桜が舞う、暖かな季節。
新しい出会いや恋、そして友情に笑い、悲しみ。
すべてが始まり、終わるかもしれない季節。
季節といっしょに何かがやって来る、そんな気がする―――。
ToHeart2のSS専用スレです。
新人作家もどしどし募集中。
※SS投入は割り込み防止の為、出来るだけメモ帳等に書いてから一括投入。
※名前欄には作家名か作品名、もしくは通し番号、また投入が一旦終わるときは分かるように。
※書き込む前にはリロードを。
※割り込まれても泣かない。
※容量が480kを越えたあたりで次スレ立てを。
前スレ
ToHeart2 SS専用スレ 13
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1141028779/ 関連サイト等は
>>2
乙
>1
乙。
新スレ1発目、期待してる。
乙乙乙乙ででででですよよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!
性懲りもなく郁乃に坐薬ネタを考えてたら、坐薬が入る前に力尽きたのでそこまで投下
全13レス。前半とありますが後半はまだ全然書いてないので悪しからず
なお、郁乃は手術時期やEDの台詞から愛佳の一つ下に転入したと見るのが自然ですが
確か明言はされてなかったと思うので敢えて1年遅らせて2年下という設定にしています
「ほら、もうすぐだぞ」
「ん…ふぁ?」
隣りでウトウトしていた愛佳を揺り起こす。よだれ、垂れてるぞ。
「ぅん…着いたんだ。」
「さっき携帯鳴ってたぞ」
「あ、由真から着信入ってる。今日の集合場所かな?っとまず荷物荷物」
「その前に広げたお菓子をなんとかしろ」
「わわっ?」
電車に乗るなり座席でお菓子屋さんを開店した愛佳だったが、疲れていたのかあっという間に睡魔に襲われたらしく、目の前のトレイに並べた商品に殆ど手は着いてない。
荷物棚から旅行鞄を降ろす。1週間ほどの帰省なので、中身は主に俺の着替え。愛佳の着替えは実家に在庫があるし。
学園を卒業した俺は、厳しい就職事情により遠方で仕事に就く事になった。
愛佳は、だいぶ悩んだようだが、結局俺に付いて家を出た。
愛佳の両親は、強くは反対しなかった。何かあれば、いつでも頼っていいとまで言ってくれた。
郁乃も、内心穏やかではなかったろうが、快く姉を送り出した。「好きこのんで苦労しなくともいいのに」というぼやきは、俺達のどちらに向けられたものだったか。
俺の両親?知るか。一応手紙で報告しておいたら、何を勘違いしたのか新居にベビー用品が大量に届いた。
それから約8ヶ月、社会に出た二人は、新しい生活と慣れない環境に苦労しながら、ようやく自分たちの居場所を作り始めている。
ひと足早い冬休みは、お盆に続いて2回目の帰省。俺の家はどうせ無人なので、目的地は小牧家の方になる…
「…ところで、なにをやってるんだ」
「んごぐっ、がっ、お、お菓子をかたづけようと…」
「誰が食って片づけろと言った」
まあ、格好つけた所で、学園時代とさして変わらぬ二人でもあった。
「ただいま〜」
「お邪魔しま〜す」
俺が愛佳の家にお世話になるのは学園時代を含めて都合4度目。
初めて泊まった時は緊張で眠れなかったものだが、流石にもう慣れた、と、思う。
「お帰り」
食堂から声がした。郁乃だ。あれ、愛佳のお母さんはいないのかな?
「あ、郁乃〜」
愛佳は靴を脱ぐと、嬉しそうに廊下をパタパタ歩いていく。
俺は荷物を玄関にまとめる。と、
「い、郁乃どうしたのそれ!?」
慌てた愛佳の声がした。俺も愛佳に続いてダイニングへ移動。
「昨日、体育の時間にちょっとね…」
郁乃は両手の指に包帯を巻いていた。愛佳が心配そうに見ている。
「たんなる突き指よ、気にする程じゃないわ」
「両手同時かよ。器用な奴め」
「うるさいな。バレーボールが顔面に飛んで来たから止めようと思ったの」
「ああもう、化膿したりはしてない?」
「見ればわかるでしょ。平気。まあ生活は不便だけどね」
言って手を開いて見せる郁乃。右手の人差し指と中指、左手の中指と薬指と小指が包帯で纏められている。
普通の人でも不便だろうが、足が悪いため手を使って体を支える事の多い郁乃にはさらに負担だろう。
「気をつけないと…あ、それで、お母さんは?」
「出張。父さんも。」
「ええっ!?」
「別に珍しいことじゃないわ」
「今日は?帰ってこないの?」
「明後日の夕方まで。死ぬほどカレー作っていったから食い物の心配はないわ」
「愛佳、聞いてなかったのか?」
「うん…」
ちょっと俯く愛佳。今日明日は愛佳も用事があったんだけど…
「お姉ちゃんも今日から泊まりでしょ?」
「へ?なんで知ってるの?」
郁乃からの指摘に、愛佳が間抜けた声をあげる。
「さっき長瀬先輩から電話があった。6時に駅前集合だって」
「あ、こっちに電話入れたんだ由真。う、うぅ〜」
「なに頭抱えてんのよ」
「だってぇ…」
「あたしが怪我してる位でドタキャンしようなんて考えないでよね」
「うっ」
図星を指された愛佳。いつもながら判りやすい。
「でもぉ」
なおも抵抗を試みる。以前の愛佳なら絶対に引き下がらない部分だが、郁乃は一蹴した。
「あのねえ、家を出た時点でお姉ちゃんはこういう計算には入ってないの。それともあたしが体調崩す度に戻ってくる気?」
「できればそうしたいくらい」
「貴明を放っといて?」
「う」
「自分で付けた優先順位は守りなさいよね」
久々の顔合わせ早々キツいなあ郁乃。
「そういうの違うと思う…」
「そういうので違わない。ま、心配せずに楽しんできなさいな。なんかあったら携帯に電話するから」
姉妹喧嘩(?)は相変わらず妹の完勝に終わり、すごすごと引き下がる愛佳。
「うん…じゃあ…貴明くん郁乃をよろしくね」
「なに?貴明ウチに泊まるの!?」
「そりゃまあ、そのつもりだったけどなぁ…」
愛佳の妹とはいえ、いちおう年頃の女の子である郁乃と二人きりで宿泊というのは気が引ける。
「俺の家に戻ろうかな」
「ダメぇ!」
ある意味自然な俺の台詞に、意外と強く反応した愛佳。
「郁乃に何かあったらどうするの」
「愛佳、それ普通は逆」
「まったくよ。コレでも一応オトコなんでしょ?あたしはうら若き乙女、しかも惚れた女の血縁よ」
「全然似てないけどな」
「どこ見てモノ言ってんのよ#」
「とにかく、ダメ」
絶妙の呼吸で展開した俺達の漫才も通用しない。
「貴明くんがうちに泊まらないなら、私が家にいるっ」
さっきやり込められたお返し、でもないのだろうが、こうなると愛佳を外出させてあげたい郁乃が弱い。
「はいはい、わかったわかった。」
ため息ひとつ。
「姉はあたしが貴明に襲われてもいいってことね」
憎まれ口ひとつ。
「…襲うの?」
上目遣いの愛佳。
「…俺は愛佳以外は襲わない」
下目遣いの俺。
「だって♪」
「一生やってろこの万年新婚夫婦」
そんなこんなで体制決定。ところで俺達はまだ夫婦じゃないので念のため。
「じゃ、じゃあ、行って来るね。明後日の朝には戻るから。それと、明日の昼に電話入れるね。」
「ゆっくりしてきなさいよ」
「気を付けてな。由真によろしく」
「うん。いってきまーす」
「いってらっしゃい」
バタン。
気掛かりはあっても流石に浮かれた様子で愛佳が家を出ると、小牧家には俺と郁乃の二人だけ。
いやはや、何を話したらいいものか。悩んでいたら、
「お茶飲む?」
郁乃の方が気を遣ってくれた。
「ああ」
「じゃあ淹れて。ついでにあたしの分も」
む、ウデを上げたなお主。
といって、考えれば当たり前の事なので、二人分のお茶を淹れて食堂で落ち着いた俺。
仲良く湯気をあげる茶碗のひとつを両手で引き寄せ、顔の方を近づけて行儀悪くすする郁乃。
「学園はどうなんだ?」
深い意味はない、場つなぎに近いネタ振り。
「別に苦労してないわよ。姉が心配するほどは」
「愛佳がいない方が気楽な意味もあるかなぁ」
「それは否定しない」
苦笑する俺と郁乃。姉妹は学園生活の一年間を共にしたのだが、まあ愛佳の過保護ぶりといったらなかった。
朝夕昼はおろか、休憩時間や体育の合間にこっそり様子見。トイレの中まで覗き込みかねない勢いに、俺や郁乃が直接間接に苦言を呈した事も一度や二度ではないが、まったく通用しなかったものだ。
「とはいえ、やっぱ一人じゃ大変だろ?友達とかいるのか?」
「真面目な顔で失礼な事聞かないで。結構遊んでるわよ。カラオケとか、ゲーセンとか」
「ゲーセン?お前が?」
なんだか一人で延々と落ちモノをやってる光景しか目に浮かばないんですが。
「ビデオゲームは目が疲れるから、主にクレーン系」
「それはそれで、部屋に獲物が貯まってそうだな」
「ぐ」
赤くなるって図星かよ。
「あとで愛佳に分けろ。どうもウチは殺風景でさ」
「清貧洗うがごとし?まあ、お姉ちゃんが欲しいって言うならね…」
「ああ。しかしま、楽しい学園生活になってるならなによりだ」
「まあね。お姉ちゃん達が卒業してから、このみ先輩がなにかと世話してくれるし」
う?いま聞き慣れない単語を耳にしたような。
「誰が先輩だって?」
「このみ先輩。歳は同じだけど、学年上だし」
郁乃とこのみは二人とも俺達のひとつ下だが、郁乃は1年遅れて入学している。
「…」
「なによ」
「いや、お前は悪くない」
悪くないんだが、「このみ」と「先輩」がどうにもこうにも水と油か磁石の同極。
「こ、このみが先輩と呼ばれる世の中になったのか…」
「一、二年生に凄い人気だよ」
「マジか」
「まじまじ。可愛いくて撫でたくなるって」
それも先輩としては如何なものか。まあ、最上級生になってもこのみはこのみという所か。
「そうそう、アンタの事よく聞かれるわよ。心配っていうより自分が寂しいって感じだけど。家出てから、会ってないの?」
「ああ…」
愛佳と付き合うようになってからも、俺とこのみとの関係はあまり変わらなかった。
むろん放課後は主に愛佳と一緒だったので、このみと下校する事はなくなったのだが、一方朝が弱いこのみを起こしに行くのは、結局卒業するまで俺の日課だった。
でも、卒業からこっち、新生活に忙殺されてロクに電話もしていなかったな。
「明日にでも会いに行ってあげたら?」
「そうだな」
「長瀬先輩とか向坂さんも、お姉ちゃんとアンタの事は気になってるみたい」
「う、タマ姉にも近況報告にいっとくか…由真は…愛佳に任せよう」
「そんな毛嫌いしなくても。向こうもそういうだろうけどさ」
くつくつと郁乃が笑う。ひとしきり笑い収めて俺を見ると、今度は怪訝な顔。
「なに?私の顔になんか文句あるの?」
「それを言うならなんか付いてるのだろ。ちょっと感心しただけだよ」
郁乃をいま話題に出た連中との、家族でも見舞客でもない人間関係に引きずり込んだのは俺と愛佳だ。
だが、郁乃の口から他人の事情とか感情についての言葉が出てくるのは、少し意外だった。
入学してからも他人に構うより構われる事の圧倒的に多い郁乃は、必然的に自分中心だったから、
余裕にしろ成長にしろ、他人の事を気遣えるようになったのだとすればそれは良い事だろう。
「しかし、な」
「は?」
「このみや由真が「先輩」で俺が「アンタ」ってのは納得いかない。呼び方直せ」
「やっぱり「お兄ちゃんっ(らぶ)」って呼ばれたい?」
「呼んでみろよ」
「おに〜ぃちゃんっ(らぶ)」
「どうしたんだいマイシスター(ハニー)」
「…」
「…」
パタッ
きっかり3秒後、二人同時に、机に突っ伏した。
さて、人使いの荒い郁乃に晩飯の支度をさせられ、
(といっても愛佳の両親が作り置いてくれたカレーと市販品のサラダを盛りつけただけだが)
不器用にスプーンを使う郁乃を嘲笑った後
(拗ねた郁乃に俺の分までサラダを食われた事はおいといて)
当然ながら後かたづけも俺がして
(その間郁乃はヒマそうにぼへ〜っとTVを眺めていた)
俺もテーブルでお茶飲みながらTVを…くぅ。
・
・
・
つんつん、つんつん
「ん、んぐぁ?」
「お風呂わいたよ。先に入って」
あれ?いつのまに。
「んんっ。寝ちまったのか。今何時?」
無言で時計をさす包帯が巻かれた指。なんだ、また9時じゃん。
そういえば小牧家も夜は早かった。
も、というのは俺の人名録には柚原このみという素晴らしく早寝遅起きな人物が記載されているから。
「移動で疲れてんでしょ。とっとと寝なさい」
「うーむ、流石にまだいいや。郁乃先に入れよ」
「そう?んじゃお先」
ダイニングから出ていく郁乃。出口で一言。
「「覗くなよ」」
「ハモんなぁ!」
お約束お約束。
郁乃の気配が風呂場に消えると、ダイニングには俺一人だけ。
付けっぱなしだったTVを消すと。時計の音が妙に大きい。
少し落ち着かない。何度も泊まっているとはいえ、やはり他人の家なのか。
「ってさっきまでぐーすか居眠りしてた人間の台詞じゃねーか」
ひとり苦笑する。そして、そこんとこの気分の違いが、郁乃の存在に拠ることにも気が付いた。
いつのまにか、郁乃は俺にとって落ち着ける相手になっていたらしい。
「足手まといの妹です」
「自分が何人目なのか教えてあげようか?」
「こいつじゃないよ、郁乃。い・く・の。全然育ってないけどね」
出会った頃の郁乃を思い出すと、今のアイツには隔世の感がある。
「育ってるじゃんか。郁乃」
また聞かれたら噛みつかれそうな独り言を呟いたりしながらぼんやりしていると、
ドンガラガッシャーン
「なんだ?」
風呂場からした派手な物音に、俺は慌てて立ち上がった。
とりあえず、ドアの前で声を掛ける。
「郁乃、大丈夫か?」
「わ、わわっ、あ、開けないでよっ!?」
ドア一枚隔てて近い声。上がった所か。しかし心配して声掛けた相手に失礼な奴だ。
コマンド?
→開けない
開けない
開けない
悪いが、俺は愛佳と結婚する前に死にたくはない。
「ったく、怪我ないか?」
「大丈夫、洗濯カゴをひっくり返しただけ」
「そっか、気を付けろよ」
ホッとしてダイニングに戻ろうとすると、
「だけなんだけど、ちょっと待って」
物言いがついた。
「どうした、やっぱり覗いて欲し」
「いわきゃないでしょっ!ちょっと収拾がつかなくてさ」
「え?」
ガラガラと扉を開閉する音。
「えーっと、とりあえず入ってくれる?」
少し声が遠くなった。風呂場に戻った…んだろうな。入れって事は。
「あ、ああ。入る、ぞ」
ちょっと緊張しつつドアを開けた俺は、脱衣所の惨状に概ね郁乃の依頼事項を理解した。
倒れた洗濯カゴが着替えとバスタオルを下敷きにしている。これでは着替えもできない。
といって金属製の洗濯カゴは、両手が使えない今の郁乃が立て直すには大物だろう。
「派手にひっくり返したなあ」
「よりかかったら、足が外れちゃったみたい」
「あ、ホントだ。後でちゃんと直さないと」
とりあえずカゴを起こして足を取り付け、床に散らばったタオルや着替えを…あ、パンツ。
「ふ、服はそのままでいいからっ!」
「なあに遠慮することはないぞマイシスター」
「用が済んだらとっとと出てけこの変態っ!」
「はいはい。せっかく直してやったのに…!…」
唐突に目に飛び込んだ、風呂場のドア越しの白い影。
やりとりの中で、俺は無意識に風呂場の方に視線を向けてしまっていた。そして、郁乃は湯船にまでは戻っていなかった。
愛佳も色白な部類だが、日光に当たる事が少ないためか更に色素の薄い郁乃の体は、曇りガラスに白く映えている。
「こ、こここここっち見るな!」
あ、バレた。白い体が真っ赤になってそうな声色に、
「…風邪引くなよ」
気の利いた返答も頭に浮かばず、そんな事を言って、俺は脱衣所を出た。
夜。
客間で寝ていた俺は、物音に目が覚めた。
ダイニングから明かりが漏れている。
「ん、どした?」
「起こした?ごめん」
「いや、それより暖房入れろよ」
郁乃だった。パジャマの上から袖付きのどてらを羽織って、ポットに手を伸ばしている。
テーブルの上には、昼間と同じお茶道具が並んでいた。
「お茶飲む?」
エアコンのスイッチを入れた俺に言いながら、二つ目の湯飲みを引き寄せる。
手つきが、妙に危なっかしい。だけでなく、声もおかしいような。
「どうした?」
再度問いかけながら、郁乃の方に歩み寄った。
「な、なんでもな…っ!」
答えるより先に、俺は郁乃の額に手を当てた。
コイツの体調は聞くより証拠を押さえた方が早い。
「熱いじゃないか」
「アンタが冷たいんじゃない?」
憎まれ口を叩く元気があるのはたいしたものだが、熱っぽいとかのレベルではなさそうだ。
確か、体温計は壁際の引き出しにあったよな…
「いいよ、計ったからって熱が下がるわけじゃないし」
「いいから、ほれ」
箱から取り出した電子体温計を郁乃に手渡す。
郁乃は包帯を巻かれた指でぎこちなくパジャマの胸元を開けると腋に体温計を挟もうとして、するりと取り落とした。
「あ」
すけん、と床に落っこちる体温計。俺は拾おうとする郁乃を制して床に屈む。
「なにやってんだ」
「アンタねえ、人の状況を見てからもの言いなさいよ」
「それはそうだな。ほれ」
「?ちょ、ちょっとっ!?」
俺は郁乃の後ろに立つと、直球で胸元に手を、いや体温計を、いや手もだけど、突っ込んだ。
「わ、わわ、こ、このスケベっ!」
「暴れるな。余計な所まで触られたいか」
「余計とはなによ」
「それは言葉のあやだ」
事を急ぎすぎたか、派手な抵抗にあって作戦失敗。一旦体温計を引っ込めた俺の手に、じっとりと郁乃の汗の感触。
「う、汗…酷いな」
これではまともな計測結果は出ない。手近にあったタオルを掴む。
「こらっ、ど、どこ拭く気よ」
「腋だけだ、あとは体温計ってから着替えろ」
「気軽に「腋だけ」とか言うなぁ」
再チャレンジ。悪態をつきつつも、今度は素直に俺の手を許す郁乃。
ふにふに。
「っ、くすぐったいっ」
強く擦ると皮膚に良くないだろうと優しく拭いたのが微妙な刺激だったか、郁乃が身をよじる。
「…弱点発見?」
「く、くすぐったらお姉ちゃんに言いつけるわよ」
「そんな事しないよーだ」
久々に聞いた郁乃の子供っぽい物言いがなんだか楽しい。
俺はタオルを取り出すと、今度は体温計を郁乃の腋に挿入する。それをぺたんと挟む郁乃。
胸のボタンを閉め…かけて、どうせすぐ取り出す必要があることに気が付く。
ついでなので少し胸元を直してやると、郁乃は恥ずかしそうに肩をすくめた。
チッチッチッチッチッ
コポコポコポコポコポコポ…
体温を計測している間、隣の椅子に座ってまたも俺がお茶汲み係。
ぼんやり湯飲み茶碗を眺める郁乃の顔は、熱のせいか気恥ずかしさなのか相当赤い。
なんか、計測時間が長く感じる。
「シーツどこだ?替えてくる」
「あたしの部屋のタンスの一番下。余計なとこ見ないでよ」
「ガキのタンス覗いたって嬉しかねぇよ」
憎まれ口を叩く元気は、あるんだなあ。
郁乃の布団は、寝汗でかなり湿っていたので、シーツの他に、敷き布団とタオルケットも替えてやった。
作業を終えてダイニングに戻る。
「どうだった?」
ピピピピッ ピピピピッ
「今鳴った」
「ああ、どれ」
「うぅ」
三度目胸元に手を突っ込まれてうめく郁乃。顔はまたも茹で蛸モード。
俺の方は、意識しないわけでもないが、やはり愛佳の妹という感覚が強いので比較的冷静、だと思う、たぶん。
しかし郁乃、さっき拭いたあたりもまた汗書いてるな。
「8度6分…よく動いてるなお前」
計測時間が長かったのは、気のせいではなかったらしい。
「もとから熱には強い方だから」
「ったって酷いだろ。熱冷ましあるのか?」
「うん…そこの引き出し」
「じゃあ使えよ」
言って引き出しを開けた俺に
「あ、やっぱ今のなしっ!いらないいらない。」
「なんだよそれ」
「な、なんでもいいのっ、ほら、熱は慌てて下げない方がいいから、明日の朝まで様子みるわ」
珍しく長回しの台詞を吐いた郁乃に違和感を覚えつつ、言う事はもっともなので俺は従った。
「じゃあ、ほうじ茶飲んだら着替えて寝ろ」
「あんたもね。起こして悪かった」
「逆だ。調子悪い時は声かけろ」
「どうしよ。お節介を起こすと面倒くさいからね」
憎まれ口を叩きつつも表情は柔らかい郁乃。
「諦めろ。俺は愛佳に頼まれてるんだから」
「はいはい」
のろけは結構とばかりに、残りのお茶を飲むと、郁乃は松葉杖を付いて自分の部屋に戻った。
気のせいかも知れないが、最後はなんだか、拗ねたみたいだったな。
郁乃キターヽ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)ノ--!!!
しかし、他所の郁乃SSの多くにも言えることだけど、
既に愛佳とくっついてるという設定がなんとも邪魔だよなw
そこは人それぞれ。
俺は愛佳エンド後のほうが自然でいいと思うし。
以上です。題名は某少女漫画からですが漫画の内容とは全く関係なし
後半ですが、これは予告しておいた方がいいと思うのでネタバレしておくと、
後半では郁乃と貴明が浮気してしまう予定なのでそういうの嫌な人は回避してください
っつーか漏れ自身が郁乃が愛佳を裏切るなんて有り得ないと思う方なんで書き方悩み中
ともあれ、新スレ一発目失礼しました。遅くなりましたが>1さん乙です
あれだな…
おそらく貴明の父が犯罪を犯して捕まり、貴明の昇級が無くなり、自暴自棄になりそうになるが郁乃のお陰で持ち直す。
その後、二人の間に子供が出来るが出産の際に郁乃死亡。
貴明は生きる目的を見失い、産まれた子供を愛佳に預け、日々を無為に過ごす。
数年後、突然愛佳から旅行の誘いが…。
しかし、いざ当日になると愛佳はドタキャン。
結局、娘と二人で旅行に行く。旅行のプランは愛佳が立ててくれた通りに。
そして最終日…。
貴明は父の母親――自分の祖母に逢う事になる。
旅行を終えた貴明は心機一転し娘を引き取り、二人で暮らし始める。
様々な苦難を乗り越え、親子の絆を取り戻していく二人…。
しかし、寒い冬の日、またしても貴明は大切なモノを失ってしまう……
それなんてクラナド
>某少女漫画
すぐ判ってしまう自分がちょっとアレだなと思う今日この頃。
あと、続き楽しみにしてるよ。
ある日学校で突然、「愛佳は交通事故で死んだ」と言われ錯乱する貴明
ところが翌日、愛佳は平気な顔で学校に現れる。
さらに次の日、また愛佳がいない学校に、病状が悪化して死んだ筈の郁乃が登場。
愛佳が居る世界と愛佳が居ない世界を1日置きに経験するうち、貴明は二人に惹かれていく
それは、郁乃が居る世界と郁乃が居ない世界を交互に過ごすもう一人の貴明の影響でもあった
そして、愛佳が居ない世界の郁乃の病状が悪化した時、貴明は郁乃の居ない世界の愛佳に告げる
「郁乃と同じ病気の子を、治したい」と…
皆様。お待たせしました。予定より早めに投下致します。
前書き
この物語はフィクションであり、実際の登場人物には一切関係はありません。
この物語はイベントCGがいくつか発生しております。
尚、CGに関しては実際に製作は出来ませんので、各自ご想像にお任せします。
また、前作山崎荘ストーリー小説・外伝・番外編の登場人物は一切登場しません。(知っている方もいるかもしれませんが)
この小説はストーリーよりも萌え重視しています。ここだけの18禁です。
では山崎荘ストーリー小説「To Heart2編」スタート!!!
第1部 第1話
時は2006年春、俺たちは東京大学へ進学した。短大を卒業したのだが、就職先が決まらず、結局あと2年間勉強することになった。
神奈川県某所に位置する山崎荘、元々は女子寮専用だったのだが、一向に向かないため男女共用となっていた。
渡邊健次郎と小林裕介は学生寮に移った。澤井さんたちは全員ここから出て行った。しかし、肝心な石井健太郎は相変わらず、毎晩酒を
飲んでいるという間抜けな生活をしていた。ある日のこと、山崎荘に住むという客から電話があり、玄関で出向こうとする山崎一番さん
だが、騒ぎ声が聞こえた。(※渡邊健次郎と小林裕介と石井健太郎は本編には一切登場しません。)
※ここから主人公視点となります。
由真「ちょっとあんたね。荷物持ちなさいよ。」
貴明「なんで俺がお前らに荷物を持たないといけないんだ。」
俺の名は河野貴明、ちなみに俺の横を歩いて睨んでいるのは長瀬由真だ。
俺の両腕には沢山の荷物で精一杯だ。
環「女の子に荷物を持たせるっていうのはどういうことかしら」
タマ姉がひどいこと言ってくる。
貴明「タマ姉なんてことを・・・それよりも雄二なんとか言ってやってくれよ。いくらなんでも重過ぎる。」
雄二「まぁ荷物持ちはジャンケンで負けたお前が悪いだろう。」
貴明「ぐっ」
そう山崎荘に来る前、俺たちは荷物持ちを誰にするか公正でジャンケンで決めたんだった。
貴明「だからといってこれはないだろう。」
女子全員の荷物を両肩・背中・両腕で持っている。総重量は10キロを超えている。
花梨「たかちゃん。あと少しだからガンバ!!」
きつい上り坂に入っていく、しかも傾斜45度。心臓破りの坂ともいえる。しかし、貴明の体力を考えるともつはずもなく。
どんがらがっしゃーーーん。坂の真ん中で転げ落ちる貴明。視界はぐるぐるぐるぐる回って、壁に大激突する始末。
【イベントCG:貴明:猛犬に噛まれる】
花梨「あれ?たかちゃんは・・・」
女子全員と雄二は坂を登りきったところで貴明がいない。
由真「なんか、音が聞こえたような気がする。」
遠くで貴明が倒れているのを近所のおばさんに見つかる。がしかし、
近所おA「きゃあああああああああ、ちょっとついてこないでよ。」
貴明はようやくその場で倒れていることが気づくが、既に遅し、猛犬に太ももを噛まれ、下半身裸の状態となっていた。
気になった一行は、一度貴明のところに戻るが・・・
雄二「おい、だいじょ・・・・太ももから出血している。早く救急車を・・・」
このあと貴明が病院へと運ばれた。
貴明が倒れて丸一日が経過。意識はまだ戻っていない。山崎荘のオーナーには遅れると電話を入れた。
山崎病院にて
院長「治療は全てやり終えました。後は意識が戻ってくれればいいんですが・・・」
由真「たかあきは大丈夫なんでしょうか?」
院長「命に別状はない。しばらく経てば意識も戻るでしょう。」
雄二「貴明には少々度が過ぎたかもしれん。荷物持ちだが、あいつの体力では無理があったかもな」
このみ「でもちょっとやりすぎだよ。いくらタカくんでも限界があるよ。」
環「ここはタカ坊が回復するまで待つことね。荷物は各自自分で持つことよ。」
この日は貴明は病室で眠ったまま、意識は戻らなかった。
次の日、一行は貴明の病室へと行った。
病室では一人分のベッドしかなく、定期的に点滴がうたれていた。
ー夢の妄想Tー
由真「たかあき。朝だよ。」
由真がやさしく俺の身体を揺する。
由真「起きないと、いたずらするからね。」
【イベントCG:由真:看護婦の介護】
え?い、いたずらって何を。
俺の身体はびくともせず動けない状態。しかも視界にはぶっとい注射器が握られていた。
由真「河野貴明!!覚悟!!!」
その瞬間俺は目が覚めた。
ー夢の妄想終了ー
貴明「うああああああ、やめてくれ、由真ぁぁぁぁぁ注射をうつなぁぁぁぁ」
由真「何してんのよ。貴明。あたしは何にもやってないわよ。」
貴明「へ?まさか夢だったのか?」
環「タカ坊。おはよう。どう?調子は。」
貴明「まぁ大丈・・・・ぎゃああああああああああああああああああ。見るな。近寄るなぁぁぁぁ」
【イベントCG:貴明:下半身トランクス姿】
貴明は起きたのだが下半身は幸いトランクスは履いていたが中がモロ見え状態。しかも私服からパジャマになっている。
Why?誰の仕業なんだ。
由真「あんたね。丸二日ぶっ倒れていたのよ。着替えは環さんがやったから感謝しなさい。」
環「ちょっとそれは言わない約束でしょう。」
タマ姉は恥ずかしいのか下を向いてしまう。
花梨「たかちゃん。おはよう。もう、朝っぱらから元気なんだから」
このみ「私は変なものは見てないよ。見てないから気にしないで」
何故?花梨とこのみは真っ赤になっているんだってまさか。お前ら見たのか。
愛佳「貴明くんも男の子だし、あのその、そういうことはまだ早いっていうかその・・・」
貴明「ぎゃああああああああああああああ」
俺は今、男を失ってしまった。
その夜、俺はタマ姉に説得され、強引に退院されられてしまった。しかも全治1週間ぐらいの怪我ですんだ。
俺は松葉杖をついて歩いている。荷物は他の人に任せることにした。
山崎荘についたのもその日の夜のことだった。
部屋は予め割り当てられており、俺と雄二は同じ部屋になった。他の人は一人部屋になっていた。
貴明「はぁ、とんだ災難だったよ。」
雄二「あの後、事情を知って、お前は転げ落ちて、猛犬に噛まれたらしいな。」
貴明「うっ。」
雄二「まぁ自業自得っていうやつか。そういや、ここ露天風呂があると聞いているが、お前は怪我をして入れないだろうな」
貴明「畜生。丸一週間入れないのかよ。」
貴明は両足にギブスをしている。歩くにはこいつ(松葉杖)の世話がいるのか。
このみ「タカくん。一緒にお風呂って入れなかったんだっけ?」
戸の隙間からこのみが入ってくる。
貴明「見れば分かるだろ。俺は両足にギブスをつけているからな」
このみ「今は痛くない?」
このみは俺の足の状態を心配してくれる。
貴明「動かない分は痛くは無いよ」
雄二「それじゃ俺は露天風呂へ行ってくるぞ。このみも行くか」
このみ「うん。それじゃまた。」
貴明「気をつけて。」
戸が閉めようとしたその時!!タマ姉が入ってくる。
環「タカ坊。さっき雄二から聞いたけど、お風呂入れないだったわね。」
貴明「そうだよ。仕方ないだろう。」
環「大丈夫よ。身体障害者専用のお風呂が付いているわ。」
は?障害者専用のお風呂ってついていたのか。
貴明「まさか、入れっていうんじゃ」
環「文句はない?」
結局、タマ姉に言われ入ることにした。着替えはタマ姉が俺のバッグを漁って、持って来ることになった。
身体障害者専用風呂にて
貴明「まさか、あるとは思わなかった。まぁいい身体を洗おう。っておい、1階の露天風呂から丸見えじゃねぇか?」
【イベントCG:貴明:障害者風呂の窓ガラスから360度丸見え@】
貴明が居る場所は2階ではあるが、全体が窓ガラスで設置しているため上下左右360°丸見え状態である。
全く、俺は何処まで災難につき合わされるのやら。
その頃、1階露天風呂では・・・・
雄二たちが露天風呂に浸かっていた。
雄二「極楽!極楽!いい湯だな。っておい!!アレなんだ?」
雄二が目にしたものは、2階にある身体障害者専用風呂と書いてあるが。
【イベントCG:貴明:障害者風呂の窓ガラスから360度丸見えA】
雄二「これはまずいなぁ。タマ姉たちに見つかったら、大変なことになる。」
このみ「うん?どうしたの?ユウくん。っていやあああああああああああああ。」
このみは雄二の見ていた方向を向いた瞬間に悲鳴を上げてしまった。やばいどうする。
由真「うん?このみと雄二どうしたの?っていやあああああああああああああ。」
1階では悲鳴を上げる女子。
花梨「ま、まさか、あんなところから丸見えだなんて、たかちゃんの不潔!!いやあああああああ。」
2階身体障害者風呂。その悲鳴は2階まで響いた。
貴明が素っ裸で身体を洗い終えたところだった。
ちょうど雄二の声が1階から聞こえた。
雄二「お前、ガラス板でも丸見えだぞ。(大声)」
雄二が大声で叫んだ。
貴明は真っ赤な顔して、風呂を後にしたのだった。
その後、女の子たちに説教される始末だった。
>>23 タカ棒が大人にしちゃうんだろうか…(*´Д`)ハァハァ
激しく続きキボン
>>23 _ ∩
( ゚∀゚)彡 いくのん!いくのん!
⊂彡
期待して待ってます
山崎荘って何?
設定がイマイチよくわからん。
俺の理解力が乏しいのか?
>>28 懐かしい…
続編の更新凍結しちゃったな(´・ω・`)
イベントCGの発生とかは何のために書いてあるんだ??
つか山崎荘ってのは前に人気あったSSかなんか?
病気だろ。スルーしようぜ
>>28 ほんと懐かしす(´・ω・`)
ToHeart2SSスレでこんな事書くのもなんだが、
アニメもまた作られるし、更新再開してくれないかな・・・
前置き
あまりにささらの可愛さが異常だったので勝手に指が動いた。
大筋はささらルートで、設定をところどころ適当にいじくってます。
字数は約21000字で44KB程度。少々長いかもしれない。
ネタとしてはよくある入れ替わりもの。ラブコメ好きなのでそれ風味に。エロはなし。
肩の力を抜いて気楽に読んでくれるとこれ幸い。
タマ姉やこのみ、それにオマケの雄二が生徒会に入ってからは、本格的に活動を開始したこ
ともあって、久寿川先輩とこうして2人きりでいることも少なくなった。
新年度が始まるまではずっと2人きりで、それはそれでよかったと思うけど、やっぱり俺1
人だけでは手伝えることも限られてきてしまう。だから、気心の知れた仲間が役員になって生
徒会を盛り上げてくれるようになったのは、正直言ってとてもありがたい。
……とは言っても、たまにはこんな風に静かなのもいいよな。
いつもの席で何かの資料と睨めっこしている久寿川先輩と、その少し離れたところで仕事が
来るのを待っている俺の、今日は2人きりだ。
タマ姉は九条院から来たっていう後輩と、つい最近オープンしたての甘味屋に行くんだとか
言って先に帰った。このみは「すっごいぬいぐるみかわいいの。1人でちゃんと立ってお辞儀
までするんだよ」って目を輝かせて、ものすごいハイテンションで敬礼して部屋から出て行った。
あとは雄二だけど、あんなオマケのことなんか気にする必要もないし、どうせあいつのことだから、
どっかの道端でナンパして、それで相手に蹴りでも食らっているのだろう。
「はあ、やっぱり駄目だわ」
睨めっこしていた資料に手を置いて、久寿川先輩がぽつりと呟いた。
「どうしたんですか?」
「あ……」
もの言いたげな目線を一瞬こっちに向け、
「う、ううん。なんでもないの」
慌てて首を横に振り、目線を元に戻した。
これは、なんかあるな。
俺は今までの経験と勘から、あの資料に仕事の匂いを嗅ぎつけた。
「あの、先輩」
「あ、はい。なにかしら、河野さん?」
「何か手伝えることがあれば、遠慮なく言ってくださいね」
「え……、う、うん。でも大丈夫、大丈夫だから」
こういう時の先輩は、大抵大丈夫じゃない。
このままやっても埒が明きそうにないので、別の切り口からいってみる。
「それって何の資料ですか?」
「あ、これ?」
先輩はおずおずとブルーのリングファイルを机の上に立てて、背表紙が見えるようにした。
そこには『部活動及び公認同好会のなんたらかんたら』とプリントされたシールが貼ってある。
「もしかして、昨日のあれを?」
「ええ、エクストリーム同好会だけじゃなくて、他にも部室の申請をしてきてるところは結構
あるって言ったでしょう? だから、なるべく空いている所を探して振り分けたくって。
でも、昨日はよくわからない内にうやむやに終わってしまったから……」
「いっ、いや! あそこはやめといた方がいいですよ! うん!」
体育館の第二用具室で引き起こされた数々の惨劇。あれはもう掘り起こしてはならない、禁忌
の記憶として封印すべきことなのだ。あの『黄色い悪魔』が棲む第二用具室、ひいてはミステリ
研究会とは関わり合いを持ってはいけない……。
「一応ね、向坂さんにも尋ねておいたの。昨日は私、途中で貧血になって倒れてしまったから、
詳しいことがよくわからなくて。それで、ミステリ研究会はどうだったのかしらって聞いたら、
今の河野さんみたいに」
「あ、あは、あはは。そ、そうですか……」
やっぱタマ姉も、あれにはお手上げだったんだな。
「なんでも、ドクロみたいな目が2つあって、ハリネズミみたいにトゲが一杯生えてて、それで
犬みたいに凶暴な性格をした人が占拠しているから、あそこはもう近付かない方がいいって
言われちゃったの。犬は凶暴じゃなくて、かわいいと思うのだけれど……」
その説明だとあの人、人間辞めちゃってるよな。
「海の生き物だったらもっとかわいくていいのに……」
ぽろっと零した呟きに、なんとなく聞いてみる。
「クラゲとか、ウミウシですか?」
「うん、あとはナマコとか、アメフラシとか、ウーパールーパーとか……って違う! 違うの!」
指折り数えていた手をぱっと机の下に隠し、ぶんぶんと首を横に振る。
「え、えっと! だ、だからっ、ど、ど、どうしたらいのかな、なんて……」
まあ、顔が真っ赤なので恥ずかしいのはバレバレなんですが。
先輩はとってつけたように笑みを浮かべると、羞恥心を押し隠すように髪をいじって、開いた
ままの資料に向き直った。
まあ、犬よりもクラゲの方がかわいいかどうかはともかくとして、とりあえず、今日やらなけ
ればならない仕事がどんなものかはわかったわけだ。それがコンプリートできるかどうか物凄く
微妙なのは、この際気にしないでおくとしても……。
「じゃあ俺、行ってきますよ」
「え……?」
先輩はきょとんとして、
「で、でも……」
と、いつもどおり申し訳なさそうな表情をする。
「とても怖い人なら、河野さんが……」
「はは、大丈夫ですよ」
このままこうしていると引き止められてしまいそうなので、席を立った。
「一度行っただけで諦めたとなれば生徒会の名が廃るでしょう? もう一度行ってしっかり
話をつけてきてやりますよ。規則に従わなければいけないのは、この学校の生徒であれば皆
同じですからね。なんとか言い聞かせてみせます」
「う、ううん、河野さんにそんな迷惑はかけられないわ。既に一度行っている所だし。
昨日今日では相手の方も……」
「迷惑だなんてそんな……、ようやく仕事が見つかって喜んでるんですよ」
俺はできるだけ明るく笑いかけ、入口のドアに手を掛ける。
「それじゃちょっと行ってきます」
「あっ……」
呼び止めようとする声には心の中でそっと謝って、生徒会室を後にした。
いくら先輩に頼りにされたいからって、ここにまた来ることになるなんてなぁ。
第二用具室の扉を前にすると、昨日のいかんともしがたかった出来事が思い出されてくる。
久寿川先輩があのうさんくさい催眠術のせいで、幼児退行したり、千年前にいるはずのない
戦士になったり……。ああもう、なんであんなことになったんだか。しかも自分から、その、
も、揉んでしまったし……。あの時のタマ姉、むっちゃくちゃ怖かったなぁ……。
「はあ……」
つい足を止めて、ため息をついてしまう。
こんな気分であの悪魔と会っても、逆に獲って食われてしまいそうだ。
なんて思っていると、不意に背後から気配がした。
「だーれだっ!」
と声がした瞬間、脇の下を何かがすり抜けて、ぽむっと俺の胸にあてがわれた。
「っひ!?」
誰かが俺の背中に密着して……って、このなんとも言えず柔らかそうな感触はぁー!?
「うっ、うわあああぁ!」
後ろにいる誰かを強引に引き剥がすと、第二用具室の扉までズザザザッと下がって相手を
確認した。するとそこには、
「さ、笹森さん!?」
「もう、ひどいなぁ。か弱い女の子をいきなり突き飛ばすなんて」
昨日の数々の惨事を引き起こした張本人が、床に尻餅をついて口を尖らせていた。
「あ、はは。ご、ごめん……」
「んもう、いーい? 女の子はもっとちゃんと、優しく、丁寧に扱わないといけないんだからね?」
ええもう、仰るとおりで……。
笹森さんは床に手を突いて立ち上がると、スカートについた埃をぱっぱっと手で払った。
そして、にっと口元を猫みたいにすぼめて、
「でも、胸を触られただけであんな反応するなんて、たかちゃんってば純情だねー」
俺は空笑いを浮かべながら、
「いや、ああいう時は普通目隠しするもんじゃないの?」
すると笹森さんは腰に手を当てて言った。
「だってそれじゃつまんないでしょ? おっぱい好きのたかちゃんだから、たかちゃん自身の
おっぱいはどうなのかなぁって。やっぱやっぱ、気になるところでしょー」
「だっ、誰がおっぱい好きだ!」
俺が精一杯否定すると、笹森さんは目をぱちくりさせて、
「え? 昨日、嬉しそうに生徒会長のおっぱい触りにいってたじゃない」
なに言ってんよ、とでも言いたげに首を振る。
俺は顔が急速に火照っていくのを感じながら言い訳した。
「あ、あれは、あの場合はしょうがなかったんだよ! じゃなきゃ久寿川先輩が……!」
「でもさ、普通はおっぱいに掴みかかるんじゃなくて、もっと別の方法を使うわよね。
例えば、手刀で首をビシッとか、チョップを脳天にビシッとか」
俺はその場でがっくりとくず折れた。
あの、あの笹森さんに常識を言われてしまうなんて……。
「ん、どしたの?」
すぐ近くで声がして顔を上げれば、目の前には笹森さんの顔が。
「わっ、うわっ!」
飛び上がって後ずさりしようとすると、背中に硬い鉄の感触がして、もう一歩も下がる
こともできなかった。笹森さんは俺の様子を訝しげに見つめると、思い出したように口を開いた。
「とりあえず中に入ろっか。そこの扉開けて?」
「………」
開けたら最後、何かとんでもないようなことが待ち受けているような……。
「開けて?」
「……はは」
じいっと見つめられ、まるで心の奥まで見透かされたような気分になってくる。このまま
じゃまずい、まずいよなぁとは思いつつも、この場をうまく逃れられる手段が思いつかない。
……って待てよ。
俺はここに何しに来たんだ?
この黄色い悪魔を相手に交渉しに来たんじゃないのか?
ごくりと唾を飲んで気を落ち着けると、すぐ後ろの扉をゆっくりと開けた。その瞬間、
「どーん!」
という掛け声と共に背中を蹴り飛ばされた。俺は成す術もなくごろごろと床を転がり、
用具室の中に放り込まれる。
「って今蹴った! 蹴ったでしょ!」
「んんー?」
仰向けのまま入口を見れば、笹森さんが扉の鍵をかけている。
「なんで、なんでっ、鍵っ?」
俺の声には聞く耳持たず、そのままカチ、カチ、カチと、計3つの鍵を上から順番にかけ
ていく。かけ終わるとコホンと咳払いを一つして、くるりとこっちに振り向いた。
「ようこそっ、ミステリ研究会へ!」
ベコッ。
「ぐえっ」
「……ぐえっ?」
笹森さんの言葉が怪しい呪文にでもなったのか、急に俺の懐に何Gもの重力が発生し、
俺は思わず踏まれたカエルのような悲鳴をあげた。
「やあやあやあ、もうちょっと鍛えないといかんなー君は。お腹は8つに割らないと夜中の
通販には出らんないんだぞー」
……う。
のほほんとした喋り口に、この小さな手でぽむぽむと俺の肩を叩いているのは、もしや……。
「ま、まーりゃん先輩!?」
「やっほー、たかりゃん。今日も元気にエムッ気全開でおなごに蹴飛ばされ……ってあーあ、
涙目になっちゃって、嬉しすぎて白い情熱も迸る寸前って感じかー? 感じなのかー?」
人の腹の上で踏ん反り返って、R指定寸前のことを平気でベラベラ言えるのは、この人しか
いない……。
「いきなり人の上に落っこちてきて、なんなんですか……」
「ふっふーん、これだこれ!」
と、得意満面に四肢に装着した吸盤を見せる。
「まさか、それで?」
「そうだっ。日々の生徒会運営のために奔走していたあたしは、最高の機動力を得るために
これを両手両足に取り付け、終われども終われども減らない仕事を超スピードでこなし……」
「どうせ補習から逃げるために使ってたんでしょ?」
ひくっとまーりゃん先輩の体が動いた。
「………」
図星か。
「いやー、わかっちゃった?」
頭に手を当ててナハハと笑う先輩を見て、俺はため息をついた。
「とりあえずそこをどいてください。じゃないと起き上がれない……」
「なんだたかりゃん、うら若き乙女の生尻の感触をいつまでも堪能していたくはないのか?
おっぱい好きだからヒップはどうでもいいのか?」
「なんでそうなるんですか……」
「だってたかりゃん、いっつもスイカとメロンばっかに気がいってて、他にはなーんも感心を
示さないじゃないか。女の子にはな、他にもいーっぱい、いーっぱい、見るところがあるんだぞ?
例えばほら……」
と、まーりゃん先輩は自分のスカートの裾をつま上げる。
「ぴらっ」
「ひっ!」
見てはいけないものが見えてしまいそうな予感がして、俺はとっさに顔を背けた。
「たかりゃん、たかりゃん」
「な、なんですか」
背けたまま聞き返す。
「もう大丈夫、大丈夫だから」
「………」
おそるおそる目線を戻すと、
「ちらっ」
「ひぐっ!」
慌てて手で顔を覆い隠した。
それから少しして、再びまーりゃん先輩が言う。
「たーかりゃん、もうへーきだよ」
「………」
「ぴらっ」
「はぐぅ!」
それからまた、
「もうだいじょぶだぞ」
「………」
「ちらちらっ」
「はぅあっ!」
「………」
「………」
「ちらりんっ」
「ぬはっ!」
はあはあ、はあ……。
ま、まーりゃん先輩おそるべし……。
「たかりゃん、お前、おもしろいな」
「そ、そんなこと言ってないで、いいかげんにしてくださいよ……」
息も絶え絶えに言って顔を上げると、不意にまーりゃん先輩の肩越しに笹森さんが見えた。
「笹森さんも、黙って見てないで助けてよ」
「いや、なんだか楽しそうにしてたし、お邪魔しちゃうのも悪いかなーって」
目の前では、まーりゃん先輩が四肢にはめた吸盤を取り外して、ペコンポコンと床に放り
投げている。えっとあのー先輩、スカートがちらちらしちゃってますけど。
とりあえずそこは極力見ないようにして、扉の前で佇んでいる笹森さんに目線を合わせた。
「まーりゃん先輩がいるなら、先に言っといてくれるとすごい助かったんだけどな……」
「さあ、私はいるなんて知らなかったし……、ん?」
と、笹森さんは何かに気づいたように呟くと、扉に耳を当て、それから3つの鍵をおもむろに
開け始めた。
「……?」
俺はそれを不思議に思いながらも見守る。
笹森さんは鍵を全部開け終えると、こっちを横目に見てにやりと笑った。
「じゃっじゃーん!」
ガラッと勢いよく扉を開け、その先に腕を伸ばす。
「いっちめいさまっ、ごにゅうじょぉー!」
そして伸ばした先から引っ張られてきたのは、
「くっ、久寿川先輩!?」
真っ赤な顔でへっぴり腰な、久寿川ささら生徒会長だった。
ミステリ研会長、笹森花梨の10秒解説コーナー。
「今日仮入部員の皆さんにお集まりいただいたのは『じゃーん!』この世にも珍しいエリア51
からもたらされた謎の機械を元にミステリ研会長であるワタクシ笹森花梨がのべ3日間をかけて
じっくりと開発した『超!』スペシャルでエキセントリックでみすてりあぁーすで尚且つ宇宙的で
未来的な究極のマッスィーン!」
ぱんぱかぱーん!
と高らかに掲げられたのは、なんの変哲もないただのダンボール箱だった。
「……の紹介をするためでーすっ」
あぐらをかいたまーりゃん先輩が、「わー」とやる気のない拍手を送る。その隣では、久寿川
先輩がなぜか泣きそうな顔で正座している。俺はそんな久寿川先輩の隣に座り、なんでこんな
状況になってしまったのかと、ただただ頭を抱えていた。
「わかった?」
まるで保育園の保母さんみたいに笹森さんが聞いてきた。
「あの、笹森さん」
俺がひょろひょろっと手を上げると、笹森さんは不機嫌そうな顔をして、
「チッチッチッ、ここでは『笹森会長』と呼びなさい。例え正式なメンバーじゃなくても、
仮でも見学でもなーんでも、ここミステリ研究会の部室では皆『笹森会長』と呼ぶことっ、
いーい?」
「じゃ、笹森会長」
「はひっ」
呼ばれた笹森会長は、なぜか素っ頓狂な声をあげた。
「その見るからに引越しで重宝しそうなダンボール箱は、具体的にはどのように使うんでしょうか」
「だからぁ、これはただのダンボールじゃないってさっきから何べんも言ってるんよ。もう
たかちゃんってば、ちょっとおつむの働きが悪いんだから」
何べんも言ってないし、さりげなくひどいこと言ってるし……。
「これはね、3日前に遭遇した人物から入手した物を基に設計し、開発したすっぺしゃるぅーな
機械なの。その人物っていうのは、まあ、ぶっちゃけて言うとアメリカからの留学生で? ほら、
たかちゃんのクラスにいるでしょ? 両親が長年エリア51で勤めてたって言う……」
「それってもしや、るーこ?」
「そう、るーこさん」
あいつの両親って、遠い宇宙に住んでるんじゃなかったのか?
というか、エリア51ってなに?
笹森さんは俺の疑問の眼差しに気づくこともなく、説明を続ける。
「んとね、私がいつものようにここで研究がてらお昼ご飯を食べたてたら、そこの窓にふっと
不審な影が見えたの」
と、明かり取り用の窓に目をやる。
「それで、なんだろうと思って覗いて見たらそれがるーこさんで、ぐうぐうぐうぐうお腹の虫
鳴らしっ放しにしてるから、しょうがなく花梨ちゃん特製のタマゴサンドを1つだけ分けて
あげたんよ」
と、ご満悦な表情でうんうんと頷く笹森会長。
「そうしたらっ、なんとご両親からプレゼントされたっていう宇宙船に搭載されていた機械の
一部をもれなくお礼でくれたんよー!」
もう花梨ちゃん感激!
とその場でくるくると回る笹森さんに、まーりゃん先輩が手を上げた。
「はいはーい、かもりゃーん」
「かもりゃん?」
と言って、笹森さんはぴたっと止まり、まーりゃん先輩に聞き返す。するとまーりゃん先輩は
笹森さんを指差して言った。
「かもりゃんはかもりゃんだ、うむ」
「は、はあ……」
「でだ、かもりゃん会長」
「はひっ」
会長という言葉に過敏に反応する笹森さん。
「説明はもういいから、そのマッスィーンとやらを使ってみてくれたまへ」
「あ、ああ、そうね。実際に使ってその凄さを体感してもらうのが一番よね、うんうん」
笹森さんはにっこり笑顔で頷くと、机の上に置いたダンボール箱のふたを開けて、中から
半球型の物体をガサゴソと取り出し始めた。
「やっぱマルチタップは必須よねー。同時4人対戦できなきゃ真の戦いとは言えないんよ」
「1人は2人に囲まれ、もう1人は端っこで軍備を拡張し、協力した相手には裏切られ、最後
には訳がわからない内に他人の攻撃に巻き込まれて爆死する。これこそが本当の戦いと言うも
のだよ、たかりゃん君」
「何の話ですか、一体……」
最終的に4個出された半球型の物体は、ちょうど頭のてっぺん部分から怪しげなコードが
伸びていて、それがダンボールの内部へと繋がっていた。まるで一昔前のSF映画に出てきそ
うなフォルムである。
「まさか、これを被れと?」
「おー、よくわかったねーたかちゃん、偉い偉いっ」
ぱちぱちぱちーとやる気のない拍手をすると、笹森さんはためらうことなくそれをスポッと
被った。まーりゃん先輩も日向ぼっこした直後みたいにふにゃふにゃした表情でそれを被る。
それで、久寿川先輩はというと、膝の上に置かれたこの物体を不安げにじっと見つめていて、
「久寿川先輩……」
俺が声をかけると、まるで迷子になってしまった幼子のように悲しげな眼差しを俺に向け、
それから笹森さんの方にそれを向けた。
「あの、笹森さん……」
「えっとー、笹森会長って呼んで?」
先輩はごくっと唾を飲み込む。
「あ、あの、笹森会長」
「は、はぃ?」
自分で言っておきながら明らかに動揺している。
はっきり言って意味不明だ。
「えっと、えっとね。大変申し訳ないのだけれど、私、こういう実験みたいなことは、その……」
指をいじくりながらもじもじと言う先輩に、笹森さんはきょとんとして、目をぱちくりさせる。
「でも、そっちの先輩はやる気満々みたいだけど?」
まーりゃん先輩はウィンクしながらぺろっと舌を出して、ぐっと親指を一本立てた。
「………」
まーりゃん先輩め。
俺が射殺さんばかりに睨みをきかせると、逆にまーりゃん先輩はふっと表情を和らげ、
優しげな口調で久寿川先輩に話しかけた。
「さーりゃん、こんなのちょっとしたお遊びだから大丈夫。かるーく付き合ってあげればすぐ
終わっちゃうんだから。それにね、もしさーりゃんに何かあってもあたしがいるんだし、それに
たかりゃんだってすぐそばについてるんだもの。何も心配することなんかないんだよ」
「うん……」
こくんと素直に頷く久寿川先輩。
ああ、これがまーりゃん先輩の罠だとも知らずに……。
久寿川先輩はしゅんとした表情のまま、俺の顔色を窺うように上目遣いで覗きこんできた。
「じぃっ……」
ああ、口には出さずとも、「私なんかが、いいの? 迷惑じゃない? 迷惑かけちゃわない?
河野さんに心配なんかかけてもいいの? 本当にいいの? ……いや、駄目よね。心配かけちゃ
駄目よね。そうよね。本当は駄目よね。うん、駄目よね、わかったわ。うん、ごめんなさい……」
と最後には自己嫌悪に陥ってるのがありありと窺える。
「大丈夫ですよ」
俺は先輩が安心するように、努めて明るく語りかけた。
「俺だって、まーりゃん先輩だっているんですから、大丈夫です」
「河野さん……」
「……そこまで信用されてないってのもなんだかなぁ」
という笹森さんの独り言は、この際スルーしておくことにしよう。
ようやく落ち着いた久寿川先輩が、それでも怪しさ満点のSFチックな帽子を被ると、俺も
それにならってすっぽりと被った。
「あ、ちょっと聞きたいんだけど」
と、俺が手を上げて尋ねる。
「ん、なに、たかちゃん?」
「これってさ、結局どんなことする機械なの?」
笹森さんは口を閉じたままニンマリすると、こう叫んだ。
「それじゃ! スイッチオーン!」
「待てっ、俺の話を聞けぇーっ!」
問答無用でダンボールの中にあるらしいスイッチが押される。
ぶぉん。
と、それらしい電子音が鳴って、帽子の縁に取り付けられたちゃちな電飾がぴこぴこと
点滅し出す。その安っぽい明かりが何度かチカチカした直後、フルパワーの掃除機みたいに、
頭のてっぺんから『何か』を吸い出されるような感覚を味わうと、急に視界が真っ暗になった。
と思ったら、すぐに視界が元に戻る。
「……?」
なんだなんだ、と不思議に思いながら瞬きをして、辺りを見回した。
「………」
脳内点呼、始め!
いち、まーりゃん先輩こと朝霧麻亜子。
に、ミステリ研会長、笹森花梨。
さん、生徒会役員、河野貴明。
……なぜ俺が目の前にいる!
「ちょっと笹森さん、一体何を……」
というとこまで言って、俺は言葉を失った。
なんだこの声は……。
この声は、まさか!?
俺はこの上ない不安と激しい胸の高鳴りを感じながら、おそるおそる自分の体を見下ろした。
「………」
久寿川ささら、なんて恐ろしい子!
俺は自意識の崩壊を感じつつ、よよよっと床に手を突いた。
「おー、実験は成功みたいねー」
すぐ隣で、まーりゃん先輩が自分の体を物珍しげに眺めながら言った。
この物の言い方、もしかして……、
「さ、笹森さん?」
「ん? ああ、よくわかったねー。うん、ミステリ研会長笹森花梨とはずばりっ、私のことでーっす!」
喋り方や仕草、そしてこの底抜けに明るい笑顔は確かに笹森さんそっくりだ。見た目が
『自称永遠の14歳』なのがかなり間違っているような気がするけど……。
「で、生徒会長」
「……はい?」
と答えたのは、機械のスイッチを押した方の笹森さんだった。
「あ、そっち?」
「へ? ……あ」
その笹森さんが違和感に気づき、胸にぽんと手を当てた。
「おっぱいが、ちょっとだけしぼんでる……」
「って、そっちかい!」
見た目が笹森さんだけに、ついうっかりいつもの調子で突っ込んでしまった。
「は? え?」
たぶん、自分が自分に怒られたとでも思っているのだろう。笹森さんは目を真ん丸に見開
いて固まってしまっている。俺はそれをどうしようかと少し考え、ふうとため息を一つ零して
から声をかけた。
「俺ですよ、俺」
「え?」
笹森さんが聞き返す。
「俺です、河野貴明。生徒会役員で、会計の」
「私、なのに、河野さん……?」
「そうです。……で、あなたは今は、ミステリ研究会会長の笹森花梨」
「あらいやだ、いきなり呼び捨て?」
急に目を輝かせて、体をくねくねさせているのはまーりゃん先輩な笹森さんだ。
「そういう勘違いはしないでください……」
見た目がまーりゃん先輩なだけに、つい敬語になってしまう。
「現生徒会長とミステリ研会長の甘く切ない……」
「だああぁっ! 変なこと言わないの!」
「あいたっ」
ぽかんっとまーりゃん先輩の頭を叩き、ふんとそっぽを向く。
するとその先には、
「へぇ、たかりゃんのお○ん○○ってこんな形なんだ」
俺の体が人前では見せられない箇所を覗き込んでいた。
「どわあぁぁっ! な、何やってるんですか!」
ズボンのベルトを緩め、股間を覗き込んでいる自分に無我夢中で飛びつく。そして両手を
掴んで腰を跨ぎ、何もできないように覆いかぶさって、ようやく息をついた。
「まーりゃん先輩、何やってるんですか……」
「そんな君は、あたしに乗っ取られたたかりゃんの体を奪い返すために怒りの戦士と化した、
本物のさーりゃん?」
「違いますっ」
俺が思いっきり否定すると、河野貴明はにへらと笑った。
「まあ『だあーっ』とか『どわーっ』なんて、さーりゃんは叫ばないもんね。こんなにバタ
バタうるさいのは、たかりゃんだけだ」
「………」
何も言い返せずにいると、河野貴明は、垂れ下がる俺の髪をやんわりと掴んで、俺の目の
前でゆらゆらと揺らして見せた。
「ほれほれー、今ならさーりゃんの髪の毛触りたい放題だぞー」
確かにそうだなって思った瞬間、顔がかあっと熱くなった。
「それにそれに? 今ならそのメロンおっぱいだってお触り自由だし、むしろ揉み揉みでき
ちゃうし。そこのほら、ニーソとスカートの間のあぶそりゅーとな領域だって荒らし放題って
いうか、もうなんでもオーケーって感じ?」
言われて自身の体を目で確かめる。
それから、にやにやと気色悪い河野貴明の表情に気づいてハッとなった。
「お、おっ、俺の声でそんなエッチなこと言わないでくださいっ!」
バッと飛び跳ねるように体から離れて、そのままズザザザッと背中が壁にくっつくまで後退した。
「あははっ、やっぱその妙ちきりんな動きはたかりゃんだ」
「ううっ……」
自分自身に馬鹿にされるっていうのは、なんだかとてつもなく悔しい。
キッと歯を食いしばってそれに耐えていると、笹森さんがおずおずと目の前にやって来た。
「本当に、河野さんなのね」
「………」
こんなにしおらしい笹森さん、初めて見た……。
「ええ、信じられないことに……」
「そうよー、今世紀最高の発明をしたこの私に感謝しなさいっ」
いつのまにやらまーりゃん先輩までやって来て、俺と笹森さんの肩にぽんっと手を置いた。
「ふっふーん、でもでも実は、こんなにうまくいくとは思わなかったんよ」
だったらやらないで欲しかったんですけど……。
まーりゃん先輩はまんま笹森さんな口調で嬉しそうに言うと、俺達の元から離れていった。
それを見送ると、しおらしい笹森さんがおずおずと口を開いた。
「えっと、河野さん……?」
「あ、はい」
と、久寿川先輩の声で返事をする。
「うん、えっと、あのね……」
ところで、久寿川先輩がこういう態度をとっているとまったくもって普通なのに、どうして
笹森さんがすると恋する乙女のように見えてしまうのだろうか。謎だ。
「どう、どうかしら」
「な、何が……?」
「そ、その……、私の体は、変じゃないかしら……」
「へ、変って……?」
「どこか変だったりしないかしら、河野さんから見て……」
変と言われましても……。
なるべく見ないようにしていた体を、極限まで薄くした目でちょろっと見てみる。うーむ、
コメントなんかする必要もないほどよいスタイルだとは思うが……。
「ちゃんと触って、確かめてみてもいいのよ?」
なにか今、信じられないような言葉を聞いた気が。
「さっ、さささささっ、さわっ、さわっ?」
「あっ、そ、そのっ、別にやらしい意味じゃないのよ? た、ただ、こんな機会なんて滅多に
ないから、他の人の意見を聞くにはちょうどいいかなって、ちょっと、ちょっとだけ、思ったの……」
「あ、あは、はは……。意見を聞くにしても、ほら、俺って男ですし」
「でも、今は私でしょう? ……んっと、やらしく触らなければ、いいから」
やらしく触らないって、一体どうやればいいんですか……。
考えてはみたものの答えは全然見つかず、俺は途方に暮れてしまった。
「はあ……」
声は久寿川先輩のもので、体だって久寿川先輩のものだ。なんていうかその、目の前にいる
のも、笹森さんだけど久寿川先輩で、久寿川先輩だけど笹森さんだ。そんな人を目の前にして、
どうやって健全に体をタッチすればいいんだろうか。ああ、誰か教えてくれ。
「やっぱり、私の体は不恰好かしら……」
しょんぼりと呟く笹森さんの声が耳の奥まで響き、俺の中で何かがプツンと切れた。
「先輩」
ぼそっと言って、顔を上げさせる。
そして、がばっと両手を横に開くと、おもむろに自分の胸元へ手を当てた。
ふにゅ、むに、むにむに。
「………」
それから、努めて無表情で、手を脇に持っていったり腰に持っていったり、とにかく適当に
自分の体をまさぐる。
ぺたぺた、ぺたぺたぺた、ぺた……。
「………」
じっと笹森さんの瞳を見つめ、やがて手が届くところが無くなると、ゆっくりと両手を下ろした。
ちなみに言っておくと、スカートの中にはこれっぽっちも手を入れてはいない。
俺は精一杯の強がりで笑みを張り付けると、ぐっと親指を一本立てた。
「オーケーです」
「オーケー……」
「はい、オーケーです」
「オーケー?」
「ええ、もう、ばっちりオーケーです」
「オーケー……」
笹森さんは恥ずかしそうに俯くと、こくんと頷いた。
今の俺、きっと物凄く男らしい久寿川先輩なんだろうな……。
やれやれ、とため息混じりに苦笑すると、他の2人はどうしたものかと振り返った。
「あははっ、そーれ高いたかーい」
「うふふっ、お兄ちゃんもっともっとー!」
やけに爽やかな笑みを浮かべた俺が、子供らしくはしゃいでいるまーりゃん先輩を抱え上げて、
その場をくるくると回っていた。
「そーれ妹よ、もっと高いたかーい!」
「わーいわーい! あはははっ、うふふふっ」
そこのお2人さん、一体どんなメルヘンな世界を作り上げてるんですか。
「はあ……」
「ふふっ」
隣からは控えめな笑い声が聞こえてくる。
まあ、そうだよな。
「あはは……」
もう、一緒に笑うしかないや。
まーりゃん先輩な笹森さんが、ダンボール形マッスィーンに手を置いて、皆があのオールド
SFチックな帽子を被ってるのを確認していく。
「準備オッケーみたいだね」
ああ、これでようやく元に戻れるのか。さっきからずっと意識を保つことだけに集中してい
たけど、いつでも気を失う準備はできてたんだ。久寿川先輩に迷惑がかかってしまうからなん
とか堪えていたけど、正直もうこの体でいるのは限界だ。失神寸前5秒前って感じ。
「では、スイッチオン!」
ぶぉん。
フルパワーの掃除機で吸い出されるみたいな感覚がして視界が暗転した後、すぐにまた視界が
戻ってくる。
「はあ……」
「お、元に戻った」
と、目の前で正座している笹森さんが自分の体を眺めて言った。その横では久寿川先輩が自分
の体を不思議そうに見つめていて、何を思ったのか胸元にぽむっと手を当てて、ほっと息を吐いている。
よかった、皆戻れたんだ。
なんて安心したのも束の間、ぽむぽむと肩を叩かれてそっちに向くと、
「な!? なぜもがむぐ……!」
「たかりゃん、しっ……」
俺の口を手で塞いだのは俺自身、つまり河野貴明だった。
「中に入ってるのはたかりゃんよね?」
ひそひそ声で聞かれ、こくこくと頷く。
「あたし、このままちょっと試したいことがあるから、たかりゃんはそのままあたしのスウィートな
極上ボディを思う存分堪能してくれていたまへ。もしなんなら乙女のヒ・ミ・ツ、的なとこも特別に
許しちゃうから、余すとこなく舐め尽くすといいぞ。あたしの体はエロゲー並みにトロピカルな成分で
できてるからな。100%ジューシーだ」
俺の声でこの喋り方は、正直言って気持ち悪いな……。
口を塞がれて声は出せないものの、俺は反論すべく首を横に振ろうとした。
「ああ、1つ忠告しといてやろう。もしこれからやろうとすることを邪魔しようものなら、この
体のお○ん○○がどんな具合なのか、根元にぶら下がった○ん○○から先っちょに至るまで克明に
記したビラを、学校中に何千何万とばら撒いてあげやう」
「……っ!」
このオニ!
アクマっ!
……ゴッデス・オブ卑怯とはこのことだったのね。
「しくしく……」
溢れかけた涙を必死で堪えながら、『まーりゃん先輩イン河野貴明』を見送る。この後どんな
恐ろしいことが起こるのかと不安に震えながら、俺は自分の体をぎゅっと抱き締めた。
……まーりゃん先輩、このみより幼いな。
「ひっ!」
急に強烈な視線を感じて何事かと辺りを見回すと、なぜか俺の体が物凄い形相で睨んでいる。
「うぐ……」
俺はそこはかとなく生命の危機を感じて、ぺたんと座りこんだまま、その場をじりじりと後ずさった。
なんで俺の考えてることがわかるんだ。
しかも俺なのにめちゃくちゃ怖いし。
「あの、まーりゃん先輩……、まーりゃん先輩?」
そうしていると、久寿川先輩が中腰の姿勢で不思議そうに尋ねてきた。
……もしかして俺、今はまーりゃん先輩の振りをしてなきゃいけないのか?
河野貴明にそっと視線を送ると、野球でやるようなブロックサインにロボットダンスを混ぜた
ような変てこな動きをしている。これはやはり、俺が思ったとおりのことをしろ、ということらしい。
「な、なにかねー、さーりゃん?」
「ん……?」
どこか違和感があるのかっていうか、違和感だらけだろうな、今の俺。
久寿川先輩は小首を傾げて、
「大丈夫ですか? どこか具合が悪いとか、気分が優れないとか……」
「あー……、いやー……」
まさか、全部最悪だとは言えまい。
俺はまーりゃん先輩のごとく元気よくぴょんと立ち上がり、腰に手を当てて豪快に笑った。
「あっはっはーっ、心配することなんかないぞ、さーりゃん。全世界の男共の股から股にかけて
征服するこのあたしが、こんな3流ライトノベルみたいにクサいイベントで動じるわけがなかろう。
むしろこれを教訓に萌えコンテンツたるあたしを更に更にさーらーにっ、充実させていくつもりだ!」
えっへんと鼻高々に踏ん反り返り、どうだとばかりに河野貴明の方を見る。
ベリーグッド!
と親指を立てているので、どうやらこれでいいらしい。……っていうか、こんなこと言っても
アリだなんて、どんな感性してるんですか。でもまあ、咄嗟にこんなこと思いつく俺も俺ですけどね。
そんな『まーりゃん先輩イン俺』は、笹森さんと何かこそこそ話して合っているようだった。
一体何を?
無性に気になるけど。
そんな状況を訝っていると、目の前の久寿川先輩がほっとしたように微笑んだ。
「ふふ、もういつものまーりゃん先輩ね」
ずーん……。
この肩と言わず全身にのしかかる罪悪感、どうにかなりませんか?
とりあえず今は『自称永遠の14歳』を演じないと……。
「さーりゃんの方も、もういつもどおりのようだねー」
「ええ……、でも、河野さんみたく元気一杯には振舞えないけれど……」
と、久寿川先輩はちょっと寂しそうに笑う。
「まあまあ、さーりゃんはそのままでも十分たかりゃっ……」
たかりゃんならゾッコンらぶらぶマックスハートとか、ついノリと勢いで言いそうになって
しまった。まーりゃん先輩なら言いかねないけど、俺には絶対こんなこと言えない。言えるわけがない。
「なは、なはは。ま、まあ、さーりゃんなら大丈夫、大丈夫だから」
わけもわからぬ言い訳をして、とってつけたようにウィンクしてみせる。すると久寿川先輩は
きょとんとしてから、くすりと笑って言った。
つ、つつつつつ続きは!?
「それじゃ、河野さん達にも聞いてきます。具合が悪いと心配なので」
「うむ、よきにはからえ」
腕組みをして鷹揚に頷き、久寿川先輩が向こうに行ったのを確認してから、
「だはぁーっ」
と盛大にため息をついた。
今のやりとりだけで、ありえんほど精神力が磨り減ったぞ……。
肩を落としてうなだれると、自然とまーりゃん先輩の体が目に入った。
「………」
先輩の体は、普段から見慣れているこのみのよりも子供っぽい。それでなのか、さっきみたいに
失神の心配はしなくて済みそうだった。
とは言え、女の子であることは間違いないし、さっきよりも冷静な分、自分がまるで女装し
ているような感じがしてくる。つまり、これもこれでダメージが蓄積しているってことだ。例
えて言うなら、さっきが『つうこんのいちげき』で、こっちは『どく』でじわじわってところか。
いやはや、困ったものだ。
「……じゃあ、河野さんも大丈夫なのね」
顔を上げると、久寿川先輩ほか2名が輪になって話していた。
「ええ、久寿川先輩の笑顔さえあれば、俺はいつだってバッチリですよ」
キランと前歯を光らせて、何を言ってるんだ、あそこの俺は。
やけにキリッとした河野貴明が、久寿川先輩の手をぎゅっと握る。
「久寿川先輩の方こそ、どこか具合が悪かったりしませんか?」
「う、ううん、大丈夫よ……」
握られた手を見つめ、頬をぽっと赤く染めていく久寿川先輩。
「本当に大丈夫? なんだか顔が赤いけど」
と、笹森さんまで妙ににやけた顔で問いかける。
「へ、平気よ。ちょっと暑いだけ。ほら、今はここ、窓も開いていないから」
「そうですか? さっきのあれで体調が悪くなったのかも」
河野貴明はずずいっと久寿川先輩に詰め寄り、
「熱とかあったりして」
と言うと、先輩のおでこに手を当てて、それからそこに自分のおでこをくっ付けた。……って、
俺の体で何してるんですか、まーりゃん先輩!
「どれどれ……、うーん、ちょっと熱っぽいような?」
「うんうん、花梨ちゃんも無理はしない方がいいと思うんよ」
「いや、これはあの、そういうのじゃないから……」
久寿川先輩はかちこちに固まったまま、熱に浮かされたように言った。
「そういうのじゃない、と言うと?」
見てて気分が悪くなるくらいキザったらしい俺の問いかけに、先輩は目をぱちくりさせる。
「どういうのだと、そんなに顔が真っ赤になるんですか?」
「え、いや、それはあの、その……、なんでもない、なんでもないのよ」
おいそこの俺、ちょっと久寿川先輩と距離が近すぎやしないか。
もっと離れろ、もっと。
「なんでもなかったらこんな風になりませんよ。どうしたんですか、一体。熱じゃないとしたら
尚更心配ですよ。あんなことがあった後だし、もし先輩の身に何かあったら、俺、どうしたらいいか……」
「河野さん……」
お前の方こそどうしちゃったんですかと尋ねたい。
久寿川先輩は言いにくそうに眉値を寄せ、やがては俯いてしまった。
「先輩が答えてくれないなら熱だってことで、負ぶってでも保健室まで連れて行きますからね」
「……いえ、違うの。熱じゃないの。これは……」
顔を上げ、河野貴明とぱっちり目が合うと慌てて目線を外した。
……まあ、なんていうか、こうして客観的に見ていると久寿川先輩って改めて気が弱いんだなって
思ってしまう。それに加えて、動きの一つ一つがかなり小動物っぽい。今更ながら、生徒会長としての
先輩は、この人の一面でしかないんだなって思える。
黙りこんでしまった久寿川先輩に、えらい少女マンガキャラな河野貴明が、ふっと気取った
笑みを浮かべて言った。
「先輩、俺がその熱くなった頬を治すおまじないを教えて差し上げましょう」
「おまじない……?」
隣に控えていた笹森さんが、揉み手をしながら久寿川先輩に詰め寄った。
「このミステリ研会長である花梨ちゃん『イチオシ』のおまじないなんよ。これさえすれば、
ただの風邪から末期ガンまで、ありとあらゆる病気がぽぽんと治っちゃうというスグレモノ。
まあ、宇宙人とか怨霊とかオーパーツとか呪物なんかからくる症状はこれだけじゃ治せないんだけど?」
物凄く怪しげな説明に、久寿川先輩は困ったように眉根を寄せる。
「物は試しですよ、先輩。だから、これから俺が言うことを、言われたとおりにやってください」
河野貴明はどこか信用ならない微笑みを浮かべたまま言った。
「まず始めに、俺のことを名前で呼んでください」
「名前……、河野さん?」
河野貴明は首を横に振る。
「名字じゃなくて名前です。下の名前で呼んでください。そうじゃないとおまじないの効果が
出ないんです。2人でお互いの名前を呼び合って初めて効果を発揮するんです。それじゃもう
一度最初から」
今度は真剣な表情で、河野貴明が囁いた。
「ささら……」
ささら。
ささら。
ささら……。
頭の中で木霊して、かくーんと意識が遠のいていく。
しえん
思わぬダメージが全身を蝕んで、俺は足で体重を支えることができなくなり、その場にへなへなと
へたり込んでしまった。そして両手を床に突き、はぁっと荒い息を吐き出す。
な、な、な……、何を言ってるんだ、あいつは……。
「さあ、ささらも……」
どこの『たらし』だと言わんばかりに河野貴明が顔を近づける。久寿川先輩はどことなく切なげな
表情でそれを見つめ、ぐっと息を飲み込んだ。
「……た、たか、ぁ……」
「ささら……」
あそこにいる俺が口を開くたびに、なぜかまーりゃん先輩の心臓がシクシクと痛む。
「たか、あ……、き……」
久寿川先輩は切れ切れに言うと口を噤み、俯いた。
しかし、俺の体は追い討ちをかけるように言った。
「先輩は、俺の名前を呼ぶのが嫌ですか? 嫌ならこれ以上無理強いはできません。元々効果が
あるかどうかなんてわからないおまじないだし、やる必要があるかと問われれば、そんなには……」
「う、ううん、違うの……」
久寿川先輩が弱々しく首を振った瞬間、俺は見てしまった。
河野貴明がほんの束の間、俺に向けて悪魔的な微笑を浮かべたことを。
「ただ、今の河野さん、なんだかイジワルな気がして……」
「俺は先輩が、いや、ささらが心配なだけなんです」
河野貴明はふっと自嘲気味に笑って、先輩を見つめた。
「それに、おまじないじゃなくても、先輩のことをずっと『ささら』って呼びたかったんです。
今までは、その、恥ずかしくて言い出せなかったけど……」
「河野、さん……」
見つめ合う2人を見ていると、突然、ぎゅっと誰かに心臓を鷲掴みにされたような気がした。
俺は思わず床に自分の頭を打ちつけそうになって、直前で堪える。が、もう駄目だ。もうこれ
以上は見てられない。
「ささら」
「たかあき、さん……」
2人が囁き合う。
「ううん、呼び捨てでいいです。俺のことを、呼び捨てにしてください」
「……たかあき……」
「ささら……」
そして、なんとも言いようのない空白の時間が過ぎる。
「次は、瞳を閉じて」
「瞳を……」
普通、こういうシチュエーションで瞳を閉じた場合、次に来ることって言ったら……。何か、
猛烈に嫌な予感が全身を駆け抜けていく。
俺は床にぴとっとくっつけた額を引き剥がして、おそるおそる状況を確かめた。
「そのままリラックスして、少しだけ……」
俺の顔が久寿川先輩の顔に近づいて……。
俺はハッとなって考えた。
このままいくと。
このままいけば。
このままいったら……。
もしこのままお口とお口がくっつくようなことがあれば、俺はきっと学校に通えなくなるどころか、
生きてさえいられなくなってしまう!
しかし、邪魔をしたらしたで、決して他人には教えられないようなことをビラで大量に撒かれて
しまうのだ。それもありえないほど尾ひれがついたやつを。相手はあのまーりゃん先輩だ。だから
それくらいのことは朝飯前に違いない。
……でも!
ここで、こんなお遊びで久寿川先輩の唇が汚されてしまったら、俺は絶対に後悔する!
一生後悔する!
「だめ……」
小声で呟くと、キッと自分の顔を睨んだ。そして、
「だめええぇぇぇっ!」
まーりゃん先輩なボイスで金切り声をあげ、自分に向かって渾身のダイビングアタックをかました。
「のわっぴゃ!」
「わきゃ!」
すると、勢いがよすぎたのか、笹森さんまで巻き込んで、3人で盛大にバタバタッと床に倒れこんだ。
「あいたたたー……、もう、『わきゃっ』とか変な声出ちゃったじゃない」
「……むぅ」
「………」
とにかく、最後に見た光景からするに、いわゆる『ちゅー』の阻止は成功したらしい。
俺はふぅっと鼻から息を吐き出して、いつの間にか閉じていた目を開いた。
「………」
「………」
目の前には俺の顔。
唇には柔らかーな感触が。
「むふぅ」
「………」
俺の顔が何か言いたげに口をもごつかせた瞬間、俺の意識は遥か遠くへと旅立っていった。
ようやく魔の第二用具室から解放され、3人で体育館を出たところでそれは炸裂した。
「あの場合はさーりゃんに飛びつくんだろうがー!」
元の体に戻ったまーりゃん先輩は、耳をつんざくほどの怒号を発して、俺のボディに全力の
『ドリルまーりゃんキック』を叩き込んだ。そして、雄二ばりに吹っ飛んだ俺のそばに来ると、
ため息混じりに言った。
「止めに来るのが遅い。しかも、どさくさ紛れにやるならちゃんと目標を見てやりたまへ。
おかげでたかりゃんと『ちゅー』する羽目になってしまったではないか、このバカ者」
俺は苦虫を噛み潰したようにぷいっと顔を背ける。そんな俺にイラッとしたのか、まーりゃん
先輩は俺の首根っこを掴んだ。
「それに、あたしがどんな鬼畜プレイでもこなすオールマイティなエロゲー声優でもな。邪魔
して欲しくないからってたかりゃんの丸秘赤裸々白書を公開するわけがなかろう」
そして俺の肩をぽむぽむと叩くと、声のトーンを一段落として、
「ま、もしそんなことしたら絶対さーりゃん悲しむし。あたしはさーりゃんの悲しんでる顔は
見たくない。だからそんなことは絶対やんない。まったくもう、そんくらいのことはね、頭で
わかんなくても体でちゃんと敏感に反応しないと駄目なんだぞ、たかりゃん君」
それから、むふっと笑うと、俺の体にまとわりついてくる。
「にしてもだ、たかりゃん。あたしの体はどうだった? ウルトラソフトで、一晩もたない
くらいどっかの口から涎がでろでろ垂れちゃっただろう? うむうむ。あたしの体はそれくらい
『びゅーてぃほーえんわんだほー』だからな」
言い終わると、まーりゃん先輩は目の前でおろおろしている久寿川先輩を見上げて、俺の頬っぺたを
指でぐにぐにとつついてきた。
「なんて言っても、やっぱたかりゃんはさーりゃんみたいな『ばきゅーんずきゅーんぼかーん』
なボディの方がいいんだろ? そうなんだろ? ほらほらほらー、正直に口を割らんと大変な
ことになっちゃうぞー」
「………」
俺がしかめっ面のままノーコメントを通していると、まーりゃん先輩はニヒヒとやらしい笑みを
浮かべて耳元で囁いた。
「ま、あれだ。今回のは貸しにしといてやる。たかりゃんの大事なトコロと、たかりゃんがあたし
だった時に興奮してぱんつを濡らしちゃったことは2人だけの秘密にしといてやるから、そうだな、
今度あたしが指定した日に買い物でも付き合え。もちろんたかりゃんに全部奢らせてやるから
その辺は安心してていいぞ」
「………」
このゴッデス・オブ・卑怯め……。
「ちゃんとわかったか、たかりゃん伍長?」
「……イエッサー」
俺がへろへろと力無く敬礼すると、まーりゃん先輩は満足そうに頷いた。
「うむ! じゃっ2人とも! 元気に達者で暮らせよ!」
ばっははぁーいと元気よく手を振って、まーりゃん先輩は近くの窓からぴょんと飛び出て
すぐにいなくなってしまった。
俺と久寿川先輩はそれを見送り、
「まーりゃん先輩ってば、またあんなところから出て行って……」
「ははは……、まあ、まーりゃん先輩ですから」
「ふふ、それもそうね」
2人して笑い合い、日が落ちかけて薄暗くなった校舎を生徒会室に向けて歩き出した。
「ところで河野さん」
「はい?」
「まーりゃん先輩には何を言われたの?」
「えっと……、たぶん、今度の日曜は地獄を見るぞと」
久寿川先輩はちょっと心配そうに、
「なんだかとても困っているように見えたから。まーりゃん先輩は人に遠慮なんかするような
人ではないし、河野さんは逆に優しいから、何か頼みごとでも引き受けてしまったのではないかって。
まーりゃん先輩の頼みごとは大概突拍子もないことだから、真に受けなくても平気だとは思うのだけれど」
「まあ、断るに断れない用事なもので」
「……そう?」
「ええ、大したことじゃないですよ。ちょっと買い物に付き合うだけですから」
俺がなるだけ明るく言うと、
「そう……」
と、久寿川先輩は少し気落ちしたように呟いた。
それからほどなくして生徒会室に着き、帰り支度をすることになった。
「もう帰らなければいけない時間ね」
「そうですね。またミステリ研にしてやられました」
今回もまた、笹森さんの術中に見事はまってしまったってとこか。
しかも、今回はまーりゃん先輩の加勢もあって、もういいように遊ばれるしかなかっという、
昨日に勝るとも劣らない敗戦内容だ。
「あそこはもうお願いしに行けないわね。あんなすごい発明までしたんですもの」
「そうですね……」
確かに今回の発明(と呼ぶにはいささか抵抗があるが)は非常にミステリ研らしい業績だと思う。
だから、そういうものを残したミステリ研究会に対しては、そう簡単に部室の明け渡しは要求できなく
なるだろう。生徒会非公認ではあるけれど、あの発明を聞きつけて人がやって来るかもしれないし。
それに、もう一度行けなんて言われても、俺は正直ごめんだ。
ほんと、あんなことは二度とごめんだな、なんてため息をつく。
「河野さん」
「はい?」
久寿川先輩は早々と支度を済ませて、窓際で夕日を眺めていた。
「私ね、すごく大変だったけど、今日はとっても楽しかったって思うの」
「そうですかね……」
俺からしたら『まさに生き地獄』な体験だった。
先輩は窓の外を眩しそうに眺め、
「だって、自分じゃない誰かになってしまえたんですもの。きっと地球で産まれた人の中なら
10人以内に入るわ。それにね、たぶん、私達の他にも同じような体験をした人はいると思う
けれど、でも、こんなに楽しい体験だと思えたのは私達が初めてだと思うのよ」
絶対……、と最後に呟いて、花開くように微笑む。
「まあ、そうかもしれないですね。色々と貴重な体験させてもらいましたし」
「そうね」
「そうですよ」
俺があからさまにため息をついてみせると、先輩はふふっとおかしそうに笑った。
「そういえば先輩」
「……なに?」
ふと気になったことを尋ねてみる。
「こいつと名前を呼び合ってた時、どんな気分でした?」
俺は少しばかりおどけて自分の体を指差し、肩を竦めてみせた。
「そうね……」
すると先輩は、多少落ち着きをなくした様子で長い髪をいじり、
「あの時の河野さんはいつもと様子が違っていて、ちょっと怖かったわ」
「……怖かった?」
俺の問いに、こくりと頷く。
「だって、とても押しが強いんですもの。まるで部費のアップを要求しに来る部長さんみたいだったわ」
困り顔で変わった例えを引き出す先輩に、ふっとおかしさがこみ上げてくる。
「じゃあ、怖かっただけですか?」
「いえ、そう、でもないけれど……」
先輩は不意に後ろを向いて、窓をカラカラと開けた。
そこからゆるやかな風が流れてくる。
俺はそれをすぅっと鼻から吸い込んで、それから問いかけた。
「じゃあ、嬉しかったですか?」
「………」
先輩は無言のままだけど、とても穏やかな表情をしている。
「じゃあ……」
どうしようもない体験だったけど、あれがほんのちょっとだけ、女の子が苦手な俺を後押し
してくれたのかもしれない。
「おまじないです」
先輩は軽く目を見開くと、それから視線を横に逸らして聞いてきた。
「……最後まで?」
俺は照れを隠すようにゆっくりと首を横に振った。
「最初だけ」
「最初だけ?」
「ええ、最後まではちょっと」
先輩はこっちを見ると、ふっと笑みを零し、
「……バカね、それじゃ効き目がないじゃない」
「でも、ミステリ研会長イチオシらしいですから、最初だけでも、きっと大丈夫です」
「……そうね」
先輩はそう言って頷くと、少し恥ずかしそうに目を伏せ、やがて俺に視線を合わせた。
俺は覚悟を決め、ごくりと唾を飲み込んで言った。
しえ(ry
支援
「さしゃしゃ」
「……ぷふっ」
噛んだ。
思いっきり噛んだ……。
先輩はそんな俺をくすくすと笑って、目元を軽く拭うと言った。
「たかあきさん」
それはとても自然で、とてもくすぐったい響きだった。
先輩は笑顔のまま、風に揺れる髪を指先で押さえて、
「今日のおまじない、2人とも失敗ね」
「……そうですね」
俺ははにかんで大きく息を吐くと、ぽりぽりと頭を掻いた。
久寿川先輩はカラカラと窓を閉め、俺の方に振り返って言った。
「帰りましょうか」
生徒会室を出ると、今までのことなど何もなかったように、校門までの道のりを多愛のない
話で花を咲かせた。そして校門を抜け、いつも別れる交差点までそれは続いた。
「それじゃ河野さん、また明日」
「はい、また明日」
先輩が角を曲がるまで見送り、それが終わるとゆっくりと歩き出す。
「はあ……」
何が『また明日』なのかは、明日にならないとわからない。
けど、また明日も、きっと最高の1日になるに違いない。
俺は、一足早く床に就こうとしている夕日に目をやって、そんなことを思った。
おわり
>85
おつ。
最後が少し尻すぼみな感じがしましたが、
楽しく読めました。
また載せて下さい
>>85 乙!
さすがの花梨もまーりゃんがいると影が薄いw
素直に面白かった
後書き
全部投稿して気が抜けたのかそのまま放置していました。
読んでくれた方、支援してくれた方、そして感想書いてくれた方に感謝。
二次創作は初めてだったので、いつもより文章打つのが新鮮でした。
東鳩2はキャラ設定が突飛な分、こういうお遊びで楽しみやすいなとも思ったです。
あとは、本編では物足りなく感じた普通っぽい学生生活を書けてよかったなと。自分妄想乙。
それではこの辺で、長々と失礼いたしました。
89 :
彼女が望むもの:2006/04/28(金) 22:28:44 ID:qLvWJIEc0
前書き。
ここ最近SSから離れてたのでリハビリで書いたものです。
愛佳誕生日ネタですがメインは郁乃なのはどういうことか。
結局愛佳は出てきません。
>>88 乙!初めてでこれだけ書けるとは…感服しました。
――突然だけど、あたしは今悩んでいる。
あたしがこうして机に向かって考え事をしていることはそんなにない。
だけど、一人で考えていても簡単に解決する問題ではなかった。
「う〜ん…」
なので誰かの知恵を借りなければいけないんだけど…
哀しいかな、あたしの交友範囲というものはさほど広くない。
クラスメイトであり親友であるこのみちゃんも候補に挙がったのだけど、
残念ながら他の友達と出かけたようで連絡がつかなかった。
ああ…そういえば昨日の朝、今のうちに旅行の準備をしておきたいと言っていた。
(そっか、ゴールデンウィークなのよね)
壁掛けカレンダーに目をやると、5月の最初には赤い日付が並んでいる。
このみちゃんは久々に家族で旅行に行くらしい。
それで朝からご機嫌だったわけか。
「それに引き換え、うちって…」
ゴールデンウィークの予定は見事にすっからかん。
うちの両親も、別に旅行とは言わなくてもちょっと遠出するくらいは考えて
くれてもよさそうなんだけど。
『もしかしたら貴明君が誘いに来るかも知れないだろう?』
『ええ。そうしたら申し訳ないじゃない?』
あたしがぼやいたらそんなことをおっしゃいました。
その台詞は本来姉に向けるべきもののはずなのに、なぜあたしに言うんだろうか。
あと、そう言いながら暖かい眼差しを向けるのはやめてほしい。
「あたしは別に関係ないじゃない」
貴明が付き合っているのは姉であってあたしじゃないんだから。
そう言い返したら父さんは相変わらずにこにこ顔で尋ねてきた。
『ん、郁乃は彼と遊びに行くのは嫌かい?』
決して嫌ではない。
貴明はなんだかんだ言いながらさりげなく気を遣ってくれるし、彼といる時、
ぶつぶつ言いながらも自分が実は楽しんでいるのも自覚している。
(…って、墓穴掘ってるじゃない!)
心の中で叫びながら頭を抱える。きっと顔も赤い。
ちょ、ちょっと深呼吸でもして落ち着こう。冷静に…冷静になろう。
「すー、はー…」
――わかっている。
あたしがあいつに対して抱いている気持ちは去年とは180度違う。
だけど、貴明は姉と付き合ってる。あたしはそれを応援する立場なのだ。
私情は挟むな。姉・小牧愛佳の妹として二人をバックアップしていくのが
自分の役目なんだから。
(まあ、それはおいといて…今悩んでいることだけど)
まもなく迎える5月1日。姉である愛佳の誕生日だ。
去年まであたしは入院生活を続けていたので何もしてあげられなかった。
両親も仕事で精一杯で何もしてくれなかった。いや、それはここ近年では
いつものことだったか。はあ…我が親ながら冷たい。
だから、姉…ううん、お姉ちゃんはいつも一人ぼっちで誕生日を過ごした。
いつものようにあたしのお見舞いに来て、家に帰ったら一人で夕食を食べて一人で過ごす。
(う…なんかこうして考えてみるとすごく悲しいわね)
そしてそれをどうにもしてあげられなかった自分が歯がゆい。でも、去年は違った。
これからもそうなるんだろうかと思っていた誕生日を変えてくれたのが
河野貴明――今の、お姉ちゃんの彼氏だった。
あいつは大胆にもデートに誘い(後から聞いたんだけど本人は誘った時、
デートに誘った自覚がなかったらしい)、ヤク…こほん、ヤックで過ごして
それから二人で映画を見て――最後にプレゼントを渡した。
お姉ちゃんが今でも愛用しているケープ。
それが貴明からのプレゼント。望んだものじゃなかったけど、今までで一番嬉しかったプレゼント。
『それじゃ、本当に欲しかったのは何?』
と聞いたら
『…少し後に叶ったから、いいの』
やけに幸せそうな笑顔でそう答えられたので、それが何だったのかは言われずとも理解できた。
――「もらった」ではなく「叶った」。
その違いで、お姉ちゃんが何を望んでいたのかあたしにもわかった。
ちょっと悔しい気もするけど…あんなに幸せそうな顔は初めて見たのでそれでよしとしよう。
さて、過去のことを思い出すのはこれくらいにしておいて本題に入らないといけない。
ずばり今年のお姉ちゃんへの誕生日プレゼントである。
「で、あんたは何がいいと思う?」
「何の用で来たのかと思ったらやっぱりか」
アポイントもない突然の河野家訪問だったけど、貴明は特に不機嫌に
なることもなくあたしを迎えてくれた。
あたしの家だとお姉ちゃんがいるので聞かれてしまう可能性があった。
それに、やっぱりこういうことは当日にお披露目してびっくりさせたいし。
「これ以外に来る用事があるとでも思った?」
「いや、食い物でも漁りに来たのかと」
「そこまで食い意地張ってないっ。お姉ちゃんじゃあるまいし」
「愛佳に伝えておこうか」
「あ〜…忘れてもらえると助かるかな」
ちなみに、さすがに食いしん坊のお姉ちゃんでも貴明の家にお邪魔して
何か食べてるなんてことはない…と思う。
「それで本題だが」
「そうね。貴明はもう考えてあるの?」
「色々候補はあるんだけどな。絞り込めない」
まず基本として本の類は除外。
いくら本をよく読んでいるといってもプレゼントまで本では悲しい。
貴明も去年はお姉ちゃんのことを考慮して、本をプレゼントするのは
とりやめたらしい。実際、それで正解だった。
「愛佳から昔の話をされなかったらプレゼントしてしまってたかも」とは
本人の弁だが。
「服かな…でも、あんたと出かけた時にたまに買ってくるようになったし
最近見た感じじゃ欲しいのは特になさそうね」
「そうだな。今のところは欲しい服もアクセサリーの類もなさそうだった」
お姉ちゃんの一番近くにいる貴明がそう言うのだから、たぶんそれは間違いないと思う。
だけど、そうなると一体何をプレゼントしたものやら。
「それなら発想の転換だ。物をあげるんじゃなくて、どこか愛佳の喜びそうな
ところに誘おうか?」
「うん、それはあたしも考えた」
5月1日は残念ながら平日。
お姉ちゃんを連れて遊びに行くのは連休に入ってからになってしまうけど、
きっと遅いなんてことはないはずだ。
「そうだなあ…そうだ、愛佳は遊園地とか行ったことあるのか?」
「ないんじゃない?そもそも外で遊ぶ人じゃなかったと思うし」
それに…ずっとあたしに構っていたから、きっとそういう所に行きたいと
思っていても言い出すことはなかっただろう。
人並みに楽しむことをずっと抑えて生きてきた…それを思うと胸が痛んだ。
「…郁乃、どうかしたか?」
「え?ううん、なんでもない」
だから、当日は今までの分を取り返すくらい楽しんでほしいと思う。
あたしのことなんか気にならないくらいに。…それはそれでちょっと寂しい
気もするんだけど。
「…な、なによ?」
気がつくと貴明はあたしを見て微笑んでいた。
それを見て不覚にも胸が高鳴ってしまったけど、仏頂面でそれを無理やり隠し通すことにする。
「いや、愛佳のことを考えている時はころころ表情が変わるなあと思って」
「な…っ!」
仏頂面はいきなり崩された。何を言い出すのかこの男は。
でも…だって、仕方ないじゃない。自分の大好きな姉のことなんだから。
あと、非常に不本意ではあるけど――この目の前の奴のことも、姉と同じ
くらいに今では好きになっていたりする。
「普段もそれくらい素直に表情を出してくれると助かるんだが」
「悪かったわね、素直じゃなくて」
「そう怒るなって」
これでもかなり素直な方だと思うんだけどな。
普段は相手に対して自分の感情をこれだけ表に出すことは少ない。そこの
ところを、こいつはわかっているんだろうか?きっとわかってない。
「でも遊園地か…そうね、それもいいかも知れない」
「チケットは俺がとっとく。ちょっとお財布事情が厳しいが」
「あたしも半分出すわ。期待してるわよ」
「了解、あと男として情けないが正直助かる。でも…やっぱり1日にも何か愛佳にあげたいな」
貴明としては当日に何もあげないのも心残りになると考えているようだ。
あたしもそうだったりするんだけど。
「そうね…とりあえず」
「ああ」
「「やっぱり食べ物は外せない」」
共通事項を確認するように同時に口にすると、あたし達は顔を見合わせてくすくす笑った。
「それじゃ、お邪魔しました」
気がつけば夕方になっていた。
帰り際、玄関まで見送りに来た貴明は少し考えた後、あたしに尋ねた。
「郁乃は誕生日いつなんだ?」
「なによ、いきなり?」
不意の質問に期待と諦めが混じる。
答えたら何かもらえるんだろうか、という気持ちとそんなことあるわけないと
思う気持ちが同時に起こった。
「いや、その」
答えをためらっていると、貴明は言いにくそうにしながら頬をかく。
「?…はっきりしないわね」
「怒るなよ?その、なんだ…もしかしたらお前も愛佳と同じだったのかなって」
お姉ちゃんと同じ…?
「愛佳と同じように、欲しいものはいつももらえなかったのかなって」
「……」
考えたことがなかった…いや、考えないようにしていた。
お姉ちゃんはそうだった。でもあたしはどうだったのかって。
あたしは…うん、あたしもきっとそうだった。
「…そう、だったのかもね」
この時だけは、どうしてか自分の気持ちが素直に口から出ていた。
そう言うことで何かいい答えを期待しているんだろうか。…バカみたい。
「――そうか」
そんなことを考えていると、頭に手を置かれた。
「同情なんかいらないわよ」
「同情じゃないぞ。俺がおまえにやりたいから勝手にやるだけだ」
ええと…それは、つまりどういうことだろう?
「愛佳ほどじゃないけど、郁乃ともそれなりに付き合いは長いからな。
見てろよ?お前の欲しいものをちゃんとプレゼントしてやるから」
それはあたしに対する挑戦状だ。
それも、やけに優しさの込められた。
「ふーん。まあ、期待してる」
「…絶対期待してないな、お前」
「してるってば」
あんたは知らないからそんなことを言えるのよ、と心の中で呟く。
あたしの望みはたぶんもう叶っている。100%とはいかなくても、それは
すでに叶っている。
あとはそれが続いてくれることが今のあたしの望み。
あたしと、お姉ちゃんと…それから――貴明と一緒に過ごせること。
それだけであたしは幸せなのだから。
読ませてもらいました。
良かったと思いますよ〜。
素人なんで詳しいことは分からないけど、とっても満足できました。
>>89 郁乃ん喜多ーー!!
なんか、続きが読みたくなりますね〜。
愛佳の誕生日とか、郁乃んの誕生日とか。
しかし、話が続くと、
>>私情は挟むな。姉・小牧愛佳の妹として二人をバックアップしていくのが
>>自分の役目なんだから。
ここら辺が切ない話に繋がりそうで、思わず期待w
あと、
>>95 10行目「素直に表情を出して」->「素直に表情に出して」かな?
最近いくのんSS多いな。
いや、嫌いじゃないんだが…。
べ、別に喜んでるわけじゃないんだからね〜!
ほ、褒めてなんかやらないんだからっ!
>>100 それは一つ間違えると、由真になってしまいますねw
郁乃と由真の書き分けってムズカシイよね?
>>102 書き分けできてないのはヤバイSSだと思うw
もう郁真
>>102 俺が思うに、
「〜」多用が由真
「っ」などで短く切るのが郁乃
ついでに、「〜」多用で関西弁が瑠璃
だと思う
由真と郁乃を足して、由乃。
この世の果てで唄う少女?
熱血同人漫画家?
由乃さんか
こういう業界だと郁乃人気はスゴイよな。
>>105 あとは、滅多に言い負かされないのが郁乃。
由真はすぐに言い負かされるしな。
自分で自分を追い込む発言をするのが由真だな。
んなテンプレみたいな区別の仕方してたら、魅力的なキャラなんて書けないんじゃないか?w
>>114たかあきにワロタww
明日は河野家だww
先週終わらせた
俺の中でいくのん大ヒット
よっていくのんSS大歓迎フゥハハハハーッ!
べ、別に続きを待ってるわけじゃないんだからねっ!
郁乃「みwwなwwwぎwwっwてwwwwきwwwたww」
主人公との関係はどうあれ、本編で攻略できない妹系キャラってのは
あとあと結構人気出てくる希ガス
>>121 伊藤乃絵美を超え得る妹キャラになれるか・・・・・って所か?
それは無理っぽい。
郁乃死ぬし。
>>122 俺の中では超えてるけどな…
一番は志木秋巳だが
郁乃スレに行け
残ったいくのんは俺が世話をする
『助さん拡散、存分に苦しめてお殺りなさい』
『イーッ!』『イーッ!』『アッー』
TVから某定番時代劇のお決まりのセリフが流れる。
俺はその時代劇をるーことリビングで寝転がりながら見ていた。
『代官井伊御戸弧之助、貴様を島流しの上、お尻ぺんぺんに処す。』
『最早之までか・・・』
とクライマックスのシーンの最中に難しい顔をしたるーこが話し掛けてきたので、
何か大変な事でもあったのだろうか?と緊張しながらるーこの次の言葉を待った。
「うー、お尻ぺんぺんとはどのような行為だ?」
どうやら先程TVから聞こえたお尻ぺんぺんの意味が解らなかったようだ、
大変な事じゃ無かったのでほっとし、るーこの質問に答えてやった。
「お尻ぺんぺんって言うのはな、罰の一種で、こんな風に尻を手で何度もパンパンとはたくんだよ。」
俺がジェスチャーも交えて説明すると、るーこはふむ・・・と頷いた、どうやら解ってくれた様だ。
「やり方はわかったぞ、うー、ではるーにお尻ぺんぺんをしてくれ。」
「な・・・なんでるーこにお尻ぺんぺんしないといけないんだよ!」
行き成りそんな事を言ったので、声を荒げながら叫んでしまった。
「うー、それがどんな苦痛かは受けてみないとわからない、
うーの文化の一つだ、学ぶために体験してみたい。うー、駄目か?。」
「そうは言われてもなあ・・・」
流石に彼女がお尻ぺんぺんしてくれと言っても躊躇無しにぺんぺんする男は居ないだろう。
居たとしたら俺はある意味尊敬する。
「うー、男は度胸、何でもやって見るものだぞ。」
「わかったよ、やってやるからその…お、お尻をこっちに向けてくれ。」
ここまで言われたらやるしかないだろうが、流石に淡々とできるわけがない。
「待っていろ、直ぐに準備する。」
るーこは、そう言い放ち、自分のスカートの中に手を進め下着を脱いで・・・
「って、どうして下着まで脱ぐんだよ!」
「うー、あの番組ではこうやっているぞ?」
俺はTVに顔を向けると先程の悪代官が尻を出されて、御老公にビシバシ叩かれて
アッーアッーと声をあげていた、最近の番組は此処までやって良いのか・・・
「うー、準備は完了したぞ、さあ叩け。」
るーこの声を聞き、TVからるーこに目を向けると、こっちに尻を向けていた、
しかも下着を履いていないから全て丸見えだった。
アサルトしたくなる衝動を抑え、るーこに声をかけた。
「じゃあ・・・叩くから本当に痛くなったら辞めろって言うんだぞ?」
「解ったぞ、うー。」
俺はるーこの腰に左手を置き、るーこのお尻に照準を当て、右手を振り下ろした。
パシィン!
と肉のぶつかり合ういい音が聞こえ、るうっ!とるーこが呻き声を漏らした。
「るーこ、これで満足したか?」
「うー、まだだ、お尻ぺんぺんはもっと叩く物だろう、躊躇せずに叩け。」
涙目でそんな事を言うのが可愛かった。そして俺は何度も右手を振り下ろした。
パシイッ!
「るうっ!」
パシィイン!
「るるうっ!」
パチィン!
「るうっ!」
こんな感じに三十発程はたくと、るーこのお尻は真っ赤になっていた。
「るーこ、、もう・・・良いか?」
「もう良いぞうー・・・これは中々強烈だったぞ・・・」
お尻を痛そうにしているるーこは可愛らしかった。
しかし、そんなるーこを見ていると、俺はある事に気が付いてしまった、
るーこの秘所が少しだけ濡れていた。
宇宙人にもマゾヒストはいるんだなあと思いながら、俺は右手の人差し指を
るーこの秘所に突っ込んだ。
「るうっ!?何をする、うー!」
「もっとフィンガーする!」
「るうっ・・・うっ…うー、もう辞め・・・ろ」
そのまま指の出し入れを続け、るーこの秘所がだいぶ濡れてきた頃、
俺は突っ込んでいた右手の人差し指を引き抜き、
るーこの液で濡れていた指をるーこのアナルにぶち込んだ。
「うー!そこは違っ、るるるうっ!」
入れた瞬間、るーこは軽く昇天したようだ、その隙を見て俺は余っていた左手の人差し指を
さっきまで右人差し指を入れていた秘所に打ち込む。
「るううううぅぅっっっつつつつ!」
二つの穴に入れた指を交互に出し入れする事を何度も繰り返した後、
るーこは完全に昇天した。
そしてアナルと秘所、二つの穴から液体を流れ出しながら床に蹲っている
るーこを見て俺はある感情が湧いてきた。
「もっとフリスクする!」
>>128 ゴールデンウィークの朝っぱらから、アナリスクのネタかよw
るーこが「キタコレ!!!!!!!」とか叫ぶのかww
今日は月曜だが、河野家がリアルタイムで見られそうにない;_;
前書き。
前回を読んでいただいた方、ありがとうございました。
>>90-97の郁乃SS「彼女が望むもの」の続きです。
今回は愛佳視点。
>>99 残念ながら切ない話にはなりませんでしたw
あと表現はそっちが正解ですね。失礼しました。
隣の部屋で何かごそごそしている音がする。
ぼーっとしながら時計を見ると、まだ朝の6時を少し過ぎた頃だった。
郁乃がこんな時間に起きているのは珍しい。
(珍しいなあ…いつもはギリギリに起きるのに)
我が妹はとにかく朝に弱くて起こすのに結構苦労する。
母さんも朝には弱い方だし、そこは遺伝なのだろう。あたしはそうでもなかったりするんだけど…
「あたしも起きよっかな」
まだ目覚まし時計は鳴っていないけど、目が覚めてしまったのでいっそ起きてしまうことにする。
どの道、朝ご飯の支度もしなければいけないのだ。
『♪〜〜』
郁乃の部屋から携帯電話の着信音が聞こえてきていた。
同じタイミングで買ったのに、それを使いこなせるようになるまでには
あたしは郁乃の2倍くらいの時間がかかった。
(こんな時間に電話…?)
ちなみに携帯電話の型は同じで色が違う。あたしは赤、郁乃は青。
同じ色でお揃いがよかったんだけど、郁乃の「紛らわしいでしょ」の冷たい一言で蹴られてしまったのだ。
でも、最初は別の型がいいと言っていたのに最後にはあたしのと型を
一緒にしてくれたのはあの子なりの気遣いなのか。
『はい…ああ、おはよ』
わずかに聞こえてくる郁乃の話し声。
心なしか嬉しそうに聞こえるのは気のせいだろうか。
このみちゃん…ではなさそう。理由はない。ただなぜかそう思った。
『うん、こっちは準備できてる』
――たかあき、くん?
相手は彼…なんだろうか。もちろんそう思ったのにも理由はない。なのに、確信めいた何かがあった。
『7時前には来なさいよ。それまでに起こしておくから』
…7時?登校時間には少し早い気がする。
それに登校するのにどうしてこんな早くから電話なんか?特に用事はなかったと思うけど。
『こんなこと年に一度なんだから、パーッとやんないと』
はて、いったい何の話なんだか。
年に一度?あたしには何のことなのかまったくわからなかった。
(…なんだろう?)
やがてコンコン、とあたしの部屋のドアをノックする音。
はい、と返事をすると郁乃はなんだかご機嫌の様子で部屋に入ってきた。
「おはよ。目は覚めてる?」
「おはよう。うん、覚めてるけど…どうしたの?」
さっきの会話は聞こえていないように装いながら答える。
でも、彼と郁乃はいったい何を話していたんだろう。それがどうしても気になっていた。
「それじゃ着替えてくれる?あんまり余裕もないから」
「あ、うん」
答えてからクローゼットを開け、かけてある制服に手を伸ばすと、
「あー違う違う。今日は制服着なくていいから」
「え?」
「お姉ちゃんの一番お気に入りの格好に着替えてちょうだい」
「え?ええ?」
それはつまり私服に着替えてくれということ?
なんで?学校に行くんじゃないのか、と聞こうとしたら…
「このみちゃんに、今日はあたしもお姉ちゃんも休むから先生達に言っておいてって頼んであるから」
「え…や、休むってなんで!?」
別に具合が悪いわけじゃない。
目の前の郁乃も特に調子が悪いようには見えない。なのに休むという。…つまり、これは。
「ず…ずる休み?」
「はい、よくできました。そういうわけで早く着替えて」
どういうわけなのかさっぱり見えてこない。
ずる休みしてまで一体何をしようと言うんだろう。
「貴明がもう少ししたら来るんだから。パジャマでお出迎えするつもり?」
「た、たかあきくんが!?」
たかあきくんがうちに来る――それはいつものこと。
郁乃が退院してから毎朝、車椅子で登校する郁乃の付き添いのために
あたし達を迎えに来てくれていた。
それは郁乃のリハビリが終わった今でも続いていて、もはや習慣だった。
だけど、今日に限っては違う。
「あ、あいつもサボるから」
「ちょ、ちょっと待って!なんでどうして何事なの?」
軽くパニックになって自分で何を言っているのかよくわからない。
たかあきくんもずる休み?それでうちに来る?
「はいはい、落ち着いて深呼吸」
「はふー…って、これで落ち着けるわけないじゃないぃ〜」
一番いい格好に着替えて、っていうことはどこかに行くんだろうけど。
ただ、自分が何か忘れてるなあという気はした。
「しょうがないわね。今からこんなじゃ貴明が来たらもっとパニックになるわよ」
「あう…」
「朝ご飯はあたしが用意しておくから、早く着替えてきてね」
そう言って郁乃は部屋を出て行った。
…もう覚悟を決めるしかないらしい。
郁乃お手製のハムエッグとポテトサラダ、あとトーストが今朝の朝食。
退院した頃は簡単な料理にも苦戦していた妹は、今や我が家の献立を
しばしば任されるほどに上達していた。本音を言うとちょっとくやしい。
『頼ってばかりだったし、これからは一人でできるようになりたいから』
あたしに料理を習い始めた頃、郁乃は真剣な顔で調理台に立ちながら
そんなことを呟いたことがあった。
郁乃が本音というものを漏らしたのはそれきりだった気がする。
「郁乃」
「なに?」
トーストをかじりながら郁乃が顔を上げる。
…あの言葉はあたしに向けたものだけど、料理を覚えようとしたのには
もう一つ理由があると思う。
「ちょっと聞きづらいんだけど…その、郁乃が」
「うん?」
「料理を覚えようとしたのって――」
ピンポーン♪
「あ、はーい。ちょっと待ってね」
食べかけのトーストを置いて、郁乃は玄関に出て行った。
――たぶん、あたしの考えは間違ってないと思う。だけどそれを言うと
きっとあたし達の距離は開いてしまうから…今、口に出すのはやめよう。
「――よっ。愛佳は起きてるか?」
玄関から聞こえてくる声。それは間違いなく、たかあきくんの声だった。
あたしもスプーンを置いて玄関に出る。
「あ…おはよう、愛佳――」
「おはよう…どうしたの?」
たかあきくんはあたしを見たまま固まってしまった。
郁乃はそれを見て苦笑している。彼が動きを止めたのはあたしの格好のせいだと
気付くにはそれから数十秒かかった。
「えっと…こ、これ?」
「あ、うん」
「お…おかしいかな?」
あたしが恥ずかしそうに尋ねると、たかあきくんは頭をぶんぶん
振って答えた。
「いやそんなことない、すごい似合ってる。可愛い」
「あ、ありがとう…」
二人して真っ赤になってうつむいてしまう。
「はいはい、お見合いじゃないんだから。貴明も上がったら?」
「あ、じゃお邪魔します」
時刻は7時半。あたしも準備ができたところで、それじゃ出かけようかということになった。
「それで、どこに行くのかな?」
ここまで来たら開き直るしかない。
ハンドバッグを持つと、あたしは二人に問いかけた。
「それは行ってみてのお楽しみ」
「喜んでもらえるかわからないけどな」
家を出ると、雲ひとつない青空が広がっていた。
きっと今日はいい日になる。そんな気がした。
「到着っと」
「ここは…」
遠くに見える観覧車にジェットコースター。
周りには朝から遊びに来ている家族連れがたくさん歩いていた。
うん、ここはどう見ても遊園地だ。
「まだ、愛佳と一緒にここに来たことがなかっただろ?」
「う、うん。そういえばそうだけど」
「付き合ってるのに一度も来たことがないのも問題だけどね」
「む…」
郁乃のツッコミにたかあきくんが苦い顔をして黙りこむ。
「まあまあ二人とも。それじゃチケット買わないと」
「ああ、チケットは買わなくていいよ。はい、これ」
たかあきくんがポケットから取り出して渡してくれたのは――
ええっ、園内一日フリーパス券!?
「せっかくだから奮発してみた」
「や、でもこれ…いいの?」
「いいも何も、愛佳のために用意したんだから。遠慮なくどうぞ」
いいのかな…でも、せっかくたかあきくんがあたしのために用意して
くれたというのならここで返すのも悪い。
「うん…それじゃ、ありがとう」
「どういたしまして」
「貴明、あたし達のはあるの?」
「心配するな。はい」
たかあきくんはもう一つパスを取り出して郁乃に手渡した。
あ、よかった…ちゃんと三人分あったんだ。
「これでよし、と。それじゃ入ろうか」
「うん」
たかあきくんを先頭に園内に入る。
遊園地――あたしにとって未知の領域に、ドキドキしながら踏み込んだ。
「さーて、それじゃ初手はジェットコースターかな」
案内板を見ながらたかあきくんはそう呟いている。
少し向こうの方から猛スピードで走り去るコースターの音と乗客の
悲鳴が聞こえてくる。うう、ちょっと怖い…けど、なんか楽しそう。
「愛佳、ああいうの大丈夫?」
「乗ったことないからどうかなあ…でもせっかく来たんだし」
「そうだな。郁乃は…おや?」
あたし達の後ろにいる郁乃はジェットコースターを見て固まっていた。
「郁乃?」
「おーい、どうした?」
「…はっ!な、何?」
あたし達に呼ばれて郁乃はようやく我に返る。
…あ、もしかして。
「なんだ、怖いのか?」
「別に」
「でもちょっと震えてない?」
「ふ、震えてないっ」
そっか、郁乃も遊園地に来るのは初めてだよね。
それにあれだけ豪快な光景を見せられたら怖くなるのも仕方ないと思う。
「たかあきくん、最初は郁乃と一緒に座るね」
「そうしてやってくれ」
「だ、だから怖くないってば」
言いつつ悲鳴が聞こえるとびくっとしているのでは説得力がない。
たかあきくんに促されると、郁乃はあたしの後ろをしぶしぶついてきた。
「なに、下り始めたらすぐだから」
前の座席からたかあきくんがそう言ってくれる。
頂上までの坂をゆっくり登る緊張感もそれはそれでいいとか。
でもそれは慣れた人の言葉であって、初めて乗るあたし達にはまだ恐怖でしかないのだった。
「お姉ちゃん」
「なに?」
隣の席の郁乃が小声で呼びかけてくる。
「ごめん…手、握っててくれる?」
「…うん」
可愛い妹の頼みとあらば。そっと手を重ねると、郁乃はきゅっと手に力を込めた。
ガタン、ガタン…
「う…き、来たよお」
「き、気絶しないでよね」
「い…郁乃こそ」
お互い唇を震わせながら言葉を交わす。
ジェットコースターはゆっくりと坂の頂上へ向かって進んでいく。
「……」
もうお互いに何も喋らない。やがて坂の頂上に来た時、あたしはうっかり下を見てしまった。
「〜〜〜!」
声が出なかった。さっきまでいた地上が今はあんなに遠い。あわてて視線を前に戻すと、
ゴオオオオオッ!
「きゃああ〜〜!?」
「わああーっ!」
二人揃って悲鳴を上げる。
なんてスピード。これだけの距離の下り坂をあっという間に下りきり、次の坂も一気に駆け上がる。
「―――!」
そして再び下り。声にならない悲鳴を上げながら片方の手はしっかり郁乃の手を握っていた。
(あ…でも…)
乗っているうち、こういうスリルがあるのもなんだか悪くない気がした。
いくつもの坂を越え、最後はぐるんと一回転。
「きゃーっ!」
いつしか悲鳴もどこか楽しげに変わっているあたしがいた。郁乃は…ノーコメント。
「お疲れ様」
たかあきくんがドリンクを買ってきてくれた。
彼は何度か乗っているらしいのでもう慣れていて結構楽しいらしい。
対して郁乃はぐったりしていた。
「大丈夫か、郁乃?」
「…寿命が縮んだわよ」
あながち嘘にも聞こえないのでこっちも心配になる。
グロッキーというのはこういう状態を言うんだろう。
「いきなりジェットコースターは郁乃にはきつかったかな」
「うーん、そうかな」
「し、心配いらないわ…あうう」
その姿で心配いらないと言われて心配しない人がいるのかどうか。
「そうか。それじゃ次はあれに行くか」
「どこ?」
「もう何でも来なさいよ…」
たかあきくんが指差したのは急降下する乗り物。
『フリーフォール』と呼ばれているアトラクションだった。
「…鬼」
郁乃は呟くとがくっと肩を落とした。
全部のアトラクションを一回りしてから昼食、それからジェット
コースターにもう一回乗って再びフリーフォール。
あと大きく揺れる海賊船のようなアトラクションにも行ってきた。
「今更だけど、絶叫系多かったわね」
「そうだな。でも愛佳は結構楽しそうだったな」
「あはは、慣れると面白いかも」
郁乃もだんだん慣れてきたみたいで、最後で海賊船に乗った辺りでは
喋る余裕も出てきていた。
それでも楽しむ域に達するにはまだまだ時間が掛かりそうだったけど。
「最後はやっぱりあれかな」
「うん」
「ま、順当なところね」
たかあきくんに連れられて向かったのは観覧車。
これだけは最後にしようって初めから決めていたみたい。
ゆっくりと回る観覧車の中から陽が傾き始めた世界を眺める。
楽しかった時間ももうすぐ終わりと思うと少し寂しい。
「愛佳、楽しかった?」
「うん。二人ともありがとう」
夕陽に照らされたたかあきくんの横顔はいつもより大人びていて
ちょっとかっこよかった。
こんなこと言ったら照れちゃうだろうけど。
「最初はさ、連休に入ってから誘おうかって思ってたんだ」
「え?」
「今日は平日でしょ。初めは3日あたりに行くつもりだったのよ」
それでも、今日にしようと決めたのは。
「でも、やっぱり今日にしたくなって。今日プレゼントをあげるだけには
したくなかった。ちょっと強引だったけど、愛佳にはいっぺんにプレゼントしたかったんだ」
「それで今日?」
「ああ。ちなみに最初に言い出したのは郁乃なんだけどさ」
「た、貴明!」
頬を膨らませて怒る郁乃。
でも賛成したのは、たかあきくんも気持ちは同じだったっていうこと。
って、あれ…プレゼント?それも今日?
(あ――っ)
あたしはどうして二人がここに連れてきたのか今になってようやく理解した。
自分の事なのに、今の今まですっかり忘れてしまっていたのだ。
「それで、これは俺と郁乃から」
たかあきくんはバッグから綺麗にラッピングされた包みを取り出した。
「あんまりうまくできなかったかも知れないけど」
「あたし達二人の合作よ」
二人の手からそっと手渡されるプレゼント。
それを受け取った途端、涙が頬を伝った。
「「――誕生日おめでとう」」
後はもう、泣くことしか出来なくて。
「ありがとう――」
ただ嬉しくて、それだけを言うのが精一杯だった。
「それじゃ郁乃、後はよろしくな」
陽はすっかり沈み、途中の道でたかあきくんと別れる。
あたしはまださっきの余韻が残っていてうまく話すことも出来なかった。
「はいはい。後は任せといて」
「ひっく。たかあきく〜ん、また明日ねえ…」
「はは、また明日」
最後に手を振ってたかあきくんは曲がり角に消えていった。
ようやく落ち着いたあたしは、郁乃と並んで家への道を歩いていく。
「ねえ郁乃、このプレゼントの中身は何?」
「開けてからのお楽しみ…って言いたいところだけど、そうね…うん、
ケーキとだけ言っておこうかな」
「あ、ケーキなんだ。嬉しいな」
「お姉ちゃんの欲しいものがどうしてもわからなかったから、貴明が
遊園地に連れて行こうかって提案したんだけど、それとは別にこれも
作ってみたのよ」
『あたしへのプレゼントには食べ物が外せない』というのが、二人の
同一見解らしい。うう、あたしってやっぱり食いしん坊かなあ。
納得するとそこで負けのような気がした。
「お姉ちゃんに料理とかお菓子の作り方を習ったのはさ、何か手作りの
ものをあげたかったから」
ポツリと、郁乃はそんなことを呟いた。
今まで自分はあたしに対して何もできなかったからと。今までのお返しに
何か自分の手で作り上げたものをプゼントしたかったとか。
いつも自分に構うあたしにもう一人でも大丈夫だとアピールする意味も込めて。
「もう…そんなこと気にしなくてよかったのに」
「あたしが気にするのっ」
頑固だなあ…あたしも人のこと言えないけど。
「ま、ケーキ作りもそれなりに楽しかったわよ」
「たかあきくんと二人で作ったから?」
ついそんな言葉が口から出てしまう。
郁乃の顔は沸騰したみたいにぼんっと真っ赤になった。
「な、なんでそこであいつが出てくるのよ!」
「あれ、楽しくなかった?」
「そ…それは、まあ…割と」
まったくそういうところは素直じゃないんだから。
でも、これではっきりしちゃったことがある。
「そっかそっか。郁乃もそういうお年頃なんだね〜」
「だ、だからそういうのじゃないわよっ」
その反応であたしは確信していた。女の勘は鋭いんですよ?
「あ、あたしはこれでも独占欲強いんだから。頑張ってね?」
「〜〜〜っ」
「そ、そんなに怒らないでよ」
怒鳴られるかと思ったけど郁乃はそこではあ、ため息をついた。
それでもまだ顔は赤い。
「…勝ち目なんかないじゃないのよ」
「そうかな。郁乃、あたしが言うのも何だけど可愛いと思うし、いいところも
いっぱいあるよ」
「――そんなこと言ったら宣戦布告するわよ」
開き直ったらしい。
うん、郁乃はこれくらいの調子でないとね。
「ああ、妹がライバルなんてお姉ちゃんは悲しいな」
「心にもないことをよく言うわね」
「…わかっちゃった?」
確かに郁乃もたかあきくんが好きだという事実が発覚したことでこの先
いろいろ大変そうではあるけど。
それよりも郁乃がここまで明るい子になってくれたことが嬉しかった。
それはやっぱりたかあきくんのおかげであって。郁乃が彼に惹かれるのは
全然おかしなことじゃないんじゃないかと思う。
「そうそう、明日はたかあきくんにお弁当作って行くけど。郁乃は?」
「え…なによ、もう明日から始めちゃうわけ?」
「試合放棄?」
「いきなりしないっ。わかったわよ、あたしも作るから」
今日、恋のライバルができました。
ライバルなのになんだか構わずにいられない、あたしの一つ下の子で。
あたしのたった一人の大切な妹。
この先どうなるかわからないけど。今は三人で一緒に過ごしていきたい。
あたしが願うのは、そんなささやかな幸せ。
以上です。
あと、誤字修正。
>>142 プゼント→プレゼントでしたorz
続編ご苦労様!こんなに早く続きが読めるとは思わなかった
面白かったぜ
リアルでいただきました!面白かったッス
よ、読んでやったわよっ!
ふんっ!まあまあね…。
ほ、褒めてなんかやらないんだからっ!
ほのぼのとしてますな。
読みやすかったし。
今日って河野家?
そんま、今夜が山田みたいなw
152 :
名無しさんだよもん:2006/05/01(月) 19:56:13 ID:xIniMhsVO
今日は日曜だ。学校休みだっただろうが。河野家は明日。
釣り乙
ニートには判らないんだろうが今週はGW進行で休刊だ。
先週合併号だったのに気づかなかったのか?
HMX-17b研究所って携帯だと見られない?
トップページにADしか表示されないんだが…
先生…ミルファとの甘々SSが見たいです…
二度寝の最中に聞こえたみんなの声は、夢ではなかった。花梨と優季も帰ってきて、みんなが朝食
の仕度をしている中、俺はタマ姉の膝枕で寝ていたのだ。恥ずかしいなぁもう。
優季は家から持ってきたホットプレートでフレンチトーストを作ったんだけど、コレがもう美味の
一言! みんなからも異口同音に誉められ喜ぶ優季だったが、いつも作りすぎるのが彼女の悪いクセ。
俺は朝っぱらから満腹になるまで食べさせられ、正直、フレンチトーストは当分勘弁……。
朝食から少し後、宅配便のおじさんが俺宛に荷物を持ってきた。やたら重い段ボール箱で、差出人
は雄二、伝票には「PC関係」とあるが、はて、PCのパーツでももらう約束なんかしてたっけ?
と、いきなり現れる雄二。他のみんなに気付かれないよう、二階まで荷物を運べと言う。事情も
言わずに、一体何なんだよ?
ドサッ。
「ふぅ〜っ、お、重かった……。なぁ雄二、これ一体何が入ってるんだよ?」
俺の部屋に段ボール箱を置いて、一息ついてから雄二に尋ねるが、
「――よし、誰も来ないな」
雄二は廊下をキョロキョロと見回し、誰もいないことを確認したのか、ドアを閉める。
「おい雄二、人の話を――」
「ああ分かってるよ、チョット待て、今見せてやるから」
雄二は段ボール箱に貼られたテープをべりべりと剥がし、上蓋を開く。その中身を覗いてみると、
そこには……
「な、なんじゃこりゃあ!?」
ビデオテープ。
DVD。
写真集。
漫画。
それらがぎっしりと入っていた。ちなみに一見して分かったことだが、それらは全て種別名の先頭
に「アダルト」がつく品物ばかり。
「ゆ、雄二、お前、何でこんなものを俺に!?
って言うかコレ、PC関係の品物じゃないし!?」
「おいおい、H系の品物を宅配便で送るとき、品名に『PC関係』って書くのは常識だぜ。そんな
ことも知らないのか貴明?」
え、そうなの? ……って言うか!
「いやそうじゃなくて、何でこんなもの俺に送ってきたんだよ!?」
「いやまぁ、それには色々と事情があってだな……」
腕を組み、困った表情を浮かべる雄二。
「事情?」
「昨日、姉貴が家に帰ってきただろ。
姉貴のヤツ、家に帰ったら俺の部屋を徹底的に調べるって言ってたからな。せっかくまた集めた
俺様コレクションを、みすみす姉貴に没収されるワケにはいかなかったんだよ」
「それで、タマ姉が家に帰ってくる前に、宅配便で送り出したってことか。
けど、タマ姉は”雄二の部屋”を調べるって言ってたんだろ? そんなことしなくたって、雄二の
家なら隠し場所なんて他にいくらでもあるじゃないか」
雄二の家の広さ、そして部屋の多さはガキの頃から知ってる。このみとタマ姉を含めた俺たち四人、
いつも隠れんぼなどして遊んだものだ。
「そんなの姉貴だって全部把握してるっての! 俺が思いつく隠し場所なんざ、たちどころに見抜
かれるに決まってるだろうが!」
そうだった。タマ姉が鬼のときは、どこに隠れようが必ず見つけられたっけ。
「まぁ、確かにな……。
けど、よりにもよって俺の家に送ってくるのはマズイだろ。現に今、タマ姉いるし」
「い、いや、それは何と言うかだな……
き、木を隠すなら森の中と言うか、灯台もと暗しと言うか」
「この場合、ここは森にはならんと思うが。むしろ大都会だよ。
それに、タマ姉の灯台は、どこだろうがバッチリ照らすと思うぞ」
「ぐ……、わ、分かったよ、確かに俺のミスだ、認める。
姉貴が帰ってくる前の日に出したんだけどさ、気が動転してたのか、お前の家の住所くらいしか
思いつかなかったんだよ」
俺の家以外の住所が思いつかなかった、かぁ。よりにもよって俺の家、ねぇ。
住所録を見るなり電話で聞くなりして、俺以外の誰かに送ればよかったものを……。まぁ、気が
動転してたって言うなら仕方がないかもしれないけどさ。それに、こいつが俺の家の住所までキチン
と覚えてくれていたというのは、親友の立場としては喜ぶべきことかもしれない――のだが、その
友情故、このような状況に俺まで巻き込まれているのも事実なワケで。
「……で、どうするんだよ、コレ」
雄二のHアイテムがぎっしり入った段ボール箱(たった今思いついたので、『雄二箱』と命名)を
指さして、雄二に尋ねる。
「とりあえず、しばらくの間ここに――」
「断る! こんなもの家に置いてたら、いつ誰に見つかるか分かったもんじゃない!
今すぐコレ持って帰れ!」
「そ、そんな冷たいこと言うなよ貴明〜。お前にも見せてやるからさぁ〜」
「いらん! とっとと帰れ!」
雄二には可愛そうだが、ここで俺が雄二に協力したら俺だって同罪だ。その場合、事が露見した際
のお仕置きを考えると……、すまん、雄二。
「そ、そんなご無体な〜」
なおも俺に取りすがろうとする雄二を、いっそ足蹴に――
「タカく〜ん、どうしたの〜?」
トントンと階段を上る足音と、このみの声。ま、まずい!
「た、貴明、とりあえず誤魔化してこい!」
「ちょ、お、おい雄二!?」
俺をドアへとぐいぐい押す雄二。
「いいか、荷物のことも、俺のことも内緒だからな! うまく誤魔化せよ!」
雄二に突き飛ばされて部屋から飛び出す俺。その直後、このみが俺に駆け寄り、
「あ、タカくん。お部屋にいたんだ。
どうしたの? さっきのチャイムは?」
「あ、いや、えっと……
た、宅配便だったよ。親父宛の荷物が届いたんだ」
「あ、そうなんだ」
「でさ、一応中身を確かめようと思って、俺の部屋に持ってきたんだよ」
「ふーん。それで、何が入ってたの?」
「ええと……、仕事関係の書類みたいで、よく分からなかったよ。
後で親父に電話して、どうすればいいか聞いてみるつもり」
「そうなんだ。タカくんが居間を出たきり戻ってこないから、どうしたのかと思った。
じゃあ、一緒に戻ろ?」
「あ、いや、もう少し中身を確認してるからさ、このみ、戻ってみんなにもそう伝えてくれよ」
「うん、分かった」
俺の言葉を一切疑いもせず、素直に階段を下りていくこのみ。……ちょっと、罪悪感。
「はぁ……」
思わずため息をもらし、部屋に戻る。
「行ったか?」
ベッドの中から顔を出す雄二。どうやら隠れていたつもりらしい。
「ああ。相手がこのみでよかったよ。何とか誤魔化せた。
全く、これからどうするんだよ……?」
雄二箱の前に腰を下ろし、またため息。
「貴明、ここお前の部屋だろ、うまい隠し場所はないのかよ」
「俺の部屋ったって、今は由真と優季が使ってるんだぜ。
それに、お前忘れたのか? お前から借りた緒方理奈の写真集、この部屋に置いてたら優季に捨て
られたこと」
「ぐぁ……、そ、そう言えばそうだった。あぁ、理奈ちゃん、理奈ちゃぁぁぁん……」
ガックリとうなだれ、布団の中に潜り込み、ふるふると震え出す雄二。やば、雄二の中では未だに
トラウマだったのか。悪いこと言っちゃったなぁ。
「……………………んぁ〜、いい匂いだな〜。女の子の匂いだぁ〜。
由真かなぁ? それとも優季ちゃんかなぁ? どっちでもいいやぁ、えへへぇ」
布団の中で悶え、悦にいる雄二。……少しでも同情した俺が馬鹿だった。
問答無用で布団をひっぺがし、
「馬鹿やってんじゃねぇ! どうしたらいいかお前も考えろ!」
「んあ〜、あと五分〜」
「何だよその、朝起こしに来た母ちゃんに言うような台詞は!? 現実逃避かよ!?
いいからとっとと起きてお前も考えろ! あまり時間はないんだぞ!
さっきも言ったが、ここは今、由真と優季の部屋なんだよ。もし由真か優季が戻ってきたら――」
バンッ!!
「あたしが戻ったら、何だっての?」
いきなりドアが開き、由真が部屋に入ってきた。愕然とする俺と雄二を見て、
「やっぱ来てたんだ、雄二」
「な、何で俺がいるって!?」
「いや、靴、玄関にあったし」
そう言えばそうだ。隠すの忘れてた。
「で、何なの、その箱?」
由真が、床の上の雄二箱を指さす。
「あ、いや、このみにも言ったけど、これは親父宛の、会社の仕事関係の書類で――」
「海外に出張しているお父さん宛に、会社から仕事関係の書類が届くんだ。ふーん」
「ぐ……」
由真は、つかつかと雄二箱へと、
「ちょ、ちょっと待て由真! だからその箱は――」
慌てて雄二箱へと手を伸ばすが、時既に遅く、
パカッ。
「……」
無言で、雄二箱の中身を見つめる由真。
「ゆ、由真、それはな……」
パタン。
無言で、雄二箱の上蓋を閉じる由真。
「ゆ、由真、落ちついて聞いてくれ。これは、雄二が持ってきたもので、俺のものでは決して――」
「あ、こら! 自分だけズルイぞ貴明!」
「うるさい! 事実だろうが!
と、とにかく由真、悪いのは雄二だからな、勘違いするなよ!」
いつものパターンなら、そろそろ由真の鉄拳が俺の顔面に炸裂する頃合いだ。いい加減殴られるの
はイヤなので、我ながら見苦しいほどに言い訳するのだが、多分、ダメだろうなぁ……
由真は真っ赤な顔で俺を見て……、く、来る!
「……す、すごい」
「は?」
「うわ〜っ、男の子ってこんな本読んでるんだ〜!」
全く、予想外の展開である。由真は現在、雄二コレクションを片っ端からきゃーきゃー言いながら
読みまくっている。
「ど、どうなってるんだ、貴明……?」
「い、いや、俺にも分からん……」
呆然とする俺(と雄二)。普段の由真なら「人の部屋に何持ち込んでるのよ、このスケベー!!」
とか言って俺を殴るハズなのに、どうして?
「な、なぁ、由真?」
ちょっと怖いが、尋ねてみる。
「ん〜?」
「そ、その、お……、怒らない、の?」
「怒る? あたしが?」
意外そうに俺を見る由真。意外なのはこっちなんだけど。
「い、いや、だってさ、お前たちが使ってる部屋にこんなHなもの持ち込んだのに、怒らないのは
どうしてなのかなーって」
「一度読んでみたかったんだよね、男の子が読むHな本」
「ま、マジ!?」
「何よ、あたしが読んじゃいけないワケ?」
やや不服そうに眉をひそめる由真。
「だ、だってお前、俺のことよくHだのスケベだのって殴ったりするし……?」
「そ、それはそれ、これはこれよ! ……それは、たかあきが悪いんだから。
このテの本とかビデオとかって、自分じゃ恥ずかしくて買えないけど、やっぱ興味あるし。
知ってる? 女子の中には、お父さんや兄弟が持ってるのをこっそり持ち出して、友達と一緒に
見たりしてるコたちもいるんだよ」
「え!? そ、そうなの? って言うか由真、それを知ってるということは……」
すると、たちまち由真の顔が赤くなり、
「だ、だから、あたしはしたことないってば!
それにあたしの場合、親しい友達って言えば愛佳じゃない。愛佳、Hな話はまるっきりダメだから、
そんなのを一緒に見たりなんか出来っこ無いし」
うん、それは納得。もし愛佳に雄二箱の中身を見せたら、真っ赤になって卒倒するに違いない。
「でも、どうしたの、これ?」
今更ながら、由真が雄二箱について聞いてくる。幾分不安はあるが、とりあえず経緯を説明。
「成る程ねー。確かに環さんってそういうの厳しいからね。
けど、よりにもよってたかあきの家に送るだなんて、やっぱ雄二はバカよね〜」
雄二を指さして笑う由真。雄二も自分のミスと認めているので、黙って屈辱に耐えている。
しかし、考えてみれば由真のこの好反応はある意味チャンスかもしれない。よし、
「由真、ちょっと頼みがあるんだけど」
「何?」
「これ、しばらくこの部屋に置かせてくれないか? 勿論タマ姉には内緒で。
その代わりこの中の本、好きに読んでいいから。あ、DVDならこのゲーム機で再生出来るぞ」
「貴明、お前何考えて――」
「雄二、お前だってタマ姉のアイアンクローは食らいたくないだろ。とりあえずここは由真にも協力
してもらって、頃合いを見計らって家に持ち帰ればいいじゃないか」
「……ま、まぁ、その通りかもな」
「どうだろう、由真?」
改めて由真に尋ねるが、
「ダメよ。あたしはともかく、優季のこと忘れてない?」
「あ――」
そうだった。優季もこの部屋に住んでいるのだ。水着の写真集一冊でもあれだけ怒った優季のこと、
もし雄二箱の中身を見ようものなら……、うう、考えただけでも恐ろしい。
「このまま、雄二がこっそり家に持ち帰えればいいんじゃないの? ――ちょっぴり惜しいけど」
俺もさっき「持って帰れ!」と雄二に怒鳴ったものの、冷静になって考えてみると……
「今、タマ姉たちにバレずに、廊下から玄関に行くのはちょっと難しいな。
やっぱ持ち帰るのはタマ姉がいない時を狙うべきだろ。それまではどこかに隠しておかないと」
「けど、たかあき、もう手遅れかもしれないよ」
「どうして?」
「このみちゃんの話、あたしでさえ怪しいって思ったのに、環さんが何も思わないワケないじゃない。
とりあえずあたしが様子を見てきますって言ってきたけど、そろそろ――」
「タカ坊ー、由真ー」
絶妙のタイミングで、タマ姉の声。しかも、
「それに雄二ー、何してるのー?」
げぇっ!? 雄二が来てることもバレてる!
「ど、どど、どうしよう。な、なぁ、貴明ぃ」
腰を抜かしてガタガタ震える雄二。
「あっちゃー、こりゃもうダメかも」
他人事のように平然としている由真。くそぅ、自分だって読んだクセに。
このままではタマ姉に雄二箱の中身が……どうする?
つづく。
どうもです。第54話です。
今回は男二人が中心の話になってしまいました。(^^;
GWですか? 積んでるゲームやるか、河野家書くくらいしか予定がありませんが何か? な俺です。
せっかくの休みなんだからどこかに出かけるべきかなとも思うのですが、人が多い場所は嫌いなん
ですよねぇ……。
>>165 乙です。
この終わり方は生殺しですね。
来週が待ち遠しいですよ。
河野家キタコレ
タマ姉の恐怖((((((;゚Д゚))))))ガクガクブルブル
乙。
取り合えずアイアンクローは確定だね。
>130
3人デートGJ。明るい三角関係GJ。貴明ウラヤマシス
>165
雄二箱ktkr
このみと愛佳と珊瑚にはむしろ見せたいなぁ。タマ姉の手腕に期待したい来週号
>>172 dクス
これでミルファにハァハァできる
ミルファはいいがそこのミルファはびみょ・・・
お勧めのミルファよろ
できれば誰かの倉庫以外な
ToHeart2 SS置き場 でFAじゃないのか?
そもそもメイドロボのSS書いてるサイトが少ないからなぁ。
誰か
うぉ、ミスった。
誰か〜のミルファはシルファが重点的に書かれている分、割を食っていて……('A`)
シルファ人気の立役者だかんなぁあそこ
しかしシルファミルファの組み合わせはそれはそれで
ミルファのやきもちっぷりが強調されて個人的にはニヤニヤできて好きだ
さまざまなタイプのサイトがあるのはいいことだな
誰かの倉庫はSSも好きだがなんか作者さんにすごく好感持てる
ひまつぶしはいきなり潰れたな
183 :
名無しさんだよもん:2006/05/02(火) 00:00:28 ID:2VyMWRy8O
今更だが河野家キタ━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
いつもお世話になってます
184 :
河野貴明 ◆.CzKQna1OU :2006/05/02(火) 00:06:59 ID:nqanRRU7O
誰か河野家出版してくれないかなぁ…
ミルファっつーかメイドロボっていうと
HMX17b研究所
TH2SS置き場
誰かの倉庫
まず真っ先に浮かんでくるのはこの3つだな
>>182 なんか唐突に閉鎖してたよね
なんでだろ
>>185 そこ以外はメインとして出てないから印象少ないのかと思う。
SS-Linksでもメイドロボメインで探すとそこくらいだしな。
もっと色々な人に書いてほしいと願うのは俺だけではないはずだ。
ひまつぶしは黄色のSSが結構萌えたんだがなァ・・・・・・
>>185 下二つはともかくHMX17b研究所はな〜…
他のメイドロボSSに影響受け過ぎつーか露骨過ぎてなあ
ガチで指摘したらスルーされたから確信犯っぽいし
三つ並べるのは他の二つに失礼な気がするw
189 :
名無しさんだよもん:2006/05/02(火) 08:03:47 ID:za5mQQDgO
ひまつぶしはトップページを書き換えただけでSS全部残ってるからぐぐる様のキャッシュから
古いインデックス引っ張ってくれば読めるよ。
保存するならいまのうち。
>>191 そのサイトの名を、初めて知りました。
宜しければ、URL教えて頂けませんか?
後、正式なサイト名を
193 :
99:2006/05/02(火) 09:28:56 ID:SgiBZGmS0
>>130 遅くなったけど、郁乃んSS続き喜多ーー!!
残念ながら切ない方向にはいかなかったけど、
微笑ましい三角関係なんで、これはこれでGJ!
え〜と、では続編(仮)の郁乃んの誕生日をお待ちしておりますw
>>165 河野家喜多ーーー!!!
そうか、荷物はそっちでしたか。 読みが甘いな>漏れ
しかし、由真が参考にするには、雄二コレクションは趣味が偏ってる
ような気がするのですが^^;
どちらにしても、来週の雄二の処刑は確定事項ですねw
GWですか? 家族サービスで一週間潰れますが、何か?
THの世界はメイドロボの同人誌多いんだろうな
ひまつぶしがわからない俺は負け組み?
というか汀のとこだろ?
今日河野家に出てた、フレンチトースト食べてみた。
>>184 Writerでまとめた後PDF化してプリントアウトしようとしている俺がいる。
そのためだけに用紙も買ってきたしw
普通の用紙だけどね。
50話までで295ページ・・・
完結まではプリントアウトする予定は無い。
ずっとマイドキュメントに眠っているだろう・・・
捕手。
>>202 漏れは、まとめて携帯に入れてあるよ。
外で時間のある時にいつでも河野家が読める。
あ、言っとくけど、河野家以外にもいくつかSSを入れてあるよ。
最近のだと「小牧姉妹と一泊二日」とかねw
ToHeart2 SSの書庫の管理人さまには足を向けて寝られないな。
203 :
202:2006/05/05(金) 09:01:20 ID:/dRZd64Y0
何、自己レスってるんだよ、漏れorz
205 :
名無しさんだよもん:2006/05/05(金) 23:19:47 ID:Ck/LfnsNO
河野家出版希望!
絶対売れる!
買ってまでして読みたい程の物でもないね。
>>207 自演ではないだろ。
まぁ、河野家は面白いと思うけど 出版しても売れる訳がない。
210 :
202:2006/05/06(土) 20:57:28 ID:Yd2Im2mx0
>>204,
>>206 使ってる機種がSHARPのSH901iC(FOMA)なんだが、普通にtxtファイルが
電子辞書&ブックの機能で読めるので、ToHeart2 SSの書庫から
パソコンでtxtファイルとしてコピーして、河野家みたいに
数(十)話に分かれてるものはまとめて1つのtxtファイルにしておいて
あとは、mini-SDカードにコピーして携帯に入れれば、好きな時に
SSが読めます。
個人的には割と重宝していて、携帯でゲームをする時間よりは
SSを読んでる時間の方が確実に長いです。
つか出版とかあほなこと言ってんな
ネタだから、ネ・タ。
>>205=
>>212 >ネタだから、ネ・タ。
>ネタだから、ネ・タ。
>ネタだから、ネ・タ。
>ネタだから、ネ・タ。
ちょwwwww
河野家儲逆ギレm9(^Д^)プギャーm9(^Д^)プギャーm9(^Д^)プギャーm9(^Д^)プギャー
(´・ω・`)イトアワレス
>>210 俺の機種にはそんな機能ないな・・・
地道にjpgファイル作る気にもなれないしなぁ・・・
画面メモしか方法はないか・・・
PCビューワ機能で見まくっている俺はきっと勝ち組
>>214 YOU、PCからメール送ればいいじゃない
>>213 俺には作者本人がじえn・・・ゴホ、ゴホ!
えー、いくのん坐薬ネタの続き。中半って言葉もアレですがとりあえず坐薬まで
まだ最後までいってませんが貴明が郁乃に手を出しちゃってますので悪しからず
翌朝は、寝たのが2時過ぎなので正しくはその日の朝だったが、結構早く目が覚めた。
「さぶっ」
郁乃が起きてくる前に、部屋暖めとかないと。そんな事が気になったのかも知れない。
エアコンをつけたのが7時くらい。騒がしくすると悪いので、こそこそとお茶を。昨日から何杯目だ俺。
7時半、ダイニングが概ね温まったので廊下に続くドアを開ける。冷気が流れ込む。
8時、腹が鳴った。台所でカレーを温める。すごい量だなしかし。
8時半、TVを点ける。流れてきた音の大きさにドキリとしてボリュームを絞る。
8時45分。TVがつまらないので持ってきた小説を読み始めるが、あまり頭に入らない。
9時を過ぎても、郁乃が起きてくる様子はない。まあ、昨夜一度起きたし。
9時30分。考えてみれば、俺も休日はお昼過ぎまで寝てるよな。愛佳も結構な朝寝坊だし。
10時、流しっぱなしのTVを消す。寝てるんなら寝せておいた方がいい。
いいんだけど、大丈夫だろうか。熱は下がったろうか。布団替えた方がいいんじゃないか。
…ちょっと様子見てみよう。人寝てる時に部屋に入るなと怒られそうだけど、まあ、入院中は何度も寝顔見てるわけだし。
そんなこんなで10時15分。俺は郁乃の部屋の前に来た。
「郁乃?起きてるか?」
寝た子を起こさない、起きてれば聞こえる位の微妙な大きさで声をかける。
「う…」
返事は、返ってきた。が、弱々しい。
「く…」
返事というより、寝言というより、うなされているように聞こえる。
「入るぞ」
そっとドアを開ける。いい加減暖まった廊下よりも部屋の方が気温が低い。
俺はベッドに寝ている郁乃に近寄った。目を閉じている。顔が赤い。
すっと手を伸ばして、郁乃の額に触れる。昨夜よりは少しマシかもしれないが、やはり熱っぽい。寝汗もかいているようだ。
「んん…お姉ちゃん…」
寝ぼけた言葉を発しながら、郁乃が額に触れた俺の手を掴んだ。ちょっとどきりとする。
「う?あぁ…貴明?」
「愛佳でなくて悪かったな」
「そんなこと言ったっけ?」
どこまで目が覚めているのか判らないが、郁乃は俺の手を放していない。
「布団替えた方がいいな、起きられそうか?」
「そんなに汗かいてな…いぃっ?」
声が上擦ったのは、俺がシーツの下に手を突っ込んだから。郁乃の背中あたりは、じっとりと湿っている。
「かいてるだろ子供じゃないんだから、条件反射的に強がるのはやめろよな」
「アンタは子供じゃない女の子の布団に平気で手を突っこむの?」
言葉を返しながら、ごろんと身体を転がしてベッドから出る郁乃。慌てて手を引っ込めた後、起きあがる郁乃を支える俺。
郁乃は俺の手を借りて立ち上がると、そのまま壁に寄りかかる。俺は手早く布団とタオルケットを取り替える。
「朝飯食うか?」
「…食欲ない」
…病人にカレーはきついよな。
「少しは食った方がいいぞ。うどんかなんか作ってくる」
「ごめん」
「感謝の言葉はありがとう、だ」
「馬鹿」
・
・
・
「昨夜よりは下がったけど」
郁乃の懐から取り出した体温計を見て、俺はため息をついた。
「相変わらずだな。病院いくか」
「行きたくない。お姉ちゃんにバレるし…」
愛佳からは、お昼前に電話があった。郁乃は「声聴かせると体調が判るから」と電話にでなかった。
お陰で俺が「郁乃はトイレにいってる」とか「下痢で唸ってるぞ」とか、適当な言い訳をする羽目になったが、まあそれはいい。
「でもとにかく熱下げないとな。あ、熱さましあるっていったっけか」
「え?あ、あれは」
郁乃がなにか言いかけるが、気にせず居間に向かう。昨夜教えられた引き出しを開けると、それらしい袋があった。
「これだろ?」
「うー、そうだけど」
「昨日から何を渋ってるんだよ。それとも病院いって注射してもらうか」
「行きたくないって言ったでしょ」
「だったら愛佳に電話して戻ってもらうぞ」
「や、やめなさいよそれだけは」
「んなら、ほれ」
薬の袋を郁乃に差し出す。
差し出された郁乃、なんとも微妙な表情。
何故か俺の顔を見て、薬に目を戻して、脇卓に置いた体温計をちらり、布団の上に出した自分の手を眺め、また俺の方を見る。
「…」
「何悩んでんだ?」
「〜〜〜」
俺の言葉に急に顔が赤くなった郁乃。熱あがったか?
と思いきや、なにやらこっちを凄い目つきで睨んでいる。え?え?俺なんかした?
「…分かった」
またひとしきり視線を巡らせたあと、すとんと落ち着いた郁乃は、妙に平坦な声でそう言った。
「じゃあ、手伝って」
「へ?」
「はぁ…手ぇ出しなさい」
郁乃は、訳がわからず差し出した俺の手の上で袋を逆さにする。中身が手のひらに落ちてくる。
ビニールパッチに包まれた錠剤は、意外と大きくて、妙な形を…らっきょの形…あれ?
「あ、あれ?これ、郁乃?これ?」
郁乃、無言。
「解熱剤って、坐薬だったのか」
引き続き、無言。
「…」
二人とも、無言。
「えーと、ひとりでできる?」
「できるわけないでしょ」
はい。ごもっともです。気づきませんで、大変失礼致しました。
「だから、手伝って」
はい、手伝い…う?手伝うって、それはつまり…
でええええええええええええええ?
冗談にするにも本気にするにも困った状況だが、郁乃は本気だった。
というわけで今、俺の手にはらっきょ型の物体が握られており、郁乃がうつぶせにふせっております。
ま、まあね、こんなんちゃっとズボンとパンツ降ろしてさくっとお尻に挿れてすぱっと履かせれば済むだけだし、
郁乃の裸は見たことないにしろ下着姿なんかは愛佳が看病してる拍子にちらちら見てるわけだし、
愛佳の妹なら俺にとっても妹同然だし、いや妹に坐薬いれる局面なんてあるかって言われると困るんだけどさ、あはははは。
ごくっ。
「変な声出さないでよ」
「何も言ってない」
「ノド鳴ったぁ」
「し、知るか、さっさと終わらすぞ」
うわべは平静に、実はかなりの勇気を込めて、郁乃のパジャマに手を伸ばす俺。裾が外に出ているので、ズボンの腰に手をかけるためにめくりあげる
「ふあっ?」
とたんに腰が逃げる郁乃。慌てて手を引っ込める俺。
「なんだよ」
「だ、誰が上着めくれっていったのよ」
「ズボン脱がすんだから仕方ないだろ」
再挑戦。郁乃の腰に手を伸ばす。ぺたっ。あ、手元が狂った。
「お、お尻触ったぁ」
「触らないと入れられないだろうが!」
「め、目つきがエロいのよさっきから」
「自意識過剰だっ!」
「うぅぅぅぅ」
一旦身体を起こして、体育座りでこっちを睨む郁乃。熱があるってのに元気な奴。坐薬なんていらないような気がしてきた。
「やっぱ目がエロい」
「うあああぁ、わかった。もういい。病院行くぞ。タクシー呼ぶから支度しとけ」
最初っからそうすれば良かった。
「それはやだぁ」
どーせいっちゅうんじゃ。
「…しなさい」
「え?」
「目隠ししなさい。それなら許す」
それは一体、なんのどんなプレイですか小牧郁乃さん。
「かえってエロいような気がするんだがなぁ」
「変なこといわないで」
就寝用のアイマスクを掛けてぼやく俺。郁乃がどんな表情してるのかしらないが、たぶん「顔真っ赤〜」だろう。
「まあいいや、脱いだか?」
「う、ええ」
目隠ししてても脱がせないことはないだろうが、手探りでするも難なので自分で脱いで貰った。
四つん這いになっているであろう郁乃の腰のあたりに手を伸ばす。
ふにっ。あ、お尻を掴んだ。
「ひゃ」
「わ、あ、暴れんな」
いきなり動いた郁乃に体勢を崩してしまった俺は、郁乃の覆い被さるように腰を抱く格好になる。
郁乃の身体を下から支える事になった左手が、パジャマの裾を越えて下腹部に触れてしまう。
ズボンもパンツも降ろしているので、指には柔らかい肌の感触。う、かなり下の方まで触っちまったなこれ。
「へ、変なトコ触らんないでよっ」
「だったら動くな。すぐ終わるから」
暴れないように、腰に回した左腕に少し力を入れて、郁乃の下半身を固定する。
「あ…」
非力な郁乃は、抵抗が無駄だと悟ってか、とりあえず大人しくなる。
左手に坐薬を持って、右手でお尻の位置を確かめると、手前側の丘から双丘の谷間に指を滑り込ませる…
「んあっ」
妙な声をあげる郁乃。この際気にせずに指を進めて目的地を探ることにする。
「やっ、ちょ、ちょっと、そっち違うっ」
あ、着地点が下過ぎた。会陰部の方に進んだ指に郁乃がうろたえた声をあげた。
「わ、悪い」
指を戻すと、目的地と思われる窪みに指が触れる。
「ひゃんっ」
またも怪しい声。でも、今度は間違えてないよな。俺は左手に持った坐薬を右手に移す。
「あ」
ポロっと、坐薬が指からこぼれ落ちた。
「あ、あれ?落とした」
「ば、馬鹿っ。ぱ、パジャマんなかに入ったわよっ」
「え、ごめん。今取る」
俺は手探りで郁乃のパジャマの裾から右手を差し入れる。
「へっ、あっ、ちょっと、貴明…」
パジャマの内部を探す俺の手の甲に、柔らかい郁乃のお腹の感触。
「や、ど、どこまで入ってくるのよ」
郁乃は坐薬を入れるために四つん這いで腰をあげていた。つまり頭の方が低い体勢。
服の中に入り込んだ薬は、物理法則に従って服の奥へ奥へ、追いかける右手も自然と侵入深度を下げていく。
「ひゃあっ」
なんか、手の甲に今まで以上に柔らかい感触と、その、ちょっと突起物が当たる感触が。
「む、むね…触った」
「す、すまん。ってあ、あったあった」
郁乃、ノーブラだったのか…いや余計な事は考えまい。
目的の物体は、ちょうどおっぱいの下あたりにあった。無事回収して、撤退しかけた矢先。
「ふあっ、また触ったっ」
もぞっと郁乃が身じろぎした拍子、また二人のバランスが崩れた。
上体の体勢が崩れた俺は、せっかく拾った薬を落としそうになってあわてて押さえる。
「あ…」
う、薬と一緒に、郁乃の乳房もしっかりと押さえてしまった。
「○▲□×〜!」
発熱も忘れて暴れる郁乃。といっても力としては弱々しいものだが、俺も目隠しのせいで力の加減がわからない。
郁乃の胸は、愛佳とは比べようがない程小さいが、それでも柔らかくて、掴んだ薬の手応えが怪しく、
暴れる郁乃の動きとあいまって、押さえる筈がふにふにと揉むような感覚で手が動いてしまう。
そして、指先に時々ぶつかる固い部分の感触。心なしか、さっきよりも尖っているような…
「や、やめてよぉ…」
妙に弱々しい抗議の声。いつのまにか郁乃は大人しくなっていた。
「あ、いや、わかったからとりあえず動くな」
そのまま腕を引き戻す俺。坐薬を構えなおして、妙な感触に一瞬固まる。
座薬を入れようとしていた関係で、と言い訳するべきか、俺は腕を郁乃の股間から上半身に回していた。
そして暴れる郁乃を押さえるとき、腕は郁乃に密着していた。郁乃は、そんなの気にせずに腰をよじっていた。
つまり、暴れてる間中、俺の二の腕あたりは郁乃のそのへんに押しつけられていたわけで、それ自体もアレなんだが…
…腕、湿ってる。汗、だけじゃないっぽい感触で。
こ、こういう事には、気づかない事にしておいた方がいいんだろうな。
急に静かになった郁乃の腰を押さえて、改めて目的地を探す俺の指。
「ひゃぅっ」
探りに行った親指は、見事に一発で菊の中心を探り当ててしまった。
勢い余ってちょっとだけ先端が入り込む。きゅっとすぼむ郁乃の排泄口
「え、えーと、ごめん」
「今更謝るなぁ」
力のない声。そもそも郁乃は体調が悪いんだった。さっさと終わらせよう。
右手を座薬に持ち替えて、さっき探り当てた所に挿入しようとする。
あれ、間違えた?うりゃ、あれ?
「な、なにやってんのよ」
右手で場所探して右手で挿れるのって以外と難しいんだな
仕方がないので、左手を腰の外から回して…届かないので、足の間からお尻の割れ目に沿わせる。
片手でお尻を開き菊門の位置を確かめると、右手で薬を挿入した。
少し汗で表面が溶け掛かっていた薬は、ぬるりと郁乃の体内に吸い込まれた。
「んんんんっ」
我慢できないように腰をよじらせる郁乃を、そのまま暫く押さえつける。
薬が戻ってこないように、お尻を両側から寄せてぐにぐにと動かす。
「あ…ん…」
「お、終わったぞ」
ちょっと上擦った声をあげて、俺は左手を戻す。
「はぁっ」
郁乃はため息をつくと、力尽きたように上げていた腰を落とす。
そのタイミングが、また絶妙に符合した。
「えっ」
「あっ」
戻そうとした俺の左手に、郁乃の股間が落ちてきた。
腕にかかる郁乃の体重に、反射的に下から支えてしまう。その結果。
てのひら全体に、熱くなった郁乃の女の部分。
「ふひゃんっ」
不意の感触に驚いて、慌てて足を閉じる郁乃。
てのひら全体に、熱くなった郁乃の女の部分。それを両足でぴったりと挟む郁乃の体勢。
「ご、ごめっ」
慌てて手を抜こうとして、もぞもぞと左手を動かすと、
「ひゃっ、あ…」
艶の混じった声をあげる郁乃。左手に絡みつく、明らかに汗以外の粘性。
郁乃の足の力なんて弱いもの、手を抜こうと思えば抜けた。
だから、手を郁乃の秘所から離さないのは、俺の意図ということになる。
俺は郁乃を押さえていなかった。逃げようと思えば逃げられる。
だから、俺の手に秘所を押しつけているのは、郁乃の意図ということになる。
荒い吐息が、耳元で聞こえる。俺は、自分でも意外なくらい郁乃に密着してしまっていた。
くっ。と、郁乃の腰が動いた。上にではなく、前後に。俺の手に擦りつけるような動作。
思わず、俺の指は、郁乃のそこを探るように動いた。指が熱い。割れ目の内側に滑り込んだようだ。
「あっ、んんあんっ!」
唐突にあがった声に、俺は少しだけ我に返る。
「ご、ごめん郁乃」
戻そうとする手を、しかし更に強く足が挟んだ。
「い、いくの?」
「た、たかあき…ごめん…あたし…こんな…」
今まで聞いた事のない切なげな声。更に腰を押しつけてくる。
熱に浮かされたのは、どっちだったか。
俺は、左手を動かし始めた。
「あんっ、ふあっ、あっ、はあっ」
これだけ密着してしまえば見えなくとも愛撫に支障はない。
実際、愛佳を弄る時も常に観察しながらってわけじゃないし。
中指を秘裂に沿わせ、左手全体を振動させる。
「ひゃあんっ」
何度目か聞いた高い鳴き声。でも、もう止まらない。郁乃も、止めようとしない。
右手も、後方から足の間に侵入させ、郁乃の下半分を担当させる。
「あ、そ、そんないっぱいっ、ふあんっ、あっ!」
後方から膣口を、前方から壁を責められて、郁乃の声がさらに上擦る。
普段は愛佳より声が低めな郁乃だが、こういう時の声は良く似ている。そんな事が頭に浮かぶ。
郁乃の、女性の部分の入り口に指を侵入させると、感触は柔らかいものの強い抵抗があった。
無理に開かせようとはせずに、中指をほぐすように動かす。くちゅくちゅと粘った水音が耳に残る。
左手は秘所の上部を全体的に撫で回している。突起を探してみるが、手探りでは良くわからない。
いったん、郁乃の下半身から左手を離し、パジャマの裾を、今度は意図的にめくりあげた。
「はっ…んふぅっ」
郁乃の反応は、俺の右手の動きによって中断され、その間に左手は郁乃の胸に到着する。
改めて、郁乃の乳房の小ささと柔らかさを実感する。先端を探すと、こちらは簡単に見つかった。
「あっ、ひゃあううっんんっ」
すっかり固くなったそれを摘み上げると、郁乃の口から一際大きな声が漏れる。
俺は指先で乳首を挟み、転がし、引っ張る。右の乳房に移動して、公平に刺激を加える。
「んっ、くぁっ、ぁあん、はあ、も、もう…そんな…ああんっ」
視覚が閉ざされているせいか、郁乃の艶声が異様に強く認識される。両手の感触も、抱いている郁乃の体温も。
「あぁ…はうんっ…そっ…そこはっ!」
後方から郁乃の股間に深く入り込んでいた右手の指が、ようやく肉芽を探り当てた。
最も敏感なそこを押さえつけて振動させると、郁乃は面白いように反応する。
「ひあっ、はっ…あうぅ…うんっ…ひぅああんっ」
郁乃の声色に、そうとう限界に近づいている事を察した俺は、胸を弄んでいた左手を下半身に戻した。
右手の中指で押さえていたクリトリスを左手の中指に受け渡し、右手を膣口に移動させる。
どうにも一定以上の深さに侵入できない郁乃のそこを、2本の指で揉みほぐす。同時に左手の中指を細かく震わせる。
「ああっ…ん…はあっ…ふあっ…たか…あ…んっ…たかあき…ぃ…」
「い、いくのっ?」
郁乃の言葉に、思わず呼びかけた瞬間。
「あ、ふああああんんんっっ!」
身体を震わせて、郁乃が達した。一瞬浮いた腰がまた落ちて、押しつけられた箇所が、ひくひくと動き続ける。
「はぁ…はぁ…うあ…あぁ…あぅ…うぅ…」
郁乃の喘ぎが、涙声にかわった。
「郁乃…」
アイマスクを外し掛けるが、郁乃はそれを押しとどめる。
「見ない…っ…でっ…うっ…ひくっ…ひっく…んん…」
普段なら泣きマネくらい平気でする奴だが、今はそんな余裕があるようにも思えない。
俺は右手を離すと(一応シーツで指を拭いて)、郁乃の頭を撫でた。
「大丈夫か?」
「ふっ…うん…ちょっと…ぐっ…怖かった…すっ…はじめてだったから…だけ…ぐすっ…」
大人しく撫でられる郁乃。そういえば、愛佳も最初の時には泣いたっけ。
でも、そういえば郁乃は、絶頂に至るまで一言も、俺の愛撫を止めるような言葉を発しなかったな。
暫く頭を撫でると、郁乃は落ち着いてきた。
俺は激しい罪悪感を感じつつ、郁乃の頭を離す。
「悪かった。疲れただろ、下着替えて寝ろよ」
かなり自分勝手な言いぐさと思いつつも、他にかける言葉も見つからない。
アイマスクを付けたまま、ベッドを離れようとする俺。
その腕を、郁乃が掴んだ。
「郁乃?」
今日何度目かの、疑問符つきの呼びかけ。
「アンタがさ、最初にウチに泊まった日」
唐突な出だし。妙に落ち着いた声。
「お姉ちゃんが夜中にアンタとこに忍び込んだじゃない?」
そして不意打ち。
「!」
随分前のことだが、あれは結構な思い出なので記憶は新しい。
「き、気づいて…」
「お父さんとお母さんはどうだか知らないけど、あたしの部屋の前を通ったからね」
「ほら、お姉ちゃんって静かにしようとしてもできない人だし」
淡々と話は続く。
「んで、お姉ちゃんが居間に消えて、しばらくごそごそして、おもむろにおっぱじまったわけだけどさ」
あまり有り難くない方向に。
「あたしアレ、隣で聞いてたんだよね」
カッと顔が熱くなる。自分がどんな表情しているのか、見たくないくらい。
「いや、あたしも起きちゃったからお茶でも飲もうかと思って食堂に来ちゃったんでさ」
郁乃の声にも少し照れが入ったようだが、すぐ冷めた。
「あはは、バカップルとは、良く言ったもんだわ」
「立ち聞きとは、趣味が悪いな」
やっと返した言葉は、
「うん。あたしもそう思う」
あっさりと流される。
「さらに趣味が悪い事にね」
くつくつと笑い声。
「あたし、部屋に戻ってからさぁ」
冗談のような口調。
「アンタでオナニーしたんだこれが」
からかわれてるなら、その方がいいのに。
「気持ち良かったよ」
やめろ。
「でも、さっきの方が全然良かったな」
止めろってば。
「あたしはさあ、アンタの事なんかそんなに好きでもないんだけど」
どうして止めないんだよ、俺。
「いっぱしに男には興味ある年頃だしさ」
どこまで傷つける気だ。
「けど、なんせこの身体だし」
どこまで傷つく気だ。
「おまけにこんな性格だから、男なんて出来るかわかんない」
らしくないぞ。
「アンタより好きな男が、出来るとも思えない」
矛盾してるだろ。
「だからさ」
ああ、もうダメだ。
「悪いんだけどさ」
散々遠回りした言葉が、収束する。
「今ここで、アタシとして」
それは、もはや冗談では有り得ない申し出だった。
以上です。書いておいてなんだけど流石にありえない展開かなあ
この後は更に苦しい展開になりそうですが、郁乃に目的達成させたいので頑張ります
232 :
231:2006/05/07(日) 22:25:26 ID:r5q3GcVt0
あ、前半は>8-20にあります。失礼
このまま突っ走ってください!ハイ!
∩
( ⌒) ∩_ _ グッジョブ!!
/,. ノ i .,,E)
/ /" / /"
_n グッジョブ!! / / _、_ ,/ ノ'
( l _、 _ / / ,_ノ` )/ / _、_ グッジョブ!!
\ \ ( <_,` )( / ( ,_ノ` ) n
ヽ___ ̄ ̄ ノ ヽ |  ̄ \ ( E)
/ / \ ヽ フ / ヽ ヽ_//
GJ! おっきした。
GJです。
でも何か凄い切ない雰囲気が漂っている気がするょぅ。
実は今回の黒幕は愛佳、とか
つうか愛佳シナリオ踏襲していくのんルート考えるとどうしてもドロドロになるよなぁ
修羅場キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
後半頑張って下さい。期待してます。
GJ!
こうなったら姉妹丼3pEnd目指して下ちいハァハァ(*´Д`)
三角関係なら痛いがハーレムなら痛くない俺が来ました
>>231 郁乃ん喜多ーー!!
忙しくて前半を読んでなかったので、前半ともども読ませて
いただきましたが、GJ!
つうか、新スレも200を越えて、まだ坐薬ネタをマジメに
続けている貴方は輝いて見えるよw
しかし、「い、いくのっ?」 が時々「イ、イクのっ?」に
見えてしまうのはしょうがないんだろうなあ^^;
すっげー殺伐としてるいくのんですね… それでも納得できてしまうのは偏に文章の旨さなんでしょうか?
ところで、坐薬って自分で入れられないモンなの?
小学校の時分、ギョウチュウ検査かなんかで坐薬入れたときは親に入れて貰ったが、
高校の頃部活の関係で腰の痛み止め?かなんかで坐薬入れたときは自分で入れたよオレ?
貴明がいれるこてに意味があるんだ。
貴明がいれることに意味があるんだ。
>>245は殺伐としたSSスレに舞い落ちたドジっ娘。
(・∀・)イイヨ〜イイヨ〜
>>244 自分で入れられない奴は幼児か寝たきり老人か、
もしくはウンコしたあと自分で肛門を拭けないほどの障害を負っているんじゃね?
寝起きは手がしびれてるんじゃなかったか?
>>8-20 >>219-230 とりあえず読み返し用まくあぷ。
んで、
>>9嫁。だから入れられんのだ。
あるいは風邪の予兆まで全てを計算した郁乃の自演。
それはそれで萌える(*´Д`)
郁乃…恐ろしい子ッ…!
手の痺れがどれくらいのものかによるな。
手がブルブル震えて大丈夫?と思うほどの爺さんが
自分で糖尿病用のインスリン注射できるくらいだからな。
身体がまったく動かないか、耐え難いほどの激痛が走るほどの痺れなら自分で座薬は無理だろうな。
雄二箱。様々なHアイテムがぎっしり収められ、雄二から俺に送られたその箱は、今の俺にとって
は核爆弾並の危険物だった。こんな物が家にあるだなんてタマ姉たちに知られたら……。
送り主の雄二は俺に助けを求めるが、冗談じゃない。一刻も早く持って帰らせようとしたが、時
既に遅く、様子を見に来たこのみは何とか誤魔化せたものの、その後やってきた由真にあっさりと
バレてしまった。
だが、ここで予想外の展開が。雄二箱の妖しき魅力が、微妙なお年頃の由真を虜にしてしまった
のだ。俺らの目も気にせず、雄二箱の中身を物色しまくる由真。そこに一筋の光明を見出した俺は、
この箱の隠匿を由真に頼むのだが、やや残念そうに断られてしまう。由真が優季と同室であることを
俺は失念していたのだ。
そして、次の策を考える間もなく、部屋の外からタマ姉の俺たち(雄二含む)を呼ぶ声。このまま
ではタマ姉に雄二箱の存在が――どうする!?
「タカ坊ー、返事なさーい」
「た、貴明ぃ」
「え、えっと……
取りあえず雄二、それ、押し入れにしまえ!」
雄二箱を雄二に任せ、それから、
「はーい! タマ姉、なーにー?」
「三人で何してるのー? 早く降りてらっしゃーい」
「あ、ああ、ごめーん! もう少し待ってー!」
どうする、どうする俺! 考えろ、考えるんだ。
雄二が俺の部屋にいることはもうバレていて、俺が『親父宛の荷物』を持っていることも知られて
いて、様子を見に来た由真が俺の部屋にずっといて、この条件でタマ姉を誤魔化す手段……、何か、
何かないか……
「あ、そう言えば最近コレやってなかったな」
例のギャルゲーを手にして呟く由真。ったく、こんな時に呑気な――あ!
コンコン。
「タカ坊、入るわよ」
いつまでたっても降りてこない俺たちにしびれを切らし、ついにタマ姉が部屋にやって来た。
「まったく、いつまでも何して――」
部屋に入って、俺たちを見たタマ姉は――
「だーかーら、あたしはひかりちゃんルートで行きたいんだってば!」
「ったく、分かってねぇな由真は。
いいか、ひかりちゃんはな、このゲームでも一、二を争う人気キャラなんだぞ。メインヒロインの
萌子ちゃんの次にひかりちゃんだなんて、ステーキの後に寿司を食うようなもんだっての。
とりあえずひかりちゃんは一番最後にとっておいて、他の女の子を攻略しとけよ。そうだな……、
メイドのジーナちゃんなんかどうだ?」
「メイドって、あんたの好みじゃん、それ。
大体、あたしメイドって嫌いなんだよね。何て言うか、男に媚びすぎな感じで」
「おいおい、ギャルゲーでソレ言ったらお仕舞いだろ。
まぁそう言わずに、ジーナちゃんルートで行ってみろよ。一見ドジで媚び媚びなメイドさんだけど、
実は意外と――」
「三人で、ゲームしてたの?」
「あ、ああ、そうなんだタマ姉。
って言ってもご覧の通り、実際やってるのは由真で、雄二はアドバイザー、俺は……ただ見てる
だけなんだけどね」
「タカ坊、荷物はどうしたの?」
「ああ、親父宛の荷物? とりあえず押し入れにしまった」
俺の言葉にタマ姉は眉をひそめ、
「タカ坊、その荷物、ちょっと見せてくれない?」
う、やっぱそう来たか。だけど、
「ゴメン、見せられない。
中を見て分かったんだけどさ、どうも会社の重要書類みたいで、本人以外、ホントは俺も見ちゃ
いけなかった物らしいんだ。だから、いくらタマ姉でも、さ。
とりあえず親父には後で――そうだな、時差があるから夜中にでも電話して、どうするか相談する
つもり。多分、親父宛に送ることになるだろうけど」
「ふぅん……」
今ひとつ納得がいってない、と言う感じのタマ姉だったが、
「分かったわ。そう言う事情なら仕方がないわね。
じゃあそれまではこの部屋にしまっておくってことでいいのね、由真」
「あ、はい。たかあきからも頼まれましたから」
「そう、よろしくね。
ところで、由真たちはいつまでそのゲームやってるつもり? せっかくみんな揃っているんだし、
ゲームは中止して、居間に来ない?」
「ああ、ゴメンタマ姉。なんか雄二が見せたいシーンがあるとかで。なぁ雄二?」
「あ? ああ、そ、そうなんだよ姉貴。
なかなかいいシーンでさ、そうだな、あと10分くらいで見られそうなんだよ。
どう姉貴、よかったら見ていかない?」
雄二の言葉にタマ姉は軽く手を払い、
「私はそのゲーム、サッパリ分からないからいいわ。
じゃあ私、居間に戻るわね」
バタン。
よ、よかった……、タマ姉が出ていってくれた……。
俺のみならず、雄二と由真もホッと安堵のため息をつく。
「と、とりあえず最大のピンチは何とか切り抜けたな」
「で、この後どうする、貴明?」
「うーん……」
少し考えて、
「タマ姉に言った通り、押し入れにしまっておけばいいんじゃないか?
とりあえず今ので優季にも事情は伝わるだろうから、そのまましまっておけば優季も中を見たりは
しないだろうし。後はタイミングを見計らって雄二が回収すれば万事解決ってことで」
「成る程、確かにそれがいいな。それじゃ――」
俺の言葉に肯く雄二だが、
「あたし、反対」
「由真、何で?」
すると由真はやや恥ずかしそうに、
「だって……、それじゃ見れないじゃない、中身」
「消去法でいきましょう」
雄二箱の中身を見足りない由真は、いきなりそう言いだした。
「まず、あたしたちの部屋には堅物の優季がいるからダメ。環さんと瑠璃ちゃんの部屋は問題外。
となると、残る部屋は……」
「るーこと花梨の部屋、か」
「その通り。要はこの二人を仲間に引き入れて、二人の部屋に箱を移せばいいってことなのよ」
「仲間に、ねぇ……」
仲間にすると言うことは、るーこと花梨に雄二箱の中身を見せるということ。あの二人があんなの
を見て、果たしてどんな反応を示すだろうか? ……うーん、予測できない。
「大丈夫か由真? ヘタすりゃかえって危険じゃ――」
「大丈夫大丈夫。たかあきが知らないだけで、女の子は大抵こういうのに興味津々なんだから」
自信たっぷりに言い切る由真。
「けど、るーこも花梨も、普通の女の子とはチョット違うからなぁ」
「同じだよ。宇宙人だのミステリマニアだの言ってたって、女の子なのに変わりはないんだから。
まぁ、ここはあたしに任せてよ。バッチリ仲間に引き入れてみせるから」
そう言い残し、部屋を出る由真。ホントに大丈夫かなぁ?
「で、花梨に見せたいものって何なの、由真ちゃん?」
由真が、花梨を連れて戻ってきた。
「とりあえず、そこに座ってくれる?」
後ろ手にドアを閉め、花梨を雄二箱の前に座らせる由真。
「この箱がどうかしたの? もしかしてこれが環さんの言ってた、たかちゃんのお父さん宛の荷物?
でもお父さん以外見ちゃいけないんじゃ……はっ! ま、まさかこの中には、FBIやCIAが
隠し持っているUFOに関する機密情報とか、オーパーツの解析結果とか、由真ちゃんだけにUMA
の生態情報が入っているとか!?
もしかしてたかちゃんのお父さんって、そういうお仕事しちゃってる人なの!?」
いえ、ごく普通の会社員ですけど。
「由真だけにUMAって、いつか絶対言われるだろうなって思ってたのよね……。
花梨の想像してるのとは全然違うけど、これはこれで刺激的よ。ホラ」
由真は雄二箱の中から一冊の写真集を取り出すと、バッといきなり花梨の目の前で広げて見せた。
「……え? え、えええええっ!?」
たちまち花梨の顔が真っ赤になり、
「な、な、なんなのコレぇ!? え、えっちだよぅ……」
見たくないとばかりに手で顔を覆い隠す花梨だが、指のすき間からこっそり見ているのはバレバレ
のお約束である。
「そうだよ、Hな写真集だもの。他にも色々あるんだよ、ホラホラ」
雄二箱の中から次々と品物を取り出す由真。
「だ、ダメだよぉ由真ちゃん! こんなの読んだらえっちな女の子になっちゃうよぅ!」
「こんなの普通だって。いいから自分で読んでみなよ」
花梨の手を顔から引き剥がし、一冊の写真集を手渡す由真。
「や、やっぱりダメだよぅ。だって――」
花梨は恥じらいつつ、
「たかちゃんが、見てるのに……」
上目遣いに俺を見る、その仕草に思わずドキッとなる。な、何と言うか、普段とのギャップが激し
過ぎて、でも、そこがまた……
「気にしすぎだって。たかあきだって普段は、あたしたちに隠れてこういうの見てたりするんだから。
そうでしょ、たかあき?」
……いや、ね。俺も男だし、こういうアイテムを全く所持していなかったと言えばウソになるよ。
けど俺、居間で寝泊まりしてるんだぞ。あんなパブリックな空間の何処に、こんなのを隠す場所が
あると言うんだ? と、反論したいものの、今は由真に合わせるべきなので、
「……ま、まぁ、その通りです」
「ホント? たかちゃん、花梨がこんなの見て、幻滅しない?」
「ぜ、全然。いいんじゃないかな、花梨が見たって。普通の女の子なら当たり前だよ、きっと」
俺のこの台詞に花梨は安心したのか、ホッとため息をついた後、
「じゃ、じゃあ、せっかくだから……」
由真に手渡された写真集を読み始めた。かくして花梨、ここに陥落す。
「るーに見せたいものとは何だ、うーゆま?」
次に由真が連れてきたのはるーこである。花梨同様、雄二箱の前に座らせると、
「はい、コレ」
と、いきなり一冊の写真集をるーこに手渡す。
受け取ったるーこはそれを読み、そして、
「……る、るぅ〜っ!?」
真っ赤になって立ち上がり、まるで汚い物に触れたかのように手から放す。バサッと落ちる写真集。
「な、何のつもりだうーゆま!
い、いきなりこんなものをるーに見せるなんて、うーゆまはヘンタイか!?」
「変態呼ばわりはないでしょ。別にアブノーマルな行為が撮られてるワケじゃないんだし。
男と女の性の営みじゃない。るーこ、こういうの見たことないの?」
「る、るーを見くびるな!
こ、この程度の知識、知っていて当然だぞ!」
「なら、今更恥ずかしがることなんてないじゃない。
あんた宇宙人でしょ? これ見て、地球人と自分たちとで違いがあるか、あたしに教えてよ」
るーこが投げた写真集を拾い、もう一度るーこに手渡す由真。
「ち、違いと言われても……」
「ないのかな、違い?
るーこって見た目は地球人と同じだから、るーこの星でも同じなのかな?」
「いや、違うんじゃないかなぁ?
るーこの星は文明が発達してるみたいだから、子作りも機械がやってるとか」
花梨のその言葉にるーこはムッとして、
「それはとんでもない偏見だぞ、うーかり。
繁殖を機械に委ねた生物など、最早生物などではない。ただの生産品だ。
誇り高き”るー”がそのようなものだと誤解されるのは我慢ならないぞ」
「う……、ご、ゴメン」
るーこがマジで怒っているのが分かったらしく、花梨が素直に謝る。すると由真が、
「じゃあやっぱ、子供を作る方法は地球人と同じなんだ。なら、やっぱこれ見て違いを」
るーこに写真集を見せようとする由真。
「だ、だから、そのような恥ずかしいことなど、るーは――」
「調査」
不意に思いついたような花梨の一言。続けて、
「るーこって、元々地球人を調査しに来たんだよね。
なら、地球人の生殖行為を知ることも調査のうちなんじゃないの?」
「る、る〜……」
花梨の指摘に何も言い返せないるーこ。
「うんうん、調査調査。じゃあじっくり調査してね、はい、どうぞ」
由真に促され、るーこは、
「う、うー、言っておくが、これはうーかりが言うとおり、あくまで”うー”の調査だからな。
おかしな誤解をするな、うー」
俺にそう言い訳すると、床にペタンと座り、写真集を読み始めた。
読み始めの頃は嫌々と言った感じだったが、それがページをめくる内、本当に調査と割り切った
のか、それとも……
とにかく、写真集に没頭するるーこだった。るーこ、ここに陥落す。
写真集を読みふけるるーこと花梨。とりあえず作戦は成功したようだ。
「ね、あたしの言った通りでしょ」
最大の功労者とも言える由真。まぁ、胸を張る権利はあるよな。
「後は二人に事情を説明して、二人の部屋に隠してもらえばOKか。よかったな雄二」
「ああ、ありがとうな貴明。
それに由真、本当に助かったよ。今までバカバカ言って悪かったな、この通りだ、許してくれ」
「べ、別にいいわよ。今回はたまたま利害が一致しただけだから」
照れ笑いする由真。
さて、そろそろるーこたちに事情を説明するか。
「おーい、るーこ、花梨、珊瑚ちゃん、チョット読むのを止めて、俺の話を――
……え、珊瑚、ちゃん?」
「ふわ〜、すごいな〜。ウチこんなん初めて読んだ〜☆」
「げぇっ!? さ、珊瑚ちゃんいつの間に!?
って言うか珊瑚ちゃんはダメ! まだ早すぎるよ!!」
慌てて珊瑚ちゃんの手から写真集を引ったくる。
「ええ〜? なんでウチだけダメなん? 年一つしか違わないのに〜」
「だ、ダメなものはダメなの! とにかく珊瑚ちゃんはダメ!」
こんなものを読ませたと瑠璃ちゃんに知られたら、絶対後で俺が蹴られるから。という本音を隠し、
我ながら道理も何もない力押しで珊瑚ちゃんを雄二箱から遠ざける。すると珊瑚ちゃんは不満げに、
「ほなええもん。ウチ、このこと環に話したるもん」
「え? い、イヤそれはマズイ! お願い珊瑚ちゃん、それだけは勘弁!」
「ほな、ウチも読んでええ?」
珊瑚ちゃんのその言葉に、肯くしかない俺だった。
つづく。
どうもです。第55話です。
雄二箱編、ホントは今回で終わらせるハズだったのですが……(^^;
とりあえず次回も続きます。
毎度乙
さんちゃんいつの間にw
タマ姉はともかく、瑠璃には簡単に漏洩しそうな展開に……あ、そういや一応喧嘩状態だったか
とにかく乙
>>262 毎度お疲れ様です。
ちょ、さんちゃんいつの間に来たのw
やっぱり平和には終わらせてもらえないのね。
>>262 河野家喜多ーーー!!!
さりげなく花梨とるーこへのセクハラっぽい気がしますが
花梨の反応が初々しいので万事オッケーですw
で、雄二の処刑は来週に延びたわけですね^^;
しかし、由真大活躍ですなw
不覚にも黄色に萌えた(*´д`*)ハァハァ
>>262 河野家…そして
まじかるハートフルデイズ喜多ーー!!
…で、ひかりちゃんはどういう設定ですか?
269 :
231:2006/05/08(月) 22:33:24 ID:825VaicP0
>232から感想頂いた皆様ありがとうございました
>244
二次創作では照れ照れしてる事が多くて、それも可愛いし本質だと思うけど、
登場シーンあたりを読み返すに元来いくのんはけっこう殺伐としてると思うのです
個人的に『ねがぽじ』の広場ひなたと同一視しちゃってる影響もあるかもですが。
本人が坐薬入れられない事情は>9の通り。じゃあ貴明が入れるかっつーと無茶だけど
>237や>250の様に意図的な誘導だとすれば有り得なくもないかな…
>262
河野家キター!純情花梨キター!!しかもすぐ堕ちター!!!
タマ姉を回避したものの外堀が着々と埋まっていきますなw
珊瑚なんか油断すると雄二箱の中に入ってそうな気がする漏れガイル
270 :
266:2006/05/08(月) 23:00:19 ID:4Ki9np1r0
>>268 由真による「まじフル」萌子ちゃんハッピーエンドの回によれば
主人公の幼なじみで、萌子ちゃんルートでは萌子との修羅場(バーサスイベント)を
演じた上で、主人公と萌子の本当の気持ちに気づいて二人を結びつけるために
自ら身を引く設定になっているようです。
詳しくは、第36話をご参照くださいw
271 :
268:2006/05/08(月) 23:58:38 ID:dPjKQq4bO
>>252 自己免疫疾患と言う事で考えてみると、
1型糖尿病の神経障害か、体温低下による各種膠原病のレイノー現象辺りが考えられるが、
これだけで座薬が挿入不能になるとは考えにくい。
244です。
>>231様 解説どうもデス。事情についてすっかり失念してました(汁
残念ながら「ながぽじ」ってのは解らないんですが、
>「さらに趣味が悪い事にね」
>「あたし、部屋に戻ってからさぁ」
>「アンタでオナニーしたんだこれが」
流石にこれは女の子としてどうなのかとw
余計な突っ込み申し訳ありませんでした。次回も期待しています。
>流石にこれは女の子としてどうなのかとw
きっと後半読めばわかるんジャマイカ?
277 :
名無しさんだよもん:2006/05/09(火) 17:49:58 ID:WWUiCDDh0
それにしてもツッコミ所が大杉
278 :
名無しさんだよもん:2006/05/09(火) 19:03:38 ID:jsIJ0JpA0
‐ : :  ̄  ̄ : : ` : : .、
,. :'´:. : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ._
,. −//: : : : ; :': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ' : |
/ /: /: : : : : / : : : ; ' : : : : : : : : : : : : : : : :i : k -― 、
/ / : ,/: : , ': : : , : : /: : , ': : /: : : : /: : .,': .;' : l :ハ \
| /: //: :.:/ : : ; ': : :/: ., ':.//: : : : / : , ' : /:.:/:;': :l ヽ
|. l :/ l.: : /: : / : : ノ :./: /ー/ : : /: : ./; : /: :/:/:. : l l
l |:/ .| : ./: :.:l: : :./ L/_/ l / .//: : , ':// ∨:/: : : :l /
ヽ、レー |: /l: : :l : 〈 ./,r'‐_ミレ/ /:/_∠-‐_,ナ人:. : : :ヽ /
ーl:lハ∨|: ト ハ' /。::ヽ/ イ/ ,r'^ヽヾ, 〉: : :/ .ノ
l.' ̄`l、レ ヽ. {:::: :< |:゚::::_l リ//^Y、 _r'´
./ .\_ヘ⊂ ー┘ , L _> 、./' `ソ  ̄
o ,. ' .,r=ヘ. ,. -、 `ン-r'´ ヽ
>>277は変態や〜〜っ!!
, ' ./ .:ヽ、 l l , ィ \リ l o
,' , ‐'´: .: .: .: .l`ヽ、. ー '. イ | :. :. /\ i
; /: : : : : : .: .: .:..ト、 __` ´__,l.: .: .: .: .: .\ ;
、く\:. : : : : : : : : . ├-- - - -l.: .: .: .: .: : : : :ヽ、
|〉、\\ : : : : : : : : :.l l: .: : : : : : : : /. イ、
/ .\\\、 : : : : : : l l : : : : : : : ///l ハ
ハ i \\\. : : : : :.l /: : : : _, ', ' イ i ∧
.l 、 `ー - __: : .:ヘ / : : ニ イ´ i |
.|´ ヽ、 _ -‐‐`>‐l'´ノ._ i , ^ヽ|
| ` > ´. . . . . .ハ_ノ. . . . .ヽ、 i_, |
>>281 気持ちは分かるけど、せめてこのスレ見る時くらいはw
>>281 そういう時は酉をNGワード指定するがよろし。
「んっ、くっあぁっ・・・・・・」
「もう、貴明さん。動かないでください」
よく晴れた休日の午後。珊瑚ちゃんのマンションのリビング。
俺はイルファさんのなすがままに、情けない声をあげていた。
「くうぅぅっっ」
「貴明さん、ここが気持ち良いんですか?」
「い、イルファさん、ちょっと、ちょっとタンマく、くすぐったくて」
「ダーメ。貴明さん、こんなにいっぱい溜めてしまわれているんですもの。今すっきりさ
せてさしあげますからね」
イルファさんの、まるで子供を諭すような優しい声。
でもその中に、獲物をいたぶる猫のような響きが含まれているのは俺の気のせいだろう
か。
「も、もういいってば。もう十分してもらった・・・ぅわぁぁぁ」
だめだ。いくら我慢しようと思っても、イルファさんの指が動くたびに情けない声が口
から漏れてしまう。
下手に動けないって言うのが、さらにこちらの感覚を鋭くしているんじゃないだろうか。
それをわかってかわからずか、多分後者だと思うけど。イルファさんがその動きを速め
てくすぐってくる。
「もう少しだけ我慢してくださいね。もうちょっとで終わりですから」
イルファさんが耳元で囁いてくるけど、もう何を言っているのだかよくわからない。
俺はとにかく背筋を走るくすぐったさを我慢するので精一杯で・・・・・・くぅぅぅぅっ、
イルファさん、そこ、俺弱いっ!!
「はい、終わりです。お疲れ様でした」
そして耳に吹きかけられる、イルファさんの甘い息。
とうとう我慢も限界を超えて、それまで頭を乗せていたイルファさんの太ももから飛び
起きる。
「い、イルファさん!?」
「あら、気持ちよくありませんでしたか?」
クスクスと人の悪い笑顔をするイルファさん。
そりゃ、気持ちよくないって言えば嘘になるけど、だからってここまでしてくれなくっ
たってよかったのに。
「そうですか? でも貴明さん、して差し上げている最中、とても気持ち良さそうなお顔
をしていらっしゃいましたよ?」
そういって自分の口の端のところを指をあてる。
イルファさんのその動作がどう言う意味かに気が付いて、慌てて口をぬぐうけど、でも
俺、そこまでだらしの無い顔してたんだろうか。
「それではまた今度して差し上げますね。それにあまり溜めてばかりいらっしゃいますと、
本当に病気になってしまいますよ」
そう言われると面目が無い。
さっきから俺とイルファさんが何の話をしているかと言うと、耳掃除の話。
朝からなんだか耳の中がゴロゴロするんで、イルファさんに耳掻きの場所を聞いただけ
だったんだけど。俺の耳の中はイルファさんの何かを刺激するには十分だったようだ。
・・・・・・今度からはもうちょっとマメに掃除することにしよう。自分で。
「そんなぁ。耳をお掃除している時の貴明さん、とても可愛らしかったですのに」
残念そうな顔をするイルファさん。
・・・・・・たまには、またお願いしても良いかもな。気持ちが良かったのは確かだっ
たし。
それにしても、誰かに耳の中を掃除してもらうことがこんなに良い気持ちになれるなん
て知らなかった。もうほとんど覚えていないけど、ずっと昔母さんにしてもらったときも、
こんな気持ちで俺はいたんだろうか。
「それじゃあイルファさん」
「はい?」
首をかしげて聞き返してくる。
「今度はイルファさんの番だね。お返しにしてあげるよ」
「え、で、ですが貴明さん」
そう言ってイルファさんは手をアンテナに、人間だったら耳のあるところにあてて視線
を泳がせる。
普段あまり見れないイルファさんの慌てた姿を見れて、少しだけ得をした気分だ。
「でもそのアンテナ、はずすと俺たちみたいな耳があるんでしょ。って、珊瑚ちゃんから
聞いたんだけど」
「それは、そうなのですが」
イルファさんは顔を赤くしたまま黙ってしまう。
あれ、もしかしてメイドロボに耳って、あんまり見せたくないものなのか? 普段はずっ
と隠れているわけだし。
「貴明さん!」
「は、はいっ」
いきなり、イルファさんが目の前にアップで迫ってくる。なんだかその凄い迫力に体が
後ろに下がってしまう。
「どなたにでも、お見せするわけではありませんからね。貴明さんだから、その、恥ずか
しいですけどお見せするのですから。そこのところを誤解なさらないでくださいね」
俺がうなずくと、イルファさんはゆっくりと、その耳のところにあるアンテナを外して
いく。
思わず唾を飲み込んでしまった。
イルファさんがあんまりにも必死になって言うもんだから、こっちまでなんだかひどく
緊張してしまう。
そしてアンテナが外れると、そこには普通の、何の変哲も無いふつうの人と同じ耳があっ
た。
「変、ではないですか?」
「い、いや、別に変じゃないよ。可愛らしい、イルファさんらしい耳だと思うよ」
イルファさんらしい耳って言うのがどんな耳なのかは知らないけれど、このなんだか辺
りに漂う気まずい空気に、何かを言わなくちゃいけないような気分にさせられた。なんだ
かホっとしたような、それでもなんだかイケナイことをしているような。
「そ、それじゃあイルファさん、こっちに来て」
俺が正座をしてイルファさんを呼ぶと、やっぱり恥ずかしそうに頭を、俺の膝の上に乗
せてくれた。
キスするときと同じくらい、イルファさんの横顔が近くにある。
うわぁ・・・・・・
メイドロボのアンテナは、人とメイドロボを区別するためにわざと付けているんだって、
珊瑚ちゃんは言ってたけど。
本当に、今のイルファさんは人間の女の子と変らない。こっちが動くたびに、体がビクっ
と反応するところとか、俺の手が触れたとたん、耳の先まで真っ赤にして恥ずかしがって
くれるところとか。
「い、いくよ」
意を決して、イルファさんの耳掃除を始める。
とは言っても実際、イルファさんに本当に耳掃除をしなきゃならないようなことは無い
わけで。だから耳掃除といっても、耳掻きで耳の入り口のところを軽く掻き回すだけ。
コチョコチョと指先を動かして、イルファさんの耳をくすぐっていく。
「んっ、あ」
すると、イルファさんの体がビクっと震えた。
「ご、ごめん、痛かった!?」
「い、いえ。初めてのものですから、まだ慣れていなくて。大丈夫ですから、続けてくだ
さい」
横顔で、俺の顔を上目遣いで見上げながら口を硬く結ぶ。多分無意識にだと思うけど、
手は一生懸命に俺のズボンの端を掴んでしまっている。
コチョ コチョ コチョ
「んっ──あ、ああっ」
それでも我慢しきれないみたいで、最初のうちは耳掻きの先が触れるたびに声を上げて
いたんだけど。
そのうちだんだんとその声も弱くなっていって。5分もたつと、ぐったりと俺の膝の上
に横になるだけになってしまった。
「イルファさん?」
耳元で呼びかけてみても、何の反応も返ってこない。
トロンと溶けてしまったような目で、浅く呼吸を繰り返すだけだ。
「ちょっと、やりすぎたかな」
でも、たかだか耳掃除でここまで放心してしまうなんて想像してなかったし。
そりゃ、イルファさんが感じやすい体をしているって言うのは知ってたけど。やっぱり
普段隠れている部分って言うのが理由なんだろうか。外からの刺激には慣れてないってい
うか。
「イルファさーん」
もう一度呼んでみてもやっぱり気が付かない。
イルファさんはほんのりと赤い表情で・・・・・・い、いかんいかん、何を変な想像を
してるんだ俺は。
つい、あのお風呂でのことを思い出しそうになり必死になってその想像を打ち消そうと
する。だってイルファさん、みょうに色っぽい顔してるんだもの。
これ以上変なことを考える前に、なんとかしてイルファさんを起こさないと。
けれどイルファさん、少し揺さぶったくらいじゃとても気が付いてはくれそうに無い。
「仕方が無い。本当は恥ずかしいけど、イルファさんを起こすためだもんな」
意を決して俺は、顔をイルファさんの耳元に近づけて、さっきイルファさんが俺にした
みたいに息を。
「ひゃぁぁぁぁ!?」
効果は抜群だったみたいだ。
いままで何の反応もしなかったイルファさんが、まるでバネ仕掛けの人形みたいに飛び
起きた。
「た、貴明さん!?」
「おはようイルファさん。気持ちよかった?」
俺がそう言うと、今まで自分がどういう状態だったのか思い出したみたいだ。今度は顔
を真っ赤にして恐縮してしまう。
「イルファさんが気持ちよくなってくれたみたいで俺も嬉しいよ。でもイルファさん、耳
も感じやすかったんだね」
「えっ、いえ、そんな・・・・・・貴明さん、だけなんですからね」
そういって恨めしそうな視線を送ってくる。
こんな照れた顔のイルファさんもなかなか可愛い。
「それじゃあイルファさん」
俺がもう一度イルファさんを見つめると、なんとなく嫌な予感がしたのかイルファさん
の体が硬くなる。
「あの、な、なにか?」
「右の耳は終わったから、次は左の耳だね」
もう一回、必死になって我慢するイルファさん。
耳掃除が済む頃には、もう息も絶え絶えで体に力がはいっていなかったけど。
もしイルファさんが嫌でなかったら、またしてあげたいと思う。
俺の膝の上で横になるイルファさんは、とても幸せそうだったから。
終
それっぽい文章書くのは難しいね。
>>296 上手いなw
王道と見るか、ありがちと見るかで評価が分かれそうだけど、俺は大好き。
イルファが悶える様がタマラン。
意味がないと理解しつつも耳掃除を試みる貴明のエロさに乾杯w
>>296 メイドロボに耳掻きをしてあげる、という無意味な行為が
これだけエロくなるってところが素晴らしいw GJ!
>>296 GJ!ただ題名で1/11の頭からネタバレだったのが残念。
これがなけりゃ3/11まではドキドキできたんだが。
>>300 確かになぁ。
こういうミスリードさせるような話の場合、タイトルもぼかさないと。
−1.Manaka Komaki−
「貴明っ」
彼を見つけ、心なしか弾んだ声で呼んでくる少女。
去年、彼と出会った当時の彼女を知る者ならそれだけで驚くと思う。
「お待たせ、郁乃」
「あれ、お姉ちゃんは?」
あたしはさっきまで彼と一緒にいた。
普通なら一緒に来て郁乃と帰るんだけど、今日に限っては違う。
ある準備のために郁乃に見つからないよう、こっそりと別のルートで
帰ることにしていた…んだけど、こうして陰から盗み聞きしているとは我ながら趣味が悪い。
「ああ、ちょっと用事があるから俺達で帰ってくれって」
「ふーん。ま、いいわ。それじゃ行きましょ」
素っ気無い返事をすると郁乃は先に立って歩き出す。
こういう態度を取る時、実はちょっと寂しがっていたりする。それを
知っているのはあたしと彼…たかあきくんだけだ。
「…なによ?」
「いや、何でもない」
たかあきくんが何か言いたげなのを察したのか、ちょっと怒った口調。
でも以前のような棘っぽさはない。それだけでなく、なんだか…嬉しそう?
「あんたと二人で帰るのも久々ね」
「そういえばそうだな。いつも三人揃ってだったし」
三人で登校し、昼休みも屋上で三人で昼食をとりながら過ごす。
放課後は書庫で習慣となったティータイム。本の整理が終わった今でも
それはずっと続いている。
「♪〜」
何かの歌を口ずさみながら彼の隣を歩く郁乃。
本当に楽しそうである。
(でも…あの二人がこうやって一緒にいるのも当たり前になったよね)
彼女も色々変わった。背も伸びたし、成績なんて学年トップクラスだ。
それに――綺麗になったと思う。
恋は女の子を変えるという。
郁乃を一番間近で見てきたあたしはそれを実感していた。
「…あたしもたかあきくんと二人で帰りたいところだけど」
今日は土曜日。他の人には普通の土曜日だけどあたし達には特別な日。
なんてったって、今日は郁乃の誕生日なのだ。
今日だけは、たかあきくんと二人で帰ることを許可する。
(でも今度は一緒に帰るんだからぁ〜っ!)
ああ、でもこの帰りだけじゃないんだ。
この後もたかあきくんと郁乃は二人で過ごすって計画なんだよね。
どうしてかって、それがあたしからのささやかな?プレゼントだから。
ちなみに郁乃はそんなことは知らない。
郁乃の誕生日だからちょっとどこかに遊びに行こうか、と誘って
待ち合わせ場所と時間を教えておいただけ。
なので、郁乃はあたしも一緒に行くと思っているはず。
「――さて、あたしも行かないと」
この後のことはたかあきくんに任せてある。
あたしは自分の出番に備えなくては。
−2.Ikuno Komaki−
1時に駅前で待ち合わせ。お姉ちゃんから聞いたのはそれだけ。
お姉ちゃんも来るの?と聞いたけど言葉を濁して答えなかった。
「郁乃」
貴明は駅の改札から少し離れた柱の前に立っていた。
お姉ちゃんの姿はない…ということは。
「まさか、あんたと二人だけ?」
「ああ。駅前で待ち合わせ、出かけるのは俺とお前だけ。説明が必要か?」
待って、あっさり言ってくれるけど。つまりこれって――
「…デ、デートってこと?」
「そう思うかどうかはお前次第だ」
ちょっと待った。あたし何も聞いてない。
貴明と二人で待ち合わせして、しかもこれからデート?
(――もしかしてはめられた?)
お姉ちゃんがやけにニコニコしながら待ち合わせのことを話すから
怪しいとは思ったけど。
「帰っていい?」
「ダメだ、愛佳からお前のことを頼まれてるから」
そう言ってぐっと手を掴まれる。
…頼まれたということは、やっぱりこれはお姉ちゃんの差し金ってことか。
どういうつもりなんだろうか、敵に塩を送るような真似をして。
あ、もしかしてさっきの帰りも?
「…離してくれる?」
「あ、悪い」
痛かったとかそういうわけじゃない。
温かかった。許されるならもうちょっとあのままでもよかったけど、
周りにいっぱい人がいることが気になって、今は恥ずかしさの方が
優先してしまった。
「ふう、お姉ちゃんの頼みなら仕方ないわね。で、どこに行くの?」
「そうだな。お前はどこか行きたいところあるか?」
そう言われてもすぐには思い浮かばない。この状況は予想外だ。
正直に言うと、貴明とデートというだけで舞い上がってしまっている。
顔だけは平静を装っているけど、気を抜くと本当に…まずい。
「貴明に任せるわ。慣れてそうだし」
「慣れてるってほどじゃないぞ。それに…相手が違う」
最後にぼそぼそ呟きながら頬をかく貴明。
へえ…もしかして貴明も照れてる?そっか、そうなんだ――
「あ…」
そっと手を握られる。
知らない感覚。嬉しいような恥ずかしいような、でもなんだか幸せな。
「デ、デートだし…な」
「そ…そうね」
お互いに赤くなりながら歩き出す。手はもちろん繋いだままで。
今更だけど言っておこう。あたしは女である。
にも関わらず服装なんてものにそこまでこだわった記憶はない。
おしゃれする理由が見当たらなかったからだ。
それに長い通院・入院生活を送ってきたから、そんなものにこだわる必要もなかった。
「だからこそこういう時くらいは悩んでいいと思うぞ」
「ん〜、あたしこういうのはよくわからないのよね…」
服を買わないこともないんだけど、自分で選ぶのは割とシンプルな
デザインのものが多い気がする。持っている服の多くはお姉ちゃんの
お下がり。…別にいいじゃない、気に入ってるの多いんだし。
「派手なのはダメ?」
「そうね、どちらかといえば薄い色か暗い色の方がいいかも」
「んー、そうしたらこの辺りか…ちょっと着てみるか?」
なんだか慣れてるなあ…貴明はこういうのは苦手そうなイメージが
あったんだけど、もしかしてお姉ちゃんあたりが仕込んだんだろうか。
「なんか意外そうだな」
「そりゃね」
疎いのもそれはそれで貴明らしいとか思っちゃったり。
そんなことを言えばしかめっ面をするに決まっているけど。
「愛佳と付き合い始めた頃、タマ姉や由真に『格好にも気を遣いなさい』って
色々仕込まれた。もう過去のことだ、多くは語るまい…」
「…ご愁傷様」
貴明から服を受け取ると試着室に入り、鏡に映った自分の姿を見る。
――同じ年頃の女の子と比べると、あたしにはきっと魅力がないと思う。
今更それを病気のせいだとか言って拗ねるつもりはないけど。
「サイズ合ってるか?」
ええもう、バッチリ。
「…スケベ」
「ちょっと待て、それはどういうことだっ」
言いたくもなる。どれもこれも、どうしてここまであたしの身体にピッタリ合うのかと。
いつの間にかスリーサイズを計られていたんだろうか…ってそれはないか。
(お姉ちゃんが教えたのかも知れないけど)
でもあたしはお姉ちゃんには言ってない…何で知ってるのよ。
「どうだ?」
「――悪くないかな」
答えながら試着室を出る。そして一番最初に見たのは、貴明の驚いた顔だった。
「…予想以上だ」
「悪かったわね、元が可愛くなくて」
「そういう意味じゃないって。いや、本当に似合ってる。その…可愛い」
――照れる。彼の表情と言葉があまりにもストレートすぎて、あたしはうつむきながら
自分の格好を改めて見直す。
「お、おかしくない?」
「おかしいもんか。どうだ、気に入ったか?」
「…非常に悔しいけど、気に入ったわ」
何が悔しいのかと。貴明に服を選んでもらってその上、目の前でお披露目である。
まっすぐな瞳で似合ってる、可愛いとまで言われてはつい頬が緩むのも致し方なしか。
「彼女さんのコーディネイトはこれでよろしいですか?」
「あ、はい…って、え?」
店員さんの言葉にうろたえつつ答える貴明。
彼女さんとはあたしのことだろう。他に誰がいるわけもない。
貴明が何か言おうと口を開く前に、あたしは店員さんに言った。
「すみません、彼の方もお願いできますか?」
「ええっ!?」
「はい、かしこまりました」
「いや、ちょっと…」
これは完全に予想外だったらしい。
あわてる貴明に店員さんは笑いかけながらメンズコーナーに連れて行く。…ちょっと面白かった。
「まったく、まさか俺まで買うことになるとは」
ぼやいてはいるけど、そうまんざらでもないらしい。
事実、今の格好は貴明に良く似合っていた。言わないけど。
「お、もうこんな時間か…」
「何か予定あったの?」
貴明はポケットから2枚のチケットを取り出した。
歩いている方向には映画館。映画でも見るのだろうか。
「デートで見るようなものじゃないんだけど…な」
苦笑する貴明。
知らない映画のタイトルだけど、戦争の中で生きる人々をテーマにした内容らしい。
「実は、愛佳と初めて見た映画も同じようなやつだったんだ」
「へえ。でもそれとは別物なの?」
「中身は違うけど監督は同じだな。俺達が見たものの続編にあたるらしい」
同じ監督、同じテーマの映画。
去年はそれをお姉ちゃんが観て今度はあたしが観る。
「こういうのが嫌ならやめるけど」
「いいわよ。わざわざチケット買ってきたんでしょ?観ないともったいないわ」
「そう言ってもらえると助かる」
受付でチケットを渡して館内に入る。
週末だからか、お客さんは結構な数だった。デートで見るような映画じゃ
ないと貴明が言った割には、カップルらしき男女をちらほら見かけた。
自分もその中に入っているんだと思うと、また頬が熱くなる。
「郁乃、こっち」
「あ…うん」
貴明に手を引かれて席まで移動する。
今まで彼に触れることはほとんどなかったのに、どうして今日はこんなにも
貴明の手の温もりを感じる機会が多いんだろう。
−3.Takaaki Kouno−
「ひっく…うう」
「ほら、ハンカチ」
差し出されたハンカチを受け取り、まだ涙の止まらない目に当てる。
ここまで泣くとは正直予想外だったな。
「あ、あんたは泣かなかったの?」
「いや、泣いた。お前より立ち直りが早いだけ」
さすがに郁乃ほどは泣いてない。
でも、前作を超える感動を呼び起こす物語だったのは確かだ。
主演俳優の演技もすごく良かったし、名台詞も多い。
今度、この監督の作品を探してみようかなんて思った。
「…ごめん、洗って返すから」
「ああ、気にするな。こっちはお前の泣き顔を見れたからそれで十分だ」
まだちょっと涙を残す郁乃にぽかぽかと頭を叩かれる。
悪い悪いとなだめながら時計を見るとちょうどいい時間だった。
「さて、それじゃディナータイムと行きますか、お姫様」
「ディナータイム?」
晩飯とかではなく、ディナーとわざわざ呼び方を変えたのには訳がある。
郁乃の服をコーディネイトしたのはディナーのためにというのもあった。
せっかくの郁乃の誕生日、いつもよりおしゃれして夕食も悪くない。
…俺まで服が変わったのは予定外だったんだけど、結局は後で着替えが
必要だったんだからまあいいか。
財政がピンチになってしまったのはこの際どこかに放り投げておく。
「――ねえ、ちょっと」
「なんだ?」
いかにも高級そうな店の前に来ると、郁乃は俺にくっついたままで
少し不安そうに尋ねてきた。
「本気?」
「冗談でこんなところに来ると思ったか?」
「…冗談じゃないのね」
ここまで来ておいて今更冗談はないだろう。
時間はちょうど夕方の6時。愛佳『達』の方も準備できているはずだ。
いかにもお金持ちが入りそうなこの店が、今日の誕生日デートの
締めくくりとなる場所なのだ。
「…貴明にこんな店に連れて来れる甲斐性があるなんて」
「なんか今、ものすごく失礼な発言が聞こえた気がしたが」
「空耳じゃない?」
現実として俺だけじゃこの店に郁乃をつれて食事に来るなんて事はもちろん不可能だ。
その不可能を可能にしたのが――
「いらっしゃいませ」
店の入口にてスーツ姿で俺達を出迎えている、由真なわけだ。
普段からは想像しにくいが、その姿は凛としていて格好良さすら感じる。
「ゆ、ゆっ、由真さんっ!?」
「こんばんは郁乃ちゃん、それとたかあき。なに、あんたまでしっかりいい格好してるじゃない」
「ちょっと予定が変わってさ。時間、早かったかな?」
「ジャストタイミング。それではお客様、こちらへどうぞ」
大人の女性の微笑みを浮かべて由真が俺達を席へと案内する。
うーん、雰囲気が全然違う。
「ふふん。なによたかあき、もしかして惚れちゃった?」
「ああ、今日の由真はかっこいいと思う」
「ありがと。でも今日の主役は郁乃ちゃんなんだから、それを忘れちゃ
だめだからね」
「もちろん」
案内された席には4人分の食器が用意されていた。
内2人は俺と郁乃、そして3人目にこのディナーの主催者である由真。最後の一人は…
「お、おかしくないですか〜?」
「ほっほ、よく似合っておるぞ。ほれ、早く行ってやりなさい」
ダニエルのじいさんに促されて白いワンピース姿で登場した愛佳だ。
髪留めもいつものではなく花をあしらった特注ものだ。
へえ、あんな服も持ってたのか愛佳は…よく似合っている。
「た、たかあきく〜ん…ヘンじゃないかなあ?」
「そんなことない。ホントに似合ってるよ」
「そう、かな?うふふ」
俺の一言で安心したのか、最後に空いていた席に腰を下ろす。
どうやら給仕はダニエルのじいさんがやってくれるようだ。
やがて料理が運ばれてきて、各自のグラスにシャンパンが注がれた。
「今日はなんか仕返しされた気分ね」
「そんなつもりじゃなかったんだけど」
「わかってるわよ。でも貴明とデートだとか、こんなところに連れて来られたり
したら、そりゃびっくりするじゃない」
びっくりしてくれたという点では、愛佳の思惑通りだったということだ。
でも喜んでくれるかどうかは俺次第だったわけで。
その点についても彼女としては嬉しく思ってくれているらしい。
「由真、わしは少し奥で休んでおるから何かあったら呼んでくれ」
「わかった。ありがと、おじいちゃん」
支援
落ち着いた雰囲気のな店内にクラシック音楽が静かに流れる。
由真に倣って俺達はグラスを手に持った。
「こほん。それでは、郁乃ちゃんの誕生日を祝って――」
「「かんぱーい」」
チン、とグラスの乾いた音が響く。
出された料理に関してはフォークやナイフの使い方などをあまり気に
しないでいいようなメニューを選んでくれていた。
その細かな気遣いもありがたかった。郁乃はこういうのは慣れていない
だろうし、俺もきちんとできるわけじゃないから。
「でも由真、よくこの店を使わせてもらえたな」
「オーナーが来栖川関係の人なのよ。うちのおじいちゃんとも付き合い長いし、
今回のことを話したら快く引き受けてくれたの」
由真にとってもこの店のオーナーは昔からの知り合いらしい。
なるほど、こんな高級店を借り切ろうなんて普通は出来ない。来栖川の
執事である長瀬家のある意味特権なのか。
「あ、別に長瀬は関係ないわよ。あたし個人で頼んだんだから」
「そうなのか?それでよく許可もらえたな」
「…ここのオーナーもおじいちゃんと同じだから」
なんでも小さい頃から本当の孫のように可愛がられていたとか。
あと、ダニエルのじいさんの例に漏れずスリスリされてヒゲが痛かったらしい。
「なるほど、孫娘としての特権みたいなもんか」
「そんな感じ」
でも、これも由真の立派な人脈だ。
本人は執事になる気はないらしいけど、こういう人脈は将来きっと力になる。
「――」
「どうしたの、郁乃?」
黙っている郁乃に愛佳が声をかける。
「うん、あたしのためにここまでしてもらってよかったのかな…って」
「いいに決まってる。だから今こうしてるんだろ?」
由真と愛佳も同時にうなずいて肯定する。
郁乃を大切に思っているからこそ、由真もこの場所をセッティングして
くれたんだから。そして、もちろん愛佳も。
「遠慮することないさ。じゃんじゃん食べて飲んじゃえ」
「む、そんなにがっついてない」
と言いつつもすでにエビグラタンを平らげてしまっているあたりは
さすが愛佳の妹か。ちなみに愛佳も郁乃とほぼ同時に平らげていた。うむ、やっぱり姉妹だ。
「あ、そうだ。持ってくるものがあったんだ」
何かを思い出して愛佳はキッチンの方に入っていった。
やがて白い箱を持ってこちらへ戻ってくる。
「誕生日にケーキは外せないよね」
「ああ、愛佳がさっき焼いてたやつね」
「うん。もういい頃合だと思うんだけど…はい、郁乃。開けてみて」
差し出された箱のフタをそっと外す。
真白いスポンジの大地からクリスタルのような木の枝が何本も伸びていた。
すごい…こんなデザインのケーキは見たことがない。
「これね、溶かした飴の糸でできてるの」
「飴なのか、これ?」
「見せてあげたかったわね。愛佳がこう、サーッと銀色の飴の糸を空中に
飛ばして、冷やしたそれをこの土台に植えたのよ」
それがこのクリスタルの樹の正体。
土台にもいい香りのする花びらのようなものが散りばめられていて、
すごく神秘的な感じがする。一つの芸術品の域じゃないだろうか。
「綺麗だな」
「うん…食べちゃうのがもったいないわね」
「や、ダメだよお〜。せっかく作ったんだから食べて食べて」
愛佳に急かされて「はいはい」とやむなくケーキにナイフを入れる由真。
それを見ながら、郁乃が嬉しそうに涙ぐんでいるのを見たのは俺だけだった。
「ごちそうさまでした」
「今日は本当にありがとな、由真」
「どういたしまして。ひとつ貸しにしとくからね」
店を出る頃には夜8時前だった。
夜空には満天の星。月明かりが街灯の少ないこの道を明るく照らしていた。
「それじゃ行くか」
「うん。あれ、お姉ちゃんは?」
愛佳はこちらに来ようとしない。由真と残るつもりなんだろうか。
「あ、あたしはもうちょっと話してから帰るから」
「そうなのか。待ってようか?」
「ううん、先に二人で帰ってて」
うなずいてそれじゃ、と手を上げて背を向ける。
「――郁乃」
歩き出そうとした俺達の後ろから愛佳が声をかけてきた。
「…ファイトっ」
拳をぐっと握り締めて。
愛佳は笑顔で郁乃を送り出した。
「言われなくても…頑張ってみるから」
「ん?」
「なんでもない」
−4.Epilogue−
また、いつの間にか手を繋いでいた。
これで今日何度目なのか。あたしは手の温もりを感じながら貴明にうまく
話しかけることもできずに、ただうつむき加減で彼の後ろを歩いていた。
「郁乃、どうかしたのか?」
立ち止まって振り向く貴明の顔を見上げた。
…鼓動は速く、顔は熱くなり、喉は渇いていく。
「貴明…」
「ん?」
握った手にぎゅっと力を込める。
今はこの温かさを離したくない。お姉ちゃんという恋人がいたとしても。
ううん、今だけじゃない。これからもずっと。
それがわがままに過ぎないと分かっていても、離れたくなかった。
「――えっと」
なのに、それを言葉に出来ない。
恋愛対象じゃなくていい。彼女になれなくてもいい。ただ、傍にいたい。
気持ちを伝えたいだけなのに口は動いてくれなかった。
(それなら…)
身体はなんとか動く。
気力を振り絞って、あたしは彼の目の前に一歩踏み出す。
「え?」
「――ちょっとだけ、ごめん」
貴明の身体を引き寄せて、精一杯背伸びをして。
月明かりの下、あたしは貴明にキスをした。
「あ、え…え?」
「……っ」
距離が開く。
貴明の顔をまともに見られない。恥ずかしさと、怖さでただうつむく。
自分からキスしておきながらその後のことを今更思い、肩を震わせる。
「郁乃…その」
戸惑う貴明の声。
そんなの当たり前だ。彼にとってあたしは小牧愛佳の妹でしかない。
いきなりキスなんかされたって迷惑なだけ。
「――ごめん」
だから、最初にそう言った。
それだけ言ってこの場を走り去ってしまおう、そう思ったのに今になって
あたしの口はお喋りになる。
「好きだった。ずっと、好きだったの。でも貴明にはお姉ちゃんがいるし、
あたしは…その、こんな性格だし」
言い出したものの顔はうつむいたままだし、最後には小声になっていく。
ああ、あたしってこんなにも臆病だったんだっけ。
「こんな奴だから好きになってもらえないのも分かってる。でも、この
気持ちだけ伝えたかったから」
「郁乃…」
「ごめん…勝手だなあ、あたしって」
あたしが今日ここで自分の気持ちを伝えることがお姉ちゃんの望みだった。
でも、辛いよ。なんか視界がかすんでくるし、我慢して黙ってればよかった。
ほら貴明だって困ってる…
「――え?」
いつの間にか。
手だけじゃなくて、あたしの全身が温もりに包まれていた。
「そんなこと言われたら…俺、どうしたらいいんだよ」
身体が温かいのは貴明に抱きしめられているせいだと気付くのに
しばらくの時間が必要だった。
「愛佳のことは今でも好きだ。でも、今はお前のことも同じくらいに
想ってるなんて言えるわけないじゃないか」
「たか、あき…」
言ってしまえば、それは浮気してるということだから。
真剣な気持ちであっても言えるはずがなかった。
「このまま黙ってられたら良かったのにな」
「あたしのせい?」
「まったくだ。どうしてくれるんだよ」
くすくす笑いながら抱き合っている二人。
困ったものだ。あたしは姉の恋人に恋して、彼は姉妹二人に恋している。
「――せめて数年後にはどっちかに決めなさいよね」
「ああ。だから今は…」
この温もりを離すことのないように。
いつか道を決める時が来るまでは…繋いだ手を離さないように。
>ID:bi9WCBdk0
リアルタイムに遭遇したのは久し振りだ。
いくのん、かわいい。
テラGJ!!
後書き。
>>90-97 郁乃SS「彼女が望むもの」
>>131-144 愛佳SS「彼女が願うこと」
上の二つの続きになります。今回の「今は、この〜」単独で読むと
おかしく感じるかもしれません。上二つを前提にして書いています。
>>312 支援どうもでした。
>>320 GJ!
ちょっとだけ郁乃が郁乃っぽくないかなって思わなくもなかったがそれを差っ引いてもGJ
ご都合主義万歳
322 :
312:2006/05/11(木) 02:11:54 ID:hwnWxinR0
>>320 どういたしまして。
そして、郁乃んの誕生日喜多ーーー!!!
以前のリクエストに応えていただき、ありがとうございます^^;
今週の河野家といい、由真が活躍するのが昨今の流行なのでしょうか?w
なんか郁乃んが素直だけど、特別な日だからOKですよね。
謹んでGJ!を贈らせてもらいます。
しかし、上のSS「オトナになる方法」の郁乃んと見比べると
そのGAPに、目がくらくらしますw
誤解を受けないようにイっておくと、どちらも好きですけど。
>>320 乙&GJ
>>321も言ってるけど確かにちょっと作者の設定が色濃いいくのんだな
だがかわいいから何の問題もない
かわいいは正義
それよりも愛佳がちょろっと気になったかも
二股Endの立役者なんで俺的には大いにGJだが、読者的には何考えてるのか分からなくて気になった
キャラの名前だけ借りた別物になるのは二次創作でありがちな失敗。
>>324 それが鬱方向に行くと、虹の欠片のように批判され
それが萌方向に行くと、今回のように賞賛される
なんつーか、TH2はいいな。裾野が広くて、二次創作にうってつけだw
「ちょっと雄二!!何?この大量の駄菓子は!!」
「何って…その、うまか棒。知らないのか?」
「そうじゃなくて…」
ワシッと姉貴の指がこめかみに食い込み、そして…
「あんなに大量にどうするつもりなの!!!」
「ぎゃぁぁぁーー!!」
ギリギリと頭蓋骨を圧迫する。
「ずびばべん…もう…許してくだざひ…」
抵抗しなくなった俺に興味をなくしたのか、手の力を弛める。
ぐしゃり…と床に崩れ落ちる。
「…たく、この子は。部屋は汚いし、服は脱いだら脱ぎっばなし…。パソコンもつけっぱなし。
どうせ、エッチなゲームでもしてたんで……何、これ?
『一時間で500行ったらうまか棒1000本うp』?」
(あっ!?やべぇ…)
「………」
姉貴は無言で画面を覗きこむと、おもむろにキーボードを手にする。
俺は自分の目を疑った。
そこには…
『IDが同じなら
>>1は私の弟。』
「ま、まさか姉貴…。」
俺は両腕を水平にし、片足を上げる。
「ブ…、ブーーーン」
「ちょwwブーンktkr」
どっからどう見てもVIPPERでした。
ありかとうございます。
『ピンポーン』
来客を伝える呼び鈴の音が、俺の眠りを妨げる。
【春眠暁を覚えず】という言葉があるように、春というのは睡眠欲が通常より増すものなのだ。
と、言う事で居留守を決行することに。
どうせ知り合いでも、このみやタマ姉や雄二だろうから、さほど問題ないだろう。
俺は布団を被り、外と自分の世界を隔離する。
再度ならされる呼び鈴の音を極限までなくして、再び夢の世界へと旅たつ準備をする。
訪れる静寂。どうやら、あきらめて帰ったようだ。
『ピンポーン』
「ああ、もうっ!」
少し経った後にまたなったので、いい加減諦める俺。
ベッドの磁力に抵抗するように這い出て、階段をノロノロと下りていく。
「はいはい、何かようですか?」
玄関の扉にてをかけて開けながら、いかにも不機嫌そうな声でいった。
眠気眼で見た来客を見て、固まる。眠気なんて、どこかに吹き飛んでいた。
来客は唐突に俺に抱きついてくる。そして、本当にうれしそうな、涙声で言った。
「会いたかった…。ずっとずっと、会いたかった…」
俺は未だ固まっている。なぜなら、その来客は本来ならばこの国にいるはずのない――
「ささら…?ど、どうして…?」
そう、ささらだった。前に会った時よりも、少し大人びているように見えるけど、間違いない。
「私…帰ってきたの…。日本に…。貴明さんのもとに…」
ああ、そうか。そうじゃなきゃ、ここにいるはずないよな…―――
「って、ええええええええ!?」
やっと正常稼動し始める俺の体と思考。
「何で前に言ってくれなかったの…?」
危うく居留守を決行するところだった…というのは、言わずにおく。
すると、ささらは驚いたような顔をする。
「手紙で送ったはずだけど…」
「え…届いてないよ…」
「1ヶ月以上前にだしたから、届いてないはずないと思うわ…」
「ま、まさか…」
俺は、【あの人】の顔が頭に浮かぶ。ささらも、俺と同じ思いのようだ。
『何も知らないでさーりゃんとたかりゃんをあわせたほうが面白そうだ』とかなんとか意味不明な理由で
俺の家のポストから手紙を抜き取ったんじゃ…。つか、なんでその内容の手紙だって分かったんだ!?
まぁ、そんなことはどうでもいい。今はまず――
「2年ぶりだね…。おかえり、ささら」
俺は、ぎゅっと彼女の体を抱きしめる。
「うん、ただいま。貴明さん」
ささらは、さっきより強く俺を抱きしめ返した。
ああ、本当にささらだ…。間違えない…。ささらだ…。
抱きしめながら、そんなことを考えていた。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
俺の薦めから、家の中に入るささら。
リビングのソファに座って待ってもらっている間に、せかせかとお茶の準備をする。
「あ…これ…」
そういって立ち上がり、歩き出すささらの向かう先は――
「これ、大事にしててくれたんだ」
――春休みにもらったオオサンショウウオのぬいぐるみ。
「せっかくのささらからのお土産だからね」
俺は、苦笑しながら言う。男がぬいぐるみを大切にするってのが、恥ずかしかったからかもしれない。
「ささらも、俺のプレゼントしたリボン、つけてくれてるんだね。ありがとう」
そう言うと、ささらはばつの悪そうな顔になり、えっと…その…を繰り返す。
嫌な予感を覚えながらも、ささらに尋ねる。
「もしかして、俺のじゃない?」
「ち、違うわっ!これは、貴明さんがくれたリボンよ」
なら、何でいいにくそうなのかが気になったが、俺は何も言わなかった。
決心したように、ささらは、実は…と告白する。
「まだ、今日で2回しかつけてないの…」
俺は少なからずショックを受けた。
ささらのために買ったものを、気に入られていないのか、まだ2回しかつけてもらっていないといわれたら、そりゃ…。
しかも、2回ってのは、プレゼントした時と今日で2回なんだろう…。
でも、そんなことを言うと、お互い良い気分ではないので、俺は努めて平然を装う。
「ごめん、気に入ってもらえなかったんだ。もっとよく考えて渡すべきだったね」
「ち、違うの!そう言うわけじゃないの!」
ささらは立ち上がらんばかりに、力一杯否定する。
「その…勿体無くて…。貴明さんが私のために考えて買ってくれた大切なものだから…」
最後の方になるにるてて、どんどん小さくなるささらの声。
その勢いに最初は驚いたが、内容を聞き、俺の早とちりだったとわかって嬉しくなる。
「もしかして、コートと手袋も?」
ささらは申し訳なさそうに、少しコクッっと頷く。
「で、でも、ペンダントは、肌身離さず持ってるわ。お…お風呂と寝るとき以外は…」
「はは、俺もちゃんと、持ってるよ。絶対になくさないように、肌身離さず」
そう言って、二人でペンダントを見せ合う。それは、2年前となんら代わり映えなかった。
「大切にしてくれてるんだね…。ありがとう。でも、折角なんだからペンダント以外も使ってくれていいよ?」
ささらが使いたいなら、と付け加える。
「ありがとう、貴明さん…」
ささらは、嬉しそうにそう言った。
お茶をいれ終え、ささらとは向かいの位置に座る。
「そういえばさ、なんで突然戻ってきたの?」
「貴明さんと、少しでも早く会って、また一緒に過ごしたかったから…」
ささらは、ニコッと笑って言う。
俺はささらを愛しく思い、その場で抱きしめたくなった。
しかし、それを抑えてもう一つ聞く。
「いつまでこっちにいる予定なの?」
「ずっとのつもりよ、貴明さん」
「そうなんだ――――ってええぇっ!?」
そういえば、さっき『ただいま』って……。
俺が今年大学2年だから、ささらは卒業しないでこっちに戻ってきたのだろうか?
俺の疑問は、ささらの口からあかされることになる。
「実は、2年間がんばって、飛び級して卒業できたの」
聞きなれない単語に、思わず苦笑い。俺の頭の中に、『飛び級』という文字がグルグル回りだす。
だって飛び級だぜ?俺の人生には永遠関係ないものだと思っていましたよ。
「そんなに頑張らなくてもよかったんじゃない?」
本当は褒めてあげたり、喜ぶべきだったのかもしれないけど、俺は思わず言ってしまう。
ささらは顔を少し赤くして言った。
「あなたと早く会いたかったから…。あなたと、早くまた一緒に過ごしたかったから、頑張れたの…」
その言葉にさっきまでの気持ちは消え去り、その場で抱きしめたい気持ちでいっぱいになった。
「一緒に過ごすことを考えてたから、つらい勉強にも耐えられたの…」
「ありがとう…ささら―――」
そういって、向かいに座るささらの頭を優しく撫でる。
ああ、ささらで良かった…。本当に良かった…。俺には勿体ないくらいだよ…。
「貴明さん、隣りに座っちゃ…ダメ…かな?」
ささらが、上目遣いで言う。
「もちろんいいよ」
俺は笑顔で了承し、ソファの端のほうに少し寄る。
ささらが俺の横に座る。体が密着していて、ささらのぬくもりが伝わってくる。
2年ぶりに感じるその温もりは、前より快いものとなっていた。
何で2年間、会わなかったのかと言うと、一昨年は俺が受験だったため、ささらが来なくて良いと言ってくれ、
(俺としては行きたかったんだが『もし、私に会いに来たせいで受験におちたら……私……』なんて、涙声で言われたら、
そりゃ誰だっていけなくなりますよ…。)
去年は、ささらがむこうの大学の何かで出かけていて会うことが出来なかったからである。
今思えば、一昨年の『私も頑張るから、貴明さんも勉強頑張って――』と言うのは、普通に日本以外の国での
勉強を頑張るって意味だと思っていたが、多分、飛び級のための勉強を頑張っていたんだろう…。
ああ、でも本当に驚いた…。
思わず顔が綻んでくる。
俺は世界一の幸せ者かもしれない。いや、そうに決まっている。
俺のためにこんなにまで頑張ってくれる女の子がいるんだ。
そんな女の子に、ちゃんと俺も何か返さないと。
お茶を飲み終えて、少し考える。ささらのほうを見ると、まだお茶を飲んでいるところだった。
何が良いかな…。一回で全部返すのは無理だから今日はまず…。
3月も終わりに差し掛かっているこの季節。最もいいものは…。
そうだ……【アレ】しかない。
考えるだけで、気分が高鳴る。こんなにわくわくしたのは、2年ぶりだ。
「ねぇ、ちょっと一緒に散歩でもいかない?」
ささらがお茶を飲み終えたのを見計らって、俺は尋ねる。
「貴明さんと一緒なら、どこにでもいきたいわ」
またまた嬉しい事を…。
2年前も言っていたかもしれないけど、それでも嬉しいのには代わり映えなかった。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
二人よりそって歩く道。
握る手から伝わる温かさ。
そして、最高の至福の時。
掛け替えのない相手と過ごす本当に久しぶりの時間。
世界にどれだけの言葉が存在しているかは知らないが、今の俺の気持ちを表す事は出来ないだろう。
「そうだ、貴明さん」
「何?ささら」
思いついたような思い出した様な顔のささらのほうを見て、聞く。
「クラゲやサンショウウオ、一緒にとりに行ってくれる―――よね?」
それは、2年前、冬のNYで交わした約束。もちろん忘れているはずがなかった。
「うん、一緒に行こう。あ、後、二人で行ったあの離島にも。島の人の御礼も兼ねてね」
「うん――」
「後、水族館にも行こう。今度はきっと良い思い出にするよ」
今まであまり良い思い出のない水族館だが、今度は――。
「うん――うん――」
ささらは泣きそうな顔で何度も頷く。
「ほら、そんな顔しないで、周りを見てよ」
ささらは、言われたとおりに涙が零れそうな瞳を服の裾で拭ってあたりを見渡す。
「あ―――――」
そして、次の瞬間そんな声をあげていた。
今、俺達の周りにあるのは、満開に咲いた桜。
2年前の春休みの今頃に、ささらと歩いた道だ。
あの時の30センチは、今や0センチになっている。
「やっぱり綺麗…」
「そうだね…。春の桜に敵うものなんてないくらいだよ…」
俺がそう返すと、ささらはちょっと拗ねたような顔になる。
「まぁ、そんな桜よりも、ささらのほうがずっと綺麗だけどね」
俺はそれに気づかないフリをして、あの時言えなかった言葉を今に言う。
それを聞くと、ささらは拗ねた顔から一転、顔を赤らめて照れたような喜んだような顔に。
「もう、バカね――」
「ごめん、バカな彼氏で」
笑顔のまま言う。
「ううん、そんな貴明さんの事が、私は好きなの―――」
「バカな俺のほうが、ささらは好きなの?」
俺はニヤリとして言う。
「ち、違うの!そんな意味じゃなくて、私は―――」
そこでささらの言葉が止まる。
俺が止めた。
人差し指でした唇を抑える――――――のではなく、自分の唇をささらの唇に重ねて。
そして、そっと離れる。
「ささらが何を言いたかったかは、ちゃんと分かってるよ」
俺は笑顔で言う。
「もう、イジワルね――――」
ささらは顔を赤くして言った。
ささらは、ゆっくりまぶたを閉じて、下を向。顔は笑顔のまま。
貴明さんの言っていた事……。正しかったわ」
「――――――?」
突然言われて何のことかが分からない俺。
「貴明さん、言ったわ。『離れても、次に会うときはその分まで幸せになれる。』って」
それは確かに俺の言った言葉だった。
そして、俺は自分自身に問いかける。
今、俺達は幸せか?
もはや愚問だった。これほど幸せな時間はない。
言うなら、旅行に行くために少しずつお金を貯めて、そして旅行先に行く時と同じような感覚だろう。
アレヤコレヤ考えたり、予定をたてたりしながら過ごす時間が長い程、実際そこに言った時に色濃く、
中身のある体験が出来る。きっと、そんな感じだろう。
「分かってくれたんだ。よかったよ」
でも、と俺は続ける。
「例えそうでも、もう二度と離れたくない。ずっと一緒にいたい。
我が儘かもしれないけど、やっぱり自分の気持ちに嘘はつけない……」
正直に気持ちを吐露した。
見栄なんか、俺たちの間にはいらない。
「うん…私も…同じ…。もう、絶対あなたと離れたくない…。あんなに辛い思いは、もう嫌…」
ささらも、言ってくれた。気持ちを正直に。包む隠さず。
「もう良いよね…。ずっと一緒にいよう――」
手をつないだまま、向き合う。
そして、そっと手を離し、そのまま抱きしめる。
その後、背中に回した手を肩に置き、顔を向き合わせる。
ささらが恥ずかしそうに目を閉じる。
ささらが何を望んでいるか……もちろん分かった。
だから、俺はささらの望むように唇を重ねる。
今度は不意にではない。
キスの後、二人共にっこり微笑む。
「ちょっと歩こうか――――」
「うん―――」
3年前の桜の咲く季節、ここで二人一緒に最初の一歩を踏み出した。
そして今、また俺達はここから、新たな一歩を二人一緒に踏み出す。
――――――桜が舞う並木道、止まっていた物語は再びまわりだす――――
335 :
↑の人:2006/05/11(木) 17:34:48 ID:2Uno+7510
これで、「冬のNYのひと時のやすらぎ」は終了です。
途中に期間が開きすぎて、もう見てる方はほとんどいないでしょうが
自己満足で投稿させていただきましたw
1話でも読んでくださった方、お読みいただき、ありがとうございました。
また何かのSSを投稿した時はよろしくです。
では、1話から長々と失礼しました&ありがとうございました。
>>335 乙&GJ
ささらSSはあまり数が多くなかったので個人的には嬉しかった。
次回作楽しみにしてます。
>>335 乙、大謝。
さーりゃんは癒し計。
少ないささらSSの中でも、さらに少ない長編。
完結ご苦労様です。
久々に長編が無事完結したな
なにか気分が良いGJ!
長編完結ラッシュだな。
河野家以外で継続中のやつあったっけ?
虹って終わったのか?
>>339 個人的には素直になれない女の子との日々の続きが読みたい
向坂家って続きはないんだろうか。wktkしてるんだがw
>>341 確か作者氏は事故に遭ったみたいな事をこのスレで言ってたから
たぶんリハビリ中なんだろうと思う。
回復するころにはどうでもよくなっていてSS書いてたことさえ忘れてそうだが。
>>342 向坂家の続きを楽しみにしてる人間→(2)
346 :
涙の向こうに:2006/05/13(土) 18:43:11 ID:IIg0AYId0
「あきらめちゃだめだよ―――」
新入生歓迎会の日、わたしは彼に言った。彼、河野貴明。…世界で一番大好きな人。
元気のないタカ君の顔なんて見たくなかった。タカ君が辛いことは、わたしも辛いから。
タカ君は顔を上げ、校舎へと向かう。しばらくして戻ってきたタカ君の隣には、わたしではない女性。
「このみ、見つけたよ…。俺の宝物…、久寿川ささら生徒会長……」
そう言い放った彼の顔には、もう微塵の迷いもない。そして同時に、わたしの中で何かが終わった……。
「終わったな。このみ、帰ろうぜ」
歓迎会の幕を閉じ、帰宅の途につく。声を掛けてくれたのは、向坂雄二。わたしの、もう一人の異性の幼馴染。
「うん…、終わったね。もう、終わっちゃった……」
「あ〜…、…その、このみ、大丈夫か?」
わたしとユウ君も、お互いをよく知っている。まして、わたしが誰を好きでいたかなんて。
「うん、だいじょぶ…。今は少し辛いけど、もう振られることはないから…」
「…そっか。お互い、振られちまったな。あんにゃろ、これで先輩を泣かせやがったらただじゃおかねえぞ!」
…そうだ、ユウ君は久寿川先輩のことを…。ユウ君はそうやっておどけた様子で言ってみせた。
「ありがとう、ユウ君。優しいんだね」
「お前には負けるよ」
ユウ君のおかげで、少し心が軽くなった。いつの日か、これも素敵な思い出として振り返れる日が来るのかな。でも…。
「でも…」
「ん?」
「でも…、やっぱり苦しいよ…。悲しいよ…。せめて今日だけ、思いっきり泣いてもいい…?」
「…ああ。好きなだけ、泣けばいいさ。気が済むまで、一緒にいてやるからさ」
「うっ…、タカ君…。うう…うわぁぁぁぁーーーー!!!」
わたしは泣いた。きっと、今まで生きてきた中で一番。ユウ君は何も言わず、静かにその腕を貸してくれた。
止まない雨はない。雨が上がれば雲は途切れ、またそこから陽が射すように、わたしの心もいつか晴れるだろう。
ただ今日だけは、この冷たい雨に、何もかも忘れて打ちひしがれていたい…。
347 :
346:2006/05/13(土) 18:46:42 ID:IIg0AYId0
TH2SS初挑戦でした。
>>345で終わりです。続きはありません。
あんまり長く書くと取り留めのない文章になりそうなんで、あえて救済なしです。
タマ姉がいないのはスルーしてくださいw
348 :
346:2006/05/13(土) 18:47:26 ID:IIg0AYId0
いけね、アンカーミスった。
もうちょっと捻りが欲しいところだ
>>346>>346 全米が泣いたかどうか知らないが俺は泣いた。
初SSとは思えないよ、巧いと思う。
このみんはええ子や…。
俺もSS書きたいんだけど、どうにもこうにも書いてて途中でしんどくなる。
しかも書いてるネタが名前自体がNGワードに指定されてしまうようなあの娘っこのやつだし。
披露して叩かれたらしばらく寝込むね。
>>350 ここはキャラの批判はあまりないと思うぞ
SSの質に関しては厳しいがなw
>347
乙。なんだか前後がいくらでも妄想できそうなワンシーンですな
場面を切り取るのも良いけど、せっかくならもう少し話を膨らませた方が楽しいのでは?
書き手は脳内に色々補完物があるけど、読み手は書かれた事しか解らないので…
いっそこの勢いで(貴明×ささら)or/and(雄二×このみ)の長編にしちゃえw
354 :
名無しさんだよもん:2006/05/13(土) 21:24:03 ID:EsHll+wi0
>>346 「止まない雨はない。」とか言ってる後ろでは、「止まない雨」が
BGMで流れてるんですねw
確かに、もう少し前か後があると嬉しいかも。
>>354 らじゃ!
今迄本当にありがとうございました!
>>354 個人的にはそんなに悪くもないような気がしないでもない。
まぁ、それでもSSって言う程のものでもないと言うのは間違いないような気が。
もうちょっと長目のを書いてみたらどうかとお勧めしてみる。
かなり優しい目に感想みたいなものを書いたがこれでいいか?
「行ってくるわね〜」
鼻歌交じりに夕暮れの街を歩く私。ほんの5分ほどで目的の場所に着く。
「いらっしゃい、おや奥さん」
「こんにちは、これお願いね」
私は彼のズボンを馴染みのおじさんに手渡した。
「なんかいいことでもありやしたか」
「ふふ、わかる?」
「まあ長い付き合いですしねえ・・・娘さんにいいことでもありやしたか?」
「娘の願いがやっとかなった、ってところね」
私はかなり言葉を省いて答えたが、おじさんにはわかったようだ。
それからすこしの間、私とおじさんは他愛も無い雑談をしていた。
店を出て、チラリと時計を見る。
4時45分。
すぐ家に戻ったら二人に恨まれちゃうかもね。
夕焼けを眺めながら私はひらめいた
「ちょっと気が早いかもしれないけど」
私はそう独り言を呟きながら市役所へと急いだのだった
初SS。書くと意外と難しい・・・春夏さんとクリーニング屋のおじさんとの会話をもう少し膨らましたかった。このみEND後(最中?)。BGMは暮れゆく陽で
>>359 乙〜。いいよいいよ。
でも春夏さん、やっぱりそれはさすがに気が早いと思うんだw
ちょっと時間を置いて考えるともう少し深く書けるかもね。
「いいことでもありやしたか」と続けて言わせなくてもいいのでは。
娘さんに…というのも不自然に察しが良すぎるな、いくら馴染みの店でも。
なんといかわざとらしい。
最後から1行目、3行目に句点が抜けてる。
>>なんといかわざとらしい。
てめぇも、「う」が抜けてるぞ。
うーが抜けるとは面妖な
これは、るーのお導きかもしれんね
ちょっと前にギャルゲー板の花梨スレに投下したやつだけど、
かなり評判よくて褒めてもらえたのでこっちにも。
小さい頃から世の中の不思議なものに興味を湧かせていた。
解らないこと、疑問に思ったことは周りの大人に聞きまわって、困らせるようなことばかりしていた。
とにかくわくわくするものが大好きで、超能力だとかUFOだとかを四六時中追っかけまわしていた。
だから、テレビを見たり、友達と遊んだり、お洒落したり恋をしたり……することはこの歳までほとんどなかった。
だって、わたしは、
「街中を走り回って宇宙人の痕跡を探したり」
「満点の星空を見上げながらどの星にどんな宇宙人が居るか想像するほうが楽しかったんよ……」
そして、わたしは。
一人だって気付いた。
高校生になって、ミステリ研をやるんだって息巻いたのは良いものの、誰一人として一緒にクラブ活動に
参加してくれる人は居なかった。
孤独、だった。
小さい頃から一人だったから、クラスでもずうっと浮いていたから平気だけど。
寂しさに慣れることなんか出来ないって知って。
正会員が足りなくて、このままじゃ始まる前から終わってしまうのが怖くて。
たかちゃんと出会ったの――
「べんとら〜! べぇんとらぁ〜! はい、ご一緒に♪」
「べ、べんとらー……」
「むむぅ、たかちゃんっ、声が小さいんよ!
それじゃあUFOどころかカラス一匹撃ち落すことなんか出来ないよ!」
「ちょ、撃ち落すって何だよ! 訳分かんないよ!」
「だからぁ、せめて銀河系に届くぐらいは頑張らなきゃ〜って意味だよ。ね?」
「つうか、明日も学校があるのに何でこんな夜更けにこんなこと……」
「ロマンチックだと思わない? 上を見上げれば宝石を散りばめたような星空っ!
隣を見れば花梨一筋ウン十年のたかちゃんがっ」
「僕ら、出会ったのってついこの間でしょ……」
「ホラホラたかちゃん、まるでこの状況、映画みたいなんよ!」
…………
……
…
「あ、あの星とっても綺麗……」
「ふ、何を言っているんだい。花梨の方が何億倍も輝いていて綺麗だよ」
「そんな…たかちゃんっ」
「ああっ花梨っ」
「ぶちゅう〜!!」
「とか♪ いや〜ん!」
「いや、あのさ僕の話聞いてた?」
やだなぁ聞いてたよ。ちゃあんと。
たかちゃんのことは見逃さないし聞き逃さないんよ。
だから、出来るなら離れないで欲しい。
たかちゃんと出会ってからは、一人で居ると突然、ふっと寂しくなるんだよ。
今まで一人でやっていた不思議探求にたかちゃんが付き合ってくれるようになって嬉しかった。
本当に、涙が出るくらい。
一緒にわくわくしてくれる人がいること。一緒にドキドキしてくれる人がいること。
「たかちゃん…」
「え、どうしたの笹森さ「んんっ!!」
「……い、いきなり」
一緒に、居て欲しい。大好きな人に。二人ならどんなことでも出来るから。
「これからも、ずっと、よろしくなんよっ! たかちゃん!!!!!」
END
>>364-366 乙と言いたいところだが、マルチポストはやめとけ
花梨スレにも投下しただろ
368 :
由真SS日記(1):2006/05/14(日) 22:25:41 ID:zbAcXr3d0
日曜日、俺は自宅に暇を持て余しているところに玄関のチャイムが鳴った。
しかし、玄関の受け取り口には日記らしいノートがあった。
俺はそっと手を伸ばしてノートを取った。その内容は。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
○月X日
今日はたかあきと此間の中間テストの点数の勝負をした。
たかあきはあたしの全教科の平均点以上を取っていた。本当にむかつくわね。
あたしの完全なる敗北となった。きぃ〜これで勝ったと思うなよ〜
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
それはお前が悪いんだろが!!いきなり勝負をかけて自滅している由真が悪いのだ。
俺は無実無罪で訴えるぞ。
次のページにも書いてあった。どれどれ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
369 :
由真SS日記(2):2006/05/14(日) 22:27:02 ID:zbAcXr3d0
○月X日
あたしとたかあきは泊まりに出掛けた。その夜にお風呂は一緒に入っちゃったの。もう〜エッチなんだから。
でもたかあきと一緒で楽しかったわ。ありがとね。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
それはお前が誘って強引にしたんじゃないのかよ。
次のページは・・・・
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
○月X日
たかあきには絶対に言えないことがあるの。眼鏡を掛けることにしたのよ。そうすればゲーセンで勝てるわね。
今度誘って、あたしが勝ってやるんだから
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そうか。由真って眼鏡を掛けるんだな。俺に見せない一面があるなんて知らなかったな。
今度聞いてみるかな。
さてっと次は。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
370 :
由真SS日記(3):2006/05/14(日) 22:29:20 ID:zbAcXr3d0
○月X日
今日はたかあきから勝負をさせられたの。ゲーセンの麻雀でケリをつけようってことになったのよ。
そうしたら、たかあきは、今日はついてるなぁって言ったのよ。どうしてまたあたしが負けるのよ。
納得いかないのであたしはクレーンゲームをすることにした。一度も取れなかった。でもあたしは楽しかったよ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
この日は俺はたまたまゲーセンに入って、由真から勝負を掛けてきたんじゃないのかよ。
えっと次のページで最後か。おっ!意外なことが書いてあるぞ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
○月X日
たかあきと付き合って1年が経過した。この大切な記念日にあたしは誘ったのよ。
場所は駐輪場で放課後に会う約束を交わした。
たかあきはちゃんと覚えていてくれて嬉しかった。それに指輪まで貰っちゃった。
この1年色々とあったけど、たかあきには言えない事が一つあるの。
それは、あたしはたかあきのことが大好き。これからも一緒に居てね。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
371 :
由真SS日記(4):2006/05/14(日) 22:30:25 ID:zbAcXr3d0
俺は最後の日付を見て赤くなった。
今まで隠し持っていたことを日記にしている。
でも俺は由真とならきっとやっていけると思ったから。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あとがき
由真SS短編どうでしたか?
日記として書きましたけど感想を書いてください。
┌─────────────────┐
| \ / |
| \ + __ / |
| .;´ ヽ |
| + (゚w゚) 、^ッハ!、(゚w゚)^> |
| ヽ vi、゚ヮ ゚|i)リW |
| ̄  ̄  ̄ 卵( つ  ̄  ̄  ̄ |
| + 〈|_゙iン |
| / l_,ヾ_) \ .|
| |
| Now Karing..... |
| |
| そのまま花梨でお待ちください |
| |
└─────────────────┘
立て続けで失礼。>7からと>218からの続きです。貴明と郁乃の浮気モノ。やや鬱?
「悪いが、それはできない」
郁乃の言葉が冗談でも、俺の回答は変わらなかったろう。郁乃が本気であるなら、尚更だ。
「ふーん、即答するもんね。さっきの、お姉ちゃんに言いつけようか?」
この反応は、想定の範囲内。
「それはしないだろ。お前は」
郁乃がどう変わったとしても、不要に愛佳を傷つける筈がない。そこは変わらない筈だ。
「まあね」
そして、こういう所は素直な郁乃だった。
「あーあ、落ち着いちゃったか。人にさんざ恥かかせておいて」
「すまん」
「目隠し、外していいよ」
俺はアイマスクを外した。
郁乃は、布団を被り直して俺に背中を向けていた。
「寝る。出てって」
声に表情はない。
ばたん。
部屋を出て、廊下を抜けてダイニングに戻る。
一人になると、軽はずみな言動への後悔が押し寄せてくる。
「うあ〜〜〜なにやってんだ俺〜〜」
郁乃が俺に対してその手の感情を持っていたとすれば、昨夜からの俺の言動は彼女を傷つけただろう事は想像に難くない。
しかもさっき俺が郁乃にした事は、悪戯とか勢いで許される範疇の行為ではない。
結局、俺はファウルラインを大幅に過ぎてから踏みとどまった事で、愛佳と郁乃と二人とも裏切る結果になったわけだ…
「はあ…」
ため息をついて視線を壁の時計に向ける。
14時25分。愛佳は、今日も帰ってこない。
早く戻って来て欲しいような、戻って来て欲しくないような…
夕方、といっても冬の日が窓から落っこちた後、郁乃はひょっこりと起き出してきた。
とっさに声をかけられない俺を後目に、平然とテーブルに着く。
「う〜、寝過ぎて首が痛いわ」
「熱、下がったのか?」
少しだけ恐る恐る、声を掛ける。
「たぶんね」
これまた何事もなかったような返答。額を触って確かめる勇気は、今の俺にはないが、確かに顔色は良くなっているようだ。
「なんかお腹も空いてきたし」
「今おかゆ作ってたんだけど、普通の飯食えそうか?」
「カレーはちょっと重い…作ってくれてるならおかゆでいい」
「りょーかい」
とりあえず郁乃と普通のやりとりができた事にほっとする。
料理の合間に台所からダイニングを伺うと、郁乃はぼんやり外を眺めていた。
「ごちそうさま」
「お粗末様」
「意外と美味いもんね。けっこう料理とかするの?」
「たまにだなあ。愛佳を手伝う事はちょくちょくあるけど」
「そういえばぶっちゃけ、お姉ちゃんの料理はどう?」
「ひいき目なしに上手いと思うぞ。どんどんレパートリーが増えてるし」
「へえ」
「ただ、時々分量間違えたり刃物が危なかったり火事を起こしそうになったり」
「やっぱりね」
二人分の食器を台所に運び、テーブルを拭きながらのやりとり。これも問題なし。
いっそ昼間の事を話題にして片づけてしまいたいとも思ったが、自分から話題を振るのは怖かった。
「うーん、なんか疲れたな」
片づけを終え、客間に寝っ転がる俺。そういえば布団敷きっぱなしだった。
「喰ってすぐ寝ると牛になるわよ」
「あはは、そんなのあったなぁ…」
昨夜からの色々で疲れていたのか、すぐに睡魔が襲ってくる。
なにか言い返してくる郁乃の声を遠くに聴きながら、俺は眠りに落ちてしまった。
夢うつつ。誰かが部屋に入ってきたような雰囲気に、しかし俺の目は覚めなかった。
もぞもぞと布団が動く。ああ、愛佳が入ってきたのか。
愛佳と俺は布団を並べて寝ているが、その気になると愛佳は時折こっちに潜り込んでくる。勿論、逆もある。
ほら、ズボンに手がかかる感触、まったくしょうがないなあ
「…」
パンツも一緒に降ろされて、解放された下半身に息がかかる。
下半身、寝ている間に元気になっている。絶好の餌食だなこれは。
にゅるっ。案の定、俺の一物に唾液と口腔の感触。うあ、こりゃ防戦一方になりそう…
「?」
そこで、なんとなく違和感を感じた。いつもならすぐに作戦行動に移る筈の口が、そのまま停止している。
次の瞬間、ぐっと深く銜え込まれる感触。そのままぎこちなく擦られる俺のナニ。
妙にテンポが悪いな、愛佳ともあろう者がどうした…愛佳?
って確か俺は愛佳の実家に来てる筈じゃないか。ご両親が起きてきたらどうするんだ…
って出張だっけか…ってか愛佳もお泊まり…アレ?俺は夢を見てるのか…にしては感触が生々し…
「!!!」
やっと目が開いた。
何故か顔面にかかっていた掛け布団をどかすと、俺の下半身に張り付いているのは、愛佳よりも赤の薄い栗色の髪の毛。
「い、いいい郁乃っ、お前なにやってっ…つっ…」
回答なし。とはいえ、解答はほぼ明白、要は昼間の再戦ということなんだろう。
夕食時の様子で話が終わったつもりでいたのは、どうやら俺だけだったようだ。
無論、俺の答えは決まっている。
「やめろってば」
言葉は無駄と知りつつも声を掛け、無反応の郁乃の頭に手を掛ける。
その瞬間、股間に鈍い痛み。俺は反射的に手を引っこめてしまう。
男性器には骨はない。女性の顎の力でも簡単に噛み切る事が可能だと言う。
今の郁乃は、ごく軽く噛みついただけだろう。それでも背筋に冷たいものが走った。
実力行使で俺の動きを封じた郁乃は、引き続きぎこちなく口を動かす。
本気に噛みつくわけはないとわかっていても、郁乃の頭に手を触れられない俺。完全に気圧されていた。
ならばいっそ萎えてしまえと思うのだが、哀しいかな股間は刺激への反応を優先して屹立している。
ぐちゅっ、くちゅっ、ぐちゅっ。黙々と続く、稚拙な口戯に、なす術なく追い込まれていく。
「くっ」
郁乃の動きは舌を這わせて口を前後するだけの単純なものだったが、舐める位置は自然とズレた。
それが偶然、俺の敏感な部分に合致する。郁乃は俺の反応に気づいてはいない。ただ執拗に作業に没頭している。
ヤバい。限界が近い。といって、郁乃に掛ける言葉もない。
これが愛佳なら会話など無くとも状況を察知して対応してくれるのだが、
ビュクッ、ビクビクッ、ビクッ
「ん!っっ!!」
口淫は無論、男のモノに触れたこともないであろう郁乃には、不意の射精になってしまった。
「う、んぐぐっ、くふっ!」
放たれた精液を準備もなく口腔に受け、嚥下も吐出もできずに口内に留める少女。
「だああっ、吐け吐け無理すんなっ!」
ようやく硬直から解放された俺は、慌てて郁乃の背中をさすろうと手を伸ばす。
だが、郁乃はその手を払いのけた。再び、また遅れを取った俺の腰に抱きつく。
ごぽっと大きな音がした。まだ大きさを保った俺の欲望を、生暖かい液体がつつむ。
郁乃の口から溢れた唾液と精液が股間をぐしょぐしょに濡らす。
「うぅぁっ」
ボトボトと流れ落ちる液体の感触に思わず腰が動くと、肉棒の根元から零れた半濁の雫が郁乃の顔に跳ねた。
それに反応してか、わずかに郁乃が顔をあげる。
郁乃は、泣いていた。顔の上半分を涙に、下半分を唾液と精液まみれにして、なお行為を続けようとする。
「なんで…」
なんでそんな事するんだ、らくしないぞ。ヤケを起こすのは、お前の芸風じゃないだろ。
そんな様なことを言いかけて、じゃあ俺は何をしている、何をした。
俺の行為が郁乃をその気にさせた。だから郁乃は、プライドを捨てて意思表示をした。
俺はそれを拒絶した。郁乃は諦めてくれなかった。
最初に手を出した俺に拒絶する資格なんてない。俺がそうしたのは、郁乃を信用したからだ。
郁乃は強い子だから、大丈夫だと。すぐに「普通」に戻れると。
だが昼間の痴態。あまりに直裁的な懇願。そして滅茶苦茶な扇動。涙。
目の前の郁乃は、その行為は、もう常識の範疇を越えている。壊れてる。
このまま拒絶を続ければ郁乃は壊れたままになる。俺のせいで。本気でそう思った。
だから、俺は、今だけ、一度だけ、そう自分に言い聞かせて、
自分で付けた優先順位を、入れ替えた。
「郁乃」
気持ちを決めて声を掛けると、郁乃が初めて反応する。やっぱり敏感な奴だ。
「郁乃、わかった。わかったから、顔、あげろよ」
そっと頬を両手で挟んで、俺の股間から引き抜く。こちらを向いた郁乃の唇から唾液が糸を引く。
「郁乃のはじめては、俺が貰うから」
言葉を選ぼうとして選びようがなく、結局ストレートな表現になった。
ゆっくりと、郁乃の目に焦点が戻る。同時に、頬が紅く染まる。俺は、そんな郁乃の頭を優しく撫でた。
「ごめんな。いつも鈍くてさ」
「………」
なにか口のなかでぶつぶつ言いかけて、結局声にならずに視線を逸らす郁乃。
大方、別に好きなわけじゃとかなんとか、悪態をつこうとしてたんだろう。
「とりあえず口ゆすげ、気持ち悪いだろ」
頷いたものの座り込んだままの郁乃の為に、台所でボウルと水を持ってくる。
ついでに俺も股間が悲惨な状況なので、手近な布巾でさっと体液を拭き取った。後で洗わなきゃ。
戻って客間、まずは郁乃にうがいをさせる。ボウルに吐き出した水は、白く濁っていた。
「えーっと、確かここに…」
「…いつも持ち歩いてんの?」
旅行鞄のポケットから、コンドームを取り出す俺を見て、郁乃が初めてまともに言葉を発した。
「俺の今の給料じゃ子供育てるのは難しいからな」
愛佳と子供、いずれは作りたいに決まっているが、無計画な真似ができる生活状況でもない。
あと、俺も愛佳も、けっこう所構わずその気になっちゃうので備えあれば…
「ふーん、成長したもんね」
「なに?」
「学園時代はアンタが気にしないからお姉ちゃんが常時携帯してたって聞いたけど」
「だああっ!そんな事しゃべってたのか愛佳はっ!」
「まあ、いろいろとね」
くつくつ。まだ全然涙声だけど、郁乃らしい邪悪な笑みに少し安心。
「つ、着けようか?」
「いやいい。それ以前に、まだ無理」
インターバルの間に、俺の息子は通常モードに移行している。ズボンが半降ろしなのがちと情けない。
「あ、ちっちゃくなってる」
「言うな。こっちが普通」
「なんか可愛い」
「触らんでいいっ」
「でも、おっきくしないと着けらんないんでしょ?」
「俺の心配はしなくていいの。それよりお前の方が問題だ」
「う…こっちから頼んだんだから、痛くても我慢するわよ」
我慢はしてもらうだろうが、なるべく負担は軽くしたい。
「うーん、とりあえず、脱げ」
暖房の温度を上げる。
「〜〜っ」
パジャマに手をかけると、背中を丸めて縮こまる。でも、逃げない。
猫でも撫でるように優しく扱いながら上を脱がしていく。ところどころ赤く染まった白い肌。
「あ、あんまり見ないでよっ」
「う、悪い」
改めて上半身を裸にしてしまうと、どこから手をつけていいかわからない。
試しに正面から抱き寄せてみる。
「っ!」
いっしゅん身体に力が入ったものの、素直に引き寄せられる郁乃。
前傾姿勢でとんっ、と俺の胸に顔を預ける。
両手で頭を撫でて、背中を撫でて、左手を背中に残したままそっと右手を乳房に伸ばす。
郁乃の胸は、手のひらに少し余るくらい、量感はないけど柔らかい。
「う」
微妙なうめき声。
「痛い?」
「痛くはないけど…よくわかんない」
揉むというより撫で回すといった感じで乳房を弄びながら、先端部分を突っついてみる。
「あうっ」
またちょっと反応する郁乃。
愛佳ほど派手なリアクションはないが、そこは愛佳が特殊なんだろう…自信はないけどさ。
引き続き、胸をいじり回しつつ、横抱きから後ろ抱きへと体勢を替えていく。
完全に郁乃の背中が俺に預けられると、首筋に唇を寄せ、解放された左手をもう一方の乳房に這わせる。
「う…あ…汗臭くない?」
「全然」
答えて、今度は両手で郁乃の乳房を責め始める。
「あ…ん…ん…んっ…」
愛撫のテンポが速くなると、郁乃の声も続けて挙がるようになった。
俺は右手を左の乳房に移した。左手で乳房全体を揉みながら、右手の指で先端を擦り上げる。
「はぅ…ぅあっ!」
さっきよりも固くなった乳首を摘むと、一瞬身体が震える。
後ろからこっそり覗き込むと、顔を真っ赤にして固く目を瞑っている。
悪戯心を起こして、俺は手を休めずに郁乃の耳に口を近づけた。
そのまま、こちらの動きには全く気づく様子のない郁乃の耳に、ふっと息を吹きかける。
「ふあんっっ!?」
びくんと身体を起こす郁乃を押さえつけ、再び両手を左右の乳房に戻して、先端を人差し指で爪弾く。
「あ、ひゃう、やっ、やんっ」
郁乃は身体をくねらせながら、太股を擦り合わせていた。
頃合かな。俺は右手を胸から下に降ろすと、多少力を入れて閉じられた両脚の間に差し入れた。
「んあっ」
そのまま股間全体を押さえつけて揺り動かす。
閉じようとする太股の片方を左手で掴み、逆に開かせる。自由度を増した右手が、さらに秘所を刺激する。
「あ…や…やだ…下着…」
パジャマのズボン上からではわからないが、濡れた感覚があるのか郁乃が狼狽える。
郁乃の脚の間は暖かくで触り心地が良く、もう少し続けたい気持ちもあったが、濡れた下着は気持ち悪いだろう。
預けられた背中から身体を外して布団に仰向けに寝かせ、ズボンに手をかける。
「下も脱がすぞ、いいか?」
「聞くなぁそんな事ぉ」
かぼそい抗議の声を肯定に聞いて、俺は郁乃のズボンと下着を脱がす。
下穿きを腰から引き下ろす時、秘所から染み出していた愛液が微かに糸を引く。
思わず脱がせた下着を見つめそうになって、羞恥で一杯の郁乃の目つきに慌てて横にどかす。
こうして、俺の目の前で、郁乃は生まれたままの姿になった。
「み、見るなとは言わないけど、あんまりじろじろ見ないで」
仰向けのまま下から見上げる郁乃。さっきも似たような事言われたな。
「カッコ悪いのは自分でもわかってるんだから」
「そんなことない。綺麗だよ」
これは率直な感想。手足が細くて胴が目立つ郁乃の身体。
確かに一般的な意味での肉感には欠けるかも知れないが、愛佳とは違った繊細さを感じる。
「気休めはいらない…あ」
郁乃の右脇に座って、左膝の内側に手をかける。
左手で右の太股を押さえ、そのまま肩を入れると、抵抗なく脚が開いていく。
「っっ…ぅ」
あられもない格好をさせられた気恥ずかしさに、郁乃は両手で顔を覆う。
体液を滴らせ、脚を大きく開いてもなお開ききっていない割れ目を指で押し広げる。
くちゅっ、いやらしい音をたててさらに染み出す体液。綺麗な襞を伸ばすように右手を動かす。
「ふあっ…や…やぁ…あん…」
郁乃がイヤイヤをした。昼間は一度も拒絶の言葉を発しなかった彼女だが、今は俺が行為を止める心配がない、ということか。
もちろん止める気はなく、俺は郁乃の秘所を10本の指で解きほぐしていく。
「んんっ、あ…ふぁっ…あ…ちょ、そ、そこは…」
右手の指が、侵入口に辿り着く。そこは十分に湿っていたが、いざ指を滑り込ませるとかなり強い抵抗があった。
やっぱり難儀するかな。俺は無理に指を奥に進ませようとはせずに、浅い部分で細かく振動させる。
「あっ、ふあっ、なにっ、…ひゃうっ、わかんないっ、んんっ」
至って素直な郁乃の反応を見ながら、左手で内壁を掻き分け、敏感な突起を探す。
「ひゃふぅっっ!」
そこを人差し指で押さえると、ひときわ大きな声があがった。
郁乃の体内に挿入した右手の中指に、さらに粘性の液体が絡みつく。それを頼りに、俺は指を少し奥に進めた。
きゅっと締め付ける郁乃の女の部分。指を前後に動かして内壁を擦りながら、進入経路を広げていく右手。
左手で下腹部の方から秘裂をまさぐり、肉芽を優しく刺激すると、郁乃は激しく身をよじる。
「ひゃっ、はうっ、あんっ、うあっ、やっ、また、あんっ」
郁乃の声色が一段高くなる。俺は手を早めながら、郁乃の中心部に口を近づけた。
「え…やっ…息が…はうっ…かかっ…ひゃうううん!」
ある程度から奥には進まない指を抜き、そこに唇をつける。入り口の周辺部を舐め上げると、女の味がした。
舌を強く動かしながら、空いた右手も襞壁を責める側に回して一気に郁乃を追い込む。
「あ…っ!…こんな…の…っ…やっ…くる…はうっ…あんんんんっっっ!」
ぐじゅっ、と多量の愛液を秘所から溢れさせて、郁乃は絶頂に達した。
「あ…あぁ…はぁ…はぁ…」
涙ぐんだ目で横を向く郁乃。昼間もそうだったのだろうが、今回はそれで終わらせるわけにはいかない。
俺は布団の脇に出して置いたゴム製品に手を伸ばし、手早く装着する。郁乃の身体を弄っているうちに、男根は目一杯に膨張していた。
「郁乃、いくぞ」
「ぁ…ぁ…ぅ…うん…」
まだ快感の余韻の中にいる郁乃。落ち着かせない方がいいだろう。
だらしなく開いた脚の間に自分の腰を入れ、郁乃の膝を立たせる。
位置を確かめるように両手で秘所を押し広げると、俺は怒張を膣口に押し当てて、郁乃の体内に侵入した。
「く…ぅあああっ!!」
郁乃の口から大きな声が漏れる。指とは比べものにならない程太い肉棒の挿入は、半分ほどで止まってしまった。
「はっ…はぁっ…あっ…はっ…」
上手く息が吐けない郁乃の口を掌で塞ぎ、郁乃の体内から出た熱い呼気を、そのまま郁乃に吸わせる。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
呼吸が落ち着いたところで、俺は侵攻を再開するが、
「っつぅっ!」
痛みを訴える郁乃の声にまた動きが止まる。
もう2年も前のことで記憶は定かでないが、愛佳の時よりも抵抗は数段キツい。ような気がする。
「大丈夫か?」
「だ、だいじょうぶじゃないけど…いいわ」
強がる言葉、俺は再び腰を進ませようとするも、
「っっっっ!」
歪む郁乃の表情に、堪らずまたストップをかけてしまう。
「い、一度抜こうか」
思わず怯んだ俺の言葉に、しかし郁乃は首を振る。
「…ご、ごめん、ちょっとだけ待って」
そういって、放り出されていた掛け布団に手を伸ばすと、布団の端を銜えた。
「ひひよ。ひへ」
真剣な表情に、俺も覚悟を決めた。
「わかった。舌、噛むなよ」
ぎゅっと目を瞑る郁乃、俺は身体を前に傾けると、体重をかけて一気に郁乃を貫いた。
「〜〜〜〜〜〜っっっっっ!!!!」
布団を口一杯に詰め込んでいても、郁乃からは言葉にならない悲鳴があがる。
郁乃の奥まで入り込んだ俺の怒張、その根元に、愛液とも違うぬるりとした感触があった。
俺の股間、イコール郁乃の股間を見下ろした俺の目に写る、鮮やかな赤。
それほど量は多くないようだが、破瓜時に出血したようだ。
苦労して侵入した郁乃の内部は、やはり強烈な締め付けで、快感も動きたいという欲求もあったが、
「〜っ、くはぁっ、はひゅっ、はぁ…うぁ…」
青息吐息の郁乃、ここは撤収した方がいいか…
「い、いいわよ、動いて」
「え?」
「ま、まだ…さ、最後までやってないでしょ」
苦痛に満ちた表情で、そんな事を言う。
「これ以上動いたって、痛いだけだろ」
「う…」
流石に否定はしない。だが、
「痛いからって、嫌だとは限らないわよ」
「!」
「だから…あたしが最後までして欲しいの」
笑ったつもりか、口の端を無理矢理歪める郁乃。
「せっかく最初で最後の機会なんだから」
その言葉にはっとする。
普通なら段階を追って進んで行けばいい道のり。でも、俺と郁乃に次はない。あってはならない。
だから、
「わかった。途中で遠慮はできないから覚悟しろよ」
「ふん、死にはしないわよ」
強がって郁乃、再び布団に噛みつく。
「ほっひほほ、ははひははははいへへ」
そっちこそ、膣内には出さないでね。か。
「わかってるよ」
気づかないうちにコンドームに穴が開いてる確率ってのは、これが結構高いんだそうな。
会話に気を逸らしている間も全く衰えない男根に呆れつつ、俺は律動を始めた。
「っ!んんっ!」
相変わらず郁乃のそこは怒張を強く締め付け、俺の動きに伴ってひっついてくる。
突き込むたびに陰唇全体が内側に巻き込まれ、引っ張り出すたびに外にめくれあがっているのではないかと不安になる程だ。
一往復ごとに、熱い内壁で擦れる刺激は強烈で、そう長くは保ちそうにない。
「〜っ!ぅっ!ぁっ!」
布団を強く銜えこんで必死に耐えている郁乃にとっても、その方がいいだろう。
パンッ、パンッ、パンッ
膝を曲げさせ、おむつを替えるようなポーズをさせているので、俺の下腹部が郁乃のお尻に当たって音を立てる。
俺が腰の動きを加速させると、音も速くなり、そして
「くっ、うっ、郁乃っ、もう少し、だ、か、らっ」
「くっ!、ふっ!、ふはっ、はぁっ!」
苦痛に歪んだ郁乃の口から
「ぁっ!くっ、お、おへえひゃんっ!!」
お姉ちゃん。そんな単語が出たのがきっかけになったか、じんっと男性器が痺れる感触。
俺はそのまま腰を突き入れたい衝動を抑えて、郁乃の体内から俺を抜き出した。
どくっどくっどくっ
先端から迸った精液が、ゴムの蓋に受け止められる。
愛佳との時は付けたら100%愛佳の中で果てていたので、なんだか妙な光景だ。
郁乃のそこは、二人の体液で光っている。
行為の最中に零れた液体で汚れたシーツ、その中に混じる、純血の赤。それを見て、
ああ、俺、郁乃とセックスしちゃったんだな。改めて、そう思った。
「っ…はぁっ…んぐっ…くぅっ…」
放心していたのは一瞬だろう。郁乃の嗚咽混じりの荒い息に、俺は我に返る。
「大丈夫…なわけないな。よく頑張った」
「ん…んっ…はぁ…ぁ…」
郁乃の隣りに添い寝するように横になり、頭を抱き寄せる。
「ぐすっ…す…ん…へ、へいき…」
涙ぐみながらもやはり強がる郁乃。でも、髪を撫でているうちにだいぶ落ち着いてきた。
「…ありがとう。ワガママ、聞いてくれて」
「済まないな。酷い男で」
「それはそうね」
ふふっ、郁乃には似合わないような優しい微笑。
どきりとした俺は、それを隠すように身体を起こす。
「さて、落ち着いたら後始末だな」
「あ、うぅ…任せた」
部屋の惨状を見遣り、郁乃が身勝手な事を言う。
ふーん、そう来るかい。じゃあ、な、
「よし任された。んじゃ、風呂入るから一緒に来い」
「へ?」
「まずはお前の後始末だろ。身体洗ってやる」
「え、え、い、いいっ、自分で…」
「洗えないだろその指じゃ」
「あ゛」
硬直する郁乃。
「そ、そうだけどっ、でもっ、ちょっとっそのっ」
「諦めろ。そのまんま寝るのも気持ち悪いだろ」
目を白黒させる郁乃の姿にちょっと悪戯心が起きてるのは否定しないが、郁乃の身体を洗う必要があるのも事実だ。
「だいじょうぶ、変なことしないからさ」
「手をわきわきさせながらいっても信用ないっ!」
「真面目なアフターサービスですよお客さん♪」
事実、俺は真面目に郁乃の身体を洗ってやった。
まあ、変なことしなかったかと言われると、ちょっとだけしちゃったけどさ。
着替えた郁乃を部屋に戻す。
「あたしも片づける」
郁乃はそう言い出したが、また熱を出したらどうすると無理矢理寝かしつけた。
「なんか落ち着かないなあ」
ベッドに入ってもぶつぶつ行っている郁乃だったが、疲れたのだろう、俺が髪を撫でてやると、
「今日、何回目だろ…頭撫でられるの…」
そんな事をいいながら、すぅっと眠りに落ちていった。
やっと貴明に郁乃を抱かせることができましたが、郁乃本人が更に無茶になってますな
「痛いからって…」は鎖のちはやの台詞から盗作。あとエピローグが少しだけある予定です
>>387 リアルタイムキターッ!
ダークではなく、滲み出る背徳感がまたなんとも・・・
あとは回収ですか。wktkしながら待ってますんで
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
>>373-387 読了。いつもお疲れ様であります。
いくのんの反応が可愛いです。
でもこの流れは切ないなぁ。
エピローグも楽しみにしています。
>>387 乙。
こういう背徳感漂わせる雰囲気の郁乃SSは個人的に好きなので
もっと書いて欲しい次第w
エピローグ、楽しみにしてます。
略奪愛か、いいね。
>>393 いや、略奪愛ではないだろ。
自己満足と言ったほうが正しいような。
後半キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
GJ&乙です!またまたおっきしました。
エピローグwktkです!
396 :
387:2006/05/15(月) 06:43:10 ID:tlWwwtBo0
>389-395
感想どもです。おっきしていただけると書いたかいがあります
エピローグはエロ無いし略奪にもならない予定ですのであんま期待しないでください
坐薬からスタートしてテーマは>394の言う通り郁乃の自己満足なんですが、
貴明が愛佳を裏切るシチュに苦労して、けっきょく郁乃に殆ど逆強姦させてしまいました
いっそ坐薬の勢いでヤっちまった方がまだ自然だったかもしれません。
ここまでさせると中半でも指摘された「郁乃らしさ」が保てているかどうかも気になる所で、
文中に「らしい」「らしくない」「似合わない」なんて言葉が直接入ってしまっているのは
その表れですがどうにもセコいですね。エロでキャラの個性を出すってのもまた難しい…
コンドームを使う辺りが逆に生々しかったな
今度は勃起するようなのをひとつ。
とっさの機転でタマ姉を誤魔化せたのはいいけれど、雄二箱を安全かつ鑑賞可能(これは由真の
要望なのだが)とするには、このまま由真たちの部屋には置いておけない。由真はるーこと花梨を
仲間にし、彼女たちの部屋に雄二箱を移す作戦に出た。
宇宙人だろうとミステリマニアだろうとるーこも花梨も女の子、Hなことに興味がないはずはない。
由真のその言葉は正しかったらしい。由真に連れて来られ、雄二箱の中身を見せられた彼女たちは、
初めは拒絶する姿勢を見せたものの雄二箱の妖しい魅力には逆らえず、たちまち虜となってしまった。
作戦はほぼ成功、あとはるーこたちに事情を説明して箱を移せばいい。そう安心した俺だったが、
いつの間にか珊瑚ちゃんが部屋にいて、雄二箱の中身を読んでいた! 珊瑚ちゃんに雄二箱の中身を
読ませたなんて瑠璃ちゃんに知られたら……。慌てて珊瑚ちゃんから本を取り上げるが、見せないと
タマ姉に言いつけるなどと言われては、その本を返すしかないワケで……。
仕方がないので、珊瑚ちゃんも含め、るーこと花梨に事情を説明する。
「ま、まぁ、うータマたちを騙すのはいささか気が引けるが、仕方がないな。
るーは預かっても構わないぞ、うーかりはどうだ?」
「う、うん、るーこがいいなら花梨もいいよ。
そ、その代わり……」
「その代わり?」
「もう少し……、読んでても、いい?」
写真集を手にしながらおずおずと尋ねてくる花梨。出来れば一刻も早く雄二箱をるーこたちの部屋
に持ち運びたいのだが、まぁ、協力してくれるんだからそのくらいは、な。
「ああ、いいよ」
俺がそう答えると、花梨、それにるーこも、手にした写真集を再び読み始める。
「それじゃ、あたしも」
喜々として雄二箱をあさる由真。そんな三人を、やれやれと肩をすくめて見ていると、
「なーなー、貴明」
俺の服の袖をくいくいと引っぱる珊瑚ちゃん。
「何、珊瑚ちゃん?」
「これなんやけどな〜」
手にした写真集の一ページを指さす珊瑚ちゃん。当然その写真は、その……、何と言うか、女優
さんと男優さんが……、いたしちゃってる写真でして。
珊瑚ちゃんは女優さんを指さすと、
「この女の人、環に似てへん?」
タマ姉に似てる? この女優さんが?
うーん、言われてみると……、髪型とか、目元とか、それから、その……胸が大きいトコとか、
確かに珊瑚ちゃんの言うとおり、タマ姉っぽい感じがするなぁ。
今更言うまでもないが、この写真集は雄二が買ったもの。と、言うことは……
「雄二、お前……」
「ちょ、ちょっと待て貴明! お前何か変な誤解してないか!?」
俺の冷たい視線に慌てまくる雄二。
「いや、さ、お前にシスコンの気があるとは前から思ってたけど、まさかここまでとはなぁ……」
「だ、だから違うっての!
た、たまたま、美人で胸の大きいモデルさんだったから、いいなぁと思って買っただけだって!
姉貴に似てるなんてこれっぽっちも思わなかったぞ!」
「『姉と弟 禁断の関係』やて」
写真集のタイトルを読み上げ、追い打ちをかける珊瑚ちゃん。
「ぐ、偶然だって偶然! このテの品物じゃありふれたタイトルだろ!?」
いや、「だろ!?」って俺に聞かれても……
「ふーん、雄二って実のお姉さんにそういう感情抱いちゃってるんだ。……気持ち悪っ」
「ぐはぁっ!!」
由真の容赦ない言葉にのけぞる雄二。
「あ」
「ん? どうした由真?」
「ねぇ見てたかあき。コレ、優季に似てると思わない?」
由真が指さす写真には、長い黒髪、清楚な顔立ちのお嬢さんが、あられもない姿で……
「あ、そう言えばこの写真の女の子、何となくるーこに似てるかも」
「そ、それは本当か、うーかり!?」
るーこが花梨の手にある写真集を覗き込む。気になるので俺も――
「み、見るな、うー!」
俺が覗こうとすると、慌てて写真を手で隠するーこ。
「俺にも見せてくれよ。別にお前本人が写ってるワケじゃないだろ」
「あ、当たり前だ! 誇り高きるーがこのような写真など――」
「ならいいじゃない。よっと」
「あ、うーゆま!」
俺に代わり、写真集を取り上げる由真。俺も見てみると……
「あー、うん、確かにるーこっぽいかもね」
うん、俺もそう思う。髪の色こそ違うけど、日本人離れした顔立ちや、どことなくミステリアスな
雰囲気といい、るーこに通じるものを感じる。外国の人か、それともハーフかな、このモデルさん?
「る、るーになど全然似ていないぞ! うーたちの目は節穴か!?
よく見ろ! 髪の色も違うし、る、るーはこんなにふしだらな姿になど……」
「はいはい、そんなにムキにならないの。別にいいじゃない、似てたって。
むしろホラ、地球人の中にるーこにそっくりさんがいたってのは、調査とやらの重要な情報になる
んじゃないの? よかったわねー、るーこ☆」
あからさまにるーこをからかっている由真。そう言えばこの二人には料理の因縁があるんだったな。
と、そこへ、
「でもこっちは由真ちゃんっぽいんよね」
花梨が別の写真集を開いて見せる。制服(しかもうちの学校のとよく似てる)を着たモデルさんが
教室内で乱れまくってる写真なのだが……うん、結構似てる、かも。
「え、えええっ!?」
驚く由真。そして、
「ほう、確かによく似てるな、うーゆま。
どうした、何をそんなに慌てている? 別にうーゆま自身の裸でもあるまい」
お返しとばかりにニヤリと笑うるーこ。
「う、ぐぐぐ……」
悔しげに唸る由真だが、いい加減俺には他に気になって仕方がないことがある。
「おい雄二、お前まさか、みんなのそっくりさんを選んで買ってるんじゃ……」
「い、いやいやいや! たまたま、偶然だって!」
「タマ姉、優季、るーこに由真、他にもあるんじゃないのか、そっくりさん」
「な、無い無い! これ以上は無い!」
必死でそう否定する雄二。だが、
「なーなー、貴明」
再び俺の袖を引く珊瑚ちゃん。俺の予想が正しいなら、
「この漫画なんやけど」
ホラあった。写真じゃなくて漫画だけれど、そのタイトルが、
『おねだりツインズ どっちがいいの?』
「雄二ぃぃぃ!!」
「……ぐ、偶然……だと、思います……」
その後、由真たちの雄二箱を物色する目的は、Hなことへの好奇心から、そっくりさん探しへと
変貌を遂げた。
「もうこれ以上は無い、絶対無いって!」と叫ぶ雄二の声を無視し、ひたすら箱の中をあさりまくる
由真たち。その中で、
『メイドの告白 −ご主人様、ご奉仕させてください−』
『昼下がりの人妻 娘には内緒で』
このようなタイトルのDVDを発見し、それぞれイルファさん、春夏さんとの近似性を疑うものの、
どちらも女優さんの外見があまり似ておらず、単なる雄二の好み――メイドさんはともかく、人妻
好きでもあったとは俺も初めて知ったのだが、とりあえずその二件はそれで落ちついた。
「な、な! 俺の言ったとおりだろ」
安心した様子の雄二だが、俺はお前の人妻好みが、将来向坂家に厄介事を持ち込んだりしないか、
他人事ながら一抹の不安を感じるよ。
「まだ全部調べたワケじゃないわよ」
フンと鼻をならす由真。
るーこと珊瑚ちゃんはそっくりさん探しに没頭している。しかし、
「……」
手を止め、眉をひそめる花梨。
「どうした、花梨?」
俺が話しかけると花梨は俺を見て、だがふぅとため息をつき、
「やっぱ、いないんよね」
「いないって、何が?」
花梨は雄二箱のとなりに山のように積まれた、検閲済みのHアイテムを見つめ、
「花梨の、そっくりさん」
自分に似ているモデルさんがいなかったことを気にしてるのか。……まぁ、花梨ってかなり個性的
だからなぁ、髪型とか。
でもさぁ、H関係のモデルさんだぞ。似ている人がいないからって、落ち込むものかなぁ?
大体アレ、本来は雄二個人のものであって、つまり雄二は普段一人でそれを見ながら、よからぬ
妄想に耽ってたりするんだよ。そのネタになりたいとでも言うのか?
「そうだよね、いるハズないよね。
ミステリに夢中で、色気なんかナノ単位すら持ち合わせていないような、こんな私のそっくりさん
なんて、いるワケないんよね……」
うーん、見るからに落ち込んでいる。俺にはよく分からないけれど、これもまた複雑な乙女心と
言うものなのだろうか?
ここはフォローをすべきなのだろうけど、何て言えばいいのやら。「そんなこと無いぜベイビー、
雄二のボンクラに見る目がないだけで、俺にはお前がナンバーワン、いやオンリーワンさ」とでも
言うか? ……ご免なさい、恥ずかしくて言えません。
「……まぁ、その、花梨だけじゃなくて、このみや郁乃のそっくりさんもいなかったし、さ。
あ、そう言えば愛佳のそっくりさんだって――」
いなかったな、そう言おうとしたが、
「あ、愛佳発見」
由真が一冊の写真集を見ながらそう言った。その時、
「ひゃうっ!?」
ドタゴロバターン!
部屋の外から誰かの声と、何かが派手にコケたような音。誰だ!?
慌てて部屋のドアを開けてみると、
「ま、愛佳!?」
「いたた……あ!」
俺と目が合い、愛佳は、
「や、ご、ご免なさい!
の、覗くつもりなんて決してなくて、でも、たかあきくんや由真たちがずっとお部屋から戻って
来なくて、その内るーこさんも花梨さんもお部屋に行っちゃって、みんなで何してるのか気になっ
ちゃって、階段上って部屋の前まで来ちゃって、それから、えっと……」
必死に弁明の言葉を紡ぎ出そうとする愛佳だが、今はそれよりも周囲を警戒、よし、愛佳以外誰も
いない。それなら、
「た、たかあきくん!? わわわっ」
愛佳の手を掴み、半ば強引に部屋に引き入れ、ドアを閉める。
「あっちゃー、愛佳、いたんだ」
愛佳の姿を見て、額にぺちんと手を当てる由真。
「え、由真、だってさっきあたしの名前――」
「まぁ、こうなったら仕方がない。愛佳も仲間にするしかないわね」
由真は立ち上がり、写真集を手にしてゆっくりと愛佳に近づく。
「ゆ、由真、仲間って何のこと?」
由真の怪しい雰囲気に恐れを抱いたのか、愛佳が後ずさる。
「愛佳ぁ、いいもの見せてあげるね。愛佳にはチョット刺激が強過ぎかも知れないけど」
「え、ゆ、由真、何なのそれぇ!?」
後ずさり後ずさり、ドアに背を当てる愛佳。可愛そうな気がするが、部屋から出すワケにはいか
ないので、ドアを開けられないよう押さえる俺。
「た、たかあきくん!?」
「ダメよぉ、たかあきに頼っても。たかあきだって仲間、なんだから」
クククッと笑う由真。おい、どうでもいいが不気味だぞ。
「え、え、えええっ!? や、やだよぉ由真、怖いからやめてよぉ!」
「大丈夫よぉ、怖い事なんて何もないから。ホラ見て、みんな楽しそうでしょぉ?」
……いや、みんなお前のおかしな芝居に「?」って顔してるぞ。
「か、花梨さんたち、どうしちゃったのぉ!?」
けれど、すっかり怯えた愛佳には、そんな花梨たちが「楽しそう」に見えてるようで。
「さぁ愛佳、コレを見て」
写真集を開いて、愛佳の目前に近づける由真。
「……ひゃ、ひゃあ! ――ムグッ」
悲鳴を上げようとする愛佳の口をとっさに手で塞ぐ。――ゴメン愛佳、タマ姉に聞かれるから。
「シーッ、大きな声出さないの。 どう愛佳、凄いでしょ?」
「……(もがもが)」
真っ赤な顔でふるふる震えている愛佳。どうやら由真の質問に答える余裕すらない程、頭の中が
パニックになってる様子。
「愛佳、こっち来て」
写真集を戻し、俺に愛佳の口を押さえたさせたまま、由真は愛佳をベッドの方に連れて行く。愛佳
も震えてはいるものの、特に抵抗はしない。
それまでベッドに座っていた雄二を手で追い払い、由真は愛佳をベッドに座らせる。俺も一緒に
ベッドに座る。
それで一旦、愛佳を落ちつかせるのか……、と思いきや、
「さあ愛佳、もう一度しっかりご覧!」
またも愛佳に写真集を無理やり見せる由真。
「……!?(もが〜!?)」
再びパニック状態で足掻く愛佳を、仕方がないので押さえつける俺。
「抵抗したってムダよ、いいからしっかりご覧なさい! 凄いでしょ、いやらしいでしょ!?
でもね、誰もがこうやって、大人の階段を上っていくのよ!
大丈夫よ、恥ずかしいのは最初のうちだけ。慣れればそれが段々と――」
「!!(もが〜っ!!)」
……ああ、心の中で愛佳の悲鳴が聞こえる。「助けてたかあきくん! 由真をとめて!」って。
でも今はこうするしかないんだ。許してくれ愛佳。
「……な、なんかよぉ、すっげえヤバい雰囲気なんだけど」
この光景にさすがの雄二も引いてる様子。だが由真は構わずに、
「ホラ、この写真の女の子、愛佳に似てると思わない?
それで、その愛佳似の女の子にイケナイことしちゃってる男の人は、たかあき似だね」
……あの、由真さん、さすがにそれは無理があります。俺、この男優さんほど筋肉質じゃないし、
全身日焼けもしてないし。愛佳も首を振って否定するが、やはり由真は構わず、
「そして次のページが凄いのよ! 愛佳とたかあきがなんと……」
自分も興奮しまくってる由真が、ページをめくろうと――
ガシッ!!
由真の手首を掴む誰かの手。そして――
「あなたたち、何をしてるの?」
穏やかだが、確実に怒りを孕んだ声。いつの間に来たのか、タマ姉がそこにいた。
泣いてる愛佳をなだめつつ、そそくさと立ち去る花梨たち。
俺、雄二、由真はその場に正座させられ、約三時間、たっぷりとタマ姉のお説教を食らった。
雄二箱がどうなったかって? そんなの言うまでもないことだ。
つづく。
どうもです。第56話です。
巷で話題の某涼宮さんと、我らが黄色ちゃんの人気の差について考えてみたり。
やっぱ、髪型でしょうか?
河野家読みました〜遂に鬼にみつかってしまいましたねw
次回はどんな展開になるのか楽しみで〜す。
>>408 GJ!!
ちなみに涼宮某は花梨の数倍ブッ飛んでる気がしますよ?
ちょwww、最後の愛佳と由真のやりとりがサイコーでした。
次回に期待してます。
>>408 河野家、喜多ーーー!!!
どんどん墓穴を掘って逝く雄二が哀れでなりませんな^^;
もう少し時間があれば、『淫らな生徒会長 −貴方が望むなら−』 とかも
発掘できたかもしれませんね〜。
まあ、3時間の正座&説教で済んだのなら、命に別状はないし良かった良かったw
>>387 後半、喜多ーー!!
坐薬ネタだけに、処女は喪失せずアナルのみ、かと思ってましたw
思いつめて犯る郁乃んもエロくて良いですが、やはり憎まれ口をきく
郁乃んがかわいいですね。
エピローグを楽しみにしてます。
>>410 黄色は被害与えるのは周辺だけど
ハルヒは世界に影響与えちゃうからなw
てかハルヒはポニテがよかった
雄二はあと何回地獄を見れば解放されるんだろうな
(´・ω・) カワイソス
あと少なくとも何千回かな
(´・ω・`)河野家作者は雄二に酷いことをしたよね
(´・ω・`)向坂家作者はもっと酷いことをしたよね
そうだ! 向坂家マダー?
「何もしない人ほど批評家になる」
自分がバカにされないことに意識を集中する。
これが劣等意識がもたらす「引き下げの心理」なのです。
部下の行動、妻の言動、何かのコラムに批評することで
「自分の方が偉いんだ!凄いんだ!」と自分で確認しなければ、気がおさまらない。
だから、良いところより、批判することにのみ、すぐに意識が向く。
なぜ、人を誉めること、よい所を認めることにこれほど、ある人は抵抗感を持つのか。
誉めないまでも、一つの考え方としてとらえる事ができないのでしょう。
演劇や舞台の批評文ばかりを見て、あの舞台はキャスティングミスさ、
台本の流れが問題さと、退屈と苛立ちにアグラをかいて、人を批判するより、
一生懸命作っている演出家や出演者の方が人生を楽しんでいるし、心からの友達も多いはず。
何もしない人ほど批判精神ばかりを育てて、人生を孤独にする傾向があるのです。
批判ばかりがクセになると、自分の小さな行動に対しても「くだらない」「意味がない」
と自分にも批判精神は向いてしまい、自分の前向きなエネルギーまでもが枯渇します。
421 :
名無しさんだよもん:2006/05/16(火) 14:47:28 ID:E2l+PjvK0
向坂家期待上げ
422 :
名無しさんだよもん:2006/05/16(火) 16:45:36 ID:PNbdN1g60
>>408 GJ!
雄二カワイソス(´・ω・)なハズなのに大ウケしましたw
>>420 をどれはいったいなにをいいたいのか、と
>>423 オナニーはしてる奴だけが気持ちいい。
他人のオナニー見て文句つけてる奴は性欲を溜めてしまい、
しまいにはその性欲を全く欠くことになってしまう。
もっとも、オナニーはそもそも誰かに見せるものではない。
自慰行動を自己の意思で公開するがごとき行為をする者は性的異常者ともいえ、
公開したマスターベーションを批判されるといっそう興奮を覚えるのである。
そして批判した人間を貶すことで更に変態的な自慰に取り組むことができるのだ。
ということだと思うよ。
なるほど。 勉強になるな。
女の子のオナニーを見るのは楽しいが
ふふっ……。
俺は相手が男でも全然構わないぜ。
や ら な い か ?
い や だ ア ッ ー !
ウホッ
今日も最初についたので、生徒会室の鍵を開けて中にはいる。
「せ、先輩と、笹森さん…。いったいなんですか?」
そこには、まーりゃん先輩と笹森さんがいて、驚きを隠せない私。
「いやー、昨日面白いことがあったって聞いたから〜」
「面白いこと……なんてありませんっ!」
昨日、大変な事になっていたらしい。
私は、笹森さんに寝かされて、マットの上に横になって…。
気づいたら河野さんが私の……えっと……掴んでいて…。
私の意識がないうちになにがあったのかよくわからないんだけど…。
それより、なんでまーりゃん先輩がそれを…?
「さーりゃん、ちょっと、両手出してくれる?」
「えっ?は、はい」
まーりゃん先輩の言う事を素直に従ったのが、間違えだった。
両手にがちゃり、と手錠をつけられる。
「せ、先輩っ!これ、なんですか!?」
「何って、手錠だけど?」
「そんなことじゃなくて……」
「生徒会長、ごめんなさいっ!」
そういって、私は笹森さんに背後から口を布でふさがれる。
「よしよし、かもりんはさーりゃんと、そのあたりに隠れていてくれたまへ。
そろそろたかりゃんがやってくるはずだぞっ!」
「は〜い」
身動きできない私は笹森さんとともに、入り口の方からは見えない場所にいく事に。
しばらくすると、鍵が閉まってる扉を開けようとしたときにする特有の音がする。
あれ、今日は久寿川先輩まだ来てないのか、という声。河野さんの声。
そして、少しすると、扉が開けられる。
こっちからは見えるので、河野さんが入ってきたとたんに足払いをかけられたのが見えた。
「はーっはっはっはっは!」
「まーりゃん先輩!!今日はいったいなんですか!!またパンツみえてます!!」
「ワザとみせているのだ」
「分かってます!迷惑ですから、やめてくださいっ!!」
「なんだよ〜つれないな〜。さーりゃんのことに関しては興味津々のクセしてさー。
まぁ今はおいといて、昨日は面白い事があったそうじゃないかー」
ニヤニヤしながら、先輩が言っている。
「いや〜、その場にいられなくてひじょ〜〜に、残念だった」
「そうですか。それは残念でしたね」
河野さんは、投げやりの態度でそれに答えている。
それがおきに召さなかったのか、まーりゃん先輩はふてくされたような表情に。
「へーなんだよなんだよ。そんなこと言うんだ。だったらいいよ。今日もやってやるよ」
河野さんが、その言葉で固まったのが、こっちからでも分かった。
「今…なんと…?」
「一度で聞き取れよー。つかえねーなー。もう一度だけだぞっ!」
もう一度まーりゃん先輩が言って、愕然としている河野さん。
そんなに、昨日の私は酷かったんだ…。
「ダメです」
その後、われに返ったかのように河野さんはきっぱり言った。
けれど、まーりゃん先輩は有無を言わさず、私の時のように手錠をかける。
「また手錠ですかっ!?」
「同じ手に何度もかかるなんて、たかりゃんは学習能力ないな〜」
貴明さんが、明らかに険しい顔になったのがわかった。
「むふふ、主役の登場〜っ!」
まーりゃん先輩が指をぱちっと鳴らすと、笹森さんが私を引いて貴明さんの前に出た。
「ちょ、何してるんですか、あんた達は!?」
私は口までふさがれていているので、貴明さんをじっと見つめる。
「何って、面白いこと」
「面白い事って…!!そうだ、タマ姉!このみ!雄二!早くきてくれえええ」
「ん?まっても無駄だぞ?既に、手は打ってある」
そう言ってニヤリとする先輩。
もう、私達は、まーりゃん先輩に逆らう手立ては残っていないようだった。
・
・
・
「では、かもりん、お願いいたすっ」
「任せといてなんよ!」
昨日と同じように寝かされる私。
いったい、どうなってしまうんだろう…。見当もつかない。
でも抗う手段はない。もう成り行きに任せるしかない。
私は、あきらめたような目で河野さんを見つめた。
河野さんも、私のほうを見てくる。
「俺が久寿川先輩の代わりに、実験台になります!」
そして、河野さんは叫んだ。
その言葉に、私は驚いた。そして、とっても嬉しかった。
でも、私なんかの代わりをさせちゃいけない。私はそう思い、首を横に振る。
あなたは、私なんかの代わりになんて、ならないで。そんな意味をこめて。
しかし、河野さんは気づいていないのか、その言葉を取り下げようとはしなかった。
「ほう、たかりゃん君。愛するさーりゃんを守るというか。
その思いに免じて、ご希望通り君を使ってあげよう」
いや、だめっ!あなたはそんなことしなくて良い人なの!
「じゃぁ、たかちゃん、準備はいいかな?」
まーりゃん先輩が不敵に笑う。
「ああ…。いつでも、どうぞ…」
私のマットに寝かされる河野さん。
ごめんなさい――私なんかのせいで――。
「じゃあいくよ…。わん・つー・すりーっ!」
***
河野さんが催眠術をかけられてから、もう5分が経っていた。
口をふさいでた布と手錠はは取られ、今は自由に動ける。
「あっれぇ…おかしいなぁ、昨日はできたんだけど…」
「なんだ、失敗かぁ」
先輩は残念そうな顔をする。
「うー、お役に立てず、すいません」
悔しそうな、笹森さん。
「いーや、もう当初の目的は達成できたから、とりあえずいいのだ」
その言葉を聴き、私はドキッっとした。
「当初の目的…?先輩、いったいなんですか…?」
「さーりゃんは気にしなくていいことなのだー」
「も、もしかして、河野さんに…」
「さーて、かもりん。そろそろ、催眠を解いてやろうじゃないか」
今、話を逸らされた…。先輩…やっぱり…。
「はーい、では…。わん・つー・すりーっ!」
河野さんは目をさま――してなかった。
笹森さんは苦笑い。
「あはは……起こすほうも失敗しちゃったみたい…」
「えっ―――!?」
思わず声を上げてしまう。
「そ、そんな…」
「も、もっかい…。わん・つー・すりーっ!」
笹森さんが、もう一度起こそうとするも、やっぱり河野さんは寝たままだった。
「もしかして、たかりゃんこのままずっと目を覚まさないかも…?」
「はは………最悪……そうかも…」
「い、いや…!そんなの…イヤ!」
河野さんが目を覚まさなかったら私…私…。
近くでマットの上で寝ている河野さんのほうを見る。
私は我慢できずに、胸に涙で酷くなってしまった顔を埋める。
「うう…。もっと…もっと早く、あなた会いたかった…。ちゃんと、言いたいこと…
言いたかった…。なのに…なのに…。バカ、河野さんのバカっ…!
起きないでいるべきだったのは私だったのに…。私なんかを庇って…」
まだ、いいたい事があった。まだ、言って欲しい事があった。
まだ、したい事があった。まだ、して欲しい事があった。
なのに…なのに…。河野さんは、目を覚まさなくなった…。
何でこんなことになっちゃったの…?誰が河野さんにこんなことをしたの…?
「ごめん、さーりゃん…」
先輩が、私の後ろで力なくそういった。
その言葉さえが私を憤らせる。
「謝るくらいなら起こして!河野さんを起こしてよっ!!」
先輩に背を向けたまま、大声で怒鳴りつける。
「ごめん…。でも、もうどうにもできないよ…」
先輩の目が、顔が、声が、逃げられない事実であるのを物語っていた。
でも、信じたくなかった。認めたくなかった。
足が震える。そして、その足で先輩に歩みより、つかみかかる。
「河野さんを起こして!河野さんを返して!!」
もうよくわからない。
ただ、涙と共に怒鳴り声をあげ、ただ乱暴に先輩の体を揺さぶる。
先輩は、もう何も言わなかった。
ただ、罪悪感に際なわれたような目で、ずっと私を見つめていた。
「河野さんを…!河野さんを…!かえ――」
そのとき、覚えある感触が、私の胸から。
歪んだ視界でみたそこには、誰かの手。
「久寿川先輩っ……やめてください…」
この声…。この手…。見なくても、誰のものだか分かる。
「う…う…うわああん」
私は胸を触られていることではなく、目を覚ましてくれたことが嬉しくて再び大声で泣き出した。
「ご、ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!久寿川先輩、ごめんなさいっ!!」
そんな彼の慌てた声さえも、嬉しく感じた。
***
「じゃ、じゃぁ先輩…騙してたんですね…!」
「いやー、さーりゃんがどれくらいたかりゃんの事を思ってるのかちょっと確かめたくってね」
それで、あんな手の込んだことを…。
というのも、今日の催眠術は解かない限り起きないというもので、それを解くときは、
あたかも解いたかのように見せて、実は格好だけだったらしい。
それで、私が先輩に掴みかかっている最中に後ろで笹森さんが河野さんの催眠術を解いたみたい…。
「もう……。先輩なんて、だいキライです…」
「もうさーりゃんったら、あたしの演技にもろに引っかかってくれて、騙すかいがあったよ」
だって、演技に見えなかったんだもん…。そんなこと判断してる余裕もなかったし…。
「でも、私もごめんなさい…。掴みかかっていっちゃって…。痛くありませんでした?」
「いやー、もうめちゃくちゃいたかったよ〜。骨折れちゃったかも。
これは、もうさーりゃんに裸エプロンで毎朝お出迎えしてもらわなきゃ直らないなぁ」
「――――」
そ、そんなこと…普通できるはずないわ……。で、でも、もし…………。
「本当にすいませんでしたーーーー!!」
そんなことを考えていると、後ろから声が聞こえる。
そちらを見ると、河野さんが、床に頭をこすりつけて土下座していた。
「こ、河野さん、どうしたの!?頭を上げて?」
私は、慌ててやめさせる。
「先輩の…その…おっぱいを2日も続けて…。本当にすいませんでした!
いくら手段が浮かばなかったからって、許されることじゃないと分かってます!
先輩をあんなに泣かせる程傷つけてしまって…本当に申し訳ありませんでした!!」
私は、にっこりしながら答える。
「じゃあ、河野さん…。今日、私と一緒に帰ってくれたら、許してあげるわ」
本当は勘違いしている河野さんを騙すようだけど、私はそういった。
「えっ…?」
河野さんの驚いた顔が、とても可愛く見える。
「お、俺でいいんですか……?」
私は、うなずく。
「で、でも俺―――」
私は、河野さんの唇を人差し指で抑える。
「あなたじゃないとダメなの――。あなたがいいの――」
河野さんは、驚いた顔のままコクコクっとうなずいた。
私は、またにっこり微笑んで人差し指を離した。
「先輩、私達、かえり――、ってもういない……」
先輩と笹森さんにサヨナラの挨拶をしようと振り返るも、二人ともいなくなっていた。
「それじゃぁ、河野さん、いきましょうか」
「は、はいっ!」
***
二人で歩く夕焼けの道。私は、口を開く。
「河野さん。ひとつお願いしていい……?」
今日を経て、思ったこと。お願いしたいこと。
「俺に出来ることなら、何でも」
ただの押し付けかもしれないけど…。それでも、私は約束して欲しかった。
「私に何も言わないで、どこか遠くにいったりしないで…」
「もちろんですよ。先輩を置いて行ったままどこかにいったりなんて、絶対しません」
河野さんは、私が何でこんなことを言ったのか分からないだろう。
でも、そう力強く答えてくれたことがとても嬉しかった。
「ありがとう……」
「久寿川先輩。俺もひとつお願いしてもいいですか?」
「な、何かしら…?」
「今日みたいに、何が起こるかわからなかったり、危険な可能性のあるようなことは、
全部俺に任せてください。先輩はそんなことしないで欲しいんです…。お願いできますか?」
私の事を心配してくれている。
それがたとえ他の人に対してと同じように心配していると分かっていても、私は嬉しかった。
私だけが特別なんだって、自分を騙すことが出来るから。
「ごめんなさい。それは、出来ないわ」
でも私は、河野さんのお願いを断った。
「な、なんでですか!?」
あなたを危険な目にあわせたくないから。
もちろん、そんなことを言えない。だから、私はこう言った。
「そうゆうのも、生徒会長の仕事だから――」
あてつけって事は分かっているけど、私はそう言った。
「で、でも――」
河野さんが何か言おうとしたけど、私は分かれ道というのを利用し河野さんの声を遮り言う。
「それじゃあ――また、明日」
私は、にっこり微笑みながら言った。
「は、はい。また、明日」
河野さんも別れ道についていた事に気づき、そういった。
そして、私達はそれぞれ帰路についた。
今日、もし河野さんがいなくなったら、って言う事に気づかされた。
だから、河野さんが私の傍にいてくれている間に……。
私は立ち止まり、空を仰ぐ。4月の春の風が、吹き抜けて、髪が揺らされる。
「どうすれば、私はあなたの特別になることが出来るの?」
私は今はもう隣にいない彼に向かって言った。
もちろん、ここにいない彼は答えてくれなかった。
でも私は気にせず、また歩き出した。
いつか、特別になれることを信じて――。
441 :
あとがき。:2006/05/17(水) 21:53:40 ID:udmp7dKo0
感情的になったささらを書きたくて、やってしまいました。
さーりゃんはこんなんじゃないっ!って方、すいませんでした。
やっぱりいい文章書くのって難しいですね〜。
>>441 乙&GJ。
さーりゃんがいい味だしてるのです。
なんか最近の作者さんは謙遜しすぎじゃない?
いや、堂々とされるよりはよっぽど良いけどさ。
もう少し自信持っても良いと思う。
やはり花梨は最高だな。
他のキャラは引き立て役でしかない。
やはりまーりゃん先輩は最高だな。
他のパンツじゃ萌えが足りない。
やはり胸は掴まれるためにあるのだなぁと思いました、まる。
くそー XRATED未プレイだから嫁ねえorz
>>441 あんた三宅じゃねえのか!ささらシナリオ独特の萌えと気分の悪さを久しぶりに味わったぞ!
すぐやれ。特急で。
とっきゅーとっきゅーとっきゅー
ぱおぱおー
とっきゅーとっきゅーとっきゅー
ぱおぱおー
さあ月曜日ですよオマエ等
(^ω^)向坂家wktk
珊瑚ちゃんと言うイレギュラー要素が加わったものの、るーこと花梨を仲間に引き入れることには
成功した。雄二箱を自分たちの部屋に隠すことも快諾してくれた二人。まぁ、もうちょっと箱の中身
を鑑賞したいと言うお願いくらいは聞いてあげるべきだよな。
そんな中、珊瑚ちゃんが写真集の中にタマ姉のそっくりさんがいるのを発見。次いで優季、るーこ
と次々そっくりさんが見つかり、いつしかそっくりさん探しに没頭する由真たち。花梨は自分のそっ
くりさんが見つからないのを気にするけど、まぁ、花梨は髪型が個性的だからね、うん。
いつからかは知らないが、そんな俺たちを覗いていた愛佳。見つけた以上は仲間に引き入れるしか
道はない。嫌がる愛佳に無理矢理写真集を見せようとする由真と、それに手を貸す俺。だがそこに、
さながら時代劇の主人公のごとく唐突かつナイスタイミングで現れるタマ姉。俺と雄二と由真はタマ
姉のキツイお説教を食らい、雄二箱は……
「――分かった、三人とも?」
「……はい」
「……へぇーぃ」
「……ご免なさい」
揃ってタマ姉に頭を下げる俺たち。
「ふん……、まぁ、このくらいでいいでしょう。
じゃあ三人とも、そろそろお昼だから下に降りましょう」
そう言って俺たちを立ち上がらせようとするタマ姉だが、
「……」
「……」
「……」
「どうしたの? 立ちなさい」
「いや……、その」
「ぐ、ぐぐぐ……」
「うう……」
……いや、だってさぁ、三時間も正座させられてたんだよ。そんないきなり立てと言われたって、
足がしびれて立てませんって。
悶え苦しむ俺たちを見て、タマ姉はやれやれと、
「この程度で立てないなんてだらしないわね。仕方がない、しびれが治ったら降りてきなさい」
タマ姉は雄二箱を抱え、部屋を出ていこうとする。
「な、なぁタマ姉」
「何、タカ坊?」
「それ……どうするの?」
分かっていることとは言え、念のため聞いてみる。
「決まってるじゃない、全部捨てるわよ。
本は資源ゴミ、DVDとビデオは燃えないゴミの日ね。とりあえずそれまでは私の部屋に」
「全部、捨てちゃうの?」
「そうよ」
当然、と言った顔のタマ姉。
「あのさタマ姉、それは勘弁してくれないかな。
前にタマ姉言ってただろ、それなりのものなら見逃すって。だから、それなりのものだけ残して
やってくれないかな」
「まぁ、確かにそう言ったわね。けど」
タマ姉は雄二をギロリと睨み、
「私の目を欺こうとした根性が気に入らないわ。それを加味したら没収程度で許すんだもの、むしろ
感謝してほしいくらいだわ」
「は、ははは……」
最早雄二は完全に諦めている模様。けど、
「確かにこんな手の込んだことをやらかしたのは俺もどうかと思うけど、雄二だって男なんだしさ、
やっぱその、いくらタマ姉が止めても、そういうのを見たいって気持ちはどうしても止められないん
だよ。俺も男だから、それは理解出来るって言うか、共感できるって言うか。
だからさ、頼むからそれなりのものだけ、何とか」
この通り、と頭を下げる。
俺がこんなにしつこく食い下がるのは雄二への友情故に、と言いたいところだが、やっぱタマ姉に
気づかれたのは、俺と由真が愛佳相手にドタバタやったからだという後ろめたさからだったりする。
そもそも俺の家にこんなもの送りつけた雄二はアホだと思うけど、バレた原因が俺たちにある以上、
これではあまりにも雄二が哀れすぎる。
「あたしからもお願いします、環さん」
頭を下げてるので見えないが、由真も頭を下げた模様。俺が思ったように、バレたのは自分たちの
せいだという自覚故だろうか?
「そうね……、あなたたちがそこまでするなら、まぁ、ね」
頭を上げなさい、と俺たちに言い、タマ姉は雄二箱を床に置くと、
「それじゃあ、これから中身を確かめて、それなりのものは雄二に返すわ。それでいいわね」
「うん、ありがとうタマ姉」
タマ姉は、写真集や漫画はパラパラと流し読みし、DVDは俺のゲームで早送りで見て(操作した
のは当然だが俺)、ビデオはこの部屋にデッキが無いので保留とし、そんな感じで雄二箱の中身を
一通り確認した結果、雄二の手元には3冊の写真集のみ返還された。ちなみに、それらの写真集の
モデルさんは河野家メンバーズの誰にも似ていない。何となくホッとした俺。
「よ、よかった……。全滅は免れた……」
写真集を抱きかかえ、涙ぐむ雄二。まぁ、その、よかったな。
「それから雄二」
「?」
「これは……、よくないわ」
困った顔でタマ姉が雄二箱から出したのは、『姉と弟 禁断の関係』。
「うえっ!? い、いやそれは」
「雄二……、あんたが私のことをそこまで想ってくれてたなんて、私知らなかったわ。
でもね雄二、私たちは血の繋がった実の姉弟なの。これだけはどう変えようもない事実。だから
私は、あんたの想いには応えてあげられない。人として、それだけは出来ないわ」
「い、いや、ホントにたまたま――」
「人の道に戻りなさい雄二。
あんたはね、頭の中身さえもう少しマトモなら、姉の私から見てもいい男なのよ。人として正しい
道を歩んでさえいれば、きっとあんたにも素敵な恋人が出来るはずよ。私が保証するわ。
いい、頑張るのよ雄二、いえ、一緒に頑張りましょう雄二! あくまで姉の私と一緒に、頑張って
更正するのよ!」
「……」
興奮気味のタマ姉に両肩をガシッと掴まれ、無言の雄二。その表情が投げやり気味に見えるのは
俺の気のせいだろうか?
まぁ俺としても、親友が道を誤るのは好ましくない。頑張れ雄二。
足のしびれなら、タマ姉の検閲中に治ってる。なので俺たちも一階の居間へ。
「……」
「……」
「……」
「……タカくんのエッチ」
居間に入るなり、優季、郁乃、瑠璃ちゃん、このみの冷たい視線。
「いやー、貴明センパイたち、災難でしたねぇ、ウヒョヒョ」
「……どうも」
よっちとちゃるもいつの間にか来てるし。
そうだよなぁ。俺たちが何をしでかしたかなんて、そりゃ伝わってても当然だよなぁ。
「……面目ない」
言い訳の言葉など最早何の意味もない。今はひたすら非難に耐えよう。
「由真さんまで一緒になって、るーこさんや花梨さん、珊瑚ちゃんをHな本でたぶらかして、しかも
嫌がってる愛佳さんにまで無理矢理見せようとするだなんて、酷すぎるんじゃありませんか?」
優季の矛先が由真に向く。いかん、この二人は以前大喧嘩してる。まさかまた――
「……ま、愛佳には悪いことしたと思ってるわよ。ゴメン、愛佳」
意外にも優季の言葉に腹を立てることもなく、愛佳に頭を下げる由真。
「うん、もういいよ由真」
「俺も悪かった。許してくれ愛佳」
由真の後追いって感じだけど、とにかく俺も謝る。
「た、たかあきくんまでもういいよぉ。あたしのことも含めて環さんに怒られたんだから、それで
もう十分ですよ。あたしならもう平気ですから」
「お姉ちゃん簡単に許し過ぎ。ついさっきまであんなにワンワン泣いてたのにさ」
やや呆れ気味の郁乃。
「そ、そんなことない! そんなワンワンなんて泣いてないし、もっと早く泣き止んだよぉ」
慌てふためく愛佳が可愛いなぁ、なんて思ってたら、
「貴明ぃ!!」
ゲシッ!!
「ぐあっ!?」
いきなり俺を蹴ったのは、言うまでもなく瑠璃ちゃんだ。
「さんちゃんたぶらかしてHな本見させるなんて、この、へんしつしゃーっ!!」
「あかんよ瑠璃ちゃん、貴明のせいちゃうよ」
瑠璃ちゃんを止めようとする珊瑚ちゃんだが、
「さんちゃん黙ってて! みんな貴明が悪いんや!
Hな本なんか読んで、おまけにさんちゃんにまで……、この、このぉ……!
貴明のスケベーっ! へんたーい! ごーかんまーっ! ウチだけ仲間外れーっ!!」
ゲシッ!! ゲシッ!! ゲシッ!!
罵声とともにキックの連打。その痛みに耐えつつ、瑠璃ちゃんはムエタイとかキックボクシング
とか習って、エクストリームにでも出場したらいいかもなんて思ったり。あと最後の仲間外れって?
瑠璃ちゃんは何十発か――とにかく数えられない程俺を蹴りまくり、倒れ伏す俺に「昼の支度が
あるから、このくらいで勘弁しといたる!」と言い残すと、キッチンへのしのしと向かった。
俺は雄二に肩を担がれ、ふらふらとソファーへ。
「大丈夫、タカくん?」
さっきの怒りはどこへやら。心配そうなこのみ。
「だ、大丈夫大丈夫、いつものことだし」
「いつもって、貴明センパイ、いつもあんな何十発も蹴られてるんスか? ハードッスねぇ」
まぁ、普段は一発なんだけどね……。
「……耐え忍ぶのも愛」
いや、愛じゃないし。
「そう言えば環さん」
由真は、るーこ、花梨、珊瑚ちゃんを順に指差し、
「この三人は、お咎め無しなんですか?」
「おい由真、もういいだろ」
俺としてはもう雄二箱絡みの話は沢山だ。だが由真は納得してないようで、
「そりゃあ誘ったのはあたしだけど、それに乗ったのはるーこと花梨自身だよ。珊瑚ちゃんに至って
は誘ってないのにいつの間にか読んでたし。
あの箱の中身を読んだのが悪いって言うなら、この三人だって同罪じゃないですか、環さん?」
その言葉に、るーこと花梨が縮こまる。
「そやな〜、読んだんが悪い言うなら、ウチも同罪やな。環、ウチのこと叱って」
珊瑚ちゃんもそう言って、タマ姉の前で正座する。それを見たるーこと花梨も、珊瑚ちゃんの両脇
で正座をし、叱ってくださいとばかりにタマ姉を見つめる。
「うーん」
タマ姉は顎に指を当て、
「私としては、この三人を咎めるつもりは無いんだけどね」
「ええっ!? どうしてですか環さん!?」
由真のその声は、疑問と言うより抗議の色。
「年頃の女の子だもの、性的なことに興味を示すのは当然じゃない。
まぁ雄二の集めたあれは過激すぎだけど、読んだこと自体を責める気にはならないのよね」
「ならあたしだって!」
「由真は雄二やタカ坊と結託して、私を欺こうとしたでしょ。おまけに嫌がる愛佳に無理矢理読ませ
ようとするなんて、親友失格よ。さっきも言ったのに、まだ分かってくれなかったのかしら?」
「あ……、いえ、そんなことは決して!」
慌ててブンブン首を横に振る由真。
「とは言え、どうやらお咎め無しだと収まりが悪いみたいだし……」
タマ姉は少し考え、
「それじゃあ、るーこたちは」
ペシッ、ペシッ、ペシッ
いきなり三人の額にデコピン。痛いと言うより驚いた顔でタマ姉を見るるーこたち。
「はい、お仕置き。
いい、もうあんな過激なのは見ちゃダメよ」
「る、る〜」
「ご、ゴメンなさい」
「うん、分かった〜。フツーにHぃの見る〜」
かくして一件落着、と言いたいものの……、最後の珊瑚ちゃんの言葉が気になる。フツーにHぃの
って、まさか珊瑚ちゃん、これからは自分で買って見るつもりじゃ……
さっきも言ったが、俺としてはもうこれ以上雄二箱絡みの話は沢山なのだ。それなのに、
「――じゃあ、雄二センパイのコレクションは全部没収されたワケじゃないんスね」
よっちがそれを許さなかった。
「まぁな。三冊だけ返してもらえたよ」
「じゃあ、その三冊は、今どこにあるんスか?」
「貴明の部屋に置いたままだけど?」
「へぇ〜っ、ほぉ〜っ」
天井を見てニヤニヤと笑うよっち。何かイヤな予感。
「環さん、念のため確認しますが、環さんが検閲済みの三冊、読むのは構わないんスよね?」
「まぁ、あのくらいは、ね」
「それなら、ちょいと……」
立ち上がり、キシシッと笑いながらドアへと歩くよっち。
「ちょっと待てよっち、どこへ行く?」
「決まってるじゃないッスか貴明センパイ。ちょっくら拝見させてもらうんスよ」
「え!?」
「いや〜、実を言うとあたしも読んでみたかったんスよね〜。男の子の読むエッチな本。
ホントは由真さんたちが読んだ方を読みたかったんスけど、まぁそれは諦めるとして、せめて残り
の三冊だけでも、ねぇ。環さんのお許しも出たことだし。ホレ、いくよキツネ」
「了解」
よっちに呼ばれ、すっくと立ち上がるちゃる。そして、
「このみも、行こう」
このみに手を差し出すちゃる。
「え、えええっ!? わ、わたしはいいよ。そんなの別に見たくないもん!」
真っ赤な顔で、ちゃるの手を引っ込めさせようとするこのみ。何故かチラチラ俺を見つつ。
「わ、私は瑠璃ちゃんの手伝いですから!」
そう言って立ち上がり、すたすたとキッチンへ向かう優季。このタイミングで立ち上がったら、
そっちに行くと誤解されるって思ったんだな。と、
「……」
よっちを見つめている郁乃。もしかして……行きたいのか、二階へ?
と、その視線によっちも気づき、
「一緒に行く、郁乃ちゃん? あ、今のダジャレじゃないからね」
「だ、誰も行きたいだなんて――」
「まぁまぁ、そんなつれないこと言わないで一緒に行くっしょ。ホレ」
郁乃の前にしゃがみ、背中を向けるよっち。
「……」
やはり本音には逆らえないようで、郁乃は不承不承、よっちの背中におぶさった。
つづく。
どうもです。第57話です。
突然、PCのディスクが壊れてしまいました。orz
幸い河野家を含む全てのSSはフロッピーにバックアップを取っておいたからよかったものの、全く
頭になかったのが辞書ファイルのバックアップ。
PCを復旧させて河野家書こうとしたら、辞書が生まれたての赤ちゃんになっちゃったせいで変換
に手間取りまくり。愛佳や優季、タマ姉の名前が出てこないし、「さんごちゃん」で変換したら
「三吾ちゃん」になったり……
そんな感じで悪戦苦闘の57話でした。
>>467 今週も楽しませて頂きました。
それにエロ本を見た事が学校にばれたら停学なんだよな、と昔の事を思い出しましたw
>>467 河野家、喜多ーーー!!!
淡々と雄二箱の内容を確認するタマ姉こえぇ〜w
タマ姉も、こういうのには免疫なさそうなのになあ^^;
しかし、ちゃるとよっちはどこから湧いたのやらw
次回が楽しみです。
PCの方は、ご愁傷さまでした。
いっそ、USBメモリーか何かに辞書とかも
まとめてバックアップをとっておいた方が
よいかもしれませんね^^;
>>467 今まで自分が書いたテキストを、片っ端から辞書ツールで読み込ませてトレーニングさせると良いよ。
IMEでもATOKでもok
>>458-467 乙&GJ&辞書南無であります。辞書はきっついすなぁ…。
ともあれ、ちゃる&よっち&このみん&いくのんの年下組の今後の絡みが楽しみだったり。
今回の個人的GJは瑠璃ちゃんの反応とタマ姉の『姉と弟 禁断の関係』に関する反応。
もう毎回楽しみです。ご馳走様ですw
このまま18禁方向にもできる展開だなwww
>>473 あらすじ
雄二箱のお陰でかなり性欲をもてあました俺、これは一般の高校生にとっては当然の事だと思う。
それに最近は皆と一緒に生活しているから、中々処理する機会も無く、とうとう我慢できなくなった俺は・・・・・・
「流石に夜中の二時には皆も起きてこないよな」
自分の寝床となっているリビングで一人呟く俺。
「思い立ったら吉日という言葉の通り、さっさと済ませるか」
MySonをシコシコしごき、もう少しだなと思った瞬間にガチャリとドアが開き、るーこが顔を出した。
「うーよ、まだ起きていたのか、そろそろと寝ないと明日がつらくなるぞ」
半分眠った目を手で擦りながら、るーこはリビングに入ってきたが、
その次の瞬間に俺がどんな状況か認識したらしい。
「う・・・うーよ!何をやっている!」
赤面しながら声を上げるる−こ。
「え・・・えと・・・これはな・・・その・・・ええっとな・・・」
何をやっていると言われても・・・愚息を喜ばせていましたとでも言うべきだろうか、
処理している所を見られて焦る気持ちとのんきな考えが頭をよぎったが、
何と言えばいいのかわからず、るーこも何も言わずにお互いが静寂に包まれたが、とうとうるーこが口を開いた。
「その・・・うーよ、る・・・るーが・・・して・・・やろうか?」
るーこが顔をこれでもかと言ふ位に高揚させていいたまひける。
こうでちゅか?わかりません。
>474
続きよろしく。
>>473 あらすじ
雄二箱のお陰でかなり性欲をもてあました俺、これは一般の高校生にとっては当然の事だと思う。
それに最近は皆と一緒に生活しているから、中々処理する機会も無く、とうとう我慢できなくなった俺は・・・・・・
「流石に夜中の二時には皆も起きてこないよな」
自分の寝床となっているリビングで一人呟く俺。
「思い立ったら吉日という言葉の通り、さっさと済ませるか」
「ビックリするほどユートピア!ビックリするほどユートピア!」
ツマンネ
あらすじ
(中略)
……もう少しだなと思った瞬間にガチャッと扉が開き、雄二が顔を出した。
「わりぃ、貴明…。俺も昼間の一件で寝つけなくてね…。」
言いながらゆっくりとベルトを緩め、ズボンをパンツごと脱ぎ捨てる。
廊下から入る明かりが逆光となり雄二の表情はよく分からない……、だが腰に反り立つ雄二のイチモツは俺に優しく、そして雄弁にこう語りかけていた。
「や ら な い か ? 」
うほっいい展開
なわけねえwww
480 :
名無しさんだよもん:2006/05/23(火) 17:20:33 ID:Lm5KBeLU0
ありえない展開のほうがいいな。
あらすじ
(中略)
人肌程度に暖めた素うどんに自分の息子を突っ込みしごき始める。
纏わり付くような刺激を受け、俺はたちまち精を放出してしまう。
「…はぁぁ、俺もなにやってるんだか」
こんな時にわざわざ凝ったオナニーに興じる自分に、どうしようもなく脱力する。
と、その時、
「…うーん、誰か起きてるの?」
ガチャっと扉が開き半分寝ている状態のこのみが顔を出す。
「こ、このみ!」
俺は慌てて手に持っている素うどんをテーブルの上に放り出し、ずり下げていたズボンを上げる。
「…あ、タカくん? あーーっ!」
寝ぼけていたこのみだが、なにかに気が付いたのかあっという間に目が覚めて大声を出す。
「ど、どうした? このみっ! 別に俺はなにもしていなかったぞ」
平静を装っているが、内心はビクビクものだ。
「タカくん、ずるいよ。一人でお夜食食べてるーっ」
ガクッ! この、いやしんぼめ。
「えへー、タカくん。このみも一緒におうどんを食べたいなー」
「ちょww
>>481 このみは「タカくんこれはんぶんこしようよ〜」今にも目の前にあるうどんに手を出そうとしている。
やばい、どうする。
1.わかった、仲良くはんぶんこだ。
2.これは俺のだ。食べたかったら自分で作れ。
3.よし、俺はもういいから全部残さず食べろ。
俺の想像したのと全然ちげえwww
臭いとろろうどんだな。
精がつくって言うかついてるって言うか。
このみ「このうどん タカくんのベッドと同じにおいがするでありますよ〜。」
流れを完全に無視してあれなんですが。
初SS置いていきます。至らぬ点はご容赦下さい。
>>357 遅くなりましたが、以前は優しみ溢れるレスをありがとうございました。
その言葉を励みにしこしこ書き上げました。
「ちょっとたかちゃん!もう見たこの記事?」
珍しく先に部室に着いたので置いてあったミステリな雑誌(月刊む〜む〜)で時間を潰していたのだが、
けたたましく現れた待ち人の声で現実に引き戻された。
「どうしたの笹森さん、そんな慌てて。宇宙人とビッグフットの朝帰り2ショット写真でも見付けた?」
「あ、それもちょっと魅力的かも。ってそうじゃなくて、これなんよ!」
ズビッと目の前に紙を突き出される。どこかのサイトをプリントアウトした物のようだ。
どうせまたろくでもない物を用意して来たんじゃないのかと思いつつも、
無視したらしたでやいのやいの五月蝿いので仕方なく目を通してみる。
「えーと、何だって…。」
英国防省、空飛ぶ円盤は存在しないと研究報告書で結論??
ttp://www.zakzak.co.jp/top/2006_05/t2006050805.html 「ねえ、どう思うたかちゃん。わざわざイギリス国防省がUFOの存在を否定するなんて、怪しいと思わない?
これは国家機密的何かの隠蔽工作に違いないんよ!」
「国家機密的何かって言われても…。大体隠蔽工作ならこんな大っぴらにする方が怪しまれるんじゃないの?
それこそ笹森さんみたいな人達が居る団体とかに…」
と言っているうちに想像(妄想?)の虫が変な羽を広げ始めた。
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花梨A「イギリスがUFO、ううん地球外生命体に関して何らかの情報を隠しているのはほぼ間違いないんよ!」
花梨B「そうなんよ、民衆の知る権利をないがしろにするなんて紳士の国が聞いて呆れるんよ」
花梨C「ミステリ研究会英国支部の私達としては、ここで負けるわけにはいかないんだからっ」
花梨D「貴明会員!ありったけの食料(タマゴサンドしかないけど)を用意して!これから英政府に対して持久戦だよ!」
花梨A「絶対に情報公開させてやるんだからぁっ!」
花梨B「もうこっちは実力行使だって辞さない覚悟なんよ。並み居る敵はこのタマゴ爆弾
(自作、作製方法はゆで卵をレンジでチン、良い子は真似しないでね)で!」
花梨C「ほら何してるの、ミステリ研英国支部は貴明会員の双肩にかかってるんだよ!」
花梨D「私の予定だと貴明会員は政府との交渉、その裏で密かに行われる政府からの刺客との戦闘、食料確保と
八面六臂の大活躍をするんだから。そして最後は愛する私達を助けるために…うぅ」
花梨ABCD「…たかちゃんっ、可哀想」
「何で俺ばっかそんな目に遭うんだよ!そもそも何だよこの笹森さんだらけのアヤシゲな集会は!
一人居れば十分って、うわ何で押し倒ちょっ泣きながら服脱がす意味がわかんな…アッー!」
***********************************************************************************
「…ちょっと、ねえ、たかちゃん?たかちゃん!」ユサユサ
「ッヒイィ!!」
花梨に揺さぶられて我に返る。
「ヒイィって何よヒイィって!こんな可愛い娘目の前にしてそんな声あげるなんて。
何か言いかけて止まっちゃったから心配して声掛けてるのに、全然反応しないんだもん」
本当に心配してくれていたのか、少し困った顔だった花梨だが、
俺の悲鳴が気に食わなかったらしくすぐに表情を変えプリプリ怒り出した。
「え?あ?あ、そう、ごめん、何か今見てはいけない物が見えたって言うか思い出したくないって言うか」
「?変なたかちゃん、それより話を戻すけど、これ、やっぱり私としては気になるんよ…」
俺のしどろもどろな言葉に訝しげな様子の花梨だったが、特に追求せず本題に戻ろうとする。
さすがミステリ研会長。ミステリに対する飽くなき情熱。
でも俺はまださっきのダメージから回復出来ていなかったので適当に受け流す。
「あー。気にしなくていいんじゃない」
「たかちゃん!」
バン!と机を叩く花梨。ついでに身を乗り出して机に乗っかり俺の顔に手を伸ばしてくる。
「何でいーっつもそんなやる気ないの!もう名誉会員の称号は剥奪なんよ、たかちゃんは一生会長専用奴隷に決定!」
「ひあ!ほんはほほひはへれも、らひらいひふへいよはいいんにらっれはろは
(いや!そんな事言われても、大体いつ名誉会員になってたのさ)」
頬の肉をぐにんぐにん引っ張られながらも口答えをする俺。
きつくやられていないので痛くは無いのだが、その、ちょっと近いんですけど、顔。
図らずもじっと見詰め合う事になり気恥ずかしくなってきたので、花梨の手を外して椅子から立ち上がる。
「それに名誉会員だろうと、専用奴隷だろうと、笹森さんの俺に対する扱いって変わらない気がするんだけど」
さすがに言われっぱなしも癪なので、じとーっとした目付きで頬をさすりながら言ってみる。
「〜すぴ〜すぴぴ〜すぴ〜♪」
明後日の方向を見て口から何やら空気を漏らす花梨。
「いや、だから、口笛吹けてないし。何も誤魔化せてないよ、それ」
「うぅ〜元はと言えばたかちゃんが意地悪言うからなんよ〜、気にならないの?イギリスだよ?
ミステリの本場だよ?ミステリの宝庫なんだよ?ねぇ、たかちゃ〜ん〜」
いつの間にか机を降りてにじりよってくる花梨。
何だかここ最近甘え方が一段とパワーアップしている気がする。
それとも前からこんなだったのかな。今はこっちが意識し過ぎてるだけで。
あぁもうそんな目で見るな、捨てられた子猫か。
うっかり手を出すと懐いて離れなくなりそうな所なんてもうそのまんまだ。
にゃあにゃあ言いながら足元にまとわりつく猫花梨を想像しつつ。
「そう言われてもなぁ。気になるって言ったってほいほい行けるもんじゃないでしょ、イギリスなんて」
「諦めちゃ駄目だよ、たかちゃん!ミステリ研会員なら不屈の精神で物事に当たらないと!」
「…で、具体的に何か考えてるの、そう言う笹森さんは」
「………えーっと………密航?」
「却下、って言うか何でいきなりド犯罪な発想なのさ。もっと真面目に考えてるかと思えば」
「飛行機は無理でも、北欧ツアーのクルーザーなら何とか忍び込めるんじゃないかなーって」
「本気で言ってたのかよ!無茶言うな!大体忍び込んでイギリス着けたとしても、それから
どうすんのさ。そもそも笹森さん英語話せるの?きゃんゆーすぴーくいんぐりっしゅ?」
「え?あ、うー、うーん。ぱ、ぱーどぅん?」
「…もういい。ごめん、悪かったよ。そんなひょっとこみたいな顔しなくていいから」
「してない!失礼だよたかちゃん!私の事あほの子だと思ってるでしょ!」
「Unidentified Mysterious Animalなんて澱みなく言った時は英語得意なのかと思ったけど、
やっぱり自分が興味無い事にはからっきしだね」
「んー、だってUMA自体日本人が考えた造語だから」
「へー、そうなんだ。って本当どうでもいい知識だな」
「どうでもいいとは何よー、たかちゃんたまにミステリ研とは思えない暴言吐くんよね」
「無理矢理会員にしたのはどこの誰だよ」
「えへへ…」
舌を出して照れたように笑う花梨。
う、く、駄目だ。いつもこの笑顔にしてやられて余計な苦労背負い込んでるんだ。
これは悪魔の微笑みなのだ。魅了されちゃいけない、気をしっかり保て俺!
などと花梨から視線を逸らし一所懸命自己暗示を掛けていると、じっと見詰められている事に気付いた。
「ん?どうかした笹森さん」
「ねぇ、たかちゃん」
「うん」
「新婚旅行は、イギリスにしようよ」
「ぶぴっ」
「うわわ、たかちゃん、えんがちょ!」
吃驚し過ぎて鼻水吹いた。
「さ、笹森さんが変な事言うからだろ!!何言い出すんだよいきなり!!!」
「え〜、変かなぁ。まぁ確かにアマゾンの奥地とかアフリカの秘境も魅力的だとは思うけど、
はいバッチィのふきふきしましょうね〜」
「変なのはそっちじゃなくて!!あと自分でふくから!やめれ恥ずかしい!!!」
「んふ、照れ屋さんだね、たかちゃんは」
「あああ、もう、ほんとに、何でいきなりそんな方向に話飛ぶかな…」
「だって、やっぱり結婚したら、新婚旅行はしたいでしょ?その旅行をミステリーツアーにしたら
一石二鳥じゃない!?もう、花梨ちゃんってば天才!」
「…はいはい。そうですね。笹森花梨会長は大天災です…」白旗宣言。
「でしょ〜♪」心からって感じの満面の笑みでにこにこする花梨。
まったく、先が思いやられる。俺達の将来が一番ミステリだよ。
心の中で愚痴りながらも、目の前の笑顔に抗えない自分を感じていた。
黄色い悪魔に取り憑かれた俺の受難はまだまだ続いていくんだろう。
この笑顔に魅了されながら、多分ずっと。
おしまい
リンク先の記事を見てネタのとっかかりはすぐ思い付いたんですが、
なかなかどういう流れにするか定まりませんでした。難しいですね。
少しでも楽しんで頂ける人が居れば幸いです。
黄色い悪魔キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
496 :
357:2006/05/26(金) 07:20:42 ID:NyzC1GHw0
よく見たらアンカー間違ってたし〜。
それにしてはあんな意見を励みにしてくれるとは。
いや、技術的には向上しているような気がする。
でもやっぱり会話主体ってところはあまり変わらないのな。
内容的には「そう言えばこんな話あったな」と思ったけど、これを真正面からネタにしてくるとは。
勢いはあるから一気に読めるのは読める。
それに会長に対する>494さんの愛も感じる。
しかし「!」や「?」の後に一マス開けるとか
「」の後にすぐ文を続けない、そこは改行するべしとか
文頭は一マスあけるべしとか言う基本的なことを守れていれば尚良かったと思う。
今回も甘めかも。
まぁ、これに懲りずに頑張って書き続けてくれると見ている方としても嬉しいんだけど。
俺は応援してるよ。
マサル会議を思い出したのは俺だけでいい……
>>495 ミステリ研の黄色い奴は化け物かーヽ(´ー`)ノ
まぁ化け物チックな髪飾りはしてますが。
>>496 優しみレスありがとうございます。
会話主体になってしまうのは、自分そういうのしか書けないっぽいです。
自分で書いといてなんですが台本とかト書きっぽいような。
勿論その類のも書いた事ないんですけど。
と言うか指摘されている通り文章のいろはみたいのもなっちゃいませんし…。
会長はLOVEです。ろべですよ。自分でも何でこんな好きなのか良くわからんです(;´Д`)
今回これ書くだけでもかなり燃え尽きてるので次回があるかどうかはまったく分かりません。
ネタと気力があれば…。でも応援ありがとうございます。嬉しいです。
>>497 オチにキャンディーオンディー掴み取り持ってきた方が良かったでしょうか?(;´Д`)
499 :
リュックン:2006/05/26(金) 21:19:00 ID:b82D2bJI0
テスト、レスが出来たら感動物・・・
>>498 GJ!
花梨の魅力がよく表現できててすごく楽しめたよ。
会話の流れもセンスを感じた。
イルファさんをカラオケに連れて行くSSを書いてくれ・・・俺には書けなかった。
>>493の最初だけみるとタカ棒がイッちゃいそうな気がする
503 :
名無しさんだよもん:2006/05/29(月) 20:45:04 ID:7T4UhAm7O
河野家マダー?
三時間の正座と説教。それだけで済むならまだしも、雄二箱の中身全没収というのはあんまりだ。
俺はタマ姉が以前言っていた台詞を持ち出し、”それなりなもの”だけ雄二に返してやってくれと
頼む。由真も一緒に頭を下げてくれ、タマ姉は自ら検閲の後、”それなりな”写真集三冊のみ雄二に
返してくれた。よかったな、雄二。あとタマ姉の言うとおり、実のお姉さんに邪な想いを抱くのは
俺もどうかと思うぞ。
居間に戻った俺を待っていたのは、このみたちの冷たい視線。いつの間にかちゃるとよっちも家に
来ており、俺たちの悪行は彼女たちにもしっかり伝わっていた。まぁ、仕方がない。非難の言葉も
瑠璃ちゃんのキックも、甘んじて受けるしかないのだ。けど連打はキツイよ瑠璃ちゃん。
るーこ、花梨、珊瑚ちゃんがお咎め無しなのが気に入らない由真。るーこたちも罪の意識から、
自ら罰してくれとタマ姉に頼み、聞き入れたタマ姉は三人にデコピン。まぁ、そんなもんでしょ。
もうすぐ昼飯だってのに、二階へ行こうとするよっち。三冊の写真集だけでも拝見したいとのこと。
ちゃるはこのみにも声をかけるが、このみは必死でそれを断る。一方郁乃も興味があるようなのだが、
自分から素直に行きたいとは言わない。けどよっちにあっさり見抜かれ、仕方なくと言った感じで
よっちの背中におぶさる郁乃だった。
ちゃる、よっち、郁乃が二階へ行ってから約30分後。
「貴明ー、もうすぐご飯出来るから、あの三人呼んでー!」
瑠璃ちゃんにそう言われたので、ドアを開けて廊下に首だけ出して、
「おーい、ご飯出来るから降りてこいよー!」
と呼びかける。……………………返事がない。
「ったく、しょうがないなぁ」
ぼやきつつ、二階へ。部屋のドアをコンコンとノックすると、
「あ、はーい、どうぞッスー」
よっちのお許しをいただいたのでドアを開けると、ちゃるとよっちが写真集を熟読中。
「呼んだのに聞こえなかったのか? 昼飯だってさ」
「あ、そうなんスか? いやー、つい夢中になっちゃって」
顔を上げ、えへへと頭をかくよっち。
「……不覚」
おやおや、珍しくちゃるが顔を赤らめてる。
あれ? 郁乃がいないぞ――って、ベッドの布団が盛り上がっている。何やってんだ郁乃のヤツ?
ベッドを指差してよっちを見ると、
「いや、写真集読み始めたかと思ったらいきなり布団に潜り込んじゃったんスよ。呼びかけても全然
出てこないし」
全く意味不明な郁乃の行動だが、とりあえず今は布団の中から出てもらわないと。
「おーい」
ベッドに近づき、布団をめくると、
「うあっ!?」
中の郁乃が慌てて写真集を後ろ手に隠す。どこから持ち出したのかペンライトで照らしながら、
布団の中で読んでいた模様。
「何やってんのお前?」
「べ、別に」
「そんな読み方してたら目を悪くするぞ。ただでさえ郁乃、目が弱いっていつも愛佳が気にかけて
いるのに」
「そんなの貴明に関係ないでしょ! いいから元に戻してよ!」
「ダーメ。もう昼飯だから呼びに来たんだ、読書ならその後にしてもらおうか」
言い返す間も与えず、布団をひっぺがす。うつぶせに寝ていた郁乃の全身があらわになり、後ろ手
に隠していた写真集も丸見え。
「な、何すんのよスケベ!」
などとのたまう郁乃だが、別に裸で寝ていたワケではないので誤解無きよう。
ついでと言っては何だが、どれ、郁乃がどんな本を読んでいたのかなっと。
「あ、こら!」
郁乃から写真集をひったくり、内容を確認。――ふむふむ。
「うーん、郁乃もこういうことに興味を持つようになったか。いやー、大きくなったなぁ郁乃。
お兄さんチョット感動」
「だ、誰がお兄さんよ!? 成長を見守られた覚えも無いし!」
「そうして郁乃も一人前の女性になって、やがて生涯の伴侶と巡り会い、嫁いでいくんだねぇ。
その日を思うとお兄さん悲しいよ。ううっ」
「目薬使ってまで泣きマネするな! って言うかその目薬どこから出したのよ!?」
勿論普段から常備……してるハズなどなく、この目薬はPCの横の引き出しに入れて置いたもの。
長時間PCの画面見てると目が疲れるから、そんなとき重宝するんだよね。
「な、何か貴明センパイ、郁乃ちゃん相手だとエラくノリノリッスね」
チョット驚いた様子のよっち。まぁ、言われてみるとその通りかも。だって、
「いや、こいつ面白いし」
「な!?」
俺のその一言に真っ赤になって怒り出す郁乃。そういうところが面白いんだよな――って、
ガブッ!!
「痛たたたたた!! お、お前何して!?」
い、郁乃のヤツ、俺の左手に噛みつきやがった!
「ふがーーーっ!!」
うなり声をあげる郁乃。こ、こいつ本気で噛んでやがる!
「や、やめろ郁乃、って痛たたたたた!! こ、こいつ、離せって!」
郁乃の頭を掴んで離そうとするが、郁乃の顎は思いの外強く、力を入れても離すことが出来ない。
「ふぅーーーっ! ふぅぅぅーーーっ!!」
「わ、悪かった! 俺が悪かった! からかったりして本っ当に悪かった!
反省してる、反省してるから勘弁してくれ郁乃! く、食いちぎられる〜!!」
幸い食いちぎられこそしなかったものの、俺の左手には郁乃の歯形がくっきりと。あ、ちょっと血
がにじんでる。うう、痛かったよう。
「――ふん」
郁乃はまだ不機嫌そう。文句の一つも言いたくなるが、言うとまた噛まれるのでやめよう。
「……これもまた愛」
だから愛じゃないっての。
「なーんか、ジェラシっちゃうなぁ」
そんな俺と郁乃を見て、何故かよっちがふてくされる。この状況のどこにジェラシーを感じるの
だろうか?
「貴明センパイ、面白い女ならここにもいるじゃないッスか」
あたしあたし、と自分で指差すよっち。自分で自分を面白い女と言うのもどうかと思うのだが。
「なのに貴明センパイ、あたし相手だと態度がぎこちないと言うか、よそよそしいと言うか、少なく
ともさっきの郁乃ちゃん相手みたいに軽口叩いたりなんかしないッスよねぇ」
「そ、そうかな?」
「そうッスよ。あたし、貴明センパイにからかわれたことなんて今まで一度もないッスよ。中学の頃
からの知り合いだってのに、いつまで経っても他人行儀なんだから。
なのに、ついこの間知り合ったばかりの郁乃ちゃんにはこれだもの。不公平ッスよ」
「こんなヤツに馴れ馴れしくされても、ちっとも嬉しくないんだけど」
郁乃の不満にも構わずよっちは、
「やっぱ接し方の問題かなぁ? 郁乃ちゃんみたく憎まれ口を叩きつつも、そこはかとなく構って
くれなきゃイヤみたいなオーラを発する……
ええと、こんな感じかな? ――貴明センパイのバカー、アホー、優柔不断ー、あたしをお姫様
抱っこしてー、みたいな?」
「……あんた、あたしのことバカにしてるでしょ」
郁乃の、枕を掴む手がわなわなと震え、その直後、よっちの顔面に枕が命中した。
などとバカをやってたせいで、危うくこの部屋に来た目的を忘れそうになっていた俺である。
「とにかく、昼飯食いに下行くぞ。ホラ、郁乃」
ベッドの上の郁乃におぶさるようを促すが、郁乃はまだ不機嫌なのか、プイと横を向いてしまう。
「貴明センパイ、郁乃ちゃんはあたしに――」
「今度は、私の番」
よっちを押しのけ、ちゃるが郁乃に背中を向ける。
「乗れ、郁乃」
「……」
3秒ほど間をおいて、郁乃はちゃるの背中に体を預けた。
「じゃ、出発」
郁乃を背負って、すっくと立ち上がるちゃる。おお、結構力あるんだな。
ちゃるは難なく郁乃を運び、見守っていた俺は一安心。
「遅〜い!」
居間に入るなり、瑠璃ちゃんの怒鳴り声。
「悪い悪い、ちょっと色々あってさ」
キッチンのテーブルに一席空きがあったので俺はそちらへ。ちゃるたちは居間のテーブルへ。
テーブルの上にはすでに昼食が。お、今日は天丼か。しかも揚げたてで美味そう。
「さっき、貴明さんの悲鳴っぽい声が聞こえましたけど、大丈夫ですか?」
隣の優季が心配そうに俺を見る。
「ああ大丈夫大丈夫」
と、手を振ってみせるが、
「ど、どうしたんですかその手!? 歯形が! 血が!」
しまった、つい噛まれた方の手を見せてしまった。
何か言い訳を、と考えている間もなく、優季はテキパキと救急箱を持ち出し、俺の手を取り、応急
手当をし始めた。う、消毒液がチトしみるな。
「誰に噛まれたのタカ坊、と言うか、誰に噛まれるようなことをしたの?」
タマ姉の冷ややかな視線。
「いや、郁乃をからかい過ぎちゃってさ。はは」
「い、郁乃、たかあきくんに噛みついたの!?」
「貴明が悪いのよ。あたしのことバカにするから」
「ご、ごめんねたかあきくん。郁乃ったらいくらなんでも噛みつくなんて――」
妹の代わりに謝ろうとする愛佳だが、
「だからいいんだって。悪いのは俺なんだからさ」
「う、うん……」
肯いてはくれるものの、今ひとつ納得のいっていない様子の愛佳。
「年下の女の子をからかうなんてあまり感心しないわね。ちゃんと謝ったの、タカ坊?」
「も、勿論。なぁ郁乃」
「……まぁ、一応ね」
「そう。ならいいわ」
一番怖いタマ姉はとりあえず納得してくれたようだ。やれやれ。
「はい、出来ました。これに懲りたら、もう郁乃ちゃんをからかったりしちゃダメですよ」
応急手当の終わった左手をポンと叩く優季。はは、まるでお袋に叱られたみたいだ。
「もうええ? みんな早よ食べて。せっかくの揚げたてがシナシナになってまうわ」
しびれを切らしたように瑠璃ちゃんが急かす。確かに天ぷらは揚げたてが一番だからな。
「それじゃあみんな、いただきます!」
いつも通りにいただきますを言って、さて、食うか。
エビ、魚(多分キスだろう)、イカ、カボチャ、ピーマン、春菊、へぇ、シイタケまであるぞ。
どれから食べようかなぁ。……うん、まずは春菊から。――うお! サクサクしてて美味い! タレ
がまたいい味してるなぁ。で、そのタレがしみたご飯を一口。――うん、いいねぇいいねぇ! この
タレだけでご飯が食えそう。
「美味しいよ、瑠璃ちゃん」
「わ〜い、瑠璃ちゃん貴明に誉められた〜。好感度アップや〜☆」
「さ、さんちゃん変なこと言わんといて!」
手を挙げて喜ぶ珊瑚ちゃんと、顔を赤くしながら姉を止めようとする瑠璃ちゃん。いつも微笑ま
しい姉妹だよなぁ。
「いつもながら瑠璃ちゃんの料理の腕には感服するなぁ。あたしももっと修行しなくちゃ」
そう言いつつ、シジミのみそ汁をずずっと口にする由真。
「ねぇるーこ、私のピーマンとるーこのエビ、交換しない?」
何とも不釣り合いな取引を持ちかける花梨である。って言うかピーマンだって美味しいのに。
「断る。るーは全ての具を食べたいのだ。どれ一つとして、うーかりに譲れるものなどないぞ。
それにだ、好き嫌いしていると大きくなれないぞ、うーかり。ピーマンもちゃんと食え」
「し、失礼な!? 花梨、ピーマンだって食べられるよ! ……エビの方が好きなだけで」
そりゃ大抵はそうだろうけどさ。とにかく予想通り、花梨のトレード交渉は失敗に終わった。
「おや、山田さん、エビを残してらっしゃいますけど、お嫌いなんですかエビ?」
イヤにかしこまった口調で相方に話しかけるよっち。
「……これは最後に、」
「あらまぁ、やっぱりお嫌いなんですねエビ。それじゃあ」
ちゃるのエビを横取りし、即座に口に入れるよっち。
「よ、よっち!?」
となりのこのみもビックリするが、よっちはそんなのお構いなしにエビをもぐもぐと咀嚼し、飲み
込んでしまった。……凄い、こんな外道初めて見たぞ。
パキッ!
何かが折れる音。もしやと思ってちゃるを見ると――うわ、箸が折れてる。(ちなみに割り箸じゃ
なくて普通の箸)
周囲が静かに見守る中、ちゃるは左手の丼、そして右手の折れた箸をテーブルにそっと置き、
「……表へ出ろタヌキ。今日こそ引導を渡してやる」
「や、やめてよちゃる! ケンカなんかダメだよ! よっちもホラ、早く謝って!」
必死で仲裁しようとするこのみだが、
「すまないこのみ。いくらこのみの頼みでも、それだけは聞けない」
怒りが収まらないちゃる。心なしか髪が逆立っているような……?
「じゃ、じゃあ、代わりにこのみのエビをあげるから!!」
「……このみ?」
このみはまだ手つかずだった自分のエビを取り、それを何の惜しげもなくちゃるの丼に置いた。
「ホラ、食べて」
うっすら目に涙を浮かべ、それでもちゃるに微笑むこのみ。……お前ってヤツは、何て、何て友達
思いなんだよ! チクショー! 俺まで泣けてくるじゃねぇか! よし、こうなったら、
「このみ、丼持ってこっち来い」
「――え、何、タカくん?」
トテトテとやってきたこのみ、その丼に俺は、
「ホラ、半分こだ」
俺のエビの半分を置いてやった。
「た、タカくん……、いいの?」
「いいも何も、もうあげちまったんだから、それはお前のだよ。ホラ、食え」
「タカくん……うん、食べるね」
このみはパクッとエビを食べ、
「おいひい……おいひいよタカくん……」
「こら、口にものを入れてしゃべるなって、いつも言ってるだろ」
「うん……うん」
全く、怒っているのに笑うとはけしからんぞ、このみ……。
パチ……パチ……パチ……
最初に手を叩いたのはタマ姉、そして、
パチパチパチパチパチ……!
タマ姉に続き、みんなが俺とこのみに笑顔で拍手を。……みんな、みんな、ありがとう。
「……なにこの連中?」
雄二、うるさいよ。
とまぁ、みんなで幸せなお昼のひとときを過ごせたものの、これでハイおしまいとなるほど、我が
河野家メンバーズは甘い集団ではない。昼食後、緊急会議が催され、その結果、
「あいたたたたた!! う、噂には聞いていたけど実際食らうとマジで痛いッスねコレ!
ちょ、ちょっと環さん!? あたし女の子なんだからもう少し手加減ってギブギブギブッス!!」
よっちは女子の中では初めて、タマ姉のアイアンクローの餌食となった。
つづく。
どうもです。第58話です。
>>471さん、アドバイスありがとうございました。
言われたとおりにしてみたら、辞書はほぼ元通り! いや〜、こんな機能があるなんて今まで
全然知らなかったッス。ノ(´д`*) ホント、助かりました。
まいど乙です。
タマ姉・・・・w
いいぞ、よっちのツンレデもどき、最高だwww
間違えたwwwwwwwwwwwww
乙です。
面白いんだけど……冗長し過ぎというか。
新展開を切に願う。
ピーマンのてんぷらなんてものが存在するのか……
天ぷら定食に結構ついてこないか?
520 :
518:2006/05/29(月) 23:22:56 ID:+dsFhL8y0
てんぷら定食自体あまり喰わんが……
どちらにせよ、一度もお目にかかったことがない……
ナスの天麩羅はガチ。
実家では、ししとうの天麩羅代わりにピーマンの天麩羅が出たが、
ちゃんとした天麩羅屋ではピーマンは少ないかも。
あとナス嫌い
>>513 乙でした。
俺も海老天取られたら大激怒するね。
例えよっち相手であろうと許さないね。乳鷲掴みにしてキレるね。
ちなうんですちなうんです別によっちの乳が揉みたいだけとかそう言う事じゃn(ry
>>518-522 うちの実家だと、ちくわの天麩羅とか魚肉ソーセージの天麩羅とか出てたなw
シソの葉の天麩羅うめぇっすよ。
524 :
名無しさんだよもん:2006/05/29(月) 23:47:24 ID:ECF77KaGO
乙です
瑠璃ちゃんの天丼ですかぁ〜美味しそうですね
ピーマンの天麩羅は窪みで麺つゆをすくって御飯かっこむと美味いんだよな。
それより薩摩芋の天麩羅って普通は出ないのか?
>>525 俺はサツマイモのてんぷら大好きだぜ。
インゲン、レンコン、ナス、ピーマン、かき揚の野菜天丼はマジ美味い
サツマイモの天麩羅は、美味いんだが妙に甘くて嫌だ。
よっちの至る所をアイアンクロー会場はここですか?w
乙でした。
>>527 俺もあんまし好きじゃないなぁー 胃にもたれそうでさ・・・
自分のお勧め天丼の具といえば、「蓮根」「ピーマン」「玉葱」「茄子」
「カボチャ」「アスパラ」「海老」「枝豆」かいな
俺は「アスパラ」「レンコン」「キス」「海老」「オクラ」「桜海老」「納豆」「カボチャ」「茄子」「枝豆」…っていい加減スレ違いだな。
何気に今回の見所は郁乃かも。ツンデレを超えてマジギレしてるのはあまり見ない。
俺今日昼飯天丼だったしww
でも瑠璃たんが作った天丼食いてぇ
大葉の天ぷら。葉っぱだから味より噛みしめた時の香りって感じなんだが
やはり衣がカリッとしてると嬉しい。
なんで天ぷらの話で盛り上がってんだw
天ぷらはナス
これは譲れん
サツマイモとかぼちゃはガチ
やはりここは王道の海老で
薩摩芋と南瓜の天麩羅ってよ
おかずっつうよりデザートくせえんだよ
デザートくせえんだよおぉ!!
あとこの話題スレ違いなんだよおおぉぉぉ!!!
てんぷら☆さんらいず てんぷら☆さんらいず
イチド タベタラ モウカエレナイ
これは天ぷらネタでSS書けってことか・・・?
そういや昔、三題噺のSS版みたいなのがあったよな。
天麩羅、愛佳、デザートでSS作れ、って感じの。
…アイスクリームの天麩羅という文字が頭に浮かびました。
なぜか揚げる前になくなっちゃうんだよな?
妹を愛するあまり郁乃の天ぷらを揚げてしまう愛佳
揚げる前はやばいだろwww
そういうのはこのみたんの役目。
こんがりと揚げたタマ姉だったものをゲンジ丸に食べさせる黒このみたん(´Д`)ハアハア。
こ「おいしい?ゲンジ丸?」
ゲ「おふおふ」
こ「えへ〜っ、よかった〜。」
ゲ「おふおふおふ」
こ「おかわり?いいよ。まだまだ沢山あるからいっぱい食べてね。」
冷蔵庫には処理しきれなかったタマ姉の体が…
>>543 だってアイスクリームとカステラだぜ?
…タネまで飲むかはわからんが。
ここが天麩羅スレでつか?
俺の家かにかまの天麩羅とか出てきた事があるwww
俺の家なんか水で溶いた小麦粉の天麩羅だぜッ!?
549 :
名無しさんだよもん:2006/06/01(木) 02:40:55 ID:47dtedOP0
巨大な天カスかw
家は春になるとふきのとうの天麩羅が出る、ほろ苦くて(゚д゚)ウマー
天麩羅とかって食べるやつの性格出るよな。
「何よ突然」
目の前にはじゅうじゅうと音を立て煮えたぎる油。溶かした小麦粉。色とりどりの野菜たち。
見まごうことなき天麩羅パーティーだった。
……っていうか天麩羅パーティーってなんだ。
「ほら、高級店とかであるじゃない。目の前で天麩羅上げてくれる店。あれ一度やってみたかったのよ」
相変わらず衝動と欲求で生きているんだな。おまえは。
「どーいう意味よ」
いや別に。昔受けた数々の仕打ちを忘れてなんかいませんよ俺は。
「しつこいわねえ、あんたも。アタシそういう男嫌い」
MTBで轢かれそうになったのをあっさり忘れろというそっちもたいがいイイ性格だと思うぞ。
しかしこの野菜類は俺が買ってきたからわかるんだが、この高級車海老セットは一体?
「お母さんが持っていけって」
お袋さんが?
「貴明によろしく、だって」
うわ、あとでちゃんとお礼言っとかないとな。
「……意外。あんたそういうのきちっとするんだ」
そりゃまぁいずれはお義母さんと呼ばせてもらうんだし。
「――お義母さんねぇ」
? 何その気になるリアクション。
「意外と手強いかもよ」
そうか? 話に聞く限りじゃ気さくそうな人だと思うけど。
「うーん……。気さくっちゃあ気さくなんだけど」
けど?
「いや、ほら。あれでもお祖父ちゃんと争ってお父さん勝ち取った人だし」
……手強そうだな。
「がんばってね〜」
おのれ薄情者め。
それで性格の話なんだが。
「天麩羅で性格わかるっていうやつ?」
まぁ天麩羅に限ったことじゃないけど。
塩で食べるか天つゆで食べるかとか、揚げる具材の違いとかでその人のことがわかるよな。
「あ。たしかに、そういうのあるかも」
基本的には味がないんだしな。何つけて食べてもいいわけだし。
だから俺はおまえがソースで食べたとしても驚かないぜ。
「な、何よ文句あるっての?」
せっかくの高級食材を一山いくらのウスターソースで食うのはいかがなものかと思ってな。
「いいじゃない。これはこれで美味しいんだから」
うーん。もったいない。
「うちはみんなこれなんだからいいの!」
……んー、じゃあ俺も試してみるかな。
「どういう風の吹き回よし?」
郷に入っては郷に従え。万が一長瀬家天麩羅パーティーにお呼ばれしないとも限らん。
その日のために試しておくのも悪くないだろ?
「……ま、いいけど」
そういうわけで由真、おまえもこの塩で食ってみろ。
「えー、嫌よ。塩味なんて」
それが河野家ルールだからだ。それにこれ、ただの食卓塩じゃないぞ。
「どう違うってのよ」
赤穂の天然塩。その車海老に負けずと劣らない高級品だぞ。
見えないところにこだわる。それが河野家クオリティなのだ。
「わかるようなわからないような……」
タマ姉ん家なんかはどっちも普通にあるけどな。
「わびしい話ねぇ」
おまえが言うなって。
「アイスの天ぷらってあるじゃない」
イカ天をくわえながら、何を素っ頓狂なことを突然に。
どうせくわえるならこの極太のちくわをだな。
「まぁ聞きなさいって。アイスの天ぷらってあるでしょ?」
あるな。変り種の屋台なんかでたまに見かける。
外側熱々で中身が冷たいという不思議な食感がけっこうイケる。
「あれって不思議だったのよ。熱い油で揚げたはずなのになんで中身溶けてないのか」
アイスの中の空気が熱伝導を妨げるからだとか聞いたことあるな。試したことはないけど。
「冷凍庫の中にアイス買ってあるのよね」
……待て。
「試してみたいと思わない?」
なんか非常に嫌な予感がするのだが。
「学術的興味ってやつよ。しかも成功すれば美味しいデザートになる。一石二鳥じゃない?」
嬉々として冷凍庫へ向かう由真を止められるはずもなく――。
天麩羅とかって食べるやつの性格出るよな。
「あーもー! しつこいわよ!」
大量に飛び跳ねた油を拭きつつ。後片付け。
何故俺はあの時の自分が感じた嫌な予感を信じなかったのか。
由真の投入したアイスは油の中であっさ融解。
しかも手加減できない性格が災いして一度に大量に入れたものだからその被害や推して知るべし。
飛び散る油にパニックを起こし、タネの入ったボウルを落としたせいで
その被害はさらに拡大したことは言うまでも無い。
「次は上手くいくと思うのよね」
やめろって。
[おわれ]
乙〜。
ホントに天ぷらネタで書く強者が出るとは。
朝から笑わせてもらいましたw
久しぶりにスレ覗いたら面白いことになってたので投下。
とある鳩のSSサイトにインスパイアされてこういう書き方になりました。(向こうは綾香だけど)
あのサイトの味が大好きなので……。こういうのもパクりなるんだろうか。
食い物ネタはこのみか愛佳にするべきかと思ったが。
結局由真ED後の、だらだらとした二人の日常ということで。
スレ汚し失礼しました。
由真でくるとは予想外。GJでした。
ちなみにアイスの天ぷらは通常のアイスよりも低い温度で凍らせてから
衣を着けて短時間で揚げるのがコツだったはず。
家で作る場合はシューアイスを揚げるのでも出来るみたい。
言い回しからしてキョン君かと思ったw
560 :
名無しさんだよもん:2006/06/01(木) 17:53:06 ID:nGsybl7+O
そういえばなんちゃら荘の作者ってどうなったの?
>>560 みなさんの評判によっては続編も考えますとか言ってたやつか
たしかにキョン風の語りだ
言われてみればそんな感じだ。むしろ浩之チックを意識したのに。
絶望した!知らぬ間に影響を受けている自分に絶望した!
>>555 天麩羅、喜多ーー!!
しかし、アイスの天麩羅で失敗はともかく、普通火傷しないか?^^;
まあ、どちらにしろ、性格が出るのは間違いないw
SSS(スーパースイーツスクランブル)のすれと
間違えた俺が来ました・・・帰ります・・・
シャフトセキュリティシステム?
古いネタだな。
若いのには分からんかも?
>569
今CSで再放送してたりするし、必ずしも分からない訳でもないかと。
でもSSSの名称は原作でないと出なかったか?
スレ違い…
貴明「おーい、由真。これやってみないか?」
由真「何これ? アニメキャラクター占い? 面白そうじゃない。やってみてよ」
貴明「ええと、何なに……。いくつかの質問にYESかNOで答えるんだな」
貴明「『自分のやることはいつも正しいと思っている』」
由真「YES」
貴明「『正義を行使するには多少の犠牲はやむを得ないはずだ』」
由真「YES」
貴明「『正直今の日本のおまわりさんは不甲斐ないと思う』」
由真「YES」
貴明「『ガンアクションなどの派手な映画が好きである』」
由真「YES」
貴明「『人からよく真っ直ぐな人間だと言われる』」
由真「YES」
貴明「『NOと言える日本人だ』」
由真「YES」
貴明「えー、『正義のためなら何をしてもいいという貴方はぶっちゃけ独善者です、
けして自分に嘘はつかないがその自分に正直なところは周りに非常に迷惑をかけています。
そんな貴方のキャラクタータイプは大田功巡査です』だって」
由真「うがー! 適当なこと言ってんじゃないわよ!」
太田さんとレミィを足して2で割るとちょうどいい
スーパーSSの事かと思ったのは俺だけでいい
スイスイ・スーダララッタ・スラスラスイスイスイの略だな、間違いない。
576 :
名無しさんだよもん:2006/06/05(月) 00:52:22 ID:z2YsbWivO
月曜が来ましたよ
なんつーか天麩羅づくしの一週間だった希ガス
ここですいすいsweetの略だ、と言ってみる俺戦略信者。
楽しみ。
581 :
名無しさんだよもん:2006/06/05(月) 20:07:47 ID:gmWSZyAO0
面接官「特技はセックスとありますが?」
貴明 「もっとセックスする!」
面接官「もっとセックスするとは、どういうことですか?」
貴明 「もっとセックスする!」
面接官「え…」
貴明 「もっとセックスする!」
面接官「・・・で、そのもっとセックスは当社において働くうえで何のメリットがあるとお考えですか?」
貴明 「もっとセックスする!」
面接官「いや、当社には昼間から始める輩は多分いません。それに公でするのは犯罪ですよね。」
貴明 「もっとセックスする!」
面接官「いや、あのですね・・・」
貴明 「何だかわからないけど熱い!」
面接官「ふざけないでください。それに熱いって何ですか。だいたい・・・」
貴明 「よくわからないが、クリはここ!」
面接官「聞いてません。帰って下さい。」
貴明 「もっとセックスする!」
面接官「いいですよ。やって下さい。セックスとや…せ、せっくす……たかあきくんに、せっくすされてる……」
貴明 「もっとセックスする!」
面接官「ひ! ひ! ひぃあ……! き、きつい……! たかあきくん、きついよぉ……!」
貴明 「鳴かせる! 俺はケモノになるぞ」
面接官「だから続行っっ!」
雄二の写真集を読みに二階に上がったちゃる、よっち、郁乃。それから30分後、もうすぐ昼食
だからと呼びに行くと、熟読していたちゃるとよっちはともかく、何故かベッドに潜って読んでいた
郁乃。それが面白くて俺はつい郁乃をからかい過ぎ、怒った郁乃に噛みつかれてしまった。後でタマ
姉にも叱られたけど、いい加減俺も自重しないと、な。
昼食は瑠璃ちゃんが作った天丼。いつもながら瑠璃ちゃんの作る料理はマジで美味い。全員が舌鼓
を打つ中、よっちは何とちゃるのエビを横取りしてしまう。よりにもよってエビだぞエビ、なんと
言う外道! そして、怒りに震えるちゃるを何とかなだめるべくこのみは、自分のエビを惜しげも
なくちゃるに譲る。このみはホントにいい子だよ。俺のエビを半分あげたって惜しくなんかないさ。
勿論よっちの悪行は断罪される。タマ姉のアイアンクローで悶絶するよっちであった。
昼食も終わり、断罪も済み、さてこれからどうしようかと思っていたら、
「カラオケ?」
「はい〜、どうッスかねぇ、みんなで?」
アイアンクローのダメージでソファーにぐったりしつつも、よっちがそう提案。
「カラオケ、ねぇ……」
「あ、いいねそれ! カラオケなんて久しぶり」
「わ〜い、カラオケ〜」
由真と珊瑚ちゃんは速攻で賛成するが、
「駄目よ」
きっぱり却下のタマ姉。
「ええ〜、どうしてですか環さん?」
「全くもう、どうしてみんな、あんな不良のたまり場なんかに行きたがるのかしら。
そんなところへノコノコ行って、不良に襲われでもしたらどうするの?」
「ふ、不良?」
ポカーンとする由真。――あー、そうだった。タマ姉はゲーセンとかカラオケとかにもの凄い偏見
持ってたんだっけ。
「あのさタマ姉、前にも言ったけど、カラオケなんてそんな不健全な場所じゃないって。
俺らみたいな普通の学生とか、家族連れやお年寄りの皆さんだって行ったりしてるよ」
「そう言えばお母さんもこの間、近所の人たちとカラオケ大会やったって言ってた」
このみ、ナイスフォロー。
「いい加減食わず嫌いはよせよ姉貴。いいじゃんカラオケ、みんなで行こうぜ」
「……」
これだけ周囲から諭されても、なかなか自分の考えを曲げようとはしないタマ姉。
「一つ聞きたいのだが」
そう言って手を挙げたのは、
「るーこ?」
「カラオケとは何だ、うー?」
……まぁ、宇宙人だものな、カラオケを知らなくても当然か。
「まぁ簡単に言えば、歌を歌う場所のことだよ。音楽が流れる機械があって、その音楽に合わせて
歌を歌うんだ」
「”うー”ではそのような場所でしか歌を歌えないのか? そう言えば学校でも歌は音楽室で歌って
いるが、あれもカラオケなのか?」
「……ま、まぁ似たようなもんだ。要は音の迷惑を気にせずに歌える場所ってことだ」
「ほう、それは面白そうだ。うーたちの歌を聴いてみたいし、るーも是非歌ってみたいぞ」
るーこの目が期待に輝く。ところでるーこって、地球の歌を知っているのか?
結局多数決で決めることとなり、賛成10、反対1、保留3で、カラオケ行きが決定した。
ところで、保留の3人なのだが、
「あの……、貴明さん、私、カラオケって行ったこと無いんです」
「……花梨も」
「……」
カラオケ未経験の優季、花梨、郁乃である。
「大丈夫だよ。慣れればすぐ楽しめるって」
「でも私、新しい歌とかあまり知らないし……」
「童謡、民謡、懐かしの歌、最近のカラオケって種類豊富なんだよ。きっと優季が知ってる歌だって
必ずあるさ。それとも優季って、歌が嫌いとか?」
「あ、いいえ! 歌は好きです、大好きです!」
イヤに強調する優季に驚きつつも、
「な、なら大丈夫だって。心配しないで一緒に行こう。
花梨と郁乃も、さ」
「う、うん……」
今ひとつ乗り気じゃない様子の花梨と、
「……何か、面白くなさそう」
郁乃が不機嫌なのは、もしかしてまだ写真集のことを根に持っているからだろうか?
「そんなことないよ郁乃。最初は上手く歌えないかもしれないけど、友達と一緒に歌ったりするとね、
とっても楽しいんだから。勿論あたしだって、郁乃と一緒に歌ってみたいな。だから、ね」
大好きなお姉ちゃんにそう言われると、何も言えなくなる郁乃なのだ。
「へぇ、委員ちょ、カラオケ行ったことあるのかよ」
「あ、うん、由真と何度か……ひゃうっ!?」
唐突に愛佳をグイッと引き寄せ、由真は、
「雄二知らないでしょ。愛佳って歌上手いんだよ〜」
「や、やめてよ由真。恥ずかしいよ」
「ねぇ愛佳、またアレ歌ってよ。緒方理奈の『Blue memory』。アレ何度聴いてもいい
のよね〜☆」
「な、何ぃっ!? 委員ちょが緒方理奈ちゃんだと!?
しかも、数ある中でも誰もが名曲と褒め称えるあの歌をか!?
聴きたい、是が非でも聴きたい! この通りです愛佳様、是非お聴かせください!!」
イヤ雄二、何も土下座までしなくたって。
「や、や、そんな、あたし上手くないよ〜」
ホラ、愛佳も困ってるし。
「あ、でもよっち、行くのはいいけど、これだけの人数で大丈夫かな?」
このみがそう尋ねると、いきなりよっちはソファーから立ち上がり、
「それならば大丈夫! ちゃあんと駅前のカラオケ屋、予約取っておいたから!
あそこの大部屋なら14人でも余裕余裕! ついでにコレ、割引券!」
「……用意周到」
割引券を片手にピースサインのちゃる。――確かに用意周到だが、俺たちに話を持ちかける方が
先ではないでしょうか?
あからさまに行きたくなさそうなタマ姉だったが、多数決で決まったのだから仕方がない。俺たち
は家を出て、駅前のカラオケ店へと足を運んだ。
よっちが予約を取っておいたお陰で俺たちは待たされることもなく、大部屋へと案内された。
「うわー、ホントに広いねー」
入り口の前で部屋を見回すこのみの背中を押し、
「ホラ、後がつかえてるから座れ座れ」
「あ、うん。ねぇ、タカくんはどこに座るの?」
「そんなの決めてないよ。いいから適当に座れって」
「うん……」
そうして、U字型の席に全員を座らせ、店員さんにドリンクの注文を聞かれ(割引券のお陰でドリ
ンク一杯目はタダ)、雄二が「じゃあとりあえず生ジョッキで」と言ってタマ姉のアイアンクローを
食らったのを横目に、全員からの注文をまとめて店員さんにお願いした。で、最後の俺は入り口に
一番近い席、偶然なのか、このみの隣に座る。
「えへ〜」
何故かニコニコ笑うこのみ。
「貴明、歌う順番はどうする?」
「やっぱ、席順?」
由真はそう提案するが、
「適当でいいだろ。歌いたい歌を見つけたら歌うってことで」
と言うことで、広い部屋の割には3冊しかない楽曲表をみんなで回し見する。
「ええ〜っ! こ、こんな曲まであるの〜!?」
いきなり大声を上げ、立ち上がったのは由真。
「じゃああたし一番!」
リモコンを引ったくり、楽曲表の番号を入力。少しして前奏が――ってこれ、どっかで聞いたよう
な気がするぞ……?
「マジカル〜 マジカルハートフール♪
あ〜なたに胸がキュンキュン♪
気〜づいてわたしのお〜もい〜♪
まじかるハートフルデイズ〜♪」
これって、あのギャルゲーの主題歌じゃん! こんなものまで配信されてるのか!?
し、しかも、
「う、上手い……」
持ち主の雄二でさえ認めてしまう程、由真の歌は上手だったりする。おまけに振りつきだし。
「ずっと秘めてた この想い
今すぐ あなたに伝えたい
夜空の星が わたしを照らし
あなたに届け メテオストーム!」
「す、凄ぇ! 間奏の台詞まで完璧だ! このフルバージョンはゲームじゃ聴けないのに、由真の
ヤツ一体!?」
そ、そうなのか。もしかして由真、この主題歌のCD買ったとか?
「まじかるハートフルデイズ〜♪ ゲッチュ!
ご静聴、ありがとうございましたー!」
パチパチパチパチパチ!
ノリノリで最後まで歌い上げた由真にみんなが拍手。これが何の歌なのかはともかく、歌が上手
だったのはみんなが認めるところなのだろう。
「では、次はるーが歌うぞ」
二番手を名乗り出たのは、意外にもカラオケ初体験のるーこ。
「るーはこれを歌いたい。どうすればいい、うーゆま?」
「あ、うん。じゃああたしがリモコンやってあげるから、曲が始まったら画面の歌詞を見ながら、
このマイクで歌えばいいよ、はい」
るーこにマイクを手渡し、リモコンを操作する由真。親切だな。
そして前奏が始まり、るーこが歌い出したのは――
「あれ、これって……」
「へぇ……」
タマ姉が感心するのも無理はない。諸般の事情で曲名および歌詞は明かせなかったりするのだが、
この歌は一昔前のアメリカのカントリーミュージックってヤツで、今は遠い故郷への思いを綴った、
明るくて優しいけどちょっぴり切ない、まるで今のるーこを表すかのような歌だ。ちなみにこの歌、
日本のアニメ映画の主題歌として日本語訳されたものもあるのだが、るーこが歌っているのは本家
本元の英語版。
るーこは最後まで歌い上げ、そして、
パチパチパチパチパチ!
みんなからの拍手にやや驚きつつも、るーこはマイクをテーブルに置いた。
「ふぅ。いささか緊張したが、結構気持ちのいいものだな」
「凄いじゃないるーこ! 英語の歌なのにあんなに流暢に! どこで覚えたのよ!?」
やや興奮気味の由真に圧されつつ、
「か、かつて”うー”を訪れた”るー”の記録の中には”うー”の歌の情報もあった。”うー”の
歌はどれも素晴らしいと思った。とりわけこの歌は……、るーも、歌ってみたかった」
「るーこ……」
少し寂しげなるーこに、胸が痛くなる。だから、
「上手かったぞ、るーこ」
「……そうか、誉めてくれて嬉しいぞ、うー」
こんなことしか言えないけど、俺は――
「ホントに上手。さすがは外人さんですね、るーこさん」
……愛佳の中では未だに、るーこ=外人らしい。
各々注文したドリンクも届き、俺は自分が注文したコーラを飲みつつ、さて何を歌おうかと楽曲表
をペラペラめくっていると、
ガタンッ!
「た、タマ姉?」
いきなり立ち上がったタマ姉にみんなの視線が集中する。そしてタマ姉は、
「……まさか、まさか、この曲があるなんて」
「ど、どうしたのタマお姉ちゃん?」
このみの言葉に、しかしタマ姉は、
「ううん、それだけじゃない。
こっちは『左門捕物帖』第三期の主題歌『男なら燃えろ』、こっちは『暴れん坊奉行』第八期の
挿入歌『裁いて候』ね。え! ま、まさか、『江戸の白狼』の主題歌まで!? す、凄いわ!!」
どうやら時代劇関係の歌の充実ぶりに驚いている様子。
「ど、どれにしようかしら……。
最初は『暴れん坊奉行』……、い、いえ! やっぱり最初は王道中の王道、この曲よ!
由真、51773!」
「あ、はい!」
タマ姉は由真にリモコン入力を命じ、そして俺に、
「タカ坊、一緒に歌いなさい!」
「え、俺!?」
「そう、私が介さん、タカ坊は角さんね!」
介さん角さん? ……あー、アレね。誰もが知ってるあのご長寿時代劇。うん、アレなら何とか
歌えるだろう。
歌詞は画面を見て何とかなったし、タマ姉の指示で角さんパートも無事こなせた。ふぅ、何とか
歌い終えたぞ。
「カラオケって……、最高……」
悦にいるタマ姉。――まぁ、タマ姉から偏見を取り去ることが出来たのは僥倖だな。
拍手の中、マイクを置くと、
「じゃあ次、花梨行きまーす!」
これまたカラオケ初体験の花梨。さっきはあまり乗り気じゃなかったのに、どうしたんだ?
「へぇ、花梨、何歌うの?」
「あのねたかちゃん、最近、すっごく面白い小説読んだんよ。
宇宙人とか超能力者とかを探している女の子と、その子に振り回される男の子のお話。まるで花梨
とたかちゃんみたいなんよ!」
は、小説? ……チョット待て、それは、
「でね、その女の子が凄いの! いきなりミステリ研みたいなグループを立ち上げたかと思ったら
問答無用で男の子を仲間に引き込んじゃうの!」
それは花梨も同じだね、いやでもそれは、
「たかちゃんのPCで情報集めに色々なHPとかブログとか見てたら、最近やたらとその小説のこと
が話題になってたんよ。それで気になって試しに買ってみたら、もう面白いの何のって!
でね、最近それがアニメになったんだけど、その主題歌をこのカラオケで発見しちゃったんよ!
これはもう歌うしかないでしょ!」
俺のPCを無断使用したことは置いといて、だからそれはマズイ
「アニメ見てみたいんだけど、たかちゃんの家だと何故か映らないんよねー。アンテナの問題かな?
ねぇたかちゃん、いっそケーブルTVに加入しない? そしたら地方局でもバッチリ見られるし」
「ねぇ花梨、番号は?」
「ああゴメン由真ちゃん。ええと、97154でお願ーい!」
程なく前奏、そして花梨はマイクを手に、
「答え〜は〜いつもわ♪」
「ダメだぁぁぁぁぁ!! 花梨がそれを歌っちゃダメだぁぁぁぁぁ!!」
つづく。
どうもです。第59話です。
最近友達との予定が合わず、カラオケご無沙汰で久しい俺です。
ああ、カラオケ行きたいなぁ。アニソン+特撮ソング歌いまくりたいなぁ……。
けれど一人じゃ行けない俺。(´・ω・`)
592 :
名無しさんだよもん:2006/06/05(月) 21:08:21 ID:z2YsbWivO
乙&GJ
カラオケですかぁ〜まさか花梨からあのアニメが出て来るなんてww
>>591 いつも乙です。
ところで最後の花梨の歌はハルヒのOP・・・いや何もないです。スイマセン。
毎週乙
郁乃と姫百合姉妹が何歌うのか気になる
>>591 乙。初めてリアルタイムで読んだ
ところでイルファさんまだー(AA略)
愛佳が歌うまいって
あのキャラソンだとものすごく疑わしいような(笑
乙。タマ姉から偏見を取り払うきっかけに時代劇の歌か。恐れ入った。
キャラソンの中ならこのみの歌が一番好きな私が来ましたよ。
乙です、まさかハルヒネタで来るとはw
それにしても昨日のハルヒは凄かった。
>>591 河野家、喜多ーーー!!!
しかし、皆との共同生活の中で、由真はいつ
「まじフル」の主題歌CDを買って、振り付けまで覚えてるんだろう?^^;
何となく、このみは軍歌で、貴明は洋楽を歌うような気がするけど
愛佳とか郁乃んとか優季とか、まだまだお楽しみは来週以降ですね。
>>598 同意。
花梨の中の人の歌を目当てに買ったはずなので
結局一番聴いてるのは、このみの歌だったりする。
編曲がいいのか、妙に印象に残るんですよね^^;
ついでに、ふと思った。
まさか、まーりゃん先輩が乱入してきて
「ジンギスカンの歌」を歌ったりしないでしょうねw
やはりここはハレ晴れユカイも歌って貰わねばなるまい(w<黄色
んでバックダンサーは・・・・・・誰が相応しい?
眼鏡は由真だな。
男は主人公と雄二くらいしかおらんだろう。
>>604 ワロス。GJ!
でも黄色が中心だとなぜか気にくわない俺がいる。
さーりゃんの背の低さが気になるな。
キャラ的にはぴったりだけど。
そういえば会長は163cmあるのか。
ま、一発ネタだからしゃーない。
外見的に、長門はちゃるっぽい気がするが
髪形や性別が違おうとも、
るーこ、草壁、琴音の三人以外認めませんっ!
左から
宇宙人、未来人、超能力者
と言いたいのだろう
ちなみに配置
主人公 宇宙人 ハルヒ 未来人(小柄で巨乳) 超能力者
……このまま次の月曜までハルヒの話で進んだりしないだろうな。
614 :
名無しさんだよもん:2006/06/06(火) 22:24:37 ID:kiJjkr4mO
じゃあ次はハルヒSSかww
それじゃスレ違いになるじゃまいか
TH2のキャラを1〜2行、チョイ役で出せばおk。
駄目w
618 :
名無しさんだよもん:2006/06/07(水) 12:55:08 ID:GDCE95XhO
笹森花梨の憂鬱ってタイトルで書こうと思ったがあえなく断念orz
ハルヒEDを実写で再現した馬鹿共を、Youtubeで見たな。
…例のビデオカメラで同じことをやろうとする雄二、
巻き込まれる宇宙人やらタイムワープする人やらロボやら。
リアルタイムキター
でいいんだよな。
それとも甜菜?
ってよく見たら一時間以上前
馬鹿か俺
623 :
名無しさんだよもん:2006/06/07(水) 18:40:26 ID:F2C4Aphb0
たのむ。神姫百合ssを紹介してくれ。
>>623 神姫 百合ssに見えた俺はラノベヲタ
627 :
名無しさんだよもん:2006/06/08(木) 14:25:55 ID:Q6rJ5YI1O
花梨「貴ちゃん!!新しい宇宙人を呼ぶ呪文が分かったんよ」
貴明「どんなの?」
花梨「シンドラーシンドラー」
貴明「・・・・・・」
>>628 正直、強化リレーハーネス・サンダービームの方が気になる。
サンヨーテクニカは不良品が多いからおすすめしかねる
某場所の小説読んで思ったんだが、切り傷は良いけど、火傷した指をしゃぶったら
余計にひりひりすると思うんだよな。
火傷は冷やして症状の悪化を止めるのが効果的な応急処置と聞いたが。
重度の場合とかは知らんけど。
指しゃぶっても唾液が乾くことによる冷却効果くらい?
火傷したら大根おろしにつけろって、ばっちゃが言ってた!
>>632 口内の方が温度高いから痛くならないか?
>>633 火傷にはアロエが効くという事を覚えた妹が、俺が炒飯作ってて火傷した時
アロエヨーグルト投げつけてきた事思い出した。
アロエって効くのだろうか?
月曜がやってき(ry
>>635 どうなんだろうな、俺は子供の頃腹痛起こした時に
アロエを飲めば治るって言われて飲まされた、直ぐ治ったかは記憶にない。
アロエって植物のあれだろ?
飲んで聞くかはしらないが直接塗るのは炎症系の症状に効く
火傷とか突き指、皮膚炎とか。
一応口内に含むのはありだが(火傷した箇所よりも温度が低いため)
氷水などで冷やした方が良い。処置の基本だが早ければ早いほど良い
さあ月曜日
640 :
名無しさんだよもん:2006/06/12(月) 18:04:15 ID:0pbr4vVRO
うん月曜日
河野家を一話から読みたい
俺はどうすればいい
教えてくれ雄二たち
643 :
名無しさんだよもん:2006/06/12(月) 18:27:56 ID:vD1gTs2k0
>>1から順番に乗ってるリンク踏んで探せ
要領がよければ3分で見つかる
おまえらの優しさに脱帽
サンクス!
さてはイルファさんだね?
昼食の後、よっちの提案でカラオケに行くことになった俺たち。偏見ガチガチのタマ姉やカラオケ
未経験のるーこ、花梨、優季もいるけど、まぁ、何とかなるでしょ。
事前によっちが予約していた――俺たちに相談するよりも先に、だが、そのお陰でカラオケ店では
すんなり部屋に通された。まぁ、結果オーライかね。
三冊しかない楽曲表をみんなで回し見し、一番手は由真。何やら聞き覚えのある前奏だなと思った
ら、あのギャルゲーの主題歌、しかも振り付きで! CD買って練習してたのか?
二番手はカラオケ初体験のるーこ。るーこが歌ったのはアメリカの有名なカントリーミュージック。
その歌詞の通り、故郷に思いをはせながら歌ったのだろうか。
三番手はこれまた意外にもタマ姉。「カラオケなんて不良のたまり場」などと言ってたタマ姉なの
だが、その偏見に満ちた心は、タマ姉が愛して止まない時代劇関係の歌の充実ぶりによってあっさりと氷解し、かくして俺と一緒に某ご長寿時代劇の主題歌を歌い、悦に入るタマ姉だった。
四番手は花梨なのだが、何を歌うのか尋ねると、何故か最近読んだ小説の話をし出す。最近話題の
小説とかで、アニメにもなって、その主題歌が配信されているのだそうだが……、チョット待て花梨、それはマズイ! 花梨は歌っちゃいけないんだよ、いろんな事情で!!
「何で歌っちゃいけないんよ〜?」とぶーたれる花梨をなだめている間に、
「ほな、ウチら歌う〜」
手を挙げたのは珊瑚ちゃん。
「瑠璃ちゃん、アレ一緒に歌お」
「ちょ、ちょっとさんちゃん――」
珊瑚ちゃんに手を引かれ、立ち上がる瑠璃ちゃん。
「さ、さんちゃん止めよ。ウチ歌えないよ」
「なんで? いっつもウチと一緒に歌ってたやん」
「そ、それはさんちゃんと二人きりやったから……」
周囲を見回しオドオドする瑠璃ちゃん。
「大丈夫や瑠璃ちゃん。みんな瑠璃ちゃんの友達やん、何も心配することあらへんよ」
珊瑚ちゃんは慣れた手つきでリモコンを操作し、程なく前奏。
「ほないくで瑠璃ちゃん☆」
「う、うん」
珊瑚ちゃんはノリノリで、瑠璃ちゃんはやや緊張気味に歌い始める。……ああこの曲、確か二人組
のアイドルユニットが歌ってたっけ。最近片方が不祥事起こして活動停止してるらしいけど。ちなみ
にこの曲、大昔の二人組アイドルユニットが歌ってたもののカバー曲らしい。
最初のうちこそぎこちない瑠璃ちゃんだったが、場の空気に慣れてきたのか、次第に歌と振りが
珊瑚ちゃんと同調していき……、凄い、完全にピッタリになった。さすがは双子、まるで本物みたい
じゃないか。もっとも本物は双子じゃないけど。
パチパチパチパチパチ!
歌い終えた姫百合姉妹に惜しみない拍手の嵐。
「どやった、貴明〜?」
「凄いよ珊瑚ちゃん、それに瑠璃ちゃんも! 二人がこんなに上手だったなんて、俺今まで全然知ら
なかったよ!」
「そう言えば貴明と一緒にカラオケするの初めてやったもんな〜。
ウチいつも瑠璃ちゃんに貴明も誘お言うてるのに、瑠璃ちゃん恥ずかしがって――」
「ちゃ、ちゃうもん! 恥ずかしいんちゃうもん! 貴明嫌いやからやもん!」
「イヤよイヤよも好きのうち〜☆」
「ちゃうもーん!!」
「ねぇ愛佳、そろそろ歌ってよ」
由真がとなりの愛佳を肘で小突く。
「え、えっと……、歌わないと、ダメ?」
「ダーメ。じゃ、マイク持ってね、はい」
由真は愛佳にマイクを手渡すと、愛佳が迷う間も与えずリモコンを操作。そして前奏が流れると、
「キターーーーーッ!!
待ってました委員ちょ! L・O・V・E、ラブリー愛佳!!
それでは歌っていただきましょう、緒方理奈の『Blue memory』!!」
興奮しまくりの雄二。少し落ち着け。それに何だそのレトロな声援は?
その声援に覚悟を決めたのか、愛佳はマイクを両手で持ち、そして――
「――あなたとー わたしのブルーメモリー♪
お、終わりです」
「……」
愛佳の歌が始まった途端に黙り込んだ雄二。苦い表情で口を開け――
「キャーーーッ! もう最高!!
やっぱ愛佳の『Blue memory』はいいわね〜、緒方理奈そっくり、いやそれ以上かも!
愛佳、偉い! 愛佳、凄い! 愛佳、愛してる〜!!」
拳を振り上げ大絶賛の由真。
「そ、そんなに誉めないでよ由真、恥ずかしい……」
「い、いや、いくらなんでも理奈ちゃんにはとても――」
グイッ!
「そっくり、だったわよね?」
光の早さで雄二の目の前に現れ、襟首掴んで雄二を睨みつける由真。うわ、怖っ。
「……は、はひ」
雄二も命は惜しいらしく、コクコクと肯く。
「だって、愛佳。緒方理奈ファンの雄二からお墨付きまでいただいちゃったわよ。よかったわね」
「え? う、うん」
やや恥ずかしそうに微笑む愛佳。
「お、おい由真、強引に誉めすぎじゃないか?」
由真に近づき、耳元に小声でそう言うと、
ガシッ!
いきなり由真は俺にヘッドロック。……すいません、顔に柔らかいのが当たってますけど。
「ああでも言わなきゃダメなのよ愛佳は!
前に愛佳の歌にダメ出ししたら、あの子すっごい落ち込んで、それから半年くらいカラオケに行け
なかったんだから!」
愛佳に聞こえないよう小声で必死に説明する由真だが、それより俺は顔の柔らかいのが気になって
仕方がありません。
「あの、どうだった郁乃?」
姉にそう尋ねられ、郁乃は、
「……う、うん、よかった」
「ホント? 郁乃にそう言ってもらえると嬉しいな」
微妙な顔で答えた郁乃だったが、幸い愛佳は気にならなかったらしい。よかったよかったところで
俺は顔の柔らかいのが気になって仕方がなくてどうしましょう。
「郁乃ちゃんも気を遣ってくれたようだし、まずは一安心ね。
ふぅ、親友への気配りも大変だわ」
安堵のため息をもらす由真だがそれより何より俺は顔に当たってる柔らかいのが(略
妹に誉められ上機嫌の愛佳は、
「そうだ、郁乃も何か歌ってみたら?」
「ええっ!?」
ビックリした郁乃はすぐさま、
「あ、あたし、歌なんて歌ったことないからいい!」
しかし愛佳は笑顔で、
「誰だって最初は同じだよ郁乃。
大丈夫、上手く歌えなくても、みんな馬鹿にしたりなんかしないから、ね」
「そうだよ郁乃ちゃん。わたしだってそんなに上手じゃないけど、みんな聴いてくれるよ」
「郁乃ちゃん、ファイトッス!」
「……頑張れ」
このみ、よっち、ちゃるが郁乃を励ます。
「……」
けれど、今一歩踏み出せない様子の郁乃。このみはそんな郁乃を見てうーんと腕を組んで考え、
「あ、そうだ!」
このみは楽曲表をペラペラめくって、
「うん、見つけた。
ねぇ郁乃ちゃん、この曲知ってる?」
楽曲表を見せられた郁乃は、
「え、えっと……」
「知らないかな? こんな歌なんだけど」
このみがサビの部分を歌って聞かせる。すると、
「あ、それラジオで聴いたことあるかも」
「ホント!? じゃあ一緒に歌おうよ!」
「え、でも歌詞とか全然覚えてないし――」
「歌詞なら画面に出るから大丈夫だよ。分からないところはテキトーテキトー!
珊瑚ちゃん、瑠璃ちゃん、ちゃる、よっち、一緒に歌ってくれる? ドーン・オブ・ザ・娘。の
『LOVELOVE魔神』」
「おっけー☆」
「う、うん、ええよ」
「……了解」
「よっしゃ! いっちょやったるっしょ!」
郁乃を中心にこのみたちが集結、よっちがリモコン操作し、俺でも知ってる超有名なヒット曲の
前奏が流れ始める。
「じゃあいくよ、せーの!」
元気よく歌い始めるこのみたち。郁乃はそんなこのみたちに戸惑いながらも、やがて意を決した
のか口を開く。郁乃の歌声は最初は聞こえず、けれどこのみやよっちたちの元気な歌声に誘われる
ように次第に、次第に大きくなって、そしてハッキリとスピーカー越しに俺たちの耳に届く。それは
決して上手じゃないけれど、なぁに初めてのカラオケだ、下手で当たり前。
「な、何か、一年生組、凄いね」
その歌声、あるいは結束力に圧倒される花梨。
「……あたしたちもさ、後で一緒に歌おうか?」
愛佳、るーこ、花梨、優季にそう持ちかける由真。
「あ〜あ、私だけ独りぼっち」
三年生のタマ姉がそうぼやく。――ま、まぁ、こればかりはどうにもならないね。
るーこ、タマ姉、花梨、郁乃と来ると、次に来る候補者は自ずと限られるワケで。
「わ、私ですか!?」
「うん、カラオケ未経験者は優季で最後だからね。優季も経験しちゃってよ、はい」
由真からマイクを手渡され、
「ええと、それじゃあ……」
楽曲表をペラペラめくるものの、なかなか決められない様子。
「優季は、歌いたい歌って、ある?」
俺がそう尋ねると優季は、
「ええと、そうですね……。
あ、古い曲なんですけど、『時を旅する少女』って、あるでしょうか?」
『時を旅する少女』? ――ああ、そんなタイトルの映画があったっけ。どれ、楽曲表の曲順の方を
調べて……お、発見。
「あったよ、ホラ」
「あ、これですこれ。原口知美さんが歌ってた、映画の主題歌。
母が好きでよく歌ってた歌なんです。それで私も好きになっちゃって」
優季の代わりにリモコンで曲番を入力し、程なく前奏。
「始まった。じゃあ歌って、優季」
「はいっ」
快活な返事。そして優季が歌い出す。
映画は確かそのタイトル通り、主人公の少女がタイムスリップしてしまう物語。主題歌であるこの
歌も、その物語になぞらえた歌詞になってるようだ。
そして肝心の優季の歌だが、
「〜♪」
もうね、上手い! の一言につきる。俺、優季の歌って今まで聞いたこと無かったけど、こんなに
上手だとは思わなかったよ。……もっともそれを言ったら、由真やるーこたちもそうだが。
――しかし、何だろう? 優季の歌に聴き惚れてるのは素直に認めるけど、それとは別に、優季と
この歌の組み合わせに『何か』を感じる……? 既視感? 夢にでも出てきた? いや違う、でも
何なのかサッパリ分からない。でも『何か』があるような……?
奇妙な感覚を覚えつつも、優季の歌は無事終了。
パチパチパチパチパチ!
「あ、ありがとうございます」
拍手の中、照れつつペコリと頭を下げる優季。
「じゃあ次、あたしが歌うッス!」
優季からマイクを引ったくるよっち。
「ちょっと待ってよ。あんたさっき歌ったばかりじゃない」
由真がそう言うと、よっちはサラリと、
「さっきのは郁乃ちゃんのサポートッス。なのでこれがあたしの一曲目ってことで」
この言葉にうーむと考え込む由真を後目に、よっちはさっさとリモコン操作。曲が流れ、よっちが
歌い出す。
――おお、よっちの歌声もさることながら、曲自体も結構いいな。桜が舞い散る季節に芽生えた
恋心を表現した歌詞と、明るく優しい曲調。なんか初々しいって感じでいいねぇ。
パチパチパチパチパチ!
「いや〜、どうもッス、どうもッス」
曲が終わり、拍手を受けてえへへと頭をかくよっちに、
「いい歌だったよ。今の、何て歌なんだ?」
「貴明センパイ知らないんスか? 池田春菜の『Hello』ッスよ」
「ふぅん。初めて聴いたけどいい歌だな」
「でしょ。これ聴くと何か恋をしたくなっちゃうんスよねぇ〜☆
あ〜あ、あたしも素敵な人と巡り会ってお付き合いしたいな〜」
「よこせ。次は私だ」
半ば妄想状態のよっちから、マイクを取り上げたのはちゃる。
こちらも慣れた手つきでリモコンを操作し、曲が流れてちゃるの歌が始まる。
――これまた相方に負けず、いい歌声だなぁ。普段のちゃるとはまるで別人だよ。しかも、曲自体
もこれまたいい感じだなぁ。不安とか悩みとか、そんな弱さを乗り越えて、未来への道を心の灯火で
照らしながら歩いていこう、そんなメッセージが込められた曲。心に染みるなぁ。涙出てきそう。
パチパチパチパチパチ!
「……どうも」
拍手を受け、やや顔を赤らめるちゃる。
「いやー、いい歌だったよマジで。今の何て歌か教えてくれるか?」
「……Suaraの『トモシビ』」
「『トモシビ』かぁ。タイトルもまたいいなぁ。Suaraさんだっけ? 実際どんな感じの歌声
なんだろう、気になるなぁ」
俺の肩をポンポンとよっちが叩き、
「センパイセンパイ、知ってますか? さっきあたしが歌った『Hello』と、キツネが歌った
『トモシビ』、何と一枚のCDにカップリングされてるんスよ」
「な、何いっ!? それは本当なのか!?」
「ええ本当ッス。池田春菜さんの『Hello』とSuaraさんの『トモシビ』、この二曲が収録
されたマキシシングルが、定価1,260円(税込み)で絶賛発売中ッス!」
「こ、こんな名曲二曲が一枚のCDで聴けるとは、なんてお得なんだ!」
「でっしょ。これは絶対、買いッスよね!」
「ああ、一家に一枚、是非買っておくべきCDだな! よし、さっそくみんなでCD屋に――」
「あなたたち、いい加減にしなさい!」
……タマ姉に怒られてしまいました。
つづく。
どうもです。第60話です。
……あの、一応断っておきますけど、わたくし別にCD関連業者の回し者ではありませんからね。
毎週乙
宣伝キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
貴明ウラヤマシス(´・ω・`)
657 :
名無しさんだよもん:2006/06/12(月) 20:57:23 ID:1l7+S5sY0
>>655 乙です
よしさそっくCDを買いに行こうww
>>655 乙です
これから追っかけます
子供のこーろのゆめは〜
色あせな〜い落が〜きで〜思う〜まま描き滑らせて〜
乙です
どうでもいいけどSuaraと言えば夢想歌がなかなかいい曲だ
お疲れさまです。
描く未来へとつな〜がる
ところでA人組アイドルって・・・だれ?
「ともしび」って、八代亜紀じゃないの? と、ボケてみる漏れはどう考えてもオサーンです。本当に有難うございます。
貴方のぉ〜 命のぉ〜 ともぉ〜しびがぁ〜 もうすぐぅ〜消えるとぉ〜 聞かぁされた……
>>655 CD宣伝、喜多ーーー!!!
えぇ、もちろんCDは持ってますとも。
原口知美さんの『時を旅する少女』を収録したCDもw
で、これから一週間このスレの話題はCDっすか?^^;
664 :
名無しさんだよもん:2006/06/13(火) 00:24:33 ID:zrmlgiTgO
ということは次はCDのSSですねww
>>662 ぁああ!・・・いたなぁそんなの。すっきりした。あんがとぉ!
お前ら少しは委員ちょについて触れてやって下さい。
ひ〜だまりのなか〜♪
668 :
ヤニボン:2006/06/13(火) 04:27:45 ID:CEaY9er80
@ノハ@
(*‘д‘)y−~~ <ウチの事呼んだ?
ヤニボンいたな〜そんなのも
ま、もう帰って来れないだろうけどね
671 :
名無しさんだよもん:2006/06/13(火) 20:34:17 ID:q57ZbWs4O
てか個人的にFeeling Heart出して欲しい…
古いか(笑)
672 :
名無しさんだよもん:2006/06/14(水) 20:50:42 ID:a6DtW2cX0
月曜まで一週間をきった
>>664 CD→歌→歌手→由真
なるほど。次は由真SSか。
674 :
名無しさんだよもん:2006/06/15(木) 04:34:33 ID:vnCC4myp0
待てぃ草壁さんを忘れるでないわ!
燃え上がれ闘志、頑張れ女の子
女道、華々道 向坂環と鰹節
679 :
名無しさんだよもん:2006/06/16(金) 14:27:35 ID:p0tC0DYt0
1192作ろう ジンギスカ〜ン〜
794ウグイス ジンギスカ〜ン〜
1941発 ジンギスカ〜ン〜
ひつじ ひつじ ひつじ肉〜
最強の証 クィーン トゥ ハート
我が心明鏡止水 されどこの掌は烈火の如く はタマ姉を見る限りそのままのような気がする。
やめて!好きな作品にタマ姉絡めないで!
石破天驚アイアンクロー
唐突にニャホニャホタマクローっての思い出した
To Hear道
TAKABOU
インドの子供がなりたいものは… 懐かしい
今日は生徒会は休み。
なので、放課後担った今、家に帰るだけとなった。
しかし、私は昇降口で立ち往生。
なぜかというと、激しい夕立が丁度降り始めてしまったから。
いつもは折り畳み傘を常備しているけれど、今日に限って忘れてしまった。
ふぅ、と溜め息ひとつ、私は雲で覆われた天を仰ぐ。
雨は断続的に降り続き、一向にやむ気配はない。
特に予定があるわけではなかったけど、私は濡れて帰ることに。
早足で校門まで歩き出す。
その間で、冷たく、強く、雨が降りつけて、私の髪や制服をぬらしていく。
寒さを感じずにはいられない。
校門を出るまででこんなでは、家にたどり着けるかどうかすら怪しい。
と、言っても着かなければならないのだけれど。
そんな事を考えながら、坂を下っている最中に、唐突に雨が止んだ。
――――私の周りだけ。
何がおきたかわからず、硬直する。
しかしすぐに気づき、後ろを振り返ると、そこには河野さん。
右手に持つ折畳み傘を私が濡れないようにさしている。
「久寿川先輩、傘、忘れたんですか?」
肩で息をしながら、河野さんは私に言う。
「え、ええ…。いつもは鞄の中に入れておくのだけれど…」
私がそう言うと、河野さんはにこりと微笑む。
「なら、小さいけど、これ使ってください」
「だ、ダメよ!河野さんが濡れてしまうわ!」
「俺は大丈夫です」
「大丈夫じゃないわ!」
「ホント大丈夫ですから、心配しないで使っちゃって下さい」
どうやら、お互い引く気はないらしい。
そこに、ある案が思いつく。
でも、それはとても恥ずかしい案。
こんなことを頼むのはおかしいと思うけど……。
ちょっと勇気を出してみても、いいかも……しれない。
「こ、河野さん、その…なら…もし…良かったら…」
言葉がしどろもどろになる。
顔はどんなになっているのか、想像したくない。
「傘に、入れてくれないかしら……?」
きょとんとする河野さん。
何を言われたのか分かっていなさそう。
しかし、すぐにそれも変わり、慌てたようになる。
「せ、先輩っ!?」
肯定されなかったら、とたんに恥ずかしくなる。
「ご、ごめんなさい、私…何言ってるんだろ…迷惑よね…ごめんなさい」
ごめんなさいを二度も…。何してんだろ、私…。
「河野さん、また明日」
これ以上河野さんと一緒にいると、さらに失敗を重ねてしまいそう。
そう思った私は、河野さんに背を向け、急いで歩き出す。
しかし、誰かに制服の袖を掴まれて、動けなくなる。
その人物を振り返って見る。
そこには、さっきとは違い、顔を赤くして俯き気味の河野さん。
「久寿川先輩、待ってください…。その、俺なんかとでいいなら…」
今度は私がきょとんとする番。何を言われたのかわかるのに、少し時間がかかってしまう。
その言葉の意味をやっと理解すると、私の顔も真っ赤になった。
蚊の鳴くような声で、ありがとう…、というのが精一杯だった。
傘は二人入るには狭いため、体が密着してしまう。
河野さんの鼓動が聞こえる。とても早い鼓動。
女の子が苦手と言っていたから、そのせいかもしれないけど、私は【そうではない】と自己暗示。
私のことを特別だと思ってくれてるから――――。
自分に良いように、思い込む私。
「先輩、濡れてませんか?」
「え、ええ。大丈夫よ。ありがとう、河野さん」
河野さんの匂い、息遣い、声。
それが、今私の近くに…。
そんなことを考えると、自然と顔が熱くなってくる。
密かに胸に手を当てると、私の鼓動もものすごい早さでなっている。
今は理由が必要だけど、いつかはきっと自然に1つの傘に2人で入ることが出来るようになれば…。
そうすれば、いつか鼓動も遅くなるかもしれない。
――――そんな日がくればいいのに。
そして、いつもの別れ道。
河野さんは迷うことなく、いつもとは違う…私の家のあるほうへ、足を向ける。
「先輩、家まで送りますね」
「あ、ありがとう…」
うわずった声で返す。
河野さんには悪いとは思ったけれど、もう少しこのままでいたかったから、来てくれてうれしかった。
「雨が弱くなってますね。もうそろそろ止むんでしょうかね」
「そ、そうかもしれないわね」
河野さんの言うとおり、雨は最初よりだいぶ弱くなっていた。
私達が家に着くまでは雨が降っていて欲しい…。
自分勝手に私はそう願っていた。
しかし私の願いとは裏腹にどんどん雨は弱まり、もう傘がなくても歩ける程になった。
いつ、河野さんが傘を畳んで帰っても、おかしくない。
内心、そのときがくるのを恐れながら、歩き続けた。
でも、河野さんは結局傘をさしたまま私の家まで一緒に来てくれた。
その頃には既に雨は完全にやみ、雲もほとんどなくなっている。
「ありがとう、河野さん」
このありがとうには、2つの意味。
濡れないようにしてくれた事と、私のわがままに付き合ってくれたこと。
「いえいえ、御礼に及びませんよ」
河野さんは笑いながら言う。
多分、河野さんは前者のほうに対しての言葉なんだろう。
「また、忘れたなら言ってくださいね」
「あ、ありがとう…」
そう言うと、河野さんはやっと傘を畳む。
私は思い切って疑問に思っていたことを聞こうと、声をかける。
「ねぇ、河野さん、どうして―――」
私のわがままに付き合ってくれたの?ましてや、雨が止んだ後まで。
そう聞こうと思って止める。
「ごめんなさい、なんでもないわ」
答えは分かっていた。
河野さんは誰に対しても優しいから、迷惑だけど仕様がなく付き合ってくれた。
そんなこと分かりきっていた。疑う余地もない位に。
私はどんなに自分は河野さんにとって特別な存在なんだって思い込んだところで、結局気づいているのだ。
ただ、そう自分が思っているだけで、実際はそんなことないんだ、って。
「あ…先輩、あっち見てくださいよ」
唐突に河野さんが言う。
私は言われたとおり、河野さんが指差す方を見る。
雨上がりの空。
そこには綺麗な虹。
それは燃えるような赤と神秘的な瑠璃色のコントラストを描く空に、架かっていた。
その優美な姿を余す事無く、私達に見せ付けて。
近くにある沈みかかり始めた夕日よりその存在感はあり、見るものを皆圧倒していた。
それは、ちょっとだけど勇気を出した私への、神様からのご褒美かと錯覚する程のものだった。
「綺麗……」
「ですね…」
私達は虹を見ていた。薄れゆく虹が完全に消えるまで、ずっと。
そして、お互いを見合う私達。
「河野さん、また明日。今日はありがとう」
自分でも驚く位、優しい声。
「はい、また明日」
河野さんの顔や声も、優しさが溢れていた。
河野さんと別れて歩き出す。
しかし、すぐに立ち止まる。
また勇気を出してみても、いいかもしれない――。
そんなことを考えながら、私は天を仰ぐ。
ほとんど瑠璃色になった空には、もう、虹はない。
その代わりに、転々と輝く星々と、一際目立つ三日月がある。
もう、虹はない。
でも、それで良い。
2人で見ることができたから、1人で見れなくても…。
また、2人でみたい。
今すぐにではなく、河野さんの特別に、私がなって…それから。
虹が私を応援してくれた気がした。
きっと、河野さんの特別になる事が出来る、と。
私は水溜りを避けながら、また歩き出した。
次に虹がみれたときには、特別になれてますように―――――。
そんな事を見えない流れ星にお願いしながら――――。
693 :
↑の作者:2006/06/18(日) 00:15:43 ID:ngPtOAxT0
最近雨が多く降る中、ふと思い浮かんだSSです。
前作と同じようなものになってしまいましたね〜。
今回もまた、こんなのささらじゃない!って方が
いらしたら、すいませんです。ご容赦ください。
精進しなければなりませんねw
いやいや、良いモノを読ませて頂きました!thx
>>693 乙!ですが、
言わせてもらうと物理的に夕日のそばに虹は出ません。
あといきなり2行目の
>なので、放課後担った今、家に帰るだけとなった。
で萎えそうになりました。
まぁ初期ささらの性格は丁寧に捉えてると思われます。
ご精進あれ。
>>693 GJ!
久々に良ささらSSを読ませて頂きました。
今の季節にあってるのもいいですね。
次回作も期待してます。
>695
虹については…ほら、アレだよ。
神様からのご褒美は奇跡に満ち溢れたものだったんだよ。
奇跡は起きないものよ。
奇跡は起きます、起こして見せます!
奇跡はおこらないから奇s(ry
(´・ω・)っ【光の玉】
ギャルのパンティおくれ!
703 :
名無しさんだよもん:2006/06/18(日) 20:59:09 ID:4ubPJ9ph0
_____
(\ ∞ ノ
ヽ、ヽ ノ
`ヽ)__ノ
704 :
あいつと一緒(1):2006/06/18(日) 22:12:40 ID:XouZ8QFN0
今日は1時間目から保健体育の授業だったが、代わりの講師が教室に入ってきた。
授業内容は、各自プリントを渡され、穴埋め形式で、全て埋めることだった。
「たかあき。ちょっと教えて欲しいんだけど。」
隣のクラスから来たのは由真だった。
由真はプリント片手に俺の席に近づいた。
そうか。由真のクラスも同じだったよな。
「どれどー。」
俺は由真が指すところで絶句してしてしまった。
そこは男の身体の特徴を示す文書が穴埋めになっていた。
しかもいかがわしい図まではっきりとプリントされていた。
これってわざとやっているんじゃないだろうな。あの体育講師めぇ。
「とりあえず教科書に載っているから、わからないところはー」
俺がいい終わるところで由真が言って来た。
「たかあきは知っていることだから教えて欲しいのよ。そこのところお願い。」
由真はそういうなり、手のひらをあわせて俺にお願いをしてきた。
「そういわれると断れなくなるからやめてくれよ。」
「だったら、教えてくれる?」
「ああ。」
結局、由真に教えるはめになってしまった。
705 :
あいつと一緒(2):2006/06/18(日) 22:13:26 ID:XouZ8QFN0
1時間目の休み時間。
「貴明!大丈夫か?」
「ああ。全く、大恥をかいてしまったよ。」
さっきの時間のことだ。由真がただこれるから、俺が全て教えるはめになってしまった。
「そういや。長瀬さん、さっきの時間。いたんだよな。」
「なによ。雄二。たかあきから教えてもらったんだから、あたしはあれのことは気にしてないわよ。」
由真は恥ずかしいのかそっぽを向く。
「た、貴明が教えただと。」
雄二がそういうなり俺の襟首を掴んできた。
「なんだよ。雄二。」
「貴様!!女の子に向かって、アレのことも全部教えたのか。かー。お前は恥というのは知らんのか。」
「だーかーら。由真がどうしてもっていうから。教えてやったんだよ。お前がいうことか。」
「ふふふ。人間の身体の特徴は知っていて当然なわけよ。この世は男と女しかいないんだから」
それはもっともな意見なんだが。雄二は俺の襟首を手から離した。
「だったらそういえばいいじゃないかよ。まぎわらしいこというんじゃないぜ。」
雄二はやれやれといった表情で言った。
「でも男の身体に関しては興味をそそる内容だったわね。」
由真。お前は何を言い出すんだよ。
「えっと、こうなんか。棒みたいなもの。」
「手つきで表現するなよ。」
「それと、なんでかな。あれは男だけにあって女はあんなものが入るのかな。」
どんがらがっしゃ〜ん。雄二と俺はこける。
706 :
あいつと一緒(3):2006/06/18(日) 22:14:22 ID:XouZ8QFN0
「お前な。いちいち手つきで表現しなくていい。じゃなくて、お前は女だろ。そんな話をしている時点でエロいんだよ。」
俺は由真に釘を打つ。だが、由真はあっけらかんとして言った。
「なんでよ。」
「そこで肯定するな!!」
「た、貴明!!お前らの話。聞いていると、特に長瀬さんは萌えるんだよな。」
ドゲシッ!!顔面に靴底が入る。
「すぐに復活!!今日は白か。初々しくていいよな。」
ドゲシッ!!また顔面に靴底が入る。
「由真よ。スカートを気にしてくれよ。雄二に見られているぜ。」
「忠告ありがと。たかあき。でもね。棒の下になんでタマがついているのよ。あれは何が入っているの?」
どんがらがっしゃ〜ん。また雄二と俺はこける。
「お前な。知っているかのようにいうなよ。」
「貴明。俺はもうついていけないわ。長瀬さんには悪いが、激萌え〜なんだよな。」
ドゲシッ!!またまた顔面に靴底が入る。
「あたし何か言ったのかな。ああそうね。あの棒はどうして大きくなったり小さくなったりするのよ。不思議だよね。」
どんがらがっしゃ〜ん。またまた雄二と俺はこける。
「お前。自覚ないだろ。」
「え?なんのことよ。たかあき。」
こいつは自分で言ったことについて全く自覚もないみたいだ。
「お前が言っていること。つまりな。エロすぎるんだよ。」
「それにどうしてあたしなのよ。あたしに萌える必要なんかないわよ。」
自分で言って萌えるとかいうなよ。
707 :
あいつと一緒(4):2006/06/18(日) 22:15:16 ID:XouZ8QFN0
「長瀬さん。悪いんだけど、今の話、萌えるんですけど。俺の気のせいかって。ぐふー」
由真は雄二に裏拳を腹に入れる。
「まだあったわね。あれとそれの合体。あれを出されると気持ちいいの?」
どんがらがっしゃ〜ん。由真。いい加減にしてくれ。
「お前は再三いうなっていったのに。」
「貴明。俺は、俺は、長瀬さんに3000点。それにエロすぎてボーナス1万・・ぐふー」
由真はまた雄二に裏拳を入れる。
「それにボーナスってなによ。クイズじゃないんだから。あたしにそんなものに入れないでよ。」
「貴明。悪いけど、俺はマジでついていけない。長瀬さん最高にエロいっすよ。」
ドゲシッ!!顔に靴底が入る。
「たかあきにとっておきなこと考えちゃったわ。」
なにか嫌な予感。まさか。いうのか。
「たかあきとなら何回してもいいわよ。」
どんがらがっしゃ〜ん。お前の頭はそれしかないのか。
708 :
あいつと一緒(5):2006/06/18(日) 22:16:08 ID:XouZ8QFN0
「貴明!!聞いたか。」
「ああ。」
「長瀬さん。あんたはエロい。こどごとなくエロい。」
「どうしてそうなるのよ。雄二、あたしは思ったこと言っただけじゃない。何処がエロいのよ。」
自覚ねぇなこいつは。
「♪たかあきとずっこんばっこんされてー。あたしはー」
「こんなところで変なネタで歌を歌うな!!」
「貴明よ。」
「なんだ。雄二」
「こんなやつほっておいてさ。次の授業の準備でもしようぜ」
「ああ。」
由真をほっておいて次の授業の準備をしたのだった。
709 :
名無しさんだよもん:2006/06/18(日) 22:18:31 ID:QWk3S6VyO
いやったぁぁぁぁぁぁぁ!!
ToHeart2XRATEDゲットォォォォォォォォ!!
710 :
708の作者:2006/06/18(日) 22:22:20 ID:XouZ8QFN0
思いついたこと書きました。感想を待っています。
711 :
名無しさんだよもん:2006/06/19(月) 00:00:05 ID:30RiyAGZO
月曜が来ましたよ
>>710 乙
序盤はよかったけど最後がgdgd
あと雄二が長瀬さんって呼ぶのはどうかと
>>710 おつ〜。う〜、何を伝えたいのかよくわからん。これは設定は由真ルートのアフターストーリーでOK?
にしても、『長瀬』由真にしてはなんだかそんなキャラじゃないように思えるし、
『十波』由真にしても、公衆面前でそんな話するほど節操無しじゃないような…。
それよりは、二人きりの場面でそうさせたほうが由真っぽいかも。
勢いはあったけど、ちょっと由真のキャラが微妙だな
>>713の言うみたいに二人きりとかなら有り得るかもしれないけど
キャラ掴めてない気がするね。メイドロボ姉妹あたりは本編出ないから
えらいことになってもしょうがない面もあるけど、由真でこれはちょっと。
あと、日本語の微妙な部分がちょい目立つ。
暗い月曜日
>>710 次の河野家が投下される前に、由真SS乙。
CDネタじゃなかったのかw
確かに後半キャラが変わってますね^^;
あと、さすがに同じネタを連発しすぎると
ひいてしまいます。
でも、こういう話をする時は
長瀬モードで眼鏡をかけてる時の方が
萌える気がするのは漏れだけですか?^^;
別に眼鏡属性はありませんがw
タマ姉の陵辱SSって無いっすか?
ニーソで足コキなのがあればグッド・・・ってこれじゃ陵辱じゃないか。難しい。
>>710 とりあえず乙。
まず句読点の使い方だな。
会話での読点が必要以上に多いから、感情が無いように感じる。
あとはやっぱり由真のキャラかな。
由真の場合、『エロイ単語を知らずに言う』もしくは『エロくない言葉なのにエロく聞こえる』って感じだと思う。
河野家マダー?
721 :
708の作者:2006/06/19(月) 20:25:15 ID:AJfb75ZH0
いろいろと感想どうもです。これらを次回にもちこまないよう気をつけます。
皆さん。ありがと。また作るかも知れないのでその時まで。
722 :
名無しさんだよもん:2006/06/19(月) 20:43:18 ID:cHJgOPfB0
カラオケ五番手は姫百合姉妹。珊瑚ちゃん以外の人の前で歌うのは初めてだからと緊張する瑠璃
ちゃんだったけど、いざ歌ってしまえば姉の珊瑚ちゃんとピッタリ合わせ、二人組アイドルの歌を
振り付きで歌ってみせるのだった。しっかしみんな歌上手いなぁ。
六番手は愛佳。歌うのが緒方理奈の歌ということで、待ってましたとはしゃぐ雄二だったが、肝心
のその歌は……。い、いや、由真が俺の顔に柔らかいのを押しつけてまで言うくらいなんだから、
上手かったですよ、ええ。
七番手は郁乃なんだけど、カラオケ未経験の郁乃は歌う歌すら決められない。そこで立ち上がった
のがこのみ、姫百合姉妹、ちゃるとよっちの一年生組。みんなでヒット曲を元気よく歌い、それに
つられて郁乃も歌声を響かせる。初めてにしては上出来だよ、うん。
八番手は優季。選曲したのは映画『時を旅する少女』の主題歌。優季の歌声に聞き惚れつつ俺は、
優季とその歌の組み合わせに奇妙な『何か』を感じたりして……
九番手はよっち。歌ったのは池田春菜の『Hello』。そして十番手のちゃるが歌ったのは
Suaraの『トモシビ』。どちらもいい歌だなぁと感動してたら、何とこの二曲が一枚のCDで
聴けると言うではないか! これは是非CDを買いに――、って済みません、やりすぎですね。
「俺の番だな」
そう言って立ち上がったのは雄二。
「お、雄二、何歌うんだ?」
俺がそう尋ねるが、雄二は何も言わずにリモコン操作。感じ悪いなぁ。
程なく前奏。――うーん、聞いたことがあるような、無いような。
「あ、『SOUND OF DESTINY』」
「知ってるのか、由真?」
すると由真は意外そうな顔で、
「知らないのたかあき? これ、緒方理奈のヒット曲だよ」
「ああ、そうなんだ。俺、緒方理奈ってあまりよく知らないからなぁ」
などと俺たちが話しているうちに雄二が歌い始め――
「〜♪」
「え、えええっ!?」
人が歌ってる最中に大声をあげる由真だが、無理もない、俺もビックリだ。雄二の歌声は、まるで
アイドル歌手そのものって感じで――
「そ、そっくり……」
呆然と由真が呟く。どうやらその歌声、本物にそっくりらしい。
驚いてるのは俺と由真だけではない。他のみんなもあっけにとられ――
「……なんか、気持ち悪い」
顔をしかめる郁乃。……ま、まぁ、歌声の主が雄二じゃなぁ。
「はっはっは! どうよ諸君、この俺様の美声に酔いしれたかな?」
完璧なまでに歌い上げた後、ふんぞり返って高笑いする雄二。
「す、凄い……。まるで本物の緒方理奈が歌ってるみたいだったッス……」
「う、うん……」
よっちの言葉にこのみがコクコクと肯く。しかし、
「あ、分かった! さては雄二、声を変換したでしょ!」
雄二に指を突きつける由真。
「声を変換?」
「最近のカラオケには男声を女声に変換する機能とかがあるのよ。きっとそれを使ったんだわ!」
由真のその指摘に、しかし雄二はフフンと鼻で笑い、
「んな機能になんか頼らねぇよ。
大体、最近の音声変換機能には、男声を”緒方理奈の声”にする機能でもあるってのか?」
「ぐ……」
言い返せない由真。確かに雄二の言うとおり、さすがにそこまで高度な機能はないだろう。
「それなら雄二、あの声は?」
「おいおい貴明忘れたのかよ? 俺様が七色の声の持ち主であることを」
七色の声? ……ああ、そう言やこいつ、そんな特技持ってたっけ。
「だが、七色の声と言うこの天性の力を持ってしても、緒方理奈ちゃんのあの美声を再現するのは
至難の業だった……。
来る日も来る日も修行に明け暮れ、この声を会得するまでに要した時間、およそ一年ッッッ!」
「そ、そう言えば夜な夜な雄二の部屋から歌が聞こえていたけど、あれはまさか雄二の歌声!?」
タマ姉の顔が青ざめたのは、弟の超人的な能力を知ったためか、はたまたその気色悪さ故か。
「君たちに言いたいことがある」
雄二はこのみたちを見回すと、
「君たちは、自らが女性であることに胡座をかき、何の苦労もせずに得た歌声でカラオケを堪能して
いるつもりだろうが、俺から言わせればそのようなもの、児戯にも劣る自己満足でしかないッッッ!
声帯を破壊する一歩前まで己が声を磨き上げ、性別という高く厚い壁を乗り越え、緒方理奈という
名前の聖なる音域に達した時、人は、カラオケとは何なのか、いや、歌うとは何なのか、その答えを
知ることが出来るのだッッッ!!」
……何か力説しちゃってますけど、この人。って言うか意味分からん。
「……ゆ、雄二、あんたってヤツはそこまで……」
あれ? 由真が圧倒されてるよ?
「か、勝てるワケなんてない……」
うわ、愛佳も落ち込んじゃった。さっきの自分の歌と比較したのかな?
そんな愛佳を見下ろし雄二は、
「精進せよ委員ちょ。キミの中にある緒方理奈への情熱をもっと燃やすのだッッッ!
日を置かず、歌い続けなさい。キミならあるいは、俺を超えられるかも知れない……」
そう言い残し、何故か部屋を出ていこうとする雄二。
「お、おい雄二、どこへ行くんだ?」
「トイレだッッッ!!」
あ、そうですか。行ってらっしゃい。
「こ〜のみっ! 次はこのみの番だよ!」
はいっ、とこのみにマイクを差し出すよっち。
「え、でもわたし、さっき郁乃ちゃんと一緒に――」
「だから、アレはあくまで郁乃ちゃんのサポートっしょ! ささ、歌って歌って」
「う、うん、でもこのみ、まだ歌を決めてないんだ……」
そう言って楽曲表を取ろうとするこのみに、
「……なら、アレを歌って」
「え? ――あ、アレ!?」
ちゃるに言われた途端、このみはカァーッと頬を赤らめ、
「だ、ダメだよちゃる! あ、アレは三人の時だけの……」
ん? 三人の時だけ歌うアレって、一体なんなんだ? うーむ、何となくイケナイかほり。
「このみ、それ歌え」
「え、タカくん!? ダメ、絶対ダメ!」
手をブンブン振るって拒否の姿勢。何か必死だな。でもそういうのを見るとますます聴きたくなる
のが人のサガってヤツで。
「ちゃるとよっちは聴かせられて、俺たちには聴かせられないのかよ。そりゃあないよ、なぁ」
ここでチョット卑怯な手。周囲のみんなに同意を求める。
「確かに気になる。あたしたちにも是非聴かせて欲しいな」
ホラ、早速由真が乗ってきた。
「うんうん、聴かせて聴かせて」
花梨の好奇心だって黙っちゃいない。
「うーこのの特別な歌か。るーも是非聴いてみたいぞ」
好奇心じゃ、るーこも負けていないな。
「あ、うう……」
徐々に追いつめられるこのみ。よし、もう一押し――
「無理強いはよくないわよ。このみも困ってるじゃない」
ちっ、やっぱタマ姉が黙ってないか。よし、それなら、
「ああー、うん。確かにタマ姉の言うとおりだよね。
ゴメンなこのみ、無理強いするつもりは無かったんだけど、聴いてみたかったからさ」
「あ、うん」
あっさり引き下がった俺にキョトンとするこのみ。
「ね、ねぇタカくん……」
「ん?」
「そんなに……聴いてみたい?」
「そりゃ、このみの特別な歌なら聴いてみたいよ。けど、無理しなくていいよ」
「あ、あのね……」
よし、食いついたぞ。ホレ言え、歌うと言え!
「その、歌ってもいいけど、約束してくれる?」
「約束?」
「うん、その、わ、笑わないって」
笑わないと約束? 笑っちまうほど恥ずかしい歌なのか?
「あ、ああ、分かった、笑わない。約束する」
俺のその口約束に安心したこのみは、
「うん、じゃあ、歌うね」
腹を決め、リモコン操作。程なく前奏が流れるのだが、――なんか、のんびりな前奏だなぁ。
そしてこのみはマイクを口に――
「水飲みぞうさん ぱおーぱおー♪
今日も天気だ ぱおーぱおー♪
ママぞうさん こどもぞうさん♪
親子で仲良く ぱおーぱおー♪」
……ゴメンこのみ、約束、守れないかも。
いかん、笑いが今にも……、下唇をぐっと噛んでこらえる俺。ってか何だよその歌はよ!?
「水飲みぞうさん ぱおーぱおー♪
雨の日だって ぱおーぱおー♪
ママぞうさん こどもぞうさん♪
パパはひとりで ぱおーぱおー♪」
あ、由真が自分の脚をグーで殴って、必死に笑うのをこらえてる。
他のみんなも笑うまい笑うまいと、各自創意工夫で何とかこらえている。そんな中平然としてる
のは、タマ姉、るーこ、珊瑚ちゃん。
「童謡ね。なんだかこのみらしいわ」
俺たちとは違う意味で笑ってるタマ姉。
るーこは無言で、このみの歌に聴き入ってる。るーこにはこれも貴重な”うー”の情報なのか。
「ぱおーぱおー♪」
珊瑚ちゃんに至っては、一緒になって歌ってるし。
そう言えば、この歌を最初にリクエストした二人は――おや、普通に聞き入ってるぞ?
「水飲みぞうさん ぱおーぱおー♪
水がなくても ぱおーぱおー♪
ママぞうさん こどもぞうさん♪
パパとライオン がおーがおー♪」
笑うのを必死でこらえつつ、ちゃるよっちの元へ。
「な、なぁ教えてくれないか。二人ともどうして、そんな平気で聴いていられるんだ?」
すると二人はホワワンとした笑顔で、
「いや〜、このみのコレ聴くと、胸がホンワカするんスよねぇ〜
イヤなこととかあっても、このみのコレ聴いたら一発で吹っ飛んじゃうんスよ〜」
「……癒し系」
い、癒し系? 俺にはタダのマヌケな歌にしか――
「水飲みぞうさん ぱおーぱおー♪」
ぐああっ、この歌何番まであるんだよ〜!?
癒しだったり地獄だったりの、このみの歌がようやく終わった。つ、疲れた……。
「た、タカくん、どうだった?」
幸いにして笑いをこらえきった俺ではあるが、このみのこの質問、何と答えたらいいのだろう。
と、とりあえず落ち着いて、ええと……
「よ、よかったよ、このみ」
「ホント? えへ〜」
「お、俺が頼んだら、また歌ってくれるか?」
ホントは「俺がいいと言わない限り、決して俺の前で歌わないでくれ」と言いたいところを、出来
るだけ柔らかく遠回しにそう言い換える。
「うん!」
嬉しそうに答えるこのみに、チョット罪悪感。
「さて、これで残るは……」
みんなが一斉に俺を見る。――ああそうか、歌ってないのは俺だけか。
「さて、それじゃ何歌おうかな――」
まだ決めてなかったので、楽曲表を手に取る。と、
「はーいリクエスト! ねぇねぇたかあき、修三と昭夫の『青春アディオス』歌って!」
は? リクエストって何だよ由真のヤツ?
「あ、じゃあ貴明センパイ、あたしはKET−TONの『Real Face−off』!」
「お姉ちゃん、梅平建の『ウメケンサンバ弐』が聴きたいな」
「ほなウチ、ニンニク幼女帯の『愛のゾンビ』〜☆」
よっち、タマ姉、珊瑚ちゃんが次々とリクエスト。ってか最後の『愛のゾンビ』って何ですか?
「ちょ、ちょっと待ってくれよ! そんないきなりいっぺんに言われても困るし、そもそも何で俺
だけリクエスト制なワケ!?」
「このみちゃんだってよっちたちのリクエストだったじゃない」
「う……、そ、それは確かに」
由真の指摘にあっさり負ける俺である。
「なら、まずは一番最初にリクエストしたあたしからってことで」
「うう……。あ、でも修三と昭夫って二人組じゃないか。俺一人じゃ――」
「ああ、その曲なら俺歌えるぞ。一緒に歌ってやろうか?」
ゆ、雄二、余計なことを……
結局、雄二と二人で『青春アディオス』を歌った俺。うろ覚えだったけど何とかなった。
パチパチパチパチパチ!
みんなが拍手をしてくれるのは嬉しいんだけど……
「じゃあ次、『Real Face−off』ッスね!」
ホラ来た。一人言うことを聞いたら他のみんなも黙っていない、いつものパターンだよ。
「『ウメケンサンバ弐』も忘れずにね」
「『愛のゾンビ』〜☆」
「じゃあタカくん、わたしはタッチー&岬の『正夢物語』!」
「うー、ジョンカーペンターズの『Tomorrow once more』を知っているか?
あれはいい曲だぞ」
「あ、あの、貴明さん、幹原敬之さんの『もう恋なんてしないかもしれない』って曲なんですけど、
ご存じですか?」
ぐあ! このみ、るーこ、優季までリクエストしてきやがった!
「ま、待ってくれ。それ全部歌わなきゃならないのか!? 知らない曲もあるし!」
「リクエストには応えなくちゃ。知らない曲はリクエストした子と一緒に歌えば?
いやー、連チャンで何曲も歌えるなんて羨ましいなぁー。たかあきって得だよね」
ゆ、由真のヤツ、他人事だと思って……
何か言い返そうかと考える間もなく、次の曲の前奏が。……うぅ、歌えるかなぁ?
つづく。
どうもです。第61話です。
サッカーから目が離せず、危うく61話が書ききれなくなるところでした(^^;
普段はJリーグとか見もしないのに、国際試合は見てしまう。俺もミーハーだよなぁ。
乙です。
もじるのがうまいですねwww
リアルいただきました!このみのあの歌は一体・・・何かネタあったのかな?
駅の街時間にw-zero3でスレチェックしたらリアルでキテター。
とりあえず雄二それはキモイよ。
736 :
名無しさんだよもん:2006/06/19(月) 21:05:46 ID:sjfGtWA10
河野家乙
始めてリルタイムで読めました
また面白いのよろしく
自分もss書いてるがまだまだと凹み中
毎週乙
なんか雄二が大志に見えた件
このみヤベェw頭が破壊されそうだ
河野家乙でした、このみにポケモン言えるかな歌わせたいw
来週はイルファさんが乱入して愛のメモリーを歌いそうな勢いだw
乙です。
まあこのみの歌はまだマシだよ…ナンバガ歌ってドン引きされた俺にくらべればw
個人的には「はじめてのチュウ」を雄二と歌いたい。
741 :
名無しさんだよもん:2006/06/19(月) 23:47:04 ID:30RiyAGZO
>>1
乙
このみが歌う歌はこのみのイメージソングだと思っていたのにまんまとはめられました。
乙でした
久しぶりにシングル聞いてみたけど、雄二はこんな声で歌ってるのか
まあ、よっちの声真似した前歴もあるしOKw
ところで今頃CD-EXTRAだと気付いた俺ガイル
なんかSS書庫を見てたら、以前に中途半端な形でうpしたSSを
今さらながらちゃんと完成させたいと思った。これは未練だろうか……。
君に書き手としての素養があるということだ。
頑張って完結させてくれたまえ。
>>732 河野家、喜多ーーー!!!
今週の雄二はアツい、アツいぜーー!!っと思ってたら
結局おいしい部分(?)は、このみにもってかれましたねw
是非ともゆりしぃにリアルで歌ってもらいたい!
この曲で語呂合わせを作って、ラジオに応募すれば
ひょっとしたら歌ってくれるのかな?w
そして、最後は結局こうなりましたか^^;
思い出してみれば、お姫様だっこのリクエストから
作中でまだ一日しか経ってないんですねw
というか、このペースだと長くて長くて長かった土曜日を
抜きそうなんですが^^;
何にしても、来週も楽しみにしてます。
今、このスレの最初の方を読み返してて気づいたんだが
そういえば「オトナになる方法」のエピローグって
upされてませんよね?
結構楽しみにしてたので、まだupする気があれば
お願いします>作者さま
さて、そろそろ黒このみの出番かと…
いつまでカラオケネタを引っ張るつもりかと小一時間
ネタ
たかあきキュンが記憶喪失になる
751 :
387:2006/06/20(火) 20:35:33 ID:HiswMBQg0
>746
えーと、すんません。郁乃に目的達成させて気が抜けたのと、
ちょっとSSじゃない作業にかまけていた(る)ので手が着いてません。。。
完結はさせるつもりですが本当になにもない予定ですし、当分忘れててくださいw
752 :
746:2006/06/20(火) 21:18:33 ID:wdoleuOb0
>>751 わかりました。
漏れが記憶喪失にでもなっておきますw
またいつかその気になったら、完結させてあげてください。
小さな性器、皮剥け男の子!
素敵な春夏
いつも一人,ずっと一人
陽だまり官能少女
ストレンジ・ノンカウンター
ローストにされたあいつを食べよう
真夜中の姦行で
どこぞのAVタイトルみたいだ
>>751 俺が書いてるネタと奇跡的に一致(´・ω・`)
>750
記憶喪失になった貴明。皆ここぞとばかりに自分に都合のいいイメージを押し付ける。
このみ「いつもこのみにお菓子やジュースをおごってくれたよ」
環「しっかりとした『いい男』だったわよ」
愛佳「えっと、書庫の整理を手伝ってくれてました」
由真「アタシにちょっかいばっかりかけてくるヤツ!」
優季「運命の人です♪」
るーこ「うーはダメダメな男だ。これを機に革命されろ」
花梨「たかちゃんはそれはもう熱心にミステリ研の活動に打ち込んでいたんよ!」
珊瑚「ウチと瑠璃ちゃんといっちゃんとラブラブやったー」
瑠璃「ウチとさんちゃんにえっちぃことするごーかんま!」
ささら「私にはなかなか手を出してくれなかったわ」
貴明「ちょ、ちょっと待ってください! みなさんの話を総合すると
『女性が苦手でヘタレで積極性もなく、性癖にも問題があるのに、
そのくせ複数の女性と関係を持つ度量があってさらに気前がよく、
しかも部活動にも熱心に参加してボランティアまでこなす人格者』
というひどくわけのわからない人格になってしまいますよ!」
全員「うっ……」
貴明「そこの君! 本当の俺はいったいどっちなんだ!? 前者? それとも後者か?」
雄二「…………こ、後者かな」
貴明「何故顔を背ける」
>>750 んじゃ、俺も一つ便乗して…
由真「貴明、記憶喪失になったって…。それじゃあたしのこと覚えてないの!?」
貴明「すまん」
由真「五千円貸してたことも?」
貴明「そうだったのか」
愛佳「だめだよぉ〜、由真。可哀相な人騙しちゃ〜」
由真「ああ、一万円って言えばよかった…」
GS美神とらんま1/2だな
水を被ると貴子になるんですね。
萌え
ツンデレラになるのか・・・
な ら ば よ し !
761 :
厳島貴子:2006/06/22(木) 04:13:09 ID:f9W2Nin00
___
, ´ `丶
./ 〃 / ノl 人、 ヽ
// 〃 イ ,ィ //ヾヾ、、 ',
l l リレ !//ノノ ヾ=!i l
l .V __ __ i トー6 <お呼びかしら?
ヾ,i `" `" ! !ノ〈ハ〉
Lil 〕> ! ! l ll 、
.lハ 人ヽ Lll ヽ
. L!`ゝ __ イ┬、ヽヽ `ヽ
l √ ヽ 0_,l 〉リ )
ノィ l ト</ヽ__>=l 、(
フ `ヽcロ/゙ヽ_lっ l ヽヽ_
〈 ヾ7 /ー-'"! )ヽ)
(・∀・)カエレ!
つまり貴明が女装して寺女に入学する話を書けと。
ネタ
たかあきキュンと誰かの
中身が入れ代わる
折れは玲於奈を推薦したい
尾崎?
ネタといえばこのみ×郁乃というのを考えたら既に書かれていた(『修学旅行の夜』)
たぶん同級生だし、愛佳が貴明を確保してしまう前提なら落ち着き先として良いかも
貴明とこのみが入れ替わる話があったと思うが……
あれ、結局どうなったんだ?
一発のネタSSじゃなかったっけ?
ていうか本編だしな。
>貴明とこのみが入れ替わる話
「もうどうにもとまらない」のことジャマイカ?
途中で止まってるようだが。
誰がうまいことを言えといったw
どうもです。
済みません、風邪をひいてしまいました。なんでこんな時期にひくかなぁ……?
なので、明日の河野家はお休みさせてください。
ホント、ご免なさい。m( __ __ )m
>>773 乙です
まあゆっくり体休めて治してくださいな
ゆっくり養生して下さい、この時季って気候が中途半端で意外と体調崩しやすいのでお気を付けて。
こんな時こそ向坂家を!
777 :
名無しさんだよもん:2006/06/26(月) 02:23:53 ID:j6Tv2+lR0
お休みは残念ですが、ゆっくり休んで英気を養ってください。
私も風邪なのか、ここ一ヶ月ほど微熱が出たりおなかの調子がおかしかったり・・・・・・。
本当に体調には気をつけてください。
河野家の作品内時間て結構たっていると思ったのですが、生活費って大丈夫なんでしょうか?
水道光熱費はまだしも食費は直に響くはずですが誰も気にはしないんでしょうか?
それと、現在貴明は机がないんですが勉強はどうしているんでしょうか?
居間とか台所のテーブルでやっているならもっと複数人でやるっていう流れになりそうな気もするし、
そもそもタマ姉がいるなら予習復習までやる勉強会とかやりそうですが。
サンデーのハヤテみたいに、
1年連載してても一ヶ月しか
時間進んでいない感じやもしれん。
779 :
名無しさんだよもん:2006/06/26(月) 10:09:55 ID:9AyR1ls/0
>>773 河野家の中の人、喜多ーーー!!!
最近、妙に蒸し暑かったり、しとしと雨は降ったりで
どうしても体調を崩しやすいですので
どうぞご自愛ください。
来週(以降)を楽しみにしてます。
>>776 同意w
>>777 前スレ終了時に、河野家のイベント一覧を作ってみましたが
それによると、最初に河野家に由真がやってきたのが火曜日で
それから連載一周年以上たっても、まだ3週間と過ぎていない
という現実があったりしますw
一応、マジメに考えてみると、水道・光熱費は
まだ一ヶ月経ってないから何ともいえませんがw
普通に貴明の親の口座から自動引き落としでしょう。
生活費は口座を分けるか、直に送ってるかのどちらかっぽい。
しかし光熱費その他は、貴明一人よりは格段にかかってるはずだから
引き落とし額を見て、親は不審に思うでしょうねw
食費は、あの女性陣だと皆で買い物に行って
その後、折半って感じかな?
一応、全員が押しかけたという自覚はあるはずだから
生活に必要な金を出し渋るキャラはいなさそうだし。
勉強は、、、してないんじゃない?w
なによりも風呂の順番が気になる……
貴明の後だと、奴のだし汁の中に入ってるわけだな。
ただ女性陣のあとだと
そこに貴明が入ってることに・・・
784 :
781:2006/06/26(月) 20:33:34 ID:F8ZBG71F0
食費光熱費とかはタマが出してくれるんじゃね?
あのシブチンがそんな事するわけないじゃん
出すなら珊瑚姐さんさ
女性陣の入浴時間が気になるな……
ひとり30分だとしても、三時間……
あれだ、タカ坊が誰かと一緒に
入ればいいんじゃね。
余計に時間掛かっちゃうじゃん!
女性陣は、ペアによっては2人まとめて入ってるのかもね。
同室どうしで入れば3組だから、それでも一時間半。。。
実は地下に銭湯があるとか
それなんてシャドウレディ?
ネタ
かたあきキュンが
交通事故にあう
かた・・・あき?
>>792 いや、亜空間にあるんだろ
で、貴明・女って暖簾がかかってるんだよw
798 :
名無しさんだよもん:2006/06/27(火) 18:08:02 ID:GXpB9kWYO
ネタ
貴明
謎の箱開ける
おじいさんに
ネタ
たかあきが
走り屋になる
トゥーハアッート2
801 :
タカくんと白雪姫 1/6:2006/06/27(火) 23:39:33 ID:kji2dGIBO
「このみー!早く起きなさーい!」
朝も早くから柚原家にはこのみを起こす春夏さんの声がこだましていた。
このみと恋人同士という関係になってから、このみは毎日俺のために朝早起きするようになった。だから前みたいにこうやってこのみが起きてこないというのは本当に久しぶりだった。
「はあ…、最近は自分で起きるようになったから安心してたのに…、やっぱり油断しちゃだめね。悪いけどタカくん、ちょっと見てきてもらってもいいかしら?」
「えっ!?」
いくら幼なじみとはいっても、普通男に寝ている年頃の娘の部屋に行って起こしてこいというだろうか?
「あら、私はタカくんを信用してるから頼んでるんじゃない。タカくんなら手を出す前に逃げちゃいそうだし。」
そんな信頼いりませんよ、春夏さん…。
802 :
タカくんと白雪姫 2/6:2006/06/27(火) 23:41:33 ID:kji2dGIBO
仕方なくこのみを起こしに来たが、流石に部屋に入るのはマズいよな…。その…、パジャマとかがめくれてあられもない姿になってるかもしれないし…。けっ、決して妄想してるわけじゃないぞ!
コンコン。「お〜い、このみ〜。早く起きないと遅刻するぞ〜」
………無反応。やっぱり入るしかないのか…。
「このみ〜、入るからな〜」
中に入ることにする。カチャ。キイと扉が音をたてるが、やはりこのみは起きそうになかった。
「すぅすぅ…」と小さな寝息をたててこのみは幸せそうに眠っていた。
「おーい…」と声をかけるがやっぱり起きそうにない。
803 :
タカくんと白雪姫 3/6:2006/06/27(火) 23:42:40 ID:kji2dGIBO
「んぅ…。」
寝言か?
「タ、タカくん…」
「なんだ?」
「く、くすぐったいよぉ…」
なんて夢みてるんだ…?そして夢の中の俺は何をしているんだ…。
「くぅ…」
…こうして寝顔を見ると、このみって可愛いよな…。ほっぺとか、唇とか、瑞々しいし、それでいて柔らかそうで…いかん!何考えてるんだ!
まだ起きそうにないな…。そういえば白雪姫を起こすのも王子様のキスだっけ…って!ダメだ!春夏さんに釘をさされてるんだから!でも…
何を思ったのか、俺の体は勝手に動いて、上半身がこのみに覆い被さるようになっていた。俺の理性はあっさり負けてしまったようだorz
このみの顔が近くなる。唇も段々と。後5cm。このみの息づかいを感じられる。…あと3c
その時気がついた。
このみの目が、開いている。しばしの沈黙ののち、
「うひゃあああぁ!」
「うわあああぁ!」
804 :
タカくんと白雪姫 4/6:2006/06/27(火) 23:43:56 ID:kji2dGIBO
「タ、タタタタタカくん????!」
「このみ、お、おま、お前起きてたのか????!」
二人ともトマトになってしまった。
「このみ、起きてるならさっさと起きろよ!」
「わたしだって今起きたら、目の前に…タカくんが…」
思い出してしまったのか、またこのみの顔は上気している。
「と、とにかく!今から着替えるから出てって!」
追い出された。
C円
806 :
タカくんと白雪姫 5/6:2006/06/27(火) 23:45:19 ID:kji2dGIBO
「むぅ〜、タカくん、寝ている女の子の部屋に入るなんて“まなーいはん”であります!」
「だって、お前が起きてこないのが悪いんだろ」
「ふーんだ。許してなんかあげないもん」
今、このみが中で着替えているため、扉を隔てて話をしている。
「だからって勝手に入る言い訳にはならないよ〜。それに寝起きにあんなこと…」
「あ〜…、とにかくこのみ、ごめんな。このみが可愛かったからつい…」
ガチャ。着替え終わったらしい。このみが部屋から出てきた。
「…ホントに可愛かった?」
「そりゃ…可愛かったよ…」
そういうとこのみは、
「えへ〜」
となって、
「もう、仕方ないなぁ。今日の帰りにアイス奢ってくれたら許してあげる♪」
とのことらしい。まぁ、悪いのは俺だし、このみの嬉しそうな顔が見れたからいっか。
807 :
タカくんと白雪姫 6/6:2006/06/27(火) 23:48:16 ID:kji2dGIBO
そして今日の帰り…
「ア〜イス〜、アイス〜、タっカくんとアイス〜♪」
俺とこのみはいつものアイス屋にむかっていた。このみは俺の腕に抱きつきながら歌を口ずさんでいる。
そして、坂を下りきった頃、突然このみが聞いていた。
「ねぇ、今朝タカくんはなにしようとしてたの?」
「今朝って、ああ、あれか…」
「…えっちしようと思ったの?」
「違う違う!このみがなかなか起きないから…」
「キスしようと思った?」
図星。
「いや、なんか突然、白雪姫のこと思い出してな…」
「王子様のキス?」
「…」
ガラじゃねぇ…。
ひとり頭を抱えていると、急にこのみが立ち止まった。
「どうした、このみ?」
「う〜ん。じゃあさ、」
「?」
「明日は、タカ王子のちゅーで起こしてね♪」
808 :
タカくんと白雪姫 あとがき:2006/06/27(火) 23:50:40 ID:kji2dGIBO
初SSです。さらに携帯で書いたので見にくいかもしれません。
駄文ですが、読んでくださる方がおりましたら、感想や、ご指摘をよろしくお願いします。
GJ
よかった 乙
いい
GJ
なかなかよいね
GJ!
815 :
名無しさんだよもん:2006/06/28(水) 13:17:44 ID:V+xkN0XeO
これからも頑張ってください
816 :
名無しさんだよもん:2006/06/28(水) 19:50:10 ID:QetkXJId0
GJ!!
>>809-816 君ら本当にちゃんと読んで言ってる?
というかなんだこりゃ。スクリプトか。
じゃあちゃんと読んでみたオレがここで一つ感想を・・・
会話はいいんだが、どうしても貴明の心のセリフがパッとしない・・・
だが、タイトルからどういう展開かだとかが読めてしまうのも少し残念
ネタ自体もありがちといえばありがち
批判ばっかで悪いね・・・
でも一発ネタ系でラブラブネタは難しいんだがまぁ前線した方だとは思う
テンプレの保管庫とかで他の人の作品も見てみて
少し参考にしてみてもいいんじゃないかな?
次回は頑張れ、もっと頑張れ。
確かにGJ!と言うだけならもっと具体的にどのようなところが
良いと思ったとかも書いてあげたほうがいいんでない?
820 :
名無しさんだよもん:2006/06/28(水) 21:30:21 ID:P7D4DWtZ0
河野家の中の人
次回待ッテルゼ
どうせならキスしてるときに春夏さんが目撃して
そのまま3(ry
このみッてそんなに照れたり恥ずかしがったりするキャラだったっけ?最近落合ゆりかの性でこのみの性格がわからなくなってきている。
ゆりん星の王子だしな
エンディングでは、親のいるところでも
タカくんべったりとか書いているから
河野家ばかりだから
ネタ投下
たかあきキュンがテストでアカテンを取る
俺は河野貴明。17歳、高校二年生だ。
俺の通っている学校は県内で唯一の商業高校であり、県内最悪のDQN高として悪名高い東藍鳩第二高校(通称:東鳩二高)だ。
この学校に安心できる日なんて一日もねえ。
思いやり?協調?そんなもの入学と同時に便所に流しちまった。
827 :
名無しさんだよもん:2006/06/30(金) 21:47:07 ID:x87DcZ290
>>826 河野貴明 ◆.CzKQna1OU 氏ね。
828 :
通りすがり:2006/07/01(土) 19:11:57 ID:k9zCWvwF0
〜ツインビルにて〜
「ビルの管理人には悪いけど・・・」
そういって俺は消火器を持ち、俺と由真の間を防ぐガラスを割りに行く。
パリリィィィィィン・・・・
見事一発でガラスは割れたが
「あ・・」
俺の目の前には血まみれの由真がいた
830 :
名無しさんだよもん:2006/07/01(土) 21:47:20 ID:XA8+H9Z2O
ここも活気が無くなってくなぁ…
1日1回はSSが投稿されてた頃が懐かしいよ…
職人を住人が捨てた挙句新規職人が来なくなった結果がこれだわな。
SS系スレッドの末路はこんなもんだからまぁしょうがないだろう。
……寂しいな('A`)
FDさえ出れば…FDさえ出れば…
葉からの燃料補給が途絶えたらいずれこうなるのは明白
だからとっととFDを
「たーかちゃーん! 部活だよ〜!」
帰りのHRが終わった直後、突然我らが会長こと笹森花梨が教室に突入してきた。教室の中に居る人間全員の視線が、花梨と俺に注がれている。はぁ、相変わらずこいつは、思いついたら一直線というか、人の都合を考えないというか。
「なんだよ花梨、いきなり」
「だから、部活なんよ!」
そう言って、花梨は俺の腕にしがみついて引っ張ろうとする。
むっ、胸が当たっとりますよ、会長。これが噂の「当ててんのよ」ですか? 意外と大きいな……。
「たかちゃん、目がえっちぃ。……もう、昨日あんなに頑張ったのに、まだたりないの?」
花梨は、一瞬だけ何かを発見したような顔をした後、両手を頬に添え、顔を赤らめながらそんな事を言い出した。俺と花梨は、その、恋人同士だが、まだそこまではいっていない……残念ながら。
つまり、花梨の嘘というわけだが、もちろんクラスメイトはそんな事情は知らないので、すっかり信じてしまっている。女の子たちは眉をひそめながらヒソヒソと話しているし、雄二率いるモテないボーイズは眼球が焼き切れそうなくらいの殺気を送ってきている。
なんてタチの悪い嘘を吐くんだコイツは。ほら、藁人形を持ち出してるヤツまでいるじゃないか。くそっ、この状況から逃れるには……とりあえず教室から離れよう。雄二にはあとで話せばいい。
「なんちゃって。たかちゃんビックリした? って、キャーーー!」
俺は花梨を引っ張って教室から走り去った。
つ、疲れた……。とりあえず、ミステリ研の部室である第二倉庫まで走ってきた。一緒に走らせた花梨も、肩で息をして座り込んでいる。
「もう、たかちゃん。いきなり、激しすぎるんよっ」
別に変な意味は篭っていないはずだが、なんだかエロく感じる……走った疲れで赤くなった顔と、荒い呼吸のせいだろうか。乱れたスカートから覗く太ももがなんとも……。いかんいかん、そんな事より教室にまで乗り込んできた理由を聞かなくては。
「花梨があんな事を言い出すからだろ。それで、部活って言ってたけど、なんか見付けたのか? 普段なら部室で待ってるのに」
やっと本来の目的を思い出したのか、立ち上がり満面の笑みを浮かべながら、
「裏山にツチノコが居るらしいんよ! これはミステリ研として断じて放ってはおけないんよ!」
そして、手早く探索用の道具をバッグに詰めて、「出発進行ー」と右手を掲げながら部室を出ていってしまった。
帰ったら怒られるだろうなぁ……
「こらっ、たかちゃん。何やってるの、早く来る!」
「ちょ、花梨、痛い! 耳引っ張るな!」
「ごめんね、たかちゃん」
花梨は目に涙を浮かべながらそう言った。
結局ツチノコは居なかった。俺は元々期待していなかったのだが、花梨には相当ショックだったようだ。
「まぁまぁ、何も見付からないのはいつものことだしさ。そんなに気を落とすなよ」
さりげなくひどい事を言った気がするが、花梨はそれにも気付かずうつ向いたままだった。これは、相当重症だな。
「違うよ。もちろんツチノコに会えなかったのもあるけど、たかちゃんに怪我をさせちゃったから……」
そうなのだ、俺は山の中を探索している時に、木の枝か何かで右腕を切ってしまった。これは俺の不注意のせいだから、そんなに花梨に気にされてもなんだか申し訳ない感じがする。
「何言ってるんだよ、こんなの怪我のウチに入らないよ。ほら、絆創膏も貼ってもらったし」
花梨は、女の子らしく、と言っていいのかわからないが、絆創膏を常備していたのだ。俺が怪我をした時も、慌ててバッグから出したそれを貼ってくれた。
「でも、まだ痛いんだよね? 血も止まってないみたいだし」
実はかなり痛かったりする。傷口は洗ったので化膿はしていないのだろうが、痛い事には変わり無い。あまり心配をさせたくないから、大して痛くない風に装おっていたが、バレていたようだ。
「やっぱり、たかちゃんもこんな女の子嫌だよね。街に遊びに行ったり、一緒に遊園地でデートするような、普通の女の子がいイタッ! 何するのさたかちゃん!」
「デコピン」
「そんなのわかるよ! 何でいきなりデコピンするの!?」
「花梨がバカな事を言うからだろ。俺は好きで付き合ってるんだから、さ」
「たかちゃん……大好き!」
花梨が抱きついてきた。な、なんなんだいきなり。
「『愛してるから付き合ってるんだ』だなんて、もう。たかちゃんったら素直なんだから」
「言ってないよ! 歪曲されてるよ!」
「じゃあ、たかちゃんはわたしのこと好きじゃないの?」
むぅ、いきなり真顔になって聞いてきやがった。顔に血液が昇ってきているのがわかる。
ズルいぞ、これは。……しょうがない、真面目に答えよう。
「す、好きだよ」
くそう、言ってしまった。たった二文字の言葉を言うのがこんなに恥ずかしいなんて。いや、世の中のカップルはこれくらい普通に言ってるんだ。恥ずかしくない、恥ずかしくない。そうやって自分を騙そうとしたが、一度昇った血液は簡単には下がらなかった。
「私もだよっ! 大好き!」
そう言って、花梨は俺の首の後ろに手を回して、自分の方に引き寄せて、
「ちょ、花梨っ、んっ」
キスしてきた。柔らかな感触と、かすかな甘さを唇に感じる。
「あの、花梨さん?」
「なに、たかちゃん」
「なんでいきなり?」
「駄目だった?」
「いや、嬉しかったけど……」
もちろん嬉しくないわけがない。ただ、心の準備が出来ていなかった。こんな不意打ちは卑怯すぎる。文句のかけらも出てこない。
いつの間にか、さっきまでのしんみりした空気は消えていた。まぁ、花梨が元気になったんだし、良しとするか。
「じゃあ、そろそろ帰ろうか」
「うん。よっし、それじゃあ、たかちゃん隊員に今のうちに命令。明日朝五時に学校に集合! ツチノコも朝早くなら油断して姿を見せるかもしれないんよ!」
元気になりすぎだった。もしかしたら、墓穴を掘ったかもしれない……。でも、それでも良いかとも思う。
どうせ明日も見付からないだろう。また落ち込んだ花梨を慰めるために、タマゴサンドを作って、持ってくるのも良いかもしれない。
以上です。お目汚し失礼しました
GJ。
また花梨ルートやろうかなぁ…
俺も花梨みたいな彼女欲しい
843 :
名無しさんだよもん:2006/07/02(日) 23:59:57 ID:W+UTqHZPO
月曜日が来ましたよ
845 :
名無しさんだよもん:2006/07/03(月) 01:34:34 ID:042HNVDz0
846 :
名無しさんだよもん:2006/07/03(月) 10:47:00 ID:2P5NY8vP0
488 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/02/29(水) 10:19:16
竹石圭佑って名古屋の?
19くらいだろ、俺と同学年だし。
大学行ったか知らんけど…つーか話したことすら無い。あいつウザいから嫌われてたし。何か言動が気持ち悪かった。
女好きか知らんが、高校ん時、竹石が男子の後輩か何かのケツを掘ったって噂なら聞いたことならある。
噂かと思ったが、アイツかなり変な奴だったからホントかも知れないが
847 :
名無しさんだよもん:2006/07/03(月) 12:11:26 ID:m0SP57C+0
>>844 河野貴明 ◆.CzKQna1OU 死ね。
↑THROUGH
そろそろですか。
カラオケ十一番手は雄二。緒方理奈のヒット曲を選んだ雄二だったが、そのあまりにそっくりな
歌声に俺たちは愕然とする。元々他人の声マネが上手な雄二だが、緒方理奈の歌声を得るまでには
およそ一年間の修行をつんだとのこと。そんな雄二は、自分の歌とのレベルの差に肩を落とす愛佳を
優しく励まし、トイレへと去っていった。なんかよく分からんけど格好いいなぁ。
十二番手はこのみ。ちゃるよっちの「アレ」なるリクエスト、しかしこのみは俺たちを意識して
断ろうとする。けれどそんな風に勿体ぶられたら聴きたくなるよなぁ。俺を始め、由真や花梨たち
からも是非聴かせてくれと声が挙がり、観念したこのみは、曲を聴いても絶対に笑わないことを条件
にマイクを手に取った。そして歌が始まり――それは、もの凄くマヌケな歌詞の童謡で、俺はこのみ
との約束を守らんと、必死で笑いをこらえるのだった。
地獄の数分が終わった後、いよいよ俺の番。さて何を歌おうかと考える間もなく、由真を筆頭に
次々リクエストが。またしても彼女たちの要望を断り切れない俺は、いつものごとくリクエスト曲を
順番に歌っていく羽目に陥るのだった。
歌いました。全リクエスト七曲、全て歌い上げました。
さすがに連続はチョットきつかったな。ノドが少し痛い。あれ以上リクエストが無かったのは不幸
中の幸いだな。
しかしまぁ、この七曲を歌ってる最中も色々あったな。珊瑚ちゃんのリクエスト曲は知らない歌
だったので珊瑚ちゃんに一緒に歌ってもらったら、歌の途中で突然珊瑚ちゃんが腕を組んできて微妙
に柔らかい感触が伝わってきたかと思ったら瑠璃ちゃんに蹴られたりとか、タマ姉のウメケンサンバ
はタマ姉指導のもと、振り付きで歌わされたりとか、優季のリクエスト曲も知らない歌だったので
優季に一緒に歌ってもらったら、失恋した男の心境をやたら具体的に綴った歌詞だったせいか、感極
まった優季が歌の途中で泣き出してしまい、慰めるのに一苦労だったりとか、まぁ、これ以上は長く
なるので割愛させてもらう(十分語った気もするが)。
満場の拍手の中、どっかりと腰を下ろす。もうこれ以上は歌わないからな。
「お疲れさま、タカくん」
このみが笑顔でそう言ってもらえるのは、悪い気はしない。
「ああ、疲れた疲れた」
とりあえず、すっかり氷の溶けたコーラで渇いたのどを潤す。そんな俺の次にマイクを手に取った
のは、先程俺に歌を妨害された花梨。
花梨は立ち上がって周囲を見回し、そして、
「るーこ、それに優希ちゃん、一緒に歌ってくれる?」
「るーが歌える歌なら構わないぞ、うーかり」
「わ、私ですか? 私、最近の歌ってよく知らないんですけど……」
「大丈夫だよ! なんかピーンときちゃったんよね、この三人ならバッチリ歌えるって!
由真ちゃん、97185でお願い」
由真がリモコン操作し、程なく前奏が流れ、
「ナゾナゾ〜みたいに 地球♪」
「だからエンディングもダメだっての!!」
「何で歌っちゃいけないんよ〜?」と、懲りもせずぶーたれる花梨。まぁ事情があるとは言うものの、
カラオケ初体験の花梨が勇気を出して歌おうとしたのを二度も邪魔してしまったワケで、このまま
だとさすがに花梨が可哀想だと思った俺は、
「じゃあ、それ関連は抜きにして、何か他の歌を俺と一緒に歌わないか?」
「たかちゃんと、一緒?」
花梨はうーんと考え、
「……あ、あああっ!
え、で、でも、どうしよう〜?」
突然顔を赤らめ、イヤイヤと身体をくねらせる花梨。一体何を思いついたんだ?
とりあえず、そのまましばらく待っていると、
「……あ、あのね、たかちゃん」
意を決したのか、上目遣いに俺を見て、花梨が口にした曲名は――
「そ、それか」
俺も知ってるその曲名。そうきたか、と思わずにはいられない。
またまた諸般の事情により曲名は言えないが、その歌は俺たちが生まれるよりずっと前に大ヒット
した歌で、愛し合う男女が昆虫たちに見守られながら結婚式を挙げるという何ともメルヘンチックな
歌なのだ。ちなみにこの歌、デュエット曲であるものの、実際の所カップルが歌うよりも、結婚式で
友人代表が新婚さんに送る歌としてベタと言うかメジャーな歌だったりする。
正直、こっ恥ずかしいので断りたいのだが……、まぁ、仕方がない、か。俺がうんと肯くと、
「ホント、やったぁ!」
飛び上がって喜ぶ花梨。俺は由真に曲名を言い、「うわ、よくそんな恥ずかしい曲歌うわね」と
でも言いたげな由真の視線には努力して無反応を装い、そして流れる曲に合わせ、花梨と二人、周囲
の何とも言えない視線を浴びつつも、きっちり最後まで歌い上げるのだった。
その後、各々もう一曲ずつ歌って、カラオケ大会は終了となった。
カウンターにマイクとリモコンを返却し、さて会計だが、当然のように自分の財布で支払おうと
するタマ姉に、
「チョット待ってくださいッス環さん。いつもいつもゴチになってばかりじゃ申し訳ないッスよ。
ここは割り勘にしましょうよ」
よっちのその提案にみんなも肯く。やや驚いた顔のタマ姉だったが、
「まぁ、それでもいいわよ」
と、あっさりよっちの提案に賛成、かくしてこの場は割り勘となった。(ちなみにるーこの分は
俺持ちである)
「うーん」
カラオケ店を出た後、財布の中を見ながら眉をひそめる由真。
「どうした由真?」
「あ、いや、その……」
由真は苦笑いを浮かべ、
「そろそろ、厳しくなってきたんだよね」
厳しくなってきた? ああ、財布の中身が少なくなってきたってことか。
「お前、今いくら残ってるの?」
「の、覗くな!」
財布の中を覗こうとしたら、慌てて財布を引っ込める由真。
「由真ちゃんもそうなの? 実は私もなんよね」
こちらも苦笑いの花梨。
そう言えば、この同居生活が始まって、そろそろ三週間が過ぎようとしている。
現在河野家の家計全般は、タマ姉が一手に掌握している。タマ姉は俺の家に住み着いた直後、海外
の俺の両親に連絡し、「自分がタカ坊の面倒を見ます」と言って、なんと生活費の一切をタマ姉が
預かることにしてしまったのだ。これにはさすがに俺も驚いたが、相手がタマ姉でしかも俺の両親も
それを認めた(むしろ「よろしくお願いします」と頼まれたそうな)以上、俺には最早それを反対
することなど出来なかった。かくして、小遣いすらタマ姉からもらう羽目に陥った俺である。
そして由真たちの生活費についてだが、実は由真たちは生活費を一切払っていない。と言うより、
タマ姉が「今は払う必要はない」と断っているのだ。優季などはお母さんからある程度のまとまった
お金をもらって来てたのだが、タマ姉はそれを受け取らなかった。
「あなたたちの生活費は、将来あなたたち自身が職に就いてから返してもらうわ。
結婚して専業主婦になった場合は――まぁそのときは、あなたたちの旦那様に請求しましょう。
一応言っておくけど、踏み倒そうだなんて思わないでよ。必ず返してもらうからね」
タマ姉のその言葉にやや圧倒されながら由真たちは肯き、彼女たちの生活費も現状、タマ姉(+俺
の親からの仕送り)が全て賄っている。とは言うものの、合計七人もの生活費、果たしてそれだけで
賄いきれるものなのかなぁ? とは疑問に思っているのだが……。
と言うワケで、生活費を払っていない由真が何故財布の中身が寂しくなるのだろうってアレ?
考え事をしてたらいつの間にか由真が消えてるぞ?
一体どこへ――あ、いた。新しく出来たっぽい店の前で、メイドさんみたいな服を着た女の人から
何かもらってるぞ。その横では雄二がしっかりメイドさんウォッチしてるし。
とりあえず俺も近づいてみると、
「新装開店でーす。よろしくお願いしまーす」
あ、俺もメイドさんにもらっちゃった。チラシだなこれ。――へぇ、メイド喫茶なんだ。新装開店
のお知らせと、アルバイトスタッフ募集中と書いてある。
「ねぇねぇ、ここ、今日オープンなの!?」
やや興奮気味に雄二がメイドさんに尋ねると、
「はい、ツンデレ妹萌えキュン@メイドカフェ、本日開店でーす。
今ならお席も空いておりますので、よろしかったらどうぞ、ご主人様☆」
とりあえず流行ってそうなものを煮こごりにしてみました的な店名だが、雄二は大喜びで、
「空いてるってよ貴明! 入ろうぜ入ろうぜ!
どんなメイドさんがいるのかな〜? んじゃ、おじゃましまーすってあだだだだ!!」
いざ入店、その直前でタマ姉のアイアンクローが雄二の顔面をとらえた。
「どこに入ろうとしてるのよ雄二。ホラ、さっさと行くわよ」
雄二はそのままタマ姉にズルズルと引きずられ、俺たちもそれに続き、メイド喫茶を後にした。
「まだ見てるのか、それ?」
メイド喫茶から随分遠ざかったのに、未だにチラシを見ている由真である。
「バイトしようかな、あたし」
などといきなり言い出しやがった。
「バイトって、あのメイド喫茶でか?」
「うん。そろそろ懐具合も厳しいからね」
「厳しいって、何にそんな金使ってるんだよ? 生活費払ってるワケでもないのに」
「う、うるさいわね! 女の子は何かとお金がいるのよ!」
「いるって、例えば?」
俺の質問に由真は指折りながら、
「え、えっと……、この間主題歌CD買っちゃったし、アンソロコミックも結構面白かったから全部
読んでみたいし、今度キャラソン出るらしいからお金貯めておかないといけないし……」
何か、由真がどんどん悪い方に染まっていってる気がする。
「私もバイトしようかなぁ。ミステリ研の活動にも何かとお金が入り用だし」
由真のチラシを覗き込む花梨。そう言や最近ミステリ研もご無沙汰だな。
「ほう、うーゆまとうーかりは働くつもりなのか。ならばるーも働くぞ」
るーこも話に加わろうとする、しかし、
「駄目よ」
タマ姉がキッパリ言い放つ。
「ええ〜、どうしてですか、環さん?」
「お金の問題ならもう解決済みでしょ。アルバイトする暇があるなら勉強なさい」
「でも……、やっぱ生活以外でもお金がいるし……」
「必要なものがあるなら私に言いなさい。買ってあげるから」
「いや、それはその……」
歯切れが悪い由真だが、言いたいことはよく分かる。
「由真たちだって自分で好きに使える金が欲しいんだよタマ姉。今までは手持ちの金でやってこれた
けど、そろそろ厳しいみたいだし」
「成る程ね……」
ふぅん、とタマ姉は腕を組んで少し考え、
「なら、由真、花梨、るーこ、優季、瑠璃ちゃんには、これからはタカ坊と同じようにお小遣いを
渡すから、それでやりくりなさい」
「えええっ!?」
名前を呼ばれた五人が驚く。
「た、環さんからお小遣いだなんて、私、受け取れません!」
「う、ウチも!」
優季と瑠璃ちゃんがブンブン首を横に振る。
「あら、どうして?」
「だって、ただでさえ生活費でお世話になってるのに、この上お小遣いだなんて――」
「だから、それはあくまであなたたちに貸しているだけなんだから、その分将来返す額が増えるだけ
のことよ。要らないと思うなら、そうね、貯金でもしておきなさい」
「は、はぁ……」
納得できたかどうかはともかく、そう答えるしかない様子の優季。
「あの環さん、ちなみにお小遣いはいくらもらえるのでしょうか?」
由真の質問にタマ姉は、
「そうね、まぁ雄二やタカ坊と同額で、月三千円ね」
「少なっ」
由真より先にそう呟いたのはよっち。そうだよなぁ、少ないよなぁ。
「た、環さ〜ん、もう少し何とかなりませんかぁ?」
「ミ、ミステリ研の活動資金を〜」
タマ姉に取りすがる由真と花梨。そうだよなぁ、少ないよなぁ。
「三千円あれば十分でしょ。それ以上は贅沢です」
頑と譲らないタマ姉である。ケチ。
「ほな、ウチがおごって――」
「珊瑚ちゃん」
珊瑚ちゃんに対し、珍しく厳しい視線を向けるタマ姉。珊瑚ちゃんもハッと何かに気づいた感じで、
慌てて例のカードを引っ込めた。――なんだ?
「うう、ならあたし、やっぱバイトを――」
言葉の途中で由真の額を軽くデコピンし、タマ姉は、
「メイド喫茶は駄目」
「ええ〜、なんでですか〜?
あ、さては環さん、メイド喫茶を風俗とかと勘違いしてませんか?」
「この間TVで見たわよ、メイド喫茶。
お客さんを『ご主人様』って呼んで、お金次第で色々サービスするのよね。全く、いかがわしい
ったらないわよ。あんな所で働くのを認めたなんてあなた方の親御さんに知れたら、責任者である
私の立つ瀬がないわ」
タマ姉の言葉だけだと、ホントに風俗と大して変わらんな。サービスと言ってもじゃんけんとか
記念撮影とか、それほどいやらしいものではなかったと思うが……。
「とにかく、由真が何と言ってもメイド喫茶は絶対に駄目。
そうね、どうしても働きたいと言うなら――」
そこでタマ姉は何故かほくそ笑み、
「新聞配達ならいいわよ。健全だし朝のいい運動になるだろうし。
あ、それとも内職なんてどうかしら? いっそみんなでやってみましょうか。造花作りとか袋貼り
とか。ボールペンの組み立てとかもあるらしいわね」
タマ姉も意地悪だなぁ。新聞配達なんて早起きの苦手な由真が出来るワケないし、ちまちました
連続作業の内職なんて絶対投げ出すに決まってる。それを分かってて言うんだものなぁ。
「……か、考えておきます」
由真はそう答えるが、まぁ、やらんだろうな。
「……UFO探知機の組み立てとか、内職にないかなぁ?」
まずないだろうね、花梨。
「そう言えば、るーこはどうするの、将来の返済?」
確かに花梨の疑問ももっともだ。なんたってるーこは宇宙人だし。
るーこはポケットからマッチ棒を取り出し、
「”ちー”ならば今すぐにでも返せるのだが、これではダメなのだろう?」
その質問に無言で肯く俺。
るーこはしばし考え、
「ならば、もしるーが”るー”に帰れたら、借りた金はいずれ必ずうータマに返そう。
”るー”には先人の”るー”が持ち帰った”うー”の貨幣が保管されているはずだ。
るー本人か、それが無理なら代わりの”るー”がうータマに返しに行く。これは”るー”の誇りに
かけて誓うぞ」
……何となくだが、旧札かドル紙幣あたりで返済されそうな気がする。
「もしるーがこのまま帰れない場合は――」
るーこはそこで意味深な笑みを浮かべながら俺を見て、
「そのときは、るーはうーの嫁になろう。それならるーの借りた金はうー持ちだ」
などとのたまいやがりましたとさ。
つづく。
どうもです。第62話です。
休み明けの今回は、貴明たちのお金についてのお話になりました。
皆さんから疑問にお答えしましょうって感じで、チョット露骨かなぁとも思いましたが(^^;
(しかも完全に答えてないし)
河野家お疲れ様です。
どんどん悪い方に染まっていく由真に笑わせていただきましたw
るーこの爆弾発言の後どうなるかが楽しみです。
しかし河野家が投下される前には予告レスがされることが多々あるな。
偶然なのか?ww
このスレの常連は投下される時間帯が分かるんじゃないか?
863 :
名無しさんだよもん:2006/07/04(火) 02:59:42 ID:9z5DDnNG0
河野家 キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!
いつも楽しく読まさしてもらってますm(_ _)m
一話のボリュームも決して少なくないのに、長編をこれだけ続けてるのは頭が下がる
>>864 つっこむのも野暮かもしれないが
今回のはテキストになおして約210行(12KB)
(電撃文庫あたりのサイズでいえば8P分)
ボリュームでいえばSSとしてみても普通か少なめ。
ある程度の時間がとれるなら1週間でこれだけ書くのは難しくないかと
毎週定時きっかりに仕上げてくる根気と熱意には脱帽ものだがね
ついに河野家まで批判するようになったか
このスレからSSがなくなったらどうするきだ
867 :
名無しさんだよもん:2006/07/04(火) 20:51:40 ID:ObhilSMF0
ssじゃねえが喪板にこんなのが・・・
28 :('A`):2006/07/04(火) 12:52:44 O
「この戦争が終わったら、俺、エロゲ買うんすよ」
30 :('A`):2006/07/04(火) 12:55:01 0
>>28 こういう台詞言う奴は死んじゃうんだよな
43 :('A`):2006/07/04(火) 13:10:24 0
>>30 「おい!しっかりしろ!」
「すいません・・・もう・・ダメみたいです・・・」
「バカな事言ってんじゃない!帰ったらエロゲー買うんだろ!」
「そ、そうでしたね・・こんな事になるなら・・・来る前に買えば良かった・・・」
「しっかりしろ!衛生兵!衛生兵はまだかー!!」
「自分の事ぐらい・・・自分が一番わかります・・。」
「・・・」
「お願いが・・あります・・・。」
「何だ・・・?」
「無茶な願いかも・・しれませんが・・・
俺の変わりに・・・エロゲー・・買ってくれませんか・・・?」
「何を買えばいい・・・?」
「いいんですか・・?東鳩2を・・・お願いします・・・」
「解った・・誰からクリアすればいい?」
「タマ姉を・・・グッ、お、お願いします・・・。」
「解ったタマ姉だな。必ずタマ姉からクリアしてやる。」
「あ、あり・・が・・とうございます。ぉ俺、天国から・・見てま・・・す。」
「ああたっぷり抜けよ。おい
>>28 !
>>28 !
>>28 ーーーーーー!!!」
「た、ただいふぁ〜………ぽてっ。」
「お帰り。お疲れだな」
「おかえんなさい…なにやってんの?」
愛佳は帰ってくるなり、靴も脱がずに玄関に突っ伏した。
バッグに顔を埋めて動かない姉に、遅れて出てきた郁乃が呆れた声を掛ける。
「あ、いくのただいまぁ。怪我ふぁどう〜?」
くぐもった声で応える愛佳。
「その状態で人の事心配しないでよ。平気だけど」
壁によりかかって郁乃。玄関は郁乃の部屋からすぐなので、松葉杖も使ってない。
「だいじょぶかぁ?」
突っ伏した愛佳の隣りにしゃがんでこれは俺。
「う、うん。へーき」
むく、ようやく愛佳が顔をあげて靴を脱ぎ出すがいかにも眠そう、いつもまん丸な瞳が、今は半分以上閉じている。
「寝てないんだろ」
「うん」
ふん、と聞こえそうな気抜けっぷりで頷く。
「昨夜もおとといも由真が寝させてくれなくてぇ〜」
なんかエロいなその言い方。
「そのくせ昼間も元気なんだよぉ〜?信じられない〜」
「相変わらず無駄に元気そうでなによりだ。後先考えんから今頃ダウンしてるだろうが」
「めちゃくちゃはしゃいでた。あたしもだけど」
ほにゃっと思い出し笑い。幸せ笑顔。
「長瀬先輩、あたしに会う度に<愛佳はどうしてる?>だったから無理もないわ。決まって続きは…」
みなまで言うな。
「「貴明と一緒じゃ苦労してるでしょ」」
ほら、やっぱり。
「あはは、ハモったぁ〜♪」
へらへらと笑う愛佳。む、これは寝不足だけでなく、酔っぱらっいも入ってるかも。
「・・・苦労させてる自覚があるわけ?」
冷たいお言葉はハモられた郁乃から。
「あくまで由真の言動を客観的に予測したまでだ。」
しかし、どうせそんなもんだろうとは思ったが、一字一句一致しやがったか。
「ちなみにあたしにも同じ事言ってたよぉ〜…ぱたんきゅ〜。」
再びへろへろと廊下に転がる丸っこい(太いという意味では断じてない)体…なんとなく連想ゲーム、口をついて出た言葉は
「「芋虫」」
また酷い所で意見の一致を見る俺と郁乃。お互い顔をしかめる。
言われた愛佳は、全然堪えてない様子でにこにこしながら、
「貴明くんと郁乃、仲いいね〜」
「…」
いや、表情にはなにも出てない、と、思う。
「なにバカいってんの。お湯貼ってあるから、お風呂入って寝たら」
「ありがと〜、そ〜する〜」
あっさり流した郁乃の言葉に、愛佳はなんとか立ち上がると、ふらふらと風呂場に向かっていった。
「…あたしも寝る」
壁に手をついて自分の部屋に戻る郁乃。ぱたん、と扉が閉まる。
まだお昼前なんだが、などと言っても仕方のない状況。することがないので、俺も客間に戻る。
「…しかし郁乃のやつ、平然としやがって」
俺の方は落ち着かない。なんとなく部屋を見回してしまう。
勿論、昨夜のうちに昨夜の諸々の痕跡は片づけてある。
あるのだけれど。
犯罪者は現場に戻る。そんな言葉に、妙に説得力を感じたりした。
「まんがか?」
「漫画家」
「なんだよそれ」
「将来の夢だって」
「…演歌歌手じゃなかったっけ?」
「え、演歌じゃないけど、声楽科に通ってる」
「それが何故に漫画家?」
「んーと、本人曰く、なんだか学祭で顔の良く似た同人漫画家と間違えられて」
「ほう?」
「揉めてたら漫画家本人とバッタリ会って大喧嘩になって」
「おい」
「良くわかんないけど張り合って絵描き勝負してボロ負けして」
「良くわからないがありそうだ」
「でも意外と巧かったらしく意気投合して目指せプロと」
「動機の部分がいい加減すぎ」
「うーん、昔から絵は上手かったけどねぇ」
愛佳も苦笑。
「で、ロクに学校にも行かなくってお爺さんとも大喧嘩中だって」
「確か学園時代も似たようなことしてたよな。進歩ねぇ」
呆れる俺。
「別に、人の勝手でしょ」
で、ひとこと会話に参加して淡々とトランプをめくる郁乃。
3人で遊んでいるのは神経衰弱。正直、ちょっと選択を誤ったかも知れない。
愛佳の成績の良さは当然として、実は郁乃の頭も半端ないのだ。
二人とも記憶力が抜群に良いために、一度めくられたカードをミスする事が殆どない。
かくして、常に中盤以降は愛佳か郁乃が一人でカードを取りまくる展開。俺の出番、全くねえ。
今回は郁乃が残り20枚全取り確定コースに入っていて、俺と愛佳が雑談してたのは、そのせいもある。
雑談のネタは、将来の進路。
由真の。
内容は上記のとおり。
別に、いいんだけどさ。所詮由真の人生だし。
「ほい、終わり。これで6勝6敗ね」
「むっ、次は負けないぞっ」
カードを取りきって勝利宣言は郁乃。張り切ってるのは愛佳。俺は蚊帳の外ですねそうですね。
ちなみに時刻は夜早く。出張から戻った両親の相手を俺に任せてぐーすか寝ていた二人は共に元気そう。
「郁乃は、進路決めたのか?」
ちょっと気になっていた事を、カードをシャッフルしながら聞いてみる。
「進学。理系。」
「理系だと、体大変じゃない?」
「数学系ならそうでもない、と、思う」
また心配症の愛佳に、結構適当な郁乃。
「人相手にしてるより数字相手の方が気楽だし」
これまた消極的な理由だな。
「駄目なら教師かな」
「そっちは思いっきり人相手だろうが。」
思わずツッコミが口から飛び出した。
「うっさいわね、色々あんのよ」
色々あるのは、主としてお前の精神構造じゃないのか。
と、今度は口に出さずに心で呟く。
「目標があるのは良いことだよぉ〜」
郁乃の事には我が事以上に力の入る愛佳は、ぐっと拳を胸の前。
「今から勉強大変だろうけど、頑張って」
「別に勉強はあまり大変じゃないけど、気持ちは素直に受け取っておくわ」
姉の激励に鷹揚に頷く妹。
とはいえ、愛佳が与えたのは気持ちだけではない。
自身が進学しない事で、経済的に余裕のない小牧家に郁乃が進学する途を作った。
愛佳自身は否定するだろうが少なくとも傍目から見れば一面の真実だ。
「大変といえば、貴明くん大変だったでしょ?」
「え?」
思わずシャッフルの手が止まった。
「郁乃が動けないからって、台所仕事に洗濯までしてもらっちゃって」
「いや…まあ…普段もそれなりに家事してるし」
「あ、あれれ?び、びみょ〜に皮肉を感じる発言かも〜」
「別に必要な時に必要な手伝いをして貰ってるだけでしょ。引け目に感じる事ない」
「正しいが、お前は少し引け目を感じろ。世話のしがいがない」
「貴明くん、郁乃のお世話もしてもらったの?」
ぼす。
俺が何か言いかける前に、枕が顔面に飛んできた。
「言うな。絶対言うな。言ったら殺す。」
「まだ何も言ってねえええええ」
危なかった。
何でもない愛佳の問いに、一瞬顔が凍りかかった。枕のお陰で誤魔化したと思うけど。
「え?なになに?なにがあったの〜?」
目を丸くして興味津々の愛佳。
「黙秘権を行使するわ」
「いいもん、貴明くんに聞くから」
「…大した事じゃないって」
枕を顔面に押し当てたまま、大嘘。
「本当に大した事じゃないわよ。言ったら殺すけど」
こっちは嘘なのか本当なのか、小牧家に来てからこっち、郁乃の心情は俺にはわからん。
「殺されるのは嫌なのでご希望には沿えそうにないぞ愛佳」
「ぶぅ〜、仲間外れ〜」
ふくれる愛佳だが、さほど深刻な様子はない。
いつか、愛佳が言っていた。
<郁乃って小さい頃から隠し事が多くてね>
<信用されてないのかなーってずいぶん悩んだりしたんだけど、最近はそうでもないんだ>
<郁乃は、私にとって必要な事は言ってくれるから>
<郁乃が言わないってことは、私には聞く必要がないんだって、そう思う>
俺も、その結論には同意できる。これまでも、そして、これからも。
これも、きっとそういう事なんだろう。それが一般的な意味で、誠実とは呼べなくとも。
ピルルルルルル ピルルルルルル
「あ、携帯鳴ってるよ」
「うん…ちょっとごめん…あれ?雄二から?なんだろ?」
ピッ
「貴明だけど、どうした?」
「…」
「もしもし?雄二?」
「(ね、ねぇ、これどこ押せば話せるの?)」
「(そのまま喋ればいいんだよ)」
「へ?」
この声、タマ姉か?
思わず電話を耳に近づけると突然、
「あ、えーっと、タカ坊!?聞こえるー!?」
「うわっ!?」
スピーカーから流れてきたのはやっぱりタマ姉の声。しかも声量特大。
「た、タマ姉?ええっと、聞こえるからもっと声小さく」
「あ、ご、ごめんなさいっ」
声が遠ざかる。ほっとして会話を続ける。
「びっくりした。でも、久しぶり」
「…」
あれ、返答がない。
電話の向こうで、またもボソボソ会話している模様。
「(電話離しすぎだよ)」
「(だ、だってうるさいって言われたし)」
「(声がでかすぎるの。マイクの性能が良いから普通の声で喋ればいいんだって)」
「(なんか落ち着かないのよ)」
・・・そういやタマ姉って文明の利器が苦手だったっけ?
「あ、あー、本日は晴天なり。えーっと、これくらいで大丈夫かしら?」
「うん」
苦笑しながら俺。
「声を聞くのも久しぶりだけど、元気そうね。」
「まあね。タマ姉も変わりない?」
タマ姉と雄二は共に自宅からそれぞれの大学に通っている。
「ええ、誰かさんがさっぱり連絡をよこさない事以外は、問題ないわ」
う。
「今、戻ってきてるんですって?」
ぐっ?
「…誰から聞いたの」
「このみからよ。一昨日から戻ってきてる筈だけど連絡来ないって寂しがってるわ」
「ごめん、ちょっと忙しくてさ。あれ?でもなんでこのみが…」
「ああ、あたしが言っといた」
しれっと補足したのは、横で話を聞いていた郁乃。こいつが情報源だったのか。
「まったく困った子ね。それで、いつまでこっちにいるの?一度くらいは顔を出しなさいよ」
「うん…そうだな、水曜日か木曜日なら行けると思うけど」
「そう?わたしはどっちも空いてるわ。じゃあ、このみに替わるわね」
「え?このみいるの?」
「(はい、これ、このままでいいの?」
「(うん、ありがとうタマお姉ちゃん)」
ありゃ、本当にこのみの声だ。
「もしもし、えっと、…タカくん?」
「ああ、このみか。」
「うん、このみだよ…タカくんだよね?」
「ああ、俺だ」
確認を繰り返し、なんとなく沈黙してしまう二人。
言葉に迷って視線をめぐらすと、そんな俺を見ている二人。
あー、愛佳、俺の事は拳握りしめて応援してくれなくていいから。
「えーっと、郁乃から連絡いってたんだってな。電話しなくて悪かった」
気を取り直して言葉を掛けると、
「ふぇっ?ううんっ、タカくん忙しいから電話したら悪いかなと思ったんだけど、
このまま戻っちゃったらどうしようっと思って、たまたまタマお姉ちゃんの所に用事があったから
話してみたらユウ君が電話してくれるってことになって、でもごめんね突然、夜だし、迷惑だったよね?」
一転、堰を切ったようにしゃべり出すこのみ。
俺は、自分から連絡しなかった事を少し後悔した。
「いや、こっちこそごめんな」
「それでさ、タマ姉にもちょっと喋ったんだけど、水曜か木曜にそっちに顔だそうと思うんだけど、時間ある?」
「えっ?」
そういう流れで連絡してきたのだろうに、不意を打たれたようなこのみの声。
「…」
そして沈黙。
「あれ?用事あったか?だったら別な日にでも」
「だ、大丈夫っ!!」
っ!大音量に耳が鳴る。
「うわっ、いきなり大声出すなよ」
「ごめんなさい…」
今度は逆に聴き取りづらいくらい小さくなる声。
「…だいじょうぶ。明日でも、明後日でも大丈夫だよ。」
ぽつぽつと区切れる。
「このみはいつでもタカくんに会いたいよ…」
語尾が詰まって、涙声になってくる。
俺は少し慌てて、そして、なんでもないふりで明るく続ける。
「俺もみんなに会いたいよ」
「タマ姉も空いてるっていうし、久しぶりに雄二と4人で遊ぼうぜ」
当たり前の台詞。ただ、
このみに、でなく、みんなに、になったのは…
よりによって電話の相手にそんなのを意識したとは、思いたくないんだけど。
「うん、ユウ君、水曜日大丈夫?」
「(あ、水曜はちょっと…木曜なら…)」
電話の向こうで雄二の声、用事があるとは雄二の癖に生意気な。
「もしもし?水曜日はユウ君がデートだから駄目だって」
既にこのみの声に涙の跡はない…なぬ?雄二がデート?
「へー、雄二彼女いるんだ」
「はい!レオナさんというすごい美人の女子大生でありますよ隊長!このみは知らなかったけど学園も一緒だったんだって」
「へえ」
「タマお姉ちゃんが言うには、タカ君も知ってる筈だって。タマお姉ちゃんを追いかけて転校してきてたとの事であります」
「ぶっっ、あの3人組の一人か」
誰が誰だか名前は忘れたが、あまり良い思い出のない相手だ。しかし雄二とくっつくような物好きが…まあ、変人ばかりではあったな。
「(おい、余計な事をべらべら喋るな。替われよ)…もしもし、俺だ」
「お前か」
「ああ、俺だ」
このループは意味ねぇ。
「横で聞いてた。木曜日な。せっかくだからウチに泊まるか?」
「ああ…いや、夜はちょっと、どっちかっつーと午前集合で街を回りたいな」
木曜の夜に、特段用事があったわけではないんだけど。
さっきのタマ姉とこのみの声、
長電話の俺をニコニコしながら見ている愛佳、
つまらなさそうにカードを弄びながら会話を聞いている郁乃、
それぞれの声と姿を心に留め置きながら、俺はまた、なんとなく心を構えてしまった。
「そうか、(泊まり駄目だってさ)」
「(えぇ〜、つまんないの)」
「(仕方ないよ、タカ君も忙しいんだよ。)」
受話器の向こうの声を聞いて、すぐに少し後悔するが、撤回する気にもなれない。
「じゃあ10時集合で、この辺も結構変わったから案内してやる」
「楽しみにしてるよ。」
「じゃあな。」
長々と続いた電話は、相手が雄二になった途端に素っ気なく切れた。
まあ、男同士はこんなもんだ。
「お待たせ、長電話で悪かったな」
「えへへ、同窓会決定?」
ずっと話を聞いていた愛佳がにっこりと笑う。
「うーん、面子がタマ姉雄二にこのみだからなあ」
意味もなく天井を見上げてしまう。
「どっちかっていうと、近況を無理矢理報告させられる会になりそうだ」
「ふふっ、負けずに色々聞いてきたらいいよ。気になるでしょ?」
同窓会帰りの先達は、したり顔。
「そうだな。」
俺と愛佳がこの一年間で新しい生活を築いてきたように、みんなもそれぞれの人生を進んでいる。
たった1年前まで、あれだけ近くにいた雄二やタマ姉、このみの今を殆ど知らない事に、俺は改めて気づく。
「あたしも由真から色々聞いたし。色々聞かれたし」
変わらぬ友情を保つだろう愛佳と由真の進む道も、この先深く交わるとは限らない。
「このみ先輩にはあたしから大分貴明情報が流れてるけどね。ま、楽しんできたらいいわ」
そして郁乃ですら、愛佳や俺との関係を、個人と個人のそれに変えようとしつつあるのかも知れない。
学園、クラス、幼馴染み、家族。
大小はあれど共同体の中で一心同体だった俺達。
それは、誰とでも近づく事が良い事だった時代。人を無限に好きになる事が、無条件で善だった頃。
あれからほんの僅かな時間。今はもうあの頃じゃない。
近づきすぎてはいけない事もある。郁乃と過ごした二昼夜は、後悔と共にそれを教えてくれていた。
もちろん、離れていくのが良いわけもない。場合に応じて、相手との距離を決めなければ。
優先順位を守れと、郁乃は愛佳に言った。じゃあ、郁乃自身はどうなんだろう。
何を、誰を、どこまで、どう優先するのか、それにどんな順位を付けるのか。
それを上手くやるのが大人だろうか。だとしたら、本当の大人なんているんだろか?
でも俺は、たぶん愛佳も郁乃も、その距離を、そのバランスを探していく。
自分なりの、大人になる方法を。
というわけで、エピローグです。正直、この貴明じゃ今後が不安ですね
無理矢理タイトルにこじつけましたが深い意味はありません。元々坐薬ネタだしー
他キャラの色々について、ゲーム内を確認すべき事項を怠ったかも知れません。反省
長くもない話でしたがえらい難産でした。読んでくれた方有り難うございました。
>>878 最後まで楽しませてもらいました。お疲れ様!
GJ。
こういう雰囲気、好きです。お疲れさまでした。。。
GJ。
ちょっとわが身を振り返ってみたり。
それにしても坐薬ナツカシス。
>>859 遅くなったけど、河野家喜多ーーー!!!
しかし、由真がメイド喫茶でバイトだなんてことになったら
ダニエルが黙ってないんだろうなあ^^;
店にやってきて、メイドとしての心得をとくとくと語り出すか
反対にメイドに落ちぶれたことをさめざめと泣くかの
どちらかですなw
それにしても、由真の堕ちっぷりは目覚しいですね^^;
このまま逝けば、夏コミでコスプレとかしそうで
楽しみですw
>>878 エピローグ、喜多ーーー!!!
どうも、せかしてしまって申し訳ありません。
エピローグは派手ではなかったけど、蔭で
このみに連絡してあげたりとか
貴明のことを思い遣ってる郁乃んが
いじらしかったです。
えぇ、元が坐薬ネタだなんて信じられませんともw
読ませていただいて、どうもありがとうございました。
次すれ…
座薬ネタでここまでの大作にした熱意に感服いたしました
>>883 書き込みの頻度からすると、今たてるより夜たてる方が良くないですか?
と書いた本人は、夜は用事があって書き込めないんですが^^;
886 :
sage:2006/07/05(水) 19:30:15 ID:SGFIoWC00
>878エピローグ キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!
ほんとお疲れ様でした!!
個人的に愛佳、いくのんが好きなのでこのSSも楽しく読まさしてもらいましたm(_ _)m
887 :
名無しさんだよもん:2006/07/07(金) 06:43:28 ID:kS+ZCUKgO
本当に過疎ってるな…
いろいろネタが溜まってるから、投下するも吝かではないんだが。
容量的に次スレ待ちかな?
じゃあ建てればいいじゃない
890 :
名無しさんだよもん:2006/07/07(金) 19:57:18 ID:cpdOm5dl0
テンプレぐらい真面目に貼れ。