赤い夕焼けに染まった教室でわたしは激しく腰を突き動かしていた。
机の角の秘部を擦り付けてクリトリス刺激する。
快楽に酔いしれた体はすでに前後の見境など考えが及びもしない。
更に腰を落として割れ目を机の角に押し付ける。
気持ちよかった。
口から涎をたらすほどに。
愛液に満ちたあそこはねっとりと机の上に滴り落ちている。
誰もいない教室。
そう誰もいないはずなのに視線を感じる。
廊下から声を潜めてこちらを見ている。
わたしの痴態に興奮して汚らしいアレを反り返している。
わたしは笑った。
サービス代わりに声に艶を出し喘いでやる。
廊下側から何か物音。
そのあとで足早に教室から去る音が響き出した。
「本当に見られてたんだ……」
そのことに足が震えた。次に体に来た。
わたしは嘲笑う。
狂ったように嘲笑う。
愉快で堪らない。体が熱くなり鼓動が早くなる。
そして、ひとしきり笑い終わってから、
少しだけわたしは泣いた。
家の鍵を取り出してくるりと錠を回した。
いびつな音を立てて扉が開いていく。
誰もいない家だから「ただいま」も言わずにわたしは入って鍵を閉じた。
無言で居間のソファーに腰を掛けてTVの電源を点ける。
流れ出す無意味な笑い声。
わたしはそれを見もせずに台所に行ってドリンクを手に取る。
ついでに部屋に戻って着替えを済ました。
気持ち悪かったから下着も替えた。
居間に戻った。
TVはまだ無意味に音を垂れ流している。
空虚な時間が流れている。
わたしはソファーに寝転んだ。
お腹は空いていた。
自分で作る気はなかった。
コンビニで何か買って来たら良かったと思った。
冷凍食品は切らしている。
インスタント食品も昨日ので最後だった。
買い物に行く?
夕陽の明るい色合の街並みを窓から横目で覗く。
塀に囲まれて外の情景は分からない。
子供たちの声だけが煩わしく聞こえてくる。
わたしはTVの音を上げた。
買い物に行く気にはなれなかった。
お腹は空いている。
夕陽はもう間も無く西の空に沈んでいこうとしている。
TVは無意味にお茶の間に笑い声を提供している。
途端にすべてが煩くなった。
わたしはTVを消した。
わたしは部屋に戻ってベッドのもと横になった。
リモコンを持ってラジオを付けた。
スピーカーは無意味に音を垂れ流している。
音量を上げた。
耳には何も聞こえなった。
昨日と今日の違いが分からない。
今日と明日の違いもきっと分からない。
わたしは同じ日を繰り返していた。
雪が溶けて、
桜に蕾が付いて散って、
雨が降って夏になって、
葉が紅くなって落ちて、
また雪降ることになったとしても……。
同じ日々の繰り返しだ。
わたしには未来(さき)というものが無かった。
過去に引き摺られている奴に神様は未来なんて気の利いたものは用意してくれない。
現在(いま)も分からないから夢もそこにない。
ラジオから無意味な声が垂れ流しにされている。
リスナーに語り掛けているくせして実はマニュアル通りの対応に過ぎない。
わたしは下着をずり下ろしてそこに指を這わせた。
突き入れた。
気持ち良かった。
わたしは明日も同じことする。
今日と変わらないことをして時間を喰い潰していく。
時間が過ぎることは好きだった。
同じ日々の中にあっても人は成長する。
髪は伸びるし爪も伸びる。
時間だけは平等だ。
この無意味な瞬間を続けていくことにも意味はあった。
少しずつだったが確実に向かっている。
気は遠くなるけどそれでもいい。
体疼く快楽さえも一瞬のもので良かった。
時間が過ぎていく分だけ人は死に近づいている。
死だけは平等だ。
ラジオから学生の間で流行の曲が無料で垂れ流しにされている。
わたしには何の曲か分からなかった。
よくある言葉を――
ありふれた科白を――
なんでもない季節を――
曲に乗せて流したとしても見分けが付かない。
聞き分けられない。
わたしのココロには届きもしない。
わたしにとってのミリオンセラーの歌声はそんなものだった。
時計の長針が十二を指して時間がひとつ進んだ。
夜の帳にすっかり覆われて街はまたひとつの闇を越えようとしている。
時間さえ経てば闇は晴れる。
いつしか日は昇る。
約束にも等しい瞬間を永遠に繰り返している。
星々さえも日々を同じく過ごしているのだ。
わたしが昨日も今日も明日さえ分からなくても大したことじゃない。
空腹にお腹は音を立てる。
恥ずかしくも無い当然の自然現象に口元は引きつりも笑いもしない。
このままベッドで寝てしまいたいと思った。
叶うなら永遠に。
このままの時を刻んでいきたい。
気が付くとラジオは無意味に次の番組に移行していた。
無駄に非生産的会話を垂れ流している。
「あたし常々思ってたんだけど。『記憶喪失』って、程度の差が有るのかな」
「ていど? なにがいいたいの?」
ソレに耳を澄まして聞いたのは偶然だった。
相談ごとは記憶喪失になったと言う少女のものだった。
少女は今の状態を憂いでいるらしく何とかしたいと思っているらしい。
当然、わたしはソレを嘘の相談だと判定した。
何てこと無い感情だった。
わたしの耳にソレが聞こえてきたのは羨ましいと思ったからだ。
記憶喪失なんて羨ましい状態だろう。
なれるものならなってみたいし代われるものなら代わってやりたい。
家族のことなんて忘れたい。
お母さんのことをすべて忘れ去りたい。
記憶を失うなら残るのは無垢なわたしだと思うから。
罪を背負ったわたしの唯一の救いだと思うから。
とても甘美にわたしの耳にソレは響く。
男女二人のパーソナリティは冗談めかして答えていた。
二人はまだ子供のようだった。
真剣に答えようという姿勢ないのはわたしを安心させた。
茶化してしまえば良い。
親身になられてもラジオ越しには苦笑しか出来ない。
分かったような口を利いてどうする?
例えわたしが相談者だとしてもそう思うだろうから。
目を閉じた。
記憶は瞼の裏には映らないが脳裏にはいくらでも残っている。
いつまでも残光は消えないでわたしは苛んでいる。
わたしを捨てた母。
母の記憶を捨てたいわたし。
でも、そこにある思い出。
消えない。
消えてくれない。
例えば、夕食を作ってくれて美味しくてお代わりしたことや、
それに、母の絵を遊戯の時間に描いて「上手く描けたね」と褒めて貰ったことも、
例えば、わたしのことを見てくれなかった母に対して捻くれた作文を書いたことや、
そして、演劇の時に手抜きをしてやさぐれたわたしに向けられた眼差しも、
いくら些細だとしても滑稽だとしても忘れられない。
今のわたしをこれらの思い出が作ってきたと言うなら、
もうわたしには前に進むための思い出は残っていないと言うのに、
忘れられないでいる。
結局、わたしは何をしたいんだろう?
わたしは、何を望んでいたのだろう?
――そして、何のために生きているのだろう?
「しーゆーねくすとんっ! ばいばーいっ」
無意味に垂れ流されていたラジオの幕も閉じられる。
わたしはラジオを消した。
闇。
暗い部屋の中にわたしはひとり。
陽はすでに落ちていた。
電灯も点けていなかったことに気付くがベッドから起き上がるのは面倒すぎた。
静寂に支配された部屋。
光に満たされない部屋。
わたしのココロそのものをココは体現しているみたいだ。
ピンポーン。
ただ邪魔は入るもの。
どこまでも続く世界の中ひとりにはなれないもの。
ココロだけは誰もがひとりと言うのに。
ピンポーン。
無視することは簡単だった。
いや簡単すぎた。
もうゆうに八時を回っている。
お腹は空いていた。
動きたくはないが動かないと空腹はいつまでも満たされない。
だから……。
ソレに出ようとは思ったのはついでに過ぎなかった。
…………。
……。
目の前にあの人が立っていた。
わたしは何かを言おうとした。
…………。
……。
口を開けたまま何も言えなかった。
…………。
……。
あの人はわたしに笑い掛けた。
もう駄目だと思った。
わたしは自然とあの人に向かって言葉を紡いでいた。
「お帰りなさい」
「ただいま」
そう……お帰りなさい、お母さん。
結局、わたしは――この瞬間のために生きてきたのだろうと感じていた。
「ごめんね。思ったより……お買い物に時間掛かったの」
わたしは「そう」と呟いた。
お母さんはエプロンを身に付けて台所に立った。
「御飯まだ?」
わたしは「うん」と頷いた。
お母さんは鍋をコンロの火にかける。
「すぐに作るからね」
わたしは「早くしてね」と促した。
お母さんは袋から材料を取り出して「ええ」と返してくれる。
「今日は郁未の好きなクリームシチューにするからね」
わたしは「ほんと」と返した。
お母さんはその言葉に少し悲しそうに顔を伏せた。
「郁未、長い間……ごめんね」
わたしは「何が?」と聞いた。
お母さんは「ごめんなさい。何でもないわ」と答えて微笑んだ。
「これからはずっと側にいられるからね」
わたしも「ありがとう」と笑った。
問題の先送りなのかもしれない。
何のために母はわたしのもとに帰ってきたのだろうか。
わたしを捨てて宗教に入り込んだのではないだろうか。
FARGOへの勧誘?
家の権利書でも取りに戻ってきたのかもしれない。
それとも悟りでも開いてきたのだろうか。
自分が捨てたわたしへの贖罪?
それこそ今更だろう。
疑問は尽きないし消えもしない。
ただ――
「これからは毎日でも特性シチュー作って上げるからね」
「毎日じゃあ飽きちゃうよ」
この瞬間こそが真実じゃないかと今のわたしには思えたから……。
「お母さん」
「なあに?」
「帰って来てくれてありがとう」
本当にありがとう。お母さん。
仮初でもいい。
刹那の歓喜にわたしは身を震わせた。
わたしには親しい友人はいない。
体を重ねた人はいてもココロを重ねてわたしを抱き留めてくれた人はいない。
このことを誰かに話してみたかった。
聞いてほしかった。
わたしらしくもないわたしになっていた。
何の気の迷いかこの間聞いていたラジオ番組にわたしは葉書を出していた。
いくら相談できる相手が居ないと言ってもそれはないだろう。
わたしは苦笑を漏らしていた。
茶化してほしい。
葉書の内容を嘘だと思って詰ってくれてもいい。
不真面目に真面目に言ってほしい。
「何を馬鹿なことで悩んでいるんだ」と――
その時、わたしは本当にお母さんを許せるのだと思う。
簡単すぎた。
理解してしまうと本当にそれだけのものに過ぎなかった。
ココロのどこかで信じていたのだから。
お母さんの帰ってくる日のことを――
いつも時間は流れている。
変わることなく時計の針はかちかちと時を刻み込んでいる。
今のわたしは昨日と同じ明日を望んでいる。
家に帰って来てお母さんが出迎えてくれる日々の事をずっと……。
時間だけは平等だ。
この無意味な瞬間を続けていくことにも意味はあった。
茜色の空の下に母の存在を感じられたから。
同じ時間を共有していると感じられたから。
日々に変化など要りはしない。
この瞬間をずっと繰り返していけたらいいのだから。
永遠だと思える瞬間を――望んでみよう。
お母さんとの会話はたどたどしくもなく余所余所しくもない。
普通に世間話をして今日あった事を聞かせる。
最近、わたしの周りに人が集まることが多くなった。
「なんか綺麗になったよね」
「よく笑うようになったから気がする」
わたしはにたにたへらへらして学園生活を過ごしているらしい。
少し前のわたしでは考えられないことだった。
お母さんにそう言葉を零すと、
「良かったわね」
お母さんはそう優しく微笑んでくれた。
日々は過ぎていく。
羊水の中を漂うような毎日はとても穏やかにわたしを包み込んでいてくれていた。
わたしは知らなかった。
何でもない日々の連続がこんなにも幸せなことだったなんて……。
わたしは失ってみて初めて気付いたのだろう。
その掛け替えのない愛しさを――
わたしは帰宅して「ただいま」と言うようになっていた。
そこに返る声があると知っているから。
お母さんがいると知っていたから。
馬鹿なくらい能天気だった。
今日は返事なく買い物にでも出掛けていると思っていた矢先の出来事――
お母さんは居間にいた。
たくさんの血がお母さんから流れていた。
ひと目見て分かった。
お母さんは死んでいた。
死体の隣に寄り添った。
生臭い血の香りをほのかに嗅ぎながら少しだけお母さんに凭れ掛かった。
お母さんに話し掛けた。
返事は無かった。
たくさんたくさん話し掛けた。
それでも返事は無かった。
だから……。
結局、わたしに言える最期の言葉はひとつだけだった。
わたしは安らかに目を閉じているお母さんの頬にそっと口付けをした。
涙は零していなかったと思う。
そう思いたい。
今、この瞬間こそわたしは笑顔でいたかったから。
尚更、無理にでも笑おうとした。
「今までありがとう」
生んでくれてありがとう。
育ててくれてありがとう。
そして……。
思い出をありがとう。
大好きなお母さんへ。天沢郁未。
予感はあったと思う。
この日々がずっと続くなんて在り得なかった。
ただ気付かなかったわけじゃない。
わたしは信じてみたかったのだ。
取り戻すことの出来ない時間はないって――
でも、時間は平等じゃなかった。
わたしは生きているのにお母さんは死んでいる。
お母さんの時間は永遠に止まってしまった。
何だか妙に頭の中がすっきりとしていた。
もうひとつの平等をわたしは頭の中で模索している。
わたしはTVを点けてみた。
無意味に流れてお茶の間に笑いを提供している。
明るい話題。
時々出てくる事件の惨事もそこにある。
殺した。殺された。
犯した。犯された。
突発的に起こる交通事故もそう……。
お父さんのことも十年ほど前そこに報道された。
次はわたしの番だった。
TVを消した。
わたしは部屋に戻って一番のお気に入りの服をタンスから出していた。
死だけは平等だ。
何かも停止して温もりも冷たさに代わりすべてが終わる。
未来はそこで閉ざされる。
わたしの望んだ世界の道はそこにしかない。
季節は秋。
神様のいない十月(とおのつき)。
だから……。
せめて死神はきちんと仕事を果たしてほしい。
わたしはラジオを点けた。
流行の歌には何の興味も見出せないわたしがいる。
無意味に流れている音楽。
そこにも意味は無い。
わたしの存在そのものに意味は無い。
もうお母さんを待って暮らしていく必要は無かった。
すべてを終わらそう。
そして……。
わたしは雪のように白いワンピースを死に装束に選んでいた。
「それじゃあ次のお便りです」
「尾根市中崎町のP.N.陸上少女さん」
ラジオは奏で続けている。
まったく意味のなくなった葉書が読まれている。
相談ごとは六年振りに帰って来た母親にどう接して良いのか分からない少女のものだった。
少女はお母さんのことを大切なくせに捨てられたと思って甘えられないらしい。
当然、わたしはソレを嘘の相談だと判定した。
今のわたしはお母さんに捨てられたなんて思っていない。
お母さんはきっと死が間近だということを悟ってわたしの側にいてくれた。
わたしはそう信じているから。
「お母さんが帰ってきたのは良いことだよ、間違いなく。戸惑う気持ちは判るけど」
わたしはそう思う。
こんなにもわたしを幸せな気持ちにさせてくれた。
「いっそお母さんが『入信のお誘い』に来たなら対応は簡単だろうけどね」
本当にそうだ。
お母さんはわたしを見てくれてなかったら薬でも使って壊れることも出来ただろうに。
ほんの少しの希望に縋ることも無くなったのに。
「陸上少女さん、あなたは『悪い子』なんかじゃないよ。…強くて、優しい人だよ」
……強い?
……それはどうだろう?
わたしは今死のうと思っている。
TVなんかでは数日後『親子の悲しい結末、無理心中の行方は?』とか報道してくれそうだ。
吐き気が催してくる。
今のわたしをことを知ってくれる人は誰もいない。
この哀しみは誰にも分からない。
『悪い子』だ。
お母さんに貰った育んでくれた命を粗末に扱おうとしているのだから。
とてつもないほどわたしは『悪い子』だ。
でも留められない。
わたしの手には果物包丁が握られている。
手首に押し当てようと思った。
だけど……。
やっぱり死ぬのはお母さんの隣が良いと思った。
「つまりその、陸上少女さん。…えーと、おめでとうっ! 上手く言えないけど、おめでとうっ!!」
わたしは「ありがとう」と小さく呟いた。
死ぬのを祝ってくれるのは多分見も知らないアナタだけだろうから。
本当に……本当に……。
お母さんは帰って来てくれない方が良かった。
生きていてほしかった。
わたしのことなんて見てもらわなくて構わない。
ただ、生きていてほしかった。
わたしは捨てられた。お母さんに捨てられた。
それのどこが悪い?
お母さんはわたしを捨て切れなかった。
戻って来た。
わたしに幸福を与えてつもりで反面お母さんは奪っていた。
わたしの最後のココロの拠り所を無くした。
このどこまでも続く空の下、お母さんはきっとどこかで今も生きている。
それさえお母さんは奪っていた。
この日々はわたしの望んだ結果じゃない。
お母さんの我侭が残した結果でしかない。
最後の最後でお母さんはわたしを本当に傷つけた。
「こういうお話はね、こうやって締めるんだよ?
『女の子とお母さんは、いつまでもなかよくくらしました。めでたしめでたし』…って」
無意味すぎるラジオをわたしは聞いていた。
聞いて腹を立てていた。
知った口なんて聞いてほしくない。
いつものようにこんな葉書なんて茶化してしまってほしい。
だって……。
「その、お母さんがいない……もう、どこにもいないの……いないのよっ……」
涙を零しても拭ってくれる人はいない。
涙の蔭を気付いてくれる人さえいない。
「しーゆーねくすとん。さよならーっ」
わたしはその声に「さようなら」とだけ言い返した。
死は平等だ。
わたしをお母さんのもとに誘ってくれる。
手首を切ろうか。腹を突こうか。
でも、手首じゃなかなか死ねないというし、お腹は切腹みたいでカッコ悪い気もする。
ここは喉を掻っ切った方が手早く終わるかもしれない。
わたしは首筋に果物包丁を押し当てた。
「今、行くね。お母さん」
今までの日々のことを思い出す。
それは永遠ではなく、
真実でもなく、
ただ、そこにあるだけの想い……。
「永遠はあるよ」
「ここにあるよ」
声が聞こえた。
どこからともなく耳元に響いてくる。
神様がいないからそれは天使の囁きなのかもしれない。
わたしは答えた。
「いらないわよ。そんなの」
確かに永遠を夢見たことはあるけど、
「永遠は現実にはないから夢見て信じられるものなのよ」
わたしはそう言ってお母さんの肩に凭れかかった。
温もりも無い冷たい体だけど……。
誰でもないお母さんの甘い匂いが鼻をくすぐる。
声は掻き消える。
寂しそうに悲しそうに聞こえるそれは少女の泣き声だったのかもしれない。
わたしは「ごめんね」と呟いて果物包丁を引こうとする。
ただ、その時のこと……。
お母さんの体から柔らかい光が迸った。
わたしの持っていた銀色のソレは粉々に砕け散った。
あれから数日の時が流れた。
お母さんの葬儀を滞りなく終えた明くる朝のことだった。
わたしは学校に休学届けを出した。
やらなくてはならないことが出来たから。
今はトラックに敷き詰められてわたしはある場所に向かっていた。
お母さんとのことは今でも整理は付かないでいる。
FARGOでは不可視の力とやらを売りにして信者を集めているらしいことを知ったのは、
お母さんが死んでからのことだった。
だったら……。
あの不可思議な出来事はお母さんの想いだったのかもしれない。
『死なないで郁未』
わたしが生きているのは奇跡なんかじゃない。
お母さんの想いの糧だと信じられる。
わたしは決心した。
FARGOに乗り込んでお母さんの死の謎を掴んでやろう、と。
これは贖罪?
ううん。これはきっと復讐の始まりだ。
わたしからお母さんを奪っていった世界への復讐の始まりだった。
「……え?」
「わたし、巳間晴香よ。よろしくね」
「うん。まあいいけど」
「名倉由依と言います」
「ああ、よろしくね。わたしは……わたしの名前は……」
「A-12の聖痕が貴様には刻まれている」
「わたしは天沢郁未よ!」
「葉子さん人参食べないの?」
「……はい。あまり好きではありません」
世界は続いている。
お母さんは居なくなっても世界に終わりは見えもしない。
「……何で得たいの知れない男がわたしの部屋にいるのよ!」
「いや、監視。かな?」
「自分で疑問符を付けないでよ! 出て行け馬鹿! 変態!」
無邪気な日々の終わりに待つのは何だろう?
わたしはそれを確かめるために今、この場所に立っていた。
MOON.― the last night ―
<FIN>
えと、一時間くらい延長OKですか?
>>190 一時間くらいですね。承知しました。
他にも延長希望の方がおられましたら宣言をお願い致します。
ゆっくりと。
声も無く。
その人は崩れ落ちるようにひざを着いた。
わたしを撫で回したその手は、助けを求めて虚空に伸ばされている。
くさい息を吐きかけたその口は、こぽこぽと音を立てて流れ出る血に塞がれ、酸素を求めて金魚のようにぱくぱくと開閉していた。
信じられないものを見たかのように見開かれた目。
わたしを舐めまわすように見ていた目。
――気持悪い――
手にした物を抜き取ると、その濁った目に突き立てる。
そこからは破裂した水風船のように、どろりとした液体が流れ出してきた。
空気を切り裂くような絶叫。
うるさいので左手で喉を握る。
わたしの力じゃ潰す事は出来ないけど、壊れたオーディオのような絶叫は少し小さくなった。
それを振りほどこうと伸ばしたその人の右手が、わたしの左手に爪を立ててくる。
そんな事をされたら肌に傷がつく。
また、あの人を不快にさせる。
わたしは手に持ったもので、力任せにその纏わりつく不愉快な手に切り付けた。
彼は一度だけでその手を離したけど、念の為。
引っ込めたその手に向けて、叩きつけるように追い討ちする。
何度も、何度も。
もう床に転がっていた彼は、そのたびに絶叫を上げて、芋虫のようにのたうちまわる。
それを見て、わたしは少しだけ心が晴れた。
全部自業自得。あなたは、こうされるだけの事をしたんだから。
わたしに触っていいのは、浩平だけなんだから。
お待ちいただきどうもありがと〜〜。
これから投稿します。
Rootsエンド後の宗一x皐月で、レス数は40弱くらい。
一応元ネタを知らない方でも読めるよう配慮したつもりですが、
ネタばれは全開となっておりますのでご注意を。
あ、タイトルは「サクセサーズ・ルーツ」ということで。
それでは。
──それは、真夏の空。
天に一片の曇りなく、どこまでも広がる青と白。
──それは、真夏の太陽。
地に一片の残りなく、熱を振りまくエネルギー源。
──それは、真夏の山道。
足下から匂い立つ草いきれ。頭上をかき鳴らす蝉時雨。
その只中を歩く俺。
暑い。めちゃめちゃに暑い。
額から流れ出た汗が頬を伝う。首筋からシャツに入り込んで、熱に蒸れる。
遅々として進まない歩み。
靴裏を滑る岩肌。足首に絡む樹の根。
まるで整備されていない、獣道とすら言いがたい道を、
真夏の炎天下、既に数時間歩きつづけている。
いい加減に、気持ち悪くなってきた。
俺は確信する。
このまま歩き続ければ、この道の行き着く先は、天国以外にはないということを。
気のせいか、空の彼方に天使が見えるような気がする。
「んなわけないじゃん。アンタ、バカァ?」
「あぁ、なんだか口の悪い天使だな……」
「かわいそうに。暑さで脳がやられちゃったのね」
憐れみを含んだ視線で俺を見る皐月。
「誰の脳がやられてんだよ!」
「もちろん、そーいち」
「俺は夏の風情に浸っていたんだ」
「いや、幽明の境を彷徨ってたと思うよ。なむなむ」
何が悲しうて、このクソ暑いさなかに夫婦漫才をやらねばならんのだ。
「でも、安心して」
アイツの手が俺の肩をぽんぽんと叩く。
「宗一が行き倒れても、斎詞くらいは唱えてあげるから」
「……斎詞?」
「お寺で言うお経のようなものかな。あたし達は斎詞って言う」
ああ、そうか。皐月って神社の娘だったんだよな。
普段が普段だから、すっかり忘れてたけど。
コイツが巫女装束着て、斎詞あげてるところ……正直、想像できん。
「他にはないのか」
「お神楽を演奏して舞ったりする」
なるほど。それなら結構ハマリそうだな。激しいジャズダンスとか。
「楽器はお母さんが吹くんだけど、人手が足りないから、私や文月も手伝うの。他にお神輿とか出したりして楽しいよ。あたしのおばあちゃんのときなんか……」
そうして語り続ける皐月は本当に楽しそうで、
両親を早くに失った俺は、少しだけ羨ましく思った。
皐月って、本当に家族が好きなんだ。
「……皐月」
「うん?」
「今日こそ、見つかるといいな」
今日の山歩きの目的を改めて思い出す。
宝刀の捜索。
湯浅家から人知れず持ち去られ、今も分からないその行方を、
皐月はずっと探していた。
──あたしがやんなきゃなんないから。
と言っていた。
ショックで寝込んだ父と、看病に身を捧げる母と、まだ幼い妹と。
のっぴきならない湯浅家の事情が、普通ならブランド品を冷やかしたりスウィートに他愛無い話を咲かせたりしているのが似合うであろう少女に、計り知れない重荷を負わせていた。
俺は、皐月の力になりたいと思った。
重荷の何分の一かでも、代わりに背負ってやりたいと思った。
俺がエージェントとして過ごした十年という年月。
篁との対決を通して得た経験の全て。
それらを全てぶつけるかのように、探索に打ち込んだ。
そして、数ヶ月。
何度かの空振りを経て、
ようやく見当のついたその在り処は、
皐月の実家のある街。三重県熊野市。
アイツの道案内で今日俺たちが向かう先は、湯浅家の古い社があるという山奥だ。
湯浅家から片道の所要徒歩5時間。
少々厳しいが、日帰りできないことはないという判断だ。
何としても宝刀を探し出し、皐月と皐月の家族を喜ばせてやりたい。
……しかし。
「宗一ぃ、もう少し急がないと」
ぱたぱたぱた。
「お、おう」
よろよろよろ。
「ふーん、ふんふーん、ふーん」
「……ハァ……ハァ」
チクショウ。あっちは陽気に鼻歌なんか歌ってるのに、こっちは息も絶え絶えだぜ。
体力には自信を持っていたが、このハイペースにはとてもついていけん。
つか、皐月のやつ、もうずいぶん前を行っている。
「おい、皐月」
「なーにー?」
「なんでオマエ、そんなに元気なんだ」
「昨日よく寝たからじゃない? 宗一、もしかして寝不足?」
……いや、寝かせてくれなかったのはテメエだろうが!
という叫びは胸のうちにしまっておく。
ここはアイツを持ち上げなければ。
少しペースを落としてもらわんと、体が持たん。
「おい、皐月」
「なーにー?」
「ちょっと提案」
「待たなーい」
あえなく却下。
……だが、ここで挫けるわけにはいかない。俺の、あまり尊くもないが命がかかっている。
俺のいないところで楽しい葬式を出させるのだけはごめんだ。
さいわい、先方の弱点なら重々承知。
「そろそろお昼……」
前を走る背中に、おもむろに話しかける。
「もう時間?」
皐月が立ち止まった。
「12時10分」
腕時計の数字を示してやる。その数字が意図的に合わされたものであることは秘密なのだが。
「大丈夫。お弁当、作ってあるよ」
皐月は、俺の肩のリュックをぽんぽんと叩く。
なるほど、この中にサツ吉弁当が詰まっているのだろう。
味は俺が保証する。皐月の料理の腕は抜群だ。
リュックを下ろす。
ふぅ、これでやっと休める。
「待った!」
「へ?」
思わず、素っ頓狂な声を上げてしまう俺。
皐月のほうを見る。空に手を翳している。
「ここだと日を遮るものがないし」
……確かに、その通りだった。
「もう少し歩けば池があるから、その辺の木陰で食べよ」
おい、まだ歩くのかよ。
「あの、つかぬことをお伺いしますが」
「……何?」
「もう少し、とはどのくらいで」
「30分くらいかな」
……へたへた。
「30分くらいすぐじゃん。あたし先行くよー」
あ、こら、待て。……待つわけないか。
後ろ姿が遠ざかる。
チクショウ。もしその池に女神がいたら、オマエを突き落としてやるからな。
女神『あなたの落としたのはしとやかな皐月ですかそれとも優しい皐月ですか』
俺『いいえ、ガサツで乱暴な皐月です』
女神『あなたは正直な人です。褒美に優しい皐月を上げましょう』
……ってわけだ。うはうは。
「あたしだって、きびきびした宗一と代えてもらうもんねー」
……。
お約束だが聞こえていたみたいだ。
* *
なんだかんだあって、俺たちが目的地にたどり着いたのは、日も西空に傾き始めた頃合だった。
人跡の途絶えた山中。周囲の山々に隠れるように小さな盆地があった。
「ここなのか?」
「うん……」
「あまり一人では来たくない場所だな」
小さな盆地の中には数多くの廃屋が立ち並び、それぞれに妖しい神気を放っている。
いくつかは民家。いくつかは倉庫。そして、神社へ続く石段。
主なき家々の朽ちかけた姿が声なく静まり返っている。
皐月の話によれば、この土地は戦後はやくに捨てられたということだった。
高度成長期と呼ばれる時代の少し前のことだ。
ここで宮司を務めていた皐月の祖父も、住民がいなくなったため、麓の町に新しい社を築いて移転した。
ただ、古い社や倉庫がまだここに残されているらしい。
「おじいちゃんが死んでからあまり手入れもしなくなって。
あたしもずっと昔に来て以来なんだけど」
皐月が申し訳なさそうに言った。
俺に向かって言ったのかと思ったが、そうではなかったようだ。
皐月の声は、その盆地の人ではない住人に向けられていた。
応えて、一帯の神気が一段と強まる。
久方ぶりの主の来訪を歓迎しているのか。それとも憎んでいるのか。
他所者の俺には、分かるはずもなかったが、
ただなんとなく、うら寂しい雰囲気だけは感じ取ることができた。
俺たちがこの場所へ来たのは、ここに篁財閥の関係者が出入りし多数の神具を人知れず持ち込んていたという事実が、調査によって判明したからだ。
加えて皐月の宝刀も篁財閥の手によって持ち去られたことが明らかな以上、結果的にここに運び込まれている可能性が高い。
俺たちはそう判断した。
で、宝刀を発見し持ち帰るのを使命として、今朝は朝早くから出立してきたわけだが……。
「これを調べるのかよ……」
この土地に残された湯浅家の倉庫群、その数10を下らない。
そのいずれもが、天井高く間口広く、いったいどれほどの品物を詰め込めるのやら。
倉庫の中で徒競走ができそうだ。
「中に何が入っているんだ」
「うーん。古い書物とか祭具とかって聞いたことある。この50年、開けたことがないらしいけど」
特に危険なものも入ってなさそうだな。建物もしっかりしていて崩れる心配はないだろう。
「よし、手分けして探そうぜ」
「剣の形分かる?」
「遠目に見ただけだけど、大体は。それらしいのが出てきたら皐月に聞くよ」
「じゃ、そっち側の半分よろしく」
「ラジャー!」
俺たちは二手に分かれた。
俺は皐月から鍵束の半分を受け取り、手近の倉庫に近づく。皐月は反対側の端へ走っていく。
その後ろ姿を見送る。
つかの間の別れ。
ふと、二人のあいだを一陣の神気が渡ったような気がした。
気のせいだったろうか。
最初の2つは、とくに変わったところもない祭具庫だった。
異変を見つけたのは、3つ目の倉庫を開けたときだ。
倉庫の中が改造され、本来書棚があるはずの一角に机と蛍光ランプが置かれていたのだ。
机の上には一冊の本。
これは……研究書?
手に取り、丁寧にページをめくる。
時代は江戸か明治か。流麗な筆によって書かれた続け文字の詳細を、俺は読めない。
が、主だったフレーズなら読み取ることができる。
間違いない。熊野信仰についての研究書だ。
古の研究者が著し、その後湯浅家が所有していたものだろう。
所々に折り目がついているのは、読者がチェックを入れながら読んでいたためか。
俺にはまったく内容を理解できないが……。
読んでいたのは、湯浅家の関係者だろうか?
いや、違う! この折り目は新しすぎる。
──予感があった。
棚をしらみつぶしに漁る。壁を埋め尽くすばかりに並べられた本の数々。
補陀落渡海、根堅洲国、伊邪那岐、伊邪那美、素盞嗚、そのほか今は名も途絶えた数々の神々、彼らを祭る社。社に集った多くの人々。存在を消された修験者達。
古くは平安から、新しくは大正まで。
湯浅家が連綿と受け継いできた信仰の歴史がそこに並んでいた。
その中に。
──見つけた。
その歴史を利用しようとした男のノート。
中を確かめる。紛れもなく、本人の文字。
篁だ。
嫌な名前だ。篁。
ヤツに関する記憶の全てが忌々しい。
理外の民の末裔であり、人類史の抹殺を企てた男。
得体の知れぬ力を用い、理会者への復讐と称して全世界の運命を巻き添えにした挙句、
理会者の力を受け継いだらしい俺と対決して、敗れ去った。
そのとき徹底的に破壊された世界の光景を、俺は忘れることがないだろう。
そう、全てが忌々しい思い出だ。
だから、俺は全てを捨てた。
理会者たちが集う国も、理会者としての力も全てを捨て、
普通の人間として、一人の少女の傍にいる幸せを選んだのだ。
そして今、俺が目にしているのは間違いなく篁本人のノートだ。
篁の計画には根の国についての知識がどうしても必要だった。
そのためにこの場所がうってつけだったというわけだ。
長年打ち捨てられていたこの書庫で、ヤツは書物を調べ、呪術の実験をし、
ひたすら復讐の計画を練っていたのだろう。
そう考えると、手にしているノートが暗い呪念の塊にも思えて、
俺は怖気に似た感覚に背筋を振るわせた。
「宗一、宗一!」
不意に皐月の呼び声がした。
ノートを置き、外に出る。
「どうした?」
「こっち」
皐月は、立ち並ぶ倉庫のひとつに俺を導いた。
「これか」
「入って。中に神剣がいっぱい」
「どれどれ……」
まず皐月が懐中電灯をもって倉庫に入り、俺が後に続いて足を踏み入れる。
かび臭いにおいが鼻をつく。
陰湿な霊気が感じられるのは、長らく闇に閉ざされていたせいだろう。
「ほら」
皐月が懐中電灯をぐるりと一回転させる。
棚のあちこちが、光を反射してキラキラと光る。
驚いた。
何十、何百という神剣がそこに並べられていた。
高価な箱に収められたものあり、鞘の輝きを見せるものあり、剥き出しの刀身を光らせるものあり。
刀工の技術こそさまざまだが、いずれ劣らぬ逸品ぞろいであることは間違いない。
これなら、盗まれた皐月の宝刀もこの中にあるかも知れないな。
俺の言葉に、皐月も大きく頷く。
2つ結びにまとめた髪がパタパタと揺れて、俺はそれを可愛いと思った。
「しかしこう暗くてはな。いったん外に運び出すか」
「そうだね。じゃあ、そっちの棚をお願い。あたし、奥のほうも見てみる」
「気をつけろよ」
そう言葉をかけて、手近の箱を持ち上げた瞬間。
「あ!」
小さく声をあげて、皐月が駆け出した。
慌てて目で追う。
その目線の先、倉庫の奥。懐中電灯に照らされたその刀は。
切っ先に大きな欠け。
その特徴を見間違うはずもなく。
間違いなく俺たちが探しているブツだ。
──なんだ。探すまでもなかったな。
苦笑して、手に取った箱を元の位置に戻す。
既に皐月はずいぶん奥のほうまで走っている。
あと数秒のうちには、ずっと捜し求めていたソレがアイツの手に収まることになるだろう。
俺の出る幕はなかったか。
皐月の手が伸びる。あと5歩、4歩……
!!
「止まれ! 皐月!」
俺は声を限りに叫んだ。
「戻るんだ!」
罠だ。俺の第六感がそう教えている。
これは罠だ。
他の刀が全て棚にしまわれているのに、どうしてあの刀だけが目に付くところに置き捨ててあるんだ?
おかしい。
俺たちがあの刀を探していることを、篁は知っていたはずだ。
祭具に多少の呪いをかけておく事など、ヤツにとっては朝飯前だろう。
それに、一段と強まるこの霊気……
まずい。あの刀は普通じゃない。手にとってはいけない。
「聞こえないのか! 皐月!」
しかし皐月は振り返らない。
何かに引かれるように、ただ一目散に刀の元に駆け寄り、その柄を手に取り、
一瞬固まった後、ゆらりとこちらを振り向いたときには、
「皐月!! 皐月!!」
どれだけ呼びかけても、彼女の耳に俺の声はもう届いていなかった。
……それどころか。
──シャッ
くッ。
ためらいなく振り下ろされた斬撃を、かわすのに精一杯だ。
篁ァァァァァア!
心の中で、あらん限りの悪態をつく。
テメェ、狂ってやがる。
何年間も探し求めた宝刀。
その姿を目にしたときの皐月の喜びは、どれほどだったろう。
なのに、篁は皐月の心を支配し、喜びを憎しみに転化させやがった。
罪のない少女の手を借りて俺を抹殺することがオマエの復讐だというなら、
俺は決してそのやり方を認めるわけにはいかない!
獲物なら俺も持っている。
一通りのものを持ち歩くのは、エージェントとしての嗜みだ。
しかし俺が獲物を取り出して打ち合えば、皐月を傷つける恐れがある。
そのことが怖かった。
ならば、逃げに専念して、相手が疲れるのを待つ。
決断するや否や、俺は一目散に屋外へ走り出た。
町外れに草原が広がっている一角を見つけ、そこに駆け込む。
ここなら地理不案内な俺でも互角に戦えるはずだ。
護身用の強化棒を取り出し、両手に構える。
待つことしばし。
小さな暗殺者が、刃の毀れた宝刀を手に現れた。
「皐月」
一応呼びかけてみるものの、やはり返事はない。
俺の顔からは目をそむけたまま、刀を上段に構え、
──ヒュッ
真っ向から斬り下ろされたその刃先を、俺はバックスウェーで避ける。
続く第二撃を右に飛んでかわすと、第三撃はさらに遠く右へ。
とにかく相手を動かして疲れさせるのが肝心だ。
がん。がぁん。
静まり返った草原に、鈍い金属音だけが響く。
どれほど打ち合ったろうか。
──おかしい。
俺は、ようやく皐月の異変に気づいた。
皐月の刀の振りは、訓練されたものではなく、力任せに振っているという感じだ。
体の重心もバラバラで、刀を振るたびに体制が崩れて隙だらけ。
いわゆる素人の剣術というやつで、無駄な動きが多い分、疲労の蓄積も早いだろう。
そう読んだはずだった。
しかし、どうしたことか。皐月の動きには未だ一片の疲労も見えない。
逆にこちらが、オーバーに動き回った分疲労が早そうだ。
午前中の強行軍もたたっているのかもしれない。
あまり悠長な戦いはしていられない。
がぁん。
何十合目かを打ち合ったときだった。
飛び退り、着地した俺の足下で岩の崩れる音。
しまった! この下は崖か?
確かめる間もなく、地面が傾き、俺はしたたかに体勢を崩す。
全面的に崩壊しなかったのが幸い……だが、
──シュツ
次の斬撃を受ける余裕がない。
振り下ろされる白刃。
クソッ!
振り上げる強化棒。
があぁぁん!!
鈍い音とともに、俺の強化棒が真っ2つに折れ、皐月の白刃が手を離れて宙に舞った。
「皐月!!」
あらん限りの声で呼びかける。皐月がぴくりと反応したように見えた。
「皐月」
手を伸ばす……。伸ばした手は宙を掴んだ。
皐月が落ちた刀を拾いに走ったのだ。
そして一瞬の後、皐月は刀を上段に構えた最初の体勢に戻っていた。
いっぽう俺は、崩れた足下を立て直すだけで一杯一杯。
しかも護身用の武器はもう無い。
形勢は圧倒的に不利だ。
皐月がじわりと間を詰めてくる。
今までになかった、慎重な間合い。
次の一撃が止めだと悟った。
ならばその一撃をかわせば、俺にも勝機があるはずだ。
刃の軌道を見極めるべく、全神経を集中させる。
おもむろに振りかぶった皐月の頭上から、刃先が繰り出される。
それは俺の眉間をめがけて接近し、
──見切った!
と思ったその瞬間、
キン!
嫌な効果音とともに、俺の股間に激痛が走る。
しまった……皐月の得意技……。
股間蹴り。こんなところで……。
思わず全身が固まる。
そこへ皐月の体当たり。
俺はなすすべなく、後方へ飛ばされ、
って、後方って崖だ。
慌てて手近の枝を掴む。
なんとか崖に転落せずにはすんだようだ。
が、どうやら勝負はあったな。
今の俺は片手一本でぶら下がっている状態で、攻撃も防御も不可能だ。
目の前に皐月の刃がじりじりと迫る。
「皐月! 皐月!」
頼む。正気に戻ってくれ!
皐月は。
白刃の切先を俺の鼻面に押し当て、軽く振りかぶって……
ふと、その動きが止まり、突きつけられた刃先がふるふると震える。
「皐月?」
「宗一……」
「皐月!」
皐月が、泣いている?
「帰って!!」
彼女の声は、涙声に近く。
「おい、何を言ってんだ皐月」
「いいから、帰ってよ!!」
俺の鼻先に刃を突きつけた体勢から見れば、その言葉は脅迫に聞こえないこともないが。
「帰るって……どこにだよ? 俺たちはその刀を探しに来たんだ。オマエがいなきゃ、俺一人帰っても仕方ないだろ」
俺の声は、果たして届いているのか。
「……あと一回しか言わない。帰って」
抑揚を失った声が、俺の耳にうつろに響くばかりだ。
「オマエの家族もいるじゃないか。きっと夕食の準備をして首を長くして待ってるぜ。
帰るときは俺とオマエと一緒だろ。皐月。なぁ、話を……」
「さよなら、宗一」
白刃が振り下ろされ、俺が身を預けていた枝が切り落とされる。
支えるもののなくなった俺の体は宙に舞い、
「これ、家に返して」
皐月が放り投げた何かと共に、
「うわぁぁぁぁぁっ!!!!」
深い崖の底へ落ちていった。
最後に見た皐月の瞳は、
勝気で、まっすぐで、どこか思いつめた目をしていた。
アイツはいつだってそうだった。
……。
声が聞こえる。
聞き覚えのある声。
低く、遠く、地の底から響くように。
「フフフ……久しぶりだね、宗一君」
暗闇の中から音もなく現れたその姿は。
「篁! 何故ここにいる!?」
「前にも言ったと思うが、我が魂は不滅。人間の常識など、私には通用しない。それは君とて同じことではないのかね」
「あいにく俺はもう執行者じゃなくてね。普通の人間として生きてるんだ。貴様の神様ごっこに付き合ってる暇はないぜ」
「フフ……相変わらずだな。だが、君自身がどう考えようとも、君は私の憎むべき敵だということに変わりはないわけだがね」
「黙れ! 貴様は俺に敗れた。もう勝負付けは済んだはずだ」
「いや、まだ終わってはいない。我らが理外の民の宿願の果たされるまでは……。
あの娘、皐月と言ったか。彼女の魂は私が預かった」
「おい、皐月をどうするつもりだ!」
「フフ……それは彼女自身が決めるだろう。私はこれで失礼する」
「待て! それはどういうことだ?」
「言葉どおりの意味にとってくれて結構だよ。ただひとつ教えておいてやろう。彼女はすでに、我が魂を復活させる儀式の準備に入っている……フフ」
「篁ッ!!!」
俺の叫びもむなしく、
篁の姿は、現れたときと同じように音もなく、闇に没した。
俺は目を覚ました。
どれだけの間、眠っていたのだろう。
周囲を見渡す。
どこか木立の中に落ちたようだった。
はるか頭上に崖。あそこから落ちたのか。
よく助かったものだと、身震いする。
あたりは既に、一面の闇。
腕時計を見る。午後10時。
はは……。
本当なら、とうに帰ってるはずの時間じゃないか。
それなのに、俺はこんな木立の上で居眠りして……。
皐月の家族が心配してるだろうな。
身を起こすと、何かが胸元に落ちた。
拾い上げると、それは皐月が最後に放り投げたもの──小さな護符と帰路の地図だった。
それらを握り締め、立ち上がる。
とりあえず、動かねば。
周囲を探索する。
崖の上へ戻る道はなさそうだった。
木立が茂っているのは俺の落ちたこの一角だけだった。
皐月。
オマエは知っていたんだな。
ここに落とせば、安全に俺を逃がせるということを。
俺は助かったけれど。
皐月。
オマエはどうするんだよ。
俺だけを逃がして、オマエはどこへ行こうというんだよ?
小さな護符と地図と、これだけがオマエからの餞別だなんて、悲しいじゃないか……。
* *
俺がなんとか湯浅家へ帰りついたのは、夜半をどれだけ回ったころだったろうか。
皐月の母さん──卯月さんがまだ起きていて俺を迎え入れてくれた。
文月ちゃんがもう眠っていたのは、俺にとって幸いだった。
卯月さんに、皐月の行方不明を伝えるのは辛かった。
彼女が心を痛めて聞いたのと同じ分だけ、俺も心を痛めて話したと思う。
一通りのことを伝えた後、皐月から受け取った護符を卯月さんに見せた。
袋を開けて中を改めると、
「あら」
と、卯月さんは驚いた顔になった。
「ご存知なんですか?」
「ええ。皐月がまだ幼いときに手渡した護符です。まだ持っていたんですね」
「皐月はこれを家に返してほしいと言っていました」
「ふふ、そうですか。では、返してもらうとしましょう」
卯月さんはその護符を丁寧に両手に収めた。
その表情にかすかな笑みが浮かんでいるのを不思議に思う。
「この護符は、私が若い頃に作ったものなんです。まだ結婚する前でした。
その時私はある儀式を行っていて、その際に用いたのが、ほら、この石です」
卯月さんは護符の袋を開いて、小さな石を取り出してみせる。
きらきらと輝く、きれいな水晶だった。
「湯浅家の人間は、一生に一度は儀式を行う機会があって、そのとき古い護符を家に返し、
新しい自分の護符を作る慣わしなんです」
「じゃあ、皐月は……」
「ふふ。もうそんな歳なんですね」
やっぱり嬉しそうに笑う。なんか勘違いしているようにも思うけれど。
「宗一さん」
「はい」
「皐月のことを信じて下さいますか?」
「……はい」
「なら、大丈夫ですよ」
大人しいときの皐月に似て優しそうな母さんだ。彼女が大丈夫というなら、本当に大丈夫かのような気がする。
だけど。
皐月の儀式は単なる恋愛沙汰ではなくて、もっと強大な敵──理外の民の末裔、篁を相手にしたものだ。
正直、不安も捨てきれない。
「卯月さん。儀式を行う場所までの道を教えてください」
「え?」
「彼女を迎えてやりたいんです」
卯月さんから地図を借り受けると、俺は再び闇の中に立った。
時は既に明け方近く、刃のような細い月が東の空に昇っている。
皐月。待っていてくれ。
心の中に念じて、俺は夜道を駆け出した。
はぁ……はぁ……はぁ……。
肩で息をする。
山道の全力ダッシュは、エージェントとしての力を全開にしていてもさすがに応える。
しかしなんとか辿り着いた。
ここか……?
大きな自然石で作られた門を開く。
と、噴出したすさまじい霊気に、思わず身をすくめる。
この霊気は並の人間には強すぎる。まるで金縛りにあったように動けなくなることだろう。
多少理会者の力が残っているとはいえ、俺とて普通の人間に過ぎない。
注意深く歩を進める。
奇岩、怪岩の立ち並ぶ小道を行くと、遠くに礼拝殿のような建物が見えてきた。
──あれだな。
そう見当をつけた瞬間。
うわっ!
あたり一面からすさまじいばかりの霊気が立ち昇る。
なんだこれは? 尋常では到底考えられない強さの霊気流だ。
それをまともに受けてしまった俺。
頭がガンガンする。体が重い。手足が思うように動かない。
視界がチカチカと瞬き、だんだん暗くなる……
その闇の中から、人の姿が浮かび上がった。
「また貴様か……」
篁だ。
「やはり来たようだな、宗一君」
「おぅ。皐月は貴様の自由にはさせない。俺が取り戻してみせる」
「フフ……勇ましいことだ。が、彼女は今、大切な儀式の途中だ。我が復活は未だなってはおらぬ。
ここにある私は、かりそめの私……」
篁が右手をすぅとかざす。と同時に霊気が一段と強まり、俺の四肢を縛る。
まずい。マジで体が動かねぇ。
コイツは霊気すら自在に操れるのか?
「邪魔をされては困るのでな。しばらく君には大人しくしていてもらおう
しかしあの娘……すばらしい香気だ。」
「待て! 皐月には手を出さないでくれ!」
「それは無理というものだ。儀式には贄が必要なのだ。
フフ……そんな顔をするな。まもなく君は滅びるのだから。
それでは私は先に失礼する。君は後からゆっくり来るがいい」
身動きのままならない俺を残して、篁が歩き出す。
一歩ずつ、礼拝殿のほうへ。
できることなら、その足を掴んででも、ヤツを止めたい。
ヤツを皐月の元へ行かせたくない。
でも今の俺には、それすらできなくて……。
チクショウ。体が……体が重い。
力を振り絞っても、ほんのわずかしか進まない。
礼拝殿はまだ遠い。
けれど、それでも俺は行かねばならないんだ。
皐月が、待っている。
あれから何時間たったか。
ようやく辿り着いた。
礼拝殿は思っていたよりも、簡素な建物だった。
小さな玄関と、その脇に控えの間。
これらは無人だった。
その奥に一間。あれが儀式を行う部屋だろうと見当がついた。
自由にならない体を鞭打つように、玄関を上がる。
のろのろと廊下を進み、儀式の間の障子に手をかける。
開けようとして、ふと廊下の片隅に、皐月の衣服が畳まれていることに気づく。
「早かったな、宗一君」
部屋の中から、篁の声が揶揄するように響いた。
「篁!」
俺は障子を開ける。正面に祭壇があり、皐月の宝刀が祭られている。
その前で……皐月が抱かれていた。
形よく盛り上がった胸に、肉付きのいい尻、発達した体の割に、細い肩周りのあたり少女の面影を残す
その裸体は、俺にとって間違えようもない、皐月のものだ。
篁の手が白い首筋をなぞり、髪を巻き上げ、女の顔をあらわにする。
皐月の目は既に焦点が定まらず、恍惚の表情に開かれた口からは幾筋かの涎すら垂れている。
「どうだね……宗一君。もっとこちらへ来てよく眺めては」
篁が皐月の乳房を絞る。ほぐすように揉み上げ、乳首を2,3度撫でると、皐月の口から悩ましげな吐息が漏れる。
「皐月君。宗一君が見ているぞ。わかるかね」
皐月の顔が物憂げに動く。が、その目が俺を捕らえることはなかった。
「フフ……目に入らぬようだな」
篁が腰を打ちつけるたび、皐月の体が弾かれるようにはねあがる。
「やあっ……あっ……」
片方の手が皐月の股間に伸びる。
「ひいっ……やあっ……あぁ」
「いい鳴き具合だ」
篁が野卑な感想を述べた。
「おい、篁! どういうつもりだ!」
「儀式だよ……宗一君。我が魂を復活させるための儀式だ」
「ん……あっ……」
話しながらも、篁は腰の動きを止めず、そのたびに皐月がせつなげな呻きを上げる。
「儀式だと……」
「もうじき終わる……。君はもうしばらくそこで見物しているがいい」
くそッ。また体が動かない。
篁が腰の動きを早める。皐月が喘ぎ声が悲鳴に近くなる。
このままでは皐月が……
動け! 俺の体よ、動いてくれえぇぇっ!!!
……だめだ。ピクリとも動かない。
「フ……そろそろ仕上げにかかるか……。皐月君も宗一君によく見てもらったほうがうれしかろう」
「あ……」
篁の肉棒が抜かれる瞬間、皐月が寂しげな声を漏らす。
その響きが俺の心を痛ませる。
皐月……。
篁は彼女の両足を大きく広げて抱えあげ、蜜のまみれた彼女の膣を背後から貫く体勢をとった。
俺の目の前に、皐月の恥ずかしいところと、その芯を貫いている肉棒が露にされる。
「んっ……やっ……やあっ……ああっ」
肉棒が出入りするたびに、皐月の器のふちがめくれ返る。
篁の腰の動きが一段と速くなる。
「よせ! 篁! やめてくれ」
「無駄だよ、宗一君。我が復活は果たされるのだ。うぉぉぉおっ!」
「皐月!」
「ん……あっ……やぁぁぁぁぁっ……」
篁の肉棒が一段と奥まで埋め込まれ、ビクビクと脈打つ。皐月が絞り出すような声をあげる。
「あっ……ああっ……」
俺の目の前で、皐月は体の奥深くに篁の汚らわしい白濁を注ぎ込まれている。
頬を朱に染めた彼女の姿は、今まで見たこともないほど色っぽくて、艶やかで、心が痛くて。
「ふぅ」
「あっ……」
肉棒が抜き去られた後、流れ出てくる白い液体を、俺は直視することができなかった。
「皐月!」
皐月。俺の声が聞こえないのか。返事をしてくれ。皐月っ。
「フフ」
篁の手から皐月の体が下ろされる。支えを失って、彼女の上半身が床に崩れる。
と、その頭を篁の手が掴み。その口に篁の肉棒が押し付けられる。
「おい! よせ! もう止めてくれ」
篁は皐月の口に深深と挿入する。それを皐月は諾々と舐める。
「余興だよ」
「何言ってやがる。もう儀式は終わったんじゃねぇのか! お前の魂も復活したんだろう」
「確かに、儀式は終わった」
篁が皐月の頭を抑えていた手を離す。
皐月はそれに気づくことなく、黙々と、いや悦びすら見せて篁への愛撫を続ける。
「だが見よ。この娘は、自らの意思で私のモノを味わっているぞ」
篁の声に、嘲りに似たものが混じる。
「皐月!」
だが、相変わらず俺の声は空しく響くばかりで。
「やめるんだ! 皐月!」
皐月は一心に篁を愛撫しつづける。
やがて俺にはかける言葉もなくなって、その行為は、
「うおぉぉっ!」
篁が醜いうめきと共に、二度目の精液を皐月の口内に吐き出すまで続いた。
「……さて」
身を整えた篁が俺に向き直る。
「我が復活はなった! 今こそ積年の恨みを晴らす時。我らが理外の民が理会者に復讐する時が成就したのだ」
「へっ、言ってくれるぜ。一度俺に負けた貴様が」
「確かに。一度は敗れた。しかし今回の君は、一介の人間。私の力を持ってすれば、存在すら無に帰すことができる」
「くそっ」
「君一人に寂しい思いはさせない。君は最初の一人だが、すぐに全世界の人間が君の後を追うことになるだろう」
篁の手が、俺の額に伸びる。
「よせ、篁!」
その手に瘴気が集積していくのが分かる。
「どうした? 理会者の末裔よ。怖いかね」
「やめろおぉぉっ!」
「フン。君がいくら吼えても、所詮は悪あがきに過ぎないのだよ。では、さらば」
篁の手が一瞬持ち上げられ、振り下ろされようとしたとき。
銀色の輝き。
「ぐぅぅっ!」
胸板を宝刀に貫かれ、くず折れる篁。
金縛りから開放される俺。
「バカな……。このような刀が理外の民である私に通用するはずが……」
「あなたはもう、理外の民ではないわ」
二の太刀を浴びせる皐月。
宝刀が本来有する浄化の力を持って、
篁の体は……塵と消えた。
篁は消滅した。
跡形も残さず、文字通り塵と消えた。
今は、儀式の間に、俺と皐月だけが向かい合わせだ。
皐月の顔を見る。ようやく、目に光が戻ったように見える。
というか、それより下に目をやれないのだが……。
「宗一」
「ん?」
「このドスケベ!!! 出てけー!!」
大声でまくし立てられ、ほうほうの体で部屋を飛び出す俺。
よかった、いつもの皐月だ。
……あとが怖いなあ。
しばらく後。
俺たちは、礼拝堂の控えの間で向かい合っていた。
「宗一、ずっと見てたね。嫌いになった?」
「なるわけないだろ」
湿っぽい軽口を交わしながら。
「ごめんね」
皐月の手が、俺の頭を撫でる。
「なるべく痛くないようにと思って落としたんだけど」
コブできちゃったね、と皐月は言った。
そんなことは大したことじゃないんだよ……。
俺のほうこそ、皐月に謝らなければいけないことが一杯ある。
「皐月、俺のほうこそ済まなかった」
俺がもっと早く駆けつけていれば……。
いや、それ以前にあの宝刀の罠に、もっと早く気づいていれば。
「あはは」
皐月は、別にいいんだよ、といって笑う。
「最初にあの宝刀を握ったとき、ものすごく怖かった。
ものすごい量の怨念とか憎悪とか流れ込んできて……。目の前が
真っ暗になって、自分が誰と戦っているのかさえ分からなくて」
「でも、宗一を斬ってしまう前に気付くことができた」
「で、私思ったんだ。あぁ、どんな状況になっても、この人のことが忘れられないんだなぁって」
皐月はやっぱり笑っている。コイツの笑顔って本当に可愛いんだ。
「気づいていたら俺を助けてくれればよかったのに」
「だからごめん。あたしもあまり自信なかったし、それに」
傍らの宝刀を手に取って俺に示す。
「コイツの除霊は、あたしの手でやってやりたかったんだ」
「除霊?」
「そ。もう呪われてないよ、ほら」
宝刀を自慢げにかざす。刀身の輝きに、もう魔の色は見受けられない。
「すごいな、皐月」
「えへへ。それでね。これは謝らなければいけないことかもしれないんだけど」
コホンと咳払いをする皐月。
「理外の民の魂はあたしが受け継いだんだ」
「理外の民って……オマエが?」
うん、あたしが、というように皐月が自分の胸を指し示す。
「理外の民の魂、あの宝刀に封じ込められてた。篁はその魂をあたしに移したあと、吸収する
つもりだったけれど、あたしがそれをさせなかった」
「そうか。それで篁は……」
「ちょっと力の使えるだけのオジサンだったね。で、理外の民の魂があたしの中に残っちゃったわけ」
「しかし、穏やかじゃないな、それは」
「う〜ん、たぶん大丈夫だと思う。宗一ですら理会者がつとまるんだもん」
ですら、ってな。きついな。
「それに、あたし、少し嬉しいんだよ」
「宗一に少し近づけたかなぁって」
「ほら、宗一。理会者やってて色んなこと知ってるでしょ」
「あたし、ずっと羨ましく思ってたんだ」
「……それにね。理外の民は寂しかったの」
「篁は復讐という形にしてしまったけれど、本当はそんなんじゃない」
「いつだって理会者を探してた。理会者を求めていた。理会者と話したがってた」
「いつも寂しい魂だったの」
「だから、宗一。これから、いっぱい話をして」
「この世界に来てからのこと。遠い昔に私たちが別れてからのこと。宗一が作った世界のこと」
「宗一なら、この寂しさもきっと分かってくれるような気がする」
「あ〜、宗一、何固まってるのよぅ」
皐月がずいっと身を寄せる。
肩に俺は両腕を回し、思いっきり抱きしめる。
なんだろう。言葉に出来ない感情が、心の奥底からあふれ出てきて、
この懐かしい魂が、今は無性に愛しい。
「あ……」
皐月の口から小さな吐息が漏れ、
「ありがと……んっ」
続く言葉は、俺の唇によって塞がれた。
皐月……。
オマエは既に気づいていたのだろうけど、
俺だって寂しかったんだ。
孤独な理会者として過ごした日々。
今振り返ることさえ、苦しい日々だった。
でも、オマエが一緒に歩いてくれるというのなら、
俺たちの果てしない道の先には、かつて理想とした世界が待っているに違いない。
ありがとう。そして。
不器用な俺を許してくれ。
……皐月。
おしまいです。
私の投稿は以上です〜〜。
長文お疲れ。
他に投稿待ちの方はいらっしゃいませんでしょうか?
>225
投稿ではなく、訂正個所がいくつか
>>145 〜私の耳に聞こえ私の手からライターが落ちた…。 →×
〜、私の耳に聞こえ、手からライターが落ちる…。 →○
>>148&149
葦→×
篁→○
まだまだ、ミスがある予感。
>>227 告知文のレスアンカーが多すぎと起こられたに付き、
逆襲長森さんの2こ目のアンカー以下を変更させていただきました。
>>15が一番面白かった。
だってー俺ギャグが好きなのにーこのテーマじゃ無理ー
結局間に合わなかった。無念。
231 :
感想:03/10/02 18:33 ID:+LiESyfk
>光の道(Kanon)
無理矢理な復讐話つくらんでも…なんていうかU−1っぽい…
>帰ってきた柳川(痕)
柳川ハッピーエンドですな。中のエルクウのアホさぶりに藁た。
最期のオチもいい感じです。なんというか柳川に萌えてしまいました。
>キツネノヨメイリ(Kanon)
無理に話つくらんでも・・・つうかミッシー痛すぎ。
>逆撃長森瑞佳 折原浩平急襲(長森・浩平)
テーマがどうでもよくなってないか?エロSSとしてしか読めないよ。
>ピザと手記、Nemesis
Routes やってないんでよくわかんないんだけどあんま復讐じゃなさそうな気が・・・
>電気羊の夢
前にあるKANONのヤツもそうだけどテーマのために無理矢理設定作るのは好かん。
>MOON.― the last night ―(MOON.)
某スレ住人としてはおもわずニヤリとさせられました。郁未の心情描写に魅せられました。
ただもうちょっとテーマの復讐の部分が弱いかなあと。
>サクセサーズ・ルーツ(宗一・皐月)
Routes未プレイですけど面白く読めました。えらい大作ですな。乙かれ。
総合 やっぱ『帰ってきた柳川』が一番かな。テーマも原作もしっかり生かし
復讐なんて血なまぐさそうなお題でこうもほのぼのとしたSSが見られてよかったです。
次点はサクセサーズとMOON。ワーストは光の道とキツネノヨメイリ
感想。
みんな長すぎ。
以上。
>>227-228 代理ありがとうございました。
で、訂正です。
誤:期限は 10 月 16 日の午前 8:00 までとさせていただきます
正:期限は 10 月 16 日の午前 10:00 までとさせていただきます
申し訳ありませんでした。
感想をいくつか。
光の道>
戦闘シーンに緊迫感がほとんど感じられない。展開もよく分からない。ヒロイン殺す手法も好きじゃない。
たしかにあまり見ないタイプではあるが、ネタが独特ならいいというわけではない。
帰ってきた柳川>
「復讐」というテーマの中では一番読後感が爽やかで好感が持てる。
シリアス、ギャグ、感動とコロコロ変わるのはやや唐突過ぎかもしれないが、千鶴さんとこは笑った。
ただ、「エルクゥの力で生き返ったけどレベル1になってしまった」という設定、ちょっとムリがないかな?
>電気羊の夢
ゲームの主人公やヒロインが殺されるという話は個人的にかなり苦手なので、俺的にちょっと…。
雅史と芹香という意外な組み合わせはちょっと新鮮だったが。
>MOON.― the last night ―
郁未の心理描写が確かに上手い。ラジオという小道具もうまく機能している。
ただ、復讐に関してはラストでちょこっと出る程度。ややテーマが弱い。
>サクセサーズ・ルーツ
ルーツ未プレイだが、それでもある程度理解して読めるように書いてくれたのは評価したい。
EDの後日談的な話か? よく設定されていると感じられた。
ただ、いかんせん長いのが……いや、大作だとは分かっているのだが。
あと、18禁描写が出てくるとは思わなかったので、あらかじめ説明あった方がいいかと。
やはり全体的に重い話が多かったな、今回のテーマは。
ほのぼの系あたりで真琴の話が1つは出ると思っていたのに出なかったのでちょっとだけ意外だったが。
そういえば「柳川ネタ被った」と言ってた人がいたはずだが、その人の柳川ネタも読んでみたかった。
かなり迷ったので、最優秀作品はパス。
佳作で「帰ってきた柳川」「サクセサーズ・ルーツ」「MOON.― the last night」を。
みんな気付いているか?
「光の道」書いたやつは某板で荒しまがいのことをやっていたヤシだぞ
ええっと、ソースがないと中傷と見られてしまうような気がします。
それと、作品と本人とはわけて評価した方がいいような気もします。
…甘いかな?
そういうこと言うときは、証拠もってこいよ。
言いがかりだけつけて、これ見よがしに上げるだけじゃ、そっちのほうが荒らしだろ。
奴のトリップが証拠だ、某スレであのトリップで別板でSS書くとほざいていた。
それが此処だったというわけだ。
アホか。知るか。その某スレとやらにリンクでも張って見せてもらわなきゃ信じられるか。
あぼーんするわ。
ここはSSについて語るスレなので書いた本人なんて今はどうでもいいよ。
非難するべきはトリップを同一のものにしたこと。
このスレを荒らすもしくはSSが盗作である場合のみに限り透明あぼーんすりゃあいい。
なんか今回作品数が少なかったというのが感想
数が減少した代わりに、大作化の傾向が顕著だね。
前回は最優秀候補が三つぐらいあったのに今回は一つも見当たらない……
全体的にレベルが低めに感じた。
245 :
229:03/10/04 06:05 ID:KB5dSPqU
テーマが難し過ぎた印象。
でも適当に感想は書くかな。前回は感想パスしちゃったし。
>>139-145 ピザと手記(Routes)
>>146-149 Nemesis(Routes)
一つ目のだけ見るとどうしてもぼやけた話になるんで、合わせて一つの作品とした方がいいね。
「…1年後に届くように彼女への手紙と花束を送る。」
これが最大の伏線だと思うけど、列記されてる本筋の中にサラッと書かれてるので、
正直、最初は読み流してしまった。
もうちょっとそこに焦点を合わせて動機付けしてれば記憶に残ったかも。
ぶつ切りの日記形式だと本筋の話を繋げるのにも集中しないといけないし。
話のアイディアはかなり好きだけど感動があまり来なかったのは、後半のノリが軽いせいか。
しっかり落ち着けて美しく昇華してから締めた方が俺の好みには合う。
テーマが難しかったと言うのが原因かな、やっぱり。
次回テーマは「動物」。葉鍵ゲームに動物はけっこういるし、ネタもいろいろ出来そうだから
次回はもう少し増えるんじゃないかと予想。
テーマ決めの際は、やっぱりSSのネタがたくさん出せそうなテーマかどうかを
ちゃんと考えてから投票するのがベストだろうな。
難しいテーマからいかにいいSSを書くか、ってのが職人さんの腕の見せ所と言えるかもしれないが。
いや、テーマ云々でなくて常連が皆某こんぺの執筆に取り掛かっているだけだと思うが。
少なくとも著名鍵系作家は全滅だと思う。あちらの方がもらえる感想数、断然多いし。
感想すくなー
ちょっと関連した話だけど、「過去のテーマ」じゃなく
テーマ「なんでもあり」にこだわったのは、ここで某こんぺレベルの
力入れた回を一回見てみたかったからなんよね。
「テーマに縛られるし、だから小粒でつまんない作品ばかりで、読んでない」
なんて他スレで言われて「じゃあいっぺん見せたろやないけ!」
ってのもあったし。
あと「なんでもありだったら自サイトや某こんぺに出すよ。当たり前だろ?」
と言われたけど、自サイトもないし某こんぺに参加できない者もいたのですよ(w;
そういう者の存在も少し考慮に入れてもらえたら幸いだったな〜・・と。
って、でも「おね」「月」「Kanon」と来て一本も参加できない
SS書きなんて、考えてみたら、ここにはそんなレアSS書きは
ほとんどいないよな、たぶん・・w
おそらく9割がたの人は。
どっちみち結局あの回にも間に合わずただただ皆さんの力作を
楽しませていただいておった駄目夫の声なんで・・(そりゃホントに駄目だろ)
>>249 それ関係で思うところはあるが、そういうことは総括期間に語ろうや。
今はあくまで感想を書く期間だ。
感想を書くことで、書き手や感想書きがさらに集まる可能性だってあるわけだし。な。
「じゃあ藻前は何してんだよ」って言われそうなんで、漏れも感想書くよ。今日中に。どうにか。少しでも。
スマソ、某こんぺって単語を見掛けてに反応して脊髄してしまった。
でもこっちは感想どころか現在吊りAAも用意できない環境だ。どうすれバインダー
気にせず、感想に入れば由
閑古鳥退去age
感想投下するよ。2レスぶん。
>>34-52 「光の道」
このSSの欠陥は他の感想人たちが言うとおりだろうが、復讐という
テーマにがっぷり四つに取り組んだその姿勢だけは、高く評価したい。
問題なのは、その姿勢と意欲が空回りしてると読み手に感じさせるところか。
この長さのSSを仕上げたんだから、書き手の中には相応の熱気なり努力なりはあるのだろう。
だとしたら、そのエナジーを真っ当な方向へもっていくべく、よくよく考えるのが吉かと。
自分の萌えキャラへの妄想をもっと逞しくするなり、一次創作に鞍替えするなり。
>>61-78 「帰ってきた柳川」
つまらないとは言いがたい……けど、なんか薄味で物足りない。
このネタを料理するなら、もっとフットワークの軽い文体が良かったのでは。
さもなきゃ10レスで半分に凝縮されていたら、もっと他の感想も出てきたかも。
あと、勝手な言い種だが千鶴さんの料理・貧乳ネタは飽きた。SSの出来うんぬんとは別に。
>>96-100 「キツネノヨメイリ」
む、リドルストーリー風味な終わり方か。わりと好み。
あっさりした文体が、なんとなく書き手の持ち味という感じがして好感度高し。
しかし、ひとひとり刺したにしてはややあっさり淡白すぎかも。
返り血の紅さや果物ナイフの鋼のきらめきに軽く触れられていたら、
この淡白な持ち味を維持したまま凄みが出た気が。
それと、4レス目の視点が名雪にあることが、少しわかりづらかった。
>>107-133 「逆撃長森瑞佳 折原浩平急襲」
あんまそそられなかった。俺の一物は益体なしのまま読み終えてしまいましたとさ。
>>153-161 「電気羊の夢」
なんか……惹かれない。洒落た会話が浮いてるように思えた。
>>165-188 「MOON.― the last night ―」
>231氏のいう某スレがどこか知らないが、かなり惹きこまれたSS.
ぶつ切りの文体が郁未の荒れ果てた内面を描くのに適していたと思う。
というか、すごく俺の趣味に嵌まったよ。心に届くSSだった。
ただ(以下はこのSSの欠点ではないが)全編がモノローグ一色で染めあげられ、
他キャラとの会話や絡みほぼ皆無なのは残念だった。
この作者の手になる、もっと動きのあるSSも読んでみたい。
>>192 彼女は幼馴染みがいなくなったとき泣いたはずだけどね。本編にあるとおり。
ダークものには耐性あるけど、無意味に本編のキャラを崩してるSSは好きになれない。
まあ1レスのシチュに文句いっても始まらないか。
Routesは未プレイなんで評価から除いた。
最優秀は「MOON.― the last night ―」、次席が「キツネノヨメイリ」ってことで。
>HMX氏
そういや
>>227のリンクから保管所に行けないんだけど、俺だけ?
よし、読み終わった。じゃあ感想を。
あ、でも、このスレで感想書くの初めてだから優しくしてください。
ちなみに一応言っとくと、痕、MOON.、Routesは未プレイです。
・光の道(Kanon)
「未だ誰もが扱っていないタイプ」って程でもないですね。某スレに行けばうじゃうじゃ落ちてそうな。
とりあえず再挑戦は最低限の日本語をマスターしてからお願いします。
三点リーダとか行頭空白なんて無茶は言いません。句読点と誤字脱字と文法だけで結構です。
・帰ってきた柳川(痕)
ネタとギャグで開幕してきれいに閉幕できてるあたりは上手いと思いました。
惜しむらくは話全体的に「ありがちオーラ」が漂っていて、新鮮みが薄かったあたりかと。
・キツネノヨメイリ(Kanon)
よくわかりませんでした。真琴がらみかな?
このタイプの手法は、ヒントを置きすぎても足りなすぎてもダメという難しさがあると思いますが、
自分には足りなかったようです。漏れは頭の悪い普通の子ですから〜。
・逆撃長森瑞佳 折原浩平急襲(長森・浩平)
タイトルからギャグ系かと思ったらエロ系でびっくり。
エロパートもそれなりに勃ったし、そこを除いても「復讐」の話として面白かったです。
・ピザと手記(Routes)
・Nemesis(Routes)
うーん……「友達に『この漫画面白いから』と、1〜10巻を抜かしていきなり11巻を渡された」ような感じです。
多分Routesやってたら楽しめるんだろう、的な雰囲気だけ味わって悶々してます。
ただ、Routesをやってみたい、と思わせる程ではなかったです。
・電気羊の夢(To Heart)
話そのものは楽しめたんですが、どうしてもバックボーンの嘘くささが漂って、心底は楽しめなかったって感じです。
マリオネットという名称然り、ハンターまで存在してるのに全廃されてないマリオネット然り、
なんか天才揃いのヒロインズ&雅史ちゃん然り。
もっと原作に近い形でしっかりした設定を固められたら、もっと良かったかも、と思いました。
・MOON.― the last night ―(MOON.)
きれいな話だな、というのが第一印象、上手な話だな、というのがその次の印象。
はっきりはわからないですけど、本編のプロローグを細やかに書いた話、で良いんでしょうか。
ONEやら天12やらのネタが組み込まれてるあたりでちょっと(・∀・)ニヤニヤしてみたり。
・サクセサーズ・ルーツ(宗一・皐月)
皐月のキャラクターが魅力的に描かれているのがすごく印象に残っています。
Routesをやってない人間でもかなり楽しめました。積みを崩して金があれば買ってみたいかも。
すごく話が長い割には、読後に長かったようには感じませんでした。それだけ読みやすかったってことでしょうか。
以上です。
最優秀には「サクセサーズ・ルーツ」、次点に「帰ってきた柳川」を推したいと思います。
>>257 漏れは行けましたが。
260 :
229:03/10/07 03:57 ID:cPqNyXWP
>>96-100 キツネノヨメイリ
俺も名雪視点が分かりづらかったかな。
さすがに3人以上切り替わると混乱する。
作者の企みには上手い事引っかかってみしおたんの怖さにゾッとしたが、
最後強引に解決させようとしたのは中途半端な気がする。
みしおたん視点に戻して内面を描けたらもっと深くなったんじゃなかろうか。
締め方はいい感じ。
261 :
257:03/10/07 17:47 ID:bnFIX56N
>>259 だめだ、もう一度やったけどエロサイトに飛ぶ……
やっぱり俺だけなのかな。
アドレス、コピー&ペーストして直接貼りつけてもいけないか?
263 :
257:03/10/07 17:52 ID:bnFIX56N
いけますた。
おさわがせしますた。
【告知】
現在、葉鍵的 SS コンペスレは投稿期間を終え、感想期間に入っています。
今回投稿された作品の一覧は
>>227 となっています。また、
http://sscompe.tripod.co.jp/ (転送アドレス)
からでも投稿された作品を見ることができます。
感想期間は 9 日の午前 10:00 までとなっていますので、
まだの方はお早めにお願いいたします。
……そうでした。明後日まででした。
>>227、
>>233では16日までとなっていましたが、お詫びして訂正いたします。
「えーっ、16日じゃないの?」「そりゃねーよ、ぶーぶー」「なんとかすれ(#゚Д゚)ゴルァ」などのご意見がありましたら、
極力対応させていただきます。
>>261 現在pinktower.comのリンク機能がイカれてるらしく、IEやネスケで閲覧している場合、
2ch外部へのリンクが全部同じエロサイトに繋がってしまうようです。
「セリオです。今回もよろしくお願いします。相も変わらずの容赦ない寸評をしていこうと思います」
「マルチですー。トイレは済みました? 神様に命乞いは? 部屋の隅でガタガタ震えて命乞いする準備はOK?」
「時間もないことですし、早速始めようと思います」
「あ、待って下さい。徳用首吊りロープの宣伝がまだ……」
>>34-52 光の道(Kanon)
「日本語の勉強してください」
「ざっと見ただけでも突っ込みどころ多すぎですー」
「句読点の使い方と、文章の繋げ方が、滅茶苦茶です。最初の地の文から、繋がりが悪すぎです。
>なんてことのない会話、その日水瀬家には月宮あゆが来客していた、
前後の文脈が繋がらない上に、区切った場合には前の文は日本語として単独では成り立ちません」
「破綻している文が多すぎて修正し切れません。作者さんは日常会話ができているのか心配してしまいますー」
「ですので放っておいて、内容にいきます。別にキャラを殺すのはいいです。そういう話であるなら。
ですが、『これまでにない』と言うわりには、筋としてはただの突発事件への復讐劇です。
もっと伏線を丁寧に張って、感情の推移を自然にし、展開を整理し、文章を正しいものにすれば、
典型的なC級ハリウッド映画の劣化バージョンになるでしょう」
「意外な展開と、滅茶苦茶な展開は、似ているようで全然違うんですよー。
モンタナさんも薬うっといてとどめも刺さず、装備を取り上げもせず路上に放置では、ただの白痴さんですー。
そういえば、事件の発端である、秋子さんが狙われた理由についても全く書いてませんねー」
「それを詳しい解説とやらで語るつもりなら、本末転倒です。そういうものは作中で語られるべきものですから。
ましてや、祐一様の復讐の動機に関わる重要なファクターです。構成というものを考えてください。
もう少し他の作品を読むなり、原作を読み込むなりして、様々なことを広範に渡って勉強してください」
「あのー……セリオさん、ひょっとして怒ってます?」
「いえ別に。ただ普段なら、十行と読まずに閉じてしまう作品だろうな、と思っているだけです」
「それとルール違反になりますので、このトリップで他のスレに書き込むのはやめてください。
作品投下後、他のスレでも見かけましたよ」
>>61-78 帰ってきた柳川(痕)
「皆さん甘いですね。こんな危険なおもしろ二重人格者を野放しにしてはいけません」
「でっ、でもっ、エルクゥは抑えられるって言ってますし」
「本当なら、抑えることに成功してから、許すべきでしょう。梓さんは後輩を犯された立場ですし」
「のんきに、よろしく叔父様(はぁと)とかやっている場合じゃないんですね」
「ないんです。それにこのオチが、急激な路線変更で、どうにも取って付けた感じが否めないので、
いっそギャグで落として欲しかったと思います」
「一人漫才でデビューとかですか?」
「それはどうかと思いますが。2レス目から3レス目への落とし方は上手いと思います。騙されました。
逆に15レス目からの切り替わりは、先ほども言いましたが半端にシリアス&ほのぼので、今一でした」
「間抜けなエルクゥさんはいいキャラしてたと思いますけど」
「一部、エルクゥと柳川様との会話が、主導権の違いで「」が入れ替わっているのが分かりづらいですね
柳川様一人称なら徹底的にそれを地の文として貫き、「」はエルクゥが声に出したセリフ。
()と『』を柳川様とエルクゥの心の中での会話時に使用、などと、統一した方が分かりやすいかと。
柳川様は、基本的に声を出す必要はありませんし、主導権はエルクゥに行きっぱなしでもよいと思います」
「あ、でも漫才の時と、エルクゥさんが引っ込んでからは除外ですー」
「10レス目最後、距離感が変です。至近距離のはずですが、ずいぶん遠くの声を聞いたようです」
「セリオさん細かいですねー。姑さんみたいです」
「それがウリですから(と言いつつお玉でマルチの頭に軽く突っ込みを入れる)」
>>96-100 キツネノヨメイリ(Kanon)
「こういう謎めいた作品は考えすぎてしまうので苦手です。まず、タイトルが気になるところですが」
「キツネと付くわりには、真琴さんの真の字も出てきませんでしたけど」
「すでにいないのか、あるいはキツネとしてのあの子はいたけど、真琴さんという形にはなっていないのか。
情報量が少なすぎて、謎かけされたというよりは困惑するところが多いですね。
正解かどうかは分かりませんが、私なりに解釈した上で分析してみようと思います」
「まず、天野様の壊れた過程は一切描写されていないのですが、
祐一様の言動を見る限り、ここにはなにか超自然的な要素が入れられているはずです。
それは真琴様の想い。もっと言ってしまえば怨霊じみた嫉妬が入っていると考えられます。
ですが、彼女は何を目的としているのでしょう? 名雪様は刺されたとは言え生存、天野様は逮捕ですが」
「共倒れを狙ったのでしょうか? なんだか元親友のはずの美汐さんがかわいそうですけど」
「それにこの程度では、名雪様はますます祐一様と仲良くなってしまいそうです。
どうせダークなのですから、いっそ名雪様は殺されていたほうがよかったでしょう。恐怖も煽れます。
『今日はどこに行きましょうか?』の後に、『背後から秋子さんの悲鳴が聞こえた』とか入れて切ると、
悲劇性が強調されていいかもしれません」
「祐一さんを悪夢から現実に引き戻すんですか。えぐいですね」
「祐一様を困惑させる噂を流したのが、誰であるのかも気になります。
私は噂を流したのは天野様であると仮定しましたが。それなら、『考えすぎ』というのも納得がいきます。
全てを事細かに知っているのも、本人だからです」
「自作自演ですか。こうして祐一さんを公式に自分のものにしていくんですね」
「復讐。それは誰が誰をターゲットに為したのでしょうか? やはり背後に立つ彼女でしょうか?
刺されたのが名雪様では、復讐というよりは邪魔者の排除ですが。復讐の対象と理由が見えないのです。
あるいは、逆に天野様を対象にして陥れようとしていたのだとすれば……恐い話です」
「謎に紛れてそういった流れが見えてこないので、頭がぐるぐるしますー」
「推測混じりで大幅に見当外れのことを言っている可能性も高いですが……全体的に情報が中途半端だったのです。
最後に祐一様の一言がなければ、壊れたみっしー逆切れ殺人未遂事件で終わっていたのですが」
「不思議ムードを出すにしても、もうちょっと解釈のヒントが欲しいところですー」
「ここまで細かく分析しておいて、大外れだったらいい笑いものですからね。
ですが、その場合は、こういう解釈を成り立たせてしまった、と言う問題点を小一時間問い詰めますが」
「転んでもただでは起きないんですね」
「起きません」
>>107-112 >116 >118 >120 >122 >125 >127 >130 >133 逆撃長森瑞佳 折原浩平急襲(長森・浩平)
「長森様にしてはずいぶんと淫らですね」
「開口一番それですかぁ」
「復讐という口実で犯したわりには、長森様は浩平様への愛情があります。
愛情があるわりには、縛って無理矢理犯す、というのは長森様らしくありません」
「ハンムラビ法典を採用したんですよ、きっと」
「それにしても、彼女のキャラクター性にそぐわない気がします。
普通に食事して、ちょっとお酒を飲んだりして、酔った拍子に暗黒面が吹き出てきた方が良かったかと。
酔いつぶれればクロロホルムもいりませんし、偶発性の事故ですみます」
「長森さんも、色々溜まっていたことですし」
「酔った上での出来事ならば、翌朝の新鮮な反応もうなずけます」
「エロシチュとしては、キャラスレとかでよく見かける感じですねー。悪くないと思います」
「それにしても……久しぶりにヴァギナって単語を見ました」
「どーゆー締め方ですか」
>>139-145 ピザと手記(Routes)
>>146-149 Nemesis(Routes)
「告白しますと、間もなく発売されるDVD版を契機に、
私もRoutesプレイヤーになろうと画策していたのですが……」
「ネタバレだそうですけど、気にせず読んじゃいますー」
「……(´Д⊂)」
「で、読んでみましたけど、えーと……ひょっとして、人違い殺人してますか、リサさん?
本当の復讐のターゲットはクライアントさんで……? うーん、さすがに状況が分かりませんでしたー」
「ところでこの手紙の内容ですと、彼女は永遠に見つからない『彼』を探すのですか? 酷な話ですね」
「最後はなんだか楽しげに終わっていますし」
「墓の前に佇んで泣く、リサ様の姿まで脳内シミュレートした私の立場は?」
「あんまりピザも意味なかったような。もしかしたら本編ではピザと共にある人だったのかも知れませんけど。
さすがに細かくつっこめませんので、この辺で勘弁してくださいー」
>>153-161 電気羊の夢(To Heart)
「(ぽんぽん)マルチさん、いつまでも隅っこで落ち込んでないでください」
「はううううううう……」
「人を殺す、という禁忌を犯している割りには、マルチさんに必死さが見えません。
最後の舞台裏事情も志保様がさらっと語ってしまっているので、どうもあっさり感が否めません。
犯人がまるで描写されていないのも相まって、真相告白というには、薄っぺらに思えてしまいます」
「なんで私、マリオネットなんて製品名なんですかぁ?」
「そこもただの違和感になっていますね。
これが本物のマルチさんとは違うんだ……と言う意味を込めてのものなら、甘いです。
人の死を扱うのなら、もう少し覚悟を決めて下さい。殺すべきものは殺す。
そしてその死という事実に意味を与える。でないと、中途半端な後味の悪さしか残りません」
「大物政治家の一人や二人……来栖川の人脈を使えば……ふふふふふふふふ」
「そうですね。雅史様と芹香様のカップルは、それこそ復讐に使うのでもないなら、
来栖川との繋がりは省いた方が良かったかと思われます。……マルチさん、そろそろ元気を出してください」
「頑張りますぅ」
>>165-188 MOON.― the last night ―(MOON.)
「MOON.は大分前にやったきりですので、メモリーの優先順位が低くて、記憶の中から少し削られていますね。
この作品の問題点は、このラジオ番組は彼女の精神に、さして重要な影響を与えていない所です。
彼女を復讐に駆り立てたのは、不可視の力の存在でした。ですが、そこはほんの数行。
彼女の復讐への決意が省かれているのは、構成ミスです。どう考えても力を入れるべき場所を間違えています。
もちろん、彼女の心理を表現するのに、うまい使い方をしていたとは思うのですが……」
「最後、ラジオをつけたのは、作劇上の都合に見えちゃいますね。お母さんが亡くなられたのに」
「ラジオは帰ってきた時点で、ずっと流れていても良かったですね。
浴槽に出しっぱなしで溢れた水の音などは、状態の固定化の手段として定番ですから」
「えいえんはちょっと蛇足だったかも知れません。あ、でも締め方は好きでしたー。なんだか格好いいです」
>>192 無題(ONE)
「これははたして復讐なのでしょうか?」
「どっちかというと、逆襲というシチュエーションに見えます」
「状況描写が一切ありませんから、昼か夜か、どこでやっているのか、なにも分かりません。
第一印象では例の長森様強姦未遂事件当日と思いましたが……」
「刃物らしきもの持ってるから、違うんでしょうか?」
「ハサミくらいなら、教室にはありそうですから何とも。
話としても、ただ殺す描写をしただけで、特に心に残るものがありません」
「ただの一場面をそのまま切り取っただけでは、『お話』にはなりませんから」
>>194-224 サクセサーズ・ルーツ(宗一・皐月)
「ふふふ……そうですか、どうしても私の来月の楽しみを奪いたいと」
「セリオさん落ち着いてくださいーっ。スナイパーライフルは人に向けちゃいけません」
「……これは人に向けるために作られた兵器だと思いますが。
残念、と言えば、原作を知っていれば、この作品、もっと楽しめたでしょうに」
「宗一さん、業界一のエージェントのわりには軟弱ですね。
操られているとはいえ、皐月さんに急所を蹴られて完敗するし、
実はこの話の中でまったく役に立っていません。本編でもこんな感じなのでしょうか?」
「篁様のマヌケっぷりや、最後の方がちょっと駆け足だったことも気になりました。
犯された直後に殺人(?)をしたわりには、皐月様が意外とショックを受けていないことも」
「本編で一度や二度、似たようなことをやられていたのかも知れませんね」
「大きな声では言えませんが、エロシチュ的にはなぜか一番ツボだったことは秘密です」
「それにしても本当にネタバレ全開ですね」
「……はてしなくつーづくー(´Д⊂)」
「イ`」
「では、失礼します」
「ご静聴ありがとうございましたー」
>>270 ……ん? あんたら二人は最優秀は選ばない主義なんだっけ?
272 :
229:03/10/08 05:13 ID:iieQkt0G
>>107-112 >116 >118 >120 >122 >125 >127 >130 >133 逆撃長森瑞佳 折原浩平急襲
エロはなかなかいい。
俺自身は淡々としたエロが好みだけど、この場合、更にドロドロで狂気を感じさせた方が、
「復讐劇」にはピッタリなのかもしれない。
浩平が終始冷静すぎるきらいはあるかな。
しかも浩平視点だと長森の心理描写がほとんど無いまま異常なシチュエーションに突入してしまうわけで、
読者が混乱してるぐらいは浩平にも混乱してほしいような。
最後のほのぼのは好き。
>>192 無題
復讐というわけでもないし、起承転結の「転」だけ抜き出したような感じ?
なるほどインパクトはあるけど、
>>195に続いてるのかと一瞬見誤ってしまったぐらい半端感がある。
そういう戸惑いがあったのは見慣れないせいもあるだろう。
「4コマ漫画的シチュ」ではなく「絵画的シチュ」とでも言うのか、
こういうのが流行ってくればインパクトという点で評価できたのかもしれないけど、
今の所は実験作みたいな評価になっちゃうかな。
作者は何を意識してこの様式にしたのか気になる。
これだけ感想がつくと投稿しようかって気にもなるなあ。
毒舌セリオの中の人はあのスレも見ているんですね、以前いってた「光の道」の作者が
なぜ叩かれていたあそこの昨日のレスをみればわかると思います・・・
もしや、ヤツはここを荒らす気なのでは・・・
>>275 ここしか見てない私が言うのもなんですが、そういう邪推は心に留めていてもらいたいです。
仮に荒らしたとして放置しか我々が取る手段はないですし、むしろそういう書きこみが荒れる原因になり得るかとも思います。
っと、以降なにごともなかったように感想をどうぞ。
マルチとセリオの感想、相変わらず凄いな。
毒舌も相変わらずだけどw
実際、感想だけであそこまで書くのって、テーマに沿ったSS書くのと同じくらい大変そうだと思う。
本当にご苦労様です。もちろん、他の感想書きのみなさんも。
葉っぱ系に偏った感想を書きます。
素人の感想なんで指摘事項の当否には責任持ちません。
>帰ってきた柳川
柳川の漫才部分が面白かった。
文章のキレもいいし、彼の小市民ぶりが上手く書けてる。
構成には作りの甘さが目立つかな。
たとえばギャグ部分だと、安直なやられネタを3回も繰り返すのはどうかと思う。
仮に繰り返すとしても、回が進むつれてより強力なギャグに昇華していくやり方が適当ではないだろうか。
このSSの場合、最も笑えたのがビラ張りネタで、最も笑えなかったのが殺人料理ネタで、見事に逆だな……
読み進むほどテンションが下がってうぐぅな感じ。
また、「エルクゥは復活でき、弱くなる」という設定でシリアスに纏めようというのはさすがに無茶かと思う。
エルクゥは殺してしまうと生き返らないから本編で千鶴が泣いてたわけで、彼女の親父も叔父も復活可能って設定になると話が根本からひっくり返って痕じゃなくなっちまうような。
柏木家の歴代当主は皆いっぺん死ねばハッピーということにもなりかねないし。
最後までギャグで通せば、この辺のことも気にならなかったと思うけど。シリアスじゃどうもなー。
それから、「」とか()とか……とか。使い方を統一したほうがいいんじゃないかな。
>ピザと手記・Nemesis
うわぁ、難解。
ルーツをやっていない人には全くわからないでしょうねー(セリオさんお疲れ様でした)。
そんな作品を出したあなたの勇気に敬意を表します。
総合的に見て、いい出来だと思う。
短い分量ながら最低限必要なことを書ききってるあたりに実力が窺える。
切り詰めた文章も、悲劇的な内容にマッチしていていいと思うよ。
特に日記部分がかっこよかった。
日付にへんてこな記号を使うのだけはやめてほしかったけど。
前編のラストから後編へのつながりも綺麗だな。
この効果を演出するために前後編に分けたのかと邪推するくらいに。
女神の名前がNemesisってことでいいんだよね?
前後編のかみあわせを含め、話の作りとしては隙がないと思う。
リサと言えばスパスィーバ。
気取った挨拶をする彼女にラスト一文はあからさま過ぎて不自然な感じ。
それ以前に、言葉のイメージに頼りました、って感じで印象悪い。
決してハッピーではないこのラストで、何を意図したのだろう?
感想期間ももうすぐ締め切りだおー
【告知】
ただ今をもちまして、感想期間を終了させていただきます。
投稿された書き手の皆さん、感想をつけてくださった読み手の皆さん、
そして生温かく見守ってくれていた ROM の皆さん、どうもご苦労様でした。
引き続きこのスレでは、今回の運営への意見、書き手の挨拶、
次々回のテーマの決定などを行いたいと思います。
上記のものやそれ以外にも意見が何かありましたら、書きこんでください。
※次回のテーマは『動物』に決定しており、開催時期は 10 月下旬になる予定です。
※今回決めるのは次々回のテーマです。お間違いのないように。
『帰ってきた柳川』
>>231 『MOON.― the last night ―』
>>256 『サクセサーズ・ルーツ』
>>259 ということで、第十八回の最優秀作品は『該当作無し』のようです。
283 :
229:03/10/09 13:06 ID:oiUNq6vL
予想通り、ルーツ未プレイの人が多かったね。
「誰もルーツをプレイしてないけど、『サクセサーズ・ルーツ』が最優秀」
という展開をちょっと期待したがw
では総括期間なので
>>249にツッコミを。
森羅万象二極一対。
男と女、陰と陽、仁王像の阿と吽。
コンペスレ然り、夏の祭りと冬の祭り!!
ホラ、「過去のテーマ」やったのが8月だったし。
じゃあ12月に「なんでもあり」やったらどうかなー、とか。
このペースで行くと次々々回の期間は年を越すことになりそうだし。
そんなんとかどうかなーとか、思ってみたわけで。
それはともかく次々回のテーマは「秋」に1票。
あ、もう総括期間か。時が経つのは早いもんだね。
次々回テーマには「三角関係」を推しときます。
288 :
229:03/10/10 08:10 ID:FEdHcNAP
>>287 「復讐」と「復習」を掛けるというのは誰にでも思いつくネタでありながら、
単なる同音語ではなく、両方の意味で文章が成立し、
その両者のギャップによる二次的な面白さを生み出している。
「ノートでどういう復讐をするのだろうか」と考え出したら夜も眠れない。
「出オチ」「ツッコミ」のたった二行で終わるのテンポの良さも評価できる。
そしてそこに「魔太郎がくる!!(藤子不二雄)」とは、オールドファンをニヤリとさせる小ネタだ。
とか書いたら信じる?
次次回は12月になりそうなんだねぇ……。それだったらお題は「ONEの作品」とかどうよ?
……冗談です。お題は「遅刻」をageておきます。「なんでもあり」も面白そうですけど
(・∀・)セリオさんに罵られて首を吊った作者さん達の告白マダー?
次々回十二月末だとすると……あるという噂のホワルバ第二回コンペと被りそうな予感。
それにちなんでお題は「写真」とか言い出してみる。
いっこ感想書きます。
>電気羊の夢
ゲロ吐くシーンをつかみに持ってくるのはどうかと……。
のっけから東鳩とはかけ離れた世界観が展開されて戸惑う上に、ここまでで読者(私)を引かせるに十分だった。
でも気合を入れ直して読みつづけたら、意外にも(失礼)結構楽しめた。
次から次へと繰り出される珍(再び失礼)設定にあてられて、当初の違和感なんて読み進めるうちに麻痺してしまった。
志保を語り手に据えたのが上手かったと思う。
こういう話では、ともすると嫌らしい設定臭が前面に出がちであるところ、志保というキャラクターはあまり嫌味を感じさせることなく役をこなせるのかな。
それが作者の意図したところなら術中にはまった感じ。
気取ったセリフ回しや大袈裟な行動描写はすべからく好みにヒットした。元々、無意味に格好つけた描写が大好きな性質なので……。
今回の原作とのあまりの乖離ぶりは減点ポイントだろうが、こういうハッタリSSはまた読みたいと思う。
東鳩ではなくて、誰彼かうたわれかルーツあたりでひとつ。
上で書いた感想のことはひとまず棚に起きまして、作者挨拶を。
今回『サクセサーズ・ルーツ』を投稿させていただきました◆1pYGWmfvXsです。
このスレには3作目になります。前には、第四回と第十二回に投稿させていただきました。
どうもご無沙汰です。
しかし、今回も長くなってしまいました。投稿開始前に、2作で40レス書いたと言っていたのですが、今回のを加えて3作で71レス(わ。しかも回を追うごとに長さが増し、比例して仕上げが荒くなっていたり。
今回は(も?)結局時間切れで、おしまいのほうがぶち切れになったし……。分量を調節する術を学ぶ必要がありそうです。
次に投稿するときまでには、短くまとめる技術を習得して、かつ丁寧に仕上げたものを投稿したいと思います。
あまり期待しないで待ってもらえれば幸いです。
とにかく、こんな長文は感想も書きにくいながら、最後まで目を通して感想をつけて下さった皆さんには感謝の言葉もないわけで、
お礼代わりにもなりませんがコメントをお返ししたいと思います。
>231 感想氏
>未プレイですけど面白く読めました
ありがとう。未プレイのほうが面白く読めるんじゃなかろうかという疑いがあるわけですが、なんにせよ面白く読んでもらえたのなら幸いです。
>232 名無しさんだよもん氏
>みんな長すぎ
わはは(汗
ええ、次は短いのに挑戦します。しますとも。
>234 名無しさんだよもん氏
>EDの後日談的な話か?
ご明察。その通りです。
かような長文に目を通していただき、ありがとうございました。
>いかんせん長いのが……
わはは(以下同文
すみません。
Routesのキャラと背景の紹介に予想外の分量を使ってしまったので……。
次回、芸の幅を広げて出直してきます。めざせ!最優秀!
>18禁描写が出てくるとは思わなかったので、あらかじめ説明あった方がいいかと
これについては迷ったんですが、他の人も取り立てて説明はしていなかったようでしたので。
21禁の板でわざわざ断るのもなんかアレですし、不意打ち的な効果も狙いたかったし。
どうなんでしょうか?>進行役の人
>244
>全体的にレベルが低めに感じた
ヽ(`Д´)ノ
>255
>Routesは未プレイなんで
ヽ(`Д´)ノ
>258 名無しさんだよもん氏
わーい。最優秀ありがとー。
前回投稿時は貰えなかったんで喜びも一入だぁ。
皐月のキャラは、バカップル万歳な表Routesに基礎を置いたものが主流のようですが、
私のSSでは、裏Rootsでのイメージを拡大解釈してもえキャラ化しています。
そのため、本編の彼女とは一癖ならず違っていると思われるので、一応ご注意を。
>270 セリオとマルチの毒舌感想会氏
ネタバレを恐れず、読み通してくださった勇気には自然と頭が下がります。
ただ、一口にネタバレとはいいますが、このSSのネタバレなんて、あのDVD版新パッケ絵のネタバレに比べたら月とすっぽん。本編の面白さを減じる類のものではないと思いますんで、どうぞご安心を。
そもそも、本編では皐月は宗一の元へ帰ってこな……モゴモゴ。
内容に関するセリオさんのご指摘はまさに痛いところを突かれたという感じです。
時間切れを言い訳にはしたくないですが、せめて湯浅家に伝わる(という設定の)護符関連の伏線を回収したかったなー、と。∧||∧
>エロシチュ的にはなぜか一番ツボだったことは秘密です
どうも。このシチュが書きたいがためにプロットを立てて、肝心の場面に辿り着くまでに半ば力尽きたという、情けないSSでした。はわわ〜。
そして、これだけは。
>宗一さん、業界一のエージェントのわりには軟弱
こんな設定を作ったリーフスタッフにライフルを向けてください。
それでは。どうもありがとうございました。
またなにかアイデアが出れば投稿したいと思います。今回はこの辺で。
みなさんこんにちは、「帰ってきた柳川」 作者です。
感想を下さった皆さん、ありがとうございました。
今回の目標は、「復讐」にしてもあまり読後に暗くならないような話を書くことでした。
それも、テーマを巧く料理してこそのSSコンペなので、ネタと内容はあくまで原作のイメージと矛盾が出ないようにしたつもりです。
このネタは、復讐に一番似合うキャラからまず考え、真琴や柳川あたりが最後に残り、真琴ネタがあまりいいのが思いつかなかったときに柳川を考えて、「アホらしいエルクゥの復讐」というテーマをふと思いついたことによります。
最初はシリアスか? と思わせてギャグで落とし、でも最後は明るめのハッピーエンドにする。
感想を見る限りでは完全に成功したとはとても言えませんが、書きたいことを書けたので自分としては満足しています。
>>231さん
柳川に萌えてくださったとは……しかも最優秀に推していただき、本当にありがとうございます。
>>234さん
>「エルクゥの力で生き返ったけどレベル1になってしまった」という設定、ちょっとムリがないかな?
はい、実は……自分でもちょっとムリがないかと思っています。
しかし、柳川が凶暴な狩猟者のまま生き返っても話が重く暗くなるだけだと思ったので、あんな設定にしてしまいました。
>>255さん
そうですね、私自身、ちょっと長くなってしまったような気がしてなりません。
千鶴さんのネタは……お約束ということで入れてしまいましたが、確かに何度も使われたネタですからね……。
>>258さん
ありがちオーラ……やはり千鶴さんネタなどでしょうか?
今回はネタの味付けにこだわるあまり、メニューそのものにこだわらなかったということを象徴しているのかもしれませんね。
>>265(セリオとマルチの毒舌討論会)さん
吊りはしませんでしたが、やはり強烈なダメージをくらってしまったみたいです。(笑)
元々終わり方は、ほのぼのというか、救いのある終わり方で終わらせるつもりだったのですが、
場面の展開の変化の仕方を失敗してしまったのでしょうね。
ちなみに私、ギャグで終わらせるのがシリアスよりももっと苦手でして、
ギャグで終わらせることも最初の段階では考えていたのですがネタが思いつかず断念したんです……。
10レス目の距離の問題は、言われてみれば「ああそうか!」と納得しました。
確かにちょっとまずかったですね。ご指摘ありがとうございます。
私は耐えて見せますので、これからも毒舌討論を続けていただけるとありがたいです。
>>278さん
えーと、エルクゥ復活に関しては、柳川の場合は「自分を殺した柏木家への復讐」という、柳川の中のエルクゥの特別な執念があったからこその復活だということにしていたつもりです。
もちろん私だって、こんな便利な設定があったら柏木家があんなに苦しむはずはないと思っていますよ。
ギャグ……もう少し練習してみますかね、私も。でないと確かに巧い話がなかなか作れなさそうです。
「」()などの使い方の統一に関しては次回より気をつけます。
次回は「動物」ですか。かのんSSこんぺと時期が被っているのが厳しいですね。
なるべく参加はしたいですが、まだ分かりません。
次々回のテーマ……季節は更け行く秋、なるべくひとつのテーマから色々なアイデァを出せるような
ネタが欲しいですし、「本」などいかがでしょうか?
漫画(同人誌)、小説、雑誌、教科書、エロ本、魔術書などいろいろできそうですが。
どうも、光の道の作者です感想を書いてくれた皆さんお目汚しをここで誤ります。
>>231
確かに無理やりな気がしますね・・・ところでU−1って一体何なのですか?
>>234
独創的なら言いというわけではないのですね、勉強になります
>>255
このSSを高く評価してくれたのは彼方だけです、本当に感謝感謝です
>>258
そのスレ教えてください
>>265
推敲してもC級劣化ハリウッド映画並なんて・・・凹みます
ほとんどの方が言っていた「文法」についてですが、実は私は小学生中学生の国語で
文法問題がいつも悪く、結構足枷になっていた記憶があります、それと私は普段小説を見ない人だったので
SSと小説は違うものだと思っていました、今頃になって文法の勉強するのもなんだかお思いますが、
どなたかいい学習塾とかありますか? ちなみに「光の道」の解説は後日です
次々回のテーマ案を出してる人、そのテーマでプロットぐらいは思いついてるんだろうな?
他の作者さんたちはどうしたんだろ?
しかし、「柳川」の作者さんも言ってるが、第三回かのんSSこんぺとちょうど時期が
重なるんだよなこれから。
「面白いテーマ」よりも「作品を書きやすいテーマ」がいいかもしれん。
では私は次々回のテ−マに「再開」を提案します
>>300 再開? 『再会』ではなくて?
とりあえず出たのが
秋、三角関係、写真、遅刻、本、再開か。
秋と言えば、「食べ物」や「スポーツ」もいいかもしれないな。
『なんでもあり』は一度はやってみてもいいかもしれないが、そうなるとテーマに沿わなくていい分、
長さが半端じゃなくなる作品も出そうでちょっと不安かも。
感想も、テーマに沿ってるかと言う評価基準が使えず、完全にネタの好みになる恐れも捨てきれないし。
テーマが無いんじゃ書く気がしないなあ。
次回のテーマ、秋ということで「とんぼ」を希望。
グランド整地するSSがわんさか来たらどうするんだ。
305 :
255:03/10/15 20:41 ID:FETxz2FO
>>297 いささか思うところがあったので、あと一度だけマジレスしておく。
学習塾とやらでいくら教えを乞うても、たぶんSSの向上には何の役にも立たないよ。
SSや小説を書くのは、国語のお勉強とは根本的に性質を異にしているから。
もっとKanonの登場人物たちに感情移入してみることと、
面白い小説をものの100冊ほど読みふけるのを俺としては勧めておく。
平井和正のアダルト・ウルフガイシリーズに、ニューヨーク摩天楼でのアクションと
ヘリの墜落シーンがあるから、それと自分のSSを読み比べてみるのもいいだろうな。
季節を題材にするのもいいが、俺は次回のテーマは『友達』にしたい。
何となく葉鍵キャラは『友達』少なそうとか。他のキャラとの絡みとかどうなってるんだろうかとか。
栞と美汐が同級生のSSとか良く見かけるが、どういう風に『友達』になったとか。
浩之はともかく祐一は『友達』いないどころか、クラスにすら馴染んでないだろうとか。
と、まあ、秋の夜長にふと疑問に感じたので、職人にSS補完してもらいたくなったんで。
とりあえず、特別なことがないようでしたら、次回「動物」の投稿期間を
17日(金)の10:00から開始したいと思います。
また、次々回(11月中旬〜下旬)のテーマ募集も同時に締め切りたいと思います。
ていうか今回テーマが分散しすぎですな(w
「なぁ、志保。ひとつ聞きたい事があるんだけどいいかな」
「なに雅史。言いたいことがあるなら、はっきりいったら?」
志保は、塗ったばかりの赤いマニュキュアに、息を吹きかけながら答えた。
「なぜウチの事務所に、来栖川の最新MH-40が稼働しているんだい」
雅史が指を指した方向には、黒の上着に黒のロングスカート、そして白いフリルの
ついたエプロン、いわゆるメイド服に身を包んだ少女型マリオネットが稼働していた。
「おまけに、あの思考アルゴリズムは…」
パリーンッ!
陶器の割れる甲高い音が響き渡る。
「はわわーーーーー、お皿がまた割れちゃいました。ごみんなしゃいーーーーーー」
しくしくと泣いているマリオネットに、雅史の娘である芹明が、心配そうに顔を覗
き込んでいる。
「どう見ても、MHX-13にしか見ないんだが……」
雅史は苦虫を噛みつぶすように志保に問うた。
「ほら、良くあるじゃない。大掃除した後、ゴミがたくさん出てさぁ。捨てたはいいけど、
もったいなくて、一度捨てたゴミを回収した事ない?」
「つまり、MHX-13を壊した後、もったいなくて、無傷だった後頭部のメモリーユニット
を引っこ抜いてきたということ?」
「ご名答」
志保はわざとらしく、雅史の回答に拍手で答えた。
「じゃあ、あの機体の方はどうしたの?」
「ほら、今月の初めの仕事憶えてる? 第二レインボーブリッジのヤツ」
「確か、メモリーユニットにウイルスが混入した件だっけ」
「そう、それそれ、裸で橋の上を踊っていたアレ」
「え………、ちょっと待ってよ志保。アレは東京湾に落ちて沈んだって、僕は聞いたよ!!」
「実はあの機体、メモリーユニット以外無傷だったよね……」
「………つまり、メモリーユニットの無い機体に、記憶をデリートしたマルチのユニット
を突っ込んだということかい?」
「ピンポンピンポン。さすが雅史ちゃん頭イイ」
雅史は思わず机の上に突っ伏した。
「勘弁してよ、志保〜〜」
「なりゆきよ。な、り、ゆ、き」
「管理局に知られたら大事だよ、判ってるの?!」
「大丈夫、バレない、バレない」
志保は涼しい顔で手のひらをヒラヒラと振った。
「大体、志保は昔から…」
パリパリーン。
再び、陶器のはじける音とともに、マルチの叫び声が給湯室から聞こえてきた。
「……ねえ、雅史。マルチって昔からあんなに不器用だっけ?」
「新しい機体と制御システムが上手く噛み合っていないんだろう。まあ、MHX-13は
自己修習型のプログラムだから、時期になれると思うけど」
ガチャン、パリン!
「はわわ、今度は雅史様の珈琲カップがぁーーーーーー」
新たに聞こえてきた騒音に、雅史は盛大なため息をついた。
「しばらくは紙コップで珈琲を飲むことになりそうね、雅史」
「皿も全部、プラスチックに替えるかい?」
志保は首をすくめた。
「…………泣かないで、マルチ………」
雅史は覗き込んでいた端末のデスプレイから顔を上げた。
「何か言ったかい、志保」
ファッション雑誌を見ていた志保も顔を上げ、首を横に振った。
「………もう泣かないで………」
二人は一斉に首を給湯室の方に向けた。
見ると、マルチがしゃがみ泣きながら床に落ちた食器の破片を拾っていた。その
マルチの頭に、芹明が手の平を乗せ、優しく撫でていた。一緒に泣きながら。
「………お願いだから、もう泣かないで………」
雅史と志保は驚いて顔を見合わせた。
芹明が生まれて初めて、言葉は話した瞬間だった。
今回『電気羊の夢』を書いたJo(如風)です。
いつもの事というか、お約束というべきか、今回も締め切り当日になって執筆したため、
中途半端な物になってしまい禿しく鬱。
台詞だけで話を進めたのも、反省すべき点のひとつ。
もっとアクション描写を入れたかったなぁ……。もっとも、志保を主人公にした段階で、
語りが多くなる事は覚悟していましたが(笑
本当は、マルチが狙っていた人物(あかりと浩之を殺害したと思われる)と志保が話す
場面もあったのですが、時間の関係で泣く泣くカットしますた・゚・(ノД`)・゚・。
本当は『痕』を題材にプロットを完成させていたのですが、今まで投下した作品、合計
11本、すべて『痕』でして……。しかも、先に柳川ものを投下されたので、執筆直前で
プロットを破棄。別の題材で書こうと思ったら……『復讐』の似合うキャラってあんまり
いないのよね。軽めの題材は、きっと鍵の連中が書くであろうから、重たい題材を選んで
いったら、こういう作品ができあがりました。
きっと受けは悪いだろうなぁ、と思いつつ構想をまとめたのですが……、いざ書き始め
ると、とても楽しかったです( ̄ー ̄) 書いている最中『COWBOY BEBOP』の音楽が頭の
中をリフレインしていました(^^;
今回、志保を初めて主人公に選んだのですが、このキャラ思っていたより楽しい。何を
させても、言わせても、嫌みが残らない、いわゆる『志保だからしょうがない』で、すん
でしまうんですよね。
機会があれば、この続きを書きたいなぁと思いました。もっとも、続きを読みたい人は
少ないでしょうけど。
なお、題名は『ブレードランナー』の元ネタになっている小説『アンドロイドは電気羊
の夢をみるか』から取りました。もっとも、私は読んだことありませんが(爆
作品の内容補足
今回、ロボットの事を『マリオネット』にしましたが、理由は、『ロボットのままだと
格好悪いから』ただ、それだけです。『ロボット・ハンター』とか書くと、ロボット刑事や
ら、手塚マンガが頭に浮かんしまうので。
東鳩の量産型メイドは、意志が希薄で命令に忠実に実行するという設定(だと思う)な
ので、勝手に『マリオネット』と名付けました。
なお、この世界では、ロボットが車並み普及してしているため、ロボットの暴走が日常化
しても、全廃できないのが実情です。
使用されている武器について
『マリオネット・ハンター』はすべて、管理局を通じて依頼が来ます。その時、報酬額か
ら1割自動的に引かれ、そのお金で、管理局運営や武器の開発、販売を行います。雅史は、
この武器開発チームにも所属しているので、販売前の試作品が良くまわってきます。
雅史と芹香について
あかりと浩之が亡くなった時にショックを受け、同じく悲しみ浸る芹香と葬式後、喫茶店→
ホテルのラウンジ→そのままベッドに直行。お互いの傷を舐め合った結果、妊娠。ついでに
駆け落ちしました。よってあの作品の中では、来栖川財閥とはなんの関係もありません。
読んだことのない本から、特に意味もなく引用してタイトルつけたんか。
>>306 気持はわかるが、それだけ例を挙げちゃうと書きづらくなるような気がするよん
>>309 あと、追加エピソードはかまわんが(あんまし良くないような気もするが)、
型番が無茶苦茶だったり、最後の締めに誤字をかますというのも勘弁してくれな。
もうセリオのパチモンなんだかなんなんだか。
>>313 あの程度ならネタ潰しにならんと思うが。
友達を作るという話なら、その過程とか出会い方とかが重要なんだし、
どういう関係か、そして相手は誰かによって、話はがらりと変わってくる。
締め切りも近いようなので「光の道」の解説に入ります
まず、エピローグみたいなものもあったんですがこれは急に客観視点になるものになるので
没にしました、内容は祐一が屋上から飛び降り自殺をしてしまったビルであるモンタナコーポレーション
の一連の実態がNYの新聞で号外扱いになるも、日本の新聞では小さな事件としてしか扱われず3日もすれば日本では
話題にもならないというものです、その代わり日本の新聞では水瀬家のあの事件が話題になっているもこれらの事件を
ひとつに結びつけるものはいなかったというものです。
次にプロローグでなぜアメリカでモルモットにされていた男がなぜ水瀬家に現れたかについてですが。
実はこれちょっとした裏がありまして、実は金で寝返った北川が手引きをしていたという裏事情があり本来なら
KEY OF THE LEAFの一連の幻覚世界の後になぜかNYにいた北川と話していくうちに祐一が北川の裏切りに気づき
マフィアの経営する喫茶店に向かう前に真相を暴かれた北川が道路を走っているダンプカーにひき殺させようとして
逆に自分がひき殺されるというエピソードもありましたが、どうやってその真相を暴くかがどうしても思いつかず没にしました
あと実は、某スレの表現を借りると華音市の駅にも銃を持ったチンピラ達がいて結局祐一はタクシーで羽田空港に向かうという
エピソードもありましたがいくらなんでもむちゃくちゃすぎる展開だったため没にしました。
実は没になった設定として実は狙われていたのは秋子さんではなく祐一という設定があったのです。
その設定の名残として祐一は羽田空港を利用したんですけどね・・・
実は羽田空港は作中でも書かれているとおり国際便も存在するんですよ、ただし利用するのはVIPなどの大物くらいなんですけどね・・・
モンタナと祐一の両親が利害の対立でモンタナがこれまでも何度か祐一を誘拐する事で祐一の両親を服従させることを画策するも
祐一のおばでありそしてSPである秋子さんによってはばかられるという設定もあったんですが、これも泣く泣く没にしました
次は作品そのものについての解説です、結局秋子さんは殺し屋という裏の顔を持った女ということにしました
そしてあの強姦殺人です、秋子さんの裏の顔をもし祐一が知らないままならば彼は復讐という行動に出ず精神病院で一生を終えている
という状態の一歩手前の心理描写に挑戦しましたが結構難しかったです、死んでいる秋子さんに話し掛けるシーンは特に注意したつもりですが・・・
祐一が作中の行動に出たのは彼の精神が実は非常にもろく弱いものだと思ったからです、それは原作のあゆのエピソードを見れば十二分にわかるのであえて語りません
水瀬家に出る前のあの電話は彼にとって決別を意味するものだったんですけどわかりましたか?
ちなみに地下室には大金も置いてありそれで祐一は国際便に乗ったりしたんですね、実はあの端末にははじめプロテクトがかけられているという設定もありました
でも答えは簡単で「NAYUKI MINASE」を入力すると内容が見れるというものでした・・・
飛行機の中でのやり取りは、秋子さんの所属する組織の情報網の高さを端的に見せる意図のシーンでした。
次になぜモンタナがあの時止めをささなかったかについて説明します、これは先に書いた没エピソードにも関係するところです。
モンタナは非常にサディストな性格であり、都合の悪い相手は廃人にさせるだけさせてから殺すという性癖の持ち主なのです、
そして北川には祐一が投薬されてからの事後経過を報告する役目を与えられていたのです、そして先の喫茶店でKEY OF THE LEAF
入りのコーヒーを祐一に飲まさせるために彼を喫茶店に誘うという設定があったのです・・・
次に幻覚世界についてですが、メモの文章は祐一に自分がフィクションの世界の人物であるということを伝えるための文章でした、
続いてテレビから名雪が登場するもそれが誰かわからなくなっていくなど段々彼が正気を失っていっているという意味がある描写でした。
あの迷路のような世界には彼が助けたい人がいるのになかなかその人のところにたどり着けないもどかしさを具体化したものです、
そして幻覚世界のラストシーンは彼の罪悪感を如実に描写したシーンでした。
モンタナコーポレーション内では緊迫した戦闘シーンを描写しようと努力しましたがここで自分の文章力のなさを痛感しました・・・
ラストシーンで途切れたような描写をしたのは、いるはずもない大切な人の元に向かおうと
あるはずもない道を歩んだために祐一が転落死したということを描写する意図がありました。
あの道がKEY OF THE LEAFによるものか、祐一のもろく弱い精神によるものかは読者の想像にお任せします(オイ)
では、用語の由来などについて語ろうと思います。
KEY OF THE LEAF:これは某作品の重要単語である「KEY OF THE TWILIGHT」をすこしもじったものです
偶然にも「葉鍵」と直訳できるものになりましたが・・・
光の道:実はこれもともとは「最大の苦痛」というタイトルにしようかと思いましたがちょっといろいろまずいものがあったので
ラストシーンからこのタイトルにしました。
実はこの作品、とある洋ゲーを元にして作った作品なんです、プロローグの展開などは完全にそこの引用です。
あとはじめに今回のテーマを発案したのも私です、あのときから今回の作品の大まかなプロットが組み立てられていました。
しかしいざ書いてみると結構難しいものですねえ、当分SSは書かないことにします・・・
ではでは。
・∀・)コソーリ
なんかこのまんまだと決まりそうにないんで、こっそり「写真」から「友達」にテーマ鞍替え。
翌朝までになにもなかったら、これで決まってしまいそうな。
「友達」よりは「友人」の方が語感が好きだが、まーどっちでもいいや。
しかしなにかと謎の多い「キツネの嫁入り」の解説はなしか……。
「友達」はキャラクターが思いっきり狭まりそうなんだけど
『痕』や『雫』ではかなり難しい
個人的には、『食べ物』を推薦。一度やってみたいんで。
耕一と由美子さんだって友人だし、太田さんとみずぴーも友人だし、恋人未満な関係は俺は好きだし(爆
いつかのはるかと瑠璃子みたいにクロスオーバーしたっていいと思うんだが。
いや、無理に勧める気はないけど。
痕なら響子さんと千鶴さんあたり、結構変な友達になりそうな気がする。
大人同士だから表面上はにこやかだが、どこか牽制しあう微妙な関係。
まあ無難なところで「再会」もいいんじゃない
さらに分散するって……(;´Д⊂)
一応多数っぽいので(「再会」と「再開」は別と考えて)、次々回のテーマは「友達」としたいと思います。
それでは……
【告知】
第十九回投稿テーマ:『動物』
投稿期間: 10 月 17 日の午前 10:00 から 10 月 31 日の午前 10:00 まで。
テーマを見て、思いついたネタがあればどんどん投稿してみましょう。
面白い作品だったら、感想がたくさんついてきて(・∀・)イイ!!
もちろん、その逆もあるだろうけど……(;´Д`)
※投稿される方は
>>2-4 にある投稿ルール、FAQ をよく読んでください。
※特に重要なのが
・テーマに沿った SS を*匿名*で投稿する
・投稿期間中は作品に対して一切感想をつけない
※の二点です。他の各種 SS スレとは異なりますのでご注意を。
それでは、投稿開始っ!
# また、次回のテーマは『友達』で、開催時期は 11 月中〜下旬になる予定です。
# 「二週間じゃ短すぎて書けない」「テーマが難しい」という方はこちらの執筆に力を
# 注いでもらっても構いません。ただし、投稿は次回の募集開始までお待ちください。
とりあえず保守っと
第18回の感想は、もう出しちゃ駄目ですかねやっぱし。
今ごろ書き終わったんですけど(汗)
出してくれ! と反射的にカキコしそうになって、前回は参加してないことに気がついたw
でも、投稿もされてないし、いいんでね?
感想はつけたので、他人の見方と比較してみたいし。
あ、前スレがまだ生き残っていたような気もする……。
328 :
感想〜〜:03/10/19 15:41 ID:8HpCvdCC
かのんSSコンペと被ってはいるが、動物はゲームにけっこう出てくるしな。
ネタに関しては大丈夫だと思う。
問題は時間か。かのんコンペもあと一週間で短編の受付開始だしな…。
保全age
それにしても書きにくいネタだな
今度の『友人』といい、なぜにこんな書きづらい題材を選ぶのやら
獣姦ものでも書くか(藁
「よう、舞」
「あ、祐一・・・その子は・・・?」
「ああ、天野って言って・・・ほら、この前話しただろ?」
「ぽんぽこたぬきさん」
「うっ」
「まあ、仲良くしてやってくれ」
「私にあの子の友達になれと言うのですか?」
「あ、いや、天野、舞が言ってるのはな・・・」
「そんな酷なことはないでしょう」
「たぬきさん」
「ううっ」
【告知】
締め切りまで一週間を切りました。
作品の執筆は計画的に。
今回のテーマは『動物』で、締め切りは 10 月 31 日の午前 10:00 です。
また、次回のテーマは『友達』で、開催時期は 11 月中〜下旬になる予定です。
「二週間じゃ短すぎて書けない」「テーマが難しい」という方はこちらの
執筆に力を注いでもらっても構いません。ただし、投稿は次回の募集開始までお待ちください。
なんだか今回職人さん少なすぎるなあ・・・
もう1週間切ったんですか? なんか早いな……。
>>336 上の方で触れられていますが、かのんSSこんぺが最大の原因でしょう。
俺もそっちに力を入れてますし。
ただ、こっちの作品も同時進行してるので、間に合ったら俺は投下します。
といっても、
間違えた。
(上の続き)といっても、今回下手すれば過去最低の参加者数になる恐れはありますね。
ほかの職人のみなさん、頑張りましょう。
ノツ
葉っぱOnlyな自分は、こっちに注力しますです。
そういう人もある程度いるんじゃないかと期待したり。
今の段階で、まだ1作品も投下されていないのは、新記録かな(爆
1レス程度の小品を考えてたら何故か別キャラが飛び込んできて挙げ句クロスオーバーになってしまった。
このまま書くかクロスする前で別分岐を考えるかで愚考中。
規制が解けたので一つくらいは投稿したい。
>>344 まあ続きは総括期間にでもやるけどさ、何度もループしてる話なんだけどな。
みんなこの土日を利用して執筆してるんだよ…こんぺ用のSSを。
うがぁぁぁ…今週中に提出しなけりゃいけない資料のせいで
こっち書く時間をぜんぜん割けない…
かのんSSコンペとここのコンペが重なるだけならまだなんとかならないでもない。
しかし、俺は一週間後に大学祭を控えており、その準備までも……。
土日利用して8割方完成できたが、おそらく今週はもっと忙しくなるため、SSの推敲はまともに
できまい…。
投稿期間の延長を希望したいですね。
救済age
1レス投下します。ONE・AIRネタです。
「ぴこっ!」
お、いいぞいいぞ。おまえ結構面白いじゃないか。そうだ、そこで一発!
「折原ぁー!」
ぐふっ……その蹴りはパンツ丸見えだぞ七瀬。
「なんとかしなさいよ、あの白い毛玉!」
「面白いからいいじゃないか」
「私にはえらい迷惑よ! 大体あれは何なのよ?」
「男の妄想の集合体」
「何わけわかんないこと言ってんのよ」
「おかしいなぁ、漢七瀬に通じないはずはな……ごぶふぁっ!」
「とにかく私に近づかせないこと。いいわね」
「ま、まってくれ七瀬……。せめて俺の遺言くらいは……」
「また変なこと言ったら容赦ないわよ」
「いや、あの毛玉、長森に頼まれたんだよ」
「面倒くさがりのあんたがよく引き受けたわね」
「あいつに『この子を拾ってきたらうちで飼ってる猫が一匹消えちゃったんだよ……』
なんて言われたら俺も面倒見ないわけにいかないだろう」
「……」
「……」
「と、とにかく私に迷惑かけないようにしなさいよ」
七瀬は無視して毛玉はどこいった……って、うぉ!
「それより七瀬……。あれ見てみろ」
「はぁ? まだ何か……って、え、え?」
「人を……吐いてるよな……」
「なんなのよっ! もう嫌ぁ!」
「七瀬、落ち着け、なっ」
――いやっほぅ、国崎最こ
「ひっこめっ!!」
――いやっほぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……
毛玉の中の最高も大変というお話。
規制に引っかからなければ投稿します。タイトル「式神の白」AIRです。
12レスを予定。
「式神?」
閉ざされた空間内に、気の抜けたような声が反響する。
聞きなれぬ単語を耳にして首を傾げている男に対して、女は変わらぬ微笑を浮かべたまま答えた。
「はい、式神にございます」
男と女が向かい合いながら座っている、そこは小さな洞窟の中だった。一箇所しかない入口から入ってくる春の木漏れ日が、内部にかすかな明るさをもたらしてくれている。
よく見ると周囲には粗末な机や本、寝具が置かれており、そこで二人が生活していることを窺い知ることが出来る。。
「式神とはあれか、京(みやこ)の陰陽師が用いるという、あの式神か?」
男はようやく、どこかで聞いたことのある単語だと思い出し、女に聞いた。
「その通りにございます。術者の命を受けて働く、たいそう役に立つものでございます」
「しかし、裏葉が身に付けているのは法術だろう。陰陽道など使えるのか?」
「それなら心配はご無用。陰陽道も法術も、元は似たようなものでございます。
わたくしが教わった法術の中にも、式神を生み出す術はございました」
開け放たれた木戸の外から入ってきた優しい春風が部屋の中を通り抜ける。また外からは、小鳥達のさえずりも聞こえてくる。
向かい合っている男と女の会話は、世間一般で夫婦が中睦まじく交わすような会話とは程遠いような、一風変わった会話であった。
しかし、隠れ寺で法術を学んでいる女、そしてその女を妻としている男にとっては、そのような不思議な会話は日常茶飯事のようなものである。
その男の名は柳也、そして女の名は裏葉。
翼人・神奈備命の従者として、神奈を救うためにその人生の全てをかけた夫婦であった。
事の始まりは、裏葉の一言から始まった。
「柳也さま、式神を生み出してみようかと思います」
「式神?」
剣のみに生き、法術や陰陽道などまるで知らなかった柳也が最初は面食らったのも無理はない話だろう。
「なぜ急にそんなことを?」
「本日は柳也さまの具合も幾分よろしいようですし、立ち会っていただくには丁度よいかと思いまして」
「そうか。しかし、どうして式神など」
柳也が裏葉に問う。それは純粋な好奇心からであった。
式神とは、術によって生み出され、生み出した術師の手となり足となり、攻撃、呪い、守護、透視など様々な働きをするものたちのことである。
柳也から見れば、裏葉には式神を使って攻撃や呪いを仕掛けるような相手などいなければ、そもそも式神を使う理由なども見当たらない。
それだけに裏葉が何ゆえ式神などを生み出したがるのか、柳也には理解に苦しむことであった。
「もちろん、神奈さまのためでございますわ」
しかし、裏葉は当然と言わんばかりに微笑を浮かべて答えた。
裏葉がこういう顔をする時は、顔は笑っていてもやると決めたことを何が何でもやると決意した顔であると、柳也は知っていた。
「神奈だと? 式神が神奈と関係あるのか? 神奈を救う手段となりうるのか?」
呪いと怪我のために、すっかり瘠せてしまった柳也の表情にも真剣さが戻る。
慌てて詰め寄った柳也の体調を気遣ってか、裏葉はそれをやんわりと手で制した。
「いえ、もちろん式神だけでは神奈さまをお救いすることは不可能でございます。
ですが、これは後々のため。わたくし達の子供がこの先神奈さまを探すのに、少しでも役立てばと思ってのことでございます」
「……もっと、詳しく聞かせてくれ」
「はい。式神と申しましても、役目が終わったら消えてしまうような一時的なものを生み出すのではございません」
そう言うと、裏葉は左の袖口を右手で探る。そして中から何枚かの札を取り出した。
「これが一般的な式神の元となる術符でございますね。この札から生み出した式神は通常、獣や童、精霊などの姿をしておりますが、
役目を果たすか術者が死ねば消えてしまうものにございます」
「ああ、そういう話らしいな」
本物の式神や陰陽師というものは見たことのない柳也でも、仕事上そういう話はいくらでも聞いていた。
「しかし、わたくしが今から行いますのは、始めから式神としての形をとらせたものに命を吹き込むと言う、さらに一歩上へと進んだ高等な術にございます」
「ふむ」
それは聞いたことがないな、とでも言いたげに、柳也は両の腕を組んで首を捻った。
「それはつまり、例えば裏葉が以前作った人形に命を吹き込み、生きている式神とするということか?」
以前に裏葉が作り、法術で動かしていた人形のことを思い出し、柳也は尋ねた。
「まあ、さすがは柳也さま、飲み込みが速い」
何がそんなに嬉しいのか、裏葉はにっこりと微笑んだ。
「しかし、まだ話が全部は飲み込めん。特別な式神らしいことは分かったが、いったいそれをどうやって神奈と結び付けるんだ」
「ですから、それを今からご説明いたします。しばしお待ちを」
そう言うと、裏葉は立ち上がった。そして部屋の奥から、柳也が見慣れない木箱を持ってきた。
普段小物を入れるのに使っているただの木箱とは違い、特別な木を使っているように見える木箱。
しかもそれには、何やら呪文の書かれた札のようなものが貼られていた。まるで中に入っているものを封じようとしているかのように。
「これを使うのです」
裏葉はその木箱を空け、中のものを大切そうに取り出した。それを見た瞬間、柳也の顔色が変わる。
「それは……ま、まさか神奈の!?」
裏葉が取り出したのは、一枚の羽根だった。一見どこにでも落ちていそうな鳥の羽根に見えるが、柳也がその羽根を鳥の羽根なんかと見間違えるはずはなかった。
それは、神奈が背中に有していたあの翼人の翼の羽根そのものであった。
「いえ、これは神奈さまの羽根ではございません。この寺に昔から大切に保管されていたものを、住職の智徳さまがわたくしに託してくださったのです」
「すると……神奈より前に存在していた翼人の羽根か」
「はい、おそらくは」
どこから手に入れたのかは分からなかったが、翼人について詳しいこの寺ならば翼人の羽根の一枚くらい所持していても不思議ではあるまい、と柳也は思った。
裏葉の手の上に乗せられた羽根は、裏葉の力に反応してか、次第にぼんやりと淡い輝きを取り戻しつつあった。
この小さな羽根の一枚にでも、相当の力があるということだけは術の心得のない柳也にも薄々感じられるほどであった。
「これから式神を作り出す際、媒介とする人形にこの羽根を埋め込みます。さすればこの羽根に封ぜられし力により、その式神はわたくしが死んだ後でも消えずに残ることとなりましょう」
「それはすごいな」
式神に限らず、大抵の術と言うのは術師が死ぬか力を失えばその効力を失ってしまう。それだけでも翼人の羽根のたった一枚に込められた力の強さが分かると言うものだろう。
「さすればなんと、わたくし達の子、その子の子、その子の子の子と、その先何代にも渡って、神奈さまをお探しする子の手助けをしてくれることとなるのです。ほら、何と頼もしきことではございませんか」
それほどその考えが気に入っているのか、裏葉はまるで子供のように嬉しそうに笑った。その表情に、柳也は改めて妻の可愛らしさを感じた。
「しかし、末永く生きていられることは分かったが、その式神は具体的にどのように役に立つんだ?」
「あら、お分かりになりませぬか?」
完璧だと思っていた名案がまだ完全に理解してもらえなかったのが残念なのか、裏葉はちょっと悲しげに答えた
「翼人の羽根をその身に宿した式神は、いわば翼人と等しき存在にございます。
ここで、もしその式神が童や精霊ではなく、獣の形をとっていたとしたら如何様なことになると思いますか?
柳也さまも知っての通り、獣というものは非常に鼻の利く生き物でございます。その鼻を持ってして、仲間の獣や獲物の匂いを見つけ、
最後にはその位置を見事に見つけ出せると言う優れた技を持っておいでです。つまり……」
「なるほど分かった。その身に宿した翼人の羽根の匂いと同じ、最後の翼人である神奈の匂いを探り当てることが出来るかもしれないということか」
「その通りでございます。しかも獣ならば、子が赤子ならば戯れてあやすこともできますし、子が大きくなって旅をいたす際は心強い友となりましょう。
ですから、わたくしはそれを是非とも生み出してみたいのです」
「そういうことなら俺にだって異論はない。いや、神奈を捜すのに役に立つのなら是非ともやってくれ。
お前ならきっとできる。頼むぞ裏葉」
すっかり手の力も衰えてしまった柳也だったが、それでも期待と激励を込め、力いっぱい裏葉の手を握った。
「はい、頼まれました」
「まずは、綿をこのように整えまして……」
早速、式神を生み出す準備が始まった。まずは生み出す媒体となる、人形を作るところからである。
裏葉が、寺の修行僧に野山から採ってきてもらった野生の綿毛の形をその器用な指先で整えていく。ちなみに木や泥でなく綿毛を用いたのは、裏葉曰く腐ったり崩れたりしないで長持ちする気がするから、だそうである。
”本当は細工が楽だから綿を選んだのではないか?”という突っ込みはあえて言わなかった柳也であった。
裏葉の手により、まずは最も重要とされる顔、耳、そして前足、後ろ足、尾と、次々とただの綿が次第に体を形作る部分へと変化していく。
それは、獣と言うにはやや頼りない大きさではあるが、やがて四本足の動物のような形になっていった。
「そうしましたら、次は目と口にございますね」
そう言いながら、顔らしき部分に黒い小豆を二粒と、赤い鬼灯の身を一粒、本物の人形を作るように丁寧に乗せていく。
そうして、やや不格好ではあるが、顔らしきものが出来上がった。裏葉は非常に満足そうな表情で、綿毛を床に置いた。
やや左右非対称ではあるが、生き生きと形作られたその人形は今にも動き出しそうなほどの生命力に溢れていた。
「最後に、この羽根を頭に乗せまして……これでよろしゅうございます。柳也さま、少々お下がり下さいませ」
出来上がった人形を部屋の中央に置き、裏葉と柳也は部屋の隅まで下がった。
人形の四隅を囲む松明に灯された赤々とした炎が、人形と、そして柳也たちを赤く照らし出す。
「…… ………… ……… … … …… … ………」
裏葉が両手で印を組み、呪文のような言葉を唱えていく。
柳也には聞きなれない言葉であり、到底理解できるものではなかったが、裏葉はそれを一字一句迷うことなく口ずさむ。
「… …… … …………… …… ……… ……… …」
裏葉の口から言葉が漏れるたびに、その洞窟の中に普段とは明らかに異なった気配が充満していく。
空気は水の底のように重く澱み、なんとも言えない威圧感がその空間を支配していく。
部屋の中の物は何一つ動いていないと言うのに、あるはずの無い風が渦を巻き、それは部屋の中心に存在する人形へと集まってゆく。
「……… …… …… ……… ……… …… …… …………」
柳也はただ、黙ってその光景を見守っていた。
部屋中に散らばっていた気が、あたり一面からかき集めた生命力が、人形へと集中していく。
その部屋の待機が震えていく。
やがて人形はぼんやりと光り始めた、かと思うとその光はどんどん強くなっていく。
蛍のような光は、やがて提灯のような明るさを放ち、そして太陽と見紛うばかりに眩い光を放つ。
裏葉がまるで光など目に入らないかのように集中して呪文を唱えている横で、柳也はただその目を瞑ることしか出来なかった。
ドドドドドドドド………
まるで滝の音のような豪快な音がどこからか聞こえてきた。遠くからなのか、近くからなのか、それすらも分からない不思議な方向から。
その時2人は確かに感じた。
今この場に、柳也と裏葉以外のもう1つの生命が誕生したことを。
「柳也さま、ご無事にございますか? もう目を開けても大丈夫ですわ」
今度ははっきりと聞こえてきた裏葉の声を聞き、柳也はおそるおそる目を開けた。
しかし、今度は辺り一面が何処から生じたのか分からない煙で包まれ、ほとんど何も見えなくなってしまっていた。
「げほ、げほ……これはすごいな。いったいどんな式神が生まれるというんだ」
煙は少しずつ晴れて行く。そのたびに少しずつ式神の影らしきものが見えていき、柳也と裏葉の期待は高まっていった。
確かに、煙の向こうで何者かが動いている気配がある。とはいえ、まだ正体が分からない以上最低限の警戒を柳也は怠らなかった。
「さて……鬼が出るか蛇が出るか」
「まあ、あんまりですわ柳也さま。わたくしが誠意を込めて創った、たいそううつくしき子にございますよ」
悪戯好きな裏葉の性格を考えると、その言葉を頭から信じられなかった柳也であった……。
そして、全ての煙が晴れた、その瞬間―――――。
「ぴこっ」
「……は?」
煙が晴れ、柳也たちが式神を、式神が柳也たちを認めたその瞬間、 開口一番に式神はそう鳴いた。
「あらあらまあまあ、やはりわたくしの思ったとおり、いとうつくしき子にございましたね」
「ぴこぴこっ」
誉められたのが分かったのか、式神はさっきより嬉しそうに鳴いた。
「……おい裏葉、なんだこの珍妙な獣は」
柳也が言いたいことも、もっともである。
生まれた式神……というよりは、完全に動物に近い存在なのであえて動物と呼ばせてもらえば、それは小さな体全身が白く柔らかそうな毛に覆われているという奇妙な外見をしていて、しかも獣とは思えない奇妙な声で鳴いた。
柳也が今まで見てきたどんな動物の姿にも鳴き声にも似ていなかった。
「あえて言うならば犬……と思えなくもないが、このような犬は見たこともない。いったい何を創ったのだ、裏葉?」
この時代にも、犬はいた。貴族や権力者の間では番犬として飼われていたことも珍しくはないという。
だが、柳也の知っている犬と言うものは、体が大きく、好戦的で、知らない相手には容赦なく吠えると言う獰猛な動物であった。
少なくとも、小柄な体全体がふわふわした毛に覆われ、『ぴこっ』と鳴くものではなかった。
「さあ、なんでございましょうね?」
その話題の当事者である動物の頭を撫でながら、裏葉は愉快そうに言った。
「何って……裏葉が生み出したのだろう。知っているのではないのか?」
「私も存じませぬ。ただ、このような姿でしたら神奈さまもきっと喜ぶと思って考えましたがゆえ」
つまりは、神奈が気に入りそうな姿を勝手に想像して適当に作った姿だ、と裏葉は言いたいらしい。
「ぴこ?」
「………はぁ」
裏葉らしいな、と思い、思わず苦笑したものの、もう一度目を向けたその動物のあまりの珍妙さに思わず脱力する柳也であった……。
「こんな珍妙な奴が本当に神奈を見つける役に立つのか?」
柳也が疑い深げな眼差しを動物に向ける。その目には、期待など一分も込められてはいなかった。
その動物は、裏葉の足元を嬉しそうにぐるぐると回っていた。裏葉が自分の主人であることをきちんと理解しているのかもしれない。
「まあ、柳也さま。この子はこれでもわたくしの術と翼人の羽根の力の全てを注いだものにございます。
必ずや、わたくし達のお役に立てることでしょう」
裏葉が誇らしげに動物に視線を移した。つられて柳也も、裏葉に移していた視線を再び動物に向ける。
「ぴ、ぴこぴこ〜〜〜」
「「……………」」
しかし、裏葉と柳也が見たのは、回りすぎて目を回し、その場に倒れた動物の姿であった……。
「この子の名前は、白といたしましょう」
裏葉が、回復して今度は足元で顔を擦り付けながら甘えていた動物を両手で抱き上げながら言った。
「ハク?」
「はい、白き身なりをしておりますので、白(はく)がよろしいかと」
「……単純極まりない名付け方だな」
苦笑しながらも、おそらく裏葉もこの獣もそれでよしとするのだろうな、と半ば予想していた柳也は、特に異を唱えることはしなかった。
「よろしいですか、白?」
「ぴこぴこ〜」
抱きかかえている裏葉の胸の中で、白はとても嬉しそうに鳴き声を上げた。
白く柔らかいその体からは、作り物の式神とはとても思えないような確かな温もりが感じられた。
「……まあ、いいか」
どうやら柳也も観念して、この奇妙な動物を受け入れようと思ったようだ。外見はどうあれ、これは裏葉と翼人の力の結晶であり、この先ずっと世話になる仲間なのだから。
「よろしくな、毛玉」
「ぴこっ」
かぷっ。
「……………」
差し出した柳也の手に、白は見事に噛み付いたのだった……。
そして季節は過ぎた。
「だぁ、だぁ」
唯一の入口から吹き込んでくる風が、洞窟の中に初夏の若葉の薫りを運んでくる。
こじんまりとした洞窟の中を一人の赤子が一生懸命這い回っていた。
その赤子の視線の先では、白く丸い物体が忙しそうに逃げ回っている。
「だー」
赤子はそれを興味深そうに追いかける。そして自分に接近する相手の気配を認めた物体―――白は、それを見て一筋の冷や汗を流しながらまた別の方向へと逃げていく。
と、そこに一人の女性が入ってきた。その女性は、かってそこで必死に走り回っている式神を生み出した主人であり、
そこで楽しそうに白を追いかけている赤子の母親・裏葉であった。
裏葉は、自分の愛する子供が楽しそうに遊んでいる様を見て嬉しそうに目を細める。
「これこれ、あまり白をいじめてはいけませんよ」
もちろんそんなことが赤子に分かるはずも無く、追いかけっこはまだまだ続く。裏葉も最初から本気で止めるつもりなど毛頭無いらしく、微笑ましそうにその追いかけっこを眺めている。
今や故人となってしまった柳也の血を引いているだけあり、赤子は白にも負けないスピードで這いながら追いかけていく。
捕まった場合、こっぴどくオモチャにされることを知っている白は、頭によぎった恐怖体験を必死で振りほどき、全力での逃走を続行する。
ひんやりとした洞窟の部屋の中に、2人分の足音が小さく響き渡ってゆく。
それは、毎日のようにそこで繰り広げられていた光景。裏葉が毎日のように見てきた光景。
そして、おそらくはこれからも当分は続くであろう、赤子と動物の微笑ましい光景。
そこには、これから待ち受ける過酷な運命などまだ何も知らない、無邪気な2つの輝きが存在していた。
「……白。わたくしの式神よ。どうかわたくしの子供達を、これから永きに渡ってよろしくお願いいたします」
裏葉のかすかな呟きは、赤子にも白にも聞こえることなく大気の中へと溶けていった。
そしてまた季節は過ぎた。
「……ちくしょう、今日も誰も来やしねぇ」
セミが一度きりの夏の中で精一杯鳴き、空ではカラスが風を受けながら楽しそうに歌っている。
遮る雲すらない青空の下、夏の日差しは容赦なく照りつけ、アスファルトをフライパンのように熱している。
そんな炎天下の下、力尽きたかのように一人の青年が地面に膝をついた。
地面に置かれた人形も、それに合わせるかのようにパタリと地面に倒れ伏した。
「ぴこぴこぴこっ」
「往人くん、ポテトが抗議してるよぉ。目の前にちゃんとお客がいるだろ、って」
「そうだよ往人さん、お客さん3人も。観鈴ちんとかのりんとポテト」
「後からみちるちゃんと遠野さんも来ると思うよぉ。そうしたら5人だよぉ。うわぁ、5人いれば世界の平和だって守れるよぉ」
「……そうだな」
無邪気に笑いあっている少女と動物にもはや突っ込みを入れる気力も起きず、往人と呼ばれた青年はその場に座り込んでしまった。
肌を触れただけで飛び上がりそうなアスファルトの熱さにも、もはや慣れきってしまったのか往人は平気で座っている。
「だが、俺にとってはおひねりをくれる客が何よりも必要なんだ」
「むぅ、そればっかりはあたし達にはどうにもならない問題だねぇ。世間の荒波は厳しいのだぁ」
「……厳しいな」
「ぴこぴこ」
そんな往人を、下からポテトと呼ばれた、一匹の犬のような生物が見上げながら鳴き声らしきものを上げた。
そのつぶらな瞳で見上げられるのは時には可愛らしくもあるが、時にはうっとおしく思えるときもある。
……そう、例えば、人形劇がさっぱり流行らないような、こんなとき。
「ねぇ、ポテトがねぇ、どうせヒマヒマ星人なんだからもう一回やってくれってリクエストしてるよぉ」
「……またか。よっぽどこいつは俺の芸が気に入ったのか?」
「だって往人さんのお人形さん、面白いから。だからわたしも大好き。にはは」
「……はぁー、お前らだけにウケてもなぁ……」
小さくため息をつきながらも、それでも往人は観念したかのように人形を右手に持ち、ゆっくりと立ち上がる。
左手で額と首筋の汗をさっと拭う。夏の大気の中に小さな汗の粒が太陽の日差しを反射しながら飛び散った。
夏。
もう何度訪れたか分からないほどの季節を重ね、それでも変わらずに巡ってきた、暑い暑い夏の日。
そこには、まだ自分の運命を知らない青年と少女達、そして一匹の奇妙な動物の姿があった。
これからも、彼は少女達を、そして青年を見守っていくことだろう。
今は式神の白ではなく、ただの犬のポテトとして。それでも彼女達の、かけがえの無い友人として。
「ほら見てろよポテト。楽しい人形劇の始まりだ」
「ぴこぴこっ」
完
以上です。
本文が長すぎるとか言われて、結局1レスオーバーしてしまいました。すみません。
>>355-367 しかし、まさかいきなりポテトネタが被ってしまうとは(汗)
>>339 自分も同じく葉っぱOnlyなのですが「動物」でなにも思い付かない。
いや、一本ネタはあるのですが、それは投稿しないし…。
投稿します。
東鳩もので題名Many happy returns
大体15,6レスくらいだと思います
昼にパンを食べようと学食へ行こうとした時のことだった。
学食へと行く途上にある。
自動販売機がおいてある廊下に、
子犬に弁当をあげているマルチがいた。
「犬さん。おいしいですか〜」
子犬はマルチの顔を見ず。
必死に弁当を食べていた。
「マルチ、よう」
「あ、浩之さんおはようございますー」
今は昼だからこんばんわなのだが、
まあいちいち訂正するほどのことでもないか。
「この子犬どうしたんだ?」
「いつもこの廊下に来るんですよ。」
「へー。。」
そういえば前にも同じように、
マルチが大きな犬にここで飯を食べさせていた気がする。
「そういえばこの前も大きな犬に飯を食べさせていたよな。」
「あ、その犬は一度しかきてないんです。」
マルチの一度という言葉に俺は注目した。
ということは、
それとは逆にこの子犬は何度も来ているのだろうか?
「この子犬は何度も来ているのか?」
「えっと、ひいふうみぃ・・4回くらい。お昼にいつも来るんですよ。なんでかな」
「弁当はいつもあげてるのか?」
「はい」
見たところ、この子犬は首輪がついていない。
それに体中真っ黒で、どうも人に飼われている犬ではないようだ。
大方マルチが弁当をあげるから、いつも来るんだろ。
そんな風にマルチと話していた俺だったが、
ふとパンを咥えながら、歩く生徒が大勢、俺の前を歩いていくのを見た。
「あ・・・」
俺はパンを食べる為に学食へ向かっていたはずでは?
パンは人の波が荒れ狂う争奪戦にいつもなるのでは?
「ひろゆきさん。どうかしたんですか?」
「今から行っても無理かな。」
「はい?」
その後、俺は胃酸に染みる腹を抑えながら、自分のクラスへと帰っていった。
その日の夕方
「マルチ、早く帰ろうぜ」
「あ、ひろゆきさん待ってくださ〜い」
マルチのクラスの方々に押し付けられた。
掃除を手伝って、帰っている時だった。
今日の昼にマルチと話した廊下を通り過ぎるようとすると
なにかごろんと、茶色いものが転がってるいるのが見えた。
それはなんだか、赤いものが混ざり、
初めはゴミ袋に穴が空いて、転がっているのかと思った。
赤い液体が滲み出し、人の食った食べかすが汚くぶちまけられたのだと思った。
「誰だ?こんなところにごみ袋捨てた奴は?
全くこんな奴がいるから、いつまで経っても掃除が終わらないんだ」
「ひろゆきさん。」
その時のマルチの声は震えていた気がする。
「ひろゆきさん。」
「どうしたんだ?マルチ」
「ゴミ袋じゃないですよ。犬さん」
「へ?昼間の子犬がどうかしたのか?」
「あれは、昼間の犬さんじゃないんですか・・?」
「何を言ってる・・」
その言葉を聞いて、今までのぼやけた映像がはっきりとした。
そこにあったのはゴミ袋などではなく、
どす赤黒い血が滲み出し、大きな傷からハラワタが飛び出した
子犬だった。
俺は瞬間的にマルチの眼を手で覆った。
しかし、マルチはその手が無かったかのように子犬へと走っていた。
俺はそのまま立ち尽くし
ただぼうっとその子犬のようなものを見つめていた。
その子犬はもう完全に死んでいた。
傷口は食いちぎられたような痕跡をしていた。
たぶん、そこいらの野犬に襲われたのだろう。
子犬をこのままここに置いておくのは、いくらなんでも可哀想だし、
他の生徒にこの衝撃的なものを見せるのはよくない。
俺たちは子犬を学校の近くの土手に埋める事にした。
そしてマルチは終始泣きじゃくっていた。
「そういえば、何で人は死んだら土に埋めるんですか?」
俺が子犬を埋めるための穴を掘っている時、涙の後が出来ている顔で疑問を投げかけた。
「さあな、見たくないからかも」
俺はぶしつけに言っていた。
悲壮感のせいか、焦燥感のせいか、少々心が苛立っていたのだと思う。
コンビニの袋に入っている子犬はマルチが持っていた。
俺は最初、いくらコンビニの袋に入っているとはいえ死んだものを持てる。
マルチを感心したと同時に、俺とは違う、やはりマルチは機械なんだということ
を感じていた。
「私も死んだらこうやって埋められるんですか・・?」
あまりに厳しい言葉。
純粋にマルチは好奇心とか、そんな機能からきているのだろうか。
俺はマルチを励まして、また流れる涙を止めるために優しく言った。
「大丈夫だよ。マルチはロボットなんだろ?だったら、大丈夫だ。
ずっと、ずっと、生きつづけられるって」
「そうですか・・・」
俺はマルチの頭をなでなでした。
「あ、」
マルチの顔は夕日と同じように赤くなっていた。
そうして子犬が入るにはちょうどいい穴ができあがった。
「よしこれくらいで終わりかな」
マルチは手に持っていた小さな袋をそっと穴に置いた。
そして、その上から土をかぶせ、割り箸を刺した。
「拝んだほうがいいんですよね。」
俺たちはそこで手を合わせて、眼を瞑り、黙祷した。
そういえば、マルチは死なないんだよな。
俺はどうなんだ。
いつ死ぬんだろう。
死んだ時はこんな風に拝まれて死ぬのか。
雅史とか、あかりとか、志保とかが葬式にでるのか?
あかりとかずっと泣いてそうだな。
あー雅史も志保も同じようなもんかも。
ふう・・
なんだか疲れた。
もう考えるのはやめよう。
俺は目を開けた。
「じゃあそろそろ帰るか?」
「そうですね・・」
「じゃあな。もう泣くんじゃないぞ」
「あ、はい。さよならです。浩之さん」
二人はばらばらになって帰路へと経っていった。
翌日
「おはよう、浩之ちゃん。あれ?眼にクマさんが出来てるよ
まーた夜更かししたんでしょう。だめだよー。夜更かしは胃にすっごく悪いんだよ」
「あーうるせぇ。別に俺は丈夫だから大丈夫だってぇの
昨日はちょっと考え込んでて夜更かししただけだっての」
「またまたぁー、どうせ夜中じゅうゲームしてたんでしょ?」
「う。あかりにしては鋭いところを
確かに超魔界村を二周したりしたが。」
「・・・やりすだよ。それと、」
あかりとの話は気楽でいい。
昨日起きた事がこれで少しは楽になった気がする。
「あんまり暗い顔してちゃだめだよ」
しかしあまり顔色は変わっていなかったようだった。
昨日と同じように昼飯を取りに入った時だった。
「猫さんおはようございます〜」
あの場所でマルチが今度は黒猫と話していた。
その猫は芹香先輩と同じような特有のにおいがした。
あれは芹香先輩の黒猫だろうと思う。
いや、変な意味ではなく。
芹香先輩は魔術だかなんだかの召還実験で、特有のモノを使っているので、
とかげとかの匂いがするんです。
「あ、それたぶん芹香先輩のだ」
俺は横から突然現れる。
「・・・・」
マルチはきょとんとしていた。
俺に気が付かないのか、じっと猫を抱きかかえていた。
俺はもう一度言ってみた。
「おーい。マルチ、お・は・よ・う・ご・ざ・い・ま・す」
そこから間が数秒。
「あ。おはよう。・・・ございます」
マルチの挙動は変だった。
「ん、何か考え事でもしているのか?ぼぅっとしているけど」
「す、すいません」
黒猫を抱きしめながら、頭を何回も下げるマルチ。
黒猫は頭を下げるたびに潰されて苦しそうだ。
「そんな謝らなくても」
「そ、そうですか」
「おいおい、本当におかしいぜ、今日のマルチ。
いつものように明るいマルチでいようぜ。
昨日のことは、まぁ・・・
忘れてさ!
そりゃあ、思い出を無くすのは嫌だけれど、それで痛みが無くせるならばその方がいいって。」
我ながら、何を臭いセリフ言っているんだろ。
そこでマルチはふいに言った。
「浩之さん。死ぬってどんなことなんですか?」
「え?」
マルチの表情はまじめだった。
「教えてください、浩之さん」
俺は少しマルチに圧倒されて、頭をかきながら、
あいまいな返事をしてしまった。
「うーん、よくはわからんけど、死んだら心とかが無くなっちまうんだろ?
要は何も考えられなくなっちゃうんじゃないか・・?
といっても
まあ実際、どうなんだかわからないけど。」
そう俺が話し終わると、マルチは一、二呼吸ついて、
黒猫の話をし始めた。
「今日、ここにまたきたんです。そうしたら、この猫さんがいたんですよ。
ちょうど、パンを持ってたんです、他の人のだったんですけど、
そうしたら、にゃあにゃあって、犬さんみたいにまた欲しがるんですよ。
それが、凄く楽しそうで、また明日、来たらいいなぁと思うんです。
明後日も、明々後日も、やな明後日も、いつまでも繰り返して、
そうして、、
私と同じように、この子の命は、
亡くなっていくんでしょうか?・・・さん」
「死ぬ?」
小さい肩をぎゅっと握った。
「何が?」
手からは温感と脈ではない振動を感じる。
「マルチが?まさか?そんなことあるはずないって」
気が付くとそのまま抱きしめ、胸の柔らかさと肩や節々の骨の硬さを感じていた。
耳からはマルチの吐息がし、眼の前には耳に当ててある機械があった。
そして、体を少し離し、全体を見れば、そこには
いつもの泣き虫の彼女がいた。
彼女の顔は、いつあふれ出たのかわからないくらい、
まるで氷が溶けたかのようにびしょ濡れだった。
「すびばせん。浩之さん」
流れつづける涙を彼女は
それを彼女はその粒を全て拾うように袖で掬い取っていた。
ゆっくりと、ゆっくりと、
ゆっくりと
その動きは確かに段々とゆっくりになっていた。
時計の秒針がしだいに遅くなっていくように、
そうして、彼女の時が止まるのを予兆するかのように。
「何があったんだ?どうしてそうなったんだ?嘘だろ?
そんなことあるわけないだろ?
大体、マルチは昨日までぴんぴんしていて、
恥ずかしがってて、泣いてて、笑ってて、おかしい事は何もないじゃないか!?」
ただ、そこには俺の咆哮がこだましていた。
周りのけたたましい騒音はその時、沈黙していた。
すると、マルチはただ一言言い、その沈黙を打ち破っていた。
「最後になでて・・・ください」
頭と体は別のものでできているのか。
手だけか勝手にさすっていた。
なでなで
なでなで
マルチが照れるのが嬉しくて、嬉しくて、哀しくて
「やっぱり、浩之さ・・ん、はずか・しいです・・」
緑の髪はもうくしゃくしゃになっていた。
でも止められずにはいられなかった。
ただ、止められなかった・・・
そうして猫が落ちていった。
猫はぽすっと地面に落ちると、マルチの足へと擦り寄っていく。
そして、またニャアニャアと泣き出していた。
俺はその後、マルチを研究所に連れて行った。
つくと長瀬さんという人がマルチを診て、
そうしてそのまま、マルチをベットに寝かしてしまった。
幾らか時間が経った後、長瀬さんはずっとしゃべらなかった重い口を開いた。
「私が原因だったのかもしれません。マルチに昨日帰ってきた時、
マルチが私は死なないんですか。と聞いてきたんです。
実はロボットというのは皆死なない、
人間でいう脳の部分を取り替えればいいと思ってる人が多いんですが
摩擦とか、錆とかで
駄目になってしまうんですよ。
その事をマルチに言ってしまった。
マルチはそれで気が動転して、それが原因で・・」
「充電不足に・・あの時きちんと、日本シリーズを見ないで話していれば・・くっ・・金本ぉ」
「は?充電不足?ちょっとマテ、じゃマルチは死んでんじゃないのか?」
「そりゃあ・・・メイドロボの耐久年数は70年ですよ?」
「っていうことは?マルチの勘違いかよ!」
俺は拍子抜けしてしまった。
全速力で昼飯を抜いてまで、走ってきた俺の苦労は一体・・・
「あーあ、、何か食いもの持ってますか?
昨日、今日と昼飯抜いてるんで何か食わないと胃潰瘍に・・・」
「気の毒ですね、パンを持ってますからあげますよ。はい」
そういうとおっさんは机にあったあんぱんを投げて渡した。
俺はちょっとむかついたが気を取り直してパンを口にくわえた。
はむはむと食べた。
「うま」
「・・・」
そういやあの黒猫痩せてたな。
全く先輩はちゃんと餌やってるのかよ。
俺は口に咥えた分を食べ終わると、残った部分を手に残しておいた。
「明日のあいつの昼飯も同じあんぱんにするか」
終わり
【告知】
現在、葉鍵的 SS コンペスレでは投稿作品を募集しています。
今回のテーマは『動物』です。
投稿の締め切りは 10 月 31 日の午前 10:00 までとなっています。
テーマを見て、思いつくネタがあればどんどん参加してみましょう。
その際に
>>2-4 のルール、FAQ に一度お目通しを。
また、次回のテーマは『友達』で、開催時期は 11 月中〜下旬になる予定です。
「二週間じゃ短すぎて書けない」「テーマが難しい」という方は、こちらの執筆に
力を注いでもらっても構いません。ただし、投稿は次回の募集開始までお待ちください。
念のため保守
ただ今より投下させて頂きます。
ONEの瑞佳END後で、ジャンルはコメディになります。
「うーん、本当に大丈夫かなぁ?」
目の前で思いっきり心配そうな表情を見せる長森。
いや、人に頼んでおいてその態度はどうかと思うぞ?
ま、オレは人間出来てるんで、それぐらいで怒ったりはしないけどな。
「浩平、猫ってご飯をあげないと死んじゃうんだよ?」
「……お前はオレを馬鹿にしているのか?」
長森の言葉に、早くも決意が崩れそうになる。
いかんいかん、折角の骨休め。気持ちよく送り出してやったほうがいいからな。
ああ、オレって大人。昨今の若者とは一味違う。ダンディ折原万歳。
「そうじゃないけど……。うん、わかった。じゃあ次の中から猫に食べさせたら駄目なものを選んで欲しいんだよ。
一番、たまねぎ。二番、チョコレート。三番、お刺身。どう、浩平。わかる?」
長森の分際でオレを試そうっていうのか? くう、屈辱。でも我慢だ、我慢。
ここは華麗に答え、尊敬の眼差しを持って旅路へと向かわせてやろうではないか。
「ひっかけか? ふふん、甘いな。この『ナンデモ折原』の異名を持つオレに、そんなものが通じるとでも思ったのか?」
「で、どれ?」
オレの口上はあっさりとスルーされた。
……付き合い始めてからこいつ、変わったよな。放置が多くなったというか、上手くあしらわれてるというか。ひょっとしてオレ、尻にしかれてる?
い、いや、そんなことあるはずがない。それは何かの間違いだっ。ああ、もう、長々と考えてるとロクな思考に辿りつかん。こうなったらさっさと答えて賞賛の渦に叩きこんでくれるわっ。
「普通に考えれば一番だが、それを選ぶのはド素人。女子供はすっこんでろ。二番は明らかにあり得ない。選択肢の数合わせ。となると答えは、もっとも意外性の高い三番だ!」
「全部、だよ」
「は?」
「だから全部、食べさせたら駄目なんだよ」
これはもう、ゴールしてもいいよな? 切れてもいいよな? よし、決定。怒る!
「そんな卑怯な答えがあるかっ。どれか選べって言ってただろうが!」
「選んでとは言ったけど、どれか一つとは言ってないもん。それに浩平、ひっかけは通じないって自信満々だったじゃない」
「あれはだなあ、言葉のあやと言うか会話の流れと言うか……ええい、揚げ足取りとは往生際が悪いぞっ」
「それは話題のすり替えだよ。答えになってないもん」
自分から吹っかけたものの、無茶苦茶旗色が悪い。まさか口喧嘩で長森に遅れを取る日がくるとはな。時代の流れはかくも残酷だ。
このまま強引に押し切るか。それとも引くと見せかけて奇策にでるか。灰色の脳細胞をフル回転させて考えていると、表のほうから軽くクラクション音が聞こえた。
おっ、ナイスじゃないか親父さん。近頃なかなか電話を取り次いでくれないのも、少しだけ不問にしてやろう。
「ほら。おじさんが呼んでるぞ?」
ところが長森は、その場を動こうとしない。誕生日も家族で祝うこいつにしては珍しい行動だ。まさか今頃反抗期か?
「行かなくて良いのか?」
「お父さんは、少しぐらい待たせた方がいいんだよ」
少し膨れた顔で長森。全く意味がわからん。
「なんでだ」
「それはだって……」
恥ずかしそうに一旦俯き、上目遣いでオレを見上げる。
「最近、浩平と会うのを邪魔したりするから……」
「そ、そうか」
「うん」
「…………」
「…………」
一体、この雰囲気をどうしろと言うんだ?
むずがゆい、オレが一番苦手とする空気が流れること数分。それを引き裂くように再度クラクションが鳴らされた。
「もうっ、お父さんったら」
長森の台詞で我にかえるオレ。そ、そうだ。なにか話さないと。えーっと……
「行ってこいよ。あまり待たせてこれ以上オレの心象悪くすると、将来困るだろ?」
「えっ、浩平。それって……」
おいおい、オレ今なんて言った? なんか非常にヤバ気な言葉を口にしたような気がするんだが……。
まあいいや。そのことについては後で考えよう。今はとにかく、なんとかして長森を送り出すだけだ。
「猫のことはオレが責任持って面倒見る。だから、安心して行って来い」
「……うん!」
輝くような笑顔を見せ、オレに猫の入ったかごを手渡すと、長森は弾むような足取りで外へと出ていった。
後に残されたのは、精神的ダメージが許容量をはるかに超えてしまったオレと、かごの中でにゃーにゃー泣きわめく八匹の猫ども。
……ところでなぜ預かる立場のオレが責められていたんだ?
「というわけだ」
「それでわかるかっ、アホッ!」
オレの台詞に即座に反応する七瀬。
打てば響くこの感触。相変わらず七瀬の突っ込みは絶品だ。在野で眠らすには勿体無い。
「広瀬はわかるよな?」
「……夏休みを利用して長森さんが家族旅行に出かけている間、折原が飼い猫の世話を引き受けた。
だけどあまりの数の多さと経験不足から、一日目にして断念。それで私たちに電話をかけた」
「うそっ。真希、今のでわかったの?」
よどみなく答えた広瀬に、七瀬は驚きの視線を送る。それに対して広瀬は、七瀬を訝しげな表情で見つめ返した。
「呼び出されるときに事情を聞いてるでしょ?」
「えっ、あたし聞いてないわよ」
今度はオレに視線を巡らす。
「当たり前だ。話してなかったからな」
「なんで?」
オレは一瞬タメを作ってからこう答えた。
「だって、その方が面白いだろ?」
「帰る」
「七瀬。お前はもう乙女への道を諦めたのか?」
拳を押さえ、踵を返した七瀬に向かってオレは敢然と言い放った。反転している視界が少しばかり格好つかないのだが。
「……どういう意味よ」
あっさりと立ち止まり、言葉の続きを待つ七瀬。お前、もうちょっと人を疑った方が良いと思うぞ。オレが心配するのもなんだけど。
「友人の不在時に、その飼い猫の世話をする。乙女っぽいとは思わないか?」
「それ、こじ付けくさくない?」
もちろん適当なのだが、七瀬は明らかに心動かされた様子で聞き返す。よし、もう一押しだな。
「そんなことないぞ。椅子にふんぞりかえってスポットライトを浴びつつ猫を撫でる。うむ、乙女にしかなし得ない技だな」
「思いっきり悪の黒幕じゃないのよっ!」
まずい。いつもの癖でついボケてしまった。
どう取り繕おうか考えていると、不意に今まで黙っていた広瀬が口を挟んできた。
「留美はわかるけど、なんで私まで呼んだわけ?
どちらかといえば貴方と私、クラスでも仲が悪かった方だと思うんだけど」
んー、特に理由なんてないんだがなぁ。しいて言えば、カレンダーを止めてある画鋲が目に入ったからなんだが。
だけどそれをそのまま伝えるのも芸がないので、広瀬にもボケを敢行してみる。
「なんでって……七瀬と広瀬は二人で一組だからな」
「は? なんでそうなるのよ」
ま、この台詞は読み通り。誰だってそう答えるわな。問題は次だ。はてさて、どんな反応を見せてくれるものやら。
「えっ、お前ら付き合ってるんじゃないのか?」
「ちち、ちがうわよっ」
冗談なのに顔を真っ赤にして否定する広瀬。おお、これはめったに見れないレアな光景だ。さらに突っ込んでやろう。
「だってお前ら同じ大学に通ってるじゃないか。あれってお互い示し合わせて選んだんだろ? 卒業直前なんて、どこへ行くのも一緒に行動していたし」
「だから、違うって言ってるでしょ!」
なにムキになってるんだよ。なあ七瀬。オレが笑いながら視線を移すと、心なしか七瀬の顔も真っ赤に染まっていた。
……えっと、マジですか? 駄目だ。これ以上は貴方の知らない世界だ。
オレはあははーっと普通の男の子っぽい笑い声を上げながら必死に話題を探してみたのだが、こういうときに限ってさっぱり頭に思い浮かばない。
さらにオレが腕組して唸っていると、広瀬が諦めきった表情で声をかけてきた。
「……わかったわ。手伝えばいいんでしょ? そのかわり、さっきまでの会話は忘れなさい」
さっきまで? と言うことは本当に二人は「忘れなさいっ」おうそれはもう今日の朝食った飯さえ忘却の彼方だぞ。
とまあ、そんなこんなで一日目はなんとかクリアした。
とりあえずわかったことは、広瀬は意外と面倒見がいいことと、七瀬が予想通り不器用だったこと。
二人とも料理が上手かったことと、猫に話しかける時、広瀬が幼児言葉になることぐらいだな。
さて、と。長森が帰ってくるのは明々後日だから、あと三日乗りきればいいわけだ。明日は誰を召還するかな。
「というわけです」
「へー、そうなんだ」
「折原君、みさきにボケは通じないわよ」
その言葉にがっくりと項垂れるオレ。上には上がいるものだ。オレもまだまだ修行が足りないな。
「雪ちゃん、それって誉めてくれてるのかな」
「……ある意味、そうかもしれないわね」
「えーと、じゃあご褒美としてなにかおごってくれるんだよね?」
「そんなはずないでしょ」
呆れたような深山さんの声に、ついつい頬が緩んでしまう。
「ほら、折原君に笑われてるわよ」
「浩平君、酷いよ〜」
抗議の声をあげるみさき先輩。だがそののんびりとした声質のせいで、全く迫力がない。
「いや。二人とも相変わらずだな、と思って」
「相変わらずって……この間も会ったじゃない」
「そうだよ。レストランだよ。バイキングだよ」
「夏休み前の演劇部の打ち上げでレストランに行ったとき、ね。みさき、それだけだと全然わからないわよ」
「でも雪ちゃんには通じたよね?」
本当に嬉しそうにしているみさき先輩に気勢を削がれたのか、深山さんは「そうね」と答えて肩を竦めた。
元部長だったためか、それとも生来の姉御気質のためか。未だに深山さんは月一回ぐらいのペースで演劇部の様子を見に学校を訪れる。
そのときはほとんどみさき先輩も一緒で、部活終了後は大抵打ち上げのために町へと繰り出すこととなる。
そして留年したオレの同級生である澪が演劇部に所属しており、何故かオレも雑用として借り出される関係上、この二人とはそこそこ面識があった。
そんな薄い繋がり頼みで電話をしてみたのだが、意外や意外。みさき先輩のほうはあっさりOK。偶然その場に居合わせた深山さんも一緒に来てくれたってわけだ。
そうやってぼんやりと過去を振り返っていると、ふとある疑問が頭に浮かんだ。
「あれ、でもみさき先輩って学校以外は外へ出られなかったんだよな。いつの間に平気になったんだ?」
我ながら無神経だな、とは思う質問だったが、気を使うのはオレのキャラじゃないし、なによりみさき先輩自身そんなことを望んでいるとは思えない。
それでもその表情に少しでも影が差したら、すぐにでも謝るつもりではいた。しかしみさき先輩は、胸に手を当て、微笑みながら答えてくれた。
「雪ちゃんのおかげだよ」
「みさき……」
いや、この流れ。なぜか非常に嫌な予感がするんだが……。
「卒業後は家に引きこもっていた私。お父さんの呼びかけにも答えず、お母さんの説得にも耳を貸さない。
ほんと、嫌な子だったよね。あのままだったらたぶん、一生そうやって過ごしてたんだろうって思う。
それを助けてくれたのが雪ちゃん。新しい大学生活で忙しいはずなのに、毎日欠かさず来てくれて、その日あったことを面白おかしく話してくれた。
それなのに私、酷いこと言ったよね? 『目が見える雪ちゃんに私の気持ちがわかるはずなんてないんだよ! いいから、出ていって!』って。
あの後、すごく後悔したんだよ。ああ、もう雪ちゃんは来てくれないんだって。これで私は完全に一人ぼっちなんだって。
だって、私だったらあんな酷いこと言われたら、もう訪ねようなんて思わないもん。それこそ勝手に野たれ死んじゃえ! って気分だよ。
自業自得。そうわかっていても、その夜は涙が止まらなかったんだよ。
でも雪ちゃん、その次の日にはまるで何ごともなかったかのように来てくれたよね。『みさき、山葉堂の新製品買って来たわよ。一緒に食べましょ』って。
それで私、勇気が持てたんだよ。世の中にはこんなに強い人がいるんだって。だったら私にも出来るんじゃないかって。
最初の一歩は怖かった。でも隣に、雪ちゃんがいてくれた。手をぎゅっと握っていてくれた。だから私は、足を踏み出せた。
その後は簡単だったよ。なんで今までこんなに怖がってたんだろ。自分でも、不思議に思えるぐらい」
みさき先輩は軽やかにステップを踏みながら、まるで夢見るように語った。
それを聞いて涙ぐむ深山さん。あっけに取られるオレ。尻尾を踏まれて泣き声を上げる猫。
「だから、私がいまここにいるのも、こうして笑えているのも、全て雪ちゃんのおかげ」
「ううん、みさきが努力したからよ」
「違う、雪ちゃんがいてくれたから」
「みさきが頑張ったから」
「雪ちゃん……」「みさき……」
またか。またこの展開か。最近こういう非生産的な関係が流行っているのか?
オレがうんざりしつつもわざと聞こえるように咳き払いすると、二人ははっと視線をそらし、そして一斉に非難の眼差しを向けてきた。
「浩平君、黙って見ているなんて人がわるいよ〜」
「そうね。趣味が悪いとしか言いようがないわね」
ここ、誰の家だっけ? ……ああ、由紀子さんの家か。ならしょうがないな。
なんかもう、考える気力も出ないほど疲れた。さっさと用件伝え、少し休ませてもらうか……。
そんでもって、グダグダになりながらもニ日目も終了。
二人とも動物好きで、かつ相手からも好かれるタイプだったみたいで、実際の世話を頼んでからはかなりスムーズに事が進んだ。
みさき先輩が足りない部分は深山さんが補うし、深山さんが忙しそうなときはみさき先輩がフォローを入れる。
たまにオレの存在を忘れられるのだけが少し悲しかったけど。
「というわけだ」
『がんばるの』
「みゅー」
改めて思う。自分は何故この二人を呼んだのだろうか、と。
オレの隣でスケブを振っている澪。ちんまい。とてもじゃないけど来年最高学部に挑戦するようには見えない。この間なんて打ち上げの帰りに補導されそうになってたし。
対して繭は、まあ、その、なんだ。復学してからは少し落ちついてきたものの、こっちもまだまだ子供って感じだな。
あまり羞恥心がないのか、オレの前でも平気でスカートをぱたぱたさせたりする。流石に学校ではやっていないそうだが。
でもこいつ、幼い顔して意外とスタイルがいいんだよな。まともな格好したら、澪よりも大人っぽく見えるかもしれん。
じろじろと自分を見つめる視線に気付いたのか、繭は「ほぇ?」と不思議そうに首を傾げた。
その袖をくいくい引っ張って注意を促す澪。『あの目、いやらしいこと考えているの』……澪、スケブが思いっきり見えてるぞ。
世話する側よりもされる側っぽい二人を前に早くも嫌気が差してきたが、少なくとも自分一人でやるよりかはマシだろう。
「じゃ、早速頼まれてくれるか?」
オレはやる気満々の二人に、簡単な作業から説明した。
『は、はなして欲しいの』
開始早々6匹の猫に押しつぶされ、そのまま身動き出来なくなっている澪。
引っかかれたりはしてないが、背中の上を転がられたりして完全に遊ばれている状態だ。
一方の繭だが、こちらには全く猫が寄りつかない。
最初に暴れたのが効いているのだろう。なんせみゅーみゅー言いながら見境無しに髭を引っ張っていたからな。そりゃ猫も逃げだすか。
まあせっかく澪が体を張って自主的に『〜! 〜〜!』猫を引きつけてくれているんだし、今のうちに繭には別の仕事を教えとくか。
オレは冷蔵庫を開けて紙パックを取り出すと、そのまま容器に移し替え、繭に向かって差し出した。
「ほら繭、そいつらに餌をやってくれ」
「ほぇ、ぎゅうにゅう?」
露骨に顔を歪める繭。なんか嫌な思い出でもあるのか?
「ああ。牛乳だ」
「ぎゅーにゅーきらい……」
受取ろうとしていた腕を下し、ぷいっと横を向いてしまう。ううむ、牛乳が飲めないようでは世の中渡っていけないぞ。
まあオレは納豆が食えないわけだが。
「繭、お腹がすいたら嫌だろ?」
「うん」
「あいつらも腹が減ってるんだ。ならその辛さもわかるだろ? さ、持っていってやれ」
「……うん」
ゆっくりでもいい。少しづつ、慣れさせることが必要だ。
オレが後ろから見守ってる中、繭は両手でしっかりと器を持ち、そのまま駆け出して……駆け出して?
転んだ。
「繭っ」
慌てて走り寄るオレ。倒れ方が悪かったのか、体中牛乳まみれになった繭は顔を歪め、「うくー、べたべたするぅ」と叫ぶなりその場で服を脱ぎ始めた。
「おい、繭」
このままだと風邪を引きかねないし、着替えさせた方かもいいかもしれない。そういった考えが、制止しようとした声を自然と小さくさせる。
『浩平先輩、やっぱりいやらしいの』
違うっ。断じて自分に理由付けして繭の裸を拝みたいなどとは考えていない!
オレが倒れたまま器用に文字を書く澪を睨みつけたとき、玄関先からなにかを鳴らすような音が聞こえた。
ん、来客か?
「うく? おきゃくさんー」
頭の中で誰が来たのか考えていると、澪がそのままの格好で――俗に言う全裸で――オレの前をぱたぱたと駆けていった。
「ま、まて繭っ! 出る前になにか」
「あ、みあー」
慌てて追いかけるも間に合わず、オレが追いついたときには既に玄関先で硬直している一人の少女の姿があった。
「ま、繭、それって……」
繭は髪から乳白色の液体を滴らせたまま顔をしかめて、
「うー、いやだったのにこーへーがむりやりぃ」
……わざとか? そうだよな?
さすがのオレも言葉を失って立ち尽くしていると、その少女はギンッ! っと効果音が付きそうなほどの勢いでオレを睨みつけた。
「……初めまして。折原さん、ですよね? わたし、繭の友人のみあといいます。
早速ですが、繭が裸でいる理由。説明してくださいますか?」
果たして、ここで正直に理由を話して納得してもらえるものだろうか。
『ひ、酷い目にあったの……』
どう説明しようか迷っていると、部屋の奥からちょうど良い感じに服を気崩した澪が、まるでなにかから逃げ出すようにして這いずり出てきた。
髪は乱れ、上着は肩までずり落ち、ボタンは弾け飛んだその状態。今の澪と道を歩けば、100パーセントとっ捕まるだろう自信はある。
あー、こりゃ駄目だな。
諦めてみあと名乗った少女の方を向くと、案の定腕を振り上げ、
「この……ヘンタイっ!」
バシッ。頭が揺れる感触と共に、思いっきり頬を引っぱたかれた。
その後は事情を話し、何度も謝ってくるみあをなだめ、それでも納得できないというみあを加えた四人で猫の世話を再開した。
終わってみれば、まあ、殴られただけの価値はあったかな、と。
親友を自認するだけあってみあは、繭の扱いが上手く、本人自身もオレより下の学校に通っているとは思えないほどしっかりしていたので、後半はほぼ任せっぱなしにして過ごすことが出来たからだ。
ただ、繭を見る視線に熱がこもり過ぎていたのが少しばかり気にかかったが……。
「なるほど、それは大変だねっ」
「まだなんにも言ってないだろうがっ」
初っ端から出鼻を挫かれ、面白くも何ともない反応を返してしまう。くそっ、オレとしたことが不覚だ。
しかしみさき先輩のは天然だろうが、こいつのは計算づくとしか思えない。
「……聞かなくても大体わかります。長森さんが飼っている猫を預かったんで、その手伝いをして欲しいんですよね?」
「まあそうなんだが、一応話の流れというものが……」
「折原君、冷蔵庫からっぽだよー」
「勝手に開けるなっ!」
……全く、疲れる。大学生になっても全く落ちついた様子が見られないのは気のせいか?
「これでピアノは上手いってんだから詐欺だよな」
「折原君、独り言聞こえてるよ?」
「聞こえるように言ってるんだよ」
「うん、知ってた」
はあー、と見せつけるようにして溜息をつく。が、そのときには既に柚木の興味は別の対象に移っていたようで、視線は明後日の方向へと向けられていた。
「茜、お前からもなんとか言ってくれ」
「今更私が言って、どうなるものでもありません」
全く表情を変えることもなく茜は言ってのけた。
一見冷たいように見える茜の反応だが、その実結構楽しんでいるのがオレにはわかる。
なんせ興味がなかったら徹底的に無視する奴だからな。茜は。
「そういや今年の三月ぐらいからだったよな。茜とこうして話すようになったのは」
「どうでしょう」
「ん、違ったか?」
いや、思い違いではないはずだ。オレがこちらに戻ってきてからしばらく経って、急に茜の態度が柔らかくなったので驚いた記憶がある。
柚木は長森と同じ音大に通ってるとして、料理の専門学校に進学した茜と何の接点もないオレ。未だにこうして会っているのがその証拠だ。
しかしなぜそうなったのかはオレ自身にもわからない。以前と違っている点といえば、あちらからこっちに帰って来たことぐらいだが……。
「……浩平、あのときのこと、覚えていますか?」
「あのとき?」
「私の卒業式のことです」
「おう、よく覚えてるぞ」
実はよく覚えていないので、答えながらも必死で回想する。確かあのときは――
「里村、なにやってるんだ?」
卒業式。留年したオレも在校生として出席する必要があったのだが、長森がなんやら委員会とやらで先に登校したんで、結果、思いっきり寝過ごしてしまった。
別にそのままサボっても良かったんだが、昔のクラスメイトの晴れ姿ぐらい見ておくかと思いなおし、小雨の降りしきる中、飯も食わずに外へと飛び出した。
そして学校へ向かう途中。ピンクの傘を差して空き地に佇む里村を見かけ、声をかけたってわけだ。
しかし茜はオレを一瞥すると、まるでなにごともなかったかのように視線を空き地へと戻した。
「里村ー、聞こえないのかー、里村ー」
「……」
「嫌です口癖里村ー、甘い物スキーな里村ー、弁当の中身は」
「……聞こえています。だから、やめて下さい」
里村は顔をしかめながら、明らかに嫌々と見て取れる態度でオレの方へと向き直る。
「そうか。じゃあ改めて。里村、なにやってるんだ?」
「別に……どうもしていません」
わざわざ引き返して手を上げる動作まで再現してやったのに、返って来たのはやたらと素っ気無い返事だけだった。
「どうもないって、今日は卒業式だろ?」
「私には関係ありません」
「いや、里村に関係なかったら該当者がいなくなるぞ。さっさと行こうぜ」
そう言って伸ばした手が空振りする。
「里村?」
「放っておいてください」
里村はまるで親の敵でも見るようにオレをねめつけ、再び空き地の方へと視線を移した。
既視感。そして、気付いた。里村もかってのオレと同じで、過去の呪縛に囚われているのだと。
「なあ、里村。お前、ずっと前から雨の日にこうやって空き地で傘さしてるよな。一体どうしてだ?」
「……」
無言。
「誰か待ってるんだよな? 雨の日に、ここでいなくなった、誰かを」
また無言。しかしその肩がピクリと震えたのをオレは見逃さなかった。
「これだけ待ってもこないってことは、お前も薄々感づいてるんだろ?」
なら断ち切ってやらないといけない。過去の盟約に翻弄されるのは、オレたち二人で十分だ。
「嫌です……」
「里村、そいつは……」
「嫌です、嫌です、嫌です……」
傘を放り出して両耳を抑え、まるで胎児のように体を丸めこむ里村。その姿に、言いようのない罪悪感を覚える。
しかしオレはここで止めるわけにはいかなかった。例えその結果、一生恨まれるとしても、だ。
「そいつはお前より、別世界を選んだ。そして、戻ってくることも、もうない」
「嫌っ!」
あの後は暴れ出した茜をなだめるのが大変だったな。結局卒業式にも行けず終いで、長森からも責められるし。
いや、ちょっと待て。今の記憶が確かだとして、好意的になる要素はどこにも見当たらないぞ。
その後あまりにも自然に今の関係へと流れていったから忘れていたけど、結局なんでこうなったんだ?
「それなのに、わからないのですか?」
咎めるような茜の視線。いやそんな目をされても、わからんものはわからんし。
「あ、そういえばあの頃から茜の雰囲気変わったよねー。そっか、折原君のおかげだったんだー」
いつから聞いていたのか、柚木が訳知り顔でうんうんと頷く。
「詩子!」
「あははははっ。ま、お楽しみはあとに取っとくとして、折原君。あたしたちはなにをすればいいのかな?」
茜の抗議をするりとかわし、柚木はオレに対して軽くウィンクをしてみせた。
「ほお、手馴れたものだな。以前なんか飼ってたことがあるのか?」
膝の上に猫(一番気性が荒く、七瀬が引っかかれて切れていた)を乗せ、背中を撫でながら穏やかに微笑む茜。
他の七匹も茜の周りに集まり、さながら猫屋敷に住む主のようだ。いや、そんな場所があるのか知らんけど。
「いえ、ありません。ただ……」
そう言って茜は隣の部屋でテレビを見ている詩子の方へと視線を移した。あいつ、一体なにしに来たんだ?
「なるほど。猫みたいにコロコロ機嫌の変わる柚木の幼なじみやってりゃ、大抵のことには動じないわな」
ん、待てよ。この論理で行くと、長森が猫の扱いに長けてるのはオレの影響が大きいのか?
「……浩平。人と話しているときは、その人のことを考えていてください」
「ああ、悪い」
急に不機嫌になった茜に戸惑いを感じていると、「あ、そうだっ」との声と共に柚木が部屋から飛び出してきた。
「詩子、どうしたんですか?」
「茜、ごっめーん。あたし、今日ピアノのレッスンあるの忘れてた。先に帰っていい?」
おいおい。今の茜と二人っきりになれって言うのか?
「……それでは私も失礼します」
「あ、それは駄目だよ。だって……」
ぼそぼそ。柚木がなにやらささやくと、みるみる茜の顔が朱色に染まった。
「詩子っ」
「あははははっ、じゃあ失礼するねっ」
そのまま返事もまたずに玄関へと向かった柚木を、オレは慌てて追いかける。
「おい、待てよっ」
「あれ、お見送り? 感心感心」
「違うっ。柚木、あと少しだけでも……」
「うーん、残念。今日は本当に時間ないんだ。ごめんねー」
あまりにもタイミングが悪過ぎる。直感で嘘だとわかったが、あいにくとそれを証明する手立てがない。
そんなオレに、柚木は首を傾げながら尋ねてきた。
「そういえば折原君って叔母さんと暮らしてるんだよね。今日は出かけてるの?」
「ああ、先週から出張で北海道まで行ってる。基本的に忙しい人だからな」
確か由起子さんも今日帰ってくるんだよな。それまでに家を片しておかないと。
「ふーん、そうなんだ。でもその間に勝手にペットを預かったりして怒られない?」
「それは大丈夫。元々動物好きの人で、単に忙しくて飼ってられないだけだから」
一応電話で確認もしてるしな。
「そっか。でも残念だなー。噂の叔母さんの顔、あたしも見てみたかったのに」
「なんだそりゃ」
「だって、茜も瑞佳も見てるんだよ? あたしだけ見てないって不公平だよー」
なにがどう不公平なんだ? 相変わらずこいつの思考は理解しがたい。
「噂で聞くかきりじゃ、仕事もできて家事もこなせて美人さんだって話だしね」
「家事はともかく、凄い人だぞ。なんせ女で一つでオレをここまで育ててくれたんだからな。いくら感謝してもし足りないぐらいだ。
今は養ってもらってる身だが、いつか必ず恩返しをしようとは思っている」
む、身内の自慢は格好悪いか? 少し後悔しつつも柚木の顔を伺って見ると、なにやら驚いた様子で目をぱちぱちと瞬かせていた。
「へー、折原君。そんな顔もできるんだ。今の、結構格好良かったよ」
「当たり前だ。オレは美男子星人だからな。見惚れるのはいいけど、本当には惚れるなよ?」
照れ隠しにおどけてみせると、柚木は存外真面目な表情で答えた。
「うん。それは大丈夫。さすがに親友二人を敵に回す気はないからね」
「は?」
「あっと。本気で危ないからもう行くね。二人っきりだからって茜に変なことしたら駄目だよ?」
「するか!」
「それじゃあねー」
一転していつもの表情に戻ると、柚木は手の平をはためかせながら風のように去っていった。
「よ、茜。久しぶりだな」
「……さっきまで一緒にいました」
「……」
「……」
き、気まずい。先程までの雰囲気に加え、柚木の一言のせいで妙な意識までしてしまう。
「お、そうだ。この間オレと住井と南の三人で飲みに行ったときの話なんだが……」
「詩子と、なにを話していたのですか?」
最近オレの台詞は無視される傾向にあるらしい。実に嘆かわしいことだ。少し自分の存在意義について考えてしまう。
「浩平?」
「ああ、そうだな。茜の話だ」
「……!」
面白いぐらいに顔色を変える茜。さらにからかおうとするも、数日前の広瀬とのやり取りが思い出される。
……あんまり人の秘密を突っつくのはよくないな。
「浩平、詩子からなにを聞いたんですか?」
「いや、さっきのは冗談で……」
「浩平」
妙なオーラを漂わせながら立ちあがる茜。その迫力に押され、後ずさりする。と、
「まあ落ちつ……けっ?」
「あっ」
そのまま足を踏み出そうとした茜はバランスを崩し、力なく前へと倒れこんだ。即ち、オレの方向へ。
そして及び腰だったオレが茜を支えきれるはずもなく、二人してフローリングに倒れこむ。
「つっ、茜、大丈夫か?」
「……はい。浩平が、支えてくれましたから」
オレの胸に顔を埋めながら、くぐもった声で答える茜。衣服越しに感じる吐息がこそばゆい。
「いや、めちゃくちゃ一緒に倒れてるじゃないか。悪いな、頼りなくて」
「そんなことありません。浩平は、いつだって私を助けてくれます。あのときも。そして、今日だって」
微妙な空気を振り払おうと軽く自分を卑下して見せたのだが、顔を上げた茜に強い口調で否定される。
驚いたオレの表情に気付いたのか、茜は自分を恥じるように俯き、やがて意を決したように再び顔をこちらに向けた。
「……浩平」
「……なんだ」
「これからも、私を支え続けてくれませんか?」
間近で見る、濡れた瞳。上気した頬。白い首筋。
思わず吸い寄せられそうになり、慌てて自分を押し留める。
「茜、オレは……」
オレが自分でもよくわからないなにかを口にしようとしたそのとき、玄関先から誰かが上がりこんでくる音が聞こえた。
『お邪魔しま〜す。浩平、いる〜?』
って長森か? 馬鹿な、早過ぎる。というか確認する前に入ってくるなよ!
「あ、茜、どいてくれっ。早くっ」
「それが、ずっと座っていたので足が痺れてしまって……」
ああ、そうか。それで立ちあがった途端に倒れたんだな。……じゃなくて!
『浩平〜、どこどこどこ〜?」』
しかも今日に限って一階から探し始めやがるし!
とにかくなんとかして茜と離れようとしたオレは、手近な掴みやすそうな部分を思いっきり握り締めた。
「……浩平、そこは」
「あ」
「浩平、ここにいたんだ…ぁ…」
部屋に入ってきた長森は、まずオレを見て頬を緩め、オレの上に覆い被さっている茜を見て目を丸くし、そしてオレが茜の胸を鷲掴みにしている姿を見て硬直した。
と、茜がゆっくりと立ちあがり、長森に向かって会釈をする。
「……それでは長森さんも帰ってこられたようですし、私は失礼します」
あれ? 茜、足が痺れてたんじゃなかったのか?
混乱するオレに追い討ちをかけるように茜は微笑み、
「浩平」
「なんだ?」
「今日は、楽しかったです」
意味深な発言を残し、滑るようにして部屋から出ていった。
がちゃん。扉の閉じる音と共に、再び時が動き始める。
「えーと、長森」
「……」
「えいえんは、あるよ?」
「あらー、またえらく暴れたものね。そんなにわんぱくな猫ちゃんだったの?」
鞄を下しながら、呆れたように由起子さん。
「ええ、本当に。とてもじゃないけどオレの手には負えませんよ……」
オレは九匹目の猫に引っかかれた傷を撫でながら、深々と溜息をついた。
これより投下します。
タイトルは『ねこねこマーチ、猫の町』
7レス予定で。
――にゃー。
週末の大通りに面した店の窓の外を、猫が歩いていく。
黒猫、白猫、虎猫、三毛猫、シャム猫、マンクス猫、ペルシャ猫。
尻尾はあったりなかったり、緩いカーブを描いたり、先が鉤状になってたり。
店内から外に意識を向けるだけで、色とりどりの猫たちが代わる代わる通り過ぎていく。
見ていて飽きない光景だった。
「かわいいねえ」
「そうですか?」
思わず健太郎の口をついて出た和み科白は、茶飲み相手に素で返された。
店内のカウンターには、日本茶が注がれた湯呑み二つと茶菓子が載っているお盆と、
つい先程まで話題にのぼっていた兎模様の絵皿がでんと鎮座していた。
店の名前は五月雨堂。店主の名前は宮田健太郎。
その向かいに座って済ました顔でお茶を啜っているのが、牧部なつみという常連客である。
まあ、常連客とは言っても何か骨董を買うわけではないので、正確には客とは言えない――。
「こないだ買った本、結構面白かったですよ」
――もとい、つい先日五割引の『プレミア本(成人向)』(25000円)を買ったらしい。
「そ、そう。それは良かった」
上目遣いで意味深に笑みを浮かべるなつみに、ちょっと居心地が悪くなる健太郎。
そんな様子を眺めながら、再びくすりと微笑むなつみ。
健太郎がますます困ったようにカウンターの上の白黒二兎の絵皿に視線を泳がせた瞬間。
ガーッ、と。
店の入り口の自動ドアが音を立てて開いた。
「ううぅーっ、もぉーう、いやぁーっ!」
そう叫びながら店内に転がり込むようにして入って来たのは、この店の居候兼同居人。
スフィー=リム=アトワリア=クリエール。なぜか見た目ボロボロでやけに消耗していた。
「おうスフィー、おかえり。買い出しご苦労様」
「ご苦労様もお疲れも大変だったなんてもんじゃないわよ〜。あ、なつみいらっしゃい」
「何かあったの?」
なつみがそう訊ねると同時に、にゃー、と間延びした猫の声。
その途端、びくんっ! と身をすくませてスフィーがあたふたと左右を見回し始めた。
「どこどこっ!? 何ッ!? 猫どこ猫っ!」
「どこって、そこ」
その様子を呆然と見つめながら、健太郎がその場所……スフィーの背後を指差した。
ばっ、と振り返るスフィー。だがしかし、そこには猫の姿はない。
慌てて再度健太郎の指先を確かめるスフィー。だがやはり、その指す先はスフィーの背後。
ぐりんっ、と首を回しても、猫の姿は影も形も――。
「うにゃー」
「! そこっ!」
がしぃっ! と衝撃音が聞こえそうなくらいの勢いで、目の端に映ったそれを掴み取る。
ぐきっ。
嫌な音がして、一瞬硬直した後に、その場にがくりと崩れ落ちるスフィー。
振り向いた瞬間に自分で掴んだ、猫がぶら下がったままの、己の髪を握り締めたままに。
「スフィーの髪って、長くてボリュームある上に、三つに分けて縛ってあるもんだから、
歩いたり走ったりするたびに跳ねて動き回るんだよ。こう、猫じゃらしみたいに」
手振りを交えて解説する健太郎。納得して頷くなつみ。
スフィーの髪にへばりついていた猫は、今はなつみの膝の上に座っていた。
そのなつみが、首筋に氷嚢を当ててグロッキーしているスフィーに向けて口を開いた。
「……髪形変えたら?」
「猫如きに怯えて髪形を変えるなんて、グエンディーナ王家の誇りにかけてもできないわ」
その本音が、要するに単なる負けず嫌いであることを感じつつ、猫の背を撫でるなつみ。
鼻の周囲と耳と手足の先だけが黒っぽい茶毛で、ほのかに暖かい感じのする色の白猫だ。
「まあ、この街がスフィーにとっていちばん住み難い街になったときの話はしたと思うけど」
「うん。太助とかいう猫を助けるのに、手伝ってあげた話だっけ?」
「いや、それは別の話。今言ってるのは『ネコ寄せドラ』のこと」
「ああ。思い出した。確か、さくらって猫を探してあげたんだったっけ」
うんうんと頷く健太郎とスフィー。
近所の子供、和由の飼い猫さくらが行方知れずになり、それを探すのを手伝った際に使った
『ネコ寄せドラ』という銅鑼があった。健太郎が長瀬源之助の店に訪れた際に譲り受けた物で、
近くにいるネコを呼び寄せる効果があるらしい、とのことで使用したのだが――。
結果としてさくらは見つかったものの、まったく関係のない無数のネコが、銅鑼の音色に
呼び寄せられて、そのままこの街に住み着いてしまったからさあ大変。
哀れ、天然ネコじゃらし体質のスフィーは、外出の度に猫によってえらい目に会うのである。
「にしても、本当に大変だったのはそれからだったよ」
ふう、と何かを思い出したかのようにため息をつく健太郎。
猫が方々から集まってきたことで、この街は色々な意味で騒がしくなってきたのである。
「猫が住む街になったことで、自然と猫好きが多少遠出をしてまで遊びに来るようになった」
健太郎がそれを見たのは、ちょうどスフィーと二人で夕食の買出しに行った帰りだった。
「ねこーねこー。……っくしゅん! ずず、ううー、ねこー」
道端を歩く猫の後について、女の子が涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにしながら歩いていた。
当然、それに気づいてぎょっとして足を止める健太郎とスフィー。その瞬間、スフィーが
周囲に向けて放っていた警戒の意識が途切れた。……するとどうなるかというと。
「やああぁーん!」
たちまちのうちに周囲にいた猫がスフィーの髪にじゃれ始める。一旦こうなると止まらない。
もう必死になって引き剥がし、駆け回って引き離すしかないのである。
女の子を引き連れていた猫も例に漏れず、逃げ出したスフィーのあとを追って駆け出した。
スフィーの足は、魔法の力もあるのだろうがああ見えて結構速い。追いつけるかどうか。と。
「あー、ねこー!」
女の子までが、さらにそのあとを追って走り出したのである。
しかも明らかに速い。毎朝のランニングを欠かさない結花でも、あれほどの速度は出まい。
そんな速度で駆けて行くスフィーと猫と少女を、健太郎が呆然と見送って――。
次にその少女を見たのは、五月雨堂に帰ってきたスフィーにへばりついている姿だった。
「それは、スフィーの髪が猫だけじゃなくて人間まで釣るようになったの?」
「そんなわけないでしょ! あれはなんか、猫の匂いが染み付いてるのがいいおーって」
「うむ。彼女の友人が迎えに来るまで、スフィーにべったりだったな」
「あの時はおかげで、髪が涙と鼻水まみれになって、後で洗うのが大変だったんだから」
「帰らない猫を探しに、飼い主が探しに来ることもあった」
健太郎がHONEYBEEでの食事を終え、店番を再開しようと五月雨堂に戻った時だ。
「もし、そこの方、この店の関係者の方ですかな?」
「え? あ、はい、一応……って、あれ、長瀬さん?」
店の前で声をかけられた健太郎の目の前にいたのは、昔からよく知る同業の大先輩――。
「む、これは失礼。申し遅れましたが、私めは、貴方も御存知の長瀬源之助の遠縁にあたる者。
来栖川家で執事長を務めております、長瀬源四郎と申します」
――ではなく、どうやらその親戚らしき黒服の偉丈夫であった。
慇懃に畏まる源四郎に、逆に恐縮しながら用件を伺うことにする健太郎。
「はい。それでは本日伺った理由なのですが、お嬢様が可愛がっておられる猫が、最近になって
突然姿を消しましてな。調べさせましたところ、丁度この街にあちこちから猫が集まっている。
ならばと源之助に猫について訊ねたら、『五月雨堂に行くといいでしょう』と言ったもので」
猫探し。実のところこういう話はこれが初めてではない。
同じように行方知れずになった飼い猫を探すため、探偵らしき人物もよく訊ねて来る。
特によくやって来る探偵などは、たまに近くの雀荘から出てくるので仕事の程は疑わしいが。
さてどうしたものかと健太郎が思案した瞬間、側に停めてあったリムジンの扉が開いた。
そこから、セーラー服を着た、不思議な雰囲気を持った長い黒髪の少女が外に出てくる。
「お嬢様、どうかなさいましたか? ……なんですと? 近づいてくる? 誠ですか!」
健太郎に聞こえないくらいの小声で少女が呟いた瞬間、どどど……と、既に慣れた感のある
聞き慣れた地響きが、ピンク色の猫じゃらしと共にやって来たのである。
「……で、スフィーの髪に引っ付いてた黒猫が、そのお嬢様の飼い猫だった、と」
「飼い猫って言うよりは……なんだか、使い魔みたいだったかなあ」
「ところで、地響きがするくらいの猫がいたんでしょ? どうやって止まったの?」
「執事の長瀬さんが、『喝!』って一発叫んだら、猫と俺とスフィーが皆ひっくり返った」
「ついでに、近所の魚屋から鮎塩が消えた」
「あ、それ私も聞いた。なんかネコミミしっぽの女の人が暴れて騒いで強奪したって」
「魚屋のおじさんも大変だよ、私ほどじゃないけど」
お茶はすっかり冷めている。外もすっかり夕暮れ時。
時間も時間と、茶飲み話のまとめに入る健太郎。
「まあ、そんなこんなで猫を引き連れるスフィーを通じて知り合いも増えたし、来栖川の
お嬢さんも時々骨董を買ってくれるようになって、ついでに商店街にも来栖川の資本が入って、
まあみどりさんの所は喜んでもいられないらしいけど……まあ、町が発展するのはいいことだ」
事実、スフィーがこちらに来た当時に比べ、街は驚くほど急速に発展している。
そして、その中心にあって一番の恩恵を受け、ややもすればもうじき、店舗拡張までできて
しまいそうな程の利益を上げているのがここ、五月雨堂なのである。
まさに、福を招く猫といったところだ。
「そういえば、近くに有名なアイス屋さんができたとかって学校で評判に」
「昔からずーっとこの商店街で暮らしてる身としては、嬉しくもあれば寂しくもあるんだよな」
ふう、とため息をついて、立ち上がる健太郎。時計を眺めてああ、と声を上げる。
「もうこんな時間か。なつみちゃん、夕食は?」
「ええと……今日は準備とか何もしてないけど」
「よし、それじゃ皆でHONEYBEEに食べに行こう。最近、近所でまた新しい喫茶店が
オープンしたとかで、儲かってはいるらしいけど結構気が抜けないらしいんだよ」
「売り上げに貢献だー! 大丈夫! お金はみんなけんたろが出してくれるから!」
「まあ、誘ったんだからそのくらいは……ね。それじゃスフィー、準備」
「バッチリ完了してるよっ!」
「よし、それじゃ行くか」
ガーッ、と。
三人が外に出て、健太郎がシャッターを下ろした瞬間。
「あーっ! ぴろがいたーっ!」
その声とほぼ同時に、抱いていたなつみの腕から猫がするりと抜け出した。
そしてそのまま、夕日を背にして駆け寄ってくる少女に向けて走っていく。
「飼い主がいたみたいだな」
「ちゃんと面倒を見てて欲しいなあ」
まだ痛むらしい首に軽く手を当てながら、それでも笑顔のスフィー。
見つけた猫を抱え上げ、嬉しそうにくるくる回るツインテールの少女を眺めながら。
「それじゃ、行くか」
「おー!」
「はい」
にゃー。
どこからともなく、猫の声。
塀の上に猫、軒先に猫、公園に猫、空き地に猫。
HONEYBEEに向かう三人。すれ違う少女の胸にも小さな子猫。
ここはどこでも猫がいる。
にゃあとひと鳴き、猫招き。
顔を洗えば雨が降る。忙しければ現れる。
いつも気まぐれ、瞳は宝石。
あなたも一度、来てみませんか。
猫、猫、猫。
猫の街。
>408-414
以上、『ねこねこマーチ猫の街』でした。
宣言時のタイトルが間違ってるのは脳内で消してくださいませ。
ネタ1こ、入ります。雀鬼。
かちゃっ がらがら〜
ルミラ「ただいま〜。1か月ぶりの我が家ね」
アレイ「えと、ここは龍二さんのお家……」
ルミラ「同じことよ。龍二さん、お留守番ありがとうござい――!?」
メイフ「!」
エビル「!」
イビル「……オイ。どーゆーことだ、これ」
たまA「ニャニャニャニャ」
たまB「ニャニャニャニャニャニャニャニャ」
たまC「ニャニャニャニャニャニャニャニャニャニャ
ニャニャ〜〜〜!!」
アレイ「わ〜。子猫がいっぱいです〜〜」
エビル「たま多くして、部屋狭くなる」
フラン「そういう感じですね」
ルミラ(……)
イビル「いったい、どうしたワケだ?」
フラン「多分……私たちが留守の間に、たまさんと龍二さんに子供ができて、その子供がさらに子供を作って――」
アレイ「猫が簡単に増えるものでしょうか?」
メイフ「猫は増えなくても、猫又は増えるのかもねぇ」
エビル「無茶苦茶な設定だな、おい」
フラン「雀鬼ですから」
ルミラ(…………)
イビル「で、龍二のヤツは生きてンのか?」
メイフ「奥で埋もれてるアレが、そうじゃないかしら」
エビル「……」
アレイ「……」
イビル「おまえら、なんで目をそらすんだよ」
フラン「常人ならミイラ化ですね」
ルミラ(………………)
イビル「とにかく救出に……って、おわっ?」
たまD「ニャニャニャニャニャニャニャニャニャ!!」
たまE「ニャニャニャニャニャニャニャニャニャ!!」
たまF「ニャニャニャニャニャニャニャニャニャ!!」
(中略)
たまΩ「ニャニャニャニャニャニャニャニャニャ!!」
イビル「うわぁぁぁぁ〜〜」
メイフ「……多勢に無勢ってところね」
エビル「これでは、うかつに手が出せないな」
アレイ「うぅ〜、そのようです〜〜」
フラン「飼い慣らすとなると、明日からの食費が大変ですね」
エビル「食費といっても誰の金から――あ」
アレイ「……ルミラ様?」
ルミラ「――あなたたち、い・い・か・げ・ん・に(略」
どっかーん
ルミラ「きゃあ! 龍二さん、眠っちゃダメ。目を開けてーっ」
エビル「あんたの仕業でしょうが」
イビル「それよか、オイ! 窓が壊れたぞ」
アレイ「あぁ〜、たまDが、たまεがっ!」
フラン「30匹は逃げましたね」
メイフ「いいんじゃないかしら。街が賑やかになって」
おしまいです。
エビル「無茶苦茶なオチだな、おい」
フラン「雀鬼ですから」
ギリシャ文字、化けてたらごめん。
【告知】
締め切りまで残り 12 時間です。
最後の追い込みがんばっていきましょう。
今回のテーマは『動物』で、締め切りは 10 月 31 日の午前 10:00 です。
締め切りギリギリまたは少し越えて投稿をしそうな方は、
前もってお伝えください。それについて考慮いたします。
また、締め切りを過ぎても即、投稿期間終了というわけではありません。
締め切り間際で他の方の作品と交錯する恐れや、最悪の場合、アクセス禁止が
かかる可能性があります。焦らず、落ち着いて投稿してください。
初めまして、コンペ初投稿を目論む者です。
現在執筆中ですが、もしかしたら間に合わないかもしれません。
今日の24時、つまり今から22時間後まで
締め切りを伸ばしていただく事は可能でしょうか?
御検討をお願いいたします。
それでは失礼致しました。
二時間三時間ならともかく、いくらなんでもそりゃ駄目だろ。
俺もそれで断念したことあったし。諦めれ。
>>420 流石にそれは難しいのでは……。
前例としては正午近くまではありますけど……。
本日零時までの前例というのはそれまでに感想が来る来ないに関わらず作るべきではないと思いますよ。
本当に間に合いそうにないなら今回はあきらめてSSトレに出展した方がいいかもしれません。
それにしてもまさかこんなに少ないとは_| ̄|○
なんか責任感じるな…
なんだよ禅って…ついでだし吊ってくる。
だからテーマ案挙げる時は自分でプロットぐらい作ってからとあれほど(ry
いや色々書いてネタ潰ししちゃ悪いと思ってさ…
>>421-422 了解しました。
流石に少々身勝手だったようです。
過去ログにもここまでのことはなかったようでしたから…少し動転していました。
それでは時間まで頑張ります。
失礼しました。
完成いたしましたので投下させて頂きます。
タイトルは「Self High Five」。
舞台はWAのはるかED直後、ややシリアスかもしれません?
30レスを予定しています。
「寒くない?」
「平気だよ」
「そっか」
期待通りの返事を耳にしながら、俺はパーカーのポケットに両手を突っ込んだ。
生地越しにかじかんだ指を擦りあわせてみたが、あまり暖かくならない。
レジャーシートを敷いているとはいえ、地面は霜が下りているんじゃないかと思うくらい冷たい。
芝生から伝わってくる冷気が、俺の体温と気力を奪っていく。
この寒空を飛び回っている鳥たちでさえ、どことなく哀れに思えてしまう。
そんな状況だから、中途半端なもどかしさが募る。
だけどこのままもやもやしたままでいると、
「いる?」
「…いや、いい」
なんて気を使わせてしまう。
手を出すと寒い、とは何となく言い辛い。
だが、寒いものは寒い。
ポケットに手を突っ込んだまま、ちょっと身体を寄せてみた。
それが何かの符牒であるかのように、はるかは俺の身体にしなだれかかる。
首元にふれる短い髪はすこしくすぐったくて、暖かかった。
「月がきれいだよ」
エコーズのバイトを終えて、帰宅するなり鳴り出した電話のベル。
受話器から聞こえてきたのは、いつもののんびりした声だった。
「悪い…よく聞こえなかった。月がなんだって?」
「きれいなんだよ」
「ああ、今日は確か…十六夜の月だったかな」
彰の話によれば、たしか昨日は満月だったはずだ。
…満月の光に魂を惹かれた人間は、不条理な犯罪に手を染めるんだ。
…異常犯罪や歴史的な事件は、満月の夜に起こる事が多いっていうデータもあるんだよ。
…だからね、太陽のせいで殺人を犯すなんて小説もあるけどさ、本当は満月の夜のほうが…
ミステリマニアのありがたいご高説をふと思い出す。
「公園ね」
「何が?」
「待ってるよ」
「…誰を?」
「来ないの?」
…なるほど。
で、こうなってる訳だ。
はるかの吐息を首筋に感じながら、ついと空を見上げる。
今、視界にあるものは晧々と輝く十六夜の月と、
それを一緒に上空から眺めている何羽かの鳥たちだけだ。
「いいの?」
「…やっぱ、くれ」
「うん」
コポコポコポ…と懐かしい響きが静まり返った公園に響きわたる。
温められたレモネードが注がれたコップからゆらゆらと立ち上がる湯気は、
一瞬のうちに冷え切った空気が溶かしていくようだ。
こくり、と一口含む。
喉の奥からじわりと広がっていくレモンの香りが心地良い。
「おいしい?」
「ああ」
会話らしい会話は、いつもこれくらいだ。
特別に何もしなくてもはるかなら分かってくれるし、俺もそうだという自負がある。
それはきっと、あの日からも変わっていないないと思う。
そう思いたい。
思いたいんだ。
クキャアァァァァッ!ケァッ!キァァァァァッ!
「な、なんだ!?」
「…カラス、かな」
けたたましい咆哮が俺の思考を遮った。
上空で、カラスと思しき鳥達が何やらもみくちゃに暴れている。
しばらくして、輪から転げ落ちた一羽が木の葉のように回転しながら落下してきた。
十分満足したらしく、5〜6羽の鳥達は勝ち鬨を上げながら南の空に帰っていった。
「…なんだ?縄張り争いでもしてたのか?」
「見てくるね」
「あ、ちょっと…」
止める間もなく、はるかは落ちてきた鳥の所へと歩き出してしまった。
せっかく夜中に出てきたのだから、もう少し隣にいてもよさそうなものを…
追いかけようか、どうしようか?
その時、少し強めの風が吹いた。
「う……」
予想以上の寒気に、出していた両手をとっさにポケットの中にしまい込む。
さっきまではるかのいた左肩がいやに寒く感じられた。
俺ははるかを追いかけた。
2分も歩いただろうか。
はるかは外灯の下でじっとしゃがんでいた。
影にならないように覗き込んでみると、手の中に黒い物体が握られていた。
はるかの白い手のひらに包まれたくすんだ灰色が印象的だ。
身体中につけられた痛ましい傷痕が、鳥達の攻撃の激しさを伝えてくる。
…よく見ると、その物体はかすかに動いていた。
「生きてるか?」
「怪我してるけどね」
「…にしても、つくづくはるかってそういうの抵抗ないよな」
「抵抗?」
「鳥とか苦手な人って結構多いだろ」
「案外かわいいよ、このこうもり」
「コウモリ?」
「うん」
思わず仰け反る。
「平気だよ、ほら」
呆気に取られるというのはこういう感じなんだなぁ、なんて思う。
コウモリ握りしめてにこにこ笑ってる女子大生という図は、
なかなかお目にかかれるものではないだろう。
「…で、どうするのそれ?」
「うーん…」
はるかが手のひらをそっと外灯にかざすと、
オレンジ色の照明のもとに小さくなって震えているコウモリの姿が露わになった。
だいたい5〜6センチくらいの赤黒いものがもぞもぞと蠢いている。
コウモリの奴には悪いが、俺にはそうとしか見えない。
不気味なイメージもあるが、何より見ていてあまり気持ちのいいものではないのだ。
そもそもこのあたりでコウモリを見たことなんて生まれてこの方一度も無い。
しかしはるかはひょい、とそれを眼前まで持ち上げてまじまじと眺めている。
「大丈夫」
「え?」
「死にはしない…と思う。けど…」
「けど?」
はるかの手の上で、コウモリはジタジタと手足を小刻みに震わせていた。
どうにかして飛び上がろうとしているらしいのだが、血まみれの翼ではどうすることも出来ないだろう。
「翼が破れてるみたいだね」
「そうだな…………」
「このままだと死んじゃうね」
「そうだな…………」
「飼おう」
「そうだな…………え?」
「…というわけでさ」
「あはは、はるからしいね、それは」
その翌日、午後5時半、エコーズ店内。
西日が程よく差し込むテーブルの列に、客の影はひとつも無い。
それでも構うことなくカウンターに頬杖を突いて、彰はにこやかに笑っている。
そのような事はすでに馴れっこの様だ。
「…で?そのコウモリどうしたの?」
「ああ、はるかが連れて帰ったよ。『飼うから』って」
「コウモリかぁ…はるかだねぇ…」
「はるかだよなぁ…」
「それにしても冬弥も大変だね、いちいちはるかに連れまわされて」
「それはお前だって同じだろ?」
そりゃそうだね、と彰は笑った。そうだろ、と俺も笑った。
心の底から笑う事は出来なかったけれど。
彰はまだ、俺とはるかの本当の関係に気付いていない。
恐らく、まだ世界中で二人しか抱えていない秘密のはずだ。
そう、まだ…
そのとき背後から、来客を告げるドアベルが鳴り響いた。
俺は来客への挨拶のためにくるりと振り向いた。
「あっ、冬弥くんだ」
「ゆ、由綺…仕事は?」
「うん、今ちょっとごちゃごちゃしてて…
連絡があるまで休んでていいって、弥生さんが」
「…そっか。ま、座れよ」
「何か飲む?」
「うーん、ホットミルクちょうだい」
「かしこまりました、ちょっと待っててね。すぐ作るから」
たった十数秒の会話なのに、胸が締め付けられるように痛い。
心の中で押さえつけようとするほど、痛みは俺のすべてを支配しようと企む。
「……久しぶり、由綺」
「うん、こうやって会うのは…えっと…5日振り、かな?」
「ああ、そうだね」
………………………。
「…最近、どう?」
「うん、私は平気だよ。お仕事は大変だけど、これからが大事だからね。
冬弥くんは?何か変わりない?」
「あぁ…普通だよ」
「良かった。普通なのが一番だよ、やっぱり」
そう、普通だ。
由綺を騙し続けるのが、俺の「普通」になってしまったんだ。
弥生さんに言われたとおり、俺は由綺を支えていかなくちゃいけない。
この関係を由綺が望むのならば、俺は絶対に厭わない。
それが由綺に対してできる、たった一つのつぐないだから…
「はい、お待たせしました。熱いから気をつけてね」
「ありがとう。…………ん、おいしい…。冬弥くんもどう?」
「…いや、いいよ。大丈夫」
由綺の笑顔が輝いている。
それは、ブラウン管の向こう側で光り輝く、あの微笑みだった。
俺はそっと、左手を由綺の頬に触れる。
「え?どうしたの?」
「由綺は綺麗だな、ってさ」
「もう、やめてよー」
「本当だよ」
襟足に手をやり、指先に長く伸ばされた髪をくるくると巻きつける。
だが、こまめに手入れされているだろう由綺の黒髪は、
ビル風のようにさらりと指をすり抜けていく。
差し出したままの指には、なめらかな感触だけが残った。
それだけで、もう俺は…
「本当に、綺麗なんだ…」
しばらくして、由綺の携帯が鳴った。
その瞬間、由綺の表情が仕事用のそれに変わる。
そして俺たちの間にはまた、決定的な隔たりが出来る。
「ごめんね冬弥くん、お仕事が…」
「ああ、いいよ。いってらっしゃい」
「うん……。それじゃ…」
「由綺!」
「えっ!?」
「……がんばれ」
嘘じゃない。
心からそう思ってる。
「頑張れ、由綺。見てるから。応援してるから。だから、頑張れ」
「冬弥くん…」
心からそう思っているんだと思う。
由綺の笑顔が見たくて、由綺の幸せを守りたくて、由綺の力になりたくて…
間違ってたって構わない。
これしかないんだ。
「うん。ありがとう。私、頑張るね」
「ああ…じゃあな、頑張って来いよ」
「今度こそもっとお話しようね、冬弥くん」
ドアベルが鳴り、由綺の香りと入れ替わりに乾いた風が吹き込んでくる。
窓の向こうへ遠ざかっていく由綺の後姿は、やっぱり輝いているような気がした。
彰との会話もそこそこに、俺はエコーズを後にした。
家まで帰る道すがら、ついと空を見上げてみる。
今日も輝く月光が、うっすらと茂った雲の中を照らし出している。
この同じ空の下で由綺が歌い、はるかが佇んでいる。
変わり行く毎日の中で、輝くイメージだけを持って生きていけるのか…
…駄目だ、駄目だ。俺は頭を振った。
こんな事を意識するなんて、参っている証拠だ。
とにかく家に帰ってシャワーでも浴びて…はるかに電話でもするか。
「……どっか行ってんのかな…?」
はるかは捕まらなかった。
また昨日のようにどこかに行っているのだろうか。
(あいつ、携帯持ってないからなぁ)
ふと、昨日のコウモリの事を思い出した。
そういえば、由綺にはあいつの事を教えていなかった。
(ちょっとまずかったかな…)
とはいえ、別に隠し立てするような事ではないだろうし、
まあ、特に困った事はないだろう。
そう思って俺はベッドの上に転がった。
薄暗がりの空の向こうで、電車が踏み切りを渡っていった。
ベッドはとても冷たかった。
それから一週間程、どうにもやりきれない日々が続いた。
由綺に会えなかったのは、残念だけれど仕方がない。
音楽祭以降、目に見えて由綺のメディアへの露出が多くなった。
テレビで、ラジオで、広告で、毎日のように由綺の情報は流れ続ける。
それに比例して、以前にも増して二人でいられる時間は少なくなっている。
こうなるだろう事は、あらかじめ弥生さんから聞いていた。
でも、だからと言って寂しくなくなるわけではない。
分かっているのに、割り切ったはずなのに、辛い。
…ただ、これは言ってしまえば「そろばんずくの寂しさ」だった。
「……そのため、ここで…………レンツ曲線が…………」
人恋しさに顔を上げてみる。
冬休みということもあって、教室に座る人影もまばらだ。
こんな時期に行われる補習なんて概してロクな物ではない。
あと30分で昼休みだ。一刻も早くこの空間から脱出したい。
教室中がそんな空気で満たされている。
そのあたりは教授も分かりきっているらしく、だらけていても大して咎められない。
ふと周りに目を向けてみると、そこには見知った顔の仲間たちがいる。
ノートを熱心に取るやつ、教科書に突っ伏して熟睡するやつ、
隣とこそこそお喋りしてるやつ、はるか、ぼんやり考え事してるやつ…
あ、はるかがいる。
あれ?あいつ、この単位取れてなかったっけ?
まあいいや。昼休みになったら聞いてみればいいか。
他に話したいこともあったし、ついでだ、ついで。
教授の念仏を聞き流しながらそんな事を考える。
さあ、あと20分で昼飯だ。のんびりしよう。
「…………ん………やくん……弥くん?」
「んぁ…………あ?」
「『あ?』じゃないよ…ほら、起きてよ」
聞き慣れた声が耳元をくすぐる…
!?
「由綺!?」
「えへへ…おはよう、冬弥くん」
俺は慌てて飛び起きた。
茶色のハイネックセーターに少しくすんだ藍色のジーンズ、
そのまま風景画の背景に溶け込んでしまいそうな格好をした由綺が、
まだぼやけている俺の視界に飛び込んできた。
「由、由綺も補習?」
「うん、本当だったら日数が足りないんだけど、特別にって」
「そっか、良かったな」
「うん」
喜ぶより先に、まず驚いてしまう。
…一週間ぶりの再会にしては、あまりにも味気ないと思った。
「どうかしたの?」
「ん…ああ、久しぶりに会うのに、あんまりいつもと変わらないなぁ、って」
「ふふ、そうだね。もうちょっと感動的でもいいのにね」
気がつけばいつも、俺たちはこんな感じだったような気がする。
はるかといる時とは違う、自然な二人でいられる。
そうあるように、努力している。
……そうだ、はるかもいたんだ。
「あのさ由綺、はるか見なかった?用があったんだけど…」
「はるか?どこにいるの?」
「どこって、その辺に…………。…………いたんだけどなあ」
いなかった。
はるかはいつの間にか忽然と姿を消していた。
見間違いとかじゃないのかな?
由綺はそう言いたげな表情で俺を見ているけれど、
つい数分前に目を合わせた奴を、見間違えたりするもんか。
最近、はるかがおかしい。
電話に出なかったあの日以来、何故だか俺に対する接し方がよそよそしいのだ。
口に出してここがこう変わったからおかしい、あそこがいつもと違う、
そんな風にはうまく言えないんだけど、とにかく明らかに今までとは違っていた。
少しずつ一緒にいることの意味が変わり始めたあの頃でさえ、
こんな風にすれ違う事はなかったと思う。
今だからこそ、それをこんなにも感じてしまう。
「ね、冬弥くん?一緒に授業受けてもいい?」
「一緒に?」
「久しぶりだから。…ダメ、かな?」
「いや……ダメってわけじゃないけど…」
「私は構わないよ」
「俺も、構わないけど…」
「「いつの間に!?」」
「『一緒に?』らへんから」
忍者のように気配を消して、はるかは音もなく忍び寄ってきた。
最初からそこにいたかのようにその場に入って、その空気に溶け込んでしまう。
タンポポの花のようなやつだと思う。
俺は久しぶりに会ったはるかの顔をちらりと覗き見た。
無造作に分けられた短い髪、温かみを感じさせる瞳、緩やかに下がった目じり…
いつもと何も変わらないはるかがそこにいた。
それなのに、心のどこかがざわついている。
「冬弥は?」
はるかは突然、そんな事を言い出す。
表情は変わらない。
『由綺は大事な人なんでしょ?』
顔はそう言っていた。
「……ああ、いいよ、由綺」
「うんっ」
俺の右腕に身体を寄り添えて、子供のように無邪気にはしゃぐ。
由綺の爽やかな微笑みが、この空気を包む。
「良かったね、由綺」
「あはは…冬弥くんと一緒にいられるからね」
「うん、ほんとにかわいいよ」
本当に何もなかったみたいに、俺達は過ごしている。
もし、何もなかったなら…
「そうだ、はるか!さっき言おうと…」
その時、始業のチャイムが鳴った。
「あ、戻るね。また後で」
「あっ……」
また、逃げられてしまった。
「どうかしたの?」
「……いいや、また後で会えるだろ」
それから俺と由綺は、高校時代のように隣に並んで授業を受けた。
肘で脇腹を突っついたり、消しカス投げつけたり、頬杖ついて居眠りしてる由綺の腕を払ったり。
授業そっちのけで楽しんでいた。
由綺もだんだんその気になって、俺のノートにあの頃流行った歌の歌詞なんか書いたりして、
まるであの頃の二人に戻ったような、そんな夢みたいな時間だった。
後ろを見れば、はるかがいる。
俺が視線を送ると、少し寂しげで、だけど暖かい笑顔を返してくれる。
俺たちは今、間違いなく輝いている。
輝いていたあの頃に戻っていた。
そしてみんな、気付いていた。
あの頃のようは二度と笑えないって事を。
だから、あの頃よりも輝いていた。
「お疲れさまー」
「ああ、お疲れ」
一階のクロークの中にある聞いたことのないメーカーの自販機の前で、
俺たちはソファーに崩れ落ちるようにくつろいでいた。
長かった補講もようやく終わり、後は新学期が始まるまでヒマな時間が続く。
「長かったね」
ぬるめのミルクココアを紙コップの縁でぐるぐる回しながら、
はるかは外を見てそう言った。
外はもうすっかり暗くなっていて、空にはいくつかの星が光っていた。
「はるかは寝てただろ?」
「あんまり寝てなかったよ」
「あはは…それって寝てたっていうんだよ」
由綺はくすくすと笑いながら、250ml缶のレモンティーを一口すする。
まだ熱いらしくて、ふーふー吹きながらどうにか飲んでいる。
「それで、これからどうする?」
「うーん……どうしようか?」
「今からエコーズに行っても空いてないしな…」
どこに行けばいいか考えながら、持ってた缶コーヒーに口をつけてみる。
すると突然、後ろから襟元をくいっ、と掴まれる。
「わぶっ」
「冬弥」
「危ないだろっ……で、どうした?」
「公園に行きたい」
「公園、ってあの公園か?」
はるかは何も言わなかったけれど、瞳が「うん」と言っていた。
ふと、あの公園で起こった事が頭の中に蘇ってくる。
「ねえ冬弥くん、私も…」
pipipipi……pipipipi……
「もう……ごめん。ちょっと待っててね」
話に乗りそこねた由綺が、しぶしぶ電話に出る。
くいっ、くいっ。
「だから何なんださっきから」
「あのさ」
俺が問い掛けると、はるかはついと視線を逸らした。
こういう時のはるかは、概して穏やかではない。
「うん?」
「元気になったから連れてきた」
はるかはごそごそと側に置いてあったバッグを漁ると、
その中から何やら黒い物体を手のひらに乗せて持ってきた。
「ほら」
それは、あの夜のコウモリだった。
はるかの看護が良かったのか、すこしだけ血色が良くなっているような気がする。
肌にツヤが出て、前見たときよりも体に丸みが出てきたのだろうか。
はるかの掌の白さと相まって、その体はちょっとしたコントラストみたいなものを奏でていた。
「はなそうと思ったから」
「へえ…もうそこまで良くなったのか。生命の神秘ってやつかな」
はるかはちらりと視線を横にずらした。
するとそこには電話中の由綺の姿があった。話に夢中らしく、こっちには全然気付いていない。
漏れ聞こえてくる単語から推理するに、弥生さんと打ち合わせの事で話しているらしい。
「だから、公園なんだ」
…………?
時として、はるかの言いたいことは俺に伝わらない。
それがこいつのキャラクターであり、魅力でもあるんだけれど…
「冬弥は行く?」
「そりゃ、行くよ。由綺も多分行くと思う」
はるかの瞳がすっ…と焦点を失う。
何かを想った時の、はるかの無意識のサインだ。
これはきっと、世界中の誰にも分からないだろうけれど。
今、はるかは何を想うのだろう。
その無意識の中に入り込めたら…なんて、SFチックな話だ。
「お待たせ。それじゃ、行こっか」
「由綺、電話は誰から?」
「弥生さんから。あと30分くらいしたら行かなくちゃだけど、それまでだったら平気だよ」
「そっか、それじゃ厳しいかな」
残念だけど、と言いかけた俺を遮ってはるかが口を開いた。
「由綺、来ないの?」
そう訊ねるはるかの握りしめられた手の平から、もぞもぞ動くコウモリの頭が見え隠れした。
それに大きく反応する由綺。
「あっ!?はるか、何これ!?」
「こうもり。この間公園で拾ったからはなそうかなって」
「あ、それで公園に行くの?私も行きたい!」
「由綺、弥生さんは間に合うの?」
「今から行けば大丈夫!ねえ、早く行こうよ、ほら」
由綺に押し出される形で、俺達は校舎を後にした。
程なくして、俺たちは公園にたどり着いた。
由綺のタイムリミットまでは、まだあと7、8分ある。
先頭を行くはるかに従う形で、舗装された遊歩道をひた歩く。
芝生一面に生い茂っているオオバコの緑を横目に見ながら、あの日の事を思い出す。
あの夜は急いでいたから、こんな所には目が行かなかったのも仕方ない。
少し荒めのアスファルトが靴に食い込む感触を覚えながら、
ふと奇妙な想像に俺の頭は自然と吸い込まれていった。
はるかの足は自然とあの外灯へと向かっている。
するべきことは一つ。あのコウモリを放すことだ。
はるかが手を離すと、ばさりばさりと音を立ててコウモリは暗闇の中へと旅立っていく。
それでめでたしめでたし、一件落着だ。
それじゃ、もし奴が飛び立てなかったら?
俺にはなんとなく分かってきたような気がする。
はるかと最近すれ違っていたのはきっと、あいつがあのコウモリを世話していたからだろう。
それなら納得がいくし、由綺にこれを見せたがったのも納得できる。
一つの事にこれだけこだわるはるかというのは、最近ではあまり見た事がなかった。
もしもその時があったなら、俺はどんな言葉を掛けてやればいいんだ。
言葉の無力さを俺たちはどれだけ噛みしめてきただろう。
由綺はなんて言うだろうか。純粋に励ますのだろうか。
純粋になれたら、それだけで素晴らしいことなんだ。
それをつくづく思い知らされてきたから、余計にやりきれない。
「着いたよ」
はるかの一言で、俺は現実へと舞い戻る。
「ここは…?」
「この子を拾った場所。このへんで」
はるかはこの前のように外灯の下にしゃがみ込んで、
そのコウモリを拾ったときの事を由綺に説明してみせた。
「でも、こうもりだよね?最初に見たときとか、怖くなかった?」
「別に平気だったよ」
「本当?やっぱりすごいよ、はるかは」
「な?だから言った通りだろ?」
「んー…」
当のはるかは何がすごいのか良く分かっていないらしいが、
とにかくはるかはすごいのだ。そういうことにしておく。
「それで?もう放しちゃうの?」
「そろそろかな、って」
俺たちは視線をはるかの手のひらに落とした。
あの傷ついた翼は、外からはすっかり治ったように見える。
あの夜見た姿とは比べ物にならないくらい、活力に溢れていた。
「それじゃ、いくよ」
はるかはゆっくりと立ち上がると、そっと手のひらを天に向けて開く。
そして、勢いをつけてコウモリを暗闇に向けて放り投げた――!
「……えいっ」
ぼてっ
「「「……………………」」」
聞いてるこっちが悲しくなるような音を残して、
コウモリは頭から芝生の海に落下していった。
「はるか?」
話が違うよ、とばかりにはるかに向き直る由綺。
「飛べなかったんだけど…」
「飛べたらいいね、って」
まあ、確かに『絶対飛ぶ』とは言ってなかったわけだけど。
それにしても今の結果は由綺にとって少なからずショックだったようだ。
「ま、まあ…まだ一回やっただけだし、もう少し頑張ったら飛べそうだったし…」
由綺のフォローもどこ吹く風、はるかの手の上でヤツは呑気に欠伸をこいていた。
それから何回かやってみたのだが、どうにもこうにも飛べそうな気配がしない。
いよいよ由綺の時間も差し迫ってきたので、今日はこれでお開きということになってしまった。
「それでは最後の挑戦」
ぐっ、と見ている由綺の手に力がこもる。
「…とぅっ」
無駄な力の…いや、一切の力が抜けた掛け声と共にコウモリは――
地面に向かって真っ逆さま。
「無理だったね、あはは…」
「「あはは…………」」
ここまで来たらもう笑うしかないだろう。
十数回のトライで、飛べそうな気配一回もなしでは仕方ない。
「もう時間だから行かなきゃ…みんなは?」
「あ、えーと…はるかはどうする?」
「もう少し」
「それじゃ……由綺、悪い」
少し由綺の顔がかげるけど、すぐにまたいつもの微笑みに戻る。
「うん、それじゃまたね。冬弥くん、はるか」
「ああ、また会おうな」
「うん」
手を振って、俺たちは由綺と別れた。
次に会えるのは、いつになるのだろう。
しっかりと、目の奥の奥に由綺の本当の微笑みを焼き付けた。
「ところで、はるか」
「なに?」
はるかは手のひらでコウモリを玩んでいた。
こういう動物とか赤んぼうとか、そういった物にこいつは強い。
そんなイメージがある。
俺ははるかの手のひらでうずうずしているコウモリを眺めてみた。
「飛べるのか?こいつ」
「飛べたらいいね、って」
「それはさっきも聞いた」
ぽこっ
「あいた」
「そういえばさ、こいつの名前は?」
「ナイ」
「へー?変な名前だな。何語?」
「だから、ない」
「ない……って、名前が?」
「うん」
名前がない、か。確かにはるからしいといえばらしいが…
でも、名前ぐらい付けたっていいと思う。減るものじゃないし。
「ないって…なんで?」
「だって、いやだよ」
「…情が移るから、とか?」
はるかもやっぱり女の子なんだなぁ、なんて思った。
だけどはるかは静かに首を振った。
「……じゃ、なんで?」
「めんどくさかった」
おい。
「別に良かったじゃないか、その程度のこと。適当に付けちゃえば」
「そんなのこの子に悪いよ」
そういうものなのだろうか。まあ、そういうものなのかもしれない。
「そこまでしちゃかわいそうだし」
「そっか…そうかな」
だんだんそんな気がしてきた。
「…ところではるか、いつ帰る?」
そんな話をしているうちに、周りはすっかり暗くなっている。
茂みの奥の方に入ったら、真っ暗で何も見えないくらいまでになってしまった。
「先に帰っていいよ」
「帰っていいって…まだ何かするのか?」
「この子を」
そしてまたはるかはコウモリをふわっ、と宙に向かって投げ上げた。
しかし羽ばたく力が弱いのか、すぐに地面に落下してしまう。
「もう無理じゃないか?力がないぞ」
「もうちょっと待って」
そう言いながらはるかは芝生に落ちたコウモリをそっと抱き上げた。
「もう少ししたら冬弥のこと決めるから」
「俺がどうかしたって?」
「あっ……」
俺は慌ててはるかの顔を覗き込んだ。
すると、はるかも同じように慌てて視線をあさっての方に逸らした。
こんなに動揺するはるかは…
「……はるか、教えてくれよ。聞きたい」
はるかにそっと近付き、肩に両手を乗せる。
それでもはるかは視線を合わせてはくれない。
「俺、迷惑か?だったら言ってくれ。もう何もしない」
「このこうもり…」
耳をそばだてないと聞き取れないほど小さな声で、
はるかは訥々と話し始めた。
「このこうもりは、冬弥と一緒にいた思い出なんだ」
「思い出?そんな、昔話みたいに……」
「だけど、必ず飛び立たなきゃいけないから」
はるかの声が、静まり返った公園に広がる。
そして、俺の頭の中でわんわんと鳴り響く。
「いけないから…?」
「だから、賭け。飛び立ったら、私たちも。飛べなかったら、私たちもって」
はるかの声が、風に揺れていた。
「それって…」
「だから、由綺も呼んだんだけどね」
俺は機微に満たない自分の心を呪った。
どうして俺ははるかにばかり辛くさせてしまうのだろう。
「……で、飛び立てなかった」
「うん」
「どうなんだ?」
「…………」
「はるかは、飛び立ちたくないのか?」
「私?」
「はるかは、どうなんだ?」
「冬弥は?」
「はるかは?」
「私は……」
はるかが身体の力を抜き、俺に体重を預けてきた。
だらりと垂れ下がった腕が、俺の身体に――
ぱた…ぱたぱた…
「冬弥、あれ?」
「ん?」
はるかの背中越しに、俺は飛び立とうとする一匹のコウモリの姿を見た。
それはあのはるかのコウモリだったのかもしれないし、
全く別のコウモリがまたこっちに紛れ込んできただけだったのかもしれない。
それでも、小さく黒い身体を左に揺らし右に揺らし、
失速しそうになりながらもどこか遠くを目指し、コウモリは飛んでいく。
「はるか……」
「うん」
俺たちは絡みかかった身体を引き離し、じっとコウモリを見つめていた。
風が吹けばバランスを失い、それでもそいつは倒れることなく前へと進んでいる。
「…がんばれ」
はるかの声に横を振り向くと、はるかは両手を天にかざしていた。
両手の親指と人差し指で三角形を作り、後の指は開いて。
「がんばれ」
「それ、何だ?」
「元気になるおまじない。何かで見て」
「そっか」
はるかの真似をして、俺もそのおまじないをしてみることにした。
作った三角形の中に、よたよたと空を飛び続けるコウモリを入れて。
「頑張れ、とにかく頑張れ。頑張れ、頑張れ…」
「がんばれ、がんばれ…」
小さくなるその姿を、二人で見えなくなるまで見送った。
さようなら、それにいろいろとありがとう。
「…さて、これからどうする?」
「なんか疲れちゃった」
「そう言うなよ」
疲れたのはこっちだって一緒だ、とは敢えて言わない。
「次に会ったとき、由綺と話すよ」
「…ああ、頼む。俺も……話してみる」
「がんばろ」
はるかがそっと右手の小指を突き出す。
つられて俺も突き出す。
「ゆびきった」
「指切りげんまん、とか言わないのか?」
「めんどうだから」
そっか。
「なあ、一つ聞いていいか?」
「ん?」
「あの時コウモリが飛ばなかったら?」
「…………」
「…………」
「どうだろう?」
「そっか」
…ま、しょうがないか。そういうものだ、きっと。
はるかといると、こんな考え方でもいいか、なんて思うときがよくあって。
今がまさにそんな感じだ。まあ、それでもいいか。
後悔なんてしない。あのコウモリは飛んで行けたから。
以上です。
何かと御迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした。
そして、ありがとうございました。
今から投稿します。題名は「かのねこ」
長さは2レスです。
気づいてますか相沢さん、私があなたのことを好きだということ。
いえ、たとえ気づいていたとしても、あなたは応えることができませんね。
あなたには、もう大切な人がいるから。
でも少し、ほんの少しだけ私に振り向いてもらえれば、それだけで幸せなんです。
そう例えば、今あなたの手の中にいる猫のように。
びしょ濡れで玄関に立っていたあなたを見て、最初は驚きました。
でも次の瞬間、あなたの腕の中から聞こえてきた今にも消えそうな声で、分かりました。
あなたは本当にやさしい人です。
猫の体をタオルで一所懸命拭くあなたの姿を見ると、あらためてそう思います。
私があなたに惹かれたのも、そのやさしさです。
あなたのやさしさで私がどれだけ救われたのか、言い尽くすことはできません。
だからそれがいつの間にか『好き』に変わったとしても、当然、だと思いたいのです。
でも、あなたのやさしさはみんなに対してです。それは分かっています。
それでもなお、あなたのことを好きでいるのは我侭なのでしょうか。
いとおしそうな目で猫の体をやさしく撫でるあなたを見ていると、少し妬けてしまいます。
そんないとおしそうな目で私を見たことがありましたか、そんなにやさしく私の体を撫でたことがありましたか、と。
『猫に対して妬くなんて、そんな馬鹿な話があるか』と笑われてしまうかもしれませんが、いいんです、馬鹿ですから。
あなたのせいですけど。
どうせ馬鹿だったら、と、こんなことを考えてみます。
もしも私が猫だったら、あなたは私のことを愛してくれるでしょうか。
いとおしい目で見てくれるでしょうか、やさしく体を撫でてくれるでしょうか。
もし叶うなら、私も彼の猫のように愛されたい。
「ん、天野、何か言ったか?」
「ですから、私もあの猫のように相沢さんに愛されたい……って!?」
その時、頬を紅く染めたふたりを見て、猫が笑うように鳴いたような気がしました。
>462-463
以上、「かのねこ」でした。
今から投下します
題名『さかり』
ジャンル『痕』
7スレ予定
逢いたい。
逢いたい。
今すぐ、愛しいあの方に逢いたい。
あぁ。
私はここにいるのに。
あの方も生きているというのに。
どうして逢うことが出来ないのだろう。
逢いたい。
逢いたい。
今すぐ、愛しいあの方に逢いたい。
「うるさい猫だねぇ」
梓はテレビから目を外し、窓の方を見やった。
「やかましいったら、ありゃしない」
甲高い、さかりのついた猫の声が、静かな夜のとばりを切り裂いていた。どうも柏木
家の塀の上辺りで鳴いているらしい。
「この時期だからかしら?」
四姉妹の長女である千鶴が、煎餅をポリポリ囓りながら暢気に言った。
「ウチのタマを呼んでいるのかな?」
末っ子である初音は、今年採れたばかりの柿を、丁寧に包丁で剥きながら答えた。
「それにしても、もう少し静かにして欲しい」
「それだけ好きな猫の事が恋しいんだよ、きっと」
剥いたばかりの柿を、姉である二女の梓に手渡した。
「そういえばウチにも、さかりのついたのが一人いたね」
「それって、楓お姉ちゃんの事?」
「まあ、確かに似たようなものかもしれないわね」
千鶴は深いため息をひとつついた。
なぜだろう。私はあの猫の気持ちが良く判る。
楓は聞こえてくる、猫の求愛の声に親近感を覚えた。
ようやく結ばれた愛しい人、耕一が都会に帰ってから、一月が経過した。
楓は赤のマジックペンを手に握ると、今日という日付に、×印を書いた。
耕一さんが来るまで、後、八十五日。その八十五日がまるで八十五年のように思えた。
「耕一さんに逢いたい………」
癒えた筈の胸の傷が、再びズキズキと痛みだしているような気がした。
猫は月夜の下で、楓の気持ちを代弁するかのように、いつまでも鳴き続けた。
その日の朝食は、パン、コーヒーをはじめ、サラダ、カリカリのベーコン、スクラン
ブルエッグなど、洋食のメニューがテーブルの上に並んだ。
「いただきました」
一番学校の遠い初音が最初に席を立った。梓は既に食べ終え、千鶴も食後のコーヒー
を楽しんでいた。ただ一人、楓だけがモシャモシャとジャムを塗ったトーストを、口の
中に運んでいた。
普段なら四姉妹の中で一番早く食べ終えるのだが、今日はまだ半分しか食べていなかっ
た。
一口食べては手が止まり、一口食べては口が止まっている。何か、ぼーっと考え事を
しながら食べていた。
梓はいらつきながら時計に目を向けた。学校が家から近いとはいえ、朝食の後かたづ
けには、ある程度時間がかかる。
「楓、いい加減早く食べなよ。時間がもうないんだからさぁ」
姉の声に、楓の体が一瞬ビクついた。
「時間………」
そう呟いたかと思うと、楓はパンを口に頬張ったまま、涙で頬を濡らし、いきなりさ
めざめと泣き始めた。
梓は顔に手をやると、内心で舌打ちをした。
楓がよく泣くようになったのは、一週間ほど前からだった。食事の最中、買い物をし
ている時、トイレの中、入浴中、所構わずいきなりシクシクと泣き出すのである。理由
を尋ねても何も答えない。何十分も泣き続けるのはざらだった。これが、梓が楓の事を
『さかりのついた妹』と評するゆえんだった。
原因が耕一であろうという事は、なんとなく梓にも察しがついていた。
梓も少なからず耕一に恋心を抱いていた。だが、部活動の最中や、料理をしている時
などに、耕一の事を思い浮かべる事はほとんどない。しかし、楓は違った。本当に二十
四時間、暇さえあれば耕一の事ばかり考えているように見えるのである。梓にしてみれば、
狂気の沙汰だった。
一方、楓はというと、何かしていると不意に耕一の顔が思い浮かぶのだった。そして
逢えないと思うだけで、胸が杭を打たれたように痛み、心が見えざる手によって引きち
ぎられた。そのあまりの苦しみを、楓は涙を流すことにより癒すのである。当然、自分が
泣くことにより、梓をはじめ、みんなに迷惑をかけている事に気づいてはいた。そして
申し訳ないと思う気持ちが更なる涙を呼ぶのである。まさに悪循環だった。
「千鶴姉〜、なんか楓に言ってやってよ〜」
妹の悲鳴に、千鶴は両掌を上にあげ、処置なしと言わんばかりに首をすくめた。
キュッ。
マジックペンでカレンダーに×印をつけ、その日の終わったことを、楓は確認した。
もっとも、まだ夜の九時であり、正確にその日が終わったわけではないのだが。
楓は椅子に座ると、便箋を机の上に出した。耕一に手紙を書くために。
だが、いざペンを握ってみても、書くべき言葉が見つからない。
心の中は耕一への思いが溢れているというのに、伝えるべき言葉が思い浮かばず、ただ、
いたずらに時間だけが過ぎ去っていく。
窓の外には昨日と同じように、猫が求愛の詩を、声高らかに歌い上げていた。
その声は誇り高く、どこまでも悲しく、夜の静寂(しじま)をうめていた。
コンコン。
不意に、誰かが楓の部屋のドアをノックした。
「楓お姉ちゃん。今、耕一お兄ちゃんから電話がかかってるよ」
初音の声に、楓は素早く椅子から立ち上がった。
「今行く」
短く答えると、素早く電話の置いてある居間に向かった。
「はい、こっちはみんな元気ですよ」
部屋に入ると、千鶴が受話器を握っていた。
順番を待つ間、胸の鼓動がどんどんと速まっていく。
何を話そう。何を伝えればいいのだろうか。
楓の握った手の平が、次第に汗ばんでいく。
「あ、ちょっと待ってください。今、楓に替わりますから」
はい、どうぞと言わんばかりに、千鶴は受話器を妹に譲った。
『楓ちゃん、元気にしてるかい?』
楓が何か話すよりも早く、耕一の声が受話器から聞こえてきた。
懐かしい、愛しい人の声。
楓の頭の中は、一瞬にして真っ白になった。
その様子を、姉と妹が興味深げに見守っている。
『こっちに帰ってから、ずっと楓ちゃんの事ばかり考えているよ』
私もです。耕一さんの事ばかり……。
そう答えようと口を開けるも、声帯は本来の役目を果たさず、唇から言葉は発せられな
かった。
「あ……、そ………」
心かりが焦り、全身が緊張のあまり震え、ただ、うめき声を発するのがやっとだった。
『どうしたの楓ちゃん、何か話してよ』
伝えたい思いは声にならず、代わりに大粒の涙となって溢れ出た。
『……もしかして、泣いてるの楓ちゃん』
楓はたまらず受話器を初音に押しつけ、部屋から逃げ出した。
「あ、う、うん、初音だよ、耕一お兄ちゃん」
楓に代わり、初音が耕一に応対した。
「う、うん。ほら、楓お姉ちゃん、もともと電話は苦手なほうだし………」
廊下を歩きながら、楓の口からため息が漏れた。耕一を心配させてしまったのは明白だった。
ただ、久しぶりに聞いた耕一の声に、心が幾分楽になったような気がした。
自分の部屋の扉に手をかけた時だった。
廊下の暗がりから、猫の鳴き声が聞こえてきた。
家で飼っている、タマだった。
タマは楓が気づいた事を知ると、二メートルほど奥に走り、再び振り向くと一声鳴いた。
ついて来いと言っているように、楓は見えた。
タマの後を追っかけると、洗濯ものを場所を干す場所に通じる扉の前に辿り着いた。
カリカリ。
タマはその扉を開けて欲しいのか、爪で引っ掻いた。
「ここを開けて欲しいの?」
すると言葉を理解したかのように、タマは一鳴きした。
その時、扉の向こう側から、タマに呼応するかのように、別の鳴き声が……先ほど部屋
で聞いた求愛の声が聞こえてきた。
楓はタマをそっと持ち上げた。
「ねぇ、タマ。扉の向こうにいるのは、あなたの大事な方なの?」
タマはまるで恥ずかしそうに、一鳴きした。
猫は人の言葉を理解するという話を、楓は思い出した。無論それが本当かどうかは知らないが。
「タマは羨ましいわね、今から好きな人……じゃないわね、好きな猫に逢えるんだから」
楓はフワフワした毛並みを優しく整えた。
「どうせ逢うなら、ちゃんと、おめかししなきゃだめよ」
タマは楓の腕の中で、じっと丸まったまま大人しく終わるのを待った。
「ほら、綺麗になった」
タマをそっと下に降ろし、楓は外界に通じる扉に隙間を空けた。その瞬間、一陣の風の
ようにタマは外へと走り抜けて行った。
「行ってらっしゃい」
楓は暫く外を見つめた後、そっと静かに扉を閉めた。
「いただきました」
朝食を食べ終えた楓が、誰よりも早く席を立った。
妹の背中を見送ると、梓は初音と目を合わせた。
「楓、急に元気になったけど、何かあったの?」
「多分、昨日、耕一お兄ちゃんの声を聞いたからかな」
「何はともあれ、元気になってくれれば、それでいいわ」
妹達の言葉を、千鶴が最後に締めくくった。
当人の楓としては、特に変わった事は何もなかった。耕一の事を思う気持ちはいつもと
変わらない。ただ若干、心持ちが軽くなったような気がした。
家を出て、しばらく歩いた時だった。
道端でタマ見つけた。
黒い物のそばで、じっとしたまま動かなかった。
どうしたのだろうと近づいた時、はじめて黒い物が猫であることに気がついた。体は
割と大きめで、尻尾も長かった。
時折寄り添うタマが顔を擦り付けるも反応はない。その代わり、口元から赤い液体を
流し、体が不自然に曲がっていた。
車に轢かれて死んだのだろうか。
楓は腰をかがめた。
時折、タマが悲しい声で鳴いた。
「タマ、もしかして、この猫が、あなたの大事な相手なの?」
返事をするように、小さな声でタマは鳴いた。
楓は、冷たいアスファルトに横たわる黒猫を、そっと撫でた。
まだ、かすかに暖かかった。
タマは、この猫の死に目に会えたのだろうか?
楓はそんな事を思った。
いつも家の側で鳴いていた猫。
もしかしたら、この猫は自分の死期を知っていたのだろうか。
だから、毎晩あんなにも必死に鳴いて……。
そこまで考えたとき、楓の目は涙で曇り、何も見えなくなった。
しばらくの間、そこにうずくまり、タマと一緒に泣いた。
そして、汚れるのも構わず、猫の死体を抱き上げると、出払って誰もいなくなった家に
持ち帰り、庭の隅に穴を掘った。
亡骸を穴の底に安置すると、たまたま庭に咲いていた秋の花を数本千切り、そっと死体
の上に載せた。
「タマ、埋めてもいい?」
弱々しく、そしてか細くタマは鳴いた。
ゆっくりと楓は土をかけ、地面を元に戻すと、墓石代わりに石を一つ置いた。
その日、楓は学校に行かず自分の部屋で一日過ごした。
今、何時だろう。
楓は暗くなった部屋で目を覚ました。
いつのまにか眠ってしまったらしい。
時計を見ると、夜の八時を指し示していた。
夕ご飯は終わったのだろうか。
お腹が空いていた。
カリカリ、カリカリ。
部屋の扉を何かが引っ掻いている事に、楓は気づいた。
ドアを開けると、そこにタマが座っていた。
「なにかご用?」
話しかけると、昨日と同じように数メートル走って止まり、楓を待っていた。
楓はタマの後をついていった。
階段を降り、廊下を歩き、正面玄関へと辿り着いた。
「ここを開けて欲しいの?」
サンダルを履き、楓が玄関の扉を開けると、今度は外に通じる門を、タマは引っ掻いた。
頼まれるままに、門の鍵を開き隙間を開けた。
「これでいい?」
だが、タマは外に行こうとしなかった。その代わりに入り口の近くに座り、楓の顔を
見て一声高く鳴いた。
楓は最初、タマの意図が判らなかった。
どうも、外に行く為に門を開けたのではないらしい。よくよく考えると、タマの場合、
わざわざここを開ける必要はなかった。
タマは何か訴えるような眼差しで、楓を見つめていた。
ふと、楓は気づいた。
タマは昨日、自分が外に行くために、物干場に通じるドアを開けさせた。そしてこの
門は人が外に出るためのもの。
楓はしゃがみ、目線をタマに合わせた。
「もしかしてタマ、私に耕一さんのところへ逢いに行けと言ってるの?」
我が意を得たりと、タマは大きな声で鳴いた。
「ダメよ……、私には学校が………」
楓の頭に、朝の事が頭に浮かんだ。
タマを残して逝った黒猫。
一人残されたタマ。
永遠に生きられる生物など、この世にはいない。
今、楓も耕一も生きている、しかし、明日も生きているとは限らない。もしかしたら、
あの黒猫の用に突然、事故で死んでしまう可能性もなくはない。
楓は夢で見た、あの記憶を思い出した。
突然訪れる死を、避ける事なんて出来やしない。ならばせめて生きている間だけでも……。
突然、一陣の秋風が門から吹き抜けてきた。
あの夢のように、夜空にはポッカリと白い月が浮かんでいた。
楓は開け放たれた門から、外を見やった。
ここを抜けて行けば、愛しいあの人に逢える。
夢に中では触れることが出来なかった。でも、この門を飛び出せば、耕一さんに抱いて貰える。
あの黒猫が教えてくれた。時間は無限に存在しないのだ。
今なら、はっきりと楓は判る。私は耕一さんと愛し合うために生きているのだと。学校
など、耕一さんと同じ大学に行くためだけの目的で通っているに過ぎない。
「タマ……。私、耕一さんのもとに行くね」
楓は自分の部屋に戻ると、急ぎ旅行鞄に必要な物を詰め込んだ。
家族のいる居間を後目に廊下を抜け、玄関に辿りつき、急いで靴を履くと、タマに
見送られながら家の外へと飛び出した。
財布の中には二万円入っていた、夜行列車の切符代には充分な額だった。
「耕一さん、今行きます」
楓は足取りも軽く、駅への道を走り抜けていった。
「楓お姉ちゃん、やっぱりいないよ」
「玄関にも、楓の靴はなかったよ」
「困った子ね……」
初音と梓の報告に、家長である千鶴は頭を抱えた。
「ねぇ初音、楓の部屋に鞄は有った?」
「そういえば………、壁にかけてあった大きなバックが、無くなっていたような気がする」
「どうせ耕一の所に行ったんじゃないの?」
梓は呆れたように言った。
「さんざん泣いた後に家出とは、本当に猫みたいね」
「猫ねぇ……」
初音はふと、猫の習性を思い出した。
「じゃあ、今度帰ってくる時は、子供を身籠もってたりして」
何気ない初音の言葉に、二人の姉は口元を引きつらせた。
以上9スレでした
今日は会社遅刻確定です・゚・(ノД`)・゚・。
すみません。
一時間ほど延長をお願いします。
>>477 承知しました。
他に延長希望の方はおられますでしょうか?
477さんではありませんが、477さんがまだ来られなかったら先に投稿させていただきます。
(先に来られたらどうぞ)
480 :
477:03/10/31 10:59 ID:IyH59XXV
あ、どうぞ先にどうぞ。
では。なんかさっきの俺おもしろいIDだったなあ。惜しい。
テーマ 「動物」
痕SS「楓」です。16レスぐらい。
482 :
楓:03/10/31 11:19 ID:dgtv2ovt
その者は、俺が我が家の木戸を開けると、土間に、ちょん、と座していた。
「…………」
家には妻しかいないはずだ。もし家内にしても、ようすがおかしすぎる。
もとより家内にしては、その影は小さすぎた。
ふたまわり、いや三まわり下か。それほどに小さい。
日は落ちきり、暗い土間で黒い影の塊となって見えるそれが何者か、しばし立ち止まったあと、俺はゆっくりと近づいてたしかめようとした。
そして……。息を呑んだ。
脳が痺れた。
胸に、木刀で打たれたような痛みが走った。どくんと心の臓が揺れたのだ。
「…………エディフェル…………?!」
黒い直毛。
白い肌。
切れ長の目。
長いまつ毛。
通った小さな鼻。
それは、死んだはずの。
「エディフェル……っ!」
そうか?
果たしてそうか?
かつて何度も間近に見た。
かつて何度も口づけた。
そしていまは夢に見る。
数えるあたわぬほど。
俺が……この俺が……見紛うはずがなかった。
「エディ…フェル…」
南蛮語のような彼女らの音は、俺たちには難しい。俺の発している音は当時もいまもおそらく“えぢへる”に近い。
だが、何年かぶりに、二度とは呼べぬと思ったその拙い音を、死んだはずの思い人の名を、俺は呼んでいた。
彼女は、俺のほうを見ず、じっと座したまま前をみつめていた。
483 :
:03/10/31 11:20 ID:dgtv2ovt
ただ……。
俺は、まばたきをした。
我が目を疑ったからだ。
目の前の彼女が信じられぬからばかりではない。
身体が小さすぎる。それに、幼なすぎる。
成人していた彼女とは比ぶるべくもない、ちんまりした姿。
さらに、幼形にしても極端に小さいと思われる。
村の子らと比べても、この見た目の年で、この小ささは、少し、人間離れしている。
そして彼女には、耳があった。
あの彼女らの徴(しるし)とも言うべき、先のとがった耳ではない。
頭からぴんと立った、ふさふさと毛の生えた。
猫のような、耳──
夢か現(うつつ)か。
俺は、惑った。
起きているつもりで夢を見ているのか。
或いは気ぶれでも起こしたか。
物の怪(け)にたばかられてでもいるのか。
だが目の前のエディフェルはいっこうに消えずにその場に在り続けているし、近寄っているから、かすかに呼吸の音や胸の上下しているのまでわかる。
とても夢だとは思われない。
俺はとうとう、震えながら手を差し伸ばした。
もはや我が手で確かめずにはいられない。
だがすると、初めて『そのもの』は俺に気付いたかのように振り向いた。
忘れられるわけもないその懐かしい目線に一瞬ひるんで手が止まると、それは、するりと俺の手を避けて家に上がった。
まるで猫のよう。
猫そのもののしなやかな動き。
障子戸の隙間から室内にその姿を消しそうになったから、俺は慌てて戸を開け放った。
次の次の間に家内がいて、その家内の俺との間にエディフェルがとと……と歩いているのが見え、俺はほっとした。
484 :
:03/10/31 11:21 ID:dgtv2ovt
「お帰りなさい」
繕(つくろ)いものをしていた家内が、目を上げた。
俺は震える指を上げ、エディフェルを指した。
それは、おまえの姉だ。
「あ、この子ですか」
家内はいつもの柔らかな微笑みを浮かべた。
「今日、どこからか上がってきたんです。可愛らしいから、追い返せなくて……すみません」
「……?」
「いま、外に出しますから」
「……!?」
次に家内が言った言葉は、俺に、目以上に、耳を疑わせた。
「それにしても、きれいな猫ですよね……」
白く柔らかな昼の日差しが、黒く柔らかな毛を暖めていた。
ぴんぴんと時折跳ねる、猫の耳の、その毛を。
エディフェル──エディフェルの姿したものは、開け放たれた障子戸から、興味深そうになにかを目線で追っていた。
庭を飛ぶ、とんぼだ。
右に動けば、右を見る。
左に動けば、左を見る。
上に飛べば、顎を上げる。
近くを飛び遊ぶとんぼに、目を奪われている。
そしてもっとも近づいた瞬間、わふっ、と右手を空に走らせた。
──。
とんぼは、慌てて屋根の上に消えて行った。
狩りは、失敗したようだ。
エディフェルはまだ、屋根の上を一心に見上げている。
「また、その子を見てるのですか?」
すっと奥の襖(ふすま)が開いて、家内が顔を出した。
「ああ──」
俺たち三人──或いはふたりと一匹は、あれから、いっしょに暮らしていた。
485 :
:03/10/31 11:22 ID:dgtv2ovt
『それ』がエディフェルに見えているのは、俺だけらしかった。
家内には、猫──まったくふつうの猫としか見えていない。
村の者もみな同じだった。
きれいでございますねえ。
京(みやこ)からの下(くだ)りものかねえ。
気が強そうだね。
聞けばいろいろと言いはするものの、俺のような特別な反応を見せた者は皆無だった。
(そうか。猫に見えるのか)
ただ、猫が一匹、この小さな村の小さな屋敷に出入りしているだけ……。
だが俺にはとうてい納得はできない。
現にいまでも俺にだけは、こうしてエディフェルに見えたままだ。
しかし、もの狂いと思われるだけかと、そのことには口をつぐんでいる。
つぐんだまま、家に置き続けていた。
だが妻にだけは、あの時口にした言葉を聞かれた。
(姉さんの名前を言ってるのが、聞こえましたけど……?)
暗がりに真っ黒な影、誰かいるのかと思わせられたから、つい口走ってしまった。
すまぬ。
そんなごまかしを口にした。
納得したのか、しないのか、妻は複雑な顔をした。
それに、納得してもしなくても、その名は、妻の顔を複雑にするには充分すぎる。
妻、リネット。
星々を渡って、姉エディフェルとともに、仲間たちとともに、雨月(うづき)の山に降り立った、外(と)つ星の者。
俺の恋うた女、エディフェルを、彼女たち同族が裏切り者として殺し、また、彼女、リネットの一族を、その復讐で俺が、彼女の和議への願いに背いて皆殺しにした。
川のような血と数えるあたわぬ骸(むくろ)の果てに、ただふたり荒野に残され、末(すえ)にはなぜか寄り添っていた俺たち。
尋常な間柄ではない。
口をつぐまねば、忘れねば、いつでもその血と骸がぼろぼろと剥げ落ちてくる、そんなつがいだ。
それでも、誰かと寄り添わねば、その頃の俺たちはもう生きてすらいけなかったのだ。
486 :
:03/10/31 11:24 ID:dgtv2ovt
そんな俺がいまだにエディフェルへの思いを断ち難く持っていることは、家内も知っている。
おそらく家内を一番辛くする事実だろう。
俺は、俺の目にしているものを、言えなかった──
「おいで。おいで」
にぁ〜ん。
声を出すと、エディフェルは喜んで家内のほうに走る。足元にまとわりつく。
餌をやるせいか、それともそれとは無関係にか、エディフェルはよく家内に懐(なつ)いていた。
頭を(俺には、黒髪としか見えないが)なぜてやると、尻尾を振って、もっと、もっととせがむ。
そう。しっぽも生えている。
どうやって出ているのか、黒染めの単(ひとえ)の尻のところから、ふりふりと長いものが。
顎の下をなぜてやると、目を閉じてうっとりと微笑む。
これには、俺も思わず、顔がほころぶ。
正体知れずのものであれ、エディフェルとおなじ顔が、そんなふうに弾けているのだ。
抱き上げてやると、両手を伸ばして家内の肩に掴まり、ちょこんとその片手におさまった。
小さすぎるが、或いは家内に子が授かったらこんな感じだろうか。
「はい」
家内が近づいて来る。
俺は苦笑する。
触らせてくれようというのだ。
俺が手を伸ばすと、エディフェルはあからさまに顔をそむけて逃れようとした。
俺は、嫌がられているのだった。
こうしてもらわないと、いつもするりと逃げられて、触れることも叶わないのだ。
手を伸ばすと、温かい耳を摘まむ。
こりこりとした感触は、たしかに本物の猫のそれだった。
手を下ろすと、柔らかな黒髪の感触が指の間を通る。
それは、かつて毎夜触れたあの感触。
妻を前にしては、少し背徳的な行為に思え、俺は気後れした。
「!」
「あっ!」
びっ、とエディフェルの手が動いて、俺は手の甲に爪痕を付けられていた。
「嫌われてるな」
「まだ慣れてないだけですよ」
そうだろうか。
慣れていないだけか。
それとも……俺だからなのだろうか。
じっと傷痕をみつめながら、俺はやくたいもないことを考えていた。
慣れてくれなくてもいいかもしれない。
最近は、そんなことを思っている。
ふたり、もしくはひとりと一匹が、俺の目の前で毎日睦まじくしているその光景は、俺の中のなにかを綻ばせる。
リネットが膝を折る。
エディフェルがその上に丸くなって寝ている。
耳も寝せ、尾も丸めて、まるで無防備な姿だ。
家内は、その髪や背中を(俺にはそう見える)撫で付けてやっている。
姉妹がいっしょの姿を、かつて、俺は見ていない。
リネットが俺の前に現れたのは、エディフェルの死後。
親子のようなこの姿は、実際の姉妹とはかけ離れているかもしれないが、それでも俺は幸せなものを見ていると思った。
きっとエディフェルもリネットもこうしたかったであろう、姉妹の触れ合い。
幻像ではあろうが。
台所仕事、洗濯、井戸の水汲み。
家内が何事かするたびに、エディフェルは家内を見上げながらその少し後ろを付いて歩く。
「はい、あぁ〜ん」
家内が小鯵(あじ)の日干しを指先につまんで振ると、きゅっと見上げて落下を待つ。
落下中に空中で咥え、ぱくぱくとよく食べる。
エディフェルと同じ顔したものが残飯を食わされるのを見るのは忍びなかったが、幸い家内は俺が言うまでもなく俺たちの食と同じものを与えていた。
家内にしてみれば、家猫を溺愛しているだけのことだろうが。
488 :
:03/10/31 11:27 ID:TxEH9Ubc
ふわっと指先を下ろして日干しを近づけてやると、エディフェルは目の色を変えてちょうだい、ちょうだいとちいさな右手を必死に伸ばして振る。指の先が日干しをかする。
素直に手を下ろしてやり、今度は自分の手からまたぱくりとやるのを微笑んで見守る家内。
そんなつまらない日常の光景を見られることが、俺にはなにより貴重に思えた。
しかし、このような正体も知れないものが、そう長くは日の当たる俺たちの所に留まらないだろうことも、俺はなんとなくわかっていた。
物の怪が、俺の記憶を洗って幻を見せているのか。
俺本人が、とうとうおかしくなって幻を見ているのか。
本物のエディフェルの魂魄(こんぱく)が迷って、猫に降りたのか。
俺にはわからない。
近くの寺の僧に観てもらうという手もあるにはある。
だが、それをいまだにしないのは、やはり、もしそれで僧に祓われてしまったりしたら……という懸念。
つまりは、俺は弱いのだ。
間近のエディフェルの姿を、この儚(はかな)い幸せを、惜しがっている。
なにか裏で禍事(まがごと)がすすんでいるかもしれないのに。
心密かに姉の生き姿を楽しんでいることは、妻への裏切りに他ならないのに。
惜しんでいる。
俺たちはエディフェルのことを名前で呼んではいない。
「あれ」とか、「この子」のままだ。
最初の頃、一度家内が「そういえば、この子の名前はどうしましょう?」と尋ねたこともあった。
だがそれっきり。
俺が猫に何を見ているのか、知らずとも、家内はなにか感じているのだろう。
出会いの最初に俺が発した言葉。飼うことにした俺のこだわり。
俺は常に、つい“エディフェル”と呼んでしまわないよう、気を配っている。
穏やかに見えて、聡(さと)い家内のこと、俺の努力など、とっくに勘付かれていそうなものだ。
そうして、猫のエディフェルは名無しのまま、時を過ごしている。
ある日、ぎゃぁぎゃぁと騒ぐ声が聞こえた。
「どうした」
覗きに行ってみると、エディフェルがばんざいの格好で家内に羽交い締めにされている。
エディフェルの顔には、いくつも真新しい小さな傷が走っていた。
見ると、腕にも。足にも。
「寅とやりあったの。あーんな、おっきな……。この村の猫の大将なのにね。コラ、おとなしくなさい! いま、お薬を塗ってあげるから!」
散歩中、喧嘩に開けて、慌てて屋敷に逃げ戻って来たらしい。
俺はぷっと吹いた。
在りし日のエディフェルの戦ぶり──それは総毛立つようなものだ。
何十年と鍛え上げてきた岩のような身体の侍たちを、あの細い腕が草でも切るように他愛なく絶命させてゆく。その指一本が、業物の銘刀より楽に人を殺してのける死の先遣(や)りだ。何十という命が、彼女の一撫でで失われた。
それに比べて、このエディフェルの戦ぶりは、なんとも平和なものだ。
同じかたちをしていながら、甦ったら猫にも負けるというのが、おかしい。俺にとっては、可愛らしくて、たまらない。
「もう! おかしくないですよ」
暴れるエディフェルと格闘している家内は困り顔だ。
「待て。押さえておけ、俺がいま軟膏を塗ってやる」
おなじものを挟んでいても、俺と家内は、見ているものが違う。感じることも違う。
そうだ。妻は、知らないのだ。
笑いはしだいしだいに引いていった。
ばんざいに押さえつけられたまま、俺の指が傷口に冷えた薬を塗りつけるのを、エディフェルはもがいて嫌がった。
刺激が辛いのか、頭の上の耳が、のびたり、倒れたりを繰り返していた。
「おう。ただいま戻った」
家に入ると、あの最初の日の土間に、エディフェルがしゃがみ込んでいた。
日中は日が当たるそこはぬくく、彼女の好む昼寝場所のひとつのようだった。
俺はそっと手を伸ばした。
無駄だとわかっているのに、いつの日か家内のようにゆるりと触らせてくれるのではないかと、いつも繰り返す仕草だ。
だが、今日は違った。
俺の手は、エディフェルの髪の毛に触れていた。
向こうは、気付いていないわけではない。
エディフェルは、俺のほうをじっと見上げている。
490 :
:03/10/31 11:30 ID:TxEH9Ubc
俺の目を、じっとみつめている。
「今日は、触らせてくれるのか。姫様」
伸ばした手で、なでる。なでる。
エディフェルは、怒らなかった。避けなかった。
さらに、なでる。
ぬ〜〜…と小さく声。
それも気分が悪そうではない。
やがて、エディフェルは身を起こした。
「…………」
俺の手に、自ら近づくと、額や頭を擦りつけはじめた。
温かい。
そして毛の感触が、さらさらと心地よい。
向こうも気持ち良さそうだった。目を細めて俺の手に自らを擦り付けてくる。
エディフェルは、みずから俺との接触を求めていた。
「おまえ……」
俺はいつになくときめいていた。
調子にのって喉に手を回し、こすってやると、気持ちよさそうに首をゆっくりと振る。
エディフェルの喉は温かい絹のような触り心地だった。
俺はそのままこすり続けた。
幾時も。
幾時も。
現れてから後の、これまでを取り戻すために。
脇の下に手を回し、持ち上げた。脇の下も温かかった。
軽い重みが俺の胸から肩にかかり、一帯にそのぬくもりが染み込む。
それが、向こうから俺にひし、と抱き着いている。
気持ちいいのか、興奮したのか、エディフェルの頬も桃色に染まっていた。
俺は、静かに感動していた。
「とうとう、慣れてくれましたね」
家内が玄関まで出て来ていた。
「驚いている」
「ふふ……」
「ふふ……」
家内が、エディフェルの鼻先をつついた。
「この子だって、あなたが好きなんですよ」
俺は、どきりとした。
エディフェルは俺にも甘えてくれるようになった。
一時、そういうことはないのだろうとあきらめていただけに、驚きでもあり、また嬉しかった。
俺の足にじゃれつき、俺の手の動きを追って遊び、寝そべっている俺の背中に乗って、そこで寝付いた。
俺が背中で感じる感触は、その小さな手も、足も、まるで人間のそれだった。
そう、俺にとっては猫ではない。
仰向けになって正面から胸に抱え込んだりすると、少し危うい。
あの焦がれるほど愛した女を、唇を頬を不思議な目を、間近で正面からみつめることになる。
体温をまるごと胸に抱きとめることになる。
妻が繕いものをしている横で、過去の女と抱き合っているのだ。この行い、許されざるや。
向こうはしかし、知ったことではない。飽きたと見えて、あくびをしてにゃぁ、と鳴く。
俺のほうも、かつての滾(たぎ)るような貪りへの欲求は、湧いてこないのが幸いだった。
あまりにも小さすぎ、幼すぎるからだろうか。
保護欲から生じるもの、それしか覚えない。
かつてあれほど愛した人、二度とは会えぬ別れにはらわた引き千切られる思いだった人が、同じ姿で目の前で毎日を暮らしている。抱くことも、体温を感じることもできる。
492 :
:03/10/31 11:33 ID:TxEH9Ubc
家内は、喜んでいる。素直に喜んでいる。
俺が家内の傷と痛みを知るように、家内も俺の傷と痛みを常に慮(おもんばか)っている。
新しい家族ができて、俺が癒されてくれるなら……そう思っているらしい。
ふたりだけで傷口を癒し合って生きてゆくつもりが、思わぬ珍客の乱入があり……俺たちの喜びは、俺たちの感情は、確実に豊かになっていった。
夜になると、俺たちは三人で川の字になって寝る。
俺たちの間に、布団から小さなエディフェルが首をひょこんと出している。
夜までどこか外に遊びに出掛けていても、そのうち必ずふらりと帰って来て、布団に入り込んで来るのだ。
ふたりでやすらかな小さな寝顔を見守るのが、楽しかった。
俺は、彼女はそのうち消えてしまうのだろうと思っていた。うたかたのものなのだろうと。しかし、いまは考え方が変わった。
このまま何年も何年もいっしょに居、俺たちに子供が出来て、年老いて、その時間を皆でずっと家族として過ごせばいい。
そういうことができるような気に、変わっていた。
その日は、庭の楓が、すべての葉を燃えるような紅に染め、斜めから差す夕日を浴びて、さんざめいていた。
その日のエディフェルは、縁側にいた。
「ここにいたか」
声を掛けた。
いつもなら振りかえってとと……と走り寄ってくる。
──が、この日は動かない。
なぜか、振り向きもしなかった。
しかたなく、俺のほうから近寄っていった。
足の間にその小さな身体を挟んで、座った。
座り込み、細く白い手をついて、エディフェルは、一心に前をみつめていた。
「なにを見ている?」
にゃあとしか返ってこないのを知っていて聞いてみる。
答えはなかった。
なでてやる。
温かかった。
温かかったが、それでも、エディフェルは微動だにしなかった。
「…………」
風が吹く。
はらはらはらと楓の葉が散る。
まぶしいほどの秋の西日に包まれながら、エディフェルは沈黙を守った。
風が吹く。
ざあ……と音がして、今度は雪のように多くの葉が落ちる。
燃えるようだった。
燃えるような紅が、さらに強い西日を受けて、まるで木一本で周囲すべてを紅に染めているような錯覚をおぼえる。
それほど鮮やかな葉、または葉が。
俺たちの目の前で、次から次へと散り落ちてゆく。
エディフェルは、ただじっとその光景をみつめていた。
その日は、庭の楓が、すべての葉を燃えるような紅に染め、斜めから差す夕日を浴びて、さんざめいていた。
「あの子が……!」
家内のひどく狼狽した声に起こされた。
「あの子がいないの」
被っていた布団を起こしてみると、たしかに布団の中にはいなかった。
「昨日の明け前にもう、布団から出ていって、そのあとまる一日ご飯も食べに戻って来なくて……」
そして、昨夜は布団にも戻って来なかった。
たしかに、そんなことは初めてだった。
「私、探して来ます!」
泣きださんばかりの必死な顔で、家内は駆け出していた。
俺も、いっぺんに眠気が覚めた。
ふたりで手分けして、近所中と家中の、あいつが寄り付きそうなところを探した。
土間、炊事場、屋根裏、屋根の上、水車小屋、お堂、立ち木の上。
家も一軒一軒訪ね歩いた。
昨日のあいつの姿は、誰も見ていなかった。
なんの前ぶれもなかった。
もう会えないのか。
なにか納得するような思いと、とても承服できない思いが、同時に身を貫いた。震えが、来た。
駆け回り、走り回って気が付くと、いつの間にか家内の姿も見失っていたことに気が付いた。
「リネット! リネット!」
裏の雨戸を開けると、裏庭に肩を震わせながら家内がうずくまっていた。
激しく、嘔吐していた。
それ以来、エディフェルは二度と俺たちの前に姿を見せなかった。
リネットは、俺の子を孕んでいた。
それから三つの季節が過ぎる頃には、俺たちの痛みも、多少は癒えた。
そして、家内は俺たちの一粒種を産んでくれた。
まるまると太った赤子だった。
殺しの過去と、人の死の記憶しか手の中に残っていなかった俺たちの間に、新しい命が宿り、生まれ落ちた。
俺は、泣いた。家内も、泣いた。
ぷくぷくと脹らんだ頬は血色よく赤く、その肌は汗で湿り、体温は、触ると熱いほどだ。
指を伸ばすと、小さな手の中に掴み、ぎゅっと強く強く握り緊めて放さない。
頑丈な、生命力の塊のようだ。
昼夜なく激しく泣き、よく乳を飲み、よく眠り、くしゃみをして、熱も出した。
戦場(いくさば)のような毎日。
追い立てられるような、疲労と、焦りと、動揺と、生命力に満ちた、幸福の日々。
俺も家内も、新しい活力と感情に満ちていた。
ふたりの過去の傷に裾を引かれたまま過ごしてはいられなかった。
俺たちが一刻でも目を離したら生きてゆかれないかもしれない生き物が、家に住んでいるのだ。
あのうたたかの喜びと記憶を残してくれた猫のエディフェルのことを、いまでも、毎日考えている。
あれがなんだったのか、結局俺にはわからず終いだった。
家内にも結局話していない。
命の塊のような生き物と入れ替わるように姿を消した、死せる姿と思い出の顔を持った幽(かすか)な存在。
俺たちになにかを与えるために現れたのか。
なにかを悟って姿を消したのか。
ただ、最後にふたりでともに縁側で過ごした時間だけが、俺の頭の中に何度も何度も甦るばかりだった……
青々とした葉を付け、けして盛りの季節などではないのだが──
俺は生まれた赤子に、楓と、名を付けた。
>>482-499 「楓」でした。
レス間、行開けなし(投稿のまんま)で収録お願いします。
気合の入った待たせ方をしてごめんなさい……ううう
では投下します。
天使のいない12月でタイトルは「迷走」
10レス予定です。
502 :
迷走 1:03/10/31 11:46 ID:IyH59XXV
功は強烈な“クリスマスでセックス願望”を断念した。
今後は真帆ちゃんから飢えて体を開くのを待つ事したらしい。
奴曰く、兵糧攻めだそうだ。
この場合は篭城するのが真帆ちゃん。
周りを取り囲むのが功と言ったところか。
しかし、奴は自信満々にこの作戦を俺に打ち明けたが、聞いた時点で功軍の全面敗北が
目に浮かんだ。
だいたい、兵糧が少ないほうが兵糧攻めをしてどうするのだろうか。
で、こんな話はどうでもいい。
問題はその作戦を聞かされた後だった。
「お前と栗原はいいよな。好きな時にセックスし放題だし」
功はそんなことを言ってきた。
その言葉に奴なりの嫉妬成分が混入されているのが容易に読み取れたので、少しカウンター
を食らわしてみようという気になってしまう。
「ああ、羨ましいか? 永久童貞」
驚きのあまり、功は口をOの字にして体が麻痺したように突っ立った。その表情は良くテレビ
の中のお笑い芸人がやるようなもので、通常時には笑いの種となっただろう。
「…ずいぶんと余裕ブッコいてるな、木田」
「悔しかったら、さっさと卒業しろ。兵糧攻めで」
功の口がまたOになった。
しかし今度はやや楕円形だ。
正直、おもしろい。
「…ま、その余裕もあと少しで終わると思えば腹も立たないさ」
「どういうことだ?」
どうせ、やぶれかぶれの反撃だと思っていた。
「セックスだけの関係なんてどっちかが飽きればオシマイだからさ。賞味期限切れは近いぜ」
――――この一言が原因で、俺は迷走することになった。
503 :
迷走 2:03/10/31 11:46 ID:IyH59XXV
家のベットで寝ながら俺は考えた。
栗原との関係はなあなあでここまで来た。
未だに榊にも気づかれていない。
(うすうす感づかれている気配はしているが)
エミ公や真帆ちゃんには口止めを頼んでいる。
(代わりに栗原の事を彼女だと誤認識されているが)
そして、お互いの間にあるものがセックスしかない。
結局、セックスが無くなったらお終い。
確かに功の言うとおり、賞味期限は刻一刻と近づいているのかもしれない。
―――もしかして、俺は栗原との別れを恐れているのか?
あまりの下らない結論に顔をしかめて手で覆った。
ただセックスする相手がいなくなって困るだけだ。
栗原の“体”は意外と良質。
いまさら、エロ本片手にオナニー生活に戻るなんて萎える。
そう、別れることが怖いんじゃない。
性処理に困ることに悩んでいるだけなのだ。
だから、別れたくない。
だから、離れたくな……
あれ?
504 :
迷走 3:03/10/31 11:47 ID:IyH59XXV
「アウ!」
急に声が聞こえてきて、寝ている体勢のまま凍りついた。
あわてて声のしたほうに振り返る。
「なんだお前か…」
それは栗原から預かった犬。通称“ポイ”だった。
最近はエミ公の寵愛を一身に受け、そにのせいで俺は世話どころか会うことさえ
激減していた。
久しぶりということもあり、俺は毛むくじゃらの体を抱き上げた。
これが毎日世話していたら、このような気持ちにはならなかっただろう。
俺がもし毎日世話をしていたら、
育児に疲れた母親が子供をうっとおしく思うのと同じ感覚が生まれているだろう。
そこでふと気がついた。
こいつは栗原とのセックス以外での唯一の結びつきという事実にだ。
色々と金を出させたとはいえ、これは大きな貸しの一つだ。
こいつを上手く利用すれば、栗原の肉体をまだまだ貪れる。
「ただ飯食わせてやってんだ。働いてもらうぞ」
「アウ!」
505 :
迷走 4:03/10/31 11:48 ID:IyH59XXV
「え、え。え?」
「で、今日来れるか?」
翌日の昼休みの屋上で、俺は早速本題を切り出した。
案の定、答えはすぐには返ってこない。
『言ってることがわからないよぉ』を顔全体で表して、
何時までたっても進展しない。
いつものパターンなら俺が怒り出すところだが、
今日は辛抱強く我慢する。
何せ栗原を来賓として迎え入れようとしているのだ。
ここで切れては最初からブチ壊しだ。
「無理にとは言わないが。せっかくだし来ないか?」
返答に困る栗原に優しく助け舟を出してあげる。
「で、でもわるいよ。私なんかがお邪魔したら迷惑かけるだろうし…」
「馬鹿、そんなこと気にしなくていいんだ」
最後の一押しとして、自分でも気味が悪いほどの笑顔で、これまた優しく告げる。
決まった。
俺の作戦ではこの後は恥ずかしながら“う、うん。じゃあ…”と顔を真っ赤にしながら
頷くはずだ。
笑顔(もうすぐ限界)を持続させながら栗原の陥落宣言をじっと待つ。
「き、木田くん…」
「ん。どうした?」
もちろん笑顔で返す(ほぼ限界)
「あ、ありがとう。 ふえぇぇ…」
は? ありがとう?
506 :
迷走 5:03/10/31 11:49 ID:IyH59XXV
「つか、何泣いてるんだよ。トン子!」
栗原は顔を真っ赤にはしていたが、目から涙が滝のように流れ落ちていた。
「あ、あたししーちゃん以外の人から家に遊びに誘われるの初めてなの…」
背筋が震えた。
そこまで酷かったとは完全に予想できなかったから。
「俺の家にはセックスしに何回か来てるだろ。なんで今になって泣くんだよ」
すぐさま俺は反論した。
笑顔はそのままだったが、それは作戦のためではない。
表情が変えられなかったのだ。
「だ、だってぇ…木田くんから『セックス抜きで家に遊びにこないか?』って
はっきり言われるのは初めてだったから」
今度は体全体が震えた。
やめろ栗原。
それ以上感謝の言葉を述べるな。
俺はただお前を維持しておこうと思ったから、こんなこと言ったんだ。
家に来たお前にポイを抱かせてやって、
恩を売ると同時に『ポイと会いたいなら俺と付き合う必要性がある』ことを遠まわしに
確認させようと企んでたんだ。
だからやめ
「ありがとうぉ…」
507 :
迷走 6:03/10/31 11:53 ID:IyH59XXV
二人で家に帰ると、待っていたのはエミ公のにやけた面だった。
この妹は俺が早く消え去ることを心から祈ってるだろうが、栗原に対しては何故か
好意を持っていた。
「こんな馬鹿兄ぃだけど、見捨てないでくださいね。先輩」
挙句の果てにはこんなことを言い放ちやがった。
とてもウザかったので、デコピンを放ち退散させた。
本音としては、さっきの出来事で頭が落ち着かなくて、
とてもじゃないがエミ公の相手をしていられなかった。
栗原をさっさと部屋に連れ込むと、ポイを押し付けるように抱かせた。
「ほら、トン子。ポイだぞ。だからさっさと抱け!」
「…わあ」
嬉しそうに抱きかかえる栗原。
もはや、当初の計画は大幅に狂っていた。
あの『ありがとうぉ…』が俺を蝕む。
あの『ありがとうぉ…』が俺に罪悪感を植えつける。
いくら振り払っても振り払ってもそれは消えない。
胃がムカムカする。
胸が締め付けられる。
栗原とポイは楽しそうにじゃれあい、『楽しいよ?』と確認する風に俺に微笑む。
お前らは同レベルか。
と皮肉を言いたくなっても、先の言葉がそれを押しつぶす。
――――頼むから、そんな信頼しないでくれ。
508 :
迷走 7 :03/10/31 11:54 ID:IyH59XXV
それからあと、俺は現実から逃げたのか、眠ったのかわからない状態になった。
うとうと、うとうと、眠ったかと思うと、はっと目が覚めて、また目を閉じることを繰り返した。
その間、栗原はずっとポイを抱いていたと思う。
何が楽しいのかわからない。
その一人と一匹の幸せそうな笑顔を見ていると、
どうしようもないほど顔が崩れてしまうのであった。
そして、そんな自分がたまらないほど嫌だった。
はっとして、今までよりずっと目が覚めた時にも栗原は子犬を抱いていた。
飽きもせず、体勢はほとんど変わっていない。
しかし、なにか様子が変わっていることに気づいた。
何が違うのか。
判明するのにちょっと時間がかかった。
表情が変わっていた。
また、泣いているのだ。
509 :
迷走 8:03/10/31 11:55 ID:IyH59XXV
眠気も覚めて、すぐさまに栗原の元へと駆け寄った。
そしてわき目も振らず、顔や手に傷はないか確かめた。
最初は噛み付かれたり、ひっかかれたりしたのかと思ったからだ。
それにしては傷を付けられた感じはしない。
「おい、どうしたんだよ、トン子!」
肩を掴んで必死に問いかけるが返事は来ない。
逆にポイのほうが驚いてしまった。
別に怪我もしていないようだし、大げさに騒ぐことでもないのに、
俺は焦っていた。
体を汗が玉となってころがり、すべり落ちているのがわかる。
「…うぅぅぅ」
まったく泣き止む気配は見せない。
「何があったんだ。話せよトン子!」
そこで一つの可能性に俺は気づいた。
「そうか服の中に怪我があるんだな!」
後に思えば、こんな結論を出す時点で俺は相当混乱していた。
だから、次のような行動をしてしまったのだ。
俺は栗原の制服を掴むと一気に引き裂いた。
「おらぁ!」
それと同時にドアが開いた。
「お兄ぃ。何があったの!?」
510 :
迷走 9 :03/10/31 11:58 ID:IyH59XXV
妹は強かった。
「エミ公。何を誤解しているか知らないが」
言葉はそこで途切れた。
勢いよく繰り出されたこぶしが俺ののど仏にあたった。
呼吸困難になる俺。
栗原が止めてくれなかったら次のパンチで確実にKOされていただろう。
それから一時間後。
まだ怪しむエミ公を部屋に無理やり帰して、俺と栗原は対面していた。
栗原の姿は制服を引き裂かれたために、毛布を包んでいた。
ポイがその横に付き添う。
エミ公が疑うのも無理はなかったかもしれなかった。
「で、トン子。なんで泣いてたんだ?」
喉をさすりながら、俺は言った。
声を出すと少し痛い。
「俺も悪かったけど、教えてくれてもいいだろ」
ああ、今日は大失敗だったな。
どうしようもない気分になり天井を仰ごうとした。
「ごめんね…」
その時、やっと返答が来た。
「謝られても困る。俺は理由は聞いているんだ」
「だって…木田君が優しすぎるんだもん」
耳を疑った。
そもそも理由になっていない。
「…私セックスしか出来ないのに。相手してくれてるだけも嬉しいのに」
口を挟もうとする。
反論しようとする。
でもその隙を与えてくれない。
「それでポイまで抱かせてくれるんだもん。幸せそうに見てくれてるんだもん」
違う、俺はお前をセックスの道具にしか見てない。
ポイもそのための交渉道具の一つだ。
「心配までしてくれるんだもん…うれしかったよぉ…」
否定しなければいけない。
ここで真実を告げなければ。
真実って?
本当にお前は栗原透子のことをセックスの道具にしか見てないのか?
自分の中から声がする。
でも、口に出せない。
言葉に出せない。
自分の本音を自分が邪魔する。
気が付けばポイが足元に居た。
顔面蒼白の俺を心配したのだろうか、不安そうな面持ちをしている。
栗原を慰めたあと、俺を慰める。
ああ、お前はいいなあ。
全ての人にまんべんなく愛情を注げて。
俺にはとても出来ない。
人一人にさえ、出来ない。
結局、俺は動物以下なんだ。
だから、動物以下の謝罪をしよう。
俺は、泣いている栗原の前にしゃがみこむと、力一杯強く抱いた。
そして
「ごめん」
卑怯だけど、これしかいえない。
投下終了しました。
延長ありがとうございました。
【告知】
ただ今をもって、投稿期間を終了させていただきます。
参加された書き手の皆様、どうもご苦労さまでした。
それでは、これから感想期間に入ります。
投稿された SS について感想、討論などをご自由に行ってください。
期限は 11 月 7 日の午前 10:00 までとさせていただきます。
以下が、今回投稿された作品一覧です。
>353 毛玉の神秘(AIR)
>355-367 式神の白(AIR)
>371-380 Many happy returns(To Heart)
>385-405 Nine Cats(ONE)
>408-415 ねこねこマーチ猫の街(まじかるアンティークとか)
>416-418 無題(ナイト雀鬼)
>430-459 Self High Five!(WHITE ALBUM)
>462-463 かのねこ(Kanon)
>466-474 さかり(痕)
>482-499 楓(痕)
>502-511 迷走(天使のいない12月)
なお、今回投稿された作品一覧は
http://sscompe.tripod.co.jp/ (転送アドレス)
からでも見ることができる予定です。なるべく早く。
乙〜。
タイトルを見る限りでは、ネコが多いようで。
あれ……? 琴音ちゃんがイルカと(;´Д`)ハァハァ、は? (´・ω・`)
琴音「ハァハァ」
イルカ「キュー」
正式な投稿作ではないのかもしれんが、正直なところ
>>333 が一番面白かった。
次点で Self High Five! はるか&コウモリ萌え。
それにしても猫が多すぎ。食傷。
妖狐(Kanon)とか、ムックル&ガチャタラ(うたわれ)とか、みゅー(ONE)とか、
ハムスター(ToHeart)とか、動物は他にもいろいろあったはずなんだけどな。
まあ、出番多い&ネタにしやすいナンバーワンはやはり猫だったってことだろう。
全体的な感想として、確かに動物は出てきたが、結局話のメインは人間同士の会話(交流)ってのが多かった気がする。
動物でうまく話をまとめるのは確かに難しそうだが、人間と動物の触れ合いがメインのSSをもう少し多く読んでみたかったな。
今回、初音たんと犬の獣姦ものを書く予定だったが、時間切れで書けなかった。
無念。
貴様ッ、獣姦モノに期待して票を投じたんだぞッ!
責任とってどこかでうぷしる!
…まあ直前の予想を裏切って、(実質)前回以上の投稿があったのは喜ばしい限り。
珍しい原作のSSもあるしね。コンペ的には成功の部類に入るかと。
天いなは初登場だな。
めんてしておくか
「迷走」いいな。なんか切なくなった。
これしかまだ読んでないけど。
感想が極端に少ないので個人的感想を少し。
個人的お気に入りは「ねこねこマーチ猫の街」。
とくに内容に起伏の無いほのぼのSSだが、そのほのぼの感と、猫を通しての意外な
クロスオーバー、そして何よりタイトルのつけ方のセンスがいいと思った。
テーマ「動物」を最大限に生かしているという意味では、「楓」もなかなか。
他のSSが、あくまで人間関係が重視されている(柳也と裏葉、浩之とマルチ、冬弥とはるか、木田と透子など)
のに対し、この作品はしっかりと人間と動物の交流を深く書けている。
最後、1レスに一行しか書かないのは演出上のことだろうが、そこはやりすぎのような気がしないでもないが。
アイデアならば「式神の白」か。
ポテト=裏葉の式神という設定は始めて見た。が、これならポテトが
川に流されようが星になろうがすぐに帰ってこれる不可思議さにも納得がいくし、ポテトが往人や佳乃、みちるの前や神尾家の庭に
現れる理由にも納得がいく。(ポテトは原作では美凪の前には出てこなかったはずだし)
とはいえ、タイトルや途中の展開でそのオチは読める。もう一工夫欲しい。
ところで、いつも全体の感想を書いてくれている方々はどうされたんだろう?
感想をつけられないほどのコンペではなかったはずだが…。
最悪の全体感想無しで終わるかも……
うぐぅ。まだ1つも読めてないよ・・・
普段はROMですが異常事態につき緊急参戦です。
的外れな感想があったらすみません。
式神の白
安定した文章力です。
式神を作る過程も雰囲気が出ていて○。
ただ作品の起伏が乏しかったのが残念。
Many happy returns
まず、エネルギー切れを疑えよ浩之w
会話のやりとりは上手いのですが、ラストが唐突です。
テーマも「動物」より「死」という感じがしました。
Nine Cats
シリアスとギャグが悪い意味で打ち消しあってます。
みさき先輩や茜のパートでは「これは笑ってはいけないSS?」
と戸惑うこともありました。
ONEキャラ全員を出した手法は評価できるので、
次回はジャンルを一本化したほうが良いかと。
ねこねこマーチ猫の街
まず、タイトルに1ポイント。
葉鍵の猫キャラ大集合ですが物語は破綻してなく、作中の雰囲気もほんわかしてます。
特に批判すべき点はないです。
Self High Five!
面白かったです。
はるか&コウモリが良い味を出していましたし、文章や構成も良い。
会話文が多いのが気になりましたが、逆にそれがはるかのキャラにあってる気がしました。
それに会話文のテンポも良かったですし。
残念に思ったところは冬弥の苦悩が伝わりにくかったことです。
かのねこ
甘々ですね〜
さかり
悪くないと思います。
ただ、耕一に恋焦がれる楓と楓&猫は頻出ですので、
その頻出感を打ち消すしかけが一つほしかったところ。
楓
タイトルがちょっとストレートすぎますw
動物というテーマにもっとも取り組んだ作品だと思います。
しかし、一レスに一文という手法もありですが、二回以上使うのは逆効果です。
そのため見せ場が分散されてしまった感じです。
迷走
読み終わった後寂しい気分になり、木田の焦りと最後の二行に共感しました。
共感したら駄目人間なんでしょうけどw
もし、ラストで透子に「好きだ」なりハッピーエンドにしてたら評価は急落したと思います。
ただ、動物をもうちょっと前面に出したほうが良かった気がします。
個人的最優秀は感情移入できた「迷走」
優秀作に「式神の白」、「ねこねこマーチ猫の街」、「Self High Five!」
を推薦して終わります。
>333
笑ったけれど……。
これ、キャラが違ってるんじゃない?
>353 「毛玉の神秘」
最高がどう大変なのか、とんと分からないのはともかくとしても、
>男の妄想の集合体
そんなのはいやだぁ(w。本日のトラウマ賞を進呈したくなっちゃう。
>416-418 無題
雀鬼のキャラは、ほとんど忘却の彼方に去っていたこともあって、懐かしく読めた。
このオチのまま、前の話(ねこねこマーチ)に繋がりそうだね(w。
細かいことを言えば、ルミラが千鶴になってるような気がする。するだけかも知れないけれど。
>462-463 「かのねこ」
非常にありそうな話で(・∀・)イイ!!
本来なら甘ったるいノロケ話であるところ、美汐のキャラにかかれば、ほどよく渋みが効いて美味。
ただ、猫、猫と無機質に乱発するのは良くないと思う。
テーマとの関連を意識した結果かもしれないけれど、愛情のかけらも伝わってこないゾ。
>355-367 「式神の白」
え〜と、
>子が大きくなって旅をいたす際は心強い友となりましょう
大嘘でしょ(w。
私は前向きな話が好きなので、とても気持ちよく読めた。
キャラ描写もバッチリ。裏葉だけでなく、柳也もポテトも、そのほかみんながみんな、
それらしく書けているのは素晴らしいと思う。
いっぽう、ネタとしては強引さが目立っちゃうね。生まれ変わりを探す仕事を、動物の鼻に期待するなんて、もう無茶苦茶というか開き直ってるというか。
柳也もそこくらいは突っ込めよ、と。
ただ、そんな状況であっても、強引さをなるたけ感じさせないよう、がんばって説明してくれた裏葉さんには拍手を送りたい。
とはいえ、たった一人の視点に基づく説明が持ちうる説得力に、一定の限界があったのは事実で。
欲を言うなら、柳也には、聞き役ではなくて、説明の補強役を担って欲しかったと思う。
あと、地の文だけど、どうも私には読みづらくて仕方がなかった。
一文に修飾語を詰め込みすぎではないかな?
いや、私が人のこと言えないのは良く分かっているんだけど。感覚として。
他の部分が上手いだけに……ね。
で、最後に、しつもーん。
この設定でAIR編終わったあと(往人と観鈴がいなくなったあと)、ポテトはどうなるのでしょうか。
役目を果たしたら、消えちゃったりするのかな?
気になって、今夜はこれ以上感想が書けないよ。
>353 毛玉の神秘
なんだかよく分かりません。
>355-367 式神の白
状況の描写が丁寧なので話が掴みやすい。しかし大部分が術の説明と儀式に
費やされていて構成のバランスがあまり良くない。現代のパートについても
それなりのストーリーが要求されるところではないかな。
>371-380 Many happy returns
浩之の思考がそのまま文章になった感じで若干読みにくい。この手の
話は浩之がメイドロボに関してどこまで知っているのかくどいくらい説明
しないと、「あれ、浩之こんなこと知らないの?」ということになる。
オチの生かし方に再考の余地ありじゃないですかね。
>385-405 Nine Cats
ONEのアフターストーリーとしての側面はあるものの、レズだったり
暴走していたりで困惑気味。このスレに出てるONE作品は概ねそうなんだけど、
七瀬弄りは熟練している。展開もスピーディでギャグとしては結構面白い作品。
>408-415 ねこねこマーチ猫の街
猫好きが集まってくるという、クロスオーバー的着想はお見事。しかしその話
の性質から、どうにも話が纏まらないのが痛いところ。作品全体に流れる雰囲気は
ほのぼのとしていて好きなんだけどねぇ……。
>416-418 無題
阿鼻叫喚の地獄絵図……。
>430-459 Self High Five!
>はるかと最近すれ違っていたのはきっと、あいつがあのコウモリを世話していたからだろう。
もっと早く気がつくだろ冬弥w
>全く別のコウモリがまたこっちに紛れ込んできただけだったのかもしれない。
この期に及んで別の蝙蝠だったら台無しです。
はるかエンド後のアフターストーリーなわけだが、登場人物の描写が生き生きとしていて
とても良い。ただ、この作品に限ったことではないが、原作と二次創作とでははるかの性格に
違いがあるような気もしないではないが……(有体にいうと、SSでははるかに変人ブースト
がかかっている事が多いw)。蝙蝠がどっちつかずの冬弥のメタファーでもあると共に、はるか
の今後を占う見立てとしているというプロットに非凡なセンスを感じる。欠点を挙げるとすれば
プロットに比して分量が長すぎ。
>462-463 かのねこ
はたから見たら叩いてやりたいくらい熱いカップルですね。
>466-474 さかり
涙に暮れる楓というのは初めて見る性格設定だなぁ……。読んでるこちら側としては、
どうせ冬になれば会えるという事もあり、あくまで他人事マインドだったので物語に入り
込めなかった。問題設定がもう少し切実だったら……と思う。
>482-499 楓
エディフェルの幻覚がでてきた段階で、狂気を孕んだ展開を予想していたのだが、
綺麗に終わって一安心。結局幻覚の理由が分からないのはしっくり来ないものの、
文章も構成も手堅く、読み応えのある作品となっている。次郎衛門が何の仕事をしてる
のかは謎だが(戦が無いから暇なのかな?)。
>502-511 迷走
天いなやってないけど、良いものを読ませて頂きました。こういう言い方は嫌いだけど、
人間の普遍的な心の動きを上手く捉えているというか。ペットの動物に加えて、人間が動物
みたいな描かれ方をしていてテーマ的にグッド。
今回は幾つか興味深い構成の作品が集まったように思います。反面、文章があまり緻密
でない印象も受けましたが……。Kanonコンペと重なったのが痛いですね。
第一位 Self High Five!
第二位 楓
第三位 迷走
第三位 ねこねこマーチ猫の街
それではまた次回。
目に付いたものを少し。
>毛玉の神秘
わけわからん。率直ですまんが。何となく『マサルさん』のアレに似てる気もするが……。
七瀬がどうしてポテトを嫌いなのかもわからない。
ふーむ、まんま毛嫌いか?
>式神の白
はくか。素直にしろかと思っていたので騙されたかな?
方術は陰陽の流れだったかもしれないのではくの方がらしいね。でも、しろがいいけど(w
文章技術は安心して読める。でも、裏葉の一人称の方がオレ的には良かったかな。
さて、我侭はこれくらいにしまして、話の方は――よく書いてくれました! こういうAir作品、否summer作品が意外と少なくて。
ポテトはAirの最後よりも謎。謎の存在だ。流石は裏庭の主、観鈴をしっかりあの町で守ってくれていたのか。
疑問の解消もほどよくて。良質の作品をありがとうございました。
>ねこねこマーチ猫の街
作品にあるもをよく活用している。クロスオーバーもそう。kanonとoneのクロスよりもある意味しっくり着ます。
ただ、娯楽性としてはどうでしょうか。娯楽的ssの作りなのに動物の面白さが無いのは残念の一言です。
物語は継続中のもの。結果報告ではいささか起伏にかけます。
タイトルの付け方と最後のシメは素敵です。あと文章能力はかなり高いと思います。
>迷走
……うーん、難しい。悪くはないんだけど……。
多分、失礼を承知の上で言いますが、作者さん自身が『天使のいない12月』を把握し切れてない印象を受けました。
この話は、透子のbadendの話を前提にしていると思いますが……。
どうにも『天いな』の虚無感が漂って来ないです。
では、感想は以上です。珍しい作品群を抜粋してみましたが、雀鬼は流石に未プレイでした。
Kanonコンペの重複でこの時期のkanon-ss-は少ないみたいですね。まあ、それは仕方ないけど感想人もかけもち多そうだ。
交流板を見るとまこみし感想隊のような書き手さんもあちらに居るような……。
いや、あれどう見てもまこみし乾燥帯……もとい、感想隊。
みなさん、今夜いっぱいですよー。
感想数少ないと、自演もやりにくくて( ´Д⊂ヽ
とりあえず3つ書きます。
>371-380 「Many happy returns」
読みづらーい!
改行の基準を揃えるとか、話の切れ目では空行を入れるとか、それ以前に、せめて句読点くらいまともに打ちましょうよ。
整形しだいで印象も変わってくるはず。
シリアスと見せかけてギャグに落とす展開は、全く読めなかった。ヤラレました……。
マルチのおトボケネタも、彼女らしくてイイと思う。
が、肝心の浩之が壊滅的。物語の牽引役でありながら、その言動はいきあたりばったり、テメェには思考力がないのかっ!と問い詰めたいこと小一時間。
彼の思考回路を、もう少し丁寧に追う必要があったと思われます。
今のままでは共感のかけらも持ち得ない。
>385-405 「Nine Cats」
百合キタY⌒Y⌒(゚∀゚)牛乳キタY⌒Y⌒(。A。)寸止エロキタY⌒Y⌒(゚∀゚)━━!!
ONEは未プレイだけど、そんなことも忘れてしまうくらいに面白かった。
この作者さんの電波は、波長があうようだ。
浩平自身もいい味を出してるし、出てくるキャラがそれぞれにかわいいのは、筆力のなせる技かと思う。
その上で、いたる絵に毒されていない女の子を想像できるのは、未プレイ者の特権(w。
本編の重いシナリオに縛られず、キャラだけを楽しめるのも、未プレイ者の特権(w。
>408-414 「ねこねこマーチ猫の街」
>あなたも一度、来てみませんか
それだけは嫌です(w。
私は猫アレルギーなのよ。
10人いたら10人が誉めそうなタイトルだね。グッド。
内容は、葉鍵の猫キャラ総出演? 天使のやつがいないか。
テーマとタイトルに違わぬ内容で、安心して読めた。
クロスを重ねた結果、まじアン勢の印象が薄くなってるのが、惜しいと言えば惜しい。
本編未プレイの私でも引っかかることなく読めたから、いたずらに読者を減らしたということはないと思うけど……。せっかくまじアンを選んだのだから、と思わなくもない。
スフィーと名雪には笑った。先輩は、一回目読んだときには、存在に気付かなかった。たまはあい変わらず酷いな(w。
本当のところを言うと、楽しいけれど物足りない……と。
キャラが作者側に都合のいい道具にされているような印象を、そこかしこから受けてしまう。
それはたぶん、作者さんが書きたいと思っているものがキャラ以外のところにあって、その考え方自体は、ぜんぜん間違いではないと思うのだけれど、一歩間違えるとキャラ軽視につながってしまうわけで、
軽視だけならまだしも、たま萌えの人が読んだとき、何だかなぁ、と否定的な印象を持たれてしまってはまずい訳で、まぁこれは、ヒロイン格のスフィーにあてはめてもいいんだけれど、
要するに、キャラを出すなら最後のフォローまで面倒見てもらわないとしっくり完結した気分にならないよ、と、そう言いたかったのでした。
軽く感想を。ホントに軽いので軽く読み流してくれ。
>353 毛玉の神秘
よくわからん。じっくり読み込めば意味が通るのかもしれないが、じっくり読み込む気になれない。
>355-367 式神の白
小夜弐式使いですが何か?(w
地の文の頭一文字空白があったりなかったりするのが気になる。
白と名付けるのはちょいと無理があるような。このタイトルを使いたいためにそういう設定にした、って感じで。
「神奈様は芋がお好きでしたゆえ」とか言って芋と名付ける方が「このSSの」裏葉らしいかも。
>371-380 Many happy returns(To Heart)
全体的に不完全。マルチ、あかり、浩之、それぞれのキャラを掴みきれていないっぽい。
地の文も単調。過去形の状況説明だけでなく、現在形やら体言止めやらを時折混ぜるだけでもちょっとは変わって見えるはず。
>385-405 Nine Cats(ONE)
ダブったのか浩平。しかも澪と同級生か(w
とりあえず面白かった。キャラもよく動いてたし、お約束的ネタもビシッと決まってたし。詩子が退場するまでは。
どうも茜の動きがよくわからん。いっそ詩子とくっつけて全員ネコ(orタチ)にしてしまった方が好みだったかも。
>408-415 ねこねこマーチ猫の街(まじかるアンティークとか)
かちゅで読めませんでした。「これより投下します」の次のレスが「以上、『ねこねこマーチ猫の街』でした。」だった日にはどうすりゃいいんだか。
タイトルの最初4文字が悪かったようで。まあそれはともかく。
葉鍵ゲーに出る猫ネタをよくぞまあこれだけ揃えたもんだと感心。猫よせ銅鑼のまンティークを中心においたのも上手い。
話がオムニバスっぽくなって全体の流れが弱いのだけが残念。
>416-418 無題(ナイト雀鬼)
無茶苦茶なオチだな、おい(w
>430-459 Self High Five!(WHITE ALBUM)
ホワルバだなぁ。しみじみ。やったことないから、各キャラクターの内面とかよくわかんないのがちょっと悔しい。
手を出してみようかな。冬だし。ところでタイトルはどういう意味で?
>462-463 かのねこ(Kanon)
らじみしは暴走してるのは好きだけど、シリアスなのはあまり好きじゃない。
暴走はギャグだから気にならないけど、シリアスだったら「祐一を好きになる理由」をはっきりと見せて欲しいな、と。
>466-474 さかり(痕)
「思い詰めたら一直線」を超えて、ちょっぴしサイコさん入ってるような感じが。
あと仮にも姉妹なのに「さかりがついてる」だの「身籠もってたり」だの、遠慮がない家庭ですね(w
>482-499 楓(痕)
ふりがながちょいと鬱陶しく思えた。過ぎたるは及ばざるがごとしって感じで。ルビ打てればいいんだろうけど。
話としては悪くないんだけど、なんか好きになれない。二股系が嫌いだからかも。
文体は綺麗だと思った。
>502-511 迷走(天使のいない12月)
ついに来たか、天12。ポイネタは俺も考えたけど間に合わなかった(w
内容的には物足りない。透子シナリオの簡略版みたいな感じで終わってるのが残念。
もう少し別の側面を見たかった。それがSSの醍醐味だと思うんで。
以上。最優秀には「ねこねこマーチ猫の街」を推しておきます。
545 :
名無しくん、、、って呼んでいい?:03/11/07 03:10 ID:7DEqPiQL
>430-459 「Self High Five!」
まいったな……。タイトルの意味が掴めない。
さて、WAがあまり好きではない私にとっては、いたずらに長いだけのようにも思えるこのSS、作者さんには申し訳ないけれど、あまり目を引くものを感じなかった。
冬弥とはるかが何に追い詰められているか、ということがあまり突き詰めて描かれていないのも、展開をぼやけさせる一因になってると思う。
はるかの、コウモリの行動に自分を賭けるという台詞なんか、事前の下積み次第でいくらでも重みを持って響かせることが出来たと思うのに。どことなく、上辺をなぞっただけという感が否めない。
ホワルバスキーな人にとっては、あらためて説明描写するのも野暮なのかも知れないけれどね。
>466-761 「さかり」
内容以前に、楓の性格設定の時点で、賛否が分かれそうなSSだね。
私としては、明るいより暗いほうがらしいと思うんで、まぁOK。
それでも、前にあったSSのように性格が壊れるのかと心配しながら読んだのだけれど、そんなことはなくて良かった良かった。
何よりも、文章が素晴らしいと思った。こればかりは個々人の好みの範疇になるから、私が誉めたところで世の中に通用するとも言えないのだけれど、熱すぎず冷たすぎず、近すぎず遠すぎず、痕の世界観によくマッチしていると思う。
一見突飛とも思える楓の行動の数々を、決して大げさになったり茶化したりすることなく丁寧に積み重ねているのも評価したい。
そういえば、雫や痕のころは、文章にギャグ要素なんてほとんどなかったなぁ、と少し懐かしく、作者さんは、そうとう痕を書き慣れた人であろうと推測します。
が、楓の心情描写に力を入れすぎたのか、周辺世界の理由付けが不十分。
そのせいで、タマの恋猫はご都合主義的に登場し死んでいったようにしか見えず、タマが扉を開けるようお願いするところでは、タマに作者が乗り移ったようにしか見えず……。
家を出た後で財布に二万円入っているのが描写されるところでは、こんな作為的な描写入れなくていいのに、とさえ思ってしまった。
ほんのちょっとしたことだと思うんだけどね。二万円も、入っていた、ではなく、楓の意思で入れた、という風にでも書いてあれば良かったのだろうけれど。
全体的に見れば、惜しい出来、というのが当てはまるかな。
ただ、最後のオチはとても良かった。猫という題材を上手く生かしていて。
>482-499 「楓」
エディフェルがネコ化した!という設定にはおおいに興味を引かれたのだけれど、結局ただの猫(元からそうだったと言われてるけど)。
話の纏め方も、都合よく終わらせましたって感じで、どうにも納得しきれない。
このSSの牽引力は、疑いもなくエディフェル(に見えるもの)の正体と三角関係の行く末に対する興味であるはずで。それらを解決させないまま終わらされては、肩透かしもいいところ。
文章は読みやすい。エディフェルがネコ化するというネタと、その謎を思わせぶりに提示する導入部の作りの上手さは、高く評価したい。
猫と付き合う日常の描写も、それぞれ微笑ましいし、1文に1レスを費やす手法も、効果的だと思った。
結局、このSSを謎かけSSだと思って読み進めた私が間違っていたのか……?
単純に、猫萌えSSとして読むべきだったろうか?
>502-511 「迷走」
天使という作品は、私の理解可能な範疇の遥か上空をぶっとんでいる作品なので、このSSに対しても、正直なんとコメントしていいか分からない。
主人公の語りがクドい気もするけれど、文章自体に勢いがある。
説得力はともかく、主張したいものがあることが力強く伝わって(・∀・)イイ!
……私は(・∀・)イイ!と思うけれど、木田君にしては熱すぎる気もする。
このSSだけ読むと、天使がものすごくエネルギッシュな話に思えてくるんじゃないだろうか。
>兵糧が少ないほうが兵糧攻めをしてどうするのだろうか
その気持ちだけは、よく分かる。あとはついていけないyo_| ̄|○
以上です。抜けてない……よね?
全体的な印象としては、アイデアと文章がいいものが多かったね。読んでいて幸せな気持ちになることしばし。やっぱりこのスレはいいですわ。作者の皆さんに感謝。
ただ、最優秀を選ぶとなると、細かな粗が気になるSSが多く、またそれらの粗を見過ごさせてくれるだけの勢いがあるSSが見当たらなかったかな、というところ。差別化がしづらくて、最優秀は迷う。
他にはないものを持っているSSを選ぶとして、う〜ん、「楓」かな。 後半以降の展開に首を傾げるところはあるけれど、序盤から中盤にかけての雰囲気作りの上手さと、動物とのふれあいを中心に据えているテーマ整合性を評価したい。
というわけで、
私的最優秀 「楓」
私的最萌 「Nine Cats」
上記2作の作者さんには、特別な感謝を。
次回は「友達」ということで。甘甘なのも期待していいのかなぁ?
【告知】
ただ今をもちまして、感想期間を終了させていただきます。
投稿された書き手の皆さん、感想をつけてくださった読み手の皆さん、
そして生温かく見守ってくれていた ROM の皆さん、どうもご苦労様でした。
引き続きこのスレでは、今回の運営への意見、書き手の挨拶、
次々回のテーマの決定などを行いたいと思います。
上記のものやそれ以外にも意見が何かありましたら、書きこんでください。
※次回のテーマは『友達』に決定しており、開催時期は 11 月中〜下旬になる予定です。
※今回決めるのは次々回のテーマです。お間違いのないように。
感想の中で、評価が高かった作品は以下のとおりです。
『迷走』
>>529 『Self High Five!』
>>537 『ねこねこマーチ猫の街』
>>543 『楓』
>>548 『Nine Cats』
>>548 ということで、今回も引き分けのようです。
迷走の木田君はあれでいいような気がします。
ただ恵美梨→透子の呼称はトーコちゃんだったと思います。
ルール違反なので反省してここで口をつぐみます。
かのんSSコンペ開催中は中止にしよう。
迷走は天いなの二次創作というより、人間の普遍的な心理に重心を置いていたと思った。
ぶっちゃけ、天いなやってない人のほうがしがらみ無い分面白かったんじゃないかな。
>>550 というわけで前の話の続きなんだけど、実際
>>517のように
>>333に一票入れる人もいるわけで、
何を基準に正式な作品と認めなかったのかという所をちょっと説明してもらいたいんだけど。
一応コンペという形式をとっている以上、なんらかの投稿するという「意思表示」の無い物は
「投稿作」からは除外されても文句は言えないような気がする。タイトルとか、投稿しますという一言とかね。
別に感想をつけることまで禁止されてるわけじゃなし。
除外するべきだ、とは思わんけど、除外されて「なんでだよ!」って言うのは筋違いかと。
単に進行役が忘れてただけかもしれんけどねー
>>555 このスレに投稿期間に投稿してる時点で投稿する意思があるって事なんじゃないの?普通。
むしろ「コンペへの参加ではありません」という意思表示の方が必要だと思うけど。
雑談やスレ違いは基本的に禁止なんだから。
「一レス以下の短い作品は題名つけるなり、投下の意思表示をつけないと、
エントリーの意思無しと間違われる可能性があります」
をテンプレに付けとけば解決では?
>>556 >雑談やスレ違いは基本的に禁止なんだから。
スレ違いはともかく、雑談は特に禁止されてなかったと思うけど。
>>3 ・投稿作品とそれ以外の書き込みを区別するために、投稿作品の前後には宣言をする。
。
/―――--,
/ 13命 /
. /――――`'
/
/
∧_∧
/( ・∀・ )<おらおらおらぁ!!あと1時間しかねぇから猛ダッシュで逝くぞ!!
lニニニニニl=====⊂/\__〕 ノ
/丶2 |m; ブゥーン
/ //7ゝ〇 ノ\ ブゥーン
/ (_///⌒γノ/___)
/ /// ///ノ// /
// |/ ///◎) パラリラ
/ / / // パラリラ
// V ノ \
題名がついていない場合、適当にどこかからコピペした可能性も高い
少なくとも、ちゃんとした評価が欲しいなら、題名つけるべきだろうね
たいした手間でもないし
>>552 >かのんSSコンペ開催中は中止にしよう。
その理屈だと、東鳩のコンペとか、空のコンペの時も中止になるのでしょうかw
仕事が忙しくってSS読む暇さえなかった。いまさらだが感想をば。
雀鬼、天使のいない十二月、まじアンは未プレイなんで評価できなかった。
>353 『毛玉の神秘』
にしても電波な小噺だな。ぽてちーと浩平と七瀬って組み合わせなんだから当然かもだが。
こういうお話って、読み手がついていけなくなるケースが多いから、
そこを勢いやアイデアでカバーする要があるのでは。
>355-367 『式神の白』
SUMMERシナリオの後日談プラスアルファか。
それにしては本編とSSとのリンクが上手くいってない感じ。
ポテトを神奈の羽から誕生したって設定にするなら、鶏VSポテトのイベントとか、
お手玉で遊ぶポテトたちとか、そういう情景があってもいいと思う。
>371-380 『Many happy returns』
ひろゆきさん、で西村某を連想してしまうのは2ちゃんに毒されすぎなのか。
ともあれ、ほのぼのしててなんとなく好き。
>385-405 『Nine Cats』
>最近こういう非生産的な関係が流行っているのか?
ヒロイン全員(だったか?)にナマでぶちまけといて子供のひとりも
孕ませられなかった浩平に、それを言う資格はあるのか?
しかしさー、広瀬×七瀬、雪見×先輩、みあ×繭ときて
澪がカップリングからのけものにされてたらさ、やはり読者としては
茜&詩子が澪を押し倒す展開を期待するんではなかろうかね。
そして上記9人のヒロインたちを、猫の飼い主としてキャリアがある長森が
最後に「まとめあげる」と。そういう落ちを期待していた私は悲しい。
>430-459 『Self High Five!』
蝙蝠も鳥のうち、はるかも女のうち……読んでいてそんな言葉を思い浮かべた。
面白いんだけど、あと少しだけ何かが足らない……そういう印象もなぜか受けた。
予定調和な終わり方だったからかもしれない。
>462-463 『かのねこ』
可愛らしくていいんじゃないでしょうか。うん。
こういう赤面しそうな情愛を素直に伝えられるのが、
この作品なり作者なりの長所だと思う。
>466-474 『さかり』
梓がかなり鼻持ちならない性格になっていて、しかも初音ちゃんや
血釣り山河フォローをいれない。これはいったいどうゆうこってすか。
楓シナリオで千鶴さんは耕一を誤殺しかけたんだから、
その楓への負い目だけをとっても、また一家の年長者としても、
企業のトップを務めるような立場からしても、
場の空気を取り繕う義務があると思うんですがね。
あとたとえ猫一匹といえど、殺すときはもっと慎重にしてほしい。
そこの処理を間違えると、ストーリーに一気に作り物臭さが匂う。
さらには何、このオチ?
>482-499 『楓』
書き手のSSへの愛情が、俺という読み手にも伝わってきたと思う。
こういう作品にしたり顔で批評や感想をつけたくはない。95点。
感想期間外だが、最優秀をあげるとしたら『楓』に。
訂正。
◎千鶴さんが
×血釣り山河
その誤字、全然違和感ないなw
必須ではない、じゃなく、必須だけど無くてもカウントされることもあった、と言う感じじゃないかな。
実際のとこ
>>333はメンテ小ネタと区別しづらいし、投稿として扱って欲しかったなら
一覧から漏れていた時点で何か一言あるかと。
>>567 まとめ人が勝手に特例でカウントしたって事?
そういうルールにしたければ別にいいとは思うけど、はっきりさせてほしいかな。
ただ、「メンテ用小ネタ」と「作品」は区別する意味が無い。
ここでは「小ネタ」でも作品になるので「メンテを兼ねて作品を投稿した」というのと同じ。
>559をしてない時点で文句は言えないんだから、
まとめ人の裁量に任すってことで良いんじゃない?
あと
>ここでは「小ネタ」でも作品になるので「メンテを兼ねて作品を投稿した」というのと同じ。
ならその場ではっきり伝えろw
>>569 >ならその場ではっきり伝えろw
そこら辺は既に議論があって↓になったと思ったんだけど。
>他人と腕を競いあうもよし、ネタで盛り上げるのもよし、テーマに沿っていれば何でも(・∀・)イイ!!
これ以上はまとめ人のコメント待ちでしょ。
ラチがあかない。
マターリ次次回のテーマでも決めようぜ。
>>572 あれだ、テーマを提案する時はそのテーマでプロットぐらい考えてから・・・
小ネタのことであんまりシリアスに揉めるとかえってそういうの
投下しにくくなるワナ。時々投下してるもんで。
自分の場合、保守期間中「メンテ」「 」だけも侘びしいから
「メンテ」「 」の代わりににネタを入れ込む……ていどのものでもあるし。
あとテーマ関係なしのを投下する場合もあるから
必ず「小ネタ」=「作品」とは限らない。
>テーマ
投稿数の少なさを気にするなら、「みんなが書きたくなるような」
「書き手のやる気・書く気を起こすような」のを考えるのもいいかもしれんね。
むしろ深刻なのは投稿数不足よりも感想不足だと思うが。
年末になるだろうし夏ごろに上がった『なんでもあり』をこの辺りで考慮してほしいぞ。
>>573 俺のようにテーマが決まってからプロットを考えようと思っている人はどうすればいいんだ。
>>573 うん、自分は提案する時はそれなりの腹案は持ってるよ。
採用されれば投稿もしているし。
というか、作品数が5とか6なら少し問題かもしれないけど、コンスタントに10前後投下
されてる現状は、今の方式でも十分成功している証拠だと思う。
>>574 小ネタ云々ははっきりしないのが一番やりにくいわけで。
前に小ネタは作品と認めたくないって言ってた人までいたぐらいだから尚更。
12月にやる気の出るテーマと言えばやはりアレしかねえな。
「クリスマス」
>>577 テーマが決まってからプロット考えればいいんじゃない?
つまりお前はテーマに口出しするなと…(´Д⊂
ついでに読み専の感想人もテーマになんて意見する権利は無いと…(´Д⊂
今の流れでは書き手が感想を書きにくいのではないだろうか。
そんな事を思った秋の夜更け。
次々回のテーマに
『お願い』を推薦してみる
>581
いや、読み専でも、感想さえ書いてくれれば問題なし<テーマ議論意見
>>583は太田さん萌え ( ・∀・)人(・∀・ )
忘年会
でよろすくおながいしまつ>次次回のテーマ
>むしろ深刻なのは投稿数不足よりも感想不足だと思うが。
感想期間は長い方が嬉しいなぁ……。下記みたいにしては如何でしょう?
感想期間 11日
総括期間 10日
最近、長めのSSが多いからね。
時間がないと、読むのが大変
>>587 http://sscompe.tripod.co.jp/ の掲示板に感想スレ立てて、そこに感想書けばいいんじゃないかな。
で、こちらのスレに、感想上がってますと告知する。
必要ならURL込みで。
感想はいつでも書けるとは限らない。
書く機会を失えば、書かずじまいで終わることもある。
だから感想はいつでも書けるようになってると嬉しい。
今回『かのねこ』を投稿した者です。
それでは挨拶を
>517-518
反省しますです……(´・ω・`)
身近なものを題材とすると内容に偏りが出てしまう、というのは言い訳にしか
すぎませんので、今度は他の方と被らないものを題材としたいです。
>529
ありがとうございます。でもそういう感想がもらえるのは少し意外に感じています。
>530
>美汐のキャラにかかれば、ほどよく渋みが効いて美味。
はい。渋みがあったてこその美汐たんですから(w、その辺りが感じていただければ
書き手として幸いです。
>テーマとの関連を意識した結果かもしれないけれど、愛情のかけらも伝わってこないゾ。
これを解説しますと、ここの美汐たん's 脳では
祐一>>>(大宇宙の神秘)>>>真琴>=猫
という認識なので、猫に対してたいした感情しか抱かなかった、と
……スイマセン、今作りました。もう少し猫を絡めた話にすれば良かったです。
>535
禿同(w
>543
実は初めのプロットでは、猫に対する祐一の対応を見て、それを自分に当てはめて
ハァハァしているカノラジみっしーでした(w
言われるとおり、理由の部分がぽっかり抜けているのはシリアスとしては問題ですね。
拙作を読んでくださった方、感想を下さった方、どうもありがとうございました。
以後、精進いたします。
>588
これまでも、このスレで感想期間外や
過去のSSに感想書くのもOKだったはず。
向こうにスレ立てするのは賛成だけど、(刺激になるかもしれないし)
こっちでは禁止、向こうが誘導先とかになると辛い。
>>588 感想はいつでも書けるけど、最優秀作品を選ぶにはすべてに目を通さないといけない
その為にも、感想期間を延長して欲しいんだけどね
ちなみに漏れは、ここ2回ほど公私共に多忙で、感想さぼってるけど(´・ω・`)
全部読んで感想書いて投票するのが大変なわけで、単に投票だけでもいいんじゃね?
>>590 本スレでは感想禁止という流れにはしたくないというのは同意。
ただ、感想期間に気兼ねせず感想を書ける場所があれば、
感想を書く側としてはやりやすいので。
感想はどっちでも好きな方に落としてつかーさい。
こっちはより多くの人の目に触れる可能性があるし、あっちはスレが落ちてなくなったりしない。
少なくとも、今の進行役がやめるまではね。
両方の性質を考えて使い分けてもらうのが一番かと。
URLさえ貼れば、あっちでもきっと作者さんは目を通してくれるはず。
595 :
591:03/11/11 00:54 ID:aDXdLd+Q
>>591 >全部読んで感想書いて投票するのが大変なわけで、単に投票だけでもいいんじゃね?
漏れの場合、感想書くのはそれほど時間かからない。
やっぱり、読む時間が一番かかるかな
どうも、「Self High Five!」を書いた者です。
トリップコードを忘れてしまいました。
投稿の際、不馴れゆえに皆様に御迷惑をお掛けしました。済みませんでした。
それでは、挨拶など。
>>529 会話のテンポは特に気をつけました。
実際に人間が会話するとしたら…という事を考えた結果、あのような形になりました。
苦手な状況描写を会話で補う形になりました。ただその結果、会話文が増えてしまいました。
>>535 蝙蝠はどっちつかずの冬弥の象徴であると同時に、はるかとの不実の証拠であると考えました。
もう少し蝙蝠に意味を込めてみたかったのですが…。
文章の量は確かに多すぎました。反省の一言です。
>>543 是非一度、やってみてください。価値はあると思います。
>>545 はい、仰る通りです。余分な構図を削れば、10レスは少なくなったと思います。
その辺り、まだまだ経験が足りないのだなぁ、と思います。
>>563 その中に少しでも鳥としてのあり方、女性としてのあり方が見えたらいいな、
なんて考えております。
この度は拙作に予想以上の感想を頂き、感謝しきりです。
どうもありがとうございます。
「タイトルの意味は?」という質問が多かったのですが、
今はもう引退してしまった「DDP」(ダイヤモンド・ダラス・ペイジ)という
プロレスラーがいました。
その人のお決まりの観客へのアピールに、
「両手の親指と人差し指を広げてトライアングルを作り、指を目一杯開いて天高く掲げる」
というのがありました。
それが「Self High Five」です。
はるかが作中していた「元気になるおまじない」の元ネタはこれなのです。
(以上、プロレスオタの長い説明でした)
読んで頂けて、それだけでありがたいです。
次は更にいい物を皆様に御提供できるよう、頑張りたいと思います。
それではしばらく自分は棲み家に帰るべく回線吊って首切ってきます。。
ありがとうございました。
>DDP
もしかしてと思っていたが、マジだったとはw
ただいま441`。そろそろ次スレ?次回から次スレってことになるかな?
>最優秀作品を選ぶにはすべてに目を通さないといけない
これ、義務じゃないよ?
確かに理想的にはみんながそうできればいいんだけど。
「読みたくなる」「読ませる気になった」ことも評価の対象にはなるし。
それに、原作未プレイゲーSSは評価しない、できないって人たちも
いまでも感想や投票してるし、それはそれで問題ない。
(感想書く人のそれぞれ)
当然、未プレイ者が多い原作を選んだ人はハンディになるが、
厳しい道を選んだ以上その覚悟はあるだろうし。
むしろ「このSSが面白かったから原作をやってみたくなった」ぐらい
言わせてやるぜ、ってほどの気合がある人なら尊敬できる。
それにこのスレって、
最優秀を狙うこと以外、参加目的のないスレじゃないからね。
感想がもらえるから・上みたいに布教や宣伝・ちょっとネタが思い付いたから
受け狙い・最優秀は狙わなくても力比べをしたい・練習・リハビリ
「最優秀を狙えない」ことは、最大の問題でも、唯一の問題でも、なんでもない。
あと、投票だけでもOKってのはいいと思うけど、一行レスで投票は
できれば避けて欲しい。荒らしに利用されやすそうだから。
短くてもいいから、いちおう
ちゃんと読んだことが皆にわかるていどの、生きた文付きでキボン。
「あの時投票した602です」と名乗ってあとから詳しい感想うぷする、
なんてのが最高の理想。(トリップで証明できればもっとベター)
実はこのスレスタート時は最優秀なんてなかったのも忘れずにおこうっす。
感想人や参加者の「な〜んとなく」でな〜んとなく始まったんだよね。
最優秀も。
だから例えば将来最優秀を巡ってスレが荒れに荒れて
機能しなくなるようなことがあったとして、
そうなるぐらいなら別に
無理して最優秀考えなくてもいいし。
参加者ひとりひとりの気分の集合でなんとなく決まって、
ルーズだけどよく言えば融通が利くのもこのスレの良点。
「最優秀っぽい」の「っぽい」が象徴するものも大事にしたいところ。
作者側からって言うか、読者側からも最優秀ってのがあると盛り上がると思うけど。
>>602のやり方は、投票期間と感想期間を分けると上手く行きそうな気がする。
感想期間で全部やると投票なのか感想なのか分かりにくい場合があるから。
mente
では、早速〜 ∧||∧
今回、雀鬼のネタを書きましたです。
まさか感想をつけてもらえるとは思ってなかったので、びっくりするやら嬉しいやら。
『ねこねこマーチ猫の町』を読んでインスピレーションを受け、脊髄反応的に書いたのがこれ。
アイデアの種を下さった作者様には、なんと御礼を言っていいやら。
雀鬼ネタになったのは、当時雀鬼スレの移行作業をしていたからw
こちらに投稿するかどうかは迷ったんですが、雀鬼キャラの宣伝もかねて、という意図でした。
ですから、
>>530さん、ネタが似ていることはそのとおりですが、つながりません。
>>534さん、地獄じゃなくて魔界なんですけど、どっちも似たようなもんです。
>>542さん、ごめんなさーい;
前スレのセリオさんも、いつも困らせてごめんなさい; 毎度誰かしらには、オチが弱いって指摘されますね
次々回テーマは、「冬だ!外でHだ」。これならプロットもすぐできる。
……というのは半分冗談で、「時間」とかどうでしょうか? 抽象的過ぎる?
>>605 >首を吊る用意をしてからご覧下さい。
人に吊れという前に、前スレを間違えて保守してしまった、藻前こそまず吊れや。
>先ほど保守カキコらしきものがされてしまっていたので
日本語の読めない人がいらっしゃいました。
>>608 本来、さっさと前スレは放置して落とすべきである。
誰かが、前スレを保守カキコしたからといって、続けてカキコするべきだろうか?
スレの流れからいっても、こちらに投下するのがスジだろう。
もっとも長文を投下し、スレの容量をMAXにして、そのスレを落とすというなら話は変わってくる。
まあ、多分そんな事考えていないだろうけど。
こっちの感想期間は終わっていて、むこうは容量が余っていて、
あげく圧縮も終わり、しばらく落ちそうにない。
スレを有効活用しているのに何の問題があるんだか。
だいたい、自分がまず間違ったことを認めずに、なに論理すり替えてるんだよw
煽りに煽りはカコワルイ。
前スレどうのこうのは置いといて。
感想出すのはイイと思う。
問題なのは今まで前スレが残っていたことだと思う。
アンカーだけ見ると初めはこっちに落とすつもりだったと思うし。
まあ、なんだ。自分が間違った事を言った時は素直に謝った方がイイよ。
悪あがきは見ていてとてもカコワルイから。
んで、次スレは総括期間終了後に立てるん?
「many happy returns」を書いた者です。
えっと、作者の感想返しが今回少ないですね。
なんだか、これを書くのに気後れするというか。なんというか。
やっぱり、これもSSコンペの影響でしょうか?
まあ、それはそれとして、とりあえず全体的に簡単な解説をしてから、
一つづつ感想を返させていただきます。
ラストが変だーって意見が多かったんですが、
実は、この話を創ろうとした当初は、マルチが御臨終する予定は無く。
浩之とマルチが廊下で、適当に語って終了の予定だったんですが。
あかりと話すところを書いた直後に、なんだかマルチのキャラが死んでるなーと思いまして、
急遽、次いでだからマルチも殺っちゃおう。(゚∀゚)ノ
と設定を変更。
そうしたら、漏れの文章力が全然足り無いためか、マルチが死ぬのを書き終わった時に、
静も根も尽き果ててしまい、ラストがおざなりにしてしまいました。すいません。(;´Д`)
というか話自体が無茶苦茶になってますね。
やっぱり、文章を途中で変更するとろくな事が無い。
>>528 確かに、もうちょい動物に主眼を置いた方が良かったかも。どうもテーマ生かしきれてないっすね。
>>533 いや、先にマルチの生体構造とか、
長瀬所長のセリフとかも、早めに出すつもりだったんですけど
そうなると、浩之が変な点を突っ込みまくるのではないか?という問題点があるんですよ。
それが気がかりであえて言わなかったんですけど、やっぱり失敗でしたかね。
>>540 すいません。文章力はこれから毎日、日記をつけようと思うので、それであがるはず。というかあがれ。
やっぱり浩之の性格については最初は一貫性あったんですけど、
御臨終時にその前までの浩之の性格を初期化してしまったのはやっぱり駄目でしたか。
>>542 一瞬、体言止めってなんだっけ・・?
と思う漏れはやっぱやばい。
>>562 ふぅ・・・有り難う御座います。
>>
>>学校の、廊下から見える位置で犬が喧嘩していたら、普通、気づくでしょう。
>>はらわたまで引きずり出されたら、大騒ぎになるはずです。弱っていたことにして、数日後に病死でもさせた方が
確かに弱ってたのを病院へとかも考えたんですけど。
そうなると、犬が死ぬまで相当時間が掛かって、ただ無駄なレスが続くだけだなと思ったんですよ。
ちゃっちゃと墓を作るのがインパクト的にもいいかなっと。
なるふそ、話は色々膨らむものなんですね。
心の成長か。。
あ、後
many happy returnsは熟語でパーティーとかで使い、
このめでたい日が何度も続きますようにって意味です。
皆様、こんな愚作を読んでくださって有り難う御座いました。
みなさんこんばんは、「式神の白」作者です。
そもそもポテトが裏葉の式神という設定ですが、これは以前考えていた長編のネタの1つでした。しかし、その長編が結局お蔵入りになってしまい、せめてこの設定だけでもいつか短編で使いたいと温めていたネタです。
ちなみに、そのボツになったSSのタイトルは「カードキャプターかのりん」。
翼人が残したカード「翼人符」の暴走を阻止するために、カードキャプターとなった佳乃が裏葉の残した式神・ポテトと、裏葉の子孫・往人と共にカードを封印していくという……。
書けませんこんなの。誰か書いてくださいw
別スレでマルチとセリオさんが言ってましたが、タイトルは半分はゲーム「式神の城」に掛けました。しかし、もう半分として、
ポテトの外見がどうしても「クレヨン○んちゃん」に登場する白い犬「シロ」と被って見えるんです、私。白くてフワフワしてる所が。
だから、ポテト以外の名前にするとした時に挙がった候補がシロ。でも、「ハク」の方が式神っぽいのでこんなタイトルになりました。
「式神のハク」ではなく「式神の白」にしたのは、やはり「式神の城」と掛けた方が面白いかな、とのことでしたが。
では、個別レスに行きます。
>>525さん
ポテトは、確かに原作では佳乃をはじめ、みちるの前や神尾家など、神奈に関わる人物の前によく出ていたような気がしたのであんな形で出しました。少しでも伝わったのなら嬉しいです。オチは、確かにあの内容なら読まれても仕方ないかも…もっと頑張ります。
>>528さん
元々、「ポテトは裏葉の式神だった」という設定を使いたかったがために書いたSSですから…起伏がほとんど無くなってしまったみたいですね。もっとポテトが出てくるエピソードなど入れたら面白くなったでしょうか?
>>530さん
>>子が大きくなって旅をいたす際は心強い友となりましょう
>大嘘でしょ(w。
ナイスな突っ込みありがとうございますw こういう突っ込み待ってました。
まあ、設定のムチャクチャさに関しては、特に深く考えずに書いてしまいましたからね…甘かったです。
修飾語に関しては、次から気をつけてみます。
ちなみに、ポテトはこの設定では全てが終わったら消えます。といっても、AIR編終了なら消えません。あくまで、「翼人の魂」が完全に開放された時です。
往人の一族が神奈を見つけ出し、その使命を終わらせたとき、ポテトの役目も終わり、消えることになると思います。
…今予定している美凪アフターSSでこのネタも入れてみようかな?
>>533さん
確かに、テーマが動物の割にはポテトの出番は後半少しだけでしたしね。ちょっとバランス悪かったですか。
現代のパート…どんな話がいいでしょうかね? でも、確かにあればバランスもよくなると思います。反省。
>>538さん
読んでいて嬉しくなる感想でした。たいした作品ではなかったつもりでしたが、ありがとうございました。
>>542さん
式神の城プレイヤーさんですかw
字の分の行頭1文字空け…あれは完全に私の見落としです。見直しが足りませんでした。
というか、
>「神奈様は芋がお好きでしたゆえ」とか言って芋と名付ける方が「このSSの」裏葉らしいかも。
これを読んだ瞬間、『それだっ!!』と思わず叫んでしまいました。そのネタいいです!
>>562さん
ポテトは神奈ではなく、神奈より昔に生きていた翼人の羽根から作られた、という設定ですので神奈の行動パターンをなぞらせるのは
ちょっと違和感はありそうですが、ポテトのエピソードはみなさん言っているように必要だったかもしれませんね。
往人の人形に興味を示すという伏線があったのですから、人形と絡ませた話とか…やってもよかったかもしれません。
今回は、かのん第三回SSこんぺ短編部門と時期が重なったこともあり、推敲不足がハッキリ出てしまった感じがありました。
さらに、私の弱点である「余計なことでダラダラさせすぎ」というのもあまり治っていないようです。
ネタとしては、まだ誰も書かなかったようなネタを用意していたという自惚れもありましたし、次回は頑張ります。
といっても、私はあまり最優秀にはこだわりません。読み手さんたちの素直な感想が聞ければそれで十分です。
もちろん、頑張った結果として最優秀がついてくれば嬉しいのは否定しませんけれど。
次回は「友達」ですか……なかなかいいプロットが思いつきません。ネタが浮かんだら参加するかもしれません。
あるいは、かのんSSコンペの結果に凹みまくってるかも?
あと、今回は読み手さんたちの感想がだいぶ遅れてきた気がするので、感想期間を長くしてみるのもいいんじゃないかと思います。
10日くらいにしたら、間に合わなかった完走書きさんたちも間に合ってくれるのではないでしょうか?
次々回のネタですが、個人的には「イベント」を提案します。
こみパやクリスマスパーティーのような大イベントから、
友達同士のちょっとしたお遊び、デート、主人公争奪戦などに至るまで、年末に相応しいドタバタSSなども書けそうですが。
今回の作品も、近いうちに私のサイトにアップする予定です。よかったらAIRSSリンクなどから遊びに来てみて下さい。
では、読んでくださった皆さん、そして感想をくださった皆さん、ありがとうございました。
今回「迷走」を書いた者です。
感想を下さった皆様、ありがとうございます。
では、ご挨拶。
>529
ありがとうございます。
ラストは時間をかけて考えたので共感してもらえて嬉しいです。
>もし、ラストで透子に「好きだ」なりハッピーエンドにしてたら評価は急落したと思います。
自分の中では一応これがハッピーエンドのつもりでした(w
>536
キャラの心理を重点的に置いたので、そこを誉めてくれると書いたかいがあります。
今回は「人間も動物」を隠しコンセプトにしました。
>538
虚無感は自分なりに出したつもりですが、原作と比べるとどうにも薄かったみたいです。
他の方もおっしゃってますが、主人公のキャラ設定を前向きにしたのが一番の原因ですね。
>543
てか、ポイネタ読みたかったです(w
>547
>主人公の語りがクドい気もするけれど、文章自体に勢いがある。
>説得力はともかく、主張したいものがあることが力強く伝わって(・∀・)イイ!
なんか、照れます(w。
結果的にクドさと説得力は勢いで押し切ってしましましたが、次の機会はそこら辺を改善したいです
>前スレ675
>時紀様が少々熱血で前向きなのが気になりますね
やはりそこが最大の問題点ですね。
>無茶です。恵美梨さんの強さは面白いのですが、これは無理矢理でしょう。
木田君の焦りを表そうとしたのですが、暴走してしまいました。
>全ての人にまんべんなく愛情を注げて。 ここら辺のくだりは上手かったと思います
そこを面白いと感じてもらえれば、とりあえず成功です。
>551
完全にミスです。指摘申し訳ない。
>553
難しい…
以上です。ありがとうございました。
特に問題ないようでしたら、17日(月)の10:00から、『友達』の投稿期間を開始しようと思います。
で、「投稿作の認定基準」ですけど、基本的には
>>555-561の流れで考えてます。
つまり「何らかの形で投稿意思の表明があるかどうか」です。
>>566で例外が示唆されてますが、多分ミスってカウントしたんだと思います。多分。
葉鍵的SSコンペは企画段階からずっと見てましたけど、
昔に「テーマと関係ないSSがメンテとして投下されてプチ混乱事件」みたいなのがあったんで、
投稿作認定に多少厳しくなってるんじゃないか、と自分では思ってます。
この辺について、意見等ありましたらお願いします。
あと「次々回のテーマ」についても是非とも。いやホントにお願いします_| ̄|○
で、こういうこと書いた後でこういうこと言うのもなんだかなーとは思うのですが。
業務連絡です。
自分の私生活の方がちょいとゴタつきそうでして。
それで、このスレに積極的に関われなくなってしまいそうでして。
つきましては、葉鍵的SSコンペの進行役を務めてくださる方を募集します。
一応、あまりに突然ってのもアレなんで、次回の総括期間までは務めるつもりですので、
それまでにどなたか考えて頂けると有り難いです。
早いですが取りあえず、お疲れ様です。
HP関連も関われなくなるのですか?
今回、『ねこねこマーチ猫の街』を書かせていただきました。
二度ほどお休みいたしましたが、毎度の感想ありがとうございます。
テーマは動物ということで、どんな動物がいるものかと小考したところ、
とにかく圧倒的な猫の数(次点は犬かハムスターか熊か。以下狐、蛙、ペンギン等)
そんな中でまじアンを選んだ理由は、あんまり書かれてないから。
――題材決めなんてそんなものです。相変わらず原作知らずと言われてますし。
それでも以前に比べれば原作知らなくても読んでもらえているのは嬉しくあります。
今回は特にタイトルに高評価をいただけたようでありがとうございます。
実はタイトルに関しては
『ねこ!ねこ!ねこ!』→『ねこねこマーチ、猫の町』→『ねこねこマーチ猫の街』と、
二度ほど変遷を経て決定したわけですが、二つ目と三つ目の切り替えに関して、
投稿時の宣言の通り、当初は前者であったわけですが、名前欄に入力したときに
一発目で出たのが後者。こっちの方がいいやとばかりにそのまま題名変更。
今回、なんだか行き当たりばったりばかりで申し訳ないですが。
話に起伏がないとかまとまりが無いとかまじアンの印象が薄いとか、
いつも言われてる指摘がどうにも治らないのは反省材料です。
次回こそは、次回こそは、と言い続けていますが本当にもう、次回こそは。
で、クロスオーバーに際して割れてないネタもあるようなのでちょっとだけ解説を。
葉鍵ゲームが元ネタのものは以下の通り。他には冒頭に『K』(BoC)とか。
わかるかそんなもん! ってのがあっても御容赦あれ。
>鼻の周囲と耳と手足の先だけが黒っぽい茶毛で、ほのかに暖かい感じのする色の白猫
『Kanon』よりピロシキ。またそれに伴って終盤に沢渡真琴。
>太助とかいう猫を助けるのに、手伝ってあげた話
『To Heart』PSE、来栖川綾香イベントより。
>「ねこーねこー。……っくしゅん! ずず、ううー、ねこー」
『Kanon』より水瀬名雪。それに伴って友人、美坂香里。
>セーラー服を着た、不思議な雰囲気を持った長い黒髪の少女が
『To Heart』より来栖川芹香。+セバスチャン。
>近所の魚屋から鮎塩が消えた
『ナイトライター』よりたま。
>近くに有名なアイス屋さんができたとかって
>近所でまた新しい喫茶店がオープンしたとかで
共に『Routes』より。同作中に五月雨堂と健太郎もきっちり出てきます。
>すれ違う少女の胸にも小さな子猫。
『ONE』より長森瑞佳。……の、つもり。
以上。今回の作品も拙作HPにアップいたしますので、
気が向いた方は検索などしてくださいませ。それでは、また次回。
念のため保守。
>>482-499 「楓」を書きました。
読んでいただいた方、嬉しいです。ありがとうございます。
今回「猫耳少女萌えSS」というものに初挑戦してみたのですが……。イヤ ホント
でもネコミミ萌え〜って反応があまりなかったなあw
猫すぎたかも。謎具合も過ぎたかも。なんか違ってしまったような……。
というか、自分が書いたらこうなってしまいましたというか。
ネコミミかつロリ体型なエディフェルと過ごす萌え日記。
けれども幻のようなはかない日々。って感じでした。
謎とき話ではありません。すみませんでした。
そう読まれたり、読後の不満を残さない書き方が必要でしたね。修行が足りん…。
ネコミミエディフェル、あれは、文中でも書いた通り
なんだかよくわからないものです。(可能性はいろいろありますが)
この世ならざる者は、たとえどれだけ存在感があったり印象的なものでも、
生命あるものと比べたら、しょせん、はかないもので。
でも、そこがせつない。
そんな話になればと。
この話に出て来るこの世ならざる者は、愛惜に満ちた過去の記憶そのもの。
生命のほうは、現在と明日とを、そしてそれに伴う愛情を象徴する命。
はっきりと謎の生き物の正体とかは出なくても、
そのあたりで読んだ方の胸に読後
なにかが残ってくれれば……(もちろん、いいものが)というのが希望でした。
感想いただいた皆さん、ありがとうございました。感謝。
お礼とともにレスさせていただきます。
>>525さん
>テーマ「動物」を最大限に生かしている
今回、こういう声を多めにいただいたのは、評価にはプラスだったんですが、
ネコミミ少女SSとしては失敗だったでしょうかw
>最後、1レスに一行しか書かないのはやりすぎ
これが今回一番多いご評価でしたね。勉強になりました。
本編が、読んでる人のテンションを該当個所でそこまで上げるほどの
内容ではなかったから、ということも言えるように思いました。
>>529さん
>タイトルがちょっとストレートすぎますw
そうでしょうか? あの楓ちんの話ではない話なんです。
「感想枯渇につき緊急参戦」、読み手のひとりとして大感謝ですm(_ _)m
>>536 ◆DIkaNSOFOgさん
この話では、次郎衛門は討伐の報奨でほんのちいさな領地と屋敷をもらい、
リネットとふたり暮らしています。
あげた功労からすればもっと重い役も与えられたかもしれませんが、
本人が辞退して静かな生活を望んだみたいです。
いちおうちいさな村の主として毎日を過ごしています。
あと、リネットも次郎衛門から“りね”と和名をもらって、
外出や外で働く時は、人と違う髪や耳を、
おしんみたいな手ぬぐい頭に巻いて隠したりして
村に馴染もうと努力している……という設定なんかもあったんですが、
出すところがなかったので書きませんでした。
>>543さん
自分は、難字や難読がそのままになってるほうが気になるんですよね。すみません。
二股が嫌いだから……というご指摘も、たしかにあると思います。
>>547 名無しくん、、、って呼んでいい?さん
そう読まれない書き方ができなければできませんでしたね。すみません。
導入部を誉めていただいたのも、
謎解き話と思って読むとしたら…のことですし。
1文1レスは、こちらでは評価していただいてますね。
最優秀をいただきましたが、主人公と絡むエディフェルが猫らしいところで
テーマ・動物との兼ね合いで評価して選んでいただいたみたいですし、
他のSSと差があってということではないですね。
>>563 他の方がどうということではなく、563さんにそう思っていただいた
ということですよね。とても嬉しいです。
>セリオとマルチの毒舌感想会さん
http://wow.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1058785979/674 エディフェルが何を着ているのかとは考えました。
生前のエディフェルのそのままの衣服、そのままの姿では、
次郎衛門にとってあまりになまなまし過ぎ、辛いと思い。
薬を塗ったから仲良くなった、と書いたつもりはなかったのですが、
時系列上はたしかにそう読むこともできてしまいますね。
なんらかの配慮が必要ですね。
一行レスのご指摘も、やはりまたいただきました。
>どうしたって不純物が入りますから、
その辺も意識して当初は名前投稿欄を消したりしてたんですが、
「連続投稿ですか?」との戦いで力尽きました…w
投稿順をお待たせもしていましたし。自分の場合、エディタ上の文章が完成品に近いの
ですが、空白行と改レス、どういう形で収録されるかとの兼ね合い、いつも悩みます。
なぜ次郎衛門を嫌っていたのか……という点。作中でリネットも
言っていることですが、テーマが「動物」選んだのが「猫」ということで
最初は警戒されていた相手に慣れられる、甘えられるあの
動物(特に猫)といっしょに暮らす際の大きな喜びを書きたかったので。
動物(?)と暮らす日常を描くなら、ぜひ書いておきたかったところですし。
そして、もう一点あるとすれば…。
正体はわからないままですが、あれが例えばエディフェルの霊が次郎衛門を慕って
帰って来たものだった、としても。
それでも、この世ならぬ身の哀しさ、次郎衛門のことがわからない。
自分のことも覚えていない。ということ……
そっくりの姿で帰って来たにしろ、でも、もう、
以前の彼女とおなじではない。
過ぎ去った過去が返ってくることはない。死んだ人は甦らない。
そして、姿が似ているから余計にそれを感じる……。それを感じてもらうためです。
花言葉は知りませんでした。
でも、自分が書いた意図とそう外れていないようで不思議な感じです。
楓と名を付けた主体は、書き手の意図とは違いますが。
以上、ありがとうございました。
今回は猫多数被り気味で食傷ということでしたが、自分が今回思い付いたのは
後にも先にもこれ一本きりだったので、そこは最初から負けてましたね。
ネコミミキャラ萌えSSとしても、失敗だったかなあ。
萌えSSであると同時に、過ぎ去ったもの、この世ならぬものの、儚さ。
次郎衛門が、深い愛惜の対象とともに過ごした
幻のような幸せな日々を経て、どう変わるか。そんな思いで書きました。
赤ん坊は猫(=エディフェル)の生まれ変わりではない、というのが書いた者の考え。
髪の色や瞳の色もあきらかに違うとか、そこまで強調して書くことも考えていました。
(でも、解釈としては「生まれ変わり」もありだと思います)
強い思い出や忘れられない記憶だとしても、過去は過去。死者は、帰って来ない。
次郎衛門に、以前とおなじ態度や言葉を
決してかけてくれないこともその象徴だし、
太陽のような確かな命の前では、かげろうのように消えてゆくもの。
どんなに愛しくても、いっしょに居て欲しくても。そんなせつなさが出て欲しかった。
そのさだめを悟ったような、楓の木の前での最後の光景。
同じく彼女のそんなさだめを感じた次郎衛門の中に一番残った思い出が、
だから、その光景になるわけです。
そしてその思い出を、彼女の象徴として子に名付ける。
後ろ向きの行為と見ることもできる行いですが、そうではなく、
上のことを悟り、新たな愛すべき命と生きていくことを誓った上で、
そのいま現在一番愛しいものに名をもらう。
次郎衛門のエディフェルへの思いの変化だし、それも前向きな変化。
そして変化したとしても残り続ける愛惜の思い……ということなんです。
で、その名前が偶然にも四百年後のあの少女の名前だった……
なんてことになったら、いろいろ面白いな、と。
こういうのがうまく読んだ方の心に残れば成功だったんですが、
実際は正体がわからず終いで納得できないというご感想が
大半になってしまう内容だったわけで、力不足。また頑張ります。
それでは、本編+ここまで読んでいただいた方(もしいたら)へ、
ありがとうございました。
634 :
jo:03/11/17 00:03 ID:JArnOLN5
今回、『さかり』を書いた、JO(如風)です。
前回は突拍子もない設定だったので、今回はベタな設定にしてみたのですが、
『在り来たりで、面白くない』という感想を数多くいただくという、お約束な
展開になりました。
こんなことなら初志貫徹で、
獣 姦 も の 書 い た 方 が 良 か っ た で し ょ う か ?
話もありがちで先が読めるし、少々猫を都合良く動かし過ぎたと思っています。
しかし、一番の反省材料は、梓の台詞でしょうか。単語ひとつでキャラクターの
印象が変わってしまうという事を、今回強く感じました。
感想を書いていただいた方々、最後まで稚拙な文章を呼んでいただき、ありが
とうございます。今回ご指摘いただいた点を反省し、今後の創作活動に活かして
いきたいと思います。
635 :
jo:03/11/17 00:07 ID:JArnOLN5
×稚拙な文章を呼んでいただき
○稚拙な文章を読んでいただき
本当に稚拙だよな、漏れ……_| ̄|○
次々回テーマは……自分はクリスマスネタを書きたいので、
それもひっくるめて「イベント」に一票入れとこう。
>622
( ´D`)ノ 進行役、来年の夏までで良ければ、引き受けても構いませんが
「花」と「桜」ではテーマが全然違うものになったのと同じように、
一般的に言う「イベント」の中には「クリスマス」も含まれるかもしれないけど、
「クリスマス」には「イベント」以外の要素も多い(と言うかそっちの方がテーマ性がある)ので、
「イベント」というテーマの中には「クリスマス」というテーマはあまり含まれてないような気がするなあ。
ま、そのへんは書く人次第、感想つける人次第ってことで。
「何でもあり」に一票。
・投稿締め切りが年末年始に重なること。
・最近「テーマが難しい」という声が多いので、ここらへんで一度。
これらが主な理由です。
次々回テーマですが……えぇと、半日ほどお待ちくださいませ。
今日中には発表したいと思います。
>>623 HP管理だけ続けることもできますけど、編集が遅くなりがちですし、
こちらについても請け負って頂ける方をお待ちしてます。
>>634 (・∀・)つ○ じゅうかーん
>>636 是非お願いしたいと思います。
詳しい話は次の総括期間でよろしいでしょうか?
では……
【告知】
第二十回投稿テーマ:『友達』
投稿期間: 11 月 17 日の午前 10:00 から 12 月 1 日の午前 10:00 まで。
テーマを見て、思いついたネタがあればどんどん投稿してみましょう。
面白い作品だったら、感想がたくさんついてきて(・∀・)イイ!!
もちろん、その逆もあるだろうけど……(;´Д`)
※投稿される方は
>>2-4 にある投稿ルール、FAQ をよく読んでください。
※特に重要なのが
・テーマに沿った SS を*匿名*で投稿する
・投稿期間中は作品に対して一切感想をつけない
※の二点です。他の各種 SS スレとは異なりますのでご注意を。
それでは、投稿開始っ!
>>639 「何でもあり」が一番難しいテーマなような・・・。
ネタで見せるという事ができないので文章力勝負になるし。
まだ次スレには移らないのかな?
感想を書くときにレスアンカーつけられなくなるので、
移行は早めにやってほしいかも。
感想期間終るまで容量がもてばいいんだけど……
んじゃ、立ててみまつ。
同じく、立てられませんですた _| ̄|○
どなたか他の人おながいします。
645=646でつ。
なんでID変わる……?
じゃあやってみる。今鯖負荷高そうだが。
AAじゃなくA4だった。眼科逝ってくる…
>>649 ありがとうございました。
書き手の皆様へ。
第二十回『友達』の作品の投稿は、
>>649の新スレの方にお願いします。
さて、前スレも埋め立て企画が動いてるみたいですし、
こちらでもなんか企画を立てましょうか?(w
んじゃ、昔の感想を落としてもいいかな?
来られなかった「海」と「結婚」の回。
テーマ「海」の回、前半。
「観鈴ちんと海の思い出」
う〜ん。文章がたるいかなぁ。
目新しくもない話なのだし、演出を工夫して、もう少しメリハリ良く進めてはどうだろうか。
今のままでは、のんべんだらり、子供の日記のよう。
……あ、子供の日記であってるのか。
でも、予想通りの夢オチはやめて欲しかった。
キャラはかわいい。口調を良く掴んでいると感心した。萌え萌え。
「ぴろの溺死」
ここだけ読んでもつまんないなぁ。続きキボンヌ(w
「水間の百合」
短いのはいいんだけど、ゴメン、誰彼やってない私にはネタが……
「ありふれたなつやすみ」
なんだこれは(w。祐一もひどい夢を見る奴だな。
よっぽど世の中に鬱憤が溜まっていると見た。
序盤から怪しい雰囲気がプンプン漂うブラックユーモアの世界。
私はギャグ好きなんで多少の贔屓目が入っているけれども、それでもこのSSは面白かった。
文章のテンポが良くて、ストレスなく読めるし、
文字どおりありふれているシチュエーションの中に、少しずつ違和感を埋め込んでいく腕には感心するばかり。
文句があるとすれば、種明かしに差し掛かった部分で、アイツも死んだ、コイツも死んだと言われるのが、いちいち煩わしく感じること。
どうせ夢落ちギャグなんだからまとめて豪快にやっちまえ、とか思った。
あと、前半で祐一が素直じゃない奴として描かれてるけれど、もっとヒロインべったりな奴であるかのように描いておけば、後半との落差が納得しやすかったかも。
最後のスイカ割りには爆笑。いいもの読ませてもらいました〜。
「月下血踊」
古めかしい文体が、いい雰囲気を出してる。
話の内容は、二人がケンカをした、としか読めなかったのだけど(誰彼未プレイでスマソ)、妙にかっこいい雰囲気に酔った。
もっとも、文章自体は正直そこまで上手くない……というか、何が言いたいのやら良く分からん部分もあったりする。
というか、1レス目がそうだったのだけど、縦読みと教えてもらうまで、「なんだ、この下手糞な文章は!」と思っていた。
柳川の登場は、どう考えても唐突かつ不合理。世界観もぶち壊し。
真面目な戦闘シーンを、作者都合でいいように操りました、って感じで嫌。
やるんなら、序盤から丁寧に伏線の準備をしておくか、そうでなければ適当なオリキャラを作っても良かったんじゃないかな。
少なくとも、作者の過剰な恣意が透けて見えない程度には、煙幕を効かせる必要があったと思う。
↓以下、独り言です。
#いつも思うんだけど、私は基本的にクロスオーバー嫌いなんだなぁ。
設定に無理があることも多いし、そうでなくても世界観が混じったり、自分の好きなゲームのキャラが他のゲームのキャラの出汁にされたり、つられてキャラの性格が変わったりネタ扱いされたり。
この作者さんに最優秀を差し上げる機会がないのも、そこに原因がある気がする。
毎度毎度、ネタとしては新鮮で面白く読んでるんだけど。
でも、世間のいいクロスオーバーは上記の点をきっちり解消できていると思うので……。
残りはまた。
作品と関係ない自分語り、ウザイ。
審査基準ってことで別にいーと思うんだけど。
感想でも
「読む気がしない」「面白くない」
とかより、
「〜〜なので自分とは合わなかった」「○○を××すればもっと良くなったと思う」
って具体的に書いてくれたほうが嬉しいっしょ?
>>658 あんまり相手にしないほうがいいと思う。
どうせ前にこのスレ混ぜかえしてた奴か、その同類でしょ。
他の人もどんどん感想書くよろし
過去に貰った感想への返信ってここに書き込んでもいいのかな?
いいんでないの?
是非。ていうか、一度もそんなの書き込まれたことない。
だから過去の感想なんてあげても誰も(作者は)見てないんだと思ってた。
>656の続き投下。テーマ「海」の回、後半。
「よくあることだよね?」
香里……。相変わらずいじられ役ですねぇ。
ほのぼのSSの典型みたいな感じで、安心して読める。
文章もしっかりしてるし、話の流れも良く整理されているし、栞はかわいいし(寝てるだけだが)、香里は……だし、あまり文句のつけどころがないです。
「海」と関係ない話である点を除けば。
携帯用トイレって、匂いとかはしないんでしょうかね? 重要な小道具なんだから、実物を知らない人にも分かるように都合よく説明しる、とか思った。
あとそれから。いたる絵キャラを「整った顔立ち」とか形容されると、どうにもむず痒いですね(w。
「何も変わらない夏の海」
隆山は関西圏だったのか。
柏木のお嬢様がアイス売りってのは、なかなか面白い発想だと思われ。
ほんわかしました。餓鬼どもがかわいい。これで女の子もかわいく書けるようになれば言うことなしですね。
そういえば、他の妹たちは何してるのでしょうか?
「乙女が海に来た理由」
だから、いたる絵キャラを「美少女」とか形容されると(以下略
ハッピーエンドは好きです。七瀬って、こんな奴だったのか。
「夏の海」
これ読んで、瑞希ってたしか大志の隣にいた奴だよな……彩って誰だっけ……と思っている私は、ちゃん様しかクリアしていない従順な下僕です。
ゴメン、キャラが分からないんで、スルーさせて。
「蒼に溶ける」
いい話っぽい。文章も読みやすいし、情景描写もきれい。海というテーマにも合っているし、何よりタイトルがカッコ(・∀・)イイ!!。
ただ、いかんせん短い上に説明不足で、終盤の演出が唐突に見えてしまう……ってのは、私が原作を知らないので仕方ないところですね。
蝉丸の語りがちょっとクドいか、とは思いました。そのせいで、後半への盛り上がりに欠ける感じ。
さて、総評は……誰彼がいっぱいあったのが印象的。しかし、どれもこれも華やかさがないというか地味だなぁ。原作に従うかぎり仕方ないのかな。
最萌に「よくあることだよね?」を推しまして、作者の皆様への感謝に代えさせていただきます。謝謝。
さて、今回の投稿を書き始めないと。「結婚」の感想はその後ということで……
>名無しくん、、、好きです。。。 氏
最萌ありがd。
テーマに関しては、この回はちょっと開き直ってました。
携帯トイレは、のりたまの袋のような、チャックのついたビニール袋。
きっちり閉めれば臭いはしません。多分。使ったことないからわからんですがw
でもやっぱりいたる絵は駄目なのねw
いたる絵で「整った顔立ち」に違和感があるなら、他の人の絵を勝手に紹介。
ttp://www1.odn.ne.jp/~aak12910/kaorifc.html の香里さんに惚れますた。
>666
う〜ん、そういう常識的な説明ではなくて、秋子さんのことだから、極小CCDカメラとか、
小型集音マイクにレコーダーとか……ついていたりしませんか?
それから、「臭い」ではなく「匂い」だYo! 誤変換じゃないYo! 微妙なニュアンスだけど。
……我ながら、何言ってんだか。もう寝まふ。
668 :
666:03/11/27 00:25 ID:Z8EAFDcQ
ついてたりしませんw
というか秋子さんならそんな物つけなくても、すべてお見とおしな気が……(;´Д`)
>それから、「臭い」ではなく「匂い」だYo!
むう。実はなんとなく気付いていたり。
俺自身、尿を堪えるというシチュに萌えても、尿自体は……という感じなので、
「匂い」という文字がしっくりこなくて敢えて避けたのです。
羞恥プレイは、行為自体より恥ずかしがる女の子がいいのじゃよー、とw
旧スレもあれば便利なもんだね。
昨日の今日のでまいったな・・・ やる気、でろー。
旧スレ、2つ前(#10)のは落としていいんでないかい?
落とそうと思ってネタフリに参加してるんだが……
なかなか進まない……
人も来ない……
今日は本スレにSS投稿があるだろうから、投稿中に他のスレ(例:ここ)
になんでも書き込んでいると、投稿者さんが連続投稿規制にひっかかりにくくなる
支援になるよ。
今回は投稿少なそうだな。
さすがに仕方ないかな。
674 :
名無しさんだよもん:03/11/30 18:54 ID:6MK/bmIJ
テーマが「海」の回の8作を下回りそうな勢いだな。
これで終わったらコンペもクソもないぞ。
旧スレ上げたらあかんやろ
いつものage煽りだからほうっとけ。
ネタを展開中のところ申し訳ない。少し使わせてください。
以下、現行スレの話題です。
ではまず問題点と疑問点の列挙を――
1.不満もしくは疑問があるのにも関わらずに、具体的意見を述べていない。
これでは一般に煽り文との区別が付かない。
2.指摘されてからの意見を述べる。これは今までの流れを見るに構ってちゃん的思考に思えてしまう。
3.本コンペ12の145発言。多分81氏の作品のことだろうが、前後に発言をしていないので、
この作品は省かれている。
一レス作品はメンテかどうかの区別を付けるのが特に難しく、発言なしはコンペのルールにある
『投稿作品とそれ以外の書き込みを区別するために、投稿作品の前後には宣言をする』
が、適用されても仕方ない。作者さんもこの辺注意してほしい。
(名前だけ変えての悪意あるコピペしてくるやつも過去にいたから留意してほしいです)。
つまり145氏は、130にある作品一欄が『曖昧』ではなく『きちん』と区別されているはずなのに、
138氏(ID別なので一応別人あつかい)の発言に感化されている。
これでは『話し会う気もない』のはどちらか分からない。
現スレは感想期間中であり、あまり138氏の発言は風呂敷を広げられずに、黙視することになる。
別板のコンペ掲示板や前スレなどで『具体的に』『何を』『どうしたいのか』を発言していたら、
印象はがらりと変わっていたと思われるのだが……。
総論
今回引退の◆HMX73059.I氏のためにもマターリ行きましょう。
>>677 疑問をただの煽りと受け取ったあんたの思考回路に問題があるんだろう。
話し合いは前スレで十分されており、130がそれに沿ってないのは一目瞭然だ。
>3.本コンペ12の145発言。多分81氏の作品のことだろうが、前後に発言をしていないので、
> この作品は省かれている。
省かれてないよ。
嘘ついてまで擁護する(正当化する)のは何か他に意図があるのか、ただ煽りたいだけなのか。
煽りたいだけなら他でやってくれ。
これは失礼。ごめん。
>iQajtO2G
あんたが言いたいのは81が題名も宣言も無く作品に入ってたことだろう?
疑問だと言うならあんな言いかたせずに、ただ進行役に「
>>81は投稿作ではないのでは?」
と一言いえばよかったんじゃないの?
>>680 曖昧にするならするで、進行役にとってやりやすいルールにした方がいいと思ってるから、
ああいう言い方になったんだが。
煽ってくるから態度が硬化しただけで。
>曖昧にするならするで、進行役にとってやりやすいルールにした方がいいと思ってるから
で
>理由も無くころころルールが変わるようではダメだろ。
なのか。よくわからん。
そんなことより、いつまでもこんな些事にこだわってたところが粘着だと言ったんだがな。
前に話題が出た時からうんざりしてた人間としては、「またか」としか思えなかったな。
些事ってのも主観だろ。
同意しとく
同意
また似たようなネタで混乱招いたようで申し訳ありません。
とりあえず大前提として
・投稿宣言がある作品は全部作品一覧に収録する
で、例外として
・宣言が無くても、明らかに投稿作品と認められる作品は収録する
って感じでやってましたです。
例外の存在理由は単純に「テンプレを読んでない投稿者がいるかもしれない」ってだけです。
もちろん例外なんて認めずにガチガチでやることも可能ですが、
収録しないデメリットより収録するデメリットの方が小さいと判断して、このようにやってました。
言い訳、以上です。
>>686 今までお疲れ様でした。
またいつか、会える日をー。
688 :
636:03/12/10 00:43 ID:jJJjRDxh
>686
お疲れ様です。
( ´D`)ノ 進行役、HP管理、なんでもばっち来い!
と、大きなことを言うまえにトリップ探してきますね……
とりっぷてす
あ、使えますね。
>686
これでOKでしょうか? (とりぷはKOだけどw)
待て、IDに「J」が4つもあるぞ。だからなんだと言われると困るが。
フラッシュピストンマッハ(略でも打てそうだな。
>>686 個人的には81が明らかとは思わないけど、そこはまとめ役の裁量ってわけね。
HMX氏乙。
それから次期進行役の方頑張って下さい。
とりあえずこれを機会に、最初に
1、投稿期間中のSSと思われるものは全て投稿作として扱う
2、投稿の意思を明示してあるもののみ投稿作として扱う
3、微妙なものは進行役の裁量にて扱いを決める
のどれで行くかを先に決めてもらいたいかな。
どうしてそこまでこだわるのかがわからないけど……。
俺は3でいいと思う。
同ー意。それに加えて、進行役のまとめリストに入っていないやつに
感想付けるのも、感想人の自由だしな、ここ。
いちいち「これを入れる入れない」で揉めて感想期間に入れない、ってわけにも
いかないし。
>どうしてそこまでこだわるのかがわからないけど……。
俺だってこだわりたくはないよ……
ただまあ、進行役も変わることだし、下手げに後で揉めるより先に方針だけでも
決めたほうがいいかなと思ってね。
俺としても3がいいと思う。
この板は、部分的に年齢層が高いなぁ。
>698
送りますた。どうぞよろしゅう。
>>699 お返ししました。あとはよろしゅう。
では現スレにご挨拶してきますですよ。
作者に投稿作品を貼ったつもりがなくても、
反応があれば次もそういうネタを貼る気になるかも知れない。
形式としては3(裁量)で構わないけど、
判断基準は1(なるべく多く)に近い方がスレは活発になると思う。
まぁ、言ってみればスレ環境への政治的判断ですな。
状況を判断して裁量をふるえばいいかと。
ネタかどうかの判断より、荒らしかどうかの判断の方が重要かな。
それ以外は1でいいかもしれない
そうだね、実際、悪意のもとに改変コピペとか虐待コピペとかが
貼られる事も起こってるスレだし。
逆に、前任者さんが言うようにまともな投稿だけど
ルールをよく読んでなかったとかいうこともありえるし、
うっかりしてたとか、中には前説がいやだという人もいる。
誰かひとりにとりあえず決めてもらうっていうことは必要だと思う。
感想や評価自体は、感想人の最良でまとめに入っていようがいまいが
付けられるし。
ルールを優先するより、SSコンペのスレという本来の目的が上位。
結局は進行役・スレ住人の判断を優先ってことかな
まとめに入ってよろしいでしょうか?
進行役の裁量に、という意見が支持を得ているようですので、それで行きたいと思います。
加えて、感想を書く方々がそれぞれに判断してくだされば結果的にOKなのではないでしょうか。
判断の基準を広く取るか狭く取るかは、実際のSSを見てみないとなんとも言えないと思います。
まとめ
???
司会役、交代するまではあまりにノリの軽さに、「ホントにこの人で大丈夫なん?」
とか思ってたけど、その心配が杞憂に終わったようでほっと一安心。
あー、やべ。ネタはあるのに書き気が起きないわ。
>708
ヽ(;゚∀゚)ノ
711 :
jo:03/12/29 11:42 ID:z4E7IgGi
2chでCMとは、なかなか怖いことするんだな…。
あけおめうめ
っつーか、こんな前のスレが年越すなよ・・・。
完全に埋めるつもりもないんなら、わざわざ圧縮起きる直前に書き込まなきゃいいのに。
圧縮来たってそうは落ちないよ。っつーか、そう落ちるようなら逆に困る。
そうは落ちないというが、落ちる法則ははっきりしているのだから、
これはもう落ちてもいいスレなんだから、わざわざ可能性を低くすることもないだろうと思う。
反論すればするほど落ちにくくなるジレンマ
わかった、じゃあ埋める。
ネタは無いけど勘弁して。
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「 \ |:/;//::,!:::;i::;:ノ',ll:::l、;;:ヽ:;`:ΤΤ「 |xヽ、ヽ,,ノ'
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ヽ l |'、 | r''メメメメXX,x.`_r.`_-ゝ'ヽ.ヾキト、 ,/〉
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ヽヽ
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/ ヽ
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ヽi { | i | ! ! ,! /| /| ! | | |
v`\N/TRヽl V l/ T.R'´V =、 | | | < 俺の出番か
| 、Lノ ⊥._j, < ||ノ.人_ゝ
{ " ヽ_, "" ⊂' ´
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-―,' -――――-´>-、_
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l|..;' .r''Yj .|'ン_,,,_ナ'‐/ | _ j゛ l l |l, ', '; ゛!
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| lヽ!.l .|'┴‐' /ィ:ハ リ.j.ハl .j| .j.|
l | :| い| ''' , ヽ/ ゛ィ゛|//.ノ|/j /ノ
j .| .|. l' 、 。 '''/j| j / ソ
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,' j ,r'iノ ./ _,、..Yj'T´l,. | l,
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l、 ヾ'7-、,.;゛ l、::j;/ト;l, l,ヾミ、
ト、 .| ゛'j Fj.ヒ;'_ノ l l,ヾ、ヽ
! ,,...、、.ヽ, / |´ f/ .レ‐―:、ヾ;.\
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(T´ | ゝ_ィ>};;_.」
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Z孑,7ゞニニィ ハ.l l. ト. ',
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匚[lニニニコ_|ニニニ.コ三lユi! ̄ヽゝ.ヽ ーZイZ.イzく
/二l]_(Oコ二二二l__ __ __ ___ __`T7二l/ ヽ. !
. ├,-、_.─r'¨,ニ-┴ ヽ-‐))゚ l' |ヽ/ , -- 、「フ>、
//ノt ゞ-¬三' `Yヽ、 __」_。_。_l. //  ̄`ヽ!-‐ヘ
ゝ、' /、>、__,ト= -‐、/ / `丶、く/// >'´ , / ノー'´ ̄ ̄ヽ
. `ー' t_ハ. 、 `卞冖´! / l /_ ,r',二`ヽ.
`丶 、ヽ\ l ヽ. `' /`,.'イ ー ∠-'─‐`‐′