超未来葉鍵

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341名無しさんだよもん:03/04/04 03:28 ID:KKX5d2pc
藻前はその方程式が何元連立何階微分方程式なのか
理解してマンセーしてるのかと小一億年(略
342名無しさんだよもん:03/04/04 08:31 ID:CKS5ptTp
R_ijはリッチテンソルで時空の曲率、
g_ijは計量テンソルで重力ポテンシャル、
Rはスカラー曲率、
kは定数、
T_ijはエネルギーモーメンタムテンソル、
10元連立非線形偏微分方程式と
アインシュタインロマンの第4回で言ってましたが。
343星を見るひと 1/5:03/04/06 04:54 ID:Wglt8pNZ
祐一「目の前の駆逐艦が、何か知らんが消えたんだ。
   敵が5隻をばらして配置してるなら、とりあえずここを正面突破するぞ。
   他の連中が来る前にな」
久瀬「後ろの機影にも近づくべきではないからね。良いだろう。
   全速力を出したまえ」
祐一「言われなくても!
   あゆ! 今俺たちはどこにいる?」
あゆ「えっと……太陽から30天文単位とちょっと!
   海王星軌道を抜けたところ! すぐ前、彗星の巣、カイパーベルトだよ!」
祐一「そろそろ、この船の本領発揮と行きますか……」

久瀬「……待ちたまえ! 通信回線に入られている!」
あゆ「電波源、後ろのaqua-Iからだよっ」
祐一「そっちの対応は任す! 俺は超光速ドライブの立ち上げで忙しいんだ!」

あゆ「あの、祐一君……」
祐一「この忙しいときに、何だ!」
あゆ「前の彗星から、ガンマ線が見えるんだけど……」
祐一「それがどうしたっ!」
あゆ「うぐぅ……何となく、大丈夫なのかな、って……」
344星を見るひと 2/5:03/04/06 04:55 ID:Wglt8pNZ
金星の夜は本当に長い。
屋上から、星空へ、私はゆっくりと顔を上げた。
私の瞳には星を映すことはできないけれど、
確実に知っていることが、ひとつある。
みさき「きっと、綺麗なんだよね」

私は川名みさき。
クレオパトラ天文台(金星、マックスウェル山頂付近)台長。
盲目の物理学者……なんて、ありきたりな二つ名で呼ばれることもある。

聖「こんばんは、川名さん」
地球から来た、霧島先生の声がした。
聖「本当にすまないな。私たちのような連中を匿っては、さぞ面倒だろうに」
みさき「いえ、いいんですよ。金星は旧タクティクスの自治領ですから。
   いろんな事情の人がいますから、気にしないで下さいね」
聖「せめてもの礼に、その視力を回復させて差し上げられれば良いんだが……」
霧島先生の手元から、紙ずれの音。
みさき「持ってらっしゃるの、写真ですか?」
聖「ああ」
みさき「私の脳の断層撮影を見てくださってたんですよね。
   ……私の目、難しいでしょう?」
聖「残念ながら……。中脳から大脳皮質視覚野にかけての神経細胞集塊が
   根こそぎ破壊されている。脳を一から作りでもしないと、視覚は形成されない。
   すまない。せめて私が今の3倍名医であれば……」
みさき「大丈夫ですよ。目が見えないのは、昔からですから」

そう。
私は美しい景色を見ることはできないけれど、
物理学の理論を知ることで、宇宙の美しさを感じることができる。
だから、今はこの宇宙が好き。
もう別の世界に行こうなんて考えないからね、浩平君。
345星を見るひと 3/5:03/04/06 04:56 ID:Wglt8pNZ
みさき「それに美凪ちゃんが来てくれて、私は嬉しいんですよ。
   あの子、望遠鏡を誰よりも上手く使えるから。望遠鏡も喜んでると思います」
聖「うむ、なんたって天文部の部長さんだからな。
   ……そうだ。なんでも遠野さんから、これを見てほしいとのことだ」
霧島先生が、手の中から一枚の紙をくれた。点字訳の文書。
聖「天使一号の飛んでいる、カイパーベルト辺りを見た結果らしい。私にはよく判らないが……」
みさき「カイパーベルト天体、最新の観測結果……ですか。
   彗星の……先行観測……軌道要素を求めて……理論値、実測……?
   質量を見積もって……温度も……?」
聖「質量の計算か何かが大きく狂っちゃって、てんてこ舞いらしいんだが……
   おい、川名さん、どうした?」
霧島先生が心配げな声を上げた。
そのはずだ。きっと私は、心配されるような表情をしている。
みさき「大変です……!
   これが本当なら……大発見か、大事故になるよっ!」

私と霧島先生は、電算機室に駆け込んだ。
みさき「美凪ちゃん!」
美凪「……川名先輩……おはこんばんちは」
みさき「うん、おはこんばんちは! それで、解析の結論だけど!」
美凪「……はい。……彗星核の自転、軌道運動やダスト放出量も考慮すると……
   ……よく説明するモデルは、これしかありません」
みさき「私も急いで確認したよ。化学組成の評価も大丈夫?」
美凪「……分光観測によれば、典型的な彗星の組成です……。
   ……水の氷と、少量の有機物、それに岩石質のダスト……」
みさき「うん、その組成じゃありえない質量だね。ホーキング放射は出てるの?」
美凪「……探査機で接近してガンマ線が見えれば、確実な裏付けになりますけど……。
   ……地上観測では……温度が普通の氷より高いのは判ります」

聖「あー……すまない、話が見えないんだが」
霧島先生が、わびしそうに言った。
346星を見るひと 4/5:03/04/06 04:56 ID:Wglt8pNZ
聖「ブラックホールだと!?」
美凪「……はい、ブラックホールです」
みさき「うん、ブラックホールだよね」
三者三様。

聖「太陽系にブラックホールだなんて、そんな馬鹿な話はないだろう。
   太陽も惑星もみんな吸い込まれてしまうじゃないか」
美凪「……それは大丈夫……ブラックホールも、万有引力に従うただの天体だから……
   ……事象の地平面に近づかない限り、吸い込まれはしません」
みさき「たぶん、この彗星は、原始ブラックホールを閉じ込めてるんですよ」

宇宙のごく初期に誕生した、原始ブラックホール。
密度のゆらぎから、たくさんの超小型ブラックホールが生まれたのだという。
ホーキング放射というプロセスで、小さいものは一瞬のうちに蒸発するが、
一部の大きなものは、以来の137億年を生き残っているかもしれない。
でも、どのくらい残っているか、具体的な数は理論から推定するしかない。
一立方光年に数個とする説から、銀河団に一個以下まで、百家争鳴。

みさき「密度と化学組成は、ほぼ水に一致。なのに、質量だけは普通の倍以上」
美凪「……彗星核の自転を調べれば、よく判ります……
   ……彗星内部の一点に、彗星自身と同じくらいの質量が集中してるんです」

生き残った原始ブラックホールが太陽系にやってくると、
天体を貫通するごとに潮汐力で減速され、
最終的には互いの重力により、ブラックホールは天体内部に束縛される。
通常空間に存在するタージオン――私たちにとっては、それで何の問題もない。
聖「問題がないなら、どうして大事故なんだ?」
美凪「……天使一号は超光速船……タージオン‐タキオン相転移を行います」
みさき「タキオン相転移の際に、通常空間内の質量は虚数にひっくり返りますけど、
   その分の質量は、都合良く消えてなくなるわけじゃないんです。
   量子ワームホールを作って超空間に逃がし、目的地で再結合しないといけないんですよ」
347星を見るひと 5/5:03/04/06 04:57 ID:Wglt8pNZ
美凪「……タージオン‐タキオン相転移に必要な量子ワームホールは
   ……量子力学の不確定性原理を矯正しなければならないくらい、微妙な存在です」
みさき「そんな付近に、もしブラックホールという
   量子ワームホールに比べれば遥かに激しい、時空の歪みが存在したら……」
聖「どうなるんだ?」
私は神妙な顔をして言う。
みさき「そこから先は、誰にも判りません。
   素粒子にまで分解されるか、ブラックホールになるか、別次元へ飛ばされるか……。
   ブラックホール近くで超光速を出す実験をした人は、人類にはいないですから」

そこまで言うと、三人は静まった。
348名無しさんだよもん:03/04/06 04:57 ID:Wglt8pNZ
クレオパトラ天文台というのは、金星のイシュタル大陸、
マックスウェル山にあるクレオパトラ・クレーターに建てられているからです。

そうそう。
自分で書いておいてアレですが、>>322の科学的な間違いに気づいてしまいました。
>球体の中身は、見なくても分かる。
>必殺の、爆薬。
そもそも地球上で使う爆弾は、
爆発の衝撃波が周りの大気(水雷兵器なら周りの水)に伝わってダメージを与えるので
空気のない宇宙空間では、爆薬だけだとほとんど効果がないんですね。
おそらくこの爆雷というのは、第一次大戦の榴散弾や現代の破片手榴弾のように
むしろ軽装甲目標に、小片を数撃ちゃ当たるでばらまいて攻撃する類のものでしょう。

>>342
第4回「時空・悪魔の方程式」は結構トンデモですよ。
349名無しさんだよもん:03/04/06 16:23 ID:n8cwkKYS
大八郎とかさくやとかどうするよ?
350名無しさんだよもん:03/04/08 19:08 ID:xuqsYhWo
キャッチャー
351名無しさんだよもん:03/04/12 02:52 ID:/XU3WOaR
保守
352名無しさんだよもん:03/04/13 20:26 ID:QtB5s3J0
sage
353名無しさんだよもん:03/04/14 01:56 ID:a3tzQvcc
>星を見るひと
駆逐艦と言う障害がなくなりaqua-1も登場、伏線張られた役者も揃った。
さぁ、いざ発進!!
ってなるかと思ったらここに来てブラックホールで足止めって、あーた!

どうもこの件はセルフリレーしていただかないと誰も書けないみたいっすよ?
と今ごろ感想。
批判的な内容だから差し控えていたのですが…
まぁ、こんな状況ですから書いてみました。
354名無しさんだよもん:03/04/15 00:34 ID:ZkuIU8sR
保守がてらにニュース

世界初、電子レンジ電磁波で飛ぶロケットを東大が開発
ttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030414-00000403-yom-soci

こういうニュース見てるとわくわくするよね。
355名無しさんだよもん:03/04/16 22:25 ID:NT57IHFn
燃料を持ち上げるのにさらに燃料が必要ってのは効率悪いからねぇ
356名無しさんだよもん:03/04/17 01:32 ID:a2H79+6X
《天使一号 久瀬》
我が船の背後より、かの国の光速船の姿が迫りつつあった。
通信機がけたたましく鳴り響く。かの船が通信波を送ってきているのだ。
いかなる警告か知らないが、受けて立つのが船長の責務。僕は送話器を手に取った。
久瀬「どなたですか?」
志保「もっしもしー!! あたしリーフの超売れっ子通信士、その名は長岡志保chanよ〜っ☆」
スピーカーがハウリングを起こした。
この僕による統御のもと船内に築かれた秩序を、乱雑にかき擾す、甲高い嬌声。
久瀬「うるさいっ!!」
頭にきた僕は、送話器をコンソールに叩きつけた。
一瞬の沈黙のあと、すぐに相沢一等航宙士が文句を言ってきた。
祐一「何で切るんだよ!?」
久瀬「黙りたまえ相沢一等航宙士! あんな作法も何もなっちゃいない相手に対して、
僕はまともな会話はできないし、またそれを望みもしない」
祐一「そんな勝手なことでいいのかよっ! 領宙侵犯の警告とかだったらどうすんだ?」
久瀬「だったらもう少し、マシな言い回しがあるだろうさ!」
再び、通信機がけたたましく鳴り響いた。
僕は苛立ちながら、送話器をむしり取って、吐き捨てるように言う。
久瀬「まったく! 今度は何ですか!」
佐祐理「久瀬さん……」
あろうことか、スピーカーから響いたのは女神からの託宣だった。
久瀬「くくっ倉田さんっ!? こ、これはこれはご機嫌も麗しくっ」
佐祐理「あの、佐祐理、ご迷惑だったでしょうか……?」
久瀬「そそそんなことは一切! 我が船の通信回線は倉田さんのために開かれていますとも!」
佐祐理「じゃあ、祐一さんいますか?」
久瀬「ぐはっ……!」
僕はにわかに視界が霞むのを感じた。眼鏡が曇ったせいではなかった。
涙を溜めて相沢一等航宙士を睨みつけながら、送話器を彼に渡す。
祐一「ああ、佐祐理さん? そうなんだよ、久瀬の奴がさ……」
相沢一等航宙士の姿は、さぞ楽しそうに思えてならなかった。
357名無しさんだよもん:03/04/17 01:32 ID:a2H79+6X
《aqua-I 藤田》
志保「何なのよあの態度! いきなり電話切ることないじゃないっ! あれからずっと話し中だし!」
狭い船内で、志保が一人で怒っていた。うるさいったらありゃしない。
志保「はぁ。あんな連中と仲良くしてやろうとしたあたしが馬鹿だったのよねぇ」
浩之「おめー文化的無知がどうとか、立派なこと言ってたのはどうしたんだよ」
志保「知るかってーの。もういいわヒロ、追い抜いて先に光速越えするわよ」
浩之「言われるまでもねえよ。雅史、準光速まで加速だ!」
雅史「オッケー、浩之」
雅史が加速レバーを引いた。
舷窓が暗さを増す。
星々の光が七色の虹となって、前方に密集したリングを作る。
オレも、あかりも、雅史も、志保も、みんな、見とれていた。
あかり「きれい……」
スター・ボウ。
光の速さに近づいた者だけが見える、宇宙のスペクタクルって奴だ。
志保「……変ね。あいつら、追い越されたってのに動く気配がないわ」
現実に引き戻された。
いつの間にか、本当あっけなく、オレたちはKeyの船を遥か後方に引き離していた。
すれ違いざま発砲というセンも考えなくはなかったが、敵もさすがにそこまで卑怯じゃないな。
あかり「船内で何かトラブルがあったか、会議か何かしてるのかもしれないね」
浩之「だったら好都合。可哀想だが先を越させてもらうぜ。あかり、軌道計算行くぞ!」
あかり「えっ……うんっ!」
あかりは『浩之ちゃんはやる気になれば何でもできる』と言うが、絶対そんなことはない。
オレに超光速航法の計算ができるのは、前日に慌ててあかりと勉強会を開いたお陰だ。
超光速に入る準備の軌道計算は、オレの大嫌いな物理の計算なのだ。
SFじゃボタンひとつで飛べるワープ航法。現場ってのは、そんなに簡単じゃない。
時空の曲率だとかエネルギー運動量テンソルだとか、とにかくややこしい。
周りの宇宙空間の質量分布、aqua-I自身の作り出す時空の歪み……。
苦労して計算したあげく、少しでも条件が変われば、最初からやり直し。
アインシュタインの糞ったれ。
奴が相対性理論なんか発明したせいで、光速ひとつ越えるのも厄介だぜ。
358名無しさんだよもん:03/04/17 01:32 ID:a2H79+6X
《天使一号 月宮》
一同「ブラックホールだって!?」
佐祐理さんの通信を聞いて、皆がいっせいに叫んだ。
うぐぅ、ボクも嫌な予感はしてたんだ。
佐祐理「はい。金星の天文台から、緊急通信があったんです。
   その宙域のある彗星が、マイクロブラックホールを抱えている可能性があるって!」
あゆ「うぐぅ、ブラックホールなんか飛行コースにあったら……
   タキオン転移の最中に、時空の歪みをまともに受けちゃう! 大変だよっ!」
祐一「事実なら大変だけどな……」
祐一君は首をひねった。
祐一「太陽系にマイクロブラックホールって、あんな理論上の代物が実在するのか?」
佐祐理「軌道計算は間違いないんです。ざっとですけど、佐祐理も検算しました。
   地上観測では見えませんけど、マイクロブラックホールならガンマ線が見えるはずです」
あゆ「ガンマ線が出てるのは確かだよっ。ボクがこの目で見たもんっ!」
久瀬「ふむ。なるほど……彗星程度の質量を仮定すれば……
   月宮君の観測したガンマ線強度は、その質量でのホーキング放射に一致するね。
   相沢君、倉田さんのせっかくの報告というものを、君の独断で無駄にする気かい?」
佐祐理「あははーっ……」
佐祐理さんは、通信機の向こうで困っているみたいだった。
祐一「分かったよ佐祐理さん。教えてくれて、サンキュな」
佐祐理「あははーっ。佐祐理は聞いたことを話してるだけで、何もしていませんよー」
通信がそれで終わる。
同時に、船尾に向けた望遠鏡の視界から、すでにaqua-Iがいないことに気が付いた。
あゆ「うぐぅ、aqua-Iがいない……あっ、追い抜かれてるよっ!」
すぐに前方に見つけた。
久瀬「こちらは駆逐艦に足止めを食っていたからね。
   時間をかけて加速していた連中に、速度では及ぶまいさ、残念ながら」
久瀬君は、あまり残念じゃなさそうに言った。
祐一「あいつら、あのまま光速越えする気じゃないか?」
久瀬「ふむ。だとしたら?」
祐一「知らせなきゃいけないだろ。マイクロブラックホールがあるんだぞ!」
359名無しさんだよもん:03/04/17 01:33 ID:a2H79+6X
《天使一号 久瀬》
久瀬「……通信機の使用は、許可しない」
祐一「何でだよ! あいつらがワープでもしたら大事故になるだろ! 死人が出るぞ!」
久瀬「敵に塩を送るような真似はやめることだ……」
祐一「お前なっ! 敵とか味方とか、そういう考え方しかできないのかよ!?」
あゆ「そうだよっ! ひどいよ、久瀬君!」
月宮君が相沢君に加勢すると、彼は調子付いた。
祐一「今のお前の台詞、佐祐理さんが聞いたら悲しむだろうな!」
久瀬「…………!!」
彼の一言は、僕の中の最も根源的な怒りを呼び覚ました。
久瀬「黙れっ! 僕を押さえ込めると思って、倉田さんの名を軽々しく出すな!
   僕は僕なりに、君たちクルーや我が国Keyのためを考えて決定を下している。
   その結論が、必ずしも倉田さんに喜ばれるものではないとしても、だ……」
祐一「お前……」
久瀬「喋るな! 僕の決断に伴う苦痛を少しでも理解するなら、口を挟まないでくれ!
   相沢君は操縦席へ。月宮君は監視を継続。ブラックホール彗星を回避しつつ、充分遠方に準光速で到達したまえ」
二人は不服そうに、それぞれの持ち場についた。これで、良いのだ。

《aqua-I 藤田》
あかり「この重力ポテンシャルの分布、なんか……変じゃない?」
いきなり、あかりがそんなことを聞いてきた。
あかり「何だか、変に集中してるっていうか……例えばほら、この彗星の近傍とか」
浩之「彗星なんて汚れた雪ダルマ、珍しくもねえよ。ブラックホールじゃあるまいし」
雅史「浩之、あかりちゃん、相転移の準備はできてるよ。諸元の入力を急いでくれないかな」
操縦席から、雅史の急かす声。
浩之「ほれ、雅史もああ言ってるぜ」
あかり「うん……浩之ちゃんがいいって言うんなら、いいけど……」
あかりがそう、呟いたときだった。
光が、真空を裂いて、飛んできた。
後ろの、Keyの船から、破壊的な、レーザーの、飛跡が。
aqua-Iの、すぐ横を、瞬時、奔った。
360名無しさんだよもん:03/04/17 01:33 ID:a2H79+6X
《aqua-I 藤田》
レーザーはオレたちを外れた。
代わりに、近くにあった彗星に命中して、氷の塊であるそれを粉々に砕いた。
すぐに破片が降り注いできやがった。
あかり「きゃあーっ!?」
船体がガンガンと悲鳴をあげる。
くそっ、完全な不意打ちだ。
得体の知れねえKeyの連中だが、まさか後ろからいきなりレーザーを撃ってくるとは思わなかったぜ。
浩之「野郎! 宇宙の船乗りの風上にも置けねーぜっ!!
   おいあかり、こっちも『フレミングの左手』でブン殴ってやれ!」
あかり「えっ……でも、あれは小隕石破壊用じゃ……?」
浩之「構うもんか! 使えるものは何でも使うぜ!」
『フレミングの左手』。電磁気力で弾丸を飛ばす、小隕石破壊用の軽量マスドライバー砲だ。
aqua-Iは戦闘用艦艇じゃないから、武器といえば、この程度しかない。
乏しい装備でどこまでできるかは判らないが、こうなりゃ徹底抗戦だ。

《天使一号 相沢》
久瀬「なぜ撃った……!?」
顔面を真っ青にしながら、久瀬は訊いてきた。
祐一「『小隕石用装備』の使用許可は、取り消されてなかっただろ?」
久瀬「確かに、許可は下したままだったが……!」
俺はにやりとした。
祐一「あいつらの航行の障害となる小天体を破壊した。使用目的には合ってると思うぜ」
マイクロブラックホールは、彗星核と万有引力で引き合っている。
彗星核を壊せば、寄るべを失ったブラックホールは、本来の軌道を維持できない。
宇宙の彼方に飛んでいくか、太陽重力に沈むか。いずれにせよ航行の障害ではなくなる寸法だ。
祐一「他の船が危険にさらされてるのに、それを見過ごすのは宇宙の船乗りじゃないよな」
久瀬「理由はどうあれ、警告もなく発砲したという事実は永久に残るんだぞ?
   これがあらゆる外交的、軍事的問題を引き起こすことは想像に難くない!
   馬鹿なことをして、後悔するのが君だけであればいいがね……」
久瀬はそう吐き捨てた。
361山崎渉:03/04/17 15:58 ID:BiZElejP
(^^)
213.25.170.97 , 213.25.170.97 , ?
362名無しさんだよもん:03/04/17 23:59 ID:a2H79+6X
>>353
ここ何本か書いている者です。
おそらく今回のも、お気に召さないと思いますが。
しかし、私にも言わせてください。
私は個人的に、ボタンひとつでホイホイ光速を越えてみせて、
何光年の宇宙の距離もひとっとび……なんて話だけは、書きたくないんです。

光速の3500倍でかっ飛ばすのも結構。
そうしないと登場人物が年老いますからね。
ですが、忘れないで下さい。
祐一や浩之が挑戦するのは「人類初の恒星間飛行」です。
自然が定めた絶対の壁 c を、人類で初めて破ろうとする一世一代の大仕事です。
「さぁ、いざ発進!!」のひと声で、そんな大事業にやすやすと成功されては困ります。
無数の苦難と挫折の末に、決死の思いで空を飛んだ人類史の先人たち、
例えばモンゴルフィエ兄弟やリリエンタール、ライト兄弟に申し訳が立ちません。

宇宙というのは、文字通り死ぬほど厳しい環境です。
恒星間の大海原は絶望的に広く、真空と極低温と宇宙線は容赦なく人を殺します。
加えて、この超未来葉鍵のストーリーには、
対立する二国間の政治情勢という別の厳しさもあるのです。
そんな逆境全てを押して宇宙を目指すことは、尋常な決意ではない。
「楽しい楽しい宇宙旅行」になど、なりえません。
あらゆる障害が飛行士を襲うでしょうし、事実、スレのごく初期からそうではないですか。
↓の著者に、私は深く共感するものです。
ttp://homepage2.nifty.com/eman/columns/lostsw.html

そうそう、私はご覧の通りの独自設定厨なので、ご迷惑なら誰か代わりに書いて下さい。
363名無しさんだよもん:03/04/18 00:43 ID:mp3ngG9K
>>362
「イカロス・モンゴルフィエ・ライト」
言いたい事はわからんでもないがね。

宇宙の過酷さとそれを演出せんが為に用意された彗星のブラックホール仕立て。
どういうかどんな作意が加わればあの宙域にあのタイミングであんな天体が紛れ込むんでしょうな。
宇宙の暗黒と貴方の用意した試練との間には結構な隔たりがあるように思えますな。

ついでに言うとあんたの脳内設定なんぞあんたにしかわからんのだ。
やる気があるのだったら最後まで責任を取っていただこう。
この期に及んで「ご迷惑なら〜」等と逃げ場を用意するなどいかがな物かと思うぞ。
せめて周りがあんたのいうところの宇宙の旅を実感するまで位はステラ・ポラリス足
ろうとする位の気概は見せてほしいものだ。


所で、お話は面白かったですぜ。
364名無しさんだよもん:03/04/18 01:13 ID:xxctAARy
>>363
WMAPの最新の観測によると、
宇宙の全質量の実に96%が、ダークマターとダークエネルギーです。
「そのくらいご存知でしょう?」(CV:神谷浩史)
ダークマターの候補物質のひとつとして、原始宇宙で形成されたかもしれない
無数のマイクロブラックホールというのが挙げられていますので、
それが事実なら、太陽系に10個や100個存在しても別に不思議はありません。
参照先として日本語の適当なサイトが見つかりませんが、
primordial black holes や dark matter でグーグル先生に訊いてみて下さい。

逃げ場を用意したつもりもございません。
自分の書いたものを暫くしてから見直して、
「独自設定:作るのは楽しい、作られるのは辛い」という言を思い出しただけです。
それでもいいのなら。
カエレ!と言われるまで書きますが、よろしいか?

ご愛読、ありがとうございます。
365名無しさんだよもん:03/04/18 01:36 ID:mp3ngG9K
>>364
だから直径150億Km(諸説紛々)の空間内の十個や百個だろうが(w

凹むかと思ってちょっと誉めておいたがそんな気遣いは無用だったようじゃねー。
まぁこのスレがあんたのもんだと思うのなら好き勝手やってみな。
超光速の方法を勝手にワームホールでの空間跳躍式にして、ブラックホール持ち出して
ワープが危険だなんて言い出したあんたにゃ今更かもしれないかな。
366名無しさんだよもん:03/04/18 02:58 ID:xxctAARy
>>365
はい、諸説紛紛ですね。
現代の天文学ではダークマターの正体など判っておりません。
だから極端な話、我々が見ている太陽系はたったの5%で、
その19倍が原始ブラックホールで、太陽系空間に潜んでいるかもしれないのです。
現在判っていない原始ブラックホールの存在確率を、話の中でどのように定めようとも、
それは書き手の書いた者勝ちでしょう。
(そうそう、おっしゃるように直径150億km=半径50天文単位の中に
もし100個のブラックホールがあるなら、遭遇確率はそう低くはなさそうだとも言えますね)

>超光速の方法を勝手にワームホールでの空間跳躍式にして
はあ。
今は亡き1氏は、船をトンネル効果でタージオンからタキオンへ化けさせると言いましたし、
私もそれに従って、「タージオンからタキオンへの相転移」と言っておりますが。

ただし。
1氏の設定では、実証試験の俎上に乗せられたばかりのタキオン化技術にも関わらず
あまりに完全無欠、難攻不落すぎる嫌いがあります。
タキオン化は確率制御で確実に実現でき、化けてしまえば通常空間の物質に妨げられない。
ちょっとくらい弱点じみたものがあってもいいと思うことが、
お前の勝手だと言われれば、致し方ありませんが。
(なお、光速に達するには無限大のエネルギーが要るので
実際の量子トンネル効果ではどう頑張っても確率は数学的にゼロです。念のため)

量子ワームホールを導入したのは、別に亜空間だか超空間だかを飛ぶためではなく、
言わば即席の弱点であります。量子ワームホールは不安定なのです。
説明で超空間という言葉は使っていますが、あれは虚数質量を持つタキオンに化ける際に
邪魔になった実数質量の一時預かり場所ぐらいに考えています。

とまあ、こういう独自設定厨だから何を書いても嫌がられるのでしょう。
しかし独自設定を一切用いずにSFを書ける人がいたら見てみたいものです。
367名無しさんだよもん:03/04/18 03:20 ID:xxctAARy
>>365
ひとつ気づきました。
もしかして「直径150億光年」、
つまり宇宙全体に10個や100個と書きたかったですか?

だとしたら、あなた甘すぎますよ。
宇宙初期に作られた原始ブラックホールは10のン十乗個。
多くは宇宙の歴史の中で寿命を迎えたでしょうが、
今もかなりの数が残っていると予想されるからこそ、
ダークマターの候補物質に挙げられてるんです。
368名無しさんだよもん:03/04/18 04:58 ID:XNTzweY4
>>366-367
最初に太陽系内に10個や100個って言うたんはあんたやん。
その前提をあと付けでその十九倍がどうのといいだすのはどないな話や。
それやったら最初っからそれだけの数を謳っとき。
ついでに言うとその5%内にさも10個や100個ある事を前提にしているあたりに都合のいい「嘘」がある。
しかもニュートリノ説、超対称性粒子説、モノポール説に、アクシオン、宇宙のひも説とそれこそ諸説あるブラックマターを
原始ブラックホール説に限定しているのもこのシチュのために用意された都合のいい「嘘」。
第一あの宙域は人跡未踏の地ではなくささやかながら葉の拠点もある。
あの付近には遭遇しそうなBHなぞ無かった訳だ。
だからこそあんたはわざわざBHを彗星に乗せて投入したんだろ?
あの場所あの瞬間に。

なのにそれを冷たい宇宙の掟、運命の必然のように語る滑稽さはどうよ。

断っておくが、その「設定」自体が悪いというんじゃない。
そもSFなんだしそれを持ち込むことは問題では無い。
問題は、リレーを軽視して設定をつくるその「行為」にこそあるという事を理解してもらいたい。

あ、あとわざわざ人の発言捻じ曲げて勝手な解釈付きでこき下ろそうとするそのやり口も正直どうかと思うな。


とは言え、リレー云々を語るのならば自治厨気取りより新作あげてる方が100倍益しか(w
まぁ、がんばりな。
他の書き手が出てこない以上このスレの流れはあんたの物だ。
369名無しさんだよもん:03/04/18 13:01 ID:UjG+nt8b
で、どこを斜め読みすればいいんだ
370名無しさんだよもん:03/04/18 16:32 ID:CEBkTWpV
死にかけのスレで議論すな、うざい。

そもそもそんな事で言い合う時点で、リレーなんぞ成立せん。
読み手の事もちったぁ、考えれ。

俺?宇宙の事なんぞ全くわからん。でもヤマト好きだぞ。
371葉鍵衛生班:03/04/20 07:44 ID:8dP8kqoH
  
372名無しさんだよもん:03/04/24 01:16 ID:pIRZ37ld
とりあえずメンテしとく。
生きていれば新作が投下されるかも知れぬし。
373葉鍵衛生班:03/04/25 06:54 ID:x0O4rFIf
 
374名無しさんだよもん:03/04/26 23:03 ID:TgkGWBlE
375葉鍵衛生班:03/04/27 15:16 ID:1tlnieW3
376名無しさんだよもん:03/04/27 22:43 ID:KPkLNw4h
めんて
377名無しさんだよもん:03/04/30 07:03 ID:SEs/BNrM
でんぱ
378葉鍵衛生班:03/05/03 16:01 ID:ozemDgiP
379名無しさんだよもん:03/05/04 16:51 ID:pyqa4TNr
(゚∀゚)
380名無しさんだよもん:03/05/04 22:23 ID:aA258gEk
やっぱあれだ。書かないんだったら書いてあるものを全否定しちゃいかんね。
381名無しさんだよもん:03/05/06 22:17 ID:pCCaHdA2
>>1はどこいった?
382名無しさんだよもん:03/05/08 13:28 ID:IwOcZwKF
みまもーられることもーなくー♪
383葉鍵衛生班:03/05/09 11:02 ID:rySrCReJ
 
384名無しさんだよもん:03/05/14 01:05 ID:ffyG/1Q/
ミューゼスCは無事軌道に乗ったそうな。

このスレは見事に軌道から外れちゃったなぁ(w
385名無しさんだよもん:03/05/15 21:55 ID:X5eOYYdh
保守
386名無しさんだよもん:03/05/15 22:24 ID:t1pYqSEB
かわ(・∀・)イイ!
ttp://61.115.1.12/index.html
387葉鍵衛生班:03/05/16 10:13 ID:Hh88N+Rq
388名無しさんだよもん:03/05/22 14:04 ID:f8jFMkNJ
保守
389あい:03/05/22 15:27 ID:KpZV9e8q
わたしのアソコを見て♪
http://jbbs.shitaraba.com/computer/2100/jsweb_1.html
390名無しさんだよもん
偏差値の高いスレだな