葉鍵板最萌トーナメント2回戦Round105!!

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814み ◆MIYUciEM
もう、二月となり大変な寒さだ。
吐いた息が白い塊となり、やがて大気に拡散していく。

今日はデートだったが、いつ来るともわからない、道に迷う常習犯の<<澪>>を
寒風にさらされる公園のベンチで待つのはいやなので、直接澪の家に迎えに行
くことにした。

玄関の呼び鈴を鳴らす。
だが、だれも出てくる気配はない。

まさか・・・・。
俺の頭をいやな予感がよぎる。
澪のことだ、いつもの公園での待ちあわせと勘違いして、一人で向かってるん
じゃないか!?
そう思ったときだった。
澪一人のときは、決して鳴るはずのない、インターホンから、苦しそうな、咳
こむような音と、なにかが割れるような音がきこえてきた。

澪の身になにが!?
俺は、ドアを勢い良くあけ(結局鍵はかかっていなかった)、靴を脱ぐ間もも
どかしく、蹴るように脱ぎ捨てて、勝手知ったる澪の家に踊り込んだ。
そして、居間にかけ込んだとき、澪がうつぶせになって倒れていた。
何かをつかむように伸ばした右手がインターホンをかろうじてつかんでいた。
必死で助けを求めたのだろう。
その傍らには割れた花瓶のまわりに花が散らばっていた。
815み ◆MIYUciEM :02/01/24 01:49 ID:kTat8XMB
「み・・澪っ!」

一瞬、みさおの姿と澪の姿が重なる。
最愛の人を失うのはもうまっぴらだ。
俺は、澪の元に一気にかけよる。
澪の手が、苦しそうにわずかに動く。
よかった。生きている。

俺は澪の体をそっと起こした。重い。意識のない人間の体がこんなに重いもの
だとは思わなかった。
そのとき、澪が激しく咳き込んだ。
俺が背中を叩いてやると、なんと、太巻きが半分くらい、ほぼその形のまま、
飛び出してきた。

はぁ・・はぁ・・・。
澪が呼吸を整える。
そして、スケッチブック・・・は近くにないので、電話の横のメモ用紙にこう
書いた。
816み ◆MIYUciEM :02/01/24 01:50 ID:kTat8XMB
『もう大丈夫なの』

それにしても、心配をかけやがる。

「澪、心配したんだぞ。
少しは反省してるのか?」

うんうん。
屈託なく、笑顔でうなずかれてしまった。
この天使のような笑顔を見ていると、とても怒る気になどなれない。

「それはそうと、どうして寿司を丸のみになんか・・・」

『あのね、幸せになれるの』

「な・・・なんだそれは。
幸せどころか、死にかけたんだぞ」

『節分の日にお寿司丸かぶりすると幸せになれるの』

そういえば関西の海苔問屋の陰謀でそんな話があったな。
寿司を食べるなんて、澪が好きそうな習慣だ。
まったく、澪はすぐそういうのに乗せられるんだから。
そんな子供っぽいところも好きなんだけどな。

※健康と美容のために、お寿司の一気食べはやめましょう。