答えだった。元より和樹は絵に対する関心が強いのだ。自分みたいな体育会系
とはノリが違う。
そんな事を考えていると瑞希の心がズンズン落ち込んで行く。
それは奇妙な疎外感。趣味の違いから昂じるもの悲しい違和感。
「ふう…」
瑞希はそう溜息をつきながら今日和樹に掴まれた手をゆっくりと撫でる。だがあの時の
感触は既に手の甲には残ってはいなかった。そうこうする内に画面には派手な服装をした
女の子と共にけたたましい音楽が鳴り響いて来る。
「これがつまらなかったら…。あたし和樹に何て言えばいいのかな…」
そんな気だるそうな表情でピーチを見入る瑞希。だが。時間が経つにつれ瑞希の表情に
ささやかな変化が訪れる。
「へえ…。まあ確かに昼間観たヤツよりはマシって気がするけど」
そしていつのまにか一話目が終わり、続いて二話目が始まる。今度はOPもさっきとは
違いしっかりとした表情で鑑賞する。
「これが主役の女の子よね。こうやって改めて観ると曲とかもそんなに悪くないかも…」
そうやっていつしかちゃんとした姿勢を取り直し画面を見つめる瑞希。
二話目は特に『カードマスターピーチ』という作品の中でも非常に人気の高い話であり、
瑞希もその完成された構成と声優の見事な演技にいつしか翻弄されつつあった。
そして三話、四話過ぎ去って行き、気が付いた時にはテープが終わりを迎え自動的に巻
き戻しを始めていた。
「え!? ちょ、ちょっと、これだけしか入ってないの?」
いつしか画面に集中していた瑞希が思わずそんな言葉を漏らす。先程の杞憂など瑞希の
頭からすっかり消え去っていた。それだけこの『カードマスターピーチ』という作品には
観る者を圧倒する説得力と破壊力に満ち満ちていた。
「もう! こんなところで終わられたら先が気になって逆に眠れないじゃない!」
そんな理不尽な文句を吐き出しつつ、結局また一話から見直す瑞希。既に和樹に対する
文句などとっくに霧散し、『カードマスターピーチ』の世界に熱中する瑞希。
瑞希がそんなピーチの服装を作りコスプレの世界に足を踏み入れるまで大した時間は掛
からなかった…。
回します。
回してます。
回しています。
回します。
回してます。
回しています。
回します。
回してます。
回しています。
26 :
ほかほか兄さん:2001/05/17(木) 18:44
お久しぶりの新作です。
今回はいきなりですがこみパの瑞希モノです。
(アニメの影響をもろに受けてしまいまして…)
ジャンルはギャグ系です。
初めての題材なので上手く書けてるかどうか分かりませんが
良かったらお暇な時にでも読んでやって下さい。
新作はこちらになっております。
>>2-16
後、HPの方を開設しましたので良かったら遊びに来て下さい。
(大したモノは置いてませんけど…)
http://members.tripod.co.jp/choujou/ それでは!
ほかほか兄さんマンセー!
うまい・・・リスペクト
これで終わりっすか?
なんかオチてないような・・・
30 :
名無しさんだよもん:2001/05/18(金) 02:51
良く出来てるなあ…。
称え上げ。
>>26 つまらないつっこみでごめん
瑞樹って一人暮らしじゃなかったっけ?
みずきちマンセー!先行者ダンス!
みずきちが出てくるだけで大喜び&百点満点なので、書評は遠慮しときます。スマソ。
だって冷静な客観視からの評価なんて、できそうにねーんだもん。
>>31 アニメ版に準拠してるんじゃないスかね。仰るとおり、ゲームでは一人暮らしでやんす。
そしてその後同棲です。(・∀・) イイ !!ドウセイ イイ!!
つーか、瑞樹じゃなくて瑞希です。キシャーッ!
>>26 重箱の隅をつつくようだけど、
○同志 ×同士
○吾輩 ×我輩
あと大志は同じシーンの中で和樹や瑞希への呼称を
「まいぶらざー(しすたー)」「同志和樹(瑞希)」「まい同志」等
ころころ変える傾向があるのでこれを再現してほしかった。
些細なことなのでどうでもいいけど。作品自体は瑞希の心理描写は
面白かったし、大志も味が出てて良かった。何より瑞希調教ゲーの
テイストが前面に出てて(・∀・)イイ!!
ほかほか兄さんだと気付かナカタヨ
コスプレしだしたりとかの部分は瑞希の生真面目さが変に働いた部分もあるんでその辺もなんか欲しかった気がするな。
「ヒマだな、折原」
「ああヒマだな住井」
昼休み俺たちは昼食を食い終わり、ボ〜ッとするだけになってしまった。
ふと住井が面白いことを思いついたという表情で言う。
「なあ、賭をしないか?」
「賭?」
「そうだ、校舎のそばに焼き芋屋が来てるのは知ってるよな」
「ああ」
「そこに今から買いにくるのは男か女か当てるってのはどうだ?」
「のった!俺が先に決めていいか?」
「言い出しっぺはこっちだからな、それくらいは譲るぞ」
「じゃあ、男だ」
「女の方が焼き芋好きだと思うんだがなあ、本当にそれでいいのか?」
分かってないな住井。
いくら女が焼き芋好きだといっても校舎のそばなんて他人に目撃されやすい場所、
プライドが邪魔をして買いに来られる訳ないんだよ。
俺は心の中でほくそ笑む。
「かまわん。で、何を賭ける?」
「学食一回おごりでどうだ」
まあ、それくらいが妥当だろう。俺はうなずく。
「じゃあ、確かめに行くぞ」
「おう」
賭の結果を確かめるため、俺たちは外に向かった。
待つこと10分ようやく人影が見えた。
そいつは壁づたいにコソコソと、忍者のごとく焼き芋屋に接近する。
誰にも見られてないように注意してるのだろうが、俺たちはバッチリ見ていた。
「あいつは・・・」
よく知った顔に俺は敗北感をつのらせる。
「俺の勝ちだな、折原」
住井が余裕に満ちた顔をする。
「まだだ・・・買うとは限らんぞ」
そう言ったものの、俺にはそいつが十中八九焼き芋を買うのが分かる。
やっぱり、そいつは人目を気にしながらも焼き芋を買い込んだ。
俺の恨めしげな視線と裏腹にそいつ、七瀬はホクホク顔だ。
「買ったのは七瀬さんだから俺の勝ちだな」
住井は勝利宣言を告げる。
「ぐ・・・」
「じゃあ明日の学食は折原のおごりな」
七瀬が来るとは誤算だった。
それにしても、やっぱり『色気より食い気』って言葉が似合うよな、七瀬は・・・
「お〜い折原、いいかげん教室戻ろうぜ」
教室に帰って開口一番、俺は言った。
「七瀬は男だ」
このまま素直に負けるのは面白くない。だから、俺は悪あがきをすることにしたのだ。
「は?」
住井は訳が分からんという顔をする。
「だから、あいつは男だって言ってるんだ!」
「見たのか?」
「いや・・・けどな、どう見てもあいつは男だろ!」
ここが勝つための正念場だ。俺は声に力を込める。
「俺には女に見えるぞ」
「あんな暴力的な女はいない」
「それはお前にだけだろ。しかも原因は全部お前だ、折原」
やれやれといいたそうに住井は肩をすくめる。
「あいつは電話帳を素手で引き裂けるんだぞ!」
「いい加減、苦しい言い訳はやめろよな・・・」
住井の視線が哀れみを帯びてきた。しかし、ここで引くわけにはいかない。
「本当なんだって、俺を信用しろ」
ふと住井の言葉が無くなる。
「・・・・・・」
「どうした?」
無言で俺の後ろを指さしている。嫌な予感がしてゆっくりと振り向く。
「お〜り〜は〜ら〜、誰が男だって?」
いつの間にか、七瀬が鬼の形相で立っていた。
「や、やあ七瀬、元気か」
「『やあ』じゃないわよ!もう一度言ってみて、誰が『男』で誰が
『電話帳を素手で引き裂ける』って?」
「え〜っとそれは・・・あ、空飛ぶ敏いとう」
「えっ、どこどこ」
「な〜んて言うとでも・・・あれ?折原は?」
俺は短距離のオリンピック選手も真っ青のスタートダッシュで走り出していた。
「そこから出ていったよ」
住井、薄情なヤツめ・・・ごまかすとかしてちょっとは俺の逃亡に手を貸せよな。
俺は七瀬に捕まらないように力の限り走る。
七瀬に捕まれば確実に命を落とすだろう。今の俺は命がけの逃亡者だ。
階段で長森とばったり会う。
「そんなに急いでどうしたの浩平?」
慌ててる俺を見て長森が聞く。
七瀬が近くにいないことを確かめ、俺は手っ取り早くそれまでのいきさつを話す。
「それは浩平が悪いよ・・・」
「なんでだ、俺は人目を気にせず芋を買うヤツは女とは認めんぞ!!」
「・・・・・・」
申し訳なさそうな顔で無言の長森がうつむく。
そうこうしていると、後ろの方から七瀬の怒声が響く。
「こら〜どこだっ!、折原ーっ!」
やばい殺される!生存本能がそう告げる。
「じゃあな長森」
長森にそういって、また駆け出す。
しばらく走ると前から七瀬が走ってくるのが見えた。
どういうルートで走ってきたんだあいつ・・・
手にはホウキを持っている。アレで叩かれると痛そうだ。
俺は身を翻して逃げ出す。
「待ちなさいっ!」
「待てといわれて待つヤツがいるか」
残った力を振り絞り俺は走る。しかし・・・
どこか曲がる場所を間違ったのだろう、目の前は行き止まりだった。
「覚悟しなさい、折原」
肩で息をしながら七瀬が言う。
「ま、待て七瀬。話し合えば分かる」
「問答無用っ!」
七瀬がホウキを振りかぶる。
「俺が悪かった!あやまる・・・すまねーな、芋姉ーちゃん」
メキョ、変な音がしてホウキの柄が頭にめり込むのを感じる。
暗くなる視界の中、俺は思う。
七瀬よ、やっぱりお前は男だ。この打撃は女の力じゃ無理だって・・・
41 :
おまけ:2001/05/20(日) 14:07
「瑞佳〜っ!焼き芋買ってきたよ。一緒に食べよ〜」
「七瀬さん、ありがと〜」
「やっぱ焼き芋は焼きたてよね」
「うん、ホクホクしておいしいよ」
「そうそう、至福のときよね〜」
浩平「まずは魚を用意する」
七瀬「いきなりメインディッシュね」
浩平「それを丈夫な布で包む」
七瀬「ふむふむ、それで」
浩平「そして絞る!」
七瀬「・・・って、ぎゃー」
浩平「生ジュース感覚で!」
七瀬「アンタが飲めっ!」
浩平「んーっ!んーっ!」
>>37-41
お初です。七瀬ネタで書いてみました。
勢いだけで書いたので、粗がだつかもしれませんがお許しを。
ジャンルはギャグだと思いたいです。
未熟者ですがよろしくお願いします。
追伸:実はこのネタパクリなんです・・・
回しのネタはアル伝やね。
http://cheese.2ch.net/test/read.cgi?bbs=leaf&key=986591374&ls=50 祐一の夕飯は全部謎ジャムだよ〜 名雪スレ#3 393−394のつづきでもあります
*****************************************************************
「あゆちゃん。もう時間が遅いから、お風呂名雪といっしょに入っちゃいなさい」
秋子さんにそう言われて、ボクは名雪さんといっしょにお風呂に入ることになった。
うう、緊張するなあ・・・。裸になって、ボクはお風呂場の戸を開けた。
「お邪魔します」
「いらっしゃい、あゆちゃん。くすっ」名雪さんが湯船の中から笑う。
さて、カラダを洗おう。
手にセッケンをつけて、お湯で顔を洗って・・・じゃぶじゃぶ。
セッケンをつけたタオルで首筋と耳を洗って・・・ごしごし。
オマタの間を手で洗って・・・くしくし。
あとは、お湯をかぶる・・・ざばーっ。
「はい、カラダ洗い終わり」
ボクがそう言うと・・・。
「え・・・あゆちゃん。それで終わりなの?」じっとボクを見ていた名雪さんが、湯船から質問する。
「う、うん。普段はこういうふうに洗ってるけど?」
「だめだよ、あゆちゃん。それじゃあ男の子の洗い方だよ」
「別に平気だよ・・・」
「じゃあ、ちょっとこっちに来て」名雪さんが湯船の中から言った。
「う、うん・・・」ボクは湯船のヘリに近づく。
「ここに立って、あゆちゃん」
「え、恥ずかしいよ・・・」
「ダメ!立つの」
ボクは湯船の前に立った・・・。
(うぐぅ・・・大事なところが丸見えだよぅ)
ボクの腰の両脇に手を当てる名雪さん・・・。
と、名雪さんがボクのオマタに顔を近づけて、・・・においをかぎ出した。
「くんくん・・・くんくん・・・」
「わ、わ・・・なんなの名雪さん」
「後ろを向いて、あゆちゃん」
「うぐぅ・・・いや」
「嫌じゃないっ、後ろを向いてください」わあ、名雪さんの口調がきびしい・・・。
しぶしぶボクは後ろを向き、名雪さんにおしりを向けた。
「くんくん・・・くんくん・・・」
「名雪さん・・・やめてよ・・・」
「うーん、やっぱし・・・」
「・・・?」
「ほんのちょっとだけど・・・においがするよ」
「うぐぅ」・・・ボクは、本当にうぐぅな気持ち。顔が一瞬で真っ赤になった。
「あゆちゃん、女の子はちゃんと体を洗わなくちゃいけないんだよ」
「う、うん・・・」反省してます・・・。
「今日は、わたし・・・、ううん、『お姉さんの名雪さん』が『妹のあゆちゃん』に体の洗い方を教え
てあげるからね」
名雪さんは、すこし顔を赤くしながら、でもやさしく言った。
(・・・そうか。ボクは名雪さんの妹なんだ、うれしいよ。
っていうか、体の洗い方を教えてくれるって、ボクどうなるのかな?うぐぅ・・・)
シャンプーハットを頭につけられた・・・。なんか子供扱いの気もするなあ。
「痒いところはありませんか?」
「ないです」うう、おままごとしているような気もするなあ。
背中と腕をスポンジで、洗ってくれる。
人に体を洗ってもらうって気持ちいい・・・。
「あんまりね、化繊でできた垢すりとかで強くこすりすぎちゃだめだよ。黒い跡がつくこともあるんだって」
ふーん、そうなんだあ。
「じゃあ、前だよ」
「え、え〜と、前は・・・ボ、ボク洗えるから」
「だめだよ〜。胸やお腹だってちゃんと洗うやり方があるんだから」
そ、そうなんだ。
名雪さんがボクの背中にまわって、ボクの胸に両手を伸ばす。
「おっぱいは、まわりから中心に向かって洗うんだよ・・・」
名雪さんは右手のスポンジをお乳の周りから円を描くように中心へと動かした。
気持ちいいんだけど・・・なんかヘンな気持ち・・・。
うぐ、名雪さんのおっぱいが背中に当たる。・・・気持ちいいなあ、ぷにぷにして。
もっと、こうしていてほしい・・・。
「あ、乳首がかたい・・・」そこで名雪さんが言葉を止める。
ボク、おっぱい硬くなっちゃってたの・・・?
「うぐぅ・・・。だって、だって・・・」ボクは言葉に詰まり、うつむいた。
だって、名雪さんのおっぱいが・・・。ううん、そんなことを思ってたボクのせいだよね。
「ご、ごめんなさい」
「あ、ごめんね、あゆちゃん。そんなつもりじゃなかったんだよ、わたし」
「ううん、いいんだよ・・・。名雪さん」もしかしたら名雪さんに対して、えっちなことを考えてしま
ったのかな・・・。
名雪さん(と秋子さんと祐一君は)ボクの大切な、大好きな人なのに。
でも、同じように左の胸も洗ってもらったときも、乳首が硬くなっちゃった・・・うぐぅ。
「お腹も、基本は円運動なんだよ。こうやって・・・」スポンジがおへそのまわりを動く感触。
はあ・・・なんだか気持ちいい・・・。
こうしていると、もっと名雪さんのことを好きになりそうな気がする。どうしてだろう・・・?
ビクッ・・・ビクッ。
不意に体が震えてしまった。(うぐぅ・・・どうしよう・・・)
「え、どこか痛かった。あゆちゃん、だいじょうぶ?」心配してくれる名雪さん。
「ううん、痛くないよ、平気だよ。あはは・・・」どうしちゃったんだろう、ボク。
「じゃあ、大事なところを洗いかたを教えるから、ここに横になって。ちょっと冷たいけど、今日だけだから・・・」
すまなそうに名雪さんが言う。
「う、うん」
言われるまま、ボクは横になった。
「で、太ももを持って広げてみて」
わ、わ、そんな・・・そんな・・・。でも・・・他にどうしようもない。
言われるまま、赤ちゃんがおしめを代える時のようなかっこうをする。
「ね、お姉さんにだから、恥ずかしくないでしょう?・・・ね?」
「うん・・・」
ボクは両手で太ももを持ち、上に引いた。
お湯をかけ、スポンジでざっと洗った後、名雪さんが言った。
「ここは、タオルやスポンジで洗うだけじゃダメなんだよ。あゆちゃん」
「う、うん・・・」
「あとは、指でね・・・丁寧に洗うの。重なり合ってるところなんかもちゃんと・・・」
名雪さんが、セッケンをつけた指でこすりはじめた・・・。
(あっ、そんなところ触ったことない)
(え、そんなに指を・・・だいじょうぶなの・・・?)
(いや・・・そんなに力を入れないでよぅ)
(なんかへんな気持ちになってきたよぅ・・・)
ボクはこれ以上続けられたら変になっちゃう・・・。
「も、もういいよ。名雪さんっ」
「ダ・メ」
「もういいったら、お願いっ」
「じゃあ、これ・・・」そう言って名雪さんは、ボクに人差し指を近づけてきた・・・。
「・・・?」
ボクは名雪さんの指先のにおいを嗅ぐかたちになった。
「うぐぅ・・・」真夏のポリバケツのような臭いが微かだけどする・・・ボクのなの?
・・・ぐすん。もう、ダメだよ・・・恥ずかしすぎるよ・・・。
名雪さんが、すまなそうに言った。
「あゆちゃんについてた垢、みたいなものだよ。ね、もうすこし我慢して・・・」
「うん、我慢するよ・・・しくしく」
名雪さんは一生懸命洗ってくれた。
ボクは、恥ずかしくて泣きながら・・・名雪さんの指を気持ち良いと思ってしまっていた。
「よく我慢したね、あゆちゃん」
ボクの足を洗いながら、名雪さんが誉めてくれた・・・。
「ボクは子供じゃないのに」と思ったけど、ちょっとうれしかった。
最後に全身にシャワーをかけられる。
「これで、もうピカピカだよ」名雪さんが微笑む。
「うん」全身にお湯をかけられながら、ボクも笑った。
名雪さんにタオルで体を拭かれて、ボクはお風呂を出た。
居間にいる秋子さんに、風呂からあがったと声をかけ2階へ上がった。
「うーん・・・これでよかったのかなあ・・・」
だ、だって・・・恥ずかしさバクハツだよ。お嫁にいけないかんじだよ・・・。
名雪さんだから、良いとは思うんだけど、けど・・・。
ボクは布団の上を転げまわった。
「うぐぅ〜・・・」ゴロゴロゴロ・・・。
「うぐぅ〜・・・」ジタバタジタバタ・・・。
ハアハア・・・。「バカなことをしていたら、のどが渇いちゃった。ジュースでも飲も」
ボクは冷蔵庫を目指して階下に下りた。
「そう、あゆちゃんの体を洗っていたの。恥ずかしがらなかった、あゆちゃん?」
居間から、秋子さんの声。ボクの話だ・・・。ドア開けていいのかな?
・・・開けずに様子を見てみようとボクは思った。
「あゆちゃん、恥ずかしがったよ。わたしだって恥ずかしかったよ・・・。でも、わたし、あゆちゃん
のこと妹だっておもってるから」
「そう・・・。お母さんうれしいわ」
ボクもうれしい、とってもうれしい・・・。
「それにしても、ずいぶん良く洗っていたのね。ウフフ」
「うん。あゆちゃん、体をよく洗うってこと知らなくて・・・洗い方を教えながら洗ったんだ」
「・・・あゆちゃん、お母さんに教わる時間があんまりなかったからね、きっと」
「大事なところもあんまりきれいじゃなくて・・・だから丁寧に洗ってあげたの」
「恥ずかしいけど大切なことよ、名雪、えらいわ」
うぐぅ・・・秋子さんに言ってる。
「・・・カスがいっぱい付いてたの。恥ずかしくて洗えなかったみたい、あゆちゃん」
「そう・・・。あゆちゃん、恥ずかしがりやさんだから」
うぐぅ・・・ボク、気が遠くなりそうだよ。
「名雪、これからあゆちゃんに、女の子のいろんなことを教えてあげてね」
「うんっ」
「でも・・・わたし、あゆちゃんにヘンなことしちゃったみたいなの・・・ぐすん」
「なにかあったの?」
「あの・・・。わたしがおっぱいとかお大事を洗っていたとき・・・あゆちゃん、気持ちよさそうに
少しもだえてたみたいなの。あゆちゃんが、いけないこと覚えちゃったらどうしよう?」
な、名雪さん・・・どうしてそう言うこというかなあ・・・。
「ぐはっ。ちょっと何の話しを・・・」
「え、祐一居たの?」
「ああ、ここで風呂の空くのを待ってて寝ちゃったんだけど」
うぐぅ・・・祐一君、今の話し聞いてるよ。
「黙っててね、祐一・・・」
「当たり前だろ、あゆだって好きで知らなかったわけじゃないんだから・・・。俺は今までの話しは、
聞かなかった。で、いいよな?」
「うん、祐一ありがとう」
「ぐすん・・・3人とも、わたしの子供ですよ」秋子さんが泣きながら、そう言った。
(いい話しなんだけど、いい話しなんだけど・・・あの、その・・・)ボクは、なぜか悲しかった。
・・・結局ドアを開けられず、ボクは静かに2階に戻った。
秋子さん、名雪さん、祐一君。みんなの愛に囲まれて・・・あゆ、落ち込みました。
「・・・うぐぅ」
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>>42-50の回転ネタが〜
見るからにすっぱそうな果物の絞り汁も加えて完全栄養食〜
ふう…気がついたら深夜だった。
浩平は、酔っ払った詩子様の制服を脱がせる。
白いワイシャツのボタンをプチプチと外していく。
おお、意外と立派な詩子様のオパーイ。ハァハァ
「んっ」
詩子様がピクリとする。にっ乳輪が大きい…ごくん。
顔にやや赤味のさした詩子様は
「スースー…むにゃむにゃ…んふん」
やすらかな寝息を立ててる。やや薄目が開いた寝顔が色っぽい。
髪がぱらりとほどけ、悩ましい髪のニオイが鼻腔にひろがる。
思考の停止した俺は赤ん坊の様に詩子様の乳房に吸いついた。ちゅーちゅー。
「嫌です」
ギクリッ
「浩平、私のほうが大きいです…吸うなら私のを…」
うお…
はだけたブラジャーから覗く茜の真っ白い乳房はレモン型で、重そうにやや垂れている。しかし顔は、心底嫌そうだ。
「いま、詩子に手を出そうとしました」
ギクリッ
「あれっ、暗くて間違えたな、はは…」
あわてて詩子様のワイシャツのボタンをプチプチと嵌めていく
「…全然明るいです」
「はぁっ…」
ため息をついて浩平は茜にキスした。
「うーん」
天使の寝顔で、詩子様が寝返りを打つ。はぁ、惜しかった…
ちゅくっちゅくっちゅくっ
浩平は茜の白い乳房を執拗に舐めていた。
指は下の方をまさぐっている。
茜は熱くなったからだを次第に持て余してきた。
「…あ」
硬く勃起した乳輪をピンと爪で弾く。
(浩平…)
浩平は茜の美しい下肢を押し拡げる。
「うっ」
びくびくと浩平の身体に強烈な快感の波が押し寄せる。
ペニスの方は既に雄の本能のまま忠実に発作を起こしていた。
輸精管が脈打つ。
茜の上に精をほとばしらせそうになったが、渾身の力でなんとか抑え付ける。
しばらく動けない。
ペニスの先から先走りが出てくる。
背筋に甘い快感が残ったが、射精発作はどうにか散った。
「…大丈夫ですか」
「うっ」
茜の指が睾丸にそっと触れ、なだめるようにタマを撫でる。
逆効果だろ…また発作が。ううっ。
「いれるぞ、茜」
「ゴムがないと、本当に嫌です…あ」
「もう我慢できない」
完全に一体になると浩平はゆっくりと腰を使いはじめた。
茜も慣れないながら、ぎこちなく腰を振る。
ぐあ…また出そうになってきた。
硬直したペニスが子宮のなかでびくびくする。
雄の本能でからだが勝手に…まずい。
でも出したい。茜の子宮に思い切り中出ししたら気持ちいいだろう。
いかん。約束だ。
抜くしかないな。でももうすこし。
置物のようになった浩平とは逆に、茜は次第に興が乗ってきたのか、腰のうねりが強くなってきた。アリ地獄だ。ううううっ…
びゅくっ
先走りかな。全身が甘い練乳に漬けられたようだ。
びゅくっ
またかっ不覚だ。ゆるせ茜。
びゅくっ
半だしかな。
ふたつの睾丸が別々に引きつるようにうごめいた。
そろそろでかいのが来る。
輸精管のあたりは感覚が麻痺している。
びゅくっびゅくっ
ううっ、こんな甘い拷問には健康な男子としてもう耐えられん。楽になろう。
おれはたったいま決心した。
長森とは別れる。いい子を産んでくれ茜!。
「ふふっ」
いやーな予感がした。
「詩子!」
げっ…
「ふふふーん。2人だけでいいことやってる」
「取り込み中だ」
茜も身をくねらせながら逃れようとした。俺はがっちり抱きしめる。
「ちっ違います。浩平が無理やり…」
ぐあっ、おれはレイープしたのか。
「照れることないじゃん。ふふっ」
こいつ顔が赤い。しかも目も危ない。ウオッカ一気飲みするからだ。
茜の身体に未練が残ったが、場を壊された。
ううっ下半身がむらむらする。
やはり茜の子宮に思い切り…すべきだった。(自主規制)
「へー浩平のタマ、かわいいんだ」
「あっ」
詩子の指が大事なところをまさぐる。いつのまに。
「やっやめ…」
「ふふっ」
うっ、こいつ袋を撫でやがる。やめろ。…茜が呟く。
「浩平…たくましい」
おれの体はおもちゃじゃないぞ。
「部屋から出てろ」
「そのあいだナニするのよ」
「ナニって、その間もういちど茜とだな、ごにょごにょ、と。そういうわけだから。部屋から出てろ」
「もう1回戦すんのね」
「するかっ!」
「…浩平」
茜が呟いた。
「また大きくなりました」
「いいじゃん。あんたたちはっきりしないから」
「してるっ」
「じゃ、例のかわいい幼馴染は?ねえねえ?」
長森か、あいつは二号だ。おめーは三号。わかったか!
…とわ、いえなかった。とりあえず無視。
「ふふふーんっ」
うっ、へんなとこ触るなよ。そこは…
「…浩平」
なんか茜の様子が、変。瞳が潤んでるし。そうか。
ついにその気に。
「そういうわけだから。部屋から出てろ」
浩平はゆっくりと腰を使いはじめた。今度こそは…
「うりゃ♪」
詩子のほそい指が、ぬぷっと菊門に滑りこむ。
「やっやめ…」
こそばゆい様な、妙な感覚が肛門を襲う。
全身をくすぐられるような、やばい感じだ。
「浩平…すごく立派です」
まずい。
ペニスが俺のコントロールから離れて、勝手に茜のなかでそそり立っている。
ただでさえ、すぐ暴走するのに。
いきなりか。
あとひと撫でで、暴発する。
「詩子ちょっ…」
「うりゃ♪うりゃ♪」
いくら男の絶頂といってもどこかで抑制が効くものだが、詩子のほそい指がおれの体内で暴れるごとに情けないがペニスは音を上げる。臆病者がおびえるように勝手にびくびくと泣くのだ。
「やっ、やめ…」
「うりゃ♪うりゃ♪うりゃ♪」
びゅくっびゅくっ
「うりゃ♪うりゃ♪うりゃ♪うりゃ♪うりゃ♪うりゃ♪」
びゅくっびゅくっびゅくーっびゅくーーっ
おびえがあった。
自分の意思に反して男の絶頂を詩子にもてあそばれている。
「ねっ、どう」
詩子はにっこりした。かねがね思っていたがこいつはヤバイ奴だ。
目があぶない。
「折原は学校でずいぶんえらそうだけど」
「ここはどんな男でも弱いのよ♪」
「ぐっ」
指がなんか強く圧迫している。そうすると我慢していた射精がたちまち堰をきりそうになる。茜はゆっくりと腰を使っているが、それも甘い拷問だった。
「泣かしたげようか♪んふん?」
「そりゃ♪」
一瞬だけ、ぐいっと感じやすい部分を直接突かれる。
ビクンッ、どくっどくっ
遂に俺のペニスは短いが情けなく茜の子宮に射精した。
「嫌です」
茜が抗議した。
「だらしないね♪私がせっかく手伝ってんのに♪」
「よくもそんなこと…やっ、やめ…」
容赦のない詩子のほそい指が体内で暴れる。
「そろそろトドメさしたげる♪それっいくわよ」
もう抵抗しても無駄だ。体が勝手に…
「うりゃ♪うりゃ♪うりゃ♪うりゃ♪うりゃ♪うりゃ♪うりゃ♪うりゃ♪」
びゅくっびゅくっびゅくーっびゅくーーっ
どくっどくっどくっどくっ
情けない快感がない射精だ。しかし、おびただしい量の精が堰を切って茜の胎内にほとばしる。
どくっどくっ…ひくひく
「ひどい。本当に嫌なのに」
ううっ疲れた。
茜の身体に未練を残しながら離れると、寒天のような精液がどろりとでてきた。
「ひどい男♪本当に出してる♪」
「ゴメン、茜」
「もう別にいいです。かまいません」
うっ、やばい。全裸の茜はうつくしかったが、その横顔は感情が消えてる。
白い下肢に垂れた若い精をティッシュで拭う姿は女神のように色っぽい。
恥じらいもなく痴態の始末をしているうちに、なかなかザーメンが止まらないのでちょっと困った顔になる。
「うちのフロ使えば…」
「え〜こんなとこに長居することないよ♪また乱暴されちゃうよ茜♪」
「それは困ります」
「とりあえずひきあげます。まず服を着て」
「折原さん」
「はい」
「さようなら」
ううっ、さ・い・あ・く
「んっ誰か来た。もしや茜が思い直して…」
いそいそ
「うぁっなんてカッコしてるんだよっ!」
「クリスマスは予定があるとかいっていて」
「おかしいと思ったけど」
「ヘンタイさんだよ!」
なっ、長森〜おまえだけが俺の女だ。
「もう遅いよ。このゲーム途中攻略むりだもん」
「さんざんストーカー、レイープやっといていまさら虫が良すぎるもん」
「厨房はさっさと回線切ってエイエソの世界にいくんだよもん」
「まわし」
「嫌です」
「まわし」
「まわし」
「まわし」
「まわし」
「まわし」
うっ
びゅくっびゅくっ
90 :
お花屋:2001/05/21(月) 14:05
逆アナルスレで、萌え話が暴走中ということで…
萌えのわりに長いので、ちょっと短く手直し。
ところで連続エラーって…困る
91 :
名無しさんだよもん:2001/05/21(月) 17:05
>90
最高!!
詩子様大好き
すいませーん。 鬼畜でない、普通の性行為のあるSSを投稿してみたいんですが、
ココでいいんすか?
いいはず・・・(笑>92
しかし、エロSSを投稿したいが気が引けるというのも分かる。
ここはSS専門だから今のところ苦情は出ないが、読む方もエロ嫌いな人は長いSSは不愉快なはず。嫌いなら無視すればいいが、いろんな人がいて現実そうもいかない。瑞希スレはそれで荒れて廃墟になったのを見ればナー。
SSスレも昔やたら長く書く人がいて、「誰も読んでネエヨ」という発言をきっかけに少し揉めてる。アレは作者が好感の持てる対応をして納まったが、そのまま行けば、追い出されて長篇モノは別スレになったかも。
好き嫌いの一言しかない世界だからな。
自分の好みのSSが詰まったスレを望みたいのは誰でも同じ…
名無しさん@なの氏のような、名手の手になる萌えSSの後に露骨なエロSSを投稿するのは、ちょっとためらうところ。
凌辱スレが別れたように、エロSS専門に別れたほうがいいのかにゃー
んー、あまりわけるのもどうかと思われ。
長い、長くないの判断をどこで分けるかも微妙なところだし、ちょい短めくらいだと
シチュスレに書きこまれる場合もあるから、漏れはss=長文というイメージです。
(もちろん短いのもおおいに楽しませていただくが)
あと、某スレが荒れたきっかけは別の理由では?(ワラ
>>94 ついでに言わせてもらえば長文云々で揉めたのも別の理由と思われ。
そんな理由で荒れるんなら、ほかほか兄さんなんてどうなるのよ?
SSスレに書きこむ人がますます少なくなっても悲しいから、しばらくエロ、非エロ混在でいいの
ではないですか?
とくに問題起きたわけでもないし。
ガキはなんでも自分の思い通りにしなきゃ気が済まないからな(藁
それでは、妄想垂れ流しでSSを投下しちゃうから覚悟してね。
100 :
名無信者さん:2001/05/25(金) 17:36
何かギスギスしてまんなあ。
101 :
あゆ:2001/05/25(金) 19:44
うぐぅ、それよりボクのSS誰か書いてよぅ…
書いたのに・・・あうあう(笑)
103 :
あゆ:2001/05/26(土) 11:10
あれひどいよ…ボクきれいな女の子なんだからね…
そうだ、102さんボクのためにカッコいいお話かいてよ!
ゆーいち君がボクにプロポーズするやつ。
そんで、ボクが冷たく断るんだ!
きっとみんな大喜びするよ!
あれはきれいな女の子になれる話だからいいの。
>>103 それなら「祐一と結ばれたあゆを、それ以外のキャラ全員で潰しにかかる」
という話をダークかつシリアスにかいてあげるよ!
祐一の見えないところで陰湿ないじめが……とか
>105
みんなにウケるといいね
東京からもどったあくる日、来客の気配がした。女の声である。
「お兄様、大変!」
妹があわてた様子で、伝えに来た。
訪問者は、隣屋敷の倉田家の妻である。
茶を飲みにこないか、と主人が望んでいるというのである。
「めずらしいこともあるものだな」
と、久瀬は意外な面持ちでいった。
「せっかくだから、あとでお伺いするとつたえなさい」
「はぁ〜い」
ところで、倉田家からの招待は、意外のものだった。
隣同士であり、このあたりの名家ではあるが、ほとんど言葉を交わしたこともない。娘の佐祐理は、親に似て気位が高い。
かつて久瀬は、佐祐理を凌辱する妄想にふけったこともあった。
それをおもうと気まずいが、とにかくいくことにする。
倉田家は茶室をしつらえて久瀬を待っていた。
意外なことに、どうせ出てこないと思っていた佐祐理が和服姿でひっそりと脇に控えていた。
「佐祐理は、このごろ茶道のほうも上達しましてな、きょうはひとつ、お点前を見ていただこうと、急に思い立ちました」
久瀬のとなりで主人がしきりにはなしかける。
「佐祐理さんのお顔を拝見するのは、ひさしぶりです」
と、久瀬は佐祐理に話し掛けた。
「…」
氷のような美貌には表情がまったく消えている。
精巧な人形の様に完璧な顔立ちは、男が望むおんなをそのまま造り上げたような魅力があった。吸い込まれるように凝視してしまう。ビー玉のような瞳がうごいた。どこか、壊れてしまったような印象を受ける。
佐祐理は茶をたてはじめた。
「久瀬君は、もう東京でお勤めとか」
主人がいろいろと久瀬に話し掛けて、ほう、とか大したものだとか大げさにほめあげた。そのあいだ、久瀬は目を伏せている佐祐理が気になって茶の味はまったくわからない。
「それでは…だいぶ長居いたしました」
「おお、それでは佐祐理。久瀬君を送ってさしあげなさい」
倉田家を辞して、なつかしい街並みをあるきながら、ふと倉田家は佐祐理を自分に押し付けようとしているのではという考えが頭をよぎった。
「まさかな…」
「お兄様、よろしいですか」
「うむ…入っていいよ」
その夜読書していた久瀬は本を閉じた。
「どうでした?倉田家のほうは…」
「格別の用はない。ただ…」
口を濁した。
「…佐祐理さんと会ってきた」
「やっぱり」
沈黙が流れた。
「なにか知ってるのか」
「いいえ、とくには…それで佐祐理様はどんなかんじでしたか?」
「昔とは、だいぶ変わって大人びた、落ち着いた方になったようだ。私とは喋ってくださらなかったが」
「…」
「まあ、私が嫌われているのは確かだろう」
やや、自嘲気味に吐き捨てた。俺を愛してくれる人間はまずいまい。それまでも、そしてこれからも。
「お兄様…じつは…」
「…?」
「申し上げにくいんですが」
妹が手短かに語った内容は、驚くべきことだった。
俺がいないあいだに、倉田家から縁談があったこと。そして、それまでのウチと倉田家との関係から、容易に断るわけにいかない性質のものだということ。
「なるほど」
我が家と倉田家の関係は祖父の代からのものだ、とは聞いていた。
そして倉田家の当主である、佐祐理さんの父上はまぎれもない街の有力者。その男が膝を曲げて娘を貰ってくれと頼む以上、簡単には断れない。
「でも…あまりに理不尽です。それが口惜しくて…」
「私は反対です…失礼ですがお兄様は佐祐理様がどんなひどいご病気に罹っているかご存知?」
「べつに普通だったが…そんなふうに見えなかった」
俺は明るい声ではしゃぐ佐祐理さんのかつての姿を懐かしんだ。ほとんどがスレ違いだったが、優しい天使のような笑顔を。
お互いに大人となり、その美貌は変わらないどころか、いよいよ凄みをましている。そんなはずはない…
「…廃人同様、だそうです…もう絶望だと…ききました」
妹の目から涙がこぼれた。
つらい話が続いた。精神病から佐祐理さんが何回も自殺を図り、そのたびにクスリも強くなり次第に壊れていったこと。
いまは意志のない人形のようになり、おとなしくなったが、そのかわり二度と回復することはない。
「ね。お兄様、断りましょう…私も佐祐理様が大好きでした。とっても優しくて、きれいで。本当の姉様になってくれたらって…」
声を詰まらせる。
「そうだな…」
「…私は…痛々しくて見てられません」
「そうだな…母さんが生きていれば、きっと賛成してくれたろうよ」
俺の母。幼いころに亡くした母。
白い病院。
思い出すのも嫌な記憶。
「ね…泣いてちゃ駄目…」
佐祐理さんの優しい言葉。
それから俺の片思いがはじまったのか。
佐祐理さん…
俺は嫌な奴だ。何度そう言われてもこたえはしない。この嫌な世の中を渡っていくにはそれしかない。
でも、佐祐理さんは俺の正反対のヒトだ。自分のためでなく、他人のためにぼろぼろになって行く。もっとらくな道もあったはずだ。俺の通った道のように。そう、他人の苦しみなんて無視すればいい…
なぜ、できない?かんたんな事なのに。
おそらく、俺よりはるかに強いひとだったんだ…そうずっと思っていた。
でもそれは、彼女にとり、絶望にたどりつく道でしかなかったのだ。
あんたは…馬鹿な女だ。
でも、そんな女を俺は愛している。
壊れた人形のように成り果てた佐祐理さんの抜け殻であっても、手に入れるチャンスが訪れたら…俺は…
男って悲しい生き物だから。
たぶん…それでも俺は…
一年後。祐一はメールを起動していた。
「ん…来てるな。誰かな」
こんにちは。
はじめましてわたくし倉田佐祐理というものです。
な〜んてね
すっかりご無沙汰しておりますおめでとうございますっ!!
祐一さん、舞とのご結婚お祝い申しあげます!!
祐一さん、色々お忙しいでしょうけど頑張ってください!
佐祐理の方も、ちょっぴり幸せな事が!
なんでかっていうと・・・なんです(ご想像におまかせです☆
あ、そうだ!それではまだ仕事?があるので、それではまた〜
いろいろ大変だとは思いますが、頑張って下さいませぇ〜☆
それではーっ☆
「おい…舞。起きろ!」
「祐一、うるさい」
佐祐理さん。僕のしあわせは、あなたとともに
手を取り合って、すごすこと
それ以外何も求めない
季節がめぐり、また春がきても
いつまでも一緒にいよう
つらいことも、かなしいことも
ふたりならいつかは忘れられる
神も奇跡も、僕は要らない
なぜなら、あなたが天使だから
まあ確かに舞シナリオでの久瀬はウザイが。
しかし反面、佐祐理に対する執着がそこまで強かったとすればむしろ哀れな男とも言える。嫌われながらも傍に引き寄せたい、思い通りにしたい…それでも笑顔を絶やさず明るく接するのだろうな…佐祐理さんは。
ある意味、幼いころのトラウマである佐祐理さんの魔性に一生魂を引かれながら終わるのだろう。永遠に手に入れることの出来ない女…
かりに成功者になっても、他の女にあるはずのない幻影を追いながら苦しむのだろう。彼女の優しさは弟に対する贖罪と愛情が入り混じったもの。存在そのものが奇跡なのだ。そんな天使を探しても、もう地上にいるわけがない。
すこし昔の過去ログでも佐祐理さん考察では、やはり精神病の疑いが掛けられていた。奇妙な暗合だ。自分が壊れながら得たものが天使の優しさ。
いずれ佐祐理さんが自分の幸せを見つけるか、暗い精神世界のなかで絶望して本当に壊れてしまうかは知りようもないが…
しかし、数年後、壊れた人形のように成り果てた佐祐理さんの抜け殻であっても、手に入れるチャンスが訪れたら…俺は…
男って悲しい生き物だから。
たぶん…それでも俺は…
ごめんなさい、ちょっと悲しい気分で書いたので。
久瀬SSを書いたときの気分はこんなとこ。暗いなあ。よってえっちな展開を期待された方は済みませんでした。
佐祐理が深く病んでいった原因が、3人の関係の破綻によるものならば、
祐一(や舞)に代わる「新たな贖罪の代替」を手に入れられたことで、佐祐理はかつての自分を取り戻すことができたのだろうか?
それとも、壊れてもなお佐祐理を想い続けた久瀬の気持ちのよって回復を計ることが出来たのだろうか…
前者なら、哀しいお話ですね。
@なの氏や@だよ氏の新作が見たいsage
夜、新聞のテレビ欄をみているボク。
「テレビばっかりみてるとバカに磨きがかかるぞ、あゆ」
「うぐぅ・・・でも、ボク、テレビ7年間みてなかったから」
「そんなの理由にならん」ペチッ。祐一君が頭を叩く。
「痛いよ〜、祐一君」
ボクは、またテレビ欄に目を戻す。・・・え〜と、8時からの番組は、と。
あ、この番組はどうかな?
「これなんかおもしろそうだよ。動物の結婚100連発だって」
ボクはみんなに言ってみた。
「あ、かわいい〜。わたしも見るよ」そう答える名雪さん。
あ、あれ、祐一君は・・・ちょっと考えたあと、笑い出した。
「あはははははっ。・・・見たいのか。あゆ」
「う、うん・・・」
「名雪もか?」
「うん、そうだけど・・・?」
「そうだなあ、2人が必ず全部見るというなら見せてやるかな・・・いつもは、俺と秋子さんは
大河ドラマを見てる時間なんだから」うう、大河ドラマはイヤだなあ・・・。
「わかった、よくわからないけど全部見るよ。うん」ボクは気軽に返事をした。
「なんか、大げさな話しだね?でも、いいよ」名雪さんも、とりあえずうなずいた。
祐一君が秋子さんに尋ねる。
「秋子さん、今みたいなことになってしまいましたけど、いいですか?」
「了承」秋子さんがそう言って微笑む。
「そうですね・・・。じゃあ、その番組中、わたしはあゆちゃんと名雪を見ていましょうか。ウフフ・・・」
・・・秋子さん、なんで笑うのかなあ?
8時、TV番組が始まった。司会者とゲスト出演者の会話が一通り終わると、司会者が言った。
「では、かわいい動物たちの結婚を、どうぞごらん下さい」VTRが始まった。
あ「パンダの結婚」だって・・・
画面に檻の中のパンダ2頭が映る。
「あれ?ウエディングドレスを着ないのかなあ・・・パンダのお嫁さん」
ボクは、画面を見ながら言った。
「残念だけど、着ませんよ」微笑む秋子さん。
パンダ2頭は、ガフガフ言って、お互い周りを歩き回る・・・。う〜ん・・・?
『さあ、2人とも相手が気に入るでしょうか?』とナレーション。
画面では、パンダたちは相手に吠えたり、ときどき相手を威嚇している。うう・・・なにこれ。
『さあ、いよいよ結婚です』とナレーションが入る。どきどき・・・。
画面を見て、言葉を失うボク。
「あの、こ、これは・・・」
パンダさんが・・・へこへこと腰を、腰を・・・あわわわわ。
ボクはあわてて、周りを見る。
赤面してうつむく名雪さん・・・。一方、微笑んでボクをじっとみる秋子さんと、邪悪な笑顔の祐一君。
「さあ、全部見るんだぞ、あゆ。『約束』だぞ」・・・うぐぅ。祐一君にやられた・・・。
「鹿さんの結婚」ううっ。
「犬さん」ううっ。
「ライオンさん」「馬さん」「豚さん」「羊さん」「熊さん」「鳥さん」「ペンギンさん」
「くじらさん」「シャチさん」「へびさん」・・・・・・うぐぅ。
「ううっ、ごめんなさい」わけもなく、ボクは謝った。
そして、仕方なく・・・画面を見つづけた・・・。
そうか・・・結婚ってこういうことなんだ。・・・ボク・・・結婚やめようかな・・・。
1時間後。
とても満足そうな秋子さん・・・。
「名雪もあゆちゃんも、とてもかわいかったですよ」そう言ってにっこりと笑った。
祐一くんも楽しそうだった・・・。
「あゆ、よかったな。かわいい動物さんの結婚が見られて」
2人ともひどいよ・・・うぐぅ。
あれ、名雪さん。泣きながら何かつぶやいている・・・?
「動物さんはみんな・・・後ろからなんだね・・・」
そ、そうだったね・・・。
「わ、わたしも、動物さんなのかな・・・」
わ、わけわかんないんですけど・・・。
「ひどい・・・初めてだったのに、ひどい」しくしく・・・。
・・・うぐぅ。
そ、それって何のことなの、名雪さん・・・。ねえ、何のことなの・・・?
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>>124-126
「あゆの水瀬家訪問日記・TV」
「あゆの水瀬家訪問日記・TV」を読ませて頂きました。
明るいノリであゆと名雪が描かれていて楽しめました。ありがとうございます。SSはこれくらいの長さが理想ですね。
「あゆの水瀬家訪問日記」シリーズの次も楽しみにしてます。
ところでnayukifanさんは舞と佐祐理さんはお好きでしょうか?名雪だけでなくさゆりんスレもたまには来ていただけるとうれしいです。
しのむだよもんさん、読んで頂いてありがとうございました。
Kanonにはこだわりがあるのでとりあえず、さゆりんスレで考察しながらいろいろな切り口で考えたあげく、まず久瀬を書いてみたのですがまだ考えがかたまっていなくて、すいません。駄文、長文ではまずいので短くしちゃいました。
これと同じか、二倍程度の長さで読みかえしても耐えるようなものを仕上げたいですね。佐祐理さんに対する愛情はありますので。
かりに一人であっても全部読んで、しかもていねいなレスをつけていただいたのには感激致しております。しかも私より真摯なこだわりをお持ちの方のようですね。
葉鍵自体が寂れているせいか、さゆりんスレはなぜか人気も今ひとつなのですがキャラスレとしてながく定着してほしいとねがっております。そんなわけで時々思いつくままにカキコして下されれば、より盛り上がるかと。
そして、SS「壊れた人形」に目を通して下さったほかの方々にも感謝いたします。
>>137 >しかも私より真摯なこだわりをお持ちの方のようですね。
「真琴なこだわり」に見えた…逝ってきます(;´Д`)
>>137 サンクスです。
どうも近頃、受けがわるいようで・・・心配なんですぅ〜(汗
>>137 >かりに一人であっても
読んでる人はもちろん他にもいますよ。でもレスつける人はやっぱり少数なのかな?
私も面白いと感じたときはレスつけるように気をつけてはいます。
ただ、短いシチュの場合と違って、一言だけ感想だと気が引けるような……
ってのが多少感じられる。
「壊れた人形」について言えば、面白いと思いましたよ。単なる萌えssではないところが。
もっとも、久瀬は嫌いですが(笑
あと、さゆりんスレですが、マターリsage進行キャラ萌えシチュ系スレとしては
実質一本目な訳で、そんなに悪い立ちあがりではないんじゃないでしょうか?
雑談系のスレ消費速度と比べるのは酷でしょう。
みしおたんスレやかおりんスレ辺りも是非覗いてみてください(爆
名雪さんの部屋で、ボクは目覚めた。
時計を見る。「うぐ?まだ6時、ちょっと早く起きちゃった・・・」
目をつぶってみたけど、眠くない・・・もう起きようっと。
階下に下りると、秋子さんはもう起きて、台所でお料理をしていた。
「秋子さん、おはよう」ボクは朝の挨拶をした。
「あら、あゆちゃん。おはようございます」
「ずいぶん、早く起きたのね。名雪に見習わせたいわ」微笑む秋子さん。
ボクは食卓に座って、お茶を飲みながら秋子さんを眺めていることにした。
調理道具を巧みにあやつって、朝ご飯の準備をする秋子さん。いいなあ、お母さんって・・・。
「あゆちゃん、なにか朝ご飯で欲しいものあるかしら?」秋子さんがこっちをむいてボクに尋ねる。
うぐ?欲しいものかあ・・・その瞬間、ボクは冗談を思いついた。
ボクもなかなかのギャグセンスだよ、うん。「まあ、あゆちゃんっておもしろいこというのね」
って笑ってくれること間違い無しだ。ボクは自信をもって、それを口にした。
「オッパイ」
「え?」
秋子さんの疑問の声にも間髪入れず、たたみ込む。
「ボク、オッパイが飲みたい。大好きなんだ」
・・・うん、きっと秋子さんは笑うよ。どきどき・・・。
あ、あれれ・・・。
「あ・・・・・」一言つぶやいた後、秋子さんは、頬に手をあててうつむいた・・・。
秋子さん、そんな・・・。しんみりした顔しないでよ。
「そうね・・・そうだったわね。まだ、オッパイが飲みたかったのよね・・・」
ううっ、ウソなのに・・・まずい。
不幸な身の上のボクが言っても、冗談にならなかったのか・・・。
しばらく間を置いて、秋子さんが言った。
「いいわよ・・・わたしのオッパイで良ければですけど」
うぐぅ・・・。
「あ、冗談なんです・・・秋子さん、ごめんなさい」ボクは急いで謝った。
しかし、秋子さんは台所からでてきて、ソファーに座り、ボクを呼んだ。
「あゆちゃん、こっちにいらっしゃい。もうお乳はでないけど・・・」
うわ、どうしよう・・・。
「あゆちゃんのお母さんは、とてもステキな人だと思うけど・・・でも、今だけ、わたしをお母さんだと思って・・・」
そう言いながら、シャツのボタンをはずし、ブラをはずす秋子さん。
「・・・そ、そんな。恥ずかしいよ」
「いいえ。照れなくてもいいの。ね、いらっしゃい、あゆちゃん」やさしい笑顔で秋子さんが言ってくれる。
「ボク・・・あの、・・・えっと・・・」ああっ、もうダメだ。断れない・・・。
「うん・・・」そう言ってボクは、ソファーの上に横になる。姿勢はさすがに不自然にならざるをえない。
そして、この年にも関わらず・・・ボクは、秋子さんの乳房を口にした。
グミよりも気持ち良い歯ざわりで・・・、味なんてしないはずなのに、おいしい・・・。不思議・・・。
(すぐにやめたら、わるいよね・・・)ボクはそんな理由をつけて、しばらくの間、お乳を吸うマネを夢中で続けてしまっていた。
・・・あ、階段を降りる音がする。祐一君か名雪さんが降りてくるよ。
もう、やめないと・・・と思ったら、秋子さんに頭を押さえられた。
「いいのよ、もう少し飲んでいましょうね。わたしの、かわいいあゆちゃん・・・」
ううっ、うれしいんだけど・・・祐一君か名雪さんが降りてくるんだよう。
・・・秋子さんは離してくれない。
「おはよう、お母さん」「おはようございます、秋子さん」うぐぅ、2人とも降りてきてる・・・。
「わ、お母さんなにしてるの?」名雪さんがちょっと驚いてる。それは驚くよね・・・。。
「あゆちゃんに、オッパイをあげてるのよ。ステキでしょう?」やさしい声で答える秋子さん。
「う・・・うん。よかったね、あゆちゃん」うう、ボク同情されてる・・・。
「よかったな、あゆ・・・いっぱい飲ませてもらえ」うう、祐一君も同情してくれてる・・・。
ボクは、秋子さんの乳首から口を離し、きょときょとと周りを見まわした。
みんなやさしい笑顔・・・だけど、ボクとても恥ずかしい・・・。
「名雪も飲みたい、お母さんのおっぱい?」秋子さんが言った。
「え?・・・わ、わたしはいいよ。昔いっぱい飲んだんだから」あせって答える名雪さん。
そうだよね、ボクくらいだよね。オッパイ口にしてる17の女の子なんて・・・。
「あら・・・。じゃあ、祐一さん。飲みますか?」秋子さん、冗談とはいえとんでもないことを・・・。
「え、いや、あの、悪いから・・・」しどろもどろに答える祐一君。
「いいのよ、祐一さん。左が空いてるから、いらっしゃい」
「・・・うぐぅ」冗談じゃなく本気で言ってる、秋子さんてば・・・。
「じ、じゃあ・・・お言葉に甘えて」
「・・・うぐぅ」祐一君、飲む気だよ・・・。
「ダ、ダメだよ、祐一!・・・」祐一君の腕をつかんで必死で止める名雪さん。
今、名雪さんがいてくれて良かった・・・秋子さんのお乳を吸う祐一君なんて、ボク見たくない・・・。
「やめて、祐一。・・・うっ、うっ」そう言う名雪さんはしくしく泣いている。
名雪さんもボクと同じ気持ちなんだね・・・。
さらに、名雪さんは言葉を続けた。
「ゆ、祐一には、わたしのオッパイがあるんだから・・・。わたしのオッパイしか、吸っちゃダメなんだから・・・。
しくしく・・・」
「・・・うぐぅ」
な、名雪さん・・・わたしのオッパイって・・・なに?
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>>141-144
「あゆの水瀬家訪問日記・朝ご飯で欲しいもの」
155 :
>:2001/06/02(土) 23:18
>>154 nayukifanさん。
早速読ませて頂きましたよ。
訪問日記、実はかなり楽しみだったりします。
気の利いた感想を書きたいところなんですが、
文章を書くのが苦手なのでご容赦を。
156 :
名無しさんだよもん:2001/06/02(土) 23:37
なにげな下ネタが(・∀・)イイ!!
>nayukifan さん
ナイス萌え〜
久弥を倒す前に破らねばならぬ漢がここに…
>>155-158と名雪スレの感想に書いた方
どうもです。また、書けるよう・・・がんばるよ。
「の」と「に」が違う・・・うぐぅ
162 :
名無しさんだよもん:2001/06/06(水) 05:26
下がりすぎあげ
メンテ
名雪にノートを借りようと部屋を訪れた。
授業中に寝くさってしまったから、どうしても必要なのだ。
何故今日に限って宿題が出すんだ…。
部屋の前で意を決してノックする。
女の子の部屋に入るのは、何度訪れようと緊張するもんだ。
しかし、返事がない。
寝てしまったのか…?
明日提出の宿題の為だ。
「ホント仕方なく入るんだからな」
誰に言うでもなく言い訳をいいながら部屋に入った。
「な、名雪、あのさ…」
あれ、いないぞ。
風呂か…?
これは好都合。
手早くノートを借りて、こっそり返しておけば分からないだろう。
よし、では早速…ノートはどこだ?!
むう、鞄の中を調べてみるか。
ごそごそ…あ、これか?
手に取ったのは、黒いカバーがしてあるノートだ。
ノートなんてカバーしても仕方ないだろうに…。
とりあえず確認しておかなくてはな。
パラパラ…
「定期報告」
……
報告?
何のだ?
理由が分からない。
これを読みつづける事に、危機感を感じつつも読み進める。
―まだ予兆は現れない。
投与量が少なかったのか?
いや、そう決断するにはまだ早計であろう。
な、なんの事だ?
もう少し読み進めてみる。
―祐一はまだ……
お、俺のことなのか?
もう少し読み進め…
はっ!
「な、名雪! こ、これはだな…」
いつの間にか名雪が背後にいた。
「好奇心は猫さん殺しちゃうんだよ?」
ゆらりと歩み寄る名雪の姿が俺の見た最期の光景だった…。
BAD END
こんなはずではなかったのに…
書き始めた当初はもっと長い予定でした。
これではSSじゃありませんね…。
逝ってきます…。
それと、当初は明るい変態計画だったのに…。
何故にバットエンド…
落ちもない…
本当にすみませんでした。
……
これを元にしてみんなでハァハァ(;´Д`) なssを書こうということであろうか
177 :
名無しさんだよもん:2001/06/11(月) 02:24
dat落ち回避上げ
>>175 >
>>164-165
>BAD END
この話のTRUE ENDはどうなるんだろう。
なぜか「堕ちた天使が歌う詩(だっけ?」思い出した。
>>165 >ゆらりと歩み寄る名雪の姿が
脳内再生されたのが、なぜかギャグ絵(5等身・逆光・目が光ってる)でした
打つだし脳
180 :
名無しさんだよもん:2001/06/13(水) 08:20
>>178 快楽天かなんかに連載してたアレですか・・・
『へとへとなの』
はぅ〜と息を吐きながら俺の腕に寄りかかってくる
本当は俺も疲れていたけど
「……まあいいか」
とそのままにしておく。
演劇部の公演まで一月(ひとつき)を切ったので最近はとても忙しい。
去年から作っていた大道具はなんとかめどが立ったものの
小道具の製作や演技指導などでみんな休む暇もない。
特に深山部長の気迫は凄まじい物がある。
今日も午前中だけで終わるはずだったのに気がつけば午後の二時だった。
…でもそれだけ充実してるって事だし、悪くないか。
澪と一緒に居られるのなら。
「…澪」
澪は視線だけこちらに向けた
「どっかで昼飯食べて行かないか?おごるぞ」
顔がぱぁーっと明るくなる
「よし、何がいい?」
う〜んっと考えた後さらさらと書き始める
『イチゴ』
「…マジ?」
うんうんと頷く
「あんなに小さい物でおなか膨れるか?」
『いっぱい食べるからへーきなの』
にこにこと笑顔で見つめる澪
「そうか、ならいいけど…問題はどこで食べるかだな」
「……」
「…!よし行くぞ、ついて来い!!」
澪はおーっとスケッチブックを高く上げる
そして俺達は走り出した。
走る事数分、俺達は目的の店に辿り着いた。
変色しきった看板に書かれた文字『めしや』
そう、以前に七瀬と来た店だ。
心配そうな目で見つめる澪を無視してガラガラとドアを開けた。
「こんにちは」
「おやおや、久しぶりだねぇ」
「どうも」
俺は会釈をする
「留美ちゃんもいるのかね?」
「いや、今日はいません。でも元気にしてますよ」
澪は俺とおばあさんの関係をはかりかねているようだ。
視線は俺とおばあさんを行ったり来たりしている。
「おや、後ろにいるのは誰だい?」
「澪っていって部活動の後輩です」
「ほら、自己紹介だ」
『香月澪』
『よろしくなの』
笑顔で自己紹介する。
「そうかいそうかい、かわいい子だねぇ」
澪はおばあさんに頭を撫でられ恥ずかしそうにしている。
それでもどこかうれしそうだ。
おっと肝心な用件を忘れていた。
「ところでおばあさん」
「ん?なんだい」
「前に来た時お腹いっぱいで食べられなかったやつ
まだ残ってますか?」
「おや、あの時のはもうないけどまた息子が送ってくれたからね
たくさんあるよ。あたしの大好物だからねぇ」
『甘いのだいすきなの』
「ほおそうかいそうかい、ささ、お上がり一緒に食べようじゃないか」
『たくさんたべるの』
そして俺達は奥の座敷へと案内された。
俺達は三人で食卓を囲む
「……」
「どうした澪?大好きなんだろ?」
ぶるんっぶるんっ
思いっきり首を振る
正座したまま両手を握り締めてひざの上に置く澪
視線は机の一点に集中している。
そこには
「大好きなんだろ?」
「イナゴ」
たっぷりとイナゴの佃煮が並べられている。
「……」
澪は涙目になっている。
「ささ、たーんとお食べ」
「そうだぞ、早く食べないとのびるぞ」
「おやまあ、のびないんだけどねぇ」
「ははっ、そうでしたね」
澪は俺とおばあさんの和やかなやり取りを
上目遣いで見つめるが食べる気配は無い。
「…もしかしてお腹痛いのか?」
ぶんっぶんっ
「どこか調子悪いのか?」
ぶるんっぶるんっ
だめだ、さっぱり分からない。
――こんなとき七瀬なら…
七瀬は立ち上がるとイナゴが入った容器の中に
片手を突っ込んだ。
「どりゃああああー!」
イナゴをわしづかみにすると一気に口へと運ぶ。
ボリ!ボリ!バリバリ!
…パラパラとイナゴの足や頭が七瀬の口からこぼれ落ちる。
ゴクン!
「食べないのなら私が食べるわよおおおお!!」
第一陣を一気に飲み干すとすぐさま次のイナゴを掴み食べ続ける。
まるでバケモノだ。
そしてすべてを食べ終わった後
「なめるんじゃないわよ……」
「七瀬なのよ…私……」
と啖呵を切ってくれるに違いない。
うん、きっとそうだ。
「ささ、早くお食べ」
おばあさんはイナゴを箸でつまむと澪の口へと近づける
「はいよ、あーんしてごらん」
澪は下を向いたままなかなか顔を上げない
「……」
「おやおや、恥ずかしいのかねぇ」
おばあさんの笑顔がまぶしい。
これを断れる人間はいないだろう。
澪はぎゅっ!と目を瞑り口を大きく開けるのであった。
fin
ぱくっ
もごもご
「……」
――あ
『おいしいの』
おしまい。
『あのね』
『くわずぎらいはだめなの』
『ゆうきをだしてたべるの』
『きっとおいしいの』
にこにこ
にこにこ
にこにこ
にこにこ
七瀬「わた
まず最初にごめんなさい。澪の苗字間違えました。
本当にすいません。
伝わってますか?
>>182-187
はじめてSS書いてみました。
ほのぼの系だと思います。
それでも読んでくれたら死ぬほどうれしいです。
では。
読みましたあ。ぜひ、次も書いてください。。。
200 :
名無しさんだよもん:2001/06/14(木) 21:51
たまには上げ
201 :
名無しさんだよもん:2001/06/14(木) 23:18
澪はほのぼのギャグ系が合うのう
うむむ、萌えました。
ちっちゃなお口でコリコリいなごを食べてる澪に萌え!
>>198>>201>>202 感想マジでありがとうございました。
悲しく辛い自作自演せずにすみました。
ほんっとうれしいです。
でも今読み直すとちょっと変えたいところがちらほらと
>「どうした澪?大好きなんだろ?」
>ぶるんっぶるんっ
>思いっきり首を振る
↓
「どうした澪?食べないのか?」
「……」
とか。
書き上げてからすぐ2〜3度読み直したんですけど
間を開けてから読み直して投稿すべきでした。
なんかうかれてたんで。すいません。
読んでくれた人ありがとうございました。
こういうSSは結構好き。
澪クリアしてないけど。
名雪さんと商店街で晩御飯のお買い物をしたその帰り道、まだ若いカップルとすれ違った。
ううん、女の人はお腹が大きいから2人は夫婦だよ、きっと。
お婿さんと道を歩いているだけなのに、そのお嫁さんはとっても幸せそうに見えた。
「ねえ、名雪さん。今の人、かわいいお嫁さんだったね」
「もうすぐお母さんになるんだね、あの人。なんだか、わたしも赤ちゃんが欲しくなっちゃっ
た」名雪さんが、微笑みながら言った。
「とってもうれしそうだったね、あの2人。やっぱり、赤ちゃんができたからかな?」
「うん。わたし、そうだと思う・・・」
「うん、そうだね・・・」
あの人たちの間に生まれてくる赤ちゃんは、きっと幸せだよ。・・・ボクもそうだったのかな?
ボク、何も覚えてない。でも、尋ねられる人も、もういない・・・。
「ん・・・あゆちゃん、どうしたの?」
「な、なんでもないよ、名雪さんっ。アハハ・・・」
道すがら、ボクは、ふとあることを思いついて、口にした。
「ねえ、名雪さんがお腹にできたとき、名雪さんのお父さんとお母さんってどうだったのかな?」
「え、わたしができたとき?・・・うーん、どうだったんだろう?」
「きっと、お父さんも秋子さんも大喜びしたとボクは思うよ。うん」
「そ、そうかな?」名雪さんが照れている。
「秋子さんに聞いたら、お話ししてくれるかな?」
「わ・・・なんか、恥ずかしいよ。あゆちゃん」
「名雪さん。帰ったら、ボク、秋子さんに聞いてみていい?」
「わ、聞くの?」
「ねえ、ボク聞きたいんだよ」
「うん、いいよ。じゃあ、帰ったら2人で聞いてみようね」名雪さんが微笑んで言う。
(あゆちゃんがそうしたいのなら、わたしも大賛成だよ)ボクには名雪さんのそんな気持ちが
伝わってくるような気がした。
ありがとう、名雪さん。ボクにやさしくしてくれて・・・。
ささいなことだけど・・・でも、名雪さんのちょっとした心遣いを思ったら、少し涙がにじん
じゃった。
「わ、うれしいっ。じゃあ、早く帰ろっ」ボクは、名雪さんから買い物袋を奪い走り出した。
半泣きの顔を見られたくなかったこともあって・・・。
家に帰り、冷蔵庫に買い物の品をしまったところで一休み。秋子さんがお茶を入れてくれる。
話題が切れたところで、ボクと顔を見合わせた後、名雪さんが例の質問をしてくれた。
「ねえ、お母さん。わたしがお腹にできたときのお父さん、お母さんはどんなふうだったの?」
秋子さんに尋ねる名雪さん、ちょっとだけまじめな顔してる。
「あら、どうしたの、いったい?」楽しそうに驚く秋子さん。
「さっきお買い物の帰りに、お腹の大きいお嫁さんを見たんだけど、とっても幸せそうだったんだよ。
だから、ボク、秋子さんにもっと詳しいお話を聞きたいなって・・・」
「ね、お母さん。いいでしょう?」
「そうね、そのときのわたしは幸せでした・・・って言えるかしら、ウフフッ」そう言う秋子
さんは、照れている・・・なんだか、かわいい。
「そんなこと話すなんて、ちょっと照れるんですけど・・・聞きたいですか?」
「うん、聞きたい聞きたい」「ボクも聞いたいっ」
名雪さんとボクは、大はしゃぎで話をせがんだ。
「いいわ、お話ししましょうか・・・」思い出すような目をして、秋子さんがお話しを始めた。
名雪さんとボクは、どきどきしながら、話に耳を傾ける。
「まだ、春って言っても暦の上だけの寒い頃でした。お父さんが仕事から帰ってきたので、わ
たしはお台所で料理を始めたの。だって、作り立てを食べて欲しかったから。
お父さんは、和食が好きだったから、お魚や、お芋の煮転がし、鍋物だったかしら・・・下
ごしらえしておいたもので、料理を作り出したの。そんなわたしの料理のできるのを、お父さ
んは待っていました。・・・いえ、そうしているいるはずだったのに、突然、わたしの後ろに
来てこう言ったんです・・・」
ここまで言うと、秋子さんははにかみながらうつむいた。
「ね、なんて言ったの?」「秋子さん、教えてよ〜」ボクたちは、お話を催促した。
・・・顔を赤くして、秋子さんが口を開いた。
「お父さんは、やさしくわたしを抱きしめて、耳元でささやいたの。『・・・しよう、秋子。
いいだろっ?』って。そう言うと、お父さんはわたしのおっぱいを揉みはじめたんです」
「わ・・・」「うぐ・・・」
「わたし、『あんっ・・・お料理の邪魔をしないで』って・・・。そうしたらお父さん、『秋
子は料理していていいよ』ですって。無茶だと思わない、あゆちゃん?」
「う、うん・・・」うう、話しを振られても、ボクちょっと・・・。
「あの人ったら、おっぱいを揉むだけじゃなくて、わたしの耳も甘噛みしだすし。ねぎを刻も
うと頑張っているのに、わたしのスカートの中に手を入れてくるし。わたし、必死に料理をし
ようとしたんですけど、途中からわけがわからなくなっちゃって・・・。
でも、わたし、手にもつ葱を一生懸命、刻もうとしてたのよ・・・。どうしてかしら、おか
しいわね、くすっ」
うぐぅ・・・よくわからないよぅ。
「『ここは、・・・んっ・・・危ないわ。ね、あなた、あっちに行きましょう』火も包丁もあ
るから、わたしが必死に言っても、お父さんは聞いてくれないの。『秋子のエプロンをつけた
後ろ姿がそそるんだ、ダメだっ』て言い張って・・・。お父さんって、意外にわがままだった
のよ、名雪」
「うう・・・わがままなのかな、それって・・・」涙目の名雪さんがつぶやく。
ボクも、わがままとは違うと思うんだよ・・・。。
「しばらく・・・そうね、10分くらいお台所で立ったままだったかしら。その後、お父さん
ったら『秋子、流しのへりに手をついて』って」
「ひいっ・・・」「うぐ・・・」
「わたしも結婚したばかりでしょう。素直に『はい、あなた』って、手をついたの。するとお
父さんは、わたしのパンティを下ろして、後ろから・・・ええ、バターとバターナイフみたい
にすんなりと」
「バター・・・」「ナイフ・・・」名雪さんとボクの言葉が重なる・・・。
「でも、エプロンとスカートは、つけてたのよ。あまりに恥ずかしいですもの、お台所でハダ
カなんて、ウフッ」
し、知らなかったよボク・・・。おパンツ脱いでも、エプロンとスカートはいてればセーフな
のか・・・。
「そのうち、お魚はこげちゃうし、ガスにかけていたお鍋はこぼれちゃいそうになるし・・・。
『ね、あなた。お鍋がふきこぼれちゃうから・・・待って、待って・・・』ってわたし、す
すり泣きながら言いましたけど、・・・あ、悲しくて泣いてたんじゃないの、あゆちゃん(に
こっ)」
すすり泣きって・・・うぐぅ。
「あの人、『もう、俺の鍋もふきこぼれちゃうよっ・・・秋子っ』って・・・お父さん、お鍋
といっしょにふきこぼれちゃったの、くすっ」あうあう・・・お父さん、オヤジギャグ・・・。
「わたしも、お鍋のふきこぼれと同時に幸せになったんですけど・・・われに帰ったとき、結
局、お料理はできずじまい。できたのは、意味もなく刻んだ葱3本と、こげたお魚とお鍋。そ
れに床はもう・・・あ、それは言わないでおきますっ・・・。と、とにかく、あとかたずけが
もう大変だったの、ウフフッ」
「お父さんとお母さんはこんなふうだったのよ・・・。どう、何かためになったかしら?」
秋子さんが、ボクたちに話しかける。
「え、えーと・・・ある意味、とてもためになったと思うよ。ボク」
秋子さん、『新婚さん、いらっしゃい』なお話をありがとうございました。ボク、将来出るこ
とになったら見習うよ・・・。絶対出ないと思うけど・・・。
「名雪は、どうかしら・・・?あら、名雪」
「・・・ぐすっ、ぐすん・・・お父さん、お母さん・・・」
うん、ボクも泣くよ。お母さんから、こんなお話しを聞いちゃったら・・・。
「ね、お母さん・・・くすん」
「なあに、名雪?」やさしい笑みを浮かべる秋子さん。
「お、お母さん・・・、わたし、『わたしがお腹にできたとき、お父さん、お母さんはどんな
ふうだったの?』って、質問したんだよ。それなのに、こんなお話するなんてっ、ぐすっ・・・」
「あら、名雪?わたしは『名雪がお腹にできたとき、お父さん、お母さんはこういうふうだっ
た』って話をしたつもりよ」
「え・・・?」
「だって、そのときお腹にできたのが、あなたなんだから」
「そ、そんなのって、ないよ・・・」
「あなたは、お父さんとお母さんがこの日に愛し合ってできた子なのよ、名雪」
「わ、わたし・・・そういう愛し合い方で、できたんだ・・・お台所で、できたんだ・・・」
「そうよ・・・あっ、お台所で、料理はできなかったけど、名雪ができたのね(にっこり)」
わあっ、秋子さん。その言葉は・・・。
「ぐすっ、ぐす・・・。わたし、お芋の煮転がしや、焼き魚や、鍋物のかわりにできた子なん
だ・・・」
ああっ、名雪さん・・・。
「わたし、お台所で晩御飯のかわりにできた子なんだね・・・うっ、うっ・・・うぇ〜ん・・・」
「うぐぅ・・・」そんなでき方、ボクも嫌・・・。
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>>205-210
「あゆの水瀬家訪問日記・どうだったの?」
今回は名雪が不幸なのか……
その勢いなら毎日やったろうし一日単位まで分かるもんだろうか、面白いから良いけど(w
出遅れたがどうしても気になるぞ
>>196の七瀬は何を言おうとしてるんだっ!
オギノ式で管理しててとか、次の日から出張だから……とか。
(・∀・)イイ!!
225 :
ななし:2001/06/17(日) 00:54
age
226 :
海月:2001/06/17(日) 01:06
実は毎回見てますが、ここは質が高いですねぇ。
>>222 普段はゴムしてたとか、後ろの穴ばっか使ってたとか(w
>>220 秋子さんがぶっ飛んでいて、面白いお話でした。
これの後日談とか想像すると、結構楽しい(名雪は
どんなグレ方をするのかな、とか)。
次も期待しておりますにょ。
「やはり秋子のところで暮らしたい?祐ちゃんは」
「どっちでもいいよ」
「それも秋子さんに悪いんじゃないか?女手ひとつで働きながら娘を育ててるひとにウチの馬鹿息子の面倒まで押し付けるのは」
「わるかったなあ…」
「それじゃ、どうしましょう」
「実は、おれの知り合いで倉田さんという方がいて、そこの家に居候させてもらうよう頼んでもらうことも考えているんだが…どうだ?祐一」
「………」
「もしや、あの倉田さん?立派な方ですからそれは願ってもない事ですけど」
「まあ、厳しい家だとは思うがな。ひとつ上の娘さんがいるが、それは大変優秀な娘さんらしい。弟さんが亡くなってから家が広くて寂しいと嘆かれていたし、もし来るなら歓迎するとのことだ。どうする?」
「それなら…」
雪が降りしきっている。寒い。
「とうとう来ちまったなあ」
しかし、思ったより敷地が広そうな…街の一角なのに、門からは鬱蒼とした林が黒くざわざわと鳴ってるのが見えるだけで、屋敷は見えない。
別世界に紛れ込んだようだ。
「携帯から掛けてみるか…」
キィ…
なにか金属が軋んで鳴ったようだ。
「ん…」
「あの…」
綺麗な声がした。
「もしかして祐一さんですか?」
門から姿を覗かせたのは、水色のセーターを着た若い娘だった。
緑のチェック柄のリボンをつけた茶色のゆたかな長髪が印象的な美人で、寒さのせいかほんのりと頬がピンクに色付き、にこにこと感じの良い笑顔を浮かべて降りしきる雪の中で立っていた。
「そうだけど」
「よかった…無事着いたんですね」
彼女は祐一をいたずらっぽい表情で下からのぞき込み。
「はじめまして。倉田佐祐理といいます」
ずいぶんと気さくな美人のようだ。おれはほっとした。
「おれは相沢祐一。きょうから世話になるよ」
「たしか佐祐理のほうが一つお姉さんでしたね。お父様の申し付けで、これから佐祐理が祐一さんのお世話をさせて貰います」
そう言うと、佐祐理さんは雪の中できれいな白い指を差し伸べた。
「あははっ、祐一さん。佐祐理の事おねいちゃん、て言っても構いませんよ…」
そう、佐祐理が待ち遠しくてならなかった人。
新しい家族がここにいる。
屋敷内
佐祐理さんに手を握られたまま二階に案内される。素封家の家柄らしく、ふるい洋館で地味な感じだ。
田舎の地主には広い家も多いが和式でなく戦前からのふるい洋館というところが、なんとなくだが倉田家の特殊な格式を物語っているようだ。
「あははーっ古くてしんきくさいだけ、ですけどね」
初対面なのに佐祐理さんは実の家族のように親切だ。
「ここです、祐一さんの部屋」
「すごく広いんだが…」
「それはそうですよ、一番いい部屋ですから」
「え…」
「あははーっ!佐祐理のお部屋は隣ですし、それに」
もしかして、あれは…
「実は同じ部屋をカーテンで区切っているだけですから」
まずい。それはいくらなんでも。
「あれ?顔色悪いですよ?」
「佐祐理さん…他の部屋無い?」
「ふぇ?祐一さん佐祐理のこと嫌いですか?」
佐祐理さんの顔が急に曇っていく。そんな顔されると…
「そんなことはないけど…」
「良かったです(にっこり」
なんか佐祐理さんのペースにはまっているような…まあいいか。
広間で夕食をとる。
倉田家の主人である佐祐理さんの父親は無口なひとらしい。祐一の挨拶にも一言二言返事をするだけで、黙々と食事を進めた。
はしゃいでいるのは佐祐理さんだが、父親は娘の話にも時々笑顔を見せるだけだ。母親は居ない。どうも別の住まいらしい。
(あまり幸福そうには見えないな…)
佐祐理さんがいることで、この家は明るさがかろうじて維持されているのがわかる。本来佐祐理さんは母親と住んでもよいのだろうが、父親が娘を手放さない理由もそこにあるのだろう。
「おいしいですか?祐一さん」
「とっても。この料理佐祐理さんが作ったの?」
「あははーっそうですよ。どんどんおかわりしてくださいね」
「ほら、コロッケもありますよ」
「あははーっ、お父様、とっても祐一さんのこと気に入ったみたいですよ」
食後。二人は居間でゆったりしている。
「よくわかんないけど…そうだといいね」
「よくわかりますよ。佐祐理には。それにお父様は祐一さんが赤ちゃんの頃から良く知ってますから」
それは初耳…
「うちはなかなか男の子が出来なくて、祐一さんが赤ちゃんの頃貰いたいと冗談を言ってたと聞いてます。まあ、いまもいないんですけど」
佐祐理さんは語尾を濁らせた。そんな話は親しい親戚などにはよくあることだ。そういえば…
「名前も…」
「あははーっ、そうですね。佐祐理よく知りませんけど、ホントの姉弟なら同じ字を使うのは適当って気がしますね」
そうなのか…なんとなく分かる。
「でも…佐祐理は祐一さんに来てもらってとっても嬉しいです。お父様もホントにウチの子になって貰ってもいいって思ってますよ、きっと」
それはいくらなんでもないだろう…いくらここの家が寛容とはいえ。婿養子に入るのならともかく…ん、待てよ。ということは。
目の前にいる佐祐理さんと結婚。
結婚、初夜。げふんっげふんっ、しかしこんな美人と…甘美な想像だ。ええのう。色気もなにもない名雪とは大違いだ。ふふふ。
「あははーっ、祐一さん顔が赤くなってますよ」
佐祐理さんの顔が近寄る。いい匂いが…
「さ、佐祐理さん」
ハァハァ…
「あははーっ、ウチは厳しいですよ。でも、おねいちゃんが付いているから大丈夫!全部手取り足取り面倒みてあげますから(えっへん」
こけ
「わかりました…お姉様」
なんだ、そうゆうことか…思わずいけない想像をしてしまった。でもこれから佐祐理さんと同じ部屋で寝起きして…どうするんだ。よく考えると地獄か。
佐祐理さんは天使のような笑みで長い髪をかき上げながら、立ち上がる。
「そうそう、先にお風呂入って来てくださいね」
広い風呂場だな…庶民には違和感が。でも湯に浸かっていると疲れが取れる…うう。
ガラガラッ
「あははーっどうですかっ?湯加減は」
「…………!?」
さ、さ、佐祐理さんが全裸にタオル一枚で…
「さ、佐祐理さん、いくらなんでも…」
「はぇ?佐祐理なにかいけないことしたですか?」
きょとんとしている。
「あははーっおねいちゃんの前で照れなくてもいいですよぅ。ホント祐一さんは一人っ子のせいか恥しがり屋で困りますねーっ」
いや、ふつうまずいぞ。多分。中学生と小学生ならともかく。そういう家なのかな。
「背中洗ってあげますから」
「いえ、大丈夫でございます。洗いましたので。お姉様」
「そうなんですか…残念」
佐祐理さんは胸にタオルを当てたまま湯船に片足を差し入れた。
ううっ、佐祐理さんのいけないところが目に飛びこんでくる。黒く茂った意外に立派な…いかん。しかしなんちゅう家だここは。
「はぁ…」
佐祐理さんがおれの横で気分良さそうに吐息を洩らした。
髪を全部降ろしているせいか飾り気はないが、顔が上気して赤みが差していく。しかしこのひとほんとうに素顔美人だな。化粧落としたら眉が無くなるような娘もめずらしくないんだけど。肌もきれいだし…鼻筋も通っている。
「久し振りに誰かとお風呂に入れました…佐祐理懐かしいです」
「そうなんだ」
窓の外の夜空を眺めながら…
佐祐理さんの柔らかい肩がそっとおれの身体に触れる。
「でも…いくら一人っ子だといっても祐一さんは頼りなくて佐祐理心配です」
「そうかな」
「そうですよ…佐祐理と一緒にお風呂入るのも嫌がるなんて。子供じゃないんですから。おねいちゃんは一生ついてないと駄目なのかなあ」
佐祐理さんの頭がこちらに傾き髪がはらりと掛かってきた。
すげーいい匂いが。気が遠くなりそう。
ふっとそちらに目をやると佐祐理さんの白い乳房が…でかい。
湯煙りでよく見えん。あれ、股間の一物が急激に。タオルで押さえ付けるが体は正直でますます元気に。どうしよう?
「さ、佐祐理さん。おれ先に上がるから」
ザバッ
「ふぇ?どうしたんですか」
思いっきり勃起してるのがばれる…
「あははーっわかりました!おしっこ出ちゃいそうなんですねえーっ」
おしっこ…
「トイレまで佐祐理が付いてってあげましょうか、あははーっ」
佐祐理さんの笑い声を背に、着替え場で佐祐理さんがきちんと用意してくれた寝巻きに着替える。
籠の中に佐祐理さんの絹の下着を発見。くすねたい誘惑に駆られる。
迷ったが、(これだけあれば一枚ぐらいわからんだろう…)とポケットに忍ばせる。ううっなんでおれはこんな事をせにゃならんのだろう…哀しくなってきた。
部屋。
荷物はまだ届いていないのでがらんとしていたが、佐祐理さんと寝巻きのままふざけあう。佐祐理さんは心底楽しそうだ。
「あ…もうこんな時間ですね」
まだ11時だというのに佐祐理さんは切り上げて寝ることにしたらしい。
「ふぁ…おやすみなさい」
ぽてっと自分のベットに倒れこむ。でも佐祐理さんは明日の食事の支度から洗濯までしているのだから。おれも同じ部屋でいつまでも夜更かししてはいけないだろう。寝よう。
ベットの中でくすねてきた佐祐理さんの下着を取り出した。くんくん。
「ああ、なんていい匂いなんだ…佐祐理さーん」
寝巻きのズボンの中の一物が逞しくなる。
「はぁはぁ、佐祐理さ…」
「あははっよびばしたっ?」
ぎくぎくっ
佐祐理さんが寝巻きのまま起き出して顔をのぞきこんでる。
「いや、これは…」
「んふん?淋しくて寝れないなんた赤たんみたいなんらから(ちゅっ」
いきなり佐祐理さんの唇が触れる。
「あははっかわいいのでとくべつにだっこしたげます」
完全に寝ぼけているようだ。
するりとおれのベットにもぐり込むと、ぎゅっと抱きしめてくる。
佐祐理さんの柔らかいおっぱいが押し付けられてくる。
意外にハァハァ…大きくて…すげえいい匂いが。
うう、めちゃくちゃ、むらむらするけど、なんかしあわせ…
佐祐理さんの寝顔。
なんてきれいなんだろう。
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・おれは夢の中で佐祐理さんを本能のまま犯していた。
くちゅっくちゅっくちゅっ
ペニスが石のようになり、佐祐理さんの子宮に届いている。
出る…いい子を産んでくれ佐祐理さん…
どくっどくっどくっ
はぁ。ようやく出たよ…キモチいいなぁ…
・・・・・・・・・・・
ちゅんちゅん・・・・・・なんかヘンな気が。
寝巻きの中がぐっちょり。やべ、夢精しちまった…
佐祐理さん…もう居ないけど。朝か。
つかれたなあ。
「ふぅ」
しかし、着替え一式やら、シ−ツやら積んであるところからすると。
ばれてるなあ。
それどころか佐祐理さんの身体に、思いっきり掛けちゃった。
…精液
怒ってるかなあ。佐祐理さん…
「あははーっ起きてくださいねーっ」
元気のよい声。
当人だ。水色のセーターと解いた長い髪がよく似合う。
「ふぇ?元気ないですねえ。あははっ男の子はたまにお漏らしするんですよね。佐祐理とっても懐かしいです」
「はぁ」
「あははっまただっこして寝てあげますからねーっ」
佐祐理さんのいたずらっぽい笑顔が近寄る。
「あははーっ!佐祐理決めちゃいました。祐一さんは、お漏らしするホント駄目な子だから佐祐理おねいちゃんがこれからずっと面倒見てあげちゃいます」
「それは…」
佐祐理さんに抱き付かれたら男として不可抗力ではなかろうか…コレ
「はぇ?祐一さん佐祐理のこと嫌いなんですか?」
「そんなことはないけど…」
うう、また佐祐理さんのペースに。佐祐理さんの天使のような長い茶色の髪がはらりとかかる。
「あははーっ!祐一さんとってもかわいいです(ちゅっ」
「ああ、なんか佐祐理さんのオモチャになってる気が」
「でも、しあわせだからいいか」
「あははーっ!別にオモチャにはしてませんよ」
「ただ…佐祐理は」
「祐一さんが来て、すごくうれしいんです」
「佐祐理は、それまで…」
「家では、ずっと一人でしたから」
「だから、祐一さん」
「佐祐理とずっと一緒に…」
倉田家日記
まあ本来は続きもの…ですが。とりあえずここで一区切り。
かなり暗いさゆりんSSも考えてはいますが少し先の話になる筈。
あと、ここの職人さんの作品も毎回拝見しております。
素晴らしい限りです。そのうちさゆりんスレにも来てくださいね。
247 :
>:2001/06/17(日) 19:10
>お花屋さん
早速読ませて頂きました。
これはまさに生地獄ですな…幸せすぎて(笑。
続き物との事で、期待しています。
ナイス妄想!>245
>>228-235
何て強引な展開なんだー…と思ったのは、ほんの一瞬だけでした。
許す。全て許す。
絶対許す。カンペキ許す。
この萌えの原則に忠実な、素晴らしく…可愛らしい…
ああ、言葉が見つからない。
取り敢えず、有り難う! いただきます(爆)
続き物か・・とてもいい。
さゆりんだけじゃなく舞もまきこんでの萌え地獄へと発展しそうだ(w
それとも祐一に嫉妬した舞が宣戦布告?
確かに少し冒頭の展開が急でした。…もともとキャラスレの暴走…
佐祐理さん専用ルートが有り冒頭から倉田家で同居出来たら、天国じゃという欲望から書きましたから。しかし多分こんなんかいな、という適当な導入部分ではもっと大胆に省くか、さもなくば前半がちと固い文章になるのは我慢してもう少し詳しくやるべきだった。
シナリオを補完してさゆりんに一日中密着。
資産家の家は結構客の出入りが多いものですし、居候とか気にも止めないでしょう。女性は同居しているとかなり馴れなれしくなるので、お風呂に入ったり、可愛がってくれます。佐祐理さんは他のひとをしあわせにすることで自分もしあわせになる、そのためにいま懸命に頑張っている最中だから…
こみパSS
いくみん編
千堂さんとの出会いは本当に偶然…だった。
幼いころから病気がちだった私はいつも病院のベットの上にいた。
そこでの娯楽といえば兄が買ってきてくれる漫画くらいだけで。
それでも十分だった。漫画を読んでいる時、
私は何にでもなれた。どこにでも行けた。
主人公たちとともに笑い、走り、恋もする。私は漫画が大好きになった。
身体も治りかけたころに同人誌と即売会の存在を知った。
漫画を好きな人たちが集まって、ゲームやアニメをパロディにしたものや
自分で創作したお話を本にして販売しているという。
漫画が大好きな私は、病気が治ったら絶対そこにいこうと決めた。
そして、
初めて訪れた即売会の会場で…私は一冊の同人誌に出会った。
その本は今まで兄に買ってきてもらっていた同人誌とは
なにかが違って感じられた。初々しさと不安が混じったストーリー、
絵からは作者の作品に対する情熱や愛がひしひしとつたわってきて、
本当に良いものだと思った。
さっそくその本を買おうとして売り子さんを探した。男の人だった。
その売り場には値札なんてなくて、
私が本を手にしていたら、彼はうれしいような
どうしたらいいかわからない様子でいて。
そんな雰囲気から、ああ
この漫画はこの人が描いたんだなと思った。
結局500円でその本を買った。
私がその人にとっての一番最初のお客さんだったことが
なぜかうれしかった。
家に帰って何度も読んだ。とてもおもしろかったから
いままでに書いたことはなかったけどファンレターを送ることにした。
あの人は高校生だったから、小学生が書いたような文章じゃ
相手にしてくれないといけないので国語辞典を片手に
一生懸命、大人らしい言葉で書いた。
この人の次の作品が早く読みたかった。期待していた。
けれど、
次に読んだ彼の本は何かがつまらなくなっていた。
絵は上手いのだけど、最初の本に感じた勢いや想いが伝わってこなかった。
ありふれた同人誌の1つというような魅力のない作品。
彼はそれを自信満々の表情で売っていた。今回は1000円の値段をつけていた。
私はそれでも買ったけれど、きっとあんまり売れないだろうなと思った。
読むのがつらかったから、またファンレターを送った。
率直に思ったことを綴った。
それからしばらくして
風の便りで千堂さんが落ち込んでいること、
同人活動をやめるかもしれないことを聞いた。
小学生の私にはどうしようも出来ないことが悔しかった。
その時、私は自分の中に目覚めたある気持ちに気が付いた。
初めはその人の漫画が好きだった。その漫画から彼のひととなりを感じた。
ファンレターを出したりするとまるで千堂さんが
そばにいるような、分かり合えているような気持ちになった。
実際に会ったのはたった2回の即売会だけだけれど、
彼に惹かれたことに時間なんて関係なかった。
千堂さんが高校の文化祭で模擬店を開きその看板を彼が描いたらしい
ということを兄のつてで知った。
聞いたその日が文化祭の当日だったので、あわてて出かけた。
どうしても見ておきたかった。
夕暮れ時で、校舎にひとは少なかったけれど返ってよかった。
看板をみたら一目で千堂さんの描いたものだとわかった。
その絵には誰かのために描いたという想いがいっぱい詰まっていた。
ちょっぴりその絵のモデルの人がうらやましかった。
千堂さんにも会うことができた。クッキーをあげると言ってくれたけど断った。
もうお腹いっぱいいい物を貰ったから。
その夜、励ましのファンレターを書いた。
こみパSS
かずきち編
まさか小学生だったなんて。
大志に勧められてはじめた同人活動だったが、いきなり
ファンレターをもらうとは思ってもいなかった。
熱のこもった感想や的確なアドバイス。俺の作品を心から読んでくれている
ことが手紙から読み取れた。
立川郁美という名前しかわからなかったが、そのひとが
誰であるかは関係なく、俺を支持してくれる読者が一人でもいることがわかって
うれしかった。同人誌を作ってよかった。
次に貰ったファンレターにはもうしわけなさそうに
批判が書き綴られていた。
同人についてリサーチして、売れる要素を盛り込んでいたはずなのに
全く売れなくて俺はへこんでいた。
立川さんならわかってくれるかななんて期待していたが、
みんなの評価と変わらなかった。
同人活動はもうやらないと決めた。
それからは気の入らない生活が続いた。
毎日がなんとなく過ぎていった。
瑞希と一緒に海にいったような
由宇の同人の売り子をしたような
その頃のことはあまり覚えていない。
なぜだか俺が文化祭の委員にされた。
あまり乗り気はしなかったが瑞希も由宇も手伝ってくれるし
気分転換にやることにした。
文化祭の前夜になって模擬店の看板をつくってないことに気が付いた。
しかし、俺はもう漫画も絵も描かないと決めたから。
そうこうしていると瑞希が描くと言い出した。
正直、彼女の画力には不安があったが別にいいやと思った。
描かないと言ったのに俺は看板に絵を描いていた。
瑞希の絵が悪かった訳じゃない。彼女の絵はそれで素晴らしいものだ。
一生懸命に絵を描く彼女を手伝いたいと思った。
我ながら充実した絵が描けたと思った。
立川さんから手紙が届いた。もう同人活動はしていないし
ちょっと不思議に思った。
俺が落ち込んでいたことを知っているらしく
内容は俺のことを心配したものだった。
復活のきざしを感じるみたいな言葉で締められていた。
それが何を指して言ったのかはわからなかったが
俺は同人はやらないと決めたからもうしわけなく思った。
それにしてもいったい彼女はだれなんだろう
そんなことを思うようになった。
本を買ってくれた人は実際少ないから何人か
思い浮かべることはできたが知り合いか子ども、
男性くらいで、その中の誰も違うような気がした。
もしかしたら、自分で本を買った訳でなく、
俺の本を誰かに読ませてもらったのかもしれない。
そして、ある日―俺は立川さんと出会った。
その日は瑞希が大学の説明会に参加するというのでつきそった。
将来のことで悩んでいた俺は、正直瑞希がうらやましく思う。
自分のやりたいことがある。夢がある。それに比べて俺は…。
一時期は大志に誘われ同人誌を作ることに喜びを感じたりもしていた。
しかし今は…もう…。
帰り道での瑞希の様子は少し変だったが、まあ
彼女もいろいろと考えることがあるのだろう。
さて、俺はどうするかな?なんて思いながら歩いていた。
――そんな俺の側を小学生の女の子が駆けていった。
「いくみちゃん。バイバイ。」
えっ?…いくみ?……いくみか。そういえばこんな俺に熱心にファンレターを送って
くれる人の名前も郁美っていったな。まぁこんなところに―――――
―――振り返った俺の前には―――
赤いランドセルを背負った、大きなリボンでツインテールをとめた、
可愛いらしい女の子が立っていた。
「せ…千堂さん……!」
「君が…立川さん?」
俺はその娘を知っていた。
俺の初めてのお客さん。即売会にいつもやってきてくれた。
文化祭の時も見かけた。まさか彼女が立川郁美さんだったなんて…。
それから公園のベンチに座って話をした。
いままでくれた手紙のこと。俺の絵のこと。
…同人活動を止めたこと。
そんな俺を彼女は励ましてくれた。
誰かの為に描いた俺の絵をいい絵だと言ってくれた。
泣きそうな顔で必死に応援してくれた。
俺の同人誌を楽しみにしている人がいる。
それがはっきりとわかった。
そんな人が1人でもいるならもう一度
同人誌を描いてみようと思った。
立川さんがよろこんでくれるようなそんな話を…。
同人誌をつくりながら立川さんのことを考えていた。
熱心なファンだな。という気持ちからだんだん
立川さんのことが気になっていた。
手紙だから性別も年齢もわからなかったけれど
俺を見ていてくれるこの人に興味が湧いた。
女性だとは思っていたが
小学生だと知ったときはさすがに驚いた。
しかし、年齢なんでどうでも良かった。
彼女に会う前にすでに俺は立川さんに惚れていた。
そして俺の新しい本が完成した。
こみパSS
エピローグ
本を読んでもらうために俺は郁美ちゃんを家に呼んだ。
「立川さん、新しい本ができたんだ。感想を聞かせて欲しいんだけど」
「私が最初に読んでいいんですか?」
「もちろん。この話は君の為に作ったんだから、一番に読んでもらいたいんだ」
しばらくの間、彼女は漫画を読んでいた。
真剣に読んでくれているのが伝わってくる。
読み終わった彼女は顔を赤くしていた。
「あの、この漫画にモデルっているんですか?」
「ああ、そういう気持ちで描いたから。それでどうだった?」
「とっても面白かったです。主人公の高校生の気持ちが伝わってきました。ただ…」
それから沈黙が続いた。俺は彼女の言葉を待った。
彼女は恥ずかしそうに顔をあげて言った。
「この話は…千堂さんの気持ちとして受け取っていいんですか?」
「ああ」
「私は子どもだし、千堂さんの周りには可愛い子がいっぱいいるから
私なんかの相手なんてしてくれないんじゃないかって思ってた」
「年齢なんて関係ないさ。俺は立川郁美に惚れたんだから」
ちょっとかっこつけて言ってみた。
「…それで、今度からは作家とファンじゃなくて、
プライベートで会ってもらえるかな?」
「はいっ」
彼女は最高の笑顔で応えてくれた。
「私も、千堂さんの漫画も千堂さんも大好きですから」
和樹が作った本のストーリー…
こみっくパーティーで出会った
駆け出し同人作家と漫画が大好きな小学生の少女との
淡い恋の物語。
了
ゲームはやったことがないから
いくみんの言葉遣いとか変かも
大体こみパと言うすそ野の
いくみんという隠しキャラの
視聴率の低くなる深夜アニメの
SSということで
何人のひとが読んでくれるのかという
不安はあるけど
まあいいや
連続投稿やら改行が多いやらで送信に苦労した。
アニメこみパを軸としたアナザストーリーのつもり。
Hなのも考えたけど(スランプの和樹に対して
いくみんが私をネタにして18禁の同人誌を作って!みたいなの)
やっぱりここには初投稿だし健全ネタで。
274 :
:2001/06/18(月) 23:27
かわりにリンク
>>252-263
アニメの設定だったのね。何で高校生と思った。
>>252-263
何か、身につまされる(T_T)
ええ話や…(T_T)
感想貰って、一喜一憂する辺りとか、共感するというか、
胸が痛くなるというか。
シンプルで綺麗にまとまってますし、わかりやすい。
ちょっと感傷的な、甘酸っぱさが漂ってる文体がいいですね。
#しかし…なんやな、話の展開上とはいえ、ショ〜学生に
#手ェ出すのはマズイのとちゃうやろか(^_^;)
>お花屋さん
佐祐理SS読ませて頂きました。
萌えますねー。
これは男にとっての一つの夢でありましょう。
ご自身もご指摘の通り、冒頭の説明不足が
多少目立つのがいささか残念です。
続きを楽しみにしています(笑)
>>275さん、貴方の感想が綺麗です。ありがとうございます。
書き込んだ後で、「思った」を多用しすぎたとか加筆修正したいとか
アニメ見てないとよくわかんないだろうとか、ちょっち駄文だなとか
感じましたが懲りずにまた送るかも。
278 :
海月:2001/06/20(水) 00:15
>初でこの長さ
むしろ短くしたほうが良いと思われ。
>>277 頑張ってください(^_^)/
次なる勇者はまだかな…?
281 :
虚空:2001/06/21(木) 02:14
目を閉じ思考の海に潜っていく。
深く、深く、もう2度と戻れないくらい深く。。。
私の一人称が「佐祐理」になったのはいつからだろう。
・・・それはたぶん一弥が死んだあの日から。
あの日以来私は人前で自分を佐祐理と呼ぶようになった。
これはきっと自己防衛の一種なのかもしれない。
私が私であるかぎり拭うことの出来ない業を、十字架を背負いながら生きることは私には辛すぎた。
自分を客観視する事によってその罪までも客観的に感じられるかもしれないという幻想の中で私は生きてきた。
しかし、ただ惰性によってのみ生き続けることを私は望まなかった。
「だから佐祐理は手首を切ったんです。」
282 :
虚空:2001/06/21(木) 02:14
舞という子がいた。
ただ無限の罪を償い続けるためだけに生きていた私はもう一つの目標を見つけた。
舞と幸せになる・・・
きっと一弥も今までの私の生き方を望んではいないことは解かっていた。
一弥のためじゃない・・・自分の安堵感のためだけに罪を償う。
「そんな虚無な日々はもう終わりにしよう」
そう自分に、舞に、一弥に誓った。
舞は問題児だったがそんな事はどうでも良い些事で、私には舞が必要で、舞も私を必要としてくれた。
しかし、舞は祐一さんと出会ってしまった。
それから何もかもが崩れ始めた。
・・・・・いや、運命だったのかもしれない。
私が舞いに出会い、ここまで生き長らえてきた事こそ奇跡。
この3年間は一弥が私にくれた束の間の奇跡だったのかもしれない。
283 :
虚空:2001/06/21(木) 02:14
誰かのために生きるとこでしか自分の存在意義を見出せない。そんな自分を私は嫌いではなかった。
そういう生き方もあっても良いと思うし、もともと私には生に対する執着心という本能的な部分が確かに欠けていた。
あの時とは違う。
私は確かに生きていた・・・・・
だから私は再び手首を切った。
深く、深く潜っていく。
遥か頭上には眩しかったあの日々が。
その光ももう決して届く事はない。
冷たくなった私の瞳から小さな海の雫がこぼれた。
春の柔らかい風は全てを包み、この小さい街にもやがて訪れる。
奇跡は起き、夢は潰え、全てはただ当たり前の様に過ぎていった。
一人の少女と一つの願いは美しくも儚く、この空の中に消え今はもう無い。
ここには
初です。
SS自体も
まだ日が浅いです。
故に未熟なところが
目立つと思いますが、
お気づきになられましたら
是非ご指導の程を
よろしくおねがいします。
虚空
>>281-283
お花屋さんの後を追ってやってきました(w
私のはSSというよりむしろ詩に近いかもしれません。
そして筆がかなり遅いです。
講義中にいつも考えているので内容が首尾一貫してないものもあるかもしれません。
あと、今回はかなり人によって解釈が異なる部分を文にしましたので「え〜」と思う方も
いらっしゃると思いますが、そこの所はご了承ください。
遠方より勇者来たる。うれしからずや。
>>281-283
詩的なリズムが印象的な、透明感のある作品ですね。
それでいて行間からは、タカタン、タカタン打ちつけるキーの音と
熱情を感じます(^_^;)
穏やかにフェードアウトする佐祐理の描写と、ラスト3行の、客観的な
視点からのナレーションという演出がいい感じ。
#ただ、ラストの3行は、リズムや語感を優先して書いたという印象が否めず…(^_^;)
しかし…佐祐理は「ばか」だな。残される者の悲しみや苦しみに思い
至らなかったわけだから。その愚かさが切ないですね。
そう考えると、この物語は、これで終わってはいけない気がします。
佐祐理以外のキャラがどうなったか知りたいし。
というわけで、続編(祐一・舞編…かな?)期待♪
>>294 補足
>#ただ、ラストの3行は、リズムや語感を優先して書いたという印象
この部分はちょっと言い過ぎました。
1割の瑕疵(※)を以て9割の秀逸を誹るべきではないですね。陳謝。
※「奇跡は起き」の後ろに「夢は潰え」と続くことに、ちょっと唐突さを
感じてしまったということです。
誤字衍字と思わしきところが見受けられました。
ここぞと言う場面でそれがあると良作も冷めてしまうものです。
その確認だけはしっかりとした方が良いと思います。
いくみんの私にまかせて!
―――「私が子どもだから…和樹さんは何もしないのかなぁ」
郁美は自分の膨らみかた胸を見ながらつぶやいた―――
和樹はスランプに陥っていた。
まあ今回の不調は同人への情熱がなくなってしまったという類ではない。
なかなか売上が伸びないのである。
大学生になっても続けている同人活動はそれなりに順風満帆だった。
固定のファン、常連もいる。
しかし最近は、周りの、和樹より絵も想いもイマイチだと思えるような
そんなサークルが出している本のほうがよく売れているのである。
和樹自身、その理由はわかっているのだが…。
「やっぱり手っ取り早く売上を上げるにはエッチなものを描くしかないか」
和樹は今までに18禁本を出したことはなかった。
そこに意図的な理由はあまりなかった。強いてあげればふたつ。
ひとつは単にエッチよりも描きたいものが他に沢山あったから、と言うものである。
それで満足だったし、売上も伸びていた。それが今は横這い状態である。
最近は、『どうして、千堂先生はHなものを書かないのですか』
『千堂先生の描く18禁本が読んでみたいです』というようなファンレター
もたびたび貰うようになった。
「まいブラザーよ。自分自身のリビドーをぶつけることが良い作品を生む、
しかし読者が求めるような作品も描けなければ、一流の作家とはいわんぞ」
大志の言葉が耳に痛い。
そんなこんなで現在、机にかじりついているのだが
いざエロを描こうとするととたんに手が止まってしまう。
それでも四苦八苦しながら一応は描いてみたが…
和樹は鉛筆をまわしながら宙を眺めていた
突然、背後から声がした。
「こんにちは和樹さん」
「?! 郁美ちゃん! びっくりしたなぁ」
きれいな赤髪を2つの大きなリボンで束ねたツインテールの女の子。
彼女の名前は立川郁美。郁美とは即売会で知り合った。
今では和樹の一番のファンであり、何を隠そう恋人である。
一人暮らししている和樹の部屋の合鍵も持っている。
ただし、○学生であるが。
「ちゃんと部屋に入る時にノックもしました。ほんと
本を作るのに熱中していると周りがみえなくなるんですから」
「ごめん」
なごやかな雰囲気により和樹には失念していることがあった。
「それはいいのですが…」
郁美は言いよどんだ。なぜか顔は真っ赤だ。
「男の人がこういうものを好きだということは知っていましたが、
こんなにたくさんあったらさすがに恥ずかしいです」
実は今の和樹の部屋は資料用にと準備したアダルトビデオや
写真集、エロ同人誌が散乱していたのだ。
「ち、違うんだ。これは大志のやつが…じゃなくて資料が」
和樹自身、何を言っているのかわからない。
冷や汗ダラダラの状態である。
…いまさらではあるが、和樹は部屋を片付け始めた。
となると今度は原稿の方が手薄になる。
「…和樹さんの新作はエッチなものなんですね」
またまた頬を染めて郁美が言った。
「わわっ!それは…」
かたそうとしていたAVをすておき、和樹は原稿を奪おうとした。
「待ってください!」
郁美はそれを手で制した。真面目な顔つきになっていた。
そして最後まで読み終えて、言った。
「和樹さん。この作品はいただけません。
まずこのページ。女性の乳房や性器はこんなにいびつな形をしていません。
あと、主人公の心理描写も変です。初体験で相手を思いやるとか
そんなことありません。普通は気が付いたら果ててたというくらいです」
「…」
「折角、いい雰囲気で話が進んでいるのに最後の性描写が足を引っ張っています」
和樹にもそれはわかっていた。
「それは、俺もなんとなく感じていた。しかし、今の俺には
それ以上のものはかけないんだ」
「…もしかして、和樹さん?」
和樹はその疑問には応えず、再び部屋を片付け始めた。
そう、和樹が18禁に手を出さなかったもうひとつの理由
それは和樹が童貞であるということだった。
さすがに女性の裸も、気持ちもわからないでは心の入った漫画にはならない。
部屋の中がやけに静かに感じられた。
どれだけ時間がたったのだろうか。
なにかを考えている風だった郁美が意を決して言った。
「和樹さん、私のからだを使って、その…同人誌を描いてください!」
そして、郁美は和樹の目の前で着ているものを脱ぎ始めた。
和樹は最初何が起きているのかわからなかった。
自分の部屋で○学生の少女が裸になろうとしている。
あわやブラを外そうかとしたところで
我に返った和樹はあわてて止めさせた。
「郁美ちゃん。どうしたんだ。急に。さっきのことなら別に気にしてないよ」
郁美は潤んだ瞳で応えた。
「私は和樹さんにいい作品を描いて貰いたいんです」
「だからって、なにも郁美ちゃんがはだかにならなくてもいいんだよ」
「それだけじゃないです。和樹さん、ずっと私に何もしないでいる。
彼女なのに…きっとわたしが子どもだから…」
「そんなこと、気にしなくてもいいんだよ」
和樹は静かに言った。
「同人をかけないのは俺の力不足さ。それに
何もしないのは本当に郁美ちゃんのことが大切に思っているからで…」
しかし、その言葉をさえぎって郁美は強く言った。
「私の為になら…いまここで抱いてください!
不安なんです。このままなにもしないままでいたら和樹さんも
これからの作品もダメになってしまうような…そんな」
正直、和樹は悩んでしまった。
そうは言うものの郁美はまだ子どもである。
ただし、和樹のモノはすでに郁美の下着姿に反応していた。
第一、和樹自身、最近のリサーチもありsexに興味もある。
「…それじゃあ、ちょっとだけ、試してみようか、嫌になったらすぐやめるから」
煮え切らない返答だったがそれで郁美は了承した。
そして、ふたりはベットへと移動した。
和樹も裸になっていた。郁美は男のモノを初めて見たわりには驚いていなかった。
「漫画に載っているモノよりおもしろい形ですね」
というのが彼女の弁。
「本当に、いいのかい?」
よくある台詞なのだろうが、いざとなると確認してしまう。
「やっぱり嫌です。…と言ったらやめてくれますか?」
「いいや、やめない」
こんな時でも軽いジョークをいれて緊張をほぐしてくれる。
郁美はゆっくりとブラジャーを外した。
彼女のからだはほんとうに綺麗だった。
幼い頃の手術の傷の後が残っていたがそれさえも美しく見えた。
「恥ずかしいからそんなにじろじろ見ないで下さい」
「それじゃあ漫画の参考に出来ないよ」
「あっ!そうですね…ははっ」
郁美の胸はかろうじてAカップの膨らみがあるくらいだった。
「…しっかり見ておいてください。絶対に、忘れないくらい」
和樹はやさしく、やさしく郁美の乳房を揉み始めた。
そして、その手を次第に下半身へと移動させてゆく、
下着の上から郁美の股間をまさぐった。
そして可愛らしいパンティをそっと脱がせた。
初めて見る郁美のそこは
無毛のそこはまるで熟れたての桃のようだった。
すでにしっとりと濡れていた。
和樹は丹念に乳首を舐めながら指をスリットの中をなでた。
中は温かいというよりは熱く、ぬめりが感じられた。
郁美の汗が粘性を帯びてきた。
郁美の息遣いがハァハァと荒くなる。乳首が立ち秘所がかすかに震えた。
「あ…あっ…!和樹さんっ!」
郁美は絶頂に達した。
「どんな感じだった。郁美ちゃん」
息を整えながら彼女は言った
「…指だけだとは…思えないくらい不思議な感じが…
やっぱり自分でするのとは違いますね…ってなにを言わせるんですかっ」
「このままでは、和樹さんにもうしわけありませんので」
そういうと郁美は和樹のモノを手にした。
「うまくできるか自信はありませんが私の口で…」
その小さな口からハァハァと吐息が漏れる。
湿った唇がそっと和樹のモノに触れる。
「…ウッ」
和樹は今まで感じたことのない不思議な感覚に途惑った。
幼く、小さい、そんな口を精一杯広げて和樹を包み込んでくる。
郁美はうつむき加減で頬を赤くした。
慣れてきたのかゆっくりと上下に口を滑らせた。
和樹のモノはぬかるんだ口の粘膜に包まれて、温い唾液に浸されシェイクされている。
ちゅぷちゅぷと少女の奉仕する音が響いている。
意外にも郁美は上手かった。同人誌で得た知識だろうか。
鈴口、くびれ、的確に男の弱点をついてくる。
郁美に上目づかいに見つめられたとたん
和樹は我慢が出来なくなった。
「もう射精るよ。郁美ちゃん口を外さないと」
和樹が叫んだ。しかし郁美はよりいっそう動きを早めた。
「我慢しなくていいんです。私の口の中でイってください」
和樹はこのまま出してはいけないと必死で耐えようとした。
しかし、それがよりいっそう快感を高めた。
「ごめん、郁美ちゃん!」
モノはびゅるんとひとはねすると精液を郁美の口の中に注ぎ込まれた。
「大丈夫、郁美ちゃん!早く吐いて!」
しかし、郁美はコクンと喉を鳴らし和樹の精液を飲み込んだ。
「んー、やっぱり精液って美味しいものじゃないです。
飲んで飲めなくはないけど、漫画のようにはいきませんね」
涙目で郁美は言った。
和樹は自分の同人のために飲んでくれたことに気が付いた。
そんな郁美をいとおしく感じた和樹は頬にそっと口づけをした
それからふたりは裸で抱き合ったまま、一緒に眠った。
結局、本番まではやらなかった。しかし、和樹はそれでもかまわなかった。
ひとつだけ確かにわかったこと。sexという行為にこだわることはないと。
大切なのは抱き合うことで伝わってくる…愛する人の温度。
手紙や会話というコミニケーションとは違う
直にからだが触れ合っている。それだけで心が安心する。
理解し合うのではなく感じ合う。sexはそのおまけみたいなもので、
だから年がどうとか、やったことがないとか
そんなのことは大好きという気持ちの前では何も関係ないということを。
和樹の18禁に対するわだかまりは消えていた。
1週間後、和樹の原稿が出来上がった。
「和樹さん、これならいけます。おもしろいです」
「そうかな。実は自分でもなかなかいい出来かな?とは思うんだ」
「これなら絶対うれますよ。でも、女の子の裸は書かなかったんですね」
「うーん、郁美ちゃんのおかげでsexシーンは上手く描けるようになったけれど
今回はやめたんだ」
「えー、どうしてですか? …やっぱり私の身体はちっちゃいし、
参考にならなかったんですね…」
「…いや、だっておれが描くとどうしても郁美ちゃんっぽくなっちゃうだろ?」
和樹は照れながら続けた。
「…他のヤツに郁美ちゃんのからだは教えられないよ。
俺だけのモノにしておきたいから…」
そう言うと和樹は郁美を抱きしめた。
そんな和樹の耳元で郁美はささやいた
「これからもスランプになったときは郁美にまかせてください!
和樹さんの為だっらどんなことでも解決してみせます」
了
「わざわざ筆跡をかえてファンレター出した効果はあったみたい、
なかなか和樹さん手を出してこないから心配だったんです。
まあ今日のところはこれで良しとしときます。
早く既成事実作っておかないと和樹さんの周りは
魅力的な女性ばかりだからとられちゃうかもしれないですからね。」
この文章はハッタリで構成されています
作者は初体験の心理など知りません、sexの描写じたいが勘です。
郁美の年齢は法律にはふれないくらいに年をとっています、
作中ではふたりとも勘違いしているみたいですね、削除されたらいけませんからね。
>>297-304
作中で描いた18禁シーンが足を引っ張っている状態ってこの作品がそれのような…。
これも軸となるのTV版です。というか前回の続きです。
いくみんにはあえて和樹さんと呼ばせています
前作ともどもいくみんへの愛だけで書きました。これでいくみんファンが増えてくれたら
うれしいです。もし逆効果だったら…ライバルが減ってそれはそれでよし…か?。
いくみん布教も終わりです。駄文、長文につきあってもらいありがとうございます。
>>297-304
良い感じでまとまった、分かりやすい文体ですね。
いくみんの描写がいいですね。
ちょっと大人びた精神が宿る幼いカラダ。
一見健気な振る舞い、でも実は打算に裏打ちされている…。
ううむ(^_^;)
最後のノロケも、初々しくていい。
Hシーンにもうちょっと比重を置いて書いた方が良かったのではないかと
思いますが(指でイクシーンとか、フェラとか、本番が無い分、もっと
ねちっこくやると良かったかな)、マジにやられると高度に政治的な問題が
別に発生するので、私の口からは何とも…(^_^;)
「…他のヤツに郁美ちゃんのからだは教えられないよ。…」
『いや、さすがに○学生の裸は見せられんよ…』(内なる声)
henntai・・・だよもん・・・。だが、それでいいってことで(w
317 :
海月:2001/06/21(木) 23:59
こみぱ全然知らないのですがこれ読んだだけで郁美というキャラの概容がイメージできました。
という事で人物は良く書けていると思います。
パッと見結構長いと思いきや読んでみるとこの位の長さがちょうど良いと思いました。
>>296 誤字衍字というとどの部分でしょうか?・・・・うう、解からない〜(汗
>>296さんの代わりに…。
>>317 >私が舞いに出会い、ここまで生き長らえてきた事こそ奇跡。
→舞に出会い
>誰かのために生きるとこでしか自分の存在意義を見出せない。
→生きることでしか
諸兄へ。これからは誤字も含めて指摘した方が宜しいですか?
見直す時間も限られてる中で創られた作品だからと思って、あまり
厳密にはチェックしていないのですが(^_^;)
SSも同人誌も健全より18禁の方が指示受けやすいんかねえ。俺は下手に性表現入れられるよりは健全系・ギャグ系の方が好きなんだけど。
下ネタ(・∀・)イイ!!
作家流の表現テクニックで文法をずらしたり当て字を使うこともあるので
明確に挙げなかったんですが…。
自分の注意で防げるミスは極力さけることが、作品をよくするとともに
ひいては読者に対する誠意と思うので指摘しました。
ああ゛っ!私自身こんなこと言えるレベルで無いのですが。
あ゛、、、、なんかふつ〜に間違ってますね。。。
うう、、今度からはよ〜く見直してから投稿します(凹
風の谷の名無しさん、なにがしだよもんさん、ご指摘ありがとうございました。
323 :
名無しさんだよもん:2001/06/22(金) 04:17
新作を投稿したらageましょう。
これじゃ、なんの為に回しているのか分かりません。
>>323 みつみ切り番おめ。
俺も突っ込みたかった。
回し…スレがTop20に上がった場合にSSのような長文があると
掲示板Topのリロードが遅くなるのでそれを回避する行為です。
新規参入の人が多いみたいですんで、一応解説。
というわけなので、回すなら紹介文でageましょう。
>>322 あああ…(^_^;
掲示板SSだと校正の時間も限られてるでしょうし、
こちらも頭でエラー訂正を掛けながら読んでいるので、
大丈夫ですよ。
そんなに凹まないで〜(^_^;
静かな日曜の午後。
俺は居間で新聞を読んでいた。妻は新しく家族になった俺達の子供を寝かしつけている。
生後二ヶ月。まだ赤ん坊だ。
妻――美汐は最初から可愛がっていたが、俺が可愛いと思い始めたのは最近のことだ。
生まれたての時は赤くて、黒くて、くにゃくにゃで猿っぽくて (これ人間か?)なん
て思ったものだが…ちゃんと人間になるもんだなぁ。
一方、美汐はベビーベットを覗きこんで、
「元気ですか?」
なんていいながら、頬っぺたを突っついたりしてる。
美汐、それじゃ眠れないぞ、一応心の中で突っ込む。
しかし…
ほんと、嬉しそうな顔しやがって…。美汐って、幸せ噛み締めタイプだったんだなぁ…、
そう思って、ふと気付く。
俺も幸せ噛み締めてるじゃねぇか。
そうか、幸せになれたんだな、俺達は。
ふっと目が合う。
「どうしました?」
「可愛いな、と思ってな」
「それはそうです、私達の子供なんですよ?」
こいつ、最初に赤ん坊を見たとき、「可愛くない」と言ったことをまだ根に持ってるな。
でも、俺が言いたかったのは…
「いや…俺は…」
「?」
「いや、早く寝かせろよ」
なんとなく頭に疑問符を浮かべつつ、また赤ん坊とじゃれあう美汐。
(可愛いのはお前だ、美汐)
俺は新聞に目を落とし、これからどうやって美汐を可愛がるが思案し始めた。
ポク、ポク、ポク…。
チーン!
懐かしい効果音と共に、プランは出来上がった。
俺は新聞を畳んだ。ガラステーブルの上にそれを置き、ソファから立ち上がる。美汐ま
では約三メートル。
緊張して咽喉が渇く。無意識にお茶をすすった後、こちらに背を向けている美汐にそろ
りそろりと近づいていく。ゆっくりと、足音が立たないように注意しながら、畳の上をつ
ま先で歩く。その距離、残り二メートル。
居間を抜け、寝室へ。残り僅か。
若草色のセーターに包まれた無防備な背中。そこへ吸い込まれるように、ぎゅっと、強
く抱きしめた。
上がる小さな悲鳴。
「祐一さん、な…何を?」
無意識で抵抗した美汐だったが、やがて動きが小さくなり、やがて消えた。両腕を回し
た美汐の腰は、壊れそうなほど細く、俺は込める力を緩めた。手のひらに、柔らかい下腹部を感じる。
「眠ったか?」
「ええ、たった今…ほら」
促されるまま、美汐の背中ごしに、ベビーベットの中で眠る我が子を見やる。
「…可愛いもんだな」
「ええ」
美汐は言いながら、その頭を撫でる。
外の喧騒が聞こえる。秒針は無表情に時を刻み、その音だけがこの空間を支配する。こ
の俺の緊張感は、多分美汐も感じていることだろう。
「さっき言いかけたこと…聞きたいか?」
静寂を破ったのは俺の一言だった。
「…はい」
しばらくしてから、息を呑んで、美汐はそう答えた。
「美汐…さっき、すごく可愛いと思ったのは…お前のことだぞ」
ゆっくりと、そのウェーブが掛かった髪を撫で上げながら、そっと囁いた。
「それは…この子が可愛そうです」
言葉はきつかったが、非難を帯びた口調ではなかった。
「いや、こいつも可愛いんだが」
「だが、何ですか?」
「永久に二番目だな」
「……」
「一番はお前だからな」
そう言って、美汐を抱く腕に再び力を込めた。同時に、その白い首筋に唇を這わす。美
汐も、顔をこちらに向け、そのまま俺の方へ体重を預けてきた。
「なぁ…今、ここで…いいか?」
お腹に廻していた右手を胸まで上げる。柔らかいそこをさするようにしながら、俺は自
分の欲望が抑えられないことを美汐に告げた。
「日が明るいうちは…駄目っ…ふぁ…だ、駄目ですっ…」
なるほど、美汐の倫理観からすると昼間の情事というヤツは非難に値する。ここをどう
切り抜けるか――俺を明晰な頭脳(「こんな時だけです」By 美汐)は作戦を微妙に変更
することを瞬時に思いつく。
「妊娠中はお預けだったんだ…美汐。寂しかったなぁ…一年余り」
作戦名、泣き落とし。
「あの…」
その次に出るであろうお許しの言葉を待ったが、それきりだった。あと一押しか。
「許してくれないなら、浮気しちゃおうかな」
それを聞いた途端、美汐の眼の色が変わった。俺の腕を振り解き、体ごと振り返った。
向かい合わせになった美汐は、俺の顔をじっと見て、やがてため息交じりにこう言った。
「すぐバレる嘘は吐かないで下さい、祐一さん」
「あれ?バレたか」
ちっ、作戦失敗か…。
「眼を見れば、分かります」
そう言って、美汐はゆっくりとスカートのホックを外した。はらり、と落ちたスカート
は美汐の足元で、くたっと小さくなる。
「え?」
思わずすっとんきょうな声を上げてしまった俺を、美汐は頬を赤らめながら、それでも
上目づかいにじっと見つめ、そして――
「寂しかったのは、私も同じでしたから…だから、今日は特別に…許して上げます」
そんな可愛いことを言ってくれた。
もう一度、美汐の姿を直視する。生足、そして白の下着だけの下半身に、上半身は少し
大きめセーターというアンバランスな格好の美汐の姿に、俺は強い興奮を覚えた。
「美汐…」
愛しい名を無意識に口にすると、俺はセーターの裾をたくし上げ、胸を露にする。下と
同じく慎ましい印象の白いブラ。それをもどかしくずらし上げると、隠れていた白い肌と、
それとは違う桃色の突起が目に入った。
美汐は…顔を見れば、紅潮した顔でこちらの様子をずっと窺っていた。もうこんな行為
には慣れているはずなのに、心配そうなその顔を見た俺は、
「愛してるよ、美汐」
そう言って、ゆっくりとその胸に顔をうずめた。
まず、柔らかいその胸の感触を手で味わう。舌を伸ばし、その肌を舌で味わう。そして、
桜色の突起の周辺から、じらすように舐めた後、不意打ちのようにその突起へ舌を伸ばす。
「あっ…」
美汐が洩らす淡い吐息に、俺の興奮はますます激しくなる。舌を伸ばす。弄る。軽く噛
む。反対側を、指先で弾く。摘む。引っかく。円を描くようにこする。
その度に、美汐はいちいち可愛く反応してくれる。今では、吐く息も荒くなって、支え
きれなくなったその体をベットに預けるような格好になっていた。
「感じてるんだ…」
「……」
相変わらず恥ずかしそうに何も答えない美汐だったが、その顔は強い肯定を示していた。
「下、脱がすよ」
その言葉に、美汐の顔色が少し変わった。
「…寝室へ、行きませんか?」
「ここも寝室だろ?」
嘘ではない。確かにここは寝室なのだ。もっとも、そこに寝ているアイツのもんだけど。
「な、美汐…」
甘えるように耳元で囁く。その言葉に、美汐は微かに頷いた。と、セーターの裾に手を
かけ、上を脱ごうとする。
「あ、セーターはそのままの方向で…」
「え?」
困惑した表情で俺を見る美汐。
「下だけ、脱いで欲しい。で、自分から見せてくれ…その、美汐のをさ」
俺は自分の要求を告げた。その言葉に、美汐は当然のごとく抗議する。
「あんまり変なことを要求しないで下さい…私…なんか変態みたいです」
「安心しろ、みたい、じゃなくて変態になったんだよ、美汐は」
「え?」
「俺がそうしちゃったから…色々したよな。新婚当時は」
「へ、変なことを思い出さないで下さい!!」
「素質もあったし」
「ご近所に誤解されるようなことを言わないで下さいっ!」
「見事、変態さんの仲間入りを果たしたわけだ」
「そ、そんなことは…」
「次に目指すは殿堂入りかな? だが、道は長く険しいぞ。準備はいいか、美汐っ!」
「いいわけないですっ!も、もうっ…」
いかん、怒りで大地が震えてる。…じゃなくて、肩が震えてる。
そうか、考えてみれば新婚当時は美汐が俺のものになったことが嬉しくて、つい可愛
がって…すぐ子供出来ちまって。産後も大事を取って控えてたからな。
で、今日は実は久方ぶりのエッチ。にしては美汐にハードルが高すぎたか? いや、し
かしあの頃はもっとハードな――
俺がそんなことを考えている間に、美汐は沸点に達してしまった。
「じ…実家に帰らせていただきますっ!」
叫ぶなり、足元のスカートを拾って、美汐は居間へ飛び出して行った。そのままの勢い
で居間を抜け、ダイニングに置いてあったバックを掴み、スカートを着けながらダイニン
グを後にする。姿が見えなくなった後しばらくして、バターンと思いっきり玄関を閉める
音が家中に響いた。
この間、僅か十秒。
沈黙の訪れた部屋で、呆然となった俺は、やっと意識を取り戻した。
「実家って、なぁ…」
良く眠った赤ん坊に問い掛けても、答えが返ってくるはずもなく。昭和の生き残りみた
いな台詞で俺とこいつは捨てられたようだ。でもあの台詞は、なかなか味があったな。
「どうする? お前?」
何も知らず眠っている顔を見ると、罪悪感がふつふつと湧き上がる。
すまんな、馬鹿な父親で。離婚原因は性の不一致だ、お前が二十歳になったら教えてや
るよ。
しかし、どうするよ。俺はともかくこいつが、なぁ。大体、食いモンだって…。
母乳か。
俺に出来るか?
ブラジャーを外して、胸を出して。赤ん坊が俺の胸を、ちゅぱちゅぱ……
って、だあぁぁーーっ! なんてモノを想像してるんだ、俺は。しかも、何故ブラジャー装着済み!? ええい、馬鹿な想像はやめだ。
美汐…か。しかし、考えてみれば。
「…十秒であの濡れ濡れ状態から回復できるなんて、やっぱり美汐、お前は…へ――」
「違いますっ!!」
ぐわっ、庭から!!
「…やっぱり、この子がいるから実家へ帰れませんね」
庭から部屋へ上がり、赤ん坊の頬を撫で、美汐はそう呟いた。
「え?じゃあ…?」
恐る恐る訊ねる。俯いたまま、美汐は答えた。
「取り止めました。…でも」
ふっと顔を上げた。きゅぴーん、と美汐の眼が光った、ような気がした。
「…分かった、善処する」
なんか、蛇に睨まれた蛙と言うか、見事に尻に敷かれていると言うか。
それにしても…だ。
うう、この下半身の憤りをどうしてくれよう。今更さっきの続き…は無理だろうな。自
分で蒔いた種とはいえ、なんとも情けない。とほほ。
「ふふっ、祐一さん、どうしました?」
しょぼくれた俺を見ながら、美汐は悪戯っぽく微笑んだ。そして。
「さっきの続き、変態なし、なら考えてあげないこともないですよ」
そんなことを言うではないか。
「分かった、その方向で」
渡りに船とばかり、俺はその提案に飛び乗った。
その様子がよほど可笑しかったのだろう、くすくすと声をたてて美汐は笑った。
「…もう、家は子供が二人もいて困ります」
ぐっ、さすがにカチンときた。
俺はふざけたことを言うその唇を自分の唇で塞ぎ、その柔らかさを堪能しながら、改め
て決意する。
(相沢 美汐、変態化計画、いざ…リベンジ!!)
回し中…1
回し中…2
回し中…3
回し中…4
回し中…5
回し中…6
回し中…7
回し中…8
回転終了。
「相沢美汐 ××化計画」
>>326-331
普段はみしおたんスレで細々やってます。
こいつはネタが悪くて、誰もかまってくれなかったので(w
色々やってみました。
祐一思考の地の文が原作っぽくて妙にドキる。
仄かエロのロマンだ。
ほのぼのエロ、マンセー
続くんですか?
美汐スレよりまれびと来たる。たのしからずや。
>>326-331
安定した描写力に支えられた、妄想を励起させるストーリー。
肝要なる十八禁シーンは僅かなれど、妄想を喚起すること甚だし。
淑女を調教せる風景、語らずとも行間より滲み出でて、これまた
煩悩をいたく誘うなり。
また、赤子を囲む夫婦の情愛、心温まることこの上なし。
不肖なにがし、満喫の返礼として、やんやの喝采、贈るものなり。
ええい、生殺しとは小癪なっ(笑)
早々に次作を上げられよッ!
346 :
海月:2001/06/23(土) 09:37
>>341 これで「ネタが悪い」とおっしゃいますと普段みしおたんスレに書かれているものは
これ以上のものばかり?……いや〜感服いたします。
>>346 確かに(・∀・)イイ!ネタが沢山なので、見といたほうが幸せだよ。
でも、
>>341氏のが悪いなんてことはない。
漏れの場合、さゆりんスレとかかおりたんスレのチェックが忙しくてつい…だから(藁
みなさん感想どもでした。
>>342さん
原作の雰囲気は多分に意識してるので最大級の賛辞です。
>>343さん
さんくすです。エロというほど濃くないですが(w
>>344さん
これは…あとはえっちするだけなんで(w
脳内補完してください(w
えっち自体もほとんど書かないんで期待に沿えないかと。
>>なにがしさん
討論スレも読んでる俺としては
感想貰えた事が素直に嬉しいです。
もっと厳しい指摘があるかと嬉しかったんですが(w
誉めすぎです(w
>>海月さん
普段のネタがいいかと言われればそんなことは全然なく。
いつも頭抱えてます。
>>347さん
いや、読んで貰えるだけで幸せです。
俺も他のキャラスレはなかなかレス付けられませんから。
今回のは、ただの愚痴だったかなーとか後で反省したり(w
久し振りに回収ページに行ったら、更新されてましたよ。
>なにがし氏
早速の感想ありがとう。
この試みが成功するかどうかは分からないけど、
SSスレとは住み分けを図りつつ、ぼちぼちやっていきたいと思ってるよ。
>>351 いえいえ、どういたしまして。
こちらこそ、これからもよろしくお願いしますね(^_-)
このスレちょっとさみしい。
みんな
>>350のところに書いているから…
それはそれでいいことなんだけどね。
>>353 向こうは、どちらかというと養成所(虎の穴?)なので(^_^;)
あそこで自信をつけていただいて、その後こちらで発表という
流れが出来ればよいなと思いますです、ハイ。
355 :
名無しさんだよもん:2001/06/28(木) 08:36
あげ。
向こうは、かなり使いやすそうですしねぇ。
ここは30行で一括りにしていかなければならないのと、
反応が充分に得られぬまま、
次の作品がアップされ、忘却の彼方へ…
というケースが出て来てしまう点がネックかと。
難しい所ですけどねぇ…
357 :
夢 :2001/06/30(土) 05:37
青空があった。
顔を上げて見る空には、雲一つない。
太陽は眩しく照り輝いていて、直視なんて出来なかった。
大きく、深呼吸。
吸って、吐く。
そして、視線を戻せば。
あいつが居て。
向かい風がびゅんと吹いて。
…目を閉じたくなかったのに。
風は激しさを増して。
目を閉じてしまって。
そして風が止んで。
恐る恐る目を開けたなら。
いつだって傍にいたはずのあいつは、もう居なかった。
そんな夢を見た。
しばらく、夢の余韻の中で過ごす。
心が空っぽになったような、そんな想いに捕らわれたままに。
ぐっ、とシーツを掴む。
咽喉まで出かかったその名を、飲み込むために。
ふと気付けば、頬は涙に濡れていた。慌てて目をごしごしと擦る。
ベッドの上。カーテンの隙間から洩れる朝日。今では見慣れた、この部屋の佇まい。
真琴との別れから、約一週間。
別れて初めて過ごす、あいつのいない日曜。
俺は、役目を果たすことのなかった目覚ましにその旨を通告して、階下へ降りた。
日曜の水瀬家の朝は穏やかだ。
キッチンから、コーヒーの香ばしい香りが漂ってくる。秋子さんだろう。
洗面所で顔を洗って、キッチンに顔を出す。
「おはようございます、祐一さん。日曜なのに早いんですね」
「ええ、なんとなく」
「朝食、食べますか?」
…食べようか。そう思った。
だけど。
俺は、何であんな夢を見てしまったんだろう。そのことが、ずっと引っかかっていた。
…まだ、気持ちの整理が出来ていない…多分、そういうことなんだろう。
あいつがいなくなったことは、正直、やりきれないくらい悲しかった。
でも、俺の周りには…色んな人がいてくれて、支えてくれて。
俺は、俺でいるために…そう誓ったから。
もう、立ち止まってなんていられないはずだった。
だから。
「いえ、今から出かけます。…朝食は、そこで」
ちらっ、と秋子さんが俺の顔を覗く。
「…そうですか。外は寒いですから、暖かくして行って下さいね」
そう、こんなふうに案じてくれる人たちがいるからこそ。
この気持ちに決着をつけたかった、あの場所で。
外は、雪に覆われて限りなく白かった。昨夜のうちに積もったのだろう。
だが、今の空にそんな気配は微塵も残っていない。あるのは青空だけだった。
陽光に照らされ、積もった雪が光輝く様を見ると…こんなのも悪くないな、と思えてく
るから不思議だ。
つくづく、いい天気だった。それでも、まだ風は冷たくて、じっとしていると凍えそう
だった。
その冷たい風に身を引き締め、俺は向かった。
ものみの丘へ。
木々に囲まれた小道。
ここに来るのは、もう何度目だろうか?
そんな事を考えながら、積もった雪で隠れた小道に、どうにかあたりをつけ進んでいく。
雪と落ち葉でいっそう滑り易くなった道に、俺の足跡だけが刻まれる。
ぎゅっ、ぎゅっ。
そんな音だけが響く。
しばらく、何も考えずただ歩く。
と。
服の袖を引っ張られる感覚。
慌てて振り返る。
まさか――そう、そんなわけはなかった。後ろでは、ただ、木の枝が揺れていた。あれ
に引っかかったんだろう。
揺れる枝から、かさかさと雪が落ちる。
服を掴ませて、肩を並べ歩いた、そんな記憶が否応もなく蘇って。
俺は俯いてきびすを返し、ただ、歩いた。
長い木々のトンネルを抜ければ、雪に覆われた丘が姿を現す。
ものみの丘は、白い雪の絨毯に覆われていた。
銀世界。
そんな言葉が、似合う気がした。地面の白と、空の青。この世界には、それしかなかっ
たから。
そして俺は、あの日と同じ場所に立つ。
ここまで抱えてきた肉まんのぎっしり詰まった袋から、一つだけを取り出す。
少し足元の雪を払って、袋を地面に置いた。
手に持った少し冷めたそれを、口に運ぶ。久しぶりの肉まんは、懐かしい、でも食べな
れた、いつもの味だった。
見上げれば、ただ青い空。
今朝夢で見たそれと同じ。近視感に、身が震える。
太陽の眩しさに、思わず手をかざす。
どこまでも、吸い込まれるように高い空の上で。
あいつが笑っているような気がして。
この景色は夢に似すぎていて。
…怖かった。
そっと、目を閉じる。
大きく、冷たい空気を肺一杯に吸い込んで。
暖かくなった空気を吐き出す。
空を見上げていた顔を地平に戻し、ゆっくりと目を開ける。
その、ぼやけた視界の向こうに。
誰かが居て。
吹く風が俺を追い越して。
…怖くて。
風がもう一度、俺を追い越して。
涙で視界がまたぼやけて。
三度目の風が足元を潜り抜けて。
そして涙を拭ったなら。
傍から離れたはずのあいつが、目の前で笑っている。
そんな夢を、見たいと、あの日からずっと思っていた。
でも。
悲しい色をした現実の中に――変わらない景色の中に。
空も、地も――時が過ぎたとさえ感じさせない風景の中に。
真琴も――そう、あいつのいない日常の中に。
今、俺がいるとしても。
そんな夢想に頼ることなんて、馬鹿馬鹿しいことに思えた。
だって、その夢がいつか現実になるのを見るために、今ここに居るのだから。
だから、信じつづける。強く、強く、想いの全てで。
そして、想い出せる。真琴の何もかもを、いつだって。顔も。声も。言葉も。温もりも。
他愛の無い会話も、じゃれあいも、俺と真琴で…離さない。忘れない。
そう、誓って。硬く拳を握り締めて。
青空の中に、叫ぶ。
「またな、真琴っ!!」
(終)
回し…1
回し…2
回し…3
回し…4
回し…5
回し…6
回し…7
回し…8
最後。
「夢」
>>357-362
真琴モノです。(#5のナンバリング、ミスしちゃいました)
初の美汐以外っつーことで。
切なさ爆発の本編シナリオは、本当、ただリスペクトですわ。
三告平さんの「SSトレーニングルーム」も覗かせて貰ってます。
ホントにみなさん初心者ですか? レベル高いんですけど(汗
長いのでこっちに書きましたが(今トラブル中だそうですし)
俺もまだ初心者です。
目に付いたところは色々注意していただけると、
今後のためにもなるんで嬉しいです。
おきつねさん、おきつねさん、いらっしゃい♪
>>357-362
[あらすじ]
真琴が消えたあとの物語。
真琴が消える夢を見た祐一は、ものみの丘に向かう。
夢の中と同じ風景に祐一は、ふと、こんな思いを抱く。
今朝見た夢と反対のことが起きてくれたら…真琴が現れてくれたなら、と。
しかし現実に真琴は居ない。夢の中でしか逢えない。
だからこそ、真琴との再会を、夢見るだけで終わらせたくはない。
自分はこれからも、真琴との再会をずっと信じ続けるのだから…。
[評価]
かなり独特な文体。文章を頻繁に区切ることで、強いアクセントを作り出しているのが
特徴的。読み慣れるまで少々時間がかかりましたが…悪くはない。
何度か読み返すことで、深い味わいが出てくる、クセのある地酒のような作品。感動の
要素は確かに潜んでいますね。
「真琴と再会する夢を見た」→「夢見るだけで終わらせたくはない」→「現実に真琴と
再会する日を待ち望んでいる」という流れをチョイトつかみにくいのが難点でしょうか…。
>そんな夢想に頼ることなんて、馬鹿馬鹿しいことに思えた。
>だって、その夢がいつか現実になるのを見るために、今ここに居るのだから。
この2行の部分で、急激に物語の方向が変わっているからかな?
まぁ、でも、一度つかんでしまえば、いいお話だと感じました。上述の独特な文体が
叩き付けてくる想いの強さが、心にとても響きました。
P.S.
"近視感"じゃなくて、"既視感"ではないでしょーか(^_^;) あぅー
374 :
海月:2001/06/30(土) 23:50
嘘だー!初心者って冗談ですよね?
読み始めたときと読み終わったときの心情がこんなに変化したのも久々です。
全体を一貫して包むこの雰囲気はかなり良い感じ。
ただ最後の部分は私的に
そう、誓って。 青空の下でそっとつぶやく。
「……またな、真琴」
の方が好きかな?まぁこれは趣味丸だしの戯言なんで無視して下さい;^^)
注:コピペからの改変。
=====================================
「お姉ちゃん、私ね、お願いがあるんだ」
栞は生まれた時から難病を患っており、今まで入退院を繰り返していた。
そのため、学校にもあまり行く事はなかった。
楽しいことなんて何もなかった。――なんのために私は生きているんだろう。
窓から見える庭で子供たちが楽しそうに遊んでいる。それを見るたびそうつぶやいた。
そんなある日、姉の香里が一台のノートパソコンを持ってきた。
栞のその足で外の世界を見てくることはもうできない。でもインターネットなら――
香里はそう考えた。そして香里は栞にあるBBSを教えた。
そう、2CHである。
「でね?ここをおして・・・・そうよ。出来るじゃない!」
香里の懇切丁寧な教えもあって栞は2CHの隅々まで食い入るように読んでいった。
「お姉ちゃん!ありがとう!こんな良い物をプレゼントしてくれて!」
栞は今までで見せたことのないようなとびきりの笑顔で香里に笑いかけた。
それからめったに笑わなくなっていた栞はよく笑顔を見せるようになった。
しかし、運命は非情である。
彼女の誕生日も間近に迫ったある日、容体が急変したのだ。
大好きなパソコンを取り上げられICUに運び込まれた。
それから栞は生死の境をさまよった。家族全員で連日病院に泊り込んだ。
ようやく栞が目を覚ましたその日、喜びにあふれる家族を担当医が呼び出した。
そして栞はもう長くないこと、なにかあの子に思い出を残してあげるようにと告げた。
お姉ちゃん、私ね、お願いがあるんだ」泣きむせぶ香里に栞はそう言った。
「なぁに?栞。何でも言ってごらんなさい。」
「お姉ちゃん、私、2CHがみたいな・・・」
香里は素直に栞の要望を聞き入れた。そんなことでこの子が喜ぶなら――と。
手の筋肉がすっかり衰えてしまった栞はおぼつかない手つきでパソコンを起動させた。
そしてかちゅ〜しゃを起動させ2CHに入った。闘病生活で大分、衰弱した栞の体は
マウスを動かすだけで精一杯だ。胸のあたりが痛い。苦しい。目が霞んできた。
そう、この時栞は最後の力を振り絞っていた。これで死んでも良い。2CHが見れるなら。
目が霞んで今何処の板にいるかわからない。でたらめにマウスをクリックした。
そして最後の力を振り絞って画面に目の焦点を合わせた。
「!?・・・え、・・そうなんだ・・そうだ、そうだよね・・・」
「でも、もっと早く、始めて欲しかったな・・・」
そうつぶやく栞。
「お姉ちゃん、私、少し疲れちゃった・・・」
そう言って、ベットに深く体を預ける栞、大きく息を吸いこむ。
「お姉ちゃん・・・」
「ん? なに?」 香里は気づいてる、だが、不思議と涙は出ない。
「私はね、私には間に合わなかったけど、私みたいな病気は治るみたいなんだよ」
「なにってんの、あなただって良くなるわ、きっと・・・」
「お姉ちゃん、わたし悲しくない、みんなが、世界中のみんなが未来を分けてくれるから」
栞は、大きく一つ息をした。
ピーーーーーー
心電図が悲痛な音をたてた。
「・・・・・栞!?」
香里は栞のほうを見る。
―――そこには、ベッドの上で、眠るように、静かに息を引き取っている栞の姿があった。
彼女は安らかだった。まるで微笑んでるように。
「栞!駄目よ!これで終わりなんて!!そんなの嘘よ!ねぇ、目をあけてよ!栞!!」
しかし、そんな香里の叫びも空しく室内に響くばかりであった。
画面には「世界中にどうか、幸せな記憶を UD」の文字。
「うわあぁぁ!!!栞ーーっっ!!」
香里は、その場で泣き崩れた。
「ごめんね、お姉ちゃん・・・私、幸せだったよ・・・」
「私は今から天国に旅立つけど、心はお姉ちゃんとずっといっしょだよ。だから元気出して。お姉ちゃん」
季節はまだ冬だったが、窓の外には穏やかな日差しが栞の顔を照らしていた―――
回し中
回し中です
回し中なんです
回し中ですの☆
うぐぅ、回し中だよぉ。
回し中だよもん。
はうぅ〜回し中ですぅ〜
あのね、回し中なの。
回し終了!
>>375-381
『どうか幸せな記憶を』
…。
…ごめんなさい。
読んでいて、胸がいっぱいになってしまいました。
コピペだってのは分かっていたけれど、展開もちょっと
強引だけれど(潔癖な香里が2chを勧めるなんて!)、
それでも、ね。
「UDプロジェクト」を持ってきたのがいいですね。
あのプロジェクトは、もうつらい思いはしたくない、という
葉鍵板住人の想いそのものですから。
2chは猥雑だけれど、猥雑だからこそ余計に…2ちゃんねらーが
垣間見せる善意は、涙が出るほど美しい。
栞の死をそのまま使ったという点でひねりに欠けているのは
否めませんが、泣かせの要素をよく心得ていると思います。
『葉鍵板・人間交差点』(実在しませんが…)への登録資格ありです。
惜しむらくは、2chの外では理解されないってコトですかね(^_^;)
専門用語バリバリだし(^_^;)
「あははーっ朝ですよー」
ううっ
「かわゆい…(ちゅっ」
「どわっ!」
な、なんだ佐祐理さんか…
茶色の長い髪がそよいでいる。すぐ目の前にいたずらっぽい瞳。
夢のような事実だが、まだ体が慣れてない。
着替えを置いた佐祐理さんは、
「あははーっ食事にしましょう」
と笑うと出て行った。しかし…着替えの靴下まで用意するなんて過保護だよなあ。この家にいるとますます駄目になってしまうような気も。
広間での食事は相変わらず豪勢なものだった。
「あはは、そんなにがっつかなくても…トマトの酢漬けもどうぞ」
「貧乏性のせいかあるものは全部平らげる主義なんで…もぐ」
「あれ?口元についてます」
佐祐理さんに拭かれる。本当におれの世話をするのが楽しいようだ。
「佐祐理さんも食べてよ」
「あははーっそんなに佐祐理要らないんですよ。でも祐一さんが沢山食べてくれるので色々作れて楽しいです」
「そんなもんかな」
まあ、ある程度量を作らないと品数とか増やせないというのは分かるような。
「ふう」
居間で佐祐理さんの淹れたコーヒーを頂きながらくつろぐ。
「そういえば、祐一さんの荷物届いてましたね」
「あとで片付けるか」
「佐祐理も手伝います」
そんなに多くないから一人でも十分だが。すぐ終わるだろう。
とてとて。
荷物を運ぶ佐祐理さんの尻に見惚れてしまう。
セーターにジーパンという、気取りのないスタイルだが佐祐理さんの場合、むふふ。色っぽい。
胸が結構張りが有って大きいし、お尻は言うまでも無い。女性のジーパンは股間の隙間が大きいのもえっちだ。
「後は一人でやりますよ」
まずいものは何処に隠すかな…ちっ、ちょっと佐祐理さん!
「あははーっ!面白いですー」
遅かったか…本を広げて読んでるよう。このひと。
「ふぇー薄い本ばっかりですねえ。佐祐理こんなの見たことありません」
新刊だしなあ…片っ端から佐祐理は同人誌を広げていく。
ぱたり。
佐祐理さんは本を閉じると、にこにこした。
「あははははーっ、今ちょうど佐祐理、焚き火しようかなと思ってたんです」
ひどっ!
いくらお嬢様とはいえ、ナチの党大会じゃあるまいし。誰が焼くか。
あれ…佐祐理さんが急に眉を曇らせて悲しげな目に?
「いま、佐祐理のこと無視しましたね。佐祐理すごく傷つきました」
あうあう、佐祐理さん口元も歪んで…涙出そうだよ…嫌われたの?
どうしよう…何でも言う事聞きますので許して。佐祐理さん…
「ごめんね、気を悪くした?」
「あはは、冗談ですよう」
ころころっと笑う佐祐理さん…でも、なんか本気っぽかったなあ。
「でも…祐一さん」
佐祐理さんが顔を近付ける。
「一緒に暮らしているのに佐祐理だけじゃ不足なんですか?こんな本は要らないはずなんですけど…それとも」
悲しげな目
「佐祐理のこと、嫌いなんですか?」
どきどきした。
「もちろん好きだよ。ごめんね」
理由はともあれ佐祐理さんに不愉快になる本を見せちゃった。
「あはは、佐祐理も祐一さん大好きです」
「ほっ」
「でも…佐祐理わかっちゃいました。この本見ると、おっぱいが大きいひとばかり…きっと、まだおっぱいが恋しいんですね。祐一さんは」
なぜ、そう断定する…
「ごめんなさい、佐祐理が愚かでした…祐一さんのおねいちゃんのつもりでいたのに…何の面倒も見ずに…これじゃお漏らししても当然ですね(くすん」
よくわからん…しかもまた泣くし。
「おねいちゃんのも、こう見えて結構大きいんですよ…(えいっ」
あれ…なんでセーター脱ぐわけ?ワイシャツのボタンまで外さなくても…
ぐはっ、ノーブラ…佐祐理さんのおっぱい、ワイシャツからはみ出して揺れている。ぶるん
「佐祐理のじゃ、満足出来ませんか?本物なのに」
「いえ、そんなわけじゃ…」
「あはは、良かったです…思ーう存分、佐祐理のおっぱいを吸わせてあげちゃいます…おいで(ぶるんっ」
すげー吸いてえ…いかん我慢できん…ふらふら
「あははーっ、佐祐理のおっぱい赤ちゃんみたいに好きなだけ吸っちゃってくださいねー」
むぎゅっ
佐祐理さんに押さえ付けられて、柔らかい胸に顔を埋める。ハァハァ…佐祐理さんのおっぱい〜
レモンのように立派な形の白い乳房がワイシャツからはみ出している。男の手が触れてない無垢なピンクの乳輪は意外に立派で、しかも若いので上向きに反っている。セーターの下からでも男をそそるような大きさだったが、生で見るとほんとうにたまらん。左の乳房に吸いつきちゅーちゅー吸引する。
「ふぇ、佐祐理も初めてなんです…優しく吸ってください」
ちゅーちゅー
「んふ…左ばかり大きくなっちゃいます」
佐祐理さんは色っぽい溜め息をついた。ぺろぺろ…ちゅっ
「あんっ、ん、左ばっかり可愛がらないで」
「佐祐理さん…」
そのうちに祐一も勃起してきた。
この体勢は…佐祐理さんをいつのまにか押し倒しているし…野良犬のように佐祐理さんを犯したくなってきた…うう。佐祐理さん…そろそろ本番は駄目?
ああ、どんどん硬直してきた。
「あははーっ、満足できましたー?」
佐祐理さん…もう終わり?
よけい欲求不満が募ってきたよ…はーーーん。タマがむらむらする。
佐祐理さんの乳房がぶるんと震えて口から離れた。透明な唾液が糸を引く。
ああ、もうすこし…本番は駄目?
「ふふ、よかったですね祐一さん(ちゅっ」
「あうう…」
これから本番なのにぃ…佐祐理さんが欲しいよぅ。
「あはは、これで満足したしもうお漏らしは平気ですねーっ、なんなら毎晩おねいちゃんが、好きなだけおっぱいあげますからーっ」
天使の笑顔。はう…いつも発情期の犬の様にむらむらしてるのに佐祐理さんが毎晩、抱きついてきたら、欲求不満がつのるよう。
佐祐理さんが起き上がる。ワイシャツからはみ出している乳房がぶるんと震えた。茶色の長い髪をかき上げる。
「あははーっ、それではこの本は悪い影響を与えるので捨てちゃいますね」
あ、梓タン…さよなら
「さて、これとこれは、と」
楽しそうに調べる佐祐理さん…
「もう、えっちなマンガは二度と買ってきちゃ駄目ですよ、祐一さん」
しっかり仕切られてるな…佐祐理さんに。あう。
その午後
「あ、教科書ですか。わたし祐一さんの教科書が見たかったんです」
「なんで?」
「去年やったから祐一さんの勉強見てあげられるかなーって。それにはそれまでの教科書見とかないと…」
「あはは、おねいちゃんが祐一さんを成績優秀にして見せますよう」
そんな展開は嫌だ…佐祐理さん別の事もおしえてよぅ。
「あれ、これ…違いますね」
ああ、アイドル写真集。混ざってたか。
「ふぇ…」
急に眉をひそめる佐祐理さん…そんな怪しいものじゃないけど。
「祐一さん、これ…誰のですか?まさか」
「おれのだよ」
「ふぇ…冗談ですよね?…ひっく…」
なぜそこで泣く?
「まさか…こんな本まで買ってたなんて…汚らわしいです。子供は漫画が付き物だし祐一さんはお漏らしする位だからまだ卒業してないのはわかりますけども…ひっく…裸の写真まで」
また、わけわからんことを…
くるり。佐祐理さんが急に振り向いた
「真面目に聞いてください」
「はい?」
「佐祐理以外の女の子の写真集めたりしないでください。佐祐理これ見て凄く嫌な気持ちになりました」
あうあう、佐祐理さんの眉が悲しげに…そうなの?嫌わないで、おねがい。
誤解のような気もするけど。こうなるともう降伏しないと。無茶苦茶なんだけど惚れた弱味で佐祐理さんにはこれから一生逆らえないよう。
「それくらいならいつでも佐祐理の裸見せてあげますから。すごく恥しいけど我慢します写真くらい」
ほ、本当?佐祐理さんの裸をとっていいの?
「そのかわり佐祐理以外の女の子の写真は全部捨てて下さい。かわりの写真が欲しいなら佐祐理はどんなことでも…しますから」
「それじゃ本当に佐祐理さん…」
「写真撮られるのもすごく苦手なんですけど。佐祐理きれいな子じゃないし…それになんか恥しい」
「でも、他の女の子の写真を祐一さんが見るの嫌ですから」
「それじゃいこうか」
佐祐理さんはジーパンに手を掛けた。ずり下ろす。
まず、ジーパンに白いパンティというのがいい…パチッ
「男の子って、やっぱりヘアヌードが好きなんですか?」
パンティに指を掛けてゆっくり下へ。
佐祐理さんの黒々とした茂みがのぞいてくる。
「恥しい…けど」
脱ぎかけもいいけど佐祐理さんのうつむいた横顔もっ…パチッ
「やっぱり全部見せないと駄目ですよね…この場合」
それじゃ裏だって。でもおいしいから黙ってよう…
佐祐理さんは全部降ろそうとする…おおっこれは
「…やっぱり佐祐理恥しい!許してください」
くるりとお尻を向けてしゃがみこんでしまった。これはこれで!
いいかたちのお尻だぁ…パチッ
「すみません。佐祐理やっぱり初めてだから…」
「いや、最高だよぅ…」
よ、よだれが出る。ごしごし。
「ふぇー、佐祐理を許してくれるんですか」
「そのかわり…」
「へ、変態ですよう…そんなことに制服を使うなんて」
「ふーんそれじゃ全部…」
「い、一回だけですよ…」
「ああ、とうとう制服をこんな…佐祐理わるい子です…」
ふふふ。じゃん。とうとう佐祐理さんの制服コスプレを…現役だけど。
「そうそう、その制服、卒業したらおれに頂戴ね」
「はぇ?佐祐理、絶対にやです」
「それじゃ全部脱ごうか…」
「わ、わかりました…」
くくく…なんか佐祐理さんに命令するのは快感だなあ。恥しい姿も全部写真に撮っちゃったもんね。でも意外に従順なんだな佐祐理さん。優しくしてあげよ。
「そこ。床の上でさ…脚を全開拡げて…片手でスカートめくって」
「こう…ですね」
そうそう、かわいい従順なネコちゃん。制服に白いパンティ丸見え…使えるぜ!
「あとさ、立って、下脱いじゃってくれる?」
「ふぇ、佐祐理はずかし…」
「スカートめくんなくていいからさ」
「…はい。なんかすーすーして気持ちわるい…」
佐祐理さんの制服…そして太股に脱いだ下着が…ぐはっ!
「はぁはぁ、次はね、上着のボタン外して…そう、佐祐理さんのおっぱいを片側だけはみ出すように…ハァハァ…」
茶色の長い髪が、制服から飛び出した白い乳房にかかっている。うつむいた佐祐理さんの恥じらいの表情がまた…たまらん。
「あの…そろそろ佐祐理夕食の支度が…」
すっかり夢中になって時間が経つのも忘れてた…でもいつでもOKだというし。佐祐理さんも服の乱れを直してる。
「あはは、お粗末でした。佐祐理ので満足いきました?」
そーだ、夕食の支度…裸エプロン…頼んでみよう…ハァハァ…
「佐祐理さん…(ごにょごにょ」
「あははははーっ!そんなに佐祐理が気にいったんですか」
佐祐理さんがそっと抱きしめてくる。柔らかい…
「きょうは佐祐理とっても恥しかったんですよぅ…でも」
「佐祐理さん………」
「やってあげますけど、その前にきちんと佐祐理をお嫁さんに貰ってください(ちゅっ」
夕暮れ。おれは佐祐理さんと商店街を歩いていた。
佐祐理さんはセーターとジーパンというラフな格好でも、さらさらの淡い色の長い髪と抜群のスタイルで人目をひいてしまう存在である事に変わりはない。
でも手を引いて廻るのはちょっとはずかしいなあ。佐祐理さんの白くてほっそりとした柔らかい手…
しかしそのとき。
「見つけた…覚悟」
突然、怪しげな少女がおれに襲い掛かってきた。
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倉田家。おれたち三人はなんとか事態を把握すべく苦しんでいた。
「名前は…沢渡真琴。かわいいでしょ」
「全然」
「あははは、記憶が戻ったら一人で帰れますね」
「思い出せない」
「それじゃ警察に迷子で届けましょうね」
「あうーっそれも嫌だよぅ〜」
うーん…哀れっぽい目で泣き言を言うのを見るとさすがになあ…
「佐祐理さん、こいつも家出してきてこの家に居座ろうとしてるくらいだからなんか帰れない事情もあるのかも知れないし」
「真琴は家出なんかしてないもん」
げし
「いったーい」
「どうだろ、しばらく妹が増えたと思ってさ、面倒を」
「佐祐理に妹なんかいません(ぷい」
機嫌悪そうにそっぽを向く。あうあう。駄目かなあ。
「そ、それじゃ、メイドがわりにしばらく雑用とかで使ってやれば」
「あう、冥土ってなんなのよう…」
「祐一さんがそういうなら…佐祐理は昔からメイドさんとかこの家に置くのはあまり好きじゃないんですけど、まあ」すこし考えてから独り言のように付け加えた。「…まだほんの子供ですし」
「なかなか似合うぞ真琴」
「あうー」
「古いものですけど(にっこり」
意外に馬子にも衣装というか、地味な紺を基調とした清楚なお手伝いさんの服はよく真琴に似合った。髪も長いし、なんか可愛いぞ。
「急に上品になったぞ」
「ほんとうかなあ…はぁ」
「それとだなあ、まずメイドというのはだな。言葉遣いから…おれはご主人様。佐祐理さんは佐祐理様だ」
「あうーご主人様?これでいいの」
「あははーっ佐祐理にはそんな呼び方はしないでいいですよ。それより」
「なに?」
「真琴さんにお願いしていいですか。買い物を。ちょうどお砂糖が切れかけていたので」
「よし、初仕事だ!行って来い」
「うん」
バタバタ…
「やれやれ、ようやく静かになったね」
「そうですね」
佐祐理さんは、いくぶん表情を和らげた。
「このあいだにお風呂に入りましょう」
「おれは後でいいや」
「駄目です。今度こそおねいちゃんと一緒にはいりますよ(にっこり」
「ぐあ…」
やはり逃れられないのか
「あははーっ、たまには佐祐理がお風呂できれいにしないと祐一さんが学校でみんなからいじめられちゃいますからねー」
もういじめれてるような気がするんだけど…はぁ
「えいっ」
佐祐理さんが勢いよくセーターを脱ぐと、立派な胸がぶるんっと震えた。
目が点になる。
はらりとブラが落ちて白い乳房が露わになる。
ジーンズに手を掛けてずり下げると下着が…うう。
「あはははーっ祐一さんはホント照れ屋ですね。おねいちゃんの裸くらいすこしは慣れてくださいね」
佐祐理さんの場合は普通男なら…体に変化を覚えるほうが正常。
するすると下着を脱いでいく佐祐理さん…柔らかそうな茂みを目にすると自然とおれの下半身が反応してきて…タオルで押さえ付ける。
うう…歩きにくい。
「あははーっまず身体をきれいにしてあげるので、ここに座ってくださいね」
おれは覚悟を決めた
「まず耳の裏ですねー(ごしごし」
ほっ…こんなもんか
「次は脇と、お尻…(ごしごしごしごし」
あてててて。
でも…なんか背中に触れて…もしかしてこれは
むにゅっ
ああ…すげー柔らかいおっぱいが。なんかますます一物が我慢できないよう。
「最後は前です」
ぐあっ
「あははははーこっち向いてくれないと困りますようー(ぐいっ」
「どあっ」
う〜ん。おれの…立ってる。
「きゃあ〜♪お馬さんみたいで可愛いです♪」
可愛い…はぁ
「でもかんじんなところですから優しく洗いますね」
さわさわさわさわっ
あうう…拷問だよう。
「あはははーっホントかわいいですねー男の子は」
するするっ
あう、そこは…
先っぽをタオルで包まないでくれ…
優しく執拗なタオル越しの愛撫で、たちまち我慢は限界に達した。本格的に体が射精の発作を繰り返す。
びくびくっ
「あははは、大丈夫ですか?」
いかん、このまま勢いよく放出したら、おれの清純なイメージが崩れる。
それだけは避けたい。
でも…気持ちいいよう…全身が甘い感覚で包まれて…
もう、どうでもいいや
で、出る。びゅるっ
しかし、そこで無情にもスッと佐祐理さんの指が離れる。
「はい♪きれいきれい♪」
うぁっ、最悪…もうすこしだったのにぃ…続きはないの?
佐祐理さん…お願い。
うわータマが…変な感じ…気持ちわるーーーっ
あうう…むちゃくちゃ…むらむらする。
身体の奥になんか違和感があ!どうすんだよこれ!
「あはははははははーっどうしたんですか?」
「ぐわーーーっ」
「あはははーっ急に暴れないでくださいねー(ちゅっ」
「あはは、またひとりでさっさとあがっちゃうんですね。おねいちゃんさびしいなー」
佐祐理さんの笑い声を背に、寝巻きを着たけど。
猫がネズミをなぶるように、また、一方的にいじめられたような気もする。
いかん。佐祐理さんに限ってそんな。考えすぎだろう。きっと親切のつもりで…しかし、佐祐理さんは天使のように振舞ってるのに、それにくらべておれはちんちんを立てるなんて…ぐあっ、自分がはずかしい。
許して。佐祐理さんのような素晴らしい女性に触れながら、押し倒して本能のまま犯そうなんて。間違ってました。
ああ、おれの清らかなマリア様、佐祐理さーん!
部屋に入る。
真琴はマンガを読みながらゴロゴロしていた。
げしっ
「あうーなんなのよう」
「誰がそんなもん買って来いと言った?」
「うん…」
しょんぼりしている。可愛い。
お、いい事思い付いた。すこしからかってやるか。
「ま、いいや。それよりこっちに来い」
「あうーなんか怖い」
用心深い動物のように真琴は唸った。
「いいから…夜のお相手もメイドの務めだぞ」
もっともらしく説教してから強引に抱き寄せる。メイド服の真琴も美味そう。
「うー、大嫌い!離せ!離せ!この(ぽかぽか」
「わははは」
痛くもかゆくもないわ。
「ふぇー?真琴さんどうしたんですかー」
佐祐理さん…やべえ。
「あうー大嫌い!(ぽか」
「いて」
それを機に真琴は逃げ出した。
「祐一の、変態!痴漢!だいきらい!」
ばたんっ
「あの…どうしたんですか」
真琴のやつ。佐祐理さんと気まずくなったらどうするんだ。
「わはは、冗談だよ」
あれ?佐祐理さんがまた…不機嫌に。くちびるを噛みしめてる。
「祐一さんはメイドが好きなんですか?」
「いや。自慢じゃないがメイド物は一本も持ってないぞ」
なんか話が噛み合ってないけど、ホントだからな。
「でも…あんな子供にまで手を出すなんて。…佐祐理はお飾りですか?」
「お飾り?」
「不潔です。こっそりと裏ではメイドを玩具にして、かんじんの佐祐理をないがしろにして(しくしく」
わけわからん…なんか勘違いしてない?
「ごめん…でも佐祐理さん、誤解だ」
「ふぇ、本当ですかーでも佐祐理には本気にしか見えませんでした」
「まぁメイドは嫌いではないけど…」
「やっぱり(えぐっ」
「い、いやメイド服が好きなんだよ!だからさあ、佐祐理さんも着てみる?」
「ふぇー?佐祐理がですか?」
「うあ…やっぱり凄いよ」
佐祐理さんがメイドコスプレを…夢のようだ。
しかし、長い派手な髪といい、天使のような顔立ちといい、こんなゴージャスなメイドが居るとは…
「はぇ?胸がきついです」
ううっ、大きなバストのラインがくっきりと。
「うむ、こういうのは形から入るのが基本。こほん。おい佐祐理君」
「はぁ〜い、ご主人様♪」
「今晩わたしの夜の相手を務めなさい」
「あははははーっ佐祐理恥しいからそんなの嫌ですー」
「むう、聞き分けのない娘だ。しからば」
「きゃあー♪」
佐祐理さんをベットに押し倒す。どきどき。
「佐祐理君。君のおっぱいは実に立派だね。(もみもみ」
「あんっ祐一さん…」
佐祐理さんは身体を固くした。構わずスカートをまくりあげて
「太股もすべすべだ。(なでなで」
指をするりと下着の中に滑り込ませる。
「あ…そこは…やり過ぎです(紅」
「佐祐理君!」
「はい、申しわけありませんご主人様…」
ふふふふ。いい具合だ。こうなったら絹の下着を強引に脱がそう…。
「こんなものは邪魔だ。取ってしまうぞ。ん?」
ぐいっ
「駄目えーーっ」
「ひどいですご主人様…(くすん」
「佐祐理さん…ごめんね。もしかして怒ってる?」
「知りません!(ぷい」
あ〜あ、むこう向いちゃった。
「調子に乗ってホントに下まで脱がしちゃったのは悪かったよう…」
「反省してます?」
「はい…許して佐祐理さん」
「どうしようかな♪」
目の前に佐祐理さんの白い足がにゅっと伸びた。
「だあっ!」
どきどきどきどき
「脱がせちゃった以上、もちろん穿かせてくれるんですよね♪」
「ううっ」
つま先から…そんな高々と上げなくても。ああ、なんていい足なんだ。
わざとやってるのだろうか?
「でも、佐祐理はどっちでもいいですよ」
「え?」
佐祐理さんが、うつむいてる。
「今夜、このままでも佐祐理は別に困らないです。でも…」
佐祐理さんの面が急に上がる。瞳がいたずらっぽく輝く
「祐一さんがほんとうに佐祐理のご主人様になってくれれば、ですけどね♪」
佐祐理さんが抱きついてきた。柔らかい。
長いきれいな髪がふわりとかかる。佐祐理さんの匂いが鼻をくすぐり、脳内のキャッシュメモリ容量がすべて佐祐理さんで一杯になりシステムダウンした。
身体が本能のまま反応した。
佐祐理さんの何も着けてない無防備な腰を抱き寄せる。
こ、このまま一気に…押し倒せたら…あうう
やっぱり、駄目?佐祐理さんのいたずらっぽい瞳をのぞき込む。
佐祐理さん、ここまできたら、ねえ…、
「佐祐理さん…お願い」
「あははははははーっ、本気になりました?」
駄目?ひどいよう…うう
「あははははーっ、祐一さんとってもかわいいです(ちゅっ」
このまま…
佐祐理さんがその気にならないと…
いつまでもそのまま…なのだろうか?
あはははーっ、このままでも佐祐理はすごく楽しいですけど♪
祐一さんとの生活がとっても面白いです♪
はい、おあずけ♪
なんてわけありませんよ。もちろん。
でも…佐祐理はこのままずっと祐一さんと一緒です
そして、いつの日かきっと…
倉田家日記弐。終わり
>>392-406
かなり長くなってしまい、仕方なく区切りをつけた感じですね。
萌えシチュの寄せ集めのため、少し普通の違う毛色に仕上がってますが。
工夫次第ではもっとましになったかも。
まだまだ先は長い…結末の構想などエイエソに使われそうにない様子(笑
>>392-406
ちょっと、ちょっと、お花屋さん、祐一君が飼い慣らされてます(^_^;)
ついでに読者も萌え殺しです。
アァウウゥ…ウガーーーー!!
いきり立ったナニの落とし前、どうつけてくれるんじゃゴルア!!
(暫時)
…失礼(コホン)。
なんか今回はWOWOWの2回連続放送みたく濃密なお話でしたね。
>>392-402と
>>403-406の2回に分けた方が良かったんじゃない
でしょうか。かえって散漫になった印象を受けましたが…。
せっかくのネタなのに、もったいない(読者としては嬉しいんだけどね)。
それはそうと、煩悩を隠さぬ文章が、相も変わらず素敵です(^_^;)
佐祐理嬢の天真爛漫さをうまく生かした、ライトな感覚のえっちぃ
雰囲気がイイ!です。佐祐理嬢がやると、あざとく見えないから
不思議。
つぎはどんな生殺しを見せてくれますか。
楽しみにしてます(^_^)/
倉田家日記弐再放送?というより大幅に手直ししたとこもあり、むしろ劇場版かな。
ちと長いですが、まあ一日の間の出来事ですし(午前、午後、お風呂、夜の四部構成)耐えてください(藁
でも、お風呂は危なかった…
祐一もこれで音を上げるようだと、これから舞との3Pに耐えられるかどうか。
舞は最強クラスのちちを持っており、サイズはデアドラの霞と同じなので参考資料としてDOA2でもまたやろうかな。メチャ色っぽいですよ。舞は。
3Pだとつらいな(藁
419 :
名無しさんだよもん:2001/07/02(月) 22:18
420 :
:2001/07/03(火) 20:22
421 :
:2001/07/03(火) 23:13
ええと、かなりの数の作品がいつのまにやらSSスレに
素晴らしいモノばかりなのでいちいち批評は差し控えます。好みは有りますがどれも真面目に書かれていることは間違いないです。
立川さんSS、とても読み易いです。こういうの個人的に好き
たまにはさゆりんスレにお越し下さい。
エロ賛否は…ここは一応年齢制限ある板だし、同人でのエロはこんなものではないしねえ。ただ読み手にすれば冒頭から凌辱シーンとか、突然に脈絡なく始まるエロでなく、きちんと導入部で気分が高まっていれば、受け入れ易いかもね。でもそんなの書くの長くて面倒ナリ。
みしおたんSSも手固いまとめ方ですね。気が向いたらさゆりん物もきぼん。
423 :
名無しさんだよもん:2001/07/05(木) 06:46
ー
>>424 15の夜はネタだよな?
21歳以上だよな?
ん、心はいつも15才か?
今月はイチゴサンデーやアイスをおごったり、夜食持っていったり、肉まんに鯛焼き、
なにかと出費が激しかった。おかげで財布が超ピンチ状態!
しかーし、大丈夫なんだな、これが。
こう見えても転校前は「哭きの祐」と恐れられていた俺である。
Kanonの面子からカモるくらい軽いもんだ。
現金で回収するのもいいけど、払えなかったら身体で払ってもらおうかな?
外は雪が降ってきたようだ。しかし、今夜は熱くなりそうだぜ!
まずは名雪か、打ち筋はまともだ。これなら勝てそうだが…。
「祐一、楽しいね」
「そりゃあお前は勝っているからな。まあいい、夜はまだ始まったばかりだ」
しかし、微差でことごとくトップを取られてゆく…、さすがは秋子さんの娘!やるな。
…1時間後
「祐…一、もう、…私、…寝……む…」
「なにいってやがる、勝負はこれからだ!」
「もう……寝………スースー」
「おい、寝るな!お〜い…名雪さん?…畜生!勝ち逃げするんじゃねえ!」
「ボク、よくわからないんだけど?ほんとにやるの?じゃあリーチ!」
「親のダブリー?!しょうがない、西を切るか」
「祐一くん、それ、あたり!」
「えっ?」
「大三元、字一色、四暗刻、単騎はダブル扱いだから十九万二千点。
きっちり払ってもらおうか?!」
(クククッ、甘いね祐一君、奇蹟の力をつかえばざっとこんなモンさ。)
栞のやつ、山を見抜いているかのごとく牌をつもってきては
瞬く間にツモあがってゆく!
(フフフもちろんガン牌ですよ。牌につけた薬の匂いの違いで判別してるんです。
麻雀に勝ちたかったら薬を増やせ、です。でもヒ○ポンはだめですよ〜)
「おっとスマン」
俺はつもる時、コーヒーを溢してしまった。
(困りました。これではコーヒーの香里、もとい香りのせいで牌を判別できません。
仕方ないですね。)
「あああっ、急に眩暈がっ!気分が悪くなったのでお手洗いにいきたいのですが」
「早く戻ってこいよ」
「すみません」
…再び1時間後
ガチャ
「ヤロウ!逃げやがった!」
「ローン。あははっー。舞、麻雀わかります?」
「よく…わからない…」
「それ、ロンです。実は佐祐理もあまり知らないんです」
「ぽんぽこたぬきさん」
…なんていいながらさっきから舞と佐祐理さんしかあがってないぞ。
「それもロンです」
む?舞の目線が浮いた!そうか!こいつら列だ!
しかし、どうやってサイン送っているんだ?
例えば、ぽんぽこたぬきさんで筒子の3か?いや、違う!
「どうしたんですか?祐一さん?」
ゆさゆさ
?
「佐祐理のあがり、どこか変ですか?」
ゆさゆさ
???!
わかった!おっぱいの動きで“通し”をやっていたんだ。
しかし、そんなこと指摘したら俺は変態の烙印を押されてしまう!
じろじろ見るわけにもいかない、
いや、恥を覚悟で見てもいいが別の思考が働いてサインを読むことが出来ない!
なんて完璧な“通し”なんだ!…完敗だ。
「ご無礼!佐祐理、ツモっちゃいました。」
「…お前、麻雀わかるのか?」
「大丈夫、漫画で覚えたから。早くやろーよ」
「いいぜ、おっその白ポン、発もポン、中もポンだー!」
あっというまに大三元テンパイだ!
さすがにこれはあがれるだろう。
「祐一、これは通る?」
ダン! 通し! なんて危険なところをっ…!
「これは?」
ダン! 通―――しっ! くっ!
「ふふん、真琴はたとえ地上100メートルの橋の上だって平気で渡れるんだから」
「お前、哲○で麻雀覚えたろう!
そんなのドラゴ○ボールで格闘技覚えるようなもんだぞ!」
「何よー、いいじゃない。…あっツモっちゃった。自摸のみ500・300」
「そんな手で大三元に突っ張るんじゃねえよ!」
…気が付くと借金が限界を超えてしまった。
「何故だ?くそっ!どーして誰にも勝てないんだ?!」
ふん、本当はわかっていたさ、こんなSSにされた時点で。
雪はしんしんと降り積もる。
俺の負けも積もり積もる。
さぶー。
ちょっと解説
ガン牌…牌に印をつけるイカサマ
列…コンビ打ち
通し(名詞…コンビどうしで情報を教えあうこと
通し(動詞…当たり牌ではないですよ
>>427-433
あー麻雀漫画読まない人には分かりにくいなぁ
カカカ
キキキ
クゥクゥクゥ
ケケケ
コォコォコォ
鷲巣的回しっ…!!!
アカギ読んでください
初夏には独特の匂いというものがある。
それは、梅雨明けの庭に漂う水蒸気の匂いだったり、吹く風の中に含まれる草いきれで
あったり、、太陽に焼かれたアスファルトの匂いであったりする。
忙しい毎日の中、一息ついたその時にふと感じることのできる、懐かしい匂い。
そんな匂いを感じることが多くなった。
そう、夏が、すぐそこまで来ていた。
「明日は七夕です」
昼休み、気だるい午後の中庭。二人することもなく、並んでベンチに座って、ただ空を
見ていた時、天野が突然呟いた。
「…そういえばそうだな」
校舎の上で風に流れる雲を、ぼぉーっと見上げたまま答える。口にくわえたストローか
ら、いちご牛乳をずずーっと吸うと、甘い味が口に広がった。
「この街の七夕祭りは、なかなか規模が大きいんですよ」
「そうらしいな」
「相沢さんは、お祭り好きそうですね」
横目で見れば、天野はまだ、この空を眺めていた。
「そうだな。どちらかと言えば、好きな方だな」
俺も視線を空に戻した。いちご牛乳を、ずずーっと飲み込む。雲はふわふわ流れている。
その一つに視線を合わせ、流れていく様を、ただ眺めながら同じ風を浴びた。
「明日は土曜日だし、賑わうんだろうな」
「そうでしょうね」
「金魚すくいに、射的なんかが俺は好きだな」
「りんご飴や綿菓子の方が外せませんよ」
「食いモンばっか」
「……」
天野は赤くなってるだろう。顔は見えないが、そんなことはすぐ分かった。
「楽しいだろうな」
「でしょうね」
いちご牛乳を、また一口吸い込んだ。そのまま、しばらくそうしていると、ずずーっと
大きな音がして、それで中身は空っぽになった。
目で追っていた雲が、校舎の陰に隠れてしまう。仕方なく、別の雲を眺め始める。
穏やかに時は流れる。あの雲からは、今の俺たちはどんな風に見えるのだろう。
「…天野、一緒に行ってみるか?」
こんなのんびりした時間を、一緒に過ごしたいと、そう思った。
「はい。よろこんで」
空を見上げたまま、約束を交わす。
「居酒屋みたいな返事だな」
「……」
ギャグも忘れない。しかし、真面目な天野には通じなかった。
しばらく、沈黙が続く。手持ち無沙汰になって、何となく、空の紙パックに息を入れた
り出したりして遊んでみる。息を思いっきり吸うと、ポコッ、と大きな音がした。
「めっ!」
怒られた。
ストローを口から離す。目で追いかけた雲が、また校舎に隠れた。
「天野は、はっぴが似合いそうだな」
思いつくまま言ってみたが、想像すると、本当に似合うかは疑問だった。
「…嘘でもいいですから、浴衣が似合いそうだと言ってください」
「じゃあ訂正。こう地味ーな浴衣が似合いそうだ」
「…ひどいですね」
「まぁ、冗談ということにしておく」
「すごく引っかかる言い方ですね」
いつもの他愛ないやり取りの最後は、予鈴のチャイムと重なった。ゆるやかに流れてい
た時が、慌しく動き始める。
「じゃあ、明日、駅前で待ち合わせるか」
ベンチから立ち上がり、紙パックを潰しながら、提案した。
「午後五時ぐらいが妥当でしょう」
天野も手早く身支度をしながら、そう答えた。
「よし、五時な。じゃあ、また明日、駅前で」
「それでは」
ぺこり、とお辞儀をして、天野は駆けて行った。その後ろ髪が、ふわふわと跳ねていた。
翌日、午後五時。
日の落ち始めた街並みは、普段と違う顔を見せていた。
親子連れに、カップル。大勢の人達が行き交う。喧騒が街に溢れていた。
その中でもひときわ目立つ、浴衣を来た女の子たち。
彼女たちが履いた下駄が、歩く度に、からん、からん、と音を鳴らす。心地よく響く、
そんな中、俺は駅前のベンチに座り、天野を待つ。
(しかし、遅いな、天野のやつ…)
女の身支度には時間がかかるというが、本当だったのか。
「相沢さん、お待たせ致しました」
待ち人に、不意に声を掛けられた。ぼぉーっしていて、目の前に天野がいるのに気付か
なかったようだ。落としていた視線に映る、黒塗りの下駄。赤い鼻緒。白い素足。
見上げる。
緋色に染め抜かれた浴衣。栗色の帯、手には小さな巾着袋を下げて。
天野がそこで、微笑んでいた。
「…お、おう」
返事がぎこちない。気が付けば、心臓が早鐘を打っていた。
「少し、遅くなってしまいました」
「いや、いいよ。俺も今来たところだ」
カビの生えたような台詞しか、もう出てこない。
「じゃあ、行こうか」
立ち上がりながら、そう伝える。早く自分のペースを掴まなくては…そんなことばかり
思う。
「あの…ぶしつけですけど」
言いにくそうに、天野が呟く。
あげ?
「こういう場合は、感想を言って貰えると嬉しいのですが」
それが何を意味するか、ということは瞬時に理解できたが、そんな事がさらっと言えた
ら、苦労はなかった。
「…似合いませんか?」
「…いや、すごく…似合ってる」
頬が上気してるのが、自分でも分かる。
「安心しました」
そんな俺の返事でも、天野はうつむいて吐息交じりにそう言ってくれた。俺にもう少し
甲斐性があったら、可愛いとか綺麗だとか言えるんだが、今はこれが俺の精一杯だった。
「行こうか」
「…はい」
天野が俺の真横に並ぶ。一歩、踏み出すたびに響く下駄の音。
からん、からん。
誰が鳴らすそれより心地良く、街に響いた。
そして、二人で祭りを楽しんだ。
金魚すくい、射的。
結局、二人とも金魚をすくえなかったし、射的なんて遊んだ気もしないほどあっけなく
終わってしまった。でも、楽しかった時間があったことは、天野の左腕に抱えられ、ビ
ニールの棲み家の中でのんきに泳ぐ、おまけの金魚が証明していた。
綿菓子、りんご飴。
屋台のおっさんにさんざん冷やかされた俺たちだったが、それでも値引いて貰ったこと
は満足だった。久しぶりに食べた綿菓子。懐かしい味は、郷愁をふと誘った。
待ち合わせた時の緊張感は、徐々に薄れて、やがていつもの関係に戻る。
もとより、着る物が違うだけで、中身はいつもの天野なのだから、それは当然だった。
つかの間の恋人から、親しい友人へ。
楽しい時間はすぐに過ぎ去り、夜店は軒を畳み始める。もう、真っ暗だった。
「境内へ行きましょう」
もう帰ろうか、と俺が思った時、天野はそう言った。
「大きな竹に、願い事を書いた短冊を吊るすんです。はしゃぎすぎて遅くなってしまいま
したが、まだ間に合います」
天野の案内で、神社へ向かう。すれ違う人たち。祭りは終わりを迎えつつあった。
その中で、天野は、まだ終わらない何かを求めるように、人々の流れに逆らい、歩く。
二人、鳥居を潜る。
そして、月明かりの下。社の前に、立派な竹が見えた。枝に下げられた色とりどりの短
冊が、笹の葉と共に、夜風に静かに揺れていた。
おごそかな雰囲気に、息を呑む。辺りは静かで、もう俺たち以外の人はいなかった。
「さあ、願い事を」
巾着袋から、マジックペンと短冊を取り出して、天野は俺に手渡した。
「なんでこんなに用意がいいんだ?」
「淑女のたしなみですよ」
今ひとつ理解できなかったが、それを受け取る。
と。
いざ書く段になって、俺は気付いた。
――俺の今の願いって、何なんだ?
数ヶ月前なら、迷わず書けた答えが、書けなくなってしまっていた。
それは…そう。
多分、俺の横で、手の中の短冊を眺める、この少女のせいだった。
失った物が大きすぎて、心を閉ざした少女。それでも、懸命に、俺と真琴のために、塞
がりかけた傷を再び晒して。
そして、今、同じ立場に立った俺のために、こうして一緒に居てくれる。新しい道を歩
こうとしている、全てを拒絶してきた今までの自分に立ち向かおうとする、そんな今の天
野に、俺は何かできないか、そんなことを考えるようになっていた。
真琴を想いながら、天野を想う。
それは、許されることなのだろうか?
ふと、気付けば。
怪訝な表情を浮かべた天野が、俺の顔を覗き込んでいた。
「すごく真剣なんですね」
「いや、そうでもないが」
つい否定したが、思い詰めていたのは事実で、それはもう見透かされているらしい。俺
の返事に、嘘ですよね、なんて笑みを天野は浮かべていたから。
「悩むことはないと思います。相沢さんの、今の願いを正直に書けばいいんです。七夕様
は、きっと相沢さんの願いを叶えて下さいますから」
少女は、笑ってそう言った。夜の風になびく髪を、柔らかく手で押さえながら。
刹那、俺は願った。
だから、ペンのキャップを外して、短冊にペンを走らせた。浮かんだ願い、そのままに。
『みんな、幸せになれますように』
都合のいい願い。どうしようもなく身勝手で、我が侭で、でも大切な。
だから、これが一番いいと思った。
ペンを置く。隣を見れば、天野も書き終えたようだった。
「見ないで下さいね」
言いながら、俺から離れた所に、短冊を括りつける。
俺も見習って、枝に短冊を括る。なるべく、高い場所に。あの星空に近い方が、願いが
届きそうな、そんな気がして。
(俺たちの願い、叶うといいな)
満天の星空を見上げ、素直に、そう思った。
帰り道。
夜風がさらさらと吹き抜ける、そんな道すがら、俺は尋ねた。
「天野は、何をお願いしたんだ?」
「…秘密です」
「おばさんクサイ上に、けちクサイな、天野は」
「…願いが叶わなくなってもいいんですか、相沢さん?」
不機嫌そうな声で、意味深な台詞を言う天野。
「どういう意味だよ、それは」
「…それも秘密です」
わけがわからない、といった表情の俺を、天野は微笑んで見つめていた。
(私のお願い事は、来年までお預けです。だって、相沢さんがいるから、こんなに毎日が
楽しいんです。だから、今年のお願いは…)
風に揺れる短冊。美汐の書いた短冊は、くるりと願いを秘めた方を覗かせる。
『あの人のお願い事が、叶いますように』
(終)
右手の人差し指に、軽い違和感があった。
見れば、指の腹に、赤い筋が一本走っていた。一センチにも満たない、浅い切り傷。痛
みはほとんどない。おそらく、さっき笹の葉で切ったんだろう。
「どうしました?」
自分の指先をまじまじと眺めている俺を不信に思ったのか、天野が尋ねてきた。
「ちょっと切ったみたいだな」
「それはいけません。…どうぞ」
さっと、天野がハンカチを差し出した。しかし、俺は差し出されたハンカチの出所に目
を奪われた。
(む、胸から出したよな、今…)
浴衣の合わせ目の奥。すぐ下の丸い膨らみに、視線が釘付けになる。
「どうぞ?」
「ああ」
言われて慌てて視線を外し、ハンカチを受け取る。
(…あったかいよ、おい)
ピンク色のハンカチには、暖かさが残っていた。
「…なんで、鼻に当ててるんですか?」
気が付くと、匂いを嗅いでいた。
「いや、じきにここからも出血する、なんせ破壊力が強力だからな」
「…変なこと、考えてませんか?」
「いや、ただ確かめてるだけだ」
「…何を?」
「言わなきゃ駄目、か?」
「ええ」
「…その、匂い、かな?」
「早く返して下さいっ!」
回し…1
2
3
4
5
6
7
8
9
「美汐の今年の願い事」
>>444-453
まず、ごめんなさい。
間違っていきなりageてしまいました。
内容は、まぁ、ありがちっすね。
暇つぶしにどうぞ。
464 :
名無しさんだよもん:2001/07/07(土) 18:55
いや、ひまつぶしどころか卒論の現実逃避に良いものを見させてもらった。
多謝。
浴衣の女の子……かあ。
ここ数年くらい、そういう良いものの傍らに要る経験はないなあ。
夏の夜、風呂あがりの爽やかな空気、となりで微笑む美汐たん……
現実に戻ると、蒸した部屋に一人身、迫る卒論原稿の締め切りに鳴らない電話…
もう少しだけ脳内妄想の美汐たんとの光景を楽しみたい、
そう思ったところでの「オマケ」も良かったです。
しまった、ageちまった。スマソ。
467 :
名無しさんだよもん:2001/07/07(土) 19:33
ティムポコに、軽い違和感があった。
見れば、ティムポコの腹に、赤い筋が一本走っていた。一センチにも満たない、浅い切り傷。
痛みはほとんどない。おそらく、さっき笹の葉で切ったんだろう。
「どうしました?」
自分のティムポコをまじまじと眺めている俺を不信に思ったのか、天野が尋ねてきた。
「ちょっと切ったみたいだな」
「それはいけません。…どうぞ」
さっと、天野がハンカチを差し出した。しかし、俺は差し出されたハンカチの出所に目
を奪われた。
(む、胸から出したよな、今…)
浴衣の合わせ目の奥。すぐ下の丸い膨らみに、視線が釘付けになる。
「どうぞ?」
「ああ」
言われて慌てて視線を外し、ハンカチを受け取る。
(…あったかいよ、おい)
ピンク色のハンカチには、暖かさが残っていた。
「…なんで、鼻に当ててるんですか?」
気が付くと、匂いを嗅いでいた。
「いや、じきにここからも出血する、なんせ破壊力が強力だからな」
「…変なこと、考えてませんか?」
「いや、ただ確かめてるだけだ」
「…何を?」
「言わなきゃ駄目、か?」
「ええ」
「…その、匂い、かな?」
「早く返して下さいっ!」
468 :
名無しさんだよもん:2001/07/07(土) 20:31
>>427-433
『麻雀やろうかのん』
いや、まぁ、タイトル見た瞬間に、誰かが凹む話なんだろうとは
思いましたが…(^_^;) む、むごい…。
・名雪編
制限時間付きかい…(笑)
・あゆ編
サマ師かい…(笑)
何だかこの子、ガラ悪くなってんですけど…(ブラックあゆってかんじ?)
・栞編
ツミコミかい…(笑)
・舞&佐祐理編
これが一番面白かった。おっぱい揺らしで"通し"とは考えつかなかった。
それに気付いた祐一君は、エロエロ大魔神ですね(^_^;)
最後に佐祐理嬢が上がる辺り、額をぺしっと叩いて「ご無礼」と言ってる光景が目に浮かびました。
いい感じです。
・真琴編
天性の見切り…(笑)
頭の容量が少ないキツネやから、役つくれへんのやろか…(^_^;)
総じてキャラの特性がよく活かされていると感じました。面白い。
表現がセリフと主人公の視点頼みで、客観的な視点からの描写が
少ないのが気にかかりましたが、こういう芸風もアリだと思います。
ただ、オチ! オチが弱い。散々な結末にするともっと
面白くなったのではないかと。
だいたい、賭場の払いが出来なかったやつはボコられるのが
相場やんか(哲也を参照のこと)。なんで祐一君、五体無事に帰って
来られたんや? 遠慮いらん。ボコったれ、ボコったれ。
>>469 胸ゆらして通しはぎゅわんぶらぁ自己中心派にあったような……
>>470 だいたい当り。ぎゃんぶらーとは若干オチが違うはず…。むこうぶちネタあるし。
栞のは麻雀鬼右京にそんなキャラがいたようなネタと天の銀次のネタ。
真琴はもちろん哲也ネタ。タイトルは麻雀やろうぜのパロ。
ネタとゆうよりパクリ、いや、パロディー。
>>なにがしさん
このような拙文にも感想ありがとう、です。
しかし、他はともかくとして、真琴はまちがいなくタコだな。
おそるべしタコツッパリ!
二人打ちならツモられても点数同じだからタコとは言えないような…
むしろ上がる事で相手の上がりを潰すのも1つの手段って板違いスマソ
とにかく佐祐理さん萌えハァハァ
カモラレテモ(・∀・)イイ!!
ああ、自己中のネタ自分で書いてて唐突に浮かんできた。
麻雀ネタ、葉キャラの方が合うかもしれないね。
タコ宮内とか(藁
>>444-453
『美汐の今年の願い事』
"地味に"韻を踏んだタイトル。狙ってるのかな。イイですね。
風景の描写が、匂いをまじえてうまく描き出されているのが素敵です。
走る美汐の髪がふわふわ揺れる様子など、頭の中で映像がきちんと出来ていて、
それを忠実に描写に活かしているのが好印象。
お話自体はほのぼのとした萌えで満たされていて、心温まる内容だけれど、
目新しいことは余り無いと感じました。
後半を除いて。
この物語、ラストが大変気に入りました。
『みんな、幸せになれますように』
ときて、
『あの人のお願い事が、叶いますように』
で締める。
これが実に意味深い。
美汐にとって、祐一の願いがかなうことは、自らの不幸を招くかも知れないのに…
なんともまぁ…。チョットしみじみさせられましたデス。
そうそう、それから、短冊が風にくるり翻る演出も、よく使われる技法では
ありますが、効果を発揮しています。
うん、そうですね、取り敢えず、立ち上がって拍手をおくりましょう(^_^)
次回作も期待します。
P.S.
ところどころ、句読点を打つ場所は文章の切れ目か、息継ぎ点かで
迷っているような印象を受けましたが、気のせいですかね(^_^;)
>>475 補足。
>目新しいことは余り無いと感じました。
>短冊が風にくるり翻る演出も、よく使われる技法では ありますが、
これらの表現、どーにも悪意が感じられてダメですね(^_^;)
目新しければ良い訳じゃないですもん。
他で使われようと、使われまいと、良い演出は良い演出ですもん。
陳謝。
477 :
:2001/07/10(火) 19:49
478 :
:2001/07/10(火) 19:49
479 :
犬威:2001/07/11(水) 01:11
>>444-453
ぐはっ! やられちゃいました。
本編で温まり、おまけで悩殺されました。
「匂い」の描写もよかったです。
あと、
>「はい。よろこんで」
> 空を見上げたまま、約束を交わす。
>「居酒屋みたいな返事だな」
ここでバイトしていた身として、チト笑いました。
480 :
:2001/07/13(金) 03:42
是。
481 :
名無しさんだよもん:2001/07/13(金) 04:01
美汐の今年の願い事が久しぶりのHitでしてこのスレもまだまだいけますなぁ…。
ほのぼのとした描写がすばらしいと思います。
なんか風景が浮かんでくるような。
>>482 同意。
風景の描写やら、匂い(笑)やら、想像力のくすぐり方がうまい。
あげ
「夢」及び「美汐の今年の願い事」の作者です。
感想カキコして下さった方々、ありがとうございました。
狙った効果が当たって、良かったと思ったり、
誤字や、話のひねりの無さを改めて指摘されて凹んだり(笑
特に、なにがしさんには痛いこと突かれてばっかです〜。
でも本当の事だと思いますんで、悪意とかは感じてませんよ(笑
また書きますんで、その時もぜひ読んでやってください。
今回は本当にありがとうございました。励みになりました。
486 :
:2001/07/16(月) 20:11
487 :
:2001/07/18(水) 19:16
AGE
488 :
:2001/07/22(日) 08:51
し、新作ぷりーず〜〜〜。
>>488 欲しがってばかりいないで自分でも書いてみようよ
結構面白いよ
自分の妄想をそのまま書けばいいんだよ
>>489 でもSSだとちと大変だよね。
シチュは短いからいいけど。
う〜ん、このスレの役目は終わってるのかなぁ…。
三告平さんが作ったトレーニングルーム、
ああいう形式の方が書く方も読む方もやりやすいというのは
紛れもない事実だと思うんだよ…。
感想が書きやすいというメリットもあるし。
職人は正直向こうの方がいいかな、と思っているのでは(汗
みんなこっちにも書こうぜー、と言ってみる。
連続投稿制限、回し、分割、大変だけど(w
あと、ほかほか兄さんが自分のサイト持ったのも少なからず影響が(w
でもさここで読むから意味あるんだよね。
厳しい批判もできる。
自分のサイトなら来るなって言われるのがオチやし。
まぁ厳しい批判があるのでSS書きにはちょいつらいやもしれませんが。
493 :
:2001/07/25(水) 08:22
舞の、泣きかけの貌(かお)が好きだ。
いまにも頬を涙がつたいそうなのに、必死にそれにあらがって、かたく口をむすんでいる、その、貌が。
わたしが、痛いことや恥ずかしいことを要求すると、彼女は眉をひそめていやいやをする。
――じゃあ舞のかわりに、他の子にしてもらおうかな。
そう言うと、もっといやいやをする。こんどは、こぼれんばかりに涙をためて。
ごめんね舞。
わたしは、あなたが哀しむことばかり、言ってしまうね。
「さあ舞、明日はこれを着て学校に来てねーっ」
「これ・・・?」
「ほら、舞、このあいだ体操服忘れて叱られてたでしょ? だから、また忘れたりしないように、舞は朝から体操服ーっ」
「・・・べつに、いいけど」
「あ、でも制服の下に着てくるのはなしーっ」
「え・・・・・・?」
「だから、制服は着ないで、体操服とブルマで登校するの。授業も受けるの。あははーっ、もう舞ったら、せっかちさんなんだからーっ」
「体育は、五限目・・・」
「ああ〜、川澄はなんてしっかりした子なんだろう、おなじ失敗をくりかえさないようにしてるんだなあ・・・ってみんなに見なおされること間違いなしッあァはははははははァーーーッ」
「五限・・・」
「ん? なに? 何か、言った? 舞? ん? まさか、いやだなんて、言わないよね? せっかく、舞がみんなからよく思われるように、いっしょうけんめい考えてあげたのに、その気持ちを無視したりは、しないよね? ねえ? 舞? 着てくるよねぇぇ?」
「・・・・・・うん」
そっと伏せたまなざしに、揺れ沈む舞の想いがかいまみえて、わたしはぞくりとする。
ごめんね舞。
わたしは、いつだって、あなたを苦しめて・・・
でも、お願い。
わたしを、見捨てないで。
わたしから、逃げないで。
わたしをおきざりにしていった、あの子みたいに。
あなたがいてくれるから、あなたがわたしをうけいれてくれるから、
わたしはここに、いられるのだから。
ごめんね舞。
いつか、わたしは罰せられるよね。
でも、お願い。
そのときがきたら、あなたの手で、わたしを裁いて。
あなたの口から、「もういいよ」って、わたしの耳にささやいて。
そうすれば、きっとわたしは、しあわせな気分のまま、眠れると思うから。
つらい記憶もなにもかも、おきざりにしていけると思うから。
わたしは、その日がくるのを待ちわびながら・・・
うずく手首の傷痕を、いまもなだめつづけている。
『川澄舞は意外と忘れ物をする』
>>494-495
久方ぶりに書いてみまみま。
>>491 元々おれんところのは、
ここにデビューするための練習所って位置づけなんだけどね。
「板に書くから意味がある」とは思う。
が、いかんせん職人が減ってるよな…
そのための訓練所であって人材の食い合いするためじゃない。
どうか長い目で見てくれ。
あぁ、舞カワイイヨ…舞タン…
漏れもイヂメタイ…
舞たん、うまうま。
>>494-495
『川澄舞は意外と忘れ物をする』
…あ〜……。
読んでいて凹みました。
相手を痛めつけ、相手の苦痛や怒りを引き出して、相手の気持ちを
確かめる…。あぁ、あるよ、そういうケースある…。
佐祐理さんの「あははー」笑いが常軌を逸していて、それが怖くて、悲しくて。
「必要とされたい」という気持ちが根っこにあって、弟を失ったから余計、
執拗に確かめるんだね。必要とされないと、生きていられないから…。
死を望んでいながら、無意識に生を模索する矛盾した姿が痛々しい。
舞をいじめるたびに佐祐理は予想通りの反応を引き出して、安堵して、
「いつかは舞に嫌われて、捨てられる」という結末を予想することで
自分の行為を正当化して、おそらくは手首の傷さえ自己弁護に使って、
自分の弱さに目を向けようとしないで…。
ああ…イタイ…イタ過ぎる…。凹むー。
タイトルを読んで、こういう仕打ちはよく起こるのかなと思ったり。
ええ作品でした。
短いながら…あああ(;´_`;)
表現も良かったでchu! たとえばココ↓
『そっと伏せたまなざしに、揺れ沈む舞の想いがかいまみえて』
揺れ沈むという表現、これがバッチリ決まってる。
凹んだので寝るにょ(;´_`;)
>>499 補足。
舞のことを考えると、これもまた痛い。
黙って佐祐理の仕打ちに耐える舞は、何もかも悟っているのかも知れない。
「私を死なせて」「私を嫌いにならないで」という相反する願いを
佐祐理から叩き付けられたら、彼女はどうしたって後者の願いを
叶えようとし続けるだろう。
舞が佐祐理を捨てることは永久にないだろうし、そうであるが故に
佐祐理の陵虐はこれまたエイエソに続く…。
考えたらますます鬱に。ヘコむー…。
501 :
:2001/07/28(土) 06:07
502 :
名無しさんだよもん:2001/07/28(土) 06:35
>>491 >三告平さんが作ったトレーニングルーム
すみません、それってどこにあるのですか?
hakagi.net/ss
505 :
名無しさんだよもん:2001/07/29(日) 22:48
メンテあげ
500ちかいね
507 :
名無しさんだよもん:2001/08/01(水) 00:11
age
倉庫送りになっちゃうとヤだから、メンテを兼ねて書き込みますです。
トレーニングルームで評判の良い作品は、こっちにも掲載するってのは
ダメですか?? >見てる人
509 :
貔亂:2001/08/03(金) 03:52
>>508 優しいな。だが気を回し過ぎだと思うze!
さすがに消えられてもどうかと思うのでメンテ。
>>なにがしだよもんさん
う〜ん、半同意。
むしろ、現役職人には逆で行って貰いたい。
こっちにカキコして、より詳細な批評が欲しければ向こうに転載する、
という感じで。
…もう少しいい感じで行けるスレだと思うがなぁ。
このスレに少し暗めのも描いていいのかな?
落ちないといいね・・・
514 :
あ:2001/08/07(火) 00:59
げ
増援部隊を待ちわびつつ、過去ログ紀行。
今日拝読しましたのは、本ログ
>>164-165 『BAD END』であります。
「まだ…」のあとが気になる!!
何がまだ、なんだろう…。
名雪の「好奇心は…」のセリフがなにげにイカしてますね。
ちょっと短いので、これ以上の感想は何ともあれですが。
続編に期待…って主人公死んでまんがな!!
夢オチで一度リセットかけるしかないかなぁ…。