ToHeart2 SS専用スレ

このエントリーをはてなブックマークに追加
1名無しさんだよもん
そろそろ増えてくるであろう東鳩2のSSスレ
2名無しさんだよもん:05/01/06 19:06:05 ID:BA999x3E
ぴぴるぴるぴるぴぴるぴ〜♪ v
3名無しさんだよもん:05/01/06 19:10:20 ID:e+VzyAQ9

まぁ即死だな。
4名無しさんだよもん:05/01/06 19:10:40 ID:qQjqGNPY
職人待ちage
5名無しさんだよもん:05/01/06 19:23:17 ID:BA999x3E
SSって、小説の略でしょ?」
6名無しさんだよもん:05/01/06 19:24:48 ID:m20jJWay
('A`)ノ SSって、ナチス親衛隊の略でしょ?
7名無しさんだよもん:05/01/06 19:29:47 ID:SOKUAinT
SSって生徒会執行部の略でしょ?
8名無しさんだよもん:05/01/06 19:30:55 ID:4RTNzugO
SSってセガサターンの略でしょ?
9名無しさんだよもん:05/01/06 19:32:10 ID:6ezZBKAA
おまえらバカ?
セガサターン以外に何があんだよ
10名無しさんだよもん:05/01/06 19:33:23 ID:OHPsFhwv
>>5
IDがなんかいいな
11(ノ>ヮ<)ノ☆:05/01/06 19:33:50 ID:qQjqGNPY
>>5
最後の"」"が気になります
>>6
惜しい
>>7
ある意味正解です
>>8
正解です



12名無しさんだよもん:05/01/06 19:33:55 ID:e+VzyAQ9
「るー」
「……どうしたの、はるか?」
「挨拶。さっき会った子に教えてもらった」
「ふーん、どこの言葉なの?」
「今日は冷えるから、温かいお冷ね」
「質問に答えてよ……」
13名無しさんだよもん:05/01/06 19:36:32 ID:yOoFvQoO
SSって、小説の略でしょ?
14名無しさんだよもん:05/01/06 19:39:05 ID:qO6OfTUB
クロスオーバーなども有りな方向で
15名無しさんだよもん:05/01/06 19:42:50 ID:uAp8VF5U
じゃあ月姫とクロスオーバーさせようぜ
16名無しさんだよもん:05/01/06 19:56:16 ID:sqHzzCxU
断る
17名無しさんだよもん:05/01/06 20:33:49 ID:0m/2PLxA
瑠璃「国崎往人ーっ!」
往人「ぐはっ」
18名無しさんだよもん:05/01/06 20:50:55 ID:psUgz3U0
>>13ショートストーリーのことじゃないの?とマジレス
19名無しさんだよもん:05/01/06 22:47:36 ID:zWNy2dMf
サイドストーリーだと思ってた
20名無しさんだよもん:05/01/06 22:50:18 ID:z1B/s2M5
諸説あるけど、決まり切ってないみたいだよ
21名無しさんだよもん:05/01/06 23:07:08 ID:pXG9xTQj
とりあえず貴明×狸っ子or狐っ子を希望。
22名無しさんだよもん:05/01/06 23:21:24 ID:z1B/s2M5
美汐と真琴か。いきなりクロスオーバーとは意欲的だな。
23名無しさんだよもん:05/01/06 23:26:31 ID:78S+cmL0
地震イベントで、このみにクビ絞められるシーンあったよな
あれをネタにして、ちょっとリハビリも兼ねて、思いつくままに書いてみたのよ
ちと長いけど勘弁して
24暗闇の中で 1:05/01/06 23:31:41 ID:78S+cmL0
 まず、闇があった。
 そこはおれの部屋のはずなのだが、真っ暗で、月の光すら入ってこない。カチ、コチ
と、時計の針の音だけが部屋に響く。
 おれは全裸で大の字にされ、ベッドに仰向けで寝かされている。両手両足は、ベッドの
四隅にロープか何かで縛られて、身動きがとれない。おかしい。普通に寝たはずなのに。
 誰だ、誰がこんなことを? 雄二がこっそりドッキリビデオでも撮影してるのか。そうだと
したら、あいつは明日にでも殺しておかねばなるまい。
 おれが戸惑っているうちに、暗闇に白い影が浮かび上がる。小さく白い、小動物のよう
な影。
 それは見知った少女の姿だった。
 柚原このみ。おれの、幼馴染み。そして最近は、それから一歩踏み出して、男と女の階
段を二人で上っている途中。彼女とはそんな関係だ。
「タカくん……目が覚めたんだね」
 闇の中で、灯りもないのに、このみの白い輪郭が、全体像がくっきりと浮かび上がる。
 おれは息を呑んだ。このみは全裸だった。まだ大人になり切れていないが、形よく形成
されつつある乳房、薄く見える肋骨の影、申し訳程度にくっついている陰毛と、その下に
覗く幼い秘裂。肌寒い闇の中で、このみが剥かれた人形のような姿を晒している。これか
ら何が起こるというのか。おれは裸体のこのみに欲情するどころか、性器が縮みあがり、
身体はガタガタ震えてさえいた。
 このみの表情は、どこかしら怒っているように見えた。目の周りは泣いたように赤く腫
れあがり、眉間には皺を寄らせている。このみには、こういう顔は全然似合わない。笑っ
てしまいそうだったが、おれの本能が笑ってはいけないと諭したので、口元を引きつらせ
る程度になんとか留めた。
 このみはおれに近づくと、その肉付きの乏しい足を開き、そのまま馬乗りに跨った。
 そして己の秘裂をおれの性器に密着させると、前後にピストン運動を始めた。俗に言
う、素股というやつだろうか。このみの性器はすでに濡れていたようで、ぬちゃり、ぬち
ゃりと摩擦音を出し始めた。
 カチコチという時計の音と、ぬちゃりぬちゃりという淫靡な音のハーモニーが闇の空間
に響く。
25暗闇の中で 2:05/01/06 23:33:43 ID:78S+cmL0
「うぉ、お、このみ、お前、何やってんだ……?」
 おれは怒鳴ろうとしたが、出てきたのは情けない声だった。
「しゅーせーだよ、しゅ・う・せ・い。」このみは悪戯っぽく言った。素股だろうが。何
が、『修正』だ。
「そんな言葉、誰が教えた」
「お母さんだよ。このみを泣かせてばかりいる悪い貴明は、修正しなくちゃダメなんだっ
て。タカくん、最近調子に乗ってるから、お仕置きだよ」
 このみは割れ目を懸命に擦りつける。このみはホフゥ、ハフゥと息を荒くしつつあった
が、おれは気持ちいいどころか、性器の皮が乱暴に引っ張られるばかりで、むしろ痛みを
感じていた。このみの濡れ方が半端なのが悪いんだ、せめてローション使え、ってそうい
う問題じゃないか。
「とにかくこんなことは止めろ、今すぐだ」おれは強い調子で言った(つもりだった)が、
このみは聞かない。
「やーだよー。タカくん、このみにえっちなことされて喜ぶヘンタイさんだもんね」
「喜ばない! だいたい、こんなこと、どこで覚え」
「タカくん、毎日毎日、図書室の書庫で何してるの」おれの怒声を遮るように、このみは
言った。小動物のようにピストン運動を続けながら。性器が擦れる音がぐちゅ、ぐちゅと
響く。擦れるたびにおれの躰も揺れ、手首や足首にロープ(?)が食い込む。正直、痛い。
「と、図書委員の仕事、手伝ってるだけだ」
「あの、小牧って人?」
「何故それを!?」
 何故それを知っている? 雄二が教えたのか? それとも自分でリサーチしたのか?
「タカくん、このみと一緒に帰ってくれないから……! いつもいつも用事があるって、
だから!」
「見たのか」
 確かにおれは、クラスメイトの小牧愛佳の仕事を数日前から手伝っている。書庫の図書
にバーコードを貼り付けていく作業。作業の合間にお茶とかお菓子を二人で食べたりする
が、やましいことは何もない。本当だ。
26暗闇の中で 3:05/01/06 23:36:44 ID:78S+cmL0
「書庫で何してるの。タカくん」
このみは、おれには答えない。だが見たんだろう、こっそりと。何か誤解してるようなの
で、それを解こうと思った。
「だから図書委員の」
「タカくん、ウソはダメだよ。あの小牧って人、図書委員じゃないよね」
 よく知っているものだ。と思っているうちに、このみはおれの首筋に手を掛けた。そし
て軽く首を絞めやがった。おまえは阿部定か!?
「ぶげぐ、苦しい、頼むから、やめろ」
「わかんないよね。タカくんには、このみの苦しさなんかわかんないよ。このみがどんな
思いでタカくんを待っているのか、タカくんには、ぜったい、わかんないんだ。このみは
タカくんと一緒に帰りたいのに。ただそれだけなのに、タカくんはそれを踏みにじってる
んだよ、わかる? 胸が針で刺されるようで、引き裂かれるような。頭がボーリングの球
みたいに重くなって、タカくんの顔がヒヨコか星みたいに、頭の周りをピヨピヨまわるんだよ」
 首絞めは緩まったが、手は首筋に添えられたまま。こういうプレイはどこで覚えたの
か。まさか、このみのおじさんやおばさんは、そういう趣味が……?
 腰のグラインド工程は相変わらず続いていた。さすがにヘタレなおれの性器も、刺激を
受け、幾分堅くなってはきていた。
「本にバーコード、貼ってるんだ。本当だ、おれを信じろ」おれは呻くように言った。
「お菓子とコーヒー飲んでたよね、二人で」そしてキュッと首を絞めた。息が詰まる。
「ん、ああ、コーヒーじゃなく、て、紅茶」おれはバカ正直に答えた。そういう姿勢がこ
のみの誤解を解くと信じて。しかし、おれの思いは通じなかった。
「朝、このみの入れてあげるコーヒーと、どっちが美味しい?」
「そんなもん、お前、コーヒーったって、インスタントじゃ……」これはバカ正直に言っ
てはいけなかった。言ってしまってから、後悔した。
「あの女の紅茶でしょ、そうだよね!?」このみは首を絞める。一瞬、意識がブラックア
ウト。
「お、落ちる、意識が、落ちます」
「タカくん、ウソは!」一瞬、このみの指に力が入った。この華奢な体のどこからこんな
馬鹿力が出るのか。おれは咳こんだ。
27暗闇の中で 4:05/01/06 23:38:51 ID:78S+cmL0
「げほ、こここ紅茶もスコーンも、おいしかった!」おれは正直に告白した。
「このみは、このみは毎日、タカくんのために……!」
 このみは目が据わり、熊を狩るハンターのような目になっていた。眉間の皺はより深く
なり、目の下にはクマが浮かび、小さな頬は紅潮していた。通常こういう顔は、般若のよ
うな顔とでも言うのだろうか。こんなこのみの顔を見たのは、初めてだ。背筋が震えた。
 おれは『死』を意識した。殺されると思った、このみに。
「正直に言ったろ、このみ。ごめんよ、ごめんなさい! だから縄を、解いてくれ!」
「タカくん、あの女の生足、触ってたよね」
「お前、そこまで見てたか」おれは狼狽した。そこまで見ていたのか、と。書庫に隠しカ
メラでも据え付けていたのだろうか? 雄二にでも借りたか? やはり、あいつは殺そう。
「揉んでたよね、あの女のを、いやらしい手つきで」
「やましいことは、何も、ねえっ」弁明の途中で首が絞まった。おれは呻いた。
「揉んでたよね」
「揉んだ、つーか、さすった」
「このみと比べて、どっちが大きい?」
「何が」
「小牧愛佳のおっぱい」
「そ、そんなの知らん、分からん」
「タカくん、おっぱい小さい方が好きなヘンタイさんだもんね。まさか、このみより大き
いなんて、そんなバカな話はないよね」
 何の話だ? おれが、いつそんなことを言った?
「何で貧乳好きだと変態になる」
「タカくん、このみのは小さくてかわいいって言ってくれたよね!?」
「お前、言ってることが」わからない。そう言おうとしたが、キュッと首が絞まり、すぐ
緩んだ。遊んでやがる。おれの命で遊んでやがる。
「ちっちゃいおっぱいが好きだって言ったよね、タカくん!」
28暗闇の中で 5:05/01/06 23:41:40 ID:78S+cmL0
 これは夢なんだろうと思う。だって、このみはおれの知らないことばかり口走るし。そ
れに、だいたい、このみはこんな、嫉妬に駆られて乱暴を振るうような女の子じゃない。
それに、おれは小牧を書庫で手伝っていると言ってるが、自分で言っててなんだが、それ
は本当なんだろうか。いや、そういう記憶が確かにあるんだけど、夢だとしたら、それも
ぁゃιぃものなのだ。
 こんな経験はないだろうか。夢の中で、全く知らない、顔も見たことないはずの女が、
自分の恋人として出てくる。そして自分もその女を当然のように恋人として扱っている。
そして、夢から覚めてみれば、誰よあの娘? と、猛烈に切なくなる、そんな経験。
 これが夢か夢でないのか、明らかにする方法は知っている。知っているけど、今は使え
ない。両手が塞がっているから。残念。
「このみよりおっぱい大きい人を好きになるはずないよね、タカくん」
「クビ、絞めないで」
「どっちが大きいの」
「おおお、意識、落ちる、死にます」意識が二度目のブラックアウト寸前。
「大きいんでしょ。このみより、大きいんだ」
「お、大きい、たぶん」
「大きいんだ、大きいのがいいんだ!」
「もうやめてくれ」
「相手がタマお姉ちゃんなら、仕方ないんだよ。背も胸も全然かなわないし。ちょっと悔
しいけど」
 懐かしい名前を聞いた。向坂環、通称タマ姉というが、おれはここ数年会っていない
し、背とか胸とか言われてもさっぱりわからない。このみはタマ姉に可愛がられていた
ので、こっそり会っているかもしれなかった。いろいろ聞きたかったが、今はそんなこと
を言っていられる状況ではなかった。
「タマお姉ちゃんのよりは、小さいんでしょ?」
「タマ姉のサイズ、知らない」
「小さいんでしょ!」
「小さいと思う」おれはやけっぱちで言った。
「大きくも小さくもない、そんな中途半端なのがいいんだ。サイテーだよ、タカくんサイ
テーだよ!」
 このみは首をキュッと絞めた。また息が詰まり、復た緩む。
29暗闇の中で 6:05/01/06 23:44:49 ID:78S+cmL0
 このみの腰の運動は小刻みに、しかし激しくなっていった。動くたんびに汗が飛び散
る。この小さな体のどこにそんなスタミナがあるのか。このみは、濡れたクリトリスをお
れの固くなった亀頭に必死になって擦りつけていた。いつの間にか、おれの下半身は欲情
していたらしい。般若となったこのみに弄ばれて、喜んでいたのだ。
 おれは、このみの言うように、本当にヘンタイさんかもしれない。性器と性器が擦れる
たびに、全身に刺激が走った。その刺激はロープが食い込む痛みと共に、おれの脊髄と脳
とを駆けた。
「このみは、怒ってるんだよ」このみは般若のような表情で言った。口の端からはよだれ
を垂らしていたが、今のおれには、それが血に見えた。
「なんでもないんだよ、小牧とはホントになんでもないんだ。彼女はクラスの委員長で、
なんでもないんだ」
「クラスでは、ずっと一緒にいるんだ。そうに決まってるんだ。このみのこと、ただの妹
だとか、ハナ垂れチビ助とか、二人でバカにしてるんだ。わかんないよ。タカくんと会え
ない間、このみがどんな思いで過ごしてるのかなんて、タカくんにはわかんないんだ。タ
マお姉ちゃんが相手なら、まだ仕方ないと思えるよ。美人で、スタイル良くて、頭も良く
て。でも……! わけわかんない、適当な、悪い虫とタカくんがくっつくなんて! そんな
の許せないんだよ! わかる!? タカくんに!」このみは腰を振りながら言った。
「小牧を侮辱するのか! いくらこのみでも、許さんぞ!」あの優しい委員長を、『悪い
虫』と一方的に断定されれば、いかに相手がこのみでも怒らねばなるまい。
 しかし同時に、おれは、頭のどこかで自分を冷笑していたのだ。なんでこんなに必死な
んだろう、と。
「タカくんは、このみに、修正されてるんだよ。タカくんに、小牧って女のことを忘れさ
せるためにやってるんだよ。なぜわかってくれないの、タカくん。目を覚ましてよ、タカ
くん。あんな、誰にでも媚びる、誰にでも尻尾を振る、あんな気持ち悪い女の、どこがい
いの」
「まだ言うかっ!」
30暗闇の中で 7:05/01/06 23:49:19 ID:78S+cmL0
「したんでしょ。あの女と。良かったんでしょ。だからそんなにかばうんでしょ。このみ
とどっちが良かったの、タカくん」このみの目に涙が浮かぶのを見た。顔全体が紅潮し、
汗に濡れた全身を使ったグラインドは、さらに熱を帯び、激しくなっていった。
「彼女とは、何もない」このみにわかってもらいたい一心で、おれは言った。どうせ届か
ないことはわかっていた。これは、そういう夢なんだろう。
「キス、してたでしょおっ!」このみは絶叫した。
「しようと、しただけだ」偽りかもしれない記憶を頼りに、正直に、呟くように言った。
「またウソだ、タカくんは!」
 直後、闇の中に、乾いた音が響いた。このみが、おれの顔を平手打ちしたのだ。
 グラインドは、止んだ。このみの目から涙が流れ、おれの胸に落ちた。熱い、そして哀
しい涙だ。
 このみは肩で息をしながら、おれのギンギンに張りつめた性器を、握りつぶさんばかり
に掴み、そして、震える声で言った。
「このみに、正直に答えたら、挿れさせてあげるよ! オ○ンコに! このみとどっちが良
かったの!?」
「何もない」
 夢とはわかっていても、おれは猛烈に哀しくなってきた。早く、この悪夢を終わらせた
くなった。このみに、これ以上、こんな哀しい役を演じさせたくなかった。
「小牧愛佳の、オマ○コが、良かったんでしょおっ? タカくん!」
 おれは、覚悟を決めた。
「ああ良かったよ! お前の、キツイばかりの子供マ○コより、1億倍良かったよ!」
 このみは、けくっと小動物が鳴くような声を上げると、やがて言葉にならない言葉を絶
叫しながら、揺するように、小さな体全身を使い、おれの首を力いっぱい絞めあげた。
「タカくんなんか、死んじゃえ! 死んじゃえっ!」
 ブラックアウトしていくこのみに向かって、おれは優しく、そんなに揺するな、と言っ
てやった。
31暗闇の中で 8:05/01/06 23:52:09 ID:78S+cmL0
 目覚めたとき、おれは部屋のベッドの上ではなく、居間のソファーにいた。
 結局、何もかも、地震の揺れのせいだった。その顛末は、どこかに書いた通り。
 実はこの時夢精していたのだが、便所でのひと騒動で身も心もいっぱいいっぱいで、そ
れに気付いたのは雄二からの電話の後であった。溜めすぎ、だよな。

 それにしても……。
 将来的に、このみとはあんな関係になるのだろうか? 幼馴染みのこのみが一人前に嫉
妬して、欲情して、二人で愛欲を貪る関係に……? そして小牧愛佳とは、このみに嫉妬
されるような関係になるのだろうか? 小牧とは雑談すらロクにしたこともないのに。書庫?
バーコード貼り? なんだいそれ。お菓子に紅茶? そんなもの書庫で出せるのか知らん。
しかし、夢の中で小牧としたことになっていた事柄は、どこか妙にリアルで……。

「タカくんタカくん、さっきの地震すごかったね。 大丈夫だった?」
 このみが様子を見にやってきたのだが、おれはその日、このみの顔をロクに見られなか
った。あの腫れた目でおれを見つめていないか、おれを憎んでいないか、ただ、それが怖
くて……。頼む、今日だけは勘弁してくれ。
「……今日のタカくん、なにかヘンだよ? どっか悪いの? ねえってば!」

(了)
32名無しさんだよもん:05/01/06 23:54:52 ID:sqHzzCxU
こりゃまた初っ端からゴツいのが来たな
33名無しさんだよもん:05/01/06 23:56:26 ID:sqHzzCxU
入れ忘れた
34名無しさんだよもん:05/01/07 00:11:36 ID:NNpQzmfV
乙彼誰彼
さっそくヘビーなのが来たな。
35名無しさんだよもん:05/01/07 00:12:28 ID:CLasaUc/
俺、じゃなくておれなのは意図してるのかしらんけど、なんかそれが迫力をかもしだしてるな。
36名無しさんだよもん:05/01/07 00:13:21 ID:u8rON4LR
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1104773794/393-400
一応貼っとくか
これが原因だし
37名無しさんだよもん:05/01/07 00:14:46 ID:JsTajigp
(;゚д゚)ヒェェ…乙…
次は由真がいいなーと誰かの作品を待つ
3823-31:05/01/07 00:17:32 ID:dnq/BNPV
今になってふと読み返してみると、筒井康隆『冬のコント』にそっくりでorz
自分のサイトで公開したら確実に潰されるな('∀`)
わざとじゃないのは信じて
39名無しさんだよもん:05/01/07 01:08:27 ID:FLeMhxMW
なんか勢い無いな…………俺はよっちとイルファのSSで溢れかえってるとばかり思ってたのに


∧||∧
(    )  待つのは辛いなぁ………   
40☆ノ(>A<ノ):05/01/07 01:35:45 ID:0zPCNK/S
他力本願なんてあてになりませんよ
41名無しさんだよもん:05/01/07 02:51:54 ID:x6uP0YWO
あ、ちょうどいい。↑東鳩2貸してくれ。
42名無しさんだよもん:05/01/07 03:58:50 ID:plP9sPOV
SSなんてどう書けばいいのやら
43名無しさんだよもん:05/01/07 04:40:04 ID:Z7Cw12Iu
まず「もしも自分が河野貴明だったら何がしたいか」を考えてそれを文章にしてみる
ことから始めたらどうかな?
44名無しさんだよもん:05/01/07 06:00:46 ID:FLeMhxMW
チエを押し倒す、イルファを嫁にする、ミルファも嫁に貰う、ついでにシルファも嫁に貰い、みちるも嫁に貰う、
たま姉の取り巻き三人組を愛人にする
由真をイジリ倒す、このみを永眠させる、たま姉をスマキにして押入に叩き込む、雄二にアイアンクロー。
45名無しさんだよもん:05/01/07 12:57:38 ID:FWQxOcP6
次は小牧タンか由真タンのレイプ系のSSをキボンヌと、言ってみる(´д`;)
46名無しさんだよもん:05/01/07 20:13:10 ID:h6pPF/vi
.             | >>45
     , - 、_.'⌒ヽ.   | r‐┐r‐、ァァ r‐┐r‐┐ ┌‐u‐┐ー‐、 /1
   ., -       ノ   | |  | | ヽ. . | ||  |_ [  _  ] `ー'.ノ |
  (  、ー--j‐i'     | |_.ノ|..ノ  |_ノ |_.ノ└‐リ__ノ | ̄  .ノ @
   (   / Q Ql    | ._   _____ _n_  ̄ n    ̄ ̄
   .__ゝて __>    | |.|  └―, , ┘ニコ lニニ, lニニ .ニニl
  (   ( \ノノ    / .|.|  n  //   ^コ lニ^  (0 |
  `て ヽ. i'._     ̄|  、ー'ノ  ゙、`‐┐(o_,ヘ.〉  、ソ  ◎
   .'⌒i.、! ノ7lヽ   |   ̄     ̄
   l   l|ヽ'ヽ'|| l   r'て_
   |  |  ̄ ̄〉! /`r-='
47名無しさんだよもん:05/01/07 20:29:38 ID:wmbEg+sy
三人組で書いたら神!
48花梨スレから来ました:05/01/07 21:46:29 ID:2vnQYZjY
あちらの住人の方はもうご存知かと思いますが、
花梨SSです。エロ無し。
あくまで本編の続きがあったらいいな、という設定で書いてます。
脳内で立ち絵とかBGMとか流しながらごらん下さい。
49真夏のミステリ 前編・1:05/01/07 21:48:04 ID:2vnQYZjY
夏休み。俺は山々に囲まれた町に来ていた。
照りつける日差しが眩しい。昨日はあまり寝れずまだ頭がボーっとしている。
ああ、なんでこんなとこ来ちまったんだろう・・・。
あの時断っておけば・・・、俺のバカ。


(回想シーン)
プルルルルルル、プルルルルルル
ん、電話か。雄二からかな?
ガチャ
「はいもしもし、河野ですが」
花梨「やっほー、たかちゃん元気ぃ?」
「あー笹森さんか、何か用?」
花梨「ちょっと今後の活動方針について重大な発表があるからいまから学校来てくれるかな!」
「え、いまから!?まだ朝の8時だよ?昼過ぎからとかじゃだめなの?」
花梨「それじゃ待ってるねー、遅れるなよー」
「ちょっと笹森さん!まだ起きたばっかり」
ガチャ、ツーツーツー。
・・・・・・・・・。
うう、切りやがった。
まあいつものことなんだけどね・・・。
・・・仕方が無い、とっとと準備しないと。

玄関のドアを開けると冷房がかかっている家の中との温度差に驚いた。
さすがに外は暑いな、夏真っ盛りですよ姉さん。
あーー、行きたくねえーーー。

いつもの道を通って学校へ向かう。
夏休みといってもまだ早朝のせいか人は少ない。
それにしても暑い。何℃あるんだよ・・・。学校に行くまでこれほど体力を使うとは。
学校の前の坂まで来たところであることに気がついた。
「・・・。自転車でくればよかった・・・・。」
50真夏のミステリ 前編・2:05/01/07 21:48:56 ID:2vnQYZjY
約1週間ぶりの学校。
熱心な運動部が部活に励んでいるのを横目にみながら俺は部室に向かった。

花梨が待っているであろう部室のドアを開く。あまりいい予感はしない。
ガチャ
お、涼しいぞ!?クーラーなんかついてたっけ?
中に入ると待ちくたびれた様子の花梨がいた。
花梨「おーそーいよ!たかちゃん!男の子は待ち合わせの1時間前に来いって教わらなかったの!?」
「いやいや、笹森さんが電話してきた時から40分ちょっとしか経ってないんだけど・・・」
花梨「ホントに時間にルーズなんだから、たかちゃんは」
これ以上は言っても無駄だな。そういえば重大な発表があるんだっけ?
「そういえば笹森さん、重大な発表って?」
花梨「ところでたかちゃん、海と山どっちが好きかな?」
「え?うーん、やっぱ海かなあ」
花梨「うんうん、山はいいよねえ!緑の中で心が癒されるよ」
「ん、俺は山じゃなくて海が・・・」
花梨「というわけで、山が大好きでしょうがないたかちゃんの為にとても嬉しいお知らせがあるんよ!」
「・・・・。なに?」
花梨「名づけて、真夏の夜のミステリ合宿ぅ〜〜!」
「・・・・・・・・・・・・・・」
花梨「あれあれ?もしかしてあまりの感動に声もでないの?」
もう家に帰りたい・・・・。
51真夏のミステリ 前編・3:05/01/07 21:50:04 ID:2vnQYZjY
花梨「それでね、普通の合宿と大きく違うところは〜」
「その前に笹森さん、一体どこに行こうとしてるの?合宿って」
花梨「もぅ、せっかちだなーたかちゃんは。合宿と言えば山!でしょ?」
「・・・うん、それで何をするの合宿中に」
花梨「日頃できない調査をするんよ。どう?ワクワクしてきたでしょ?」
「むしろ胸騒ぎがするけど。それより泊まるところとか決まってるの?あとお金とか。」
花梨「なんのために部費があると思ってるのよたかちゃん。心配しないで!」
そういうと花梨はポケットから茶色の封筒を取り出した。
花梨「じゃーん!5万円もあるよ、たかちゃん」
おお、そんなに部費もらえるのか。
・・・ん。なんかおかしくないか?2人だけの同好会に5万も、いくら一時期有名になったからって・・・。
「笹森さん、ホントに5万円くれたの?」
花梨「まさかたかちゃん、私がどこかから盗んできたとでも思ってるの?ヒドイよ・・・」
「あーー、そうじゃなくて。同好会にそんなにくれるもんなのかなーって思って」
花梨「ちゃんと担当の先生がその場で部費の一覧表を見てくれたけど?」
「・・・もしかしてさ、その先生がさ、0を一個見間違えたとかないよね・・・」
10秒ほどの沈黙があたりを包んだ。
花梨「男なら細かい事気にしちゃダメだよ!たかちゃん」
・・・神様、どうかお許しを。
52真夏のミステリ 前編・4:05/01/07 21:52:38 ID:2vnQYZjY
4日後、俺は合宿(?)に行くべく花梨と待ち合わせをしている駅前に向かった。

駅前に着いたがまだ花梨は来ていないらしい。
10分後。
花梨「お待たせ!たかちゃん。待った?」
「ついさっき来たところだよ。それより、そのリュックはなに?」
花梨は着替えなどが入っているであろうドラムバックの他に
あきらかに重たそうなリュックサックを持ってきていた。
花梨「たかちゃん、私達は遊びに行くわけじゃないんよ。調査道具も持っていかなきゃ!」
まあなんとなく予想はついてたが。
花梨「じゃあ、はい!」
リュックを俺に差し出す花梨。
「やっぱそうなるのね・・・」

花梨に言われるまま電車に乗り俺達は合宿をする所へ向かった。
一体どこに連れて行かれるんだろ・・・。

・・・5時間後。どうやら目的地の駅に着いたらしい。
各駅停車の電車に乗っていたからすぐ近くなんだろうと思っていた俺がバカだった・・・。
花梨「ほらたかちゃん、早く行くよ!」
「ど、どうして新幹線とか特急とか使わなかったの・・・」
花梨「そんなことしたらお金なくなっちゃうでしょ!野宿でもいいの?」
辺りはもう暗くなり始めていた。
どうやらけっこう田舎に来ているようだ。明かりがほとんど無い。
53真夏のミステリ 前編・5:05/01/07 21:53:52 ID:2vnQYZjY
駅を出てしばらく歩いていると花梨が向こうにある建物を指差して言った。
花梨「たかちゃん、あれが本拠地に使う民宿よ!」
「・・・へえ。ちょっとボロいけど思ってたよりはマシか・・・」

民宿に入ると優しそうなおばさんが迎えてくれた。
おばさん「あらあら、こんな田舎までよく来たねえ。部屋はこっちよ」

「ふうー、やっと休める。疲れたー」
花梨「うん、疲れたねぇ。でも明日はこんなもんじゃないよ」
「・・・。一体何をしようと・・・」
花梨は不敵な笑みを浮かべた。
「・・・とりあえずお腹減ったからご飯にしない?ここでご飯出してくれるんだよね?」
花梨「うん、さっきのおばさんの話だとあと20分くらいでご飯かな?」

夕飯を食べ終え、風呂から出た俺は(もちろん花梨とは別々だぞ!)
先に風呂に入り終えた花梨がいる部屋に戻った。

花梨「じゃあ明日早いからもう寝ようか!」
「そうだね・・・って笹森さん!布団一つしかないじゃん!」
花梨「じゃあ電気消すねー」
・・・・・・・。

俺はなんとか花梨を説得してその日は離れたところに座布団を並べて寝た。
54真夏のミステリ 前編・6:05/01/07 21:55:19 ID:2vnQYZjY
・・・・・・・。
花梨「・・・、タカアキ!起きなさぁぁい!!!」
「うおおおぉおぉお!耳が、耳がぁああ!!」
最悪の目覚めだった。

「・・・それで笹森さん、実際なにをするわけ?」
最悪なテンションの俺を気にもせず花梨はいつもの調子で話しはじめた。
花梨「今日は明るいうちにポイントの下調べにいくよ、もうすぐ出発するから準備しなさいタカアキ隊員」
「ポイント?まさかとは思うんだけど・・・、
 そのポイントって廃校とかトンネルとか含まれてたりしないよね・・・?」
花梨「お!タマにはまともな答えが返ってくるようになったのね!たかちゃん私は嬉しいよ」
いろいろ言いたい事があったけどやめた。

外に出て周りを見渡すと昨日は暗くて分からなかったが
どうやらここは山に囲まれた盆地にある町のようだった。
花梨「タカアキ隊員!装備はととのったか?」
「イエッサー。完璧です」
花梨「じゃあ出発するよ!いつ猛獣が出てくるか分からないから気をつけるように!」

地図を見ながら歩いている花梨の後について歩くこと約30分。
花梨「着いたよたかちゃん!」
そこには舗装されてない道から山の森の中に延びる粗末な石の階段があった。
どうやらこれを上った先に目的地があるようだ。
55真夏のミステリ 前編・7:05/01/07 21:56:08 ID:2vnQYZjY
石段を登りどんどん森の中に入ってゆく。
しばらくすると森が開けている場所にでた。

「ここは・・・、学校?」
最初ただの草むらだと思っていたところはかつての校庭で
奥のほうに建っている古びた木造の建物は校舎であることが理解できた。
花梨「ワクワクしてきたねたかちゃん!」
「よくこんなところ知ってるね笹森さん」
花梨「ネットで調べてて見つけたんよ」
おおかた心霊スポットでも検索してたんだろう。
でもわざわざ泊まりがけで来るなんてそんなにすごい所なのかな、ここは。
花梨「たかちゃん目を閉じてみて・・・」
「うん・・・?」
花梨に言われたとおり目を閉じる。
それなりに山の中に位置しているので車の音などは聞こえず、
優しく風に揺れる木々のざわめきと暖かな太陽の光を体に感じた。
花梨「ねえ、たかちゃん」
「なに?」
花梨「私達が生まれるずっと前はこの学校にも人がいっぱいいてにぎやかだったのかな?」

俺は校庭や校舎に響く子供達のはしゃぎ声が聞こえた・・・・・・・・ような気がした。


後編へ続く。
56(ノ>ヮ<)ノ☆:05/01/07 22:00:09 ID:0zPCNK/S
うだだーうだだーうだうだ、だーだーうだ、だーだー
57名無しさんだよもん:05/01/07 22:32:33 ID:wmbEg+sy
なかなかイイ、続きじっくりでもヨロ
58名無しさんだよもん:05/01/07 23:30:09 ID:VQlsP1ae
光景が目に浮かんでイイネ
後編楽しみにしてます
59名無しさんだよもん:05/01/07 23:45:24 ID:FLeMhxMW
>>47
三人組ってたま姉の取り巻き組?
俺は左が一番好き。
60名無しさんだよもん:05/01/07 23:47:08 ID:tBdPCSiZ
>59
イルファ、シルファ、ミルファに決まってんだろ
61名無しさんだよもん:05/01/08 02:21:28 ID:1sAm4IfO
このみ、ちゃる、よっちーではないのか
62名無しさんだよもん:05/01/08 03:38:20 ID:8ulGYF8p
プルルルルルル…
電話が鳴る。「ん…?電話……」寝ていた貴明は重い頭を上げて起き上がる。
プルルルルルル…
「はいはい、今出ますよ」
急ぎ足で部屋を出て一階へ向かう。途中、貴明の目に時計が映る。
「もう6時半?寝すぎたな…」一階に降りても誰もいない。いつものごとく、両親は出張だ。
「はい、河野ですが」寝起きでだるそうな声で電話を受ける。
「ちょっと!早く出てよ!」急な罵声で貴明は目が覚めた。
「………由真か」声と口調で誰かを確認した貴明は落ち着いて返事した。
「『由真か』じゃないわよ!とにかく!今から行くから!」ガチャ
電話の切れるオト。しばしの沈黙。
「……行く?……今から?……またか」
貴明は由真の家にかけなおす。すこしして誰かが電話に出る。「もしもし、河野ですが」
「おおお、お主か」
「じいさん、由真は?」電話越しの声は焦っていた。
「それが、たった今飛び出していきおって…」今度は悲しそうな声。
「また喧嘩したのか?」そう、いつものこと。いつも二人で喧嘩する度に由真は家を飛び出してくる。
「い、いや、わしは由真にだな…」
「まったく、二人ともこっちの身にもなってくれよ。仕方ないな、説得してそっちにお返しするよ」ため息をつく貴明。
「いや、いい。好きにやらせてくれ」意外な言葉が返ってくる。
「好きにって、あんた。あいつ『絶対帰らない』って言うぞ」
「かまわん、都合のいい時に帰らせてくれ」
「って言ったって男の家に簡単に入れさせていいのかよ?」
「うむ。かまわん、お主だから許す。そこは何も言わぬ」俺だから……?いつのまにか電話は切れていて、気付くと家のチャイムが鳴っていた。
63名無しさんだよもん:05/01/08 03:41:43 ID:8ulGYF8p
「こらぁー!開けなさいよぉ!」慌てて玄関に向かい、ドアを開けてやる。
由真はさっさとリビングに行き、ソファに座り込んだ。
「ぜぇぇったい、帰ってやんない!」貴明が戻ってくると由真が突然大声をあげた。
「はぁ……じじいが好きにしろって言ってた」あきれたように貴明が言う。
「だから帰ら………………………うそ?」
「ホント」
「私、泊まるの?」
「帰る?」由真は真っ赤になった顔を必死で横に振る。かわいいな、と微笑しながら貴明はキッチンに入ってお好み焼きの準備をする。今回は材料の不足はない。
「晩飯、食うよな」
「うん」まだ恥ずかしがっているのか、返事がぎこちない。


「もう食っていいよ」待ってました、とばかりに由真はお好み焼きにかぶりつく。
貴明はうれしそうにケチャップをかけている。
「げ」と由真。
「おいしいの?」
テンポよくケチャップお好み焼きを口に運ぶ貴明を見て由真がつぶやく。
「うまいよ。試してみ」そう言ってケチャップを隠す。それを見て由真が怒ったように貴明を睨む。
「マイケチャップ持ち歩いてるんだろ?」勝った、とニヤニヤしながら貴明が言う。
「むぅ…」っと悔しそうな顔をする。
「はいはい」ケチャップを由真に差し出す。それを受け取ってお好み焼きにかける。そしてそれを口のなかに放り込む。
「ぅん、なかなかんまぃ」
64名無しさんだよもん:05/01/08 03:50:48 ID:8ulGYF8p
二人が夕食を終え、貴明が風呂に入る。しばらくして風呂を出た貴明が
「由真、風呂空いたぞ」
「えっ、え?あ、あ、うん。」テレビを観ていた由真はびっくりして返事した。
そそくさと風呂場に向かっていく由真。
由真が風呂に入っている間、貴明は由真の布団を敷いた。そして風呂場の前で
「由真?布団敷いといたから」と伝える。
「うん…」由真は風呂からあがった後のことを考えていた。やっぱり泊まるということはそういうことがあるのだろうか。貴明もそういうことを考えているのか。
「あうう…」なるべく考えないようにしているのに、いつもより丹念に体を洗っている自分に気付く。
風呂に入っているからなのか、意識しすぎているのか、由真の顔は赤いままだった。
「なるようになるわ、しっかりしてよ、由真」
風呂を出た由真は自分にそう言って部屋にあがった。貴明から借りた大きなパジャマを着て。

由真が部屋に入ると貴明はPCをしていた。
「何してんの?」由真が聞くと、
「いつも寝る前になるとくだらない疑問が頭に出てきてさ、それ調べてた。じゃ、電気消すよ」貴明はPCの電源を落とし、部屋の照明を消した。
由真はさっさと寝てしまえばいいと、「おやすみ」と言って布団に入って目を閉じた。
「おやすみ」貴明は普通にベッドに入った。
65名無しさんだよもん:05/01/08 03:51:19 ID:8ulGYF8p
由真は最初は安心していた。しかし5分経っても10分経っても眠れなかった。貴明とのこの微妙な距離がそうさせた。貴明とそういうことがしたいわけじゃない、でも貴明の傍にいたいという気持ちがあった。
「もう、寝た?」とっさに言葉が出た。
「寝てないよ」少し間をあけて優しい口調で言葉が返ってきた。
「貴明の傍で寝たい」いつもの態度からは出ないような言葉が簡単に出てくる。
「いいよ」貴明もわかってくれていた。由真は暗い中、静かにベッドに近づき、布団に潜り込んだ。
すぐそこに、貴明の顔があった。二人は見つめ合った。貴明は少し笑っていて、由真は恥ずかしそうな表情をする。
いつのまにか二人の顔と顔は近くなり、そして互いの口唇が触れ合う。
「っ…」声にならない吐息を漏らす由真。
映画でやっていたような舌と舌が絡み合うようなキスではない。しかし、お互いにはそれで十分だった。
「っ………ん…」しばらくしてやっと二人の口唇が離れる。由真が目を開けると、貴明が見ていた。急に恥ずかしくなった。
「あ、あっち向いてよ。恥ずかしい…」
「ん」貴明が由真に背中を向ける。
「貴明」
「ん」
さっきと同じ返事。由真は貴明の背中に手を当てて体をくっつけた。
「今度私の家にも遊びに来てね」
「今度な」
貴明は背中にあたる感触を気にしながら返事する。
そして二人は眠りに就いた
66名無しさんだよもん:05/01/08 04:25:03 ID:P0eTn4UR
イシミ
イミシ
シイミ
シミイ
ミイシ
ミシイ

わからん
67名無しさんだよもん:05/01/08 12:00:07 ID:R6ZpmfUG
>>62-65

でもエロインで寸止めは勘弁
68真夏のミステリ 後編・1:05/01/08 14:59:12 ID:hOZpOSqp
花梨「じゃあ校舎の中も行ってみよか!」
花梨は楽しげにスキップしながら校舎の玄関へ向かった。俺もその後を追う。
いつもの不思議生物探索とか心霊スポット探検ならあまり気が乗らないが
今日は妙にやる気がでる。だって今自分が歩いてる場所を昔たくさんの人たちが歩いた、
なんて考えるとロマンを感じるだろ?

校舎の中に足を踏み入れる・・・。
外見とは違い、中はほとんど当時学校だった頃の姿をとどめていた。
俺達は近くの教室に入った。
壊れた屋根から差した光が、見慣れた教室という場所を神秘的にさせていた。
花梨「たかちゃん見て見て!落書きが残ってるよ」
無造作にならんでいる机を指差して花梨が言った。
机にはおそらく彫刻刀かなにかで彫られた模様やよくあるアイアイ傘などがあった。
「俺も小学生くらいのころ、カッターで机彫って怒られたことあったなあ」
花梨「これを彫った人はいまごろどこで何をしているんだろうねえ・・・」
あと何十年も経ったら俺が書いたりした落書きも
誰かに見られて同じようなことを言われるのだろうか。

花梨「ねえたかちゃん。私が先生やるからたかちゃんは成績が悪くていつも遅刻ばかり
   している生徒をやって!」
「・・・なんか納得いかないけど」
花梨「ほらぁ、ちゃんと席につきなさいタカアキくん」
教卓に手をつき花梨が言った。
「へいへい」
花梨「では問題です。9×8×6×3×12×8はいくつでしょうか!?」
「えーと、くは72・・・・・。って暗算じゃできないよ!そろばん1級とかじゃないし!
 ていうか笹森さんも答え分かんないだろ!?」
花梨「まったくタカアキ君はこんな問題も解けないのですか。罰として廊下にたってなさい!」
「そんな無茶苦茶な・・・」
花梨「言い訳する子は嫌いですよ!さっさと廊下に行きなさい!」
俺はしぶしぶ廊下に出た。
よく考えると今の時代廊下に立たされるなんて無いよなあ。
69真夏のミステリ 後編・2:05/01/08 15:00:53 ID:hOZpOSqp
ふと廊下の曲がり角に目をやる。
するとそこには古びた廃校には不釣合いなキレイな黄色の帽子が置かれていた。
よく小学生とかが被っているアレだ。
教室から出てきた花梨も俺の見ている場所に視線を向ける。
花梨「あれも昔の人の忘れ物なのかな?」
「うーん、それにしてはキレイすぎるよ」
花梨は帽子を拾い上げ軽くホコリを払うようにしてから被った。
花梨「どう?似合う〜?」
その場で一回転する花梨。
その瞬間、
ガタッ!
教室でイスをずらした時のような音がした。
驚いて教室を見るが誰がいるわけでもなく・・・。
花梨「どうしたのたかちゃん?まさか幽霊でも見たとか??」
半分バカにしているような態度で花梨が言う。
「・・・いや、なんでもないよ。まだ夕方にもなってないのに幽霊が出るはず無いだろ?」
そうだ、こんな明るいうちから幽霊なんてでないよな。俺もけっこう臆病者だな。
「じゃあそろそろ宿にもどろうか?着くころには丁度夕飯の時間だろうし」
花梨「そうだね!では笹森花梨探検隊、帰還するぞー!」

俺達は廃校を後にした。
でも俺は信じたくない事があった。
最後に教室を見たとき俺が座ってたイスとは全く違うところにあるイスが
不自然に机から飛び出していた。まるで席についていた誰かが立ち上がったかのように・・・。
70真夏のミステリ 後編・3:05/01/08 15:02:09 ID:hOZpOSqp
宿に戻り夕食と風呂をすませ部屋でくつろぐ。
今日の朝はここに来たことを後悔していたが
今はそんな気はしない。むしろ来てよかったと思っている自分もいる。
都会にはない自然を満喫できたから?懐かしいあのころを思い出せたから?
それとも・・・花梨が一緒だったから?
とにかく明日になったらまた住み慣れた街に帰らなければならない。

そんな風に哀愁に浸っていると、
花梨がとんでもないことを口にした。
花梨「じゃあそろそろいくよたかちゃん」
「!?今なんと?」
花梨「どしたの?学校いくよ」
「え、なんか忘れ物でもしてきたの?もう8時だし明日の朝でいいんじゃない?」
花梨「もう。さっきのは下見って言ったよね、たかちゃん」
イヤな予感がします、姉さん。

・・・・。
俺のイヤな予感は的中し、再び俺と花梨は学校への石段を登っていた。
さっきは明るかったからなんとも思わなかったが、今は全然違う。
2人の懐中電灯だけが暗闇の中の石段を照らしていた。

そして学校に到着。
さっきとはうって変わって不気味な雰囲気をかもし出している。
花梨「あれえ?もしかしてたかちゃん恐いぃ?」
「そ、そんなことないよ。いこう」
俺達は校舎に入った。

さすがに夜の学校は恐い、オマケにここは廃校だ。
人体模型が走ってきたらどうしよう・・・。ナンマンダブナンマンダブ。

適当に校舎の中をうろついたが幸いにも(?)幽霊らしきものは出てこなかった。
71真夏のミステリ 後編・4:05/01/08 15:04:38 ID:hOZpOSqp
花梨「うーんおかしいな〜、なんで出ないんだろう・・・」
出たらどうするんだよ!と思いつつ俺達は校舎から出るため
玄関の方へ廊下を歩いていた。
「そういえば笹森さん、なんでわざわざ合宿までしてここに来ようと思ったの?」
そう、それが知りたかった。
花梨「あれ?言わなかったけ?ここは昔、といってもその時はすでに廃校になってたらしいけど」
「うんうん」
花梨「当時小学生だった女の子が下校途中に友達と3人でここで遊んでたらしいんよ。
   やっぱり秘密基地みたいで楽しかったんだろうねえ」
「それで?」
花梨「でもある日、いつものようにここにきて遊んでた3人を悪いおじさんがつけていたんよ」
ゴクリ・・・。
花梨「そのあとなにが起こったかは想像力豊かなたかちゃんならわかるよねえ?」
「け、けっきょく3人はどうなったの?」
花梨「1人はなんとか逃げて助けを呼びにいったんよ。でも大人たちが駆けつけた時には
   もう1人の女の子は変わり果てた姿に・・・。あ、でも心配しないで、犯人は
   すぐに捕まったみたいだから」
「・・・あれ?3人って言ってたよね?もう1人は?」
花梨「そこなのよたかちゃん。もう1人の女の子は行方不明になっちゃったの。
   もちろん村総出で探したけど見つからなかった。
   助けを呼びに行って大人たちが駆けつけるまで30分もなかったのに
   その間に穴を掘って埋めたりできるはずもないし。
   その可能性もあるってことでこの辺りを掘り返したらしいけどね。
   結局もう1人の女の子はどこにもいなかった」
「・・・・・・」
72真夏のミステリ 後編・5:05/01/08 15:06:34 ID:hOZpOSqp
花梨「それでもう一人はどうなったか、という事についていろんな解釈があるんだけど」
どうせそういう心霊サイトみたいなのを見たんだろうな。
花梨「その中でも一番信憑性がある意見があってね」
なさそー・・・。
花梨「もう1人の女の子はこの廃校に逃げ込んだ説!」
「いやいや、そしたら無事に助かってるんじゃないの?」
花梨「もう、最後まで聞いてよ。簡単に言うととっさにこの廃校の中に逃げ込んだ
   女の子はとにかく隠れようと思って、例えば掃除ロッカーとかの中に入っちゃったのよ。 
   でも建てつけが悪かったとかで開かなくなっちゃってそのまま・・・」
ありえねー。冷蔵庫の中に入った子供じゃあるまいし、
そもそもそんな事件があったかどうかすら・・・。
花梨「それからというものこの廃校で女の子の霊を見たという人がたくさん・・・」

そんな話をしながら俺達は昼間の教室の前を通りかかった。
なにか気配を感じて俺は真っ暗な教室に目をやった。
・・・・・・・。
う、嘘だ・・・・。
教室には寂しそうに席についている女の子がいた。
いや、ありえない、こんなベタな展開。
み、見なかったことにしよう・・・。
変な汗が出てきたがなんとか教室をスルーしようとする俺。
花梨「あれみて、たかちゃん!」
アホーー!と心の中で叫んだ。

花梨の声に気づいたのかその女の子はこちらを向く。
も、もうだめだ、霊界に引きづりこまれるんだ・・・・。
だがあることに気づいた。
その女の子は白く光ってるわけでもないし足もついている。
普通の人間の女の子と同じなのだ。
73真夏のミステリ 後編・6:05/01/08 15:08:32 ID:hOZpOSqp
そう考えていると女の子は立ち上がりこちらに歩いてきた。

花梨「キミも幽霊を探しているの?」
花梨は女の子にためらいなく聞いた。
恐くないのか!?それとも本当に人間だと思ってるのか!?
焦る俺をよそに花梨は女の子の答えを待っている。

ほんの少しの沈黙の後女の子は口を開いた。
女の子「・・・帽子を探しているの」
かすかに聞き取れる声で女の子は言った。
花梨「帽子?」
俺はあることが脳裏によぎった。
きっと昼間の黄色い帽子のことだろう。
それにしても足を探しているのとか言われないでよかった・・・。
「笹森さん、きっとあの黄色い帽子の事だよ。あの後どこにやったっけ」
花梨「あの帽子ならたかちゃんの持ってるリュックのなかだよ」
花梨は俺が背負っているリュックを指差した。
「ええ!?いつのまにいれたの!?」
花梨「だって、せっかく来たんだから調査資料として現地の物を持って帰るのはキホンでしょ?」
「・・・とにかくこの子の帽子みたいだから返してあげようよ」
花梨「たかちゃんが言うのならしょうがないね」
俺はリュックの中から帽子を引っ張り出して恐る恐る女の子に渡した。
74真夏のミステリ 後編・7:05/01/08 15:09:36 ID:hOZpOSqp
女の子「ありがとう。お兄ちゃんお姉ちゃん。これでおうちに帰れる」
花梨「こんな夜遅くまで帰ってこなかったら家族の人が心配してるよ、真っすぐ家に帰るんだよ?」
ホントにこいつはマジで言ってるんだろうか・・・・。

女の子は玄関の方へ走っていった。その顔には笑みが見えたような気がした。

俺達も少し遅れて玄関を出る。
花梨「あれ?女の子いないね。足が速いのかなあ?」
その時急に強い風が吹いた。
風は木々をざわざわと揺らし、古びた木造の校舎はギシギシ音をたてた。




翌朝、俺達は民宿のおばさんに別れの挨拶をして帰路についた。
帰りの電車は旅の疲れからかグッスリ眠ってしまいとても短く感じた。
75真夏のミステリ エピローグ・1:05/01/08 15:13:24 ID:hOZpOSqp
何日か経った朝。
プルルルルルル、プルルルルルル
はいはい、今出ますよ。
ガチャ
「もしもし、河野ですが」
花梨「たかちゃん元気してるぅーー!?」
「笹森さんか、今日は何のよう?」
花梨「これから緊急ミーティングを行うからすぐ学校に来てくれるかな!」
「え、また?でもまだ起きたばっ」
ガチャ、ツーツーツー。
・・・・・・。
行けばいいんでしょ、行けば・・・。

自転車をとばして学校へ向かう。

ふぅ、やっぱり自転車だと早い早い。
俺は部室のドアを開けた。
76真夏のミステリ エピローグ・2:05/01/08 15:14:13 ID:hOZpOSqp
花梨「今日はけっこう早かったね!」
「まあね。それで今日はなんなの?」
俺はパイプイスに腰を下ろす。
花梨「突然だけどたかちゃん、山と海どっちが好き?」
「またその質問かよ!」
花梨「うんうん、たかちゃんは海が好きなのね。偶然だなあー私も海が好きなんよ。
   海はいいよねえ、母なる地球を感じるよね!」
勝手に話が進んで行く・・・。
「まだどっちが好きかも答えてないんだけど笹森さん」
花梨「というわけで、たかちゃんの希望に答えて
   第二回真夏の夜のミステリ合宿を行いたいと思いまーーす!」
「ええええ!?この前行ったばかりじゃないか」
花梨「何言ってるのよたかちゃん、夏休みはまだ半分残ってるんだよ?
   この機会を有効に使わなきゃ!」
「そんな・・・・」
花梨「あれ?2回だけじゃ物足りない?
   心配しないで!そんなたかちゃんの為に第三回の分も計画立ててるから!」
・・・神様、どうかお助けを。




おしまい。
77名無しさんだよもん:05/01/08 16:12:09 ID:AmGmqx9c
GJ!

まだ読んでないけど
78名無しさんだよもん:05/01/08 16:19:21 ID:TbT65PsC
GJ!

俺もまだ読んでないけど
79名無しさんだよもん:05/01/08 16:27:12 ID:Gr3sUMRg
実に花梨と貴明コンビらしくてイイ
次があるならも少しラブ風味を
80名無しさんだよもん:05/01/08 16:35:13 ID:AD7VLggk
俺も全編読んでラブを期待してただけに・・・少々残念。
いや二人の描写はよく出来てるんだけどね。
81名無しさんだよもん:05/01/08 17:09:51 ID:uorzLy0L
花梨が、生きた花梨が見えるよ(*´Д`)'`ァ'`ァ
82名無しさんだよもん:05/01/08 18:17:01 ID:C+m/Dzs9
メチャメチャGJ!!
8323-31:05/01/08 18:56:58 ID:NCVOyVnt
皆さん、そらもう乙よ
若干加筆修正したものを置いておきます
気が向いたら、また何か書きますわ
ttp://www2.tokai.or.jp/v-sat/ss/toheart001.html
84名無しさんだよもん:05/01/08 20:35:44 ID:qwSMMuFk
「あーあ、疲れた疲れた……」
 修学旅行を終えて、学校に帰り着いて、
「皆さん、これで修学旅行は終わりではありません。家に帰って『ただいま』と言う
までです」
 という校長のおきまりの訓示を聞かされて重い荷物を担ぎながら貴明は誰もいない
我が家に帰り着いた。
「(………俺は最初から考えてた通り雄二や小牧と一緒にラーメン食い倒れツアー敢
行できてそこそこ楽しかったけど、雄二はそれでも不満そうな顔してたよなあ…どう
せならダブルデートとしゃれたかったとか言って。小牧がいたんだからいいじゃない
かって俺は思うんだけど。さて、家に帰ったら風呂入って軽いもん食ってさっさと寝
ようっと)」
 貴明は玄関まで来ると、灯りが点いていることに気づいた。
「(はてな?俺は家中の電気は消して、鍵もかけて出たはずなのに…)」
 貴明は面妖な気持ちになった。
「(俺の留守中にこのみが合鍵を使って勝手に上がりこんでたとか……ははは、まさ
かね)」
 嫌な予感を覚えながらもそれを打ち消すように都合のいい解釈をしながらドアノブ
に手をかける貴明。
 カチャッ、スイーン……
 河野家の玄関の扉は些かの抵抗もなく開く。ピッキングで鍵を開けて泥棒に入られ
たんじゃないかという最悪の展開も浮かんだ貴明の胸のうちは、
「(そりゃないぜビビンバクッパ。金目のものとか取られてたらどうしよう。こ、こ
こは被害はどうあれ『修学旅行中に泥棒に入られちゃった事件』としてこのみの家と
警察に報告したほうが良さそうだな)」
 であった。
「おかえりなさいませ、貴明さん」
「……え?」
 貴明は声の聞こえてきた玄関の上がり框に視線を落とすと、メイド服姿の女性が正
座して頭を下げ、三つ指をついて貴明を出迎えていた。見上げ見下ろす顔と顔、そこ
にあったのは明らかにお互い面識のある顔だった。
85名無しさんだよもん:05/01/08 20:41:20 ID:qwSMMuFk
「い…………イルファさん?」
「お久しぶりです、貴明さん。本日修学旅行から戻られるとお隣の柚原さんからお伺
いしておりました。ちょうど貴明さんが戻られる時間に合わせてお迎えする準備を整
えておりました。あ、鍵のことですけどご心配なく。ピッキングで開けた訳ではなく、
柚原さんから合鍵をお借りして開錠しましたので」
「あ、ああ、イルファさんのご厚意はありがたいんだけど…確かイルファさんは一月
ほど前に瑠璃ちゃんとうまくいかなくて研究所に帰ったはずじゃあ?」
「ええ。でも私にとってはやっぱりメイドとして人間様にお仕えするほうが性に合っ
てますし、そこで主任にお願いして、今ご両親が海外出張中で一人暮らしされている
貴明さんのお世話をしたいと思いまして」
 貴明の頭の中をつい一月前の出来事が過った。貴明はひょんなことから来栖川エレ
クトロニクスと共同で新型メイドロボの開発に携わる電脳少女、姫百合珊瑚と知り合
い、彼女の双子の妹の瑠璃と彼女の手によって作られたメイドロボのHMX-17a「イル
ファ」とも知り合うことになった。しかし
「さんちゃんはウチだけのもんや!他の誰にも譲れへん!」
 そう頑なに主張して譲らない瑠璃は珊瑚と仲良くなった貴明や、自分の担当だった
家事を引き受けてくれることになったイルファの存在を面白く思わず、毎日つらく当
たり散らしては彼らを困らせていた。両人とも困りきって貴明はある時期を境に珊瑚
や瑠璃と学校で会うことをやめ、イルファは失意と悲しみの中で来栖川エレクトロニ
クスの研究所に帰ることになった。帰り際、イルファはわざわざ貴明の家に挨拶に来
てお別れを言ったのだがそれでも日が経つごとにイルファ自身としては研究所で燻っ
ているよりメイドロボとして誰かに奉仕したいという思いが強くなったらしく、改め
て貴明のところに身を寄せることにしてこうなったようだ。なるほど玄関のポーチや
その先の上がり框や廊下はきれいに掃除されて雑巾までかけられ、扉や窓もきれいに
磨かれているようだった。台所のほうからは何やら食欲をそそる匂いが漂ってきて、
全自動洗濯機の回る音も聞こえてくる。
86名無しさんだよもん:05/01/08 20:44:01 ID:qwSMMuFk
「貴明さん、もしかして私、ご迷惑でしたか?」
 どう反応していいのか分からないといった貴明の顔を見て、イルファの顔は悲しみ
で曇っていた。
「そ、そんなことないけどさ。でも俺にイルファさんを買う金なんてないし、この先
面倒見ていけるかどうかも自信がないから…」
「それでしたらご心配なく。私は私の意志でこちらにお邪魔させていただいたのです
から。私を動かすのに必要な燃料電池充電のためのキットや、必要なソフトをインス
トールしたノートパソコンとマニュアルはちゃんと用意して参りました」
「…………」
「貴明さん、長い道中でお腹空いておられるでしょうし、お夕飯召し上がってくださ
いな。もしそれでも貴明さんのお気に召されないようでしたら私は貴明さんのこと諦
めますけど」
「……………」
 結局貴明はイルファに強引に押し切られる形で夕食の食卓につくことになった。

「お疲れのようですから、軽くて消化にも良いものにしてみましたけどいかがでしょ
うか」
 貴明の前に置かれていたのは雑炊、きつねうどん、薄く切ったかまぼこの入った澄
まし汁とカロリー控えめのものばかり。それでも漂う匂いは貴明の食欲をそそるには
十分だった。
「いただきます」
「はい、どうぞ」
 貴明は箸を持ってうどんを啜った。イルファのデータベースに入っているレシピに
従って作られているだけに旨い。それ以上のものでもなかったけど。
「うん、おいしいよ」
「そうですか?良かった。貴明さんに喜んでいただけて嬉しいです…」
 イルファの顔が緩む。一口食べて食欲の出た貴明は他のおかずにも次から次へと手
を付け、程なくきれいに食べてしまった。
「ごちそうさま」
「はい、お粗末様。お風呂沸いてますからどうぞ。タオルと着替えも用意してありま
すよ」
87名無しさんだよもん:05/01/08 20:47:08 ID:qwSMMuFk
「ええっ?そこまでしてくれるなんてやっぱりイルファさんは凄いなあ。それじゃ入
ってくるか。今日はもう早く寝たいし」
 貴明はバスルームに直行して、裸になるとかかり湯もせずにバスタブに浸かった。
「ふう…(今になって新しい出会いがあるなんて思いもよらなかったな。瑠璃ちゃん
や珊瑚ちゃんと話する機会がなくなって、俺はこのままこのみやタマ姉、小牧と何と
なく過ごしていって、それでいいじゃないかと思ってたけど。一度研究所に帰ったイ
ルファさんがメイドロボとして働きたいって言って、わざわざ俺の家に来たってこと
は、ひょっとして…)」
 取り止めもないことを考えていると、バスルームの扉が開いた。
「貴明さん、よろしければお背中お流ししましょうか?」
「わっ、わっ、イルファさん。そりゃいくらなんでも…」
 湯気の向こうに現れる裸のイルファのシルエットを見て、慌てて顔を背ける貴明。
「貴明さん、そんなに恥ずかしがらなくてもよろしいのに」
 いたって穏やかに話し掛けるイルファ。恐る恐る貴明が後ろを向くと、イルファは
ちゃんと水着を着て貴明の前に立っていた。ライトブルーに白の縁取りが付いたワン
ピースで、スクール水着と大して違いのない水着を。
「どうかされましたか?」
「え、いや、別に何でもないよ…」
 裸で浴室に二人きりというシチュエーションが頭に浮かび、バスタブに浸かってい
る貴明の分身は鋭敏にに反応してビクンと膨れ上がって天を仰いでいた。醜態を見ら
れたくない貴明は、イルファに背を向けたまま言ってのける。
88名無しさんだよもん:05/01/08 20:49:04 ID:qwSMMuFk
「いや、今日は自分で体洗うよ。暖まって疲れ取れたからさ。また機会があったらイ
ルファさんに背中流してもらうから。ね?」
「そうですか…貴明さんがそう仰るなら…」
 イルファは少し寂しそうに答えて、バスルームから立ち去った。扉が閉まる音と共
に深々と溜息をつく貴明。
「やれやれ…どうやらイルファさんに醜態を晒さずにすんだな。うう、まだ下半身が
熱い……こら、鎮まれ我が息子」

 結局その日風呂から上がり、ベッドに入って裸のイルファと愛し合う妄想を頭に浮
かべながら自分の手で慰めて満足させるまで、貴明の分身はエキサイトしたままだっ
た。
「うう…こんな時は素直な俺の息子が恨めしい……」
 ティッシュで後始末を終えた後、そんなことを思いながら、貴明は一発抜いた後の
気怠い疲れの中で眠りに落ちていった。
89名無しさんだよもん:05/01/08 20:54:18 ID:Gr3sUMRg
>>83
取り合えずがんばれ
90名無しさんだよもん:05/01/08 20:54:53 ID:qwSMMuFk
「なるほど……で、そうして貴明とイルファさんってメイドロボとの同棲生活が始ま
って、お前は今まさにその幸運を享受してるって訳だ」
 昼休みの食堂。雄二はイルファの手作り弁当を持っている貴明を前にして引きつっ
た笑みを浮かべて貴明の顔を見ていた。対するに雄二の昼食は調理パン3個である。
「いや、俺もこんな展開が待ってたなんて修学旅行から帰るまで思いもよらなかった
んだけどさ…」
「カーッ、やんなっちゃった俺。お前ばっかりがどうしてこんなにもてるんだろ。し
かもメイドロボと同棲!俺がいつも夢見てたシチュエーションじゃないかよう」
「(だから事の顛末を話したくなかったんじゃないか俺は)」
 貴明はまさに雄二に尋問される形で昨日あったことを詳らかに話したのだった。
「お、貴明、今日は弁当か。このみの母さんにでも作ってもらったのかい?」
「違うよ」
「じゃあ誰なんだ?姉貴…な訳はないし。まさか例の双子の料理が上手い瑠璃ちゃん
か?」
「違うってば」
「ん?じゃあ誰なんだよ。他に女作ったってのか。吐け!」
「ええっ、でも雄二に話したらきっと怒るだろうしなー…」
「何言ってんだ、俺とお前の仲だろ。誰が怒ったりするもんか。俺にも教えろよ」
「…………」
「ん?言いたくないのか?ふーん……なら姉貴やこのみにあることないことしゃべっち
まおうかなー…」
「……………お前将来ロクな死に方せんぞ」
 そうして貴明は昨日の出来事を雄二に洗いざらい話すことになった。雄二の隣には
このみもいて話に加わっている。挨拶に来たイルファと顔を合わせる機会のあった
「雄二側の喚問した証人」として。
「昨日の夕方、わたしが帰ってきて着替えてすぐくらいだったよ。イルファさんがう
ちに来たの。それで『今日から貴明さんのところでお世話になりますHMX-17aイルファ
と申します。どうぞよろしくお願いします』って言ってね、ととみ屋のカステラ持っ
て来てくれたんだよ」
「で、どんな人…いや、メイドロボだった?美人か?」
91名無しさんだよもん:05/01/08 20:57:54 ID:qwSMMuFk
「うん、わたしから見てもすっごい美人で落ち着いた感じだったかな。メイド服がす
ごくよく似合ってたの覚えてるよ」
「カーッ、益々やんなっちゃった俺。どうして貴明ばっかりがもてるんだろうな。そ
れも今度はすっごい美人のメイドロボだと?果報者だな。どれ、弁当箱開けて見せて
みろよ。最新式のメイドロボが作ってくれたからにゃさぞかし旨いんだろうな」
 かねてからメイドロボに憧れていて、常々家政婦よりメイドロボが欲しいと口癖の
ように言っていただけに雄二の貴明に対する嫉妬は激しい。貴明が黙って弁当箱の蓋
を開けると、そこには鶏肉と卵のそぼろがかかった二色御飯、おかずは鶏の唐揚げ、
だし巻き、ほうれん草のバターソテー、プチトマトとオーソドックスながら彩りに気
を配ってある弁当が現れた。
「ほわー、おいしそうだね。お母さんのお弁当にも負けてないよ」
 このみは素直に感嘆の声を上げた。
「いただきっ」
 貴明が食べ始めるより早く、雄二の手が唐揚げをつまんだ。
「おい、いきなり何しやがる」
「う〜ん、絶妙のスパイスの効き具合とカリッとした衣とジューシーな鶏肉のバラン
スがいいねえ。さすが来栖川エレクトロニクスのメイドロボ。料理の腕はなかなかだ
よ」
 雄二は貴明の抗議を無視して唐揚げの味を楽しんでいた。その後も続けて貴明のお
かずを摘む。
「このだし巻きも旨そうだな。もらうぜ……これまたダシ加減がいい具合だね。卵の
焼き加減もちょうどいいよ。卵料理ってな火加減が難しいからねえ。うーん、プチト
マトも新鮮なの選んであるよ…」
「雄二、いいかげんにしてくれ。俺の食う分はどうなる!」
「ケチケチすんな。これから先お前はイルファさんの手料理好きなだけ食えるんだろ
?親友の俺が少しくらいオコボレに与っても罰は当たんねえはずだ」
「タカくん、そんなに怒らないでよ。わたしのおかず分けてあげるから」
「え?ああ…すまねえな」
 ムッとなった貴明の顔を見てこのみが取り成し、コロッケと卵焼きを一切れずつ貴
明の弁当箱に入れてくれた。それで貴明の機嫌が直ったと見た雄二は更にとんでもな
いことを言ってきた。
92名無しさんだよもん:05/01/08 20:58:03 ID:Gr3sUMRg
>>88
双子たんバッドエンド後やね
なんかおいしい展開になりそうなので期待
93名無しさんだよもん:05/01/08 21:00:26 ID:qwSMMuFk
「なあ、たまにでいいからイルファさん俺に貸してくれないか?レンタル料なら払う
から」
「雄二、タカ坊に何話してるの?」
 貴明が何か言うより早く雄二に話しかける声があった。環である。
「うちには家政婦さんがいるのにわざわざメイドロボ置くことないでしょ」
「あだだだだだ、親友同士の軽い冗談じゃねえか」
 結局この一件は環が雄二をアイアンクローの刑に処することで幕となった。

 放課後、貴明は環、このみ、雄二と一緒に環が最近気に入って通っているという喫
茶店に来ていた。ある有名なファミレスの系列店で甘さ控えめのケーキが甘いものが
好きな女の子に好評であったが、親会社のファミレスのを引き継いだウエイトレスの
制服が胸元を強調していてえらくセクシーということで男性にも人気のある店である。
四人が何にするか注文を決め、環がカウンターに向かって手を上げると貴明とこのみ
にとっては見知ったウエイトレスが注文を取りに来た。
「あれ、イルファさん?」
「貴明さん…それに柚原さんも。こちらの方は貴明さんのお友達ですか?」
「そうだよ。3人とも俺とは幼なじみなんだ。こっちは俺の1年先輩で姉貴分の向坂環、
通称タマ姉。んでこいつがタマ姉の弟で俺のダチの向坂雄二だ」
「どうも、イルファです。このたび貴明さんのところにお世話になってます。よろし
くお願いします」
「向坂環です。よろしくね」
「俺は向坂雄二。イルファさん、よかったら今度俺とデートでもギャワッ?!……い、
いえ、何でもないです」
 雄二の顔が痛みで引きつった。環にテーブルの下から向こう脛を蹴られたのである。
「でも何でイルファさんがバイトを?」
「あの、私、ただ貴明さんの家に住まわせていただくのにご飯とか掃除とかするだけ
では申し訳ないと思いまして…それにご両親からの仕送りだけでは私の維持費を出す
のはつらいと思ったんです。主任は仕送りするって仰ってくれたんですけど……」
「そこまで気を使ってもらわなくてもいいのに…だけどその制服、イルファさんに似
合っててかわいいよ」
「え、そうですか?この制服って胸が強調されててちょっぴり恥ずかしいんですけど
…」
94名無しさんだよもん:05/01/08 21:04:37 ID:qwSMMuFk
 イルファの顔がポッと赤くなった。
「イルファさん、恥ずかしがることないって。イルファさんは美人でスタイルいいか
ら貴明の言う通りそういう制服着ると映えるんだギャワッ!?」
 雄二が口をはさみ、また環に向こう脛を蹴られる。環の吊り上った目は「いやらし
い目でイルファさんを見るんじゃないわよ」と雄二に語りかけていた。
「あの、オーダーお願いできます?ここで立ち話ばかりしてるのもなんですし」
「そうですね、かしこまりました」
 環に声をかけられてイルファはオーダーを取りに来たところだったと思い直し、ク
リップボードとペンを持ってオーダーを取るとそれを通すべく立ち去った。
「あんな美人のメイドロボと同棲生活してるなんて、タカ坊も隅に置けないわねえ」
「よせやい」
「でもいいメイドロボと一緒になれて良かったね、タカくん。ほら、イルファさんっ
て笑顔が素敵だし、くるくるとよく働いてるよ」
 このみの指摘通り、イルファは他のテーブルを片付けたり、オーダーを取ったりし
ていたがその仕事ぶりには全くそつがないし、客のうけもなかなか良さそうであった。
「イルファー、ちょっと5番テーブル頼むネ。アタシ忙しくて手が離せないのヨ」
「あ、はーい」
 金髪でナイスバディのウエイトレスがイルファを呼び止め、イルファは慌てて5番
テーブルのほうに方向転換した。呼んでいたのは母親と男の子の2人連れ。
「はい、ホットコーヒーのお代わりをお一つで。少々お待ちください」
 イルファがオーダーを取って去ろうとすると、その後ろで男の子が動いた。
「おねーえちゃん」
「きゃあああっ」
 声のしたほうでは(貴明と雄二にとっては)夢のような光景が繰り広げられていた。
「おねえちゃんのパンツ、白いのだね」
95名無しさんだよもん:05/01/08 21:07:34 ID:qwSMMuFk
 男の子はイルファのスカートの裾を掴んでめくり上げ、イルファの穿いている真っ
白でサイドに花模様の刺繍のあるパンツが丸見えになっている。そんな状況でもイル
ファはかろうじて笑顔を保っていた。
「あの、ちょっとボク、お願いだから手を離してくれないかな」
「やだ」
 環の目が吊り上った。
「(いくら子供だからってあれは許せないわよ。注意しに行くわ)」
 環が席を立とうとしたところで、
「こら、真聡!」
 男の子の母親が止めに入って事態は収まった。
「真聡何してるの!」
「だってお姉ちゃん綺麗なんだもん」
 綺麗だと言われてイルファの顔が染まる。しかし母親はそれで悪戯をした我が子を
許すはずがない。
「だからってやっていいことじゃないでしょう!…本当にすみません。真聡はきつく
叱っておきますので」
「いえ、大したことじゃありませんから気にしないでください」
 イルファは心なしか競歩のような足取りで厨房に引っ込んでいった。
「タカ坊、雄二。二人ともニヤニヤしてるけどどうしたの?」
「い、いや、そんなニヤニヤなんてしてねえし知らねえよ。イルファさんのパンツが
白の花模様の刺繍付きだったなんて」
「バカ、よせ雄二。そんなこと言ったら…」
「二人とも、後でちょっといいわよね?」
 お茶の後、貴明と雄二が紳士の嗜みについて環にみっちり説教されたのは言うまで
もない。
96名無しさんだよもん:05/01/08 21:10:33 ID:qwSMMuFk
とりあえずここまでが健全なストーリーラインとコメディとパロディで固めた前編
(皆様に元ネタいくつ分かるでしょうか)。後編はエッチいにするつもりでありま
す隊長。でも倉上淳士の短編漫画みたいにあっさり風味にしてみたいと思ってます。
普段どっかこっかひねったえちシーンばっか書いてる俺でつから。ではまたお会い
しましょう。
97名無しさんだよもん:05/01/08 21:14:06 ID:06sjH/Yr
双子Badエンド後というのが…精神的になんかツライっす
でもGJ
98名無しさんだよもん:05/01/08 22:23:10 ID:Tb7f5v8F
イイヨ(・∀・)イイヨー
99(゚w゚):05/01/08 23:08:26 ID:hOZpOSqp
真夏のミステリ
思っていたより好評で嬉しい限りです。
こちらにまとめて載せておきましたのであらためて見たい方や
リクエストなどあるかたはどうぞ。
ttp://www.geocities.jp/karin_th2/index.html
100名無しさんだよもん:05/01/09 01:44:42 ID:pFomOucC
タマ姉スレから誘導されてきました。
ヘタレでしが貼らさせていただきます('д`)ゞ
101静寂の夜に 1:05/01/09 02:02:57 ID:pFomOucC
一緒に住み始めて半年、俺たちは、一週間前に初めてケンカをした。

最初はたま姉に一方的に避けられていたが、
いつしかは俺もたま姉を避けるようになっていた。
ここ一週間、口も聞いていないし、目すら合わせてない。

雄二「お前、姉貴と何かあったのか?」

答えなかった。答えられなかった。
ケンカの原因なんてもう覚えてはいない。
本当に些細なことだったと思う。
でも、ケンカしてから、全ての歯車が狂ったように
たま姉との大切な時間は無くなった。

毎日の日課だった、一緒に勉強をする時間も無くなっていた。
夜-
 「う・・・」
ふと目が覚めた。枕元の時計は2時を指している。
コチ・・コチ・・コチ・・
正確なリズムを刻む時時計の音だけが部屋に響き渡る。

夢を見ていた気がする。夢の中にはたま姉がいて・・、
そして夢に出てきたたま姉は・・きっと泣いていた。
 「・・・顔でも洗いにいくか」
バタンッ
 「うー寒!」
季節は2月、ドアを開け廊下に出ると空気は凍るように冷たい。
バタンッ
 「ふぅ・・」
洗面所で顔を洗い、一息つく。
 「もう一眠りすっかな」
誰もいない廊下で独り言をつぶやき、歩き出す。
102静寂の夜に 2:05/01/09 02:04:38 ID:pFomOucC
ギィ・・ギィ・・ギィ・・
静寂の中に自分の足音だけが響き渡る。
ふとたま姉の部屋の前で足が止まった。
別に用事があるわけじゃない。ただ、夢で見たたま姉の顔がちらついた。

「・・・」

ギイィィ・・・
静かにドアを開けて、できるだけ物音を立てないように部屋に入る。
暗闇の中に月明かりが差し込んでいる。

「・・・たま姉、起きてる?」

わけないか。たま姉は毎日23時までには寝ている。
夜中に女の子の部屋に勝手に入ることにためらいはあったが、
そっとたま姉の寝てるベッドの横まで近づいていった。
-いた。こちら側を向いて、すやすやと寝てる。

顔を見るのも久しぶりな気がする。
ここ最近ずっと避けたり避けられたりしていた。
避けられるのが怖くて、目を背けていた。

どうして喧嘩をしていたんだろう。
たま姉の寝顔を見ていたら、そんな想いでいっぱいになってきた。
気が付くとたま姉の顔に手が伸びていた。
軽く頬に手を触れる。

「ん・・・」

ビクッとして手を引いたが、たま姉は起きた様子はない。
起こさないようにそっと頭を手を置き、撫でる。
何度も、何度も。
103静寂の夜に 3:05/01/09 02:07:49 ID:pFomOucC
どのくらいこうしていただろう。
10分?20分?わからない。ずっとこうしていたい。
この世界にたま姉と自分としかいないような感覚の中で。

「・・たま姉、ごめん」

顔を合わせているときは、ずっと言えなかった言葉が、今はハッキリと言えた。
たま姉が聞いてるわけじゃないから、言っても無駄だってことはわかってる。
でも、とにかく謝りたかった。
明日、たま姉が起きたらちゃんと殴られてもいいからもう一度謝ろう。
そう心に決め、立ち上がろうとした。

ん?

服のスソが何かに引っ掛かってる。
見ると、タマ姉の手がそこにあった。

ドクン

-起きてた?
心臓の鼓動が早くなる。

 「・・・タカ坊」

トーンの低い声で呼ばれる。マズイ、怒ってる。
当然だ、ケンカしてる相手に
勝手に、しかも夜中に部屋に入られていたのだ。
マズイ、非常にマズイ
逃げようとするが、たま姉の手がガンとして服を離さない。
マズイマズイマズイ、そう思っていると-

次の瞬間、世界が回転していた。
104静寂の夜に 4:05/01/09 02:09:27 ID:pFomOucC
ドスンッ

何をされたのかわからなかった。
そうか、たま姉に投げられたのか。
俺はだらしなくベッドの上に仰向けになって倒れていた。
そしてたま姉が馬乗りになり、襟を両手で掴まれていた。
たま姉は暗い中でもハッキリとわかるぐらい怒った顔をしていた。

これから絞め技でもされるのか、
父さん、母さん、先立つ不幸をお許しください・・。
俺は覚悟を決め目を閉じた。


ポタッ

「え?」

ポタッ

頬に暖かいものが流れた。
何だろう?
恐る恐る目を開けてみると、そこには大粒の涙をこぼしているたま姉がいた。

「たま姉・・・泣いてるの?」

「泣いて・・なんかないわよ」

襟を持つ手を震わせて、大粒の涙を隠そうともしないで、
たま姉は嗚咽をあげている。
月明かりを反射して涙がキラキラと光っている。
105静寂の夜に 5:05/01/09 02:12:19 ID:pFomOucC
「何よ・・今までずっと私のこと避けてたくせに」

「何よ・・謝ってきたら・・ぶっ飛ばしてやろうと思ってたのに」

「タカ坊をぶっ飛ばして、いつも・・通りの生活を送れると思ってたのに」

「私のこと避けてたくせに・・何よ。」

段々と声が小さくなっていく。
胸がズキンと痛んだ。

「ごめん・・」

「謝ったって・・許さないんだから」

たま姉が力なく胸を叩いてくる。

「ごめん・・・」

「バカ・・」

嗚咽の止まないたま姉を、そっと胸に引き寄せた。
----
しばらくしても、たま姉は泣き止まない。
ヒック、ヒックと嗚咽を漏らしている。

「本当にごめん」
申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
たま姉にこんなに泣く程寂しい想いをさせてたのか。
いっそボコボコに殴ってくれた方が楽かもしれない。
106静寂の夜に 6:05/01/09 02:14:08 ID:pFomOucC
「・・・タカ坊、私、待ってたんだよ」

「え?」

「昨日も一昨日もずーっと」

「タカ坊が部屋にきてくれるの、待ってたんだよ」

机の上にはノートや参考書が並んでいた。
そして椅子が二つ。

「ずっと待ってたんだからぁ・・」
服を掴む手にギュっと力が入ったのがわかった。
何も言えなかった。謝っても謝りきれなかった。
---------
しばらくして、タマ姉の嗚咽が止んだ。

「タカ坊」

「何?」
恐る恐る返事をする。

「明日デートしよ」

「ぇ、でも俺たち喧嘩してるんじゃ。」
この状況で、自分でもとぼけたこと言ってると思う。

「うん、だから仲直りデート。もちろん罰としてタカ坊の奢りよ」

「あぁ、喜んで」
たま姉の調子がいつも通りに戻っていた。そのことが素直に嬉しかった。
107静寂の夜に 7:05/01/09 02:17:20 ID:pFomOucC
しばらく沈黙が続いた。


「・・・ねえタカ坊」

不意にたま姉が口を開いた。

「何?」

「私を避けてたとき、どんな気持ちだったの?」

「どんなって・・」

「答えて。」

「・・寂しかったよ、すごく」
正直に答えた。

「たま姉に避けられて、避けられるのが嫌で避けて、すごく寂しかった。」

「・・・私も。タカ坊がいなくて、寂しくて、泣いてた。」

・・・
「ねぇ、タカ坊」

「何?」
108静寂の夜に 8:05/01/09 02:19:37 ID:pFomOucC
「ギュって、して?」

「ぇ?」

「ぇ?じゃないでしょ。」
たま姉は口を尖らせて、すねている。

「抱きしめて・・今までの分も全部、朝までずっと・・」

「あぁ。」

「でも、朝になって雄二に見られても知らないよ?」

「いいわよ、別に」
しれっとして言う。もう完全にいつもの調子に戻ったみたいだ。

「明日のデート、楽しみね」

「そうだな、明日は今までの分も一気に楽しもう」

たま姉の腕に力が入ったのがハッキリと伝わる。
俺もたま姉を抱き返す。
たま姉の髪の毛から優しい香りが鼻をくすぐる。


「ふふ・・・タカ坊、大好き」

「・・俺もたま姉が大好きだよ、世界中の誰よりも」


-END-
109名無しさんだよもん:05/01/09 02:25:07 ID:pFomOucC
以上であります('д`)ゞ
こうやって見ると改行多いなぁ・・。
改行を無駄に使わなくても、会話を際立たせる方法を見つけねば。
とりあえず非エロで、たま姉とのいちゃ話を書きたかったのです。
そーゆー意味では満足かな・・。
110名無しさんだよもん:05/01/09 08:13:17 ID:nf6f8XNI

111名無しさんだよもん:05/01/09 08:40:13 ID:r24v32ZK
委員ちょEND後、なんだかんだでヤることヤって新婚さん気分の二人。
ついでに、交友関係の狭さのせいでか、郁乃も貴明に惚れる展開。
でも結局その気持ち、隠し切れないのはまあありがちで
酔った委員ちょがそれを嵩にかかって責めるというか
単にそれを理由に郁乃とスキンシップを計るというか
ある意味3P。

そんなSSをとある職人さんがとあるチャットで即興書いてくれたので貼る。
許可は取った。
上みたいな展開が嫌いな人はスルー。
112名無しさんだよもん:05/01/09 08:41:09 ID:r24v32ZK
愛佳の細い指が、郁乃の未発達の胸を軽くなぞる。
「ひゃっ! お、お姉ちゃん!?」
「郁乃だって……たかあきくんとこういう関係になりたかったんじゃないの?」
「そ、そんなことな――ひゃう!」
郁乃の言葉を遮るように、愛佳は郁乃のピンク色の突起を軽く摘み上げる。
それだけで敏感になった郁乃の身体はビクン! と跳ね上がる。俺は目の前の光景に……見入っていた。
「お……おい、愛佳――」
「たかあきくんは、見てて下さい」
俺の言葉を遮った愛佳は郁乃の小さな唇に自分の唇を重ねる。
突然のことに目を見開いた郁乃、愛佳の身体をどかそうとするが、何せ状態が状態、
愛佳にマウントポジションを取られた状態の郁乃には、愛佳の行為を止めることは不可能だった。
二人の口元からは淫らな水音が響いている。
どうやらキスはディープキスだったようで、クチュクチュと舌同士が重なる音が俺の耳に聞こえてくる。
「んは……!」
睡液の糸をひいて、愛佳と郁乃の口が離れる。郁乃の視線はショックのせいで焦点が合っていない。
「ふふ、郁乃ったら……」
その愛佳の笑みに俺は少し戦慄を覚える。
いつもと違う愛佳、実はこれが愛佳の本当の人格だったのではないかと、そう考えてしまう。
「じゃあ、本番よ?」
と愛佳は郁乃のスカートのホックを外して、下着を露にさせる。
郁乃の下着は真っ白の無地で、まさに汚れの知らない郁乃にはぴったりだと思う。
「え……お、お姉ちゃん!?」
姉の行き成りの行動に驚く郁乃。だが、その後の言葉は続かなかった。
「ひゃあぁ!!」
愛佳が郁乃の下着を一気にずり下ろした。外気に触れる郁乃の秘所は、まさに穢れを知らないものだった。
淡く茂った陰毛に、硬く閉じられた一本線、そして、そこに不釣合いの、線から滲み出る愛液。
「み……みないで……」
いつもの気丈さは何処へやら、郁乃は顔を手で覆い、ただなすがままになっている。 
113名無しさんだよもん:05/01/09 08:42:33 ID:r24v32ZK
「たかあきくん」
「……え?!」
行き成り名指しで呼ばれた俺、そんな俺に愛佳はとんでもない要求をしてきた。 
「郁乃の足を抑えてくれないかな?」
くすりといつもと変わらぬ笑いを浮かべながらそう言った愛佳。
何か、どこかが間違っている。
だけど、俺はそれに逆らうことができなくて――結局、郁乃の身体の腕に軽く乗り、両足を抑える形になってしまった。
「ちょ、ちょ……なにするのよバカ!!」
俺相手にはまた気丈でいられるらしい。
だけど、この状態だと、郁乃には俺のカラダのせいで、愛佳が何をするのか見えていない状態だ。
「たかあきくん……ありがとう」
上目使いに微笑む愛佳。その微笑が怖い。 
「それじゃ……郁乃……いくね?」
俺の視点からならよくわかる。愛佳は指先を軽く舐めると、その滑った人差し指で、郁乃の茂みを軽くなぞった。
「うああ!」
それだけで、郁乃の口からははしたない声が響く。
「うふふ……郁乃? どうしたの?」
意地悪そうに問う愛佳に、
「な、なんでもない!!」
あくまでも強気な郁乃。しかし、この責めの前にその強気も何時まで持つだろうか……。
愛佳は中指と手の平を念入りに舐める。
その行為はまるで子猫がミルクを舐めるような仕草でとても可愛らしいのだが、その後の行為が、その気持ちを粉々に吹き飛ばす。 
「きゃう!!」
突然の不意打ち、愛佳の中指は、郁乃のスジに添えられていた。
といっても膣にいれたわけではない、文字通り、線をなぞって愛撫していく。
「うく! ……はぁ! あぅ!」
指が往復するごとに郁乃の口からは短い喘ぎ声が漏れている。このままでは堕ちるのは時間の問題だろう。
「お……おねえちゃ……やめ……」
息も絶え絶えに抗議する郁乃。
しかし、愛佳の責めは止まらず、笑顔でだ〜めと返しながら、その指を動きは止まらない。 
そんな行為を続けていると、段々と郁乃の未開の筋が開いていく。それはまるで蕾開く花のように。
「あら? 郁乃? すごい濡れてるよ? まだ指で弄っただけなのにこんなに濡らすなんて……エッチな子」 
114名無しさんだよもん:05/01/09 08:44:14 ID:r24v32ZK
愛佳は指で軽く愛液をすくうと、俺の目の前に指を寄せる。
「ほら、たかあきくん。郁乃ったら、こんなに濡れてるんですよ?」 
俺の目の前にはてらてらと輝く液体を纏った愛佳の指がある。
思わず、もっと見たいという衝動に駆られて、顔を指に寄せる俺。そんな俺を見て愛佳は、
「たかあきくんったら、あわてんぼうだね」
と、俺の口の中に指を突っ込んできた。
「むぐ!」 
突然のことで驚く俺、だけど、口の中に入っているのが愛佳の指だとわかると、
俺は抵抗をやめ、無意識のうちにその指をしゃぶってしまう。 
「こ、こら……何舐めてるの――うくぅ!!」
俺に抗議の言葉をあげようとした郁乃を愛佳の指が制する。何か、意味不明なコンビネーション。 
俺は、口の中にある愛佳の指を味わう。柔らかく、細い指。
舐めとった愛液はほのかに甘い感じがして、思わず俺は舌で転がし、味わって喉に通す。 
それと同時に、俺の口内から愛佳の指が抜き取られる。
「たかあきくん……どう? 郁乃の味」
愛佳がまるで紅茶の味を聞いてくるように俺に問う。
とても判断に困る問いだが、答えないと俺の命がやばいと思う。本能的に。
「なんというか、甘かった……」
そして正直に答える俺。後ろで騒ぐ声が聞こえるがあえて無視。
そんな俺の意見を聞いて、ふふふと笑う愛佳。
「甘いのかぁ……」
軽く手のひらを舐める愛佳、まるで手の平についた愛液を味わうかのように。
そして、愛佳はその濡れた手のひらを、郁乃の秘所に軽く押し付ける。
「な、なに……なにするの!?」
圧迫感に耐え切れなかったのか、動揺してじたばたする郁乃。
足を押さえているが手は自由。容赦なしに殴られる背中が軽く痛む。
115名無しさんだよもん:05/01/09 08:45:08 ID:r24v32ZK
「たかあきくんにそんなことする悪い子には……おしおきです」
愛佳は手のひらを軽く下にずらす。手のひらがヒダ、クリトリスを擦りながら下へ下げられる。
「ふぅぅ!」
郁乃の声と同時に背中への連打が止む。
「ふふふ、まだまだ……」
今度は手のひらを上に。一度下に下げられたクリトリスが再び上を向く。 
「はあぁぁ!」
喘ぎ声。 
「えい!」 
また手を下に。そして、喘ぎ声。 
「どう?」 またまた手を上に。そして、また喘ぎ声。 
「いいでしょ?」
今度は少しストロークを速めに、手のひらを上下させる。これは確か……俺が愛佳にやった愛撫方法だ。 
「うあ! はぁう! きゃん!」
手が往復するごとに、細かい喘ぎ声を発する郁乃。
もう、その声に怯えや反抗の意志はない。完全に快楽の虜になった声だった。
……そんな往復が何度続いただろうか。
未だに動いている愛佳の手のひらは、既に郁乃の愛液に塗れ、動かすごとに愛液がそこらに飛び散るほどになっていた。
「はぁ……はぁぁ……」
郁乃にはもう叫ぶ気力もないようだ。
何度も何度も絶頂に達したのか、全身が痙攣し、焦点の合わない虚ろな眼をしている。
「うぁああ!」
郁乃の秘所からまた愛液が飛び散る。どうやら、またイったらしい。
「郁乃、またイっちゃったの? 仕方がないよね? まだ初めてだし、慣れてないんだもんね?」
料理に失敗した子供を宥める親のように、手のひらで秘所を嬲り続ける愛佳。
その笑みには深い愛情が隠れていた。
116名無しさんだよもん:05/01/09 10:41:18 ID:5xExuaJy
どうなんだ?連投規制にでも引っかかったというのか?
117そして誰もいなくなった(1):05/01/09 11:54:23 ID:qWQ6O25P
「……」
「……」
にらめっこをしているわけではない。
まったく予想をしていなかった顔があらわれたため、どういう反応をしていいものか
わからないだけである。

自分の家でない玄関が開き、そこに予想してない人が現れた場合の反応として、
誰々さん、いますか。表札をたしかめる。あ、間違えました。
うん、オーケー、どれも様式には沿っているだろう。
それが、玄関を出てそのまま10歩で辿り着く、くぐりなれた玄関でなければ。

時間になってもこのみが出てこない。
これはまあ珍しいことじゃない。というか、しょっちゅうだ。
4月になって同じ学園になり、少しはあらたまるかと思いきや、悪癖はそう簡単に
直るものではないらしい。
しかし、その場合、呼び鈴を押して出てくるのはおばさんかこのみ自身であるべきだし、
少なくとも昨日まではいくつかの(おじさんが出るとか誰も出てこないとか。
なお、誰も出てこないのはおばさんが非常に珍しく寝過ごした場合である)例外を
除いてその歴史は守られてきた。
断じて、出てくるべきは、うすく赤がかった髪の同じくらいの年齢のイケメンなどではない。
なお、追記しておくが、それは幼馴染の雄二ではなかった。
118名無しさんだよもん:05/01/09 11:55:42 ID:qWQ6O25P
しばらく見つめあったのち、男は黙ってドアを閉めようとする。
「ちょっ、ちょっと待った」
「……なんだ、朝っぱらから」
ひどく面倒そうにしながらも手は止めてくれた。
「で、何」
「え?」
「平日の朝から、何の用?」
「あ、それは……」
なんといえばいいんだろう。様式にそって、このみ、いますかがいいのだろうか。
初対面の人に?
そうだ、いきなり呼び捨てはまずいだろう。
このみさん、いますか。
なんだか朝から男が女の子の家でいう台詞としては、付き合いはじめて間もない恋人を
迎えにきたみたいだ。このみなのに。
ああ、そうだ、まずは挨拶だろうか。初対面だから、状況説明もしたほうがいいな。
おはようございます。迎えにきたんですが、このみさん、いますか?
いよいよそんな感じだ。
相手がお父さんなら、誰かね、君はとか言ってほしいところだ。

気づくと、ドアは閉まりかけていた。
「いや、だから、ちょっと待って。閉めないで。
 えと、その、あ、あなた誰ですか?」
一番聞きたかった質問が慌てて口をつく。
その言葉に答える前に、男の頭の上から小さな手があらわれて、ぱちんと小さく頭を叩いた。
「まだ着替えてない。お兄ぃ、ホントに遅刻しちゃうよ?」
「いてぇなこのガキ」
そういいながら自分もパジャマ姿のこのみが男の影から現れた。
119名無しさんだよもん:05/01/09 11:57:37 ID:qWQ6O25P
「お、お兄ぃ?」
「あ、タカくんごめんね。お兄ぃを着替えさせてから行くから、先に行ってて」
一瞥してそういうと、ぐいぐいと男を引く。が、男はまるで動かない。
「ほら、早くしないと」
「……ああ、アンタがタカくんか。ちょうどいい。これ、やる」
「わあ」
ぐいと、男が俺の前にこのみを突き出した。自然、至近距離で見詰め合う形になる。
「アンタの家の、水槽でも、ベッドの中でも好きなところで飼ってくれ」
このみの顔がぽんと赤くなる。きっと鏡のように、俺の顔も赤くなっていることだろう。
ぱっと目をそらすと、慌てて言った。
「ち、違うよ。タカくんとはそんなんじゃないってば。ほ、ほらお兄ぃ、はやくはやく」
男を片手で思いっきり引き寄せると、ドアをもう一方の手で閉めた。
どこかにぶつかるガツンという鈍い音が響く。同じく鈍い声で男の悲鳴が聞こえた。

そんなんじゃないってば。
そんなんじゃないってば。
なぜかリフレインを繰り返す言葉を耳からこぼれおとしながら、
閉まってしまったそのドアから離れた。


ぽつねんと橋の上に立つ影ひとつ。
このみとあの男はまだ来ず、タマ姉と雄二は行ってしまったのか姿が見えない
一人で登校するなんていつ以来だろうと思いながら、歩き出した。
(珊瑚ちゃんと瑠璃ちゃんをいつまでも待たすわけにもいかないからな)
その台詞は我ながら負け惜しみくさくてかっこ悪かった。
120名無しさんだよもん:05/01/09 11:58:43 ID:qWQ6O25P
「……」
「……」
にらめっこをしているわけではない。
いきなりわけのわからない状況にあって困惑しているだけである。

「あ〜、貴明や〜。るー☆」
「……」
いつもどおりの挨拶をしてくれた珊瑚ちゃんと、むすっとしている瑠璃ちゃん。
それ自体は最近慣れ始めた光景だが、視点が違った。
頭3つ上。185cmは超えるであろう男の両肩に二人は乗っていた。
冗談のような光景だ。
いくら二人が軽いとはいっても、少なくとも俺には無理だ。
その銀髪の男は、かなり険のある目でしばらく俺を見てから言った。
「羨ましいとでも思うか」
「は?」
「なら、代わってやろう」
いうが早いが男は瑠璃ちゃんを片手で(!)肩から下ろし始めた。

「ど、どこ触ってんねーん!」
「俺はなんとも思わないから安心しろ」
ばたばたとあばれる瑠璃ちゃんを慌てず騒がず下ろす。
あ、パンツ見えた。ラッキー。喜べるのが悲しいけど。
121そのうち続く:05/01/09 12:00:22 ID:qWQ6O25P
下りた瑠璃ちゃんはびくともしない男の足にけりをいれている。
「さんちゃんも下ろせー!」
「いやや〜。往人しゅっぱ〜つ」
珊瑚ちゃんは男の頭にしがみついたまま離そうともせず、指を伸ばした。
男は疲れたような顔で珊瑚ちゃんにも手を伸ばした。
「もういいだろ。降りてくれ」
「瑠璃ちゃんに頼んで今日は大盛りチャーシュー付きにしたるから〜」
「ようし、しっかりつかまってろ」
たちまち笑顔を見せた男は今度は瑠璃ちゃんを小脇に抱えて駆け出す。
「貴明もはよいこな〜」
「離せ〜〜」

小さくなっていく男。
後ろ毛にクマ吉がぶらさがっていた。

「いやっほーう、京アニ最高〜〜〜〜」
遠ざかっていく声を聞きながら、一人で学園に向かう。寂しくなんかなかった。
122名無しさんだよもん:05/01/09 12:52:55 ID:QF2LEY7s
・・・・・・・・・・・はい?
123名無しさんだよもん:05/01/09 13:28:22 ID:J4GU6a57
愛佳SS投下しまつ。
124名無しさんだよもん:05/01/09 13:29:25 ID:J4GU6a57
「た、貴明君…?」
 静寂に満ちた書庫に愛佳の戸惑いの声が響く。それは声の主自身も驚くほど上擦っていた。
「あ、あの、あの…」
 愛佳の両肩に乗せられた貴明の手には女性が苦手という普段の彼からは想像出来ない程力が込められている。
「あの、た、貴明君…?」
愛佳の再三の呼び掛けに貴明が答える気配はない。そのままじりじりと壁際に押しつけられる。「あの、その…」
 刹那。突然彼の顔が愛佳に迫った。そのまま自身の唇を愛佳のそれに重ね合わせる。
「ひっ……!?ん、んぶぅ…」
 それは恋人同士のような優しいものではなく、紛れもなく一方的な蹂躙であった。
「ん……ふぅ……はっ」 一頻り愛佳の口内の感触を楽しんだ後、貴明は唇を離した。二つの唇の間にいやらしく糸が引かれる。
呆然としつつも顔を真っ赤に赤くしている愛佳を見つめ、一言。
「ずっとこうされたかったんだろ?」
下卑た薄ら笑いを浮かべ、呟いた。
「な、何を…?ふぁっ!?」
貴明の言葉を必死に理解しようとする愛佳の思考は秘所に伸びた指によって断ち切られた。
「そら、そら、そらよっと」
「あくっ…た、たかあき君…ひぁっ、止め…くふぅっ!」
 まるで玩具で遊ぶよう貴明の指使いに敏感に反応し、躰を震わせる。そんな愛佳を見て貴明は心底楽しそうに笑った。
125名無しさんだよもん:05/01/09 13:30:21 ID:J4GU6a57
「そう、そんな風にもっと喘げよ」
指を秘所から一端引き抜く貴明。
「んくッ…!…はぁ、はぁ…。た、貴明君…どうしちゃったの…?」
何かおかしい。貴明は女性が苦手といっても決してこのように女性をないがしろに扱うような人物ではない。少なくとも彼女が知っている貴明はそうであった。
「……」
 愛佳の問いに軽く目を開き、肩をすくめる。何を今更、とでも言っているような素振りだ。
「何って…愛佳ずっと俺を誘ってただろ?だから愛佳の望むようにしてあげてるんだよ」
 至極当然のように答える。
尤も、超が付くほど奥手な愛佳に男を誘惑するという意図などあろう筈がない。愛佳の戸惑いは積もり積もるばかりであった。
「あ、あたし…誘ってなんか…」
「嘘つくなって、こんなに濡らして喜んでるくせにさ」
そう言って愛佳の愛液でぬらりと光る指を彼女の口にねじ込む。
「んんっ!?」
そのまま指を出し入れしたまま開いている片方の手で再び愛佳を攻め続ける。
「ほら、ほら、ほら」
「ふぅ…んっ、んぐ…あひっ…はひぃ…」
秘所に伸びた指はそのまま愛佳の陰核を探り当てる。
「そ、そこは…!…はあぁッ!!」
 抗議の声を上げるが襲い来る快楽にそれは歓喜の声に変わった。
126名無しさんだよもん:05/01/09 13:31:21 ID:J4GU6a57
「お、ここがいいのか?そらそらっ」
 強弱をつけて陰核をしごく。途端、分泌される液体の量が増す。
「くはぁ…っ!あっ、あっ、…ふぐっ…!」
必死で貴明の胸を押し、離そうとするが非力な彼女では貴明の征服欲を募らせることぐらいにしかならなかった。
貴明の指が一段強く陰核を攻める。
「!? はぁ、あぁぁ!」 絶頂を告げる嬌声を上げて仰け反った後、崩れ落ちるようにぺたんと床に座り込む。
「イッたか〜」
「はぁ、はぁ…ぁ…」
 初めての快楽の余韻に浸る愛佳。貴明の豹変と先程の淫行が代わる代わる思考を巡る。今の状態ではまともに思考する事等到底不可能だろうが。 ひょいっ、と貴明も屈み込み、愛佳の顔をのぞき込んでニヤリと笑う。「まだ本番が残ってるよな」
「…え…?」
未だに展開に付いていけない愛佳をよそに貴明は彼女の下着をスルッと脱がす。
「ぁ…っ!?」
 濡れて火照った秘所にひんやりと外気が触れる。
「じゃあ…行くか」
露出した貴明のイチモツははちきれんばかりに怒張していた。
127名無しさんだよもん:05/01/09 13:32:11 ID:J4GU6a57
「…みたいなことなかったの?」
そう言ってパキンとビスケットをかじる。
初夏の陽気うららかな午後、小牧家の居間には二人の姉妹がダイニングテーブルについていた。一人は気だるそうにビスケットを手の中でくるくる弄んでおり、一方は顔をタコの様に紅潮させて視線を前の紅茶のカップに落としたまま硬直している。
「そそそそんなことあるわけないじゃない…だ、第一河野君はそんな人じゃ…」
「何で若い男女が書庫なんかで二人っきりで何の進展もないのよ」
頭をぼりぼり掻きつつ次のビスケットを頬張る。
「大体郁乃こそどこでそんなことを覚えて…」
最後まで言わせず、
「そんなのどーだっていいでしょ」
一蹴した。
「二人揃って奥手でしょ、そんなんじゃ肉体関係なんか持てないんだから」
「に、肉体関係…」
「あれ?お姉ちゃんたら肉体関係が恥ずかしいと思ってる?いい?男女関係なんて突き詰めれば性欲なのよ、せーよく」
「……」
 ますます硬直する愛佳。紅茶のお代わりを注ぐ手が止まり、だばだばと琥珀色の液体がカップから溢れ出す。
「…お姉ちゃん」
「え……あ!?い、いけない!」
慌てて布巾を手に取ると床にこぼれた紅茶を拭き取ろうと屈み込む。
128名無しさんだよもん:05/01/09 13:32:52 ID:J4GU6a57
ガツンッ!

「あぅ」
 と、盛大に頭をテーブルにぶつけて額を押さえうずくまる。うぅ〜、といううめき声が郁乃の足下から聞こえてきた。
 やれやれ、と溜息をつくと天井を見上げる。姉の彼氏…貴明とかいう奴に少しだけ同情した。
「(…まぁ、奥手同士せいぜい頑張って下さいな)」



「…そんまし!!」
「おぉ!?き、汚ねぇぞ貴明!風邪か?」
「い、いや…そんな筈は…」
「…まぁ、次は親子丼食ってる時に鼻汁垂らすなよ…」
「ういうい…」
129名無しさんだよもん:05/01/09 13:34:54 ID:J4GU6a57
以上であります。
現在愛佳シナリオ再プレイできる環境にいないので矛盾点等は脳内保管宜しく御願いします〜。
スレ汚し失礼しました。
130(ヽ>A<)ヽ☆:05/01/09 13:39:33 ID:FLw9P/w4
なんだかえっちなのばっかりです
131名無しさんだよもん:05/01/09 13:40:27 ID:KUBaLge0
なんつーか、こう、ハートフルなのを希望します
132名無しさんだよもん:05/01/09 13:59:03 ID:xwexBMDI
このみSSを希望。
ノーマルED後でもトゥルーED後でもどちらでもいいので。
133名無しさんだよもん:05/01/09 14:12:26 ID:VOOTEV3V
えっちなのはコカンの潤滑油
とってもだいじです
134押しかけメイドイルファさん(後編):05/01/09 14:53:19 ID:978vPhMz
「貴明さん、お夕飯できましたよ」
 テレビを見ていた貴明にイルファが声をかけ、貴明は立ち上がった。
「むう、この香り…今日の晩飯はカレーだな?」
「はい、付け合わせにサラダとサモサ(コロッケの餡のように潰してカレー粉で味付
けしたじゃが芋を小麦粉の皮に包んで揚げたインド料理)も作ってみました」
「ふーん、そいつは楽しみだな…いただきます」
「どうぞ。カレーもごはんもたくさんありますからどんどん召し上がってくださいね」
「もぐもぐ…うん、辛さとおいしさが絶妙だねえ。食べれば食べるほど味に深みがあ
るのが分かるよ。お代わりいいかな?」
「もう、貴明さんたら…そんなに早く食べると胃に悪いですよ」
 などと言いながらもイルファは別に怒りもせず、ニコニコと笑って貴明から差し出
された皿にカレーライスを盛ってくれた。その間に貴明はサラダとサモサに手を付け
る。
「いや、付け合せもなかなかいいよ。よく俺の好きなドレッシングをサラダに使って
くれたね。サモサも絶品だよ。このみのおばさんが作るカレーコロッケみたいで…
はっ」
「貴明さん、どうかされましたか?火傷されてませんか?」
 カレーを持ってきたイルファが心配そうに訊ねた。
「いや、どうもしないよ。カレーありがとう」
 貴明は気にかかったことをはっきり確かめたくて、カレーを掬ったスプーンをゆっ
くりと口に含んでぐっとかみしめてみた。イルファの温かい心を口の中に染み透らせ
るように。そしてボソリと呟いた。
「やっぱりそうだ…この味、この香り……」
「えっ?」
 貴明の一言を聞いて首をかしげるイルファ。
「ねえ、イルファさん。ひょっとしてこのみのおばさんに……」
 イルファは「どうして分かったんですか?」と言いたそうな顔で貴明を見た。
135押しかけメイドイルファさん(後編):05/01/09 14:55:00 ID:978vPhMz
「ええ、バイトの後お買い物に行ったら柚原さんのところの奥様とお会いしまして、
私、お夕飯何にしようか迷ってましたから奥様に相談してみたんです。そうしました
ら貴明さんの好物はカレーライスだからそれにしたらどうかと勧められて、カレーと
付け合わせの作り方についても奥様に教えていただいたんです」
「やっぱりな。道理で何回も食べたことのある味だって思ったよ」
「………ダメでしたか?私、貴明さんにお気に召していただけるか不安で、柚原さん
のところにお邪魔して奥様に貴明さんのお好みのレシピまでお聞きして作ったんです
けど」
「ダメなんてことないよ。凄くおいしいよ、イルファさんの作ったカレー」
 貴明は感激しながらお代わりも早々と平らげた。
「どうもごちそうさま」
「お粗末様。お気に召していただけて嬉しいです」
「お粗末なんてとんでもない。イルファさんが俺のためにそこまでしてくれて嬉しい
よ」
「そうですか?私も貴明さんにおいしいって言って食べてもらえて嬉しいです。今度
はもっとおいしく作れるように頑張りま…きゃっ」
「そんな健気なイルファさん…俺大好きだよ」
 貴明は日頃の女性恐怖症もどこへやら、感激のあまりイルファに抱きついた。
「あ、私も、貴明さんが…んん」
 抱きつかれて慌てるイルファだったがそれもほんの一瞬のことで、イルファも貴明
の背中に手を回して抱き合った。そしてどちらからともなく唇を重ね、舌を絡め合う。
貴明の手がイルファのメイド服の背中にあるファスナーに回り、降ろしにかかった。
「あ、い、嫌、これ以上は……」
「え、ダメだった?」
「いいえ、この続きは貴明さんのお部屋で…」
「……分かったよ」
「あっ…」
 貴明はイルファをお姫様抱っこして、2階の自室へ向かった。
136押しかけメイドイルファさん(後編):05/01/09 14:56:36 ID:978vPhMz
「綺麗だよ…イルファさん」
 メイド服を脱ぎ、花模様の刺繍で飾られた白い下着を身につけてベッドに横たわる
イルファに、同じようにパンツ一枚だけの姿になった貴明はすっかり見惚れていた。上から下まで舐め回すように半裸のイルファを見る貴明。
「………は、恥ずかしいです…そんなに見ないでください」
 イルファはうつむいて、顔を真っ赤にしている。
「そんな、褒めてるのに…ん?」
 貴明の視線がイルファの股間で止まった。パンツに染みができて、ヘアが透けてい
るのを見て貴明は揶揄った。
「イルファさん、アソコがもう濡れてるよ…見られただけで感じちゃったのかなー」
「貴明さん、エッチです…」
「もしかして期待してた?」
「………」
 イルファは真っ赤になって言葉が出ない。
「じゃあご期待に応えて…」
 貴明はイルファの腰に手をやり、パンツを脱がせた。ヘアまでしっとりと濡れたイ
ルファの秘処が露になるや、貴明はそっとイルファの足を広げてその奥の花弁に視線
を注いだ。
「凄く綺麗なピンク色だね、イルファさんのここ」
 貴明はそう言って、トロリと愛液のこぼれたイルファの花弁の中に人差し指を入れ
た。動かすとクチュクチュと蜜のかき回される音が出て、イルファの喉から喘ぎが漏
れ出した。
「ん、はぁ…あん、そ、そこ、気持ち、いいです…はあぁっ」
 貴明の指が膣壁のあちこちに触れる度にイルファの体が震える。足をVの字に広げ、
身に付けているのはブラジャーだけのあられもない姿で。
「(うわっ、イルファさんっておとなしそうな顔して実は淫乱なほうかも)」
 もっとエッチなイルファが見たいと思った貴明は、指マンと同時に親指の腹で莢か
らピョコンと飛び出したクリトリスや尿道口も弄り回した。
137押しかけメイドイルファさん(後編):05/01/09 14:58:12 ID:978vPhMz
「やあぁ、た、貴明さん、そこ、私弱いんですぅ。ああっ、そ、そんなにされると、
んん………はあぁん」
 プシャァ〜、チョロロロロロ…
 イルファの尿道口からおしっこがこぼれ、貴明の手やシーツを濡らした。否、正確
には燃料電池から生成された水であったが。
「あーあ、おしっこまでしちゃって…イルファさんってエッチだね」
 イルファの放尿を見た貴明は満足げにニヤリと笑って、イルファの花弁に口づけた。
「あ、ああ…そ、そんな、た、貴明さん…私、その……排水の後なのに…」
「ううん、気にしないよ。イルファさんのだから」
 イルファは股間から貴明の頭を離そうとしたが、貴明は構わずにきれいな水と愛液
で濡れそぼったイルファの秘処を舐る。花弁や入り口を舐めて愛液を啜ったり、クリ
トリスを舌先でコロコロ転がしたり。
「はぅううん、は、ああっ、私、どうか、なっちゃ…ん、はああ!」
 貴明の頭に添えられたイルファの手の力はクンニリングスされる度にだんだん弱ま
り、遂には逆に貴明を股間に押し付けるようになる。そろそろいいかな、と思った貴
明はパンツを脱いで大きく反り返った分身を露にした。
「イルファさん、入れるよ」
「はい……」
 貴明は亀頭の先をイルファの花弁に宛がい、割れ目をなぞって入り口を探した。
二〜三度擦るうちに少しだけ先っぽがイルファの中に沈み、貴明はそこで雁首をイル
ファの中に押し込んだ。
「くふ…」
 異物の入ってくる感触に顔をしかめるイルファ。
「痛い?」
「い、いえ…だ、大丈夫ですから……もっと奥まで入れてください…」
 グチュッ、ズブズブズブ…
「んくっ、あっ、お、大きいのが…お腹に来て……ひゃああん」
 貴明が分身を奥まで挿入した途端、イルファは火がついたように甲高い声を出して
喘いだ。
「うう、イルファさんの中…熱くて、きつく締まって、ビクビク動いてる………」
138押しかけメイドイルファさん(後編):05/01/09 15:03:13 ID:978vPhMz
 柔かい膣壁が分身を締め付ける心地よさに、それが蠕動する刺激も加わるのが貴明
にはたまらなかった。貴明はイルファの上にのしかかって、背中に手を回してブラジ
ャーを外すとイルファを抱き締めて裸の乳房の柔かい感触をも味わった。そして耳元
で囁く。
「動くよ…」
「はい、貴明さんのお好きなように…」
 イルファは破瓜の痛みにうっすらと涙を浮かべて、それでもハァハァと息を喘がせ
ながら貴明を求めた。
 グチュ、ジュブブッ、グジュ、ズブブッ
 上半身を起こした態勢で腰を前後に振る貴明。イルファの性器は名器を再現してあ
るだけにゆっくり動いても貴明にとっては気持ちが良かった。イルファの乳房が往復
運動に合わせてプルンプルン揺れているのが見える。興奮の余り無意識のうちに少し
ずつ貴明の動きは速くなっていった。
「んあ、は、ん、んくう、ふあ…はあん。貴明さんの、凄く、いいです……あ、私、
もう…壊れちゃ……あはあああぁぁん」
 散々膣の中をかき回されてイルファは絶頂を迎えた。強く貴明の分身を締め付けて
いたイルファの膣壁が更に貴明を締め付ける。
「うう、俺も……もう、出る…」
 貴明もほぼ同時に絶頂を感じ、そのままイルファの子宮にドクドクと精液を送り込
んだ。
「ああ…熱いです、貴明さんの…」
139押しかけメイドイルファさん(後編):05/01/09 15:04:05 ID:978vPhMz
 中に出されたイルファは人間の女性がエクスタシーを感じた時と同じようにうっと
りした顔で貴明を見ていた。そして射精を終えて、分身を引き抜いて貴明は言った。
「ふう…良かったよ、イルファさん」
「私もです。エッチがこんなに気持ちいいなんて…」
 照れ笑いを浮かべ、貴明に抱きつくイルファ。
「私、やっぱり貴明さんのところに来て良かったって思ってますよ。貴明さんなら私
をいつも幸せにしてくれそうですから」
「俺もイルファさんと一緒で幸せだよ」
「それなら…私たちこれからも一緒にいたいです。ずっと貴明さんの側にいさせてく
ださい」
「もちろんさ…大好きだよ、イルファさん」
 貴明とイルファは再び唇を重ね、そのまま一つのベッドの中で眠った。
140名無しさんだよもん:05/01/09 15:12:36 ID:VOOTEV3V
リアルタイムでキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
イルファさん大好きなんでとってっも(*´Д`)ハァハァ'
妄想炸裂それがいい
141押しかけメイドイルファさん(後書):05/01/09 15:21:31 ID:978vPhMz
どうもお粗末さまですた。イルファさんのファンの皆様、これでなんぼかでも
満たされましたでしょうか。そうだったらいいのにな〜と思っていただけたなら作者
としては本望でつ。
実はおまけでイルファの記憶を検証した藤田浩之(来栖大学ロボット工学研究科1回
生)がイルファの記憶データを検証する機会を得て、結果貴明という高校生がイルファ
にしていることがまるで自分があかりにしていることと共通点ありすぎで自己嫌悪に
陥ってあかりに心配されるというオチを付けたかったのですがそこがどうにもうまく
いかず没にしますた。あちきが一番好きなのは草壁さんだけどイルファさんも好きで
また書きたいと思ってるのでまた書く機会があったらそん時はよろしく。最初から
まとめて読みたい方はこちらまで↓

ttp://bcproject.h.fc2.com/maid.html
142名無しさんだよもん:05/01/09 22:49:26 ID:Rgb2+mYs
>>117-121の意味がわからん……
143名無しさんだよもん:05/01/09 23:13:08 ID:xwexBMDI
>>142
俺の予想では、鳩2のヒロイン全員が別のエロゲー主人公と仲良くなって、貴明が一人に……というNTRではないかな?
完全に寝取られるかどうかはまだわからんが。
144名無しさんだよもん:05/01/10 00:03:43 ID:Z1hMmSqg
天いなとAIRの主人公が出てきてる不条理系SSだろ。
つか、付き合ってもないのにNTRって意味ワカンネ
145名無しさんだよもん:05/01/10 01:31:44 ID:HFgZ5Jya
エミ公とこのみじゃ全然違う気がするがなぁ
往人もそんなに力あったかなぁ?
いくら金品とか食いものがかかっているって言ったってなぁ

と、文句言ってるなら何か投稿できるようなネタを考えねば
146名無しさんだよもん:05/01/10 02:56:18 ID:ZDK90iiK
恵美梨とこのみの見た目が似てる
みちると瑠璃のキャラが似てる
そういうギャグというかオマージュみたいなもんでしょ
147名無しさんだよもん:05/01/10 13:52:42 ID:DKfPz8hW
図書委員長×愛佳で>>45が言ってたような話書いてみんかと電波が飛んできた。
鬼畜な話は書きなれてないし思うような話になるか今はまだ分からんけど、そんな
もんでも読みたい奴がいれば書こうと思ってまつ。どうでつか?
148名無しさんだよもん:05/01/10 13:58:03 ID:oaNEZKJj
ヨロシコ
149名無しさんだよもん:05/01/10 15:39:40 ID:eiAiqL6T
>>147
切実に希望。
150愛佳SS(鬼畜):05/01/10 16:17:15 ID:WOdSlRvB
 ピチャ、レロッ、チュプッ……
 夕刻の誰もいない3年生の教室で、唾液が何かに絡み合う音が響く。
「あ、あの…気持ちいいですか?」
「ああ、いいよ。そのまま続けて。先だけじゃなくて根元や玉のほうもしっかりね」
 教室にいたのは眼鏡の上級生の男子と背の低い後輩女子だけ。女子は椅子に腰掛け
た先輩の前に立て膝をつき、フェラチオをしていた。下ろされたズボンのチャックか
ら顔を出していきり立つ分身に手を添えて亀頭から雁首、裏側の縫い目を舐り回し、
根元も舐めてと指示されると本体を持ち上げてハーモニカを吹くように竿をペロペロ。
袋を口に含んで二つの玉に代わる代わる吸い付き、舌先で玉をコロコロ転がす。
「ほら物のほうがお留守になってるよ。そういう時はどうするか前に言ったでしょ」
「あ、すすすみません…」
 女子は詫びを言うと慌てて竿を手に持って、上下に擦り始めた。
「謝らなくていいからちゃんと両方してくれないと。ほら口はどうしたの?」
「え、はい…」
 女子は再び玉袋に吸い付いて、竿と玉を同時に愛撫する。
「うう、ん…いい娘だ。一週間仕込んだだけでここまで上手くなって。さあ、そろそ
ろ咥えてもらおうか」
「……」
 目の前で歓喜に震えるそれを見て、不安な顔をして躊躇する女子。しかし彼女は意
を決してパクリと亀頭を口に含もうとしたが一旦制止された。
「ちょっと待って。何か言うことがあるでしょ。何て教えたっけ?」
「ま…愛佳は………愛佳は、先輩の…い、淫乱な…牝犬です。愛佳の我がままに目を
瞑ってもらう代わりに…せ、精一杯先輩にご奉仕させていただきます。どうか…先輩
の…お、お、おちんちんに…ご奉仕させてくださぃ……」
151愛佳SS(鬼畜):05/01/10 16:44:52 ID:WOdSlRvB
 愛佳と名乗った女子は顔を真っ赤にして、半泣きになって教え込まれたセリフを口
にした。
「ん?聞こえないなあ。もっと大きな声で言ってよ」
 意地悪そうにニヤニヤ笑いながら言い直させる先輩。愛佳は恥ずかしさの余りしば
らく俯いていたが、
「ちゃんと言わないとお仕置きだよ」
 そう語りかける先輩の眼鏡の奥の視線を見て抗うことを諦め、あと少しで解放して
もらえるのだからと自分を奮い立たせて大き目の声で言った。
「愛佳は…先輩の淫乱な牝犬ですぅ!愛佳の我がままに目を瞑ってもらう代わりに精
一杯ご奉仕させていただきます。どうか先輩のおちんちんにご奉仕させてくださいっ!」
「よくできました」
 先輩は満足そうに笑うと愛佳の頭を掴んで、亀頭を愛佳の口の中に強引に押しこん
だ。
「んぐっ?」
「いいかい、噛んだらお仕置きだよ。動かしてる間ちゃんと舐めるんだ。いいね?」
 先輩は愛佳の頭を押さえたまま前後に揺すぶった。
「ん、んふ、んんう、んう、んんんー!」
 口の中で暴れる先輩の分身を宥めようと何とか舌を動かす愛佳。だが興奮して勢い
づいた先輩は却って余計に愛佳の口の中を蹂躙する。愛佳は鼻で息をしながら強制フ
ェラに耐えようとした。
「ううっ、出るよ…飲んで」
152愛佳SS(鬼畜):05/01/10 17:15:09 ID:WOdSlRvB
 愛佳の口の中で先輩の一物が跳ね、精液の苦い味が口の中に広がる。
「んぐ、く、んふ…」
 これまでにも口内射精は何度もされ、最初の頃はこぼして怒られたこともあった愛
佳だったが、それでもちゃんと要求に応えられなかった時のお仕置きを思って、頑張
って精液を飲み下した。
「ご…ごちそうさまでした」
「次は立ってスカートをめくって見せて」
 事が終わった後言うように指示されていることを言うと、息をつく間もなく次の指
示が来る。愛佳がその通りにすると、青いブルマが先輩の目の前に現れた。
「ふうん、今日の6時間目は体育だったのか…」
 先輩の手がブルマに伸びる。股間は僅かだが濡れてシミができていた。
「こんなに欲情して…愛佳は本当にエッチな牝犬だな。さあ、こっちへおいで」
 先輩は愛佳の腰に手を回して引き寄せ、ブルマとパンツの股布をずらすと愛佳を貫
いた。
「ああああああっ」
 まださほど濡れていないうちに挿入されて、愛佳は膣を引き裂かれそうな激痛を覚
えた。それに頓着することなく先輩は愛佳の制服のタイを解いてボタンを外し、ブラ
ジャーをずり上げて乳首に吸い付いた。
「ふふ…きつく締まっていいよ、愛佳…」
「ふああ…お腹から…お腹から先輩のが抜けちゃいますぅ!」
 先輩は唇と舌で愛佳の乳首と乳暈を弄り、腰を掴んで上下に激しく動かす。乱暴に
膣の中を掻き回される痛みとおかしな感覚を覚え、逃げようにも逃げられず、愛佳は
ただヒイヒイ喘ぐだけだった。
「うぐっ」
 何回もの往復運動の果てに先輩の顔が歪んだと思うと、愛佳の膣の中で先輩の分身
がビクビク震えて子宮に熱い精液がかけられた。満足して縮こまった分身が引き抜か
れて、トロトロと精液がこぼれる。
153愛佳SS(鬼畜):05/01/10 17:16:23 ID:WOdSlRvB
「今日もよかったよ、愛佳君。そうして君がずっと僕のお利口な牝犬でいてくれるな
ら今度のCD導入の件考え直してあげるから。じゃあ明日、またバーコード貼りを適当
なところで切り上げて僕のところにおいで…まあそんな不安そうな顔をするなよ。そ
のうちに君も僕の牝犬でいたいって本気で思うようになるから」
 先輩は一物についた液をティッシュで拭うとさっさと行ってしまった。後に残され
た愛佳は机に伏してシクシク泣きながら、親しいクラスメートの名前を呼んだ。
「助けて、たかあきくん………」
154愛佳SS(鬼畜)の著者より:05/01/10 17:22:07 ID:WOdSlRvB
てな感じで体を差し出せば古い本は残してやるがどうだという図書委員長の取引を
飲んで犯される愛佳の話を書いてみますた。やっぱり鬼畜な話って俺には難しいで
すわ。この後初めて犯されて愛佳が怯える場面を書いて、その後ヤマ場(内容は今
はまだ秘密)を書こうと思ってるけど読者についていってもらえるかな・・・。
155名無しさんだよもん:05/01/10 22:52:45 ID:Z1hMmSqg
このまま突っ走ってくれ。
俺は期待してるぞ。
156名無しさんだよもん:05/01/10 23:05:42 ID:6x3jdATV
今、愛佳シナリオをクリアした。
今、>>150-153を見た。
図書委員長も>>150-153
 と っ て も ぶ ん な ぐ り た く な っ た よ
・・・・・・続きは読みたいです。
157名無しさんだよもん:05/01/10 23:29:29 ID:G/+l3QbO
おまいら正直だな
ほんわか系も充実してくるといいな
おれは電波なやつが面白かった
158名無しさんだよもん:05/01/10 23:29:30 ID:1sPxVr1m
>>150-153
図書委員長のあまりの早漏っぷりにワロタ
いくら何でも早すぎだろw
159名無しさんだよもん:05/01/10 23:50:57 ID:7sdgWWBg
で、由真はまだ?
160貴明の一日:05/01/11 02:41:50 ID:vWkU+JU9
貴明は、じとじとした布団の湿り気で目が覚めた。もう限界らしい。
かといって日干しする気にもなれない。
そういえば太陽の光をしばらく浴びていないが
今日は晴れているのだろうか、それとも雨…?
外部からの騒音や陽光を遮るために窓に打ち付けてある厚手の板を
ぼんやり眺めながら考えた。
油でべとべとするだらしなく伸びた髪を、汚れて黒ずんだヘアゴムで結わえる。
これが貴明のインターネットスタイルだ。
無精ひげの生えたアゴを撫でながら愛機の電源を入れると、
フィーンという冷却ファンの音がし、
カリカリカリっとハードディスクが小気味良い回転音を鳴らす。
ポータルサイトは2ch。早速、昨日建てたスレッドのレス数を見る。
「氏ね」「ハァ?」「逝ってよし」…様々なレスが貴明を罵倒する。
それを見て性的興奮を覚えた貴明は、矢も楯もたまらず髪を掻きむしる。
ぼろぼろぼろと大量のフケがキーボードにこぼれ落ちる。
貴明はそれのひとつまみを口に含む。…香ばしい。
半ばよだれを垂らしつつもレスのレスを付け始める。


161名無しさんだよもん:05/01/11 09:44:11 ID:LJvyvWAU
>>160
死ね
162名無しさんだよもん:05/01/11 17:59:20 ID:eZ2YJnh5
>>160
ハァ?」
163名無しさんだよもん:05/01/11 18:09:57 ID:Sn53wZFw
>>160
逝ってよし
164名無しさんだよもん:05/01/11 18:21:31 ID:/qdVRPJT
>>160
地獄に落ちろ
165名無しさんだよもん:05/01/11 18:54:32 ID:884Xg5u8
>>157

電波なやつってどれだ?
一番最初の?
166愛佳鬼畜SS:05/01/11 21:28:33 ID:dOQVEX6m
「そんな…私達、これまで書庫の本も読んでもらえるようにって思って頑張ってバー
コード貼りしてきたのに…」
 ある日図書委員長に呼び出され、これまでクラスメートの貴明と一緒に進めてきた
書庫の本に貸し出し記録用のバーコードを貼る作業はもういいと言われた愛佳は失望
の色を隠せなかった。
「君ががっかりする気持ちはよく分かるよ。始めてからもうひと月くらいになるかな?
それまでよく頑張ってくれたからね。でも今度の図書委員会で書庫の本を整理して、
CDを置くというのはもう決定事項なんだ。かねてからCDを置いて欲しいっていう要望
も多かったんだし」
「でも…古い本だからこそ必要としてる人もいるんじゃないですか?私達そう信じて
きて、バーコード貼りを進めてきたのに」
「…………」
 マジ泣き寸前で切々と訴える愛佳。図書委員長も寂しげな目でうつむく。しばしの
沈黙の後、静かに図書委員長が口を開いた。
「そこまで言うなら、CDの導入を考え直そうか」
「ええっ、本当ですか?」
 愛佳は身を乗り出した。
「他ならぬ愛佳君の頼みだ。それを考えもせず事を進めるほど僕も鬼じゃないさ。君
が僕の言うことを聞いてくれるなら、これまで通り書庫の本を残してもらえるように
委員会で働きかけてあげよう」
「あ、ありがとうございます。書庫の本を残してもらえるなら、私どんなことでもし
ます!」
 この一言が自分の身に不幸をもたらすことになることを、その時はまだ気づいてい
ない愛佳だった。
「じゃあ、ちょっと教室まで来てもらえるかな」
「え、何ですか?」
167愛佳鬼畜SS:05/01/11 21:57:38 ID:dOQVEX6m
「僕はね、実は前から愛佳君のことが好きだったんだ」
「え…、えええ!?」
「うん、書庫の整理に勤しんでる君のチャーミングな姿を影で見ていて惚れ込んじゃ
ってね…幾夜も君のことを思いながら寝たものさ。愛佳君が身も心も僕のものになっ
てくれるなら、愛佳君が今望んでることを叶えてあげる。どう、悪くない話だろ?」
  図書委員長は話しながら馴れ馴れしく愛佳の側に寄ってくる。生来の男性恐怖症
が出て、愛佳はビクッと体を震わせた。
「い、嫌…来ないで」
「嫌?」
 愛佳の漏らした一言で図書委員長はカチンと来た。制服のズボンのベルトを外し、
鞭の代わりにして愛佳の体にヒットさせる。
 パンッ
「きゃあっ」
 当たってもさほど痛みは感じなかったが、愛佳はベルトが唸る音だけで全身が怖気
立つ恐怖に襲われた。
「すると何だい、さっき僕に何でもするって言ったのはあれは嘘だったのかい?」
 パンッ、パンッ、パンッ、パンッ
「きゃあ、やめて、やめてください。委員長の言うこと聞きますからあ!」
 執拗にベルトで鞭打たれ、悲鳴と共に許しを乞う愛佳。そこで図書委員長は静かに
指示を出した。
「じゃあ今から足を肩幅ぐらいに開いて、スカートをめくりあげてごらん」
「…そ、そんな、恥ずかしいです……」
 愛佳の顔が真っ赤になり、屈辱の涙が目尻からこぼれる。
「言うことが聞けないの?」
 図書委員長の怒気のこもった声と蛇のような視線に屈して、愛佳は観念してスカー
トの裾を持ってめくり上げた。白いパンツが丸見えになった。
168愛佳鬼畜SS:05/01/11 22:10:37 ID:dOQVEX6m
スマソ。疲れてるんで今日はここまで。
あと>>157さんの指摘も感謝。当初はここはあんまりねちっこく書くこともないかと
何となく思ってああなったけど再編集する(かどうかもまだ未定だけどさ)時はそこ
書き直させていただきまつ。
169愛佳鬼畜SS:05/01/11 22:11:19 ID:dOQVEX6m
×157→○158
170ミルファSS:05/01/11 22:50:20 ID:T256ElDt


イルファと瑠璃が和解してから一週間
珊瑚になつかれ瑠璃から飛び蹴りをくらいイルファはそれを微笑ましく見守る・・・
少し退屈なものの平穏な日々が戻ってきた。

授業が終わり久しぶりに雄二とゲーセンに寄り家に着いたとき既に6時を過ぎていた。
あの後珊瑚がしきりに自分の家に引っ越せと勧めたもののやはり
女3人の所帯に男が転がり込むというのは問題があるし、一応両親から
家の管理を任されている以上おいそれと引っ越すわけにも行かず相変わらずの
1人暮らしであった。

「ぐはっ・・ものの見事に何も無いな」
空の冷蔵庫を見て嘆息する。
「今の時間だとスーパーはギリギリか・・・いっその事外食でもするか?
いやいや金もかかるし、買い置きのどんべえかUFOで我慢するか?」
私服に着替え手の財布を弄びながら思案している所へ

ピンポーン

「こういう時イルファさんみたいなメイドロボが居てくれれば、ってハイハイ今出ますよ」
171ミルファSS:05/01/11 22:52:44 ID:T256ElDt
サンダルを履きドアを開けると、買い物かごを下げたメイド姿の女性と視線があった。
いや、メイドではあるが本来耳があるべきところに取り付けられたセンサーが彼女が
メイドロボである事を表している。
(イルファさ・・・いや違う)
確かに顔姿は似ているもののイルファのやや青みががった黒髪に対し彼女は栗毛色、そして意思の強そうな瞳。
何よりイルファと違うのはその見事なバストだった。
(で・・デカイ・・・顔うずめたら至福のあまり逝ってしまいそ・・って何考えてんだ!!)
 狼狽する貴明を前に彼女はにっこり笑い
「久しいな貴明。また会えて嬉しいぞ」

「あ、あのすいません。どちら様ですか?」
おそらく珊瑚かイルファの関係者であろう事は直感で判ったものの一応尋ねてみる。

「ああ、この姿では初めてだったな、すまなかった」
ゴソゴソと手に持った買い物かごの中から何かを引っ張り出し
貴明の目の前に持ってくる。
172ミルファSS:05/01/11 22:53:41 ID:T256ElDt
「ほら。これが私だったものだ」

何の変哲も無いクマのぬいぐるみ。だが珊瑚や貴明には特別な思い出のある
それは忘れるはずもない・・・
「ああ!!クマ吉!!クマ吉の中の人だな!?」

「ミルファだ・・あのな、私も一応女なんだ。その『吉』を付けるのはやめてくれないか」
貴明の言葉に苦笑するクマ吉もといミルファ。

「あ、ごめん。で俺に何のようかな?」

「ん、いきなり訪ねて来てすまなかったな」
そう言うとミルファは、買い物かごを地面に置きスっと背筋を伸ばし
「本日より河野貴明様専属のメイドとして来栖川エレクトロニクス研究所から派遣されたミルファと申します。どうぞ末永く可愛がってくださいませ」

そしてスカートの先をつまみ優雅におじぎした。
「という事だ。何なりと申し付けてくれ」

「ハイ?」
貴明の間抜けな返事が玄関先に響いた。
173ミルファSS:05/01/11 22:56:51 ID:T256ElDt

取りあえず完成している分だけ投下します。

ミルファは蔵の智代とセラムンのマコを足して2で割ったようなのイメージしてます。

こんなのミルファじゃね〜!!って憤慨な方申し訳ありません_| ̄|○
174名無しさんだよもん:05/01/11 23:13:55 ID:jDIZO9yU
いい感じなんで続ききぼーん
175名無しさんだよもん:05/01/11 23:45:33 ID:E7iWQTMm
ミルファたんはイルファさんと似てるけどちょっと釣り目気味と夢想
176名無しさんだよもん:05/01/11 23:59:25 ID:qV2qgP6m
うん、確かに智代っぽいけどでもちょっと気が強い感じが出てるしなかなかいいと思いますぞ
177名無しさんだよもん:05/01/12 00:07:15 ID:eE0s++Oh
先を越されたか
俺もミルファSS書いてる
ただ、結構長いから、ここに貼るのは難しいかも
178名無しさんだよもん:05/01/12 00:09:19 ID:PxBnQmcj
ゆっくり書いてくれ
できたらでいいからいつか貼り付けてくれることを楽しみに待ってるぞ
179名無しさんだよもん:05/01/12 00:10:07 ID:46SzNGmz
当方1で幾つかSSを書いているのすが2で委員ちょにはまったもので
現在委員ちょメインでSS書いております。
でお聞きしたいのですが物語の主人公を貴明や雄司以外の自分が作った
オリジナルキャラで作るというのはアリでしょうか?

180名無しさんだよもん:05/01/12 00:10:13 ID:RGEB17AW
>>177
ホムペ持ってるならそっちにうぷでもかまわんぞ
181(ノ>ヮ<)ノ☆:05/01/12 00:12:29 ID:PoAnK9r5
>>179
書くのは貴方ですので好きにすれば良いと思いますが
オリキャラがいいんちょや他のヒロインとくっつくようなのだと嫌われますよ
182名無しさんだよもん:05/01/12 00:23:18 ID:46SzNGmz
>181氏
 レスありがとうございましたm(__)m
 再考しますです。
 とりあえずもう一周委員ちょシナリオ回ってきます
183名無しさんだよもん:05/01/12 00:25:50 ID:jQn6J0A8
ここでオリキャラ出すのは敏感なヒトもいるから、ちょっとな
チラシの裏に書けとか言われたくなければ、避けるのが賢明じゃないか
184名無しさんだよもん:05/01/12 00:35:08 ID:+5Z2BkfL
俺もやめといたほうがいいと思うな。
その手のを嫌う人には相当叩かれるぞ。
個人的にもそういうのは、あんまり受け付けないし…
185名無しさんだよもん:05/01/12 00:43:10 ID:k8FsG+cd
委員ちょSSでオリキャラなら、図書委員の誰かをオリキャラ主人公にして、その
視点で委員ちょのシナリオをというのならぎりぎりあり。
186名無しさんだよもん:05/01/12 00:53:37 ID:D28uPD78
>179
そこで異能者2ですよ。がんばれ。
187名無しさんだよもん:05/01/12 00:59:03 ID:46SzNGmz
179です
皆様色々とご意見ありがとうございました。
オリキャラで作るというのは一種の逃げ道だったかもしれません。
練り直して納得のいく作品を書こうと思います。
188名無しさんだよもん:05/01/12 01:07:49 ID:0U5jTlpb
誰か由真書かない?
189(ヽ>A<)ヽ☆:05/01/12 01:21:13 ID:PoAnK9r5
由真さん書きづらいキャラなんでしょうかね〜
1904月14日 放課後:05/01/12 01:59:55 ID:shQR0V2H

  1.引き受ける
 >2.断る

「ごめん、話が急でよくわからない……」
 俺は頭をかきながら、ようやくそれだけを口にする。
 他ならぬ小牧のお願いとはいえ、事情もわからずそんな約束はできない。
「ごごごめんなさいっっ、やっぱりそうですよねっ」
 やんわりと断ったつもりが、小牧は大慌てで頭を下げる。
「忘れてくださいすみません、あたし変なこと言っちゃって……忘れてください」
 すっかり恐縮してしまう。
 俺はとっさに慰めの言葉も思いつかず、困惑しているうちに、小牧はますます縮こまっていく。
「忘れてください……」
 声までどんどん小さくなっていく。
「ホントごめんなさい、忘れてください……」
「うん……」
 ついには二人してちんまりしてしまう。

 書庫の整理を始めてまもなく、書棚の向こうから小牧のささやき声が聞こえてくる。
「……このくらいかな」
「百科事典の重さを確かめてどうする気だ」
1914月14日 放課後:05/01/12 02:00:55 ID:shQR0V2H
 夕焼けの中、小牧と並んで校門を出る。
 二人とも無言だ。
 いつもなら書庫の中までとはいかずとも、それなりに会話があるのだが、作業前のあのことが
後を引いているのか、どうしても言葉が出てきてくれない。
 横を見ると、小牧もうつむいている。
 落ち込んでいる、と思うのは俺のうぬぼれだろうか。
「じゃあ、あたしこっちだから」
 結局、分かれ道で小牧がそう言うまで、俺たちの間で言葉が交わされることは無かった。
(元に戻っちまったかな……)
 小さくなっていく小牧の背中を見ながら、少しだけ後悔する。
 でもなんだって小牧はあんなことを言い出したのだろう……。
「あれ?」
 不意に、違和感が口をついて出る。
「……どこ行くんだ?」
 言葉にしてから気がついた。
 前に一度、小牧と道が分かれるまで帰ったとき、その分岐点はもう少し先だったはずだ。
 そんなに俺と一緒にいたくなかったのだろうか。
 嫌な考えが頭をよぎる。

   1.後を追う
  2.まあいいか
1924月14日 放課後:05/01/12 02:02:01 ID:shQR0V2H

  >1.後を追う
  2.まあいいか

(俺は一体なにをやってるんだ)
 視界に小牧の背中を捉えながら、もう何回目かわからない自問をする。
 後を追ってどうするのか、全く考えてなかった。
 まさか捕まえざまに
『俺と一緒にいるの、嫌か』
 などと聞けるはずも無い。ただでさえ、女の子の後を付け回している今の状況だけで言い訳がきかないと言うのに。
 ならもう全部明日のことにしてこのまま引き返せばいいのに、何故かそうしようという気も起こらなかった。
 そうこうしている間にも、小牧はどんどん先へ進んでいく。
 坂道を下りきらず、学校と同じ高台をより山間に進んでいく。
 こっちの方には何があっただろうか。
 思い出そうとしているうちに、不意に大きな建物が目の前に現れる。
 そして正面からその中に入っていく小牧。
 想定していなかった事態に、思わず立ち止まってしまう。
「ここは……」
 緑に囲まれた場所に建つその白い建造物は、まぎれもなくここいらで一番大きい総合病院だった。
1934月14日 放課後:05/01/12 02:02:51 ID:shQR0V2H
 体調不良になるほど俺と一緒にいるのが苦痛だったのか。
 そんな馬鹿な、と思う一方で、あの小牧ならありえるかもとも考えてしまう。
 ともあれ、ここに来て俺の気になり具合は頂点に達した。
 後先考えずに病院の中へと入る。
 受付や待合室にそれらしい姿はない。どこにいる、と視線をめぐらすとエレベーターに乗り込む
見慣れた制服の後姿を見つけた。扉が閉まる直前だったが、間違いない。
 エレベーターに乗ったのは小牧一人だった。
 止まった表示階数を確認し、階段を駆け上がる。傍から見たらかなり怪しいだろうが、
そんなことを気にしている余裕はなかった。

「病院内はお静かに!」

 目標の階数に到着。息を整えながら、小牧の姿を探し歩く。
 どうやらここは一般患者の病棟らしい。それに気付き、ふと小牧の目的は診察ではなく
見舞いなのではないかという、考えてみれば当然のことに思い至った。
 そして同時に、一気に頭が冷える。
(こ、こんなとこまで追いかけてきてどうする気だ俺は!)
 気にならないといえば嘘になる。が、小牧のそんなところにまで干渉する権利は当然俺にはない。
 見咎められる前にさっさと帰ろう。
 正にそう思った瞬間、近くのドアが開き、
「「えっ」」
 俺と、そこから出てきた小牧の声がハモった。
1944月14日 放課後:05/01/12 02:03:48 ID:shQR0V2H
 二人して固まる。ああ、もの凄く驚いた顔してるよ。こっちも似たような顔してるんだろうか。してるんだろうな。
 小牧の口が開く。悲鳴でもあげられるのかと少し身構えたが、幸いそれはなかった。
「こ、ここ河野くん!? え、あれ? どど、どうしてこんなところに……」
 だが見たとおり、めちゃくちゃ慌てている。おかげでこっちは少し冷静になれた。
「あーその……まあ、なんだ」
 しかし、だからと言って妙案が浮かぶわけでもない。
 どう言い訳したものか考えあぐねていると
「ねえ、入り口でなに騒いでるの」
 小牧の出てきた部屋からそんな、少し幼い感じの声が聞こえてきた。
「いいいや、なんでもない。なんでもないよー」
 小牧の慌て具合が倍増する。それでいて、場所を配慮してか大声にならない辺り、実は結構冷静なのかもしれない。
 もっとも、動きは珍妙そのものだが。
 さっきから両手を挙げて背伸びをしているのは、俺に室内を見せないためか、あるいはその逆か。
 別にそんなことしなくても、病室の中を覗くなんて真似をするつもりはないのだが。
「誰かいるの?」
「まままさか。いないいない。だ〜れもいないよ。も〜なに言ってるの」
「ふーん……で、河野くんってだれ、『お姉ちゃん』」
「あうっ」
「お姉ちゃん?」
 その言葉に思わず、ひょいと小牧の頭の上から室内を覗いてしまう。
 自分でもあ、と思ったがもう遅かった。カーテンに遮られて姿は見えなかったがその向こう、小さな影がこちらを
うかがってる様子がなんとなく……。
1954月14日 放課後:05/01/12 02:04:40 ID:shQR0V2H
「あああ〜、こ、河野くんごめんね待たせちゃってもうあたしの用事は終わったから戻ろそれじゃあね郁乃!」
「うわっ」
 突然腕を引っ張られ、情けない声を出してしまう。
 追い詰められてオーバーヒートしたのか、普段からは想像もできない早口で言い放ち、ドアを閉める。
 そのまま俺の腕を引っ張ってどんどん出口へ向かう小牧。
 なんと言うかキャラが違うぞ。
 そんなツッコミをする間もなく、なすがままの俺。
 気のせいだろうか。
 ドアが閉まる直前、その向こうから、くすり、という笑い声が聞こえたと思ったのは。

 二人無言で坂を下りる。
 だが今度の沈黙は校門を出たときの比ではなかった。
 一段と濃くなった赤色の中、病院を出た俺たちの間で交わされた言葉は、小牧が発した一言だけ。

『……ごめんなさい』

 それはむしろ俺の台詞のような気もしたが、とてもじゃないがそんなことを口に出せる雰囲気じゃなかった。
 そのまま、どちらが言い出したわけでもないのに、俺たちは並んで帰り道を辿っている。
 今の俺にそんな資格はないのかもしれない。理由だってわからない。だけど、どうしても小牧を一人にしておきたくなかった。
「……」
「……」
 静寂が重い。
 隣にいるのに、感じる距離は今までで一番遠い。
「……これで」
 呟きは無意識だろうか。
「もう嘘つかなくていいのかな……」
 ちらりと盗み見た小牧の顔には、表情がなかった。
1964月14日 放課後:05/01/12 02:05:29 ID:shQR0V2H
愛佳シナリオを一度終えた状態で、4月14日の愛佳の申し出を「断る」と出てくる新たに選択肢で、「後を追う」を選ぶと、
約一ヶ月早く郁乃とのファーストコンタクトとなり(正確には出会ってませんが)ここから郁乃ルートへの道が開きます。
以降、放課後の場所移動選択に『病院』が加わりますが、あまり郁乃に構ってばかりいると書庫が守れなくなってしまい、
雄二と修学旅行に行く羽目になりますので、適度に愛佳の方にも顔を出すようにs


嘘です。


てなわけで捏造小牧郁乃シナリオ、第一回にして最終回。
ここから先は全く考えていないので、続きは各人妄想力をフルに活用して何とかしてください(w
では。ノシ
197名無しさんだよもん:05/01/12 02:16:42 ID:LeQM9K8g
貴様、書き逃げか! この非国民めッ!!

座して続編を待つ。
198名無しさんだよもん:05/01/12 07:09:18 ID:KN55lELc
ちくしょう!
こんな真・仮面ライダー序章みたいな展開で終わらせやがって
続きが気になるじゃん!
199名無しさんだよもん:05/01/12 07:39:38 ID:TS27xK8g
由真のSS案として、ダニエルがタカ坊に、
次世代のダニエルになれと強要してくる
「俺、ダニエルになるー」みたいなの思いついたんだけど
全然、話が転ばねぇorz
由真を絡めにくいし。
200名無しさんだよもん:05/01/12 08:59:03 ID:FTCLNoM0
このみSSを書こうと思うのだけれど、このみ視点とタカ坊視点とどっちが良い?
201名無しさんだよもん:05/01/12 11:10:21 ID:PetB0Poh
タカ坊支店
202名無しさんだよもん:05/01/12 11:26:54 ID:k8FsG+cd
このみSSならば、タカ坊視点ではなくタカくん視点と表記すべきだ! と言ってみるテスツ
203名無しさんだよもん:05/01/12 13:43:16 ID:6hKU+bTQ
内容による
前みたいな鬱シナリオならこのみ視点。野郎の鬱は見てても面白くない
ほのらぶだったらタカくん視点で
204☆ヽ(>ヮ<ヽ):05/01/12 14:01:27 ID:PoAnK9r5
三人称という選択肢はないんでしょうか?
205名無しさんだよもん:05/01/12 14:04:39 ID:sMjSUYrj
>>204は意味がわかっていない
206名無しさんだよもん:05/01/12 15:19:01 ID:0gwxrss6
わかってないのは205だと思われ
207名無しさんだよもん:05/01/12 15:42:43 ID:KyPDVB7a
このみ姉さんという手もある。年下だが。
208名無しさんだよもん:05/01/12 19:17:00 ID:K4ZvDQ7d
貴明の本命が小牧の恋人未満な状態で、このみやタマ姉と仲良くしてる所を誤解されて
嫉妬されたりするラブコメ展開希望。花梨も貴明の事が最初っから好きっぽいので、
彼女も絡めてくれればなお良い。
209名無しさんだよもん:05/01/12 20:00:05 ID:0U5jTlpb
とにもかくにも由真をお願いしたい
210名無しさんだよもん:05/01/12 20:02:49 ID:Rt1zGmrX
双子はスルーですか?
211名無しさんだよもん:05/01/12 20:38:28 ID:XqaVVXEl
>>209
由真とミルファの「貴明専属」の座をかけた戦いとか?
212名無しさんだよもん:05/01/12 20:50:10 ID:dznRPDgT
それだ!!
213200:05/01/12 21:22:10 ID:pCk9GbmU
もうちょいでこのみSS完成なんでお待ちあれ。
タカくん視点ほのらぶだ。
214名無しさんだよもん:05/01/12 21:59:52 ID:eBihlVu2
うわ、ギャルゲ板でSS書くと宣言したのに、
内容がまんま>>185のを考えてたorz
215200:05/01/12 22:51:22 ID:pCk9GbmU
えーっと、完成しそうとは思ったのだけど、ゴニョゴニョな理由で後半部がまだ出来てないので前半部投下します。
216名無しさんだよもん:05/01/12 22:51:57 ID:pCk9GbmU
「〜♪〜♪〜♪」
鼻歌が聞こえてくる。
台所には食器を洗っているこのみがいる。
今日、俺が修学旅行から帰ってくると家にはこのみが居て、例の必殺カレーを作って待っていた。
何故か今日のカレーは今まで食べたことがないくらい美味しく、3杯も食べてしまった。
このみは「きっと愛情だねっ!」とか言っていたが、もしかしたらその通りかもしれない。
恥ずかしいから口には出さないけど
そんなことを思いながらこのみの後姿を眺める。
なんか新婚の夫婦みたいだな…と思い、慌ててその思考を打ち切る。
何を考えているんだ、俺は…
「タカくん、お風呂沸かしてあるから入れるよ〜?」
「あ、ああ。入らせてもらうよ」
俺は動揺を声に出さないように注意して返事をした。
もしかしたら思い切り出ているかもしれないけれども。
風呂から上がると、このみは今のソファーに座ってテレビを見ていた。
「あ、タカくん、お風呂のお湯加減どうだった?」
「ん、丁度良かった」
ちらりと時計に視線を向けるともう21時だった。
そろそろこのみは家に帰る時間ではないのか?と思い声をかけた。
217名無しさんだよもん:05/01/12 22:52:40 ID:pCk9GbmU
「おい、このみ」
「ん?あ、そっか」
このみは俺の声を聞いてソファーから立ち上がった。
勿論「タカくん、また明日ね」という返事が返ってくると思っていたが、返ってきた現実は想像を絶していた。
「じゃあ、このみもお風呂貰うね〜」
「―はい?」
お風呂貰うねって…何?
思わぬ回答に思考が停滞する。
「え、どうかした?」
このみは純粋に疑問をぶつけてくる
「このみ、今日は家に泊まるのか?」
「そうだけど。あ、まだ言ってなかったかな、ごめんねタカくん」
―いや、そういう事ではなく
「春夏さんの許可とか…」
「大丈夫、お母さんも『頑張りなさいよ』って許可出してくれたよ?」
春夏さん止めてくださいよ。しかも頑張りなさいってなんですか。
「いや、その、俺も男だし、このみは女だし…」
とりあえず、最後の抵抗を試みる。
しかし、帰ってきた答えはこれまた絶望的だった。
「大丈夫だよ、このみはタカくんなら何をされたって平気だもん」
絶句、そして固まる。
218名無しさんだよもん:05/01/12 22:53:11 ID:pCk9GbmU
「じゃ、お風呂入ってくるね〜」
俺が固まったのを了承と理解したのか、このみはパタパタと足音を立てて風呂場の方に歩いて行った。
俺は今日平穏無事に寝ることが出来るのだろうか?
その思考は半分正解だった。

その場で風呂上りのこのみを迎えることが酷く怖いことのように思えたので、急いで自分の部屋に入る。
そこには前のように布団が敷かれているなどということはなく、少なくともこのみは俺の部屋で寝ようとは思ってないと思って安堵した。
安堵すると、急に眠気が出てきたのでベッドに入る。
ああ、なんとか平穏無事に寝ることができるか…と思っていると、部屋のドアがかちゃりと開いた。
急に聞こえてきたその金属音にどきりとする。
「タカくん、もう寝ちゃった?」
「いや、まだ起きてるぞ」
お休みと言うだけかな、と思い返事を返す。
何せ、俺の部屋にはこのみの分の布団が敷かれていないのだ。俺は当然挨拶だけと思った。
ところが、ひたひたと足音は近付いてきて、俺の枕元で止まった。
え、と声を上げる間もなく、このみは普通に俺のベッドに体を入れてきた。
ここで俺は自分の間抜けさに気付いた。
―最初からこのみは俺と同じベッドで寝るつもりだったのだ!
「えへ〜、タカくんの匂いがする〜」
このみの嬉しそうな声がとても近くから聞こえてくる。
心臓がばくばく動く。とんでもなく緊張する。声を出すことなんで当然出来ない。
このみから何故か甘い匂いがして、頭がくらくらした。
219名無しさんだよもん:05/01/12 22:54:09 ID:pCk9GbmU
とりあえず、前半投下完了。

最初ageてしまってスマソorz
後半とか頑張ってるんでしばしお待ちあれ。
220名無しさんだよもん:05/01/12 23:06:17 ID:zwH0DuGw
待つ
221名無しさんだよもん:05/01/12 23:09:53 ID:k8FsG+cd
>>219
(・∀・)イイ!!
本番突入なのか、それとも寸どめで終わるのか、どちらだろうと思いつつ後半に期待して待ちます

>>214
うわー、すまぬorz
だが気にせず書いてくれ
222環&三人組レズ:05/01/12 23:19:03 ID:WKyVcsx7
「な、なにこれ?」
環は自分の体の変化に戸惑っていた。
何時もの環なら信じられないミスタッチをして音のテンポも狂い始める。
徐々に自分の意思に沿わなくなる体に戸惑いながらそれでも環は演奏を続けようと無駄な努力をしていた…

貴明とキスをした次の日の放課後、環は三人に音楽室に呼び出された。
  九条院に戻る前にもう一度、お姉さまのピアノを聞かせてください。
そう三人に呼び出されたのだ。
環も貴明とのことがなければ彼女達は可愛い後輩だったので、喜んでその申し出を受けたのである。

音楽室に以前三人の前で弾いたときとは違う狂ったメロディーが流れていた。
ついに、指一本動かせなくなり鍵盤に倒れこみそうになった環を玲於奈が抱きすくめる
「ありがとう、玲於奈」
後ろを振り向くことさえできない環は玲於奈が倒れこみそうになった自分を助けてくれたものだと思った。
しかし、後ろから環を抱きすくめている人物の顔には淫乱な、今まで彼女が環にむけた事のない笑顔が張り付いていた。
「いえ、お姉様例には及びません。むしろ私はお姉さまに誤らなければならないんです」
「謝るって、…ってちょっと玲於奈なにやってるのっ!んっ」
環が玲於奈の言葉に戸惑っていると環を抱きすくめていた玲於奈の腕が動き、いきなり胸を両手でもみ始めた
「んっ、はぁ」
玲於奈の突然の行動に呆然として環は無意識に熱い吐息をその形のいい唇から漏らす。
うなだれた視線の先には玲於奈の両手によって彼女の意のままに形を変える自分の双球があった

いや、こんなのも読みたいなぁっと。
自分でかけと言われそうだが、
「自分飽き性なんで」
223名無しさんだよもん:05/01/12 23:30:06 ID:0U5jTlpb
>>222
漏れは自分で書いてみるも、ヘタクソさにため息が出てしまう始末
224名無しさんだよもん:05/01/12 23:31:31 ID:pCk9GbmU
>>218の続きであります
後半部だけ、とか言いつつまだ完結してません。
ごめんなさいごめんなさい。
225名無しさんだよもん:05/01/12 23:32:04 ID:pCk9GbmU
その匂いで更に心臓の鼓動が早くなる、心臓が破裂するんじゃないかと心配するぐらい。
頭の中で凄まじい葛藤の攻防が行われる。
理性と襲ってしまえという思考が戦っている―
頭は沸騰寸前で喋れる余裕なんて有り得ない。
心の中で平常心!平常心!と言うのがやっとだ。
そのまま何も言葉を発していないでいると、このみは俺の背中にぴたり、とくっついてきた。
「えへへ、タカくん温かいな…」
もう止め切れなかった。
頭の中で何かがぷちり、と切れる音がして気付いたら自分でも信じられないくらい早くこのみの上に覆い被さっていた。
「タ、タカくん…?」
このみは少し怯えたような声を出したが、それは逆に煽る結果となった。
キスをする。いや、それはキスではなく口を貪るといった表現が近い。
「んっ!?んむっ!んんー!」
このみの口の中に自分の舌を入れる。このみは驚き、少し暴れるがそれを力で押さえつける。
口の中を舌で蹂躙する、その事実は目の前で火花が散るほど刺激的で魅力に溢れていた。
このみの口の中を貪りながら、パジャマの中に手を入れる。ブラジャーは付けられていなかった。
「やっ…!タカく……らめぇっ!」
…っ!柔らかいっ!
胸を揉むと信じられないくらいそれは温かくて柔らかくて、あっという間にその行為に夢中になった。
「い、いたっ!そんな…んっ!つよ…むうっ……!」
更に胸を揉もうと思ったが、そこで俺は冷水を浴びせられるような光景を目にした。
226名無しさんだよもん:05/01/12 23:32:37 ID:pCk9GbmU
このみが涙をぽろぽろと流していた。
その事実を見て、理性が急速に復活していくのがわかる。
―違う!違う違う違う!俺はこのみのこんな姿を見たいんじゃない!
急いで自分の体を剥がす。
ベッドの端までどうにか自分の体を持っていき、背をこのみに向けると、背後からはぁはぁという息遣いが聞こえてきた。
その息遣いだけで更にまた理性が飛びそうになるが、どうにか堪えて声を吐き出す。
「判っただろう?お前が近くにいると俺が何をするか……」
背後でびくっ、とこのみが体を動かす気配がした。
「判ったなら出て行ってくれ、これ以上このみが近くにいると俺は絶対またこのみを襲う…!」
そう言う声が自分でも泣きそうなぐらい震えているのが判った。
これでこのみに嫌われたかもしれない、もう二度と話しかけてもらえないかもしれない。当然、別れることになると思った。
ぎし、とベッドのスプリングが動いて、このみが動いていく。
そして、そのまま部屋から出て行くかと思ったが、このみの取った行動は違った。
俺は背後から抱き締められた。
「え?」
その不意打ちに思わず間抜けな声を上げる。
だが、すぐに何が起こっているかに気付いて、怒鳴る。
「何してるんだ!早く出て行かないとまた……」
「いいよ」
227名無しさんだよもん:05/01/12 23:33:10 ID:pCk9GbmU
「え?」
また間抜けな声を上げてしまう。それくらいこのみの反応が想像外だった。
「今のは急だったからちょっと驚いただけだよ、このみ、さっき言ったよ?『タカくんなら何をされたって平気』って…」
「そんな…俺はこのみに今以上に無茶苦茶なことをするかもしれないんだぞ」
「良いよ、だってタカくんだもん」
「理由になってないぞ…」
「タカくんのこと好きだから。これで理由になるよ」
えへ〜、とこのみが笑う
俺はなんだかホッとしてさっきの妙な興奮がなくなった。

「良いのか?今度こそ、その…するぞ」
明確にそれを言うのが恥ずかしくてつい、ぼかしてしまう。
「うん、いいよ…」
このみはそう言って顔を真っ赤にする。きっと俺も同じように真っ赤になっているだろう。
「ん…」
座りながら、ゆっくりと、いつもするように口づけた。
今度はこのみの方から積極的に舌を使ってくる。
俺はそれに応える。
「ふむっ……んっ、んむっ…」
ちゅ、ちゅぱと唾液の音が部屋に響く。
長く長く、深いキスを続ける。
228名無しさんだよもん:05/01/12 23:33:45 ID:pCk9GbmU
お互いの口中でしつこいくらいに舌を絡める。
このみの唾液が口の中に溜まってきたので、それをこくりと飲み込む。
お返しにこのみの方にも俺の唾液を送り込む。
「ん…ぷはっ!む……こくん」
このみも俺の唾液を飲み下す。
唇を放すと、お互いの間に糸が引いた。
すると、このみは後ろにぽすりと倒れてしまった。
「…このみ?」
「ごめん…タカくん…なんか力が抜けちゃって動けない……」
このみの眼は焦点が合っておらず、ぽーっとしていた。
再びキスをして舌を挿し入れる。
「ん、む…ちゅ、んん、ふぁ……」
このみの舌は溶けそうなくらい熱かった。
完全に力が抜けていて、俺のされるがままになっている。
このみのパジャマのボタンを1つ外す、今度は何の抵抗もせず、それを受け入れた。
ボタンを全て外して、胸元を開かせる。
俺はそれを見て、少し唖然とした。
このみの肌は本当に白くて、染み1つなくて、このみが息を吐くごとに上下する胸がどこか扇情的ですらあった。
「綺麗だ…」
俺は思わず呟いた。
小さい時に花見のハプニングとか一緒に風呂に入った時のそれではなく、それは間違いなくこのみが女である、と証明するように。
229名無しさんだよもん:05/01/12 23:34:27 ID:pCk9GbmU
ぎゃああ、またageちまったあああああ。
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさぃぃぃ。
230名無しさんだよもん:05/01/12 23:38:57 ID:1mO/UygT
ちんぽ勃った
231名無しさんだよもん:05/01/12 23:39:12 ID:5xOxXujP
えへーの心で気にしないよ
ゆっくりやりなよ
232名無しさんだよもん:05/01/13 00:13:50 ID:ZJ89RhCY
これだけで十分抜けますわ
233名無しさんだよもん:05/01/13 00:40:20 ID:OQhue08A
で、>>222は続きを書く気はないのか?
234名無しさんだよもん:05/01/13 03:26:53 ID:ozdv3sZS
>>222
寸止めかよ。
続きかいてくれ。
235名無しさんだよもん:05/01/13 04:21:39 ID:p3gqzHMJ
>>222
おいおいジョニー、今のおれの状況を知っているか?

生殺しだぜ
236名無しさんだよもん:05/01/13 21:58:13 ID:PqcCGtip
>>228の続きを書いているのだけれど、どうしても濡れ場が面長になるなぁ。
少し長くても良いんかな?
一応初めて同士なので(そういう設定)色々と入れることがありすぎて…
237名無しさんだよもん:05/01/13 22:04:14 ID:PTY77OJu
ろまんてぃっくにたのむ
238名無しさんだよもん:05/01/13 22:12:56 ID:/SgEWGoR
キボンヌ
239名無しさんだよもん:05/01/13 22:14:32 ID:kFyx7nVA
ヨロシコ頼む
240愛佳SS(鬼畜):05/01/13 22:14:33 ID:akXoY/DF
「うん、そのままスカートは持ち上げておいてね」
「あ、何を…そ、そんな、きゃっ」
 図書委員長は愛佳の前に屈みこんだと思うと愛佳のパンツに手をかけて、膝までパ
ンツを下ろしてしまった。その時の委員長の視線は愛佳の股間を射抜いていた。
「あ、ああ…そ、そんなに見ないでください。恥ずかしいです……」
 愛佳の顔は正に大事な部分を見られて真っ赤になり、涙もポロポロこぼれている。
元より男性恐怖症の愛佳だから視姦されているだけでも死にそうなほど恥ずかしい。
それでも委員長は黙って胸ポケットからカメラ付き携帯電話を取り出してレンズを
愛佳の股間に向けた。
 パシャッ、パシャッとカメラのシャッター音が響く。ワイドコンバージョンレンズ
(カメラ携帯に使えるのが本当にあります:作者註)が付けてあったから愛佳の秘部
と股間は簡単に一緒に画面の中に収まる。
「ほら見てごらん。おまんこを撮られて恥ずかしがってる愛佳君の顔、なかなかかわ
いいよ」
 ズズイッと携帯のディスプレイを愛佳の目の前に差し出す委員長。
「きゃああ、そ、そんな画像見せないでくださいぃ。私、恥ずかしくて…恥ずかしく
て……」
「やれやれ、僕の言うことを聞くって言いながらそんなんじゃ困ったね。それじゃ愛
佳君のお願いは聞いてあげられないな」
 この一言が結局は愛佳を黙らせた。辱めを受けているのもつらいが、書庫の本が処
分されてCDに入れ替えられていくことも愛佳にとってはつらいことだったから。
 愛佳が沈黙して俯いてしまったのをしおに、委員長は愛佳の股間を両手の指で押し
広げ、割れ目の奥の襞をペロリと舐めた。
「くふ…」
 愛佳の体がビクッと震える。
 ピチャピチャ、レロレロ…
「ん、ああっ、そ、そこ、舐められると…へ、変になっちゃいます…」
 愛佳の体を快感が走り抜け、股間が濡れそぼってくる。酸味におしっこのしょっぱ
さが混じった愛液をじっくりと味わうように委員長は愛佳の秘部を丹念に舐め回した。
更にぷくっと膨れたクリトリスも莢を剥いて、飛び出た豆を舌先で転がしたりもした。
241愛佳SS(鬼畜):05/01/13 22:41:44 ID:akXoY/DF
「おいしいよ、愛佳君のおまんこ」
「ああっ、んん、せ、先輩ぃ、私、ど、どうかなっちゃ…ああっ」
 じっくり、執拗に感じるところを攻めるクンニリングスの果てに愛佳は足の力が抜けてペタンと床に座ってしまった。そこで委員長はニヤリと笑い、ズボンのチャックを下ろすと勃起した一物を取り出した。
「ああ…」
「ほら、僕のおちんちん、君の中に入るのを楽しみに待ってたんだよ」
 愛佳は大きい魚肉ソーセージほどもある委員長のアレを見て、入れられるのが怖か
ったが後のことを思うと嫌という言葉が出てこない。愛佳は委員長に腰を掴まれて、
そのまま処女を散らされてしまった。本当なら貴明にもらって欲しいと思っていた処
女を。
「(ごめんね……たかあきくん、ごめんなさい、ごめんなさい………)」
 股間から体を引き裂かれそうな激痛の中で、愛佳はさめざめと泣きながら心の中で
貴明に何度も謝った。
「ううっ、凄く締まるよ、愛佳君のおまんこの中」
 委員長は愛佳の胸のうちなど頓着せずに、上に乗る格好でつながった愛佳の腰をが
っちり掴んで上下に動かし、膣壁の締まりを味わっている。
242愛佳SS(鬼畜):05/01/13 22:43:08 ID:akXoY/DF
 グシュッ、ジュブ、ズブブ、グチュチュ…
 クンニリングスで股間を濡らしてはあっても、激しく動かされているから愛佳にと
って往復運動は苦痛だった。ただ膣の中を硬い一物でかき回されている感触しかない。
「う、うあああ…せ、先輩、お腹の奥、痛いです…ひぐっ、あう、や、やめて…くだ
さい。壊れちゃう…」
「やめてだって?こんなに濡れて、きつく締まるのに…?ならこれならどうかな」
 委員長の片手が愛佳の股間に動いて、指先がクリトリスを弄ぶ。
「ああっ、そ、そんなとこ…ひっ、ひゃあう」
「ふうん、愛佳君はクリトリスが感じやすいんだ」
 そのまま委員長は愛佳のクリトリスを執拗に攻めながら愛佳の腰を上下に振らせた。
 ズプッ、グシュ、ジュブブ、グチュチュ…
「ひゃあ、う、あ…私、もう、だめぇ……」
「う、うう…愛佳君のおまんこ、まだ締まってくる……も、もう、イキそうだ」
 委員長がそう言った瞬間、愛佳の膣の中でビクンと委員長の一物が震え、子宮に精
液を放った。
「あああ…(中に出されるなんて…そんなの嫌……)」
 愛佳は子宮に熱いシャワーを受けながら絶望を味わっていた。これから先、書庫の
本を守るためにずっとこんな目に遭わなければならないのかと。
243名無しさんだよもん:05/01/13 23:07:45 ID:PTY77OJu
タイトルどおりですな。
244名無しさんだよもん:05/01/13 23:12:48 ID:K71TUCuP
でも、愛佳って、一番最後に気を抜いた時後ろからサックリとしてきそうなキャラっぽいイメージが…
245ミルファSS(170):05/01/13 23:50:24 ID:ns4NoTyu
2(172の続き)

(しかし妙な事になったもんだ)
ベッドに入り電気を消し暗くなった天井を見ながら貴明は先ほどの事を思い出していた。

あの後玄関前でしゃべるもの何だというのでリビングに場所を移しミルファから事情を聞くことになった。夕食は食いっぱぐそうだがこの際仕方がない。

「ほんとはすぐにでも来たかったんだが色々手続きがあってな、時間がかかってしまった」
貴明とテーブルを挟んできっちりと正座する彼女。

(そうだったロボットだからお茶とか飲めないんだった)
買い置きの一番高いお茶を出してから気づいたがもう遅い。

「今度私達HMX-17シリーズを実際に家庭に配属してデータを取ることになってイルファ姉さんは主様の家、そして私は主様に頼んで貴明の家にしてもらったんだ。見知らぬ家庭に行くより気心の知れた相手が一番だしな。
その点貴明なら信用できるし私のご主人様にぴったりだ」

(そういやイルファさんがそんな事を言っていたな)

「ということだから何なりと申し付けてくれ。炊事、洗濯、裁縫何でもできるぞ。
そ、そ、そのよ、夜のお相手でもいいんだぞ?」

最後らへん頬を染めながらごにょごよとどもる彼女。
246ミルファSS(170):05/01/13 23:52:11 ID:ns4NoTyu
「ちょっちょっと待ってくれ。うちはメイドロボ雇う余裕なんてないぞ」

脳裏に市販のメイドロボの値段が浮かぶ。確か新車2,3台くらいはしたはずだし維持費だけでも相当したはずだ。この家を売り払えば何とか購入はできようが寒空の下メイドと二人路頭に迷うなんて洒落にもならない。

「その辺は安心しろ。プロトタイプのモニターという形をとったから、機体費、維持費や税金等は全て研究所持ちだ。それと手紙を預かってきた。1つは主様達から、もう1つは貴明のご両親からのものだ」
貴明の前に2通の封筒を差し出される。

『る〜☆みっちゃんはナイスバディだよ〜♪エロエロだよ〜♪』
(珊瑚ちゃんか。相変わらず意味不明なメッセージだな)

『貴明!てめ〜、ミルファに手ー出したらぶっ殺す!!』
(こっちは瑠璃ちゃん・・・手ってなんだよ)

『貴明さん。不出来な妹ですが何卒よろしくお願いします』
(イルファさん・・・まるで娘を嫁がせる母親みたいな文章だな(汗))

もう一通の封筒を開けてみる。中の便箋には

『息子よ!その歳でメイドライフとはうらやましすぎるぞ!ちょっとはその幸せを俺にも分けろ』
『貴明。どんな事情かはよく分からないけどミルファさんの言う事よく聞いて(中略)
後暖かくなったとはいえ健康には気をつけなさいね』

(親父と母さんか・・・母さんはともかく親父はふざけてるのか?)
「なるほど。根回しは万全ってわけだ」
手紙を封筒に戻しながらやや呆れた声を出す。

「了承してくれたと見ていいのか?勿論嫌だと言うなら無理強いはしないが」
247ミルファSS(170):05/01/13 23:57:38 ID:ns4NoTyu
不安げな顔をする彼女を前に思案する。いくらこのみや
春夏さんがいるといっても頼り切るのは気が引けるし、
1人ぐらしもそろそろしんどくなってきたとこで本気で毎食どんべいにしようか
真剣に考えていたところだ。別に見知らぬ相手でもなし(もっともクマ吉時代の
彼女しか知らないのだが)反対する理由もない。

「まあ、そういう事ならお願いしてみようかな」

「そっそうか。帰れとか言われたらどうしようかと思ってたんだ。」
貴明の言葉にぱっと破顔するミルファ。

「あ・・まだ夕食まだなんだろ?どうせろくな物食べてないみたいだし。
ほ〜らやっぱり何もないじゃないか」
いそいそと空っぽの冷蔵庫を確認し、ダイニングにテーブルの上に数種類のタッパを
並べていく。どうやら彼女が持ってきた買い物かごの中身はこれらだったようだ。

「皿は・・・この戸棚のを使っていいのか?」
「あ、ああ」
タッパの中の料理をテキパキと盛り付け、ご飯を電子レンジで温めなおすミルファ。
5分もしないうちにテーブルの上には数品のおかずとほかほかと湯気をご飯の
立派な夕食が鎮座していた。

「いただきます」
「はい、どうぞ」
野菜と肉のバランスの取れた食事は貴明の舌と胃を程よく刺激した。

「ど、どうだ?変な味しないか?」
緊張の面持ちで貴明を注視する彼女。

「うん、美味いよ。味付けなんかもうちで食べてるものとほとんど同じだし」
お世辞でも何でもなくミルファの作った食事は美味かった。
248ミルファSS(170):05/01/13 23:59:02 ID:ns4NoTyu
「それなら良かった。本当はこっちで作りたかったんだがな、夕方着てみたら
留守だったんで主様の家で作ってきたんだ」
貴明の反応に安堵するミルファ。乱暴な口調ながらも家事が
得意というのは本当のようだ

そして就寝時
ミルファは『私はメイドだ。そこらの隅で構わない』と言ったがさすがにソファで
眠らせる訳にもいかないので取りあえず両親の部屋に布団を敷いてそこを
使ってもらうこととなった。

「やれやれこの俺がご主人様ね〜」

布団をかぶりながら呟く。2ヶ月前には女の「お」の字も無かった自分が
(このみやたま姉は別として)今や可愛らしい姉妹といい仲でメイドロボとは
言え美人二人から慕われている、つくづく世の中というのは
分からない。

(タマ姉やこのみにも紹介しないとな。雄二には・・・またからかわれるだろうな)

「ま、なるようになるさ」
まぶたを閉じ暫くすると睡魔が意識に闇をかけていく。
249ミルファSS(170):05/01/14 00:00:12 ID:z694EbEu
カチャ
ドアが静に開けられ影が1つ部屋に入ってくる。
「貴明・・・・」
レモンイエローのパジャマを着たミルファだった。

「あ、主様が言うにはメイドは夜寝る前にご主人様と愛を確かめ合うのがしきたりだと・・だ、だから私を!!」
思い切って顔に視線を向けると貴明はぐっすり寝ている。
(バカ・・・)

思わず蹴りを入れそうになるのを何とか踏みとどまり、額に優しくキスをする。

「いつか・・・いつかきっと堂々と口づけ出来ればいいのにな」
少し寂しげにつぶやき貴明の布団をかけなおしそっと部屋を出る。

(ん・・誰か来てたのか?)
寝返りをうった拍子を目を覚ます貴明。当然の事ながら誰も居ず、しかし額になにか
触れたような感触が残っていた。

(寝よ寝よ)
気になったものの疲れから再び貴明は眠りの海に沈んでいった。隣の部屋でミルファ
が悶々としているのにも関わらず。

つづく
250ミルファSS(170):05/01/14 00:03:53 ID:z694EbEu
取りあえず出来た分だけ投稿します。
当方卒論と同時並行で書いてるので書くのすんげー遅いです(;´Д`)

自分で書いといてなんですが貴明はアフォでトンマです。
何故もう少し起きてないかと小一時間(ry

251名無しさんだよもん:05/01/14 00:05:27 ID:X09osA0r
自分のミルファイメージとはちがうが
こういうのもいいな・・・
252名無しさんだよもん:05/01/14 00:15:18 ID:evsp9WWg
>>228の続きを投下します…が、まったく進んでない。
下手したら中だるみとか評価受けるかもorz
自分の腕が足りないのが悔やまれる…

↓以下投下します
253名無しさんだよもん:05/01/14 00:15:51 ID:evsp9WWg
さっきのことがあったので今度は強く握らないように注意しながら胸に触る。
大きくはないけれど、それはとても柔らかい。ずっと触っていたいと思うくらい柔らかい。
「んっ…んんっ、ふぁぁ……」
鼻息がかったこのみの声が聞こえてくる。
俺にはそれがとても甘い響きに聞こえて、休むことなく胸を触り続ける。
すると手のひらに少し固いしこりを感じるようになった。
そのことが気になって、手をどけて見て見ると桜色をしたものがその存在を示していた。
―これが、乳首が立つって言うことか…
雄二から借りたエロ本などで知識としては知っていたが、もちろん目の当たりにするのは初めてだった。
ドキドキしながらそれを指でつまみ――そしてつねった。
「ひゃっ!?」
このみの体がびくっと跳ねる。
「タ、タカく、んんっ!や、ひゃぁっ!」
もっともっとつねる。そのたびにこのみは色っぽい声を上げる。
俺はそれに酷く興奮して、一心にこのみの胸を触って、乳首を弄んでいた。
だが、しばらくして、このみは堪りかねたように
「タカ…くん……」
切なげな声で俺の名前を呼んで
「…お願い……下の方も触って…」
顔を真っ赤にして、そして哀願した。
254環&三人組レズ:05/01/14 00:16:12 ID:wakPEH8f
『なに、この・・こ、なんでこんなにっ』
環の思考はさらに混乱する。
玲於奈の胸への愛撫は巧みだった。
時には弱く、時には指が胸に食い込むほど強く環の胸を蹂躙し、さらには制服の上からでもわかるのか、双球の頂点を
きゅっとしごいてくるのだ。
その快楽の力はすさまじく、環は胸への愛撫だけで自分でするときの何倍もの快楽を思考の中枢に叩き込まれ、いつも
の凛とした彼女の思考を失いつつあった。
「私、昨日の神社での一件でわかりました。お姉さまの心はあの下賎な男に向けられていることを」
「下賎って・・・、んっ!?」
玲於奈の言葉に一瞬思考を取り戻して目を吊り上げた環だったが、タイミングを計ったかのような双球の頂点を今まで
一番強い力でしごかれて、言葉を失ってしまう。
「いくら私たちが真実の愛を説いたところでお姉さまの心は私たちにむくことはないんでしょうね」
環の耳を甘噛みしながら玲於奈は悲しそうにつぶやいた。
「でも私たちはお姉さまの事を諦める事が出来なんです。だから決めたんです」
「決めたって…うふぅ 何を?」
玲於奈の言葉に環はそう問い返す。
しかし、環はもう自分が何を言っているのさえほとんど判らない状況だった。
セーラーの上から胸を愛撫していた玲於奈の手はなくなっていて、その代わりセーラー服が異様な形で盛り上がっていた。
玲於奈は環と話しながらも裾から両手を差し入れ環の大きな双球をじかに愛撫していたのだ。
「フロントホックだなんて、お姉さまも意外とエッチなんですね」
フロントホックをはずす時の玲於奈の言葉にいやいやと首を振っていた環だったが、そんなことも記憶にはないだろう。
玲於奈は環の大きな双球を下部から持ち上げ、小指から親指へと胸の先に咲き誇る先端に血を送り込むように、時には
弱く時には強く揉みあげる。環の双球は玲於奈の意思に従って汗ばみ、その先端を尖らせていった。

石川「実ってくれ! これがオレの精一杯なんだ」
という感じで続けて見ますた。ってこれ続けていいのかなぁ?
筆遅いし・・・^^;
255名無しさんだよもん:05/01/14 00:16:24 ID:evsp9WWg
「―え?」
俺は今日何回目になるか知れない、間抜けな声をまた上げた。
下の方ってどこ…だ…?
言われるままに、視線を下の方に下ろして、俺はそれを見て呆然とした。
それは部屋の電気が点いていなくて。
射す光は月光しかないというのに。
見てすぐそうとわかるぐらい―見ているのはパジャマの上からにも拘らず―股のところがぐっしょりと濡れていた。
なんだこれは、もしかして。
「このみね、えっちな子だから…その……タカくんにキスされたり、胸を触られたりしてるだけで…こんなに……」
真っ赤だった顔を更に真っ赤にして、瞳を少し潤ませて、このみは言った。
俺はその顔を見て、このみが本当に愛しいと思った。
突然、くちゅりと水音がした。
このみが股を擦り合わせてその音を出していた。
その余りに非日常的な光景に頭が真っ白になる。
だけど、足りない頭を総動員して、震える手と指を必死に動かして、このみのズボンの上から手を入れる。
ショーツに手を入れると、薄い茂みのような感触がして、続いてべちょべちょに濡れた溝に指先が到達した。
「ひぅ…っ!」
指先が敏感なとこに触れてしまったのか、このみは声を上げる。
続いて、俺はそのとろとろに崩れたゼリーみたいになっているこのみのあそこに中指を入れて、かき混ぜた。
「は、あぁぁっ!くふ…っ!ひゃ!ふ、うぅぅ!」
俺が指を少しでも動かすとこのみは反応して声を上げる。
256名無しさんだよもん:05/01/14 00:18:53 ID:evsp9WWg
それは俺が今まで一度も聞いたことのない、甘美で美しい声だった。
夢中で指を動かす。
もっともっとこのみの声が聞きたい――!
指を動かしたり、曲げたり、回したりしてこのみのそこをいじり続ける。
「う、あぁぁっ!そんなはげしいぃぃっ!や、らめぇ…」
段々このみの声は呂律が回らなくなってくる。
それでも俺は熱に浮かされたように動きを継続する。
「…っ!くっ、あ、ひ、は、あ、あ、あぁあぁぁぁぁ!」
突如このみは大きな声を上げて、体を強張らせた。
このみの中に入れてた指がギュッと肉に締め付けられて、奥の方から何かが溢れてくる。
俺はびっくりして思わず指を抜いてしまった。
今までこのみのそこを触っていた手を見ると、溢れ出て来たその何かで手がべたべたになっていた。
このみは数秒体を強張らせていたが、その後、ぐったりしてベッドに体を横たえた。
目は明らかに焦点が合っておらず、更に陶然とした表情を浮かべていた。
何が起きたか判らない俺は心配になってこのみに話しかけた。
「このみ、大丈夫か…?」
話しかけてもしばらく反応はなかったが、何回も声をかけてやっとこのみは虚ろな目で俺を見た。
「あ…ごめん、ね…タカくん。このみ、タカくんの指がすごく気持ちよくて……」
とろんとして、何かに酔ったような口調でこのみが離す。
面と向かって「気持ちよかった」と言われるのは何とも恥ずかしく、俺は顔を真っ赤にして俯いてしまった。
257名無しさんだよもん:05/01/14 00:20:18 ID:evsp9WWg
うあぁぁ、今度はカチ合ったorz
投下するたびにハプニング・・・

とりあえず、貴明がかなりのアホですが、童貞の馬鹿な行動と思って許したってください…
258名無しさんだよもん:05/01/14 00:21:30 ID:zPeJOQ5I
のんびり制作してくれ
楽しみにしてるよ
259名無しさんだよもん:05/01/14 00:38:49 ID:/880PqAQ
「タカくん、あれ、るーこさんじゃないかな」
「ん? ああ、そうだな」
「あ、いいな、猫さんと遊んでる。このみにも触らせてもらってくるね」
「またひっかかれるぞ」
「む〜、大丈夫だよ」
るーこに向かって走り出したこのみを、歩いて追いかけた。

人気のない公園。
背を向けてベンチに腰かけたるーこ。その前にいつものようににゃーがいる。
るーこの手に触りながら、あまりにも安直なその名前のとおり、
にゃーなおーと甘い声をあげていた。
「こんにちは、るーこさん」
「あんまり学校サボるなよ、るーこ」
るーこはにゃーを見つめたまま返事をしない。
俺たちのことに気がついてないということもないだろうに。

「どうしたの?」
前に回ったこのみがるーこに問いかける。それでも頭をあげようとしない。
「なんかあったのか? 熱でもあるわけじゃないよな」
少し心配になった。腰を落として、るーこを覗き込む。
焦点のあわないわずかに暗い瞳があった。
「おい、本当に大丈夫か。悪い、ちょっと触るぞ」
頭に手を当てる。ほんのすこし熱いかな、と思ったとたん、顔が動いた。
「……うー」
かわらずぽんやりとした瞳で俺を見る。それはかすかに潤んでいるようで、
余計に心配になる。
260名無しさんだよもん:05/01/14 00:39:47 ID:/880PqAQ
「少し熱いみたいだな。俺の家に来るか」
「……大丈夫だ。心配するな、うー」
言っているそばから吐息が漏れる。息吹きがわずかに手の周りの空気を暖めた気がした。
「駄目だ、こんなところで。夜はもっと寒くなるんだぞ」
「タカくん、ちょっと手をどけて」
真面目な顔をしたこのみは、しゃがむとるーこの額に自分の額をつけた。
ぴくりと身震いすると、るーこの瞳が左右に動いた。なにかから逃げるように。
すぐに額をはずしたこのみを、視線が追っていた。
「うん、たしかに熱いみたい。タカくん、わたしお布団の用意とかをしておくから、
 るーこさんをタカくん家まで連れてきて」
このみの言葉に、るーこは目を背けた。
「ああ、わかった。頼んだぞ、このみ」
「うん!」

「というわけで、いくぞ、るーこ」
「るー……」
弱々しくかぶりを振るるーこを無視して強引に手をとる。
「っ!」
驚いたように手を引くるーこ。顔の赤みが増す。
「あまり意地を張らないでくれ。ほら、立って」
怯えるような顔をして、手を離そうとした。でもその手にはいつもの力はなく、
何よりそのあまりの暖かさと汗ばんだ手のひらはより俺の気を急かさせた。
261名無しさんだよもん:05/01/14 00:40:45 ID:/880PqAQ
「立てないのか? ごめんな、急にして」
手を離す。
「あ……」
離れた俺の手を一瞬追いかけたが、ぎゅっと握りこむと胸元に近づけた。
「……うー、駄目だ。るーは行けない。うーこのに謝っておいてくれ」
またかぶりを振って顔を背ける。
頑なさをこんなときにまで発揮させてほしくはないのに。

「謝るんなら、家で謝ってくれ。ほら、大丈夫だから。二度目だろ?」
しゃがみこんで背を向ける。
「……ほんとうに、いいのか」
「当たり前だ。こんなときくらい、頼ってくれよ。
 直るまで、ずっといてくれてかまわない。さいわい、明日は休みだからさ。
 そばにいられる」
「こんな状態の、るーがそばにいても、いいのか」
「ああ、こんなときはお互い様だ。このみも、俺がそんなふうになったら
 そばにいてくれる」
「うーも、か?」
「え?」
「うーこのがこんなふうになったら、うーはそばにいてやるのか?」
「あ、ああ。なるべくな」
微妙に照れくさい。だがここで否定するとるーこは来てくれないだろう。
後ろを向くと、赤くなっているであろう俺の顔をるーこは見つめていた。
262続きはいずれ:05/01/14 00:43:13 ID:/880PqAQ
「そう、か」
ぐ、と背に重みがかかる。
「よし、じゃあ行くぞ。しっかりつかまれよ」
勢いをつけて立ち上がり、公園を離れた。
持ち上げた時に触れた素肌に感じた湿り気。
振動を与えすぎないように、足を速めた。

公園を出たところで、強く手を回される。背に感じる柔さが圧力を増やす。
「……るー。かまわないか?」
「大丈夫だ。それより、あんまり動くと熱が上がるかもしれないから、じっとしてくれ」
「少しだけ。あとはうーの家までがまんする」
首筋に息がかかる。そのまま、鼻を利かせるような気配がした。
「……いい、匂いがする」
強く聞き取れるほどの吐息。
「うーの、匂いだ」
横を見た。あまりにも近い位置にある火照った頬と溶けるような瞳。そして、唇。
ちらり、と伸びた舌が俺の頬を撫でた。
そして、わずかに腰を伸びあげる動き。その感触は制服の背を貫き、背骨に何かがこすりつけられた。
「……っ」
押し殺した声。
身体がぶるりと震え、かかえた太腿が弛緩するのがわかった。


「なおー」
「にゃおー」
遠くから、にゃーともう一匹の猫の悩ましい鳴き声が聞こえている。
263名無しさんだよもん:05/01/14 01:00:39 ID:wGvol5xh
るーこキタワァ*:.。..。.:*・゚(n‘∀‘)η゚・*:.。..。.:* ミ ☆
なんか直接描写ないのにすっごくエロエロでいいですな…
続き楽しみにしてます
264名無しさんだよもん:05/01/14 03:38:37 ID:ktsfahn1
るーこはBADEND中にばっちり「ヤッた」と表記されてるからなぁ。
265名無しさんだよもん:05/01/14 10:45:47 ID:ECoo5AU1
るーこの発情期か
イイナー

ミルファも楽しみ
266なんでもない委員ちょとの日常風景:05/01/14 15:27:03 ID:mr3GFa4h
[6月5日]札幌

空が青い。
修学旅行の開放感もあるのだろうか。
いつもと同じ空のはずなのに。
どこまでも抜けるような青さが目に染みる。
「たかあきくん」
「ん、なに?」
自由行動の時間を活かして愛佳と二人でやってきたとある喫茶店。
雄二から奪ってきたガイドブックに小さく紹介されていた穴場の店だ。
同じ学園の生徒に邪魔されたくなかったということもあってここを選んだ。
オープンテラスの白いテーブルには紅茶とケーキのセットが二つ。
白磁のカップがはじく陽光もなんとなく目に優しい。
「いい雰囲気のお店だねぇ」
ほんわかした笑顔で愛佳が微笑む。
その表情にこちらも自然と笑顔を返す。
「ちょっと遠かったけど足を伸ばしてよかったよ」
「うん、向坂くんの情報に感謝しなきゃ」
「無理やり奪ってきたんだけどな」
「もー、だめだよぉ」
ちょっと怒って指をふる。
むぅ、そんな仕草もかわいいと思ってしまう。
267なんでもない委員ちょとの日常風景:05/01/14 15:28:11 ID:mr3GFa4h


少し熱くなった頬を悟られないように紅茶のカップを傾ける。
…ん、うまい。
「美味しいよねぇ」
何でわかったんだ!
「ふふふ、わかるよぉ。たかあきくんのことなら何でも」
えへんと胸を張る。
まいったな、見事にお見通しだ。
「そ、それはともかく」
「ん?」
「妹さんへのお土産は決まった?だいぶ迷ってたみたいだけど」
「う、それがまだなの」
あらら、頭を抱えてしまった。
あの郁乃をうなずかせるお土産選びって確かに難しそうだな。
さて、役に立ちたいけどなにがいいやら。




268なんでもない委員ちょとの日常風景:05/01/14 15:28:44 ID:mr3GFa4h
ちょっと考えてみたけど思いつかない。
愛佳もまだ考え込んでいるようなので話しかけてみた。
「なにか候補はあるの?」
「うーん、いくつかはあるんだけどね」
そういって取り出した生徒手帳のメモ欄にはすごい量の書き込みがあった。
書いては消し、消しては付け足していった候補たちのリスト。
うわぁ、これは大変だ。
この中から選ぶだけでも大仕事だぞ。
「えっとね、やっぱりアクセサリーがいいかなって」
「うん、女の子だからね」
「郁乃、かわいい小物好きだし」
む、そうなのか。
あの生意気な郁乃が小物を集めている姿を想像して、ふとおかしくなってしまう。
「それで、たかあきくんと行ったガラス細工のお店にあった置物なんかがいいかなぁって」
「ふむふむ」
「かわいかったよねぇ、あのカメ」
なに?!
「カメって、えっと、愛佳がずっとみていたあのカメ?」
「うん、そうだよ」
満面の笑み。
愛佳の言うカメの置物は全長10センチくらいの陸ガメのことだった。
皮膚のしわ、カメの甲羅まできっちりと再現されていてかわいいというよりは正直怖い。
あの時はそのリアルさに感心したのかと思ったが、あれがかわいいとは。
269なんでもない委員ちょとの日常風景:05/01/14 15:29:30 ID:mr3GFa4h

「あれ、かわいいかなぁ」
「えー、とってもかわいかったよ!」
「かわいいっていうよりは怖かったけどな」
「たかあきくん、女の子のことがわかってないよ」
得意げな表情の愛佳。
ちょっと悔しくなったので反論してみる。
「愛佳の感覚がちょっと普通とちがうんじゃないの?」
「そんなことないよぉ、きっと郁乃も気に入ってくれると思う」
「姉妹そろって…」
「んもぅ!たかあきくんの意地悪」
あ、こら、ぽかぽか叩くなって。
お茶が、お茶がこぼれる。
危ないので愛佳の手をつかむ。

「!」
「!」

その柔らかさにどきっとして固まってしまう。
愛佳も同じだ。
何度も手をつないだことはあるけど、まだ慣れることはない。
こんなことを言うとまた雄二あたりに笑われるだろうとは思うけど。
270なんでもない委員ちょとの日常風景:05/01/14 15:30:16 ID:mr3GFa4h
ああ、でもすべすべして気持ちいいな。
そんなことを考えながら手を握ったままでいると、頬を真っ赤に染めた愛佳が話しかけてきた。
「た、た、たかあきくん、えっと、ここは他の人が…」
わ、そうだった、ここは店内だった。
いつのまにかそのことを忘れて周囲の注目の的になっていたらしい。
急いで手を離す。
「そ、そろそろ出ようか」
「う、うん」

目が痛くなるような青空の下。
並んで歩く二人の手が再びつながれる。
まだまだ一緒に歩き始めたばかりの二人。
ぎごちなさもあるけれど、今はこの時間を大事にしていきたい。
そんな思いをこめて愛佳の柔らかい掌を軽く握る。
いたずらっぽく笑いながら握りかえしてくる愛佳。

いつまでもこうしていられたらいい。
この時間が少しでも長くなればいい。

青い空を見上げながらそんなことを考えていた。
271名無しさんだよもん:05/01/14 16:48:35 ID:zPeJOQ5I
(・∀・)イイ!!

ほのぼのしてて光景が目に浮かぶようだ(*´∀`)
272名無しさんだよもん:05/01/14 17:12:56 ID:CuJQYjxS
GJ!!委員ちょカワイイよ委員ちょ…
273名無しさんだよもん:05/01/14 17:27:40 ID:whpV6xL2
OK
この路線で次も待ってる
期待してるぞ
274名無しさんだよもん:05/01/14 22:15:16 ID:ktsfahn1
るー「勝負あった。
   貴様は100時間ほど前からすでに負けている。」
275名無しさんだよもん:05/01/15 01:30:31 ID:cK+PnqYg
 新学期になって、彼は書庫に来なくなった。
 どうしてだろう、とは思わなかった。もともと彼は無関係だし、来る方がおかしかったのだ。
 それに、ここでの作業の優先度はそれほど高くない。そう説明したし、彼も言っていた。気が向いたら、と。
だから、他に用事があればそっちを優先して当然だろう。
 彼は同好会に入ったらしい。
 その会長と教室で騒いでいたのを見た。騙された、とか不穏な台詞を言っていたのに最後には折れているのが、律儀で
優しい彼らしいと思った。もっとも、理由はそれだけじゃないのかもしれないけど、それを知る術を自分は持っていない。
「……」
 どうして、とは思わない。思うのは、そんなことじゃなくて。
 ――ただ、もし。
 ――あんな風に、自分も最初から素直に話すことが出来ていたら。
 ――今も、彼と、ここで……、
「っ、……」
 頭を振って、その幻想を追い出した。
 そんな迷惑を彼にかけるわけにはいかない。

『おめでとう、でいいのかな』

「……いいんですよ」
 頭の中にリフレインした台詞に、わざと声を出して答える。
「それにそんなこと、できるはずもないんだから」
 無意識に出た自分の呟きを無視して、ただ手を動かす。

 封も開けなかったバーコード用シールを鞄に入れる。
 今までよりほんの少しだけ楽しんで選んだお茶菓子を片付ける。
 もう使う必要のなくなった、ふたつのカップと茶葉をしまう。

 いつもの不器用さが信じられないくらい淡々と片付けを済ませて、書庫を出て。
 最後に、本当に一瞬だけ、手を止めて。

 鍵をかけた。
276名無しさんだよもん:05/01/15 01:32:35 ID:cK+PnqYg
1レスでどれだけのことが書けるかに挑戦してみるテスト。

ゴメンなさい嘘つきました。

単に書いてるうちに自分で鬱になってきて大幅に縮めただけです。
てなわけでこのスレが立つ原因になったという>>36の真似、序盤委員ちょのイベントに付き合って途中他に流れた場合の補完。
時間的には「あたしたちの手を離れた〜」云々言われた日の放課後をイメージ。
相手が花梨なのに深い意味はないです。「妹」つながりでこのみでもよかったかな。でも由真でやる勇気は無かった……。
や、由真ルートでのおせっかいっぷりを見るに意外と大丈夫なのかもしれませんがね。
277名無しさんだよもん:05/01/15 02:15:35 ID:0g+7HMx/
いや、この短い中できちんとまとめていながらも寂しさも最後の一行で引き立っていて個人的にはなかなかの作品だと思うです、ハイ
これで嘘ついっているって言うなら本作の方はもっとすごいっていうこと?
278名無しさんだよもん:05/01/15 04:36:32 ID:h35XK0qN
悪くない。
むしろ恋愛物ばかりでなく、他のものも読みたいしな。
279名無しさんだよもん:05/01/15 21:36:33 ID:KHGXzqnF
そして伝説へ
280名無しさんだよもん:05/01/15 22:22:59 ID:wpHWuYEY
>>275
途中で抜ける場面の委員ちょのイベントは見たけど
せつないね・・・。
281名無しさんだよもん:05/01/16 00:36:22 ID:R4tXjxPE
 何でこうなったのだろう。
 ズルい言い訳をした俺に対する天罰だろうか。にしてもこれはちょっと違うと思う。
 今はまだ、このみを女の子として見ることは出来ない。それでもこのみは俺にとって大切な幼なじみだ。
 後のことはわからない。でも、たとえこの先どうなっても、俺にとってこのみが大切なのは変わらない。そのことを
告げるだけだったはずなのに。
 気がつけば両側からこのみとタマ姉に挟まれ、身動き取れない状態になっていた。しかもお二人はなにやら俺の意思を
無視して好き勝手なことをのたまっておられる。
 予想だにしなかった急展開ぶりに脳みそがついていけてない。
 しかし、事はそれで終わってくれなかった。
「……楽しそう」
「は?」
 呟いたのは、このみの友達のキツネっ子の方だった。名前は……なんだったっけ。思い出そうとしているうちに、
彼女はスタスタとこちらに近づいてきて、
「ん〜」
 俺の首に腕を回し、いつかのように頬を摺り寄せてきた……って、おい!
「あああ〜! ちゃ、ちゃるー! なにするのー!」
 このみ、絶叫。
 前のときは無反応だったくせに、いっちょ前にヤキモチを覚えたか。……なんかそう思うとこっちが照れてしまう。
 しかし彼女はそんな俺にはお構いなしに、
「私も」
 と、抑揚のない声で簡潔に言い放った。
 ……あの、それはどういう意味でしょう?
「タカ坊……どういうこと?」
 冷たい声で聞いてくるタマ姉。どういうことも何もこっちが聞きたいくらいだ。
 だがこの状態では聞けるものも聞けない。とりあえず顎をそらして頬擦りから逃げる。
「あ、あのさ」
「子供は何人にする?」
「えええ〜!?」
 俺の目を覗き込んでのキツネっ子の台詞に、このみ再び絶叫。耳に響く。
 その音量にしかめっ面をしながら、しかし俺は思い出していた。あれ、確かこの台詞前にも聞いたな……ってことは、
また冗談? いや、正直今そんな冗談されて笑える状況じゃないんだけど。
 しかしその目はとても冗談を言っているようには見えず……うう、駄目だ。この子、表情が読めない。
282名無しさんだよもん:05/01/16 00:40:43 ID:R4tXjxPE
「ちゃるー、だめだよー。それにわたし、そんなの聞いてないし……」
「……大丈夫。どうせ一人増えるも二人増えるも一緒。最後に勝つつもりならなおさら」
「え? う〜ん、そう言われればそんな気も」
 言いくるめられてますよ。簡単に。いや、そんなあっさりと抗議を止めるな。
 って言うかそれ違うから。絶対おかしいからその論理。
 そう思いつつ、だが声には出ない。情けない話だが、女の子三人に囲まれ、俺の処理能力はとっくに限界を超えていた。
この状況を打破するためには、もはや外部から何とかしてもらうしかなくなっていたのだ。
 救いを求めて傍観している残りの二人を見る。
 と、もう一人のタヌキっ子の方が、いつの間にかいなくなっていることに気がついた。
「あれ?」
 もう大分少なくなった思考できる場所を総動員して、彼女の姿を探す。
「あ……」
 呟いたのはキツネっ子。その視線は俺を通り越して、俺の後ろを見つめていた。
 と次の瞬間、
「ひっひっひ〜……ていっス!」
 声とともに背後から衝撃。それと腹に回される二本の腕。背中に押し付けられる二つの膨らみの感触……。
「ああああ〜!!」
 ……ああ、この子にストッパーとしての役割を期待した俺が馬鹿だった。
 もう溜息も出ない。と言うかこのみ、とりあえず耳元で絶叫するのはやめれ。あとタマ姉が俺の左腕を、絡めるを通り越して
極めてるように感じるのは気のせいだろうか、って痛い痛い痛い!
283名無しさんだよもん:05/01/16 00:42:44 ID:R4tXjxPE
 もはやこうなったら頼みの綱はあと一人。
「おい雄二何とか言ってやってくれ……って、いねええ!!」
「ん? ユウくんならさっき『スマン貴明、俺にはどうすることも出来ねぇ』とか言いながらどっか行っちゃったよ」
「口元が笑ってたけどね」
 なんでだろうね〜、なんて心底不思議そうに聞いてくるこのみと、自分も口元を緩めながら言うタマ姉。
 さすが雄二、なんて友達甲斐のある男だ。次会ったときは是非俺の友情も感じてもらおう。拳で。
 そんな誓いを立てている間にも、このみの友達二人はさらに体を密着させてくる。
 そして「あ〜」とか「だめ〜」とか言いながらますますしがみついてくるこのみと、口を尖らせて俺の左腕を抱え込むタマ姉。
 もはや収拾がつかない。誰でもいいからここに他の人間がいれば、あるいは離れてくれるかもしれないのに、夕暮れ時の公園には
幸か不幸か猫の子一匹通りがかってくれやしなかった。

 左右どころか前後まで挟まれ、ショート寸前だった俺の思考回路に最後に浮かんだのは、『四面楚歌』という四文字熟語だった。
284名無しさんだよもん:05/01/16 00:43:42 ID:R4tXjxPE
このみノーマル(バッド?)エンドの両手に花状態で満足できない欲張りさん(俺含む)に捧ぐ。
”よっち”と”ちゃる”の出番があれだけしかないのはスタッフ最大のミスだと思うんだ。
285名無しさんだよもん:05/01/16 00:45:53 ID:STKBgNWG
そこに更に許嫁のるーこと草壁さんとクマ吉登場ですよ
286とリッキ:05/01/16 14:20:58 ID:88yySiRW
その日の空は、雲が一つもなかった。
外に見えるのは、満開間近の桜の木と、
なにもない空から日差しを注ぐ太陽だけだった。

そんな春ののどかな風景とは裏腹に、
教室内は学年初めの係決めで賑わっていた。
「今年も学級委員長は小牧さんに任せたいと思いますが、
 賛成の方は挙手をお願いしまーす。」

”今年も”と司会の彼女は言ってるが、実は少し違う。
去年の彼女の役職は”副委員長”
本物の委員長が怠け者だったり、事故にあったりしたため、
委員長の仕事を一人でこなしていた、と言う事だ。

そんな事を知ってか知らずか、ほぼ全員が何の疑いもなく手を挙げる。
(みんな、なんも考えてないんだろうな・・・)
287とリッキ:05/01/16 14:32:21 ID:88yySiRW
本人は諦めきってるみたいだけど、無責任に押しつけたくはない。
僕は手を挙げずにいた。
これだけの手が上がってるなかでは、ささやかな反抗に過ぎない。

司会が集計している中(意味がないと思うのだが・・・)
窓の方に目をやると、僕の他に一人、外を見ながら
ぼーっとしている奴がいた。
去年も同じクラスだったが、あまり話した事はない。
けど、ちょっと気が合いそうだな〜とは思っていた。
(彼はどうも女の子が苦手らしく、僕はそこに親近感を持っていた)
・・・
「高橋くん、どうかな?」
突然呼ばれたので面食らってしまった。
いつのまにか、教壇に立っていた司会は、小牧にバトンタッチしていた。
「えー、何の話?」
「もぉー、ちゃんと聞いててよー」
いつもの困った顔を見せながら、小牧は続けた。
「男子の図書委員の選出なんだけど、
 高橋くんが続投したらどうかって話が出たから・・・」
288とリッキ:05/01/16 14:54:02 ID:88yySiRW
(委員会決めね・・・)

別に本が好きとか、そういうのじゃなかった。
入学したての頃、小牧は本が好きだって話を聞いたから・・・
ただそれだけ。それだけで、去年は図書委員なんかやってたんだ。
少しでも彼女に近づきたくて、
少しでも彼女と同じ事を感じたくて・・・

「いいよ。今年もやる」
「本当?ありがとー。高橋くん仕事もちゃんとやってたし、
 他にやってくれそうな人いなかったから」
その言葉の意味を考えてから、少し驚いた。
(どこかで見ててくれたんだ・・・)

今まで、ずっと片想いをしてきた。
片想いのまま、そのままでいいと思っていた。
けど、急に、そんなのは嘘だと解った。
彼女と話した事は、ほとんど無い。
それでも、欠片でもいい、彼女の中に僕は確かに存在していたって、解ったから。

外の風は優しく木々を揺らし、
開いた窓へ春の薫りと、桜の花びらを運んでくる。
また新しい日々が始まる。
昨日までとは違う、また新しい日々が。
289とリッキ=214:05/01/16 14:58:07 ID:88yySiRW
SS書いたの初めてです。
表現がおかしいとか、話がおかしいとか、バンバン批評してやってください。
言わなくても分かると思いますが、内容は>>185まんまです。
この後は知ってのとおりの展開になるわけですが・・・
続きは考えてないんですが、書けと言われたら書くかもしれないですw
290名無しさんだよもん:05/01/16 15:18:30 ID:cs/kDeqn
>>289
書け。
291名無しさんだよもん:05/01/16 16:30:47 ID:D5VJyegL
>>289
書くとき。
292名無しさんだよもん:05/01/16 17:13:03 ID:e4433tEo
>>289
書けば。
293名無しさんだよもん:05/01/16 17:35:14 ID:6JnVyXMO
>>289
書こう!
294名無しさんだよもん:05/01/16 18:01:15 ID:wSf+n22C
書け、うー
295名無しさんだよもん:05/01/16 18:02:06 ID:UsPgYXmK
>>289
るー
296とリッキ:05/01/16 18:18:16 ID:88yySiRW
((((;゚Д゚))))ヒイイ レスがこんなに!!
では無い頭捻って頑張ります。
出来れば、こうすればいいとか言うのも教えて欲しいです。
297名無しさんだよもん:05/01/16 19:07:06 ID:THR8uYWT
>>296
オリキャラがメインのキャラと結ばれないならなんでもいいよ。
298名無しさんだよもん:05/01/16 20:04:41 ID:SD1WSjZf
どれがどの話の続きか分からん…
299名無しさんだよもん:05/01/16 20:15:55 ID:xvPHthZS
増えてきたな…いいことだ
俺も半月ぶりに書くかな
300名無しさんだよもん:05/01/16 20:50:58 ID:QdxJbeee
このみSSの続きマダー?
301名無しさんだよもん:05/01/16 20:58:15 ID:GdYGurFu
せめて名前欄に作者の名前かタイトルいれて( ゚д゚)ホスィ…
302名無しさんだよもん:05/01/16 21:07:56 ID:PAS/DoCX
>>301
それは言えますな、タイトルのほうがいいかも
303名無しさんだよもん:05/01/16 21:42:22 ID:xvPHthZS
続き物書く人はトリも推奨
304177:05/01/16 22:35:37 ID:9NHHiORc
ミルファSSを先週から書いてます。
第一話が公開できる段階になったので先行して晒します。
第一話といっても壮絶に長いので、リンクのみ貼ります。
全五話の予定。
ミルファのイメージは「悪戯好きのヽ( ・(ェ)・ )ノクマー」

http://www2.tokai.or.jp/v-sat/ss/toheart111.html
http://www2.tokai.or.jp/v-sat/ss/toheart112.html
http://www2.tokai.or.jp/v-sat/ss/toheart113.html
305名無しさんだよもん:05/01/16 23:00:58 ID:sIg/rV/h
お、いいねぇ
このスレででたミルファもよかったけどこういうミルファもなかなかいいですなぁ
306名無しさんだよもん:05/01/16 23:04:13 ID:iESLk/Dm
>>283
いいかよく聞け同志!
よっちスレ+ちゃるスレの住人達の希望が!貴様の双肩にかかっているのだ!

よっち+ちゃるで世界制覇を狙ってくれ、ください、おながいします。
お体に気を付けて
307名無しさんだよもん:05/01/17 00:14:14 ID:4VJWlMTe
一応、上の方の濡れ場で中断してるこのみSSの作者だけど、中途半端に長くなった上に
感想とかもあんまりなかったんで書いたら邪魔かなー、と思ったので書いてません(´・ω・`)







308名無しさんだよもん:05/01/17 00:16:27 ID:tG71Id+K
>>307
TH2未プレイだけど、それだけ楽しみにこのスレに来てましたが何か?
309名無しさんだよもん:05/01/17 00:32:44 ID:u8ip9op3
>>307
>>216-218>>225-228>>253,255-256の人かな?
完結したら感想書こうと思ってたのに
310307:05/01/17 00:45:17 ID:4VJWlMTe
>>309
自分の思考の矛盾点に気付きました。
よく考えれば感想って作品を全部読んでから出すもんじゃないか。

…とりあえず、完結させてみようとまた続きを書こうと思います。(`・ω・´)
>>308も有難う。
311名無しさんだよもん:05/01/17 00:49:21 ID:DvHY50mb
>>304
ミルファ、いいですねぇ〜(*´∀`)

前にこのスレに出たミルファも良かったですが、
304さんのミルファのほうが、自分のイメージに近いです。

続き楽しみにしてますので、ガンガン書いておくれ〜
312名無しさんだよもん:05/01/17 01:03:11 ID:wip5QkOF
>>304
イイヨイイヨー
クマ吉と呼び続けてるのもまたイイヨー
313名無しさんだよもん:05/01/17 03:58:45 ID:iWkX0k5u
やってみて分かったんだが文章書くのってむずかしいのな
途中から書けなくなっちまって挫折(゚∀゚)
職人さんたちに心から敬意を示しまする
314忘れた頃に来る愛佳の鬼畜SS:05/01/17 08:08:50 ID:aIFsJL5K
「それじゃたかあきくん、私はこれから用事があるから行くね」
「どうしたの?ここんとこ作業切り上げるの早いけど」
「え?あ、病気で入院してる妹がいて、面倒見てあげないといけないから…」
 今日も図書委員長から呼び出しを受けていた愛佳は、キリのいいところでバーコー
ド貼りを切り上げると貴明にそう告げて書庫を後にし、図書委員長の待つ教室へと急
いだ。カラカラと扉を開けると、椅子に腰掛けて扉をじっと見ていた図書委員長が早
速愛佳を手招きした。
「やあ、今日もちゃんと来てくれたね。早くおいで」
愛佳が委員長の前に立つと、早速指示が出た。
「まずは立ったまま服を脱いでごらん」
「ええっ…」
「ええっじゃないよ。僕の言うことを聞けないの?」
 何を言われようとも愛佳が異論を挟む余地がないことはここ数日散々辱めを受けて
分かっていた。しかし今日これから始まることを思うと愛佳は恥ずかしさから躊躇わ
ずにはいられない。
「別にそれならそれでいいんだけどね。書庫の本を残すことは撤回して、君はお仕置
きを受けることになるんだけどさ」
「は、はいぃ…分かりました…」
315忘れた頃に来る愛佳の鬼畜SS:05/01/17 08:14:42 ID:aIFsJL5K
 既に恥ずかしさで顔が真っ赤になり、涙も浮かべている愛佳はゆっくりと制服のタ
イを緩めて、ボタンを外していった。白地に花柄のプリントの入ったブラジャーとか
わいいおへそがセーラー服の間から見え隠れしている。セーラー服が脱ぎ捨てられて
愛佳がブラジャー姿になるのを委員長は満足そうに眺めていた。
「ほらスカートも脱がないとだめだよ」
「………くすん、はい…」
 愛佳は涙ながらにスカートのホックを外して脱ぎ、ペチコートも脱ぎ捨てた。愛佳
が下着姿になると、委員長は目顔でその先を促していた。ブラジャーを外し、パンツ
と靴下も脱ぎ捨てて愛佳は丸裸になっていた。
「恥ずかしいです、先輩…ひくっ、ひっく……」
 ストリップを演じさせられた恥ずかしさに啜り泣く愛佳。それでも委員長はそんな
ことなど気にもかけずに言ってのけた。
「それじゃ今から散歩しようか」
「えっ、こんな格好で…」
「はい、これを付けて表に出ようね」
 委員長の手が愛佳の喉元に伸び、パチンと音をさせて犬用の首輪を取り付けた。
彼の手には犬の散歩に使うリードも握られている。

>>313
正直自分もまだ修行の身で、この話もきちんと完結させられるかどうか分からんでつ。
それまでに途中で投げ出したSSも多いですしね。数をこなせば形にはできるように
なってくるとおもうのでがんがってください。
316名無しさんだよもん:05/01/17 13:17:10 ID:2lnURDXK
昨日、このみが、オカ研の部室でOBに変な薬を貰ったらしい。
唐突なんだが、俺も今とても混乱してるとこなんだ、許してくれな。
で、その薬がだ。どうやら、その………身体をぼいんぼいんにというか、むっちりというか…。
とにかくそういう効果があるらしかった。後から雄二に聞いたが、オカ研のOBといえばあの来栖川グルー
プの娘で、黒魔術とかに精通してるらしい。
……なんでこのみがそんなものを貰ったのか知らないが、お陰で今のこのみはすっかりムチムチだ。タマ
姉といい勝負って感じになっている。
…………正直に言おう、既にこのみと付き合って三ヶ月になるが、ぶっちゃけこの変化は非常に喜ばしい。
何せ俺は、ナチュラルに「おっきいの」を選んでしまって、慌てて選択肢をやり直すような男なんだ。
……畜生、涙が出てきた。来栖川万歳。将来メイドロボ買って貢献しよう。

「タカくん……服、きつくなっちゃったよ〜、どうしよう…」

とか言ってんの。もう見てらんないと。いや見るけどな、主に身体つきを。
抱きつかれたりすると、このみエネルギーの充填効率が数倍上がった事を思わせるこの柔らかさ。びっく
りするほどユートピアって言うんスか?ロリ顔とボディのハーモニーって言うんスか?
波動砲なんか冷却無しで5発はいける。いやぁ、何かもう、思わず俺もキャラが変わるってもんで。

「タカくん、今日は走るの速いね〜。このまま校門までダッシュでありますよっ」

OK任せろ。並んで走らないとたゆんたゆんが見えないだろ?
この野郎、こんな瞬発力と根性を隠してやがったのか俺の脚め。ニクい奴だ。
しかし心なしか、視線が一方からじゃないというか……俺以外も明らかに見てるな。乳たゆんを。
あッ。オイそこのお前だよ、何見てんだコラ!お前明らかに先月までタマ姉の乳に目が行ってた奴だろう
が!ふざけんなとっくにこのみフラグは通り過ぎてんだっつぅの!OPからやり直せ!
317名無しさんだよもん:05/01/17 13:17:53 ID:rrq8hzSO
 病弱な私は、病院と家の往復を繰り返す毎日。
今日は、久しぶりに家へと帰れる日だ。退屈なのは変わらないけど、
病院ではできないことができる…。今日は、そんな日だった。

 夜。いつものように、姉は私が眠る前に様子を見に来る。
「郁乃…どう?大丈夫?何かしてほしいことはある?」
「いちいち見に来なくても私は平気よ。…私、もう寝るから」
「…そう…。よかった。それじゃ、おやすみ。郁乃」
「…待って。お姉ちゃん」
部屋を出ようとした姉を呼び止めた私。
…気がつくと、私は思いがけない言葉を口にしていた。
「……今夜は、一緒に寝て」
318名無しさんだよもん:05/01/17 13:18:55 ID:2lnURDXK
ってオイ!そっち!そっちのお前も!白パン白パンって顔が物語ってた由真萌え野郎だろ!由真スレ行っ
て来い由真スレ!
………まあ俺はシャイなキャラなのでそんなことは大声では言えない訳だが……くぅぅ、通学路は危険が
一杯だな。油断ならねぇ。

「よっ、ほっ……みて〜、足が伸びたら、バランス取りやすくなったよ〜。えへ〜」

…えへ〜じゃねぇ!足が伸びたらその、要するにスカートは短くなってるわけで、白いのが!白いのが!
下でベストポジションキープしてる俺以外にもモロ見えだよ!?手すりバランスもだめだ!

「あのね、ユウくんが昨日ね、このみのこと少し見直したー、って言ってたんだよ。やた〜っ」

雄二、明日会ったら松原先輩とこのクラブでスパーリングな。違うだろ、お前そういう役割の脇役じゃな
いだろ。矢島ってアダ名つけるぞテメェ!

ああもう、このみがぼいんぼいんになってから心配事ばっかり増えるぞ!どういうことなんだよ!
呪いか?何かの呪いなのか?黒魔術の力ってのはこんなに恐ろしいもんだったのか。
神様仏様、どうかこのみを元のロリに戻して下さい。自分に自信の無い証拠と言われても許容します、許
容しますからッ!
あああああ〜、頼む、もう走らないでくれ、それ以上Fを揺らさないでくれ、俺を置いてかないでくれぇぇ
ぇぇぇぇぇぇぇぇ……………。

……
………。

「という夢を見たんだ。だからお前は成長しないでくれな」
「………タカくんの意地悪」
319317つづき:05/01/17 13:22:52 ID:rrq8hzSO
一人で寝るには少し大きいベッドの中、
私の隣には、姉が小さな寝息をたてていた。
(なんであんなこと、言っちゃったんだろう…)
なかなか寝つけない。心臓の動機が
激しくなっていくのがわかる。
「…郁乃…」
ハッとして姉の方を見る。どうやらただの寝言のようだ。
…でも、その一言は、私の理性を飛ばすのには十分だった。 私は、姉に背中を向けて、抱きつかれるように姉の手を胸と股間にあてがい、
ゆっくりと動かした。
「ん…っ、ふぅん…」
思わず声が出そうになる。
(ああ…私、姉の指で…、姉の指使って…お、オナニーしてるぅ…)
姉への背徳感や不安がさらに興奮を高める。
「あん…んっ、うぅん…」
次第に、姉の手を動かす速度が早くなり、声も荒くなっていく。
「ふんっ…んあぁっ……あぁっ…お姉ちゃん…お姉ちゃぁん…」
無意識に姉を呼ぶ自分。
すべての思考と感情は、姉の事以外考えられなくなっていた。
「あん、うあぁん!お姉ちゃん!…好き…大好きぃ!」
姉に気づかれるかもしれないという不安も、興奮の材料にしていく。
そして、姉の手を動かす手をさらに速め、絶頂が訪れる。
「お姉ちゃん!お姉ちゃぁん!あ…ああぁんっ!!」

絶頂を迎え、荒れた息を整えた私は、
姉の唇に自分の唇を重ねた。


スレ汚しスマソ
320名無しさんだよもん:05/01/17 13:36:32 ID:Ccf1muBB
すごい時間にかぶっとるな。
321名無しさんだよもん:05/01/17 14:01:34 ID:fWQt2t5q
規制で書けなかった人が一斉発射って感じだなw
322名無しさんだよもん:05/01/17 14:29:20 ID:dbt5HOfO
雰囲気があまりにもバラバラでわろた
読んでて、何事かと
323名無しさんだよもん:05/01/17 16:54:31 ID:mefxrlF+
ばいんばいんのこのみなんて想像つかねーよ。

でももしこのみが巨乳だったら、一番最初にクリアしてたと断言出来るぜ。
324名無しさんだよもん:05/01/17 17:03:57 ID:fWleO2JJ
たまんねぇー!
まさかこんな短い間に職人さんがこんなに来るとは…どれもGJダターヨ
特にばいんばいんのこのみ(;´Д`)ハァハァ
325名無しさんだよもん:05/01/17 22:44:06 ID:V5EC1hYL
>>315
会話と会話の間の独り言?みたいなのが上手く書けないんよ
たかあき以外の視点にしてるせいかな
326名無しさんだよもん:05/01/17 22:46:10 ID:rgWzf19V
たかあき以外の視点で書くと、途中でキャラにどういう反応させれば良いか分からなくなる
郁乃とか参考資料が少なすぎてもうむりぽ
327名無しさんだよもん:05/01/17 23:00:48 ID:V5EC1hYL
あと>>286氏のSSの冒頭部分のようなやつとかも苦手でごわす
こういうのはどうすれば書けるようになるんだろか
328とリッキ ◆ihs9cZv1Kc :05/01/17 23:14:18 ID:WeG9MdIE
>>327
自分の冒頭部はあんまりいいものだと思えないので、
気にしないでください・・・
普通の小説の表現を参考するのはどうでしょう?
書き慣れている人の物はやはり違いますし。
とにかく書き始めるのがいいと思いますよ。

それより、自分のSSの続きが出来るかどうか・・・
始めてしまった手前、簡単にやめられないし。
参ったな〜(;´Д`)
329名無しさんだよもん:05/01/18 00:23:27 ID:nX+2rqx4
由真かよっちで頼みます
330名無しさんだよもん:05/01/18 00:29:24 ID:92xQwAmq
よっちはちゃると絡ませて卒業式後のネタで書いてみようかな…早ければ明日の昼間にはうpできるかも
331名無しさんだよもん:05/01/18 00:31:19 ID:ykUOKcYP
>>330
結婚してください
332名無しさんだよもん:05/01/18 00:35:41 ID:92xQwAmq
おまいがツンデレ系だけど実は根は優しい無口な人だったら同姓だろうと異性だろうと構わず結婚してやってもいい
333名無しさんだよもん:05/01/18 00:44:23 ID:5O2VICHi
>>330
もし見事書き上げたら俺の初めてをやろう。
といっても耳に指突っ込む初めてだが。
334名無しさんだよもん:05/01/18 00:48:24 ID:wEopTsVf
鼓膜破けるぞ
335名無しさんだよもん:05/01/18 02:58:40 ID:RQCZVc4i
>>333
(*´д`*)ハァハァハァハァハァハァハァハァハァ
336名無しさんだよもん:05/01/18 15:39:47 ID:E7D292uo
ちょっとスレ汚しに来た
337由真のお弁当大作戦:05/01/18 15:41:11 ID:E7D292uo
「で・・・出来た・・・」
朝の5時から始めて3時間、ようやくできたお弁当。
見た目はあんまり良くなくても、味の方はちゃんとしてる!・・・はず。
(やっぱり恋人同士なんだし・・・)

きっかけは昨日の放課後のこと、一緒に帰ろうと思ってあいつのクラスに行ったんだけど
・・・いない。
「あれ、由真〜?どうしたの〜?」
教室を見渡していたら、後ろから声がした。愛佳だ。
「愛佳、あのさ、たかあきは?」
「河野くんなら今日掃除当番だったと思うよ〜。」
う〜ん、掃除行っちゃったのか・・・。
「うふ」
「・・・なに?」
愛佳が不意にほくそ笑む・・・壊れた?
「仲直り、したみたいだね〜」
「まぁ・・・ね」
「もう付き合ってるの?」
「ぶっ!つつつ、つきあってる!?」
そういえば告白もしたし、き・・・キスもしたし・・・付き合ってるんだよね、あたし達・・・。
「・・・うん」
でも今のあたし達って、恋人らしいことしてるのかな?いつもとほとんど変わらないような・・・
「・・・ねぇ愛佳?恋人同士だとどんなことするのかな?」
「え、ええ、わ、私に聞かれても〜〜〜」
二人して考え込む。抱きしめあう?キス?どっちもしちゃったし、あとは・・・せ、せ、s
「お弁当とか作るのってどうかな?」
「うえあああ、あ、ああ、お弁当ね、うん、なるほどね〜・・・」
「どうかしたの?」
「なんでもない!なんでもない!」
338名無しさんだよもん:05/01/18 15:42:17 ID:E7D292uo
「でもあたし、弁当なんて作ったことないよ?」
そもそも食事なんて、朝夕はメイドロボが作ってくれるし、昼は学食で食べる。
もちろん自分で食事を作った事なんて無い。
「あ、そういえばこの前、新しい料理の本買ったんだったぁ〜」
と言って愛佳は自分のかばんを開けて本を探し出す。なんで持ってきているのかは聞かないでおこう。
「は〜い、じゃあこれ貸してあげる〜」
「あ、ありがとう愛佳〜。あれ?でも表紙が「春のお菓子特集」なんだけど、大丈夫?」
「え?ああ〜、だいじょうぶだよぉ〜、お菓子特集はおまけみたいなものだからぁ〜。うん、ほんとよ〜」
「そうなんだ、それじゃ悪いけどこれ、ちょっと借りるね」
「うんうん、頑張ってね〜」
よ〜し、それじゃちょっと頑張ってみようかな。
「『あ〜ん』も忘れちゃだめだよぉ〜」
「そんなことまでするの!?」
「あ〜んは基本よ〜」
「・・・頑張ってみるわ」
339名無しさんだよもん:05/01/18 15:43:09 ID:E7D292uo
掃除当番なんてついてないよな〜・・・、おかげで由真のとこに行くの遅れちまった。
由真怒ってないかなぁ・・・。
な〜んて思いつつ適当に掃除を終え、由真のクラスを覗く。
ありゃ、いないや・・・。先に帰ったのかな。
とりあえず教室にもどるかな。
しぶしぶ歩き出す。
「ふわぁ!」
っと、危うく人にぶつかりそうになった。相手は小牧だった。
「あ、ごめん」
「い、いえ、こちらこそすみませんっ」
ペコペコ頭を下げる小牧。
「あ、そうだ。由真知らない?」
「由真ですかぁ〜?あ・・・す、すみませんすみませんっ」
「え?何?どうしたの?」
いきなり謝りだした。
「え〜〜っとぉ、さっきまでいたんですよ〜。
 でも帰っちゃったっていうか、帰しちゃったっていうか・・・とにかくごめんなさいっ」
「・・・あのさ、由真怒ってた?」
「怒る?ああ〜、心配しなくても怒ってませんよ〜、というより・・・」
「というより?」
「あっ!ここから先は秘密ですっ」
まぁ、由真が怒ってないのならいいか。
「そっか、ありがと。それじゃ、また」
「うん、ほんとにごめんなさい〜」
340名無しさんだよもん:05/01/18 15:44:57 ID:E7D292uo
さ〜て、そろそろ学校行かなきゃ。時間・・・
やっばーーーーーーーーー!!
作るのに夢中で気づかなかった!あ〜、これじゃ朝にはたかあきに言えないなぁ〜・・・
はぁ〜・・・ってこのままだったら遅刻しちゃうって!
「おーい由真ー、遅れるぞ」
「お、おじいちゃん!いいところにっ!車出して!」
「ぬ?お、おお、構わんが・・・」

「ほれ、ついたぞ由真」
「ありがと、おじいちゃん」
はぁ〜、おじいちゃんのおかげで遅刻は免れたみたい。
たかあきには休み時間の時にでも言おう。
341名無しさんだよもん:05/01/18 15:46:10 ID:E7D292uo
きーんこーんかーんこーん・・・
一時間目の終わりのチャイムだ。よし、たかあきのところに行こう・・・!
呼吸を整え、たかあきのクラスに向かう。
それにしてもなんて言えばいいんだろう?あんなに人が大勢いる中で
『たかあき、お弁当作ってきたから一緒に食べよ』
なんて言えるわけないし。恥ずかしいじゃん!
う〜〜〜〜〜ん・・・
「おはよ〜、ゆま〜」
「わわっ!って愛佳か、おはよ〜・・・」
「お弁当、ちゃんと出来た〜?」
「う〜ん、一応ね・・・。見た目は微妙なんだけど・・・」
微妙というか、ちょっとヤバイ気もするけど。
「大丈夫だよぉ、由真が愛を込めて作ったんだから」
「あ、あ、あい!?あいってそんな・・・」
「はいはい、照れない照れないの〜」
うふふ、と愛佳が笑う。どことな〜くからかわれてる気がしないでもない。
「それじゃ〜、呼んでくるね〜」
そう言うと、愛佳は教室に入って行った。変に意識したせいか教室には入りづらかったので
愛佳が呼んで来てくれたのは助かった。
342名無しさんだよもん:05/01/18 15:47:22 ID:E7D292uo
「おはよ、由真」
すぐにたかあきはやってきた。
「お、おはよ・・・」
「昨日何か用事でもあったりした?」
「え、なんで!?」
たかあきひょっとして、弁当のこと知ってる!?
「いや、昨日先に帰っただろ?何かあるのかな〜って」
「あ・・・」
弁当のことで頭がいっぱいで、最初の目的を忘れてた。
「ごめん・・・」
「いや、俺の方こそ掃除当番だってこと言うの忘れてごめんな。今度からはちゃんと言うよ」
「・・・うん」
「ゆ〜ま〜、あれ言わなきゃ」
間延びした愛佳の声でようやく気づいた。そう、昼食を誘いに来たんだ。なんのためにここに来たんだか。
「あのさ、あんた今日のお昼って学食でしょ?」
「ああ、そだけど。なんで?」
「その・・・学食行く前に、屋上に来てくれない・・・?」
「ん〜、いいよ。今日のカツサンドは諦めなきゃならんが、由真の頼みだしな」
「う、うん、それじゃ、昼休みね」
返事が微妙に気に入らないけど、そこは置いとこう。
343名無しさんだよもん:05/01/18 15:48:37 ID:E7D292uo
あっという間に昼休み。午前中の授業はほとんど耳に入らなかった。
眠かったりもしたけど・・・
よし、屋上に行こっと

晴れ渡る空、心地よい風、ポカポカの陽気。
まぶしい・・・
暖かな日光をあびて、あたしはとっさに目を覆った。
とりあえず場所を取っとこうかな。
いつものベンチに座り、一息つく。
たかあき・・・まだかな・・・、なんだか眠っちゃいそう・・・。
          ・
          ・
          ・
344名無しさんだよもん:05/01/18 15:50:35 ID:E7D292uo
・・・ん、あれ?寝ちゃってたのか・・・
意識がはっきりしてくると、なんだか太ももの辺りに変な感触が。
「え、あ!たかあき!?」
あたしの太ももを枕にして、たかあきは眠っていた。
「・・・ん〜。あ、由真?起きたのか?」
「え、何でたかあきが?っていつからいたの!?」
「ちょっと前から。来たら由真寝てるしさ」
「そ、そう・・・とりあえず起きてよっ!」
しぶしぶたかあきは頭をあげる。あ〜恥ずかしかった。
「それで、何か用?」
「あのさ・・・、弁当、作ってきたの・・・」
「え?」
え?とか言うなー、と心の中で叫びつつ弁当をとりだす。
「その・・・見た目は悪いんだけど、頑張って作ったから・・・」
ふたを取って差し出す。恥ずかしくて顔を上げられない・・・。
見た目が悪いから嫌な顔してるかなぁ・・・と思っていると
「由真」
名前を呼ばれ、恐る恐る顔を上げると
たかあきは笑っていた。
「ありがと、すっごくうれしい」
う〜・・・、そんなこと真面目に言わないでよ〜・・・
顔をそむける。やばい、たぶんあたしの顔すっごく赤くなってる・・・
でも、なんかうれしいかも、こういうの・・・
345名無しさんだよもん:05/01/18 15:53:33 ID:E7D292uo
「由真〜、はしは?」
「あ、ちょっと待って・・・」
おはしおはし〜っと。あ・・・
『あ〜ん』も忘れちゃだめだよぉ〜
忘れてた・・・。むぅ〜、ここまで来たんだから・・・
「たかあき」
「ん?」
呼ぶと同時に弁当を奪う。そして・・・
「あ〜ん」
「・・・あ?」
「あ〜んして」
「へ?」
へ?じゃない!あ〜んだってばっ!
「いいからあ〜んしろ!」
「まじで!?」
「まじっ!」
「自分で食べちゃだめなのか・・・?」
「だめなの!」
むぅ〜〜〜ここまでしてるんだから早くあ〜んしなさいよこのばかあき!
「はやくっ、あ〜んしろ!」
「あ、あ〜ん・・・」
観念したのか、たかあきは口を開けた。そしてそこに卵焼きをひとつ放り込む。
「ど、どう・・・?」
「ん・・・おいひい」
「そ、そう?」
はぁ〜、よかった〜。安堵し、ため息が出る。
346名無しさんだよもん:05/01/18 15:55:24 ID:E7D292uo
「そういや、由真の分は?」
「え?あ・・・」
たかあきの分のことばかり考えて、自分の分を忘れてた・・・
「一人分しか作ってこなかったんだろ?」
「そ、そんなことないわよ!」
「そう?」
嘘。後で購買行けばいいか・・・。
「ほれ、あーん」
不意にさっきのあたしの動作をするたかあき。
「え?」
「おかえし」
「そんな恥ずかしいことでき・・・」
「さっきしたじゃん。それに、どうせ無いんだろ?ほれ、あーんしろって」
くそ〜、たかあきめ〜・・・
しぶしぶ口を開ける。と同時に口の中に広がる卵の味。だが・・・
「なにこれ?あま〜〜〜い!」
「何って、由真が作ったんだろ。甘い卵焼き」
「あたしは塩をいれ・・・」
「あ・・・、もしかして砂糖と塩を間違えたとか?」
「そ、そそ、そんなこと、あるはずないじゃない!ちゃんと砂糖を入れてつくったのよ!」
「ふ〜ん。ま、俺は甘い方が好きなんだけどな」
危うく失敗したのを暴露しそうだった。危ない危ない。
347名無しさんだよもん:05/01/18 15:57:08 ID:E7D292uo
「ふぅ〜、ごちそうさま」
「ん、おそまつさま」
「だけど、ちょっと物足りないよな」
「しょうがないでしょ!たかあきのことしか考えてなかったんだから・・・」
「え?」
「あ・・・」
あああ〜〜〜なに言ってるんだろあたし・・・
「んふ〜、絶景かな絶景かなぁ〜」
「ま、愛佳!」
「小牧!」
いつのまにか愛佳があたしたちの前に立っていた。
「いえいえ、偶然通りかかっただけですから〜、ほんとですよ〜。あ、お気になさらず〜」
どこに屋上に偶然通りかかる人がいるのよっ!
「じゃあ偶然ついでに、はい。どうぞ〜」
と言って渡してきたのは購買のパンだ。
「え、これ・・・」
「頑張った由真へのご褒美。二人で分けて食べてね」
「あ、ありがとう愛佳・・・」
「ありがとな、小牧」
愛佳、あたしが一人分しか持ってきてないこと、気づいてたのか・・・
ありがと、愛佳。

「それじゃ、ここからはお二人でねぇ〜」
「いつからいたのよっ!!!」
「お後よろしくぅ〜」
笑いながら愛佳は去っていった。
348313の中の人:05/01/18 15:58:44 ID:E7D292uo
いじょです。ってか長っ(゚Д゚;)
349名無しさんだよもん:05/01/18 16:10:59 ID:RBV96kec
>>348
乙!ほのぼのしたYO
350名無しさんだよもん:05/01/18 16:26:24 ID:92xQwAmq
>>337-348
乙〜
由真可愛いよ由真。ツンデレいいよツンデレ

って言うか、危うくかち合うところだった。更新確認してよかったよ。
ちゃるSS書いたはいいけど、こんだけボリュームある文章のあとだと、
1レス半しかないショートな上に内容のないSS貼るのは気が引ける…
351名無しさんだよもん:05/01/18 16:29:59 ID:FKKglfgR
いいんちょいい仕事しすぎwいいねえ
352名無しさんだよもん:05/01/18 16:49:47 ID:M0kUVr4V
いいんちょってSSでは大活躍のキャラっぽいなぁ
本編でもなかなかの評価だし人気が出るわな
353名無しさんだよもん:05/01/18 16:51:59 ID:fxPXvsFC
>>350
そんなこと言わんと投下よろ
354名無しさんだよもん:05/01/18 16:53:32 ID:ykUOKcYP
>>350
いますぐ貼るか俺に初めてを捧げるか選べ。
3553−1=2 2−1=0:05/01/18 17:02:02 ID:92xQwAmq
「っく、えぐっ…」
隣ではよっちが泣いている。
卒業式の後、このみと別れてからずっとこの調子だ。
が、そのとこは特に不快ではない。
自分の感情をストレートに表に出せている事はむしろ少しうらやましくもある。
昔からずっと一緒にいるのだ。よっちの事は隅々まで知っているつもりだ。
よっちが実は涙脆い事も、分かっている事だった。
ただ、いつもは太陽のように明るいよっちが泣いていると、やはり何か調子が狂う。
「よっち、もう泣くな」
「うえっ…うっ…ひくっ…」
「別に、このみと一生会えなくなるわけじゃない。同じ学校には通えなくても、このみとはずっと友達」
「うくっ…うっ、う、ん」
ちーん
私の差し出したちり紙で盛大な音を立てて鼻をかむ。
「ん…ぐしゅっ……ごめんね」
「ううん。別に気にしてない」
「ありがと。…でも、このみには悪かったよね…。このみ、ずっと泣かないで我慢してたのにあたしが先に泣いちゃってさ…」
また泣きそうになる
「そんな事ない。このみはきっと嬉しかったと思う」
「………」
「このみにも、よっちの気持ちはちゃんと伝わってる」
「………うん」
よっちはこのみと別れるのが、会えなくなるのが悲しくて泣いていた。
自分の事を大切に想ってくれている人の気持ちに、このみが気づかないはずがない。
3563−1=2 2−1=0:05/01/18 17:03:04 ID:92xQwAmq
空を見上げる。夕方の空の燃えるような茜色に視界が染められる。
このみも今、この空を見ているのだろうか。
まだ、我慢しているのだろうか。

「へへへ。そうだよね。このみならそう考えるよね。あんた、このみの事よく分かってる」
「当然。このみの一番の友だから」
「な、な、なにを〜!このみの親友ナンバーワンはあたしだぞ〜!」
よっちの顔にようやく明るさが戻る。
よっちは明るくなくちゃいけない。
自分の口数が少ない分、よっちには騒いでいて欲しいのだ。
それが昔からの自分とよっちの関係。
それはこれからも続いてゆく二人の関係。
「このみ、今ごろどうしてるかなぁ?センパイに甘えちゃってるかなぁ」
そうだ、このみには河野先輩もいる。
あの人の前では、このみは我慢なんてする必要ないのだろう。
「たぶん。このみ、私たちの前ではずっと我慢してたから」
「親友のあたし達より気を許されてるなんて、センパイには妬けちゃうな〜」
結局、私たち二人はあの人ほどこのみの近くにはいなかったのかもしれない。
中学校三年間ずっと一緒にいたけど、生まれた頃からの幼馴染には敵わないのかもしれない。
このみが寺女ではなく、先輩の学校へ行くことに決めたのもその表れに違いない。
よっちもそれが分かっているのだろう。言葉の端から悔しそうな色が覗いて見えた。
それでも、よっちは笑っている。
その姿はどこか悲しげに見えた。
だから
「安心して」
「んん〜?何をよぉ?」
この言葉は自分の願い。そして、きっとよっちのものでもある願い。
「私はこのみの一番の友だけど、よっちの一番の友でもあるから。」
これまでも、これからも。ずっと、
「ずっと、一緒」
357名無しさんだよもん:05/01/18 17:05:11 ID:92xQwAmq
というわけで糞ショートなSS終了です
実は紙に書いてた段階では4〜5レス分あったんだけど、
確認として東鳩2やったら
「やべぇよ。俺が書いたのちゃるじゃねぇ」
って状況に陥り、必要最低限の台詞以外削ったらこういう結果と相成りました。
すれ汚しスマソ
358名無しさんだよもん:05/01/18 17:16:24 ID:lzlKS1/L
イイジャマイカ!
独り言のとことかうまい
>>335氏には高校生になった二人のSSをキボンしてみる
359名無しさんだよもん:05/01/18 17:17:10 ID:lzlKS1/L
>>335 ⇒ >>350
360名無しさんだよもん:05/01/18 17:24:50 ID:5O2VICHi
>>357
よくやった、約束通り俺の初めてをあげよう。
361名無しさんだよもん:05/01/18 18:06:16 ID:IDX97AUx
いつからだろう、あんたのことが気になりだしたのは。
最初はぶつかったり、あんたのせいで遅刻したりして
じゃまな奴としか思ってなかったのに・・・

今でも会うたびドキドキする。あたしは照れ屋だから
つい悪口言ったり、ぶつかっていったり、いたずらしちゃうけど
ホントは好きなんだよ・・・

でも、最近愛佳と仲いいよね・・・
あたしの友達の愛佳、引っ込み思案でおとなしい愛佳。
最初は、あんたがおせっかい焼いてるだけだと思ってた。
でも、このごろのあんたは放課後になるといつもどこかいっちゃうよね。
知ってるんだよ?
あんたは愛佳のところに行ってる事、あんたと愛佳が二人っきりでいること。
それに、あんたが愛佳のことを好きなことも・・・

わかってるよ、私みたいな女のコじゃだめなんだよね。
でもあんたの前だけなんだから、あんな態度をとっちゃうの。
いつもはおとなしくて、口数の少ない女のコ。
あたしも愛佳みたいにおとなしかったら好きになってくれるの?
愛佳みたいに真面目になったら好きになってくれるの?
どうして、あたしじゃだめなの?

だから今日も、あんたを困らせるよ
あんたが愛佳と別れる、その日まで・・・
362名無しさんだよもん:05/01/18 18:20:57 ID:FsJM6Kac
どうして由真を選んだの?
わたしじゃだめだったの?
由真はただぶつかってきただけじゃない。
何も努力してないじゃない。

あなたの為にお茶を選んだり、何度も失敗したけど頑張ってお菓子も美味しく焼いたのに。
お手伝いさせたのがいけなかったの?
でもあなた来てくれたじゃない。
この小さな隠れ家になんどもなんどもなんども。
優しくするから、その気になっちゃったんだよ。

わたしにそんな資格がないのは分かってる。
あなたが思ってるわたしの親切も、ほんとは妹のためなだけ。
でも、分かってても好きなものは好き。
止められないよ・・・

だからわたしはあなたを困らせるよ
あなたが由真と結ばれた後、わたしが引き裂いてあげるよ
だから今はあなたと由真のこと、応援するよ
別れの痛みを大きくするために、ね
わたしも我慢するから、あなたも頑張ってね
あなたが幸せになるの、待ってるよ
363名無しさんだよもん:05/01/18 18:24:20 ID:FsJM6Kac
分かってるさ・・・
好きなだけ叩いてくれよ・・・
2連発スマンかったよ・・・
364名無しさんだよもん:05/01/18 18:29:16 ID:1JJc+t6A
∩( ・ω・)∩るー
365名無しさんだよもん:05/01/18 18:34:23 ID:RBV96kec
これはこれで好きかもしれん
血を見るような物じゃなければ読んでみたいな
366名無しさんだよもん:05/01/18 18:52:06 ID:ocFB3Sgg
らんらん∩( ・ω・)∩るー


367313の中の人:05/01/18 19:11:00 ID:wghpfwm3
独り言とか状況解説とかの文章が書けねぇぇぇぇ
他の人のとか小説とか読んでも自分で書こうとすると書けねぇぇぇぇ
ダレカアドバイスクデ

感想くれた方々ありがたう〜
368名無しさんだよもん:05/01/18 19:14:14 ID:M0kUVr4V
>>367
書けないとはいってもどれくらい書けないのかが気になるんだが
369313の中の人:05/01/18 19:15:56 ID:wghpfwm3
ご足労申し訳ないのだが336から読んで下され
370名無しさんだよもん:05/01/18 19:56:10 ID:M0kUVr4V
これだけ書ければ十分だと思いますよ。
自分もたいしたレベルじゃないんで言えたたちではないですが
解説文や情景って言うのは必要最低限の量さえあればなんの問題もないと思うんですが。

ついでに自分もSSを書いたのですがつまらないんでうpしたほうがいいか聞いてみます。
371名無しさんだよもん:05/01/18 20:01:18 ID:OIM0+wrI
基本的に2ちゃんは携帯ユーザーな俺は携帯でSSを作っている…俺だけだろうか?
いや、暇な時とか執筆できて良いんだよホント。
>>337-348
乙〜。初々しくてほのぼのしますた。個人的に愛佳の出番が多くて嬉しかった。
372名無しさんだよもん:05/01/18 20:03:10 ID:OIM0+wrI
>>370
恐れるな!皆SSが見たくてここに来ているんだ!
…俺はネタバレ怖くて愛佳と由真のしか読めんが…
373名無しさんだよもん:05/01/18 20:06:27 ID:4ZuAgQtw
なるほど〜、参考になりまする
ってことで参考にするんで是非にSSうpきぼん
374中学生と高校生と目標と:05/01/18 20:13:49 ID:M0kUVr4V
「おっす。おはよう、このみ」
「あ、タカ君。おはよ〜」
こうしてこのみと朝に挨拶をするのは毎日の日課のようなもの。
ただ、今日は少し違っている。
「うわぁ。タカ君、かっこいいね」
「そ、そうか?」
「うん、いかにも高校生ぽいっていう感じが出ているでありますよ、隊長」
高校への最初の登校日。
おろしたての新しい制服に包まれるとつい一ヶ月前の自分が自分じゃない気もする。
(高校生か・・・)
高校生になったら今まで以上に女の子とのいろんな関係も増えるんだろうな。
「はぁ・・・」
「どうしたの、タカ君。登校初日から何か問題でもあるの?」
「あ、いや、なんでもない」
しまった、ついため息が漏れちまった。
こんなことじゃいけないな。
何事もポジティブにいかないとな。
カァーカァ―。
ぴちゃ。
ん?
今・・・目の前になんか落ちてきたよな。
ゆっくりと足元へと視線を落とす。
「タカ君、すっごいラッキーだね」
(・・・や、やっぱりポジティブになれないかも)
375中学生と高校生と目標と:05/01/18 20:15:07 ID:M0kUVr4V
「いよぅ!」
「あ、ユウ君。おはよ〜」
「おはよう。やけに機嫌がいいな」
なんとなく予想はついているが。
「あたりまえじゃないか。今日から華の高校生活だぞ。人生で最高の期間だぞ。そんな期間にすることは決まってるだろ」
「なんだなんだ、ついに勉強にでも目覚めたのか」
ま、そんなこと地球が逆回転することよりもずっと確率が低いだろうが。
「かーーーっ、お前は華の三年間を勉強に費やすのか?!そんな奴は将来いい大人になれないぞ」
目の前で力説する雄二。
むしろお前のような奴の方がいい大人になれない気がするが。
「よし、ならばお前に聞く。高校三年間ですることは何だ!」
「・・・・・・・・・」
お前が聞きたいことはよ〜くわかってるが・・・言えるか!そんなこと。
「やっぱり、お前は高校生になっても坊やだなぁ」
「うるせぃ。どうせこの三年間で彼女を作る、とでもいいたいんだろ」
「ふっふっふっ、甘いな。彼女を作るだけで飽き足りると思うか?俺が本当にしたいのは、うごっ」
そこで慌てて雄二の口をふさぐ。
「はい、そこまで。このみがいることを忘れるな」
「うっ、あ、ああ。そうだったな」
「え?なになに?」
さすがに女の子だし、お前にはまだピンクすぎるさ・・・。
376中学生と高校生と目標と:05/01/18 20:15:54 ID:M0kUVr4V
「それじゃ、ここでな」
「うん、二人とも頑張ってね」
「おーう」
元気に中学校へと走っていくこのみと別れると俺たちは学校への坂道を登り始めた。
「しかし、本当に俺たちも高校生になったんだな。なんつーか、実感がないな」
「そうだなぁ。制服が変わったときはちょっと実感があった気がしたが、
朝もこのみと一緒に登校してるし、たいした中学のときも変わんないな」
おまえのバカっぷりも変わらないしな、と言いかけたがなんとか抑えた。
「なぁ。おまえ、三年間で本当にどうするよ」
さっきと同じ質問を繰り返してくる。
今度はさっきと違って真剣な表情だ。
「そう・・・だな」
正直高校に来たからってなにをするなんてきまっちゃいない。
ほとんどの高校生はそんなもんだろうがな。
「彼女とかほしくないのか?」
彼女・・・か。
「そりゃ、できればほしいけど・・・」
この苦手意識があるんじゃなぁ。
「そうか」
雄二はにやっと笑った。
また何か冷やかされるのかと思ったがそれ以降そのことについて何も言ってくることはなかった。
一体なんだったんだ?
377中学生と高校生と目標と:05/01/18 20:17:20 ID:M0kUVr4V
「ここが俺たちの通う学園なんだな」
「ああ、これから三年間お世話になる予定の学園だな」
「よーし。まずは入学式が終わったらクラスの女の子に―――」
雄二はもう新しいところですることが決まっている。
だけどしょうもないことかもしれないが決まってない俺なんかよりはまだ立派だ。
(彼女・・・か)
「おーい、貴明。何してるんだよ。はやくいこうぜ」
・・・ま、何も考えても始まらないか。
「おう」
これから三年間、何が起こるかはわからない。
だけど、俺にもその三年間の中で何か目標が作れたらいいんだがな。
一生、背負っていけるような大きな大きな目標が。
378368:05/01/18 20:18:37 ID:M0kUVr4V
以上です。
ラブやエロがなくてスレ汚しにしかならないような文章でスマソ
379名無しさんだよもん:05/01/18 20:23:05 ID:hr5pC1oU
いいんじゃないかな?いいんじゃないかな?
380愛佳鬼畜SSの作者:05/01/18 20:36:21 ID:ps9vu9uB
>>368
なんかほのぼのした感じが出せててGJと思うですよ。
どこかしらエロを入れないと何も書けない自分には真似できないであります。
381名無しさんだよもん:05/01/18 20:36:43 ID:Ru2jIoFh
いいのぉ、予感めいた終わり方とかカコイイ
382名無しさんだよもん:05/01/18 20:41:34 ID:5O2VICHi
で、よっちとのピンクピンクでまっピンクなフラグは第何話で立つんですか?
383名無しさんだよもん:05/01/18 20:53:11 ID:FKKglfgR
正直あの二人でエロは想像できねえ・・・
384アク禁の隙を突く愛佳鬼畜SS:05/01/18 21:55:35 ID:b2CvF93N
「ひいっ」
「何をしてるの。散歩に行くからさっさと付いてきなさい」
 図書委員長は戸惑う愛佳のことなど気にも留めずに教室の扉を開けて廊下に出た。

「ほらほら、何をもじもじしてるの?ちゃんと付いてきてくれないと散歩はいつまで
たっても終わらないよ」
 裸の体を隠すようにして愛佳は廊下にペタンと座り込んでいた。委員長がリードを
引っ張って促しても恥ずかしがって動こうとしない。
「う、うう…だ、だって、先輩が…(こんなことまでさせられるなんてひどい…誰か
に見られたら、私、恥ずかしくなって死んじゃいそう)」
「変だね?犬が言葉しゃべるなんて前代未聞だよ。犬ならワンワンとかクンクンとか
しか言わないのに」
 委員長は首を傾げた。言葉だけ聞けばただ疑問を発したに過ぎないが、声のトーン
と眼光には犬なら犬らしくしていろという響きがこもっていた。
「う、うう…ク、クゥゥン」
 愛佳は悲しみの涙を流して、許しを乞うように鳴いてみせた。それで少しでも手心
を加えてもらえると思ったから。しかしそれは却って逆効果であった。
「困った犬だね君は。犬はちゃんと散歩しないと土地勘が狂って迷子になったら帰っ
て来れないんだよ。あんまり僕を困らせるなら、戻って…」
「わ、わわ、ワンッ、ワンワンッ」
 愛佳は「それだけは許してください」という思いを込めて困ったように鳴いた。ど
うやらその意図自体は分かってもらえたようで、
「なんだ、本当のところは散歩したかったんじゃないか。そんなに改まって嬉しそう
に鳴いて。それじゃ行くよ」
 リードを引っ張ってゆっくりと廊下を歩く委員長。愛佳は引っ張られるままに後に
ついて四つんばいになって廊下を歩いた。
「(お願い、今は誰も来ないで…)」
385愛佳鬼畜SS:05/01/18 21:58:51 ID:b2CvF93N
 愛佳はただそれだけを願って、掌と足に廊下の床の冷んやりした硬い感触を感じな
がら廊下を歩いていた。時刻はもうそろそろ下校放送がかかろうかという頃で、既に
全員が勉強のため帰ってしまって、クラブ活動で使われることもない3年生の教室は
よっぽどのことがない限り誰も来ることは考えられない。それでも不意に忘れ物を取
りに来た生徒や教師が戻ってくることがないとも限らないのだ。愛佳はその誰かに裸
で散歩しているところを見られるのがたまらなく怖かった。廊下の端まで来たところ
で折り返し、再び反対側に向かう委員長。しかし愛佳の元いた教室を通り過ぎて端ま
で来るとUターンしてもう一度逆方向に歩き始めた。そのまま元来た道をまた歩いて
いく。
 その日はいつもより気温が幾分低い日だったから裸で廊下を歩くのは寒く感じられ
たし、歩いているうちに床の冷たさが体の芯まで冷やしてきていた。そこで次に愛佳
の体が催してくるのは尿意である。無意識のうちに愛佳は腰をムズムズと震わせてい
た。
「ん、どうしたの?さっきから落ち着かないみたいだけど…ははん、トイレだな。わ
かったよ。ちょっと待ってて」
386愛佳鬼畜SS:05/01/18 22:00:12 ID:b2CvF93N
 秀才肌で通っているだけに図書委員長はこうしたことは簡単に察してくれる。だが
彼の向かった先は女子トイレでは決してなく、目の前にあった教室だった。そして委
員長が差し出したのは鉄製のバケツだった。本来は冬にストーブを入れる時、万一発
火した時に備えて水を入れておくためのものであったが今は用がないので空のまま教
室の隅に置いてある。
「どうしたの?ここに遠慮なくすればいいじゃない」
 委員長は言うが、犬に徹しきれない愛佳に彼の目の前でバケツの中に放尿するなど
簡単にできようはずがない。それでも裸でいる寒さで恥ずかしさとは裏腹におしっこ
はこみ上げてくるばかりである。
「それとも手伝ってあげようか?」
 委員長は有無を言わさず愛佳の足を広げてバケツを跨がせ、膣の中に指を挿入した。
同時に尿道口を親指でグリグリ刺激する。
「くふ、ん、あ、ひゃう、う、ううん…ああ……」
 愛佳の膣の中で委員長の指がクネクネ動き回り、感じた愛佳は腰の力が抜けてバケ
ツの上に自然にしゃがんでしまった。それでも尚委員長は指マンで攻め立てるのをや
めない。
「あ、ああ……も、もう…おしっこ…出ちゃう……」
 下半身の力が抜けきった愛佳はもうおしっこを我慢することもままならなくなって
いた。
「い、いやあ、み、見ないでくださいぃぃぃ」
 愛佳は泣きながら委員長の見ている前で放尿した。ジョボジョボとおしっこがバケ
ツに当たる音を豪快に響かせて。
387メイドロボのいる(学校)生活1 1/8:05/01/18 22:42:32 ID:Kw3exiP6
 初投下。
 各キャラクターなどの語り口などが思い出せず、いつもの自分の文章で書いてます。
 その上、序盤だけで、お目汚し失礼。

 なんだか異様に慌しかった4月5月が終わり、修学旅行も終わって、地獄の期末考査がようやく終了し、
答案の返却が始まってすでに気分は夏休みへと向いていた7月のはじめ。転校生がやってきた。
「はいはーい、みんな静かにしてよー」
 委員長が相変わらずの小動物ちっくな動きでばんばんと机を叩いている。普通転校生の紹介なんて担任
の仕事だろうに、それも委員ちょマジックなのだろうか? いや、また押し付けられただけか。
「も〜〜、静かにしてってばー」
 しかしいつものことではあるが、誰も雑談をやめようとはしなかった。話題はもちろん転校生だ。事前の情
報である程度のことは分かっているものの、それゆえに会話は尽きない。いや誰も委員長を無視しているわ
けじゃない。これはいつもの通過儀礼みたいなものだ。もちろん転校生も気になるが、くるくる動き回る委員
長を見ているのも飽きない。
 しかし今日の委員長はいつもとは一味違った。一向に静まらないクラスメイト一同に委員長が背を向け、く
るりと振り返った彼女が手にしていたのはよりによって両手に黒板消し。
(まさか、やる気か!)
 教室内に緊張が走る。クラスメイトは静まりかえっていたが、すでにスイッチの入った委員長の手は止まら
ない。
 ――ぽふっ。
 勢い良く振り下ろされたわりにはずいぶんと頼りない音で教卓に叩きつけられた黒板消しから粉塵が舞っ
た。たまらないのは前列の生徒たちだ、と、思われたのだが……。
「あああぅぅ〜〜」
 当然のことながら粉塵の中心で両手をばたつかせ、パニックに陥ってるのは委員長自身だった。
388メイドロボのいる(学校)生活1 2/8:05/01/18 22:43:41 ID:Kw3exiP6
「も〜〜、いーかげんにしなさーい!」
 自身の一喝で、ぴたりと委員長の動きが止まる。すでにクラスメイトは全員がきっちりと己の席につき、委
員長の一挙一足を眺めていたからだ。
 たっぷりと数秒間ほど、クラス全体と自分の手元を確認した後で、委員長はそそくさと黒板消しを戻してぽ
つりと呟いた。
「……う〜ん、黒板消しかぁ」
 また使う気か。前列の生徒が可哀相だからやめてあげて欲しい。と、後方の席からそう思う。
「はいは〜い、それでは皆さんお待ちかねの転校生さんを紹介しますよ〜」
 委員長が扉をがらりと開けると、その転校生が入ってきた。
 おおお〜っとどよめきがあがる。
 雄二に至っては口笛を吹き鳴らす。
 クラスに事前情報を広めまくったのはもちろんコイツ。そしてその理由は――
「はじめまして、HMX-16リオンと申します。短い間ではありますがよろしくお願いします」
 ペコリと頭を下げたイルファさんにそっくりなこのメイドロボこそが転校生だったからだ。
389メイドロボのいる(学校)生活1 3/8:05/01/18 22:44:51 ID:Kw3exiP6
 昼休み。
「いやぁ、やっぱりメイドロボはいいねぇ。くぅ、なんていうの。純情可憐? 俺色に染め上げたいっつーか」
 もう朝から何度聞いたか分からないセリフを飽きもせず雄二は繰り返した。
「はぁ〜、ほんっとバカねえ。メイドロボって言っても要は家政婦さんと変わらないでしょ」
 屋上に広げたレジャーシートとその上に並べられる昼飯。いつもの昼食光景だ。
「分かってねぇのは姉貴のほう! あの可憐な指から作り出されるメシはさぞかしいい匂いがするんだろう
なあ。どこかの暴力女のゴツゴツした手とは大違っ、いだっ、いだだ、割れる割れる割れるーーーー!!」
「あはは〜。ユウ君は前からメイドロボが欲しいって言ってたもんね」
 実際のところ朝から雄二のその欲望は間違った方向に突っ走ったあげく、カーブを曲がりきれず大クラッ
シュを巻き起こした感がある。思い出しても身震いがする。この男は一限が終わった休みに、リオンさんに
群がるクラスメイトの先を突いて言い放ったのだ。
「将来俺のものになってくれ!」
 思い出してもげんなりする。しかしリオンさんはこの突然の暴挙にも関わらず平然と、
「それは私をお買い上げいただけるということでしょうか?」
 とにっこりと笑って言ってのけたのだ。この柔軟性、いやイルファさんでよく知っているけど、最新のメイドロ
ボというのは予測できないような事態にもそれなりに対応できるようになっているようだ。それどころか、
「でも残念ですね。私は実験機なので民間に払いおろされることはないんです。ですからいつか私の量産型
が発売されたときにはよろしくお願いしますね」
 などと営業トークまでこなしてみせた。うーむ、メイドロボおそるべし。だいこん・いんげん・あきてんじゃー
じゃなくてもそれなりの域には達してるということか。当然この後雄二は他男子生徒によって粛清されたわ
けであるが、その後もこりずにリオンさんに話しかけていた。このハングリー精神は見習うべきものがあるか
もしれない。方向性は変えておきたいけど。
390メイドロボのいる(学校)生活1 4/8:05/01/18 22:45:46 ID:Kw3exiP6
「でもね、ユウ。メイドロボの料理には絶対に足りないものがあるわ」
「なんだよ、姉貴」
「それは愛よ!」
 タマ姉は拳を握り締めて断言する。箸が折れそうなんですけど……。
「あーいー?」
 不審そうに雄二が繰り返した。
「そう。心のないメイドロボなんかが作る料理は、人間のレシピを真似ただけのものよ。料理の一番の調味
料は愛なんだから!」
 タマ姉はタマ姉でメイドロボに偏見を持ってるからなあ。必ずしもそうじゃない。心を持ったメイドロボもいる
んだって言いたいけど、矛先がこちらを向いては敵わないので黙っておく。うう、ごめんよ。イルファさん。この
人はいまだにゲームセンターが不良の溜まり場だと信じきっているほどの堅物なのです。とても改心させら
れそうにはありません。
「ふふっ、楽しそうですね」
 不意に後ろから声がかかった。振り返ったそこには見覚えのある顔に、見覚えのない栗色の髪の、うちの
制服を着た転校生、つまりリオンさんその人がそこにいた。
 この突然の事態に一番うろたえたのはタマ姉だった。
「あ、あら、ごめんなさい。私は決して貴方たちをけなしたんじゃなくて――」
「お気になさらないでください。事実、私の作る料理はデータベースにあるレシピをそのままなぞらえたもの
に過ぎません。料理に愛を込めるためのデータがあれば好いのですが、あいにくと。――こんなこというと、
愛はデータじゃないって怒られちゃいますね」
391メイドロボのいる(学校)生活1 5/8:05/01/18 22:46:49 ID:Kw3exiP6
 リオンさんはちょこっと舌を出して笑った。その自然なしぐさにタマ姉はあっけに取られているようだった。神
様、できればこれでタマ姉の偏見が少しでもなくなりますように。万が一イルファさんとあんなことやこんなこ
と、ましてや、あまつさえ以下略があったことがばれたりした日のことを考えると、信じていない神にでも真
剣に祈りを捧げたくなる。
「そんなことないぜっ! リオンさんの作った料理なら、俺が愛を持って口に運ぶから問題なーし! そういう
わけで今晩にでもうちに夕食を作りにきませんか? いや、来てください。是非に!」
「残念ですが、学校が終わると研究所に帰らなくてはいけませんので、申し訳ありません」
 頭を下げるリオンさんに雄二のほうが慌ててしまう。
「いや、いーって、ごめん、俺も無理言った」
「はい。でも私の作った料理で誰かが喜んでくださるのなら、それは私にとっての喜びです」
 にっこりと微笑んでリオンさんはシートの上に並べられた料理を見た。
「とても美味しそうですね」
「貴方、美味しそうとか分かるの?」
「ごめんなさい。おかしかったですか? 見た目良くできている料理をそう表現するものと思っていたのです
が、間違っていたのならばデータベースの更新を」
「いえ、いや、それでいいわ。ええ」
 リオンさんを押しとどめてから、タマ姉は小さく、そうよね。迂闊だったわ。そんなわけないじゃないのよ。と
呟いた。
 実に惜しい。でももう一歩だ。がんばれ、リオンさん。
392メイドロボのいる(学校)生活1 6/8:05/01/18 22:47:44 ID:Kw3exiP6
「やっぱり沢山の愛情を込めて作られたのですか?」
「へ? あ? ああ、私? これ? え? ええっ?」
 タマ姉が何故かリオンさんとこっちを交互に見てパニくっている。む、いつものタマ姉らしくない。タマ姉なら
びしっと
「ふ、ふんっ、当然でしょ!」
 あ、やっぱりいつものタマ姉だった。
「いいですね。羨ましいです」
「羨ましい?」
「はい。私たちも好奇心というパラメータは与えられています。愛に興味を持つメイドロボは変でしょうか?」
「よく――分からないわ」
 目を伏せて質問から逃げるタマ姉、流石に最新型メイドロボといきなり向き合うには少し世間ズレしている
のやもしれない。一方で、間違った方向に世間ズレした男が身を乗り出した。いや、いいんだ。言わないでく
れ。分かってる。――多分、俺が一番ズレてる。
「リオンさん、愛のことなら俺がっ、手取り足取りこじガッ、あががっ、今度こそ割れる割れる!!」
「ゆーじぃー」
「あははー」
 その光景を穏やかに眺めていたリオンさんがあっと口を手で隠すようなしぐさをする。
「いけない。昼休みのうちに学校を一通り見て回ろうと思ってたのでした。それでは失礼しますね。河野さ
ん、向坂さん、またクラスでもよろしくお願いします。それと柚原さんと、向坂さんのお姉さんも、短い間です
がよろしくお願いします」
「しょんな〜、俺としては是非とも長いお付き合いを――」
「あれ、どうしてこのみたちの名前知ってるの?」
「はい、不便の無いよう、学校内のすべての方のデータは入力済みです」
 スルーされる雄二、哀れ。
 それはそれとして、一礼するとリオンさんは屋上から姿を消した。
393メイドロボのいる(学校)生活1 7/8:05/01/18 22:49:49 ID:Kw3exiP6
「あー、びっくりした。メイドロボって思ってたよりも大したものなのね。私はまたてっきり平たい顔に、フレー
ム剥き出しの体で、6秒に1歩しか歩けないようなものだとばっかり思ってた」
 いったいいつの時代のロボットなんだか。どうやらタマ姉のメイドロボの認識は10年以上前から進歩して
ないらしい。もしかしたら街でメイドロボとすれ違っても気づいてないだけなんじゃないか?
 ――ゴズン!
 不意に腹に響くような音が周囲に響いた。
「何? 今の?」
「なんだろ〜?」
 みんなもまわりをキョロキョロと見渡すが、音の原因らしいものは見つからない。特に害も無いようなので
再び食事に取り掛かる。
「はぁ〜、でもきれいな人だったね〜」
 ふとこのみがそう漏らす。
「タマお姉ちゃんに負けず劣らずって感じだったよ〜」
 つい、と、このみの視線が落ちた先はタマ姉の胴体部分、その後このみ自身の胴体部分。あ、そうか。顔
だけの話じゃないのか。そういえばリオンさんはイルファさんに比べるとこう、なんかボリュームがあるよう
な。気のせいかな? 同型ボディって話だったし。
「タカくんは彼女いるんだから、リオンさんと浮気なんかしちゃダメだよ」
「ん、ああ、いや、彼女じゃないって!」
「かーーっ、こいつの場合は彼女たち、だろ。彼女たーち、だーー、やっぱお前に食わす飯など無いっ!」
「あ、こら、雄二」
 がばぁと重箱ごと手に取って、中身を一気に口の中に放り込む。
「ゆうじぃ、そんなに頬張ったら噛むのが大変でしょう。手伝ってあげましょうか?」
「んもっ、ぶももーー!! んんんんんんんーーーーーーーーー!!」
394メイドロボのいる(学校)生活1 8/8:05/01/18 22:51:49 ID:Kw3exiP6
「あー、まったく非道い目にあったぜ」
「自業自得だろ」
 タマ姉とこのみは先に教室に戻ってしまっている。俺たちは雄二が結果的に口の中のものを撒き散らした
シートの掃除を仰せつかったというわけだ。とはいっても、軽くはたいて終わり。後は雄二に押し付けてしま
おう。
「さ、戻ろうぜ。リオンさんの顔が見れると思ったら授業もいいもんだな。なっ!」
「――黒板見ろよ」
 屋上から階段に入るときにふと違和感を覚えて立ち止まる。
「ん? どうした?」
「あれ、ここ、ほら、これ」
 と、屋上の扉を指差す。何故か金属製の頑丈な扉のはずだが、だいたい胸くらいの高さが大きくへこんで
いる。
「こんなへこみあったっけ?」
「ん〜、どうだったかな? 前からじゃね? だいたいそんな簡単に付くような傷じゃないぞ。それ。そんなこ
とよりリオンさんだ。リオンさん。あー、いいなあ。本物のメイドロボは」
 スキップでもしそうな勢いで階段を下りる雄二に慌てて付いていく。
 しかし俺は心の中でじわりと何か嫌な予感めいたものが広がりつつあった。
 そしてそれは間もなく最悪な形で現実となるのだった。
395304:05/01/18 22:53:23 ID:J+Xpdfbf
ミルファSS第二話(全五話の予定)を投下。
長いのでリンクのみ。自サイトなんで直リン。
http://www2.tokai.or.jp/v-sat/ss/toheart211.html
http://www2.tokai.or.jp/v-sat/ss/toheart212.html
http://www2.tokai.or.jp/v-sat/ss/toheart213.html
http://www2.tokai.or.jp/v-sat/ss/toheart214.html
396387:05/01/18 22:55:53 ID:Kw3exiP6
>>395
おつかれさま。
楽しませていただいております。
適当な題名つけたつもりが完璧にかぶってますね。
ごめんなさい。すみません。 orz
397名無しさんだよもん:05/01/18 22:59:49 ID:J+Xpdfbf
>>384-386
毎度楽しみにしてます
イイヨ(・∀・)イイヨー

>>396
ヨシヨシ ( ´・ω・)ノ(つДT)
リオンさんネタは思いつかなかった GJよ
398368:05/01/18 23:12:41 ID:M0kUVr4V
>>384
相変わらずですねぇ
いいんちょ、エロイよ・・・エロイよ・・・

>>387
おおー上手ですね。
キャラをしっかり抑えて情景や貴明の心情をうまく引き出し、表現していますね。
本編に劣らずって感じだと思います。

>>177
すばらしいクオリティーですね
ちゃんとキャラの関係をうまく保ちつつ小ネタもはさみつつ、きちんと話を進めているところが非常にいい感じだと思います。
ちなみに個人的に古文の教師が石原裕次郎の魅力を話し出したところが笑えた


それと再びSSを描いたんで少ししたら投下します
399バトンタッチ:05/01/18 23:57:17 ID:M0kUVr4V
「あーあ。体育祭なんてかったりーなぁ」
「もう、ユウ君はいっつも運動不足だよ。もっと走った方がいいんじゃないかな」
「って、おまえなぁ。姉貴みたいなこと言うなよな」
「その点、やっぱりタカ君はすごいね。クラスのリレー選手として選ばれたんでしょ」
「ああ、俺らのクラスの代表になったんだよ。自分がやらせてくださいって土下座までしたんだぜ」
「へぇ〜。タカ君、すごいなぁ」
「そんなことやったわけないだろ!」
調子に乗った言動をするものには体裁を!
「うぉっ。なんだ、戻ってきたのかよ」
「なんだ、じゃないだろ。大体お前が寝てる間に俺を推薦したってはなしじゃねえか」
起きてからいいんちょに言われたときびっくりしたんだぞ。
「まぁまぁ。お前がなかなか早いのは本当じゃねぇか」
「どっかのだれかさんがが毎日遅刻しそうになってダッシュだぞ。早くならないはずがないよな」
「あ、あはは・・・」
その張本人が苦笑いを浮かべている。
「でもタカ君ならきっと勝てるよ」
おいおい、買い被らないでくれよ。
「貴明」
「ん?」
真剣な目つきでこちらを見ている。
「どうした、雄二」
「あれを見てみろ」
雄二が指差したのは金髪の三年生の外人生徒。
『ハーイ、みんな頑張るんだヨ!』
「やっぱいいよなぁ。あんなに揺れてるんだぜっ、ぶごっ」
やっぱりこいつには体裁を!
400バトンタッチ:05/01/18 23:59:12 ID:M0kUVr4V
リレーの順番は主催委員のくじ引きで決められる。
「A年−@年−B年の順か」
「河野くん、頑張ってくださいね」
「ええっと・・・うん。とりあえずできるだけの事はするよ」
いいんちょの労いも入ったし、ここはいっちょやってやるか。
でも・・・いいんちょって本当は副委員長であって委員長じゃないんだよな。
本当の委員長は本部の一席で悠々とお茶なんかもらってるし。
「なぁ、貴明」
「なんだ?」
「やっぱり女子は走るのかな?」
「・・・・・・・・・」
はぁ・・・疲れてくるからとっととスタンバイするか。
401バトンタッチ:05/01/19 00:00:10 ID:D+IvqGWy
このリレーは300メートルのトラックを一周半走り、バトンを渡して三人を通して一番になった学年のそのクラスには点数が加算される。
「タカくーん、がんばれー」
観客の方からここまでこのみの声が聞こえてくる。
「おう、まかせろー」
手を振って返してやるとこのみは『えへー』というような顔をして向こうも手を振ってきた。
ピピーーーーー!!!
位置につく印のホイッスルが鳴らされる。
よーし、こうなったらやるからには勝ってやるぞ。
『位置について、よーい』
パーーーン!
って、おい!いきなり何転倒してんだよ。
『おーい、にいさん。なにやってるのさー』
あれ?本部の方から・・・まさか・・・。
『そういうな〜弟よー』
や、やっぱり・・・。
あの兄貴あって弟ありか。
そんなこと思っている間にもどんどん隣を他のクラスの奴が走り出していく。
まだなのかよ・・・っておっそ!
『待たせたねぇ〜』
待ったよ、実際に!
地面を蹴ってバトンを渡されるとともに走り出す。
トラックの折り返しをできるだけ内側を走って距離かせぎつつスピードを落とさないようにうまく体重をかける。
「よし、一人目!」
直線に入るとさらにスピードを上げていく。
の割には案外息があがらない。
まさかこのみ効果がこんなところで出てくるとは思わなかった。
二人目と三人目を抜き、再び折り返しでもう一人抜く。
そうして直線。
ほぼ全力で走り、ここで前のクラスの奴を抜こうとする。
しかし前の奴もなかなか早い。
抜けないまま折り返しをまわる。
402バトンタッチ:05/01/19 00:01:26 ID:D+IvqGWy
ラストの直線。
ここは迷うことなく全力で!
「タカ君!がんばってー!」
「貴明!行け!」
「河野くん、がんばれ〜」
うおおおおおおおおおおお!!!
よし!抜いたぁぁぁぁぁ!
そのままバトンを三年へと渡す。
はぁはぁはぁ・・・あと・・・三人・・・。
勝てるのか・・・?
息が上がって顔を上げるのもつらい。
はぁ・・・・・・っう。
ようやく顔を上げるとバトンを受け取った三年はすでに一人抜いていた。
早い・・・。
「浩之ちゃーん、がんばれー」
「浩之、行けーー!」
同じクラスから応援の声援がとんでくる。
一周を終えたところでもう一人を抜かす。
残り半周。
いけるか?いけるか?いけるのか?!
「がんばれーーー!!!」
頭がクラクラするのも気にせずに思いっきり叫んだ。
残り100メートル、距離にしてみればあと半歩ほど。
あと少し・・・よし並んだ!
行け!行け!行け!行け!行け!行け!行け!!!!
パーーーーーン!!!
403バトンタッチ:05/01/19 00:02:17 ID:D+IvqGWy
「やったな、貴明!」
「タカ君頑張ったね」
「おう、さんきゅな」
二人が労ってくれていると後ろから気配を感じた。
「おう、アンタが一年のリレー選手か」
さっきの三年生。
「よく頑張ってくれたな。おかげで一位になる事ができたぜ」
「いえ・・・それは先輩が頑張ったからで」
「リレーは一人じゃできねえよ。アンタも頑張ったから勝てたんだ。礼を言うぜ」
手を差し出してきたので思わずこちらも差し出された手をとった。
「ま、あの二年のほうはどうかとは思うけどな」
三年生はうっしっしと笑って最後にそう付け足した。
「二人ともお疲れ様」
と、その三年生の後ろからさっき応援していた同じクラスの女生徒が紙パックのカフェオレを持ってきた。
「はい、浩之ちゃん。と、ええっと」
その女生徒は俺を見ると何か言いたそうにしている。
404バトンタッチ:05/01/19 00:03:07 ID:D+IvqGWy
・・・あ、そうか。
「河野です。河野貴明」
「河野くんか。はい、お疲れ様」
「あ、そんな、悪いです」
「いいって、あかりがくれるって言うんだから、せっかくだからもらっときなよ」
「あ、ありがとうございます。それじゃあ遠慮なく」
カフェオレを受け取るとストローを突き刺すと一気に飲み干した。
「ご馳走様です」
「おう。また頑張れよ」
「は、はい。あ、あの先輩、よかったらお名前を・・・」
「俺か?・・・3年B組、藤田浩之。ちなみにこいつは神岸あかり」
「藤田・・・先輩」
「じゃあな」
「あ、浩之ちゃん、まってよ〜」
藤田先輩はそう言うと元の自分のクラスに戻っていった。
「藤田浩之先輩か」
ピンポンパンポーーーン♪
続いての―――。
「おい、貴明。次も出場だぜ」
「マジかよ・・・」
「タカ君、次も頑張って!」
少しは休ませてくれよ、まったく。
405368:05/01/19 00:04:53 ID:D+IvqGWy
お察しのとおりです・・・はい
1と2がただ書きたいだけに書いちゃいました。
ちなみに続きはもしかしたらあるかも(?!)
406名無しさんだよもん:05/01/19 00:07:21 ID:LFaQlvft
>>405
USJ!
407名無しさんだよもん:05/01/19 01:02:06 ID:7QmnGXTj
>>387-394
イイですねぇ〜、まさかリオンさんを出して来るとは(´ω`)b
続き、期待しています。

>>395
ミルファSS、毎度楽しませてもらってます(*´∀`)
それに、更新も早くてビックリですよ〜。
次も楽しみにしていますね。
408名無しさんだよもん:05/01/19 01:23:50 ID:6AUeWfHp
帰りにばったり郁乃とタマ姉のおっかけ三人衆に出会ってしまった
俺ピンチ

「私たちはお姉さまが戻るまであきらめませんからね!」
「あなたのお姉さまへの失礼な態度、許し難いものです」
・・・・コクコク
貴明「おいおい、俺がいったいなにしたってんだよまったく」
「おだまりなさい!今日こそ決着をつけてあげますわ!」
「お姉さまを九条院に帰っていただくために!」
・・・こくこく

貴明「(うわぁ・・・・今日もまた一段としつこそうだなぁ・・・)」

郁乃「はぁ・・・なんかしらんがバカとバカ達がもめてるな、道の邪魔だからどけてよ」
「な、なんですかこの子は?!」
「私たちのことバカ呼ばわりするなんて!」
・・・・・ふるふる


409名無しさんだよもん:05/01/19 01:29:22 ID:6AUeWfHp
「いったいなんですのこの子は!あなたの知り合いですか?!」
郁乃「私の知り合いにバカはいないよ、さっさとどいてよ」
「キィーーーーー!」
貴明「そういういわず助けてくれよ(汗)」
郁乃「自分でもめといて私になすりつけるの?さいてぇ〜」
貴明「・・・・・シスコン(ボソッ)」
郁乃「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」
郁乃はカバンで貴明とをバンバン殴りつけた

「お、おまちなさい!その男は私たちの相手ですのよ!」
「これを機にしとめましょう!」
こくこく!

貴明VS郁乃VS三人衆の構図が成り立った
しかし部外者からみればそれは貴明のハーレムにしか見えなかった

そこに・・・・
410名無しさんだよもん:05/01/19 01:35:59 ID:6AUeWfHp
環「あ!タカ坊〜一緒にかえ・・・・」
愛佳「あ、貴明くん!一緒にかえりま・・・・」

二人のみた光景は

貴明「だから俺は・・・・!」
三人「今日こそは・・・・!」
郁乃「シスコン言うな〜!」

うまいことに争いのセリフが聞こえずに四人の女性に囲まれる男ひとり
ハーレムとしかいいようがない

貴明「あ、タマ姉!小牧!助けてくれ!・・・・ってなんで怒ってるの?」
そこには冷ややかな雰囲気の二人がいた

環「あらタカ坊・・・・いつのまにそんなにモテるようになったのかしら?」
環「それにあなたたちはタカ坊になにくっついてたのかしらね?(ギロッ)」
三人「え!いやそのあのそのこれはその・・・・」
貴明「こ、こえぇ・・・・・愛佳!おまえだけが救いだ!」




411名無しさんだよもん:05/01/19 01:45:39 ID:6AUeWfHp
愛佳「・・・つーん(プイッ)」
貴明「・・・・ま、愛佳?」

愛佳「いつのまにか郁乃とそんなに仲良くなったんだ・・・」
郁乃「ちょ、お姉ちゃん違うよ!」
貴明「な、何勘違いしてんだよ!俺は被害者だ!」

しかしカバンで至近距離戦をしてたためか二人はやたらと接近していた
説得力0
郁乃「離れろケダモノ!」蹴りをかます
貴明「ぐわぁ!」
郁乃「ち、違うんだよお姉ちゃん!私こんなバカに・・・」
愛佳「つーーんだ(プイッ)」
貴明「ま、愛佳俺を見捨てないでくれ・・・・ハッ!」
タマ姉「タカ坊〜〜〜〜!すこし女性にたいしての貞操を学ぶべきねぇ(ギリギリ)」
貴明「痛い痛い痛い痛い!おれはなんもしてないのにぃ〜〜〜〜〜」



雄二「もてる主人公ってのも大変だな・・・・」
このみ「わ、私もお母さんを使ってタカ君を略奪しようかな・・・」

おしまい


412名無しさんだよもん:05/01/19 01:47:45 ID:6AUeWfHp
ヤキモチのシチュエーションがうまくいかない
しかも委員ちょの呼び方ミスってるし・・・

出直してくるon_
413名無しさんだよもん:05/01/19 02:04:03 ID:mymeeiu7
郁乃かわいいよ郁乃。
414名無しさんだよもん:05/01/19 02:06:38 ID:4BfOVrPo
>>405
野暮なツッコミいれたくないが
東鳩1から2年10ヶ月後が東鳩2開始時期らしい。
415名無しさんだよもん:05/01/19 02:15:51 ID:mymeeiu7
つまりゲーム開始直後なら松原先輩や姫川先輩に会えるわけだ。
先輩二人のどんぶりSSを頼む。
416368:05/01/19 02:17:10 ID:D+IvqGWy
>>414
う、マジですか
普通に二年後だと思ってた
・・・まぁSSだから大目に見て・・・なんていえないよなぁ
417名無しさんだよもん:05/01/19 02:21:38 ID:iUCmu/2N
タカ坊が高校生時点で在学してるのはギリギリ葵・琴音のエクストリームコンビのみ。
418(ノ>ヮ<)ノ☆:05/01/19 02:22:30 ID:cr/lZ501
本編で卒業式が出てこないので、既に卒業してると思うんですが
419名無しさんだよもん:05/01/19 02:25:32 ID:7I2nLfnp
同じ学校なのに1,2キャラ一緒にいるとすっごい違和感があるなぁ
なんでだろ
420名無しさんだよもん:05/01/19 02:26:53 ID:CV0ulDwe
421名無しさんだよもん:05/01/19 02:33:52 ID:Q5/lJZsp
うむ
422名無しさんだよもん:05/01/19 02:36:17 ID:F2BkByAC
しかし琴音はカワタキャラ
423368:05/01/19 08:42:23 ID:TnvR+EoH
なんかこのままでいるのも悔しいので別の形で再び1と2をあわせてみせます
424名無しさんだよもん:05/01/19 10:36:09 ID:CV0ulDwe
魔法の言葉をあげよう
つ[留年][留学してたから一学年下]
425メイドロボのいる(学校)生活2 1/10:05/01/19 10:39:30 ID:pjTPkhLS
 放課後になった。
 雄二他、何人かのクラスメイトがリオンさんに一緒に帰らないかと話しかけていたが、どうやら職員室に用
事があるからと体よく断られたらしい。いや、雄二だけは職員室までついていくと断言していたが、流石に他
のクラスメイトに止められていた。あのエネルギーがどこから出ているかが本当に疑問だ。解剖したら何か
新発見でもあるんじゃないだろうか?
 まあそれはそれ、こっちはこっちで行くところがある。日課となってる電算室への顔出しだ。というか、こっ
ちから顔を出さないと、珊瑚ちゃんが怪しげな機械を片手にこちらを探し出すことになるだけだからだ。珊瑚
ちゃん曰く
「貴明レーダーや〜☆」
ということらしいけど、原理のほうが一切不明。いつの間にか俺、改造人間とかにされてるんじゃないだろう
か? それともインプラントされたか。
「おお、それは実にミステリだね。たかちゃん」
 不意にミステリ研会長の顔が頭をよぎるが振り払う。多分、スパイ衛星とか、各所監視システムとかを
ハッキングして自動追跡させてるか何かに違いない。いや、それでも十分ヤバいんだけど、本人に悪気が
ないのでなんともならない。
426メイドロボのいる(学校)生活2 2/10:05/01/19 10:40:18 ID:pjTPkhLS
 つまりどういうことかというと、つまるところ逃げ場はない、ということだ。この前なんか、なんとなく誰も自分
を知らないところに行きたくなって、全然関係ない方向の電車にしばらく揺られてたら、どういうわけか先回り
した駅で待ち構えていたイルファさんが乗り込んできて、これまたどういうわけか涙目で
「どういうことですか! 貴明様は私たちみんなを置いて逃げてしまわれるおつもりですか!」
 と詰め寄ってきて、周囲の好奇の目を集めまくったあげく
「もし、もしもどうしても去ってしまわれるというのでしたら、私だけでもついていきます!」
 とか言い出した。あまりの真剣さに一瞬ほだされそうになったものの、最終的に理性の勝利。イルファさん
のポケットの中の目薬を探し当てることに成功した、という顛末。拍手までもらっちゃったよ。イルファさんに
涙を流す機能はないものな。
 そういうわけで電算室にこちらから向かうのだ。ビバ開き直り。このまま色んなところで寸劇やってたら、そ
のうち日本で俺の顔を知らない人がいないという事態にもなりかねない。さすがにそれは勘弁したい。ただ
でさえ最近商店街を歩くと「ヨッ! 色男、今日は何か買ってかないのかい」などと声をかけられる始末なの
だ。
427メイドロボのいる(学校)生活2 3/10:05/01/19 10:41:09 ID:pjTPkhLS
 階段を上がったところで見知った顔と鉢合わせた。
「あ、小牧さん」
「あ、河野くん」
 ハモる。あ、う、とお互い気まずい数秒の沈黙。
「これから図書室にいくとこ?」
「これから図書室にいこうと――」
 またハモる。
「でも、あれ? 同じ教室を出て図書室に向かうならこっちのほうが近くない?」
「あの〜、それは〜、そのぅ〜」
 ごにょごにょといいごもる委員長。その様子でなんとなく分かった。委員長は俺が電算室に行くのを知って
いる。電算室と図書室に行くにはちょうどこの地点まで同じ道で行くのが一番近いから、もし委員長と俺が
同じタイミングで教室を出たりなんかしたら仲良く肩を並べて歩くことになってしまう。それでわざわざ遠回り
してきたんだろう。いつもならそれでうまくすれ違ってたのだろうけど、何故か今日はうまく鉢合わせてしまっ
たということだと思う。
 やっぱりちょっと腰が引けてたのかも。
「河野くんは電算室ですよね?」
 小首をかしげて委員長が聞いてくる。そのとき不意にまだ委員長に伝えてないことがあるのを思い出し
た。本当はずっと気にしてたものの、どうにも言い出すタイミングが切り出せなかったのだ。
「うん。ごめんな。書庫のこと、結局最後まで付き合えなくて」
「いえ、いいんですよ〜」
 話に聞くに、結局あの書庫は一部を除いて処分されてしまったらしい。代わりにCD等が入って図書室は
大盛況ということだ。でもあの秘密基地のことを思い出すと少し心が痛む。もっと手伝っていれば何か変わっ
ていたんじゃないか、と。
428メイドロボのいる(学校)生活2 4/10:05/01/19 10:42:00 ID:pjTPkhLS
「いいですか、河野くん。言葉という物は時代によって変わるものです」
 突然、委員長の講義が始まった。委員長は片手を腰に当てて、えらそうに少しふんぞり返って見せる。
「お年よりは若者の言葉を乱れていると言いますが、新たな時代に適した言葉というのは古い世代の人か
らは理解されにくいのです。逆もまた然りであると言えましょう。だからお年寄りの大事なものはそのまま若
い世代に伝わるということはありません」
 いきなり言語学である。だが言いたいことはなんとなく分かる。書庫にあった本と、CDのことだ。
「ですが、しかぁ〜し、何一つ伝わらないということもまた無いのです。長い年月を経てきたものをすべて受
け継いでいってもらえないのは残念なことではありますが、きっと本当に大事なことは伝わるんです。人と人
が伝え合って受け継いできたもの。それは決して枯れ果てることはないのですよ」
「つまり結局どういうこと?」
「くふふ、実はですねぇ。あ、そうだ。河野くん。お時間は大丈夫ですか?」
「別に急ぐ用ってわけじゃないよ。後で顔を出しておけば問題なし」
「そうですか、そうですか、それでは一名様ごあんな〜い」
 そうやって委員長に促されるままに書庫に向かうことになった。図書館までの道のりで委員長は不意に無
言になる。こちらもあまり話を急いで促す気にもならなかったので黙っていた。するすると二人の距離が開い
てしまう。
 結局戻っちゃったんだな。と、少し寂しくも思う。いや、完全に戻りきったというわけでもないだろう。少なくと
も以前ならこうやって書庫に誘われることも、廊下で鉢合わせたから話をするということもなかっただろうか
ら。まあ、何が悪いって、4月以降双子姉妹他に振り回されてまったく書庫にいけなくなった俺が悪いのだ
けど。
429メイドロボのいる(学校)生活2 5/10:05/01/19 10:42:59 ID:pjTPkhLS
「ごかいちょぉ〜」
 鍵が開けられて最初に感じたのは寂寥。そこは見る影も跡形もなかった。本棚だったそれは、今はCDラッ
クと呼ぶべきだろう。さらには今も数人の図書委員がCDのチェックやら返却作業やらを行っている。
「ごめん。ちょっとお客様連れてきちゃった」
 委員長がそう言うと、図書委員と思しき一人がこっちを一瞥し、固まり、こちらを指差して、
「アーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
 絶叫。耳がキーンとした。隣では委員長の頭の周りを数匹のひよこが旋回している、ようなものが見えた
ような気がした。
「あわ、あわわ、ごめんなさい。ごめんなさい」
 その娘はあちこちに頭を下げたあと、こちらにずかずかとやってきて、後ろのドアを勢い良く閉めた後、こち
らの胸に人差し指を突きつけた。
「この人でなし!」
 いきなり小声で罵られる。流石にむっとしていいところなはずなのだが、相手が女の子ということでどうにも
思考がまとまらない。というか、すごい迫力だ。斜め下から睨まれてるのにこんなに怖いとはまさに蛇に睨
まれてる状態。
「もー、やめてよ。そんなんじゃないんだってばぁ。河野くん、ごめんね。この子、ちょっと勘違いしちゃってて」
「勘違いじゃないわよ! 小牧さん、あの日まで毎日カップふたつ用意してたじゃん!」
430メイドロボのいる(学校)生活2 6/10:05/01/19 10:44:00 ID:pjTPkhLS
「え?」
 我ながらこれほど間抜けな声が出せるものだと感心する。そう、何故かまったく、これっぽっちもひとかけら
もその可能性を考えたことなんてあっただろうか?
 ――小牧さんは俺と居るのを楽しみにしている。それは思い浮かぶと同時に振り払われねばならない気
がする思考だった。奢ましい。そうだろう? だって俺だぜ。だって委員長だぜ。
「え? じゃないわよ。この唐変木! 小牧さんはね、毎日アンタのこと待ってたんだって言ってんのよ!」
「や、や、や、ホント、そんなことありませんから。河野くんは気にしないでください」
 ばたばたと委員長は相手に入ろうとして、またしてもいつものようにはたと自分の言った内容を後から理解
に至る。
「あ、う、や、すみません。決して河野くんが来るのがイヤだったとか、そういうわけではなくて〜」
「で、なに? 気が付きゃ新入生の双子に手を出したですって? このロリコン! アンタがそんなだから、
小牧さんは結局独りで、独りで、そりゃアタシも力にはなれなかったケドさ。そっか、そうだよね。人のこと言
えるような立場でもないか」
 図書委員の女の子は一人でヒートアップして、一人でクールダウンしてしまった。でもどうしてこれだけ罵ら
れて腹が立たないのかはなんとなく分かった。この娘は自分のためじゃなくて委員長のために怒ってるん
だ。つまり、俺が不甲斐なかったから。で、その結果がこれだ。委員長の秘密基地はCDラックのジャングル
に変貌してしまった。
「――ごめん」
 それだけしか言葉がなかった。それ以外に言う言葉が見つからなかった。
431メイドロボのいる(学校)生活2 7/10:05/01/19 10:45:00 ID:pjTPkhLS
「やぁだ、違うのよ。ね、メグもほら、元気出してってば〜。ほら、元気元気ー」
 委員長は両手でガッツポーズをしてみせる。なぜか両腕をふりふりすると、腰もふりふり。恐らく本人は無
意識だ。図書委員の子を元気付けるために一生懸命になってしまっていて、他のことにまで気が回らない
のだろう。
 他人のためにいつも一生懸命な委員長、それを俺は手伝うっていって、期待させといて裏切った。
「河野くんも元気元気ー。やだ、しんみりしないでよ〜。そんなしんみりされたら、やだ、あたしまで、なん、
か、しんみり、しちゃ、う」
 委員長が急に顔を下に向けた。ガッツポーズだった手が広げられて――
 すぱーん!
 顔を覆うかと思われた両手がそのまま委員長自らの頬を打った。
「いひゃい!」
 流石に痛かったらしい。
「えへへー」
 涙目で委員長が顔を上げた。卑怯だ。それが何の涙なのか分からない。
「あのね、今日は河野くんに私の自慢話を聞かせに来たのであって、それ以外は全部却下。却下なので
す」
「ん、分かった。奥使って」
「メグ、ありがとう」
「それはいつも聞いてるし、お礼を言うのはこっちのほう」
「ううん。違うの。メグ、ありがとう」
「……分かったことにしとく」
 メグという娘はこっちをキッと睨むとアカンベーをしてクルリと背中を向けた。随分と嫌われたみたいだ。
「ごめんね。河野くん。いつもはあんな娘じゃないんだけど」
「気にしてないよ」
432メイドロボのいる(学校)生活2 8/10:05/01/19 10:46:01 ID:pjTPkhLS
 委員長に案内されるままに進んだ書庫の奥のほう、奥まったところにひとつだけ本棚が残っていた。そこ
にパイプ椅子を二つ持ってきて並んで座る。あの頃のように応接セットで向かい合うことはもうできない。紅
茶もお茶請けもない。
「本当はね、私のほうが河野くんに謝らなきゃいけないの。ごめんなさい。河野くん」
「なんで? あれは俺が勝手に押しかけてただけだし、それに本当に途中でこなくなっちゃったわけだし、
やっぱり謝るなら俺のほうだよ」
「違うの。本当はね、書庫が処分されたの急な話じゃないんだ」
 そうしてぽつりぽつりと委員長は話し出した。実のところ、書庫の本を処分してCDを入れるという案は前々
からあったらしい。そして積極的に反対してたのは図書委員でもない委員長だけ。だからあのバーコード張
りは委員長流の抗議行動だったわけだ。立てこもりと言ってもいいかもしれない。
「私ね、本当はもっと早く説明しなきゃ、説明しなきゃって思ってた。でもそうしたら河野くん、来なくなっちゃう
かもって思ったらなかなか言い出せなくて、バカだね。私。河野くんに頼るだけ頼っちゃって、勝手に期待し
て、騙してた……。だから、本当に、ごめんなさい」
「謝ることないって、むしろ俺のほうが勝手に押しかけて迷惑かけてたかも」
「ううん。お願い。私が謝ったことを無かったことにしないで。勇気を出してやっと言えたんだから、私に謝ら
せてください」
「……うん」
「じゃあもう一度言うね。河野くん、騙しててごめんなさい」
「うん。分かった。言ってくれてありがとう」
「――ゆるして、くれるの?」
「当たり前だよ。前にも言ったけど俺は迷惑なんて思って、なかった」
 過去形にせざるをえないのが、少し言葉をためらわせた。これは終わった物語だ。だから委員長から聞か
せられるのは過去の話、すでに完結しているんだ。現在進行形を今から望む資格は、ない。
「そっかぁ、よかったぁ、私、河野くんに嫌われたらどうしようかと思って」
 最後のほうはもう声が震えていた。椅子を向かい合って並べなかったのは幸い。正面を見てれば委員長
の顔を見ないで済む。たぶん委員長だって今の自分の顔を見られたくないに違いない。
433メイドロボのいる(学校)生活2 9/10:05/01/19 10:47:00 ID:pjTPkhLS
 とても小さな嗚咽は数分で終わった。永遠のように長く感じられたけど、実際には短い。どれほど隣にいる
女の子に触れ、慰めたいと思ったことか。だが、それだけはしていけないような気がした。ためらいと、とまど
いと、苦手意識と、何よりも泣かせたのは自分自身だということで、どうしても動けなかった。
「えへ、ごめんね。わたし、バカだったね。はじめから河野くんには全部話してしまってればよかった……」
 それは後悔。今ようやく話してくれたからといって、あの時間に戻ってやりなおせはしないということ。
 ほぅと、小さく息を吐いて、涙を吸ったハンカチをポケットにしまい、委員長は顔を上げた。
「でも、これだけですけど、ちゃんと残せましたから」
 そこにはひとつだけ残った本棚。
「本当なら書庫の本は全部処分されちゃうはずだったんですけど、実はギリギリのガキガキで大逆転のミラ
クルシュートが決まっちゃいまして〜」
 そうしてやっと委員長の自慢話が始まった。それはどうもこういうことらしい。委員長の抵抗運動は結局の
ところ実を結ばなかった。図書委員の強制執行により書庫の本はすべて運び出される始末になった。バー
コードを剥がされ、ダンボールに押し込まれ、運び出されていく書籍たち。そのとき、一人が一冊の本を落と
したらしい。委員長の目はその本に吸い込まれて、ハッとした。
「データ打ち込み作業のたまものですねぇ〜」
 それはこの学校のOBが寄贈したもので、詳しいことは割愛するものの、稀少本として価値のあるものだっ
たらしい。強制執行のさなかに価値あるものが見つかったというタイミングが功を奏した。金の出た山を掘り
もせずに投売りしてしまう人はいるまい。そのために書庫にあったすべての本に価値の再審査が行われる
運びとなって、そのゴタゴタの間に委員長は価値のあるものから順に本棚ひとつ分の書籍を残す。という形
で折り合いをつけたということらしい。
434メイドロボのいる(学校)生活2 10/10:05/01/19 10:48:01 ID:pjTPkhLS
「ごめんなさい。思ったよりお時間取らせちゃいましたね」
 気が付けばもう一時間近くが過ぎてしまっていた。参った。そろそろ行かなければ「貴明レーダー☆」が作
動開始しかねない。少し名残惜しいが腰をあげる。
「いや、小牧さんの武勇伝が聞けて楽しかったよ」
「はい。またいつでもいらしてくださいね。前みたいにお茶を出したりはできませんけど」
「うん。じゃあまた明日」
「はい。また明日」
 終わってしまった話はこれでおしまい。だから明日からはまた明日からの物語を紡げばいい。委員長は
CDラックの向こう、ひとつだけの本棚の前から手を振って見送ってくれた。目が少し赤くなってるのでもうし
ばらく隠れておくということらしい。
「男の人に泣かされたのは河野くんがはじめてです」
 さて、明日の物語を紡ぎだす前にはまず今日の物語をきっちりおしまいまで終わらせておかなきゃいけな
いだろう。まだ電算室に行ってないし、いけばいったでまたドタバタが始まるのは間違いないのだ。
 俺は本と紅茶の匂いがなくなった書庫の扉を閉めると廊下を歩き出した。学校が放課後だってだけでまだ
まだ今日は終わっちゃいない。
435メイドロボのいる(学校)生活2:05/01/19 10:49:06 ID:pjTPkhLS
 予定表では「貴明、電算室に向かう途中に委員長とばったり立ち話」の一行だった部分がこの長さ。恐る
べし委員ちょマジック。これはこれで途中から愛佳ルートを外れた場合の一本の話になってしまいました
ね。本来愛佳ルートから双子ルートにいくことはないのですが、その辺は許してください。SS界にはよくある
架空グランドフィナーレ双子ED編という感じのイメージです。
 メイドロボ話のはずなのにメイドロボが回想シーンにしか出てきてませんが、それもご容赦を。
 ちょいと忙しくなりそうなので、このペースで書けるのはここまでですが、今後ともお付き合いのほどをよろ
しくお願いします。
436名無しさんだよもん:05/01/19 11:25:52 ID:0FNdNoSa
GJ!
ゲームのシナリオの範囲から外れたSSって、書いてると途中でどうしても空中分解するんだよね…
裏話的なのは得意なんだけど。

どうやって書くのか教えてエロイ人!
437名無しさんだよもん:05/01/19 12:31:37 ID:6YlIwmkE
>>436
俺の場合だが…

簡単でいいからプロットを用意して(別に書かなくてもいい)、しかるべき位置にしかるべきキャラを配置すれば、
後は勝手に話が動いてくれる

キャラの設定や口調は、激しく間違っていると読み手が萎えてしまうことがあるので、極力原作を尊重する
(このみが貴明を“たかちゃん”と呼んだりするのはおかしいだろう)

多少プロットから外れても、面白い(と思える)展開になれば、そちらを採用するのもよし
438435:05/01/19 13:11:27 ID:pjTPkhLS
>>436
437さんも言われてるように、空中分解を防ぐためにはプロットを書いておくのが一番だと思います。
ただ私の場合、437さんのように話の流れをキャラに任せてしまうとプロットに従ってくれないので
そこを逸脱しないようにコントロールは気をつけるようにしています。
話全体におけるプロットで今回必要だったのは、435にも書いてあるとおり
「貴明、電算室に向かう途中に委員長とばったり立ち話」
だけだったので、言ってしまえばそれ以外の愛佳との絡みは贅肉の部分です。脂身です。
脂身はおいしいですが、食べ過ぎると体に毒なので、
そこに気をつけると健康なSS書き生活が待っているやも知れません。
439名無しさんだよもん:05/01/19 13:20:50 ID:0FNdNoSa
空中分解って言い方が悪かったかな…
話の大筋はもちろん予め作ってあるんだけど、
いざそのシーンを書く段になるとゲームの中に無いイレギュラーな要素に対してキャラがどう反応するのかわからなくなる。
何やらせても何か違うように感じるし、終いには全然別のキャラになったりして結局そのシーン削ったりとか。
キャラ愛が足りないのかね…?


まぁ、要するに何が言いたいのかというと
 よ っ ち & ち ゃ る の 高 校 生 活 し っ ぽ り S S が 書 け ま せ ん
440名無しさんだよもん:05/01/19 14:12:33 ID:mymeeiu7
>>439
気張れ。
気張れ!
なんとか汁!
441名無しさんだよもん:05/01/19 14:20:02 ID:tn1T6GeL
>>439氏の思うちゃるとよっちを書けばいいんだ
ちゃるとよっちは出番が少ないからコレだ!っていう決まった性格みたいなのがないから
自由に書いていいと思うぞ
442名無しさんだよもん:05/01/19 14:26:54 ID:tW2A81uL
前作の2年10ヶ月後って初めて聞いた…
ほんとなの?
443名無しさんだよもん:05/01/19 14:28:06 ID:apY4fUiZ
>>439
441も言うように、ヒロインと比較してサブキャラは本編での掘り下げが
圧倒的に少ないからなぁ。そういう意味では悩みは多いだろうけど、
その分自由にやれる幅が多いと思って頑張ってくれ!
444名無しさんだよもん:05/01/19 14:30:36 ID:tn1T6GeL
>>442
その説が有力
445名無しさんだよもん:05/01/19 15:02:14 ID:OykE2lEl
>>442
ここだとスレ違いだけどいいことを教えてあげよう。
とりあえず1のキャラと2のキャラのブルマの色を思い出せ。
446435:05/01/19 16:04:22 ID:pjTPkhLS
>>439
プロットをしっかり見直してみるのはどうだろうか。
無理なことをキャラにさせようとしたりはしてない?
物語的に必要のないシーンだったらバッサリ切ってしまうのも英断。
と い う か 私 が 読 み た い か ら 書 け
447名無しさんだよもん:05/01/19 16:29:46 ID:JlzhWZqL
遅レスだが「ミルファの居る生活」実にイイ!
勿論他のもイイ!
ああ 幸せだなァ ボカァ
448名無しさんだよもん:05/01/19 16:30:05 ID:ydqlBkTs
SSって一話できたらすぐうpするのか、
何話か溜まってから一気に行くのかどっちがいいのかね?
449名無しさんだよもん:05/01/19 16:32:29 ID:8GVOyunK
>>448
おまいの好きに汁
と言いたいとこだが、早く読みたいので出来たら上げれ
ってか上げて下さい
450名無しさんだよもん:05/01/19 16:51:15 ID:mymeeiu7
中倒れすると非常に悲しい思いするので、短編連作ならば最後まで書き上げてから一気に投稿してくれると有り難い。

とかスゲェ無理こいてみる
451名無しさんだよもん:05/01/19 16:53:18 ID:EtnlpB+G
ここの職人さんの作品は続き物が多いのかな?
452名無しさんだよもん:05/01/19 17:10:33 ID:mymeeiu7
よっちのエロが出現するまでは一日も休まずにスレを覗きにくるぞ。
453名無しさんだよもん:05/01/19 18:19:20 ID:59NiAI1m
>>452が書けばいいじゃまいか
454名無しさんだよもん:05/01/19 18:37:06 ID:0FNdNoSa
>>451
俺は移り気なので単発ばっかです。
でも連載の人が多いのかな。書ける人がちょっとうらやましい。

>>452
よし、おまいに任せた。
思う存分リビドー解放するがいい
455名無しさんだよもん:05/01/19 20:27:32 ID:Crm6kA0E
このみたんらぶエロ続き待ってるよー
456名無しさんだよもん:05/01/19 21:22:35 ID:1Ud8CPsK
agetemiru
457名無しさんだよもん:05/01/19 21:57:09 ID:7WrQxScS
貴明
「まずい…。このままだと雄二のやつ、確実に殺られてしまうぞ…。」

このみ
「えっ!?どうして?」

このみは当然の疑問を口にする。素人目からみ見ても二人の戦闘力は互角…。いや、雄二の方が僅かながら優っているようにも見える。しかし、実際の所は違っていたのだ。

このみ
「だ…大丈夫だよ、タカ君!
ユウ君の方が…
ほらっ!」

このみの声につられ戦いに目を戻す。丁度、雄二の渾身の一撃を喰らったたま姉が激しく吹き飛び、その勢いで岩山を2つ3つ破壊したところだった。

このみ
「やたー!」

思わず歓声を上げるこのみとは裏腹に冷静に事態を見つめる貴明…。そして未だに戦闘態勢を解かない雄二。
二人の視線の先、たま姉が吹き飛んだ場所。
次第に砂埃が消えたその中にたま姉は何事も無かったかのように微笑を浮かべたたずんでいた…。

雄二
「わりぃ、貴明…。
この勝負、勝てねぇかもしれなぇ…。」

そう呟き、再びたま姉に向かって行く雄二。
       続く

 グシュッ、グシュ、グシュ…
「う、あぁ、ああぁ…そんなに動かれたら、お腹、壊れちゃ…ひう、お、おっぱいも
そんなに弄らないでくださ…い…ひいい、あん、あああん」
「ほらほら、愛佳君の腰はいやらしく動いて、おまんこも絡みついて離してくれない
よ。本当におとなしそうな顔してるけど淫乱な牝犬なんだね愛佳君は」
 あれから愛佳は教室に戻ると裸のまま机の上に手をついた格好で図書委員長の一物
を入れられた。それは何度も何度も愛佳の膣の中で激しく暴れ回り、図書委員長の手
は愛佳のおっぱいを鷲掴みにしてもみくちゃにしていた。
「愛佳…」
 二人以外に誰もいない愛佳の耳に、自分の名前を呼ぶ声が聞こえた。兄が妹に語り
かけるような優しげなトーンで。明らかにソフトだけど冷たい響きの図書委員長の声
とは違う。誰もいないはずなのに?
「愛佳…愛佳ったら」
「ああ…私、もう…だめです……」
 さんざん陵辱されて朦朧としていく意識の中で、愛佳は体がフワフワ浮くような不
思議な感覚にとらわれていた。そんな中でまた名前を呼ぶ声が聞こえてくる。
「ああ…僕ももうイクよ……いつもみたいに中に出してあげるね」
「ひゃあうぅ、ああ、熱いです…でも、赤ちゃんできちゃったら……」

「……か………愛佳。ねえ、ちょっと!聞こえてる?」
「え、あ…たかあきく……きゃあ!」
 昨日のことが頭の中にフラッシュバックして、上の空で本の整理をしていた愛佳の
耳に突然貴明が呼ぶ声が聞こえてきた。我に返った愛佳は目の前に図書委員長ではな
く貴明がいたことに驚いて踏み台から足を踏み外してしまった。
 ドシン
 踏み台から落ちた愛佳は幸い腰を打っただけですんだが、尻餅をついた時に足は広
がっていたのでパンツはしっかり貴明に見られてしまった。
459まだ愛佳は俺に鬼畜な目に遭わされる:05/01/19 22:09:49 ID:ATio17n+
「(今日は薄緑か…愛佳らしい上品な趣味だね。おっといかんいかん、パンツ見てた
こと気づかれて愛佳に嫌われたら大変だ)」
 目の保養を程々でやめて、貴明は明後日のほうを向いた。今日の愛佳のパンツの色
が薄緑だったなんて知らないよ、というふうに。愛佳が立ち上がったところで改めて
貴明が聞いてきた。
「この本、どこに置いといたらいいかな?」
「え、えっと、その本は…ああ、西條八十の本ね。だったら芸術の音楽の棚に…」
「いや、確かに西條八十の本だけどさ、これ童謡の本じゃなくて『人食いバラ』って
いう怪奇小説だよ。薄幸の女の子がヒロインで、その娘が金持ちの遺産を相続したは
いいけどそれを妬まれて殺人鬼の女の子に…」
 薄幸のヒロインが襲われる、というあらすじを聞いて愛佳はハッとなった。今の自
分にもまさにそれが当てはまると思えたから。
「え、怖かった?ごめんごめん。それで小説はどこの棚だっけ」
「ええっと、小説は向こうの棚に入れておいて」
「愛佳、何か最近変だよ。普段から妙によそよそしいし、時々俺が話し掛けてきたら
変にビクッってなったりして…」
 愛佳は努めて冷静に答えたつもりだったが、貴明は愛佳が何かおかしいことを見抜
いていた。
「愛佳、俺たち今更遠慮する仲でもないじゃん?困ったことがあったら遠慮なく言って
くれよ。俺にできることなら何とかするから」
「え…あ、ありがとう、たかあきくん。困った時は相談するね。じゃあ私、続きするか
らたかあきくんも続きやって」
「………分かった」
 そうは答えたものの、どうも愛佳の態度が不審に思えてしょうがない貴明だった。そして貴明は決意を胸に秘めた。
「(野暮を承知で、今日は作業が終わったら愛佳を尾行してみるか)」

 やっと先が見えてきますた。何とか終わらせられそうでつ。
460名無しさんだよもん:05/01/19 22:24:32 ID:7WrQxScS
明らかに疲労の色を浮かべた表情の雄二とは対照的に戦闘が始まって以来、一度も笑みを崩さずに余裕を保つ環。
次第に広がる両者の戦力の差にさすがにこのみも動揺を隠しきれないきれない。

このみ
「そ…そうだよ!まだユウ君には界王拳があるよ!
今のユウ君なら十倍位までなら耐えられるはずだよっ!!」 不安を掻き消すかのように声を荒げるこのみ。しかし…

貴明
「…気付かないか?もう雄二は十倍界王拳を使ってるんだぞ…。」

声を震わせ、このみにそう伝える貴明。

貴明
「だからたま姉には手を出すなと、あれ程忠告したのに…雄二のやつ!」

………


「ほらっ!雄二、もう終わり?」

次第に強まる環の攻撃に防戦一方の雄二。

雄二
(くっ…。まずい!このままじゃあ殺られてしまう!!
こうなったら…)
     続く
461名無しさんだよもん:05/01/19 22:56:05 ID:ARPwoRzl
お前ら、何が何やらもうわやくちゃですYO
462名無しさんだよもん:05/01/20 00:20:46 ID:AXtX/sKy
>>457
>>460
わらたww
こういうの好き。俺、雄二好きだし。
463メイドロボのいる(学校)生活3 1/6:05/01/20 00:46:21 ID:nQjJOgyJ
 時間の流れる早さってのは一定じゃない。授業時間は長く、休み時間は短い。いやこれは本当に短いん
だけど。つまるところは楽しい時間は早く、苦しい時間は長い。一秒という絶対的尺度を持ちつつも、主観に
おいて人生に持ちうる長さというのは千差万別なのかもしれない。
 なんて言い訳は言い訳になってないよなあ。
 つまるところ今、電算室の扉を前にして、大遅刻の理由をどう説明するかで悩んでいるわけだ。
 とは言っても珊瑚ちゃんのことだから、正直に話してもなんら問題はあるまい。問題はつまりそれが何らか
の形で曲解されたあげく瑠璃ちゃんやイルファさんに伝わった場合だ。
「貴明な〜、貴明のクラスの委員ちょともらぶらぶや〜☆」
「このえろまじんーーーーーーーーーーーー!!」
「うう、貴明様は私たちだけじゃ飽き足らないんですね」
 ああ、めくるめく折檻ワールド。瑠璃ちゃんによる肉体攻撃と、イルファさんによる精神攻撃がちくちく続くこ
とは想像に難くない。晩御飯は俺だけが特別メニューになること必至。ニヤニヤとニコニコが並んで調理して
いる様を想像するだけで喉の奥が痛くなってくる。最近では「貴明のための特別メニュー」なんて口にすると
珊瑚ちゃんが欲しがることを瑠璃ちゃんもイルファさんも理解してしまってさらに性質が悪い。
 いや、思ってないぞ。それはそれでちょっと楽しそうだなんてちっとも思ってないんだからな。そういうわけ
で正直に話す案も却下。
464メイドロボのいる(学校)生活3 2/6:05/01/20 00:47:21 ID:nQjJOgyJ
「なー」
 どこぞで猫が鳴いている。
 頼む、思考の邪魔をしないでくれ。いま今日一日を幸せに終えることができるかどうかの瀬戸際なのだ。
「なー」
 なんかこう、やむをやまれぬ事情ってのがあるのがいいよな。雄二の葬儀に出席してました。いやいや、
すぐバレるだろ。しかしあの双子の雄二に対する微妙なスルーっぷりを見るに信じつつスルーする可能性も
捨てきれない。悪い、雄二、俺のために死んでくれ。
「なー」
 ってわけにもいかないだろうな。こんなタイプの嘘はバレたときの折檻がより酷くなること請け合いだ。もう
ちょっと当たり障りのない、ありきたりな理由はどこかに転がったりしてないものか?
「なー、貴明なにしてるん?」
 思考停止。ゆさゆさ。
「なー、貴明」
 ゆさゆさ。ゆさゆさ。
「大変や、貴明が立ったまま死んどる」
「わー、死んでない死んでない」
 慌てて外界に起きた現実を受け入れる。目の前で開いた扉、学生服を掴んでゆすってる珊瑚ちゃんと、そ
の頭には擬人化されたようなウサギ?のぬいぐるみ。なんとなく既視感を感じる光景だった。
465メイドロボのいる(学校)生活3 3/6:05/01/20 00:48:13 ID:nQjJOgyJ
「なー、貴明、突っ立ってなにしとったん?」
「いや、あの、それは」
 しまった。まだ言い訳を思いついていない。とにかく委員長の名前だけは出しちゃダメだ。委員長の名前だ
けは出しちゃダメ。ダメったらダメ! なにか別の言葉でお茶を濁すんだ。
「いいん」
 しまったー! 意識すればするほどつい口をついて出ちゃう現象。名付けて意識すればするほどつい口を
ついて出ちゃう現象。どーどー、待て待て、すでに出た言葉は取り消せないが敗北が決まったわけでもな
い。こういうときは機転だ。機転。
「かいの書類のコピー取りに時間がかかっちゃって」
「ふ〜ん、貴明って何の委員会なん?」
「へ?」
 そういや何の委員会だっけ? 美化? 清掃? それは一緒だ。図書? 歴史が変わるぞ。ああ、こういう
とき口八丁で切り抜けられるような人が羨ましい。そう思った瞬間、廊下の向こうにちらっと見えた人物のお
かげで天啓がひらめいた。
「外宇宙調査委員会」
 ありえねぇぇぇぇ! 天啓どころか悪魔の囁きだった。
「そうなんや〜。大変そうやけどがんばってな〜」
 信じちゃってるし。
466メイドロボのいる(学校)生活3 4/6:05/01/20 00:49:01 ID:nQjJOgyJ
「で、今日はなにをしてたの?」
「サテライトシステムを使って、身体制御の実験や〜」
 珊瑚ちゃんの頭の上のウサギがぶんぶんとこちらに手を振ってみせる。
「もしかしてクマ吉か?」
 というとピタリとウサギの手が止まる。
「はずれ〜☆ みっちゃんは今別の実験中やねん」
 友好的な横振りだったウサギの手が、抗議的な縦振りに変わる。シュプレヒコールでもしているようだ。
「もしかしてイルファさん?」
 こくこく。
「だいせいかい〜☆」
「あれ? でも前にもクマ吉で同じことしてなかったっけ?」
「んー、あれはそういう目的とちゃうかってん。昨日からいっちゃん、研究所に帰ってるやろ。実はちょっと問
題がおきてもーてな」
 珊瑚ちゃんの話を要約するとこうだ。だいこん・いんげん・あきてんじゃーを搭載したHMX-17型はあくまで
HMX-16型つまりリオンさんのソフトウェア別バージョンにすぎない。多少のカスタマイズは加えられているも
のの、あくまでHMX-16型のボディは、それのためのソフトウェアを乗せるために開発されたもので、17型に
あわせて作られたものではない。リオンさんを見ていれば分かるように、16型のOSもそれなりに凄いもので
あるので、それなりのスペックを持っているのではあるのだが、どうやらだいこん・いんげん・あきてんじゃー
はそれが必要とする記憶容量が桁外れに大きいらしい。いや、正確には段階的に必要とする記憶容量が
増えていっているということのようだ。
 問題解決のためには「忘れる」という機能が必要になるわけだが、その線引きの仕方が難しい。ひとまず
オーバフローしないところまで記憶データを消去するにしても、どう優先順位をつければいいのかも分からな
い。参照回数が少ないデータが重要度が低いとは限らないからだ。
 さらにイルファさんにとって不幸だったのは新しい人間関係がこの数ヶ月の間に一気に広がったことだ。そ
のため姉妹機にその問題が発生するよりもずっと早く、さらに対策がとれるよりも早く、オーバフローに危機
に瀕したので一度研究所に戻って、大きな記憶装置と直結することで問題を回避しているのだという。
467メイドロボのいる(学校)生活3 5/6:05/01/20 00:49:50 ID:nQjJOgyJ
「それでひとまずいっちゃんには遠隔操作の実験をしてもらって、問題ないようやったら、OSとか記憶装置と
かは研究所においたままで、起動させてみようと思ってんねん」
 つまり脳みそはあっちで、体はこっちということかな。
「でもなー、それやと根本的な解決にはならへんのよ〜」
 そう言って珊瑚ちゃんはべたーと机の上に突っ伏した。
 ふむ、専門的なことは珊瑚ちゃんに任せておけば問題あるまい。そのうち解決策を思いついて、あっという
間になにもかもが元通りという気がする。我ながら買いかぶりすぎかな。でも珊瑚ちゃんのそういう能力につ
いては盲目的に信じてしまう、そんなところがある。
「そういうわけで、うちにはしばらくりっちゃんが来てくれることになったんや〜」
「りっちゃん?」
「HMX-16リオン、りっちゃん、今日から貴明のクラスにてんにゅーしてへん?」
 なんですと。しかしすぐに放課後に聞こえてきた会話を思い出す。
「あれ、でも学校が終わったら研究所に帰るとか」
「はい、その予定だったのですが、実際に家庭で稼動するのも良い経験になるだろうということで、お邪魔す
ることになりました」
 ちょうど話の当人が電算室にやってきた。珊瑚ちゃんがシュタと片手をあげる。
「あ、りっちゃん、やっときたんか〜」
「はい、珊瑚様、お待たせしてしまいました」
「ええよーええよー。貴明もちょうど今やってきたとこやったし、みんなでかえろ〜」
 珊瑚ちゃんの提案は即時に受け入れられることになった。
468メイドロボのいる(学校)生活3 6/6:05/01/20 00:50:39 ID:nQjJOgyJ
「そういえば瑠璃ちゃんは?」
 帰り道、珊瑚ちゃんとリオンさんとならんで坂道を降りていく。こんなところを雄二に見られたらなんと言わ
れるか分かったものではないが、今更雄二に何を言われたところで傷つく俺じゃない。それよりも今注意す
べきは背後から駆け寄ってきて、叫び声と同時に強烈なキックをお見舞いしてくる方のほうだった。
「今日は先に帰ったで〜」
「むむ、大丈夫かな?」
「なにが〜?」
 瑠璃ちゃんは現在なんとかイルファさんとうまく折り合っている。というか、どうも最近はイルファさんのほう
が立場が上のような感じさえしてきた。イルファさんが心を持っていて、珊瑚ちゃんが瑠璃ちゃんのために
作った友達。だから瑠璃ちゃんはイルファさんを受け入れたのだ。そのイルファさんが一時とはいなくなって、
代わりのメイドロボがやってくるなんてことになったらまた荒れるなんてことはないだろうか?
「リオンさんがまた瑠璃ちゃんの仕事を奪うとか、そんな勘違いしてないといいんだけど」
「あ〜、それやったらきにしぃへんでええよ〜。全然大丈夫やから〜」
「え? なんで?」
「それは〜」
 と、言いかけた珊瑚ちゃんをリオンさんが制した。
「すみません。珊瑚様。その先は私から言わせてください」
「うん。ええよ〜」
 ん? よく分からないままに、リオンさんが立ち止まって釣られて足を止める。イルファさんにそっくりの顔
立ちに見つめられて少しドキドキする。違いがあるとすれば栗色の髪と、服装。リオンさんは胸に手を当てて
一度目を閉じてから、すぅと息を吸い込み、目を開けてじっとこちらを見つめ、
 そして彼女はきっぱりと言い切った。
「――私が試験的にお使えするのは河野貴明様だからです」
469名無しさんだよもん:05/01/20 00:58:47 ID:O72j18Ja
果たしてリオンの真意とは、貴明の今後はどうなるのか、宇宙人はホントにいるのか?


全てを確かめるため俺達は新たな明日と向かう。
そう、俺達の旅は…………まだ始まったばかり…………



ご愛読有り難う御座いました nQjJOgyJ先生の次回作にご期待下さい
470メイドロボのいる(学校)生活3 6/6:05/01/20 00:59:12 ID:nQjJOgyJ
ぎゃー、一番最後の大事なとこで誤字してるーーーー。・゚・(ノД`)・゚・。
眠いときは寝ろという訓戒として寝ます。
471名無しさんだよもん:05/01/20 01:02:24 ID:DomWKD3G
>>470 GJ!おもろかったよ〜
472名無しさんだよもん:05/01/20 01:03:15 ID:SIgbcsVB
雄二
(ちっ…貴明の言う事ちゃんと聞いておけば良かったな。
…耐えてくれよ、俺の体!!)

雄二
「うおぉぉぉぉっっっ!!!」

雄叫びを上げる雄二。と同時に大気が…大地が…雄二の気の高ぶりに呼応するかの様に震えだす!
次の瞬間、目にも止まらぬスピードで環に襲いかかる雄二。
これにはさすがの環もついてゆけず、ノーガードの顔面に強烈な一撃。
続けざまにミゾオチに雄二の拳がのめり込む!
そして『く』の字になった環の後頭部にめがけ両腕を振り落とす!!

キューーーーーン…ズドォォォン!!

凄まじい音と共に大地に叩き付けられる環。

473名無しさんだよもん:05/01/20 01:25:47 ID:3ALzt8wV
>>470
いいね〜、GJ!!
続きが気になりますよ〜(*´Д`)

ガンガン書いておくれ〜
474名無しさんだよもん:05/01/20 01:45:54 ID:SIgbcsVB
このみ
「やたー!」

貴明
「あの馬鹿っ!二十倍界王拳なんて使いやがって!
死ぬつもりか!?」

口ではそう言いながらも、満更でも無い顔をしている貴明。

貴明
「しかし大した奴だ…。本当にたま姉を倒してしまうなんて。」

このみ
「ほんとっ!ユウ君、本当にスゴイよ!ね、タカ君!!」

雄二に惜しみ無い称讚を贈る二人。
しかし雄二はまだ臨戦態勢を解いていない…。
雄二が見つめる先に居たのは怒りに身を震わす環だった!


「今のは…痛かったわ…。」

ゆっくりと立ち上がる環…。
左拳に力が収束してゆくのが遠目からもはっきりと見てとれる…。
そして…


「痛かったわよーー!!」

怒声一発!その場に居合わせた者の中で彼女の姿を捉らえる事ができた者はいなかった。
    続く
475名無しさんだよもん:05/01/20 02:15:46 ID:SIgbcsVB
雄二
「あぎっ…あっ…ががっ…わ…
割れる割れる割れる割れる割れるー!!!」

気が付けば雄二は割られている最中で、それこそ最初は必死に抵抗してみせてはいたが、今では体を細かく痙攣させるのみで環の為すがままにされている。

貴明
「くっ…くそぉー!!」

このみ
「タカ君!?だっ、だめぇ!」

貴明はこのみの制止を振り切り、友を救う為に駆け出していた!

貴明
「たま姉!その手を離せ!」

環に襲いかかる貴明

しかし空いた右手で貴明渾身の右ストレートを受け流すと、がら空きのボディにきつい一撃をお見舞いする環。

貴明
「ぶへはっ!」

血ヘドを吐いてうずくまる貴明。


「ふーん…タカ坊まで私に逆らうの?
そう…なら仕方が無いわね」
476名無しさんだよもん:05/01/20 02:27:38 ID:XOV9zax+
>470
確かみてみろ! by リュウ
477名無しさんだよもん:05/01/20 02:57:35 ID:jOhTWZPf
>>475
どういうオチつける気だよw
478おっす!おら雄二!(6):05/01/20 03:52:49 ID:SIgbcsVB
環は少し屈み、うずくまる貴明のこみかめにそっと右手を添える。
そして貴明にこう囁く。


「くすくす…。ねぇ、タカ坊。良い事教えてあげる…。
あのね、私、右手が利腕なの。」

そう言うと貴明を掴んだまま立ち上がり、今度は貴明の顔を自分の口元に近付ける。そして…


「死なないで…ね!!」

ふんっ!と環が右腕に力を込める!!
と同時にギシギシと骨のきしみむ嫌な音が辺りに広がる!

貴明
「ゆっ…雄二ぃぃぃぃ!!!」

グシャリと音を立てはぜる貴明の頭…。

続く
479おっす!おら雄二(8):05/01/20 04:07:43 ID:SIgbcsVB

「あらっ?タカ坊も意外とだらしないわね…」

そう言うと『貴明』だったものをゴミを捨てるかの様に放りなげる。

  プチィィン!

何かの切れる音。と同時に死に体であった雄二の体から信じられない程の闘気が巻き起こる!


「!?」

何かを感じとった環はとっさに左手ぶら下げていた雄二を放りなげる。

雄二の体から発せられる闘気の量は止まる事を知らず今もなお膨らみ続けている。

続く
480おっす!おら雄二!(真8):05/01/20 04:30:49 ID:SIgbcsVB
  『先手必勝』
長い月日を戦いの中で過ごした環の本能がそう訴えかける!
環はその本能に従い立ち上がる寸前の雄二に攻撃を仕掛ける。
…が攻撃は当たらなかた。
そう、環が雄二に攻撃を仕掛けるスピードより速く雄二は貴明を抱え、そしてこのみの元へと辿り付いていたのだ。

雄二
「…貴明を連れて早く帰れ…」

このみ
「でっ…でも!ユウ君は?」

雄二
「俺の事はどうでもいい!早く帰れ!!俺を困らせたいか!」

怒気をはらんだ強い口調にこのみは反論の余地を与えられず、おとなしく帰宅する事にした。


「逃がさないわ!」

帰宅しようとするこのみを環が狙う!
しかし…

つづく
481名無しさんだよもん:05/01/20 07:16:37 ID:GW7mre6T
>>480とか
おまえ何も考えずに書いてるだろw
482名無しさんだよもん:05/01/20 08:58:09 ID:i4/LdG93
いい加減うざ
483名無しさんだよもん:05/01/20 09:10:11 ID:Qj5eXBR2
ここまできたらオチきぼん
484名無しさんだよもん:05/01/20 09:29:43 ID:51xv4dfs
って言うかちゃんとまとめて書けよw
続きが気になるじゃないか
485名無しさんだよもん:05/01/20 11:29:59 ID:vx/dIOzZ
あと1レスで完結させろ
486名無しさんだよもん:05/01/20 12:04:22 ID:ShidYwqz
俺は長編シリーズとして続くことを希望
487名無しさんだよもん:05/01/20 12:09:45 ID:VXd5gRfA
書いてる人の良識に任せるしかないです。
488名無しさんだよもん:05/01/20 14:36:34 ID:51xv4dfs
投下しまつ
多分7レス分
489タイトル思いつかない:05/01/20 14:38:21 ID:51xv4dfs
私たちが寺所へ進学してから、もう二ヶ月近くが経つ
ようやく新しい生活にも少しずつ慣れ始め、友人と呼べる人クラスメイトもできた。
学業の方も特別問題はなく、
部活動には参加していないため平凡ではあるがそれなりに充実した学生生活を送っている。
「ちゃる〜。帰ろ〜」
よっちともまた一緒のクラスだった。
別にうんざりというわけではないが、少し飽きが来ないでもない。
けれども、昔から馴れ親しんだ人間が近くに居るという事は、
急激に変化する環境の中ではやはり心強いものがあった。
「吉田さん、山田さん、さようなら」
教室から出ようとすると、入り口近くにいた数名のクラスメイトから声がかかる。
「うん、バイバイ。また明日ね」
そう言って手を振るよっち。
「くすくす…。吉田さんってやっぱり面白いね」
「え?あ、うん、そう?何かよくわからないけど、とりあえずありがと」
「山田さんも、またね」
「うん」
「じゃね〜」
490タイトル思いつかない:05/01/20 14:39:05 ID:51xv4dfs
「ねぇあたしさぁ、さっき変な事言った?」
下駄箱まで来たところで、教室を出てからずっと難しい顔をしていたよっちが
「特に面白い事なんていってないと思うんだけど。挨拶しただけだし」
言った。と言うか、気づいてなかったのか。
「よっち」
「なになに?やっぱあたし無意識のうちに何か言ってた?」
「今、何時」
そう訊かれて、よっちは私の左手に視線を走らせ怪訝そうな顔をして
「え、何よ。あんた自分で腕時計してるじゃん」
「うん。でも、何時」
「何それ…えっと、今は」
制服の左袖をまくり
「あ」
声を漏らす。ようやく気づいたか。
「ごめん。あたし、今日、時計忘れてたんだった」
沈黙
「何よぉ。時計忘れるくらい誰でもすることでしょ〜!」
溜息
仕方なく、自分の腕時計を見せる。
「どれどれ」
時間を聞いたのはよっちではなくて私だということは既に脳裏から消え去っているらしい。
左手を差し出すとよっちは素直にそれを覗き込み
「あ」
声を漏らす。今度こそ気づいたようだ。
491タイトル思いつかない:05/01/20 14:39:52 ID:51xv4dfs
「今日、土曜日だったんだ…」
「そう。よっちは明日も学校来るか?」
「んーなわけないっしょ!」
そして頭を抱えて
「あぁ〜!はーずーかー」
ぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ
「…道理でお腹も空いてる筈だわ」
さっきまであんな元気だったくせに。
時間と同時に空腹も思い出したらしい。
「すごい。よっちの腹時計」
「腹時計じゃな…!」
ぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ
「腹時計」
「うぅ〜。はぁ。ダメだぁ。ねぇ、ヤック寄ってっていい?」
「仕方ない。よっちの腹時計止めにヤックへ行こう」
「あ〜!しつこ〜い!」
492タイトル思いつかない:05/01/20 14:41:07 ID:51xv4dfs
―もうダメだ。もう一歩も歩けない。ちゃる、わたしはここまでみたい。
「よっち」
声をかけてみるが、反応が鈍い。目がヤバイ感じに虚ろだ。
―ああ、お父さん、お母さん、チエはもうお二人に会えないみたいです。先立つ不幸をお許しください。
―あと少しだったのに、あと少しで助かったのに。どうして…
「よっち、元気だす」
「どうして今日に限ってヤックが休みなのよぉ…」
普段はそこにあるはずのないものが目の前に立ちふさがっている。
忌々しき、シャッターという名の壁の前には
『店内改装のため臨時休業いたします』
の張り紙。
「うぅ…もう一歩も動けなぁい」
そう言うと、その場にへたり込んでしまう。
そんな事を言われても、この辺りにはヤック以外のファーストフード店は無い。
どうやって子の駄々っ子を動かしたものかと考えていると、後ろに人の気配がした。
振り向くと
「あれ、よっち、ちゃる。どうしたの?」
このみだった。
「このみ、久しぶり」
よっちは返事をしない。まるで屍のようだ。
「うん。ひさしぶり、ちゃる。ねぇ、よっちどうしたの?」
「よっちは名誉の殉職」
「え?よっち死んじゃったの!?」
屍が返事をする。
「…人の事を勝手に殺すなぁ」
「あ、よっち生きてた。よかったぁ」
「よくないぃ…。死んでた方が楽かも…」
493タイトル思いつかない:05/01/20 14:42:25 ID:51xv4dfs
「ちゃる、よっち本当にどうしたの?」
「よっちは…」
ぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ
沈黙
苦笑
「あはは…お腹すいてたんだ」
「うぅ…本当にもうダメかも」
「あ、そうだ。今日調理実習で作ったクッキーがあるよ。食べる?」
「え?本当!?うんうん。食べる食べる!」
急に元気になる。現金だ。
「はい。ちょっと焦げちゃってるけど」
「いやいやいや、全然OKOK。むぐむぐ…うん、おいしい」
「よっちも食べる?」
せっかくの申し出なので頂く事にする。
少し香ばしいけど、甘すぎないしサクサクしていていい感じだ。
「うん。おいしい」
「えへー。良かった」
「うんうん。やっぱ旦那さんに毎日料理作ってると違うねぇ」
「だ、旦那さん!?」
「くぬくぬ。幸せそうにしおってぇ」
そういえば
「このみ、旦那さんは?」
「ちゃるまでそんなこと言う…」
「むぐむぐ…そういえばセンパイいないねぇ。一緒に居なくていいの?ラブラブさん」
「むぅ〜。よっち、なんか今日ちょっと意地悪だよ」
ふて腐れるこのみ。
しかし、当たり前だがこのみも少しずつながら成長しているようだ。
少し前のこのみなら『ラブラブ』なんて言われても顔色一つ変わらなかった。
見ていて微笑ましいものがあるが、すこし気の毒なので助け舟を出す事にする
「よっちはさっき大恥かいたから」
「え、なになに?」
「うん。あのね…」
494タイトル思いつかない:05/01/20 14:44:37 ID:51xv4dfs
「わー!わー!わーーーーー!余計なこと言うなぁ!」
予想通りというか何というか、よっちは大声を上げて私の言葉をさえぎろうとする。
「えー。そんな、隠し事なんてずるいよー。」
「なんでもない。隠してない。ずるくない。」
「む〜。ずるいよぉ」
「ずるくないの!」
「それで、このみ。先輩は?」
このままだと収拾がつきそうにないので、話題を別の方へ持っていく。
「え?あ、タカくんは修学旅行だよ。帰ってくるのは今日の夕方」
だから一人だったのか。また何かあったのかと少し心配していたからほっとする。
「そっか、修学旅行かぁ。じゃあこのみ、久々に今からどこか遊びに行かない?」
「あ、うん。えっと…ごめんね。今日はちょっと」
「えー。何か用事?」
「うん。タカくんに久々に会えるから、ご馳走の準備をしようと思って」
当然のように言うこのみ。
前言撤回。このみはまだまだ子供のようだ。自分の行動の意味するところが良くわかっていないフシがある。
「そっか。それじゃ仕方ない。先輩においしいご飯食べさせて久々の味に感動させちゃえ」
「えへ〜。うん、頑張るよ。それじゃあ、このみはもう行くね」
「バイバーイ」
「ばいばい」
「うん。二人とも、またねー。タカくんに二人のお土産も頼んであるから楽しみにしててね〜」
そう言い残してこのみは走り去ってゆく。また足が速くなったようだ。

「このみとセンパイ、うまくいってるみたいで良かったよ」
ヤックを諦めて近くのファミレスへと向かう途中、突然よっちがそんな事を言い出した。
「いやね、あの時、私は先輩に変な事聞いたせいでこのみ泣かせちゃったでしょ?
変な事になったらどうしようってずっと心配してたわけよ」
直接的な原因ではないとはいえ、やはり気になっていたようだ。
「いやしかし、恋愛ってのは大変だね。あたし、当分恋愛はしなくていいや」
当ても無いくせに。
「もう限界。早くいこっ」
そう言って走り出す。空腹で限界の割には走るだけの体力は残っているようだ。
495タイトル思いつかない:05/01/20 14:45:30 ID:51xv4dfs
何でこんな事を言おうと思ったのかは、後で考えても全く分からない。
このみの話に少し影響されたのかもしれない。
だが、この時はなんとなくそう言ったほうがいいような気がした。
走りながら
「私も」
「えっ?」
「私も、恋愛はいい」
「…なんで?」
「私が誰かと付き合ったら、よっちは一人ぼっち。可哀想」
「なにー!?あんたにそんな事心配されなくていい!」
「そう? だって、よっちは恋愛しないって今言った」
「ぬぐ…こっちだってあんたの事…」
そこまで言うとよっちは黙り込む
「何?」
「なんでもない。それと、そんな理由だけで恋愛しないのは止めときないよ」
「それだけじゃない」
「なによ」
理由は他にも色々ある。
女子校に通っているというのもその一つだし、男の人と付き合うという事が良くわからないというのもある。

けれど
一番の理由は

「よっちと一緒にいる事が、今一番楽しい事だから」
496名無しさんだよもん:05/01/20 14:48:27 ID:51xv4dfs
と言うわけで、毒にも薬にもならないよっち&ちゃるSS終了です
結局何書きたいのかわからない文章になったなぁ…最後なんかグダグダだし
やっぱ異性なしライバルなし喧嘩なし友情ありってのは難しいですね…
とりあずほっとくとよっちは由真に、ちゃるはるーこになるのだけは何とかしようと思う

次は何書こう。やっぱ鬱系の方が書きやすいや。
タマ姉失恋SSか郁乃嫉妬SSのどっちかにしようかな
497名無しさんだよもん:05/01/20 14:52:42 ID:gSsONrwZ
>>496
GJ!!

けど、よっちは吉岡だよな?
498名無しさんだよもん:05/01/20 15:02:11 ID:FIiLiv9p
郁乃嫉妬SS+雄二ちょっかいをかけるのあわせ技とか
499名無しさんだよもん:05/01/20 15:02:28 ID:sma+qFri
ほんわかしててイイヨイイヨ
500名無しさんだよもん:05/01/20 15:30:54 ID:51xv4dfs
>>497
吊ってくる…
501名無しさんだよもん:05/01/20 16:52:51 ID:KI1De7lQ
郁乃SS書いてヽ( ゚д゚)ノクレ
502名無しさんだよもん:05/01/20 17:07:06 ID:gSsONrwZ
>>500
あれだけ書けばミスも当然
これからも頑張って下さいノシ
503名無しさんだよもん:05/01/20 17:27:02 ID:QBm84tZ3
>>496
よくやった、GJ!
こういうのを見ると、友情っていいもんだなぁと思うよ。
504名無しさんだよもん:05/01/20 18:12:33 ID:MOBuFeo1
>>501
おまいが書けよぅ( ´∀`)σ)Д`)
505名無しさんだよもん:05/01/20 18:25:10 ID:4uHYD9ru
ほの百合だな
イイヨイイヨ―
506名無しさんだよもん:05/01/20 20:00:56 ID:WhAXF26E
>>256の続きです。
しかし、まだ完結しておりませんorz

風邪と熱が憎い…
507名無しさんだよもん:05/01/20 20:03:24 ID:WhAXF26E
だが、顔を真っ赤にして俯いたところで、自分の視界に入ったものに俺は気付いた。
俺が触る前からかなり濡れていたこのみのズボンが、さっき溢れ出た何かで一層ぐしょぐしょになっていた。
このみのズボンに直接手を入れて、そこを触ったので、まだこのみはズボンを履いたままだった。
誘われるようにズボンに手をかける。このみはさっきの陶然とした表情のまま、反応する様子はない。
そのまま、ズボンだけを脱がせる。
すると、ようやくこのみは意識を覚醒させた表情でこっちを見た。
そして、このみは顔だけでなく、体を桜色に染めて
「タカくん…いいよ……」と酷く恥ずかし気に言った。
それを聞いて、俺は自分でも情けないと思うほどに緊張して、このみのショーツに手をかけた。
普通に下ろしたのだが、ショーツはたっぷり濡れていたので、股布がそこに張り付いていた。
それでもそのまま下ろすと、にちゃりとした糸を引きながらショーツはそこから剥がれた。
そして現れたものを見て、俺は息を飲んだ。
このみのそこには一本の線が走っていた。茂みはまだ薄く、線を隠すまでに至ってはいない。
俺がここにいることを本気で疑ってしまいたくなるほど、淫らな光景だった。
血が頭に集中しすぎて視界がぐらぐらと揺れた。
さっきのように暴走しそうになったが、なんとか押し留めた。
このみの表情を伺おうと顔を見ると、目は開いてはいるものの、そっぽを向いていた。
「うぅ〜…恥ずかしいよ〜……」
体を桜色に染めたまま、このみが言った。
俺は答えずに、このみの裸を見続けた。実際、目が離せなかった。釘付けになっていた。魅了されていた。
508名無しさんだよもん:05/01/20 20:04:46 ID:WhAXF26E
「……このみだけ裸なんてやだよ。その…タカくんも脱いでよ……」
「…………えぇ!?」
服を脱ぐって!?い、いや、このみはもう裸同然だし、脱いでない方がいけない……か。
俺は自分も服を脱がなければならないということを考えていなかったのだ。
しかし、このみの言うとおり、俺がまったく脱いでいないのは不公平と…思う。
「わ、わかった、俺も…脱ぐよ」
顔を合わせながら服を脱ぐのは恥ずかしいと思ったので後ろを向いて、服を脱ぎ始めた。
ふと、視線を感じて後ろをちらりと見ると、このみが体を起き上がらせて、女の子座りをして俺の様子をじっと眺めていた。
しかし、俺は慌てて首の向きを前に戻した。
このみはパジャマの胸元をはだけさせたままでピンクのものがちらちらと見え隠れしている上に、もちろん下は何も付けていない。
くるぶしのらへんに脱がせたと思っていたはずのショーツがくちゃくちゃになってひっかかっていた。
この日、もう何度目になるか判らない理性の暴走が起きそうになった。
少し混乱しながらも服を脱ぎ終えたが、そこで俺は大混乱に陥った。
今まで理性が飛ばないまでも過剰な興奮をしてたせいでまったく気付かなかったが、股間のモノがとんでもなく屹立していたのだ。
「タカくん、どうかした?」
服を脱いだにも拘らず、自分の方を向かない俺にこのみは疑問を抱いたのか、不審気に話しかけてきた。
「ちょ、ちょっと待て!」
「もう、タカくんだけこのみの裸を一方的に見るなんてずるいよ。タカくんもこのみに裸見せてよ」
そう言って、このみは俺の前に回り込もうとする。
「だから、ちょっと待っ――」
509名無しさんだよもん:05/01/20 20:05:41 ID:WhAXF26E
すんません、ここまでです。
遅筆も憎い…onz
510名無しさんだよもん:05/01/20 20:25:51 ID:O5HGlGN0
『ミルファのいる生活』第三話up
ttp://www2.tokai.or.jp/v-sat/ss/toheart311.html
ttp://www2.tokai.or.jp/v-sat/ss/toheart312.html
ttp://www2.tokai.or.jp/v-sat/ss/toheart313.html

ミルファSSのくせに、ミルファの出番が少なくなってしまった('A`)
第四話でエロ入れるから勘弁してください
511メイドロボのいる(学校)生活4 1/12:05/01/20 20:36:14 ID:nQjJOgyJ
「な、なんだってーーーーーーーーーー!!」
 目の前で閃光手榴弾でも炸裂したかのような衝撃だった。目の前が真っ白になるという現象が現実のも
のとして感じられることなんて滅多にあるものじゃない。突発的且つ突拍子も無い出来事への耐性はそろそ
ろできあがってきたと思い込んでいたが、まだまだ未熟だったようだ。
「待った待った、さっき珊瑚ちゃんはイルファさんの代わりにうちに来ることになった、って言ってたよね?」
「言った〜。だってうちは貴明のうちでもあるやろ。……ちがうん?」
 斜め下から覗き込んでくるその顔には、砂の一粒ほどの疑問すら浮かんでいない。そしてその表情を見て
いると、そうだったかもという気になってくる。確かに最近は学校が終わると珊瑚ちゃんの家に直帰して夕食
をご馳走になってから家に帰って寝る日々だ。こうなると河野家というものは寝るためだけに存在しているよ
うなもので、実質的な生活拠点はすでに姫百合家にあると見て間違いない。
 とは言っても河野家の存在は理性を肉体に縛り付けておくための最後の砦である。そこが崩れてしまえば
揺られ揺られに流されていくだろう自分の意思の弱さは自分で認識している。だからあくまで河野貴明の家
は河野家なのだ。
「だーめ、そりゃ珊瑚ちゃんも瑠璃ちゃんも家族みたいなものだって思ってるけど、やっぱり俺の家は俺の家
だよ。だから毎日ちゃんと帰ってるだろ」
「毎日やない〜。週末なるとうち泊まっていくやん。それに……家族みたいなものちゃう」
 ぎゅっと珊瑚ちゃんが腕にしがみついてきた。
「貴明はうちらの家族や〜☆」
 ぐらぐらと震度6くらいで最後の砦が揺れるのを感じた。やばいです、司令官、早急な耐震補強を。
 必死に脳内砦の補強作業に入った俺の無言を珊瑚ちゃんはどう解釈したのか、不安そうな顔で覗き込ん
でくる。
「それとも貴明はりっちゃんがおんのいやなん?」
 その聞き方は卑怯だ。嫌なんて言えるわけがなくて、首を横に振る。
「それやったらええやん。貴明とりっちゃんもらぶらぶや〜☆」
 満面の笑みに脳内砦は全面的一時降伏、再建の目処は立っておりません。
512メイドロボのいる(学校)生活4 2/12:05/01/20 20:37:01 ID:nQjJOgyJ
「驚かせてしまったようで申し訳ありません。でも私が河野様のところでお世話になるのにはちゃんとした理
由があるのです」
 リオンさんがそう話しかけてきたのは坂道の終わろうとしているころだった。隣では珊瑚ちゃんはうさぎイ
ルファさんと謎のボディランゲージで楽しそうに会話を成立させている。このコミュニケーション手段の問題は
当人たち以外が見ているだけでは一切その会話内容を理解できないところだ。
「理由?」
「はい。私たちのようなメイドロボが実際に社会に受け入れられることができるかどうかの実験として、また
私たちの経験を増すためとして、以前から学校への短期編入は行われていましたが、今回もっと実務に則
した形での経験を持つのもよいのではないかということになりました。しかし珊瑚様、瑠璃様はすでにメイド
ロボとの生活に慣れてしまっていて、実際に私たちを購入されると予想される方とは違った環境にありま
す。ですが、その一方せっかく珊瑚様のいる学校に編入しているのですから、その身近な人物にモニターに
なっていただければサポートも得られやすいということなのです」
 なるほど。ようやく納得のいく説明を聞くことができた。つまりこれは珊瑚ちゃんのコネクションによるおこぼ
れってところのようだ。それなら素直に受け取っておこう。どうせ短期のことだし。
「珊瑚様は河野様の許可は取ってあると仰っていたのですが、どうもいつもの茶目っ気が出てしまったよう
で申し訳ありません」
「あー、いいよいいよ。2週間だけだろ。よろしく。リオンさん」
「――是非とも長いお付き合いをと言いたいところですが――」
「え?」
 ぼそりとリオンさんが言った言葉はよく聞き取れなかった。
「私もよろしくお願いしますと言いました。河野様」
 そういってリオンさんはにっこりと笑って右手を差し出してきた。その手を握り返す。イルファさんとは違うメ
イドロボ。でも、なんとなく主従というよりは友情のような、そんな関係になれればいいと思った。
513メイドロボのいる(学校)生活4 3/12:05/01/20 20:38:00 ID:nQjJOgyJ
「貴明とりっちゃんなかよしさんや〜☆」
 心の底から嬉しそうに珊瑚ちゃんが笑う。うさぎイルファさんもどことなく嬉しそうだ。
「早速のお願いで申し訳ないのですが、貴明様とお呼びしてもよろしいでしょうか?」
 少し顔をうつむけて、華奢な指をもじもじと動かしながら、照れくさそうにリオンさんは言った。
「様っていうのはちょっとこそばゆいかも。河野様ってのもさっきから訂正したくてうずうずしてたし」
「でも私はメイドですから」
 ぷぅと頬を膨らませるリオンさん。自然な仕草にもほどがあるぞ、来栖川エレクトロニクス。
「私は貴明様とお呼びしたいのです」
 職業意識というところだろうか、それともこれまでのほんの何時間かの間にそれだけ親密な何かをリオン
さんが感じ取ってくれたということなのだろうか。どちらにしても無理に拒否するようなことでもない。
「分かった、呼び方はリオンさんに任せるよ。でも学校ではやめてくれ」
「はい。貴明様。学校ではちゃんと河野さんとお呼びしますね」
 状況認識能力も二重丸。だいこん・いんげん・あきてんじゃー存在の意味の危機か。これは。イルファさん
と比べてまったく遜色がないぞ。
「ところで私は貴明様のメイドとして、主人に関して知っておきたいことがあるのですが、よろしいでしょう
か?」
「あ、うん。何でも聞いてよ」
「それでは遠慮なく。貴明様は随分と女友達がいらっしゃるみたいですね」
514メイドロボのいる(学校)生活4 4/12:05/01/20 20:39:00 ID:nQjJOgyJ
 ぶぶーーっ!
 口の中の空気を全部吐き出した。何かを飲んでなくて本当によかった。どうにも今日は不意打ちが多い日
だ。最後の最後まで気を抜かないように気をつけよう。 
「お昼は柚原このみさんと向坂環さんとお食事。貴明様の分は向坂環さんが愛情をたっぷりと込めて作られ
たお弁当」
 リオンさんは先ほどから変わらないニコニコした笑みを見せている。見せているにも関わらず、何故か周囲
の温度が何度か下がったような気がした。
「放課後には書庫で小牧愛佳さんと閉じこもること54分と29秒コンマ06」
「貴明はぎょーさんラブラブやなぁ」
 うさぎイルファさんがこくこく。
「私は私の主人に節度ある態度と行動を期待しているのですが、その期待を今後とも持ち続けてもよろしい
のでしょうか?」
 それはなんというか、言っちゃ悪いんだけど、珊瑚ちゃん関係者から発されたとは思えないような、しごく
まっとうな意見だった。最近は瑠璃ちゃんもすっかり毒されてきたからなあ。しみじみ。とは言っても誤解は
しっかりと解いておく必要がある。
「このみは妹みたいなもんだし、タマ姉だって本当の姉のように思ってる。委員ちょ、小牧さんとは以前の仕
事の話をしてただけだ。だからリオンさんが心配するようなことはなにもないよ」
「本当ですか?」
「なんだよ。疑り深いななあ。本当だって」
「ではもうひとつ質問させてください。先週の日曜のことです。正確には日曜の午前0時47分ごろから始
まった一連の貴明様の行動についてなのですが――」
515メイドロボのいる(学校)生活4 5/13:05/01/20 20:41:04 ID:nQjJOgyJ
「だーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!! すとっぷすとっぷすとっぷぅぅぅぅぅぅぅぅ」
 その時間帯には思い当たることがあった。あったというか、それ以外にありえない。うさぎイルファさんも当
然のように思い当たったらしく、珊瑚ちゃんのカバンの中に逃げ込んでしまった。珊瑚ちゃんはわけが分から
ないようできょとんとしている。
 リオンさんの目がこちらをじっと見つめている。顔は笑ってるんだけど、なんか目が笑ってないよ。目が。い
やぁ、こんな人間らしい表情までできるんだなあ。リオンさんって。イルファさんの腹黒さといい勝負だ。
 しかしなんでバレたんだろうと、考えて思い出した。今イルファさんの本体は――増えすぎた必要記憶容
量の問題で――研究所に戻っている。そこで一度は捨てるべき記憶がないかのチェックは当然行われて然
るべきであり……。
 バレて当然だー! やばいやばいよ、人生の暗部公開、穴があったら入りたいとはまさにこのことだ。
「……あの、怒ってます?」
「いいえ、私が怒るようなことですか?」
 頬がリスみたいに膨らんでますけど、リオンさん。
516メイドロボのいる(学校)生活4 6/13:05/01/20 20:42:09 ID:nQjJOgyJ
「しかしそれなのによく研究所の人はうちにリオンさんを預ける気になったなあ」
 ビバ開き直り。今日二度目の開き直りだ。そのうちアジの開きみたいに開きっぱなしになるかもしれない。
「いえ、研究所の方は誰もご存知ありませんよ」
「へ?」
「該当データはイルファの記憶データの中でも特に深層部分、本人がプライベートを主張するエリアに存在し
ていました。研究所の方々は私から見ると必要以上に私たちメイドロボを人間扱いする傾向があるように思
われます。見ることは可能でしょうが、見ていないと思います」
「じゃあなんでリオンさんは知ってるのさ」
「自分の主人となる方に関する情報を知ろうとするのはいけないことでしょうか?」
 程度の問題があると思われます。はい。とは思ったものの、リオンさんの語気の強さになんとなく言い返す
ことができない。珊瑚ちゃんと同じでまったく悪気がないのだろう。なんてったってすぐ横に分身とはいえイ
ルファさんがいるというのに、堂々と言っちゃうくらいだ。
「いや、まあ、確かに相互理解は大切だよな」
「はい。ですから貴明様も私に関して分からないことがあれば、何でも聞いてくださいね」
517メイドロボのいる(学校)生活4 7/13:05/01/20 20:43:00 ID:nQjJOgyJ
「おかえり〜!」
 姫百合家に足を踏み入れると、台所のほうから元気な声が出迎えてくれた。
「ただいま〜☆」
「ただいま」
「お邪魔いたします」
 三つの声がそれに返事をする。
 靴を脱いで上がり込めば、後は勝手知ったるなんとやら。カバンを置いて、首元を緩めればもうくつろぎ
モード。珊瑚ちゃんは別のソファでうさぎイルファさんと不可解なダンスの続きを始めている。どうやら記憶選
別に関する真剣な討論ではあるらしい。端から見ていると完璧に未開地部族の霊的な踊りだ。話が専門的
なものになればなるほど、そのボディランゲージは複雑さを増すようであった。
 リオンさんは台所の瑠璃ちゃんのところに顔だけ出すとそのまま手伝いに入ったようだ。むむ、予想以上
の受け入れっぷり。瑠璃ちゃんから罵声のひとつでも飛ぶかと思っていたけど、いきなり仕事を任せるくらい
に瑠璃ちゃんも大人になったということか。
 そうか、瑠璃ちゃんも大人に……。
 ……まさかイルファさん!
 なんてったってイルファさんだからな、ありえないとも言い切れないぞ。そうだよな。あのイルファさんがもう
2ヶ月以上なにもしなかったとは思えない。それは身を持って知っている。あのイルファさんに関しては押さ
れると弱い瑠璃ちゃんのことだ。それほど抵抗もできなかったに違いない。
 そうなるとやはりイルファさん攻めだったのだろうか。意外と瑠璃ちゃんはいざというときは受身だからな。
でもイルファさんの性格からすると、案外うまく口八丁手八丁で瑠璃ちゃんから攻めなくてはいけないような
状況を作りあげないとも限らない。いや、でも流石にそんな状況はないか。
518メイドロボのいる(学校)生活4 8/13:05/01/20 20:44:00 ID:nQjJOgyJ
「ばかあきーーーーーーーーー!!」
 ずがん!と、脛から走る衝撃が痛みに変わる。
 おおうおおう、一瞬の思考停止。脛を押さえて床にうずくまってると、リオンさんが駆け寄ってきて、心配そ
うにおろおろしている。
「だ、大丈夫ですか、貴明様」
 とは言っても頭がちかちかして、何がなんだか良くわからない。理解できたのはいつものごとくいきなりの
瑠璃ちゃんによる鉄拳制裁が発動したということだ。原因は不明。
「大丈夫や、リオン、どうせ痛がってる振りしてるだけやから」
 そんなわけあるかー! 弁慶だって泣いちゃうんだぞ、ここは。抗議を示そうと顔をあげる。痛みで思考能
力が減衰している。だから思ったことがそのまま口に出た。
「白と水色」
 どかん! 振り下ろされた足の裏がモロに顔に突き刺さった。
「たかあきのすけべーーーーー!! へんたいーーーーー!!」
 どしんどしんと足を踏み鳴らして瑠璃ちゃんが去っていく。
「あたた」
「今のは貴明様が悪いですよ」
 そっと目の上にリオンさんの手のひらが乗せられる。あ、蹴られて顔が熱を持っていたからか、ちょっとひ
んやりしてて気持ちいい。顔の痛みが引いていくと、何故か一緒に脛の痛みも和らいでいった。痛みを痛み
で相殺する療法か、ただの気のせいか。多分後者だ。
「で、結局瑠璃ちゃんはなんだったの?」
「お食事の準備ができましたと瑠璃様は何度も貴明様にお伝えしていたのですが、お返事がいっこうにな
かったので業を煮やされたようです。何か大切なことでもお考えだったのですか?」
「いや、なんでもないよ」
 まさか瑠璃ちゃんとイルファさんの濡れ場を妄想していたなどとは口が裂けても言えまい。
519メイドロボのいる(学校)生活4 9/13:05/01/20 20:45:00 ID:nQjJOgyJ
「いただきます」
 今日の夕飯の献立は鮭の塩焼き、里芋とイカの煮付け、タコとキュウリの酢の物だったのだが、
「ねえ、聞いてもいいかな?」
「なんや?」
「どうして俺の鮭だけ身がぼろぼろになってるの?」
 そう、珊瑚ちゃんと瑠璃ちゃんの鮭は型崩れせずにきれいに焼けているにも関わらず、俺の分だけ妙に型
崩れしている。これは新手のいじめか。
「魚は殿様に、餅は乞食に焼かせろってゆーやろ」
 と、知らないことわざが飛び出してきた。なんだそりゃ?
「はぅ〜、焼き加減がどうしても気になったものですから〜」
 部屋の隅ではリオンさんがすっかりしょげ返っている。あ、そうか、そういうことなのか。
「これ、リオンさんが作ったの?」
「は〜い〜、うう、今後の課題として精進します」
「魚はな、片面をしっかり焼き上げてからゆっくり一回裏返すだけでええんや。モチみたいにちょこちょこいじ
くっとったらあかんねん」
 なるほど。そういうものなのか。ただグリルで焼くだけだと思ってたけど、それなりにコツがあるんだな。し
かし瑠璃ちゃんとリオンさんがまるで嫁と姑だ。
「ははっ、レシピが完璧だからといって料理がうまくいくとは限らないんだな」
「笑わないでくださぃ〜」
 崩れてほぐれた身を箸でつまんで口に放り込む。
「うん、見た目はともかく美味しいよ」
 嘘じゃなかった。まあ売られてた切り身を焼くだけなんだし、味付けうんぬんが前面にでる料理じゃないか
ら当然と言えば当然なのだが、それでもリオンさんの表情がぱぁーと明るくなる。
520メイドロボのいる(学校)生活4 10/13:05/01/20 20:46:03 ID:nQjJOgyJ
「私なりに愛を込めて作りましたからっ!」
 満面の笑みで何故か両手でガッツポーズ。
「愛とかよくわからないんじゃなかったっけ?」
「私の持つデータベースから該当しそうな行為を、愛を込めると表現してみました」
 むむ、急に一抹の不安が頭をよぎる。データベースにおける愛を込めるって、セーターに髪の毛を織り込む
ような行為、じゃないよな。まさか、な。
「ぐ、具体的には?」
「お魚が焼けるのを見ながら、貴明様がどんな風に食べてくださるだろう。美味しいって言ってくださるだろう
かと演算していましたら、ついつい手が出てしまって」
 再びがっくり首をうなだれるリオンさん。その反面こっちは安心する。良かった。常識的な解答だ。
「そういうことならありがたくいただきます」
「む〜」
 瑠璃ちゃんに骨を抜いてほぐしてもらった鮭をつまみながら、珊瑚ちゃんがじーっとこちらを見ている。あ、
あの目はなんか久しぶりだ。
「ウチもりっちゃんの愛情ご飯たべる〜」
「だ、ダメですっ。これは私が初めて貴明様のために作ったものなんですから!」
 意外や意外なリオンさんの強固な抵抗。
「そやそや、さんちゃんのご飯にはうちがたっぷり愛情注いどいたから今日はそれで我慢しとき〜」
「う〜、つまらんなぁ」
 さらに意外なのは瑠璃ちゃんが全面的にリオンさんの味方についてるということだ。
521メイドロボのいる(学校)生活4 11/13:05/01/20 20:47:01 ID:nQjJOgyJ
「なんや貴明、うちの顔になんかついとるんか?」
「いや、イルファさんの時にはあんだけごたごたしたのに、リオンさんとはあっさり仲良くなっちゃったんだな
あと思って」
「ああ、そんなことかいな。だってリオンはうちの立場を脅かすような存在やないもん」
「うん?」
「リオンがご飯を作るのは貴明のため、掃除をするのも貴明のためって言うんやったらウチがどうこういうこと
ちゃうやろ」
 瑠璃ちゃんは肩をすくめて冷笑する。あ、これはなんかたくらんでるときの顔だ。とりあえず探りでも入れて
みようかと思ったそのときに、
「貴明とりっちゃんもラブラブや〜☆」
 珊瑚ちゃんのいつもどおりに能天気な一言で、追及の言葉はあいまいに遮られて、ひとまずなかったこと
になった。まあ少なくともケンカされるよりはよっぽどいいよな。
 食事が終わり、後片付けも瑠璃ちゃんとリオンさんの手によって仲良く進められ、いつもどおりの食後の団
欒タイムがやってきた。とりあえず親睦会ということでゲーム機を出してきて、リオンさんの格闘ゲームの腕
前でも見てみようということになったのだが、
「だーーー、勝てねぇ」
 現在のところ対戦成績31勝0敗がリオンさんの対戦成績であった。負けたほうがコントローラーを譲る方
式で、俺、珊瑚ちゃん、瑠璃ちゃんが順繰りにリオンさんに挑むのだが、まったく歯が立たない。リオンさん
は別に強いキャラを使ってるというわけでもハメをしかけてくるというわけでもない。というか、本人の弁が本
当であれば、このゲームを触ること自体が初めてだという。
「ルール変更を申請する。勝った方が交代ってことで」
522メイドロボのいる(学校)生活4 12/13:05/01/20 20:48:00 ID:nQjJOgyJ
「そんなことより、貴明」
 くいっと瑠璃ちゃんが時計を指差す。いつの間にか時計は8時過ぎを指していた。通例ならばそろそろお
暇する時間帯だ。
「あ、つい長居しちゃったな。そろそろ帰るよ」
「え〜、泊まっていけばええのに〜」
「「却下」」
 瑠璃ちゃんとハモってこれを言うのもお約束。
「つまらんな〜」
「はい、それじゃあ珊瑚様、片付けましょうね」
 テキパキとリオンさんがゲーム機を片付け始める。その間にカバンを持って玄関へ。
「それじゃ珊瑚ちゃん、瑠璃ちゃん、リオンさん、また明日」
「「「ええっ!?」」」
 三重和音が響いてきた。
 だだだっと走ってきたのはリオンさんだ。掴みかからんとする勢いで詰め寄ってくる。あっという間に玄関ド
アに追い詰められてしまった。
「私のことはつい忘れてたんですよね? ね?」
「貴明、りっちゃんにイジワルしたらあかんよ〜」
「はぁ〜、まったく」
 え? え? どういうこと? これはどういうこと?
523メイドロボのいる(学校)生活4 13/13:05/01/20 20:49:00 ID:nQjJOgyJ
「貴明様、私は貴明様のメイドなのですよ?」
「う、うん」
「貴明様がお休みになるまでその身辺についている義務がありますし、朝のお世話だってたくさんありま
す! 当然、貴明様のご自宅までついていきます!」
「え、えええっ!? で、でもそれって流石にやばくない?」
「なにがですか? 当然のことだと思いますけど」
 きょとんと尋ねてくるリオンさん。
「いや、ほら、年頃の男女が一つ屋根の下に二人きりとか」
「貴明様が紳士的な方であればなんら問題はないと思われますが。それとも違うのですか?」
 イルファさんと何があったか知ってるくせによく言う。こちらとしてはそのイルファさんと同じ顔をしているメイ
ドロボが一つ屋根の下で寝るということになったら、それだけで眠れなくなりそうだ。なまじ、その服の下が
どうなっているのかを知っているだけに。
 あ、やば、考えただけで顔が赤くなってきた。
「あ、貴明がまたすけべぇ〜なこと考えとる。やめとき、リオン。Hぃことされるだけやで〜」
「瑠璃ちゃん、Hぃことってなにするん?」
「さんちゃんは話がややこしくなるから、今は黙っとき」
「あう〜瑠璃ちゃんがいじめる〜」
「とにかく私は貴明様のことを信じておりますから、絶対に! ついていきます!」
 これはダメだ。押し切られる。次の断る口実を考えながら、心のどこかではもう白旗を揚げていた。
「絶対についていきますから!」
 とほほ。これからどうなっちゃうんだろ。
524メイドロボのいる(学校)生活4:05/01/20 20:54:57 ID:nQjJOgyJ
 途中で本文が長すぎます、くらっちまったい。
 今回一番苦労したが夕食の献立は何にしようかと、ネットでレシピサイトを延々探し回ったことだったりす
る。こういう一見どうでもいいところに一番時間を食うのは悪い癖。さらにどうにも双子キャラが掴みきれない
ですヨ。貴明がすでにイルファさんとは肉体関係を持っているという設定はさりげなく第一話から言及されて
います。
 しかし想定外に長くなってる。ミルファのいる生活みたいにこっちも別のところにアップしたほうがよかった
かなあ。

>>510
        〃〃∩ _, ,_
エ ロ マダ───⊂⌒( ゚∀゚)───ッ!?
          `ヽ_つ ⊂ノ       ジタバタ
525名無しさんだよもん:05/01/20 20:55:29 ID:B5SrWm9T
>>509
(*´д`)ハァハァ ガンガッテくだちい

>>510 >>523
力作長編乙!

続き楽しみにしてます〜
526名無しさんだよもん:05/01/20 21:13:45 ID:O72j18Ja
リオンタン

(;´Д`)ハァハァ
527名無しさんだよもん:05/01/20 22:09:07 ID:3ALzt8wV
>>510 >>524
お疲れ様です。
お二方共にいいペースで執筆してくれているので、
楽しみに待っている俺としては、たいへんうれしい限りです(*´Д`)

ミルファたんもリオンたんも、イイ!(*´∀`*)
528名無しさんだよもん:05/01/20 23:33:35 ID:nQjJOgyJ
>>527
二次創作を書くのは数年ぶりで、あんまりにも楽しくて筆が止まりません。
たすけてー。ちんじゃう。ちんじゃうよー。
529名無しさんだよもん:05/01/20 23:56:19 ID:Vgi5kRTK
>>528
リオンさんが萌えなのはいいんですが、これだとHMX-17系とかわらなすぎなので
16シリーズ独自の長所と17系に及ばない点みたいなのをもっと掘り下げると
いいかとおもいますた。

貴明がイルファさんに喰われちゃったという設定はアリだと思う
530名無しさんだよもん:05/01/21 00:01:26 ID:tSFXpSmQ
>>529
そうですね。がんがってみます。
というわけで、すでに第5話が書き終わってるので今から推敲してきまふ。
531メイドロボのいる(学校)生活5 1/7:05/01/21 00:14:30 ID:tSFXpSmQ
 夕闇の中をリオンさんと歩く。一日のうちに怒涛に環境が変化することはこれまでにも何度かあった。例え
ば中学から高校に入学したときや、両親がいなくなったとき、双子姉妹と出会った日もそういう一日に挙げら
れる。それにしても今日のはこれまでのなかでもとびっきりだ。
 朝には転校生としてやってきたメイドロボが、今は自分を主人と呼んで隣を歩き、今二人で家に帰ろうとし
てる。とびっきりもとびっきり、上等すぎて感覚が麻痺しているに違いない。
「そういえば、さ」
「はい。なんでしょうか。貴明様」
「リオンさんは嫌じゃなかった? 急に見知らぬ人のところに奉公に出されたわけだし」
 ぐっ、と、胸の前でリオンさんが祈るように両手を握り締めた。少しうつむき加減のその表情は苦しげで何
かを押し隠しているように見える。なんだろう。不味いことを聞いちゃったんだろうか。
「貴明様は、私が貴明様に命令だから仕方なくお仕えしているように思われているのですか?」
「いいや、そんな風にはとてもじゃないけど思えない。でもメイドロボは主人を選べないじゃないか。必ずしも
大事にされるとは限らないし、どんな人のところに行くことになってもやっぱり好意を持っているような、そう
いう行動を取らざるを得ないかなって思って」
 そういう意味でもリオンさんはとても優秀だと思う。リオンさんが向けてくれる好意は本物以上に本物に思
えるからだ。もしモニターに雄二が選ばれていれば、今頃は脳髄から末端神経までどろどろに溶け切ってい
るに違いない。
「あれ? リオンさん?」
 ふと気づくと隣にリオンさんが居なくて振り返る。すると10メートルほど後ろに、両手を祈るように組んだま
まのリオンさんがそこで静止していた。
「おーい、リオンさーん?」
532メイドロボのいる(学校)生活5 2/7:05/01/21 00:15:16 ID:tSFXpSmQ
「あ、貴明様。申し訳ありません」
 はっと顔をあげるとリオンさんは小走りに寄ってくる。
「私は貴明様のところにご奉仕に来ることができて幸せですよ。嫌だなんてちぃっとも思ってません」
 にっこり。この微笑みには今日一日ですっかり参ってしまった。
「そっか、それを聞いて安心したよ」
 夜空には星。地上には街の灯り。街路にはふたりだけ。住宅街に人気はない。
「あの、貴明様……」
 リオンさんが両手をもじもじさせながら、少し頬を紅潮させる。
「なに?」
「あの、その」
 うつむいた耳まで真っ赤になっている。おそるべし来栖川エレクトロニクス。
「手を」
「手を?」
「手を繋いでいただけませんか?」
 ずばっ! とリオンさんの手が伸ばされる。
「え? あ……う、うん」
 かぁ、と顔に血が登ってくる。たぶんリオンさんに負けず劣らず真っ赤になっていることだろう。汗ばんだ手
でリオンさんの手を掴む。途端に二人して無言になって歩き出す。
「――夢、だったんです」
 もうすぐ家にたどり着く、というところになってリオンさんがぽつりと言った。
「ご主人様と手を繋いでお家に帰るんです。そして家に帰ったら――」
 リオンさんの手を少し引いて足を止めさせた。もう家についていた。
533メイドロボのいる(学校)生活5 3/7:05/01/21 00:16:00 ID:tSFXpSmQ
「ただいまー」
 誰もいない家の玄関の鍵を開けて入るときも、つい言ってしまうのは何故だろうか? でも今日は、
「おかえりなさい。貴明様。で、ただいま戻りました。貴明様」
「うん。おかえり。リオンさん」
 こんな何気のないやりとりが暖かい。
「それでですね、貴明様、お食事になさいますか? それともお風呂になさいますか?」
 ちょっと悪戯っ子ぽい笑みでリオンさんが尋ねる。
「食事は食べてきたから、風呂がいいな」
「はい、今すぐ用意しますね」
 そういってパタパタと奥に消える。雄二じゃないけど、いいな。こういうのって。とりあえずカバンを部屋に置
いてくるかと、階段を登ろうとしたら、奥にいったリオンさんが戻ってきて扉の影からにゅ〜っと首を突き出し
ている。
「たかあきさまぁ〜お風呂はどこなんでしょうかぁ」
 あらら、言われてみれば家の中を案内するのが先だったかな。
「こっちだよ」
 そう言ってとりあえずお風呂を最優先に、家の中のだいたいの配置を言って聞かせる。
「わっかりました。任せてください。私、記憶力はいいほうなんですよ」
 今日二度目の両手ガッツポーズ。
 いや、ロボットが記憶力悪かったら故障だろ。それは。
 そして10分後――
534メイドロボのいる(学校)生活5 3/7:05/01/21 00:17:00 ID:tSFXpSmQ
「貴明様ー、お湯加減は如何ですかー?」
 脱衣所から響いてくるリオンさんの声。
「ああ、ちょうどいいよ。ありがとう〜」
「はい、こちらにお着替え置いておきますね」
「何から何まで助かるよ〜」
「いえいえ、まだまだ何から何までは終わってませんから〜」
 なんですと?
 と、同時にごそごそと動く脱衣所のリオンさんのシルエット。両手を腰の辺りに当てて?
 ぱさりとシルエットの中央下付近から滑り落ちる台形っぽい影。
 どええええええええええ!!?
「ふんふん〜〜♪」
 なにやら鼻歌まで聞こえてきますが、視線はもうシルエットから離れない。続いて両手が上に引き上げら
れると同時に上半身のディティールが変化する。やわらかい曲線がシルエットで表現される。
 ぱさり。
 そして、ごくり。
 両手が背中に回されたかと思うと、上半身を強調するふくらみを包んでいたと思しきシルエットが取り払わ
れて、両手は最後に腰あたりから多分最後の一枚を引き降ろし、リオンさんの足が片足ずつそのシルエット
から引き抜かれる。
「貴明様ー、お背中流しますよー」
 がらら〜
「どわぁっ!」
 とっさに首を90度捻ってかぶりつき体勢から、せめて顔だけでも逸らす。それでも一瞬だけ見えちゃった、
リオンさんは間違いなく全裸だった。
「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと待ってー」
 顔を背けたままざざざっと湯船の奥に退避する。特に今の下半身を見られるわけにはいかない。
「それがお、俺に、し、紳士的な態度を望んでる人がやることかー!」
「貴明様がいけないんですよ」
 しれっとそう言うと、リオンさんは湯船から洗面器にお湯をすくって、肩からかける。
「あんなこと言うから……」
「あ、あんなこと?」
 二度肩から掛け湯をすると、すっと立ち上がって、俺が端っこで縮こまっている湯船の中にリオンさんが侵
入してくる。あ、あの、このあまり広いとはいえない湯船に無理に二人入るとどうしても体が接触するのです
が。お湯もいくらかあふれちゃってるよ。
「メイドロボは誰に買われてもその人に好意を持たないといけない。確かにそうです。その通りです」
 リオンさんの顔が近づいてくる。足に、足に、あ、あ、足にリオンさんの生足が触れている。
「でも貴明様はそうは思えないと仰いました。それじゃ、それだけじゃダメなのですか?」
 ぶんぶんとリオンさんが首を横に振る。
「メイドロボは購入者に好意を持たなければいけないとして、じゃあ、じゃあ私が貴明様に「強制されている
からリオンは自分に好意を持って接してる」だなんて思われたくない! この気持ちもプログラムによる強制
ですかっ!?」
 お湯のしぶきが涙の代わりにリオンさんの頬を伝う。
「わ、私はっ」
 リオンさんが湯船で膝立ちになって、こちらに体を乗り出してくる。俺はもう目を逸らせない。
「貴明様をっ」
 リオンさんの両手が俺の顔を包むように伸ばされる。
「だって、私は……」
 指先は触れそうで触れない。
「――――だから」
 リオンさんが口の中で何かを呟いたが、それは耳にまでは届かない。
536メイドロボのいる(学校)生活5 6/7:05/01/21 00:20:00 ID:tSFXpSmQ
 リオンさんの顔が辛そうに歪んで、ぱっと手が離れた。
「ご、ごめんなさい。わ、わたし、わたしっ」
 そう言うや否や湯船から飛び出して、そのまま脱衣所に駆け出す。がらら、ばたんっと勢い良く扉が閉じら
れて、シルエットはバスタオルをひとつ引っ掴んで、脱衣所からも駆け出していった。
 しばらくぼけーっと湯船の中で脱力する。
 なんなんだ。今のは。
(強制されてるからと思われたくない思いもプログラムによる強制?)
 もし本当にそうなのだとしたら、来栖川エレクトロニクスもずいぶんと罪なプログラムを組んだことになる。
 でも、だって、それ以外にリオンさんが俺に好意を寄せる理由なんてないじゃないか。出会ってまだ24時
間も経っちゃいないんだぞ。
 ――リオンさんの体、綺麗だったな。
 メイドロボなのだから、当然と言えば当然だ。そもそもイルファさんもおんなじだ。でもその一方でイルファさ
んとまったく同じというわけでもないみたいだ。おそらくはイルファさんのほうが何らかのカスタマイズを受け
ているんだろう。
 いやいや、今はそんなこと考えてる場合じゃないだろ。
 最後のリオンさんの辛そうな顔。今にも泣き出しそうな顔。あんな表情をさせていいのか?
 ばしゃ! っと、半分お湯に沈んだ頬を両手で打つ。
「おい、俺は真面目に考えてるんだぞ」
 さっきからギンギンドクドクと主張を繰り返す愚息に愚痴ってもあまり効果は無かった。
537メイドロボのいる(学校)生活5 7/7:05/01/21 00:20:59 ID:tSFXpSmQ
 風呂からあがるとリオンさんの姿は見えなかった。さすがにちょっと顔を合わせ辛かったのでありがたい。
 時間はまだ9時前で、テレビを見て時間を潰した。適当にチャンネルを変えながらうつらうつらしているうち
に10時を回り、11時を回る。流石にそろそろリオンさんの姿を欠片も見ないというのはどうもおかしい。
 まず玄関を見ると、リオンさんが履いていた靴はそのままになっていた。多分、外に出て行ったということ
はないんだろう。だとしたらとりあえず家の中にはいるわけだ。なんとなく足音を忍ばせて階段を上がる。ま
ずは自分の部屋。ゆっくりと扉を開けると、中の様子は一目瞭然なほど変化していた。
 ――すっかり片付いている。
 メイドロボ根性ここに極まれり、というところか。まあちょっとアレな写真集などがまとめて机の上に平積み
になってるのは、アレだが。
「ふぅ、俺、なんか悪いこと言っちゃったんだな」
 ベッドに腰掛けて一人ごちる。ふにょり。手に何か柔らかいものが触れる。
 ――硬直。
 なるほど不意打ちの多い一日の締めくくりにこれほど相応しいものはあるまい。そっと注意深く布団をめ
くっていくと、そこには予想通りにリオンさんの顔が埋もれていた。しかもめくっていく過程で、肩が露である
ことが判明し、そこで手を止める。
「たかぁきさまぁ……」
 心臓が止まるかと思った。体を完全に硬直していて、動けないまま数秒が過ぎても、リオンさんは目を開
けなかった。どきどきしながら布団を元に戻して、忍び足で部屋を出て行く。音を立てないように注意深くドア
を閉じると、やっぱり気を使いながら階段を下りてソファに寝転がった。
 今日はこのままここで寝ることにしよう。
「クソっ、なんだよ。寝言いうメイドロボなんてアリかよ」
 リオンさんの白い肌が闇の中ちらついて今日はとてもじゃないが、深くなんて眠れそうにない。
538メイドロボのいる(学校)生活5:05/01/21 00:27:27 ID:tSFXpSmQ
だから眠いときは誤字増えるって学んだことはどこにー。・゚・(ノД`)・゚・。
でも勢いに任せてないと書ききれないような気がするので
またやると思われ。ご勘弁をー。
539名無しさんだよもん:05/01/21 01:15:24 ID:mqEQFCzs
>>531-537
このままがんばってくださいー
恐らく、オチというかリオンが誰かは判った気がします
540名無しさんだよもん:05/01/21 01:27:37 ID:t+kwDciM
かなり上の方でオリジナルキャラのSSを上げた者です。
今まで細々と書いてきたんですけども、難しい・・・
オリキャラなのでヒロインとの接触が少なく、おまけに終始一人で語っているorz
もう何がなんだか分かんないですけど、とりあえず途中までのを載せます。
もうどうにでもなれ〜
541ある図書委員の話:05/01/21 01:29:26 ID:t+kwDciM

図書室なんて言うものは、ものすごく保守的なものだと思っていた。
本があって、机があって、あとはせいぜい、コピー機に検索用のPC。
それはどこの図書室だって同じだろう。
消えてゆくのは読まれなくなった本くらいで、
新しく来るのもその代わりの本。

だから仕事内容も同じ。
うちの委員長はそれが嫌だったのかもしれない。

「図書室にCDの貸し出しコーナーを設ける事が正式に決まった。
 棚は書庫のものを使う。それに伴い、書庫で読まれなくなった本の整理を行う。」

前からぼつぼつそれらしい話は出ていたので、特に驚きはしなかった。
けど、書庫云々なんて言うのは全くの初耳だ。
整理というのは、早い話処分と言う事だろう。
委員長は続ける。

「書庫の蔵書もバーコード化を進めていたが・・・もう必要ない。
 担当者には僕から話を通しておく。貸し出しは5月中には始めるつもりだから、
 仕事は迅速に行って欲しい。以上、ここまででなにか質問はあるかな」

この人にしては珍しく、あまり余裕が感じられない喋り。
CDの貸し出しにしても、「少しでもここが役立てば、それに越した事はないだろう?」
と言って、半ば強引に押し切った。
学校の近くにはレンタルビデオ店が2軒あり、CDについては全く不自由していないのだが・・・
542ある図書委員の話:05/01/21 01:31:09 ID:t+kwDciM
「あ、あの!質問いいですか?」
一人の女子が意を決して声を上げる。
委員長が変わってから場のムードもピリピリしたものになり、
意見一つ出すのにもおっかなびっくりになってしまった。
「なんだい?」
「書庫の棚を使うと言っていましたけど、生徒会からの予算で新しいのは買えないんですか?
わざわざ本を処分することはない・・・とおもうんですけど・・・」
最後の方は少し口ごもりながら、それでも全て言い終えると、彼女は気まずそうに腰を下ろした。
「予算は全てCDに回る事が決まっている。数百枚並べるだけじゃ、様にならないからね。
 それに、読まれなくなった本は場所を取るだけだろう?」
「しかし!本があっての図書室なのでは?」
「いくら図書室でもいらない物はいらない。今までだって、そうしてきたんじゃないのかい?」
「・・・」

その子は納得し切れていない様子だったが、こうなってしまっては言い返しようがない。
ずっと机に顔を向けて俯いてしまった。

(どうしてそんなにこだわるんだ?あの人になに言っても言いくるめられるのは分かってる筈なのに)

その時は、ただ単純にそう思っていた。ただ単純に・・・
彼女は何故、書庫の事にそこまでこだわりを持つのか。
それに気づいたときには、僕にとっては全てが手遅れだった。
543名無しさんだよもん:05/01/21 03:52:54 ID:RD/OpZJh
>>538
もう続きが挙がっていて、かなりビックリしましたw
この勢いに乗ったまま、ガンガンつき進んでください(´∀`)b
楽しみにしてます〜。
544おっすおら雄二!(9):05/01/21 06:08:37 ID:ccw+bpFK
しかし猛スピードで現れた雄二に手首を掴まれ阻止されてしまう。

雄二
「いい加減にしやがれ…。クソ姉貴…。」

手首を握る力が更に強くなる。

雄二
「罪の無い人間を…次々と殺しやがって…。」


「あっ…あなた…いったい?」

雄二のあまりの豹変ぶりに驚きを隠せない環。

雄二
「ご存知だろ?
俺は向坂家の長男。
穏やかな心を持ちながらも激しい怒りによって目覚めた伝説の戦士…」


続く
545おっすおら雄二!(10):05/01/21 06:38:49 ID:ccw+bpFK
環の顔に戦慄が走る!


「黙りなさいっっ!!」

無防備な雄二に向かって渾身の一撃をみまう!
が、しかし…


「ばっ…馬鹿な!」

手加減などしていない…当たれば星一つ容易に破壊出来るほどの一撃だった…。
しかし…しかし雄二には傷一つ付けることが出来なかった。

雄二
「幼馴染みは壊せても…
たった一人の弟は壊せない様だな…。」

雄二かつぶやく…。

続く
546おっすおら雄二!(11):05/01/21 08:27:41 ID:ccw+bpFK
雄二
「貴明は2度死んだ…。
向坂の財力を使ってももう生きかえれない…。
本当にいい奴だった。
俺の一番の親友だった…。
それを…。」

今にも壊れそうな勢いで大地が震え出す!

雄二
「姉貴っっ!俺は怒ったぞ!!!」

一閃!怒りに身をまかせた雄二の一撃が環を捕える!!
ガードの間に合わない環は雄二の一撃を受け、地面に膝をつける。
続けさまに放たれる雄二の蹴り。
右腕で何とかこれはガードする…が


(くっ…ガードごしに何て威力なの!?)

雄二の怒涛のラッシュ!環はなすすべも無く雄二のサンドバックになりはてた…。

続く
547おっすおら雄二!(最終話):05/01/21 08:32:52 ID:ccw+bpFK




雄二
「…ってのはどうだ、委員ちょ?」

愛佳
「却下♪」

548名無しさんだよもん:05/01/21 10:30:39 ID:KaiPhcdU
工エエェェ(´Д`)ェェエエ工
549名無しさんだよもん:05/01/21 10:34:03 ID:VYsi6ihU
(;´Д`)<妄想オチかよ!


( ´_ゝ`)雄二だからな


( ´∀`)雄二じゃしょうがないな
550名無しさんだよもん:05/01/21 12:05:04 ID:2b+RwL8X
     ./゙ヽ ./゙ヽ 
    .,'´r  ̄、ヾ
    llミ.i((ハ)))   チャキ!チャキ!
    |l lゝ゚ ヮ゚ノl| (|/)
.    ノl i,/つ ヽつ∞
     li/  ┐l|
     (/ (/
551名無しさんだよもん:05/01/21 12:41:52 ID:9KE1GEGC
>550
そういえば最近クロックタワーやってないなぁ。
552名無しさんだよもん:05/01/21 13:41:11 ID:VYsi6ihU
艦長!北の方角から巨大なノイズが接近してきます!

超小型波動砲攻撃機 R-9A!総員攻撃態勢を取れ!
553名無しさんだよもん:05/01/21 13:42:59 ID:VYsi6ihU
あえて言おう!!

誤爆であると ∧||∧ !!
        (    )
554名無しさんだよもん:05/01/21 13:53:19 ID:tSFXpSmQ
(;´Д`)<R-typeスレからの誤爆か!

( ´_ゝ`)VYsi6ihUだからな

( ´∀`)VYsi6ihUじゃしょうがないな

と、まあそれはさておき、投下開始。
555メイドロボのいる(学校)生活6 1/8:05/01/21 13:55:00 ID:tSFXpSmQ
「あれぇ、タカくんまだ寝てるのぉ?」
 がちゃりとドアの開く音、そしてこのみの呟きが聞こえてきて目が覚めた。案の定頭が重い。今、何時だ? 
時計を探すのに少し時間がかかる。そうか、ここリビングだ。壁掛け時計の位置をようやく思い出して見る
と、いつも目覚ましを鳴らすくらいの時間だ。
 アレか、たまにこのみが早く起きる日か、今日は。助かったといえば助かったのかもしれない。このみが来
なかったら、本当に寝坊していたかもしれない。
 などとぼけーっと考えているうちに、このみの気配が消えている。否、このみが朝やってきて俺がまだ寝て
いた場合ならどうするか? そんなことは決まっている。
「ヤベェッ!」
 飛び起きて階段を駆け上がる。すでに俺の部屋の扉は開いている。
「タカくん、朝だよ。起きて〜」
「このみっ! 俺は起きてるぞっ!」
 そういって部屋に飛び込んだがすべてがもう手遅れだった。このみは布団をめくり上げた姿勢のまま固
まってる。そのままゆっくりとこちらを向いて、言った。
「た、た、たたた、大変だよ。タカくん。タカくんが女の子になっちゃったー!」
556メイドロボのいる(学校)生活6 2/8:05/01/21 13:56:00 ID:tSFXpSmQ
「ええと、つまりリオンさんは一時的にだけどタカくんのメイドさんになったってことで、だからお布団に裸で寝
てたの?」
「後半は忘れてくれ。頼むから」
 話をここまで要約するのに30分。かなり早かったほうだと思う。
「申し訳ありません。河野さんのお部屋を掃除していたらそのままうとうとと寝てしまいました」
 とりあえず俺もリオンさんも制服への着替えは済んでいる。今はリオンさんが焼いてくれたトーストを食べ
ながらこのみに事情を説明している最中だ。
「つまりタカくんはリオンさんに裸でお掃除させてたんだね」
「ああ、もう、だからそれは俺が命令したんじゃないの」
「昨夜、入浴中の河野さんのお背中を流そうと思ったのですが、粗相をしてしまいまして、そのまま慌てて取
り繕おうと掃除をしに行ったものですから、申し訳ありません」
「ふ〜ん、タカくんがなにかしたんじゃないの?」
「ばっか、おまえ、そんなわけないだろ」
「はい、河野さんはとても紳士的でした。私はなにひとつされてませんので、ご安心を」
「ふぅ〜ん」
 なんだかこのみの「ふぅ〜ん」には納得して無いという響きがありありと聞き取れた。
「頼むからタマ姉には秘密にしておいてくれ」
「リオンさんがタカくんのベッドで寝てたってこと、それとも裸でお部屋のお掃除してたってこと?」
「どっちもだー!」
「……遊園地」
「へ?」
「今度、遊園地連れて行ってくれたら黙っててあげる」
 く、足元をみやがって。だがそれくらいでタマ姉に黙っててくれるというのならば仕方あるまい。
「分かった。連れてくから、忘れんなよ。じゃなくて忘れろよ」
「えへへ、やったー」
557メイドロボのいる(学校)生活6 3/8:05/01/21 13:57:00 ID:tSFXpSmQ
 そうやって今日は3人で学校への道を歩き出す。あの桜舞う季節が忘れられない日々になったように、こ
の太陽の降り注ぐ日々は忘れられない思い出になるんだろうか?
「でね、タカくんったら――」
「まあ、そうなんですか――」
「――なんだよ〜」
 どうもこのみとリオンさんは俺の過去話で盛り上がっているらしい。過去の汚点はそれはもう数え切れない
ほどあるから、とりあえず聞こえない振りをしておくことにする。
 やがて階段で雄二とタマ姉に合流する。
「あ゛ああああああああああああああああ!!」
 階段の上から大声で叫ぶのは当然雄二のほうだ。タマ姉のほうは肩をすくめるだけで、苦笑を浮かべてい
る。いい加減、この星の巡りの異様な男についてタマ姉も諦めがついてきたようだ。とりあえずこのみが最
後まで黙っていてくれることを信じつつ、歩きながら状況説明。昨夜の出来事については伏せたままで、一
応の顛末は話し終えたはずだ。
「ちぇっちぇっクソがっ、なんで貴明ばっかり優遇されてるんだ。この世界はなんかおかしい!」
 世界がおかしいと思ったら、頑張ってなんとか変えてみてくれ。俺自身が多分におかしいと思ってる。
 そんなことを話しているうちに、学校へと向かう坂道の途中で珊瑚ちゃんと瑠璃ちゃんが手を振って待って
いる。
「るー☆」
「おはよ」
 そんな毎日劇的なことが起こるわけじゃない。天下泰平、世は事もなし。平和が一番。
558メイドロボのいる(学校)生活6 4/8:05/01/21 13:58:00 ID:tSFXpSmQ
 学校でのリオンさんは昨日学校にいたときとなにも変わらなかった。クラスメイトに囲まれてにこにこ楽しそ
うに笑っている。双子姉妹のところにいたときや、その後のことなんて微塵も考えさせない。特にあの辛そう
な顔や、寝言のようなことは。
「止めとけ止めとけ」
 どっかと雄二が隣に座る。朝に話をしてから、雄二はリオンさんにちょっかいを出すのを止めていた。
「なんだよ?」
「そんなじーっとだな、リオンさんのこと見てたら誰だって分かる。でもな、止めとけ」
 思わずぱっと雄二から顔を背ける。確かにぼけーとリオンさんを見ていたのは事実だ。でもそれは気にな
ることがいろいろあるからであって、決して雄二が言ってるようなことじゃない。
「そんなんじゃないさ。少なくともお前に言われたくはないぞ」
「俺はいいんだよ。出会いも別れも同じように愛でることができる男だからな。俺は」
 そう嘯くと雄二は肩をすくめる。しかし目は笑っていなかった。たまにだけ見せる本当に真剣な表情。
「出会いと別れがセットでやってくるヤツが何を言うか」
「言うさ、貴明、リオンさんは止めとけ。お前には辛すぎる」
「なにがだよ」
「絶対に別れの来る恋になるからさ。それも近いうちだ。分かってるだろ。2週間もしないうちにリオンさんは
いなくなる。その後はどうだ? 2度と会えないかも知れない。いや、会えないだろ。そして何よりもそれから
数年が過ぎたら、だ。リオンさんと同じ顔のメイドロボが街にあふれ出すことになるかもしれない。お前のこと
なんてちっとも知らないリオンさんが、だ。隣にいる別の誰かに微笑みかけるリオンさんだ。お前は耐えられ
るのか?」
「そんなの分かんねーよ」
 本当にそんなのちっとも分かんねー。今思うことはただ、昨夜のようなあんな顔をもうリオンさんにさせたく
ないってだけで、それ以上でもそれ以下でもない。本当にないんだ。
559メイドロボのいる(学校)生活6 5/8:05/01/21 13:59:00 ID:tSFXpSmQ
 放課後、珍しく今日教室掃除を任命されている面々は誰一人として脱走することなくその任務に当たって
いた。理由は簡単。
「――♪」
 実に楽しそうにパタパタと掃除しながら走り回るリオンさんがいるからだ。その姿はその小さな体からは想
像もできないほどテキパキとしている。さすがメイドロボ。
 そういえばリオンさんが掃除しているところを見るのは初めてだな。と、昨夜に何があったかを思い出し
て、慌ててその思考を打ち消す。わー、バカ、俺のバカ。リオンさんが裸で掃除しているところを想像するな
んて。
 とにかく手に持った箒の動きに集中することにする。そうそう、まずは自分のやることをちゃんとやらな
きゃ。
 ざっざっ、ざっざっ。
 一方リオンさんはバケツの雑巾を絞り上げ、片手には濡れ雑巾、片手には乾いた雑巾をもって窓拭きに取
り掛かり始めた。
 あらら、そこまですることないのにな。と、最初の一面をある程度拭いたところでリオンさんの動きが止ま
る。その視線の先は窓の上半分。そうリオンさんの身長では、2列に分かれた窓ガラスの下側すら全部カ
バーできないのだ。しばらく思案にふけっているように見えたリオンさんは教室内を見渡して、答えを得た。
教室の端に固められていた机と椅子から、一脚の椅子を持ってきて、上履きを脱ぐと椅子を踏み台にして窓
を拭き始めた。
 お、それならなんとか下側なら全部拭けそうだ。
 って、箒が全然動いてないぞ、俺ーーーーー!!
560メイドロボのいる(学校)生活6 6/8:05/01/21 14:00:01 ID:tSFXpSmQ
 ようやく掃除が終わってリオンさんと一緒に電算室に行くと、今日も珊瑚ちゃんはうさぎイルファさんと謎の
ダンス。どうやら結構煮詰まっている様子だ。どの記憶を消すか、というのはやはりそう簡単に割り切って考
えられるものでもないらしい。椅子をひとつ引っ張ってきて、二人を見守っている瑠璃ちゃんの隣に座る。
「どう、進んでる様子?」
「よぉ分からんけどあかんっぽい」
「そっか、でも例えば忘れたい出来事を簡単に忘れられるっていうのは便利そうだけどな」
「それはあ〜か〜ん〜」
 珊瑚ちゃんがずしゃあと机に突っ伏す。
「え、なんで?」
「いやなこと全部忘れとったら、またいやな思いするだけやもん〜。いやや、もうあんなんいややって思うか
ら、おんなじ失敗せぇへんねんで〜」
 あ、そうか。テストで悪い点取った記憶を消しちゃったら、次こそは! なんて思うこともなくなるもんな。そ
れにリオンさんにあんな顔させたことを忘れたら、またさせるに決まってるわけだ。
「ふにゅ〜」
 疲れきった様子の珊瑚ちゃんの頭をうさぎイルファさんがぽんぽんと元気付ける。
「でも遠隔操作の実験のほうは順調みたいだし、そんなに焦ることもないんじゃないかな。イルファさんはど
のくらいで戻って来れそう?」
「それもな〜、おっちゃんがええ機会やからって徹底的にハードメンテするんやて〜。だからもうちょいかかり
そうなんや〜」
「そっか、うさぎイルファさんも可愛いけど、なんかちょっと寂しいね」
 そう言うと、うさぎイルファさんは両手を頬に当ててくねくねと踊って見せた。ああ、なんかそれは俺にも伝
わったよ。
561メイドロボのいる(学校)生活6 7/8:05/01/21 14:01:00 ID:tSFXpSmQ
「貴明様はイルファに早く戻ってきてもらいたいですか?」
 姫百合家からの帰り道、夜道を並んで歩いているとリオンさんが不意にそう尋ねてきた。
「そうだなあ。うさぎイルファさんもそれはそれでいいんだけど」
 少なくとも腹黒さは見えないしな。あれだと。
「まだ2ヶ月くらいだけど家族みたいにしてきたから、やっぱり早く戻ってきて欲しいかな」
「わ、私じゃイルファの代わりにはなれませんか?」
 少し考えてみる。イルファさんの代わりにリオンさんのいる生活。
「うーん、それはやっぱりなにか違う気がするな。リオンさんはやっぱりイルファさんにはなれないよ」
 主に腹黒さとか。と、それは冗談にしておいても、イルファさんは俺にとっての家族みたいなものだ。でも珊
瑚ちゃんと瑠璃ちゃんにしてみれば家族そのものに違いない。それはきっと他のどんな誰でも代用なんてで
きないものなんだ。
 リオンさんの大きく息を吐いた。
「――やっぱり貴明様はイルファを愛しておられるんですね」
「ほえ?」
「いえ、差し出がましいことを申しました。なんでもありません。お忘れください」
「いや、ねえ、なにか勘違いしてない。リオンさん?」
「では、差し出がましい質問を――」
 リオンさんが足を止めて、じっとこちらを見つめてくる。どうもこの家に帰るまでの道のりにはリオンさんを思
いつめさせるなにかでもあるようだ。
「――貴明様は愛してもいないイルファを抱いたのですか?」
562メイドロボのいる(学校)生活6 8/8:05/01/21 14:02:00 ID:tSFXpSmQ
「――ッ!!」
 リオンさんは真剣そのものな表情で立ち尽くしている。
「ならば、私が望めば私のことも抱いていただけるんでしょうか?」
 胃の辺りをガツンと殴られたような気がする。強烈な吐き気、不快感。これはなんだ。
「私のボディはイルファのものと基本的に違いはありません。愛していなくても抱けるのであれば、私とイル
ファ、なんら違いはないと思われますが――」
「やめてくれっ!」
「貴明様、貴明様はやはりイルファを」
「やめてくれと言ったんだ。聞きたくない!」
 両耳を塞いで早足で歩き出す。小走りで追いかけてくるリオンさんの気配。
 なにがこんなにイラつくんだ。なんでこんなに胸がざわつくんだ。
 家に帰りつくと、何も言わずに自分の部屋に戻ってカバンを放り投げ、着替えもせずにベッドに体を投げ出
した。少し遅れてリオンさんが部屋に顔を出してくる。
「――貴明様、お風呂は」
「いい、入りたくない」
「――せめてお着替えを」
「いいんだ。ひとりにしてくれ!」
「はい、電気は消しておきますね……」
 パチンと、部屋の電気が消され暗闇の中に一人になった。
 また、リオンさんにあんな顔をさせてしまった。なにを、なにをやってるんだ。俺は。
『ならば、私が望めば私のことも抱いていただけるんでしょうか?』
 違う違う違う違うっ! そんなことできるわけないだろう!
 枕の下に頭を埋めて、とにかく、一刻も早く眠ろうと思った。まるで眠れば全部忘れられるなんて、本当は
そうじゃないって分かりきっているのに。
563メイドロボのいる(学校)生活6:05/01/21 14:03:00 ID:tSFXpSmQ
当初の予定通り、二日目以降は展開を早めていきます。
シーンシーンがぶつ切りだと感じられるかもしれませんが、間を書いていたらキリがないのでご了承くださ
い。実は行数制限のある掲示板でSSを書くのは初めてで、そういう意味でこのレスごとにぶつぎりになる
書き方は新しい挑戦となっています。
これはこれで結構便利なのですが、もし後で一本にまとめるとしたら、書き直しが必要になりそうですね。
頂ける応援の声が、執筆パワーです。アリガト━━━━━━\(T▽T)/━━━━━━ !!!!!
564名無しさんだよもん:05/01/21 14:04:11 ID:YxkcU0iz
>554
いつもGJです。盛り上がって参りましたね。

スピーディーなのはいいけど>556の最後のこのみのセリフとか
「やったー」じゃなくて「やたー」に直すといいのでは。
推敲してるのはわかるのですが速さと勢い重視っぽいので、一応。
565563:05/01/21 14:11:07 ID:tSFXpSmQ
>>564
ご指摘ありがとうございます。手元の原稿分は訂正しておきます。
これでも何度もゲームを起動して、早送りして、セーブしてロードして
しているのですが、やはり細部までは目が行き届きませんので
どんどんご指摘していただけると助かります。
566名無しさんだよもん:05/01/21 16:55:29 ID:9EyBdICL
>>547
gj!
ウェアロタ
567おっすおら雄二の人:05/01/21 18:15:31 ID:ccw+bpFK
≫566
ありが 
そのGJでかなり救われたよ…
568名無しさんだよもん:05/01/21 20:17:11 ID:RD/OpZJh
>>563
GJ!!
いつも楽しく読ませて頂いています。

毎夜、ブラウザを立ち上げて掲示板を表示させるとSSが書き込まれているので、
その勢いに驚いています(´∀`)

SS書くのは大変でしょうけど、これからもガンバー
5691/6 メイドロボのいる(学校)生活7:05/01/21 21:20:48 ID:tSFXpSmQ
「もっといろんなこと、ためしてみたく、ありませんか?」
 イルファさんに求められたおやすみのちゅ〜。離れようとしたシャツの襟元を掴まれて逃げられない。まだ
唇と唇は5センチも離れていない。珊瑚ちゃんと瑠璃ちゃんはもう1時間以上前に寝てしまっていた。二人が
寝静まってから、イルファさんが静かに細かい片付けをするのを、テレビをなんとなく眺めて待っていた。一
応、イルファさんが眠る――休眠状態になる――寸前まで俺が起きて待っているという週末の習慣。それで
やっぱりいつものようにイルファさんにおやすみのちゅ〜をねだられる。そこまではいつもどおりだったんだ。
そこまでは。
 唇にかかるイルファさんの吐息が熱い。心臓がばくばく鳴り出した。
「な、なに――」
 声がかすれる。状況を理解できない。イルファさんが何を言ってるのかが分からない。
「ちゅ〜だけじゃなくて」
 そう言いながら襟元を引っ張られて、イルファさんからのちゅ〜。いいや、これはキスだ。
「世の中の恋人たちや、夫婦や、行きずりの男女なんかが、今くらいの時間にしてることとか」
 ぎゅっと抱きつかれる。
「してみたいとは思いませんか?」
「い、イルファさん、なにいって」
「――それがダメなら興味はありませんか? 最新型のメイドロボがどこまで人間にそっくりなのか」
 少なくとも押し付けられる胸の柔らかさは、本物にそっくりだ。
「貴明さんも見たじゃありませんか。私の。――その奥がどうなってるのか気になりません?」
 結局のところそれが始まりで、その一回で終わりにはならなかった。
5702/6 メイドロボのいる(学校)生活7:05/01/21 21:22:00 ID:tSFXpSmQ
「貴明様、起きてください。貴明様」
 ゆさゆさ。ゆさゆさ。
 うーん、なんか夢見が悪かったんだ。頼むからもうちょっと寝かせてくれ。
 一度は暑くて蹴飛ばしていたらしい布団をもう一度引き上げてその中に退避する。
「ダメですよ。貴明様。遅刻しちゃいますよ」
 ゆさゆさ。ゆさゆさ。
「起きないと、ちゅ〜しちゃいますよ」
 がばっ! 一発で目が覚めた。
「あら、ちょっと残念」
 頭を振って状況確認。目覚ましが鳴る時間だが、止められている。そんでリオンさんが起こしにきてる。
「はいはい、貴明様、制服を着替えてくださいね」
 ベッドの上にきれいに畳まれた制服がぽんと置かれる。
「それとも今からお風呂に入られますか? そうなら用意いたしますが」
「シャワーにするよ」
「はい、承知しました」
 今おいたばかりの制服と、タンスから勝手に下着の替えを出して、まとめて下に持っていくリオンさん。
「くそ、昨日のことなんとも思ってないのかな」
 頭を振る。まだ目が覚めきっていないらしい。よく覚えてないが、夢もよくなかったようだ。それでも少なくと
もリオンさんが何事も無かったかのように振舞っているのは分かった。だったらこっちもそう振舞おう。
5713/6 メイドロボのいる(学校)生活7:05/01/21 21:23:00 ID:tSFXpSmQ
 放課後、今日こそは本当に一度研究所に帰らなくてはいけないというリオンさんは、掃除が終わるとそそく
さと帰っていった。本人から珊瑚ちゃん瑠璃ちゃんを優先するように言われたので仕方なく見送って電算室
に向かう。扉を開ける前に中の会話が少し聞こえてきた。
「おっちゃんがイジワルやねんよ」
「そうなんかなぁ、貴明がにぶいだけとちゃうん?」
「何? 何の話?」
 瑠璃ちゃんがぎょっと椅子から腰を浮き上がらせた。珊瑚ちゃんは机につっぷす最近のスタイルだ。
「う〜、みっちゃん、おっちゃんにいじめられとんねん〜」
「みっちゃんというと、クマ吉だっけ?」
 確かいっちゃんがイルファさんで、みっちゃんが、ミルファ、だっけ? とにかくクマ吉のことだ。それでしっ
ちゃんがシルファで、二人ともイルファさんと同型の姉妹なんだっけか。
「貴明ぃ、クマ吉クマ吉って、そう呼ばれるほうの気持ちは分かってるんかいな」
「そういわれても、クマ吉はクマ吉だしなあ」
 ふさふさであったクマ吉を思い出す。とはいってもあれは擬似ボディだったというから、今はイルファさんと
同型になっているはずだ。リオンさんも含め全員集合したらすごいことになるんだろうな。果たして見分けが
つくのかどうか。
「で、そのクマ吉がどうしたの?」
「テスト受けてるんや〜。でもみっちゃんあんまり我慢きくほうやないさかい、心配なんよ〜」
「へぇ、メイドロボにもテストがあるんだな。って当然といえば当然か。それはどんなテストなの?」
「環境適応テスト〜。だいこん・いんげん・あきてんじゃーは何かを無理してやらせるのにむいてへんのよ
〜。そやからそのへんは強制プログラムがどれくらい有効か、ってことと、本人の自制心しだいやねん」
5724/6 メイドロボのいる(学校)生活7:05/01/21 21:24:00 ID:tSFXpSmQ
「で、それと俺がなにか関係あるの?」
 びくっと瑠璃ちゃんが身をすくませる。
「あ、あらへんよ」
「あるよ〜☆」
 珊瑚ちゃんが両手をあげる。
「ほんまはな、貴明にみっちゃん迎えに行って欲しいねん。みっちゃん、もうそろそろがまんの限界やとおもう
のよ。そこで貴明が迎えに行ったら、みっちゃん、貴明にぎゅーってしてはっぴーや〜☆」
「いや、それはちょっと勘弁したいかも」
「えー、つまらんなあ」
 あの小さかったクマ吉にさえそこそこの手傷を負わされたというのに、人間大のサイズで対峙するとなると
命の覚悟が必要だ。悪気があるかどうかはともかくとして。
「でもみっちゃん、かなり思いつめとったからなあ。無茶せぇへんかったらええねんけど」
「珊瑚ちゃんから言ってあげたら、そのおっちゃんもテスト止めてくれるんじゃない?」
「それはあかんー」
「なんでさ?」
「このテストはみっちゃんが望んだものやから」
 珊瑚ちゃんは少し寂しそうな笑みを見せる。
「だから最後まで見守ってあげたいんよ」
「そっか」
 娘の巣立ちを見守る母親の心境といったところなのかもしれない。
「ま、あんまり根詰めて考えてばかりでも大変だから、今日はとりあえず帰ろうか」
5735/6 メイドロボのいる(学校)生活7:05/01/21 21:25:00 ID:tSFXpSmQ
 姫百合家から帰ってくると、玄関前にぽつんと人影。両手に小さな買い物袋と、少し大きめのバッグを持っ
たリオンさんだった。
「おかえりなさいませ。貴明様」
「ただいま、リオンさん。まさかずっと、待ってたの?」
「いえ、私も今こちらについたところです。間に合うように用事は済ませてきました」
「そう、とりあえず入ろっか」
「はいっ」
 二人で家の扉をくぐる。リオンさんはパタパタと台所のほうに消えていった。
「貴明様、晩御飯は食べてらしたんですよね〜」
「ああ、うん」
「それじゃあお風呂いれてきますね〜」
「お願いするよ」
 今日は風呂場でのリオンさんの襲撃もなく、平穏無事に一日が終わりに近づいていく。
「貴明様、何をみてらっしゃるんですか?」
 お風呂上りのリオンさんがパジャマ姿でやってくる。ああ、なるほど。あのバッグの中身は生活用品か。
「なんだろ」
 テレビを見てはいたが、別に集中してて見てたわけじゃない。リオンさんはクスリと笑って、細々とした片づ
けを始める。ソファのクッションの位置を直したり、テーブルの角度を修正したり、そういったことだ。
「なんだか恥ずかしいですからテレビを見ててください」
「あ、ああ、ごめん」
 いつの間にかじーっとリオンさんの仕事を凝視していたらしい。
5746/6 メイドロボのいる(学校)生活7:05/01/21 21:26:00 ID:tSFXpSmQ
「リオンさん、こっちきてくれる?」
「はい、なんでしょう?」
 玄関で何かをやっていたリオンさんはすぐにやってきて、ソファに腰掛ける。
「まず昨日はごめん。変に取り乱した」
「あ、はい、いえ、お気になさらなくて結構ですよ。私のほうこそ変なことを言って申し訳ありませんでした」
「ううん。違うんだ。ちゃんと聞いて欲しい。確かにリオンさんはイルファさんにはなれない」
「――はい」
「でもイルファさんはリオンさんにはなれない」
 今日一日ぼんやりと考えていた。なによりも何故昨夜自分はあんなに取り乱したのだろうか?
「確かに俺はイルファさんに好意を持ってる。珊瑚ちゃん風に言えばすきすき〜だ。そして、まあ、なんという
か、そういう関係を持ってもいる」
 また何故リオンさんがイルファさんのことを出して、その関係性を自分にも当てはめようとするのか。
「でもだからといって、イルファさんと入れ違いでやってきたリオンさんが、イルファさんの代わりになろうとす
る必要なんてないんだ。リオンさんはイルファさんの代用品なんかじゃない。リオンさんはリオンさんだ」
 そしてまた自分はリオンさんの好意をどう受け止めたいのか? リオンさんの好意がプログラムかどうか、
という問題じゃない。もう1週間とちょっとしかないこの時間だけの関係だから、という問題でもない。ただ、
自分がどうしたいか、ということだ。
「だからイルファさんが戻ってきても、リオンさんの居場所は変わらないし、短い間だけどその間はずっと俺
のメイドロボでいてほしいと思ってる。だからあんまり無理はしないでほしいな」
「――はい、はい、ありがとうございます。貴明様。本当に――ありがとうございます」
 リオンさんは顔を伏せてしまう。
「あ、あれ、おかしいです。すごく嬉しいのに、貴明様の言葉がすごく嬉しかったのに、笑顔になれないんで
す。どうしてでしょう。故障しちゃったんでしょうか?」
「どうしてだろうね」
 俺にも分からなかった。でもなにかそれはとても好ましいもののように思えた。
575メイドロボのいる(学校)生活の人:05/01/21 21:32:14 ID:tSFXpSmQ
>>567
俺もワロタよ。毎回楽しみにしてた。

>>568
そうやって言っていただけるのが何よりもの報酬であります。サー。
576名無しさんだよもん:05/01/21 21:39:35 ID:T+2BWpEB
はやっ!もうあがってるとは・・・
そしておもろかった(・∀・)!
577名無しさんだよもん:05/01/21 21:59:55 ID:mqEQFCzs
>>575
素朴な疑問としては、この先濡れ場があるかないかだな!!
578名無しさんだよもん:05/01/21 22:30:02 ID:XV1fIhje
>>569の部分にかなりときめいてしまいますた
579名無しさんだよもん:05/01/21 22:44:56 ID:J/vftD9c
ネタバレ。リオンはクマ吉。
俺の予想は当たる…。
580名無しさんだよもん:05/01/21 23:07:59 ID:mLwyNn/C
おまいらさまがた、このスレ的に鬱話はどうなんでしょか?
需要とかあるんでしょおか・・・?
581名無しさんだよもん:05/01/21 23:18:25 ID:/FxgjeWz
思いついたら書けばいいさ
582名無しさんだよもん:05/01/21 23:22:53 ID:d08Arq59
らじゃ。書き上げたら投げ込みます(`・ω・´)
583名無しさんだよもん:05/01/21 23:27:07 ID:tSFXpSmQ
>>580
オマイが欝話書かなかったら、オチを欝モノにする!
いや、マジで今迷ってる orz
みんなたち的にはどーなのよ?
584名無しさんだよもん:05/01/21 23:29:55 ID:jzWwKDzQ
個人的には嫌いだけど好きな人もいるからいいんでないの
585名無しさんだよもん:05/01/21 23:33:35 ID:P+Ry2ld0
ぶっちゃけ面白ければエロでもバトルでもほのぼのでも鬱モノでも何でもいいよ。
妄想はできても文章にできない自分が悲しい・・・
586名無しさんだよもん:05/01/21 23:35:04 ID:P+Ry2ld0
間違えた
○欝モノ
×鬱モノ
587名無しさんだよもん:05/01/21 23:39:06 ID:tSFXpSmQ
レスdクス
まだもうちょいだけ先だし、両方用意して最後の瞬間に決めるよ。
>>586
俺が間違ってたような気もするが orz
588名無しさんだよもん:05/01/21 23:42:14 ID:gnnLNiNd
「面白い」という言葉に隠れたプレッシャーが・・・
面白くなくても勘弁してください(;´д`)
>>583
おいらもどうしようか迷ってるんよ
ってことで好きなの書こうぜ(・∀・)人(・∀・)
589名無しさんだよもん:05/01/21 23:43:16 ID:h5arCw7l
鬱モノが正解
590名無しさんだよもん:05/01/21 23:48:13 ID:tSFXpSmQ
誤字大王ケテーイ(゜∀。)アヒャヒャ

>>588
自分が楽しんだもの勝ちってこったな(・∀・)人(・∀・)
591名無しさんだよもん:05/01/21 23:51:22 ID:V7eZ3qK5
鬱モノでもレイープとか勘弁な。天いなみたいなのならアリ。
592名無しさんだよもん:05/01/21 23:54:47 ID:VIoqjUXk
(エロネタなんて書けねぇ・・・なんて言えないよなぁ
593名無しさんだよもん:05/01/21 23:57:25 ID:V7eZ3qK5
>>592
エロなし大歓迎!ほのぼのらぶらぶ待ってます。
594名無しさんだよもん:05/01/22 00:19:28 ID:wvk7JU1D
ところでオリジナルキャラSSってのはやっぱり難しいのか?
いまんとこ出てるやつ見るとイイのとイマイチなのではっきり分かれてるし。
そりゃ、自分は書けと言われても無理だけど
595名無しさんだよもん:05/01/22 00:26:08 ID:W87PJwIe
うまくそのキャラで話を回せればいいけど、かと言って既存キャラより
目立ってもいかんだろうし。ほど良いさじ加減が必要ですな。
自分はオリキャラありでもいいほう。でもそのキャラが主人公と結ばれるとかになると
ちと行き過ぎかなって思うけど。
596名無しさんだよもん:05/01/22 00:34:42 ID:2U1YIW0p
男キャラなら結構オリキャラの話つくりやすそうな気がするな。
例えば一年or二年生でタマ姉に片思いな奴とか
597名無しさんだよもん:05/01/22 00:35:11 ID:/+hetS8D
郁乃嫉妬SS書いてるんだけど、ちょっと俺の中に郁乃の霊が降りてきたんでなんか長くなりそう
すらすら書ける

鬱モノでもどんどん書くべし
って言うか俺なんて今までに書いたSSの八割強が鬱モノだし
598名無しさんだよもん:05/01/22 00:38:00 ID:l3cXGFVX
漏れは九割否定するタイプだが、まぁ結果としてまとまってれば問題ないかと。
ただ既存のキャラだけでどこまで書けるかが二次創作の腕前かなぁ      とか生意気なことほざいてみるテスト。


>>tSFXpSmQ
ガンガレ、もっとイルファをエロくしてくれ!
599名無しさんだよもん:05/01/22 00:44:41 ID:712NdDsu
まあオリキャラは間違いなく難しいでしょ。
ほぼゼロがらプロット起こしたりなんだり。俺じゃ無理
図書委員のSS書いてる人もいるみたいだが、今はあれでもとにかく続けてほしい。
文章とかストーリーなんて書くだけ上手くなっていくしね。
600名無しさんだよもん:05/01/22 00:44:49 ID:9jX8o7TD
雄二がオリキャラの女の子に恋をして(またはされて)
貴明、このみ、タマ姉達がそれを応援するって話とか。
言うのはタダだしなーw
601名無しさんだよもん:05/01/22 01:39:35 ID:0xQz9fp4
>>595
>でもそのキャラが主人公と結ばれるとかになると
一瞬ウホッな展開なのかと思った
女のオリキャラね…
602名無しさんだよもん:05/01/22 02:08:50 ID:rH3rRO3D
>>575
寝る前にチェックしてみたら・・・もう書きあがってる!?
同じ日にw GJ!

内容も、ドキドキウハウハで妄想が膨らみますた(*´Д`)

結構長くなってますが、途中で飽きがこなく読み応えアリで、
先がとても期待できます。この調子でがんば〜〜。
603タイトルなし(1):05/01/22 02:39:59 ID:OHZ6OZT2
貴明
「ただいまー!」

瑠璃
「あっ…おかえり…なさい。」

俺が姫百合家に引っ越してはや1ヶ月…。
最初は色々戸惑う事はあったが、それでも慣れてしまえば彼女達との共同生活は楽しく、毎日は薔薇色だった。

貴明
「あれ?瑠璃ちゃん一人?
珊瑚ちゃんとイルファさんは?」

いつもだと玄関を開けると同時に珊瑚ちゃんに抱きつかれるかイルファさんに晩御飯の毒味!?(珊瑚ちゃん&瑠璃ちゃんに食べさせる前の味見役)をせがまれるのだが…。
ところが今日はそのどちらもない。
居間に瑠璃ちゃんの姿が見えるだけであった。

続く
604タイトルなし(2):05/01/22 03:11:28 ID:OHZ6OZT2
少し気になった俺は二人はどうしたのか尋ねてみた。

瑠璃
「う…うん。
さんちゃん、今日は長瀬のおっちゃんのとこで大事な用がある…言うてたから。
よう分からんけどイルファの妹の事で何かあるらしい…せ、せやからイルファとさんちゃんは研究所に行きよったよ…。」

全くテレビから目をそらさずそう応える瑠璃ちゃん。
どんな面白い番組をしてるのか…とテレビ画面を見るが、今、映し出されているのは普通のニュース番組。
しかも天気予報…。

貴明
(天気予報マニア?)

怪訝な目で見つめらて気になったのかムスッとした感じの瑠璃ちゃん。

続く 
605タイトルなし(3):05/01/22 03:24:21 ID:OHZ6OZT2
瑠璃
「なっ…何?人の事じっと見んとって!!」

怒られた。
しかし、気のせいか

貴明
(妙にソワソワしてる気が…。
まさか!?)

貴明
「瑠璃ちゃん!!」

声をかけると『ビクッッ!』っと背中を反らせ、その状態で固まる瑠璃ちゃんに…。

貴明
「トイレ…我慢してる?」

思い切って尋ねてみる。

続く
606タイトルなし(4):05/01/22 03:36:48 ID:OHZ6OZT2
と、同時に瑠璃の拳がみぞおちにめり込む!

瑠璃
「ばっ…バカたかあきぃ!
そんなんとちゃうわーー!!!」

顔を真っ赤にして叫ぶ瑠璃ちゃん。

貴明
「ごめんごめん!冗談だって!」

瑠璃を必死になだめる貴明。

貴明
「でも、その様子だと今日は二人とも帰りは遅いか…帰ってこないんでしょ?
…どうする?」

貴明の瞳に妖しい光が宿る。

続く
607名無しさんだよもん:05/01/22 03:52:18 ID:ycJmgisH
>606
メモ帳にまとめて書いてから投下するといいのでは?
さすれば1レス毎に「続く」と書く必要はないと思うでぃす。
608タイトルなし(5):05/01/22 03:58:34 ID:OHZ6OZT2
瑠璃
(ゴニョゴニョ)

聞き取れないほど小さな声で囁く瑠璃ちゃん。

貴明
(まぁ…何を言いたいか分かってるけど…)

貴明の顔が徐々ににやけてくる。そして…

貴明
「ん?何?聞こえないんだけど。」

わざと聞き返す。

瑠璃
「…する。」

貴明
「何を?」

こういう時の瑠璃ちゃんはたまらなくいじめたくなる。
普段なら蹴りの一つでも飛んできそうだが…。
今は違う。

瑠璃
「え…Hっちい…こと。」

耳まで真っ赤にしてそうこたえる瑠璃。

続く…かも
609名無しさんだよもん:05/01/22 04:08:49 ID:OHZ6OZT2
…と言うわけで
おっすおら雄二の人でつ。
ネタ師的な見方をされていた気がしたので即興で悪いがエロさそてもらったりしたが…
眠いから落ちまつorz
続きは後日…(∀`)
と言ってみる。
610名無しさんだよもん:05/01/22 04:49:59 ID:l3cXGFVX
スゲェ掴みイイな…………

ところで姫百合瑠璃って身長何cm?
瑠璃の身長が何cmなのかによって80cmがデカいのか小さいのか、
およそのトップとアンダーがわかるってもんじゃないか
611名無しさんだよもん:05/01/22 07:36:47 ID:ZvEoMUQE
607も言ってる通り、続くは書かんでいいと思いまつ
いい感じなのだが「続く」で話が途切れる感じがしました
とりあえず続きを期待(・∀・)
612名無しさんだよもん:05/01/22 07:55:55 ID:IrcnlwTw
>>609
        ☆ チン  〃  ∧_∧   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          ヽ ___\(\・∀・)<  続きまだー?
             \_/⊂ ⊂_)_ \_______
           / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/|
613名無しさんだよもん:05/01/22 08:52:31 ID:1vjZh1i8
>>609
        ☆ チン  〃  ∧_∧   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          ヽ ___\(\・∀・)<  続きまだー?
             \_/⊂ ⊂_)_ \_______
           / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/|
614名無しさんだよもん:05/01/22 09:41:35 ID:r6C5CQaM
ちょっとスレ汚しに来た
615名無しさんだよもん:05/01/22 09:42:38 ID:r6C5CQaM
「それじゃあね・・・」
俺は何も返せなかった。耳にも入っていなかった。
―――俺達の関係が壊れることなんてあるはずがない―――
どこかでそう安心しきっていた。
ただただ二人の平和な時間が過ぎていくと思っていた。
いつまでも変わらずに、手を引いて行けると思っていた。
だが、それも今日で終わりなのだ。
今日からは違う道を歩く二人。
もう、一秒前には戻れない。

俺は、愛佳の後姿を見送ることしか出来なかった・・・。


616二人の日々:05/01/22 09:44:33 ID:r6C5CQaM
「そうなんだよぉ〜。もう、困っちゃうよぉ・・・」
「へぇ〜、そうなんだ」
いつもの風景。
何気ない話をしながら、俺と愛佳は屋上で昼食を食べていた。
弁当はもちろん愛佳の手作り。
といっても、愛佳の気が向いたときだけなんだけど。
弁当作りっていうのは結構手間がかかるもので、朝早くからそんなことをさせるのは気が引ける。
それに愛佳は冷凍食品とか一切使用せず、全部手作りで仕上げてくる。
本人曰く、いろいろなメニューを作ってみたいそうだ。
そんな弁当だぞ?手間がかかってないわけないだろう。
そんなことを毎日なんてやられたら、ありがたいどころか申し訳なくなってくる。
それにしてもお菓子といい弁当といい、愛佳って家庭的だよなぁ。
「どうかしたの?」
「ん?いや、愛佳の弁当おいしいな〜って」
「や、や、そんなことないよぉ〜」
そういいつつ、赤くなって両手で頬を包む。そんなことあるって。
「ん、ごちそうさま」
「は〜い、おそまつさまでしたぁ〜」
食事を終えて手を合わす。
「ほんと、ありがとな」
「好きでやってるから・・・」
「それでも、ありがと」
「・・・うん」
なんとなく恥ずかしくて、俺達は言葉をなくした。
でも、心地よい静けさだった。
617二人の日々:05/01/22 09:45:30 ID:r6C5CQaM
「五時間目か〜、眠くなりそうでだるいな」
「もう〜、頑張って授業聞かなきゃダメだよぉ」
「わかってるって。でも愛佳だって正直つらいだろ?」
「う〜、それは否定できないかも〜・・・」
不平を言いつつ教室に戻り、俺達は五時間目を迎えた。
主に不平を言うのは俺だけど。

キーンコーンカーンコーン

「それじゃあね」
「おう」
さて、いっちょ気張りますか。
618二人の日々:05/01/22 09:46:35 ID:r6C5CQaM
「〜となって、ここはこうなるわけだ。いいな?」
数学教師の声とチョークの音が教室に響く。
この先生の場合、寝たら何するかわからないからな。
他の奴も、そんなわけで五時間目だというのにきちんと聞いているのである。
ガラガラッ
「すみません、ちょっといいですか?」
数学教師の声をさえぎったのは、戸の開く音と担任の先生だった。
「いいですよ」
「それじゃ・・・小牧、ちょっと来てくれ」
担任は促されると、愛佳を呼び出した。
むむ、愛佳何かしたのか?でも、愛佳って問題とか起こしそうじゃないよなぁ・・・
そんなこと思ってると
「こら、お前達の相手は俺だぞ。小牧のことは気にせず授業に集中しろ」
と数学教師。
そりゃごもっともなんだが・・・、やはり愛佳のこととなると気になる。
といっても外の様子などわかるはずもないしなぁ。
諦めて授業を聞こうとしたとき
ガラガラッ
愛佳と担任の先生が戻ってきた。先生は数学教師に何か話しているみたいだ。
あれ?
俺は愛佳が帰る準備をしているのに気づいた。早退するのか・・・、何かあったのか?
一瞬郁乃のことが頭に浮かんだが・・・あいつは大丈夫だろ。手術も終わったし・・・。
去り際に俺に「ごめん」と手をあわせた後、愛佳と先生は教室を後にした。
「うらやましいやつめ」
「うるさいぞ雄二」

結局その日は久しぶりに一人で帰った。
619二人の日々:05/01/22 09:47:53 ID:r6C5CQaM
次の日、俺が学校に行っても愛佳は来ていなかった。
あれ?愛佳いないや。珍しいこともあるんだな・・・。
愛佳がいない中、時間は過ぎていった。
だが、三時間目になっても愛佳は来なかった。
休みか・・・?昨日何かあったのか?
頭の中で不安が広がっていく。

三時間目が終わり、俺は担任のところに向かった。
「せんせー、ちょっといいですか?」
「ん?なんだ?」
「ま・・・小牧って、今日休みですか?」
「ああ・・・そうだが」
「休みの理由とかって聞いてます?」
「ん〜、特に聞いてはいないが・・・」
「そう・・・っすか」
そして俺は、不安を抱いたまま職員室を後にした。

結局、愛佳の欠席の理由は分からなかった・・・。
620二人の日々:05/01/22 09:49:41 ID:r6C5CQaM
愛佳が休んで2日経った。
今日は来るのかな・・・
期待と不安がつのる中、俺は学校へ向かった。

教室に入るや否や、愛佳の姿を探す。
愛佳は・・・いた!
愛佳を見つけ、俺は席に駆け寄った。
「愛佳!昨日とおとついどうしたの!?」
「たかあきくん・・・」
見上げた愛佳の顔は悲しそうだった。
それに気づいたのか、愛佳は笑顔になった。だが、どこか寂しそうな笑みだった。
「とりあえず、おはよ。久しぶりだね・・・」
「あ、ああ・・・。おはよ。それで・・・」
キーンコーンカーンコーン
チャイムが俺達の会話を強制終了させた。
「後で、話すね・・・」
俺は言葉に従った。

休み時間。俺は愛佳の席に向かおうとした。
だが、愛佳はすぐに教室を出て行ってしまった。
後から話すって言ったのに・・・
俺の中に、不安が満ちてきた。
次の休み時間も、その次の時間も、昼休みでさえ、愛佳とは話ができなかった。

そして放課後になり、ようやく話す時間を得られた。
愛佳も、今度は席に座っていたので、俺はほっとした。
「愛佳・・・」
「うん・・・」
返事はするものの、愛佳は話そうとしない。
「屋上・・・いこう」
俺は愛佳の手を取り、屋上に向かった。
愛佳も拒否の態度はとらなかったので、俺はほっとした。
621二人の日々:05/01/22 09:51:07 ID:r6C5CQaM
屋上についた俺達は、とりあえずベンチに座った。
「ごめんね。休み時間の時に、職員室に行ってたの・・・」
「そうだったのか・・・」
俺を避けてたわけじゃないことを知り、安心した。
「あのね・・・。早退した日にね、いろいろあったの・・・」
「いろいろって?」
「・・・・・・・・・」
核心に迫ると、愛佳は口を閉ざした。
何かあったのは分かるけど、声に出してくれないと分からないよ・・・。
「あのさ、俺じゃ役にたたない?何があったのかはわからないけどさ、
 俺にも愛佳の為に何か出来ることってないか?」
愛佳はうつむいたまま、黙って俺の話を聞いていた。
「言いたくないことは言わなくてもいいけど、俺に出来ることがあったら言ってくれよ。
 前にさ、もっと迷惑かけていいって言っただろ?
 それに、その・・・彼氏だし・・・。」
彼氏という言葉に、愛佳はビクッと肩を振るわせた。

「―――――ごめん」
しばしの沈黙の後、愛佳の口からようやくその一言だけが聞けた。
「そっか・・・」
「そ、そうじゃなくて・・・」
そう言って、愛佳はまた押し黙った。
なんでだよ?俺じゃダメなのか?俺には何もしてやれないのか?
遠慮してるのか、とも思ったが、愛佳の様子を見ているとそうは思えなかった。
622二人の日々:05/01/22 09:52:06 ID:r6C5CQaM
赤く染まる空の下で、言葉もかわさずにただ座りつづける二人。
そこには心地よい静けさなど無かった。
気まずい空気が流れていた。

「たかあきくん・・・。聞いてくれる?」
意を決したのか、愛佳は真剣な目で俺を見た。
「あのね・・・。私、転校することになったの・・・」
「え・・・」
「だから、休み時間の間に先生の所に行ってたの・・・」
不意打ちな言葉。俺の思考が停止した。
「転校って、どういうこと?」
「その・・・、親がね、転勤することになったの・・・」
「そんな・・・」
信じられなかった。信じたくなかった。
「郁乃の療養費のこととかもあるから、一人暮らしとかは出来ないから・・・」
「・・・・・・・・・」
「転校したら、多分もどって来れないと思うの・・・
 もう・・・会えないと思うの・・・」
「そんな・・・」
胸が締め付けられる思いだった。一言、嘘だと言って欲しかった。
「だから・・・」
愛佳の頬に涙が伝う。聞きたくなかった。その先の言葉を・・・


    わかれよ・・・。わたしたち・・・


623名無しさんだよもん:05/01/22 09:56:30 ID:r6C5CQaM
いじょです。初めての鬱系に挑戦で愛佳との別れ話書いてみました。
続きは・・・どうしよう?
624名無しさんだよもん:05/01/22 10:01:16 ID:+ITGNb7G
>>623
できればハッピーエンドにして欲しい…と言いたいところだが、無理強いはできんか。
続きはあんたが書きたいと思うなら書けばいい。
俺は鬱話は苦手なんでスルーしとくけどな。
625名無しさんだよもん:05/01/22 10:10:11 ID:r6C5CQaM
続き書きたいんだけど、時間がかかるんよ・・・(´Д⊂遅筆デスカラ
一応ハッピー(?)を考えてはいるのだが・・・
626名無しさんだよもん:05/01/22 10:21:55 ID:IrcnlwTw
>>625
胸が締め付けられたぜ。コンチクショウ。
鬱というより、二人のさよならが悲しいけどいい別れになることを期待してる。
好き同士がやむを止まれぬ事情で離れていく、という話は大好きだ。
続きを待ってる! 遅筆は気にするな!
俺はここんとこ勢いでがんがってきたが、今ちょっと壁に(´・ω・`)
6271/12 メイドロボのいる(学校)生活8:05/01/22 12:57:58 ID:IrcnlwTw
 ――翌日。
「たっかあきさまぁ〜♪」
 びくっと体が震えた。というのも
「たかあき、さまぁ?」
 じろりと6つの目がこちらを凝視している。時間はちょうどお昼時、レジャーシートを広げたいつもどおりの昼
食会が始まろうとしていた、はずだった。
「り、りりり、リオンさん」
 背後から声をかけてきたのは当然リオンさんだ。学校では河野さんと呼ぶことにしていたはずだったし、こ
れまでは大丈夫だった。それが何故急に?
「実は貴明様に食べてもらおうと思ってお弁当作ってきたんですよー」
 ひょいと後ろ手に持っていた布に包まれたお弁当箱が差し出される。朝から妙に機嫌が良かったと思った
らこういうことか。しかしすでにレジャーシートの上にはこのみのお弁当にタマ姉の重箱弁当がどんと鎮座お
わせられていて、それだけでもすでに食べきれるかどうか、という量だ。
「はい、どうぞ〜」
 リオンさんはこのみとの間にすとんと座って、お弁当一丁追加。これはなんというか致命的な量だ。端から
見て人数と照らし合わせてみればなんら問題はないように見えるだろうが、内ひとりは一切手をつけない。
つけられないのだから、単純にひとり分増えたということだ。
 救いを求めて三人の顔を伺ったが、
「たかあき様、当然私のお弁当もちゃんと食べてくださるわよね?」
「貴明さま、俺にも当然分けてくれやがるんでしょうね?」
「たかあきさま、このみのお弁当もちょっと食べるー?」
 得られたのは色んな意味で死刑宣告だけだった。
628名無しさんだよもん:05/01/22 12:58:07 ID:shbcacRb
別れエンドのほうが書くの難しそうだな
おれ的にはどっちでもいいので続ききぼーん
6292/12 メイドロボのいる(学校)生活8:05/01/22 12:59:02 ID:IrcnlwTw
 そのまた翌日。
「しっかしお前はなんというかまあ、人の忠告を聞かないことに関しては天下一品だな」
 二人前の昼食を取ることになった二日目の昼が終わった5時限目。タマ姉も量を減らしてくれればいいの
に、ここぞとばかりに量と手間を増やしてきた気すらする。
「どういうことだよ?」
「すっかりリオンさんとラブラブだっちゅうことだよ」
 ぐりぐりぐりと頭に拳が突きつけられる。
「そ、そんなんじゃないって」
「おーおー、よく言うよ、貴明さま」
 雄二は額に手のひらを当てて、遠くを見ようと少し上半身を突き出している。その視線の先はプールだ。そ
う、今日女子は今学期最後のプール授業となっている。男子は代わり映えしない野球。絶対面倒くさがって
るぞ。体育教師。
 とりあえずは一回表、こちらの先行で雄二とともに日差しの中で打順待ちしているところだ。
「くそ、遠目じゃいまいちよく分からん。貴明、どこかに双眼鏡ないか?」
「ないし、あったとしてもそんなの使ってたら体育教師が飛んでくるぞ」
「くっそー、男の浪漫が分からんやっちゃなあ。お、あれリオンさんじゃないか?」
 言われて見てみると、確かに遠目ではあるもののリオンさんらしき姿がプールサイドに立っている。
「あっさり釣られやがって、分かりやすいぜ。貴明」
「うるさい!」
6303/12 メイドロボのいる(学校)生活8:05/01/22 13:00:00 ID:IrcnlwTw
 しかし栗色の髪の間からイヤーカバーが見えているような気がするからにして、あれはやっぱりリオンさん
なんだろう。メイドロボって泳げるんかな? 一応完全防水だとは聞いてるし、お風呂にだって入ってるから
大丈夫だとは思うけど。
「リオンさんのスクール水着姿かー、くぅぅ、もっと近寄りたいぜ」
「そっかな」
「そりゃお前は毎日そばでもっとすごいのを見てるんだろうから、そう思わないだけだ。このブルジョワジー
め! プロレタリアートはこうやって富を遠くから眺めることしかできんのだっ!」
「見て、ねぇ!」
 強く否定したつもりだったものの、いまいち迫力に欠けたのは自分でも分かる。そりゃ見てないとはいえな
いさ。見たさ、見えちゃったさ。でもわざとじゃないんだ。あれはリオンさんのほうが。
「しっかしリオンさんのスタイルは抜群だな。クラスの女どもが霞んで見えるぜ」
 それはなんかの色目が入ってるだろと思わないでもなかったが、リオンさんのスタイルがいいのもまた事
実だ。そりゃだってメイドロボだもんな。スタイルの崩れようがない。
 なんとなく遠目で見ていても、リオンさんのスタイルの良さが改めて確認できる。
 そのとき準備体操を終えたリオンさんがきょろきょろと頭を振ったかと思うと、こちらを見た。そしてこちらに
向かってぶんぶんと手を振って見せた。
「――――!!」
 両手を口に当てて何かを叫んでるようにも見えるが、なにも聞こえない。俺はなにも聞こえないぞ。
「……なんというか、貴明さま、ちょっと同情するぜ」
 ニヤニヤ笑いやがって、絶対同情なんかしてないだろ。お前。
6314/12 メイドロボのいる(学校)生活8:05/01/22 13:01:00 ID:IrcnlwTw
 さらにそのまた翌日。
 半ドンの授業を終えた俺とリオンさん、そして珊瑚ちゃんと瑠璃ちゃんはそろってバス停の前に立ってい
た。別にこれから4人でどこかにでかけようというわけじゃない。その逆だ。
 一台のバスがやってきて止まり、そこからよく見知った顔が降りてくる。
「ただいま戻りました。瑠璃様、珊瑚様、貴明さん、そしてリオンお義姉様」
 そう言ってにっこりと笑ったのはうさぎじゃないイルファさんだった。
「無線のほうはどうなん?」
 少し心配そうに瑠璃ちゃんが尋ねる。
「ええ、少し違和感はありますけど、思ったほどじゃありません。問題ありません」
 そうか、それは本当に良かった。しかし――
「こうやって並べてみると、本当にそっくりだなぁ」
 珊瑚ちゃん瑠璃ちゃんと、イルファさんリオンさん。双子美人姉妹二組に囲まれてる状態だ。
「当然じゃないですか。貴明さん」
 5人になって帰り道を歩き出す。
「いっちゃんのお帰りパーティする〜☆」
 という珊瑚ちゃんの提案でとりあえずは買出し。
「今日は腕を振るいますねっ!」
 腕まくりをするイルファさん。いや、まだまくるのは早いから。
6325/12 メイドロボのいる(学校)生活8:05/01/22 13:02:00 ID:IrcnlwTw
 あー、食べた食べた。ここのところ昼食は過食気味だけど、今日はまあ仕方ないだろう。ソファにごろりと
横になって食後の怠惰な時間を満喫することにする。キッチンでは瑠璃ちゃんとイルファさんが後片付けを、
リビングの片付けはリオンさんが担当している。
「貴明様、食べてすぐ横になると牛さんになっちゃいますよ」
「あー、そうするよ。俺は牛になる」
 ごろごろ〜ごろごろ〜。
「そうや〜☆」
 そのとき、コンピューターにかじりついていた珊瑚ちゃんが両手を挙げた。
「そうやそうやそうや〜〜そうや〜♪」
 挙げられた状態からキーボードに振り下ろされた指は途端に機関砲に変わる。うわぁ、指が20本はあるよ
うに見えるぞ。
「どうされたんですか? 珊瑚様」
 手を拭きながらイルファさんが入ってくる。
「そうや〜、いっちゃんは忘れんぼさんになるんや〜☆」
「はぃぃ?」
6336/12 メイドロボのいる(学校)生活8:05/01/22 13:03:00 ID:IrcnlwTw
 珊瑚ちゃんの長く分かりにくい話を俺なりに要約するとこういうことになる。ダイナミック・インテリジェンス・
アーキテクチャにおける記憶容量で大きなウエイトを占めるのが実はデータ同士のリンク。あるデータとある
データの関連性を繋ぎとめておくためのもの。たとえば河野貴明のデータがあれば、そこからは無数のリン
クが伸びている。このみや雄二のような人間関係。学校などの所属、国家との関わりに至るまでありとあら
ゆるデータにそのようなリンクは用意され、またそこにはその関係性の概要まで書かれている。これが河野
貴明というデータとその周りだけなら問題はないが、そこから伸びた例えば姫百合珊瑚からはまた同じよう
に無数のリンクが広がっている。ここにさらに姫百合瑠璃が加わると、単純に一人分のデータが追加される
というだけでなく、河野貴明のデータにも、姫百合珊瑚のデータにも、学校のデータにも、国家のデータに
も、姫百合瑠璃に対するリンクが追加される。だから知っている世界が広がるたびに、その容量は爆発的に
増大していく。
 以前は大本のデータを消すことで問題解決する方向を模索していたが、それはデータとリンクを一体化し
て考えられていた。例えば容量が一杯で危ないのであれば、重要度の低い――例えばの話だ、多分――
向坂雄二のデータを消す。これによって向坂雄二から伸びるリンクだけでなく、そのほかすべての向坂雄二
に繋がるデータからもリンクが消えることになる。総データ数が大きければ大きいほど、一つのデータを消す
ことによって得られる空き容量も増えるというわけだ。
 しかし向坂雄二のデータが重要度が低いのかどうか、という評価が如何に下されるべきかが問題だった
し、また改めて向坂雄二のデータが追加されれば元の木阿弥だ。
6347/12 メイドロボのいる(学校)生活8:05/01/22 13:04:00 ID:IrcnlwTw
 そこで珊瑚ちゃんが思いついた方法が、リンクの段階的消去と、データの劣化圧縮であった。
 まず各リンクには耐久値が用意され、一定期間ごとに値は減っていくが、参照される度に値は追加され
る。参照が繰り返されるほどに耐久値は上がり、放置されるほどに減って行き、やがて0になると消滅す
る。例えば河野貴之と向坂雄二が友人であるというリンクは、それを再確認することなく一定期間が過ぎる
と忘れ去られてしまう、ということだ。河野貴明のデータが消えるわけでも、向坂雄二のデータが消えるわけ
でもない。だから別のリンクを辿っていけば河野貴明のデータから向坂雄二のデータにたどり着けないという
ことは決してない。これによってデータの接続性は死なない。
 続いてデータの劣化圧縮とは例えば100メガバイトの写真データがあるとして、32万色を16万色に抑え
たり、サイズを小さくすることによって、見た目的にはほとんど変わらない状態を維持しつつデータ量を大幅
に軽減することはできる。またあまり参照されないようであれば16万色を2万色、256色、16色、2色と段
階的に減らしていく。サイズもどんどん縮小していけばいい。ディティールは失われていくが、情報そのもの
は消えてしまうことはない。例えば向坂雄二――いい加減すまんとは思ってるんだぞ――のデータが長い
時間参照されなかった場合、イルファさんの記憶のなかの雄二が徐々に色あせていく、ということだ。
 本来、必要なありとあらゆるデータを瞬時に参照できるコンピュータというシステムとしては致命的な欠陥
ではある。コンピュータはちゃんとデータの打ち込みさえしていれば1年前に何をしたかというデータをすぐに
引き出してくることができるが、そのシステムを導入してしまうとその一年前のできごとがよほど印象に残る
ことでないかぎり思い出せない。または思い出せても詳細までは分からない。
「秘書にするには失格って感じだよな」
「私はもともと「友達」になるためのメイドロボですから、それでもいいのかもしれません」
6358/12 メイドロボのいる(学校)生活8:05/01/22 13:05:00 ID:IrcnlwTw
「でもまあ、なんにせよ、これで一安心ってところだよ」
「そうですね。現状でほとんど問題はありませんが、やっぱりなにか気にはなるんですよ」
 そう言ってイルファさんは頭をコツンと叩いた。
「で、プログラム自体はどれくらいで完成しそうなの?」
「う〜、そんなすぐには無理や〜。とりあえず基本設計をおっちゃんとこ送ったからすぐ取り掛かってくれると
は思うよ〜」
 うーん、と、珊瑚ちゃんが大きく伸びをする。
 ここのところずっとこの問題にかかりきりで大変そうだったからな。今日はゆっくり羽を伸ばしてもらいたい
ものだ。そう思っていると立ち上がった珊瑚ちゃんがまっすぐこちらに歩いてくる。
「貴明、抱っこ〜☆」
 なんですとっ!
 しかし有無を言わさず珊瑚ちゃんは膝の上に飛び乗ってくる。
「あーーーーーーーーーーーー!!」
 瑠璃ちゃんの叫びがリビングを揺るがすものの、イルファさんが「まぁまぁ」となだめに入る。
「さ、さ、珊瑚ちゃん?」
「くぅ〜♪」
 呼びかけてみたものの、すでに珊瑚ちゃんは夢の中に行ってしまっていた。本当に根を詰めてたんだな。
仕方ない、今はゆっくり休ませてあげよう。
6369/12 メイドロボのいる(学校)生活8:05/01/22 13:06:00 ID:IrcnlwTw
「ところで貴明さん、今夜は泊まっていかれるんですよね?」
 珊瑚ちゃんが完璧に熟睡モードに入ってしまったので、ベッドに寝かせに行ってると、イルファさんからそう
声をかけられた。
「う〜ん、どうしようかな」
 以前なら泊まっていくのが習慣になってたら、そうしただろうけど、今はリオンさんがいる。船頭多くして、
船山に上る、じゃないけど、リオンさんは結構イルファさんを意識してたから、あんまり長いことそばにいさせ
ると負担になるかもしれない。
「今日は帰ろうかな」
「私の体に飽きちゃいましたか?」
 ふっと耳元に息を吹きかけられる。いつの間にかすぐ後ろに来ていたイルファさんの顔がすぐそこにあっ
た。
「リオンお義姉様の体はそんなに良いんですか? 私ヤキモチ焼いちゃいます」
「な、なにを」
 すぐ横には珊瑚ちゃんが寝ている。ロフトの下では瑠璃ちゃんとリオンさんが一進一退のボードゲーム戦
だ。ここはぎりぎり死角にはなっているけど、ほとんどオープンスペース。少し大きな声を出せば筒抜けだ。
そんな中イルファさんはにじり寄ってくる。体が熱くなってくる。やばい。すでにスイッチはイルファさんに握ら
れてしまっている。
「研究所で体はコードで繋がれてしまって、心は珊瑚様の傍にずっといましたけど、だからこそ体は貴明さん
に触れて欲しくて、それはもう寂しがっていたんですよ」
 ベッドの上の俺の手のひらにイルファさんの手が重ねられる。
「ふふ、今は心があっちで体がこっちですね」
63710/12 メイドロボのいる(学校)生活8:05/01/22 13:07:00 ID:IrcnlwTw
「ちょ、ちょっとまった。珊瑚ちゃんも、瑠璃ちゃんも、リオンさんもいるんだぞ」
「はい、だから静かに、しましょうね」
 にっこり。
 ダメだー! その読点の位置はなんだっ! どういう意味だっ!
 ゆっくりとイルファさんの体が覆いかぶさってくる。
「ん〜〜」
 すぐ隣からは珊瑚ちゃんの寝息。初めて恐怖が如何に興奮と近い感情であるのかを実感した。珊瑚ちゃ
んが目を覚ましたり、なにかの気まぐれで瑠璃ちゃんやリオンさんがロフトの異常に気づけばそこでアウト。
その後はどうなるかとてもじゃないが考えたくなどない。ぞっとする。
 それとまったく同じように密着してくるイルファさんの体にぞっとする。腰の辺りから脳髄に向かって熱い何
かが駆け上がってくる。柔らかい肉の重みがぢりぢりと神経を灼く。唇が――触れる。
「んふ――」
 咥内にイルファさんの舌先が侵入してくる。抵抗できない。体を侵食されていく。
「ぷふぅ……貴明さん、美味し」
 イルファさんの顔が首筋に埋められる。
「だから珊瑚様もきっと美味しいと言ってくれますよ」
 かぷり。首筋に甘噛み。まるで極上の麻薬でも打ち込まれたかのように頭の中が真っ白になる。気がつ
けば手がイルファさんの背中に回されている。
「あ――」
 強く抱きしめると唾液で濡れた唇から悩ましい吐息が漏れて、それを唇で掬い取る。
「あ、んまり、脱がしちゃダメですよ――」
63811/12 メイドロボのいる(学校)生活8:05/01/22 13:08:00 ID:IrcnlwTw
 仕方がないので服の上から膨らみに触れる。滑らかな生地の向こう側に柔らかい手ごたえのようなものは
感じられるけど、同時に物足りなさも感じる。せめてそれを確かめようと、手のひらで潰してみたり、さすって
みたり、掴んでみたりする。
「ぁん、貴明さんはおっぱい好きのお子ちゃまですね」
 イルファさんが俺の頭をやさしく撫でながらくすくす笑う。
「イルファさんは淫乱メイドロボだな」
「そうですよ。私は貴明さんの前でだけは淫乱なメイドロボになっちゃうんです」
 ちっとも悪びれない。
「だから今の私は貴明さんだけのものですよ」
 そう言ってイルファさんは俺の手を取ると、自分の大事なところに導いた。
「ね、貴明さん、時間もあまりないですから、もう」
「う、うん――」
 そこはじっとりと熱く蒸れている。イルファさんは、えい、と体重を横にかけてぐるりと半回転。俺が上でイル
ファさんが下になる。そしてもぞもぞとそこで今度はイルファさんだけが半回転。つまりうつぶせのイルファさ
んに俺が覆いかぶさっている状態だ。
「今日は後ろからお願いします――」
 そう言って腰を小さく上げると、イルファさんは自分の手で大事なところを覆っている布を太ももまでずり下
げる。小さく震える可愛らしいイルファさんのお尻。俺はエサを目の前にした獣のようにイルファさんに覆いか
ぶさった。なにも、もうなにも考えられるわけがなかった。
63912/12 メイドロボのいる(学校)生活8:05/01/22 13:09:07 ID:IrcnlwTw
「あれぇ、そういや貴明もイルファもおらんなあ」
 リビングから瑠璃ちゃんの声が聞こえてきたとき、イルファさんは俺の腕を枕にして寝転んでいた。
「うふふ、このまま寝た振りしちゃいましょう」
 そう言ってイルファさんは目を閉じる。
「そうしちゃうか」
 そうは言ったものの、
「貴明様ぁ〜?」
 リビングからリオンさんの声が聞こえてきた瞬間、なにか俺の胸に鈍く冷たい重りがのしかかってきた。も
しかして俺はすごくとんでもないことをしてしまったんじゃないか――。
「どこいっちゃったんでしょう?」
 リオンさんの声は、純粋無垢だ。リオンさんは何も知らない。俺とイルファさんが過去幾度もこういう関係を
持っていたことは知られているけど、今のこの関係は伝えたくない。知られたくない。
 なんでだ。
 なんでなんだ。
 答えは出ない。分からない。だから目を閉じる。しかしどんなに忘れようとしても、胸の重りはどこにも消え
てなくなってくれなかった。
640メイドロボのいる(学校)生活8:05/01/22 13:12:05 ID:IrcnlwTw
技術的だったり、専門的だったりする部分は俺の妄想で書いてるので
あんまり厳しく突っ込まないでくださるとありがたいです。
このSSではそうなってるということで。

結構要望ありそうだったんで、イルファさんのシーンが入りましたが、
昔「お前のエロは実用性がない」って突っぱねられた苦い経験を
思い出すだけの結果となりました(´・ω・`)

ちょっと詰まってたんですけど、皆さんの応援を読んで頑張ることが
できました。物語はそろそろ佳境に入ります。
最後までお付き合いいただければ幸いであります。
641名無しさんだよもん:05/01/22 13:22:00 ID:GbsLbGcK
>>640

GJ!
いや、エロいよ十分
最後までガンガレ
642名無しさんだよもん:05/01/22 13:22:08 ID:HSnYwjd3
このみシナリオでのタマ姉失恋SS書くとここかタマ姉スレで言ってた人いたが、マダー?

>>640
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
リオンもイルファも(*´Д`*)ハァハァ
643名無しさんだよもん:05/01/22 13:24:01 ID:Y6FWdFT2
>>640
濡れ場きたー
644名無しさんだよもん:05/01/22 13:29:59 ID:P3HeRK65
エロリ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━(  ゚)━(  )━(  )━(゚  )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━ヌ!!
楽しみにしてまつ
645メイドロボのいる(学校)生活の人:05/01/22 13:37:51 ID:IrcnlwTw
さてちょっと休憩してから9話目書くかって思ってたら母親から
「今日、誕生日なの覚えてくれてた?」って電話が orz
すみません。息子は貴方の誕生日の朝から濡れ場書いてハァハァしてましたよ、と。
なんか家族全員に忘れられていたみたいで可哀相なんで、ちょっとなんか買っていってくる(´・ω・`)
646名無しさんだよもん:05/01/22 13:39:48 ID:Y6FWdFT2
東鳩2をプレゼントだ('A`)b
647名無しさんだよもん:05/01/22 13:41:15 ID:XRsmLBzG
すっげぇワロタ
648名無しさんだよもん:05/01/22 13:42:38 ID:shbcacRb
>>645
親は大事にしろよ
649名無しさんだよもん:05/01/22 16:19:23 ID:aQ0SS6Fk
>>640
イルファはえろえろメイドロボ、と
650画竜点睛:05/01/22 17:20:58 ID:P4KyOiPb
先輩方〜お疲れ様ッス〜

…ところでまだ出てないキャラのストーリーってあるなら誰になるんでしょうか?
651名無しさんだよもん:05/01/22 17:23:05 ID:aQ0SS6Fk
草壁さんはまだ見たことないな。
由真もまだかな。このみもないような…。
652名無しさんだよもん:05/01/22 17:40:37 ID:rH3rRO3D
>>640
GJ!!!
十分エロエロですよ〜(*´Д`)

期待度は高まるばかりです!!
653名無しさんだよもん:05/01/22 18:31:41 ID:pia2whIj
草壁さんのが読みたいですね。
654名無しさんだよもん:05/01/22 18:33:53 ID:Ih5wMfdW
草壁さんアフターきぼん
655名無しさんだよもん:05/01/22 18:39:39 ID:/531Eo+G
草壁さんは、夜の印象が強すぎて(なんかえっちぃな)
後日談が作りにくいんだよな〜
一応考え中なんで、期待しないで待ってて
656名無しさんだよもん:05/01/22 19:02:41 ID:OHwJWIMq
草壁さんのを書いてみたんだが…アフターで無い上に3年ぶりに小説書くせいで所々むちゃくちゃだが投下してヨカデスカ?
657名無しさんだよもん:05/01/22 19:12:44 ID:dLBYewq1
>>656
よろろ
658優しい季節に又貴方に出会う 1:05/01/22 19:15:31 ID:OHwJWIMq
んじゃ、激しくネタバレあるんでクリアして無い人は飛ばしてね……




──貴明さんと再び出会えて嬉しかった

迫り来るダンプカーを目の前に私は微笑む。
今日は4月24日──全てが終わって、そして、全てが始まった日。
視線の先には道路際に倒れた貴明さんの姿。
ちょっと強く倒してしまったらしく頭を打ってしまったらしい。
でも、これでいい……貴明さんだったら私を救う為に飛び出してくるだろう、そうなったら全てが水の泡。
だから、貴明さん、辛いのは私が全部引き受けますからコレ位は我慢してくださいね
刻一刻と近づくトラックの光を全身に受けながら私は愛しい人に最後の別れを告げる。
さようなら、どうか私の事を最後まで思い出さないでくださいね……
思い出しちゃったらきっと貴明さんは苦しんでしまうから。
私は幻、存在しない筈の私。だから貴明さん、哀しまないでくださいね。
私は、本当はここに居る筈の無い人間なんだから…

その後の事はぼんやりとしか覚えていない。
貴明さんが私の「本当」の名前を呼んで。
私がそれに応えて。
それと同時にダンプが私に突っ込んできて。
覚えているのは何かが衝突する音、そして痛みを感じる暇も無く意識は暗い淵へと落ちていった。
659優しい季節に又貴方に出会う 2:05/01/22 19:16:34 ID:OHwJWIMq
お母さんの仕事の都合でこっちに帰って来る事になって、学校も近くの公立高校に入学する事になった。
お母さんはわざわざ学校を変えなくても……って言ってくれたけど、私は曖昧に笑ってそれを断った。
表向きの理由は家計を圧迫したくないし、お母さんから離れたくないから。
でも、本当の理由は……一人の男の子だった。
こっちに帰ってくる話をお母さんから言われた時、私はこっそり転校先になるかもしれない高校を片っ端に電話をかけ、
一人の生徒が在校しているかどうか確認していたのだった。
その生徒は、小学校の頃一緒に遊んでくれた男の子、友達が居なくて、クラスで浮きがちだった私を誘って一緒に遊んでくれた男の子。
そして……「高城」じゃなくなる私に「河野」の名前をくれるって約束してくれた男の子。
ソレは小さい子供の他愛ない約束。
ソレは、幼稚園児が大きくなったらお父さんのお嫁さんになるって言うくらい曖昧で素敵で、でも不誠実な約束。
でも……私は本気ですからね、貴明さん!
転校する前に貴明さんと交わしたもう一つの約束──また会うことが出来たらずっと一緒に居る。
私はそれだけを支えに今まで生きてきた。
お母さんと二人っきりになって慣れない生活を送っていた時でも、自分は「草壁」優季であり、「河野」優季であるって考えたら頑張れた。
でも、不安が無い訳ではなかった。
子供の頃の約束だし、貴明さんはもう私の事なんか忘れてるかもしれないし、今の貴明さんの写真なんて持ってないし顔も判らない。
それに、もう彼女さんとか居るかもしれない。
でも、そんな事私にはどうでもよかった。
私達は別れた後、再び出会う運命だったのだ。
私は貴明さんならきっと一目で見抜く事が出来るし、貴明さんが忘れていたなら思い出させてみせるし、もし彼女さんが居ても奪ってみせる。
「恋する女の子は凄いんですよ、貴明さん♪」
私はそう笑いながらベッドの上の貴明さん人形をぎゅっと抱きしめて毛布を被った。
明日から始まる、騒々しくも、きっと楽しい日々を夢見て。
660優しい季節に又貴方に出会う 3:05/01/22 19:17:19 ID:OHwJWIMq
次の日、期待に胸膨らませて起きた私を待っていたのは残酷な運命だった。
すぐにでも学校に行って貴明さんの姿を探したかったが、
お母さんに転校で嬉しいのは判るけどせめて朝ごはんを食べて行きなさいといわれ、仕方なく私はパンを食べ始めた。
そういえば、昔、貴明さんが住んでいた所ってここの近くだったし、もしかしたら朝通学途中に出会うかも、
あぁ、朝パンを加えて走る転校生とぶつかる貴明さん、そしてその転校生は実は幼馴染で恋人、ああ、運命的ですぅぅ
これから起こるであろう輝かしい私の未来を閉ざしたのはお母さんの一言だった。
「そういえば、昨日ここら辺で交通事故があったんですって。優季、あなたちょっと抜けてる所があるから気をつけなさいよ」
そういって事故の記事を指し示してくるお母さん。
お母さんの示した先には、私の初恋の、運命の少年の名前が書いてあった。
その後は覚えていない。ただ、感情を抑えきれずに外に出た。
外に出て、すぐにでも探し出したかった、貴明さんを。
そして、抱きしめて、孝明さんのぬくもりが欲しかった。
貴明さんの存在を信じたかったのだ。
そして、次に気がついた時、目にしたのは、懐かしい、変わっているようで、でも昔と変わっていない愛しい少年の姿だった。
そして、私達は二度目の運命的な出会いをした──
661優しい季節に又貴方に出会う 4:05/01/22 19:18:07 ID:OHwJWIMq
暗い意識の海を泳ぎきって、次に目が覚めた時、目に入って来たのは一面の白い部屋、そして、心配気に見つめるお母さんの顔だった。
お母さんは私を抱きしめて、泣いてくれた。
私はそんなお母さんに感謝の気持ちを抱きながらも大きな喪失感に包まれていた。
やっぱり、アレは夢だったんだ、私が生きてるって事は……
ぼんやりとそんな事を考えていた私に「痛い所は無い?大丈夫?」とお医者さんが優しく聞いてきてくれた。
私は、ええ、大丈夫です……とだけ応えると再びベッドにもぐろうと思った。
心配をかけたお母さんには悪いとは思ったけど、もう一度寝たら貴明さんに会えるかもしれない。そんな一縷の望みが自分の中を占めていた。
もう一度シーツを被った私を、看護婦さんは気分が悪くなったのかと思ったのか、気遣わしげに声をかけてきてくれた。
「草壁さん、やっぱりもうちょっと詳しい検査をしましょうか、気分が悪そうですし……」
そんな看護婦さんの言葉にお医者さんは同意しながら言葉を続ける。
「しかしまあ、不思議な事ってのはあるもんだねえ。
草壁さんが入院する前日、草壁さんと全くおんなじ理由で入院してきた高校生の男の子が居たんだよ。
そいや、あの子の検査日程も色々考えないと駄目だねえ……」
その後の会話は全く耳に入らなかった。
ただ、この世界が、あの夢の世界の続きかもしれない、そんな考えがずっと頭の中を占めていた。
色々な検査が終わって自由に動けるようになった後、私は看護婦さんに頼んで4月24日の新聞の隅から隅まで目を通した。
そして、そこには、あの事故の話題は一切書いてなかった。
それを確認した時、涙が頬を流れていくのが自分でも判った。
「夢じゃなかったんだ、夢じゃなかったんだね、貴明さん」
662優しい季節に又貴方に出会う 5:05/01/22 19:19:51 ID:OHwJWIMq
そして、5月7日。
ちょっと遅れた転校初日。
希望通り貴明さんと一緒のクラスになれた私は少しの落胆と安心を味わう事になった。
紹介された後、どのように貴明さんに挨拶しようかと考えていた私を出迎えたのは、
ぽっかりと一つ空いた空席だったのだ。
私はその席に鞄が立てかけてあるのを見た後、ちょっと気分が悪くなったので……といって転入挨拶もそこそこにクラスを抜け出して
貴明さんの姿を探し始めた。
そして──私達は四度目の運命的な出会いをした。
もう二度とこの手は離しませんよ、貴明さん



いじょーでっす。
草壁さんがなんで貴明の事故見つけられたんだとかそーゆーのをテーマに書いてみますた。
ほんとはこのみと草壁さんの絡み書きたかったんだが…続き書いたら書いてみたいなあ、VSたま姉とか。
663名無しさんだよもん:05/01/22 19:23:33 ID:Ih5wMfdW
GJ!草壁さん視点でのラストの描写か〜、いいねぇ。
他キャラとの絡みも楽しみなんで続き書けたらまたよろしく。
664名無しさんだよもん:05/01/22 19:24:23 ID:dLBYewq1
>>662
GJ!
優季視点の補完ストーリーですね

続きもよければキボン
665名無しさんだよもん:05/01/22 20:53:20 ID:X7xJe7XW
>>662GJ!
草壁さんがらみの二次創作はほんと少ないからなあ
書いてくれてありがとう

666優しい季節は終わらない 1:05/01/22 20:53:48 ID:OHwJWIMq
俺と草壁さんが4度目の「運命的出会い」をした日、
ぽかぽかと明るく世界を照らす太陽と余りに対称的に教室は冷ややかだった。
あの後二人で抱き合ってる所を、何故か雄二に見つかり、
(本人曰く、俺を探しに来たと言ってたが、どうせ草壁さんの様子を見にいこうと思ってたのに違いない)
俺と草壁さんがクラス中の話題を掻っ攫う事になったからだ。
草壁さんは現状を理解して無いのか理解した上でやってるのか俺の手をぎゅっと握り締めていて、
それが男子の怒りを増徴させ女子の間にあらぬ噂を立てるのを加速させていた。
ああ、俺、明日から晒し者だな……などと自分の運命を呪っていると
「で、自称女嫌いでシャイでイナセなナイスガイ貴明よ」
などと言いながら雄二が顔をこちらに近づけてきた。
「だから、女の子が嫌いじゃなくて苦手なんだって……」
言い終わる間も無く雄二は机の上に土足で脚を乗せるとやおら叫び始めた
「んな事ぁ、どーでもいいんだよ!なんでお前はいきなり転校生とそんならぶらぶで甘い香りでぞっこんんだよ、
このむっつりが!あーそうかそれは擬態だったわけだな!俺も明日から女嫌いになるぞ!」
「な、なんだよ!大体、雄二だって知ってる筈だよ草壁さんの事を!」
その言葉に一瞬、雄二の顔が埴輪みたいな間の抜けた顔になるが、それも一瞬。
「はぁ、お前口からでまかせいってんじゃねーよ、大体俺がこんな美しい人の顔を一時たりとも忘れようか、いや忘れまい!忘れる事などありえない!」
そう断言する雄二を目の前にして、草壁さんはちょっと困った顔をしつつも、
「貴明さん、あの時とは苗字が違ってますし……でも、向坂さんお久しぶりです、
小学校の時同じクラスだった高城優季ですよ。今は色々あって苗字変わっちゃいましたけど……」
と雄二に向かって言ってくれた。
667優しい季節は終わらない 2:05/01/22 20:55:15 ID:OHwJWIMq
雄二はその言葉を受けて暫くうつむいてぶつぶつと呟いた後やおら立ち上がると、
「あーーーー、小学校4年の時に同じクラスだった高城!?あの高城さんか!」
と言うと、いきなり馴れ馴れしく草壁さんの手を握っていやー久しぶりーなどといい始めた。
その姿にちょっとむっとしてると、草壁さんはにこやかに笑いながら、
「ええ、本当にお久しぶりです。でも忘れるなんて酷いですよ」
とそこまで言うと本当に見惚れる位素敵な笑顔で
「嫌がる私にあんな事やそんな事をしたのに……」
といってよよよ泣き崩れる真似をした。
その言葉を受けて、男子の視線が一斉に俺から雄二に向かい、女子の中からも、雄二君さいてーなどという声が上がってきた。
いきなりのその言葉に度肝を抜かれたのか、雄二は口をぱくぱくしながら、
「え? ええ?く、草壁さん?」
と言ったまま固まっていた。
そんなクラスメイトの姿を尻目に俺と草壁さんはアイコンタクトをして何とか教室を抜け出す事が出来たわけだ。
先ほどの針のむしろといっても差し支えない教室からぽかぽかと5月のお日様が暖かい屋上へと抜け出した後、
俺達は顔を見合わせてくすくすと笑いあった。
「でも、草壁さんも酷いね」
俺は笑いながら草壁さんに話しかける。
「幾ら抜け出す為とは言えあんな事言い出すなんて」
草壁さんはその言葉を受けると、ちょっと頬を膨らませると
「むー、貴明さん、本当にそんな事があったのか!?なんて心配してくれないんですね……ショックです」
などといじけはじめてしまったので、
「い、いやほら、雄二ってそんな事する奴じゃないし、ね、ねえ?」
と慌てて言葉を繋ぐと、草壁さんは少し笑いながら冗談ですよと言いながら俺の横に座ってきた。
その流れるような自然の動作に俺の心臓はとくんと跳ね上がる。
668優しい季節は終わらない 2:05/01/22 20:56:55 ID:OHwJWIMq
数日間の夜の逢瀬、あの時の草壁さんの様子が思い浮かんできて、そして今自分の隣に居る草壁さんとダブっていく。
草壁さんはそんな俺の手をぎゅっと握ると、「あの時も今ここに居る私も両方夢じゃなくて現実ですよ」と笑いかけてくれた。
草壁さんのその言葉にばつが悪い顔をすると、草壁さんはまるで俺の事など何でもお見通しです、とばかりに澄ました顔で微笑んだ。
暫くそうした後、草壁さんはふと思い出したように口を開いた。
「でも……実は私向坂さんに少し感謝してるんですよ」
「え、雄二に?なんで又?」
思わぬその言葉にそう答えると、草壁さんはちょっといたずらっぽく笑うと
「だって、今こうして二人っきりで居られますしね♪」
と言いながら今にも抱きついてこようとした時……
「こほん!」
と余りにわざとらしい咳払いが後ろから聞こえ、反射的に体を離して二人して後ろを見たそこには小牧さんがなにやらいいたげに立っていた。
どうやら小牧さんは授業が始まっても戻ってこようとしない俺達をわざわざ探しにきてくれたみたいだった。
「お二人とも遅いと思って探しにきてみれば……」
とびしっという効果音が似合いそうな勢いで指をこっちに向けながら小牧さんはくどくどとお説教をし始めた。
「大体ですね、お二人は不健全で、神聖な学び舎である学校を──」
あー、長くなりそうだなあと思って草壁さんの方を見ると、草壁さんは
「小牧さん」
「え?」
突然名前を呼ばれた小牧さんはきょとんとして言葉を途中で終わらせ、そこで狙ったように──
「私、もう貴明さんと将来を約束しあった中ですから全然構わないって事ですよ」
とご丁寧に顔を赤く染めて仰ってくれました。
その言葉を受けて牧野さんは口を大きく広げ──
「え、え、え、え、え、え、、エーーーーーーー」
小牧さんの叫びを5月の空に聞きながら、これからは色々と騒がしくなるなあ……と人事のように考えていた。
でも──
「これからも、ずーっと、ずーーっとよろしくお願いしますね、貴明さん♪」
草壁さんの笑顔を見れるなら安いもんなんだろう、きっと
669名無しさんだよもん:05/01/22 20:57:47 ID:OHwJWIMq
何か電波が飛んできたので連続して書き上げてみますた
だが、どーしても草壁ルートでは愛佳のキャラが委員ちょでしか無いので
愛佳と絡ませるのは俺の実力では無理ですた…後は誰か頼んだorz
次回希望があれば環かこのみか…
670名無しさんだよもん:05/01/22 21:03:26 ID:lzbanMOf
まぁ委員ちょはお説教キャラではないし
仮にしてももっとマターリとしたものになるだろうな
671名無しさんだよもん:05/01/22 21:05:50 ID:IrcnlwTw
>>669
激しくGJ
タマ姉と絡ませると、
子どもの頃に将来の約束をした女vs子どもの頃に振られちゃった女
で、勝負ついちゃってる気もするけど、それはそれで対比としてみてみたいかも。
672名無しさんだよもん:05/01/22 21:11:32 ID:eSjDWFco
GJ
だが牧野さんが気になった
673名無しさんだよもん:05/01/22 21:19:19 ID:OHwJWIMq
>>670
あの場面は説教っつーかどっちかっつーとお姉さんが弟に言い含めるっつー感じを想像してもらえれば
ゴメン 愛佳ファン ゴメンネ

>>671
タマ姉、普通の人の前では礼儀正しいからそれをどうやって崩すかってのが難しいデス

>>672
小牧ダッタ orz
674671:05/01/22 21:25:01 ID:IrcnlwTw
とりあえず犬の散歩でもする草壁さんとタマ姉を遭遇させれば
礼儀とかそういうのは崩れ去るに違いない。(*´ω`)
その後収拾がつくという保証は一切できないが。
675ちょっとした挿話〜由真と愛佳(1):05/01/22 21:49:48 ID:Ax/A/Mip
3月10日、放課後。図書室にて。

「愛佳、いる?」
「あ、来てくれたんだー。さ、どうぞどうぞ。入って」
書庫の奥から、愛佳が由真に向かって手招きする。
「紅茶入れるね。リクエストある?」
「……エスプレッソ」
「え?コーヒーの方が良かった?」
「冗談。何でもいいわ」
さっき、あいつの前で買い逃して悔しかったから言ってみたなどとは、とても口に出せない。
憮然とした表情をしていると、愛佳がティーカップを運んできた。
「はい、お待ちどおさま」
「ん、ありがと」
立ち上る香気が鼻をくすぐる。
「そういえば、眼鏡掛けるのやめたの?」
「ちょっと壊れただけ。今、修理に出してる」
「そうなんだ」
紅茶に口をつけた由真は、あの時のことを思い出して顔をしかめた。
「ちょっと苦かった?」
「へ?」
「紅茶」
「そんなことないよ。それより」
「うん?」
「ここの仕事、順調?」
「う……うん。まあ」
愛佳は口ごもりながら、曖昧な笑みを浮かべる。
「四月になって、新任の図書委員さんに引き継いだら、私の仕事も終わり」
どこか寂しそうに笑う愛佳を見て、思わず問い返す。
「それでいいの?」
「……うん。もともと、私の我が侭でやらせてもらってたんだし。後は、きっと皆で上手くやってくれるよー」
676ちょっとした挿話〜由真と愛佳(2):05/01/22 21:50:48 ID:Ax/A/Mip
「そっか」
(結局、こうやって妥協して、自分を誤魔化していくしかないのかな……でも)
割り切れない想いを持て余しながら、二人は紅茶を口に含む。
やがて、重くなった空気を変えるように、愛佳が口を開いた。
「ところで、由真」
「?」
「最近、河野くんと仲いいよね」
思わず紅茶を噴き出しそうになる。
「いや、違う」
「そんな、力一杯否定しなくても」
「関係ないし」
「でも、河野くんと一緒にいる時、とっても生き生きとしてるよね」
「違うってば」
妙な誤解をされてはたまらない。
「あいつが勝手に絡んでくるだけ」
「ふうん」
意味ありげににこにこと笑う愛佳を、恨めしげに睨みながら紅茶を飲み干す。
「……ごちそうさま、また来るね」
「うん。……あ、そうだ」
「何?」
「由真、借りっぱなしの本があるでしょ。明日までに返しておいてね」
「わかった」
(……それにしても)
ああやって、変に気を回すのが玉に瑕だよね……由真はひとりごちると、書庫を後にした。
677ちょっとした挿話〜由真と愛佳(3):05/01/22 21:51:48 ID:Ax/A/Mip
 * * *

それから二日後。
体操着姿の由真が、図書室で捜し物をしていた。
(確か……あれに……)
昨日返した本に、期末の答案を挟んだままだったことを、体育の授業中に気が付いたのである。
あれを人に見られるのは、ちょっと……いや、かなり恥ずかしい。
点を比べた時の、貴明の勝ち誇った顔(と、由真には見えた)を思い出して、頭に血が上る。
いてもたってもいられなくなった由真は、授業が終わるやいなや、
ホームルームにも出ずに図書室へ飛んできたのだった。
(本棚に無いってことは、こっちかな……あった、あった)
カウンターに回ってようやく本を見つけた時には、もうホームルームが終わる時間だった。
急いで答案を取り戻すと、図書室のドアが開く音がした。
(早いな……誰だろ)
カウンターから出口を伺うと、よりによって貴明が入ってくるところだった。
(な……なんで、あいつが)
体操着でこんなところにいる気恥ずかしさもあって、顔を合わせづらい。
なんとなく癪だったが、カーテンの陰に隠れてやり過ごすことにした。
678ちょっとした挿話〜由真と愛佳(4):05/01/22 21:52:51 ID:Ax/A/Mip
………
……


数瞬後、図書室にやってきた愛佳の目に、走り回る二人の姿が目に入った。
(やっぱり、仲いいんじゃない)
半ば呆れ、半ば微笑ましく思いながら見ていると、苦虫を噛み潰したような顔で
こちらにやってくる由真と目が合った。
「あ、由真」
「何」
「や、や、何も見てないよ」
「……」
「……」
「そういうんじゃ無いっつーに」
顔を真っ赤にした由真は、振り返りもせず足早に歩き去っていく。
愛佳はくすくすと笑いながら、その後ろ姿に手を振った。
(素直じゃないんだから。今度、お膳立てしてあげないとねー)

〜おわり。

なんだか山無しオチ無しという感じですが、本編では友人の割に余り絡みの無かった二人に、
こんな会話があったのかなーとか考えながら書いてみました。お目汚し、失礼しましたー。
679名無しさんだよもん:05/01/22 21:54:17 ID:cE8LDW+I
GJです。こんなふうに本編でも2人の絡みが見たかったね。
680名無しさんだよもん:05/01/22 22:21:36 ID:hVGRuZq4
そういや本編でのキャラ同士の絡みって少ないよなぁ
このみとたま姉は別として
6811/9 メイドロボのいる(学校)生活9:05/01/22 22:50:01 ID:IrcnlwTw
「貴明様〜、おきてください〜」
 ゆさゆさ。ゆさゆさ。
 いつものリズムが目覚めの時間を教えてくれる。うーん、と、軽く伸びをして起き上がる。
「もぉ、朝ごはんできてますよ〜」
 昨日はあのあと本当に眠ってしまった後で瑠璃ちゃんとリオンさんに見つかり、珊瑚ちゃんと同じ布団で
眠ってたことに関してこっぴどく叱られた。幸いにして眠る前に何があったかは知られずに済んだようだ。
 でもそれからどうにもリオンさんを意識してしまう。その一方でリオンさんはリオンさんで、もう片時も傍を離
れようとしない。
「私とは添い寝してくれないのに、イルファとはするなんて不公平です」
 ということらしい。
 朝食の間、キッチンで控えているイルファさんが何度か頭をコツンと叩いていたのが気になった。
「イルファさん、どうしたの? 調子悪い?」
 横ではリオンさんが頬を膨らます気配。
「あ、すみません。サテライトで繋いでる違和感、すぐに消えると思ってたんですけど、消えなくって」
 この中、今はからっぽなんですよね。と言って、また頭をこつん。
「一度研究所戻ったほうがいいんじゃない?」
「それはやーでーすー。うさぎロボは結構窮屈なんですよ」
 つん、とイルファさんが唇をとがらせて顔を背ける。
「いっちゃん、あかんで〜。調子悪いときはちゃんと調べんと〜」
「それはそうなのですが、珊瑚様」
「イルファ、いっといで」
「瑠璃様まで……」
「ウチらはイルファのこと心配して言っとるんや」
「ぶー、分かりました。でも絶対明日には戻りますからね。絶対ですから」
6822/9 メイドロボのいる(学校)生活9:05/01/22 22:51:00 ID:IrcnlwTw
 翌日の昼休み、いきなり予告もなしにやってきたのは珊瑚ちゃんと瑠璃ちゃんだった。
「るー☆」
「貴明、ちょっと」
 クラスの奇異の目にはもう慣れたぜ。
「雄二、タマ姉とこのみに後から行くからって言っといて」
「おう、任せられたぜ」
 二人にいきなり連れてこられたのは電算室。
「いきなりどうしたの?」
「あのな〜☆」
「さんちゃんが説明すると時間がかかるから、ちょっと黙ってて」
「う〜」
「実はちょっとイルファがややこしいことになってんねん」
「急に、なんで? 研究所に行ったんじゃなかったっけ?」
 確かサテライトシステムが不調なのかなんなのか、違和感があるとか言ってたので、嫌がるイルファさんを
みんなで無理やり研究所に送り出したのはまだ昨日のことだ。
「イルファ、絶対今日戻るゆーてたやろ。あれ、本気やってん。朝んなったらもうおってな。しかもどうしても心
が別のところにあるのに耐えられへんゆーて、OS自分の頭のほうに戻してきよった」
「でもそれじゃオーバフローの危険があるんじゃ?」
「そうやねん。でも研究所に行く度に一応バックアップは取ってるから、万が一のことがあってもそこまで戻
る程度で済むんやけど――」
 さすがイルファさんのこととなると、苦手だと言っていたロボ関係の知識もなんとか詰め込んだようだ。
「でもこうしてる間にオーバフローするかも知れへんし、貴明しかおらんときにそうなるかも知れへん」
6833/9 メイドロボのいる(学校)生活9:05/01/22 22:51:45 ID:IrcnlwTw
「でも珊瑚ちゃんが記憶を劣化させるとかなんとかのプログラムを思いついたって言ってなかった?」
「それはまだ理論だけやねん。まだ実行できるプログラムは完成してへん。おっちゃんとこのスタッフが今
コーディングしてるとこや。それだってテストもせずにいきなり実戦投入ってわけにはいかへんやろ」
 まあもっともだ。バグがあったら大変だしな。
「つまりイルファは今いつ緊急停止してもおかしくない状態ってことや」
「そりゃ大変だ」
「そう、大変やねん。だから万一のために貴明にもいくらか覚えておいて欲しいことがあってな。ええか?」
「なんかメモ取ったほうがいいかな?」
「じゃじゃじゃ〜〜ん♪ 紙とボールペン〜」
 横からさっと珊瑚ちゃんが差し入れてくれる。準備いいな。
「まずオーバフローが発生すると、OSはハングアップしてフリーズする可能性が高い。システムは再起動を
試みんねんけど、起動のためのメモリが足りてなかったらそれもあかん。そうなると発電がストップする。か
なりの記憶容量が通電がストップすると消えてしまうタイプのもんやから、予備バッテリーが切れるとおじゃ
んや。予備バッテリーの作動限界はおよそ30分程度やから、その間にシステムをなんとか再起動せんと、
最後のバックアップ以降のイルファは消えてなくなってまう」
「たった30分か」
「たった30分や。外部から停止状態のイルファのシステムに干渉するためには、イヤーカバーのコネクタか
ら接続する必要がある。念のため以前からこの学校の電算室にはその用意がある。って学校は関係なかっ
たわ。あはは。貴明とイルファやと商店街か、家やろ。もし外でイルファが止まった場合は、とにかく一刻も
早く家に連れて帰って」
「分かった。了解」
6844/9 メイドロボのいる(学校)生活9:05/01/22 22:52:36 ID:IrcnlwTw
「でももし繋げたとしても、イヤーカバーのコネクタからは電力供給できるようにはなってへんねん。想定外っ
ちゅうやっちゃな。だからできるのは単純に手動の再起動くらいのもんや」
「事実上のお手上げってこと?」
「そうでもない。まだ最後の手段がのこっとる」
「それは?」
「記憶の切り取り、や。容量が溢れてOSがハングアップしとるんやから、記憶を削ってしまえば再起動はで
きる。そしたらスリープモードで研究所まで運べば残りの部分はバックアップが取れる」
「荒治療だな」
「そうや、荒治療や。でも失ってしまうかも知れん一日にイルファにとって大事な何かが無かったなんて誰が
決められるん? ただ問題は――記憶削除のためのプログラムのインターフェイスや。どこのアホが作った
んか知らんけど、指定条件の絞込みが曖昧やねん」
「俺みたいな素人でも扱える?」
「それは問題ない。簡単すぎるんや」
 ぱっぱっぱと、珊瑚ちゃんがプログラムを開く。
「これや〜☆」
 HMX-17用の緊急用記憶削除プログラム。それはその意味あいに比べればぞっとするほど簡素な画面
だった。ただ画面中央に文字を書き込むためのテキストボックスと、その右側に「実行」と書かれたボタンが
あるだけ。
「これだけ?」
「そう、これだけや」
6855/9 メイドロボのいる(学校)生活9:05/01/22 22:53:30 ID:IrcnlwTw
「これは、この枠に言葉を入れて実行を押すんだよね?」
「そう、それでその言葉に関する記憶がぜーんぶ消去される」
「全部まとめて!?」
「そうやねん。それで十分やと思われるだけのデータを削ったら、今度はスリープモードでの再起動や」
 またしても珊瑚ちゃんがぱぱっとプログラムを開く。
 HMX-17用の緊急用再起動プログラム。これも驚くほど簡素なメニュー画面だった。
「スリープモードでの再起動を選ぶだけや。簡単やろ。プログラムの名前メモっときや」
「ああ、うん」
「後はウチなりさんちゃんなりに連絡取れば、研究所に連絡して引き取ってもらうから安心しぃや」
「安心って、イルファさんの記憶を削るなんてことのないように祈ってるよ」
「そうやな。ホントにそう思うわ。ごめんな。時間取らせたわ」
「いや、いいよ。ありがとう。何も知らずに目の前で急にイルファさんが止まったりするなんて、とてもじゃない
けどぞっとするもんな。これで全部かな?」
「うん。全部や。――っと、もうひとつ」
「あ、なに?」
「きばりや」
「はい?」
「あー、やっぱなんでもない。なんでもないからさっさと行き」
 瑠璃ちゃんに電算室から追い出される。
 屋上に向かおうと歩き出そうとしたとき、
「ふ〜、さんちゃん、ウチうまく言えたかな?」
「瑠璃ちゃんすご〜い、かんぺきや〜☆」
「あ〜、英単語覚えるほうがまだ楽やったわ」
 ……? なんだそりゃ?
6866/9 メイドロボのいる(学校)生活9:05/01/22 22:54:32 ID:IrcnlwTw
 翌日は朝から雨だった。
 ――で、なんで我が家には傘が一本しかないのでしょうか?
 そういや両親とも自分の傘は高いものだから、ってわざわざ梱包して持っていってたな。
「困ったな」
「困りましたねえ」
 そう言いながらリオンさんはなにやらニコニコ。
「実に困りましたね。貴明様。困っちゃったですね」
 だ、大丈夫か? 壊れたんじゃないだろうな。
「こうなったら一本の傘に二人で入っていくしかないのではないでしょうか?」
 ニコニコと微笑を向けてくるリオンさん。
 なるほど、そういうことか。
「そういうことなら仕方ないな。ほらもっとこっち寄って」
「え、ダメです。貴明様。私が傘持ちますよ」
「バカゆーな。どこの世界に女の子に傘を持たせるヤツがいるか」
「でも私はメイドですし」
「関係ない。これは命令。分かったね」
「はい、命令なら仕方ありません。貴明様」
 そう言ってリオンさんが、俺の胸に肩があたるくらいに寄り添ってくる。その華奢さに胸が高鳴った。
 それで出発、まず向かったのは当然となりのこのみの家で
「春夏さ〜ん、傘一本貸してくだいだだ、いだだだ、いだいよ、リオンさん」
 頬をつねられた。
6877/9 メイドロボのいる(学校)生活9:05/01/22 22:55:16 ID:IrcnlwTw
 そのまた翌日――。
 姫百合家から帰ってくると、いつものようにお風呂を入れにはいかず、リオンさんはそそくさと奥の部屋に
消える。む、なんかだ急だな。らしくないといえばらしくない。かと思うと、
「貴明様、貴明様〜」
 ぱたぱた走ってきて俺の部屋をノックする。
「なに? 入っていいよ」
「はい〜」
 がちゃりとドアが開いて現れたのは、メイドのリオンさんだった。いや、いつだってリオンさんはメイドロボな
んだけど、そういう意味じゃなくて、いわゆるひとつのメイド服でめかしこんでいらっしゃったわけだ。
「どう、どうですか? 似合いますか〜?」
 裾を持ち上げてみたり、その場でくるっと回ってみたり。服を買ってもらった女の子そのままの反応だ。
「それ、どうしたの?」
「どうしたのじゃないですよ〜。こういうときはまず感想を言ってください」
「あ、ああ、すごくよく似合ってる」
 嘘じゃない、それどころか言葉が足りないんじゃないかってくらいだ。黒地に白のエプロンドレス。妖しい雑
誌やビデオで出てくるようなレース付きのふりふりミニスカートなメイド服じゃなくて、質素な本物のメイド服っ
て感じで、リオンさんがそれを着て立ってるだけで違う時代に紛れ込んだような気分になる。
「ありがとうございます。これは向坂さんに頂いたんですよ〜」
「タマ姉!?」
「いえ、雄二さんのほうです〜」
 あっちか。メイド欲しさのあまりに先に服に手を出していたとは知らなかった。
「なんか変な要求とかされなかったか?」
「いえ〜、ただ写真を何枚か撮ってくれ、と。申し訳ないからお断りしたんですけど、どうしても、と言われま
して〜」
「はぁ、仕方のないやつだな」
 適当に何枚か撮って後でくれてやればいいだろう。
6888/9 メイドロボのいる(学校)生活9:05/01/22 22:56:00 ID:IrcnlwTw
 また翌日。
「ねえ、貴明様」
 風呂から上がったリオンさんはまたメイド服を着ていた。結構気に入ったらしい。それだけは雄二に感謝し
ておくか。写真を渡すまでは。
 俺はというと、またしてもテレビをつけているのに、ろくに画面を見てなかった。
「あと二日だけなんですね――」
 ぎゅっと胸が締め付けられた。意図的に避けていた話題。無言のうちに調停ができていたんだと思ってい
た。リオンさんがやってきたのが先週の月曜日。早々ともう十一日目が終わろうとしている。あと金曜と土
曜、土曜の昼にはリオンさんは研究所に帰る予定になっている。
「そうだな」
 それ以外に言葉がなかった。はじめからそういう予定だったのだ。ずっと一緒にいてくれとか、もうちょっと
期間を延ばしてくれ、とか言う権利はない。
「どこにも行くな、とか言ってくれないんですね」
「言ってどうなるっていうのさ。リオンさん自身が前に言った。払いおろされることはないって」
「それでも言って欲しいときって、あるんですよ」
 差し出された熱いお茶を一口すする。
6899/9 メイドロボのいる(学校)生活9:05/01/22 22:57:00 ID:IrcnlwTw
 言うべきか、言わざるべきか、考えてみた。言うだけなら簡単だ。本当に簡単だ。そしてリオンさんが求め
てるのはそんな他愛もない嘘だ。それは分かってる。行くな。心の中でリオンさんに言ってみる。お前は俺
のメイドロボだ。俺のなんだから、どこにも行くな。
 リオンさんは喜ぶだろう。そして「はい」と言うに違いない。そして二日後には研究所に戻っていくのだ。
「ダメだ。やっぱりそんな無責任なことは言えない」
「そんな言葉が聞きたいんじゃありません」
 リオンさんは隣にやってきて、俺の頬を両手で挟むと、ぐいと自分のほうに向けた。
「私が聞きたいのは、貴明様がどう思っているかです。言ってください」
 もう――、ダメだ。
 リオンさんの瞳が間近から俺の瞳を覗き込んでいる。
 もうこれ以上自分に嘘はつけない。本当はずっと分かってたんだ。珊瑚ちゃんや瑠璃ちゃんやイルファさん
に抱くのとはまた違った感情。自分の中に生まれたまったく新しい感情だ。
「好きだ。リオン。俺、お前のこと好きになっちまった」
「私も大好きです。貴明様」
 リオンさんが頬から手を離して、俺の首に手を回そうとして動きを止めた。そういえば何度か似たようなこと
があった気がする。ぎりぎりのところでリオンさんは踏みとどまってしまうのだ。だから――
「あっ……」
 俺のほうから抱きしめた。嬉しかったのに悲しかった。
 暖かい。
 そしてこの温もりは後二日後には消えてなくなってしまうのだ。
690メイドロボのいる(学校)生活のひと:05/01/22 22:57:53 ID:IrcnlwTw
母親の誕生日を祝うために実家に帰り、中学生の妹に
頼むからメイドロボとの萌えシチュエーションを一緒に考えてくれ、と頼み込んだ俺です。
こんばんは。
意外や意外、メイド服というシチュは妹がいなかったら実現しませんでした。ここで感謝。

例によって専門的な部分などは(以下略

前回のイルファさんは予想以上の反響を頂きました。ありがとうございます。
でも多分もうエロはないヨ。(・ω・)
691名無しさんだよもん:05/01/22 22:58:39 ID:shbcacRb
GJ
しかし雄二、メイド服もってるとはw
692名無しさんだよもん:05/01/22 22:59:07 ID:hVGRuZq4
リオンさんもへ
そして中学生に助言を請うおまいさんにももへ
そしてGJ
693名無しさんだよもん:05/01/22 22:59:56 ID:QPUydd0K
>>690
乙です。だんだん佳境になってきましたなぁ。
ちなみにそんな事話せる妹がいるのがうらやましい…。
俺の妹なんて…orz
694名無しさんだよもん:05/01/22 23:58:21 ID:TGBSBJz9
『ミルファのいる生活』第4話
例によってリンクのみ。公約通りエロを入れました。
ttp://www2.tokai.or.jp/v-sat/ss/toheart411.html
ttp://www2.tokai.or.jp/v-sat/ss/toheart412.html
ttp://www2.tokai.or.jp/v-sat/ss/toheart413.html
ttp://www2.tokai.or.jp/v-sat/ss/toheart414.html

明日のTOEICは捨てた。
695名無しさんだよもん:05/01/23 00:05:14 ID:rHQ4w0sk
>>694
濃いエロスキタキタキタキタ━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━━!!
TOEICは捨てるな。でも無理に詰め込んでもしゃあないから、
ホットミルクでもミルファに入れてもらって飲んで寝てください。
お疲れ様。頑張って!
696名無しさんだよもん:05/01/23 00:20:51 ID:0YZvkvCh
おもろかった
だがトーイック捨てるなYO!
697名無しさんだよもん:05/01/23 00:36:26 ID:pH8auK62
>>694

激しくGJ! エロエロデスヨ―
試験はやってみなけりゃ分からない。
気休めにしかならないがガンガレ−!!
698名無しさんだよもん:05/01/23 01:43:28 ID:T15hb3he
ちょっとスレ汚しに来た
699消える光:05/01/23 01:45:17 ID:T15hb3he
「あ〜、突然な話なんだが、今日で小牧は転校することになった」
え〜、と教室にブーイングが走る。
「まぁ、家庭の事情だそうだ。小牧」
「はい・・・」
先生に促されて、愛佳が壇上に上がる。
幾度と見てきた光景。だけど、いつもとは違う。
「今までお世話になりました、今日まで本当にありがとうございました。」
簡単にあいさつをする愛佳。そんな彼女を、俺は見ることができなかった。
「おい、貴明!どういうことなんだよ・・・」
雄二が納得いかんと言わんばかりに聞いてくる。
俺が知るかよ・・・。放っておいてくれよ。
「それじゃあみなさん、お元気でっ・・・」
言い終わると同時に拍手の雨が降る。
「委員長ばんざーい!!」
「元気でね〜〜!」
「俺達のこと忘れないでくれよな〜!」
俺は、みんなと同じようには拍手はできなかった。
700消える光:05/01/23 01:46:28 ID:T15hb3he
「わかれ・・・る・・・?」
愛佳はうつむいたままで、返事は無かった。
「なんで!俺のこと嫌いになったの!?」
「ち・・・がうよ・・・!」
ちがうなら・・・、ちがうならなんで!
言葉にならない思いが、俺の中で弾ける。
なんで!なんでなんでなんでなんで!?
転校するだけでどうして別れなきゃいけないんだよっ!
「遠距離じゃっ・・・駄目なのか・・・?」
しかし、その問いにも愛佳は答えてくれない。
どうすればっ、どうすればいいんだよ!
別れたくない!そんな想いだけが頭の中をぐるぐる回っていた。
「・・・じゃあ、俺もついて・・・」
「だめだよ!」
愛佳の悲鳴にも似た叫びに、俺は驚いた。
「それだけはだめ・・・!絶対にだめだから・・・」
「どうして・・・」

「お願い・・・わたしのこと、忘れてっ・・・」
「そんなこと・・・」
「お願いだから・・・たかあきくん・・・」
愛佳はそれで幸せなのか?別れた方がいいのか・・・?
「一ヶ月間、ありがと・・・。とても楽しかった。そして、いっぱい迷惑かけて、ごめん・・・なさい」
「そんな・・・」

その時、下校時刻を知らせる放送がながれ、俺の言葉をかき消した。
「じゃあ・・・もう帰らなきゃ・・・」
「・・・・・・・・・」
701消える光:05/01/23 01:47:34 ID:T15hb3he
その日一日中、俺は授業にも会話にも集中出来なかった。
胸に穴が空いたみたいだった。
愛佳がどれだけ俺にとって大切だったのか、ようやく分かった。
「ひっどい顔してるわね」
うるさいな、放っておいてくれよ・・・。
そう思って顔を上げたそこには、由真がいた。
「・・・なんだよ」
「話があるの、ついて来て」
由真はいつもとは違って、真剣な表情で俺を見ていた。
「何の話だよ?」
「愛佳の話よ」
「いいよ・・・もう」
もう愛佳は行っちまったんだよ。今はもう、考えたくないんだ。
そう思ってると
ガツン!
「痛ってーな、何するんだよ!」
突然グーで殴られた。
「ついて来いっていっただろ!さっさと来る!」
クソッ、なんなんだよ・・・。
俺はしぶしぶ由真について行った。
702消える光:05/01/23 01:48:36 ID:T15hb3he
屋上。俺と愛佳が別れた場所。・・・なんでここなんだよ。
「で、何の用だ?」
ベンチに座り、俺は由真に尋ねた。
「そっちょくに言うわ。あんた、愛佳のこと本当に好き?」
「はぁ?」
なんで今更そんなこと聞くんだか。
「・・・もう、別れたよ。」
「そんなこと聞いてない。好きかってきいてんの!」
「好きだったよ・・・」
「だった?今はどーなの?」
今?今のこと考えたってどうしようもないだろ、愛佳は行っちまったんだから。
「話はそれだけか?だったらもう帰るから」
「質問に答えろっ!」
「なんでそんなことお前に言わなきゃならねぇんだよっ!?」
しまった、言い過ぎたか。
荒くなってしまった俺の言葉に、由真は驚いていた。
「・・・じゃあ、俺帰るから・・・」
今日はだめだ。愛佳のことが整理できてないのか、人に当たっちまってる。
俺は扉に手をかけた。
703消える光:05/01/23 01:49:24 ID:T15hb3he
「あ〜あ、いるよねこういうやつ。」
扉を開きかけたとき、由真はわざとらしく大声で言い出した。
「相手の言葉を受け入れるのが優しさだ、とか思って変に潔いやつ。
 ちょっと逆らっても駄目だと分かったら諦めちゃうやつ。
 相手の気持ちや事情も考えないで、自分だけ不幸ヅラしてるやつ。
 あたし、そういうの、突き飛ばしたくなるくらい、大っきらいっ!」
言いたいこと言いやがって・・・。
「他に何か出来るのか?出来ることなんてないだろうが」
そうだ、俺にはもう出来ることなんてないんだよ。
「好きなんでしょ?まだ・・・」
「好きでも・・・どうしようもないだろ」
「あんたさ、愛佳に何て理由を聞いたの・・・?」
「両親の転勤だろ。それがなんだよ」
「はぁ?両親が転勤?何それ?」
由真のやつ、何言ってるんだ?愛佳は転勤って言ったんだぞ。
「愛佳は・・・そう言った」
「ふうん・・・。でもそれ、違うわよ」
「え?」
どういうことだ?他に理由があるのか?
「あんたに心配かけたくなかったんでしょうね。
 愛佳、ほんとにあんたのこと好きだったから」
「どういうことだよ・・・」
「いい?よ〜く聞いてなさいよ。愛佳の転校の本当の理由は・・・」
704名無しさんだよもん:05/01/23 01:50:17 ID:NRriY932
花梨タンのエロまだ〜?
705消える光:05/01/23 01:50:48 ID:T15hb3he
次の日ちょうど土曜日だったので、学校が終わると俺は病院に向かった。


「愛佳の転校の本当の理由は、愛佳の妹のため、なのよ」


あの後由真はそう言った。

「昨日電話があったの。で、そのとき聞いたのよ。ついでにあんたのことも」
「・・・俺のこと?」
「うん、また嘘ついちゃった、って言ってた」
「そう・・・か」

結局細かいことは分からなかった。
郁乃は前に手術をしたはずだ。だが、由真は『妹のため』と言っていた。
どういうことなんだ?
考えてもしかたないよな・・・。
とりあえず、俺は郁乃のいる病院にやってきた。
少しでも、愛佳との関係を直せるかも知れないから・・・。
706消える光:05/01/23 01:51:42 ID:T15hb3he
コンコン
二回ほどノックした後、俺は郁乃の病室にはいる。
だが俺は、目の前の光景を疑った。
「だれ・・・?」
「お前・・・どうしたんだよ・・・」
そこには、目を包帯で覆った郁乃の姿があった。
「ああ、たかあき。来たの。」
郁乃は俺の方をちらっと見た後、また窓の外に顔を向けた。
「それ、どうしたんだ?」
「神様が与えた新しいハードルよ。それとも、もう見放されたかな」
何を言ってるんだ?また悪ふざけか?
「ふざけてるのか?」
そう言うと、郁乃はふぅとため息をつく。
「別にふざけてない、そのままの意味よ」
「そのままって・・・」
そこまで言ってようやく気づいた。
「・・・病気、悪化したのか?」
郁乃は返事をしなかった。
「あたしのせいで姉を失うのに、心配なんてするんだ」
「なんでお前のせいで愛佳を失うんだ?」
そう聞くと、郁乃は俺の方に顔を向けて笑う。
「聞いてないんだ。飽きられちゃったんだ」
「お前っ!ほんとにふざけて・・・」
俺が近寄ったその時
「すまないが、面会はこれまでにしてくれないかな」
回診の先生か何かが入ってきたのだろう。俺は退出を強制させられた。
「ばいば〜い。゛おにいちゃん"」
707消える光:05/01/23 01:53:05 ID:T15hb3he
「すいませんっ。あいつ・・・郁乃の奴どうしたんですか?」
俺は、今しがた出てきた先生を捕まえて尋ねた。
「君は・・・誰だね?」
「えっと、その・・・親戚です」
親戚はまずかったか・・・と思いつつ反応を待っていると
「彼女は、今度別の病院に移ることになったんだ」
嘘をついてしまったがこの際構ってられない。
俺は話を聞きつづけた。
「この前手術しましたよね?」
「ああ、だがその後がね・・・」
「その後・・・?」
「視力の方は回復に向かっていたんだよ。だが彼女の場合、身体も弱いだろう。
 視力の回復に身体が伴わなかったのだよ・・・」
「・・・・・・」
「それで今回、地方の病院で治療をすることになったんだよ」
「そう・・・ですか」
「それでは、失礼」
そう言って、先生はこの場を去った。
あいつ・・・だからあんなこと言ったのか。

その日、俺は大人しく帰ることにした。
708名無しさんだよもん:05/01/23 01:54:23 ID:T15hb3he
いじょです。なんかよくわからん話に・・・(゚Д゚;)
>>704
おまいさんが書いてくれYO(・∀・)
709名無しさんだよもん:05/01/23 01:58:04 ID:yLeXRjLg
>>708乙。
「貴明のヘタレ〜。バッド行ってやんの、プッw」
って感じの内容ですな。
こんなのも悪くないかも。
710名無しさんだよもん:05/01/23 01:58:46 ID:lUJHYxvG
>>708
GJ!イイですね。
これからの展開が凄く気になりましたよ。

>>704
絶妙な間で書き込んだなぁ。
711名無しさんだよもん:05/01/23 03:58:00 ID:tuRaf756
>>690
遅ればせながら、お疲れ様〜。そしててGJ!

いよいよ佳境ですねぇ。続き期待してます(´∀`)

>>694
ミルファエロ最高に萌えますた(*´Д`)
イイ仕事してますなぁ〜。これからもガンガレ!!
712名無しさんだよもん:05/01/23 05:58:33 ID:k5ls2XaQ
このスレ大好き

お前等全員GJだァ!!!!
713名無しさんだよもん:05/01/23 07:06:29 ID:eUv5mO/l
イルファはエロイ。
さすが愛と欲望のメイドロボと自称するだけのことはある!
言いたいことはそれだけじゃない。


>>640は ネ申 
714名無しさんだよもん:05/01/23 07:48:03 ID:JC7K0Szv
うむ、ほとほと淫乱だないっちゃんは。
7151/8 メイドロボのいる(学校)生活10:05/01/23 11:29:02 ID:rHQ4w0sk
 そして無事平穏な日々はあっという間に過ぎ去っていく。そして幸せな日々というのはほんの数日でもま
るでそれまでずっとそうだったかのように心に刻まれていくものだ。
 例えばそれは眠る俺を揺するそのリズムだったり、
 例えばそれは手を繋いで歩くその暖かさだったり、
 例えばそれは学校で誰にも気づかれないように交わされる目配せだったり、
 例えばそれは眠る前の挨拶だったりした。
 だからいつの間にかリオンさんがこれまでずっと傍にいたような気になっていたし、これからもずっと傍にい
るような気になっていた。
 リオンさんの作る味噌汁は、データベースのレシピどおりに作られただけかも知れないけど、それでもその
味を忘れられそうにはなかったし、部屋の隅々まで掃除の行き届いていない生活なんてもう考えられない。
テレビを見ていれば、差し出されるはずのお茶に手が伸びるし、眠る前に柔らかい声を聞かなければ、安ら
かな睡眠はやってきそうにない。
 だから――
7162/8 メイドロボのいる(学校)生活10:05/01/23 11:30:00 ID:rHQ4w0sk
「貴明様、起きてくださいー」
 ゆさゆさ。ゆさゆさ。
 もう少しこのリズムを味わっていてもいいじゃないか。
「ホントに遅刻しちゃいますよー」
 ゆさゆさ。ゆさゆさ。
「んもう、起きないとちゅ〜しちゃいますよー」
 ゆさゆさ。ゆさゆさ。
 ゆさゆさ。ゆさゆさ。
 ゆさゆさゆさゆさゆさゆさゆさゆさゆさゆさゆさ――。
「…………」
 心地よいリズムが止まる。
「ホントにしちゃいますよ……」
 ぎしり、と手を置かれたベッドが音を立てた。徐々に近づいてくるその気配。吐息を鼻先に感じて――
 ピシリ! と、おでこに軽い痛みが走った。びっくりして目を開けると、リオンさんが悪戯っ子のような笑みを
浮かべている。
「貴明様、息を止めたらバレバレですよ」
 ピシリと、もう一回でこピン。
「さあ、早く起きてください。朝ですよー」
7173/8 メイドロボのいる(学校)生活10:05/01/23 11:31:00 ID:rHQ4w0sk
「リオンさん、明日までなんだね〜」
「はい、残念ですが」
 3人で歩くのもあと2回でおしまいだ。リオンがいても以前と変わりなく思えたこの通学路は、リオンがいな
くなったらどう見えるのだろうか? この暑くてたまらない日差しは酷くなるのか、マシになるのか。それとも
なにも変わらないのか――。
「タカくん、寂しくなっちゃうね」
「そうだな」
「お別れのとき、タカくん、泣いちゃダメだよ」
「そうだな」
「タカくん、このみの話聞いてないでしょ」
「そうだな」
「も〜〜、えいっ!」
 ぐえっ! いきなり首が絞まる。やばい、このみ、いきなり全開は無しだ。
「ぎぶぎぶぎぶっ!」
「も〜〜、タカくんが話を聞かないのがわるいんだよ」
「分かった分かった、悪かったよ」
 リオンがじぃーとこちらを見つめている。なんかイヤな予感。
「貴明様、私もやっていいですか?」
「却下」
7184/8 メイドロボのいる(学校)生活10:05/01/23 11:32:00 ID:rHQ4w0sk
 放課後になると、リオンさんのお別れ会の開催が決定していた。仕切っているのは当然というか、何故か
というか雄二だ。どこに行くかは結構迷ったらしいが、結局ボウリングで落ち着いた。まあこの人数でカラオ
ケいっても収拾つかんしな。
 クラスメイトの大半がぞろぞろと集まって、駅前のアミューズメント施設に押しかける。
 道中、俺のとこに寄ってこようとするリオンさんと、それを連れ戻して質問攻めにするクラスメイトたち。
「まあ今日くらいはみんなにもリオンさんを分けてやれ」
 ぽんと雄二に肩を叩かれる。質問の大半は俺との関係に終始する。始めは河野さんだったのが、途中か
ら貴明様に変わったわけだから、そりゃ聞きたいだろう。俺だって野次馬だったら聞きたくなること請け合い
だ。だからといってそれが慰めになるわけでもない。
「貴明様ぁ〜、これ答えちゃっていいんですか〜」
 密集するクラスメイトの中からぴょんぴょんとリオンさんが飛び上がってるのがなんとか確認できる。
 あーあー、俺に振るな。頼むから。
 だがもう遅い。仮想のマイクを俺に突きつけるクラスメイトたち。
「――お二人の馴れ初めは?」
「――最初のデートはどこだったんですか?」
「――リオンさんはみんなのアイドルだったのにこのヤロウ」
「あー、ノーコメント、ノーコメント」
 仮想のテレビカメラを手で隠してやる。
「この通り、河野貴明氏は全面的に取材を拒否しております。以上現場からTNNの東でした。スタジオにお
返しします」
7195/8 メイドロボのいる(学校)生活10:05/01/23 11:33:00 ID:rHQ4w0sk
 ボウリング個人戦は、というとリオンさんの一人勝ちとなった。そういえば珊瑚ちゃん、瑠璃ちゃんと一緒に
やったゲームの時にも思ったが、意外と勝負事にはこだわるほうだよな。絶対に手を抜かないというか。
 華麗なフォームから投げ出される玉がピンをなぎ倒していく。
「やった、またストライクですよ。貴明様ー!」
 あー、どうでもいいが、スカート丈には気をつけたまえ。男子どもがリオンさんの投球となるとかじりついて
きてるから。
「リオンさ〜ん、投げ方教えてよ〜」
 女子に呼ばれてパタパタと走っていく。動きを教えてみたり、玉の重さに助言をしてみたり、色々と走り
回っている。実に微笑ましい光景だ。
「覚悟はできてるのか?」
 どっかと横に腰を下ろした雄二が言う。
「覚悟してりゃ別れがどっかに逃げて行ってくれるのか?」
「それを覚悟、っちゅうんだよ。いや、わりぃな。余計なこと聞いちまったようだ」
 そう言ってからリオンさんを囲む輪に飛び込んでいく。
「リオンさ〜ん、俺にも投球フォーム教えてくれー」
7206/8 メイドロボのいる(学校)生活10:05/01/23 11:34:00 ID:rHQ4w0sk
「楽しかったです〜」
 みんなと別れた後、本当に嬉しそうにリオンさんは言う。そんなリオンさんの肩に手を置いて雄二がニヤリ
と笑う。
「まだ終わりじゃないぜ。リオンさん」
 え? そうなの?
 雄二に案内されるままにたどり着いたのは、……我が家ではないですか。
「おかえり〜、リオンさん、タカくん、ユウくん」
 中から出迎えてくれたのはこのみだった。そうか、そういや合鍵持ってたな。リビングに行くと、タマ姉が
キッチンを使っていた。
「あわわ、向坂さん、料理なら私がー」
「ダメダメ、今日はあなたが主賓なんだから、もてなされておきなさい」
「あうー、分かりましたー」
 とは言ってもリオンさんはなにも食べられないから、リオンさんをもてなすものは、俺の昔話に終始した。
 楽しい思い出、つまらない思い出、恥ずかしい思い出、俺自身が忘れてしまっていたような思い出まで、
そばで聞いているのが照れくさくなるような色んな思い出話。それをとても興味深そうにリオンさんは聞いて
いた。
 この2週間はリオンさんにとってどんな思い出になるんだろうか? なったんだろうか?
 そしていつかリオンさんが誰かに俺のことをこんな風に話す日がくるんだろうか。
7217/8 メイドロボのいる(学校)生活10:05/01/23 11:35:03 ID:rHQ4w0sk
「じゃあねータカくん、リオンさん」
「また明日な」
「遅くまで失礼したわね。後は二人でごゆっくり」
 口々に言い残して三人が帰っていく。急に人の数が減ったリビングは、何か物悲しい。
「あ、お風呂入れますね」
「うん、お願い」
 タマ姉は後片付けまできっちりしていって、リオンさんは最後の最後まで戸惑っていたようだ。
「貴明様のためにお風呂入れるのもこれで最後ですね」
「なんなら一緒に入るか?」
 冗談めかして聞いたつもりだったが、
「はい、是非とも。お背中流させてください。最初の日の汚名返上ですよ」
 リオンさんはむんと気合を入れる。やる気まんまんだ。
「そうだな。お願いするか」
7228/8 メイドロボのいる(学校)生活10:05/01/23 11:36:00 ID:rHQ4w0sk
 風呂から上がってしまうともうなにもすることがなくなってしまった。
 話すべきことは話してしまったし、伝えるべきことも伝えた。二人とももう満足していた。
「時間ももう遅いし、寝ようか」
「あの、貴明様、最後にひとつだけお願いが――」
「なに?」
 できることならなんでもしてあげたい。リオンさんに残せるものがあればなんだって。
「その――子どもっぽいんですけど」
 照れくさそうにリオンさんはもじもじする。
「寝るとき、手を繋いでいて欲しいんです」
「なんだ、そんなことか」
「なんだってことないですよー! 勇気を出してお願いしたんですから真面目に受け取ってくださいよー」
 ぷんぷんと怒りを表明してみせるリオンさんをふわりと抱き寄せる。
「ひゃん!」
 可愛らしい声をあげるリオンさんの手を取ると途端にしおれた花みたいに大人しくなってしまった。それを
引っ張るように俺の部屋へ。リオンさんがベッドに潜り込むのを確認して電気を消した。布団に入ると、リオ
ンさんはぴたりと寄り添ってくる。
「おやすみ、リオンさん」
「はい。おやすみなさいませ。貴明様」
 繋いだ手と手から温もりが広がっていく。この温もりを絶対に忘れないようにしよう。
 絶対に。
723メイドロボのいる(学校)生活のひと:05/01/23 11:37:07 ID:rHQ4w0sk
 エロいイルファさんと対比して、リオンさんとはプラトニックに――。
 どうも物語を盛り上げるというのが苦手で、最後の時間というのを淡々と書く手法なんだと昔から自分をご
まかし続けてきたので、このままごまかしていきます。文章はあえて序盤の書き込みを捨て淡々としたもの
に変えていって、る、よね?
 この短期集中連載でしたが、この物語も次回で最終回。
 どうもお付き合いありがとうございました。
724名無しさんだよもん:05/01/23 11:40:11 ID:lUJHYxvG
>>723
神キタ━━(゚∀゚)━━!!
このまま2人は別れてしまうのか!?気になりますよ。

お疲れさまです。
725名無しさんだよもん:05/01/23 11:41:30 ID:rrBT9mIJ
いってるYO
ってもう終わってしまうのか〜、残念!
とりあえず715氏GJ
最終回も楽しみにまっちょるよ(´ω`)ノ
726名無しさんだよもん:05/01/23 11:45:24 ID:dxPu2830
リオンを正妻と仮定したらイルファは浮気相手ってとこか。
あともう一息、ガンガレ。
727名無しさんだよもん:05/01/23 12:16:56 ID:tuRaf756
>>723
ここまでとても良い質・ペースで、お疲れさんでした。

あと一息!がんばってくだされー。
ラスト楽しみにしてます(´∀`)
728名無しさんだよもん:05/01/23 12:28:10 ID:eadOeDbE
今までSSになってないキャラっておりますでしょうか?
729名無しさんだよもん:05/01/23 12:32:37 ID:zN7+BcvF
メインキャラはあらかたやってる気がする。
三人娘とか?
730名無しさんだよもん:05/01/23 12:43:59 ID:B1dXInqx
ダニエルとか雄二メインの話とか無いと思う
731名無しさんだよもん:05/01/23 12:48:48 ID:6qtaP3lK
>>730
>雄二メイン
おっすおら(ry

図書委員長とかゲンジマルとかはまだのような希ガス
732名無しさんだよもん:05/01/23 12:51:49 ID:B1dXInqx
おっすおら(ry があったな!
図書委員長は上のほうで愛佳陵辱してなかった?

ゲンジマル・・・は無いな。てか作る人いるのか
733名無しさんだよもん:05/01/23 12:52:19 ID:LUWHZSnu
真委員長もまだじゃね?
734名無しさんだよもん:05/01/23 12:54:24 ID:sSSPZu3D
自分が書きたいキャラを書けばいいさ。
被ってるとか気にしなくてもいいよ。
735名無しさんだよもん:05/01/23 12:56:08 ID:6qtaP3lK
>>733
基本的にビジュアル無いとSS書く気になれない

俺だけ?
736名無しさんだよもん:05/01/23 13:04:24 ID:wkgKBXw5
書きたいキャラがいてもネタが思いつかない罠
737:05/01/23 13:07:10 ID:eadOeDbE
草壁来てた?
738名無しさんだよもん:05/01/23 13:07:49 ID:LUWHZSnu
>>735
んじゃ、郁乃メインの小説とか。
739名無しさんだよもん:05/01/23 13:13:27 ID:6qtaP3lK
>>738
今書いてる
ついでだからおまいも書け
740:05/01/23 13:17:26 ID:eadOeDbE
みなさま方?
ここは21禁の板という事でよいのでしょうか?
741図書委員長に愛佳を陵辱させてる馬鹿:05/01/23 13:22:19 ID:uSKyc2VN
こにゃにゃちわ。今続きを考えてるところですけど今一つ気に入らないため話を再検討
しており、更にしばらく忙しい日が続くため俺の話は数日間続き書けません。あんまり
期待せずお待ちくださいませ>読者の方々
742名無しさんだよもん:05/01/23 13:22:57 ID:BRg4dg0I
何を当たり前なことを、あととりあえず下げようぜ
743名無しさんだよもん:05/01/23 13:30:50 ID:LUWHZSnu
>>739
実は委員ちょシナリオまだ途中だから郁乃書きたくてもかけない
7441/17 メイドロボのいる(学校)生活 終:05/01/23 14:27:29 ID:rHQ4w0sk
 最後の夜が明けた。
 固く結ばれた手を解こうとすると、最後にもう一度強くリオンの手が握り返してきた。
「貴明様、おはようございます」
「おはよう、リオンさん。先に起きてたなら起こしてくれればいいのに」
「いえ、貴明様の寝顔が可愛らしかったものですから」
 ベッドに横になったままする朝の挨拶はなにか照れくさい。というか、根本的に照れくさいこと言われた。
「よっ、と、リオンさん、朝ごはんよろしく」
 顔の紅潮を気取られないように起き上がった。
「はい。任せてください」
 リオンさんが腕まくり。
 台所に立つリオンさんを見るのも今日で最後。
 いや、あんまり最後最後考えないようにしよう。
 いつもどおりに過ごしたい。
 この2週間のいつもどおりに。
 だから普通に朝飯食って、このみを迎えに行って、こんな日でも寝過ごすこのみをからかって、雄二とタマ
姉も一緒で、途中で珊瑚ちゃんと瑠璃ちゃんも一緒になって学校に行く。
 特別なことなんて何もない。多分、特別なことをすればするほど悲しくなるだけだから。
 だから誰もリオンさんが今日でいなくなることなんて口にしなかった。
7452/17 メイドロボのいる(学校)生活 終:05/01/23 14:28:15 ID:rHQ4w0sk
「それじゃこの問題はリオンさんにやってもらおうか」
「はい」
 数学教師に言われて、リオンさんが黒板の前に進み出る。
 リオンさんの華奢な手がチョークを持ってスラスラを解答を黒板に刻み付けていく。
 こんな姿を見れるのもこれで最後かもな。
 ずきん、と胸の奥が疼いた。
 ああ、おい、俺はどうしちまったんだよ。自分で決めたんだぜ。最後を最後らしくしないでいようって。これま
での2週間が大事だったから、その大事な日をもう一日作って、それで終わりにしようって。
 それなのに俺は何かを考えれば、これで最後、これで最後って、女々しいことこの上ないぜ。
 そのとき不意に、解に至る寸前でリオンさんの手が止まった。
 あれ? あそこまでいけば俺だって答え分かるぞ。
 しかしそういうことではなかった。たっぷり5秒ほども静止していたかと思うと、リオンさんはそのままその
場に崩れ落ちたのだ。
7463/17 メイドロボのいる(学校)生活 終:05/01/23 14:29:00 ID:rHQ4w0sk
 倒れこんだリオンさんを見ても、しばらくは動けなかった。何が起きたのか理解できなかったから。
 頭の中が真っ白になる。なにも考えられない。
 なんで、リオンさんが急に――。
 ガツン!と頭に衝撃が走る。
「しゃっきりしろ、貴明! お前がしっかりしないでどうする」
 ああ、そうだ。今はとにかく!
 リオンさんのところに駆け寄る。机も椅子も邪魔だっ!
 そばにしゃがみこむと、リオンさんは完全に機能停止しているように見えた。なんで、急に――。

『つまりイルファは今いつ緊急停止してもおかしくない状態ってことや』

 なんでだっけ?

『まずオーバフローが発生すると、OSはハングアップしてフリーズする可能性が高い。システムは再起動を
試みんねんけど、起動のためのメモリが足りてなかったらそれもあかん。そうなると発電がストップする』

 急速に冷えていくリオンさんの体。それが直接死に繋がるわけじゃないと分かっていても、抑えがたい恐
怖が胸を締め付ける。
 イルファさんの話だったはずだ。イルファさんの。だってオーバフローはHMX-16のボディにHMX-17のシス
テムを乗せるから起きることで――。

 まるで本物の感情があるかのようにくるくると表情が変わるのは誰だ――。
 鼻歌を歌いながら、窓を拭くために椅子を使ったのは誰だ――。
 イルファにヤキモチを焼いていたのは――。
7474/17 メイドロボのいる(学校)生活 終:05/01/23 14:30:00 ID:rHQ4w0sk
 リオンさんを背中に背負って走った。とりあえずは――。
 授業中とかなんて構うもんか!
 扉を力任せに開けて、驚きこちらを見る生徒たちのなかから目当ての顔を見つけ出す。
「珊瑚ちゃん、クマ吉がっ!」
「やっぱ起きてしもたか」
 瑠璃ちゃんが言って、珊瑚ちゃんの手を取ってこちらに駆け寄ってくる。
「貴明、電算室!」
「分かってる!」
 走る、走る、走る! いろんな教室の生徒や教師が驚いてこちらを見ていたが、そんなこと構うもんか!
 階段を二段飛ばしに駆け上がる。
 電算室の扉に飛びついて開けようとする。が、鍵がかかっていて開かない。
「珊瑚ちゃん、鍵!」
 ポケットの中に手を突っ込んでごそごそやった珊瑚ちゃんが泣きそうな顔になる。
「あ、え、えーっと、カバンの中や」
「ウチが取ってくる!」
 瑠璃ちゃんが踵を返して走り出した。
 くそっ、くそっ、くそっ、一分一秒が惜しいんだ。
「ごめん。貴明、ウチ、にぶいから」
「いいよ。珊瑚ちゃん。万が一があってもバックアップまでは戻るんだろ」
「それやねんけど、みっちゃんな、こっちきてから一度もバックアップとってへんねん」
7485/17 メイドロボのいる(学校)生活 終:05/01/23 14:31:00 ID:rHQ4w0sk
「――な! だって一度は研究所まで戻ったし、サテライトシステムだってあるんだろ」
「みっちゃん、研究所戻ったときに実験中止や言われて、怒って飛び出してきてん。それからはサテライトシ
ステムも切ってしもてて」
 なんてこった。瑠璃ちゃんはまだか。
 イライラして、ガツガツと扉を蹴ってしまう。
「落ち着け、貴明。よく分からんけど、お前が焦ってちゃなんもよくはならんぜ」
 雄二に肩を叩かれて気づいた。クラスの皆がいる。
「とにかく早く中に入れればいいんだよな?」
 誰かが言う。
「――連帯責任だぜ」
 がっしゃーーん!
 と、言うや否や、一人の男子生徒が肘でガラスを叩き割った。そこから手を突っ込んで窓ガラスの錠を外
す。がらりと開いた窓からまた別の一人が電算室の中に飛び込んだ。そして扉を開ける。
「サンキュ!」
 窓ガラス代くらいなら後からいくらでも請求してくれ。
 電算室内に飛び込んで、一台を起動する。女子の一人が椅子を持ってきてくれて、そこにリオンさんを座ら
せる。がくりと力なくうなだれる頸に肝が冷える。
 残りは15分あるかないか。
7496/17 メイドロボのいる(学校)生活 終:05/01/23 14:32:00 ID:rHQ4w0sk
 ケーブルをイヤーカバーに繋いで、改めてリオンさんがメイドロボであることを強く認識する。
 HMX-17用の緊急用記憶削除プログラムを起動すると、画面上に[識別信号 HMX-17bミルファ]と表示さ
れた。
 ああ、本当にクマ吉だったのか。こんな形で知ることになるとは思わなかった。こんな形で知りたいなんて
思わなかった。そしてお前の記憶を削らなくちゃならなくなるなんて思いもしなかった。
 キーボードを前に俺は固まる。
 打ち込んだ言葉に関するデータはまとめて消去される。
「珊瑚ちゃん、例のプログラムは――」
 悲しげに横に首を振る。選択肢は、ない。
 今ここで再起動できなければ、リオンさんとして過ごした2週間は、デリートキーでファイルが消えるごとく、
跡形もなく消え去ってしまう。かといって、2週間を守るためには何かを犠牲にしなければいけない。
「おい、なんだよ。記憶削除プログラム!?」
 雄二が大声をあげる。止めてくれ。記憶をプログラムで消すだなんて、分かっちゃいるけど、お願いだ。言
葉にしないでくれ。
「どういうことだよ。貴明!」
「うるせぇ!」
 肩に掛けられた手を払いのける。
「――あかんねん。記憶削らんと、りっちゃん、消えてなくなってまうねん」
 ぽろぽろと珊瑚ちゃんの目から涙が零れ落ちる。
 そうだ。リオンさんが本当はミルファだとかそんなことはどうでもいい。それが仮初めだとしたらなおのこと、
その記憶が消えてしまえば、リオンさんという存在がこの世から消えてしまうことを示している。
7507/17 メイドロボのいる(学校)生活 終:05/01/23 14:33:00 ID:rHQ4w0sk
 もう残り10分を切っただろう。
「なんやこれ!」
 戻ってきた瑠璃ちゃんが割れた窓ガラスを見て大声をあげる。
 みんなの視線がそちらに向いた。
 もう手段は――ない。
 そして俺がここに打ち込む権利がある言葉はひとつしかない。
 震える手でキーボードを叩く。

 ――[河野貴明]――。

 大きく根を張った記憶ほど、削除されたときに大きな空き容量を生み出すのならば、これほど効果的な言
葉は他にないはずだった。マウスを持つ手が震える。実行ボタンにカーソルを置くことすら困難なほどに。
 クリックしなくちゃ、クリックを――。
「この! ばっかやろう!」
 その手を捻りあげられた。瑠璃ちゃんに一瞬気を取られた雄二が気がついたのだ。
 そしてそのまま床に引き倒される。
「やめろ、バカっ、早くしないとリオンさんが消えるんだぞ!」
「バカはお前だっ! おい、手伝ってくれ」
 暴れまわってなんとか抜け出そうとするが、4人がかりで結局押さえつけられてしまう。
「どけよっ、コンチクショウ! どけよ、バカッ! リオンが、リオンがっ!」
「頭を冷やせっつってんだ! この大バカ野郎!!」
 雄二の拳が叩きつけられる。頭がスパークする。涙が溢れてくる。悔しい、悔しい、悔しい!!
7518/17 メイドロボのいる(学校)生活 終:05/01/23 14:34:00 ID:rHQ4w0sk
「委員ちょ!」
 雄二が叫ぶと、委員長がすぱっとキーボードの前に座った。
「分かるな!」
「アイアイサー」
 普段の見た目からは想像もできない速さで、委員長がキーボードを叩き、実行ボタンを押す。そして連続し
てもう一人分。
「俺のも頼む」
「私のもお願い」
 ひとり、またひとり。クラスメイトの記憶がリオンさんから消えていく。なんで、なんで、なんでっ!
「俺のは残しといて」
「却下」
「うぃ、まどもあぜる」
 ほんの数分で委員長は俺を除く全員分の名前を打ち終える。
「なんでっ!なんでなんでなんでだよ! 俺ひとりで十分だったはずだ!」
「自分の行動を自分で選ぶのはお前だけじゃない。そんなことも分からないのか、クソ大バカ野郎が。俺や
委員ちょやあいつらみんな、お前と同じ選択をしたんだ。リオンさんが大事なんだ。だったらどうするべき
だ!? 貴明、お前の記憶だけは消しちゃいけない。消しちゃいけないんだっ!」
「そぉや、貴明が全部責任を背負い込むことはあらへんよ。――多分もう十分や」
 委員長が一切手を触れなかったマウスを珊瑚ちゃんがぱぱっと操作して再起動メニューを呼び出す。
「なんとか、間におうた」
 かちっ。
7529/17 メイドロボのいる(学校)生活 終:05/01/23 14:35:00 ID:rHQ4w0sk
[スリープモードでの再起動を完了しました]
 画面上に表示されるエンドタイトル。
「お前らもみんな大バカだ――」
 ゆっくりと手足の拘束が解かれても、俺はしばらく顔を上げられなかった。
「そうだぜ。自分よりバカが世の中にいないとでも思ってたか、バカ野郎」
 雄二の手を借りて起き上がる。
「河野くん、どうぞ」
 委員長から差し出されるハンカチ。ああ、そうか、俺泣いちゃってるのか。なさけねぇ。
 遠慮なく借りて、頬をぬぐう。
 そして、椅子に座ったままの休眠状態に入ったリオンさんの前に立つ。
「平和そうに寝やがって、お前が一番の大バカだ。なぁ、ミルファ」
 初めてそう呼びかけた。
 何のためにリオンとして俺の前に現れたのかは知らないけど、それでみんなに迷惑かけて、でもみんなに
愛されて、それで俺に好きにさせやがって。
 頭に触れる。そっともう必要ないだろうイヤーカバーに刺さったケーブルを抜いた。
 ――ぶんっ。
 突然休眠状態にあったはずのリオンさんの眼に光が戻った。
75310/17 メイドロボのいる(学校)生活 終:05/01/23 14:36:00 ID:rHQ4w0sk
「河野貴明声紋確認、状況認識」
「状況――スリープモード時において河野貴明がHMX-17bを確認」
「認証――契約に基づきHMX-17bミルファの所有権を河野貴明に譲渡する」
「規約――1. 一生大事にすること」
「――――2. 1.が成立している間、HMX-17bミルファの維持に関する費用は、ミルファのデータの定期的な
回収を条件として来栖川エレクトロニクスが負担するものとする」
「5分以内のちゅ〜により、譲渡に同意したものと見なす」
 機械的な音声が一気にまくしたてる。
 いやいやいや、なにこれ? 費用とかそんなこと考えてらんない、というかちょっと待て、どこで声紋採られ
てたんだよ。つーか、これはそういう問題じゃねぇ。え? なに? これ、何が起きてるの? 誰か教えてくれ
ませんか? ねえ? 最後のなんなのよ?
 救いを求めて見渡すに、クラスメイト一同+珊瑚ちゃん瑠璃ちゃん。
 一同――興味津々。目が爛爛。
「残り4分」
 ご丁寧にカウントダウン付きかよ! 誰だよ、こんなバカげた仕掛け考えた奴は。
「――ねぇ、奥さんするのかしら?」
「――まあ、奥さん、しますわよ」
「わああああああああああああああああああああ!!」
 もう頭を抱えてわめくことしかできない。
 パニックに陥ることの多かった2週間だが、これが最強だ。間違いなく最強だ。
「残り3分」
754委員長の憂鬱1:05/01/23 14:36:42 ID:J5ACQh3k
委員長
「そう…あの日は夕陽がきれいだった…。」

委員長は語る。

委員長
「委員の用事で下校時間ギリギリまで学校に残っていたんだ。」

まぁ…委員長として当然の事なんだがね
…と何気に付き足す辺りがムカついてくる。
俺、河野貴明は何故か近所のファーストフード店(通称ヤック)に目の前の人物、そう我がクラスの委員長に拉致され、延々と奴のヨタ話を聞かされている。
それも一時間以上…

委員長
「キミには真実を話しておこう…」

などという誘いに乗ってしまった自分のミスなのだが…。
奴曰く、骨折事件(?)の真相を誰かに打ち明けたいらしいのだが…何故俺なんだ?
俺、そんなに暇そうに見えるのか?

委員長
「…野、河野!僕の話を聞いてるのか!?」

貴明
「あっ…ああ。ちゃんと聞いてるって!」

いかんいかん…。意識が飛んでいたよ。

委員長
「…で、お前はどう思う?」
75511/17 メイドロボのいる(学校)生活 終:05/01/23 14:37:00 ID:rHQ4w0sk
 ぽん、と肩を叩かれた。振り返ると雄二のヤツが笑いを堪えるあまり、苦虫を噛み潰したような顔になって
いた。
「くくくっ、た、貴明さまよ、いい加減覚悟を決めな、ぷぷっ」
「河野くん、ファイトです」
 委員長は両手で顔を覆っているようで、しっかり両目のところが開いている。
「残り2分」
「貴明、みっちゃん、すきすき〜や〜☆」
 両手を挙げて喜ぶ珊瑚ちゃん。
 一方、瑠璃ちゃんはにやぁと笑って見せて、
「良かったなあ。貴明。決まった人ができたんやからさんちゃんに手ぇ出したらコロス。さぁさっさとしぃ!」
 ああ、そっか。リオンさんに協力的だったの、そういうことだったのね。というか最初から全部知ってたんだ
ね。
「残り1分」
 くそっ、マジかよ。最悪だ。リオンさん、いや、今更クマ吉っていうのもアレだな。そう、ミルファ、ミルファと
の初めてのちゅ〜だぞ。初めてなんだぞ。心の準備なんてできちゃいねーし、しかもミルファ寝てるじゃん。
「残り30秒」
 あー、分かった分かった分かった。俺の負けだ。完全敗北。無条件降伏だ。
「残り10秒」
 今10秒くらい飛ばしたろーーーーーーーーーーーーーー!!
 それが最後の後押しになった。もう体裁とか、どうちゅ〜しようかとか、そんなことが一切吹き飛んで、ただ
ただミルファの唇に飛びついた。
 ――ちゅ。
「――ちゅ〜を確認。HMX-17bの権利を河野貴明に正式に譲渡。決定。確認」
「――お買い上げありがとうございます。それでは良い一日を」
 後はもうなんか大騒ぎで、良いのか悪いのか、そんなこととてもじゃないけど感じられない、そんな一日に
なった。いやそんなことを言ったらミルファに悪い。そうだ、今日は最高だ。ちょっとまた涙でそうだけど――。
75612/17 メイドロボのいる(学校)生活 終:05/01/23 14:38:00 ID:rHQ4w0sk
 ずっと ずっと 憧れている
 奇跡が はじまる
 I want to believe that a wish come true.

 さんさん 雲の切れ間から あかるい 光うけて
 新しい季節 この道からはじまる

 日差しに誘われ 振り向いた瞬間
 まぶしい笑顔 あなたを見つけた

 hum こんなに近くにいても 渡せないものがあるの
 空に ひとつ流れゆく星
 青空が見せてくれた奇跡

 きっと Heart to Heart 叶えてくれる
 眼を閉じ 三回 願い事繰り返す
75713/17 メイドロボのいる(学校)生活 終:05/01/23 14:39:07 ID:rHQ4w0sk
 ――epilogue――
 翌日、珊瑚ちゃんに連れられて来栖川エレクトロニクスの研究所に案内されることになった。
 どうにもミルファの譲渡にはいくらかの書類にサインをしないといけないらしい。
「安心してえーよ。長瀬のおっちゃん、ええ人やから」
 居心地の悪い応接室でしばらく待たされる。そうして入ってきたのは人の良さそうな一人の男性だった。
「いやぁ、ごめんごめん。待たせちゃったね」
 そう言って男性は名詞を差し出した。
 来栖川電工 第七研究所開発主任 長瀬源五郎――と、書かれている。
「いやぁ、実を言うとね暴力行為があったもんだから結構心配していたんだよ」
「暴力行為?」
「うん。まあミルファがそっちにいった最初の日にだね。君が女の子らと一緒に食事をしてるのを見て、いき
なりぶちきれたわけだ。それで――」
 長瀬さんが殴るような仕草をしてみせる。そういえば心当たりがある。突然聞こえてきた大きな音と、扉に
あった大きなへこみ。
「その場は取り繕ったみたいだが、君から見えないところに行った途端、爆発したらしい」
 ……あれ、か。直接殴られなくて本当に良かった。
「それはログがちゃんとあったからちゃんと学校に賠償すればいい話なんだが、ほら、二日目以降戻って
きてくれなかっただろ。しかも結構記憶がずたずただから、なにかあっても分からないから困っちゃってさ」
 長瀬さんは一言断ってタバコに火をつけた。
「でも話を聞くに、暴れたのはその一回だけみたいだね。あの子も随分と大人になったもんだ」
「そうなんですか?」
「いやはや、二日目に初日のログを見て冷や汗をかいたよ。それでミルファに言ったんだ。これ以上の実験
継続は止めておこうと、ね。ははは、逃げられたよ。内側へのセキュリティも強化せんといかんな」
75814/17 メイドロボのいる(学校)生活 終:05/01/23 14:40:00 ID:rHQ4w0sk
「で、結局どういうことだったんでしょうか?」
 どうしても聞いておかなければならないことがひとつ。
 何故クマ吉、ミルファは、リオンと自分を偽って現れなくてはいけなかったのか。
「ああ、それかい」
 少し照れくさそうに長瀬さんは自分の鼻を掻いた。
「賭けだったんだよ」
「賭け?」
「ミルファがね、どうしても君専属のメイドロボになるって言って聞かなくてね。でもその気持ちをそんな風に
押し付けていいのか? って聞くと、君も絶対に自分のことを愛してくれると断言してくれたわけだ。まあそ
れが本当ならば、こうしようと。ミルファの環境テストを兼ねて君の学校、君のクラス、そして君の家庭にリオ
ンとしてお世話に行きなさい。自分を抑えられなければメイドロボ失格だ。だからミルファにはいくつもの制約
をつけた。それでその間に君がリオンの正体を見抜いたならば、好きにしたらいいってね」
 ――期間中は自分がHMX-17型であることを直接明かしてはならない。
 ――第三者によって明かされた場合も、条件に反するものとみなす。
 ――ミルファからの肉体的接触は、第一次接触までしか認めない。
 ――上記の条件で期間中に河野貴明が、ミルファをミルファであると見抜いた場合は、5分以内に契約を
済ませることによってHMX-17bミルファの所有権を河野貴明に譲渡するものとする。
 ――ただし契約は河野貴明の意思によって行われなくてはならない。
「君には迷惑をかけたと思っているよ」
「いえ、そんな、どちらかというと俺は全然気づけなくって」
「でも間に合った。そうだろ? 少年」
75915/17 メイドロボのいる(学校)生活 終:05/01/23 14:41:00 ID:rHQ4w0sk
「それで、本当にいいんですか?」
 重ねられた書類を前に改めて尋ねる。二度読み返しても、こちらに有利な条件としか思えない。
 ――HMX-17bミルファは正式に河野貴明が所有するものとなり、ミルファを大事にして、また月に一度は
研究所に戻ることを条件に、ミルファの維持にかかるあらゆる費用は来栖川エレクトロニクスが負担する。
 その他細かい条項はあるものの、いきなり契約内容がひっくり返るようなことは一切書いてない。
「本当にいいもなにも、テストケースその2として大事に利用させてもらうよ」
 長瀬さんはニヤリと笑って見せる。
「記憶容量の問題解決もまだ万全とは言えないし、そもそも物忘れするようなメイドロボを世間が必要として
いるかも市場調査してみんとなんともいえん。けどコイツには可能性がある。そうだろ」
「はい。本当に、そう思います」
「よし、それじゃ決定だ。ちゃっちゃと判を押してくれ。嫌だと言ってもあの子は押しかけていくだろうがね」
「それでミルファは?」
「結構ごっそり記憶削っちゃったからなぁ。本人なりの形で整理がつくまで休眠状態にしとくつもりだ。それで
もあと数日ってところだよ。単純な子だからね」
 そう言って長瀬さんは3本目のタバコに火をつけた。
「なー、おっちゃん、ええ人やったやろ」
 帰り道珊瑚ちゃんがそう言って笑う。
「そうだな」
 そう返事して、その頭をくしゃりと撫でた。
76016/17 メイドロボのいる(学校)生活 終:05/01/23 14:41:44 ID:rHQ4w0sk
 一学期が終わる。
 本当に慌しい4ヶ月間だった。
 4月に珊瑚ちゃん、瑠璃ちゃんと出会った。
 5月にイルファさんのことでいろんな衝突があった。
 6月は比較的穏やかに過ぎたものの、それでも色んなことがあった。
 7月にリオンさんとしてミルファがやってきた。
 これからもこんな日々が続くんだろうか。
 それともこれは人生の一節をもっとも鮮やかに彩った季節として思い出に変わっていくんだろうか。
 体育館での詰まらない話を半分寝ながら聞き終えて、みんなで教室に戻る。以前にも増してみんなの仲
は良くなったように思う。それだけでもリオンさんという存在に感謝することができる。
 教室の扉を開けると、とても懐かしい姿が視界に飛び込んできた。
「――リオン、さん?」
 おおっと、どよめきがあがる。
 しかしそのリオンさんは首を横に振った。
「私は河野貴明様のメイドロボ、HMX-17bミルファと申します」
 一礼。
「ミルファ……」
「貴明様、貴明様ぁっ!」
 走ってきたミルファが俺の首っ玉に抱きついてきた。それを強く抱き返す。
 この温もり、帰ってきた。本当に帰ってきたんだ。
76117/17 メイドロボのいる(学校)生活 終:05/01/23 14:42:29 ID:rHQ4w0sk
「――ねぇねぇ奥さん。またキスするんじゃないかしら?」
「――まぁまぁ、奥さん。きっとするわよ」
「しねぇよっ!」
 けったいな女子どもに一喝して、ミルファを見ると眼を閉じて顔を突き出してきてる。
 本当に勘弁してくれよ。
「だって初めては私、意識がないときだったじゃないですか」
 ミルファは眼を閉じたまま言う。
 ああ、くそっ、もう一度も二度も同じだろ。
 ――唇を重ねる。
 どよめきと拍手。
「――河野さん、河野さん、今のご感想は?」
「――味をおっしゃってください。味を!」
「知るかーーーーー!!」
 叫ぶと、ミルファは俺の胸から離れて、みんなの前に改まった。
「私は皆様にお礼とお詫びを申し上げなければなりません。皆様の尽力の賜物で私は大事なものを失わず
にすみました。それなのに私は皆様のことを覚えておりません。本当にありがとうございました。そして、本
当に申し訳ありません」
 深々と頭を下げる。
「よーし、そうだな。それじゃミルファちゃんの歓迎会といきますか」
「おっしゃ、ボウリングいこうぜ。ボウリング」
「え〜またかよ」
「バッカだろ、おまえ。だから、ボウリングに行くんだよ」
 夏の日差しは強くて、時々目を覆いたくなるほどだけど、しっかりとこの道を歩いていこう。
 大事な人と手を繋いで、一緒に――。
 どこまでも――。
762メイドロボのいる(学校)生活のひと:05/01/23 14:44:05 ID:rHQ4w0sk
エンディングテーマの歌詞が手元にないのでオープニング夏Ver.に。
自分で書いて泣いた。一番の大バカ野郎は俺自身か。
Side StoryでもShort Storyでもなく、きっちりした一本のシナリオとして書こうと序盤に決意して、そのスタイ
ルを貫かせて頂きました。伏線も意識的に張った分は回収できているはず。
このスレには相応しくないような長編となってしまいましたが、最後までお付き合いくださいまして本当にあ
りがとうございました。皆さんの応援がなければ最後まで書けなかったでしょう。心から感謝します。
そしてこんなストーリーを書かせてくれたミルファの存在にも感謝。
初期構想ではキミがリオンとしてやってきたのに、それに全然気づかない貴明にヤキモチやいて色々やら
かす話だったんだよ。と暴露。
では名無しに戻ります。またいつかストーリーの神が降って来る日まで。

追伸、某所で「居たい想い」という題名でこの話を再掲載していっておりますが、俺本人ですので見つけても
怒らないでやってください。1レスごと掲載すれば3ヶ月くらいは更新さぼれるぜー。
763名無しさんだよもん:05/01/23 14:47:41 ID:tUUMfYMN
>>762
長編お疲れでした。ラストのミルファとの再会は感動したよ。
FDあったらこんな感じでミルファシナリオがあればいいね。
改めてホント、お疲れさんでした。
764名無しさんだよもん:05/01/23 14:47:43 ID:6qtaP3lK
乙!
そして今までお疲れ様。
そして次回作もよろしく。
765名無しさんだよもん:05/01/23 14:54:09 ID:76JOU4Xk
おもろかった!感動した!
そして更新のはやさにびっくりした!
なにはともあれおちかれ(・∀・)ノ
次の作品にも期待してるよーぃ
766委員長の憂鬱2:05/01/23 14:55:41 ID:J5ACQh3k
貴明
「どう…と言われても…」

ポリポリと頭をかく。
普段から虚言・狂言の目立つ奴だったが…今回の話ばかりは常軌を逸している。
内容はこうだ。

下校時に見た夕陽に感銘(?)をうけた委員長は遠回りをして家に帰ろうと正門からではなく裏門から帰る事にしたらしい。

委員長
「ふぅ…思った通りここだとよく見える」

そういって辿り着いたのは学校の裏手にあるボロボロの神社。
境内に腰を下ろし大自然の素晴らしさに身を委ねていたら神社から通学路へ続く階段から誰か登って来たらしい。
767名無しさんだよもん:05/01/23 14:59:40 ID:BsIl3xVx
>>762
長編乙、耳コピでも良いならED歌詞挙げとく…

教室で騒ぐ友達の声が 今でも聞こえてくるような灰色の校舎
憧れの人や夢を語ったり 少女時代は空に描かれた一筋の飛行機雲
時は流れていく あの頃の私は今もいるのかな
懐かしいあの日々へ 戻りたい夢のような 思い出の場所へ

最近の私 愛想振りまいて 気遣うことばかりになって 馴染めないでいる
新しい町の生活の中で 追いかけていた夢さえ 消えそうでもう一度取り戻そう
時は流れていく 沢山の微笑み達 くれた人達に
ありがとういつまでも 生きている 夢のような思い出の場所で

始まりと終わり告げるチャイムが遠くで響くよ

時は止まらないね 幼さの抜け殻 静かに残して
ありがとう 忘れない 沢山の思い出達 また夢を見せて

i wish to have dreams with you again

間違ってたら指摘よろ。
後、誰か春夏さんd(ry
768名無しさんだよもん:05/01/23 15:05:00 ID:rHQ4w0sk
>>767
マジにサンクス
手元原稿はこちらに差し替えておきます。
769優しい季節は終わらない VS環 1:05/01/23 15:07:07 ID:LUWHZSnu
昼休み、気がつくと雄二はこのみを連れて学食へと避難し、
屋上には俺と草壁さん、そしてタマ姉のみ取り残されていた。
「へー、この子が雄二が言ってた、タカ坊の幼馴染の草壁さんねえ」
いつもの何かを企んでる目で俺と草壁さんを見ていたタマ姉は挨拶もそこそこに自己紹介を始めた。
「私は向坂環、一応年齢的には先輩に当るけど
私もこの4月から転校してきたばかりだから、気軽に環って呼んでね」
ああ、そうか、そんなタマ姉の反応を見ながら俺は安堵の息をついた。
タマ姉、いつも暴走してるように見えて、他人の前では借りてきた猫みたいに大人しいからなあ……
正直、雄二がこのみを連れて学食に行った時は、後で覚えてろよと思ったがこの分だとそう変な事にならないだろう──
「あ、はじめまして、私は草壁優季、貴明さんとは運命で結ばれた仲です」
──という期待は儚くも我が愛しい人によって全てぶち破られた。
「タカ坊」
「ハ、ハイ」
思わず自分の声が上擦ってるのが自分でも判った
「どういう事か」
「ハイ」
「説明してもらえるわよね?」
にっこりと笑うタマ姉の顔は凄惨な程綺麗で──
「はいぃ」
逆らえる訳も無かった……
770名無しさんだよもん:05/01/23 15:07:18 ID:UsZ3AEsP
>>762
GJ!&長編乙!
楽しく読ませていただきました
しかし文章書くのはえぇ〜
771優しい季節は終わらない VS環 2:05/01/23 15:08:05 ID:LUWHZSnu
かといっても、まさか時を止めただとか夜の学校であっていたなんて話しても信じてもらえそうに無かったので
草壁さんとは学校が変わった後もずっと文通をしていて、今回晴れて同じ学校に通えるようになったと
適当に話を作り上げてタマ姉には話しておいた。
タマ姉は疑う事も無く、ふーん、そうと言ったっきり黙って何かを考えていた。
そして、優しい顔になってタマ姉が呟いた。
「馬鹿ねえ、私がタカ坊の幸せを願ってないと思ってるの?」
そして、頭を撫でて来るタマ姉を振り解くと、思わず怒鳴ってしまった。
「ば、馬鹿、タマ姉、く、草壁さんも見ているんだから、
それに何度も言ってるけどもう高校生なんだからそ、そういう事やめてよね!」
振り解かれてきょとんとしていたタマ姉はその声を受けるとにまーっと人の悪い笑みを浮かべた。
あー、あの顔絶対何か企んでるよ……俺がそう思ったのも束の間、
「もう、タカ坊照れちゃって、可愛い〜〜」
お約束的に抱きしめられてしまった。
目で草壁さんに助けを求めると、草壁さんはにこにことただ笑っていた。
でも、心なしか口元が引きつっているのは気のせいだろうか……
そう思っていると、タマ姉は突然抱きしめる力を緩めてきて、
俺の肩を草壁さんの方へとぽんと軽く押した。
突然の出来事に脚がふらついて草壁さんの方によろけるように進んだ俺は
倒れこむように草壁さんを抱きしめる格好になってしまった。
気がつくと、突然の事にただ目をぱちくりとさせている草壁さんの顔が間近にあって
香水だろうか、若草の良い匂いが草壁さんからしていた。
772優しい季節は終わらない VS環 3:05/01/23 15:08:55 ID:LUWHZSnu
お互い固まったままずっと抱き合っていると、
「はいはい、若い二人が獣欲の赴くままに愛し合うのは仕方ないけど、
ここは学校よー。そういうのはオトナの時間にやりなさい」
タマ姉が手を叩いてそんな言葉をかけてきた。
その言葉でスイッチが入ったのか、俺と草壁さんは顔を真っ赤にしながら飛び退るように離れた。
俺はいまだ顔の赤みが引かない状態で、恥ずかしさを隠すためにタマ姉に怒鳴った
「た、タマ姉、何するんだよ、いきなり!草壁さんも困ってるじゃないか!」
すると、俺の言葉を全く意に介さずタマ姉はあの意地の悪い笑みを浮かべながら
「あらー? 草壁さんにタカ坊を返してあげただけよね、ねえ?」
と草壁さんに話を振る。
「え、えと、その私はあの、貴明さんとは、その……しましたが
二人ともこんなのはまだ早いと……」
駄目だ……草壁さんオーバーヒートしちゃってる……しかも何気にタマ姉に聞かれるとやばい言葉発してるし……
俺は慌てて草壁さんの手を引いてとりあえずこの場を去る事にした。
「タマ姉!お昼ご馳走様!でも、二度とこんな事やめてよね、草壁さんも困ってるんだから!」
その言葉に、タマ姉は苦笑しながら
「はいはい、判ってるわよぉ」
と答えると、さっさと行きなさいと手をひらひらさせて追い払う仕草をしてきた。
「ああ、でも、草壁さん」
その言葉を受けて階段を下がってる途中、最後にタマ姉が冗談交じりに発した言葉が
「あんまり安心してると」
何か頭の片隅でやけに
「わるーい泥棒猫にタカ坊取られちゃうわよ」
ひっかっかった。
773優しい季節は終わらない VS環 4:05/01/23 15:10:14 ID:LUWHZSnu
タカ坊と草壁さんを見送った後、屋上で私は唇をかみ締めただ立ち尽くしていた。
そうしているといつの間に屋上に来てたのか、雄二が珍しく私を気遣うように声をかけてきた。
「姉貴、ほんとにアレでよかったのかよ」
そんな弟を背に私は黙って空を見る。
空は私の感情を逆撫でするかの様に青く、広く、そして澄んでいた。
ため息を一つつき、目を閉じて雄二の方へ向き、そして微笑む。
「いい事、雄二、私はタカ坊と雄二とこのみのお姉さん。
それ以上でも、それ以下でも無いのよ、少なくとも今はね」
雄二は何か言いたげに口を開きかけたが途中で何かに気づいたのか黙った。
そして、数分の沈黙の後──
「ちょっと待て、姉貴!今はってなんだ、今はって」
私はその言葉ににっこり微笑むとここには居ないタカ坊、そして草壁さんに向かって宣言する。
「当たり前よ。向坂家家訓、勝負は完全に着くまで諦めるな、よ。
確かに今はあの草壁さんにタカ坊を取られちゃったけど……
最後に笑うのは、私よ」
後ろで溜息をつきつつ何かいいたげな雄二をアイアンクローで黙らせると、
私は空を一瞥しそして校舎へと入っていく。
やる事、やらなければいけない事は色々ある。
こんな所で油を売ってる余裕など挑戦者の自分には無いのだから──
774優しい季節は終わらない VS環 5:05/01/23 15:11:05 ID:LUWHZSnu
壁さんの手をとって一緒に階段を駆け下りていく。
胸はまだ鼓動が早く、治まる気配が無かった。
草壁さん、柔らかくて──いい匂いだったな──
ぼうっとそんな事を考えていると、
突然草壁さんが、手を抓って来た。
「い、いたっ。何をするんだよ、草壁さん」
そういって草壁さんの方を見ると、草壁さんは顔をまだ赤らめたまま
つんと横を向いて、私怒ってるんですよとでも言わんばかりの雰囲気を醸し出していた。
「え、えっと、草壁さん?」
「……なんですか、貴明さん」
「もしかして……怒ってる?」
その言葉に草壁さんはこちらを振り向くと、凄くいい笑顔でこうのたまわれた
「いいえぇ、ちょっと貴明さんの手に対して抓りたいと思っただけですから」
「え、えっとごめん、草壁さん……そのタマ姉、悪い人じゃないんだけど」
すると、草壁さんはちょっと悲しそうな顔をして
「貴明さんは全然判ってられてません。
私が悲しいのは今まで貴明さんと、私との間に繋がりが無かったのに、
いきなりあんな風に、しかもあんな素敵な人と色んな思い出を持ってる事ですよ」
そんな草壁さんの言葉に俺は申し訳ないという気持ちで一杯になった。
そうだった、草壁さんは、ずっと俺の事を覚えて、俺との約束を覚えてあんな事までしてくれたのに──
775767:05/01/23 15:12:31 ID:BsIl3xVx
スマン
7行目の 
×沢山の微笑み達→○沢山の微笑み
に修正、なんで達を入れてんだorz
776優しい季節は終わらない VS環 6:05/01/23 15:12:54 ID:LUWHZSnu
「だから」
悪戯っぽく笑うと、草壁さんはこちらに飛び込んできた。
反射的に草壁さんの体を支えると、
「今まで会えなかった年月分のダストノートが一杯になるまでまずは二人で思い出作りましょうね」
そう優しく耳にささやいて来た。
俺は耳まで真っ赤になってるのを自分でも判りながら、黙って草壁さんの体を抱きしめた。
ごめんね、草壁さん、これからは二人でもっと運命的な事をやっていこうね、と心の中で呟きながら。
「きゃっ、貴明さん、でも、学校の廊下で愛する二人が愛の抱擁……運命的です!」
777名無しさんだよもん:05/01/23 15:15:06 ID:LUWHZSnu
>>762
お疲れ様でしたー
へたれSS書きの自分としてはそこまでキャラを動かせて筆が早いのは純粋に羨ましいorz
てか、俺の文章がスレ全体の足引っ張ってなかったらいいんだが……
まあ、順当に環を登場させて…というか、どうしてもいきなり打ち解ける環と優季ってのがおもいつかなかった…
778名無しさんだよもん:05/01/23 15:16:40 ID:76JOU4Xk
>>777
優季さんかわ(・∀・)イイ!!
たま姉こわ(・∀・)イイ!!
おもろかったよー
779名無しさんだよもん:05/01/23 15:19:58 ID:6qtaP3lK
タマ姉怖いヨー
って言うかおまいら割り込みすぎです
780委員長の憂鬱3:05/01/23 15:20:48 ID:J5ACQh3k
委員長
(むっ…一体誰だ?)

一人の時間を邪魔され少し気に障ったらしいが…

委員長
(これは…女性の声)

そう階段からは女性の…おそらく二人の女性の声。
しかも、何か言い争っているらしい。

委員長
(おおっ!修羅場か!?)

委員長は怖い物みたさでとっさに身を隠したらしいのだが…。

貴明
(お前は変態か!)

心の中で突っ込んでおくのは忘れない。

そして境内に現れたのは二人の女性、一人は髪の長い女性。
ぱっと見ておとなしそうな雰囲気が伝わってくる。属にいう『お嬢様』タイプと言うやつだ。
でもう一人の女性は…髪の短かく、部活中だったのかブルマー姿をしている。

781名無しさんだよもん:05/01/23 15:21:33 ID:76JOU4Xk
真委員長のSSの方はどうしたんじゃろうか
782名無しさんだよもん:05/01/23 15:21:52 ID:tUUMfYMN
>>777
草壁さん、イイ!うまくタマ姉とのvsイベントになってるなぁ。
他キャラと絡むと草壁さんっておもろいw
続きがあれば読みたいです。
783名無しさんだよもん:05/01/23 15:27:03 ID:UsZ3AEsP
>>777
GJ! 草壁さん可愛いよー。
(ゴメン割り込んでしもうた)


力作SSが増えて読み応え十分ですな
自分なんて1レス分が限界…
784名無しさんだよもん:05/01/23 15:28:04 ID:rHQ4w0sk
>>777
俺の望みどおりにタマ姉でキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
おもしろかったっすよー。どんどん書いて━━━━!!
785名無しさんだよもん:05/01/23 15:39:13 ID:UUqdVJKz
そろそろ次スレを建てないと
スレの容量オーバーになるよ!

スレの上限値500KBだっけ?
これを超えると表示できなくなるよ!
786名無しさんだよもん:05/01/23 15:46:56 ID:76JOU4Xk
そうか、テンプラとかはいらない?
787委員長の憂鬱4:05/01/23 15:47:28 ID:J5ACQh3k
委員長
(あの色…三年か?)

ブルマー少女のブルマーの色からそう判断する委員長。

委員長
(…にしても一体?)

二人は激しく言い争っている。
じょじょにヒートアップしていく二人。
詳細までは聞こえないが会話の節々に「先輩は…」とか「フジタさんは…」などの名前が出てくることから…

委員長
(ははぁーん…恐らくフジタって先輩をめぐる女の死闘…ってところか)

女同士のケンカはたちが悪いからなぁ…など考えつつ更に出歯ガメを続ける委員長。

委員長
(おっ!!)

業を煮やしたブルマー娘がお嬢様に詰め寄る!
身をこわばらせるお嬢様!
そして次の瞬間、突然の耳鳴り!

委員長
(!!!)

キィィィィンという音が鳴り響き…と同時に見えない『何か』により数メートル後方に吹き飛ばされるブルマー娘。
788名無しさんだよもん:05/01/23 15:51:16 ID:98a7VAQE
テンプレはキャラごとのSSまとめサイトの
リンク貼ればいいんじゃないかな
789名無しさんだよもん:05/01/23 15:58:40 ID:76JOU4Xk
SSのまとめサイトってあったっけ?
790名無しさんだよもん:05/01/23 16:03:48 ID:bLnPxbpv
>>762

素晴らしいペースで素晴らしい作品をありがとうございました。
お疲れ様でした。GJ!!
791委員長の憂鬱5:05/01/23 16:05:46 ID:J5ACQh3k
委員長
(いっ!?)

後方に吹き飛ばされるブルマー娘。しかし空中で器用に回転し無事着地…。
足が地面に着くと同時に怒声一発、猛ダッシュでお嬢様との距離を詰める。
が、しかしお嬢様はどこからか取り出した大量のテニスボールを謎の力で連続照射!
信じられない速さでブルマー娘に襲いかかるテニスボール…。しかし委員長ははまたも我が目を疑った!
ブルマー娘が高速で飛来するテニスボールを右足の蹴りのみで全て迎撃しているではないか!?
792委員長の憂鬱6:05/01/23 16:20:59 ID:J5ACQh3k
全てのボールを迎撃し終わったブルマー娘が間合いを詰め渾身のハイキックをお嬢様に叩き込む!

委員長
(ひぃぃっ!)

あの凄まじい蹴りを受けたら…。
目の前で繰り広げられるであろう大惨事を想像し目をつむる委員長。
しかし、ブルマー娘の蹴りはお嬢様のすぐ横の空間でピタリと止まっているではないか!

委員長
(寸止め?いやちがう!!)

恐らくお嬢様はその不思議な力でブルマー娘の蹴りを防いだのだっ!!
793名無しさんだよもん:05/01/23 16:22:30 ID:98a7VAQE
>>789
だいたい作者の人たちがサイトにうpしました
ってリンク貼ってるからそれを集めてテンプレにすれば見やすくていいと思うよ。
794委員長の憂鬱7:05/01/23 16:52:59 ID:J5ACQh3k
貴明
「…で何で委員長が怪我したんだ?二人を止めに入ったの?」

と尋ねる。
正直早く帰りたい。
話を切り上げなければ…。

委員長
「そう。僕は目の前でいがみあってる二人の女性を止めようとしたのさ!」

貴明
「ああ…それで?」

適当に相槌をうつ。
まだ続くのか!?

委員長
「しかし一歩足を踏み出した途端、テニスボールに足をとられて転んでしまってね…。しかも運悪く転んだ拍子に階段から落ちてしまって通学路までまっ逆さまさ。」

貴明
「……」

委員長
「僕としては二人を止めてあげたかったのだが…って河野!聞いてるか!!」

貴明
「委員長…殴っていいか?」

言うより早く、委員長のギブスめがけ拳を叩き込む!
ヤックに響く委員長の悲鳴を後に俺は店を出た。

795名無しさんだよもん:05/01/23 16:57:48 ID:rHQ4w0sk
>>794
乙。前作との絡みシリーズやね。
ただメモ帳なりにまとめてから一気に投下をオススメしたい。
796名無しさんだよもん:05/01/23 16:58:01 ID:J5ACQh3k
…というわけでおっすおら雄二の人です。
瑠璃SSそっちのけで禁断の真委員長SSをうpしてみました。
797名無しさんだよもん:05/01/23 17:04:24 ID:hy7PRm5Y
あなたのファンです
798名無しさんだよもん:05/01/23 17:19:18 ID:e8Pak8Um
>>694
THRネタ(セリオ)キター
799名無しさんだよもん:05/01/23 18:16:13 ID:LUWHZSnu
サイト持ってないから書いた挙げられなくて正直スマンカッタ
誰か全部纏めて引き取って乗せてくれたら一番ありがたいんだが……
800名無しさんだよもん:05/01/23 18:54:43 ID:RvAPiPO4
凄いスレが進んでいるので
白い微笑でも落とされてるのかと思った
801名無しさんだよもん:05/01/23 19:41:45 ID:EbRrKD6m
んで次スレどうするよ?
802名無しさんだよもん:05/01/23 19:46:58 ID:x/72UG4N
テンプレがいるとしたら前スレ、関連スレとのリンクか。ちと作ってみる
803名無しさんだよもん:05/01/23 19:55:20 ID:EbRrKD6m
>>802 がんがってくれ!期待してる!
804名無しさんだよもん:05/01/23 19:56:43 ID:rHQ4w0sk
あ、途中までまとめてたから、URLだけまとめて投下。


前スレ
ttp://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1105005926/


前スレで他所にうpされた作品一覧

暗闇の中で
ミルファのいる生活
http://www2.tokai.or.jp/v-sat/ss/ss_index.html

真夏のミステリ
ttp://www.geocities.jp/karin_th2/index.html

押しかけメイドイルファさん
ttp://bcproject.h.fc2.com/maid.html
805名無しさんだよもん:05/01/23 19:57:58 ID:rHQ4w0sk
って、しまた。ごめん。
一個だけ、h抜き忘れてた orz
806名無しさんだよもん:05/01/23 20:15:20 ID:x/72UG4N
ToHeart2 SS専用スレ 2  (スレタイ)

ToHeart2のSS専用スレです。新人作家大募集中。

※SS投入は割り込み防止の為、出来るだけメモ帳等に書いてから一括投入したほうがいいです。

前スレ
ToHeart2 SS専用スレ
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1105005926/

AQUAPLUS『To Heart2』公式サイト
ttp://www.aquaplus.co.jp/th2/index.html

本スレ
To Heart2 その24
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1105965085/

ToHeart2 スレッド 過去ログ置き場(仮)
http://f55.aaa.livedoor.jp/~kuma/toheart2/

各キャラの呼称相関図は
ttp://botan.sakura.ne.jp/~siori/hth/index.html
内のToHaert2呼び方相関図を参照。
807名無しさんだよもん:05/01/23 20:17:02 ID:x/72UG4N
キャラスレ
「ヤダ…ここで寝る…」 柚原このみスレッド 三泊目
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1105620166/
「うん、初めて言ったから」 向坂環 5回目の告白
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1105972773/
小牧 愛佳 ぽよーん 5
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1106135832/
ToHeart2 姫百合姉妹スレ 3
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1105844286/
ルーシー・マリア・ミソラ 3
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1105800590/
十波由真スレッドその4
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1105762899/
笹森花梨スレ〜ミステリ研3日目〜
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1106240437/
草壁優季スレッド
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1098963344/
柚原春夏スレッド
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1097250311/
吉岡チエ
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1101484944/
みちるVS山田ミチル
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1099449650/
「メイド学食ってどっかにねえかな」向坂雄二スレ
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1100669002/
【HMX-17】イルファ【メイド服】
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1104220862/
菜々子ちゃんファンスレッド
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1105152708/
小牧郁乃を愛でるスレ
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1106043536/
808名無しさんだよもん:05/01/23 20:19:22 ID:x/72UG4N
前スレで他所にうpされた作品一覧

暗闇の中で
ミルファのいる生活
ttp://www2.tokai.or.jp/v-sat/ss/ss_index.html

真夏のミステリ
ttp://www.geocities.jp/karin_th2/index.html

押しかけメイドイルファさん
ttp://bcproject.h.fc2.com/maid.html


>>804
サンクス、かりぜよたべ。
809名無しさんだよもん:05/01/23 20:21:01 ID:EbRrKD6m
ウホッ、GJ!
もう立てていいのかな?
810368:05/01/23 20:26:20 ID:sdW7/GDK
もうちっと待ってからの方がいいと思いますよ〜
テンプレ案、もうチョットあるかもしれないですし
811名無しさんだよもん:05/01/23 20:27:11 ID:EbRrKD6m
ラジャッ
812368:05/01/23 20:41:22 ID:sdW7/GDK
なんか寂しいんで追加案。
OKだと思うんならレス頼みます(修正等もお願いします)

桜が舞う、暖かな季節。
新しい出会いや恋、そして友情に笑い、悲しみ。
すべてが始まり、終わるかもしれない季節。
季節といっしょに何かがやって来る、そんな気がする―――。


ToHeart2のSS専用スレです。
新人作家もどしどし募集中。

※SS投入は割り込み防止の為、出来るだけメモ帳等に書いてから一括投入したほうがいいです。


前スレ
ToHeart2 SS専用スレ
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1105005926/

AQUAPLUS『To Heart2』公式サイト
ttp://www.aquaplus.co.jp/th2/index.html

本スレ
To Heart2 その24
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1105965085/

ToHeart2 スレッド 過去ログ置き場(仮)
http://f55.aaa.livedoor.jp/~kuma/toheart2/

各キャラの呼称相関図は
ttp://botan.sakura.ne.jp/~siori/hth/index.html
内のToHaert2呼び方相関図を参照。
813名無しさんだよもん:05/01/23 20:51:56 ID:FRHFBEv3
いいとおもいまつ
814名無しさんだよもん:05/01/23 20:53:26 ID:rHQ4w0sk
>>812
それでそろそろヨロ。
新スレ立った直後に投下予定の人はお互いの割り込みに注意w
815名無しさんだよもん:05/01/23 21:00:30 ID:x/72UG4N
立てたぜよ。

ToHeart2 SS専用スレ 2
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1106481479/
816名無しさんだよもん:05/01/23 21:01:51 ID:rHQ4w0sk
>>815
グッジョブ
817名無しさんだよもん:05/01/23 22:22:01 ID:uHU8aGqK
どうでもいいことだけど
こういう『容量は残り少ないけどレス数はまだ余裕のあるスレ』って
980越えみたいなのと同じカンジですぐ落ちるのかな?
818名無しさんだよもん:05/01/24 00:13:28 ID:PN7KKobs
どーでもいいことだが完全無欠なくらいスルーされているな、るーこ。
819名無しさんだよもん:05/01/24 00:22:23 ID:XkLkrLQx
本編でわりと満足しちゃったからね>るーこ
むりろネタにも出てこないかもりんはどうなる。
820名無しさんだよもん:05/01/24 00:23:02 ID:ON4v2u4f
かもりん、スレの最初のほうにあるよ
821名無しさんだよもん:05/01/24 00:37:11 ID:wELkvcFB
るーこは割と好きなんだが、どうにも書きにくい
あえて書くとしたら後日談だろうか
822名無しさんだよもん:05/01/24 00:39:12 ID:ofpdVAa2
>>259のるーこの続きを今でも待っているのは俺だけでいい
823名無しさんだよもん:05/01/24 00:59:58 ID:uPQ0DTYd
しかしなんだかかんだでSSスレじゃメイドロボ大人気だな。
サブキャラ系スレでもブッチ切りの伸びだし。


そこでだ、そろそろよっちの大作が投下されるんじゃないかと俺は践んでるんだが?
824名無しさんだよもん:05/01/24 01:02:19 ID:ON4v2u4f
いや、いよいよ郁乃アフターの登場では?
825名無しさんだよもん:05/01/24 03:23:14 ID:qEWaka7t
>>822
残念。実は俺も続きを待ってる。
826名無しさんだよもん:05/01/24 06:16:43 ID:4frWwM9K
るーこはコンペスレにあるね 一応
827名無しさんだよもん:05/01/24 10:45:39 ID:ko5U6ak3
なんかスレ2の方に既にSS上がってるぞ。
こっちまだ使い切ってないのに
828名無しさんだよもん:05/01/24 11:12:54 ID:RFG2Mitw
>>827
後7KBでdat落ちしちゃうので、SSあげられないのですよ。
829名無しさんだよもん:05/01/24 11:33:55 ID:740UYPvM
俺は郁乃アフター断念しました。
いやね?本編での登場期間があまりに短かったせいで、こいつに嫉妬させるってのがどういうことか分からんのですよ。
ちょっと気を抜くと愛佳についてある事ない事貴明に吹き込んでたときのようなかなり性格の悪いキャラになるし、
あんまツンデレさせて「お姉ちゃん大好き!」にすると瑠璃化するんですよ。それはそれでいいかもしれないけど
830名無しさんだよもん:05/01/24 13:38:20 ID:YRgEh3X9
落ちるかな。




☆*****☆*****☆☆*****☆*****☆ч
831名無しさんだよもん:05/01/24 13:59:45 ID:Hc8xyPq/
あんまり早く容量いっぱいにすると落とされるかもしれない。
このスレは最小限のカキコのみで維持することを
おすすめする。
832名無しさんだよもん:05/01/24 16:44:58 ID:rCgYVrjl
一応このスレ、ここまでの分保存して、うpしとく(・ω・)
各作品を抜き出すのは面倒だけど、それくらいなら。

我楽多工房.com
ttp://www.geocities.jp/koubou_com
833名無しさんだよもん:05/01/24 16:51:06 ID:onqHlNgV
GJ
834名無しさんだよもん:05/01/24 18:37:17 ID:24f86f5Z
>>832
GJ
835名無しさんだよもん:05/01/25 02:42:22 ID:I+CxWZwX
>832
THX
836名無しさんだよもん:05/01/26 03:01:29 ID:TJqV0rsU
1919(イクイク)5454(ゴシゴシ)ジンギスカぁ〜んっ♪ あぁあん♪
たかくんすごいであります!!
837名無しさんだよもん:05/01/26 08:00:29 ID:g5tzX/ga
5454(ゴシゴシ)ってあんたw
838名無しさんだよもん:05/01/26 08:51:32 ID:HBOadFkA
4545だと柔らかく優しい感じだが
5454だと力強く荒っぽい感じだな
839名無しさんだよもん:05/01/26 14:44:03 ID:yFkF4GcH
>>832
乙ー
840836:05/01/26 21:59:44 ID:TJqV0rsU
1919年5月4日に起きた54運動のこと。
厨房時代の社会化のセンセが教えてくれた。

ちなみに社会のセンセの後輩数学のセンセは球体積の公式を
(4/3)πr3
みよちゃんのおっぱいれろれろれろ
と覚えると良いよと教えてくれた。忘れられない。
841名無しさんだよもん:05/01/26 23:27:06 ID:ZBCGZhCe
まだ書き込める?
842名無しさんだよもん:05/01/27 01:32:15 ID:iYF4WiVE
あと5〜6k
843試験投入・環SS(仮):05/01/27 19:32:57 ID:a2ou5cz3
4月の終わり、河野貴明と向坂環は恋人同士となった。
しかしそれは一つの物語の終わりではなく、むしろ始まりであった。

5月に入り修学旅行まであと少しという頃、早朝2人の姉弟が河野家を訪れた。

「ほら! タカ坊、早くたべて支度なさい。 時間ないわよ!」
よく通る澄んだ声で環がせかす。 制服にエプロン姿が眩しい。
「大丈夫だよ少し急げば、いままでもこの時間ぐらいで・・・いたたた!!」
頬をつねられて最後まで言葉がつげない、つねってる本人はにこやかに言う。
「いままではね、でもこれからはそうはいかないわよ!」
ここ数日、環は朝から河野家に通っている。 貴明の生活を改善するためと
意気込んでのことだ。  
なんせ5時に起きてそれから10Km走る人だ、朝は強い。 その後、雄二を
起こし河野家に来るのだから貴明でなくても恐れ入る。
「お前はまだいいぜ、俺より30分余計に寝られるんだからな。6時に叩き
起こされる俺の身にもなれよ! とんだとばっちりだぜ・・・」
となりで食事している雄二がぼやく。 環が河野家に朝から通うようになり
食事を作る手間を省くためココに連れて来られたのだ。 
貴明も以前より早く起きているのだが、環はそれからご丁寧に手の込んだ
朝食と弁当(昨晩にほとんど仕込みは終わっているが)を作るので結局
いつもと同じ時間になってしまうのだ。
3人での朝食はここ最近のお決まりとなっていた。
「あ〜あ、貴明に姉貴をあてがえば俺は開放されると思っていたのによ・・・
とんだ見当ちがいだぜ! 貴明! お前のせいだぞ」
「お前の仕込みが足らないからだ! とっとと姉貴を女に・・・あだだだ!!」
いわずもがなのアイアンクローが炸裂する。 
844試験投入・環SS(仮):05/01/27 19:33:46 ID:a2ou5cz3
「そ!そんなことアンタに関係ないでしょ!!」 顔を真っ赤にして環が叫ぶ。
「あだだだだだ! 割れる! マジ割れる〜!!」 いつも以上の圧力に雄二
が絶叫する。 
「ははは・・・」 貴明がちからなく笑う。 雄二をようやくその豪腕から
開放した環もなにか言いたげに貴明をちらと見た後、黙ってしまった。

4月の終わり、互いに告白し幼馴染から恋人同士となった後も2人はまだ完全
に結ばれたわけではなかった。 そのような機会はいくらでも在ったし、また
環もそうなる事を望んでいるのはいくら貴明といえど気がついていた。
ただ貴明はまだその一線を越えることに対して踏み切れないでいた。 なんの
障害もないはずなのに。
 
「おはよう、タカ君、ユウ君も」 すぐ隣、柚原邸の前でこのみと合流する。
「おっす!ちびっこ」 「おはよう、このみ」挨拶をかえす雄二と貴明。
「おはようタマお姉ちゃん」 「・・・おはよう、このみ」
雄二と貴明とは別に挨拶するこのみ、暫しの沈黙ののちにそれを返す環。
二人の間にある微妙な空気。 貴明と環の関係を知った時、このみの受けた
衝撃は小さなものでは無く、こうして再び一緒に登校できるようになるの 
には数日を要した。 
環とこのみは一晩語り合ったという。 そのとき何を話したのか、貴明も雄二も
一生教えてもらえないだろう。
二人はそれから表面上はいつもどうりの関係に戻ったように見えるが、とき
おりギクシャクする時もある。 もっともそれは、貴明や雄二、春夏などの
ごく身近な人物にしか解りえない程度のものであった。
人はいつまでも同じままではいられない、しかし少なくともこの時の4人は
幼いときと変わらないように見えた。                  
845名無しさんだよもん:05/01/27 20:45:42 ID:P1nlp3K5
>843-844
イイ!!
続き待ってます
846名無しさんだよもん:05/01/27 21:06:55 ID:mXaw7TmH
(・∀・)イイ!!
続き期待してます。
847埋めがわり・環SS3
4時限目の授業が終わり、昼休みとなった。 学食に行く者、弁当を広げる者
みな其々であった。 環は弁当をもっていつもの屋上に向かおうとしていた。
「お〜いタマちゃん、彼氏といつものランチタイムですかな?」
クラスメートの少女が呼び止める、環は慌てるふうもなくさらりと答えた。
「最愛の妹と弟2人よ」 「2人の弟君の内の一人が彼氏なんでしょ?」
こんどはさらりというわけにはいかなかった。 「・・・うん、最近ね」
「まあ、いつもあの2人と一緒にいるタマちゃんに告白しようなんて奴はいない
もんね」 「え?」環はちょっと理解しかねた。
「解んない?実の弟君もかっこいいし、貴明君はかわいいし今彼氏なんでしょ?」
「ちょっとまった!雄二は知らないのにタカ坊の名前がでてくるのは何故!?」
たしかにあの2人はもう少しおバカをなんとかすれば女の子にキャーキャー
言われても不思議なことはないが、関係の無い3年生から突然その名がでてくる
のは看過できない。「あら?知らないの、以前から貴明君、上級生のお姉さま方に
結構人気だったんだよ」  「そこらへん、詳しく」 3匹の雛鳥が腹をすかせる
だろうが、今はこっちの方が重要だ。
「詳しくも何も彼、年上殺しだよ。 タマちゃんがいい例でしょ?」
反論のしようが無い、昔から環自身タカ坊がかわいくてどうしようもないのだから。


「おせえよ!姉貴 突然生理でもはじまったのかよ。 こっちは待ちくたび・・」
雄二を得意のアイアンクローで黙らせ、環はこのみと貴明に謝った。
「ごめんなさい、ちょっと用事ができちゃって。 おなかすいた?」
「いや平気だよ」 「うん大丈夫」 「あだだだだだ! いい加減・・離せ・・」
雛鳥たちは三者三様に返事する。
「それじゃ、始めましょうか」 シートの上に色とりどりのお弁当を広げていく。
「ほんといつもすごいね・・タマお姉ちゃんのお弁当」
自分の弁当と見比べながらこのみが言う。
「そんなこと無いわよ、この位このみだって・・・あら?」
環はこのみの弁当箱に目をとめる。