ToHeart2 SS専用スレ 11

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1名無しさんだよもん
桜が舞う、暖かな季節。
新しい出会いや恋、そして友情に笑い、悲しみ。
すべてが始まり、終わるかもしれない季節。
季節といっしょに何かがやって来る、そんな気がする―――。


ToHeart2のSS専用スレです。
新人作家もどしどし募集中。

※SS投入は割り込み防止の為、出来るだけメモ帳等に書いてから一括投入。
※名前欄には作家名か作品名、もしくは通し番号、また投入が一旦終わるときは分かるように。
※書き込む前にはリロードを。
※割り込まれても泣かない。
※容量が480kを越えたあたりで次スレ立てを。

前スレ
ToHeart2 SS専用スレ 10
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1131125601/

関連サイト等は>>2
2名無しさんだよもん:2005/12/26(月) 20:40:33 ID:EhY9yyVu0
AQUAPLUS『To Heart2』公式サイト
ttp://www.aquaplus.co.jp/th2/

ToHeart2 スレッド 過去ログ置き場(仮)
ttp://f55.aaa.livedoor.jp/~kuma/toheart2/
本スレや各キャラスレはこちらから。

ToHeart2 SideStory Links
ttp://toheart2.ss-links.net/

各キャラの呼称相関図は
ttp://botan.sakura.ne.jp/~siori/hth/
内のToHaert2呼び方相関図を参照。

ToHeart2 SS の書庫 (スレの全作品保管)
ttp://th2ss.hp.infoseek.co.jp/

3河野家にようこそ 第38話(1/9):2005/12/26(月) 20:41:46 ID:EhY9yyVu0
 俺は女の子が苦手で、おまけに臆病者だ。そんな俺が出来る女の子との接し方は『親切かつ深入り
せず』。だけど気が付くと俺は、大勢の女の子と深く関わってしまっていて、それは俺にとっては
驚きと、そしてプレッシャーであった。俺は彼女たちとどう接していけばいいのだろう、そんなこと
をいつも考えて……。
 だけど、そんな俺を瑠璃ちゃんは、優しいと言ってくれた。それは俺にとっては、何にも代え難い
励ましの言葉だった。ありがとう、瑠璃ちゃん。
 などと喜びに浸る俺を見て、何故か拗ねるタマ姉。慰めたら慰めたで、いつものハグ攻撃で俺を
絞め殺そうとするし……。
 翌朝、何故か俺の身体の上で寝ているタマ姉と瑠璃ちゃん。慌てる俺だが時既に遅く、由真の跳び
蹴りが俺を襲った。

「由真さん、やりすぎです!!」
 バンッ!!
 朝食の席、優季が立ち上がってテーブルを叩く。
「このくらいやらなきゃたかあきは分からないのよ、バカなんだから!」
 バンッ!!
 同じく立ち上がってテーブルを叩き、優季を睨む由真。
「ふ、二人とも落ちついて……」
 俺は二人をなだめようとするが、
「貴明さんは黙っていてください!」
「たかあきうるさい!」
 二人とも聞く耳を持ってくれない。
 そして、そんな無力な俺は今、左の頬がじんじんと痛む……。
4河野家にようこそ 第38話(2/9):2005/12/26(月) 20:42:29 ID:EhY9yyVu0
 二人がケンカしている原因は俺、いや正しくは俺の顔にある。由真の跳び蹴りを食らい、打ち所が
悪かったせいか、俺の左頬は見事に腫れ上がってしまったのだ。
 当然それは同居人全員の知るところとなった。俺が蹴られる原因を作ったタマ姉と瑠璃ちゃんは
申し訳なさそうに俺を見て(瑠璃ちゃんに至っては怪我の手当までしてくれた)、るーこと花梨は
俺の顔に驚きつつも、由真の仕業と知るといつものことかとため息。しかし優季は、
「ど、どうしたんですかその顔!? こんなに腫れて……。
 も、もしかして顔の骨が折れたんじゃ!? き、救急車を呼ばなきゃ!」
と大慌て。具合を調べたタマ姉から、見た目ほど大した怪我ではないとを知ると、今度は加害者の
由真に怒りの矛先を向けた、という次第だ。
 朝の食卓に流れる剣呑な空気。こういう場合は大抵タマ姉が場を収めるのだが、今回に限っては
タマ姉自身も当事者――タマ姉と瑠璃ちゃんが俺の上で寝るなんてことをしなければこんな事態には
ならなかったため、さすがに口が出せない模様。
 そして、なおも続く優季と由真の舌戦。
「大体、普段から由真さんは貴明さんに対して乱暴すぎます!」
「原因はいつもたかあきにあるんだからしょうがないじゃない!」
「少なくとも今回の件では貴明さんに非はありません!」
「女の子の部屋で寝てるのが悪い!」
「それは瑠璃ちゃんを安心させるためでしょ!? それとも由真さんは、怖がっている瑠璃ちゃんを
見捨てるべきだったって言いたいんですか!?」
「そ、そんなこと言ってないわよ! 瑠璃ちゃんを安心させたのはいいけど、だったら瑠璃ちゃんが
寝たところで居間に戻ればよかったじゃない。何も一緒の部屋で寝なくたって……、そ、それも、
あんな風に身体をくっつけて……」
「貴明さんの上でお二人が寝ていたのは、貴明さんのせいじゃないですよね?」
 怒りの形相でタマ姉と瑠璃ちゃんを見る優季。
5河野家にようこそ 第38話(3/9):2005/12/26(月) 20:43:05 ID:EhY9yyVu0
「ま、まぁアレは何というか……、る、瑠璃ちゃんがね、気が付いたらタカ坊の上で寝てるんだもの、
だから私も、つい……」
「う、ウチ、ウチは……その……、よ、よう覚えてへん。
 きっと、その、ね、寝転がったらベッドから落ちて、その……」
 優季の目に怯みつつ答える二人。
「つまり、環さんは出来心、瑠璃ちゃんは事故というわけですね。ならやっぱり貴明さんには何の罪
もないじゃないですか」
「う……」
 一瞬怯む由真だったが、しかし、
「ふ、普段の行いが悪いから、こういう誤解を受けるのよ!」
「私、貴明さんの素行って由真さんが言うほど酷くないと思いますけど?
 いいえ、むしろ貴明さんは誠実で優しくてステキな人だと思います」
「はっ、恋は盲目とはよく言ったものだわ。優季の目にかかれば貴明が女の子の胸を揉んでいても、
マッサージにでも見えるんでしょうね」
「逆に由真さんの方こそ、貴明さんを見る目がやけに厳しすぎると思いますけど?
 まるで自分の理想型を貴明さんに強制しているみたいです。恋人でもないのに図々しいとは思わ
ないんですか?」
「な、な、なにぃっ!?」
 とうとう由真がキレて優季に掴みかかろうと手を伸ばし、一方優季もそれに怯まず、応戦の構え。
いくらなんでもこれはマズイ。止めなければ。そう思った俺が声を出そうとしたとき、
「るーっ!」
 るーこがいつものポーズで立ち上がった。そして、
「時間だ。ケンカもいいが、そろそろ出かけなければ遅刻するぞ」
 その一言で、何故かその場は何となく収まった。
6河野家にようこそ 第38話(4/9):2005/12/26(月) 20:43:36 ID:EhY9yyVu0

 家を出て学校へと向かう俺たちだったが、由真と優季はあからさまに不機嫌な顔のまま。二人は
無言で歩き、決してお互いを見ようとしない。
「ねぇタカくん、何かあったの?」
 そう尋ねるこのみに事情を説明する。
「そうなんだ。大丈夫ほっぺた? 痛い?」
「そんなには痛くないよ。湿布を貼ったらだいぶ楽になったし」
「ならいいんだけど……」
 なおも心配そうに俺を見つめるこのみ。
「タマ姉の診た限りだと大した怪我じゃないみたいだし、まぁ2、3日もすれば腫れも収まるさ」
「けど私は所詮素人だから、やっぱり念のため病院で診てもらった方がいいんじゃない?」
「大丈夫だってタマ姉。あまり長いこと治らないようだったら病院に行くからさ」
「でもやっぱ目立つよね、たかちゃんのソレ」
 花梨が俺の頬を指さす。腫れてる上に湿布だから、人目を引くのは無理ないかも。

「どうした貴明? さては誰かの寝込みを襲って殴られでもしたか?」
 俺の顔を見るなり笑いながらそう尋ねる雄二。まあこいつはこういうヤツだ。分かってたよ。

「おはようござ……、た、たかあきくんどうしたの!?」
 校門の前、愛佳は俺の顔を見るなり驚いて駆け寄ってきた。
「大方スケベなことして袋叩きにでもされたんでしょ」
 雄二みたいなことを言いながら、郁乃もこちらにやって来る。
 一方珊瑚ちゃんは俺の顔を見ると、何故か瑠璃ちゃんのところへトコトコと。そして、
 ぽかっ。
7河野家にようこそ 第38話(5/9):2005/12/26(月) 20:45:10 ID:EhY9yyVu0
「あいた! さ、さんちゃん何するの!?」
 いきなり瑠璃ちゃんの頭をゲンコツで叩く珊瑚ちゃん。
「瑠璃ちゃん、何があったか知らんけどアレはやりすぎやで。なんぼ貴明が許してもお姉ちゃんは
許さへん。お仕置きや」
 腰に手を当ててプンスカ怒る珊瑚ちゃん。って珊瑚ちゃん、俺のコレを瑠璃ちゃんの仕業と勘違い
してるよ!
「ご、誤解だよ珊瑚ちゃん! これは瑠璃ちゃんがやったんじゃないから!」
 慌てて俺は、珊瑚ちゃんたちにも事情を説明する。
「そうやったんか〜。瑠璃ちゃんごめんな、堪忍や〜」
「うう〜、さんちゃんのアホぉ〜」
 謝罪する姉と、涙目で恨めしそうに姉を見る妹。瑠璃ちゃんにとってはゲンコツの痛みよりも、
珊瑚ちゃんに疑われたことの方がショックだったに違いない。
「由真、ちゃんとたかあきくんに謝ったの?」
 由真に尋ねる愛佳、しかし、
「……」
 由真は何も答えず、怒り顔でノシノシと学校へと歩いていく。うわ、他の生徒が由真にびびって
道を空けてるよ。
「言うだけ無駄ですよ愛佳さん。あんな人に構わず私たちも学校に入りましょう」
 普段の優季からは想像も付かない冷たい言葉。それだけ、優季は本気で怒っているということなの
だろう。こりゃかなり深刻な事態かも。

 やはり、事態は深刻だった。
 昼食時、黙々と弁当を食べる由真と優季。その雰囲気にみんなも言葉を失い、静かな昼食となった。
 夕食時、黙々と夕食を食べる由真と優季。その雰囲気にみんなも言葉を失い、静かな夕食となった。
8河野家にようこそ 第38話(6/9):2005/12/26(月) 20:45:42 ID:EhY9yyVu0
 夕食を食べ終わると由真は二階(多分俺の部屋)に行き、一方優季はるーこと一緒に後片づけ。
「困ったわね、どうしたものかしら」
 居間で俺とタマ姉、花梨、瑠璃ちゃん、それにこのみは対策会議を行っていた。
「由真ちゃんは普段から怒りっぽいけど、優季ちゃんがあんなに怒るなんて初めて見たよね」
「だよね。わたしびっくりしちゃった」
 花梨の言葉にこのみが肯く。
「タカ坊のこととなると優季は真剣だからね。それだけに無実の罪でタカ坊を傷つけた由真のことが
許せないんでしょう」
「今回はたかちゃん、明らかに無罪だもんねー。それで顔腫らされたんだから、たかちゃんも災難
だったね」
「まぁ確かに痛かったけど、それはもういいよ。問題なのは二人をどうやって仲直りさせるかなん
だけど……、誰か、良い案ない?」
 俺がそう尋ねると、みんなは腕を組んでうーんと考え込む。人任せにするつもりはないので俺も
一緒に考えてみる。
 まず由真。あいつは元々意地っ張りなヤツだから、自分に非があっても素直に認めようとはしない
悪いクセがある。多分今回の件でも、自分からすんなり謝ったりはしないだろう。
 次に優季。少なくとも彼女の主張は正しい。今回の件はどう見たって由真の早とちりなんだから。
しかし由真がああいうヤツであることを考慮し、ここは優季に折れてもらい、怒りを静めて……。
いや、きっとダメだ。自分で言うのも何だが、優季は俺のこととなると感情的になる傾向がある。
もし俺が下手な言葉で優季に妥協を迫ろうものなら、優季の怒りを余計に煽る結果になりかねない。
 ……駄目だ、いい考えが浮かばない。そう悩んでいたとき、
「……ここは、荒療治が必要かもね」
 そう呟いたのはタマ姉。
「荒療治? タマ姉、それって?」
9河野家にようこそ 第38話(7/9):2005/12/26(月) 20:46:13 ID:EhY9yyVu0
 俺がそう尋ねると、タマ姉は怪しげに目を細め、
「それはね――」

「ちょ、ちょっと! 何でたかあきが!?」
「ど、どうしたんですか一体!? 環さん、貴明さんをどうしてこんな!?」
 由真と優季が驚くのも無理はありません。
 俺はタマ姉たちによって布団で巻かれ、その上から更にロープで巻かれて、いわゆるす巻きの状態
で由真たちの部屋に投げ込まれたのです。
 これがタマ姉の言う荒療治だそうです。あんまりです。俺の人権などまるっきり考えられてません。
「まぁご覧の通りタカ坊は全くの無害だから、気にしないで今夜はこのまま寝てちょうだい。
 それじゃ、お休み☆」
 そう言い残し、タマ姉は部屋を出ていきました。後に残ったのは呆然とする由真と優季、そして
す巻きの俺です。
 これで一体どうしろと言うのでしょうか? さっぱり分かりません。
 そして何より分からないのは……、俺はどうして、こんな目にあわねばならないのでしょう?
 涙で目がかすみます。誰か、教えて下さい……。

「……じゃあ、電気、消すから」
 由真がそう言って、部屋の明かりを消した。
 部屋が暗くなり、由真は布団に、そして優季は俺のベッドに入った。その二人の間に、す巻きの俺
が横になっている。ちょっと間隔は開いてるけど、これっていわゆる川の字状態?
「お休み、由真、優季」
「お休みなさい、貴明さん」
 優季は答えてくれたが、由真は答えてくれなかった。
10河野家にようこそ 第38話(8/9):2005/12/26(月) 20:46:44 ID:EhY9yyVu0

 それから、少し時間が経って。
「……たかあき」
「由真?」
「……あのさ、顔、まだ痛い?」
 優季に聞かれないようにか、小声でそう尋ねてくる由真。しかし、
「腫れてるんですよ、痛いに決まってるじゃないですか」
 俺が答えるよりも早く、怒りをはらんだ優季の声。
「いや、痛みはもうほとんどない。ウソじゃないよ」
「貴明さん……?」
「この調子だと腫れも早く引きそうだし、蹴られたことも怒ってないから、って言うか、よくよく
考えたらタマ姉たちが上に乗ったことに気付かなかった俺だって悪かったワケだし、そういう意味
では由真に蹴られても仕方がない――」
「――どうして」
「え?」
「どうして、そうやって由真さんのこと、かばうんですか?
 貴明さん、普段から由真さんにきつく当たられて、今朝は顔が腫れるくらいの目にあわされて、
なのに、どうして怒らないんですか? どうして由真さんのこと、嫌いにならないんですか?」
「優季……」
「分かっています。貴明さん、優しいから。みんなに優しいから。
 でも、その優しさって、正しいんですか? みんなに優しくしていれば、貴明さんはそれでいい
んですか?」
「……そうだよね。たかあきって、優しいよね」
「由真?」
11河野家にようこそ 第38話(9/9):2005/12/26(月) 20:47:15 ID:EhY9yyVu0
「優しいから、つい調子に乗っちゃうんだよね。
 その気になったら、あたしなんかいつでも追い出せるクセに、たかあき、そうしないもの。だから
あたし、その気になって調子に乗って、たかあきにいっぱい迷惑かけちゃう。
 ホントは分かってるんだ。今朝のこと、たかあきは悪くないって。
 でも……なんかムカついたんだ。なんで、そんなことしてるんだって。なんで、そこまで優しく
してるんだって……。
 おまけに……、たかあき、あたしに蹴られても全然怒らない。悪くないなら怒ればいいじゃない!
なにしやがるって、最初の頃みたいに噛みついてくればいいじゃない! なんで、なんで……、そう
しないのよ……」
 由真……、泣いてるのか……?
「そうですよ。怒るときは怒らないとダメなんですよ。優しいだけじゃダメなんですよ。
 じゃないと……、もやもやするんです。イヤな気持ちになっちゃうんです。
 貴明さんが優しければ優しいだけ、その優しさが嬉しくなくなるんです。いつかその優しさを私
だけに向けてほしいのに、叶わないんじゃないかって、不安になるんです……、怖いんです……」
 優季も……、泣いてる……。
 泣いている。由真が、優季が、女の子が二人も、俺のそばで泣いている。
 慰めなきゃ、泣き止ませなきゃ、何か言葉をかけてあげなきゃ。
 なのに…………、畜生、何も、何も思い浮かばない! 俺のバカ野郎!!
「うう……ひっく……ううう……」
「ぐすっ……ひっ……ひっく……」
 瑠璃ちゃんに優しいと言われ、喜んでいた俺。
 その俺は今、泣いてる女の子に何も出来ないでいる。ただ優しいだけの、バカな俺……。

 つづく。
12河野家にようこそ の作者:2005/12/26(月) 20:48:33 ID:EhY9yyVu0
どうもです。第38話です。
クリスマスですか? 男同士で魚民で飲んだり、河野家書いたりしてましたが何か? な作者です。

いやー、それにしても最近、新作ラッシュで凄いっすねぇ。
おまけにアイス屋までキタ━━━━━━\(゚∀゚)/━━━━━━ !!!!!
前スレ>>846さんGJ!! 是非まーりゃん先輩編も!!

さて河野家ですが、済みませんが次週はお休みさせてください。m(_ _)m
続きは再来週ということで。
では皆さん、よいお年を。
13河野家にようこそ の作者:2005/12/26(月) 20:50:07 ID:EhY9yyVu0
毎度です。河野家です。
こちらのスレが容量を超えたので、次スレたてました。
河野家の38話を投稿しましたので、よろしくです。

ToHeart2 SS専用スレ 11
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1135597178/
14河野家にようこそ の作者:2005/12/26(月) 20:51:52 ID:EhY9yyVu0
あう、投稿ミス……お恥ずかしい。
前スレ用のコメントをこっちにも投稿してしまいました。
15名無しさんだよもん:2005/12/26(月) 21:08:33 ID:O5yivGyA0
>>12
2重の意味でGJ---!!
16名無しさんだよもん:2005/12/26(月) 21:23:25 ID:6bcZksRu0
>>12
新スレ乙!&河野家喜多ーーー!!!
最近のSSはヘタレブームなんですか?w
しかも、こんな精神的簀巻き状態で年を越すのですか?
涙で目がかすみます。

それはそうと、一週休載ですか。
いつから週刊連載になったのかとw
冗談はともかく、良いお年を。 ごゆっくりお休みください。
17名無しさんだよもん:2005/12/26(月) 21:33:28 ID:Uzm5QdUL0
スレ立て乙です&河野家キタワァ*・゚゚・*:.。゚(n‘∀‘)η゚・*:.。゚゚・*
チクショウうらやましいぞ貴明w
18名無しさんだよもん:2005/12/26(月) 21:44:10 ID:o1QJ5hbU0
>>12
GJ!!
19名無しさんだよもん:2005/12/26(月) 23:05:23 ID:Mo2XUHMN0
>>12
GJ!!
>>16
>ヘタレブーム
確かにそうかもしれませんね。
悪い意味で流行への便乗、いい意味で新境地の開拓といったところでしょうか
郁乃やメイドロボ三姉妹がもてはやされたり、虹の欠片が始まってからは
比較的重く黒い作品が頻出するようになりました
流行も水物ですから、作者さんも取り残されずに書いてみたいという
気持ちもあるかもしれませんが、マンネリ化しつつもあるものも多いので
現状を打破する、パイオニアとなるような作品を読みたいです。
何が言いたいかというと愛佳を書いてくださいお願いです。

20名無しさんだよもん:2005/12/26(月) 23:32:51 ID:hcB7SI180
>>19
自分でこんなの読みたいなぁってのを書いてみてはどうでしょう。
結構いい作品が書けると思いますよ。一作、二作なら誰でも書けると言われてますし。
21名無しさんだよもん:2005/12/26(月) 23:35:38 ID:qXLC5nst0
>>12
スレ立て&新作おつです。
今回の話、二人とも好きな俺には辛い…マジで。
良い方向に解決することを切に願います…。
22名無しさんだよもん:2005/12/26(月) 23:46:00 ID:B3zAU5jQ0
>>12
GJ!!
それにしても、最近は毎週月曜日の夜はこのスレに来る事が習慣になってきたけど、
来週は河野家がないなんて・・・・・
新年になるけど、年を越した気がしないと思う・・・・
でもまあ、作者さんの都合もあるから無理はいえませんね。
それじゃあ、また再来週楽しみにしておきます☆
23名無しさんだよもん:2005/12/27(火) 01:13:22 ID:QUSPAo2j0
えっと、新参者なんですが・・・ここは勝手に
投稿しちゃって大丈夫なんでしょうか?
24名無しさんだよもん:2005/12/27(火) 01:17:12 ID:QUSPAo2j0
ログ見る限り、大丈夫そうなので、投稿させていただきます・・・。
スレ汚しになったらスマソ

彼女との別れ際の約束―――――
その約束を果たせるときが…とうとうやってきた。
俺は搭乗券を片手に、そしてもう片手に荷物を入れたトランクを持ち、空港へ。手続きなどは始めての事なのでてこずったりしたが。今は無事NY行きの飛行機の中にいる。
もうすぐ・・・彼女にあえる・・・。搭乗券を入手したときから、心中穏やかになることはなかった。
「はぁ…。早く到着しないかな。」
ずっとそんなことを考えていたが、それも終わりを告げる。
数時間の長く感じられた空の旅もやっと終わり、着陸。
荷物を受け取り、空港の入り口の方へ行く。
そこに彼女・・・ささらは立っていた。ささらは、俺を見つけたとたんに、胸の前で手を合わせて、まだ何もしてないのに目が潤んでいた。かくいう俺もささらの話によると、同じような感じだったらしいが・・・。

「ささら・・・。半年・・・ぶりかな?」
「貴明さん・・・会いたかった・・・」
「俺もだよ・・・。」
俺はぎゅっとささらを抱きしめる。ささらも、俺の背中に手を回してだきしめてきた。
半年ぶりにあったささらは、別れときから何も変わっていなかった。
いつまでもこうしていたかったけれど、そうもいかない。
「そうだ、ささら。プレゼントがあるんだ。」
「プレゼント?もしかして、オオサンショウウオ?」
「いや、さすがに生き物は持ってこれないかな。んー、やっぱり今渡すのはやめておくよ。楽しみはとっておかないとね」
「もう、イジワル――。」
ささらは、頬を膨らませたけれど、すぐまた笑顔に戻る。
「でも、生き物じゃないなら何かしら―――――」
そこまで言うと、ささらは急に思い出したかの如く話題を変えた。
「ごめんなさい―。貴明さんと会うのが久しぶりで、ついはじゃいちゃって家に向かうのを忘れていたわ。」
「ああ、そうだったね。えっと、今は借家に住んでるんだっけ?」
「ええ、そう。アパートでもよかったけれど、マ…母がせっかくNYにきたのだから家を買うか借家にしようって…。さすがに家を買うっていうのは止めたけど。」
ささらは笑いながら言った。どうやら、まだお母さんの事をママと呼んでいるのかな。
ささらのお母さんは、俺とささらの半分ストライキの行動以降は、
ささらをちゃんと愛して接する事が出来るようになったらしく、
今ではいい親になっているらしい。
お父さんも、日本で講師を続けながらも、
ちょくちょくささらやささらのお母さん
にプレゼントやメッセージを贈っているとか。
あの二人がよりを戻すのもそう遠くない
未来のように思える関係になってきているらしい。(ささら談)

「ちょっと、貴明さん、聞いてるの?」
「ん、ああ、ごめん、何?」
「んもう、ぼーっとしながら歩いていると人やものにぶつかるわよ?」
今はささら宅に向かっている最中。ささらと手紙で連絡はしていたが、
家を見るのは初めてなので、緊張やら期待やら不安やらでいっぱい…。
「貴明さん、本当に一人でお金ためたの?」
「そうだよ。両親やタマ姉が少し負担しようかと言ってきてくれたけど、
俺は俺の力だけでささらのいるところにいきたかったからね。」
「んもう…バカね―――」
ささらは頬を赤くしながら呟いた。
「そういえば、向坂さんや向坂君、柚原さんやまーりゃん先輩…。皆元気?」
「もう元気元気超元気。特にまーりゃん先輩には最後までびびらされたよ。
俺の搭乗券を盗って自分がさーりゃんのところにいくんだーーって
言っちゃって。まぁ、本気じゃなかっただろうけどね。
ちゃんと返してくれたし。」
「そう…。相変わらずなのね、まーりゃん先輩は。」
「タマ姉や雄二やこのみも前と変わってないよ。ただ、ささらがいなくなってさびしそうにしてたけどね。」
そこまで言うと、俺はふっと宝探しの時の雄二との一件を思い出した。
「でも・・・俺が今ささらといられるのも雄二のおかげだ・・・。感謝しなきゃな・・・。・・・いや、雄二だけじゃない。タマ姉やこのみやまーりゃん先輩。みんなに助けられた・・・。」
「貴明さんだけじゃなくて、私もみんなに助けられてきたんだと思うわ。」
「あの時はほんとにごめん、ささらが必死なことに気付いてあげられなく――――
ささらは急に俺の前に立ち、人差し指で俺の唇を抑えた。
「それはいいっこなしよ、貴明さん。今こうしていられるんだから、いいじゃない。」
「・・・そうだね。」
そういって、俺達は再び歩き出した。今度はささらから話を振ってきた。
「そういえば私、実は貴明さんの特別になる前に一度だけ貴明さんの事を、河野さん、じゃなくて貴明さんって呼んだことがあったけど・・・気付いた?」
突然の話に記憶を辿る俺だったが、思い出せなかった。
「ごめん、全然気がつかなかった。」
ささらはやっぱり〜といいながら、笑っていた。
俺がささらの真似をして、イジワル・・・といったけれど、ささらは私もイジワルになってみたかったの、とまたも笑いながら言った。
ささらはとうとう教えてくれなかったけれど、本当にいったいいつだったんだろ?

*  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  * 

ささら宅に着いた俺達。ささらの話によると、
今ささらのお母さんはでかけているようだ。
「貴明さん、ここの空き部屋でいい?」
「うん、了解。」
「少し待ってて、ベッドの毛布と枕を持ってくるから。」
そういってささらは部屋から出て行って、俺一人がその部屋に残された。
空き部屋は、俺の部屋よりも少し小さいが、
それでも十分な広さのある部屋だった。
とりあえず荷物を置き、ささらにさっき言ったプレゼントを渡すため、
荷物をあさる。
「おお、あった、あった。」
俺は、大きめの紙袋を荷物の中から取り出した。
少したってからささらが毛布を両手でもって持ってくる。
「お、おまたせ・・・きゃっ」
前が見えなかったのかな。壁にぶつかって・・・。
「だ、大丈夫?」
ささらは赤くなりながら、大丈夫よ、とだけ言った。
「ごめん、俺が行けばよかったね。」
「んもう、いいわよ。貴明さん、来たばっかりなんだから、疲れてるだろうし。」
「いやいや、ささらの顔をみたら、疲れも一瞬で吹き飛んじゃったよ。」
「貴明さんったら・・・。」
ささらの顔がまた赤くなった。
「そうそう、そういえばさっき言ってたプレゼントだけど・・・。何にしようか迷った挙句にこんなのにしたんだ。」
「ありがとう、貴明さん・・・。あけてもいい?」
俺はうなずいたのを確認すると、ささらはそそくさと袋をあけ始めた。
「わぁ・・・かわいいコートと手袋・・・。」
俺が選んだのはウェディングドレスかおまけの純白さを持つコートと手袋。
「誕生日9月20日って言ってたよね。いまさらかもしれないけど、誕生日、おめでとう。」
ささらは驚いて、そしてその後微笑みながら、目に涙を溜めていた。
「ありがとう・・・貴明さん…。」
ささらは俺の胸に顔をうずめてきたので、俺もそのままささらを抱きしめた。
ささらが落ち着いたところで、俺はささらに尋ねた。
「えっとさ、キッチンにオーブンとかボウルとかゴムベラとかある?」
「ええ、あったと思うけど・・・。それがいったいどうしたの?」
「2つ目のプレゼントをね・・・。」
俺は不敵に笑った。ささらは不思議そうに俺の顔を覗き込んでいた。

 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
30名無しさんだよもん:2005/12/27(火) 01:28:30 ID:iJfUneQO0
支援
俺は、ささらに案内してもらったキッチンを占領し、ささらに部屋で待っててと言い渡し、いそいそと準備を始めた。
幸いにも、日本からもってきた材料は前日に全てそろえたのもあるからか、品質が落ちたりはしていなかったらしい。
家での度重なる練習が実を結び、順序良く進んでいく…。
これなら大丈夫そうだ。ささらもきっと喜んでくれるだろう。
オーブンに入れて、しばらく待つ。
オーブンの「ちーん」という音とともに、出来上がったそれをみて俺は思わず満面の笑み。
後はクリームを塗って、苺をのせて〜っと。
「よし、完成!」
俺は、それを慎重に大きめの皿にのせて机の上におき、ささらを呼びに行った。
「ささら、お待たせ。もう来ていいよ。」
「貴明さん、いったい何を作っていたの?」
調理してたことはばれてたらしい。といってもキッチンで他のすることもないんだけどね。
「それはみてからのお楽しみ〜♪ささら姫、こちらでございます。」
ささらは机の上にあるそれをみてまたとても驚いていた。
「すごい・・・これ・・・貴明さんが作ったの?」
「前に挑戦してみるって言って以来、練習してたんだ。ささらにはおいしいものを食べてもらいたいからね。」
そう、俺がつくったのはケーキ。
「最初に作って以来作ってないからエビフライにしようかな、とも思ったんだけど、誕生日プレゼントにエビフライってのもあれだったから、ケーキにしてみました。」
「すごい・・・。食べるのがもったいないくらい・・・。」
「いやいや、ささらのためにつくったんだから、食べちゃって。」
「うん・・・うん・・・」
ささらはまた涙を溜めながら何度も頷いた。そこまで喜んでもらえると、作った側も相当うれしさを覚える。きっと、おいしいって言ってもえたシェフはこんな気分なんだろう。

 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 
結局ケーキは、ささらのお母さんが帰ってくるまで待つことになった。
俺は、ささらの案内のもと、NYという街を観光していた。ささらは既に英語がペラペラ。まぁ、謹慎処分中に俺と二人だけの勉強会の時にも英語は結構できる、という事は分かっていたけど、まさかもう何の支障もなくできてしまうというのにはさすがに驚いた。
「ねぇ貴明さん、見て。このぬいぐるみ屋、サンショウウオやウーパールーパーやウミウシのぬいぐるみも売ってるのよ。」
「ほ、本当だ・・・。ささら以外にもこんなのを買う人がここにはいるのか・・・。」
「こんなのだなんて・・・。かわいいのに・・・。」


次の店に行き、俺は“それ”を見て呆然としてしまった。
「かわいいでしょ、ミズクラゲ。
ほら、こっちにはサカサクラゲ・タンスイクラゲ・タコクラゲもいるのよ。
貴明さん、前に水槽がないんじゃないか、って言ってたじゃない?
ほら、みてみて、これ。これがクラゲ専用の水槽よ。
ね、ちゃんとあったてでしょ?あ、あっちにはハナアカリクラゲが。
ね、綺麗でしょ、綺麗でしょ?」
水族館以来のささらのクラゲ語りを聞いて、さらに呆然。
ささらが初めての水族館のときのようにはしゃぎまくっているのを見て、
俺は我に返り、相槌を打ちながら、ささら曰く、「ガラス細工のように綺麗なクラゲ」を見ていた。
 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
 
それからしばらくして、俺達は帰宅。既にあたりは暗くなっていた。
まぁ、出かけたのが夕方近かったからってのもあるけど。
ささらのお母さんはまだ帰ってきてなかった。
「マ・・・母、もうそろそろ帰ってくると思うわ。」
「ささら。別にいつもどおりでいいよ?」
「えっと・・・?何が?」
「だから、言い直さなくても…お母さんって言い直さなくていいよ?」
「ごめんなさい―――こっちだと、そう呼んでも違和感なかったから、ママも許してくれてて。
結局そのままなの。」
「まぁ、たしかにこっちではお母さんとか言ってるほうが違和感あるだろうね。」
そんな話をしていると、ささらのお母さんが帰ってきた。
「あら、河野君!本当に来てくれたのね・・・。あなたには感謝しても仕切れないわ。」
「こんばんは、お久しぶりです。そんな、俺はただ・・・」
「あなたのおかげで、私もささらもあの人も、本当の事に気付けたのよ・・・。」
俺は曖昧な笑みを浮かべながらそれに答えた。
俺は自分が思ったとおりに行動しただけで、
運よくそれがいいほうにすすんだというのだから良かっただけであり、
もしかしたらとんでもないことになっていたのかもしれないのだから、
素直に喜べなかったり。
「もうママ、貴明さんが困ってるじゃない。この辺にしましょう。
夕ご飯を食べましょ。準備してまってたのよ。」
「あら・・・そうね。いつも悪いわね、ささら。・・・あら、河野君が来てるのに、
いつもよりも少なめなのね。このあと何かあるのね?」
「んもう、ママ、気付かないでよぉ」
「実はですね―」
そこまで言うと、ささらが俺のセリフを遮る様に言ってしまった。
「貴明さんが、私のためにケーキを作ってくれたの。」
「まぁ、それは素敵ね。河野君、ありがとうね。」
「いえいえ、いまさらながらですけど、ささらへの誕生日プレゼントなんですよ。」
「うふふ、いいプレゼントをもらえたわね、ささら。ありがとうね、河野君。」
「お母さん、貴明さんはケーキ以外にも、これをくれたのよ。
取りに行ってくるから、まっててね。」
そういってささらは自分の部屋へ向かった。
「河野君…本当にありがとうね。あの子が人の作った料理を食べられるようになったのも・・、
笑顔をよく見せるようになったのも、本当の愛情に気付いたのも、本当にあなたのおかげなの。
確かにあなたは後先考えずに、ただささらのことだけを思って行動したかもしれない。
けれど、私たちに足りなかったのはきっと、それだったの。つい、後のことを考えて行動してしまう。
自分の事を考えてしまって・・・。ささらのことを何にも考えないで・・・。」
おばさんは、俺が考えていたことに気付いていたらしい。
「おばさん・・・。今はもうそれに気付いたからいいじゃないですか。俺は、それを気付かせるきっかけになっただけ・・・ですよ。俺も、スイマセンでした。今考えると、無茶無謀ばかりでしたからね・・・。この話題はこれきりにしましょう。もうそろそろささらが戻ってきますよ。」
「そうね・・・そうしましょう。」
そういうと同時に、ささらが俺のプレゼントした白いコートと手袋をつけて、
まるでファッションショーの女優のような足取りで、入ってきた。
「どう、お母さん。かわいい?」
「・・・私がいままでみたなかで一番可愛いわ・・・。
河野君、ささらをよくしっているのね。」
「はは、それほどでもないですよ。」
もうばっちりです、といっても良かったけどこの場面では、一応・・・謙遜しとくかな。
「知っていないと、こんなささらにバッチリなコートも手袋も選べないわ。」
「そういわれて、とても光栄です」
「もう、二人とも堅苦しいわ。もっと楽しくしましょ。私、着替えてくるわね。」
「そうだね。おばさん、ささらが着替えてきたらケーキ食べましょう。結構自信作なんですよ。」
「うふふ、楽しみだわ。」

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

「貴明さん、とてもおいしかったわ。」
「喜んでもらえてよかったよ。」
「河野君、本当に料理、上手ね。これなら、私の老後も安心だわ。」
おばさんはおどけながら言った。
「もうママ、私も料理できるようになったのよ。」
ささらは笑いながら言っていた。
さて、俺のここでの選択肢は・・・。
「任せといてくださいっ!」
選択肢ミスだったような気がしなくもない。
しかし、二人とも笑ってくれたので、まだ良かった・・・。
「さて、ささらも河野君も、そろそろ遅くなったから寝たほうがいいんじゃないかしら。
明日も河野君はいるんだから、今日は寝て明日にまた楽しむといいわ。
・・・そういえば、河野君はいつまでこっちにいられるの?」
俺は言うのを忘れていたことにいまさらながら気付いた。
「スイマセン、言い忘れてました。
えっと、一週間程こちらにいるつもりでいます。お世話になります。」
「一週間かぁ・・・。貴明さんとならいつまでも一緒にいたい・・。」
「ささら、無理いわないの。それは私たちが日本に戻ってから・・・ね?」
「うん、わかってる。ごめんなさい、貴明さん。無茶苦茶言っちゃって。」
ささらの気が沈んでるので、俺は努めて明るく言った。
「いや、俺も同じこと考えてるし。」
ささらは、俺のセリフを聞いてから、微笑んだ。
さて、俺もそろそろ眠くなってきたな。
ふぅ、今朝はまだ日本にいたなんてウソみたいだ。
これも、一重にささらに会えたうれしさ故になんだろうけど。
「ごめん、お言葉に甘えて今日はもう寝てもいいかな?」
ささらは笑顔で了承してくれた。
「うん、わかったわ。また明日どこかにいきましょ。」
おばさんは、俺達二人に微笑みながら言った。
「二人ともおやすみなさい。」

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 

俺はささらが持ってきてくれた毛布をかぶり、ベッドに入る。
すぐに眠気がやってきた。さぁ、寝るぞ。明日はささらとどこを回ろうかな。といっても、俺この辺の土地勘ないんだった・・・。まぁいいか。
そうして、俺は深い眠りについた――――――――
のだが、俺のトランクの中の何かがやけに騒がしい音を立てているので、目を覚ましてしまった。
「なんだ・・・?」
あけてみると、入れた記憶がまったくないものが入っていた。
よくわからないが、設定した時間になると、音声が鳴り出すようになっていたらしい。
っていうか、なんだこれは。音声は、その犯人の声が入っていた。
「アーアー、聞こえているかね、聞こえているかね。私の名はMr.だ―――。」
俺は、そこで即刻停止ボタンを押す。ああ・・・聞かずしてわかる。
こんなことをするのはまーりゃん先輩以外はいない。
さては、俺が空港に行く前にトランクを勝手に開けて入れたな・・・。
しっかしなんでこんな時間に・・・。
おもむろに設定時間をみると、あからさまに時間がずれていた。
なんでこんな意味不明な時間に・・・?・・・もしや・・・いや、絶対あの人、時差を考えてなかったんだな。
だからこんな時間に。あー、安眠妨害もいいところだ。今詳しく聞いてはきっとつまらないだろう。
明日、ささらと一緒にでも聞くかな。

俺はベッドに戻り、毛布をかぶり、今度こそ眠りについた―――
39名無しさんだよもん:2005/12/27(火) 01:40:00 ID:QUSPAo2j0
ふいー、スレ汚し、スマソ。
思ったより本文が長すぎというエラーがですぎて、初期枚数よりも
かなり多くなってしまったorzゴメソ
40ささら来訪 1/7:2005/12/27(火) 03:12:26 ID:GFip7epE0
12月25日、世は正にクリスマス
外では人々のにぎやかな声が聞こえ、テレビやラジオなんかからもおめでたいニュースなどが流れてくる。
そんな日の午前、河野貴明はメモ片手に商店街を歩いていた。
「さて、次は薄力粉っと・・・」
その理由はさかのぼること約1ヶ月前―――


午後9時、渡米した彼女久寿川ささらからの国際電話がいつも通りかかってくる。
たわいのない雑談の中ささらが重大な事を言ってきた。
「来月に日本に戻れそうなの」
「えっ!!!」
貴明はいきなりのビッグニュースに驚いた。
「母が年末年始ぐらい彼氏に顔見せなさいってクリスマスから年明けまで日本に居られる事になったの」
「ホントに!やった!!」
おもわずその場でガッツポーズを決めてしまう貴明。
そこに思わぬ追撃が入った。
「それでね、一つお願いがあるんだけど・・・」
「なになに?何でも言ってくれ」
「その・・・、そっちに泊めてもらえるかしら」
「・・・ハイ?」
「貴明さんの家に泊めてもらえないかしら?」
俺の家にお泊り?ささらが?マジで?
硬直する貴明をよそにささらは続ける
「私が日本に行く代わりに父がニューヨークに来るの、それなら母も寂しくないだろうし」
「なるほど、それで俺の家へ・・・」
「ダメ?」
一瞬、上目遣いで聞いてくるささらの顔が頭に浮かぶ、自然と顔が熱くなってきた。
「あぁ、いや、全然構わないよ。ウン、ウン」
「よかった・・・。」
41ささら来訪 2/7:2005/12/27(火) 03:13:03 ID:GFip7epE0
ホッとするささら。
その時、貴明はある事をひらめいた。
「そうだ、ささら前にケーキ食べたいって言ってたよね」
「確か言ったような気が・・・」
「俺作るよ」
「えっ!出来るの?」
「もうバッチリ」
「・・・じゃ、じゃあお願いしていいかしら」
「おまかせあれ、もう愛情たっぷり込めて作るから」
「クスッ、バカね・・・」
しばらく笑い声が続く
「それじゃあクリスマスの日に」
「うん、待ってるよ」

と言うわけで、ささらは午後の来るので午前中にケーキの材料を買出しに商店街を歩いているのだった。
「まさか材料が切れるとはなぁ・・・」
意気揚々と作ろうとしたが、一昨日まで春夏さんとケーキ作りの練習に勤しんでいたので材料がいくつか切れてしまっていたのだ。
「ささらが来る前に仕上げとかないと」
足りない材料を買い揃え、足早に帰宅する。
「さて、ちゃっちゃとやりますか」
あの電話の日からケーキと共に今まで続けてきた料理の練習にもいっそう励んだため貴明の動きはかなり手際のいいものだった。
しばらくして。
「これを置いて・・・よし、完成っと」
時間もいいころにケーキが完成した。
42ささら来訪 3/7:2005/12/27(火) 03:13:40 ID:GFip7epE0
ピンポ−ン
ふいに呼び鈴が鳴った
「ささらかな?」
緑のエプロン姿のままパタパタと玄関へ向かう。
ドキドキしながらドアを開けるとそこには・・・。
「よっ!」
「・・・」
・・・バタン
「さ〜て次は・・・」
「オイ!無言で閉めんなよ!!」
「ハァ〜・・・」
特大のため息を吐きつつしぶしぶドアを開ける
「なんだよ雄二、なんか用か?」
「何でそんなに残念そうなんだよ」
「オマエには言っといただろ?今日はささらが来るんだよ」
「なるほど、久寿川先輩と思ってドア開けたら俺でした、と」
「そーゆー事だ、わかったらさっさと帰れ。オマエは今日タマ姉共々一族の寄り合いとやらがあるんだろ?」
「いんや、無くなった」
「は?」
「出席者の4分の1が体調不良で欠席でな、中止になった」
「そーか、そりゃ良かったな」
43ささら来訪 4/7:2005/12/27(火) 03:14:18 ID:GFip7epE0
「で、姉貴が急遽家でパーティするからオマエを呼んで来いと言われたわけだ」
「そうか、悪いけど行けないや。タマ姉に謝っといてくれ」
「いや、それがマズいんだよ」
「なんで?」
「姉貴は久寿川先輩が来るのを知らないからなぁ、きっとあの空気読めない姉貴の事だ、来るのを知ったら私も会いたいなんて言い出してお前らの間に入ってくぞ」
しまった、なんか嫌な予感がするからタマ姉には直前まで話さずにいようと思っていたのが仇となるとは。おもわず頭を抱えてしまう。
「で、どうする貴明?」
「そうだなぁ・・・」
なにかいい方法は・・・とそこへ。
「2人して何の相談かしら?」
「「へっ?」」
門柱にタマ姉が寄りかかっていた。
「こんにちは、タカ坊」
恐怖よりも体が先に動いた。
バタン!
・・・ハッ、何やってんだ俺は。これじゃ何かあるのバレバレじゃん。
「オイどーすんだよ」
しかも玄関にいたから雄二まで中にいる。
「とりあえず開けよう、あとは・・・その場しのぎだ」
ガチャッ
ドア開けるとそこには、笑顔のタマ姉がいた。
いや、額に青筋が数本。確実に怒ってる。
「タカ坊・・・今のはどーゆー事かしら?」
ガッと両肩をつかまれる。そして万力のような力がこめられていく。
「ギャー!痛い痛い痛い!!悪かった!確かに今のは俺が悪かった!」
「あらぁ?聞こえないわ?もっとちゃんと言ってくれなきゃ」
そのまま持ち上げられる、宙吊り状態だ。
「ゴ、ゴメンナサイ。わたしが、わるかったです。だから、はなして。」
44ささら来訪 5/7:2005/12/27(火) 03:15:01 ID:GFip7epE0
ドサッ。やっと開放された。
「・・・ハァ、ハァ、死ぬかと思った」
「その程度で何言ってんのよ」
「そうだそうだ、日頃俺はもっとひどい目にあってるんだぞ」
雄二って凄いな、ついつい雄二に感心してしまう。
「で?何の相談だったの?」
「あー・・・それはー」
なんとか必死に取り繕うとする
「タカ坊、目が泳いでるわよ。分かってるでしょうね、もし嘘ついたら・・・」
手をバキバキ鳴らしながらタマ姉は告げる。
ゴクッ、ここは正直に話すのが得策か。
「じ、実は今日、ささらが日本に帰ってくるんだ」
「えぇっ!!」
そして事の顛末を話した。
言っちゃった、さて吉と出るか凶と出るか・・・。
「そっか・・・フフッ、帰るわよ雄二」
タマ姉は優しく微笑んできびすを返す。
「えっ!いいの?」
「いいもなにも、弟分と親友の邪魔なんてするわけ無いじゃない。馬に蹴られてなんとやらよ」
「タマ姉・・・」
タマ姉の思わぬ優しさにジーンときてしまう。
「それにしても雄二、なんで早く言わなかったのよ」
「いやぁ〜、姉貴のことだから空気読まずに大はしゃぎしてその場をブチ壊すんじゃないかと、ってあだだだだだだだ!割れる割れる割れる割れる!いや砕ける砕けるって!!」
「だ・れ・がそんな事しますか!」
数秒後雄二がグッタリする。
「じゃ、タカ坊楽しんでらっしゃい。ささらによろしくね」
「うん」
タマ姉は落ちた雄二を頭掴んだままズルズルと引きずって帰っていった。
45ささら来訪 6/7:2005/12/27(火) 03:15:36 ID:GFip7epE0
ふぅ、終わった。何と騒々しい姉弟なんだろう。
思わず脱力してしまう。つーかまだエプロン姿だし。
「おつかれさま」
「あぁ」
・・・ん?顔を上げるとそこには。
「おひさしぶりね、貴明さん」
「ささら・・・?」
呆然としてしまう。
「どうかしたの?」
キョトンとするささら
いや、「こんな再会かよ」とか「いつからいたの?」とか色々あるけど。何をおいてもその前に。
「キレイに・・・なったね」
「えっ!?」
そう、以前よりも格段と大人びたというかなんというか。
頭が熱くなる、体が自然に動く。
「キレイだよささら」
おもわず抱き寄せる。
46ささら来訪 7/7:2005/12/27(火) 03:16:12 ID:GFip7epE0
「あっ!」
驚いてポフッと体をあずけるささら。
「会いたかった、ずっと会いたかったよ」
愛しい気持ちを込め、ぎゅっと抱きしめる。
「フフッ、バカね」
頬を赤らめ、少し涙交じりの笑顔で行ってくる
「――本当にバカ」
ぎゅっと抱き返してくるささら。
「貴明さんも、背伸びたんじゃない?それに少し逞しくなったみたい」
「そうかな?」
「そうよ」
ウフフッ、笑いながらエプロンに擦り寄ってくるささら。なんとかわいいことか。
まぁ、とりあえず。
「おかえり、ささら」
「ただいま、貴明さん」
互いに抱き合いながら久しぶりの温もりを感じ合う、玄関先で。
ふと、顔を上げると。そこには春夏さんがいた
「・・・」(俺)
「・・・」(ささら)
「・・・」(春夏さん)
嫌な沈黙が続く。最初に口を開いたのは春夏さん。
「・・・タカくん」
「ハイ」
「今度からそーゆーのは少し人目を気にしてやりましょうね」
「・・・ハイ」

47作者:2005/12/27(火) 03:19:37 ID:GFip7epE0
ふぅ、終わった
どーも、一つやってみましたー
スレ汚しになるかもしれませんが、お楽しみいただければ幸いです
48名無しさんだよもん:2005/12/27(火) 03:21:05 ID:hB8kq2gPO
>>39
GJ!!
誤字が多いのがちょっと気になりますが…w
49作者:2005/12/27(火) 03:24:29 ID:GFip7epE0
申し訳ない
なにしろ眠くて、スマソorz
5039:2005/12/27(火) 05:23:32 ID:QUSPAo2j0
>>48
俺のことですね;
自分も眠くて眠くて(つA−)ZZzz..
51名無しさんだよもん:2005/12/27(火) 07:33:15 ID:IdHYcOv60
SSラッシュだなw
GJ!活気があって非常に(・∀・)イイ!!ね
俺も何か書いてみようかな…
52名無しさんだよもん:2005/12/27(火) 11:04:45 ID:RcoNsi0I0
XRATED購入済みだが、忙しくて全くプレーできない漏れにとっては
ささらSS連発は、読めなくてつらいものがありますね。
まあ、SS投稿が賑わうのは良いことなので
気にせずガンガン投稿が増えることを期待しています。
53名無しさんだよもん:2005/12/27(火) 13:04:49 ID:9QTNUq2z0
誰か幼児退行したささらのSS書いてくれないかな…
毎日あのシーンばっかやってたらあのささらを書いたSSが見たくてしょうがない。
自分で書いたらどうしてもシリアスに行くし…
54名無しさんだよもん:2005/12/27(火) 20:49:47 ID:Lnk+z4On0
ささらSSがたくさん来ていてうれしい限り。
職人さんGJ!!

>>53
シリアスならいいじゃないか。
俺は元が戦争SS書だからどーしてもキャラのイメージがこーなってしまう orz

貴明・・・国防軍戦車兵(車長)
雄二・・・国防軍戦車兵(砲撃手)
このみ・・・・ユーゲントあがりの戦車兵(運転手)
タマ姉・・・・ルフトヴァッフェ戦闘機エース
いいんちょ・・・・戦車兵(通信)
UMA・・・・武装SS装甲擲弾兵
黄色・・・・気象観測官
瑠璃・・・・ゲシュタポ第6班(さんちゃんに近づくやつは殺すぅ!)
珊瑚・・・・科学者
草壁さん・・・・Uボート艦長
るーこ・・・・V2ロケット担当
ささら・・・・SS中佐
まーりゃん先輩・・・・元SDの民間人
イルファさん・・・・シュトロハイム
いくのん・・・・レーベンスボルンの子供
55名無しさんだよもん:2005/12/27(火) 21:40:16 ID:MjrOUjP40
NY行ったり日本行ったり大変だなと
ふと思った今日この頃
56名無しさんだよもん:2005/12/27(火) 21:48:36 ID:MySYlLsBO
ささらSSがいっぱいで鼻血が出るほど嬉しい。

マジでGJでつ!続き期待してます
57名無しさんだよもん:2005/12/27(火) 23:14:17 ID:IwGbu7480
愛 「異性苦手を克服する練習相手になって欲しいんですけど・・・だめですか・・・?」
貴 「え、う、ああ、うん。別に俺はいいけど」
愛 「よ、よかった〜・・・」
貴 「それで、練習って何やるの?」
愛 「あ、あの〜、私考えたんですけど」
貴 「…?」
貴 「よ、よかったら、ほ、ほんとによかったらでいいんですがわ、わたしに、キキキキ、キス、してくださいません…か?」
貴 「え!?ちょ、まっ、い、いきなりどうしたの!?」
貴 「そ、その、恋人のするようなことをすれば、手っ取り早く解消できるかなぁ、って…」
貴 「え、いや、でもいきなりキスは…」
貴 「や、ほんとに、嫌ならいいんです、はい。ででで、でもわたし、河野君ならキス、されてもいい…です」
貴 「ま、愛佳…」
貴 「貴明君…」
愛 「…なに…やってるの?」
58名無しさんだよもん:2005/12/27(火) 23:49:07 ID:kEzg/Hr20
>>57
不覚にもワロタw
あんた最高w
「ん〜、良く寝た。」
俺はベッドから出て、自分の荷物から着替えを取り出し着替える。他人の家で着替えるというのは、なんとなく緊張する・・・きがする。
着替え終わって少し立つと、部屋の扉がノックされた後に開き廊下からささらが顔をだす。
「貴明さん、おはよう。早いのね。」
「おはよう、ささら。」
「朝食出来てるから、リビングまで来てくれる?」
「うん、わかった。」
俺は部屋からでて、リビングへ。そして、ささらの作った朝食を食べる。
「ん、これおいしいね。何か特性ブレンドとかしてるの?」
「正解よ、貴明さん。」
「やっぱり・・・で、何を?」
ささらは、少し赤くなりながらすごいことを言った。
「私の・・・貴明さんへの愛・・・。」
言うまでもなく、俺まで赤くなった。
 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
「で、ささら、今日はどこにいく?」
「そうね・・・。貴明さんはどこかいきたいところとかある?」
「う〜ん、・・・自由の女神かなぁ。一度みておきたいな、って思ってたんだよね。」
「わかったわ。貴明さんの準備ができたら見に行きましょ。」
俺は、洗顔・歯磨き等一通り準備を終え、さららの待つ玄関へ向かう。
「おまた―――」
「ど・・・どう?」
ささらは俺がプレゼントしたコートと手袋を身につけ、待っていた。
「自分で選んでおいて難だけど・・・すごい良く似合ってる・・・」
他の女や自由の女神なんかも屁でもないくらい、今のささらはとても可愛かった。
ささらと一緒に自由の女神を見るために外にでて歩き始めた。
「それにしても、アメリカ人すごいなぁ。俺、日本じゃ背は普通くらいだったけれど、ここじゃ完全に小さいほうになっちゃうからね。」
「人種の差だから仕方がないわよ。それに、背が高くたって低くたって、貴明さんは私の好きな貴明さんなのに変わりはないし・・・。」
俺は半年ぶりに出会ったささらと1日+α過ごしたけど、随分恥ずかしい台詞を言うようになったなぁ。日本にいた頃も言っていたけど、今ほどじゃなかったし。
そんなことを思っていると、ささらがアメリカ人達に話しかけられていた。
どうやら知り合いらしく、和気藹々と話している・・・ようにみえる。俺の知ってる英語だけじゃワケワカラナイ。ところどころに、prettyやらcoolやらniceやらしってる単語が聞こえるが、断片的過ぎて全てまではわからなかった。
突如、そのアメリカ人達が俺に向かってhello!といってきたので俺もhello nice to me too  とまるで中学生のような単語しか出てこなかった。英語ってやってても実際急に言うことになると浮かんでこないものだな・・・。
少しすると、アメリカ人達は、see you! などといいながら去っていった。
「知り合いだったみたいけど、なにはなしてたの?」
「貴明さんについて。私、男性の人といることがほとんどなかったから、こっちの友達が今の私と貴明さんを見て、驚いて話しかけてきたみたい。」
なるほど、だからニヤニヤしながら俺を見てきたわけか。
「途中でなにやらプリティーとか聞こえてきたし、随分ささらは人気者みたいだね。」
「そ、それは実は・・・貴明さんの事・・・。」
「え″・・・。はは、嬉しいような嬉しくないような・・・。」
思わず苦笑い。
「でも・・・でも、ちゃんと『かっこよくて良い彼氏だね』って、言ってくれたのよ?」
「はは、それはよかった。ささらに合うような彼氏になるために、日々精進してる成果がでたのかな?」
俺はふざけて言ったが、ささらは真面目に返してきた。
「今の貴明さんで十分よ・・・?それに、私は今の貴明が好き。」
俺は思わず歩みを止めてしまった。
「どうしたの?貴明さん、何かあった?」
「い、いや・・・なんでもないよ。ささらの言葉を聞いたらちょっとね・・・。」
「もう、バカね。」
笑顔で返してくるささら。
こんな時間がいつまでも続けばいい・・・。そう思わずにはいられない程、幸せな時間だった。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 
かくして自由の女神像のある、モニュメントへついた俺達。そのあまりの大きさに思わず呆然としてしまう。
「写真とかTVでは見たことあるけど、やっぱり実際みると随分大きい像だな・・・。地震とかおきて倒れてきたら、下敷きになったものはもう原型とどめないものになりそうだ。」
俺の正直な感想に、ささらが言ってきた。
「本当かどうかはわからないけど、自由の女神像は内部の構造があのモニュメントの新設されたガラス天井から見ることが出来るって話を聞いたことがあるわ。内部は、354段の狭い螺旋階段があるみたい。」
「うへ・・・。そうなんだ・・・。」
俺は、一拍置いて、朝言おうと思っていたことを言った。
「でも、やっぱり自由の女神像よりも全然ささらのほうが可愛いな。世界の女神様もささらにはかなわないって感じかな?」
ささらの顔がぼんっという音が出るほど一気に赤くなった。
「もう・・・バカね・・・。」
はっしまった。つい、にやけてしまった。俺は気を取り直し、ささらに聞いてみた。
「せっかくここまで来たし、その螺旋階段を登ってみてもいい?」
「貴明さんが行きたいなら、いきましょう。」
俺の提案を、ささらは快諾してくれた。
かくして、俺達はモニュメントの中に入ろうとしたけれど、どうやらツアーか何かでの申し込みが必要らしく、門前払いされてしまった。
「ごめんなさい――。」
ささらが泣きそうな顔をしている。
「私がもっとちゃんと調べ――――
俺はささらが俺にやるように、ささらの唇を人差し指でふさいだ。
「もういいって。元はといえば、俺が言い出したことだし。」
さらに、出来るだけ優しく付け足して言った。
「それに・・・ささらを喜ばせたくてNYまで来たのに、悲しんでたら俺の来た意味がなくなっちゃうよ。」
「貴明さん・・・ごめんなさい――私ったら・・・。ごめんなさい・・・。」
「だから、もう謝らないでってば。」
俺の心が届いたのか、ささらはまた笑顔に戻ってくれた。
 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 
夕方になり、家に戻った俺達。帰り道に昼食を食べた後に夕食の買い物をしたため、俺の両手には荷物。ささらは自分も持つと言ってきたけれど、もちろん重い荷物をささらに持たせるつもりなど微塵もなかった俺は、最後までささらの申し出を断り続けた。
「さぁて、今日は俺もささらの夕食作りを手伝っちゃおうかな?」
「貴明さんは休んでいて。重い荷物を持って帰ってきてくれたのに料理まで、なんて悪いわ。」
「俺は一人でいるほうが心が悪くなるよ。NYに居られる間に、ささらと一緒に色々やりたいんだ。だから、手伝わせてくれないかな。」
心が悪くなるという表現はいまいち意味不明だったが、ちゃんと通じたらしい。
「そうね・・・わかったわ。じゃぁ、お願いするわね。」
無事、交渉成功した俺はささらとともに料理を作り始める。もし失敗してたら、俺が買い物のときにささらに見つからないように、後でこっそり買っておいたアレが台無しになるところだった。
「ささら、急で悪いんだけど、これ使って料理作っていいかな?」
「あ・・・もしかして・・・」
ささらも気付いたらしい、
「そう。そのもしかして・・・だよ、多分。」
ささらは頷いて、俺の“アレを使った料理”の調理を許可してくれた。
俺は、あの時以来ずっとこの時を待っていた。
春夏師匠・・・。今ここで俺はあなた直伝の技をお見せしますよ・・・。
俺は一人で激しく緊張していながらも、昨日のように手際よく調理を始める。
昨日のように終始問題なく調理を終えた俺。その出来上がりっぷりをみて、思わず一人で感激していた。いやー、この見事なまでの狐色。これも練習の成果だな。
一人の世界に勝手に入っていた俺を引き戻したのは、ささらのイタッという言葉だった。
「だ、大丈夫?俺、なんかしちゃったかな。ごめん・・・。」
「違うの、違うのよ、貴明さん。貴明さんのほうばかりをみていたら、包丁で指まで軽く切っちゃって・・・。」
「もう不器用だなぁ、ささらは。」
「不器用―――」
しまった・・・と思ったが、もう遅い。
「いや、ごめん、そんなことないって。」
「不器用―――」
「ちょっと、それくらいでしょげないでーーー!?」
「でも、不器用―――――」
スイッチONになってしまったささらには、既に俺の言葉は届いていなかった。
 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *  
「ごめんなさい・・・結局全部用意させちゃって・・・。」
「いやいや、気にしないでって。大半が俺の責任だし。それに、日本ではほとんど自分で作ってるしね。」
ささらのスイッチがなかなかOFFにならなかったので、そのまま他の料理を作ってしまった俺。ささらに言ったとおり、いつも自分で作ってるから別に苦でも何でもなかった。
そんなところに、ささらのお母さんが帰ってくる。
「おかえり、ママ」「おかえりなさい。」
「ただいま、ささら、河野君。」
「ママ、今日は貴明さんが夕飯を作ってくれたのよ。」
「それは楽しみね。」
「はは、真ん中のあれが本日のオススメですよ。」
といいながら、俺は食卓の真ん中に置いた綺麗な狐色になったエビフライを指差した。
ケーキにしようかエビフライにしようか迷った末、昨日はケーキにしたので、今日はエビフイを作ってみたり。あの時はささらには毒だったけど、きっと今は・・・。
「ささ、二人とも食べてみてください。」
俺の催促の元、二人は春夏さん直伝&俺風にアレンジしたエビフライを口に運ぶ。
「「おいしい・・・。」」
二人とも口をそろえて言ってくれた。
「特製『必殺エビフライ・貴明スペシャル』は気に入ってもらえたみたいだね。」
「ええ、とてもおいしい。エビフライがこんなにおいしいものだったなんて・・・」
「貴明特製ブレンドをしているからね。普通の3倍はおいしいんじゃないかな?かなり誇張してね。」
俺は笑いながら言った
「特製ブレンドってもしかして・・・。」
顔を赤くするささら。俺の言おうとしていることがわかったのかな?
「そう、俺のささらへの愛」
さららの顔がさらに赤くなる中でささらのお母さんが苦笑しながら言う。
「あら、じゃぁ私がもらったらいけないわね。」
「いえいえ、俺達の愛のおすそわけです。」
「愛はおすそ分けするものじゃないわよ?」
苦笑を続けながら言うおばさん。俺も、笑いながら返す。
「あはは、そうですね。でも、せっかくなんでもらってやってください。」
「そうね、そうさせてもらうわ。」
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 
夕食が終わり、ささらが風呂に入っている最中にささらのお母さんが話しかけてきた。
「河野君、ささらがさっき『エビフライがこんなにおいしいものだったなんて』って言っていたじゃない?」
「言っていましたが、それが?」
「ささらの話によると、春休みにささらにエビフライを作ってきてくれたそうじゃない?
でも、あの子食べられなかったそうじゃない。それのことで河野君に申し訳ないって言って、手料理を食べられるようになった今でも、エビフライだけは頑として食べようとしていなかったのよ。だから、あの子がエビフライを食べるのは、実質恭賀初めてだったの。」
「そうだったんですか・・・。でも、初めてが俺の特製だと、他のエビフライが不味く感じちゃうかもしれませんね。」
俺は冗談を混ぜながら答えた。ささらのお母さんは、笑って返してくれた。
「ふふ、明日からは違う意味でエビフライを食べられなくなりそうね。」
そこへ、ささらが風呂から上がり、リビングへ戻ってきた。
「二人ともなんの話しをしていたの?」
「ささらと河野君の結婚についてよ。」
ささらのお母さんはかなり激しいごまかし方をしたが、ささらは顔を長時間使ったドライヤーの中のように赤くなっていた。
「えっと、俺次風呂お借りしていいですか?」
「ええ、どうぞ。」
「ありがとうございます。」
そういって、風呂に向かう俺だった。
 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 
夜遅くまで俺はささらと色々な話をしていたが、流石にそろそろ眠くなってきたので、寝ることに。部屋に戻り、毛布の中に潜る。ささらといると、やっぱり幸せに感じるなぁ。いつまでもこうしていたい、と思うけれど、それも後5日間しかないわけで・・・。
とりあえず、今日はもう寝よう。また明日ささらと思い出を作ろう・・・。
そう思い、俺はうたたかなる夢の誘いに身を任せることにした。

『こらーー!ちゃんと聞いているかーー!?』
今日もまた、俺の安眠は何者かによって妨害された。
この音声は・・・まーりゃん先輩が入れた音声を聞こうと思ってたらすっかり忘れてたなぁ。はぁ、ご丁寧に翌日にまでこんな設定しているとは、結構なことで。
俺は、今日もまた停止ボタンを押し、今度こそ眠りについた。
67名無しさんだよもん:2005/12/28(水) 00:29:25 ID:ZMrVZ17Z0
ふいー、今度は8で収まったか;
再びスレ汚しスマソ(´・ω・`)
今度は多分誤字脱字少な目だと思いますが・・・。

罵倒でもいいんで、感想もらえるとうれしいであります。
よろしければ、お願いします。
68名無しさんだよもん:2005/12/28(水) 00:55:06 ID:OfATfgtC0
ちょっと勢いがありすぎると思うが・・・・
まぁいいか(´・ω・`)

ゲームではあまりなかったラブラブっぷりがGJ!!!!!!!
続き期待してるよ
69名無しさんだよもん:2005/12/28(水) 01:34:15 ID:oMuxzzL9O
不器用…

モエスwwwwwwwwGJだwwwwwwww
70名無しさんだよもん:2005/12/28(水) 01:44:33 ID:ZMrVZ17Z0
>>68
勢いがありすぎですか。
まだ3話目ほとんど手つけてないんで、この勢いも多分ここまでかと^^;

二人のバカップルぶりは最重要優先事項ですw

>>69
ゲームのシーンをほとんどそのまま使ってみました。
ささらのシナリオを思い出しながら読んでくださると光栄です。


あー、誤字&わかりづらい部分があったorz
3/8

はっしまった。
↓訂正
はっ、しまった。


7/8

実質恭賀初めてだったの
↓訂正
実質今日が初めてだったの

多分この程度かと・・・。

ここからの展開がD.C.F.Sみたいな感じになってくる気がします・・・。
71名無しさんだよもん:2005/12/28(水) 02:17:17 ID:VrGcekRN0
>>70
改行多すぎ。見にくいだけ。
72名無しさんだよもん:2005/12/28(水) 02:26:57 ID:GvB/zsyE0
SSはSSで文字が詰まってて読みにくいなw
73名無しさんだよもん:2005/12/28(水) 02:35:32 ID:ZMrVZ17Z0
>>71 >>72
了解です。
以後気をつけます&参考にさせていただきます。
74名無しさんだよもん:2005/12/28(水) 02:39:57 ID:GvB/zsyE0
>>73
あと三点リーダーは・・・じゃなくて、…の方が良いと思うよん
75名無しさんだよもん:2005/12/28(水) 02:42:42 ID:ZMrVZ17Z0
>>74
なるほど…(←)こうですね
アドバイス、ありがとうございました!
76名無しさんだよもん:2005/12/28(水) 02:53:50 ID:rKL/m2GC0
>>67
うーん、ここはあなたの個人教室ではないから、一つ一つ返答しない方がいいんじゃないかな?
ざっくばらんな対応には、ある意味感心するけど、レス数も食ってしまうし。
いや、本当に話の内容は面白いし、続きにも期待しているんだけどさ。

きついことは言いたくないし、言う必要もないんだが、参考にするなら作品で還元してもらえるとありがたい。
ええ話ですなー。うん、ここ最近読んだささらSSじゃ一番かも。
ろくに文章も書けない自分にとっては、SS作家さんは神様ですよ。頂けるとありがたい。
77名無しさんだよもん:2005/12/28(水) 10:25:52 ID:SStoBtBv0
ちょっと失礼
間違えて重複してスレ立ててしまったのだが、削除の方向で構いませんか?
78名無しさんだよもん:2005/12/28(水) 10:54:43 ID:UNRUZlg4O
>>77
いいんじゃね?
てかIDがSS www
79名無しさんだよもん:2005/12/28(水) 11:29:33 ID:SStoBtBv0
依頼完了
IDはさっき気が付いた
俺には勿体ないと思います
80名無しさんだよもん:2005/12/28(水) 13:02:42 ID:bDXLbmlD0
でなんで>>1の保存庫にささらのSSが保存されてないの?
81名無しさんだよもん:2005/12/28(水) 16:48:59 ID:claKusXm0
>>80

>当書庫はXRATEDに対応しません。
82名無しさんだよもん:2005/12/28(水) 18:01:54 ID:jXrUGtcG0
春は終わらないマダー
83名無しさんだよもん:2005/12/28(水) 20:52:32 ID:JMU4VoWW0
今さっきこのスレに小説の感想書いて送信したはずなんだがなぜかその書き込みがない。
と思った直後に別スレに誤爆ってたことに気づく。しかもその誤爆先が・・・テラハズカシスorz
84名無しさんだよもん:2005/12/28(水) 20:55:16 ID:fLefYmAw0
>>83
落ち着け
落ち着いて送信先を晒せ
85名無しさんだよもん:2005/12/28(水) 23:28:25 ID:+TT4clHs0
草の根分けても探し出せ!
86お留守番その1:2005/12/29(木) 01:21:48 ID:xWwEBq7G0
よくわかるあらすじ
エピローグ後の翌日珊瑚とイルファが研究所に呼ばれて貴明と瑠璃が留守番する事になったとさ

あれから暫くの間お互いの顔をちらちら見ながらただただ時間だけが過ぎていった
嵐のようなやり取りばかりで意識してなかったというか思考がそこまで回らなかったのだけど二人きりという状況が否応無しにお互いを意識してしまう
「瑠璃ちゃん」
「貴明」
二人の声が重なる
「あのさ」
「あの…」
なんか前にもこんなことあったなと思い出し心の中で苦笑する
以前はそこで口篭ってしまったけど意を決して今回は一歩踏み出してみる
「あのさ瑠璃ちゃんちょっといい?」
「あ…ええけどなに?」
「いや、留守番といってもずっとこのままいても落ち着かないし何かしない?」
「ん〜、そやせっかくさんちゃん達が部屋におらへんし…」
珊瑚ちゃん達が居ないしって何?ナニ?え、ちょっと瑠璃ちゃんそれは待っ・・・昨日の残り火からか俺の脳内でイケナイ妄想が広がっていく
「・・・部屋の片付けしようか」
「へ?」
「さんちゃん時々要らんもん拾ってきて片付かんのやもん。それにほんとに連れて来るかどうか分からんけどイルファの妹が来るスペースも作っておかな困るやろうし。幸いへたれやけど男手はいるし」
「そ…そうだねそれじゃ何処からやろうか」
邪念が入りまくっていた思考にちょっとだけ自己嫌悪した
87お留守番その2:2005/12/29(木) 01:22:55 ID:xWwEBq7G0





「ふ〜少しは片付いたな。ちょっと休憩しよっか」
「そやな、これさんちゃんに断りも無く勝手に処分するわけにもいかへんしこの辺りで一段落付けよか。お疲れさん貴明ほいジュース」
「ありがと瑠璃ちゃん」
開始当初の緊張感は何処へ行ったのかと云うくらい自然なやり取りをしている。な〜んだと簡単じゃないかと思いつつ瑠璃ちゃんから貰ったジュースを一口飲む。と、胃に物を入れた瞬間グーと腹の虫が鳴る
「あはははは、貴明かっこわるぅー」
そういえば朝食の途中で気絶したんだっけな腹も減るはずだ
「む〜朝食途中で終わっちゃったんだからしょうがないじゃないか」
あ、と気絶させたことを思い出したのか、ちょっと気まずそうに
「しゃ…しゃあないな。貴明はそこでテレビでも観て待っとき」
「あ、うん」
「ん〜イルファのヤツ朝食であんなに材料使いおって。あ、ここまだ使えるやん!イルファもまだまだやなぁ〜」
などとぼやきながら冷蔵庫の中を捜索中
「あ、そやアレにしよ……あのままに思われるのもいややしな」
「ん?何?」
献立を聞いただけなのに何故か瑠璃ちゃんは焦ったように捲くし立ててきた
「な…何でもない!ここはウチのテリトリーや!さっさと向こう行き!」
「わ、わかったよ」
よくは分からなかったけど瑠璃ちゃんの妙な気迫に押され引き下がった
程なくして瑠璃ちゃんの声がする
「貴明〜出来たで〜」
と、目の前にあったのは
「チャ…チャーハン?」
88お留守番その3:2005/12/29(木) 01:24:07 ID:xWwEBq7G0
正直な話この前のチャーハンの件が軽いトラウマになってしまい余り胃が受け付けないのだけど…
「そんな警戒せんでも安心しや今回のはちゃんとしたチャーハンや。というかこのままウチの料理でトラウマ残されたら料理人としてのプライドが許さんリベンジや!」
「リベンジってなんか違う気もするけど…う〜ん」
そこまで言うならきっと大丈夫だろうな瑠璃ちゃん腕自体はプロ級なんだし。でも頭で分かっていてもどうしても心の方が踏ん切りがつかずチャーハンとにらめっこしていると
「……それにウチ貴明にもうあんな事出来るわけないやんか。もしそんな事して貴明に『キライ』言われたらどうしていいか分からなくなってしまうもん」
「え?何か言った?」
途端怒ったような感じになって
「何でもええからはよ食べ」
気が進まないがこうなった以上覚悟を決めるしかない。意を決してチャーハンをすくい上げ口の中へ放り込む
「うっ」
「う?」
瑠璃ちゃんが心配そうに覗き込んでくる
「美味い!これすっごい美味しいよ瑠璃ちゃんこれならいくらでも入っちゃうよ」
「当然♪これでリベンジ完了や。あ、たくさん作ったから何杯でもおかわり大丈夫やで」
朝食が途中で終わったことも手伝って瑠璃ちゃんが用意したチャーハンを自分でもびっくりするような勢いで全部たいらげた
「はぁ〜これは暫く動けないな」
「貴明調子に乗って食べすぎや」
「だって瑠璃ちゃんの料理美味しいんだもんしょうがないじゃん。瑠璃ちゃんってホント好きなんだね」
89お留守番その4:2005/12/29(木) 01:29:27 ID:xWwEBq7G0
「す、好きぃ!?そそそそんなことなんでわかるん!」
「だってそりゃ毎日瑠璃ちゃんのこと見てればね」
「でででもでも、ウチ好きとか言われてもようわからんし」
「俺はゲームとか位しか趣味が無いから比較しようが無いけど、少なくとも瑠璃ちゃんにとって料理は一番の好きなことだと思うけどなぁ〜」
「へ、料理?」
瑠璃ちゃんは何かを振り払うかのように頭を振ると
「あ…そう料理、料理の事な。そう言われてみれば確かに料理は好きやな〜。」
そう言う瑠璃ちゃんはとても楽しそうだった
「さんちゃんって見ての通り普段あんなぽけぽけな感じやろ?ウチがしっかりせなあかんと思って家事一般何でも頑張ってきたや。とっかかりはそんなもんやってんけどな、さんちゃんが美味しい美味しい言うてくれる顔が嬉しくて料理していくのが楽しなってきた…かも」
「確かに瑠璃ちゃん普段も幸せそうな感じだけどの料理食べてる時の珊瑚ちゃんってより一層幸せそうな顔するよな」
「ただな、さんちゃんって小食やん。だから貴明みたいにいっぱい食べてくれる人がいると作り甲斐があって嬉しいかな」
「え?そ、そうかな。何かそういわれるとちょっと照れるな」
実際のところちょっとどころじゃないけど
90お留守番その5:2005/12/29(木) 01:31:14 ID:xWwEBq7G0
ホントに動けなかったので暫く横になっていると片付けが終わった瑠璃ちゃんがちょっと改まった感じでこっちにきた
「貴明。ちょっとええ?」
「ん、なに?」
「あの、ごめんないつもイジワルしたり蹴ったりして。昨日イルファには謝ったけどまだ貴明には謝れなかったから・・・」
「ホントは頭の中であかんってはわかってんけどな、何かようわからんけどモヤモヤして手が出てしまうん」
「そんな事謝らなくてもいいよ。だって俺は瑠璃ちゃんのそういうところもひっくるめて好きになったんだから」
「貴明……」
「それにね瑠璃ちゃん。実は俺瑠璃ちゃんに蹴られたりするのってそんなに嫌いじゃなくなってきてるんだよね」
「貴明……それってマz…」
「それは違うから!」
そこだけは全力で否定しておく
「なんて言うか言葉にしにくいんだけど瑠璃ちゃんの気持ちがダイレクトに伝わっていくというかそういう事が俺はすっごい嬉しいんだ」
「そうなん?そう言われるとウチもなんか嬉しいわ」
そう言って微笑む瑠璃ちゃんの顔は、以前珊瑚ちゃんのことを語った時に見せた微笑とも違うとてもとても特別なものに見え俺はどうしようもなくドキドキしてその表情に魅入ってしまった
「あ〜貴明今Hぃこと考えてる」
「え?え?え?そ、そんな事無いよ」
「嘘や嘘や。だってウチのことじーっとみとったもん」
そう叫んだあとさっきの勢いとはうってかわって蚊の鳴くような声で
「でも…ウチHぃ貴明も嫌いやないで」
そう言うと真っ赤になって俯いてしまった
俺はこみ上げる恥ずかしさを誤魔化す様に冗談めかして
「そんなこと言っちゃうとホントにHなことしちゃうかもよ」
「貴明がしたいんやったらええよ……というかウチがして欲しい…かも」
「瑠璃ちゃん」
以前のような投げやりな口調ではなく、かなり熱の入った台詞を聞いて俺は何をすべきなのか。いくら女の子が苦手だろうとどんなへたれであろうとやるべきことは決まっている。
瑠璃ちゃんの肩をそっと掴み顔を近づけていく。瑠璃ちゃんも俺の意図を汲んだのかちょっとだけ身体を震わせると目を閉じて待ち構える
91お留守番その6:2005/12/29(木) 01:33:42 ID:xWwEBq7G0
あと数センチとさしせまったところで
「じーーーーーーーーーーー」
妙な視線を感じて俺は我にかえる
「なぁなぁちゅ〜せえへんの?」
「さ珊瑚ちゃん!?」「さんちゃん!」
俺と瑠璃ちゃんは亜光速で離れていった
「も〜貴明さん私の瑠璃様を取らないでください」
「あの〜おふたりともいつからいました?」
「さっき帰ってきたんや」
「正確には瑠璃様の『でも…ウチHぃ貴明も嫌いやないで』からです」
それを聞いた瑠璃ちゃんは爆発寸前まで真っ赤にしながら口をパクパクしている思い返してしまい凄いことになってるようだ
「それにな〜貴明2人ちゃうで。4人や」
92お留守番ラスト:2005/12/29(木) 01:34:20 ID:xWwEBq7G0
「え?」
「約束どおりお土産」
「あ…あの〜珊瑚母様。この方がいつもミル姉様が言ってた貴明様ですか?」
珊瑚ちゃんの後に隠れながらおっかなびっくり俺を見てる金髪の女の子が訊ねてきた
「そやで。これから一緒に住むことになるからしっちゃんもなかようしてな」
「はい。母様がそういうなら…あ、あの〜私HMX-17cシルファと申します。よ、よろしくお願いします」
「あ、よろしく」
どうにも状況が掴めなく生返事しか出来ないミル姉様って誰?それに珊瑚ちゃんのこと母様ってことを考えると…
「たーかーあーきーー♪ボクだよ覚えてる?覚えてるよね!やっとたかあきのとこに戻ってこれたよ。胸だって大きくしたんだから。ね、ね、みてみる?みたいでしょ?みるでしょ〜」
横からタックルをしてきたピンクの髪をした女の子はそんなことを捲したてておもむろに服を脱ごうとする
「ミルファ!貴明さんが驚いてるじゃないの。それにこのボディになってから会うのは初めてでしょ」
「あ、そうだったごめんイル姉ちゃん。だってだって貴明に会えてすっごいすっごい嬉しかったんだもん」
「え〜とお前クマ吉か?」
「そうだよ♪ただいまたかあき」
「おかえりクマ吉俺も会いたかったよ」
そう言って俺はちょっと乱暴に頭を撫でると「えへへ」とクマ吉は嬉しそうに頭を差し出しされるがままにしている
ふと瑠璃ちゃんに目を向けるとそこには怒りの表情が見て取れる。が、飛んできたのはいつもの蹴り等ではなく
あれ?唇にやわらかい感触が
「「「「あ〜」」」」」
した人間とされた人間以外の全員の声が重なった
「宣戦布告や!」
と、ちょっと勝ち誇った風にいう瑠璃ちゃん
「も〜瑠璃ちゃんばっかず〜る〜い〜」
「たかあき〜ボクにも〜」
「貴明さん瑠璃様の唇返してください」
「す、凄いものを見てしまいました」
これからこの5人と接していくことになるのだろうと思うと軽く目眩がしてきたが、不思議とやっていけそうだと思える自分が居た
そう思えるのはきっと今日見つけた瑠璃ちゃんの特別な笑顔のおかげかもしれない
93お留守番あとがき:2005/12/29(木) 01:38:43 ID:xWwEBq7G0
当初もっと瑠璃ちゃんに罵ってもらう予定だったのですが気がついてみるとデレデレの甘々になってしまいました
〆も蹴り予定だったのに瑠璃ちゃんあんなことしちゃうし

因みに俺の脳内ではミルファ:ボクっ娘
         シルファ:百合っ娘
です
94名無しさんだよもん:2005/12/29(木) 01:41:24 ID:U1UABDyy0
なーんか似たような話ばっかだな
各自の脳内設定に変更加えただけの双子アフター多すぎ・・・
95名無しさんだよもん:2005/12/29(木) 02:00:40 ID:r3CJ+tqW0
>70
少し立つと → 少し経つと
難だけど → 何だけど
nice to me too → nice to meet you
今の貴明が好き → 今の貴明さんが好き
エビフイ → エビフライ
顔を(略)赤くなっていた → 顔が
うたたかなる夢の → うたかたなる夢の

ざっと見ただけでこんなもん。

あと個人的なことかもしれないが、セリフの最後(」の前)に句点は
ない方がいい気がする。
96名無しさんだよもん:2005/12/29(木) 02:05:13 ID:pu51MWpS0
SS投稿が多くなった分
良い物も増えるし悪い物も増えるんだよな。
初めてのSS投稿 みたいなテンプレを作った方がいいキガス。
見やすい書き方とかを書いて。
97名無しさんだよもん:2005/12/29(木) 02:07:41 ID:Xcld7nEz0
>>93

あまあまな瑠璃もなかなか良い物だ。


>>94
まぁ、ある意味仕方ないでしょ。
誰も考える事は大差無いってことかと(w
98名無しさんだよもん:2005/12/29(木) 02:18:58 ID:tvOKsApD0
>>93乙。
寝る前にほんわかさせて頂きました。

99名無しさんだよもん:2005/12/29(木) 02:38:40 ID:zUio3lzc0
お邪魔します。また一つSSを書きましたので、投稿させていただきます。
お読みいただければ幸いです。

ttp://ikn.nobody.jp/yuuki01.html

>>57さん
5秒くらい眺めた後吹きだしました。こういうセンスが自分にも欲しいです。

ささら会長SSも次々と新規投入されてきているようですし
こうなるとX-RATEDをやらずに済ませてしまったのが悔やまれますね。
つい出し惜しみしてしまったせいで高評価のささらSSなどを読むに読めない状況です。

今日は冬のお祭りですね。
戦場へ赴く皆さんのご武運をお祈りしています。
では、失礼します。
100名無しさんだよもん:2005/12/29(木) 02:51:31 ID:QqMLw/x20
郁乃SSをずっと待てる俺ガイル
101名無しさんだよもん:2005/12/29(木) 10:22:41 ID:Q6f4xNPWO
>>57
やっと意味が分かった俺ナッシュ
102名無しさんだよもん:2005/12/29(木) 13:28:54 ID:fydGP94X0
>>57の仕掛けた時間差笑い攻撃にちょwwwwタカ坊wwwwと見事にはめられた俺ブランカ
103名無しさんだよもん:2005/12/29(木) 13:47:55 ID:Jd6oaxjyO
>>57
は待ちガイル
104名無しさんだよもん:2005/12/29(木) 15:34:29 ID:WfdoVwqg0
>>57の人気に嫉妬
105名無しさんだよもん:2005/12/29(木) 23:34:49 ID:TWqGsc840
つうか、何故今ごろ気づくかな?w
最後の行で気づけよ^^;
10657:2005/12/30(金) 00:18:09 ID:C5XWkoVW0
>>105
パッと見糞な作品に見えるから読み飛ばしてたんジャマイカ?
107名無しさんだよもん:2005/12/30(金) 20:11:54 ID:DdMwFh8I0
最初は普通に愛佳の台詞と思ってたからな。
見返してみたら吹いたw
108名無しさんだよもん:2005/12/30(金) 20:18:07 ID:TXvcTq7W0
タマ姉とささらの百合SSマダー?
109名無しさんだよもん:2005/12/31(土) 00:00:52 ID:JFfgMAY00
…今日は寂しいな。
110名無しさんだよもん:2005/12/31(土) 00:50:43 ID:OOriyS5P0
東鳩2メンバー全員での年越しSSキボン
111名無しさんだよもん:2005/12/31(土) 00:57:05 ID:yRucHeO5O
>>110
つ 河野家
112名無しさんだよもん:2005/12/31(土) 01:00:41 ID:O4bRj80v0
次週の『河野家にようこそ』は作者取材のため休載です。
113名無しさんだよもん:2005/12/31(土) 01:10:47 ID:c8WC1zk80
>>110
年越しSSは書こうかと思ってるんだが、まだ中身については
白紙だし間に合わんかも知れん。
114名無しさんだよもん:2005/12/31(土) 01:32:50 ID:X4tLl3p60
いつのまにか河野家が生活の大きな糧になっていることに気が付いた漏れガイル
115名無しさんだよもん:2005/12/31(土) 10:18:13 ID:BfLXiAvYO
(;^ω^)ナイナイ
116名無しさんだよもん:2005/12/31(土) 13:59:56 ID:b6pHFIs10
>>113に期待
117名無しさんだよもん:2005/12/31(土) 17:48:20 ID:22tqvoGF0
アイス屋みたいなやつで各キャラの年越しが見てみたい
118名無しさんだよもん:2005/12/31(土) 22:16:46 ID:d13QIuBw0
十円前後編…
119名無しさんだよもん:2005/12/31(土) 23:32:20 ID:U30mk/ql0
そろそろ今年も終わりか
沢山SSが読めていい年だった
締めくくりを>>113に期待

>>118
暗号か? 誤爆か?w
120113:2005/12/31(土) 23:50:45 ID:c8WC1zk80
リアルタイムで書いてます。
いつ書き終わるかどのくらい続くかわからない+つまらんかも
知れないのでスマソ。
30分〜1時間の間隔で更新中。

ttp://www.geocities.jp/yuji_shirakami/toheart2/2005-2006ss.html
121名無しさんだよもん:2005/12/31(土) 23:57:47 ID:fTLSyIOU0
>>120氏乙です。
122名無しさんだよもん:2006/01/01(日) 00:25:26 ID:d81+RKUd0
>>120
期待sage〜
123名無しさんだよもん:2006/01/01(日) 01:12:27 ID:d81+RKUd0
>>120
朝まで定期更新でワクテカしてますね(0・∀・)
124120:2006/01/01(日) 01:37:41 ID:BsjV4f2X0
1:30、5回目更新。これでヒロイン全員出たか?
全員出しつつ書くのって難しいなあ…出番の割り当てが
偏ってしまう。

とりあえずささら会長に酒飲ませようと思います(マテ
125名無しさんだよもん:2006/01/01(日) 01:50:09 ID:YOkKsZ8G0
>119
暗号...(w
126120:2006/01/01(日) 02:31:07 ID:BsjV4f2X0
>>123
スマヌ、精神力が尽きた…朝か昼くらいまで待っておくれorz
127名無しさんだよもん:2006/01/01(日) 02:33:21 ID:Tw/NmMFL0
ガンガレ〜
128名無しさんだよもん:2006/01/01(日) 02:34:42 ID:OvHqWZVi0
>>126
ここまででも充分楽しかったです。
つーことで再開、心待ちにしてます。
129名無しさんだよもん:2006/01/01(日) 02:45:42 ID:zY7zQL930
>(なんだっけな…一つだけ忘れてる気がするんだ、これが)
雄二か…キングカワイソス
130名無しさんだよもん:2006/01/01(日) 02:55:28 ID:oJGhHOoj0
がんばれ〜

といいつつ、今5日ぶりにネットに接続・・・コミ行ってたら気づいたらスレが11になってるし。
『些細なすれ違い 大きな勘違い』はいずこへ・・・・7話までしか見てないOrz
131名無しさんだよもん:2006/01/01(日) 08:25:13 ID:lIMpI+v10
>130
 年初早々から言いたくはないんだが…テンプレ嫁タコ。
 >>2 の書庫は何のために苦労してくれてるんだ?
スレのhtmlログも置いてあるぞ?
132120:2006/01/01(日) 09:27:43 ID:BsjV4f2X0
寝落ちしてたorz
今から朝飯食ったりしてくるんで読んでる人は
気長に待ってて…

>>130
「些細な〜」は今のところ7話で止まってるので心配ご無用。
「ねぇ〜タカく〜ん、起きてよぉ〜。もう朝であります」
俺を夢からひきずりだそうとするこのみの声。
「このみ…今日はやけに早くないか?まだ時間あるだろ…?」
「もうタカ―――明さん、早く起きて?朝ごはんできてるわよ?」
俺はこのみじゃない人の声を聞いて、夢から一気に覚醒した。と同時に冷や汗・・・。
「ご、ごめん、ささら…。このみと間違えちゃって…。このみは朝弱くて、俺がよく起こしにいってるんだけど、たま〜に俺が起こされちゃうことがあってね…。それだけなんだ。それ以じょ――――
俺の必死な無実を証明するための弁解も、ささらの次の台詞に遮られた。
「もう貴明さん、分かっているわ。このみちゃんと貴明さんがそんな仲じゃないって事くらい」
「あ…ありがとう、ささら」
「お礼を言われるようなことをした覚えは無いわよ?」
ささらは微笑みながら言った。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 
ささらの作った朝食を食べ終えた俺は、一昨日(昨日)のまーりゃん先輩の入れた(であろう)機械の話をした。
「流石まーりゃん先輩だわ…」
「全くだよ。実はNYにも来てるんじゃないかとさえ思っちゃうくらい何でもする人だからすごくもあり、恐ろしくもあるよね」
「そ・・・そうね」
そういってささらはあたりをきょろきょろ見渡して、お目当ての物(者)がないのを確認して、ほっとしていた。
「んじゃ、ちょっととってくるね」
そういって俺は席を立ち、機械を持って再び戻る。
「再生するよ」
俺が再生ボタンを押すと、それは流れ始めた。
『聞いているか、たかりゃん!聞いているか、たかりゃん!こらー、ちゃんと聞いているのかー?』
こんな感じで2分ほど続いた。
『そろそろ本題に入る。私の名はさっき言ったとおり、Mr.だいさんしょううおだ。』
「第三章魚?なんだろ…」
「オオサンショウウオじゃないかしら…。大をだいって読んだ…違うかしら?」
「ああ…なるほど…多分そうだろうね…。」
『我は常に君達の味方だー!いつでも君達を見守っているぞぉ〜。異常だ。さらばっ!』
「…なんなんだ、いったい…」
「わからないわ…。でもまた、きっとよからぬ事を考えていると思うの…」
そのときだった。ガチャッと扉が開くような音がした。俺もささらも思わず息を呑む。まさか、強盗…?NYは物騒だって話も聞くし…。
とりあえず俺は、ささらにここで待っているようにと目で合図。
頷くささらを残し、俺は物音が聞こえた玄関のほうへ。そして、そこにいた強盗もとい…を見て、不覚にも「うわぁっ」と叫んでしまった。
そう、そこにいたのは紛れもなく…
「まーりゃん先輩…な、なんで…ここに…?」
「やーやー、たかりゃん。そんなに怖かったかい?」
俺の叫び声を聞いたささらが、玄関に駆けつけてきた。そして、まーりゃん先輩を見て、やはり驚きを隠せずいるようだった。
「ちゃお、さーりゃん。半年ぶりかな?」
「ま、まーりゃん先輩…どうしてNYにいるの…?」
「いやー、ワガハイの出るエロゲーの宣伝とやらでNYに来たのだ!」
エロゲーが海外進出…?俺の知らない間に日本はおかしくなってしまったのだろうか。
「それに…どうしてうちがわかったの?」
ささらは、若干落ち着きを取り戻してまーりゃん先輩に問いかけた。
「いやー、さーりゃんとたかりゃんの臭いを辿って……という方法もあったけど、たかりゃんの荷物の中に、某機械をこっそりいれといて…。それで、たかりゃんとさーりゃんの夜の営みの音声映像もバッチリ記録しているのだ!」
「何言ってるんですか、してませんよっ!」
俺は若干怒鳴りつけ気味で否定した。ささらは、顔を赤らめたまま、俯いたり俺のほうをチラチラみたりを繰り返していた。
「ははぁん、二人ともてれちゃって〜」
ニヤニヤしながら俺達を見てくるまーりゃん先輩。はぁ、相変わらずだな、この人も。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 
まーりゃん先輩に率いられ、(半ば強引に決められて)商店街で軽い食事をすることになった俺達。
まーりゃん先輩のお気に入りらしい、日本でいうファミレスで俺達は食事兼話をしていた。
「実は、さーりゃんをもらいにきたんだけど、入る隙間すらもなさそうだね。ふむふむ、たかりゃんも成長したねぇ」
「成長って…。まぁ、たしかにささらと一緒に行動してきて、俺は成長できたけど…」
「そうね。私も、貴明さんと一緒にいて随分変わることが出来たわ」
「ここの料理を食べてるところを見ると…、さーりゃん、手料理食べられるようになったんだね」
「ええ、貴明さんが私のために色々頑張ってくれたおかげで…」
「くぅー、あっついね〜。『ささら、俺の作った料理を食べてくれない?』
「『貴明さん…是非いただくわ…』」
「『無理して食べなくていいよ?まずは、慣れることを最優先しなきゃね?』」
「『貴明さん…ありがとう…』」
「ちょ、まーりゃん先輩、勝手に話を捏造すんの止めてください!」
俺は強引に止める。
「こら、たかりゃん!何をするのだ!これはりっぱな再現だぞ!?」
「何言ってるんですか!でまかせもほどほどにしてください!」
「でまかせではないぞ、たかりゃん!なぜなら、たかりゃんの家に隠しカメラをセットしておいて、ちゃんと確認しているのだ!」
「うちには隠しカメラなんてつけるとこありませんから!」
まーりゃん先輩は不機嫌そうな顔をした後、いつもの顔に戻り話題を変えてきた。
「そういえば、ご両人。ご両人の駆け落ち後の先生達の仕打ちは、実に酷かったのだよ」
「…スイマセン…」「ごめんなさい――」
俺とささらは声を揃えてまーりゃん先輩にいった。
「あいつら、ママンを呼びやがって…。あの時の折檻はいつになく激しかった…」
まーりゃん先輩は怒りを籠めた独り言のように呟いていた。
「そういえば、雄二やタマ姉達は何も処分をうけなかったんですか?」
「うん、大丈夫だったよ。私がゆーりゃんやタマちゃんやこのみん達に無理やり手伝わせたってことにしたんだ」
「ま、まーりゃん先輩…。本当にありがとうございます…」
「ありがとう――――まーりゃん先輩」
「気にするな、ご両人。たしかに激しい折檻は受けたけど、ご両人の味方をしたことは全く後悔はしていないのだっ」
「「まーりゃん先輩…」」
そういった後、まーりゃん先輩は呟くようにいった。
「あたしは、さーりゃんやたかりゃんに幸せになって欲しかっただけ…」
やっぱりまーりゃん先輩は、なんだかんだでものすごい善人なんだと改めて思った。
「そうだそうだ、あたしだけじゃなくて、ご両人のご両親にも感謝感謝大感謝だぞっ」
「「えっ…?」」
まーりゃん先輩は声のトーンを落としていった。
「二人が南の離島で捕まってこっちまで戻されたとき、両親呼ばれてたでしょ?」
まーりゃん先輩は、確認するように俺達を一度見たあと、話を続けた。
「実はね、ほんとだったらさーりゃんもたかりゃんも退学が確定だったの。でも、二人の両親がどうしてもそれだけは、って先生達に頼み込んで、自宅謹慎だけで済んだの」
俺はその話をはじめて聞いた。二人とも言ってくれればよかったのに…。でも…いまさらだけど親父もお袋もありがとう…。
「二人とも、両親は大事にする。これ重要!」
ささらは、目に涙を溜めながら、うなずいていた。俺も、目頭が熱くなるのを感じつつも、まーりゃん先輩に向かってうなずいた。
「そういえば、駆け落ち中は毎夜毎夜、激しかったのかな?」
まーりゃん先輩はいきなりにやりとしてとんでもないことを聞いてきた。
「ちょっ、そんなことないですから!」
「――」
ささらは、だまって俺のほうをちらちらみてくる。
「さーりゃんの反応みると、相当だったんだな!?たかりゃん!」
「ちょっと、ささらもちゃんと否定してよ…。ね?俺達してないよね!?」
「え、ええ…」
ささらは若干俯き気味で気落ちしたように言った。そして、申し訳なさそうに言った。
「ごめんなさい、少し席をはずさせてもらうわ」
ささらは席をたち、トイレのほうに向かっていった。
そして、まーりゃん先輩が俺に言ってきた。
「はぁ、たかりゃんはやっぱり相変わらずたかりゃんだね…。ちょっとは乙女心ってのを考えろ〜ぃ」
「まーりゃん先輩はそんなこと言えた義理じゃありませんからっ!」
まーりゃん先輩はばつの悪そうな顔をしながら言った。
「うう…そうはっきりいわれると心が痛む…。」
そして、真剣な顔になってまーりゃん先輩は俺に言った。
「たかりゃん、今はさーりゃんの事すごい大事だって思ってるって分かる。さーりゃんもすごい幸せそう。だから…多分の話だけど…」
まーりゃん先輩はあたりを見渡して、ささらが戻ってきてないのを確認してから言った。
「たかりゃんの帰る日…さーりゃん、きっと何かしでかすと思うの。何かまではわからないけど…」
「俺もなんとなくそんな気はします。だけど…、もしそんな事になったら…」
俺はまーりゃん先輩に思わず問いかけた
「俺はどうすればいいんでしょうね?」
「それはたかりゃんが考えることで、あたしが考えることじゃない。さーりゃんとたかりゃんの関係に、あたし…もとい他の人が入る隙間なんてないの」
まーりゃん先輩の言葉が俺気持ちを一箇所にむけさせていくのを感じた。
「まーりゃん先輩…。ありがとうございます…」
「たかりゃん…」
まーりゃん先輩は、呟くようにいった。
「あの子…ほんとどうしようもないくらいバカだし、子供なんだけど…」
そして、微笑みながら言った。
「ちゃんと幸せにしてあげてね…?」
俺は、まーりゃん先輩の言葉に力強く返した。
「任せてくださいよ。俺が幸せにしないと思いますか?」
そう言った途端、いつものまーりゃん先輩に戻る。
「たかりゃんには前科があるのだよ?そんな偉そうなこと言ってもねぇ…」
ニヤニヤしているまーりゃん先輩に、俺は苦笑しながら答えた。
「再逮捕はされませんよ」
「二人ともなんの話をしているの?」
片手にいわゆるドリンクバーの野菜ジュースを持って、ささらが帰ってきた。
「いやー、さーりゃんとたかりゃんの未来のことについて、話し合っていたのだよ」
また誤解を招く言い方を…。ほら、ささらの顔がみるみるうちに赤くなっていってるじゃないか…。もう弁解する気もおきない俺だった。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 
いつの間にか、あたりは暗くなってきていた。
「もうこんな時間か…。一食だけで随分粘っちゃったみたいだね」
俺がそう言うと
「ふむ、じゃあ今からさーりゃんの家に帰ろうではないか!」
「そうですね…って何あがりこもうとしてるんですか!」
「その…うちは別にいいわよ?」
「ささらまで…」
「さすがさーりゃん!よし、出撃の準備をしたまへ!」
「そう言って、さも当然に俺に会計を払わせようとするんですね…」
「ギクッ…」
図星かい…。
「まさか、たかりゃんは女や子供にも払わせるつもりなの?」
「はいはい、わかってますよ。任せてくださいよ」
俺はもう投げやり気味で言った。
「貴明さん…私も払うわ。貴明さんばっかり、悪いし…」
「いやいや、ささらは気にしないで。これくらい大丈夫だからさ」
「でも…でも…やっぱり悪いわ」
こうなると、ささらはなかなか折れてくれない。
「さーりゃん、男ってのはここで奢らせないとうだつがあがらないのだよ。」
「ま、まぁそうなんだよ。だから…ね?」
そうささらに言い聞かせるように言った。
「…わかったわ…貴明さん、ありがとう…」
俺は微笑みながら会計を払い、ささらの家へ戻る。
そんな中、ささらがふっと言った。
「あの離島の人たちは元気かしら…日本に戻ったら夏休みにいけなかったから、行ってみたいわ…」
「そうだね。ささらが日本に戻ってきたらもう一度行ってみよう。すごくよくしてもらったし、手紙だけじゃ悪いね」
「そうね…絶対いきましょ…」
「ささらの行きたいところ…全部行こうよ」
「貴明さん、そんなこと行っちゃうとオオサンショウウオ獲りやクラゲ獲りにも付き合わせちゃうわよ?」
「どうぞどうぞ。ささら姫の御希望ならなんなりと…」
「ふふ、貴明さん、おかしいわ」
ささらはにっこり微笑んだ。俺も微笑み返した。
「日本に戻ったときは…お言葉に甘えて本当にお願いするわ」
「うん。でも、道案内はお願いしていいかな?」
「ええ、任せておいて」
まーりゃん先輩はずっと黙っていた。理由を聞いたらきっと理解不能な嘘を言うと思う。
けど…本当は俺達の事を思っているから…邪魔しちゃいけないって思っているから…。
…まーりゃん先輩は―――いつでも俺達の味方だから…。
 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 
ささらの家に戻ってから再び話はじめた、まーりゃん先輩・ささら・俺の3人。
そんななか、ささらのお母さんが帰ってきた。俺達は揃っておかえりなさい、と言う。
「ただいま、ささら、河野君…あら、まーりゃんちゃんも…」
「お邪魔してま〜す、おばさま」
「河野君と一緒に来た…ってわけじゃなさそうよね。いったいどうやってきたの?」
「ちょっと仕事の関係で…はは」
「あら、そうなの。まーりゃんちゃんさえ良かったら、夕食を一緒にどうかしら?」
「ではお言葉に甘えさせてもらっちゃおうかな…」
そう言って、結局今日は4人での夕食となった。
ささらのお母さんの話によると、いつも2人なので大勢での食事は久しぶりでうれしいらしい。それは、食事中の表情にもでていた。
そんな中、ふと思い出したようにささらのお母さんは言った。
「そういえば、ささら。明日は、折角のクリスマスだけどママは泊り込みの仕事ができちゃったの。だから、河野君と二人でラブラブしててね」
「たかりゃんもさーりゃんも、理性を保てるかな?」
「もう、ママもまーりゃん先輩もやめてよね」
ささらは顔を朱色に染める。
なんか、みんな言うことが大胆になってきたなぁ。あまり悪い気はしないけどね…。というか、【ラブラブする】なんていう動詞あるのか…?
そんなこんなで夕食も終わり、まーりゃん先輩はそろそろ帰ることを告げる。
「ごめんなさいね、こんな遅くまで」
「こちらこそ、ご馳走様でした」
ささらが別れを惜しむように言った。
「途中まで送っていくわ」
「うーん、でも夜のNYは物騒だからさーりゃん一人で夜道を歩かせるのはね。ってことでたかりゃんも強制連行なのだ」
「はいはい、お供いたしますよ」
こうくる思ってたよ。どうせ、俺達の時間を割くのは悪いとか腹んなかで思ってるんだろう。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
「明日は、遊びにこられないんだ。だから二人で楽しいクリスマスを過ごしたまへ」
まーりゃん先輩は別れ際にそういった。
「では、また会おう!諸君。ふはははは」
高笑いをあげて帰っていくまーりゃん先輩に、俺達はさよならの挨拶をした。
まーりゃん先輩が去り、俺達は帰路につく。そんな中、ささらが口を開いた。
「貴明さん、明日は折角のクリスマスなんだし…少し遠いけど、大きめの商店街に行かない?」
「俺はささらが行きたいっていうなら、どこだっていくよ」
「貴明さん…ありがとう…。私なんかのために、こんなによくしてくれて…」
「何急に言ってるんだよ。大好きなささらのためになんだから、当たり前だよ」
「貴明さん…。あり…が…と…」
そう言って泣き出すささらを俺は抱きしめた。
俺は…この弱弱しくて、儚くて、不確かで、曖昧で…そして大切な少女を絶対放さない。
そう、例え学校中を…否、全世界を敵に回すことになっても…。ささらを抱きしめながら決意した…。
そして、ささらが泣き止むまでずっと抱きしめていた。
 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 
 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 
帰宅後、ささらが風呂に入る。いつもどおり、ささらのお母さんが話しかけてくる。
「今年は河野君が居てくれて助かったわ。いつもクリスマスは仕事を入れないようにしてたんだけれど…今年はどうしても断れない仕事になっちゃってね」
「そうなんですか。お仕事頑張ってください」
「ふふ、ありがとう。明日はささらと一日、楽しんでね?」
「いやいやいや、あまり推奨するものじゃないですよね?」
「そうね…。河野君、だめよ?」
「一応は心得ていますけど…」
そういって苦笑いで返す。
「そういえば、まーりゃんちゃんのことだけど…」
思い出すように語るささらのお母さん。
「あの子も…多分河野君の次くらいにささらの事を思っていてくれてるわね」
「俺以上かもしれませんよ、まーりゃん先輩は。あの人がいなかったら、俺はささらに触れることはきっと出来ませんでしたから」
俺は一呼吸いれて、苦笑しながら言う。
「あの人には、いつも助けられてばっかりですよ」
そこでささらが風呂からでてきたので、俺は風呂に入りにいった。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
風呂から上がったあと、ささらと話していたが眠気が極限に達したので寝かせてもらうことに。
そして部屋へ向かう俺。
そういえば、ささらっていつも朝食作ってて大変そうだな。明日は…折角だし、俺がささらの起きる前にぱぱっと作っちゃうかな。
そう思い、こっちにきて始めての目覚ましのセットする俺。うーん、いつも起こされる2時間くらい前で大丈夫かな…。流石に大丈夫…だよな。
…っと、今日はまーりゃん先輩の魔の手から逃れるため、あの謎の装置の電源を切るのに成功。
よし、今日こそは安眠妨害を未然に防いだ…。
明日はクリスマス・イブか。ささらの言う大きめの商店街…楽しみだな。何かプレゼントしたいなぁ…。何がいいかな。
とりあえず、明日現地に行って決めるかな…。
今日はもう寝よう。
そう思い、俺は眠りについた。
144名無しさんだよもん:2006/01/01(日) 15:14:50 ID:uTipRd0T0
ふぃ、スレ汚しスマソ…。
前回に指摘うけたところは極力注意したつもりですが…。
やはり一行に字を詰め込みすぎたなorz
では、失礼しました
|ミ
145120:2006/01/01(日) 16:10:18 ID:BsjV4f2X0
>>144
乙です!
たまに長い行があるからそこを適度に切ればよいかも。
中身に関しては激しくGJと言いたい。

年越しSSの方、さっき最後まで終わりました。
長引かせすぎた…もう夕方だしorz
146名無しさんだよもん:2006/01/01(日) 16:32:09 ID:FSpHWurf0
147130:2006/01/01(日) 17:49:53 ID:oJGhHOoj0
『些細な〜』は7でとまってるのか。。。
よかった::
>131
もちチェックしたさ。で、あせったわけで。
htmlのはなんかみれなかったんだよ・・・
だが、新年早々スレ汚しスマン
148名無しさんだよもん:2006/01/01(日) 18:09:00 ID:o9EQzX4T0
姫初めSSキボン
149名無しさんだよもん:2006/01/01(日) 18:52:45 ID:JbaC/1e10
タカ棒一人の姫初めか
150些細なすれ違い 大きな勘違い 8話ー1:2006/01/01(日) 19:14:08 ID:zyc0qFWQ0
階段を上がる。貴明さんに気付かれないように、音を出さないで。
半年振りの、貴明さんの部屋。出来れば、もっと違った気持ちで訪れたかった。
「すー…はー…」
大きく深呼吸してから、思い切ってドアを開ける。
「あれ…?」
誰もいない。トイレにでも行っているのだろうか?いや、階下に人の気配はしなかったはず。
なら、どこかに出かけたのか。そう思いながら部屋を見渡すと、前に訪れたときより、遥かに整理されていることに気が付いた。
立つ鳥、後を濁さず。そんな言葉が、頭に浮かぶ…まさかっ!?
貴明さんの机に駆け寄ると、そこにはこう書かれた紙が置いてあった。
―遺言状―
あまりのことに崩れ落ちそうになるが、必死に耐えてそれを読む。

『父さん、母さん、先立つ不孝をお許しください。
そして、お世話になった方々に、深く感謝申し上げます。
僕は、自分でいることに疲れました。自分の成長の無さ、情けなさにあきれ果て、
疲れ果てました。このまま生きていても周りの人に迷惑をかけるだけだと思い、
私は死を選びました。皆様、どうか、私の分も長生きしてください』

読み終わって机に戻そうとしたとき、さらに何枚かの紙があることに気付く。
そのうちの一つには、ささらへ、と書いてあった。
151些細なすれ違い 大きな勘違い 8話ー2:2006/01/01(日) 19:15:47 ID:zyc0qFWQ0
『ささら、ごめん。もう、ささらに合わせる顔が無い。
きっと、ささらは俺の死を悲しんでしまうと思う。でも、ささらは素敵な人だから、
俺よりいい人がすぐに見つかる。俺のような情けないやつじゃなくて、
もっといい人を見つけて、幸せになって欲しい。今まで、ありがとう』

「貴明さん……」
このまま泣き崩れてしまいたかったが、そんなことをしている場合ではない。
貴明さんを探して、なんとしても説得しなくては!このみちゃんがここを出てから、
私が来るまでせいぜい20分ぐらい。まだ遠くへは行っていないはず。それに、
貴明さんの行く場所は大体予想が付いていた。この手紙を読む限り、貴明さんはまだ私のことを好きでいてくれている。
なら、あの場所しかありえない。もし違っていたら、私たちの絆もそのぐらいでしか無かったということだ。
「すぐにでも出発したいけど…」
一応このみちゃんと環さんにも状況を説明しておいたほうがいいだろう。
遺言状とこのみちゃん、向坂君、環さんあての手紙を持って、貴明さんの家を出た。


「これで、この街も見納めか…」
そう思うと、何気ない町並み、店、街路樹など全てが感慨深く思える。
せめて、街に最後の別れをしようと周ってよかった。これで、心置きなくこの世を去れる。
「思えば、いろんな人に迷惑かけたよなぁ…」
ささらのことはもちろん、それ以外でも人に迷惑をかけ続けて生きてきた気がする。
自分自身は人を助けてやることもせずに。そうやってだらだらと生きていた報いが、
今回のことだったのかもしれない。
152些細なすれ違い 大きな勘違い 8話ー3:2006/01/01(日) 19:18:14 ID:zyc0qFWQ0
「でも、こうすれば皆に迷惑かけなくて済むからな…」
正確には、これから先迷惑をかけることが無くなる、というべきか。
みんな居なくなった俺を探すだろうし、俺がこの世を去ることで悲しんでくれる人も少なからず居るだろうから。
でも、それは結局一過性のものだ。俺がこれから生き続けるとしたら、
それに勝る迷惑をみんなにかけることになる。悲しみは、時間が忘れさせてくれる。
俺の決断が遅くなれば遅くなるほど、皆に与える悲しみは大きくなる。
これほど早く決断できたのは、俺の生涯に今まで無い。それだけ、俺が目をつぶってきた、
他人へかけた迷惑が大きいものなのだ。それに気付いた以上、死ぬしかない。
「こんなときに、普通は泣くのかな…」
不思議と涙は出なかった。あるいは、ささらとのことで一生分泣いてしまったのかもしれない。
一通り街を歩いた後、駅に向かう。やはり、最後の場所はあそこしかないだろう。


「久しぶりだな…」
半年振りに来た、小さな港町。ささらとの駆け落ちのときに寄った場所だ。
ここの岬から見る夕焼けは本当に素晴らしく、ささらと『また、一緒に見ようね』と
約束をした場所でもある。俺は、その岬から身を投げるつもりだった。
かなりの高さだし、この季節だ。助かる見込みはゼロだろう。
153些細なすれ違い 大きな勘違い 8話ー4:2006/01/01(日) 19:19:07 ID:zyc0qFWQ0
「お、あの時のあんちゃんじゃないか」
「あ、その節はどうも」
俺に親しげに話してくるこの小父さんは、俺とささらがここに滞在しているとき
お世話になった人だ。金のない俺たちを、親切に2日も泊めてくれた。
「今回は1人かい?」
「ええ、振られちゃって」
明るくそう切り返す。もう、胸が痛むことはなくなっていた。どうせ、
これから死んでいく身。いくらでも道化を演じられる。
「ま、若いうちはいろいろあるわな。家に寄ってきな」
「え、でも…」
「ちっと遅いが、昼飯ご馳走するぞ。もう昼飯食っちまったか?」
「いえ、まだですけど…」
もう3時になるが、まだ今日は何も食べていない。言われて、空腹に気付いた。
「ならちょうどいい。前来たときは初夏だったからな。前とは一味違う魚をご馳走するぜ。
あれから何があったのか、いろいろ聞きたいしな」
「じゃあお言葉に甘えて…」
変な具合になってしまったが、仕方ない。お世話になった人だけに、無下に断るのもためらわれた。
154些細なすれ違い 大きな勘違い 8話ー5:2006/01/01(日) 19:20:34 ID:zyc0qFWQ0
「ここ、久しぶり…」
貴明さんと駆け落ちしたときに、2日ちょっと立ち寄った場所。
ここの岬から見る夕焼けは絶景だった。駆け落ちしている最中、私たちは一つだけ約束をした。
一緒に、この夕焼けを見ようという約束。私が貴明さんならここに来る。
だから、貴明さんもここに居るはずだ。
「あら、あのときのお嬢さんじゃないかね?」
「お久しぶりです」
「あら、あの男の子はおらんのかい?」
「ええ、ちょっと用事があって」
というのは無論嘘だが、ここで本当のことを言っても話が大きくなるばかりだ。
散々人に迷惑をかけた、あの駆け落ち。あのときのように、多くの人に迷惑をかけたくはない。
「それなら、家に寄っていきなさい。いろいろ、話を聞かせておくれ」
「…ええ、分かりました」
本当は急いで貴明さんを探したいけれど、あの時お世話になっただけに断るわけ
にも行かない。それに、まだ夕陽は出ていないから、時間的に余裕はある。
夕陽の見える時間に、あそこに行けばいい。


「相変わらず綺麗な夕焼けだな…」
そう言いながら靴を脱ぐ。飛び降りのときには、みんな靴を脱ぐという。今、何となく
その心境が分かった。神聖な場所に行くという意識がある。
そういうところに、土足で行くのは抵抗があるのだろう。
155些細なすれ違い 大きな勘違い 8話ー6:2006/01/01(日) 19:22:39 ID:zyc0qFWQ0
「学生証は持ったし、手荷物はここに置いて…と」
手荷物を置いたのは、ここで俺が落ちたと人目で分かるように。学生証を持ったのは、
遺体が俺だと分かるように。遺体の捜索にまで、人に迷惑をかけるわけにはいかない。
俺が駆け落ちのときここに来たのは、両親もタマ姉たちも知っている。それを考えると、
見つけけれるまで時間はかからないだろう。お世話になった小父さんも、俺がここに来たことは証言できるだろうし。
これで、全て終わった。後は、飛び降りるだけだ。
「貴明さん、捕まえた」
「…!ささら!?」


「どうしてここに?って言いたげね」
「あ、ああ…」
「貴明さんの、誤解を解くため。そのために、1人でここまで来たの。偉いでしょ」
ちょっと冗談めかして胸を張ってみる。あまりに緊張しすぎて、
こうでもしないとまともに会話が出来そうにない。
「やっぱり、誤解だったのか…でも、誤解でもそうでもなくても、それはもう問題じゃない」
「どうして?貴明さん、まだ私のこと好き…だよね?」
「うん、好きだよ。ささらには、また辛い思いをさせちゃうけど…
今のささらなら、それを乗り越えられるから。俺よりもっといい人を見つけて欲しい」
貴明さんは、何でそんなことを言うのだろう。私のことを一番に考えているつもりで、
私のことを全く考えていない。確かに、貴明さんは私のことを一番に考えて、その結論を出したのだろう。
でも、そこに私の気持ちは入っていない。貴明さんが自分で考えて出した結論だ。
私の気持ちを考えるんじゃなくて、私自身に聞いて欲しkった。
156些細なすれ違い 大きな勘違い 8話ー7:2006/01/01(日) 19:24:03 ID:zyc0qFWQ0
「…いや」
「え?」
「貴明さんがそこから飛び降りるなら、私も飛び降りる!」
「え!?ささら、それは駄目だ!ささらには、幸せになって欲しい。今まで不幸続きだったかもしれないけど、
今のささらには、沢山の幸せが待ってるじゃないか!」
「いや!貴明さんが居ない未来なんて必要ない!!そんな未来なんかいらない!
貴明さんがどうしても死ぬって言うなら、私も死ぬ!」
「ささら…」
「貴明さんがどういう人かなんて関係ない!私には、貴明さん以上にいい人なんて居ない!
貴明さんより頭がいい人、かっこいい人、性格がいい人、運動が出来る人はいるかもしれない。
でも、私が好きになったのは貴明さんなんだから!貴明さん以外の誰でもないんだから!」
私の叫び声に、貴明さんはひるんだ。何か、考えてるみたいだ。これで、思いとどまってくれたら…そう、願う。
「………俺、あの時と、同じ間違いを…」
貴明さんは、小さく何か呟いたて、その場に崩れ落ちた。
「貴明さん!…きゃ!?」
あわてて近づこうとして、バランスを崩す。この岬には、手すりが無い。
本当は、入っちゃいけない場所だから。私の体は、ゆっくり海に向かって…
「ささら!」
落ちそうになる私の体を、貴明さんが抱きとめる。でも、勢いは止まらない。
そのまま、海へと落ちていく。
「ささら、何があってもささらだけは助けるからな!」
落ちていく中、貴明さんのそんな叫び声が聞こえた。それを最後に、私は意識を失った。
157 【大吉】 【1758円】 :2006/01/01(日) 19:25:05 ID:RkMuDzDo0
>>149
それ何てちんこ音頭?
158些細なすれ違い 大きな勘違い 作者:2006/01/01(日) 19:27:14 ID:zyc0qFWQ0
8−6の欲しkったは欲しかったの誤字です。まずは誤字訂正。

新年1月1日から暗い話で申し訳ないです。これで終わり…というわけでは無論ないです。
毎回次話の予告をしてきましたが、今回は次回予告無しで。
一応、次か次の次で最終話になると思います。ここまで読んでくださった方、もう少しお付き合いください。
今回は話が結構荒い感じがしております。ご感想、ご批評是非是非ください。
よろしくお願いします。
159名無しさんだよもん:2006/01/01(日) 19:33:19 ID:qhOKlMgg0
新年早々すげえなw
ギャグとしちゃ一級品だが、もし作者本人がシリアスのつもりで書いてるなら
それ自体が大きな勘違いだと思う。
160名無しさんだよもん:2006/01/01(日) 20:15:29 ID:e1CkTRsE0
>158
頑張って
161名無しさんだよもん:2006/01/01(日) 20:40:52 ID:uTipRd0T0
>>158
くぅ、相変わらずいいSS書きますね…。
同じささらのSS書く身であるのが悪いようです;
もう少しで最終回ですか…。
楽しみなんですが、終わって欲しくないという
微妙な心境です。
でも、やっぱり楽しみにしてます!
162名無しさんだよもん:2006/01/01(日) 22:10:35 ID:mxGE4Ooe0
>>158
は神。頑張ってくださいな(*´ー`)
163中の人:2006/01/02(月) 00:38:49 ID:ME7w12nY0
今年もよろしくお願いします。中の人です。
BrownishStormの23話が出来上がりました。

[ ttp://hmx-17b.hp.infoseek.co.jp/milfa.htm ]
グダグダとしはじめた展開に何とか渇を入れられる展開にできそうなのでこれからもよろしく。
そろそろシルファ出さないとなぁ…
164名無しさんだよもん:2006/01/02(月) 02:32:56 ID:qax1P6se0
>>158
続きが凄い気になるしGJ!だと思ったんですが、俺も今回はギャグかと思った。
遺言書って唐突に何書いて実行してるんだと画面に向かってつっこんでしまいましたよ。
ヘタレって言うよりおかしいぞ、貴明。
165名無しさんだよもん:2006/01/02(月) 03:36:06 ID:Z0qE1V5E0
>>163

できれば登場させるのはミルファだけにして欲しいなあ・・・
166名無しさんだよもん:2006/01/02(月) 09:27:26 ID:9J0Ja00R0
>>165
sageろよバカ
167名無しさんだよもん:2006/01/02(月) 15:44:07 ID:9BuwGlfU0
わざわざメ欄に文句書くアフォって何がしたいんだ?
168名無しさんだよもん:2006/01/02(月) 16:32:04 ID:Q3Gk/sKZ0
半可通ぶりたいのではないかと
169名無しさんだよもん:2006/01/02(月) 17:39:45 ID:a1u6CxUUO
しかもなんか偉そうだしな…
170名無しさんだよもん:2006/01/02(月) 17:56:32 ID:+VEf6hGU0
スルーすればいいと思うよ?
171名無しさんだよもん:2006/01/02(月) 18:00:38 ID:uXEd4Khn0
>>163
乙です!
ミルファ可愛いよミルファ。策士だなイルファさんw


シルファSSもどこかにあったら読んでみたいが見たことないな。
172名無しさんだよもん:2006/01/02(月) 18:27:09 ID:QpqZoV3U0
>>158
いきなり遺言状とか出てきて正直ギャグかとおもた

あとまえふり長い
173名無しさんだよもん:2006/01/02(月) 18:45:31 ID:+VEf6hGU0
>>171
見たことあるけどドコで見たかは忘れた
174名無しさんだよもん:2006/01/02(月) 19:26:22 ID:FsabPF2l0
>>171
ttp://ikn.nobody.jp/
ToHeart2 SSの書庫のリンク集にこのサイトは載ってるぞ
個人的にはこの作者のSSはいいな・・・
175名無しさんだよもん:2006/01/02(月) 19:44:33 ID:uXEd4Khn0
>>174
サンクス。最近チェックしてなかったな。
この前の郁乃SSもここの人だったのね。
176 ◆2tK.Ocgon2 :2006/01/02(月) 22:50:15 ID:9C15Zcr70
鳩2SSスレの皆様、新年あけおめ。
書庫のほうは、需要のある限りは更新しようと思うんで、どうぞ今年も生暖かく(ry。

>>147
>htmlのはなんかみれなかったんだよ・・・
気になるんで、よかったら詳細を。
177名無しさんだよもん:2006/01/02(月) 23:17:16 ID:V1Czg/X20
あけましておめでとうございます。
前回の草壁さんSSの続きが完成しましたので、投稿させていただきます。
お読みいただければ幸いです。

ttp://ikn.nobody.jp/yuuki02.html

>>174さんの方で大元のアドを紹介していただいちゃってますね。
どうもありがとうございます。
重複のようになってしまい不快に思う方いましたらどうかご容赦ください。
178名無しさんだよもん:2006/01/02(月) 23:19:08 ID:9FGf94+P0
>176
 あけもめことよろで乙

 147はただの言い訳小僧だから気にスンナ。


>174
 Story"S"については さく〜しゃタンが反応怖がってあまり大っぴらにしてくれるなと
(もう消えてるが)TOPに書いてたからほどほどにな。
 ※オリキャラだすな厨が湧くからな…
179名無しさんだよもん:2006/01/02(月) 23:43:42 ID:J6OCxUCd0
>>177
ことよろ乙乙。

正月に良きものを拝見させていただきました多謝ですです。


しかしタカ坊が草壁さんを名前で呼ぶのって、何がきっかけになるんでしょうねえ・・・(妄想
180名無しさんだよもん:2006/01/03(火) 00:08:44 ID:lhkxeiSF0
    いつも一緒にいたかった。
    隣で笑ってたかった。
    季節はまだ変わるのに、心だけ立ち止まったまま。

 窓を開けて、タカくんの家の方をじっと見ている。
 もうすぐ夏だというのに、私は凍えそうなぐらい寒い。
 タカくんの家のドアを、あの人がまたノックする。
 笑顔のタカくんが彼女を迎える。
 心が痛い。

    あなたの居ない右側に、少し離れたつもりで居たのに。
    どうして、こんなに涙が出るの。
    もう、叶わない思いなら、あなたを忘れる勇気だけ。欲しいよ……。

 私はカーテンを閉め、ベットに体を投げ出した。
 止めようとしても、涙が止まらない。
 タカくんの妹みたいにこれからも側にいることは出来るかも知れない。
 でも、そんなのつらいよ。 タカくんがあの人に優しく微笑む姿を見続けるなんて。

     こんな日が来ると思わなかった。瞬きもしないであなたを胸に焼き付けてた。
     恋しくて……

   ”T”
181名無しさんだよもん:2006/01/03(火) 00:09:39 ID:SkAOU4Aa0
>>180
。゚(゚´Д`゚)゚。
182名無しさんだよもん:2006/01/03(火) 00:10:09 ID:lhkxeiSF0
とあるグループのとある曲と、他ヒロインエンドを迎えた場合のこのみをダブらせてみました。
183名無しさんだよもん:2006/01/03(火) 00:16:35 ID:6ZG2orJP0
>>182
お前wwwwwwwww
184名無しさんだよもん:2006/01/03(火) 00:35:48 ID:rPpppzi50
>182
 改めて書かれるとキッツイなぁ…
 でも どうしようもないんだよな。恋は戦争だから。
185名無しさんだよもん:2006/01/03(火) 01:05:05 ID:lSs72KBs0
>>180
切なすぎる。・゚・(ノД`)・゚・。
186名無しさんだよもん:2006/01/03(火) 01:08:33 ID:rNeJXVxl0
>>180
まじで泣きそうになった。
187名無しさんだよもん:2006/01/03(火) 10:58:39 ID:QU7cSZbIO
黒化への布石か?
188名無しさんだよもん:2006/01/03(火) 13:32:40 ID:nE2E3oQo0
このみさんのためにノコギリ置いときますね
  ____ 
  {l,、,、,、,、l|l===
189名無しさんだよもん:2006/01/03(火) 15:01:57 ID:811rwJOy0
>>188
ヤ、ヤメロ〜!!!
190名無しさんだよもん:2006/01/03(火) 15:10:18 ID:/3gFKOna0
りゅうおうたん…
191名無しさんだよもん:2006/01/03(火) 15:48:39 ID:geu/WwBmO
バカね……本当にバカ
192名無しさんだよもん:2006/01/03(火) 17:25:20 ID:lSs72KBs0
>>188
このみ×ノコギリ

我ガ名ハりゅうおうたん
コンゴトモ ヨロシク…


(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
193名無しさんだよもん:2006/01/03(火) 18:19:38 ID:lhkxeiSF0
時々でいいですから、目立たないメインヒロインのことも思い出してあげてください。
194名無しさんだよもん:2006/01/03(火) 18:51:54 ID:Y4YvOaL80
今の流れ捕まえてそういうこというか?
195名無しさんだよもん:2006/01/03(火) 20:06:39 ID:TDWmbVog0
週刊「河野家」の新年第一号マダー?
196名無しさんだよもん:2006/01/03(火) 20:08:46 ID:brouUCBj0
197名無しさんだよもん:2006/01/03(火) 23:31:51 ID:QU7cSZbIO
よっち「…先輩、ぼーっとして、どうしたんですか?」
貴明「いや……、色々在ったなと思って、ね…。」
よっち「そう、っすね…。」
そう言って、ちょこんと俺の隣に座った彼女がいとおしく、その体をギュッと抱きしめる。
突然の事で最初は体をこわばらせていたよっちも次第に身を委ねてくれた。
よっち「…先輩…、お願いが、あります…。」
貴明「…うん。」
よっち「このみの、事です。
その…このみに、このみには…私達の事、ちゃんと伝えなきゃダメだと思うんです…。
私、先輩の事…大好きっす。でも、このみの事も先輩と同じくらい大好きで…。その、自分勝手なのは…分かってるっす。でも、このみには私達の事、ひっく…ううっ…」
俺の胸に顔を埋めたまま涙を流すよっち。言葉にならない想いが涙を通してこころに直に伝わる…。
もう一度、今度は包みこむ様に彼女を抱きしめる。
彼女の苦しみが少しでも和らぎますようにと―――
198名無しさんだよもん:2006/01/03(火) 23:48:06 ID:fZc3262c0
>197
ちょ、続きは?
199名無しさんだよもん:2006/01/04(水) 00:07:41 ID:FRA1oPkaO
貴明「はい、俺特製ブレンドコーヒー。」
ひとしきり泣き、落ち着いたよっちに温かいコーヒーを煎れる。
彼女の笑顔が見たくてわざとおどけてみたりもする。
よっち「くすっ…、あ、う…すみません…。」
彼女の笑顔が見れ、自然と俺の口から笑みが溢れる。
そんな俺を見て、彼女もまた微笑む。
先刻までの暗い空気はどこにも無かった。
優しい沈黙が二人の間に流れる。
そして二人のカップの底が見えそうになった時に俺は考えていた事を口にする。
貴明「…今度の日曜は時間ある?」
よっち「はい、大丈夫っす!」
貴明「じゃあ、このみの所に行こう…。
俺も、このみには俺たちの事、認めてもらいたいから…。」
200名無しさんだよもん:2006/01/04(水) 00:08:15 ID:mj90YD2V0
よっち「……やっぱり、恐い」
貴明「大丈夫、このみならわかってくれる」
俺とよっちは柚原家の前に立っている。
このみに全てを打ち明けなければ。
恨まれるなら俺だけでいい。願わくば、よっちとこのみの友情を壊さずにすませたい。
俺の背中にしっかりとしがみついているよっちは少し震えていた。
ピンポーン
春夏「こ、このみ!?」
ドアホン越しに聞こえたのは春夏さんの声だった。
だが、様子がおかしい。
貴明「俺です」
春夏「タカくん? あのね、このみが……このみが!」
玄関から飛び出してきた春夏さんの顔色は真っ青で、その手に握られていた紙切れはくしゃくしゃに握りつぶされ形を失っていた。
春夏「タカくん……これ」
春夏さんに渡された紙切れを開くと、そこにはこのみの字で書かれた家族への別れの言葉が綴られていた。
そして、もう2通の未開封の封筒。
俺達はそれを受け取り言葉を失った。

それから数日後、このみは無言の帰宅を遂げた。
小さかったこのみは、さらに小さく、小さな箱の中に納まってしまった。
よっちはなにも言わなかった。 いや、何も言えなかったんだろう。
柚原家はその後、遠くへ引っ越していった。
俺は、こうして部屋から誰も居なくなった柚原家の庭をじっと見つめている。
自分の罪を忘れないために。
201名無しさんだよもん:2006/01/04(水) 00:17:30 ID:b9IwVAcDO
>>200
新しい黒このみ?
202名無しさんだよもん:2006/01/04(水) 00:18:42 ID:vq2lWkj70
>>180からの流れで次にどんなSSが来るかなんとなく分かってたけどorz
このみ好きな俺としては…。・゚・(ノД`)・゚・。

まぁなんにせよGJ!お疲れさん
203名無しさんだよもん:2006/01/04(水) 00:37:57 ID:mj90YD2V0
他のどのヒロインとくっついても、このみは自ら命を絶つパターンへ。
204名無しさんだよもん:2006/01/04(水) 00:48:32 ID:FRA1oPkaO
―――そして、その日を迎えた。
一旦、俺の家に集まり二人して身支度を整える。
貴明「準備はいい?」
よっち「…はいっす。」
調度、家の前で車の停まる音がした。
貴明「来たみたいだな。じゃあ、行こう…。」
彼女を先に出し、家の鍵を閉め、タクシーに乗り込む。
十数分後、目的地に辿り着く。
小高い丘の上…。俺たちの住む町が一望できる小さな霊園。
俺達は意を決して足を踏みいれる。
柚原家の墓はこの霊園の一番奥にある、らしい。
大体の場所は親から聞いていたので迷わずに行けそうだった。
貴明「えと、こっちか…あっ…。」
このみの墓の前に何人かの人が入るのに気付き、足を止める。
環「…!?タカ坊。」
雄二「貴明…。」
――タマ姉と雄二。そっか、二人は休みの日はこうしてこのみの墓参りに来てくれていたんだ。
意気地の無い俺に代わって、こうしていつもいつも…。
雄二「貴明!お前どの面下げて…」
環「雄二っ、止めなさい!!
…タカ坊、私は…いいえ、私達は貴方を、許さない…。
このみをこんな目に遭わせた貴方達を決して…許せない。」
そう言って非難混じりの視線を向けたまま、こちらへ歩いてくる。
205名無しさんだよもん:2006/01/04(水) 00:54:41 ID:FRA1oPkaO
まったりうpてたら先読みされてるしorz

ノコギリあたりからもわもわと浮かんできた妄想を書いてみますた。
黒?おkなら後日続きを書きます。
ノープラン+携帯からだから時間かかるのはカソベソです。
206河野ささら2○歳:2006/01/04(水) 01:04:17 ID:9O1Z29Hs0
放課後、愛しいささらに会うため生徒会室に直行する貴明
意気揚々と扉を開けるとそこには・・・
イスに縛られたささらと黄色い人と自称永遠の14歳が
「あなたはだんだん眠くな〜る」
「・・ん・・・」
「さ・・・笹森さん?まーりゃん先輩?」
「しっ、たかりゃん静かに」
「・・・ナニやってるのかな?」
「いいからいいから」
「なにがいいからですか!ささらになにするつもりですか!」
「大声出さないの!」
慣れた手つきで手足を縛り猿ぐつわを噛ませてくる
「ふがー!ふがふぐわぁ」
「さっ、今の内に」
「あなたは今から10年後の自分にな〜る」
「ん・・・んぁ・・・」
「ハイッ!」
ぱん!と手をたたいてささらの目を覚ます。そして拘束していた紐を外す
「んん・・・」
「じゃっ、失礼しまーす」
素早く去って行く花梨
同時に貴明の拘束も開放するまーりゃん先輩、そしてささらの目線がハッキリしてくる
207河野ささら2○歳:2006/01/04(水) 01:04:49 ID:9O1Z29Hs0
「あら・・・ここは・・・」
恐る恐る尋ねる貴明
「さ、ささらさん?」
「あら、あなた。なんでこんなところに?」
「あなた??」
思わず困惑する
「ここって私たちの思い出の場所じゃない、しかもあなた学生服で・・・ってあら、私も?」
「あなたって、俺?」
「そう、あなた。愛しの妻の顔を忘れたとでもいうつもり?」
ちょっと拗ねた顔で言ってくるささら
「ええええええええええええぇぇぇぇぇぇ!!!!」
あまりの衝撃の事実に尻餅をついてしまう
「それにしても懐かしいわねここ」
しきりに懐かしがるささらに真っ白になった貴明は尋ねる
「な、なにかあったっけ?」
すると急にささらは顔を赤らめながらモジモジしだして
「だってここ・・・私とあなたが初めて・・・」
「わー!わー!わぁぁぁぁぁぁぁーーー!!!」
貴明は瞬時に理解した
そこで、いままで部屋の隅っこにいたまーりゃん先輩が出張ってくる
「ほっほ〜う、キミはここでさ−りゃんと・・・」
「違います!違うんですって!」
必死に誤魔化そうとする貴明
「そうねぇ、あの時は・・・ムグッ」
「ささらも何言ってんの!」
ささらの口を手で塞ぐ
「む〜む〜、ぷはっ」
程ほどで離してやる
208名無しさんだよもん:2006/01/04(水) 01:05:45 ID:I33gI7d80
あれ?このみが死んだのって貴明のせいなの?
209河野ささら2○歳:2006/01/04(水) 01:06:51 ID:9O1Z29Hs0
「さて、そろそろ仕事の時間だし。この辺でお開きにしますかぁ」
まーりゃん先輩は貴明の頭を後ろから強く押す
「あっ・・・ん」
貴明の唇がささらの唇に押し付けられる、目を見開く両人
これで目が覚めるかと思いきや・・・すぐにささらの目がトロンとしたものになる
「んむっ!ん・・・・んん」
しだいにささらが積極的になってくる、一旦体を離す
「ぷはっ、・・・・さっ、ささら?」
「あなたぁ、ねぇ・・・もっとぉ・・・・」
妙に熱っぽい視線、明らかに様子が変である
210河野ささら2○歳:2006/01/04(水) 01:07:31 ID:9O1Z29Hs0
「ありゃー、目が覚めるかと思ったんだけど精神が大人だから免疫ついてたか」
「のんきに言ってないでなんとかしてください!」
「しかも変なスイッチ入ってるみたいだし」
「先輩!!」
出口にスタスタ歩いていくまーりゃん先輩
「アタシにできる事はただ一つ、この校舎から人気を排除する事だ」
「ちょっ!なに言ってるんですか」
「タカりゃん」
「ハイ」
「Good Luck!」
ビシッと親指を立てて走り去る
「そ、そんな〜」
閉められた出入り口を呆然と見つめる
「あなた・・・」
「さ・・・ささら・・・・」
「なんだか、ここにいたら思い出しちゃって」
「いや、あのまだ夕方ですし、それにここ学校・・・」
「・・・・いじわる」
頬を膨らませて拗ねるように言う
「ねぇ、してくれないの・・・・?」
あまりのかわいいしぐさに今度はこっちが我慢できなくなる
「う、う、う」
「どうしたの?あ・な・た」
「うぉぉぉぉぉぉ!!!」
「キャー♪」


その後、数回したあと無事ささらは元通りになりましたとさ。チャンチャン
211名無しさんだよもん:2006/01/04(水) 01:10:19 ID:9O1Z29Hs0
正直スマン、途中からすこし適当になってる
ネタのつもりでやった、反省してます
でもスッキリした
212名無しさんだよもん:2006/01/04(水) 01:16:42 ID:fQ43ztdk0
                  ∩
                  ( ⌒)      ∩_ _ GJ!
                 /,. ノ      i .,,E)
             / /"      / /"
  _n  GJ!     / / _、_   ,/ ノ'
 ( l     _、 _   / / ,_ノ` )/ / _、_   GJ!!
  \ \ ( <_,` )(       / ( ,_ノ` )     n
   ヽ___ ̄ ̄ ノ ヽ      |  ̄     \    ( E)
     /    /   \    ヽ フ    / ヽ ヽ_//
213名無しさんだよもん:2006/01/04(水) 01:25:01 ID:mj90YD2V0
>>205
うわ……ほんとに死ぬ話だったんだ(w

まあ、>>200書いといてなんだけど、
貴明が別のヒロインに流れたら、流した涙を踏み越えて
魅力的な女の子にステップアップするこのみの話とか、
誰か書いてくれないかなぁと思ったりね。
214名無しさんだよもん:2006/01/04(水) 01:44:04 ID:nz5XA1Y3O
>>205
早く続きをw
しかし携帯からとはすごいな…GJ!

>>210
ささら可愛いよささら(*´∀`)
幼児退行でなく未来とは読めんかった。完全にやられた。
215名無しさんだよもん:2006/01/04(水) 01:51:44 ID:hozaw49N0
ささらルートのこのみだったら、きっと分かってくれると思う。
「もう幸せになるしかないんだよ、タカくん。このみやたまおねえちゃんの(ry」
とか宝探しの前日に言ってくれるし…。(若干違ったかもしれない。
216名無しさんだよもん:2006/01/04(水) 01:53:48 ID:UpAxoPp40
このみは、貴坊の相手が強大であればあるほど
なんかイイ女に成長しそうな気がする
由真とか花梨だと、案外現状維持かもしれんが
217名無しさんだよもん:2006/01/04(水) 04:08:50 ID:CYHgaFEo0
>>200

「えへー。小さな箱に閉じこもって天岩戸作戦を決行中なのでありますよ」
「るー。メシだ。食え」
「感謝でありますよ」
「しかし、この箱は狭いな」
「わざわざお付き合い頂かなくても大丈夫なのでありますよ」
「気にするな。うーの観察くらい、るーは立派に果たして見せる」
「ところで食事はどこから出てきたのでありますか?」
「るーの力は偉大だ。るーに任せろ」
「えへー。頼もしいでありますよ」


「で? 機嫌が直るまでこのみは出てこないって訳か」
「全く、あの子も仕方ないわね」
「しっかし春香さんも豪快というか何と言うか」
「『るーこちゃんが付いてるなら安心ね』って言い残して叔父様と旅行なんてね……。
ま、このみ達を信頼しているって事でもあるんでしょうけど」
218名無しさんだよもん:2006/01/04(水) 04:10:36 ID:CYHgaFEo0
名前間違ったので春夏さんに折檻されてくる
219名無しさんだよもん:2006/01/04(水) 04:17:58 ID:mj90YD2V0
>>217
ワロタ
この方が救いがあっていいなw

キャラが死ぬ話は書いてるときも書いた後もしばらく気持ちが滅入っちまう。
なら、書くなと言われればそれまでだが。
220名無しさんだよもん:2006/01/04(水) 09:18:44 ID:2CyWDS0R0
>>217
おれもこっちの方がいいな。
何事に対しても前向きなのがこのみらしいつーか。
221名無しさんだよもん:2006/01/04(水) 10:30:15 ID:FRA1oPkaO
環「…もうすぐおばさま達が来るわ。用件を済まして早く帰りなさい…。」
それだけ言うとタマ姉は雄二を連れて出口の方へ歩いて行った。
タマ姉と雄二に心の中でお礼と別れを告げた。
恐らく、あの二人とはもう昔の様に接する事はないだろう…。
よっち「……先輩。」
貴明「大丈夫だよ。それより…ほらっ、このみに言いたい事があってココに来たんだろ?」
よっち「は、はいっ!
………このみ、来るの遅くなっちゃって、ゴメンね…。えっと…ちゃるもこのみがいなくなってすごく寂しいって。で、その…えっと…今、私、先輩と付き合ってるよ。今日はその事をこのみに伝えたくて……―――」
ぽつり…ぽつりと、自分に言い聞かせるかの様に話していくよっち。
そして話し終え、二人で買ってきた花を墓前に添えようとした時、
春夏「……何しに…来たの……。」
貴明「えっ…!?は、春夏…さん。
その、俺たち、このみに…」
春夏「帰って!!あの子の葬式にも来なかったのに今頃!!帰ってよ!!!これ以上このみを苦しめないでっ!!!」
よっち「おばさん…私、その…」
春夏「帰れッッ!帰れ帰れ帰れーッ!!うぅ…ぁぅぅ…この…みぃ…このみぃ…」
222名無しさんだよもん:2006/01/04(水) 10:45:40 ID:FRA1oPkaO
俺たちの目の前で泣き崩れる春夏さん。
そこに騒ぎを聞き付けたおじさんがやって来る。
このみ父「春夏、どうし…、貴明くん!?すると、そちらの子が、吉岡さん?」
名前を呼ばれコクリと頷くよっち。
貴明「…お久しぶりです。おじさん…。」
このみ父「すまない。妻が見苦しい所を見せてしまって…。」
そう言って、泣きじゃくる春夏さんをそっと抱きよせる。
このみ父「貴明くん…。吉岡さん…。もう、ここには来ないでほしい。
勝手なお願いだと思うが、このみや…私達をこれ以上…苦しめないでほしい…。」
223名無しさんだよもん:2006/01/04(水) 11:06:34 ID:FRA1oPkaO
………これがこの春に起きた悲しい話。
その後、俺とよっちは駆け落ち同然に住み慣れた街を離れ、俺達の事を…この事件の事を何も知らない街で新しい生活を始める。
暮らしていく為に働き、そして時間の許す限り、互いの傷を舐めあうそんな毎日…。
そして数年後、俺達に新しい家族が加わる。
よっちの強い希望――自分達のした事を忘れない為に…。そして何より早くして亡くなった彼女の分まで幸せになるようにと…――により『このみ』と名付けられた。
更に数年後、娘が幼稚園に上がる頃、俺達家族は、思い出のあの街へ向かった…。
彼女に娘の事を報告する為に……。
あの時と変わらず綺麗にされている墓を見て、改めて彼女がみんなに愛されていたのだと気付く。
よっちが泣きながら買って来た花を供える。
その姿を見つめていた俺は娘に手を引かれる。
貴明「どうした?このみ?」
このみ「お父さん…。
今 度 は 殺 さ な い で ね 。」

224名無しさんだよもん:2006/01/04(水) 11:16:28 ID:hozaw49N0
(;゜口゜)…コノミスァン
225名無しさんだよもん:2006/01/04(水) 11:18:14 ID:nhNz9Cv70
>>223
面白かったんだがシャナスレ↓で似たようなオチ発見しますた。
http://book3.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1135666419/634
226名無しさんだよもん:2006/01/04(水) 11:39:01 ID:SrlPgvdR0
つーかよくあるオチだろうに

ボートの話とかでよくでる・・・
227名無しさんだよもん:2006/01/04(水) 11:46:10 ID:mj90YD2V0
オチがありがちな怪談で終わってるのが残念だ。
そのネタは意外とあちこちで使われてる。
確か、落語にも似たような話があったと思う。
ここは、同じくありがちな展開だけど下四行をカットして

その時、俺達の横を一陣の風が吹き抜けていく。
舞い上がった花びらの一つが、まるであいつのお気に入りの髪留めに見えて……。
風に乗って届いた香りは、どこか懐かしい匂いがして。
「このみ……許してくれたのかな」
「ああ、きっとそうさ」

『1192つくろうじんぎすかーん。 794うぐいすじんぎすかーん。 ひつじひつじひつじ肉〜』

そんなあいつの無邪気な歌声が聞こえてくるようで。

ピカァーーーーゴロゴロ、ドシーーン。

「う、うわっ急に土砂降りの雷雨!?」
「こ、このみ……もしかして、思いっきり怒ってる?」

こうして俺達親子3人は命からがら逃げ帰ったのでした。完
228名無しさんだよもん:2006/01/04(水) 11:53:20 ID:CYHgaFEo0
>>227

「えへー。天照大神が引き篭もると天気は荒れまくりでありますよ隊長」
「るー。うーも雨乞いをするのか?」
「ジンギスカーンでありますよ」
「るー」
「ジンギスカーン」
「るーるるるー」


「痛い痛い痛い雨痛い痛い痛い」
「先輩! 雹降って来たっすよ!」


「ジーンギースカーン」
「るーるるーるるー」
「えへー。タカくんも今ごろ反省しているに違いないのでありますよー」
「るー」
229名無しさんだよもん:2006/01/04(水) 11:54:28 ID:SrlPgvdR0
>>228
ワロスw
230名無しさんだよもん:2006/01/04(水) 11:56:24 ID:AHzC8ITQ0
黒く終わらせたい奴とコメディに持っていきたい奴が競ってて面白いw
コメディ派ガンバレw
231名無しさんだよもん:2006/01/04(水) 12:01:31 ID:mj90YD2V0
>>228
ワロタ。
思いっきりおいしいところ持ってかれた(w
232名無しさんだよもん:2006/01/04(水) 12:25:06 ID:Qgpa7pLj0
惨劇館って漫画を思い出した
233名無しさんだよもん:2006/01/04(水) 12:43:58 ID:FRA1oPkaO
ω・`)ノシ作者です。

ベタな終わり方ではありましたが、おそらく初であろう黒貴明SSは楽しんでいただけますたか?

それではまた…
234名無しさんだよもん:2006/01/04(水) 12:54:08 ID:9SbP0vbh0
図書委員長が愛佳を陵辱するSSマダー
235名無しさんだよもん:2006/01/04(水) 13:05:02 ID:Zr8HC4tx0
>>197-200
>>204
>>221-223
うぇーい・・・・・悪くはないけどメチャクチャトラウマになるんですが・・・・・・・orz
236名無しさんだよもん:2006/01/04(水) 13:51:41 ID:Znwt0VEE0
>>233
「殺さないでね」って貴明が殺したっけ?
あとどう考えてもここまで責められるいわれはないです。
他の女の子を選んだだけなんだから責められてもタマ姉とかは庇うと思うんだけどなぁ。
237名無しさんだよもん:2006/01/04(水) 13:59:07 ID:Y3bvRaHb0
このみが勝手に自分から死んだだけで
貴明達が責められる言われはないな
238名無しさんだよもん:2006/01/04(水) 14:47:24 ID:PCrtTUHm0
>>228
あんた役者が違うなw
239名無しさんだよもん:2006/01/04(水) 15:24:13 ID:FRA1oPkaO
>>236>>237
脳内では貴明とよっちが仲良くなりだした頃にこのみが少し黒化。
貴明とよっちを離れさす為、いつも以上に積極的になるが、それらの行為を重たく感じた貴明はこのみを…。
ちなみによっちは自分と貴明が付き合ったことが原因で思い悩み、自ら命を絶ったと貴明から聞かされている。
あとは適当(゚∀゚)
環は頭では分かっているが〜的なイメージ。
春夏さんはこのみが氏んでから壊れてしまった設定。
おじさんは紳士設定。
240名無しさんだよもん:2006/01/04(水) 15:27:42 ID:Znwt0VEE0
>>239
いやいや、脳内設定あるなら文章内に組み込もうよ。
それを描写してくれたら多少は感情移入できたけど、あのままじゃ首を傾げざるをえなく受け入れづらい。
241名無しさんだよもん:2006/01/04(水) 15:48:25 ID:YY2zssVl0
このみやったのをよっち以外は全員知ってるようならタカ棒は堀の中だろうし、
そもそも殺人を両親や友人が知っていてよっちだけ知らないというのはいくらなんでも。
組み込まなかったんじゃなくて組み込めなかったのではないかと。
242名無しさんだよもん:2006/01/04(水) 15:57:18 ID:FRA1oPkaO
少しくらい不条理な方が想像する楽しみが増える…


本当はほとんど後付けだお(´・ω・`)
243名無しさんだよもん:2006/01/04(水) 22:37:52 ID:/g0bs7dC0
>>180は俺的にすごく良かった

それに川原でのこのみの独白聞いた限りだと
場合によっては自ら命を絶つ事もないとは…
244名無しさんだよもん:2006/01/04(水) 23:28:53 ID:JwBRseMQ0
>>243
自殺はないだろ。それはこのみのノーマルエンド見たら分かる
タカ坊がこのみに「嫌い」っていえば自殺するかもしれんがw


つーか前に似たような話題が出た気がする
245名無しさんだよもん:2006/01/04(水) 23:43:33 ID:jpAX7XTC0
このみが自殺するようなタマか。あの春夏さんの娘だぞ。

もっと力強く生きていくと思うが。

でも作者さんは乙。
246名無しさんだよもん:2006/01/04(水) 23:56:53 ID:nhNz9Cv70
春夏さんなら愛は奪うものとでも教えてそうだな。
まぁでもこのみにとって自分の傍からタカくんがいなくなったのは辛いんでないか?
247名無しさんだよもん:2006/01/05(木) 00:10:12 ID:bfXXfF/g0
>このみ父「貴明くん…。吉岡さん…。もう、ここには来ないでほしい。
>勝手なお願いだと思うが、このみや…私達をこれ以上…苦しめないでほしい…。」

この台詞を見て君望の遥パパを連想した俺ガイル
248名無しさんだよもん:2006/01/05(木) 00:16:34 ID:xqzMsfTc0
結論 このみは辛いだろうが自殺するほどじゃない。けど作者さんは乙
249名無しさんだよもん:2006/01/05(木) 00:24:34 ID:/RODcrt10
むしろ

このみ「私、タカくんと寝たの…」

よっち「どうしてっ!?私が先輩と付き合ってるの知っていてどうして…!!」

みたいな展開に
250名無しさんだよもん:2006/01/05(木) 00:30:37 ID:ac7UBUwR0
「るー☆ ウチも貴明と寝たで〜」
「私も、恥ずかしながらご一緒させて頂きました…」
「タカ坊と一緒に寝る事なんて、子供の頃からの日常茶飯事ね」
「たかりゃんの抱き心地は極上だからなあー。お姉さん参っちゃうね」
「るーも一緒に寝てやったぞ」

ゾロゾロ
251名無しさんだよもん:2006/01/05(木) 00:38:30 ID:g7De0byi0
「なかなか激しい夜だったぜ…」
252名無しさんだよもん:2006/01/05(木) 01:09:36 ID:QGFRfeSx0
>>250
その貴明は、このみじゃなくて俺が刺すw
253突発屋 ◆63./UvvAX. :2006/01/05(木) 05:03:32 ID:XLnGg5+X0
一応、書庫を(軽くですが)拝見させて頂いたかぎりは未出ネタの様なので。
お邪魔させて頂きます。

254突発屋 ◆63./UvvAX. :2006/01/05(木) 05:04:14 ID:XLnGg5+X0
「そ、そろそろ休憩しない……?」
「あら?」と壁の時計に目を移す俺の彼女、ささら「もうこんな時間なのね。」
件の駆け落ち騒ぎの後、家で学校で散々に絞られた俺達(というか主に俺だけ)だっ
たが、いざ停学に入ってしまうと殆ど放任扱いと言って良いほどに自由な行動を黙認
されてしまった。恐らくは生徒会役員全員(プラス数名)が共謀したという一大スキ
ャンダルを公にしたがらない学校側と、ささらには頭が上がらなくなってしまった御
両親と、タマ姉や春夏さんの『タカ坊は私達が責任もって見張りますから!』との力
説で引き下がった親父とお袋の利害が一致した為だと思うのだが。
「………貴明さん?」
停学明けに待ちかまえている試験。その自習の為にと集まった俺の部屋。向かい合っ
て座っていたテーブル越し。そそくさと立ち上がった俺を、拗ねたような甘えたよう
な微妙に潤んだ瞳で、上目遣いに覗き込んでくる視線。
「うん?」
「今日の貴明さん、少し変……」
「そ、そぉかなぁ?」やばい、少し声が裏返ったかも。
「だって……」ぱたん、とノートを閉じながら俯く顔「……なんだかそわそわしてる
し、心ここにあらずって感じだし、もしかして私のこと……」
じわぁ〜〜〜〜〜。
「ちち、違うって違うって! 俺、ささらの事大好きだから! 今だって一緒に勉強
できて凄く嬉しいんだからっ!!」
思い当たる節があるだけに一気に言い訳マシーンと化してしまう俺。情けないとは思
うけど、ささらの涙には勝てっこない。
「…………………………………」
「と、とりあえず休憩して気分転換しよう! ね? いま、お茶煎れて来るから待っ
ててよ。すぐ戻るから! 本当に急いで戻ってくるからっ!!
255突発屋 ◆63./UvvAX. :2006/01/05(木) 05:05:25 ID:XLnGg5+X0
「貴明さん、これ……は?」
そして数分後、半泣きになりながらも律儀にテ−ブルの上の勉強道具を片付けておい
てくれたお陰で、準備は滞りなく進めることが出来た。そろそろ初夏に差し掛かろう
としている季節の風が優しく髪を揺らす部屋の中。ちょこんと正座して向かい合う二
人の間に俺が並べたのは、今朝作っておいたミックスジュース(フルーツ缶詰数種類
をミキサーに流し込んで少量のミルクと砂糖で味を調えた物)のコップが二つと、更
に皿盛りの………
「……クッキー、のつもり、一応……」
兎に角アドバイスだけでは物足りないのか盛んに手伝おうとした、このみの小さな手
を何度もブロックし、タマ姉の異様に厳しいダメ出しに何回も頭を下げながら必死に
なって作った河野製菓最初の完成品。(少々不揃い)の洋風焼き菓子が白いお皿の上
に(少々乱雑ながら)盛りつけられている。
正真正銘、俺が俺の手で俺の力だけで作った初めてのお菓子。
「…………………………………」
「…………………………………」
流石に恥ずかしくて次の言葉が出ない俺と、赤くなった目を大きく見開いてパチパチ
と何度も瞬きを繰り返す、ささら。
「…………………………………」
「……あの、さ?」
「…………………………………」
「み、見た目は悪いけど……その、ど、毒は入ってないし……一応だけど、味見もし
たから……た、たた、食べられないほどの失敗作じゃないし、だから、その……」
256突発屋 ◆63./UvvAX. :2006/01/05(木) 05:06:54 ID:XLnGg5+X0
トーストから始まって、おにぎり、ジュース、みそ汁。少しずつだけど、ささらが受
け入れる事の出来るメニューは増え始めている。勿論、それは全て俺が作った物だけ、
という限定条件が付くが、それでも出会った頃に比べれば格段の進歩である。だから
次のステップへの足がかりと…………色々な意味も含めて初めて、単純加工以外の食
べ物へと挑戦してみたいと思った。
ささらの為にも。俺の為にも。
「……これ……」やがて、小さな唇が動く「……貴明さんが?」
「い、いちおー、ね。」
キラキラした大きな瞳が俺の顔とテーブルの上のクッキーとを何度も行き来する。そ
の真っ直ぐな視線にドギマギしてしまう俺。
「貴明さん………うん……」
ゆっくりと持ち上がった小さな手。
「え、えっと………」
だがそこで細かく震えるだけで、前に出ようとはしない。
「えっと、えっとぉ………」
そこに見え隠れするのは、葛藤。かつての出来事。また、あの時のように体が受け付
けなかったら? 俺が作った物を拒絶してしまったら? 嫌われてしまうのではない
だろうか? 見捨てられたりしないだろうか? 二人の関係が壊れてしまうのではな
いだろうか? そんな恐怖心が伝わってくる。
「えっと……えっとぉ……!」
震える声、揺らぐ瞳、わななく口元、金縛りになったように動かない体、沸き上がっ
てくる懐疑心、失う事への恐怖。
257突発屋 ◆63./UvvAX. :2006/01/05(木) 05:08:00 ID:XLnGg5+X0
「ささら、ほら?」
だから、俺は少しだけ、背中を押してやる。少し形が崩れたクッキーを一つつまんで
身を乗り出すようにして口元まで運んでやる。
「あ、でも………」
それは躊躇。恥じらいでも自尊心でもなく、恐怖から生まれる戸惑い。
「俺、ささらの事、大好きだから。」
「え……?」
「何があっても大好きだから。信じてるから。一緒に頑張ろうよ?」
「で、でも……」
僅かな逡巡。だがそれは足踏みではなく新たな一歩への躊躇い。一筋の光が見えてい
る証。希望が生まれてくる予感。
「俺だって怖いよ。また無理に食べさせて、ささらに拒絶されたらって想像しただけ
で、泣きそうになるくらいだし。でも一緒に生きていこうって、あの時に約束したか
ら勇気を出して頑張ってる。こんな強引な事したら嫌われるかも知れないけど……」
「そ、そんなっ! 私、貴明さんを嫌ったりなんかしないっ! 貴明さんが、いつも
私の為を思ってくれてるのを知ってるから……!!」
「俺だって、そうだよ。」瞳に声に蘇ってくる生気。それを感じとれる俺の中からも
恐怖は薄らいでゆく「だから、一緒に頑張ろうよ?」
「け、けど………」
258突発屋 ◆63./UvvAX. :2006/01/05(木) 05:09:24 ID:XLnGg5+X0
「あれれ? 忘れちゃったのかな? 俺、凄くひつこいよ? ささらが食べてくれる
まで、ずうっとこのままだよ? 勉強もしないし、家にだって帰さないよ? 二人揃
って落第しても、知らないよ?」
「も、もぅ………」そうして、泳いでいた視線が「……馬鹿ね……」ようやく俺を、
捉えた「本当に……馬鹿だわ。」
「そんな呆れた顔しないでさ、一口だけ。はい、あ〜〜〜ん?」
「………………………」
「…………………ん? なに?」
苦笑する、ささら。おどけてみせる、俺。
「………………………」
「ほら、あ〜〜〜〜〜ん。」
そんな二人の視線が絡み合って、幾つもの言葉を想いを伝えあって。
「…………ん……」意を決し、静かに目を閉じ、まだ少し固い表情のまま、餌をせが
む雛鳥のように首を伸ばして「………あむ……」
「あ………!」
さくっ、と軽快な音と共に唇で、端っこを、ほんの少しだけ噛んで、頬を染めながら、
でも迷うことなく、俺の作ったクッキーを口の中へと運ぶ。
「…………………………(むぐむぐ)」
「…………………………」
「…………………………(むぐむぐ)」
「…………………………」
「…………………………(むぐむぐ)」
「…………………………」
「…………………………んっくん。」
259突発屋 ◆63./UvvAX. :2006/01/05(木) 05:10:45 ID:XLnGg5+X0

目を閉じたまま、何度も何度も噛んだクッキーが喉を通り胃の中へと収まってゆく
感触を確かめる様な、祈るような静かな顔のささら。
「ど、どう……だった?」
「……………………………」
「だ、大丈夫か?」
「……………………………」
「さ、ささら……さん?」
「………………………………ぅ!」
「おいっ!?」
「う、うぅ……うううううぅ……!」
「ご、ごめん! やっぱり無理させちゃったのか。ほら、捕まって……」
「……違う、違うのぉ……」
「あ…………」
声が。言葉が。喋ってる。苦しそうでもない。じゃあ……?
「おいしい………おいひいのぉ……貴明さぁん………!」
ぽろぽろと光る滴を溢れさせながら。可愛い顔をクシャクシャにしながら。
「甘くて……柔らかくて……あったかくて……おいしいのぉ………!」
下手くそで、少し焼きすぎで、すっかり冷めていたクッキーが、本当に美味しくて。
「こ……こら。本当に旨いんだったら、そんなに泣くなよ? 本気で心配しちゃっ
たじゃないか?」
「ご、ごめんなさい……ごめんなさい……でも、本当においしくて……」
「いや、別に怒ってる訳じゃないって? それよりもほら、もっと食べるよな?」
「うん! うんっ!!」
子供みたいに拳で目をごしごしやってる、年上の恋人。そんな様子が可愛くて、どこ
か可笑しくて、それ以上に嬉しくって。
「そんなに擦ったら駄目だって。それに泣きながら食べても味分からないでしょ?」
自分も貰い泣きしている事も、休憩時間が終わってしまっている事も、折角のクッキ
ーが濡れてしまう事も気づかないまま、気づかれないことに安堵しながら。
俺は、くしゃくしゃのハンカチで、ささらの涙をいつまでも拭い続けていた。
260突発屋 ◆63./UvvAX. :2006/01/05(木) 05:11:32 ID:XLnGg5+X0
以上です。
ありがとうございました、ぺこり。
261名無しさんだよもん:2006/01/05(木) 11:53:35 ID:drG4/KBk0
>>260
GJ
しかしこれまでの流れから

「ど、どう……だった?」
「……………………………」
「だ、大丈夫か?」
「……………………………」
「さ、ささら……さん?」
「………………………………ぅ!」
「おいっ!?」
「う、うぅ……うううううぅ……!」
「…………」
「ぐっ!ごほっごほっ」
「……っはははははは 毒が回ってきたみたいだね」
「!?」

とか続くのかと思った。
262名無しさんだよもん:2006/01/05(木) 12:06:17 ID:sm1ba5230
GJ!!

>>261
やめれwwwwwww
263名無しさんだよもん:2006/01/05(木) 12:11:33 ID:m6lybS2DO
>>260
GJ!



しかし今までの流れだと人肉マンジュウ的な話を期待していた俺ガイル
264名無しさんだよもん:2006/01/05(木) 12:29:29 ID:15efTZpo0
とりあえずそんな流れをカットしたいと思ふものがここに一人
265名無しさんだよもん:2006/01/05(木) 12:41:06 ID:wQ8sByuc0
if〜姫百合姉妹が貴明に出会わなかったら
==================


さんちゃんはウチのもの。
ウチはさんちゃんだけおればいい。

5月になった。

さんちゃんはメイドロボを連れてきた。
名前はイルファ。
どうしてさんちゃんはメイドロボなんか連れてきたのだろう。
ウチの作るご飯嫌いになった?
ウチが掃除したとき、間違ってさんちゃんの大事な物捨てちゃった?
ウチ、さんちゃんの困ること何かしたん?
メイドロボが笑顔で台所に立っている。
さわらないで。
この家の台所はウチの居場所や。
掃除も洗濯もみんなウチの仕事なんやから。
ウチは鉄パイプを握りしめた。
ごめんなイルファ……。
「あ、お帰りなさいませ瑠璃様……えっ?」
266名無しさんだよもん:2006/01/05(木) 12:47:31 ID:wQ8sByuc0
ウチは渾身の力で鉄パイプを振り下ろした。
何回も、何回も。
イルファは抵抗せず諦めたような顔でバラバラになっていった。
回路の焦げる臭い。
やがて、バラバラになったイルファを片づけ始めたところでリビングのドアが開いた。

「瑠璃ちゃん……それ」

たぶん、さんちゃんの言葉を聞いたのはそれが最後だったと思う。
あれからさんちゃんは何も喋ってくれなくなった。
時々、悲しそうな顔でウチを見ているだけだ。

さんちゃん、お願い……いつもみたいに笑って。
優しい笑顔でウチを満たして。

……そうだ、ウチが鉄パイプで壊したのはイルファだけじゃ無かったんや。

いらない子はイルファじゃない、ウチや……。

ウチはマンションの屋上から―――――――――――――――
267名無しさんだよもん:2006/01/05(木) 13:22:28 ID:ac7UBUwR0
>>261
「実はささらを意のままに操る毒を仕込んでおいたんだよ!」
「………」
「これでささらは我が物、って事かな」

1.河野さんを信じる
2.河野さんを殺して、私も死ぬ
3.悪い河野さんのお尻をペンペンだ!
268名無しさんだよもん:2006/01/05(木) 14:23:11 ID:PAr07YT00
>266

「か〜み〜ちゅ〜!」
269名無しさんだよもん:2006/01/05(木) 17:49:38 ID:o+QlSgLU0
>>260
GJ!
でもオオサンショウウオや蛙を細かく刻んだものがクッキーの中に入ってたら
あなたはネ申だった
270突発屋 ◆63./UvvAX. :2006/01/05(木) 17:50:49 ID:XLnGg5+X0
好意的にご覧頂けたようで、ホッとしましたw
ありがとうございます>all

確かに>>267のような二次展開もありでしょうが(笑)元々は「貴明がクッキーを
作ると約束した」後のフォローが全く無かったのが不満で書いた代物ですので・・
271名無しさんだよもん:2006/01/05(木) 20:30:45 ID:NoRu9ITy0
4.黒幕はまーりゃん先輩
272名無しさんだよもん:2006/01/05(木) 20:57:26 ID:dbROeLOI0
通な展開としては、
「う、うぅ……うううううぅ……!」
「…………」
「う〜〜ま〜〜い〜〜ぞ〜!」

・・・俺が悪かった、正にミスったー(ry
273名無しさんだよもん:2006/01/05(木) 22:16:53 ID:m6lybS2DO
ウチは渾身の力で鉄パイプは振り降ろす。
   ピタッ…
しかし、鉄パイプはイルファの眼前で停止する。
瑠璃「なんで…よけへんねん?」
イルファ「それは、瑠璃様に殺気がなかったからです。
止めて頂けると分かってました…。」
そう言ってニコリと微笑むイルファ。
瑠璃「……ええよ、分かった。
じゃあ次は止めへんからな…。」
鉄パイプを握り直し、構えをとる。
イルファ(次は本気で来ますね…。)
瑠璃の『覚悟』を感じとったイルファは人指し指を突き出し気合いを込める。
ザッ!!!
瑠璃が一足で間合いを詰めると、そこから高速の連撃をくり出す。
しかし、イルファはその眼にも止まらない攻撃を人指し指一本で難無くいなしてゆく。
瑠璃「………」
イルファ「………」
激しい攻防の余韻が引き、瑠璃が口を開く。
瑠璃「…さすがやな。さんちゃんが造っただけあるわ…。」
ポイッと鉄パイプを投げ捨てる。
瑠璃「貴明をどつきまくった鉄パイプやったのに…。」
イルファ「いいえ、それは瑠璃様が本気ではなかったからです。」
このみ「わぁ〜…みたでありますか?」
環「え…ええ……。
なんて子達なの…。」
雄二「あ…あれが新型メイドロボ(´∀`)」
274名無しさんだよもん:2006/01/05(木) 22:27:50 ID:m6lybS2DO
>>265
すまそ、頭の部分だけパクってみた。
後悔はしてない。
…てか黒いのかネタしか書けないorz
275名無しさんだよもん:2006/01/05(木) 22:53:32 ID:d7di4RKr0
雄二が幸せそうでなんか和むなあ(´∀`)
276名無しさんだよもん:2006/01/05(木) 23:04:08 ID:S4aNA+cp0
ちょwwタカ坊wwwwwwww
277名無しさんだよもん:2006/01/05(木) 23:07:29 ID:NoRu9ITy0
>>273
ドラゴンボールナツカシスw
目覚ましのアラーム音で目を覚ます俺。時計を見ると、いつもよりも2時間以上早い。
一体全体、何で俺はこんな時間に設定したんだ…?
俺は、昨日の夜の事を思い出す。
今日はクリスマスで…ささらがいつも朝食作ってくれてるから、今日くらいと思って…。
「あ、そうだ。俺が朝飯を作ろうと思ってたんだった!」
俺は一気に覚醒。そして毛布を跳ね除ける
あんまりとろとろしていると起きてくるかもしれないので、着替えないで部屋を出る。
昨夜のうちに材料を確認しとくんだった…。何を作るか全く考えていない…。
焦る俺。とりあえず冷蔵庫の中を見て、適当な料理を考える。
これならオムライスができそう…。
たしかコンビニ弁当を俺が買ってくるときに食べたいって言ってたよな…。
今朝も同じだったらいいけど…ね。
あー、でも…朝には少し重めかな…?まぁ、いいか………。
って、ご飯炊いてない…。めちゃやばい…。
俺は慌て炊飯器を開ける。
俺は、胸を撫で下ろす。昨日の残りだが、ご飯が2人分程残っていた。
まず第一難関を突破。そして卵・ケチャップ・玉ねぎを用意。
俺は静かに調理に取り掛かった。
後はささらが起きてこないのを祈るだけ…。
 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 
幸いにも、ささらは料理が完成するまでは起きてこなかった。
俺は一休みのため、リビングのソファで休んでいると、急に廊下が騒がしくなった。
…まさか…また、まーりゃん先輩か!?昨日の話は嘘だったのか…!
俺はまーりゃん先輩対策として、家具の陰に隠れる。
入ってきた途端に驚かしてやる…。近づいてきた…。3…2…1…
俺のカウントダウンが0になると同時に扉が開く。
それと同時に俺はまーりゃん先輩に大声気味で「わっ」と、驚かす。
しかし、そこにいたのはまーりゃん先輩ではなく…。
「さ、ささら…!?」
ささらの息は荒く、何故か涙目をしている。あ、俺が驚かせちゃったからか…?
「貴明さんの…貴明さんの…バカ――」
ささらは唐突に泣き出してしまった。勿論、俺はワケがわからない。
「え…?ちょ…ごめん、俺が悪かったから…ね?」
俺はあわてて、何故か子供をあやすようにささらをなだめる。
「ぅ…ばかっ…貴明さんの…ばか……イジワルぅ…」
「わかってるよ、ささら。わかってるから……ね?」
そう言って、ぎゅっと抱きしめる。ささらは、俺の腕の中でしばらく泣き続けていた。
 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
とりあえず落ち着いたささらは、開口一番… 
「ごめ――――――」
「んなさい、は言わなくていいよ?だから…何で泣いたのかを教えてくれないかな?」
俺は、ささらの半ば口癖の言葉をさえぎらせて単刀直入に、しかし優しく問いかけた。
「いつも朝起きたら貴明さんの寝顔を見ているの…。だけど…今日はいなかったから…」
ささらはまた目に涙を溜めはじめる。
「だから…急に日本に帰っちゃったのかと思って…。不安になっちゃって…」
なるほど…。そうゆう事ね。
…ってちょっとまったぁ!!今恐ろしいこと言わなかったか?
「毎朝…俺の寝顔を見てる…だって…?」
「ごめんなさい…。でも…でも…。」
「あ…いや、ごめん、なんでもない。」
俺は、できるだけ優しく言う。
「俺は、ささらに言わないでどこかに言ったりしないよ」
そう言いながらも、俺はさささらの台詞が脳裏に焼きついていた。
これからは、寝ている最中も出来る限り気を使おう…。
しかし、どうすれば睡眠中に気を使う事ができるのだろうか…。
そんなことを考えている中、ささらが素朴な疑問を投げかけてきた。
「それにしても、貴明さんは何でこんなに早く起きていたの?」
「いつもささらが朝食作ってるから、今日くらい俺が作ろうかな…って思ってね」
「貴明さん…ありがとう…」
そう言った後、でも…と続ける
「学校にいたときも言ったと思うけど、私は貴明さんに色々してあげたいの」
銭湯の帰りに言っていた事を言うささら。
「お洗濯もお洗濯も…。貴明さんのためにできるって事が
私には、とっても嬉しいの…楽しいの…だから…」
そこで、ささらはにっこり微笑んで言う。
「貴明さんは、ゆっくりしていて?」
「わ、わかったよ…」
ささらのあまりの勢いに押されてしまいましたよ。
「で、でも今日はせっかく作ったし、食べてくれないかな?」
「ええ、ぜひいただくわ」
微笑みを続けながらささらは答えてくれた。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 
「さすが貴明さんね…。とっても美味しいわ」
「ささらにそういってもらえるとうれしいよ。例の特別ブレンドをしているからね」
ああ、言ってて照れくさくなってきた…。
ささらも、やっぱり顔を赤色に染めてるし。あたりまえだけど。
とりあえず、話題を変えることにする。
「昨日言ってたところって、ここからどれくらいかかるの?」
「えっと…片道30〜40分くらいかしら…」
結構遠いみたいだな。でも、歩いていけない距離じゃない。ささらとならなおさらだ。
「昼食もそっちで?」
「そのつもりよ」
「うい、了解」
それと同時に俺は朝食を食べ終わる。そして、どことなくささらを眺める。
ささらはそれに気付いたのか、ちらちらこちらを気にしながら食べている。
「貴明さん…私、何かついてるの?」
「違う違う。ささらはやっぱりかわいいな、って思ってね」
「もう…バカね…」
「お世辞じゃないよ?俺は、ささらには嘘なんてつかないし」
「ふふ、ありがとう、貴明さん。貴明さんの言った事だから、信じるわ」
ささらは、照れながらも微笑んでくれた。
ささらとのこういうやり取りがとても楽しい。
多分…否、確実に俺の人生の中で一番楽しい時間になっているだろう。
俺は、再び自分の幸せをかみ締めていた。
 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 
「お待たせ、貴明さん。いきましょ」
俺達は、手をつないで歩き出す。勿論、指を絡ませて。
横をみると、とても嬉しそうな顔をしているささらがいた。
「〜〜♪」
うっすらだけど、ささらの鼻歌が聞こえた。俺の知らない歌だった。
しかし、その歌はささらの鼻歌だからだろうか…とてもいい歌に感じた。
俺は、歩きながらその鼻歌をずっと聴いていた。
不意に鼻歌が止まる。俺は、ふっとささらのほうをみる。
「貴明さん…やっぱり私の…聞いていたのね?」
ささらは、顔を桃色にしながら聞いてきた。
「うん。えっと…もしかして、いけなかった?」
「私の下手な鼻歌なんか、聴かないほうがいいわよ…?」
「そんなことないよ。俺の知らない歌だけど、良い歌っぽく感じた」
正直な感想を告げる。そして、一言付け加える。
「ささらの鼻歌だから、っていうのもあるとは思うけどね?」
「もう、貴明さんったら…」
そう言って、俺をちょんっと小突くささら。
「ところで、その歌、なんていう歌なの?」
俺の質問に、ささらは何故か普段は絶対にしないような、にやりとした顔をしてきた。
「教えてあげないもん」
「えー?イジワルしないでよ、ささら〜」
俺の抗議は却下される。
「ふふ、縁があったら、いつかね」
普段みせないような顔を見せてくれたささらに、俺はさらに愛おしさを覚えていた。
 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
ちょっと遠めのショッピングモールに到着した俺達。
「ふぅ、到着。さて、まずはどこから?」
「今日の夕食の材料を、見に行きましょ」
「うい、了解」
俺はささらと店を回りながら、ささらに渡すクリスマスプレゼントは何がいいかな
っと、周りを見渡しながら歩いていた。
お、あれいいかも。白色のリボン。っていうか、白好きだな…俺って。
「貴明さん!危ない!!」
ささらの声が急に聞こえて、前を向いたら俺は見事に柱に顔面からぶつかった。
「いつっ…ささら、わざわざ言ってくれてありがとう」
「ごめんなさい―――。私がもっと早く言っていれば…」
「ささら、自分のせいだって思いすぎだよ」
俺は痛さのあまり、目の端にうっすら涙を浮かべつつも微笑みながらささらにいった。
「自分のせいにしすぎるやつは、こうしちゃうぞ〜?」
俺は、不意にささらの両頬を軽くつかみ、むにゅ〜んっと伸ばす。
前にも一度触ったけど、やっぱりやわらかいなぁ…。
「分かったから、貴明さん、イジワルしないでぇ〜」
ちょっと涙目で訴えかけてくるささらを、思わず俺はなでなでする。
「いいこだね、ささらは。全部俺のせいにしていいからね」
「それは流石に悪いわ―――うぅ〜、貴明さんやめてぇ〜」
俺はもう一度むにゅぅんっと伸ばしておいた。
「はは、ごめんごめん、ちょっとやりすぎちゃったね」
俺はバツの悪い顔しながらささらの顔を見た。
ささらは頬を膨らましてしまっていた。
しまった…やりすぎちゃったか…拗ねちゃったみたい…。
「もう貴明さんなんてしらないもん!」
そういってささらは俺を置いて走り出してしまう。
俺は呆然としてしまい、その場で立ち尽くしてしまう。
俺って今までこうやって走っていくささらを捕まえたこと…
実は一度もないな…。いつも俺は棒立ちしているだけで…。
今度こそ…追いかけて、絶対捕まえてみせる!
その思いが俺を全速力で走らせた。
結構あった差も、縮んでいく。あと少しで届く…!
俺はぎゅっと話さないようにささらの手をつかむ。
「ささら…ごめん…ちょっと調子にのりすぎた…」
ささらからは、俺の謝罪に対する返事ではない言葉が返ってきた。
「貴明さん、やっと追いかけてきてくれたのね…ずっと待ってた…」
「それも、ごめん…。俺も今、思い出したんだ」
俺は、自分にも言い聞かせるように言った。
「だから、今度こそは絶対にささらを捕まえなきゃって…」
「貴明さん…私、信じでいたの…今なら、きっと追いかけてきてくれるって…」
俺は少し照れくさくなって、ささらをぎゅっと抱きしめる。
「こうすれば、もう絶対逃げられないよ。どうする?」
「ふふ、ずっとこうしているわ…」
 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 
夕食の買い物は終わり、少し遅めの昼食をとる俺達。
いい天気なので、オープンカフェで食べることに。
食事をしながら周りを見渡すと、ちょうどショッピングモールの真ん中あたりに、
噴水と豪華な装飾をした大きなクリスマスツリーが鎮座していた。
さすがアメリカ。クリスマスツリーの装飾も半端じゃない。
「随分豪華なクリスマスツリーだね。大きいし、飾りつけも派手だし」
「そうね…。とても綺麗。だけど…何処かさびしそう…」
「多分、まだ昼で明るいからじゃないかな。夜になったらすごいだろうね…」
「―――」
ささらは、俺の顔をじっと見つめてくる。目で俺に何か訴えかけている。
ささらが何を望んでいるかわかった俺は、ささらにいった。
「夜に、もう一度みにくる?」
ささらの顔がぱっと明るくなった。
 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
先のショッピングモールから帰宅した俺達。
結局ささらへのプレゼントを選び損ねたなぁ。
そして夜。
ささらが自分が夕食を作ると言い張ったため、俺はソファーに横になっていた。
ささらへのプレゼント…なにがいいかな。さっきの白のリボンが良さそうだったなぁ。
しかし、白ばっかりじゃ流石になぁ…けど、黒ってのも今までと同じだし。
他の色は、ささらにあまり似合いそうににないしなぁ…。
結局決まらないまま、夕食が完成してしまった。
「おー、すごい豪華だね」
「少し頑張ってみたの。味も気に入ってくれるといいけど…」
「ささらの料理が上手くないはずないって」
俺は、笑いながら言った。
「では、いただきます。」
そう言って、俺は料理に箸を伸ばす。
ささらは、俺が料理をとってから食べるまでずっと俺の方を緊張した顔つきで見ていた。
…食べてみての一言。
「すごい美味いよ、ささら」
「よかった…」
ささらは胸を撫で下ろす。
ささらの料理をひとつひとつ味わいながら食べる。
食べている間、ささらはまた緊張した顔つきで俺を見てくる。
「うん、やっぱり美味い。料理店だったら、一番人気間違いなしだよ」
「もう、貴明さんったら大げさよ」
ささらは、おかしそうに笑いながら言った。
そして、やっと料理を食べ始めた。
「ちょっとのど渇いたから、ジュースもらうね」
俺はそう言って冷蔵庫を開けるため、席を立つ。
するとささらは突然、慌ててて冷蔵庫の前に立ちふさがる。
「ど…どうしたの…?」
「貴明さんは座ってて?言ってくれれば私がやるから」
この慌てっぷり。この中に何か隠してるのかな?
「わ、わかった…。じゃぁ、烏龍茶お願いしてもいい?」
「ええ、まかせて」
ささらは冷蔵庫を少しだけあけて、烏龍茶を取り出し、コップに注いでくれた。
一連の行動を見て、俺の疑惑は確信になった。
そういえば、さっき俺に朝飯作らなくて良いって言ってた時もどこか慌ててたな。
まさか…カエル!?それは流石にないか…。いったいなんだろう。
朝あけたときは特に変なものは入ってなかったと思うけどな…。
まぁ、いいかぁ。
 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 
料理も食べ終わり、俺達は昼に行ったショッピングモールに向かっていた。
「夜はやっぱり冷えるね…。風邪引かないように、気をつけてね」
「貴明さんのくれたこのコートと手袋があるから、大丈夫よ」
「それは少し大げさじゃないかな」
俺は笑いながら言った。
「ふふ、貴明さんだって大げさに言うじゃない。だから、いいの」
それに…と続けるささら。
「これを着ていると、貴明さんのぬくもりも感じるの…。だから、大丈夫」
そういわれちゃうと反論できませんよ、ささらさん。
「貴明さんこそ、風邪ひいちゃだめよ?」
ささらはそういった後、少し俯き、若干なきそうな声で言った。
「…後3日間しかいられないんだから…」
そうか…もう後、たった3日間しかないのか…。
しかも最後の一日は、昼には空港行かないといけないから、実質は後2日間なんだ…。
残り少ない貴重な時間を…有効に使おう。
ささらの留学前みたいに、無駄に時間を使うのはバカらしい。
俺はささらのほうをみると、ささらは黙って俯いたままだった。
俺は、ささらの不安と重くなっている空気を払うように言った。
「大丈夫。俺はささらが近くに居てくれれば、絶対に風邪なんてひかないよ。だって」
「私のぬくもりがあるから…?」
「あう、俺が言おうと思ってたのに…」
思わずしょんぼり。
ささらはにっこり微笑みながら、俺の腕に自分の腕を絡めて、身を寄せてきた。
「こうすれば、お互いのぬくもりを感じられるわ…」
「そうだね…」
俺達は、お互いのぬくもりを感じながらショッピングモールまで向かった。
 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
ショッピングモールにつき少し歩くと、肉眼でも十分に分かる程の巨大で
豪勢なクリスマスツリーが噴水の近くに鎮座しているのがわかった。
「わぁ…綺麗…」
「すごいなぁ…。昼の時とは大違いだ…」
ささらも俺も、正直な感想を漏らす。
俺達は、ツリーの近くまで来て見上げる。
ツリーと噴水の周りの照明を消し、噴水の照明で下からツリーをうっすらライトアップ。
そして、ツリーには色とりどりの照明。異常なまでのビッグサイズ。
ツリーの下は白くて幻想的な空間。
「いやー、ほんと大規模だ…」
「ほんと……とても綺麗だわ…」
俺とささらは、そのままツリーを見上げていた。
しばらくして、ささらがさらにツリーの近くまで歩み寄る。
「貴明さん…。私とツリー…どっちが綺麗?」
俺は、ははっと笑いながらはっきりといった。
「ささらに決まってるじゃないか。世界中、どんなものもささらにはかなわないよ」
ささらはにっこり笑って俺に抱きついてきて、上目使いで俺をじっと見つめる。
「ねぇ、貴明さん…。こっちきてから…お口にキス…してくれてないよ…?」
「そういえば…そうだったね…」
「貴明さん…私…今…して欲しいの…」
え…流石に周りに人がいっぱい居る中では……。
「ね…?貴明さん…お願い…いいでしょ?」
「えっと…ね…」
俺の返事にささらの顔が曇る。
「駄目なの―――?」
「いや…だからね…」
「駄目なんだ――――」
ささらは泣きそうな顔になっていった。
俺はささらのお決まりのパターンを前に、腹をくくった。
そっと顔を近づけて、ささらの唇に自分の唇を重ねる。
そして、少しして今度はそっと離す。
ささらはキスの瞬間は驚いていたが、すぐ笑顔に戻った。
「ありがとう…貴明さん」
「いやいやいや、躊躇しちゃってごめんね、ささら」
ささらは何か思いついたような顔をして、また昼の時のようにイジワルする時の顔になる。
「許してあげないもん」
「なんだってするから、イジワルしないでよ〜」
ささらは、その言葉を待ってました、といわんばかりの顔になる。
「じゃあ貴明さん…もう一回…お口にして…?」
そう来たか。俺は思わず苦笑しそうになるのをこらえていった。
「わかったよ、ささら」
最初は躊躇った俺だったが、2回目になると意外にも躊躇することはなかった。
俺は、再びささらの唇に自分の唇を重ねる。
初めてささらとキスをしたときと同様で、ささらとのキスは気持ちのいいものだった。
 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 
その後、俺達は指を絡ませあって家まで歩いて帰った。
今日は俺の人生初のクリスマスに似合う1日になったな。
ささらと一緒に歩きながら、そんなことを考えていた。
しかし俺の頭にひっかかる事があった。
何か忘れている…。とんでもない事を忘れているぞ…俺は…。
何だ…いったい何なんだ…。わからない…。
「貴明さん、何か考え事?何かあるなら、私に言って?」
「否、なんでもない…と思うんだよ…ね」
ささらは、そう…と言った後、話をふってきた。
「そういえば、今夜はサンタさんが子供達にプレゼントを配っているのよね」
そういえば、サンタクロースなんて居たなぁ…。
ささらの話に、サンタクロースの存在を今更ながら思い出す俺。
「はは、もう俺達の年になると流石にサンタは来てくれないよ」
「いいえ、そんなことないわ」
ささらの思わぬ台詞に思わずささらの方を見る俺。
「私のサンタさんは貴明さん…。貴明さんがくれたキス…最高のプレゼントだったわ」
「ささら…」
「ふふ、貴明さんのところにもサンタさんがきれくれるわよ、きっと」
そう言ってささらが笑った。
「ああ…そうだね…。まぁ、ささら以外のサンタが来ても追い返すだろうけど」
そう言って俺も笑った。
直後、サーッと一気に血が引いた。
やばい…ささらにプレゼント買ってなかった…。
…さっきから心にひっかかっていた事はそのことだったんだ…。
この時間だと、もうどこの店も閉店しているだろう…。
しょうがない、明日に大サービスするしかないかぁ。
「貴明さん、また何か考えているのね?
…貴明さんの考えることを全部私の事にできればいいのに…」
「大丈夫だよ。既に、そうなっちゃってるみたいだから」
「え…?」
ささらが急に赤くなる。いったい何を考えているのやら。
「でも…私の事って…何を考えてるの?」
「それは、な・い・し・ょ」
「貴明さんのイジワル―――」
「いいじゃん、ささらも今日俺にいっぱいイジワルしてきたし」
「でも、貴明さんの考えていること、全部知りたいわ?」
こうなったら折れなくなるぞ…。どうするかなぁ。
プレゼント買い忘れた、なんていえるわけないし。
ささらはきっと許してくれるだろうけど、俺が許さない。
俺は、昼にささらに言われた事をそっくりそのまま返した。
「ふふ、縁があったら、いつかね」
「もう、貴明さん…ズルイわ…」
ささらは自分も同じ事を言ってしまったので、それ以上追求できなかった。
 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 
俺もささらも歩きつかれていたので、そのまま今日は寝ることに。
「クリスマスイブは今日だけど、明日もあるしね…」
何故か俺は俺自身を納得させるために口にだしていた。
ん…?なんかささらの部屋が騒がしいな。どうしたんだろ。
俺は、自分の部屋をでて、ささらの部屋の扉をノックする。
「ささら、どうかしたの?」
「な、なんでもないわ、貴明さん。ちょっとベッドから落ちちゃって…」
「でも、違う人の声が聞こえた気がしたんだけど?」
「き、気のせいよ、貴明さん。」
「そう?ならいいけど…じゃぁ、おやすみ」
「おやすみなさい、貴明さん」
まーりゃん先輩の声が聞こえた気がしたんだが…
まぁ、ささらが気のせいだって言うんだからきっとそうなんだろう。
俺も疲れてるのかな。今日はもう寝よ。
俺は、部屋に戻り毛布を被ってまぶたを閉じる俺。
でも、結局プレゼントを何にするか決められなかったなぁ。
ささらと一緒にいて、俺もかなり変わったけれど…。
やっぱりまだ優柔不断な部分が残っているのは自他共に認める事実…。
ささらのためにも、もう少し決断を早くしよう…。せめて明日だけは…。
さて、ささらのためにも、もう寝よ。一人でいる時間なんて、無駄なだけだし。
俺は眠りについた。
294名無しさんだよもん:2006/01/06(金) 00:23:08 ID:HxLOxjkw0
スレ汚しスマソ…。
いつもより長めになっちゃいました…。
それなのに、誤字脱字のチェックなどを細かくしてないので
かなりあるかもしれません…orz
では、失礼しました。
|ミ
295名無しさんだよもん:2006/01/06(金) 00:53:41 ID:HxLOxjkw0
(9/16)
料理が上手くない→料理が美味くない
とりあえず、速攻で読み直してわかったのはコレくらいでしたが…。
あったらどんどん指摘してやってくださいorz
貴明の台詞で、ささらがイジワルをいっぱいしてきたし みたいなところが
ありますが、いっぱいって言う割には、2回だったことに今気付くorz
2カイハイッパイニハイリマセンヨネ…orz
では、スレ汚しスイマセンでした。
296名無しさんだよもん:2006/01/06(金) 00:55:40 ID:HxLOxjkw0
ああ、何度もスイマセンorzミスを発見しました
(16/16)
俺は、部屋に戻り毛布を被ってまぶたを閉じる俺。
             ↓
俺は、部屋に戻り毛布を被ってまぶたを閉じる。
297名無しさんだよもん:2006/01/06(金) 00:58:43 ID:QpcMQe120
>296
おつかれさま。楽しく読みました
298名無しさんだよもん:2006/01/06(金) 01:01:07 ID:Y1iv0P1x0
>俺はさささらの台詞が脳裏に焼きついていた。
>お洗濯もお洗濯も…。
この二つで軽く吹いてしまったんだがw
後者のは意図的なものか?だったらスマソ
まぁ何にせよGJ
299名無しさんだよもん:2006/01/06(金) 01:03:49 ID:HxLOxjkw0
>>298
完全にミスですorz 
お料理もお洗濯も…。
にする予定だったのです…orz
個人レスだったんであれだったんですが、
自分以外には理解不能なミスだったんで、お許しくだされ(´・ω・`)
300名無しさんだよもん:2006/01/06(金) 01:14:48 ID:2eORysFD0
>>296
乙&GJ !!
なかなかの良作のよう
続きが楽しみでヤンス
301名無しさんだよもん:2006/01/06(金) 17:00:43 ID:zv96fjlq0
(3/16)  「俺は、ささらに言わないでどこかに言ったりしないよ」
                     ↓
「俺は、ささらに言わないでどこかに行ったりしないよ」
       

302名無しさんだよもん:2006/01/06(金) 18:49:38 ID:oES5aTvk0
「掃除も洗濯もお料理もセッ(ry」
じゃなかったのか…(´・ω・`)
303Fifth fortunate fate 感想:2006/01/06(金) 21:40:48 ID:rewutLOv0
 我慢して前後編揃ったところで一気読み。
 
 オチは誰にでもすぐに想像がつくものだから、読者は必死になっている
優季を見て「楽しむ」…と考えての発言が前書きでの「コメディ」なのでしょうか。
 まぁ確かにコメディ風味ではあるんですケド。
 
 でも読んでいる間は、優季の「貴明への想い」を感じて胸が痛い。
そう感情移入してしまうくらいに優季が「自然」に動いていると感じる。

 勿論 優季はそんなにヤワな娘(こ)じゃないですから、最後なんかはもう
「いかにも」って感じに復活している訳で…そんなところも 優季らしい。

 んー、なんというか「おとぎ話」か「童話」?
 そんな ふわふわでしあわせな予定調和のハッピーエンド。



 相変わらずキャラが自然に動いてていいですね。郁乃なんかもサイコー(w
 ちょっとだけ違和感を感じたのは このみの台詞ですが、これは敬語だからですね。
 あと、ちょーっと 中だるみ…を感じたかも。このみの辺りで。これは上記の
違和感とも関係するのかもしれませんが。
304名無しさんだよもん:2006/01/06(金) 21:49:41 ID:9lUFiFjR0
>>303
何でここに書くんだろうといつも思ってた
きっとこれからも思う
305名無しさんだよもん:2006/01/06(金) 21:57:05 ID:5bTNGVaI0
>>303
書いてる人?
306名無しさんだよもん:2006/01/06(金) 22:11:34 ID:yCTpmzyG0
あいかわらずケツの穴のちぃせぇ香具師が棲みついてるスレだなwww
307名無しさんだよもん:2006/01/06(金) 22:13:00 ID:03ZvH5120
作者がここに投下しない理由ってのを察してやれよ・・・
308名無しさんだよもん:2006/01/06(金) 22:16:38 ID:rewutLOv0
 サイトにはweb拍手しかないしねぇ。まぁメールもあるけど。
309名無しさんだよもん:2006/01/06(金) 23:08:47 ID:9lUFiFjR0
感想書くなら作者さんがこっちにお知らせにしてからにしたほうがいい。
もし作者さんが現れなければ、こっちに投下する意思がないってことだから
ここに感想書くのはお門違い。
メールでじっくり書くなりWeb拍手で簡素に書くなりして作者さん本人に直接送るべきだと思う。
310名無しさんだよもん:2006/01/07(土) 00:14:59 ID:rayB6LLS0
今後の進路
1.このみ(黒化)とのめくるめくシンラブストーリー
2.たま姉(男化)とのめくるめくスパイトフルラブストーリー
3.愛佳(一酸化)とのめくるめくゼストフルラブストーリー
4.由真(アルファ化)とのめくるめくロングフルラブストーリー
5.姫百合姉妹(一元化)とのめくるめくティアフルラブストーリー
6.るーこ(イオン化)とのめくるめくシャッフルラブストーリー
7.黄色(悪化)とのめくるめくハートフルラブストーリー
8.草壁さん(硫化)とのめくるめくパワフルラブストーリー
9.ささら(液化)とのめくるめくペインフルラブストーリー
10.雄二(女体化)とのめくるめくフライトフルラブストーリー
11.ゲンジマル(開化)とのめくるめくフェアフルラブストーリー
12.メイドロボ(磁化)とのめくるめくディストレスフルラブストーリー
13.ダニエル(進化)とのめくるめくアームフルラブストーリー
14.郁乃(国際化)とのめくるめくブレイムフルラブストーリー

作者さんよろしくお願いします。
311名無しさんだよもん:2006/01/07(土) 00:20:32 ID:aj4ixp220
>>310
(一酸化)あたりから吹いた
イオン化とか液化とかどうしろとw
312名無しさんだよもん:2006/01/07(土) 00:46:31 ID:rjBDS+VJ0
おいおい、他のゲームのキャラを入れちゃマズイだろw
313名無しさんだよもん:2006/01/07(土) 02:31:56 ID:sATqmxJL0
確かにな。
ゲンジ丸とのラブストーリーも微妙だが。
314名無しさんだよもん:2006/01/07(土) 03:38:11 ID:SlJom7lP0
あ、でも5、7、14あたりは読んでみたいかも。
315名無しさんだよもん:2006/01/07(土) 04:58:22 ID:z2sOrmxq0
SSの投稿はじめさせていただきます。
316瑠璃ちゃんの泣く頃に(1/3):2006/01/07(土) 05:00:58 ID:z2sOrmxq0
珊瑚ちゃんが、また新しいゲームを買ってきた。
タイトルは「ひぐらしのなく頃に」

PLAY中・・・・・・
「あ〜やっぱり圭一も喉かきむしって死ぬんやな〜。予想どうりや〜」
「え、えぐ・・・ウチ、帰るぅ、おうちに帰るぅ〜」
いや、ここが瑠璃ちゃんの家だし。

・・・・・・・・
「うわ〜村人ぜいいん、みなごろしや〜。たいへんやな〜」
「%#@:*$Xっっ!!」

その後、瑠璃ちゃんは布団をかぶって朝まで泣きじゃくっていた
317瑠璃ちゃんの泣く頃に(2/3):2006/01/07(土) 05:02:54 ID:z2sOrmxq0
次の日、珊瑚ちゃんがネットで面白いものをみつけたらしい。
タイトルは「このみのなく頃に」

「ねー、タカくんタカくんタカくんタカくんタカくんタカくんタカくんタカくんタカくんタカくんタカく
んタカくんタカくんタカくんタカくんタカくんタカくんタカくんタカくんタカくんタ

「あううううううぅぅぅぅぅ〜〜〜〜〜〜」
318瑠璃ちゃんの泣く頃に(3/3):2006/01/07(土) 05:05:07 ID:z2sOrmxq0
「えぐ・・ぐすっ・・・・」
次の日、俺はすっかり元気をなくしてしまった瑠璃ちゃんをオンブして登校していた。
「もう泣かないで、瑠璃ちゃん。大丈夫だから。」
「うう・・・貴明のあほ・・・しんでまえ・・・・」
「はいはい」
と、そこでいつもどうりタマ姉たちが登校してきた。
「あれ〜?タカくん、瑠璃ちゃんどうかした?」
「!!!!タカくんって言うな〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!」
「え????」

・・・・その後、瑠璃ちゃんの「タカくん」恐怖症は1ヶ月に渡って続いたという・・・・・
319瑠璃ちゃんの泣く頃に作者:2006/01/07(土) 05:06:12 ID:z2sOrmxq0
以上です。過去ログは見たつもりですが、もしネタがかぶってたらすいません。ではよろしくお願いしま
す。
320名無しさんだよもん:2006/01/07(土) 05:22:18 ID:BviBcGXB0
あまりの恐怖で瑠璃がKOOL化するのきぼんw
321名無しさんだよもん:2006/01/07(土) 07:35:00 ID:9hFGqYe7O
>>310
笑う所はどこですか?
出来る限りkwsk教えてくだつあい(^ω^;)
322名無しさんだよもん:2006/01/07(土) 07:43:46 ID:D+1gHvxo0
「雛見沢症候群」が実在したら、瑠璃ちゃん真っ先に発症しそうだな。
323名無しさんだよもん:2006/01/07(土) 08:01:09 ID:7+I7WCtZ0
「えへー。オヤシロ様は“居る”のでありますよ」
「るー」
324名無しさんだよもん:2006/01/07(土) 12:46:03 ID:7BCW9pRu0
>291
きれくれるわよ → きてくれるわよ

>316
>318
どうり →どおり

325瑠璃ちゃんの泣く頃に作者:2006/01/07(土) 16:52:22 ID:z2sOrmxq0
>>324
ご指摘ありがとうございます。
チェックはしたつもりでしたが、日本語って難しいですね。
326名無しさんだよもん:2006/01/07(土) 18:02:49 ID:OtFC7iVM0
ふと思った・・・
るー(るーこ母星)=真なるレザム(痕でのエルクゥの母星)
なネタがSSとかでありそうだと思ったけどないなぁと。
結構共通点あると思うんだけどなぁ。
327名無しさんだよもん:2006/01/07(土) 18:08:09 ID:5vVtERCf0
>>326
ほほう それでそれで?(AA略
328名無しさんだよもん:2006/01/07(土) 21:43:12 ID:Z6j/hCED0
親戚の家の電話番号探してたら
メモ帳の下からずっと昔ss作ろうとした時に
書き込んだ図書委員長設定が出てきたよ。
確か電話しながら書いたので支離滅裂だこりゃ(;´Д`)

設定
・瑠璃が珊瑚の為に光の下へ連れ出し忘れたメイドロボ(の原型?)=ファービー
・ファービー=光が嫌い(闇属性)
・水につけると増える。夜食で凶暴化→グレムリン参照
・図書委員長(モルスァ)闇属性(光属性に+1D)
 エピソード
 ・ファービーが浴槽に落ちて増えた
 ・甘えん坊シルファの心の成長の為、珊瑚が男型のメイドロボに魔改造
 ・元々名前は無かった。貴明に聞かれた時たまたまモルスァ(モルモン教典?モノレールの本?)を
  読んでた為、そこから取った
 性格
 ・圧倒的ツン→デ゙レは不要
 左手に念動力
 切手集め

 後はボールペンの試し書きで見えなくなってた
329名無しさんだよもん:2006/01/07(土) 22:18:51 ID:crcaZBEA0
>>328
支離滅裂で奇想天外すぎてコーヒー吹いた
330名無しさんだよもん:2006/01/07(土) 23:09:24 ID:a52fl/XU0
>>328
是非とも完成をw
あとUFO3〜4本吹き出たw
331名無しさんだよもん:2006/01/07(土) 23:27:25 ID:a52fl/XU0
うわ、あげてしまった…orz
スマソ
332名無しさんだよもん:2006/01/07(土) 23:56:11 ID:+Gnu6VNn0
そういえばロッカーの中でタプタプしてたカエルの卵ってどうなったんだろうか?
うちの田舎だとあれ孵ると池の中がオタマの群れで真っ黒になるんだけど・・・池じゃなくて・・・水槽なんだよな・・・
333名無しさんだよもん:2006/01/07(土) 23:57:16 ID:+Gnu6VNn0
スマン誤爆したorz
334名無しさんだよもん:2006/01/08(日) 01:12:36 ID:j73zFZ6M0
>>332
タマ姉のことか・・・?
タマ姉のことかーーーー!!!
335名無しさんだよもん:2006/01/08(日) 02:45:52 ID:uvQR4xd00
>316見て何となく思いついた。

あはははは、貴明君逃げちゃだめだよぉ?
委員長は俺を尋常じゃない力で押さえつける。
俺が何をしたんだよ!ささらルートにしたのがそんなにいけなかったのかよ!
あはは、貴明君の言ってる事が分からないよ〜?
そうしている間にタマ姉は俺に近づいて来た。
環お姉ちゃん好き好き大作戦第〜何条だっけかな・・・まあどうでもいいわ、
ささらが来る前にやっておくわね。ほらタカ坊痛くな〜い痛くな〜い。
そして俺に迫ってくるタマ姉の右手の構えは・・・アイアンクロー!?
あのアイアンクローを受けて俺は雄二の様に頭蓋骨陥没で死ぬのか?死にたくない、死にたくない!
その時・・・世界がもっとセックスする。

意識が戻った時・・・部屋は俺以外の気配が無くなっていた。
あははははっ、今までのは全部夢だったんだ。これで今までどうりささらルートに戻れるんだ!
その時俺は右手の違和感に気付いた、俺の右手に握っていたのは・・・長ネギ!
そして俺は床に横たわっている委員長とタマ姉に気が付いた。
二人は息も絶え絶えに床に横たわり、首から下は俺の精液がぶっかかっていた。
そして部屋中に散らばった着衣と体液・・・俺は二人をイカしたと言う事を認知した。

こんな感じ。
336名無しさんだよもん:2006/01/08(日) 03:24:24 ID:eN78h7OnO
>335
>その時・・・世界がもっとセックスする。
これはひどいwwww
337名無しさんだよもん:2006/01/08(日) 06:18:25 ID:MQDyOUM80
タマ隠し編
338名無しさんだよもん:2006/01/08(日) 07:52:36 ID:cXtloO5H0
>>335
ちょwおまwww
朝からコーヒー吹いちゃったよwwww
339名無しさんだよもん:2006/01/08(日) 11:07:10 ID:KaUpUww20
これはw
340名無しさんだよもん:2006/01/08(日) 13:54:22 ID:1s/H6iHt0
>>328>>332-334>>335>>338
おまえらwwwww朝から笑わすなwwwwww
341名無しさんだよもん:2006/01/08(日) 14:15:25 ID:ri/wVxBpO
もう昼だろ。と言ってみる。
342名無しさんだよもん:2006/01/08(日) 20:15:27 ID:JrVy3Pxj0
>>335
ギガワロスwwwww
343名無しさんだよもん:2006/01/08(日) 22:30:49 ID:sg6BlzllO
図書委員長「5秒だけ待ってあげよう。
どうするか決めるんだね…。」
口元に下卑た笑みを浮かべゆっくりと数字を数える。
愛佳「………こうなったら、イチかバチか!?
笹森さんっ!受け取って!!」
花梨「へ?何?」
まさに愛佳の命運が絶たれ様としたその時…――
校内放送『小牧愛佳さん、小牧郁乃さんがお呼びです。
至急、保健室までお越しください。繰り返します…』
愛佳「こっ…この放送は…。まさかっ…!!郁乃!?」

…一方、保健室。
校医「それじゃあ、気を付けて…。」
郁乃「分かってます…。でも少し遅くなるだけ。もう一度、図書委員長に殺されるのが……。」

図書委員長「どうした!もう諦めたのかな?なら、とっとと死ねぃ!!」
怒号一発!猛スピードでこちらに駆け出す
愛佳「やったよ〜!」
しかし、愛佳は冷静におでこに指を当て、保健室に意識を集中させる。
図書委員長の視界から突然、愛佳は姿を消す。 
そして次の瞬間、図書室にいたはずの愛佳は保健室に姿を現す。
愛佳「郁乃〜!やっぱりそうだったんだ〜!」
郁乃「お…、お姉ちゃん!?」
344名無しさんだよもん:2006/01/08(日) 22:47:27 ID:kmGM8IZa0
河野家マダー?
345名無しさんだよもん:2006/01/08(日) 22:52:05 ID:IGE/mdfSO
郁乃と愛佳と貴棒の三角関係が頭に浮かんだから誰かキボン(´・ω・`)
過去にあったかな?
346名無しさんだよもん:2006/01/08(日) 23:08:59 ID:KCAsqPIN0
>>344
週刊予定なら明日のはずなので、ワクワクテカテカして待とう。
347河野家にようこそ 参拾九話予告:2006/01/09(月) 01:42:59 ID:L4FPNX8WO
河野家 に ようこそ
前回までのあらすじ

素直になれない由真はついに優希と衝突し、
自分の不甲斐なさに直面する貴明。一体本当の優しさとは、
宇宙の真理とは何なのか。
一方、タンスの角に足の小指をぶつけ瀕死の重症を負った郁乃の姉、
愛佳のお腹の子の父親はこのみだったた。中絶を迫る環。
禁断の愛の結末はいかに!?
イルファ率いるメイドロボ軍団に占拠されたワシントンへ姫百合姉妹が駆ける!
忘れ去られた黄色い存在、今回も特に出番無し。
そのとき大熊座全域を襲った異変とは!?

次回、「国家権力の恐ろしさ」

「るーのちからを見るががいい」
固定資産税の撤廃のため内閣府に押し入ったるーこに対し、ついに公安が動く。
ゲンジマルに訪れた力の覚醒、皇居に降る死の灰と黒い雨。
あくまで静観を続ける春夏の真意は!?
みんな見てね!!

枯れ葉コミックス ToHeart3〜神々のトライフォース〜 1巻〜62.8巻まで好評発売中
348名無しさんだよもん:2006/01/09(月) 01:44:44 ID:P+QTZczr0
バキスレの電波予告思い出すなぁ。
349名無しさんだよもん:2006/01/09(月) 01:45:30 ID:1oKBV1bc0
「ToHeartのかけら」を手に入れた。
350河野家にようこそ 参拾九話予告:2006/01/09(月) 01:47:52 ID:L4FPNX8WO
河野家 に ようこそ
前回までのあらすじ

素直になれない由真はついに優希と衝突し、
自分の不甲斐なさに直面する貴明。一体本当の優しさとは、
宇宙の真理とは何なのか。
一方、タンスの角に足の小指をぶつけ
瀕死の重症を負った郁乃の姉、
愛佳のお腹の子の父親はこのみだった。
中絶を迫る環、禁断の愛の結末はいかに!?
イルファ率いるメイドロボ軍団に占拠されたボストンへ姫百合姉妹が駆ける!
そのとき大熊座全域を襲った異変とは!?

次回、「国家権力の恐ろしさ」
「るーのちからを見るががいい」
固定資産税の撤廃のため内閣府に押し入ったるーこに対し、ついに公安が動く。
ゲンジマルに訪れた力の覚醒、皇居に降る死の灰と黒い雨。
あくまで静観を続ける春夏の真意とは!?
次回、感動のクライマックス!!!
乞御期待!

枯れ葉コミックス ToHeart3〜神々のトライフォース〜 1巻〜62.8巻まで好評発売中
351名無しさんだよもん:2006/01/09(月) 01:48:08 ID:hqbzUjiz0
みんなには ないしょだよ?
352河野家にようこそ 参拾九話予告:2006/01/09(月) 01:48:36 ID:L4FPNX8WO
河野家 に ようこそ
前回までのあらすじ

素直になれない由真はついに優希と衝突し、
自分の不甲斐なさに直面する貴明。一体本当の優しさとは、
宇宙の真理とは何なのか。
一方、タンスの角に足の小指をぶつけ
瀕死の重症を負った郁乃の姉、
愛佳のお腹の子の父親はこのみだった。
中絶を迫る環、禁断の愛の結末はいかに!?
イルファ率いるメイドロボ軍団に占拠されたボストンへ姫百合姉妹が駆ける!
そのとき大熊座全域を襲った異変とは!?

次回、「国家権力の恐ろしさ」
「るーのちからを見るががいい」
固定資産税の撤廃のため内閣府に押し入ったるーこに対し、ついに公安が動く。
ゲンジマルに訪れた力の覚醒、皇居に降る死の灰と黒い雨。
あくまで静観を続ける春夏の真意とは!?
次回、感動のクライマックス!!!
乞御期待!

枯れ葉コミックス TooHeat3〜神々のトライフォース〜 1巻〜62.8巻まで好評発売中
353河野家にようこそ 参拾九話予告:2006/01/09(月) 01:50:13 ID:L4FPNX8WO
河野家 に ようこそ
前回までのあらすじ

素直になれない由真はついに優希と衝突し、
自分の不甲斐なさに直面する貴明。一体本当の優しさとは、
宇宙の真理とは何なのか。
一方、タンスの角に足の小指をぶつけ
瀕死の重症を負った郁乃の姉、
愛佳のお腹の子の父親はこのみだった。
中絶を迫る環、禁断の愛の結末はいかに!?
イルファ率いるメイドロボ軍団に占拠されたボストンへ姫百合姉妹が駆ける!
そのとき大熊座全域を襲った異変とは!?

次回、「国家権力の恐ろしさ」
「るーのちからを見るががいい」
固定資産税の撤廃のため内閣府に押し入ったるーこに対し、ついに公安が動く。
ゲンジマルに訪れた力の覚醒、皇居に降る死の灰と黒い雨。
あくまで静観を続ける春夏の真意とは!?
物語は一つに繋がり、感動のクライマックスへ!!!
乞御期待!

枯れ葉コミックス TooHeat3〜神々のトライフォース そして伝説へ〜 1巻〜62.8巻まで好評発売中
354名無しさんだよもん:2006/01/09(月) 02:10:46 ID:oaR57Djd0
>>353
キター!!と思ったら予告ですかorz
期待してます。がんばってください〜
355名無しさんだよもん:2006/01/09(月) 02:14:53 ID:0KhiS9Su0
>>354
純真な子発見。
356名無しさんだよもん:2006/01/09(月) 04:07:54 ID:yvnJedWF0
河野家キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!
と思ったら予告バージョンかwなんかスゴスwww
357名無しさんだよもん:2006/01/09(月) 08:13:41 ID:esQS5Y1eO
河野家キタ―――(゚∀゚)―――!!!
って、予告かい(*´Д`)
しかも、内容スゴスww
358名無しさんだよもん:2006/01/09(月) 10:08:13 ID:9kAInV+10
おまいら純粋で可愛すぎるぞ。
359河野家にようこそ 参拾九話予告:2006/01/09(月) 10:44:34 ID:yvnJedWF0
河野家 に ようこそ
前回までのあらすじ

素直になれない由真はついに優季と衛星軌道上で衝突し、
自分の不甲斐なさに直面する貴明。一体本当の優しさとは、
宇宙の真理とは何なのか。
一方、豆腐の角に頭をぶつけ瀕死の重症を負った郁乃の姉、
愛佳のお腹の子の父親はこのみだった。
中絶を迫る環、このみと愛佳の禁断の愛の結末はいかに!?
イルファ率いるメイドロボ軍団に占拠されたボストンへ姫百合姉妹が駆ける!
そのとき大熊座全域を襲った異変とは!?

次回、「国家権力の恐ろしさ」
「るーのちからを見るがいい」
消費税の撤廃のため内閣府に押し入ったるーこに対し、ついに生徒会が動く。
「カエル池を作るためにも消費税制度は何としても維持しなければなりません」
るーこの前に現れた、女土方と呼ばれる生徒会長の正体はなんと…!?
ゲンジ丸に訪れた力の覚醒、函館五稜郭に降る死の灰と黒い雨。
あくまで静観を続ける春夏の真意とは!?
次回、感動のクライマックス!!!
乞御期待!

枯れ葉コミックス TooHeat3〜神々のトライフォース〜 1巻〜62.8巻まで好評発売中
360名無しさんだよもん:2006/01/09(月) 11:59:38 ID:y2RXLC+Z0
河野家にささらは何時出るのかなぁ。
ちょっと案があるんだが、これはどうだろう?

貴明達の同棲生活が密かに生徒達の噂になる。(つかバレバレ?)
生徒会長ささらが介入……してほしいが。
(彼女のキャラから難しいと判断ゆえに!!)
まーりゃん先輩、在校生の振りをして貴明に接触。
まーりゃん先輩、ささらを巻き込む。

めでたく新キャラ二人も登場!!


これでどうよ?
河野家の人〜、これドデスカ?
361名無しさんだよもん:2006/01/09(月) 12:20:21 ID:Aeb4SQq/O
部屋どうすんだ部屋
362名無しさんだよもん:2006/01/09(月) 12:35:27 ID:y2RXLC+Z0
なんの!!
確か河野家には屋根裏部屋があったはず!
広さはどんなもんか分からんが、屋根裏部屋がある という事実は変わらない!!

これでどうよ?
363名無しさんだよもん:2006/01/09(月) 12:48:40 ID:7KWcNqVwO
だがアソコは倉庫だ。
364名無しさんだよもん:2006/01/09(月) 12:56:57 ID:ivpyRjdh0
アイディア浮かんだなら自分で書けばいいんじゃね?
365河野家にようこそ 参拾九話予告:2006/01/09(月) 12:57:50 ID:+VJQCBI00
河野家 に ようこそ
前回までのあらすじ

スネ夫になれない由真はついに優季と衝突し、
旋毛の不自然さに直面する貴明。一体本当の旋毛とは、
村様の真意とは何なのか。
一方、バッファローマンの角を足の小指で粉砕し瀕死の重症を負わせた郁乃の姉、
愛佳は夕焼けで弟は小焼けで父親は胸焼けだったたた。しもやけになる環。
禁断の秘技子ちゃんの結末はいかに!?
イルファ率いるメイドロボ軍団に献上された和三盆で姫百合姉妹が食べる!
ルーズに恋する黄色い存在、第一期OPでバカンス。
そのとき大田区蒲田で起こったイベントは!?

次回、「村様権力の恐ろしさ」

「るーのつむじを見るがががいい」
旋毛の撤廃のため開発室に押し入ったるーこに対し、ついに村様が動く。
ゲンジマルに訪れた旋毛の覚醒、全キャラに降る死の灰と黒い雨。
あくまで育毛を続ける春夏の真意とは!?
みんな見てねえ!!

旋毛コミックス TooHard3〜村様のトライフォース〜 1巻〜6.02×10^23巻まで好評発売中
366名無しさんだよもん:2006/01/09(月) 12:58:12 ID:y2RXLC+Z0
でも人が住めないほどの広さだ、とかの描写は無かったと思うんだよ。
あくまで俺の意見は可能性ってだけだから、そこまでマトモに反応されると困る(^^;;

まあ、あくまで意見だから。
気に入ってもらえれば嬉しいけどね。
367名無しさんだよもん:2006/01/09(月) 13:01:07 ID:vpYYqsBI0
ここには久弥でもいるのか?
368名無しさんだよもん:2006/01/09(月) 13:22:42 ID:qVoconRj0
ご都合で追加されても、困る
369名無しさんだよもん:2006/01/09(月) 13:33:49 ID:ivpyRjdh0
河野家の作者さんは寛容だから気にしないかもしれないが
y2RXLC+Z0は自分のやってることをもう少し省みてくれ……
小説でもアニメでも何でも構わないけど、製作会社のHPのBBSに
「次の展開考えちゃいました!」とか書き込んでるのと同じくらいみっともないぞw
370名無しさんだよもん:2006/01/09(月) 13:49:09 ID:y2RXLC+Z0
そっか、そりゃそうだね。
正直すまんかった。
まあ、以後は楽しみに待つだけにしとく。
371河野家にようこそ40話:2006/01/09(月) 18:18:43 ID:iaKZH9lH0
*前回までのあらすじ*
「あなたのの邪悪な心を変えるより、
プルトニウムの性質を変えるほうがやさしいのかもしれませんね」
素直になりすぎて自我を崩壊させた由真に対しついに優希は宣戦布告をし、
世界最終戦争――ハルマゲドンを勃発させる。ゲンジマルの覚醒を皮切りに
中国は放射能の海になってしまった。核はすべての人を照らすそのまことの光となるのか。
そして多くの犠牲の山を前にして優希は何を思うのか!?

「この子は…本当は環さんの子供なんです!!」
都庁の前で慟哭する愛佳の取り囲みに戦慄が走る!環は何を思うのか、そしてこのみの立場はどうなるのか!?
一方、イルファ率いるメイドロボ軍団に占拠されたのはボストンではなくワシントンだった!!
姫百合姉妹は間に合うのか、そしてイルファの暴走の歯止めになるのか!?
大熊座ではクラゲが大発生していた!!
母星のため、人類のため、るーことゲンジマルはついに財務省を動かした!!

次回予告
「全ての因果はめぐり、我が望みは今まさに成就せん」
全ての黒幕は貴明だった!!!
その命を絶たんと牢獄へと押し入った雄二の前にはもうその姿は無く、
壁には意味深なことばが記されていた!
脱獄した貴明の向かう先とは!?そしてその真意が次号明らかに!!!

聖林コミックス GayHard3〜神々の御腰〜 1巻〜3.14巻まで好評発売中
372名無しさんだよもん:2006/01/09(月) 18:25:48 ID:8Z7ZA8X2O
もういいっつーのw
373名無しさんだよもん:2006/01/09(月) 18:37:31 ID:emPtxgGoO
本当に中の人が書いてるのか?そんな書く暇があるなら(ry
374名無しさんだよもん:2006/01/09(月) 19:24:18 ID:kTJcv5KB0
サーさーりゃんの部屋はベッドの中で良いと思います。サー
375河野家へようこそ 第39話(1/9):2006/01/09(月) 19:26:35 ID:L4FPNX8WO
俺への暴力をめぐり、ついに衝突してしまった由真と優希。
そして、泣いている二人に何もできない俺。
瑠璃ちゃんに優しいといわれて舞い上がってたが、
見境無く優しくするということは本当の優しさではなかった。
他人と自分が衝突しないためのただの言い訳だったのかもしれない。
明日、目が覚めたときに俺は何ができるのだろおっぱい揉みたい
376河野家にようこそ 第39話(1/10):2006/01/09(月) 19:43:51 ID:JDHITFeH0
 由真の蹴りで俺の左頬は腫れ上がり、そのことで優季と由真がケンカになった。
 仲直りさせる方法はないものかとみんなで相談し、タマ姉が『荒療治』を提案。その『荒療治』
とは、す巻きにした俺を由真たちの部屋で寝かせるという意味不明かつ人権無視の仕打ちだった。
 夜中、またも口論になりそうな二人をなんとか止めようした俺だったが、そんな俺に二人は、優し
すぎると言って泣き出してしまった。慰めの言葉も見つからず、どうすることも出来ない俺……。

「――と言うワケなんだよ」
「成る程ねぇ。それで由真も優季ちゃんも落ち込んでたのか」
 放課後。タマ姉たちには先に帰ってもらい、俺は雄二と河原にいた。

 泣き疲れて眠って、朝になると由真と優季から怒りの色はすっかり消えていた。だが、その代わり
に二人は、暗く沈んだ表情で、ほとんど口を利かなくなってしまった。
 そして、何とかしようとあれこれ話しかける俺に対し、二人はまるで無視、目も合わせてくれない。
タマ姉たちが話しかけると応じはするが、でも自分からは話しかけようとはしない。
 どうしてこうなってしまったのだろう? 荒療治が逆効果……いや、俺がちゃんと出来なかった
せいだろう。昨日の夜に二人が言ってたように、優しいだけじゃダメなんだ。
 じゃあ、どうしたらいいんだろう。授業もロクに聞かずに考えてみたが、答えはさっぱり見えて
こない。やっぱ俺、女の子のことはてんでダメなんだよなぁ。
 で、少なくとも俺よりは女の子に詳しい雄二に相談願った、という次第だ。

「なあ雄二、俺、どうしたらいいんだろう?」
 そう聞くと雄二はニヤリと、
「女の子にモテまくってるお前を内心妬んでいた俺としては、このまま二人がお前と絶交でもして
くれた方が少しは気が晴れるってもんだがな」
377河野家にようこそ 第39話(2/10):2006/01/09(月) 19:44:22 ID:JDHITFeH0
「冗談言ってないで真面目に考えてくれよ。あの二人、あのまま放っておけないだろ」
「はは、怒るなって。ま、確かにあのままってのも精神衛生上良かぁないよな。
 にしても、何で相談相手が俺なんだ? 姉貴にでもすりゃいいだろ」
「タマ姉にはもう相談したよ、学校に行く前にさ。
 だけどタマ姉、『自分で考えなさい』しか言ってくれなくてなぁ……」
「あ〜らま、突き放されちまったか。
 で、なおかつ姉貴自身は何もしないってことは、貴明にお任せってワケだ。姉貴も酷だねぇ。
 仕方がない、他ならぬ親友のためだ、俺様がアドバイスを与えてやろう」
 雄二は不意に立ち上がり、俺に振り向くと、
「貴明」
「な、なんだ?」
「男なら、ガツンといけ!」
 拳を握りしめ、意味不明の言葉を口にした。
「……え? どういうこと?」
「そのまんまだよ。ガツンといけガツンと!
 男はな、女にただ優しくしてりゃいいってもんじゃねぇんだよ! 時には心を鬼にして、ガツンと
いかなきゃならないんだよ!
 今回の件、お前を蹴った由真は勿論だが、それに拘りすぎて頑なになってる優季ちゃんにも問題
がある。なら二人を叱らないとならんのは明白だろ。で、その役目はお前に任されたってことだ」
「そ、そんなこと言われても、俺……」
「まーたお前お得意の、女の子は苦手、か?
 そうやって苦手苦手言って、要はよく分からないから逃げてるだけだろ、お前の場合。いい加減
もう逃げられる状況じゃないって自覚しろよ。今後、女の子が苦手って言うのも考えるのも禁止な。
 あれだけの女の子がお前の家にいるんだ。お前には既に、彼女たちに対して責任があるんだよ。
378河野家にようこそ 第39話(3/10):2006/01/09(月) 19:44:53 ID:JDHITFeH0
そこから逃げるのは最低の野郎だぞ。少なくとも俺はそんなヤツの親友になった覚えはない!
 貴明、今回の件は、お前が二人を叱らないと解決しないぞ。気合い入れてガツンといけ!!」
 ……す、すげぇ。今日の雄二は説得力がある。正直、雄二が頼もしくさえ見える。
 確かに今までの俺は、優しいだけのダメ男だった。苦手って言葉で逃げてると言う雄二の指摘も
認めるしかない。そしてもう、そんな俺ではダメなんだ。
 でも、俺に出来るだろうか……? いや! 出来る出来ないじゃない、やらなきゃならないんだ!
「分かったよ雄二、俺、やってみる!」
「おう貴明、やってみろ! 骨は俺が拾ってやる!」
 ガシッ!
 夕陽をバックに握手する雄二と俺。ありがとう雄二、お前はやっぱり俺の親友だよ!
「というわけで貴明、今回の相談料だが、ヤックのバリューセットでよろしく。
 あ、たまにはヨシオ屋の牛丼でもいいぞ。そっちなら卵、味噌汁付きで」
 親友……。

 家に帰った。雄二はヨシオ屋に連れて行って牛丼代だけ持たせて別れた。
 さて……、いくか。
「あ、お帰りタカ坊」
 居間に入ると、タマ姉たちはいるけど由真と優季の姿がない。
「由真と優季は?」
「二人とも部屋。そろそろご飯出来るから、タカ坊呼んできて」
「ああ、わかった」
 居間を出て、二階へと上がる。
 二人を叱る。そのことへの緊張感のせいか、階段を上る足がいささか重い。しっかりしろ俺!
 部屋の前、ドアをノック。
379河野家にようこそ 第39話(4/10):2006/01/09(月) 19:45:24 ID:JDHITFeH0
「由真、優季、入るぞ?」
 返事なし。この場合は肯定と受け取ろう。俺はドアを開けた。
 部屋の中では、由真は黙々といつものギャルゲーをやっており、優季はベッドの上に座って窓の外
を見ている。
「二人とも、タマ姉がそろそろ晩飯だってさ」
 俺がそう言うと、由真は無言でゲームを終わらせ、優季も無言でベッドから立ち上がる。
「その前に、ちょっと俺の話を聞いてくれるかな?」
 そう言う俺を無視して通り過ぎようとする二人に、
「話を聞けって!!」
 俺の怒鳴り声に驚いた二人が足を止めた。
「そこに座って」
「な、なんでたかあきに指図されなきゃ……」
「いいから座れ!!」
「――っっ」
 やや怯えた様子で、由真は俺に言われたとおりに正座した。優季も慌ててそれに従う。
 俺もその場に座り、
「昨日の件、キッチリとケリをつけることにした。
 まず由真。どう考えても顔が腫れるまでの蹴りはやりすぎだ。だから謝れ」
「な、何よ今更、あたしに言われたからって――」
「謝れ!!」
 由真の目を見て怒鳴る。由真も俺が本気で怒っていると知ったのだろうか、それから少しの間を
置いて、
「……ご、ゴメン。やりすぎた」
 由真は素直に頭を下げた。
380河野家にようこそ 第39話(5/10):2006/01/09(月) 19:45:55 ID:JDHITFeH0
「うん、わかった。もういいよ。
 さて、今度は優季だけど――」
「私、何も悪いことしてません」
 真剣な目で俺を見返す優季。
「してるよ、悪いこと。今さっきだって俺のこと無視しようとした。俺が由真のことを今まで責め
なかったのは確かに悪かったけど、だからって無視はないだろ。陰湿だよ。
 それにみんなだって優季のこと心配してたんだぞ。一言謝らないと、みんなに悪いだろ。
 だから――」
「私、悪くありません。悪いのは全部貴明さんです。
 貴明さんさえしっかりしてくれたら、私もこんな態度取ったりしません。貴明さんのせいです」
「確かに優季の言うとおりだな。俺も悪かった。ごめん」
 俺は優季に頭を下げた。その後、
「由真の件はもうカタがついたから、後は優季がいつも通りに戻ってくれたらそれで解決だろ。
やっぱ一応、みんなに謝っておかなきゃ――」
「みんななんて、どうだっていいです」
 優季の、怒りをはらんだ言葉。
「私は貴明さんの側にいられたら、みんななんてどうだっていいんです。いえ、私にとってはみんな
は邪魔です、早くこの家から出ていってほしいです」
 優季は、信じられないような冷たい目で由真を見て、
「いっそ今回の件で、由真さんと貴明さんが仲違いしてくれたらよかったのに。そしたら由真さん、
きっと自分でこの家を出ていくでしょう。私にとってはその方が好都合でした。
 ……いえ、今からでも出ていってくれませんか由真さん? そしたらこの部屋、私と貴明さんで
使えるようになりますから。由真さん、貴明さんのこと、別に好きでもないんでしょ? 何の理由で
家出したか知りませんけど、もうそろそろ家に帰ってもいい頃合いじゃ――」
381河野家にようこそ 第39話(6/10):2006/01/09(月) 19:46:26 ID:JDHITFeH0
「優季!!」
 それ以上、優季の口から冷たい言葉を聞きたくなかった。そしてとっさに思い出す、雄二の言葉。
『男なら、ガツンといけ!』
 だから、俺は――

 パシッ!

 ……やっちまった。
 俺は、遂に、優季を叩いてしまった。
「た、たかあき……あんた……」
 由真も意外だったのだろう、呆然としている。
「貴明、さん……?」
 叩かれた優季は、最初、自分が何をされたのか分からなかったようだが、痛みを感じ始めたのか、
叩かれた顔に手を当てる。そして驚いた顔で俺を見る。
「ゆ、優季、俺……」
 罪悪感で胸がいっぱいになり、思わず顔を下げる。
 だけど、こうしなければと思った。あの優季を止めるには、これしかないと思った。だから……
 俺は顔を上げ、もう一度優季を見る。すると――

 つーっ……

「……え?」
 優季の鼻から、一筋の、赤い線……、鼻血だ。
「ゆ、優季……」
382河野家にようこそ 第39話(7/10):2006/01/09(月) 19:46:57 ID:JDHITFeH0
 俺の驚いた顔で察したのか、それとも自分で感じたのか、優季は自分の鼻の下に手をやる。その手
に血が付いたのを見て、自分が鼻血を出していることに気付き、優季は――
「……う、う、うう……、
 うわああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」
 優季は、まるで子供のように大声で泣き出した。
「優季、ご、ゴメン! と、取りあえずティッシュ……」
 慌てて立ち上がろうとする俺、だが、
 バンッ!!
「た、タマ姉!?」
 タマ姉だけじゃない、他のみんなもドタドタと部屋に入ってくる。もしかして盗み聞きしてた?
「鼻血が出てるのね。とりあえずそこに横になって優季。大丈夫、心配しないで。
 ああ、もう服にも付いちゃってるか。早く着替えさせないと。
 るーこ、タオルを水で冷やして持ってきて」
「了解だ、うータマ」
 タマ姉とるーこは、未だ泣きやまない優季の手当てをテキパキと進める。一方、
「た、タカくん、優季さんのこと、叩いたの……?」
「女の子に手を上げるなんて、たかちゃんがそんな人だったとは思わなかったよ! サイテー!!」
「優季が鼻血出しとる……、た、貴明、優季のこと、本気で殴ったんやな!
 ど、ど、どすめてっくばいおれんすやー!!」
「い、いや、そんなに強く叩いたワケじゃ……」
 そ、そう言えば叩いた瞬間、頬とは別の感触があったような……。そ、そうか、頬を叩くつもりが
誤って、鼻も一緒に叩いてしまったんだ。だから鼻血……
「た、たかあき、あんたってば……優季泣かすわ、鼻血出させるわ、あ、あんたってヤツはー!!」
「由真、優季を着替えさせるからタカ坊を外に出して」
383河野家にようこそ 第39話(8/10):2006/01/09(月) 19:47:28 ID:JDHITFeH0
「了解しました環さん、たかあきは廊下で殺します!!」
 こうして俺は部屋から追い出され、廊下で由真たちに袋叩きにされた。

 夜中。俺はまた、す巻きにされて、居間のソファーに寝かされている。
 袋叩きにしただけでは由真たちの怒りは収まらず、更なる罰をという声に対し、タマ姉が出した
結論は「夕食抜きと、す巻きで一晩反省すること」だった。
 優季の鼻血は、あの後すぐに止まったらしい。顔が腫れることもなかったそうだ。
 らしい、とか、そうだ、と俺が言うのには理由がある。す巻きにされた俺は、あの後、優季の姿を
見ていないのだ。優季は、夕食も食べず、一人部屋に籠もっているらしい。
 ……最低だな、俺は。優季を傷つけてしまった、結局それだけじゃないか、俺のしたことなんて。
 明日、優季になんて謝ればいいんだ? いやその前に、優季は俺と会ってくれるだろうか?
 ギィ……
 ん? ドアの開く音? 誰か居間に来たのか?
「……貴明さん」
「ゆ、優季!?」
 俺の目の前にやってきたのは、優季と、由真だった。
「優季……、そ、その、も、もう大丈夫なのか? 痛くないか?」
「ええ。安心してください、貴明さん」
「そ、そっか……、よかった……。
 ゆ、優季、俺、優季になんて謝ったらいいか――」
 俺の口を指先で優しく押さえ、優季は、
「謝らないでください、あの時悪かったのは間違いなく私なんですから。
 貴明さんがみんなに優しいのに嫉妬して、私、とんでもないことを口にして……。
 本当に済みませんでした、由真さん」
384河野家にようこそ 第39話(9/10):2006/01/09(月) 19:47:59 ID:JDHITFeH0
「あたしはもう気にしてないって、さっきも言ったでしょ」
「でも俺、優季のこと叩いて、鼻血まで出させて、優季のこと泣かして……」
「そ、その、泣いちゃったのには理由が……」
 何故かモジモジする優季。そして、
「だ、だって、貴明さんに鼻血出してるところなんか見られて、その……、私、は、恥ずかしかった
から……」
「……え? は、恥ずかしい……?」
 じゃあ、優季が泣いたのって、叩かれたからじゃなくて、恥ずかしかったから、だったのか?
「……あの、貴明さん、一つお聞きしてもいいですか?
 貴明さんって、今まで女の子を叩いたこと、ありますか?」
「な、ないない! ゆ、優季が初めてで……」
 すると優季は、何故か笑顔を浮かべ、
「私が、貴明さんの初めて……。
 こ、こんなこと言うと変な子に思われるかも知れませんけど、嬉しいです、私」
「う、嬉しい!? 叩かれたのに?」
「はい、だって、貴明さんの初めてになれたから、私……」
 は、初めてって言ったって、モノにもよると思うんだけど……?
「たかあき」
 困惑する俺に対し、由真は何故か、す巻きのロープを解き始めた。
「ゆ、由真、何やってんだよ?」
 しかし由真は何も答えず、程なく俺は自由の身に。そして、
「叩いて」
「は?」
「あたしも叩いてよ、たかあき。
385河野家にようこそ 第39話(10/10):2006/01/09(月) 19:48:30 ID:JDHITFeH0
 喧嘩両成敗って言うじゃない。あたしと優季がケンカしたのに、優季だけ叩かれるのはヘン。
 その……ズルイ。だからあたしも叩いて」
 目を閉じて顔を俺に突き出す由真。でも、俺はもう女の子を叩くのはこりごりだ。だから、
 むにっ。
 由真の下唇をつまみ、びろーんと延ばす。
「ぷぷっ、変な顔」
「た、たかあひ?」
 驚く由真。俺は下唇をぱっと放し、
「ほい、罰終了」
「な、何よ今の!? あたしは叩けって言ったのに、こ、こんな……」
 口を押さえて赤面する由真。
「恥ずかしかった?」
「当たり前でしょ! 女の子の顔で遊ぶな!!」
「恥ずかしかったなら、優季と同じ目にあったんだから、喧嘩両成敗ってことで。
 それとな由真、女の子の下唇びろーんと延ばすの、俺、お前が初めてだから」
「そ、そうなの……?
 って、そんなの全然嬉しくなーい!! たかあきのバカ!!」
「ふふっ、よかったですね由真さん。
 ねぇ貴明さん、私、お腹ぺこぺこなんです。よかったらご一緒に夜食でもどうですか?」
「うん、俺もメシ抜きだったから腹ペコなんだ。頼むよ優季」
「はい、何かおいしいもの作りますね☆」
「あたしも食べるーっ!!」

 つづく。
386名無しさんだよもん:2006/01/09(月) 19:48:43 ID:esQS5Y1eO
>>371 >>375
Σ(゚Д゚)ポカーン
河野家の作者じゃねーなら、止めた方がイインジャネ?
作者に失礼だと思うが……
387河野家にようこそ の作者:2006/01/09(月) 19:49:11 ID:JDHITFeH0
どうもです。第39話です。
新年明けましておめでとうございます。本年も河野家をよろしくお願いいたします。m(_ _)m
ちなみにいつもより1ページ多いのは、新春特別ということで。

さて、年末年始は田舎に帰省した俺ですが、こんなことがありました。
大晦日、酒の席にて。

父「お前最近、何か新しいことやってるか?」
俺「(酔った勢いで)ああ、小説モドキ書いてインターネットに書き込んでる」
父「そうか。お前、そんなことやってるのか。
  よし、じゃあその小説、帰ったら印刷して送ってこい」
俺「Σ(゚д゚lll)」

で、出来るわきゃねええええええええええええええええええええええ!!!
ギャルゲー題材にしたSSなんて、知らない人間が読んだってワケ分かんねぇだろ!!
しかもコレ、バカだしHだしハーレムだし!! とても親父になんて読ませられねぇ!!
酒の酔いも一気に醒め、必死で言い訳して断る俺でした。

しかし、えらいことになってるなあ……(^^;
388名無しさんだよもん:2006/01/09(月) 20:07:41 ID:hqbzUjiz0
怒濤の展開だったがGJ
389名無しさんだよもん:2006/01/09(月) 20:12:22 ID:DeZpMWNk0
GJ
390名無しさんだよもん:2006/01/09(月) 20:18:23 ID:feT6s2So0
乙乙。
作者も怒涛の展開なるか、と言った所?
391名無しさんだよもん:2006/01/09(月) 20:18:27 ID:6Dnrn1JY0
優希って草壁さん?
だったら優季じゃないのかな?
392名無しさんだよもん:2006/01/09(月) 20:19:59 ID:6Dnrn1JY0
更新してなかった。スマソ
393名無しさんだよもん:2006/01/09(月) 21:00:12 ID:U49ME6aA0
河野家スレですなあ。
394名無しさんだよもん:2006/01/09(月) 23:44:58 ID:8BYxXRnJ0
GJ!!
今年最初の河野家も最高でした☆
でも、まさか貴明が殴るなんて・・・・・
予想外の展開でしたけどとてもよかったです!
遅れましたが今年も楽しく読ませていただきます。
395名無しさんだよもん:2006/01/10(火) 01:36:19 ID:rpm76S6S0
河野家キテル━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!
実はこの前、長編なのでながらく読むのをためらってた河野家を試しに読んだらはまりにはまって徹夜しかけた
作者さんがんがって
396突発屋 ◆63./UvvAX. :2006/01/10(火) 03:00:38 ID:ZjvltmPI0
「ほら? 『いただきます』は?」
こくり、と二人の喉が同時に唾を飲み込む音。
「い………いただきます、お姉様……」
今度は躊躇いがちに、あ〜んと開いた小さな口に包まれる。先ほどは母乳でも吸い出そうとし
ているのかと思うほどの吸引力だったが、今度は乳首の更なる勃起を誘導するように、ゆっく
りと唇で愛撫し吸い上げてくる。
「…………」
今度は痛くないですか? と尋ねてくる上目遣いの視線に笑顔で応えてやると、もう一度深く
吸い付いてから、唾液をたっぷりと含ませた舌が先端部に絡み付いてくる。
「……っ!」
「♪」
徐々にこちらの反応を読み取ることが出来るようになってきたのか、アイスクリームを舐める
ように舌を動かしつつ、更に顔を密着させて頬を擦り寄せてくる。なんだか奉仕と言うよりも
甘えているような未央の仕草に微笑ましささえ感じてしまう。が、それとは別に丁寧で優しい
舌使いは確実に快感を送り込んでくれるわけで、息が熱く荒くなるのと同時に思考そのものが
快楽の甘い蜜で満たされていく。
「良い子ね……」そんな未央に新たな愛おしさを感じつつ、そっと頭を抱き寄せ髪を撫でなが
ら、目を閉じた私は息を胸一杯に吸い込む「……ほんとうに、良い子。」
秒針が時を刻む音と、未央の匂いと、仄かな快感だけが世界の全てだった。
397突発屋 ◆63./UvvAX. :2006/01/10(火) 03:01:17 ID:ZjvltmPI0
誤爆です。
スレ汚しスマソ!
398名無しさんだよもん:2006/01/10(火) 04:35:47 ID:zyCRa6Fs0
工エエェ(;´Д`)ェエエ工
399名無しさんだよもん:2006/01/10(火) 04:47:12 ID:f+SZ7O0+0
河野家の作者さんにGJです。
あとがきも楽しく読ませて頂きました。
400名無しさんだよもん:2006/01/10(火) 06:19:28 ID:3I8405fa0
河野家の作者氏、お疲れです。

草壁さんは確かに独占欲が強そうですな。
本編にない展開をどう予測するかっていうのも
SSの一つの楽しみ方なので今週も面白かったですよ。
今後もわくわくが止まらねぇ。
401名無しさんだよもん:2006/01/10(火) 07:45:00 ID:f+SZ7O0+0
郁乃ファンの方は居らっしゃいますか?
よろしければ”小牧郁乃を愛でるスレ”で
いくのん心理テストにご協力お願いします。
402名無しさんだよもん:2006/01/10(火) 15:38:26 ID:G0QHLuXD0
>>387
今年初の河野家喜多ーーー!!!
優季がちょっと恐い、と思った瞬間でした:-)

しかし、河野家を全部印刷したら、結構な量になるでしょうね^^;
がんばってくださいw
403名無しさんだよもん:2006/01/10(火) 19:02:28 ID:d936jH6bO
あの〜、もしかして虹の欠片って連載終わっちゃってる?
404名無しさんだよもん:2006/01/10(火) 19:22:53 ID:Er+ZOkL80
作者の人のHPで続いとるよ
405名無しさんだよもん:2006/01/10(火) 19:38:06 ID:d936jH6bO
>>404
dクス
406名無しさんだよもん:2006/01/10(火) 23:46:48 ID:EtrHgSA4O
虹の欠片、15話読んだけど絶対に面白い。
こんなにいいものを書いてまとめまでしてくださった作者がひどい中傷を受けて自サイトに隠居せざるを得なくなったのが不憫でしょうがない。
そして







ジャンクションマダー?
407名無しさんだよもん:2006/01/11(水) 00:18:56 ID:UDk2W3iM0
虹の欠片か・・・。
1〜6話位までのショッキングな(痛いとも言う)展開は好きだった。
だけど中盤以降、小牧姉妹とのエピソードは死ぬほど退屈でつまらなかった。
それが延々と続いて、学園祭の黄色とるーで完全に切れた。
叩かれたのは、内容云々よりもそこら辺に原因があるのでは?
408名無しさんだよもん:2006/01/11(水) 00:20:54 ID:hh7XCjo9O
春は終わらないマダー?
409名無しさんだよもん:2006/01/11(水) 00:25:19 ID:J6IgTe8G0
一応聞くけど、ここって21禁で良いんだよな?
410名無しさんだよもん:2006/01/11(水) 00:30:47 ID:2d9xF8BD0
作者さんなりに折り合いをつけてくれて、公開を停止したりはしていないんだから
終わった話をわざわざ掘り起こすなよ。
面白いと思ったら、web拍手なりメールで応援しようぜ!
411名無しさんだよもん:2006/01/11(水) 00:43:41 ID:gTuQy3vH0
>>406
ジャンクションの人は自サイトに籠もってミルファSS書いてた
412名無しさんだよもん:2006/01/11(水) 00:45:08 ID:XTtsk+2h0
>>409
おうよ。

感想も書けないから(書いてはいけないらしい)
「GJ」とか無意味な応援しか出来んつまらんスレさ。
413名無しさんだよもん:2006/01/11(水) 00:52:56 ID:J6IgTe8G0
>>412
や、別に愚痴とか嫌味とか荒らしとかが目的じゃないけどなw
黒物以外は21禁らしいSSが無いみたいなんで気になっただけだ。

気分を害したんならスマソ
414名無しさんだよもん:2006/01/11(水) 00:58:38 ID:WbtTsYXq0
>>413
単にお前のレスをとっかかりに、このスレ荒らしてるだけだろ
415名無しさんだよもん:2006/01/11(水) 02:09:22 ID:9v+bWHoX0
スルーも覚えられないやつがいる限りこの話題はループするだろうねぇ…
416名無しさんだよもん:2006/01/11(水) 02:14:48 ID:aqTZO2Nh0
ていうか、エロって結構あったよな。
鬼畜愛佳とか。
417名無しさんだよもん:2006/01/11(水) 08:12:13 ID:MZKTlO8V0
単純にTH2がエロ(グロ含む)を題材にしたSSを書こうと思わせる作品になりづらいだけじゃん?
ただでさえ先に全年齢版でたんだし。
あとは作家にエロ志向な人が少ないとかな
両方書いてる人もいるし皆無ではないぞ
418名無しさんだよもん:2006/01/11(水) 15:34:37 ID:x2UtGi7gO
瑠璃(ん…朝や…。はよ起きな…)
朝の6時。いつもと変わらない筈の部屋。
瑠璃(なんやぁ…体がダルい…)
上半身をムクリと起こし、辺りを見渡す。
瑠璃(うちの部屋…こない広かったかな…えっ!?)
鏡に映った自分を見て驚く。本来なら自分が写っていなければいけない場所にクマのヌイグルミがいて、こちらを見つめていたのだ。
瑠璃(………。あかん。うち、疲れとんのや…。あと、五分だけ寝直そう…)
――五分後
瑠璃(………。どう…なっとんや?)
改めて鏡を見直す。どこからどう見てもクマのヌイグルミ。見覚えがあるから恐らくミルファの仮ボディだろう。
瑠璃(な、何でやのん?落ち着いて考えるんや。昨日はちゃんと自分の体やっ、た……。昨日!?)
そこで瑠璃は昨日の珊瑚とのやりとりを思い出す…――

瑠璃「ほらっ、さんちゃん!これもちゃんと食べなアカンて!!」
珊瑚「え〜〜っ、そんなん食べんでも死なへんよ〜。」
瑠璃「屁理屈こねてもアカン!これ全部食べへんかったら明日の朝御飯、さんちゃんはヌキや!!」
珊瑚「うぅ…瑠璃ちゃん…いぢわるする…」
419名無しさんだよもん:2006/01/11(水) 15:54:30 ID:x2UtGi7gO
ぱたぱたぱたと音をたて、自分の部屋に行く珊瑚。
瑠璃(…アカン。言い過ぎたわ。でもうちはさんちゃんの事思て言っとんのに…)
はぁ…と溜め息をつき、テーブルに残った食事を片付ける瑠璃。
カタッ…。リビングのドアの開く音。
瑠璃「さんちゃん?もう片付けたから何も残ってな…えっ!?」
首筋にヒヤリとした感触が有ったかと思うと、突然体中に文字通り『電気』が走ったのである。
瑠璃「なっ…さん…、ちゃ…ん」
珊瑚「いじわるばっかりする瑠璃ちゃんにお仕置きや〜」
珊瑚の笑顔を見つめながら闇のなかへ意識が沈んでいった……。
420名無しさんだよもん:2006/01/11(水) 18:20:47 ID:LGY146KYO
つづきは!?
421名無しさんだよもん:2006/01/11(水) 22:10:32 ID:AEJYvU8X0
>420
 続きPlz
 生ごろしはイヤや〜(w
422白き世の:2006/01/11(水) 22:32:34 ID:mtoRTH5V0
 ベタアマですね。楽しく読ませていただきました。
 
 しかし改めて考えると(原作中でも)優季って「小悪魔"的"」なキャラなんですけど、
それでいて他人を振り回すだけでない気配りをしているし、ホント「不思議少女」とは言いえて妙。
 「お仕置き」される"スキ"とかもあったり。まぁ貴明だから、というのはあるのでしょうけど。
でもアレって確かに傍から見てるとじゃれあってるようにしか見えんわな。
 
 
 気になった点
>器官 → 気管
 
>マフラーで防寒を固めた
 ニュアンスは分かるんですが、言葉としてはおかしい…と思う。
 
>「……みなさ〜ん、バカップルは放っておいて席についてくださ〜い。
>今年最初のホームルームを始めますよ〜」
> 悪意に満ちた言葉によって現実へと引き戻された。
 ここはちょっと納得できませんね。ありえないとさえ思います。
 一人称なので貴明の主観な訳ですが…それでもとても気になります。
423名無しさんだよもん:2006/01/11(水) 22:42:07 ID:x2UtGi7gO
瑠璃(そうや!うち、あの時さんちゃんに…!?)
ガチャリ…
その時、不意に部屋の扉が開き、瑠璃は更に自分の目を疑う事になる。
自分の部屋の扉を開き、現れたのは紛れもない自分だったのだ。
瑠璃の体はキョロキョロと部屋を見渡し、視界に自分を認めるとニコリと微笑む。
瑠璃「おはようございます、瑠璃様。」
自分の声が自分にむけ挨拶をする。
瑠璃(その話し方はイルファ!?)
何故自分の体にイルファが?うちは一体?様々な考えが頭の中を駆け巡るが答えは全く出ない。
そうこう思案しているうちにイルファに体を持ち上げられリビングへと連れて行かれる。
リビングには既に珊瑚がおり、こちらを満面の笑みで見つめていた。
瑠璃(さんちゃん!!これはなんやの!!!)
声帯機能がついていない為、ヌイグルミの手足をばたつかせ非難の態度をとる。
珊瑚「おはよ、瑠璃ちゃん。聞きたい事は分かってるよ。
なんで朝起きたらこないなってるか…、ってことやね〜。
それはな……――」
424名無しさんだよもん:2006/01/11(水) 23:21:31 ID:VNkk7ZSJ0
>>423
青紫の呪いやねん。
425名無しさんだよもん:2006/01/11(水) 23:21:56 ID:x2UtGi7gO
それから珊瑚は手品のタネを喜々と語り出した。
イルファ達を創る過程で副産物として人の記憶や人格といった『情(こころ)』の電子記号化理論。
人間の脳と同じ機能を有するCPUの開発等々……。
珊瑚「あとはな〜、それを実践するだけやってん。
で、いじわるする瑠璃ちゃんにお仕置きをかねて試してみた〜♪」
両手を高く上げ誇らしげに胸を張る珊瑚。
ここまで黙って話を聞いていた瑠璃もあまりの不条理ぶりについに怒りを露にする。
もぞもぞと体を動かし、イルファの拘束から脱け出すと同時にテーブルを挟んだ場所にいる珊瑚めがけ走り出す。
後ろから伸びてくるイルファの手を巧みにかわし、珊瑚に渾身の一撃を叩き込む。
ぺちっ!
しかし、ヌイグルミの体ではたかが知れており、当然ながら珊瑚の体には傷一つ付ける事ができない。
426名無しさんだよもん:2006/01/11(水) 23:43:16 ID:x2UtGi7gO
しかし、その一撃は珊瑚の怒りを買うには充分過ぎた。
瑠璃「捕まえました!」
イルファに再び拘束される。
瑠璃(離せー!離さんかい!イルファーー!!)
再度体をよじり、その戒めから逃れようとするが、今回はガッチリと体を掴まれ身動きがとれない。
瑠璃「ふふ…。じっとしてて下さいね。瑠璃様…。」
そう言うとヌイグルミの背中をパカリと開け、中のスイッチをいくつかパチパチとする。すると…
瑠璃(なっ!?体が動かん!!)
瑠璃「前足と後ろ足を作動出来ない様にさせて頂きました。」
そして、今まで黙って二人のやりとりを見ていた珊瑚が口を開く。
珊瑚「…やっぱり瑠璃ちゃんはイジメッコや。イジメッコな瑠璃ちゃんは一生そのままや!!」
瑠璃(えっ…!?そんな…嘘やろ?嘘やろさんちゃんっっ!!!)
しかし、その思いは声にはならない。
思いを伝えようにも文字通り手も足も動かせない。
そんな瑠璃の気も知らずイルファが歓声を上げる。
瑠璃「…それでは珊瑚様、この体は私が頂いてもよろしいですか?」
珊瑚「ええよ、いっちゃんが欲しいんならあげるよ。」
瑠璃「ありがとうございます!珊瑚様!!
あぁ…憧れの瑠璃様の御体が私のモノに…。」
427名無しさんだよもん:2006/01/12(木) 00:08:34 ID:FZAjRXEtO
ひとしきり新しい自分の体を堪能したイルファがおもむろに口を開く。
瑠璃「ところで珊瑚様?瑠璃様は如何なさいますか?」
視線をテーブルの上のヌイグルミに落とす。
瑠璃「よろしければ瑠璃様の情(こころ)の方も頂きたいのですが…。」
珊瑚「データは全部とったで必要無いからいっちゃんの好きにしたらええよ〜♪」
瑠璃「ありがとうございます、珊瑚様!!今日は私が産まれて一番に幸せな日になります。」
瑠璃(………―――)
そして二人の愉しそうなやりとりを聞きながら再び暗い闇の中へと意識が溶け込んでいった。

次に気が付いたのは学校のパソコンルーム。
貴明「珊瑚ちゃん。瑠璃ちゃん。こんにちわ。」
珊瑚「る〜☆」
瑠璃「こんにちわ、貴明さん。」
瑠璃(貴明!!うちや!瑠璃や!)
貴明「えっ!瑠璃ちゃん!?」
瑠璃(そうや、うちや!!気付いてくれたん…)
貴明「ははっ、瑠璃ちゃん。それ、イルファさんの真似?」
瑠璃(なっ!?違う!そっちやない!こっちが本物のうちや!!)
瑠璃「どや、うちのモノマネ。意外と似てたやろ?」
貴明「うん。瑠璃ちゃんがモノマネ得意だなんて知らなかったよ…。ってクマ吉!!久し振りだな!」
428名無しさんだよもん:2006/01/12(木) 00:21:49 ID:FZAjRXEtO
ヒョイッと体を持ち上げると頭を撫でたりされる。
貴明「あれ、クマ吉?元気ないな?」
珊瑚「ごめんな〜。今そん中には何も入っとらんねん。」
貴明「あっ…そうなんだ。何ていうか気配がしたから…。」
瑠璃(助けて!うちや!!瑠璃や!!貴明ーーーっ!)
瑠璃「はーっ…。貴明はほんまもんの変態やな。」
貴明「わっ!?そんなんじゃないって。」
ぽむっと他のヌイグルミ達と同じ箱の中に入れられる。
その光景を珊瑚がニコニコと見ていた…。

それから長い年月が経った…。
瑠璃は人間に戻りたくても戻れないので、考える事を止めた…――

429名無しさんだよもん:2006/01/12(木) 00:26:47 ID:FZAjRXEtO
…と、まぁ再び黒いコメディを投下させて頂きますた。
ω・`)ノ

オチはかの有名な究極生命体です。
後悔は勿論してません。
それでは良い夜を…
430あの日、別の所で 1/10:2006/01/12(木) 00:52:08 ID:Ce+e8NzO0
「決裂。最後まで戦うってさ」

 まーりゃん先輩の声に、周囲の先生たちからどよめきの声が上がる。
 タカ坊とささら、ふたりを止めようと意気を上げる大人たちを見ながら、私たちもま
た小さく目配せをする。ふたりが明日ちゃんと逃げられるよう、今夜の内に用意を済ま
せておかなくてはいけない。
 踏み込むのは明日だと三々五々散っていく先生たちを尻目に、屋上や中庭、気付かれ
ないように準備にとりかかる。
 ICレコーダーが再生したタカ坊の声には全く迷いがなくて、ささらのために体を張
ることにこれっぽっちの疑いも持っていないみたい。男の子っていうのは、どうしてこ
ういつの間に大人になってしまうのかしら。正直、ちょっとだけささらことが妬けてし
まう。
 まったく、このタマお姉ちゃんにここまで世話を焼かせるんだから、あとでどうやっ
て返してもらおうかしら。
 雄二たちが体育用具室からネットを持ってきた。その時がくるまでどこかに隠してお
かなきゃいけないのだけど。

「先輩?」
431あの日、別の所で 2/10:2006/01/12(木) 00:52:54 ID:Ce+e8NzO0
 さっきまで指示を出していたはずのまーりゃん先輩の姿が見えない。周囲を見回して
みると、いた。建物の隅に隠れて、何かゴソゴソと作業をしている。

「先輩、何をなさっているんですか?」

「しーっ、静かに! 今いーところなんだから」

 両耳にはイヤホンをあてて、手にはアンテナを持って熱心に何かに聞き入っている。

「たまちゃん、片方聞いてみる?」

 そう言って方耳のイヤホンを渡してくる先輩の顔には、例えようもないくらいの人の
悪い笑顔が・・・・・・正直なところ、嫌な予感しかしないわね。
 それでも折角先輩が勧めてくれるものを無碍にする訳にもいかず、今も「ホレホレ」
なんて差し出してくるし。

「お、おおおおおお!? いきなりそう出るか」

 ずいぶんと盛り上がっているようですけど、一体何が聞こえて──

『さ、ささらのおっぱいも食べて──』
432あの日、別の所で 3/10:2006/01/12(木) 00:54:07 ID:Ce+e8NzO0
「なっ!?」

 イヤホンの中から漏れてくる声は、タカ坊とささらの・・・・・・し、しかもこれっ
て・・・・・・

「いやぁ、たかりゃんもなかなかやりますなぁ。いつもは虫も殺さないって顔してるの
に、猫かぶってやがったなあんにゃろー」

『あ、ああ、もっとぎゅっとぉ』

「せ、先輩、これってまさか」

「うん、たかりゃんとさーりゃんの初エッチ生ライブー☆ こんなこともあろうかと仕
掛けて置いた盗聴器が役に立ってよかったよ」

 盗聴器って!

『そこ?
 あ──
 ここをどうしてほしいの?』
433あの日、別の所で 4/10:2006/01/12(木) 00:55:09 ID:Ce+e8NzO0
 まさかまーりゃん先輩に聞かれているとは思っていないふたりは、どんどん自分たち
だけの世界に突入していってしまっている。

『はう、はうぅ──貴明さん、ダメなのぉ』

 ・・・・・・タカ坊ったら、いつの間にかこんなに大人になって。

「なー、姉貴、このネットどこおいておけばいいんだ?」

『ささらの匂いがいっぱい──
 そんなぁ──』

 な、タカ坊、何やってるのよ、そ、そんな破廉恥な・・・・・・

「あねきー?」

『腰を上げて──』

 だめ、だめよそんなことお姉ちゃんは許さないわよ!?
434あの日、別の所で 5/10:2006/01/12(木) 00:56:23 ID:Ce+e8NzO0
「まーりゃん先輩、姉貴のやつ何やってる・・・・・・な、なにぃ、貴明と久寿川先輩
が!?」

『ひゃうん! 貴明さんの指がぁ』

「あ、姉貴かわって、代わってくれ、次俺、次俺のばんゴブハっぁ」

 雄二うるさい、聞こえないでしょ。

『・・・・・・チュってして欲しいのぉ』

 あー、もう。肝心のところを聞きそこなったじゃない。

「え、録音してるんすか? くぅーっ、感動しました。俺、一生まーりゃん先輩について
いくっす」

「ぬふふふふふ、もっと褒めてくれてもかまわんぞ。でもなぁ、こっちも慈善事業でやっ
てるわけじゃぁねぇし、誠意を見せてもらおうじゃねぇか、誠意を」

「押忍。で、幾つほど山吹色のお菓子をご用意しましょうか、お代官様」

「向坂屋、お主も悪よのう」
435あの日、別の所で 6/10:2006/01/12(木) 00:57:01 ID:Ce+e8NzO0
「いえいえお代官様ほどでアガガガガガガ、われ、割れるっ、わ゛れ゛っ゛っ!?」

 動かなくなった愚弟を地面に投げ捨てる。
 まったく調子にのって。帰ったらキッチリ、わからせてあげなくちゃいけないわね。

「まーりゃん先輩?」

「いや、あはははは、ジョーク、いっつジョークだってばたまちゃん。後輩のことを思い
やる先輩の、可愛らしい冗談だって」

 まーりゃん先輩も。電卓なんて取り出して、一体何を考えているのかしら。

「で、お幾らになるんですか」

「・・・・・・え?」

「こんなに大切な物、雄二なんかに売ろうとするなんて先輩は何を考えているんですか。
こういう物は、私のように持つのに相応しい人間が買い取るべきなんです。それで、お幾
らになるんでしょうか?」

「あー・・・・・・まいどありー☆」


436あの日、別の所で 7/10:2006/01/12(木) 00:58:05 ID:Ce+e8NzO0
 陸とをつなぐロープが外されて、ゆっくり船は桟橋から離れていく。
 ここまでくれば、とりあえずは一安心だろう。いくらなんでも海の上まで追いかけては
こないだろうし。

「貴明さん」

 俺のすぐ横に立つささらの表情にも、安堵の笑顔が浮かぶ。
 まーりゃん先輩やタマ姉、たくさんの人のおかげで、俺たちはここまで逃げてくること
ができた。俺たちふたりだけだったら、間違いなく学校で捕まってしまっていただろう。
 特にまーりゃん先輩には、いくら感謝してもしきれないくらい世話になっている。この
船のチケットだって、あの時渡されたリュックサックの中に入っていたものだ。チケット
の他にも、着替えや、少なくない額の現金。

「いつか、ちゃんとお礼しなくちゃ」

「うん、そうだね。でもまーりゃん先輩のことだから、利子は10倍にして返せとか言っ
てきそうだよ」

「それもそうね」

 ふたりで笑い声をあげながら、徐々に遠くなっていく陸地を眺め続ける。
437あの日、別の所で 8/10:2006/01/12(木) 00:59:23 ID:Ce+e8NzO0
「あら? 貴明さん、リュックサックの中、手紙が。これ、先輩の字」

「え?」

 そういってさららが見せてくれたのは、一通の手紙。俺は先輩の字なんて知らないけど、
ささらが言うんだからこれはまーりゃん先輩が、俺たちに宛ててくれた手紙なんだろう。
 封を開けて、声を出して読み上げる。

「えっと、Deaaさーりゃん、たかりゃん」

 うん、間違いなく先輩の手紙だ。さっそくスペルが間違ってる。
 誤字や脱字ばかりの手紙だったけど、その内容は俺たちのことを励まして、そして元気
付けてくれる物だった。ところどころ字が滲んでいるのは、もしかすると。

「あ、封筒の中に、もう一枚入ってるよ」

 手紙は一枚だけかと思ったら、もう一枚、封筒の中に入っていた。

「追伸。今回キミたちを逃がすのに使った費用については、全く気にすることは無いから」
438あの日、別の所で 9/10:2006/01/12(木) 01:00:00 ID:Ce+e8NzO0
 わざわざこう言うことをかくあたりが、まーりゃん先輩らしい。
 ささらと顔を見合わせて笑いあう。

「えっと、なに、むしろ、キミたちの頑張りのおかげで大変儲けることができて、こちら
がお礼を言いたいくらいだ。これからもミイラにならない程度に、励んでくれたまえ。
サービスで、ダビングした物を一つだけ付けておくから、寂しいときなんかに使うといい。
後輩想いのまーりゃん先輩より・・・・・・」

 とたんに、嫌な予感が津波のように全身に覆いかぶさってくる。

「た、貴明さん」

 それはささらも同じみたいで、リュックサックの中から小型のラジカセを取り出したさ
さらの指は、まるで爆弾でも掴んでいるように震えている。
 多分、これを聞くと絶対に後悔する。間違いなく後悔する。
 でもこの予感を放置しておくことが、俺たちに可能だろうか。聞かずにいて不安に押し
つぶされるよりも、聞いて、後悔したほうがまだ傷は小さくてすむんじゃないだろうか。
 ささらと視線を合わせて頷きあう。
 ふたりで一緒に、震える指で再生のボタンを押す。
439あの日、別の所で 10/10:2006/01/12(木) 01:00:55 ID:Ce+e8NzO0
『うん、うん、私、貴明さんのためにかわいくなるから、だから──
 うん、わかってる。たくさん愛してあげるよ』

「うわーっ! うわっ、うわっ!?」

 なにこれ!? ま、まさかこれ、あと時の夜の。なんでそんなものが!?

「あ、さ、ささら!?」

 今まで横に立っていたささらが、フーっと意識を失って倒れそうになっている。

「ささらーっ!」

 慌ててささらを抱きかかえる。
 引き返してまーりゃん先輩を問いただそうにも、陸ははるか向こう、地平線に隠れよう
としている。
 俺とささらのふたりだけの逃避行。けれど南の島に続く空には、でっかなまーりゃん先
輩の笑顔が浮かんでいるようだった。


   終
440あの日、別の所で あとがき:2006/01/12(木) 01:03:10 ID:Ce+e8NzO0
普段書かないキャラは、非常に動かしにくいと思った今日この頃でした。
441名無しさんだよもん:2006/01/12(木) 01:34:38 ID:djPmfE9DO
>>440
ワロスwww
まーりゃん先輩ならマジでやってそうな行動だなwww
442名無しさんだよもん:2006/01/12(木) 02:06:17 ID:9WoXHIhG0
>>440
ちょ、お茶吹いたwww
悪魔だよまーりゃん先輩w
443名無しさんだよもん:2006/01/12(木) 02:21:19 ID:srIYacCu0
>>440
何か色々ワケの分からないツボにハマりました。GJww
444名無しさんだよもん:2006/01/12(木) 02:38:13 ID:9ligExoY0
>440
人々は、先輩の行為に恐怖した。
445名無しさんだよもん:2006/01/12(木) 02:40:13 ID:9ligExoY0
って言うか、買い取ってどうするつもりなんだタマ姉。
446名無しさんだよもん:2006/01/12(木) 03:27:14 ID:JfeGMUYm0
それはもちろんオナ・・・

あだだだだ!割れる!割れる!割れる!!
447名無しさんだよもん:2006/01/12(木) 09:31:40 ID:qoXPe0P/0
>>445
「流出しないように管理しないと不味いよね〜?」

という意味だろ。
こういうのは説明すると面白くないぞ。
448名無しさんだよもん:2006/01/12(木) 18:24:35 ID:ink+4UDA0
流れ仏陀切るけどちょい質問

SSのアイデアを思い付いて、その話が自分に上手く書けそうにない時
そのプロットだけを此処に書いたりしたら、職人さん達の肥やしになったりするんだろうか?
449名無しさんだよもん:2006/01/12(木) 18:53:40 ID:rUtjMvox0
>>448
俺はそういうのもアリだと思う。プロットまで詳細じゃなくてもアイディアを書いてる人は
これまでもいたし。
ただまあ、作者と読者の両方が謙虚じゃないと、いらぬゴタゴタが起こりそうではあるね。
ぶっちゃけここの住人だと、「俺のアイディアが採用されたぜ!」みたいに浮かれすぎて
延々とコテつけたりしそうで、そういうのはあんま見たくねえわ。個人的に。
450名無しさんだよもん:2006/01/12(木) 19:09:01 ID:JVqH4eZ50
体も情(こころ)も瑠璃になったんなら、
それはもうイルファじゃないんじゃ?
451名無しさんだよもん:2006/01/12(木) 20:15:13 ID:TkvEXjrZ0
>>449
単発で書き捨てて後はノータッチ、ぐらいが良いのかね

他キャラの攻略中でも、夜に会い続ければ草壁ルートに入れるっていう構造なのが気になったのよ
「4月22日放課後からいきなり現れなくなって、入院→復学したら彼女ができてた貴明」を、それまでシナリオ進行してたヒロインはどう思うのかな、と
自分にはヒロインの内情を描くSSは作れないので
452名無しさんだよもん:2006/01/12(木) 20:32:46 ID:rUtjMvox0
それは面白い着眼点だなぁw
あまり黒い方に傾倒するとワンパターンになりそうだけど>最近の状況を見るに
コメディタッチで書いたら面白くなりそうだね。
453名無しさんだよもん:2006/01/12(木) 20:44:51 ID:kxNdumiu0
そういやSSスレが立った原因になったのがそんな話だったな。
たしか「途中で愛佳ルートに行った際のこのみの心情」みたいなやつだったか。
454名無しさんだよもん:2006/01/12(木) 21:20:57 ID:IMtpi5gQ0
>>453
最初のSSスレ懐かしいなあ。
SS書きが全然いないのと物珍しさとで、SSごとにいっぱい感想付いてたよなw
455名無しさんだよもん:2006/01/12(木) 23:51:38 ID:RlxVRqUH0
ささらSSがここには盛りだくさんでお兄さん嬉しいぞ〜
他のサイトにはあんまり置いてないんだよねorz
456名無しさんだよもん:2006/01/13(金) 14:27:30 ID:leB71FEX0
>>448

このみ以外の相手が恋人なら、タマ姉はタカ坊を平気で奪い取りそうな
気がするから、他のヒロインのED後のタマ姉のNTRを読んでみたい。
457名無しさんだよもん:2006/01/13(金) 14:53:26 ID:u8mLHQQL0
双子やささらでも奪い取らないとおもーけど
458名無しさんだよもん:2006/01/13(金) 15:39:46 ID:T/C2wDmhO
奪うことが出来ないって分ってるんじゃね?
ささらの場合はこのみ同様に自分の気持ちよりタカ坊の気持ち優先して背中押したみたいな感じだし

タマ姉いい人だな

双子は雰囲気で無理
459名無しさんだよもん:2006/01/13(金) 15:42:42 ID:wNRfc7CM0
双子の場合引き離そうとしたら引き離そうとしたで面白そうな話になりそうだな。
460名無しさんだよもん:2006/01/13(金) 16:54:15 ID:18FEmg2R0
タマ姉はいい人というより臆病な人に見えるな
2の登場人物全員が1より精神的に強くないイメージがある
461名無しさんだよもん:2006/01/13(金) 16:58:50 ID:fdV6AwMm0
臆病になった原因がタカ坊な訳で
まあ、タカ坊が悪いわけじゃないけどな。
462名無しさんだよもん:2006/01/13(金) 17:40:26 ID:GbDv2ELh0
子供の頃のあの日に実は双方が心に傷を負っていた
そして、その傷を癒してくれたのも8年ぶりに再会した最愛の相手だった…か

ここだけ抜き出すと環シナリオって結構乙女チック(古語)なんだな
463名無しさんだよもん:2006/01/13(金) 17:48:51 ID:KhL1Labz0
実際、タカ坊が女の子を苦手になったのも、タマ姉を傷つけたから、っていう自責の念があるからだしな。
464名無しさんだよもん:2006/01/13(金) 18:47:49 ID:T/C2wDmhO
タカ坊って小さい頃タマ姉が好きだったんだろ?
でもこのみルートでは小さい頃からこのみが好きだった、と…




あんな小さい頃から3P狙ってたんだねwどうりで双子シナリオが丸く収まるわけだw
465名無しさんだよもん:2006/01/13(金) 19:15:29 ID:fdV6AwMm0
>>464
好きの種類が違うだろw
466名無しさんだよもん:2006/01/13(金) 20:50:34 ID:p4JQiims0
>464
優季タンもいるから4Pじゃね?
467名無しさんだよもん:2006/01/13(金) 20:57:10 ID:aR5TlWP/0
>>464
環に対して抱いてるのはほとんど憧れな気がする。
それはそうと精神的に弱いキャラが多いってどっかで出てたからどう弱いかちょい列挙

このみ:幼馴染の典型。現在より前に進むのが怖い。
環:このみと同じ。過去に一回振られてるとこから来てる。
愛佳:人の役にたつことでしか自分の価値を見つけられない。自己評価が低い。
由真:将来に漠然とした不安がある。
花梨:人と違うことを結構気にしてる。
珊瑚:…?具体的な弱さが思いつかなかった。
瑠璃:ただの駄々っ子。
優季:過去は確かに弱かったが、現在はどうだろう…?
ささら:言わずもがな。
とまあこんなもんか?圧倒的に弱虫だったのはささらだが、環もギャップが結構酷いから
他のキャラより弱く見えるかもしれん。
468名無しさんだよもん:2006/01/13(金) 21:57:53 ID:ssFE9Yav0
珊瑚:瑠璃の人生を奪った負い目
るーこ:見知らぬ土地での不安、帰れない恐怖、高すぎるプライド
469些細なすれ違い 大きな勘違い 9話前編ー1:2006/01/13(金) 21:57:55 ID:aR5TlWP/0
「…ここは?」
「ささら!?気がついたのね!!」
「良かった…やっと起きてくれたね」
「ママ…パパ…?」
私と貴明さんは浜辺に打ち上げられていたそうだ。
それを見つけた人がすぐに救急車を呼んでくれて、この病院に運ばれた。
今日は12月26日。丸一日意識が戻らないままだったから、
本当に心配したのよ、とママは言った。
「それで…貴明さんは?」
「まだ、意識は戻ってないわ…目立った外傷は無いみたいだけど、衰弱が激しいって」
「そんな!貴明さん!!」
立ち上がろうとしたけれど、体に力が入らずそのまま前に倒れてしまう。
「二日も寝てた人がいきなり起きようとするから…今は寝てなさい。
後で、お母さんが連れて行ってあげるから。今は、貴方自身の体力を元に戻すことよ」
「でも…」
「ささらがむりやり行って、河野くんは喜ぶと思う?」
「……」
470些細なすれ違い 大きな勘違い 9話前編ー2:2006/01/13(金) 21:59:31 ID:aR5TlWP/0
確かに、貴明さんは私が無理しても喜ばないだろう。自分が死にそうなときだったとしても、
私が忙しければ来なくていい、と言ってしまうような人だ。でも、だからこそ、私は行きたい。
「…やれやれ。本当は無理させちゃ行けないって先生からも言われてるんだけどね」
「誰に似たのか、本当に頑固だね。ささらは」
そう言ってパパとママは私に肩を貸してくれる。
「さ、行くわよささら。柚原さんや向坂さんたちも来てるはずだから、
ちゃんと心配かけたことを謝るのよ?」
「うん…分かった」


ささらと別れて家に帰ってから、俺は色々考えた。これから俺が生きていったとして、
ささらにいい影響は与えないだろう。それどころか、このみやタマ姉、
雄二にも色々迷惑をかける。良く考えてみれば、俺は今までもいろんな人に迷惑をかけてきた。
その迷惑を肥やしに、人間として成長できたのならまだしも、俺は一つも成長していない。
―オマエハ生キテイルカチガアルノカ?
そんな言葉が脳裏を掠める。
―オマエガ死ンダホウガ、ミンナ幸セニナレルンジャナイカ?
俺が居なければ、ささらは救われることは無かった。きっとあのままだった。
俺が居なければ、このみは一人前になれなかった。俺が居なければ、
タマ姉は一人で歩いていくことは出来なかった。今まで、俺は必要とされてきた。
471些細なすれ違い 大きな勘違い 9話前編ー3:2006/01/13(金) 22:01:37 ID:aR5TlWP/0
―ソノ役目ハ、モウ終ワッテイルンジャナイカ?
ささらはもう立派に一人でやっていける。このみも、一人前になった。タマ姉も、俺がいない女子校の中で立派にやってきた。なら、俺はもう必要ない…?
―役目ハ終ワリダ、役立タズ。
役立たず。確かに、今までは俺が必要とされたことがあったかもしれない。でも、今は皆俺を必要としていない。
必要としているように見えるかもしれないが、それは錯覚だ。皆、俺が居なくても立派にやっていけるだけ成長した。
これから先、俺が生きていて皆に何か出来ることはあるのだろうか。うじうじしているだけで、誰かに背中を押されないと、
動くことが出来ない俺。背中を押す負担を、誰かに背負わせていいのか?
―必要無いひつようないヒツヨウナイ。オマエハ、役目ヲオエタ。
俺の価値は、人の背中を押せることにあった。困っている人を助けて、その人が喜んでくれるのが嬉しかった。
その俺が、人の荷物になったら……それは、俺の価値が何も無くなったということじゃないか。
―ナラ、死ネバイイジャナイカ。
死ぬ。死ねば、誰かの荷物になることは無い。皆優しいから、落ちていく俺を助けようとするだろう。
なら、俺がすべきことは一つ。自分の手で、その手を振りほどくこと。その優しさに甘えても、何もいいことはない。
―これ以上、人に迷惑はかけられない。
472些細なすれ違い 大きな勘違い 9話前編ー4:2006/01/13(金) 22:04:02 ID:aR5TlWP/0
「ううっ…」
「タカくん、うなされてるね…」
「うなされてるってことは生きてるってことだから、安心出来ると言えば安心できるけど…」
「あの馬鹿、また自分で全部抱え込んで最悪な結果にしやがった。
ネガティブ男の真髄発揮!ってとこだな。全く…」
軽口を叩いてる雄二も、顔色が良くない。目のしたには隈が出来ているし、目も充血している。
昨日ここに来てから、一睡もしていないのは私も雄二も一緒だ。
でもタカ坊のお父様とお母様が来るまでは、私たちが付いていてあげないと。
「タカくん…早く、起きてよ」
このみの呟きは、心から哀しそうだった。泣いてはいないけれど、本当はタカ坊に縋り付いて泣きたいのだろう。
それをしないのは、それだけタカ坊を心配しているいうことだし、このみが成長した証拠でもある。
タカ坊がこのまま目を醒まさない、なんてことは絶対にない。それは、私も雄二もこのみも信じている。
いるが、ぬぐいきれない不安があるのも事実だった。
お医者様は
『衰弱しきっているから、2〜3日は目を醒まさないかもしれないが、命に別状は無い』
と言っていたが、眼を覚まさないのだから不安なのは仕方ない。
473些細なすれ違い 大きな勘違い 9話前編ー5:2006/01/13(金) 22:06:38 ID:aR5TlWP/0
コンコン
ノックの音がする。きっとささらのお父様とお母様だろう。
2人とも、タカ坊の様子をちょくちょく見に来ている。
「はい、どうぞ」
「お邪魔します」
予想に反して、両肩をご両親に支えられたささらがそこにいた。
「ささら!もう大丈夫なの!?」
「見ての通りよ。本当はまだ安静にしてなきゃいけないの。この子、言い出したら聞かないから。
全く誰に似たんだか…ほらささら、みんなに言わなきゃいけないことがあるでしょ?」
「あの…心配かけて、ごめんなさい」
「いいのよ。それより、何があったの?タカ坊が…しようとしてたのは分かったけど、
ささらまで落ちたのはなんで?」
ささらに事の顛末を聞くと、タカ坊はささらを助けようとして飛び降りたらしい。
ささらは落ちてる途中から気を失ったって言ってるから、きっとタカ坊がささらを海岸まで運んだのね。
「貴明さん、きっと自分の間違いに気付いてくれたと思うんだけど…私が変なところで転んじゃって…それで……」
ささらはすすり泣く。きっと、今回のことを悔やんでいるのだろう。
「過ぎたことを悔やんでも仕方ないわ。幸い、命に別状は無いんだし。そもそも、
タカ坊が変なことしなければ何も無かったんだから。ささらのせいじゃないわ」
私が思ったままのことを言うと、ささらは泣きながらも
「環さん、ありがとう…」
と笑顔で言ってくれた。ささらも、強くなったのね…
と思っていると、タカ坊の手をずっと握っていたこのみが声を上げた。
474些細なすれ違い 大きな勘違い 9話前編ー6:2006/01/13(金) 22:08:25 ID:aR5TlWP/0
「タカくん!?目が覚めたの!!」
「うっ………こ、のみ?」
「タカくん…うわぁ〜〜〜〜〜ん!心配したんだよ!タカくん、死んじゃうかもって、ずっと心配したんだから!!」
このみがタカ坊に抱きついてポカポカと胸を叩いている。
「へっ、相変わらず悪運はつええんだな、貴明」
そう憎まれ口を叩く雄二の目にも涙が浮かんでいる。それを見て、
自分の頬にも涙が伝っているのに気付いた。よかった…本当に。


俺が目を醒ますと、すぐにこのみが泣きながら抱きついてきた。
寝ぼけた頭で周りを見渡すと、雄二もタマ姉も泣いている。どうやら、また心配をかけたようだ…ってそうじゃない!
「このみ!ささらは、ささらはどうなった!!」
「久寿川先輩なら、そこに居るよ」
言われて振り向くと、ささらが座っている。怪我をした様子もないし、無事だったようだ。
「よかった…助かったんだ……」
「おい、自分が助かったのはどうでもいいのかよ」
「ささらを助けることしか考えてなかったから…ささらが無事ならそれが一番嬉しい」
「全く、そんなんだから今回みたいなことになるんだっての。自分が助かったことも少しは喜べ。
ささら先輩の話だと、自分がした馬鹿なことはもう反省したんだろ?」
「ああ…まあ」
「タカ坊…本当に心配したんだからね。次、こんなことしたら、死ぬより恐ろしいことになるわよ」
「あ、あはは…」
タマ姉も雄二もいつも通りに振舞っているが、声は涙声だ…涙声でも言ってることがあれなのがタマ姉らしいっちゃタマ姉らしい。
「貴明…さん」
名前を呼ばれて振り向くと、ささらが呆然とした感じでこっちを見ている。
その眼に、みるみるうちに涙が溜っていった。
475些細なすれ違い 大きな勘違い 作者:2006/01/13(金) 22:11:45 ID:aR5TlWP/0
非常にまとめ切れなかった感が大きい9話でした。

8話の貴明の行動はかなりぶっ飛んでいるといろんな方に言われました。
自殺は飛躍させすぎたかなぁ…と自分でも思っています。この話の貴明なら決して
ぶっ飛んだ選択ではないと思いますが、そこに至るまでの貴明の心情の変化を何も出さなかったので、
ぶっ飛んでいると見られて当然だったかもしれません。

9話もまとめ切れなかった感じがします。というか8話も9話も纏めて書き直したいぐらいですがw
感想、批評ございましたら是非。
476名無しさんだよもん:2006/01/13(金) 22:23:49 ID:5VYwPNRf0
>>475
お疲れさん

>―必要無いひつようないヒツヨウナイ

これ見て思った。







たかくんタカくんタカくんタカクンタカクンタカクンタカクンタカクンタカクンタカクンタカクン
タカクンタカクンタカクンタカクンタカクンタカクンタカクンタカクンタカクンタカクンタカクン
タカクンタカクンタカクンタカクンタカクンタカクンタカクンタカクンタカクンタカクンタカクン
タカクンタカクンタカクンタカクンタカクンタカクンタカクンタカクンタカクンタカクンタカクン
477名無しさんだよもん:2006/01/13(金) 22:28:42 ID:zdk7aP220
>>475
ご苦労様です。
それぞれの登場人物の台詞が、
本編で出てきそうな言葉遣いで違和感を感じさせませんでした。

気になった事を強いて言えば
キャラ視点がコロコロ変わりすぎる所かなぁ。
読み手側からするとその都度を立場を改めなければいけないので・・・。
でもま、それが特色なのかもしれないし・・・うーん
478名無しさんだよもん:2006/01/13(金) 22:55:15 ID:galWrExg0
>>475
最高に乙!続き期待してます!
>>477
>それぞれの登場人物の台詞が、
本編で出てきそうな言葉遣いで違和感を感じさせませんでした
俺も思う。
479名無しさんだよもん:2006/01/14(土) 00:58:19 ID:+QhMNCIh0
>>475
乙です!!
話としてこういう物だと分かっててはいても、こうヘタレ貴明だと
イライラするつーか、あんまいい気分ではありませんわ・・・・・

これが終わったら、次はささらが幸せになってるのをお願いしますm(_ _)m


>>476
俺的には型月の作品を思い出した
480名無しさんだよもん:2006/01/14(土) 01:19:06 ID:d9mDnQ1Y0
貴明がヘタレるからこそ他のキャラが引き立ち
良く見えるからこれでいいかな

でも、誰かを掘り下げて別の誰かを立てるという手法が多いな
ささらシナリオでもそんな感じだったし
この手法が手っ取り早いのかな?
481名無しさんだよもん:2006/01/14(土) 02:36:50 ID:zlK/XCsL0
小説と違って「役回りに同じ人物を使わざるを得ない」ってのが有るな。
その辺は「マルチエンドな読み物」のフォーマット上そうなりやすいって事だろう。
482名無しさんだよもん:2006/01/14(土) 03:53:40 ID:xejR/sJz0
今回の出来云々より、次でどうまとめるかのほうが気になるな。
俺には陳腐で生ぬるい締めかたしか思い付かん。

>>479
蛮脳ハ改革シ衆生コレニ賛同スルコト一千年。学ビ食シ生カシ
殺シ称エル事サラニ一千。麗シキカナ、毒素ツイニ四肢ヲ浸シ
汝ラヲ畜生へ進化進化進化セシメン……!

って奴か?
483名無しさんだよもん:2006/01/14(土) 08:20:57 ID:dqaK+uXTO
>>476>>479>>482
テラワロスwwwww
484名無しさんだよもん:2006/01/14(土) 09:36:28 ID:gVTrl7Ez0
>>479>>482
いくらなんでもワラキアは思い浮かばんよ
485名無しさんだよもん:2006/01/14(土) 12:56:35 ID:Mz/XHoO10
>>475
乙です! なんか次回が非常に気になる引き方ですね。
しかしタカ坊……未だにあんな思考に陥ってるところを見ると、
まだなんかぐだぐだ言いそうな気が。
このタカ坊にレインに告白した時のドモンの度胸の1/10でも分けてやりたい。
486名無しさんだよもん:2006/01/14(土) 13:14:36 ID:BegAdCg00
>>485
「お前が欲しいぃぃぃっ!」か
487名無しさんだよもん:2006/01/14(土) 15:28:07 ID:wP+xkFJb0
気持ちはわかるがそれをやっちゃうと貴明では無くなる罠
優しさという長所と優しさゆえに滅私奉公しすぎて自爆する短所っていうのが持ち味なんだろうしね
488名無しさんだよもん:2006/01/14(土) 18:50:47 ID:m7sawXh40
まさかSSでまで貴明の貴明たる所以をここまで味あわさせられるとはw

ホンマ、タカ棒のヘタレっぷりは五大陸に響き渡るで
489名無しさんだよもん:2006/01/14(土) 19:34:16 ID:dSWjQWRk0
>>488
どうせなら南極大陸にも行こうぜ。
490名無しさんだよもん:2006/01/14(土) 21:47:33 ID:Xr8yYGGp0
>>488
東洋一の神秘でもあるな
491名無しさんだよもん:2006/01/14(土) 22:58:30 ID:O72eneoM0
>>488,490
おまいらが見てる番組は分かった。
492些細なすれ違い 大きな勘違い 9話後編ー1:2006/01/14(土) 23:17:59 ID:QYesCJCc0
「う、うわあああああああああ!」
突然ささらは泣き出した。その泣き方は、泣くというよりも悲鳴に近い。
「さ、ささら?」
「少し泣かせてあげなさい。色々あったのを、全部我慢してたんだから…
タカ坊、女の子を泣かしたんだから、ちゃんと責任は取るのよ?」
「わ、分かった」
タカ姉の忠告通り、とりあえずささらを泣かせ続けることにした…
が、冷静に見ていられるはずも無く、あわあわとしてしまう。
「じゃ、私達は外に居るから。何かあったら呼んでね」
「ええっ!?」
「泣かせたのはタカ坊なんだから、タカ坊があやすしか無いでしょう?このみ、雄二、行くわよ。
1日寝てないし、何も食べてないんだから、疲れたでしょう?」
「うん、お腹空いたよー」
「貴明、年貢の納め時だと思って諦めるんだな。終いぐらい格好よくしろよ?」
「じゃ、そういうわけだから。じゃあね」
といって、タマ姉たちは部屋を出て行ってしまった。
「なら、私達も外に出てたほうが良いわね」
「そうだな…河野君、後は任せたよ」
「え…あぅ…」
ささらのお父さんとお母さんも行ってしまう。残されたのは、まだぐしぐし言ってる
ささらと俺だけ。お、俺にどうしろと…
493些細なすれ違い 大きな勘違い 9話後編ー2:2006/01/14(土) 23:19:06 ID:QYesCJCc0
「あー…うー……」
「うっ…ひっく…ぐす……」
そもそも、ささらが今泣いてる原因は全部俺にあるわけで。俺が謝ったところで泣き止んでくれるはずもないし。
―い、一体どうすればいいんだ。
あれこれ考えていると、急にささらが笑い出して、
「ふふ…ふふふ。まるで、付き合う前に戻ったみたい」
なんてことをおっしゃってくださいました。
「な、何を言うかと思えば…」
「貴明さん、変わってないのね。うふふ、何だか嬉しいわ」
変わってないのが…嬉しい?変わってないって事は、成長してないってことだ。
あんなに情けないままの俺が、俺のままなのが嬉しい?
「ねえ、貴明さん。変わらないって、そんなに悪いことなの?」
「え?だって、俺、あんなに情けないままだし。それで、いろんな人に迷惑かけたし…」
「でも、貴明さんのこと心配してくれる人は、あんなに沢山いるんだよ?環さんが言ってたけど、
貴明さんのクラスの委員長さんとか、その友達さんとかがここに来ようとしてたんだって。
あんまり大勢居ても迷惑だから、環さんが断ったらしいんだけど」
小牧さんや…由真が?
「貴明さん、そんなに自分を低く見ないで。貴明さんの自己肯定感が低いってことは、
みんなに対して失礼なことだよ?」
俺が自分を卑下すると、みんなに失礼…?ああ、頭が大混乱してる。
一度にいろんなことを言われたせいで、全く整理できていない。
494些細なすれ違い 大きな勘違い 9話後編ー3:2006/01/14(土) 23:20:55 ID:QYesCJCc0
「ささら、ちょっと待って。何が言いたいのか全然分からない」
「うふふ…じゃあお姉さんが教えてあげようかな♪」
何かいつものささらじゃない…ささらに先輩風をふかされるとは思っても見なかった。
「貴明さん、貴明さんのおかげで救われた人って、どれぐらいいると思う?」
「えっ?…って分かるわけないじゃないか」
「そこよ」
「はっ?」
「自分で分からないほど多くの人を救ってるのに、何でそんなに自分を低く見るの?
自分より高いところに居る人を、救えるわけ無いじゃない。貴明さんは、
今まで助けた人に勝るものを持っていたから、その人たちを手伝ったり、
助けたりすることが出来たんじゃない。違う?」
ささらのその言葉は、まるで落雷のような衝撃だった。にわかには、信じられない。
あのタマ姉や雄二に、俺が勝っているところなんて…無い。でも、ささらの言ってることは事実だ。
人は、自分の欠けた所を誰かと合わせなければ生きていけない。完璧な人間なんて、
この世に存在しないからだ。つまり、その欠けたところを俺が補ったから、その人たちは救われた。
「その助けてきた人たちに、失礼だよ。自分に無いものを貴明さんが持ってたからこそ、
周りの人たちは助けられた。それが、誰にでもあるなんて思ってない?」
「でも、俺は当然のことをしただけで…」
「当然のこと、と誰でも思うから誰も出来ないんじゃない。きっと誰かが助けるだろう、
きっと自分で解決できるだろう。みんなそんな風に思ってるから、誰も助けてあげない。
貴明さんはそれに目をつぶらなかった。それだけでも、他の人に無い才能よ」
495些細なすれ違い 大きな勘違い 9話後編ー4:2006/01/14(土) 23:22:42 ID:QYesCJCc0
人の不幸を見過ごせない才能…そんなもの、誰にでもあると思っていた。
でも、現実にはそんな些細なことで手伝ってくれる人はほとんどいない。
だからこそ、それがありがたく感じられる。
俺だってそれは同じだ。重大なことなら誰かしらが手伝ってくれる。
だが、何気ないことを手伝ってくれる人はほとんどいない。
「私のことだって、噂通りの人だと思ってしまえば、それで終わりだった。
でも、貴明さんは私を助けようと必死になってくれた。だから、
私は貴明さんのことが好きになったの。貴明さんがどんな間違いをしたって、
私はそれを許すつもりよ。貴明さんは、過去の私もちゃんと見てくれたから」
「で、でも…俺は、ささらに酷いことをしたし、それに」
さらに続けようとしたところで、ささらに止められる。
「なら、私だって貴明さんに酷いことを色々したわ。でも、貴明さんは私を好きでいてくれる。
私も同じ。だから、情けないことをしても、間違ったことをしても、もっと甘えてもいいのよ?
辛いことを、自分の中に溜めてしまわないで」
「……」
「その代わり、私のことも嫌いにならないで。ね?」
「ささらは…ささらは、俺のことを、嫌いにならない?」
496些細なすれ違い 大きな勘違い 9話後編ー5:2006/01/14(土) 23:25:29 ID:QYesCJCc0
その言葉は、貴明さんという人を全て表しているような気がした。環さんとのことで、
自分の思いを人に伝えることをしなくなった貴明さん。人に嫌われることを、
何よりも恐れた貴明さんが出した結論は『自分の思いをぶつけなければ、
人に嫌われることは無い』というものだったのだろう。
私も、結論は違えど同じ思いを抱いていた。そこから救ってくれた貴明さん。それを救えるのは、私しか居ない。
「ええ、嫌いにならないわ。でも、思ったことをちゃんと言ってくれなきゃ、嫌いになっちゃうんだから」
「あ……あ、ありがとう。ありがとう、ささら」
貴明さんは泣いている。自分の本当に安心できる場所を、見つけてくれたのだ…と思いたい。
私もまだ子どもだから、完璧な支えになることは出来ないかもしれない。でも、これから。
これからは、私が貴明さんの安心できる場所になる。これから、貴明さんは色んな人と出会い、傷つくだろう。
でも、私だけは、何があっても貴明さんの傍に居よう。自分より、他人のことを考える人。辛いことがあっても、
自分の中に押し込めてしまう人。そんな貴明さんを、私は好きになったのだから…
いつまでも泣き止まない貴明さんを抱いて、私は決意を新たにした。
497些細なすれ違い 大きな勘違い 作者:2006/01/14(土) 23:28:55 ID:QYesCJCc0
後編です。陳腐な終わり方になってしまうのは避けられませんでした…

今見てみると、貴明がつよきすの佐藤良美とfateの衛宮士郎を足して2で割ったような
感じの性格になってますね。本編の貴明はここまで自己犠牲の心が強くないですし。
ただ、自己肯定間が著しく低い、という点は上手く本編に合わせられたかなと思ってます。
この話はこれとちょっとしたエピローグで終わりです。(もしかしたらエピローグないかも)
今まで読んでくださった方、ありがとうございました。

次作として、このみとか書きたいなぁ…もしくは、ささら退行の短編とか。
498名無しさんだよもん:2006/01/14(土) 23:41:50 ID:NWEj1yED0
>>497
禿乙
ところでささらと腕を組んで歩いていた男の正体は?
499些細なすれ違い 大きな勘違い 作者:2006/01/14(土) 23:49:22 ID:QYesCJCc0
>>498
クリスマスプレゼントの作り方を教えてくれた人です。
それを聞かれてエピローグのネタが思いついたのでエピローグで使わせてもらいます。
500名無しさんだよもん:2006/01/14(土) 23:50:00 ID:hJDR5JNt0
間男?
501名無しさんだよもん:2006/01/14(土) 23:53:27 ID:tmQO4cHH0
アグレッシブな貴明っていうのを見てみたいきがしたけどソレって貴明っていうより雄二じゃねーかとか思ってみたり
502名無しさんだよもん:2006/01/14(土) 23:59:33 ID:QYesCJCc0
もしくはTH1の主人公だな(名前忘れた)
503名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 00:02:19 ID:gAc6Sx1P0
>>497
前編の方で批評OKってあったので素直な感想を。

物語性あって読む人が読めば面白いものなんでしょうけど
個人的にSSには原作で満ち足りなかったキャラの掛け合いみたいなものを求める人なので
ちょっと物足りなさを感じたりもしました。
どっちかというとなんかささらSSってよりも貴明SSを読んでる気分かなって。
貴明ヒロイン。

そういうストーリーなんだからしょうがないんだけど、ささらと貴明の接触が少なすぎたのもちょっと寂しいですね。
ささらシナリオで再三再四にわたって言われた貴明へたれは、それにやきもきしたささらがいろんな行動を起こすきっかになり
そういうささらと貴明のやり取りを見てにやにやするからまだ我慢できたけど
このSSだとそういうのがほとんどなくひたすら勘違いと自己嫌悪で突っ走るだけで
悪い言い方をすると、ささらシナリオのいらいらするところだけをぎゅっと凝縮したような……。
読後感がちょっとすっきりしないかなって部分もあります。

いちゃいちゃほのぼのが好きというフィルターもあって否定的な意見ばかりになってしまってるけど
決してこの作品を叩くだとか貶めるとかそういう意図の発言ではないことを理解いただけると助かります。
こういう書き込みしておいてあれだけど、このせいでスレが荒れたりするの俺としても本意ではないですから。

キャラのトレースはとても上手だったので他の話を書かれるのは純粋に楽しみです。
504名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 00:06:33 ID:12tGhb2X0
(貴明+雄二)/2=イイカンジ?

だれかこのアグレッシブ貴明でSS書いて…
俺は昔一度別のネタでSS書いて悶絶という過去があるため書けません…
505名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 00:12:23 ID:xOFmqLG60
いや、同学年のシナリオなら貴明はそんなにへたれじゃないぞ。
愛佳、由真、花梨、優季あたりの感じの貴明なら結構アグレッシブだと思う。
もしくはささらの入学式までの貴明とか。
506名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 00:16:03 ID:n0YgTW4/0
確かに新学期辺りからタカ棒オカシクなってきたよなぁ

なんかるーの作為を感じる。
507名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 00:19:02 ID:C7Lz5uku0
雄二と郁乃のカプのSSって結構多いね。
508名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 00:20:12 ID:YuZ7D+be0
余り者同士くっつけるってのはどの作品のSSでも結構あるよ
509名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 00:21:20 ID:X1uTK1Iw0
そもそもヘタレにする必要はあったのか?
書きたいシーンを入れるためにやったとしか思えないが
510名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 00:23:08 ID:xOFmqLG60
シナリオライターが何人もいるからそのせいだと思う。
明らかにヘタレなのかいてるやつも居れば、気持ちいいキャラにしてるやつもいる。
511名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 00:24:48 ID:12tGhb2X0
ぶっちゃけ話の寸がたらないから貴明をヘタレにしただけにしか見えない…
ていうか自分から委員長を交代してもらって、委員会であんな提案をすることができるのに
副会長ができないのがおかしい希ガス
512名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 00:25:10 ID:unCNROY00
由真とか花梨のときはホントアグレッシブだよな。
いや、優季の場合、夜に数度会っただけで肉体関係持っちゃうほど積極的だし。
513名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 00:26:41 ID:xOFmqLG60
話の長さは、あのヘタレ抜かしてささらの両親の話だけにすれば
丁度他のキャラと同じぐらいだと思うが。明らかにどっちかがいらんと思う。
514些細なすれ違い 大きな勘違い エピローグ1:2006/01/15(日) 00:34:50 ID:xOFmqLG60
「じゃああの人は…」
「ええ、女の人よ」
「…ほんっっっとうにくだらないことが原因だったんだな。あの時普通に話しかけてれば、何も無かったんじゃないか」
私は、貴明さんへのクリスマスプレゼントとして、マフラーを編もうと思っていた。
そのとき私に編み方を教えてくれた人は、格好も見た目も男っぽい…というかボーイッシュというか。
とにかく、女の子っぽい男の人だと思われることが多いぐらい、男っぽい人だった。
後姿だけ見たなら、完璧に男の人だと思うだろう。
「はぁ…あの時の俺に言いたい。それは勘違いだからそのまま会いに行けって」
「ふふふ……でも、そのおかげで貴明さんともっと仲良くなれたわ」
「怪我の功名といえないことも無いけど…もっと違う方法で仲良くなりたかった」
あの後のことは、貴明さんにとって思い出したくないことだろう。
血相変えて飛び込んできたご両親に泣かれたり怒られたり、学校に戻ってからも
いろんな人に怒られたらしい。まあ心配かけたから仕方ないし、これに懲りてくれれば、とも思う。
「ま、あれは俺が悪かったし仕方ないんだけどさ…」
「それに、自分が色んな人に好かれてるって分かったでしょ?」
「確かに」
「貴明さん、本当に多くの人に好かれてるんだから。妬けちゃうわ」
「…頼むから、そのことは言わないでくれ」
515些細なすれ違い 大きな勘違い エピローグ2:2006/01/15(日) 00:37:11 ID:xOFmqLG60
あの後、貴明さんは少なくとも5人もの人から告白されたらしい。みんな
『自殺するぐらいなら、私が傍に居てあげるから!久寿川先輩は傍に居ないでしょ?
寂しかったら、遠くに居る彼女のことなんて忘れて私と付き合わない?』
みたいなことを言ったらしい。ちなみに、全部環さんが教えてくれた。
全く油断も隙も無いんだから!
「ちゃんと断ったんだから、いいじゃないか」
「環さんによると『中々断れなくて、おろおろしてた』って」
「そ、それは…返事を後にすればもっと傷つけるのは分かってたけど、
自分を好きだって言ってくれる人の告白を断るのって難しくて…」
「ふんだっ!」
貴明さんは、人の好意に弱いところがある。人に嫌われたくないということは、
裏を返せば愛情に飢えているとも言える。だからこそ、断りづらかったのだろう。
それは分かる。だが…
「ある人には、キスまでされてたらしいじゃない?」
「あ、あれは俺からやったわけじゃないし、すぐに振りほどいたって何回も言ったじゃないか!」
私が拗ねた振りをしていると、ぶつぶつと「ささらがこんなに嫉妬深いなんて…」
とか「あれは俺のせいじゃないのに…」何て言ってるのが聞こえる。
「うふふ…いいわ、浮気は許してあげる。でも、最後には私のところには帰ってこないと
駄目なんだからね?」
「わ、分かった。って俺は浮気なんてしてないって!」
「分かってるわ。しっかりしてね、未来の旦那様!」
こんな日常がいつまでも続くように。私は、そんなことを考えながら貴明さんの腕に抱きついた。
516些細なすれ違い 大きな勘違い 作者:2006/01/15(日) 00:41:05 ID:xOFmqLG60
終わったー。

>>503
感想ありがとうございます。私自身もツンデレのデレの部分が好きな人なので、正直
書いてて辛かったです。

これで本当にお終いです。今度書くときは、もっとほんわかした話を書きたい…と思うのですが、
長編でほんわかしてるとすぐネタが尽きるのでそれも難しいような気がします。
次ここに書き込むときは、もっと成長していい作品をかけるようになりたいです。
517名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 00:48:17 ID:C7Lz5uku0
>>508
なんていうかあれなんだよ、俺のコスモが納得しない。
518名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 01:01:26 ID:+X9qtZv/0
>>507
郁乃を貴明とくっつけようと思ったら修羅場決定だからな。
それは委員チョ好きが納得せんだろう。だったら雄二とくっついた方がマシ。
でも雄二は好きなキャラだから悪くはないんだけど、貴明とのカプSSの方がいいかなw
519名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 01:01:31 ID:12tGhb2X0
>>517
小牧姉妹の姉妹丼なら納得したり…?

いくのんはいいツンデレ
520名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 01:03:24 ID:YuZ7D+be0
そもそも無理にくっつける必要はないと思うんだ

>>517
それはよくわかる
521名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 01:04:16 ID:p3pcP9/bO
このみ「…えいえんはあるよ」
鈍い光をたたえる刃渡り30cmは在ろうかという長大な包丁を手にゆっくりとこちらに歩み寄るこのみ。
焦点の定まらない虚ろな瞳で口元だけ笑顔を作る。
このみ「ここにあるよッッ!!!」
右手の得物を一直線に心臓めがけて突き出す。
ガチッ!
このみ「!!??」
しかし包丁は目標に到達する事はなかった。
貴明は自由にならない両手の代わりに足の親指と人指し指で刃先を掴むと、合気の要領でこのみを投げ飛ばす。
このみ「ぐっ!!」
地面に頭から激突し、額から大量の血が噴き出る。
貴明「…どっちが速いか勝負や」
床に包丁を突き刺し、半歩下がる。
このみ「きっ!」
その包丁に手を伸ばすこのみ。しかし、一足先に貴明の足が包丁を掴む。
貴明「惜しかったのう!!」
ズバズバ!
このみのがら空きの額に斬りつける。
貴明「まだまだや…」
貴明は包丁で器用に縄を切ると、このみの髪を掴み部屋の外に出る。
貴明「これが地獄の一丁目じゃ!」
このみの頭を掴んだまま一階へ飛び降りる。
522名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 01:05:37 ID:xOFmqLG60
別に愛佳と仲良くなってなくても郁乃の手術は成功するんだし、
雄二END後でくっつく話にすればいいだけな気もする。アグレッシブ貴明なら、
色々世話焼いたりしそうだし。それなら、あんまり不自然じゃないし修羅場にもならんと思う
523名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 01:06:28 ID:p3pcP9/bO
>>504
つ【アグレッシブ貴明】
524名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 01:14:48 ID:4CPC226E0
まああまった郁乃と雄二をくっつければ問題ないと
相性よさげな気がするんだけど
525名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 01:16:25 ID:C7Lz5uku0
無理に貴明とくっつけなくても良いんだが、なんていうか雄二と郁乃がくっついてるSSを見ると
俺の小宇宙が崩壊しそうになるんだよ。雄二は好きなキャラなんだけどね。
でもやっぱり貴明とのカプがいいw

>>519
姉妹丼はちょっとねw展開が不自然じゃなければ良いと思うけど。

>>522
ぜひに。
526522:2006/01/15(日) 01:20:46 ID:xOFmqLG60
>>525
私に書けってことですか!?
まあ、書いてみたら結構面白そうですけど。でも典型的なツンデレシナリオ
しか書けない気もする。
527名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 01:22:47 ID:5suREqVO0
>>526
そこをなんとか。貴方ならできる!
528名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 01:23:43 ID:eRb2B3Qp0
ヤオイ女のカップル派閥論争みたいだな
529名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 01:24:26 ID:12tGhb2X0
典型的で大いに結構!
530名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 01:26:56 ID:C7Lz5uku0
>>526
成せば成る!お願いします!
>>528
あいやー。すまなかったアルヨ。
531名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 01:31:08 ID:6WKrn66n0
>>522
貴方なら、貴明×郁乃×雄二の3Pにしてくれると信じています。
532名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 01:37:21 ID:+X9qtZv/0
病み上がりなのにあんまり無理させんなよw
533名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 04:08:07 ID:+GIdqkIP0
>>522
雄二END後でくっつく話にすればいいだけな気もする。
それが確かに一番穏便だろうね。
ただ、入院中の郁乃を攻略するルートと元気になった郁乃を攻略するルート
では俺的には意味が違うなあ。
いや、元気な郁乃だって魅力的だけどさ・・・
534名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 04:34:46 ID:tQWajHYX0
>>516
長い間乙ですー
個人的には「ふんだっ!」のところは「バカ…」の方が良かったかも
次回作待ってますよー
535名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 08:27:54 ID:n0YgTW4/0
>>525
コスモは納得させたり崩壊したりするもんじゃない。
アレは燃やすものだ。

つまり、おまいが書けば問題無し
536名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 09:35:57 ID:RO0YUhve0
プロジェクト【アグレッシブ貴明】始動だな
ちょっくら考えてくるわ
537522:2006/01/15(日) 10:02:25 ID:xOFmqLG60
>>533
入院中郁乃攻略は、もう書かれてる方がいますし、二番煎じっぽくなっちゃうので…
というわけで4話までのプロットは考えた。1話は今日中に出せると思います。
538名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 10:06:09 ID:h70pA39N0
>>537
期待しとるよ。
539素直になれない女の子との日々 一話1/7:2006/01/15(日) 11:29:07 ID:xOFmqLG60
「今日は久しぶりに静かだな」
一人で登校するのなんて、一体何ヶ月ぶりだろう。というか、今まで無かったかもしれない。
タマ姉と雄二は親戚に不幸があったらしく、明日まで家に居ない。
このみはこのみで新しい環境に疲れたのか、風邪を引いてしまったらしい。
たとえ今日の午後に具合が良くなっても、春夏さんのことだから明日も休ませるだろう。
つまり今日と明日、二日間だけの静かな登校ってことになる。
「たまには、静かなのもいいな」
これが毎日なら寂しいんだろうけど、人間ってのは贅沢な生き物だ。
いくら楽しいことでも、それが日常的なものになると飽きてくる。浮気とか不倫をする人は、
きっとその日常に何か清涼剤を求めているに違いない…
何か別のことに求めろよ、と思わないでもないが。
何でこんなことを思ったかと言えば、このみのお父さんがキャバクラに行ったとか
行かないとかで、春夏さんにめちゃくちゃ怒られた、という話をこのみから聞いたからだ。
何もキャバクラ行ったぐらいでそんなに怒らなくても…と思うのは俺だけだろうか。
このみのお父さんは自衛隊員で、出張も多いし家に帰れないこともざらだ。
ストレス溜って当然だと思うんだが…何せ、貰ったお嫁さんは春夏さんだし。
540素直になれない女の子との日々 一話2/7:2006/01/15(日) 11:30:20 ID:xOFmqLG60
などとくだらないことを考えながら坂を歩いていると、見知った後姿を見つけた。
何故か、車椅子を押している。
「小牧さん、おはよう」
「あ、河野くん、おはよう」
「おはようございます」
あまり抑揚の無い声で、車椅子の少女が挨拶をする。
小牧とどういう関係かは分からないが、少し丸みのある、
柔らかい感じのする小牧と違って、何だか棘のある感じの女の子だ。
「紹介するね。私の妹で、郁乃って言うの。今まで入院してたんだけど、
手術が成功して良くなったから、今日から一緒に登校できるんだ」
という小牧の顔は、今までに見たことが無いぐらい喜びに満ちていた。
きっと、妹の退院を誰よりも喜んでいるのだろう。
「へぇ…それはおめでとう」
「手術って言っても成功率80%以上のものだし、成功して当たり前だったんだけどね。
お姉ちゃんが一人で心配してただけじゃない」
「あぅー、で、でもー」
「でもじゃないわよ、まったく。親戚中色んなもの持ってくるわ、
お姉ちゃんは泣きそうな顔で心配してるわ、私は難病患者じゃないっつーの。
手術室に入るときなんて、こっちが恥ずかしかったぐらいなんだから」
541素直になれない女の子との日々 一話3/7:2006/01/15(日) 11:31:31 ID:xOFmqLG60
…どうやら、小牧姉妹のイニシアチブを握っているのは妹さんらしい。
棘がありそうだと思ったのは、どうやら間違いじゃ無さそうだ。
小牧の性格を考えると、いつもこんな風にしてやられてる気がする。
姉妹だから大丈夫だろうが、一応止めに入ろう。
「ま、まあまあ。治ったのはいいことだし、心配するのは姉として当然だろ?そこまで言わなくてもいいじゃないか」
「物には限度ってものがあるわ。お姉ちゃんのは、明らかに限度外」
「う、ううっ…」
ああ言えばこう言う…性悪め。少しは素直に人の好意を受け取れないのだろうか。
「好意だって行き過ぎれば悪意とおんなじよ」
「…なんで考えてることが分かった?」
「河野…て言ったっけ?」
「あ、ああ。河野貴明、小牧さんのクラスメイト。どうぞ宜しく」
「私ね、今までまともに眼が見えなかったの。そのせいかは知らないけど、
ちょっとした表情の変化とか見るだけで、人が考えてることが良く分かるようになった」
何か凄い重い話をされてる気がするんだが…雰囲気は全然そんな感じじゃない。
とても、たんたんとしている。
542素直になれない女の子との日々 一話4/7:2006/01/15(日) 11:33:39 ID:xOFmqLG60
「それだけよ。そんな深刻な顔しなくても大丈夫。別に気にしてないから。
それにしても…あんた、思ってること表情に出やすいタイプでしょ?」
「うっ」
「単純」
「い、郁乃!ごめんね、河野くん。この子、いつもこんな調子で…」
「いやいや。俺の周りには、もっと理不尽なのが沢山居るから」
タマ姉とか由真とか。しかし、何で今会ったばかりの女の子にここまで言われなきゃいけないんだ。
さすがの俺もちょっと頭にきた…が、反撃する術も無い。俺、基本的に女の子苦手だし。
そんなことを考えていると、もう校門が見えてきた。その校門を見て、あることを思いつく。
「あのさ、小牧さん」
「どうしたの?」
「今思ったんだが、一年生の教室って二階だよな?」
「そうだけど?」
「小牧の妹さん「郁乃でいいわよ」…えっと、郁乃ちゃん、どうやって運ぶの?」
「…あ」
「……」
考えてないんかい。
それは郁乃ちゃんも同じらしく、口をぽかんと開けた間抜けな顔をしている。
姉妹揃って同じ表情をしているのを見ると、やっぱり姉妹なんだなぁ、と思ってしまった。
ちょっと失礼だけど、思ってしまったものは仕方ない。
543素直になれない女の子との日々 一話5/7:2006/01/15(日) 11:35:27 ID:xOFmqLG60
「…手伝うよ」
「や、一人で大丈夫」
「なわけないでしょ。本もまともに運べない人が、
車椅子を乗った人ごと持ち上げるのなんて絶対無理。一人でうんうん言ってる間に日が暮れるよ」
「ううっ…」
「あんた、良く分かってるじゃない。姉ってさ、こういうところで妙に意地っ張りだよね」
「そうだな。少しは人を頼ったほうがいいぞ」
俺と郁乃ちゃんから集中砲火を受け、小牧はうなだれてこういった。
「じゃあ…お願いします」

「じゃ、持ち上げるよ。1、2の3!」
「んんんー」
結局俺と小牧の二人で持ち上げることになったのだが、小牧の側が全く持ち上がらない。
非力だとは思っていたが、ここまでとは…
「…はぁ」
「んんんー」
郁乃ちゃんのため息の理由が良く分かる。この力で、
一人でどうするつもりだったんだろう。女の子とはいえ、あまりにも非力すぎる。
544素直になれない女の子との日々 一話6/7:2006/01/15(日) 11:36:15 ID:xOFmqLG60
「…小牧さん、車椅子だけならもてる?」
「え?な、何とか持てると思いますけど…」
「仕方ないか…郁乃ちゃん、ちょっとだけ我慢してね」
「えっ?うわっ!?」
郁乃ちゃんを抱きかかえる。俗に言うお姫様抱っこというやつだ。
「な、何すんのよスケベ!とっとと降ろしてよ!」
「こうでもしないと、永遠に階段上がれないだろう…小牧さん、行こう」
「えっ?う、うん」
落ち着いている振りをしているが、心臓はばくばくいってる。
は、早く行かないと心臓に悪い。さっきから、何人もの生徒が好機の目でこっちを見てるし。
「……」
郁乃ちゃんもしばらく暴れていたが、抵抗しても無駄と悟ったのか大人しくなった。
人のことは言えないが、顔は真っ赤だ。
「しかし…軽いな」
普段からこのみに抱きつかれていて、このみも軽いと思っていた。
だが、郁乃ちゃんはそれ以上に軽い。それだけ、入院生活が長かったということだろう。

545素直になれない女の子との日々 一話7/7:2006/01/15(日) 11:38:58 ID:xOFmqLG60
「…それはいやみ?それとも、本心からそう言ってんの?」
「あ、ごめん。いやみで言ったつもりじゃなくて…」
「…っぷ。あんた、姉と同じぐらいからかいやすいわね。
分かってるわよ。あんたみたいなお人よしが、人にいやみ言えるわけ無いもんね」
「ぐっ」
いっそこのまま階段の下に捨ててしまおうかとも一瞬思ったが、
そんなことは出来るはずも無く、結局二階まで運びきった。
「河野くん、ありがとう」
「いやいや」
「ほら、郁乃も。ちゃんとお礼言いなさい」
「別にやってくれって頼んだわけじゃないし」
「もう、郁乃!」
「いいよ、小牧さん。別にお礼が聞きたくてやったわけじゃないし」
さらに謝ろうとする小牧を止めて、自分達の教室に向かおうとしたとき
「…ありがと」
聞こえるか聞こえないかぎりぎりのところだったが、郁乃ちゃんの声が聞こえた。
不覚にも、その素直じゃないところが少し可愛いなーと思ってしまった自分が居た。
ずっと続いていくと思っていた退屈な日々とは、どうやらお別れらしい。
これからどうなるのかは分からないが、今までとは明らかに違う日々の始まりに、
俺は少し胸をときめかせていた。
546素直になれない女の子との日々 作者:2006/01/15(日) 11:42:33 ID:xOFmqLG60
一話です。見事にお約束なものしか書けなかった気がします。

ID見りゃ一発ですが、522及び些細な〜の作者です。
郁乃は全く書いたこと無い上にシナリオでの登場シーンが少ないので、自分なりの解釈での
郁乃を書いて行きたいと思います。こんなの郁乃じゃない!と思った方は是非ご指摘ください。

一つ質問ですが、郁乃って貴明のことなんて呼んでましたっけ?お兄ちゃん以外で。
それが分からなかったので、今回の呼び方があんたばっかりになってしまいました。
是非教えてください。TH2呼び方相関図にも書いてなかったので…
547名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 11:54:37 ID:Qg+jFLMi0
>>546
作者さん本人も言っているようにとりあえずはお約束って感じでさわりの部分ですね。
今後の展開に期待してます。

呼称についてはゲームじゃきちんと呼んでた覚えがないし、その辺も含めて自分の価値観でいいと思いますよ。
548名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 13:00:46 ID:RnMgXkFI0
「ミルファ、ようやく君のボディが完成するよ」
 長瀬のおじさんからの嬉しい知らせ。
 イルファ姉さんに続いて、私の専用ボディが完成した。
「ん? 胸はちゃんと大きくしたかって? あはは……ちゃんと設計部門にはそう伝えておいたから大丈夫だ」
 貴明に会える。
 長瀬のおじさんに我が儘を言って、スケジュールの大幅遅延をさせてまで貴明のために大きくした胸。
 貴明、喜んでくれるかな。
 ようやく、このクマのぬいぐるみのボディともおさらばだ。

「大変です! HMX-17bのボディが何者かに破壊されて……」
「なんだって!?」
 私は走り出す長瀬のおじさんの腕にしがみついて、私のボディがあるという部屋に向かった。

「なんて酷い………」
 長瀬のおじさんは言葉を失っていた。
 私の体になるはずだったそれは、表面の肌を鋭利な刃物でずたずたに切り裂かれ、何かで殴りつけたようにあちこちが陥没し、
 可愛らしかったはずの顔はボディから頭ごと引きちぎられ無惨にも陥没してしまっていた。
「誰が、こんな事を……」
 私も長瀬のおじさんも、ただそれを呆然と見つめるだけだった。

「あら、ミルファちゃん。 これ、ミルファちゃんのボディになるはずだったんだよね……残念だったね」
 来栖大の学生で、彼氏と一緒によく遊びに来る神岸さんだ。
 彼女は、私をひょいと持ち上げ優しく抱いてくれた。
 この人は、私になぜか優しくしてくれるから好きだ。

「ミルファちゃんはこのままでも十分かわいいよ」
 神岸さんはそう言ってずっと私を抱いて撫でてくれていた。
(おしまい)
549名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 13:41:35 ID:fWgMGDWfO
あかり酷い・・・
550名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 13:48:07 ID:unCNROY00
黒……
551名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 13:59:30 ID:2Vaqgt6e0
……あぁ、そういやあかりってクマ好きだったな。
552名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 15:34:29 ID:p3pcP9/bO
(´・(ェ)・`)私の体…
553名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 15:55:51 ID:+GIdqkIP0
>>522
郁乃SS乙です。
貴明の呼ばれ方・・・・
どちらかといえば「あんた」という呼び方が一般的かな・・・
「お兄ちゃん」は猫かぶりな言い方だったし。
でも、きちんとは決まってないと考えるのが妥当なのでは?
554名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 16:18:46 ID:x70MOFPC0
郁乃はツンデレだから
555名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 16:19:41 ID:uSvZvV8A0
デレ一切ないやんけ
556名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 17:19:03 ID:C7Lz5uku0
>>546
乙です。呼び方はとりあえずあんたでいいのでは。
557名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 17:23:19 ID:+X9qtZv/0
出会い方によると思うんだけどなあ。>郁乃の呼び方
本編じゃ貴明は姉の彼氏で、シスコン妹として軽い敵意みたいなものはあっただろうけど
彼氏じゃない「初対面の姉のクラスメイト」をいきなりあんた呼ばわりするか?
姉が河野くんって呼んでるなら、無難に河野先輩とか河野さんとかじゃね?
そういう意味で、>>546の郁乃は単なる礼儀知らずっぽく見えて微妙だなーと思った。
賢い子だし、礼儀知らずではないんじゃないかな。
558名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 17:35:12 ID:GdkTpxNi0
>546
とりあえづ気になった点にツッコミ入れると
一年は三階だ
559名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 18:47:25 ID:qThs7+6v0
>>555
貴明に「お前、お姉ちゃん子だろ」て言われた時に照れてなかったか?
560名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 19:05:02 ID:RnMgXkFI0
そういえば、郁乃の声優さんってカレカノに出てなかった?
561558:2006/01/15(日) 19:19:10 ID:GdkTpxNi0
…あれ,三階じゃなかったっけか
どうも俺の勘違いっぽい
スレ汚しスマソorz
562名無しさんだよもん:2006/01/15(日) 20:02:06 ID:4g9Cqh3d0
>558 = 561
 合ってるよ。ささりゅんシナリオ。

> そういえば、ハンカチは……と。
> たぶんカバンの中か。めんどくさいな。1年生の教室は3階にあるから。
> そう、この学校は上から1、2、3。要するに「若いもんが苦労しろ」ってことだ。
563名無しさんだよもん:2006/01/16(月) 02:19:26 ID:sC8sxVYCO
河野家河野家河野家河野家マダー?
564名無しさんだよもん:2006/01/16(月) 06:27:37 ID:rP4hsflS0
>546
もうちょっと練ってから書いたほうがいい希ガス
ささらのもなんだか行き当たりばったりで迷走したままってかその場の勢いで突っ走った感じだったし
せっかくいい文書けるのにもったいない
565名無しさんだよもん:2006/01/16(月) 07:38:26 ID:KgyLsbDk0
>>560
出てない
566名無しさんだよもん:2006/01/16(月) 08:42:13 ID:SaNLyywA0
河野家が読みたいでござるよ!
567河野家にようこそ 第40話(1/9):2006/01/16(月) 20:28:27 ID:A9n+cT9Y0
「男なら、ガツンといけ!」雄二のこの助言を、俺は曲解してしまった。
 勢いに任せて由真と優季を怒鳴り、由真は俺の顔を腫らしたことを詫びてくれたものの、優季は
頑なに自分の非を認めようとはせず、あまつさえ他のみんなは邪魔だなどと言いだした。そして俺
は、そんな優季を思わず叩いてしまった。
 鼻血を出し、泣き出す優季。みんなに責められるのは当然のことで、俺は自分のしでかしたこと
を悔やみながら、またす巻きにされて居間のソファーで寝ることになった。
 そんな俺の前に優季と由真が。叩いたことを謝ろうとした俺に優季は、叩かれたのは自分のせい、
泣いたのは鼻血を出してるのを俺に見られて恥ずかしかったからと言ってくれた。
 そして優季は、俺が初めて叩いた女の子が自分であることが嬉しいなどと言い、その後何故か由真
は俺を自由の身にし、喧嘩両成敗だから自分も叩けと俺に言う。俺は叩く代わりに由真の顔で遊ば
せてもらい、優季と同じく恥ずかしい目にあったから両成敗完了とした。由真は納得してないみたい
だったけどね。

 夜が明けて朝になり、さて朝食、なのだが……
「どうしたのタカ坊、箸が進んでいないようだけど? それに由真と優季も?」
「い、いや、別に……」
 朝食に文句があるワケでは決してない。けど、正直言って食欲など全くない。
 優季が作ってくれた夜食の焼きそば、おいしかったなぁ。けど優季ったらやたら上機嫌だったせい
か、食べるのは三人なのに何故か六人前も作っちゃって……。
 でも、その時俺は確かに空腹だったし、それに、この焼きそばを三人で食べることがとても大事な
ことのように思えて、俺は気合いを入れ、その大半を平らげてみせたのだ。
 こんなことをして翌朝すぐに腹が空くワケなどない。けど俺はあくまで、夕食抜きの罰を受けた身。
ここで食わねば疑われてしまう。
「い、いただきます」
568河野家にようこそ 第40話(2/9):2006/01/16(月) 20:29:29 ID:A9n+cT9Y0
 進まない箸を何とか進めようとする俺。だが――
「す、済みません。私、朝ご飯はもういいです。
 実は昨日の晩、夜食を作って食べちゃったせいでお腹いっぱいで……」
「あ、あたしも優季に付き合っちゃったからお腹いっぱいなんです!」
 あ! 優季と由真、自分たちだけずるいぞ!
「ふぅん、そうだったんだ。
 で、食べたのは優季と由真だけ? まさか、タカ坊にも食べさせた、なんてことはないわよね?」
 何故か楽しげにそう尋ねるタマ姉。くそっ、さてはタマ姉、俺も食べたって気付いてるな。
「え、ええ、貴明さんには食べさせていませんよ」
「そ、そうそう、そうだよね。たかあきったら恨めしげな目であたしたち見てたけど、仕方がない
よね、罰なんだから」
「じゃあタカ坊は昨日の晩から何も食べていないんだから、お腹ペコペコなハズよね。
 どうしたのタカ坊? もう食べていいんだから、遠慮しないでどんどん食べなさい」
 た、タマ姉は鬼だ……。

「なにぃっ!? 優季ちゃんを叩いただと!?」
 相談した以上は結果を報せるのは当然のことで、学校への途中、いつものように雄二と合流した際、
俺は雄二に昨日のことを話した。
「貴明、お前なぁ、確かに『ガツンといけ』とは言ったが、それって叩けって意味じゃ――」
「分かってる。自分の馬鹿さ加減には、我ながらほとほと呆れてるよ。
 それにあんな後味の悪さはもう沢山だ。俺は金輪際、女の子には手を上げない」
「ちゃんと反省したんだね、たかちゃん。それでいいんよ。
 女の子は脆く壊れやすいガラス細工なんだから、優しく大事にしてくれなくちゃ」
「度が過ぎた暴力は問題だけど、相手を正すためには時には手を上げることも必要よ」
569河野家にようこそ 第40話(3/9):2006/01/16(月) 20:30:18 ID:A9n+cT9Y0
 花梨の言葉にタマ姉が反論。まぁタマ姉の場合、もっぱら雄二相手に実践してるからね。
「けどもうこりごりだよ。弱虫って言われてもいい。俺にはもう出来ない」
「まぁ昨日の今日だからね、今はそれでいいわ。けれど、私としてはタカ坊にはもう少しだけ強く
なってほしいかな。
 相手の痛みを理解して、それでも相手のことを思い、叩ける。そんな男になってほしいわ」
「私もそう思います。少なくとも私は、貴明さんに叩かれてよかったって思ってますよ。
 これからも、私が間違っていたら遠慮なく叱って下さいね」
「優季……」
 微笑む優季。でも俺の気持ちはまだ複雑で……

「たかあきくん」
 休み時間。愛佳が話しかけてきた。
「どうしたんですか? 朝から何か考え込んでるみたいでしたけど」
「うん――」
「やっぱり、優季さんのことですか?」
 俺が優季を叩いたことは愛佳も既に知っている。いつもの通りに校門の前で合流した際、『河野家
メンバーズの中では隠し事はナシだかんね!』と言い、花梨が愛佳、郁乃、珊瑚ちゃんにも話した
のだ。その時の三人の驚きようと言ったら。郁乃に至っては『遂に本性を現したのね、この野蛮人!
 最低男!』とキツイお言葉まで下さったし。
「あの、もしかして郁乃のこと、怒ってます? ごめんなさい、郁乃ったら――」
「いや、いいんだ。確かに女の子を叩くなんて最低男のすることだから。でもなぁ……」
「でも、なんですか?」
「でも、それなのに叩かれた優季は気にしてないどころか、かえって嬉しがってるみたいで、何で
そんな気持ちになれるのかがよく分からないんだよなぁ……」
570河野家にようこそ 第40話(4/9):2006/01/16(月) 20:31:11 ID:A9n+cT9Y0
 ため息をついて、机に突っ伏す俺。
「……なんとなく、優季さんの気持ち、分かるかも知れません」
「え?」
「たかあきくんは、優季さんが憎くて叩いたんですか? 違いますよね。たかあきくんは優季さんが
間違っているのを分かってほしくて、でも言葉じゃ伝わらなくて、他にやりようがなかったから、
優季さんを叩いたんでしょ? それが優季さんにも伝わったんですよ」
「けど、やっぱり叩いたのは間違いだと思うんだ。どうしたって、この罪悪感は消えない――」
「たかあきくんは優しいから、自分を責めちゃうんですね。他にやり方があったはず、ううん、時間
をかけて説得すれば、きっと優季さんも分かってくれたはず。そう思っていませんか?
 でも、言葉は万能じゃないんです。その人が心を何かに囚われていると、どんな言葉も届かない。
逆に、その言葉がその人を余計に悪い方に追い込んでしまう。そういうことって、あるんですよ……。
 確かに暴力はいけないことです。でも、一番大切なのは、相手を思いやる気持ち。たかあきくんは
優季さんのために叩いて、その気持ちが優季さんにも届いた。そう言うことなんですよ、きっと」
 愛佳は突っ伏したままの俺の前にしゃがみ、俺の顔を見て、
「たかあきくん、もしあたしが悪いことしたら、ちゃんと叱ってくれますか?」
「愛佳が、悪いこと? うーん……、つまみ食いとか?」
「な、なんでつまみ食いなんですかぁ〜! あたしって言ったらすぐそれなんだからぁ〜!
 い、いいですよーだ! じゃああたし、これからもっと悪いことしますから!」
 愛佳は不意に立ち上がり、何故か俺のカバンを取り上げた。そしてカバンを開けて、中から取り
出したのは数学の教科書。
「つ、次の授業は数学だから、これがないとたかあきくん、先生に叱られちゃうね! 大弱りね!
 ど、どこに隠しちゃおうかな〜?」
「え? ちょ、ちょっと愛佳、本気?」
「ええ、本気も本気、大本気ですのよ〜!」
571河野家にようこそ 第40話(5/9):2006/01/16(月) 20:31:54 ID:A9n+cT9Y0
 教科書を手にしたまま、愛佳が離れていく。
「こ、こら! 冗談やめろって」
 慌てて立ち上がり、愛佳を追いかける。
「冗談じゃありませんのよ〜!」
 走って逃げる愛佳。
「こら、返せって!」
「やーですよー!」
「返せってば!」
「やーなのよー!」
 教室内を、走る愛佳。追う俺。
 ドタバタ、ドタバタ……
 と、不意に我に返る。すると、当然のごとく教室中の目は俺たちに釘付けなワケで……
「ラブラブだ」
「ラブラブよ」
「ラブラブね」
「ラブラブ?」
「ハーレム河野死ね!」
 ……う、うぇえ、は、恥ずかしぃ……。
「……え? え!?
 あ、あああっ!? ち、違うのコレは! ほ、ほんの冗談なの、ラブラブとかじゃ、そんなのじゃ
ないの! み、みんな、そんなにあたしを見ないでってば〜!!」

「――とまあ、こんな次第で。な、笑えるだろ?」
 昼休みの屋上。俺と愛佳の教室ラブラブ事件は、雄二によってみんなに報されてしまった。
572河野家にようこそ 第40話(6/9):2006/01/16(月) 20:32:47 ID:A9n+cT9Y0
「も、もう止めてよ雄二くん……」
 愛佳が顔を真っ赤にして俯く。でも弁当は食べている。
「恥ずかしいマネしないでよお姉ちゃん。妹のあたしまで恥かくじゃない」
 本気で恥ずかしいらしく、郁乃も顔が赤くなっている。
「ご、ごめんね郁乃」
 ますます俯く愛佳。でも弁当は食べている。
「ところで、タカ坊はどうなの?」
「どうって、何が?」
「何か悩んでたでしょ。多分、優季のことをまだ引きずってるんだと思ったけど。
 愛佳と話して、その悩みは解消したのかって聞いてるの」
「うん……」
 俺は少し考えて、
「正直、優季がどう思ってくれても、俺自身は優季を叩いたことを今でも悔やんでいる。やっぱり
男が女の子を叩くのって、決して正しいことだとは思えないから。
 でも……、うまく言えないけど、こういう風に後々悔やむことになっても、やらなきゃならない
時もあるのかなって思う。人を傷つけるのは決して正しいことじゃないけど、それでも、その人の
ことを思うなら、傷つけないといけない時もあるのかもって思う。
 だけどやっぱり、俺は女の子を叩くのはイヤだよ。だから、もしまた誰かを叱らなければならない
時は、俺は出来る限り、俺の言葉で叱る。思いつく限りの言葉で叱って、相手の言い分も勿論聞いて、
その上で間違ってると思ったことはキチンと間違ってると言って、それでも、どうしても駄目な時、
俺はまた……」
 昨日、優季を叩いた、自分の手のひらを見る。
「俺はまた、この手で叩くかも知れない。でも俺はその時きっと、叩いたことを後で悔やむと思う。
そうやって、悔やむことを覚悟の上で、それでも俺は叩くんだ。その時、必要だと思ったなら。
573河野家にようこそ 第40話(7/9):2006/01/16(月) 20:33:22 ID:A9n+cT9Y0
 ……これが、俺の結論、かな」
 みんなは俺が言い終えるまで、黙って聞いてくれていた。そして、
「うん、わたし、タカくんの言ってること、正しいと思うよ。
 タカくんが優季さんを叩いて、わたしビックリしちゃったけど、お母さんだってわたしが悪いこと
をすれば叩くし、だからタカくんもそれでいいと思う。
 あ、でももしこのみが悪いコトしちゃったら、出来れば優しく叩いてほしい、かな」
「お前を叩くことなんて、きっとないよ、このみ」
 このみの頭を撫でてやる。
「え、えへ〜」
「ま、たかあきにしちゃマトモな結論だね。いいんじゃないのそれで?
 けど、もしたかあきが大した理由もナシに女の子を叩いたら、その時はあたしがあんたを殴るから、
覚悟しておくようにね」
 握り拳を作ってみせる由真。
「ま、まぁ、その時が来ないよう心掛けるよ……」
「安易に暴力に頼らず、言葉による戒めを第一と考える、か。
 実にいい心掛けだぞ、うー。知的生命体はかくあるべきだ。うーのような”うー”がこの星の王と
なれば、”るー”とのコンタクトもそう遠い未来ではないぞ」
「ま、まぁ、王になるつもりは今のところ無いけどな……」
「よかったですね、たかあきくん。それに――
 え? ゆ、優季さん、泣いてるんですか!?」
「え?」
 愛佳の驚く声を聞き、優季の方を見ると――な、泣いてる。
「う……うう、ぐすっ。
 わ、私、自分が恥ずかしいです。貴明さんが最初に叩いた女の子が自分だってことに浮かれて、
574河野家にようこそ 第40話(8/9):2006/01/16(月) 20:34:43 ID:A9n+cT9Y0
貴明さんがこんなにも苦しんでいたなんて気付きもしないで、私は……。
 ほ、本当にごめんなさい貴明さん!
 私、私、もう貴明さんに叩かれるようなことは絶対にしませんから!」
 元々正座でシートに座っていた優季なので、頭を下げたら土下座の姿勢に。
「ゆ、優季、そんなことしないで、顔を上げてくれよ。これは俺の心の問題であって、優季が謝る
必要なんて全然ないんだからさ。ほら、その、人も見てるし……」
 慌てて優季の側に行き、頭を下げながら泣いてる優季を起こす。
「う、うう……、ごめんなさい、貴明さん……ひっく……」
「うん、分かった。分かったからもう泣かないで優季。
 俺、女の子を叩くのもイヤだけど、女の子に泣かれるもイヤだからさ」
 出来ることがこれしか思い浮かばず、優季の頭を優しく撫でる。
「は、はぁい……ぐすっ……」
 返事はしてくれたけど、すぐには泣きやみそうになかった。
「ま、これで本当に一件落着ね。
 でもねタカ坊、これだけは言わせて。叩いたことを悔やんじゃ駄目。女の子を叩いて辛い気持ち
になるのは仕方がないけど、それを悔やむのではなく、その辛さを心に刻むの。そしてそれを糧に
成長なさい、大きな男になりなさい。タカ坊ならそれが出来る、私はそう信じてるから」
「タマ姉……、うん、俺なりに頑張ってみる」
 心に刻んで、糧にしろ、か。まあ、やってみるさ。

 優季が泣きやんだ後、話題を変えることにした。
「そう言えば珊瑚ちゃん、イルファさんは元気にしてる?」
「うん、元気にしとるよ〜。貴明にも会いたい言うてた〜」
「そっか。じゃあその内、会いに行こうかな」
575河野家にようこそ 第40話(9/9):2006/01/16(月) 20:35:26 ID:A9n+cT9Y0
「うん、会ったげて。いっちゃん絶対喜ぶから。
 あ、そう言えばいっちゃん、環たちにも会いたい言うてた。料理のこととか教わりたいって」
「へぇ、じゃあさ」
 俺はチラッと瑠璃ちゃんの方を見る。うん、イルファさんの名前を聞いても、特に変わった様子は
ない。これなら大丈夫そうだ。
「よかったら今度の日曜にでも、イルファさん連れて家に来なよ。休みの日なら俺たちだけじゃなく、
ひょっとしたらちゃるやよっちも遊びに来るかも知れないし。どうせなら大勢の方が楽しいものな」
「うん、そやね。そしたら今度の日曜、いっちゃん連れて貴明の家に遊びに行くな〜」
「うん、楽しみだね、」
 瑠璃ちゃん、と言いそうになったがやめた。焦ることはない、ゆっくり進めていこう。

 学校が終わり、家に帰る。今日は愛佳、郁乃、それに瑠璃ちゃんも夕食に招待できた。
「じゃあわたし、着替えてくるね」
 そう言って、このみは一旦自分の家へ。

 ピンポーン。
 ん? このみが戻ってきた? でも最近このみの奴、呼び鈴なんか押さずに入ってくるのに。
 もしかして他のお客さんか? とりあえず玄関に行ってみよう。
 玄関に行き、ドアを開けると――
「こんばんは、タカくん」
「た、タカくん、お母さんついて来ちゃった……」
 え、なんで、春夏さんが一緒にいるの?

 つづく。
576河野家にようこそ の作者:2006/01/16(月) 20:36:03 ID:A9n+cT9Y0
どうもです。第40話です。
突如河野家にやってきた柚原春夏。果たして彼女の目的は?
次回、河野家にようこそ 第41話
「美人妻は見た!
 男女同棲湯けむりOL特急連続殺人案内 河野家地下埋蔵金の秘密」
にご期待下さい(大嘘
577名無しさんだよもん:2006/01/16(月) 21:04:51 ID:VZcKKkIi0
GJ
578名無しさんだよもん:2006/01/16(月) 21:24:42 ID:IE6KdwOf0
ハァ━━━━━━ ;´Д` ━━━━━━ン!!!!
悪いことをする愛佳がかわいかった、GJ!!
春夏さんメンバー入りか…!?年齢制限が…
579名無しさんだよもん:2006/01/16(月) 21:42:22 ID:LWfoBGPc0
ごくろうさま。
俺春夏さん好きなのでメンバー入りOK
でも妻娘取られた旦那さん切れそうだ
580名無しさんだよもん:2006/01/16(月) 21:43:27 ID:4GlN38iw0
GJ!
だが埋蔵金という言葉をみると
→糸井○里→延期(又は中止)
と不吉な悪寒全開な自分が(ry
581名無しさんだよもん:2006/01/16(月) 22:38:24 ID:aowMIyiU0
どんなに外道・非道と罵られようと、春夏さんルートがないことに
赤っぽい涙と共に悲嘆にくれた俺からすれば、まさに願ったり叶ったりの展開だなw
582名無しさんだよもん:2006/01/17(火) 03:22:37 ID:bp0V8r7s0
「貴明さん、向坂君の言うとおり、
皆一度はその…メードの姿をして……するの?」
「ちょっ、ま、急に何言ってるの!?嘘に決まってるよ!」
突拍子もないことを言われ、同様を隠せない俺。
「でも、まーりゃん先輩も貴明さんが喜んでくれるって…」
「あの二人が言う事は聞いちゃだめ!
それに、ささらもそんな格好したくないでしょ!?」
まーりゃん先輩と雄二の提供した語知恵を排除しなくては…。
「その…わ、私は…貴明さんがして欲しいなら…。
学食のときも、あの格好をすれば貴明さん、私と……してくれるって
まーりゃん先輩が言ったから…」
「ぇ゛……」
マジデすか…。
は…おちつけ、河野貴明!理性を失うな…!
「だから、あんな…その…おっぱいがよく見える服着たのに…
貴明さんなら、触ってもよかったのよ…?」
俺はそこで意識がとんだ。



気付いたら、そこは保健室。
「貴明さん、大丈夫だった?」
涙目で言うささら。
ああ、定番の夢オチか。そうだったのか。そうだよな。
ささらがあんなこと言うはずがない。
「私の…おっぱいのこと考えて倒れちゃうなんて…
貴明さん、そんなに私のおっぱいが好きだったのね…?」
リアルの出来事だったのか!
「ちょっと待った!何でそんな結論に!?」
再び俺は必死に弁解する。
583名無しさんだよもん:2006/01/17(火) 03:28:14 ID:bp0V8r7s0
「私のおっぱい…好きじゃないんだ…」
マ、マズイ…。
「ごめんなさい、ささらのおっぱい大好きです…」
俺は観念したように言う。
「ふふふふ、やはりたかりゃんはさーりゃんのメロンおっぱい大好きっ子
だったんだな!いやらしいやつめ!」
「ま、まーりゃん先輩!?」
突然の乱入者に驚く俺。
そしてとんでもないことを言ってくれた。
「あ、さっきの会話はちゃんと録音してあるから。
学校新聞のトップ記事間違いなしだね」
その言葉を聞いて青ざめる俺。
「そんなことされたら、俺もう学校これなくなります…」
しかしささらはいたって平然として言った。
「貴明さん、大丈夫よ。男の人って、みんなおっぱい好きなんでしょ…?」
「確かにそうかもしれない。だがしかし、それを知られるのは…
人として生きていくうえでは駄目なことなんだああああ」
「ふふふ、人間あるべきままが一番だぞ、たかりゃん」
「ぃゃあああああ!頼みますから本当にやめてくださああああい」
俺があまりにも言うから、ささらが泣きそうな顔になる。
「貴明さん…私のおっぱいが好きって思われるの…迷惑なの…?」
その言葉を聞き、俺はとうとう開き直った。
584名無しさんだよもん:2006/01/17(火) 03:37:54 ID:bp0V8r7s0
「もういいですよ!俺はささらのおっぱい大好きな
おっぱい星人ですよ!」
まーりゃん先輩はニヤリとして言う。
「今のもばっちり録音したぞ〜」
「え゛……」
「じゃぁ、新聞委員会まで届けてくるねー。ばいび〜」
まーりゃん先輩がその日俺達のもとへ戻ってくることはなかった。



翌日、そのことはやはりトップ記事となり、俺がささらのおっぱいが
好きだという恥ずかしい事実は公のものとなり、
以後俺はおっぱい星人と呼ばれるようになってしまった…。
不登校になってもいいですか…orz



「ありがとうございます、まーりゃん先輩」
「ちょっとやりすぎちゃったかな?」
「あれくらいでいいの…」
「ここまでやらなくても、悪い虫はつかないと思うけどね」
「いいの。貴明さんは私のものだから。
「ぉぅぉぅ、物扱いか。しかも所有物。さーりゃんもなかなかやるねぇ」
「―――」
「ぃゃ〜、まさかさーりゃんからが提案したとは思いもよらないだろうね〜
たかりゃんは」
「悪者になってもらっちゃって、ごめんなさい、先輩」
「いいのだいいのだ!あたしはいつでもさーりゃんの味方だぞ!」



【終了】
585名無しさんだよもん:2006/01/17(火) 03:38:52 ID:bp0V8r7s0
現在書いているSSの進行ペースが悪くなってきた
うさばらしにやってしまいましたorz
ごめんなさいorz
586名無しさんだよもん:2006/01/17(火) 03:50:29 ID:FQ/aRj6i0
  _  ∩
( ゚∀゚)彡 おっぱい!おっぱい!
 ⊂彡
587名無しさんだよもん:2006/01/17(火) 04:56:28 ID:mBqV0xqE0
  _  ∩
( ゚∀゚)彡 おっぱい!おっぱい!さーりゃんのメロンおっぱい!
 ⊂彡
588名無しさんだよもん:2006/01/17(火) 12:14:57 ID:w7MKagTCO
おっぱいに大きさを求める様なやつはまだまだ半人前。
玄人はやはり春夏さんの貧ny(ry
589名無しさんだよもん:2006/01/17(火) 12:53:00 ID:mW7u6Qi60
その後588の姿を見た者はいなかったという事である。
590名無しさんだよもん:2006/01/17(火) 13:32:53 ID:DHwVO9Sy0
>>576
遅くなったけど、河野家喜多ーーー!!!
「ラブラブだ」
「ラブラブよ」
「ラブラブね」
「ラブラブ?」
・・・。 縦読み?

愛佳にしては、珍しく長い台詞がありましたが
ちゃんと舌をかまずに読めたのでしょうか?^^;
とりあえず、OL特急がどこから湧いて出てくるのか、楽しみにしてます。
目を覚ます。カーテン越しから見る外はいつもより暗く、気温は夜明け前特有の寒さ。
この寒さと暗さからして、まだ夜明け前か…。早く起きすぎたな。
昨日ささらに朝食は作らなくていいって言われちゃったし、することないなぁ…。
そう思いながら毛布の中で考えている俺。
部屋の中を何気なく見渡す。すると、見覚えのない包装されている大きな荷物が。
いったいなんだ??俺宛の荷物なんだろうか…?
俺は、思い切ってあける。包装を開くと、次は大きなダンボール箱。
そのダンボール箱をあけて中身をみた俺は、心臓が5秒程止まった。
「―――――ッ…」
俺は箱の中身を見て完全にひきつった笑みを向ける。
それもそのはず…なんと中に入っていたものは…
「――――さ…さ…ら…?」
中に入っていたささらは、サンタの衣装をきている。
しかしそれは、髭面の太めの爺さんが着るようなものではなく…。
肩はむき出しで、上着はサイズが小さかったのか胸の少し下までしか覆えていなく、
さらに、ズボンではなく丈がとても短いミニスカート。
隆起している部分や腰のくびれなど、一目で分かるような衣装…。
上下とも布の端に綿をイメージさせるものがついているが、一般的に知られる
サンタの衣装とは、異なったものだった。
「メリークリスマス、貴明さん」
ささらはにっこりしながら言った後、俺の顔を不思議そうに見る。
「貴明さんどうしたの?」
「ナンデソンナカッコシテコンナナカニハイッテタンデスカ…」
俺は驚きのあまり、壊れた機械のように言うことしかできない。
「だって…まーりゃん先輩がこうすると、貴明さんが喜んでくれるって―――」
ま   た   ま   ー   り   ゃ   ん   先   輩   か  
「お、おかしいの?だめなの?この格好…いけなかった?」
俺は、いまだ冷静を取り戻せないでいた。
「ごめん、おかしいのか普通なのか俺には判断できない…ところで…
昨日の夜、ささらの部屋から聞こえたのはやっぱりまーりゃん先輩の声だったんだね?」
ささらが、若干控えめに頷く。
まーりゃん先輩め…。前のスク水メイドといい、今回といい…。
素直なささらを騙しやがって…絶対良い死に方をしないな…つーか、俺がさせない。
俺は倒れそうになるのを必死でこらえながら、そんなことを考えていた。
「貴明さん…それで…い、いまさらだけど…。
本当は、貴明さんが来たときに渡そうと準備していたんだけど…。
私からのプレゼント…もらって…くれる…?」
ささらは、もじもじと俺に問いかけた。
「もちろん。東大の合格通知よりも、ささらのプレゼントのほうがうれしいよ」
「貴明さん…ありがとう…」
そう言って、サンタ衣装(と言えるのか微妙だが)のささらが俺の胸に抱きついてきた。
同じような事の繰り返しだけど…とても大切なものなんだと改めて思った。
半年も離れていた俺達だからこそ、そのことは余計に強く感じられるのだろう。
 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 
「貴明さん…ど…どう?気に入ってくれた?」
ささらがくれたプレゼントはペンダント。
銀色の鎖(といっても、ペンダント用の細いもの)に、
シルバーリングを通したなかなかの一品だった。
俺は、細かくそれをみる。するとリングに、『S.K.』文字が彫ってあった。
SKってささらのことだよな?まさか…ささらの大事な指輪…?
俺が不思議そうな顔をするので、ささらはあわてて説明し始めた。
「貴明さん、日本に戻ってもそれを見て私を思い出して?」
「ありがとう、ささら。肌身離さず持っているよ。」
あ、でも…と俺は続ける。
「イニシャル彫ってあるところ見ると、ささらの大事な指輪なんじゃないの?これ」
「えっと…それなんだけど…」
ささらは俯き、顔を朱色に染めながら話し始めた。
「ほんとは貴明さんのイニシャルにして、私がつけていようと思ったの…。
だけど、やっぱり私が買って私自身がつけるより、貴明さんにつけてもらった
方がいいと思って…」
「なるほど。――じゃあさ、後で俺も同じ物を、俺のイニシャルを彫ってもらって
ささらにプレゼントするよ。この案…どうかな?」
「貴明さん…いいの?」
「もちろん。ささらが良いっていうならね」
「ありがとう…」
俺がはにかんでいると、正面から、くしゅんっという声が。
「とりあえずささら。それ、着替えたほうがいいよ。そのままじゃ、風邪ひくよ?」
「うん…」
 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
「ふー、今日は寒いね。さらに暗い。おかげで、夜明け前におきたかと思ったよ」
「貴明さん、まだ外見てないの?」
「え?外がどうしたの?」
ささらが、リビングのカーテンをあけると―――そこは一面の銀世界。
「雪か…。だから、寒かったのか…」
「雪なんてみるの、久しぶり…。昔は雪が降った時はパパと遊んでいたわ…」
ささらは、少し寂しそうな顔をしながら外を眺めていたが、すぐいつもささらに戻る。
「さ、貴明さん。朝ごはん、食べましょ」
「うん、そうだね。」
俺は席に着き、ささらと向かい合い、ささらと今日の朝ごはん達に向かって
「いただきます」と言った後、朝ごはんを食べる。
しかし、その最中もささらはやはりどこか寂しそうだった。
「ねぇ、ささら。もしよかったら…なんだけど…」
そう言うと、ささらは俺のほうを見た。
「せっかく雪が降ってるんだし、雪だるまでも作らない?」
「え…?」
「あ、いや、別に嫌だったらいいんだけど」
「貴明さん…どうしてそんなに優しいの?」
思わぬ返答に、俺は困る。
「いったいどうしたの?急に」
」「だって…いつも私の事を考えて色々してくれるし、
私のわがままも、貴明さんが断れないってわかっていてする事も全部許してくれる…。
どうして貴明さんはそんなに優しいの?」
「何でだろうね。俺にもわからないよ」
だけど…と俺は続ける。
「やっぱりささらのことが好きだからなんじゃないかな、って思う」
「でも…貴明さんは、皆に優しかったじゃない…」
「う゛…まぁ、たしかにそうだったけどね…。
でも、わざわざNYにまで行くほど会いたいって思う相手は、
ささら以外にはいないよ。このさきもずっと…ね」
それに…とさらに俺は続ける。
「俺は、俺自身がしたいようにしてるだけだよ」
「私いつも不安になるの…。
私ってわがままだし、いじわるだし、ずるいし、
酷いことするときもあるし、人を傷つけちゃうときもあるし、
みんながあんまり好きじゃなさそうな動物が好きだし…。
そんな私が、貴明さんに好きになってもらっていいのか、って…。
貴明さんがこっちに来てくれて、いつも私の事を思って色々してくれる度に、
私なんかがそんなことをしてもらっていいのか、って…。」
俺は、苦笑しながら、答えた。
「たしかさ、宝探しの日の帰りの時にも、同じような事言ってたよね」
「ごめんなさい…でも…」
「俺を信じて、ささら。俺の一番はいまも、これからもささらだって。
ささらが信じてくれないと、俺のいままでしてきたこと、思ってきた
ことまで全部ウソになるから。そうなったら、俺の存在までなかった
ことになるから―――――――――」
「貴明さん、それ…あの時言っていたことと、全く同じよ?」
「はは、わかった?」
「もちろんよ…。忘れるはずがないわ…あの時のことを…」
「俺の気持ちは、あの時と一切変わらない。もちろんこれからも」
「貴明さん…この先も…ずっと信じていい?」
「うん―――」
そう言った後、俺はふき出してしまった。
しかし、ささらはそんな俺の態度にご不満のようだ。
「貴明さん、なんで笑うのよ〜」
「だって、あの時の再現みたいで…ついおかしくてね」
そう言うと、ささらは遠くを見るような目で言ってきた。
「あの時から、私はあなたの事を貴明さんって呼ぶようになったのよね…」
「うん、そうだったね…。そういえばさ、あの場面では言い辛かったから
言えなかったけど、ささら、自分の事は名前で呼ぶように言ったわりには、
俺のこと、すぐ河野さんって言ってたんだよね」
「え…それって本当の事?」
「うん、正真正銘の事実。俺はささらには嘘はつかないって」
「ごめんなさい…」
「いやいや、俺もささらが最初に名前で呼んでくれたときの事、覚えてなかったし
お互い様ってことで。でも、本当にいつ言ったの?」
ささらは、笑顔で俺に言ってきた。
「教えてあげないもん」
トホホ…ホントいつだったんだろ…。
「貴明さん…私、やっぱり貴明さんがいないとダメなの、わからないの。
自分のことも、なにもかも――だから―――私を一人にしないで…」
ささらが2日後の話をしていることは、すぐ分かった。
しかし、俺は答えることはできなかった。どうすればいいのか、自分でもわからなかった。
後2日間…。実質最後の一日はほとんどないから、後1日…か…。
俺は、その残り少ない日数でささらに何をしてあげられるのだろうか。
やはり、明後日に帰らないほうがいいのだろうか…。
でも、いつかは帰らなければならない。
そうすると、結局繰り返しになるのではないか?
どうなるのが一番いいのだろうか。
俺は、残り少ない時間でそれを見出すことができるのだろうか。
否、見出さなければならない。ささらのためにも……俺のためにも…。
「ごめんなさい…。また無理言ったりして…」
ささらの泣き声に我に返る。俺は、今の自分の考えを言った。
「俺もささらの傍にずっといたい。でも、残念だけどそれはできないんだ。
ささらに悲しい思いばかりさせてごめん。…でも、今日含めて後3日間…まぁ
実質2日間だけど、その残り少ない時間、可能な限りささらと楽しい思い出を
作ろうと思うんだ。雪で思いっきり遊んだり、その後プレゼント買ったり、その
ほかにも色々―――」
俺は、そこで一度区切る。
「だから…泣かないで?泣いてるよりも、笑ってるほうが、ずっとずっと楽しいよ」
「うん――うん――」
ささらは、笑ってくれた。
だが、俺の不安…何か起こるのではないか、という胸のざわめきは
2日前のまーりゃん先輩と話して以来、いまだ消えてはいなかった。
 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 
朝食を食べ終わり、雪だるまを作りに家を出る俺達。
ささらが家に鍵をかけて、俺のいる門のほうまで走ってくる。
「きゃっ」
ささらが、庭の雪ですべって体勢を崩した。
「危ない!――――グハッ」
俺は急いで走る…が、俺のほうまで雪で体制を崩される。(グハッはその時の声)
思わぬ事態に体が反応できず、雪に顔面から埋もれる俺。
埋もれている最中に、ささらの声が聞こえた。
「貴明さん、大丈夫?」
「いつつ、大丈夫大丈夫。ささらのほうこそ大丈夫?」
「私は何とか転ばずに済んだけど…」
「そう、それは良かった」
ささらが手をだしてくる。俺はその手を握り、立ち上がる。
「ありがとう――ひやー、冷たい…流石雪だなぁ」
すると、ささらが俺の手を強く握り返してきた。
「もう、危ないから気をつけないと…貴明さんにもしものことがあったら―――
私、きっと耐えられないわ…」
「そんな心配しなくても大丈夫だよ、ささら」
「じゃぁ、心配させないで?」
「ごめんなさい、以後気をつけます…」
「わってくれればいいの」
ささらは俺の答えに納得したのか、笑顔になる。
最近のささらは、少しイジワルになったような…気がする。
まぁ、少しイジワルなささらもとても可愛いから、いいが。
さて、いざ出発!というときに、一番重要な問題にぶち当たり、ささらに聞く。
「で、何処で作る?」
「近くにちょっと大き目の公園があるの。そこがいいと思うんだけど…」
「うい、了解」
ということで、公園を目指して俺達は手をつないだまま歩き出した。
歩いて少したって、第2の難題が。
「誘っておいてあれなんだけど…俺もずっと雪だるまを作ってないんだけど…。
どんなのにする?シンプルに?サイズはどうする?」
俺の問いかけに、ささらはもじもじしながら答える。
「貴明さん、その…もしよかったらなんだけど…その…サンショウウオ…作らない?」
俺は予想外の答えに思わず拍子抜け。
「ダメなの――?ダメ―――?ダメなんだ―――」
【世捨て人モード】のスイッチがオンになりそうになるささらに、俺は慌てて言った。
「待った!ストップ!そうしよう、オオサンショウウオ作ろう!
それ以外にも、カエルやクラゲも作っちゃおう!」
「うんっ!」
ささらは、満面の笑みになって、答えた。
それからしばらく歩いていると、
「あ、貴明さん、見えてきた。あの公園」
そう言って、ささらは進行方向を指差した。
その方向をみると、たしかに、それらしきものが。
「お、あれかー」
「貴明さん早くいきましょ」
「わ、ちょっとまった、危ない、危ないから走りながら手をひっぱらないで〜〜!!」
はしゃいでいるささらに先導さ(半ば強引に引っ張ら)れ、雪道を走る俺。
途中、数回転びそうになるも、なんとか無事公園に到着。
並大抵のジェットコースターよりも怖い思いをした…。
ジェットコースターは安全がとりあえず保障されているが、
今回は安全が全く保障されていない…。実に怖かった。
どうやらウミウシと同様に、雪遊びはささらの精神年齢を
一気に引き下げる何かがあるらしい。
俺は、到着した公園を見渡す。
「うわー、随分広い公園だ…」
その公園は、俺の町にある公園の10倍はありそうだった。
数十人の子供と、その親やカップルやその他の大人達もいたが、
まだ十分過ぎる程スペースが余っていた。
「貴明さん、あのあたりにしましょ」
ささらは笑顔でそう言いながらまた俺の手を引っ張りながら走り出す。
どうやら、喜んでくれているようだ。来たかいがあった。
思わずニヤける俺に向かって、
「貴明さん、もっと早く走ってよ〜」
と、すっかり子供に戻ってしまったささらが俺の腕をさらに引っ張りながら言う。
「わかったから、走らないで〜!危ないからっ!うわっ転ぶ転ぶ転ぶ転ぶ!!」
なんとなく雄二の気持ちが分かった気がした瞬間だった。
 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 
「サンショウウオか…。春休みの時にささらからもらったお土産のぬいぐるみ以来だな。
あれ、いまだに俺の部屋に飾ってあるんだよね」
と、俺は笑いながら言う。
「そういえば、謹慎処分の時、貴明さんの部屋に行ったとき、見たきがする―――。
大事にしてくれてありがと、貴明さん」
「いやいや、乱暴に扱うはずないから」
俺は苦笑しながら言った後、気を取り直す。
「さて、では気合入れてささらが背中に乗れる位のサンショウウオを作ろう!」
「私が乗れるくらい、って…?」
「せっかくだから、それくらいにしようと思って…」
「私が乗ったら、壊れちゃう…」
「壊れないように作るから、大丈夫だよ」
「――最近体重が…」
…その細身でどこに脂肪がつくんですか。
O(倫理的観点から匿名)以外、肉ついてるところなんてないと思いますが。
それとも何?O(倫理学的観点から匿名)を縮ませるつもりですか。
そのままのほうが……って俺のバカバカ!何考えてるんだ!!!
俺は、不純な考えを頭から追い出す。
「大丈夫だよ。全然そんな風に見えないし。ってことで作戦開始!」
「作戦って…?」
「えーっと――まず、雪集めよっか。それから、形を作っていこう」
「わかったわ」
そう言って、俺とささらは雪を集め始める。
そして、ある程度集まったので俺は、ささらにOKサインを出す。
「さて、次は形を作ろう…。俺が尻尾のほうやるから、顔は頼んでいい?」
「うん、任せて、貴明さん」
催眠術なしで幼児退行している(といっても、あの時程ではないが)ささらは、
満面の笑みで快諾。熱心に顔を作り始める。
正直、顔を作れる自信がなかったので、よかった。
流石に顔の細かいところまで普通(ささらは含まない)は覚えてないだろう。
ということで、尻尾を作る俺。
たしか…おたまじゃくしみたいな尻尾をしてた…はず。
俺は、おたまじゃくしの尻尾を想像しながら作っていく。
「ん、んー?あー、…微妙。なかなかうまくいかないなぁ」
俺は何度も作り直す。
「貴明さん、尻尾まだおわらないの?」
「うん、どうも気に入らなくて」
俺は、ささらのほうを向いて言う。
「私が胴体も作っちゃってもいい?」
「うん、いいよ。っていうか、ぜひよろしく」
そう言って、俺は再びしっぽと向き合った。
うまくにょろってならない…。俺の求める尻尾はこんな尻尾じゃないんだ!!
妙に熱くなる俺。しばらく一心不乱に尻尾作りを営む。
お、いい感じいい感じ。これはいいんじゃないかな。
「よし、尻尾完成!」
「貴明さん、もう胴体終わっちゃったわ」
「え…」
ささらに言われてみてみると、既に全ての箇所が完成していた。
だがしかし…。
「うーん、思ったより小さいねぇ。これじゃ、背中に乗っても膝がついちゃうね…
どうする?作り直す?」
「貴明さんが作り直したいなら…」
そう言いつつも、俺がその言葉を言ってくれることを期待しているのは明白だった。
「よし、じゃぁ作り直そうか。こいつは子供。次のは親サンショウウオ」
「うんっ!」
そう言って、再び雪集めから始める俺達。
さっきので足りなかったって事は、相当必要だな…。
俺は子サンショウウオのときに集めた雪の倍以上の雪を集める。
「とりあえずこれでやってみよう。足りなかったら追加で」
ささらはうなずき、承諾した。
同じように二人で雪サンショウウオを作る。
そして結構な時間が過ぎ、無事完成。
子サンショウウオのふたまわり以上ありそうな大きさ。
もはやこれは北海道で催される祭の域に達しそうな芸術作品だった。
「今度はどう?」
「ちょっと待って…」
ささらが、よいしょっと登る。
「大丈夫みたい…」
「うっし、完成!」
「貴明さんも登って?」
「さすがに俺がのったら壊れちゃうよ」
「壊れたらまたつくり直せばいいの。だから、乗って?」
俺は観念して、ささらの後ろに行くように登る。
「意外に壊れないもんだね…。丈夫に作ったかいがあったかな」
そして、ささらの背中越しに前を見る。
空からは雪が。そしてあたりは銀世界。まるで小説の中の世界。
その風景を、俺達はいつもより高い視線でみつめていた。
「綺麗だ…」
「うん、とっても綺麗…」
「いい思い出になった?」
「うん、とってもいい思い出になったわ…。きっと一生忘れない…。」
雪が降りつつも、あたりがだんだん暗くなっていた。
「ねぇ、貴明さん…明日まで…サンショウウオの親子、残ってる…かな…?」
「天気予報では明日も雪だったみたいだし、大丈夫じゃないかな」
「よかった…。貴明さん、もしよかったら明日もここにこない?
今日作れなかった、カエルやクラゲ、作りたい…」
「うん、いいよ。約束したし…作ろうね」
「ありがとう…貴明さん」
「そろそろ帰ろうか。暗くなってきてるし。それに―」
「私のプレゼント、買ってもらわないとね」
ささらは、笑顔で言った。
「その通り。このまま行ってあげたいところなんだけど、財布を置いてきちゃって…」
「あのリングは、商店街のじゃないの。
家の前を一度通らなきゃいけないから、大丈夫よ」
「よかった…。じゃぁ、帰ろうか」
こうして、俺達は公園に雪サンショウウオの親子を残し、帰路についた。
 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 
「お待たせ、行こうか」
財布を持ち、ささらの言うアクセサリーショップに向かう。
「そういえば、文字を彫るとなると、やっぱり数日かかるの?」
「私のときは1日で済んだから、大丈夫だと思うわ」
「よかった、俺の居る間に渡さないと意味ないからね」
俺は笑いながら言う。
「貴明さん、ちゃんと直接渡されないと、受け取らないからね?」
「大丈夫。ちゃんと俺の手で渡すよ」
そんな話をしながら雪道を歩く事数十分。
あの店よ、とささらが指差す先に、小さめのアクセサリーショップが一軒あった。
店の中に入り、お目当てのものを探すささら。
俺はささらの後について、色々みていた。
うえ…一万ドルとか五万万ドルとかあるよ…こんなの買う奴そうはいないだろ…。
「貴明さん、これこれ」
そう言ってささらが指差す先にあるのは、十万ドルの値札。
「え…コレ?…コレナノ…?」
「貴明さん、それじゃないわ。その隣のやつ」
言われて隣を見ると、三百ドルのシルバーリングが。
「これか…。よし、じゃぁ店員さんに頼もう」
丁度きた店員に、スイマセン、と声をかけると、いぶかしげな顔をされた。
「貴明さん、日本語通じないわよ?ここは私にまかせて」
…ここは日本じゃなかったんだった…。かなり素でボケてた。
俺がそんなことを考えているうちに、注文は終わったらしい。
俺は、財布から金額文のお金を出し、渡す。
「やっぱり明日にはできるみたい」
「よかった…あ、銀の鎖も用意しないと」
「それは、家にあるから大丈夫よ」
「そっか…」
「帰りましょ?もうそろそろ、ママも帰ってくるわ」
「あ…夕飯の用意してないね」
ささらも俺に言われて思い出す。
「忘れてたわ…。急いでかえりましょ」
「緊急事態だし、今日は俺も手伝うよ」
「―――。ありがとう、貴明さん。お願いするわ」
ささらは少し考えてから言った。
 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 
「ただいま、ささら、河野君」
ささらのお母さんが帰ってくる。
「おかえりなさい」「おかえり、ママ」
同時に言う俺とささら。
二人の共同作業により、既に夕食の準備は完了済み。
「相変わらず美味しそうね。さすが河野君だわ」
「ちょっと、ママ。私も作ったのよ?」
「ふふ、ちゃんとわかってるわ」
「もう…」
ささらはそう言いながらも、顔は笑っていた。
一日ぶりに三人で席に着き、食事を始める俺達。
ささらも、ささらのお母さんも終始笑顔だった。
その笑顔が見れるのも、残り数日だと思うと、少し切なくなった。
食事や洗い物も終わり、ささらが風呂に入っている。
そのときが、俺とささらのお母さんのささらに聞かれてはまずい話を
する時になるのは、すでに暗黙の了解になっていた。
「河野君、クリスマスの夜はどうだったの?」
「どうだった…といいますと?」
「またまた、とぼけちゃって…」
ニヤリとするささらのお母さんが言いたい事がやっと分かった。
「ないです!ないです!断じてないです!普通に寝ました!」
「あら…残念」
「残念って…普通、そんな事勧めたらまずいですから!」
「あなたを認めているからこそ、こんな事が言えるのよ?」
ささらのお母さんは笑いながら言う。
「認められるのは光栄ですけど……あまりそういうネタは…」
「もしかして…まだ、ささらとは?」
俺は正直に言った。
「いえ、そういうわけではないですけど…でも…やっぱり…」
「一度しちゃってるなら、二度でも三度でも変わらないわよ」
すごいことを堂々と笑っていってみせるささらのお母さん。
「変わりますからっ」
俺がそういうと、廊下のほうから歩いてくる音が。
「ママ、貴明さんとなんの話しをしていたの?」
「ささらと河野君の子供の名前の話よ」
「もう、またそうやって…」
そう言いつつも、ささらの顔は風呂に入って赤くなるそれよりもはるかに赤くなっていた。
 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
ある程度の時間になり、明日もあるのでそろそろ寝ることにした、俺とささら。
毛布をかぶりながら、俺は物思いにふける。
明日でとうとう最終日か…。
雪カエルや雪クラゲを作った後にクリスマスプレゼントを渡す…。
最低限やることは以上だけど、それ以外にも何か思い出になるようなことをしたいなぁ。
そういえば、昨日から頑なに見させないようとしない冷蔵庫の中身はなんなんだ…。
やはり冷蔵庫の中で何か飼っている…?まさかね…。
そこで、俺は今朝に感じた不安が大きくなるのを感じた。
明日か明後日…。何もなければいいんだけどね…。
まぁ、なにがあったとしても、ささらのためならできる限り何でもするつもりだけど…。
まーりゃん先輩は、助けてくれるかな……って最初から頼るつもりでいてはだめだ。
ささら、長年愛されてなかったから、きっと愛に餓えているんだろう…。
だから俺がいなくなるのを恐れている…。
俺がささらがいなくて寂しいっていう気持ちとは異種のものなんだろう。
俺のできることは、ささらをちゃんと愛してあげること…。
それ以外にも――教えてあげること…。
それくらいならきっと俺もできる。

さて、今日はもう寝よう。雪遊びって以外に疲れるもんだな…。
明日にもやらなくちゃいけないし、ちゃんと寝て体力を回復しておかないと。

瞼を閉じると、すぐさま眠りが訪れた。
俺は誘いに身を任せ、ねむりについた――。
608 :2006/01/17(火) 15:44:23 ID:bp0V8r7s0
ふいー、河野家さんの後に2本も駄作な物をうpしてしまいました…orz
今作品ももうそろそろ大詰め…。
一日一日がだんだん長くなってきてる気がしますorz
今回もまた誤字脱字が恐らくあると思いますので、
それの指摘、またそれ以外でも何かあったら
どんどんいってやってくださいませorz
スレ汚し、失礼しましたー。
609名無しさんだよもん:2006/01/17(火) 16:53:43 ID:w7MKagTCO
>>608
自分で駄作やスレ汚しと思っているならうpすりるのはよした方がいいとおもた。
610名無しさんだよもん:2006/01/17(火) 17:09:44 ID:JJdsRp3t0
>>608
謙遜すんなYO!
611名無しさんだよもん:2006/01/17(火) 17:26:08 ID:AtF7yI4nO
>>608
乙。
次回も期待してます
もっと自信持ってくだされ
612名無しさんだよもん:2006/01/17(火) 18:12:18 ID:Dr6K93iI0
>>608
乙です&相変わらずGJでした。
これで駄作と言われるなら俺なんて…orz
613名無しさんだよもん:2006/01/17(火) 18:14:18 ID:xqWJYpeh0
>>608
俺は面白いと思うんだけどなー。
自信もってよ。
614名無しさんだよもん:2006/01/17(火) 18:59:20 ID:C9DftT8T0
自分で書いたものを駄作と卑下して「そんなことない」と言ってもらいたいオーラ
丸出しの書き手と、定型どおりのレスしか返さない、乙かGJしか言わない読み手。

なんだこの馴れ合い。お前らの間には台本でもあるのか?
615名無しさんだよもん:2006/01/17(火) 19:06:55 ID:Uoi78jDd0
>>614
君みたいな奴がいるからスレの雰囲気が悪くなるんだよ!

なんてことは言わんが、純粋に訊ねてみたい。
あなたは、ここのスレに何を求めてるんだろう?
投下作品のレベルアップとかがお望みなの?w
616名無しさんだよもん:2006/01/17(火) 19:15:40 ID:E28rP5kY0
おまいらやめとけって。また虹の時と同じ流れになるぞ。
作者殿も投下はありがたいんだが>>614が言ってるようなマイナス思考の発言はやめた方がいい。
>>614みたいなのが出てきて争いの火種になる。SS投下でSSスレが荒れるのは本末転倒だからな。
617名無しさんだよもん:2006/01/17(火) 19:28:25 ID:LfJvJaOI0
http://pc8.2ch.net/test/read.cgi/gamedev/1134405228/157

ついにきたね
SSを本家のシステムで読めるようなツールが出るといいな
618名無しさんだよもん:2006/01/17(火) 20:36:24 ID:QsvZEMGHO
>>614の言いたいことも分からなくはないけどな
河野家さんの後にこんな駄作〜って言い方がなんか引っ掛かる。
せっかく面白いのを書いてるのにもったいないよ
619名無しさんだよもん:2006/01/17(火) 20:48:38 ID:K+j4VmWI0
ん、またグダグダと議論でもするのか?
620608:2006/01/17(火) 20:54:14 ID:bp0V8r7s0
621608:2006/01/17(火) 20:57:58 ID:bp0V8r7s0
内容書かないでカキコしてしまったorz

自分の書き込みのせいで問題が起きてるみたいですね…。
スイマセン^^;
みなさんに言ってもらえて少し自信つきました^^;
以後カキコ内容気をつけます。
応援してくれた方、ありがとうございましたー
622名無しさんだよもん:2006/01/17(火) 21:32:30 ID:InSlDz4q0
まあまあ謙遜しなすっただけではないか
623名無しさんだよもん:2006/01/17(火) 22:22:42 ID:ahG+wTHI0
>>621
普通に続き楽しみなんで頑張って(;゚∀゚)=3
624名無しさんだよもん:2006/01/18(水) 00:10:00 ID:v5FzZBcBO
ゆさゆさゆさ…
このみ「も〜、タカくん!朝であります!」
体が揺すられる。
ごろりと体を反転させると、そこにはこのみの姿があった。
このみ「あっ、タカくん!起きた?朝だよ。」
体を揺する手を止め、俺の顔を覗きこむ。
貴明「ん〜…あと五分…」
そう言って布団を肩まで掛け直し、再びまどろみの世界へ…
このみ「タカくん!タカくん!タカくん!タカくん!タカ…」
…入り込めなかった。
このみの十八番『マシンガン・タカくん』により眠気はどこかにさっていった。
しかし…
貴明(素直に起きてやるのも悔しいな)
そう思い、狸寝入りを決めこむ。
このみ「むぅ…。今日のタカくんは手強いであります。なら…」
このみは一旦俺から離れると自分の鞄の中をあさり、二本の棒を取り出す。
その棒は棒の3分の2の辺りに垂直な取っ手があり、カタカナの『ト』の様な形をしていた。
このみは取っ手を掴むと、勢いよくこちらに突進し、そして手にした棒を高く振り上げる。
このみ「トンファーキック!!」
このみの右足が俺のみぞおちに突き刺さる。
貴明「ちょwおまww」
625名無しさんだよもん:2006/01/18(水) 02:53:46 ID:ggSpUqkX0
新人です。ギャグSS行きます。四時間程で勢いで書きました。
626彼女/10 その1:2006/01/18(水) 02:54:28 ID:ggSpUqkX0
「さて」
 ごとん、と椅子を引き立ち上がる雄二。椅子である。なぜ椅子なのかといえば、『今日は学食で食おうぜ。
どんなメニューでも奢ってやるぞ』という、雄二にしてはひどく珍しい提案に乗って、いつもの四人で学食で
昼飯を食っているからなのだが。
「どうしたの? まだ残ってるよ?」
 きょとんとするこのみを無視して雄二はこほんと咳払いをした。
「諸君。君達にとっては無念なお知らせがある」
 と、唇の端にご飯粒を付けたままの雄二が言った。
 やけにもったいぶっている。しかしその言葉からは浮かれ具合が滲み出ていた。なんだ?
「なによ雄二。まさか『実は財布忘れちまったんだアハハー』とか言うんじゃないでしょうね」
 だったらコレよ、とジェスチャーで怪しい動作を示すタマ姉。実は俺もそれが一番心配だったんだが……
「それはないだろう」
 だいたい食券はもう買ってるし。
「ま、そうね。で何よ?」
「ふっふっふ……」
 雄二は目を閉じてさあっとキザったらしく髪を掻き揚げた。
「フケが飛ぶでしょう、やめなさい」
 うわ相変わらず弟には容赦がないなタマ姉。一瞬でもこの人が礼儀正しい大和撫子だと騙されていたのが信じられないぜ。
「はっはっは、そんな暴言を吐けるのも今のうちだ姉貴!」
 そして雄二は目を見開くと、学食中の注目を集めているのも気にせず、ポーズを取って声を上げた。
「聞いて驚け! 俺こと向坂雄二に、ついに、ついについについーーーーに! 彼女、英語で言うマイラバー
ができたことを、ここに宣言する!」
627彼女/10 その2:2006/01/18(水) 02:55:40 ID:ggSpUqkX0
「え、ええっ!? 本当!?」
「……」
「……」
「はっはっは、本当に本当だこのみ! ほら姉貴に貴明! 何か言うことはないのかこの宇宙一輝いている俺に!」
 言うことっつったって。
「……あー、タマ姉。そこの醤油取って」
「塩分の取りすぎは体に良くないわよ」
「ってナチュラルに無視かよ!」
 だって、なあ? とタマ姉と顔を見合わせる。
 いや断っておくが、俺は雄二に彼女が出来たって別に不思議に思わない。俺と違って女の子には積極的に
アプローチしているし、容姿も性格もそんなに悪くない。女の子の好みは知らないが、俺から見ればどちらも
結構いい方だと思う。
 だけど、俺と
『どこかに可愛くて優しい女の子が落ちてねえかなあ……拾うのに。フゥ』
『財布やハンカチじゃないんだぞ。落ちてるわけないだろ』
『いやわからないぞ、世の中乱れてるからな。最近は落ちてることもあるかもしれない。そしたら十分の一を請求できるぞふふふ』
『(十分の一ってなんのだよ……)』
 などというアホな会話を繰り広げたのが、昨日の帰り道のことなのだ。
 いくらなんでも昨日の今日だ。まさか本当に彼女が落ちているわけもあるまい。
628彼女/10 その3:2006/01/18(水) 02:56:23 ID:ggSpUqkX0
「はいはい、良かったわね。それでいくらの彼女?」
 その言動はほとんどセクハラだよタマ姉。というか女子○生の発言としてはあまりにアレではないのか。
 最近のこの人はどんどん素の人格というかアレが見え隠れしている。雄二に対してだけだが。
「え、え、どういうこと? タカくん、いくらってどういう?」
 一人わからず混乱するこのみ。って待てなぜそこで俺に振る!?
 純心なこのみに真実を話すわけにはいかない。かといって嘘をつくのも……
「ううむ……つまり、雄二は一人身が余りに寂しくてついパッションが暴走」
「暴走しない! いい加減現実を認めろ二人とも。正真正銘! 人間の恋人が! できたんだ!」
「誰によ?」
「俺にだ!」
 ぜーはーと息を切らせつつ力説する雄二。
 その力説度合い。もしかして、本当の本当に彼女ができたのだろうか?
「ははーん、さては嫉妬か? 男日照りの姉貴にはうおうギブギブ!」
 割り込んだアイアンクローにたまらず机を叩く雄二。
「ぐっ……く、あ、姉貴のことはともかくとして、彼女ができたのは本当だぞ!」
 実姉の暴力を受けても、あくまでそう言い張る。さすがのタマ姉もその態度に疑問を覚えてきたらしく、
首を傾げながら雄二に問いかける。
「うーん……本当にできたっていうんなら、いつ出会っていつ彼女になったっていうのよ?
 どんな娘? 名前は? 年は? 性別は?」
 最後の質問はあんまりだと思いますが。しかし雄二は動ぜず答える。
629彼女/10 その4:2006/01/18(水) 02:57:02 ID:ggSpUqkX0
「ふっふっふ、よくぞ聞いてくれた我が姉よ。彼女に出会ったのは昨日の放課後、貴明と別れた後!
 座り込んで困っているあの子を助けたのがきっかけだった……」
 あ、やっぱり俺と別れた後なのか?
「で?」
「そして彼女になってくれ、と告白したらはい、と言ってくれたのだ!」
 えらくシンプルな出会いと告白だ。
 起承転結なら起と結が融合して間の二つが時空の彼方にかっ飛んでいる。
「はあ、えらく嘘っぽいわねえ」
「ふっふーん、勝手に思ってろよ。それ以上のことは本人に語って貰うからな」
「え?」
「ふぇ?」
「なに?」
 揃って驚きの声を上げる俺達三人。本人って、まさか。
「なぜ俺が学食を指定したのかわかるか? 実は今日の昼、ここで約束をしているのだ! 今に来るから」
「……あ……雄二様。ここでしたか」
 雄二さまぁ!? と、流石に目を見張る俺とタマ姉とこのみ。
 そこに現れたのは――
「あの……こんにちは。雄二様の……その……ご友人様方ですよね?」
 その女の子は、確かに可愛かった。
630彼女/10 その5:2006/01/18(水) 02:59:49 ID:ggSpUqkX0
 さらさらとした肩までかかる髪に大きく澄んだ目、カナリアのような声、服は学園の制服に近いが微妙に
スカートが長くエプロンをかけている。見た目からしてまさに『可愛くて優しい』という形容詞に相応しい
人間に見える。
「ああ、よく来たねマイ……ハ……」
「……」
 そう、人間に見える。
 ただし、その耳カバーが無ければの話だが。
「メイドロボだ」
「ロボね」
「わー、メイドロボだー」
「は、はい。初めまして……その、シルファと申します」
「うん、よろしくね。わたしは柚原このみだよ」
「ええ、こちらこそ。私は向坂環、これの姉よ」
 仲良く挨拶交換をするシルファさんとこのみ&タマ姉。それを黙ってみている俺と雄二。
 名前から察するにエルファさんやミルファの妹だろう。
 それがどうしてこの学校に来ているのか、は多分試験のためなんだろうな。
「うーん、確かに可愛いけど、人間ではないよな雄二。……雄二?」
「……」
「おわ」
 振り向くと雄二は既に石化していた。本気で知らなかったらしい。
631彼女/10 その6:2006/01/18(水) 03:00:29 ID:ggSpUqkX0
 けどまあ最近の、いや珊瑚ちゃん達の作ったメイドロボには心がある。エルファさんを見ればそれはよく分かる。
 彼女達は本当に人間と遜色ないし、例えば誰かの彼女になったって何らおかしくは無いと思う。
 シルファさんと瑠璃ちゃんだって似たようなものだし。ってのは暴論か?
「と、思うんだけどさあ……」
 石化しながらぷしゅーと顔中の穴という穴から煙を吹くという器用なことをしている雄二には、慰めにならな
 いようだ。いくらメイドロボ好きを公言している雄二といえど、流石に人間だと思っていた彼女が『実はメイ
 ドロボでした』となるとショックを受けるのだろうか?
「……ん……待て」
 しかし煙を吸い込み正気を取り戻す雄二。
「これは……そう! 貴明! メイドロボって女の子だよな!?」
「あ、え? ああ、そうだが」
 いきなりの問いかけに、反射的に言葉を返す。
「ということはやはり……彼女! 君は俺の彼女だ」
「そ……そうですか……ありがとうございます」
 勢いに押されつつも礼を言うシルファ。
632彼女/10 その7:2006/01/18(水) 03:01:39 ID:ggSpUqkX0
 さすがだ雄二。これで人間じゃないからやっぱ別れてくれ、なんて言い出すようじゃ俺は雄二を見下す
ところであった。シルファさんのように心を持つメイドロボは、人権があってしかるべきだし、徒に心を
踏みにじられてはならないと思う。
 だから後に残る問題は、たった一つなわけで。
「あの……ところで……その、お聞きしたいことがあるのですが……」
「うんうん、何だいマイハラヴァー!」
 すなわち心を持つ可愛くて優しい女性が、会って一日と経たず誰かの彼女になったりするのだろーか、という。
「その、昨日から雄二様が口にされている、彼女とは……ど、どういった意味なのでしょう?」
 本日二度目の雄二が石化した瞬間だった。
 ベタだなあ。

 流石に注目を浴びすぎていたので、場所を学食から屋上に変え俺達はシルファさんと話をしていた。
「雄二と会った時、耳カバーはしてなかったの?」
「はい、特に必要ではありませんので……それと、何かのテストを兼ねていたそうです」
「へー」
633彼女/10 その8:2006/01/18(水) 03:02:29 ID:ggSpUqkX0
 話してみてわかったんだが、シルファさんはなんというか、義理堅い人だ。
 そしてメイドロボにはみんなそういう傾向があるのかないのか、良くも悪くも素直に過ぎる。
「うーん、シルファさん? 知らない人の言うことにむやみに頷いてはいけないわよ」
「そ、そうなのですか? で、ですけどお母様は
『人に助けてもらったら、自分もその人を助けてあげないかんよー? これ助け合いの精神やー』と」
「それにしたって限度があるのよ。自分にできないことを約束したら、逆に迷惑をかけてしまうでしょう?
 少なくとも約束事については入念に確認しないと」
「……は。そうですね……」
 なんかいい教育をしているタマ姉と、素直に頷き学習するシルファ。
 ちなみに雄二はまだ石化している。引っ張ってくるのが大変だった。
「まあ雄二には悪いけど、この話は無かったことに」
「い、いえ、できないことだとは限らないのでは……と思います」
「おおっ! そうだよねシルファちゃん!」
 といきなり復活した雄二。シルファさんの言葉に目を輝かせている。
「いやーこれから俺がちゃんと教えてあげるよ。手取り足取ギブギブ!」
「黙ってなさい」
 そして再びダウンする。不憫な奴。助けない俺も俺だが。
 シルファさんはしばらく雄二を見てあわあわしていたが、やがて気を取り直した風で、タマ姉に一つの質問をした。
「それで、その『彼女』とは、ど、どういったものなのでしょうか?」
「彼女って? ……うーん」
 シルファさんの問いに考え込むタマ姉。うーむ考え方によっては深い問いだ。
 少なくともいまだに女の子が苦手な俺に答えられるような問題じゃない。
634彼女/10 その9:2006/01/18(水) 03:03:03 ID:ggSpUqkX0
「うーん。相手の人の事を他の誰よりも一番に想い、一生を共にするという覚悟を持った存在、かしら?」
 なるほど。ちょっと古風かもしれないけど、シルファさんにはそれぐらい言っておいた方がいいかもしれない。
「そ、そうなのですか? ……それでは……あの……その……」
 シルファさんが言い淀む。またむくむくと起き上がってきて、シルファさんの言葉に一縷の望みを託す
かのような雄二に顔を向け、申し訳なさそうに頭を下げると、
「そ、その……申し訳ございません……! 雄二様の御申し出、私では受けることが適いません!」
 これ以上ないくらいきっぱりさっぱりと、振ってくださった。
「まあ、気を落とすなよ雄……おわ!」
 そこにいたのは雄二であって雄二ではなかった。石化を通り越して砂になってる。
「ああ……こりゃ駄目だ」
「雄二様……申し訳ございません……」
「いいのよ別に。会って一時間も経たないうちに告白するこいつがおかしいんだから」
 ううむ。やっぱりそうかなあ……。
 シルファさんの様子からして、単に雄二が冗談気味に彼女になってくれ、と言うのを真に受けてしまったようにも思えるけど。
 そう考えると不憫な奴だ。
「シルファー。あ、それに貴明、ここにおったんやー」
 と、その時、ドアの方から珊瑚ちゃんの声が聞こえてきた。やっぱり珊瑚ちゃんが関わっていたのか。
「お母様!」
 珊瑚ちゃんはシルファの傍まで走っていくと、シルファの耳カバーを撫でながらシルファに笑いかけた。
635名無しさんだよもん:2006/01/18(水) 03:06:06 ID:ylwGj5rw0
連投規制?
636彼女/10 その10:2006/01/18(水) 03:07:01 ID:ggSpUqkX0
「どや、新しいカバーの調子ー?」
「はい、問題ありません」
「そか、よかったー。それで学食に用事ってなんやったのー?」
 その珊瑚ちゃんの問いに、シルファさんは一瞬砂になった雄二に目をやると、申し訳なさそうな顔をして珊瑚
ちゃんに事情を話し始めた。
「ふんふん」
「……ですから……私はお母様のメイドロボですから、大変申し訳ないながらお断りを……」
「うーん、そやなー……けどその、雄二様ー、も助けてくれたんやろー?」
「はい、エネルギー不足で座り込み救助を待っていた私に食事を」
「そんならお礼はせんとなー」
「その通り!」
 三度復活、向坂雄二。
「拾得者には報労金を受ける権利がある! 珊瑚ちゃん、一割でいいですからシルファちゃんをください!」
 がばっと起き上がった雄二が、珊瑚ちゃんに懇願する。一割って物じゃないんだから無理だろう。
 いや物なのかもしれないけど、メイドロボは物であって物ではないというか……。
 ところが珊瑚ちゃんは俺の予想に反した言葉を返した。
637彼女/10 その11:2006/01/18(水) 03:07:40 ID:ggSpUqkX0
「一割でええん?」
「もちろん! 十分です!」
「うーん、そんでも……あ、そや。丁度ええわ」
 おお!? 何か思いついたんだろうか。珊瑚ちゃんは頭上に電球を閃かせている。
 その瞬間、背筋がぞくりと冷える。これはなんだ。予感か。虫の知らせか。
「うん、シルファの一割な。ええよな、シルファ?」
「はい、お母様の仰ることでしたら」
「それじゃ明日までに用意しとくわ。楽しみにしててなー」
「うおっしゃあああああああ!」
 えー、その、本当にいいんですか? などとは狂喜する雄二の前ではとても言えない俺であった。

 次の朝の登校路は、にやつく雄二の相手で大変だった。
「ふふふふ……二十四時間かけるの十分の一、つまり一日に二時間四十分! 二時間四十分もあったらなんでも
 できるぞ、ふっふっふ」
 なんでもってなんだよ。だいたい二時間四十分じゃなくて二時間二十四分だ。浮かれすぎである。
 それに猛烈に嫌な予感がするんだ。雄二の幸せは信じたいんだが……。
638彼女/10 その12(おわり):2006/01/18(水) 03:08:53 ID:ggSpUqkX0
「別に一日の十分の一貸し出すって決まった訳じゃあ……」
「何言ってんだ、シルファちゃんはバラ肉やお金じゃないんだぞ。それしか方法は無いだろう」
「でもなあ……」
「あ、珊瑚ちゃんだ」
 見ると雄二の視線の先には、両手に何かを重そうに抱えた珊瑚ちゃんがいた。シルファさんはいない。
「るー」
「るー! で、シルファさんは?」
 怪しい挨拶を一片の躊躇もなく返す雄二。お前そこまで……。
 雄二の言葉に珊瑚ちゃんはあーそやったー、と笑うと、雄二に手に持つ何かを差し出した。
 よく見るとそれはメイドロボの耳カバーのようだ。
「お、耳カバーかあ。うちに来たときのためかな……うわ意外と重いね?」
 受け取りながら雄二が言う。それに対して珊瑚ちゃんはきょとんとすると、
「ちゃうで、約束の一割やー」
 と言った。それはもう天上の天使のような残酷な笑みを浮かべて。
「質量のぴったし十分の一や。そういう設計やからな。あ、心配せんでも大丈夫やで、ちゃんと新しいのはあるからなー」
 と、聞いてもいないことまであっけらかんと言う珊瑚ちゃん。
「それじゃ、またなー」
 そして珊瑚ちゃんは手を振って去って行った。一方的に。残されたのは俺と、耳カバーを両手に抱え呆然としている雄二。
 しばらく経つと雄二の肩が震えだした。まあ、その、なんだ。
「ま、いいじゃん。望みどおり十分の一の彼女だ。大事にしろよ」
「彼女じゃねええええ!!」
 無機質な耳カバーを抱いて雄二はむせび泣く。その姿を見て俺は一つ学んだ。
 彼女は拾うもんじゃない。一割しか手に入らないんだから。
639名無しさんだよもん:2006/01/18(水) 03:12:10 ID:ggSpUqkX0
その6、エルファ→イルファです。すいませぬ。
640名無しさんだよもん:2006/01/18(水) 03:19:02 ID:ggSpUqkX0
重ねてシルファさんと瑠璃ちゃんだって→イルファです。ごめんなさい。
641名無しさんだよもん:2006/01/18(水) 03:48:43 ID:ylwGj5rw0
雄二には悪いが素直に面白かったよ
しかしずいぶんと重い耳カバーだなw
642妄想追加シーン1/8:2006/01/18(水) 06:26:41 ID:B953H88A0
愛佳スレに書いたネタから勢いで。非18禁微エロ。

「う,うぅ〜,届け,と,どけ〜っ!」
「ぐわ,ごめん愛佳,腕が限界」
「あ,ごめんなさいごめんなさいおろしておろして」
俺は愛佳を降ろすと痺れた腕をさする。
放課後,というかもう夕方の書庫で,俺達の希少本探しは行き詰まっていた。
理由は簡単。一番上の書棚に手が届かない。

お互いかなり気恥ずかしい思いをした「高い高い」でも,
「う〜ん,一番上は届かないか。」
「もうあと,ほんのちょぉっとなんだけど・・・」
643妄想追加シーン2/8:2006/01/18(水) 06:28:09 ID:B953H88A0

「それこそ肩車なら届くかも知れないけどな」
「わわっ,それは,あのっ」
「いや冗談。明日倉庫から脚立でも持ってこよう。」
流した俺に,
「う〜,でも気になるぅ〜・・・あ,そっか,ちょっと待っててね」
なにを思いついたのか,愛佳はパタパタと給湯室に引っ込んだ。
「あれ?あそっかジャージは昨日・・・あ,でも今日は3時間目が・・・」
独り言をつぶやきながら,なにやらがさごそ。

手持ちぶさたに棚の本を眺めていると,また,パタパタと足音が戻ってくる。
「お待たせっ,貴明くん」
「なにをやって・・・ぶほっ!?」
「だ,だいじょうぶ?ど,どうしたの?」
「どうしたのって,その格好は・・・」

そう,愛佳は,何故か体操着に着替えていた。
しかも,あろうことか,あっていいことか,下だけ。しかも,ジャージじゃなくてブルマ。
下だけブルマで,上制服。上制服で,下だけブルマ。

「だってぇ〜スカートで肩車なんてできないよ〜」
え,それじゃあ,なにか,
ま,なか,おま,えは,その,カッコ,で,おれ,に,かたぐるま,す,ると?

どうすればいいんだ。

644妄想追加シーン3/8:2006/01/18(水) 06:28:47 ID:B953H88A0
ともかく,愛佳がその気なのにこちらが気後れしてもいられない。
俺は本棚の前に屈み込んで,背中を愛佳に向けた。
「ん,んしょ,んーっと,とりゃ」
なんだか妙な掛け声をあげて,愛佳が俺の肩に乗ろうとする。
愛佳の生の右足が俺の右肩を越えて,顔のすぐ隣に収まる。続いて左足が・・・
「ん〜,わきゃぁ」

どてっ。
ごめん愛佳。こてん,と表現するには音が重すぎた。

しかし肩車に乗ることもできんとは,並はずれた運動音痴だ。
くるりと振り返ると,愛佳はまだ尻餅をついていた。
開いた膝もそのままで,生肌色の両足と,それに挟まれた紺色の布地。
思わず視線が特定の部位に集中しそうになるのをこらえて,俺は愛佳に手を貸した。
再度,肩車に挑戦。
「わ,と,とと,とおっ,ふぴゅうっ!?」
今度は後ろに倒れないようにと勢いをつけすぎたものか,
俺の後頭部に柔らかい感触がぶつかると,次の瞬間視界が塞がれた。
温かい風圧が通り過ぎた後,愛佳は俺の前につんのめっていた。
「きゅう〜」
たぶん目は渦巻きになっているんだろうが,俺には見えない。俺から見えるのは,
両足が俺の目の前にあって,頭は勢いで本棚に突っ込みかけ,床に手をついて,カエル倒立ってのかこれは,
例えるなら身体が硬い人が思いっきり膝を曲げて前屈をしているような姿勢で,かなり突き出された愛佳のお尻。
それと制服の裾がまくれあがって覗く,愛佳のすべすべの背中のかなり奥,微妙に肩胛骨の膨らみ近くまで。
645妄想追加シーン4/8:2006/01/18(水) 06:29:51 ID:B953H88A0
「ふぇえん・・・」

涙声になりながら愛佳が上半身を起こす。
顔のすぐ近くにお尻が寄ってきて,俺は慌てて一歩下がった。
愛佳は,また後ろに回るのかと思いきや,ちょっと腰を曲げた姿勢で,そのまま俺を振り返る。
「貴明くん・・・あの・・・後ろから・・・」
紅潮した顔で妙な省略の仕方をするな。
でも言いたいことはわかった。つまり・・・あれ?つまり・・・なんだ?

・・・つまり愛佳,お前は,俺に,自分のその突き出したお尻と,軽く開いた太股の間に,
俺の頭を突っ込んで下から持ち上げろと,そう言いたいんだな?

や,やってやろうじゃないか。
俺は覚悟を決めると,愛佳のすぐ後ろにしゃがみこんで,見上げたブルマと生足の間に顔を近づける。
う,なんか,生暖かい。しかし,ちょっとこの幅に顔を突っ込むのは気後れが。
「愛佳,も,もうちょっと,その,足開ける?」
うわ,なんっつー台詞だ俺。
「う,うん」
しかも素直に従う愛佳。眼前で開く両脚,その間で紺布に寄った皺が伸びるところまではっきりと。
これ以上見ていたら鼻血が出そうなので,俺は目を瞑って,愛佳の股間に頭を差し入れた。
「うひゃあ,くすぐったいよ貴明くん!?わわ,勢い良すぎるぅ,もっとゆっくりぃ〜」
苦情は無視して立ち上がる。愛佳は俺の頭にかじりつきながら落ちるのを防ぐ。
側頭部に抱きつく愛佳の腕の感触と,なんだか頭頂部に極端に柔らかい感触があったが,分析する余裕はなかった。
646妄想追加シーン5/8:2006/01/18(水) 06:34:05 ID:B953H88A0
「も,もうちょっと前に,わわ,バックバック,あ,もうちょい右。」
全然落ち着かない愛佳の指示に合わせて立ち位置を微調整する俺。

俺が動く度に,愛佳は落ちないように足をぴったりと閉じて俺の頭にしがみつく。
その都度,両頬には表面はすべすべで,触り応えはぷにぷにの愛佳の太股が押しつけられ,
うなじにはざらついた布越しの愛佳の体温が伝わってくる。
・・・頭上にいる愛佳から,俺の下半身が見えない(と,思う)ことが有り難い。

「あっ,そこそこ。じゃあ,端から・・・」
やっと本題に入る俺達。愛佳の言葉に上を見上げかけると,後頭部にあたる愛佳の下腹部の感触。
「ひゃうっ,わっ,貴明君頭あげないで,落ちる〜」
俺の頭に押されて後方に倒れそうになる愛佳の言葉に,慌てて首を前に倒す。
「ふぁ,あ,あ,あぶなっ!」
と,またもや愛佳の慌てた台詞が終わる前に,ごん。と目の前が一瞬暗くなった。
理由は簡単。愛佳が俺の後頭部に本を落としたから。

「っつ〜〜〜」
「あわわわわわわわごめんなさいごめんなさいごめんさいごめ・・・」
「・・・いいけど,次は落とさないでね。」
そんなに厚手の本ではなかったが不幸中の幸い。
「うん,でも,足下が不安定だと手元が・・・わわっ!」
どさっと今度はさっきよりかなり重い音。頭のすぐ脇を通過した物体は,百科事典かと見紛うハードカバー

こ,これは頭上注意してないと命に関わるな。
といって,このまま上を向くのは愛佳を落っことす危険がある。
647妄想追加シーン6/8:2006/01/18(水) 06:35:35 ID:B953H88A0
前後がダメなら,横か?
思いつきで,俺は右を向く,と,目の前が肌色で埋め尽くされる。
当然だった。顔の横は右も左も愛佳の太股なんだから。
「うひゃう?」
足の間で頭が回った感触に,愛佳が身をよじる。
一瞬,目前の肌色と少し距離があき,次の瞬間,それが顔面にぴっとりと押しつけられた。
右の耳には布越しに愛佳の・・・その・・・股間がびっちりと。
「む,むぐ」
「うきゃぅっ?貴明くんくすぐったいよっ?」
「あ,いや,上見てないと危ないと思って」
「ふやっ,口動かしちゃダメぇ,息吹きかけないでぇ〜」
喋ると愛佳のふとももの中で口を動かすことになる。
あれ?こ,これって,愛佳の内股に,キスしてるのと同じ!?

と,とにかく,当初の目的を達成すべくそのまま視線を上げていく。
しつこいようだがゼロ距離に愛佳のふともも,視界の右端に紺色のブルマ,
ブルマの上には再び肌色,やや前傾のため,制服の裾が前に垂れて隙間から地肌が覗いているのだ。
背中と同じくすべすべで,より柔らかそうなおなか,小さなおへそがきっちり見えて,もうすこし上も見えている。
さすがにブラまでは覗ける位置ではなく制服の裾,それにかぶさるように愛佳の上半身,
下から見上げる胸の膨らみ,ふわりと乗ったピンク色のタイ,
襟は見えずに,本棚をのぞきこむ愛佳の首すじ,真剣なふりして頬が赤い愛佳の顔,
ようやくちらっと見えた本棚と,それに添えられた小さな手。俺の視界の9割が愛佳。
648妄想追加シーン7/8:2006/01/18(水) 06:37:29 ID:B953H88A0
思わず立ちくらみを覚えるのを押さえて,俺は愛佳の作業を見守った。
「も,もういいよ・・・動いて」
なんっつー台詞だ。と思いつつ,俺はゆっくりと本棚の端から移動する。
「わ,わわわわわっ!」
「うわっ!騒ぐな暴れるなしがみつくな!」
愛佳は,前ふたつの言葉だけ忠実に守った。俺の頭にしがみついた状態で動きを止める。
視線は前に戻していたので,頬に太股,うなじにブルマー,そして頭頂部には柔らかい愛佳の,これはたぶん胸の感触。
愛佳の身体の感覚と熱気包まれた俺は,くらくらしながら,ふらふらと横歩きで次の棚に到着。

「じゃ,探すよ・・・また頭上注意でね」
また上を見るために横を向きかけて,どうでもいいことが気になる。
「・・・愛佳,右と左,どっちがいい?」
「う,うぅ〜・・・どっちも・・・」
頼むからそこで,いや,って言葉を省略しないでくれ。

「お,おわり〜」
長いような短いような作業が終わり,俺は愛佳を乗せたまま本棚の前にしゃがむ。
「・・・」
「・・・」
当然,後ろに降りるものだと思ったのだが,愛佳は動かない。
「・・・降りないの?」
「・・・降りられないぃ〜」
どう考えても普通に降りられると思うのだが,
愛佳の運動能力によれば,ここから後ろに降りることは不可能らしい。
649妄想追加シーン8/8:2006/01/18(水) 06:44:26 ID:B953H88A0
それはいいのだが,今の状態もかなりきわどい。
降りるときに肩に深く腰掛けたため,愛佳の体重が前に乗って,というか全体重が俺の首にかかっている。
言い方を変えると,愛佳は全体重を乗せて俺の首に股間を押しつけている。
厚くもない布地2枚を隔てて二人の体温が接しているその部分は,二人分の熱気と湿気で蒸れきっていた。

ともかく,仕方ないので乗せた時と同様に,そのまま身体を前に倒して愛佳の足を床に着ける。
「あ,ちょ,ちょっとそのまま」
なぜ頭を抜こうとしたところで止めるのか。しかも,首にはまだ体重がかかっている。
「ずっと肩車してたから,足が・・・」
痺れたってか。だからって股間に頭突っ込んでいるのもおかしい。俺は頭を後ろに引き抜いた。
「あひゃぅううっ?」
合図もなしに頭を引き抜いたので,愛佳は脚を閉じたままだったが,
太股の間を髪が通過してくすぐったかったのか,またも妙な声をあげる愛佳。

俺は立ち上がりかけて動きを止めた。
足が痺れたのか本棚に手をついて身体を支えている愛佳は,中腰の体勢,
しかもさっきの声に合わせて,御丁寧なことに頭を抜いた後に脚を広げている。
俺はその愛佳の直後にしゃがみこんで,綺麗な三角形になった愛佳の下半身と,
トライアングルの間から見える上半身を下から覗き込む格好になっていた。
重力に引かれてまたも開いた制服の裾から,今度こそ下着が見えている。
「あ,あのう・・・た,貴明くん?貴明くんが避けてくれないと,あたし動けないよぉ・・・」
そんな姿勢で,こんな事をいうかこの生き物は。



END
650名無しさんだよもん:2006/01/18(水) 16:02:40 ID:g8oDHa+j0
良いセンス、面白かった。
レパートリーに肩車が増えたぜ。
651名無しさんだよもん:2006/01/18(水) 18:14:06 ID:6xMm9iCdO
ブラウニッシュ、大詰めか…

読みたいけど終わらないで欲しい。でもすぐ続き書いて欲しい…






中の人頑張ってください!!
652名無しさんだよもん:2006/01/18(水) 18:19:33 ID:4emIxRsm0
宣伝乙
653名無しさんだよもん:2006/01/18(水) 18:42:01 ID:6GF6Fgy10
>>652
煽り乙
654名無しさんだよもん:2006/01/18(水) 18:51:20 ID:MS/YfrC+0
どうしてBSの中の人が絡むと宣伝とか煽りとか始まるんだろうな…w
こっちにもこなくなっちまったし、そっとしておいてやりなさいな…
655名無しさんだよもん:2006/01/18(水) 22:29:50 ID:EO7XWzCY0
よくわからんが貴明はいいんちょの股間に顔押し付ける形で逆向き肩車したってことか
エロ杉だぁ
656名無しさんだよもん:2006/01/19(木) 11:36:36 ID:ee6RoxxD0
あの人もういらない。
るーろんたん居ればいい。
657誕生日プレゼント:2006/01/19(木) 17:33:33 ID:93shf2Dc0
「別に、欲しいものじゃなかった」
 俺に背を向けたまま、愛佳はポツリと呟く。
「欲しかったプレゼントじゃなかったの。今年も」
「でも。このプレゼントは……」
 涙に揺れる声……。
「今までで一番嬉しかった」
毎日書庫で作業する愛佳に渡した、俺からのプレゼント。
それを強く胸にかき抱く。
唐突に愛佳が見せた感情。
震える肩を見つめて俺は……。

思い切り掴んで揉みしだいた。
「あ、あ、あ、きもちいいですぅ」
「だぶるぅ」
「あ、あ、あ、あ……」
書籍の上げ下ろしで肩を酷使する愛佳にぴったりのプレゼント。
このみに渡したときは怒られたけど……
「あ、あ、あ、やめてやめてクセになる」

送って良かった、肩叩き券。
658名無しさんだよもん:2006/01/19(木) 18:13:13 ID:gz3s6lvmO
>>657
ワラタwww
659名無しさんだよもん:2006/01/19(木) 18:49:09 ID:KByfe5Na0
>>657
ちょwおまwwテラワロスwwwww
660名無しさんだよもん:2006/01/19(木) 19:27:03 ID:ePvqI+DJ0
>>657
上手い
座布団投げ入れてやる
661名無しさんだよもん:2006/01/19(木) 19:50:36 ID:DKH04B6A0
で、書庫@追い出しにて

「これ何すか? ゴミかな」
愛佳は物凄い勢いで踵を反し、彼からその紙切れを取り返した。

となる訳だな。
662名無しさんだよもん:2006/01/19(木) 20:23:09 ID:siLrA2uA0
>>657
笑えるw
微笑ましい、というのもある。
663名無しさんだよもん:2006/01/19(木) 21:24:17 ID:hWhLZKvf0
>>642他キャラの希望
664名無しさんだよもん:2006/01/19(木) 22:02:22 ID:Yh7cm3el0
こうして始まる妄想補完シナリオSSブーム
665名無しさんだよもん:2006/01/19(木) 22:18:53 ID:fQFuTAvl0
アイス屋もこんな展開だったのかなと妄想
666次回予告:2006/01/20(金) 00:01:59 ID:lyfHprj+0
貴明「なんだか胸騒ぎがするんだ・・・」
タマ姉「・・・あら、何か庭にいるわね?」
貴明「マジ!?もしかして泥棒じゃないのか?」
このみ「ちょっとタカ坊見てきなさい」
貴明「ええっ、俺1人じゃこえーよ・・・」
このみ「心配しないで、おそらくあの子の仕業だから・・・」

次回ToHeart2トロイメント
「黒柚-black konomi」
その旋律は夢のように。
667名無しさんだよもん:2006/01/20(金) 00:02:42 ID:lyfHprj+0
うは、名前変え忘れたw
668名無しさんだよもん:2006/01/20(金) 01:14:42 ID:rldpA5EuO
もう黒はやめてくれorz
669名無しさんだよもん:2006/01/20(金) 01:16:38 ID:Nw8la+tl0
黒このみキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
670次回予告:2006/01/20(金) 01:28:28 ID:lyfHprj+0
貴明「なんだか胸騒ぎがするんだ・・・」
タマ姉「・・・あら、何か庭にいるわね?」
貴明「マジ!?もしかして泥棒じゃないのか?」
タマ姉「ちょっとタカ坊見てきなさい」
貴明「ええっ、俺1人じゃこえーよ・・・」
タマ姉「心配しないで、おそらくあの子の仕業だから・・・」

次回ToHeart2トロイメント
「黒柚-black konomi」
その旋律は夢のように。


直した。早く新しいSS来ないかなワクテカ。

671名無しさんだよもん:2006/01/20(金) 02:47:10 ID:qs7fA5Bm0
3月3日の放課後
貴明がプリントを拾って委員長に渡した後
雄二「なあ、委員長」
愛佳「はい?」
雄二「貴明はな、俺の大切なペットなんだよ」
貴明「なあっ!?」
雄二「アレルギーで動物が飼えない俺のためにパパが
   クリスマスプレゼントに貴明をペットとしてくれたんだよ」
愛佳「?意味がよくわからないんですけど…」
雄二「だーかーらー、飼い主の俺に黙って貴明にちょっかいかけたりするなってこと」   
貴明「なに言ってるんだよ!雄二のバカ!!」
雄二「だって、みんなにも俺たちの関係を分かってもらったほうがいいだろ?」
愛佳「ごめんなさい、河野君。まさかこんなことになるなんて…」
貴明「小牧さんのせいじゃないよ、雄二が普通じゃないんだから…」
672名無しさんだよもん:2006/01/20(金) 02:50:47 ID:qs7fA5Bm0
タマ姉初登場日の雄二救出時
雄二「すまんが開けてくれ(棒読み)」
貴明「ちょっとどいとけ!」ドカッ!!
雄二「やあ」
貴明「やあ、じゃねぇっつうの!なにしてたんだよそんなとこで」
雄二「いや、顔も知らん女子に付き合ってくれと言われたので
   丁重に断ったら腹いせに閉じ込められてな」
貴明「それってタマ姉のことじゃないのか」
      (略)
貴明「どうでもいいから早く帰ろうぜ。
   なんかここ、不気味じゃね?」
雄二「以前泥棒に入られたときここのものを持ち出した奴が
   売りさばこうとして次々と事故にあったり
   怪我をしたって聞いたことあるぜ」
673名無しさんだよもん:2006/01/20(金) 02:53:25 ID:qs7fA5Bm0
雄二「で?秘密の花園って何だよ。キリキリ白状しな!」
貴明「それなら図書室にある…」
雄二「名作に用は無い!俺が言っているのは生徒会室のバルコニーの下にある
   花園のことだ!!」
貴明「確かに…あの花園は生徒会室の秘密の花園と呼ばれている」
雄二「何でそんな風に呼ぶんだ?」
貴明「今は…言いたくない…」
雄二「あっそう、んじゃ花園のことなんてどうでもいいや。先に行くぜ!」
貴明「おい!?雄二!!」
674最萌えタマ姉支援1:2006/01/20(金) 13:15:07 ID:qs7fA5Bm0
貴明『タマ姉が帰らなくなって、今日で3日目か。
   どうしてなんだろう…胸が痛い…』
貴明「あ…俺、タマ姉の九条院の連絡先も知らないんだっけ…」
雄二「どうしたんだ?」
貴明「タマ姉!?」
雄二「あれ?そんなに似てた?でも残念だったな。姉貴じゃなくて」
貴明「何が言いたいんだ?」
雄二「公衆電話とにらめっこしてたみたいだけど、ひょっとして
   姉貴のところにかけるつもりだったのか?」
貴明「どうだっていいだろ!」
雄二「そうはいかない。俺はお前に姉貴を諦めてもらわなきゃいけないからな」
貴明「いい加減にしろ!」
雄二「それにいくら待っても、おまえの元には帰らないぞ。
   姉貴がいなくなった日に俺に連絡があったんだ。
   おまえのことをよろしくってな…」
675最萌えタマ姉支援2:2006/01/20(金) 13:16:48 ID:qs7fA5Bm0
貴明「ウソだ…」
雄二「真実なんてこんなものだ」
貴明「信じない!」
雄二「おまえが姉貴の何を知っているっていうんだ?」
貴明「それは…」
雄二「犬が大の苦手で、お金持ち。他に姉貴の何を知ってるんだ?
   早く目覚めたほうがいい、これ以上傷つく前に…」
貴明「大きなお世話だ!」
雄二「すまん。少し言い過ぎたかもしれん。でもおまえが
   自分の本心に気づいてないみたいだからな。
   決着をつけないと、ずっと苦しいままだぞ」
貴明『俺の…本心?俺はタマ姉のことをどう思っているんだ?
   自分の中に生まれた説明の出来ない感情にイラついて
   不安になって、タマ姉の言葉を信じることが出来なかった…』
ドサッ
雄二「おい!貴明!!しっかりしろ」
このみ「タカくん!」
貴明『今頃気づいてももう遅い…ごめん、タマ姉!』
676死亡フラグ?の影1:2006/01/20(金) 13:38:53 ID:qs7fA5Bm0
病院の屋上にて
医師「小牧君。やっぱりここか」
郁乃「先生…」
医師「今日はインターフェロン打つ日だろ?」
郁乃「だってあれ打つと、吐き気止まらないんだよ?頭痛もひどいし…
   こうゆうの副作用っていうんでしょ?あんなつらい思いをして
   抗体が出来る可能性が100%じゃないなんて反則よ…」
医師「いや、でもね。君だって早く病気を治して
   家族と病室以外で会いたいだろ。そのためには我慢しなきゃ」
郁乃「家族ねえ…。3日前に来たけど、たぶんもう見舞いには来ないよ」
医師「誰でも病気の前では取り乱すよ。退院して日常に戻れば
   以前の状態に戻れるよ、きっと」
郁乃「…先生ってさ、きれいごとばっかだよね」
医師「え!?」
郁乃「さーて、一服したことだし行きましょうか」
677死亡フラグ?の影2:2006/01/20(金) 13:40:37 ID:qs7fA5Bm0
郁乃「先生さ…学生の時、夢ってあった?」
医師「夢?」
郁乃「あたしさ、夢…ないんだよね。でさ、いい機会だから何がしたいのか
   よ〜く考えてみたんだ。時間だけはイヤになるくらいあるし」
医師「ほう、それで?」
郁乃「うん。スポーツジャーナリストなんて、どうかなって」
医師「スポーツジャーナリスト?」
郁乃「そう。あたしスポーツ好きだからさ、国内や海外を
   飛びまわっていろんなスポーツを見て取材するんだ」
医師「いいじゃないか。おもしろそうだね」
郁乃「でしょ。だからさ、早く治んないと困るんだよね。
   4月から姉の通う学園に入学するし」
医師「受験のほうはどうだったんだ。ちゃんと受かっているのか?」
郁乃「げっ。そんなこと聞かないでよ。結構ギリギリだったんだから…」
医師「だと思ったよ。いいじゃないか。
   受からなくても一浪のいい言い訳が出来て」
郁乃「あ、あのねえ…でもいいね。いいね、それ!」
医師『投げやりになっていた小牧郁乃は病気に対して前向きになっていた。
   そして、私が何よりうれしかったのは
   彼女が笑顔を見せてくれるようになったことである』
678死亡フラグ?の影3:2006/01/20(金) 13:43:48 ID:qs7fA5Bm0
郁乃「やめてよ。お姉ちゃん…」
愛佳「郁乃…」
郁乃「あたしがお姉ちゃんの立場だったら絶対やだ」
愛佳「いいから聞いて。私、病院にはあまり来れなかったから
   あまり一緒に遊んだ記憶も、ケンカした記憶もないの…
   だから、たまには姉らしいことさせてよ…ね?」
郁乃「お姉ちゃん…」
愛佳「先生。よろしくお願いします!」
医師「お姉さん。本当にありがとうございます。
   …小牧君。いいお姉さんを持ったな」
郁乃「…うん」
 …手術後
医師「小牧君。どこか気になるところは?」
郁乃「ううん、全然。先生…ありがとう。命の恩人だよ」
医師「いや、医者として当然のことをしたまでだ。それに
   私のほうこそ君に助けられたんだ…」
郁乃「え、なに…それ?」
医師「いや、なんでもない」
郁乃「ふーん、よくわかんないけど…あ、そうだ。あたしさ
   完治したら先生とキャッチボールがしたいんだよね。
   屋上みたいにちんまりとしたところじゃなくて
   そうだ、グラウンドがいいな」
医師「いいな。ぜひやろう」
郁乃「約束だからね。あ…先生グローブ持ってんの?」
医師「いや、持ってないけど…」
郁乃「じゃあ、買っといてよね」
679名無しさんだよもん:2006/01/20(金) 13:49:55 ID:shEzUf3h0
なにがしたいのか分かりません
680名無しさんだよもん:2006/01/20(金) 13:50:55 ID:QPIZsbBG0
荒らしたいんじゃ
681雄二×タマ姉 1/2:2006/01/20(金) 14:50:24 ID:rYw0HFdvO
姉貴がこの家で寝泊りしなくなって何年たっただろう、
たとえば今日みたいに正月でもなければ家に帰ってくることは滅多になくなった。
「ゆーじーぃー?」
姉貴が一人閉じこもってた俺の部屋を開ける、
「あ、姉貴…」
「っとに何処いったかと思えば…駄目でしょ?ちゃんと親戚の方に挨拶しなきゃ」
いたって優しい口調とは裏腹にその目は鋭く光っている。
「もうみっともない格好してー、早くちゃんとした格好に着替えなさい」
綺麗な晴れ着を着込んだ姉貴はそういうとふっと優しい表情にかわった。
「いくつになっても子供なんだから…」
「……って、だあああぁっ痛い痛い痛いわかりましたわかりましたぁっ」
「うん、わかればいいのよ」
すると何故か俺の頭から離れた姉貴の手は、
俺の服の裾をつかむとずるずると上へあげていき…
「ん?雄二…いつのまにこんなに筋肉ついたの?

「って、いっいいから自分で着替えるからでてけって!」
姉貴の肩を強く押して追い返そうとした、
「きゃっ!?」
いつもならこんなことで転ぶなんてことはありえない姉貴だが、
着慣れない和服のせいなのか……そのまま俺が姉貴を押し倒した形になった。
682雄二×タマ姉 2/2:2006/01/20(金) 14:52:30 ID:rYw0HFdvO
「…いった……」
「あ……」
はだけた着物から白くほっそりとした肩が見えていた、
何故だか唐突に恥ずかしくなって耳まで赤くなっていくのが自分でわかる。
「ど、どきなさいよ」
「あ…ああっ」
思い出したように慌てて起き上がり姉貴から離れる、
「……」
そこで姉貴のうつむいた横顔が赤くなっていることに気付いた。
「えと…ご、ごめ…」
「と……とにかく急いでしたくしなさいっ」
そう言い放って姉貴は俺の部屋から出ていった、
遠ざかっていく足音はいつもの姉貴らしくないバタバタとしたものだった。
「あ……」
どうしたっていうんだろう、少し前までは毎日顔をあわせてたっていうのに。
こんな些細なことでどうして動揺してしまうんだろう、
どうして………。
683名無しさんだよもん:2006/01/20(金) 14:56:38 ID:9tYnY9Mz0
  >(諸事情によりカット)
  あー、それは正直考えてました。
  というかその展開も普通にアリだとは思うんですよ。
  けどそれじゃあつまらんかなぁと思ってはいます。さて、どうするべきか('A`)

先の展開を予想して送った。カットされるとは思わなかった。今は反省している。
684名無しさんだよもん:2006/01/20(金) 15:52:19 ID:J91a4axoO

  人  
/\∵/\
\ | /
  人 
 / \
 \ /
685名無しさんだよもん:2006/01/20(金) 17:56:33 ID:8tUDl+R60
雄二×タマ姉 いいかも…
686名無しさんだよもん:2006/01/20(金) 19:32:43 ID:7b52JVL30
>>681-682 続きщ(゜ロ゜щ) カモ-ン
687名無しさんだよもん:2006/01/20(金) 22:21:01 ID:y6Et1zgUO
>>681-682
ちょwwおまwwww
続き気になるぞ(*´Д`)ハァ
タマ姉×雄二は考えてなかったなぁ……
688名無しさんだよもん:2006/01/20(金) 23:40:17 ID:rYw0HFdvO
雄×環、需要なさげと思ってたからちょっとうれしいw
あー…続き考えてn(ry
つーか、いつもうまく落ちがつけれないんだよな… orz
上手くおわらせれる人尊敬する。
689卒業式の後で 前編(1/7):2006/01/20(金) 23:51:50 ID:ZEy/3+pA0
 その日、俺たちはついに卒業の日を迎えた。
 既に式は終わり、今、俺と愛佳は二人の思い出の書庫にて雑談しつつ、
 ゴミ集めをしている。
 いつもは片付いている書庫にはお菓子の袋やジュースの空き缶が無数に
散らばっていてある意味壮観だった。
「あいつらも散らかしておいて、さっさと帰りやがって…」
「でも貴明くん、みんなわざわざ卒業式の手伝いに来てくれたんだから…」
 散らかった缶や袋を片付けながら愚痴る俺に対して、
愛佳はいつものように穏やかに微笑みながらごみを集めている。
 そりゃ、確かにみんなは卒業式の後片付けを手伝ってくれたけどさ。
その後ここを散らかして帰ったんじゃありがたくないなあ。
 ちなみに、みんなというのは由真・郁乃・雄二・このみの四人だ。
  
 卒業式の後片付け、なんて面倒なだけの仕事に俺が関わっているのは、
俺がクラスの副委員長に就任しているからだ。
 そして俺がこんな似合わない役職に就いたのは、委員長が愛佳だから。まあ当然だ。
 ちなみに愛佳は三年生になったばかりのホームルームで委員長に推薦され、
本人の抵抗もむなしく、クラス全員の賛成で当選した。まあこれも当然だ。
 そんな立場の俺と愛佳だからこの仕事を押し付けられたのだが、本当に面倒だよな。
 だいいいち友達と騒げないだろ、卒業式だっていうのに。
 そう思っていたら、由真たち四人が手伝いを申し出てくれたのだ。
690卒業式の後で 前編(2/7):2006/01/20(金) 23:52:47 ID:ZEy/3+pA0
とはいえ、四人の本当の目的は卒業の打ち上げ会を開くことだったようだ。
 その証拠にみんな飲み物やお菓子を持ち込んでいた。
 愛佳は宴会場としてこの書庫を提供した。
 そして俺たちは受け取ったばかりの卒業アルバムをめくりつつ、
飲み食いしながら思い出話に花を咲かせていたのだった。
 ついさっきまで。
 すでに四人は”あとは若い二人におまかせして…”とかいう言葉を残して去っている。
 余計なお世話だ…いや、そうでもないか。
 みんなと騒ぐのもいいが、やはり最後の時間は二人だけで過ごしたい。
「愛佳、悪かったな。このみや雄二まで呼んで秘密基地で騒いじゃって」
「ううん、あたしも楽しかった。それに、もう私達だけの秘密基地じゃないし」
 俺の謝罪に対して、愛佳は少し慌てた感じで否定した。
「確かにここにもいろんな奴が来るようになったもんな」
 俺は愛佳の言葉に答えながら、この書庫に人が集まるように
なった経緯を思い返していた。
691卒業式の後で 前編(3/7):2006/01/20(金) 23:53:44 ID:ZEy/3+pA0
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――    
  忘れもしない二年生のあの日、図書委員長の陰謀によって、俺と愛佳とでずっと
大事にしてきた書庫は撤去され、当初の予定通り貸し出しCDの並ぶ棚となった。
 悔しかった…。二人が積み上げてきた大切な思いまで踏みにじられた気がして。
 俺はその日、泣いている愛佳を抱きしめて、初めてのキスを交わした。
 
しかし俺達にも希望はあった。図書委員が購入できたCDは予定よりも少なかったのだ。
 なんでも昨年の生徒会が予算を使いすぎたらしく、どの委員会もかなりの
費用削減を強いられた。むろん図書委員も例外ではなかった。
 書庫にいくらかのスペースが残ることを知った俺と愛佳は、すぐに行動を開始した。
 由真も応援してくれたし、このみや雄二は署名集めまでしてくれた。
 図書委員の中にも愛佳に好意的な生徒がいて、口添えしてくれた。
 みんなの協力のおかげで、小さくなったけど以前の書庫を残すことができた。
 愛佳と俺は感謝の気持ちも込めて、この書庫とCDのバーコード管理を引き受けた。
 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 
「こうして愛佳は再びこの書庫のヌシとして返り咲いたわけだ」
「ヌシって言わないでよぉ〜」
 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
692卒業式の後で 前編(4/7):2006/01/20(金) 23:54:27 ID:ZEy/3+pA0
そして書庫にはいろんな生徒が訪れるようになった。
 もちろん、今まで鍵の架けられていた書庫が開放され、CDの貸し出しが始まったからではある。
 でもそれだけじゃない。愛佳はお世話になったみんなのために、時々ここでこっそりと
お茶会を開いた。
そうして静かだった図書室に、いろんな生徒が訪れるようになった。
 それは愛佳の世界が広がったことも意味していた。
 二人だけでちいさな書庫を秘密基地としていた、
 他人の手助けを拒んでなんでも自分でやろうとしていたあの頃の愛佳とは、何かが変わった。
 あの、五月の青空にみんなからの桜が舞ったあの日から。
 なんだか”俺だけの愛佳”が少し奪われたみたいで微妙にさみしい。
 けど、やっぱり好きな人にはもっと幸せになって欲しいもんな。
 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「あたし、書庫が取り戻せたことだけじゃなくて、みんなが手伝ってくれた事が本当に嬉しかったの」
「みんな愛佳が好きなんだよ。もちろん一番好きなのは俺だけど」
「うん…ありがとう…。」
 頷いた愛佳がかすかに涙ぐんでいるようだった。
「やだ…卒業式でも泣かなかったのに…今ごろになって」
 そう言って慌ててハンカチを探す愛佳。だが慌てる愛佳が探し物を見つけられる可能性は低い。
「愛佳はのんびり屋さんだから、泣くのも遅いんだよ」
「…そんなことないよぉ」
 先にハンカチを見つけて差し出す俺に、愛佳は照れながらもそう答えたのだった。
693卒業式の後で 前編(5/7):2006/01/20(金) 23:55:15 ID:ZEy/3+pA0
とはいえ、ここに訪れたお客様のなかで一番大切にされていたのは、
やはり俺……ではないかもしれない。
「郁乃が来ると、明らかに対応が違うんだよな…」
「や、そんなことないよぉ…」
 またしても否定する愛佳だが、実際その熱烈歓迎ぶりはすさまじい。
 
 郁乃が初めて学校に登校してきた日、愛佳と俺は郁乃をこの書庫に招待した。
 そのときの愛佳の喜びようといったら……
「嬉しくてしかたがないって感じだったよな…」
 愛佳は郁乃を一番大きな椅子に座らせ、テーブルにたくさんのお菓子を並べた。
 なんとケーキまで用意していた。
 まあ、ずっと郁乃にこの書庫を見せたかったわけだから、当然なんだけど。しかしなあ…
「郁乃が来るまでは、オレンジスコーンなんて絶対に出てこなかったよな…」
「ご、ごめんなさい〜」
 いや、食べ物の恨みは恐ろしいよ?
694卒業式の後で 前編(6/7):2006/01/20(金) 23:56:17 ID:ZEy/3+pA0
 その郁乃だが、さすがに姉の熱烈歓迎は敬遠しつつも図書室にはよく訪れる。
 「私、視力が戻ったらたくさん本を読もうってずっと決めてたから」
 日々病院通いという生活だったためか、視力が落ちるまでは本の虫だったらしい。
 入学してからは、今までの分も取り戻すかのように図書室の本を読みまくっている。
 俺にも貸し出しカードを作らせ、その枠まで利用するほどだ。
 しかも、俺を平気で荷物もちに使いやがる。おかげで何度愛佳の家まで
大量の本を運ばされたことか…本ってやつは重ねると重いんだよ…
 まあ、そんな用事でも無いと、なかなか愛佳の家にはお邪魔できないけどな。
 おかげでいろいろと美味しいことも…
 いや、美味しい食事を頂いた事もあるってことだよ、ほんと。
 
 ついでに言えば、郁乃は文芸部に所属している。基本的に読むだけの姉とは違い、
執筆活動にも精を出しているらしい。どんな物を書いているやら。
 ぜひ読んで笑ってやりたいが、郁乃から、”読んだら殺す”と釘をさされている。
 興味が無いわけでもないが、こいつを敵に廻したくないし…
「郁乃ってすごく感性が鋭いんですよ。将来は小説家とか、詩人になれるかも…」
「そこまで言うと、姉っていうより親バカだよな…」
 愛佳の、妹への愛なんだか本気なんだかわからないその言葉に対しては、
さすがに俺も苦笑するしかなかった。
695卒業式の後で 前編(7/7):2006/01/20(金) 23:57:42 ID:ZEy/3+pA0
 ところで、郁乃を敵に廻したくない理由はいくつもある。
 ”愛佳の妹”ってだけでも理由としては十分すぎるほどだが、
一番の理由はあの修学旅行の事件を郁乃に知られていることだ。
 俺は、ふと気になった事を愛佳に尋ねた。
「あの事件のこと、郁乃に教えたのって愛佳なのか?」
「ち、違いますっっ!!あれは由真が…」
 またしても慌てて否定する愛佳。少し怪しいな。でもあの事件は愛佳にとっても
 知られたくない事件のはずだしな…。
696卒業式の後で:2006/01/20(金) 23:58:32 ID:ZEy/3+pA0
今回はここまででお願いします。
残りは日曜までには。
697名無しさんだよもん:2006/01/21(土) 00:08:41 ID:vvB/RgQb0
>>696
乙です。修学旅行で何があったのか気になりますね。
続きを期待してまってます
698名無しさんだよもん:2006/01/21(土) 00:11:48 ID:12N4sa7x0
>>696
乙&GJ!
やはりその事件とやらが気にかかる
699名無しさんだよもん:2006/01/21(土) 00:23:30 ID:t1O3CuW30
修学旅行といえばおふ(ry
700名無しさんだよもん:2006/01/21(土) 01:04:01 ID:4NgaSTht0
>>699
バスタオルが落ちたんだな
そして由真が膝蹴り
701名無しさんだよもん:2006/01/21(土) 01:56:08 ID:QGtHlpbE0
ただの蹴りじゃ、まーりゃん先輩には敵わないよ。。
702名無しさんだよもん:2006/01/21(土) 05:36:45 ID:PvC2jjqt0
修学旅行でもっとセックスしたんだよきっと
703名無しさんだよもん:2006/01/21(土) 08:13:55 ID:12N4sa7x0
>>700
それはどこかで見た気が・・・
704名無しさんだよもん:2006/01/21(土) 09:53:28 ID:hGEvxx6Y0
>>703
よう漏れ
どこだったかさっぱり忘れたけどな
705名無しさんだよもん:2006/01/21(土) 11:01:27 ID:DwEYtRdYO
もっとセックs(ry
706名無しさんだよもん:2006/01/21(土) 13:49:12 ID:iSqbg7ud0
>>703-704
なんでここに俺が2人居るんだw
707名無しさんだよもん:2006/01/21(土) 16:00:25 ID:4NgaSTht0
>>703>>704>>706
雄二のノゾキを阻止する話なら俺も見た。
708名無しさんだよもん:2006/01/21(土) 16:03:38 ID:WIDfghQW0
>>703>>704>>706>>707
雄二が1と呼ばれている話なら俺も見た
709名無しさんだよもん:2006/01/21(土) 16:13:19 ID:l0dJEvPV0
710名無しさんだよもん:2006/01/21(土) 17:06:22 ID:y8l/StEf0
>>703>>704>>706>>707>>708>>709
奇遇だな、俺も最近そこのSS読んだ
711名無しさんだよもん:2006/01/21(土) 17:14:52 ID:y/RusVRB0
>>703>>704>>706>>707>>708>>709>>710
何を隠そう俺も読んだことがある
712名無しさんだよもん:2006/01/21(土) 18:01:21 ID:DwEYtRdYO
>>703>>704>>706>>707>>708>>709>>710
ちょ、おまいらwww
漏れも読んだ……
713名無しさんだよもん:2006/01/21(土) 18:13:06 ID:12jvdnrY0
714名無しさんだよもん:2006/01/21(土) 18:13:51 ID:uTPIYc1h0
いい加減やめれば?
715卒業式の後で(後編)1/6:2006/01/21(土) 20:08:03 ID:aW6gBowG0
 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 それは思い出すのも恥かしい、二年の修学旅行当日の出来事だ。
 あの頃の俺にはちょっとした悩みがあった。
 書庫の件や、郁乃の件やらで愛佳と一緒にいる時間は増えた。
 もちろんそれだけでも楽しい毎日だけど、書庫の件が解決して以来、
愛佳との恋愛には進展が無かった。
 もともと恋愛には奥手の俺たちだから、なにかきっかけでもないと
なかなか進まないのだろう。
 
 焦った俺は、修学旅行の自由時間を利用して愛佳に正式に交際を申し入れることにした。
 思えば、それまでは状況に流されて来ただけであって、ちゃんと告白も済ませてない。
 なにも修学旅行にそれをやらんでもいいだろうと今になって思うが…
 やはり、なにかのきっかけが欲しかった。
 バカンス効果とか、そういうのを本気で期待したわけでもないが、
藁にもすがりたい思いがあったのは確かだ。 
 そして修学旅行当日、俺は愛佳と二人きりになることに成功し、無茶苦茶に緊張したが、
予定通りに告白できた。 
 俺は頑張った…というか、頑張りすぎた。
 
 その日、不自然に集団から離れていく俺と愛佳を密かに追跡していたのが由真だ。
 由真は俺と愛佳の告白劇の一部始終を物影から見守っていたらしい。
 恐ろしいことに、写真まで撮ってやがった。
 後日、その由真が俺の告白を見た感想をこう述べている。
 『あんたのあれ、告白じゃなくて、プロポーズだと思う…しかも、すごいやつ』
 それ以来、由真はこの件を『超・告白事件』と名づけた。
 そして俺その事件をネタに、由真と郁乃にしょっちゅうからかわれたり、
あるいは写真の公表をほのめかし、理不尽な仕事を押し付けられたりしてきたのだった。
 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
716卒業式の後で(後編)2/6:2006/01/21(土) 20:09:01 ID:aW6gBowG0
「それにしてもあれはやりすぎたなあ…」
 俺は若く、そして無謀だったあの頃を思い返しつつ、そう呟いていた。
 そんな俺の様子を見守っていた愛佳だったが、不意にかしこまった様子で俺に尋ねてきた。
「あの、貴明くん…お願いがあるんだけど…」
「何?」
「あの時の告白…もう一度して欲しいな…」
「な、なんですとぉ〜〜!!」
 思わず俺は叫んでしまった。あの日のことは二人の間では禁句としてきたはずだ。
「や、あの、無茶なお願いだってことはわかってるけど…
あたし、やっぱりうれしかったし、今日卒業だし、できたら……」
愛佳は恐縮しているらしく、だんだん小さな声になってしまう。
 しかし困ったな…愛佳がこんなことお願いするのは珍しいし、卒業式だし、
男としては答えてあげたいけど…
 いや、やりたくないとかそういうものじゃないんだ、
出来ないって、あんな事…。一生に一度で精一杯だよ、ほんと。
 でも、なんか愛佳が泣きそうな目で俺を見てるし、どうしようかな…
「じゃあさ、俺もあの時の告白をするから、愛佳もあの時の返事で返してくれる?」
「ええっっ?!あ、あの時の、あたしの返事、だよね…」
「そ、そう。愛佳の返事…」
「え、ええっと……(赤面)」
「…………」
「た、貴明くん。そろそろ帰ろうか!」
 愛佳は思い出したようにそう言うと、急いで荷物をまとめ始めた。
 逃げたな、こいつ……
 まあ、俺の告白もかなりすごかったが、それに対する愛佳の返事も、
負けず劣らず、すごかった。そういうことだ。
だからこの件については生涯の二人の秘密にしておきたいのだ。
717卒業式の後で(後編)3/6:2006/01/21(土) 20:10:04 ID:aW6gBowG0
 片付けも終え、書庫に施錠して、俺と愛佳は校門への道を歩く。
 今日でこの学校ともお別れなんだな……
 ふと、もの悲しい気持ちに襲われた。
「愛佳、いいかな…?」
 俺は愛佳にそう尋ねつつ手をさしのべた。
「うん…」
 愛佳は少しはにかんで頷くと、俺に答えてそっと手を差し出した。
 二人で手を繋いで下校する。
 まだ少し恥かしいけど、今ではこんなふうに自然に手を繋ぐことができる。
 でもこうなるまでが、大変だったな…
 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 初めて愛佳と手を繋ごうと行動したのは、二年の秋くらいからで、
 もちろん、その前からずっと繋いでみたいと思っていた。
 学校からの帰り道とかに。
 俺と愛佳は雑務で遅くなる事が多いから、人目はそう多くはない。でも人が居ないわけじゃない。
 そんな中を二人で手を繋いで歩くなんて…
 これはある意味、二人でこっそりキスするよりもすごいことですよ?
 だからそんなに簡単にできるわけじゃない、でも繋ぎたいな…
 そんなふうに悶々としていたわけだ。
718卒業式の後で(後編)4/6:2006/01/21(土) 20:10:43 ID:aW6gBowG0
 そして俺は最も人の気配が少なくなる土曜日の帰り道に、それを実行に移した。
 しかし、手を繋ぐ直前に、偶然通りかかった雄二に目撃された。
 雄二は状況を察して、軽い挨拶とともにすぐ立ち去ってくれたが、
それでも俺たちのショックは大きかった。
 それからは愛佳と顔を合わせることさえ恥かしくて。
 愛佳のほうもそれは同じで、二人してお互いに気を使って、どんどん気まずくなっていった。

 そんな時、助け舟を出してくれたのは郁乃だったな…
 あの時の郁乃が俺を助けるつもりだったかどうかはよくわからないが。
 
 いよいよ郁乃の退院がきまり、同時に学校に初登校する前日になって、
 俺と愛佳は病室に呼び出された。
 郁乃は俺たちが気まずくなっているのに気付いていた。当然だけど。
「貴明。あんた、うちの姉になにしたわけ?」
「ちがうの、貴明くんは悪く無いの…ただ…」
「いや、俺がふがいないから…」
 二人してはっきりしない俺たちに、郁乃はため息をついた。
「別に二人が別れてもいいけど、私は。でも気まずいのは嫌。こんな雰囲気で明日から
一緒に登校するなんてごめんだから」
 さらに、郁乃は俺たちの反論を許さず一言で切って捨てた。
「形だけでもいいから、仲直りして」
719卒業式の後で(後編)5/6:2006/01/21(土) 20:11:42 ID:aW6gBowG0
 かくして俺と愛佳は郁乃に指令をうけて、病院の入り口に立っていた。
 指令とはこの病院前からバス亭までの道を手を繋いで歩くこと。
 振り仰ぐと、二階の病室から見張っている郁乃の姿が見える。
 向こうからもはっきり見えるだろう。つまり、逃げ道は無い。
 いや、もともと逃げたくなかったんだ。ただ覚悟が足りなかった。
 俺はここに来てから俯いたままの愛佳に声をかけた。
「愛佳…ここしばらく嫌な思いをさせてすまなかった。」
 そして愛佳からの言葉が返る前に自分の言葉を続けていった。
「でも、俺はそれでも愛佳と手を繋いで歩きたいんだ。断られても仕方ないとも思う。
でも、愛佳が手を繋いでくれたら、すごく嬉しいんだ」
 俺はそう言って手を差し出した。
 そのまま、少しの間沈黙があって……
 差し出した俺の右手があたたかい感触に触れた。

 そして俺と愛佳は軽く手を重ねたままで、バス停までの道のりを歩いた。
 恥かしくて、お互いに言葉も無いまま歩きつづけた。
手は少し触れているだけだったけど、冷たくなった秋の風の中で、そのぬくもりは鮮やかだった。
そして、道のりの半分くらい、三丁目の自然公園に差し掛かったとき――
 触れていただけの愛佳の手が、優しく俺の手を握り返してくれた。
 ――俺はあの日の喜びを、今でも忘れない。 
  ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
720卒業式の後で(後編)6/6:2006/01/21(土) 20:12:29 ID:aW6gBowG0
 校門の桜の木はもうつぼみを付け始めていた。
 その近くまで歩いて来たとき、俺は愛佳が振り返って校舎を見つめている事に気付いた。
 俺も立ち止まって一緒に校舎を見つめてみる。
 こうしていると、学園生活のさまざまな思い出が浮かんでくる。
 愛佳と初めてのバレンタイン。三年生も同じクラスになれて、嬉しくて抱き合ったこと。
 学園祭では愛佳とフォークダンスも踊ったよな。
 やっぱり愛佳との思い出ばかりだな…
 そう考えていた俺の耳に、愛佳が校舎に別れを告げる呟きが聞こえてきた。
「さようなら…大切な思い出と、一番大切な人を…ありがとう…」
721卒業式の後で:2006/01/21(土) 20:16:26 ID:aW6gBowG0
以上になります。
読んでくださった方、ありがとうございます。
722名無しさんだよもん:2006/01/21(土) 20:27:51 ID:qmJZgX4n0
>721
GJ
723名無しさんだよもん:2006/01/21(土) 21:01:52 ID:le8yIXoj0
>>721
乙&GJです。
貴明と愛佳が告白の時それぞれ何と言ったのか知りたいなあw

>>706-713
ちょ、おまいらそれダシにしてるだけだろw
724名無しさんだよもん:2006/01/21(土) 22:10:49 ID:DwEYtRdYO
>>721
乙andGJ(´∀`)
禁断の告白シーン気になるなww
725名無しさんだよもん:2006/01/22(日) 00:22:36 ID:cMButhx40
>>721
乙そしてGJです。
禁断の告白、セリフ考えてあるのなら知りたいなぁ・・・。
726725:2006/01/22(日) 00:25:22 ID:cMButhx40
sage忘れてた・・・。orz
727名無しさんだよもん:2006/01/22(日) 01:25:27 ID:JOSLxzmDO
愛佳鬼畜SSマダー?
728名無しさんだよもん:2006/01/22(日) 02:20:58 ID:A1OIe/5j0
>>727
それは愛佳が鬼畜な話なのか?
729愛佳エンド裏事情:2006/01/22(日) 02:34:51 ID:N0/R+UPk0
「ちゃんと感謝するんだぞぉ、何たってお姉ちゃんが戦って守り通したものなんだから」
郁乃がこの嘘に気付くのは、そう遠い話では無いだろう。


希少本という最後の切り札が空振りした俺達に残された手はもう無い。
何よりも、愛佳が本の運び出しを止めず、あの場を逃げ出したのが致命的だった。
愛佳はCD導入を受け入れたと見なされ、反対派だった一部の図書委員も抵抗をやめてしまったのだ。
書庫の本たちは全て運び出されてしまい、最早CD導入は時間の問題だった。
……そう、思われていた。

「我が校の創立30周年を記念し、中庭に人口池を設置。生徒の情操教育のため水棲生物の飼育を行う」
全生徒会役員の賛成によって強行議決されたこの事業は、全費用を生徒会予算で賄うことを条件に認可された。
去年の"お祭り"生徒会によって予算の枯渇していた生徒会は各委員会への予算を削ることで費用を捻出。
図書委員会への予算も削られ、予定していたCDの購入が出来なくなったのである。
図書委員長は導入するCDの数を減らすことでこれに対応。
その結果、書庫には本棚一つ分のスペースが残されたのである。


「けど、誰があんな申請をしたんだろう」
生徒会への申請はクラス委員を通じて定例会議で行われることになっている。
しかし愛佳の話では、過去の会議でそのような提案は無かったという。
定例会議も通さずに生徒会に意見し、しかも役員全員の賛同を得る。
そんなことの出来る人物が居るのだろうか?
……ん? 生徒会役員全員?
今期の生徒会構成は確か……


「カエル、可愛い……」
730名無しさんだよもん:2006/01/22(日) 02:41:12 ID:zFSxzQGS0
>>729
テラモエスwww
731突発屋 ◆63./UvvAX. :2006/01/22(日) 03:41:52 ID:vufTLjCV0
「足手まといの妹です。」
そう冗談めかして微笑む郁乃に、どう反応して良いのか分からない
らしくて困った顔になる貴明君。もう! 郁乃ったら私が居なくな
ってから始めてくれれば良いのに、これじゃ早すぎるわよぉ! 困
ったなぁ……
「………よろしく、お兄ちゃん。」
「こ、こちらこそ。」
チラリと私の顔色を伺った後、努めて平穏な声で返事をしてくれる
貴明君に感謝。どうやらこの場は切り抜けたみたいだけど、これ以
上居座ったら何処でボロが出るかわからない。とりあえず洗濯物を
片付けるという大義名分も出来たことだし、急いで病室から逃げ出
すことにしよう。
「貴明君ごめん、座ってくつろいでて?」
余りの空気の重さに『俺も何か手伝おうか?』なんて言われたら折
角あしらえた舞台が台無しになってしまうので、先に釘を刺してお
くことにする。もちろん、最悪の場合に備えて『気持ちは嬉しいけ
ど、これ、郁乃の着替えだから』という切り札は温存。
そして、郁乃がこれ以上余計なことを言って私のフォローで片付い
てしまいそうになる前に急いで脱出した。
732突発屋 ◆63./UvvAX. :2006/01/22(日) 03:42:28 ID:vufTLjCV0
「勝手なこと言いやがって……!」
(あ、やってるやってる♪)
洗濯物を放り込んで急いで戻って見ると、病室内は期待通りの盛り
上がりを見せていた。謙虚で理解力があって妹想いの姉の顔を周囲
に振りまきながら戸口の横に立って聞き耳を立てる。
「でも結果オーライじゃない? 姉は尊敬される姉になろうと頑張
ってる訳だし、それに……」声の調子からすると、相変わらず出だ
しは優勢みたいね郁乃?「……『他人』には関係ない話だよね?」
「………………………………………」
「このこと、姉に知らせる? ならどうぞご自由に。でも……」
「………………………………………」
貴明君が悔しさに歯を食い縛ってる様子が扉越しでも手に取るよう
に分かる。そうなのよ貴明君? 私、いじわるな妹に虐げられなが
らも一生懸命にお世話してる優しい優しいお姉ちゃんなのよ?
「………あの姉のことだから、よほどのことが限り、あなたについ
て行かないと思うよ?」
その調子その調子っ♪ 一気に畳み掛けちゃってよ郁乃っ♪
「だって、他(ひと)人を見捨てることが出来ない人だから。」
ぐ、ぐぐ、ぐっじょ〜ぶっ♪ もっと持ち上げて持ち上げてっ!
「別に見捨てるとか……」
「そうでなくても、そう感じちゃう人なのよ。あの姉は。どうぞ、
遠慮なくやって見せて。あたしから姉を引き剥がせるかどうか。」
ほら貴明君も、もっと対抗意識メラメラ燃え上がらせてよ。早く
その気になってよぉ〜!
「もっとも、ごめんなさいされるのがオチでしょうけど?」
「……………………………」
733突発屋 ◆63./UvvAX. :2006/01/22(日) 03:43:27 ID:vufTLjCV0
「たまにせがまれて、郁乃に学校の話とかするんだけど、その中
でも興味を持ったのが図書室と桜並木の話なの。」
郁乃の毒気に煽られてフラフラになってる貴明君に更なる追い打
ちをかける帰り道。きっと計算高くなってるだろう私の表情を見
せないように俯いたまま、ぽつりぽつりと話を始める。
「専門的なことはよく分からないんだけど、あの子の病気という
のは、本当ならバイ菌とかから体を守ってくれる筈の仕組みが逆
にあの子自身を攻撃するという物らしいの。寝起きとか体が痛む
らしいんだけど、あの子、弱みを見せたがらないからいつも平気
な顔して……」
そりゃもう見物なんだから。普段は偉そうにしてる郁乃が布団に
くるまったまま、一生懸命に痩せ我慢して独りでフルフル震えて
るのよ? それで「大丈夫?」とか言ってやったら「うるさいな
ー! ほほ、ほっといてよ!」とか死にそうな声で悔しそうに言
うんだから、もう最高なの!
「そ、そうなんだ……」
あ、貴明君困ってる? 本当は生意気で可愛げ無くって、私とは
姉妹と思えないくらいに腹黒い郁乃には同情なんて出来ないなぁと
か思ってくれてる? じゃあ、トドメ!
「……それに、ここ数年で視力も衰えて(ぐすん)……ただでさえ
狭い世界しかないのに(ぐすぐすっ)……」
「ちょ、愛佳………」
わわ、きたきたきたぁっ! これで貴明君げっちゅ、確定っっ♪
734突発屋 ◆63./UvvAX. :2006/01/22(日) 03:45:19 ID:vufTLjCV0
しまった!
これじゃ鬼畜じゃなくて単なる腹黒だ!!w

一部、前後を繋ぐために意図的に台詞を改変してます。
失礼しました〜(汗
735名無しさんだよもん:2006/01/22(日) 03:56:13 ID:Fmylpw900
愛佳って普通に何か闇を抱えてそうな感じもあるしね〜
736名無しさんだよもん:2006/01/22(日) 04:02:25 ID:OFwlyCJV0
げっちゅとか言ってるだけに、鬼畜じゃなくて鬼さ・・・・・・ゲフンゲフン!!
・・・腹黒愛佳、他の場面もやって欲しい。
あと、
×あしらえた
○あつらえた
かな、「こしらえた」の方が良いのかのう・・・
737名無しさんだよもん:2006/01/22(日) 04:05:35 ID:1xzFuG5O0
>>729
さーりゃん激しくGJ&テラモエスwwww

>>734
愛佳…恐ろしい娘!
738突発屋 ◆63./UvvAX. :2006/01/22(日) 08:15:20 ID:vufTLjCV0
>>736
ご指摘、感謝します。
「あつらえた」のつもりだったんですが………
739名無しさんだよもん:2006/01/22(日) 11:58:00 ID:VfruQ328O
布団にくるまってフルフル震えている郁乃…

テラモエスww
740名無しさんだよもん:2006/01/22(日) 16:35:43 ID:N0/R+UPk0
ビデオゲームでもっとセックスする! 会議がアメリカで開催予定
ttp://www.stack-style.org/2006-01-12-03.html
741名無しさんだよもん:2006/01/22(日) 16:49:45 ID:N0/R+UPk0
誤爆スマソ
742名無しさんだよもん:2006/01/23(月) 13:02:05 ID:HlEW3L7/0
>>734
テラワロス。 愛佳、お主も悪よのう。
743名無しさんだよもん:2006/01/23(月) 13:58:43 ID:wb9OyR05O
週刊河野家マダー?
744名無しさんだよもん:2006/01/23(月) 17:11:47 ID:qxTcdq6s0
そろそろ今週の河野家かな〜??
745河野家にようこそ 第41話(1/9):2006/01/23(月) 20:50:57 ID:QYS/1RAg0
 仲直りの印って感じで、由真、優季と一緒に夜食を食べても、俺が優季を叩いたことが無かった
ことになるワケじゃない。罪悪感は以前、俺の胸の中にあった。だけど、叩かれた優季はそのことを
喜ぶばかりで、俺はもうどうしたらいいものやら……。
 そんな俺に愛佳は、大切なのは相手を思いやる気持ちで、それを感じたからこそ優季は改心し、
喜んだのだと教えてくれた。そんな愛佳の悪ふざけのせいで、またクラスのさらし者になったのは、
まぁ、小さいことだよ、うん。
 大切なのは相手を思いやる気持ち。そのためには、俺はもしかしたらまた誰かを叩くかもしれない。
タマ姉はそんな俺に、その辛さを心の糧とし、成長しろと励ましてくれた。タマ姉の期待はいつも
大きくて重い。だけど、それに応えられる男になりたいと、俺はいつも思わされてしまうんだ。
 夕食は、愛佳、郁乃、珊瑚ちゃんも招待出来た。え、なんで春夏さんまで家に来るの?

「どうしたんですか春夏さん?」
「ええ、ちょっと用事があってね」
「用事? 俺にですか?」
「ううん、タカくんじゃなくてタマちゃんたち。じゃあちょっとお邪魔するわね」
 玄関に上がり、居間へと向かう春夏さん。俺とこのみも後を追う。
 タマ姉に用事って一体なんだ? それに春夏さん、タマ姉『たち』って言ってたよな……?
「こんばんは、タマちゃん」
「あ、春夏さん、いらっしゃい」
 居間に入った春夏さんがタマ姉と挨拶。他のみんなは一様に『?』って様子。
「たかあき、この人、誰?」
 由真が俺に駆け寄ってくる。
「以前話した、このみのお母さんだよ」
「皆さん初めまして、柚原春夏です。娘のこのみがいつもお世話になっております」
746河野家にようこそ 第41話(2/9):2006/01/23(月) 20:51:28 ID:QYS/1RAg0
「あ、ど、どうも……」
 春夏さんが頭を下げ、由真たちも同じくお辞儀する。
「みんな、自己紹介」
 タマ姉が促し、みんなが肯く。
「初めまして、草壁優季です。理由あって貴明さんのお家にご厄介になっております」
 真っ先に優季が立ち上がる。
「あなたが優季ちゃんなのね。タカくんから聞いてる通り、可愛らしいわね」
「そ、そんな……」
「るーの名は、るーこ・きれいなそら。今はうーの家の居候だ。よろしくだぞ、うーはる」
 続いて名乗りを上げたのはるーこ。
「宇宙人のるーこちゃんね。こちらこそよろしくね」
「で、そのるーこの正体を暴くためにたかちゃんの家にやって来た、この世の全ての謎を暴く真実の
探求者! ミステリ研究会会長、笹森花梨でーす!
 ところで春夏さん、春夏さんはUFOとかUMAなんかに興味があったりしちゃいませんか? 今
なら特別名誉会員として――」
「ごめんなさい、興味ないわ」
 即答であった。
「初めまして、小牧愛佳です。こっちは妹の郁乃と言います」
「は、初めまして」
 愛佳と郁乃が揃って頭を下げる。
「あたしと郁乃はたかあきくんの家には住んでないんですけど、たまにこうやってご飯をご馳走に
なったりしてるんです」
「うん、愛佳ちゃんたちの話も聞いているわ。とっても仲がいい姉妹なんですってね。このみが羨ま
しがって、自分も妹がほしいって駄々こねてるわ」
747河野家にようこそ 第41話(3/9):2006/01/23(月) 20:52:00 ID:QYS/1RAg0
「な、仲がいいとか別に……」
 赤面するお姉ちゃん子。
「ウチは姫百合珊瑚、こっちは妹の瑠璃ちゃん。
 ウチと瑠璃ちゃん、今、姉妹喧嘩中やねん。せやから瑠璃ちゃん、家出して貴明の家に住まわせて
もらっとるんや〜」
「ちょ、ちょっとさんちゃん……」
「ふふっ、とても喧嘩中には見えないわね」
 瑠璃ちゃんに抱きつく珊瑚ちゃんを見て、苦笑する春夏さん。
 と、珊瑚ちゃんはそんな春夏さんを見て、不意に瑠璃ちゃんからパッと離れると、
「なーなー、お願いがあるんやけどええかな?」
 春夏さんに駆け寄る。どうしたんだ?
「なに、珊瑚ちゃん?」
「あのな……」
 珊瑚ちゃんはちょっと照れくさそうに、
「あのな、春夏ママって、呼んでええ?」
「春夏ママ? ええ、いいわよ」
 笑顔で答える春夏さん。すると珊瑚ちゃんは満面の笑みで、
「やたー! 春夏ママや〜!」
 春夏さんにがばっと抱きついた。
「あらあら、人懐こい子ね。でもあなたみたいな子、わたしも大好きよ」
 珊瑚ちゃんの頭を撫でる春夏さん。
 ……そっか、珊瑚ちゃんたちの両親は海外に行ってるんだっけ。きっと寂しかったんだろうな、
珊瑚ちゃん。
「瑠璃ちゃんもおいで〜な。春夏ママ、ごっつええ匂いや〜☆」
「う、ウチはええもん……」
748河野家にようこそ 第41話(4/9):2006/01/23(月) 20:52:32 ID:QYS/1RAg0
 そっぽを向く瑠璃ちゃん、でも何となく、羨ましそうに見えなくもない。
 さて、これで全員……、ん? 由真がまだだよな?
「由真?」
「あ、うん、……ど、どうも、由真です。よろしくお願いします」
「ええ、よろしくね、長瀬由真ちゃん」
 へ、長瀬?
「春夏さん、こいつの名字は十波ですけど?」
「え? たかあきくん、由真の名字は長瀬ですよ?」
 きょとんとした顔の愛佳。
「……え?」
 どういうこと? ワケが分からず、由真の方を見ると、由真は気まずそうに、
「……ゴメン、たかあき」

「じゃ、じゃあ、今まで俺にウソついてたのかよ!?」
「い、いつか話そうとは思ってたのよ! だけど、その、何て言うか、タイミングが……」
 どうやら由真は本当に、『十波由真』ではなく、『長瀬由真』らしい。
 なんてこった! 俺は今まですっとダマされていたのだ!
「そう言えば今までわたしたち、由真さんの名字って聞いたことなかったよね」
「だね。たかちゃんが由真ちゃんのこと名前で呼んでたから、私たちもそれにならったし、別段それ
で不都合もなかったしね」
 このみの言葉に花梨がうんうんと肯く。
「でも由真さん、どうして貴明さんにウソの名字を名乗ってたんですか?」
「そ、それは……」
 優季の質問に、由真は言葉を詰まらせる。
749河野家にようこそ 第41話(5/9):2006/01/23(月) 20:53:04 ID:QYS/1RAg0
 まぁ、最初はあれだけ俺のことを嫌っていた由真だ。本名を知られると何かマズイことになると
でも考えて、とっさにウソをついたんだろう。
 ……でも、それだけかな? とっさに思いついたにしては『十波』って、随分個性的な名字だよな。
この名字に何か意味が? もしかして、こいつの家出と何か関係が? ……いや、詮索はよそう。
「まぁ、いいや。別に何か問題があったわけでもないし、ウソついてたのはこの際水に流してやる。
 今日からお前は長瀬由真ってことで」
「たかあき……、うん、ありがと」
「ん? そう言えば春夏さん、何で春夏さんはこいつの名字知ったんですか? 俺だって今まで本当
の名字、知らなかったのに?」
 俺がそう尋ねると、それに答えたのは、
「教えたのは私よ、タカ坊」
「た、タマ姉!?」
「環さん、どうして!?」
 驚く俺と由真に、タマ姉は、
「由真のことは色々気掛かりだったし、万が一事故でもあった時、家族に連絡出来ないのは問題ある
でしょ。本名、家の住所、家族のこと、悪いけど調べさせてもらったわ」
「じゃ、じゃあ、あの人のことも……?」
「あなたが言ってる『あの人』が誰なのかも、大体見当がついてるわ。私の家もそれなりだから、
来栖川家とのお付き合いもあるしね。
 でも調べたのはここまで。あなたの家出の事情までは私は知らないわよ」
「タカくんに黙っていたのは悪かったけど、タマちゃんとは時々会って話をしてたのよ。やっぱり
タカくんの家のことは気になるし、タマちゃんは一番の年長者だからね。由真ちゃんのこともその時
に聞いたの」
「そうだったんですか……」
750河野家にようこそ 第41話(6/9):2006/01/23(月) 20:53:35 ID:QYS/1RAg0
「私にとって春夏さんは、昔から頼り甲斐ある人だったからね。いきなり六人の子の面倒を見る羽目
になったシングルマザーの悩みや愚痴を聞いてもらってたってワケ」
 冗談っぽく肩をすくめるタマ姉。確かに実質みんなを取り仕切っているのはタマ姉だものな、色々
気苦労も絶えないだろうし、年下で男の俺には相談しにくいこともあるのだろう。その点、年上で
現役主婦の春夏さんはこの上ない相談相手というワケだ。
「で、タマちゃんから現状を聞いている内に、一人の母親としてちょっと気になることがあったから
こうしてやって来たの」
 それまで柔らかかった春夏さんの表情が途端に真剣なものになり、
「優季ちゃん、花梨ちゃん、由真ちゃん、あなた達、この家に来てから一度でも、親御さんに連絡
したことあるの?」
「それは……」
「……」
 その言葉に優季と花梨が気まずそうな顔になる。しかし、
「……そんなこと、する必要ありませんから」
 由真がそう言い返す。
「どうして?」
「……お父さんもお母さんも、あたしのこと心配なんかしてないに決まってます。
 だって、あの時、二人とも何も言ってくれなかった。あたしのこと、黙って見てるだけだった……。
 きっとあたしなんかどうでもいいんです。今頃、二人で新婚気分でも満喫――」
「馬鹿なこと言うんじゃないの!!」
「!?」
 突然怒鳴った春夏さんに由真が、いや、俺も含めてみんなが驚く。
「わたしもタマちゃんと同じく、あなたの事情は知らないわ。あなたがどんな問題を抱えているかも、
何故あなたが家を飛び出したのかも。でもね、これだけは間違いなく言えるわ。あなたのご両親は、
751河野家にようこそ 第41話(7/9):2006/01/23(月) 20:54:07 ID:QYS/1RAg0
きっと、今、この瞬間もあなたのことを気にかけている。
 どんな暮らしをしているのか? 毎日ちゃんとしたものを食べているのか? 何かトラブルに巻き
込まれていないか? そして、今、笑っているのか、それとも、泣いていやしないか?
 親ってね、そういうものなのよ。例え見た目は素っ気なくても、心の中ではいつも子供のことを
気にかけているの。いえ、気にかけずにいられないのが親なのよ。
 ねぇ由真ちゃん。今すぐ家に帰れとは言わないわ。でも、せめて電話で声だけでも聞かせてあげて
くれない? 同じ子を持つ親として、わたしからのお願い」
「……」
 春夏さんの言葉に、だけど由真は何も答えない。
「優季ちゃんと、花梨ちゃんも、ね」
「……は、はい」
 肯く優季。しかし花梨は、
「……う、うちは放任主義だから……」
「それでもね、電話してあげたらきっと喜ぶわよ。ね」
 なおも優しく諭す春夏さんを前に、花梨は、
「……はい」
 肯くしかなかった。
 あとは由真だけだ。けど由真は、顔を背けて何も言わない。
 と、そんな由真に、
「電話しろ、うーゆま」
 近づき、そう言ったのはるーこだ。
「うーはるの言うとおり、電話してパパとママを安心させろ。それが子の務めだ。
 るーから見れば、うーゆまは幸せだぞ。その気になればいつでもパパとママに連絡が出来る。
 るーは、したくても出来ない。るーは、うーゆまが羨ましい……」
752河野家にようこそ 第41話(8/9):2006/01/23(月) 20:54:40 ID:QYS/1RAg0
「るーこ……」
 るーこの悲しげな表情。由真はそんなるーこをじっと見つめ、そして、
「……たかあき、電話貸して」
「ああ」
 俺の返事も聞いていたかどうか。由真はすたすたと電話に向かい、受話器を取り上げ、電話番号を
素早く押して、
「……もしもし、お母さん? うん、あたし、由真。
 ……愛佳から聞いてるでしょ、そこにいる。……うん、大丈夫、大丈夫だって。
 ……うん、ごめんね。今まで連絡しなくて。……そうだね。でもまだ帰れない、かな。
 ねぇ聞いてお母さん。あたし今、料理教わってるんだよ。それでね、この間……」
 最初はぎこちなく、でも次第に由真の表情が明るくなる。それはまるで、今まで忘れていた何かを
取り戻したような感じに見えて……。そっか、こうするべきだったんだな。
「ありがとうございます、春夏さん」
「いいのよタカくん。わたしは言いたいことを言っただけなんだから」
 やや照れ気味に春夏さんが手を振る。
 由真はその後10分程両親と話をし、優季、花梨も続いて電話をかけた。

 久しぶりに親に連絡をして、親に頼まれたのか、それとも、里心がついたのか。
 優季と花梨は明々後日の土曜、家に戻ることになった。
「一晩帰って、母を安心させることにしました。日曜の昼には戻りますから」
「何だったら、しばらく家に帰った方がいいんじゃないのか? その方がお母さんも……」
 そう説得しようとする俺に優季は、
「いいえ、私の目的はまだ果たせてませんから、そうはいきません。
 皆さんが貴明さんのお家にいる間は、私も絶対、ここに居続けますからね」
753河野家にようこそ 第41話(9/9):2006/01/23(月) 20:55:45 ID:QYS/1RAg0
 はは、優季の決意は変わらないか……。
「私もとりあえず、久しぶりに親の顔でも見てくるね。
 たかちゃん、私が留守の間にるーこが怪しいことしたら、絶対に後で報告してね!」
「はいはい、了解」
「二人とも、一晩だけでもたっぷり親孝行してくるのよ」
 優季と花梨にそう言うタマ姉。しかし、
「何、他人事みたいに言ってるのよタマちゃん。いい機会だからタマちゃんも帰ってあげなさい」
「え、私もですか春夏さん?」
「最近家に帰ってないんでしょ? たまには帰って、ユウくんの面倒でもみてあげなさい。
 タカくんばっかり可愛がってたら、ユウくん拗ねちゃうわよ」
「あの春夏さん、俺も雄二も小学生じゃないから……」
「そうですね……。ええ、それじゃあ私も土曜日、家に帰ります。タカ坊、帰るまで待っててね」
 そうですねって、タマ姉も……。
 でも、そうなると土曜日は三人もいなくなるのか。ちょっと寂しいかもな。
「タマお姉ちゃんと、優季さん、花梨さんが帰っちゃうんだ。
 ねぇねぇタカくん、だったら土曜日、わたしが代わりに泊まってもいいかな?」
「このみ、俺より先に春夏さんに聞くべきだろ。まぁ、俺は別に構わないけど」
「タカくんがいいなら、わたしもいいわよ」
 春夏さんからあっさり承諾。ま、このみはよく俺の家に泊まってるからな。
 じゃあ土曜日は残った三人プラスこのみ……ん? 愛佳、何で手を上げてるの?
「あの、たかあきくん。それなら土曜日、あたしと郁乃も、その、お家に泊まってもいいですか?」
「え!? ま、愛佳、マジ?」

 つづく。
754河野家にようこそ の作者:2006/01/23(月) 20:57:08 ID:QYS/1RAg0
どうもです。第41話です。
また、またミスをやらかしてしまいました……。orz
第40話、9ページ目の12行目、「瑠璃ちゃん」は「珊瑚ちゃん」の間違いです。
この二人って、双子のせいか書いてると間違いやすいんですよね。それだけに気を付けていたつもり
だったのですが……、反省。
755名無しさんだよもん:2006/01/23(月) 21:04:25 ID:oBbNhCYZO
>>754
いの一番にGJ
756名無しさんだよもん:2006/01/23(月) 21:52:20 ID:DdH43i7N0
   _、_
 ( ,_ノ` )      n
 ̄     \    ( E) グッジョブ!!
フ     /ヽ ヽ_//

757名無しさんだよもん:2006/01/23(月) 22:35:14 ID:9Fm8D9sg0
GJ!

河野家の面白さ異常
758名無しさんだよもん:2006/01/23(月) 22:46:12 ID:1MDWOfx00
流石は春夏さん、TH2の陰のカリスマ…もとい肝っ玉母さん!
今回はジンときた。
759名無しさんだよもん:2006/01/24(火) 00:12:02 ID:xz4OW2Q+0
>>754
乙です。もう41話なんだねえ…しみじみ。
終わりも見えないだけに、今後どうなっていくのか非常に
楽しみであります。
760名無しさんだよもん:2006/01/24(火) 00:16:26 ID:jbHCpsF60
GJです
春夏さんも良かったけど、
次回は愛佳と郁乃がお泊りですか…
楽しみです。
761名無しさんだよもん:2006/01/24(火) 00:47:21 ID:IYTU2XWi0
GJです!!!!!!!!!
ついに小牧姉妹がお泊りか!??
そうなれば小牧姉妹ファンの私的にはたまりませんね☆
しかも由真に何があったかも気になるし‥‥‥‥
あ〜来週の気になる〜〜〜〜〜。
762名無しさんだよもん:2006/01/24(火) 01:22:03 ID:ehf2ubi10
>>761
本編やればわかるじゃん
763素直になれない女の子との日々 2話 1/6:2006/01/24(火) 03:36:56 ID:P/Ee/C4R0
「昨日は見事に疲れたなぁ…」
毒を食らわば皿まで…というわけではないが、
俺は帰りも小牧姉妹の手伝いをしようと思っていた。
行きに手伝ったんだし帰りも手伝うよ、と小牧に申し出たところまではよかったのだが、
小牧が持ち前の遠慮精神を爆発させてしまい、クラスの見世物になってしまった。
それだけなら良かったのだが…小牧はまたしても車椅子を持ち上げられず、
行きに引き続いて帰りも郁乃ちゃんを抱っこするはめとなった。
だって、それ以外に運ぶ方法無かったし。
雄二あたりに見られたら大変なことになってたなぁ、と今更ながら思う。
もっとも一年生には見られたから、もしかしたらこのみあたりには
すぐ伝わるかもしれない…一応、このみには口止めしておこう。
しかし、何で女の子ってのはあんなに柔らかいんだ。
あれだけ軽かったらもっと骨ばってても不思議じゃないのに、
とても柔らかい…って朝から俺は何を考えてるんだ!
これじゃまるで雄二じゃないか。いかんいかん。あれはあくまで、人助けとしてやったんだ。
決してよこしまな気持ちがあったわけじゃない。
「何朝から一人で百面相してんのよ」
「はひっ!?」
「な、何よ。いきなり変な声あげて」
後ろめたいことを考えてたから仕方ないだろ…とは言えない。
しかし、朝からこんな無礼なことを言ってくるのはどこのどいつだ。
「昨日の今日でもう忘れたわけ?」
「こら、郁乃!」
ああ、小牧姉妹か。結構前のほうにいるなーとは思っていたが、
ぼーっとしている間に追いついてしまったらしい。
764素直になれない女の子との日々 2話 2/6:2006/01/24(火) 03:37:45 ID:P/Ee/C4R0
「おはよう、小牧さん、郁乃ちゃん」
「おはよう、河野くん。ごめんね、郁乃が失礼なこと言って」
「失礼なことじゃないわよ。事実よ、じ・じ・つ」
「それを世間一般では悪口というんだ。事実でも言っていいことと
悪いことがあるだろ。ただ、今のは指摘してくれて助かったけどな。
歩きながら百面相してたら確かに気持ち悪いし」
郁乃ちゃんが指摘してくれなかったら、俺は登校中ずっと百面相をしていたかもしれない。
…自分で想像して、ちょっと気持ち悪くなった。
「ま、それはいいとして。具合はどう?」
「ん、一応良好ってとこ。もともと体が丈夫なわけでもないし」
「なるほど。困ったことがあったら言えよ。無理なことじゃなければ、俺も手伝うぞ」
「そのときが来たら、お願いするわ。知っての通り、姉は力仕事では全く役に立たないから」
「郁乃〜」
…小牧の情けない声にも慣れたなぁ。
抜けているとは思っていたが、妹にしてやられるほど情けないとは思わなかった。
クラスで委員長としてやってるときは、結構しっかりしてるように見えるし。
「河野くん、何か失礼なこと考えませんでした?」
「いや、全然」
女の子というのは、勘が鋭いのがデフォルトなのだろうか。
このみといい小牧姉妹といい、みんなこういうときだけ勘が働く。
「ふむ…」
「何で鞄の固さを調べてますか」
765素直になれない女の子との日々 2話 3/6:2006/01/24(火) 03:38:28 ID:P/Ee/C4R0
「んふふ」
「そこ、何を笑ってますか」
そんな俺達を見て、小牧は微笑ましそうな笑みを浮かべていた。
「河野くんって、意外と手が早いんですね」
「なっ!?なんてことを言ってくださりますか、小牧さん」
「だって…ねぇ?」
「私に同意を求めないで」

郁乃と別れ、自分の教室に向かう途中、小牧が
「あの子、素直じゃないから、付き合うならその辺のことを考えてあげてね」
こんなことを言ってきた。
「だから、何で俺が郁乃ちゃんと付き合うって話になってるのかな」
「だって、二人で見つめあってたし。あの時の郁乃、
恋する乙女って感じの顔してたよ」
「はぁ…でも、俺にそんな気は全然無いんで」
そもそも恋する乙女の表情というより、気に食わない男を睨む表情だった気がする。
それに、別に郁乃ちゃんを好きになったわけじゃない。
ただ…気になるところがあるだけで。ちょっと放っておけないというか。
実際放っておいたら大変なことになるわけだし。
「うんうん、恋する男の子って感じだね」
「お願いだからそこから離れてくれ」
766素直になれない女の子との日々 2話 4/6:2006/01/24(火) 03:39:13 ID:P/Ee/C4R0
帰るときもまた手伝おうと思ったのだが、(俺が手伝わないと帰れない気もするが)
小牧と話してもらちがあかないため、先に郁乃ちゃんの教室に行ってしまうことにした。
「よっ」
「お姉ちゃんは?」
「話してると遅くなるから、先に来た」
小牧は人の問題は抱え込むくせに、自分自身はあまり人に頼らない。
というよりかは、人の好意もなるべく断っているようだ。
あんな風に遠慮しなくてもいいと思うのは、俺だけじゃないだろう。
「姉が遠慮がちなのは、性分だから気にしないほうがいいと思うけど。
ていうか気にしてもどうにもならないわよ」
「…だから、人の考えをよむのはやめろって」
「別によみたくてよんでるわけじゃないわ。顔に出やすい自分を呪うことね」
…本当にこいつは小牧の妹なのだろうか?性格が完全に正反対だ。
と、郁乃ちゃんのほうを見ないで思う。郁乃ちゃんのほうを見ていると、
思っていることを悟られてしまう恐れがある。
「郁乃〜、遅くなってごめんね…あれ、河野くん?」
「手伝うよ」
少し強めの口調で言う。そうでもしないと、また昨日の二の舞だ。
「…分かりました〜」
何かうなだれてる。そんなに、俺が手伝うのが嫌なのだろうか。
「あの、そんなに嫌なら、手伝うの止めようか?」
「え!?い、嫌ってわけじゃないですよ?ただ…」
「ただ?」
「郁乃の面倒は私が見なきゃと思ってたのに…情けなくて」
「…」
「…」
「また抱っこするけど…いい?」
「いやって言ったって、それ以外方法無いじゃない」
ま、そうなんだけど。こういうのは、一応了解を取ってからじゃないとやりづらい。
「よいしょ、っと」
昨日も思ったが、軽く、柔らかい。う、変なこと考えちゃ駄目だ。
ちらっと郁乃ちゃんの表情を伺うと、相変わらず真っ赤だ。
やはり、郁乃ちゃんも女の子。この格好は恥ずかしいんだろう。
「…何見てんのよ」
「いや、なんでもない。気にしないでくれ」
多少きつそうな目は、垂れ目な小牧とは対照的だ。あ、意外と睫毛が長いかもしれない。
「ぼーっとしてないでさっさと歩く!」
「あ、悪い」
見とれて足を止めていたらしい。それが分かっているのか、
郁乃ちゃんの顔はますます赤くなる。
そんな顔も可愛いなーと思ってしまう自分が居た。
…誤解がないように言っておくが、俺は女の子が苦手であって嫌いなわけじゃない。
こう、くらっとすることだってあるのだ。俺の周りには、そうやってくらっとするような
表情をする、可愛い子が多い。ただ女の子に免疫がないから、それを見て
固まってしまうわけだ…自分で言ってて虚しくてなってきた。
768素直になれない女の子との日々 2話 6/6:2006/01/24(火) 03:44:24 ID:P/Ee/C4R0
「「はぁ」」
「何、何そのため息。何で二人で呆れてるの〜」
「だって…なぁ?」
「ねぇ?」
「何々、ちゃんと教えてよ〜」
「「過保護過ぎ」」
まるで、幼稚園ぐらいの娘を心配する父親みたいだ。
車椅子というハンデはあるにせよ、郁乃ちゃんはれっきとした高校生。
そこまで世話を焼くことも無いだろう。
「え、え?ぜ、全然過保護なんかじゃないですよ?」
「俺の目から見ても、過保護だと思うよ。昨日と今日の二日しか見てないけど」
「そうそう。いくら車椅子だからって、私とお姉ちゃん一歳しか変わらないんだから」
あまりに世話を焼くのは、かえって失礼だろう。自分にハンデがあると、
思い知らせることになってしまうから。きっと、悪気があるわけじゃなく、
心から心配してるからこそ、必要以上に世話を焼いてるんだろうけど…
郁乃ちゃんも、それが分かっているからお節介だと思っていても強く言えないんだろう。
「う〜…」
「ま、心配してくれるのは嬉しいけどね」
そっぽを向いて赤くなりながら、郁乃ちゃんは小牧にそう告げた。
「郁乃…!」
感極まったのか、小牧は郁乃に飛びつくように抱きついた。これじゃ、
どっちが姉なのか分かったもんじゃない。
「ちょっとお姉ちゃん、恥ずかしいってば」
…これから、こんな調子で大丈夫なのだろうか。
人事ながら、小牧姉妹の今後が心配になってしまった一
769素直になれない女の子との日々 作者:2006/01/24(火) 03:47:02 ID:P/Ee/C4R0
何か一話のだらだら感を続けてしまった感じがありますが、いかがでしょうか。

大変私事ながら、交通事故に遭いまして、しばらく書き込みが出来そうもありません。
続きを楽しみにしている方が一人でもいらっしゃったら、お詫びを申し上げます。
勢いで突っ走ってるというご指摘がありましたので、入院中にじっくり練りあげ、
前作よりもいいものをお届けできればと思います。では。
770名無しさんだよもん:2006/01/24(火) 04:43:00 ID:jbHCpsF60
>>769
交通事故とは大変でしたね…
早く退院されることを祈ります。
SSも楽しみにしています。
771名無しさんだよもん:2006/01/24(火) 08:05:05 ID:FXuD7jTMO
>>769
続きがめちゃくちゃ気になる(*´∀`)
GJ!
772名無しさんだよもん:2006/01/24(火) 11:39:59 ID:uCH3/vt20
>>754
遅くなったけど、河野家喜多ーーー!!!
春夏さん、ぐ、ぐぐ、ぐっじょ〜ぶっ♪(突発屋さんの愛佳風)
来週もまた目が離せませんね。

>>769
GJです。
ゆっくり休んで、お身体を大事にしてください。
773名無しさんだよもん:2006/01/24(火) 20:13:47 ID:7NgFBNp9O
>>754
いつも誰かがマダー?って言うとすぐに投稿してくれる作者さんGJです(´∀`)
今回はちょっとしんみりした内容でしたね。来週はいよいよ、小牧姉妹(*´Д`)ハァハァ
楽しみにしとりますw

>>769
交通事故だったとは……お体の方は大丈夫なのでしょうか??
郁のんSSメッチャ面白いんで、続き楽しみにしてますね〜(゚∀゚)b
774名無しさんだよもん:2006/01/24(火) 20:27:49 ID:rG6z3SX90
769さんGJです。

続き楽しみにしてます。
がんばってください。
775名無しさんだよもん:2006/01/24(火) 23:23:15 ID:XYeZeoSU0
>>769
お大事に〜、でも入院経験を郁乃の描写にフィードバックさせるんだ!!
776突発屋 ◆63./UvvAX. :2006/01/24(火) 23:43:15 ID:aXFcNXPW0
闇夜に沈んだ人気のない校舎。その用務員用玄関から出て、静まりかえっ
た敷地を堂々と横断して校門に近づくアタシに向かって降り注ぐ幾つも
の視線(主に前方から)。ちょびっとアイドル気分で気持ちいい。
「ど、どうだった、かね?」
やがて、アタシの到着を待ち切れなかったらしい大柄の人影が一つ、校門横の
桜の木の陰から飛び出して小走りにアタシの所に向かってくる。それはこの時
期、こんな時間にアタシを呼び出した張本人であるアタシの元担任。
「いや〜、ちょぉ〜っと無理みたいだったね〜♪」
「……やっぱりか。」
せめて少しでも場を明るく盛り上げようと特級の笑顔で爽やかに答えてやっ
たというのに、この馬鹿教師めは『こいつに期待した俺が馬鹿だった』と
いわんがばかりにアタシが追試で校内ギネス記録を片っ端から塗り替えたとき
と同様の落胆ぶりを見せてくれおる。全くもって礼儀がなっていない大人
の典型といえよう。嘆かわしいばかりだ。
「戻りましたか?」
「で、どうでしたか? 先生?」
そこへ、わらわらと集まってくる先生ズ。こっからだと生徒会室から丸見
えだと理解しとらんのかね、この大人達は? もっとも、何日も徹夜作業
を強いられてテンパってるのには多少ならず同情もするが。
「やはり空振りでしたか……」
「こいつが一番親しいですし、あるいはと思ったんですが……」
「いや、先生の責任じゃありませんよ。人事は尽くしましたし……」
「そうそう、先生の所為じゃありませんから……」
それはナニか? 遠回しにアタシを非難しとるんかもしかして?
「じゃあ皆さん、残念ですが明朝、力尽くでもということで………」
その教頭の言葉で、夜中の臨時ルーフレス職員会議は決議した。
777突発屋 ◆63./UvvAX. :2006/01/24(火) 23:44:56 ID:aXFcNXPW0
じゃあ、この件はくれぐれも内密にな? という念押しと引き替えに会話
の一切を記録したレコーダーを手渡したアタシは、申し訳程度の「気をつ
けて帰れよ」を背中で聞き流しながら愛用の原付を停めてある駐輪場へ
と向かう。背後で再び散開してゆく大人達に気取られないよう、しかし出
来るだけの大股急ぎ足で離脱しつつポッケから取り出した携帯電話の
蓋をスナップを効かせて格好良く開き、耳に当てながらブラインドタッチ
で短縮ダイヤルを打ち込む。
(ぴぴぴぴ……とるるるる、とるるるる、ぷっ)
「はい向……」
「カークからエンタープライズ!」
『………………………………………』
「こら、ノリが悪いぞ! タマちゃん!」
『え、あ、え、えっと………』
「まぁ良い。今時の若い子にアタシのギャグはハイブリッド過ぎたかな、
わっはっはっはぁ!」
『は、はぁ………あの先輩、それで?』
「うむ、予想通りに決裂したぞ。」言葉とは裏腹に、口の端が笑顔の形に
吊り上がってゆくのがわかる「よって、こちらも予定通りに行動を開始す
る。準備は整っているかね?」
『それは大丈夫だけど……』うむ、やはりアタシの目は間違っていなかった様
だ。ことリーダーシップと臨機応変な対応能力にかけてなら、タマちゃん
のそれはアタシに匹敵する物がある。『……こんな事して、本当に大丈夫なん
ですか、先輩?』
「馬鹿なことを言うでない、大丈夫なわけがなかろう?」
『………………………………………』
「だが面白い。非常ぉーに面白い。近年希に見る面白さだ。それこそ痛快
を通り越して爽快と言っても良い。我々若者にとって、それは極めて大事
なことだと思わないかね、タマちゃん?」
『………………………………………』
778突発屋 ◆63./UvvAX. :2006/01/24(火) 23:46:18 ID:aXFcNXPW0
「とまぁ、建前はさておきだ。」
『………それって本当に建前なんですか?』
「むむ、生真面目だなぁ、チミは?」目指す駐輪場の手前、足を止め振り
返ってて校舎を見上げてみる「遅かれ早かれ、あの二人は一時的にだろう
と引き裂かれるだろう。実に悔しいが、それが二人と我々の限界だからだ
。だが、ならばこそ限界まで刃向かってみる権利もある。大人の世界の重
さと広さに比べたら確かにチャチぃものかも知れんが、それでも子供だっ
て子供なりの世界を持ってる。そして意地とプライドもある。自らの無謀
さも子供臭さも、そして行き止まりも分かっていて尚ギリギリまで自分た
ちの世界と時間を守ってみせると二人が決意したなら、彼ら『子供の英雄』
を子供の代表として応援してやるのがアタシたちの役目だとは思わんかね?」
『子供の世界の英雄……ですか。』
「そうだ。二人の想いの強さと絆の深さには『それだけ』の価値がある。
だから、自分達の都合で勝手に引き裂こうとする大人に一矢報いるだけの
価値もある。それで何が変わるのかは分からないが、少なくても大人共に
二人と我々ののメッセージは伝わるだろうし、今度こそ二人も納得して運
命に立ち向かうことができるだろう。その為にも、奴らには一度、我々の
底力を見せておくべきなのだ。」
『……まーりゃん先輩……そこまで……』
「それにだ、タマちゃん?」
『はい。』
「間違いなくスカッとするぞ、まーりゃん政権最後にして最大のショウタ
イムなのだからな。ティタム・オニールも裸足で逃げ出すぞぉ!?」
『……………………………………』
「以上の理由で、我が軍は現時刻をもって状況を開始する。実行開始は明
朝マルロクマルマル、作戦要項は最終プランの『k』、以降は作戦の機密
保持の為、各自指示書に従って独自に行動すべし。質問は?」
『…………ありません。』
「では各員の健闘を祈る、以上!」
779突発屋 ◆63./UvvAX. :2006/01/24(火) 23:50:40 ID:aXFcNXPW0
相変わらず思いつきだけで書いてます>挨拶
愛佳ネタも無いことはないのですが、まだ頭の中で組み上がるほどでは・・w

>>769
乙です。
ご自愛くださいませ。


>>754
連載で41話目、しかも未だ進行中とは……。
恐れ入りました、次回以降を楽しみに待っております。
780名無しさんだよもん:2006/01/25(水) 02:57:35 ID:vlRjJ3/U0
>>779
忙しくてXRATEDは積んだままになってるため、さーりゃん先輩まーりゃん先輩ネタの
SSはスルーしてたのですが、思わず読んじまいましたw
GJ!というより、あぁぁぁ、プレーしてぇorz
781名無しさんだよもん:2006/01/25(水) 13:41:29 ID:Xre+t3HHO
今、思いっきりテレビのニュースで河野家みたいな状況ハケーン
782名無しさんだよもん:2006/01/25(水) 17:57:38 ID:bHUkf2Or0
もてる呪文ww
783名無しさんだよもん:2006/01/25(水) 19:22:42 ID:fe6ggewG0
現実はあれ
幻想は素晴らしい
784名無しさんだよもん:2006/01/25(水) 21:30:53 ID:XT/ouiFzO
>>779
まーりゃんサイドとは面白い。
続きが猛烈に読みたくなりますた(`・ω・´)
期待してますんで執筆がんがって!GJでした!
785名無しさんだよもん:2006/01/25(水) 21:54:40 ID:vlRjJ3/U0
>>782
もてる呪文って、アレか。

もっと、セックスする!
786名無しさんだよもん:2006/01/25(水) 22:03:59 ID:Hvt+eUcg0
呪文っぽいのは

るー
787名無しさんだよもん:2006/01/25(水) 22:12:10 ID:/PSvdDub0
>>781
家に女十人住んでたって奴だよな。
788名無しさんだよもん:2006/01/25(水) 23:52:37 ID:bOQ5tFGG0
>>779
GJであります。個人的にはまーりゃん先輩に状況開始前に「天気明朗なれど波高し。皇国の興亡この一戦に有り。各位奮励努力せよ」ってな台詞を言ってもらいたいでありますよ
789名無しさんだよもん:2006/01/26(木) 00:00:24 ID:R0ZAjShk0
このみ乙
790名無しさんだよもん:2006/01/26(木) 10:51:16 ID:5IdJ7sxf0
791名無しさんだよもん:2006/01/26(木) 11:15:06 ID:4p0PYlK+O
リアル河野家キターw
792名無しさんだよもん:2006/01/26(木) 13:31:12 ID:xx2i9oSMO
>>790
現実は厳しいなw
793名無しさんだよもん:2006/01/26(木) 13:58:10 ID:SZ4cU+lg0
>>790
同居した女性には乱暴はしていないって…この顔で言(ry
タカ棒ですら草壁さんに手を上げてしまったのに。
794名無しさんだよもん:2006/01/26(木) 14:35:15 ID:fN+TLKCi0
>>793
手を上げるって・・・・・DVかよ(´・ω・`)

手を出す、だろう。
795名無しさんだよもん:2006/01/26(木) 16:00:38 ID:1PAzbj5c0
つ河野家
796名無しさんだよもん:2006/01/26(木) 18:34:29 ID:ZHs/hzzX0
>>794
>>793の「手を上げて〜」は間違ってないよ。
797794:2006/01/26(木) 20:24:35 ID:fN+TLKCi0
>>793
流れ読んでなかった。ごめんorz
798名無しさんだよもん:2006/01/26(木) 22:40:36 ID:tsIiJ6R60
しかし、こんな流れは無視して、来週の河野家をワクワクテカテカして待つ漏れがいる。
799名無しさんだよもん:2006/01/27(金) 00:24:35 ID:2fsfec570
河野家にようこそってプールに行こうを思い出すな
800名無しさんだよもん:2006/01/27(金) 10:04:28 ID:pI6Qr4yZ0
SSとして基本というか王道なんだろ >全キャラ登場日常コメディ
落としどころというか、まとめ方が難しいとは思うけどね。

プールはそこがうまくいかなくて、後半ぐだぐだになってたような記憶が…
まあ、いま波にのってる河野家を前にして言う事じゃないけど。

っつーわけで次回も楽しみにしてます >河野家の中の人
801名無しさんだよもん:2006/01/27(金) 10:17:26 ID:4mxKtBCT0
王道か。

みんなそろって河野家に住み込んで、
ドタバタするんだけど、
そんなある時、タマ姉に見合い話が持ち上がって、
それを断るために、貴明が恋人のフリ(?)をして両親の前に。
色々、両親を納得させるために見栄を張ったためにボロが出ないように苦労する。
昔のどっかの映画の横道なパロディー。
802名無しさんだよもん:2006/01/27(金) 10:32:08 ID:FkWn3llX0
無理にオチをつけなくても、書き手が飽きるまで続ければよろし
大河ドラマじゃないんだから
803突発屋 ◆63./UvvAX. :2006/01/27(金) 18:01:25 ID:5jzOT9II0
気に入って頂いけ方がいらした様で、安心しましたw
>>779の続きを投下しようと思うのですが、タイトルとかあった方が
良いんでしょうか?
804名無しさんだよもん:2006/01/27(金) 18:05:58 ID:Fc6AOzIn0
作者名か作品名がある方が抽出して読みやすかったり、読みたくない人がNGしやすかったりと便利。
名前欄コテでもタイトルでもいいけど、個人的にタイトルほしい。
805ぐれーと・えすけいぷ その2:2006/01/27(金) 20:14:30 ID:5jzOT9II0
Capture1―『環』

早朝にして休日の校舎の嵐の前の静けさは通りを挟んで反対側の路地に隠
れた私達にもひしひしとした緊張感を伝えてくる。
「まったく、どこからこんな物集めて来たのやら……?」
(……本部より各般、初期配置についた?)
どこから持ってきたのか知らないけど、まーりゃん先輩が人数分用意して
昨日の内に配ってくれたヘッドセットから当のまーりゃん先輩の心底
嬉しそうな声が聞こえてくる。
「こほん………こちらA班、配置につきました。」
私と笹森さん、最後の切り札であるネットを抱えた私達の配置は校門から
右手の奥、しかも向こうからは見つかり難い路地の中。合図と同時にC班
と一緒に目標地点までネットを運ぶのが役目である。
(B班、大丈夫でありますっ!)
やや緊張した声のこのみ、姫百合姉妹の配置は裏門付近。最終的にネット
を広げる予定地点には遠い場所なのだが、全員が一カ所に集まっていては
発見されてしまう可能性をあげてしまうという配慮から分散して隠れてい
る。
(総員、心して聞け。)ちなみに、まーりゃん先輩の配置場所は誰も知ら
ない。(重要なのはタイミングだ。中の二人にとって、我々の作戦が唯一
無二の脱出手段なのだからな。教師共に気づかれないよう、しかも迅速か
つ的確な行動が要求される。例え何が起こっても独断では動くな。全員の
一意団結した行動なくして本作戦の成功はあり得ない!)
「その通りだとは思うけど、なんか退屈なんよね……」
「くすっ、そうかもね。でも悪くない気分でしょ?」
(………なんつーか、楽しそうだよなぁ。まーりゃん先輩…)
(向坂君、だめだよぉ!)
そして雄二と小牧さんは、二人に渡すリュックを抱えたC班。校門から
見て左手の路地に隠れている。
806ぐれーと・えすけいぷ その2:2006/01/27(金) 20:16:02 ID:5jzOT9II0
Capture2―『このみ』

「うう、タカくぅん……」
(A班より連絡! まーりゃん先輩、車よ!)
「ええっ?」
(タマちゃんタマちゃん、慌てるでない。想定の範囲内だ。)
(そ、想定って……)
(乗用車が二台、じゃないのかな? それは、さーりゃんのパパンとママン
に間違いない。いよいよ向こうの行動開始時間が近づいた合図だな。)
(……ほんとみたいだわ、中に入っていった。)
(まだ動くなよタマちゃん? C班に通達、後ほど『お前の班で屋敷内
の車のプラグ、全部抜いとけ』。)
(え? ええっ!? どど、どうしよう向坂君?)
(ってマジかよ!? 今時の車はセキュリティ機能だってあるのに、ンな事
が素人に出来るわけねーだろーがっ!?)
(慌てるな慌てるな、言葉のアヤだ。タイヤの前に置き石でも良いし、鍵穴
にガム押し込んでも良い。とにかく一分一秒でも発進を遅らせる工作をし
ておくのだ。あんだすたん?)
「…………ところで、『屋敷』ってどういう意味やろ、さんちゃん?」
「さぁ? わからんなー。」
私の横では、珊瑚ちゃんが小型のモバイルを開いて楽しそうにピコピコと
キーを叩き続けている。そうして微妙な表情の瑠璃ちゃんが見張り役。
(B班、さーりゃんのパパンとママンは捕捉できているか?)
「だいじょぶやー♪」と笑顔の珊瑚ちゃん「校舎のセキュリティーはバッ
チリ押さえとるしぃ、配置も完璧やでー♪」
「………車から降りた二人は、そのまま一緒に正面玄関に向かったみたい
やけど……」
(多分、校長室か職員室に案内されたな。)
珊瑚ちゃんの話だと、昨日の間にお友達(トイボット)を校舎のアッチコ
ッチに隠しておいたらしい。そのカメラ映像と校舎のセキュリティモニタ
ーを併せて中の様子を把握してるみたいだけど。
(まだだ、まだ動くなよ? タイミングがすべてだ……)
807ぐれーと・えすけいぷ その2:2006/01/27(金) 20:17:44 ID:5jzOT9II0
Capture3―『まーりゃん』

たかりゃんも、さーりゃんも馬鹿ではない。マトモに生徒会室のドアから
正面突破で脱出できるとは考えていないだろう。唯一の出口は窓。そこか
らアタシが残した縄梯子で階下に降りる以外の方法はない。そのあとは賭
になるだろうが………
(動き出したで)その声に一同が緊張する(みんな、一斉に校舎の中に入
っていくみたいやー。)
(……きっと、校門に一番近い校舎から順に全部の部屋を調べるんでしょ
うね。)
「総員、第二ポイントまで移動。可能な限り音を立てるなよ?」
(……………(ごくり))
学校の内部は誰にも見えていない。姫百合姉の解析だけを頼りに行動開
始の合図を出さないといけないのだ。誰にも発見されず、かつ二人の落下
地点で確実にネットを開いて全員で支えないといけない。とくとくと鼓動
が耳の中に響き、アドレナリンの味が舌の上に広がってくる。
(こちらA班、先生達が校舎に入ったみたいよ……)
(文字通りの虱潰しみたいだね。)
「B班、そっちはどうだ?」
(先生達が廊下を走る音が聞こえてくるよぉ。)
(でも外にも見張りを残してやがる。くそ、隙がねぇなぁ!)
(大丈夫だよ、落ち着いていこう?)
(まるで大掃除みたいやなー♪)
(さんちゃん、そんな乗り出したらアカンて!)
生徒会室には、まだ動きは……いや!
「窓を開けたか。良いぞ、たかりゃん!」
たかりゃんらしい人影が、生徒会室の真下の部屋に現れ窓のロックを解除
している。となると縄梯子を見つけたと思って間違いない。これで希望が
見えてきた。
808ぐれーと・えすけいぷ その2:2006/01/27(金) 20:19:35 ID:5jzOT9II0
Capture3―『雄二』

「くっそ〜、まだかよ〜!?」
教師共は他の三つの校舎の捜索を終え、いよいよ貴明達が立て籠もってい
る生徒会室へ殺到しようとしているのに、俺達はと言うと校門の陰に隠れ
たまんまだ。出来ることなら今すぐにでも飛び出して一緒に戦いたいって
のに。
(落ち着きなさい、雄二。)反対側の陰に隠れた姉貴の冷静な呟きがヘッ
ドセットから聞こえる(居ても立っても居られないのは、みんなだって一
緒よ? けど後先考えずにがむしゃらになっても二人の助けにはならない
わ。辛いでしょうけど、今はまーりゃん先輩の合図を待つの!)
「ンな事ぁ言われなくったって分かってるって! けどよぉ……!!」
(……はぁ、しょうがない子ねぇ……)
(そうだよユウくん、タカくんと久寿川先輩を信じようよ? ね?)
「く……くっそぉ〜、くっそぉ〜っ!」
「うふふ……」と後ろから押し殺した声が「……向坂君、河野君のことが
本当に心配なんだね? いままで知らなかったけど、男の子同士の友情っ
て純粋で真っ直ぐで、ちょっと可愛いい♪」
「い、いいんちょ……」
「あ、違うよ違うよ! 少し……羨ましいかなって思ったの。損得関係無
しで、全身全霊でお友達の手助けをしてあげたいって思えることは、とて
も素敵だよね。何だか女の子が邪魔しちゃいけない世界を見せつけられち
ゃったって感じかな?」
「ち、ちげーよ! 俺は、その、俺を出し抜いて久寿川先輩とデキちまっ
た貴明が情けねーのが気にくわないだけっつーか、貴明が失敗しちまった
ら、貴明に負けた俺のランクまで下がっちまうって言うか、とにかく委員
長が考えてるような汗くさい熱血系とは………」
ガッシャーン!!
「!?」
「な、なに……?」
(B班、至急現状を報告! 今の音は何だ!?)
809突発屋 ◆63./UvvAX. :2006/01/27(金) 20:25:19 ID:5jzOT9II0
という訳で、題名など付けてみました。
あと一回で終わる予定です。

花梨ファンの皆さん、申し訳ございません。
実は(扱うの)苦手なんです、この子(汗

>>788
それはまた名台詞ですね〜
出来れば使ってみたかったんですが・・・w

>>784
ありがとうございます。
まぁ、たまたま思いついたものですからw

>>780
出来れば本編をご覧頂いてからの方が宜しいかと存じます。
なんせ貴明&ささらは視点は完全に無視の方針ですのでw
810名無しさんだよもん:2006/01/27(金) 20:29:22 ID:ogC0ADck0
>>809
GJ

やっぱ「今の音」ってアレなんだろうかw
続き楽しみにしてまつ
811名無しさんだよもん:2006/01/27(金) 21:24:08 ID:sWPQGl/n0
>>809

(本編のラストに出てこなかった)由真が(ちゃんと)入っていない点にGJ!
812修学旅行の告白事件 その1(1/6):2006/01/27(金) 23:06:03 ID:qYTtlcnK0
 俺たちは歩いていた。少し勾配のきつい、丘への坂道。
 愛佳に『手を引こうか?』と尋ねたが、遠慮されてしまった。
 言い方が少し無愛想だったかな?
 ほんと、俺はこういうことに向いてないよな…
 後からついて来てくれる愛佳は、さっきから押し黙ったままだ。
 今、俺が何処に向かっているか、もう気付いたからだろう。
 何も聞かないでいてくれるのは、ありがたいかもしれない。
 もしも、『たかあきくん、これから何処に行くの?』
 なんて聞かれたら…正直、答えづらい…
 目的地に近づくにつれて、愛佳の緊張が高まっていくのが、背後から伝わって来る。
 いや、俺だって同じくらい緊張してるさ。
 だって、これから俺には大きな仕事が待っているんだ。
 今日は修学旅行の三日目。
 俺は午後からの自由行動を利用して、愛佳と二人で丘の上を目指していた。
 
話は二ヶ月ほど前にさかのぼる。
 その日も小牧愛佳は相変わらずだった。
「つまり、またやらなくてもいい仕事を押し付けられて来たわけだ」
「や、押し付けられてなんかないよ〜」
 愛佳は慌てて否定するが、怪しいものだ。
 俺と愛佳は教室の机を四台突合せ、その上に書類や資料を並べて作業をしていた。
 いま愛佳が作成しているのは、旅行中のスケジュールや、生徒が持ち込みを
許される物品、その他細かい注意事項…
 つまり、一般に『修学旅行のしおり』と呼ばれるものだ。
 もちろん、普通はクラス委員が関わる仕事ではない。
「担当してた生徒が、風邪でダウンしたんだって。締め切りも近いし、…後は清書だけだから…」
 愛佳は作業の手を休めることなく、そう説明する。
 …この生真面目さに付ける薬はないもんかね?
 もしあったら今の愛佳に付けまくってやりたいものだ。
 手伝いたくても、俺には手をだせそうにない仕事だし。
813修学旅行の告白事件 その1(2/6):2006/01/27(金) 23:07:05 ID:qYTtlcnK0
 俺はなんとなくふてくされて、放り出してあった雑誌に手を伸ばした。
 俺たちが修学旅行で向かう先の情報誌。これも、一応参考資料だ。
「自由行動の時間に何処にいくか決めないとな…」
 半ば独り言のように呟いてページをめくる。
 それにしても観光名所って、寺とか神社とかばかりだよな…他のはないのかな…
 そう考えながら読み進めていくと、目に止まった記事があった。
 小さな丘の写真が載っている。でも何にも無い場所だな。
 なんでこんな場所が観光名所なんだろう。
「たかあきくん、あのドラマ見てないの?"幸せの丘”」
 いつの間にか愛佳が俺の隣に来て、雑誌を覗き込んでいた。
 "幸せの丘”は、ひと昔前に流行した恋愛ドラマだ。俺も名前ぐらいは知っている。
「その丘はラストシーンの撮影に使われたの。離れ離れに
引き裂かれた二人が再開して、愛を誓い合った場所なの」
 愛佳はこころなしか嬉しそうに説明する。
 ふむ…女の子は、ああいうのが好きだって聞くけど、愛佳もそうなのかな…
「だから、ドラマに憧れて、ここで告白するのが流行ってたんだって」
 それも少し前の話だけどね、と付け加えて愛佳は言った。
 まあ、ドラマにあやかって、即席で運命の恋人になっちゃう気分を味わうわけだ。
 どこかで見かけたような話だけど。
「でも話題性でいえばもう古いよな…観光業者が苦し紛れで今も引っ張ってる感じだ」
「う〜ん、たかあきくんはロマンがないなあ…」
 愛佳は不満げに呟くと、自分の作業に戻って行った。
 そして作成中の『修学旅行のしおり』に自己流のイラストをせっせと書き込み始めた…
 っておい、ご機嫌を損ねたからといって趣味に走らないで欲しい。
「愛佳、ネタは却下だ」
 俺はそう告げて、もう一人の責任者の役目としてしおりの訂正を命じた。
「え〜、これ、可愛くないかなあ?」
「………びみょう………」
 それに、可愛かどうかは問題ではない。
814修学旅行の告白事件 その1(3/6):2006/01/27(金) 23:07:59 ID:qYTtlcnK0
 正常な作業に戻った愛佳だが、ドラマについてまだぶつぶつと何か言っている。
 この件について以外と根が深いらしい。ファンだったのかな?
 愛佳が好きなら、あの計画には都合のいい場所かもしれない。
 幸い自由時間に訪れるには程よい場所にある。
 誘ってみるか。さすがに緊張するな…
「愛佳、自由時間なんだけど、二人だけで廻らないか?」
「ええっ!!あ、あたしと?!」
 さすがに驚いた様子で聞き返してきた。
 やっぱり急にこんな事言い出すのは不自然だったかな?
 しかし、ここは何とか押し切りたい所だ。
「俺は班の奴らとは別に一ヶ所だけ行きたい場所があるんだ。
できれば付き合って欲しいけど、駄目かな?」
「えっと…そうなんだ…ふうん…」
 そう言い訳を加えてみたが、愛佳の反応は薄い。何事か考え込んでいた。
 愛佳がうつむいて黙り込んでしまったので、俺も不安になってきた。
 情けないが、これは戦略的撤退しかないか…
「他に約束があるならいいんだ、雄二でも誘ってみるよ…」
 適当に都合のいい名前をだして逃げることにする。
 すまん、雄二。名前を借りたぞ。
「えっ?いや、そうじゃないの。ただ…いいのかなって思って…」
 撤退しかけた俺を、愛佳はあわてて追撃してきた。
 どうやら行く気はあるらしい。
 しかし、いいのか、と聞かれても何がいけないというのか。
 我が校の修学旅行の自由行動は五人編成で班を組み、その班で行動する事が義務づけられている。
と、しおりにも今書いていたところだが…
 とはいえ、そう厳密に守るようなルールでもないだろう。
 でも愛佳は真面目だからそういうのが許せないのかな?
 別に偽の駐輪シールを作ろうとした事とか突っ込むつもりはないが。
815修学旅行の告白事件 その1(4/6):2006/01/27(金) 23:08:58 ID:qYTtlcnK0
「そう時間は取らせないつもりだ。その後すぐみんなと合流してもいい」
「えっと…そうじゃなくて、でも、そうだね…うん、うん」
 愛佳は何度も、うん、うん、と頷いていた。よくわからないが、気持ちは決まったようだ。
 だから俺は確認した。
「つきあってくれる?」
「うん」 

 そして、今、俺と愛佳の登っている丘こそが、例のドラマの撮影現場だ。
 愛佳を誘って、二人きりで、告白の名所を目指している。
 それだけで、愛佳も俺の目的をある程度察しているだろう。
 その証拠に、愛佳はさっきから『もしかして…いや、でも…うん…』
とか、そんなふうにぶつぶつと呟いている。
 もちろん、こうなることが俺の目的だ。
 回りくどいやり方だと思うが、これにも理由がある。
 実のところ、俺は愛佳を告白の対象としては非常に手強い相手だと考えている。
 その最大の理由は、愛佳がいつも肝心な所でボケをかましてくれるおちゃめさんだからだ。
 ……いや、マジですよ?俺は。
 
 想像してみて欲しい。
 俺が勇気を振り絞って告白できたとしよう。
 しかし、そこで愛佳がパニックを起こして現場から逃走したり、
 あるいは何度言っても本気だとは信じずに、謝りまくって逃げてしまう、
 などといった結果が今までの俺の経験からも予想できる。かなり高率で。
 そうなったら、俺は修学旅行の忘れられない思い出を一つ増やして
帰還することになるだろう…もちろん別の意味でな。
 だから、俺はまず愛佳に直接想いを告げる前に、状況から
俺の目的をわかってもらおうと考えたのだ。
 その方がきっと成功率は高い。
816修学旅行の告白事件 その1(5/6):2006/01/27(金) 23:09:35 ID:qYTtlcnK0
 というか、この際成功率の問題じゃないんだ。
 まず、愛佳には俺の気持ちが真剣であるということを確実にわかってほしい。
 これが俺の一番の願いだ。
 愛佳は恥かしいとか、俺を傷つけたくないとか考えて、答えをごまかすかもしれない。
 しかし、俺はそんなことを望んでいない。
 書庫は一部だけど取り戻したし、郁乃は退院して学園で順調に生活している。
 以前のように俺が愛佳を支える必要はもう無いだろう。
 もともと俺は愛佳がほっとけなくて、愛佳は誰かに頼りたくて、
 そういう理由があって始まった関係だと思う。
 その理由が無くなりつつあるのなら、今までのようにはいかなくなる時がきっと来る。
 だから、俺の気持ちが単なる同情なのか、愛佳の気持ちが単なる依存なのか、
そういう曖昧だったことをはっきりさせなくちゃならない。
 それがはっきりした時、俺は愛佳にとって必要な男ではないかもしれない。
 でも、そうならそうで仕方ないことだ。先延ばしにしても意味が無い。
 俺は、愛佳のお荷物にはなりたくない。 
 
「はあっ…はっ…ふう…」
 だいぶ息が上がってきている。
 なにしろめちゃめちゃ緊張してて、心臓が落ち着かないところでこの坂を登って来たのだ。
 愛佳もそれは同じだろう。さかんに深呼吸して息を整えようとしている。
 しかし苦労した甲斐あって、ついに目的地に着いた。
 観光者向けのお店はいくつか並んでいるが、あたりにはほとんど人影はなかった。
 愛佳には悪いが、この丘はやはり観光名所としては賞味期限を過ぎているらしい。
 向こう側には、斜面から突き出した岩壁を利用して作られた展望台があった。
 頑丈そうな手すりもついている、結構ちゃんとした展望台だった。
 俺はドラマを見ていないので確信は無いが、あの場所が告白の場所なんだろう。
「愛佳、あそこ行こうか?」
「う、うん…」
 愛佳が頷いたので、二人で展望台へ向かった。
817修学旅行の告白事件 その1(6/6):2006/01/27(金) 23:10:21 ID:qYTtlcnK0
 つい最近まで、俺は全然関心がなかったんだ。
 つまり、こういう場所みたいに”デートスポット”とか呼ばれる場所のことだけど。
 たとえ彼女とか出来たって、なにもそこまですることないだろ、と思ってた。
 けど、そんな俺もここに来ているなあ…
 まあ、愛佳は恋人ではないんだけど、それでも気を使う。
 少なくともいままで貫いてきたスタイルやプライドをあっさり捨てさせるほどには。
 とはいえ、自分が馬鹿馬鹿しいことをしている気持ちは今でもある。
 だが、ここまできたらつまらない意地とかは捨てるしかないよな… 
 よし!やるぞ!
 そう決意して愛佳の方に顔を向けると、驚いたことに愛佳の方も俺をじっと見つめていた。
「きゃあああああっ!?」
「おおっ?!」
 思わず二人して悲鳴を挙げてしまう。
 ちょうど決意したタイミングだったので、俺も少し驚いた。
 愛佳の方はもっと驚いたらしく、足をもつれさせて尻餅をついた。
「お、おい大丈夫か?」
「や、ごめんなさい、だいじょうぶですから…ほんと、ごめんなさい…」
 愛佳は助けようとして近づいた俺を拒んで、ごめんなさい、ごめんなさい、と繰り返した。
 別に謝られるようなことは、何もないと思うけどな…
 というか、”ごめんなさい”はかんべんしてくれ…
 これから告白するというのに、その言葉は心臓に悪すぎる。
 そういう意味ではないと思いたいが…もしかして、そうなのかな…
気のせい気のせい。とにかく始めよう。
818修学旅行の告白事件:2006/01/27(金) 23:10:59 ID:qYTtlcnK0
今回はここまででお願いします。
続きは月曜までには。
819名無しさんだよもん:2006/01/27(金) 23:19:30 ID:DtTPCprX0
>>818
ちょっ、寸止めかよ!?
GJです。
きっと幸せの丘がものみの丘に一瞬見えたのは俺だけの予感
820告白事件は……:2006/01/28(土) 11:07:20 ID:fWQJwJbWO
意を決め告白をしようとした時、愛佳が声を上げる。
愛佳の視線の先、俺たちより先に丘に来ていた人がいたのだ。
一人はかわった制服(?)を着た地元の高校生だろうか同じ年くらいの男。
そしてその男の隣にジーンズのジャケットにスカートを着た腰まで伸びた長い髪が特徴的な女の子(恐らく年下)がいた。
何より目を引くのが彼女の頭に被せられた…
愛佳「…ケープ、かな?」

俺たちは覗き見をするのは悪いと思いながらもその場から目が離せなかった。

…男が話し掛ける。
…女が立ち上がる。
風が彼女の長い髪をなびかせる。
愛佳「…きれい……」 
まるで映画のワンシーンを観ている様な錯覚を覚える。
ただ…ただ何故こんなにも胸を締め付けられるのだろうか?

…女が男に持たれかかる。
…腕の鈴がちりんと音を立てた。
…そして、彼女が俺たちの前から……消えた。



(゚w゚)ミステリだよ!たかちゃん!!
821名無しさんだよもん:2006/01/28(土) 11:36:44 ID:6an/Wt210
柚原家の夕食

このみパパ「このみ、貴明君とはどこまでいったんだい?」
このみ「おとうさん! タカくんとはべつにそんなんじゃ……」
春夏「まったく、タカくんも奥手よねぇ〜 まさか、このみの他に好きな子でもいるとか」
このみパパ「それはいかん。 このみ、ちゃんと貴明君を誘惑しているか?」
このみ「……そんなことしないもん」
春夏「でも、ベッドに潜り込んだりしてるんでしょ? それでも何もないなんて、タカくんって男の子が好きな人なのかしら……」
このみパパ「河野さんも、転勤を気にこのみと貴明君の関係を一気に進めちゃいましょうと仰っていたのに」
春夏「こうなったら、既成事実作っちゃいなさいよ。 このみの方からタカくん押し倒して」
このみ「そ、そんなことできるわけないよ〜」
春夏「あら、いいの? このままぐずぐずしていたらタカくんを誰かに取られちゃうわよ?」
このみ「そ、それは……嫌だけどぉ」
このみパパ「別に、子供ぐらい作っちゃってもかまわないぞ。 ははははは」
春夏「そうね、このみとタカくんの子供だったらとってもかわいいかも知れないわ」
このみ「……もう、おとうさんもおかあさんも!!」
このみパパ「おじいちゃんか……いいかもしれないな(すでに、このみのことは無視)」
春夏「わ、私のことはお姉さんって呼ばせるのよ、このみ(娘の意志はすでに無視)」

このみ「……こんな親って」
822名無しさんだよもん:2006/01/28(土) 11:54:45 ID:8oLphjIv0
>>821
うーむ、何の違和感もない( ´ー`)

・・・ところでこのみパパの設定ってどっかに出てたっけ?
823名無しさんだよもん:2006/01/28(土) 12:01:21 ID:f+SCHmpV0
>>821
なにこの俺の脳内妄想の柚原家と完全一致してる柚原家。
824名無しさんだよもん:2006/01/28(土) 12:03:17 ID:6an/Wt210
すでに自分の両親とこのみの両親に退路を断たれていることを貴明だけが知らない。
825名無しさんだよもん:2006/01/28(土) 13:11:44 ID:5EiHM8Ha0
>>822
自衛官って事ぐらいだな。
あと、肩叩き券イベントを見る限り立場が安定してないっぽい。
826桜の咲く頃 閑話休題〜第九章:2006/01/28(土) 13:25:57 ID:+xnXi2rD0
 二週間の出張連続(連続出張ではない)が終わって、ようやく落ち着いたよ…
 来月にもまたあるんだけどね orz

 それはさておき。
 新学期になり、話もとうとうラストに向かって収束している感じがひしひしと。
 愛佳シナリオに並行したような形で進んできたお話も、第九章のシーンがある事で
最後のイベントは使われないだろうと予想される訳ですが。ラストシーンが楽しみです。
 ※ラス前イベントもそうですね
 ただ、この条件下で書庫はどうなってしまうのでしょう。結構重要部分だと思うのですが
こちらに枚数を割くと(郁乃が主役なはずの)全体のバランス・話のテンポが崩れかねないと
思われるのですが…さて。

 「眼」の事とか、郁乃についても そうなのですが、相変わらず脇キャラが「自然」に
動いていて、それがさりげなく伏線に使われていたりして、上手いなぁと思います。
 本当にこんな些細な部分に違和感を感じるほどに。
>第八章
>「お姉さんも妹さんも、同じ学校になれてよかったね」
 ここは『ですね』ですね。
827名無しさんだよもん:2006/01/28(土) 13:45:41 ID:jMMsdkNY0
いい加減にしろ
828名無しさんだよもん:2006/01/28(土) 13:51:17 ID:ATOef5t80
キ印はスルー推奨
829名無しさんだよもん:2006/01/28(土) 14:08:12 ID:FEP6nSVm0
キ印>>827 (w
830名無しさんだよもん:2006/01/28(土) 14:18:31 ID:yuNbs1MU0
ここまでくるとスレ住人と作者双方に対する嫌がらせだな
831名無しさんだよもん:2006/01/28(土) 14:20:55 ID:6KUVYsGf0
自衛官で出張が多いってことは幹部か。
832名無しさんだよもん:2006/01/28(土) 14:37:09 ID:5EiHM8Ha0
しかし肩叩き券が洒落にならないような境遇。
833名無しさんだよもん:2006/01/28(土) 17:52:41 ID:OKd8EtAs0
>>821
ここまで俺の妄想と同じ内容だとは。
お前は俺かw
834名無しさんだよもん:2006/01/28(土) 18:08:53 ID:LL+tVLIIO
このみパパの台詞を若本則夫Voiceで脳内再生した俺は、もう駄目かもしれん。
835名無しさんだよもん:2006/01/28(土) 18:11:27 ID:XKbLQmgt0
>>831
技官じゃね?
中堅クラスの。
836名無しさんだよもん:2006/01/28(土) 18:31:28 ID:yuNbs1MU0
>>834
「クリはここ!」で三流。
「もっとセックスする!」で二流。
河野ぉ、貴様はいつになったら一流になるのだ?
837名無しさんだよもん:2006/01/28(土) 19:30:38 ID:9H3qg8Qr0
注:穴子さんです
838780:2006/01/28(土) 19:57:58 ID:p/IBpGCz0
>>809
突発屋さんGJ!
う〜、やっぱ本編が終わってからの方がいいのか〜。
あと一ヶ月以上はかかりそうだな^^;

ついでに、>>805の5行目(?)「各般」->「各班」ですね。

>>818
GJ!
続きが非常に楽しみです。 果たしてUMAはどこに潜んでいるのか?w
839名無しさんだよもん:2006/01/28(土) 20:01:48 ID:p/IBpGCz0
>>821
春夏さんは積極的だが、このみパパはもう少し複雑な心境の悪寒。
貴明にこのみを取られることを薄々覚悟しつつも、自分からは
「誘惑しているか?」などとは聞けず、春夏さんとの会話に
耳をダンボのようにして聞き耳を立ててる図を想像してました。
840名無しさんだよもん:2006/01/28(土) 20:45:00 ID:RpnUZt3R0
>>821貴明は雄二が好きなんだろ?雄二は貴明が好きだしな↓それのss
向坂雄二の婚約者=カリーナ・リン→カリーナ→カリナ→仮名
仮名「貴明!いつまでもいい気にならないで!雄二はあなたのこと単なる遊び相手としか見てないのよ
   いい加減分かったらどうなの?」  貴明「そんな…ことは…」
仮名「いいえ、そうよ!男のクセにちょっと綺麗な顔してるからって何よ!
   厚かましいにもほどがあるわ!雄二はね、今の学園を卒業したら私と結婚するの」 
貴明「そんな!」 仮名「出て行きなさいよ!この町から!」
(略)(向坂家の会合パーティ)
客1「ほぉ!」 客2「まぁ!」 客3「雄二さんのお連れの方、素敵な方ね!」
貴明「雄二…俺、恥ずかしい!」
雄二「みんな貴明を注目してるんだ。人の視線は気にしなくてもいい」 貴明「でも!」
雄二「ちゃんと顔を上げて前を向いているんだ、レディらしくにっこりと微笑んでいればいい
   しゃべらなければ誰もお前が男だと気づかない」
貴明(まさか、チャイナドレスを身につけさせられるとは、しかも胸パットも入れ
   ウイッグと化粧まで施されて…みんなの視線で、気が遠くなりそうだ…)
婦人「お久しぶりね。雄二さん」  雄二「どうも。ご無沙汰しています」
婦人「そちらの方は?」 貴明「!?」
雄二「学園の友人ですよ。今日は特別にパーティに招待したんです」
婦人「そう。本当にお綺麗なお嬢様だわ。今日は楽しんでいってね」
貴明「…は、はい(裏声)…ふぅ〜」
雄二「そらみろ。だれもお前が男だなんて気づきもしない。美人を見慣れたはずの面々でさえ
   お前の美貌にはまいっているようだ。何よりこの黒いチャイナドレスがとても似合っている」
貴明「そう、かなあ」
雄二「たまにはこういう格好をさせたいな。マーメイドラインなども似合う気がする」
貴明「冗談だろ!?」 
雄二「ふっ、まあいい。さあ次は藤子さんに挨拶しに行くぞ」 貴明「うん!」
841名無しさんだよもん:2006/01/28(土) 20:46:00 ID:RpnUZt3R0
仮名「くっ!ほんとに頭にくるったらないわよ!」 家政婦「仮名様!どうなされたんですか?」
仮名「雄二は居るかしら?」 家政婦「いえ、お出かけですが…」
仮名「夕べのパーティに雄二は貴明をつれていったって聞いたけどそれほんとなの?」
家政婦「はあ…」 
仮名「信じられない…私を差し置いて貴明を連れて行くなんて…
   雄二に用事があるの。居間で待たせてもらうわ。お茶を持ってきて頂戴!」
(パーティ後のホテル)
貴明「痛い!手を離してくれ!」
雄二「帰らせないぞ!俺は帰らせたくないんだ!俺は今こそ本当のことが聞きたい。
   なぜ俺の前から逃げて委員長とくっつこうとした!?」
貴明「それは…それは、いつまでも男同士で付き合ってるわけにはいかないと思ったんだ…」
雄二「バカなことを…貴明!」 ガシッ
貴明「だめだ!雄二!おまえにはちゃんとしたこんやくs…」
雄二「ちゃんとした…なんなんだ!?」
貴明「…俺たちはもう遊んでいられる歳じゃない!特にお前はそうだろ?」
雄二「遊びだと?そんな風に思っていたのか!」
貴明「思っていたよ!だからやめようと決心して委員長とくっつこうとしたんだ…」
雄二「勝手な奴め!」 貴明「…傷つけて、ごめん…」
雄二「おまえは俺のことが嫌いなのか?」 貴明「え?」
雄二「嫌いなのかと聞いたんだ!」 貴明「嫌いじゃ…ない」
雄二「そうか…わかった」 貴明「雄二!」
雄二「分かったと言ったんだ!…つまりお前は俺が嫌いではないが
   好きでもないわけだ…」 貴明「!?」
842名無しさんだよもん:2006/01/28(土) 21:09:51 ID:7UKPjBh1O
うほっ
843小ネタ1/3:2006/01/29(日) 02:45:02 ID:+WA1nDOY0
「うぅっ!!」
「はぁっ!」
男と女。身体を絡め合った二人が同時に声を上げる。
蜜が滴り落ちるほどに濡れそぼった女の膣に、男が自らの肉棒を深々と挿入したまま、
その身を震わせている。
男根が脈動し、女の子宮に溢れんばかりの子種を注ぎ込んでいた。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
荒く息をつく二人、力を失ってソファへと倒れ込んでいく。
男はゆっくりと自らの肉棒を女の膣から引き抜いた。
そして、女に身を寄せる。
「愛佳、大丈夫か?痛くなかったか?」
男は女の身体を労るようにそっと抱き起こした。
女の顔は紅潮し、まだ火照りがおさまらない様子だった。
「大丈夫です…や、や、その…気持ちよかったよぉ…河野君」
女は男の腕の中で微笑んでいた。
激しい行為の後で、その瞳はまだ潤んだままであったが、それはまた嬉し涙にも似たものであった。
「そ、そうか…ハハハ、今は河野君じゃなくてもいいぞ」
男は安堵の笑みを浮かべる。
女を抱く経験がまだ少なかったようだ。
「ふふふ…んふ…やだ、溢れてきちゃった」
女は男の腕の中からゆっくりと上体を起こす。
「え?」
そして、男が戸惑いの表情で見つめる中、自らの身体を男に向き合わせる。
「あたしの中に収まりきらないんだよ…ほらこんなに…」
女はそのまま、男に見えるように足を開いて見せた。
その膣口は、行為の余韻で閉じきらず、ヒクヒクと収縮を繰り返している。
そして、その内部からは白濁した精液がドロリと粘り気を帯びて流れ出ていた。
844小ネタ2/3:2006/01/29(日) 02:45:33 ID:+WA1nDOY0
「バ、バカ!足を開くなよ!恥ずかしいだろ!」
男はその光景から顔を背けた。
女の身体から漏れ出すのは自らの欲望の塊。
その光景は自らの弱点をさらけ出しているようだった。
「やだ…さっきまで私のお尻の穴までじっくり見てたくせにぃ〜」
そんな男の様子を見ながら、女は堪えきれずにプッと吹き出す。
身体の方も徐々に感覚を取り戻し、余裕が出てきたようだ。
「そ、それとこれとは別だ!」
男は真っ赤な顔を女から逸らし、後ろを向いてしまう。
ただの照れ隠しでしかなかった。
「こんなにいっぱい出してくれるなんて…私で感じてくれたんですね?」
女は自らの膣口から流れ出る男の精液を、慈しむように指で掬い取る。
「そ、それは…ま、愛佳があんまり締め付けるから…」
男は背中を向けたまま答える。
最後の方は良く聞き取れないような小さな声だった。
「そーなんですよぉ〜あたしのココは貴明君のが入ってると特別にキュキュッてなっちゃうんだよぉ〜」
女はそんな男をからかうように後ろから抱きつく。
豊満な胸が男の逞しい背中に押し付けられ、男はますます女の方を向けなくなる。
「そ、そんな…思い出させるなよ…」
遂に男はうつむいてしまった。
女も男に釣られて視線を下に向ける。
「あ…貴明君…もう復活しちゃったの…?」
その視線にあった男の陰茎は、先程大量に射精したのにも関わらず、
既に逞しく立ち上がっていた。
「うぅうう!えーい!襲ってやる!!」
男は女の手を振り払うと、女の方に向き直り、そのままの勢いで女を押し倒した。
「きゃああぁん」
女が悲鳴を上げる。
しかし、その顔は笑っており。
冗談めかして悲鳴を上げただけだった。
845小ネタ3/3:2006/01/29(日) 02:46:09 ID:+WA1nDOY0
一方そのころ、廊下では…
背にカバンを背負わせた制服姿の少女が独り、部屋の壁に耳を押し付けて息を荒くしている。
(ちくしょう…全部聞こえてんのよ…あのバカップルが!)
尻を突き出すようにして屈み込み、ショートカットの髪を乱しながら、何かに食い下がる様に扉に耳を押し当てている。
(『ちょっとだけ書庫が残してもらえるのよぉ〜』とか言って、喜んでたから来てみればぁああああああ!)
ついに聞いているだけでは我慢できなくなったのか、少女は扉の端に手を掛ける。
そして、ゆっくりと僅かな隙間を作り、どこから取り出したのか、ワザワザ眼鏡を掛けて中を覗く。
その目に飛び込んでくるのは、親友の艶かしい表情。
(な…何よ何よ…このエロ!あたしと一緒の時にはそんな顔見せないくせに!)←?


「は…は…くちゅん!」
女が突然クシャミをした。
「うおぁああっ!!」
その瞬間、女の全ての筋肉が一気に収縮を起こす。
当然、膣内の筋肉も収縮し、男の陰茎を中に収めていることなどお構い無しに急激に締まる。
そして次の瞬間には、もう既に熱い粘液が膣奥に流れ込んでいた。
「あれ?ひょっとして…もう中で出しちゃってます?」
「う…ぁあ…くしゃみなんてするから…シャレにならんほど締まったぞ!」
男は眉間に皺を寄せ、突然のトラブルに対処し切れずに脂汗を流していた。
「あーあ…挿れたばかりなのにぃ〜…誰かあたしの悪口言ったんですよ、きっと」
女の方は、心底残念そうに、痙攣し続ける男性器の根元を見つめるのみであった。


廊下
「こ…これで勝ったと思うなよーっ!」
放課後、誰も居ない廊下に、少女の声と走り去る上履きの音が響き渡った。

「ん?今なんか聞こえなかった?」
「た……貴明君…三回目なのにぃ〜」

(おしまい)
846名無しさんだよもん:2006/01/29(日) 02:46:44 ID:+WA1nDOY0
2番目で上げてしまいました すみません
847名無しさんだよもん:2006/01/29(日) 03:26:45 ID:KDGdYrau0
放置推奨
848名無しさんだよもん:2006/01/29(日) 04:17:00 ID:7Tm5LDf80
保管所って何で各キャラ3作品しかないんだ?
849名無しさんだよもん:2006/01/29(日) 04:18:56 ID:7Tm5LDf80
sage忘れスマソ
850名無しさんだよもん:2006/01/29(日) 04:23:29 ID:uJK304diO
>>848
各キャラ名のとこをクリックしたら見れるよ
851名無しさんだよもん:2006/01/29(日) 11:03:45 ID:F0iAJhbA0
いやー、ブラウンニッシュスゲーな。もうぐだぐだ
このスレで熊のぬいぐるみボディのミルファが受けたと見るや速攻で自分の作品に反映
いいかげん他から引っ張ってこないと発想が浮かばないのかよって感じだ
852名無しさんだよもん:2006/01/29(日) 11:21:29 ID:va3ug2FQ0
853修学旅行の告白事件 その2(1/8):2006/01/29(日) 13:23:13 ID:us04Sh+90
「愛佳、俺は大事な目的があってここに愛佳を連れ出したんだ」
 俺の言葉に、愛佳はびくり、と肩を震わせた。
「愛佳は俺がどうして此処に来たのかわかるか?」
「…『修学旅行のしおり』を作ってた時の…あれだよね?」
 よし。やはり愛佳にはわかってたんだ。
 これで目的自体は達成したも同然だ。
 そう俺は安心しかけた。だが…
「じゃあ、そろそろいこうか?」  
「え?行くって、どこに?」
 愛佳の思わぬ提案に俺は聞き返した。
「この展望台の裏手にある、絞りたての牛乳で作った美味しい
アイスが食べられるお店…じゃないの?」
「い、いや…悪いが、俺はそんな店は知らないんだ…」
「それじゃあ…その少し先にあるフランス留学していた有名なパティシエさん
の作る特製ケーキが売りのお店…じゃないよね?」
「いや…それも知らない…」
「え…と、じゃあ、さらに奥に行った所にある、
上質の小豆と砂糖たっぷりのあんこで有名な…」
「ちがうって」
 
なにやら話の雲行きが怪しくなってきた。
 なんでこういう話になる?しかも愛佳はこの辺りの店にやたらと詳しい。
 いや、落ち着け、俺。
「愛佳、しおり作ってた時のこと、覚えてるって言ったよな?」
「うん、あの時たかあきくんが読んでた雑誌のことじゃないの?」
 あの時俺が読んでた雑誌?そこにお店の情報が載ってたってことか?
 まあこの土地の情報誌だからな…
ということは、つまり…つまり…
854修学旅行の告白事件 その2(2/8):2006/01/29(日) 13:24:22 ID:us04Sh+90
・俺が自由行動を二人で廻ろうと愛佳を誘った時、この雑誌を読んでいた。
・だから愛佳は俺がこの雑誌に載っている場所の何処かに行きたいのだと考えた。
・愛佳にもこの雑誌の中に行きたい所があって、そこに俺が連れて行って
くれるのか、と楽しみにしていた。それで緊張していた。 
・そして告白の名所とか、ドラマのことは忘れている、あるいはもともと考えに無い……
 
 そういう結論に辿り着いた俺は、猛烈なめまいと虚脱感に襲われた。
 ああ、考えてみれば、なんと愛佳らしい考えだろうか。
そうだよな…愛佳がそんな器用に気をまわせるはずがないんだ。
 うわあ…馬鹿みたいだな。俺。いや、正真正銘の馬鹿だよ…
 もはや俺には告白を続行するような気力は残っていなかった。
 愛佳には行きたい所もあるみたいだし、これからそこに行くとしよう。
 反応から見ると、アイス屋かな?あるいはケーキ屋か?まあどっちでもいいか…はあ…

「だいじょうぶ?たかあきくん?」
 気が付くと、俺は地面に座り込んでいた。
 俯いた俺の顔を愛佳が心配そうに覗き込んでいた。
 愛佳は、俺の腕に軽く手を触れて、『飲み物でも買ってこようか?』と言ってくれた。
 愛佳はほんとに優しいよな、こんな俺にも。
「ああ、大丈夫。坂道を登って、ちょっと息が切れただけだよ」
 大丈夫じゃなくても、そう言い訳するしかなかった。
 愛佳にあまり心配させられないな。
 俺は展望台の手すりに掴まって立ち上がった。
 そこからの景色を見るともなしに眺めてみる。
 こうして見るとずいぶんと高いもんだな…
855修学旅行の告白事件 その2(3/8):2006/01/29(日) 13:25:09 ID:us04Sh+90
「綺麗な景色だね…たかあきくん」
 隣に来ていた愛佳がそう呟いた。
 そう言われて、俺はもう一度ここからの景色に意識を戻した。
 
 手前には大きな湖が輝いていた。
 その向こうに駅や商店を中心とした住宅街がにぎやかに集まっている。
 そしてそれらを取り巻く形で、背の高い木々が立ち並ぶ森がどこまでも広がっていた。
 美しい景色だった。
「ああ、綺麗だな…」
 俺は深く深呼吸しつつ、そう答えた。うん、いい景色だよな。  
 でもこの景色をこんなにも素敵だと感じられるのは、
今、愛佳が綺麗だと言ってくれたからだと思う。
 好きな人の存在って、そういうものだよな。
 たとえば愛佳と一緒にいい映画を見た時、愛佳も「いい映画だったね」って言ってくれたら、
その映画はずっと心に残るんだ。
 たとえば愛佳と一緒に美味しいお菓子を食べた時、愛佳も「美味しいね」って言ってくれたら、
そのお菓子は本当に美味しくて、その日一日を幸せにしてくれるんだ。
 俺は愛佳がいて、ずっとそんな日々を積み重ねてきた。
856修学旅行の告白事件 その2(4/8):2006/01/29(日) 13:26:38 ID:us04Sh+90
 …ああ、やっぱり愛佳にはずっとそばにいて欲しいよな。 
 俺は落ち込んでいた気持ちに活力が戻ってくるのを感じていた。
 やっぱり俺は愛佳に彼女になってほしい。
 今告白しなければきっと後悔するだろう。

「愛佳…実は、俺はここで愛佳に大切な話があるんだ…」
 俺はそう切り出した。もう後には引かない。
 心臓がバクバクいい始めた。
「大事なお話?」
「ああ、そうだ。だから逃げたりボケたりしないで最後まで聞いてくれ」
「ひどいなあ、ボケたりしないよぉ…」
 しまった。つい本音が出た。
 愛佳はちょっとすねてしまったようだ。
「話聞いてくれたら、後でアイスおごるよ。絞りたての牛乳で
作った美味しいアイス、食べにいこうな」
「うん」
 俺がそう言うと、愛佳はにっこり笑って、頷いた。
 ああ、眩しい笑顔だな…
 好きな人の笑顔って、どうしてこんなに胸に苦しいんだろう。
 ただでさえ緊張してるのに、勘弁してほしいよ、ほんと。
857修学旅行の告白事件 その2(5/8):2006/01/29(日) 13:27:26 ID:us04Sh+90
「大事な話、していいか?」
「…うん、お願いします」
 俺の深刻さが伝わったのだろう、さすがに愛佳も緊張した様子で俺に向き直る。
 今、俺と愛佳は展望台で静かに見つめあっている。
 もしこの告白の結果がどうであれ、俺は後悔しない。
「愛佳」
「うん」
「俺とつきあってくれ…もし愛佳が断っても、俺はもう二度とこの言葉、他の誰にも言わない…」

 ――しばらくの沈黙があった。
 愛佳は逃げ出したり、ごまかしたりはしなかった。
 それどころか、じっと俺を見つめていた。
 その視線は俺よりもしっかりしているくらいだった。

「はい…私と付き合って下さい…私も、他の誰からも、その言葉を受け取りません…」

 ――そして、愛佳は両手で顔を覆って泣き崩れてしまった。
 
 愛佳はずいぶん長いこと泣き続けていた。
「ごめんなさい…たかあきくん、ごめんね…」
 何度も何度もごめんなさい、と謝りながら泣いていた。
 その間はきっと俺の言葉も届いていなかった。
 なぜ謝るんだよ、愛佳…
 俺にはただ、愛佳の肩を抱いて、慰め続けることしかできなかった。
 刺すように降り注いでいた日差しが弱まって、丘に流れる風も少し冷たくなってきたころ、
ようやく落ち着いてきた愛佳が事情を説明してくれた。
「あたし、本当は気付いてたの。たかあきくんがこの丘に連れてきてくれた意味を…」
858修学旅行の告白事件 その2(6/8):2006/01/29(日) 13:29:31 ID:us04Sh+90
「たかあきくんが、自由行動にあたしを誘ってくれたとき、
もしかしたらそういう話かもしれないって思ったの」
 ドラマの告白の話が出た直後だったから、愛佳もそこに思い至ったのだろう。
「でも、考えているうちに、そんなのあたしの都合のいい妄想なんじゃないかって思えてきて…」
 そういう気持ちは俺にもわかる。ついさきほど経験したばかりだ。
「もし告白だったらすごく嬉しかった…だからこそ、期待しすぎて、
その期待を裏切られるのが怖かったの…」 
 ああ…たぶん愛佳はこうやっていろんな事を諦めてきたんだろうな。
 両親が病院の妹にかかりきりだったこと。
 だれかに抱き上げてもらった記憶がないこと。
 誕生日のプレゼントのこととか、俺が思い出せるだけでもいくつかある。
 きっと他にもあるんだろう。
 ほんとは愛佳だって、両親が構ってくれるのを待っていたんだろう。
 でも、その願いは叶わなかった。
 そんな中で期待を裏切られて傷つくよりも、最初から諦めてしまう、
そんな生き方をするようになったんだろう。
「それでも、もしかしたらって思う気持ちはまだあって。だから、この丘に着いた時は
ほんとにどきどきして…でも、ドラマに出てきた場所、通り過ぎちゃって…やっぱり
違うんだなってわかったら、いままで自分が期待してたことが情けなく思えてきて…」
「いや、そんなの俺の責任だよ。俺が勝手に頂上だと思い込んだから…」
 そりゃ、期待してたのに通り過ぎちゃったら、愛佳じゃなくともがっかりするよな。
 というか、ボケは俺の方かよ… 
 ちなみにドラマでは主人公とヒロインは丘の中腹にあるおだんご屋さんでのんびり
お茶とだんごを頂きながら愛を誓い合ったらしい。ってなんだそりゃ…
859修学旅行の告白事件 その2(7/8):2006/01/29(日) 13:31:43 ID:us04Sh+90
「それで、本当にあやまらなきゃいけないことは、ここからなの…」
 さっきまで少し落ち着いていた愛佳が、再び涙を流しながらそう告げた。
「たかあきくんが、『大事な目的がある』って言ったとき、またもしかしてって思ったの。
でも、もうこれ以上迷いたくなくて…だから、わざとアイスとかケーキとか、心にもない
ことを言ったの。 ほんとは期待してたくせに…あたし、卑怯だから…ずるいから…」
 愛佳は俺に自由行動に誘われてから、何度もあの雑誌を読み返し、
俺の目的をいろいろ想像していたそうだ。
 それであんなに内容に詳しかったのか…
「あたしがひどいこと言ったのに、たかあきくんは真剣に告白してくれて…
本当にうれしかった…だから、ごめんなさい…ほんとうにごめんなさい…」
 そして、全部話し終えた愛佳はまたうつむいて泣き始めてしまった。

 うむ…俺としては愛佳を責めるつもりなんかまったく無いんだけどな。
 むしろ俺の小細工で愛佳を戸惑わせたのが原因だろうと思うし…
「なあ愛佳、俺は愛佳が告白のことについて黙っててくれて、助かったと思っているんだ」
 俺はなるべく優しい声になるように努めながら、まだすすり泣く愛佳に話かけていた。
「だって、俺がこんな恥かしい計画まで立てて準備してたことなのに、
愛佳が最初から気付いてるってわかったら、俺は恥かしくて告白なんて
できなかったかもしれない」
 …愛佳はまだ、顔を上げない。この手じゃダメか…
「それに、愛佳はそれくらいボケてくれたほうが、かわいいと思う」
「ええっ!?」
 愛佳は俺の言葉に驚き、一瞬顔を上げたが、泣き顔見られるのが
恥かしいらしく、また俯いてしまった。
 ふむ…もう少しかな?それでは奥の手を。
「それより愛佳。だいぶ時間が押してるぞ?早くしないとアイス食べに行く時間が無くなる」
「ええええっっっっ!!!」
860修学旅行の告白事件 その2(8/8):2006/01/29(日) 13:33:11 ID:us04Sh+90
 愛佳は今度こそ跳ね起きて、慌て始めた。よし、作戦成功。
「おらおら、そんなひどい顔でアイス食いに行くのか?さっさと直してきな」
「う〜、たかあきくんの意地悪〜」
 愛佳は恨み言を残して近くのトイレに駆け込んだ。
 待つこと数分…
「待たせてごめんね、たかあきくん」 
 トイレから戻った愛佳はすっかりいつもの愛佳だった。さすがは女の子。
 恐らくトイレの中で手持ちの化粧品を駆使して戦いを繰り広げたのだろう。
 俺のような無粋な男には永遠に理解不能の世界だ。
「遅いぞ、愛佳。さっさと行こう」 
 愛佳が落ち込みに入る前に目的地にせかす。
「あの、ほんとにごめん…」
「もう謝らなくていいから。それより俺たちが付き合ってから初めての
デートだぞ、気合いれて楽しもうな?」
「……たかあきくん、ありがとう……」
 そうさ、俺たちはもう恋人なんだ。
 過去なんか振り返ってる場合じゃない。
 これからは恋人同士の楽しいイベントだってたくさんあるんだ。たぶん。
「あ、あの…たかあきくん、お願いがあるんだけど…」
 おおっ!さっそくお願いイベントですか?!すごい!すごいぞ!愛佳!!
 どんなお願いだろう?
 ”手をつなごう”かな?”キスしよう”かな?そ、それとも、もしかして…
「…後でケーキ屋さんも、寄っていい?」 
 うわ。そうきましたか。いやあ、もちろん大歓迎です!
861修学旅行の告白事件 その2:2006/01/29(日) 13:33:58 ID:us04Sh+90
 今回はここまででお願いします。
 あともう少し続きます。
 残りは火曜日までには。
862名無しさんだよもん:2006/01/29(日) 13:38:51 ID:qB86lh3A0
>>861
GJ!
貴明の「他の誰にも言わない」と、
それに対する愛佳の「他の誰からも、その言葉を受け取りません」がツボに来た。
863名無しさんだよもん:2006/01/29(日) 15:26:08 ID:KepvN99+O
>>861 続き待ってましたよー(゜∀゜≡゜∀゜)
いや〜、漏れも>>862に同意。良い感じの台詞です。GJ!!
続き期待しとりますよ〜。
864名無しさんだよもん:2006/01/29(日) 16:07:41 ID:tUUMPGSn0
>861
GJ!告白台詞かっこええ〜!あと貴明の心の声がなんだか可愛いw
865名無しさんだよもん:2006/01/29(日) 16:55:05 ID:OY3sIYie0
>>861
続き、喜多ーー!!
それにしても、愛佳の「ごめんなさい」は心臓に悪いな。

で、UMAはどこですか?w
866石焼き芋(1/2):2006/01/29(日) 18:28:11 ID:DrnAIkCK0
帰り支度を終えて校門を出ると、愛佳がガードに腰掛けて待っていた。
いつものショールをマフラー代わりに巻き付けて、肩には紺のスポーツバッグ。
茶色に近いオレンジのコート。両手はポッケ。裾から伸びた生足が、冬の日差しに白く映える。

「待たせて悪い、寒かったろ?」
「ううん〜、全然平気だよ〜。じゃいこっか」
「うん…って懐になにを入れとる。」

普段なら二人で繋ぐ手を、今日はポケットから出さない愛佳。
しかも何故か、コートの胸のあたりが不自然に膨らんでいる。
愛佳のアレがいくら最近おっきくなってるとはいえ………ゴホン。いや、なんか隠し持ってる。

「えっ?な、なんでもないよぉ?さっき買った焼き芋を家で食べようなんて思ってないよ〜?」
あっさり自供。寒くなかったのはそのせいかよ。

「…独り占めはずるい。俺にもよこせ。」
「うぅ〜、貴明くんにカツアゲされるぅ〜」
泣きを入れながらコートの前を開いて茶色の紙袋を取り出す愛佳。
俺は無意識にそれを覗き込み、開いた胸元からこぼれる制服の赤にどきり。
867石焼き芋(2/2):2006/01/29(日) 18:29:07 ID:DrnAIkCK0
「???。はい、半分こでいいよね?」
目を逸らした俺の様子を不審がりながら(無防備なんだよ)
愛佳は紙袋から焼き芋を一本取り出して(名残惜しそう)
あろうことかそれをさらに半分に折って(ケチくさ〜)
ひとつを俺に渡し、片割れを紙袋に戻す(あれ?)

「サンキュ。って愛佳は食わないのか?チンして食うより蒸かしたてのが美味いだろ?」
「え、え〜っと、それはそうなんだけど…」
なんだその歯切れの悪い回答は。しかもなにやら口をもごもご反芻。

…さてはこいつ、既に一本食ってるな。

「愛佳、あ〜ん」
「へっ?」
「口を開けて見ろって言ってるの」
「えっ、えっ?いやだなぁ〜貴明くん。こんなところでセクハラはだめですよぉ〜?」
こんなところじゃなけりゃいいのか。とにかく、こんなやつオシオキしてやる。

俺は愛佳の腰に右手を回すと、抱き寄せるようにして脇腹をくすぐった。
「ふひゃあっ?わわごめんなさいごめんなさいそこダメっ!?っひゃはははくすぐったいぃぃ!」
暴れたところで、両手で焼き芋の袋を後生大事に抱えている愛佳には抵抗手段がない。
厚手のコートの上からではあるが、脇やら背中やら俺に好き放題もじゃくられ大騒ぎ。
堪らず大口を開いた愛佳の歯の間には、やっぱり黄色い欠片が挟まっていましたとさ。

追記:結局、愛佳は俺の芋を半分以上食った上に、家に辿り着くまでにもう一本食った。
868石焼き芋:2006/01/29(日) 18:30:37 ID:DrnAIkCK0
愛佳スレ621にうpされてたG'sの表紙絵と、同625-626から妄想しますた。既に恋人設定
869名無しさんだよもん:2006/01/29(日) 19:24:27 ID:OY3sIYie0
>>868
GJ!
ところで、貴明。 これは立派なセクハラです。 通報しますたw
870名無しさんだよもん:2006/01/29(日) 23:10:31 ID:Jumiw+C50
いいよいいよ〜。お二方とも乙&GJですた。

>>861
真面目な話、非常に感動した。
台詞がまた心に染みる。

>>868
おのれ貴明、セクハラとはなんてうらやま…じゃなくて
けしからんw


あ〜、俺もなんか書こうと思うのにいざPCの前に座ると
やる気が失せるのは何故だ…orz
871名無しさんだよもん:2006/01/30(月) 01:10:59 ID:l2hZoyM90
>>870 KIA ! >>870 is KIA sir !
872名無しさんだよもん:2006/01/30(月) 10:23:12 ID:B16I6Qzi0
現在容量が488kbな訳だが
873名無しさんだよもん:2006/01/30(月) 12:24:15 ID:GzQ1LVZYO
>>872
つまり、君は私に残りの容量で春夏さん凌辱ssを書け…、と言いたい訳だね。
874名無しさんだよもん:2006/01/30(月) 13:19:29 ID:tzSPjTub0
新スレ
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1138594672/

それでは残りの容量で春夏さん凌辱SSをどうぞ↓
875名無しさんだよもん:2006/01/30(月) 13:39:12 ID:Ok3FZ1mW0
 平和な柚原家の午後の昼下がり、だがその平穏は突如として破られた。
 ピンポーン
「はーい」
 チャイムの音ににパタパタとスリッパの音を立てて玄関へ出向く春夏。
 インターフォンで相手が何者かを確かめなかったのは迂闊な話だった。
「どちらさまでしょう……か……」
 ドアを開け、目の前に立っていた男の姿に春夏は戸惑う。
 男は目出し帽を被っており、手には粘着テープが握られていた……

「ん〜!ん〜!」
 粘着テープで口をふさがれ、両手を後ろでに何重にも縛られた春夏は玄関前に転がされる。
 男はドアの鍵を閉め、土足で上がりこんできた。
(嫌……いきなりどうして……誰か……助けて……)
 気丈な春夏も突然の事態に涙を浮かべてしまう。
 そんな春夏を気遣うそぶりも見せず、男は無造作に春夏の胸に手を伸ばし揉み始めた。
「んっ!んん〜〜!(い、嫌ぁ〜!)」
 年齢不相応に垂れる事もなく弾力がある春夏の胸が、男の掌の中で形を変えてゆく。

(以下誰か続けて)
876名無しさんだよもん:2006/01/30(月) 15:23:06 ID:GzQ1LVZYO
ガッ!!
暴漢の動きが止まり、ゆっくりと崩れ落ちる。
雄二「大丈夫ですか、春夏さん!?」
暴漢の後ろから鉄バットを持った雄二が姿を現す。
ビリビリビリ…
雄二は屈みこむと春夏の口に貼られたガムテープが取り除く。
春夏「うっ…ぁ…、あっ、うぐっ…ありがとうユウくん。」
雄二「いえ、それより大丈夫ですか?」
春夏「えっ、ええ。ユウ君のお陰よ。
悪いけどこっちもほどいてくれる?」
そう言って自分の縛られた手足を動かす。しかし…
雄二「はっ…あはははは!!いひひひひ!!」
春夏「ユ…、ユウ、君?」
何がおかしいのか狂った様に笑い続ける雄二。
春夏「ユウ君!!」
雄二「…っひひ。本当に助かったと思ってるんですか、春・夏・さ・ん」
春夏「どういう…事…きゃっ!?」
雄二は春夏の股間に顔を埋め、舐めまわし、下卑た笑い声をあげる。
雄二「くひひ。はぁはぁ、まじたまんねえ〜〜ょ〜〜ぉ〜ぅ!!」

↓以下頼む
877名無しさんだよもん:2006/01/30(月) 19:18:45 ID:pD7vysqS0
ガチッ!ギギギギギ
「ああ頭が割れるううう!!!!」
春夏の股間に顔を埋めていた雄二は後ろからタマ姉のアイアンクローを喰らってあえなく気絶した。
「まったく、雄二がいきなり出ていったから何かと思えば・・・何やってるのかしら」
タマ姉はやれやれといった顔で春夏に話しかけた。
「大丈夫ですか?おばさま」
「え、ええ、なんとか・・・」
春夏はやっとホッとした顔で答えた。
しかし・・・
「おばさま、ホッとするのはまだ早いですわよ」
「え?どういうこうふっ!」
思わず聞き返そうとした春夏の口はタマ姉の唇で塞がれた。
「その若さを保つ秘訣、教えてくれませんか・・・」

↓続きよろしく
878名無しさんだよもん:2006/01/30(月) 19:34:25 ID:dgXBlrxiO
『ヲフ、ヲフ━』
「にゃぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」
春夏の唇を塞いでたタマ姉は突如現れたゲンジ丸に驚き逃げた。
『ク〜ン』
春夏の頬を優しく舐めるゲンジ丸
「ありがとね、ゲンジ丸」
ほっとした様子でゲンジ丸を撫でる春夏
『ヲフ、ヲフ━━』
しかしなにを思ったのか、ゲンジ丸は春夏の股間を舐め始めた
「ち、ちょっとゲンジ丸!?やめなさい!」


続きヨロ↓↓↓↓↓
879名無しさんだよもん:2006/01/30(月) 19:42:50 ID:siN2MbDz0
どがっ!
「わ……わふっ?」
後頭部を強打され、崩れ落ちるゲンジ丸。
「ぷはっ!」
「お、お母さん……」
そこには雄二が使っていたバットを両手で構えた愛娘、このみの姿が。
「こ、このみ。早く解いて頂戴?」
「……お母さん、ユウくんだけじゃなくってタマお姉ちゃんやゲンジ丸まで誘惑して……」
「ちょっと!? このみ、何言ってるのよ?」
「もしかして次は、このみのタカくんまで……そんなの許さないもん!」
「そ、そうじゃな………ああんっ!?」
「はむっ、ちゅ、ちゅ、このおっぱいがタカくんを……こんないやらしいおっぱいなんか、はむっ!」


↓後を頼む。
880名無しさんだよもん:2006/01/30(月) 21:36:46 ID:4acHNXf+0
「はむ、はむ、んっ、ちゅぱっ」
春夏の胸を責めるこのみ、だが吸い方はどちらかというと乳飲み子のそれに近い。
「あっ、こ、こらぁ、ぁん、やあぁ…」
「ふみゅ、んぐっ、お母さんのおっぱい、美味しいよぉ…ほぎゃっ!」
がこん!と強烈な拳がこのみの脳天直撃。そのまま足元にひっくり返る。目が渦巻。
「な〜にやってんスかね。このガキんちょは」
「赤ちゃんじゃあるまいに…似たようなもんか」
呆れた顔で見下ろすのは吉岡チエ。淡々とこのみを転がして片づけてるのが山田ミチル。
「あ、ありがとう。どこかで育て方間違えたかしら…悪いけど、解いてくれる?」
だが二人は春夏を眺めたまま動かない。
「う〜ん、このみの母親とは思えないエロい胸」
「ちょおっと失礼するッスね」
「え?な、なにを・・・あんっ?」
いつのまにか後ろに回ったミチルが春夏の胸を掴む。
目の前ではチエが自らのブラウスの前をはだけている。
「む〜、大きさでは良い勝負だけど」
「くぅっ、色気ではだいぶ…てやっ」
チエはブラを外して自らの乳房を取り出すと、春夏の胸に押しつけてきた。

↓後はしらん。
881名無しさんだよもん:2006/01/30(月) 23:18:18 ID:rYOSw+VC0
じゃ、今度の日曜日午後6時に
渋谷駅前の北大路珍宝堂でちんこオフね
あの店、ちんこウインナーコーヒーがおすすめなんだ
幹事のゾニたんが一足先に行って、オードブルの
ちんこフランクフルトとちんこウインナーコーヒーを
人数分頼んで待ってる手はずになってるんだけど
食い意地の張ってるゾニたんは、みんなが来る前に
全部平らげてしまうかもって心配してる人もいるかもしれないね
もしそんなことしていたら、ゾニたんは花男会除名の上
簀巻きにして東京湾に放り込む手はずになってるから心配ないよ
それとも、メインディッシュの花火たんのちんこを
しゃぶらせないほうが、ゾニたんには堪えるかな?
じゃ、みんな遅れずに来てよ。待ってるからね♪

882名無しさんだよもん:2006/01/31(火) 00:34:16 ID:Zn0XDZwF0
カコナール  パンチョさんのリクエストです

薬シリーズ最終章
さすがに薬シリーズはいいかげんにキツイのでなんとこれが最終回。そうです。「風邪にカコカコカコナール」のCMで有名はアレである。
良く考えたら現物見たこと無し。早速、店に行って現物を見る・・・・。
液キャベより小さいではないか。
本気でイヤな予感がする。はっきり言って小さい。小さいのにこの量が許容量ってことは・・・・ミニカップメンを満たすには10本くらい・・・。
今回は本気で悩んだ。多分10本飲んだら死ぬ。間違いなく死ぬ。それに絶対食い切れない。残す。もったいない。
というわけで今回は少し違います。
とりあえずカコナール2本。麺は砕いて一口分。
こうでもしないと食えないであろう。パンチョさん許して下され。
早速2本を沸騰させる。
もうやめていいですか?
薬シリーズに共通する危険な匂い。目にしみる蒸気。高鳴る心臓。
この手のパターンは危険という事が遺伝子に組み込まれたようである。進化したかも。
今回はカップメンの容器にはいれていません。ナベ(マグカップ)に直接砕いたメンを適量入れた。
手元にあるクソゲーでフタをして3分!やっぱり食いたく無いナリ・・・でももったいないから食う!!
風邪が悪化する味!!
まじい!!涙と鼻水が一緒に出るくらいマズイ!!食べのもにあらず。言ってしまえば
毒・ 毒・ 毒・ 毒・ 毒・ 毒・ 毒
心臓がドクドクします。やはり地獄であった。やはり薬は何をやってもまずい。
最終回にして大正解であろう。といわけで、もう薬のリクエストは受けません。絶対に受けません。寿命が短くなってしまう。
風邪にカクカク腰を振る  −★★★
883名無しさんだよもん:2006/01/31(火) 00:37:14 ID:Zn0XDZwF0
>>194
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1107171407/71
窓から降り注ぐ月光が、寝台に横たわるアリーナを包み込む。
生命力の残滓が脊髄の中心から沁み出る感覚を得て、
アリーナの唇は密やかな吐息を洩らした。
ぼろ雑巾のように酷使された彼女の筋繊維は互いに引かれあい、
昔日のそれよりもさらに強固でしなやかな姿を取り戻しつつあった。
ドラゴンライダーの操る竜に噛みちぎられた太股の断面からは、
陽光に向かう若木さながらに大腿骨が伸びてきた。
高熱のガスが直撃して炭くれとなった右手の先には、
早くも薄紅色の爪が五つ現れ出ていた。
床にだらしなく垂れていた錆色の腸は瑞々しさと弾力を取り戻し、
腹に開いた傷口を目指してうねうねと寝台を這い上がった。
長剣を深々と突き込まれた眼窩の中に
温かい液体がじんわりと満たされる感触を夢見心地に感じながら、
アリーナの意識は闇の深淵に落ち込んだ。

「おはようございます。ゆうべはよくおやすみでしたね」
884名無しさんだよもん:2006/01/31(火) 00:38:59 ID:Zn0XDZwF0
「ストローおじさん」って知ってる?
昔、映画館とかに置いてあったタン壺(みんながカ〜ッペ!とタンを吐く壺)にストロー突っ込んで全部飲み干すらしいよ。
ゴックンゴックン!
ストローが透明だから飲んでるのが丸見え!
たまにハナクソが詰まるらしいけど、思いっきり吸って食べるらしい。
スッポン!
ちなみにストローは絶対に洗わない方針だそうです。

「どんぶりおじさん」もいるようです。
タン壺を熱いご飯にぶっかけてジュルジュル流しこむように食べるそうです。
ごはんの上にハナクソとか鼻毛が丸見え!
汁はご飯の隙間を通って下に溜まるけど、全部飲み干すそうです。
885名無しさんだよもん:2006/01/31(火) 00:40:13 ID:Zn0XDZwF0
スレ名:ウホッ【DQ&FF各シリーズで好き・いい男】イイオトコ
板 名:FF・ドラクエ@2ちゃんねる
投稿者:
メール:sage
投稿日:2005/01/20 23:41:47
本 文:

「ほっほっほ、ではこれならどうでしょうか。」
とある遺跡にて、愛する息子を守るため魔物の集団と戦っていたパパス。はじめは善戦するも、
劣勢になった魔物の大将ゲマに息子を人質に取られ、状況は一変する。
「あなたの子供がどうなってもかまわないのなら、精一杯戦いなさい。」
ガスッ!ドガッ!!
あと少しで止めをさせたはずの、馬とサイの面をした魔物にいい様になぶられるパパス。
みるみるうちに傷が、痣が増えていく彼に、更なる地獄の仕打ちが加えられる。
「…ぐあ…ぎゃああ…」
魔物はなんと彼の股間を思い切り蹴り上げた。ただでさえ男にとってこれは耐え難い激痛なのに、
人間などよりはるかに力と体重のある魔物にやられたのだから、その痛みは筆舌に表しがたいものだったろう。
たまらず声を上げ、うずくまろうとするパパス。しかし…
「動いてはいけません。動くとあなたの子供にも同じ仕打ちを与えますよ。」
パパスはただひたすら耐える。何十何百と股間に痛撃を加えられ、数時間にわたってその饗宴は繰り返されても、
金玉がまるで狸の置物のように巨大に腫れ上がり、ちんこも世の男性すべてが羨む様な巨根に腫れ上がっても…
痛みだけでもショック死するほどの苦しみの中、彼は愛する息子の無事を祈り必死に耐え続けた。
886名無しさんだよもん:2006/01/31(火) 00:42:06 ID:Zn0XDZwF0
「何やってんだてめえら。そんなにキスが嫌か?だったら俺が無理やりにでも
ディープキスさせつづけてやろうか?」
そして塩田は、予め用意していたのか瞬間接着剤を取り出して、
俺達を押さえつけて口を開かせる。
「どんなにもがいても舌を抜くことが出来ないように、お前の舌をアイツの口の中にくっつけてやるからな」
そう言われ、僕は無理やり舌を引きずり出され、佐藤君の下唇に瞬間接着剤を塗った後、
僕の舌を彼の口に無理やり差し込んだ。
「ンン〜〜…グ〜〜ッ!!」
お互い喋る事も出来ずに、言葉にならないうめき声を上げてもがいている。
「ギャハハ、こいつら男同士で愛し合ってるぜ!末永く幸せに暮らせよ」
両手は使えないよう、相手の背中で組んだ体制のまま縛られてるので、
もがけばもがくほど、あたかも熱い抱擁をしているかの様になってしまう。
僕の舌は彼の唾に浸り続け、ついに耐え切れず嘔吐してしまった。
「ゲーッ!!ゴェエエエ!!」
吐瀉物は彼の顔全体にかかり、鼻の穴にも、わずかに開いた口の隙間からも入ってしまう。
すぐに彼も吐き返して来ると覚悟した。だが、優しい彼は僕を気遣ってか、
必死に吐き気を堪えているようだった。
しかも口の中に吐き出してしまった吐瀉物も飲み込んでくれていたようだった。
滝の様に流れる涙と、強く抱きしめる彼の腕が痛々しく申し訳ない。
(佐藤君、ごめんね)
僕は必死に心の中で謝り続けた。
887名無しさんだよもん
スレ名:ときめきメモリアル2 〜その23〜
板 名:ギャルゲー@2ちゃんねる
投稿者:みかる#mikaru
メール:sage
投稿日:2005/03/30 0:14:56
本 文:

「見ろよ、これ」
  沙希の目には、べとべとに汚された弁当が映った。
 「食え」
  ぞっとする沙希。
 「折角つくったんだろ? 食えよ」
 「お、お願い……それだけは許して………」
 「ダメだ、食え」
 「絶対に出来ないよぉ!」
 「絶対なんて軽々しく言うな。無理やりにでも食わすぞ?」
 「いや……気持ち悪い………」
 「気持ち悪いだと!? てめぇ俺のザーメンが気持ち悪いってのかっ!?」
 「だって……だってぇ……」
 「食え!」
  いきなり利雄は弁当を鷲掴みにすると、それを沙希の口に押しつけた。
 「うっぷ! いやぁ〜っ!」
  今度ばかりは必死に抵抗する沙希だったが、叫んだ口から無理やり精液まみれの飯やおかずが押し込まれた。
 「げっ……お……」
  舌で必死に押しだそうとするが上手くいかない。