1 :
名無しさんだよもん:
2 :
現在の情勢:03/07/08 20:11 ID:wV8W8z93
☆東北
大名 軍団長/城主
陸奥 オリカカン -
陸中 スオンカス -
陸前 ワーベ -
磐城 カンホルダリ -
岩代 アムルリネウルカ=クーヤ -
(以上、1868年以前は全て「陸奥」)
羽後 インカラ -
羽前 二ウェ -
(以上、1868年以前は全て「出羽」)
3 :
現在の情勢:03/07/08 20:11 ID:wV8W8z93
☆関東
大名 軍団長/城主
下野 大庭詠美 -
上野 水瀬秋子 水瀬名雪
常陸
下総 大庭詠美 塚本千紗
上総安房 芳賀玲子 -
北武蔵 水瀬秋子 長谷部彩
南武蔵 千堂和樹 九品仏大志
相模 千堂和樹 -
☆中部
大名 軍団長/城主
信濃 森川由綺 -
甲斐 緒方英二 -
伊豆 千堂和樹 風見鈴香
飛騨 広瀬真希 -
美濃 長森瑞佳 里村茜
駿河 渡辺茂雄 -
遠江 渡辺茂雄 南明義
三河 深山雪見 -
尾張 長森瑞佳 -
北越後佐渡 水瀬秋子 相沢祐一
南越後 水瀬秋子 -
越中 水瀬秋子 北川潤
能登 柳川祐也 -
加賀 水瀬秋子 美坂栞
4 :
現在の情勢:03/07/08 20:11 ID:wV8W8z93
☆近畿
大名 軍団長/城主
近江 長瀬祐介 -
伊勢志摩 遠野美凪 -
伊賀 清水なつき -
越前 柏木賢治 -
若狭 月島瑠璃子 -
山城 神奈備命 -
摂津
河内
和泉 篁 -
大和 霧島佳乃 -
丹後
丹波 月島拓也 -
播磨淡路
但馬
紀伊 神尾観鈴 -
☆中国
大名 軍団長/城主
因幡 保科智子 -
伯耆 岡田目久美 坂下好恵?
出雲 岡田目久美 -
石見隠岐 来栖川綾香? -
美作 那須宗一 -
備前 那須宗一 ?
備中 伊藤 -
備後 宮内レミィ -
安芸 藤田浩之 -
周防長門 長瀬源五郎 -
5 :
現在の情勢:03/07/08 20:12 ID:wV8W8z93
☆四国
大名 軍団長/城主
讃岐 犬飼 ?
伊予 犬飼 -
阿波 坂神蝉丸 ?
土佐 坂神蝉丸 -
☆九州・沖縄
大名 軍団長/城主
筑前対馬 高倉宗純 -
筑後 宮田健太郎 ?
豊前 高槻 ?
豊後 高槻 -
肥前壱岐 宮田健太郎 -
肥後 ルミラ=ディ=デュラル -
日向 さくや -
大隅 ティリア=フレイ ?
薩摩 ティリア=フレイ -
琉球 デューク=ボルト -
6 :
名無しさんだよもん:03/07/08 20:12 ID:aaHVjUDf
,,―‐. r-、 _,--,、
,―-、 .| ./''i、│ r-,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,―ー. ゙l, `"゙゙゙゙゙ ̄^ \
/ \ ヽ,゙'゙_,/ .゙l、 `i、 \ _,,―ー'''/ .,r'"
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{ "" ,/` ヽ、 `'i、 丿 .,/`
.ヽ、 丿 \ .\ ,/′ 、ヽ,,、
゙'ー'" ゙'i、 ‘i、.r-、 __,,,,,,,,--、 / .,/\ `'-,、
ヽ .]゙l `゙゙゙゙"゙゙゙゙ ̄ ̄ `'i、 ,/ .,,/ .ヽ \
゙ヽ_/ .ヽ_.,,,,--―――――ー-ノ_,/゙,,/′ ゙l ,"
` ゙‐''"` ゙'ー'
7 :
備考:03/07/08 20:12 ID:wV8W8z93
優位同盟([盟]盟主、[従]従属大名)
[盟]渡辺茂雄→[従]深山雪見
軍事同盟
水瀬秋子←→千堂和樹
包囲網
来栖川芹香(→綾香が引き継ぎ?)・藤田浩之・宮内レミィ→岡田目久美(推定)
大名消息
久瀬→滅亡一番乗り。消息不明
来栖川芹香→処刑?軟禁中?
独立勢力
ジョン=オークランド(伊豆大島に拠る)
諸勢力([敵]敵対大名[従]その大名に従属中)
高野山金剛峯寺→[敵]神奈備命
比叡山延暦寺→中立
大坂(石山)本願寺→中立?
三崎水軍→[従]千堂和樹?
8 :
関連スレ:03/07/08 20:13 ID:wV8W8z93
9 :
名無しさんだよもん:03/07/08 20:15 ID:tORI48dn
,,―‐. r-、 _,--,、
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.ヽ、 丿 \ .\ ,/′ 、ヽ,,、
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` ゙‐''"` ゙'ー'
10 :
名無しさんだよもん:03/07/08 20:25 ID:ZPIEj/uC
【前スレ】
がおがおレーシング
http://cheese.2ch.net/leaf/kako/1001/10016/1001609886.html -= Δ〃⌒⌒ヽ
-=≡ ∠/ミfノノリハ)))) / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
-=≡ f ヘ|| ´∀`)| < がおーがおー
-=≡ /⌒⌒ヽ/⌒ヽ†\ \______
-=≡ ./⌒ヽ, /  ̄ \\ ヽ/⌒ヽ,
-=≡ / |_/__i.ノ ,へ _ _/ \\/ | /ii
-=≡ ノ⌒二__ノ__ノ  ̄ ̄ \ヽ |./ |i
-=≡ ()二二)― ||二) ()二 し二) ― ||二)
-=≡ し| | \.|| .| .|\ ||
-=≡ i .| ii i | .ii
-=≡ ゙、_ ノ .゙、 _ノ ころころ〜
大名データも貼った方がいいかな?
とりあえず初期(開始時)の情勢も貼ってみる。
☆東北
大名 軍団長/城主
陸奥 オリカカン -
陸中 スオンカス -
陸前 ワーベ -
磐城 カンホルダリ -
岩代 アムルリネウルカ=クーヤ -
(以上、1868年以前は全て「陸奥」)
羽後 インカラ -
羽前 二ウェ -
(以上、1868年以前は全て「出羽」)
☆関東
大名 軍団長/城主
下野 大庭詠美 -
上野 水瀬秋子 水瀬名雪
常陸
下総 大庭詠美 塚本千紗
上総安房 芳賀玲子 -
北武蔵 水瀬秋子 長谷部彩
南武蔵 千堂和樹 九品仏大志
相模 千堂和樹 -
☆中部
大名 軍団長/城主
信濃 森川由綺 -
甲斐 緒方英二 -
伊豆 千堂和樹 風見鈴香
飛騨
美濃 広瀬真希 -
駿河 渡辺茂雄 -
遠江 渡辺茂雄 南明義
三河 深山雪見 -
尾張 長森瑞佳 -
北越後 水瀬秋子 相沢祐一
南越後 久瀬 久瀬
越中 水瀬秋子 北川潤
能登 柳川祐也 -
加賀 柳川拓也 -
☆近畿
大名 軍団長/城主
北近江 長瀬祐介 -
伊勢志摩 遠野美凪 -
南近江伊賀 霧島佳乃 -
越前 柏木賢治 -
若狭 月島瑠璃子 -
山城 神奈備命 -
摂津 月島拓也 -
河内 月島拓也
和泉 篁 -
大和 月島拓也 -
丹後
丹波
播磨淡路
但馬
紀伊 神尾観鈴 -
☆中国
大名 軍団長/城主
因幡 保科智子 -
伯耆 岡田目久美 坂下好恵?
出雲 岡田目久美 -
石見隠岐 来栖川芹香 -
美作 那須宗一 -
備前 那須宗一 ?
備中 伊藤 -
備後 宮内レミィ -
安芸 藤田浩之 -
周防長門 来栖川芹香 来栖川芹香
☆四国
大名 軍団長/城主
讃岐 犬飼 ?
伊予 犬飼 -
阿波 坂神蝉丸 ?
土佐 坂神蝉丸 -
☆九州・沖縄
大名 軍団長/城主
筑前対馬 高倉宗純 -
筑後 宮田健太郎 ?
豊前 高槻 ?
豊後 高槻 -
肥前壱岐 宮田健太郎 -
肥後 ルミラ=ディ=デュラル -
日向 さくや -
大隅 ティリア=フレイ ?
薩摩 ティリア=フレイ -
琉球 デューク=ボルト -
武将風雲録が一番面白かった。
これ移行は複雑になるばかりで…
嵐世記はかなり画期的で面白いシステムだと思ったがなぁ・・
寝る間も惜しんでプレイしますたよ。
>>15 中国はこうでは。
☆中国
大名 軍団長/城主
因幡 保科智子 -
伯耆 岡田目久美 坂下好恵?
出雲 岡田目久美 -
石見隠岐 来栖川芹香 来栖川綾香
美作 那須宗一 -
備前 那須宗一 ?
備中 伊藤 -
備後 宮内レミィ -
安芸 藤田浩之 -
周防長門 来栖川芹香 -
一応現段階では空白状態の蝦夷地(北海道)の細分も。
☆北海道
大名 軍団長/城主
天塩
北見
石狩
根室
釧路
十勝
日高
胆振
後志
渡島
(以上、1868年以前は全て「蝦夷」)
このスレ何度も立つけど長持ちしないな…
結局、前々スレは能力談義に終始していたからなぁ。
前スレは完走しますたが?
今回も能力、数値化談義は基本的に無しの方向で行くことを願う。
とりあえず、参考案ですが、SS書いた奴及び外野が
その作品上の能力を提示するというのはどうかと。
(・・・単純数値だけだと美坂香里が水瀬家軍師になると思う今日この頃。)
単純数値なら佐祐理さんでしょ。
それだけでみると香里軍師は名雪の縁故人事になるんじゃない?
まぁ、佐祐理さんは水瀬本流からは外れてるだろうから
本家の重鎮にはならんだろうけどさ。
>>23 能力値ネタは三国志スレが適任では?というか、スレの
>>1の人にメール送るとか。
ぶっちゃけ武将の性格と各武将の縁さえ覚えておけばこのスレは良いでしょう。
あとは適当に戦国時代の歴史風俗なんか覚えて、各人のネタ次第。
>>22 今スレ初SS等もまたーり待ちましょうぞ。
葉鍵の野望とせずに、(キャラ名)の野望でもよかったんじゃね?
葉鍵の〜だと何度も途中でdat落ちしてるから縁起悪いし。
それに、葉鍵の〜だと能力の格付け話が多くて前スレとは毛色が違ったし。
一見して戦国スレとわかるように〜なら、葉鍵戦国絵巻とか、葉鍵戦国群雄伝とか言う手もあったろうに。
葉鍵の野望 ・・・ 武将風雲録SS絵巻
とでもすればよかったかもね。
いずれにせよ、前スレからのSS路線=数値化無視の方向で行くなら、
次スレはSSという文字を明記して、数値化無しとはっきり方向性を定めたほうがいいかも。
備前の国、那須領…
戦国の世にあって珍しくこの地は人々が安寧の内に日々を過ごしていた。
ここ数年の間、この地においては合戦と称されるような大規模な戦闘は起きていない。
隣国に名だたる大名家が存在しないことはもとより、
領主那須宗一の類稀なる情報収集能力の高さがその大きな理由として挙げられるであろう。
弱冠18歳。
その彼がわずか数名の家臣とともに旗上げをし、乙子城三百貫の地からわずか数年の間に
備前、美作を支配下に収める大大名になろうとは誰が予想し得たであろうか。
「戦とはすなわち情報である」
とは彼、宗一の言葉である。
宗一は“こと”を起こす際において事前の情報収集に余念がなかった。
敵の兵力、戦術、内情、弱点…
ありとあらゆる点において調べつくされ、吟味され、そして時によってはその“情報”を攪乱に用いる。
宗一が戦を仕掛けるのはその“情報”がすべて出揃った後…
つまり、その戦は始まる前からすでに勝つことが決まっている戦でなければならなかった。
宗一は『勝つべくして』勝ってきたのである。
福岡といえば博多、堺にも引けを取らない大商業地域である。
もともと通商の便において栄えていた地であったが、那須家家臣、梶原夕菜が政務を取り締まるようになってから
彼女が堺にて学んだ商法を巧みに導入し、飛躍的に成長が加速していた。
宗一が彼女、夕菜の元に足しげく通っているということは城下の噂話でも広く浸透している。
夕菜の実母は宗一の乳母であり、彼女とは幼少の頃より慣れ親しんだ間柄。
だがそれはあくまで姉弟としての関係であり、男女のそれとはまた違った信頼関係である。
今日も例に違わず宗一は夕菜の屋敷を訪れていた。
「もう、こんなにいっぱい溜めちゃって…宗ちゃんなかなか来てくれないから」
「し、仕方ないよ。政務で忙しいんだから…」
「うん、わかってる。…だから今日は徹底的にやっちゃうね」
「う、うん…」
「じゃあいくよ〜」
「ね、姉さん、くすぐったいよ…」
「だめだめ、じっとしてなきゃだめだからね、宗ちゃん」
暖かな陽射しの当たる縁側。仲睦まじい義姉弟は膝枕をしながら耳掻きの最中である。
「ふふ、宗ちゃん。こんなにおっきいのが取れたよ?」
「み、見せなくていいから、姉さん…」
おおよそ戦国の大名家の家形とは思えぬほどの平和な情景がそこには展開されていた。
「はい、終わり〜」
「うん」
「あ、まだ動いちゃだめだよ。最後にふーってするから」
「い、いいよ…」
「だめだめ。はい、じっとして」
そう言って夕菜は宗一の耳元に唇を寄せるとふーっと息を吹きかける。
そのくすぐったさに宗一がわずかに身をよじらせた。
…と
「姉さん」
ふと何かに気がついたように宗一が呟く。
「うん?なあに、宗ちゃん」
「確か中庭で七海が遊んでると思うんだ。…様子、見てきてくれないかな」
そう言う宗一に何かを察したのか、夕菜は神妙な顔をして頷いた。
「うん、わかった」
夕菜が立ち去った後、宗一の顔が“物分りのいい弟”の顔から備前、美作二国の領主のそれへと変わる。
「…で、いったい何の用だ?」
「あら、気付いていたの…?」
宗一の言葉に反応して部屋の中から一人の女性が飄々とした様子で出てきた。
「何時からそこにいたんだ」
「最初から」
さもおかしそうにくすり、と笑う。
「相変わらずお熱いのね」
宗一の顔がわずかに恥じ入るように赤く染まる。
リサ=ヴィクセン。宗一直属の間者である。
その流れるような金色の髪と名前の示すとおり、倭の国の者ではなく、南蛮の国から渡来してきて宗一に仕えている。
日本にあって明らかに目立つその風貌でありながら間者として務まっているのはその類稀なる能力ゆえだろう。
常人には気配を絶っている彼女を見つけることはまず不可能と言ってもいい。
そのリサの気配を察知することができた宗一もさすがというべきだろう。
彼自身も大名として身を成す以前は間者として各地を転々としていた。
それゆえにその時代の勘からわずかな気配ですらも察知することが可能なのだ。
「それで、何が起きた?」
「都にて変事が」
「変事?」
「将軍家が都を追われたわ」
「何…?」
将軍家とは言うまでもなく神奈備命のことである。
戦国の世にあってもはや名だけの存在となってしまったとはいえ、やはり武家の棟梁。
将軍家は将軍家である。
その将軍家が都を追われたとあっては変事も変事、大変事である。
「…して、ことの詳細は…?」
宗一はリサの口から都の状況について事細かに聞かされる。
高野山八千が将軍家に対して兵を起こしたこと。
その裏ではどうやら月島家が糸を引いているということ。
高野山兵に勝てぬと判断したらしい将軍家は偽陣を用いて時間稼ぎをした後、突如として行方を晦ませたということ…
「…それで? 将軍家は一体どこに向かわれた…?」
「おそらくいったん摂津・和泉方面に逃れた後、海路を使って落ち延びるでしょうね…」
「摂津・和泉…?」
リサの言葉に宗一がにやりと笑う。
「なるほどな。篁殿からの情報か…」
「……」
宗一の言葉にリサは対称的に無表情になる。
彼女は…嘘がつけない。
「…陸路、だな」
しばし熟考した後、ぽつりと宗一が呟いた。
「…残念ね、私の情報は信用してもらえないのかしら」
そう言う割にはリサの表情には残念さが微塵も感じられない。
「…いや、情報が露骨過ぎる。おそらく故意に流されたものだろう」
「あらあら…部下が優秀だったとは考えてくれないのかしらね…?」
ふふ、と含み笑いを浮かべながらリサがからかうように訊ねる。
「あんまり苛めるなよ。…将軍家には相当切れ者の部下がいるらしいからな。それくらいの芸当はしてくれるだろう」
「…それで、陸路を選ぶとして行き先は…?」
「将軍家に対する義理が高く上洛の兵を起こせるだけの力があり、将軍を傀儡としない野心の低い大名家。
そして何より都より近い地と言えば…」
「…越前柏木家、ね」
「そうだな」
リサと宗一が共に頷く。
「それで、どうするの?」
「エディを越前へと行かせてくれ。しばらく様子を見てみる」
エディはリサが宗一に仕えるよりも前から那須家に仕えている武将である。
…また、宗一が間者であった時代の良き相棒でもあった。
「あら、私じゃないのね」
「リサにはこれから和泉の方へと行ってもらわなくちゃならんからな。あんまり忙しくて倒れられても困るだろ」
くくっ、と含み笑いを浮かべながら宗一が言う。
「…わかったわ」
「篁殿によろしくな」
「…そう、篁様から一つ伝言よ」
「何だ…?」
「『安芸の狐には気をつけろ』」
「…………ぷッ」
一瞬あっけにとられたような表情になった後、宗一が吹き出す。
「わははははっ」
「宗一…?」
「いや、すまんすまん」
目尻に涙を浮かべるまで笑い転げた後、宗一が謝る。
「それじゃあ篁殿にはこう伝えてくれ」
さもいい台詞思い付いたかのようににやりと笑みを浮かべる。
「『俺には備前の狐がついているから大丈夫だ』、とな」
「…。それは…褒められた、と考えていいのかしら?」
「ああ、もちろんだ」
「ふう…わかったわ」
「じゃ、そういうことでよろしく頼むな」
宗一に形式的な一礼をした後、リサは部屋を後にする。
パチン。
親指の爪を噛む。
「二重間者は…つらいわね…」
いつものように寂しげな表情でそう呟くリサであった…
まだRoutesの地区が書かれていなかったようなので担当してみました。
歴史ものを書くのは初めてなので雰囲気はあまり出ていないかもしれませんが
その辺はご容赦を(汗
リサは山本勘介、宇喜多直家あたりをモデルにしています。
今後は将軍家関係でいろいろ書いていきたいですが
そちらの担当の方が最近はご無沙汰のようなので
しばらくは中国方面の様子見となりそうですかね…
乙〜
なかなか良さゲ
「なんと。それでは月島瑠璃子本人が面談に応じたと?」
「うん。そういう事になった」
翌日、大和から戻った密使が受け取った返書を見ながら祐介は答える。
内容は『直接面談に応じる』というものであった。
返書を見せられた源一郎は言葉の隅々まで読み
「面談は良しとしても、だ。もし、月島瑠璃子を信用できなかった時は、どうする?」
「その時はお帰り願うだけだよ。謀叛人として摂津に、ね」
祐介は茶を一口すすった。
「だけど、美濃・尾張の状況を考えれば近畿進出への
絶好の機会でもある。背後を襲われる事を考えなくてすむしね。
問題は……」
「問題は?」
祐介は茶碗を手の中で転がしながら言った。
「美濃・尾張の平定と、こっちが進出地を平定するのと どちらが早いか、でしょ?」
しばらく二人とも黙っていたが、祐介が不意に命を下した。
「出陣するかも知れないから一応準備をするよう二人に通達しておいてください」
「はっ。…それで出陣先は?」
「それは今度の交渉次第ですよ。摂津、河内、大和を手に入れるか、
あるいは美濃や伊賀、伊勢に勢力拡大をするか、ね。
あ、それと」
祐介は席を立った源一郎を呼び止めると
「美濃の清水なつき勢の動向を掴んでおいてくれませんか?」
「ああ、それはいっこうに構わんが。……何を企んでいるんだ?」
「いや、美濃の国の情勢をもう少し混沌としておこうと思って」
「……わかった。その分の兵糧と銭は用意しておく」
立ち去り際に源一郎は
「祐介。お前、冷たくなったな」
と言い、祐介は表情一つ変えずにその背中を見送った。
「叔父さん、僕は昔と変わってないですよ。
ただ、僕の知ってる人や友達が傷付くのは嫌だから。
それを見なくて済むなら、僕はいくらでも冷酷になりますよ」
翌日の夜半。琵琶湖に一艘の小さな屋形船が漕ぎ出されていた。
この屋形船に長瀬祐介と月島瑠璃子、
及び新城沙織、藍原瑞穂の四名が対談の為、乗船し
舟が水をきる音が時折大きく響いた。
「月島 瑠璃子と申します」
「長瀬家当主 長瀬祐介です」
対談は互いの自己紹介から始まり、月島領の政情、軍備、諸将の情報が話された。
「……なるほど。ところで、いざ戦になった時に
瑠璃子殿は我らにどのような協力をしていただけます?」
沙織の言葉に瑠璃子は眼を閉じて答えず、代わりに瑞穂が
「恐れながら、幾ばくかの兵糧と武器・弾薬の提供が精一杯」
と答えた。
「なんと。それでは援軍は出さないと?」
「……恐れながら、このたびの戦に瑠璃子様が表立って反旗を翻したとなれば
瑠璃子様を人一倍想っている拓也様の事。その想い故に激昂し
どのような凶行に及ぶか計り知れません」
瑞穂は深く頭を垂れ
「故に、何卒援軍の儀は免じて頂きたいと存じます」
と言った。沙織はあからさまに不快感を表したが、祐介は
「つまり、我らが月島拓也を打ち破らぬ限り、瑠璃子殿としては
表立って動く事が出来ない、と。そういう事なのかな?」
と冷静に返した。
「仰る通りです。摂津、河内が表向き治まっているのは
拓也殿の直属軍の精強さと拓也殿の用兵の妙が諸豪族を恐れさせてこそ。
故に戦場で拓也殿を討ち破れば、諸豪族は拓也殿に反旗を翻し
瑠璃子様、ひいては長瀬殿を仰ぐものと思われます」
「なるほど」
沙織は不満そうな表情を残していたが祐介が納得すると
それ以上何も言わなかった。
「ところで、この企てが上手くいったら、瑠璃子殿はどうするつもりかな?」
「……何処か静かな所で余生を過ごそうかと思います。
願わくば、ここにいる藍原以下、月島の家臣一同を
どうか引き受けていただきたいのですが」
「承知しました。ですが希望せざる者に関しては……」
「それは致し方なき事。御心を痛めにならずとも結構です」
その後夜明け近くまで細かな話し合いが続き
別れ際、船着き場で祐介は瑠璃子に一つ質問をした。
「最後に一つ確認したい。
あなたは拓也殿の事をどうお考えですか?」
その問いに瑠璃子は
「私は……。昔の、優しかった兄に戻って欲しいと……。
今となってはもはや叶わぬ事ですが………」
と答え、大和に引き上げていった。
「……沙織ちゃんはどう思う?」
「さっきまでは疑ってた。けど、今の表情を見たら…」
「うん。とても寂しそうな表情だった。
……僕は瑠璃子殿は信じられると思う」
「私も。勢力拡大とかそういった損得抜きで
協力してあげたいと思った」
「……なら、話は決まったね」
「はい。直ちに出陣の仕度に取り掛かるよう通達します」
「出陣は五日後。常備軍一万の中から精兵五千を出陣させ
残りは伊勢・伊賀方面に備える。守備には長瀬源一郎をあてる。
以上、先に戻って準備しておいて」
「承知しました」
沙織は馬にまたがると一目散に小谷城に向けて駆けて行った。
「御側役が殿を置いて行くとは、いささか役目の重大さについて
認識が不十分ではないですか?」
屋形船の船頭が祐介に話しかける。
「いや、お前が何者かを知ったうえでの行動だからね。
沙織ちゃんは少し落ち着きが足りないけども、鈍い訳じゃない」
「なるほど。既に気付かれてましたか」
祐介は船頭に向き直り
「さて、田中。お前にも一仕事してもらいたい」
と言った。田中と呼ばれた男は少し考え
「美濃の……清水なつきですな?」
と言った。祐介は頷き
「既に源一郎に輸送物資は用意させてあるから
それを清水勢まで長森に気付かれぬ様に運んでもらいたい」
「承知しました」
田中と呼ばれた男はすぐに走り出した。
(さて、吉と出るか、凶とでるか……。正念場だな)
祐介は馬にまたがり小谷城に駆けて行った。
既に夜は明けようとしていた。
長瀬家人少ないので雫おまけシナリオ(異次元人編)から一人引っ張ってきました
『そんなとこから引っぱってくんなゴルァッ!( ゚Д゚)』なんて言わないでくださいまし
──かくして、来栖川軍は崩壊した。
先ほどまでの勇戦敢闘はいずこかへと消え、来栖川の精鋭は、ただ逃げまどうだけの群衆と化していた。
武器を投げ捨て、鎧を脱ぎ捨て、身を軽くしてひたすら逃げ行く兵士たち。
それを押し止めようとする物頭、侍大将の声も、悲鳴と怒号の中に埋もれて消える。
唯一、北翼の大鎌隊のみがかろうじて統率を維持し、敗走をくい止め、兵をまとめ上げようと必死になっている。
しかし、それを成し遂げることを許すほど、岡田軍の攻勢は甘いものではなかった。
岡田目久美直卒の、勇壮果敢な騎馬武者が、ここぞとばかりに駆け寄せて、敗走続ける敗兵を、当たるを幸いなぎ倒す。
武名轟く来栖川の、名のある城主・武者どもが、己の意地賭け斬り結び、衆寡敵せず討ち取られ、首を落とされ地に倒れ、屍一つ置き去らる。
陣形崩れた軍勢は、これほどまでにもろいもの。武勇で知られし猛者どもも、無数の雑兵軍兵に、周りぐるりと囲まれて、首次々とと地に落とす。
もはや軍とは見て取れぬ、四分五裂の敗兵が、三々五々に果てしなく、ただひたすらに逃げるのみ。
事ここに至っては、たとえ女豹と呼ばれる彼女でも
「もう、だめか」
あきらめるほか、ない。
丘の上から、概況を眺める。
包囲部隊のほうも、中央の壊滅に戦意を失い、潰走を始めていた。両翼共に、半数の敵に追撃を受けて滅多打ちにされているのが見える。
源四郎の旗はもう見えない。唯一、大鎌隊のみがどうにかそれなりの統率を保っているらしく、統制の取れた繰り引きを行っている──まぁ、後退を重ねていることに変わりはないが。
手元にあるのは千と四百の兵。それなりの数でこそあれ、ここから逆転できるほどの数ではない。それに、兵卒の動揺は激しい。下手をすれば、すぐさま逃げ散ってしまうかもしれない。
結論。この戦はもうどうにもならない。もはや早々に、
「逃げ延びるしかないわね」
そう決めた。ではどこに逃げるか。西には逃げられない。そちらにいるのは、先頃屈服させた出雲の豪族達。形勢が変わったと見れば、即座に手の平を翻すに決まっている。
それに、出雲を抜けても行く場所がない。すでに、周防も、長門も、(おそらく石見も)謀反人に押さえられているから。
沈思黙考も瞬く間。逃げ場は一つしか考えつかない。
「浩之に頼るしかない、か」
彼ならたぶんわたしを受け入れてくれるはず。少なくとも、問答無用で引っ捕らえられて、源五郎の馬鹿野郎に突き出されるなんてコトは無いと思う。──そう思いたい。
では。
戦の焦点は丘に近づきつつあった。必死で抵抗する大鎌隊六百を、圧倒し押し潰していく岡田の軍。数は三千くらい。勢いにも乗っている。例え、ここで綾香直卒千四百が反撃に出ても、押し返すのは不可能だろう。
──楽しくなってきたわね。
この状況、この戦況。どうやったら、安芸まで行けるかしらね。それが、何よりの問題。
綾香は思考する。さほど時間は残されていない。彼女の声がかかるのが遅くなれば、この本陣の兵たちも逃げ始めるだろう。そうなっては、もう逃げるにも逃げられなくなる。
笑みが浮かんだ。女豹の名にふさわしい、壮絶な笑み。岡田軍の最先頭に翻る、目久美の将旗を一瞥し、ほほえみかけたのだ。
「やるしかないわね。こうなったんだから。見てなさい、勝ちはあげるけど、その代償は高くつくわよ!」
そして、綾香は采配を振るう。大声を発し、萎縮していた兵の戦意を、再び燃え上がらせる。
馬を煽る。軍配を放り捨て、研ぎ澄まされた一振りの槍を従者から受け取る。
愛槍を大きく旋回させる。手に馴染ませるように一振りし、準備は整った。
「さぁ、行くわよ! 者共、続けぇっ!」
死闘が始まる。
鉄砲の発射音が響いた。倒れ伏す幾人かの兵たち。しかしそれはわずかな抵抗に過ぎない。
いずこからか飛来した銃弾により、主将を失った佐ノ山攻囲部隊は、時を同じくして発起された城兵による猛反撃に、たたきのめされ、打ちのめされ、壊滅させられようとしていた。
「りゃぁぁぁっ!」
坂下好恵の振るった豪槍が、来栖川の武者の胴を貫いた。突き立ったその槍を、一つ捻り込んだ上で引き抜くと、武者は激しく流血し、たまらず倒れ伏す。
返り血に体を赤く染めた坂下は、次の獲物を探すように視線を巡らせる。
そこに来栖川の兵は存在していなかった。
気の抜けたような表情で槍を一振りした。地面にぱっと血の滴が散る。
「終わり?」
半ば呆然としたように言った。あまりにもあっけない。死ぬ覚悟で突貫したのに、なんだ、これは。
終わってみれば自分たちは生きている。敵兵は逃げ散ってしまった。なんだこれ。何がどうなったんだろう。
「坂下さんー」
二の丸方面を制圧していた葵が、百あまりの兵を引き連れ戻ってきた。血に染まった小柄な体。その全ては返り血であるらしく、彼女の動きに不自然な点はない。
「来栖川の勢、皆敗走してしまいました」
抜き身の刀を手に下げている。一体何人を斬り捨てたのか、刀身は血と脂に汚れ、曇りきっている。もう刀ではなく、鈍器として使う他ないだろう。
「そうみたいね」
坂下も葵に近づいていく。自然と周りに集まってくる城兵たち。生き残りは二百と五十ほどだろうか、傷を負っている者も多いのだろう。腕や足にさらしを強く巻き付けて、止血している兵の姿が目に付く。
「どうしましょう」
どこか他人事のように、葵は言った。坂下も答えが見つからず沈黙している。まさか、生き延びられるとは思っていなかった二人。いや、城兵全員か。よもやの展開に、頭が回らなくなっているようである。
遠く、戦の歓声。
すっ、と全員が歓声の上がった方を向いた。しかしここからでは、山の木々に隠れて視界が取れない。
「とりあえず、三の丸まで降りようか。城の外で何が起こっているのか確かめないと、動きが取れない」
と坂下は言い、歩き出す。整然とそれに従う城兵。傷を負った者もためらわず歩み行く。
それはつまり、坂下好恵に抱く信頼と、尊敬がなせる業であった。
スレ立ておつでした。
なにやら新しい人も入ってこられたようでありがたいことです。
ところで……テンプレにある、中国方面の状況表ですが。
因幡 保科智子 -
伯耆 岡田目久美 坂下好恵?
出雲 岡田目久美 -
石見隠岐 来栖川芹香 来栖川綾香
安芸 藤田浩之 -
周防長門 来栖川芹香 -
となってますが、
坂下がいるのは出雲佐ノ山城。彼女は単なる一豪族の当主という設定にしてあります。
今の時点で伯耆にいるのは、四千を率いて宮内の軍を押さえている吉井縁です。
あと、周防長門は、既に長瀬源五郎に制圧されておりますので……念のため。
芹香は山口の、来栖川本屋敷にて幽閉状態にあります。殺されてはおりませんのであしからず
>49氏
SS用の情勢は>>2-
>>7ですよ。
>>13-16は初期設定なので謀叛が起こる前の状況です。(わかっているかもしれませんが)
しかし源五郎は独立するのか、実権を握って芹香を傀儡化するのか・・・
続きが気になる・・・・
>>情勢
近畿の情勢ですが
大名 軍団長/城主
近江 長瀬祐介 -
伊勢志摩 遠野美凪 -
伊賀 霧島佳乃 -
越前 柏木賢治 -
若狭 -
山城 神奈備命 -
摂津 月島拓也 -
河内 月島拓也 -
和泉 篁 -
大和 月島拓也 月島瑠璃子
丹後
丹波 -
播磨淡路
但馬
紀伊 神尾観鈴 -
が正解かと思われ
>51
いや、伊賀だけだと狭いので六角風にしてみたんですが・・・
近畿の大名配置してたのが自分だったので勝手にいじっちゃいました。スイマセン。
>>52 なるほど
じゃあ長瀬家…小谷城・今浜城・坂本城
霧島家…観音寺城・上野城
といった風に分ければ良いかも
(参考データ…天翔記)
放浪中とか
家宝で。
>>56 それに腹を立てて前スレで独立に成功したはずでは…
大名思考中
自分用に勢力図でも作ってみるかなぁ…。
現在ゆっくりだけど、読み進めている途中なので。
南軍本陣での乱戦は突然終わりを告げた。
黒装束達は突如踵を返し後退、一斉に引いていってしまった。
あっけにとられている南達のもとに陣外から伝令が大慌てで駆け込んでくる。
「たっ、大将! こんな所で何やってるですかっあぁ!」
「何やってるじゃない! 見張りはどこに目をつけて……んっ 」
と、そこでやっと尋常でない周りの騒ぎに気づく。
状況を把握するため本陣から出た南は再び愕然とすることになる。
「……いったいどうなってるんだ」
本陣から出た南が見たもの。それは突然現れた里村勢に成す術も無く一方的な攻勢に
晒され大混乱に陥っている自軍の姿だった。
始まりは南が襲撃されるより前に遡る。自身の部下と城内から選抜した精鋭と密かに
城を脱出した詩子は部隊を二手に分け本陣と後方の小荷駄隊を急襲させた。
突然の敵襲に兵達は一時的に混乱はしたが、直ぐに体勢を立て直し詩子達の迎撃に移る。
しかし詩子達の真の目的は敵軍を自分達に引きつけることであった。
南軍が後方に気をとられている事を確認した里村勢は城門を全て開き一斉に突撃を開始。
突然襲い掛かられ完全に不意をつかれた南軍はあっさり崩壊、今のように目も当てられない状況に陥るのである。
「現在、深山殿が必死に陣を立て直そうとしていますが、如何せん敵の攻勢が激しく……」
「わかった、俺も今行く。何としても持ちこたえてみせろ!」
そんな努力も虚しく南軍はその後も攻撃を一方的に受け続けてしまう。
ようやく混乱から立ち直った時、里村勢は城内に引き返してた後であった。
夜明けとともに再び城攻めを開始した南軍は予想外の被害を受けることになる。
先日の籠城戦が嘘の様に里村勢は強固に抵抗、攻め手はその数を減らすだけであった。
さらに夜になると連日夜襲があり、ろくに睡眠もとれない有様であった。
結局、攻撃を開始して四日目にはこれ以上の城攻めは兵を損なうばかり
との判断により国境まで後退、渡辺軍本隊の到着を待つことになる。
「思ったり簡単に帰ってくれたね」
茜と詩子は撤退していく南軍を櫓の上から見下ろしていた。
「ええ、でもこちらにもかなりの被害がでました」
城を守り通し死者こそ抑えものの里村勢にはかなりの負傷者が出ていた。
次に来襲するであろう渡辺軍本隊との戦いに参加できそうなものは一千いるかいないかといったところである。
自軍の兵力に関して茜はかなりの不安をもっていた。
最新の報告によると渡辺軍侵攻に同調して旧美濃領主広瀬真希が追いやられた飛騨から打って出たらしい。
また清水なつきも再び挙兵し国内を蹂躙している、このような状態でどれだけの援軍が望めるのだろうか?
これまで渡辺軍が国境を越えることはよくあったが先発隊を見る限りここまで大規模なことはなかった。
今回は本気で侵攻してくるであろう渡辺軍を前にどれだけの抵抗が長森家にできるのか。
今、長森家は独立以来最大の危機を迎えていた。
>54
基本的にSSのデータは流動するのであまり入れないようにしてます。
個人的にはなつきは美濃で広瀬家残党(元取り巻き等)と共に不穏な動きをしてるんじゃないかと思ったり。
長森家火だるま。
それにしてもまた新作があがるようになってよかった。
もしかして新スレに移行するの待ってたのか?
そういうこともさもありなん。
つーことで、複雑な鎖国政策採っている東北の開放計画の為、
とりあえず水瀬家・大庭家の戦を手っ取り早く終わらせたいんですが・・・
水瀬家側勝手に動かしてもいかがなものか。どうしよう。
現在積んでたCD引っ張り出して大急ぎでKanon攻略中・・・
(当方基本的に葉系。)
最初に浩平が言ってた浩平、七瀬の髭奇襲がマジに起きたら面白そうだなあ・・・
出撃を渋る七瀬を浩平が丸めこんだりとか。やたら乙女ってのを強調してw
>65
並列で薦めては?しかし結構大庭家側って勝手に動かされてるような・・・
とりあえず簡単には滅びないことを祈ります。
基本的に敵味方ってゲームごとに分かれているの?
大名ごとに色分けすると、とんでもないことになってきた。
需要が無いようであれば、作るの止めますが。
作ってください、お願いします。
70 :
名無しさんだよもん:03/07/11 02:47 ID:OBfRKssL
ageてしまった
申し訳無い
>>68 いや。
ただ東北地区は今は完全閉鎖状態だから今は考えなくてもいいと思います。
但し、ゲーム内統一戦争は概念とか、思想の一つとしてあるでしょうね。
大庭対千堂家・久瀬対水瀬家・犬飼対坂上等等は因縁の対決。
(且つ書きやすいというのもある)
まあこれは「上洛志向」「領内統一志向」の仲間の一つのようなものだと
思います。ですので、いきなり坂上家九州統一とかも書けるなら
やってもいいと思います。
一応こみパグループ・千堂家・大庭家の情報。
☆千堂家
(基本戦略)関東管領・大庭詠美の追放と関東統一を第一に考えています。
和樹自体の思考パターンは「地方統一重視型」です。まず地方を治めてから
次地方に動くパターンです。むやみに京都には動きません。
(基本外交)大庭家から分裂したので大庭家との仲は基本的に最悪。
但し、あまり相模はあまり豊かとはいえない土地柄なので、多方面政策は難しい関係で
緒方・渡辺両家には侵攻し難い状態。
(対甲斐)仮に緒方家が出陣した場合は防衛に澤田真紀子が相模湖周辺を押さえて防衛の構え。
一応甲斐・駿河には真紀子・和樹らが多少、目を光らせてます。
特に真紀子は緒方家の分裂は見せかけと気付いてますが、まだ放置状態です。
(実質甲斐国力があがっているので真紀子たんだけが密かに気がついている状態です。)
(対駿河)渡辺家が出陣した場合は箱根・小田原の千堂和樹・猪名川由宇で迎撃する予定です。
特に、由宇率いる騎馬隊は全く今回動いていません。箱根で対渡辺家用の守りです。
(対下総)高瀬瑞希・牧村南ら兵力6千は大庭家・下総(千葉)に進行中。
(対上野・下野)
九品仏大志ら川越城の部隊は書いていませんが北武蔵国境で軍事訓練中となってます。
情勢によっては水瀬家との同盟を一方的に破棄して攻撃できる態勢です。
(諜報)関東周辺の情報収集は立川郁美・立川雄三ら立川の者がやってます。ウラ設定アリ。
(対水瀬外交)関東情勢を水瀬家に取られた場合は速攻で同盟を破棄する考えです。
情勢によっては箕作城に攻め込む模様。
☆大庭家(キリシタン大名です)
(基本戦略)関東管領ですので関東統一がまず第一。
ただし、大名の大庭詠美自身は、威信「無視」の上洛思考です。
(基本外交)裏切り者のポチとの仲は基本的に最悪。
水瀬家のババアとの仲も基本的に最悪。
クンネカムンとは中立で、ノセチェシカとも最悪。
現在千堂・水瀬家による経済封鎖中・・・
但し、エスパニアや東北のその他の国とは友好。
ちなみに緒方家との仲はまあまあ。
(対相模) 千紗・すばるを置いていたはずだが、いまは玲子ちゃんと
コスプレ3人衆の中の2人しかいません。
これで高瀬軍を守り抜く必要性がありますです・・・
(対上野) 名雪らとやってる最中。但しちゃん様はまだご出陣なされてません。
(対安房上総) だれがいるのかも謎。対策も謎。
(対磐城) クンネカムン(会津若松)とは無干渉。ノセチェシカとは過去に多少交戦経験あり。
現在常陸本城は筑波の小城で大庭直轄領です。筑波城は立替計画あり。
(諜報) 無し。だれもいません。
(東北外交) 玲子を陸奥に送り通販路を確保する計画アリ。
(但し。金森弥太郎に白河を封鎖されている。)
(補足)特殊文化「こみっくパーティー」主催者なので、鉄砲鍛冶の数が
宇都宮を中心にかなり多い上、内政はかなり千紗が強固にしてます。
特に特産品生産量が多いので、財政だけはかなり豊かです。
※千堂家の場合は大庭家との戦いを最優先しているという事情がありますんで、
ゲーム内戦争しているようにも見えなくありません。
緒方・渡辺SSの方で、千堂家軍隊を動かしたい場合は、澤田真紀子・千堂和樹・猪名川由宇は
渡辺・緒方両家に出陣可能ですので、シナリオ上必要なら使っても大丈夫です。
(仮に計略で兵が全滅させられたとしても大庭・千堂戦へのダメージはあまりありません。
逆に、澤田真紀子の軍勢が甲斐を占領しても南武蔵を攻めれる軍勢は居ません。和樹も同じ)
とりあえず、大庭・千堂家はこんなとこです。
まあ、大名ごとで分けるのもそうですが、地方・ゲーム別で色分けするのも手かも知れません。
(但しkanon統一は終わってますのであとは別勢力攻撃ですよね)
分かりやすく烈風伝とか嵐世紀とかの地図使って初期配置の画像出してみるのも
良いかもしれませんな(三国志の「勢力地図」のように、地域だけでも)
ん〜でも信長シリーズの地図にそういう機能あったかいな・・
>>68 えーと、地理的要素の理解を助けるのに非常に役に立つと思います。
戦記物とかでも地図在ると判り易いでしょ?
各大名分の色数が多いようだったら、各大名の勢力圏を太線(━)で囲むとか。
例えば千堂家勢力圏の伊豆・相模・南武蔵の周囲を太線で強調すると、モノクロでも
判別し易くなるかと。後は対立している勢力間の国境に×印を入れて紛争中をあらわすとか。
それと全国地図を二or三等分くらいにすると各大名の詳しい詳細を記入できるくらい拡大可とか。
あ、敵味方とかではなく各大名勢力として捉えた方が宜しいかと。
戦国の世では昨日の敵は今日の友、造反有利の下克上が常ですから。
78 :
68:03/07/11 07:53 ID:3JLGXWkv
おはようございます。
昨夜はゲームごとの色付けを考えるところで寝てしまいましたので。
色々と改良してやってみます。
一方、尾張の清水なつき勢はと言うと……
「我らに兵糧と軍資金を提供すると?」
「はい。清水なつき様こそ天下を統一なされるお方と思い
こうして少なめではございますが米と金をご用意させていただきました。
どうぞお受け取りくださいませ」
商人とおぼしき男と他数名が清水軍と接触していた。
清水なつき以下家臣団も長森の間者かと疑いの目でこの集団を見たが
兵糧不足は如何ともし難く、また運ばれた兵糧にも問題がなかった為
結局この兵糧 (清水勢に対し約十日分) を受け取る事にした。
「我らが勝利の暁には倍にして返しますゆえ、楽しみにしていなさい」
「いやいや、礼などとんでもございませぬ。
ただ、なつき殿が天下を統べて頂ければそれが何よりにございますれば」
「そうですか。ならばその日を楽しみにしていなさい」
なつきは商人にそう告げると全軍を山葉城に向けて出立させた。
「……十日程の兵糧で何が出来ますかね?」
清水軍が見えなくなると一人の男が言う。
「少なくとも清水家の壊滅が十日延びた。それだけだろうな」
商人に扮していた長瀬家の間者、田中は言った。
「長瀬の若殿も、これで清水勢が勝つとは思ってないだろう。
そもそも少しでも長く長森を美濃・尾張に留めておくための策だからな。
それ以上は期待もしていないだろうし。
…それに民を顧みない家に先があるとも思えん」
「確かに……」
「さて、これで仕事が終わった訳じゃない。近江で合流するぞ」
長瀬の間者達は話を切り上げると、散り散りになり姿を消した。
82 :
80:03/07/11 11:04 ID:OBfRKssL
今まで「美濃の清水なつき」と書いてましたが
清水なつきは尾張でしたね。
勘違いスイマセンでした
83 :
423:03/07/11 18:20 ID:aO/VRiqj
千堂家にとって北武蔵の水瀬対大庭の騒乱勃発はまさに渡りに船だった。塚本千紗の土壇場の判断は千堂家にとってすれば
これほど好機は無いだろう。『下野の兵力は手薄』と言うのは、予てよりの密偵より入っている情報から推察すると容易に
看破の出来る事だった。澤田真紀子の判断はこういった面では正に正論、正攻法である。だが一つだけ懸念があった。強い
て言えば『天候』である。三国志では諸葛亮が赤壁の戦いの時に起こりえる天候予測で機を狙い、また太平洋戦争において
アリューシャン撤退時に木村提督が内部の非難を背に天候を予測し、濃霧を狙って友軍を撤退させるなど最近までの戦史で
あまりに密着した『自然現象』である。これにより勝敗を決した戦は少なくない。先に挙げた戦の戦果は、赤壁はあまりに
有名なので割愛するがアリューシャンは米軍が日本軍の撤退に気が付かず、気付くまで延々と同士討ちが行われた。最悪の
自然環境の戦場だっただけに、正に地獄だったといわれる。
84 :
423:03/07/11 18:20 ID:aO/VRiqj
水瀬秋子は勿論千堂家の動向を知らない訳ではない。だが関東は長谷部彩の城ごと寝返った北越後の本城とその周囲までで、
それ以外は状況によりけりで、あまり深入りしないようにしている。今の所水瀬・千堂共に大庭家打倒を至上命題に掲げて
いる訳だが、両家とも一気に片付けられない訳があった。置かれた勢力図がそれを如実に表しているのである。水瀬家は、
北陸・信州を、千堂家は東海と東北の勢力を睨まなくてはいけないからだ。当然巨大な軍事同盟で分断している訳だから、
自然発生的に牽制されるのはむしろ当然である。美坂・澤田会談に於いて援軍の約束は成されているが、それは互いに慎重
に行動せよというプレッシャーでもあるわけだ。同盟の意味を考えても北陸・信州を攻略するのが先なのである。それには
春・冬の時期に内政を強化するのは筋が通っているだろう。
85 :
423:03/07/11 18:21 ID:aO/VRiqj
さて水瀬家倉田軍と大庭家御影軍の戦は、御影軍月城隊が急襲して幕が上がる。だが川澄隊・沢渡隊は鶴翼の陣を右翼左翼
斜め対照位置に配置していた。この為後衛である塚本隊が前衛に出なくてはいけなくなった。まず正面から迫る月城隊に倉田
軍両隊は矢を一斉掃射する。だが勢いは衰えず、そのまま白兵戦に持ち込まれた。だがやはり兵力差に押し負け、塚本隊と
入れ替わる。最初の月城隊の出鼻を挫かれたのが痛かったのか、適当に交戦すると引き返してしまった。川澄・沢渡両隊は
深追いする事はしなかった。まだ詳しく地形が分からない為、追撃する事を避けたのである。交戦初日の両軍人的被害は
三百人。まさに挨拶程度の交戦だったと言える。見事に迎撃された御影すばるは川澄舞と交戦できなかった事を口惜しがって
いたが、それは翌日以降に持ち込まれる事になった。
86 :
68:03/07/11 19:27 ID:30D0ehrf
>>79 どうもありがとうございます。
ぜひ参考にさせていただきます。
とりあえず、全国版(ただしβ版)を作ってみたいと思います。
完成予定が明日にでも…。
87 :
68:03/07/11 22:56 ID:30D0ehrf
現在作成中。
実際の城の名前と城の正確な位置は必要ですか?
あったほうがいいと思う。
大変そうだけど頑張ってください。
武将と城の数が合わないので難しいと思う。
とは言えあると便利ではあります。
芳賀玲子は、下野に居た。
河川の横にある大空地。
かの宣教師シエルが嘗ては「ビック・サイト」とまで呼んだ、日本最大の楽市があった場所である。
何も無いその空地には、牛や馬などの皮や竹を加工して製品を作り、周辺に売り渡る者たち、
俗に言う「河辺の民」や「山窩」と呼ばれる者達がそのだだっ広い広間で簡単な居住区を作っていた。
ここに限らず、国境地帯の河辺や山脈の間は、基本的にはどこの大名の支配下でも無い。
いや、支配を主張することが出来ないといったほうが良かったのかも知れない。
大名や国主達は、山脈の奥深くまで軍隊や政治の力を及ぼす事が出来ない。
そういう山々の土地は、他大名や国主との緩衝地帯や軍隊が侵入出来ない地帯であり、
いうなれば「天皇の土地」であった。
しかし、そういうところにも住む人間は居る。それが「山窩」(さんか)なり「河辺の民」と呼ばれる、
竹や牛・皮などの製品を生産する一族集団、そして・・・・・・
「レイコさん、どうしましたか?」
後ろを振り向くと、犬の耳が生えた、すらりとした体をした女性と、小さい男の子が立っていた。
「今は・・・えと・・・確か今はマリアさんだっけ。」
「ふふっ、昔のようにサーヤで結構ですよ。マリアは唯の洗礼名なんですから。」
サーヤは北方異民族、蝦夷人とも獣人とも言う、和人と違う他民族の娘であった。
300年前の充未3年(1323年)に、朝廷と幕府による北方異民族討伐が行われ、
その時から北方との交流が始まった。
だが、その後、幕府の混乱、朝廷の権威失墜、盗賊の跋扈、高麗等の勢力の陰謀・・・
さまざまな理由で北方六属領への道はわずかな道を残して再度閉ざされてしまった。
しかし、完全に閉ざされた訳ではなかった。
一番多いのが、ナトゥンクなる蝦夷勢力が高麗・渤海へ出す奴隷船の難破によるもの、
後は東北の騒乱から命からがら逃げて国境を越えた人たちだった。特にこれは、
金森弥太郎率いる白河日本末の古城に立て籠もる盗賊団や同じく水戸周辺から国境封鎖された
ノセチェシカの勢力を超えなければならないため、命を捨てる覚悟が出来なければ突破できない。
しかしそれで突破できたとしても・・・
「まだ・・・ここにいたんだ。」
「はい・・・他に行く場所もありませんし・・・」
北方から来た異質な異民族の者に、和人の扱いは冷たかった。
結局の所そういう脱走者は、俗に言う「被差別階級」に押しやられる格好になり、
川原で、売春や馬や牛の解体、芸事や大陸芸、その他ここでも人がやらないような
仕事をやって生活せざるを得ない状況になっていた。
その被・差別階級に何を考えたか、目を付けたのが、ほかでもない詠美だった。
彼女は、この楽市を川原につくり、ここでの中では地位や名誉、法律的な問題は
すべてご法度にした。例えば、ある所ではこの市は縁切市と呼ばれていて、女性が離婚したい場合は、
この市に逃げ込んで「訴える名無しさん」になれば自動的に離婚が成立するようになっていた。
縁切を願う女性達、技術を上げたい忍者、山窩や北方の異民族、宣教師や南蛮人まで。
この市では技術と自らの力だけでのし上がれた。実際只の箱根の土豪だった由宇が名を馳せた場所も
ここだし、由宇と詠美の出会いもここだった。今は千堂家の家老となった九品仏大志・千堂和樹も、
最初はここで著名になった技術者の一人であり、牧村南はここの管理と運営を行う行政官だった。
坂東の大楽市。
さまざまな技術者・商人がここの青空市に出入りし、腕や技術を磨き上げた。
ある意味、詠美の善政なのだ・・・が彼女がそれを意図してやったのかどうかは定かでは無い。
だが、その自由なる楽市は、長く続かなかった。
元頴3年、関東管領であった大庭家は何者かによって突如、朝敵にされた。
楽市に置ける公家の地位を確保しなかった、「新皇」の再来を名乗ったと言う風説が流れた、
蝦夷との国境地帯で朝廷が見張っている水戸城の破壊を幕府や朝廷に断り無くやった為など
色々と言われているが理由は結局、定かではない。
しかし、それが関東を大庭・千堂に2分する大乱を起こした引き金となった。
朝敵にされた大庭家はその後、周辺諸国の攻撃が激しくなることになる。
特に、水瀬家の水瀬秋子はそれを口実上の大義名分とし、当時大庭家領だった
上野箕作城を攻撃。同時に朝命を受けた緒方・渡辺両家も関東に向けて進軍を開始した。
千紗は急いで朝廷に出向き、朝廷工作などを行わざるを得なかった。
しかし、その間に偶々内政問題でぶつかり合っていた猪名川由宇と大庭詠美の対立が激化し、
渡辺・緒方征伐軍を率いていた由宇は千堂和樹と組んで箱根で挙兵を敢行、小田原城に入り、幕府の大目付の役に付いていた当時の幕府の使者であった澤田真紀子、そして川越城を守っていた牧村南らを内応によって一気に城ごと奪取される結果になった。
千庭の乱と呼ばれる関東を2分3分する大乱の始まりだった。
九品仏大志率いる千堂軍はその後すぐに上野の箕作城を攻撃、その当時空であった箕作城は
あっけなく千堂軍の手に落ちてしまう。だが詠美も鉄砲と当時の最新鋭のセーカー砲なる小型大砲を用いた火力中心の攻撃で一気に箕作城を奪還、その後、武蔵−下野間での千堂和樹対大庭詠美の直接対決が何度となく起きる。
その当時の和樹軍は足軽中心で、詠美率いる鉄砲・大砲隊の前になすすべも無かったが、九品仏大志と澤田真紀子らの知略と活躍によって武蔵領・川越城の死守を何とかやり遂げていた。
しかし、その頃、千紗や彩の活躍によって朝廷工作は成功し、朝敵認定は解除されていた。
その後、朝敵認定が解除された大庭家と千堂家との戦いは泥沼にはまる事になる。
下総・下野に拠点を置く詠美軍と千堂軍との川越城防衛戦は熾烈を極め、両軍共に物資を使い果たす
事となる。川越城の規模は徐々に小さくなり、改修もままならず、武蔵は小城乱立の状態と化す。その牽制と新たなる拠点作りとして千堂軍は偽兵も含めて何度も箕作城を攻撃、武蔵・上野は大混乱に陥った。
その時に情勢を見極め、一番用意周到に動いたのが北陸の奸雄・・・・水瀬秋子ら水瀬家であった。
佐渡金山の開発に成功した水瀬家は、その資金を元手に朝廷との交渉を開始、図らずも朝廷の信任と推挙を受ける事が出来ていた。
しかし、その時「たまたま」昔の朝敵・大庭家の領地である上野で「鉄砲などを持った一揆衆」が暴挙を起こしたとの事で、水瀬家は民を苦しめる上野の大庭軍を「討伐」すると宣言し、上野へ大軍を侵攻させた。
箕作城は地元の「一揆衆」の力もあり、容易に落ちた。これ以降、関東三国時代の始まりとなることになる。
※構想で考えてた関東史です。
※玲子対瑞希の戦いはこのあと続きますが、レス制限の為しばらく停止。
※なんか、うたわれ系の変な新キャラ出てきましたが、もちろん武将ではありません。言うまでも無くただの庶民です。
まあ育ちがアレなんで戦えばそこそこ強いんでしょうが、軍隊率いたりするような奴では当然ありません。
※大庭家を「朝敵」にした勢力が別に存在します。但し大庭家は疑心暗鬼です。
特に詠美あたりは水瀬家がなんかやったと考えてますが、どいつかは謎です。
下総と下野で大庭家は交戦中で
玲子対瑞希の後に陸奥に向かうって感じかな。
そろそろ編集サイト更新希望
>>90-95 感服しました。レヴェルの高いSSだ・・
つか、和樹らが極悪人にしか見えないw
(裏で暗躍していた人物に踊らされてのこととはいえ・・
(というか、千庭の乱以前は中国、来栖川を凌ぐ日本生粋の名門、大大名だった
(と考えていいのかな。
ちゃんさまふみゅみゅ〜ん
98 :
名無しさんだよもん:03/07/12 19:35 ID:oAVrdsfU
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現在全国地図のたたき台が半分ほど完成。
国名は入れた方が良いですか?
もし入れるとなれば、すべて海の上に書くことになり、海に接していない
国は、線でも引っ張って書くことになりそうですが…。
地図上に書くなら国名よりも番号を書いて
地図の横や下のスペースに 番号―国名表を書くのも一手かと
もしくは全国図と国名図とに分けるとか
>>100 サンクス。その手がありましたか。
ただ、近畿地方がかなりごちゃごちゃしているので、
全国図と国名図に分けようかと思います。
前スレ半端に落ちてしまった。ちょっともったいない。
>>101 お疲れです。
沖縄はちゃんと大名がいるので注意です。
あとは、現状空白地の北海道の扱いですが…。
蝦夷開拓団に天使組を
むしろテネとか。>蝦夷
つーか大名いなくて開いてる国が多いから
天使組は出れば近畿、中部、関東のどこかになると思われ。
さすがに倉、東鳩2が出たら改編があるかも。いつになるかわからんが。
備前岡山城…
那須家当主、宗一の居城である。
今日はここに一人の客人が訪ねて来ていた。
「どうだ、いとっぷ。凄いだろ」
「お、おいおい、こんなもの見せびらかすなんてお前、いつからそんな悪趣味になったんだ?」
目の前の金銀財宝をしかめっ面で見つめているのは隣国備中領主、伊藤である。
伊藤家は形式上、同盟関係という独立した形をとっているが、事実上、那須家の属国状態であった。
「ははっ、俺じゃないよ。藤田家からの贈り物だ」
「藤田家…?」
宗一の言葉に伊藤は眉をひそめる。
「おい、なすびん。まさかこんなもので餌付けされたなんていうんじゃないだろうな?」
「…かもな」
伊藤の言葉に宗一は苦笑で応じる。
確かにその金銀財宝は単なる友好の証としては法外な額である。
当然そこには不可侵の嘆願の意味も含まれていると考えていいだろう。
しかし、この金銀と共に藤田家から送られてきた書状によるとこうである。
『当家は常日頃から那須家を慕っております。これはその敬愛の証です。どうぞ遠慮なくお使いください』
(甘く見られたものだな…)
と宗一は思う。
騙す時は誠心誠意を持って騙す。これは戦国の世の鉄則である。
「藤田家が出雲・伯耆方面の情勢に釘付けになっている今こそ安芸攻略の絶好の機会だぞ」
そう力説する伊藤に宗一はくくっ、と笑いを漏らす。
「相変わらず皐月への点数稼ぎに熱心だな」
宗一の言葉に伊藤はわずかに赤くなる。
そう、この安芸攻略をもっとも強硬に主張しているのが他ならぬ美作三星城城主の湯浅皐月なのである。
(皐月のなだめ役にゆかりを向こうに向かわせていたが…今度はいとっぷを焚きつけてきたわけか…)
皐月にわかりやすい根回しのし方に宗一は思わず苦笑を漏らす。
確かに皐月の主張する安芸攻略は理に適った主張である。
出雲・伯耆遠征で備後・安芸の残存兵力がほとんどない今、備前・美作・備中を併せた約一万の兵力…
安芸・備後に残っている兵の実に五倍以上…で攻め込めば容易に安芸を落とすことはできるだろう。
そしてこの安芸からの金銀財宝の贈り物…
多面作戦は行いたくないという藤田家領主浩之も思惑がわかりやすくにじみ出ていた。
だがその一方…今の宗一の関心は完全に中央情勢の方へと向いていた。
(たかが地方の覇権を争っている間に時勢を見失うわけにはいかないからな…)
そのためにも備前本国および美作の兵を今動かすわけにはいかない。
備中のみの即兵力…およそ三千。兵力では勝っているものの、地の利は圧倒的に向こうにある。
しかも安芸は築城技術に長けた国。現在安芸に残っている神岸家が篭城策をとれば長期戦も覚悟しなければならない。
(いとっぷにはちと荷が重い…かな?)
勝負は安芸本軍が戻ってくるまでに終わらせなければならない。
しかし先陣がいとっぷでは…しかも相手が安芸御三家の神岸家とあっては…
負けないにせよ相当な犠牲は覚悟しなければならない。
しかも神岸家当主あかりは噂に名高き智将。愚直な性格のいとっぷが相手ではまず手に余るだろう。
(一応手はないこともないんだが…)
宗一は考え込むように自分の顎を触れる。
(あれはまだ使いたくないんだよなぁ…)
秘密兵器は人の目に触れてしまった時点で秘密兵器ではなくなる。
せっかく極秘の経路で南蛮から仕入れた逸品だ。つまらない戦いでお披露目ということはしたくない。
(すまんな、ミルト。お前の出番はまだとうぶん先だ)
(さて…どうしたものかな…)
正攻法はあまりに危険だ。…だがかといって総力戦に持ち込むわけにも行かない。
奇兵を用いる術は…悔しいがおそらく藤田の方が優れているだろう。
ここ連日知らされる出雲・伯耆の情勢はすべて藤田にとって好都合なことばかりだ。
もしこれが全部藤田の意図したことだったとしたら……こんなに恐ろしいことはない。
宗一自身が出るのならまだしも、いとっぷが相手ではまず勝ち目はないと見ていいだろう。
(仕方ない…包囲網でも組むか…)
今の宗一に必要なのは信頼できる仲間ではない。利用できる馬鹿だ。
「直ちに使者の用意を」
「おっ、何か妙案でも浮かんだか…?」
「出雲の岡田と周防長門の長瀬と同盟を組む」
「お、おいおい、岡田家はともかくとして謀反人と手を結ぶのか…?」
「謀反なんて戦国の常だろ? 細かいことを気にするな。それにな…」
「…?」
「やつの命はそれほど長くない」
「どういうことだ…?」
「周防長門には敵が多すぎるってことだ。…リサはいるかっ!」
「…ここに」
いつの間にか二人のそばに控えていたリサが姿を現す。
「この二通の密書を直ちに届けてくれ」
「どこに…?」
「豊後月教教祖、高槻と同じく豊後水軍だ」
「わかったわ」
「その際ここにある金銀財宝を贈り物としてそれぞれに贈っておいてくれ。それと…」
「それと…?」
「絶対に悟られるな」
「誰に…?」
何を、とは聞かない。そこら辺はさすがリサというべきだろう。
「誰にも、だ。誰か一人にでも悟られたらこの任務は失敗するものと思え」
「…ずいぶんと難しいことをさらりといってくれるわね」
だがそう言う割に、リサの顔はどことなく楽しげだ。
「リサだから言えるのさ」
「一応お褒めの言葉として受け取っておくわ」
そう言って微笑むとすっと姿を消す。
「…豊後のあんな貧弱な兵で周防長門の精鋭に勝てると思っているのか?」
あの書状の中身が共同軍の要請であることは容易に予想がつく。
しかし、いくら大半の兵が遠征に出ているとはいえ周防長門にいるのは戦慣れした精鋭ばかりである。
昨日今日戦を始めたばかりの半農兵の豊後軍にとても勝ち目があるようには思えない。
「いとっぷ、お前釣りはするか…?」
「話をはぐらかすなよ」
「釣りは面白いぞ〜。特に大物がかかった時なんてな。…いとっぷも今度やってみろよ」
そう言って冷たく笑う宗一に伊藤は背筋に冷たいものが流れるのを感じた。
「特に餌が大きれば大きいほど、な…魚は周りが見えなくなるほど夢中で齧り付く。
…はたから見ていれば愚かしいほどに無我夢中に、な…」
くくくっ、と…伊藤はいつの間にか普段はめったに見せない宗一に“裏の顔”まで見せられていた。
「さて、周防長門という餌に最初に齧り付くのは安芸の狐か周防長門の狸か、それとも豊後の蛇か…」
つことで中国戦にちょっくら小細工を加えてみますた。
実際の戦いが終わらないことにはその後の手も打ちようがないですが(汗
それはそうと前回の書いていた分で誤りが…
×宗ちゃん
○そうちゃん
ですた。すいません。
>>105 そんな出す気もないゲームの事なんか忘れなさーい。
まぁ展開次第だがな。
>>111 いろんな意味で、早速ですね。
こっちは楽しそうだったので、SS作る人の助けとなると思って
参加してみただけです。
今度は、色々と改良&ゲームごとの色づけでも加えてみるか。
訂正
SS作る人の助け→SS作る人及び読む人の助け
>>112 (゚Д゚)ハァ?
俺が煽り扱いですか?
そんな気に障りそうな事言ったつもりもないんだが。
あんまりハリきらないでという無言の圧力が出ちゃったかな。
>>114 申し訳ない。言葉の綾が、ちょっと気になったので。
国名と城名が一つの地図に出来そうなので、今晩あたりにでも上げてみます。
は、話の流れが読めん・・・
111は倉等はまず出ないから気にしないでいいって意味だよな?
112は自分が参加してるのを否定されたと思ったのかな?
それとも111の“ゲームを出さない”って言うのを
“ここはゲーム制作スレじゃない”って意味に取ったのか。
もしかして111と112は計略の掛け合いをしているのか・・・
げーぇっく。
あかりが知将にされちまたーよ。
あっしが考えた設定から、180°転換されてしまった……
まぁ、愚痴ってもしかたないか。先に書いてなかったこっちが悪いんだから。
お互いに、がんばりましょう。
>>117 うわ〜、すいません。
雅史が山陰地方担当ということでなんとなく雅史=元春、あかり=隆景っていうイメージで書いちゃいました。
あかりが戦陣で猛威を揮っている姿がどうしても連想できなかったもので(汗
北海道の話が出ていたので、出す必要性本来無いと考えていたんですが、
一応うたわれ設定北海道編で考えていたウラ設定です。
(北海道・陸奥基本設定)
基本的に、北海道だと松前以北で米がこの当時取れないので通常の野望からは
こちらははずす考えでやってました。
米に関しては平和な江戸時代ー明治にかけて徹底的に品種改良を加えた結果なんとか
北海道でも生産できるようになってきたものなので、戦国時代に和人が北海道で暮らすのは
かなりの無茶があります。
ちなみに、陸奥でも米を使う農法は元来苦手(by司馬遼太郎の街道を行く)なので、
この設定では牧畜や特殊生産体制にしてあります。 . . . . . . . . . . .
いくらハクオロといえども品種改良まで瞬殺で行えるほど通常状態では出来ないので、
仮に陸奥をハクオロが統治する時代が来たとしても遊牧生活を尊重した現実的領土運営になるでしょう。
(ネタバレすると、陸奥には城が無いので三戸城とかの設定が必要無い。)
・・・まあ、その当時のリアル陸奥は幕府統治の通貨が米だった関係上米を無理やり作っていて、
そのために「やませ」にやられて飢饉おこしているんですが・・・本来ならその地方の特産があるんで、
それを尊重すればそう簡単に飢饉はおきていないんですがね。仕方ない面もある・・・。
(うたわれ・陸奥設定)
しかし、おそらくモロロは北海道でも生産可能と思われるので、そういう辺境に強いうたわれ系、
アビスボート系だけは移住可能だと思います。
(要するにその当時の北海道は極地なんで、生産体制も極地対応できる社会設定でないと辛い)
で、ウラ設定というか、うたわれの補足設定として一応考えていたモノですが、
(うたわれ・北海道設定)
元々は、北海道松前は大幌氏と呼ばれる獣人・和人混血の一族が箱崎水軍がケナシコウルぺの代々の皇に委任を受けて従属という形で統治していた領土だった。
が、先先代あたりからケナシコウルぺからの服属の要求が高まり、陰謀と計略によって、
最終的にはケナシウルぺの直轄領にされてしまったそうです。大幌氏は捕らえられ、
当主は斬首されてしまったそうです。
ですが、娘や息子たちがその後どうなったかは歴史書には今は残っていない・・・。
ちなみに。
松前の港は寒い土地なのにも関わらず珍しく温泉が湧き出るという土地でした。
ですので、富山や越後の商人が来たときはその温泉で極寒の寒さと疲れを癒し、そこから北海道の物産、昆布やホタテなどを輸送したそうです。
ですので、別名、温泉の出る港、湯津波の港とも呼ばれたそうです。
まあ、おまえさんにはどうでもいい話でしたな・・・・
(補足)
第2代の皇になる「彼」の野望版ウラ設定です。
ちなみに、東北統一後も最終的には差別や圧制からは結局逃れられないので、一部の人間が
湯津波の港から北海道に逃亡するシナリオを立ててました。
でも、この話はうたわれが終わった時の話、強力な幕府による日本統一後の話ですが・・・
補足2:「おまえさん」は読者っす。一応。昔話風。
>(ネタバレすると、陸奥には城が無いので三戸城とかの設定が必要無い。)
個人的にはこれが一番驚きですが。
なんかすごいことになっている…。
>>116 説明しますと、参加の否定をされたからではなく、
「ゲーム制作スレじゃないんだから、こんなもの本気になって取り組むなよ」
と思い違いをしたから、あのようなことを書きました。
単なる勘違いが、このような結果を招いたと思います。
萎え話しても仕方ないので、この話はこれで打ち切りにしておきます。
昨日の城位置調査の感想を…。
一日で全国の城めぐりに行った気分になりますた。
数にして130ぐらいです。
北海道どうします?上ではあのように書いたけど、仕様が固まっていない
今の内なら何とか出来ますので。北海道全土を加えるならば、出来れば
城名と位置を教えていただきたいです。
123はすごいな。
俺も城の位置調べやったことあるけど、あまりに多くて途中で投げ出したよ・・・
ところで琉球はどうなってますか?
首里城以外に中城城(沖縄県中頭郡中城村)、今帰仁城(同県国頭郡今帰仁村)が1600年代にあったので加えて欲しかったり。
北海道は松前ぐらいでやっぱりいいんじゃないの?
>>118 知将もも猛将もなにも
前スレには全く戦の経験がないってことになっていたはずだよ。
遅レススマソ
あかりはどっちかと言うと内政官って感じだしな。
乙
大名別に色づけするとしたらどの時点のやつで塗るの?
>>2-10あたり?
>>118 126
自分個人的には知将といっても
政略的タイプ(明智光秀、羽柴秀吉)軍略的タイプ(竹中半兵衛、黒田官兵衛)
謀略的タイプ(津軽為信、松永久秀)があると思ってるから
特に知将という言い方には引っかかりを感じないのだが
ただあかりの場合は政略と謀略の中間辺りだと思われるが、皆さまは如何?
一般に知将と言うと軍略か謀略タイプを指してることが多いような。
そういや丹羽長秀あたりはどのタイプなんだろ。
派手なことはしないが仕事はきっちり上げてくる感じで
茜なんかはこのタイプのような。
1.内助の功で内政官
2.人当たりの良さで外交官
3.嫉妬深さで謀略系軍師w
……まあ3は冗談ですが。まあ文系っぽいから内政って感じかな。
同じ東鳩でもいいんちょは政略・軍略系が得意そうだ。山陰の謀将ってとこかな。岡田と相性悪そうだw
三人組は岡田・松本:武力担当 吉井:外交担当ってとこかな。
>>129 なるべくならば、初期状態から色塗りしたいのですが、初期状態って
どこなのかちょっとよく分かりません。
清水なつきvs長森瑞佳戦あたりかなぁ。
前スレに、領地の変化があったような無かったような。
分類についてですが、ゲーム別の方が良いのか、勢力別の方が良いのか、
どちらの方が都合が良いですか?
134 :
名無しさんだよもん:03/07/14 01:08 ID:DssnQnR2
>>130 自分の脳内ではあかりは羽柴秀長あたりなんだが
「ふんっ、重臣筆頭ともあろう者がよくもぬけぬけと帰ってこれたな」
「………」
渡辺軍本隊髭本陣、山葉城から撤退してきた南を待っていたのは同僚による非難と罵倒だった。
渡辺家臣団の間柄は御世辞にもよいとは言えない、むしろお互いの足を引っ張ることもあるほどだ。
よって、誰も南を庇おうとせず彼自身も反論できないため到着直後からそれが延々と続いている。
「そろそろ止めないかね、南君も反省してるようだし?」
南が袋叩きにされてかれこれ半刻、それまで沈黙を決め込んでいた髭がようやく口を開いた。
「ですが奴はこれだけ損害を負ったにもかかわらず城一つ落としていません! このままでは家中に示しが……」
「まぁ、いいんじゃないか。人間誰だって失敗はある、予想より抵抗が強かったんじゃ仕方ないじゃないのかな?」
「……わかりました」
憮然とした表情をしながらもようやく黙る中崎。家臣団を纏め上げているのはひとえに髭の力量によるものである。
文字通り大黒柱の彼に逆らえるものは家中には存在しないのだ。
「御許し頂き感謝いたします。しかしこのままでは私の面目が立ちません。
どうか次の戦では先陣を御申しつけください」
ようやく発言することができた南、しかしその声にいつもの威勢のよさはない。
「いや、それはいい」
「はっ? なっ何故ですか!」
「君にだって自分の部隊がどれ程傷ついているかわかってるだろう?」
たしかに南隊の被害は無視できない規模だった。先発隊六千五百は多くの死傷者を出し
今や四千人にまで落ち込んでいた。そしてその多くは南隊である。
「南君には遠江に戻って兵を再編制して来てもらいたい、頼んだよ」
「そう仰るのならわかりました、しかし先陣は?」
「それは深山君達に頼もうかと思う、というわけで協力して頂けるかな?」
本陣の後方にいる雪見に問いかける髭。無論、雪見が断れないのを知っていてる。
「……先陣をうけたまわり誠に光栄。見事に努めさせていただきます」
(要するに盾になれ……ってことね)
渡辺家にとって深山家は味方ではあるが所詮は他家であり、何時かは情勢によって裏切るかもしれない勢力
最前線にでも立てて消耗させておくが無難であるとの考えからの命令である。
もちろん、雪見にはそれがわかっているので面白くなかった。
まあ・・・この手の話はエンドレスになるので、あんまりやっててもどうかと思うのですが・・・
「神岸あかり」がどういう風になるのかは周りの状況に応じてだと思います。
まず、作品としては、時間軸のズレも戦国時代ではありますので、本能寺の時と信長元服の時で
大名の設定や城の設定にズレが生じるのは至極当然な事。
また、この話、所詮SS(小説)であって、完全なゲーム設定で無いので、話中に成長する可能性が
極めて高いというのが能力問題における最大の問題の一つ。
考え方を変れば、3歳の政宗が騎馬鉄砲ぶちかましながら武田信玄に突っ込んで互角に戦うなん
てことも、この場合無いわけですからある意味利点の一つとも考えられると思います・・・
まあ、とりあえずコレに関しては書き手と流れに任せた方が良いと思います。
設定がころころ変われば、そのほうが作者も推敲できる可能性もありますし・・・
南が陣を起つとすぐに軍議が始められた。
「まず作戦概要だが……頼む」
「それでは説明します」
「ちょ……ちょと何であんたがここに居るの?」
髭の言葉で突然現れた人物に南森は堪らず声を上げる。
それは紛れもなく今まで姿を晦ましていた氷上シュンであった。
「最近見ないと思ってたらどこに……」
「氷上君にはわしからの頼みごとをしてもらっていたんだよ、まぁ続けてくれ」
髭は南森を遮るように言った。
「はい、それでは続けさせていただきます」
そう言うと氷上は地図を広げだした。
「現在主力部隊が到着した長森軍およそ八千から九千はここ……南尾張の
山葉城周辺に展開し陣を構えております」
長森家としては籠城策も検討していたがこの規模の軍で籠城することが可能なのは本城清洲だけであり
下手をすると南尾張を失う上に、美濃との連絡路も遮断されてしまうのでやむを得ず野戦で迎える形となっていた。
「敵陣には猛将、七瀬留美の存在も確認されています。しかしこれだけの大軍に加えて清水勢も南下してきており
まず恐れる必要はないと思われます」
「一つ聞きたいが、その話では清水勢が味方になっている。敵の敵は味方と言うが……確かなのか?」
「はい、間違いないです。美濃で決起した広瀬真希の協力も得られました」
村田の問いかけに頷き答える氷上。実は髭が氷上に頼んだこと、それは清水なつき、広瀬真希両氏の協力を取り付ける
ことであった。元より長森家とは遺恨のある二人、二つ返事で承知した。
>>133 本当に最初期だと
>>13-16あたりで
まだ美濃に広瀬家があった頃(大名データでのS1)になりますね。
分類は基本は勢力別でできれば同作品は同系色だとわかりやすいかも知れません。
おっと、ぶつかっちまったい。
「他に何か質問等は?」
陣内を見渡しそれ以上誰も何も言わなかったのを確認すると髭が閉めに入る。
「それではそろそろ軍議も終わりにしよう。定刻になったら進軍を開始する、以上」
こうして渡辺家の大軍は進撃を開始する、一路尾張に向かって。
渡辺軍
渡辺茂雄(本陣)三千
氷上シュン、南森、村田、中崎勉の各二千五百
深山雪見・上月澪(先陣)三千
総勢 ─── 一万六千
おや、こんな時間にこんばんわ
「ふーん、ついに決戦間近……ってところね」
一方こちら信濃上原城に待機中の遠江侵攻軍本陣、そこではこの軍の大将に任命された
当主の実の妹、緒方理奈が間者からの定時報告に耳を傾けていた。
「今頃、渡辺軍は尾張国境を突破しているでしょう。我が軍の出陣も近いかと」
「わかったわ、狼煙を上げてちょうだい。甲斐の兄さん、駿府侵攻軍の由綺にも急いでしらせなきゃ」
山の多い甲斐、信濃でいちいち伝馬を跳ばしていたら時間がかかってしょうがない。
このような土地では本当に狼煙は役に立つ物であった。
「ところで例の離脱した部隊……行き先が判明しました」
離脱した部隊──南隊である。渡辺軍の動きはすべて間者を通して伝えられている。
「どうやら再編制のため遠江高天神城に向かっているようです、指揮官は南明義」
高天神城──遠江侵攻軍の行く手にある城である。
はてさてどうしたものか……理奈は悩んでいた。
現在駿府・遠江には大した将兵が居ないことが確認できている。それがもし南指揮のもと、籠城でも
されたら多少は作戦に影響がでるかもしれない。何とか追い返すいい方法はないものかだろうか?
「ねぇ、あなたはどうすればいいと思う?」
「ん?」
理奈は隣で雑務をこなしているこの軍の軍師、河島はるかに話しかけた。
まったく軍師らしくないはるかであったが一つ一つ命令しなくても大抵の指示は理奈の代わりに出してくれるし
時には──何となくであったが──助言をすることもあった。有体に言えば理奈ははるかを信頼していた。
話しているとどうも妙な世界に突入する様な気がする……ことを除けば文句の付けようもなかった。
「ん? じゃなくて、南隊のことよ南隊! 隣で聞いてたんだからわかるでしょう、普通」
「……」
「……」
「…………んー、無理」
「それだけ考えて『無理』だけ!? 本当に考えてるの!?」
しかし兵を動かせない今、間者を使って南隊をどうにかしようにも情報収集に飛びまわっていて
人数が足りないので何もできないのは事実であり確かに『無理』なのだ。
もしかして……私遊ばれてる? 等と思ったりもしたがはるかを見てるとどうでもよくなってきた。
「特に影響がないように祈るしかないのね……」
「それが一番」
今のところ心配のタネである千堂家も動く気配がない。できれば不干渉でいて欲しいが何かあっても
私か由綺の軍が帰ればいいんだから大丈夫だろう。今は目の前のことを考えていればいいか。
こうして緒方家が行方を注目するなか長森家と渡辺家の戦いが開始されようとしていた。
東北・大庭系担当の方、ちょっとお聞きしたいんですが、千庭の乱で過去に
緒方・渡辺両家が関東に向け進軍とありましたがその後どうなっちゃたんですか?
1.独立した千堂家と交戦、敗退。
2.もともと勅命で仕方なく来ていた両家、相手が独立したと知り撤退。
3.実は何となく千堂家に援助していたりする
4.その他
>>126 うっわぁ…完全に読み落としていました。
全面的にこちらのミスです。
該当部はできるだけ早急に修正したいと思いまつ。
どうもすいません>ALL
つーことで>107の下の部分修正しました。
…ちょっと無理がありすぎかもしれませんが(汗
しかも安芸は築城技術に長けた国。現在安芸に残っている神岸家が篭城策をとれば長期戦も覚悟しなければならない。
(いとっぷにはちと荷が重い…かな?)
勝負は安芸本軍が戻ってくるまでに終わらせなければならない。
しかし先陣がいとっぷだけでは…しかも相手が安芸御三家の神岸家とあっては…
いかに実戦経験のない相手とはいえ、相当な犠牲は覚悟しなければならない。
しかも神岸家当主あかりは戦国大名らしからぬ仁君として安芸では不思議な魅力と共にその名が広く知られている。
名声の力は恐ろしい。
彼女が指揮を取る以上、安芸における正義は完全に神岸家側のものとなる。
安芸の国人衆のほとんどは神岸家側につくと考えていいだろう。
そうすれが兵力は完全に拮抗する。
まして相手は“利”以上に“義”で結ばれている軍勢…ちょっとやそっとの小細工ではたなびかないことは明白だ。
そうなれば実戦経験の有無に関係なく伊藤軍の不利は必至となる。
旧大庭家
(武将)
大庭詠美(大名・川越)・猪名川由宇(宿老・川越)・牧村南(川越)・千堂和樹・塚本千紗・長谷部彩・
・・・あと幕府の目付として澤田真紀子が派遣されていた状態です。
瑞希・玲子・3コスは当時は在野であり、いません。
基本的に、ちゃん様は昔は川越を中心としていました。
ですが、突如の朝敵認定によって水瀬・渡辺・緒方の3軍が同時に侵攻し、
それが引き金になっているわけですが・・・
(大庭対水瀬戦)
その後、ちゃん様は単独で箕作城で水瀬家の倉田・川澄軍と交戦、おそらく始めてであろう
鉄砲3段連打とセーカー砲連打で倉田・川澄軍を徹底的に狙撃、ほぼノータッチエースで
壊滅させています。
その時佐祐理は左足を被弾、ぶちきれた舞が箕作城大手門に騎馬突撃仕掛けますが
その前に詠美のセーカー砲連打+鉄砲3段の嵐をマトモに喰らい、珍しいぐらいに見事に壊滅してます。
その後、逃げる佐祐理・舞軍を追撃することになるんですが、所詮鉄砲大砲隊なので動きは遅い。
それでも越後の国境から入ったところまでえっちらほっちらいって、壊滅を聞いて救援に駆けつけた
水瀬秋子・名雪親子軍と対峙することになりますが・・・
なぜか詠美はそこで和睦を提案、即時了承されて大庭軍は退却していきます。
(大庭対渡辺・緒方戦)
その時と同時に、川越城から出撃した由宇は突如千堂和樹を大将として反旗を翻し、
大庭詠美討伐を宣言、その当時小田原に籠もっていた幕府目付で派遣されていた
(明智光秀と立場的には同じ)澤田真紀子と連絡を取り、紆余曲折あって
(裏で「立川さん」が動いてます)千堂家に下ることになります。その流れで同時に牧村南
も千堂家に編入、一気に武蔵相模の大大名になったわけです。
(※:ここで高瀬瑞希参入)
実際は渡辺家対澤田真紀子の戦いは起きてます。小田原城で僅かですが大庭家の側と
して篭城戦しています。ですが、千堂家に下ったと連絡が入り、そのために渡辺家の大義
名分が無くなり、無駄足を踏んで帰ることになります。
緒方家とは戦ってません。同じく真紀子が連絡しています。
実際の勢力は一応緒方・渡辺両軍がその時だけ同盟を組む形になりましたので、
合計ではかなりの大軍になっていることは確かです。
その時は朝敵討伐令が出てますので、緒方・渡辺両領地に攻め込む勢力は
逆に大庭家と同じ朝敵とされるので、正直殆ど防衛を無視してよかったわけです。
(補足)ちなみに。詠美が退却した理由は、言うまでも無く九品仏大志が
空の箕作城を占領したからです。その後、退却した詠美軍によって
武力で奪い返されます。
(由宇と詠美の確執・理論的に問題ある可能性もあるので、完全確定版ではない)
いくつか話がこんがらがっていますが。
由宇と詠美との間の決別の話ですが・・・最大の問題は、財政上の話です。。
簡単に言うと、詠美が伊豆の金山で粗悪金貨を作らせたんです。確かに、「コミックパーティ」やら
「コミックマーケット」などの楽市政策で商業が一気に活性化した事は事実なのですが、それに伴い
財政が貧迫し、金の所持費用が少なくなっていった形跡があるわけです。
しかも、外国との貿易においては純金や純銀を使っておきながら国内ではニセ金貨を流通させて
いるということをやっていたために、結果「農民階層・商業階層」が逼迫したわけです。
それを気がついていて、やめるようにいったのが千紗、気がついていたのが由宇です。
で、肝心の詠美ちゃん様はインフレの概念そのものが分かってません。
ですので、裏切られた時も、由宇の怒りの理由そのものが全く理解できてません。
詠美の政策は、基本的に、バカです。逆に言えばバカだからこその政策です。
その感覚が、現代の人間からすると、一見するといい政策のように見えますが、やっている事は
金正日張りの独裁的政治やってます。現段階の価値観を全て否定するようなやり方ですので、
必ずしも(別に田嶋陽子じゃないが)全ての人間に評価されるわけではなく、逆に言えば、結局
男の階層、または農民・公家階層にはえらい迷惑な政策を立て続けにやっている訳です。
確かに、差別やそういうものも消えた。だが、治安や秩序がそれにより大幅に乱れたのも事実。
朝敵を喰らいやすかった理由もそこに多分の理由があります。
和樹の独立も、実は99パーセントの農民階層や商業階層には極めて喜ばれていたわけです。
1パーセントの被差別階級にとっては、また暗黒の時代に戻るだけですが・・・
(とりあえず、ここまで。ここの段はまだ確定じゃない。)
んで。
朝廷に対しては緒方・渡辺・水瀬の3家は友好度が結局上がりました。
水瀬家はその後自家の推挙の為に使いましたが、
渡辺家や緒方家の場合は何もないので、官位などの授受をしてもらっても
問題はないと思います。
ですが、その後朝廷工作し千紗も朝廷には細心の注意を払ってます。
しっかりとしたコネクションを朝廷内に作るという事も忘れてません。
>>128 少し時代は下りますが、1669(寛文9)年蜂起したシャクシャインの根拠地は染退
(しぶちゃり、またはシベチャリ。現在の静内)。シベチャリチャシ(染退砦)
跡が公園となっています。波恵(ハエクル、現在の門別)
また、石狩(ここは江戸初期から既に石狩の名がある)の首長ハウカセは
中立を守ったとあります(浦臼町晩生内に残る2つのチャシのどちらかが彼のらしい)。
このあたりまで含めれば、北海道は渡島、胆振、後志、石狩、日高が登場範囲。
具体的には増毛から襟裳の線あたりまで補えばいかがでしょうか。
旧国名一覧
niigata.cool.ne.jp/pdd/9kokumei.html
なお、戦国時代は瀬田内(現在の瀬棚)に松前方の砦があり、1529(享禄2)年、アイヌ方の
タナケシ(タナカサシ)に落とされたが蠣崎義広に討ち取られたという記録があります。
その後復讐に燃えるタナケシの娘婿、タリコナを暗殺しますが、義広の子季広はやはり
瀬田内の首長であるハシタインと講和したとあります。
道内のチャシ一覧
www.asahi-net.or.jp/~bc7t-kbt/siro/chasi-l.htm
アイヌ人の砦は「チャシ」。城に相当する単語はあるのか分からない。
>>133 色については勢力別で、同じゲームで複数勢力があれば一覧でゲーム名を出した上に
一纏めに並べればよいと思います。
関東の被差別部落歴史についてはここを参照
www.asahi-net.or.jp/~mg5s-hsgw/tkburaku/
歌舞伎界との関係はここ
www5b.biglobe.ne.jp/~kabusk/geinohsi2.htm
戦国時代は小田原太郎左衛門が被差別民の頭である長吏頭の有力者だったが、
徳川氏が江戸入府すると、矢野集房(やの ちかふさ?)が長吏頭に任命され
取って代わり、太郎左衛門が北条氏の発給文書を根拠に抗議すると、家康は
これを取り上げて集房に与えてしまったという。4代目(正しくは3代目)の
集信が浅草に移住したことから以後代々浅草弾左衛門と名乗り、このころ支配を確立したと
される。明治維新後は弾姓を名乗っている。
長吏(ちょうり)、非人(ひにん)、猿飼(さるかい)、乞胸(ごうむね)などを支配下に置き、
また歌舞伎を江戸中期まで興行面で支配した。歌舞伎が弾左衛門から独立後、制作された
「助六所縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)」は弾左衛門を当てこすった内容で、
歌舞伎界側の露骨な差別意識の現れという(現在の「助六」は内容が変わっている)。
幕府は「穢多頭」と呼んだが当時から差別用語であり、自らは一貫して「長吏頭」といい、
幕府の用語には従わなかった。幕府側の呼称は差別用語であると抗議した記録が
残っているという。
前スレが落ちてしまったのでちょっこっと感想。
一見水瀬家が快進撃に見えますが、その実かなり危険な状況になっています。
領地が東西に伸びていて安全地帯が無く、越後を落とされればたちどころに無力化します。
そして関東での千堂家の漁夫の利作戦。ここはお手並み拝見。
しかし、謀略に走っている千堂・藤田両家、不義理な振る舞いが表面化すれば
ただでは済まないと思えるが………。
155 :
すれ違い:03/07/14 14:48 ID:s0bkITMe
蒼天録難しすぎ・・関が原の真田でどうしようもなくなるとは思わなかった。
織田家に従属して巧くやるべしと言われるかもしれんが、そんな事やってたら
真剣で手の打ちようがなくなる・・はふぅ
本能寺じゃねーか。
疲れてるな・・
Kanon組
水瀬秋子(水瀬家)・千堂家と同盟締結
倉田佐祐理、川澄舞、沢渡真琴(水瀬家)・御影すばる、塚本千紗と交戦中
水瀬名雪(水瀬家)・長谷部彩を離反させる
相沢祐一(水瀬家)・北越後制圧
美坂栞(水瀬家)・加賀制圧
天野美汐(水瀬家)・美坂軍団参謀として栞に同行
久瀬(久瀬家)・滅亡後行方不明
こみパ組
大庭詠美(大庭家)・現在は待機中の模様
御影すばる、塚本千紗(大庭家)・倉田佐祐理、川澄舞、沢渡真琴と交戦中
芳賀玲子(大庭家)・下野のビック・サイト跡地、高瀬瑞希・牧村南迎撃へ
千堂和樹、澤田真紀子(千堂家)・対甲斐、駿河の守り
高瀬瑞希・牧村南(千堂家)・下総に進行中
九品仏大志(千堂家)・北武蔵国境で軍事訓練中
猪名川由宇(千堂家)・箱根で対渡辺家用の守り
長谷部彩(水瀬家)・大庭家を離反、水瀬家へ
ホワルバ組
緒方英二(緒方家)・弥生と密談
篠塚弥生(緒方家)・英二と密談
緒方理奈(緒方家)・遠江侵攻軍を率いて待機中
河島はるか(緒方家)・軍師として理奈に同行
痕組
長瀬源三郎(柳川家)・美坂軍団に敗北
ONE組
里村茜(長森家)・籠城し南軍撃退
柚木詩子(長森家)・茜と籠城、奇襲敢行
折原浩平、七瀬留美、住井護(長森家)・援軍を指揮
渡辺茂雄、氷上シュン、南森、村田、中崎勉(渡辺家)・尾張へ進撃
深山雪見、上月澪(深山家)・従属関係しかたなく尾張へ出陣
南明義・再編制のため遠江へ撤退中
清水なつき(清水家)・兵糧を援助される、渡辺家に同調
広瀬真希(広瀬家)・飛騨から打って出る、渡辺家に同調
雫組
長瀬祐介(長瀬家)・月島瑠璃子と対談、月島家に出陣へ
長瀬源一郎(長瀬家)・伊勢・伊賀方面の守備担当
新城沙織(長瀬家)・祐介と対談に参加
田中(長瀬家)・清水勢へ物資を輸送
月島瑠璃子(月島家)・長瀬家に協力(援軍は不可)
藍原瑞穂(月島家)・瑠璃子と対談に参加
Air組
神奈、柳也、裏葉(神奈将軍家)・月島家、高野山の前に偽陣を用いて逃走
神尾観鈴(神尾教)・反神尾家連合に蜂起される
Routes組
那須宗一(那須家)・岡田家と周防長瀬へ同盟申し込み
湯浅皐月(那須家)・安芸攻略主張
伏見ゆかり(那須家)・皐月のなだめ役をする
リサ(那須家)・月教教祖高槻、豊後水軍へ密書
梶原夕菜(那須家)・政務を取り締っているらしい
エディ(那須家)・越前柏木家へ偵察
伊藤(伊藤家)・皐月に焚き付けられ安芸攻略主張
篁(篁家)・リサを使い宗一へ忠告
東鳩組
藤田浩之、佐藤雅史(藤田家)・松本軍と対陣
長岡志保(藤田家)・諜報戦展開中
宮内レミィ(宮内家)・吉井軍と対陣
長瀬源五郎(周防長瀬家)・来栖川家に謀反、周防長門制圧
来栖川芹香(来栖川家)・源五郎により幽閉状態
来栖川綾香(来栖川家)・岡田軍に敗北、安芸まで突破できるか
長瀬源四郎(来栖川家)・討死
岡田目久美(岡田家)・来栖川軍を敗走させる
坂下好恵、松原葵(岡田家)・城包囲部隊を壊滅させる
吉井縁(岡田家)・宮内軍と対陣
松本梨華(岡田家)・藤田軍と対陣
MOON組
高槻、巳間良祐(月教)・門司へ行く
間違い指摘よろ
そのうち現時点の大名の領地、行動もやるかも
>坂下好恵、松原葵(岡田家)・城包囲部隊を壊滅させる
この坂下は石見か出雲あたりの国人だったはず。
反来栖川で岡田家に同調したんだと思われ。
葵は坂下の家臣かな?
あと間違って無いのかもしれんが、
>長谷部彩(水瀬家)・大庭家を離反、水瀬家へ
これって激しく不自然だなあ・・・
すまんが誰か高倉家の大名データ持ってないですか?
宮田家とどういう関係だったか忘れてしまって・・・
まとめサイト見ても当主と家臣しか分からないんで。
>>162 特に決まってないっぽい
>>163 乙です。ちなみにそれだと
北越後と南越後が逆になってますよ
あと信濃も初めから緒方領らしい
>>162 前スレより。これ読むとイベント起こす前は関係は良好っぽいやね。
166 名前:名無しさんだよもん 投稿日:03/02/26 23:47 ID:lZD8T4ko
もういっちょ。
高倉家
当主 高倉宗純
家臣 高倉みどり 長瀬源之介
<歴史イベント>
『みどりの輿入れ』
発生条件
1.五月雨家にスフィー、リアンが健在なこと
2.高倉家に高倉宗純、みどり、長瀬源之介が健在で、かつ、
源之介が家宝に『美人画』を所有していること
3.健太郎が『夫婦茶碗』をみどりに贈るとイベント発生。
高倉家と五月雨家は断絶状態になり、イベント発生から
2ヶ月以内に金100000を用意して源之介から『美人画』を
買い取ると、高倉家は五月雨家に吸収される。
4.イベント後、高倉宗純、スフィー、リアンが引退する。
>>161 >>長谷部彩(水瀬家)・大庭家を離反、水瀬家へ
>これって激しく不自然だなあ・・・
んーこの辺は後にだれか別口で補完するかもね。自分としては第三国の謀略の匂いを感じるけど。
そろそろ痕あたりが動いてほしいなぁ。
>>166 初めは大庭家から独立して大名になったはずなのに、いつの間にか水瀬家に
ついている。独立→水瀬家を頼ったか、直接寝返ったか、二通り書かれているので
どちらの解釈を取るか。
大名思考中
>>164 気を付けて、色分けをしたいと思います。
これが終了したら、今度は地方別の基本図作成かな。
170 :
162:03/07/15 02:33 ID:XyX9bqMb
>165
どうもありがとうございます。
どうやら前スレまだ読めるみたいですね。
>164
森川家は後に緒方家から独立するみたいですね。
そのときに信濃を盗ったのかな。
>168
がんばってください。個人的には宮内家のデータが欲しいです。
大名政略中……
来栖川本陣が丘から駆け降ってきた。猛然と、陣型を維持できる限界の早さで。
それを認め、岡田の主立った将はそろって色めき立った。来栖川綾香自ら率いているであろう部隊が向かってくるのだ。
数は千四百。こちらの半数程度。いまだに抵抗を続ける大鎌隊と合しても、二千に届かない。
こちらは三千余。勝ち戦に意気も上がっている。各々気も大きくなり、普段以上の力を出せる状態になっている。
そして思った。
功名の機会! 『女豹』を討ち取り、名を挙げん!
一騎駆けの武者から、名も無き雑兵までも、わずかでも功名心のある者は皆そう考えた。
駆け降ってくる来栖川最後の部隊。大鎌隊の後詰めに入ろうとしているのだろう。わき目もふらずに前進してくる。
「もらったわ!」
そして、戦が勝ちと決まった時点で、後方には旗本隊を連れて下がっていた目久美も思った。
一直線に突き進んでくる部隊の動きほど、予測しやすいものはない。使番を呼び寄せ、前線の各将に指示を与える。
「各々、直ちに広がり、陣を鶴翼と成すべし! 来栖川本隊と大鎌隊が合流するを待ち、一気呵成に包囲撃滅せよ!」
その指示に従い、大鎌隊との槍交ぜを一旦止め、若干下がって陣を組み整える。すでに来栖川の包囲部隊は軍の体を成していないため、横合いから槍を入れられる怖れはない。
綾香の首を己が手に得んと、気炎を上げる岡田の将士。来栖川隊の前進して来るに応じて、鶴翼のその両翼が徐々に前に出ていく。
包囲されつつあることにもまるで構わず、大鎌隊と合する来栖川隊。瞬く間に態勢を整え直すと、
「かかれぇ! おこのこ出てきた小娘の首を、その手に掴むのだ!」
異口同音に叫ぶ岡田の将たちの声と、
「突撃! わき目もふらず、ただ進むのよ!」
自ら槍を手に陣列の先頭付近に立つ、綾香の声とが同時に響いた。
どっと戦場が沸く。蛮声を上げて前進を始める岡田の兵達の声と、負けじと気勢を上げて前進を始める来栖川の兵の声と。
瞬く間に戦場は、流血の巷と化した。
綾香の言葉通り、ひたすら前のみを見て突き進む軍勢と、
それを横から、後ろから食いちぎっていく軍勢と。
噛み合い、殴り合い、ぶつかり合い、大混戦となっている。
もはや銃も弓もない。刀、槍、鎧通しも脇差も、刃物は全て持ち出され、刀折れれば岩を掴み、あるいは自らの兜を脱ぎ取って、それでもって殴りつける。
二匹の鮫が互いに食い合っているような惨劇の図。中には、熱狂した味方に殺される兵などもいて。
──そして。
「もらったぁ!」
綾香が叫んだ。周囲にいるのは旗本隊二百あまりとそのほか合して五百余。他の隊はいずこへと消えたか、もはや分からない。大鎌も後方に取り残された。
既に旗の多くも戦場の泥の中に紛れ、失せている。
しかし、それでも。
「行けぇ! 行けぇ! 抜けやぁ、押せやぁ!」
包囲陣からの突破まで、もう一枚となれば、構っている場合ではない。
綾香の叫びに答えて、先手を切って進む笠間兵衛の隊が、眼前に残る最後の敵へと食いついていく。
血に酔いしれて、闘争本能をむき出しにして殺し合う両軍。もはや戦いと呼ぶには相応しくない、野獣と野獣のぶつかり合い。
は、
「突破ぁ!!」
来栖川の軍が、ついに包囲網を喰い破ることで決着した。
「馬鹿な!」
目久美は驚愕した。無理もない。いきなり包囲網の一角が大きく崩れたかと思った次の瞬間、来栖川勢であろう一隊が、その中を突き破ってどっと溢れかえってきたのだから。
そして、そのままこちらへ──岡田軍本陣へと向かってくる。
目久美の、つい今し方まで浮かべていた余裕の表情は、一瞬のうちに戦慄へと変わり、慌てて周りを見渡す。
「いけない!」
そして気付いた。周りにいるのは旗本隊が三百あまりのみ。抜け出てきた敵勢、四百か? もう少しいるか。ともかくあの勢いで殴りかかられては、危ない。
「守りの陣を組め! 急げ!」
叫ぶ。おそらくあそこで殺し合っている者たちのほとんどが、東側で包囲を破られたことに気付いていまい。この手勢だけでしばらくの間、しのぎきるしかない。
だが。
こちらに向かってくるかと見えた突破した敵勢(四百五十程度か)は、いきなり向きを変えると、
「な」
南東の方角へ駆け去っていった。
「な──しまった!」
守りの陣を組んでいるから、とっさに追撃態勢に移れない。見ている間にもその一隊は、素晴らしい逃げ足で遁走していく。
目久美は何事か吐き捨てると、采配を地面になげうった。
逃げられた──来栖川綾香に、逃げられた──っ!
遁走した部隊の中に、それと分かる旗はなかったが、目久美にはその中に綾香がいたのだと、何故か確信することが出来た。
殺し合いが終わるまでは、まだいささかの時間が必要なようであった。
佐ノ山の戦い──終了
参加兵数
来栖川 6000+佐ノ山包囲兵800 計6800
岡田 5000+佐ノ山籠城兵500 計5500
損害
来栖川 戦死1200 長瀬源四郎 大鎌国秀 鮫島郷中 大賀但馬 安積主馬
捕虜1400 什四郎兵衛→打ち首
負傷者数不明。行方不明多数。全軍崩壊、兵は散り散りとなる。
岡田
戦死600 松田四郎三郎
負傷1600 米原水臣
「──滅茶苦茶だわ」
佐ノ山城三の丸から、眼下に広がる光景をみやって、坂下は呆れたように一言つぶやいた。
丘の付近にひとかたまりとなって揉み合う両主力がいる。一体どういう展開をしたものか、来栖川軍は包囲され、今まさに撃滅されようとしているようである。
ずいぶん戦場から離れたところまで、逃げる来栖川兵を追撃している部隊もいる。全軍潰走していること、疑う余地はない。
「勝負は決まったみたいね。どうやら」
「そうみたいですね」
傍らに立つ葵も、呆然としているようである。確かに、余りといえばあまりの展開ではある。
あれほど強大と思えた来栖川軍が、わずか一日でこの世から消滅していたのだから。
「まさか、あいつがここまで派手に負けるなんて。何があったのか、詳しく知りたいものだわ」
「本当ですね」
頷く葵。と、
「あ」
包囲網の東側から、一隊が抜け出てきた。岡田軍本陣を突くような構えを見せる。
「擬態ね。あれは」
やけに冷静に戦況を見つめることができた。現実離れしている光景に、神経が麻痺しているからだろうか。
予測通り、しばらくも行かない内にその部隊は進行方向を素早く変えて、南へと駆け逃げ始める。
「ほらね」
「ですね」
徐々に戦場を彩る音々も低くなっていく。決戦は終わりを向かえようとしている。
「恩賞はどのくらい出るかしらね」
志保は結局、大したことを出来なかった。
いろいろと種は仕込んでおいたのだが、発芽させる暇もなく決着してしまったのだ。
彼女が浩之に命じられたことは四つ。
壱・岡田軍を月山富田城から出し、来栖川軍へ決戦を挑ませること。
弐・決戦においては、来栖川軍をどんな手段を使っても敗北させること。
参・ただし、余り負け過ぎさせてもならない。
四・決着が付くまで、源五郎謀叛の知らせを綾香の下へ伝えさせないこと。(事後はこの限りにあらず)
他にもいくつか細かいものがあるが、大まかにはこの程度だ。
これを実現させるため、志保は自身の全力を尽くしたと言って良い。
手の者を幾人も、両軍の兵に紛れさせて軍内に侵入させておいたり、
来栖川・岡田両家の諜報網を徹底的に寸断したり、
来栖川軍内の不満分子に接触し、あれこれと仕込みをかけたりし、
安積主馬を狙撃したのも、来栖川を負けさせるためにしたことだ。
しかし、戦の結果は、あまりにも予測外のことであった。
軍の中に紛れ込ませた諜者たちは、志保の指示が来る前に、あるいは大潰走に巻き込まれて討ち取られてしまったり、
恐慌を来して共に逃げ去ってしまったり、
あるいは岡田軍内を混乱させようと蠢くも、戦場の熱狂の中に声をかき消された上、不届き者として討ち取られたり。
志保本人にしても、源四郎戦死のちょうどそのとき、安積を暗殺するために佐ノ山に登っていたため、戦局の転換点に立ち会うことなどできようはずが無く。
結局何事もなせずに、決戦は来栖川の歴史的大敗という形で幕を閉じてしまった。
「ふぅっ」
志保は大きく息をつく。
「ま、とりあえず」
じっとしていても仕方がないので、動き出す。
いずこかへ逃げていった綾香一行の行方を追い、安芸への道案内をするのが、当面の目的になる。
「最悪でも、綾香さんだけは安芸に連れて来い、だったからね」
浩之の考えでは、軍勢付きで、とのことだったが、こればかりは仕方ない。
ともかく、綾香だけでも生き延びさせないと。
「急がないとね。どんな不測の事態が起こるか分かったものじゃないわ」
ようやく終わったよ。
何はともあれ、佐ノ山決戦は岡田側の勝利です。
しばらくは策謀合戦が行われるでしょうなぁ。Routes組も絡んで……月教も絡んで……うわぁ。どろどろ。
次は月教を書かないとな。
ところでちょっと確認しておきたいのですが。
琴音の扱いってこのスレ的にはどうなんでしょ?
過去ログでは、北海道に入れろとかいう案も出とりましたが。
こっち側で使ってしまってよろしいのか。
一応確認を取っておきたいと。
新作乙です
琴音も中国地方でいいんじゃないですか、北海道誰もいないし。
ところで葵も出雲豪族の一人なんですか?
坂下の同志(規模はどうあれ同じ地方豪族、もしくは土豪)
坂下の客人(己を磨いて放浪する武家?浪人)
って事ですな。
って、うわぁ、また中国地方の勢力図把握しきれなくなってしまった・・。
181 :
桜花:03/07/16 10:35 ID:LFBa0l0J
VAくふ旗揚げなのじゃー!
さてさて、いろいろと更新しました。
盛況ですね〜
とはいってもテストが近いんで7月一杯は更新できないかもしれません。
テスト勉強に飽きたらいつの間にか更新してるかもしれませんけどw
更新乙
現在進行中のスレを変えたほうがいいかも
地図完成したら載せてもいいのかね?
>182
家リストのリンクがおかしくなってますよ。
1の次のページってのが大庭家編になってます。
>>13-16の時点で、久瀬の領地はどこ?
それとも水瀬家に吸収されたのかな?
南じゃなくて北越後じゃないの?
>>186 サンクス。
ついでに和泉の篁って、Routesキャラで合っていますか?
そして、読み方も分からない…。
予想以上に時間がかかりそうなので、完成版は、今晩中には無理です。
>>187 「たかむら」です。
IMEによっては変換できない罠。
>>188 ありがとうございます。
大名別キャラ色別スペースの問題が出てきた…。
なんとかやってみますが。
とりあえず家の件は直しときました。
久しぶりに自分のパソより。
誰か、どれを掲載したらいいかアンカーでまとめてくれるとうれしいです。
全スレとかでもどこを載せるべきとか言っていただければ、
時間があるときに何とかします。
>191
できれば地方別と全国地図の書き込みなしのバージョンが欲しいです。
もしかしたらまとめで使わせていただくかもしれませんので。
>>192 分かりました。地方別を作ることにします。
あと書き込みなしバージョンというのは、城名と国名のみのものですか?
それとも境界線のみが書かれているものですか?
大和って月島家じゃなかったっけ?
あと南近江が霧島家だったような・・・
>>194 やってもうた…。
>>2-5の方で作ったみたい…。
改めて
>>13-16で作り直します。
ということで、
>>191のやつは削除しました。
ついでに最終確認を取りたいのですが、よろしいですか。
近江はこれからも南北で分けますか?
周防長門は一つの国として見なすということでよろしいですか?
ドタバタが続いて、申し訳ないです。
>>195 近江:SSを読んでみると近江は長瀬家によって統一されている様子ですが
周防長門:一つの国で良いと思います
>196
近江を二つに分けたのは>>52-
>>53のあたりだからな・・・
近江は色で分けるだけでいいかも。
近江に関しては、境界線は南北で分ける方針で行くことにしました。
統治者が変わり次第、色を変えていけば良いので。
あと、近江は地理的に重要な国なので、南北で分けた方が
面白くなりそうというのも、理由の一つです。
まぁ、国数は一つ増えますが。
現時点で統治している長瀬家…大変だな。
199 :
名無しさんだよもん:03/07/18 20:51 ID:pKL9R46Z
小谷城が北、観音寺城が南。間に佐和山城と。
たまにはあげます。
>>193 境界線のみでお願いします。
なんにせよ、こちらが動けるのは8月からになりそうですが。
そういうランダムで無いトリップはどうやってつけるもんなんでしょう・・・
文章が多すぎるのでつけたほうがよさげなんですが。
いやはや。ありがとうござんす。
203で出てきたんで何なんですが、
デカイ戦争に関しては纏めてしまったほうがいいかも知れません。
1、それよりも、地政学上山脈と川の位置が結構重要になったりするんで、
通行困難な山脈だけは書いてもらえると極めてわかり易い。
(まあ、SS上は強引に突破する事も多いが・・・)
2、嵐世記からのデータになるけど、水軍データもかなり重要。
関東は大した事無いが、瀬戸内海には・・・まだ誰も書いていないが、
確実に、誰彼の花枝水軍が来島城辺りに絶対に居るはずなんで、
その瀬戸内を誰が制するのかは瀬戸内海戦の最大のテーマになる。
ずいぶんつっけんどうな文章になってしまった・・・
自分がやるんではないのに、申し訳ないです。はい。
一応関東周辺では・・・
第一次千庭の乱
第一次箕輪城攻防戦(大庭詠美(こみパ)○対 倉田・川澄軍(Kanon・水瀬家)●)
越後国境の戦い (大庭詠美(こみパ)−対 水瀬秋子・名雪軍(Kanon) −)
※千堂軍蜂起
第二次箕輪城攻防戦(大庭詠美(こみパ)○対 九品仏大志軍(こみパ・千堂家)●)
川越城大攻防戦 (大庭詠美(こみパ)−対 千堂和樹・高瀬瑞希(こみパ)
九品仏大志・澤田真紀子他 −)
第三次箕輪城攻防戦(水瀬秋子他(Kanon)○ 対 大庭家(空城)●)
※ちなみに、水瀬家を勝手に動かしてますが、祐一が来る前の話として設定しています。
実際に佐由理さんも舞シナリオデフォで、祐一が来る前にも何度か負傷していますので、
ほぼシナリオ通りだと思います。
※これら全て含めて千堂・大庭家の「決戦」イベント。この後大庭家は一時弱体化。
第二次千庭の乱
?城の戦い (長谷部彩・水瀬名雪(Kanon) 対 御影すばる(こみパ・大庭家) )
上野・下野国境の戦い(倉田佐由理(Kanon・水瀬家) 対 御影すばる(こみパ・大庭家) )
川澄舞 塚本千紗
沢渡真琴 )
大体こんな感じになっとります。A級戦犯(笑)なので、書いた責を取ってまとめます。はい。
ハッキリ言ってアメリカなどの多民族国家では黒人の方がアジア人よりもずっと立場は上だよ。
貧弱で弱弱しく、アグレッシブさに欠け、醜いアジア人は黒人のストレス解消のいい的。
黒人は有名スポーツ選手、ミュージシャンを多数輩出してるし、アジア人はかなり彼らに見下されている。
(黒人は白人には頭があがらないため日系料理天などの日本人店員相手に威張り散らしてストレス解消する。
また、日本女はすぐヤラせてくれる肉便器としてとおっている。
「○ドルでどうだ?(俺を買え)」と逆売春を持ちかける黒人男性も多い。)
彼らの見ていないところでこそこそ陰口しか叩けない日本人は滑稽。
>>207 ほう、左様か。それは良いことを聞いたわ。
>208
マルチ相手にレス返す香具師は切腹。
縦王子鶴彦と横蔵院蔕麿は大庭家家臣?
2:滅す者、滅ぼされし者
下総・ビックサイト。
「・・・ひょっとして、あの話の事ですか?」
「えっ・・・」
「軍師にクッチャムカイの命令を受けたと聞きました。」
「あ・・・うん。」
クッチャとは、陸奥東部の事である。
「あちゃ〜、もう、そこまで知られているんだ・・・」
「はい、みんな大喜びです。ひょっとしたら故郷に帰れるかもしれないって。」
陸奥開放。
陸奥の交易路確保の話は、千紗の命令という形で領内にも噂としてかなり広まっていた。
実は、彼らは帰れる道が無い。
海路であってもノセチェシカ・クンネカムンや風見水軍などの妨害に遭い、
陸路では二本松城に立て籠もる国人、金森ヤタローの領地を通らなければならない。
東北と関東を唯一繋ぐ要衝にある二本松城−カンロの討伐の時まで、朝廷が唐の城の作りを
参考にして作られた、中国風の城、というより蝦夷からの侵入を防ぐ事実上の「関」−は、
今では頑なまでに彼らの通行を妨害し、邪魔をしている。
高麗や唐の城の作りと同じく、二本松城は大規模且つ高い城壁を狭い山道全体に
囲んでいる作りになっており、一般人がその関を抜けるには城壁を突破せぜるをえない作りだった。
だが、城だけの問題ではなかった。
カンロの討伐から300余年、幕府や朝廷の威光も薄らいでくると、二本松の国人・金森家が
完全に盗賊化し、二本松の通行を遮断。そこを通るオンカミヤムカイや周辺の行商まで襲うようになった。
討伐軍も出すには出されたが、何しろ対蝦夷用に過剰にまでに固く作られた古城であり、さらに
山奥の為、補給も困難な事から、討伐軍は幾度と無く失敗していた。
今では二本松は「日本末」とまで呼ばれ、言葉だけでなく、そこが実質、「日本」の最北端だった。
今回の千紗の計画は、そこの討伐と東北街道の開放も含まれていた。
今では詠美の政策により、火砲もちゃん様専用のカルバリンとセーカーが二つとも
多量に揃っていた上、鉄砲などの射撃兵器の数もかつて無い量まで揃っていた。
「火砲で押し切ればあの古い城門は必ず破れるですよ。お姉さん。」
千紗は自身満々に答えた。
彼らは「連弩」なる唐の複数射撃可能な毒弓を使う蛮族だが、今ではそれ以上の
破壊力がある兵器がある。千紗の計画ではまず、その現在の当主、金森ヤタローなる
二本松城の土豪の征伐を第一目標にしていた。
そこを抑えない事には、東北への通路が開かれない。
「にゃははは☆」
玲子は苦笑した。
「でも今ダチに反対されちゃっててね、どうしようか…って…
まあ、あいつらもわかってくれるとは思うんだけどね☆」
「お友達…ですか。」
「そ☆」
友達とは、星野美穂、月城夕香、夢路まゆ。玲子と同じく、詠美の下に入った3人の武将である。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
「な ん な ん じ ゃ あ、アレわあ!」
「なんかあいつ人使い荒すぎだって!」
「アレは一体何様のつもりなんじゃ!」
「にゃあにゃあにゃあ〜〜、ごめんなさいですよお姉さま方(泣)」
小さき軍師の泣き声と哀願が響き渡る。
まあ、気持ちもわからんでもない。特に乱以降、武蔵の大混乱や戦争による戦費の乱発、
千堂・大庭両家による青田刈り・放火・堤防崩壊・仲間の裏切り・一揆・朝敵・
水瀬家の攻撃・風見水軍の反乱・海上権崩壊・交易路遮断・etc。
あまりにも不祥事が重なりすぎたともいえる。3ヶ月で勢力が半分になり、仲間の殆どが
千堂家に逃げ、海上権も奪われ、内政も安定しなくなってしまったのだ。
最近では部下に平然と変な棒切れで暴力を振るうようになってきた。
それで居ても千紗がにゃあにゃあ言いながらも、きゃつや家内をなだめているのが逆に不思議な位だ。
, ,
「誰だアレに「バールのようなもの」を渡した香具師は!!」
「にゃあ〜そんなもの誰も作っても渡してないですよ、お姉さん。」
「無いので・・・私が・・・創造りました・・・・・・道具の創造・・・それって素敵だと思います・・・。」
「創造るなーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
「ま、いつものことなんだけどね。」
「・・・・・・」
「だけど・・・、開放されたからと言っても、故郷に帰れるは限りません・・・」
「えっ?」
「私のクニは・・・滅びましたから・・・」
「・・・・・・」
「昔・・・カルルゥアトゥレイというクニがあったんです・・・」
カルルゥアトゥレイ。
蝦夷の国、陸中にあった、クンネカムンと同じく単一民族で構成された民族国家だったらしい。
「そこのクニは・・・兵は強く、国は富み、文化が栄えた土地でした・・・」
「でも・・・滅んだんだったよね。」
「はい・・・」
その話は聞いた事があった。強く、豊かだったそのクニは、
内部の裏切りと、国司の陰謀による民衆の反乱によってあっけなく滅んだ。
その後・・・その国司は、諸勢力を分断・懐柔し・・・
「そして民を滅ぼし・・・終には、民を奴隷として売り捌くようになった・・・」
「はい・・・」
「あんた・・・あそこの人だったんだ・・・」
「マリア」は少しだけ微笑んだ。
被差別階級、穢多・非人と呼ばれる人たちには、いろいろな階層がいた。
本来なら、穢多も非人も大して変わりはないのだが、概略としていうと、
武士などで切腹することが出来なかった臆病者は、非人として落される事が
多かったらしい。穢多には諸説あるが、山窩や芸人などの元々からそういう
事をやっている人間がそのまま身分的に穢多になることが多かった。
穢多と非人は身分的には非人のほうが身分は下なので、穢多は非人を身分が
低いと貶し、非人は元は武士だとか過去の栄光を言って穢多を貶す。
そういう無益な争いもよくおきていたので、ビックサイト内では身分証明を
原則不可としていた。過去の穿鑿はしない。これが詠美領での決まりだった。
年は5歳ぐらい上であろうか、だが、その人生は、玲子ですら知らない高麗や大陸、
そして故郷や坂東で受けた詠美や玲子ですら知らない様々な事を経験して来ている
のだろう。
今では切支丹に改宗し、母となったその娘の顔を、玲子はただずっと見ていた。
すると。
「どあほう!!!!!」
後ろから強烈な後ろ回し蹴りを喰らう。
「どこにいっとんたんじゃい このあほたれいこが!!」
美穂とまゆだった。
「玲子様!!お探し申し上げました!!大変です!千堂軍が下総に進撃中です!!」
「え!」一瞬で周りに緊張が走る。
「総大将は高瀬瑞希率いる騎馬2千!!さらに牧村南率いる騎馬隊5千も増援軍として
派遣されているとの事!現在高瀬軍本体は武蔵の国・立川周辺を東に進軍中!!」
「合計七千・・・」
今、水瀬家との戦いで下総の兵力はわずかしか残っていなかった。
現状では多くて・・・「今残っている兵は多くて1500程度。どうするよ!!」
1500・・・なら全軍で瑞希の2000を叩けば、奇襲なら、勝てる可能性もある。
全軍で一気に高瀬本隊を叩くか・・・それでも一か八かの大勝負になる。
「・・・おそらく、江戸城あたりで一回合流すると思うわ。」
突然、マリアが言った。
「え?」
「多分だけど、直接は来ない。守りが堅いところで体制を整えて突撃してくるはず。
大体、武蔵国境を突破するのにあと長くて一週間ぐらい・・・だと思う。」
「・・・あの・・・なんで判るんですか?」
横に居た美穂が言った。当然である。
「・・・カン、じゃよ、若いの。」
突如後ろに居た老人が言った。
「・・・敵に仲間を脅かされ、犯され、殺される経験を、幾度と無く積んできた、
わしらが、そしてサーヤが、今かという時に、最後に身を守ってきた・・・カンじゃ。」
「勘・・」
勘。
非科学的な物と思われるかもしれないが、戦争には最も重要な要素の一つ。
実際、東郷平八郎がロシアバルチック艦隊を打ち破った時にも、平八郎は夢を
見ていた。ロシア艦隊が太平洋に来るか、日本海に来るか、どちらか全く判らなかった時に、
平八郎はロシア艦隊が日本海に来ることを夢で見て、実際その通りに事が進んだという。
今ではリーダーシップの所で、勘はインスピレーションという項目が米軍の陸軍や海軍の
教科書にも載っていると言う。戦争時には最も重要な大将の能力の一つともいえた。
普通なら、直接来るのが道理にかなう。江戸城を回るのは少し遠回りになる。
だが・・・仮にそうだとしたら。
「でも・・・仮に、そうだとしたら、勝ち目は全く無いよ・・・」
当然の事だった。7千もの軍隊が隊伍を組んで突撃されたら、兵力に劣るこちらの勝機は
ほぼ0になる。
「でも、じゃあどうすれば・・・」
重い沈黙が、場を支配する。
だが、その静粛を打ち破る者が居た。
「嵐が来るのう。」
「えっ?」
先ほどの老人であった。
確かに、冷え切った夜に、確かにまばらに小雨が降り始めていた。
「農家やこういう暮らしをしていると、一週間ぐらいまでの天気なら読めるように
なってくるもんじゃ。」
「確かに、昨日あたりから、天候が不安定になりつつあるけど・・・」
「おそらく、3日後ぐらいには大雨になるじゃろうて。」
「雨・・・?」
「そうじゃ。」
雨・・・・・・と言うと・・・
「ここはわしらの土地でもある。微力ながら、協力させてもらいまするぞ、玲子殿。」
長げ・・・
家臣の忠誠度低いから、動機付けが必要とはいえ、
上手く行ったんでしょうか。(苦笑)
戦略的に、全面戦争の体裁を帯びてきた。
元々は、こんなに大庭家に首突っ込む事無かったんですが、
なんかえらいこっちゃになってます。
>>210 オタク縦横は様々な事情があって大庭家に編入せざるを獲ませぬ。
いま、ちゃん様含めてその3人は秘密行動中・・・
ですんで、できればその系の方々はこいつら使わないで下せえ(w
(元々は独立勢力として、3コスと戦わせるつもりだったんですが・・・
某水瀬家が強すぎる(笑)ので、突如大庭家に編入させますた。)
>>218 新作乙、縦横大庭家編入ですかw
家臣不足も解消されそうだしいいんじゃないんですか
>>219 地方別いいですな、やっぱりこっちの方が見やすい。
221 :
423:03/07/21 02:51 ID:uBZICOP7
「佐祐理様、大庭軍の動きが妙です。塚本隊がゆっくりでは有りますが東に進路を取って移動を開始したとの事です」
包囲戦が始まり七日。真夜中の本陣に放っておいた斥候の報告は陣中を緊張させた。倉田佐祐理は注意深く事態の推移を
眺めていた。現在、千堂家が下野大庭家に攻撃を開始したとの情報が入っており、事態がどう転んでも何もおかしくない
状況だからだ。そのような折、水瀬名雪の早馬が水瀬家倉田軍本陣に駆け込む。
「申し上げますっ!河越城を包囲していた大庭家御影軍が、包囲を解いて引き上げ始めていますっ!」
「何!?」
名雪からの早馬の報告は一瞬して本陣を緊張させた。川澄舞は報告を聞くと、城と敵陣営が見える高台に走る。状況を
自分の眼で見て確かめるためだ。その状況を見て、言葉には出さないものの驚いた表情を垣間見せた。河越城を包囲して
いた御影軍の『後衛』部隊のたいまつが東方に向かって進んでいた。城の周囲にはかがり火が漆黒を橙色に染めていたが、
これは明らかなカモフラージュで、実際は東に向かってたいまつが進んでいる。少数精鋭の部隊や忍者といったものは
発見される事を嫌い地形と睨めっこをしながら行軍するが、六千の大部隊ともなるとたいまつが無ければ行軍できない。
通常は深夜の行軍は練度の高い部隊ではない限り極力避けるのは、これによって生じえる混乱や離脱、疲労度といった
諸々の状況が折り重なるハイリスクを背負うし、ましてや照明が無ければてんでお話にはならないからだ。
敵の動きをこれら照明器具で判断する事は、この時代では有効である。(中国ではかがり火だけを焚いて堤燈を目印に
行軍して敵の目を欺く戦法が存在したと言われるが)相手が急げば急ぐほど、動向が丸裸になるのである。事実自軍が
放った斥候が全員、ほぼ同じ事を報告してきた事で裏付けが取れてしまっていた。
222 :
423:03/07/21 02:52 ID:uBZICOP7
「城の包囲を解き、速やかに下総に退いて下さいっ!!」
一方の大庭家御影軍は外見以上に非常に緊迫しており、千堂家の進撃で兵を下総に下げる必要が生じてしまっていた。
確かに北武蔵を奪還するのに下総を基点に攻撃を開始するのは間違っていない。主力は下総から出陣しても、領内全て
からある程度の兵力を集めて攻めたのだ。このままだったら千堂家は無理にごり押ししてまで攻める事は出来なかった。
しかしその後に御影すばるからの援軍要請でやはり下総から出陣させたのだ。ここまでだったら何の落ち度も無いが、
その後が非常に悪く、塚本千紗の苦労むなしく後手後手に回り、後方からの後衛兵力が回ってこなかった。
そこを千堂家・澤田真紀子は突いた。敵の兵力が分からない上に2千しか居ない兵力での防衛は至難の業である。この
事態に、塚本千紗は上野での悪夢に襲われる。北武蔵と上野の境で千堂家との抗争時に、上野の二城が意図も簡単に
水瀬家に奪われてしまったことである。守備兵が少なかったことも原因ではあるが、塚本千紗の状況判断の読み違いが
この事態を起こしたことに間違いはない。
「千堂家牧村軍が千葉城を包囲っ!至急退却されたしっ!!」
だが、水瀬名雪や長谷部彩、倉田佐祐理・川澄舞はそう簡単に見逃してはくれない。退却を始めるとなると、総勢一万
強の軍勢の総攻撃は免れないのである。ここは出来るだけ被害を抑えて撤退し、千堂家牧村軍を駆逐したかった。
果たして、知将同士の鬩ぎ合いはどうなるか?
武蔵・上野国境。
「九品仏殿、いかがなされた。」
「立川君。茶会を催そうかと思ってな。一服どうかね。」
「はっ・・・・」
・・・・・・
「ふふふ、何か言いたげな顔をしているな。」
「は、はあ。」
「いつ、水瀬秋子を討つのか・・・と、言う事か?」
「・・・」
「焦るな。焦っても実は実らぬ。」
「・・・」
「同盟中・・・の者に一方的に攻撃を行う訳には往かぬだろう。」
「はい。」
「同盟を破るには、破るだけの「大義」がないとならぬ。」
「・・・・」
「まあ・・・その時が来たら、箕輪城にここの全軍を出す・・・、
その時には、世にも名高き立川真言流の実力を、越後の者共にとくと、見せて呉れ給え。
奇跡という言葉すら生温い、その力のほどのな。」
「はっ・・・」
「ご報告申し上げます、塚本千紗の間者らしき者が。」
「うむ。次第はどうであった。」
「はっ・・・もう京よりもう一人の方をお連れてきております。わが意は獲たりと。」
「ほう・・・それは芽出度い。」
「?」
「雄三君、君の手下の者をこの使者に付けて、塚本千紗と倉田佐祐理の元に運んで呉れ給え。」
「塚本千紗の使者・・・?」
「・・・・・御使者は丁寧に扱い給え。
これは「大義」だよ・・・立川君。」
大志は薄く笑っていた。
>>222 いったん牧村軍も江戸城で合流するらしいし
千葉城包囲っていっても玲子達もいるんだしそんな簡単には無理っすよ
1度訂正してみては?
いくつか思ったこと。
>>214の大庭家の話で、カルルゥアトゥレイとありますが、
ギリヤギナの単一国家はラルマニオヌです。
カルラゥアツゥレイはナ・トゥンクが滅んだあとに建国され
デリホウライが王となった国となりますよ。
あと、
>>29のROUTES組ですが、
>福岡といえば博多、堺にも引けを取らない大商業地域である。
いきなり備前(岡山)から飛んでるんですけど。
福岡の辺りというと豊前とかになりますよね。
たしかあそこには月教があったはずですし。
.´ `v^) _______________________
〈(ハ从ノlハミi((. /
l人´д`l从 )) <
>>225 直すの忘れてた・・・・・
/ y/ ヽ( \
(⊃ ⊂[_ノ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(ノノノ | | | l ) ソレガシトシタコトガ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
.´ `v^) _______________________
〈(ハ从ノlハミi((. /
l人´д`l从 )) < ちなみに、Routesの「福岡」は現在名「神戸」です。
/ y/ ヽ( \
(⊃ ⊂[_ノ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(ノノノ | | | l ) ソレガシモ カンガエナイト ワカランカッタヨ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
※余談だが、名護屋と名古屋と那古屋も紛らわしい。
>>Routesの「福岡」は現在名「神戸」です
福岡ではなく「福原」ではないか?
確か平清盛の時代に福原京なる物があったような……
.´ `v^) _______________________
〈(ハ从ノlハミi((. /
l人´д`l从 )) <
>>227 某も間違えて覚えていた。相済まぬ。
/ y/ ヽ( \
(⊃ ⊂[_ノ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(ノノノ | | | l ) ソレガシトシタコトガ×2
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
※福岡って播磨の町だと思ってたが、備中の町だったんだね・・・・
>>228 福岡は備前。
福原(というより室町時代頃の呼び名は兵庫の津)は摂津の国の西の端。
ちなみに応仁の乱〜安土時代は戦乱で荒れていたりする。
まあ史実はこの際どうでもいいことだけど…
当時の商業が発達していたところってどの辺なの?
近畿の大都市、北九州ぐらいのレベルで
小京都と呼ばれてるところは大抵発達してるな。
山口とか駿河とか。
京、近江、堺、福岡、尾張、岐阜、備前、駿河、小田原、武蔵(?)って所か?
>>225 ちと誤解を受けるような書き方をしてしまったようでつね。
申し訳ないです。
備前福岡、正確な呼び名は長船町福岡というそうです。
この地の代表的な豪商・阿部善定でググれば詳しくはわかると思いまつ。
余談でつがちょっと確認のために蒼天録やってみたら備前に商業勢力ないし(つД`)
「いっ、一万六千!!」
ようやく把握出来た敵軍の数に長森軍本陣では動揺が奔っていた。
それもその筈、その数はようやく到着した援軍を加えた長森軍八千五百の二倍近くなのだ。
援軍元の美濃では決起した広瀬真希四千と小坂由起子率いる美濃守備軍一千の激戦が繰り広げられており
これ以上の増援を望めるはずもなかった。
「こんな大軍連れ出すなんて髭は何を考えてるんだ…… 非常識すぎるぞ! それにいくらなんでも報告が遅れすぎだって!」
この事態に流石に狼狽する浩平へ詩子は疲れた顔で言った。
「仕方ないじゃないの、突然渡辺軍が間者狩り始めたり総勢二万だ、三万だなんて偽報を流したりするんだから。
むしろ間に合ったことに感謝してちょうだいよね」
急に渡辺家間者衆の動きが活発になったのは、彼らを統率する氷上シュン帰還したためである。
そのために現時点での諜報能力は長森家よりも渡辺家の方が優っていた。
「さらに悲しいお知らせがあるんだけど……」
「聞きたくない、もう帰って寝る……」
「そんなこと言っても聞かせなきゃいけないんだよね。
これまた決起していた清水なつき一千五百が南下を開始、こっちに向かって進撃中よ」
「……ちょっと待って」
今まで黙っていた七瀬が口を開く。
「あたしは決起したのはいいけど、結局兵糧不足で立往生してるって聞いたわよ?」
「それがね、兵糧援助を受けたみたいよ」
「兵糧援助だとぉ! 誰だそんな余分なことしたのは!? 叩き切ってくれるわ!」
「はいはい、落ち着いてね折原君。なんでもその直後に渡辺家との接触が確認されてるから
たぶん髭達がやったんじゃないのかな?」
詩子は知るよしもないがこちらは長森家弱体化を狙った隣国長瀬家の仕業である。
大した効果は期待されていなかったが今の長森家には致命的であった。
「それにしても何でこんなに多方面から、それも同時に攻められるかね」
住井は肩をすくめながら溜息をつく。
「俺達、そんなに恨まれてたっけ?」
「……ごめんなさい」
「あっ、そんなつもりで言ったんじゃないから。いや、長森さんは頑張ってるよ、ホントに」
聞きに徹していた瑞佳は小さくなって俯いていた。
髭侵攻はともかく清水なつき、広瀬真希については戦いにいたる前に和睦をするなりして未然に
決起を防ぐことは出来たのである。無論、それらの努力はしていたが長森家と遺恨のある両者である
そう簡単に話は進むことはなかったが瑞佳は責任を感じていた。
「でも……」
「とにかく起こってしまったことは仕方がないです。対策を考えましょう」
軍議を再開するため茜は話を切り替えた。
「私達は現在、ここに展開しています」
そう言って茜は地図上に書かれている小高い丘を指し示した。
「七瀬さんの隊を中心として両翼に浩平、住井さんの隊を配置、その後方に長森さんの本陣
そして私の隊が予備兵力になる。当初はこう布陣して迎撃するつもりでしたが……」
「そうも言ってられなくなったな」
ようやく落ち着きを取り戻したか、頭を掻きながら地図に目を落とす浩平。
そこには新たに書き込まれた清水隊、そして予想より大兵力に書き換えられた渡辺軍。
すでに敵は目の前に迫っているのである、今更奇襲などできるわけがない。
「やはりここは、以前俺が提案した『漢七瀬の髭襲撃大作戦』しかなっ…ぐはっ!」
「だ・れ・が・漢ですって!? あんた殺されたいの? それにそれはこの前却下した!」
「待てっ! 落ち着け! 合戦前に死者を出してどーする!」
「安心しなさい、峰打ちよ」
「……あの、続けてもいいですか?」
目の前でじゃれ合ってる二人に溜息を吐きながら茜は言った。
「ここは残念ながら清洲城まで後退、籠城するしかなさそうです」
「えぇっ! ちょ、ちょと、それがどういうことか……」
「もちろんわかっています」
清洲城までの後退──すなわちそれは南尾張の放棄を意味する。最悪の場合、手に入れたばかりの
美濃も敵の手に落ちることになるだろう。
「あたしは反対よ。大体まだ戦ってすらいないのに少し消極的過ぎるんじゃないの?」
「考えてもみてください。この兵力差……二倍以上ですよ、本気で言っているんですか?」
「だ・か・ら! まだ戦ってないじゃないの! それに攻めて来るのは数は多いって言ってもあの髭よ!?
それにあの頭のおかしな南森に中崎達! あたし達が負けるとはとても思えないわ!!」
「まあまあ、七瀬さんも里村さんも少しは落ち着いて……」
「ちょっと黙っててくれるかな?」
仲裁に入った住井に笑みで答える七瀬、ただそれは微笑とは程遠いものだったりするが。
「……長森さんはどうするべきだと思いますか?」
「そうよ! どうなの瑞佳!」
「えっ?」
ここのままでは埒があかないと瑞佳に決断を求める二人。
もはやどちらも引く気はさらさらない。
「えっ、えーっと……」
「瑞佳!」
「長森さん!」
瑞佳はもともと内政、文政などを得意とする文吏派の人である。
このような状況には滅法弱い上にその性格のためか、決断をなかなか下すことができなかった。
「伝令!」
「うっさい! 後にして!!」
「いやいや、それはまずいでしょう」
浩平に突っ込みを入れられる七瀬、駆け込んできた伝令兵は驚き腰を抜かしている。
「ええ、えーと」
「気にしないで、落ち着いて」
「あっ、はい。渡辺軍、清水隊進撃を開始しました。間もなく戦闘に突入します。
皆様各陣に至急お戻り下さい」
「来ましたね…… 結論は夜まで持ち越しましょう、私は清水隊を迎撃に向かいます。
無理をしないようにくれぐれも頼みますよ」
「そっちも敗走なんかしたりしないようにがんばってね」
睨み合う二人に本陣は静まり返っていた。
「なつき様、渡辺軍、敵陣に突撃を開始しました」
「ふっふっふ…… 天佑、我に有りね」
一方こちら清水隊。打倒長森家に燃えるなつきはのりにのっていた。
突然謎の商人団に兵糧を援助され幸運に感謝しつつ勇んで南下を始めたら
これまた突然に渡辺家から長森家攻略の協力を申し込まる。
しかも長森家を滅ぼした暁には尾張一国を与えられるとのこと、こんな上手い話があるだろうか?
問題の長森軍も渡辺軍の大兵力の前に風前の灯火。ここで清水隊が背後を突けば勝利は間違いないだろう。
「なつき様!」
「んっ? 何よ?」
「我々に兵が向けられているようです。旗から推測するに里村隊と思われます」
里村……あのやたら無口で無愛想な人ね。丁度いい、手始めに彼女を血祭りに上げてみせよう。
「目標変更、まず先に里村隊を叩く! 長森瑞佳の首はその後よ!」
かくして長森家と渡辺家、両家の決戦の火蓋が切って落とされた。
新作乙〜
てっきり桶○間で奇襲とかなると思った
更新しました〜
ちょっと現実逃避気味w
摂津の国、石山城。難攻不落の名城にして、月島家本城でもある。
「なんだと!?長瀬軍が京に!?」
伝令の報告に当主・月島拓也は驚愕した。
将軍神奈一行が見つからない上、長瀬軍が出てくるのは彼にとって誤算であった。
「京の我が軍はどうした?」
「長瀬軍の攻撃に遭い、我が軍は撤退を余儀なくされ……」
「高野山の僧兵はどうした!?」
「長瀬軍の接近に先立ち、密かに撤退した模様……」
「糞坊主どもめっ!!」
激昂した当主を前に伝令の兵は縮みあがってしまった。
「拓也様。今は高野山よりも目の前の長瀬軍を」
月島家部将 太田香奈子の言に拓也は落ち着きを取り戻す。
「ああ、そうだったな」
直ちに吉田由紀 桂木美和子の両名が呼ばれ出陣の命がくだる。
それと共に大和の月島瑠璃子にも出兵の伝令がとんだ。
一方、長瀬軍は京での残敵掃討の最中に月島軍出陣の報に接した。
「う〜ん。反応が早いなぁ」
祐介の言葉に
「直ちに移動して天王山を抑えるべきではないか?」
と源二郎が意見を述べる。
「いや、天王山は月島に抑えてもらおう」
祐介の言葉に源二郎が反発した。
「正気か?みすみす敵に地の利を与えるなど!」
源二郎の意見に祐介は首を振る。
「この戦、重要なのはいかに短時間で勝つか、だよ。
仮にこちらが天王山を抑えればむこうは簡単に手出ししてこない。
そうなれば持久戦になり、本拠を離れているこちらが不利になる」
「しかし天王山を抑えられればこちらが不利になることは……」
「月島拓也は屈指の用兵家だと聞いた。それならばむこうもそう考えるだろうね。
でも向こうが天王山を抑えたら攻めかかって来る事はない。
こっちが手出ししない限りね。そのうち兵糧と時間切れで撤退すると考えるだろう」
「ならば如何するんだ?進むも留まるも利が無いならどういうつもりで出兵したんだ?」
祐介は静かに答える。
「さっきはいかに短時間で勝つか、って言ったけどもう一つ。
あっちの足並みが揃わなくなるのを待たなくちゃならない。
だから、月島勢が崩れるのを待ち、且つ美濃・尾張が治まる前に終わらせなきゃならない」
そこまで言って源二郎は気付いた。
「と言う事はわざと隙を見せて相手を決戦に誘う?」
「そういう事。戦場で月島拓也本隊を完膚なきまでに叩けば
月島瑠璃子が表立って反旗を翻し、摂津・河内・大和の豪族を味方につけることができる」
祐介はそこまで言って一つ大きな息をついた。
「そこまでは良い。問題はいかにして月島勢を討ち破るかだよ。
月島本隊は七千、こっちは五千。まともにやったらこっちが不利だ」
源二郎は苦笑した。
「そこまで考えているのならば、もう既に策はあるだろう?一体なんだ?」
「…………」
祐介が黙っていると沙織が一人の男をつれて戻ってきた。
「祐くん、京の町の残敵掃討は終ったよ」
「ああ、ご苦労様。……で、そちらは?」
そう言って沙織の後ろにいる男を見る。
「えとね。月島の捕虜になってた将軍家の人」
「ほほう、それはそれは」
源二郎がまじまじと男を見る。
「ところで将軍殿は?」
祐介の言葉に男は首を振って答えた。
「そうか……。なら仕方ない。捜してる暇も無いし
出て来るのを待つしかないか……」
「あ、あの」
男が声をあげる。
「私どもはどうしたら……」
「京の町の治安維持。御所の掃除。将軍殿の捜索。
やる事は幾らでもあろうが」
源二郎の答えに男は頭を下げて走って行った。
「やれやれ、将軍の配下にはあんなのしかおらんのか?
もう少し自分で判断してもらいたいものだ」
源二郎の言葉に祐介と沙織は苦笑する。
「ところで、将軍の足どりについて何か情報は?」
祐介が沙織に問うと
「海路を使って脱出した、ていう情報が飛び交ってるけど……」
「多分、欺瞞だろうね。月島の裏をかいて摂津・和泉に出ると見せかけ
結局は陸路で別の所に出るつもりだろう」
「別の所?」
「可能性があるとしたら、周防の来栖川、越前の柏木、
後は関東の大庭かな?」
「で、その中で陸路を使うとなると」
「越前柏木家が一番可能性が高いだろうね。
まぁ、そっちの方はもういい。それよりも月島勢だ。
沙織ちゃん、全軍を宇治の方に移動させる」
祐介は指示を出した。
「宇治に?」
「そう。そこで月島軍を迎え撃つ」
「うん、わかった」
と言うが早いが、沙織は陣外に駆け出していった。
「何を考えてるか知らんがお前の思う通りにやってみろ、祐介」
源二郎も直ちに移動の指揮をとる為に陣外に出て行った。
とりあえず、マップのところに家のリストを上げておいたのですが、
ここが違うとか、こいつはここじゃないとか指摘があったら
よろしくお願いします。
>>245 どうせここまでやるんだったら、絵があったほうがいいでつね。
画像掲示板とかあったほうがいいかも・・・
>>245 お疲れさまです。
初期値データのところに地図をいれる予定のようですが、地図地方版も、
北海道・東北,関東,中部,近畿,中国,四国,九州・沖縄に分けた方が
良さそうですね。
地方版、きれいにまとまらない…。矢印だけではかなり物足りないので、
シンボルか何かでも付け加えた方がいいのかな。
…しかし、絵の問題が……。絵が描けねー。
長瀬家は上洛したけど山城全体を制圧したのだろうか?
>>245 何気にONE編が東海攻防編に変わってますな。
あとSSも1-1、1-2とか別に見れるようにできませんか?
激しく場違いで失礼ですが、ここでの琉球(ガディム)の立場、目的はなんでしょうか。
史実にそった琉球であるのか、それともスペインやポルトガルなどの外国勢力としてみればいいのでしょうか。
俺は本土から遠く離れた琉球の地にガディムを封印したと思ってるんだが。
実際のとこは設定した人しかわからんな・・・
封印解除の為だったら、史実の琉球より外国勢力とした方が国力的には良さそうですね。
そうなると封印解除の為に、あちらこちらに戦乱の火種をばらまき、血を流させるという事になりそうだが。
しかし長森家は奇襲でもなんでもいいから野戦に持ちこんだ方がいいと思うんだが。
後援の見込めない篭城は泥沼だぞ・・・国力差からいって最悪滅亡しかねん。
何気に敵対大名数一番な長森家
渡辺家、深山家、清水家、広瀬家、長瀬家(間接的だが)
さらに髭連合軍総勢二万一千五百対長森家総兵力九千五百
(((( ;゜Д゜)))
>>253 乙、やっぱり乗っけた方がいいと思う
>>253 いやはや。元々、ちゃん様シナリオやっている理由は、
こちらが設定した東北シナリオを開始させるためのプロローグなだけであって、
本来なら軽い茶番劇かまして、さっさと彩と誰か護衛を東北飛ばすつもりだったのれす。
本来なら当に東北ハクオロ・ウルト編やってた筈だったのですが・・・
ここまで坂東で長く話を続かせるつもりは毛頭なかった・・・
ですんで、玲子嬢が独立しているとか、長谷部家独立とか唐突に言われると、
結構混乱する・・・というか、混乱しながら話作っているというか(笑)
まあ、上総安房を玲子が取っているとしても、3コスが居るから問題はなさげだが・・・
それなら大庭家領扱いしたほうが良いかもしれないですねえ。
まあ、元々。この東北地区のディープな社会問題を全く無視してぶっ飛ばせる人間は、
よほどの未来予測が出来る超天才的人間か、正真正銘の馬鹿かの二人しか居ない。
また、ハクオロ編は、そのままやると単にネタバレになるんで、正直宜しくない。
(「アレ」に関しては、そのまんま台詞乗っけても十分通用するところが怖い)
で、別視点の必要性から大庭家編をやる事になったんですが・・・
武蔵についてはよく判らん(w そもそも、どこで戦をしているのかすらよく判らん(苦笑)
彩の調略まではいいとしても、まさか彩ごと本城が寝返り、北武蔵全土が水瀬家
領土になるなんていう設定で来るとは正直思っていなかったんで、
(いや、関東を千堂家に任せて一気に上洛するのかと思ってたんで・・・)
これをやられたら、元々「関東統一を目論む」と最初に書いてあった
千堂家としては流れとして黙り込む訳にはいかず、その地点で
即同盟破棄・宣戦布告でしょうなあ。(そんな堅い同盟じゃないし・・・)
ちなみに。水瀬家が危険な状態と言っていた方が居ましたが、
実は越後が安全地帯です。クンネカムンは鎖国中で交戦の意思はありません。
(下手に動かれたら水瀬家どころか全部消えますわい)
大庭家も攻撃するのは不可能です。やるなら箕輪城→沼田城→春日山城→新発田城のルートで
北上するしかない。地図を見ると判るが、クンネカムンの領土を通らなければならないんです。
(ちゃん様が動くには、鉄砲大砲担いで箕輪城から山脈を回り込まないといけないんですね。
そんなたりい事やる様な人間では本来ないし・・・)
※クンネカムンについては今のところガチ鎖国状態にしてあります。
東北諸国との交易についてはなんとか出来ますが、いかなる事情があれ、
軍隊を通す事はできません。つーか、この地点でこいつらに目覚められたら東日本は終わりですが(w
彩の城を、マジで本城(川越城)にするか、下野の忍城あたりの小城にするか・・・でガラリとシナリオと
戦術が変ります。まあ、昔の松山城とかいう城でもいいんですが・・・
※ちなみに、私は北武蔵領有は千堂家で、彩の城は下野と武蔵の間の支城の一つと考えてました。
正直、場所を判断出来かねる所あり・・・
まあ、騒がせてすいませんが・・・ちと複雑になってきたもので・・・
地方版は、基本的にはこれで行きたいと思います。
細かな修正は必要ですが。
>>255 分かりました。載っけておきます。
>>256 俺の方は、皆さんのシナリオを追いながら、発展させていくだけのこと
ですし。
芳賀家は大庭家所領なのか同盟関係なのか…。どっちですか?
戦国大名によくある、通常の従属っぽくないし。
あと、クンネカムンって、二本松がある岩代にありませんでしたっけ。
東北編読んだ限りでは、羽前にクンネカムンを設定しているのかなと
思いましたので。勘違いだったらすいません。
とりあえず現在ページに掲載されているものは
てきとーにログあさって書いたものですから。
……個人的には上総安房はあさひちゃんがいいかなとw
芳賀家に関しては大庭家に編入すればいいと思うし。
二日後には山崎に月島本隊7000が布陣した。
「あいつら、宇治になんぞ布陣してどういうつもりなんだろう?」
「も、もしかしたら、もう撤退するつもりなのかな?」
月島家武将 吉田由紀 桂木美和子の両名は
宇治に布陣した長瀬軍の様子を遠巻きに眺めていた。
「ま、天王山さえ抑えてしまえば、後はこっちのものだからね
楽と言えば楽だけど………」
「で、でもぉ。何で先に天王山を抑えなかったのか
由紀ちゃん、気にならないのぉ?」
「別に?どうせ正面からやれば数で勝ってるこっちの有利だからね。
気にする事なんかないって」
「二人とも、あちらさんの様子はどうなの?」
二人の会話に割って入る様に月島家武将 太田香奈子が声をかけた。
「ああ、香奈子か。全然。こっちに来る気配も引く気配もないね。
一体何を考えてきたんだか」
「油断は禁物よ。長瀬祐介は知らないけど、長瀬源二郎は名うての戦上手。
きっと何か裏があるに相違ないわ」
「戦上手なら、なおさら天王山を抑えようとするだろ?
それをしなかったって事は、耄碌したか当主がダメか。
そんなものじゃないか、香奈子?」
「あ、あの。ふたりとも」
美和子が二人の間に割って入った。
「も、もしかしたら、山を越えて直接石山城を狙ってるのかも……」
「まさか。第一そんな事したって、本隊と瑠璃子様、それに
摂津和泉の守備隊に包囲されるだけだし」
「そうね。さすがにそれは無いね」
美和子の考えを即座に否定する由紀と香奈子。
そこに伝令の兵士が来た。
「瑠璃子様率いる三千、田辺に布陣したとのこと。
軍議のため召集がかけられましてございます」
「わかった。すぐに行く」
香奈子が答え、三人はすぐに月島本陣にむかった。
「長瀬軍は宇治に布陣。動く気配が見あたりません」(香奈子)
「しかし、これを放置するのは、後々厄介。これを機に叩くのが良いかと思われます」(由紀)
「あ、あの。敵が撤退するのを待つのが一番かな、と」(美和子)
軍議の席上で三人思うところを述べる。
「長瀬軍は荷駄隊の数を考えるに半月も経たぬ内に撤退すると思われます。
戦わずに済むならばこれに越した事はないかと」
三人の向かいに座す藍原瑞穂は進言した。月島拓也の傍らに座る月島瑠璃子は
意見を言う事無く、静かに軍議を眺めていた。
「こちらの兵力は合わせて一万。相手は五千。真正面から叩けばいい」(由紀)
「近江兵は強兵と聞く。侮ればこちらの被害も馬鹿にならない」(香奈子)
拓也は諸将の意見を静かに聞いていたが
「半月すれば長瀬軍は撤退するだろう。その隙を突いて長瀬軍を殲滅する。
諸将はそのつもりで準備するように」
との一言で軍議は解散した。
「長瀬殿は上手くやるでしょうか……」
陣に戻る際、瑠璃子は瑞穂に言った。
「やってもらわねば困りますが……、摂津和泉の民の為にも、月島家の為にも。
しかし天王山を無視するとは、どういったお考えなのでしょうか」
「解かりません。しかし何か考えがあると、私は思います。
ところで長瀬軍への輸送と摂津和泉の方の準備は、出来てますね?」
「はい、合図を送り次第すぐに動くかと」
「ならば後は長瀬祐介殿次第……」
一方 長瀬軍本陣
「祐くん、瑠璃子殿から昨夜のうちに兵糧と弾薬 及び馬と弓矢が運ばれてきたよ。
これで手持ちの物資と合わせて、一月半は持つんじゃないかな?」
「そっか。沙織ちゃん、ご苦労様。とりあえず休憩しようか」
「………祐介、いくらなんでも和み過ぎじゃないか?」
送られてきた物資の確認を終え、くつろいでる二人を見て
長瀬源二郎は思わず愚痴った。
「とは言っても相手が山崎にいる以上、特にする事は無いからね。
挑発して掛かるとも思えないし、ここは気楽に待つのが一番だよ」
「しかしなぁ、だからと言って………」
「祐介様、ただ今戻りました」
更に何か言おうとした源二郎をさえぎる様に一人の男が陣に入ってきた。
「お、田中か。お疲れ様。清水勢の様子はどうだった?」
「問題が起きました。渡辺勢が南尾張に侵攻を本格化させた為
長森勢は南尾張を放棄する動きを見せています」
その報告を聞いた祐介は表情を曇らせた。
「……そうか」
「祐介、どうしたんだ?元々長森家弱体化の策だったんだろ?」
「いや、策が効き過ぎた。下手をすれば長森家が潰れる」
「?どういう事?」
ふたりの疑問に祐介は答える。
「元々清水勢には長森家の戦力を少しでも美濃尾張に
足止めしてもらおうと思ってただけだったんだけど……。
まさかそのせいで長森が南尾張から撤退するとはね。予想外だ」
「?結局どうするつもりだったんだ?」
「こっちが月島を破って和泉摂津を平定した後に
長森と少しでも有利な条件で同盟を結ぼうとしたんだけど
……まいったな。万が一尾張が落ちたら伊勢方面の事もある。いろいろ面倒だ」
そう言って頭を掻く祐介。そして
「田中、今晩月島本隊の陣に潜入して欺瞞情報を流してくれ。
『月島瑠璃子、謀叛』と」
と指示した。
「おい、祐介。良いのか?それは極秘のはずだが」
「仕方が無い。こうなったらこっちも早く動く必要がある。
そのためには瑠璃子殿にも覚悟を決めてもらおう」
祐介の緊張した面持ちに三人とも押される形で其々の部署に戻った。
長瀬軍が密かに宇治から佐古に移動したのと同じ頃
月島本陣にある噂がたった。
『月島瑠璃子、謀叛』
地名とか戦国的に聞き覚えの無いものを出してますが
yahoo!等で地図を見ればわかると思います
……不親切でスイマセン
長森軍ですがまだ南尾張にいて、今後の方針を
検討中に渡辺軍と交戦になっとります。
南尾張放棄は避けられそうにないけど。
>>267 祐介の言葉は祐介なりの先読みが入ってると
考えてくれればありがたいです
誤解をされる書き方をしたこちらが悪いですがw
ところでこういった話は支援サイトの掲示板使ったほうが良いかな?
初期状態の下総・安房をどうするか、ちょっと混乱気味。
最初から桜井あさひにすればいいのか、最初の方にあるように
芳賀玲子にすればいいのか。
ということで、下総・安房は念のため空白欄にしておきます。
結果次第では、全国版のほうも修正しておかなければ…。
>>259 東北地方の大体の目安を一応、信長的に考えると、
白川関周辺 金森弥太郎率いる土豪勢力
田村三春城 ボナポイの率いる国(ノセチェシカに従属)
葦名領 クンネカムン
相馬領 ノセチェシカ
伊達領 オンカミヤムカイ(御神屋迎家)
最上領 シケリペチム
安東領 ケナシコウルぺ
大崎領 ナ・トゥンク
南部領 クッチャ・ケッチャ
という事にしてます。
そのうち、騎馬生産が可能で、その上軍事力が強いのが、
ノセチェシカ(相馬)、シケリペチム(最上)、クッチャ・ケッチャ(南部)
ここら辺は馬産地の上、どちらかというと騎馬Sが多いですね。
(そのまんまという意見もあるが)
ナトゥンクは弱くは無いが、やっぱりまんま大崎程度。
オンカミヤムカイはまあ、名門。つーかまんま伊達です。
そのまんまですね(w
あとのクンネカムンなどの詳しいネタは本家HP掲示板雑談ですこし書いておきました・・・
当分彼らは出ないので。
ネタばれしすぎでは?w
>>272 ウサギさん達のネタは、奴らがデフォで持ってるネタから考えれば大したネタじゃ無い(w
うたわれSS以外を書く奴はここに下手に戦争仕掛けないように。
うたわれを何もやらずに無闇に戦争仕掛けたら、仕掛けた側が7日で滅ぶ(w
ちなみに、うたわれ本編だと、
クンネカムン=朝倉周辺、でも首都は山奥
シケリペチム=武田・上杉(微妙)
ナ・トゥンク=相馬周辺
トゥスクル=葦名(会津)
クッチャ・ケッチャ=最上(おそらくオリカカンネタはここの騒動パクッたんだろうね)
オンカミヤムカイ=伊豆・富士山周辺ぽい位置(微妙)
の位置だと思った。
違ったっけ?
274 :
bunn:03/07/27 02:34 ID:LClM8+WH
門司。
中国地方屈指の商港であり、来栖川の対明貿易の拠点でもあるこの都市は、来栖川家の重代の家臣、田沢氏の領するところである。
城下に広がる町並みはきちんと区割りされ、海沿いを中心に広く発展している。普段であれば、明から来る貿易船が停泊し、国内外のさまざまな産物が市に並び、
大いににぎわう活気あふれる街である。
しかし今は、叛軍に陸路を封鎖され、水軍に港を封鎖され、活気はおろか、街を出歩く人の姿もまばらである。当然ではあるが。
街を取り囲む叛軍はその数三千。港を閉塞している水軍は、安宅五隻を含む四十隻あまりの船団である。
規模としてはたかがしれていると言っていいが、何しろ叛軍は準備万端整えてのことである。
戦備を整えるどころか、兵の動員をする暇すらなく街を囲まれてしまったため、塀と堀で囲まれたこの街に籠もっているのは、千二百余りにすぎない。
しかもそのうち千名は、囲まれてから急遽徴兵したついこの間までただの町人だった人々である。
槍の扱い方も、鉄砲の扱い方も知らない、一般人が集まっただけの守備兵である。
武器・兵糧などは、各商人の蔵の内にたっぷりと蓄えられているため、そちらの心配はないとはいえ、(もっとも、対価はきちんと払わねばならないが)
この町が一月近くの間持久できているのは、叛軍が何故か無理攻めをせず、包囲するだけにとどめているからに他ならない。
佐ノ山の戦いから二日が経ったこの日。まだ、ここ門司にまでは戦の顛末は届いてはいない。
門司城は門司市街の中心にある。これという特徴こそないが、それなりに堅固な城ではある。
その天守。大広間において、現当主の圭子が一人の男と面談していた。
圭子の顔色は暗い。絶望という言葉の、具現のごとくである。
「……本当ですか」
「ああ。出雲遠征軍は佐ノ山での戦に大敗し壊滅した。長瀬源四郎他、主な将はあらかた戦死あるいは捕縛された」
男は、今一度同じことを繰り返し言った。特に表情と呼べるものはない。冷ややかと言っていい目で、絶望に打ちひしがれる圭子を見据えている。
「綾香様は……?」
「ああ、戦場から一群の兵団が南へ遁走したらしい。行き先は分からない上、そこに混じっているのかも分からないがな」
「……そうですか」
綾香が無事である可能性に、圭子はほっと息をつく。
「……しかし、ということは」
「長瀬源五郎の謀叛、鎮圧できる者はもういなくなったということだな」
圭子は再び下を向いてしまう。それを見て男、一瞬だけ口元を、嘲笑気味にゆがめる。
「……」
圭子は顔を上げた。むろん、男の嘲笑はとっくに消えている。
「これまで、ありがとうございました」
「と、言うと?」
「綾香様の軍が壊滅したとなれば、この城の命運も時間の問題……援兵の望めない籠城に、誰が従うでしょうか。
高槻殿は、早々に城を退去なされた方がよろしいと思います」
自嘲気味に首を振りつつ、圭子は言う。が、
「そう絶望することもないだろう」
月教大主教、高槻はそう答えた。
会談を終えて、人気の少ない城内を歩く高槻。
周りに誰もいないことを確認した上で、にたり、いやらしくほくそ笑む。
会談の成果は上々だった。
圭子に対して、豊後よりの援兵を確約し、山口来栖川屋敷に幽閉されていると見られる芹香と、所在不明の綾香の救出及び捜索に力を貸すことを高槻は約した。
さらに、長瀬源五郎政権の不支持、周防・長門・石見の三国は、あくまで来栖川一門の領するところであることの確認をした上で、
来栖川家再興のため、月教団はその総力をあげて、田沢家を始めとする反長瀬勢力の支援をすることをも誓約した。
その代償として、来栖川家再興成った暁には、
1 来栖川領内における、月教の布教許可
2 来栖川 月教間の不可侵同盟
3 来栖川芹香の月教への改宗(綾香でも可とする)
4 山口・門司などの五都市へ、月教教会の設立
5 対明貿易への、博多商人の参入許可
などといった、様々な要求を、ことごとく飲ませることに成功したのである。
ぱっとみると、お互いに利益が均衡しているかのようにも思える。月教側の利益は、来栖川を再興させないことには単なる空手形そのものだから。
しかし、である。
高槻が約束したのは、あくまでも『力を貸す』であり、主体はあくまでも反長瀬側にある。
高槻が約束したのは、あくまでも『支援する』であり、月教自ら対長瀬戦の矢面に立つとは言っていない。
つまるところ、力は出さないが恩は売る、形式の協約に過ぎない。曖昧な表現で煙に巻く、高槻のしたたかさと悪辣さの好例であるといえよう。
もっとも、圭子がそれを見抜いていたとしても、断る訳にはいかなかっただろうが。
もし断れば、それはすなわち反長瀬勢力の終焉を意味するのだから。独力で長瀬と戦い抜く力など、田沢家にも、他のどの家にも存在しないのだ。
来栖川再興には月教の力が必要なのである。圭子も、高槻もそう思っている。
かくして高槻は一人で笑う。
さしあたりは、臼杵で政務にいそしんでいるであろう巳間良祐に連絡をつけなければならない。
出雲の情報収集より戻ってきた者をまた使うことにする。
良祐に送る文面を思案しつつ、門司の街を歩く。
長い籠城戦に、疲れと絶望の色が漂う、門司の街。
いつのまにか高槻の隣に、一人の娘が立っていた
高槻久しぶりの登場。
というわけで、反長瀬側に立った月教団です。
もっとも、情勢の変遷次第では、高槻がどう動くかは分かりませんがね……(とか言ってみる)
あ、そうそう。
ルーツ編書いておられる人には申し訳ありませんが、こっちはこっちの予定通り進ませていただきます。
宗一たちの時間は、いったいどの段階まで進んでいるのか分からないもので。
リサが出発したタイミングがいつなのか、それが分からない以上、わたしは、まだ出発していない、あるいは到着していないものとして書かせてもらっています。
だから、那須家の提案(これの内容も分からないな、そういえば)に豊後の蛇がどう動くか……は。
さて。
大名思考中
ちょっと思ったこと。
常陸にテネ、飛騨に同棲なんてどうでしょう?
飛騨は雛山家あたりでどうだ?貧乏つながりで。
テネは正直家つくるとしても置く所が難点。
普通の人間しかいない関東、中国、中部
人外だらけの東北、九州、四国
鬼達以外は人間の北陸
大名家が全然ないので逆に傾向がわからない近畿
ってな感じになってる。
飛騨は広瀬真希がいるって。
テネはプレイしてる人がいるかが問題。
広瀬は美濃ですよ〜
製作乙
広瀬は美濃追い出されて飛騨行ったんじゃないの?
>>283 284
まとめサイトのSS 東海攻防編1−10には
>旧美濃領主広瀬真希が追いやられた飛騨から打って出た
と書かれているから広瀬真希は飛騨で良いんじゃないかな?
ただ
>>14には広瀬真希は美濃と書かれているから
初期状態なら美濃に広瀬真希、尾張に長森瑞佳で良いと思う
287 :
:03/07/29 00:23 ID:tX/1dun/
>>284 そこまでやるんだったら
どうせだったら家紋もほしいな。
家紋ファイル作って適当に家紋作るか(w
うーん、多分飛騨の大名にかくまってもらってるんじゃないかと思うんだが。
史実では領地を追い出された大名が他の大名の食客になるのはよくある話だし。
>287
そういやどんな家紋使ってるんだろ、ちょっと気になるw
>289
ネタと本気が適度に混ざってていい感じ
>>280 テネについてですが、
正直コレはヤッタコト無いので、HP見て判断するしかありませんが、
東北地方・御神屋迎(オンカミヤムカイ)領の中の一つ、
和名で塩釜と呼ばれる、東北地区最大の商業自治都市の
総督にここの大統領のおっさんを落ち着かせるのはどうでしょう。
性質的にウルトやカミュも「似たもの同士」なんで、ここの地区なら、
話は作りやすいかと思います。
まあ、扱い的には蠣崎クラスの小大名になるのかも知れないですが。
でも、オンカミヤムカイとはこの場合同盟してるんで、戦争しかけようと
思えばノセチェシカ辺りとおっぱじめる事も出来なくはない・・・
でも、キャラが「武将」という感じじゃないから、けっこう辛いかも知れない。
細かい設定やSSはやった事無いから書けない。
われものとテネをやった方が、適当に設定考えてください(w
>>289 祐一が上杉家の家紋と同じで、大志が黄巾党の旗印(ちょっと違うw)だよね。
他の家紋の元ネタって何?
一応家紋解説。
大庭詠美・・・語るに及ばず(w
水瀬親子・・・元ネタはキリスト教かと思いきや、島津マル十の変形で、
島津別派が使っていたと思われる十文字を流用。
(但し、画像はオリジナル)
何と無くKanonはキリスト教が合いそうな雰囲気
(まあKey系全部ソレは言えなくも無いが)
相沢祐一・・・少し変だが、一応長尾家の家紋。騎鉄使いが謙信は少々変だが、
一応新潟なんで、とりあえずこうしました。
でも、ネ右一自体は結構陰が薄いので、もちっと地味な家紋の方がよかったか
九品仏大志・・・
>>295の申される通り。
こいつの旗はコレだと最初から決めてた(w
御影すばる・・・マルかいて「す。」
高瀬瑞希 ・・・こいつらは常識人系なので、素直に普通の家紋使いました。
「高瀬家」「家紋」で検索して「下がり藤」がひっかかった。
一応和樹も性格上普通の家紋だと思います。
あと、倉田佐祐理と久瀬の家紋を考えてたんですが、やはり彼らはそれなりの名門系でしょうな。
ありそうな鯛の家紋が見つからない。大切なものなのに見つからないよ。
300 :
川澄氏:03/07/30 01:32 ID:jQvR6soE
はちみつくまさん・・・・
301 :
名無しさんだよもん:03/07/30 01:38 ID:MS+yrcZR
>298
家紋と言うより旗刺しの柄に似合いそうだ。
特に大志w
304 :
名無しさんだよもん:03/07/31 23:55 ID:OW6XND5t
「左翼第二槍隊、損害が半数を超えました!」
「早く後退させて、さっき下げた部隊と合流させて再出撃よ」
「了解しました」
渡辺軍最前線、そこでは死闘が繰り広げられていた。
長森軍は攻撃に対し七瀬隊を前面に押し出し対抗、その両脇を折原、住井隊がよく援護し支えている。
このため一気に突き崩そうと突撃してきた渡辺軍は意外な守りの堅さに戦線を膠着させていた。
「なかなかやるわね……」
戦況を眺めながら雪見はつぶやく。
兵力ではこちらが優っているのに長森軍に崩れる様子がまったく見えない。
いや、むしろこちらが返り討ちにあっているようにも見える。
隣に陣取っている中崎、南森隊と協力して一斉攻撃でも掛けたいところだが両隊とも七瀬隊に対して
異常な執着を持っており、我先にと突っ込んでいくので足並みを揃えることも出来ない。
いずれは数の差で押し切れるだろうがそれまでにはかなりの数の兵が犠牲になるであろう。
ことに、最前線で戦っている深山隊には……
「どうにか突破できないかしらね」
「恐れながら、あの陣形を見る限りとても容易には……」
そう言って側近の一人が後ろを振り返る。
長森軍は陣取った丘に多数の柵や盾を配置し陣の守りを徹底的に強化していて
さながらその様相はちょっとした砦の様であった。
その上で守備に徹しているのだからそう簡単に崩れるはずもない。
「つまりあの堅陣をどうにかしなきゃいけないのよね」
「澪ちゃん、ちょっと」
『?』
「七瀬さん……ってどんな人なの?」
実は雪見は七瀬のことをあまりよく知らなかった。
それは『尾張一の漢』だとか『突撃乙女』とか伝え聞いてはいたが、それは所詮世間の話。
自分よりも長森家に関わりのあった澪なら詳しく知っているだろう。
澪は少し考えながらスケッチブック(わざわざ南蛮商人から取り寄せているらしい)に書き始めた。
『漢』
「いやいやそーじゃなくてね。うーん、性格とか行動パターンとかお願い」
そう言うとまた少し考えて
『猪突猛進な人なの』
「……それはつまり積極的にひたすら突撃したりしてくるような人なのよね?」
この子にしては難しい言葉を使うわね……などと思いながら念のため聞き返す。
『そうなの』
「ちなみに……ちょっと短気だったりする?」
澪はページを変えないで頷いた。
「……なるほどね。ありがと、澪ちゃん」
雪見は話を終えると直ぐに伝令兵を呼び出しあれこれと指示を出し始めた。
「尾張の鬼、七瀬留美殿と御見受けいたす! いざ尋常に……」
「うっさい! 死ねっ!!」
「うおわっ!?」
強烈な太刀を受けをたまらず崩れ落ちる渡辺兵。
一方こちらは長森軍最前線、そこで七瀬は陣頭指揮を執りつつ自らも戦闘に参加していた。
「それにしても、ほんと、切がないわね……」
息を整えながらうんざりとつぶやく。
彼此戦いが始まり一刻半程過ぎたであろうか、未だ敵は勢いを衰えさせることなく力押しを続けていた。
しかしながら長森軍にはまだどこか余裕があった。
こちらは丘に布陣しているため弓の支援を十分に確保できている。
弓の攻撃を越えて来た敵を待ち構えているのは柵や盾を間に挟み槍ぶすまを組んだ七瀬隊の精鋭である。
先程のようにそれでも突破してくる根性のある者も中にはいたが
柵の中に待機している兵にそれら総ては討ち取られている。
(それにしても里村のやつ、いったい何を考えてるのよ!)
合戦の真っ最中にもかかわらず余程腹を立てていたのか、先程の軍議をふと思い出す。
南尾張放棄だけでも我慢ならないのに援軍の当てもなく篭城とは……
何か策があるのかもしれないが最悪の場合滅亡に向かって一直線である。
ここは何がなんでも撃って出るべきなのだ、そう七瀬は考えていた。
確かに敵は大軍であるが、そこにきっと油断が生じている筈である。
それに七瀬には突撃を繰り返す度に押し返される渡辺の兵がどう見ても強いとは思えなかった。
その時、突如戦局に変化が起こった。
それまで盛んに七瀬隊を攻め立てていた深山隊がじりじりと退き始めたのだ。
ほぼ同時に中崎、南森隊が左右に広がるように後退して行く。
「ひょっとして……奴ら浮き足立ってるの?」
これはチャンスかもしれない――七瀬は敵軍の後方を見つめる。
そこには渡辺軍総大将の髭の陣があった。
この期に乗じて追い討ちを掛ければ深山隊を突き崩し
もしかしたら渡辺隊まで突入できるのではないだろうか?
……いや、今までの敵の戦いぶりを見る限りできる筈。
一瞬、守りを厳命した瑞佳の顔がちらっと浮かんだがそれもすぐに消える。
戦場では臨機応変に指揮を執らねばならない、今がその時だ。
七瀬は軍配を振り上げ叫んだ。
「敵はあたし達の強さに恐れをなしている! 攻めるには今をおいてない!
これから敵本陣に向かって一気に突っ込むわよっ!!」
地図と新作乙
310 :
決戦前夜:03/08/01 04:34 ID:U5QLBFir
「何ですって!?どういう事!」
翌朝、太田香奈子陣内にも『月島瑠璃子、謀叛』の噂が広がり
兵士の間に動揺が広がっていた。 同様の現象が月島勢全体で起きており
吉田由紀、桂木美和子の両陣も噂を抑えるのに手一杯という有り様であった。
「策か?それとも……」
香奈子は思わず言いかけた言葉を飲み込む。
月島瑠璃子陣内には数年来の親友、瑞穂がいる。その親友と敵対するのは
彼女にとっては考えたくない出来事であった。
「けど……」
これだけ噂が大きくなるという事は、噂が事実かどうかより
拓也より瑠璃子を当主に望む兵士の意識の表れ、
それはつまり、現当主である月島拓也の治世に対する反感の表れでもあった。
(確かに拓也様は外にも内にも厳しい方だけど……)
太田香奈子はかつて拓也が言った事を思い出す。
「将軍家に力がなく、この近畿ですら乱れている今、
この戦乱の世がいつ治まるかわからない。
何と言われようとも急いで治めなくてはならない。
例えそれによって一時にせよ民を苦しめてもだ。
………妹も解かってくれている筈だ」
311 :
決戦前夜:03/08/01 04:34 ID:U5QLBFir
(あの時の拓也様の寂しそうな表情、今でも忘れられない……)
それ以来、香奈子には『自分が誰よりも月島拓也を理解している』といった自負があった。
たとえ拓也の目が妹にしか向いていないと解かっていても
最後の最後まで付き従うと心に決めていた。
(だからこそ、こんな事で、こんな所で終らせる訳にはいかない……!)
香奈子は噂の収拾を部下に任せると本陣に向かった。
「るりこなんでそんなことをしたんだぼくはただおまえをかなしませな
いためにやっているだけなのにどうしてぼくをみすてていってしま
うんだもどってきておくれるりこぼくのところからいなくならないでお
くれるりこかえっておくれるりこかえっておくれるり………………」
月島本陣では拓也が一人、顔を片手で覆ってブツブツ呟いていた。
居心地が悪いのか小姓も陣屋の外に逃げるようにしていた。
「何をしてるの?」
「あ、香奈子様。それがその……」
小姓の一人が陣内を指さして黙りこく。
「そう……、いいわ。ここは私が引き受けます。あなた達は陣内の噂の収拾を急ぎなさい」
そう言って香奈子は陣屋に入る。
「……ながせ…ゆうすけ……るりこを…つれていくのか?」
拓也は陣屋に入ってきた香奈子に気づかずに呟き続けていた。
「……僕は、瑠璃子を取り戻す」
そう呟き、目の前にいる香奈子に気付く。
「……全軍ただちに移動。長瀬軍の正面に出る」
拓也は小さい声で香奈子に指示を出す。
「それは……危険です!欺瞞にのって相手の策にむざむざと
かかりにいくようなもの。ここは迂闊に………」
「黙れ!……僕は、瑠璃子を取り返す。邪魔をする奴は、……全て壊す」
拓也はそう言って陣を移動させるよう各部隊に伝令を送った。
(この人には私の言葉は届かないのか……。私よりも瑠璃子様を……)
香奈子は心の内に寂しさを感じたが、すぐに気を取り直して自陣に戻った。
312 :
決戦前夜:03/08/01 04:34 ID:U5QLBFir
長瀬勢本陣では月島勢のこうした動きを掴むや否や
直ちに本陣に源二郎、沙織の二人が呼ばれた。
「月島が動いた様ね。それも予想よりもかなり早く」
「如何するんだ、祐介。月島瑠璃子勢をこちらに呼び寄せるべきじゃないのか?」
源二郎の言う事は正論であろう。佐古の長瀬勢五千と田辺の月島瑠璃子勢三千が合流すれば
月島拓也勢七千に対し、数の上で五分以上にもっていけるからだ。
だが祐介はこの提案を却下した。
「何故だ。今更『援軍は出さない』という約定を守らせて何の意味がある?」
「いや、そうじゃない。月島瑠璃子と合流しない事で、この戦は長瀬の戦になる。
もしも、ここで合流したら月島家の内紛に長瀬が介入したと思われてしまうからね。
戦で勝った後の政治的効果を考えると、ここで合流するのはあまり宜しくないな」
「それじゃ、どうやって月島七千を五千で討ち破るつもりなの?」
「う〜ん。相手より少ない兵力で打ち破るには……」
祐介がしばらく思考を巡らしていると陣屋に田中が入ってきた。
「ああ、ご苦労様。上手くいったようだね」
「予想以上の効果です。兵士の間に動揺が広がっていてそれを抑える為に月島拓也は
『長瀬軍をこの世から消し去ってくれる』と檄を飛ばし、息巻いていました」
「『この世から消し去る』か。……それは結構」
そう言って祐介は笑みを口元に浮かべる。
313 :
決戦前夜:03/08/01 04:34 ID:U5QLBFir
「祐くん、何がおかしいの?」
「え?…ああ、いや。もしかしたら上手くいくかも知れないな、と思ってね」
「「はぁ?」」
沙織と源二郎は顔を見合わせた。
「さて、こっちも迎撃用意をしないとね。沙織ちゃんと父さんは
兵をここに書いてあるように配置してもらえるかな?」
そう言って懐から何やら書かれた紙を取り出して二人に渡す。
二人はその紙に書かれた内容を見ていたが、やがて驚きの表情で祐介を見た。
「……多分、上手くいくんじゃないかな。月島拓也が噂通りに兵法に通じているならば、ね」
「……とは言え、これは賭けだな。しかも相手がこの陣を見抜かなかったなら。
……更にこの策を見破ったら」
「敗北は必至……という所だろうね。と言う訳で、田中」
祐介は傍らに控えていた田中を呼ぶ。
「月島瑠璃子の陣にこれを届けておいてくれ。出来るだけ早くにね」
そう言って傍らの机からもう一つ書状を取り出した。
「承知しました」
田中はすぐに陣の外に駆けて行った。
「それじゃあ、こっちも準備しようか。月島勢が襲ってくる前にね」
三人は陣を出ると、各々の手勢を計画通りに配置し始めた。
314 :
決戦前夜:03/08/01 04:34 ID:U5QLBFir
一方、月島瑠璃子の陣でも本陣に広がった噂に気付いていた。
「まさか、長瀬殿がこのような手を打つとは……。こうなれば是非もありません。
直ちに移動し長瀬軍と合流するべきかと」
藍原瑞穂の意見に月島瑠璃子は静かに俯いた。
元々兄と剣を交えるつもりは無かった瑠璃子も『こうなれば』と言う思いに駆られていた。
「……仕方ないでしょう」
沈痛な面持ちで決断をする瑠璃子。瑞穂にはその心の慟哭が解かる。
長瀬家との合流は自分にとっては親友との、瑠璃子にとっては兄との完全な決別を意味しているからである。
そこへ
「申し上げます。長瀬祐介の使者がこの書状を瑠璃子様に、と」
と一枚の書状を持ってきた。瑞穂は『恐らく、合流の要請だろう』と考えながら
手に取ったが、その中身には
『援軍の議には及ばず。唯、約定の遵守のみを請願す』
とだけ書かれていた。
「……瑠璃子様」
書状の中身を見て瑞穂は動くに動けなくなった事を悟った。
瑠璃子は兄に正面から敵対する事は避けたがっていたのだし、長瀬との共謀もその為だった。
だが、その長瀬からこう言われた以上動けば『二心有り』と思われる。
また、動かねば月島拓也は噂を真実として捉えるかも知れない。
どちらにしても、この戦の行く末が見えるまで動けなくなってしまった。
「瑠璃子様……」
瑠璃子は、自分のしたことを後悔した。自分に兄を正面から止める勇気があれば
少なくとも長瀬を巻き込む事はなく、こうして傍観者の苦を背負う事もなかっただろう。
「……仕方ありません。こうなれば覚悟を決めましょう。
長瀬軍が敗退と同時に月島拓也の陣に突撃します。そのように準備を」
「……はい」
こうして三者三様の思惑のもと、決戦の時が近づいていった。
武蔵・江戸城。
「嵐になりますね・・・」
江戸城の低い天守閣から眺めている一人の女性。牧村南だった。
千堂家、江戸城には既に彼女が率いる騎馬隊四千が到着していた。
現状では、下総に残っている兵力は2千程度と聞いている。
だが、大庭家は第一次千庭の乱の際に使用されたセーカー砲などの
火砲類が極めて充実しているという他の大名には見られない稀有な特徴を持つ。
その2千が下手に千葉城辺りに篭城されると攻撃の飛距離の関係で
騎馬四千で確実に落とせる可能性が低くなる。
兵力三倍の法則をそのまま地でいく作戦だが、一番確実な方法とも言えた。
「南様、偵察に行った忍達が帰還いたしました。」
「・・・判りました。」
「それで下総大庭軍の動きは。」
「はっ。大庭軍は武蔵・下総国境にかかる橋を全て破壊いたしました。」
「・・・出撃している・・・という事ですか?」
「はっ。」
出撃している・・・か・・・
「申し上げます、現在瑞希様は淀橋周辺まで到着なされているとの事!」
「判りました。江戸城には入らず、一気に荒川周辺に展開せよと伝えなさい。」
「え・・・はい。」
「江戸城の足軽一千は荒川手前に陣を張り、疲弊した高瀬軍を出迎える準備。」
南は持っていた扇子を一気に閉じ、颯爽と家臣を振り返る。
「法螺貝を鳴らしなさい!全軍出陣します!」
江戸城に千堂軍の雄叫びが鳴り響いた。
「・・・言われた通り、荒川・江戸川下流域の全ての橋は破壊したよ。」
「おっけー☆。次はここに柵立てと土嚢積み☆」
「人使い荒いよ〜」
「にゅふふふふ☆」
下総国境・荒川下流の中洲。
ここに玲子と美穂らの部隊1500がいた。
「でも・・・本当にここで千堂軍を止める気?」
「・・・まあね。」
上流から流れてきた橋の木っ端のいくはしかが、流れ流れて目の前を通っていく。
「サーヤの話によると、今のこの水量では通れるところはせいぜいここしかないって。」
河原の野戦。
国境沿いの川は、そのままでは馬で渡ることが難しいほど水量が増している。
又、ここら辺は千紗と彩が丹念に治水した区画でもあるので、洪水の対策用に
わざわざさらに水かさを深くしたので、橋を壊されると馬ですら通る事はかなり難しい。
だが、それでもここの中州周辺の水かさは浅く、馬でも通ることが唯一可能。
コレを知っているのは、工事した当の本人を除いては、地元の漁師か、
河原で生計を立てている彼女ら「河原の者」だけの話であった。
だが、どちらにしろ玲子達が中洲に居るという話は当然牧村南らの耳にも入るだろう。
この唯一の通路もすぐにばれる。そして、千堂家六千はここに集結せざるを得なくなる・・・
「千葉や小弓の城はわしらが見ればまだ守りが半端なままじゃ。あんなのすぐに落とされる。
コレ以外に方法はあるまいて、のう、若いの。」
部落の長は、こういってこの作戦を提案してきた。
どちらにしろ、こういう細い道ではいかなる大軍も通りにくくなる。この要衝を押さえれば、
大軍相手でも小勢で互角に争う事が出来る。
だが、それよりも・・・
「玲子・・・ソレまだあったの?」
ソレとは、玲子が身につけている鎧だった。
「武安国様お誕生日記念 まゆ」と書かれている、なんだか奇妙な鎧。
見ると、玲子の兵達も同じ鎧を着ていた。
「・・・・・・うん。まだあったん。」
作業しながらしれっと玲子は答えた。
武安国様って……。何で趙雲とかじゃないんだw
武安国というと、アンソロのネタですか?
とても笑いましたが。
そういや季節ってどれぐらいの設定なの?
渡辺家の長森領侵攻を今川の上洛とリンクさせると
だいたい五月頃じゃないかな?
ちなみに1〜3が春 4〜6が夏 7〜9が秋 10〜12が冬
1月が税収入 7月が米収入 (信長の野望 武将風雲録参考)
>>321 夏で設定してたのに、冬なんだとさ。
まあ冬でも嵐は状況によっては来ないわけではないんだが・・・
ちなみに、水瀬家が関東に来ている理由は、北陸が雪で閉ざされているので、
他軍団が動けないためという話があった。
鶴来屋の連中も北陸地方は病人しか居ないんだから
気合で動けよと是非とも言いたい訳なんだが(w
・・・ほっときゃ氏ぬという意見もある。
>>320 ちなみにヤツはうちの三国志では大活躍しています。右将軍。
>>323 >ちなみにヤツはうちの三国志では大活躍しています。右将軍。
それはいろんな意味で凄いっす。
何気に編集サイト見やすくなってますな
いろいろ試行錯誤してます〜
大名思考中
「ずいぶんと舐められたものだな…」
出雲の岡田家より届けられた書状に目を通しながら片肘をついて宗一が呟く。
書状の内容は要約すればこうである。
『近く、因幡に再度出兵いたすゆえ、貴国に援軍を要請したい。その際の働きぶりによって貴国が同盟を組むに値するか判断をさせていただこう』
(なんともまぁ…)
まるで属国扱いと言っても過言ではないほどの高圧的な文章である。
岡田家家形は猪武者、との噂は聞き及んでいたが、まさかここまでとは思っていなかっただろう。
だが、先の佐ノ山の戦いの岡田家の快勝ぶりは宗一も知っている。
その直後の同盟使者である。戦果を聞いてのご機嫌取りと先方に解釈されたとしても不思議ではない。
「難しい顔してるわね」
と、いつの間にか目の前にリサが座って微笑んでいた。
「…戻ったのか」
「ええ、ついさっき」
「…で、どうだった?」
「種は蒔いてきたわ…芽が出るかどうかはわからないけど」
「なんだ、結構謙遜するなぁ。リサらしくもない」
「発芽は十分な土の養分がないとできないものよ」
宗一の言葉通り、らしくもなくリサが溜息をつく。
「月教教祖は豊後にはいなかったわ。お忍びで本州まで来ているみたいね」
「なるほど…こちらが誘う前にもうすでに行動を起こしてくれたわけか」
「Yes.さすがに教祖の居場所の詳細は掴めずじまいだったからこの密書は渡すことができなかったけど…」
「いや、十分だ。高槻が行動を起こしてくれた以上、この密書は必要ない。…それよりも豊後水軍の方は?」
「Yes.さすがに教祖の居場所の詳細は掴めずじまいだったからこの密書は渡すことができなかったけど…」
「いや、十分だ。高槻が行動を起こしてくれた以上、この密書は必要ない。…それよりも豊後水軍の方は?」
「そちらは大丈夫よ。誘いに乗ってくれたわ」
「へぇ…やけに簡単に乗ってくれたな」
「それはそうよ。月教団は数年前に設立されたばかりの新興勢力。その強引な教団活動によって民衆の心は掌握…洗脳、と言うべきかしらね…はしてるけど、周辺諸勢力まではまだ服従させてないわ」
「なるほど…まぁ、いずれにせよ、これで高槻軍の“退路”は俺の意のままになったというわけだ」
「でも問題はまだあるわ」
「何だ?」
「一つ。月教団は本当に周防長門に“出兵”するのか」
「それはある種の賭けだな。高槻がお忍びで出てるということは懐柔策に出ているということも考えられなくもない。
…だが、はたして新興勢力で官位も役職もなく何の名声もない月教団に西国探題たる来栖川家の諸武将がなびくか否か…」
「それは楽観的な見方ね。来栖川家の残存武将は相当追い詰められていると見た方がいいわよ」
「とは?」
「周防長門にいたる街道はすべて封鎖されているわ。長瀬源五郎はすでに周防長門のほとんどを勢力下に置いていると見た方が良さそうね」
「ふむ…長瀬源五郎は昼行灯と聞いていたが、どうやら評価を改めた方が良さそうだな。…としてもやはり月教団の出兵はあるな」
「Why?」
「有栖川綾香が敗れた以上、もはや来栖川独力での謀反鎮圧は不可能に近いからな。長瀬源五郎がそこまで有能ならば尚更だ。
安芸に逃げた綾香が藤田家の助力と共に周防に出兵する可能性もあるが…おそらく間に合うまいし、岡田家の脅威がある以上、あの狐もそこまで来栖川家に助力はできまい」
(もっとも、その岡田家が脅威足り得ない証が、今俺の手の中にあるわけだが、な…)
くくっ、と皮肉るように宗一が笑う。
「I see...じゃあもう一つ。この謀略の必要性」
「もちろんある。俺の考えるところ七割方、月教団は長瀬軍に負けるからだ」
「その根拠は?」
「いくつかあるが、その最もたる三つは、豊後兵が弱兵であること、長瀬源五郎が有能であること、月教団が新興宗教を掲げているということ、だな」
「新興宗教…。軍事的駆け引きで有栖川と月教団が手を結んだとしても、すでにそれぞれの宗教を持っている周防長門の民は月教団に対して反発する、と言うわけね」
「そうだ。最悪、民衆は月教団と手を結んだ来栖川勢に見切りをつけ、長瀬軍に服従するようになるだろうな。…特にこの中国地方は出雲大社を中心とした言ってみれば日本神教の聖地だ。
そんな地で布教活動をしようものなら下手すりゃ神教の総本山から打倒月教の大号令がかかる、なんてことも考えられる」
「さしずめ南蛮で言うところの十字軍の遠征といったところかしらね」
「ああ。高槻が何を考えて新興宗教を設立したのかは俺にはわからんが、すでに月教が浸透している豊後以外の地に彼らの正義はない」
「hum...じゃあ最後に一つ。この謀略が成功したときの効果は?」
「退路を絶たれた時、その軍が示す行動は二つに一つ。…降伏するか、死兵と化すか」
「死兵…?」
「死を覚悟した兵士のことだ。死に物狂いの軍隊はどんな精鋭よりも強兵となる」
「ということは宗一は月教団が後者を取ると思ってる?」
「ああ。教主高槻の性格から言って降伏はまずない」
「ずいぶん断定的な言い方ね」
「奴は類稀なる野心家だ。豊後の国で奴に謀殺された人間は数知れない」
その最もたる例を上げるならば豊後守護職であった鈴木家であろう。
高槻は月教団によって豊後の国を制圧するにあたり、前もって鈴木家に取り入り、欺き、この当主を二代にわたって闇討ちにしている。
また、鈴木家に取り入り、家内での発言力を高める一方、自身に敵対する勢力を事あるごとに讒言し、ことごとく処刑してきた。
鈴木家を廃し、豊後の国を制圧した後も、彼の謀略は留まることを知らず、教団内の反乱分子を数え切れぬほど処刑し、もはや彼に逆らうものはいないという独裁勢力を作り上げていた。
その高槻が人の下に下るなど到底考えられない。
降伏するくらいならば彼は死を選ぶだろう。
(いや、ひょっとしたら…)
そのような無謀な選択をする教主を廃そうとする人物が教団内に現れるかもしれない。
(まぁ、あくまで可能性としては、だがな…)
「…それで、仮に宗一の言うとおりになったとして…。最終的な宗一の目的は?」
「ん…いや、特にはないな。あえて言うなら…時間稼ぎか」
「周防長門の内紛を長引かせて安芸藤田家の目をそちらに釘付けにさせるため、の?」
「まぁ、な」
リサにずばり彼の意図していたことを言われわずかに照れくさそうに鼻を掻く。
「そしてその間に宗一は上洛の準備を進めよう、と…」
取らぬ狸のなんとやら…とリサは宗一を眺めつつわずかに笑みを浮かべる。
備前領主那須宗一。
数々の情報網を駆使し、戦においては愚直なまでの現実主義者で冷静に情勢を分析し、的確な判断で敵を駆逐してきた彼だが、その思想はどこか非現実的で子供じみている。
野望、といえばまだ箔がつく。だが、彼のそれはあくまで夢、である。
そんな若き領主をリサは時折頼りなく思うと共になぜか可愛らしく思えてしまう。
彼にはまだ彼女の主君のような底知れぬ恐ろしさはない…
「いや、どうもそうはいかないようだ」
そう言って宗一が手に持っていた書状をひらひらとさせる。
「それは…?」
「岡田家からの因幡出兵の要請だ」
「因幡…?」
宗一の言葉にリサは怪訝な表情を浮かべる。
無理もない。常識で考えて岡田家が次に目標にすべきは来栖川綾香の逃げ込んだ安芸、藤田家である。
主力である来栖川が敗れた今、因幡の保科家など文字通り捨て置いても良い筈だ。
しかも佐ノ山の戦いからまださほど間も空いていない。
いくら圧勝であったとはいえ激戦だったのだ。出雲軍の疲労も尋常ではないだろう。
それをおしての強行軍だ。狂気の沙汰としか思えない。
「よほど怨恨が深いんだろうな…」
リサの疑問に答えるかのように宗一が苦笑をもって応じる。
「要請に応じるの…?」
「断る理由はあるまい? 岡田家との同盟は必要なものだ」
「それはわかるけど…謀という可能性はないの?」
「考えられなくもないが…我が軍にとっては同盟の成立と因幡を併合できるかもしれないという利点の方が大きい」
「因幡を併合…?」
「そういう可能性があるというだけの話だがな。…保科家としても憎き岡田家に攻め滅ぼされるよりかは我が家に下る方を取った方がいいだろう」
「でもそれって岡田家を怒らせるんじゃない?」
「そうなったら同盟決裂だな。…逆に言えば因幡を併合できるほどの勢力になれば岡田家の助力など必要ない」
「確かにそうね…」
「というわけで直ちに三星の皐月に使いを出してくれ。因幡を攻めよ、とな」
「わかったわ」
「ああ、そうそう。…それと今回はリサも従軍してくれ」
「Why? 私は弱いものいじめはあんまり好きじゃないわ」
「さりげなくきついこと言うなぁ…。まぁ、一つはそれ。その件で皐月が不満を漏らすだろうからうまくなだめておいてくれ」
「もう一つは?」
「あくまで俺の勘だがな。安芸の狐がまた何か仕掛けてくるような気がする。…皐月が踊らされないように見ててやってくれ」
宗一の言葉にリサは考えるように指を顎に当てる。
「Hum...それについては大丈夫だと思うけど。宗一はちょっと皐月のことを見くびりすぎだと思うわ」
「そうか…? まぁ、念には念を入れて、な」
「I see.わかったわ」
そう言ってリサは来たときと同じように気配を消して姿を消す。
「さて…」
リサが姿を消した後、宗一がひとりごちる。
「とりあえず犀は投げられた、か…」
真に勝手ながら元豊後守護職の鈴木家は闇しょ(ryということで(w
ちなみに篁、Roots組についてもそろそろ書きたいなぁ、とか思ってるんですけど
Routes組とはたいぶ離れているので完全に独立した話になってしまうと思うのですが…
書いた者勝ちってことでいいでしょうか…?
(篁については雫勢の件が終わらないと書き辛そうですが…)
「この陣は……?」
翌朝、月島拓也勢本陣で物見の報告を受けた香奈子は長瀬軍の陣備えに首をかしげた。
まるで見た事も聞いた事もない陣に香奈子は対応策を見出せずにいた。
(これも長瀬の奇策か……?)
香奈子から渡された長瀬の布陣図を見ると拓也は
「……八卦の陣、だな」
と呟いた。
「八卦の陣?聞いた事ない陣です」
「八門金鎖の陣とも言われている。かの蜀の諸葛孔明が用いた陣といわれているが」
拓也はそう言って、鼻で笑った。
「長瀬祐介と言う奴はまるでガキだな。これで数の不利を挽回するつもりのようだが
どうやらこの陣の弱点を知らないらしいな」
「弱点?」
吉田由紀が聞き返す。
「そうだ。この陣はそもそも……」
一方 月島瑠璃子本陣
「この陣は、休、生、傷、杜、景、死、驚、開の八つの門があって
このうち東の生門、西南の休門、北の開門から攻めるのが
良いとされています。言い換えれば、この三方向は弱点な訳ですが」
瑞穂は瑠璃子に長瀬軍の陣を説いていた。
「拓也殿は恐らくこの三方向を同時に衝いて
長瀬勢を徹底的に殲滅しようと考えていると思います」
「確かに、今の兄ならそうするかも知れませんね。
今後の見せしめの為にも降伏は許さないでしょう」
「はい。問題は……」
長瀬軍本陣
「問題はこの陣でどうやって月島拓也を打ち破るかだけど……」
「確か孔明は八卦の陣に微妙な変化を作り出して敵軍を撹乱・壊滅させたと聞く。
そうするつもりじゃないのか?」
源二郎の言葉に祐介は「まさか」と笑った。
「それが出来たなら良かったけど、期待には答えられないね」
「と言う事は、別の方法がある?」
「まあね。ちょっと二人とも耳を拝借……」
祐介は小声で二人に話し、聞き終わると二人して笑い顔を浮かべた。
「なるほど、そういうつもりか。面白い」
源二郎は勝利を確信したように笑みを浮かべた。
「ところで、この戦の後の事だが。京は如何するつもりだ?」
「如何するも何も。こっちが居座ったら月島と大差無いからね。
資金の援助はするにしても、実際に統治するのは将軍家の居残り組でいいでしょう。
ただし、宇治川の沿岸部はこちらが確保する。琵琶湖からの輸送の関係上ね」
「なるほど。それと和泉の篁家は動くかな?」
「どうかな……。もし僕があちらの立場なら見(けん)にまわって
月島、長瀬の勝った方と手を組む、かな?」
「どうして、月島の背後を狙う事をしないの?」
沙織が疑問の声をあげる。
「もし、こちらが負けた場合、月島は返す刀で襲ってくるだろうし、
逆にこちらが勝った場合、余勢をかって攻めて来るかも知れない。
そういった警戒のほうが強いんじゃないかな?
もし僕が和泉の大名なら、動かずに様子を見るね」
「ふうん。なるほど〜」
良く解かったのか解からないのか複雑な表情を見せる沙織。
祐介はそんな沙織を見て苦笑した。
「ま、とりあえずは目の前の月島勢をどうにかしないとね」
祐介の言葉で軍議は終った。
それぞれ自分の持ち場に戻り、本陣に源二郎が残った。
「……祐介め。怖い奴になったもんだ」
目の前にある作戦書を見て源二郎は呟く。
ただ、その目はやさしい親の目をしていた。
>>書いた者勝ちってことでいいでしょうか…?
良いんじゃないかな?俺はルーツは知らないから
書いてくれた方が有り難いし、一人一地方だと
簡単に地方統一とかなっちゃうからなぁ
ところで将軍家と神尾家書いた人はどうしたんだろう?
両方ともアップ完了しました。
新作2つに更新に地図乙
なんか一気に来たっすね
謀略渦巻く世界が展開されていて、今後どうなるのかかなり怖いものがあります。
次なる合戦の下準備でしょうか…
大名思考中
345 :
名無しさんだよもん:03/08/07 04:26 ID:e1lHPylI
346 :
名無しさんだよもん:03/08/07 11:00 ID:gSsV7zv7
347 :
名無しさんだよもん:03/08/07 13:00 ID:0X4BSaWF
【素人顔見せ】【尿道&肛門丸見え!】【トイレ盗撮アリ!】【10人分!】
http://www.omorashi.net/shop/ なんと10人分のおしっこ、盗撮、おもらしシーンを豪華に120分収録!!
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お見せします!女子大生から、元レースクイーン、美人若奥さんまですごい!
348 :
ところで:03/08/07 17:13 ID:rsACcpPx
「天使のいない12月」が発売されるという罠が仕掛けてあるが、
今大名が空いている国ってどことどこだ?
>>348 追加するのは難しいだろうけど、もし入れるのなら
同じ冬の話ってことでぜひKanon&ホワルバ勢(甲信越)の隣国を乗っ取ってほしい。
ただし、雪が降らない太平洋側は除く。
>348
空いてる国は大量にあるぞ。
とりあえず近畿はほとんど埋まってない。関東も一部空いてる。
「おぉ、意外となんとかなるもんだなあ……」
折原浩平は前線から送られてくる報告に思わず歓声を上げていた。
渡辺軍が突撃をする度にそれをことごとく押し返す長森軍、まさかここまで
自分が構築した防御陣が効果を発揮するとは思わなかった。
それに里村隊善戦の知らせも届いている、清水隊を追い返すのも時間の問題らしい。
(これなら二日や三日、このまま南尾張に留まることも可能だろうな)
時間ができればいろいろ策を練ることができる。
さらに有利な場所に陣を敷くなり、奇襲の算段を立てるなり、柚木の隊に出動してもらうのもいいだろう。
「申し上げます!」
上機嫌で茶まで飲んでる浩平の下に伝令兵がやって来た。
「今度は何だ? また敵を追い返したのか?」
「いえ、渡辺軍先方深山、中崎、南森隊、我々の勢いに後退を開始。
好機と見て七瀬隊は突撃を始めました」
それを聞いて、ぶっと含んでいた茶を噴出す。
「ばっ、ばか! 敵の罠だ! 急いで引き返すように伝えろ!!」
怒鳴りながら聞き思わず立ち上がる、その顔には明らかに動揺が奔っている。
陣で戦っているからこそ数に優る渡辺軍と互角以上に渡り合っているのだ。
突撃なんかしたら陣から引きずり出そうとしている敵の思う壺である。
「ヤバイことにならなきゃいいが……」
大慌てで戻って行く伝令兵を後目に浩平は一人呟いた。
「どけ!どけ!どけ!どけぇ!!」
七瀬留美とその一隊は敗走する深山隊を追い敵陣奥深くまで切り込んでいた。
しかしそれを止める者は殆どいない。渡辺の兵は皆恐れ慄き逃げ回っている。
「奴ら逃げてばかりだ! 大したことはないぞ!」
「戦功をあげる絶好のチャンスだ、遅れるな!」
その様子に七瀬隊の誰もが渡辺軍を侮り冷静さを失い始めていた。
「目的の髭本陣はもう目と鼻の先! 一気に突っ込むわよっ!!」
髭の旗印を確認した七瀬は軍配振り上げ叫ぶ。
その瞬間、戦場に雷の様な轟音が轟いた。
「……掛かったわね」
雪見は前方を見据え笑みを浮かる。
突撃を続ける七瀬隊を襲ったのは精鋭の鉄砲隊三百による一斉射撃。
あたえた損害はそれほどのものではなかったが前進を止めさせるのには十分だった。
その鉄砲の音が響くのと同時に左右に後退していた中崎、南森隊が退路を断つため背後に廻り込む。
協調性のない二隊であったが『下がれば七瀬が勝手にやって来る』との説得で従わせていた。
そうこうしている間にも南森達は数の差を利用して七瀬隊の完全包囲に掛かっている。
その勢いは雪見達に余分な手を出すなと言わんがばかりである。
「もう十分に戦ったから遠くから囲むだけでいいわよ。攻撃ならあの七瀬狂いの二人が喜んでやってくれるでしょう。
何にせよ、わざわざ犠牲を出すことはないわ。ゆっくり傍観してましょ」
そう言って雪見は再び笑みを浮かべた。
「なんだって!! 七瀬さんが囲まれた!?」
もたらされた情報に住井護は驚愕した。
あの長森家最強をうたわれた七瀬隊が敵の手中にあるのだというのだから。
「これはまずい、あまりにもまずい、まずすぎる……!」
そう言って槍を手に取り立ち上がる。
「お前ら! 七瀬さんを救出に行くぞ!」
「申し上げます!」
「今度は何だ!?」
浩平に伝令がやって来たのは指揮を執るためにあっちへこっちへ駆け回っている真っ最中であった。
七瀬隊が抜けたことにより折原隊はそれまでの二倍以上の敵を相手にしなければならなかった。
そのためとても一ヶ所に留まって悠々と指示を出している場合ではなかったのだ。
「住井隊、七瀬隊救出の為に丘を降りました。現在村田隊と交戦中……」
「なぁにぃぃぃぃ!? あいつまで何やってんだ!」
慌てて住井隊がいた方向に目をやる。確かに戦っていた、倍以上の敵相手に……
しかも悪いことに一部の敵が守りが弱くなった隙をついて丘を登り始めている。
このままでは長森の本陣に攻め込まれるのも時間の問題であろう。
「……陣を中央に移す。早くしてくれな」
「わかりました。あっ、どちらに行かれるんです?」
「ちょっと長森のところまでな……」
長森軍本陣、そこは次々に届き始めた凶報に色めき起っていた。
徐々に失われていく指揮、伝令系統……もはや正確な情報を得ることさえ困難になりつつあった。
「長森!」
「あっ! 浩平……」
瑞佳はそこで成す統べもなくおろおろとしていた。
本来合戦に出る事など滅多にないので当然と言えば当然であったが。
「いいか、今から俺の言うことをよく聞けよ」
普段の彼には似合わない真剣な顔、それに黙って頷く。
「はっきり言ってこのままだと一刻の間もつかどうかわからない。
それに今自由に動けるのはこの本陣位だ。
どう転んだって今更勝つ、なんてのは絶対に無理だ」
「うん……」
「結論を言うと……ここは被害が大きくならないうちに退くしかない」
「えっ……それじゃ七瀬さん達は……」
「俺が殿で最後まで踏み留まってみる。それまでにあの包囲を突破できるのを祈るしか……」
「……浩平、何言ってるかわかってるの? それは……」
――見捨てる。その言葉を瑞佳は言うことができなかった。
どう見ても七瀬隊単独では包囲を打ち破ることは不可能である。
さらに善戦している里村隊はともかく最悪、住井隊まで敵に囲まれるかもしれないのだ。
「頼む長森、退却の命令を出してくれ」
「……無理だよ」
今にも消え入りそうな声で、瑞佳は答える。
「無理! 無理だよ! 私……皆を置いてなんか!」
「俺だって辛いんだ。だけど今とれる最善の行動はこれしかないんだ」
「わかってるよ! でも…… でも……」
浩平にはわかっていた、けして瑞佳が賛成しないことを。
それが長森瑞佳なのだ。この戦乱の世に生まれてくるには優しすぎたのである。
「瑞佳!」
その時、静まり返った本陣に声が響いた。
瑞佳の親友にして長森軍旗本衆隊長稲木佐織である。
「ちょっと、しっかりしてよね!」
「佐織……」
「辛いのはよくわかるわ。でも彼方は今この軍の総大将なのよ?
ここではいつもの瑞佳でなくて、長森軍総勢八千五百の最高指揮官『長森瑞佳』でいてもらわなきゃ困るの。
そして、それと同時に兵士達の命に責任を持ってもらわなきゃいけないのよ」
「うん……」
「だったら今すべきことはどれだけ犠牲を抑えてどれだけ多くの兵を助けるかってことじゃないの?」
「でも……」
「厳しいこと言うかもしれないけど……七瀬さん、住井君は『陣から出ずに守りに専念しろ』という厳命を無視しているわ。
そしてそれがこの事態を招いた。そうなった以上、どうなるか二人にもわかってるでしょう」
「……」
「でも……大丈夫だと思うよ、私は」
「えっ?」
長い沈黙の後、それまでの厳しい表情とは変わって多少微笑んで佐織言った。
「あの二人がそう簡単に捕まったり死んじゃうように見える?」
「うん……そうだよね」
顔を上げる瑞佳、もう迷いは消えていた。
「退却を命令します。負傷者の救出収容も忘れないでね。殿は浩平、気をつけてね」
「わかった。二人の救出にも全力を尽くす、そっちも気をつけてな」
そう言って浩平は自陣に戻って行った。
>>356 kanonに関しては、関東に集結しすぎているため動けないものと思われ。
正直、水瀬対大庭の戦いが始まってから、書き手がダブった上に、
元々が三国志状態なので、いろいろと誤算が多いのれす。
(結局は大庭家を即潰すか潰さないかという観点ですな。
千堂家がかなり動いてるが、これは大庭家に別の重要な役割があるため、
潰させるわけには行かないという判断ですな。
千堂家は別に潰れてもなんら問題がないんだが(w)
SS書くときに少々問題になりますので、書き手がダブった時の対処法を考えたほうが宜しいかと。
次にダブりがありえるのは、水瀬対柏木戦、ルーツ対東鳩戦の時ですな。
おそらく各家裏設定が多いはずだから、そこんとこの調整がかなり難しい。
要は、どこを潰すかという問題。
――下野
「ばきゅううううううううううううううううう!!!!!!!」
問答無用の急激な退却によって、御影軍は最大の危機を迎えていた。
当然といえば当然である。もともとが劣勢の上、さらに後方をかく乱された上で
退却するのは無謀としか言いようが無い。
しかし、下総を攻撃されたと知って、すばるは即行動を起こした。
「にゃああああ、そんなこといったってもう無駄ですよ、すばる」
「ばきゅう、そんなことありませんの!」
一応、欺くためにたいまつを大量に燃やすなどの偽兵作戦は練った。
とはいえ、そんな簡単な偽兵作戦を倉田佐祐理ほどの武将に判らないはずが無い。
案の定、あっけなく見破られ、退却しながらの防戦という最悪の状況になった。
「ばきゅうううう、お前らもう少しがんばってくださいですの!」
「無茶だって!普通この状況で退却できるか!!」
「ばきゅううううううう!!!」
半ばヒステリー状態になっている・・・
(よくよく考えてみたら、すばるはコレが殆ど初陣だったような気がするです・・・)
そう、すばるはこれが初陣であり、実際の戦争の指揮はやったこと無かった。
千紗は、その状況を冷徹に見ていた。
と、突然、陶器が割れる音がした。
と、同時にすばるがぶっ倒れる。それを見ている一人の少女がいた。
少女は言った。
「大庭軍全軍に告ぐ。
総大将は不慮の事故により瀕死の重傷を負いました。
緊急事態につき、私が臨時に指揮を執るです――
―――いいですね?」
千紗だった。
皆は暗黙のうちに了承した。この状況を突破できる人間は他にはいなかった。
「現在の状況は水瀬軍が渡河中、そしてこちらの死傷者は既に4千を越えてますです。
兵力差は今は向こう側が2倍から3倍。この状態で退却しながら防衛する事は不可能です・・・」
一同が固唾を呑む。
「・・・下総は・・・残念ですが、捨てます。」
急激にざわめきが起こる。
「瑞希のお姉さんは・・・優しいお方です。降伏したら、家族や子供の命まで取ることは無いと思うです。
ですので・・・家族が心配な方・・・命が惜しい人は、今のうちに逃げて、千堂家に降伏してください・・・」
「・・・!!」
「・・・明朝・・・千紗の部隊は反転し、一気に倉田佐祐理率いる水瀬家本隊を急襲しますです。・・・
千紗と共に戦う気が有る、命が惜しくない者だけ、残ってくださいです・・・
例え、千堂家に降伏したとしても、千紗は恨みも何もいたしませんです・・・」
「ちょっと待った!!」
まゆだった。
「まだあきらめるには早い!!だってまだ・・・」
「敵兵は1万2千以上、、背後にはおそらく高瀬軍、帰る城も無く、敵兵もおそらく5千は下らないと思うですよ。大急ぎで戻ったとしても、もはや兵糧の輸送もままならず、これ以上戦い続けることは困難ですよ。」
「だけど、」
「もう一つ、皆さんに言わなければならないことがあります・・・水瀬家に援軍が向かってます。」
!
「大将は美坂香織率いる足軽5千。大規模戦争になったための増派ですよ。」
「・・・・・・」
「時間があまり無いです。命が惜しい方、家族が心配な方は、今のうちに逃げてください・・・、解散。」
・
・
・
「まゆさん、あなたは退却し、宇都宮の守りに入ってください・・・」
「え?」
「下総を出る時、書置きをしておいたんです・・・『もしもの時は下総は捨てよ』と。」
「!!」
「元々、この戦、勝ち目は無かったんです。」
「・・・」
「そもそも、北越後からのあの細い間道を封鎖せず、みすみす川澄舞の部隊を通した段階で
戦略上は千紗たちの敗北ですよ・・・」
確かに、相沢祐一が領有した新発田城から武蔵に至る道は、実はほとんど無かった。
一番ポピュラーなのは、新発田城から岩城を通り、二本松から宇都宮に抜けるルートであったが、
そこは東北地帯であり、クンネカムンの国は鎖国体制をとっているために実は通れない。
したがって、水瀬家の軍隊が武蔵に直接出るには、春日山城から上野に抜ける道と、
イレギュラーな間道を使って一気に抜ける危険極まりない道しか手が無かったのだ。
「千庭の乱の後、さらに資金が逼迫している今の兵力と状態では、下総一国を抑えきるのは
限りなく難しいです。元々は・・・」
横でうつぶせで伸びているすばるを見た。
「コレと二人で守らないと、千堂家の瑞希お姉さんとお兄さんの軍を止める事なんて本来出来ないと思うですよ・・・」
「・・・・・・」
「それに・・・これは所詮、大庭家の話。無理にお姉さんたちの兵を殺させるわけには行かないですよ。」
本来、大庭家の軍団は、大庭詠美率いる第一軍団が下野、千紗とすばるが率いる第二軍団が下総を支配し、下総に関しては人材も兵力も不足しているので、守り一辺倒にならざるを得ない状態だった。
その状態で無理やりすばるは出撃したのである。すばるが動く事は即ち下総の放棄と直結していた。
また、確かに、詠美の奇行や暴力などで、家内は著しく荒れていた。この3人の娘集団が詠美に
対してあまりよい感情を抱いていないことは、他でもない千紗が一番よく知っていた。
本来なら、ただの入ったばっかの足軽頭をこれほどの大戦に使う事などあってはならない事。
そのまゆを無理やり引っ張ってきた上、今度は退却を余儀なくされている。
これ以上の敗戦を重ねれば、彼女とてどうなるかわからない・・・
「水瀬の軍は千紗が全力で止めるです。ですので、その間に別のところに避難するです。」
「でも・・・」
「玲子お姉さんたちならきっと大丈夫です・・・きっと、例え他家でも元気にやれるですよ。きっと。」
「・・・・」
「・・・千紗は、恩があるですから・・・」
「恩?」
「はいです♪」
千紗の馬印は、九賜の馬印という。
九賜とは中国の皇帝が特別な功労を上げた人物に下賜するという九つの宝物。
元々は貧乏な紙すき工から、千紗は詠美に引き上げられてきた。家族で一家離散するすんでの所で、千紗は、詠美によって武将として引き上げられた、珍しいタイプの武将であった。
武将になることに、親は反対した。こうなることも予想できていたから。
だが、千紗は、親のためにも、一族の為にも、あえてこの戦国の武将になった。
戦場ですら千紗は詠美より賜った唯一の一張羅である京着物を羽織る。
本来男がなすべき武将の役目を果たさなければならない娘を、母は哀れんでいたが故の、最期の女としての誇り、戦場にはまったく似合わぬその着物は、せめてもの千紗の償いでもあった・・・
「ちょっと、兵隊さんたちに、お酌してきますです♪逃げるなら今のうちですよ。にゃあ。」
戦場でも、彼女は明るかった。
早朝。
五千人程度いた兵士は三千にまで減っていた・・・
「意外と・・・残っているもんですね・・・」
ある意味、千紗は驚いていた。だが、よくよく考えたら当然のことでもあった。
大庭家は、他の大名と違い、戦闘用に専属化した兵士と農民の兵隊を半々で取っていた。
千紗の人徳もあるが、そういうのを得意とする連中を集めていたのでもある。
「・・・にゃあ?」
中には、まゆもいた。なんか彼女の兵だけは、不思議な甲冑と盾を持っている。
「・・・逃げられるわけ無いでしょが。」
なぜか、お互いに笑みがこぼれる。
「・・・全軍・・・打って出るです!体勢を南に反転、狙うは倉田佐祐理の首一つ!!一気に掃討するです!」
総大将になった小さき女武将、千紗が、全軍出撃の命令を出す。
大庭家全軍の雄たけびが上がり、法螺貝が鳴り響く。
「わが九賜の馬印を掲げるです!!!出撃!!」
空いてる所は近畿の一部か北陸の若狭、丹波あたりでは?
関東は無理。
もうSSが軌道に乗ってるんで今更横槍は入れられないでしょう。
どこを潰すとかそういう問題ではないと思うが。
そういう話でSSの行方が決まるのは悲しいのでこの話はなかったことにすることを
提案。
別に無理に新作勢力を入れる必要は無いと思うし。
どうしてもというならおまけシナリオでもいいじゃない。
364 :
名無しさんだよもん:03/08/08 10:35 ID:bz8eipeU
まぁ、書き手さんまかせだな
近畿周辺は丹波、丹後、但馬、播磨淡路が空いてるな。
あと若狭は月島領として機能してるんかな・・・もしかしたら削れるかも。
関東は上総、安房、常陸が空いてるが入ってもこの流れだと今のSSには参加できなさそうだな。
そのうち反水瀬か反千堂の一端にはなりそうだが。どちらにしろ書き手さんに委ねるしかないな。
まあ俺は大名家のデータ見るだけでも満足なんだがなー
月島拓也本陣
「我が軍を三つに分ける。吉田由紀、桂木美和子は
各々二千を率いて敵の東と北から攻めかかれ」
「「承知しましたっ」」
由紀、美和子の声に気合がこもる。
「残り三千のうち半数は君が指揮をとれ」
「はいっ」
香奈子は拓也に大きな声で答える。
「いいか!目指すは長瀬祐介、源二郎の首だ。それ以外も皆殺しにしろ!
誰一人として近江に帰すな!」
「応っ!!」
月島勢は陣をたたむと吉田由紀の部隊が長瀬軍の東、
桂木美和子の部隊が北、月島拓也、太田香奈子の部隊が南西へと
それぞれ移動し始めた。包囲した後、南西から攻める本隊の
鉄砲を合図に全軍突撃するという作戦だった。
月島瑠璃子の部隊が参加しないのは拓也が謀叛を信じた訳ではなく
長瀬祐介を叩くことで、その噂を消し去ろうという考えがあったからに過ぎない。
そのため拓也としては何が何でも長瀬勢を完膚なきまでに叩く必要があった。
一方長瀬家の「八卦の陣」は以下のように配置されており
■ ■ ■ 北
■ 本 ■ ↑
■ ■ ■
南の三部隊 千五百を新城沙織が、中心の三部隊 二千を長瀬源二郎が
北の三部隊 千五百を長瀬祐介自らがまとめていた。
「動き始めたか……」
本陣にいる源二郎が伝令の報を聞いて呟く。
祐介の合図で計画通り動く手はずになっているが未だ合図は無い。
源二郎は昂ぶりを抑えるように大きく息をした。
南の沙織は自軍のはるか後方を迂回して東に回ろうとしている吉田隊を見て少しイラついていた。
「う〜、包囲されるのは性に合わない〜」
「誰だってそうですよ。こちらはこちらのやる事をやりましょう」
馬上で愚痴をこぼす沙織を副長がなだめる。
沙織の率いる騎馬隊は目印に鈴が付いている事から「馬鈴(ばれい)部隊」と呼ばれている。
鎧の草摺の部分が赤色で統一されているのも特徴であろう。
「それにしても、合図はまだなの?」
「落ち着きが無いと、若殿に嫌われますよ?」
「うっ……」
沙織の愚痴をシャットアウトする副長。黙りこくる沙織。
(意外と純だったんだなぁ)
副長は沙織の意外な面を見て、クスクスと気付かれないように笑った。
北の祐介は静かに物見の報告を受けていた。既に南西の月島拓也本隊は配置を完了し
東の方も軍勢が集結しつつあるという報告がきた。
「……うん」
祐介は北の桂木勢を見た。忙しそうに兵が走っているのが見えた。
「……田中!矢を放て!」
「はっ!」
傍らに控えていた田中に指示を出すと祐介は大声で叫んだ。
「全軍正面の敵に向け、突撃!」
その声と共に陣からいくつもの鏑矢が放たれた。
「……来たか!」
祐介のいる生門から鏑矢の音を確認すると
「全軍先陣に続け!遅れるな!」
すぐに軍勢が動き出し、先陣の祐介勢と共に桂木勢に襲い掛かった。
「あがりました!」
「よ〜し!全軍前進!南西の部隊を先行させて!」
沙織の部隊も南西の部隊から順に移動し始めた。
ただし前の部隊と合流しない様、割とゆっくりとしていた。
桂木隊は突然襲い掛かってきた長瀬勢に慌てて、混乱を起こしていた。
「と、とりあえず迎撃を!」
「敵の先陣が来ます!」
迎撃体制が整わないうちに長瀬祐介勢の先鋒が桂木勢の前衛を突き破っていった。
支えきれずに次々と突破されていくのを見て、逃げ出す兵も出てくる。
「敵勢を止められません!」
「敵の第二陣が突撃してきます!」
祐介の部隊に続いて源二郎の部隊が半壊した桂木隊に襲いかかった。
「うわぁっ」
「う、うぐっ」
「た、助け・・・・・・ぐわぁっ」
美和子は自分の周りにも矢が飛んでくるのを見て敗北を悟った。
「ぜ、全軍撤退!撤退――!」
自身逃げながら指示を出したが、そのような指示が必要だったかどうか。
既に桂木勢は四散し、長瀬勢はその場を離脱していた。
「全軍ただちに敵の側面を衝け!突撃ィ!」
東の吉田由紀は長瀬勢の突撃を見て、部隊の体勢が整わないうちに動き出した。
桂木勢が崩れていくのを横目で見て、友人の身を案じたが
すぐに怒りに変えて目的の部隊を目指した。
「進め、進め!桂木勢、本隊と挟み撃ちにするぞ!」
由紀の檄に兵も鼓舞され源二郎の部隊に近付いていく。そこへ
「敵の騎馬隊が接近!」
新城沙織の騎馬部隊が吉田勢の側面に噛み付こうとしていた。
「全軍、敵の横腹を食い破れ!突撃!!」
沙織を戦闘に騎馬隊五百を中心とする部隊が吉田勢の側面を衝いた。
「くっ、挟み撃ちにしろ!一兵たりとも生かして帰すな!」
「ただちに全軍突撃、敵の背後を討つ!」
月島拓也は長瀬軍の動きに気付くと全軍を動かし、南西から攻めかかった。
だが月島勢の先鋒に新城勢後衛から鉄砲と矢が襲いかかり、月島勢を足止め。
その隙に新城沙織の前衛部隊が吉田勢の側面と接触していた。
また、桂木勢の方は既に壊滅の憂き目にあっていた。
(やられたのか?この僕が……)
「突破されました!」
由紀の部隊が前後に分断され
「敵の別の部隊がこちらに向かってきます!」
桂木勢を壊滅させた長瀬の二部隊がこちらに向かって来た。
また新城沙織の騎馬隊も反転して分断された後陣に向かっていた。
「持ちこたえろ!すぐに本隊が合流する!」
由紀は大声で檄を飛ばし、防戦につとめさせた。
「よし!敵の前衛を打ち崩すぞ!突っ込めぇっ!」
[敵の後衛を叩くよ!突撃ィ!」
前後に分断された吉田勢に源二郎、沙織の部隊が突撃していく。
「防げ!持ちこたえろ!!」
由紀は兵を鼓舞し続けたが数の上でも、更に士気、戦意も劣っている状況では
もはや幾ばくも持ち堪えられ様がなかった。
「た、退却!退却――!!」
逃げ惑う味方の兵にまぎれて由紀は河内方面に撤退した。
「まさか。長瀬祐介……、これほどとは」
近くの小山から戦の状況を眺めていた瑠璃子と瑞穂は
月島拓也軍の壊滅していく様を信じられないものを見ている気分で見ていた。
「兄の軍勢が三つに分かれたところを各個撃破……。その為のあの陣形……」
「そしてあの速度で一糸乱れないあの軍勢の動き。長瀬軍恐るべし、ですね……」
既に吉田、桂木両部隊は壊滅。残った月島拓也勢と長瀬勢が戦闘に入っているが
月島勢は早くも崩れかかっていた。
「……最早ここまでです。ただちに摂津河内にいる間者に合図を」
「……わかりました。指示を出してきます」
「くっ。どの位残っているの?」
戦いが始まって数刻。陽が高くなってきた頃。
太田香奈子は周りを見渡したが殆どが長瀬勢の兵であり、
自軍の兵は数えるほどしか見つからなかった。
「拓也殿は?」
月島拓也の部隊がいる方向を見るとそちらの方も百騎ほどが
残っているという状況だったが、拓也はまだ健在だった。
香奈子は拓也の所まで駆けた。
(勝敗は既に明らか。ならばここでの犬死を避け、再起を)
拓也は少なくなった兵をしっかりとまとめ、抗戦を続けていた。
「拓也さま!ここはもう危険です!引いて、再起をかけましょう!」
「ぐ、ぐぐぅっ。……退けっ!全軍退却!」
拓也の声に反応するように残った兵も我先に退却を始めた。
「敵は引いたぞ!この隙を逃すな、突っ込めぇ!」
長瀬軍も追撃戦をかけて数十騎を討ち取ったものの、月島拓也、太田香奈子を取り逃がしてしまった。
「敵は既に敗走した。いったん全軍を整えた後、敵を追撃しながら摂津河内に進入する」
祐介の指示に従い長瀬軍は重傷者を近江に帰すなどの処置の後、再び進撃を始めた。
総数は四千五百余り。七千の敵を討ち破った事を考えれば完勝と言っても良いが
祐介を始め、殆どの者が緊張の糸を解してはいなかった。
「申し上げます。この先の山道にて敵兵が集結しつつあります」
「うん。兵力と大将は?」
「旗印から察するに吉田由紀、桂木美和子の残存兵力、合わせて一千ほどかと思われます」
この報告に祐介は新城沙織に千五百の兵力を持たせて山道の確保を命じた。
自分で言うのもなんだけど
戦の部分をあっさり終らせてしまった……
長めのを期待していた方、申し訳ないです
>>372 乙。
戦は、あっさりと勝敗が決まることもあるし。
確かに、その部分が一番目立つけど。
>373
野戦だと特にね。
普通に考えれば数週間から数ヶ月掛かってもおかしくない規模なのに、実際はたった半日で終わった関ヶ原の例もあるし。
全軍衝突だと勢いに差がついた時点でがらっと均衡が崩れるから。
>375-376
乙彼です。
地方の勢力図が分かりやすくて(・∀・)イイ!!
378 :
名無しさんだよもん:03/08/09 14:12 ID:v5RK4Jhb
379 :
名無しさんだよもん:03/08/09 21:44 ID:v5RK4Jhb
380 :
名無しさんだよもん:03/08/10 09:57 ID:nuEGaQr2
観鈴ちん、思考中。
382 :
名無しさんだよもん:03/08/11 01:42 ID:2MIKjhrg
383 :
名無しさんだよもん:03/08/11 17:34 ID:KV0XfU6G
384 :
名無しさんだよもん:03/08/11 22:31 ID:KV0XfU6G
大名思考中
更新しました。
いろいろと大変になってきましたなぁ……
387 :
名無しさんだよもん:03/08/12 03:24 ID:LhzP6djH
これから一週間ぐらい旅行で更新できるかどうかわかりません。
友人宅から更新できるかもしれないけどw
>388-389
今更ながらいろいろ更新乙です
>>388 やはり広瀬が2国持ってたとは考えにくいので飛騨の大名に
匿ってもらっているのではないのですかね?
というか、たとえ追いやられたからといってそこを領有できるとは
思えないんですが。
あと、色ですけど、見分けがつきにくいものがあるなぁと思ったり。
特に東海・中部の緑色ですけど。
最後に更新お疲れ様です。
>>391 確かに。基本的には
>>2-5を元にしたのでそうなったのですが。
飛騨については、空白地ということにしておきます。
色については、特に雫,ONE,Air勢が見にくいですので、色々やってみます。
色を合わせるために、現時点での地方別も、一旦削除しておきます。
なぜか削除できないので、そのまま置いておきます…。
大名思考中……
395 :
名無しさんだよもん:03/08/15 15:54 ID:1RbuJahP
停滞は何時だって唐突だ
月島瑠璃子の部隊は、本隊の逃亡兵などを取り入れるとすぐに戦場を離脱し
長瀬勢とは別の山道から摂津河内を目指していた。
間者の報告によると、裏工作の成果が長瀬軍の完勝という事実と相まって
既に月島拓也への離反が各地で起こっている、という事だった。
「これで、全ては計画通り、ですね」
「はい。……心中お察しします」
瑠璃子は微笑みながら首を振った。
「それを言うならあなたも……」
「いえ。香奈子ちゃんは拓也さんの事を想ってますから、
いくら説得しても無駄だとわかっています」
そう言って瑞穂は自分の役目――石山城への説得工作の為に馬を走らせた。
瑠璃子は空を見上げ、人知れず泣いた。
一方、新城沙織の部隊は摂津河内へ通じる山道に陣を構えた
吉田、桂木の残存部隊と一進一退の攻防を繰り広げていた。
「まだ突破できないの!?」
「無理です。敵の抵抗が激しくて、無理して突破しようとすれば損害が増すばかりです。
陣から誘き出そうと挑発しても、守りを固めて出て来ようともしません」
沙織は「ぐぅ」と唸った。甘く見たつもりはなかったが、予想以上に抵抗が激しく
先程までの野戦と同じ将兵には思えない戦い振りに、沙織はしばし打つ手を見失っていた。。
「祐介殿、源二郎殿が到着なさいました」
どう攻めようか模索している沙織に本隊到着の報が届く。
「どうも抵抗が予想以上みたいだね」
陣屋に入った祐介は開口一番にそう言った。
「う……、ゴメン」
「いや、謝らなくていいよ。もう組織的抵抗はないと思ったけど、なかなかどうして
良くまとめているみたいだ。吉田由紀、桂木美和子も敵ながら良将と言っていいんじゃない?」
「誉めるのは良いが、どうするつもりだ?迂回して他の道を通って行くか?」
源二郎の提案を祐介は退ける。
「いや、迂回したところで結局この部隊とはぶつかる事になるから。
それならば、今ここで叩いた方が良いよ。と言う訳で部隊を千人ずつ四つに分ける」
「四つに?」
「そう、それで一撃離脱を交代で行っていく。討ち破るんじゃなく、
相手を消耗させるのを第一とする。消耗しきったところに
残りの五百を突っ込んで敵を打ち破る。で、その五百は沙織ちゃんの直属にやってもらう」
「うん、わかった。で、それまでどうするの?」
「翌朝までゆっくりと休んでおいて。それまで僕と父さんでやっておくから」
「うん。わかった」
沙織が陣の外に出て行くと祐介は作戦通りに軍勢を再編制しはじめた。
吉田、桂木の両名は地形を上手く利用し、新城沙織の攻勢を防いでいたが
長瀬軍本隊が到着すると先程と変わった敵の戦術に消耗を強いられていった。
「くそっ、これじゃ息つく暇もない。さっきの作戦といい、
長瀬祐介という奴はよほどの武将らしいな」
水を飲みながら由紀は吐き捨てる様に言った。美和子は何か言いたそうな表情で由紀の顔を見る。
「ん?なんだい、美和子?」
「う、うん。由紀ちゃん、ここで敵を抑えて、……それでどうするの?」
由紀は美和子の言葉に一瞬ドキリとした。
「ど、どうするって。あたし達は月島家の家臣だ。その当主たる拓也様の
再起の時間を稼ぐのが今のあたし達の役目だろ?」
由紀の言葉が幾分か歯切れの悪いものであったのは、
美和子と同じ考えを少なからずしていたからであろう。
確かにこのまま時間を稼いでも、状況が好転するという保証はない。
月島拓也が摂津河内の民、豪族に良く思われておらず、その不平不満が
この機会に噴出する怖れは由紀も感じていた。だが、兵の手前それを前面に出す訳にはいかない。
由紀が美和子に注意しておこうと声を出す、その直前に『長瀬軍、接近』の報が届く。
「来たか。一兵たりとも通すな!」
由紀の激に月島の兵は再び緊張した。
「よし、退け!」
源二郎の声に兵が敵陣から離脱し、また次の部隊が敵陣に攻勢をかけていく。
無理に敵陣を突破する訳でなく、わりあい離れた所から弓矢、鉄砲で攻撃して
少しづつではあるが敵の戦力を消耗させ、隙があれば敵陣に切り込み、また引いた。
消極的な作戦ではあるが、何度も繰り返すうちに敵の抵抗、反応が弱まっている感じがあった。
(作戦は上手くいっているようだな)
源次郎は戦況を見て、そう思った。と、同時に全軍を突撃させようかとも思ったが
「敵は少数だけどよく統率されているから、力づくで攻めてはこちらの被害が大きくなる」
との、祐介の言葉を思い出し、徹底して敵の消耗に努めた。
「第四陣、用意!」
源二郎の声に千の兵が集結する。源二郎は前線に伝令を送り、兵を退却させる。
しばらくして敵陣から兵糧を炊く煙があがるのを見ると次の部隊を送り込んだ。
朝陽が昇る頃、吉田、桂木の部隊は既に戦闘ができる状況になかった。
長瀬軍の間断ない攻勢に対応し続けた為、兵の精神的、肉体的疲労が限界を超え
満足に立つ事も意識を保つ事すら困難な状況だった。
さらには河内摂津方面で月島瑠璃子が月島拓也に叛旗を翻し
諸豪族も月島瑠璃子に合流しているという情報が入った。
その情報が兵の間に洩れた事が部隊の維持そのものに深刻な影響を与えていた。
「瑠璃子様が兄君である拓也様に叛旗を翻すとは、一体どうした事だ……」
由紀は今後どうするか考えようとしたが、疲れが溜まっている所為か考えがまとまらない。
「由紀ちゃん。起きてる?」
「うん?…美和子か」
陣屋に入ってきた美和子が暗い表情をしているのを見て、由紀は察した。
「……もう、戦える者はいないか」
「……うん。援軍要請の使者が誰も戻ってこない事を考えれば
瑠璃子様の噂は事実だと思う。この様子じゃ拓也様、香奈子もどうなっているか……」
二人の間に沈黙がながれる。
「……美和子、頼みがあるんだけど」
由紀の言葉に美和子は頷いた。
「うん、長瀬の陣に行って来る。由紀ちゃんはみんなをまとめておいて」
「ああ。……気をつけてな」
美和子は頷いて陣を出て行った。由紀はその後姿を見送り
陣から遠ざかる馬の鳴き声を聞いた。その後おもむろに立ち上がると全軍をまとめ始めた。
ただし戦うためではなく、降伏するために。
新作、地図(・∀・)イイ!!
水瀬家が強すぎ現時点最強勢力だな
>405
その分敵も多いから絶対的じゃないよ。
千堂家と同盟中とはいえ、いったん劣勢になったらあっさり破棄され切り取られてもおかしくない上辺だけのものなわけで。
包囲網の中にいるようなものだし、領地拡大しても統治する人材的な面で手薄になりがちだから。
文中でもその辺の描写が出てただろ?
でも実質千堂家が裏切る様子ないしね。
それはそうと祐介萌え(燃え?)。
知将タイプは多いけどいかにもな謀略家っぽくないのがイイ
つうかKANON軍団ほぼ全部丸ごと持ってる時点で他に一歩ぬきんでてるだろ<水瀬家
他はいくつかに分けられてるのにな。
久瀬が潰れて、柳川家は元気なし、大庭家は千堂と同盟、彩調略と着々と下準備が済んでるし
既に全盛期の上杉謙信の最大版図を越えているわけなのだが
武田互換の緒方家あたりが頑張らんとこの快進撃はとまりそうもない
あとは上洛して地理的条件で有利な長瀬(祐介)か・・・。
英二&弥生がなにやら画策してるみたいだけどな。
戦続きで疲弊した民衆の不満を煽動しているとか?
ページ更新しました。
でも水瀬家って、死にそうな人が多そうだなぁ……
栞とか。あゆや真琴もちょっと危なそうだし。
後千堂家との同盟に関してはまだえがかれていないだけでは?
まあ、いろいろ画策してる人もいたような気がするし。
ページ更新しました。
でも水瀬家って、死にそうな人が多そうだなぁ……
栞とか。あゆや真琴もちょっと危なそうだし。
後千堂家との同盟に関してはまだえがかれていないだけでは?
まあ、いろいろ画策してる人もいたような気がするし。
う、二重……
414 :
名無しさんだよもん:03/08/21 18:41 ID:L33JkmpR
保守
時間を少し遡り
月島拓也は太田香奈子と共に石山城に戻り、再起の軍をあげようとしていたが
その途上で驚くべき報に接していた。
『河内摂津の豪族が月島瑠璃子を中心に叛旗を翻した』
『反乱軍は月島瑠璃子の名で月島拓也追討の命を発した』
『その裏には長瀬祐介の後押しがある』
等といった情報が次々と届いた。はじめは信じていなかった拓也だが
翌朝、石山城に辿り着いた時にそれらが事実であると言う事を痛感する事になる。
「降伏の使者?」
部隊を整え、後は命令がありしだい突撃する。といった所に来た相手方の使者に
沙織は少し不快感を示した。これから出番、という所で気勢を削がれたのが理由であったが。
「そうね……、とりあえず使者はここに留めておいて。それと祐くんのほうに連絡して」
沙織は祐介のいる本陣に使者を走らせ、自分はとりあえず月島軍の使者(美和子)の話を聞きに出向いた。
「降伏か。まぁ、殺し合いをせずに済むならそれに越した事はないし、
受け入れるという事で良いんじゃないかな?」
祐介は桂木美和子との会見のなかでこう言った。『降伏を受け入れる』という意思表示だった。
「あ、ありがとうございま…す…」
美和子は頭を深々と下げ、そのままドサリと地面に倒れこんだ。
周りにいた者が近寄ると、美和子は寝息をたてていた。
「どうやら、作戦の効果は絶大だったようだな。この様子だと敵陣内もどうなっているか」
美和子が連れて行かれるのを見て、源二郎は言った。
「その敵陣内の方はどうなっているかな、田中?」
祐介が何時の間にか傍らにいた田中に聞いてみると
「既に降伏の準備を終えて山を降りようとしています、が」
「…もしかして、進軍すらままならない、とか?」
沙織の言葉に「はい」と田中の声が返ってくる。
「この様子だとあと半日はここに足止めになるわね」
「そうだね。捕虜の休息や鹵獲品の整理、そういった事をやらないといけないし。
確かに半日はここに足止めかな?」
祐介の言葉に源二郎は
「月島拓也が軍勢を再編制して戻ってこないとも限らんぞ。
兵を半数に分けてでも摂津河内に向かうべきじゃないか?」
と意見するが祐介はこれを退けた。
「摂津河内に関しては瑠璃子殿に任せるのがとりあえずは有効だよ。
いま政略的に月島拓也を追い詰めている所だからそれを待とう」
「その月島瑠璃子だが……、本当に信用して良いのか?
兄の代わりに実権を握って我らに敵対しない、と言えるのか?」
源二郎の言葉に祐介は「多分、大丈夫だよ」と言って
「月島瑠璃子は優れた人物だけど、それは内政家としての話。
自分に内をまとめる能力がある事を知っているけど、同時に外敵に対する
才幹がない事をも知っている。もし自分に両方備わっていると考えていたら
そもそもこの話をこちらに持ち込もうとは考えないよ。逆にこちらが手出しできない様に
何かしらの策を講じるだろうしね」
祐介の言葉に沙織はただ感心した。
「祐くん、知らないうちにそんな事まで考えられるようになったんだ」
「ま、これも沙織ちゃんが父さんや叔父さんの目を盗んで、色々連れて回ってるうちに
何となく考えられる様になってきたわけだから」
「ほう、それは知らなかったな。お前達、いつの間にそんな事をしてたんだ?」
源二郎の言葉にバツが悪そうな顔をする祐介と沙織。
「そ、それよりも父さんには捕虜の扱いとかやってもらわないと」
「わかったわかった」
源二郎は笑って陣屋の外に出て行く。
「田中、お前には……」
祐介が二、三言話すと、田中も陣屋の外に駆けて行った。
「さて、と……?」
祐介は沙織が自分の方に視線を向けているのに気付く。
目が『わたしにもやる事を』と言っていた。祐介は少し考えて
「お茶を一杯、煎れてくれる?」
「!……うんっ」
一方、石山城に辿り着いた月島拓也、太田香奈子だったが
そこで思いもよらない事態に出会っていた。
「どうしたの!何故門を開けないの!?」
太田香奈子の声に城門近くの櫓から声が帰ってきた。
「既にこの城は瑠璃子様の指揮のもと長瀬祐介殿に降伏することに決まりました。
他の城も同様。拓也殿もこれ以上の戦いは無意味ゆえ、降伏していただきたく」
「な、何ですって!?」
拓也よりも先に香奈子が驚きの声をあげた。そして声の主に矢を射掛けようと
その姿を捜して、更に驚きの声をあげた。
「み、瑞穂!?瑞穂じゃない!?どうして瑞穂が!?」
櫓にいたのは確かに藍原瑞穂だった。香奈子はしばらく呆然としていたが『ハッ……』と何かに気付いた。
「……そう。あなたね、長瀬をも巻き込んだ この流れを作り出したのは。
まさか、あなたに裏切られるなんて思わなかったわ」
「……香奈子ちゃん、降伏して。これ以上戦って何になるの!?
摂津河内全域は皆、瑠璃子様に恭順の意を示してる!」
「黙りなさい!あなたのような裏切り者と一緒にしないで!
私は最後まで拓也様についていく。あなたともこれで最後ね!」
「!……香奈子ちゃん」
二人の会話が途切れた時、月島拓也が声をあげた。
「……藍原さん。この一連の流れは、瑠璃子の意志かい?
君の独断かい?それとも長瀬祐介の調略かな?」
瑞穂はその問いに対し、ゆっくりと、そしてはっきりと答えた。
「……瑠璃子様のご意志です」
「……そうか」
拓也は満足そうな表情をうかべると、ゆっくりと城門から離れた。
その後を太田香奈子がついていく。藍原瑞穂はそのうしろ姿をただ見送るだけだった。
「月島拓也 落日」をアップしました。
お疲れ様です〜
ほかのところはどうなってるのかな?
楽しみにしております。
当家は業者のせいでアク禁のまき添えくらいました。
詳細は画像掲示板に。
で、ひまなんでえあーやってかもんつくりました。
やっぱり国崎最高ですかw
>>421 向こうに書き込んでいただければ、こちらに転載できる人で
転載すればいいと思いますし。
>地図作りだよもんさん、東北大庭さんちさん
画像掲示板の地図、家紋の絵をページのほうにアップしてもよろしいですか?
解説とかあるとわかりやすいんですけどw
本気で家紋リスト作ろうかな……
>>FARE-Mさん
いいですよ。
前に家紋入り地図を試しで作ってみたが、
種類が増えているようなので、家紋入り地方版作るか考え中。
家紋に関してはこれと言った著作権も無さそうだし、画像許可については勿論だいじょうぶでし。
が、家紋を造れるのは当然やったもんだけだから、こちらが造れるのはかなり偏りがでる。
城占領の概念があるから、家紋はせめて大名だけでもあったほうが正直よさげ。
他の所はどうだかしらんが、例えばえあーの神尾紀伊なんぞ神尾家領で色塗るのが憚られるほど分裂状態なわけだから、手取・雑賀・熊野他で烈風伝以降の城別表記した方が分かりやすかろうかと。
本城取っても支城があるからねえ…。
正直乱文になっとる。携帯は辛い。
殿を務める折原浩平の部隊はじりじりと後退を始めていた。
すでに瑞佳の本陣は戦場を離脱し、なんとか住井隊の半数を脱出させることにも
成功していたが、やはり七瀬隊を救出するのは至難の業であった。
どうにか包囲を抜け出そうと備えの弱いところを突き廻っているようであったが
すぐにそこは補強され逆に押し潰されている。今では七瀬隊の兵力は五百残っているぐらいであろう。
「そろそろ限界だな……」
絶望的な戦局を見て呟く。
これ以上ここに止まっているとこの隊自体も囲まれる恐れがある。
(スマンな、七瀬……)
心の中で謝り退却の命令を出そうと決意する。
まさにその時、突然伝令が駆け込んで来た。
「里村隊が接近中?」
戦場から少し離れた所で一息ついていた深山隊のもとに物見がやって来たのは
もう戦いも終わろうとしていた時だった。
「おかしいわね、里村隊は清水隊が抑えてたんじゃないの?」
『負けちゃったみたいなの』
「そう…… ま、仕方ないわね」
清水隊の大半が雇われ兵の集まりだという話は聞いていた。
その烏合の衆に里村隊相手は荷が重過ぎたのであろう。
『それでどうするの?』
「もちろん、無視しましょう」
『無視するの……』
「大丈夫よ。髭には迎撃の用意が間に合わなかったとか言っとけばいいんだから。
これ以上付き合いで来た戦いで被害をだすのも馬鹿らしいし、里村さんとも戦いたくないでしょ?」
『でもこっちに向かって来たらどうするの?』
「それは無いわ。こんな時に戦場に向かって行くなんて目的は一つ、残存兵力の救出でしょう。
離れている私達に攻撃してくる余裕なんかあるはずが無わよ」
そこまで話した時、里村隊が通り過ぎていくのが見えた。やはり狙いは七瀬隊を包囲している中崎、南森だろう。
「とりあえず髭達に連絡ぐらいはしておいた方がいいわね…… 間に合うかどうかなんて知らないけど」
里村隊の動きは迅速であった。襲い掛かって来た清水隊を返り討ちにした後
『味方苦戦、七瀬隊包囲』の知らせを聞きくや急ぎ反転しそのまま主戦場に突入した。
突然現れた軍勢に側面を突かれた南森隊は、外からの攻撃を全く予期していなかった為に一部があっさり崩れてしまう。
七瀬隊もそれに気づき崩壊部分目掛けて突撃、包囲は破られようとしていた。
「ちょ…… ちょっと! 何やってるのよ! 七瀬が! 七瀬がぁ!!」
「このアホ! ここで七瀬を捕らえられなかったら何の為に戦いに来たんだよっ!!」
そんな南森達の悲鳴をよそに、ついに七瀬隊は堰を切ったかのように脱出を始めた。
「里村、あんた助けに……」
退却の指揮を執る七瀬は救援に来た茜と詩子に偶然出会った。
「勘違いしないでください」
その言葉に茜は冷たく言い放つ。
「私は取り残された兵を助けに来たんです。別にあなたを助けに来た訳じゃありません。
そもそもこの事態はあなたが引き起こしたんですよ、後始末ぐらいは……」
「まぁまぁ、茜」
険悪なムードになりそうなのを感じ慌てて止めに入る詩子、軍議での一件は聞いている。
「そんなことより速く逃げないと。また囲まれちゃうよ」
「そうですね……とにかく予定通り森に逃げ込みましょう」
「森?」
「はい、そこの林道を経由して清洲城まで退きます」
茜達が通っている林道は薄暗く道も細いので地元住人ぐらいしか知らないようなところだった。
このような場所なので普段は通る人も少ないが、今ではそれが十分に役に立っている。
中崎、南森隊は必死になって追撃して来てはいるがその地形の前に距離を稼がれ始めている。
「あっかねー! 報告だよ、折原君の部隊は無事に敵の追撃を振り切って清洲に向かってるって」
「そうですか。それでは私達が殿になってしまいましたね」
損害が大きく事実上壊滅していると言っても過言ではない七瀬隊はすでに先行させ逃がしている。
今頃は先頭が森を抜けた頃であろう。
「それにしてもこれからどうなるんだろうね」
らしくない表情で不安げに呟く詩子。
ただでさえ不利だったのに合戦に完敗した今、長森家は滅亡の岐路に立っていた。
合戦ではかなりの死傷者がでている筈、その上逃走した兵などもいるであろうから三千残っていればよい方だ。
それに引き換え渡辺軍は初めこそ苦戦していたものの戦死者は二千を超えていないだろう。
三千対一万五千、さらに美濃の広瀬勢を加えるとおよそ二万……勝負になるかどうかも微妙である。
「どうするも何も、もう籠城策しか手は残っていません。何とか時間を稼ぎ周囲の状況の変化を待つしかないです」
「なんか本当に……」
そこまで言って急に言葉を止める。
「……どうしたのですか、詩子?」
「なんか、違和感みたいなものが…… おかしくない?」
「そうですか?」
茜は歩みを止め辺りを見渡した。
「かかれっ!!」
その時、両脇の森林からにわかに喚声が上がった。
「いったい何なのよっ!」
喚声と共に現れた敵、それはまぎれもなく渡辺の者達であった。
(そんな、だって、あたし達は敵よりも速く進んでるのよ!)
そうこうしてる間にも敵の数はどんどん増えている。おそらく既に先頭の部隊とは切り離されてしまっただろう。
「固まってるといい的になるよ! 各自散らばって逃げること!」
矢を避けながら命令を出す、それは本来は茜の仕事なのだが……
「茜、大丈夫……なわけないよね」
茜は初めの弓矢による一斉掃射で右肩に傷を負っていた、幸い大したことはなかったが。
「でも、何故ここに敵が……?」
「そんなの後で考えればいいよ! ほら、速く!」
そう言って茜の手を引っ張る。詩子はともかく茜は個人戦能力など無きに等しい。
いつまでもこんな危険な場所にいるわけにはいかないのだ。
「本当にここから逃げ出せると思ってるの、お二人さん?」
どこからともなく朗々と声が響き渡る、周囲を見渡すとすでに槍を構えた兵士達が自分達を囲んでいた。
ざっと数えても四、五十名、それに引き換えこちらは護衛もいなかった。
「なるほど…… あなただったんですね」
茜は奥にいるであろう者に対して話しかける。
「この道を知っていている者など渡辺家にはいない筈です。
ですけどあなたなら知っていて当然ですね、もともと長森家の人なんですから」
――場に若干の沈黙が流れる。
「そうでしょう、清水なつきさん?」
長森家やばそうだな。来栖川みたくどっかのご厄介になるかも・・・。
信長の野望自体追い詰められる快感がたまらんのだが・・
流石に打つ手なさそうだな(;´Д`)
長森包囲網を崩せば名実共に信長になれる…とはいえ、
信長ほど勢力が膨張していない時点で信長並みにきつい包囲網を組まれているから
さらに不利。
岡田包囲網は約一勢力が盛大に足を引っ張ったおかげで潰れたが、
こちらはしばらくは崩せそうにない(「蒼天録」では2年耐えれば自然消滅するが)。
「うりゅりゅ〜」 (泣)
マル書いて「す」の「すばる旗」が侘しく最前線に突っ立っている。
このバカ・・・もとい、御影すばる氏は、結局足軽にまで落とされて最前線に放り出された。
一夜で一万の軍勢を5千にまで減らす大馬鹿やってくれたから当然といえば当然だったが。
元々、大庭家にはそれほどの軍隊はいない。今の兵力は多くて2万である。
普通、大名の軍隊は農民を足軽として動員するのだが、大庭家と千堂家の場合は、
鉄砲や特殊兵科の関係で一部、傭兵制度を採っている。
関東で有名なのは、大庭詠美率いるちゃん様専用銃撃親衛隊と、
猪名川由宇率いる九頭龍特攻騎兵隊。普通は農民上がりの部隊を編成するのだが、
この2名の軍隊は完全な戦闘に特化した部隊であり、至強と言われる原因にもなっている。
だが、専門の傭兵だけで部隊を編成するのは圧倒的に資金がかかる。結局は、農民出自の軍隊を
徴兵せざるを得ない。それが、すばるの軍隊・・・というより、雑兵をかき集めた軍隊は、当然訓練もされていない
雑軍に近く、それほど強いというわけではない。すばるが率いた軍隊というのは、殆どがその軍隊だった。
千紗の呼びかけでここで残った軍隊も、殆どが千紗子飼いの生粋の武士や、夕香率いる特殊部隊が殆ど。
それは結局は、千紗や夕香に対する兵士の忠誠度の証でもあり、逆に言えば兵士の武将に対する信頼
の証でもあったのだ。
「ぱぎゅう〜〜〜おじいさん聞いてくださいですの〜〜〜」
すばるは、支給された足軽用のバカでかい焼おにぎりを渋々ばくばく食いながら、
器用に隣の兵士の爺さんと話していた。
ちなみに醤油は当然野田製である。
「ほう・・・なるほどのう。」
その肩幅の広い人物は、さも興味ありそうに聞いている。
「かくかくしかじか・・・ばきゅ・・・かくかくしかじか・・・ばきゅううう」
「ほうほう。」
「・・・でも・・・半分以上自分が原因・・・」
いつの間にかにその初老の男の隣に二人の若者がついていた。
一人は女性、一人は男である。
「ばきゅ・・・・」
「これから戦争が始まるというのに何やってんだ・・・このアホ大将は」
「ばきゅ・・・」
「・・・まあまあ、よいではないか、国崎さんや。」
その娘は男を諭すように宥めた。
「はて・・・国崎とな。」
その初老の男はふと気がついた様に話かけた。
初老の男:「失礼ですが、貴殿方は、ひょっとして伊勢にいたという遠野国崎水軍のご関係かな?」
国崎:「え・・・・・・・・ああ、そう呼ばれていた時期もあったような・・・」
遠野国崎水軍。そういえばそんな名で呼ばれていた時期もあった気がする。
一時期だけ、その当時伊勢の領主だった遠野家の配下になって働いた事があった。
女:「一応・・・提督さんです・・・えっへん。」
女:「以外と・・・有名なんでしょうか・・・」
だが、今は領地も去り、30人程度のしがない安宅船の船長でしかなかった。
特に、有名という訳でもない。遠野の領地にいた時も、これといった戦果は無いし、名も馳せてない。
ただ、国崎の名は南北朝時代は有名だったから、その名残で多少は名が売れたかも知れない。
だが・・・
国崎:「関東で知っている奴に会ったのは初めてなんだが。」
初老の男:「いや、これは失礼。それがし、少々兵法を学んでおりましてな。」
この男、異常な程に筋肉が発達している。何かしらの武将かも知れぬが・・・
初老の男:「そして、隣の方は・・・」
女:「遠野・・・美凪です。」(ぺこり)
何も考えずに遠野が答えてしまった。
初老の男:「遠野美凪?冗談で御座ろう。」
国崎:「いや、それでいいんだ。」
遠野美凪:「・・・・・・・・」
伊勢の大名の時の話は、本人の前にはあまり触れられたくも無いので、話を変える事にした。
国崎:「そういう貴殿はどこの家の者だ。」
初老の男:「失礼いたしました、某の名はゲンジマル、羽後出身の唯の浪人でござる。」
姿形が蝦夷の人間の風体をしているので、蝦夷の人間であることは一目瞭然だ。
蝦夷の人間はこの大庭軍には多数入国している。ここにいたとしても確かに何の不思議も無い。
国崎:「そうで御座るか・・・某の名は、国崎往人と申す。」
相手が名を名乗ったので、こちらも名を明かすことにした。仮に名がばれたとしても敵が特にいる訳でもない。
ゲンジマル:「やはり国崎殿本人で御座いましたか。各地を放浪されていると聞き及びましたが。」
国崎往人:「そんなに有名だとも思えないが・・・」
ゲンジマル:「また、ご謙遜を・・・」
すばる:「ぱぎゅ?」
戦いの前の夜。
国崎:「・・・・・という訳で、一宿の恩は返さないとならん。」
「あの」後、俺たちは伊勢にいられなくなり、唯一残っていた船で海に漕ぎ出した。
古ぼけた人形と、遠野美凪。そして二つの星の砂を持って。
元々、国崎家は特殊な人形芸で身を立てていた一族。だから、とりあえずそういう芸を集中して集めているという
ビックサイト、大庭詠美の下に行って見ようと考えたのだ。
初老の男:「成る程。で風見水軍に封鎖された訳ですか。」
国崎:「ああ。」
この戦のため、相模の風見水軍・岩代のノセチェシカ水軍に海道を封鎖されてしまい、どこにも行くことが
出来なくなってしまったばかりか、ビックサイトは閉鎖されてしまった。
経済的に破綻寸前になっている今の大庭家の町に、芸で見ようなどという余裕が無いのは一目瞭然だった。
そのときに、偶々俺がアルクェイドの知り合いだった為に、大庭詠美に助けられたのだ。
国崎:「仕官は拒否したが、だが、奴は今必要なだけの物資は渡してくれた。」
ゲンジマル:「それで、今回参陣なされたわけですか。」
国崎:「ああ。」
ゲンジマル:「鉄砲・・・ですが、ずいぶん風変わりな鉄砲をお持ちの用で。」
詠美が渡してくれた物資の中には、鉄砲も含まれていた。しかし、その鉄砲は大きく、長く、そして
口に合金が嵌めてある特殊な物だった。
国崎:「詠美が珍しく俺に渡してくれたものだ。アルクェイド銃と奴らは呼んでいるらしいが。
射程が通常の倍以上ある。重みもそれなりにあるが、火薬が通常の倍使えるからな。」
ゲンジマル:「ほう。」
ゲンジマル:「ひょっとしてその銃は、この国では最新式の銃なのでは。」
国崎:「かもしれん。この大名の鉄砲へのこだわりは異常だからな。
堺から最新式の鉄砲一個を茶器三個と交換したくらいだ。」
ゲンジマル:「その銃・・・よろしければ某にも見せてくれないであろうか。」
美凪:「・・・10丁くらいはあるから、一丁だけなら譲ってあげます・・・金15で。」
ゲンジマル:「宜しい。」
「図らずも、役目は果たせたと言う訳ですか。」
「幸運だったな。これで大庭軍の実力の一端が見れるというわけだが。」
大庭家、陣内。足軽2人がなにやら話をしている。
一人はやせぎすの蝦夷男、もう一人は先ほどのゲンジマルという男である。
「だが、こういう兵器は実際に使ってみないと正直な所は判らん。」
「確かに。だからこそわざわざここに来ているわけではないですか。」
「で、肝心の本隊はどこにいるんです?」
「もうすぐ来るはずだと思うが。」
「おじいちゃ・・・いや、大老、戻りました。」
その中に、兵士に偽装した赤色の髪を靡かせた少女が入ってきた。
「詠美軍の動きは。」
「はい、やはり大老の予想通りでした。
大庭詠美軍の兵力は7千、宇都宮を出てまっすぐ南下していました。
兵装は新型鉄砲隊おそよ5千、足軽2千。足軽は新型大砲「カルバリン砲」を20門装備しています。
おそらく明日には戦場に到着するものと思われます。宇都宮の大庭軍はやはり農民を入れた偽装兵でした。」
「やはりな。」
「美坂香織軍団は現在箕輪城を出てこの戦場に向かっております。兵力は足軽5千。」
「・・・足軽5千ねえ。可愛い生贄だ。」
「・・・確かに、大庭軍の大砲と鉄砲の威力を直に見ることが出来るよい機会ではある。」
「正確に言えば、大砲だけだけどね。」
「・・・・・・」
「で、そちらの方はうまく行ったようだな。」
「ええ。『あの』方はちゃんと戻ってきてますよ。予想以上にうまく行ったようで。」
「ばきゅ?」
「・・・・・・・」
「う お お お お お お お お!」
.´ `v^) __________
〈(ハ从ノlハミi((. /
l人´д`l从 )) < アク禁は解除されますた。 騒がせて申し訳ない。
/ y/ ヽ( \
(⊃ ⊂[_ノ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(ノノノ | | | l ) オハヨウノキスハ求メル物ニアラズ
Airを知らない人の為の簡単なAir講座:遠野美凪編
(Air本編とはあんまり関係ないかも知れない。)
Q:伊勢で何か起きたんですか?
A:美凪が城に帰ったらいきなり「あんた誰?」と言われたんです。それだけ。
Q:今の伊勢の当主は誰なんですか?
A:母親っぽい。
Q:神尾家SSの人がこの設定を書き換えるのは不味いですか?
A:関東に国崎が居ようと居まいと話は進む。別に良し。
Q:みちるは幸せになりましたか?
A:私に妹なんて居ないわ。(美坂氏談)
Q:このあと紀伊ではどうなるんですか?
A:直し方は俺も知らない。神尾家の人間に任せろ。
選択肢一つ間違えただけでこの惨事。修羅はまだまだ続く。
国崎&ナギーか。本編で果たせなかった放浪をやらせてしまうとは天晴れ
個人的に「・・・まあまあ、よいではないか、国崎さんや。」
はツボ
南蛮の武器商人か?<アルクェイド
どうやら大庭家は持ちこたえられそうだな
そうすると畿内をほぼ制した祐介が今のところ一番有利だな
他は上洛するような余力ないし
そろそろ柏木家誰か書いてくれんかのう。
アク禁解除おめでと
他のスレでも結構いたみたいですな
>そんな時、こんな所に仕官してくる一人の浪人者によって運命の歯車が大きく回る……
を最後に滞ってる神尾家の続きも気になるな〜。
関係ないけどDION規制中につき串カキコ。
今朝解除されたばかりなのに…
今までの神尾家は無かったことにするのかな。
まとめサイト、そこの部分404だったので。
446 :
:03/08/27 22:48 ID:OEhFQMxI
つか、別にそれが国崎でないといけないわけじゃないし…
あと、こっから先で仕官しに行かないって決まった訳でもないしさ
>そんな時、こんな所に仕官してくる一人の浪人者によって運命の歯車が大きく回る……
川口「うまい具合に無人の城があったわ。この川口茂美は雑賀城より天下を狙うぞ」
観鈴「がお・・・国乗っ取られた!!」
神尾家、滅亡。
↑
.´ `v^) __________
〈(ハ从ノlハミi((. /
l人´д`l从 )) < いやはや、悪ふざけが過ぎたようだ。
/ y/ ヽ( \
(⊃ ⊂[_ノ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(ノノノ | | | l ) 某トシタコトガ。
でも、正直川口茂美でもいいわなあ。どうなるんだか。
武将風雲録というより蒼天録超級という感じです。
ややもすれば謀略が過ぎてどの勢力も足を引っ張られて抜け出せない。
紀伊の寺社は鷺森御坊(一向宗。雑賀衆の本拠でもあった)とおなじみ
高野山金剛峯寺がありますが、神尾家に一向宗と交渉する能力があるかなあ?
大名思考中
>>447の2行目に胴衣。
国崎が旅の浪人あることには変わりないのだから、この後、雑賀向かえば問題無し。
まあ、1行目でも別にいいけどね。
一向宗は出ない向きじゃなかったっけ?(史実人物なるべく出さない方針で)
出るなら真言系がメインになるんだったような。
>445
神尾家と大庭家の話が同じ時期とは限らないのでは・・・と言ってみる。
>>453 キリスト教寺院も出ていますし。
畿内の寺院は互いに勢力を持って張り合っていたので、天台宗(延暦寺)や
真言宗(金剛峯寺)だけ存在してもっとも勢力のあった一向宗(浄土真宗)が
ないのは無理があると思う。無理に消す必要はないでしょう。
もちろん、誰を要人として出すかは各々の裁量次第です。雑賀衆といっても
無理に鈴木重秀を出す必要はないわけでして。
一応本願寺は存在するはずですが、小説では大坂(石山)本願寺は大名家に
奪われているようです。史実通り京都に移転したか、または鷺森御坊に
避難しているものと思われます(史実でも大坂を追われて京都に移転する
までの間本拠にしていた)。
>>452 まぁ通り一遍の展開も詰まらんしな。
別に分かりきった展開でなくても良いしその辺も含めて職人に任せるという事で。
致命的な誤爆で無い限り俺達が展開にケチつける必要はないよね。
月島拓也は『瑠璃子様のご意志です』という瑞穂の言葉を何度も頭の中で反芻していた。
(瑠璃子の、意志……)
実の妹に自分を否定された。拓也はそう考えていた。
(ならば僕の存在価値なんて無いに等しいな)
拓也はそう考え、進路を吉田、桂木勢の着陣している
言い換えれば、長瀬軍が着陣しているであろう方向にむかった。
一方、長瀬本陣は半日の滞陣中に降伏兵を各々の村に帰した後、移動を開始していた。
「捕虜を解放するなんて、気前の良い話だね」
沙織の言葉に祐介は微笑んだ。
「まぁ、荷物は軽い方が身軽でいいでしょう?」
二人は気楽そうに会話を続ける。その後ろに続いて降将である
吉田由紀、桂木美和子、さらに後ろに源二郎が続いていた。
「ところで田中君は何処に行ったの?」
「ああ、用事を言っておいたから。そのうち戻るんじゃないかな?」
「そう。……今度は何を考えてるのかな?」
「それは後のお楽しみ、という事で……」
二人の会話を聞いていた由紀と美和子は、何とも言えない困惑した気分になっていた。
(なぁ、美和子)
(由紀ちゃん、どうしたの?)
(いまのあたし達って、どうしてこういった扱いになったんだ?)
(え、えっと、確か『降将を縛るのは、礼に反する』とかって……)
(いや、そういう事じゃなくだな。普通は帯刀を認めたり、
ましてやすぐ真後ろに続くなんて事があるか?)
(あ、あたしにそんな事言われても……)
背後でこういった話をしているのを知ってか知らずか、祐介たちは平然と進行を続ける。
ただし後ろの方には源二郎と兵卒に至るまで睨みをきかせていたのだが。
そこへ前方から薬師らしき者が一人で近づき、すれ違いざまに祐介に紙で包まれた何かを
投げ渡し、また素早く何処かへ去って行った。
(な、なんだぁ?)
驚く由紀を尻目に、祐介は投げられた物の中身を確認すると
「父さん、少しの間軍勢をお願い」
と言い残して、先の方に駆けて行った。その後に沙織も付き従う。
月島拓也は吉田、桂木勢が降伏したという情報を得ながらも進行方向を変えようとはしなかった。
付き従うのは太田香奈子ただ一人。そして香奈子は拓也が何を目的にしているかはわかっていた。
つまり敵陣への切り込み、そして討死。太田香奈子は最後まで月島拓也に付き従い
彼を守り、討死ぬつもりであった。
二人は落ち着いた表情でゆっくりと進んでいた。
「……太田さん」
「はっ、はい」
いきなり声をかけられ慌てる香奈子を見て、拓也は微笑む。
「良いのかい?藍原さんの事は……」
「……いいんです。あたしと瑞穂とは進む道が違ってしまった。
それだけの事ですから……」
「そうか……。僕達は似ているね」
「……え?」
香奈子は驚きの表情で拓也を見る。
「……僕も、瑠璃子と違う道を進んでいた。気づいた時には、もう遅すぎた。
もう昔のようには戻れない」
「……後悔しているのですか?」
香奈子の問いに拓也は首を振った。
「……いや。僕がやってきた事は、少なくとも間違いじゃなかったと思っている。
ただ、瑠璃子は長瀬祐介に将来を見た。それだけさ」
「……」
香奈子は黙っていた。どのような言葉をかければわからなかった。
その時、前方から二騎ほど向かって来るのが見えた。
「由紀と、美和子でしょうか?」
香奈子の声に拓也は答えず、馬を止めて相手が来るのを待った。
その二騎の馬に乗っていたのは香奈子の同僚ではなく、
二人とも鎧を帯びているものの、あどけなさの残る少年と、赤く長い髪の少女の二人だった。
四人は対峙したまま、お互い一言も発しなかった。
「……長瀬祐介だな?」
「……月島拓也殿、ですね?」
長瀬祐介と月島拓也。機内の覇権を賭けた二人が合間見える。
その二人の各々の後ろに控える沙織と香奈子はいつでも斬りかかれる様に刀に手を置いていた。
「降伏を勧告しに来ました。どうか刀を置いて頂きたい」
話し始めたのは祐介だった。
「……断わる。この期に及んで、生き恥を晒そうとは思わない。
これより貴軍の中に飛び込み討死するつもりだ。この様な無駄な事は止してもらおう」
拓也の言葉を聞くと、祐介はわざとらしく大きくあざ笑った。
「切り死にを以って恥を削ごうと考えるなんて、あなたも意外と小さい人物だ。
あなたの言う通りに終れば、あなたは後世の笑いものになる」
「面目を立てて、切り死にするのがどうして笑いものになるのか!」
香奈子の荒い声に対し、祐介は答えた。
「ここで切り死にしたところで無意味なだけでなく、三つの罪が数えられるからです」
「ほう。ならば三つの罪とは何か?」
拓也の言葉に祐介は答える。
「 一つ。あなたが死ぬ事で、瑠璃子殿に更なる悲しみを負わせる事。
二つ。さらに、自ら作り出した全ての責務を瑠璃子殿に押し付ける事。
三つ。天下の乱れを知りながら、その将来を憂えない事。
以上の罪が挙げられるでしょう。あなたは学問に優れていると聞いている。
この辺りはどう考えているのか、それを聞きたい」
祐介の言葉に拓也は目を瞑ってしばらく考え込んだ。祐介はさらに続ける。
「ここで命を捨てるくらいならば、その命しばし預けてもらいたい。決して悪いようにはしません」
祐介の言葉に拓也はこう返した。
「……こちらにも条件がある。それを聞き入れるのならば、降伏に応じよう。
まず一つは、僕は長瀬家でも将軍家でもなく月島瑠璃子に降伏する。
二つには、全ての責は僕一人が負うもので他の者にはかかわり無い様。
三つには、君が瑠璃子を悲しませる行動をとるのならば、たとえ後世の汚名を被ろうとも
僕は君を斬る」
「……承知しました」
拓也の言葉に沙織は思わず手に力がこもったが、祐介は快く その条件を受け入れた。
拓也は馬を降り刀をはずす。太田香奈子もそれに続き、二人は祐介に深々と頭をたれた。
翌日、石山城に入城した長瀬祐介は月島瑠璃子と改めて対面、
そこで月島拓也の処遇は『月島瑠璃子の要請に基づき、将軍が京に戻り正式な裁きが
くだるまでは、長瀬家が身柄を預かる』という事になった。
さらに治世についての細かい話が二日間なされた後、以下のような人事が布告された。
和泉 若江城主 兼 畿内方面軍団長 月島瑠璃子
畿内方面軍団長付き 藍原瑞穂
摂津 石山城主代理 太田香奈子
大和 信貴山城主 桂木美和子
同国 多聞山城主 吉田由紀
南近江 大津城主 兼 南山城運輸治安担当 長瀬源二郎
軍団長とあるが、その役目は主に摂津和泉大和の生産力向上に治安維持と
長瀬家の制度に基づいた軍兵の再編制である。
また直轄地にしないのは、月島瑠璃子を支持する地元豪族の反発が予想されたため。
石山城については太田香奈子のたっての希望によりこういった名称になった。
南山城は京の街以南を指す造語であり、京の町、及び山城国北部は将軍家の残兵に任せる事になった。
これにより長瀬家は間接的ではあるものの畿内をほぼ手中におさめ、近畿制圧に大きく前進する事になった。
長瀬祐介は翌日に軍勢をまとめ、近江 小谷城へ帰還の途についた。
月島拓也も籠に乗せられ、大津城下の屋形に軟禁されることになった。
三カ国を治めていた元大名としては惨めなものであるかも知れない。
だが月島拓也は憑き物が取れたような表情で籠に揺られていた。
とりあえず畿内の方はこれでいったん終わり。
身分名称の使い方違ってたらスイマセン
それと補足説明
畿内方面軍の範囲は摂津、和泉、大和の三カ国です
月島瑠璃子を通じた間接統治という形をとっています
山城は宇治川沿岸部(京の町より南)のみを制圧してます
琵琶湖からの水運を第一に考えているのと、
京の町は守り難い場所なので部隊は配置していません。
京の町には月島勢に降伏していた将軍家の残党が居残って主君の帰りを待っています。
祐介大躍進だな
近畿はAIR組とか他の大名弱いし
各地は互いに潰しあってるからそう簡単に登ってこれないし
一応将軍家を追い出した拓也を倒したという形上
将軍家の威光を敵に回す必要もない
しばらく闘わずに地盤固めに専念できそうなのも強い
.´ `v^) _______________________
〈(ハ从ノlハミi((. /
l人´д`l从 )) < 設定変更。
/ y/ ヽ( \
(⊃ ⊂[_ノ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(ノノノ | | | l ) モチット深ク考エルンダッタ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
美凪と国崎の設定を変更します。
国崎と美凪が追われるイベントがついこの前起きた様な事を書いてしまいましたが、SS上の
都合により、美凪追放のイベントは3〜4年前に起きた事にします。
ちなみに今の合戦が起きた年は本編と同じ大体17〜8歳なのですが、美凪が14歳の時に
「あの」イベントが起きてしまい、バットエンドまっしぐらになってしまったという設定になりました。
また、もう一つ、ビックサイトで人形劇関係のうんたらかんたらという設定がありましたが、
そこに関しては全体変更します。
基本的には美凪が副官となって国崎艦隊は東・東南アジア周辺を転々としていたということにします。
範囲的には朝鮮・中国・ベトナム・真臘・台湾・フィリピン・インドネシア・香料諸島あたりまでです。
これは大航海時代ネタですが、まあある程度は絹や香辛料の交易で生計を立てていたのでしょう。
彼女らはその後、突如現れた台風によって難破し、本来戻るつもりの無かった日本に戻されることに
なります。(しかし、本来天候を見るのは美凪は得意なはずなんですが・・・ね。)
でも美凪が去った後、残念ながら遠野家は内紛が絶えなくなります。
l人´д`l从 )) < そのうち当該部分は書き直しや。混乱させてスマソ。
また、アルクェイドの事を全く書いていなかったので、一応書いときます。
なんか月姫がちょこまかと出てきているので、なんかアレですが、
アルクェイドは、属性は一応「女海賊」です。もちろん日本の勢力ではありません。
海賊ですが、海ではほぼ最強の実力を持ちます。下手な正規軍では太刀打ちできないでしょう。
裏で支援している国があるのかどうかはまだ検討中ですが、あるとしたらオスマン帝国である
可能性が一番高いです。実はあの時代でもオスマン帝国は相当強く、スレイマン3世などの名君も
次々と生まれ、その当時ですら実力国でした。キリスト関係なのに意外と思われる方もいると思いますが、
イスラムは基本的にはキリストや他宗教には寛容です。つーかその当時ですら最先端を行く先進国とも
言えるでしょう。
志貴や秋葉がどこにいるのか、どういう場所にいるのかは副官・スポンサーを問わず検討中ですが、
アルクェイドが炸裂弾や潜水爆弾使っている以上、あの冥土は確実に存在すると思われます。(w
ちなみにアルクェイドの兵力は水夫流用で、多くても二千が限界です。兵力的に陸戦は少々不利ですな。
だが、大砲鉄砲の類は当然世界最新式なので鉄砲・騎馬・大砲含めて相当強いでしょう。
大庭詠美との関係は・・・そのうち出てくるでしょうな。(書けるかどうか判らんが)
※設定は事情によって変わる可能性が大です。
.´ `v^) _______________________
〈(ハ从ノlハミi((. /
l人´д`l从 )) < 以上大航海時代ネタ。話はまだまだ続く。
/ y/ ヽ( \
(⊃ ⊂[_ノ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(ノノノ | | | l ) ヒマダヨ
「おじいさんたち、なにやっているんですの?」
すばるは唐突に現れた。
「はっはっは、いや、昔のなじみがここにいたものでな。」
ゲンジマルはうまく誤魔化す。
「あ、新しい隊員ですの〜♪」
「(・・・・・隊員?)」
「ええっとお。」
「皆さんに大切なお話がありますの。だからちょっと来てほしいですの。」
「??」
すばる:「このままではどうにもなりませんですの。だから、この六人で川澄舞に一騎打ちを仕掛けますの☆」
国崎・ヤセギス:(何で俺達が何時の間に混ざってるんだ・・・・)
ゲンジマル:「一騎打ち・・・というと、この六人だけで総大将を討ち取ると。」
すばる:「はいですの☆」
国崎・ヤセギス・赤髪女:「はあ?!」
すばる:「作戦は図で書くとこうですの!!」
川澄
↓
↓↑
凸す 凸・・・大庭軍 す・・・すばる
すばる:「川澄が来たら6人が一斉攻撃するですの!」
・
・
・
まんまだった。
国崎:(コレって図が必要なのか・・・?)
ゲンジマル:「これはすばらしい作戦。ぜひともやってみましょう。」
赤い髪の女:「おじい・・・じゃなくて大老!!」
すばる:「ばきゅう!!決まりですの〜」
赤い髪の娘:(いいんですか?戦っちゃって。適度に戦って抜ける計画では・・・)
ゲンジマル:(まあ、時と場合にもよろう。)
ゲンジマル:(どうせ顔は水瀬にも大庭にも割れておらん。心配は無かろう。)
ヤセギス:(僕も闘わないといけないのかねえ。)
赤い髪の娘:(でもたった六人ですよ?)
ゲンジマル:(確かに鉄砲は手に入れた。だが、肝心の大庭の砲撃の威力はまだわからぬ。)
赤い髪の娘:(・・・・・)
ゲンジマル:(我々の役目は、大庭詠美が保有するという大砲と鉄砲の威力を確かめる事。)
ヤセギス:(「アレ」の完成にはまだ時間がかかる上に、「アレ」が負ける可能性があるとすれば
彼女だけだからね。)
ゲンジマル:(こういう兵器は実際に使用してみないと実力はトンとわからぬ。)
ヤセギス:(まあ・・・確かに。)
ゲンジマル:(恐らく新型のカルバリンなる大砲を今回使う気であろう。絶好の機会ではないか。)
ゲンジマル:(それに、下手に大人数で闘うよりも、少人数で奇襲した方が有利な場合もある。)
ゲンジマル:(それにここの6人は全て屈強じゃ。お前も含めてな。)
赤い髪の娘:(うう・・・)
ヤセギス:(いざとなったらトンズラこきゃいいってことですよ。)
ゲンジマル:(左様。突破は簡単じゃ。)
赤い髪の娘:(大老、そんな簡単なんて言わないでくださいよ〜)(泣)
ゲンジマル:(それにどうせ戦はあと一日で終わる。そうであろう、ハクエンクア。)
ハクエンクア:(まあ、首尾よく進めば。)
ゲンジマル:(さて、策は成したがどう転ぶかな。)
ハクエンクア:(ええ。)
夜。塚本千紗の陣。遠くで、最後の夜を飲み明かそうとする兵士たちの火が見えた。
美凪:「正直・・・大名同士の戦いは久しぶりです。」
国崎:「日の本自体が久しぶりだからな。」
美凪:「はい・・・」
日本。祖国でありながら、ワザとかかわらないようにしていた国。
商売の関係上、長崎や堺に行くことはあっても、あれ以降ワザと長居はしないようにしてきた。
「あの」事件以降、唯一残った西洋船「キャラベル」で、俺たちは逃げるように・・・
いや、海に逃げる為に飛び出した。
俺たちに残された最後の居場所、それは外洋しかなかったからだ。
「私は・・・私は・・・・」
「踏み出すことが・・・出来なかったんだな。」
「・・・・・・・はい・・・」
14歳の、まだ元服を済ませたばかりの伊勢の大名である彼女に課せられた重き使命。
それは当時の彼女にはあまりに重すぎた。
最後には・・・唯一の親までもが他人になる。これほどの残酷な事があっただろうか。
彼女は、その後、一艘だけの国崎艦隊の副官となった。とはいえ、食料も乏しく、金も乏しく。
自分は慣れているから大丈夫だったが、彼女は最初は大変だった。
だが、その後、美凪の成長ぶりは目を見張るものだった。
元々、会計や天文が得意であった彼女は、その才能を国際商売において遺憾なく発揮した。
その順応力と、頭脳には長年放浪をやってきた自分でさえ驚いた。
時には倭寇と戦い、時には南蛮船とぶつかり、象兵と戦わなければならない羽目にもなった。
だが、彼女は、その全てに雄雄しくぶつかっていき、運命を切り開いてきた。
そう、あの時の意気地なさを、天に詫びるかの様に。
星の砂。あの時に混ぜた2つの砂は、まだ2つのままだ。
「お空の中の人を助けてあげて・・・」
アイツの最後の言葉が、まだ耳の中に残っている・・・
「ばきゅう〜☆明日は早いからもう寝ろですのおまいら☆」
緊張感の無いバカ声が響く。
国崎:(酒のんだなこのアホ)
美凪:「そうですね・・・・」
すばる:「ばきゅう〜明日は六人の力で絶対ぜったいぜったいぜったい、川澄舞をぶったおしますの☆」
美凪:「・・・・・はい。」
すばる:「ばきゅう〜いい返事ですの☆」
国崎:「よくもまあアレで総大将やってたもんだ・・・」
美凪:「でも・・・あの人、あの娘になんか似てます・・・」
国崎:「そうか?」
美凪:「・・・・・・はい。」
美凪:「・・・・・・角度とか。」
国崎:「・・・無理に笑わせなくてもいい。」
美凪:「・・・・・・はい」
美凪:「国崎さん・・・」
国崎:「・・・・うん?」
「・・・・・私、もう、あの頃の私ではありませんから。」
「・・・・・そうか。」
「寝よう。」
「はい・・・」
伊勢志摩の美凪はどうしよう…。
暫定当主ということで、そのままでいいのかな。
元のところに帰ってくればいいんだけど、そうでなければ当主名変更も
考える必要があるかなと思ったり。
当主は母で決まりなんじゃなかったっけ
>>470 まるで死んだかのような扱いw
とりあえずアップ完了……
ねみぃ、レポート明日まで……
ときにエルクゥの扱い、どうします?
すでに観鈴と神奈、裏葉と往人で先祖・子孫の同時存在は無視できる前例が
あるといえばあるわけなのですが。
一国でもよし、ダリエリ・次郎衛門・4姉妹etcと数国にバラけてもよし、
もともと和風とも異国風とも解釈できる服装だし、アイヌ服な解釈も
できないではないし、ローカルな山に端を発する勢力でもいいし、
雨月山の立地さえ深く考えなければ、わりと空白地を埋めやすい勢力
じゃないかと。
……だめ?
空白領の問題が出てきたので、「天いな」関係の想定ネタですが・・・
「天使のいない12月」に関しては、「上総・安房と下総の一部(千葉城・佐倉城・銚子)の
領有の上、やる気無さげな当主は形式的には大庭家に従属」の方向で今考えてます。
つまり、大庭家の領土はビックサイト−幕張周辺まで、下総本城は暫定小弓城。
その代わり鹿島・水戸・筑波・土浦周辺(要は常陸)は一応大庭領。
さらに、あいまいだった水戸と相馬領の間に「百里の長城」なる古代城があるという設定を追加。
という形にしようと考えてます・・・
コロコロ設定が変わりますが、正直、詠美関係の最初のつくりは半端じゃなく甘かったので、
無茶な設定や強引な解釈は致し方なく、出来れば御容赦願いたいという面も正直あります・・・
(本来なら彼女はただ東北に使者出すだけの役目だったんですが、使者が出る寸前に
彩の裏切り+来ないと思ってた水瀬家侵攻のダブルパンチが来たもんで・・・(Tд⊂)
家臣の忠誠度は低い、部下は居ない、敵が多いの三重苦で無理やり抑えなければならず、
ここまで大庭単独で、しかも無理を重ねて長くなったという笑えないネタがある・・・(笑))
多分玲子主体の東北本編開始と「天いな」発売は重なりそうな勢いですが、
なんか「天いな」の舞台は新興住宅地、さらにどっちもちゃん様絵なんで、
意外と結構合うのではないかと勝手に創造してますです。はい。
この設定だと、こちらの都合で汚れ役かぶせてしまった千堂家が最初の敵になるはず・・・
多分今まで一度も出てこなかった猪名川由宇と瑞希が海上で彼女らの相手になるのでしょう・・・
猪名川由宇 対 栗原透子。 東京湾メガネっ娘決定戦。
>>461 和泉は、篁(Routes)が大名ですよ。
>>478 若江城は河内の国だから誤記じゃないかと。
おそらく 和泉→河内
>>479 はい、その通りです(泣)
何で最後の最後でそんな間違いするかな、自分・・…
>>FARE-M氏
そういう事なので該当部分(和泉→河内)の修正をお願いします
「何、里村さんと柚木さんを捕らえた?」
勝ち戦に湧く渡辺軍本陣、そこで髭は届けられた報告に少し驚いていた。
「それは確かなのか? てっきりあのまま逃げられたと思ったが…… いったい誰が?」
「はっ、敗走していた清水殿のようです。 どうやら敗走後軍勢をまとめ待ち伏せをしていたようです」
「ふむふむ、なるほど。それでその後どうなった?」
「中崎、南森隊の道案内をして七瀬隊を追撃、逃げ切られましたが清洲への入城を阻止しました。
現在行方を捜索中、清洲城は村田隊が包囲しております」
「中崎君達もがんばるな…… 捜索を打ち切って包囲軍に参加するように伝えてくれ、残党など物の数ではない。
わしも氷上とすぐそっちへ行くから。あと、里村さん達は本陣に護送するように。くれぐれも失礼がないようにな」
「了解しました。一気に攻め落とすのですか?」
「ん? そんなことはせんよ、気長に降伏勧告でも出してみる」
髭には瑞佳達を殺す気など毛頭なかった。もともと教え子達だということもあったがそれだけではない。
領民に支持されている長森家臣団は尾張経営にとって必要である。下手をして一揆でも起きたら面倒なことになる。
「また美濃の広瀬真希軍ですが小坂由起子軍を破り稲葉山城を包囲した模様です」
「うむ、そちらも包囲を継続するように伝えてくれ」
そしてそこまで言って立ち上がる髭。
「そろそろ行くかの。日が暮れるまでに清洲へ着くといいが」
あくまでのんびりと、穏やかに。
「……そう、やっぱり長森家は敗北したのね」
南尾張の合戦が終わった翌日の早朝、ことの顛末は早くも待機中の緒方理奈のもとに届いていた。
「ずっと睨みあっててくれてもよかったのにね」
「それじゃいつまでもここで暇を持て余してなきゃいけないじゃないのよ」
「んー、いいんじゃない?」
「よくないわよ……」
はるかの言葉に溜息混じりに答える理奈、これから戦いに行くというのにどこかほのぼのしていた。
「ってこんな訳わかんない話してる場合じゃないわね。出陣の用意はどう?」
「万全、すぐにでも行けるよ」
「そう、それならいいわ」
そう言って軍配を取り出す。すでにさっきまでとは違う、真剣な表情。
「全軍に伝えて。“演出”は終わり、これより渡辺領に侵攻を開始する。
緒方の強さ、あの髭オヤジに見せつけてやるわよ!」
緒方家遠江侵攻軍進撃開始、陣容は次の通り
大将、緒方理奈 軍師、河島はるか 以下フランク長瀬、七瀬彰
総勢八千五百……うち騎兵が四千五百
甲斐駿河間の国境近く。そこには森川由綺を大将とする軍勢が極秘のうちに布陣していた。
そこへ届く遠江侵攻軍進撃開始の報、すぐにこちらも動くことになり軍議が始められた。
「それでは最後の確認をしたいと思います」
話を切り出したのは軍師の篠塚弥生。家中一の知恵者として知られ事実上この軍の指揮者である。
「兼ねてよりの作戦通り全軍をもって国境を突破、一気に駿河の奥深くまで進撃します。
この際、駿河留守居役の御堂が必ず迎撃のため出陣してくるでしょうが大した問題ではありません。
迎撃軍を破った後は軍を二手に分けそれぞれ駿府城、安部金山の確保に向かいます」
弥生はそこまで言って大きく一つ息をついた。
「これらのことを尾張に出陣している渡辺軍が帰還するまでに成し遂げなければいけません。
出来れば我々の勝利、出来なければ我々の敗北です」
「ですけど……」
「何ですか、観月さん?」
観月マナがあげた声に続きを促す。
「必ず迎撃が来ると言いますが何か確信みたいなものがあるんですか?
もしも城に籠られでもしたら絶対にこの短時間では駿府城の確保はできないですよ?」
「ご心配無く、既に手は打ってあります。必ず彼等は出て来てきます。
そして──我々の前に敗北することになるでしょう。他に何か質問は?」
「それじゃ弥生さん」
「はい、何でしょうか由綺さん?」
森川由綺の言葉にすぐに応える弥生、その顔はどこか微笑んでいた。
「周りの勢力はどうなのかな? もしも千堂家とかが漁夫の利を狙って来たら……」
「それならば心配はありません。先程届いた情報ですが千堂家はかなりの兵力で
大庭家に侵攻をしている模様です。伊豆には猪名川勢がいるようですが
こちらに手を出すことはないでしょう。存分に指揮をお執り下さい」
「や・よ・い・さ〜ん お疲れさま〜」
「いえ、由綺さんこそ」
軍議が終わり皆出陣の用意を行ってるため陣内は閑散としていた。
今ここにいるのは由綺と弥生の二人だけである。
「今度の合戦でまた忙しくなっちゃうね」
「そうですね、しかし順調に事が進めば春までにはすべて終わります。
何か不都合でも?」
「ううん、ただ…… 今頃冬弥くん何してるかなって……」
「由綺さん……」
藤井冬弥──緒方家家臣にして由綺とはほぼ全軍公認の間柄である。
そのため一部の森川派兵士からは激しい嫉妬に遭っていたりする。
「冬弥くんの仕事が終わって久しぶりに会えると思ったらまた忙しくなっちゃって……
ははは、なんかすれ違いだね、私達」
冬弥は最近まで海津城改修の指揮を執るため信濃に行っており由綺とは暫く
会うことができなかったのだ。漸くその仕事も終ったという時にこの戦である。
由綺は出陣、冬弥は甲斐でもしもの時のために備えている。
当分の間、会える見込みはなかった。
「そうだ、弥生さん!」
「何でしょうか?」
「この戦が終ったら一緒にお花見に行こうよ、冬弥くん達も連れて」
「お花見……ですか」
「そう、きっと帰る頃にはどこも満開になってるはずだよ! それでね……」
「あの……由綺さん」
「えっ、何?」
「いえ……何でもないです……」
「もう、おかしな弥生さん!」
無邪気に笑い話し続ける由綺、それを見つめる弥生はどこか悲しげであった。
緒方家駿河侵攻軍進撃開始、陣容は次の通り
大将、森川由綺 軍師、篠塚弥生 以下観月マナ、寺田信子、日立泉
総勢一万……うち騎兵が五千
ようやくホワルバ組み動いたか
髭潰れそう…。
一寸先は闇
長瀬祐介が小谷城に戻って三日後。
城下の水運用の港に摂津からの軍需物資が搭載された船が大量に接岸された。
待ち構えていた兵士達が物資をおろす間に一人の人物が舟から降り立った。
その人物は部下に指示を出すと、自分は用意した馬に乗って駆け出していった。
「相変わらず、活気があるなぁ」
一人の町人姿の少年が城下の市場を散策していた。
その後ろに町娘の格好をした赤く長い髪の少女がついている。
長瀬家当主、長瀬祐介と新城沙織。お忍びで城下に下りているところだった。
「叔父さんに知られたら、何て言われるかな?」
「小言と愚痴を小半刻ほど」
「なるほど。それじゃバレる前に戻らなきゃね」
二人は話しながら市場を一周して、とある店に入った。
「いらっしゃ……。ああ、奥の方でお待ちです。どうぞ」
顔見知りの店主に案内されて奥の離れにある茶室に案内される。
茶室の中に入ると、そこには薬商人が待っていた。
「なかなか似合ってるね、田中」
「似合ってるも何も、本業ですからね。もっともそのおかげで
情報収集の時に疑われ難いんですが」
そう言うと田中は懐から書状を幾つか取り出した。
「まずは美濃・尾張の様子から……」
そう言ってその中の一枚を手渡す。祐介はそれを受け取り中身を見た。
「長森本隊は尾張・山葉城を放棄して清洲への撤退作戦か……。
結果はどうなったのかな?」
祐介は沙織の煎れたお茶を口に含んだ。
「まだ届いてないようです。次の報告までに結果が出ていると思われます」
「わかった。それと、……美濃の方は広瀬が優勢か」
「それは仕方ないでしょう。広瀬勢四千に対し長森の守備兵は一千です。
稲葉山城に篭城しているから長森勢は善戦しているようなものです」
「確かにそうだね。……他には何かあるのかな?」
祐介の声に田中は別の書状を渡した。祐介はそれを受け取り中身を見た。
「……信濃が?開発の進み具合が速い、という事かい?」
「はい。今年の初めに比べても街道の整備や市場の発展具合が著しく
金山開発や特産品などにも力を入れているようです」
それを聞いた祐介はしばらく黙考していたが、
「……確か、緒方内部は森川由綺派と緒方理奈派に分かれていた筈、だったね」
「はい。兵士や、家臣団を二つに割って内乱寸前と聞いていましたが……」
田中の言葉に祐介はさらに考えていたが、何かを思いついた様にひざを叩く。
「そうか、こいつは完全にしてやられたかも」
「祐くん、どういうこと?」
それまで黙っていた沙織に祐介は答える。
「つまり、内乱寸前というのは嘘だったって事。もし本当に内乱寸前ならば
そんな一年未満という短期間で幾つもの事業を効果的に進めるなんて出来ないはずだよ。
と言う事は緒方の計略にまんまと引っ掛かったという事だね」
「しかし、豪族や兵士に至るまで分裂しているのは確かですが……」
「それぞれの派閥に別々に仕事をさせれば、足を引っ張り合う事も無く
むしろ競うようにして成果を挙げようとする。上手く人の心理をつかんだ策だよ。
緒方英二か……。そういう事を気付かれずに進めるなんて凄い人物だなぁ」
祐介は少しも悔しそうな表情をせず、むしろ心から感心した表情をみせる。
沙織と田中はその表情を見て微笑んだ。
敵、味方を問わず優れたものに対して素直に感心する。本人は自覚してはいなかったが
祐介のこういった性格が長瀬家に独特の雰囲気を作っていた。
「ま、それはとりあえずはいいや。他に何かあるかな?」
祐介は話をきりあげると、田中に聞いた。
「いえ。これでほぼ全てです。将軍家の捜索は引き続いて行います」
「うん。まぁ、そのうち向こうから出て来るとは思うけどね」
田中は『そうなってくれると楽なんですが』と言って茶室を出て行った。
祐介は残っていたお茶を飲み干すと『もう一杯、お願い』と沙織に茶碗を渡した。
沙織がお茶を煎れていると、茶室の入口を叩く音がした。
「開いてるから、入っていいよ」
祐介の声にゆっくりと入ってきた人物は、
「あれ?瑞穂ちゃん?」
沙織の声に笑って会釈をするのは藍原瑞穂だった。
「お疲れさま。ここまでの旅路はどうだった?」
祐介は沙織の煎れたお茶を瑞穂の方にまわした。
「これが二回目ですから。ただ、昼間は港に活気がありますね」
瑞穂はそう言って、茶碗を手にとり喉を潤した。
「三日前の話通りに鉄砲や武器・兵糧をありたけ運んできました。
今ごろは小谷城内に運び込まれている頃でしょう」
「それは良かった。瑠璃子さん達の分は残してあるだろうね?」
「そこの所はしっかりやっています。今、仮に敵襲があったとしても
半年は持ちます。内政を行うには銭・米とも十二分の量があります」
「うん。それなら良い」
祐介は改めて煎れられたお茶を一口飲んだ。そして、
「畿内の方は、やっぱり芳しくないのかな?」
と瑞穂に問い掛ける。瑞穂も申し訳無さそうに頷いた。
「はい、一部の、しかし有力な豪族達は祐介さん、……祐介様に
少なからず疑いの目を持っておいでです」
「……『様』なんて付けなくて良いよ。そんなガラじゃないんだから」
「は、はい。……それで主に祐介さんの力量、及び信用に疑いが集中しています」
「ど、どうして?」
瑞穂の言葉に沙織が身を乗り出して聞いてくる。
「一つは、宇治での戦は『まぐれ勝ち』だと思われている事。
もう一つはいつ瑠璃子様を除こうとするか解からない、と考えているようです」
「嘘!?あの戦の勝利がまぐれだとか、瑠璃子ちゃんを除こうとしてるとか
ずいぶんな言いがかりじゃないの!?」
「はい。瑠璃子様も説得してはいるのですが……」
祐介は『仕方が無い』と言って沙織をなだめる。
「確かに、あの戦は上手く勝ちすぎたかも知れない。傍から見ていれば
『まぐれ』と思われても仕方の無い事かもね。それに瑠璃子さんへの忠誠心が強いからこそ
その反面、僕が信用されないのかも。まぁ、時間をかけて、説得するしかないのかな?」
「いえ、そうもいきません」
祐介の言葉に瑞穂が反論する。
「仮に敵軍が近畿に進行してきた際に、そういった勢力をけしかければ
内部から崩壊する危険性があります。そうなればまとまりかけた畿内が、
再び混迷の坩堝と化し、場合によっては瑠璃子様にも危険が及びかねません」
瑞穂の言葉に祐介は素直に頷いた。
「言われてみれば、確かにそうだね。という事は出来る限り短時間で
信用を作らなければならない、という事か……」
祐介の言葉に頷く瑞穂。
「はい。……しかしもう策は出来上がっていると思いますけど?」
「……ばれた?」
祐介の言葉に、瑞穂は笑って頷いた。祐介は沙織に指示を出す。
「沙織ちゃん、出陣の用意を。兵数は五千。そのうちの三千は前回守備兵の中から選出しておいて」
「了解」
祐介は瑞穂にも指示を出す。
「間者をいくら使ってもいい。『長瀬軍出撃』の情報を広めておいて。
ただし、できる限り広範囲に、大げさに。かつ甲斐の山奥にも届く位大きい声で」
「わかりました。という事は出陣先は……」
瑞穂の言葉に祐介は言った。
「出陣先は美濃・尾張。僕の他には新城沙織、藍原瑞穂が出征する」
二日後、長瀬軍五千は小谷城を出立。目指す先は美濃、稲葉山城―――
新作乙
ということは長瀬、緒方、長森対渡辺、広瀬、清水みたいになるのか?
>>492 一概には言えないんじゃ?
少なくとも祐介は渡辺だけじゃなく緒方も意識しているフシがある
とは言え、この先の展開が楽しみではあるけど
地図見ると水瀬家と長瀬(祐介)が抜きん出てるのがよく分かるなあ
この二家はもう原典作品の勢力全部支配下においたし・・・
同作品同士で争ってるONEやコミぱや東鳩連中より幾分か有利だな
となるとホワルバ組全部抱えてる緒方家も結構いけそうだな。
渡辺攻めが上手くいけば全盛期の武田信玄の領土を獲得できるし
しかし祐くんは長瀬つながりで源五郎とか緒方家の七瀬彰とかと結んだりしないかな?
太閤検地のデーターから各勢力の大雑把な動因兵力算出すると
大庭家・・・27000〜8000前後
千堂家・・・15000前後
水瀬家・・・約5万
緒方家・・・16000
渡辺家・・・10000以上 深山家・・・7000 長森家 実質10000ぐらい?
長瀬祐介(直轄地)19000 瑠璃子 26000
那須家 10000
藤田家 5000 宮内家 5000弱 保科家 2000
岡田家 7000強 長瀬源五郎 10000 高槻 14000
他はたいして動きがないから省略。
太閤検地の時に比べると生産力の関係上、動員兵力は少し下がるかも
それにしてもこうして見るとやっぱり祐介と水瀬が突出してるなぁ
498 :
名無しさんだよもん:03/09/03 01:17 ID:S6SFvt24
ついでに言えば水瀬には佐渡金山、祐介には主要な交通路を抑えていることによる経済的利益がある。
やっぱこの二つが二強だな。水瀬は領域が広いので敵が多い。(とはいえ目下のところ敵は大庭家ぐらい)
祐介は旧月島領が完全に服従していないという課題があるけどね。
水瀬家の近くには自社勢力も多いし北国の雄、柏木家が不気味な沈黙を続けている。
たしか今は長年戦争漬けだったから内政に勤めてるはずだし、関東方面に割ける兵力は
そんなにないんじゃなかったけ?最強部隊ちゃん様機甲鉄砲隊もいるし、千堂家も虎視
眈々と機会を狙ってる。
それに引き換え祐介は畿内をほぼ掌握、目ぼしい敵は柏木家と備前の那須家で、ほぼ完勝
に近い内容だったために即座に群を動かして美濃尾張を手中にする勢い。
今一番勢力拡大しそうな勢力だな。将軍を擁した柏木家がなんとも怖いが当分動かないって祐介も言ってたし。
問題は知らない間に大坂(石山)本願寺をかすめ取られていた本願寺勢力だ。
>>500さんも書いているように北陸で大勢力を持ち、近畿でも旧仏教・日蓮宗と激しい
勢力争いをしている。
上層部は蓮如以来「王法為本」(俗世では時の支配者に従う、異説あり)を
唱えておりさほど好戦的ではないが、あまりないがしろにすれば対信長に
したように、生きるために徹底抗戦するだろう。また、最前線の門徒は
上層部ほど妥協的ではない。
このまま本願寺が黙っているとは思えないが………。
また、高野山も紀伊から長躯京都へ出兵できる実力を持った存在。
おそらく神尾家が総攻撃を受けたら一撃で消し飛ばされてしまうと思われる。
502 :
名無しさんだよもん:03/09/03 15:05 ID:VrxpZMlL
あんまし葉鍵関係ない勢力には出張って欲しくないなあ
高野山なんかはAIRで充分からみあるからいいけど
適当に互換できる勢力あったら互換して欲しい<本願寺
>>503 Routesに補陀落本願寺というのがでてくるよ。
作中設定ではかつて紀伊国熊野にあった寺で、源頼朝の建立。
でも浄土真宗以外の浄土教系宗派っぽい。
これ以上はネタバレしすぎになるので自粛。
長瀬軍は近江・美濃国境付近で軍議を開き、田中からの報告から始まった。
「とりあえず現在の状況はわかっているだけで以下の通りです」
美濃…長森勢 一千弱 × 広瀬勢 四千 長森勢 稲葉山城篭城
尾張…長森勢 四千弱 × 渡辺勢 一万五千強 長森勢 清州城篭城
遠江…渡辺勢 南明義 駐屯兵力は五千ほどと思われるが詳細不明
甲斐・信濃…おそらく出兵用意を整えていると思われる。兵力、侵攻先 一切不明
「今回の出兵は、美濃・尾張から反長森勢力を一掃し、長森と同盟。
近江以東からの侵略の危険性を排除する事、
最悪でも尾張から渡辺勢を完全撤退させる事を第一の目的にする。
そのつもりで何か考えがあったらお願い」
「え、美濃尾張の制圧じゃないの?」
沙織の言葉に頷く祐介。
「今、仮に美濃尾張を抑えても、緒方や渡辺との戦に発展して
こちらの戦力を消耗する事になるからね。それならば今、美濃・尾張を
抑える必要も無い。仁君と名高い長森瑞佳に治めてもらうのが、とりあえずは有効な策だよ」
祐介の言葉に瑞穂も頷いて、発言し始める。
「まず緒方ですが、出て来るとするならばおそらくは
駿河、遠江に同時進行してくると思われます。
家内を二派に分けて国力の増強を図ったとするならば、
出兵の際にも森川由綺、緒方理奈に別々の目標を設定してくるでしょうし」
「そうなったら、渡辺勢はすぐに駿河遠江に退却するんじゃない?
だったらそれまで待つのが良いんじゃないかな」
沙織が続けて発言するが、瑞穂は「多分、そうはならないでしょう」と言った。
「仮に緒方の侵攻があった場合、渡辺勢としては遠江を守備線とし
清洲を落とす、若しくは囲んだ後で援軍を遠江方面に送るでしょう。
美濃の状況は広瀬勢が有勢であり、仮に私達が広瀬を撃破しても、
尾張が一度抑えられたならば、再び尾張を落とすだけの戦力が長森にも
また、私達にも残ってはいないでしょう。それに緒方を叩いた後
尾張を足がかりにして、後日渡辺勢が美濃に侵攻する事は明らか。
その際に霧島、遠野、柏木と協力されれば私達は近江に足止めされる事になります」
そこで一息入れ、さらに続ける。
「もう一つの選択肢としては駿河を捨ててでも美濃・尾張を取る事に全力を尽くす事。
特に祐介さん自身が出てきた以上、渡辺勢がそういった動きに出る可能性があります」
「上洛途上の近江から総大将が出てきたことを、好機と捉えるかも知れないという事?」
瑞穂は「はい」と答える。
「捕らえるか戦死させる、あるいは軍勢を壊滅させればそれだけ
上洛への道程が速まる訳ですからね、渡辺勢としては。
また緒方にしても美濃を渡辺が抑えるという事は、三河と共に南信濃に対しての
牽制にもなりますから、あまり喜ばしくないでしょう」
「渡辺家が駿河を捨ててまで、そのような事をするかな?」
「やるとは思えませんが、やらないとも言い切れません」
「なるほどね」
「という事はつまり、緒方の侵攻前かつ清洲落城前に尾張に入るのが良い、という事?」
沙織の言葉に瑞穂は頷く。
「ですが、今度は戦う前に渡辺勢本隊が撤退し、本国の守護に戻る可能性が出てきます。
そうなれば、緒方・渡辺が共に疲弊し、結果第三国、特に水瀬の脅威が一段と増す事も考えられます」
「あ、なるほど……。という事はつまり?」
「要は緒方が本格的侵攻に出る前に尾張において渡辺本隊を叩くのが最上の策と思われます」
祐介は瑞穂の意見に大きく頷く。
「瑞穂ちゃんの意見は的を得ていると思う。だけど緒方の侵攻は今すぐにもありえる。
それを如何にして遅らせるか。せめて進行速度を遅らせる事が出来るかな?」
「……策があると言えばありますが」
「と言うと?」
「緒方の内紛の情報が欺瞞である事は恐らく一部の人間しか知らない事かと思われます。
仮に噂の渦中にある当人に知らされていないとすれば、打つ手は一つあります」
「それって何?」
「……遠江にいる南明義。彼が前線から遠江に戻されたのは
緒方英二による策略の結果である、という噂を流せば、あるいは……」
「……詳しく話してくれるかな?」
祐介の言葉に瑞穂はゆっくりと話し始める。
「緒方家の情報がここまで漏れなかったのは、逆に真相を知っている人間が
極端に少なかった事が原因にあると思います。もしかしたら当の本人達ですら
知らされていないのかもしれません」
「……という事は、さっきの噂が流れてしまえば。さらにそれが事実かも知れないと思わせれば」
「はい……。侵攻部隊の将兵に緒方英二への不信感が、
さらに結果として士気の低下にも繋がるかもしれません。
ただ、本人達が承知の上であったり、あるいは効果がまったく無いかもわかりませんが」
瑞穂の言葉に黙考する祐介。そこへ
「あの、ところで……」
と沙織が声をあげる。
「緒方は本当に動くのかなぁ?祐くん達のとり越し苦労っていう事は無いの?」
「うん、それなら別に良いんだ。ただ一応動いた時の事を考えた方が、
後で困らなくて済むからね。……僕も自分で考えておいて信じきってる訳じゃないから」
「そっか、そうだね。後で困るよりはいいか……ナルホドナルホド」
祐介の言葉に納得する沙織。祐介はそんな沙織を見て少し微笑むと、田中の方を向いた。
「と言う訳で、田中には遠江の方に行ってもらう。ついでに
渡辺勢の結束を弱められるような材料があるかも探って来て欲しい」
「わかりました、さっそく……」
田中は一礼すると駆け出していった。
「さて、次は広瀬だけども……」
「広瀬真希は元々美濃を根拠にした大名です。が……」
「確か、飛騨出征の隙を長森に衝かれて美濃を失った。……だよね?」
沙織の言葉に頷く瑞穂。
「はい。そのため広瀬真希の率いている四千の兵の大半は美濃の領民です」
「なるほど。と、いう事は状況不利と見たならすぐに四散する軍勢、という訳か。
せっかく故郷に帰ってきたのに死ぬのはまっぴらだからね」
「恐らくは。今、広瀬勢の士気が高いのは状況有利であり、勝ち戦だからでしょう」
「という事は広瀬の叩き方次第では、美濃の領民をも味方につけることが可能になるという事か……」
「はい。更に長森の信用も得易くなると思われます」
祐介はしばらく目を閉じて考えていたが不意に立ち上がると指示を出し始める。
「沙織ちゃん、広瀬軍と接触するまでに腕利きを百人ほど選んでおいて」
「うん、了解」
「細かい話はその後でするから。それと瑞穂ちゃんは軍勢を墨俣に移動させて」
「墨俣…ですか?」
「うん。広瀬勢との戦をそこで行う」
「……わかりました」
瑞穂は内心疑問にも思ったが、『何か策があるのだろう』と考えて返事をした。
「それと、広瀬との戦の後に瑞穂ちゃんには清洲城に行ってもらうことになると思う」
「わかっています。……必ずや同盟を成立させてみせます」
「うん、頼むね」
軍議が終ると長瀬軍は美濃国内に進入した。
軍議では言わなかったが祐介には一つ気がかりな事があった。それは
『緒方英二は僕達が美濃・尾張に進出する事すらも戦略に組み込んでいるのではないか』
というものだった。根拠の無い不安ではあったが、緒方英二という人物と自分とを比べた時に
どうしても自分が劣っているように思われて仕方が無かった。
(駄目だな、こんな事じゃ)
そう考え自分を叱咤するが、それでも不安は消えなかった。
>>500-502 本願寺ですか……忘れてた
でもあまり目立つのも困り者だしなぁ
自分なりに設定等考えてみますわ
相模・小田原城
「和樹様、八王子城の澤田真紀子様から伝令です。」
「・・・・・・通せ。」
「緒方家、駿河に動きました。」
「・・・ほう。して詳細は。」
「緒方家の総大将は森川由綺、以下参軍は篠塚・観月・寺田等総約一万との事。」
「・・・うむ。」
「・・・あの・・・まさか、出陣ですか?」
和樹の横に居た少女が心配そうに顔を見上げる。
「まさか、郁美ちゃん。そんな事は無いよ。」
「はい、そうですか・・・」
この少女は立川郁美という。今北武蔵で九品仏と共に動いている立川雄蔵は
彼女の兄である。
元々、心の臓を病んでいた彼女は、浪人時代から和樹を様々な形で支援してきた、
いわゆる今で言う「スポンサー」であった。
「でも真紀子サンはあの当主は頭良いから警戒しとけと言ってたけどね・・・
内輪もめしているように見せかけて、いきなり軍事行動かい。」
「緒方さんって人騙すの上手そうですね。」
「まあ・・・正直甲斐には手出せないけどね。」
和樹側としては、ここまで派手になった大庭家との戦いに決着をつけない限り
西進出来ない最悪の状態になってしまっていた。
しかも千堂家はあまり豊かでは無い。相模は川が無い台地が以外と多いので、
米の生産高が大庭家と比べると意外と低い。これは千堂家の最大の悩みでもあった。
「・・・待てよ?・・・そうだ。」「はい?」
「筆と硯を持ってきてくれ。あと足軽五百は箱根に移動だ。」
「え?」
「郁美ちゃん、助け合い精神はいつの時でも必要だよ。うん。」
「はあ・・・」
箱根・箱根神社。
「出陣じゃあああ!!目標は駿河興国寺城や!!」
その日のうちに兵が動いた。
箱根・伊豆を守る猪名川軍の騎兵三千が熱海を抜け、駿河に進軍を開始した。
それと同時に、緒方英二と駿河・相模の民衆に向け、次の内容の文書が通知された。
「此度の駿河の戦、緒方英二に大義在り、千堂和樹、微力ながら緒方軍を助け、
駿河の大敵渡辺茂雄を共に討ち果たさんとするものなり・・・。」
俗に言う、押しかけ援軍である。
熱海−−−−−−−−
「しかし由宇様、若し緒方家が援軍を断ったらいかがなさいますか?」
「その場合も・・・興国寺城を奪うまでや。」
「どうせ三千で駿府までは落とせへん。だが渡辺も東の何も無い支城まで援軍だす
余裕ないやろ。緒方だって何も味方ゆうてる勢力に攻撃する訳もいかんしな。
それに危のうなったら箱根に逃げれば十万だろうが百万だろうが防ぎきれる。」
「だけど、あそこはあそこで落としておけば箱根伊豆の両方の守りにはなるねん。」
武蔵某所。
「和樹さんは箱根の守りに一応兵五百を送って関所を堅く守るように指示を出したの。」
黒装束の娘は、九品仏の配下、立川雄三と親しく話していた。
「という事は今の兵力は・・・」
「そうだね・・・箱根に五百、小田原に一千弱、八王子に二千弱・・・あとは風見水軍の勢力が1千程度伊豆韮山を守ってるから・・・
出陣しているのはこれで9千、まあ残っているのは5千強という感じかなあ。」
「まあ、相模を攻める者もおるまいて。」「うん。」
「緒方に軍を送り、一気に駿河甲斐を領有させてしまえば当然緒方との仲も良くなるし、
背後の心配が薄れる。さらに・・・」
「水瀬秋子対策がかなりあると思う。」
「うむ。有事の際に上手くすれば信濃から上野に増援軍を要請する事も可能・・・」
「流石だよね、お兄ちゃん。」「半日で武蔵に移動とは動きが早いな、妹者。」
関東の猛将猪名川由宇、「緒方家に味方する形で」箱根の山奥より出陣。
駿河から相模に向かうルートである興国寺城をあわよくば取ろうという策略ですな。
まあ、こちらは当面放って置くとして大庭家編はまだまだ続く。
緒方家の本拠地甲斐国躑躅ヶ崎館、その大広間は通称『蛍ヶ崎の間』と呼ばれていた。
所々に展示された調度も然ることながら、圧巻なのは天井から襖に至るまで描かれた宙を舞う蛍である。
当代一の職人により金箔で飾り立てられたそれらはまるで本物であるかの様に輝き、見る者を感嘆させていた。
蛍ヶ崎の間はそれ故、大評定や他国からの使者の持て成し等以外に滅多に使われることは無かった。
しかし、今この大広間には三人の人物がいた。
当主の緒方英二とその家臣、藤井冬弥と澤倉美咲である。
「へぇ、長瀬が美濃に向けて出陣ね…… お忙しいことで」
「あくまで未確認情報ですよ、まだ何の確認も取れていません」
「いや、それだけで結構だよ」
そう言って英二はにやにやと口元に笑みを浮かべた。
(相変わらず何を考えてるのかちっとも解らない人だな……)
と冬弥は予々思っていた。
基本的に英二は自分の考えを口にすることは滅多に無い、あったとしても極一部の関係者位に対してである。
「俺らが長森家に送った使者もそろそろ着く頃だろうし、状況の変化を見てからでも遅くないって」
「はぁ……」
「それより戦局はどうなの?」
「その点は心配はないようです。最新情報では駿河侵攻軍は既に駿府城に迫ってるとのことです」
「ふむ、それじゃ予定通り進行中か」
「ところで澤倉さん、例の件はどうなってるのかな?」
そう言って美咲の方に英二は視線を向けた。
「えっ、でも……」
ちらりと冬弥を見る、この反応の限り二人の秘密事項の様だ。
「いいからいいから。そろそろ動きがあったんだろ?」
「あ、はい」
一息ついてから美咲は話し始める。
「行方不明の旧北越後領主久瀬氏、水瀬家に所領を安堵されている旧臣の高橋殿に
匿われているのを突き止めました。
既にお迎えの使者を送らせていただきました。今頃は信濃に入っているでしょう」
「そうかい、いや無事に見つかって良かったなぁ」
「……久瀬氏ですか?」
冬弥は疑問の表情を見せた。
(何で今更そんな人を…… もしかして……)
「そう久瀬氏だよ。いろいろと聞いてみたい事もあるからね」
先読みするように答える英二。どうやらこれ以上何も言うつもりはないらしい。
「とにかくご苦労様、藤井君に澤倉さん」
そう言って英二は立ち上がる、これにて話は終わりのようだ。
「今食事を運ばせるから。まぁ、ゆっくりしていってくれ」
「英二さんは?」
「あぁ、俺? ちょっとやんなきゃならない仕事があってね、残念ながら御一緒できないよ」
と半ばぼやく様に答え、最後に一言「それじゃ」と残して外へと消えて行った。
「美咲さん、今の話って何なの?」
「今のって久瀬氏のこと?」
「そうそれ。いきなりそんな話が出てきてびっくりしちゃったよ」
「私も詳しくは解らないんだけどね…… 確か水瀬家に久瀬家が滅ぼされてすぐの頃だったと思うわ。
突然英二さんが『城から脱出したと思われる久瀬氏を捜索、保護するように』って言って来たの。
でも本当にそれしか聴いて無いから目的とかはちょっと……」
「そうなんだ。英二さん、今度は何考えてるんだろうね」
そこまで話したとき、何となく会話が途切れる。
周りに目をやると細工された蛍の絵が蝋燭の火を受けほのかに輝き幻想的な雰囲気を醸し出している。
「今頃みんな戦場にいるのに…… こんなにのんびりしていのかな」
「そうだね…… 由綺ちゃんに七瀬君、はるかちゃんだって出陣してるのにね……」
(由綺か……)
冬弥は久しく会っていない恋人のことを考えた。
最後に話をしたのは夏頃だっただろうか、それも一言二言の言葉を交わしただけだ。
手紙でお互いの様子は伝え合っているもののやはりそれでは心細い。
(これじゃとても堂々と恋愛中だとはいえないよな……)
「ねえ、藤井君、藤井君てば」
気づくと美咲さんが心配そうに俺の顔を覗いている、そんなに深刻そうな顔をしていたのだろうか?
「やっぱり……由綺ちゃんのこと?」
「えっ?」
「あのね、私あんまり話すの上手じゃ無いからうまく言えないけどね……」
美咲さんは伏し目がちに、でもしっかりとした口調で
「大丈夫、由綺ちゃんも藤井君のこと……ちゃんとわかってるよ」
「……」
(そうだよな…… 俺がそんなこと考えてたら由綺に申し訳ないよな)
「ありがとう、美咲さん。俺、少し悩んでたけど……もう大丈夫だから」
その後、俺と美咲さんは他愛のない話をしながら食事を待った。
「それにしても遅いなぁ」
英二が席を立ってから彼此半刻、一向に食事が届けられる様子は無かった。
「美咲さん、俺様子を見に行って来るよ。英二さんのことだから伝え忘れでもしたんじゃ……」
その時、一斉に蛍ヶ崎の間に面する襖が開かれた。
「「……えっ?」」
そこに現れたのは完全武装の兵士達、その数およそ三十人。
「……えっと、皆さん、部屋をお間違えじゃないでしょうか?」
突然のことに驚きながらも美咲はぎこちない笑顔で兵士達に話しる。
「藤井冬弥殿…… 澤倉美咲殿……」
一歩進み出た男は美咲の声など聞こえなかったかの様に続ける。
「御二人に謀叛の疑いが掛けられております。取り調べを行いますので
至急、我等と共に御同行願いたい」
「「はっ?」」
冬弥達自身、驚くほど間の抜けた声だった……
「緒方様、御二人の身柄無事確保出来ました。手筈通り例の場所に軟禁します」
「ご苦労だった。勿論……誰にも見られていないな?」
「緒方家忍衆の名誉に懸けて」
「それならいい。二人の家来達には二人は特別な任務で出かけたとでも言っておけ」
「はっ、承知いたしました」
去って行く黒装束の男を後目に英二は一人呟く。
「“演出”が終ったんだから……いよいよ本番、“演劇”の始まり。そうだろ、青年?」
緒方英二―――その行動と目的は本人にしかわからない……
本家“甲斐の虎”といえば好色で有名だが・・読めないw
大名思考中
「何事よ!なんだって長瀬があたし達にちょっかいだしてくる訳!?」
長森勢を稲葉山城に追い込み、勝利を確信していた元 美濃大名広瀬真希は
昨晩の長瀬による夜襲に怒りを露にしていた。被害はほとんど無かったものの
勝ち気分を害された事と長瀬が自分達を攻撃してくる、
言い換えれば状況絶対的不利である長森に味方する、という不可解さ。
さらに自分がコケにされたといった思いが広瀬真希の怒りを高めていた。
「長瀬のクソガキは何処に行ったぁ!?」
怒りを隠そうともしない広瀬に伝令から『長瀬軍、墨俣に集結』という報告が届く。
「全軍を墨俣に移動!稲葉山を落とす前に、長瀬を壊滅させる!」
「お待ちください!今、稲葉山の囲いを解けば追い詰めた
長森勢が息を吹き返す事になります。ここは長瀬の動きから
目を離さないようにするのが最良の策かと……」
「五月蝿い!あたしに意見するな!!」
家臣(取り巻きとも言う)の意見を退けると広瀬真希は稲葉山の囲いを解いて
全軍を長瀬軍のいる墨俣に移動させ始めた。
一方、墨俣に着陣した長瀬軍四千は密集隊形をとって広瀬の来襲を待ち構えていた。
「広瀬は稲葉山を離れ、こちらに向かい始めたみたいだよ」
「そうか、とりあえずは上手くいってるようだね。昨晩はご苦労様」
祐介の言葉に沙織は手をあげて応える。
「百人集めて何をするかと思ったらこんな事させるとは思わなかったよ。
でも、どうして稲葉山を放っておいてまで、こちらに来るんだろ」
「うん。広瀬真希という人物の性格として、自分を支持しない者を認めないといった
ものがあると聞いていたからね。それ故に家臣や民百姓にもあまり好かれてないし、
行動を諌める人物も、さらに広瀬真希にも諫言を聞き入れる度量がなかった。
だからこそ長森が美濃に侵攻する隙があったのだけど」
「それとこれが一体?」
「つまり、少し派手めに挑発すればそれに喰いついて来る上に
周りにもそれを止めようとする、あるいは止められる人物が居ないという事。
それに、背後の敵を放っておいて城攻めを続けることも無いでしょう?」
祐介の言葉に頷く沙織。
「うんうん。……それと話は変わるけど」
「なに?」
「うん、この前の軍議での話」
「この前の?」
祐介は記憶を思い返していたが、やがて沙織が何を言いたいか思いついた。
「遠江に流した噂の事だね?」
「うん。本当に上手くいくのかなぁと思って」
「そうだなぁ……。とりあえず緒方の内部が分裂状態にある事は解かってるよね?」
「うん。でもそれは偽装なんでしょ?」
「当主とその周辺にとってはね。末端の兵士や豪族になると実際に分裂しているようだけど」
「それじゃ、噂になっている本人達も本当の事を知らせてるんじゃないかなぁ?」
「……そうかもしれないね。でも持ち上げようとする人が集まれば、本人にしても
その気にならないとも限らない。さらに当主の緒方英二にしても、そういった事を利用して
内政や軍備を精力的に行わせてきた訳だから、ある意味では当主公認な訳だけども……」
「だけども?」
祐介は竹筒の水を一口飲むと続けた。
「この場合、当主が考えるのは二人に出来る限り対等の条件を
揃えてやる事だと、僕は思う。そうでないと、二人の出す成果に
埋め様のない格差が出来てしまい、対立が続かなくなる上に
負けた方の権威が失墜してしまう。まして片方は当主の妹だからね。
そこの所は気をつけているはずだ、と思うんだけど」
「だけど?」
「今回の策はその『対等の条件を揃える』という所に揺さぶりを
かけようとしてるわけ。つまり敵の都合ではなく、当主である
緒方英二がその対立に介入した、という事になれば、どうなると思う?」
「えと、つまり今回の場合は遠江方面の部隊にとって都合が悪い事を
当主が行った、と受け取られる訳だから。…………あ」
「そう、つまり緒方英二は駿河方面にいる方を支持した、と受け取られる事に
なるかもしれない。もっとも、それで遠江の方が発奮して予想以上の戦果を
挙げる事も考えられるけどね」
「なるほど、よくわかった。でも実際どうなるのかな?」
沙織の言葉に祐介は頭をかしげる。
「そうだなぁ。仮に緒方勢に影響を与えても、遠江にいる南勢があまりにも脆ければ、
結果として意味がなくなるだろうし……。そもそも緒方勢に影響が出ないかもしれないし……。
まぁ、上手くいったら御慰みってところじゃないかな?」
「なるほど。そう言えば、対立しているっていう話なんだけど、その対立を
解消するために動いている勢力っているのかな?」
沙織の言葉に『ハッ』という表情を見せる祐介。
「……沙織ちゃん、昨日何食べたの?」
祐介は何か疑うような目で沙織を見るが
「……どういう意味カナ?」
沙織の笑顔にただならぬ雰囲気を感じ、慌てて咳払いをする。
「…ええっと、そう言われてみれば確かにそうだね。そう考える人も少なからず
居るかも知れないけども、それは緒方英二にとっては、不穏分子になる訳だから……。
閑職にまわされているとか、冤罪をかけられて追放というのもあるかも知れない」
祐介はそう言うと、ふと自嘲の表情をうかべた。
「……ここまでくると妄想の範囲だね。実際に緒方が動くかどうかも
わかってないっていうのに」
「……祐くん、この前言ってたよね。『一応、動いた時の事を考えた方が、
後で困らなくて済むから』って。それに、何もなければそれに越した事はないんでしょ?」
沙織の言葉に祐介は微笑んで「ありがとう」と言った。
そこへ伝令兵が入ってくる。
「申しあげます。別働隊は予定通り着陣しました」
「そうか」
「はっ。それと瑞穂様より言付けがございまして……」
「瑞穂ちゃんが?」
「はい。『緒方から長森に同盟の使者が来ないとも限らないので、軍勢は部下に任せて
一足先に清洲城に向かいます故、御武運をお祈りします』との事です」
「そうか……。言付け、確かに受けた。ご苦労様」
祐介の言葉に伝令は一礼して陣から出て行った。
「瑞穂ちゃんも流石だな。こちらに『勝て』と言ってるようなものじゃないか」
「勝つんでしょう?」
沙織の言葉に祐介は答えた。
「あちら次第だね」
いつも通りの表情で祐介はそう言った。
広瀬真希の性格、まだ漢との和解もない様ですし
とりあえずこの様なもので良いですかね?
>>527の部分 書き忘れがあったので差し替えます
「そうだなぁ。仮に緒方勢に影響を与えても、遠江にいる南勢があまりにも脆ければ、
結果として意味がなくなるだろうし……。そもそも緒方勢に影響が出ないかもしれないし……。
まぁ、上手くいったら御慰みってところじゃないかな?」
そう言った後、祐介は
「それにしても広瀬真希といい、緒方の二人といい、ある意味では
被害者なのかも知れないね。自分の意志ではなく、持ち上げている人に
自分を縛られている、という意味では」
と言った。沙織は祐介の少し悲しそうな表情を見て、話を変える。
「そう言えば、対立しているっていう話なんだけど、その対立を
解消するために動いている勢力っているのかな?」
沙織の言葉に『ハッ』という表情を見せる祐介。
「……沙織ちゃん、昨日何食べたの?」
祐介は何か疑うような目で沙織を見るが
「……どういう意味カナ?」
沙織の笑顔にただならぬ雰囲気を感じ、慌てて咳払いをする。
「…ええっと、そう言われてみれば確かにそうだね。そう考える人も少なからず
居るかも知れないけども、それは緒方英二にとっては、不穏分子になる訳だから……。
閑職にまわされているとか、冤罪をかけられて追放というのもあるかも知れない」
祐介はそう言うと、ふと自嘲の表情をうかべた。
「……ここまでくると妄想の範囲だね。実際に緒方が動くかどうかも
わかってないっていうのに」
「……祐くん、この前言ってたよね。『一応、動いた時の事を考えた方が、
後で困らなくて済むから』って。それに、何もなければそれに越した事はないんでしょ?」
沙織の言葉に祐介は微笑んで「ありがとう」と言った。
越前、柏木家。かつては能登・加賀・越中をも支配し、北陸の雄と呼ばれていた。
しかし当主である柏木耕平の没後お家騒動が起こり、柏木本家は妾腹の子で
ある柳川裕也によって、故郷の加賀を追い出されてしまう。現在は耕平の次男で
ある賢治が当主だが(長男は柳川家との抗争で死亡)、最近は病みがちで臣下の
前に顔を出さないことがほとんどである。
「のう、何故わざわざ落ち目の柏木を頼るのだ? 渡辺か那須では駄目なのか?」
そう疑問を口にするのは神奈備命、これまた落ち目の将軍家の姫である。月島
拓也と高野山僧兵の連合軍によって山城を攻められ、腹心の配下である柳也、
裏葉と三人で、北国街道を下る行商人に化けて都落ちの最中である。
渡辺・那須ともに勢力は柏木より高いし、上洛志向が高いため将軍家との交流も
比較的多い。神奈としては両家は柏木より馴染み深いのである。
「ま、普通に考えれば淀川を下って西方へ逃げるのが手っ取り早いんだが」
「当然、相手もこちらの行動を予測して網を張ってくるでしょうから」
相手の予想の裏を掻く、という考えは神奈にも理解できた。だか彼女にはまだ
不安があった。
「だが、いきなり見知らぬ我らが押しかけて、門前払いされたらどうするのだ?
水瀬を頼るのか?」
額にしわを寄せる神奈。その顔には「越後まで歩きたくない」という意図がはっきり
現れていた。
「それは大丈夫だろ、耕一はそこまで不義理な奴じゃない」
「こういち?」
「お忍びで街に出たとき、神奈様も幾度かお会いしております」
「こういち、こういち…… もしかして、あのぐぅたら男のことか?」
柳也の遊び友達で、ややだらしないがどこか憎めない男の顔が神奈の脳裏に
浮かんだ。
「そうだ。彼はあれでも柏木の嫡男だからな」
「あれが?! 確か、あやつは元服前からずっと京にいたのではなかったか?」
神奈が驚くのも無理は無い。耕一は柏木家唯一の直系男子である。人質として
差し出されたわけでなし、普通ではありえない。
「ま、家の事情というやつだろうな」
「柏木はお家騒動が絶えぬ家系でございますから」
柳也の言葉を裏葉もフォローしたので、神奈はそれで納得することにした。
「ふむ… あの男ならまぁ… いや、余を子供扱いしなければ…」
耕一としては郷里の従姉妹を思い出したのであろうか、神奈を可愛がった
のだが、彼女にはそれが不満だったようである。
もっとも、現状ではそれも贅沢な不満になるので、彼女は言葉尻を飲み込んだ。
前スレで止まっていた神奈様ご一行を書いてみました。
逃亡先の理由として実は顔見知りとしてしまいましたが、これくらいなら大丈夫
かな?
新作一杯乙
>>532 全然大丈夫でしょう、やっと進んでよかった。
それにしても関東から畿内は混沌としてるの
四国、九州平和だ
四国は坂神、犬飼が拮抗してそうけども
藤田、源五郎、那須のどれかが犬飼と手を組む事もありそうだし
九州は高槻の動き次第では他勢力も動き始める要素はある
どうなるかは職人さんに期待
「我が九錫の馬印を掲げよ・・・出撃!!」
早朝。霧がかすむ中、塚本千紗の号令によって、激戦が始まった。
塚本軍三千を河を隔てて中央に倉田軍、左翼に沢渡・右翼に川澄の3隊が囲む。
その中で、水瀬軍の最初の突撃は、左翼の沢渡軍であった。
「祐一なんかには絶対にまけないんだからあ!!!」
沢渡氏は意気揚々であった。
「・・・で、我々は戦場の真っ只中にいる訳だね。」
「そうですの。」
「・・・すっっっごく危険すぎる位置にいると思うんだが、どうだね藤野君。」
「・・・・でもこういうとこ嫌いじゃない・・・」
○書いて、す。
この珍妙な旗を掲げた足軽6名は、塚本軍の百歩位前、河の手前の枯れた葦の生えた
河原に陣を曳いていた。いうなれば、最前線、である。
「おじいちゃん、ここだと左右どちらからの攻撃も受けちゃいますよ・・・」
「だからこそ選びましたの。」
「・・・まあ確かにそうかもしれませんけど・・・」
「皆さん、良いですの?ちゃんと打ち合わせの通りしてくださいですの。」
「・・・貴殿も。」
「ぱぎゅう。」
「いろいろ制約があるんだねえ。」耳が兎のような形をした、そのやせぎすの男は呟いた。
開戦直後。
水瀬軍総大将・倉田佐祐理の陣に小さい異変が起きた。
佐祐理の陣中で小さい爆発音が起きたのだ。
「何事ですか?」
「佐祐理様、どうやら足軽が火薬の扱いを間違い、火薬の樽に引火させてしまったようです。」
「あらら。」
「佐祐理、どうした。」
「あれ?舞、わざわざ駆けつけたんですか?」
「・・・爆発音がした。」
「あははー、大丈夫ですよ〜ちょっと足軽がドジを踏んだ・・・
「・・・今、少し足軽全体が浮かれすぎてる。」
「はえ?・・・まあ、勝ち戦が続いてますからねえ。」
「少しの失敗が惨事を生むこともある。最後まで気を抜いたら駄目だ。」
「あははー、やはり舞は凄いですねー」
「大将の命令一つで、幾千もの兵を活かしも殺しもする。一回檄を飛ばした方がいい。」
「そうですねー」
「佐祐理様、沢渡軍の動きがおかしいです。」
「・・・はえ?」
「なんか大急ぎで戻ってきています。」
「佐祐理様、沢渡軍の兵士が佐祐理様に火急の用件との事!」
「?」
沢渡軍の格好をしたその兵士が急いで駆け込んできた。
「佐祐理様、大変です!!我が主、沢渡真琴が突如大庭詠美に寝返りました!」
「・・・はえ?」
「至急・・・至急迎え撃つ準備をお願いします!!敵は間近です!!」
「そんな馬鹿な・・・」
その時、別の伝令が入る。
「大変です!!沢渡隊が我が軍に発砲してきました!!」
「はええ?!!」
「急いで応戦の準備を!!」
「某はこのまま川澄軍に状況を説明しに参ります!!それでは失礼!」
その兵士はそういうとすぐに翻り、去ろうとした。
「待て。」
「は?」
舞は、そういうとその兵士に近づくやいなや、
本陣に突如、血飛沫が飛んだ。「・・・!!!」
伝令の兵士は、舞の剣によって袈裟懸けに切り裂かれ、そのまま息絶える。
「・・・やられた。」「はえ?」
「敵の間者だ。」「・・・あ・・・」
「華麗なるワルキューレ騎士団長、月城まゆ、見参!!水瀬家大将・沢渡真琴!いざ尋常に勝負せよ!!」
河の中に真っ先に飛び込んだ対沢渡の大庭軍は、月城まゆが率いる女騎兵団四百、戦国武将には珍しく、
小型盾を装備し、小弓を連発するという蒙古の方式を取り入れたまゆ独自の騎兵団だった。
「あうーーーーーーーーーー!!!あんたなんか、あいてにしてるひまないのよう!!」
「真琴様!!!!!後ろの敵勢はわずかです!!ですので早く佐祐理様を!!」
「そんなことゆったって河の中じゃ思うようにうごけないのよう〜」
「真琴様!!!」「あうーーーーーーーーーーーーー!!」
河の手前、すばるの陣からはその様子がよく見える。
「あれ?左翼の真琴が止まってしまいましたの。」
「混乱してますな。」「同士討ちだね。」
「あの女部将、掛け声は良いが戦う気はなさそうだな。」国崎が切り出した。
「んーーー、なんか大将が複数居るね。百人程度の部隊が四つと言ったほうがいい。」
ハクエンクア:「すると、どれかが本物で、後の三人は影、弓だけ撃って逃げる役か。面白いねえ。」
美凪:「・・・あれ、全部影です。」一同:「へ?!」
美凪:「月城本人は回り込んで・・・何名かの足軽と共に・・・後方から真琴軍に入ってました。」
国崎:「月城本人が?」美凪:「そのようです。」
「何故そんな面白い事が解るんだい?」ハクエンクアが聞いたのも当然だった。
美凪はおもむろに懐から何かを取り出した。望遠鏡である。
「・・・遠方のモノはコレでだいたい見れます。」
「・・・?」
一同はイマイチ腑に落ちないが、どうする事も出来なかった。
一万対三千。昼になっても河の中での死闘は続いていた。
月城まゆが率いる大庭軍唯一の騎兵「ワルキューレ騎兵隊」はその特殊な小型盾と小弓を操りつつ、
5倍の兵力を持つ真琴軍足軽2千を四百で翻弄していた。死者の数はまだ50人に満たないが、
真琴側の兵力の損失は400を超えてしまっていた。
しかし、中央の塚本軍は、やはり圧倒的な兵力差に徐徐に兵力を失い、後方に下がってきた。
「皆の者!!河原を一気に突破するのです!!」
佐祐理の檄が飛ぶ。塚本軍は元いた河原の陣のところまで戦線を下げざるを得なくなってきた。
「・・・来ましたの。」
横目で逃げる兵隊を見ながら、すばるは呟いていた。
「・・・やっと来ましたな。」
「・・・もうそろそろだな。」
国崎は、30丁近くある鉄砲のうちの一つを持った。
「まだまだ・・・川澄の部隊が来てからですの。」
「一気に押しだせい!!塚本の首を上げよ!!」
水瀬軍の部将の声が聞こえるところまできていた。
「・・・・・よし!!国崎殿、手はずの者に指令!」
「了解!!」
往人は持っていた照明弾を打ち上げた。
直後、○書いて「す」の旗から、銃弾の音が響いた。
河越えを果たした先頭・川澄軍の騎馬の足元が突如爆発した。
「遠野!」「はい!!」
用意してあった種子島を、国崎は次から次へと射撃した。
とたんに、河原に仕掛けてあった地雷から次々と爆発の火の手が上がる。
「・・・どうした。」
「突如、河原が爆発しました!!!」
「・・・まさか・・・何か火薬でも仕掛けてあったか。
・・・一回河原から引き、体制を整える。」
「無理です!!後ろから佐祐理隊が突撃してきます!!」
「・・・!!」
国崎往人が放つアルクェイド銃の銃弾は、地雷の効果も受け、次々と爆発した。
「・・・見事。」「ふっ」
ゲンジマルは感慨深そうに見ていた。
「投げ鉄砲、準備できました!!」
「!・・・成る程・・・良し・・・行くぞサクヤ。」
「はい!!」
「投げろ!!」
刹那。
枯れた葦の生えた河原は、一気に炎に包まれる。
「! これは・・・」
「これは・・・火薬です!!火薬を使っておりまする!!!」
「・・・!!」
「地雷・・・です」
昨晩、サクヤと美凪の二人は、残った国崎に付き従う水軍衆十数名の力を借り、河原全体に罠を張っていた。
諸葛孔明も南蛮で使ったという地雷の罠。そして河原全体を一気に焼き尽くすように仕掛けた火薬の配置。
全てアジアでの海戦や忍術で彼女らが身につけていた技術の一つ。
「でも、大老、このままではこちらにも火がやってくるかも知れません・・・」
サクヤが言うやいなやゲンジマルは近くの葦を切り裂き、火をつける。
「・・・これでいいのであろう?」
先に火を燃やし、向かってくる火を止める、「迎え火」であった。
「はいですの♪」逆向きに、すばるも同じことをやっている。
「計画通り、川澄隊は混乱。突撃するなら今が好機。」
「・・・・正直・・・計画以上ですの。」
先手を打った川澄隊は先ほどの爆撃で混乱し、さらに火の壁が襲い掛かる。
その上にさらに後続の佐祐理隊の突撃が襲い掛かる、その2重の混乱によって川澄の部隊は予想以上の
混乱をしていた。
逃げる塚本隊は、火炎に巻き込まれているかに見えるが、ある程度は先ほどの水軍衆によって
逃げ道を先導されているはず。先ほどの狼煙はソレを示す合図であった。
「では・・・国崎殿、ハクエンクア。貴殿たちはここで援護を。」
「承知!」
「・・・行きます。」美凪が白銀の鎖を取り出す。「はい!!」サクヤが答える。
ハクエンクア:「おお、健気な女の子達だねえ。」
国崎: 「・・・・・・・・・・・・おまえも戦え。」
ハクエンクア:「・・・・・・や。」
大庭さんとこは忠誠バカ低いので心情描写が多すぎ、
そのため戦がなかなか進まないのが難点なんですが、
あともう少しですなあ。これが終わるのも。
ちなみに千堂家:
相模・下総で玲子対瑞希戦も進行中且つ
猪名川軍の駿河侵攻(緒方援軍)+九品仏軍微妙に西進。
澤田軍二千は八王子・高尾周辺で緒方軍の警戒に突入。
大庭家:下野宇都宮・大庭詠美軍南進+
下総小弓城・塚本・御影軍南進・
同 芳賀玲子・星野軍 牧村軍と交戦
こみパ陣営で動いていないのは和樹と出てないあさひ位。
>>542 まゆは夢路で月城は夕香ですな。
まあ、あの三人判りにくいから仕方ないですが。
.´ `v^) ____________
〈(ハ从ノlハミi((. /
l人´д`l从 )) < ・・・ひょっとして間違ったか?
/ y/ ヽ( \
(⊃ ⊂[_ノ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(ノノノ | | | l ) 確認シテモスグ忘レル。
※1:確か、アイヌ服着ている奴=夢路まゆ ワルキューレもどき=月城夕香 のはず。
※2:どうでもいい間違えだが、武安国萌えは、実はまゆだ。
※3:
>>543 本音言うと、正直、星野美穂しか確実な記憶が無い。
>>35 そゆことしてると中立だったりアメリカが好きだった人までアメリカを
嫌いになるのに……。わかってないんだろうね、アメリカ人は。
ごめん…、dでもない誤爆。
>>544 ※1が逆だと思います。
普段メガネでアイヌが夕香、おさげソバカスなワルキューレがまゆのはずです。
大名思考中……
>>547 .´ `v^) ____________
〈(ハ从ノlハミi((. /
l人´д`l从 )) < ・・・いいや、まあ。
/ y/ ヽ( \
(⊃ ⊂[_ノ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(ノノノ | | | l ) 所詮大勢ニ影響ナシ
とりあえず話は続く。
「いったいどうなってるんだ?」
渡辺軍一万五千に包囲されている清洲城の大広間、そこで折原浩平は一人唸っていた。
原因は渡辺軍から先程届けられたばかりの勧告状である。
勧告状は包囲が始まった日から既に何通も送られて来ていたが今回の物は様子が違っていた。
それまでは『尾張・美濃の放棄、ならびに人質の提出を強く求める』の一点張りだったのが
『清洲城を放棄し連絡路を譲れば今すぐに和平を結び捕虜も解放する、しかしこの案が呑めなければ
明日早朝にでも総攻撃を開始する』と急に態度を変えてきたのだ。
「はてさて、どうしたもんかね」
浩平は瑞佳に受け入れを勧めるべきか悩む。
相手方にどんな事情があるのかは知らないがこれは好条件である。
清洲城は四千で籠城となっているが実際は城下の避難民や負傷兵が多く
それを除けば兵員は二千残ればいい方なのである。
七瀬、里村らが城内にいない今、総攻撃をかけられたら三日耐えられるかどうかもわからない。
占領される清洲城付近だって長森家の地盤が強いのだ、戦力が整えば奪還することも可能であろう。
「やっぱり…… 受け入れるべきだな」
そう決意を固めた時である。
「失礼いたします」
見張りが入ってくる、一人の男を連れて。
「城内に見慣れぬ者が居りましたので問い詰めましたところ……」
と言って懐から手紙の様なものを取り出す。どうやらその男が持っていたものらしい。
「これは……」
それを読むなり表情を変える浩平、そしてすぐに命令を出す。
「皆をここに呼んでくれ! 今すぐにだ!」
「外じゃそんなことが……」
男が持っていた手紙の様なもの―――緒方家からの書状の内容はすぐに長森家重臣に伝えられた。
「我等が渡辺家の横暴を抑える為に駿河・遠江に出兵したこと
そして、緒方様は長森家との同盟を望まれていること……納得して頂けましたな?」
男に視線が集まる。勿論その男は緒方家の者である。
「同盟の議、御承知なさることを当家は切に願っております」
「異存はないです……けど」
瑞佳には心配していることがあった。
「もし同盟を結ぶことになれば先に渡辺家が送ってきた勧告を拒否することになります。
そうなると…… もしかしたら捕虜になっている里村さんや兵の人達が……」
「危害が加えられる恐れがあると?」
こくんと頷く瑞佳。
「その心配はございません」
いやにはっきりと使者の男は言った。
「捕虜になっている兵はすでに解放されています。
はっきり言いましてそのまま捕虜にしていても邪魔になるだけなので当然の行動でしょう。
また重臣級の方々ですが渡辺軍に侵入させている忍びの者によると渡辺殿は全く手を出すつもりは無いようです。
いくら敵対していると言っても元々皆様は渡辺家出身です、色々と考えるところがあるのでしょう」
「……」
「どうか、御承知願います」
「わかりました」
瑞佳は決断を下す。
「当家は緒方家と同盟を結びます」
「御承知いただけましたか」
使者は深々と頭を下げる。
「今は戦時下ゆえゆっくりと話し合いも出来ませんがいずれ正式な使者を送らせて頂きます。
あと最後に一言、これは長森殿への緒方様の私的な御忠告なのですが……」
顔を上げ瑞佳を見据える。
「最近勢力を伸ばしている長瀬家にはゆめゆめ油断なされぬように……」
そう言って使者は立ち去っていった。
「そうか。勧告は拒否されたか……」
長森・緒方の同盟が締結された翌日の渡辺軍本陣、そこで髭は呟いた。
「もしや情報が露見していたのかもしれません」
「今となってはどうでもいいことだ」
南からの急を報せる手紙が届いたのは昨日の昼頃であった。
報告によると突如緒方軍が本国に侵攻。既に駿河戦線は崩壊、遠江戦線も非常に苦戦しているとのことだ。
家臣団は皆早期の撤退に賛成したが問題は清洲城である。
今にも落ちるような城を諦めるのはあまりに惜しい、しかし一刻も早く撤退しなければならない。
そこで髭は賭けを行う。大幅に譲歩した案を出し清洲城の明け渡しを迫ったのだ。
もし成功していれば尾張に楔を打ち込むことができ、何時の間にやらやって来た長瀬軍を気にすることがなく
本国に帰れる筈だったのだ。
「諸君、こうなった以上我々は一刻も早く本国に帰還し緒方軍を追い返さねばならない」
髭はいつになく厳しい表情で話始める。
「問題は迫り来る長瀬軍である、このまま尾張を通過し背後を突かれたら我が軍はひとたまりもない」
勿論、広瀬真希など当てにしていない。
「そこで尾張に兵を残そうと思う。……深山君、やってくれるな」
「……はい」
「何も君だけを残すわけじゃない。氷上君、清水君も加わってもらう。兵力は四千だ」
「どこで迎撃しますか?」
「三河に侵入されなければ何処でだってかまわんよ」
雪見の言葉に髭は静かに答える。
「難しいことを頼むようだがこの戦いには渡辺家の命運が掛かっている、よろしく頼む。
もしも負けたら……本国にいる川名君の身にも危険が及ぶやもしれん。その辺のこと、よく考えてな」
かくして渡辺軍本隊は撤退を開始する、本国の危機を救うために。
渡辺家尾張残留軍、陣容は次の通り
大将、深山雪見 軍師、氷上シュン 以下上月澪、清水なつき
兵力四千……
祐介先越されたな
しばらく英二の独壇場になりそう
まぁそりゃじっくり機会を覗ってたんだし
一応アップ完了しました。次は掲載順に並べてみるかな
広瀬真希は稲葉山城の囲いを解いて墨俣に急行した。
「急げ!敵将、長瀬祐介の首をとったならば褒美は望みのままぞ!」
将兵を叱咤して墨俣に向かう広瀬勢にさらに情報が届く。
「長瀬勢は長良川を背後に布陣しているというのね?」
物見の言葉に口元を歪ませる広瀬。
「ちょうどいいわ、長瀬の孺子(こぞう)を長良川の魚の餌にしてくれる!」
一方、孺子の陣営……ではなく長瀬の陣営では報告の通り、
長良川を背後に布陣していた。
「申しあげます。広瀬勢が進出。我が軍正面に集結しつつあります」
伝令の報告をうけると祐介は指示を出す。
「先鋒の新城沙織に連絡、手はず通りに攻撃を開始。
その他の者は陣形を崩さぬ様に百歩前進」
先鋒が動き出すと同時に、全軍がゆっくりと移動を開始した。
「よ〜し、敵の先頭部隊を蹴散らすよ!突っ込めぇっ!」
指示を受けると、沙織は手勢を率いて準備不十分な広瀬勢に襲いかかった。
行軍中に陣容を整えていなかった広瀬勢先鋒は新城勢の攻勢を抑えられず
たちまちのうちに蹴散らされてしまった。
「無理する事ないよ!適度に退きなさい!」
敵勢をある程度後退させると、沙織は敵の主力が到着する前に退いた。
沙織が退き本陣に合流した直後に、広瀬勢の大半が戦場に到着。
部隊を再編制させると、直ちに攻撃をかけてきた。
「長瀬軍を川にたたき落とせぇっ!」
大将・広瀬真希の檄に兵の士気も盛り返す。
広瀬勢の攻勢に長瀬勢は僅かづつ押され始めた。
「よし!このまま押しこめぇっ!」
戦は広瀬の優勢に傾きつつあった。
「ふうん。意外とやる気だな、あちらは」
戦況を後ろから眺めている祐介は『順調に』押されつつある様子を
可も無く不可も無し、といった表情で見ていた。
(もう少しでこちらを取り囲もうとするだろうな……)
祐介は自軍と川との距離を見ながら思った。
「徹底的に押して押して押しまくれぇっ!」
広瀬真紀は順調に長瀬勢を長良川に押しやっている事に満足していた。
「噂に聞いた程じゃないわね。どうやら畿内での話は嘘か まぐれか
どっちかって所かしら?」
広瀬真希は戦況を見据えていたがふと何かに気付いた。
「そうね、逃げ道を無くしてやるというのも良いかしらね」
広瀬は軍勢をいったん下げると軍勢を左右に伸ばし、
長瀬勢を半包囲する陣形をとった。
「一気に決着をつける!突っ込めぇ!」
「敵は我らを包囲しようとしています!」
祐介の所に前線からの伝令が届く。祐介はそれを聞くと指示を出した。
「よし。全軍突撃、敵陣の中央を突破する」
祐介の指示と共に先程まで退いていた軍勢が息を吹き返した様に
前進を始めた。それも速く、さらに陣形を崩さずに。
「敵が突っ込んできます!」
「何ですって!?」
広瀬の表情に焦りの色が出る。先程まで劣勢だった敵軍が
うって変わって攻勢に転じてきたのだから無理も無い。
しかも『勝った』と考えていたので頭の中で状況を掴むのに時間がかかった。
「中央部を突破されました!」
「背後で左右に展開しています!このままでは我々が包囲されます!」
広瀬真希が状況を掴むよりも状況の変化の方が早く
さらに指示を出すのが遅れた。
「ぜ、全軍を集結させなさい!敵が後ろにまわったのなら、
その敵陣を突破して、もう一度位置を入れ替えるだけよ!」
長瀬勢が攻撃を始めると、広瀬は全軍に指示を出した。
「敵が集まり始めたな……。鉄砲隊用意、合図と共に撃て」
少し離れた所から弓矢で攻撃する長瀬勢に対し、広瀬勢は
再び軍勢を集結させて、魚燐の陣を敷き始めた。
「今だ!目標、敵陣先端!撃てぇっ!」
その瞬間、河原に雷の様な轟音が轟いた。
「ひ、ひいいぃぃっ!」
「ぐわぁっ!」
兵士が集まっていた所に鉄砲が放たれ、集結していた広瀬の兵士は
恐怖のあまり散り散りに逃げ出そうとした。だが既に長瀬勢は
広瀬勢を半包囲しており、逃げられるのは川の中という状況に追い込まれていた。
「くっ……、始めからこのつもりで布陣していたというの?」
広瀬はそう呟いて、それでも全軍に檄を飛ばし、突っ込もうとしたが
敵陣から矢・鉄砲や鬨の声の代わりに別の声が聞こえてきた。
『故郷を目の前に命を落とすな!』
『武器を捨て降る者は助ける!』
『死にたくなければ、降伏しろ!』
『これ以上の戦いは無意味だ!』
等といった言葉に広瀬の兵は次々と顔を見合わせた。
そしてある者は武器を捨て、ある者は鎧をもうち捨てて、
怪我をした者は複数人で担いで、それまで戦っていた相手に向かって走り始めた。
「な、何をしている!降伏など許さん!かかれ!攻めかかれぇ!」
広瀬真希は檄を飛ばすが、その声に反応する者はおらず
殆どの者が長瀬勢に投降しようと駆けていた。
その中には美濃以来の顔見知りも多数混じっていた。
「くっ、チクショォォォ!」
広瀬真希は鞍をたたいて絶叫した。そして、わずかに残った
数百人と共に尾張にいる渡辺勢を頼って退却する事になった。
「クソッ!クソッ!」
尾張に向かっている途中にも脱落していく人数は増えていき
自分の周りにいるのは僅か百名にも満たない人数になっていた。
(何故!?私の何があの小僧と比べて違っているというの!?)
逃げながら心の中で悪態をつき続ける。と、その時であった。
突如、道の四方から鬨の声があがった。
「それっ!敵は殿の策におちたぞ!」
「広瀬真希をひっとらえろ!」
「殺すな!出来る限り捕縛しろ!」
たちまち広瀬勢は取り囲まれ、ある者は観念し、またある者は討ち取られた。
「くそっ!くそうっ!」
広瀬真希も一人でも突破しようと試みたが、長瀬勢の包囲の前に
力尽き、捕縛される事になった。
「さて、どうしようかな?」
引っ張り出されて来た広瀬真希を前に、祐介は空を見上げる。
(な、こんな奴にこのあたしがしてやられたというの!?)
思い描いていた長瀬祐介像とのあまりのギャップに広瀬真希は声を失った。
「目の前にいたアイツは歪んだ笑顔の悪役ではなく、カワイイ年下の男の子だった、と」
「………沙織ちゃん、変なこと言わないで」
祐介はため息交じりに沙織にツッこむ。
「で、どうするの?連れて歩くのもなんだし……」
「そうだね……。稲葉山城の人に預かってもらおうか。元々美濃の人なんだし」
「それじゃ早速……」
広瀬真希はそのまま稲葉山城に送られていった。
「怪我人の方はどうなってる?」
祐介の言葉に沙織は
「怪我人は敵味方合わせて相当数いるけど、死者は二百人もいってないって」
と報告した。
「そうか、敵味方の死者の数は規模にしては少ない方かな?
……尤も、戦わずに済めば、それに越した事は無いんだろうけど」
祐介と沙織が話していると伝令兵が来た。
「申しあげます。お目通りしたいという者が来ておりますが……」
「誰だい?」
「七瀬留美、と名乗っていますが」
「……七瀬、留美?」
祐介は記憶を辿っていたが『誰だっけ?』という表情を沙織に向けた。
「……長森家随一の猛将だよ。忘れたの?」
「……ああ。『漢七瀬』のことか」
祐介は思い出すと、すぐに自ら会いに向かった。
今回も戦のシーンが長く書けないなぁ、と言ってみる
>>FARE-M氏
更新乙です
ちなみに、中国の歴史は、
ザナドゥ古代王朝→ウィザードリィ→ドラゴンスレイヤー→イース→・・・・?
夏 殷 周・春秋戦国 秦
で、ローマ帝国は泣く子も黙るドラゴンクエストです。
FFは東ローマあたりでどうでしょうか。
正直この2つの流れである程度ゲームの型が決まったようなものなので、
「帝国を作った」といっても過言では無いでしょう。
で、ローマ帝国は泣く子も黙るドラゴンクエストです。
正直この2つの流れである程度ゲームの型が決まったようなものなので、
「帝国を作った」といっても過言では無い。
大陸との通商の関係で、Filsnownも当然出てきます。
というか、彼らが白村江の戦いなどで歴史に最初に登場する軍隊になるはずです。
この形なら、彼らがそのまま薩摩隼人になってもなんの不思議でもありません。
エヴァがモンゴル帝国。問答無用の影響力です。
そんな事いったらガンダムもアリかも知れませんが。
さすがにそこまで考えなくても、全部エロゲーでいいじゃんという気がする。
一方、駿河遠江にて間諜活動を行っていた田中は、
遠江での『噂』を広げる活動を部下数名に任せて自分は駿河に移動していた。
三河で得た情報『深山家は渡辺家に人質を送っている』という内容を確認、
そしてその人質を確保する為に駿河 駿府城に向かっていた。
駿河・遠江ともに緒方の軍勢が侵攻しつつあり、ゆっくりとしている時間はなかった。
(さて、と)
草木も眠る丑三つ時。駿府城内に忍び込むと田中はまず城内の様子を探り始めた。
(兵士数は、……意外と少ないな)
田中は見張りに気付かれない様、慎重に城の奥深く侵入した。
(どうなっているんだ?本城にしては、しかも、戦時にしては守りの兵が
あまりにも少なすぎる)
田中は城内部の人数の少なさに逆に懸念を示した。
(侵入がばれている?……いや、それならば既に捕まっている筈だがな)
田中は駿府城内の部屋を探れるだけ探ったが、収穫と言えるものは何もなかった。
(おかしい。人質であるならば、それなりの場所に幽閉なりするものだが)
田中は地下牢屋にも行って見る事にした。
牢の前には番が二人ほどいるらしく、足音や話し声がしていた。
(さては……)
田中は懐から細い筒を取り出し、そこに細い矢を装填する。
タイミングを見計らって番兵の前に飛び出し、口に含んだ筒に
思い切り息を吹き込んだ。
ヒュッ
ヒュッ
「うぐっ!」
「がっ!」
二人は首元にそれぞれ矢をうけて倒れた。
「田中屋特製の睡眠薬だ。よく眠れるうえに朝の通じにも効果がある」
寝息をたてている二人の側を抜け牢の中を覗いたが、そこには誰もいなかった。
(…………なんで牢番を二人も置いておくんだ?薬代が……)
田中は薬代を徴収しようとしたが、二人とも一銭も持っておらず
更にやり切れないものを感じた。
田中はその後も行ける所をしらみ潰したが、成果はなかった。
(どういうことだ?もしや別の場所に移されたのか?)
既に日が昇り始めようとしていた。そこに
(……うん?あれは……)
ちょうど食料が溜め込まれていた場所に人が入っていくのが見えた。
(朝餉の時間にしては、妙だな……)
田中はすぐにその人影を追いかけた。
(確か、この中だったな)
食糧倉庫内に入ると隅の方から人の気配がした。
(……こっちか)
田中は気配を殺して進んだ。
「う〜、皆でご飯隠しちゃうなんて極悪人だよ〜」
何か大きい声で独り言を言っている。田中は後ろから声をかけた。
「何を、してるんだ?」
声をかけられた方は突然の声に体を震わせた。
「あ、えと、別に怪しい事してないよ」
「……こんな時間にこんな所にいるだけで、それなりに怪しいと思うんだが?」
「う〜、意地悪だよ……」
(……何故だ?)
田中は自分が悪い事しているような錯覚に襲われたが、それをふり払う。
「とりあえずこっちに来い。暗くてよく見えない」
相手は少し戸惑った様子だったが、すぐにこちらに歩いてきた。
外から僅かに入ってくる光がその相手を照らす。
(……女?)
長い黒髪の綺麗な女性だった。どこか冷めているのは冷たい瞳のせいだろう。
それでも軽く微笑んだ表情には暖かさがあった。
「どうしたの?」
「……え、い、いや」
少し見惚れていた自分に、ここは敵地だと自分に言い聞かせる田中。
「聞きたい事があってな。ここに深山家からきたと言う人物を
探しているんだが、知っているか?」
「うん。知ってるよ」
「何処にいるんだ?」
「多分、私だと思うよ」
「……何?」
相手の意外な言葉に田中は少し動転した。が、すぐに冷静を取り戻す。
「それで、私に一体どんな用があるのかな?」
「その前に一ついいか?」
「何?」
田中は息を整えるといった。
「人質がどうして簡単に動き回れるんだ?」
「人質って、誰が?」
「……あなた以外にいるのか?」
「私はそんなのじゃないよ。ただ雪見ちゃんが「ご飯が一杯食べられる所に
連れて行ってあげる」って言われてここにいるだけだよ」
(……それも人質じゃないのかな?)
「おかげで毎日お米を一俵食べても怒られなくなったよ」
(……『人』質ではないかも知れないな)
田中は少し頭が痛くなったが、自分の仕事を思い出して言った。
「しかし、そうなら話が早い。ここを出るぞ」
「え、朝ご飯食べてからじゃ駄目?」
「……今、この城は緒方英二の軍勢に攻められようとしている。
脱出するなら早い方が良い」
「え、そうなの?誰もそんな事言ってなかったから、知らなかったよ」
おっとりした雰囲気で話す女性に田中は頭を抱えた。
「……頼むから少しは焦ってくれないか?」
「でも、あなたがここから連れて行ってくれるんでしょ?」
「そうだが……」
「なら大丈夫だよ。悪い人の雰囲気じゃないし。
私、目は見えないけど、人を見る目はあるつもりだよ?」
「……第一印象で全てを判断するんじゃない」
田中は『目が見えない』という言葉を流した。噂には聞いていたが
いま自分の仕事にとって相手の目が見えるか否かは
さほどたいした意味がないというのもあるが、同時に薬師としての自分に
その症状を治す知識がなかった事も、相手の言葉を流した理由の一つでもあった。
田中は外の様子を見て、言った。
「もう良い。急ぐからそのままの格好で行こう」
「うん。でも何処に行くの?」
「何処に行きたい?」
「そうだね……。雪見ちゃんや澪ちゃんがいるところが良いかな?」
「……わかった。急ごう!」
田中はその女性を連れて駿府城を脱出して、近くに留めていた馬に乗った。
「残念ながら二人乗りだ。馬が無かったのでね」
田中はまずその女性を乗せると自分も飛び乗った。
「そう言えばまだ名前を聞いていなかったな。なんて言うんだ?」
「私は川名みさき。あなたは?」
「田中でいい」
「『田中でいい』?スゴイ名前だね……」
「もういい……。喋ると舌かむからな!」
田中は川名みさきと共に駿河から三河に馬を走らせた。既に朝陽が昇っており
遠くには緒方の大軍が見えた。が、田中は三河に向けて馬を走らせ続けた。
(深山家の人質を深山家に戻す。そうする事は長瀬家にとって
少なくとも不利にはならないはずだ。そうだろう、祐介?)
小田原城。
「興国寺城が落城しました。」伝令が届いた。
「由宇様の活躍は凄まじく、敵の郭を一騎がけで次々と落としていったようでございます。」
「しかし、わずか二刻で城を落とすとはなあ。」
「味方の被害は微少、敵の死者・行方不明者は千名をこえるそうでございます。」
「・・・味方ながら恐ろしい。」
「でだ。」
「由宇様曰く、一気に駿府の援軍に出ることも出来なくは無いが、敵の兵力を考えると
三千の部隊では少々不足。
仮に、若し緒方が破れた場合は興国寺城が渡辺の相模反攻を防ぐ第一防衛線になるので、
城の改修と民心の掌握、それと退却用の街道の確保の3点を主に行うそうでございます。」
「うむ。」
「今ごろは緒方軍は駿河金山の占領は果たしているであろうな。」
「緒方軍は大宮城の占領は既に終了している模様でございます。」
「・・・安房上総の問題もある。今は緒方を敵には回したくない。
駿河情勢が緒方で安定し、当家と戦う気が無いと判断し次第、興国寺は緒方に渡す。
この旨、由宇と緒方の方にも伝えてくれ。」
「はっ。」
駿河・興国寺城。
「民心の掌握と治安回復以外はやらんで。面倒や。」
「はっ。」
「あと、いつでも城ぶっ壊して逃げられるよう城にも爆薬しかけとき。」
>>565 考えすぎてがんじがらめになると思います…。
中央アジアとアフリカなんてどうでもいい。
要は、中国・朝鮮と南蛮だ。
更新しておきました。いろいろと試行錯誤中
「・・・行きますの!!」
すばるの檄が出るやいなや、一人の少女が川澄軍のどてっ腹に飛び出した。
「!!何者!」
少女は軽業の様に、その火炎の中を軽やかに川澄の足軽の前に飛ぶと、
その瞬間、少女が持っていたその白銀の鎖が縦横に振り回される。
途端に、周りにいた、十数名の水瀬の兵士達が同時になぎ倒された。
兵士達は唖然としている。
「・・・貴方達に用は有りません・・・川澄さんを・・・出して下さい。」
少女はいつもとは違う、強い口調で語った。
「美凪さん・・・凄い・・・」
側にいたサクヤが唖然としている。
「あれは大陸の兵器。」
「九節棍ですの!」
九節棍。
大陸の武術で使われる軟器機(兵器)の1つ。簡単に言うと、金属の棒を環状の鎖でつないだ鎖武器である。
この武器は武術の心得が無い者にはまず扱えず、下手をすると逆に鎖が自らを襲ってくる可能性もある。
だが、通常の武器なら普通不利な一対多数の戦の場合において、扱い切れれば圧倒的な強さを保有するという利点がある。
国崎が口を開いた。
「・・・『アンジェリーク』での成果さ。」
「・・・・・・あ、あんじぇりーく?」
「時間が無い。行くぞ!!」
「切り込め!!狙うはただ一つ!!」
6人は、それぞれ2名づつに別れ、突撃を開始した。
「おじいさん、大丈夫ですの?」「心配は無用!」
その老人の放つ刃は、瞬く間に騎馬隊の兵士達をなぎ倒す。
だが、同時に一気に次の騎馬隊に囲まれた。
「おじいさん・・・行きますの!!大影流奥義!!!」
「!!」
突如、轟音が聞こえたかと思った刹那、川澄軍の兵士が騎馬ごと空中に舞い上がる。
「美凪さん、今凄い音が!!」「・・・あの人なら大丈夫です。」
「・・・いや、・・・はい、そうですね、・・・っとおおお!」
瞬時にサクヤの頭のあった場所に槍が貫く。サクヤは瞬時にしてその長い髪を靡かせてかわす。
「甘い!!!」同時にサクヤの裏拳がその足軽の顔を捉える。
足軽は何も言わずにその場に倒れ落ちる。
サクヤ:「こんなに斬り合ってられませんよおおお!!もう・・・こんなの一気に行っちゃいます!!」
美凪:「・・・・手投げ弾!!」
その場で、少女から投げられたいくつもの爆弾が爆発した。
ぼーん。
「戦は嫌だねえ。うざいし、血を見るし。なあ、君もそう思わないかい?」
「まあな。」国崎は適当に流しながらも鉄砲を放つ。
(何でこんな目つきの悪い人間だけが残ったんだ・・・)
ぼーん。
「やってるねえ。」
(火の壁になっているから、ここは結構安全地帯なんだけどな。)
「時に、貴様。女まで戦場に出ておいて、ここでのうのうとしているのはどうだと思う。」
「いやあ、人殺しはよくないよ。僕は平和主義者だからねえ。」
「・・・・・・」
兎に角鉄砲を打ち続けることにした。
声:「貴様あああああ!!何をやっている!!」
どうやら見つかったようだ。
声:「五月蝿いよ。」
声:「何!!」
声がしたと同時にそのヤセギスの男はその兵士の懐に入り込み、ギッタギタに切り刻んでいた。
(・・・・・・)
声:「あーあ、血がついちゃったよ・・・。」
国崎:(こいつの性格がいまいちよく解らん・・・)
水瀬の陣。
「佐祐理様!!」「舞の部隊が・・・混乱してる!!」
川澄隊の進行方向が一斉に火炎に包まれ、旗が前後左右している。
(舞がここまで追い詰められるとは・・・)
「私も行きます!!全軍川澄隊の支援を・・・え?」
後方の佐祐理の部隊が突如爆発する。
「・・・・・・はえ?」
「・・・・・・なんとか間に合ったんだな。」
「・・・・・・・」
「・・・・・次段、砲撃の準備でござるよ。」
「・・・・・あんたなんか・・・・あんた達なんか・・・みんなみんないらないんだからああああ!!!!!!!」
「カルバリン砲・発射!!鉄銃隊、アルクェイド新銃を件の如く三段に構えよ!!」
「さ、佐祐理様!!大庭詠美です!!!大庭詠美の本隊です!!!」
「はええ?!何でここに!!」
「解りません!!兎に角後方の防衛を!!」
「・・・・・ひょっとして・・・私達、挟まれてるんですか?」
「そうなります!!急いで下知を・・・・ぐあ?!!」
前の兵士が突如倒れた。と同時に、佐祐理の頬の横を銃弾が掠める。
「・・・・・・はえ?銃撃・・・?」
佐祐理は呆然としている。確かに、遠くに大庭軍は見えるのだが。
「さ、佐祐理様を守れ!!急げ!!」
「・・・・・・はえええ?」
「大庭詠美の本隊?!」
援軍に出た美坂香里隊である。
「はい!!このままでは倉田隊は挟撃されます!!!急ぎ川越の戦場に向かってください!!」
「まずい・・・」
香里は一人つぶやいた。
「『あの』鉄砲に対する準備はまだしてないのに・・・」
「どうなさいますか?」
「倉田軍を助けるためには、行くしか無いわ・・・・・・」
(しかし、アレとまともにやり合って正直勝てるのかしら・・・・)
香里は一人思う。
(大庭詠美の鉄砲隊の最大の特徴は、その圧倒的な攻撃力と反比例する移動力のなさ。)
詠美の鉄砲隊は、大砲を含めたその射撃範囲の広さと引き換えに、移動の早さを大幅に
犠牲にしているという特徴がある。
そのため、例えば移動中に攻撃を仕掛ければ大勝利はありえるが、一回陣を張られたり、
篭城されたりした場合は、
(あの鉛球の弾幕に守られた詠美軍に損害を与えるのは事実上不可能。)
千庭の乱の時に倉田家の部隊が碌に戦えず、壊滅した最大の原因は篭城した大庭軍に
突撃をしかけ、大手門や柵に阻まれている間に的になってしまったが為。
今回は野戦であるが、やはり陣形を整えられてしまった事には違いが無い。
(ある程度、兵士には対鉄砲の準備はさせているけど、果たして今の大庭詠美に通用するの
かしら・・・)
「・・・倉田軍の救助に向かいます。全軍、急ぐわよ。」
「はっ!!!」
.´ `v^) ____________
〈(ハ从ノlハミi((. /
l人´д`l从 )) < ・・・補足トリビア。
/ y/ ヽ( \
(⊃ ⊂[_ノ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(ノノノ | | | l ) 東南アジア編。
アンジェリーク朝カンボジア(真臘)
シブサワ・コウを始祖とする、東南アジアの国の一つ。首都はアンコール・ワット。
領土はメコン河を中心としたデルタ地帯を中心とし、水が豊富で、チャンパ米等の二毛作が盛んな稲作地帯。
ここの神話では、800万の軍勢が神と悪魔に分かれて戦ったという伝説があるが、本当に内乱や分裂が多く、
副王同士での三国の争いや国内の毎度の分裂闘争は度を越えており、もはや名物。
だが、戦闘力と航海技術は侮れず、特に航海では、マラッカ海峡をこの王朝が飛び地で押さえ、
東南アジアの要衝を抑えて続けている為、この地域での覇権を担っているといっても差し支えない。
陸戦においても、「ウイニング・ポスト」といわれる象兵部隊を中心に精強な部隊を多数揃え、
文化においても未だ一定の独自文化色を近隣諸国に対して維持し続けている、
総合的に見て、東南アジアの列強の一つといっても過言ではない大勢力である。
国崎・美凪との関係だが、日本人では数少ないアンコールワット参拝の記念に、彼らの書いた日本語が
残されていた。文化・経済力が基本的に高い国なので、対日・中輸出では特に特産品の壺や茶器などの
輸送や、香料諸島との香料貿易の中継ぎを行っていたのであろうと思われる。
l人´д`l从 )) <
>>564 ぶっちゃけこれを書きたかっただけなんだけどね。
何か本当に新作一杯乙。
>>581 いや、あれでしょ
皆、他社を出しまくった戦記の二の舞を恐れてるとか
「箕浦殿、鉱山の再開は何時頃で?」
「これはこれは篠塚殿…… その件でしたら明日までに必ず」
森川由綺率いる駿河侵攻軍は駿河金山をあっさり制圧していた。
何故そんなに簡単に事が進んだかというと……敵の裏切りである。
侵攻軍を迎撃する為に出陣した留守居役御堂の軍は前々から緒方家と内応の約束をしていた
鉱山奉行箕浦を始め長谷川、幸島に叛かれ崩壊。御堂も討死していまう。
この為、駿河の渡辺軍に抵抗する能力は既に無く、精々そこらの砦に立て籠もって援軍を待っている程度であった。
「しっかりやって下さいね。彼方はもう緒方家の家臣なのですから」
「もちろんです」
箕浦達が渡辺軍を裏切ったのは髭に不満があったと言うより重臣団に不満があったからだ。
(奴ら事ある毎に俺らに仕事ばっか押し付けやがって……
そのくせ領民から年貢取るだけ取って趣味の世界に没頭してやがる、特に中崎と南森。
それに何にも言わない……いや、気付いていない髭も髭だ)
しかし本当のところは緒方家から掴まされた金が内応の一番の原因だったりする。
そこへ伝令兵がやって来た。
「篠塚様はおられますか?」
「はい、何かありましたか?」
「千堂家の使者と申す者が森川様の所へ来たのですが……」
「ああ、あの人達ですね。わかりました、今行きます」
「……という訳でございまして」
「話はわかりました。それよりも……」
「何でしょうか?」
「援軍は興国寺城から進ませないと?」
「はい?」
千堂家から遣って来た使者を弥生は冷たい目で見下ろした。
「あっ、いえ、城付近の警戒等もありますので……」
「駿河には我々とまともに戦えるような軍勢は何処にも存在しませんが?」
「いや、あまり兵を進め過ぎると背後に憂いが……」
「だったら何故援軍など出されたのです?」
「その……、あのような少人数ではかえって御迷惑に……」
「先に頂いた文書には『微力ながら緒方軍を助け……』と書かれていますが
千堂家にとって三千の兵は微力ですら無いと?」
「……」
場を静寂が支配する。その横で由綺が困った顔していたりするが。
「使者殿」
「はいっ!」
弥生は相変わらず人を威圧する様な、それでいて起伏の無い声で話し続ける。
「我々は千堂家の姿勢を問っているのです。
そちらでは当主殿が『助け合い精神』と仰ったそうですが城一つ落としたぐらいで……」
「まあまあ弥生さん」
見るに見かねたのか由綺が出て来る。
「何もそんなに強く言わなくてもいいんじゃないの? 使者の人困ってるよ」
「これは……失礼致しました」
と言って一礼する弥生。
「とにかく、我々は押しかけ援軍など望んでいません。もしそうであったら早く退却してください。
もし……当家との真の友好を望むのであれば援軍を進める事です」
そして立ち上がる。
「これより我が軍は既に先発隊の赴いている駿府城に向かいます。そこで会えること、楽しみにしていますわ」
その観月マナ率いる駿河侵攻軍先発隊は駿府城を臨む丘で呆然としていた。
「いやー、燃えてるね」
「ちょ、ちょっと信子ちゃん……」
そう、城が燃えているのだ。一部ではあったがかなり煙が上がっている。
「マナ〜! 速く何とかしないと大変な事になるんじゃないの? 何か略奪とか起きてるっぽいし」
「……そうね」
兵がいないのだろうか? 放っておくと収拾の尽かない事になりそうだった。
「信子の部隊は消化活動、泉の部隊は治安維持、お願いね」
「りょーかーい」
「わかりました」
去って行く二人の部隊を見ながらマナは溜息をつく。
「逃げるんだったら火なんかつけて行かないでよ…… ほんと、ばっかじゃないの」
「ふーん、そんな噂がねぇ……」
「足軽の皆さんとか、割と本気で怒ってて面白いよ」
一方こちらは緒方理奈率いる遠江侵攻軍、今は南明義の籠る高天神城を攻めてたり
長瀬家が流した噂で盛り上がってたりする。
「まったく、事情が呑み込めない人は本当に困るわね。
この軍の目的は遠江の渡辺軍を駿河に行かせないように足止めする事だって何度も言ったのに。
大体、内応も流言も何もこっちは仕掛けてないのにそんな簡単に事が進む訳無いじゃないのよ。
本当に望むべきは緒方家の勝利であり手柄争い何かじゃないの。その辺の事を皆にはわかってもらわないとね」
「以上、模範解答でした」
「……うるさいわね」
理奈はジト目ではるかを睨みつける。
「まあ、確かに由綺の方が優遇されてたり有利だったりしてるみたいだけど……
それは後で兄さんを問い詰めればいいだけよ」
「でも下っ端の人はどうするの? 信じちゃってるよ」
「下っ端って…… とりあえず適当に『そんな噂信じるな、ごちゃごちゃ言う奴は叩き切る!』とでも言っておきなさい」
「はーい」
「それとさっき届いた渡辺軍の話、どうする? 帰って来るんでしょ?」
「そうね…… とりあえず相手に此方の情報が渡るのを防ぎましょう」
「間者狩りでもするの?」
「ついでに噂流してる奴も捕まえる事にするわ」
そこまで話して地図のある所へ移動する。
「こことここと…… 有体に言えば遠江中の駿河以西へ向かう街道で検問実施ね。
間者は特に商人、僧に変装しているから注意して。あとどんなに細い道も見逃さないでね。
今頃そんな場所通る人なんて『私は怪しい人です!』って絶叫してる様なもんよ」
「そうだね」
「ついでに馬にでも乗ってたら厄介だから川の橋は落として。
そうだ、どうせだから大きい堤防は片っ端から崩しましょう。渡辺軍の移動の邪魔にもなるわ」
「豪快だね。私達の通る所だけ残しとくよ、渡辺軍が来たら駿河へ撤退しなきゃいけないし」
「そうしといて。橋の見張りは沢山残しておくのよ」
「最後に何か注意事項とかない?」
「そうね……」
理奈は心なしか怒った様な顔をしている。
「渡辺の間者や何処の誰だかは知らないけど噂を流した奴を生かしておく事は無いわ。
少しでも怪しかったり逃げる様な素振りを見せる奴がいたら問答無用で切り捨てなさい。
こう見えても……私、結構腹が立ってるのよ」
興国寺城。
「何?向こうがうちに、出ろゆうてきたんか?」
「はい。」
「・・・・・・面白い。出てやろうやないか。」
「殿?!」
「正直、これ以上しゃしゃり出るのもどうかと思たが、暴れていい言うなら暴れたろやないか。
和樹に連絡し。これから猪名川由宇、緒方の要請により、駿河・遠江に入り、渡辺の退却軍を奇襲して叩き潰すと。」
「?!!駿府城に参陣しろとの事では?!それと渡辺の退却軍とは?!」
「どあほう!!もうあんな城とうに落ちとるわ!!ソレより問題は退却するそっちのほうやろ。
自分の国が攻められて戻らんアホがどこにいる!!」
「はっ・・・はい!!」
「どうせ、川は橋一本だけ残してあとは全部打ち砕いてあるんやろ、どっちがやっとるのかは知らんがな。」
「はあ。」
「そこ通って、一気に渡辺の本陣を叩き潰す!!」
「!」
「渡辺の髭の首を取って帰るで!!それなら緒方も何も文句あらんやろ!!」
「しかし、敵は何万いるかどうかすら全くわかりませんが・・・」
「何万だろうが百万だろうが見える敵は全て倒す!!それが猪の坊の本来の戦い方や!!
うちの三千騎はただの三千機やない!!幾多の弾幕を潜り抜けた、坂東最強の三千騎や!!
緒方・渡辺如きのアホ田舎侍なんぞに負けてたまるかい!!」
「おお!!」
「駆けるで!!一日で遠江に出る!!急ぎや!!」
「それと、和樹に連絡や。小田原は守兵残して全軍箱根に出張れとな。あんたも出ろと。」
「それはまた、何故故に。」
「・・・うちはまだ緒方を完全に信頼しているわけではあらへん。
もし仮に裏切って緒方が箱根でも攻めてみい。その場で反転して森川のそっ首叩っ切ってくれるわ。」
「・・・了承。」
>>581 聞き流しても好い裏設定程度なら別にいいかと。
しかし何か熱い展開にw
遠江に入った所で、田中は街道に幾つもの検問が配置されている事を知ると
近くの村に薬師として逗留する事にした。
「このまま三河に向かうんじゃなかったの?」
「検問の数が多い。既に幾人か部下が捕まったようだし
ここでしばらく様子を見る。川名さんも三河に帰る前に捕まりたくないだろう?」
「それもそうだけど……。でもどの位ここに居る事にするの?」
「……捕まった部下の行動次第では早まるかもしれない」
田中はそう言って、あてがわれた場所に荷を置いた。
「いつ何が起きるかわからない。休める時に休んでいた方が良い」
一方、緒方理奈の陣営には、既に捕らえられた数人の集団が
縄をかけられて、理奈や他の家臣の前に引き出されていた。
「……まず、あなたにこの様な噂を広めさせた者の名前を聞きたいものね」
その言葉に集団のまとめ役の者が大きな声で笑い出した。
「これは滑稽だ。緒方英二の作った人形が人に対して
偉そうな口をきいているぞ」
理奈は目を閉じて怒りを抑えるが、それに対して他の者も追従する。
「木偶人形の身分を忘れて人に意見しようというのか。身の程知らずにもほどがある」
「誰が広めさせただと?世間の声が聞こえないほど耳が悪いらしいな」
「いや、聞いたところで理解できよう筈も無い。だからこそ人形なのよ」
そう言って捕縛された者たちは大声で笑った。更に続けて
「緒方英二という人形使いがいなければ、歩く事もままならない者が
どの面下げてこの様な事をするのか理解に苦しむわ」
「いやいや、この行動も緒方英二の指示に違いない。操り人形が
自分の意思と判断で動けるはずがないからな」
「それもそうだ。ハハハ」
思いつく限りの罵詈雑言を目の前にいる理奈に浴びせ掛ける。
「……もう一度聞くわ。あなた達の主人は誰?」
理奈は拳を思い切り握り締めて言葉を出した。
「人形が人の言葉を話すな。人のほうが恥ずかしくなる」
「自分で考える事も、行動する事もできぬから、威張り散らす事しかできぬのよ」
「人間なら人間らしく自分の意思で生きてみろ」
そう言ってまた笑い出す。理奈はすっくと立ち上がると太刀を抜き、
一人を残して全員を切り捨てた。そして残る一人に向き直り
「……最後よ。こうなりたくなければ質問に答えなさい」
怒りを隠す事無く、氷のような声を発した。が、
「木偶人形の下座に立つと思っているのか。お前こそ俺の前にひれ伏せ!」
と残った一人が叫び、大きな声で笑い出した。
――その男に理奈は無言で刃をおろした。
死体の処理をはるか達に任せると、理奈は陣の奥に引っ込んだ。
「フゥ……!フゥ……!(誰も何も言わなかった……。
人の心をここまで掴む人物なんて長森瑞佳しか考えられない……。
長瀬祐介にはそこまでの人徳は無いはず!)」
理奈は冷静であろう自分の頭の中でそう考える。
(世間が私をそう見ているというのなら、私の力で渡辺を叩いてやる!
そうすれば誰も私を兄さんの操り人形なんて思わなくなる!)
理奈の心の中にふつふつと炎が広がっていった。
つられるように書いてみる
これ書いてる最中に、項羽と紀信の事を思い出した
「……動きましたか。それも遠江まで」
「はい。先程観月殿の軍勢が怒涛の勢いで西進する猪名川勢を確認しました」
火災により大部分が焼け落ちた駿府城。
辛うじて難を逃れた一室で由綺と弥生は報告を受けていた。
「もしかして怒ってるのかもしれないよ。なんか意地になってるみたいだし」
「由綺さん……」
弥生は本当に悲しそうな顔をする。
「私は千堂家が漁夫の利に出る可能性を考慮してあのような事を言ったのです。
興国寺城を占拠したのを功としてあのまま居座り続ける事もあの時は考えられたので……」
「あ、ごめんね弥生さん!。そういう意味で言ったんじゃないから」
慌てて弥生に近づく由綺。そんな顔をされると逆に困ってしまうのであった。
「でもこれで千堂家の人達の誠意はよくわかったよね?」
「はい、勿論です」
「だったら…… 駿河東部の兵隊さん達、治安が維持できる程度に残して下げちゃっていい?」
「確かにそうですね。援軍をもらっているという事は何はともあれ一時的に同盟しているようなもの。
必要以上に警戒して相手に不快感を与える事もないですからね」
「それとこの軍も動かせるかな? 三千なんでしょ、猪名川さんの軍?
理奈ちゃんの軍が協力したとしても渡辺軍の規模がわからないからちょっと不安……」
「最新の報告によると尾張から退却を始めた渡辺軍は自軍の不利を悟ったのか
三河で止まっているようです。おそらく既にあちらに逃走していた駿河・遠江防衛軍との
集結を図っているのでしょう。速報なのではっきりとわかりませんが兵力は一万を軽く超えるものと考えられます」
「やっぱり援軍を出さなきゃ! それで、ここにはどれ位残さなきゃいけないかな?」
「渡辺軍帰還を聞いて蜂起したり、立て籠もっていた砦から出てくる者が現れるかもしれません。
他にも遠江からの渡辺軍侵攻も考えられ無くはありません。
観月さんの四千五百と旧渡辺家臣団の二千、総勢六千五百を残すのが妥当かと」
「それじゃ援軍は私達の五千五百になるんだね。ええと私と理奈ちゃんと猪名川さんの軍で……
弥生さん凄いよ、一万七千もいる!」
「今日より理奈さんは敵の行軍妨害を始めるそうなので、おそらく敵よりも速く布陣出来る見込みです」
「よし、千堂家の人達にも伝えてあげて! 今度は私達の態度をよく見てもらうよ!」
かくしてその日の中に駿河侵攻軍主力は遠江へと向かって行った。
「一体全体これはどういう事なんだか……」
蛍ヶ崎の間の出来事以来、謀反の容疑で軟禁されている冬弥は本日数十回目になる溜息をついた。
(謀反何て大それた事、俺が考える訳無いだろ。由綺だっているのに……)
軟禁された日より毎日同じ様な取調べを受けるだけで何の変化も無い、はっきり言って退屈だ。
(英二さん、誰に何言われたんだよ…… いい加減間違えだって気付けっての。
それに美咲さんだよ、美咲さん。俺に疑いがあったとしても美咲さんまで何で疑われるんだか……)
さらに本日数度目の同じ事を考える。
(美咲さんどうしてるかな。泣いてなきゃいいけど……)
その時である、何処からか人の悲鳴が聞こえて来たのは。
「おいおい、今度は何なんだよ」
そっと廊下を見渡す。
(沢山の足音がこっちに向かってる……)
息を潜める冬弥。そして直ぐに危険を感じ逃げようと決意する。
(とりあえず美咲さんを探し出してここを脱出しよう)
そして勢いよく廊下に飛び出し角を曲がると……
「何奴!」
「うわっ、いきなりかよ! ……って美咲さん!?」
そこにいたのは屈強な兵士数名に護衛された澤倉美咲その人であった。
「澤倉様が謀反と盗み聞きした時から俺達は何かの間違いだと確信してましたね」
冬弥と美咲が軟禁されていた小屋から二人を救出した兵士、それは俗に『美咲さん信者』と呼ばれる澤倉派の者であった。
「家中では森川由綺様、緒方理奈様だなんて騒いでいますが俺達は昔から澤倉様に忠誠を誓っていますよ。
なんてったて『緒方家最後の良心』なんですよ! それが……!」
「まあ、いいからとりあえずこの森からどっかに行かないと」
何時までも続きそうな話を止めに入る冬弥。その横で美咲は照れまくって涙目である。
「兎に角、どうにかして英二さんに会って誤解をとかなきゃ」
「無駄ですよ」
「何で!」
「聞こえ無いんですか、あの鐘の音が?」
「……うむ」
おそらく逃走に気付いた奉行連中が鳴らしているのだろう。遠くでは大騒ぎのようだ。
「あれじゃ躑躅ヶ崎館に着く前に切り殺されますよ」
「ならどうすりゃいいんだ!」
「ひとまず藤井様の居城、海津へ行きましょう。
そこで手紙でも書いて誤解が解けるのを待ちましょう。森川様も直に帰ってくるのでしょう?」
「御二人は海津城方面へ逃走を開始しました。現在、我等五名にて尾行中」
躑躅ヶ崎館蛍ヶ崎の間、そこで英二は腹心の部下である忍びの報告を一人聞いていた。
「本当にご苦労。しかし信者ってのは操り易いねぇ」
「全くです」
「それじゃ計画通り、例の場所に追い込むように」
「承知いたしました」
「それと……忍び衆の中から特に手練の者を十名ばかり呼んでおいてくれ」
「はっ、御二人の追跡に使うので?」
「いや、俺のちょっとした所用だよ」
読むのがつらい展開になってきた。
この世は無常だ………。
>>581 シブサワ・コウ(襟川陽一)氏を持ち出されると、それなら信長の野望を史実通りに
再現すればいい、という気になってしまう。むしろ襟川恵子社長かと。
そういえば、葉鍵統一→ゲーム世界編のアイディアを出したことがありましたっけ。
いつ見ても切腹に見えます…。
「長森家武将、七瀬留美と申します」
「長瀬家の当主、長瀬祐介です」
墨俣の陣屋にて祐介と七瀬が相対していた。
「清洲城が囲まれてしまい、長瀬殿を頼って参りました。
願わくば清洲の方に援軍のほどをお願い致したく……」
「元よりそのつもりです。美濃の方は広瀬を撃退したので問題無いでしょう。
ただ広瀬の投降兵達は連れて行くのは少々酷かと思われます。
彼らは飛騨から故郷に帰って来たばかりですから」
「確かに」
七瀬、祐介、沙織の三人がこれからの事を話していると伝令兵が陣屋に入ってきた。
「申しあげます。渡辺勢が駿河、遠江に撤退した模様です」
「何!?」
「どういう事だい?詳しく状況を報告してくれないか?」
「……」
「……」
「長瀬殿!今すぐ追撃するべきでしょう!」
祐介は七瀬留美の言葉に対して「それは得策じゃない」と返した。
「清洲城は健在だけど、戦力は殆ど残っていない。
残っている深山勢 四千の兵が警戒しているのは、僕達だ。
当然その備えも整えているだろう。こちらが手を出さなければ、
あちらも手を出さない。ここで待機するのが一番の良策だね」
「な……。数の上で勝っていて何を恐れるのか!?」
「迎撃の準備をしている所に攻め入れば、こちらの損害も無視できなくなる。
そうなれば結局の所、渡辺か緒方が相対的に得をする事になる。
この場合、むしろ撤退させるか、こちらに引き入れるかを考えるべきだろう」
祐介の言葉に七瀬は憮然とした表情を浮かべて席に座る。
「むしろ考えなくてはならないのは『何故清洲が健在なのか?』
という所ではないのかな?」
「……どういう意味です?」
七瀬が噛みつくように反応した。
「撤退する前に降伏勧告か脅しか、何かしらの行動を渡辺勢は行ったはず。
だが長森殿がそれにのらなかった理由、言い換えれば渡辺勢が
撤退せざるをえなかった事をどのようにして知ったのか。
七瀬殿が知らない以上、清洲に篭城している時に知ったのだろうけど
何処から情報が入ってきたのか、そちらの方が問題だという事。
そしてその情報をもたらせるのは、唯一 緒方英二しかいない」
「……何をお考えですか?」
七瀬の言葉に祐介は答える。
「……長森家が緒方に取り込まれる可能性があるかもね」
「なっ!どうしてそのような事が!?」
「緒方英二という人物は人心を操る事を戦略の一環に取り込んでいる。
今回、弱体を演じるのに使っていた策がその裏打ちだ。
さらに長森瑞佳という人物は良くも悪くも人が良い。
となれば、緒方英二の言いように操られる可能性が出てくる」
「ふむ……」
七瀬は祐介の言葉に耳を傾ける。
「そして緒方が駿河、遠江に出てきたなら、最終的には上洛するだろうね。
偽装として関東・越後に出るかもしれないけど、それに固執するような事はしないだろう」
「その際に緒方が瑞佳を亡き者にしようと?」
「……いや、京への通り道になる長瀬と長森殿を戦わせて
漁夫の利を得ようと考えるだろう。情報を操る事でね」
祐介は七瀬に向き直る。
「このことを長森殿に伝えていただきたい。そして長瀬と手を組むつもりがあるならば
緒方英二と将来対決する覚悟があるのならば、喜んでそれに応えたい、と。
既に家臣を清洲に向かわしたので、その手助けをして欲しいのです。
僕達はこの場所で返事を待つ事にします」
「……わかりました。確かに伝えましょう」
七瀬留美は一礼して陣から出て行った。
「こちらはその間どうするの、祐くん?」
「その前に田中達からの連絡は?」
沙織は首を振った。
「そうか……」
「駿河に向かった以降連絡が取れないみたい」
「ふう、こうなると既に間者狩りが行われていると見るべきかな」
「田中君、大丈夫かな?」
「むざむざと捕まるとは思えないけども、緒方も噂を抑えるためにも
徹底した捜索をするだろうし。もし突破する機会があるとするならば」
「あるならば?」
「……渡辺本隊と緒方勢が交戦状態に入れば、
その隙に抜けられるかもしれない。ただ、その時間を
緒方が与えるかどうか……」
祐介は大きく息をつく。二人にできるのは待つ事だけだった。
最近展開早いなあ
瑞佳を落とすのは英二か祐介かという感じ
祐介は田中が拾ったみさきを上手く入手できれば深山も落とせるな
.´ `v^) _______________________
〈(ハ从ノlハミi((. /
l人´д`l从 )) <
>>599 このスレはもちろんシブサワ・コウ プロデュースです。
/ y/ ヽ( \
(⊃ ⊂[_ノ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(ノノノ | | | l ) 世界ハ全テ、奴ノ手ノ中サ
つか、シブサワコウって実在したのか。CGだと思ってたよ。
>>605 陽一氏がかなり最近になって言い出したこと。『アサヒグラフ』などで見ました。
古い光栄の本ではシブサワ・コウは社長の知り合いで謎の人物、ということに
なっていました。
実は世界編を初めに言い出したのは私ですが、当時は戦国よりも信長システムでの
ゲームキャラオールスターを志向していました。
「何、猪名川勢?」
「ええ、検問を粉砕しながら遠江を西進中です」
「まさか相模から此処まで出てくるとはなぁ……」
田中はどうにか逃げ延びた部下から報告を受けていた。
「…今が好機では?」
「……お前、先に行って話をつけておいてくれ」
「了解です」
部下はそう言ってすぐに走っていく。田中はみさきに声をかけようとすると
「……出発?」
と先にみさきから声をかけてきた。
「そうだ。すぐに準備してくれ」
「もうできてるよ」
「……早いな」
「旅装を解かずに寝てたからね」
(……器用な人だ)
街道沿いに馬を走らせると猪名川勢の所為か、
検問はっていた兵士がそこそこに転がっていた。
(……猪突猛進と言うべきか)
田中はある程度街道を進むと道を外れて海岸の方に向かった。
「確かこの辺り……、いた」
海岸にぽつんと一艘の船が、そしてその近くに人が二人立っていた。
「おう、あんた達が乗るのかい?」
船頭とおぼしき男が声をかける。
「そうだが……」
「三河との国境付近まで、で良いんだな?」
「それでいい」
「それじゃあすぐに出るぞ。なに心配するな、嵐は当分来ねぇよ」
「よろしく頼む」
田中とみさきは船に乗り込むと、すぐに舟が沖へと離れていった。
「頭〜、殿をよろしく頼みます〜。俺らが盛り立ててやらないと
ただの子供になっちまいますから〜」
「お前も気をつけろよ〜〜」
田中とみさきを乗せた船は沖に漕ぎ出すと西に向かった。
「そう言えば、田中君の仕えてる人って誰なの?」
沖に漕ぎ出してしばらくしてから、みさきは田中に質問をぶつける。
「え?ああ、近江の長瀬祐介だ」
「どういう人なの?さっき『ただの子供』って言ってたけど」
「何て言えば良いのか……。可愛げがあるって言えばわかるか?」
「可愛げ、って。顔とか声とか?」
「いや、そうじゃなく。基本的に自分を肯定できない奴だな、アイツは」
「……それが可愛げ?」
みさきの言葉に田中は笑って否定する。
「いや。だけども、だからこそアイツは他人の言葉や意見、価値観を自分の中に受け入れようとする。
賞賛も非難も積極的にな。そこにアイツの可愛げなところがある。
俺も含めてアイツの周りの人間は、アイツの為に何をしてやろうかと
いつも考えているんだ。それこそ命を賭けてでもな」
「ふうん。好かれてるんだね」
「いや、俺達がいなかったらアイツはただの木偶の坊さ。
だからこそ俺達がついていなきゃならない。と思ってるんだがね」
「ふうん、長森さんとは違うんだね」
「そうだな……。アイツの魅力――みたいな物は
普段のアイツを知らない奴には絶対にわからないだろうな」
みさきは頷いて、
「でも、どうして近江から私の所まで来たの?」
嫌味ではなく、興味本位で聞いてきた。
「……アイツは、人質とか、卑怯な振る舞いを好む人じゃない」
「……それだけ?」
「どうかな?少なくともあんたは深山家の人間だ。
あんたを長瀬家が助けた事で深山家と良い関係が築けるかも知れない」
「……打算?」
「……不服かい?」
みさきはそのまま黙っていた。
「嬢ちゃん。人間って奴はな、自分の好むと好まないにかかわらず
存在価値を決め付けられちまうもんなんだよ。それが嫌なら
自分の努力で存在価値を変えるしかねぇ。……ホレ」
船頭はそう言って、田中に代えの櫂を一つ渡した。
「……どうするので?」
田中の言葉に船頭は大きな声を出す。
「そいつを削って杖を作ってやるんだよ。その目が見えねぇ嬢ちゃんの為にな。
まず自分の意志で歩く事から始めろよ。文句があるならそれからでも遅くねぇだろ」
船頭の言葉にみさきは静かに頷いた。
「よし!じゃあ後は任せな。明日の明け方には着くからよ」
舟は嵐にあう事もなく、船頭の言葉通り翌日の明け方に三河遠江の国境についた。
「じゃあな、うまく行けよ」
「そっちも帰り気をつけて」
そう言って、田中とみさきは先へと歩きはじめる。
「大丈夫か?」
「大丈夫だよ。でもお腹すいたね……」
「もう少しの我慢だ。町に出たら、何か喰うとしよう」
「好きなだけ?」
「いや、蕎麦を一杯だけだ」
「……意地悪だよ」
そう言う みさきの手には無骨な杖がしっかりと握られていた。
原案:矢立肇
みたいなもんんだとずっと思ってた
ところで田中って誰?オリキャラ?
>>613 雫の異次元人シナリオに出てくる即死する脇キャラ
このスレにおいては長瀬家の間者
渡辺家や久瀬家の事もあるから使っているけども
本編の扱いに比べて、目立ち過ぎか?
KANONの斉藤や東鳩の矢島が活躍するようなものか
別にいいんでない。主役キャラを食わない範囲なら。
アップ完了しました〜
連日のSS投下ご苦労様です。
ほんと、一気に展開してますねぇ〜
掲載順別リストを作ってみました。
三河に上陸してからゆっくりと徒歩で深山家の陣に向かう。
渡辺勢が三河に留まっている事から、街道ではなく海岸沿いを
みさきは使い慣れない杖を振り回すようにして使って歩いた。
「大丈夫か?」
「うん。それよりもご飯……」
「今 町に行けば、渡辺の兵士に見つかるぞ?」
「……う〜」
一日か二日はどうという事もなかったが、慣れない杖と
海岸の砂がみさきの疲労の色を日増しに濃くしていった。
(……どこかで馬でも手に入れないとキツイな)
そうは言っても、三河の物資はほとんど徴集されてしまっているらしく
時たま集落に出会っても食料はおろか馬一頭もいないという有り様だった。
(このままじゃ川名さんが衰弱するかもしれない……)
そう考えると、田中はイチかバチか渡辺の陣から馬を盗む事を考えた。
深夜、渡辺勢の陣の一つに忍び込む二つの影があった。
一人は長瀬家の間者頭の田中。もう一人は渡辺家からの逃亡者である川名みさき。
二人は月が出ているものの、兵士達の監視の隙間を抜けていった。
(大丈夫か?)
(うん。此処が最後の難所なんでしょ?)
(そうだ、此処さえ過ぎれば残りは楽だ)
田中はそう言ってみさきを励ます。疲れているものの二人とも元気は残っていた。
戦場から離れている為か警備の目も少なく、
誰にも気付かれる事もなく馬が繋がれている場所にたどり着く。
(よし、今だ)
田中は一頭の馬の縄を外すと、みさきを先に乗せる。その時、
「誰だ!そこで何をしている!?」
(!?しまった!)
物音か何かで不審者に気付いた兵士が弓を構えてこちらに向かってくるのが見えた。
田中は急いで馬に飛び乗ると、一目散に走らせる。
「敵の間者だ!逃がすな!矢を射掛けろ!」
田中はみさきに頭を伏せさせると、敵の薄い所を走り抜け、矢を射掛けられる中を何とか脱出した。
月夜の下、街道を尾張に向かって走る。
「上手くいった?」
「……ああ」
「もう後はこのまま進むだけ?」
「……そうだ。月が出ているから多少は走れる」
「……あの」
「疲れてるだろ。寝ていろよ」
「……うん」
そう言われて、馬の背に突っ伏して寝息を立てるみさき。
「……ヘマ、やっちまったなぁ」
背中に二本の矢を受けながらも、田中は尾張の深山勢の陣に向かって馬を走らせ続けた。
「う、ううん……」
「みさき?みさき!?」
川名みさきが目を覚ますと、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「……雪ちゃん?」
「そうよ!雪ちゃんよ!……よかった、こんな所でみさきに会えるなんて」
「……ここどこ?」
「尾張での深山家の陣屋よ」
「……そうなんだ。ところで田中くんは?」
「田中……って、あの一緒の馬に乗ってた人?」
深山雪見は少し間を置いて答えた。
「……彼はすぐ何処かに行っちゃったわ」
「……そうなんだ」
切れそうになった会話。深山雪見は話題を変えた。
「ねぇ、ところで彼って何者なの?」
「うん。確か、長瀬家の間者だ、って言ってたよ」
「ふうん。どうして長瀬があなたを?」
「当主が人質とか嫌いだから、って言ってた」
「……みさき、その言葉信じてる?」
川名みさきは少し考えて『信じる』と答えた。理由を問われると
「田中君、優しい人だったからね」
とだけ答えた。雪見は少し黙っていたが、みさきの肩を叩いて
「それじゃ、元気になったら長瀬の当主に手紙でも書いてやりなさい」
と言った。みさきも笑って『うんっ』と答えた。
一方、氷上シュンの陣では
「川名みさきが到着。連れて来たのは長瀬の間者、と」
子飼いの間者から報告をうける氷上。
「このことを本隊に報告を――」
「いや、しなくても良いよ」
「は?何故ですか?」
部下の言葉にシュンは笑って答える。
「正面の敵に当たろうとする本隊に、『背後から襲われるかも』なんて言えると思うかい?」
「ではこのまま報告しないつもりで?」
「いや。本隊と緒方との決着がついてから改めて指示を出すから。
それまでは他言無用にしてほしい。ところで、長瀬の間者は?」
「確かに死んでいます。遺体は深山の陣に安置されているようです」
「そうか。僕達以外にその事を知っているのは?」
「深山雪見、上月澪、清水なつきの三人です」
「そうか。この事も他に話が行かない様にしてくれないか?
そのかわり、敵の間者にはわかる様に警備を薄くしておいてくれるかな」
「わかりました。では早速」
清水なつきは長瀬の間者と言われる人物の顔を見て、内心薄ら笑いを浮かべていた。
(あの男の顔は、あの時の兵糧提供した商人か)
なつきは渡辺勢が撤退した事で、尾張を手に入れる話が流れてしまったうえ
渡辺勢の配下にされた事が不満だった。
さらに長瀬や緒方が長森家と良い関係を構築しようとしている事で、
尾張を手に入れる野望が潰えるのを黙って見ていたくはなかった。
(このことを緒方に流して、緒方が長瀬と長森を戦わせる事になれば
その隙に尾張を手に入れる事もできるはず)
なつきはそう考えると、密かにその事を記した書状を緒方英二に送った。
田中…お前はこのスレの脇役王だ。安らかに眠れ。
早速更新しました。
長瀬家の礎となるのか、それともすべては泡と消えるか。
これからの展開に期待です。
田中……惜しい人をなくしたねぇ。
.´ `v^) _______
〈(ハ从ノlハミi((. /
l人´д`l从 )) < 南無。
/ y/ ヽ( \
(⊃ ⊂[_ノ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(ノノノ | | | l ) オ手手ト手ヲ合ワセテ、シアワセ♪
「理奈ちゃん……」
ここは遠江三方ヶ原、そこでは紆余曲折、多大な苦労の結果どうにか
駿河侵攻軍、遠江侵攻軍、猪名川軍の三軍総勢一万七千が集結していた。
しかしその一角、緒方理奈の陣内は只ならぬ雰囲気に包まれていた。
「話ははるかから聞いたよ……」
「なら……ほっといてよ!」
「でもそんな話、真に受けなくても……」
「……私は由綺みたいに……聞き分けのいい子じゃないのよ!!」
ドンッ!
自身の手を強く、机に打ちつける。
理奈は緒方家臣団の中でもかなりの実力者である、そうでなければ一軍を任せられる筈は無い。
それ故、彼女自身プライドも高い。例の一件は理奈の心に深い傷を残していた。
「大体そんな長森家と手を結ぼうとする兄さんも信じられないの!!」
「その件ですが理奈さん」
ずっと由綺の隣に付き添い話を聞いていた弥生が一歩進み出る。
「これを」
そう言って初めから持っていた数枚の紙を渡す。
「……これは?」
「数日前に当家と長森家の間で仮調印された締結文の写しです」
「……それがどうしたのよ」
「ここをよく御覧下さい」
弥生が指差した場所、そこは長森家との渡辺家に関する事柄であった。
『当家の重臣、里村茜・柚木詩子・七瀬留美の三名が渡辺家に拘束されている恐れがある。
渡辺家との戦いの最中、彼女達を発見したら救助を要請するものである』
「つまりこの文章が書かれた時点で上記の三名は清洲城内部にいなかったのです」
「そんな事位解るわよ」
「問題はこの二名です」
すっと里村茜・柚木詩子の文字に触れる。
「彼女達は長森家の忍び衆を統括する位置にある者です。
それが不在だったという事は……お解りですね」
「長森家にそんな事が出来る筈は無かった……」
由綺が身を乗り出して来る。彼女なりに興奮しているようだ。
「でも、忍び衆が一度清洲城に戻って長森瑞佳の指示を受けたのかもしれない……」
「それは無理です。清洲城を囲んでいた渡辺軍は警備を相当厳重にしていました。
そのため当家の使者も侵入するのに二、三日費やしてしまった程です。
よって長森殿が命じたとしてもとても間に合う筈が無いのです。
それに……こんな事をして長森家に生じる利点は何でしょうか?」
「すごい! さすが弥生さん!」
「いえ、単に状況から判断しただけの事です」
にべも無く答える弥生。しかしやはり嬉しそうだ。
「だったら……これは渡辺家が仕組んだ事……?」
「その可能性は否定出来ません。しかし私は別の可能性を考えています」
「別の可能性?」
「皆さん、長瀬軍が美濃の侵攻した事は御存知ですね?」
「長瀬軍……でも彼等は」
「そうです。我々と目的を同じくして反渡辺として挙兵しました。
しかし、それがおかしいのです」
「おかしいって何が? 長瀬家の人達は渡辺方の広瀬氏と戦ったって……」
「それからどれ程の時が経ったでしょうか? 合戦が行われたのは仮調印が済んだのと同日です。
今頃尾張に入り渡辺軍の背後を脅かしたり、我等に猪名川殿のように協力を申し込んで来てもよい筈です」
「それは……もしかして」
理奈の表情が先程までに比べて明らかに変わっている。
「そうです、彼等は当家と渡辺家を惑わし衝突させ……その隙に美濃・尾張を手中に収める魂胆では」
「何ですって!」
「で、でも弥生さん…… それは確かって訳じゃ……」
「そうですがこれ等の事を総合すると、今一番確率が高いのはこの可能性です。
しかも既に開始されている事も十分に考えられます」
「だったら速く英二さんや長森家の人達に報せないと!」
「距離的に考え長森家には間に合わないでしょう、もう長瀬の術中に落ちているのかもしれません……
しかし英二さんには報告させていただきました。時機に何等かの命が下るでしょう」
「だったらあんな事言ったのは長瀬家の手の者なんだね…… 何て酷い事を……っ!」
由綺が怒っている……誰にでも解る顔で。
「その通りだっ!!」
「誰です!」
突然声が響いたかと思うと陣内に多くの兵が傾れ込んで来る。
皆、理奈の直轄兵である。
「あなた達……」
「悪いとは思いましたが将兵一同、今の話を聞かせてもらいました」
「許せるか! 我等の理奈様にあのような恥辱をあたえた事を!!」
「そうだそうだ! この怒り、何物にも変えられぬわっ!!」
「理奈様……」
その中から部隊長の男が出てくる。
「我等に長瀬祐介暗殺を命じてくだされ!」
「なっ……! そんな事したら……」
「死は覚悟の上です。しかし我等には理奈様を冒涜した奴らが許せないのです!!」
「理奈様にあのような事をした奴らが遠くでほくそえんでいると思うと私は……っ!」
「どうか! どうか! 我等に御命じくだされ!」
「……」
「理奈さん」
弥生は静かにそして彼女からは滅多に聴くことの出来ない優しい声で話始める。
「あなたは人の心を真から掴む者がそうそういないと思っているでしょうが…… ここにいるではないですか」
「……」
「そのような部下を持てた事、誇りに思わなくてはいけませんよ」
「理奈ちゃん……」
「理奈様……」
「……悪いけど命令は出せないわ」
ゆっくりと顔を上げ、全員を見渡す。
「これから戦いがあるのに貴方達がいてくれないと困るじゃないの」
「それでは……!」
「これより敵の罠かもしれないけど渡辺軍本隊を撃破。
その後尾張に向かって進撃するわ。指揮官は私、それでいいわね?」
頷く由綺と弥生。爆発する歓声。
「私達を本気で怒らせた事を……奴らに死ぬ程後悔させてやるのよ!!」
策士が幅をきかせてるなぁ。展開上しょうがないとはいえ。策士でない由綺とか理奈
のようなキャラが、どうしても間抜けに見えてきてしまう、…ってのは、全勢力の
内情を神(=作者)の視点で見ている読者だからこそなんだけどね。(w
ま、そのうち策士策に溺れるを実地に見せてくれる事を期待しよう。特に英二。
けど、こういう一流の策士は最後までしぶとく生き延びるんだろうなぁ。
>>631 なるほど、今まで感じていた違和感はそれだったのか。
実際は策を練っていても第三者から見れば間の抜けた行動もあり、また社会的
建前を考えて表立っては現れにくいが、通読すればかなりの内情が(展開上
伏せている部分はあっても)読者には筒抜けになってしまう。
今のところ長瀬、緒方、藤田の三家が謀略戦の先鋭。邪魔な味方を巧妙に始末して
…というのは史実でもあるが、あんまり成功しても嬉しくないパターン。
逆に、滅亡が既定路線のような大庭家は『信長の野望』ならそれこそ火力で
ごり押しはまだ十分に可能な戦力だが………いかんせん大名の思考が…
まあ信長の野望でも漁夫の利はさんざ使って来た戦法だが文章化したとたん
そのいやらしさにはっとするのであった。
信長の野望 天下創世 12日いよいよ発売。
デモ冒頭の懐かしいイントロで思わず引きつけられてしまった。
www.4gamer.net/store/movie/nobu11demo.zip
www.gamecity.ne.jp/tenka/
大名思考中
「とにかく、その儀に関してはまたいずれ…」
藍原瑞穂は清洲城内に於いて長森の文官と交渉を続けていたが
何度、同盟の話をしようとしても体よく断わられていた。
「何故ですか!?せめて長森瑞佳殿との対面を……」
「瑞佳様からは『援軍、ご苦労様でした』との事です」
「何故会わせて頂けないのです?」
「瑞佳様は戦続きでお疲れでございます。『今は誰とも会いたくない』とのことです」
「ならば何時会えますか?」
「わかりかねます」
瑞穂は頑固なまでに拒絶する相手に疲れの色を見せていた。
(どういう事だろう……。長森家が断わる理由なんて無いと思うのだけども……)
瑞穂がそう考えていると、一人の武将が入ってきた。
「おお、七瀬様!ご無事で何より」
「そう……こちらの方は?」
「ああ。長瀬家の御使者でございますが、もう御用は済みましたので……」
(この人が……)
七瀬は諦めて立ち去ろうとする瑞穂を呼び止める。
「私についてきなさい。瑞佳と面談するつもりがあるのなら……」
「え?」
「なっ!七瀬殿、瑞佳様は今は誰とも会いたくないと……」
「なら何時なら良いわけ?それにあたしが見舞う事すら
許されないと?そこまで重い病気なのね?」
「あ……う……」
「……どうなの?」
七瀬が睨みつけると文官は
「い、今すぐ取り次いで参ります!」
と言って駆けて行った。
七瀬は『まったく』と言ってため息をつくと瑞穂の方を見る。
「…あなたが長瀬祐介殿の使者ね?」
「は、はい。藍原瑞穂と申します」
「私は長森家武将、七瀬留美という者。話は長瀬殿から伺っている。
しばらくこちらでお待ちいただきたい」
「は、はい。わかりました」
七瀬留美はそう言って城の奥に入っていった。
一方、美濃尾張国境に移動した長瀬本隊の陣営では
「近江を出てからしばらく経つけど、兵士達の様子はどう?」
「病気も士気も大した事はないみたい。略奪行為も起きてないし
墨俣での事もあって、領民の評判もいいみたいよ」
「それなら結構」
「それと深山勢も動きなし。依然沈黙中、だって」
「それも悪くないね。……田中達の動きは何かわかった?」
沙織は首を横に振った。
「国境付近から数人帰ってきたけど、誰も知らないって……」
「そうか……。無事であればいいんだけど……」
そこに兵士が入ってくる。
「ただいま深山の陣に忍び込んだ間者からこれを……」
祐介は書状を受けとり中身を見る。
「…………確認はとれたんだね?」
「怖れながら」
「そうか………、下がっていいよ」
祐介は兵士を下がらせると、大きいため息をついて座った。
「どうしたの?」
「……田中が死んだ。遺体は深山の陣地にあるみたい」
「田中君が……?」
「うん。駿府にいた深山家からの人質、川名みさきを救出。
逃げる途中の矢傷がもとで深山の陣に着いた時に死んだって」
祐介は書状を沙織に渡すと、空を見上げる。
「……遠江に送った間者もかなりの被害を受けた。
そのうえ間者統率役の田中が死んだということは
謀略・情報戦で緒方に勝つ見込みがなくなったということか……」
祐介は横になると手ぬぐいを顔にのせる。
「……お茶を入れてもらえないかな?」
「……うん」
「あ、それと」
祐介は沙織を呼び止める。
「深山の陣に密使を。遺体を引き取って葬ってやらないと」
「……うん。誰が行くの?」
「……僕が直接行く。使者はその事を通達するだけでいい」
「……わかった」
沙織が出て行くと、祐介は横になったまま思考を続ける。
(こうなれば外交戦に全力を注ぐしかないか……。
それと緒方が今後どう動くか。渡辺勢との戦いの結果次第では
撤退準備を進めていた方が良いかも知れないな……)
祐介はそう考えると紙に何事かをしたためて伝令兵を呼んだ。
「これを近江に届けておいて。できるだけ早く、緊急を要する話だから」
伝令兵は一礼して走り去っていった。
>>639 所詮萌えゲーだから、根本的に画像化できなければ意味がなかったり、
グラフィック的にある程度優れてないと意味が無かったり、
オルドがなければ意味なかったり(以下略)
少し前、三河・三方ヶ原。
夜。
「・・・・・・このまま我等だけで、渡辺軍と戦うおつもりですか?」
「ああ。我等の動きはまだ、渡辺には知れれていないはずや。」
箱根神社の眷属、九頭龍の大将旗が三河の地にはためく。
真っ先に三河に到着したのは、猪名川由宇率いる千堂家三千の騎馬隊であった。
興国寺城から2日、腰兵糧だけで一気に駿河・遠江を突破してきたのである。
普通、三千といえども軍隊を高速移動させるのは常識から観れば大きく外れている。
それだけの高速移動を果たしたのは、
「それに、ここは騎兵に有利な砂地。野戦に持ち込めば勝機は確実にある。」
「しかし、相手の兵力はわかりませんが、結局一万は下らないと思われます。」
「構わへん。」
「・・・・・・」
その時、一騎の武士が由宇に近寄ってきた。
「・・・・・・ったく、手間どらせやがって!!」
「・・・・・・和樹!!どうしたんや?!」
「どうしたもこうしたも無えだろうが!!」
「止めにきたんか?止めても無駄やで。」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・騎兵というものは、本来悲壮なものや。どんなに強大な相手であれ、
常に敵に突撃しなければならへん。それが本来、『騎兵』というもんや。
・・・・・・その騎兵を率いる人間が、敵の大軍を目にして、怯えておってどうするねん。」
「・・・・・・」
「・・・・・・武士っちゅうのはな、本来、主人の為に、喜んで死ぬる事や。」
「・・・・・・」
「どんなもんでも家族もいれば、恋人もいる。親もいれば兄弟もいる。敵にも、味方にもな。」
「・・・・・・」
「だけどな。それでも、戦は起きるねん。戦が起きれば、人は死ぬ。いとも、あっけなくな。」
「・・・・・・・・・・」
「何の為に生き長らえるのか、人を裏切って、裏切って、御天道さんに顔向けできないような
生き方をして、それで何の為の命になる!
命なんぞは、一つしかないが、その一つの命をどう使うかなんぞは、本人の自由!
だがな、無駄にのうのうと生き長らえる位なら、いっそ死んでしまった方が遥かにましや!!
うちが武士である、『もののふ』であるならば、武士としての誇りを貫く。
たとえ、そこにあるものが、何も無い、敗北であったとしてもや・・・・・。
これが、うちのやり方や・・・
・・・・・うちは、うちのやり方を貫く!これがうちら坂東最強の武士、猪の坊のやり方や!!
一歩たりとて、一人たりとて、敵であり、向かってくる敵を許す訳にはいかんのや!!
自らがたとえ倒されようとも、向かってくる敵は全て倒す!!それが猪の坊の生き方なんや!!」
「御大将!!出陣の準備、出来ました。!1」
「・・・・・・止めても無駄やで・・・・・・行くで!!敵は三方ヶ原に在りや!!」
「応!!」
「・・・・・・あの・・・・・・バカ。」和樹は一人、そう呟いた。
.´ `v^) _______
〈(ハ从ノlハミi((. /
l人´д`l从 )) < SS書く時間が無いのでこの後の状況だけ説明。
/ y/ ヽ( \
(⊃ ⊂[_ノ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(ノノノ | | | l ) 最近動キガ早インダヨ、マジ
この後、猪名川軍三千は、三方ヶ原に集結して休息中だった渡辺軍に一気に奇襲を仕掛けます。
しかし、渡辺軍は完全な奇襲を受けたにも関わらず、渡辺茂雄の名指揮ともいえる戦術で
影武者を数名失い、三千名以上の死傷者を出しながらも、三方が原からの撤退になんとか成功します。
この時、猪名川軍の当初の兵力は2983から2841まで下がってます。
つまり、今回の猪名川軍の死傷者は142名。うち死亡83名。(猪名川由宇直接計算)
猪名川軍はその後渡辺軍を追撃しようとしますが、案の定兵も将もシュラバ明けダウンを起こし、
三方が原に残らざるを得なくなります。
猪名川軍の奇襲ということすら気がつかなかった渡辺軍は、一夜明けて反撃しようとしますが、
とても士気が低く、攻撃するような余裕がない。
従って、速度が遅い後から来た兵糧部隊のところまで一旦戦線を下げ、再起を期す事になります。
和樹は何もやってないように見えますが、実はいく民からもらった茶器で駿河あたりから
暴騰した米を、それでもなんとか買いあさり、猪名川軍の兵糧として使います。
で、ちなみに箱根・芦ノ湖を守っているのは・・・・
鈴香「・・・・・・淡水嫌い・・・・・」
以上、猪名川の奇襲作戦、終了。あとは緒方軍の駿河・遠江合同軍との再編成で大体3〜5日。
渡辺軍の体制が立ち直るのも大体同じ。
.´ `v^) _______
〈(ハ从ノlハミi((. /
l人´д`l从 )) < 正直後割り込みスマンカッタ
/ y/ ヽ( \ >>緒方家あたり書いてる人
(⊃ ⊂[_ノ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(ノノノ | | | l )
手紙程度で止まる相手じゃ本来無いんで、流れ的に仕方なく渡辺本隊とぶつけますた。
この騎兵は、詠美相手にさんざ苦渋を舐めさせられた騎兵なんで、
その関係で坂東ではほぼ最強に仕上がってます。
つーかちゃん様のえげつない鉄砲攻撃を喰らいながら無理矢理突撃できる唯一の騎馬隊というべきか。
相当無茶な戦術を使ってますが、それも訓練の賜物か、
普通なら箱根から補給線も無く一気に三河に抜けるなんぞあまりに無茶な戦術で、
東海道があるとはいえ、こんな暴挙は由宇にしか出来ません。
大体流れを破壊しないように務めたつもりですが、どんな感じでしょ。
あとは緒方軍に編入ですんで、猪名川軍の指揮は任せます。
和樹もしばらくは由宇と一緒のはずです。(顔は隠しているかもしれませんが)
(本来なら昨日の段階で書きたかったが、疲れがひどくてとてもできんかったよ・・・・)
神(作者)執筆中……
「・・・・・・鉄砲隊!何やってるの!大庭詠美の軍に向けて応射!!」
佐祐理は自分の鉄砲隊に対して下知を飛ばした。
「鉄砲を三段に構え!!発射!!」
倉田軍からも鉄砲の応射が始まる。しかし、大庭軍の砲撃によって、鉄砲隊はすぐに逃げ出してしまう。
「ち、ちょっと!!何で逃げるんですか?」
「佐祐理様!わが軍の鉄砲では詠美軍には届かないのです!!」
「はええ?!と、届かないって?どういうことですか?」
「解りません!!ですがこの距離では大庭軍に攻撃する事が出来ません!!」
「・・・・方円・・・・いや、胡蝶です!!胡蝶で方円の陣を引くんです!!!」
「・・・胡蝶!!」
胡蝶の陣形。対大庭詠美戦の為にのみ開発された水瀬家の特殊陣形。
普通、足軽を使った兵団では、集団密集戦法(※1)がとられるが、
千庭の乱の際に大打撃を蒙った倉田・川澄の両名は、その最大のネックであった
詠美の大砲の被害を最小限に保たせる為に、いざというときには兵の並び方を変える様、
兵士に特訓をしていた。
※1 集団密集戦法 → 胡蝶の陣形(倉田佐祐理・川澄舞)
兵兵 兵 兵 兵
兵兵兵 →敵部隊 → 兵 兵 →敵部隊
兵兵 兵 兵 兵
お互いの兵の兵との間に一定の隙間を空けることで、特に砲撃によって集中した兵を
皆殺しにされる確立が低くなる。ただし、この陣形を使うと、大砲に対する防御力は
高まるが、防御・攻撃力の双方が著しく低下するという欠陥がある。
したがって、大砲を多用する詠美以外に使われることなど皆無であった。
「この状態では私たちは囲まれています!!右翼は詠美軍に対して突撃!!
左翼と中央は塚本隊に向かいます!!」
「はっ・・・・・!!!!さ、佐祐理様!!!」
詠美軍の大砲が佐祐理の陣近くで炸裂した。
「カルバリン砲と新式銃の乱れ撃ちで御座るよ。いかがかな、ヤングウーメン。」
「こ、これを破れる方法はそう簡単にはないんだな」
この者たちの名は、先の方が縦王子鶴彦、後の方が横蔵院蔕麿。
火器の扱いに特に優れ、大庭詠美の砲撃隊を指揮する鉄砲頭である。
「で、でも、もう、ほ、北方から香里ちゃんの部隊が接近しているんだな。」
「そちらの方はそなたに任せるでござるよ、ヤング・メン。」
「え、詠美さま、も、もし香里を捕らえたら好きにしてもいいんだな?」
「もう、ぐっちゃぐちゃのめっちゃめちゃにしてもいいわよ。
倉田佐祐理の処遇もあんたらに任せるわ。あたし興味ないし。」
「さ、さすが詠美様なんだな」
「・・・・・・なんか妙な寒気がするわね。」
香里の部隊は戦場の北方、倉田佐祐理隊と大庭詠美の部隊の直線上にきていた。
「・・・・・・いいわね。言ったように、手槍と刀を準備よ。」
「はい、香里様。」
「香里ちゃんの部隊はヤりたいのようでござるよ、ヤング、メン。」
「も、文字が違うんだな。」
「・・・・・・倉田佐祐理隊を助けます・・・!!いくわよ!!」
美坂香里率いる足軽五千は、大庭詠美率いる鉄砲隊に向けて突撃を開始した。
「よし・・・鉄砲隊二千は、三段に銃を構えたまえ。
まだ有効射程範囲ではない、焦るでないぞ、ヤングメン。」
詠美:「横は12時の方向に砲撃!!縦は6時の方向に砲撃を開始!!」
オタク縦横:「了承。」横:「なんだな。」
詠美:「あたしは佐祐理隊を完全に打ち壊す!!三段構え!!撃て!!」
銃弾の音がさらに響き渡る。
(すごい鉄砲の音ね・・・佐祐理隊が生きていればいいけど)
突撃のさなか、香里は一人考える。
(・・・・・・恐らく。もうそろそろ射程範囲・・・)
「こっちにも・・・・来るわよ・・・!!!」
「三段撃ちでござるよ!!!放てい!!!!」
「伏せなさい!!」
香里は突如、笛を吹いた。その刹那の間に香里の部隊の全員が一斉に地面に伏せる。
銃砲の音が響き、頭の上を銃弾が掠めていく。
後ろの方から悲鳴が聞こえる。恐らく何人かは当たったのであろう。
「次の鉄砲発射まで20秒弱・・・行くわよ!!」
「・・・・・・な・・・何と。香里ちゃんは全部銃弾をかわしているんだな。」
「やるでござるな、ヤングウーメン。」
「こ、このまま、伏せのスタイルで突撃を仕掛けてくる気なんだな。」
「でも、こういうときの為の手はちゃんとあるんだな。」
「・・・・・・油壺を準備でござるよ。ヤング、メン。」
「火を放て!!美坂軍を丸焼けにしろ!!」
美坂香里隊の前方に、火の壁が立ちはだかった。
「・・・・・やはり、火計ね・・・・・・思う壷だわ!!
用意していた、「あれ」を火の中に投げ入れなさい!!」
「はっ!!」
香里の声で、陶器の玉が火炎の中に投げ入れられた。
陶器の玉は、中で爆発し、不思議な気体を出し始めた。
「・・・・・なんだ?この匂いは・・・・・」
「・・・・・・・しまったでござるよ!!これは・・・毒薬火球・・・・・・!!!」
毒薬火球。
蒙古軍が波蘭(ポーランド)軍と戦った際に使ったとされる毒ガスの一種である。
詳細は、震天雷の中に砒素を入れ、気化させて使うものらしい。
日本で使われたという記録はないが、外国の記載によると、これを使われた
ポーランド軍は恐怖におののき、まともに戦うことが出来なかったという。
「・・・・・別に、海外の兵器が得意なのは、あんたたちだけじゃないのよ。」
香里はすらっと言い放つ。ガスは風下にいる詠美軍を襲い始める。
とたんに、前方の部隊が気分が悪くなり、倒れ始めた。
「ふ・・・・・・・ふふふふふふ・・・・・・ひゃああああははっはははははははははははは!!!!
・・・・やるでござるなあやりおるでござるなあああ!!」
この攻撃は、縦王子の自尊心に火をつけることとなった。
いままで、詠美軍が敵軍に損害を与えられたことは無い。それをはじめて今食らったのである。
「あの火炎の中に砲弾をぶち込むでござるよ!!撃ちまくれ!!殺せ!!皆殺しにしろ!!
「全軍、火に飛び込むわよ。」
「はい?!」
「所詮、火の中に毒薬火球をばら撒いたのよ。上昇気流を起こしてしまったら効果は半減以下よ。」
「じょ、じょうしょうきりゅう?」
「あんたたちは知らなくていいわ。突っ込んでも死ぬことは無い。手はずどおり、行くわよ。」
言うやいなや、香里は手槍を持って火の中に突っ込んでいった。
「・・・・香里様を殺すな!!突っ込むぞ!!」
「・・・・・・応!!」
「・・・・・・鉄砲隊の体勢を整えろ!!気分が悪いものは後ろに下がれ!!
所詮水瀬の毒薬火球なんぞ未完成の代物に過ぎん!!安心せい!!」
「あんたあ、大丈夫?」
「・・・・・・大丈夫でござるよ、ヤングウーメン。香里隊は必ずや某が倒して見せましょう。」
「・・・・・・一応援護してあげるからね。そんしの代まで感謝しなさいよ。」
「一応、この場合の「孫子」は「まごこ」と呼ぶでござるよ。」
「カルバリン砲準備!!10門は後方・美坂香里隊に向けよ!!」
「了承!!」
「ばきゅうううううう!!!!!」
川澄隊に対する6名の突撃は今も続いていた。
「国崎さん・・・大丈夫ですか?」美凪が心配そうだ。
「大丈夫だが・・・・・もう、戦場は火炎地獄だな。」
「もっとひどくなるかも知れませんぞ。気をつけてくだされ。」
「・・・・・・!!」
「凄い・・・・・・これが「たいほう」の威力なんですか。」
「まさに、修羅場。」
「にゃあ〜前の火炎は何なんですか?」
「すばる様が放った火らしいです。先ほど国崎という者の手の者が。」
「すばるが・・・・?」千紗は不思議そうな顔をしている。
「・・・・・・まあ、とにかく、火で守られている間に、軍団の体勢を一回立て直すですよ。
急いでくださいです。」
「はっ。」
.´ `v^) ____________
〈(ハ从ノlハミi((. /
l人´д`l从 )) < ・・・・・・やっちまったい。
ザクッ/ y┃ ヽ( \
Σ(m)二:;⊂[_ノ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(ノノノ |ヽ゚・.゚・*: .。.:,... 某トシタコトガ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
多摩川→荒川ですた。
仮出荷のときのタグが外れてなかったよ。
「長森家当主、長森瑞佳です」
「長瀬家家臣の相原瑞穂と申します」
七瀬留美の仲介により、瑞穂は長森瑞佳と対面していた。
(さて、これから如何するか)
瑞穂は少し思考を巡らせ、こう切り出し始めた。
「まずは長瀬祐介殿からお詫びの言葉がございます」
「お詫び、ですか?」
「はい。先の南尾張の戦いの際、清水なつき勢に兵糧援助を行ったのは
わたしたち、長瀬にございます」
「な、なんだと!?」
瑞穂の突然の物言いに、その場にいた諸将が騒然となる。
瑞佳は諸将を抑えると少し厳しい口調で問いただす。
「何故そのような事をしたか、理由はあるのですか?」
長森瑞佳に問われ、毅然とした態度で答える瑞穂。
「はい。何故ならば、当時の清水勢は兵糧に事欠き、領民から略奪を行っておりました。
略奪された民・農民は生きるために他の者、他の村に対して
野盗とならざるをえず、戦が終わった後の治安、治世を考えると
その様な民を作り出さないためにも兵糧を出す事が良いと判断いたしました。
お知らせしなかったのは、その事で要らぬ疑いを持たれる事を恐れたが故にございます」
次に住井護が問いを投げかける。
「では、何故長瀬殿は畿内を優先させて、これまで美濃に
出陣いたさなかったのか?」
「それは同時期に月島拓也殿が京に進出したせいです。
長瀬にとって京は目と鼻の先です。後方の安全を確保の後
こちらの方に援軍を出すのが上策と考えたからです」
次に七瀬留美が質問した。
「それまでに私達が敗れ去るとは思わなかったのですか?」
「思いませんでした。何故ならば渡辺勢に比べて長森勢は三つの有利がありました」
「三つの有利とは?」
「一つ、長森瑞佳殿は尾張の民に絶大な支持を受けております。
例え一時的に渡辺勢が勝ちを収めていたとしても、
一揆や叛乱が多発して治世が上手くいかなくなる事は明らかでございましょう。
二つ、渡辺勢の軍勢は言わば糸で繋がれた鳥のようなもの。
渡辺茂雄がいればそれなりにまとまるでしょうが、
各部隊がバラバラに動くため、烏合の衆と言っても良いでしょう。
しかし長森勢は長森瑞佳のもとに一つにまとまっております。
兵を操るうえで最も大切なものは統率でありますれば
途中はどうあれ、最終的な結果はおのずと明らかかと存じます。
三つ、自分の都合で一度見捨てた者達を、自分の都合で攻め立てる。
この様な暴虐な人物を誰が容認致しましょうか。
以上の三点が長森が渡辺に対して有利と判断した三点であり、
美濃出兵を後まわしにした理由でございました。
……結果としてその予測が間違っていたのは否めませんが」
少し肩をすくめる七瀬を尻目に、続けて折原浩平が質問する。
「今、渡辺勢は緒方の進攻を受けて三河に撤退している。
抑えの渡辺勢は四千、貴軍は五千。我等に協力するつもりならば
何故進んで目の前の敵を討たないのか?」
その質問に瑞穂は含み笑いを漏らす。
「何が可笑しいのか?」
「いえ、折原殿ともあろう人からその様な事を聞かれるとは思いませんでしたので」
「……ほう。では何故攻めないのか、理由が有ると言うのだな?」
「はい。兵を用いるのに『心を攻めるのが上策、武力に訴えるのが下策』と申します。
万全の備えある敵を攻めては、勝っても被害が大きく
負ければ参軍した意味がなくなってしまいます。
元々、深山雪見殿は長森家の方々とは親交厚いと伺っております。
それ故、今回の渡辺勢への協力も決して本心ではなく、
人質がいたが故の参軍との話を聞いております」
浩平はその話を聞くと
「ではその人質をこちらに連れて来る事は可能か?」
「我等の間者が既に駿河に潜入しております。ここ数日中には結果がでるかと思われます」
折原浩平が口を閉じる。次に再び 住井護から質問が浴びせられた。
「俺達はすでに緒方英二と仮同盟を結び、協力体制にある。
しかし長瀬祐介殿は緒方英二を『危険』と言ったと、
七瀬さんから聞いたのだが?」
「当然では無いでしょうか?緒方英二が自勢力を弱く見せていた為に
渡辺勢は大掛かりな侵攻を決意したのです。
また駿河、遠江がガラ空きになると、すかさず侵攻する狡猾さ。
これを以って『危険』と考えるのは自然な流れかと思われます」
住井は続けて質問をする。
「では長瀬祐介が俺達にとって危険ではないという事を
如何にして証明できますか?」
瑞穂は間髪入れずに返した。
「長瀬祐介様は優しい人物です。それは長瀬軍の戦い振りに
表れていると言えましょう」
「どのように?」
瑞穂は軽く息を整えると言い始めた。
「まず畿内での戦では月島拓也の部隊を三つに分散させ
各個に撃破する事で味方の損傷を抑え、
さらに敵を討ち取るのではなく、敵陣を討ち破る事を第一とした為に
月島勢の損傷を含めても、戦の規模に比べて驚くほど小さく済みました。
次に追撃の際に、月島の兵が山道に立て篭もった時も
力任せに撃破するのではなく、間断なき空攻撃をかけ続けた事で
翌日の朝には相手が降服し、ここでも敵味方の被害が最小限に留まりました」
瑞穂はそこまで言って、少し間を空ける。
「さらにこの度の広瀬勢との戦においても、敵兵を川に追い詰めながらも
降服を呼びかけることによって、敵味方の被害が最小限に留まっている事も
忘れないでいただきたく思います」
その場に沈黙が広がった。瑞穂は改めて頭を下げる。
「つきましては長森瑞佳殿にお願いの儀がございます」
「……何でしょうか?」
「是非とも長瀬祐介に罪を償う機会を与えて頂きたいと存じます」
「……それは清水なつきに対する行為の事ですか?」
「はい。いくら民の為といえ敵対勢力に協力した事は事実。
願わくばその罪を償う機会をお与えいただきたく存じます」
瑞佳は浩平の方を向く。浩平が頷くと正面に向きなおす。
「……具体的にはこちらに何をせよと?」
「まずは尾張に長瀬軍が入る事を許可して頂きたく思います。
次に背後を遮断する事の無き様。
最後に深山家が誘降に応じた際には
長森家に所属する事をお認め頂きたく存じます」
「……それは口約束ですか?」
「いえ、文章にしていただきたく」
長森瑞佳は傍らの折原浩平に視線を向けると正面を向きなおす。
「……良いでしょう。すぐに書きますのでしばらく
お待ちいただきたいのですけど、いかがです?」
「はい、かまいません」
「その際、一つ文を付けさせて頂いてよろしいですか?」
「はっ、どのようなものでも」
「では『渡辺勢に捕えられていると思われる里村茜、柚木詩子の両名を
保護していただきたい』と」
「ではその様に……」
瑞穂が別室に案内され、部屋に重臣のみが残ると、まず住井が声を荒げた。
「緒方の言う通りじゃないか!長瀬と協力する必要なんてない!」
「私はそう思わないわ。もし私達を騙すつもりなら
自分達に不利になるような事は言わないはずよ」
「七瀬さん!それが長瀬の術中にはまっているという事じゃないのか!?」
「二人とも落ち着けよ」
「折原、お前はどう思ってるんだ!まさかこのまま
長瀬の好きにさせるつもりじゃないだろうな!?」
折原浩平は住井と七瀬を落ち着かせると自分の考えを言い始める。
「俺は長瀬軍の戦い振りに信用できる要素があると思ったんだが……」
「だから言う通りにするってのか?」
「なら、お前に長瀬祐介のような戦い方ができるか?」
「う……」
「それだけじゃない。深山先輩の軍勢を落としても、
長瀬の配下にしない事の言質を残そうとしている。
また『罪を償いたい』と言っている者を拒絶すれば
瑞佳の評判を落とす事にもなる」
「だからと言って……」
「それに緒方は何故この時期に出陣してきたんだ?
長瀬の言う事も聞くに値する事じゃないか?」
「三人とも」
瑞佳の声に三人は話を止める。
「あたしは少なくともあの使者の言ってる事は信じてもいいと思う」
「長森さん、……どうして?」
「七瀬さんが言う通り、長瀬が同盟を組みたがっているなら
ここで言っても良かったんじゃないかな。それをしないで
わざわざあんな事を言ったのは、私たちに長瀬祐介と言う人物が
信用できる相手かどうかを見極める時間を用意したかったじゃないかな、
と思ったんだけど」
「と言う事は、それだけ相手が本気かも知れないと?」
「うん。……違うかな?」
三人は黙っていたがやがて、
「長森さんがそう考えているなら、俺は反対しない」
「あたしも瑞佳の考えに賛同するわ」
「俺も長森を支持する」
異口同音に支持を表明した。瑞佳は三人に頭を下げると文章を二枚書いて、
一枚を自分で、もう一枚を瑞穂に持たせた。
「では、この次は祝勝の宴の時に、祐介様を連れてまいります」
そう言って瑞穂は長瀬の陣に戻って行った。
662 :
能登の嵐:03/09/13 02:17 ID:u+yI/ChL
ところ変わって、加賀。
廃屋に見せかけた拠点の一つを訪れていた少女のところに、一人の密偵が
何事かを囁く。
「やはり、そうなりましたか」
手元の密書を開きながら少女が呟く。最終調整、段取り、互いの協約、そ
れらを確認する。
すでに手筈は万端、整っている。
「私も覚悟を決める必要がありそうです」
少女は書に花押を押し、暗号を2・3配すると間者を各地に走らせた。
◆ ◆ ◆
能登。
旧柏木3国の一つ。そして柳川裕也が初めに柏木から奪い取った地にして、
今や柳川裕也の最期の領地。
柏木との内紛を続けながらも能登・加賀の2国を治め強国とされた柳川は、
けれど久瀬の乱において4ヶ国を有する大国・水瀬と争い、これに大敗する。
仮にも強国と謳われた柳川であり、老練と謳われた長瀬源三郎7千。その
軍勢さえもが、水瀬の若輩、美坂栞のわずか3千の兵と計略によって容易く
撃破されたのである。
663 :
能登の嵐:03/09/13 02:19 ID:u+yI/ChL
_
____ ∠∠ /\
. /能登/ ∠/ / /
│ / ̄ _/ /
│ │ _/ /
/─│ _/|北越後 /
.加賀│\__/ ̄ヽ─´ \ /
_/\ │ 越中 │ 南越後 .\/
│ 越前\/ \ / ̄"\…───<_
\_ │飛騨ヽ ̄ . │ │ \
│_/ \____│ │ 上野 │下野 >′ ̄/
ヽ │ │ / /
) 信濃 _│__ \__/ │
/ / │北武蔵 ̄│\常陸│
/ / \_____│ \ │
│ /│甲斐 / 南武蔵 下総 \
\__/ \_/
柳川領 : 能登
柏木領 : 越前
緒方領 : 信濃・甲斐
大庭領 : 下野・常陸・下総
水瀬領 : 加賀・越中・南越後・北越後・北武蔵・上野・下野の一部
現在、大庭領へ侵攻中
664 :
能登の嵐:03/09/13 02:19 ID:u+yI/ChL
人はこう噂している。
「鬼柳川」は「弱柳川」であったと。かつて柏木に名を連ねた強国も、水
瀬の前ではただの赤子だったと。
そして諸大名は恐怖した。
甲斐・北越後をも支配した水瀬は、はたしてどこまで膨張するのかと。
大庭を相手にしている間はいい。
だが、連戦に連戦を重ね、加賀も北越後も所領に加え、今は大庭3ヵ国を
も併呑しようとしている水瀬は、大庭亡き後、次にどこを襲うのだろう。
「鬼柳川」ですら稚児同然、さらに大庭ですら歯が立たぬとなれば、次に
奪われるのは誰の所領か。隣接する千堂か、はたまた緒方か――。
◆ ◆ ◆
665 :
能登の嵐:03/09/13 02:20 ID:u+yI/ChL
能登の山城。
城とも呼べぬ粗末な陣地で、眼下に開けた加賀・越中の大地を見下ろして
いる一人の武者。全身を漆黒の甲冑に身を固め、「鬼柳川」の紋所をつけ。
それは先の水瀬戦でついに姿を見せることの無かった、能登城主、柳川裕也
本人であった。
傍に控える武者に、酷薄な笑みを浮かべる。
「ずいぶん手酷くやられたものだな、源三郎よ」
「は…」
傍に控えた武者は、頭を垂れたまま動かない。
「知っているか、柳川は腰抜け呼ばわり、歴戦の老獪武者が、わずか3千の
兵を率いた小娘に敗退したと、笑わぬ者はいないぞ」
「は…」
「『鬼の源三郎』『老獪の源三郎』、数々の字(あざな)が泣いているな」
「は…」
幾度となく、向けられる柳川の皮肉めいた口調に、源三郎はただ、頭を垂れる。
実のところ源三郎の下には水瀬から幾度となく調略の使者が来ている。
『柳川を討たれたし。さすれば、能登は貴公の所領として水瀬が保障しよう』
筆頭家老であり家内に通じた彼ならば、柳川裕也を討つこともあるいは、可能
である。
そして、失敗者は即座に処刑する残酷無比と噂される柳川裕也の配下にあって、
先の敗北と加賀の喪失は、致命的なものではないかと思われた。
地位も命も危ういのであれば、いっそその手で――。
水瀬から幾度となく調略を受けるうち、源三郎の腹は決まった。
否、すでに決まっていた。
すでに、各地で準備は終わっていた。
666 :
能登の嵐:03/09/13 02:21 ID:u+yI/ChL
「――ときに源三郎、貴様、此度の行動が意味するもの、わかっておろうな」
ふと、柳川の口調が変わった。
「――は、存分に」
「――準備は済んだか」
「全て」
源三郎の口元が歪む。
「覚悟していただきますぞ、殿」
「そうさせて貰おう」
す、とお互いの腕が獲物へと伸びる
刹那。
源三郎の槍が飛んだ。
柳川裕也の苦無(くない)が飛んだ。
悲鳴が上がる。鮮血が舞う。
ソレを合図に、兵が動く。
源三郎直属の城守衆が、
柳川裕也直属の御庭番が、
――――水瀬配下の間諜を、狩る。
667 :
能登の嵐:03/09/13 02:22 ID:u+yI/ChL
「さすがに腕は衰えていないようだな、源三郎」
「殿には遠く及びませぬ」
「さて、潰れた目と耳、水瀬はいつ気づくと見る」
「早くて12刻。遅ければ二日と1刻」
「その域まで諜報網を潰したか。流石だな」
「伊達に柳川の将はやっておりませぬ」
「6刻もあれば余裕だな」
「芋粥が食えますな」
「さて――」
山野から十重二十重に出現した黒装束の騎馬武者に向けて、柳川が
手を挙げる。
彼らが掲げるは、ただ一つの紋所。
「狩りの時間だ。獲物は水瀬。『鬼柳川』の真価、油断しきった腑抜けどもに
見せてやるとしよう」
『おおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!』
怒号が大地を轟かす。
◆ ◆ ◆
668 :
能登の嵐:03/09/13 02:23 ID:u+yI/ChL
「申し上げますッッ!」
早馬に早馬を重ね、血を吐かんばかりの勢いで絶叫を上げた伝令の声を、相沢
祐一はけして忘れないだろう。
「加賀ッ、越中ッ、双方同時に音信途絶えましたッッ!!」
「馬鹿なッ!」
祐一は伝令に掴みかかる。
「何が、いったい何があった」
「一切わかりませぬっ! か、加賀からも、越中からも、一切の音信が途絶えて
おりますっ!」
「貴様、大庭攻めの最中に、よりにもよっていい加減な戯言を」
「伝令ッッッ!」
悲鳴を挙げんばかりにして使者が届く。
「越中より、伝書鳩にて、ただ血に塗れた白書がッ」
「何が、何があったというんだッ!? 越中…緒方が動いたとでもいうのか!?」
「伝令ッ! 加賀の確認に向かった探索方、戻りませぬッ」
「越中探索方、やはり戻りませぬッ」
「く……」
どうする、どうする、どうする……。
偽報かもしれぬ。そう、これが諜報戦でないと、誰が言える。
そう、それこそ惑わすだけの偽報かもしれないのに。
祐一は迷った。果断を以って鳴る彼だが、事態が事態だ。
眼前の大庭、情勢不穏の後方、果たしてどちらを取るべきか。
「伝令ッ! 栞様直属の隠密より伝書鳩ッ! 血に塗れた白紙のみ、瀕死の鳩と
共にッ」
「伝令ッ! 南越後より、越中―南越後の国境にて、柳川軍、そ、総勢1万数千
を発見せり、至急援軍請うとの報がッ 」
「伝令ッ! 飛騨の斥候より、加賀が、加賀がッ…」
669 :
能登の嵐:03/09/13 02:25 ID:u+yI/ChL
◆ ◆ ◆
「そんな、そんな、そんな――」
栞は絶望的なものを見るかのように、眼下の光景を見ていた。
城をとりまく幾万の旗は、それは――
『進者 往生極楽』
『退者 無間地獄』
緊急の知らせと共に叩き起こされたのが寅の刻(午前4時)。混乱と怒号の
なか、起きたときには城内に敵兵が雲霞の如くに侵入していた。
なんとかそれを突破して城の一角に立て篭ったのが寅の刻半ば(午前5時)。
混乱のなか、必至で状況を考える。
裏切りか? ――否、直属の兵は裏切っていない、他に動ける部隊もない。
柳川か? ――ありえない。動きがあればわかる。柳川軍に、そんな動き
などなかった。なにより早すぎる。
そもそも、敵はどうやってこれほどの兵を集めたか? ――わからない。
そもそも、何故にこれほど容易に奇襲できたのか? ――わからない。
そもそも、敵は誰なのか ――わからない
敵の目的は、なんなのか ――わからない
城に通じる抜け穴は全て塞いだはずなのに、塞ぎ損ねがあったのだろうか。
それとも、裏切りなのだろうか。
そもそも、どこにこれだけの兵が潜んでいたというのか。
670 :
能登の嵐:03/09/13 02:26 ID:u+yI/ChL
混乱する頭を無理やり纏めようとするが、すでに外部との一切の連絡手段を
失っていた。最も信頼できる忍に敵勢を突破して外部と連絡をつけさせようと
したが、果たして無事に本国に危機を知らせることができただろうか。
ここも長くは保たない。
今にも即席の衝立や積み上げた荷物が破られそうである。
だが、もう逃げ場が残っていなかった。
すでに栞直属の護衛衆までもがことごとく切り伏せられて、城外に通じる道
には全て伏兵がいた。忠臣の庇護でここまで逃げ延びた栞だが、ここが突破さ
れるのも時間の問題でしかない。
そう思う矢先、自分も知らなかった死角の隠し扉が開き、敵勢が雪崩れ込ん
できた。
――やはり、敵はこの城の構造を熟知している。
激しく抵抗するも、乱暴に手足を押さえつけられた。
敵の首謀らしき少女が、何事かを囁き、共の者が栞が捕縛されたことを宣言
する。
強引に引き立てられ、縛られ、槍の穂先を突きつけられた栞の姿が松明にて
明々(あかあか)と照らされる。
数万に及ぶ歓声。掲げる旗――。
671 :
能登の嵐:03/09/13 02:27 ID:u+yI/ChL
◆ ◆ ◆
越中。
「ふん、他愛なかったな」
柳川裕也が鼻を鳴らす。
もともと水瀬の主力と渡り合うために用意した兵力である。加賀・越中ごと
きの抑えの兵が相手では話にもならなかった。加えて情報も封じており、頭を
失った美坂栞の兵も、直接戦闘向きではない天野美汐の軍も、鎧袖一触のレベ
ルですらなかった。
一向勢に任せた美坂栞の引渡しは確定しているし、捕らえた天野美汐は牢に
入れてある。いずれも、これから尋問その他とやることは限りないが、今はい
い。
被害兵数は無視できるほどに些少。水瀬の脅威を深刻に受け止めた緒方・大
庭、さらには対大庭戦への過度の水瀬の参戦を疎んじ始めている千堂、および
遠隔地に覇権国家が生まれるのを好まない長瀬他からの有形無形の対水瀬戦へ
の支援の数々があり、実のところ、このまま連戦をしても全く問題のない状況
ではある、が。
「なにも水瀬の愚を真似ることもあるまい」
分断した情報網の完全なる掌握。および民心、家臣群の把握。越中において
やるべきことはまだまだある。すでに前回の越中出兵時に、派兵を陽動として
各所に存分に撒いた柳川家秘蔵の忍び衆が、一国の情報網・情勢・民心の全て
を把握し尽くしているとはいえ、情報や民心を甘く見れば美坂栞のようになる。
ここで水瀬主力を迎撃するにしても、このまま更に侵攻するとしても、まずは
拠点を完全に掌握しつくしてからである。
672 :
能登の嵐:03/09/13 02:28 ID:u+yI/ChL
柳川は己がそれを利用しつくす戦術・戦略を得意とするがゆえに、自国領の
民心の掌握・情報の収集には絶対の注意を払う。
「2日で越中を完全に掌握する」
周辺諸国全てを騙しつくし、見事に「大敗北」を演じて見せた源三郎の演技
力と柳川の情報掌握能力。水瀬はもちろん、緒方・長瀬にまで秘匿しつくした
柳川の真の兵力。それにまだ気づかれるわけにはいかなかった。さすがに情報
力を誇る緒方・長瀬・那須は柳川がもっているモノの真価をほどなくかなりの
精度で推測し把握するだろうが、彼らとは当面の利害が噛みあう都合上、なお
柳川を支持する公算が高い。だが、水瀬相手には、もう少し秘匿しておきたい
のだ。これは。
そのためには能登・加賀と同じレベルの情報掌握・民心掌握を行う必要があ
り、それを完全にするためにも2日の猶予を取った。加賀一国をトロイの木馬
として仕立て上げ、水瀬をして決行直後までそれに気づかせない情報封鎖の徹
底ぶりこそが柳川の最大の武器の一つであり、その域で越中を支配することが
柳川の当面の目的である。
673 :
能登の嵐:03/09/13 02:28 ID:u+yI/ChL
「水瀬秋子を狩るとなれば、やはり越中くらいは完全に掌握しておきたいから
な」
柳川の視野にはそこまで入っている。水瀬主力があくまで南方に拘るという
のであれば、主力不在の水瀬秋子を遠慮なく狩らせてもらう。
一方で、水瀬の主力が反転してくるなら、決戦には柳川裕也が情報を制圧し
ている地で行うことが望ましい。
南北に長い水瀬領、その最南端のさらに果てにある大庭領から最北端にある
柳川の制圧地まで主力を戻すには、どんなに急いでも二日はかかる。ゆえに越
中の制圧には支障がない。かといって、急いで反転させなければ水瀬秋子の命
は危うい。
「あとは俺が水瀬秋子を狩るか、反転した水瀬主力と一戦を交えるか、主力と
睨み合いか」
いずれにしても水瀬の出方次第だ。
また、いずれにしても越中は必要である。
「諸将を呼べ。現在の作戦目的と、今後の展望を説明する」
以上です。長すぎました。すみません。
.´ `v^) _______
〈(ハ从ノlハミi((. /
l人´д`;l从 )) < ・・・・・・やべえ。大庭に正直時間かけすぎた。
/ y/ ヽ( \
(⊃ ⊂[_ノ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(ノノノ | | | l ) ワカッチャイタンダガ
舞と美凪の一騎打ちなんぞ書いてる暇ねえなオヒ(w
加賀一国を囮に使った釣り野伏せりか、やるな柳川。
とは言え、越中を取れたとしても越後への侵攻には親不知の難所を通る以外の
道は無いぞ。それとも真正面から立山連峰、黒部峡谷、白馬岳を打ち抜く気か?
人間業じゃない。鬼でもないと無理だぞ。
いや、鬼だからできるか。
一向宗は畿内、北陸、東海と拠点を持っている(関東にもあるが真宗でも
高田派などが中心で、かつ信長の野望で無視される程度)から展開次第では
主要な戦い全てに影響力を持ちかねないな。
一向宗・日蓮宗をうまく使い捨てた細川勝元になるか、一向宗を利用したが
最終的に国を乗っ取られた加賀守護冨樫家になるのか…。
あとは柏木家がキャスティングボードを握りそうだ。
しかし、長瀬家はお菓子を食べるようなノリで謀略を仕掛けているなあ。
>>677 ×細川勝元
○細川晴元
晴元は講和と偽って山科本願寺を騙し討ちにし、大坂本願寺は流石に落とせず講和するが、
以後信長の台頭まで一向宗は畿内では沈静化する。今度は一向宗との戦いで
兵を出した日蓮衆徒が邪魔になるが、恩義があるので自分からは手が出せない。
比叡山延暦寺が日蓮宗の「法華宗」宗号を禁ずるよう願い出ると敢えて拒否して
両者の戦いを誘発。延暦寺は法華宗包囲網を作ろうと傘下の寺院はもちろん、
本願寺や高野山にまで協力を求めたがいずれも賛同はしたものの兵は出していない
(本願寺は資金のみ提供)。
しかし細川・幕府は両者の戦いに延暦寺に好意的中立を保った。延暦寺・六角連合軍が
日蓮衆徒を和議のデマで惑わせた上で打ち破り、京都を丸焼きにすると
すかさず幕府は「日蓮衆退治落居、珍重」と持ち上げて見せた。
(天文法華の乱)
>>678 葉鍵のない歴史での、おおよそ1537年までの出来事。
この後しばらく日蓮宗は天台宗に従属状態となり、さらに織田信長にもまた
弾圧されるが、もはや一揆には至っていない。
信長の野望でも「旧仏教」とその他扱いされているくらい。当然葉鍵戦国でも
兵力的には大した存在ではない……はずである。
(中略:ここの戦いについては後ほど専用掲示板及び遠野美凪編・長谷部彩編を参照。)
「やめなはれ。戦は中止じゃ。」
夕ぐれにさしかかろうとする時。一人の騎馬が、戦場を駆け巡る。それと同時に、一斉に佐祐理・塚本隊の動きが止まる。
「・・・・・・?」
「戦は中止じゃ。弓鉄砲を収められよ。」
貴族のようないでたちをした人間の横に、見覚えのある顔がある。
「控えおろう、このお方をどなたと心得る!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あれは・・・・・九品仏大志?・・・・・・・・・なぜ。」
「・・・・・・・・にゃあ〜、やっと来たですよ・・・・・・」
「誰よ。あの人。」まゆがいぶかしげに言う。
「・・・・・・・・帝の使者ですよ。」
「・・・・・・帝の使者?!」
「・・・・・・和平調停の為、呼んでたんです。すばるが出る前から。」
「・・・・・・何故・・・・・・横に九品仏がいるのよ。」
「・・・・・・解りませんです。」
翌日。
「・・・・・・停戦?」
「そうじゃ。」
千紗は、この戦いにおいて、すばるが出陣したときに、既に朝廷に対して和平工作をお願いするように
申し入れていた。第一回の千庭の乱の時に、朝廷との間に大金をはたいてつくった唯一のパイプ。
千紗は最後の手段として、それを使ったのである。
「このたびの事、朝廷としても、まことに遺憾な事ではある。しかしのう、こうもあまたの良民兵士が死に、
涙を流して頼まれれば、いくらなんでも助けてを求めるものを助けざるを得なくなる。そうであろ。」
確かに。関東でおき続けているこの戦は、他の戦と比べても死傷者の数が余りに多かった。今回の戦ですら、
死者だけで結局両軍あわせて1万を優に超えている。
「それでのう。此度のような事を幾度も起こさぬよう、そなたら3家との間で和平を結べとの上意じゃ。」
「・・・・・・何と!」一同の間に動揺が走った。
(・・・・・・和平?)佐祐理・舞共に負傷しているので、今は、名雪と香里が水瀬の外交の全権を握っていた。
詠美:「ちょっと冗談じゃなikoraniosuroyameror]
千紗:(すこし黙っててくださいです。お姉さん。)詠美の口を無理やり手で塞いでいる。
使者:「うむ。」
使者が提示した条件は次の通りであった。
1.少なくとも、来年の秋(収穫期)までは千堂・水瀬・大庭の三家は停戦をし、不戦条約を結ぶ事。
2.水瀬・大庭の両家は、今回捕獲した捕虜については全部返還し、その際は命の保障を確実に致す事
「捕虜返還・・・・川澄舞を、返せと。」
「そなたらの場合は、そうなるの。」
「水瀬はどうじゃ。」
「あの・・・・えと・・・・」
「当方には、なんら問題はありません。」香里が先に切り出した。
(戦線の拡大をし過ぎている・・・・まあ、加賀には栞がいるから、大丈夫だと思うけど、
これ以上関東に口出しするのは逆に危険・・・)
「そして、大庭。そちはどうなのじゃ。」
「何言ってんのよこのすtakannkorananiwosuruyame」
「帝のありがたきお言葉を拝し、恐悦至極に存じ上げ奉りますです、にゃあ。」
千紗が切り出した。
(なにいってんのよ、もう少しで勝てるとこだったんじゃないのよ)
(にゃあ〜、あんな戦いじゃどう見ても水瀬の一部と共倒れですよお姉さん)
(ふみゅうう)
「相変わらずだの。」
「で、千堂家は・・・九品仏はいかがか?」
大志は、ひそかに笑みを浮かべて、言葉を放った。
大志:「帝のありがたきご配慮、まことに恐悦至極に存じ上げ奉ります。
われらは全て、帝の臣。何故故に帝の命をないがしろにする事が御座いましょうか。」
香里:「・・・・・・・・?」大志:「喜んで、お受けいたしましょう。」香里:「・・・・・・・」
使者:「宜しい。」使者は口をそろえた。
「これにて、この戦を終わらせる事とする。皆の者。大儀であった。」
一同:「ははっ。」
「おかしいわね。」香里が切り出した。
「何が?」名雪が答える。
「九品仏の態度よ。何よあれ。」
「・・・・・・え?」
「だって、おかしいじゃない。千堂と大庭は仇敵同士よ。それがあっさりと同盟締結に応ずるなんて・・・」
「・・・・・・九品仏さんも疲れてるんじゃないのかなあ。だって、大変だったし。」
(謎が多いわ・・・)
(だって、甲斐・駿河・信濃への道は火薬一カケラももらさず封鎖してるのに、、
なんで、塚本の使者があの封鎖された街道を突破したのよ・・・・・・。)
(それに・・・・・)
「名雪。」
「うん?」
「あんたなんでここに来たの?」
ここに来たの、とは、何で大庭軍との戦闘に参加したのかという意味である。
「えーーーっ、香里もう忘れちゃったの?」
「?」
「だって手紙出してきたじゃない。倉田軍危うし、すぐ救え、と。」
「・・・・・・私、そんな手紙出した覚えないわよ。」
「・・・・・・・え?」
「だってそうじゃない。あんた抜けたらだれが川越城守るのよ。」
「彩ちゃんがいるよ。」
「あの子にいきなり任せるつもり?」
「でも・・・そうでないと香里だって助からなかったじゃない。」
「・・・・・・まあ、それもいえるけど・・・・・」
・・・・・・待てよ・・・・・・
「香里、どこ行くの?」
「川越城よ!!アンタも急いで!!」「ええっ?」
川越城。
「水瀬家の美坂香里よ!!開門しなさい!!」
門は閉まったままだった。
「どうしたの!!早く開けなさい!!」
「どうしたの?香里?」名雪がいぶかしげに言う。
「・・・・・・開ける必要は御座いませぬ。」
頭上から男の声がした。
「・・・・・・この城は、千堂家が領有する事になり申した。」
「・・・・・・何!!」
「旗をよく見られい。」
確かに、周りは全て千堂家の逆さ魚燐で埋め尽くされていた。
「・・・・どうして?」名雪がいう。
「・・・・・!!!」
「・・・・・・長谷部殿・・・・いや、「千堂彩」どのは、水瀬ではなく、やはり千堂家につきたいと申されてな。」
(・・・・・・・やはり・・・・・・!)
「残念な事で御座るが・・・・箕輪城にお引取り願おう。」
「ちょっと・・・ちょっと待ってよ!何で彩ちゃんが、彩ちゃんが千堂和樹の元に戻りたいなんて」
「黙らっしゃい!!!」男が一喝する。
「若し・・・・あなた方が朝廷の命にそむき、我々と一戦を為すというのなら・・・・この場で『逆賊』を成敗いたしまするぞ!!」
周りに隠れていた兵が一瞬で弓を構える。
「我等・・・・信義を裏切る気は毛頭無いが、帝の命に平然と背く輩と手を組む気は無いのでな。」
(やられた・・・・・・完全にやられた・・・・・!!)
香里は今までの流れを思い返していた。
(九品仏・・・・・あの男、大庭家の朝廷への和平工作を逆利用し、逆に川越を乗っ取る気だった・・・・!)
(塚本の使者をわざと通すどころか、逆に和平交渉をしてもらうように千堂家からも働きかけ、
結果として一兵をも失わず、武蔵全土を手にする謀略・・・・・・・!!)
「お帰り願おう!!」男の声が響き渡った。
「・・・・・・箕輪に帰るわよ、名雪」香里は、何も見ず、ただ踵を返した。
「・・・・・・・・ちょっと・・・・ちょっと待ってよ!!何で?ねえ。・・・・なんでよ・・・・」
松山城。
「水瀬の小娘め・・・・・・小賢しいマネを。」九品仏は葡萄酒を片手に城下を見下ろす。
「見事な策略でした。」先ほどの男・・・・立川雄蔵である。
「・・・・・・その後、『あの』娘はどうした。」
「・・・・・・今は、手のものが確保してあります。」
「うむ・・・・・・」
「しかし、これで水瀬との縁が切れますな。」
「朝廷の命につき、来年秋までは水瀬との同盟は継続しなければならんがな。」
「しかし、一年あれば・・・・」
「そう、こちら側の開発計画は完全に終了する。大庭・水瀬の妨害無しでな。
千堂家にとっての最大の米どころを占領した・・・・それだけでこの戦いは十分意義があった。」
「申し上げます。」
「うむ。」
「南様が率いた下総攻撃軍ですが、3者同盟の約定によって引き上げを開始した模様です。」
「そうか・・・・同盟を組むまでの間に落とせなかったか・・・・」
「はい。」「現地の住民や大庭軍の相当な抵抗を受けたとの事。」
「・・・・・・仕方あるまい。澤田殿の書状にもあったように、元々が奇襲だ。奇襲が奇襲に
ならなければ何の意味も無い。」
「・・・・・・ご苦労。」
「はっ。」
「さてと・・・・・どうなる事やら。」
川越・荒川河畔の戦い 結果
水瀬軍:損害 6500名以上。倉田佐祐理・川澄舞 負傷
大庭軍:損害 8000名以上。御影すばる・足軽組頭に降格
軍師 塚本千紗 負傷
うち、大庭詠美率いる特別鉄砲隊の死者 1500名・・・・・・
現在のところまでアップ完了〜
うお、展開はやっ
>>640 誰か作ってくださいw
やってみたいです。
>>663-673 柳川の逆襲はじまりましたね。
次はここのあたりの戦いになるのかな?
.´ `v^) ____________
〈(ハ从ノlハミi((. /
l人´д`l从 )) <
>>686 ・・・・もし作るなら企画書立てから考えないとな。
ザクッ/ y┃ ヽ( \
Σ(m)二:;⊂[_ノ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(ノノノ |ヽ゚・.゚・*: .。.:,... 箱庭型トカ、武将風雲録型トカ。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
仮に・・・やるとするなら、烈風伝・将星録のシステムである箱庭型が
一番戦争と内政のバランスが取れていると思います。
だが、そのままだと「治安」「民忠誠」の点で少々問題が出てくるので、
修正が適時必要。
でもこれは地方政府関係の話なので、国全体の治安官という形で
誰かを置くようにすれば、問題は無いかな。
あと、信長は海外や国内での海戦については作りが少々甘いので、
大航海時代見たく、わき腹見せて戦う方式にしないと話にならない。
後は国崎や柳也の放浪の話か・・・・・
まあ、同人なんだから、GURPSシステムをPCに流用すればなんとか。
(何だかんだいっても、今ではあれが一番TRPGとしては優れている。)
どうでもいいけど最近のKoeiのゲームは重すぎる・・・
>>687 天下創世本スレは悲鳴の嵐です。蒼天録よりさらに飛躍的に重くなったそうで…
パワーアップキット待ちだけどどうなるのか不安で一杯。
そして相変わらずここは蒼天録超級のような展開。一秒のためらいもなく
えげつない手を使いまくるか、訳も分からず弄ばれるかの二極分化が進んでいる
(水瀬家は微妙か)。たまには上杉謙信のように信義に拘るのはいないものか(わらい)。
ところで試しに信長の野望諸勢力をセッティングしてみたが、
……………大庭家敵大杉。逆に柳川家は東西どちらへも道が開ける。
国人と商人両方を敵に回しているの大庭家だけだし…寺社勢力も言及はない
けど出せば高確率で敵に回りそう。頼みは長吏衆(被差別部落、信長の野望
には未登場)のみ。せめて味方の水軍衆が江戸湾の制海権を奪い返さないと
どうにもならん。
三方ヶ原に集結した駿河・遠江合同軍では明日にも激突するであろう
渡辺軍に対する対策を立てる為、諸将が集まっていた。
「軍議を始める前に……」
その席上一番初めに口を開いたのは弥生だった。
「猪名川殿には遠路遥々伊豆より援軍を率いてもらった上に、興国寺城攻略では
多大なお力添えをしていただいたにも関わらず当家のくだらぬ疑念より不快な思いを
させてしまった事、ここに慎んで御詫びいたします」
「……正直まだ納得いかへんが、顔合わせる度に何度も謝られてはたまらんわ。
そんな事より敵の情報や。今更、ああだこうだ言っても仕方ないやろ」
「わかりました」
それを合図に傍らに控えていた従者が地図を広げ始める。
「敵布陣はこの様に。兵力は一万三千程と思われます」
「予想よりも少いんじゃないの?」
「おそらく理奈さんの進軍妨害で合流する事の出来なかった者が多数いると思われます。
それに猪名川殿の奇襲攻撃がかなり効果的だったのでは」
「本当に感謝だね」
ぺこっと頭を下げる由綺。
「当方の戦力は死傷者等を差し引いておよそ一万六千。
ここは平地なのでやや我々に有利と言ってもいいでしょう」
「それで戦術はどうするのよ」
「まずは長瀬殿と七瀬さんの隊に先陣を切ってもらおうかと思います」
「ええっ! 僕ですか!?」
「はい、足軽隊を突入させ乱戦にしてください。そこに私達の騎馬隊が突撃を行います。
猪名川殿には後方に回り敵の退路を断ってもらいます」
「……」
「がんばれ」
はるかが青くなってる彰の肩をぽんぽんと叩く。
「今回の戦いに小細工など必要としません、一気に敵陣深く切り込み本陣に突入します。
敵大将渡辺茂雄さえ打ち倒せば自然と渡辺軍は敗北するでしょう」
「渡辺殿の生死は?」
「問いませんがなるべく捕らえてください。その他の重臣も同じです。それと……」
そこで弥生は一度言葉を切る、さも重要な事だと言わんがばかりに。
「長森家の重臣が敵本陣に捕らわれているとの情報が入っています。
見つけたら必ず保護してください」
「敵が動き出しました、間もなく戦になると思われます」
「うむ、警戒怠るな」
渡辺軍では何時もの合戦前より数倍緊迫した雰囲気が漂っていた。
それもその筈、ここで負ければ駿河・遠江に所領を持つ者は全てを失うのである。
彼らは何としてもこの戦に勝たなければならないのだ。
「時に里村君、どっちが勝つと思う?」
髭は傍らに佇んでいる少女、里村茜に話しかける。
捕虜にはなっていたが割りと自由に本陣の中を動き回る事が出来た。
無論、見張りが後ろからぞろぞろとついて来たが。
「負けますね、絶対に」
「なっ……何だと! 貴様!」
「まあまあ、落ち着きなさい、君。……何故そう思うのだね」
「まず第一に士気の問題ですね。指揮官の皆さんの意気込みは大したものですが……一般の兵士はどうですか?
わざわざ尾張にまで遠征しに行って、また直ぐに今度は遠江で戦いですよ。
いい加減、疲れてるんじゃないでしょうか?」
「そうかもしれんな、この前なんか休息中にいきなり奇襲掛けられるしの。嫌になっている者もおろう」
「第二に兵の質です。こちらの兵の大半は農民、それに引き換えあちらはかなりの数の騎兵を率いています。
たぶん士気の高い正規兵でしょう。しかも数が多い」
「まったくだ。その点に関してこっちの不利は間違えない」
「第三に各部隊の能力です。緒方の将兵がどの程度かは知りませんが少なくともこちらよりはましでしょう。
南尾張での戦いを見る限りでは」
「こいつ……言わせておけば!」
「一々怒るでない。よいではないか」
その一言で不満な顔をしながらも男は黙る。
「何故深山さんや氷上さんを残してきたのですか? 私には理解できません」
「さあ、何でだろうな。わしにもわからんよ」
はぐらかす様に答える髭に茜は続ける。
「まだまだ負けるような要素はありますが……話しますか?」
「いや、結構だ。考えはよくわかったよ」
「だったら一度三河にでも退いたらどうですか? そこで戦力の再集結を目指し……」
「里村君」
髭はどこか遠くを見つめながら話を遮る。
「君は大切な事がわかっていないな」
「大切な事……ですか?」
ぼんやりと呟くように続ける。
「今、敵に攻め込まねば民は我等を見捨てるだろう。
年貢や税金を取るだけ取っておいて肝心な時は助けてくれない……とな。
民の信頼を失った状態では再起などとても無理だよ。何はともあれ領民を守らねばな」
「そんなに民が心配なら戦など起こさねばよかったではないですか」
「何故わしが長森家に攻め込んだのか……それは里村君自身で考えてくれ」
「お話のところ、失礼いたします」
そこに伝令がやって来る。
「緒方の先方、長瀬隊・七瀬隊が突撃を開始しました。御采配を」
「うむ、わかった。鉄砲隊を前面に押し出せ、ぶつかる前に勢いを落とすのだ」
「了解しました」
「里村君達は本陣の奥に下がってなさい。とりあえず今ここで一番安全なのはあそこだからな」
「茜、今のうちに逃げない? 警備も手薄になって来たし」
茜と詩子は髭に言われた通りに急ぎ避難していた。
既に合戦が始まったのであろう、あちらこちらから喚声が聞こえる。
「いえ、もう暫くここにいましょう」
「え〜! 何で!? 絶対危ないよ〜」
「何でも髭が言っていたのですが緒方家は長森家と同盟を結んだようです。
おそらく私達の救助も要請されているでしょう。
それに武装もしていないのですから巻き添えになる事もないと思います。のんびり迎えを待ちましょう」
「大丈夫かなぁ」
「それに……」
「それに?」
「いえ、何でもありません」
「……こちらに」
深夜、深山家の陣に静かに訪れる者がいた。
「……長瀬祐介殿ですね。この度は……」
「いや、挨拶はあとで。まずはアイツに会わせてもらえますか?」
「わかりました。こちらに……」
迎えた深山雪見も静かに祐介と沙織、それに瑞穂を案内する。
案内された場所には、板の上に寝かされている遺体があった。
「……間違いありません」
「……そうですか。わたし達は彼を渡辺に捕われていた
人質を救った英雄として遺体を扱わせていただきました」
「……ありがとうございます」
祐介は他に連れてきた数人に遺体を運ばせる。
「……少し話をしたいのですが」
「……わたしもそう思ってました」
外に出ると冷たい空気と夜空が待ち受けていた。
「……あなた方、長瀬は何故この様な事を?」
「……まず、今回の出兵目的は美濃方面からの外圧を排除する事であって、
美濃や尾張を制圧する事自体は目的じゃない、ということを言っておきます」
「……それとこれとは?」
「あなた方は渡辺家に属しながらも長森とも良い関係を持っている。
あなた方の負担になっている物を取り除けば、自然に長森の方にうごき
長森家は戦わずして勢力を広げる事が出来ます。
また渡辺勢が仮に緒方勢に敗北したならば三河の深山家は
その者達を受け入れる器になるでしょう」
「……みさきを助けた礼代わりに、あなたの言う通りに長森家に属せと?」
「いや、今回の事であなたが渡辺から離れる気があるのならば
長森殿はあなたを受け入れることを了承したと言う事です。
僕達のやった事は、言わばきっかけに過ぎません」
そう言って祐介は瑞穂から受け取った一枚の書状を雪見に見せた。
「これは……」
「既に長森殿の許可は頂いています。後はあなた次第ですが
すぐに、と言う訳にもいかないだろうし、今日のところは……」
「あれ?雪ちゃん?誰と話してるの?」
話を切り上げようとしたところに、別の声が聞こえてくる。
「みさき?どうしたのこんな時間に」
雪見は杖を持って歩くみさきに駆け寄ると肩を貸そうとしたが、みさきはそれを拒んだ。
「自分の力で歩かせて。お願い」
そう言って祐介の方に一歩ずつ近付くみさき。雪見は転ばない様にとなりに並んで歩いた。
「初めて、かな?あなたの名前は?」
祐介の前まで近付くと、みさきは言った。祐介は相手が何者かを察すると
出来る限り平静を装った声を出して自分の名前を告げる。
「…長瀬 祐介と言います。初めまして」
「あなたが祐介くん?私の名前は川名みさきです。
ええと……この度はありがとうございました」
「いえ……」
「それで、……田中君はいますか?」
祐介はそれを聞いて雪見の方を見る。雪見が首を振ると祐介は言った。
「……アイツは、別の仕事に行っています。……しばらく戻れないですね」
「そうですか……。それじゃ伝えといてくれますか?」
「……どのような事を?」
「ここまで連れてきてくれた事と、この杖のお礼を」
「……わかりました。確かに伝えます」
「それと。……顔、触っても良いですか?」
祐介はみさきの杖を持っていないほうの手を取ると、自分の顔に触れさせる。
みさきはしばらく祐介の顔の輪郭をなぞるように手を動かして言った。
「想像してたのと、ちょっと違ったかな?」
「……どんな所が?」
「想像してたのに比べると、子供っぽくない顔つきかな?
でも声の方は想像通りの優しい声だったけど」
「……そうかな?」
「うん。祐介くん、いい人だと思うよ」
「……そんな事無いと思うけど。でも、ありがとう」
「うん。それじゃ、田中君によろしくね」
みさきはそう言って寝所の方に戻って行った。雪見は自分の従者を
隣につけさせると、祐介の方を向いた。
「……まだ、知らないんですね」
「ええ。……この戦の後に言おうと思ってます」
「そうして下さい。今すぐはさすがに……」
「……少し休んでいきますか?」
しばし悩んだが、雪見の言葉に祐介たちは甘える事にした。
「……先ほどの話ですが、受け入れようと思います」
祐介は雪見の言葉に少し戸惑った。
「……何故すぐに決める事が?前から考えていたんですか?」
「いえ、迷ってはいたんですけど。みさきがあなたの事を『いい人』と言ったから……」
「……そうですか、では」
「ですがその前に問題があります。氷上シュンと清水なつき、
この二人をどうするかですが……」
「呼んだ?」
気配もなくいきなり出てきた声に思わずのけぞる祐介以外の三人。
その声の先には、何時の間にやら そこにいた氷上シュンだった。
「とりあえず呼んだつもりは無いけど、どういった用件?」
平然と言い放つ祐介。
「……意外と落ち着いてるけど、どうしてかな?長瀬祐介君?」
「世の中には慌てたり叫んだりするに足るのは何一つ存在しないからね」
「……なるほどね」
(……祐くんの場合は人一倍鈍感なだけじゃないかな?)
沙織は思ったが口には出さなかった。
「それよりも深山さん、緒方との内通者がいたんだけど」
「何ですって!一体誰!?」
シュンが手に握っていた縄を引っ張ると、清水なつきが縛られたまま転がってきた。
「どうも『尾張一国』というのがよほど欲しかったらしくて、緒方に密書を送ってたんでね。
帰ってきた密使から話を聞きだして、とりあえず拘束させてもらったんだけども」
「くっ……。緒方に長瀬の謀略の情報を流し、緒方が長森と長瀬を戦わせ、
その隙に尾張を抑えようと思ったのに……」
「あ、それ無意味ですよ」
瑞穂の言葉に唖然とするなつき。
「既に長森殿は知ってます、その事。だから緒方に知らせても意味無いんです」
「な…………」
「ついでに言えば、その上で私達この書状を書いてもらってるので
あなたの思う通りにはいきません。残念ですけど」
瑞穂は先の会談で長森瑞佳自身が書いた書状を見せる。
「……そんな」
そこに押されていた花押を見て、なつきは観念したように頭をたれる。
「とりあえずどうする、深山さん?」
「そうね。とりあえず拘束して陣奥に押し込んでおいて」
「了解、それと……」
シュンは祐介の顔を見て、
「澪ちゃんも呼んだ方が良さそうだね」
「そうね、それもお願い」
「……その様な訳でわたし達は渡辺から離れ、長森に属そうと思うのだけども」
雪見を上座に澪、シュン、祐介、沙織、瑞穂が集まって軍議が開かれる。
まずは長森に属すかどうかが澪とシュンに問われた。
『異議無し、なの』
「僕も、かまわないよ」
「ならば次ね。この場合わたし達はどのように動くべきかしら?」
雪見は祐介達の方を見る。瑞穂が話し始めた。
「まず長森軍を号して深山殿を総大将とし、その下に長瀬が属すのが良いと思われます」
「なるほど。三河に攻め入るのは飽くまで長森瑞佳の軍勢であると言う事ね?」
「その通りです。その際祐介さんには氷上さんと同じく軍師を勤めさせるのが
よろしいと思われます」
「わかったわ。では次に、三河をどうやって落とすのが良いのかしら?」
その質問に祐介が答える。
「三河は元々深山さんの領地です。説得の使者を送り、かつ長森瑞佳に属すとの事を話せば
軍兵を損ねる事無く三河のほぼ全域は落ちるでしょうね。
渡辺が勝とうが緒方が勝とうがどちらにしてもあまり信用できない相手でしょうしね」」
「なるほど。でも全域に使者を送るとしたら時間がかかりすぎないかしら?
そんな事している間にも、緒方なり渡辺なりが戻ってくるわよ?」
「そのとおり。だから最優先として岡崎城と長篠城を説得して落とす。
次に遠江国境付近の城を落とすのが良策ですね」
祐介の言葉に頷く雪見。
「なるほど、まずは中心になる城を落とす訳ね。
それじゃ、どちらにどのように兵を送るの?」
「長篠城にこちらからは兵千と藍原瑞穂を出すつもりです」
「それじゃ私達の方からは上月澪と兵千で良いかしら?」
「十分です。さらに長篠城を落とした後は周辺の説得工作に当たる事にします」
祐介の言葉にシュンが続く。
「残りは一路岡崎城だね?」
「ええ。そこは深山さんの居城ですから、特に問題無いでしょう」
『渡辺の守備兵がいるかも知れないの』
澪の意見に頷く雪見。
「それをどうやって誤魔化すかね……」
「良い策がありますよ」
祐介の言葉に皆の視線が集まる。
「こういった情報を流せばいい。『長森軍の深山雪見、長瀬軍を殲滅の後
一万の兵力を以って三河に向かった』とね」
そこにいた人間の視線が一斉に祐介に向く。氷上シュンですら一瞬笑顔を引きつらせた。
「な、な、な、何て事考えるんですか、祐介さん?」
「ほぼ全ての兵力を緒方に注ぎ込んでいる上に、意外な所から意外な兵力が出てくる。
相手にしてみればこれだけ判断力を鈍らせる事は無いと思うけど……」
「だからといって、『長瀬軍を殲滅』って言うのはやり過ぎでは?」
雪見の言葉にも祐介は平然と
「それだけ長森に余力が残っていたと判断させれば、こちらの説得にも応じやすくなる。
さらに緒方渡辺両本隊に対しての牽制にもなりますしね」
「一万の兵力なんて嘘、すぐにばれますよ?」
「そちらが四千、こちらが五千。合わせれば一万といっても差し支えないし、
こちらが長瀬の旗を放棄すれば、全てが深山勢と思わせる事も可能でしょ?
さらに緒方が遠江を抑えている以上、三河の先に向かう意味も無いですしね」
「「「「「……………………」」」」」
「……異論が無いなら、時間もあまり無い事だし急いで準備しましょうか?
急がないと緒方が三河に侵入するかもしれないだろうし。
作戦期間は今晩明けてから三日も無いでしょうしね」
祐介の言葉に他の誰もが何も言えず軍議の大勢が決した。
氷上シュンは配下の間者達に『長瀬殲滅、深山進攻』の情報を流す様命じた。
「……良いんですか?こんな情報流したら本隊の負けは確定するようなものですよ?」
「うん。でも今のままでもほぼ確実に負ける。そのとき本隊の敗残兵を
受け入れる入れ物を用意しておかなければならない」
「……それは渡辺様の御指示ですか?」
「……いや。僕自身が生き残るための判断さ。
それと本陣にいるだろう里村さん達の救出も頼むね」
シュンがそれきり黙ると、間者達は散開し自分の仕事に取り掛かった。
水瀬家担当者がいないようだからこの分だとあっさり潰される可能性も?
水瀬家が滅亡するかどこかに従属すればもう鍵勢力で天下を取れそうなところは
なさそうだ。長森家は長瀬祐介家か緒方家の下風に立つのが目に見えているし、
Air勢は今のままなら簡単に各個撃破されるだろうし。
となれば、幕府を握り、朝廷との交渉も容易な長瀬祐介家の絶対有利か。
対抗千堂、穴馬柳川の展開となってきた。
懸念されていたように短期間で急速に領土拡大したツケが出てきたな。
柳川の急襲への対処をミスって本丸を落とされれば一気に瓦解しかねない。
とは言っても、切り取った土地を放棄して本領死守、態勢をととのえればそう簡単に滅亡しないと思う。
覇権を握るのは無理でも大大名として残ることは可能じゃないか?
なんだかんだで人材は豊富だし(それでもあれだけの範囲を掌握するのは無理だったわけだが)
なんか、どうせ大庭の方の人がどうにかして
結局大したこと無い結果になるんじゃないかとか
思ってしまうんだが<水瀬家
で、またほとぼりが冷めた頃に動き出すんだろ。
.´ `v^) _______
〈(ハ从ノlハミi((. /
l人´д`;l从 )) <
>>706・・・・・どうにもなりまへん。
/ y/ ヽ( \
(⊃ ⊂[_ノ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(ノノノ | | | l ) サスガニ、 ムリ
柳川の侵攻のやり方が完璧な上に、厄介な地形を抑えられているので、
越中・加賀を押さえる方法が全く無い。(笑)戦ったとしても、越中・越後
国境付近で桁違いの頭脳戦になってしまい、下手すると長期戦になる・・・・・・。
(これは、下手すると、最悪諸葛孔明対司馬仲達並みの睨み合いになる。)
今回は一向一揆まで起こっているので、下手な間者の起用は逆に死を招く
可能性もある。しかも、水瀬の中でもかなりの頭脳派であった天野美汐・
美坂栞があっさりと騙されたとなると、内偵は相当能力の高い人間で無いと
出来ない。それだけの人物が果たして水瀬家内にいるかどうか・・・・
それに、今回の場合、美汐・栞は多分、斬られると見たほうが自然なんで、
残るのは、謎じゃむ・美坂チーム・ケガ人2人・あうー・うぐぅだけ。
斉藤・北川が大活躍のKanonらしからぬシナリオになる事が必定。
(まあ、それでもいいんだが・・・・・)
特に・・・・・・美坂栞の処遇に関しては注目したほうがいいですな。
(戦国の世で、しかも生娘が農民あがりに捕らえられたら普通、どうなるか・・・・
引き渡すといっても、「殺さなければいい」訳だし、別に・・・・・)>>柳川家の中の人
こちらとしては、東北開放の役目を果たす義務があり、ソの為に、ちと肥大化しすぎた
ちゃん様パワーを分散させるべく、今は、国崎を「所定の位置」に戻す作業を進行させ
てます。
元々鍵勢力はただでさえ頭数が少ないのに、内政・外交に長けた人材は
さらに少ないから手痛い。
最初の勢いで柳川家を滅亡させてしまっていれば多少文句が出ても既成事実化できた。
しかし二度とその手が使えないようにちゃんと柳川方が釘を差してある。
進んでは水瀬家を併呑し、退いては越中を拠点に持久戦に持ち込む二段構え。
状況次第で水瀬包囲網も頭に入れているようだが、葉鍵戦国では包囲網ほど
当てにならないものはない。下手に他勢力と組んで足を引っ張られるよりも
好意的中立を狙った戦略を採るようだ。
鍵勢力、あとは宗教団体が残っていたな。
>708
つってもTOP代行が自意識過剰で考え無しの高槻だからなぁ…>月教
ただでさえ九州は魔窟なのに、欲出して中国の来栖川の内乱にまでちょっかい出してるし。
実務派の良祐がフォローするにも限度があるわけで。
強国とは言え、郁未たちがクーデターでも起こして実権握らないと風船のようにあっけなく割れそうな予感。
さて、今回も更新完了。
東海決戦もなかなか興味深いところですけど、
北の方も面白そうなことになってますね。
人材が豊富といってもやり方しだいでは減りもしますし、
やっぱり水瀬は危ないか?
緒方VS長瀬の対渡辺戦を代理とする東海決戦も気になるところ。
このまま長森と組んで、三河遠江間で防波堤にするのかな?
基本的に長瀬は取り込む方向で動いている気がするので
人材の不足も補える可能性があるかも。
あと
……さっき間違いを見つけたのに、どこだかわからなくなったw
人材豊富と言っても、急激な勢力拡大で分散してしまっているからな>水瀬家
まだ民心も完全に掌握していないだろうから、一度劣勢になると燎原の火の如く叛乱が起こりかねない。
今回の件で少なくとも越中・加賀の豪族たちは水瀬から柳川へと鞍替えするだろうし。
下手すると関東方面の豪族たちからも見放され、完全に包囲されかねないぞ。
連戦で疲弊しているだろうから、関東を放棄して自国へ全兵力を集結しても長期戦だとジリ貧かもな…。
>>710 水瀬家は北武蔵も詐取されましたし。
実は千堂家は現時点でも水瀬家を裏切る名分を持たないのだが、そこは朝廷の
使者を抱き込んだということでしょう。上野に封じ込めておけばさほど脅威
ではないし、そもそも水瀬家は関東で動けば越後はいただきとの縛りを
柳川家に掛けられてしまったから動こうにも動けない。
一方千堂家は、大庭家が他家と同盟を組む可能性は0に近いので大庭攻略に
専念できる。イナゴ戦術しか活路のない大庭家は調略戦になればますます以て不利。
この状況を翻すには、よほど優秀な中の人が必要だ。
そういえば因幡・保科家も攻め込まれているはずだがどうなったのだろうか?
「不利」どころか、この分だと国人・寺社の総すかんを食って身一つで投げ出されそうだな…
>大庭詠美
「……何で僕はこんな所にいるんだ?」
緒方駿河・遠江合同軍、その最前線で七瀬彰は情けない声を上げた。
……確認するぞ。
僕は七瀬彰、緒方家家臣で文官として主に信濃方面での開発計画に携わっている。
昔から争いは嫌いで無論の事合戦は苦手……てか行った事無いし。
それなのに……何故ここに? 今頃、本当だったら美咲さんと一緒に新しい治水計画について
語り合ってる筈だろ? それにいくら戦時だからって精々内地の守備隊担当だろ、初陣なんだぞ僕。
こういうのは冬弥の方が向いてるのになんで甲斐にいるんだ? 逆だろ。
……甲斐って事は美咲さんと一緒じゃないか! いくらなんでも羨ましすぎる!!
英二さん配置間違ってるだろ!?
「あ、あの、七瀬様?」
一人で物々呟く彰に兵がおずおずと話しかける。
「突撃開始時刻です、フランク殿も動きだしました」
「……わかった」
もう覚悟を決めてやる、美咲さんにいいところを見せるつもりで。
「とっ、突撃ぃ!」
「敵先方、村田隊と交戦に入りました!」
「うむ、状況は、騎馬隊はどうかね?」
「我等が優勢、それに今のところ足軽だけです。やはりあれが効いているのでは?」
『あれ』と言って後方の小高い丘に視線を移す伝令。
そこに布陣しているのは鉄砲隊、その数一千。
髭が各部隊や深山家から掻き集めた精鋭である。
「やっぱりやられてるわね」
「予想通りです」
理奈と弥生は押し潰されそうになっている両隊をどこか他人事の様に見ていた。
「猪名川さん達の後方布陣はまだ?」
「もう暫くかと」
「そう」
渡辺軍鉄砲隊を前に被害を最小限に抑える為には猪名川隊の働きが不可欠であった。
それまではあの二隊になんとしても踏み止まって貰わなければならない。
「ところで理奈さん」
「何?」
「以前の間者狩りですが……今も続けているのですか?」
「当然」
何故そんな事を訊くのかという顔で答える理奈。
「この前の間者が長瀬の者だったら間違い無く大合戦の今、何か仕掛けてくるわ。
敵でも無い私達に突っ掛かってきたあのえげつなさと老獪さ……必ず来る筈よ」
「確かにそうですね」
「しかも今回は違うわ」
「と、言いますと?」
「例の話が兄さんに届いたらしくかなりの数の忍びが増援で派遣されたわ。
しかも援軍の兵士つきでね。これで人数は以前の三倍よ」
「それで国境を閉鎖した……と」
「それだけじゃないわ。今度は国境を越える者は全員切れと言っておいたわ。
この戦時下に歩き回るなんて平和ボケもいいところよ」
「……」
「さらに戦場、陣内にも多数配備。見知らぬ顔は問答無用で地面に転がってるでしょうね。
合言葉にどもった奴も同じよ」
「……少しやり過ぎでは?」
「まだまだよ。捕虜になっている渡辺の者に尋問して奴らの間者の顔を割ったわ。
これで渡辺家対策は完璧。その上、兄さんは極秘の拷問部隊まで送って来たのよ。
物騒だけどこれで長瀬家関与の証拠……掴んでやる」
復讐に燃える理奈。そこへ伝令がやって来る。
「猪名川隊布陣終了しました」
「よし、狼煙を上げなさい。これで髭親父は終りよ」
「殿、後方より騎馬隊接近中! かなりの兵力かと!!」
「落ち着け。南森君に対応させろ、その間に鉄砲隊で薙ぎ払え」
「了解しました!」
去って行く伝令を見送りながら髭は呟く。
「もしや…… この前の奇襲隊か?」
「この程度の銃撃、詠美の奴に比べれば……なんともあらへん!!」
猪名川由宇率いる九頭龍特攻騎兵隊は渡辺軍鉄砲隊の攻撃をものともせず突き進んでいた。
鉄砲戦術後進国である渡辺家の攻撃など関東最強のこの部隊には通用しなかったのである。
「和樹!! ついてきとるか!?」
「あぁ、何とかな……」
一見無茶苦茶な突撃であったが一向に落ちぬその勢いに敵は驚愕していた。
「御大将! 前方に立ちはだかる部隊が現れました!!」
「止める気やな? 面白いやないか! うちらの武名、この東海にも鳴り響かせたる!!」
「南森隊の一部敵に突き崩されましたっ!! 鉄砲隊攻撃を受けてます!」
「何だと…… あの銃撃の中をか?」
青くなって状況を報告する伝令、陣内はかなり動揺している。
「予備兵力を全部南森隊に廻せ!」
髭は即座に決断を下す。
「ここが総てが決まるぞ……」
「猪名川さん、奮戦してますね」
「まったくね」
変わって緒方駿河・遠江合同軍本陣。そこにはさっきと同じ様に理奈と弥生の二人がいた。
「あれだけの数を相手に…… 本当に凄いわね」
「しかしそろそろ押されて来たのでは? 結局、戦いは数なのですから」
「そうね…… よし」
理奈は軍配を取り出し立ち上がる。
「緒方軍揮下全部隊に通達。これより鶴翼陣形を維持しつつ敵に突っ込むわ。
左右から敵を押さえ込み一気に勝負を尽ける。猪名川隊に負けるんじゃないわよ!!」
「右翼中崎隊敵に囲まれました! 崩壊寸前です!!」
「南森隊壊滅! 鉄砲隊全滅の模様!! 南森様の生死は不明ですっ!!」
「中央村田隊敵に突破されました! 救援を要請しています!!」
渡辺軍本陣……そこは悲鳴と怒号に包まれていた。
猪名川隊に無力化された鉄砲隊、その隙を突いた緒方本隊の攻撃。
もう、どうする事も出来なかった。
「もはやこれまで…… 殿、落ち延びてくだされ。今ならまだ間に合います!」
ゆっくりと首を振る髭。
「何故です! 殿さえ生き延びて下されば……!」
喚く従者を無視し立ち上がると本陣の奥に進んで行く。
「だからお逃げください! このとおり……」
「わしは里村君と話があるのだ! 従者風情が黙っていろ!!」
従者は一度も見た事が無い髭の顔に驚く。こんな事初めてであった。
「わかりました。決意は固いのですね…… ならば御止め致しません。
何か最後に御命令は?」
「それなら一つ、この奥には誰一人として通さないで欲しい。出来るか?」
「勿論です。敵が幾ら来ようとここで退けてみせます!」
「そうか。今までよく仕えてくれたな、礼を言う」
そう言って何時ものおだやかな表情で奥に去って行く。
それが渡辺家家臣が最後に見た髭の姿だった。
ここ二日の間に一体何がw職人さん大量の新作お疲れ様にございます。
鬼柳川がカコイイ
思惑が錯綜して何が起こるかわからないのは蒼天録っぽいかもしれませんね。
しかし、おね勢、こみパ勢、ホワルバ勢、華音勢は流石にキャラ多いだけあって
書き分けイイ!長瀬家は秘められた狂気なんて微塵も感じさせませんなw
その辺は先に解決してしまったし・・ヤンかカイトのような祐介はほのぼのしてるなぁ。
一気に水瀬不利になったな
祐介も油断してると足元すくわれかねん。
渡辺つぶれて祐介と英二の化かしあいが激化しそう。
現状じゃ祐介の方が長森・深山を抱きこんでるような印象だが…
容量ヤバイから新スレ近いうちに頼む
こんな感じでどうでしょう。思いつきなんで、敦盛あってるかどうかはわからんが。
>>722 武将風雲録と戦国群雄伝の順序が逆。
戦国群雄伝→武将風雲録→覇王伝なので、次は覇王伝でお願いします。
さざ波や 志賀の都は 荒れにしを
むかしながらの 山ざくらかな
「柳也殿、梅もまだというのに、山桜というには季節が合わぬぞ」
名残惜しそうに都を眺める柳也が詠んだ句を、神奈はあっさり切り捨てた。
「あのなぁ… 神奈、お前はそれでも武家の棟梁か? せめてこれくらいは」
「薩摩守忠度でございますね」
「薩摩守? うぅむ、今の薩摩は確か、ティリアとか申すものが…」
「ダメだ、こりゃ」
裏葉が助け舟を出したのにも関わらず、まったく頓珍漢な答えが返ってき
たので、柳也は思わず天を仰いだ。
「むぅっ、失礼な」
ぷぅっと頬を膨らませた神奈は杖を振り回して抗議し、柳也は飛んできた
泥の飛沫を器用に笠で受け止めた。
ちなみに神奈の旅装は小袖に馬乗袴、その上から紙衣を羽織っている。
いずれも上質なもので、その身なりは上〜中流公家の子弟といったところ
である。それに対し、柳也と裏葉は丈夫一辺倒の質素なもので、神奈の家
に出入りする商人に見えなくも無い。
「神奈様、源平の戦いは知っておられますね?」
「うむ。祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり、というやつであろ」
「そうでございます。では木曽義仲に追われた平氏のことは?」
「都落ちか、我らと同じよのぅ」
「そのとき薩摩守こと平忠度が詠んだ歌が、さきほど柳也様が口にした歌で
ございます」
「そうか、柳也殿にしては巧過ぎる歌だと思ったが、やはり他人の作か」
これには裏葉もため息をついた。
#戦記モノとしては不要な描写だな、と書いてから気づいた。
#しかもここらの描写で時間食いすぎてるし…
京から越前まで、東海道を下って琵琶湖の東を回り、米原近辺で北国街道
へと分かれて一路北上する。急ぎの旅で十日ほど、普通に歩いても半月程度。
偽兵の計を使い早々に京を逃げ出した神奈たちは、高野山の追っ手や他国
の間諜からも行方をくらませていた。しかし、柏木なり那須なりどこぞの大名家
に身を寄せてもおかしくない時期になっても、長瀬祐介が月島拓也を討ち将軍
家の帰京をお膳立てしても、彼らの行方はようとして知られぬままであった。
当然、これに関して風評が乱れ飛ぶ。人知れず野盗に殺されただの、遠路
はるばる陸奥まで落ち延びている最中だの、実は高野山に捕らえられている
だの。実際は、神奈が旅の疲れから熱を出し、余計な時間を食ったためである。
「しかし、栃の木峠を降りてからどこか物々しいな」
柏木領内を早駆けの伝令が街道を通り過ぎていく。戦の雰囲気を敏感に感じ
取り、神奈たちは先を急ぐことにした。しかし一刻もしないうちに、彼らは数騎の
武者たちに呼び止められる。
「征夷大将軍・神奈備命様にあらせられますか?」
そう問い掛けたのは、神奈とさほど歳の違わぬ柏木家の三女、柏木楓であった。
「い、いかにも、余は神奈備命である。だが、なぜ分かった?」
「耕一さんから聞いていますから…」
涼やかに微笑む楓を見て、神奈は緊張感が切れていくのを感じた。
「馬を…いえ、駕籠を用意させます。耕一さんのところへご案内しましょう」
一も二も無く頷く神奈に軽く視線を走らせて、楓はてきぱきと部下に指示を出す。
(神奈とは格が違うな…)
柳也はそう思ったが口にしなかった。彼女がこの道中で己の無力さを嘆き、
病床の中で何度も泣いたことを知っているから。そして彼女自身もそう感じただろ
うから。
豪農の館を借りた本陣で、柏木耕一と神奈備命は対面していた。
「柏木家はあなた方を客人としてもてなします」
「うむ、世話になる」
互いにぺこりと頭を下げて、堅苦しい話はそれで終わった。両者とも顔見知り
ということもあるが、形式ばらないのが柏木耕一の人となりである。
そしてそのまま質素ではあるが歓迎の宴が始まった。宴の中で柏木千鶴も
紹介され、耕一・千鶴・楓と神奈・柳也・裏葉の六人がめいめい語り合った。
「しかし、この時期に若狭へ出兵とはな。京から湖西方面を僧兵どもが追って
来たのか?」
「いや、そうじゃない。俺と楓ちゃんの初陣を飾るためには、水瀬が加賀を
押さえているこの時期しかないんだ」
「奇計で加賀を押さえたとはいえ、水瀬にこれ以上北陸を攻める力はない。
今が背後を気にせず上洛する好機、ということか」
酒を呑みながら戦略談義を始める耕一と柳也。二人は気の合う呑み友達
という間柄だが、知り合うきっかけは京八流の同門としてである。
「いや、上洛するほどでも無いんだ。畿内は月島(瑠)・長瀬連合が強いし、柳
川も加賀を取られて黙っている奴じゃない。近いうちに奪い返しに動くよ」
「では、何故…?」
「んー、ぶっちゃけた話、医者の見立てでは親父の加減がイマイチでね」
「耕一さん!」
内緒話をあっさり暴露しようとする耕一に、千鶴が柳眉を逆立てる。
「千鶴さん、いいから、いいから。こんなのちょっと調べれば分かることだよ」
耕一はあっさりしたもので、手をひらひらと振って千鶴を制する。
「で、京に遊学といえば聞こえはいいが、実質半勘当されていた息子が呼び
戻されたのさ。でも長男というだけじゃ家臣はついてこないから」
「つまり勝ち戦という実績が早急に必要なわけか」
耕一は深く頷いてから杯をあおった。
悠長に書いてたら、長瀬の人の展開が早ーい(涙
柏木の若狭出兵は、時期的に長瀬家の東海進出から緒方家の東海進出
の間くらいのつもりなんですが、長瀬・柳川両家に影響あるようでしたら、
早い者勝ちということでこの話は没にしてください。
しかし、領土の大小、兵の多寡、兵器の多少よりも情報の精度と支配こそが最大の武器だとよくわかる展開だよなぁ
730 :
長瀬の人:03/09/15 20:19 ID:e12kMoc9
>>728 はうっ、最近の速いペース作ってたのは自分でしたか……(汗)
ノリに任せて書いていたらいけませんな、反省
……もしかして内容も速すぎですか?
>>若狭出兵
特に問題ないです
731 :
大庭の人:03/09/16 00:50 ID:EQDM4gyG
>>730 内容を早くしたら内容を一部飛ばして対応するから問題ない。
SSに必要な心情描写等は、こちらで書いても良いが、
それでスピードが追いつかない場合は専用掲示板に放りこむなどして
対応しなければなるまい・・・・
正直、ここのSSの最大の特徴:「兵は拙速に如かず。」
>>731 本スレだけで話が通じるようにするのが前提では(裏設定はあっても)?
そうしないと専用掲示板で勝手に話が進んでしまい、ここは結果表示だけになりかねない。
ま、初期の水瀬家は神速を地で行っていたけど。中の人がいないとこうなるという見本。
どんな強大な勢力にもどこかに隙があるので、潰されたくない勢力があれば
今のうちに確保して置いた方がいい。たとえ異民族や異種族であっても、
気がつけば滅亡していたなんて事は十二分にあり得る。
まあ東北は存在が三國志9異民族パワーアップキットだし中の人の目が光っているから
当分はいいとして、気がつけば滅亡させられそうな勢力はかなり…。
そろそろ次スレが立つまで
>>1のまとめサイトに避難するのが肝要と思います。
ただいま戻りました。
スレチェック行わないと。
そろそろ、画像ファイルのように単層で情報を示すのではなく、
何らかの形で情報を複層で示すようにしたほうが良いのかなと思ったり。
>>494 サンクス。
テンプルまとめどうする?
737 :
柳川の人:03/09/16 19:31 ID:EBODr74H
>>728 >若狭出兵
全然OKです。
むしろ、こっちが次に出そうかと思っている柏木・柳川の過去話が
いろいろ問題ありそうなので、それが現在〜将来の展開にマズかっ
たら遠慮なく設定改変してください。
>>730 いや、そちらが早すぎるんじゃなくて、こっちが遅すぎるだけでして。
内容も速すぎということはないですが、長瀬祐介の月島拓也討伐から
美濃出兵、渡辺滅亡までの時間経過がちょっと分かりにくいかも。
(新参者が生意気言ってすいません)
>>737 柏木・柳川の因縁話は、こっちはぜんぜん考えてないので楽しみです。
739 :
長瀬の人:03/09/17 01:38 ID:zXb5hSvv
>>738 時間経過をこっちで計算してみたら(軍勢速度一日三十キロ換算)
月島討伐の話が始まって、小谷に戻るまでが三週間程度
その五日後には美濃に出兵
現在は美濃に出陣してから三週間ほど
広瀬との戦の後から二週間ほど経っているかな、と
……やっぱり速い?
まあ、まずは、新スレだ。
東海方面の状況整理
長森軍、南尾張の戦いにおいて渡辺軍に完敗。清洲城包囲される。
里村茜、柚木詩子捕虜に。七瀬留美美濃方面?に逃亡。
↓
南尾張の戦いの翌日、緒方軍突如駿河・遠江侵攻開始。
↓
長瀬家月島拓也を降し勢力拡大、四ヶ国領有。
暫く後、美濃の稲葉山城へ向け長瀬家出陣。
↓
長瀬軍は美濃国内進入。対緒方諜報戦開始、瑞穂長森家との同盟交渉へ向かう。
↓
千堂家猪名川軍、緒方家に味方する形で駿河侵攻開始。
↓
長瀬軍墨俣の戦いで広瀬軍を破る。広瀬真希稲葉山城に送られる。
同日緒方家と長森家の同盟仮締結。翌日渡辺軍撤退開始。
深山軍尾張残留。
↓
長瀬家間者の田中、駿府城の深山家人質川名みさき救出。
↓
猪名川軍が興国寺城攻略。城に爆薬たっぷり。
↓
緒方家駿河侵攻軍ほぼ駿河制圧。家臣団の裏切りで留守居役御堂討死。
駿府城炎上。
遠江侵攻軍は対間者戦を開始。
↓
緒方家と猪名川軍でいざこざ。猪名川軍一気に遠江へ。
それに乗じて田中とみさき三河へ脱出。
↓
駿河侵攻軍主力は遠江侵攻軍、猪名川軍と合流する為遠江へ移動。
長瀬家間者の活動。緒方理奈、長森家を疑う。
↓
長瀬祐介、七瀬留美と対談。七瀬、親長瀬派として清洲城へ。
↓
田中とみさき、深山軍に到着するも田中死亡。
清水なつきは緒方英二に書状を送る。
↓
猪名川軍が渡辺軍に奇襲攻撃。
三千名以上の被害をあたえるの暫く行動不能に。
↓
緒方合流軍、長瀬家の動きに気付き始める。
篠塚弥生は緒方英二に連絡。
↓
藍原瑞穂、長森瑞佳と交渉。いろいろ約束。
↓
長瀬祐介、深山雪見と密会。氷上シュンを含む深山軍と合流、三河へ進攻。
清水なつき捕縛される。
↓
緒方と渡辺の三方ヶ原決戦。
激戦の末に緒方合流軍勝利、髭死亡か?
>>739 ちと速いかも。
三方ヶ原決戦がたぶん長瀬軍と深山軍が合流した頃?
あー、念のために一つ質問。
>741
>緒方家駿河侵攻軍ほぼ駿河制圧。家臣団の裏切りで留守居役御堂討死。
……この御堂は、誰彼の御堂とはまったく別人、ということでOK?
勿論漢字テストの御堂です。
裏切りの人は小説からだったりする。