クラナド戦記〜光溢れるこの町で〜 第三章

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203クラナド戦記第124話 3/3:2007/04/06(金) 20:02:38 ID:9MzNRswM0
◆病院 

001 岡崎朋也 所持品:銃、折れた刀、くまのぬいぐるみ 
002 藤林杏 所持品:辞書いっぱい 
003 藤林椋 所持品:ルガースーパーレッドホーク9in 
004 春原陽平 所持品:無し(上着に癌細胞) 
005 伊吹公子 所持品:無し 
006 伊吹風子(本体) / 意識不明 
007 柊勝平 所持品:44マグナム 
009 相楽美佐枝 所持品:銃、洗濯ロープ、ライター、リュック(中身不明) 
011 芳野祐介 所持品:工具一式、防弾チョッキ 
012 古河秋生 所持品:『獅子王』 
013 古河早苗 所持品:レインボーパンほか 
014 古河渚 所持品:無し
017 坂上智代 所持品:無し 
018 仁科りえ  所持品:不明 
欠番 春原芽衣 所持品:グロック18C 

欠番 坂上鷹文 所持品:ことみに貰った武器少し  
欠番 いちのせことみ/負傷  所持品:多数の武器、『ディー・ガイゲ・デア・ツァイト』 

欠番 岡崎直幸 所持品:『光弾銃ゾリオン』、『三千世界・上巻』、『三千世界・下巻』、 
『アポロンの銀弓』、『バーサーカー・レクイエム』、『スティーリィ・ベアー』、 
『ゼウクシスの魔筆』、『レイジングヒトデ』、破損:『リントホルストの壺』(人造光) 『胡蝶』 

015 宮沢有紀寧(精神体) 所持品:『コミック力場』『ラブアンドスパナ』 
204名無しさんだよもん:2007/04/06(金) 20:45:45 ID:tzEhtZWT0
お、おいおい!1日に2話投下されてるよ!
何だかよく分からないけど、GJ!
205名無しさんだよもん:2007/04/06(金) 20:46:05 ID:NZmGEdFU0
お、おいおい!
206名無しさんだよもん:2007/04/07(土) 10:33:31 ID:AtrtULG60
お、おいおい!GJだよ。そろそろ幻想世界の方の話も進めてくれよ
207名無しさんだよもん:2007/04/09(月) 19:59:40 ID:YDk4W+fj0
>>206
普通に考えて無理だろ
208名無しさんだよもん:2007/04/10(火) 10:08:51 ID:c+whZX7jO
イステルスの空は今日も赤かった。
209クラナド戦記第125話1/7:2007/04/11(水) 15:57:16 ID:jTq+SUQP0


そこに、わたしは立っていた。

そらでもじめんでもないところ。
時間のない空間。
ここが、わたしの来るべき場所?

…ここは、幻想世界…
…戦いに敗れ去った者が、死後ここに来るの…

声が聞こえる。
聞いたことのない声。
なのに、なぜだろう…。
はるかな太古から、わたしはその声の主を知っているような気がする。

「あなたは…?」

…ようこそ…『光』よ…
…この、誰もいない、物悲しい世界へ。


210クラナド戦記第125話2/7:2007/04/11(水) 15:59:26 ID:jTq+SUQP0
優しい声のする先には、男の人が立っていた。
年齢は…… 私のお父さんと同じくらいだろうか。
くたびれたシャツ、やつれた表情の中で、穏やかな瞳が私を見ていた。

「あなたは……? あなたが、さっきの声の人ですか?」
もう一度、聞く。
男性はうつむき加減の姿勢を正して、こちらに顔を向けた。

「いや…… あれは、おれじゃない…… 彼女は、幻想世界の少女だよ」
幻想世界の少女……
そう言えば、ここは「幻想世界」だと…… さっきの声も言っていた。

「彼女は…… 世界の悲しみを知るものさ……。君や、おれと同じようにね…」

私が困ったような顔をしていたからだろうか。
男性はそう付け加えてくれていた。
もっとも、補足された言葉の意味すら、私には分からないでいたのだが。
ただ……

「世界の、悲しみ……」

何故だろう。
彼女達の気持ちは、判る気がした。

「君も、味わったろう…… 向こうの世界には、悲しみ…… 絶望が満ちている…」
語る男性の表情に憂いの色が浮かんだ。

「全部…… 全部、変わらずにはいられないんだ……
 愛したものさえも…… 全部……」
211クラナド戦記第125話3/7:2007/04/11(水) 16:02:11 ID:jTq+SUQP0
何か、大切なものを… この人は失ったのだろうか……
男性の置かれた境遇は、私には知る由もなかったけれど……
絶望………… それは、確かに……

「私にも…… 分かる気がします。私も、兄を事故で失いましたから……
 私は兄の居場所を探し…… 必死に兄の代わりを務めようとしました。
 でもやはり、それには限界があるんですよね……
 失われた人の代わりには、誰もなれないんです…………」
言って、俯いてしまう。

「本当に…… 全部、変わらなければ良かったのに……」
思わずそう呟いていた。

「じゃあ…… 創ろうか」

声。
穏やかだった男性の声に熱が篭る。

「おれと君とで…… 地上に新しい世界を創ろう」

何故だか、その言葉に逆らえなかった。
男性が差しのばす手。
引き寄せられるように、私は握り返していた。

「幸せも、愛するものも…… 決して失われることのない世界。
 おれたち精神体による、『幻想世界』を……!」

繋がれた手から、暖かい力が流れ込んでくる。
ああ…… もう、大丈夫。
きっとこの人が連れて行ってくれる。

私を…… 幸せの場所に。
212クラナド戦記第125話4/7:2007/04/11(水) 16:07:51 ID:jTq+SUQP0
***


「おれが光を集めて敦子を生き返らせる気だと…… 君は言ったね……」

丘の上の病院で、対峙する親子。
一触即発の空気の中、直幸が口を開いていた。

「それは…… 余り正確な表現じゃないな………
 確かに、おれは敦子を…… 失われたものたちを、この地上に帰す……
 だが、それは光を集め、願いを叶えることによってでは、ないんだ……」

「何を…… 言ってるんだよ……!」
今まさに飛び掛らんとする朋也を芳野達がガッシリと抱え込む。
そんな光景を尻目に、再度直幸は口を開いた。

「愛するものの肉体を取り戻したところで……
 再び元の世界に還った所で……
 そこには失う苦しみが待っている。いつまた愛するものを失うか判らないんだ…
 それは…… おれの理想とする世界じゃない……」

普段は寡黙な直幸が、額に汗してその理想を語る。
まるで、今まで抱え込んできた一切の想いを吐露するかのように。
「君達にも…… 覚えがあるだろう。
 愛したものたち…… 懐かしい風景。何もかも、変わらないで欲しい。
 そんな世界を夢見たことは、あるだろう……」

直幸の言葉に一同がハッと息を呑む。
それは、その場にいる誰しもが、夢見たこと。
砂漠と化した故郷を前にして、「変わらずにいて欲しかった」と、幾度願ってみたか判らない。

そしてまた直幸の言葉は…… 朋也にとっては、特別な意味を持つ言葉だった。
213クラナド戦記第125話5/7:2007/04/11(水) 16:11:42 ID:jTq+SUQP0
『ぜんぶ、変わらずにはいられないです……』

あの春の出会いの日。
そう言って立ち尽くしていた渚の姿と、父親の姿が被る。

「光を集め、叶うのかさえ判らない願いに頼るまでもないんだ。
 光を集めるのは、あくまで君達におれの邪魔をさせないため……
 おれには『胡蝶』があればいい。『胡蝶』で…… 精神体による、理想の世界を……
 何もかも変わらない永遠の世界を…………
 『幻想世界』を、おれはこの地上に創るんだよ……!」

夜の闇の中で爛々と輝く直幸の瞳。
狂気を宿したその恍惚の表情に向けて、朋也は叫んでいた。
「そんなもの、ただの逃げだろっ!」
芳野の手を振り払い、歩みを進めていく。

朋也は… 渚は……
あの坂の下から、共に頑張り、共に苦しみ、成長してきたはずだった。
だからこそ、父の逃げ口上が許せなかった。
例え変わってしまっても…… 失ってもしまっても……
いくらでも頑張って、新しい道を探せたはずだ。

「それは、あんたの弱さだっ!
 俺達は、変わる世界の中で…… 失いながら、それでも、生きていかなきゃいけないんだよっ!!」
声が詰まって、上手く喋ることが出来ない。
いつのまにか目から溢れていた涙を拭おうともせず、朋也は叫び続けた。

「あんたみたいな奴には負けないっ! あんたの持つ光、全部奪って……!
 俺達は、俺たちの世界を、取り戻すからなっ!!」
214クラナド戦記第125話6/7:2007/04/11(水) 16:14:59 ID:jTq+SUQP0
朋也以外の者達も、想いは同じだった。
「早苗…… 渚や風子を頼む。武器を持ってない奴らも、下がってろ」
秋生が背中の渚―――未だ意識を取り戻せないでいる娘を早苗に託し、直幸に向き直った。
生きるもの、生きようとする者たちの瞳が… 直幸を射抜いていた。

と、その視線の間に割って入る影があった。

「ゆ…… 有紀寧ちゃん!? どうして、そっち側にっ!?」
春原がかつて親しい時を過ごした後輩に向けて、唖然とした表情で問いかける。
「おそらくは『胡蝶』による精神支配だろう。そうか、彼女が有紀寧さんか………」
智代が複雑な視線を有紀寧に向けた。

「支配とは人聞きが悪いね。
 彼女はおれの理解者さ…… 他の数多の駒たちとは精神の質が違う。
 精神体にして『光』を操れるのも、彼女くらいのものじゃないかな……」

その言葉を裏付けるかのように、有紀寧の体が金色の力場に包まれていく。
「皆さん、随分大勢でいらっしゃってくださったんですねっ!
 直幸さん、こちらの皆さんに私から…… 『ゲンキ玉』、サービスさせて頂いても宜しいですか?」
「ああ、かまわないよ…
 早く彼らを、浮世の苦しみから解放してあげてくれるかな……」
直幸の言葉に、朋也が声を張り上げる。
「何が開放だっ……! あんたが俺たちにその苦しみを与えてんだろっ……!!」

「…………死の苦しみは一瞬さ。その後には永遠の安寧が待っている……」
落ち着き払った声で直幸が息子の怒声に応対する。

「あんたの思い通りには、させねぇよ……」
朋也が直幸と対峙する。
その手には、鷹文から託されたくまのぬいぐるみが。
215クラナド戦記第125話7/7:2007/04/11(水) 16:17:44 ID:jTq+SUQP0
「ことみ…… こいつは、使わせてもらうからな……」
言葉と同時、朋也の手中のぬいぐるみが眩い光に包まれる。
その、後には――――

「なんだい…… 古ぼけたぬいぐるみが、更にぼろぼろになっただけじゃないか………」

皮肉めいた直幸の言葉通り、そこには壊れかけた『人形』があるばかりだった。
片腕が取れた、金属製ロボットの玩具。
「なら、試しに喰らってみるかよ………」
朋也の言葉に、直幸の眉が微かに震えた。

「…………いや、遠慮しておくよ…」
言って、手を翳す。

「K&Mの卓越した頭脳はおれも良く知っている………
 彼らがその全力を賭し、愛娘に残した光なら……… 例え『偽光』でも――――」

儚げに舞う蝶が、夜の闇を鮮やかに彩っていく。
その幻想的な光景の中で、直幸は不適に笑っていた。


「―――少しばかり、手強そうだからね」
216クラナド戦記第125話:2007/04/11(水) 16:19:12 ID:jTq+SUQP0
◆病院


001 岡崎朋也 所持品:銃、折れた刀、『ガラクタ』(人造光)
002 藤林杏 所持品:辞書いっぱい
003 藤林椋 所持品:ルガースーパーレッドホーク9in
004 春原陽平 所持品:無し(上着に癌細胞)
005 伊吹公子 所持品:なし
006 伊吹風子(本体) / 意識不明
007 柊勝平 所持品:44マグナム
009 相楽美佐枝 所持品:銃、洗濯ロープ、ライター、リュック(中身不明)
011 芳野祐介 所持品:工具一式、防弾チョッキ
012 古河秋生 所持品:『獅子王』
013 古河早苗 所持品:レインボーパンほか
014 古河渚/意識不明 所持品:なし
017 坂上智代 所持品:無し
018 仁科りえ  所持品:不明
欠番 春原芽衣 所持品:グロック18C
欠番 坂上鷹文 所持品:ことみに貰った武器少し 
欠番 いちのせことみ/負傷  所持品:多数の武器、『ディー・ガイゲ・デア・ツァイト』

015 宮沢有紀寧(精神体) 所持品:『コミック力場』『ラブアンドスパナ』

欠番 岡崎直幸 所持品:『光弾銃ゾリオン』、『三千世界・上巻』、『三千世界・下巻』、
『アポロンの銀弓』、『バーサーカー・レクイエム』、『スティーリィ・ベアー』、
『ゼウクシスの魔筆』、『レイジングヒトデ』、破損:『リントホルストの壺』(人造光) 『胡蝶』



『ガラクタ』
一ノ瀬夫妻が開発し、朋也が発現させたロボット玩具の人造光。
右腕部分が破損している。能力は不明。
217名無しさんだよもん:2007/04/11(水) 18:53:23 ID:ANTAB3990
お、おいおい!話もクライマックスになってきたなっ!GJだよっ!!
218クラナド戦記第126話1/2:2007/04/16(月) 23:50:20 ID:quZhKN4m0
始まりは、60億の死滅。

破壊の果てに残された、世界を創造しようとする者と抗う者たち。

「さて……そろそろ始めようか」
蝶がはためき、幾十もの精神兵達が具現化する。
「岡崎と秋夫さんは奴のスキを見て攻撃を」
「そしてそのスキはボク達が……」
「つくってやらぁーーーっ!」
芳野、勝平、春原が気合と共に直幸に向かって走り出す。

「あんたらっ。かよわい女性に近づいてんじゃないのよ」
すでに得意の投擲でいくらかの精神兵を撃破している杏。

気を失っている渚、風子、ことみを抱え後退する早苗、公子、椋。
それらを守るように戦う美佐枝、鷹文、仁科、芽衣。

そして一人有紀寧と対峙する智代。

未来を感じた自分の掌。やるしかない。
「いくぞ小僧っ」
「ああ、オッサン」
219クラナド戦記第126話2/2:2007/04/16(月) 23:51:29 ID:quZhKN4m0
「先に『ゲンキ玉』、サービスさせてもらいたいんですね」
「一つだけ確かめたい」
智代の問いかけに有紀寧が反応する。そしてレス。
「なんでしょう?」
「この場にいるのはあなたの意志によるのもなのか?」
「はい、そうです。私自身あの人の考えに賛同しているからこそこの場にいます」
間髪入れずに答えが返ってくる。
「わかった。全力でやる。あの男のためにも」
かつての力を戻してくれた男の、最期を看取った男の最後の頼み。

「あの人の魂を開放してほしいんだよ……
 この世界じゃ……死んでもまだ『終わり』じゃねぇんだ……
 『胡蝶』……あいつが岡崎直幸の手にある限り、死者に安息はねぇ……
 いつまた『武器』としてこの世界に呼び戻されるか、分かったもんじゃねぇんだ。
 ひでぇ話じゃねぇかよ……死んじまってもまだ、この地獄から開放されないなんてよ……」

脳裏に勇の言葉がよみがえる。彼女を直幸の手からの解放すること。
今はそのことだけにこの力を使おう。
そう決意した智代はゆっくりと重心を落とし、構えた。
220クラナド戦記第126話:2007/04/16(月) 23:52:12 ID:quZhKN4m0
◆病院


001 岡崎朋也 所持品:銃、折れた刀、『ガラクタ』(人造光)
002 藤林杏 所持品:辞書いっぱい
003 藤林椋 所持品:ルガースーパーレッドホーク9in
004 春原陽平 所持品:無し(上着に癌細胞)
005 伊吹公子 所持品:なし
006 伊吹風子(本体) / 意識不明
007 柊勝平 所持品:44マグナム
009 相楽美佐枝 所持品:銃、洗濯ロープ、ライター、リュック(中身不明)
011 芳野祐介 所持品:工具一式、防弾チョッキ
012 古河秋生 所持品:『獅子王』
013 古河早苗 所持品:レインボーパンほか
014 古河渚/意識不明 所持品:なし
017 坂上智代 所持品:無し
018 仁科りえ  所持品:不明
欠番 春原芽衣 所持品:グロック18C
欠番 坂上鷹文 所持品:ことみに貰った武器少し 
欠番 いちのせことみ/意識不明  所持品:多数の武器、『ディー・ガイゲ・デア・ツァイト』

015 宮沢有紀寧(精神体) 所持品:『コミック力場』『ラブアンドスパナ』

欠番 岡崎直幸 所持品:『光弾銃ゾリオン』、『三千世界・上巻』、『三千世界・下巻』、
『アポロンの銀弓』、『バーサーカー・レクイエム』、『スティーリィ・ベアー』、
『ゼウクシスの魔筆』、『レイジングヒトデ』、破損:『リントホルストの壺』(人造光) 『胡蝶』
221名無しさんだよもん:2007/04/17(火) 12:03:23 ID:xgsLQrcBO
お、おいおい!
222名無しさんだよもん:2007/04/18(水) 12:36:32 ID:T2oxwmzq0
何だかよくわからないけど――行くよ――――
223クラナド戦記第127話 1/3:2007/05/09(水) 18:51:29 ID:xPR9+UvM0
智代が有紀寧との戦闘に入ったのと同時、芳野達の援護を受け、朋也と秋生は直幸の前に立った。
『胡蝶』の産み出した精神兵達と交戦する芳野達を背に、秋生が『獅子王』を静かに構える。

「アンタの言うことも分かる。誰にだって…そう、俺にだって、ある」
変わらないでいて欲しい、そう願ったことが。
「けどな…やっちゃいけねえことだって分かる。アンタは自分の目的のために、渚達に手ェ出しやがった」
たくさん、たくさんの涙を流させた。
「例え小僧の父親だろうと、絶対に許さねぇっ!!」
言葉は聞こえている筈なのに、直幸は全くの無反応。
掌で『胡蝶』を玩ぶだけだった。

朋也が続ける。
「親父、さっき自分で言ったよな…
 光は自分の理想とする世界を作るために不要だって…
 それなら、それなら……! 独りで、誰にも迷惑かけずにやってろよっ! どうしてこんなことするんだよっ!!
 答えろっ!!」
もし先程直幸が言ったことだけが真実ならば、この狂った世界は不必要ということになる。

朋也の叫びに何か感じるものがあったのか、直幸がゆっくりと朋也達の方を向く。
その眼に宿るのは―――憎悪。
「すべては―――」
眼鏡の奥の瞳が、朋也を射抜く。

「すべては、朋也…お前から“奪う”ためだ」
224クラナド戦記第127話 2/3:2007/05/09(水) 18:52:07 ID:xPR9+UvM0
「…奪う? 俺から何もかも奪ったあんたが、まだ何か奪うってのかよっ! 今度は何だ、命かっ!!」
「―――――未来」
「!?」
そのあまりにも冷たい声色に、朋也は一瞬息を呑む。

「さっきも言ったね…ここが、どんな場所か」
選ばれぬ未来、可能性の墓場。
それは、よく知った顔の老人の、よく知らなかった顔と一緒の記憶。
「その、可能性は……一体、誰の可能性だと思う」
そんなの決まってる。
「みんなの可能性だ!」

「違うっ!!!」

こんなにも声を荒げている直幸を、朋也ははじめて見た。
「人の可能性…? 未来を選ぶ…? そんなこと、ただの人には無理だよ。
 人は、未来を選んだつもりになって、ありもしない可能性を妄信しているだけさ。
 でもね……
 朋也。お前だけは……違う。
 未来を選び、可能性に生きることができる。
 そうさ…ここは、お前の可能性の墓場だ。………朋也」

「何を……言って……?」
目の前の男は何を言っている…?
「ここに集った人間は全て、お前を中心とした世界に属するものたちだ。
 あの幸村でさえ、お前の持つ可能性が内包した一面に過ぎないんだよ。
 ああ、勿論…この世界自体はおれの意思によるものだがね……」
225クラナド戦記第127話 3/3:2007/05/09(水) 18:56:53 ID:xPR9+UvM0
「意味……わかんねえよ…」
頭がぐらぐらする。さっきまで立っていたはずの地面は…本当に地面だったのか? それさえもあやふや。

「話を戻そうか。そう…おれが欲しいのは、ここまでして欲しているのは……お前の、その力というわけさ、朋也。
 可能性の力はおれが求める世界にとって危険すぎる。強くなりすぎた可能性の力は、なんでもありのワイルドカードと変わらない……
 だから……」
ゆっくりと、直幸は朋也達との距離を縮めだす。

「小僧、迷ってる暇はねぇ! 何だかよく分かんなくてもよ……」
秋生は獅子王の柄を握る手が汗ばんでいるのを感じ、小さく舌打ちをした。
「今は、行くしかねえっ!!」
秋生の言葉が朋也を現実へと連れ戻す。
今は呆けている時ではない、何をすべきか思い出せ、と。
「………分かってるっ…!」

直幸の言うことが全て真実で、自分が原因で皆を巻き込んでいるのだとしても…
それを後悔することより、皆に謝ることより、先にすべきことが―――今の朋也には分かる。
傷つけて、失って、それでも、歩みを止めなかった…今の、朋也には。

「いまいち頼りないが、頼むぜ…俺の、光っ!!」
朋也の想いに応えるように、右腕の無いガラクタ人形が静かに唸りを上げた。
226クラナド戦記第127話:2007/05/09(水) 18:57:29 ID:xPR9+UvM0
◆病院 


001 岡崎朋也 所持品:銃、折れた刀、『ガラクタ』(人造光) 
002 藤林杏 所持品:辞書いっぱい 
003 藤林椋 所持品:ルガースーパーレッドホーク9in 
004 春原陽平 所持品:無し(上着に癌細胞) 
005 伊吹公子 所持品:なし 
006 伊吹風子(本体) / 意識不明 
007 柊勝平 所持品:44マグナム 
009 相楽美佐枝 所持品:銃、洗濯ロープ、ライター、リュック(中身不明) 
011 芳野祐介 所持品:工具一式、防弾チョッキ 
012 古河秋生 所持品:『獅子王』 
013 古河早苗 所持品:レインボーパンほか 
014 古河渚/意識不明 所持品:なし 
017 坂上智代 所持品:無し 
018 仁科りえ  所持品:不明 
欠番 春原芽衣 所持品:グロック18C 
欠番 坂上鷹文 所持品:ことみに貰った武器少し  
欠番 いちのせことみ/意識不明  所持品:多数の武器、『ディー・ガイゲ・デア・ツァイト』 

015 宮沢有紀寧(精神体) 所持品:『コミック力場』『ラブアンドスパナ』 

欠番 岡崎直幸 所持品:『光弾銃ゾリオン』、『三千世界・上巻』、『三千世界・下巻』、 
『アポロンの銀弓』、『バーサーカー・レクイエム』、『スティーリィ・ベアー』、 
『ゼウクシスの魔筆』、『レイジングヒトデ』、破損:『リントホルストの壺』(人造光) 『胡蝶』 
227名無しさんだよもん:2007/05/12(土) 01:38:38 ID:zUBrkfKbO
頑張れ
228名無しさんだよもん:2007/05/14(月) 07:23:26 ID:KZRLkOne0
ハカロワReturnsの頃から見てるよー
229名無しさんだよもん:2007/05/14(月) 09:11:33 ID:UzP2vVM80
お、おいおい!
230名無しさんだよもん:2007/05/30(水) 23:37:16 ID:6Skf2fTU0
なんだかよくわからないけど、保守するよっ!
231名無しさんだよもん:2007/06/14(木) 20:14:21 ID:EP3/wfyl0
お( ^ω^)、おいおい!(;^ω^)
232名無しさんだよもん:2007/06/29(金) 00:12:40 ID:SMJ1fIcu0
ageよう
233名無しさんだよもん:2007/06/30(土) 03:05:21 ID:n2iOOwgn0
何だか
234名無しさんだよもん:2007/08/05(日) 01:50:43 ID:l2yYqQI90
保守
235クラナド戦記最終話 希望を胸に:2007/08/25(土) 12:23:27 ID:HQ1JVJ490
朋也「チクショオオオオ!くらえ親父!新必殺人形火炎斬!」
直幸「さあ来い朋也アア!おれは実は一回刺されただけで死ぬぞオオ!」
(ザン)
直幸「グアアアア!こ このザ・無職と呼ばれる直幸が…こんな息子に…バ…バカなアアアア」
(ドドドドド)
直幸「グアアアア」

一ノ瀬父「直幸がやられたようだな…」
一ノ瀬母「息子ごときに負けるとは親父の面汚しよ…」
朋也「くらえええ!」
(ズサ)
2人「グアアアアアアア」

朋也「やった…ついに全員倒したぞ…これで汐のいる幻想世界の扉が開かれる!!」
汐「よく来たな光マスター朋也…待っていたぞ…」
(ギイイイイイイ)
朋也「こ…ここが幻想世界だったのか…!感じる…汐の魔力を…」
汐「パパよ…戦う前に一つ言っておくことがある パパは私を倒すのに『光』が必要だと思っているようだが…別になくても倒せる」
朋也「な 何だって!?」
汐「そしてパパの仲間はやせてきたので元の世界へ解放しておいた あとは私を倒すだけだなクックック…」
(ゴゴゴゴ)
朋也「フ…上等だ…俺も一つ言っておくことがある この俺に金髪の親友がいるような気がしていたが別にそんなことはなかったぜ!」
汐「そうか」
朋也「ウオオオいくぞオオオ!」
汐「さあ来いパパ!」
朋也の勇気が世界を救うと信じて…! ご愛読ありがとうございました!
236(,,・ω・) ◆Erimo/2pEY :2007/08/25(土) 17:58:37 ID:f0l+QqIfO BE:430040063-2BP(2346)
まさかここでそれが来るとは

金髪「  まそっぷ 」
237名無しさんだよもん:2007/08/25(土) 18:33:06 ID:15LmJS3uO
まだ生きてたのか蛆虫以下の糞空気コテ
238名無しさんだよもん:2007/08/27(月) 22:46:29 ID:OAnfqWp+0
第一部 完
239名無しさんだよもん:2007/08/30(木) 04:43:00 ID:LoTS4RQz0
んじゃ、格闘トーナメントやろうぜ
240名無しさんだよもん:2007/09/19(水) 11:59:15 ID:6BfPE+KP0
なんという最後・・・感動したwwwwwwwwwwww
241クラナド戦記第128話 1/2:2007/09/21(金) 19:53:47 ID:X5F5dkyE0
 岡崎さんは直幸にされるままに風子と同じようにバイブを押し入れられて、風子のすぐ隣に四つんばいになった。
 苦しいはずなのに嫌がるそぶりなど全然見せずに言いなりだ。
 お客さんに逆らうと岡崎さんでもただでは済まないことをよく知っているせいだと風子は思った。
 直幸が後ろから責めるたびに岡崎さんの声が、部屋いっぱいに響き始めた。
 直幸が面白がって、岡崎さんの胸を両手で掴んでねじり上げると、岡崎さんの甲高い悲鳴が部屋に響いた。
「こっちの女の方がよっぼどド変態だぜ」と直幸が言うと、岡崎さんは急に泣き出してしまった。
 風子はきっと岡崎さんは風子よりもっとひどい目にあってきたに違いないと気がついて、急に岡崎さんが可哀相に思えてきた。
「今度はお前の番だ」
 直幸に言われて岡崎さんはパンティーを脱いだまま、非常階段を降りて登ってこさせられた。
 風子が上で待っていると、下から階段をあがってきた岡崎さんは風子に抱きついて体を震わせた。
「この子、もっとドスケベなんだから、バイブいれたまま、下まで降りたいんだって」
 と岡崎さんが言うと直幸は「ホントはお前がやりたいんだろう」と言ってバイブを岡崎さんに渡した。
「この子がやりたいって言ってるんだから」と岡崎さんがなんとか言い返そうとしたが「お前がやるんだ」と直幸に言われてもう逆らえない。
 岡崎さんは、泣きそうな顔でバイブを入れて階段を下り始めた。
 風子は何を言われても岡崎さんが逆らわないので、びっくりして事の成り行きを見ていた。
 岡崎さんが部屋に戻ってくると、直幸は岡崎さんを縛りつけて床に寝かせて、バイブを2本とも差し込んだ。
 それから風子を岡崎さんの上におおいかぶるように四つんばいにさせ、前と後ろから責めてきた。
 風子の口からよだれが流れて、岡崎さんの頬に伝わると岡崎さんはいやがるように顔を左右に振った。
 直幸が風子の背中を押しつけると、風子の胸が岡崎さんの胸に重なって岡崎さんが苦しそうに喘いだ。
242クラナド戦記第128話 2/2:2007/09/21(金) 19:55:23 ID:X5F5dkyE0
 直幸達が帰ると、風子は岡崎さんの縄をほどこうとした。
 だけど岡崎さんが「お願いほどかないで」と泣きじゃくりながら風子に叫んだ。
「お願い、そこのスリッパで私をぶって」
 と言い出すので、風子はどうしていいのか分からなくなった。
「いいからそのスリッパで私のお尻を打つのよ、早くして」
 と岡崎さんが泣きじゃくるので、風子はスリッパを持って岡崎さんのお尻を軽く叩いた。
「もっと強く、もっと強くじゃなきゃだめなの」
 と岡崎さんがまだ言うので、風子は昨日風子がされたような勢いでお尻を叩いた。すると岡崎さんは
「ごめんなさい、二度と逆らいません、ごめんなさい、もう二度と逆らいませんから許して。私は変態でドスケベです、オXXXXが大好きです」
 と大きな声で叫び始めた。
 風子はどうしていいのかわからずに岡崎さんのお尻をスリッパで叩き続けた。
 随分時間がたってから、組の事務所の直幸が様子を見に来た。
 岡崎さんが縛られているのを見てすぐには事情が飲み込めないらしくて「何やってんだ」といきなりどなりつけられた。
「この子に、ひどい目に遭わされたの、お仕置きしてやって」
 と岡崎さんが直幸に言いつけた。
 直幸は風子が腹いせに岡崎さんを縛り付けてスリッパで叩いたと思いこんだらしい。
「てめえ、なにしてやがる」
 と大きな声でどなると直幸は風子を床に押し倒して、今度は風子が縛られた。
 風子が直幸にスリッパで叩かれると満足そうな顔で岡崎さんは風子の髪をつかんで頭をこづきつづけた。
「この女このくらいじゃ、だめだから、裏本に載せてやってよ」
 と直幸にせがむと「そうだなそうしよう」と直幸が相づちを打った。
 どうも風子をモデルにして裏本を撮影するということで話しがまとまったらしい。
 いったいどうしてこんな事になったのか訳が分からないけど、岡崎さんに上手く仕組まれたとしか言いようがない。
243クラナド戦記第128話:2007/09/21(金) 19:56:22 ID:X5F5dkyE0
◆病院
001 岡崎朋也 所持品:なし
006 伊吹風子(本体) 所持品:スリッパ
欠番 岡崎直幸 所持品:『マジカルバイブ』
244名無しさんだよもん:2007/10/13(土) 00:09:20 ID:HguBFZB20
あげー
245名無しさんだよもん:2007/10/22(月) 22:44:05 ID:Zpr6sGW+0
しばらく様子見してたんだけど
>>235>>241-242もログに取り入れるべき?

つーか、>>235で完結でOK?
246名無しさんだよもん:2007/10/22(月) 22:54:57 ID:ybLofOE30
この物語は完結していない
すなわちNever End
247名無しさんだよもん:2007/10/22(月) 23:11:56 ID:Zpr6sGW+0
ウィ。じゃあ地道に待ってる。
248名無しさんだよもん:2007/10/22(月) 23:16:30 ID:Zpr6sGW+0
ノン。地道に保守しながら待ってる、だった。
249名無しさんだよもん:2007/11/25(日) 19:47:14 ID:YEHl/wMm0
保守
250泉 こなた:2007/11/28(水) 23:38:52 ID:ohTdgMyK0
クラナド好き
251クラナド戦記第129話:2007/12/05(水) 10:59:06 ID:nt7Elhzf0
直幸「クックック・・・他愛もない。 『光』の持ち主ともあろうものが、
 この程度の能力とは、期待外れもいいところです」
ことみ「ご、ごめんね… 朋也くん。でも、こいつらの狙いは私だけなの…
 私さえいなくなれば、もうキミが巻きこまれることもないの――」
朋也「な、なんなんだお前らっ! ことみを、ことみを離せっ!」
直幸「そういう訳にも行きません。我々にとって、この女は危険だ。
 消えてもらう以外にはないでしょう? もっとも、脳だけは残しておきますがね。
 バルスキルスの定理を解き、我々の悲願を達成するためには、
 彼女の知識を解析する必要がありますからね… クックック…」
ことみ「朋也くん… さよならなの…」
朋也「貴様ら… う… ぐ…うおああああああああああああああ!!!」
ズゴゴゴッゴゴゴゴ…
直幸「な、何!?」
ことみ「こ、この力は…! 朋也くん…私と、同じ…?」
朋也「イッヒ・ナーメ・イスト・ドゥラ・イーモン… 冥界より来たりし凍てつく吹雪よ、
 我が剣となりて敵を滅ぼせ…」
直幸「ば、馬鹿な! なぜ、ただの人間がこの技を! 貴様、まさか――!」
朋也「知る必要はない… お前はやりすぎた。そのことを地獄で後悔しろ!
 『エターナルフォースブリザード』ッ!!!!!!!!!!」

『エターナルフォースブリザード』
一瞬で相手の周囲の大気ごと氷結させる
相手は死ぬ。
252クラナド戦記第129話
◆病院
001 岡崎朋也 所持品:なし
欠番 いちのせことみ/負傷 所持品:多数の武器、『ディー・ガイゲ・デア・ツァイト』
欠番 岡崎直幸 死亡