上月澪 『こうずきみお』 スレッド 

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944み ◆MIO/uS.g
あまとうさん、澪入場SSおつかれさまでした〜♪
にこにこ。
澪ちゃんと一緒に、雪、眺めたいですぅ。

私も支援SS投下しました。
http://wow.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1011727905/814-816/
ちなみに、シリアスすぎるのと長いのでやめたボツ原稿

俺は澪の体をそっと起こした。重い。意識のない人間の体がこんなに重いもの
だとは思わなかった。
そして澪の顔色は蒼白だった。気が動転してしまった。
しかし、ここで俺がしっかりしなければ、澪の、最愛の人の命が危ない。
俺は受話器がはずれたままのインターホンを外線に切り替え、救急車を呼んだ。
一生懸命、保険体育の時間に習ったことを思い出した。
たしか、教科書に救急車を呼んでくるまでの応急処置が救命率を左右すると書
いてあった。
澪の左胸に手を当てる。やわらかい。こいつ、いつのまに・・・。なんてこと
を思っている場合ではなかった。ここでは柔らかすぎて脈がとれない。
気を取り直して首すじに指を当てる。脈はある。よかった。
つづいて澪の口元に俺の頬を当てる。だが、ほとんど息をしていない。
なんということだろうか。
呼吸停止からの蘇生率という、右肩下がりのグラフが脳裏に浮かんできた。た
しか、二、三分を過ぎると急激に下がるんだったよな。そう思い出すと、一刻
の猶予もないことが全身を襲う寒気となって実感された。
945み ◆MIO/uS.g :02/01/24 02:09 ID:kTat8XMB
俺がやるしかない。
意を決して、澪の襟元をゆるめる。
そして、息を吹き込むため、鼻をつまみ、口を開けたときだった。
口の中いっぱいに、ごはんつぶと海苔がつまっていたのだった。
俺は、どうしていいのかわからず、周りを探した。
テーブルの上の皿には、澪の歯形がしっかりとついた太巻きが乗っていたのだ。
その皿を手元に取り、スプーンで澪の口を塞いでいるごはんつぶをかき出して
皿にのせていく。
おおかた取り終えたところで、俺は口を大きく開け、澪の口に密着させ、息を
ふきこんだ。
横目で澪の胸を見る。
・・・。
膨らまない。空気がどこかへ漏れているようだ。
今度は鼻をつまみ、頭をそらせて、もうすこし強く吹き込んでみた。
澪の胸が上がり、やがて空気がぬけるにつれてすこしずつ下がってきた。
抜けきったところでもう一度、何度も、何度も繰り返した。
息が整わず何度か咳こんでしまった。そして、頭がくらくらして耳なりがする。
何度目だろうか。
俺がもう一度息を吹き込もうとしたとき、澪がケホケホと咳こみ、目を開けた。
それと、救急車が家の前に止まったのはほとんど同時だった。
電話をしてから時間にして、2,3分もなかっただろう。
だが、最愛の人が目の前で命の危機に頻していたとき、それはとても長い長い
時間に、そして世界は俺一人で誰の助けも得られないような絶望感につつまれ
ていたのだった。
病院に向かう途中、俺はふと、そんな感慨にひたっていた。
軽いチアノーゼということで、澪はその日のうちに退院できた。
それにしても、心配をかけやがる。