【はい】   朋也が居る風景   【スタート】

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251名無しさんだよもん:2006/03/10(金) 04:02:41 ID:N88KnrFs0
岡崎家の、とある夕飯後の風景。
とも「…それでね、こんなことがあったんだよー」
智代「そうか、それは大変だったな」
何気無い会話に、あふれる笑顔。朋也は幸せだった。
自分が触れることができなかった、家族の温もり。
求めても叶わない、くそくらえとさえ思っていた。
だけど、今は違う。それらは、間違いなくここにある。
立場は変わってしまったが、だからこそあの時よりも強く思う。
それは同時に、それだけではいけない、大きな使命も感じていた。
決してこの笑顔を絶やさない、家族の幸せは自分が守るんだと。
そして、それが自分の使命であり、幸せなのだと―――。
朋也「(…古河のおっさんも、こんな感じなのかな?)」
そんなことを考えていたら。
とも「そうだー、今度、先生がかてーほーもんに来るって」
智代「家庭訪問?そうか、色々準備が要るな。古河さんにもその日は休ませてもらうよう言わなければ」
朋也「アレ?そう言えば、ともの担任の先生なんていったっけ?」
智代「…お前はそんなことも知らないのか。藤林先生だ」
朋也「へー、藤林先生ね。…ん、藤林?」
智代「お前も良く知っているだろう。藤林杏、双子の姉の方だ」
朋也「なにーっ!?あいつは保育士になったんじゃないのか!?」
智代「お前は知り合いのことをまるで把握してないのか。確かに保育士の資格もあるが、このご時世だ。なかなかそっちの仕事も大変らしくてな。
   それで大学で小学校の教諭の免許も取ったそうだ」
朋也「あ、あいつが教師?」
智代「小学校の教諭は大変なんだぞ。全科目教えてるんだ。現役で受かるだけでも難しいことだぞ」
呆然とする朋也。それにさらに追い撃ちをかける智代。
智代「そうだ朋也。お前もその日は有給使って休め」
朋也「何で俺までーっ!?」
智代「当然だろう、ともが学校でどんな生活をしているか知っておく義務がある。そのいい機会じゃないか。それに、友人にも会えて一石二鳥だろう」
朋也「い、いや。そんなこと言われても…」
智代「…何か都合の悪いことがあるのか?返答次第ではただではすまんが…」
朋也「い、いえ…。喜んでご一緒させていただきます…」   
252名無しさんだよもん:2006/03/10(金) 13:04:04 ID:joc+SUh60
金曜日、今日はともの担任による家庭訪問日。それはつまり、あの藤林杏が家にやってくる。

朋也「智代、マジで外させてくれ…」
智代「今更何を言っている。仮にも相手はともの面倒を見てくれている先生なのだぞ。そんな失礼なことが出来るか」
朋也「けど、あの杏だぜ…。人をバイクで撥ねてもケロッとしてる女だ。あんな血も涙もない非道な奴が教師をしてるって、冗談キツイ…」
朋也は、ふと開かれた窓から外に目をやる。突然、何か目に飛び込んできたと思った次の瞬間、顔に鈍い痛みが走る。
朋也「ぐあぁっ!!」
のた打ち回る朋也。何とか痛みに耐えながらもう一度その方向に目をやると、そこに立っていたのは。
杏「誰が血も涙もない非道な女ですって!?全く、わざわざこうして出向いてきてるのにひどい言われようね!」
朋也「ぐお…まるでかわっとらん…。てゆうか、教科書投げつけやがった…、本当にお前教師かよ…?」
杏「あったりまえじゃない!だからそうやって教科書持ってるんじゃないのよ」
朋也「そういう意味じゃねえ…。商売道具を飛び道具にするのが教師のやることかって言ってんだ…」
杏「あら、大丈夫よ。次はこの最新作『ハリー坊ちゃん』上中下巻でいくから。もちろんハードカバーよ♥」
朋也「(…マジで命に関わる。何も言うまい…)」
253名無しさんだよもん:2006/03/10(金) 13:04:58 ID:joc+SUh60
そして杏が部屋に上がる。早速話が始まるのかと思いきや…。
杏「ともちゃん、先生、パパとママとお話しするから、少しお外で遊んできてらっしゃい」
とも「はーい」
朋也「って、おいおい!家庭訪問って、普通子供も交えてやるもんだろ?」
杏「いーのよ、あたしはいつもこうしてるから。生徒がいると却って話しづらいこともあるでしょ?それに、あんた達と一度ちゃんと話したかったし…」
そして杏は朋也と智代を凝視する。それは教師と親の立場ではなく、それ以前の高校生の頃の三人に戻った感覚に朋也は襲われた。
杏「…ふん、あんたも悪運の強い男ね。怪我して生死の境を彷徨ったみたいだけど、いっそ死んでしまえばよかったのに。
  そしたら智代もともちゃんもこんな甲斐性無しの男と別れられて、もっといい人を見つけられはずなのにね」
朋也「オイ!いくらお前でも言っていい事と悪い事ってもんが…」
さすがにカチンときた様子で智也が語気を荒らげるが、それを隣にいた智代が制する。
朋也「智代…、…杏?」
杏「…ごめんね、朋也。本当にそう言うつもりだったんだ。もし、智代とともちゃんが幸せじゃない生き方をしてたらさ…」
智代「いいんだ朋也、彼女には全部話してある。その上で朋也を試すようなことを言ってみただけなんだ」
杏「智代から全部聞いたよ。あの子の生い立ちや、今まで味わってきた苦痛も、…そして、今のともちゃんのことも。
  ともちゃんは、本当にいい子。とても明るくて、他の生徒もみんな大好き。もちろん、あたしもね」
朋也「そうか、よかった…」
杏「…でも、ともちゃんが一人ならあんな風になれなかったと思う。あんた達がいたからこそ、あの子はあんなに幸せで…」
254名無しさんだよもん:2006/03/10(金) 13:06:07 ID:joc+SUh60
そこで杏は一息ため息をつくと、少しもの悲しげな瞳で再び語り出す。
杏「あたしも教師になってから、その前に大学の時に保育士の仕事もしていろんな家族を見てきたけど…、どこも何かしら問題を抱えてて…。
  実の親子なのにまるでそうじゃないみたいに、それどころかそのことが苦痛になっていて、本当に可哀相な子供が多すぎる…。
  家族なのにそれが幸せじゃないなんて、あまりにひど過ぎるっ……」
朋也・智代「……」
杏「朋也の家族のことも、智代の家族のことも聞いたよ。二人も、それぞれ辛い思いをしてきたみたいだけど、だから今があるのよね。
  そして、それを二度と繰り返さないように…。ともちゃんは二人の愛情をたくさん浴びて、本当に幸せそう。
  例え血の通った親子でも、こんなことはなかなかできない。二人は本当にすごいよ」
朋也「別に…、俺はただ当たり前と思ったことをしてるだけで…」
杏「その当たり前が一番難しいの、今は。本当に、どうしてこうなっちゃったんだろうね…?
  でもね、人はずっと同じ場所には居られない。前を向いて歩き続け、たくさんの人に出会い、時に喜びを分かち合って、時に傷つきながら…
  そうして成長していく。それが、生きるってこと。だけど、時には一人では抱え切れないこともあって、どうしようもなくなることが必ずある。
  もしともちゃんにそんな時が訪れたら、その時あの子を支えてあげるのは、やっぱりあんた達二人」
朋也「杏…」
杏「特に朋也、父親の存在は本当に大きいのよ。あたしも今この立場で見て、痛いほど感じてる。父親の意識のさじ加減で家族の人生がまるで違うものになるって。
  もちろんあたしも出来るだけ不幸な子供が居なくなるように努力する。でも、教師は親じゃない。やっぱり限界があって、親にしか出来ないことってたくさんある。
  だから、二人にお願い。ともちゃんがずっと幸せで居られるように…、あの子にもう二度と余計な苦しみをさせないように…」
智代「…ああ、当然だ!ともは私達が守ると誓ったんだ。だから、見ていてくれ。時には困って、手を煩わせるかもしれないが、その時は力を貸してくれるか?」
杏「もちろん!…って、朋也!あんたはなにぼーっとしてんの。あんたにも言ってんだからね」
朋也「いや…。杏、お前、なんだか教師みたいだぞ…」
255名無しさんだよもん:2006/03/10(金) 13:07:47 ID:joc+SUh60
ずがっ! どかっ!!
智代と杏のコンボ炸裂、72HITS!!

杏「あんたは今更何言ってんのーっ!!最初から教師だって言ってんでしょーがっ!!!」
智代「朋也、今までの雰囲気が台無しだ…。これでは先が思い遣られるな…」
朋也「冗談だって…」
杏「だったら、あんたもなんか言いなさい。父親としての使命とか、なんでもいいから」
朋也「そうだな…。杏、ありがとう。俺達はとても幸せだ。そして、それを決して絶やさないように頑張るからさ、お前も頑張って早く結婚…」

ぐしゃっ! べきっ!! がこぉっ!!!
智代と杏、さらに可南子のコンボ成功、93HITS!!!

杏「だ〜れ〜が〜そんな話をした〜〜〜!!次言ったら、サオの先から赤い玉が出ても許してあげないからね!!!」
朋也「杏…、お前、それ意味知ってて使ってるのか…?」
杏「当然!男が一生の最期を迎える時にはそうやって赤い玉出すんでしょ?それはいいとして、あんた達が早すぎんの!今年で23じゃない!!」
朋也「……確かにある意味最期だが…。もう止めとこう…」
智代「全く懲りない男だな、お前も。さすがに口が過ぎるぞ」
可南子「バーカ、バーカ!朋也のバーカ!!」
朋也「…って、何でお前にまで殴られにゃならん!?」
可南子「いや〜何となく、楽しそうかなーって思って」
256名無しさんだよもん:2006/03/10(金) 13:08:32 ID:joc+SUh60
杏「はあっ、朋也も変なところ昔のまんまねー。智代も苦労しそうだわ。あー疲れた、なんか冷たいもんない?」
朋也「お前に言われたくない…。って、杏!何をくつろいどる!?お前用がないなら次の家に行けよ!」
杏「やーよ。今日はここが終わりだもん。それに明日からもう休みだし、もう教師モードはオフにしたから」
朋也「お、お前…、わざとこの時間を家にしたんだな…」
杏「いーじゃない、昔の友達がこうして遊びに来たと思って歓迎してよ。今時は小学生の親でも40、50代って珍しくないからさ、
  やっぱそういうの相手にするとどうしても気を遣うからさ、疲れんだよねー」
朋也「お前、本当にさっきと同じ人間か…?」
可南子「ともさんの先生ですか?はじめまして。あたしは智代先輩の弟の彼女の可南子って言います。あ、これ途中で買ってきた熊本名物
     『いきなり団子』です。うまいですよ〜」
杏「あら、これはご丁寧に。ともちゃんの担任の藤林杏です。でも、今は先生って呼ばないでね☆…あっ、これおいしー!智代〜、お茶ちょーだい」
朋也「いい感じに打ち解けるなー!!お前らももてなすなーっ!!」
智代「うるさいぞ朋也!いいじゃないか、ゆっくりしていってもらえ。はい、麦茶でいいか?」
杏「あ、さんきゅー」
朋也「うう、俺が間違ってるのか…?」
智代「そういえば可南子、お前がいるってことは鷹文もいるのか?」
可南子「ええ、今は表でともさんと遊んでるはず…」
とも「きゃ〜〜〜!!」 鷹文「う、うあぁーーーーっ!!?」
朋也「なんだ、二人の叫び声!?」
智代「表からだ、行ってみよう!!」
室内にいた全員が外へ飛び出す。そこで一同が目にしたものは!
257名無しさんだよもん:2006/03/10(金) 13:11:34 ID:joc+SUh60
可南子「何…?あの巨大な生き物?熊?…豚?」
杏「あ…」
その謎の生物が朋也達の方へ振り返る。その次に、ある人物を見定めると一直線に突進してきた。
朋也「…え?ちょ、おい、ちょっ…ちょっと待て〜〜〜!!」
朋也の必死の叫びも届かず、朋也は思い切り体当たりを食らい、数メートル吹っ飛ばされる。
鷹文「兄ちゃん、生きてる?」 可南子「いや、死んだな」
その生物は、さらに朋也に向けて駆けだす。逃げようにも身動きが取れない朋也は死を覚悟するが…。
朋也「…?な、なんだこいつ!?体を摺り寄せて気持ち悪い…」
杏「ちょっと!あんたひどいこと言わないでよ!ボタンが可哀相じゃない!」
朋也「ひどい目に遭ったのはこっちだっつう…えぇっ!?こ、こいつがボタン!!?」
今日「何言ってんの、どこからどう見てもボタンじゃない。へえ、あんたも朋也のこと覚えてたんだ。ずいぶん嬉しそうね」
ボタン「ぶひ〜、ぶひ〜!」
朋也「こっちは全然嬉しくねぇっ!!」
とも「先生、これなぁに?先生のお友達?」
杏「そっ!あたしのかわいいかわいい、うりぼうのボタンちゃん!気に入った?」
とも「うりぼう…ってなあに?」
鷹文「うーん、イノシシの子供のことだけど…」
朋也「どこが子供だっ!こんなデカい図体しやがって、もう十分大人だ!ってまだ飼ってたのかよ!?」
杏「当たり前じゃない!あたしとボタンは一蓮托生、どこまでもいっしょよ。ねー、ボタン?」
258名無しさんだよもん:2006/03/10(金) 13:12:08 ID:joc+SUh60
ボタン「ぶひ〜、ぶひ〜!」
杏「あ〜ん、今日もハイパーミラクル激ぷりちー♡」
朋也「全っ然かわいくねえ…」
とも「先生、ともも触っていい?」
杏「んー、もちろんよっ!ほら、手を出してみて…」
すり…すり…。最初は戸惑っていたともも、次第に慣れてきて…。
とも「かーわいーっ!!」
杏「でしょー!ともちゃんもかわいいわよ!」
可南子「イノシシってこんなに近くで見たの初めてだけど、なんか愛嬌ある顔してるんだ」
鷹文「見た目はいかついけど、目はつぶらだし。仕草もなんだかかわいいかも」
朋也「ああ…、可南子に鷹文まで…。智代っ!せめて智代だけでも俺の傍に…」
智代「ほら、お腹をなでると喜んでるみたいだぞ。あっ、こら。顔をなめるな!くすぐったいじゃないか、あはは…」
朋也「ともよっ、ともよ〜〜〜…。ああ、行かないで……」
薄れ行く意識の中で、朋也は固く誓う。いつか、こいつを、ボタン鍋にして食っちゃると……。



 
259(,,・ω・):2006/03/10(金) 14:46:14 ID:0VpOj4RgO
智代は教科書投げた事に関して何も言わないんだな
260名無しさんだよもん:2006/03/10(金) 15:19:56 ID:FbmDNsjV0
中々面白かったよ、微妙に寂れてたのでな。GJ
261名無しさんだよもん:2006/03/10(金) 22:59:02 ID:Lh9r9Z2Q0
よかった・・・・

口調がまともだ・・・・

これでこそふいん(ry
がでるってもんだ
262251-258:2006/03/11(土) 10:09:25 ID:GM0wLb1E0
>>259-261
感想サンクスです。何とか、クラナド本編のキャラを一人ないし二人ずつからめて
『何気ない日常の中にある、大切な何かを探す(オチ付き)』をテーマにやってこうかと。
出来るだけ全員出せるまで。一番難しそうなのは…、やっぱ渚?
263名無しさんだよもん:2006/03/11(土) 17:43:07 ID:LHKJWL280
朋也の薄れ行く意識の止めを刺したのは間違いなく「たのしいさんすう」だな。
264名無しさんだよもん:2006/03/11(土) 22:38:35 ID:tclJ8ce40
>>262
渚はなぁ… 一度、ともと汐を絡ませたくて設定考えてたが(渚好きには申し訳無いが、渚死亡で智代と再婚になる訳だが)
年齢の辻褄合わせていくとネックとなるのが、鷹文orz(鷹文に合わせなくちゃいけないという意味で河奈子も)
どうにも思いつかずに、放棄してしまったネタだなぁ。 

と、これからも応援してるのでたまに投下してくれ251-258氏
265そうかな(=251-258):2006/03/16(木) 13:00:50 ID:JETCQcrv0
>>264から、何となくインスピレーションが湧いて来そうな気がしたけど…うまくいかない。
ともと汐のからみというのは確かに面白そうなんだけど、やっぱりそのためには渚を死なせなきゃいけないのか…?
しかし、冷静に考えればその話は渚アフターの続きってことだよな…。
あくまで智代ルートを通った智代アフター(アフター)の話を作ってるって考えれば、
渚アフと智アフはパラレルワールドなわけだし…。
渚は出せても、汐は出せないかも?無理に話を作ったら、書いてて切なくなりそうで。
これで、逆にいい話が作れたら自分でもすごいと思うが、そこまで文才はありません…。

多分、渚は作れても一番最後になると思います。とりあえず有紀寧編を…。
266そうかな:2006/03/16(木) 13:01:32 ID:JETCQcrv0
今日も無事に仕事を終え、家路につく朋也。
朋也「おーい、今帰ったぞー。おーとも、いい子にしてたかー?」
とも「パパ、お帰りー!」
智代「お帰り朋也。ちょうどよかった、今お客さんが来てるんだ」
朋也「お客さん?俺に?」
智代「朋也にだけってことじゃないが、お前も私も知っている懐かしい顔だぞ」
そう言われて朋也は居間を覗き込む。そこにいたのは、自分たちと同年代くらいの女性。
穏やかな微笑を浮かべながらこちらの様子を見つめていた。
朋也「あれ…?も、もしかして…宮沢?宮沢有紀寧か?」
有紀寧「はい、宮沢です。お久しぶりですね岡崎さん」
朋也「いやぁ、久しぶりだなー。一瞬誰かわからなかった。何年振りかな?」
有紀寧「そうですね。ずいぶん長い間ご無沙汰してたと思います」
朋也「俺、怪我してたからな…。宮沢は智代と仲良かったんだったっけ」
智代「ああ、3年の時は同じクラスだったからな。いろいろ相談事にのってもらったりな」
有紀寧「くすくす…。それにしても、岡崎さんと智代、本当に結婚されてたんですね。岡崎さんが先ほど帰ってらした時の
    ともちゃんとお話しする顔なんて、本当に父親って感じが溢れてましたよ」
朋也「み、宮沢っ!!」

267そうかな:2006/03/16(木) 13:02:04 ID:JETCQcrv0
朋也は着替えを済ませ、再び有紀寧達の会話の中に入る。
朋也「宮沢は、今大学4年か。何の勉強をしてたんだっけ?」
有紀寧「心理学の勉強をしています。犯罪心理や恋愛心理など、人が人たる上で欠かせない心の動きというものをですね。
    それを生かして、カウンセラーの仕事をやってみたいと思ってます」
朋也「なるほどね…確かに宮沢にはぴったりだな。そういうのって楽しいか?」
有紀寧「楽しいって言うと、ちょっと不謹慎かもしれませんが…。私もこれまでいろんな心に傷を持った方を見てきましたし、
    本当にフィクションのような、想像も出来ない辛い過去を体験されてきた方ばかりで、初めはなかなかこちらに心を開いてくれなかったり…。
    ですが、時間をかけて少しずつ分かり合って、心を通わせることが出来れば、その時は本当に嬉しいです。
    大変なことばかりですが、この道を選んでよかったって思ってます。やっぱり私に向いてると思います」
朋也「そうか。4年生なら、今年で卒業か。もう就職先は決まってるのか?」
有紀寧「それは…、さっき智代にも話してたんですが…。まだまだ今の私ではそこまでの力がないような気がして…」
智代「まだ決定ではないが、もっと高度で専門的な知識を身につけたいらしい。それで、東京の大学院を考えてるそうだ」
朋也「だ、大学院!?しかも東京でって…それは驚いたな…」
有紀寧「やはり人の心という、形のないものに触れるわけですから中途半端ではいけないと思ったんです。それによって他人の人生、
    もっと言えば生死に関わってくるものですから。もっとできるだけのことをしておきたいんです」
朋也「そうか…。俺からは頑張れって言うしか出来ないけど、宮沢なら大丈夫さ。自分が選んだ道なら、それが正解だ」
有紀寧「はい♪ありがとうございます」
    
268そうかな:2006/03/16(木) 13:02:40 ID:JETCQcrv0
朋也「けど、そうすると今まで以上に疎遠になっちゃうな…。なかなかこっちへ帰ってくるのも難しいんじゃないか?」
有紀寧「確かにそれはそうかもしれませんが…。でも、不思議と寂しくは感じていません。世の中は絶えず変化を繰り返していますが、
    その中にも変わらないものがあるんです。それは、ここが私の故郷だということです。
    時代の流れで、人がより快適に過ごせるように街は変わります。ですが、それらと引き換えに失ってしまうものもあります。
    それは自然だったり、思い出の場所だったり…。それらは二度と帰ってきません。それも仕方のないことです。
    それでも、ここが私の故郷なんです。どれだけ景観が変わっても、例えどんなに遠く離れても、私の生まれた場所。
    ですから、きっと私は帰ってきます。大好きな、この街に。そして、ここに住む大切な人に会うために」
朋也「そうか…?俺はそんなに愛着ないけどな」
有紀寧「そんなことないはずですよ。岡崎さんにだって、この街は大切な場所だと思います。岡崎さんにとって、この街は
    大切な人にめぐり合えた場所ですから。それはこれからもずっと変わりません。智代とともちゃんがいる限り、
    岡崎さんはこの場所に居ます。そして、この街も3人のことを祝福してくれると思います」
朋也「宮沢…、そんな恥ずかしい台詞をそんなに笑顔で言わないでくれ」
智代「いいじゃないか。本当のことだろう?」
朋也「…まあ、な。それじゃ、宮沢にとってもこの街に住む俺達は大切な存在だって思っていいのか?」
有紀寧「もちろんです☆」
朋也「そうか。それじゃ、俺達も宮沢のことを応援してるからさ。何かあればいつでもここに来てくれな」
有紀寧「はい♡」 
269そうかな:2006/03/16(木) 13:03:12 ID:JETCQcrv0
朋也「しかし、宮沢も大変だな。あの頃から他人の世話ばかりしてて、これからもそうだろ。たまには宮沢も誰かに頼ったりしないと身が持たないぞ」
有紀寧「そうですね…。そしたら、その時はまた岡崎さんの力をお借りしようかな?」
智代「(ピクッ)…なんだ、二人にそんなことがあったのか?」
有紀寧「思い出すな、岡崎さんに膝枕してもらったこと。なんだか心地よくてぐっすり寝ちゃって…」
智代「(ぴくぴく)…膝枕?」 朋也「い、いや…どうだったかな…」
有紀寧「そう言えば、二人で授業をサボって資料室で寝ちゃったことも…。イケナイ事だとわかっていても、とっても気持ちよくてかったです…。
    とっても恥ずかしかったけど、ずっと夢の中にいたような、岡崎さんの腕に抱かれてるようでなんだか幸せでした。
    またお願いしたいな…」
朋也「み、宮沢!ちょ、ちょっと待て…!」 有紀寧「はい?」
智代「そうか…、そんなことがあったのか…。私とのずっと前に、朋也と宮沢は…その…してたんだな…。しかも学校でなんて…。不潔だ……」
朋也「と、智代?お前、何か誤解してる…」
智代「そうか、そういうわけだったんだな…。今やっとわかったぞ…。朋也、お前があの時別れようって言ったのは、宮沢がいたからなんだな…」
朋也「ちっ、違っ…」
智代「言うなっ、何も聞きなくない!!…だったら、最初からそう言ってくれたらいいじゃないか…。そうすれば、誰もあんなに苦しまずにすんだ…」
270そうかな:2006/03/16(木) 13:11:10 ID:JETCQcrv0
智代「ショックだ…、物凄くショックだ…。これが全く見ず知らずの女ならまだよかった。まさか、大切な友人の宮沢となんて…。
   私は…どうすればいいんだ?朋也を愛している、だけど宮沢も大切な友達だ…。…朋也、別れよう…」
朋也「はいっ!?なんでそうなるんだ!?」
智代「仕方ないじゃないか…!お前を愛している、お前に幸せになって欲しい。宮沢もだ…、友人として幸せになって欲しい。
   だけど、私がいることで二人が幸せになれないのは、私が幸せになれないことよりずっと辛い…。そんなこと絶対出来ない…!
   ならば、私が身を引くしかない。そうすれば二人とも幸せになれる。私はそれだけでいい……」
朋也「だ、だから落ち着いて話を…」
智代「朋也、今までありがとう…。本当に私は幸せだったぞ。これからは宮沢と二人で生きろ。ずっと仲良くな…。…さよならっ……」
涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら外へ飛び出す智代。呆然とする、残された者たち。
有紀寧「…どうしたのかしら、智代?」
朋也「どうしたもなにも、お前が誤解を招くようなことを言うからだろ!!」
とも「…パパとママ、フリン?」
朋也「ちっがーーーーーう!!!」
有紀寧「あ、もしかして智代ったら…。もう、何を勘違いしてるのかしら、しょうがないわねぇ」
朋也「だから誰のせいだっって!!」
有紀寧「ほら、岡崎さん。そんなに興奮してないで、早く智代を追いかけなくていいんですか?何をしでかすかわかりませんよ」
朋也「み、宮沢…、もしかして、わざとか…?…それどころじゃない!智代、誤解だっ!俺が愛してるのはおまえだけだぁ〜〜〜……!!」
悲痛な絶叫を上げながら後を追って飛び出す朋也。相変わらず穏やかな表情の有紀寧。
有紀寧「あら、なんだか智代が羨ましい。私もあんな風に言ってくれる人が欲しいな…」
とも「なんだかパパとママ、あっきーと早苗お姉さんみたい…」
271名無しさんだよもん:2006/03/17(金) 20:35:23 ID:VWXVrB6a0
あげ
272名無しさんだよもん:2006/03/17(金) 23:14:58 ID:mcpAIIcG0
すっかり公開オナニー場になっちまった件について
>>270
どうせお前一人しか書いてないんだろ?
素でつまらんから今度から自サイトでやれ
で誤爆スレかどっかにアドだけ貼れ

一応言っとくが煽りじゃねえからな
有紀寧と名のついたオリキャラがクソくだらん近況並べるだけのヤマもオチもイミもない駄作
有紀寧が智代のこと呼び捨てにすると思うか?
お前本当にCLANNAD本編やったのか?
やっててまだ本気でそう思ってるなら読解力とかそれ以前の問題だよw
文章自体も台詞の前に名前がついてて読みづらいことこの上ない
あ、そうしないと誰が誰かわかんねえの?
じゃーしょーがいなw
しょうがなくねえよ!
273そうかな:2006/03/18(土) 00:24:18 ID:w9JgyNc50
>>272
目を通していただき、率直なご感想ありがとうございます。
今後の励みにします。
274名無しさんだよもん:2006/03/18(土) 01:09:36 ID:pZA/6VZS0
そこまで叩かれる理由は何だろうと思って、目を通してみた。>>266-270

1.地の文がほとんど無い。1〜2レスに収まるショートショートなら(それなりの文章力があれば)会話だけでも、
それなりの文章力があれば問題ないけど、これだけ長文になると読むのが苦痛になる。

2.投稿・文法技術に問題がある。☆や♡などの記号を文中に付けているが、そんな記号に頼らず、
基本的には文章だけで人物の感情・所行を表現してほしい。
>>258での♡の使い方はあまり問題ないと思うし、効果的に使えるケースもあるだろうけど、無意味に使うべきではない。
(それに、やはりゆきねぇが使うにはキャラが合ってないし。)
あと、会話文の文頭にスペース入れすぎてて、読みにくい。

3.途中でゆきねぇの口調が変わっとるぞ(゚Д゚)ゴルァ!
最後の方の

>有紀寧「…どうしたのかしら、智代?」

ゆきねぇはクラナド本編でも、不良のレッテルを貼り付けられた奴らに対してすら敬語を使ってる、独特の口調の持ち主。
このSSの設定が本編から5年後としても、理由無しにゆきねぇの口調が変化しているのはキャラ破壊と思われても仕方ない。
そりゃあ人間5年も経てば変わるかもしれないけど、そこに焦点当ててるわけでもないので、キャラの口調や仕草については本編準拠がよい。
智代とゆきねぇが友達という設定は二次創作でよく見かける。(接点があっても不思議じゃないし、同学年だし)。
ただ、今回のSSでは、本編からは想像が難しいほど、二人の仲良しさが強調されており、作者の独自設定をいきなり持ってこられた印象を受けた。

4.キャラが代替可能。会話文のキャラ名を別作品の人物や、オリジナルの適当な人物に換えてしまっても、文章の中身が変わらない。
クラナドのキャラ・世界観・設定を使う必要性が感じられない。

5.このSSを通して読んだ人に何を伝えたいのか、どこで萌えさせたいのか、どこで笑わせたいのか、わからない。
書いてるあなた自身が、何を書きたかったのか伝わってこない。
>>251-258も文章が粗いけどそこまでひどくは無かったので、全く書けないことはないと思う。
俺はSS童貞なので参考にならない意見だったかもしれないが、すまん。
275そうかな:2006/03/18(土) 01:46:31 ID:oIeyADUc0
>>274
とんでもないです。とてもありがたく思ってます。
確かに本編のやりこみが足りないと言われればそうかもしれません。
実際、書きながら手詰まり感はありました。杏の話の方が長いですけど、
費やした時間は圧倒的に短いです。すらすら言葉が浮かんできました。
出来上がりも杏のほうが自分でもよくできてるほうですし、
有紀寧はイマイチだと思います。
やめておこうかとも思いましたが、恥を晒すのも自分のためと思ってやりました。
他にも読んでくださった方もいるかも知れないので、お目汚し平にご容赦下さいませ。
276名無しさんだよもん:2006/03/18(土) 02:06:37 ID:pZA/6VZS0
>恥を晒すのも自分のためと思ってやりました
その心がけ自体は向上心が感じられてよいのだけど、ここで投稿するには適さないと思う。
何故ならここはあなたのためだけの場所ではない。その「恥」を読まされる読者の立場で考えてほしい。
自らイマイチと感じた文章、恥をさらすのなら自分のサイトなどでするべきだろう。(あまり批評をもらうことは少ないだろうけど)
もちろん、2ちゃんねるの方が率直な意見が受けられるという利点はあるが、ここはSS練習スレではないんだ。
かと言って絶対に面白いものだけを投稿しろとは流石に言えないけど、やはりそれなりに自信があるもの、推敲したものを見せてほしい。
技術を磨きたいなら、この葉鍵板のSSコンペスレとか、過疎ってるけど「葉鍵的 SS Training Room」、または「くらなどSS祭り」などがある。
では気が向いたらまた。とにかく、『自分でも面白くない』ものだけは勘弁してほしい。
277名無しさんだよもん:2006/03/18(土) 04:16:09 ID:HZQz67oe0
キャラの性格・口調が本編とあってないのが難点その1。
正直そこで読む気がなくなる。


・・・ただここも過疎化が激しいからある程度は大目に見ようよ
(失礼な話ですが)
278名無しさんだよもん:2006/03/18(土) 12:25:04 ID:kgbe6eWJ0
>>270
自身持てよ面白かったから、
文をセリフだけじゃなく感情を表す表現とかも使うともっとよくなると思う
自作に期待してるぞ
279名無しさんだよもん:2006/03/18(土) 18:15:08 ID:1maHjd4RO
↑こいつばか
280名無しさんだよもん:2006/03/18(土) 23:27:49 ID:crrwyh0O0
朋也「ぐあ、マジかよ…」
宮沢「ええ。坂上の彼氏は一度に100人相手にできるとか、他にも凄い噂話をたくさん聞きましたよ」
もう何年前の話だよ…噂って怖いなぁ…。
宮沢「今年の大晦日は○ケボノさんと対戦するんですよね、頑張ってください」
朋也「ぶっ…! するかっ! 尾ヒレつきすぎ! つうか誰だそれ言った奴!」
噂って怖いなぁ…。

その時、玄関から声。
鷹文「あれ、お客さん?」
朋也「鷹文か、ああ」
宮沢「はじめまして、宮沢有紀寧と申します」
鷹文に向かって深々とおじぎをする宮沢。
鷹文「あ、これはどうもご丁寧に…。ええと、坂上――」
宮沢「知ってますよ。蝉丸さんですよね。通り名は確か…ふーっ!ふーっ!」
どんな通り名だよ、それ…。

宮沢「ごめんなさい、他の人と混じってました…」
苦笑する宮沢。
相変わらずワケ分からん友達が多いみたいだな…。
鷹文「あ、ひょっとしてこの人がこの前言ってた、最終兵器なの…?」
朋也「鋭いな」
宮沢「最終兵器ですか…凄そうですね」
いや、お前のことなんだが…。

鷹文「何が最終兵器なのか全く分からないんだけど…。っていうか、最近兄ちゃんが姉ちゃんとえっちいことできないのをなんとかするって話でしょ? それとこの人がどう…」
朋也「ふふふ…鷹文よ」
鷹文「な、なに…?」
朋也「世の中にはな、不思議な力があるんだよ…宮沢、アレを頼む」
281名無しさんだよもん:2006/03/18(土) 23:29:38 ID:crrwyh0O0
宮沢「はい、これですね」
懐から取り出したのはいつもの…そう、アレ。
宮沢「と言っても、前のあれは資料室のものでしたので…これは自前ですが」
朋也「まあ、大丈夫だろ」
宮沢だからな…。

鷹文「おまじない…?」
宮沢の腕に抱えられた本を見て、鷹文がハテナマークを浮かべる。
鷹文「兄ちゃん、ついに神頼みなんだね…」
朋也「違わい! いいか、見て驚け…! ええとだな、宮沢」
宮沢「はい、今日はどんなおまじないにしますか?」

朋也「最近娘にばっかり構ってる嫁と何故か二人っきりになってエッチな雰囲気になれるおまじないを頼む」
鷹文「に、兄ちゃん、プライド無いんだね…」
朋也「うるさい! お前俺がどんだけ智代と、智代と…ちくしょーっ!」
宮沢「ええと…はい、これですね」
鷹文「ええーっ!? あるの!?」
宮沢「ありますよー。では朋也さん、まずはですね…」
宮沢の指示に従っておまじないを実行する。

朋也「……シュギバンザイゴツゴウシュギバンザイ、と。これでいいのか?」
宮沢「はい、ばっちりですよー」
鷹文「怪しすぎる…」
宮沢「では、お邪魔にならないようにそろそろお暇させてもらいますね」
朋也「ちょっと待った。鷹文」
鷹文「なに?」
朋也「お前、このおまじないの凄さが全然分かってないだろう」
鷹文「分かるわけないでしょ…」
朋也「よし分かった。宮沢、例のヤツ頼む」
分かりましたー、と宮沢。
282名無しさんだよもん:2006/03/18(土) 23:31:02 ID:crrwyh0O0
宮沢「……で、スピイドノキアヌリイブスノゴトクと三回唱えてください」
朋也「あれ、なんか微妙に前の時と呪文違わないか?」
宮沢「はい。その…ええと、色々と難しい事情がありまして…」
まあいいや。効き目は変わんないだろうし。

半信半疑のまま十円玉(鷹文自前のギザジューだ)を積み上げ、呪文を唱える鷹文。
チャリーン
十円玉が崩れ落ちる。
鷹文「これでいいの…?」
朋也「バッチリだ。さあ行ってこい」
鷹文「行ってこいったって…体育倉庫ねぇ…ま、ぶらぶらしてくるよ」
ハテナマークを浮かべたまま部屋を出ていく鷹文。

宮沢「じゃあ改めて、そろそろお暇させてもらいますね」
朋也「ああ、ありがと。今度またゆっくり話そう」
宮沢「そうですね。それでは」
玄関まで宮沢を見送った。


―――そして。

鷹文「凄いよ兄ちゃん! 本当に河南子と体育倉庫に閉じ込められたよ! お尻出したとこでマジ蹴りされたけどね、はは…って、あれ…? 姉ちゃん?」
がーーーん!!
崩れ落ちる全裸智代。
ああ、今日も平和だなあ。

おしまい
283名無しさんだよもん:2006/03/18(土) 23:33:07 ID:crrwyh0O0
微妙な雰囲気の時はネタを出せってばっちゃが言ってた。
てなわけで自分流宮沢IN智代アフター書いてみました。

ちなみに、例のおまじないが微妙に違うのはPS2版ネタです。
版権の都合なのかなぁ…?
284名無しさんだよもん:2006/03/19(日) 00:07:35 ID:oRoOF0fL0
ゆきねぇどこで蝉丸知ったんだよww
そして河南子と体育倉庫に閉じ込められた鷹文テラウラヤマシス
285名無しさんだよもん:2006/03/19(日) 01:00:40 ID:ChJQnsg40
面白かったよ、坂上蝉丸に激しくワラタww さて、オリジナルと爺どっちかな?
そうかな氏も、気にせずまたネタ投下してくれ。 まぁ、無論上で言われた事を受け止めてよりクオリティ高いのを期待しているよ。
別に誰が、どう書き込もうが良いと思うがなぁ… 気に成るのであれば、見なければ良いのだし。
286名無しさんだよもん:2006/03/19(日) 03:10:08 ID:4pbmN3q60
普通に面白かったよww
前のと比べてよりゆきねぇっぽくなった気するし
これからも期待してる!
287そうかな:2006/03/19(日) 08:27:37 ID:AOJqqSd70
(暑ぃ〜〜〜……)
気が付けばすでに八月。夏真っ盛りであった。
日が暮れても気温がなかなか下がらず、少し夏ばて気味の朋也。
風鈴が風に揺れて、心地よい音色を奏でるのが少し気分を楽にさせる。
(エアコン欲しいぞ…。買うか、…来年)
部屋には扇風機くらいはある。だが、朋也にその風は当たらない。なぜなら。
「あああぁぁぁ〜〜〜……」
ともが扇風機を独占している。扇風機の前に座り込み、ずっと声を出している。
自分の声が変に聞こえるのがそこまでおかしいのか、いつまでも飽きない様子だ。
「とも、自分ばかり風に当たってちゃダメだぞ。パパが暑がってるぞ」
智代がフォローを入れてくれる。さすが俺の嫁、と心でつぶやく。

「ところで朋也、朋也ももうすぐお盆休みだろう。何か予定はあるのか?」
「ん…、考えてない」
「それじゃ、みんなで行ってみたい所があるんだがいいか?」
「海外とか言うなよ…。そんな金ないぞ」
「そんなこと私のほうがよく知っている。確かに少し遠出だが、そういう場所じゃない。朋也の実家だ」
「俺の実家?」
「お義父さんはもう戻ってるんだろう。お祖母さんも健在だそうだし、会いに行きたい。ともにも会ってもらいたいし、朋也のお母さんのお墓参りもしなくちゃいけない」
「…あんまり、気が乗らない」
「ダメだぞ、そんなこと言ってちゃ。もう私の家族でもあるんだ。ちゃんと挨拶をしておかなければ。とももおじいちゃんに会いたいだろう?」
ともは満面の笑みで大きく頷く。その表情をされては、朋也も無下に反対できなくなる。
「けど、俺自分の実家の場所なんか知らないぞ。行きようがない」
「大丈夫だ。私がもう調べた。ついでに格安の交通機関のチケットもすでに抑えてある」
…最初から行くつもりで、後で了承を得るつもりだったのか。…さすが俺の嫁、と再び心でつぶやく朋也。
288名無しさんだよもん:2006/03/19(日) 12:06:15 ID:ivxrgF6H0
幾多の男達が挑み敗れていったという、伝説の直幸ルート淫智代アフターに挑戦ですかっ
応援してますっ
289名無しさんだよもん:2006/03/19(日) 12:22:09 ID:oRoOF0fL0
地の文がうまくなってるね、続きが楽しみ。

>直幸ルート淫智代アフター
直幸の実家であんなことやこんなことをするわけかw
290名無しさんだよもん:2006/03/19(日) 18:54:16 ID:LO4mpNrb0
朋也≒読み手なんだから、地の文に朋也って出すよりは一人称にして内心を呟かせたほうがいいんじゃない?

たとえば、最後の行は「・・・さすが俺の嫁。」で止めるとか、
6行目、「だがその風は俺には当たらない。なぜなら・・・」とか。
291そうかな:2006/03/19(日) 19:43:57 ID:AOJqqSd70
朋也もお盆休みに入り、3人は朋也の実家を訪ねることにした。
移動中も智代とともは、初めて訪れる場所に着くのを今か今かと楽しみにしていたが、
一人朋也の表情は冴えなかった。
(大丈夫なのか…?)
それは、久しぶりに再会を果たす父親や、もはや記憶すらない祖母に会うのを朋也自身が
嫌だということではない。今更そんな肩肘張ったところで仕方がない。
朋也の不安はもっと別のこと。だが、それは自分のこと以上に大きな問題で、
もしそれが現実のものとなった時のことを考えると、どうしても気分よく里帰りというわけにはいかなかった。

一抹の不安を拭い切れないまま到着した、耳慣れない駅。智代が駅員や通行人に声を掛け、目的地を目指す。
(俺の実家を、嫁に案内されるなんてな…)
そんな滑稽なことを考えて、朋也は自嘲気味に笑った。
「…岡崎、ここでいいはずだ」
辿り着いた一軒の古びた家屋。表札には岡崎と書かれている。
ここが俺の実家―――。だが、朋也の心に感慨はなく、その先の一歩が踏み出せずにいた。
そんな朋也の心境を知ってか知らずか、智代は玄関の扉を開く。
「ごめんください」
古い家らしく、呼び鈴もない。大きな声で中に呼びかける智代。しばらくして現れたのは一人の老婆だった。
292名無しさんだよもん:2006/03/19(日) 19:45:07 ID:AOJqqSd70
「はい…。…あら、もしや朋也さんと…智代さんでしたかしら?今お着きになったのですか?」
「はい。はじめまして、朋也の家内の智代です。この度こうしてご挨拶に上がらせていただきました」
「まぁ、こんな遠くへようこそいらっしゃいました。岡崎史乃でございます。外は暑かったでしょう。さ、中へどうぞ」
岡崎史乃、そう名乗ったこの女性こそ、朋也の父の母。つまりは祖母…。だが、朋也にその記憶はない。
「大きくなられましたね、朋也さん。といってもあなたは覚えてないかもしれませんが…。無理もないですねあなたはまだ小さかったですから」
そんな朋也の不安を察したかのように、史乃は柔和で優しい笑顔で語りかける。その表情で、朋也は少し安心することが出来た。
そして朋也達は居間へ通される。そこにいたのは、もう会うのはいつ以来だろうか、懐かしい顔。
「朋也…。久しぶりだね。元気そうでよかった。そして…智代さんでしたか、よく来てくださいました」
「ああ、父さんも元気そうで何よりだよ…」
久しぶりに交わす会話は少しぎこちないが、もはや以前のような他人行儀なものではなかった。
とりあえず無事に再会を果たせた。むしろ、朋也個人は再会を望んでいた。しかし、朋也の不安はそのことではなく…。
「はて…、その子は一体誰だい?」
「ああ、ご挨拶が遅れました。ほら、とも。お二人にちゃんとご挨拶を」
「え〜…、ともです。おじーちゃん、ひーおばーちゃんはじめまして!」
「おじいちゃん…。ということは朋也と、智代さんの子供…?」
「あらまあ、ともちゃんね。…あら、ともちゃんはおいくつかしら?」
「ななさい!」
「まあ、小学生なのね。…確か、朋也さんは今年23歳でしたかしら?智代さんは?」
「私は今年で22歳になります」
「えっ……?」
直行と史乃は顔をあわせ、明らかに困惑している様子だった。当然だった。二人の子供にしては明らかに大きすぎる。
朋也の不安は、このことだった……。
293そうかな:2006/03/19(日) 21:55:44 ID:AOJqqSd70
智代とともに、しばらく外してもらうことにした。二人に事情を説明するために。
ともは自分達の実の子ではないこと。智代の父が不倫相手に生ませてしまった子供、智代とともは異母姉妹だということ。
実の母はすでに他界し、父親に会わせる事も出来ない。引きとり手のないともを、二人が育てていること。
…つまり。いくら親権があるとはいえ、岡崎家には全く血のつながりのない子供ということになる。
「……」
直行と史乃は険しい表情のままでいた。この現実を、受け止めかねているようにさえ思えた。
(仕方ないよな…。それでいきなり孫や曾孫だと言われても困るよな…)
しばらく沈黙が続く。一体どれほどの時間が過ぎたのか、朋也には永遠に続くかと思われるほど気持ちが重かった。
この場から逃げ出したい気持ちでいっぱいだった。やはり来なければよかったとさえ思い始めていた。
「…二人とお話がしたいのですが、朋也さんいいですか?」
そう切り出したのは史乃だった。朋也は黙って頷く。

再び居間に5人が揃う。張り詰める空気、手には汗。
史乃が智代を見つめ、ともを見つめ、何度かその動作を繰り返す。直行はただ成り行きを見守っている。
誰も一言も発しない。ともは何のことかわかってないようにキョトンとして、視線をキョロキョロさせていた。
その沈黙を破ったのは、またも史乃だった。
294そうかな:2006/03/19(日) 21:56:19 ID:AOJqqSd70
「…ともちゃん。ともちゃんは、パパとママのことが好き?」
突然何を言い出すんだろう、朋也にはにわかに理解できなかった。
ともは、突然の質問に少しの間ぼうっとしていたが、直後に満面の笑みを湛えながら、
「うん!パパのことも、ママのこともとっても大好き!!」
言い放つとも。そしてまた沈黙が流れるが、史乃は再び先ほどまでの優しい顔つきになってともに語りかける。
「そう、よかったわねぇ。そんなパパとママがいてくれて、ともちゃんは本当に幸せね。
ともちゃんみたいなかわいい曾孫が出来て、曾おばあちゃんもとっても嬉しいわ」
「え…、それじゃ…」
「そういうことだよ、朋也。子供は嘘をつけない。ともちゃんを見ればわかる。朋也達の娘なら、俺達にとっても家族だよ」
その言葉を聴いた瞬間、朋也は張り詰めたものから解放されたようだった。
朋也や智代が口でいくら言うよりも、ただありのままのともの姿を見ることで直行と史乃は理解した。
(あぁ、よかった…。認めてくれたんだ・・・…)
朋也は嬉しかった。それは言葉に出来ず、自然と涙が溢れ出す。
今まで生きてきてこんなに嬉しかったことはあっただろうか、自分はこんなにも嬉しさを感じられる人間だったのかと思い知らされた。
「朋也、今まで頑張ってきたんだな。父さんも嬉しいぞ…」
「朋也……」
隣にいた智代が優しく手を握ってくれた。もはや、語るべきものは何もない。ここにいるみんなが、この瞬間全てがかけがえのないもの。
「あれ〜?パパ泣いてる〜。変なの〜、パパ泣いちゃダメ〜」
「ああっ、そうだな…。パパおかしいな…。ごめんな、弱虫なパパで……」
295そうかな:2006/03/19(日) 21:56:51 ID:AOJqqSd70
その後5人で夕食を囲む。史乃は料理が上手で、智代も張り切って手伝った。
朋也と直行が晩酌を交わす。いろんな話をした。子供の頃の話、母の話。
二人で暮らしていた頃は想像すら出来なかった。こんな日がやってくるなんて。
(そういえば、父さんと酒を呑むことも初めてか…)

一夜明けて、5人で墓参りに向かう。岡崎家代々が眠る墓、そこには朋也の母も眠っている。
(母さん…、今までいろいろあったけど、やっとここまで来れた。でも、まだまだこれから先もあるんだ。
やらなきゃいけないこともたくさんあるけど、きっと乗り越えていってみせる。だから、見守っていてくれ…)

それから、朋也と智代は二人で海が見下ろせる岬へやってきた。ともは直行達と一足先に戻っていた。
「ここはいいところだな。自然がいっぱいで、空気も綺麗だ。ずっとここにいたいぞ」
「そうか?でも、他に何もないぞ。買い物だって不便だし、娯楽もないし。こうしてたまに来る分にはいいけどな」
「そんなことないぞ。私は気に入った。二人も、とってもいい人達だ」
本当に嬉しそうな表情をする智代。それだけで朋也もつられて心が弾む。
「…心配事は消えたか?」
「えっ?」
「ここに来るまで、朋也はずっと辛そうな表情をしていた。朋也は、ともが二人に受け入れてもらえるか、ずっと不安だったのだろう?」
「…知ってたのか」
「当たり前だ。お前の妻だぞ」
296そうかな:2006/03/19(日) 21:58:03 ID:AOJqqSd70
そう、智代がわからないはずがない。むしろ、そのことを一番感じていたのは智代自身に他ならなかった。
「でも、私はこれっぽっちも不安はなかったぞ」
「どうして?」
「朋也の家族だからだ。絶対に温かく受け入れてくれると確信していた。…ありがとう、朋也」
「どうしたんだ、急に?」
「朋也は私達のために本当に頑張ってくれている。普段なかなか口には出来ないが、本当に感謝している。
昨日、ともが私達の事を大好きだって言ってくれた時、私も涙が出そうになった。それも、朋也のおかげだ…」
「…それは違う」
「えっ?」
「智代達がいるから、俺は頑張れるんだ。二人に幸せになって欲しいから、どんなことだってできる。
お前達をこの手で幸せにすることが、俺の幸せなんだ。そのことを、二人が教えてくれた。智代に出会えて、本当によかった…」
そして二人は見つめあい、固く抱きしめあう。もう一度お互いの顔を見つめ、キスを交わす。
「やっぱり朋也は、最高の旦那様だ…」
「智代も、最高だ。俺は、世界一の幸せ者だ…」
再びキスを交わす。太陽も、海も、大地も、風も全てが二人を祝福するように優しく包み込む。
そう。ここが、これから先も3人で生きていくことを再び誓った、約束の地。
この先どんな苦難が待ち受けていようとも、3人ならきっと乗り越えていけるはず。
前を向いて―――。そのために朋也と智代は、同じ風に吹かれて、同じ時を生きているから。

〜直行&史乃編 おしまい〜 
297名無しさんだよもん:2006/03/19(日) 22:48:01 ID:ivxrgF6H0
×直行
○直幸
名前間違えてるだけあって直幸のキャラが掴みきれてないとか、今度は逆に地の文がうるさすぎるとか色々あるけどまあよし。
個人的な趣味で言わせてもらうと、少しシリアスが過ぎるかな。悪い意味で。
ともあれGJ
298そうかな:2006/03/20(月) 10:45:14 ID:tKeTck2k0
>>298
感想ありがとうございます。おかしいな…、史乃の名前は本編見直したりしてちゃんと確認したはずなのに、
何で直幸に気が回らなかったんだろう?失礼しました。
自分でも少し今回はカタイ話になりましたね。基本的に面白おかしくのほうが好みなんで、
そればかりだとあれですけど、緩めるところは緩めて、締めるところは締めてメリハリをつけたかったんですが。
途中で何かネタを入れるのが思いつかなくて、最後もう1レス分足してオチを入れようかとも思ったんですが、
それもいいアイディアが出てきませんでしたから、そのまま終わらせちゃいました。

もしくは、エッチな展開にしようかとも考えたんですが。例えば最後のシーンから…。
抱き合ったまま口付けを交わす二人。朋也は智代の胸のふくらみに手を伸ばし愛撫する。
「っ…!と、ともやっ…!」
「智代、ダメかな…?」
「こ、ここでかっ!?だ、ダメだそんなこと…」
「いいじゃないか、誰も見ていない。最近、智代がともにばっかりかかりっきりで少し寂しかったんだ…」
「ば、ばか!娘にヤキモチ妬く父親がどこにいるっ…」
「ここにいるぞ」
「そ、そんなこと言うな!…仕方ないな。今日だけだぞ…」
「愛してるぞ、智代」
「そんな顔して言うな…。素直に喜べない…」
二人は横になる。唇を合わせ、体を求め合う。朋也の手が智代のスカートをまくり上げ、ショーツの中に忍び込む。
もう、他に何も考えられない。世界にいるのは二人だけ、本能の赴くままに身を任せて…。
「パパ〜、ママ〜。お昼ごはんできたよ〜〜〜!」
二人は現実に引き戻され、急いで身を起こす。着衣の乱れも慌てて直す。
ともが駆け寄ってくる。何とか見られずにすんだようだ。
「どうしたの〜?何か顔赤いよ〜?」
「な、なんでもないぞ。いい天気だから日向ぼっこしてたら、つい眠くなってきたんだ」
「ほ、ほら、呼びに来てくれたんだろ?ありがとう、とも。それじゃ、戻ろっか…」
ともは相変わらずの天使のスマイルで二人を見つめ、今来た道を駆け足で戻っていく。
嗚呼、罪がないということは、なんと罪深いことなのだろうか……。

…みたいな感じで。あんまりエロテキストには自信はないですが。そんなに書いたこともないですから。
299そうかな:2006/03/20(月) 10:46:49 ID:tKeTck2k0
ぐお、間違った! >>298>>297へ…。
300名無しさんだよもん
私たち極悪非道な伊吹ageシスターズ!
ネタもないのにスレをageてあげるわ!
 ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     _       _  age
   '´,   ヽ    '´,   ヽ  age
  l リノリ从))  l リノリ从))  age
  ヾ(l ゚ ヮ゚∩  ∩(リ>ヮ<リ age
   (つ)゙Yi 丿  /ヽ( (☆⊂)
    く/_|j    ~ ' く/_|ゝ
   し(_)      (_)J