ToHeart2 SS専用スレ 11

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502名無しさんだよもん
もしくはTH1の主人公だな(名前忘れた)
503名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 00:02:19 ID:gAc6Sx1P0
>>497
前編の方で批評OKってあったので素直な感想を。

物語性あって読む人が読めば面白いものなんでしょうけど
個人的にSSには原作で満ち足りなかったキャラの掛け合いみたいなものを求める人なので
ちょっと物足りなさを感じたりもしました。
どっちかというとなんかささらSSってよりも貴明SSを読んでる気分かなって。
貴明ヒロイン。

そういうストーリーなんだからしょうがないんだけど、ささらと貴明の接触が少なすぎたのもちょっと寂しいですね。
ささらシナリオで再三再四にわたって言われた貴明へたれは、それにやきもきしたささらがいろんな行動を起こすきっかになり
そういうささらと貴明のやり取りを見てにやにやするからまだ我慢できたけど
このSSだとそういうのがほとんどなくひたすら勘違いと自己嫌悪で突っ走るだけで
悪い言い方をすると、ささらシナリオのいらいらするところだけをぎゅっと凝縮したような……。
読後感がちょっとすっきりしないかなって部分もあります。

いちゃいちゃほのぼのが好きというフィルターもあって否定的な意見ばかりになってしまってるけど
決してこの作品を叩くだとか貶めるとかそういう意図の発言ではないことを理解いただけると助かります。
こういう書き込みしておいてあれだけど、このせいでスレが荒れたりするの俺としても本意ではないですから。

キャラのトレースはとても上手だったので他の話を書かれるのは純粋に楽しみです。
504名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 00:06:33 ID:12tGhb2X0
(貴明+雄二)/2=イイカンジ?

だれかこのアグレッシブ貴明でSS書いて…
俺は昔一度別のネタでSS書いて悶絶という過去があるため書けません…
505名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 00:12:23 ID:xOFmqLG60
いや、同学年のシナリオなら貴明はそんなにへたれじゃないぞ。
愛佳、由真、花梨、優季あたりの感じの貴明なら結構アグレッシブだと思う。
もしくはささらの入学式までの貴明とか。
506名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 00:16:03 ID:n0YgTW4/0
確かに新学期辺りからタカ棒オカシクなってきたよなぁ

なんかるーの作為を感じる。
507名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 00:19:02 ID:C7Lz5uku0
雄二と郁乃のカプのSSって結構多いね。
508名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 00:20:12 ID:YuZ7D+be0
余り者同士くっつけるってのはどの作品のSSでも結構あるよ
509名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 00:21:20 ID:X1uTK1Iw0
そもそもヘタレにする必要はあったのか?
書きたいシーンを入れるためにやったとしか思えないが
510名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 00:23:08 ID:xOFmqLG60
シナリオライターが何人もいるからそのせいだと思う。
明らかにヘタレなのかいてるやつも居れば、気持ちいいキャラにしてるやつもいる。
511名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 00:24:48 ID:12tGhb2X0
ぶっちゃけ話の寸がたらないから貴明をヘタレにしただけにしか見えない…
ていうか自分から委員長を交代してもらって、委員会であんな提案をすることができるのに
副会長ができないのがおかしい希ガス
512名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 00:25:10 ID:unCNROY00
由真とか花梨のときはホントアグレッシブだよな。
いや、優季の場合、夜に数度会っただけで肉体関係持っちゃうほど積極的だし。
513名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 00:26:41 ID:xOFmqLG60
話の長さは、あのヘタレ抜かしてささらの両親の話だけにすれば
丁度他のキャラと同じぐらいだと思うが。明らかにどっちかがいらんと思う。
514些細なすれ違い 大きな勘違い エピローグ1:2006/01/15(日) 00:34:50 ID:xOFmqLG60
「じゃああの人は…」
「ええ、女の人よ」
「…ほんっっっとうにくだらないことが原因だったんだな。あの時普通に話しかけてれば、何も無かったんじゃないか」
私は、貴明さんへのクリスマスプレゼントとして、マフラーを編もうと思っていた。
そのとき私に編み方を教えてくれた人は、格好も見た目も男っぽい…というかボーイッシュというか。
とにかく、女の子っぽい男の人だと思われることが多いぐらい、男っぽい人だった。
後姿だけ見たなら、完璧に男の人だと思うだろう。
「はぁ…あの時の俺に言いたい。それは勘違いだからそのまま会いに行けって」
「ふふふ……でも、そのおかげで貴明さんともっと仲良くなれたわ」
「怪我の功名といえないことも無いけど…もっと違う方法で仲良くなりたかった」
あの後のことは、貴明さんにとって思い出したくないことだろう。
血相変えて飛び込んできたご両親に泣かれたり怒られたり、学校に戻ってからも
いろんな人に怒られたらしい。まあ心配かけたから仕方ないし、これに懲りてくれれば、とも思う。
「ま、あれは俺が悪かったし仕方ないんだけどさ…」
「それに、自分が色んな人に好かれてるって分かったでしょ?」
「確かに」
「貴明さん、本当に多くの人に好かれてるんだから。妬けちゃうわ」
「…頼むから、そのことは言わないでくれ」
515些細なすれ違い 大きな勘違い エピローグ2:2006/01/15(日) 00:37:11 ID:xOFmqLG60
あの後、貴明さんは少なくとも5人もの人から告白されたらしい。みんな
『自殺するぐらいなら、私が傍に居てあげるから!久寿川先輩は傍に居ないでしょ?
寂しかったら、遠くに居る彼女のことなんて忘れて私と付き合わない?』
みたいなことを言ったらしい。ちなみに、全部環さんが教えてくれた。
全く油断も隙も無いんだから!
「ちゃんと断ったんだから、いいじゃないか」
「環さんによると『中々断れなくて、おろおろしてた』って」
「そ、それは…返事を後にすればもっと傷つけるのは分かってたけど、
自分を好きだって言ってくれる人の告白を断るのって難しくて…」
「ふんだっ!」
貴明さんは、人の好意に弱いところがある。人に嫌われたくないということは、
裏を返せば愛情に飢えているとも言える。だからこそ、断りづらかったのだろう。
それは分かる。だが…
「ある人には、キスまでされてたらしいじゃない?」
「あ、あれは俺からやったわけじゃないし、すぐに振りほどいたって何回も言ったじゃないか!」
私が拗ねた振りをしていると、ぶつぶつと「ささらがこんなに嫉妬深いなんて…」
とか「あれは俺のせいじゃないのに…」何て言ってるのが聞こえる。
「うふふ…いいわ、浮気は許してあげる。でも、最後には私のところには帰ってこないと
駄目なんだからね?」
「わ、分かった。って俺は浮気なんてしてないって!」
「分かってるわ。しっかりしてね、未来の旦那様!」
こんな日常がいつまでも続くように。私は、そんなことを考えながら貴明さんの腕に抱きついた。
516些細なすれ違い 大きな勘違い 作者:2006/01/15(日) 00:41:05 ID:xOFmqLG60
終わったー。

>>503
感想ありがとうございます。私自身もツンデレのデレの部分が好きな人なので、正直
書いてて辛かったです。

これで本当にお終いです。今度書くときは、もっとほんわかした話を書きたい…と思うのですが、
長編でほんわかしてるとすぐネタが尽きるのでそれも難しいような気がします。
次ここに書き込むときは、もっと成長していい作品をかけるようになりたいです。
517名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 00:48:17 ID:C7Lz5uku0
>>508
なんていうかあれなんだよ、俺のコスモが納得しない。
518名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 01:01:26 ID:+X9qtZv/0
>>507
郁乃を貴明とくっつけようと思ったら修羅場決定だからな。
それは委員チョ好きが納得せんだろう。だったら雄二とくっついた方がマシ。
でも雄二は好きなキャラだから悪くはないんだけど、貴明とのカプSSの方がいいかなw
519名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 01:01:31 ID:12tGhb2X0
>>517
小牧姉妹の姉妹丼なら納得したり…?

いくのんはいいツンデレ
520名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 01:03:24 ID:YuZ7D+be0
そもそも無理にくっつける必要はないと思うんだ

>>517
それはよくわかる
521名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 01:04:16 ID:p3pcP9/bO
このみ「…えいえんはあるよ」
鈍い光をたたえる刃渡り30cmは在ろうかという長大な包丁を手にゆっくりとこちらに歩み寄るこのみ。
焦点の定まらない虚ろな瞳で口元だけ笑顔を作る。
このみ「ここにあるよッッ!!!」
右手の得物を一直線に心臓めがけて突き出す。
ガチッ!
このみ「!!??」
しかし包丁は目標に到達する事はなかった。
貴明は自由にならない両手の代わりに足の親指と人指し指で刃先を掴むと、合気の要領でこのみを投げ飛ばす。
このみ「ぐっ!!」
地面に頭から激突し、額から大量の血が噴き出る。
貴明「…どっちが速いか勝負や」
床に包丁を突き刺し、半歩下がる。
このみ「きっ!」
その包丁に手を伸ばすこのみ。しかし、一足先に貴明の足が包丁を掴む。
貴明「惜しかったのう!!」
ズバズバ!
このみのがら空きの額に斬りつける。
貴明「まだまだや…」
貴明は包丁で器用に縄を切ると、このみの髪を掴み部屋の外に出る。
貴明「これが地獄の一丁目じゃ!」
このみの頭を掴んだまま一階へ飛び降りる。
522名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 01:05:37 ID:xOFmqLG60
別に愛佳と仲良くなってなくても郁乃の手術は成功するんだし、
雄二END後でくっつく話にすればいいだけな気もする。アグレッシブ貴明なら、
色々世話焼いたりしそうだし。それなら、あんまり不自然じゃないし修羅場にもならんと思う
523名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 01:06:28 ID:p3pcP9/bO
>>504
つ【アグレッシブ貴明】
524名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 01:14:48 ID:4CPC226E0
まああまった郁乃と雄二をくっつければ問題ないと
相性よさげな気がするんだけど
525名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 01:16:25 ID:C7Lz5uku0
無理に貴明とくっつけなくても良いんだが、なんていうか雄二と郁乃がくっついてるSSを見ると
俺の小宇宙が崩壊しそうになるんだよ。雄二は好きなキャラなんだけどね。
でもやっぱり貴明とのカプがいいw

>>519
姉妹丼はちょっとねw展開が不自然じゃなければ良いと思うけど。

>>522
ぜひに。
526522:2006/01/15(日) 01:20:46 ID:xOFmqLG60
>>525
私に書けってことですか!?
まあ、書いてみたら結構面白そうですけど。でも典型的なツンデレシナリオ
しか書けない気もする。
527名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 01:22:47 ID:5suREqVO0
>>526
そこをなんとか。貴方ならできる!
528名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 01:23:43 ID:eRb2B3Qp0
ヤオイ女のカップル派閥論争みたいだな
529名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 01:24:26 ID:12tGhb2X0
典型的で大いに結構!
530名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 01:26:56 ID:C7Lz5uku0
>>526
成せば成る!お願いします!
>>528
あいやー。すまなかったアルヨ。
531名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 01:31:08 ID:6WKrn66n0
>>522
貴方なら、貴明×郁乃×雄二の3Pにしてくれると信じています。
532名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 01:37:21 ID:+X9qtZv/0
病み上がりなのにあんまり無理させんなよw
533名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 04:08:07 ID:+GIdqkIP0
>>522
雄二END後でくっつく話にすればいいだけな気もする。
それが確かに一番穏便だろうね。
ただ、入院中の郁乃を攻略するルートと元気になった郁乃を攻略するルート
では俺的には意味が違うなあ。
いや、元気な郁乃だって魅力的だけどさ・・・
534名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 04:34:46 ID:tQWajHYX0
>>516
長い間乙ですー
個人的には「ふんだっ!」のところは「バカ…」の方が良かったかも
次回作待ってますよー
535名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 08:27:54 ID:n0YgTW4/0
>>525
コスモは納得させたり崩壊したりするもんじゃない。
アレは燃やすものだ。

つまり、おまいが書けば問題無し
536名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 09:35:57 ID:RO0YUhve0
プロジェクト【アグレッシブ貴明】始動だな
ちょっくら考えてくるわ
537522:2006/01/15(日) 10:02:25 ID:xOFmqLG60
>>533
入院中郁乃攻略は、もう書かれてる方がいますし、二番煎じっぽくなっちゃうので…
というわけで4話までのプロットは考えた。1話は今日中に出せると思います。
538名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 10:06:09 ID:h70pA39N0
>>537
期待しとるよ。
539素直になれない女の子との日々 一話1/7:2006/01/15(日) 11:29:07 ID:xOFmqLG60
「今日は久しぶりに静かだな」
一人で登校するのなんて、一体何ヶ月ぶりだろう。というか、今まで無かったかもしれない。
タマ姉と雄二は親戚に不幸があったらしく、明日まで家に居ない。
このみはこのみで新しい環境に疲れたのか、風邪を引いてしまったらしい。
たとえ今日の午後に具合が良くなっても、春夏さんのことだから明日も休ませるだろう。
つまり今日と明日、二日間だけの静かな登校ってことになる。
「たまには、静かなのもいいな」
これが毎日なら寂しいんだろうけど、人間ってのは贅沢な生き物だ。
いくら楽しいことでも、それが日常的なものになると飽きてくる。浮気とか不倫をする人は、
きっとその日常に何か清涼剤を求めているに違いない…
何か別のことに求めろよ、と思わないでもないが。
何でこんなことを思ったかと言えば、このみのお父さんがキャバクラに行ったとか
行かないとかで、春夏さんにめちゃくちゃ怒られた、という話をこのみから聞いたからだ。
何もキャバクラ行ったぐらいでそんなに怒らなくても…と思うのは俺だけだろうか。
このみのお父さんは自衛隊員で、出張も多いし家に帰れないこともざらだ。
ストレス溜って当然だと思うんだが…何せ、貰ったお嫁さんは春夏さんだし。
540素直になれない女の子との日々 一話2/7:2006/01/15(日) 11:30:20 ID:xOFmqLG60
などとくだらないことを考えながら坂を歩いていると、見知った後姿を見つけた。
何故か、車椅子を押している。
「小牧さん、おはよう」
「あ、河野くん、おはよう」
「おはようございます」
あまり抑揚の無い声で、車椅子の少女が挨拶をする。
小牧とどういう関係かは分からないが、少し丸みのある、
柔らかい感じのする小牧と違って、何だか棘のある感じの女の子だ。
「紹介するね。私の妹で、郁乃って言うの。今まで入院してたんだけど、
手術が成功して良くなったから、今日から一緒に登校できるんだ」
という小牧の顔は、今までに見たことが無いぐらい喜びに満ちていた。
きっと、妹の退院を誰よりも喜んでいるのだろう。
「へぇ…それはおめでとう」
「手術って言っても成功率80%以上のものだし、成功して当たり前だったんだけどね。
お姉ちゃんが一人で心配してただけじゃない」
「あぅー、で、でもー」
「でもじゃないわよ、まったく。親戚中色んなもの持ってくるわ、
お姉ちゃんは泣きそうな顔で心配してるわ、私は難病患者じゃないっつーの。
手術室に入るときなんて、こっちが恥ずかしかったぐらいなんだから」
541素直になれない女の子との日々 一話3/7:2006/01/15(日) 11:31:31 ID:xOFmqLG60
…どうやら、小牧姉妹のイニシアチブを握っているのは妹さんらしい。
棘がありそうだと思ったのは、どうやら間違いじゃ無さそうだ。
小牧の性格を考えると、いつもこんな風にしてやられてる気がする。
姉妹だから大丈夫だろうが、一応止めに入ろう。
「ま、まあまあ。治ったのはいいことだし、心配するのは姉として当然だろ?そこまで言わなくてもいいじゃないか」
「物には限度ってものがあるわ。お姉ちゃんのは、明らかに限度外」
「う、ううっ…」
ああ言えばこう言う…性悪め。少しは素直に人の好意を受け取れないのだろうか。
「好意だって行き過ぎれば悪意とおんなじよ」
「…なんで考えてることが分かった?」
「河野…て言ったっけ?」
「あ、ああ。河野貴明、小牧さんのクラスメイト。どうぞ宜しく」
「私ね、今までまともに眼が見えなかったの。そのせいかは知らないけど、
ちょっとした表情の変化とか見るだけで、人が考えてることが良く分かるようになった」
何か凄い重い話をされてる気がするんだが…雰囲気は全然そんな感じじゃない。
とても、たんたんとしている。
542素直になれない女の子との日々 一話4/7:2006/01/15(日) 11:33:39 ID:xOFmqLG60
「それだけよ。そんな深刻な顔しなくても大丈夫。別に気にしてないから。
それにしても…あんた、思ってること表情に出やすいタイプでしょ?」
「うっ」
「単純」
「い、郁乃!ごめんね、河野くん。この子、いつもこんな調子で…」
「いやいや。俺の周りには、もっと理不尽なのが沢山居るから」
タマ姉とか由真とか。しかし、何で今会ったばかりの女の子にここまで言われなきゃいけないんだ。
さすがの俺もちょっと頭にきた…が、反撃する術も無い。俺、基本的に女の子苦手だし。
そんなことを考えていると、もう校門が見えてきた。その校門を見て、あることを思いつく。
「あのさ、小牧さん」
「どうしたの?」
「今思ったんだが、一年生の教室って二階だよな?」
「そうだけど?」
「小牧の妹さん「郁乃でいいわよ」…えっと、郁乃ちゃん、どうやって運ぶの?」
「…あ」
「……」
考えてないんかい。
それは郁乃ちゃんも同じらしく、口をぽかんと開けた間抜けな顔をしている。
姉妹揃って同じ表情をしているのを見ると、やっぱり姉妹なんだなぁ、と思ってしまった。
ちょっと失礼だけど、思ってしまったものは仕方ない。
543素直になれない女の子との日々 一話5/7:2006/01/15(日) 11:35:27 ID:xOFmqLG60
「…手伝うよ」
「や、一人で大丈夫」
「なわけないでしょ。本もまともに運べない人が、
車椅子を乗った人ごと持ち上げるのなんて絶対無理。一人でうんうん言ってる間に日が暮れるよ」
「ううっ…」
「あんた、良く分かってるじゃない。姉ってさ、こういうところで妙に意地っ張りだよね」
「そうだな。少しは人を頼ったほうがいいぞ」
俺と郁乃ちゃんから集中砲火を受け、小牧はうなだれてこういった。
「じゃあ…お願いします」

「じゃ、持ち上げるよ。1、2の3!」
「んんんー」
結局俺と小牧の二人で持ち上げることになったのだが、小牧の側が全く持ち上がらない。
非力だとは思っていたが、ここまでとは…
「…はぁ」
「んんんー」
郁乃ちゃんのため息の理由が良く分かる。この力で、
一人でどうするつもりだったんだろう。女の子とはいえ、あまりにも非力すぎる。
544素直になれない女の子との日々 一話6/7:2006/01/15(日) 11:36:15 ID:xOFmqLG60
「…小牧さん、車椅子だけならもてる?」
「え?な、何とか持てると思いますけど…」
「仕方ないか…郁乃ちゃん、ちょっとだけ我慢してね」
「えっ?うわっ!?」
郁乃ちゃんを抱きかかえる。俗に言うお姫様抱っこというやつだ。
「な、何すんのよスケベ!とっとと降ろしてよ!」
「こうでもしないと、永遠に階段上がれないだろう…小牧さん、行こう」
「えっ?う、うん」
落ち着いている振りをしているが、心臓はばくばくいってる。
は、早く行かないと心臓に悪い。さっきから、何人もの生徒が好機の目でこっちを見てるし。
「……」
郁乃ちゃんもしばらく暴れていたが、抵抗しても無駄と悟ったのか大人しくなった。
人のことは言えないが、顔は真っ赤だ。
「しかし…軽いな」
普段からこのみに抱きつかれていて、このみも軽いと思っていた。
だが、郁乃ちゃんはそれ以上に軽い。それだけ、入院生活が長かったということだろう。

545素直になれない女の子との日々 一話7/7:2006/01/15(日) 11:38:58 ID:xOFmqLG60
「…それはいやみ?それとも、本心からそう言ってんの?」
「あ、ごめん。いやみで言ったつもりじゃなくて…」
「…っぷ。あんた、姉と同じぐらいからかいやすいわね。
分かってるわよ。あんたみたいなお人よしが、人にいやみ言えるわけ無いもんね」
「ぐっ」
いっそこのまま階段の下に捨ててしまおうかとも一瞬思ったが、
そんなことは出来るはずも無く、結局二階まで運びきった。
「河野くん、ありがとう」
「いやいや」
「ほら、郁乃も。ちゃんとお礼言いなさい」
「別にやってくれって頼んだわけじゃないし」
「もう、郁乃!」
「いいよ、小牧さん。別にお礼が聞きたくてやったわけじゃないし」
さらに謝ろうとする小牧を止めて、自分達の教室に向かおうとしたとき
「…ありがと」
聞こえるか聞こえないかぎりぎりのところだったが、郁乃ちゃんの声が聞こえた。
不覚にも、その素直じゃないところが少し可愛いなーと思ってしまった自分が居た。
ずっと続いていくと思っていた退屈な日々とは、どうやらお別れらしい。
これからどうなるのかは分からないが、今までとは明らかに違う日々の始まりに、
俺は少し胸をときめかせていた。
546素直になれない女の子との日々 作者:2006/01/15(日) 11:42:33 ID:xOFmqLG60
一話です。見事にお約束なものしか書けなかった気がします。

ID見りゃ一発ですが、522及び些細な〜の作者です。
郁乃は全く書いたこと無い上にシナリオでの登場シーンが少ないので、自分なりの解釈での
郁乃を書いて行きたいと思います。こんなの郁乃じゃない!と思った方は是非ご指摘ください。

一つ質問ですが、郁乃って貴明のことなんて呼んでましたっけ?お兄ちゃん以外で。
それが分からなかったので、今回の呼び方があんたばっかりになってしまいました。
是非教えてください。TH2呼び方相関図にも書いてなかったので…
547名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 11:54:37 ID:Qg+jFLMi0
>>546
作者さん本人も言っているようにとりあえずはお約束って感じでさわりの部分ですね。
今後の展開に期待してます。

呼称についてはゲームじゃきちんと呼んでた覚えがないし、その辺も含めて自分の価値観でいいと思いますよ。
548名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 13:00:46 ID:RnMgXkFI0
「ミルファ、ようやく君のボディが完成するよ」
 長瀬のおじさんからの嬉しい知らせ。
 イルファ姉さんに続いて、私の専用ボディが完成した。
「ん? 胸はちゃんと大きくしたかって? あはは……ちゃんと設計部門にはそう伝えておいたから大丈夫だ」
 貴明に会える。
 長瀬のおじさんに我が儘を言って、スケジュールの大幅遅延をさせてまで貴明のために大きくした胸。
 貴明、喜んでくれるかな。
 ようやく、このクマのぬいぐるみのボディともおさらばだ。

「大変です! HMX-17bのボディが何者かに破壊されて……」
「なんだって!?」
 私は走り出す長瀬のおじさんの腕にしがみついて、私のボディがあるという部屋に向かった。

「なんて酷い………」
 長瀬のおじさんは言葉を失っていた。
 私の体になるはずだったそれは、表面の肌を鋭利な刃物でずたずたに切り裂かれ、何かで殴りつけたようにあちこちが陥没し、
 可愛らしかったはずの顔はボディから頭ごと引きちぎられ無惨にも陥没してしまっていた。
「誰が、こんな事を……」
 私も長瀬のおじさんも、ただそれを呆然と見つめるだけだった。

「あら、ミルファちゃん。 これ、ミルファちゃんのボディになるはずだったんだよね……残念だったね」
 来栖大の学生で、彼氏と一緒によく遊びに来る神岸さんだ。
 彼女は、私をひょいと持ち上げ優しく抱いてくれた。
 この人は、私になぜか優しくしてくれるから好きだ。

「ミルファちゃんはこのままでも十分かわいいよ」
 神岸さんはそう言ってずっと私を抱いて撫でてくれていた。
(おしまい)
549名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 13:41:35 ID:fWgMGDWfO
あかり酷い・・・
550名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 13:48:07 ID:unCNROY00
黒……
551名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 13:59:30 ID:2Vaqgt6e0
……あぁ、そういやあかりってクマ好きだったな。
552名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 15:34:29 ID:p3pcP9/bO
(´・(ェ)・`)私の体…
553名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 15:55:51 ID:+GIdqkIP0
>>522
郁乃SS乙です。
貴明の呼ばれ方・・・・
どちらかといえば「あんた」という呼び方が一般的かな・・・
「お兄ちゃん」は猫かぶりな言い方だったし。
でも、きちんとは決まってないと考えるのが妥当なのでは?
554名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 16:18:46 ID:x70MOFPC0
郁乃はツンデレだから
555名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 16:19:41 ID:uSvZvV8A0
デレ一切ないやんけ
556名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 17:19:03 ID:C7Lz5uku0
>>546
乙です。呼び方はとりあえずあんたでいいのでは。
557名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 17:23:19 ID:+X9qtZv/0
出会い方によると思うんだけどなあ。>郁乃の呼び方
本編じゃ貴明は姉の彼氏で、シスコン妹として軽い敵意みたいなものはあっただろうけど
彼氏じゃない「初対面の姉のクラスメイト」をいきなりあんた呼ばわりするか?
姉が河野くんって呼んでるなら、無難に河野先輩とか河野さんとかじゃね?
そういう意味で、>>546の郁乃は単なる礼儀知らずっぽく見えて微妙だなーと思った。
賢い子だし、礼儀知らずではないんじゃないかな。
558名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 17:35:12 ID:GdkTpxNi0
>546
とりあえづ気になった点にツッコミ入れると
一年は三階だ
559名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 18:47:25 ID:qThs7+6v0
>>555
貴明に「お前、お姉ちゃん子だろ」て言われた時に照れてなかったか?
560名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 19:05:02 ID:RnMgXkFI0
そういえば、郁乃の声優さんってカレカノに出てなかった?
561558:2006/01/15(日) 19:19:10 ID:GdkTpxNi0
…あれ,三階じゃなかったっけか
どうも俺の勘違いっぽい
スレ汚しスマソorz
562名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 20:02:06 ID:4g9Cqh3d0
>558 = 561
 合ってるよ。ささりゅんシナリオ。

> そういえば、ハンカチは……と。
> たぶんカバンの中か。めんどくさいな。1年生の教室は3階にあるから。
> そう、この学校は上から1、2、3。要するに「若いもんが苦労しろ」ってことだ。
563名無しさんだよもん:2006/01/16(月) 02:19:26 ID:sC8sxVYCO
河野家河野家河野家河野家マダー?
564名無しさんだよもん:2006/01/16(月) 06:27:37 ID:rP4hsflS0
>546
もうちょっと練ってから書いたほうがいい希ガス
ささらのもなんだか行き当たりばったりで迷走したままってかその場の勢いで突っ走った感じだったし
せっかくいい文書けるのにもったいない
565名無しさんだよもん:2006/01/16(月) 07:38:26 ID:KgyLsbDk0
>>560
出てない
566名無しさんだよもん:2006/01/16(月) 08:42:13 ID:SaNLyywA0
河野家が読みたいでござるよ!
567河野家にようこそ 第40話(1/9):2006/01/16(月) 20:28:27 ID:A9n+cT9Y0
「男なら、ガツンといけ!」雄二のこの助言を、俺は曲解してしまった。
 勢いに任せて由真と優季を怒鳴り、由真は俺の顔を腫らしたことを詫びてくれたものの、優季は
頑なに自分の非を認めようとはせず、あまつさえ他のみんなは邪魔だなどと言いだした。そして俺
は、そんな優季を思わず叩いてしまった。
 鼻血を出し、泣き出す優季。みんなに責められるのは当然のことで、俺は自分のしでかしたこと
を悔やみながら、またす巻きにされて居間のソファーで寝ることになった。
 そんな俺の前に優季と由真が。叩いたことを謝ろうとした俺に優季は、叩かれたのは自分のせい、
泣いたのは鼻血を出してるのを俺に見られて恥ずかしかったからと言ってくれた。
 そして優季は、俺が初めて叩いた女の子が自分であることが嬉しいなどと言い、その後何故か由真
は俺を自由の身にし、喧嘩両成敗だから自分も叩けと俺に言う。俺は叩く代わりに由真の顔で遊ば
せてもらい、優季と同じく恥ずかしい目にあったから両成敗完了とした。由真は納得してないみたい
だったけどね。

 夜が明けて朝になり、さて朝食、なのだが……
「どうしたのタカ坊、箸が進んでいないようだけど? それに由真と優季も?」
「い、いや、別に……」
 朝食に文句があるワケでは決してない。けど、正直言って食欲など全くない。
 優季が作ってくれた夜食の焼きそば、おいしかったなぁ。けど優季ったらやたら上機嫌だったせい
か、食べるのは三人なのに何故か六人前も作っちゃって……。
 でも、その時俺は確かに空腹だったし、それに、この焼きそばを三人で食べることがとても大事な
ことのように思えて、俺は気合いを入れ、その大半を平らげてみせたのだ。
 こんなことをして翌朝すぐに腹が空くワケなどない。けど俺はあくまで、夕食抜きの罰を受けた身。
ここで食わねば疑われてしまう。
「い、いただきます」
568河野家にようこそ 第40話(2/9):2006/01/16(月) 20:29:29 ID:A9n+cT9Y0
 進まない箸を何とか進めようとする俺。だが――
「す、済みません。私、朝ご飯はもういいです。
 実は昨日の晩、夜食を作って食べちゃったせいでお腹いっぱいで……」
「あ、あたしも優季に付き合っちゃったからお腹いっぱいなんです!」
 あ! 優季と由真、自分たちだけずるいぞ!
「ふぅん、そうだったんだ。
 で、食べたのは優季と由真だけ? まさか、タカ坊にも食べさせた、なんてことはないわよね?」
 何故か楽しげにそう尋ねるタマ姉。くそっ、さてはタマ姉、俺も食べたって気付いてるな。
「え、ええ、貴明さんには食べさせていませんよ」
「そ、そうそう、そうだよね。たかあきったら恨めしげな目であたしたち見てたけど、仕方がない
よね、罰なんだから」
「じゃあタカ坊は昨日の晩から何も食べていないんだから、お腹ペコペコなハズよね。
 どうしたのタカ坊? もう食べていいんだから、遠慮しないでどんどん食べなさい」
 た、タマ姉は鬼だ……。

「なにぃっ!? 優季ちゃんを叩いただと!?」
 相談した以上は結果を報せるのは当然のことで、学校への途中、いつものように雄二と合流した際、
俺は雄二に昨日のことを話した。
「貴明、お前なぁ、確かに『ガツンといけ』とは言ったが、それって叩けって意味じゃ――」
「分かってる。自分の馬鹿さ加減には、我ながらほとほと呆れてるよ。
 それにあんな後味の悪さはもう沢山だ。俺は金輪際、女の子には手を上げない」
「ちゃんと反省したんだね、たかちゃん。それでいいんよ。
 女の子は脆く壊れやすいガラス細工なんだから、優しく大事にしてくれなくちゃ」
「度が過ぎた暴力は問題だけど、相手を正すためには時には手を上げることも必要よ」
569河野家にようこそ 第40話(3/9):2006/01/16(月) 20:30:18 ID:A9n+cT9Y0
 花梨の言葉にタマ姉が反論。まぁタマ姉の場合、もっぱら雄二相手に実践してるからね。
「けどもうこりごりだよ。弱虫って言われてもいい。俺にはもう出来ない」
「まぁ昨日の今日だからね、今はそれでいいわ。けれど、私としてはタカ坊にはもう少しだけ強く
なってほしいかな。
 相手の痛みを理解して、それでも相手のことを思い、叩ける。そんな男になってほしいわ」
「私もそう思います。少なくとも私は、貴明さんに叩かれてよかったって思ってますよ。
 これからも、私が間違っていたら遠慮なく叱って下さいね」
「優季……」
 微笑む優季。でも俺の気持ちはまだ複雑で……

「たかあきくん」
 休み時間。愛佳が話しかけてきた。
「どうしたんですか? 朝から何か考え込んでるみたいでしたけど」
「うん――」
「やっぱり、優季さんのことですか?」
 俺が優季を叩いたことは愛佳も既に知っている。いつもの通りに校門の前で合流した際、『河野家
メンバーズの中では隠し事はナシだかんね!』と言い、花梨が愛佳、郁乃、珊瑚ちゃんにも話した
のだ。その時の三人の驚きようと言ったら。郁乃に至っては『遂に本性を現したのね、この野蛮人!
 最低男!』とキツイお言葉まで下さったし。
「あの、もしかして郁乃のこと、怒ってます? ごめんなさい、郁乃ったら――」
「いや、いいんだ。確かに女の子を叩くなんて最低男のすることだから。でもなぁ……」
「でも、なんですか?」
「でも、それなのに叩かれた優季は気にしてないどころか、かえって嬉しがってるみたいで、何で
そんな気持ちになれるのかがよく分からないんだよなぁ……」
570河野家にようこそ 第40話(4/9):2006/01/16(月) 20:31:11 ID:A9n+cT9Y0
 ため息をついて、机に突っ伏す俺。
「……なんとなく、優季さんの気持ち、分かるかも知れません」
「え?」
「たかあきくんは、優季さんが憎くて叩いたんですか? 違いますよね。たかあきくんは優季さんが
間違っているのを分かってほしくて、でも言葉じゃ伝わらなくて、他にやりようがなかったから、
優季さんを叩いたんでしょ? それが優季さんにも伝わったんですよ」
「けど、やっぱり叩いたのは間違いだと思うんだ。どうしたって、この罪悪感は消えない――」
「たかあきくんは優しいから、自分を責めちゃうんですね。他にやり方があったはず、ううん、時間
をかけて説得すれば、きっと優季さんも分かってくれたはず。そう思っていませんか?
 でも、言葉は万能じゃないんです。その人が心を何かに囚われていると、どんな言葉も届かない。
逆に、その言葉がその人を余計に悪い方に追い込んでしまう。そういうことって、あるんですよ……。
 確かに暴力はいけないことです。でも、一番大切なのは、相手を思いやる気持ち。たかあきくんは
優季さんのために叩いて、その気持ちが優季さんにも届いた。そう言うことなんですよ、きっと」
 愛佳は突っ伏したままの俺の前にしゃがみ、俺の顔を見て、
「たかあきくん、もしあたしが悪いことしたら、ちゃんと叱ってくれますか?」
「愛佳が、悪いこと? うーん……、つまみ食いとか?」
「な、なんでつまみ食いなんですかぁ〜! あたしって言ったらすぐそれなんだからぁ〜!
 い、いいですよーだ! じゃああたし、これからもっと悪いことしますから!」
 愛佳は不意に立ち上がり、何故か俺のカバンを取り上げた。そしてカバンを開けて、中から取り
出したのは数学の教科書。
「つ、次の授業は数学だから、これがないとたかあきくん、先生に叱られちゃうね! 大弱りね!
 ど、どこに隠しちゃおうかな〜?」
「え? ちょ、ちょっと愛佳、本気?」
「ええ、本気も本気、大本気ですのよ〜!」
571河野家にようこそ 第40話(5/9):2006/01/16(月) 20:31:54 ID:A9n+cT9Y0
 教科書を手にしたまま、愛佳が離れていく。
「こ、こら! 冗談やめろって」
 慌てて立ち上がり、愛佳を追いかける。
「冗談じゃありませんのよ〜!」
 走って逃げる愛佳。
「こら、返せって!」
「やーですよー!」
「返せってば!」
「やーなのよー!」
 教室内を、走る愛佳。追う俺。
 ドタバタ、ドタバタ……
 と、不意に我に返る。すると、当然のごとく教室中の目は俺たちに釘付けなワケで……
「ラブラブだ」
「ラブラブよ」
「ラブラブね」
「ラブラブ?」
「ハーレム河野死ね!」
 ……う、うぇえ、は、恥ずかしぃ……。
「……え? え!?
 あ、あああっ!? ち、違うのコレは! ほ、ほんの冗談なの、ラブラブとかじゃ、そんなのじゃ
ないの! み、みんな、そんなにあたしを見ないでってば〜!!」

「――とまあ、こんな次第で。な、笑えるだろ?」
 昼休みの屋上。俺と愛佳の教室ラブラブ事件は、雄二によってみんなに報されてしまった。
572河野家にようこそ 第40話(6/9):2006/01/16(月) 20:32:47 ID:A9n+cT9Y0
「も、もう止めてよ雄二くん……」
 愛佳が顔を真っ赤にして俯く。でも弁当は食べている。
「恥ずかしいマネしないでよお姉ちゃん。妹のあたしまで恥かくじゃない」
 本気で恥ずかしいらしく、郁乃も顔が赤くなっている。
「ご、ごめんね郁乃」
 ますます俯く愛佳。でも弁当は食べている。
「ところで、タカ坊はどうなの?」
「どうって、何が?」
「何か悩んでたでしょ。多分、優季のことをまだ引きずってるんだと思ったけど。
 愛佳と話して、その悩みは解消したのかって聞いてるの」
「うん……」
 俺は少し考えて、
「正直、優季がどう思ってくれても、俺自身は優季を叩いたことを今でも悔やんでいる。やっぱり
男が女の子を叩くのって、決して正しいことだとは思えないから。
 でも……、うまく言えないけど、こういう風に後々悔やむことになっても、やらなきゃならない
時もあるのかなって思う。人を傷つけるのは決して正しいことじゃないけど、それでも、その人の
ことを思うなら、傷つけないといけない時もあるのかもって思う。
 だけどやっぱり、俺は女の子を叩くのはイヤだよ。だから、もしまた誰かを叱らなければならない
時は、俺は出来る限り、俺の言葉で叱る。思いつく限りの言葉で叱って、相手の言い分も勿論聞いて、
その上で間違ってると思ったことはキチンと間違ってると言って、それでも、どうしても駄目な時、
俺はまた……」
 昨日、優季を叩いた、自分の手のひらを見る。
「俺はまた、この手で叩くかも知れない。でも俺はその時きっと、叩いたことを後で悔やむと思う。
そうやって、悔やむことを覚悟の上で、それでも俺は叩くんだ。その時、必要だと思ったなら。
573河野家にようこそ 第40話(7/9):2006/01/16(月) 20:33:22 ID:A9n+cT9Y0
 ……これが、俺の結論、かな」
 みんなは俺が言い終えるまで、黙って聞いてくれていた。そして、
「うん、わたし、タカくんの言ってること、正しいと思うよ。
 タカくんが優季さんを叩いて、わたしビックリしちゃったけど、お母さんだってわたしが悪いこと
をすれば叩くし、だからタカくんもそれでいいと思う。
 あ、でももしこのみが悪いコトしちゃったら、出来れば優しく叩いてほしい、かな」
「お前を叩くことなんて、きっとないよ、このみ」
 このみの頭を撫でてやる。
「え、えへ〜」
「ま、たかあきにしちゃマトモな結論だね。いいんじゃないのそれで?
 けど、もしたかあきが大した理由もナシに女の子を叩いたら、その時はあたしがあんたを殴るから、
覚悟しておくようにね」
 握り拳を作ってみせる由真。
「ま、まぁ、その時が来ないよう心掛けるよ……」
「安易に暴力に頼らず、言葉による戒めを第一と考える、か。
 実にいい心掛けだぞ、うー。知的生命体はかくあるべきだ。うーのような”うー”がこの星の王と
なれば、”るー”とのコンタクトもそう遠い未来ではないぞ」
「ま、まぁ、王になるつもりは今のところ無いけどな……」
「よかったですね、たかあきくん。それに――
 え? ゆ、優季さん、泣いてるんですか!?」
「え?」
 愛佳の驚く声を聞き、優季の方を見ると――な、泣いてる。
「う……うう、ぐすっ。
 わ、私、自分が恥ずかしいです。貴明さんが最初に叩いた女の子が自分だってことに浮かれて、
574河野家にようこそ 第40話(8/9):2006/01/16(月) 20:34:43 ID:A9n+cT9Y0
貴明さんがこんなにも苦しんでいたなんて気付きもしないで、私は……。
 ほ、本当にごめんなさい貴明さん!
 私、私、もう貴明さんに叩かれるようなことは絶対にしませんから!」
 元々正座でシートに座っていた優季なので、頭を下げたら土下座の姿勢に。
「ゆ、優季、そんなことしないで、顔を上げてくれよ。これは俺の心の問題であって、優季が謝る
必要なんて全然ないんだからさ。ほら、その、人も見てるし……」
 慌てて優季の側に行き、頭を下げながら泣いてる優季を起こす。
「う、うう……、ごめんなさい、貴明さん……ひっく……」
「うん、分かった。分かったからもう泣かないで優季。
 俺、女の子を叩くのもイヤだけど、女の子に泣かれるもイヤだからさ」
 出来ることがこれしか思い浮かばず、優季の頭を優しく撫でる。
「は、はぁい……ぐすっ……」
 返事はしてくれたけど、すぐには泣きやみそうになかった。
「ま、これで本当に一件落着ね。
 でもねタカ坊、これだけは言わせて。叩いたことを悔やんじゃ駄目。女の子を叩いて辛い気持ち
になるのは仕方がないけど、それを悔やむのではなく、その辛さを心に刻むの。そしてそれを糧に
成長なさい、大きな男になりなさい。タカ坊ならそれが出来る、私はそう信じてるから」
「タマ姉……、うん、俺なりに頑張ってみる」
 心に刻んで、糧にしろ、か。まあ、やってみるさ。

 優季が泣きやんだ後、話題を変えることにした。
「そう言えば珊瑚ちゃん、イルファさんは元気にしてる?」
「うん、元気にしとるよ〜。貴明にも会いたい言うてた〜」
「そっか。じゃあその内、会いに行こうかな」
575河野家にようこそ 第40話(9/9):2006/01/16(月) 20:35:26 ID:A9n+cT9Y0
「うん、会ったげて。いっちゃん絶対喜ぶから。
 あ、そう言えばいっちゃん、環たちにも会いたい言うてた。料理のこととか教わりたいって」
「へぇ、じゃあさ」
 俺はチラッと瑠璃ちゃんの方を見る。うん、イルファさんの名前を聞いても、特に変わった様子は
ない。これなら大丈夫そうだ。
「よかったら今度の日曜にでも、イルファさん連れて家に来なよ。休みの日なら俺たちだけじゃなく、
ひょっとしたらちゃるやよっちも遊びに来るかも知れないし。どうせなら大勢の方が楽しいものな」
「うん、そやね。そしたら今度の日曜、いっちゃん連れて貴明の家に遊びに行くな〜」
「うん、楽しみだね、」
 瑠璃ちゃん、と言いそうになったがやめた。焦ることはない、ゆっくり進めていこう。

 学校が終わり、家に帰る。今日は愛佳、郁乃、それに瑠璃ちゃんも夕食に招待できた。
「じゃあわたし、着替えてくるね」
 そう言って、このみは一旦自分の家へ。

 ピンポーン。
 ん? このみが戻ってきた? でも最近このみの奴、呼び鈴なんか押さずに入ってくるのに。
 もしかして他のお客さんか? とりあえず玄関に行ってみよう。
 玄関に行き、ドアを開けると――
「こんばんは、タカくん」
「た、タカくん、お母さんついて来ちゃった……」
 え、なんで、春夏さんが一緒にいるの?

 つづく。
576河野家にようこそ の作者:2006/01/16(月) 20:36:03 ID:A9n+cT9Y0
どうもです。第40話です。
突如河野家にやってきた柚原春夏。果たして彼女の目的は?
次回、河野家にようこそ 第41話
「美人妻は見た!
 男女同棲湯けむりOL特急連続殺人案内 河野家地下埋蔵金の秘密」
にご期待下さい(大嘘
577名無しさんだよもん:2006/01/16(月) 21:04:51 ID:VZcKKkIi0
GJ
578名無しさんだよもん:2006/01/16(月) 21:24:42 ID:IE6KdwOf0
ハァ━━━━━━ ;´Д` ━━━━━━ン!!!!
悪いことをする愛佳がかわいかった、GJ!!
春夏さんメンバー入りか…!?年齢制限が…
579名無しさんだよもん:2006/01/16(月) 21:42:22 ID:LWfoBGPc0
ごくろうさま。
俺春夏さん好きなのでメンバー入りOK
でも妻娘取られた旦那さん切れそうだ
580名無しさんだよもん:2006/01/16(月) 21:43:27 ID:4GlN38iw0
GJ!
だが埋蔵金という言葉をみると
→糸井○里→延期(又は中止)
と不吉な悪寒全開な自分が(ry
581名無しさんだよもん:2006/01/16(月) 22:38:24 ID:aowMIyiU0
どんなに外道・非道と罵られようと、春夏さんルートがないことに
赤っぽい涙と共に悲嘆にくれた俺からすれば、まさに願ったり叶ったりの展開だなw
582名無しさんだよもん:2006/01/17(火) 03:22:37 ID:bp0V8r7s0
「貴明さん、向坂君の言うとおり、
皆一度はその…メードの姿をして……するの?」
「ちょっ、ま、急に何言ってるの!?嘘に決まってるよ!」
突拍子もないことを言われ、同様を隠せない俺。
「でも、まーりゃん先輩も貴明さんが喜んでくれるって…」
「あの二人が言う事は聞いちゃだめ!
それに、ささらもそんな格好したくないでしょ!?」
まーりゃん先輩と雄二の提供した語知恵を排除しなくては…。
「その…わ、私は…貴明さんがして欲しいなら…。
学食のときも、あの格好をすれば貴明さん、私と……してくれるって
まーりゃん先輩が言ったから…」
「ぇ゛……」
マジデすか…。
は…おちつけ、河野貴明!理性を失うな…!
「だから、あんな…その…おっぱいがよく見える服着たのに…
貴明さんなら、触ってもよかったのよ…?」
俺はそこで意識がとんだ。



気付いたら、そこは保健室。
「貴明さん、大丈夫だった?」
涙目で言うささら。
ああ、定番の夢オチか。そうだったのか。そうだよな。
ささらがあんなこと言うはずがない。
「私の…おっぱいのこと考えて倒れちゃうなんて…
貴明さん、そんなに私のおっぱいが好きだったのね…?」
リアルの出来事だったのか!
「ちょっと待った!何でそんな結論に!?」
再び俺は必死に弁解する。
583名無しさんだよもん:2006/01/17(火) 03:28:14 ID:bp0V8r7s0
「私のおっぱい…好きじゃないんだ…」
マ、マズイ…。
「ごめんなさい、ささらのおっぱい大好きです…」
俺は観念したように言う。
「ふふふふ、やはりたかりゃんはさーりゃんのメロンおっぱい大好きっ子
だったんだな!いやらしいやつめ!」
「ま、まーりゃん先輩!?」
突然の乱入者に驚く俺。
そしてとんでもないことを言ってくれた。
「あ、さっきの会話はちゃんと録音してあるから。
学校新聞のトップ記事間違いなしだね」
その言葉を聞いて青ざめる俺。
「そんなことされたら、俺もう学校これなくなります…」
しかしささらはいたって平然として言った。
「貴明さん、大丈夫よ。男の人って、みんなおっぱい好きなんでしょ…?」
「確かにそうかもしれない。だがしかし、それを知られるのは…
人として生きていくうえでは駄目なことなんだああああ」
「ふふふ、人間あるべきままが一番だぞ、たかりゃん」
「ぃゃあああああ!頼みますから本当にやめてくださああああい」
俺があまりにも言うから、ささらが泣きそうな顔になる。
「貴明さん…私のおっぱいが好きって思われるの…迷惑なの…?」
その言葉を聞き、俺はとうとう開き直った。
584名無しさんだよもん:2006/01/17(火) 03:37:54 ID:bp0V8r7s0
「もういいですよ!俺はささらのおっぱい大好きな
おっぱい星人ですよ!」
まーりゃん先輩はニヤリとして言う。
「今のもばっちり録音したぞ〜」
「え゛……」
「じゃぁ、新聞委員会まで届けてくるねー。ばいび〜」
まーりゃん先輩がその日俺達のもとへ戻ってくることはなかった。



翌日、そのことはやはりトップ記事となり、俺がささらのおっぱいが
好きだという恥ずかしい事実は公のものとなり、
以後俺はおっぱい星人と呼ばれるようになってしまった…。
不登校になってもいいですか…orz



「ありがとうございます、まーりゃん先輩」
「ちょっとやりすぎちゃったかな?」
「あれくらいでいいの…」
「ここまでやらなくても、悪い虫はつかないと思うけどね」
「いいの。貴明さんは私のものだから。
「ぉぅぉぅ、物扱いか。しかも所有物。さーりゃんもなかなかやるねぇ」
「―――」
「ぃゃ〜、まさかさーりゃんからが提案したとは思いもよらないだろうね〜
たかりゃんは」
「悪者になってもらっちゃって、ごめんなさい、先輩」
「いいのだいいのだ!あたしはいつでもさーりゃんの味方だぞ!」



【終了】
585名無しさんだよもん:2006/01/17(火) 03:38:52 ID:bp0V8r7s0
現在書いているSSの進行ペースが悪くなってきた
うさばらしにやってしまいましたorz
ごめんなさいorz
586名無しさんだよもん:2006/01/17(火) 03:50:29 ID:FQ/aRj6i0
  _  ∩
( ゚∀゚)彡 おっぱい!おっぱい!
 ⊂彡
587名無しさんだよもん:2006/01/17(火) 04:56:28 ID:mBqV0xqE0
  _  ∩
( ゚∀゚)彡 おっぱい!おっぱい!さーりゃんのメロンおっぱい!
 ⊂彡
588名無しさんだよもん:2006/01/17(火) 12:14:57 ID:w7MKagTCO
おっぱいに大きさを求める様なやつはまだまだ半人前。
玄人はやはり春夏さんの貧ny(ry
589名無しさんだよもん:2006/01/17(火) 12:53:00 ID:mW7u6Qi60
その後588の姿を見た者はいなかったという事である。
590名無しさんだよもん:2006/01/17(火) 13:32:53 ID:DHwVO9Sy0
>>576
遅くなったけど、河野家喜多ーーー!!!
「ラブラブだ」
「ラブラブよ」
「ラブラブね」
「ラブラブ?」
・・・。 縦読み?

愛佳にしては、珍しく長い台詞がありましたが
ちゃんと舌をかまずに読めたのでしょうか?^^;
とりあえず、OL特急がどこから湧いて出てくるのか、楽しみにしてます。
目を覚ます。カーテン越しから見る外はいつもより暗く、気温は夜明け前特有の寒さ。
この寒さと暗さからして、まだ夜明け前か…。早く起きすぎたな。
昨日ささらに朝食は作らなくていいって言われちゃったし、することないなぁ…。
そう思いながら毛布の中で考えている俺。
部屋の中を何気なく見渡す。すると、見覚えのない包装されている大きな荷物が。
いったいなんだ??俺宛の荷物なんだろうか…?
俺は、思い切ってあける。包装を開くと、次は大きなダンボール箱。
そのダンボール箱をあけて中身をみた俺は、心臓が5秒程止まった。
「―――――ッ…」
俺は箱の中身を見て完全にひきつった笑みを向ける。
それもそのはず…なんと中に入っていたものは…
「――――さ…さ…ら…?」
中に入っていたささらは、サンタの衣装をきている。
しかしそれは、髭面の太めの爺さんが着るようなものではなく…。
肩はむき出しで、上着はサイズが小さかったのか胸の少し下までしか覆えていなく、
さらに、ズボンではなく丈がとても短いミニスカート。
隆起している部分や腰のくびれなど、一目で分かるような衣装…。
上下とも布の端に綿をイメージさせるものがついているが、一般的に知られる
サンタの衣装とは、異なったものだった。
「メリークリスマス、貴明さん」
ささらはにっこりしながら言った後、俺の顔を不思議そうに見る。
「貴明さんどうしたの?」
「ナンデソンナカッコシテコンナナカニハイッテタンデスカ…」
俺は驚きのあまり、壊れた機械のように言うことしかできない。
「だって…まーりゃん先輩がこうすると、貴明さんが喜んでくれるって―――」
ま   た   ま   ー   り   ゃ   ん   先   輩   か  
「お、おかしいの?だめなの?この格好…いけなかった?」
俺は、いまだ冷静を取り戻せないでいた。
「ごめん、おかしいのか普通なのか俺には判断できない…ところで…
昨日の夜、ささらの部屋から聞こえたのはやっぱりまーりゃん先輩の声だったんだね?」
ささらが、若干控えめに頷く。
まーりゃん先輩め…。前のスク水メイドといい、今回といい…。
素直なささらを騙しやがって…絶対良い死に方をしないな…つーか、俺がさせない。
俺は倒れそうになるのを必死でこらえながら、そんなことを考えていた。
「貴明さん…それで…い、いまさらだけど…。
本当は、貴明さんが来たときに渡そうと準備していたんだけど…。
私からのプレゼント…もらって…くれる…?」
ささらは、もじもじと俺に問いかけた。
「もちろん。東大の合格通知よりも、ささらのプレゼントのほうがうれしいよ」
「貴明さん…ありがとう…」
そう言って、サンタ衣装(と言えるのか微妙だが)のささらが俺の胸に抱きついてきた。
同じような事の繰り返しだけど…とても大切なものなんだと改めて思った。
半年も離れていた俺達だからこそ、そのことは余計に強く感じられるのだろう。
 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 
「貴明さん…ど…どう?気に入ってくれた?」
ささらがくれたプレゼントはペンダント。
銀色の鎖(といっても、ペンダント用の細いもの)に、
シルバーリングを通したなかなかの一品だった。
俺は、細かくそれをみる。するとリングに、『S.K.』文字が彫ってあった。
SKってささらのことだよな?まさか…ささらの大事な指輪…?
俺が不思議そうな顔をするので、ささらはあわてて説明し始めた。
「貴明さん、日本に戻ってもそれを見て私を思い出して?」
「ありがとう、ささら。肌身離さず持っているよ。」
あ、でも…と俺は続ける。
「イニシャル彫ってあるところ見ると、ささらの大事な指輪なんじゃないの?これ」
「えっと…それなんだけど…」
ささらは俯き、顔を朱色に染めながら話し始めた。
「ほんとは貴明さんのイニシャルにして、私がつけていようと思ったの…。
だけど、やっぱり私が買って私自身がつけるより、貴明さんにつけてもらった
方がいいと思って…」
「なるほど。――じゃあさ、後で俺も同じ物を、俺のイニシャルを彫ってもらって
ささらにプレゼントするよ。この案…どうかな?」
「貴明さん…いいの?」
「もちろん。ささらが良いっていうならね」
「ありがとう…」
俺がはにかんでいると、正面から、くしゅんっという声が。
「とりあえずささら。それ、着替えたほうがいいよ。そのままじゃ、風邪ひくよ?」
「うん…」
 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
「ふー、今日は寒いね。さらに暗い。おかげで、夜明け前におきたかと思ったよ」
「貴明さん、まだ外見てないの?」
「え?外がどうしたの?」
ささらが、リビングのカーテンをあけると―――そこは一面の銀世界。
「雪か…。だから、寒かったのか…」
「雪なんてみるの、久しぶり…。昔は雪が降った時はパパと遊んでいたわ…」
ささらは、少し寂しそうな顔をしながら外を眺めていたが、すぐいつもささらに戻る。
「さ、貴明さん。朝ごはん、食べましょ」
「うん、そうだね。」
俺は席に着き、ささらと向かい合い、ささらと今日の朝ごはん達に向かって
「いただきます」と言った後、朝ごはんを食べる。
しかし、その最中もささらはやはりどこか寂しそうだった。
「ねぇ、ささら。もしよかったら…なんだけど…」
そう言うと、ささらは俺のほうを見た。
「せっかく雪が降ってるんだし、雪だるまでも作らない?」
「え…?」
「あ、いや、別に嫌だったらいいんだけど」
「貴明さん…どうしてそんなに優しいの?」
思わぬ返答に、俺は困る。
「いったいどうしたの?急に」
」「だって…いつも私の事を考えて色々してくれるし、
私のわがままも、貴明さんが断れないってわかっていてする事も全部許してくれる…。
どうして貴明さんはそんなに優しいの?」
「何でだろうね。俺にもわからないよ」
だけど…と俺は続ける。
「やっぱりささらのことが好きだからなんじゃないかな、って思う」
「でも…貴明さんは、皆に優しかったじゃない…」
「う゛…まぁ、たしかにそうだったけどね…。
でも、わざわざNYにまで行くほど会いたいって思う相手は、
ささら以外にはいないよ。このさきもずっと…ね」
それに…とさらに俺は続ける。
「俺は、俺自身がしたいようにしてるだけだよ」
「私いつも不安になるの…。
私ってわがままだし、いじわるだし、ずるいし、
酷いことするときもあるし、人を傷つけちゃうときもあるし、
みんながあんまり好きじゃなさそうな動物が好きだし…。
そんな私が、貴明さんに好きになってもらっていいのか、って…。
貴明さんがこっちに来てくれて、いつも私の事を思って色々してくれる度に、
私なんかがそんなことをしてもらっていいのか、って…。」
俺は、苦笑しながら、答えた。
「たしかさ、宝探しの日の帰りの時にも、同じような事言ってたよね」
「ごめんなさい…でも…」
「俺を信じて、ささら。俺の一番はいまも、これからもささらだって。
ささらが信じてくれないと、俺のいままでしてきたこと、思ってきた
ことまで全部ウソになるから。そうなったら、俺の存在までなかった
ことになるから―――――――――」
「貴明さん、それ…あの時言っていたことと、全く同じよ?」
「はは、わかった?」
「もちろんよ…。忘れるはずがないわ…あの時のことを…」
「俺の気持ちは、あの時と一切変わらない。もちろんこれからも」
「貴明さん…この先も…ずっと信じていい?」
「うん―――」
そう言った後、俺はふき出してしまった。
しかし、ささらはそんな俺の態度にご不満のようだ。
「貴明さん、なんで笑うのよ〜」
「だって、あの時の再現みたいで…ついおかしくてね」
そう言うと、ささらは遠くを見るような目で言ってきた。
「あの時から、私はあなたの事を貴明さんって呼ぶようになったのよね…」
「うん、そうだったね…。そういえばさ、あの場面では言い辛かったから
言えなかったけど、ささら、自分の事は名前で呼ぶように言ったわりには、
俺のこと、すぐ河野さんって言ってたんだよね」
「え…それって本当の事?」
「うん、正真正銘の事実。俺はささらには嘘はつかないって」
「ごめんなさい…」
「いやいや、俺もささらが最初に名前で呼んでくれたときの事、覚えてなかったし
お互い様ってことで。でも、本当にいつ言ったの?」
ささらは、笑顔で俺に言ってきた。
「教えてあげないもん」
トホホ…ホントいつだったんだろ…。
「貴明さん…私、やっぱり貴明さんがいないとダメなの、わからないの。
自分のことも、なにもかも――だから―――私を一人にしないで…」
ささらが2日後の話をしていることは、すぐ分かった。
しかし、俺は答えることはできなかった。どうすればいいのか、自分でもわからなかった。
後2日間…。実質最後の一日はほとんどないから、後1日…か…。
俺は、その残り少ない日数でささらに何をしてあげられるのだろうか。
やはり、明後日に帰らないほうがいいのだろうか…。
でも、いつかは帰らなければならない。
そうすると、結局繰り返しになるのではないか?
どうなるのが一番いいのだろうか。
俺は、残り少ない時間でそれを見出すことができるのだろうか。
否、見出さなければならない。ささらのためにも……俺のためにも…。
「ごめんなさい…。また無理言ったりして…」
ささらの泣き声に我に返る。俺は、今の自分の考えを言った。
「俺もささらの傍にずっといたい。でも、残念だけどそれはできないんだ。
ささらに悲しい思いばかりさせてごめん。…でも、今日含めて後3日間…まぁ
実質2日間だけど、その残り少ない時間、可能な限りささらと楽しい思い出を
作ろうと思うんだ。雪で思いっきり遊んだり、その後プレゼント買ったり、その
ほかにも色々―――」
俺は、そこで一度区切る。
「だから…泣かないで?泣いてるよりも、笑ってるほうが、ずっとずっと楽しいよ」
「うん――うん――」
ささらは、笑ってくれた。
だが、俺の不安…何か起こるのではないか、という胸のざわめきは
2日前のまーりゃん先輩と話して以来、いまだ消えてはいなかった。
 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 
朝食を食べ終わり、雪だるまを作りに家を出る俺達。
ささらが家に鍵をかけて、俺のいる門のほうまで走ってくる。
「きゃっ」
ささらが、庭の雪ですべって体勢を崩した。
「危ない!――――グハッ」
俺は急いで走る…が、俺のほうまで雪で体制を崩される。(グハッはその時の声)
思わぬ事態に体が反応できず、雪に顔面から埋もれる俺。
埋もれている最中に、ささらの声が聞こえた。
「貴明さん、大丈夫?」
「いつつ、大丈夫大丈夫。ささらのほうこそ大丈夫?」
「私は何とか転ばずに済んだけど…」
「そう、それは良かった」
ささらが手をだしてくる。俺はその手を握り、立ち上がる。
「ありがとう――ひやー、冷たい…流石雪だなぁ」
すると、ささらが俺の手を強く握り返してきた。
「もう、危ないから気をつけないと…貴明さんにもしものことがあったら―――
私、きっと耐えられないわ…」
「そんな心配しなくても大丈夫だよ、ささら」
「じゃぁ、心配させないで?」
「ごめんなさい、以後気をつけます…」
「わってくれればいいの」
ささらは俺の答えに納得したのか、笑顔になる。
最近のささらは、少しイジワルになったような…気がする。
まぁ、少しイジワルなささらもとても可愛いから、いいが。
さて、いざ出発!というときに、一番重要な問題にぶち当たり、ささらに聞く。
「で、何処で作る?」
「近くにちょっと大き目の公園があるの。そこがいいと思うんだけど…」
「うい、了解」
ということで、公園を目指して俺達は手をつないだまま歩き出した。
歩いて少したって、第2の難題が。
「誘っておいてあれなんだけど…俺もずっと雪だるまを作ってないんだけど…。
どんなのにする?シンプルに?サイズはどうする?」
俺の問いかけに、ささらはもじもじしながら答える。
「貴明さん、その…もしよかったらなんだけど…その…サンショウウオ…作らない?」
俺は予想外の答えに思わず拍子抜け。
「ダメなの――?ダメ―――?ダメなんだ―――」
【世捨て人モード】のスイッチがオンになりそうになるささらに、俺は慌てて言った。
「待った!ストップ!そうしよう、オオサンショウウオ作ろう!
それ以外にも、カエルやクラゲも作っちゃおう!」
「うんっ!」
ささらは、満面の笑みになって、答えた。
それからしばらく歩いていると、
「あ、貴明さん、見えてきた。あの公園」
そう言って、ささらは進行方向を指差した。
その方向をみると、たしかに、それらしきものが。
「お、あれかー」
「貴明さん早くいきましょ」
「わ、ちょっとまった、危ない、危ないから走りながら手をひっぱらないで〜〜!!」
はしゃいでいるささらに先導さ(半ば強引に引っ張ら)れ、雪道を走る俺。
途中、数回転びそうになるも、なんとか無事公園に到着。
並大抵のジェットコースターよりも怖い思いをした…。
ジェットコースターは安全がとりあえず保障されているが、
今回は安全が全く保障されていない…。実に怖かった。
どうやらウミウシと同様に、雪遊びはささらの精神年齢を
一気に引き下げる何かがあるらしい。
俺は、到着した公園を見渡す。
「うわー、随分広い公園だ…」
その公園は、俺の町にある公園の10倍はありそうだった。
数十人の子供と、その親やカップルやその他の大人達もいたが、
まだ十分過ぎる程スペースが余っていた。
「貴明さん、あのあたりにしましょ」
ささらは笑顔でそう言いながらまた俺の手を引っ張りながら走り出す。
どうやら、喜んでくれているようだ。来たかいがあった。
思わずニヤける俺に向かって、
「貴明さん、もっと早く走ってよ〜」
と、すっかり子供に戻ってしまったささらが俺の腕をさらに引っ張りながら言う。
「わかったから、走らないで〜!危ないからっ!うわっ転ぶ転ぶ転ぶ転ぶ!!」
なんとなく雄二の気持ちが分かった気がした瞬間だった。
 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 
「サンショウウオか…。春休みの時にささらからもらったお土産のぬいぐるみ以来だな。
あれ、いまだに俺の部屋に飾ってあるんだよね」
と、俺は笑いながら言う。
「そういえば、謹慎処分の時、貴明さんの部屋に行ったとき、見たきがする―――。
大事にしてくれてありがと、貴明さん」
「いやいや、乱暴に扱うはずないから」
俺は苦笑しながら言った後、気を取り直す。
「さて、では気合入れてささらが背中に乗れる位のサンショウウオを作ろう!」
「私が乗れるくらい、って…?」
「せっかくだから、それくらいにしようと思って…」
「私が乗ったら、壊れちゃう…」
「壊れないように作るから、大丈夫だよ」
「――最近体重が…」
…その細身でどこに脂肪がつくんですか。
O(倫理的観点から匿名)以外、肉ついてるところなんてないと思いますが。
それとも何?O(倫理学的観点から匿名)を縮ませるつもりですか。
そのままのほうが……って俺のバカバカ!何考えてるんだ!!!
俺は、不純な考えを頭から追い出す。
「大丈夫だよ。全然そんな風に見えないし。ってことで作戦開始!」
「作戦って…?」
「えーっと――まず、雪集めよっか。それから、形を作っていこう」
「わかったわ」
そう言って、俺とささらは雪を集め始める。
そして、ある程度集まったので俺は、ささらにOKサインを出す。
「さて、次は形を作ろう…。俺が尻尾のほうやるから、顔は頼んでいい?」
「うん、任せて、貴明さん」
催眠術なしで幼児退行している(といっても、あの時程ではないが)ささらは、
満面の笑みで快諾。熱心に顔を作り始める。
正直、顔を作れる自信がなかったので、よかった。
流石に顔の細かいところまで普通(ささらは含まない)は覚えてないだろう。
ということで、尻尾を作る俺。
たしか…おたまじゃくしみたいな尻尾をしてた…はず。
俺は、おたまじゃくしの尻尾を想像しながら作っていく。
「ん、んー?あー、…微妙。なかなかうまくいかないなぁ」
俺は何度も作り直す。
「貴明さん、尻尾まだおわらないの?」
「うん、どうも気に入らなくて」
俺は、ささらのほうを向いて言う。
「私が胴体も作っちゃってもいい?」
「うん、いいよ。っていうか、ぜひよろしく」
そう言って、俺は再びしっぽと向き合った。
うまくにょろってならない…。俺の求める尻尾はこんな尻尾じゃないんだ!!
妙に熱くなる俺。しばらく一心不乱に尻尾作りを営む。
お、いい感じいい感じ。これはいいんじゃないかな。
「よし、尻尾完成!」
「貴明さん、もう胴体終わっちゃったわ」
「え…」
ささらに言われてみてみると、既に全ての箇所が完成していた。
だがしかし…。
「うーん、思ったより小さいねぇ。これじゃ、背中に乗っても膝がついちゃうね…
どうする?作り直す?」
「貴明さんが作り直したいなら…」
そう言いつつも、俺がその言葉を言ってくれることを期待しているのは明白だった。
「よし、じゃぁ作り直そうか。こいつは子供。次のは親サンショウウオ」
「うんっ!」
そう言って、再び雪集めから始める俺達。
さっきので足りなかったって事は、相当必要だな…。
俺は子サンショウウオのときに集めた雪の倍以上の雪を集める。
「とりあえずこれでやってみよう。足りなかったら追加で」
ささらはうなずき、承諾した。
同じように二人で雪サンショウウオを作る。
そして結構な時間が過ぎ、無事完成。
子サンショウウオのふたまわり以上ありそうな大きさ。
もはやこれは北海道で催される祭の域に達しそうな芸術作品だった。
「今度はどう?」
「ちょっと待って…」
ささらが、よいしょっと登る。
「大丈夫みたい…」
「うっし、完成!」
「貴明さんも登って?」
「さすがに俺がのったら壊れちゃうよ」
「壊れたらまたつくり直せばいいの。だから、乗って?」
俺は観念して、ささらの後ろに行くように登る。
「意外に壊れないもんだね…。丈夫に作ったかいがあったかな」
そして、ささらの背中越しに前を見る。
空からは雪が。そしてあたりは銀世界。まるで小説の中の世界。
その風景を、俺達はいつもより高い視線でみつめていた。
「綺麗だ…」
「うん、とっても綺麗…」
「いい思い出になった?」
「うん、とってもいい思い出になったわ…。きっと一生忘れない…。」
雪が降りつつも、あたりがだんだん暗くなっていた。
「ねぇ、貴明さん…明日まで…サンショウウオの親子、残ってる…かな…?」
「天気予報では明日も雪だったみたいだし、大丈夫じゃないかな」
「よかった…。貴明さん、もしよかったら明日もここにこない?
今日作れなかった、カエルやクラゲ、作りたい…」
「うん、いいよ。約束したし…作ろうね」
「ありがとう…貴明さん」
「そろそろ帰ろうか。暗くなってきてるし。それに―」
「私のプレゼント、買ってもらわないとね」
ささらは、笑顔で言った。
「その通り。このまま行ってあげたいところなんだけど、財布を置いてきちゃって…」
「あのリングは、商店街のじゃないの。
家の前を一度通らなきゃいけないから、大丈夫よ」
「よかった…。じゃぁ、帰ろうか」
こうして、俺達は公園に雪サンショウウオの親子を残し、帰路についた。
 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 
「お待たせ、行こうか」
財布を持ち、ささらの言うアクセサリーショップに向かう。
「そういえば、文字を彫るとなると、やっぱり数日かかるの?」
「私のときは1日で済んだから、大丈夫だと思うわ」
「よかった、俺の居る間に渡さないと意味ないからね」
俺は笑いながら言う。
「貴明さん、ちゃんと直接渡されないと、受け取らないからね?」
「大丈夫。ちゃんと俺の手で渡すよ」
そんな話をしながら雪道を歩く事数十分。
あの店よ、とささらが指差す先に、小さめのアクセサリーショップが一軒あった。
店の中に入り、お目当てのものを探すささら。
俺はささらの後について、色々みていた。
うえ…一万ドルとか五万万ドルとかあるよ…こんなの買う奴そうはいないだろ…。
「貴明さん、これこれ」
そう言ってささらが指差す先にあるのは、十万ドルの値札。
「え…コレ?…コレナノ…?」
「貴明さん、それじゃないわ。その隣のやつ」
言われて隣を見ると、三百ドルのシルバーリングが。
「これか…。よし、じゃぁ店員さんに頼もう」
丁度きた店員に、スイマセン、と声をかけると、いぶかしげな顔をされた。
「貴明さん、日本語通じないわよ?ここは私にまかせて」
…ここは日本じゃなかったんだった…。かなり素でボケてた。
俺がそんなことを考えているうちに、注文は終わったらしい。
俺は、財布から金額文のお金を出し、渡す。
「やっぱり明日にはできるみたい」
「よかった…あ、銀の鎖も用意しないと」
「それは、家にあるから大丈夫よ」
「そっか…」
「帰りましょ?もうそろそろ、ママも帰ってくるわ」
「あ…夕飯の用意してないね」
ささらも俺に言われて思い出す。
「忘れてたわ…。急いでかえりましょ」
「緊急事態だし、今日は俺も手伝うよ」
「―――。ありがとう、貴明さん。お願いするわ」
ささらは少し考えてから言った。
 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 
「ただいま、ささら、河野君」
ささらのお母さんが帰ってくる。
「おかえりなさい」「おかえり、ママ」
同時に言う俺とささら。
二人の共同作業により、既に夕食の準備は完了済み。
「相変わらず美味しそうね。さすが河野君だわ」
「ちょっと、ママ。私も作ったのよ?」
「ふふ、ちゃんとわかってるわ」
「もう…」
ささらはそう言いながらも、顔は笑っていた。
一日ぶりに三人で席に着き、食事を始める俺達。
ささらも、ささらのお母さんも終始笑顔だった。
その笑顔が見れるのも、残り数日だと思うと、少し切なくなった。
食事や洗い物も終わり、ささらが風呂に入っている。
そのときが、俺とささらのお母さんのささらに聞かれてはまずい話を
する時になるのは、すでに暗黙の了解になっていた。
「河野君、クリスマスの夜はどうだったの?」
「どうだった…といいますと?」
「またまた、とぼけちゃって…」
ニヤリとするささらのお母さんが言いたい事がやっと分かった。
「ないです!ないです!断じてないです!普通に寝ました!」
「あら…残念」
「残念って…普通、そんな事勧めたらまずいですから!」
「あなたを認めているからこそ、こんな事が言えるのよ?」
ささらのお母さんは笑いながら言う。
「認められるのは光栄ですけど……あまりそういうネタは…」
「もしかして…まだ、ささらとは?」
俺は正直に言った。
「いえ、そういうわけではないですけど…でも…やっぱり…」
「一度しちゃってるなら、二度でも三度でも変わらないわよ」
すごいことを堂々と笑っていってみせるささらのお母さん。
「変わりますからっ」
俺がそういうと、廊下のほうから歩いてくる音が。
「ママ、貴明さんとなんの話しをしていたの?」
「ささらと河野君の子供の名前の話よ」
「もう、またそうやって…」
そう言いつつも、ささらの顔は風呂に入って赤くなるそれよりもはるかに赤くなっていた。
 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
ある程度の時間になり、明日もあるのでそろそろ寝ることにした、俺とささら。
毛布をかぶりながら、俺は物思いにふける。
明日でとうとう最終日か…。
雪カエルや雪クラゲを作った後にクリスマスプレゼントを渡す…。
最低限やることは以上だけど、それ以外にも何か思い出になるようなことをしたいなぁ。
そういえば、昨日から頑なに見させないようとしない冷蔵庫の中身はなんなんだ…。
やはり冷蔵庫の中で何か飼っている…?まさかね…。
そこで、俺は今朝に感じた不安が大きくなるのを感じた。
明日か明後日…。何もなければいいんだけどね…。
まぁ、なにがあったとしても、ささらのためならできる限り何でもするつもりだけど…。
まーりゃん先輩は、助けてくれるかな……って最初から頼るつもりでいてはだめだ。
ささら、長年愛されてなかったから、きっと愛に餓えているんだろう…。
だから俺がいなくなるのを恐れている…。
俺がささらがいなくて寂しいっていう気持ちとは異種のものなんだろう。
俺のできることは、ささらをちゃんと愛してあげること…。
それ以外にも――教えてあげること…。
それくらいならきっと俺もできる。

さて、今日はもう寝よう。雪遊びって以外に疲れるもんだな…。
明日にもやらなくちゃいけないし、ちゃんと寝て体力を回復しておかないと。

瞼を閉じると、すぐさま眠りが訪れた。
俺は誘いに身を任せ、ねむりについた――。
608 :2006/01/17(火) 15:44:23 ID:bp0V8r7s0
ふいー、河野家さんの後に2本も駄作な物をうpしてしまいました…orz
今作品ももうそろそろ大詰め…。
一日一日がだんだん長くなってきてる気がしますorz
今回もまた誤字脱字が恐らくあると思いますので、
それの指摘、またそれ以外でも何かあったら
どんどんいってやってくださいませorz
スレ汚し、失礼しましたー。
609名無しさんだよもん:2006/01/17(火) 16:53:43 ID:w7MKagTCO
>>608
自分で駄作やスレ汚しと思っているならうpすりるのはよした方がいいとおもた。
610名無しさんだよもん:2006/01/17(火) 17:09:44 ID:JJdsRp3t0
>>608
謙遜すんなYO!
611名無しさんだよもん:2006/01/17(火) 17:26:08 ID:AtF7yI4nO
>>608
乙。
次回も期待してます
もっと自信持ってくだされ
612名無しさんだよもん:2006/01/17(火) 18:12:18 ID:Dr6K93iI0
>>608
乙です&相変わらずGJでした。
これで駄作と言われるなら俺なんて…orz
613名無しさんだよもん:2006/01/17(火) 18:14:18 ID:xqWJYpeh0
>>608
俺は面白いと思うんだけどなー。
自信もってよ。
614名無しさんだよもん:2006/01/17(火) 18:59:20 ID:C9DftT8T0
自分で書いたものを駄作と卑下して「そんなことない」と言ってもらいたいオーラ
丸出しの書き手と、定型どおりのレスしか返さない、乙かGJしか言わない読み手。

なんだこの馴れ合い。お前らの間には台本でもあるのか?
615名無しさんだよもん:2006/01/17(火) 19:06:55 ID:Uoi78jDd0
>>614
君みたいな奴がいるからスレの雰囲気が悪くなるんだよ!

なんてことは言わんが、純粋に訊ねてみたい。
あなたは、ここのスレに何を求めてるんだろう?
投下作品のレベルアップとかがお望みなの?w
616名無しさんだよもん:2006/01/17(火) 19:15:40 ID:E28rP5kY0
おまいらやめとけって。また虹の時と同じ流れになるぞ。
作者殿も投下はありがたいんだが>>614が言ってるようなマイナス思考の発言はやめた方がいい。
>>614みたいなのが出てきて争いの火種になる。SS投下でSSスレが荒れるのは本末転倒だからな。
617名無しさんだよもん:2006/01/17(火) 19:28:25 ID:LfJvJaOI0
http://pc8.2ch.net/test/read.cgi/gamedev/1134405228/157

ついにきたね
SSを本家のシステムで読めるようなツールが出るといいな
618名無しさんだよもん:2006/01/17(火) 20:36:24 ID:QsvZEMGHO
>>614の言いたいことも分からなくはないけどな
河野家さんの後にこんな駄作〜って言い方がなんか引っ掛かる。
せっかく面白いのを書いてるのにもったいないよ
619名無しさんだよもん:2006/01/17(火) 20:48:38 ID:K+j4VmWI0
ん、またグダグダと議論でもするのか?
620608:2006/01/17(火) 20:54:14 ID:bp0V8r7s0
621608:2006/01/17(火) 20:57:58 ID:bp0V8r7s0
内容書かないでカキコしてしまったorz

自分の書き込みのせいで問題が起きてるみたいですね…。
スイマセン^^;
みなさんに言ってもらえて少し自信つきました^^;
以後カキコ内容気をつけます。
応援してくれた方、ありがとうございましたー
622名無しさんだよもん:2006/01/17(火) 21:32:30 ID:InSlDz4q0
まあまあ謙遜しなすっただけではないか
623名無しさんだよもん:2006/01/17(火) 22:22:42 ID:ahG+wTHI0
>>621
普通に続き楽しみなんで頑張って(;゚∀゚)=3
624名無しさんだよもん:2006/01/18(水) 00:10:00 ID:v5FzZBcBO
ゆさゆさゆさ…
このみ「も〜、タカくん!朝であります!」
体が揺すられる。
ごろりと体を反転させると、そこにはこのみの姿があった。
このみ「あっ、タカくん!起きた?朝だよ。」
体を揺する手を止め、俺の顔を覗きこむ。
貴明「ん〜…あと五分…」
そう言って布団を肩まで掛け直し、再びまどろみの世界へ…
このみ「タカくん!タカくん!タカくん!タカくん!タカ…」
…入り込めなかった。
このみの十八番『マシンガン・タカくん』により眠気はどこかにさっていった。
しかし…
貴明(素直に起きてやるのも悔しいな)
そう思い、狸寝入りを決めこむ。
このみ「むぅ…。今日のタカくんは手強いであります。なら…」
このみは一旦俺から離れると自分の鞄の中をあさり、二本の棒を取り出す。
その棒は棒の3分の2の辺りに垂直な取っ手があり、カタカナの『ト』の様な形をしていた。
このみは取っ手を掴むと、勢いよくこちらに突進し、そして手にした棒を高く振り上げる。
このみ「トンファーキック!!」
このみの右足が俺のみぞおちに突き刺さる。
貴明「ちょwおまww」
625名無しさんだよもん:2006/01/18(水) 02:53:46 ID:ggSpUqkX0
新人です。ギャグSS行きます。四時間程で勢いで書きました。
626彼女/10 その1:2006/01/18(水) 02:54:28 ID:ggSpUqkX0
「さて」
 ごとん、と椅子を引き立ち上がる雄二。椅子である。なぜ椅子なのかといえば、『今日は学食で食おうぜ。
どんなメニューでも奢ってやるぞ』という、雄二にしてはひどく珍しい提案に乗って、いつもの四人で学食で
昼飯を食っているからなのだが。
「どうしたの? まだ残ってるよ?」
 きょとんとするこのみを無視して雄二はこほんと咳払いをした。
「諸君。君達にとっては無念なお知らせがある」
 と、唇の端にご飯粒を付けたままの雄二が言った。
 やけにもったいぶっている。しかしその言葉からは浮かれ具合が滲み出ていた。なんだ?
「なによ雄二。まさか『実は財布忘れちまったんだアハハー』とか言うんじゃないでしょうね」
 だったらコレよ、とジェスチャーで怪しい動作を示すタマ姉。実は俺もそれが一番心配だったんだが……
「それはないだろう」
 だいたい食券はもう買ってるし。
「ま、そうね。で何よ?」
「ふっふっふ……」
 雄二は目を閉じてさあっとキザったらしく髪を掻き揚げた。
「フケが飛ぶでしょう、やめなさい」
 うわ相変わらず弟には容赦がないなタマ姉。一瞬でもこの人が礼儀正しい大和撫子だと騙されていたのが信じられないぜ。
「はっはっは、そんな暴言を吐けるのも今のうちだ姉貴!」
 そして雄二は目を見開くと、学食中の注目を集めているのも気にせず、ポーズを取って声を上げた。
「聞いて驚け! 俺こと向坂雄二に、ついに、ついについについーーーーに! 彼女、英語で言うマイラバー
ができたことを、ここに宣言する!」
627彼女/10 その2:2006/01/18(水) 02:55:40 ID:ggSpUqkX0
「え、ええっ!? 本当!?」
「……」
「……」
「はっはっは、本当に本当だこのみ! ほら姉貴に貴明! 何か言うことはないのかこの宇宙一輝いている俺に!」
 言うことっつったって。
「……あー、タマ姉。そこの醤油取って」
「塩分の取りすぎは体に良くないわよ」
「ってナチュラルに無視かよ!」
 だって、なあ? とタマ姉と顔を見合わせる。
 いや断っておくが、俺は雄二に彼女が出来たって別に不思議に思わない。俺と違って女の子には積極的に
アプローチしているし、容姿も性格もそんなに悪くない。女の子の好みは知らないが、俺から見ればどちらも
結構いい方だと思う。
 だけど、俺と
『どこかに可愛くて優しい女の子が落ちてねえかなあ……拾うのに。フゥ』
『財布やハンカチじゃないんだぞ。落ちてるわけないだろ』
『いやわからないぞ、世の中乱れてるからな。最近は落ちてることもあるかもしれない。そしたら十分の一を請求できるぞふふふ』
『(十分の一ってなんのだよ……)』
 などというアホな会話を繰り広げたのが、昨日の帰り道のことなのだ。
 いくらなんでも昨日の今日だ。まさか本当に彼女が落ちているわけもあるまい。
628彼女/10 その3:2006/01/18(水) 02:56:23 ID:ggSpUqkX0
「はいはい、良かったわね。それでいくらの彼女?」
 その言動はほとんどセクハラだよタマ姉。というか女子○生の発言としてはあまりにアレではないのか。
 最近のこの人はどんどん素の人格というかアレが見え隠れしている。雄二に対してだけだが。
「え、え、どういうこと? タカくん、いくらってどういう?」
 一人わからず混乱するこのみ。って待てなぜそこで俺に振る!?
 純心なこのみに真実を話すわけにはいかない。かといって嘘をつくのも……
「ううむ……つまり、雄二は一人身が余りに寂しくてついパッションが暴走」
「暴走しない! いい加減現実を認めろ二人とも。正真正銘! 人間の恋人が! できたんだ!」
「誰によ?」
「俺にだ!」
 ぜーはーと息を切らせつつ力説する雄二。
 その力説度合い。もしかして、本当の本当に彼女ができたのだろうか?
「ははーん、さては嫉妬か? 男日照りの姉貴にはうおうギブギブ!」
 割り込んだアイアンクローにたまらず机を叩く雄二。
「ぐっ……く、あ、姉貴のことはともかくとして、彼女ができたのは本当だぞ!」
 実姉の暴力を受けても、あくまでそう言い張る。さすがのタマ姉もその態度に疑問を覚えてきたらしく、
首を傾げながら雄二に問いかける。
「うーん……本当にできたっていうんなら、いつ出会っていつ彼女になったっていうのよ?
 どんな娘? 名前は? 年は? 性別は?」
 最後の質問はあんまりだと思いますが。しかし雄二は動ぜず答える。
629彼女/10 その4:2006/01/18(水) 02:57:02 ID:ggSpUqkX0
「ふっふっふ、よくぞ聞いてくれた我が姉よ。彼女に出会ったのは昨日の放課後、貴明と別れた後!
 座り込んで困っているあの子を助けたのがきっかけだった……」
 あ、やっぱり俺と別れた後なのか?
「で?」
「そして彼女になってくれ、と告白したらはい、と言ってくれたのだ!」
 えらくシンプルな出会いと告白だ。
 起承転結なら起と結が融合して間の二つが時空の彼方にかっ飛んでいる。
「はあ、えらく嘘っぽいわねえ」
「ふっふーん、勝手に思ってろよ。それ以上のことは本人に語って貰うからな」
「え?」
「ふぇ?」
「なに?」
 揃って驚きの声を上げる俺達三人。本人って、まさか。
「なぜ俺が学食を指定したのかわかるか? 実は今日の昼、ここで約束をしているのだ! 今に来るから」
「……あ……雄二様。ここでしたか」
 雄二さまぁ!? と、流石に目を見張る俺とタマ姉とこのみ。
 そこに現れたのは――
「あの……こんにちは。雄二様の……その……ご友人様方ですよね?」
 その女の子は、確かに可愛かった。
630彼女/10 その5:2006/01/18(水) 02:59:49 ID:ggSpUqkX0
 さらさらとした肩までかかる髪に大きく澄んだ目、カナリアのような声、服は学園の制服に近いが微妙に
スカートが長くエプロンをかけている。見た目からしてまさに『可愛くて優しい』という形容詞に相応しい
人間に見える。
「ああ、よく来たねマイ……ハ……」
「……」
 そう、人間に見える。
 ただし、その耳カバーが無ければの話だが。
「メイドロボだ」
「ロボね」
「わー、メイドロボだー」
「は、はい。初めまして……その、シルファと申します」
「うん、よろしくね。わたしは柚原このみだよ」
「ええ、こちらこそ。私は向坂環、これの姉よ」
 仲良く挨拶交換をするシルファさんとこのみ&タマ姉。それを黙ってみている俺と雄二。
 名前から察するにエルファさんやミルファの妹だろう。
 それがどうしてこの学校に来ているのか、は多分試験のためなんだろうな。
「うーん、確かに可愛いけど、人間ではないよな雄二。……雄二?」
「……」
「おわ」
 振り向くと雄二は既に石化していた。本気で知らなかったらしい。
631彼女/10 その6:2006/01/18(水) 03:00:29 ID:ggSpUqkX0
 けどまあ最近の、いや珊瑚ちゃん達の作ったメイドロボには心がある。エルファさんを見ればそれはよく分かる。
 彼女達は本当に人間と遜色ないし、例えば誰かの彼女になったって何らおかしくは無いと思う。
 シルファさんと瑠璃ちゃんだって似たようなものだし。ってのは暴論か?
「と、思うんだけどさあ……」
 石化しながらぷしゅーと顔中の穴という穴から煙を吹くという器用なことをしている雄二には、慰めにならな
 いようだ。いくらメイドロボ好きを公言している雄二といえど、流石に人間だと思っていた彼女が『実はメイ
 ドロボでした』となるとショックを受けるのだろうか?
「……ん……待て」
 しかし煙を吸い込み正気を取り戻す雄二。
「これは……そう! 貴明! メイドロボって女の子だよな!?」
「あ、え? ああ、そうだが」
 いきなりの問いかけに、反射的に言葉を返す。
「ということはやはり……彼女! 君は俺の彼女だ」
「そ……そうですか……ありがとうございます」
 勢いに押されつつも礼を言うシルファ。
632彼女/10 その7:2006/01/18(水) 03:01:39 ID:ggSpUqkX0
 さすがだ雄二。これで人間じゃないからやっぱ別れてくれ、なんて言い出すようじゃ俺は雄二を見下す
ところであった。シルファさんのように心を持つメイドロボは、人権があってしかるべきだし、徒に心を
踏みにじられてはならないと思う。
 だから後に残る問題は、たった一つなわけで。
「あの……ところで……その、お聞きしたいことがあるのですが……」
「うんうん、何だいマイハラヴァー!」
 すなわち心を持つ可愛くて優しい女性が、会って一日と経たず誰かの彼女になったりするのだろーか、という。
「その、昨日から雄二様が口にされている、彼女とは……ど、どういった意味なのでしょう?」
 本日二度目の雄二が石化した瞬間だった。
 ベタだなあ。

 流石に注目を浴びすぎていたので、場所を学食から屋上に変え俺達はシルファさんと話をしていた。
「雄二と会った時、耳カバーはしてなかったの?」
「はい、特に必要ではありませんので……それと、何かのテストを兼ねていたそうです」
「へー」
633彼女/10 その8:2006/01/18(水) 03:02:29 ID:ggSpUqkX0
 話してみてわかったんだが、シルファさんはなんというか、義理堅い人だ。
 そしてメイドロボにはみんなそういう傾向があるのかないのか、良くも悪くも素直に過ぎる。
「うーん、シルファさん? 知らない人の言うことにむやみに頷いてはいけないわよ」
「そ、そうなのですか? で、ですけどお母様は
『人に助けてもらったら、自分もその人を助けてあげないかんよー? これ助け合いの精神やー』と」
「それにしたって限度があるのよ。自分にできないことを約束したら、逆に迷惑をかけてしまうでしょう?
 少なくとも約束事については入念に確認しないと」
「……は。そうですね……」
 なんかいい教育をしているタマ姉と、素直に頷き学習するシルファ。
 ちなみに雄二はまだ石化している。引っ張ってくるのが大変だった。
「まあ雄二には悪いけど、この話は無かったことに」
「い、いえ、できないことだとは限らないのでは……と思います」
「おおっ! そうだよねシルファちゃん!」
 といきなり復活した雄二。シルファさんの言葉に目を輝かせている。
「いやーこれから俺がちゃんと教えてあげるよ。手取り足取ギブギブ!」
「黙ってなさい」
 そして再びダウンする。不憫な奴。助けない俺も俺だが。
 シルファさんはしばらく雄二を見てあわあわしていたが、やがて気を取り直した風で、タマ姉に一つの質問をした。
「それで、その『彼女』とは、ど、どういったものなのでしょうか?」
「彼女って? ……うーん」
 シルファさんの問いに考え込むタマ姉。うーむ考え方によっては深い問いだ。
 少なくともいまだに女の子が苦手な俺に答えられるような問題じゃない。
634彼女/10 その9:2006/01/18(水) 03:03:03 ID:ggSpUqkX0
「うーん。相手の人の事を他の誰よりも一番に想い、一生を共にするという覚悟を持った存在、かしら?」
 なるほど。ちょっと古風かもしれないけど、シルファさんにはそれぐらい言っておいた方がいいかもしれない。
「そ、そうなのですか? ……それでは……あの……その……」
 シルファさんが言い淀む。またむくむくと起き上がってきて、シルファさんの言葉に一縷の望みを託す
かのような雄二に顔を向け、申し訳なさそうに頭を下げると、
「そ、その……申し訳ございません……! 雄二様の御申し出、私では受けることが適いません!」
 これ以上ないくらいきっぱりさっぱりと、振ってくださった。
「まあ、気を落とすなよ雄……おわ!」
 そこにいたのは雄二であって雄二ではなかった。石化を通り越して砂になってる。
「ああ……こりゃ駄目だ」
「雄二様……申し訳ございません……」
「いいのよ別に。会って一時間も経たないうちに告白するこいつがおかしいんだから」
 ううむ。やっぱりそうかなあ……。
 シルファさんの様子からして、単に雄二が冗談気味に彼女になってくれ、と言うのを真に受けてしまったようにも思えるけど。
 そう考えると不憫な奴だ。
「シルファー。あ、それに貴明、ここにおったんやー」
 と、その時、ドアの方から珊瑚ちゃんの声が聞こえてきた。やっぱり珊瑚ちゃんが関わっていたのか。
「お母様!」
 珊瑚ちゃんはシルファの傍まで走っていくと、シルファの耳カバーを撫でながらシルファに笑いかけた。
635名無しさんだよもん:2006/01/18(水) 03:06:06 ID:ylwGj5rw0
連投規制?
636彼女/10 その10:2006/01/18(水) 03:07:01 ID:ggSpUqkX0
「どや、新しいカバーの調子ー?」
「はい、問題ありません」
「そか、よかったー。それで学食に用事ってなんやったのー?」
 その珊瑚ちゃんの問いに、シルファさんは一瞬砂になった雄二に目をやると、申し訳なさそうな顔をして珊瑚
ちゃんに事情を話し始めた。
「ふんふん」
「……ですから……私はお母様のメイドロボですから、大変申し訳ないながらお断りを……」
「うーん、そやなー……けどその、雄二様ー、も助けてくれたんやろー?」
「はい、エネルギー不足で座り込み救助を待っていた私に食事を」
「そんならお礼はせんとなー」
「その通り!」
 三度復活、向坂雄二。
「拾得者には報労金を受ける権利がある! 珊瑚ちゃん、一割でいいですからシルファちゃんをください!」
 がばっと起き上がった雄二が、珊瑚ちゃんに懇願する。一割って物じゃないんだから無理だろう。
 いや物なのかもしれないけど、メイドロボは物であって物ではないというか……。
 ところが珊瑚ちゃんは俺の予想に反した言葉を返した。
637彼女/10 その11:2006/01/18(水) 03:07:40 ID:ggSpUqkX0
「一割でええん?」
「もちろん! 十分です!」
「うーん、そんでも……あ、そや。丁度ええわ」
 おお!? 何か思いついたんだろうか。珊瑚ちゃんは頭上に電球を閃かせている。
 その瞬間、背筋がぞくりと冷える。これはなんだ。予感か。虫の知らせか。
「うん、シルファの一割な。ええよな、シルファ?」
「はい、お母様の仰ることでしたら」
「それじゃ明日までに用意しとくわ。楽しみにしててなー」
「うおっしゃあああああああ!」
 えー、その、本当にいいんですか? などとは狂喜する雄二の前ではとても言えない俺であった。

 次の朝の登校路は、にやつく雄二の相手で大変だった。
「ふふふふ……二十四時間かけるの十分の一、つまり一日に二時間四十分! 二時間四十分もあったらなんでも
 できるぞ、ふっふっふ」
 なんでもってなんだよ。だいたい二時間四十分じゃなくて二時間二十四分だ。浮かれすぎである。
 それに猛烈に嫌な予感がするんだ。雄二の幸せは信じたいんだが……。
638彼女/10 その12(おわり):2006/01/18(水) 03:08:53 ID:ggSpUqkX0
「別に一日の十分の一貸し出すって決まった訳じゃあ……」
「何言ってんだ、シルファちゃんはバラ肉やお金じゃないんだぞ。それしか方法は無いだろう」
「でもなあ……」
「あ、珊瑚ちゃんだ」
 見ると雄二の視線の先には、両手に何かを重そうに抱えた珊瑚ちゃんがいた。シルファさんはいない。
「るー」
「るー! で、シルファさんは?」
 怪しい挨拶を一片の躊躇もなく返す雄二。お前そこまで……。
 雄二の言葉に珊瑚ちゃんはあーそやったー、と笑うと、雄二に手に持つ何かを差し出した。
 よく見るとそれはメイドロボの耳カバーのようだ。
「お、耳カバーかあ。うちに来たときのためかな……うわ意外と重いね?」
 受け取りながら雄二が言う。それに対して珊瑚ちゃんはきょとんとすると、
「ちゃうで、約束の一割やー」
 と言った。それはもう天上の天使のような残酷な笑みを浮かべて。
「質量のぴったし十分の一や。そういう設計やからな。あ、心配せんでも大丈夫やで、ちゃんと新しいのはあるからなー」
 と、聞いてもいないことまであっけらかんと言う珊瑚ちゃん。
「それじゃ、またなー」
 そして珊瑚ちゃんは手を振って去って行った。一方的に。残されたのは俺と、耳カバーを両手に抱え呆然としている雄二。
 しばらく経つと雄二の肩が震えだした。まあ、その、なんだ。
「ま、いいじゃん。望みどおり十分の一の彼女だ。大事にしろよ」
「彼女じゃねええええ!!」
 無機質な耳カバーを抱いて雄二はむせび泣く。その姿を見て俺は一つ学んだ。
 彼女は拾うもんじゃない。一割しか手に入らないんだから。
639名無しさんだよもん:2006/01/18(水) 03:12:10 ID:ggSpUqkX0
その6、エルファ→イルファです。すいませぬ。
640名無しさんだよもん:2006/01/18(水) 03:19:02 ID:ggSpUqkX0
重ねてシルファさんと瑠璃ちゃんだって→イルファです。ごめんなさい。
641名無しさんだよもん:2006/01/18(水) 03:48:43 ID:ylwGj5rw0
雄二には悪いが素直に面白かったよ
しかしずいぶんと重い耳カバーだなw
642妄想追加シーン1/8:2006/01/18(水) 06:26:41 ID:B953H88A0
愛佳スレに書いたネタから勢いで。非18禁微エロ。

「う,うぅ〜,届け,と,どけ〜っ!」
「ぐわ,ごめん愛佳,腕が限界」
「あ,ごめんなさいごめんなさいおろしておろして」
俺は愛佳を降ろすと痺れた腕をさする。
放課後,というかもう夕方の書庫で,俺達の希少本探しは行き詰まっていた。
理由は簡単。一番上の書棚に手が届かない。

お互いかなり気恥ずかしい思いをした「高い高い」でも,
「う〜ん,一番上は届かないか。」
「もうあと,ほんのちょぉっとなんだけど・・・」
643妄想追加シーン2/8:2006/01/18(水) 06:28:09 ID:B953H88A0

「それこそ肩車なら届くかも知れないけどな」
「わわっ,それは,あのっ」
「いや冗談。明日倉庫から脚立でも持ってこよう。」
流した俺に,
「う〜,でも気になるぅ〜・・・あ,そっか,ちょっと待っててね」
なにを思いついたのか,愛佳はパタパタと給湯室に引っ込んだ。
「あれ?あそっかジャージは昨日・・・あ,でも今日は3時間目が・・・」
独り言をつぶやきながら,なにやらがさごそ。

手持ちぶさたに棚の本を眺めていると,また,パタパタと足音が戻ってくる。
「お待たせっ,貴明くん」
「なにをやって・・・ぶほっ!?」
「だ,だいじょうぶ?ど,どうしたの?」
「どうしたのって,その格好は・・・」

そう,愛佳は,何故か体操着に着替えていた。
しかも,あろうことか,あっていいことか,下だけ。しかも,ジャージじゃなくてブルマ。
下だけブルマで,上制服。上制服で,下だけブルマ。

「だってぇ〜スカートで肩車なんてできないよ〜」
え,それじゃあ,なにか,
ま,なか,おま,えは,その,カッコ,で,おれ,に,かたぐるま,す,ると?

どうすればいいんだ。

644妄想追加シーン3/8:2006/01/18(水) 06:28:47 ID:B953H88A0
ともかく,愛佳がその気なのにこちらが気後れしてもいられない。
俺は本棚の前に屈み込んで,背中を愛佳に向けた。
「ん,んしょ,んーっと,とりゃ」
なんだか妙な掛け声をあげて,愛佳が俺の肩に乗ろうとする。
愛佳の生の右足が俺の右肩を越えて,顔のすぐ隣に収まる。続いて左足が・・・
「ん〜,わきゃぁ」

どてっ。
ごめん愛佳。こてん,と表現するには音が重すぎた。

しかし肩車に乗ることもできんとは,並はずれた運動音痴だ。
くるりと振り返ると,愛佳はまだ尻餅をついていた。
開いた膝もそのままで,生肌色の両足と,それに挟まれた紺色の布地。
思わず視線が特定の部位に集中しそうになるのをこらえて,俺は愛佳に手を貸した。
再度,肩車に挑戦。
「わ,と,とと,とおっ,ふぴゅうっ!?」
今度は後ろに倒れないようにと勢いをつけすぎたものか,
俺の後頭部に柔らかい感触がぶつかると,次の瞬間視界が塞がれた。
温かい風圧が通り過ぎた後,愛佳は俺の前につんのめっていた。
「きゅう〜」
たぶん目は渦巻きになっているんだろうが,俺には見えない。俺から見えるのは,
両足が俺の目の前にあって,頭は勢いで本棚に突っ込みかけ,床に手をついて,カエル倒立ってのかこれは,
例えるなら身体が硬い人が思いっきり膝を曲げて前屈をしているような姿勢で,かなり突き出された愛佳のお尻。
それと制服の裾がまくれあがって覗く,愛佳のすべすべの背中のかなり奥,微妙に肩胛骨の膨らみ近くまで。
645妄想追加シーン4/8:2006/01/18(水) 06:29:51 ID:B953H88A0
「ふぇえん・・・」

涙声になりながら愛佳が上半身を起こす。
顔のすぐ近くにお尻が寄ってきて,俺は慌てて一歩下がった。
愛佳は,また後ろに回るのかと思いきや,ちょっと腰を曲げた姿勢で,そのまま俺を振り返る。
「貴明くん・・・あの・・・後ろから・・・」
紅潮した顔で妙な省略の仕方をするな。
でも言いたいことはわかった。つまり・・・あれ?つまり・・・なんだ?

・・・つまり愛佳,お前は,俺に,自分のその突き出したお尻と,軽く開いた太股の間に,
俺の頭を突っ込んで下から持ち上げろと,そう言いたいんだな?

や,やってやろうじゃないか。
俺は覚悟を決めると,愛佳のすぐ後ろにしゃがみこんで,見上げたブルマと生足の間に顔を近づける。
う,なんか,生暖かい。しかし,ちょっとこの幅に顔を突っ込むのは気後れが。
「愛佳,も,もうちょっと,その,足開ける?」
うわ,なんっつー台詞だ俺。
「う,うん」
しかも素直に従う愛佳。眼前で開く両脚,その間で紺布に寄った皺が伸びるところまではっきりと。
これ以上見ていたら鼻血が出そうなので,俺は目を瞑って,愛佳の股間に頭を差し入れた。
「うひゃあ,くすぐったいよ貴明くん!?わわ,勢い良すぎるぅ,もっとゆっくりぃ〜」
苦情は無視して立ち上がる。愛佳は俺の頭にかじりつきながら落ちるのを防ぐ。
側頭部に抱きつく愛佳の腕の感触と,なんだか頭頂部に極端に柔らかい感触があったが,分析する余裕はなかった。
646妄想追加シーン5/8:2006/01/18(水) 06:34:05 ID:B953H88A0
「も,もうちょっと前に,わわ,バックバック,あ,もうちょい右。」
全然落ち着かない愛佳の指示に合わせて立ち位置を微調整する俺。

俺が動く度に,愛佳は落ちないように足をぴったりと閉じて俺の頭にしがみつく。
その都度,両頬には表面はすべすべで,触り応えはぷにぷにの愛佳の太股が押しつけられ,
うなじにはざらついた布越しの愛佳の体温が伝わってくる。
・・・頭上にいる愛佳から,俺の下半身が見えない(と,思う)ことが有り難い。

「あっ,そこそこ。じゃあ,端から・・・」
やっと本題に入る俺達。愛佳の言葉に上を見上げかけると,後頭部にあたる愛佳の下腹部の感触。
「ひゃうっ,わっ,貴明君頭あげないで,落ちる〜」
俺の頭に押されて後方に倒れそうになる愛佳の言葉に,慌てて首を前に倒す。
「ふぁ,あ,あ,あぶなっ!」
と,またもや愛佳の慌てた台詞が終わる前に,ごん。と目の前が一瞬暗くなった。
理由は簡単。愛佳が俺の後頭部に本を落としたから。

「っつ〜〜〜」
「あわわわわわわわごめんなさいごめんなさいごめんさいごめ・・・」
「・・・いいけど,次は落とさないでね。」
そんなに厚手の本ではなかったが不幸中の幸い。
「うん,でも,足下が不安定だと手元が・・・わわっ!」
どさっと今度はさっきよりかなり重い音。頭のすぐ脇を通過した物体は,百科事典かと見紛うハードカバー

こ,これは頭上注意してないと命に関わるな。
といって,このまま上を向くのは愛佳を落っことす危険がある。
647妄想追加シーン6/8:2006/01/18(水) 06:35:35 ID:B953H88A0
前後がダメなら,横か?
思いつきで,俺は右を向く,と,目の前が肌色で埋め尽くされる。
当然だった。顔の横は右も左も愛佳の太股なんだから。
「うひゃう?」
足の間で頭が回った感触に,愛佳が身をよじる。
一瞬,目前の肌色と少し距離があき,次の瞬間,それが顔面にぴっとりと押しつけられた。
右の耳には布越しに愛佳の・・・その・・・股間がびっちりと。
「む,むぐ」
「うきゃぅっ?貴明くんくすぐったいよっ?」
「あ,いや,上見てないと危ないと思って」
「ふやっ,口動かしちゃダメぇ,息吹きかけないでぇ〜」
喋ると愛佳のふとももの中で口を動かすことになる。
あれ?こ,これって,愛佳の内股に,キスしてるのと同じ!?

と,とにかく,当初の目的を達成すべくそのまま視線を上げていく。
しつこいようだがゼロ距離に愛佳のふともも,視界の右端に紺色のブルマ,
ブルマの上には再び肌色,やや前傾のため,制服の裾が前に垂れて隙間から地肌が覗いているのだ。
背中と同じくすべすべで,より柔らかそうなおなか,小さなおへそがきっちり見えて,もうすこし上も見えている。
さすがにブラまでは覗ける位置ではなく制服の裾,それにかぶさるように愛佳の上半身,
下から見上げる胸の膨らみ,ふわりと乗ったピンク色のタイ,
襟は見えずに,本棚をのぞきこむ愛佳の首すじ,真剣なふりして頬が赤い愛佳の顔,
ようやくちらっと見えた本棚と,それに添えられた小さな手。俺の視界の9割が愛佳。
648妄想追加シーン7/8:2006/01/18(水) 06:37:29 ID:B953H88A0
思わず立ちくらみを覚えるのを押さえて,俺は愛佳の作業を見守った。
「も,もういいよ・・・動いて」
なんっつー台詞だ。と思いつつ,俺はゆっくりと本棚の端から移動する。
「わ,わわわわわっ!」
「うわっ!騒ぐな暴れるなしがみつくな!」
愛佳は,前ふたつの言葉だけ忠実に守った。俺の頭にしがみついた状態で動きを止める。
視線は前に戻していたので,頬に太股,うなじにブルマー,そして頭頂部には柔らかい愛佳の,これはたぶん胸の感触。
愛佳の身体の感覚と熱気包まれた俺は,くらくらしながら,ふらふらと横歩きで次の棚に到着。

「じゃ,探すよ・・・また頭上注意でね」
また上を見るために横を向きかけて,どうでもいいことが気になる。
「・・・愛佳,右と左,どっちがいい?」
「う,うぅ〜・・・どっちも・・・」
頼むからそこで,いや,って言葉を省略しないでくれ。

「お,おわり〜」
長いような短いような作業が終わり,俺は愛佳を乗せたまま本棚の前にしゃがむ。
「・・・」
「・・・」
当然,後ろに降りるものだと思ったのだが,愛佳は動かない。
「・・・降りないの?」
「・・・降りられないぃ〜」
どう考えても普通に降りられると思うのだが,
愛佳の運動能力によれば,ここから後ろに降りることは不可能らしい。
649妄想追加シーン8/8:2006/01/18(水) 06:44:26 ID:B953H88A0
それはいいのだが,今の状態もかなりきわどい。
降りるときに肩に深く腰掛けたため,愛佳の体重が前に乗って,というか全体重が俺の首にかかっている。
言い方を変えると,愛佳は全体重を乗せて俺の首に股間を押しつけている。
厚くもない布地2枚を隔てて二人の体温が接しているその部分は,二人分の熱気と湿気で蒸れきっていた。

ともかく,仕方ないので乗せた時と同様に,そのまま身体を前に倒して愛佳の足を床に着ける。
「あ,ちょ,ちょっとそのまま」
なぜ頭を抜こうとしたところで止めるのか。しかも,首にはまだ体重がかかっている。
「ずっと肩車してたから,足が・・・」
痺れたってか。だからって股間に頭突っ込んでいるのもおかしい。俺は頭を後ろに引き抜いた。
「あひゃぅううっ?」
合図もなしに頭を引き抜いたので,愛佳は脚を閉じたままだったが,
太股の間を髪が通過してくすぐったかったのか,またも妙な声をあげる愛佳。

俺は立ち上がりかけて動きを止めた。
足が痺れたのか本棚に手をついて身体を支えている愛佳は,中腰の体勢,
しかもさっきの声に合わせて,御丁寧なことに頭を抜いた後に脚を広げている。
俺はその愛佳の直後にしゃがみこんで,綺麗な三角形になった愛佳の下半身と,
トライアングルの間から見える上半身を下から覗き込む格好になっていた。
重力に引かれてまたも開いた制服の裾から,今度こそ下着が見えている。
「あ,あのう・・・た,貴明くん?貴明くんが避けてくれないと,あたし動けないよぉ・・・」
そんな姿勢で,こんな事をいうかこの生き物は。



END
650名無しさんだよもん:2006/01/18(水) 16:02:40 ID:g8oDHa+j0
良いセンス、面白かった。
レパートリーに肩車が増えたぜ。
651名無しさんだよもん:2006/01/18(水) 18:14:06 ID:6xMm9iCdO
ブラウニッシュ、大詰めか…

読みたいけど終わらないで欲しい。でもすぐ続き書いて欲しい…






中の人頑張ってください!!
652名無しさんだよもん:2006/01/18(水) 18:19:33 ID:4emIxRsm0
宣伝乙
653名無しさんだよもん:2006/01/18(水) 18:42:01 ID:6GF6Fgy10
>>652
煽り乙
654名無しさんだよもん:2006/01/18(水) 18:51:20 ID:MS/YfrC+0
どうしてBSの中の人が絡むと宣伝とか煽りとか始まるんだろうな…w
こっちにもこなくなっちまったし、そっとしておいてやりなさいな…
655名無しさんだよもん:2006/01/18(水) 22:29:50 ID:EO7XWzCY0
よくわからんが貴明はいいんちょの股間に顔押し付ける形で逆向き肩車したってことか
エロ杉だぁ
656名無しさんだよもん:2006/01/19(木) 11:36:36 ID:ee6RoxxD0
あの人もういらない。
るーろんたん居ればいい。
657誕生日プレゼント:2006/01/19(木) 17:33:33 ID:93shf2Dc0
「別に、欲しいものじゃなかった」
 俺に背を向けたまま、愛佳はポツリと呟く。
「欲しかったプレゼントじゃなかったの。今年も」
「でも。このプレゼントは……」
 涙に揺れる声……。
「今までで一番嬉しかった」
毎日書庫で作業する愛佳に渡した、俺からのプレゼント。
それを強く胸にかき抱く。
唐突に愛佳が見せた感情。
震える肩を見つめて俺は……。

思い切り掴んで揉みしだいた。
「あ、あ、あ、きもちいいですぅ」
「だぶるぅ」
「あ、あ、あ、あ……」
書籍の上げ下ろしで肩を酷使する愛佳にぴったりのプレゼント。
このみに渡したときは怒られたけど……
「あ、あ、あ、やめてやめてクセになる」

送って良かった、肩叩き券。
658名無しさんだよもん:2006/01/19(木) 18:13:13 ID:gz3s6lvmO
>>657
ワラタwww
659名無しさんだよもん:2006/01/19(木) 18:49:09 ID:KByfe5Na0
>>657
ちょwおまwwテラワロスwwwww
660名無しさんだよもん:2006/01/19(木) 19:27:03 ID:ePvqI+DJ0
>>657
上手い
座布団投げ入れてやる
661名無しさんだよもん:2006/01/19(木) 19:50:36 ID:DKH04B6A0
で、書庫@追い出しにて

「これ何すか? ゴミかな」
愛佳は物凄い勢いで踵を反し、彼からその紙切れを取り返した。

となる訳だな。
662名無しさんだよもん:2006/01/19(木) 20:23:09 ID:siLrA2uA0
>>657
笑えるw
微笑ましい、というのもある。
663名無しさんだよもん:2006/01/19(木) 21:24:17 ID:hWhLZKvf0
>>642他キャラの希望
664名無しさんだよもん:2006/01/19(木) 22:02:22 ID:Yh7cm3el0
こうして始まる妄想補完シナリオSSブーム
665名無しさんだよもん:2006/01/19(木) 22:18:53 ID:fQFuTAvl0
アイス屋もこんな展開だったのかなと妄想
666次回予告:2006/01/20(金) 00:01:59 ID:lyfHprj+0
貴明「なんだか胸騒ぎがするんだ・・・」
タマ姉「・・・あら、何か庭にいるわね?」
貴明「マジ!?もしかして泥棒じゃないのか?」
このみ「ちょっとタカ坊見てきなさい」
貴明「ええっ、俺1人じゃこえーよ・・・」
このみ「心配しないで、おそらくあの子の仕業だから・・・」

次回ToHeart2トロイメント
「黒柚-black konomi」
その旋律は夢のように。
667名無しさんだよもん:2006/01/20(金) 00:02:42 ID:lyfHprj+0
うは、名前変え忘れたw
668名無しさんだよもん:2006/01/20(金) 01:14:42 ID:rldpA5EuO
もう黒はやめてくれorz
669名無しさんだよもん:2006/01/20(金) 01:16:38 ID:Nw8la+tl0
黒このみキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
670次回予告:2006/01/20(金) 01:28:28 ID:lyfHprj+0
貴明「なんだか胸騒ぎがするんだ・・・」
タマ姉「・・・あら、何か庭にいるわね?」
貴明「マジ!?もしかして泥棒じゃないのか?」
タマ姉「ちょっとタカ坊見てきなさい」
貴明「ええっ、俺1人じゃこえーよ・・・」
タマ姉「心配しないで、おそらくあの子の仕業だから・・・」

次回ToHeart2トロイメント
「黒柚-black konomi」
その旋律は夢のように。


直した。早く新しいSS来ないかなワクテカ。

671名無しさんだよもん:2006/01/20(金) 02:47:10 ID:qs7fA5Bm0
3月3日の放課後
貴明がプリントを拾って委員長に渡した後
雄二「なあ、委員長」
愛佳「はい?」
雄二「貴明はな、俺の大切なペットなんだよ」
貴明「なあっ!?」
雄二「アレルギーで動物が飼えない俺のためにパパが
   クリスマスプレゼントに貴明をペットとしてくれたんだよ」
愛佳「?意味がよくわからないんですけど…」
雄二「だーかーらー、飼い主の俺に黙って貴明にちょっかいかけたりするなってこと」   
貴明「なに言ってるんだよ!雄二のバカ!!」
雄二「だって、みんなにも俺たちの関係を分かってもらったほうがいいだろ?」
愛佳「ごめんなさい、河野君。まさかこんなことになるなんて…」
貴明「小牧さんのせいじゃないよ、雄二が普通じゃないんだから…」
672名無しさんだよもん:2006/01/20(金) 02:50:47 ID:qs7fA5Bm0
タマ姉初登場日の雄二救出時
雄二「すまんが開けてくれ(棒読み)」
貴明「ちょっとどいとけ!」ドカッ!!
雄二「やあ」
貴明「やあ、じゃねぇっつうの!なにしてたんだよそんなとこで」
雄二「いや、顔も知らん女子に付き合ってくれと言われたので
   丁重に断ったら腹いせに閉じ込められてな」
貴明「それってタマ姉のことじゃないのか」
      (略)
貴明「どうでもいいから早く帰ろうぜ。
   なんかここ、不気味じゃね?」
雄二「以前泥棒に入られたときここのものを持ち出した奴が
   売りさばこうとして次々と事故にあったり
   怪我をしたって聞いたことあるぜ」
673名無しさんだよもん:2006/01/20(金) 02:53:25 ID:qs7fA5Bm0
雄二「で?秘密の花園って何だよ。キリキリ白状しな!」
貴明「それなら図書室にある…」
雄二「名作に用は無い!俺が言っているのは生徒会室のバルコニーの下にある
   花園のことだ!!」
貴明「確かに…あの花園は生徒会室の秘密の花園と呼ばれている」
雄二「何でそんな風に呼ぶんだ?」
貴明「今は…言いたくない…」
雄二「あっそう、んじゃ花園のことなんてどうでもいいや。先に行くぜ!」
貴明「おい!?雄二!!」
674最萌えタマ姉支援1:2006/01/20(金) 13:15:07 ID:qs7fA5Bm0
貴明『タマ姉が帰らなくなって、今日で3日目か。
   どうしてなんだろう…胸が痛い…』
貴明「あ…俺、タマ姉の九条院の連絡先も知らないんだっけ…」
雄二「どうしたんだ?」
貴明「タマ姉!?」
雄二「あれ?そんなに似てた?でも残念だったな。姉貴じゃなくて」
貴明「何が言いたいんだ?」
雄二「公衆電話とにらめっこしてたみたいだけど、ひょっとして
   姉貴のところにかけるつもりだったのか?」
貴明「どうだっていいだろ!」
雄二「そうはいかない。俺はお前に姉貴を諦めてもらわなきゃいけないからな」
貴明「いい加減にしろ!」
雄二「それにいくら待っても、おまえの元には帰らないぞ。
   姉貴がいなくなった日に俺に連絡があったんだ。
   おまえのことをよろしくってな…」
675最萌えタマ姉支援2:2006/01/20(金) 13:16:48 ID:qs7fA5Bm0
貴明「ウソだ…」
雄二「真実なんてこんなものだ」
貴明「信じない!」
雄二「おまえが姉貴の何を知っているっていうんだ?」
貴明「それは…」
雄二「犬が大の苦手で、お金持ち。他に姉貴の何を知ってるんだ?
   早く目覚めたほうがいい、これ以上傷つく前に…」
貴明「大きなお世話だ!」
雄二「すまん。少し言い過ぎたかもしれん。でもおまえが
   自分の本心に気づいてないみたいだからな。
   決着をつけないと、ずっと苦しいままだぞ」
貴明『俺の…本心?俺はタマ姉のことをどう思っているんだ?
   自分の中に生まれた説明の出来ない感情にイラついて
   不安になって、タマ姉の言葉を信じることが出来なかった…』
ドサッ
雄二「おい!貴明!!しっかりしろ」
このみ「タカくん!」
貴明『今頃気づいてももう遅い…ごめん、タマ姉!』
676死亡フラグ?の影1:2006/01/20(金) 13:38:53 ID:qs7fA5Bm0
病院の屋上にて
医師「小牧君。やっぱりここか」
郁乃「先生…」
医師「今日はインターフェロン打つ日だろ?」
郁乃「だってあれ打つと、吐き気止まらないんだよ?頭痛もひどいし…
   こうゆうの副作用っていうんでしょ?あんなつらい思いをして
   抗体が出来る可能性が100%じゃないなんて反則よ…」
医師「いや、でもね。君だって早く病気を治して
   家族と病室以外で会いたいだろ。そのためには我慢しなきゃ」
郁乃「家族ねえ…。3日前に来たけど、たぶんもう見舞いには来ないよ」
医師「誰でも病気の前では取り乱すよ。退院して日常に戻れば
   以前の状態に戻れるよ、きっと」
郁乃「…先生ってさ、きれいごとばっかだよね」
医師「え!?」
郁乃「さーて、一服したことだし行きましょうか」
677死亡フラグ?の影2:2006/01/20(金) 13:40:37 ID:qs7fA5Bm0
郁乃「先生さ…学生の時、夢ってあった?」
医師「夢?」
郁乃「あたしさ、夢…ないんだよね。でさ、いい機会だから何がしたいのか
   よ〜く考えてみたんだ。時間だけはイヤになるくらいあるし」
医師「ほう、それで?」
郁乃「うん。スポーツジャーナリストなんて、どうかなって」
医師「スポーツジャーナリスト?」
郁乃「そう。あたしスポーツ好きだからさ、国内や海外を
   飛びまわっていろんなスポーツを見て取材するんだ」
医師「いいじゃないか。おもしろそうだね」
郁乃「でしょ。だからさ、早く治んないと困るんだよね。
   4月から姉の通う学園に入学するし」
医師「受験のほうはどうだったんだ。ちゃんと受かっているのか?」
郁乃「げっ。そんなこと聞かないでよ。結構ギリギリだったんだから…」
医師「だと思ったよ。いいじゃないか。
   受からなくても一浪のいい言い訳が出来て」
郁乃「あ、あのねえ…でもいいね。いいね、それ!」
医師『投げやりになっていた小牧郁乃は病気に対して前向きになっていた。
   そして、私が何よりうれしかったのは
   彼女が笑顔を見せてくれるようになったことである』
678死亡フラグ?の影3:2006/01/20(金) 13:43:48 ID:qs7fA5Bm0
郁乃「やめてよ。お姉ちゃん…」
愛佳「郁乃…」
郁乃「あたしがお姉ちゃんの立場だったら絶対やだ」
愛佳「いいから聞いて。私、病院にはあまり来れなかったから
   あまり一緒に遊んだ記憶も、ケンカした記憶もないの…
   だから、たまには姉らしいことさせてよ…ね?」
郁乃「お姉ちゃん…」
愛佳「先生。よろしくお願いします!」
医師「お姉さん。本当にありがとうございます。
   …小牧君。いいお姉さんを持ったな」
郁乃「…うん」
 …手術後
医師「小牧君。どこか気になるところは?」
郁乃「ううん、全然。先生…ありがとう。命の恩人だよ」
医師「いや、医者として当然のことをしたまでだ。それに
   私のほうこそ君に助けられたんだ…」
郁乃「え、なに…それ?」
医師「いや、なんでもない」
郁乃「ふーん、よくわかんないけど…あ、そうだ。あたしさ
   完治したら先生とキャッチボールがしたいんだよね。
   屋上みたいにちんまりとしたところじゃなくて
   そうだ、グラウンドがいいな」
医師「いいな。ぜひやろう」
郁乃「約束だからね。あ…先生グローブ持ってんの?」
医師「いや、持ってないけど…」
郁乃「じゃあ、買っといてよね」
679名無しさんだよもん:2006/01/20(金) 13:49:55 ID:shEzUf3h0
なにがしたいのか分かりません
680名無しさんだよもん:2006/01/20(金) 13:50:55 ID:QPIZsbBG0
荒らしたいんじゃ
681雄二×タマ姉 1/2:2006/01/20(金) 14:50:24 ID:rYw0HFdvO
姉貴がこの家で寝泊りしなくなって何年たっただろう、
たとえば今日みたいに正月でもなければ家に帰ってくることは滅多になくなった。
「ゆーじーぃー?」
姉貴が一人閉じこもってた俺の部屋を開ける、
「あ、姉貴…」
「っとに何処いったかと思えば…駄目でしょ?ちゃんと親戚の方に挨拶しなきゃ」
いたって優しい口調とは裏腹にその目は鋭く光っている。
「もうみっともない格好してー、早くちゃんとした格好に着替えなさい」
綺麗な晴れ着を着込んだ姉貴はそういうとふっと優しい表情にかわった。
「いくつになっても子供なんだから…」
「……って、だあああぁっ痛い痛い痛いわかりましたわかりましたぁっ」
「うん、わかればいいのよ」
すると何故か俺の頭から離れた姉貴の手は、
俺の服の裾をつかむとずるずると上へあげていき…
「ん?雄二…いつのまにこんなに筋肉ついたの?

「って、いっいいから自分で着替えるからでてけって!」
姉貴の肩を強く押して追い返そうとした、
「きゃっ!?」
いつもならこんなことで転ぶなんてことはありえない姉貴だが、
着慣れない和服のせいなのか……そのまま俺が姉貴を押し倒した形になった。
682雄二×タマ姉 2/2:2006/01/20(金) 14:52:30 ID:rYw0HFdvO
「…いった……」
「あ……」
はだけた着物から白くほっそりとした肩が見えていた、
何故だか唐突に恥ずかしくなって耳まで赤くなっていくのが自分でわかる。
「ど、どきなさいよ」
「あ…ああっ」
思い出したように慌てて起き上がり姉貴から離れる、
「……」
そこで姉貴のうつむいた横顔が赤くなっていることに気付いた。
「えと…ご、ごめ…」
「と……とにかく急いでしたくしなさいっ」
そう言い放って姉貴は俺の部屋から出ていった、
遠ざかっていく足音はいつもの姉貴らしくないバタバタとしたものだった。
「あ……」
どうしたっていうんだろう、少し前までは毎日顔をあわせてたっていうのに。
こんな些細なことでどうして動揺してしまうんだろう、
どうして………。
683名無しさんだよもん:2006/01/20(金) 14:56:38 ID:9tYnY9Mz0
  >(諸事情によりカット)
  あー、それは正直考えてました。
  というかその展開も普通にアリだとは思うんですよ。
  けどそれじゃあつまらんかなぁと思ってはいます。さて、どうするべきか('A`)

先の展開を予想して送った。カットされるとは思わなかった。今は反省している。
684名無しさんだよもん:2006/01/20(金) 15:52:19 ID:J91a4axoO

  人  
/\∵/\
\ | /
  人 
 / \
 \ /
685名無しさんだよもん:2006/01/20(金) 17:56:33 ID:8tUDl+R60
雄二×タマ姉 いいかも…
686名無しさんだよもん:2006/01/20(金) 19:32:43 ID:7b52JVL30
>>681-682 続きщ(゜ロ゜щ) カモ-ン
687名無しさんだよもん:2006/01/20(金) 22:21:01 ID:y6Et1zgUO
>>681-682
ちょwwおまwwww
続き気になるぞ(*´Д`)ハァ
タマ姉×雄二は考えてなかったなぁ……
688名無しさんだよもん:2006/01/20(金) 23:40:17 ID:rYw0HFdvO
雄×環、需要なさげと思ってたからちょっとうれしいw
あー…続き考えてn(ry
つーか、いつもうまく落ちがつけれないんだよな… orz
上手くおわらせれる人尊敬する。
689卒業式の後で 前編(1/7):2006/01/20(金) 23:51:50 ID:ZEy/3+pA0
 その日、俺たちはついに卒業の日を迎えた。
 既に式は終わり、今、俺と愛佳は二人の思い出の書庫にて雑談しつつ、
 ゴミ集めをしている。
 いつもは片付いている書庫にはお菓子の袋やジュースの空き缶が無数に
散らばっていてある意味壮観だった。
「あいつらも散らかしておいて、さっさと帰りやがって…」
「でも貴明くん、みんなわざわざ卒業式の手伝いに来てくれたんだから…」
 散らかった缶や袋を片付けながら愚痴る俺に対して、
愛佳はいつものように穏やかに微笑みながらごみを集めている。
 そりゃ、確かにみんなは卒業式の後片付けを手伝ってくれたけどさ。
その後ここを散らかして帰ったんじゃありがたくないなあ。
 ちなみに、みんなというのは由真・郁乃・雄二・このみの四人だ。
  
 卒業式の後片付け、なんて面倒なだけの仕事に俺が関わっているのは、
俺がクラスの副委員長に就任しているからだ。
 そして俺がこんな似合わない役職に就いたのは、委員長が愛佳だから。まあ当然だ。
 ちなみに愛佳は三年生になったばかりのホームルームで委員長に推薦され、
本人の抵抗もむなしく、クラス全員の賛成で当選した。まあこれも当然だ。
 そんな立場の俺と愛佳だからこの仕事を押し付けられたのだが、本当に面倒だよな。
 だいいいち友達と騒げないだろ、卒業式だっていうのに。
 そう思っていたら、由真たち四人が手伝いを申し出てくれたのだ。
690卒業式の後で 前編(2/7):2006/01/20(金) 23:52:47 ID:ZEy/3+pA0
とはいえ、四人の本当の目的は卒業の打ち上げ会を開くことだったようだ。
 その証拠にみんな飲み物やお菓子を持ち込んでいた。
 愛佳は宴会場としてこの書庫を提供した。
 そして俺たちは受け取ったばかりの卒業アルバムをめくりつつ、
飲み食いしながら思い出話に花を咲かせていたのだった。
 ついさっきまで。
 すでに四人は”あとは若い二人におまかせして…”とかいう言葉を残して去っている。
 余計なお世話だ…いや、そうでもないか。
 みんなと騒ぐのもいいが、やはり最後の時間は二人だけで過ごしたい。
「愛佳、悪かったな。このみや雄二まで呼んで秘密基地で騒いじゃって」
「ううん、あたしも楽しかった。それに、もう私達だけの秘密基地じゃないし」
 俺の謝罪に対して、愛佳は少し慌てた感じで否定した。
「確かにここにもいろんな奴が来るようになったもんな」
 俺は愛佳の言葉に答えながら、この書庫に人が集まるように
なった経緯を思い返していた。
691卒業式の後で 前編(3/7):2006/01/20(金) 23:53:44 ID:ZEy/3+pA0
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――    
  忘れもしない二年生のあの日、図書委員長の陰謀によって、俺と愛佳とでずっと
大事にしてきた書庫は撤去され、当初の予定通り貸し出しCDの並ぶ棚となった。
 悔しかった…。二人が積み上げてきた大切な思いまで踏みにじられた気がして。
 俺はその日、泣いている愛佳を抱きしめて、初めてのキスを交わした。
 
しかし俺達にも希望はあった。図書委員が購入できたCDは予定よりも少なかったのだ。
 なんでも昨年の生徒会が予算を使いすぎたらしく、どの委員会もかなりの
費用削減を強いられた。むろん図書委員も例外ではなかった。
 書庫にいくらかのスペースが残ることを知った俺と愛佳は、すぐに行動を開始した。
 由真も応援してくれたし、このみや雄二は署名集めまでしてくれた。
 図書委員の中にも愛佳に好意的な生徒がいて、口添えしてくれた。
 みんなの協力のおかげで、小さくなったけど以前の書庫を残すことができた。
 愛佳と俺は感謝の気持ちも込めて、この書庫とCDのバーコード管理を引き受けた。
 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 
「こうして愛佳は再びこの書庫のヌシとして返り咲いたわけだ」
「ヌシって言わないでよぉ〜」
 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
692卒業式の後で 前編(4/7):2006/01/20(金) 23:54:27 ID:ZEy/3+pA0
そして書庫にはいろんな生徒が訪れるようになった。
 もちろん、今まで鍵の架けられていた書庫が開放され、CDの貸し出しが始まったからではある。
 でもそれだけじゃない。愛佳はお世話になったみんなのために、時々ここでこっそりと
お茶会を開いた。
そうして静かだった図書室に、いろんな生徒が訪れるようになった。
 それは愛佳の世界が広がったことも意味していた。
 二人だけでちいさな書庫を秘密基地としていた、
 他人の手助けを拒んでなんでも自分でやろうとしていたあの頃の愛佳とは、何かが変わった。
 あの、五月の青空にみんなからの桜が舞ったあの日から。
 なんだか”俺だけの愛佳”が少し奪われたみたいで微妙にさみしい。
 けど、やっぱり好きな人にはもっと幸せになって欲しいもんな。
 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「あたし、書庫が取り戻せたことだけじゃなくて、みんなが手伝ってくれた事が本当に嬉しかったの」
「みんな愛佳が好きなんだよ。もちろん一番好きなのは俺だけど」
「うん…ありがとう…。」
 頷いた愛佳がかすかに涙ぐんでいるようだった。
「やだ…卒業式でも泣かなかったのに…今ごろになって」
 そう言って慌ててハンカチを探す愛佳。だが慌てる愛佳が探し物を見つけられる可能性は低い。
「愛佳はのんびり屋さんだから、泣くのも遅いんだよ」
「…そんなことないよぉ」
 先にハンカチを見つけて差し出す俺に、愛佳は照れながらもそう答えたのだった。
693卒業式の後で 前編(5/7):2006/01/20(金) 23:55:15 ID:ZEy/3+pA0
とはいえ、ここに訪れたお客様のなかで一番大切にされていたのは、
やはり俺……ではないかもしれない。
「郁乃が来ると、明らかに対応が違うんだよな…」
「や、そんなことないよぉ…」
 またしても否定する愛佳だが、実際その熱烈歓迎ぶりはすさまじい。
 
 郁乃が初めて学校に登校してきた日、愛佳と俺は郁乃をこの書庫に招待した。
 そのときの愛佳の喜びようといったら……
「嬉しくてしかたがないって感じだったよな…」
 愛佳は郁乃を一番大きな椅子に座らせ、テーブルにたくさんのお菓子を並べた。
 なんとケーキまで用意していた。
 まあ、ずっと郁乃にこの書庫を見せたかったわけだから、当然なんだけど。しかしなあ…
「郁乃が来るまでは、オレンジスコーンなんて絶対に出てこなかったよな…」
「ご、ごめんなさい〜」
 いや、食べ物の恨みは恐ろしいよ?
694卒業式の後で 前編(6/7):2006/01/20(金) 23:56:17 ID:ZEy/3+pA0
 その郁乃だが、さすがに姉の熱烈歓迎は敬遠しつつも図書室にはよく訪れる。
 「私、視力が戻ったらたくさん本を読もうってずっと決めてたから」
 日々病院通いという生活だったためか、視力が落ちるまでは本の虫だったらしい。
 入学してからは、今までの分も取り戻すかのように図書室の本を読みまくっている。
 俺にも貸し出しカードを作らせ、その枠まで利用するほどだ。
 しかも、俺を平気で荷物もちに使いやがる。おかげで何度愛佳の家まで
大量の本を運ばされたことか…本ってやつは重ねると重いんだよ…
 まあ、そんな用事でも無いと、なかなか愛佳の家にはお邪魔できないけどな。
 おかげでいろいろと美味しいことも…
 いや、美味しい食事を頂いた事もあるってことだよ、ほんと。
 
 ついでに言えば、郁乃は文芸部に所属している。基本的に読むだけの姉とは違い、
執筆活動にも精を出しているらしい。どんな物を書いているやら。
 ぜひ読んで笑ってやりたいが、郁乃から、”読んだら殺す”と釘をさされている。
 興味が無いわけでもないが、こいつを敵に廻したくないし…
「郁乃ってすごく感性が鋭いんですよ。将来は小説家とか、詩人になれるかも…」
「そこまで言うと、姉っていうより親バカだよな…」
 愛佳の、妹への愛なんだか本気なんだかわからないその言葉に対しては、
さすがに俺も苦笑するしかなかった。
695卒業式の後で 前編(7/7):2006/01/20(金) 23:57:42 ID:ZEy/3+pA0
 ところで、郁乃を敵に廻したくない理由はいくつもある。
 ”愛佳の妹”ってだけでも理由としては十分すぎるほどだが、
一番の理由はあの修学旅行の事件を郁乃に知られていることだ。
 俺は、ふと気になった事を愛佳に尋ねた。
「あの事件のこと、郁乃に教えたのって愛佳なのか?」
「ち、違いますっっ!!あれは由真が…」
 またしても慌てて否定する愛佳。少し怪しいな。でもあの事件は愛佳にとっても
 知られたくない事件のはずだしな…。
696卒業式の後で:2006/01/20(金) 23:58:32 ID:ZEy/3+pA0
今回はここまででお願いします。
残りは日曜までには。
697名無しさんだよもん:2006/01/21(土) 00:08:41 ID:vvB/RgQb0
>>696
乙です。修学旅行で何があったのか気になりますね。
続きを期待してまってます
698名無しさんだよもん:2006/01/21(土) 00:11:48 ID:12N4sa7x0
>>696
乙&GJ!
やはりその事件とやらが気にかかる
699名無しさんだよもん:2006/01/21(土) 00:23:30 ID:t1O3CuW30
修学旅行といえばおふ(ry
700名無しさんだよもん:2006/01/21(土) 01:04:01 ID:4NgaSTht0
>>699
バスタオルが落ちたんだな
そして由真が膝蹴り
701名無しさんだよもん:2006/01/21(土) 01:56:08 ID:QGtHlpbE0
ただの蹴りじゃ、まーりゃん先輩には敵わないよ。。
702名無しさんだよもん:2006/01/21(土) 05:36:45 ID:PvC2jjqt0
修学旅行でもっとセックスしたんだよきっと
703名無しさんだよもん:2006/01/21(土) 08:13:55 ID:12N4sa7x0
>>700
それはどこかで見た気が・・・
704名無しさんだよもん:2006/01/21(土) 09:53:28 ID:hGEvxx6Y0
>>703
よう漏れ
どこだったかさっぱり忘れたけどな
705名無しさんだよもん:2006/01/21(土) 11:01:27 ID:DwEYtRdYO
もっとセックs(ry
706名無しさんだよもん:2006/01/21(土) 13:49:12 ID:iSqbg7ud0
>>703-704
なんでここに俺が2人居るんだw
707名無しさんだよもん:2006/01/21(土) 16:00:25 ID:4NgaSTht0
>>703>>704>>706
雄二のノゾキを阻止する話なら俺も見た。
708名無しさんだよもん:2006/01/21(土) 16:03:38 ID:WIDfghQW0
>>703>>704>>706>>707
雄二が1と呼ばれている話なら俺も見た
709名無しさんだよもん:2006/01/21(土) 16:13:19 ID:l0dJEvPV0
710名無しさんだよもん:2006/01/21(土) 17:06:22 ID:y8l/StEf0
>>703>>704>>706>>707>>708>>709
奇遇だな、俺も最近そこのSS読んだ
711名無しさんだよもん:2006/01/21(土) 17:14:52 ID:y/RusVRB0
>>703>>704>>706>>707>>708>>709>>710
何を隠そう俺も読んだことがある
712名無しさんだよもん:2006/01/21(土) 18:01:21 ID:DwEYtRdYO
>>703>>704>>706>>707>>708>>709>>710
ちょ、おまいらwww
漏れも読んだ……
713名無しさんだよもん:2006/01/21(土) 18:13:06 ID:12jvdnrY0
714名無しさんだよもん:2006/01/21(土) 18:13:51 ID:uTPIYc1h0
いい加減やめれば?
715卒業式の後で(後編)1/6:2006/01/21(土) 20:08:03 ID:aW6gBowG0
 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 それは思い出すのも恥かしい、二年の修学旅行当日の出来事だ。
 あの頃の俺にはちょっとした悩みがあった。
 書庫の件や、郁乃の件やらで愛佳と一緒にいる時間は増えた。
 もちろんそれだけでも楽しい毎日だけど、書庫の件が解決して以来、
愛佳との恋愛には進展が無かった。
 もともと恋愛には奥手の俺たちだから、なにかきっかけでもないと
なかなか進まないのだろう。
 
 焦った俺は、修学旅行の自由時間を利用して愛佳に正式に交際を申し入れることにした。
 思えば、それまでは状況に流されて来ただけであって、ちゃんと告白も済ませてない。
 なにも修学旅行にそれをやらんでもいいだろうと今になって思うが…
 やはり、なにかのきっかけが欲しかった。
 バカンス効果とか、そういうのを本気で期待したわけでもないが、
藁にもすがりたい思いがあったのは確かだ。 
 そして修学旅行当日、俺は愛佳と二人きりになることに成功し、無茶苦茶に緊張したが、
予定通りに告白できた。 
 俺は頑張った…というか、頑張りすぎた。
 
 その日、不自然に集団から離れていく俺と愛佳を密かに追跡していたのが由真だ。
 由真は俺と愛佳の告白劇の一部始終を物影から見守っていたらしい。
 恐ろしいことに、写真まで撮ってやがった。
 後日、その由真が俺の告白を見た感想をこう述べている。
 『あんたのあれ、告白じゃなくて、プロポーズだと思う…しかも、すごいやつ』
 それ以来、由真はこの件を『超・告白事件』と名づけた。
 そして俺その事件をネタに、由真と郁乃にしょっちゅうからかわれたり、
あるいは写真の公表をほのめかし、理不尽な仕事を押し付けられたりしてきたのだった。
 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
716卒業式の後で(後編)2/6:2006/01/21(土) 20:09:01 ID:aW6gBowG0
「それにしてもあれはやりすぎたなあ…」
 俺は若く、そして無謀だったあの頃を思い返しつつ、そう呟いていた。
 そんな俺の様子を見守っていた愛佳だったが、不意にかしこまった様子で俺に尋ねてきた。
「あの、貴明くん…お願いがあるんだけど…」
「何?」
「あの時の告白…もう一度して欲しいな…」
「な、なんですとぉ〜〜!!」
 思わず俺は叫んでしまった。あの日のことは二人の間では禁句としてきたはずだ。
「や、あの、無茶なお願いだってことはわかってるけど…
あたし、やっぱりうれしかったし、今日卒業だし、できたら……」
愛佳は恐縮しているらしく、だんだん小さな声になってしまう。
 しかし困ったな…愛佳がこんなことお願いするのは珍しいし、卒業式だし、
男としては答えてあげたいけど…
 いや、やりたくないとかそういうものじゃないんだ、
出来ないって、あんな事…。一生に一度で精一杯だよ、ほんと。
 でも、なんか愛佳が泣きそうな目で俺を見てるし、どうしようかな…
「じゃあさ、俺もあの時の告白をするから、愛佳もあの時の返事で返してくれる?」
「ええっっ?!あ、あの時の、あたしの返事、だよね…」
「そ、そう。愛佳の返事…」
「え、ええっと……(赤面)」
「…………」
「た、貴明くん。そろそろ帰ろうか!」
 愛佳は思い出したようにそう言うと、急いで荷物をまとめ始めた。
 逃げたな、こいつ……
 まあ、俺の告白もかなりすごかったが、それに対する愛佳の返事も、
負けず劣らず、すごかった。そういうことだ。
だからこの件については生涯の二人の秘密にしておきたいのだ。
717卒業式の後で(後編)3/6:2006/01/21(土) 20:10:04 ID:aW6gBowG0
 片付けも終え、書庫に施錠して、俺と愛佳は校門への道を歩く。
 今日でこの学校ともお別れなんだな……
 ふと、もの悲しい気持ちに襲われた。
「愛佳、いいかな…?」
 俺は愛佳にそう尋ねつつ手をさしのべた。
「うん…」
 愛佳は少しはにかんで頷くと、俺に答えてそっと手を差し出した。
 二人で手を繋いで下校する。
 まだ少し恥かしいけど、今ではこんなふうに自然に手を繋ぐことができる。
 でもこうなるまでが、大変だったな…
 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 初めて愛佳と手を繋ごうと行動したのは、二年の秋くらいからで、
 もちろん、その前からずっと繋いでみたいと思っていた。
 学校からの帰り道とかに。
 俺と愛佳は雑務で遅くなる事が多いから、人目はそう多くはない。でも人が居ないわけじゃない。
 そんな中を二人で手を繋いで歩くなんて…
 これはある意味、二人でこっそりキスするよりもすごいことですよ?
 だからそんなに簡単にできるわけじゃない、でも繋ぎたいな…
 そんなふうに悶々としていたわけだ。
718卒業式の後で(後編)4/6:2006/01/21(土) 20:10:43 ID:aW6gBowG0
 そして俺は最も人の気配が少なくなる土曜日の帰り道に、それを実行に移した。
 しかし、手を繋ぐ直前に、偶然通りかかった雄二に目撃された。
 雄二は状況を察して、軽い挨拶とともにすぐ立ち去ってくれたが、
それでも俺たちのショックは大きかった。
 それからは愛佳と顔を合わせることさえ恥かしくて。
 愛佳のほうもそれは同じで、二人してお互いに気を使って、どんどん気まずくなっていった。

 そんな時、助け舟を出してくれたのは郁乃だったな…
 あの時の郁乃が俺を助けるつもりだったかどうかはよくわからないが。
 
 いよいよ郁乃の退院がきまり、同時に学校に初登校する前日になって、
 俺と愛佳は病室に呼び出された。
 郁乃は俺たちが気まずくなっているのに気付いていた。当然だけど。
「貴明。あんた、うちの姉になにしたわけ?」
「ちがうの、貴明くんは悪く無いの…ただ…」
「いや、俺がふがいないから…」
 二人してはっきりしない俺たちに、郁乃はため息をついた。
「別に二人が別れてもいいけど、私は。でも気まずいのは嫌。こんな雰囲気で明日から
一緒に登校するなんてごめんだから」
 さらに、郁乃は俺たちの反論を許さず一言で切って捨てた。
「形だけでもいいから、仲直りして」
719卒業式の後で(後編)5/6:2006/01/21(土) 20:11:42 ID:aW6gBowG0
 かくして俺と愛佳は郁乃に指令をうけて、病院の入り口に立っていた。
 指令とはこの病院前からバス亭までの道を手を繋いで歩くこと。
 振り仰ぐと、二階の病室から見張っている郁乃の姿が見える。
 向こうからもはっきり見えるだろう。つまり、逃げ道は無い。
 いや、もともと逃げたくなかったんだ。ただ覚悟が足りなかった。
 俺はここに来てから俯いたままの愛佳に声をかけた。
「愛佳…ここしばらく嫌な思いをさせてすまなかった。」
 そして愛佳からの言葉が返る前に自分の言葉を続けていった。
「でも、俺はそれでも愛佳と手を繋いで歩きたいんだ。断られても仕方ないとも思う。
でも、愛佳が手を繋いでくれたら、すごく嬉しいんだ」
 俺はそう言って手を差し出した。
 そのまま、少しの間沈黙があって……
 差し出した俺の右手があたたかい感触に触れた。

 そして俺と愛佳は軽く手を重ねたままで、バス停までの道のりを歩いた。
 恥かしくて、お互いに言葉も無いまま歩きつづけた。
手は少し触れているだけだったけど、冷たくなった秋の風の中で、そのぬくもりは鮮やかだった。
そして、道のりの半分くらい、三丁目の自然公園に差し掛かったとき――
 触れていただけの愛佳の手が、優しく俺の手を握り返してくれた。
 ――俺はあの日の喜びを、今でも忘れない。 
  ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
720卒業式の後で(後編)6/6:2006/01/21(土) 20:12:29 ID:aW6gBowG0
 校門の桜の木はもうつぼみを付け始めていた。
 その近くまで歩いて来たとき、俺は愛佳が振り返って校舎を見つめている事に気付いた。
 俺も立ち止まって一緒に校舎を見つめてみる。
 こうしていると、学園生活のさまざまな思い出が浮かんでくる。
 愛佳と初めてのバレンタイン。三年生も同じクラスになれて、嬉しくて抱き合ったこと。
 学園祭では愛佳とフォークダンスも踊ったよな。
 やっぱり愛佳との思い出ばかりだな…
 そう考えていた俺の耳に、愛佳が校舎に別れを告げる呟きが聞こえてきた。
「さようなら…大切な思い出と、一番大切な人を…ありがとう…」
721卒業式の後で:2006/01/21(土) 20:16:26 ID:aW6gBowG0
以上になります。
読んでくださった方、ありがとうございます。
722名無しさんだよもん:2006/01/21(土) 20:27:51 ID:qmJZgX4n0
>721
GJ
723名無しさんだよもん:2006/01/21(土) 21:01:52 ID:le8yIXoj0
>>721
乙&GJです。
貴明と愛佳が告白の時それぞれ何と言ったのか知りたいなあw

>>706-713
ちょ、おまいらそれダシにしてるだけだろw
724名無しさんだよもん:2006/01/21(土) 22:10:49 ID:DwEYtRdYO
>>721
乙andGJ(´∀`)
禁断の告白シーン気になるなww
725名無しさんだよもん:2006/01/22(日) 00:22:36 ID:cMButhx40
>>721
乙そしてGJです。
禁断の告白、セリフ考えてあるのなら知りたいなぁ・・・。
726725:2006/01/22(日) 00:25:22 ID:cMButhx40
sage忘れてた・・・。orz
727名無しさんだよもん:2006/01/22(日) 01:25:27 ID:JOSLxzmDO
愛佳鬼畜SSマダー?
728名無しさんだよもん:2006/01/22(日) 02:20:58 ID:A1OIe/5j0
>>727
それは愛佳が鬼畜な話なのか?
729愛佳エンド裏事情:2006/01/22(日) 02:34:51 ID:N0/R+UPk0
「ちゃんと感謝するんだぞぉ、何たってお姉ちゃんが戦って守り通したものなんだから」
郁乃がこの嘘に気付くのは、そう遠い話では無いだろう。


希少本という最後の切り札が空振りした俺達に残された手はもう無い。
何よりも、愛佳が本の運び出しを止めず、あの場を逃げ出したのが致命的だった。
愛佳はCD導入を受け入れたと見なされ、反対派だった一部の図書委員も抵抗をやめてしまったのだ。
書庫の本たちは全て運び出されてしまい、最早CD導入は時間の問題だった。
……そう、思われていた。

「我が校の創立30周年を記念し、中庭に人口池を設置。生徒の情操教育のため水棲生物の飼育を行う」
全生徒会役員の賛成によって強行議決されたこの事業は、全費用を生徒会予算で賄うことを条件に認可された。
去年の"お祭り"生徒会によって予算の枯渇していた生徒会は各委員会への予算を削ることで費用を捻出。
図書委員会への予算も削られ、予定していたCDの購入が出来なくなったのである。
図書委員長は導入するCDの数を減らすことでこれに対応。
その結果、書庫には本棚一つ分のスペースが残されたのである。


「けど、誰があんな申請をしたんだろう」
生徒会への申請はクラス委員を通じて定例会議で行われることになっている。
しかし愛佳の話では、過去の会議でそのような提案は無かったという。
定例会議も通さずに生徒会に意見し、しかも役員全員の賛同を得る。
そんなことの出来る人物が居るのだろうか?
……ん? 生徒会役員全員?
今期の生徒会構成は確か……


「カエル、可愛い……」
730名無しさんだよもん:2006/01/22(日) 02:41:12 ID:zFSxzQGS0
>>729
テラモエスwww
731突発屋 ◆63./UvvAX. :2006/01/22(日) 03:41:52 ID:vufTLjCV0
「足手まといの妹です。」
そう冗談めかして微笑む郁乃に、どう反応して良いのか分からない
らしくて困った顔になる貴明君。もう! 郁乃ったら私が居なくな
ってから始めてくれれば良いのに、これじゃ早すぎるわよぉ! 困
ったなぁ……
「………よろしく、お兄ちゃん。」
「こ、こちらこそ。」
チラリと私の顔色を伺った後、努めて平穏な声で返事をしてくれる
貴明君に感謝。どうやらこの場は切り抜けたみたいだけど、これ以
上居座ったら何処でボロが出るかわからない。とりあえず洗濯物を
片付けるという大義名分も出来たことだし、急いで病室から逃げ出
すことにしよう。
「貴明君ごめん、座ってくつろいでて?」
余りの空気の重さに『俺も何か手伝おうか?』なんて言われたら折
角あしらえた舞台が台無しになってしまうので、先に釘を刺してお
くことにする。もちろん、最悪の場合に備えて『気持ちは嬉しいけ
ど、これ、郁乃の着替えだから』という切り札は温存。
そして、郁乃がこれ以上余計なことを言って私のフォローで片付い
てしまいそうになる前に急いで脱出した。
732突発屋 ◆63./UvvAX. :2006/01/22(日) 03:42:28 ID:vufTLjCV0
「勝手なこと言いやがって……!」
(あ、やってるやってる♪)
洗濯物を放り込んで急いで戻って見ると、病室内は期待通りの盛り
上がりを見せていた。謙虚で理解力があって妹想いの姉の顔を周囲
に振りまきながら戸口の横に立って聞き耳を立てる。
「でも結果オーライじゃない? 姉は尊敬される姉になろうと頑張
ってる訳だし、それに……」声の調子からすると、相変わらず出だ
しは優勢みたいね郁乃?「……『他人』には関係ない話だよね?」
「………………………………………」
「このこと、姉に知らせる? ならどうぞご自由に。でも……」
「………………………………………」
貴明君が悔しさに歯を食い縛ってる様子が扉越しでも手に取るよう
に分かる。そうなのよ貴明君? 私、いじわるな妹に虐げられなが
らも一生懸命にお世話してる優しい優しいお姉ちゃんなのよ?
「………あの姉のことだから、よほどのことが限り、あなたについ
て行かないと思うよ?」
その調子その調子っ♪ 一気に畳み掛けちゃってよ郁乃っ♪
「だって、他(ひと)人を見捨てることが出来ない人だから。」
ぐ、ぐぐ、ぐっじょ〜ぶっ♪ もっと持ち上げて持ち上げてっ!
「別に見捨てるとか……」
「そうでなくても、そう感じちゃう人なのよ。あの姉は。どうぞ、
遠慮なくやって見せて。あたしから姉を引き剥がせるかどうか。」
ほら貴明君も、もっと対抗意識メラメラ燃え上がらせてよ。早く
その気になってよぉ〜!
「もっとも、ごめんなさいされるのがオチでしょうけど?」
「……………………………」
733突発屋 ◆63./UvvAX. :2006/01/22(日) 03:43:27 ID:vufTLjCV0
「たまにせがまれて、郁乃に学校の話とかするんだけど、その中
でも興味を持ったのが図書室と桜並木の話なの。」
郁乃の毒気に煽られてフラフラになってる貴明君に更なる追い打
ちをかける帰り道。きっと計算高くなってるだろう私の表情を見
せないように俯いたまま、ぽつりぽつりと話を始める。
「専門的なことはよく分からないんだけど、あの子の病気という
のは、本当ならバイ菌とかから体を守ってくれる筈の仕組みが逆
にあの子自身を攻撃するという物らしいの。寝起きとか体が痛む
らしいんだけど、あの子、弱みを見せたがらないからいつも平気
な顔して……」
そりゃもう見物なんだから。普段は偉そうにしてる郁乃が布団に
くるまったまま、一生懸命に痩せ我慢して独りでフルフル震えて
るのよ? それで「大丈夫?」とか言ってやったら「うるさいな
ー! ほほ、ほっといてよ!」とか死にそうな声で悔しそうに言
うんだから、もう最高なの!
「そ、そうなんだ……」
あ、貴明君困ってる? 本当は生意気で可愛げ無くって、私とは
姉妹と思えないくらいに腹黒い郁乃には同情なんて出来ないなぁと
か思ってくれてる? じゃあ、トドメ!
「……それに、ここ数年で視力も衰えて(ぐすん)……ただでさえ
狭い世界しかないのに(ぐすぐすっ)……」
「ちょ、愛佳………」
わわ、きたきたきたぁっ! これで貴明君げっちゅ、確定っっ♪
734突発屋 ◆63./UvvAX. :2006/01/22(日) 03:45:19 ID:vufTLjCV0
しまった!
これじゃ鬼畜じゃなくて単なる腹黒だ!!w

一部、前後を繋ぐために意図的に台詞を改変してます。
失礼しました〜(汗
735名無しさんだよもん:2006/01/22(日) 03:56:13 ID:Fmylpw900
愛佳って普通に何か闇を抱えてそうな感じもあるしね〜
736名無しさんだよもん:2006/01/22(日) 04:02:25 ID:OFwlyCJV0
げっちゅとか言ってるだけに、鬼畜じゃなくて鬼さ・・・・・・ゲフンゲフン!!
・・・腹黒愛佳、他の場面もやって欲しい。
あと、
×あしらえた
○あつらえた
かな、「こしらえた」の方が良いのかのう・・・
737名無しさんだよもん:2006/01/22(日) 04:05:35 ID:1xzFuG5O0
>>729
さーりゃん激しくGJ&テラモエスwwww

>>734
愛佳…恐ろしい娘!
738突発屋 ◆63./UvvAX. :2006/01/22(日) 08:15:20 ID:vufTLjCV0
>>736
ご指摘、感謝します。
「あつらえた」のつもりだったんですが………
739名無しさんだよもん:2006/01/22(日) 11:58:00 ID:VfruQ328O
布団にくるまってフルフル震えている郁乃…

テラモエスww
740名無しさんだよもん:2006/01/22(日) 16:35:43 ID:N0/R+UPk0
ビデオゲームでもっとセックスする! 会議がアメリカで開催予定
ttp://www.stack-style.org/2006-01-12-03.html
741名無しさんだよもん:2006/01/22(日) 16:49:45 ID:N0/R+UPk0
誤爆スマソ
742名無しさんだよもん:2006/01/23(月) 13:02:05 ID:HlEW3L7/0
>>734
テラワロス。 愛佳、お主も悪よのう。
743名無しさんだよもん:2006/01/23(月) 13:58:43 ID:wb9OyR05O
週刊河野家マダー?
744名無しさんだよもん:2006/01/23(月) 17:11:47 ID:qxTcdq6s0
そろそろ今週の河野家かな〜??
745河野家にようこそ 第41話(1/9):2006/01/23(月) 20:50:57 ID:QYS/1RAg0
 仲直りの印って感じで、由真、優季と一緒に夜食を食べても、俺が優季を叩いたことが無かった
ことになるワケじゃない。罪悪感は以前、俺の胸の中にあった。だけど、叩かれた優季はそのことを
喜ぶばかりで、俺はもうどうしたらいいものやら……。
 そんな俺に愛佳は、大切なのは相手を思いやる気持ちで、それを感じたからこそ優季は改心し、
喜んだのだと教えてくれた。そんな愛佳の悪ふざけのせいで、またクラスのさらし者になったのは、
まぁ、小さいことだよ、うん。
 大切なのは相手を思いやる気持ち。そのためには、俺はもしかしたらまた誰かを叩くかもしれない。
タマ姉はそんな俺に、その辛さを心の糧とし、成長しろと励ましてくれた。タマ姉の期待はいつも
大きくて重い。だけど、それに応えられる男になりたいと、俺はいつも思わされてしまうんだ。
 夕食は、愛佳、郁乃、珊瑚ちゃんも招待出来た。え、なんで春夏さんまで家に来るの?

「どうしたんですか春夏さん?」
「ええ、ちょっと用事があってね」
「用事? 俺にですか?」
「ううん、タカくんじゃなくてタマちゃんたち。じゃあちょっとお邪魔するわね」
 玄関に上がり、居間へと向かう春夏さん。俺とこのみも後を追う。
 タマ姉に用事って一体なんだ? それに春夏さん、タマ姉『たち』って言ってたよな……?
「こんばんは、タマちゃん」
「あ、春夏さん、いらっしゃい」
 居間に入った春夏さんがタマ姉と挨拶。他のみんなは一様に『?』って様子。
「たかあき、この人、誰?」
 由真が俺に駆け寄ってくる。
「以前話した、このみのお母さんだよ」
「皆さん初めまして、柚原春夏です。娘のこのみがいつもお世話になっております」
746河野家にようこそ 第41話(2/9):2006/01/23(月) 20:51:28 ID:QYS/1RAg0
「あ、ど、どうも……」
 春夏さんが頭を下げ、由真たちも同じくお辞儀する。
「みんな、自己紹介」
 タマ姉が促し、みんなが肯く。
「初めまして、草壁優季です。理由あって貴明さんのお家にご厄介になっております」
 真っ先に優季が立ち上がる。
「あなたが優季ちゃんなのね。タカくんから聞いてる通り、可愛らしいわね」
「そ、そんな……」
「るーの名は、るーこ・きれいなそら。今はうーの家の居候だ。よろしくだぞ、うーはる」
 続いて名乗りを上げたのはるーこ。
「宇宙人のるーこちゃんね。こちらこそよろしくね」
「で、そのるーこの正体を暴くためにたかちゃんの家にやって来た、この世の全ての謎を暴く真実の
探求者! ミステリ研究会会長、笹森花梨でーす!
 ところで春夏さん、春夏さんはUFOとかUMAなんかに興味があったりしちゃいませんか? 今
なら特別名誉会員として――」
「ごめんなさい、興味ないわ」
 即答であった。
「初めまして、小牧愛佳です。こっちは妹の郁乃と言います」
「は、初めまして」
 愛佳と郁乃が揃って頭を下げる。
「あたしと郁乃はたかあきくんの家には住んでないんですけど、たまにこうやってご飯をご馳走に
なったりしてるんです」
「うん、愛佳ちゃんたちの話も聞いているわ。とっても仲がいい姉妹なんですってね。このみが羨ま
しがって、自分も妹がほしいって駄々こねてるわ」
747河野家にようこそ 第41話(3/9):2006/01/23(月) 20:52:00 ID:QYS/1RAg0
「な、仲がいいとか別に……」
 赤面するお姉ちゃん子。
「ウチは姫百合珊瑚、こっちは妹の瑠璃ちゃん。
 ウチと瑠璃ちゃん、今、姉妹喧嘩中やねん。せやから瑠璃ちゃん、家出して貴明の家に住まわせて
もらっとるんや〜」
「ちょ、ちょっとさんちゃん……」
「ふふっ、とても喧嘩中には見えないわね」
 瑠璃ちゃんに抱きつく珊瑚ちゃんを見て、苦笑する春夏さん。
 と、珊瑚ちゃんはそんな春夏さんを見て、不意に瑠璃ちゃんからパッと離れると、
「なーなー、お願いがあるんやけどええかな?」
 春夏さんに駆け寄る。どうしたんだ?
「なに、珊瑚ちゃん?」
「あのな……」
 珊瑚ちゃんはちょっと照れくさそうに、
「あのな、春夏ママって、呼んでええ?」
「春夏ママ? ええ、いいわよ」
 笑顔で答える春夏さん。すると珊瑚ちゃんは満面の笑みで、
「やたー! 春夏ママや〜!」
 春夏さんにがばっと抱きついた。
「あらあら、人懐こい子ね。でもあなたみたいな子、わたしも大好きよ」
 珊瑚ちゃんの頭を撫でる春夏さん。
 ……そっか、珊瑚ちゃんたちの両親は海外に行ってるんだっけ。きっと寂しかったんだろうな、
珊瑚ちゃん。
「瑠璃ちゃんもおいで〜な。春夏ママ、ごっつええ匂いや〜☆」
「う、ウチはええもん……」
748河野家にようこそ 第41話(4/9):2006/01/23(月) 20:52:32 ID:QYS/1RAg0
 そっぽを向く瑠璃ちゃん、でも何となく、羨ましそうに見えなくもない。
 さて、これで全員……、ん? 由真がまだだよな?
「由真?」
「あ、うん、……ど、どうも、由真です。よろしくお願いします」
「ええ、よろしくね、長瀬由真ちゃん」
 へ、長瀬?
「春夏さん、こいつの名字は十波ですけど?」
「え? たかあきくん、由真の名字は長瀬ですよ?」
 きょとんとした顔の愛佳。
「……え?」
 どういうこと? ワケが分からず、由真の方を見ると、由真は気まずそうに、
「……ゴメン、たかあき」

「じゃ、じゃあ、今まで俺にウソついてたのかよ!?」
「い、いつか話そうとは思ってたのよ! だけど、その、何て言うか、タイミングが……」
 どうやら由真は本当に、『十波由真』ではなく、『長瀬由真』らしい。
 なんてこった! 俺は今まですっとダマされていたのだ!
「そう言えば今までわたしたち、由真さんの名字って聞いたことなかったよね」
「だね。たかちゃんが由真ちゃんのこと名前で呼んでたから、私たちもそれにならったし、別段それ
で不都合もなかったしね」
 このみの言葉に花梨がうんうんと肯く。
「でも由真さん、どうして貴明さんにウソの名字を名乗ってたんですか?」
「そ、それは……」
 優季の質問に、由真は言葉を詰まらせる。
749河野家にようこそ 第41話(5/9):2006/01/23(月) 20:53:04 ID:QYS/1RAg0
 まぁ、最初はあれだけ俺のことを嫌っていた由真だ。本名を知られると何かマズイことになると
でも考えて、とっさにウソをついたんだろう。
 ……でも、それだけかな? とっさに思いついたにしては『十波』って、随分個性的な名字だよな。
この名字に何か意味が? もしかして、こいつの家出と何か関係が? ……いや、詮索はよそう。
「まぁ、いいや。別に何か問題があったわけでもないし、ウソついてたのはこの際水に流してやる。
 今日からお前は長瀬由真ってことで」
「たかあき……、うん、ありがと」
「ん? そう言えば春夏さん、何で春夏さんはこいつの名字知ったんですか? 俺だって今まで本当
の名字、知らなかったのに?」
 俺がそう尋ねると、それに答えたのは、
「教えたのは私よ、タカ坊」
「た、タマ姉!?」
「環さん、どうして!?」
 驚く俺と由真に、タマ姉は、
「由真のことは色々気掛かりだったし、万が一事故でもあった時、家族に連絡出来ないのは問題ある
でしょ。本名、家の住所、家族のこと、悪いけど調べさせてもらったわ」
「じゃ、じゃあ、あの人のことも……?」
「あなたが言ってる『あの人』が誰なのかも、大体見当がついてるわ。私の家もそれなりだから、
来栖川家とのお付き合いもあるしね。
 でも調べたのはここまで。あなたの家出の事情までは私は知らないわよ」
「タカくんに黙っていたのは悪かったけど、タマちゃんとは時々会って話をしてたのよ。やっぱり
タカくんの家のことは気になるし、タマちゃんは一番の年長者だからね。由真ちゃんのこともその時
に聞いたの」
「そうだったんですか……」
750河野家にようこそ 第41話(6/9):2006/01/23(月) 20:53:35 ID:QYS/1RAg0
「私にとって春夏さんは、昔から頼り甲斐ある人だったからね。いきなり六人の子の面倒を見る羽目
になったシングルマザーの悩みや愚痴を聞いてもらってたってワケ」
 冗談っぽく肩をすくめるタマ姉。確かに実質みんなを取り仕切っているのはタマ姉だものな、色々
気苦労も絶えないだろうし、年下で男の俺には相談しにくいこともあるのだろう。その点、年上で
現役主婦の春夏さんはこの上ない相談相手というワケだ。
「で、タマちゃんから現状を聞いている内に、一人の母親としてちょっと気になることがあったから
こうしてやって来たの」
 それまで柔らかかった春夏さんの表情が途端に真剣なものになり、
「優季ちゃん、花梨ちゃん、由真ちゃん、あなた達、この家に来てから一度でも、親御さんに連絡
したことあるの?」
「それは……」
「……」
 その言葉に優季と花梨が気まずそうな顔になる。しかし、
「……そんなこと、する必要ありませんから」
 由真がそう言い返す。
「どうして?」
「……お父さんもお母さんも、あたしのこと心配なんかしてないに決まってます。
 だって、あの時、二人とも何も言ってくれなかった。あたしのこと、黙って見てるだけだった……。
 きっとあたしなんかどうでもいいんです。今頃、二人で新婚気分でも満喫――」
「馬鹿なこと言うんじゃないの!!」
「!?」
 突然怒鳴った春夏さんに由真が、いや、俺も含めてみんなが驚く。
「わたしもタマちゃんと同じく、あなたの事情は知らないわ。あなたがどんな問題を抱えているかも、
何故あなたが家を飛び出したのかも。でもね、これだけは間違いなく言えるわ。あなたのご両親は、
751河野家にようこそ 第41話(7/9):2006/01/23(月) 20:54:07 ID:QYS/1RAg0
きっと、今、この瞬間もあなたのことを気にかけている。
 どんな暮らしをしているのか? 毎日ちゃんとしたものを食べているのか? 何かトラブルに巻き
込まれていないか? そして、今、笑っているのか、それとも、泣いていやしないか?
 親ってね、そういうものなのよ。例え見た目は素っ気なくても、心の中ではいつも子供のことを
気にかけているの。いえ、気にかけずにいられないのが親なのよ。
 ねぇ由真ちゃん。今すぐ家に帰れとは言わないわ。でも、せめて電話で声だけでも聞かせてあげて
くれない? 同じ子を持つ親として、わたしからのお願い」
「……」
 春夏さんの言葉に、だけど由真は何も答えない。
「優季ちゃんと、花梨ちゃんも、ね」
「……は、はい」
 肯く優季。しかし花梨は、
「……う、うちは放任主義だから……」
「それでもね、電話してあげたらきっと喜ぶわよ。ね」
 なおも優しく諭す春夏さんを前に、花梨は、
「……はい」
 肯くしかなかった。
 あとは由真だけだ。けど由真は、顔を背けて何も言わない。
 と、そんな由真に、
「電話しろ、うーゆま」
 近づき、そう言ったのはるーこだ。
「うーはるの言うとおり、電話してパパとママを安心させろ。それが子の務めだ。
 るーから見れば、うーゆまは幸せだぞ。その気になればいつでもパパとママに連絡が出来る。
 るーは、したくても出来ない。るーは、うーゆまが羨ましい……」
752河野家にようこそ 第41話(8/9):2006/01/23(月) 20:54:40 ID:QYS/1RAg0
「るーこ……」
 るーこの悲しげな表情。由真はそんなるーこをじっと見つめ、そして、
「……たかあき、電話貸して」
「ああ」
 俺の返事も聞いていたかどうか。由真はすたすたと電話に向かい、受話器を取り上げ、電話番号を
素早く押して、
「……もしもし、お母さん? うん、あたし、由真。
 ……愛佳から聞いてるでしょ、そこにいる。……うん、大丈夫、大丈夫だって。
 ……うん、ごめんね。今まで連絡しなくて。……そうだね。でもまだ帰れない、かな。
 ねぇ聞いてお母さん。あたし今、料理教わってるんだよ。それでね、この間……」
 最初はぎこちなく、でも次第に由真の表情が明るくなる。それはまるで、今まで忘れていた何かを
取り戻したような感じに見えて……。そっか、こうするべきだったんだな。
「ありがとうございます、春夏さん」
「いいのよタカくん。わたしは言いたいことを言っただけなんだから」
 やや照れ気味に春夏さんが手を振る。
 由真はその後10分程両親と話をし、優季、花梨も続いて電話をかけた。

 久しぶりに親に連絡をして、親に頼まれたのか、それとも、里心がついたのか。
 優季と花梨は明々後日の土曜、家に戻ることになった。
「一晩帰って、母を安心させることにしました。日曜の昼には戻りますから」
「何だったら、しばらく家に帰った方がいいんじゃないのか? その方がお母さんも……」
 そう説得しようとする俺に優季は、
「いいえ、私の目的はまだ果たせてませんから、そうはいきません。
 皆さんが貴明さんのお家にいる間は、私も絶対、ここに居続けますからね」
753河野家にようこそ 第41話(9/9):2006/01/23(月) 20:55:45 ID:QYS/1RAg0
 はは、優季の決意は変わらないか……。
「私もとりあえず、久しぶりに親の顔でも見てくるね。
 たかちゃん、私が留守の間にるーこが怪しいことしたら、絶対に後で報告してね!」
「はいはい、了解」
「二人とも、一晩だけでもたっぷり親孝行してくるのよ」
 優季と花梨にそう言うタマ姉。しかし、
「何、他人事みたいに言ってるのよタマちゃん。いい機会だからタマちゃんも帰ってあげなさい」
「え、私もですか春夏さん?」
「最近家に帰ってないんでしょ? たまには帰って、ユウくんの面倒でもみてあげなさい。
 タカくんばっかり可愛がってたら、ユウくん拗ねちゃうわよ」
「あの春夏さん、俺も雄二も小学生じゃないから……」
「そうですね……。ええ、それじゃあ私も土曜日、家に帰ります。タカ坊、帰るまで待っててね」
 そうですねって、タマ姉も……。
 でも、そうなると土曜日は三人もいなくなるのか。ちょっと寂しいかもな。
「タマお姉ちゃんと、優季さん、花梨さんが帰っちゃうんだ。
 ねぇねぇタカくん、だったら土曜日、わたしが代わりに泊まってもいいかな?」
「このみ、俺より先に春夏さんに聞くべきだろ。まぁ、俺は別に構わないけど」
「タカくんがいいなら、わたしもいいわよ」
 春夏さんからあっさり承諾。ま、このみはよく俺の家に泊まってるからな。
 じゃあ土曜日は残った三人プラスこのみ……ん? 愛佳、何で手を上げてるの?
「あの、たかあきくん。それなら土曜日、あたしと郁乃も、その、お家に泊まってもいいですか?」
「え!? ま、愛佳、マジ?」

 つづく。
754河野家にようこそ の作者:2006/01/23(月) 20:57:08 ID:QYS/1RAg0
どうもです。第41話です。
また、またミスをやらかしてしまいました……。orz
第40話、9ページ目の12行目、「瑠璃ちゃん」は「珊瑚ちゃん」の間違いです。
この二人って、双子のせいか書いてると間違いやすいんですよね。それだけに気を付けていたつもり
だったのですが……、反省。
755名無しさんだよもん:2006/01/23(月) 21:04:25 ID:oBbNhCYZO
>>754
いの一番にGJ
756名無しさんだよもん:2006/01/23(月) 21:52:20 ID:DdH43i7N0
   _、_
 ( ,_ノ` )      n
 ̄     \    ( E) グッジョブ!!
フ     /ヽ ヽ_//

757名無しさんだよもん:2006/01/23(月) 22:35:14 ID:9Fm8D9sg0
GJ!

河野家の面白さ異常
758名無しさんだよもん:2006/01/23(月) 22:46:12 ID:1MDWOfx00
流石は春夏さん、TH2の陰のカリスマ…もとい肝っ玉母さん!
今回はジンときた。
759名無しさんだよもん:2006/01/24(火) 00:12:02 ID:xz4OW2Q+0
>>754
乙です。もう41話なんだねえ…しみじみ。
終わりも見えないだけに、今後どうなっていくのか非常に
楽しみであります。
760名無しさんだよもん:2006/01/24(火) 00:16:26 ID:jbHCpsF60
GJです
春夏さんも良かったけど、
次回は愛佳と郁乃がお泊りですか…
楽しみです。
761名無しさんだよもん:2006/01/24(火) 00:47:21 ID:IYTU2XWi0
GJです!!!!!!!!!
ついに小牧姉妹がお泊りか!??
そうなれば小牧姉妹ファンの私的にはたまりませんね☆
しかも由真に何があったかも気になるし‥‥‥‥
あ〜来週の気になる〜〜〜〜〜。
762名無しさんだよもん:2006/01/24(火) 01:22:03 ID:ehf2ubi10
>>761
本編やればわかるじゃん
763素直になれない女の子との日々 2話 1/6:2006/01/24(火) 03:36:56 ID:P/Ee/C4R0
「昨日は見事に疲れたなぁ…」
毒を食らわば皿まで…というわけではないが、
俺は帰りも小牧姉妹の手伝いをしようと思っていた。
行きに手伝ったんだし帰りも手伝うよ、と小牧に申し出たところまではよかったのだが、
小牧が持ち前の遠慮精神を爆発させてしまい、クラスの見世物になってしまった。
それだけなら良かったのだが…小牧はまたしても車椅子を持ち上げられず、
行きに引き続いて帰りも郁乃ちゃんを抱っこするはめとなった。
だって、それ以外に運ぶ方法無かったし。
雄二あたりに見られたら大変なことになってたなぁ、と今更ながら思う。
もっとも一年生には見られたから、もしかしたらこのみあたりには
すぐ伝わるかもしれない…一応、このみには口止めしておこう。
しかし、何で女の子ってのはあんなに柔らかいんだ。
あれだけ軽かったらもっと骨ばってても不思議じゃないのに、
とても柔らかい…って朝から俺は何を考えてるんだ!
これじゃまるで雄二じゃないか。いかんいかん。あれはあくまで、人助けとしてやったんだ。
決してよこしまな気持ちがあったわけじゃない。
「何朝から一人で百面相してんのよ」
「はひっ!?」
「な、何よ。いきなり変な声あげて」
後ろめたいことを考えてたから仕方ないだろ…とは言えない。
しかし、朝からこんな無礼なことを言ってくるのはどこのどいつだ。
「昨日の今日でもう忘れたわけ?」
「こら、郁乃!」
ああ、小牧姉妹か。結構前のほうにいるなーとは思っていたが、
ぼーっとしている間に追いついてしまったらしい。
764素直になれない女の子との日々 2話 2/6:2006/01/24(火) 03:37:45 ID:P/Ee/C4R0
「おはよう、小牧さん、郁乃ちゃん」
「おはよう、河野くん。ごめんね、郁乃が失礼なこと言って」
「失礼なことじゃないわよ。事実よ、じ・じ・つ」
「それを世間一般では悪口というんだ。事実でも言っていいことと
悪いことがあるだろ。ただ、今のは指摘してくれて助かったけどな。
歩きながら百面相してたら確かに気持ち悪いし」
郁乃ちゃんが指摘してくれなかったら、俺は登校中ずっと百面相をしていたかもしれない。
…自分で想像して、ちょっと気持ち悪くなった。
「ま、それはいいとして。具合はどう?」
「ん、一応良好ってとこ。もともと体が丈夫なわけでもないし」
「なるほど。困ったことがあったら言えよ。無理なことじゃなければ、俺も手伝うぞ」
「そのときが来たら、お願いするわ。知っての通り、姉は力仕事では全く役に立たないから」
「郁乃〜」
…小牧の情けない声にも慣れたなぁ。
抜けているとは思っていたが、妹にしてやられるほど情けないとは思わなかった。
クラスで委員長としてやってるときは、結構しっかりしてるように見えるし。
「河野くん、何か失礼なこと考えませんでした?」
「いや、全然」
女の子というのは、勘が鋭いのがデフォルトなのだろうか。
このみといい小牧姉妹といい、みんなこういうときだけ勘が働く。
「ふむ…」
「何で鞄の固さを調べてますか」
765素直になれない女の子との日々 2話 3/6:2006/01/24(火) 03:38:28 ID:P/Ee/C4R0
「んふふ」
「そこ、何を笑ってますか」
そんな俺達を見て、小牧は微笑ましそうな笑みを浮かべていた。
「河野くんって、意外と手が早いんですね」
「なっ!?なんてことを言ってくださりますか、小牧さん」
「だって…ねぇ?」
「私に同意を求めないで」

郁乃と別れ、自分の教室に向かう途中、小牧が
「あの子、素直じゃないから、付き合うならその辺のことを考えてあげてね」
こんなことを言ってきた。
「だから、何で俺が郁乃ちゃんと付き合うって話になってるのかな」
「だって、二人で見つめあってたし。あの時の郁乃、
恋する乙女って感じの顔してたよ」
「はぁ…でも、俺にそんな気は全然無いんで」
そもそも恋する乙女の表情というより、気に食わない男を睨む表情だった気がする。
それに、別に郁乃ちゃんを好きになったわけじゃない。
ただ…気になるところがあるだけで。ちょっと放っておけないというか。
実際放っておいたら大変なことになるわけだし。
「うんうん、恋する男の子って感じだね」
「お願いだからそこから離れてくれ」
766素直になれない女の子との日々 2話 4/6:2006/01/24(火) 03:39:13 ID:P/Ee/C4R0
帰るときもまた手伝おうと思ったのだが、(俺が手伝わないと帰れない気もするが)
小牧と話してもらちがあかないため、先に郁乃ちゃんの教室に行ってしまうことにした。
「よっ」
「お姉ちゃんは?」
「話してると遅くなるから、先に来た」
小牧は人の問題は抱え込むくせに、自分自身はあまり人に頼らない。
というよりかは、人の好意もなるべく断っているようだ。
あんな風に遠慮しなくてもいいと思うのは、俺だけじゃないだろう。
「姉が遠慮がちなのは、性分だから気にしないほうがいいと思うけど。
ていうか気にしてもどうにもならないわよ」
「…だから、人の考えをよむのはやめろって」
「別によみたくてよんでるわけじゃないわ。顔に出やすい自分を呪うことね」
…本当にこいつは小牧の妹なのだろうか?性格が完全に正反対だ。
と、郁乃ちゃんのほうを見ないで思う。郁乃ちゃんのほうを見ていると、
思っていることを悟られてしまう恐れがある。
「郁乃〜、遅くなってごめんね…あれ、河野くん?」
「手伝うよ」
少し強めの口調で言う。そうでもしないと、また昨日の二の舞だ。
「…分かりました〜」
何かうなだれてる。そんなに、俺が手伝うのが嫌なのだろうか。
「あの、そんなに嫌なら、手伝うの止めようか?」
「え!?い、嫌ってわけじゃないですよ?ただ…」
「ただ?」
「郁乃の面倒は私が見なきゃと思ってたのに…情けなくて」
「…」
「…」
「また抱っこするけど…いい?」
「いやって言ったって、それ以外方法無いじゃない」
ま、そうなんだけど。こういうのは、一応了解を取ってからじゃないとやりづらい。
「よいしょ、っと」
昨日も思ったが、軽く、柔らかい。う、変なこと考えちゃ駄目だ。
ちらっと郁乃ちゃんの表情を伺うと、相変わらず真っ赤だ。
やはり、郁乃ちゃんも女の子。この格好は恥ずかしいんだろう。
「…何見てんのよ」
「いや、なんでもない。気にしないでくれ」
多少きつそうな目は、垂れ目な小牧とは対照的だ。あ、意外と睫毛が長いかもしれない。
「ぼーっとしてないでさっさと歩く!」
「あ、悪い」
見とれて足を止めていたらしい。それが分かっているのか、
郁乃ちゃんの顔はますます赤くなる。
そんな顔も可愛いなーと思ってしまう自分が居た。
…誤解がないように言っておくが、俺は女の子が苦手であって嫌いなわけじゃない。
こう、くらっとすることだってあるのだ。俺の周りには、そうやってくらっとするような
表情をする、可愛い子が多い。ただ女の子に免疫がないから、それを見て
固まってしまうわけだ…自分で言ってて虚しくてなってきた。
768素直になれない女の子との日々 2話 6/6:2006/01/24(火) 03:44:24 ID:P/Ee/C4R0
「「はぁ」」
「何、何そのため息。何で二人で呆れてるの〜」
「だって…なぁ?」
「ねぇ?」
「何々、ちゃんと教えてよ〜」
「「過保護過ぎ」」
まるで、幼稚園ぐらいの娘を心配する父親みたいだ。
車椅子というハンデはあるにせよ、郁乃ちゃんはれっきとした高校生。
そこまで世話を焼くことも無いだろう。
「え、え?ぜ、全然過保護なんかじゃないですよ?」
「俺の目から見ても、過保護だと思うよ。昨日と今日の二日しか見てないけど」
「そうそう。いくら車椅子だからって、私とお姉ちゃん一歳しか変わらないんだから」
あまりに世話を焼くのは、かえって失礼だろう。自分にハンデがあると、
思い知らせることになってしまうから。きっと、悪気があるわけじゃなく、
心から心配してるからこそ、必要以上に世話を焼いてるんだろうけど…
郁乃ちゃんも、それが分かっているからお節介だと思っていても強く言えないんだろう。
「う〜…」
「ま、心配してくれるのは嬉しいけどね」
そっぽを向いて赤くなりながら、郁乃ちゃんは小牧にそう告げた。
「郁乃…!」
感極まったのか、小牧は郁乃に飛びつくように抱きついた。これじゃ、
どっちが姉なのか分かったもんじゃない。
「ちょっとお姉ちゃん、恥ずかしいってば」
…これから、こんな調子で大丈夫なのだろうか。
人事ながら、小牧姉妹の今後が心配になってしまった一
769素直になれない女の子との日々 作者:2006/01/24(火) 03:47:02 ID:P/Ee/C4R0
何か一話のだらだら感を続けてしまった感じがありますが、いかがでしょうか。

大変私事ながら、交通事故に遭いまして、しばらく書き込みが出来そうもありません。
続きを楽しみにしている方が一人でもいらっしゃったら、お詫びを申し上げます。
勢いで突っ走ってるというご指摘がありましたので、入院中にじっくり練りあげ、
前作よりもいいものをお届けできればと思います。では。
770名無しさんだよもん:2006/01/24(火) 04:43:00 ID:jbHCpsF60
>>769
交通事故とは大変でしたね…
早く退院されることを祈ります。
SSも楽しみにしています。
771名無しさんだよもん:2006/01/24(火) 08:05:05 ID:FXuD7jTMO
>>769
続きがめちゃくちゃ気になる(*´∀`)
GJ!
772名無しさんだよもん:2006/01/24(火) 11:39:59 ID:uCH3/vt20
>>754
遅くなったけど、河野家喜多ーーー!!!
春夏さん、ぐ、ぐぐ、ぐっじょ〜ぶっ♪(突発屋さんの愛佳風)
来週もまた目が離せませんね。

>>769
GJです。
ゆっくり休んで、お身体を大事にしてください。
773名無しさんだよもん:2006/01/24(火) 20:13:47 ID:7NgFBNp9O
>>754
いつも誰かがマダー?って言うとすぐに投稿してくれる作者さんGJです(´∀`)
今回はちょっとしんみりした内容でしたね。来週はいよいよ、小牧姉妹(*´Д`)ハァハァ
楽しみにしとりますw

>>769
交通事故だったとは……お体の方は大丈夫なのでしょうか??
郁のんSSメッチャ面白いんで、続き楽しみにしてますね〜(゚∀゚)b
774名無しさんだよもん:2006/01/24(火) 20:27:49 ID:rG6z3SX90
769さんGJです。

続き楽しみにしてます。
がんばってください。
775名無しさんだよもん:2006/01/24(火) 23:23:15 ID:XYeZeoSU0
>>769
お大事に〜、でも入院経験を郁乃の描写にフィードバックさせるんだ!!
776突発屋 ◆63./UvvAX. :2006/01/24(火) 23:43:15 ID:aXFcNXPW0
闇夜に沈んだ人気のない校舎。その用務員用玄関から出て、静まりかえっ
た敷地を堂々と横断して校門に近づくアタシに向かって降り注ぐ幾つも
の視線(主に前方から)。ちょびっとアイドル気分で気持ちいい。
「ど、どうだった、かね?」
やがて、アタシの到着を待ち切れなかったらしい大柄の人影が一つ、校門横の
桜の木の陰から飛び出して小走りにアタシの所に向かってくる。それはこの時
期、こんな時間にアタシを呼び出した張本人であるアタシの元担任。
「いや〜、ちょぉ〜っと無理みたいだったね〜♪」
「……やっぱりか。」
せめて少しでも場を明るく盛り上げようと特級の笑顔で爽やかに答えてやっ
たというのに、この馬鹿教師めは『こいつに期待した俺が馬鹿だった』と
いわんがばかりにアタシが追試で校内ギネス記録を片っ端から塗り替えたとき
と同様の落胆ぶりを見せてくれおる。全くもって礼儀がなっていない大人
の典型といえよう。嘆かわしいばかりだ。
「戻りましたか?」
「で、どうでしたか? 先生?」
そこへ、わらわらと集まってくる先生ズ。こっからだと生徒会室から丸見
えだと理解しとらんのかね、この大人達は? もっとも、何日も徹夜作業
を強いられてテンパってるのには多少ならず同情もするが。
「やはり空振りでしたか……」
「こいつが一番親しいですし、あるいはと思ったんですが……」
「いや、先生の責任じゃありませんよ。人事は尽くしましたし……」
「そうそう、先生の所為じゃありませんから……」
それはナニか? 遠回しにアタシを非難しとるんかもしかして?
「じゃあ皆さん、残念ですが明朝、力尽くでもということで………」
その教頭の言葉で、夜中の臨時ルーフレス職員会議は決議した。
777突発屋 ◆63./UvvAX. :2006/01/24(火) 23:44:56 ID:aXFcNXPW0
じゃあ、この件はくれぐれも内密にな? という念押しと引き替えに会話
の一切を記録したレコーダーを手渡したアタシは、申し訳程度の「気をつ
けて帰れよ」を背中で聞き流しながら愛用の原付を停めてある駐輪場へ
と向かう。背後で再び散開してゆく大人達に気取られないよう、しかし出
来るだけの大股急ぎ足で離脱しつつポッケから取り出した携帯電話の
蓋をスナップを効かせて格好良く開き、耳に当てながらブラインドタッチ
で短縮ダイヤルを打ち込む。
(ぴぴぴぴ……とるるるる、とるるるる、ぷっ)
「はい向……」
「カークからエンタープライズ!」
『………………………………………』
「こら、ノリが悪いぞ! タマちゃん!」
『え、あ、え、えっと………』
「まぁ良い。今時の若い子にアタシのギャグはハイブリッド過ぎたかな、
わっはっはっはぁ!」
『は、はぁ………あの先輩、それで?』
「うむ、予想通りに決裂したぞ。」言葉とは裏腹に、口の端が笑顔の形に
吊り上がってゆくのがわかる「よって、こちらも予定通りに行動を開始す
る。準備は整っているかね?」
『それは大丈夫だけど……』うむ、やはりアタシの目は間違っていなかった様
だ。ことリーダーシップと臨機応変な対応能力にかけてなら、タマちゃん
のそれはアタシに匹敵する物がある。『……こんな事して、本当に大丈夫なん
ですか、先輩?』
「馬鹿なことを言うでない、大丈夫なわけがなかろう?」
『………………………………………』
「だが面白い。非常ぉーに面白い。近年希に見る面白さだ。それこそ痛快
を通り越して爽快と言っても良い。我々若者にとって、それは極めて大事
なことだと思わないかね、タマちゃん?」
『………………………………………』
778突発屋 ◆63./UvvAX. :2006/01/24(火) 23:46:18 ID:aXFcNXPW0
「とまぁ、建前はさておきだ。」
『………それって本当に建前なんですか?』
「むむ、生真面目だなぁ、チミは?」目指す駐輪場の手前、足を止め振り
返ってて校舎を見上げてみる「遅かれ早かれ、あの二人は一時的にだろう
と引き裂かれるだろう。実に悔しいが、それが二人と我々の限界だからだ
。だが、ならばこそ限界まで刃向かってみる権利もある。大人の世界の重
さと広さに比べたら確かにチャチぃものかも知れんが、それでも子供だっ
て子供なりの世界を持ってる。そして意地とプライドもある。自らの無謀
さも子供臭さも、そして行き止まりも分かっていて尚ギリギリまで自分た
ちの世界と時間を守ってみせると二人が決意したなら、彼ら『子供の英雄』
を子供の代表として応援してやるのがアタシたちの役目だとは思わんかね?」
『子供の世界の英雄……ですか。』
「そうだ。二人の想いの強さと絆の深さには『それだけ』の価値がある。
だから、自分達の都合で勝手に引き裂こうとする大人に一矢報いるだけの
価値もある。それで何が変わるのかは分からないが、少なくても大人共に
二人と我々ののメッセージは伝わるだろうし、今度こそ二人も納得して運
命に立ち向かうことができるだろう。その為にも、奴らには一度、我々の
底力を見せておくべきなのだ。」
『……まーりゃん先輩……そこまで……』
「それにだ、タマちゃん?」
『はい。』
「間違いなくスカッとするぞ、まーりゃん政権最後にして最大のショウタ
イムなのだからな。ティタム・オニールも裸足で逃げ出すぞぉ!?」
『……………………………………』
「以上の理由で、我が軍は現時刻をもって状況を開始する。実行開始は明
朝マルロクマルマル、作戦要項は最終プランの『k』、以降は作戦の機密
保持の為、各自指示書に従って独自に行動すべし。質問は?」
『…………ありません。』
「では各員の健闘を祈る、以上!」
779突発屋 ◆63./UvvAX. :2006/01/24(火) 23:50:40 ID:aXFcNXPW0
相変わらず思いつきだけで書いてます>挨拶
愛佳ネタも無いことはないのですが、まだ頭の中で組み上がるほどでは・・w

>>769
乙です。
ご自愛くださいませ。


>>754
連載で41話目、しかも未だ進行中とは……。
恐れ入りました、次回以降を楽しみに待っております。
780名無しさんだよもん:2006/01/25(水) 02:57:35 ID:vlRjJ3/U0
>>779
忙しくてXRATEDは積んだままになってるため、さーりゃん先輩まーりゃん先輩ネタの
SSはスルーしてたのですが、思わず読んじまいましたw
GJ!というより、あぁぁぁ、プレーしてぇorz
781名無しさんだよもん:2006/01/25(水) 13:41:29 ID:Xre+t3HHO
今、思いっきりテレビのニュースで河野家みたいな状況ハケーン
782名無しさんだよもん:2006/01/25(水) 17:57:38 ID:bHUkf2Or0
もてる呪文ww
783名無しさんだよもん:2006/01/25(水) 19:22:42 ID:fe6ggewG0
現実はあれ
幻想は素晴らしい
784名無しさんだよもん:2006/01/25(水) 21:30:53 ID:XT/ouiFzO
>>779
まーりゃんサイドとは面白い。
続きが猛烈に読みたくなりますた(`・ω・´)
期待してますんで執筆がんがって!GJでした!
785名無しさんだよもん:2006/01/25(水) 21:54:40 ID:vlRjJ3/U0
>>782
もてる呪文って、アレか。

もっと、セックスする!
786名無しさんだよもん:2006/01/25(水) 22:03:59 ID:Hvt+eUcg0
呪文っぽいのは

るー
787名無しさんだよもん:2006/01/25(水) 22:12:10 ID:/PSvdDub0
>>781
家に女十人住んでたって奴だよな。
788名無しさんだよもん:2006/01/25(水) 23:52:37 ID:bOQ5tFGG0
>>779
GJであります。個人的にはまーりゃん先輩に状況開始前に「天気明朗なれど波高し。皇国の興亡この一戦に有り。各位奮励努力せよ」ってな台詞を言ってもらいたいでありますよ
789名無しさんだよもん:2006/01/26(木) 00:00:24 ID:R0ZAjShk0
このみ乙
790名無しさんだよもん:2006/01/26(木) 10:51:16 ID:5IdJ7sxf0
791名無しさんだよもん:2006/01/26(木) 11:15:06 ID:4p0PYlK+O
リアル河野家キターw
792名無しさんだよもん:2006/01/26(木) 13:31:12 ID:xx2i9oSMO
>>790
現実は厳しいなw
793名無しさんだよもん:2006/01/26(木) 13:58:10 ID:SZ4cU+lg0
>>790
同居した女性には乱暴はしていないって…この顔で言(ry
タカ棒ですら草壁さんに手を上げてしまったのに。
794名無しさんだよもん:2006/01/26(木) 14:35:15 ID:fN+TLKCi0
>>793
手を上げるって・・・・・DVかよ(´・ω・`)

手を出す、だろう。
795名無しさんだよもん:2006/01/26(木) 16:00:38 ID:1PAzbj5c0
つ河野家
796名無しさんだよもん:2006/01/26(木) 18:34:29 ID:ZHs/hzzX0
>>794
>>793の「手を上げて〜」は間違ってないよ。
797794:2006/01/26(木) 20:24:35 ID:fN+TLKCi0
>>793
流れ読んでなかった。ごめんorz
798名無しさんだよもん:2006/01/26(木) 22:40:36 ID:tsIiJ6R60
しかし、こんな流れは無視して、来週の河野家をワクワクテカテカして待つ漏れがいる。
799名無しさんだよもん:2006/01/27(金) 00:24:35 ID:2fsfec570
河野家にようこそってプールに行こうを思い出すな
800名無しさんだよもん:2006/01/27(金) 10:04:28 ID:pI6Qr4yZ0
SSとして基本というか王道なんだろ >全キャラ登場日常コメディ
落としどころというか、まとめ方が難しいとは思うけどね。

プールはそこがうまくいかなくて、後半ぐだぐだになってたような記憶が…
まあ、いま波にのってる河野家を前にして言う事じゃないけど。

っつーわけで次回も楽しみにしてます >河野家の中の人
801名無しさんだよもん:2006/01/27(金) 10:17:26 ID:4mxKtBCT0
王道か。

みんなそろって河野家に住み込んで、
ドタバタするんだけど、
そんなある時、タマ姉に見合い話が持ち上がって、
それを断るために、貴明が恋人のフリ(?)をして両親の前に。
色々、両親を納得させるために見栄を張ったためにボロが出ないように苦労する。
昔のどっかの映画の横道なパロディー。
802名無しさんだよもん:2006/01/27(金) 10:32:08 ID:FkWn3llX0
無理にオチをつけなくても、書き手が飽きるまで続ければよろし
大河ドラマじゃないんだから
803突発屋 ◆63./UvvAX. :2006/01/27(金) 18:01:25 ID:5jzOT9II0
気に入って頂いけ方がいらした様で、安心しましたw
>>779の続きを投下しようと思うのですが、タイトルとかあった方が
良いんでしょうか?
804名無しさんだよもん:2006/01/27(金) 18:05:58 ID:Fc6AOzIn0
作者名か作品名がある方が抽出して読みやすかったり、読みたくない人がNGしやすかったりと便利。
名前欄コテでもタイトルでもいいけど、個人的にタイトルほしい。
805ぐれーと・えすけいぷ その2:2006/01/27(金) 20:14:30 ID:5jzOT9II0
Capture1―『環』

早朝にして休日の校舎の嵐の前の静けさは通りを挟んで反対側の路地に隠
れた私達にもひしひしとした緊張感を伝えてくる。
「まったく、どこからこんな物集めて来たのやら……?」
(……本部より各般、初期配置についた?)
どこから持ってきたのか知らないけど、まーりゃん先輩が人数分用意して
昨日の内に配ってくれたヘッドセットから当のまーりゃん先輩の心底
嬉しそうな声が聞こえてくる。
「こほん………こちらA班、配置につきました。」
私と笹森さん、最後の切り札であるネットを抱えた私達の配置は校門から
右手の奥、しかも向こうからは見つかり難い路地の中。合図と同時にC班
と一緒に目標地点までネットを運ぶのが役目である。
(B班、大丈夫でありますっ!)
やや緊張した声のこのみ、姫百合姉妹の配置は裏門付近。最終的にネット
を広げる予定地点には遠い場所なのだが、全員が一カ所に集まっていては
発見されてしまう可能性をあげてしまうという配慮から分散して隠れてい
る。
(総員、心して聞け。)ちなみに、まーりゃん先輩の配置場所は誰も知ら
ない。(重要なのはタイミングだ。中の二人にとって、我々の作戦が唯一
無二の脱出手段なのだからな。教師共に気づかれないよう、しかも迅速か
つ的確な行動が要求される。例え何が起こっても独断では動くな。全員の
一意団結した行動なくして本作戦の成功はあり得ない!)
「その通りだとは思うけど、なんか退屈なんよね……」
「くすっ、そうかもね。でも悪くない気分でしょ?」
(………なんつーか、楽しそうだよなぁ。まーりゃん先輩…)
(向坂君、だめだよぉ!)
そして雄二と小牧さんは、二人に渡すリュックを抱えたC班。校門から
見て左手の路地に隠れている。
806ぐれーと・えすけいぷ その2:2006/01/27(金) 20:16:02 ID:5jzOT9II0
Capture2―『このみ』

「うう、タカくぅん……」
(A班より連絡! まーりゃん先輩、車よ!)
「ええっ?」
(タマちゃんタマちゃん、慌てるでない。想定の範囲内だ。)
(そ、想定って……)
(乗用車が二台、じゃないのかな? それは、さーりゃんのパパンとママン
に間違いない。いよいよ向こうの行動開始時間が近づいた合図だな。)
(……ほんとみたいだわ、中に入っていった。)
(まだ動くなよタマちゃん? C班に通達、後ほど『お前の班で屋敷内
の車のプラグ、全部抜いとけ』。)
(え? ええっ!? どど、どうしよう向坂君?)
(ってマジかよ!? 今時の車はセキュリティ機能だってあるのに、ンな事
が素人に出来るわけねーだろーがっ!?)
(慌てるな慌てるな、言葉のアヤだ。タイヤの前に置き石でも良いし、鍵穴
にガム押し込んでも良い。とにかく一分一秒でも発進を遅らせる工作をし
ておくのだ。あんだすたん?)
「…………ところで、『屋敷』ってどういう意味やろ、さんちゃん?」
「さぁ? わからんなー。」
私の横では、珊瑚ちゃんが小型のモバイルを開いて楽しそうにピコピコと
キーを叩き続けている。そうして微妙な表情の瑠璃ちゃんが見張り役。
(B班、さーりゃんのパパンとママンは捕捉できているか?)
「だいじょぶやー♪」と笑顔の珊瑚ちゃん「校舎のセキュリティーはバッ
チリ押さえとるしぃ、配置も完璧やでー♪」
「………車から降りた二人は、そのまま一緒に正面玄関に向かったみたい
やけど……」
(多分、校長室か職員室に案内されたな。)
珊瑚ちゃんの話だと、昨日の間にお友達(トイボット)を校舎のアッチコ
ッチに隠しておいたらしい。そのカメラ映像と校舎のセキュリティモニタ
ーを併せて中の様子を把握してるみたいだけど。
(まだだ、まだ動くなよ? タイミングがすべてだ……)
807ぐれーと・えすけいぷ その2:2006/01/27(金) 20:17:44 ID:5jzOT9II0
Capture3―『まーりゃん』

たかりゃんも、さーりゃんも馬鹿ではない。マトモに生徒会室のドアから
正面突破で脱出できるとは考えていないだろう。唯一の出口は窓。そこか
らアタシが残した縄梯子で階下に降りる以外の方法はない。そのあとは賭
になるだろうが………
(動き出したで)その声に一同が緊張する(みんな、一斉に校舎の中に入
っていくみたいやー。)
(……きっと、校門に一番近い校舎から順に全部の部屋を調べるんでしょ
うね。)
「総員、第二ポイントまで移動。可能な限り音を立てるなよ?」
(……………(ごくり))
学校の内部は誰にも見えていない。姫百合姉の解析だけを頼りに行動開
始の合図を出さないといけないのだ。誰にも発見されず、かつ二人の落下
地点で確実にネットを開いて全員で支えないといけない。とくとくと鼓動
が耳の中に響き、アドレナリンの味が舌の上に広がってくる。
(こちらA班、先生達が校舎に入ったみたいよ……)
(文字通りの虱潰しみたいだね。)
「B班、そっちはどうだ?」
(先生達が廊下を走る音が聞こえてくるよぉ。)
(でも外にも見張りを残してやがる。くそ、隙がねぇなぁ!)
(大丈夫だよ、落ち着いていこう?)
(まるで大掃除みたいやなー♪)
(さんちゃん、そんな乗り出したらアカンて!)
生徒会室には、まだ動きは……いや!
「窓を開けたか。良いぞ、たかりゃん!」
たかりゃんらしい人影が、生徒会室の真下の部屋に現れ窓のロックを解除
している。となると縄梯子を見つけたと思って間違いない。これで希望が
見えてきた。
808ぐれーと・えすけいぷ その2:2006/01/27(金) 20:19:35 ID:5jzOT9II0
Capture3―『雄二』

「くっそ〜、まだかよ〜!?」
教師共は他の三つの校舎の捜索を終え、いよいよ貴明達が立て籠もってい
る生徒会室へ殺到しようとしているのに、俺達はと言うと校門の陰に隠れ
たまんまだ。出来ることなら今すぐにでも飛び出して一緒に戦いたいって
のに。
(落ち着きなさい、雄二。)反対側の陰に隠れた姉貴の冷静な呟きがヘッ
ドセットから聞こえる(居ても立っても居られないのは、みんなだって一
緒よ? けど後先考えずにがむしゃらになっても二人の助けにはならない
わ。辛いでしょうけど、今はまーりゃん先輩の合図を待つの!)
「ンな事ぁ言われなくったって分かってるって! けどよぉ……!!」
(……はぁ、しょうがない子ねぇ……)
(そうだよユウくん、タカくんと久寿川先輩を信じようよ? ね?)
「く……くっそぉ〜、くっそぉ〜っ!」
「うふふ……」と後ろから押し殺した声が「……向坂君、河野君のことが
本当に心配なんだね? いままで知らなかったけど、男の子同士の友情っ
て純粋で真っ直ぐで、ちょっと可愛いい♪」
「い、いいんちょ……」
「あ、違うよ違うよ! 少し……羨ましいかなって思ったの。損得関係無
しで、全身全霊でお友達の手助けをしてあげたいって思えることは、とて
も素敵だよね。何だか女の子が邪魔しちゃいけない世界を見せつけられち
ゃったって感じかな?」
「ち、ちげーよ! 俺は、その、俺を出し抜いて久寿川先輩とデキちまっ
た貴明が情けねーのが気にくわないだけっつーか、貴明が失敗しちまった
ら、貴明に負けた俺のランクまで下がっちまうって言うか、とにかく委員
長が考えてるような汗くさい熱血系とは………」
ガッシャーン!!
「!?」
「な、なに……?」
(B班、至急現状を報告! 今の音は何だ!?)
809突発屋 ◆63./UvvAX. :2006/01/27(金) 20:25:19 ID:5jzOT9II0
という訳で、題名など付けてみました。
あと一回で終わる予定です。

花梨ファンの皆さん、申し訳ございません。
実は(扱うの)苦手なんです、この子(汗

>>788
それはまた名台詞ですね〜
出来れば使ってみたかったんですが・・・w

>>784
ありがとうございます。
まぁ、たまたま思いついたものですからw

>>780
出来れば本編をご覧頂いてからの方が宜しいかと存じます。
なんせ貴明&ささらは視点は完全に無視の方針ですのでw
810名無しさんだよもん:2006/01/27(金) 20:29:22 ID:ogC0ADck0
>>809
GJ

やっぱ「今の音」ってアレなんだろうかw
続き楽しみにしてまつ
811名無しさんだよもん:2006/01/27(金) 21:24:08 ID:sWPQGl/n0
>>809

(本編のラストに出てこなかった)由真が(ちゃんと)入っていない点にGJ!
812修学旅行の告白事件 その1(1/6):2006/01/27(金) 23:06:03 ID:qYTtlcnK0
 俺たちは歩いていた。少し勾配のきつい、丘への坂道。
 愛佳に『手を引こうか?』と尋ねたが、遠慮されてしまった。
 言い方が少し無愛想だったかな?
 ほんと、俺はこういうことに向いてないよな…
 後からついて来てくれる愛佳は、さっきから押し黙ったままだ。
 今、俺が何処に向かっているか、もう気付いたからだろう。
 何も聞かないでいてくれるのは、ありがたいかもしれない。
 もしも、『たかあきくん、これから何処に行くの?』
 なんて聞かれたら…正直、答えづらい…
 目的地に近づくにつれて、愛佳の緊張が高まっていくのが、背後から伝わって来る。
 いや、俺だって同じくらい緊張してるさ。
 だって、これから俺には大きな仕事が待っているんだ。
 今日は修学旅行の三日目。
 俺は午後からの自由行動を利用して、愛佳と二人で丘の上を目指していた。
 
話は二ヶ月ほど前にさかのぼる。
 その日も小牧愛佳は相変わらずだった。
「つまり、またやらなくてもいい仕事を押し付けられて来たわけだ」
「や、押し付けられてなんかないよ〜」
 愛佳は慌てて否定するが、怪しいものだ。
 俺と愛佳は教室の机を四台突合せ、その上に書類や資料を並べて作業をしていた。
 いま愛佳が作成しているのは、旅行中のスケジュールや、生徒が持ち込みを
許される物品、その他細かい注意事項…
 つまり、一般に『修学旅行のしおり』と呼ばれるものだ。
 もちろん、普通はクラス委員が関わる仕事ではない。
「担当してた生徒が、風邪でダウンしたんだって。締め切りも近いし、…後は清書だけだから…」
 愛佳は作業の手を休めることなく、そう説明する。
 …この生真面目さに付ける薬はないもんかね?
 もしあったら今の愛佳に付けまくってやりたいものだ。
 手伝いたくても、俺には手をだせそうにない仕事だし。
813修学旅行の告白事件 その1(2/6):2006/01/27(金) 23:07:05 ID:qYTtlcnK0
 俺はなんとなくふてくされて、放り出してあった雑誌に手を伸ばした。
 俺たちが修学旅行で向かう先の情報誌。これも、一応参考資料だ。
「自由行動の時間に何処にいくか決めないとな…」
 半ば独り言のように呟いてページをめくる。
 それにしても観光名所って、寺とか神社とかばかりだよな…他のはないのかな…
 そう考えながら読み進めていくと、目に止まった記事があった。
 小さな丘の写真が載っている。でも何にも無い場所だな。
 なんでこんな場所が観光名所なんだろう。
「たかあきくん、あのドラマ見てないの?"幸せの丘”」
 いつの間にか愛佳が俺の隣に来て、雑誌を覗き込んでいた。
 "幸せの丘”は、ひと昔前に流行した恋愛ドラマだ。俺も名前ぐらいは知っている。
「その丘はラストシーンの撮影に使われたの。離れ離れに
引き裂かれた二人が再開して、愛を誓い合った場所なの」
 愛佳はこころなしか嬉しそうに説明する。
 ふむ…女の子は、ああいうのが好きだって聞くけど、愛佳もそうなのかな…
「だから、ドラマに憧れて、ここで告白するのが流行ってたんだって」
 それも少し前の話だけどね、と付け加えて愛佳は言った。
 まあ、ドラマにあやかって、即席で運命の恋人になっちゃう気分を味わうわけだ。
 どこかで見かけたような話だけど。
「でも話題性でいえばもう古いよな…観光業者が苦し紛れで今も引っ張ってる感じだ」
「う〜ん、たかあきくんはロマンがないなあ…」
 愛佳は不満げに呟くと、自分の作業に戻って行った。
 そして作成中の『修学旅行のしおり』に自己流のイラストをせっせと書き込み始めた…
 っておい、ご機嫌を損ねたからといって趣味に走らないで欲しい。
「愛佳、ネタは却下だ」
 俺はそう告げて、もう一人の責任者の役目としてしおりの訂正を命じた。
「え〜、これ、可愛くないかなあ?」
「………びみょう………」
 それに、可愛かどうかは問題ではない。
814修学旅行の告白事件 その1(3/6):2006/01/27(金) 23:07:59 ID:qYTtlcnK0
 正常な作業に戻った愛佳だが、ドラマについてまだぶつぶつと何か言っている。
 この件について以外と根が深いらしい。ファンだったのかな?
 愛佳が好きなら、あの計画には都合のいい場所かもしれない。
 幸い自由時間に訪れるには程よい場所にある。
 誘ってみるか。さすがに緊張するな…
「愛佳、自由時間なんだけど、二人だけで廻らないか?」
「ええっ!!あ、あたしと?!」
 さすがに驚いた様子で聞き返してきた。
 やっぱり急にこんな事言い出すのは不自然だったかな?
 しかし、ここは何とか押し切りたい所だ。
「俺は班の奴らとは別に一ヶ所だけ行きたい場所があるんだ。
できれば付き合って欲しいけど、駄目かな?」
「えっと…そうなんだ…ふうん…」
 そう言い訳を加えてみたが、愛佳の反応は薄い。何事か考え込んでいた。
 愛佳がうつむいて黙り込んでしまったので、俺も不安になってきた。
 情けないが、これは戦略的撤退しかないか…
「他に約束があるならいいんだ、雄二でも誘ってみるよ…」
 適当に都合のいい名前をだして逃げることにする。
 すまん、雄二。名前を借りたぞ。
「えっ?いや、そうじゃないの。ただ…いいのかなって思って…」
 撤退しかけた俺を、愛佳はあわてて追撃してきた。
 どうやら行く気はあるらしい。
 しかし、いいのか、と聞かれても何がいけないというのか。
 我が校の修学旅行の自由行動は五人編成で班を組み、その班で行動する事が義務づけられている。
と、しおりにも今書いていたところだが…
 とはいえ、そう厳密に守るようなルールでもないだろう。
 でも愛佳は真面目だからそういうのが許せないのかな?
 別に偽の駐輪シールを作ろうとした事とか突っ込むつもりはないが。
815修学旅行の告白事件 その1(4/6):2006/01/27(金) 23:08:58 ID:qYTtlcnK0
「そう時間は取らせないつもりだ。その後すぐみんなと合流してもいい」
「えっと…そうじゃなくて、でも、そうだね…うん、うん」
 愛佳は何度も、うん、うん、と頷いていた。よくわからないが、気持ちは決まったようだ。
 だから俺は確認した。
「つきあってくれる?」
「うん」 

 そして、今、俺と愛佳の登っている丘こそが、例のドラマの撮影現場だ。
 愛佳を誘って、二人きりで、告白の名所を目指している。
 それだけで、愛佳も俺の目的をある程度察しているだろう。
 その証拠に、愛佳はさっきから『もしかして…いや、でも…うん…』
とか、そんなふうにぶつぶつと呟いている。
 もちろん、こうなることが俺の目的だ。
 回りくどいやり方だと思うが、これにも理由がある。
 実のところ、俺は愛佳を告白の対象としては非常に手強い相手だと考えている。
 その最大の理由は、愛佳がいつも肝心な所でボケをかましてくれるおちゃめさんだからだ。
 ……いや、マジですよ?俺は。
 
 想像してみて欲しい。
 俺が勇気を振り絞って告白できたとしよう。
 しかし、そこで愛佳がパニックを起こして現場から逃走したり、
 あるいは何度言っても本気だとは信じずに、謝りまくって逃げてしまう、
 などといった結果が今までの俺の経験からも予想できる。かなり高率で。
 そうなったら、俺は修学旅行の忘れられない思い出を一つ増やして
帰還することになるだろう…もちろん別の意味でな。
 だから、俺はまず愛佳に直接想いを告げる前に、状況から
俺の目的をわかってもらおうと考えたのだ。
 その方がきっと成功率は高い。
816修学旅行の告白事件 その1(5/6):2006/01/27(金) 23:09:35 ID:qYTtlcnK0
 というか、この際成功率の問題じゃないんだ。
 まず、愛佳には俺の気持ちが真剣であるということを確実にわかってほしい。
 これが俺の一番の願いだ。
 愛佳は恥かしいとか、俺を傷つけたくないとか考えて、答えをごまかすかもしれない。
 しかし、俺はそんなことを望んでいない。
 書庫は一部だけど取り戻したし、郁乃は退院して学園で順調に生活している。
 以前のように俺が愛佳を支える必要はもう無いだろう。
 もともと俺は愛佳がほっとけなくて、愛佳は誰かに頼りたくて、
 そういう理由があって始まった関係だと思う。
 その理由が無くなりつつあるのなら、今までのようにはいかなくなる時がきっと来る。
 だから、俺の気持ちが単なる同情なのか、愛佳の気持ちが単なる依存なのか、
そういう曖昧だったことをはっきりさせなくちゃならない。
 それがはっきりした時、俺は愛佳にとって必要な男ではないかもしれない。
 でも、そうならそうで仕方ないことだ。先延ばしにしても意味が無い。
 俺は、愛佳のお荷物にはなりたくない。 
 
「はあっ…はっ…ふう…」
 だいぶ息が上がってきている。
 なにしろめちゃめちゃ緊張してて、心臓が落ち着かないところでこの坂を登って来たのだ。
 愛佳もそれは同じだろう。さかんに深呼吸して息を整えようとしている。
 しかし苦労した甲斐あって、ついに目的地に着いた。
 観光者向けのお店はいくつか並んでいるが、あたりにはほとんど人影はなかった。
 愛佳には悪いが、この丘はやはり観光名所としては賞味期限を過ぎているらしい。
 向こう側には、斜面から突き出した岩壁を利用して作られた展望台があった。
 頑丈そうな手すりもついている、結構ちゃんとした展望台だった。
 俺はドラマを見ていないので確信は無いが、あの場所が告白の場所なんだろう。
「愛佳、あそこ行こうか?」
「う、うん…」
 愛佳が頷いたので、二人で展望台へ向かった。
817修学旅行の告白事件 その1(6/6):2006/01/27(金) 23:10:21 ID:qYTtlcnK0
 つい最近まで、俺は全然関心がなかったんだ。
 つまり、こういう場所みたいに”デートスポット”とか呼ばれる場所のことだけど。
 たとえ彼女とか出来たって、なにもそこまですることないだろ、と思ってた。
 けど、そんな俺もここに来ているなあ…
 まあ、愛佳は恋人ではないんだけど、それでも気を使う。
 少なくともいままで貫いてきたスタイルやプライドをあっさり捨てさせるほどには。
 とはいえ、自分が馬鹿馬鹿しいことをしている気持ちは今でもある。
 だが、ここまできたらつまらない意地とかは捨てるしかないよな… 
 よし!やるぞ!
 そう決意して愛佳の方に顔を向けると、驚いたことに愛佳の方も俺をじっと見つめていた。
「きゃあああああっ!?」
「おおっ?!」
 思わず二人して悲鳴を挙げてしまう。
 ちょうど決意したタイミングだったので、俺も少し驚いた。
 愛佳の方はもっと驚いたらしく、足をもつれさせて尻餅をついた。
「お、おい大丈夫か?」
「や、ごめんなさい、だいじょうぶですから…ほんと、ごめんなさい…」
 愛佳は助けようとして近づいた俺を拒んで、ごめんなさい、ごめんなさい、と繰り返した。
 別に謝られるようなことは、何もないと思うけどな…
 というか、”ごめんなさい”はかんべんしてくれ…
 これから告白するというのに、その言葉は心臓に悪すぎる。
 そういう意味ではないと思いたいが…もしかして、そうなのかな…
気のせい気のせい。とにかく始めよう。
818修学旅行の告白事件:2006/01/27(金) 23:10:59 ID:qYTtlcnK0
今回はここまででお願いします。
続きは月曜までには。
819名無しさんだよもん:2006/01/27(金) 23:19:30 ID:DtTPCprX0
>>818
ちょっ、寸止めかよ!?
GJです。
きっと幸せの丘がものみの丘に一瞬見えたのは俺だけの予感
820告白事件は……:2006/01/28(土) 11:07:20 ID:fWQJwJbWO
意を決め告白をしようとした時、愛佳が声を上げる。
愛佳の視線の先、俺たちより先に丘に来ていた人がいたのだ。
一人はかわった制服(?)を着た地元の高校生だろうか同じ年くらいの男。
そしてその男の隣にジーンズのジャケットにスカートを着た腰まで伸びた長い髪が特徴的な女の子(恐らく年下)がいた。
何より目を引くのが彼女の頭に被せられた…
愛佳「…ケープ、かな?」

俺たちは覗き見をするのは悪いと思いながらもその場から目が離せなかった。

…男が話し掛ける。
…女が立ち上がる。
風が彼女の長い髪をなびかせる。
愛佳「…きれい……」 
まるで映画のワンシーンを観ている様な錯覚を覚える。
ただ…ただ何故こんなにも胸を締め付けられるのだろうか?

…女が男に持たれかかる。
…腕の鈴がちりんと音を立てた。
…そして、彼女が俺たちの前から……消えた。



(゚w゚)ミステリだよ!たかちゃん!!
821名無しさんだよもん:2006/01/28(土) 11:36:44 ID:6an/Wt210
柚原家の夕食

このみパパ「このみ、貴明君とはどこまでいったんだい?」
このみ「おとうさん! タカくんとはべつにそんなんじゃ……」
春夏「まったく、タカくんも奥手よねぇ〜 まさか、このみの他に好きな子でもいるとか」
このみパパ「それはいかん。 このみ、ちゃんと貴明君を誘惑しているか?」
このみ「……そんなことしないもん」
春夏「でも、ベッドに潜り込んだりしてるんでしょ? それでも何もないなんて、タカくんって男の子が好きな人なのかしら……」
このみパパ「河野さんも、転勤を気にこのみと貴明君の関係を一気に進めちゃいましょうと仰っていたのに」
春夏「こうなったら、既成事実作っちゃいなさいよ。 このみの方からタカくん押し倒して」
このみ「そ、そんなことできるわけないよ〜」
春夏「あら、いいの? このままぐずぐずしていたらタカくんを誰かに取られちゃうわよ?」
このみ「そ、それは……嫌だけどぉ」
このみパパ「別に、子供ぐらい作っちゃってもかまわないぞ。 ははははは」
春夏「そうね、このみとタカくんの子供だったらとってもかわいいかも知れないわ」
このみ「……もう、おとうさんもおかあさんも!!」
このみパパ「おじいちゃんか……いいかもしれないな(すでに、このみのことは無視)」
春夏「わ、私のことはお姉さんって呼ばせるのよ、このみ(娘の意志はすでに無視)」

このみ「……こんな親って」
822名無しさんだよもん:2006/01/28(土) 11:54:45 ID:8oLphjIv0
>>821
うーむ、何の違和感もない( ´ー`)

・・・ところでこのみパパの設定ってどっかに出てたっけ?
823名無しさんだよもん:2006/01/28(土) 12:01:21 ID:f+SCHmpV0
>>821
なにこの俺の脳内妄想の柚原家と完全一致してる柚原家。
824名無しさんだよもん:2006/01/28(土) 12:03:17 ID:6an/Wt210
すでに自分の両親とこのみの両親に退路を断たれていることを貴明だけが知らない。
825名無しさんだよもん:2006/01/28(土) 13:11:44 ID:5EiHM8Ha0
>>822
自衛官って事ぐらいだな。
あと、肩叩き券イベントを見る限り立場が安定してないっぽい。
826桜の咲く頃 閑話休題〜第九章:2006/01/28(土) 13:25:57 ID:+xnXi2rD0
 二週間の出張連続(連続出張ではない)が終わって、ようやく落ち着いたよ…
 来月にもまたあるんだけどね orz

 それはさておき。
 新学期になり、話もとうとうラストに向かって収束している感じがひしひしと。
 愛佳シナリオに並行したような形で進んできたお話も、第九章のシーンがある事で
最後のイベントは使われないだろうと予想される訳ですが。ラストシーンが楽しみです。
 ※ラス前イベントもそうですね
 ただ、この条件下で書庫はどうなってしまうのでしょう。結構重要部分だと思うのですが
こちらに枚数を割くと(郁乃が主役なはずの)全体のバランス・話のテンポが崩れかねないと
思われるのですが…さて。

 「眼」の事とか、郁乃についても そうなのですが、相変わらず脇キャラが「自然」に
動いていて、それがさりげなく伏線に使われていたりして、上手いなぁと思います。
 本当にこんな些細な部分に違和感を感じるほどに。
>第八章
>「お姉さんも妹さんも、同じ学校になれてよかったね」
 ここは『ですね』ですね。
827名無しさんだよもん:2006/01/28(土) 13:45:41 ID:jMMsdkNY0
いい加減にしろ
828名無しさんだよもん:2006/01/28(土) 13:51:17 ID:ATOef5t80
キ印はスルー推奨
829名無しさんだよもん:2006/01/28(土) 14:08:12 ID:FEP6nSVm0
キ印>>827 (w
830名無しさんだよもん:2006/01/28(土) 14:18:31 ID:yuNbs1MU0
ここまでくるとスレ住人と作者双方に対する嫌がらせだな
831名無しさんだよもん:2006/01/28(土) 14:20:55 ID:6KUVYsGf0
自衛官で出張が多いってことは幹部か。
832名無しさんだよもん:2006/01/28(土) 14:37:09 ID:5EiHM8Ha0
しかし肩叩き券が洒落にならないような境遇。
833名無しさんだよもん:2006/01/28(土) 17:52:41 ID:OKd8EtAs0
>>821
ここまで俺の妄想と同じ内容だとは。
お前は俺かw
834名無しさんだよもん:2006/01/28(土) 18:08:53 ID:LL+tVLIIO
このみパパの台詞を若本則夫Voiceで脳内再生した俺は、もう駄目かもしれん。
835名無しさんだよもん:2006/01/28(土) 18:11:27 ID:XKbLQmgt0
>>831
技官じゃね?
中堅クラスの。
836名無しさんだよもん:2006/01/28(土) 18:31:28 ID:yuNbs1MU0
>>834
「クリはここ!」で三流。
「もっとセックスする!」で二流。
河野ぉ、貴様はいつになったら一流になるのだ?
837名無しさんだよもん:2006/01/28(土) 19:30:38 ID:9H3qg8Qr0
注:穴子さんです
838780:2006/01/28(土) 19:57:58 ID:p/IBpGCz0
>>809
突発屋さんGJ!
う〜、やっぱ本編が終わってからの方がいいのか〜。
あと一ヶ月以上はかかりそうだな^^;

ついでに、>>805の5行目(?)「各般」->「各班」ですね。

>>818
GJ!
続きが非常に楽しみです。 果たしてUMAはどこに潜んでいるのか?w
839名無しさんだよもん:2006/01/28(土) 20:01:48 ID:p/IBpGCz0
>>821
春夏さんは積極的だが、このみパパはもう少し複雑な心境の悪寒。
貴明にこのみを取られることを薄々覚悟しつつも、自分からは
「誘惑しているか?」などとは聞けず、春夏さんとの会話に
耳をダンボのようにして聞き耳を立ててる図を想像してました。
840名無しさんだよもん:2006/01/28(土) 20:45:00 ID:RpnUZt3R0
>>821貴明は雄二が好きなんだろ?雄二は貴明が好きだしな↓それのss
向坂雄二の婚約者=カリーナ・リン→カリーナ→カリナ→仮名
仮名「貴明!いつまでもいい気にならないで!雄二はあなたのこと単なる遊び相手としか見てないのよ
   いい加減分かったらどうなの?」  貴明「そんな…ことは…」
仮名「いいえ、そうよ!男のクセにちょっと綺麗な顔してるからって何よ!
   厚かましいにもほどがあるわ!雄二はね、今の学園を卒業したら私と結婚するの」 
貴明「そんな!」 仮名「出て行きなさいよ!この町から!」
(略)(向坂家の会合パーティ)
客1「ほぉ!」 客2「まぁ!」 客3「雄二さんのお連れの方、素敵な方ね!」
貴明「雄二…俺、恥ずかしい!」
雄二「みんな貴明を注目してるんだ。人の視線は気にしなくてもいい」 貴明「でも!」
雄二「ちゃんと顔を上げて前を向いているんだ、レディらしくにっこりと微笑んでいればいい
   しゃべらなければ誰もお前が男だと気づかない」
貴明(まさか、チャイナドレスを身につけさせられるとは、しかも胸パットも入れ
   ウイッグと化粧まで施されて…みんなの視線で、気が遠くなりそうだ…)
婦人「お久しぶりね。雄二さん」  雄二「どうも。ご無沙汰しています」
婦人「そちらの方は?」 貴明「!?」
雄二「学園の友人ですよ。今日は特別にパーティに招待したんです」
婦人「そう。本当にお綺麗なお嬢様だわ。今日は楽しんでいってね」
貴明「…は、はい(裏声)…ふぅ〜」
雄二「そらみろ。だれもお前が男だなんて気づきもしない。美人を見慣れたはずの面々でさえ
   お前の美貌にはまいっているようだ。何よりこの黒いチャイナドレスがとても似合っている」
貴明「そう、かなあ」
雄二「たまにはこういう格好をさせたいな。マーメイドラインなども似合う気がする」
貴明「冗談だろ!?」 
雄二「ふっ、まあいい。さあ次は藤子さんに挨拶しに行くぞ」 貴明「うん!」
841名無しさんだよもん:2006/01/28(土) 20:46:00 ID:RpnUZt3R0
仮名「くっ!ほんとに頭にくるったらないわよ!」 家政婦「仮名様!どうなされたんですか?」
仮名「雄二は居るかしら?」 家政婦「いえ、お出かけですが…」
仮名「夕べのパーティに雄二は貴明をつれていったって聞いたけどそれほんとなの?」
家政婦「はあ…」 
仮名「信じられない…私を差し置いて貴明を連れて行くなんて…
   雄二に用事があるの。居間で待たせてもらうわ。お茶を持ってきて頂戴!」
(パーティ後のホテル)
貴明「痛い!手を離してくれ!」
雄二「帰らせないぞ!俺は帰らせたくないんだ!俺は今こそ本当のことが聞きたい。
   なぜ俺の前から逃げて委員長とくっつこうとした!?」
貴明「それは…それは、いつまでも男同士で付き合ってるわけにはいかないと思ったんだ…」
雄二「バカなことを…貴明!」 ガシッ
貴明「だめだ!雄二!おまえにはちゃんとしたこんやくs…」
雄二「ちゃんとした…なんなんだ!?」
貴明「…俺たちはもう遊んでいられる歳じゃない!特にお前はそうだろ?」
雄二「遊びだと?そんな風に思っていたのか!」
貴明「思っていたよ!だからやめようと決心して委員長とくっつこうとしたんだ…」
雄二「勝手な奴め!」 貴明「…傷つけて、ごめん…」
雄二「おまえは俺のことが嫌いなのか?」 貴明「え?」
雄二「嫌いなのかと聞いたんだ!」 貴明「嫌いじゃ…ない」
雄二「そうか…わかった」 貴明「雄二!」
雄二「分かったと言ったんだ!…つまりお前は俺が嫌いではないが
   好きでもないわけだ…」 貴明「!?」
842名無しさんだよもん:2006/01/28(土) 21:09:51 ID:7UKPjBh1O
うほっ
843小ネタ1/3:2006/01/29(日) 02:45:02 ID:+WA1nDOY0
「うぅっ!!」
「はぁっ!」
男と女。身体を絡め合った二人が同時に声を上げる。
蜜が滴り落ちるほどに濡れそぼった女の膣に、男が自らの肉棒を深々と挿入したまま、
その身を震わせている。
男根が脈動し、女の子宮に溢れんばかりの子種を注ぎ込んでいた。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
荒く息をつく二人、力を失ってソファへと倒れ込んでいく。
男はゆっくりと自らの肉棒を女の膣から引き抜いた。
そして、女に身を寄せる。
「愛佳、大丈夫か?痛くなかったか?」
男は女の身体を労るようにそっと抱き起こした。
女の顔は紅潮し、まだ火照りがおさまらない様子だった。
「大丈夫です…や、や、その…気持ちよかったよぉ…河野君」
女は男の腕の中で微笑んでいた。
激しい行為の後で、その瞳はまだ潤んだままであったが、それはまた嬉し涙にも似たものであった。
「そ、そうか…ハハハ、今は河野君じゃなくてもいいぞ」
男は安堵の笑みを浮かべる。
女を抱く経験がまだ少なかったようだ。
「ふふふ…んふ…やだ、溢れてきちゃった」
女は男の腕の中からゆっくりと上体を起こす。
「え?」
そして、男が戸惑いの表情で見つめる中、自らの身体を男に向き合わせる。
「あたしの中に収まりきらないんだよ…ほらこんなに…」
女はそのまま、男に見えるように足を開いて見せた。
その膣口は、行為の余韻で閉じきらず、ヒクヒクと収縮を繰り返している。
そして、その内部からは白濁した精液がドロリと粘り気を帯びて流れ出ていた。
844小ネタ2/3:2006/01/29(日) 02:45:33 ID:+WA1nDOY0
「バ、バカ!足を開くなよ!恥ずかしいだろ!」
男はその光景から顔を背けた。
女の身体から漏れ出すのは自らの欲望の塊。
その光景は自らの弱点をさらけ出しているようだった。
「やだ…さっきまで私のお尻の穴までじっくり見てたくせにぃ〜」
そんな男の様子を見ながら、女は堪えきれずにプッと吹き出す。
身体の方も徐々に感覚を取り戻し、余裕が出てきたようだ。
「そ、それとこれとは別だ!」
男は真っ赤な顔を女から逸らし、後ろを向いてしまう。
ただの照れ隠しでしかなかった。
「こんなにいっぱい出してくれるなんて…私で感じてくれたんですね?」
女は自らの膣口から流れ出る男の精液を、慈しむように指で掬い取る。
「そ、それは…ま、愛佳があんまり締め付けるから…」
男は背中を向けたまま答える。
最後の方は良く聞き取れないような小さな声だった。
「そーなんですよぉ〜あたしのココは貴明君のが入ってると特別にキュキュッてなっちゃうんだよぉ〜」
女はそんな男をからかうように後ろから抱きつく。
豊満な胸が男の逞しい背中に押し付けられ、男はますます女の方を向けなくなる。
「そ、そんな…思い出させるなよ…」
遂に男はうつむいてしまった。
女も男に釣られて視線を下に向ける。
「あ…貴明君…もう復活しちゃったの…?」
その視線にあった男の陰茎は、先程大量に射精したのにも関わらず、
既に逞しく立ち上がっていた。
「うぅうう!えーい!襲ってやる!!」
男は女の手を振り払うと、女の方に向き直り、そのままの勢いで女を押し倒した。
「きゃああぁん」
女が悲鳴を上げる。
しかし、その顔は笑っており。
冗談めかして悲鳴を上げただけだった。
845小ネタ3/3:2006/01/29(日) 02:46:09 ID:+WA1nDOY0
一方そのころ、廊下では…
背にカバンを背負わせた制服姿の少女が独り、部屋の壁に耳を押し付けて息を荒くしている。
(ちくしょう…全部聞こえてんのよ…あのバカップルが!)
尻を突き出すようにして屈み込み、ショートカットの髪を乱しながら、何かに食い下がる様に扉に耳を押し当てている。
(『ちょっとだけ書庫が残してもらえるのよぉ〜』とか言って、喜んでたから来てみればぁああああああ!)
ついに聞いているだけでは我慢できなくなったのか、少女は扉の端に手を掛ける。
そして、ゆっくりと僅かな隙間を作り、どこから取り出したのか、ワザワザ眼鏡を掛けて中を覗く。
その目に飛び込んでくるのは、親友の艶かしい表情。
(な…何よ何よ…このエロ!あたしと一緒の時にはそんな顔見せないくせに!)←?


「は…は…くちゅん!」
女が突然クシャミをした。
「うおぁああっ!!」
その瞬間、女の全ての筋肉が一気に収縮を起こす。
当然、膣内の筋肉も収縮し、男の陰茎を中に収めていることなどお構い無しに急激に締まる。
そして次の瞬間には、もう既に熱い粘液が膣奥に流れ込んでいた。
「あれ?ひょっとして…もう中で出しちゃってます?」
「う…ぁあ…くしゃみなんてするから…シャレにならんほど締まったぞ!」
男は眉間に皺を寄せ、突然のトラブルに対処し切れずに脂汗を流していた。
「あーあ…挿れたばかりなのにぃ〜…誰かあたしの悪口言ったんですよ、きっと」
女の方は、心底残念そうに、痙攣し続ける男性器の根元を見つめるのみであった。


廊下
「こ…これで勝ったと思うなよーっ!」
放課後、誰も居ない廊下に、少女の声と走り去る上履きの音が響き渡った。

「ん?今なんか聞こえなかった?」
「た……貴明君…三回目なのにぃ〜」

(おしまい)
846名無しさんだよもん:2006/01/29(日) 02:46:44 ID:+WA1nDOY0
2番目で上げてしまいました すみません
847名無しさんだよもん:2006/01/29(日) 03:26:45 ID:KDGdYrau0
放置推奨
848名無しさんだよもん:2006/01/29(日) 04:17:00 ID:7Tm5LDf80
保管所って何で各キャラ3作品しかないんだ?
849名無しさんだよもん:2006/01/29(日) 04:18:56 ID:7Tm5LDf80
sage忘れスマソ
850名無しさんだよもん:2006/01/29(日) 04:23:29 ID:uJK304diO
>>848
各キャラ名のとこをクリックしたら見れるよ
851名無しさんだよもん:2006/01/29(日) 11:03:45 ID:F0iAJhbA0
いやー、ブラウンニッシュスゲーな。もうぐだぐだ
このスレで熊のぬいぐるみボディのミルファが受けたと見るや速攻で自分の作品に反映
いいかげん他から引っ張ってこないと発想が浮かばないのかよって感じだ
852名無しさんだよもん:2006/01/29(日) 11:21:29 ID:va3ug2FQ0
853修学旅行の告白事件 その2(1/8):2006/01/29(日) 13:23:13 ID:us04Sh+90
「愛佳、俺は大事な目的があってここに愛佳を連れ出したんだ」
 俺の言葉に、愛佳はびくり、と肩を震わせた。
「愛佳は俺がどうして此処に来たのかわかるか?」
「…『修学旅行のしおり』を作ってた時の…あれだよね?」
 よし。やはり愛佳にはわかってたんだ。
 これで目的自体は達成したも同然だ。
 そう俺は安心しかけた。だが…
「じゃあ、そろそろいこうか?」  
「え?行くって、どこに?」
 愛佳の思わぬ提案に俺は聞き返した。
「この展望台の裏手にある、絞りたての牛乳で作った美味しい
アイスが食べられるお店…じゃないの?」
「い、いや…悪いが、俺はそんな店は知らないんだ…」
「それじゃあ…その少し先にあるフランス留学していた有名なパティシエさん
の作る特製ケーキが売りのお店…じゃないよね?」
「いや…それも知らない…」
「え…と、じゃあ、さらに奥に行った所にある、
上質の小豆と砂糖たっぷりのあんこで有名な…」
「ちがうって」
 
なにやら話の雲行きが怪しくなってきた。
 なんでこういう話になる?しかも愛佳はこの辺りの店にやたらと詳しい。
 いや、落ち着け、俺。
「愛佳、しおり作ってた時のこと、覚えてるって言ったよな?」
「うん、あの時たかあきくんが読んでた雑誌のことじゃないの?」
 あの時俺が読んでた雑誌?そこにお店の情報が載ってたってことか?
 まあこの土地の情報誌だからな…
ということは、つまり…つまり…
854修学旅行の告白事件 その2(2/8):2006/01/29(日) 13:24:22 ID:us04Sh+90
・俺が自由行動を二人で廻ろうと愛佳を誘った時、この雑誌を読んでいた。
・だから愛佳は俺がこの雑誌に載っている場所の何処かに行きたいのだと考えた。
・愛佳にもこの雑誌の中に行きたい所があって、そこに俺が連れて行って
くれるのか、と楽しみにしていた。それで緊張していた。 
・そして告白の名所とか、ドラマのことは忘れている、あるいはもともと考えに無い……
 
 そういう結論に辿り着いた俺は、猛烈なめまいと虚脱感に襲われた。
 ああ、考えてみれば、なんと愛佳らしい考えだろうか。
そうだよな…愛佳がそんな器用に気をまわせるはずがないんだ。
 うわあ…馬鹿みたいだな。俺。いや、正真正銘の馬鹿だよ…
 もはや俺には告白を続行するような気力は残っていなかった。
 愛佳には行きたい所もあるみたいだし、これからそこに行くとしよう。
 反応から見ると、アイス屋かな?あるいはケーキ屋か?まあどっちでもいいか…はあ…

「だいじょうぶ?たかあきくん?」
 気が付くと、俺は地面に座り込んでいた。
 俯いた俺の顔を愛佳が心配そうに覗き込んでいた。
 愛佳は、俺の腕に軽く手を触れて、『飲み物でも買ってこようか?』と言ってくれた。
 愛佳はほんとに優しいよな、こんな俺にも。
「ああ、大丈夫。坂道を登って、ちょっと息が切れただけだよ」
 大丈夫じゃなくても、そう言い訳するしかなかった。
 愛佳にあまり心配させられないな。
 俺は展望台の手すりに掴まって立ち上がった。
 そこからの景色を見るともなしに眺めてみる。
 こうして見るとずいぶんと高いもんだな…
855修学旅行の告白事件 その2(3/8):2006/01/29(日) 13:25:09 ID:us04Sh+90
「綺麗な景色だね…たかあきくん」
 隣に来ていた愛佳がそう呟いた。
 そう言われて、俺はもう一度ここからの景色に意識を戻した。
 
 手前には大きな湖が輝いていた。
 その向こうに駅や商店を中心とした住宅街がにぎやかに集まっている。
 そしてそれらを取り巻く形で、背の高い木々が立ち並ぶ森がどこまでも広がっていた。
 美しい景色だった。
「ああ、綺麗だな…」
 俺は深く深呼吸しつつ、そう答えた。うん、いい景色だよな。  
 でもこの景色をこんなにも素敵だと感じられるのは、
今、愛佳が綺麗だと言ってくれたからだと思う。
 好きな人の存在って、そういうものだよな。
 たとえば愛佳と一緒にいい映画を見た時、愛佳も「いい映画だったね」って言ってくれたら、
その映画はずっと心に残るんだ。
 たとえば愛佳と一緒に美味しいお菓子を食べた時、愛佳も「美味しいね」って言ってくれたら、
そのお菓子は本当に美味しくて、その日一日を幸せにしてくれるんだ。
 俺は愛佳がいて、ずっとそんな日々を積み重ねてきた。
856修学旅行の告白事件 その2(4/8):2006/01/29(日) 13:26:38 ID:us04Sh+90
 …ああ、やっぱり愛佳にはずっとそばにいて欲しいよな。 
 俺は落ち込んでいた気持ちに活力が戻ってくるのを感じていた。
 やっぱり俺は愛佳に彼女になってほしい。
 今告白しなければきっと後悔するだろう。

「愛佳…実は、俺はここで愛佳に大切な話があるんだ…」
 俺はそう切り出した。もう後には引かない。
 心臓がバクバクいい始めた。
「大事なお話?」
「ああ、そうだ。だから逃げたりボケたりしないで最後まで聞いてくれ」
「ひどいなあ、ボケたりしないよぉ…」
 しまった。つい本音が出た。
 愛佳はちょっとすねてしまったようだ。
「話聞いてくれたら、後でアイスおごるよ。絞りたての牛乳で
作った美味しいアイス、食べにいこうな」
「うん」
 俺がそう言うと、愛佳はにっこり笑って、頷いた。
 ああ、眩しい笑顔だな…
 好きな人の笑顔って、どうしてこんなに胸に苦しいんだろう。
 ただでさえ緊張してるのに、勘弁してほしいよ、ほんと。
857修学旅行の告白事件 その2(5/8):2006/01/29(日) 13:27:26 ID:us04Sh+90
「大事な話、していいか?」
「…うん、お願いします」
 俺の深刻さが伝わったのだろう、さすがに愛佳も緊張した様子で俺に向き直る。
 今、俺と愛佳は展望台で静かに見つめあっている。
 もしこの告白の結果がどうであれ、俺は後悔しない。
「愛佳」
「うん」
「俺とつきあってくれ…もし愛佳が断っても、俺はもう二度とこの言葉、他の誰にも言わない…」

 ――しばらくの沈黙があった。
 愛佳は逃げ出したり、ごまかしたりはしなかった。
 それどころか、じっと俺を見つめていた。
 その視線は俺よりもしっかりしているくらいだった。

「はい…私と付き合って下さい…私も、他の誰からも、その言葉を受け取りません…」

 ――そして、愛佳は両手で顔を覆って泣き崩れてしまった。
 
 愛佳はずいぶん長いこと泣き続けていた。
「ごめんなさい…たかあきくん、ごめんね…」
 何度も何度もごめんなさい、と謝りながら泣いていた。
 その間はきっと俺の言葉も届いていなかった。
 なぜ謝るんだよ、愛佳…
 俺にはただ、愛佳の肩を抱いて、慰め続けることしかできなかった。
 刺すように降り注いでいた日差しが弱まって、丘に流れる風も少し冷たくなってきたころ、
ようやく落ち着いてきた愛佳が事情を説明してくれた。
「あたし、本当は気付いてたの。たかあきくんがこの丘に連れてきてくれた意味を…」
858修学旅行の告白事件 その2(6/8):2006/01/29(日) 13:29:31 ID:us04Sh+90
「たかあきくんが、自由行動にあたしを誘ってくれたとき、
もしかしたらそういう話かもしれないって思ったの」
 ドラマの告白の話が出た直後だったから、愛佳もそこに思い至ったのだろう。
「でも、考えているうちに、そんなのあたしの都合のいい妄想なんじゃないかって思えてきて…」
 そういう気持ちは俺にもわかる。ついさきほど経験したばかりだ。
「もし告白だったらすごく嬉しかった…だからこそ、期待しすぎて、
その期待を裏切られるのが怖かったの…」 
 ああ…たぶん愛佳はこうやっていろんな事を諦めてきたんだろうな。
 両親が病院の妹にかかりきりだったこと。
 だれかに抱き上げてもらった記憶がないこと。
 誕生日のプレゼントのこととか、俺が思い出せるだけでもいくつかある。
 きっと他にもあるんだろう。
 ほんとは愛佳だって、両親が構ってくれるのを待っていたんだろう。
 でも、その願いは叶わなかった。
 そんな中で期待を裏切られて傷つくよりも、最初から諦めてしまう、
そんな生き方をするようになったんだろう。
「それでも、もしかしたらって思う気持ちはまだあって。だから、この丘に着いた時は
ほんとにどきどきして…でも、ドラマに出てきた場所、通り過ぎちゃって…やっぱり
違うんだなってわかったら、いままで自分が期待してたことが情けなく思えてきて…」
「いや、そんなの俺の責任だよ。俺が勝手に頂上だと思い込んだから…」
 そりゃ、期待してたのに通り過ぎちゃったら、愛佳じゃなくともがっかりするよな。
 というか、ボケは俺の方かよ… 
 ちなみにドラマでは主人公とヒロインは丘の中腹にあるおだんご屋さんでのんびり
お茶とだんごを頂きながら愛を誓い合ったらしい。ってなんだそりゃ…
859修学旅行の告白事件 その2(7/8):2006/01/29(日) 13:31:43 ID:us04Sh+90
「それで、本当にあやまらなきゃいけないことは、ここからなの…」
 さっきまで少し落ち着いていた愛佳が、再び涙を流しながらそう告げた。
「たかあきくんが、『大事な目的がある』って言ったとき、またもしかしてって思ったの。
でも、もうこれ以上迷いたくなくて…だから、わざとアイスとかケーキとか、心にもない
ことを言ったの。 ほんとは期待してたくせに…あたし、卑怯だから…ずるいから…」
 愛佳は俺に自由行動に誘われてから、何度もあの雑誌を読み返し、
俺の目的をいろいろ想像していたそうだ。
 それであんなに内容に詳しかったのか…
「あたしがひどいこと言ったのに、たかあきくんは真剣に告白してくれて…
本当にうれしかった…だから、ごめんなさい…ほんとうにごめんなさい…」
 そして、全部話し終えた愛佳はまたうつむいて泣き始めてしまった。

 うむ…俺としては愛佳を責めるつもりなんかまったく無いんだけどな。
 むしろ俺の小細工で愛佳を戸惑わせたのが原因だろうと思うし…
「なあ愛佳、俺は愛佳が告白のことについて黙っててくれて、助かったと思っているんだ」
 俺はなるべく優しい声になるように努めながら、まだすすり泣く愛佳に話かけていた。
「だって、俺がこんな恥かしい計画まで立てて準備してたことなのに、
愛佳が最初から気付いてるってわかったら、俺は恥かしくて告白なんて
できなかったかもしれない」
 …愛佳はまだ、顔を上げない。この手じゃダメか…
「それに、愛佳はそれくらいボケてくれたほうが、かわいいと思う」
「ええっ!?」
 愛佳は俺の言葉に驚き、一瞬顔を上げたが、泣き顔見られるのが
恥かしいらしく、また俯いてしまった。
 ふむ…もう少しかな?それでは奥の手を。
「それより愛佳。だいぶ時間が押してるぞ?早くしないとアイス食べに行く時間が無くなる」
「ええええっっっっ!!!」
860修学旅行の告白事件 その2(8/8):2006/01/29(日) 13:33:11 ID:us04Sh+90
 愛佳は今度こそ跳ね起きて、慌て始めた。よし、作戦成功。
「おらおら、そんなひどい顔でアイス食いに行くのか?さっさと直してきな」
「う〜、たかあきくんの意地悪〜」
 愛佳は恨み言を残して近くのトイレに駆け込んだ。
 待つこと数分…
「待たせてごめんね、たかあきくん」 
 トイレから戻った愛佳はすっかりいつもの愛佳だった。さすがは女の子。
 恐らくトイレの中で手持ちの化粧品を駆使して戦いを繰り広げたのだろう。
 俺のような無粋な男には永遠に理解不能の世界だ。
「遅いぞ、愛佳。さっさと行こう」 
 愛佳が落ち込みに入る前に目的地にせかす。
「あの、ほんとにごめん…」
「もう謝らなくていいから。それより俺たちが付き合ってから初めての
デートだぞ、気合いれて楽しもうな?」
「……たかあきくん、ありがとう……」
 そうさ、俺たちはもう恋人なんだ。
 過去なんか振り返ってる場合じゃない。
 これからは恋人同士の楽しいイベントだってたくさんあるんだ。たぶん。
「あ、あの…たかあきくん、お願いがあるんだけど…」
 おおっ!さっそくお願いイベントですか?!すごい!すごいぞ!愛佳!!
 どんなお願いだろう?
 ”手をつなごう”かな?”キスしよう”かな?そ、それとも、もしかして…
「…後でケーキ屋さんも、寄っていい?」 
 うわ。そうきましたか。いやあ、もちろん大歓迎です!
861修学旅行の告白事件 その2:2006/01/29(日) 13:33:58 ID:us04Sh+90
 今回はここまででお願いします。
 あともう少し続きます。
 残りは火曜日までには。
862名無しさんだよもん:2006/01/29(日) 13:38:51 ID:qB86lh3A0
>>861
GJ!
貴明の「他の誰にも言わない」と、
それに対する愛佳の「他の誰からも、その言葉を受け取りません」がツボに来た。
863名無しさんだよもん:2006/01/29(日) 15:26:08 ID:KepvN99+O
>>861 続き待ってましたよー(゜∀゜≡゜∀゜)
いや〜、漏れも>>862に同意。良い感じの台詞です。GJ!!
続き期待しとりますよ〜。
864名無しさんだよもん:2006/01/29(日) 16:07:41 ID:tUUMPGSn0
>861
GJ!告白台詞かっこええ〜!あと貴明の心の声がなんだか可愛いw
865名無しさんだよもん:2006/01/29(日) 16:55:05 ID:OY3sIYie0
>>861
続き、喜多ーー!!
それにしても、愛佳の「ごめんなさい」は心臓に悪いな。

で、UMAはどこですか?w
866石焼き芋(1/2):2006/01/29(日) 18:28:11 ID:DrnAIkCK0
帰り支度を終えて校門を出ると、愛佳がガードに腰掛けて待っていた。
いつものショールをマフラー代わりに巻き付けて、肩には紺のスポーツバッグ。
茶色に近いオレンジのコート。両手はポッケ。裾から伸びた生足が、冬の日差しに白く映える。

「待たせて悪い、寒かったろ?」
「ううん〜、全然平気だよ〜。じゃいこっか」
「うん…って懐になにを入れとる。」

普段なら二人で繋ぐ手を、今日はポケットから出さない愛佳。
しかも何故か、コートの胸のあたりが不自然に膨らんでいる。
愛佳のアレがいくら最近おっきくなってるとはいえ………ゴホン。いや、なんか隠し持ってる。

「えっ?な、なんでもないよぉ?さっき買った焼き芋を家で食べようなんて思ってないよ〜?」
あっさり自供。寒くなかったのはそのせいかよ。

「…独り占めはずるい。俺にもよこせ。」
「うぅ〜、貴明くんにカツアゲされるぅ〜」
泣きを入れながらコートの前を開いて茶色の紙袋を取り出す愛佳。
俺は無意識にそれを覗き込み、開いた胸元からこぼれる制服の赤にどきり。
867石焼き芋(2/2):2006/01/29(日) 18:29:07 ID:DrnAIkCK0
「???。はい、半分こでいいよね?」
目を逸らした俺の様子を不審がりながら(無防備なんだよ)
愛佳は紙袋から焼き芋を一本取り出して(名残惜しそう)
あろうことかそれをさらに半分に折って(ケチくさ〜)
ひとつを俺に渡し、片割れを紙袋に戻す(あれ?)

「サンキュ。って愛佳は食わないのか?チンして食うより蒸かしたてのが美味いだろ?」
「え、え〜っと、それはそうなんだけど…」
なんだその歯切れの悪い回答は。しかもなにやら口をもごもご反芻。

…さてはこいつ、既に一本食ってるな。

「愛佳、あ〜ん」
「へっ?」
「口を開けて見ろって言ってるの」
「えっ、えっ?いやだなぁ〜貴明くん。こんなところでセクハラはだめですよぉ〜?」
こんなところじゃなけりゃいいのか。とにかく、こんなやつオシオキしてやる。

俺は愛佳の腰に右手を回すと、抱き寄せるようにして脇腹をくすぐった。
「ふひゃあっ?わわごめんなさいごめんなさいそこダメっ!?っひゃはははくすぐったいぃぃ!」
暴れたところで、両手で焼き芋の袋を後生大事に抱えている愛佳には抵抗手段がない。
厚手のコートの上からではあるが、脇やら背中やら俺に好き放題もじゃくられ大騒ぎ。
堪らず大口を開いた愛佳の歯の間には、やっぱり黄色い欠片が挟まっていましたとさ。

追記:結局、愛佳は俺の芋を半分以上食った上に、家に辿り着くまでにもう一本食った。
868石焼き芋:2006/01/29(日) 18:30:37 ID:DrnAIkCK0
愛佳スレ621にうpされてたG'sの表紙絵と、同625-626から妄想しますた。既に恋人設定
869名無しさんだよもん:2006/01/29(日) 19:24:27 ID:OY3sIYie0
>>868
GJ!
ところで、貴明。 これは立派なセクハラです。 通報しますたw
870名無しさんだよもん:2006/01/29(日) 23:10:31 ID:Jumiw+C50
いいよいいよ〜。お二方とも乙&GJですた。

>>861
真面目な話、非常に感動した。
台詞がまた心に染みる。

>>868
おのれ貴明、セクハラとはなんてうらやま…じゃなくて
けしからんw


あ〜、俺もなんか書こうと思うのにいざPCの前に座ると
やる気が失せるのは何故だ…orz
871名無しさんだよもん:2006/01/30(月) 01:10:59 ID:l2hZoyM90
>>870 KIA ! >>870 is KIA sir !
872名無しさんだよもん:2006/01/30(月) 10:23:12 ID:B16I6Qzi0
現在容量が488kbな訳だが
873名無しさんだよもん:2006/01/30(月) 12:24:15 ID:GzQ1LVZYO
>>872
つまり、君は私に残りの容量で春夏さん凌辱ssを書け…、と言いたい訳だね。
874名無しさんだよもん:2006/01/30(月) 13:19:29 ID:tzSPjTub0
新スレ
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1138594672/

それでは残りの容量で春夏さん凌辱SSをどうぞ↓
875名無しさんだよもん:2006/01/30(月) 13:39:12 ID:Ok3FZ1mW0
 平和な柚原家の午後の昼下がり、だがその平穏は突如として破られた。
 ピンポーン
「はーい」
 チャイムの音ににパタパタとスリッパの音を立てて玄関へ出向く春夏。
 インターフォンで相手が何者かを確かめなかったのは迂闊な話だった。
「どちらさまでしょう……か……」
 ドアを開け、目の前に立っていた男の姿に春夏は戸惑う。
 男は目出し帽を被っており、手には粘着テープが握られていた……

「ん〜!ん〜!」
 粘着テープで口をふさがれ、両手を後ろでに何重にも縛られた春夏は玄関前に転がされる。
 男はドアの鍵を閉め、土足で上がりこんできた。
(嫌……いきなりどうして……誰か……助けて……)
 気丈な春夏も突然の事態に涙を浮かべてしまう。
 そんな春夏を気遣うそぶりも見せず、男は無造作に春夏の胸に手を伸ばし揉み始めた。
「んっ!んん〜〜!(い、嫌ぁ〜!)」
 年齢不相応に垂れる事もなく弾力がある春夏の胸が、男の掌の中で形を変えてゆく。

(以下誰か続けて)
876名無しさんだよもん:2006/01/30(月) 15:23:06 ID:GzQ1LVZYO
ガッ!!
暴漢の動きが止まり、ゆっくりと崩れ落ちる。
雄二「大丈夫ですか、春夏さん!?」
暴漢の後ろから鉄バットを持った雄二が姿を現す。
ビリビリビリ…
雄二は屈みこむと春夏の口に貼られたガムテープが取り除く。
春夏「うっ…ぁ…、あっ、うぐっ…ありがとうユウくん。」
雄二「いえ、それより大丈夫ですか?」
春夏「えっ、ええ。ユウ君のお陰よ。
悪いけどこっちもほどいてくれる?」
そう言って自分の縛られた手足を動かす。しかし…
雄二「はっ…あはははは!!いひひひひ!!」
春夏「ユ…、ユウ、君?」
何がおかしいのか狂った様に笑い続ける雄二。
春夏「ユウ君!!」
雄二「…っひひ。本当に助かったと思ってるんですか、春・夏・さ・ん」
春夏「どういう…事…きゃっ!?」
雄二は春夏の股間に顔を埋め、舐めまわし、下卑た笑い声をあげる。
雄二「くひひ。はぁはぁ、まじたまんねえ〜〜ょ〜〜ぉ〜ぅ!!」

↓以下頼む
877名無しさんだよもん:2006/01/30(月) 19:18:45 ID:pD7vysqS0
ガチッ!ギギギギギ
「ああ頭が割れるううう!!!!」
春夏の股間に顔を埋めていた雄二は後ろからタマ姉のアイアンクローを喰らってあえなく気絶した。
「まったく、雄二がいきなり出ていったから何かと思えば・・・何やってるのかしら」
タマ姉はやれやれといった顔で春夏に話しかけた。
「大丈夫ですか?おばさま」
「え、ええ、なんとか・・・」
春夏はやっとホッとした顔で答えた。
しかし・・・
「おばさま、ホッとするのはまだ早いですわよ」
「え?どういうこうふっ!」
思わず聞き返そうとした春夏の口はタマ姉の唇で塞がれた。
「その若さを保つ秘訣、教えてくれませんか・・・」

↓続きよろしく
878名無しさんだよもん:2006/01/30(月) 19:34:25 ID:dgXBlrxiO
『ヲフ、ヲフ━』
「にゃぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」
春夏の唇を塞いでたタマ姉は突如現れたゲンジ丸に驚き逃げた。
『ク〜ン』
春夏の頬を優しく舐めるゲンジ丸
「ありがとね、ゲンジ丸」
ほっとした様子でゲンジ丸を撫でる春夏
『ヲフ、ヲフ━━』
しかしなにを思ったのか、ゲンジ丸は春夏の股間を舐め始めた
「ち、ちょっとゲンジ丸!?やめなさい!」


続きヨロ↓↓↓↓↓
879名無しさんだよもん:2006/01/30(月) 19:42:50 ID:siN2MbDz0
どがっ!
「わ……わふっ?」
後頭部を強打され、崩れ落ちるゲンジ丸。
「ぷはっ!」
「お、お母さん……」
そこには雄二が使っていたバットを両手で構えた愛娘、このみの姿が。
「こ、このみ。早く解いて頂戴?」
「……お母さん、ユウくんだけじゃなくってタマお姉ちゃんやゲンジ丸まで誘惑して……」
「ちょっと!? このみ、何言ってるのよ?」
「もしかして次は、このみのタカくんまで……そんなの許さないもん!」
「そ、そうじゃな………ああんっ!?」
「はむっ、ちゅ、ちゅ、このおっぱいがタカくんを……こんないやらしいおっぱいなんか、はむっ!」


↓後を頼む。
880名無しさんだよもん:2006/01/30(月) 21:36:46 ID:4acHNXf+0
「はむ、はむ、んっ、ちゅぱっ」
春夏の胸を責めるこのみ、だが吸い方はどちらかというと乳飲み子のそれに近い。
「あっ、こ、こらぁ、ぁん、やあぁ…」
「ふみゅ、んぐっ、お母さんのおっぱい、美味しいよぉ…ほぎゃっ!」
がこん!と強烈な拳がこのみの脳天直撃。そのまま足元にひっくり返る。目が渦巻。
「な〜にやってんスかね。このガキんちょは」
「赤ちゃんじゃあるまいに…似たようなもんか」
呆れた顔で見下ろすのは吉岡チエ。淡々とこのみを転がして片づけてるのが山田ミチル。
「あ、ありがとう。どこかで育て方間違えたかしら…悪いけど、解いてくれる?」
だが二人は春夏を眺めたまま動かない。
「う〜ん、このみの母親とは思えないエロい胸」
「ちょおっと失礼するッスね」
「え?な、なにを・・・あんっ?」
いつのまにか後ろに回ったミチルが春夏の胸を掴む。
目の前ではチエが自らのブラウスの前をはだけている。
「む〜、大きさでは良い勝負だけど」
「くぅっ、色気ではだいぶ…てやっ」
チエはブラを外して自らの乳房を取り出すと、春夏の胸に押しつけてきた。

↓後はしらん。
881名無しさんだよもん:2006/01/30(月) 23:18:18 ID:rYOSw+VC0
じゃ、今度の日曜日午後6時に
渋谷駅前の北大路珍宝堂でちんこオフね
あの店、ちんこウインナーコーヒーがおすすめなんだ
幹事のゾニたんが一足先に行って、オードブルの
ちんこフランクフルトとちんこウインナーコーヒーを
人数分頼んで待ってる手はずになってるんだけど
食い意地の張ってるゾニたんは、みんなが来る前に
全部平らげてしまうかもって心配してる人もいるかもしれないね
もしそんなことしていたら、ゾニたんは花男会除名の上
簀巻きにして東京湾に放り込む手はずになってるから心配ないよ
それとも、メインディッシュの花火たんのちんこを
しゃぶらせないほうが、ゾニたんには堪えるかな?
じゃ、みんな遅れずに来てよ。待ってるからね♪

882名無しさんだよもん:2006/01/31(火) 00:34:16 ID:Zn0XDZwF0
カコナール  パンチョさんのリクエストです

薬シリーズ最終章
さすがに薬シリーズはいいかげんにキツイのでなんとこれが最終回。そうです。「風邪にカコカコカコナール」のCMで有名はアレである。
良く考えたら現物見たこと無し。早速、店に行って現物を見る・・・・。
液キャベより小さいではないか。
本気でイヤな予感がする。はっきり言って小さい。小さいのにこの量が許容量ってことは・・・・ミニカップメンを満たすには10本くらい・・・。
今回は本気で悩んだ。多分10本飲んだら死ぬ。間違いなく死ぬ。それに絶対食い切れない。残す。もったいない。
というわけで今回は少し違います。
とりあえずカコナール2本。麺は砕いて一口分。
こうでもしないと食えないであろう。パンチョさん許して下され。
早速2本を沸騰させる。
もうやめていいですか?
薬シリーズに共通する危険な匂い。目にしみる蒸気。高鳴る心臓。
この手のパターンは危険という事が遺伝子に組み込まれたようである。進化したかも。
今回はカップメンの容器にはいれていません。ナベ(マグカップ)に直接砕いたメンを適量入れた。
手元にあるクソゲーでフタをして3分!やっぱり食いたく無いナリ・・・でももったいないから食う!!
風邪が悪化する味!!
まじい!!涙と鼻水が一緒に出るくらいマズイ!!食べのもにあらず。言ってしまえば
毒・ 毒・ 毒・ 毒・ 毒・ 毒・ 毒
心臓がドクドクします。やはり地獄であった。やはり薬は何をやってもまずい。
最終回にして大正解であろう。といわけで、もう薬のリクエストは受けません。絶対に受けません。寿命が短くなってしまう。
風邪にカクカク腰を振る  −★★★
883名無しさんだよもん:2006/01/31(火) 00:37:14 ID:Zn0XDZwF0
>>194
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1107171407/71
窓から降り注ぐ月光が、寝台に横たわるアリーナを包み込む。
生命力の残滓が脊髄の中心から沁み出る感覚を得て、
アリーナの唇は密やかな吐息を洩らした。
ぼろ雑巾のように酷使された彼女の筋繊維は互いに引かれあい、
昔日のそれよりもさらに強固でしなやかな姿を取り戻しつつあった。
ドラゴンライダーの操る竜に噛みちぎられた太股の断面からは、
陽光に向かう若木さながらに大腿骨が伸びてきた。
高熱のガスが直撃して炭くれとなった右手の先には、
早くも薄紅色の爪が五つ現れ出ていた。
床にだらしなく垂れていた錆色の腸は瑞々しさと弾力を取り戻し、
腹に開いた傷口を目指してうねうねと寝台を這い上がった。
長剣を深々と突き込まれた眼窩の中に
温かい液体がじんわりと満たされる感触を夢見心地に感じながら、
アリーナの意識は闇の深淵に落ち込んだ。

「おはようございます。ゆうべはよくおやすみでしたね」
884名無しさんだよもん:2006/01/31(火) 00:38:59 ID:Zn0XDZwF0
「ストローおじさん」って知ってる?
昔、映画館とかに置いてあったタン壺(みんながカ〜ッペ!とタンを吐く壺)にストロー突っ込んで全部飲み干すらしいよ。
ゴックンゴックン!
ストローが透明だから飲んでるのが丸見え!
たまにハナクソが詰まるらしいけど、思いっきり吸って食べるらしい。
スッポン!
ちなみにストローは絶対に洗わない方針だそうです。

「どんぶりおじさん」もいるようです。
タン壺を熱いご飯にぶっかけてジュルジュル流しこむように食べるそうです。
ごはんの上にハナクソとか鼻毛が丸見え!
汁はご飯の隙間を通って下に溜まるけど、全部飲み干すそうです。
885名無しさんだよもん:2006/01/31(火) 00:40:13 ID:Zn0XDZwF0
スレ名:ウホッ【DQ&FF各シリーズで好き・いい男】イイオトコ
板 名:FF・ドラクエ@2ちゃんねる
投稿者:
メール:sage
投稿日:2005/01/20 23:41:47
本 文:

「ほっほっほ、ではこれならどうでしょうか。」
とある遺跡にて、愛する息子を守るため魔物の集団と戦っていたパパス。はじめは善戦するも、
劣勢になった魔物の大将ゲマに息子を人質に取られ、状況は一変する。
「あなたの子供がどうなってもかまわないのなら、精一杯戦いなさい。」
ガスッ!ドガッ!!
あと少しで止めをさせたはずの、馬とサイの面をした魔物にいい様になぶられるパパス。
みるみるうちに傷が、痣が増えていく彼に、更なる地獄の仕打ちが加えられる。
「…ぐあ…ぎゃああ…」
魔物はなんと彼の股間を思い切り蹴り上げた。ただでさえ男にとってこれは耐え難い激痛なのに、
人間などよりはるかに力と体重のある魔物にやられたのだから、その痛みは筆舌に表しがたいものだったろう。
たまらず声を上げ、うずくまろうとするパパス。しかし…
「動いてはいけません。動くとあなたの子供にも同じ仕打ちを与えますよ。」
パパスはただひたすら耐える。何十何百と股間に痛撃を加えられ、数時間にわたってその饗宴は繰り返されても、
金玉がまるで狸の置物のように巨大に腫れ上がり、ちんこも世の男性すべてが羨む様な巨根に腫れ上がっても…
痛みだけでもショック死するほどの苦しみの中、彼は愛する息子の無事を祈り必死に耐え続けた。
886名無しさんだよもん:2006/01/31(火) 00:42:06 ID:Zn0XDZwF0
「何やってんだてめえら。そんなにキスが嫌か?だったら俺が無理やりにでも
ディープキスさせつづけてやろうか?」
そして塩田は、予め用意していたのか瞬間接着剤を取り出して、
俺達を押さえつけて口を開かせる。
「どんなにもがいても舌を抜くことが出来ないように、お前の舌をアイツの口の中にくっつけてやるからな」
そう言われ、僕は無理やり舌を引きずり出され、佐藤君の下唇に瞬間接着剤を塗った後、
僕の舌を彼の口に無理やり差し込んだ。
「ンン〜〜…グ〜〜ッ!!」
お互い喋る事も出来ずに、言葉にならないうめき声を上げてもがいている。
「ギャハハ、こいつら男同士で愛し合ってるぜ!末永く幸せに暮らせよ」
両手は使えないよう、相手の背中で組んだ体制のまま縛られてるので、
もがけばもがくほど、あたかも熱い抱擁をしているかの様になってしまう。
僕の舌は彼の唾に浸り続け、ついに耐え切れず嘔吐してしまった。
「ゲーッ!!ゴェエエエ!!」
吐瀉物は彼の顔全体にかかり、鼻の穴にも、わずかに開いた口の隙間からも入ってしまう。
すぐに彼も吐き返して来ると覚悟した。だが、優しい彼は僕を気遣ってか、
必死に吐き気を堪えているようだった。
しかも口の中に吐き出してしまった吐瀉物も飲み込んでくれていたようだった。
滝の様に流れる涙と、強く抱きしめる彼の腕が痛々しく申し訳ない。
(佐藤君、ごめんね)
僕は必死に心の中で謝り続けた。
887名無しさんだよもん
スレ名:ときめきメモリアル2 〜その23〜
板 名:ギャルゲー@2ちゃんねる
投稿者:みかる#mikaru
メール:sage
投稿日:2005/03/30 0:14:56
本 文:

「見ろよ、これ」
  沙希の目には、べとべとに汚された弁当が映った。
 「食え」
  ぞっとする沙希。
 「折角つくったんだろ? 食えよ」
 「お、お願い……それだけは許して………」
 「ダメだ、食え」
 「絶対に出来ないよぉ!」
 「絶対なんて軽々しく言うな。無理やりにでも食わすぞ?」
 「いや……気持ち悪い………」
 「気持ち悪いだと!? てめぇ俺のザーメンが気持ち悪いってのかっ!?」
 「だって……だってぇ……」
 「食え!」
  いきなり利雄は弁当を鷲掴みにすると、それを沙希の口に押しつけた。
 「うっぷ! いやぁ〜っ!」
  今度ばかりは必死に抵抗する沙希だったが、叫んだ口から無理やり精液まみれの飯やおかずが押し込まれた。
 「げっ……お……」
  舌で必死に押しだそうとするが上手くいかない。