超未来葉鍵

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1名無しさんだよもん
2008年、相沢、月宮、久瀬の三名を乗せた人類初の恒星間ロケット「天使一号」は
α-ジェミノルム〜カストルへ向けて飛び立ったのだ。
2名無しさんだよもん:03/02/01 00:10 ID:yF0p9opd
ラーメン食いてえ
3名無しさんだよもん:03/02/01 00:10 ID:3LnKqyN/
なぜあえて久瀬なのか。
4名無しさんだよもん:03/02/01 00:14 ID:Bm5ykJv0
ビー!ビー!ビー!(ガン! キン!)
久瀬「なんだ、何が起こったのです!?」
月宮「うぐぅ〜! アステロイド・ベルトに突入したみたいだよ〜!」
相沢「バカな、3日は早いぞ!?」
月宮「えーと…わかったよ! 地球離脱の時に燃料をたくさんつかったのに
   燃料満タンに相当する噴射で加速してる!」
相沢「ち、プログラムのミスか…!」
5名無しさんだよもん:03/02/01 00:19 ID:V6cTRn9u
6名無しさんだよもん:03/02/01 00:20 ID:Bm5ykJv0
久瀬「相沢君、キミは緊急手動モードで操縦を! 月宮さんはエンジン二基の燃料をカットしてくれたまえ!」
相沢「ラーサ!」
月宮「QX!」
………
……

月宮「やってきたよ!」
久瀬「ご苦労! あとはキミにかかってますよ、相沢君!」
相沢「ヒュッ! 危なかった、次もかわしてみせるぞ!」

久瀬「……ふぅ、なんとか危機は乗り切ったようですね」
月宮「うぐぅ……お茶煎れるね〜」
相沢「わかってたことながら、宇宙探検は危険が多いよな」
7美坂香里 ◆b3KaorilJA :03/02/01 00:22 ID:OumwqacM
取り踏み♪
8名無しさんだよもん:03/02/01 00:33 ID:3GS1vlaU
千葉テレビで、らいむいろはじまったよ!!
9名無しさんだよもん:03/02/01 00:38 ID:Bm5ykJv0
相沢「こちらエンゼル。アース聞こえるか?」
水瀬「あ、祐一〜。こちらアース、感度良好だよ〜」
相沢「航行プログラム組んだの、誰だ?」
久瀬「まったく……プログラムミスであやういところでしたよ。責任を取ってもらいたいものです」
倉田「はぇ〜、佐祐理のせいですね。すみません」
久瀬「!……倉田さん、そうでしたか。なぁにたいした事はありませんよ」
月宮「うぐぅ、無駄な加速で燃料を使っちゃうし小惑星にぶつかむぐっ」
(じたばたじたばた)
久瀬「く、倉田さん、航海は実に順調です。何かあったらまた連絡しますので、ごきげんよう」
倉田「はぁ……。まあ、頑張ってくださいね〜」
久瀬「はい、それでは」

月宮「うぐぅ、何するんだよっ」
久瀬「何を言ってるんです? 我々はこうして生きているじゃないですか」
月宮「でも死にかけたし、今後の航海にも影響あるよっ!」
久瀬「はっはっは。細かいことに拘ってどうなるというのです?」
相沢「やめとけ、今のこいつにゃ言うだけ無駄だ」
月宮「うぐぅ」
久瀬「ふ、まあいい。それでは天王星軌道に達します。恒星間飛行の準備をしてくれたまえ」
相沢「はぁ……パンチカードは燃料消耗分にあわせて作り直したぞ」
月宮「エンジンも恒星間飛行モードに切り替えられるよっ」
久瀬「よろしい! ではいざ往かん、未知なる外宇宙へ!」

ビュゴォォォォ……

(第一部・完)
10名無しさんだよもん:03/02/01 00:39 ID:jlJ5H2E3
ラーサってテッカマン?
11名無しさんだよもん:03/02/01 00:40 ID:XttGZ0PD
この組み合わせはある意味凄い。
北川で男3人の方が好みだが。
12名無しさんだよもん:03/02/01 00:43 ID:r9EMU88i
パンチカードってとこにワラタ
13名無しさんだよもん:03/02/01 00:47 ID:jklRR/LZ
>10
そうじゃない? 俺も他に知らないし。
14名無しさんだよもん:03/02/01 01:28 ID:1wX9H+v9
新しい超先生スレ?
15名無しさんだよもん:03/02/01 08:45 ID:TukPyGmb
超未来ではなく近未来ではないのかと言ってみるテスト
16名無しさんだよもん:03/02/01 08:49 ID:j2Iyud7w
>>15
近い将来に実現可能な技術の予想の範囲内では、恒星間の航行は不可能。
2008年というのはどうせ宇宙世紀だろう。
17名無しさんだよもん:03/02/01 08:58 ID:zE/Ocd/4
惑星間ならまだしも、流石に恒星間は辛そうだなw
18名無しさんだよもん:03/02/01 09:38 ID:j2Iyud7w
俺テッカマンとか知らないから、率直に思った所を言うぞ。

・ ふたご座のカストル連星系までの距離は52光年。人類初の恒星への旅で、なぜ素直に4.2光年のα-ケンタウリを狙わない?
・ 小惑星帯は地球から1億km以上離れている。通信の会話は、1つのセリフごとに10分ぐらいの時間差が生じることを考慮すべきだ。
・ ところで、恒星まで旅するのに何故わざわざ小惑星の帯を通るのか?(おそらく、あちこちの惑星を利用してスイングバイでもするのだろうが)
・ そもそも光年オーダーの旅をする連中が、太陽系なんかでトラブるな。42.195kmのフルマラソンで言えば最初の1mも進んでないぞ。
・ 個人的に、宇宙で「航海」という語を使ってほしくない。
19名無しさんだよもん:03/02/01 11:56 ID:mKYft090
>>15
現実の延長線上にはない「超越した未来」かもしれん。
パンチカードとかあるし。
最近ワンダバスタイルとかその手の多いし。

…それとも超先生な未来かも…。

>>18
このSFオタが!
…大歓迎。マジ突っ込みもそれはそれでよし。
20名無しさんだよもん:03/02/01 15:25 ID:uo9+EKKP
そもそもアステロイドベルトは小惑星をガンガン避ける場所ではないし。
21名無しさんだよもん:03/02/01 15:35 ID:vgCunWWa
超先生の未来。
22名無しさんだよもん:03/02/01 15:41 ID:Ru0UWBzR
9スレで終わってしまってどうするというのだ。
231に訊きたいことがある:03/02/01 15:46 ID:w1KU1ja8
>月宮「うぐぅ〜! アステロイド・ベルトに突入したみたいだよ〜!」
>相沢「バカな、3日は早いぞ!?」
もし佐祐理さんのプログラムが正しくて、3日後に小惑星帯に突入してたら平気だったのか? どういうわけ?

>月宮「えーと…わかったよ! 地球離脱の時に燃料をたくさんつかったのに
>   燃料満タンに相当する噴射で加速してる!」
いや、飛んでるときに気付けよ!
エンジンを止めてるときは船内は無重量状態だけど、
エンジンをふかしてたら、船内に慣性力が働いて重力があるのと同じになってるの!
地球の発射台からそのまま恒星に行くって発想も無茶。
地球周回軌道上に宇宙船を建造してそこから出発するか、せめて宇宙ステーションで給油してくれ。

>それでは天王星軌道に達します。
木星も土星も無視かよ!!
……えーと、(主)小惑星帯が火星と木星の間にあるのは知ってるよな?

>月宮「エンジンも恒星間飛行モードに切り替えられるよっ」
これは素直な疑問。
惑星間空間と恒星間空間では、飛ぶときにどういうメカニズムの違いがあるのか教えてほしい。

>ビュゴォォォォ……
宇宙で音は鳴らない。
24名無しさんだよもん:03/02/01 16:28 ID:mGUCUVjM
三日は早い云々に関しては、むしろどういうミスをしたらそうなるのかと(略
25名無しさんだよもん:03/02/01 19:58 ID:3OVOCZXK
お前らレトロフューチャー物にも容赦なしだな・・・
26名無しさんだよもん:03/02/01 21:14 ID:snl7yyBQ
ま、ちょっとでも知識をかじったものにとっては、恒星間航行なんぞ
太平洋を犬掻きで横断するようなもんだからな。突っ込みたくなって当然。
271:03/02/01 21:41 ID:Bm5ykJv0
月宮「祐一君っ、お便りだよ! 質問のお便りが二通も来たよっ!」
相沢「ほう、どれどれ?(>>18)(>>23)」
久瀬「まずは……この船について説明するのが早いようですね」
相沢「そうだな。こちらエンゼル、アース技術班、解説頼む」
秋子「では技術統括主任の私が答えましょう」
月宮「うぐぅ、統括主任ってどことなくRR……」
秋子「こほん、まず天使一号の機関ですが、大きく三つに分かれています。
   まず惑星の離着陸に使用する液体ロケットエンジンですが。これは多重縮退ニュートロニウムという物質を
   使用していて消耗を極小に抑えています。また燃料タンクは星間物質を捕らえて自動充填できるようになっています」
久瀬「つまり、天使一号の液体ロケットエンジンは使い捨てではないわけです」
秋子「そうですね。次に星間物質の密度が濃い恒星系中心部において使われるのがプロトンジェットエンジンです。
   これは線形加速器でプロトンを加速し、噴射するもので、加速の電力は電力系を担う核融合ダイナモから得ています」
月宮「ちなみにこの2つのエンジンはそれぞれ一機ずつしか積んでないんだよね。方向転換はニュートロニウムの円盤を
   回転させてコリオリの力で回転させて行っているんだよ。だから加速さえ出来ればいいんだよっ」
秋子「最後に恒星間飛行に使うのは正確には機関ではありません。陽子や中性子など、光速より遅いタージオン粒子を
   亜光速まで引き上げたときに、それと同エネルギーをもちながら超光速で運動するタキオン粒子に転換する現象を利用しています。
   この転換はトンネル効果によって起こるのですが、それを確率に任せていてはうまくいかないので、波動関数などの確率分布を強制的に歪める
   量子歪曲装置を使用し、意図的にトンネル効果を同期的に起こして船自体を超光速状態に転換しているのです。」
相沢「ちなみに亜光速までの加速はプロトンジェットで行ってるぞ」
秋子「こんなところでよろしいでしょうか?」
月宮「うん、ありがとう、秋子さん」
秋子「それでは失礼します」
28名無しさんだよもん:03/02/01 21:50 ID:mKYft090
>>23
よし、暇だから屁理屈で援護してみよう。

>3日後に小惑星帯に突入してたら平気だったのか?
予想通りの位置にあったら早めに軌道変更していたのだろう。
…まあ、三日っていうのはあまりにもずれすぎだが。

>宇宙で音は鳴らない。
エンジンの音が艦内に響いているのだろう。
まあ、いかにも風をきっているような音だが、それは気にしないとして。
2928:03/02/01 21:54 ID:mKYft090
>>27
お、書いている間に解説が…。
がんばれ! 
でも解説よりは話の続きの方が。
考証は暇な奴がやってくれるだろう。
ところでこれはリレーSS的に他の奴が続けたり
投げ出したりしてもいいの?
まあ、あまり変な展開のものはスルーせざるを得ないだろうが。
301:03/02/01 21:57 ID:Bm5ykJv0
月宮「>>27の続きだよっ」
相沢「今回の騒動で消耗したのはプロトンジェットエンジンで使う液体水素のことだ」
月宮「それと…人工重力は慣性力を利用してないんだよ。船の中の重力を制御するシステムがあるんだ」
久瀬「あとはアステロイド衝突未遂事故の件ですね。これは適正な時間帯にアステロイド・ベルトを通れば
   一切の衝突が起こらないことになっていたのですよ。しかし…なぜ倉田さんのような方がプログラムミス
   を……」
相沢「うーん、不思議だ。確かに佐祐理さんに限ってミスなんかありえないんだが…
月宮「祐一君、一つ気になったんだけど、プログラムを調べてみたら、やっぱり船の質量が定数になっていたんだ。
   だけど、挙動から船の質量を計算したり、それをエンジンの出力に適用するルーチンはしっかり作られてた」
久瀬「何!? どういうことですか?」
相沢「だとすると考えられるのは2つ。一つは佐祐理さんがデバッグ時に定数で代替していたソースを誤って使用した」
月宮「もう一つは……誰かが船の質量を定数でオーバーライトして元のルーチンを参照しないように改竄したってことだよね」

(某国情報部)

??「あはははっ、とりあえず成功したみたいねっ。祐一の奴あんなに慌てて、いい気味〜♪」
??「くすっ、良かったわね。肉まんでお祝いしましょうか?」
??「うんっ」
311:03/02/01 21:58 ID:Bm5ykJv0
>>28=>>29
いいよ。というか一人では賄いきれないから超未来的に進められる人なら誰でも了承。
32名無しさんだよもん:03/02/02 00:17 ID:Qa2q6W+F
あまり関係ないがコロンビアが空中爆発してしまったな。
宇宙旅行というのはまだまだ怖いものだ。
33名無しさんだよもん:03/02/02 01:32 ID:c2M7bdng
超未来葉鍵ってこた、葉も混ぜていいの?
34名無しさんだよもん:03/02/02 01:47 ID:mjwMwNGo
>33
いいと思う。1はカノンネタしか使ってないけど。
やったもん勝ちでしょ?
35ノ―マット゛ ◆yGAhoNiShI :03/02/02 01:52 ID:176izuUa
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 /':::|:::      ̄ ̄      |./  しかしこの番組を見ればきっと神は御救いになられるでしょう(笑)
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実況:http://cha2.net/cgi-bin/test/read.cgi/choanitoku/1043539326/l50
36ノ―マット゛ ◆yGAhoNiShI :03/02/02 02:53 ID:XcWmf+Kg
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37ノ―マット゛ ◆yGAhoNiShI :03/02/02 03:28 ID:176izuUa
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38ノ―マット゛ ◆yGAhoNiShI :03/02/02 04:18 ID:tvEWP9gP
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39名無しさんだよもん:03/02/02 04:55 ID:uL6mAPYx
>>1
まあ、凄いエンジンを積んでるのはわかった。
だったらなおさら疑問なんだが、なんのために小惑星帯なんかを通る?

太陽系の惑星は太陽を焦点にして、ほぼ同一の円盤上を回っているのは知っているな。
太陽系の外に行きたければ、宇宙船は最初から円盤を外れて飛んでいけばいい。
小惑星帯や天王星軌道に到達するというのは、わざわざ狙ってやらなければできないことだ。
俺は巨大惑星(木・土・天・海)でスイングバイでもやるか木星大気の水素でも汲みに行くのかと思ったが、
もうワープ航法をやるような段取りでいるしな……。

# これが「うぐぅ〜! オールトの雲に突入したみたいだよ〜!」だったらここまでは言わないんだが。

>>20
全く、その通りだ。
大きさのスケールで言えば宇宙船<<天体<<惑星間空間だから、
本当はわざわざドラテクを駆使して避けるような場面ではない。
ガリレオ探査機は、ちゃんとガスプラやアイダを観測しつつ木星に到達しているからな。

でも小惑星帯には、地球からは小さすぎて見えないほどの小天体も塵もうようよしている。
現場でリアルタイムに観測して危険があれば対処するというのも、一応は必要かもしれない。
40ノ―マット゛ ◆yGAhoNiShI :03/02/02 05:01 ID:Zn/KXC7+
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41名無しさんだよもん:03/02/02 05:24 ID:uL6mAPYx
まあ、超光速を認めるくらいだから、技術的にはなんでもありだろうな。
ニュートロニウム(中性子星物質)なんてどうやって作ってどう燃料にするのかとか、そんな野暮は言わない。

だが、>>1は大きな疑問に答えていない。

「太陽に一番近い恒星はα-ケンタウリなのに、なぜわざわざ10倍以上も離れたカストルに行くのか?」

α-ケンタウリも含めて、カストルよりも太陽に近い恒星は、
へびつかい座バーナード星やしし座ウォルフ359など、理科年表に載っているだけで15ある。
15の候補を押さえて、なぜ50光年も離れたカストルが目的地となったのか?

確かに、地上で1個の星に見えるカストルは実は6個の星からなる連星であり、
その運動は天文学的には興味深い。しかし、人類初の恒星間航行でα-ケンタウリではなくそこへ行って、何をするつもりか?
少なくとも、連星系が地球生命の生存に適さないことは解るな?

魔法と区別のつかない未来技術の存在は認める。
だが小惑星のことといい、わざわざ何でこんなことを?と疑問が湧く所がこの航行計画には多すぎるぞ。
SFというのは、そこをおざなりにしないものだ。
42ノ―マット゛ ◆yGAhoNiShI :03/02/02 05:49 ID:rmifZ8FH
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43名無しさんだよもん:03/02/02 07:13 ID:g7uIjE/p
>>41
ハイハイハーイ。せんせー>>27で恒星間航行には、トンネルを使うってあります。
きっとトンネルの出口がカストル付近にしかなかったんですよ。
多分、

月宮「祐一くん。ボクα-ケンタウリにも寄ってみたいな」
祐一「う〜ん。丁度α-ケンタウリのそばなんだけど、トンネルの出口が無いんだよな・・・」
月宮「この辺に光子力魚雷で穴を開けたらどうかな?」
祐一「よし。やってみるか」
久瀬「君らはバカかね?いいかい?トンネルってのは宇宙の秩序の象徴であり・・・」
祐一「発射準備完了!いくぞ〜」
月宮「GO〜だよ祐一くん」
久瀬「船長権限で下船させますよ?‥おいこら、ちょっと待て。お。やめ。バカ・・・だからやめろって・・マジか?やめ・やめろおおおおお」
祐一「ぽちっとな」

みたいなエピソードが入るはず。
44ノ―マット゛ ◆yGAhoNiShI :03/02/02 08:07 ID:zLmk2ZJw
      l、、_     _,/'}
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.   ヾ:::..           / 東京 テレビ東京 (日)9:30〜10:00
.    , ゞ、、;;;,,_,,,..._;;;;;__,,..ノ、 名古屋 テレビ愛知 (日)9:30〜10:00
    'ー┐,,..、_ ノ  l_,,,...、 _,,一`大阪 テレビ大阪 (日)9:30〜10:00
      ~  ~     ~   福岡 TVQ九州放送 (日)9:30〜10:00
実況:http://cha2.net/cgi-bin/test/read.cgi/choanitoku/1043539326/l50
45名無しさんだよもん:03/02/02 09:19 ID:bDaqRdcg
α−Cen自体が80年周期の連星系なんで、少なくとも居住可能領域(habitable
zone)内に惑星が存在する可能性は薄いな。

プロキシマの方が可能性有りそうなんだが、こっちも褐色矮星の伴星の存在が
疑われてるらしいので、そうだとするとやっぱり惑星はなさそうだ。

一般には有名ではないが、友人探査の目標としてはバーナード星あたりがお勧めでっせ。
46ノ―マット゛ ◆yGAhoNiShI :03/02/02 11:03 ID:YfqGKnut
      l、、_     _,/'}
      |ヽ''~ ̄ ̄ ̄~`ヾ
     /_,,,..   ..,,,_.`v_'`、
    /:  ━     ━  | ニ_}  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    |::    ∈∋    ヽ  | < ここは酷いhttpですね(苦笑)
  //::    -=,=.ヮ.     |ヽ、|  \________
  /'../::    /∠.._     |、.ノ  あなた達は愚行の数々を繰り広げる低脳で無知で強欲な生物です(激怒)
 /':::|:::      ̄ ̄      |./  しかしこの番組を見ればきっと神は御救いになられるでしょう(笑)
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47ノ―マット゛ ◆yGAhoNiShI :03/02/02 11:20 ID:rmifZ8FH
      l、、_     _,/'}
      |ヽ''~ ̄ ̄ ̄~`ヾ
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    /:  ━     ━  | ニ_}  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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48ノ―マット゛ ◆yGAhoNiShI :03/02/02 12:29 ID:anX+Gbzg
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49名無しさんだよもん:03/02/02 14:11 ID:ubf9GHbM
しかし宇宙に詳しくない俺にとっては書きこみにくいな。
個人的に名スレの予感なんだが。
50名無しさんだよもん:03/02/02 16:08 ID:bAfp9Ri6
どーでもいいが、パンチカードから直にプログラム読んでるあゆあゆって想像できんなー
511:03/02/02 16:44 ID:Qa2q6W+F
秋子「あら? またお手紙ですね(>>39-40) でも困ったわ。今ちょっと天使二号の図面改良が忙しいのよ」
倉田「どうもすいません。佐祐理も天使一号の送信データの解析で手が離せそうにありません」
香里「困ったわね。オペレーションチェアマンの私は上との交渉や作戦統括がメインだし、
   機械系は水瀬秋子主任、情報系は倉田部長に任せてるし…」
川澄「私がやる」
香里「あら、川澄広報。本来はあなたの仕事だしちょうどいいわね。お願いするわ」
川澄「まずニュートロニウムについて。これは燃料ではなくて、強度を利用した液体燃料ロケットの構造体としての利用と
   質量を利用した天使一号の回頭の為のはずみ車として利用しているだけ」
香里「超強度材料ならエイエニウムというニュートロニウムより凄いのもあるんだけど、不滅の物質で強度が無限大だから
   加工できないのよね。生成時に目的の形に作るのも、エンジンみたいな複雑なものだと難しいし」
川澄「私の剣はエイエニウム製。切れ味は良くないけど研がなくていいから便利」
香里「そ、そうなの…。ま、次いきましょ。アステロイド・ベルトについて」
川澄「祐一は有視界で小惑星を避けてたわけじゃない。そんなこと私にもできない。ただ天使一号はとても速いから
   ちょっとした石が当たっても木っ端微塵になってしまう。マイクロメートルぐらいのホコリならシールドが吸収する。ガンガンうるさいけど」
香里「相沢操縦士は数千キロ先にあるミリメートル以上のデブリをコクピットのスクリーンで確認しながら紙一重で避けてたのよ」
521:03/02/02 16:44 ID:Qa2q6W+F
川澄「あとはなぜ目的地がふたご座のカストルなのか」
香里「これは私の方が詳しいわね。この作戦でパイロットの健康面を補助してくれた軍医の方が妹の誕生日がふたご座だからどうしても、と」
川澄「………(ポカッ)」
香里「冗談よ。実は50光年程度だったらどこでもよかったのよ。今回は有人飛行などの技術の実証試験が主目的で移住は考えてなかったし」
川澄「水瀬秋子主任が超光速飛行は近すぎても危険でうまくいかない、と言っていた」
香里「タキオン化した船は運動エネルギーが低いほど速く走るわ。タキオン化したときにエネルギーのロストが発生して船はかなり加速してしまうの」
川澄「データだと3500光速ほどになるらしい」
香里「そう、それでそこから一生懸命運動エネルギーを上げて減速していくと、再び船が通常物質に戻れるのは45光年以上先になってしまう、というわけ」
川澄「あとこんなのが…(>>44>>50)」
香里「トンネル効果ってそういうものじゃないのよ(汗)」
川澄「月宮技術航海士は水瀬秋子主任や佐祐理の元で勉強したから一通りの情報関連技術や機械技術を持ってる」
香里「この間もぴょんぴょん飛び跳ねる丸いロボットを作っててその名前がハ…」
川澄「(ポカポカポカッ)」
香里「じょ、冗談だってば」
531:03/02/02 17:07 ID:Qa2q6W+F
>>49
宇宙でなくても超未来ならご自由にどうぞ。
5439:03/02/02 19:57 ID:lgikudh3
>>51
こらこら、俺の質問に答えてないぞ。俺はニュートロニウムの説明をしろとは言ってない。
小惑星帯が火星軌道と木星軌道の間に、文字通りベルトのように円形に存在するのは知っているな?
木星あたりには用がなくて、直接太陽系の外に行きたいのなら、
ベルトにぶつかる針路なんか取りようがないはずなんだよ。

なのに小惑星帯にわざわざ行ってるというのは、どういうわけですか?
太陽系を脱出するときに何かトラブルが欲しかっただけなら、素直にオールトの雲にしてください。

>>45
そうだったのか。俺も修行が足りないな。
551:03/02/02 21:56 ID:Qa2q6W+F
川澄「また…?(>>54)」
香里「そういわないの、川澄さん。私たちは彼らの税金で開発を行ってるんだから
   納税者が納得するまで説明する義務があるわ。いい?」
川澄「はちみつくまさん。天使一号は基本的に黄道面を航行することになる。これは星間物質を回収して
   液体ロケットの燃料に加工するのと、あとは黄道十二宮のふたご座α星カストルに向かうため」
香里「ただし天王星軌道付近で超光速飛行を始める前にベクトルを完全にカストルに向けて修正しているわ。
   なお、超光速飛行中は通常物質の影響は極微になるからオールト雲、カイパーベルトは考慮してないの」
川澄「わかってくれた?」
56名無しさんだよもん:03/02/03 01:07 ID:dnkCeSfE
あまり理屈うんぬんやらない方が良スレになると思う。
あと下がりすぎあげ。
57名無しさんだよもん:03/02/03 01:46 ID:8NJ0oczb
このスレは面白そうなのだが、
見てると難しすぎて頭がビッグバンを起こしそうになる・・・
58名無しさんだよもん:03/02/03 09:49 ID:3a7bgTP0
遠野さんの研究室を訪れたときには、もう夜も遅い時間だった。
彼女は疲れを知らないかのように、コンソールに向かっていた。

「遠野さん。お茶が入ったんだが、飲まないか」
「……はい、いただきます」

彼女は振り返り、不思議な微笑みを浮かべる。
その間も彼女の指は、真空管とトランジスタの舞台の上を軽やかに踊っている。

「……サーモン‐ロウ・メソッドで、帰ってきた近距離恒星の観測結果を解析してます」
「ほう、大変だな。何百万という写真があるそうじゃないか」
「……はい、大変。でも、だいぶ候補が絞れてきちゃいました……」

“天文部”という機関に所属する彼女は、ノートロピック・チルドレンと呼ばれる人工的な天才児の一人だ。
彼女の成績は学年トップ。彼女ひとりで、並の天文学者10人分と電算機10台分の働きをする。
膨大な量の天体写真を前に、彼女はその非凡な能力を存分に発揮していた。

「……これ」
彼女はふいに、6つの星が写った一枚の写真乾板を差し出した。

「……『αGem Castor』……『天使一号』のフライトに、ぴったりの目的地かも」
「カストル? 確か、カストルとポルックスだかいう、双子座の星だったか」
「……正解です……双子座のα星……。実視等級1.6等、距離は52光年……ポルックスは、視位置が近いだけで関係なかったりします」
「へえ。双子というわりには、星が6つもあるみたいだが」
「……地上で一つの星に見えるカストルは、実は六重連星系なんです。
 ……よく知られているように……人類の知っている力学では、3個以上の物体を解析することはできません……。
 ……宇宙で六重連星がどう運動しているのか、間近で見えたら……スゴイです」
「ちょっと待ってくれ。さっき、52光年と言ったか」
「……ええ」
「えらく遠いじゃないか。確か、一番近い恒星は4光年ほどなんだろう? それに、そこには生物は住めるのか」
「……はい……それには理由があるのです」
59名無しさんだよもん:03/02/03 09:50 ID:3a7bgTP0
リーフという惑星間国家が、かつて全太陽系を席巻していた時代があった。
だが、あまりにも苛烈な指導者を告発する、前代未聞のスキャンダル。
超先生という政府高官が尻尾を出してしまった、物質透過技術をめぐる大規模スパイ事件。
たび重なる失政で権勢を陰らせたリーフに代わり、地球に覇を唱えた新勢力というのが、我が国――Keyだった。
Keyは地球をはじめ、金星と水星を次々に併呑(政府に言わせれば「解放」だが)してゆく。
地球の王座についたことの政治的意味は大きい。しかし、
急速な領宙の伸長にKeyの国力は疲弊し、新兵器『クラナド』の開発も遅々として進まない。
対して火星まで勢力圏を退がらされたリーフは、木星・土星・天王星・海王星の無尽蔵の水素資源、
小惑星やガリレオ衛星の莫大な鉱物資源を背景に、虎視眈々と領宙の奪還を狙っている。
これが、2008年現在の太陽系のだいたいの情勢である。

「……連星系は地球生命の生存に適しませんし……52光年はひどく長い距離です」
「ならなぜ、そんな所をターゲットに?」
「……なぜって……太陽系だけでも、天体の領有をめぐる争いが起きているのに……
 ……そんな争いを、恒星間宇宙まで広げることに意味はあるんでしょうか?
 ……自分たちが移住できる天体を探すには、人間はまだ早すぎちゃったのかもしれません……」
遠野さんの目が、悲しい色を帯びた。
「なるほどな……」
「……今回の航行は、純粋な学術目的……超光速技術の検証と、天体活動の精密観測です。
 ……絶対に、領土欲のために利用はさせません」
「わかった。遠野さんは立派だな」

私もKeyの医療の発展に携わってきた身だ。
そして、私の関係した仕事が、戦争の手段に使われる所を何度も見てきた。
この遠野さんの――ノートロピック・チャイルドの誕生さえ、「私の関係した仕事」の一つなのだ。
この子だけには、戦争の手段に堕して欲しくはない。そう思うのは自然だった。

「話は聞いたよ。困るね、僕を差し置いて、勝手に不穏な相談をされては」
男の声がした。
(つづく)
60名無しさんだよもん:03/02/03 10:59 ID:3PZ2LygK
>58-59
新手の書き込みキター!
どうも一応の作戦責任者の香里は手のひらでもてあそばれている気配。
彼女では碇ゲンドウにはなれそうにないな(笑)
61名無しさんだよもん:03/02/03 14:59 ID:yFvPaDZp
いい感じになってきました。
この調子で是非葉っ派も参入を。
62名無しさんだよもん:03/02/03 21:25 ID:zve15Goo
そのころ、ここはリーフの宇宙航空局局長室。局長の澤田真紀子と
宇宙開発部部長の牧村南が密談を行なっている。
「Keyの宇宙船はカストルへ向かう途中、小惑星帯でトラブルの様子です」
「ふふふ、こちらの軍艦を回避するためとはいえ、さぞ大変でしょうね。
うまく解決できるのかしら」
真紀子は手元の書類に目をやりながら、クスリと笑う。
「宇宙開発部の試算では、脱出できる可能性は74パーセントと出てます」
「それよりも南、うちのほうの計画はどうなっているの?」
南は書類を読み上げる。
「人類最初の別恒星系到達の栄誉をわがリーフが得るために、現在宇宙開発局では
みなみのうお座フォーマルハウト星系に柏木耕一中佐を派遣します」
「一番近いアルファケンタウリ星系じゃないの?」
「いえ、アルファケンタウリは2つの連星のうえ、そのまわりを
プロキシマケンタウリが回るという複雑な状態ゆえ、今回の副次的目的である
移住可能または移住改造可能な惑星の発見には期待しかねます。
それよりは距離的に離れていてもまだ惑星に期待が持てるフォーマルハウトに
しました。こちらは22光年の距離ですが、向こうのカストルよりはずっと
近い距離にありますね」


63名無しさんだよもん:03/02/03 21:34 ID:zve15Goo
「でもね、それだけじゃ面白くないわね」
「ええ、宇宙開発局内でもそういう意見がありまして、うちのほうでも
カストル星系向けのロケットを派遣し、そちらへも先に到着させようと
しております。現在海王星に藤田浩之大尉ほか3名を待機させており、
命令があればすぐにでも発射できるよう準備は整っております」
「わかりました。すぐ大統領に承認をもらうようにしましょう」
真紀子は即座にそばの電話に手を伸ばした。
64名無しさんだよもん:03/02/03 21:56 ID:zve15Goo
「お忙しい所すみません大統領閣下。宇宙航空局の澤田です」
「どうした。先日の計画にトラブルでもおこったのかね?」
「いえ、じつはKeyがカストル星系のほうにロケットを派遣したらしいので
こちらもその方面にロケットを送り、先に到着させようという計画があがりまして
その承認をいただきたいのです」
「それなら議会のほうにまわしてくれ」
「いえ、議会の承認を得ていては向こうに遅れを取ります。
ここは一刻も早く出発させ、事後承諾をとるべきです」
「わかった。これはわが国のメンツの問題だとすれば最優先事項だ。
大至急発射させたまえ」
「了解しました」
真紀子のそばでは、南が超高速通信機の前で、了解という単語を確認するやいなや、
「こちらは宇宙開発部部長の牧村南です。プロジェクトーカストルのほうは
大統領の承認を得ました。大至急発射の準備に移ってください」

「了解しました」
海王星の打ち上げセンターでは、長瀬源五郎主任以下スタッフたちが
すぐに打ち上げの準備にかかった。
「セリオ、打ち上げの計算は大丈夫か?」
「はい。5分以内に打ち上げ可能です」
「藤田大尉ほか3名の搭乗員はどうだ?」
「こちら藤田。準備はオーケーだぜ」
「では本ロケットaqua-Tは海王星標準時22:00に発射する!」
「了解」





65名無しさんだよもん:03/02/03 22:16 ID:zve15Goo
打ち上げまえの最終点検を終え、秒読み体制に入る。
「君達は我が国の名誉を背負っている。是非がんばってもらいたい。
ではいくぞ。  
 10・9・8・7・6・5・4……
打ち上げセンター全体に緊張が走る。
 ……3・2・1
 ゼロ!
轟音とともに、ロケットaqua-Tは火を吐いて天にのぼっていく。
「うまく……いったのか?」
第1燃料タンクを切り離し、なおもロケットは上昇を続ける。
徐々に小さくなり、海王星の大地から見えなくなる頃、通信が入る。
「こちらaqua-T。無事海王星の大気圏を突破したぜ」
台詞とともに、センター内に拍手と歓声が起こる。

「はい。牧村です。そうですか。ぶじ発射しましたか。
皆さんおつかれさまです。では引き続き通信スタッフのかたはがんばってください」
電話を切って、南は報告する。
「発射は無事成功しました。あとはロケットの皆さんに任せるだけですが
わたしはこのまま海王星の打ち上げセンターのほうに向かいますね」
「ではこの件はあなたに一任するわ。是非とも成功させてね」
一礼して、南は部屋を出た。


66名無しさんだよもん:03/02/03 22:17 ID:zve15Goo
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
なーんてな感じで葉陣営の事情を書いてみました。
ここから先はライバル登場、ってことになっちゃいますね。
いちおう国家同士は敵対関係だけど、パイロットは単なるライバル
くらいにしてもらえると、ピンチの時に助け合うなんて
シチュエーションも期待できるかも

あと、藤田浩之大尉以外のクルーは次に書く方が決めて良いですよ。

67名無しさんだよもん:03/02/03 22:35 ID:R2l0YYeP
葉キター*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(゚∀゚)゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!
良スレになってきたなあ。
68もう一人の男:03/02/04 00:18 ID:D6Oh8v0r
 宇宙を漂う一隻の船。
 その船の一室で、一対の男女が話しあっていた。
「流石です、耕一! 人類最初の他恒星系到達の栄誉に得られるなんて!」
 女性は髪を振り回し、なにやら力説している。
「あのなあ… まだ到達した訳じゃないだろ…」
 それに対し男は人の良さそうな顔をやや歪め苦笑した。
「でも凄いですよ! 伊達に宇宙の鬼なんて呼ばれてませんね!」
「いや、それほとんどお前と楓ちゃんの功績だろ?
 普段船動かしてるのお前等なんだし」
「そんな事ありませんよ。耕一の判断力があってこそです」
 そんな事はないと男性、耕一は思う。
 自分がここまでになれたのは、副官柏木楓を含め部下たちのサポートのおかげである。
 あれだけ素晴らしいスタッフに恵まれれば、自分ではなくてもきっと成功しただろうと思えるのだ。
「…そういや浩之はもう出たんだっけか?」
 この話題はいつも平行線なので、耕一は共通の友人の事へと話を変えた。
69もう一人の男:03/02/04 00:19 ID:D6Oh8v0r
「ええ、藤田大尉は先ほどカストル星系へ向かい、出発されました」
 それを聞き耕一は少し顔をしかめた。
「そうか… しばらくアイツとも酒が飲めないんだよなあ…」
 残念そうに耕一。
「藤田大尉達ならきっと使命を果たせますよ…」
「そうだな…
 それにあいつにはあの子達がついてるもんな」
「ええ…」
 しばし感慨深げにしてた二人だったが耕一はおもむろにニカッと笑った。
「もちろん俺もあいつに負けないくらい、スタッフには恵まれてるよな♪
 もちろんお前も含めて、なっ!」
「…え、でも私は…」
 何故か返事に躊躇する女性。しかし…
「それでいいの!」
「は、はい!」
 耕一の大声に思わず返事をする。
「それじゃあ行くぞヨーク! まだ見ぬ宇宙へ!」
 歩きながら大声で宣言する耕一。
 女性、世界最高の生体コンピュータであるヨークの端末体は、それに「はい!」と頷いた。
70名無しさんだよもん:03/02/04 00:23 ID:D6Oh8v0r
耕一を少し書いてみました。
状況説明なんて全くなかったりしますが、どうかお許しを。
かなり原作いじってるから反応が怖い…
71名無しさんだよもん:03/02/04 02:34 ID:eYNDoqc8
>>70
ヨークに雌人格与えているSSはじめて見たワイw


しかしこのスレの>1は超未来葉鍵 と銘打て置きながら実質超未来鍵所か超未来華音しか描く気が
無さそうな所が素敵だと思いました。
72名無しさんだよもん:03/02/04 03:00 ID:4X4uLuel
>>70
ヨークは原作内ですでに恒星間飛行やらかしてるから、
弱体化は当然かと思ったが、まさか雌雄同体のヨークを雌にするとは!
俺は好きだがw
73名無しさんだよもん:03/02/04 04:50 ID:w8yh92Fa
「話は聞いたよ。困るね、僕を差し置いて、勝手に不穏な相談をされては」
「橘さん……いや、橘卿」
聖と美凪の話に割り入ってきた男は、橘敬介という、この国の貴族である。

Keyという国――正式には、Keyおよび旧タクティクス地球連合帝国――は、名前の通りの帝政を敷いている。
今上帝、現在の国家元首は、神奈備命なる一人の少女である。
「千年前から地球の記憶を継ぐ」として地球領有の正統性を謳うKeyの帝位は、万世一系の帝室がこれを世襲する。
幼い皇帝の政務を輔弼する名目のもと、帝室に近い貴族の家柄である神尾家や橘家が、
政治的に大きな発言力を有していた。

聖はその場に跪き、頭を垂れた。歯噛みするような思いだが、相手はやんごとなき貴人だから、仕方がない。

「別に立っていいよ、霧島さん」
「無礼講ということでいいんだな」
聖は立ち上がり、さも憮然といった態度で、敬介を睨みつけた。

「では、何が不穏だと言うのか聞かせてもらおうか。私たちは今回の航行を平和目的に考えているんだぞ」
「あなた方の思想は国策に反する疑いがあるからね。帝国政府に反するなら、それは不穏だ」
「……国策……」

美凪が――国策によって人工的に生まれさせられた少女が――小さく呟いた。
敬介は続けた。

「新兵器『クラナド』の開発の遅れが、帝国臣民に与えている失望は大きい。我が国当面の急務は、臣民の士気高揚だ」
「士気だと? 橘卿、あなたはリーフとのどんぱちのことしか頭にないのか?」
「そうだよ」
敬介は自信ありげに言う。

「リーフという確かな敵国がある、この今……。
 すべての国策は、奴らを出し抜いて我が国の版図を拡大する手段なんだ」
74名無しさんだよもん:03/02/04 04:51 ID:w8yh92Fa
「我々が光速船を建造できるということは、奴らも同じものを造れるということだよ。
 奴らは待ってはくれない。52光年も先の星にのろのろと学術調査に行っている間に、
 別の開拓星に奴らの国旗が立ってしまったらどうするんだい?」
「そんなもの、ただの領土的野心じゃないか。彼らが名誉を欲しがってるなら、くれてやれ。
 太陽系だけで嫌というほど揉めているのに、火種を宇宙に拡大してどうす……」
「慎みなさい! あなたには帝国の中枢にいる者としての自覚がないのかい?」

敬介は一喝した。すぅと息を吸い、朗々と演説が始まる。

「この航行計画を支えているのは、他ならぬ臣民の血税だよ。
 力学の3体問題だか知らないが、宇宙船が飛ぶ目的は、象牙の塔に引きこもった道楽学者の研究のためじゃない。
 帝室と臣民の安寧。国家の発展のためだ。
 カストルになど絶対に行かせない。単なる学術調査では、臣民は納得しない。
 新機軸の超光速航法と、太陽系で培った確かなテラフォーミング技術。
 我が国の領宙は太陽系に留まらず、光年を越えた他の星々へと達し、我が臣民の安住の地は飛躍的に広がるんだ」

敬介は熱っぽく一気に吐いたと思うと、美凪にくるりと向き直る。

「さあ、遠野君。リーフに先駆けて偉業を成し遂げ、臣民に国威を見せ付けられる目的地はどこなんだい?
 君は霧島さんが造った高性能な計算機械なんだから、知らないとは言わせないよ」
「…………!」
機械と呼ばれた美凪の表情に、さっと陰が差した。

「こら、遠野さんに向かって機械とは何だ!」
「霧島さん。あまりそれに情を移さないほうがいい。2001年・スペースオデッセイ事件は知っているだろう」
「ああ。リーフの木星探査船に積まれた人工知能HMX-9000が、思索の果てに暴走を起こし、飛行士のほとんどを殺害したと。それがどうした」
「なまじ機械が知恵などつけるから、そんな目に遭うということだよ。リーフと同じ轍を我々が踏むわけにはいかない」
「いいかげんにしやがれっ!」

聖は憤怒をあらわに、胸のポケットからレーザーメスを取り出し、構えをとった。
75名無しさんだよもん:03/02/04 04:52 ID:w8yh92Fa
抜き身のメスを構えた聖に、敬介は苦笑を浮かべた。

「気性の荒いあなたのことだ。こうなるかもしれないとは思っていたよ」
「だったら、早めに遠野さんに謝りやがれっ! 医者の私が言うんだ、彼女は紛れもない人間だっ!」
「ふん。彼女は人工物、機械そのものじゃないか。
 星の名前も質量も距離もことごとく記憶し、円周率を何千桁も計算し、偏微分方程式を暗算で解くような彼女が、機械でなくて何なんだ?
 僕の娘には、そんな芸当はできなかったぞ……!」

敬介は突然、何か悲しいことを思い出したかのように、歯をぎりりと軋らせる。
眉間に皺を刻んだまま、ドアの向こうの人影に声をかけた。

「柳也さん、霧島聖に逆意の疑いがある。彼女を拘束し、遠野美凪を接収してくれ」

敬介が呼ぶと、刀剣を佩いた剽悍な軍人が部屋に入ってきた。
一介の傭兵から神奈備命直属の随身にまで上り詰めた猛者、柳也という男である。
柳也が刀剣を抜き、柄を握りしめると、刀身に紫色の電光が閃く。捕縛用の非致死性の電気衝撃のようだ。

「悪い。あんたに恨みはないが、帝室の使者に刃を向ける奴は、捕まえなきゃならないんでな」
「くっ……!」
「抵抗すれば罪が重くなるぞ。大人しく捕まってくれ」
「抵抗はしないさ……だが、捕まることもない!」

聖は振り返り、後ろの壁に向かって、手に持っていたレーザーメスで弧を描いた。
光条の一閃。部屋の壁に、人が通れるくらいの風穴が開く。
穴から一陣の突風が吹きこみ、柳也をひるませる。ここは高層建築の上層階なのだ。

「遠野さん、行くぞ!」

聖は美凪の袖を引っつかみ、風穴へ飛びこんだ。同時に、柳也は大上段から刀身を振り下ろす。
切っ先が聖の白衣を掠めたが、逃走は止まらなかった。
76名無しさんだよもん:03/02/04 04:52 ID:w8yh92Fa
「こんな所から飛び降りるだって? 死ぬ気か?」
「いや、立派な逃走経路のようだな」

聖の白衣の懐から、白い毛玉のような生物が覗いた。
落下しながら、聖は叫ぶ。

「ポテト! 変形しろ!」
「ぴこぴこぴこッ!!」
命令を受け、毛玉は瞬間的に翼の形に広がる。聖と美凪は、それにぶら下がる形だ。

地球の夜の風に乗り、白い翼は闇へと消えていく。

「ぴこぴこぴこぴこぴこぴこ……」
「ふはははは! 見たまえっ! これが医学の成果だーっ!」
「……ぱちぱちぱち……霧島先生、スゴイですね……」


研究室に残された敬介は、苦々しい顔をしていた。
「何てことだ……遠野美凪の性能は我が国随一だというのに、それを帝国のために使えないなんて……」

残された写真乾板や磁気テープを眺めていた柳也が言う。
「いや。データ自体はこうして、俺たちの手元にある。俺と裏葉で、試しに解析を続行してみよう」
「そうか。宮中の裏葉さんと並んで、君も電算機に詳しいんだったね」
「ああ、そうだな。それに裏葉なら、星辰二十八宿の運行にも通暁してるだろ。遠野ほどではないにせよ、何とかなるかもしれん」
「では、二人で遠野美凪の観測データの解読を急いでほしい。太陽系に可能な限り近く、開拓可能な惑星のある目標天体を探すんだ。
 『天使一号』は、必ず新目標に向き直させるぞ。貴重な光速船を、けちな学術調査なんかに一隻だって割けるもんか。
 恒星を人類初の植民地とするのは、リーフではない。我が国、Keyだからね」

敬介は誰にも聞かれない声で、最後に呟く。
「観鈴……もうすぐ、お前に星の大地を見せてやれるからね……」
7773-76:03/02/04 04:53 ID:w8yh92Fa
リーフは大統領制(>>63-64)らしいので、Keyは君主制にしてみました。


近距離恒星の簡単なリスト。設定をこしらえる参考になさっては。
ttp://village.infoweb.ne.jp/~mrt/mrt_near_space.htm

よその恒星の惑星を改造して居住域にするなら、私はエリダヌス座イプシロンあたり
ttp://www.planetary.or.jp/HotTopics/topics-000809_1.html
が有力な候補じゃないかと思います。
地球型惑星が、地球軌道と同じくらいの位置にある(かもしれない)らしいです。
78名無しさんだよもん:03/02/04 12:41 ID:GuEdfE1r
いい!
数十年前の宇宙開発競争みたいに威信をかけてがむばってほすぃ。
79名無しさんだよもん:03/02/04 16:15 ID:gPYEog0h
>>73-76
2001年・スペースオデッセイ事件の人工知能HMX-9000とか
写真乾板や磁気テープとか、地味にポイント高いですねw
80名無しさんだよもん:03/02/04 18:59 ID:sKXRWbsy
面白くなってきたところで申し訳ないが、登場人物の整理をしよう

Keyおよびタクティクス地球連合帝国陣営
・「天使1号」(目的地:カストル)クルー
船長:久瀬 相沢祐一 月宮あゆ 計3名
・技術統括主任 水瀬秋子
・部長(?) 倉田佐祐理
・広報 川澄舞
・オペレーションチェアマン 美坂香里

・「ノートロピック・チルドレン」と呼ばれる天才児 遠野美凪
・ドクター 霧島聖

・皇帝 神奈備命
・皇帝の外戚 神尾家や橘家
 摂政(?)橘敬介 神尾観鈴と言う娘有り
・皇帝直属の随身 柳也

・情報部(?) 沢渡真琴と天野美汐(?)

旧タクティクス陣営は出ていないが、この体制だと
「旧指導者層」は公職追放され、抑圧されている可能性もある
81名無しさんだよもん:03/02/04 19:16 ID:sKXRWbsy
リーフ陣営 (仮称:自由リーフ惑星連邦)
・「aqua-T」(目的地:カストル)クルー
船長:藤田浩之大尉 他(おそらく副官はおさななじみの神岸あかり大尉)
・「?」(ヨーク?)(目的地:フォーマルハウト)クルー
船長:柏木耕一中佐 副官:柏木楓(大尉?) 生体コンピュータ「ヨーク」 他

・宇宙航空局局長 澤田真紀子
・宇宙開発部長、プロジェクト最高責任者 牧村南
・技術主任 長瀬源五郎 
・サポートロボット セリオ

・リーフ大統領 ?

この他に、技術面や経済面で来栖川重工が登場してくるのが予想される

現在地球はKeyの支配化にあるらしいので、首都は火星と思われる
だが海王星に宇宙基地を持つ分、宇宙進出においては有利とみられる  
82名無しさんだよもん:03/02/04 23:38 ID:QNM7lseP
橘敬介は本日の予定を全て終え、自分に与えられている寝室に引き上げた。
十分な睡眠時間を取れるとは思わなかったが、敬介はそれを苦にしてはいなかった。
彼には目的が合った。
それを果たす事への強い意志があった。
しかし流石に体は疲れていて、睡眠を欲っしている。
あくびを噛み殺しながら、浴室につながるドアをあけたその瞬間だった。
ドアを空けたほうの手をギュッと引かれ、その次の瞬間に口を抑えられる。
流れるような動作だった。
恐怖を感じる暇すらない。

「大人しくして下さい。私は敵ではありません」

耳元で声が聞こえた。
聞いたことのない声だ。

「橘卿とお見受けします。大声を出さないで頂けるならこの手を離しましょう」

縦に首を振る。
この場はしたがった方が得策だ。


解放された敬介は、振り返り自分を抑えた人物を見た。
若い男だったが、その立ち振る舞いには何処か迫力がある。
大声を出せばこの場で殺す、表情がそう語っていた。

「橘卿。リーフの宇宙開拓プランを知りたくありませんか?」
敬介の目が大きく見開かれた。
83名無しさんだよもん:03/02/04 23:39 ID:QNM7lseP
「それを教えてくれるのか?」
敬介は恐怖を振り切り男に問った。
「ええ」
男は静かに返す。
敬介はしばし考え、そして言った。

「望みはなんだ?」
「そうですね、とりあえず500万ほど包んで頂けますか?」

啓介にとってはたいした額ではない。

「すぐに用意させよう」
「それでは商談成立ですね」

そして男は語った。リーフがフォーマルハウト星系、カストル星系を同時にめざしていること。
そしてそのそれぞれに柏木耕一中佐、藤田浩之大尉があたっていること。

「柏木! あの「宇宙の鬼」か!」
「ええ、リーフの作戦に対する意気込みがうかがえますね」
「もう一人の藤田とは? 初めて聞く名だが…」
「以前の柏木中佐の部下で、資質は中佐に匹敵すると部隊内で言われていた人物です。
 相当に優秀な人材である事は間違いありません」
「そうか… そこまで力を入れているのか」
自分が後手に回ったことを敬介は実感した。
84名無しさんだよもん:03/02/04 23:58 ID:5vTo8Z+u
「……ここに柏木中佐の予定航路を手に入れてあります」
「なに! 本当か!」
思わず大声をあげる。

「ええ、使い方は貴方次第です」
そう言い一枚のデータカードを差し出す。
敬介はあまりの事にしばし呆然とした。
この男は何者なのだろう。
少なくともそれは、リーフにおいて最高機密に属する事のはず。

「私の正体は問わないで下さい。また、良い話があればうかがわせていただきますので」
心を読んだように男が言う。
捕える事も考えたが、男の力量を考えるとそれはあまりに危険である。
敬介には死ねない理由があった。

「そうですね…私のことはシャドウとでもお呼び下さい」
金を受け取った男は、そう言い残し敬介の前から去っていった。

結局最後まで得体の知れない男であった。
危険の匂いを身にまとっている。しかし…
「まあいい… 使える物はなんだって使ってやるさ…
 待っていてくれ、観鈴…」





「ククククッ、瑠璃子…お前の選択が間違っていた事をこの僕が証明してやる!」
8582-84:03/02/05 00:04 ID:86PK44Ur
初カキコです。月島兄です。
個人的に好きなので思わず出してしまいました。
香奈子も出そうかと思ったのですが、キャラあまり増やすのもなんかなーと思い、こうしました。
お気にめせば幸いです。
86名無しさんだよもん:03/02/05 01:21 ID:wp5ijTCf
>>80-81
おお、まとまっている。
MOON.の人々は多分月に左遷されてるんでしょうなあ。

あっ、SFには付き物のエスパー(琴音とか)がまだ出て来てない?


>>85
新作キター*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(゚∀゚)゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!
月島兄妹はやっぱりエスパーで、香奈子を操って攻撃するんだろな。

ちと気になる所としては、時たま誤植が目につきますか。啓介とか。

>500万ほど包んで頂けますか?
リーフの通貨単位はタソガレですかw
87名無しさんだよもん:03/02/05 01:59 ID:wp5ijTCf
話は書けないんだけど、ちょっと超未来技術を思いついたんで…


【エイエニウム・リレイ超光速通信】

純粋なエイエニウムの単結晶は、無限大の強度をもつ「剛体」となる。
宇宙における存在比の少なさのため、巨視的な塊として造ることは難しい。
しかし、細い棒状(直径1ナノメートル程度)に精製することは可能である。

剛体の内部には、無限大の速さで信号が伝わるという性質がある。
この原理を応用すれば、どんなに離れた距離であっても、
理論的には全く時間差のない有線通信を行うことができるのだ。

無重量状態の地球周回軌道上に建造された巨大工場では、
長さ約10km、直径約1ナノメートルのエイエニウム剛体棒が製造されている。
多数の棒を接続し、テレスコープ式に伸縮する適切な被覆をかけることで、
地球と宇宙船を繋ぐケーブルが完成する。
試算によれば、1立方センチのエイエニウムからは
約10天文単位(太陽―土星間の距離に匹敵)のケーブルが造られる。

弱点は、エイエニウム剛体棒じしんは無限大の強度をもつものの、
接合部を狙われると非常に脆弱という所であろう。
88名無しさんだよもん:03/02/05 02:00 ID:wp5ijTCf
で、>>1はどこいった?
89名無しさんだよもん:03/02/05 02:41 ID:aJAFwr2i
あまり風呂敷を広げ過ぎるのもやばいですね。
方針としては、今上がってる話をそれなりに片付けてからまた次の話を、という感じがいいと思います。
まあその個別の話を広げたり絡めるのは良いとしても、同時進行の話は増やし過ぎては書き手も読み手も辛いですからね。

まあ一読み手の意見と思ってください。
なにか思いついたら書き手にも加わりたいと思ってます。
90名無しさんだよもん:03/02/05 02:56 ID:dd0zfs+d
その頃、肝心の天使一号はというと……

あゆ「天王星かぁ。ずいぶん遠くまで来たね」
久瀬「だが、海王星まではリーフの勢力圏内ですよ。もうしばらく
 隠密裏に動かねばなりません。ここで我々がKeyの人間であると
発覚した場合、領域侵犯により攻撃を受けるでしょう」
祐一「だったらまず足元を固めてほしいもんだよな」


香里「それにしても、あんな無装備の船一隻で大丈夫なんですか?」
秋子「だからといって、大艦隊を派遣すれば戦争になってしまいます。
それでも、お偉い方々には考えがあるみたいですよ」


裏葉「Keyは地球を有しているとはいえ、実質的には太陽系に閉じ込められる
形をとっています。周りを占めるリーフがこのまま外に膨張を続けていけば、
間違い無く近いうちに勢力の差は圧倒的なものになってしまいます。
それにこれは外宇宙の独占を阻止するというだけでなく、リーフの勢力圏を
挟撃するための拠点をどこかに設立する意味もあります。
冷戦時代、アメリカは北極海をはさんでソ連、中国ににらみをきかせるベトナムに
こだわり、同様にソ連はキューバの社会主義政権を支持したように……」


あゆ「仕方ないよ。でもそうなると恒星間移動に移るのは海王星の軌道を
離れてからってことになるんだね」
久瀬「そういうことになりますね」
91名無しさんだよもん:03/02/05 04:17 ID:dd0zfs+d
南「どーもこんばんは。リーフ陣営開発総責任者の牧村です。
この筆者は続きを考えていたようですが、アプリケーションエラーで
書いていた内容が飛んだこともあり、そこまで書いた話はとりあえず除去して
話の流れをすこしまとめてみることにしました。

現在、このストーリーは大きく分けて政治パートと冒険パートに分けられます

政治パートはリーフとKeyという2大国家の対立が前提にありますが、
基本的には橘卿と娘の観鈴をめぐる陰謀ですね。リーフ陣営ではハクロオ大統領
から開発責任者のわたし、他宇宙開発部のスタッフには陰謀家はいませんが、
どうやらどこかの部署に内通者がいるようです。これについては橘卿の目的が
わからないので、どのような展開になるかは解説しかねます。

冒険パートのほうは、天王星軌道に着いたばかりの天使一号と
海王星を出発したばかりのaqua-Tのカストル星系到達レースがメインですね
始まりからみて、話の本筋はこっちですね。
そして、一方では耕一さんがフォーマルハウト星系めざして飛び立ってますが
こっちは今の所ライバルがいないので、あくまでおまけになりますね。
フォーマルハウト向けの軌道コースの情報も敵陣営にも流れたみたいですが、
ここで問題なのはリーフ陣営は太陽系の外側に勢力を伸ばしていることです。
これを追いかけようとすれば、火星から海王星まで各所に配備されている
守備艦隊を相手にする事になります。かといって対抗しうる艦隊をさしむければ
全面戦争になりうるので、そこまではできません。
ちなみにリーフ陣営には蝉丸、テオロ、オボロ、ベナウィなど専門の軍人として
名の知られた提督が各所にいますので、これを相手にするのは大変ですよ。
そしてそれはもちろん天使一号にもあてはまります。はたして戦艦相手に
どこまで逃げ切れるのでしょうか?がんばってとは言えないけど生き延びられると
いいですね。

92名無しさんだよもん:03/02/05 04:18 ID:dd0zfs+d
と、現状では2つの流れですが、これが今後どうなるかはまだなんともいえません。
でも、設定を広げすぎると読者の方が付いて来れなくなるかもしれないから、
今ある「冒険」と「政治」の2つの軸を意識して進めるのがいいのかと思います。
あと、SFものなので科学的な設定を深めるのに協力してくれる方は大歓迎です。
でもできればSFに詳しくない人にも分かるような補足があるとありがたいです。
そして上がりすぎると無駄に広告を受けたりするので基本的にsage進行のほうが
いいかと思います。
長々と話につきあってくださりありがとうございました。それでは引き続きお楽しみください。

……旧タクティクス陣営ってどういう考えなんでしょうね?
Keyから独立とか考えてないのかしら?」
93名無しさんだよもん:03/02/05 04:34 ID:djSeYNsa
>>90-92
1も頑張るなあ。応援してるぜ。
94名無しさんだよもん:03/02/05 05:12 ID:djSeYNsa
>ここで問題なのはリーフ陣営は太陽系の外側に勢力を伸ばしていることです。
>これを追いかけようとすれば、火星から海王星まで各所に配備されている
>守備艦隊を相手にする事になります。
あれ?
北極星の方向に飛べば、黄道面に配置してるリーフの兵力にはぶつからないよね?
太陽系を抜けてから方向転換して目的の星を目指せばいいのでわ?
951:03/02/05 05:47 ID:KzXdJrOH
 超光速航行を延期してとりあえず海王星軌道を目指すと天使一号からの通信が入ってから2日後、
水瀬名雪通信士のもとに倉田電算部長が駆け込んできた。月宮航海士の依頼したプログラム改竄についての
解析が終わったのだろうが、その顔は彼女らしからぬ焦燥の色が見えた。名雪はすぐに天使一号へと
発信を試みた。哨戒体勢にある天使一号への通信はタキオン・レーザー波によって行うしかないのだが
名雪の技術を持ってすれば通信波のベクトルは1ピコ秒もはずれない。
「アースよりエンゼル、聞こえますか?」
通信には操縦と通信を担う相沢航海士が答えた。
「レーザー通信とは思えないほど良く聞こえるぞ。さすがだな」
「倉田電算部長がデータの解析が終わったって。あゆちゃんに代わってもらえる?」
「了解」
月宮航海士が代わるとスクリーンには倉田が映っていた。品のいいマニキュアを塗った爪で
計算尺のカーソルを引っ掻き、弄んでいるところを見ると、相当悪い状況らしい。彼女の癖なのだ。
「うぐぅ、代わったよ。佐祐理さん、どうだったの? あまり良くなさそうだね」
「獅子身中に虫あり、のようですね。開発の全工程を解析しましたが外部からの侵入形跡はありませんでしたし、
 もちろん外部ネットワークとは物理的に切れていますから」
961:03/02/05 05:47 ID:KzXdJrOH
久瀬が割り込んで訊く。
「倉田さん、ご機嫌麗しゅう。侵入の跡を隠蔽できる技術者が関わっている可能性はありませんか?」
「そうですねー。声紋、虹彩、指紋、遺伝子、毛細血管の位置、すべてが一致する人がいれば侵入できますが、
 それはクローン技術をもってしても不可能ですから無いと断言していいと思います」
「ふむ……わかりました。そのような状況では海王星までのんびり航行しても状況は改善しない。太陽−海王星の
 ラグランジュ点L5に進路を向けて一度船の総点検を行うことにします。ロストした燃料を星間物質で補えますし」
そこに相沢が口を挟む。
「しかしラグランジュ点は恐らくリーフ軍に監視されてるぞ。星間物質も隠蔽してくれるほどには濃くないし。
 もっともまだ何かされてる可能性が高い以上、このまま航海を続けない方がいいというのには小数点以下18桁まで
 同意するけどな」
倉田が答える。
「わかりました。私が美坂香里オペレーション・チェアマンに問い合わせて再度作戦を練ってもらいます。それまでは
 とりあえず海王星軌道に向けて航海を続けてください」
「わかりました。倉田さんも『虫』には充分お気をつけを」

通信が切れた後、天使一号の三名は言い知れぬ不安に襲われた。漆黒の宇宙の中で自分たちの船は敵の手にかかっている。
その上地球においても穏やかならぬ事態のようだ。彼らの心中にあるのは猛烈な孤独感、だった。
971:03/02/05 05:48 ID:KzXdJrOH
 倉田電算部長の報告を受けた美坂香里オペレーション・チェアマンは悩んでいた。なるべく早く、天使一号の今後を
決めなければならないのだが、内部のものが信用できないとあっては会議で、というわけにもいかない。しかも計画を
バックアップしてくれていた信頼すべきドクター、霧島聖が上部に反逆したあげく、『天才児』をつれて失踪したという。
この状況で頼れるのは己以外ではかなり限られていた。そこに水瀬秋子技術統括主任が現れた。彼女もまた数少ない信頼できる
人物の一人だ。幹部には管理部署の人員を徹底的に洗え、と伝えてあったからその報告に来たのだろう。
香里は尋ねた。
「どうでした、秋子主任?」
「私の管轄内に不審者はいませんでした。アレを使って調べたので間違いありません」
「う、そ、そう…。信用するわ」
「やはり一番怪しいのは情報部ですね。私の管轄の技術各部門や倉田さんの電算部などに比べて独立色が強いですし」
「上・直属だものね………ふぅ、決めたわ」
香里が意を決して言う。
「パトロンに会いに言ってくるわ。上が情報部に何か仕込んでいるのなら一端ぐらいはわかるかもしれない」
「危険ですよ……その物言いは。不敬罪ともなればどうなるか」
「……危険ってのはそっちなの? まあ言い直すわ。マイン・カイザー、いえ、白銀の翼の持ち主、やんごとなきお方、
 マイネ・カイゼリンに謁見してくる。私が2日以内に戻らなければ秋子さんに全権を委ねるわ。天使一号の今後、
 天使二号以降の製作など、やることてんこもりで悪いけど」
「止めるわけにも行かないのよね…。気をつけて下さい」
981:03/02/05 05:48 ID:KzXdJrOH
「姉が動きました。また、天使一号は少なくともあと2日は海王星軌道に向かう航路をとるようです」
「わかりました、ご苦労様」
「超光速飛行をあきらめさせたのは良かったけど…今度は橘が決める星に向かわせないといけないのよね
 早くしないとリーフに遅れをとっちゃうわよぅ!」
「あ、そうでした。橘さん、得体の知れない人からリーフの船の情報を貰ったそうです。航路情報まで!」
「ふぅ、…得体の知れない人とは信憑性に乏しいですね。カストルにフォーマルハウト……ありそうな話ですけど…。
 まあ仕方ありません。それを基に足止めをしかけましょう。」
「これを使うのねっ」
「……起きなさい。目を覚まして。……いい? この航路情報の船、『見える』?」
「んに……………『見える』」
「じゃあ『届く』のね? 足止めしなさい」
「そんなの、やだよぅ…」
「…やらないと……!」
「ん゛に゛ょわ゛っ! …うっく、ひっく……みなぎぃ……たすけて……」
「やりなさいよぅっ!」
「そうですよー。素直にやってしまえばいいじゃないですか」
「んにゅ………(かしわぎ…かえで……? ごめん、ごめんね…)……!!」
「……どう? うまくいった?」
「んに……クルーの女の子…、みっかぐらい…めが……さめない……」
「あぅー、あんたもどうせ三日ぐらい目が覚めないんだから相討ちどまりじゃない!」
「すぅ…すぅ…」
「休ませておきましょう。言う通りならこのヨークという船、航海に支障があるはずです。とりあえずこれで充分
 ……ノートロピックの頭脳、精神の成長を殺すだけでこれだけの能力を持つのだからすごい。研究しがいがありそうです…」
991:03/02/05 05:52 ID:KzXdJrOH
>>93
すまん、というわけで>>90-92は別の職人さんだ。

>>94
設定上、天使一号は常に星間物質を集めるため、
ある程度物質濃度の濃い空間を航海したいということになってる。
100名無しさんだよもん:03/02/05 06:24 ID:anoVJMx4
>>1キタ━━━( ´∀`)・ω・) ゚Д゚)・∀・) ̄ー ̄)´_ゝ`)ノД`)・゚・。━━━!!!!
初期と文体が全然ちがうのは仕様ですか━━━!!!!????
1011:03/02/05 06:54 ID:KzXdJrOH
>>100
うーん。というか、他の職人さんに合わせてみた。
会話ばっかりの方が楽ではあるけど、文書として面白くないのも確かだから。

どんどん続いてやってください。
102名無しさんだよもん:03/02/05 09:52 ID:anoVJMx4
2008年のカストルとフォーマルハウトの位置を絵に作ってみた。
宇宙ヤバイ。超ひろい。
http://l-l-l-l-web.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/img-box/img20030205094709.png
http://l-l-l-l-web.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/img-box/img20030205094637.png
こうして見ると、地球から飛ばした船が天王星や海王星で邪魔されることはなさそう。
むしろ地球のすぐそばにある火星のほうが脅威だったんだね。

つかCelestiaは最強の宇宙フライトシミュレータです。おまいらDLしる。
ttp://www.forest.impress.co.jp/library/celestia.html
103名無しさんだよもん:03/02/05 12:53 ID:K+xG4tcL
>>90
>冷戦時代、アメリカは北極海をはさんでソ連、中国ににらみをきかせるベトナムに
>こだわり、同様にソ連はキューバの社会主義政権を支持したように……」

なんだかんだであまり成功した例えじゃないような…
裏葉、大丈夫かよw
そも火星域から外取られてたら大規模な船団を外宇宙に派遣したりできなさそうな。
太陽系外からの挟撃なんてかなりあれな発想のように思えるがどうか。
そんな拠点敷く前に攻められそうじゃん。
104名無しさんだよもん:03/02/05 13:01 ID:3oAs+SJV
>>103
>そも火星域から外取られてたら大規模な船団を外宇宙に派遣したりできなさそうな。
そうでもないよ。
火星域から外といっても、何十天文単位もある木星や天王星軌道の円周上全部に
いつでも軍備を置けるわけじゃない。
惑星を拠点に活動するなら、太陽系って隙だらけだよ。
(宇宙はだいたいのスケールでそうなってるけど。恒星間なんてなんにもないし)
105名無しさんだよもん:03/02/05 13:07 ID:DQuhsK4z
粗い全天走査と、ラグランジュポイントや無人衛星なんかの定点観測ぐらいはしてるのが自然ではあるけど。
106名無しさんだよもん:03/02/05 17:36 ID:mmercJ0L
まぁ戦争しているようなものだからなぁ。
むしろ天使一号はよくあんな所まで行けた物だという見方もあるかな。
107名無しさんだよもん:03/02/05 18:09 ID:J4LGHgNn
たった一隻だし。海保や海自ががんばっても日本海の不審船を補足しきれないんだから。
108bloom:03/02/05 18:15 ID:Ouh+wolU
109名無しさんだよもん:03/02/05 18:54 ID:RTkUeUt7
とりあえず、天使一号の軌道コースについて考えてみると

>>9の時点で天王星がリーフ領になっている設定がなかったので
こういうルートをとったのは仕方ない。>>90-92では>>59の設定をもとに
危険な宙域にいて、駆逐艦あたりに発見されそうになるというエピソードを
まぜてみるつもりであったが、
少なくとも>>9で天王星軌道に到着するまで発見されていないということは
Keyが情報規制を行なっていて、リーフ情報部は気づかなかったとみられる。
そうなるとその間警備艦隊はそれぞれの惑星へ来る不審船を警戒していたはず。
それに、個人レベルの貿易船だってたくさんいただろう

強いて言うなら地球から火星軌道を横切るときが一番危ないといえるが、
にらみ合いをしていながらも、地球と火星で互いに必要なものを月経由で
交易する……たとえるなら銀英伝におけるフェザーンみたいな状態で
その月の商人のふりをして月から火星までは交易品を積んで入り込み、
全て探検用の物資に換えて天王星方面に向かったとすればどうだろうか?
これなら旧タクティクス陣営の立場も立つように思う。

ただ、Keyの計画が発覚した以上、同じような方法を取るのは不可能だし
警備艦隊だって警戒体制をとっているとしてはどうか?
(要は『冒険パート』の本筋はあくまでもカストル方面であって、
副次的なフォーマルハウト方面でも同じようなKeyVSリーフという構図を
置いて話を広げ、ややこしくしないようにしようではないかという提案)
110名無しさんだよもん:03/02/05 19:03 ID:NHBzGSsf
というか今は、天使一号はどっちに向かってんだ?
今はカストルだろうけど、敬介の動きによっては
フォーマルハウトになる可能性もあるし、全然別方面にに行く可能性もあるな。

今のままの流れで行くと、
カストル 天使1号VSaqua-T
フォーマルハウト ヨーク? マターリ未知の宇宙を冒険。

こんな感じか?
111名無しさんだよもん:03/02/05 19:31 ID:RTkUeUt7
>>110
正式な命令がなされてない以上、方向転換は行なわれていないはず。
というか、橘は自らの権力で別のロケットを用意し、それで観鈴を宇宙に
送り出そうとしているようにも読み取れる。
112名無しさんだよもん:03/02/05 20:45 ID:jEP88vDa
たぶんみんな、こっち↓の絵のイメージで話をしてるんだと思う。
ttp://segadc.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/img-box/img20030205203119.png
軌道の輪っかが描かれてて、さも勢力圏がぐるっと取り囲んでるように見えるけど、
軌道ってのは単に、惑星が動くであろう経路を予測したものに過ぎないんだな。
惑星があるところ以外は、軌道上はただの空っぽの宇宙空間。
>>9の久瀬が天王星軌道まで到達するって言うのは、
単に「現在、この船は太陽から約19天文単位の距離にいる」っていう意味だろう。

正しいイメージの絵は、むしろこっち↓。
ttp://segadc.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/img-box/img20030205203136.png
惑星ってのは、宇宙という広大な海に、いくつかの島国が浮いてると考えたほうがいい。
勢力圏、今で言う「領海」の範囲なんて、惑星とその衛星を拠点とした狭い宙域とか、
せいぜいラグランジュ点の人工天体くらいが関の山だろう。
他のだだっ広い宇宙空間は、今で言う「公海」の位置付けにしたほうがいいんじゃないかな。
113名無しさんだよもん:03/02/05 21:01 ID:jEP88vDa
一応、図は2008年1月1日。惑星の公転は時計回り。
天使一号は、うまく火星をやり過ごしたとしても、
土星―太陽のL5ラグランジュ点(正三角形の位置)からつつかれそうだ。
114名無しさんだよもん:03/02/05 23:08 ID:y9Rdu1w/
ヨークとは、世界最高の生体コンピュータの名前である。
しかし、リーフの生体コンピュータ研究における異端児の名前でもある。
ヨーク、それは研究部の予想をはるかに越える性能を持った生体コンピュータなのである。
そうしてこのような物が出来てしまったのかは、未だに解明されていない。
基本的な構造は他の物と全く同じ、しかし性能だけが飛びぬけている。
ヨークはそういうコンピュータである。
そしてもう一つ他の物と違った点があった。
強烈な自我である。
他の生体コンピュータにも自我はあるが、それは控えめな物だ。
けして自分の主義主張を述べたりはしない。
しかしヨークは、自分の確たる考えを持ちそれを表に出す。
たまたま研究所に、研究出資者である姉と来ていた柏木初音などは、姉を待つ間ヨークと話していたという。
ここに来てついに研究者がさじを投げ、ヨークの実戦配備となったとき、なんとヨークは配備先の希望を述べたのだ。
そこには、当時優秀な士官として将来を嘱望されていた柏木耕一がいた。
後で解ったことだが、ヨークと耕一は柏木初音を通して知り合い、親しくやり取りをかわしていたらしい。
以降、耕一とヨークが組むと、必ずその後には勲章があった。
それを見ていた、耕一の直接の上司であったベナウィ提督は、反対意見を封じこめヨークを耕一専任とした。
そんな時、耕一の下に新任少尉として柏木楓が配属された。
それからの、耕一の戦績はまさに鬼と呼ぶにふさわしい。
結果としてベナウィ提督の判断は正しかったといえるだろう。
そして耕一は『宇宙の鬼』と呼ばれリーフ、KEY双方にその名を轟かせた。


今回の恒星間飛行船の船長として選ばれた時、耕一は船のコンピュータとして当然ヨークを指定した。
軍の方でもそれは予想済みだったらしく、希望はすんなりと通り、船にはヨークが積まれることとなった。
その後耕一は、もとあった船の名前も変え、新たにヨークとした。
115名無しさんだよもん:03/02/05 23:09 ID:y9Rdu1w/
今回の恒星間飛行船の船長として選ばれた時、耕一は船のコンピュータとして当然ヨークを指定した。
軍の方でもそれは予想済みだったらしく、希望はすんなりと通り、船にはヨークが積まれることとなった。
その後耕一は、もとあった船の名前も変え、新たにヨークとした。

その恒星間飛行船ヨークではちょっとした騒ぎが起きていた。
「これがノートロピック・チルドレンの力か… これほどの物とはな…」
船長…耕一は苦々しく呟く。
その眼の先には横になって眠る女性士官…柏木楓がいる
「すいません、気付くのが遅れました…」
すまなそうに呟くヨーク(端末体)。
「それは仕方がない。
 俺も気付くのに時間がかかった。
 それより思念波形は?」
「ええ、解析しました。
 どうやら、しばらくの間行動不能にするのが目的ですね。
 体に異常はありません。
 また、波形パターンも判明したので次からは完全な防御フィールドをはれます」
「よし、他の皆は?」
「長瀬中尉、月島中尉ともになんの異常もありません」
「そうか…それは良かった」
耕一は安堵のため息を出した。
116名無しさんだよもん:03/02/05 23:11 ID:y9Rdu1w/
その頃ヨークの艦橋では…
「うん、そうだね。ここにいる間は安全かとも思ったんだけど」
「…長瀬ちゃん…ゴメンね、お兄ちゃんが…」
「大丈夫、きっと月島さんもわかってくれるよ。
 とりあえず、瑞穂ちゃんに報告しておくね?」
そういい長瀬祐介は軽く目を閉じた。
精神感応者。
長瀬祐介、月島瑠璃子、そして月島拓也…
今おそらく世界に3人しかいないであろう超能力者。
彼等は思うだけで、空間を超え光より速く、いやどんなに遠く離れていても即座に
相手に思いを伝える事ができる。
受け皿は自分の知り合いでさえあれば、精神感応者でなくてもよい。
ノートロピック・チルドレンに比べればささやかな能力ではあるが、しかしその空間を超える能力は阻めない。
思いを受け取った人物以外は気付く事すらない。
現に世界最高の生体コンピュータヨークすら祐介が、思いを送った事にまるで気付かない。
「いつ終るのかな…」
祐介が思いを送り終えると同時に瑠璃子は聞いてみた。
「終るんじゃない、僕達が終らせるんだよ瑠璃子さん」
「うんそうだね…」
この作戦に成功すれば、自分たちは初の恒星間飛行をした英雄となれる。
誰もが自分の言葉に耳を傾けてくれるようになるだろう。
そうなれば…
「平和な世界を作る事が… できるかもしれない…」
117名無しさんだよもん:03/02/05 23:11 ID:y9Rdu1w/
「ありがとう。長瀬中尉、月島中尉」
耕一は艦橋にずっといた二人に労いの言葉をかけた。
「いえ、柏木大尉は大丈夫ですか?」
「ああ、体に異常はないそうだ。
 3日もすれば、目が覚めるだろう」
「そうですか。良かった…」
やはり同僚が気になっていたのだろう、祐介と瑠璃子は安堵のため息を出す。
耕一はそれを見ながらやや表情を引き締め言った。
「予定を変更する。俺はこの作戦の予定航路が何処からかKEYに流れていたと推測する」
情報はほんの僅かしかなかったが、耕一はそれを確信していた。
祐介も驚いた。耕一は月島拓也の存在を知らないはずであるのに。
「そしてKEYはこの船をあらゆる手段で止めようとするだろう。
 これはあまりにも危険だ。
 よって柏木大尉が目覚めしだい新たな航路を設定、別ルートで一刻も速く到達する事を新たな目標とする。
 航路変更によって君達の負担が大きくなるが、どうかお願いする」
「了解」
「了解…」
祐介と瑠璃子にも否やはなかった。
自分たちの計画のには、この作戦の成功が絶対に必要なのだから。
118114-117:03/02/05 23:18 ID:y9Rdu1w/
という訳で、耕一組を書いてみました。
少し話を広げてしまいましたが、ヨークがフォーマルハウト星系を目指している間はこの話は進まないので、いいかなと思いました。
宇宙に詳しくないので矛盾点があればどうぞ言って下さい。
119114-117:03/02/05 23:22 ID:y9Rdu1w/
すいません
114の下三行と、
117の最終行 自分たちの計画『の』には…

吊ってきます…
120名無しさんだよもん:03/02/05 23:34 ID:ofS+khH/
えっと、何度もごめん。でも一応、天使一号の飛跡の理由付けを思いついたんで、報告させてくれ。
----------

星を行く船、天使一号は翔び立った。
時は2008年5月5日。奇しくも倉田佐祐理電算部長の誕生日に当たる。

52光年のかなたにある未知の星、αGem「カストル」への航路を決定する重大な責務を
倉田佐祐理は負っていた。
敵国リーフの領宙を侵犯すれば、撃墜はまぬかれない。
星図を睨む。
頭が悪いといつも謙遜するものの、常人から見ればこの上なく聡明な彼女の頭脳は、
長い思索の末に、ある結論にたどり着く。
ttp://segadc.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/img-box/img20030205225140.png

リーフ首都の置かれた火星は、太陽をはさんでちょうど天使一号の反対側。
しかも、我が国の領星である金星の横を通過すれば、スイングバイにより大きな速度を稼げる。
計算によれば、木星以遠のリーフ領星は、天使一号の予定航路から何十天文単位も離れた位置にあるだろう。
天体よりは遥かに小さい宇宙船のこと、この距離なら発見さえままなるまい。追撃など問題外だ。
そして、船の向かう先は紛れもないふたご座の方角……。

完璧な計算だった。
――計算は、完璧だった。
121名無しさんだよもん:03/02/05 23:34 ID:ofS+khH/
それは異常事態であり、非常事態であり、計算外の事態だった。
月宮飛行士から打電があった。
「燃料満タンに相当する噴射で加速してる!」
プログラムのミス? だとすれば、全ての罪は自分にある……佐祐理は胸をかき押さえた。
異変に気付いたときには、天王星軌道近傍19天文単位の距離を船はひた走っていた。
天使一号の素晴らしい加速性能を、この時ばかりは恨んだ。

……政府情報部か、皇帝の側近か。何者かの工作の可能性が指摘された。
しかし、電算部長である佐祐理の当面の仕事は、天使一号のコースの誤りを把握することだった。

ttp://segadc.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/img-box/img20030205225153.png
天王星軌道と聞き、リーフ領宙を侵す最悪の事態を心配した佐祐理は、一応胸を撫で下ろした。
天王星そのものは、ほど遠く離れていることが証明されたからだ。
ただし、船は太陽―天王星間を底辺とする正三角形の位置、L4ラグランジュ点に急接近していた。

ラグランジュ点は、太陽系にはありふれている。
テラフォーミングに優れたリーフの技術とて、全くの無の空間に基地を新造することは至難の業だ。
太陽―木星のラグランジュ点には、トロヤ群小惑星があり、リーフはそこにも前線基地を持っている。
いっぽう、太陽―土星のラグランジュ点は、ただの何もない宇宙空間。
そんな所には、リーフといえども未だ基地はない……との情報が有力であった。
太陽―天王星も全くの同様である。ごく近隣の衛星、ティタニアやオベロンを開拓するのが関の山だ。

だが、本格的な基地でなく、哨戒目的の無人の監視レーダー衛星などなら……
その存在を否定する材料を、佐祐理の聡明な頭脳は知らなかった。
122名無しさんだよもん:03/02/05 23:36 ID:RTkUeUt7
なるほど、ためになりますね。
そうなると>>112 2番目の地図から
・天使一号が今後向かうルートにおいて、警備艦隊などと遭遇する可能性はきわめて低い
 ただし、「天王星までリーフ艦隊をどうやりすごしたか」については未定。
 考えるのはまた自由。
・カストル方面には地球から出発した『天使一号』のほうが
 海王星をでた『aqua-T』より先行しているとみられる。
 2008年の海王星の位置からして地球より近くなることはない
 ちなみに海王星の公転周期は164.774年
・カストルとフォーマルハウトは逆方向にあたるので、これから
 コース変更を行なうことはほぼありえない。
・リーフ側が現在派遣している2つの宇宙船のコースを考えると
 リーフの恒星間航行計画のメインは海王星〜フォーマルハウトであるとみられる
123120-121:03/02/05 23:50 ID:ofS+khH/
これまでの話を踏まえて、天使一号が
「天王星軌道までリーフ領星に接近せずにたどり着く」
「天王星軌道において、リーフに見つかる」
「船のプログラムが書き換えられて、あらぬ方向へ進んでしまう」
「この物語は2008年である」
を満たす軌道を探してみた。
1月1日じゃないから地球や火星の位置が大きく変わってるけど許して。
124122:03/02/06 00:02 ID:ZA92VcQZ
ストーリー途中であったら失礼
割り込んでしまったついでで、
この時代火星のテラフォーミングにより大規模な植民がなされて
いるとみなしてもよさそうだが、他の惑星はどうなんだろう?

たとえばリーフ宇宙基地のある海王星は
大暗斑といわれる大気の渦で秒速300メートルの風が吹くらしいし、
最大の衛星トリトンの地表温度はマイナス236度
だから他の衛星と思われる(プロテウス?) ほかの衛星はよくわからなかった
125120-121:03/02/06 00:29 ID:XO2EHvZV
>>124
この物語のリーフ連邦がどういう技術を持っているかにもよるけど……。

海王星は木星型の巨大ガス惑星で、ガスが内部に行くにつれて高密になって液体や固体に凝縮している構造だから、
惑星の大地を開拓して基地を建てて人間が移住……というわけにはいかない。
葉鍵アカデミーでも指摘されていたけど。

ただし、惑星ガスの主成分である水素は重要な燃料、メタンは有機化学工業の資源になる。
資源発掘の拠点を造ろうと思ったら、大暗斑のない穏やかな所に、
人造の巨大平面を海王星大気の浮力でメガフロートみたいに浮かべて、そこを基地にする必要があると思う。
>>65「徐々に小さくなり、海王星の大地から見えなくなる〜」のくだりは、人造平面のことを大地と言ってるのかも)

でも、どう考えても岩石質の衛星トリトンを開拓したほうが楽だねえ。
大気は非常に薄くて温度は低くて重力は小さいけど、問題はそれだけといえばそれだけだから。
燃料は海王星から採掘して来れるし。

他の衛星ナイアッド、タラッサ、デスピナ、ガラテア、ラリッサ、プロテウス、ネレイドも、
太陽からの距離が似たようなものなので、トリトンとそう環境は変わらないだろう。
小さい(半径209〜29km)けど。
126名無しさんだよもん:03/02/06 00:39 ID:dLRQ5LN7
聞いておきたいんだが、1はカストルまでどのくらいの期間を想定してるんだ?
五年とか十年とかあんまり長いと話が進まないので、ここは多少の科学的考証をうっちゃっても、短くすべきと思うが。
三ヶ月から半年くらいか?
127名無しさんだよもん:03/02/06 00:56 ID:XO2EHvZV
>>126
>>52で3500光速という数字が出ているので、
50光年だとだいたい……5日で着くね。

マジで?
128名無しさんだよもん:03/02/06 01:00 ID:XO2EHvZV
しかしそれにしても……
佐祐理は計算尺、ヨークは生体コンピュータか……。
Keyに勝ち目はあるのか?
129名無しさんだよもん:03/02/06 01:33 ID:ZN1pVJkM
>>128
佐祐理は実はノートロピック・チルドレンだとか。
130名無しさんだよもん:03/02/06 02:26 ID:LEnp3PE0
えーと。
2008/05/05の、木星以遠の惑星の位置も念のため示しておく。
言い忘れてたけど、公転方向は反時計回り。

ttp://l-l-l-l-web.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/img-box/img20030206020641.png

この星図を採用すると、天使一号は太陽―天王星L4点さえやり過ごして
海王星軌道あたりまで逃げ切れれば、リーフの追っ手はたぶん追いつけないはず。
しかし、天使一号は地球本部からの命令を待って立ち往生しているに等しい。
L4点にはリーフ軍を配備した人工天体があるかもしれないし、
aqua-Iが追いついてくるかもしれない。

海王星からフォーマルハウトに発ったヨークは、余裕綽々の旅……
と思いきや、ノートロピック能力で3日間の停止、しかも航路変更を協議中か。
カストルよりも半分以下の距離でありながら、悠々と先に辿りつけるわけではなさそう。
姑息な超能力合戦に期待。


あ、そうそう。プログラム改竄で曲げられた天使一号の矢印の先は、
だいたいエリダヌス座イプシロン(10.8光年。>>77参照)のある方角みたいです。
敬介の陰謀かもw
1311:03/02/06 02:28 ID:xe7bceqS
どうも。

>2008年と惑星位置について
無理に拘らなくてもいいかと思います。各惑星が軌道を中心とした哨戒圏を持っている、
ぐらいの認識の方がレトロSFっぽい雰囲気が出て良いのでは。

>最初の方のストーリーの設定について
職人さんが各々ストーリーを作ってくれているわけだから、コメディタッチに過ぎる序盤の
ストーリーと矛盾が生じてしまうのは詮無きこと。もしログを系統だててまとめる機会が
あったら、つじつまの合うように調整するということで。
一応、天使一号は光速越えのあと、急激に3500光速まで達してしまい、目的地を通り過ぎないように
全力で速度を落としていくので結局平均的には光速の数倍〜数十倍程度になる、という想定。
ただ、超光速状態でイベントを起こすのも難しいので、星間を飛ぶ時間は短くてもいいかもしれない。
太陽系イベントが終わったら数日のうちに他星系でイベント勃発、という感じ。あまり拘らないで
面白くなるよう、書きたいように描いてくれるのが一番だと思うわけです。

>プラネタリウムソフトのCelestiaについて
すごい面白い。これをいじってるうちに今晩のストーリーを書こうかという時間を逸してしまったw

>計算尺
レトロっぽい雰囲気を出したかったのと、レンズマンシリーズが好きなので。


週末にかけてもネタ出ししていきたいと思います。できればインフォシークあたりの
無料サーバでストーリーをまとめておきたいと考えてるけどレス番100程度では尚早かな。
132名無しさんだよもん:03/02/06 03:31 ID:M3UzmLxN
今んとこ出てる超設定(決して超先生設定にあらず、現在の常識を超越した技術、能力のこと)は、

葉鍵共通
亜光速飛行
タキオン化による超光速飛行
タキオン・レーザー通信


ノートロピックチルドレン(人を眠らせたり、計算能力上がったり、少し毒電波に似てるか?)
ポテト 謎の生命体、医学の成果。


生体コンピュータの突然変異ヨーク 自我を持つ。ノートロピックの能力解析したり。
精神感応者 絶対に察知されない通信

こんなトコか?
133名無しさんだよもん:03/02/06 14:10 ID:kKFRleB8
浩之組vs祐一組書きたいけど、いまいち状況が不鮮明で書きづらい。
134名無しさんだよもん:03/02/06 14:42 ID:lx3L7IAm
>>133
浩之組は海王星からカストルに向かうルートで天使一号にちょっかいを出しながら
あわよくば先行しようという目論見だから仕掛けるとしたら浩之組から、ということになる。
なお、天使一号は天王星〜海王星軌道間で足止めを食った状態。のんびり進んではいるけど。
135名無しさんだよもん:03/02/07 03:22 ID:XclinhJt
一応保守
136名無しさんだよもん:03/02/07 10:11 ID:L/6TDrlS
お前ら!今すぐ
ttp://member.nifty.ne.jp/naohito/ の1月10日の記事
ttp://www.noao.edu/outreach/press/pr03/pr0302.html (英語)
にアクセスしる!

2001年に発見されたばかりでまだ番号しかついていない小惑星「2001 QR322」が
海王星のトロヤ天体(L4またはL5点に存在する天体)であることが、今年の1月に判明したらしい。
直径は230kmらしい(月ほどではないが、火星の衛星なんかよりはずっとでかい)。
どうやら太陽‐海王星系のL4点にあるらしい。
木星より外側の惑星にトロヤ天体が発見されるのは史上初だそうだ。

L4点にあるということは、>>130の図ttp://l-l-l-l-web.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/img-box/img20030206020641.png
で、太陽〜海王星を底辺として上のほうに作った正三角形の頂点の位置。
もし2001 QR322にリーフ軍が基地を持っていたら、海王星からやってくるaqua-Tと共同して
天使一号をハサミ討ちする形になる!?

ピンチだぞ!! 天使一号!!
137名無しさんだよもん:03/02/07 12:46 ID:LrWMWetk
おお、木星系以外にもトロヤ天体があったのか。
地球、月のL4,5ですら少しガス濃度が高いとどこかで聞いたような…?
138名無しさんだよもん:03/02/07 14:40 ID:6o4g8K6L
しっかし宇宙編は矛盾が怖くてみんな書きにくい罠。
個人的には話しの流れだけを読み、多少の矛盾があっても気にせず、
まあ(超)未来だしってくらいのおおらかさで進めた方が、こういうスレは延びると思うけど。
いわば、似非SFでもいいじゃないか、ってことだけど。

生意気な意見申し訳ない。俺が宇宙のことがよくわからないだけだ。
宇宙編書けないから政治編かなあ?
139名無しさんだよもん:03/02/07 14:57 ID:tCak2M8C
以下、全部妄想なわけですが。

ttp://sakura2.room.ne.jp/~boogie/cgi-bin/img-box/img20030207142401.gif

公転は反時計回り。小惑星帯も描いたのだが見えなくなってしまったかも……。

佐祐理さんの予定した航路は、本来土星L5と木星L4の間をうまく抜けるはずでした。
ギリシャ群に駐留するリーフ艦隊にとっては、ちょうど小惑星帯が煙幕の役割もする。
しかし何者かの工作により、船は急速に天王星L4に接近。
天体は無いが人工衛星(人工小惑星?)くらい置いているはずだから、ここで捕捉された可能性が濃厚。
敵の動向も危険だし、味方であるはずの地球本部にも妨害勢力がいるということで、
天使一号は迂闊に動けない。

もし2001 QR322にリーフの駐屯地か何かがあれば、
天王星L4で天使一号を発見したリーフ陣営にとって、そこから兵力を出撃させるのが一番手近。
2001 QR322艦隊が天使一号を足止めし、aqua-Iが後背を突いて一網打尽……
などとやるのが、リーフにとっての理想の策かもしれない。

カストル方面のほうを勝手に鮮明にしてみたけど、これでどう>>133氏?
140名無しさんだよもん:03/02/07 15:12 ID:tCak2M8C
2001 QR322は直径230km、面積にすれば日本列島の3分の1くらいはあるから、
かなり本格的な軍事施設が建設できるはず。

しかし、そこは水も空気もない極寒の辺境。燃料も食糧も、遠い本国の配給が唯一の頼り。
そんな所に駐留させられる羽目になるのは、誰も左遷以外には感じないだろう。
いっぽう海王星からやってくるのは、国家の大命と国民の期待を負い、喝采とともに旅立ったaqua-I。
天使一号を足止めしろとは、2001 QR322の軍人たちが、aqua-Iの引き立て役になれというわけだ。

いやあ、aqua-Iとの手柄争いにならなければいいですね。
そんな2001 QR322に駐留している可哀想な人が実際誰で、要塞の名前が何なのかとかは、
親愛なる葉っ派の書き手さんに後は委ねることとしよう。
俺誰彼とかうたわれ未プレイなんで……スマソ。

>>131
個人的には、星図を眺めていろいろ考えるのは面白いんだが……。
「各惑星が軌道を中心とした哨戒圏を持っている」んだったら、
Keyなんて一生かかっても地球軌道から出られなさそうだし。
まあ、他人の設定に縛られるのがめんどいという書き手さんは好きなように書いてくだちぃ。

>>137
火星にも「エウレカ」っつうトロヤ天体が発見されてますぜ。
ラグランジュ点は力学の法則だから、よく考えたら無い方が不思議なんだな。

>>138
そんなわけで、細かく考えるのが好きな俺のような奴もいることも、知ってはおいてくれな。
141名無しさんだよもん:03/02/07 16:08 ID:tCak2M8C
ついでだ。さらにもうひとつ、余計な科学考証をしておこう。

星図では内惑星を取り囲む形に陣取り、一見圧倒的有利な自由リーフ惑星連邦。
岩石質の天体もガス質の天体も豊富に抱え、資源にも困らないように思われる。
しかしながら、リーフに足りない非常に重要なものがひとつある。それは水だ。

首都のある火星は、恐らく徹底的なテラフォーミングで、地球と同じ環境に仕上げてあるだろう。
火星の地下には、もともと海だった地下水が凍って眠っている。これを溶かせば海は復活するのだ。
だがしかし、地球に比べれば惑星面積からしてまず小さい。深さが等しいとすると、量は約4分の1。
その上、木星などに水を輸出したければ、危険宙域とされる小惑星帯をその都度越えねばならない。

土星の巨大な輪が氷で出来ているのは有名だが、実は量的には大したことがないというのはあまり知られていない。
「ナインプラネッツ」によれば、あれを固めて氷の塊にしたらせいぜい直径100km程度という。
簡単に計算すると、地球の海の体積の約2500分の1にすぎない。

氷を抱えた木星の衛星エウロパが、外惑星系ではほとんど唯一の水の供給源と言える。
あとはエンケラドス表面の氷を削るとか、たまに飛んでくる彗星を捕まえるとか、
とにかく限られた水資源を分配するのが、自由リーフ惑星連邦の内政では最重要課題とされているはずだ。

こうした環境でこそ活きてくるのは何か。もうお分かりだろう、来栖川電工の誇るロボット技術だ!
海王星基地にはセリオ嬢がいた。他の外惑星でも、同じようにロボット諸姉が人間と並んで、
むしろ人間よりも重要な労働力としてそれぞれの任務を負っているに違いない。
水を断たれるという生命にとって過酷な環境では、電気を糧とする彼女らの協力が不可欠なのだ……

あれ? 待てよ?
マルチ「大丈夫です! 綺麗な水ですから!!」
……水使ってるじゃん!

科学考証、失敗。
引き続き、他の職人さんのSSをお楽しみください。ああー。
142名無しさんだよもん:03/02/07 18:59 ID:PFdp8yBT
ここまで良い感じに進んできたところで申し訳ないが、くだらないネタ思いついた。
太陽系の外にだって知的生命体はいるのではないだろうか?
たとえば「だよもん星人」とか「ばかばか星人」とか……まぁ忘れてくれてもかまわない。

その頃、ここは月。Keyおよび旧タクティクス地球連合帝国の領土ではあるが、
ここは旧タクティクス派の唯一の拠点である。

keyの登場以前、地球をリーフが独占していた頃タクティクスは
この頃わずかな月の植民都市の集合体に過ぎなかった。
しかし、都市戦略会議最高幹部のダーマエらがクーデターを起こし、Keyという
国号のもと帝政をしいた。まもなく初代皇帝となったダーマエ1世は臨時的に
国家総動員法を発動し、電撃戦をもって地球の主要都市を制圧し、地球を制圧した。
リーフは主要メンバーがテラフォーミングに成功してまもない火星に逃げ、
そこで亡命政府を立てたところに、各惑星にいた警備艦隊が呼応する形となった。
一方、新都市戦略会議は主流派から外れた後も幾度かにわたり独立国家を目指すが
うまくいかず、Keyに近い旧主流派だけが生き残っているというのが現状である。
143名無しさんだよもん:03/02/07 19:04 ID:PFdp8yBT
郁未「宮中から連絡があったわ。宇宙開発計画のほうは順調ですって」
都市戦略会議議長の天沢郁未は暗い部屋の中で、静かにつぶやいた。
?「でもこのまま太陽系の外に勢力を伸ばされると、こっちは永遠に
この月に閉じ込められることになるわね」
闇の中にいる女性は、感情を込めずそう答える。
反帝国勢力にあたる『戦略独立義勇軍』指導者、巳間晴香と
会っていたという事実は、あくまでもありえないことになっている。
郁未「Key陣営にいる以上、成功は素直に喜ぶべき、でしょ?」
晴香「でも勢力が弱まれば、わたしたちの立場は相対的に上昇する」
郁未「事を荒立てて、せっかく持ってる自治権を失うのはごめんよ」
晴香「でも、急進派の橘卿の存在は現状維持さえ困難にしかねないのも事実」
郁未はふぅ、とため息をつく。
郁未「だからといって、私達に何ができるの?
  外に新天地を求めるにも、自治都市のレベルじゃ最大速度はワープ6(光速の392倍)どまり。
  ワープ9.9(光速の3053倍)を越える宇宙船相手に太刀打ちはできないわ」
晴香「月自治都市の切り札、『不可視の力』をどう使うかね」
郁未「テロリズムにはしるのだけはやめてよ」
晴香「ええ。わたしだって月自治都市と都市戦略会議をなくすつもりはないわ。
  逆にいえば、それを守るためなら何だって利用する。それだけよ」

申し訳ないが、タクティクス派が全然出てないのでちょっとだけ書かせてもらいました。
こっちはあくまで政治編の延長、ということで。

144名無しさんだよもん:03/02/07 19:05 ID:sepyF80s
>>141
たぶん予備電源であるところの燃料電池の排水だよなぁ、あれ。
となると…取りあえず水素はヘリウムと一緒に木星から採掘って感じか。
145名無しさんだよもん:03/02/07 19:28 ID:UhRQLPks
>130
エリダヌス座イプシロン星域だって?
あそこは危険だぞ。
UIMSが巣くっている惑星ドグマスがすぐ近くに(通信断絶
146名無しさんだよもん:03/02/07 20:13 ID:s3UFCCxg
タクは鍵だと思ってたが…
ていうかそうせんと人数的に全然バランスが取れないと思うけど。
鍵男キャラせいぜい6、7人くらいしかいないよな。
147名無しさんだよもん:03/02/07 20:57 ID:Ql/ovopF
総合スレから来たが、確かに相当知識が要求されそうだ…
半端な知識で書けば、滅多打ちになるだろうな。
148名無しさんだよもん:03/02/07 21:08 ID:z4StFZdq
>>142
>太陽系の外にだって知的生命体はいるのではないだろうか?
「宇宙(そら)には、もうひとりのわたしがいる」のかも知れませんな。
149名無しさんだよもん:03/02/07 21:18 ID:Rs2jNQ//
>>146
旧タクと鍵はスタッフは同じだが、タクはネクストンで鍵はVA。
旧スタッフいなくなってからフルボイス版ONEもでたことだし、
2者の思惑が完全に一致する事はないと思われる。
>>147
総合スレで紹介されたのか?行った事無いから知らなかった。
ここでのツッコミは設定の補完という意味もあるからそれほど
恐れる事は無いと思う。でもできる限り書く段階で調べるべきではあろう。

余談だがここ数日で天文系のサイトずいぶん回った気がする。
それがうまく生かせるといいんだが……
150名無しさんだよもん:03/02/07 21:20 ID:z4StFZdq
>>146
基本的にタクは鍵でしょう。
独立とか考えてるのはMOON.の人々だけみたいだし。

現地球皇帝は、千年前の記憶なんてのを奉じる一種の宗教的指導者だよな。
多分、ダーマエらが地球の所有権を主張するために立てたんだろ。
月を信仰するFARGOとは反するけど、月の自治権を与えることで
何とかトラブルを回避したけど急進派に火種がある、と。
ONEの人々は、太陽に近い内惑星あたりを封ぜられてるんじゃないかな。
『ウェヌス(金星)伯長森瑞佳』、て感じで。

海王星に基地があるくらいだから、この時代地球に近くて広い面積のある所なら
かなり高度にテラフォームされた大都会が栄えてると思いますよん。
151名無しさんだよもん:03/02/07 21:23 ID:z4StFZdq
>>149氏と、私の>>150みたいに相反する意見が出たときには
書き手さんに採用されたのが真実になります。
152名無しさんだよもん:03/02/07 21:26 ID:xPnPUxnk
>>144
むしろ酸素の確保の方が問題ですな。
外惑星の大気を汲み上げる技術があれば水蒸気の形で一応手にはいるだろうが
無理なら衛星大気の希薄な二酸化炭素か、最悪岩石のSiO2から得ることになるか。

葉連邦は生体微量元素資源の不足に慢性的に悩まされてると思われ。
リンなんかものすごく貴重だろうな。
153名無しさんだよもん:03/02/07 21:28 ID:ujqLjk5a
お勧めの天文系サイトあったら、メル欄で紹介するってのはどう?
154名無しさんだよもん:03/02/07 21:32 ID:Rs2jNQ//
>>146
ONE、Kanon両方に出ている七瀬なんかは親Key派の筆頭だな。
多分彼女はKey勢力で相当名を知られた将軍だろう。
>>150
カストル星系にだよもん星があって、『未知との遭遇』するのも面白そうだよもん。
そういう風にしなくても、向こうについてから何かイベントがあったほうがいいんだよもん。
155名無しさんだよもん:03/02/07 21:41 ID:Ql/ovopF
フォーマルハウトに真なるレザムがある可能性もあるよな。
耕一とダリエリの世代を超えたタイマンとかも出来そう。
156名無しさんだよもん:03/02/07 21:48 ID:NVh5/EZv
カストルは、A、B、Cのそれぞれが1,2と分かれる6重連星だからなぁ。
安定した惑星軌道が存在しうるとは思えんのだが、もしも存在していたとすると、
だよもん星は一日中惑星の全表面で昼なんだろう。で、だよもん聖人は
この世には太陽が6つとだよもん星以外には何も無いと思ってるんだろうなぁ。

……「夜来る」じゃねぇか。
157名無しさんだよもん:03/02/07 22:21 ID:Rs2jNQ//
海王星を出発したaqua-Tは、海王星の軌道付近を直線コースで急いでいた。
天使一号より先にカストルに到着するためには、向こうより速いスピードで
急がなければならない。
志保 「はいはーい。こちらaqua-Tの通信士、長岡志保ちゃんよー。
   こっちは平穏無事でもう暇。基地のみんなー、そっちはどお?」
   定時報告の時間が来ると、静かだった宇宙船は工事現場並にうるさくなる。
レミィ「やっほー、シホも元気そうでなによりネ。こっちの報告だけど
   コウイチたちがトラブルで大変みたいヨ。もうテンテコマイネ」
志保 「まぁせいぜいがんばって頂戴。こっちの手を抜いたら一生呪ってやるから」
レミィ「その時ハ生きてたらいいネ。ハハハ」
    ……ってなやりとりが1時間ほど続く。
志保 「なんかヒロがにらんでるから切るね。次は明日の定時連絡ね」

浩之「……5分で済む定時連絡に1時間もかける馬鹿がどこにいるんだ?」
志保「ここ」 
船長の浩之など屁とも思っていない調子でやり返す。
浩之「無駄にエネルギー浪費した分食料を引くか?」
志保「なによ。こうやって普通に通信できるのは太陽系内くらいなんだから。
  ちょっとくらいさびしさをまぎらわせたっていいじゃない!」
あかり「もう浩之ちゃんも志保もやめてよ。こっちは急がなきゃならないんだよ」
副長のあかりが間に入ってけんかをやめさせる。
浩之「そうだったな。ところで志保、天使1号ってのはどのへんにいるんだ?」
志保「えっとね……まだ太陽系は出てないみたい。
  どっかにある前線基地で足止めをするから追いつけとか言ってたような……」
浩之「そっか。じゃあこっちはとにかく急いで追いつけばいいんだな。
  では ミスター・カトー、ワープ3だ!」
雅史「浩之……僕はヒカルじゃないよ。とにかく急ぐね」
操舵士の雅史が加速レバーを引くと、aqua-Tは光速を超えた。 
158名無しさんだよもん:03/02/08 00:03 ID:3gdMy1MO
地球人類の起源はレザムニダ
159名無しさんだよもん:03/02/08 01:07 ID:AWenxyS0
同時刻。2001 QR322にあるリーフ陣営の監視基地。
いちおうKeyに対する哨戒目的で作られてはいるが、前線からずっと離れた
場所にあるので、若干の武装砲台と駆逐艦クラスが五隻ほどしかない。
こんなまぁどうでもいいといえばどうでもいい場所の指揮官は、御堂であった。
そんな場所で敵など来もしないから、指揮官室で酒びたりの毎日。
御堂「ゲーック、坂神の奴が木星艦隊の提督なのに、なんでこの俺様が
こんな僻地勤務させられてんだよ。納得いかねぇ!」
コップの酒を飲み干し、床に叩きつける。どうせ片付けるのは下っ端だからどうでもいい。
ピーピーピー。手元にある通信機が呼び出しを告げる。
御堂「ったくうるせぇな。酒がまずくなる」
銃を抜き、通信機を撃ちぬいてから今度は一升瓶からラッパ飲みする。
コンコン。
御堂「今度は何だ?つまらねぇ用事ならドアごと撃ちぬくぞ!」
兵士「先ほど本国から通信が入りまして、この付近にKeyの宇宙船が
 通る可能性が高いので、本基地においてはその宇宙船を発見し、捕獲
 または撃破せよとのことです」
御堂「このタコスケ!そういう用件なら早く言え」
 御堂は席を立ちあがり、ちょっとふらつきながら扉へ向かう。
御堂「ここで軍功を立てれば、坂神のやつを見返す事ができるかもしれねえんだ。
  このチャンスは逃がすわけにはいかねぇ。絶対だ。おいそこのてめぇ、
  てめぇらだってもうちっとマシなところに転属できるんだぜ。死ぬ気でやれ」
兵士「はっ」

まもなく2001 QR322基地全体に第1種警戒体制が発令され、御堂自ら率いる
駆逐艦船隊も予想コースへ向けて発進したのだった。

160名無しさんだよもん:03/02/08 01:19 ID:AWenxyS0
探査目的の船と戦闘目的の軍艦が出会ってしまった場合、探査目的の船が
勝つのは難しいから、ここはいかに上手く出会わないようにするかだな。
天使1号とaqua-Tの武装といっても、あったとしてもたかが知れている。

天使1号が見つからないよう進んでいる間にaqua-Tが追跡可能な場所に
来れるかどうかが次のポイントというところだろうか?
161名無しさんだよもん:03/02/08 01:31 ID:2sGRdkyQ
>>157
aqua-I、星系内の移動に超光速はまずいのでは…。
冥王星ですらたかだか半径40天文単位(≒5.5光時)程度の軌道だから
いかに海王星軌道の反対側とはいえ、光速でも半日で追いついちゃう。
亜光速程度にしといたほうが…。
1621:03/02/08 01:31 ID:2sGRdkyQ
あ、>>161>>1
163名無しさんだよもん:03/02/08 02:13 ID:AWenxyS0
確かにワープ1=光速だと11時間で太陽系を横断できる計算になってしまうね。
だが地理的によくても設備の整っていない2001 QR322は発射基地ではなく
途中立ち寄り、半日ほどかけて目的地までのエネルギー補給を行なうための
場所ときめたうえでの計画だから、補給でロスするであろう分を埋め合わせるため
急いでるとしてもいいかもしれない。
>>157はスタートレックマニアの浩之のジョークという扱いにしてもかまわないが
164名無しさんだよもん:03/02/08 08:28 ID:xHjklm+d
>>161-163
aqua-Iは、自らの船体の質量をごく短時間(数秒?数十秒?)だけ虚数に書き換え、
系内の短距離をジャンプすることができる、名づけて虚質量跳躍ドライブというのはどうだ。

自分の質量をいじくるので、ほかの大質量物体(太陽とか)の近くの重力場では不可能。
したがってこの虚質量跳躍ドライブを搭載した軍艦で地球に急接近して攻撃なんて器用な真似はできない、ということで。
165名無しさんだよもん:03/02/08 09:03 ID:4/sA+ikh
>>154
なるほど。MOONの少年や「みずか」、AIRエンディングの子供といった得体の知れない連中は
太陽系外の恒星に陣取っている宇宙人かもしれないな。
恒星間旅行での大事故としては、光速を超えた弊害で千年前の過去へタイムスリップしてしまうこともありうる。
例が鍵ばっかりでごめんなさい。
166名無しさんだよもん:03/02/08 09:04 ID:4/sA+ikh
つか、日本惑星協会、ナインプラネッツなどいろいろ調べてみて実感したんだが。
   太 陽 系 ヤ バ イ 。 超 ひ ろ い 。

俺感動したのよ。我々の太陽系だって捨てたもんじゃない。ものすごい冒険の可能性が広がってる。
考えたら惑星が9個もあって、周りを衛星が回ってて、小天体が無数にあって。
どれもが人間のスケールでは途方もなく大きくて。
地球とは全然違う未知の環境で。

俺ガンダムなんか見てた頃は「UC百何十年に達してるのにお前ら恒星間旅行もできないのかよ」
とか思ってたけど、とんでもない。

>>1には悪いけど、個人的に思うんだが、話を今すぐ恒星間超光速旅行に急いで持っていかなくてもいいんではないか。
せっかく太陽系国家やテラフォーミング技術の設定も出来てきてるし。
太陽系での揉め事は、結構SF的なネタの宝庫だと思うんで。


太陽系での争いにひと段落つけてから、「新章に突入」というタイミングで
はじめて恒星間の旅に突入してもいいのでは。
それが葉と鍵の協調の結果なのか、争いの延長なのかは予想できないけど……。
167名無しさんだよもん:03/02/08 14:33 ID:xz348MOw
>166の意見には同意する部分が多いが、基本的にこのストーリーの中心は
恒星間超光速移動による別星系の探査にあるようだし、ここまで来た
天使1号とaqua-Tの両方を太陽系内でしばらく足止めするいい理由が無い。

ここで提案するとすれば、
A:他恒星に到達させ、それから話を政治的に変える。
B:ロケットの運行速度を調整する。

Aだと順序良く話が進むが、カストルやフォーマルハウトへの探索後に
太陽系を中心とした話が展開されるので、下手すると今回の調査行のあと
太陽系の内側にこもりっきりになってしまう可能性がある。

Bだとロケットが途中の何も無い空間を移動している間に、ある程度
政治的な部分に決着をつけておいて、帰ってきてから新しい秩序で
新しい展開に移る事ができる。問題は戻ってくるまでどれくらいかかるか。
スタートレックを例に挙げると、通常巡航速度のワープ5(光速の214倍)なら
52光年先のカストルで片道77日、22光年先のフォーマルハウトで33日。
「人類初の恒星間移動」だし、これくらいの日数がかかるということにしても
いいのではなかろうか?探検としては長すぎる事は無いと思う。
ついでに付け加えれば、3500光速は出せても一瞬で、あとは慣性航行だろう。
ワープ9.9(光速の3053倍)だせば10分でエンジン停止らしいし。
帰りは補給が見こめない分、補給物資は多めに積み節約する必要があることを
考えても質量はそれなりにはあるだろう。あと調査用の機材だって……

1681:03/02/08 15:16 ID:2sGRdkyQ
今の俺の考え。
Keyはリーフに外惑星を制圧されているため、ジリ貧。切り札は天才児達もあるが、何より建設が進んでいないクラナドなわけだ。
この状況を打破できるほどの力を持つクラナドはリングワールドないしダイソン球のようなものだと考えるのが妥当。
特にダイソン球なら完成後、外惑星のリーフを圧倒できる。
というわけでKeyの恒星間飛行の目的は
1、首脳部が太陽系制圧を目的としてクラナドを完成させるために必要な膨大な物資の獲得
2、それに反発する人間や天才児・遠野による学術研究目的への転用
3、橘が娘の為に必要とする何か
とわかれる。政治的にはそんなところではないか。
1691:03/02/08 15:36 ID:2sGRdkyQ
あ、このスレの人なら多くが知ってると思うけど、ダイソン球っていうのは
太陽を覆い尽くす人工の構造体のことで、太陽エネルギーを独り占めできる。
170名無しさんだよもん:03/02/09 00:01 ID:Nz+vQs4q
ワープ速度はワープ係数の三乗×光速と聞いていたが・・・
ワープ9.9=光速の3053倍、はどういう計算なんだろう・・・
171名無しさんだよもん:03/02/09 00:38 ID:hyDKQedm
>>170
ちゃんと計算するほど計算能力がないのでワープ速度について調べてみたが
どうもその数値はデータとしてでているものの、つじつまあわせする計算式が
あったりいろいろあるみたいだね。

その途中で見つけたもの
http://www.m-nomura.com/st/w-calc.html

どれくらいのスピードで航行すれば何日かかるか計算してくれるので
それなりに使い道はありそう
172名無しさんだよもん:03/02/09 09:14 ID:aTLOTNTy
>>168
>この状況を打破できるほどの力を持つクラナドはリングワールドないしダイソン球のようなものだと考えるのが妥当。
激しく納得だ……。

ダイソン球殻を作るには、最低でも太陽直径に等しい大きさが要るわけで。
ちょうど太陽と同じ半径70万キロ、厚さ1キロの球殻を作るとしても、
計算すると必要体積は地球の2倍になる。
実際は、太陽熱で融けないようにずっと距離をとる必要があるから
こんなものでは足りない。太陽系では、建設資材が絶対的に不足すると。
そりゃ系外天体に資源を求めたくもなるわな。

もともと、ダイソン球殻やリングワールドは半径1天文単位くらいの規模で
「そこに住む」ことを目的にしているが……。
そこまでいくと流石に大規模すぎる。工事期間も何世紀単位になるだろう。
「太陽を取り囲み、放射光を独り占めする巨大な太陽電池」くらいの計画で
いいじゃないだろうか。

多分、現段階では水星のL4‐L1‐L5を結ぶ(ほぼ)円弧の形に
リングワールドの出来損ないみたいな帯状の太陽電池を建設中と思われる。
資源不足で途中で頓挫しているだろうが。

ちなみにリーフ領は、もともと降り注ぐ太陽光線が少ないので
エネルギーのほとんどは、ガス惑星から採れる水素の核融合で賄うはず。
だからKeyに太陽を取られても被害は少ないわけだが、
エネルギー生産量は確実にひっくり返るな。
173名無しさんだよもん:03/02/09 09:20 ID:aTLOTNTy
しまったっ!
問題は系外天体の資源を、リーフに邪魔されずに太陽系内に運ぶ方法だ!
ビーム転送装置でも発明するか……
不可視の力を使うか、千年前の記憶に頼るか……。

あーそうか。月宮航宙士が奇跡を起こせばいいのか。


>>167
おそらくプランBに近くなると思う。
>>131(=>>1)を見ると
>天使一号は光速越えのあと、急激に3500光速まで達してしまい、目的地を通り過ぎないように
>全力で速度を落としていくので結局平均的には光速の数倍〜数十倍程度になる、という想定。
とあるので、実質上ワープ4かそれ以下ということになるな。
174名無しさんだよもん:03/02/09 09:41 ID:FzI3IVr+
>>157の会話はなんかほのぼのしてて良いな
175名無しさんだよもん:03/02/09 10:47 ID:O9FPWMY2
Keyの目標が「太陽エネルギーの独占」にあるとしたら
対抗するリーフの計画は人類の「根源」たる地球を奪回するための
『ルーツ』計画だろう。火星のテラフォーミングが進んでも、地球の
環境と比べたら大きな差があるだろうから、やはり見逃せないだろう。
そうなると、恒星間航行は軍事演習や艦隊増強のための金属確保が目的か?
同時に発動している『12月』計画のほうは……他の人に任せる。
176名無しさんだよもん:03/02/09 22:56 ID:7UnrLhYs
ちょっとめんて
1771:03/02/10 05:15 ID:kNAgQxQL
ちょっと今までの執筆状況のまとめとか、作成が遅れてます。申し訳ない。
178名無しさんだよもん:03/02/10 05:44 ID:dedkWMYY
>>175
リーフ領には豊富な小天体があるから、今の所金属資源には困っていないはず。
戦闘民族エルクゥでも呼んでくる気じゃないのか。
179名無しさんだよもん:03/02/10 11:31 ID:y6KuSmv5
>>177
待ってます。
1801:03/02/11 00:28 ID:TUR+050b
今日はこんなことしてました。
ttp://www.kitanet.ne.jp/~cas-per/cgi-bin/img-box/img20030211002650.jpg

文書のまとめも並行してやってますんで。
1811:03/02/11 00:28 ID:TUR+050b
あ、かなり下がったので一度あげときます。
182名無しさんだよもん:03/02/11 00:35 ID:lokQyMk6
1831:03/02/11 00:36 ID:TUR+050b
一応>>180はまだ未完成ね。あとは星間物質インテークとコクピットの窓をどうデザインするか…
なんだけどそれは保留して先にまとめの方いくので。
184名無しさんだよもん:03/02/11 02:21 ID:LeTR5fGl
従三位近衛府大将、柳也。
皇帝直属の軍人にして、電算技術者である。
従三位内侍司尚侍、裏葉。
後宮女官の主宰にして、電算技術者である。

柳也と裏葉の操る計算機械は、この太陽系で用いられている
他のどの電算機とも似ていない。
彼らの機械の中枢部は真空管ではなく、一秒間に数億回の計算を行う、
極めて微妙に調整された珪素の集積回路である。
記憶媒体である直径13cmの円盤には精細な光のパターンが刻まれ、
百科事典全巻さえ一枚に収めることができる。

生体コンピュータなどと違い、彼らの電算機は
知的な思考を模倣するものではない。
したがって、独創的な何かを思いつくことはおろか、
人間との日常会話も全く不可能だ。
むしろ柳也と裏葉の機械は、現在の真空管の機能、
道具としての電算機を徹底的に延長した所にある。
与えられた命令だけを、非人間的な
速度と精度と効率でもって遂行する機械というもの。
事実、計算の速度だけを見れば、
ノートロピック・チャイルドである遠野美凪をも上回るのだ。
人類の知っている円周率の桁を伸ばし、素数を増やしたのは
他ならぬ柳也と裏葉の功績である。

「電算機」の性能として、彼らの機械は
確実に太陽系最高の水準にあった。
185名無しさんだよもん:03/02/11 02:21 ID:LeTR5fGl
そんな太陽系最高水準の電算機を持つ二人が、今回は頭を抱えていた。
裏葉「あらあらまあまあ」
柳也「……これを解析するのか!? 何千億バイトあるんだ!」
バイトとは情報量の単位の一種である。
遠野美凪の研究室から押収された磁気テープの類だが、
柳也や裏葉の感覚では、テープ一巻ぶんの情報量は些細なものだ。
しかし、倉庫に溢れるくらいのテープとなれば話は違う。
柳也「虱潰し、というわけにはいかない量だな……」
裏葉「星表を検索いたしましょう。まずは当たりをつけませんと」
記憶媒体から星表を呼び出す裏葉。
裏葉「まず、カストルは絶望的でございます」
柳也「六重連星と聞いた。開拓可能な惑星は存在しそうもないな」
裏葉「近距離恒星で、木星型惑星の存在が確認されておりまして、
   カストル(52光年)より近いものを近い順に申しますと……
   エリダヌス座イプシロン星、グリーゼ876番星、グリーゼ86番星、
   かに座55番星、HD147513、アンドロメダ座ウプシロン星、
   エライ(ケフェウス座ガンマ星)、おおぐま座47番星、
   さいだん座ミュー星、ペガスス座51番星、うしかい座タウ星。
   ここまででございますね」
柳也「一番近いエリダヌス座イプシロン星はどうなんだ」
裏葉「いけませんわ。惑星の軌道が大層扁平な楕円でございましょう。
   これは形成の途中で、惑星の円軌道が極端にかき乱された
   ことを示しております。地球型惑星などひとたまりもなく、
   重力圏から弾き飛ばされておりましょうね」
宮廷人の教養として、星辰二十八宿の運行に通暁した
裏葉が説明を加える。
柳也「つまり、円軌道の惑星を探さないといけないのか」
裏葉「ええ。そのうえ円軌道も、このペガスス座51番星のように
   水星軌道の内側にありながら、質量が木星並みではいけません。
   巨大惑星の軌道が内側に移っていく過程で、地球型惑星など
   とうに弾き飛ばされるか、太陽に落ちてしまっておりますわ」
186名無しさんだよもん:03/02/11 02:21 ID:LeTR5fGl
柳也「木星並みの大質量惑星が、木星並みの距離にあり、しかも
   軌道はほぼ真円でないと駄目……か。
   なかなか条件は厳しいんだな」
裏葉がにんまりと笑う。
裏葉「だからこそでございます。条件が厳しければ厳しいほど……
   『虱潰し』をすべき観測データは、少のうなります」
柳也「そうか……そうなると候補に残るのは、
   木星質量の2.5倍の惑星が半径2天文単位をほぼ円軌道で回る、
   このおおぐま座47番星(46光年)ただひとつ、ということか」
裏葉「ご賢察、いたみいります」

裏葉「ただしでございます。
   おおぐま座47番星とて、地球でいうところの木星らしきものが
   あるというだけのこと……。内側の軌道に、居住可能な
   地球型惑星があるかどうかは、遠野殿の観測結果を解析するまで
   判断いたしかねます」
柳也「そいつが俺たちの仕事だからな」
裏葉「もうひとつ、ご留意いただきとうございます。
   いまだ木星型惑星が発見されていない星は、形成時に
   単に塵が少なかったのやもしれません。
   そのような場合ですと、小粒の地球型惑星だけができますわ」
柳也「まさか、もしおおぐま座47番星に地球型惑星がなかったら……」
裏葉「先ほどお挙げしなかった多くの近距離恒星の観測結果を……
   一切合切、悉皆に解析せねばなりませんわね」


昔見たNHKスペシャル『宇宙 未知への大紀行』と
天文系のサイトで調べたことを元に書いてみた。

ttp://www.shokabo.co.jp/sp_opt/star/ssystem/sys_star.htm
ttp://www.shokabo.co.jp/sp_opt/star/ssystem/ssystem2.htm
ttp://www.astroarts.co.jp/news/1998/01/980123NAO1/index-j.html
187名無しさんだよもん:03/02/11 02:56 ID:LeTR5fGl
ちなみに、木星型惑星は外から飛んでくる小天体から地球型惑星を
かばってくれる役割がある。
したがって木星型惑星がなくて地球型惑星だけがあるときは
地球よりも何百倍も何千倍も多くの天体衝突が起こり、
その度に生物が絶滅して、知的生命まではとても進化できないと
考えられている。
ファーストコンタクトを描こうと思ったら、
地球生命とはかなり異なる異星生物を思いつく必要があるだろう。

惑星未発見の近距離恒星にもし地球型惑星を発見したとすれば、
おそらくクラナド建設のための、鉱物資源採取が主目的になる。
小天体の防御手段が確立されていれば移住も考えられるだろうが。

なお、フォーマルハウトは若い星で、周りを巡っているのは
氷を含む塵の円盤(惑星の材料?)だそうです。
ttp://www1.tmtv.ne.jp/~kiki/third.edition.html
188小ネタ:03/02/11 11:55 ID:eth9tAwg
【タソガレ tasogare】
リーフの通貨単位。
感覚的には1タソガレ≒100円と考えてよい。
ロケット燃料はリッター1タソガレ。ゲームソフトは1本88タソガレ。

【エイエソ EIESO】
Keyの通貨単位。
Eternal Imperial Economic Standard Order(恒久的帝国経済標準為替)の略。
リーフとの正式な国交がないためタソガレとの為替レートは存在しないことになっているが、
貿易商の間では事実上1エイエソ≒1タソガレで取引が行われている。
189名無しさんだよもん:03/02/12 00:20 ID:3sXDZgcE
>>1だッ!
>>1はまだか!
イチだあッ!イチいッ!
>>1ッ! >>1! >>1>>1! >>1! >>1! >>1! >>1! >>1
>>1! >>1! >>1! >>1! >>1! >>1! >>1! >>1! >>1! >>1!!
>>1はまだかあぁーッ!

てか、執筆状況のまとめをやってますとか言われてる手前さ、
迂闊に続きも書けないんだけど。
宇宙船の絵は分かったから早くしてね?
190名無しさんだよもん:03/02/12 00:27 ID:aTMy+qFC
>>186
NHKスペシャル『宇宙 未知への大紀行』は俺も以前見たが確かによかった

それはともかく、有人恒星間移動の前に先行調査などがなされたのだったら
クラナド建設に必要なものがそこにあることは判明しているはず。

有人恒星間移動がやっと可能になった時代ということは、無人調査船なら
すでに実用化されてみてかまわないよね

あとは思いつきのネタを保存しておくメモのかわり。使用及び改良歓迎。
あくまでメモです
・神尾晴子 名門神尾家の現当主。飲んだくれとして知られるが行動力はある。
 橘とはすごく仲が悪い。
 政略的都合で預かっている観鈴にはそっけないが、実は大切に思っている。
・神尾(橘)観鈴 なぜか宇宙にあこがれてる少女。
 その理由が明らかになれば今後重要なキャラになるかも。
・リーフ勢力 軍事力強化プラン
 火星の2大企業 来栖川グループはサイボーグ兵士の開発
 鶴来グループはエルクゥと呼ばれる遺伝子レベルでの強化人間の開発
 もしくはフォーマルハウト人との遺伝子交配による肉体強化?
・「クラナド」プロジェクトチームには古河とかいるのか?
・プレイムコロニー
 かつてのリーフ大統領だった人物が出奔して作った独立勢力
 (VAなので)Key寄り
・軍事的緊張の緩和の可能性 共通敵はあらわれるか?
 停戦ラインは今のままとして、他の条件は?
 互いに進行中のプロジェクト停止?
 トルデシリャス条約 優先的に勢力を伸ばせる地域の線引き
191名無しさんだよもん:03/02/12 00:52 ID:aTMy+qFC
>>189
>>1氏がまとめてる「途中」なら、話を進めた後に事後承諾でもいいんじゃないか?

話が続かずスレが落ちては元も子もないんだし。
そういう自分もそろそろ続きを書いてみたいと思ってたり。
192名無しさんだよもん:03/02/12 01:22 ID:3sXDZgcE
>>190
>それはともかく、有人恒星間移動の前に先行調査などがなされたのだったら
>クラナド建設に必要なものがそこにあることは判明しているはず。
>有人恒星間移動がやっと可能になった時代ということは、無人調査船なら
>すでに実用化されてみてかまわないよね
それなら既に>>58の美凪がやっているぜ。

サーモン‐ロウ・メソッド=「鮭の卵の方法」とは、
カメラを積んだ非常に多数(百万個以上)のマイクロマシンを宇宙の海に放流して、
途中で99.9%までが故障しても、生き残った0.1%が
恒星系の画像を撮って地球に送り返してくる、という計画。
ttp://village.infoweb.ne.jp/~anoda/space/mlab02/mlab02.htm
↑のHPの研究者の計画ではもちろん亜光速(光速の15%)だけども、
超未来葉鍵の世界なら超光速が実現可能だから、超光速無人調査船は問題ない。

クラナド建設に必要な資材の入手先は、おそらく美凪なら知っているだろうが
軍事目的の利用を恐れて隠したんじゃないだろうかね。
んで敬介に感づかれて>>58とか>>73へ続くと。
1931:03/02/12 01:53 ID:CIpK0E2P
>>189
遅れててすいません、どんどん書いてくださるとありがたいです。
まとめっていうのは現在発生してる矛盾点などを挙げていく作業なんで、
今後のストーリー自体に影響を与えることはないです。
194名無しさんだよもん:03/02/12 03:05 ID:xxFzNbsk
年末ジャンボ宝くじは1等前後賞合わせて3メガタソガレsage
195名無しさんだよもん:03/02/12 05:51 ID:0K6q3yMR
はいはいはーい予防線張っときまーす。

スタッフネタは荒れる元なんで、
>超先生という政府高官(>>59)
>ダーマエ1世(>>142)
>かつてのリーフ大統領だった人物(>>190)
などの人々は、既に存命していない「歴史上の人物」的な扱い
(現実世界で言えば昭和天皇みたいな感じ)にしとくのが
無難だと思いまーす。
196名無しさんだよもん:03/02/12 12:25 ID:EkAeWOp2
そうだな、スタッフは微妙な気がする。
超先生あたりは既にネタとして確立してるけど。
197名無しさんだよもん:03/02/12 12:40 ID:VBZrZvu1
昭和天皇っていうか、
銀英伝におけるゴールデンバウムの昔の皇帝みたいなもんだろうな。
ルドルフとかアウグスト1世とか。逸話だけ伝わってんの。
198名無しさんだよもん:03/02/12 13:53 ID:VBZrZvu1
>>73からの敬介の台詞を読み直してみる。

>「新兵器『クラナド』の開発の遅れが、帝国臣民に与えている失望は大きい。我が国当面の急務は、臣民の士気高揚だ」
> 新機軸の超光速航法と、太陽系で培った確かなテラフォーミング技術。
> 我が国の領宙は太陽系に留まらず、光年を越えた他の星々へと達し、我が臣民の安住の地は飛躍的に広がるんだ」

この投稿の時点では「新兵器クラナド」の内容が明らかになっていなかったので
無理もないが、敬介の台詞は「士気高揚のためには、クラナドの建造よりもむしろ
他星系への移住を」という意味に受け取れる。
しかし、国家的なプロジェクトとしてはまず太陽系制圧、そのためのクラナドの
完成のほうが重要なはず。よって敬介の意図は、帝国首脳部の目論見(>>168の1)
とも異なる、一種の独断なのではないか。
おそらく、娘の観鈴のため、
「あなたも知っているように、この子は、大勢の人の中にいることができない」
「我々の住む地球は、人が多すぎて、そんな病気を持つこの子には合わなかった」
「なかなか友達もできないでいた」
「あの星なら、健やかに育ってくれると思っていたんだ」
とでも思っていたのでは。
199名無しさんだよもん:03/02/12 13:59 ID:VBZrZvu1
香里「冗談よ。実は50光年程度だったらどこでもよかったのよ。今回は有人飛行などの技術の実証試験が主目的で移住は考えてなかったし」(>>52
美凪「……今回の航行は、純粋な学術目的……超光速技術の検証と、天体活動の精密観測です。
 ……絶対に、領土欲のために利用はさせません」(>>59
を見ると、天使一号チームと美凪・聖コンビの意図するところはかなり近い。
今後、官憲の目を逃れた美凪らが、天使一号チームのもとに落ち延びてくる展開も
考えられるかもしれない。
200名無しさんだよもん:03/02/12 20:34 ID:tW516YZE
.......こんなサンプル画像発見 
 http://media-0.com/www/dvd01/


201名無しさんだよもん:03/02/13 10:35 ID:4OJWYf/y
>>199
>>59の美凪初登場の段階では美凪が目的地を絞ってるような感じだったから
聖や美凪は最初から天使一号のチームと共通で作戦を遂行してたのでは?
時間軸の問題とか出てくるけどね。
202名無しさんだよもん:03/02/13 16:36 ID:6KOloXIu
>1の言ってる矛盾点をあげるってそういうことかもね。
その辺は後でいいからキャラや技術をまとめてくれれば十分な気がする。
あとは各々職人がつじつま合わせできるし。
203名無しさんだよもん:03/02/14 04:53 ID:7ARdYOxh
【天文】太陽系に3番目に近い恒星を新発見
http://news2.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1045158809/

ということだそうです、7.5光年の近距離にして15等級では
小さすぎて惑星が出来たかどうかわかりませんな。
むしろ凝縮が足りなくて大きめのガス惑星が存在するなんてこともありそうだけど。
204名無しさんだよもん:03/02/14 14:59 ID:9SER3juh
近距離で見つかってない星というのは結構あるらしい。
統計的にそう予測されてる。
205tantei:03/02/14 15:05 ID:S3gmEk9b
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206名無しさんだよもん:03/02/14 18:43 ID:rYKW25K9
実は科学の発展が一番SFにとってやっかいだったりするよね。
それっぽく作り上げたフィクション設定を
たやすく打ち砕いてくれる。
207名無しさんだよもん:03/02/14 18:46 ID:+Nj4gd8A
ナノマシン出しとけば何も怖くなかったあの頃
208名無しさんだよもん:03/02/14 21:20 ID:B6fcFj+x
たまには話を進めたいので

久瀬「もうそろそろ海王星軌道の付近まで到達するわけだが、
加速の準備はできているか?」
祐一「うるさいな、そんなのとっくにできてる。いつでもOKだ」
もともと仲が良くなかったが、長い飛行のストレスでついつい不満が
表面に出てしまいがちになる。
あゆ「ねぇ、大変だよっ!」
祐一「あゆのことだから、おやつの鯛焼きが1つ足りないとかじゃないのか?」
あゆ「ちがうよっ!予定コースの先に宇宙船がいるんだよ!」
久瀬「どれどれ……これはリーフの駆逐艦だな」
あゆ「うぐぅ〜」
久瀬「だが向こうはまだ気づいてない。最新鋭探査船の調査用レーダーが
旧式駆逐艦の索敵レーダーより優れていたおかげで命拾いしたな」
祐一「こっちには小隕石破壊などに使う小型レーザーくらいしかないから
宇宙爆雷を装備している駆逐艦相手にまともにやりあったら負ける。
ここは敵駆逐艦との距離をこのままに保ちながら、下方45度方向に
迂回しつつ前方に進むということでどうだろう?」
久瀬「勝手に作戦を立案するな。それは僕の役目だ!」
祐一「前方から時間差攻撃を仕掛け、それに反撃する形で前進してくる
敵と一瞬ですれ違うことができればそれはそれでいいかもな」
久瀬「だから……」


御堂「まだ敵宇宙船は来ねぇのか!」
兵士「現在の所、レーダーには反応ありません」
御堂「けっ、こうやって待ってるのも退屈だな。
派手に爆雷ばら撒けば偽装した敵が見つかるかもよ」
兵士「しかし、それでは攻撃機にまで被害が及ぶ可能性があります」
御堂「だったら早く見つけろ!2時間で駄目なら無能も一緒に爆雷の餌食だぞ」
兵士「は、はっ!」
209名無しさんだよもん:03/02/15 04:26 ID:+3qdDu6J
外宇宙探査船に武装をつけるのは無粋だと思うのだがどうか。
210名無しさんだよもん:03/02/15 21:05 ID:r2SqJ9d0
だいじょうぶ。ヴァスコ=ダ=ガマもコロンブスもマゼランも武装してた。
むしろ探検するのなら武装して当然。軍隊なみじゃなかろうガナ。

軍隊じゃなきゃ武装しちゃいかん、なんて言うのは平和ボケしたプロ左翼のみ。(w
211名無しさんだよもん:03/02/15 22:56 ID:6E4TJGCF
まぁ、最低限自分を守る程度のものということで。

当然ある程度攻撃を受けることを前提の上で装甲化された駆逐艦の
相手になるものではないだろう。相打ち覚悟ならまた別だが……

212名無しさんだよもん:03/02/15 23:11 ID:K5Yv8ICt
>>210
大航海時代の探険と原住民どころか生物がいる可能性が極めて0に近い星系に赴く任務を同じにすんなや。
新大陸を発見しに行くと言うより北極点に到達するというニュアンスの任務。
というかそれこそアポロだろう。
アポロがどんな武装してたよw
武装を積む位ならもっと他に積む物あるだろー。
213名無しさんだよもん:03/02/15 23:14 ID:VRqdMxES
>>212
だろうね。
多分積むのは、機材と生きるのに必要な物資と帰りの燃料。。そんなとこでしょう。
宇宙戦艦ヤマトとはわけが違う
214名無しさんだよもん:03/02/16 22:55 ID:dWDMXNFO
同じ頃、Keyの宇宙センター。
開発主任の秋子さんを訪ねてきたのは、帝国軍の七瀬大佐であった。

七瀬「どうもご無沙汰してます。あれから天使1号のほうはどうですか?」
秋子「それなりに好調ですよ。もうすぐ太陽系の外に出られます」
七瀬「ところで……あの『小隕石用装備』のほうは……」
秋子「まだ使ってないみたいですね。これからも使用しないといいですけど」
七瀬「もっとも、軍艦相手ではおもちゃでしょうが」
秋子「こちらが怖いのは大きくてそれほど多くない分こちらや情報部で動きが
つかみやすい大型艦より、数多い小型の攻撃機や哨戒衛星のほうです」
七瀬「あれの導入に関しては、チーム内でも反対が多かったみたいですね」
秋子「ええ。でもリーフの勢力圏に丸腰で行かせるのはあんまりですから」
七瀬「すみません。本来ならあたしがもっと上に働きかければ良かったのですが」
頭を下げる七瀬に、秋子はにっこりと微笑みかける。
秋子「そんなことはありませんよ。天使1号は敵の勢力圏をこえていくという
リスクを負いながら、美凪さんを始め開発メンバーは領土欲を否定して、
あくまで学術目的に主をおくというのですから、メリットのない軍としては
わざわざ太陽系の外まで護衛する理由がないと言われても仕方ないのかもしれませんね」
七瀬「我が軍は数で勝ってるとはいえ、それを指揮するほうの人材が不足してるうえ、
『地球奪還計画』の存在が噂されている今、むやみに戦力を浪費できないのが現状です」
秋子「柳也さんは今や皇帝直属ですし、舞さんも倉田コンツェルンのコネで
安全な広報のほうに移ったから、七瀬さんが少将に昇進するのも間もなくですね」
七瀬「はぁ、ありがとうございます」
215名無しさんだよもん:03/02/16 23:05 ID:dWDMXNFO
ということで
敵対しているリーフ勢力圏を予定コース内に含めているのに、
何の対策もしないということはまずありえない、ということです。

ただし、レーザー以外でもっと有効な自衛のための装備を搭載していると
いう場合、あとの人が上手く修正してもいいかもしれません。
例えばミノフスキー粒子のようなものとかダミーバルーンとか。

ついでにKeyの軍人向けキャラって……あと国崎くらいか?
216名無しさんだよもん:03/02/17 15:30 ID:vw9KwcHR
>>209>>210>>212>>213
ちょっと待て。

>こっちには小隕石破壊などに使う小型レーザーくらいしかないから
えーとだな。
登山にはつるはしを持っていくし、ジャングルの探検には鉈くらい持っていくよな。
そんなものを指して「武装」という奴はいない。
>>208も「武装」という言葉は使ってない。

非戦闘用の、おそらく何十発も撃てないであろう小型レーザーだけを武器代わりに、
知恵を絞っていかにして敵国正規軍の宇宙艦隊をやりすごすか……。
>>208はむしろ秀逸なネタ振りをしてくれたと思うぞ。


そんなら俺が書けばいいんだけどね。ごめん俺1週間ばかり卒論から手が離せそうにない。
教授の目を盗んでチェックはしてるんで、職人さんバンバレ
217名無しさんだよもん:03/02/17 15:33 ID:vw9KwcHR
>>1が来ない理由は、鍵っ子だから葉キャラを絡めた話が書けないと予想。
218名無しさんだよもん:03/02/17 15:46 ID:vw9KwcHR
みたびごめん。
ブラウザがキャッシュ読んでて>>215>>216見えてなかった。

そう来たか……やるなあ。
219小ネタ:03/02/17 17:28 ID:eP6yt+WH
【狩衣装束】(カリギヌソウゾク)

柳也を長官とする宮廷警護機関、近衛府に制式採用されている戦闘服。
単に狩衣ともいい、古くは布衣(ほい)、襖(あを)、「かりごろも」とも称した。
いわゆるパワードスーツ、バトルスーツなどと呼ばれるもの。

起源は平安時代に遡り、狩猟および戦闘のため
敏捷性を損なわぬように設計された衣服がその原型である。
近代火器に対抗すべき防御力との両立、そして宇宙戦の重要性が高まるにつれ、
無重量状態での運動能力と気密性の確保が課題となってゆく。
時代の要求のたびに狩衣の機能は着実に進化し、
現在はKeyの誇る最先端の戦闘服の位置を占めている。

特に柳也の狩衣は、帝国にも二つと存在しない機体である。
装甲外殻に不滅物質エイエニウムを使用、さらに衝撃吸収のため
内側はカーボンナノチューブ繊維の積層構造をとっている。
また、翼人の羽を応用した高精度の慣性制御により
エネルギーを100%の効率で自分の運動量に変換し(無反作用推進)、
しかも無重力下や加速度運動中でも、任意の体感重力(通常1G)を保つことができる。
パワードスーツに分類される乗り物で、単段式での自力大気圏離脱が可能なのは、
帝国では柳也の狩衣のみとされている。

当然のことながら、衣冠束帯の着用を義務付けられた宮中において
狩衣装束で参内することは、不敬罪として処罰の対象になる。
220名無しさんだよもん:03/02/17 17:45 ID:gSCacK+c
>>216
旧式駆逐艦の索敵レーダーより優れた最新鋭探査船の調査用レーダーがなんて物がついてるならばだ。
そも航行中小惑星を破壊しなければならないような状況には落ちいらんだろうよ。
いやさそういう装備がついてることに異論は無いけどねー。
221名無しさんだよもん:03/02/17 20:42 ID:aXo7ZGsN
>>219
面白廚設定キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!!
翼人の羽で慣性制御とは無茶言うなぁw
柳也のだけ無駄にハイスペックなのも笑う。
パワードスーツに大気圏離脱機能つけて何するつもりなのだろう。
あぁ、葉側のはアベル・カムイ(アブ・カムゥ)になるのかな。
222名無しさんだよもん:03/02/18 00:39 ID:osLI50F3
炎の海を渡る鎧武者。
見るものがいたのなら時折炎からのぞく建物との対比からそれが巨人であるとわかるだろう。
鋼の巨人アベル・カムイ。
リーフの戦闘装甲兵の一団は卑劣にも辺境の村を襲撃し無辜の民を虐殺していたのだった。

「手向かう者は殺せ。逃げる者も殺せ。一人も生かすな!」
一団のリーダーであろう機体から声が響く。
無線を通さず機外拡声器でその意思を表明することで生き残った者への恐怖をあおっているのだ。
「わかりましたぜ、隊長!」
「でも女はちょっとは生かしておきましょうや。お楽しみが無くっちゃ!」
「違げぇねえ!」
下卑た笑い声が赤く焼けた村中に響き渡った。

「へっ、それにしても詰まらん任務だ」
リーダーは暗い機内で溜息をついた。
抵抗の無い市民を撃ち殺すのにも飽きていた。
モニターには怯えしゃがみこむ二人の子供…
恐らく姉妹なのであろう、お互いを抱き合い恐怖に震えている。
「まったく詰まらん」
人を殺すことにいささかとも良心に痛痒を覚える事が無い…
男はリーフ兵の典型のような兵であった。
223名無しさんだよもん:03/02/18 00:42 ID:osLI50F3
男が子供相手に弾を使うか安上がりに踏み潰すか逡巡していたその時通信が入った。
「隊長。二時方向、敵影1です!」
「あぁ?たった一騎だとぅ?」
ちょうど村を見下ろす丘の上にその機体は見えた。
「け、馬鹿が。野郎ども蜂の巣にしてやれ!!」

リーダーの号令に従いアベル・カムイの持つ火器が一斉に火を吹く。
巻き上がる破壊の嵐。
それた弾が民家を文字通り削り落としていく。

「はっ、見たか我々の力を!」
満足げにその光景を眺めていたリーダー。
だが次の瞬間男の眼は驚愕に見開らかれた。
何百発と放たれた銃弾のそのことごとくがその機体の前で停止していたのだ。
「馬鹿な、イナーシャルキャンセラーだと!!」
相手は狩衣のサイズで慣性制御技術を使って見せたのだ。
村を焼く焔に照らされてその機体が意匠が見てとれた
一般の狩衣が薄翠色なのに対し眼前のそれは白地に蒼のラインが入っている。
男が知る限りそのパーソナルカラーで知られる機体を操るのはただ一人。
そしてそれを物語る機体の肩に描かれた紋章は…
「従三位近衛府大将、柳也か!!」
閃光が疾った。
数体のアベル・カムイが一斉に爆散する。
白い狩衣が丘の上から数百メートルの距離を一気に駆け手にする刀で切り裂いたのだ。

「援護要請!!この座標に…じゃないとあの化け物は・・・」

男がその要請を最後まで口にすることは出来なかった。
224名無しさんだよもん:03/02/18 00:43 ID:osLI50F3
しかし男の執念はアベル・カムイの捉えた映像とともに衛星軌道上まで届いていた。
「なんとも大物がかかったものだ…座標合わせ!」
惑星に腹を向けていた猟犬がその獰猛な牙を地表に突き立てるべくエンジンに火を入れた。
しかし相手は「不滅物質エイエニウム」でその身を固めた戦士である。
高々犬の牙ごときが通用するのか…
不安を打ち消すべく艦長は声をあげた。
「目標を補足次第主砲を正射せよ!」
しかし彼の命令に答えたのはブリッヂに響く警報音だった。
「か、艦長!!高速で地表より飛来する物体が!!」
「なんだと!!」

次の瞬間、艦橋の前に出現した白い狩衣は構えていた砲の引き金を引いた。

その爆発は地上からでもはっきりと見えた。
「おねぇちゃん、あれ・・・」
「きっとあの人が悪いリーフをやっつけてくれたんだ」
一筋の流れ星が夜空に閃く。
幼い姉妹はその星の流れた方角にいつまでも手を振っていた…



『こうして悪のリーフは敗れ去り帝国臣民の平和は今日も守られた』
『我らが英雄 柳也万歳!!』
『我らが皇帝 神奈備命万歳!!』
『偉大なるKeyおよび旧タクティクス地球連合帝国に栄光あれ!!』

225名無しさんだよもん:03/02/18 00:45 ID:osLI50F3
「なんだこれは…」
「士気向上の為の映画でございますが」
電算室に篭り膨大な計算に追われていた柳也と裏葉であったが疲れもすれば腹も減る。
小休止中お茶受けにと裏葉が持ってきたのがこの「映画」であった。

「なんだこれは…」
同じ疑問を再び口にする柳也。
「そうでございますね。確かにあの狩衣赤がよろしかったやも知れませんがやはり柳也さまには白の方がお似合いかと…」
「いやそうではなくてな…」
辺境って何処だ。何だあのわかり易い悪役は。大気圏を突破できる狩衣って。等など。
胸の内をうまく言葉に出来ず、すっかり冷めてたお茶を飲み干す。
「あの出鱈目な狩衣はなんだ?」
「あら、かっこいいではありませんか。神奈さまも『ほんに柳也どのは強いのぅ』といたくお喜びでございました」
何を言うのかという風に返す裏葉。
「あんな狩衣が作れるのなら我らも『クラナド』建造など苦労せずに済むものをなぁ」
「何を仰います!」
適当な感想の返事に思いのほか強い口調で返され驚く柳也。
「専用機はワンオフの高性能機だからこそ、でございましょう。つまり高性能なのは一機きりなのです」
やれやれという風な裏葉。
「そうなのか?」
「えぇ、殿方の浪漫ではございませぬか」

薄暗い部屋の中勇壮な曲とともに流れるスタッフロール。
総監督の欄に裏葉の名前が見て取れた。
226名無しさんだよもん:03/02/18 03:39 ID:+rSWKr9a
ナイスバカ。
227名無しさんだよもん:03/02/18 07:14 ID:Ne5VymCw
グッドジョブ!!!
辺境はAIRの町で、幼い姉妹役は志野さいか&まいか
エキストラは漁協の皆さんなんでしょうなあ。
228名無しさんだよもん:03/02/18 08:00 ID:LBLztn+v
慣性制御で飛行もできるし弾を止めることもできるのか。
銃夢第8巻に出てきたソリッドウィングみたいなもんだな。

えと、アベル・カム「ル」じゃなかったっけか。
229名無しさんだよもん:03/02/18 09:59 ID:ou/MxZba
思いっきり「ル」だな。 ……てか、スマソ。
ドリ−ムマッチスレで最初に誤植したの実はオレ。
230名無しさんだよもん:03/02/19 02:30 ID:D+OLaPv8
この裏葉、神奈様のパソコン自作日記スレから出張してきたのか?

トンデモ設定で収拾つかなくなるかと思いきや、
見事な落ちを用意してくれた>222に栄光あれ!!
231名無しさんだよもん:03/02/19 20:42 ID:GaBqTvY9
イカスので保守
232名無しさんだよもん:03/02/20 11:52 ID:/ffWmIME
一度きりの高性能機…Ba349ナッターみたいなものでしょうか?
233名無しさんだよもん:03/02/21 03:23 ID:Nc+oMjPO
士気高揚のための映画というのはまた渋いな。
太平洋戦争の頃なんかはまだあったらしいけど
今の高度情報化時代ではあまり役に立たないだろうな。
234名無しさんだよもん:03/02/21 03:27 ID:188qD9Gk
北の国ではいまだにやっとるようだがw
235名無しさんだよもん:03/02/21 23:07 ID:zToW6DRv
北のは大本営発表という気がしないでもない。
236名無しさんだよもん:03/02/21 23:23 ID:5L531GRT
科学とトンデモ、未来とレトロが調和した珍しい良SSスレだ。
アクアIと天一の続きが楽しみだぞ。
237名無しさんだよもん:03/02/22 00:02 ID:5e17JuT4
>>230 ここの従三位内侍司尚侍、裏葉はだいぶ前から自作日記スレ仕様ですが何か?
238名無しさんだよもん:03/02/22 00:17 ID:Bwsavitn
個人的には柳也と裏葉が従三位というのが微妙な気が。
仮にも最も神奈に近い位置にいるのに。
でも一位や二位は普通もっと政治の大事な方にいってしまうかな。
239名無しさんだよもん:03/02/22 00:49 ID:5e17JuT4
近衛府と内侍司は、一応最高官の官位が従三位と決まってるからな。
正一位〜正三位に当たるのは、太政大臣から大納言までの太政官のみとなる。
多分そういう最高ポストは、神尾や橘といった皇帝の血族で占められているんだろう。
柳也と裏葉は、神奈には個人的に信頼されているが血縁があるわけではない。
裏葉の出自は何とも言えないが、ただの傭兵上がりの柳也が出世して
近衛府の長官で従三位なら、大盤振る舞いだと思う。

まあ、教科書には律令制の官位表が載ってはいるが、
実際は官位のインフレみたいなのがあって、正三位や正二位の近衛大将や尚侍も結構いたらしい。
240名無しさんだよもん:03/02/22 15:36 ID:rXznud1N
柳也が裏葉に劣らない技術者という設定に一瞬引っかかったが
よく考えると本家で叩き上げの武術家なのに読み書きができて
書をしたためてるスーパーエリートなんだな。
子孫のなんとやくたいなきことか。
241名無しさんだよもん:03/02/22 15:38 ID:rb3YvB2T
242名無しさんだよもん:03/02/22 18:20 ID:eHa5jrue
俺一応大学で天文学やってて、つい最近卒論を書き上げたわけだが。
CD数枚分の天体写真をコンピュータに読ませてね、
雲の影響やバッドピクセルを手で消したり、コントラストを手動で調整しながら
自分の目で天体現象を見つけるっつう、とんでもなく地味で地道な仕事だったよ。
柳也と裏葉の仕事ってこういうことやってんだろうなと思うと、
妙な親近感が湧くね。SS書こうかな。
243名無しさんだよもん:03/02/23 00:02 ID:17ai3on2
けっきょく、「私(僕)はここにいるよ」。とかあいまいな感じで終わるんでしょ?
244名無しさんだよもん:03/02/23 00:07 ID:xRd9a67t
そう言えばこの間立ってたなぁ。
ほしのこえスレ…
245名無しさんだよもん:03/02/23 01:26 ID:7fZ6X89W
ここはリーフ大統領執務室。現大統領のハクロオが部下を集めて秘密会議を行なっている。
ハクロオ「ところで、例の『ルーツ』計画はどこまで進んでいる?」
ベナウィ「地球へ送り込んだエージェントから、潜入に成功したと連絡がありました」
テオロ 「攻撃艦隊のほうも準備は整ったぜ。いつでも出撃できる」
ハクロオ「了解した。それで目標地点のほうはどうなっている?」
ベナウィ「降下地点はオーストラリアのキャンベラ。ここを基点に
    オーストラリア大陸を制圧し、これを堅持する方針です」
テオロ 「もう少し派手にやれねぇか?地球全土に砲撃とかさ」
ハクロオ「まず、この作戦は地球を使い物にならなくさせるものではない。
    こちらとしても食料生産力を増加させたいという狙いがある。 
    そして彼我の戦力を考えたうえで維持できる領土の範囲を検討した結果だ」
ベナウィ「地球に拠点が置ければ未確認の『エネルギー独占』を阻止できるし、
    そこと交換に別の土地なりをせしめるにもいい条件で交渉できます」
テオロ 「だけどよ、うまく行きそうなら派手にやらせてもらうぜ」
ハクロオ「現在進行中の恒星間航行の件といい、成功させたいものだ」
246名無しさんだよもん:03/02/23 01:46 ID:7fZ6X89W
ってなわけで、ルーツ発売が近くなってきたのでとりあえずこっちを進めました。
この作戦の狙いは人類、そしてリーフの『根源』たる地球に拠点を築くこと。

地球と火星では土壌に差があるが、それは食料生産力の差として出てくる。
穀物の生産力がそうなら、牧畜などはかなり制限されているだろう。
火星では人を養えない分アンドロイドにたよる部分が大きいと思われる。
これ以上国力を上げるには農地の拡大が不可欠のはず

ちなみに、この作戦の成否については実際にルーツがどれだけ売れたかと
作品がどれくらいの出来かで決めたいと思いますがいかが?
247名無しさんだよもん:03/02/23 01:55 ID:8i00aZY+
良いんじゃない?
というかライブ感覚で面白そうな試みだw
248名無しさんだよもん:03/02/23 20:11 ID:UGz5AqLE
俺は真性の鍵っ子だが、このスレにSSを書くために
とりあえずわれものと痕をクリアすることにしたぞ。
249名無しさんだよもん:03/02/24 09:59 ID:FknyUxim
>>237
ここでもやっぱり負け組ですか?
250名無しさんだよもん:03/02/24 10:21 ID:wlTIdzRL
で、今われものプレイ中。ハクオロすげえや……。
あんなのが葉連邦の大統領なら、火星でもなんでもテラフォーミングできるぜ。
ともに平和を愛するエルルゥ先生と霧島聖先生が、
医学の発展と葉鍵の協調のために国境を超えた医師団を結成したりしてほしいです。

>>249
戦意高揚映画なんて作ってるからなあ。枢軸国みたいに負け組になるかもなあ。
251名無しさんだよもん:03/02/24 22:13 ID:U9/ekZO2
鍵には「神様そのもの」みたいなキャラなんていないからな。
ここのハクオロは、ウィツとは切り離した設定にしとかんとまずいと思われ。
ただの元考古学者、しかしちょっとだけ武闘派(学生のころ空手をかじった事あり)
程度にしておくが吉。

そうしないとハクオロだけで鍵側を全滅させかねん。

もっとも、鍵側の裏でディーが糸を操ってるのなら話は別。
でもそうすると、鍵側のキャラがみんな雑魚になってしまうので、
やっぱりウィツはなしにしとくのが賢明。伝説ぐらいならあってもいいけど。
252名無しさんだよもん:03/02/24 23:22 ID:O0IKmXpa
翼人が現生して帝政敷いてる上に微妙に官僚主導の傀儡政権っぽいしなあ。
253名無しさんだよもん:03/02/24 23:59 ID:WLb2YOOj
>>251
心配すんな。
誰もハクオロウィツモード使おう何ざ考えちゃいないだろう。


っていや誰も使わなんだら鳳凰に乗せてどこかのチームと未知との遭遇
やらかそうとは思っていたのだがw
254名無しさんだよもん:03/02/25 00:00 ID:6lTwvsIX
>>251
そりゃそうでしょ
ヨークだって原作では恒星間移動が可能な宇宙生物だよ

ただハクオロの知能はかなりすごいけどね
255名無しさんだよもん:03/02/25 00:03 ID:Nyux5m6W
それに対抗するKeyの天才児なわけだろう。
256名無しさんだよもん:03/02/25 00:11 ID:ny2A3hHF
とりあえず新作щ(゚Д゚щ)カモォォォン
257名無しさんだよもん:03/02/25 16:48 ID:UcF1G5F7
新作書くっつっても、天使一号とaqua-Iのパートには2001 QR322基地も絡んでくるから
最低でもKanon・ToHeart・誰彼の3作品の知識が要るんだなあ。
>>159あたりの職人さんはだいたいこなしてそうだから、再降臨を待つしかない。
258名無しさんだよもん:03/02/26 02:23 ID:fHjElINj
ルーツ出るまでは死守
259名無しさんだよもん:03/02/26 14:33 ID:6zoiBxVz
>>1はどこだ?
260名無しさんだよもん:03/02/27 05:15 ID:WF0JUgXj
俺も誰彼はやってない。2chで評判聞いてからやる気が起きなかっただけなんだがw
261名無しさんだよもん:03/02/27 12:01 ID:mOyeKS4m
誰彼はキャラ萌えゲーです。
262名無しさんだよもん:03/02/27 23:03 ID:arMYLrHe
あとはルーツがどうなのか、だよな。
263名無しさんだよもん:03/02/28 19:56 ID:rmKMV2x7
保守
264名無しさんだよもん:03/03/01 00:25 ID:LVjLneJ+
ついに、「ルーツ」発動なわけだが……その成否やいかに?!
至急報告を求む!

(って買ってないのかよ!>俺
265名無しさんだよもん:03/03/01 00:44 ID:V4FkCuHQ
266名無しさんだよもん:03/03/01 22:49 ID:6l7i1TKQ
佳作という噂があるようだが買うかどうか。
とりあえず買った方、ルーツにまつわる超未来ストーリーを。
267名無しさんだよもん:03/03/02 16:07 ID:D9TannRi
これ、うぐぅとか浩之とか耕一の船に雑多なクルーってのは勿論いるよね?
なんというか、名も無きクルーというか名無しさんだよもんクルーというか
268名無しさんだよもん:03/03/02 19:20 ID:TRAE65Nn
>>267
勿論とは、大きく出たなぁw
そんなのは規模にもよるだろ。
そりゃあエンタープライズ号やヤマトみたいなでかい船だったら数百人から乗り込んでいるだろう。
だがこのスレの場合まだ技術も未発達な恒星間航行船、そんな大規模なものでは無いように思う。
恐らく>1はアポロとかそんなイメージで3・4人のクルーで行くつもりなのではなかろうか。
って言うかそんな名も無きクルーとか用意してどうすんじゃいw
269名無しさんだよもん:03/03/02 19:30 ID:D9TannRi
他に人がいるかどうかで、描写も変わるからさ
例えば船長一人とってもその船長の船での人望具合とか書いてみてから実はクルーは葉鍵キャラだけでしたってなると矛盾するなと思って

うん、いや、書いてみてからでも良かったんだけどな
がーっと突撃できず臆病になってるな。すまん


…ついついカタカナ星系っぷりと階級で銀英伝がイメージされてしまって(´・ω・`)
270名無しさんだよもん:03/03/03 01:05 ID:jZfs1Das
>>268-269
まぁ当初の思惑なんて言い出したらきりないよ。
ヨークなんて下手したら耕一一人乗りだったようにも読める。
様は書いた物勝ちさ。

ただ天使一号だと葉の宇宙駆逐艦よりさらに小さい。
駆逐艦が何人で運用してるかは知らんが天使一号なんかは軍艦というより探査船。
そう大人数とも思えないかな。
いや探査船というよりレースマシンか?
271名無しさんだよもん:03/03/03 22:17 ID:sv1801En
宇宙船のクルーについては、役割次第だろうから
葉鍵キャラだけでだいたい間に合うのではなかろうか?
銀英伝では無人で戦艦を動かすことも可能だったみたいだし。

あとは続き書いてみたいとはおもうけど、ルーツの評価が決まりきってないから
そっちはまだ様子見。天使1号のほうもどう回避させるか面白いネタが出ないなぁ

272名無しさんだよもん:03/03/04 18:50 ID:z481XfVJ
天使一号は快速艇とはいえ、超長距離飛行のための物資を積んでるからその中に何かあるかもな。
273名無しさんだよもん:03/03/05 20:37 ID:WUij8DXz
美音子 「今日は電離層(てんき)がいい。タキオン通信波もよく通りますね」
放送局員 「美音子様! 軍諜報局から、使者がいらっしゃっています!」

美音子 「またあなた方ですか」
チキナロ 「ハイ。どうもです、ハイ」
美音子 「ハクオロ閣下には色々と援助もしてもらい、感謝してはいますが
    軍部の思想宣伝(プロパガンダ)に協力するつもりはありませんよ」
チキナロ 「そこをなんとか、お願いしますです。ハイ……」

美音子 「私のラジオには、立場を超えた
    多くの人々の心の糧になってほしいから……」


“――今日の一発目! オリンポス市にお住まいの、ペンネーム
 「コン太くん大好きっ子」さんからのお便りですねー。いつもありがと!
 「辛島さんこんばんは」こんばんはー。「私は最近悩んでいることが……”




保守。
274名無しさんだよもん:03/03/05 20:51 ID:WUij8DXz
久しぶりに来てみたら話が進んでいないので、宇宙船の人々と無関係に
外伝的な話を書いてみたいんだけどいいですか?

リレーは書いた者勝ちとは言うけど、いきなり別展開の話を出したことで
あんまり反感買うのも嫌だから、書く前に一言断っておきたいのです。


あ、>>273見て分かる人は分かると思うけど、俺は銃夢ファン。
「葉鍵共催エクストリーム武闘会」とか名づけてZOTTみたいのを開催して、
ヒロインの皆さんに死合ってもらうワケですな。
275名無しさんだよもん:03/03/06 00:20 ID:1EDHlTri
>>274
どんどん書いていいのでは。もしストーリーの方向性に大きく影響を与えて他に書いてる人を
途惑わせそうならどこのチームの話を書くと一言書いてくれればいいわけだし。
276名無しさんだよもん:03/03/07 12:08 ID:nbEKDDnh
キャラがわからないよー。
277名無しさんだよもん:03/03/07 23:23 ID:k9sEmVLx
現代物理学において超分離効果の発見は一大パラダイムシフトであった。
超分離効果、EIエフェクトは特殊な力場を発生させる。
その本質はその名が示す通り力場内の物質を通常空間から分離させる事にある。
だが安定された場の中では物質はふたつの宇宙に同時に存在させる事が出来た。
その空間はアインシュタインが支配する我々の宇宙とは位相の違うもう一つの世界。
現世にありての常世の理が生きる場。
この特性により夢と思われていた様々な科学技術が現実のものとなった。

そして今日、人類は超光速技術をもその手にするに至った。

超分離効果航法。

自由リーフ惑星連邦では短く『超航法』などと記される事が多かった。

対してKeyおよび旧タクティクス地球連合帝国では典雅さにかけると頭文字

Extra
Isolate
Effect
Navigation

から『えいえん』と呼んだ。

「気取り過ぎだろ」という声は連邦はもちろん帝国内部の識者からも上がったのではあるが・・・

閑話休題

これは太陽系を越え広大な星海へと乗り出していった人々の物語である。
278名無しさんだよもん:03/03/07 23:24 ID:k9sEmVLx
>>277

  ∧ ∧   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  (,,゚Д゚) < なんつったりして
  ./  |    \_____________
 (___/



保守がてらに変な設定作ってみました。
279名無しさんだよもん:03/03/08 19:53 ID:OF+xC/DL
確かにKeyの方が呼称とか重視ししそうな雰囲気ではある(w
280名無しさんだよもん:03/03/08 23:38 ID:05PNtIBS
>>345
ななみんは うちにいるよ。
俺のとなりで漫画よんでるよ
281名無しさんだよもん:03/03/08 23:39 ID:05PNtIBS
誤爆した。スマソ
282名無しさんだよもん:03/03/09 18:48 ID:e87jKi4z
 火星。

 最も地球に近い環境に恵まれ、最も古くから惑星植民がなされた惑星。
 長年にわたるテラフォーミングは、不毛の地であったこの惑星に恵みを与えた。呼吸可能な大気、そして
動植物の育つ海洋と土壌である。
 かつてのリーフ太陽系共和国が瓦解し、Key帝国が地球の主権を奪ってからも、この第二の地球ともいう
べき惑星に遷都したことで、現在の自由リーフ惑星連邦は維持されている。

 とはいえ、火星の海の平均水深はごく浅く、高山地帯の森林限界線も地球のそれよりは遥かに低い。
 宇宙から現在の火星を見ると、ところどころ緑の部分を有した赤と青の惑星として目に映る。

 火星地表の緑の部分は、ほぼ全部がリーフ連邦政府の所有する国有林である。
 陸地の森林は、海上の藍藻養殖水域(シアノバクテリアル・ファーム)と並んで、自己再生と自己増殖を行
う重要な酸素供給源となる。そうした地域は連邦政府により生態学的に厳しく管理され、その警備は軍の任
務とされている。
 伐採はもとよりほぼ全面禁止され、単なる立ち入りにさえ、政府発行の正式な資格が求められるほどだ。

 同時に、森林は人間が住むのに極めて魅力ある土地でもある。地球よりは確実に人間にとって厳しい、火
星の環境ではなおさらだ。
 結果として、政府に繋がりのある一握りの有力者だけが、関係筋との示談によって、多額の謝礼と引き換
えに森林居住権を手にするという現状があった。
 褒められた取引ではないが、それは政府にも国民にも概ね黙認され、受け入れられている。
 森林居住権に必要なカネとコネのハードルは相応に高く、火星の決して広いとはいえない森林面積と比較
しても、人間の居住地となる割合など無きに等しいからだ。
 庶民にとって森に住むことは、最高級のメイドロボットを無数に集めてハレムを作るのと、金銭的には同じ
ような感覚だった。

 そして、その両方を思うままに実行できる、リーフ連邦ばかりか太陽系でも一二を争う富豪がある。
 火星と外惑星系に広がる数万社の関連企業を抱え、特に連邦のロボット産業を一手に支えることで知ら
れた名門。
 来栖川家である。
283名無しさんだよもん:03/03/09 18:49 ID:e87jKi4z
 来栖川家が所有するいくつもの私邸には、自然に恵まれた(厳密に言えば、擬似的に地球環境を再現し
た)火星の森林地帯に建つものも当然多い。
 芹香・綾香の姉妹が住まう私邸も、まさにそうであった。

 もともと軍による警備の行われている森林に、財界の有力者が住んでいるともなれば、おのずと警護態
勢も強化される。軍から派遣される警備隊員は、みな地球型惑星での実戦を経てきた一線級の兵士だ。
 加えて、私費で守衛や保安用ロボットも広く配置されることは言うまでもない。雇われた守衛の一人一人
に至っても軍務経験が求められ、保安用に配備されたロボットHM-13も、邸内マザーコンピュータ上で動作
するエキスパートシステムとの通信により、彼らと同等以上の戦闘能力を得ることができる。
 そんな中に、例えばバイク一台で飛び込む侵入者があるとすれば、それは愚か以外の何物でもないのだ。

   ・   ・   ・

「そのような愚かな輩を、なぜ未だに捕らえられぬのか……!」

 優秀な兵士たちを麾下に与えられておきながら、たった一人の侵入者を野放しにしている。
 来栖川家の令嬢に側仕えする執事、セバスチャン老人は奥歯を軋らせた。

 森林周辺を巡回していた兵士の報告によれば、賊は大型のバイクに跨り、フルフェイスのヘルメットに顔
を覆い隠し、誰何の問いにもかたくなに身分を明かさないという。
 いかにも「私は怪しい者です」と言わんばかりの、不遜極まる態度である。

 この日は偶然、来栖川綾香に非公式な来客の予定があった。綾香令嬢の言うには、さる高貴なお方がい
らっしゃるから、直接私にお通しせよと。
 来客の当日になって、侵入者ありとの報告が上がってきたとき、セバスチャンは愕然とした。
「……この不祥事、断じてお嬢様のお耳に触れさせるわけにはゆかぬぞ」

 事は内密に進めなければならない。警備人員全ての火器にも、消音器(サイレンサー)の装備を徹底させ
ている。
 いつも纏っている黒い礼装と違い、今は迷彩柄の戦闘服を身に付ける。
 自ら陣頭に出て指揮をとり、侵入者の確保に乗り出したセバスチャンだった。
284名無しさんだよもん:03/03/09 18:51 ID:e87jKi4z
「サー、報告します」
 一体のHM-13型ロボットが、偵察から戻ってきた。
 メイドロボットからユーザへの呼称は通例「ご主人様(マスター)」だが、軍用および準軍事用途に供される
彼女らは、代わりに「サー」を使うことになっている。

 罫線の引かれた地形図を地面に広げ、小石を並べてゆく。敵味方の現在地を示すものだ。
「目標、座標 (2.5, 1.15π) 地雷原を突破した模様。捕捉できません」
「むうぅ、賊の狙いが邸 (0, 0π) だとすれば……」
「最短経路は θ=0.15π 直線です。装輪車で移動する目標は、当該直線近傍の開豁地を好んで通行する
ものと予想されます」
「いや、賊は森の中を自在に走りおるらしい。こちらが通ると予想する道は、敢えて外してくるかもしれぬ。人
の通りがたい場所、この窪みや茂みを特段に……」
 セバスチャンは小石を手に取り、様々な指示を出していく。

「賊を邸に決して立ち入らせてはならんぞ。必ずこの場で捕らえるのだ。場合によっては、生死も問わぬ!」
「アイ、サー」
 機械仕掛けの兵士は、ごく忠実に答えた。

   ・   ・   ・

 神尾晴子は座り込んで、近くの木にもたれた。トラップのないことは確認している。

「はぁ……エライ目に遭うたわ」
 フルフェイスのヘルメットを脱ぎ、ふぅと大きく一息をつく。
 下草が高く、潅木も茂っている。乗ってきたバイクも倒せば隠れ、少しは安全だと判断された。

「宇宙港の検問もキツかったけど、こっちはそれ以上やないか」
 既に、左腕に一発被弾している。鉛の弾丸は小口径のくせに、頑丈なCNT(カーボンナノチューブ)繊維の
ツナギを突き破っていた。
 防弾性能のおかげで、弾丸が骨に達していないのが幸いだった。
「徹甲弾……APCM(縮潰金属徹甲弾)かいな。洒落にならん、思いっきり軍用弾薬やがな」
285名無しさんだよもん:03/03/09 18:54 ID:e87jKi4z
 ビーム兵器が普及して久しいにも関わらず、実弾兵器の有効性は薄れていない。
 人間を殺傷するほど高エネルギーのビームの通り道に、もし大気が存在すれば、急熱された気体は電離
して飛び去り、ビームの飛跡は真空状態となる。
 そしてビームが去った瞬間、作られた真空には周りの大気が急激に流れ込み、大きな音が鳴る。
 音のしない宇宙空間では問題はないが、大気中ではビーム兵器にもこうした「銃声」が生じるのだ。
 厄介なことに、装置にいくら趣向を凝らしても、ビーム兵器の銃声を消すことは絶対にできない。
 これに対して実弾兵器には、装薬の燃焼音を抑えるサイレンサーを付けることができる。威力を犠牲にして
亜音速弾薬を使うならば、弾丸の飛翔に伴うソニックブーム音も発生しない。
 理論的には、装置を改良すればするほど、限りなく無音に近い銃を作ることができるのである。

 実際、この森に立ち入ってから、晴子は一発の銃声も聞いていない。時々、弾丸が地味な音を立てて茂
みを突き抜けるだけだ。
 晴子もバイクに乗ってはいるが、エンジン音を立てぬよう細心の注意を払ってハンドルを握ってきた。地雷
やブービートラップを避けながらの運転には、慣れたものだ。

 兵士をなぎ倒して武器を奪い、強行突破に踏み切ることも、晴子には充分可能ではある。だが、そうはでき
ない理由があった。
 ごく個人的な面会ながら、自分は平和の使者としてここに来ているのだ。
 Keyの人間たる自分がリーフ国民に血を流させ、国家間にさらなる問題を積み重ねるわけにはいかない。
 そして、今の国家間の情勢に鑑みれば、この訪問はあくまで秘密裏に行われねばならなかった。

 ツナギのポケットを探り、酒瓶を出す。
 ほぼ純粋なエタノールの液体を一口含み、傷に吹きつける。
 しみる痛みに顔をしかめながら、晴子はつい先日の通信(でんわ)で交わした口約束を悔いていた。
「お忍びで会いに来てね、とは言われたけども……軍事施設並みの警備をかいくぐって来いっちゅう意味や
とは聞いてへん。あのお嬢も酷なこと言うわ」
 晴子はため息をつかずにはいられなかった。
286名無しさんだよもん:03/03/09 18:55 ID:e87jKi4z
 木々の奥から警備兵の足音が近づいてくる。そろそろ動き出さなければならないようだ。
 掠めた弾丸で細かな傷の付いたヘルメットを、再びかぶる。バイクを立たせながら、晴子は独りごちた。
「火星は砂漠戦のイメージがあったけど、森林戦やらされるとはなぁ……」

 晴子とて、もちろん来栖川家の警備の厳重さを知らないわけではない。
 しかし、令嬢来栖川綾香から直接呼ばれての訪問で、下手をすれば死の危険を冒す羽目になるとは、さすがに予想外の事態だった。
 綾香らしい、大味な対応だ――と笑い飛ばすには、事態は深刻すぎた。

 晴子のバイクが、音もなく進む。赤いモンスターの異名をとる二輪の猛獣は、MHD水素タービンの息を潜
め、悪路に鋭くタイヤを食い込ませてゆく。
 ネコ科の肉食動物のようなライディングテクニックを操り、決してバイクにとって通りやすくはない獣道を、
柔軟にくぐり抜けた。

 前方の深い茂みを突っ切った。
 晴子の視界に飛び込んだのは、背の低い人影だった。
「……っ!?」
 慌てて急ブレーキをかけ、バイクを止める。本来より速度を落としているといっても、生身の人間を轢けば
即死は確実なのだ。

 事実、それは生身の人間だった。軍の装備どころか、一切の衣服を纏っていない少女だった。
 小柄で平坦な体つきながら、体を鍛えているのだろうか、しなやかな筋肉の流線が印象的だった。
 持っている衣服を身に付けようとしたまま、事態を飲み込めず硬直している。
 彼女は着替えの最中だったわけだ。

 数秒の沈黙のあと。
「きゃああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!」
 倫理的に重要な数ヶ所を四肢を駆使して隠しながら、少女は声を限りに絶叫した。

「痴漢んんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんっ!!」
 近くの木に止まっていた鳥の群れが、羽音を立てて上空へと逃げ出した。
 晴子は呆気にとられていた。
287名無しさんだよもん:03/03/09 18:56 ID:e87jKi4z
 少女は目に涙を溜めて、固く握った右手の拳を怒りに震わせる。
 身の危険を感じた晴子は、とっさにヘルメットのバイザーを開き、顔を見せた。
「お、落ち着きっ! うちも女やっ、見せたって減るもんやあらへん!」
「ええっ!? ……じょ、女性のかた……ですか!?」
 少女は目を見開いた。

 少女は何かを言いかけるが、晴子は少女の手にある白い服を指さした。
「とりあえず、服着たらどうや」
「は、はい、そうですね」
 少女はいそいそと服を着た。
 素早く着られる類の衣服だった。上半身は単純な白い半袖。下半身は脚全体が露出している。吸汗性は
良さそうだが、お世辞にも身体の防護を考えているとは言いがたい。熱遮蔽も光学迷彩も無さそうだ。
 戦闘服というよりも、格闘技の胴着のようなものかもしれない。
 ともかく、晴子を追っている警備兵たちとは、明らかに質を異にする少女だった。

 晴子はすぐにバイザーを下ろし、後部座席を顎で示した。
 少女のさっきの絶叫を聞きつけて、間もなく警備兵が詰め掛けてくるだろう。
「よっしゃ。着替えたら早よ乗り! ちょっと急ぐで!」
「えっ? あ、はいっ」
 少女は一瞬不思議な顔をしたが、促されるままに座席に腰掛けた。

 バイクは二人を乗せて走る。晴子の腰につかまりながら、少女は詫びた。
「先程はすみません、その、大声を出してしまって。邸で着替えてから来ればよかったんですけど、いつもの
癖で……」
「気にせんでええ。うちもフルフェイスなんかかぶっとるからなぁ。かと言うてバイク乗ってノーヘルちゅうわけ
にもいかんし、難しい所やで」
 ノーヘルで頭に弾が当たったら死ぬしなぁ、とは言わないでおいた。
「せや、あんたにも訊いとこか。うちはここのお嬢、来栖川綾香はんに呼ばれて来た者やけど、あんたは何か聞いてへん?」
「あの、失礼ですけど……。帝国からいらした、神尾晴子卿ですか?」
「良かった。やっと話の通じる人間に会えたわぁ」
 晴子はようやく安堵のため息をついた。
288名無しさんだよもん:03/03/09 18:58 ID:e87jKi4z
「うちはこの度Keyから来させてもろた、神尾晴子。よろしくお願いするわ」
「もしかして、とは思ってたんです。綾香さんからお話は伺ってました。赤いバイクに乗ってらっしゃいますし、
近くに行くとアルコールの匂いがしますし」
(あのお嬢、要らんことまで喋って……)
 晴子が苦々しげな顔をしていると、後部座席の少女は突然、威勢の良いはっきりした声を出した。

「はじめまして! 来栖川綾香さんの門下生、松原葵と申します!」
「……えっと、あぁ、はじめまして」
「はいっ! 先程は失礼いたしましたが、どうかよろしくお願いします!」

 松原葵。来栖川綾香の門下生、近く火星の誇る武術家となるであろう少女。
 その話題は、晴子が綾香から何度か耳にしていたものだった。
 確かにこの葵という少女は、綾香の褒める通り、礼儀正しく誠実そうな、好感の持てる少女である。
 ただ、隠密行動をとっているはずの晴子にとって、この元気の良い挨拶は計算外の事態だ。葵は構わず、
先を続けた。

「あの……」
「本日は来るべき葉鍵共催エクストリーム武闘会に向けまして、私の『地球闘法(アーシャル・アーツ)』を神
尾卿に見ていただきます! 神尾卿にはお見苦しい所もお見せするかと思いますが、どうかお手合わせを
お願いして……!」
「……いや、ええんやけど」


 ――現在は激しく緊張している、リーフ・Key二ヶ国の関係。
 だが、緊張緩和への試みが軽視されてきたわけでは決してない。今回の晴子の訪葉も、最終的な目的は
葉鍵の協調にある。
 『葉鍵共催エクストリーム武闘会』を開催し、成功させることだ。

 権門の出でありながら、煩瑣な儀礼の細則に囚われない豪放な性格。神尾晴子と来栖川綾香には共通す
る所がある。何度かの非公式な電話会談で、どちらが言い出すともなく、葉鍵共催による全系規模の武闘
大会のプランが飛び出した。
289名無しさんだよもん:03/03/09 18:59 ID:e87jKi4z
 かつてのリーフ共和国時代、太陽系で四年(地球時間)に一度行われる、『P/ECE』闘技会というものが
あった。あらゆる格闘スタイルの修練を積んだ強者たちが、全太陽系から集結して腕を競い合ったという、
国を挙げてのスポーツの祭典である。
 旧共和国の衰微とKey帝国の台頭により、連邦時代には長らく凍結されていた『P/ECE』だが、今回その
名も新たに、『EXTLEAM――葉鍵共催エクストリーム武闘会』として復活させようというのだ。

 全太陽系を巻き込むともなれば、来栖川財団による巨額の出資なしには実現は不可能。
 だが、自身が武術家である来栖川綾香にとって、『P/ECE』に代わる新たな武闘大会の開催にKeyが協力
したいというのは、心から歓迎できる。
 何度かの電話会談を経て、直接の談判による詰めの交渉に移ることになった。そのために、晴子はこの
場にいるのだ。
 水面下での非公式な会談とはいえ、両国の要人が直接に会うということは極めて重要だった。


「……うわっ!?」
 葵の挨拶は途中で切れた。晴子が突然、バイクを急旋回させて止めたからだ。
「ごめんなぁ葵ちゃん、元気な挨拶は感心やけど……」

 叢の中からばら撒かれた鉛の弾が、低い音を立てて足元を削り取る。
 バイクの車体を即興の遮蔽とし、葵の体を射線から隠れさせる。

 同時に樹の上から、晴子の頭上に小銃を構えた女性兵が飛び降りてきた。
 そう思った瞬間には、打ち下ろされた銃床が後頭部に激突していた。
 ヘルメットで頭部は守られているが、頚の骨がガクンと軋む。
 一瞬のひるみに乗じて、兵士は晴子を地に押し倒した。
「座標 (0.5, 1.05π) にて目標を捕捉。援護を要請します、サー」

 草の奥から、同じ顔をしたもう一人の女性兵が歩み出てきた。
 耳の代わりに付けられた白いセンサは、彼女らが人の形をした戦闘機械であることを示していた。
290名無しさんだよもん:03/03/09 19:17 ID:e87jKi4z
 晴子の延髄に二つの銃口が突きつけられた。
 ツナギを着ているとはいえ、至近距離から徹甲弾を撃ち込まれれば致命傷は免れない。
「侵入者に即時、投降ならびに松原葵様の解放を要求します。応じない場合には、アジモフ第一規定の留保
による対人交戦権の行使が認められています」
 機械は棒読みでそう告げた。

 晴子は遮蔽をとっている葵に言った。
「……元気な挨拶は感心やけど、ちょっと今は静かにしといてくれた方が良かったかもしれんな」




―――――――――――――――用語解説―――――――――――――――

【APCM弾】
Armor Piercing Collapsed Metal(縮潰金属徹甲弾)の略。
人工重力で極めて高密に押し潰した金属を使用する。
タングステンや劣化ウランよりも遥かに大きな比重が得られ、貫通性能が高い。
原料としては、核物理的に安定で、延性に富み、産出量の多い鉛が好まれる。
貴金属や希土類を一切使わないので、コストも比較的安い。

【P/ECE闘技会】
Paramilitary/Extralegal Combat Exhibitionの略。
元来は太陽系諸方面に展開するリーフ各部隊の練成度を競い合う目的で開始された、
国家主導による軍事色の濃いイベントだった。
民営化が進んでからは、ショウビジネスとしても注目を集めるようになる。

【EXTLEAM】
EXtreme Tournament, Leaf-Empire Associatively Managed(葉鍵共催エクストリーム武闘会)の略。
神尾晴子、来栖川綾香らによって計画されている他の詳細は不明。
291名無しさんだよもん:03/03/10 13:24 ID:01Crqq9t
このスレはちょっと目を離すとカッコ面白いことになりますか。
SFロマンものが異種格闘トーナメントへと転身する様はジャンプ漫画的テコ入れを想起させられるw
292名無しさんだよもん:03/03/10 18:48 ID:q36vGwzW
>SFロマンものが異種格闘トーナメントへと転身する様はジャンプ漫画的テコ入れを想起させられる
まさに銃夢だな。
293名無しさんだよもん:03/03/11 08:30 ID:HkbKwsl4
格闘最強の耕一がどっか行ってるからなあ。
まあこのスレでは、強いのは確かでも、人外かどうかはまだわかんないけど。
まあ坂下姐さんの活躍に期待しよう。
294名無しさんだよもん:03/03/11 11:17 ID:2wIoW8qW
この状況で軍属のキャラって参加できるものだろうか。
思うに軍人出すと代理戦争色が五割り増しでシャレにならなくなりそうだが。
295282-290:03/03/12 15:42 ID:LprCAx79
【空手】
格闘スタイルの一つ。坂下好恵らが使用する。
地球最大の大陸ユーラシアの最東端にある島国で、人類の惑星進出よりも遥か昔に創始されたという。




>>282-290です。
訳あって今ネット環境がないので、投稿や資料調べに苦労してます。

平和のためのスポーツの祭典なので、とりあえず現職の軍人は参加資格なし、
またロボットも参加不可という方針です。
そこで軍人の七瀬大佐が「あたしも出るわッ!! アホッ!!」と怒り出したり、
ロボットの基本的人権を長瀬主任がとうとうと説いたりするかもしれません。

エルクゥ代表の柏木梓、ほかにギリヤギナ代表のカルラを出そうかと思います。
鍵陣営は、舞先輩が暇そうなので出番をあげたいですね。
296名無しさんだよもん:03/03/12 19:09 ID:eoQ3Cta0
>>295
いや、平和の祭典大いに結構なのだけど…
『ルーツ』計画が始まり正直それどころじゃ無くなるのではw
少なくとも失敗だけはなさそうな評判だしなぁ。
297名無しさんだよもん:03/03/13 15:02 ID:Myhd0DJI
保守っとく
298名無しさんだよもん:03/03/14 14:05 ID:kHvPg9Fh
「あんた所のロボットやろ? あんたが言うて、黙らしてくれへんか」
 地に伏したままの神尾晴子は、松原葵に救いを求めた。
 その間も二体のHM-13型保安ロボットは、ツナギの首筋に硬い銃口を押し当てている。

「ごめんなさい! 綾香さんか芹香さんがいてくれれば、管理者権限で何とかなるんですけど……!」
 赤いバイクの陰から、葵は申し訳なさそうな顔を出す。このロボットたちのユーザとして設定されてい
ない葵には、彼女らに対する命令の上書きはできないのだ。

 HM-13たちが葵の存在に気づき、互いに目配せをする。ごく短距離用の専用回線によって、圧縮と
暗号化の施された電子的な会話――もちろん、人間の耳には聞こえない――を行うためである。

『C_1よりC_2。回線を開放して下さい』
『C_2よりC_1。回線を開放――接続が確立されました』

 通常の編成では、一個分隊は二人の下士官と八人の兵士、合わせて十人からなる。八人の兵士は
さらに、アルファ(A)、ブラヴォー(B)、チャーリー(C)、デルタ(D)の四チームに分かれ、二人一組で行
動をとる。
 チームを示すアルファベットと、数字の添字。その単純な記号が、量産型HM-13たちの名前だった。

『C_1よりC_2。侵入者の捕獲と松原葵様の保護、重要性を比較評価します』
『C_2よりC_1。擬似並列演算モードに移行します。計算中――』
『C_1よりC_2。計算中――計算の終了。松原葵様の保護は命令外ですが、許可に基づいて敷地内に
立ち入る人間の保護は通常の警備任務に含まれます。
 よって、C_1一体をもって増援部隊の到着まで侵入者の確保を継続し、かつC_2一体をもって直ちに
松原葵様を指揮所に移送することが妥当、との結論を算出しました。
 計算結果を共有します』
『C_2よりC_1。計算結果の共有に成功。接続を切断します。総通信時間、0.2124秒』

 擬似並列演算とは、複数の電子頭脳を一時的に接続して、ある一つの問題処理のために並行して
働かせることだ。人間でいえば「相談」にあたる。
 C_2と呼ばれた一体が、小銃を肩に下げて葵の方へ歩いていった。
299名無しさんだよもん:03/03/14 14:05 ID:kHvPg9Fh
 頚に銃口を突きつけている機械兵士が、確認のために葵の方を向いた瞬間だった。
 晴子は反射的に動いた。

 右腕を素早くスイングすると、袖口から酒瓶が飛び出した。
 瓶をわし掴みにし、一連の動作で、頭上にあるHM-13の顔面に叩きつける。
 高い音とともに瓶が砕けた。同時に火柱が上がった。
「どうやっ! モロトフ・カクテルの味はっ!」

 エタノールは、空気中で炎とともに燃焼する。惑星植民よりも前の石油の時代には、代替燃料として用いられたこともあるほどだ。
 晴子の酒瓶には細工があり、内部に密閉されたアルカリ金属系発火剤を仕込んでいる。酒瓶が割れ
ると、発火剤が空気に触れ、こぼれ出たエタノールに一気に火を点ける仕組みだ。言葉通りの火炎瓶
(モロトフ・カクテル)だった。

 顔が焼けることを苦痛と感じないはずのロボットが、明らかに一瞬混乱した。
 可視光の他に赤外線も見える彼女らは、目の前に突然発生した強力な熱源を、急いで画像処理しな
ければならなかった。高性能なセンサが、この時は災いした。

 晴子はHM-13の背面から、左腕をがちりと食いつかせた。ちょうど人質を盾にとるような形だ。
 そして抜け目なく、右手は小銃にかけられている。
 銃口の先では、葵に近づいていたもう一体が、咄嗟に自分の小銃を構えて晴子へと向けた。

 完全に遮音された二挺の小銃が、鉛の弾丸の群れを互いの標的へと吹き付けた。
 何十本もの釘を金属板に打ち込むような音が続いて響いた。晴子に撃ち込まれるはずの弾丸は、盾
に取られた味方の機械兵士に吸い込まれた。
 数秒の連射が終わり、弾倉が空になると、晴子は引き金から指を離した。

 晴子に撃たれたC_2の方は、地面に膝を落として活動を中断した。
 防弾装備のHM-13といっても、数メートルの距離から弾倉一個分の徹甲弾を胴体に撃ち込まれれば
無事ではすまない。自分の装甲も貫通できないような銃など、ぶら下げていても無意味というわけだ。
300名無しさんだよもん:03/03/14 14:06 ID:kHvPg9Fh
 C_1の方は、既にセンサ系統の混乱から立ち直っていた。
 背面に掴みかかっている晴子を、アクチュエータの力で強引に振りほどく。
 晴子は腰から地面に撃ちつけられた。

 小銃の弾は尽きている。予備の弾倉を取り出す暇はない。
 瞬時の判断で、腰に下げたホルスターに右手を滑らせる。その手は虚しく空を切った。

「探してんのは、拳銃(これ)か?」
 意地悪く口の端を持ち上げる。
 機械兵士の喉笛目がけて、晴子は両手で構えた拳銃の引き金を引いた。

     ・   ・   ・

 晴子は拳銃の用心金(フィンガー・ガード)に指を引っ掛け、くるりと回す余裕を見せた。
 葵は心配げに尋ねてきた。
「壊(ころ)した……んですか……?」
「人間やったら、死ぬやろな」
 言いながら、拳銃の残弾数を確認する。18発という数は、あまり充分ではないような気がした。
 晴子は拳銃をツナギのポケットに収めた。

「胴体に撃ち込んだ方はパワープラントは潰したけど、頭(コンピュータ)は傷ついとらん。喉を潰した方
は、頚部分の配線を頭と切り離しただけや。ただの機械的な故障やから、壊(ころ)したっちゅうほど大
層なもんやないわ」
「はぁ……」
「リーフの憲法て、まだロボットには基本的人権認めてへんわな?」
「えっと、この子たち(HM-13)には、まだのはずです」
「ほな、コップを割ったようなもんや。気にせんとき」

 葵を横目に見ながら、晴子は足元に倒れたHM-13の手から小銃を剥ぎ取る。
 タクティカルベストには、予備弾倉がぎっしりと詰まっていた。
 弾倉を入れ換え、遊底を引っ張る。空薬莢の飛び出す軽い音とともに、射撃のできる状態が整った。
301名無しさんだよもん:03/03/14 14:06 ID:kHvPg9Fh
 葵はふと、晴子に訊きたかったことを思い出した。
「神尾卿、あの……もしかして、追われてらっしゃるんですか」
「せやから逃げとんねん」
「何か……失礼ですが、なさったんでしょうか?」
「なさった、て……何も悪いことはしてへんよ。何やうちが侵入者や思われたみたいでな、警備の連中
が押し寄せてきよったんや。うちも門番の所で身分明かさへんのは悪かってんけど、何せ『お忍び』や
しなぁ」
「そうなんですか……。私、神尾卿が来たらこの場でお手合わせを願おうと思って、体操服に着替えて
待ってるつもりだったんです。そしたらいきなり軍仕様のこの子たちが来たので……ちょっと怖かったで
す。でももうすぐ、綾香さんが来てくれると思いますから」
 晴子は照準器越しに辺りを睨んだ。
「そら助かる。せやけど、残りの追っ手が近くに潜んどるやろからな」

 たった二体の襲撃で事が終わるはずがない。今ので、こちらの居場所は敵に知れ渡ったはずだ。
 だが、機械である敵兵は、容易には殺気を掴ませてくれない。何分の間か、異様な静寂が続いた。
 晴子は張り詰めた表情で、何も見えない叢の奥へ小銃を向けていた。
「お嬢が来るまで、無事に済むかどうか……」
 そう呟いた時だった。
 葵が目を見開いた。

「危ない!」
 同時に、晴子の脇腹を貫いて銃剣が生えた。

「なっ……!?」
 振り向くと、ギリー・スーツをかぶった兵士が、晴子の背から小銃を槍のように突き立てていた。
 葵が見たのはこの姿だった。足元のHM-13と同じ顔が、草木に偽装したフードの奥に覗いた。

 もう一体のHM-13が、葵の隣に現れた。
「松原葵様、侵入者に接近することは危険です。速やかに指揮所へお連れします」

 ロボットは葵の腕を掴むと、半ば引きずるようにその場を走り去る。
302名無しさんだよもん:03/03/14 14:07 ID:kHvPg9Fh
 CNT(カーボンナノチューブ)繊維のツナギが、脇腹から流れようとする晴子の血を吸ってゆく。
 刺客の判断の正しさに、晴子は歯噛みした。この木偶、防弾繊維の弱点を良く知っている。

 叩きつける、あるいは掠め斬る攻撃に対しては、防弾繊維(バリスティック・ファイバー)という素材は
この上なく有効な鎧となる。そして繊維の一本一本については、CNTは自然界の中でも有数の強さを
誇る物質だ。
 ところが、ナイフやアイスピックなど鋭い尖端による刺突は、繊維の隙間を押し広げることで、内側の
人体まで容易に貫通する特性がある。技術の発達によって繊維自体がいかに強靭になろうとも、それ
を編んで作り、人間が着る防具には、こうした決定的な死角があるのだ。
 金属やセラミクスの硬い装甲板を挿入して死角を狭めることは当然可能であるし、晴子のツナギもそ
うしていないはずはない。だが、鎧の継ぎ目を狙われれば弱いという構図そのものは、中世も宇宙時
代も全く変わらなかった。

 晴子は体から銃剣を抜こうと動いた。だが一瞬早く、脇腹から飛び出た刃が薄紫色の火花を放った。
 電荷が体を駆け巡る衝撃が、光の速さで晴子を襲った。銃剣から高圧電流を流されたのだ。
 体内に直接流された電気のために、全身の神経が晴子の意に反した。
 筋肉が異様に緊張する。口は大きく開いて硬直し、叫び声すら上がらない。心臓が止まらないように
耐えるのがやっとだった。両腕は力を失い、構えていた小銃を取り落とす。
 苦悶の表情を顕わにして地面に倒れ込む晴子を、HM-13は眉一つ動かすことなく見下ろした。

「何を……さらすんじゃ……っ!」
 晴子は痙攣に耐えながら、震える手でポケットから拳銃を抜く。
 発射するどころではなかった。撃鉄を起こす間もなく、HM-13の足が銃を蹴り飛ばしてしまったからだ。
 抵抗の意図を認めると、ロボットは一抹の躊躇もなく腰の鞘からナイフを抜いた。

 空いた手で襟首を掴んで、晴子を立たせる。成すがままだった。
 晴子は抵抗を諦めたわけではない。頭の中では次なる行動を何通りも考えている。
 ただ、体が痺れ、何一つ実行できないのだ。

 喉の気管に切っ先を突き立てようと、HM-13はナイフを振り上げた。
 次に彼女の頭部がひしゃげた。
303名無しさんだよもん:03/03/14 14:07 ID:kHvPg9Fh
(何が……起きたんや?)
 晴子は事態を把握できなかった。

 気づくと、自分にナイフを振りかざすロボットは、そのままの姿勢で頚だけがよじれている。
 その背後に、松原葵が猫足立ちで構えている。
 HM-13の頭部を襲ったのは、葵の繰り出した上段回し蹴りだった。叩きつけた脛が側頭部のセンサの
一つを破壊していた。

 事態を把握できないのはHM-13も同じだった。
 曲がった頚を直そうともせず、その場に突っ立っていた。

 彼女の頭(コンピュータ)は、あくまで論理的に推論する。通常の敵味方識別規定(IFFプリスクリプト)
においては、葵から自分への攻撃は起こりえない。その前提で今の状況があるとすれば、到達可能な
結論は一つしかなかった。
 ロボットは音声で警告を発するため、口を開いた。
「松原葵様、同士討ちです。直ちに攻撃を止め、標的に再照準を――」
「哈(ハ)ッ!!」
 警告は何の意味もなさなかった。

 葵の咆哮とともに、HM-13の胴体へ両の掌底の連打。
「哈アアアアァァァァ!!」
 一発ごとに金属板をバットで殴るような音が響く。
 数発の衝撃をまともに受けたあと、機械は静かにその活動を停止した。


 地面に座り込み、木にもたれる晴子に、葵は駆け寄っていった。
「大丈夫ですか、神尾卿!?」
 晴子は脇腹の傷口を押さえて、苦しげに息を吐いた。
「大丈夫や……。ぎょうさん血は出たけど、内臓はやられてへん……。命に関わることはないけど、体の
中に電気ショック入れられたからな……。ちょっと、すぐには立たれへんわ……」
 足手纏いになって申し訳がない、と晴子は自嘲的に笑った。
304名無しさんだよもん:03/03/14 14:08 ID:kHvPg9Fh
「これ……葵ちゃんがやったんやな……?」

 晴子は自分の傷の痛みより、むしろ葵がHM-13を斃したという事実が気になっていた。
 葵を連れ出して去ったはずのもう一体は、既に力なく地に伏していた。
 葵のような小兵のどこに、これほどの腕力が潜んでいるのか……いや、仮に葵が筋骨隆々の大男だ
としても、ただの人間の素手で機械兵士を殴り倒すなど、常識外の行為のはずだった。

「相手は積層装甲で固めた戦闘ロボットやで……」
「はい。確かに、丈夫な装甲板を素手で壊すのはなかなかできません。特に、私みたいに基本的に筋
力の足りないファイターには至難の業です。
 そこで、装甲をパワーで打ち破る代わりに、これは掌打を通して硬い鎧の中に振動エネルギーを浸透
させる技で、内側のパーツを直接破壊するんです。
 『地球闘法(アーシャル・アーツ)』に伝わる奥義の一つ、『崩拳』と呼ばれる拳です」
「HESH(粘着榴弾)と同じ原理か……」
「えっと……多分そうだと思います。……よく分かりませんけど」
 聞いたことのない軍事用語に、葵は少し困った顔をした。

「でも鍛錬次第で、装甲板を本当に素手で破れる人もいますよ。人間の手は決して単純な肉の塊じゃな
くて、硬い骨が粘り強い筋肉で結合された網状組織です。少し空手を鍛えた人がすぐに瓦を割れるの
は、基本的に、人間の手は瓦よりずっと堅いからなんです」
 葵は誇らしげに拳を握った。

 今度は晴子が心配げに尋ねた。
「ええのか……? 葵ちゃん、自分とこのロボットをこんな壊(ころ)したりして……」
「大丈夫です。私だって、頭(コンピュータ)を壊さないように気は遣ってますから。神尾卿と同じです」

 葵は言葉を継いだ。
「それに、人が殺されそうになってるのに、黙って見過ごすなんてできませんから!」
305名無しさんだよもん:03/03/14 14:09 ID:kHvPg9Fh
 襲撃に当たっている分隊の指揮官が、緊急の通信を発する。電波を捉えて暗号を解くことができたな
ら、恐らくこのような会話が聞けただろう。
『H_2よりH_1。チームD、侵入者の戦闘不能を確認――その後、交信を断絶しました。予期しない松原
葵様の攻撃により、機能停止の模様です』
『H_1より全隊。通常の敵味方識別規定を留保し、急遽松原葵様を拘束して下さい。格闘戦用武器の
み、一時的に使用を許可します』
 Hは "Headquarters" の略である。添字により分隊長と副分隊長を指す。
 既に葵らに接近しつつある兵士たちは、通信を受け、携える小銃に即座に着剣した。



 葵は晴子をかばうように立ち、戦いの構えをとっている。
 目を閉じて、一片の殺気も放たずに近づいてくる機械の敵兵を、五感を研ぎ澄まして察知しようとする。

 森のどこかから、音や匂いがしたわけでも、ましてや光が放たれたわけでもない。
 空気の流れか、大地の震えか、虫の歩みか。晴子には分からなかった。
 何かを感じ取った葵は、目を見開いた。

「来ます!」
 葵の声が静寂を破った。
 それが合図のように、小銃に着剣を施した四体の戦闘ロボットが四方から飛びかかった。

 そこからの立ち回りは驚嘆すべきものだった。

 四本の銃剣は紫電を帯びていた。触れただけで人体の自由を奪い去る高圧電流だ。
 古典的だが、人間の捕縛用にこれほどうってつけな武器はそうそうない。
 斬撃や刺突によってダメージを負わせる必要さえなく、服の上からでも何でもいい、たった一瞬触れさ
せれば勝負はついたも同然である。

 葵は、決してその一瞬を許さないのだ。
306名無しさんだよもん:03/03/14 14:09 ID:kHvPg9Fh
 一本の銃剣が足元を刺したとき、葵の足は跳び退いている。
 もう一本が胸元を襲うと、体を反らして刃を掠らせない。
 HM-13たちの攻撃は、風にそよぐ柳の葉を槍で突こうとするかのようだった。
 彼女らが銃を撃たないのは、邸の人間に対する発砲を禁じられているためだろうが、たとえ引き金が
引けたとしても、葵に命中させることはほとんど奇跡的だった。

 背後からの一突きをかわすと、葵は突出した銃身をがしりと脇に捕らえた。
 そのままバネのように身をひねり、体勢を崩しにかかる。背後の兵士は遠心力でバランスを失い、葵
の手に一挺の小銃が残る。

 前方からの銃剣。手に取った小銃を振るい、棒術のように突きを受け流す。
 と、葵は小銃を目の前の敵に放り投げてみせた。
 顔面に突き刺さろうとする銃剣を、反射的に腕で払いのけようとしたのが兵士の運の尽きだった。

「哈ッ!!」
 鉄板をハンマーで強打するような音。
 半歩の踏み出しと同時に、葵の体重を乗せた中段直蹴りがガードの空いた鳩尾に突き刺さった。
 フェイントとしてはごく初歩的だが、少しでも計算処理を手間取らせれば、葵にとっては充分な隙だ。

 間に髪を入れず、両脇から銃剣が伸びる。
 二体のHM-13が小銃を突き出してきた。晴子は息を飲んだ。
(……キック直後のポジションに、側面から同時攻撃? ヤバイがなっ!)

「かかった! 地球闘法、『鯉魚打挺』式!」
 葵は忽然とHM-13の視界から消えて失せた。
 銃剣が空を切り、葵の体があった場所には二本の紫の残像だけが残った。
 葵は地面に仰向けになっていた。咄嗟に、背中から地面に転倒して逃れたのだ。
 二挺の小銃は標的を捉えることなく、空中で交差していた。

 背筋と僧帽筋をバネに葵の体が翻った。
 『鯉魚打挺』式――頚の筋力だけで跳ね上がるように身を起こす、この体術を名付けていう。
 跳び上がった葵は、一瞬も置くことなく両の手で小銃を押さえ込んだ。
307名無しさんだよもん:03/03/14 14:10 ID:kHvPg9Fh
 得物を押さえ込まれ、二体の動きが一瞬止まった。
 致命的な好機を献上した戦闘機械たちは、もはや葵の敵ではなかった。

 二体を活動停止に追い込むと、残る一体――最初に葵に小銃を奪われたHM-13――が、サイド
アームのナイフを抜いていた。

「葵ちゃん! 後ろや……ッ!」
 晴子の声を聞いてか、既に気づいていたのか、葵は片足を軸に体を翻す。
 体の回転に合わせ、右の裏拳が自然な流れで繰り出される。拳はHM-13の側頭部をしたたかに
打った。

 刹那、葵は苦悶に表情を歪めた。
 技ありのクロスカウンター。HM-13のナイフが、葵の肩口をぐさりと刺し貫いていた。

 先の葵の裏拳は、完全な構えで繰り出されたとはいえない。
 その威力は到底、決定的なものではないのだ。
 多少のダメージを受けても、葵に刃をヒットさせる。痛みを感じないロボットにとっては、その決心は
たやすい。
 肉を切らせて骨を断つという策だ。
 HM-13の左手は、正確かつ迅速な動きで捕縛用の手錠を腰のベルトから取り出した。

 そのときだった。苦痛に歪んだはずの葵の表情が、勝利を確信したものに変わっていた。
「哈アァッ!!」

 打突の瞬間、鉄扉に流れ弾が当たるような快音が響いた。
 葵の必殺の掌打『崩拳』は、今度こそまともにHM-13の鳩尾を正面から捉えた。
 これが決定打となった。機械仕掛けの兵士は、今度こそ活動を停止した。

 ナイフを突き立てるということは、腕の長さ分の間合いを敵自ら保証してくれるということに等しい。
 敵は自分の最も得意とする打撃の射程に、嫌でも存在せざるを得ないのだ。
 言わば、肉を切って骨を断たせ、命を奪う策だった。
308名無しさんだよもん:03/03/14 14:10 ID:kHvPg9Fh
 戦いの一部始終を見ていた晴子は、戦慄さえ覚えた。
「これが……『地球闘法』か……!」

 葵の話では、この戦いぶりを晴子自身を相手に試すことになっていたらしい。
 死の危険から自分を救ってくれた葵に感謝すると同時に、知らずに手合わせをしなくてよかったと、
心底胸を撫で下ろした。

 葵は呼吸を整えて、臨戦態勢を続けている。
 刺し傷は急所を外れていた。あるいは、葵の体さばきが外したのだ。
 次なる敵襲があるかもしれない。動き続けられる限りは、この手で客人を守りたかった。

「そこまでだ、賊めがッ! 観念せいッ!」
「やっほ〜! 葵、しっかりやってる〜?」
 二つの声が、同時に響いた。


―――――――――――――――用語解説―――――――――――――――

【地球闘法(アーシャル・アーツ)】
格闘スタイルの一つ。空手やボクシングをはじめとする地球起源の格闘技を数多く取り入れ、
最も効率的に融合させた格闘技術といわれる。松原葵、来栖川綾香らが使用。
有重力下において非常に有効な戦闘術として、リーフ軍の歩兵訓練にも採用が検討されている。
反面、もともと地球で考案されたこともあり、微小重力や無重力での戦闘には向かないという弱点もある。
松原葵は空手と中国拳法を軸とする東極流(エウルス)を使用。
やはり空手を基礎とする来栖川綾香は、ボクシングを中心に西極流(ゼピュルス)の技術も取り入れている。

【HESH(粘着榴弾)】
High Explosive Squash Head(軟頭高性能爆薬弾)の略。
対装甲車両砲弾の一種で、現実世界にも存在する。
命中すると、弾頭が軟らかく潰れた後に爆発する構造。その衝撃波は装甲板を伝播し、
車両内部の脆い部分が砕け散ることで、機器や乗員にダメージを与える。
309名無しさんだよもん:03/03/14 14:14 ID:kHvPg9Fh
一投稿に一回は、戦闘シーンをぶちこむ方針です。
おかげで話し合いまで行かない届かない‥‥寄ってかない‥‥!

セリオは別に嫌いじゃない(むしろ根谷さんヴォイスには萌える)んですが、
一山いくらの量産型HM-13は、このようにありがたくダシに使わせてもらいました。
ファンの人にはゴメンナサイ☆


>>296
構いませんよ。
「それどころじゃなくなる」過程をちゃんと書いてくれれば、それは良いストーリーになり得る。
映画『シュリ』のイメージですかね。
310名無しさんだよもん:03/03/15 09:53 ID:jHG3QnhQ
保守
311名無しさんだよもん:03/03/15 14:04 ID:fqg+pWUm
SS書いた人に感想もなしか
このスレもうだめぽ
312名無しさんだよもん:03/03/15 15:33 ID:LDM0oHp5
そう言う自分が何の感想も出してない所を見ると>311は件のSSの作者さんかいな。
あーそうね、銃夢やりたいのね。
うん、晴子も葵もカッコよく書けてて素敵だね。
これからも頑張ってねー。
313名無しさんだよもん:03/03/16 09:40 ID:JH7fNwGo
応援あげ
314名無しさんだよもん:03/03/16 09:40 ID:XEaOSefX
315名無しさんだよもん:03/03/18 03:59 ID:MLl+4Mpl
なんと言うか天使一号パートは難しいよ。
現状を例えると車で森を突っ切り逃走しようと言う奴を犬が四匹で追い詰め様としているといった所か。
本気で走れば犬は車に追い付けない。
だが車が本気を出すには森は障害物が多すぎる。

ところが現実には犬より車の方が鼻が優れ小回りも効くであろうという問題がある。
おまけに森は広く実際の状況としては車は難なく犬を避け森を抜けられそうなのだ。

話の流れ上天使一号はピンチなのだが実際はさほど切迫しては居ない。
この状況の理想と現実の齟齬が話を作り辛くしているのだろうな。
如何に森からの脱出ルートを狭め車に不利を課せるかがミソですかね。
316298-309:03/03/18 20:10 ID:MOAGenpR
ネット環境が無いというのは、やっぱり不便です。

>>311
祐一「こらこら、否定しないから信じちゃってるじゃないか、>>312の人」(うろ覚え
>>312
自分の責任の範疇外の所でそんな怒られても、はっきり言って困るわけですが、
とりあえず俺の投稿が良い感情を持たれていないことだけはよく分かりました。

続きを書こうと思いましたが、ちょっと頭を冷やして推敲させて下さい。
はぁ。ルーツでもやるか……。
317名無しさんだよもん:03/03/21 00:26 ID:+pmGqf0d
318名無しさんだよもん:03/03/22 02:17 ID:zJRSkXvB
メンテ
319名無しさんだよもん:03/03/24 00:16 ID:P4XXH11s
320>>208から勝手に続ける:03/03/25 07:53 ID:OOaHaLSw
悪いけど、私ゃ誰彼知らんからね。
------

死の危険は、覚悟してる。そのつもりの宇宙の旅だ。

俺たちの船『天使一号』は、
予定の航路を何者かに捻じ曲げられ、
佐祐理さんがそれを心底済まなそうに謝って、
久瀬のやつは相変わらず佐祐理さんにだけは甘くて、
秋子さんが周辺を調査して徒労に終わって、
香里が皇帝陛下に会ってくると言い出して……

……とにかく、いろいろあって、船は太陽-天王星(リーフの領星だ)系のL4点、
つまりまあ、リーフの支配域に直撃したわけだ。
そこのレーダーブイか何かに引っかかったんだろう、
俺たちの機影を追って、手近な基地からお出迎えが来ていた。
久瀬「どれどれ……これはリーフの駆逐艦だな」
祐一「駆逐隊がひとつ、5隻か」
俺たちの船、目だけは良い。
これほどの長距離から、艦艇数まで見分けられる。
あゆ「駆逐隊って、強いの?」
祐一「宙対宙ミサイルとか自由電子レーザーとか中性粒子ビームを撃ってくる。
   当たったら一発で星になれるぞ」
あゆ「うぐぅ、怖いよ……」
久瀬「駆逐隊1個。ごく小規模とはいえ、いきなり軍艦を叩きつけてくるとはね。
   僕らを撃墜しようと、よほど血気にはやっているのかも知れない。
   向こうはまだ、こちらに気づいていないような動きだが……」
祐一「ぐるっと迂回してやるか。連中の索敵範囲外のまま、な」
= RADAR SHUTDOWN =
すかさずコンソールを叩くと、敵艦を示すスクリーンが消えた。
321名無しさんだよもん:03/03/25 07:54 ID:OOaHaLSw
あゆ「レーダーを切っちゃうの!?」
祐一「当たり前だ。こっちから敵に居場所を教えてどうする。
   敵の陣形は分かってる。ならとにかく、身を隠しながら、素早く抜けるんだ」
学術用だが、それだけによく見える望遠鏡。
レーダーと違って自ら光を放たないそれは、この状況では頼りになる目だ。
そして、俺は頼りになるパイロットだ。
久瀬「ふむ、発想としては正しいものだね。だが……」
祐一「何だよ」
久瀬「なに、遅きに失していなければいい……そう思っただけさ」
祐一「……いちいち癇に障る言い回しだな、おい」
久瀬「怒るのは勝手だが、レーダー波が敵艦に届いているのは事実だろう。
   ならばだ。敵ももう、こちらの位置を知ったと見るべきだね。
   正確でなくても、大体の方向くらいは」
祐一「だったらどうしろって言うんだよ」
久瀬「おっと、むろん、僕は君の行動を非難しているわけではないよ。
   むしろその逆さ。敵艦にこれ以上の情報を与えない、その正しさは疑いない。
   だが念を入れて、気付いた事実の共有を図らずにはいられなかっただけだ。
   クルーの命を預かるキャプテン、この僕の責務としてね。
   気分を害したのなら、この通り謝ろう、相沢一等航宙士」
肩書きまでつけて慇懃に謝る久瀬だが、こいつとだけは気が合いそうもない。
俺はなぜ、こんなやつと同じ船に乗せられているんだか。
人智の及ばぬ神の呪いが働いてるか、
秘密裏に精神ストレス研究の被験体にでもされてるのかと思う。
祐一「下方45度に回避運動。俺だって一生懸命やってるんだ。文句言うな」
322名無しさんだよもん:03/03/25 07:54 ID:OOaHaLSw
数十分後。
久瀬の予感は当たったというべきなのか。
パッシヴセンサーを睨みつけていた俺よりも、なぜか早く、あゆが叫んだ。
あゆ「祐一君、機雷だよっ!」
祐一「!!」
目を見開いた。
あゆの指差す方向。
宇宙の暗黒に溶け込んだ、球体。
気付かなかった。黒いステルス・ペインティング。
球体の中身は、見なくても分かる。
必殺の、爆薬。

瞬時の判断で、舵をいっぱいに切る。
取り舵いっぱいなどと、口に出す余裕もない。

球体は、非常に高い相対速度で、天使一号を通過していった。
船を通り過ぎて、少し距離をおいた空間上で……
爆ぜる。
ガンッガンガガンッ、ガギン!
爆発の光から数秒遅れて、音の代わりに破片が飛んできた。
不安を誘う。その程度の装甲しか纏わない、船なのだ。
323名無しさんだよもん:03/03/25 07:57 ID:OOaHaLSw
久瀬「……機雷じゃない」
祐一「舞の真似なら、似てないぜ?」
久瀬「ええい、こんなときに悪い冗談はやめたまえ!
   これは爆雷だ。敷設された機雷にしては、相対速度が高すぎる。
   あんなあらぬ地点で爆発したのも、信管作動距離がプリセットだからだな」
あゆ「えっと、機雷と爆雷ってどう違うの?」
祐一「後で自分で調べとけ、そんなもん」
久瀬「相沢一等航宙士、君の判断は正しかった。
   敵は僕らを見つけた方角に、手当たり次第に爆雷を投下しているだけさ。
   精密誘導兵器が使えるような近い距離には僕らはいない、ということだね」
祐一「一発でも、爆雷の直撃を食らったらお陀仏だけどな」
久瀬「任せたよ」
祐一「何をだよ」
久瀬は、俺の両肩に手を置いてみせた。
久瀬「船の運命は、君の舵にかかっているんだ」
やつは爽やかに言ったつもりなんだろう。
俺はおぞましい何かが、双肩にのしかかるのを感じた。
324名無しさんだよもん:03/03/26 23:44 ID:vu9+7PB0
気が付けば新作が…って我ながら反応遅ッ!
って言うか人少なッ!!

いやはや皆鬼ごっこかなぁ。
もとより人口少なかった訳ですがw
ともかく新作ナイスっす。
切れ者な久瀬。
久瀬とは違ったベクトルで腕のいいところを見せる祐一。
わかってないくせに勘のいいあゆ。
皆良い感じでした〜。
325名無しさんだよもん:03/03/27 05:15 ID:c/liHix1
祐一「来た、来た、来やがった……!」
ぐぁ……いるわいるわ。
望遠鏡のモニターに、ちらちらと見える忍者のような影。
影は複数形。それも並大抵の数じゃない。
真っ暗な宇宙空間に身を潜めたそいつらは、
海の大波のように天使一号に押し寄せてきている。
その一つ一つが、俺たちを殺せる力を託して敵艦から放たれた、爆雷なのだ。
あゆ「祐一君、あれ、爆発してる……の?」
祐一「……そうだな」
時々、地味な花火がチカチカとひらめく。宇宙の真空に音は伝わらない。
実感は乏しいが、あれに当たれば有無を言わさず、死ぬわけだ。
糞食らえである。
当たってなど、やるものか。
祐一「つかまってろ! 揺れるぞっ!」
球形の影が近づいた。
舵を切る。一瞬のうちに船側を突っ切る、影しか見えない。
重力制御で1Gに保たれるはずの船内が、確かに揺れる。
実際の加速度は何万倍のオーダーだ。
あゆ「祐一君、そこにも、そこにもっ!」
祐一「おうっ」
あゆのナビゲート。
視界の隅っこ一弾も見落とすことなく、3次元座標と速度を見取る。
モニターに見える、無数の爆雷。
モニターに見えない、無数の未来位置。
そこから船を避けさせる、たった一つの針路を見つけ出す。
俺たちの船をその細道に、意地でも滑り込ませてやる。
物理や数学の計算じゃない。直感というか呼吸というか、これが現場の操縦だ。
祐一「下手な鉄砲が当たるかっ!」
326名無しさんだよもん:03/03/27 05:16 ID:c/liHix1
取り舵いっぱい。
加速度計の針が振り切れる一瞬、船内は揺れる。
久瀬がすすっていたコップから、黒いコーヒーがこぼれた。
久瀬「丁寧に操縦できないのかね!」
祐一「ええい、こんなときに悪い冗談はやめろっ!」
久瀬「考え事をしているんです」
祐一「手を動かせよっ、手をっ!」
久瀬「適材適所という言葉をご存知ですか?
   手を動かすのはクルーの仕事、頭を動かすのがキャプテンの仕事です」
祐一「お前いい加減に……」
久瀬「敵の戦力について考えていたところでね。
   案外、敵は相沢君の操縦でも何とかなる、ごく弱小な部隊かも知れないね」
祐一「俺の操縦でもって何だよ!」
久瀬「投下型爆弾の戦略的メリットは『安い』こと、デメリットは『当たらない』こと……
   そのくらいはご存知でしょう。
   何度もの最接近、それでも僕たちがまだ無事と言うことはだ、
   この爆雷は前近代に実用化されたレーダー近接信管さえ積んでいない。
   つまり途方もなく『安く』、どうしようもなく『当たらない』。
   ここから一番近い天体……海王星L4、2001 QR322小惑星は、
   総面積わずか17万平方キロ、基地があるとしても自給率ゼロ・資源ゼロ、
   非常に苦しい経営を強いられていると考える。予算は相当締めているだろうね。
   そんな敵が僕たちを発見して慌てて来たものとすると、本国からの支援もなく、
   安価な武器で間に合わせなければならない。そんな中で、だ……
   戦闘陣形の駆逐艦に、警告もない武器使用。
   敵は僕らを本気で殺す気でいる、それは間違いない」
327名無しさんだよもん:03/03/27 05:17 ID:c/liHix1
祐一「で、要するに?」
久瀬の話が長くなりそうだったので……
と言うか、長くなったので、俺は結論を急がせた。
やつはにやりとして。
操縦席の後ろから、俺の肩をぽんと。
久瀬「この程度が、おそらく基地のほぼ全兵力を集めた、敵の本気ということですよ。
   駆逐艦5隻、その攻撃も、君の操縦でも充分回避可能なね」
祐一「……俺を元気付けてるつもりか?」
久瀬「悪い冗談はやめたまえ。戦術的所見を客観的に述べただけさ」
それなら良かった。
祐一「そうか、サンキュな……」
「艦隊」と呼ばれるような、何十隻もの武装艦艇に包囲されているわけではない、か。
実際、まぁ、良い知らせなのだが。
しかし問題は、12時方向にあった。
祐一「で、これは回避可能なのかな?」
なんて典型的な布陣だろうか。思わず笑いを漏らした。
……畜生。

モニターに見える、無数の爆雷。
モニターに見えない、無数の未来位置。
そこから船を避けさせる、たった一つの針路……。
そして避けた先が、真のキル・ゾーン。
駆逐艦の、艦砲が俺たちを睨む。
全く、分かりやすい敵だ。
328名無しさんだよもん:03/03/27 05:18 ID:c/liHix1
あゆ「うぐぅ……」
俺の袖が引っ張られた。あゆだった。
あゆ「すごく言いにくいんだけど……6時方向に機影、だよ」
祐一「はぁ!?」
俺はハニワ顔になる。
微小な点のような、ちっぽけな機影。
言われるまで気づかなかった。
だが確かに、馬鹿みたいな猛スピードで、俺たちの背後から迫っている。
祐一「何だ、何だあれは?」
久瀬「知らないね……データに、ない」
いつもの嫌味な口調だが、わずかに焦りが見て取れた。
久瀬「最新の攻撃機かもしれない。せいぜい気をつけろと忠告はしておこう。
   一応、『小隕石用装備』の使用を許可しておくよ」
祐一「そうだな」
素直に了解しておいた。
全く、分かりやすい敵だ。
そう言や、分かっていても避けられないから必殺技、とか誰かが言っていた。
久瀬「任せたよ」
祐一「何をだよ」
久瀬は、俺の両肩に手を置いてみせた。
久瀬「船の運命は、君の舵にかかっているんだ」
やつは爽やかに言ったつもりなんだろう。
俺は敵艦の艦首が、青いような緑のような光を放つのを見た。
祐一「おいおい……」
よけらける、わけが、
久瀬「総員退……」
ない。
329名無しさんだよもん:03/03/27 21:55 ID:E8IJky4n
おぉ、隔日で天使一号パートが進んでる!
>324も言ってるけどみんなかっこいいですな。
これを機に他のパートも進み出すかな?
330名無しさんだよもん:03/03/28 01:58 ID:5FT6ItZV
「艦隊」とは名ばかり、リーフ宇宙軍でも札付きの弱小部隊がある。
旧型艦の駆逐隊、それもたった1個しか保有を許されない、
その名は、御堂艦隊。
艦隊を閉じ込める辺境の小基地は、事実上の流刑島。
御堂艦隊の存在意義はただ、退役を待つことのみにあるはずだった。
しかし、僅か数時間前、兵員の誰も予想しなかった出動命令が下された瞬間、
この艦隊の運命は急転することとなる。
その中の1隻、旧型駆逐艦『エルムイ』も、今や艦隊の貴重な戦力であった。
ポナホイ「はぁ……どうしてこんなことになったのか」
エルムイ駆逐艦長、ポナホイ少佐は頭を抱えた。
ポナホイ「あのカンホルダリ司令から、やっと解放されたと思ったらこれだ……」
憎き敵国Keyの宇宙船は、我が方の投射した爆雷を避けようと動くはず。
いくつかの針路が予想され、それぞれを塞ぐべく、
貴重な駆逐艦は散開して、待ち伏せの構えをとることになった。
御堂の命令した布陣である。左遷の身とはいえ、御堂も一通りの兵法は心得る。
予想針路の1つに、敵船は来た。
その前方に、エルムイはまんまと配備されていた。
砲手「珍しく、うちの粒子加速砲が役に立つかも知れないぞ」
レーダーロックが目標を捕捉して、兵士たちは色めきたつ。
砲手がトリガーに手をかける。艦長はいつも通りの暗い表情だった。
だが、射撃の直前。
レーダー班から、ひどくうろたえた報告があった。
オペレーター「艦長! 12時方向に機影、敵機後背より高速接近中!
   こっ、これは……友軍です! 超光速系外探査船……『aqua-I』!」
ポナホイ「そ、そんな!?」
艦長だけでなく、艦内の誰もが、そのとき明らかにうろたえた。
砲手「粒子加速砲、この射程から撃てばaqua-Iも巻き込みます!」
ポナホイは頭を押さえて、うつむいた。威厳とは程遠い態度であった。
砲手「か、艦長、命令を! 早く! 敵機が逃げます!」
射撃を敢行しなければ、必ず大魚を捕り逃す。しかし友軍を巻き込むわけには……。
苦悩の結果、駆逐艦長はやっと声を絞り出した。
331名無しさんだよもん:03/03/28 02:03 ID:5FT6ItZV
ポナホイ「……発射を……」
あくまで、小声だった。
砲手「発射ですかっ!?」
ポナホイ「ええ……発射を」
砲手「い、いいんですか?」
ポナホイ「御堂司令は、友軍に被害を及ぼしても良い、とお思いですよ。
   2時間以内に敵機を破壊せねば、我々も艦ごと屠られるとも聞きました……。
   あとで戦功として認められようと、友軍を撃ったかどで処罰されようと、
   今より状況が悪くなることはまず、ないでしょう? ……ええ、撃ってください」
砲手「りょ、了解しました……撃て!!」
砲手は指示を叫んだ――が、それが実行されることは、ついになかった。

------

宇宙飛行士としては、恥かしいことなのだが。
俺はこのとき、物理的に間違った判断をしていた。
あの光がレーザーか何かなら、見えた時には既に終わりだから。

さて、俺がそのあとに見た事実を、そして事実だけを言う。
例の青だか緑だかの光。
それは一点から広がったかと思うと、
安物のSF映画のバリヤーのように、駆逐艦をすぽり、包んだ。
すると、そいつは消えた。

俺たちの前方に立ち塞がってたはずの駆逐艦は、消えた。
巨大な船体が。完全に。
文字通りに。
数秒前まで駆逐艦の存在した場所。今は、単なる真空の宇宙空間としてあった。

祐一「何だ、これは……」
わけがわからない。
332名無しさんだよもん:03/03/28 02:40 ID:5FT6ItZV

――エディ、見たか……?
――あぁ、消えたゼ、完全に……。
――あの巨大な船体が……。やれやれ、魔の外惑星宙域……。
   でかいミッションに、なりそうだぜ。

------

あゆ「神隠しだよっ!」
祐一「却下だ」
あゆ「うぐぅ」
久瀬「亜空間転送装置かもね」
祐一「こんな僻地の駆逐艦1隻にまで、実用化されてるもんじゃないだろ」
もしそうだったら、俺たちの国はとっくに滅ぼされてる。
だが、だったら何なのだ。
適当な答えが、俺に思いつくはずもない。
久瀬「さあ、不毛な議論をしている暇などない。
   君たちは背後から迫る所属不明の機影を忘れているのか?
   さっさと対応を考えたまえ」
俺が考えを巡らせていると、久瀬は苛立ったように言った。
あんな非科学的な光景を目にしながら、よくそこまで気が回る。
俺は少し舌を巻いた。
久瀬「この近距離から攻撃してこない。攻撃の意図がない、あるいは非武装か」
祐一「天使一号の巡航速に匹敵するスピード……武装を積んだ戦闘機じゃ無理だな」
状況証拠はこの通りだ。
だとすれば、やはり。
あゆ「エンブレムが見えたよ! リーフ連邦宇宙航空局――船名は『aqua-I』!」
望遠鏡を見たあゆは言った。やはり、だ。
親愛なるライバルのお出ましというわけか。
実際に逢うのは、初めてだな。
333名無しさんだよもん:03/03/28 02:43 ID:5FT6ItZV
「はー、はー……死ぬかと思ったぜ!?」
「あはは。超光速出さないでよかったね、浩之」
「超光速状態は制御が難しいし、
高エネルギーや大質量物体と衝突したら何が起きるか分からないもんね」
「つーか誰だよ、こんな機雷撒いた馬鹿は! 殺す気かよ!」
「うわぁーヒロってホント物知らないわね〜。
コレ爆雷よ、バ・ク・ラ・イ。爆雷と機雷の区別もつかないのアンタ?
無知は罪なりって言ってんでしょこのあたしがいつもいつも」
「うるせえよ」
「何ですってぇ!? 言葉を慎みなさいよ!?
アンタみたいなものぐさ三年寝太郎が誰のお陰で快適な2008年宇宙の旅を
約束されてると思ってんのよ! この超弩級通信士志保ちゃんの日々の努力と……」
「まぁまぁ志保、けんかはやめようよ。浩之ちゃんも、言いすぎだよ」
「『うるせえよ』しか言ってねえ……」
「ところで、船籍不明、つまりKeyの新型宇宙船と、随分接近しちゃったね」
「え、そーなの? よーしアタシ一発電話かけてみよーっと」
「こら志保、よせ! 相手はあのKeyだぞ!
身ぐるみ剥がれて骨まで切り刻んで喰われるのがお前だけならまだしも、
他のクルーまで危険に晒すようなことすんじゃねえよッ!」
「浩之ちゃん、言いすぎだよ!」
「………」
「フフ、無知は罪なりよ、ヒロ。特に文化的無知は、ね」
334名無しさんだよもん:03/03/28 02:47 ID:5FT6ItZV
今日のおすすめ。
『MASA Pavilion 3 ...Journey to Planets』
ttp://masa-p3-rw.hp.infoseek.co.jp/planet/index.html

特に「ブルー・ビーナス(3D全図)」は感動モンです。
テラフォーミングされたKey領金星はきっと、
こんな感じになっているんでしょうね。
ttp://masa-p3-rw.hp.infoseek.co.jp/planet/venus_3dmap01nomen.jpg
335名無しさんだよもん:03/03/28 04:55 ID:Alvik8QW
やっほう!
今日も新作キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!!

『天使一号』と『aqua-I』、役者が揃っていよいよチキチキ恒星間横断レース
の始まりですね!

また駆逐艦の始末に今が旬のRoutesネタをかぶせてくるとなんとも粋な展開。
宗一にエディーも出てきて今後の盛り上がりが期待されますな。
しかし宗一がこっちに出てきているという事は地球で進んでるRoutes作戦は
あっち主体で動いてるんでしょうな。
大統領直属の情報機関、イヤー楽しみっす!
336名無しさんだよもん:03/03/31 02:14 ID:XxxqEwmO
めんて
337名無しさんだよもん:03/04/01 02:07 ID:+5IBSogf
思いついたけど、明日は会社だ
寝よう
338名無しさんだよもん:03/04/02 11:03 ID:fY3EN8Zr
>337は無職プータロー
339名無しさんだよもん:03/04/03 00:19 ID:dnNdQAsP

340名無しさんだよもん:03/04/03 08:01 ID:mP5WvT4z
久しぶりに『アインシュタイン・ロマン』のビデオ見てるけど
やっぱ良いなあ。
R_ij - (1/2) g_ij R = - k T_ij マンセー。
341名無しさんだよもん:03/04/04 03:28 ID:KKX5d2pc
藻前はその方程式が何元連立何階微分方程式なのか
理解してマンセーしてるのかと小一億年(略
342名無しさんだよもん:03/04/04 08:31 ID:CKS5ptTp
R_ijはリッチテンソルで時空の曲率、
g_ijは計量テンソルで重力ポテンシャル、
Rはスカラー曲率、
kは定数、
T_ijはエネルギーモーメンタムテンソル、
10元連立非線形偏微分方程式と
アインシュタインロマンの第4回で言ってましたが。
343星を見るひと 1/5:03/04/06 04:54 ID:Wglt8pNZ
祐一「目の前の駆逐艦が、何か知らんが消えたんだ。
   敵が5隻をばらして配置してるなら、とりあえずここを正面突破するぞ。
   他の連中が来る前にな」
久瀬「後ろの機影にも近づくべきではないからね。良いだろう。
   全速力を出したまえ」
祐一「言われなくても!
   あゆ! 今俺たちはどこにいる?」
あゆ「えっと……太陽から30天文単位とちょっと!
   海王星軌道を抜けたところ! すぐ前、彗星の巣、カイパーベルトだよ!」
祐一「そろそろ、この船の本領発揮と行きますか……」

久瀬「……待ちたまえ! 通信回線に入られている!」
あゆ「電波源、後ろのaqua-Iからだよっ」
祐一「そっちの対応は任す! 俺は超光速ドライブの立ち上げで忙しいんだ!」

あゆ「あの、祐一君……」
祐一「この忙しいときに、何だ!」
あゆ「前の彗星から、ガンマ線が見えるんだけど……」
祐一「それがどうしたっ!」
あゆ「うぐぅ……何となく、大丈夫なのかな、って……」
344星を見るひと 2/5:03/04/06 04:55 ID:Wglt8pNZ
金星の夜は本当に長い。
屋上から、星空へ、私はゆっくりと顔を上げた。
私の瞳には星を映すことはできないけれど、
確実に知っていることが、ひとつある。
みさき「きっと、綺麗なんだよね」

私は川名みさき。
クレオパトラ天文台(金星、マックスウェル山頂付近)台長。
盲目の物理学者……なんて、ありきたりな二つ名で呼ばれることもある。

聖「こんばんは、川名さん」
地球から来た、霧島先生の声がした。
聖「本当にすまないな。私たちのような連中を匿っては、さぞ面倒だろうに」
みさき「いえ、いいんですよ。金星は旧タクティクスの自治領ですから。
   いろんな事情の人がいますから、気にしないで下さいね」
聖「せめてもの礼に、その視力を回復させて差し上げられれば良いんだが……」
霧島先生の手元から、紙ずれの音。
みさき「持ってらっしゃるの、写真ですか?」
聖「ああ」
みさき「私の脳の断層撮影を見てくださってたんですよね。
   ……私の目、難しいでしょう?」
聖「残念ながら……。中脳から大脳皮質視覚野にかけての神経細胞集塊が
   根こそぎ破壊されている。脳を一から作りでもしないと、視覚は形成されない。
   すまない。せめて私が今の3倍名医であれば……」
みさき「大丈夫ですよ。目が見えないのは、昔からですから」

そう。
私は美しい景色を見ることはできないけれど、
物理学の理論を知ることで、宇宙の美しさを感じることができる。
だから、今はこの宇宙が好き。
もう別の世界に行こうなんて考えないからね、浩平君。
345星を見るひと 3/5:03/04/06 04:56 ID:Wglt8pNZ
みさき「それに美凪ちゃんが来てくれて、私は嬉しいんですよ。
   あの子、望遠鏡を誰よりも上手く使えるから。望遠鏡も喜んでると思います」
聖「うむ、なんたって天文部の部長さんだからな。
   ……そうだ。なんでも遠野さんから、これを見てほしいとのことだ」
霧島先生が、手の中から一枚の紙をくれた。点字訳の文書。
聖「天使一号の飛んでいる、カイパーベルト辺りを見た結果らしい。私にはよく判らないが……」
みさき「カイパーベルト天体、最新の観測結果……ですか。
   彗星の……先行観測……軌道要素を求めて……理論値、実測……?
   質量を見積もって……温度も……?」
聖「質量の計算か何かが大きく狂っちゃって、てんてこ舞いらしいんだが……
   おい、川名さん、どうした?」
霧島先生が心配げな声を上げた。
そのはずだ。きっと私は、心配されるような表情をしている。
みさき「大変です……!
   これが本当なら……大発見か、大事故になるよっ!」

私と霧島先生は、電算機室に駆け込んだ。
みさき「美凪ちゃん!」
美凪「……川名先輩……おはこんばんちは」
みさき「うん、おはこんばんちは! それで、解析の結論だけど!」
美凪「……はい。……彗星核の自転、軌道運動やダスト放出量も考慮すると……
   ……よく説明するモデルは、これしかありません」
みさき「私も急いで確認したよ。化学組成の評価も大丈夫?」
美凪「……分光観測によれば、典型的な彗星の組成です……。
   ……水の氷と、少量の有機物、それに岩石質のダスト……」
みさき「うん、その組成じゃありえない質量だね。ホーキング放射は出てるの?」
美凪「……探査機で接近してガンマ線が見えれば、確実な裏付けになりますけど……。
   ……地上観測では……温度が普通の氷より高いのは判ります」

聖「あー……すまない、話が見えないんだが」
霧島先生が、わびしそうに言った。
346星を見るひと 4/5:03/04/06 04:56 ID:Wglt8pNZ
聖「ブラックホールだと!?」
美凪「……はい、ブラックホールです」
みさき「うん、ブラックホールだよね」
三者三様。

聖「太陽系にブラックホールだなんて、そんな馬鹿な話はないだろう。
   太陽も惑星もみんな吸い込まれてしまうじゃないか」
美凪「……それは大丈夫……ブラックホールも、万有引力に従うただの天体だから……
   ……事象の地平面に近づかない限り、吸い込まれはしません」
みさき「たぶん、この彗星は、原始ブラックホールを閉じ込めてるんですよ」

宇宙のごく初期に誕生した、原始ブラックホール。
密度のゆらぎから、たくさんの超小型ブラックホールが生まれたのだという。
ホーキング放射というプロセスで、小さいものは一瞬のうちに蒸発するが、
一部の大きなものは、以来の137億年を生き残っているかもしれない。
でも、どのくらい残っているか、具体的な数は理論から推定するしかない。
一立方光年に数個とする説から、銀河団に一個以下まで、百家争鳴。

みさき「密度と化学組成は、ほぼ水に一致。なのに、質量だけは普通の倍以上」
美凪「……彗星核の自転を調べれば、よく判ります……
   ……彗星内部の一点に、彗星自身と同じくらいの質量が集中してるんです」

生き残った原始ブラックホールが太陽系にやってくると、
天体を貫通するごとに潮汐力で減速され、
最終的には互いの重力により、ブラックホールは天体内部に束縛される。
通常空間に存在するタージオン――私たちにとっては、それで何の問題もない。
聖「問題がないなら、どうして大事故なんだ?」
美凪「……天使一号は超光速船……タージオン‐タキオン相転移を行います」
みさき「タキオン相転移の際に、通常空間内の質量は虚数にひっくり返りますけど、
   その分の質量は、都合良く消えてなくなるわけじゃないんです。
   量子ワームホールを作って超空間に逃がし、目的地で再結合しないといけないんですよ」
347星を見るひと 5/5:03/04/06 04:57 ID:Wglt8pNZ
美凪「……タージオン‐タキオン相転移に必要な量子ワームホールは
   ……量子力学の不確定性原理を矯正しなければならないくらい、微妙な存在です」
みさき「そんな付近に、もしブラックホールという
   量子ワームホールに比べれば遥かに激しい、時空の歪みが存在したら……」
聖「どうなるんだ?」
私は神妙な顔をして言う。
みさき「そこから先は、誰にも判りません。
   素粒子にまで分解されるか、ブラックホールになるか、別次元へ飛ばされるか……。
   ブラックホール近くで超光速を出す実験をした人は、人類にはいないですから」

そこまで言うと、三人は静まった。
348名無しさんだよもん:03/04/06 04:57 ID:Wglt8pNZ
クレオパトラ天文台というのは、金星のイシュタル大陸、
マックスウェル山にあるクレオパトラ・クレーターに建てられているからです。

そうそう。
自分で書いておいてアレですが、>>322の科学的な間違いに気づいてしまいました。
>球体の中身は、見なくても分かる。
>必殺の、爆薬。
そもそも地球上で使う爆弾は、
爆発の衝撃波が周りの大気(水雷兵器なら周りの水)に伝わってダメージを与えるので
空気のない宇宙空間では、爆薬だけだとほとんど効果がないんですね。
おそらくこの爆雷というのは、第一次大戦の榴散弾や現代の破片手榴弾のように
むしろ軽装甲目標に、小片を数撃ちゃ当たるでばらまいて攻撃する類のものでしょう。

>>342
第4回「時空・悪魔の方程式」は結構トンデモですよ。
349名無しさんだよもん:03/04/06 16:23 ID:n8cwkKYS
大八郎とかさくやとかどうするよ?
350名無しさんだよもん:03/04/08 19:08 ID:xuqsYhWo
キャッチャー
351名無しさんだよもん:03/04/12 02:52 ID:/XU3WOaR
保守
352名無しさんだよもん:03/04/13 20:26 ID:QtB5s3J0
sage
353名無しさんだよもん:03/04/14 01:56 ID:a3tzQvcc
>星を見るひと
駆逐艦と言う障害がなくなりaqua-1も登場、伏線張られた役者も揃った。
さぁ、いざ発進!!
ってなるかと思ったらここに来てブラックホールで足止めって、あーた!

どうもこの件はセルフリレーしていただかないと誰も書けないみたいっすよ?
と今ごろ感想。
批判的な内容だから差し控えていたのですが…
まぁ、こんな状況ですから書いてみました。
354名無しさんだよもん:03/04/15 00:34 ID:ZkuIU8sR
保守がてらにニュース

世界初、電子レンジ電磁波で飛ぶロケットを東大が開発
ttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030414-00000403-yom-soci

こういうニュース見てるとわくわくするよね。
355名無しさんだよもん:03/04/16 22:25 ID:NT57IHFn
燃料を持ち上げるのにさらに燃料が必要ってのは効率悪いからねぇ
356名無しさんだよもん:03/04/17 01:32 ID:a2H79+6X
《天使一号 久瀬》
我が船の背後より、かの国の光速船の姿が迫りつつあった。
通信機がけたたましく鳴り響く。かの船が通信波を送ってきているのだ。
いかなる警告か知らないが、受けて立つのが船長の責務。僕は送話器を手に取った。
久瀬「どなたですか?」
志保「もっしもしー!! あたしリーフの超売れっ子通信士、その名は長岡志保chanよ〜っ☆」
スピーカーがハウリングを起こした。
この僕による統御のもと船内に築かれた秩序を、乱雑にかき擾す、甲高い嬌声。
久瀬「うるさいっ!!」
頭にきた僕は、送話器をコンソールに叩きつけた。
一瞬の沈黙のあと、すぐに相沢一等航宙士が文句を言ってきた。
祐一「何で切るんだよ!?」
久瀬「黙りたまえ相沢一等航宙士! あんな作法も何もなっちゃいない相手に対して、
僕はまともな会話はできないし、またそれを望みもしない」
祐一「そんな勝手なことでいいのかよっ! 領宙侵犯の警告とかだったらどうすんだ?」
久瀬「だったらもう少し、マシな言い回しがあるだろうさ!」
再び、通信機がけたたましく鳴り響いた。
僕は苛立ちながら、送話器をむしり取って、吐き捨てるように言う。
久瀬「まったく! 今度は何ですか!」
佐祐理「久瀬さん……」
あろうことか、スピーカーから響いたのは女神からの託宣だった。
久瀬「くくっ倉田さんっ!? こ、これはこれはご機嫌も麗しくっ」
佐祐理「あの、佐祐理、ご迷惑だったでしょうか……?」
久瀬「そそそんなことは一切! 我が船の通信回線は倉田さんのために開かれていますとも!」
佐祐理「じゃあ、祐一さんいますか?」
久瀬「ぐはっ……!」
僕はにわかに視界が霞むのを感じた。眼鏡が曇ったせいではなかった。
涙を溜めて相沢一等航宙士を睨みつけながら、送話器を彼に渡す。
祐一「ああ、佐祐理さん? そうなんだよ、久瀬の奴がさ……」
相沢一等航宙士の姿は、さぞ楽しそうに思えてならなかった。
357名無しさんだよもん:03/04/17 01:32 ID:a2H79+6X
《aqua-I 藤田》
志保「何なのよあの態度! いきなり電話切ることないじゃないっ! あれからずっと話し中だし!」
狭い船内で、志保が一人で怒っていた。うるさいったらありゃしない。
志保「はぁ。あんな連中と仲良くしてやろうとしたあたしが馬鹿だったのよねぇ」
浩之「おめー文化的無知がどうとか、立派なこと言ってたのはどうしたんだよ」
志保「知るかってーの。もういいわヒロ、追い抜いて先に光速越えするわよ」
浩之「言われるまでもねえよ。雅史、準光速まで加速だ!」
雅史「オッケー、浩之」
雅史が加速レバーを引いた。
舷窓が暗さを増す。
星々の光が七色の虹となって、前方に密集したリングを作る。
オレも、あかりも、雅史も、志保も、みんな、見とれていた。
あかり「きれい……」
スター・ボウ。
光の速さに近づいた者だけが見える、宇宙のスペクタクルって奴だ。
志保「……変ね。あいつら、追い越されたってのに動く気配がないわ」
現実に引き戻された。
いつの間にか、本当あっけなく、オレたちはKeyの船を遥か後方に引き離していた。
すれ違いざま発砲というセンも考えなくはなかったが、敵もさすがにそこまで卑怯じゃないな。
あかり「船内で何かトラブルがあったか、会議か何かしてるのかもしれないね」
浩之「だったら好都合。可哀想だが先を越させてもらうぜ。あかり、軌道計算行くぞ!」
あかり「えっ……うんっ!」
あかりは『浩之ちゃんはやる気になれば何でもできる』と言うが、絶対そんなことはない。
オレに超光速航法の計算ができるのは、前日に慌ててあかりと勉強会を開いたお陰だ。
超光速に入る準備の軌道計算は、オレの大嫌いな物理の計算なのだ。
SFじゃボタンひとつで飛べるワープ航法。現場ってのは、そんなに簡単じゃない。
時空の曲率だとかエネルギー運動量テンソルだとか、とにかくややこしい。
周りの宇宙空間の質量分布、aqua-I自身の作り出す時空の歪み……。
苦労して計算したあげく、少しでも条件が変われば、最初からやり直し。
アインシュタインの糞ったれ。
奴が相対性理論なんか発明したせいで、光速ひとつ越えるのも厄介だぜ。
358名無しさんだよもん:03/04/17 01:32 ID:a2H79+6X
《天使一号 月宮》
一同「ブラックホールだって!?」
佐祐理さんの通信を聞いて、皆がいっせいに叫んだ。
うぐぅ、ボクも嫌な予感はしてたんだ。
佐祐理「はい。金星の天文台から、緊急通信があったんです。
   その宙域のある彗星が、マイクロブラックホールを抱えている可能性があるって!」
あゆ「うぐぅ、ブラックホールなんか飛行コースにあったら……
   タキオン転移の最中に、時空の歪みをまともに受けちゃう! 大変だよっ!」
祐一「事実なら大変だけどな……」
祐一君は首をひねった。
祐一「太陽系にマイクロブラックホールって、あんな理論上の代物が実在するのか?」
佐祐理「軌道計算は間違いないんです。ざっとですけど、佐祐理も検算しました。
   地上観測では見えませんけど、マイクロブラックホールならガンマ線が見えるはずです」
あゆ「ガンマ線が出てるのは確かだよっ。ボクがこの目で見たもんっ!」
久瀬「ふむ。なるほど……彗星程度の質量を仮定すれば……
   月宮君の観測したガンマ線強度は、その質量でのホーキング放射に一致するね。
   相沢君、倉田さんのせっかくの報告というものを、君の独断で無駄にする気かい?」
佐祐理「あははーっ……」
佐祐理さんは、通信機の向こうで困っているみたいだった。
祐一「分かったよ佐祐理さん。教えてくれて、サンキュな」
佐祐理「あははーっ。佐祐理は聞いたことを話してるだけで、何もしていませんよー」
通信がそれで終わる。
同時に、船尾に向けた望遠鏡の視界から、すでにaqua-Iがいないことに気が付いた。
あゆ「うぐぅ、aqua-Iがいない……あっ、追い抜かれてるよっ!」
すぐに前方に見つけた。
久瀬「こちらは駆逐艦に足止めを食っていたからね。
   時間をかけて加速していた連中に、速度では及ぶまいさ、残念ながら」
久瀬君は、あまり残念じゃなさそうに言った。
祐一「あいつら、あのまま光速越えする気じゃないか?」
久瀬「ふむ。だとしたら?」
祐一「知らせなきゃいけないだろ。マイクロブラックホールがあるんだぞ!」
359名無しさんだよもん:03/04/17 01:33 ID:a2H79+6X
《天使一号 久瀬》
久瀬「……通信機の使用は、許可しない」
祐一「何でだよ! あいつらがワープでもしたら大事故になるだろ! 死人が出るぞ!」
久瀬「敵に塩を送るような真似はやめることだ……」
祐一「お前なっ! 敵とか味方とか、そういう考え方しかできないのかよ!?」
あゆ「そうだよっ! ひどいよ、久瀬君!」
月宮君が相沢君に加勢すると、彼は調子付いた。
祐一「今のお前の台詞、佐祐理さんが聞いたら悲しむだろうな!」
久瀬「…………!!」
彼の一言は、僕の中の最も根源的な怒りを呼び覚ました。
久瀬「黙れっ! 僕を押さえ込めると思って、倉田さんの名を軽々しく出すな!
   僕は僕なりに、君たちクルーや我が国Keyのためを考えて決定を下している。
   その結論が、必ずしも倉田さんに喜ばれるものではないとしても、だ……」
祐一「お前……」
久瀬「喋るな! 僕の決断に伴う苦痛を少しでも理解するなら、口を挟まないでくれ!
   相沢君は操縦席へ。月宮君は監視を継続。ブラックホール彗星を回避しつつ、充分遠方に準光速で到達したまえ」
二人は不服そうに、それぞれの持ち場についた。これで、良いのだ。

《aqua-I 藤田》
あかり「この重力ポテンシャルの分布、なんか……変じゃない?」
いきなり、あかりがそんなことを聞いてきた。
あかり「何だか、変に集中してるっていうか……例えばほら、この彗星の近傍とか」
浩之「彗星なんて汚れた雪ダルマ、珍しくもねえよ。ブラックホールじゃあるまいし」
雅史「浩之、あかりちゃん、相転移の準備はできてるよ。諸元の入力を急いでくれないかな」
操縦席から、雅史の急かす声。
浩之「ほれ、雅史もああ言ってるぜ」
あかり「うん……浩之ちゃんがいいって言うんなら、いいけど……」
あかりがそう、呟いたときだった。
光が、真空を裂いて、飛んできた。
後ろの、Keyの船から、破壊的な、レーザーの、飛跡が。
aqua-Iの、すぐ横を、瞬時、奔った。
360名無しさんだよもん:03/04/17 01:33 ID:a2H79+6X
《aqua-I 藤田》
レーザーはオレたちを外れた。
代わりに、近くにあった彗星に命中して、氷の塊であるそれを粉々に砕いた。
すぐに破片が降り注いできやがった。
あかり「きゃあーっ!?」
船体がガンガンと悲鳴をあげる。
くそっ、完全な不意打ちだ。
得体の知れねえKeyの連中だが、まさか後ろからいきなりレーザーを撃ってくるとは思わなかったぜ。
浩之「野郎! 宇宙の船乗りの風上にも置けねーぜっ!!
   おいあかり、こっちも『フレミングの左手』でブン殴ってやれ!」
あかり「えっ……でも、あれは小隕石破壊用じゃ……?」
浩之「構うもんか! 使えるものは何でも使うぜ!」
『フレミングの左手』。電磁気力で弾丸を飛ばす、小隕石破壊用の軽量マスドライバー砲だ。
aqua-Iは戦闘用艦艇じゃないから、武器といえば、この程度しかない。
乏しい装備でどこまでできるかは判らないが、こうなりゃ徹底抗戦だ。

《天使一号 相沢》
久瀬「なぜ撃った……!?」
顔面を真っ青にしながら、久瀬は訊いてきた。
祐一「『小隕石用装備』の使用許可は、取り消されてなかっただろ?」
久瀬「確かに、許可は下したままだったが……!」
俺はにやりとした。
祐一「あいつらの航行の障害となる小天体を破壊した。使用目的には合ってると思うぜ」
マイクロブラックホールは、彗星核と万有引力で引き合っている。
彗星核を壊せば、寄るべを失ったブラックホールは、本来の軌道を維持できない。
宇宙の彼方に飛んでいくか、太陽重力に沈むか。いずれにせよ航行の障害ではなくなる寸法だ。
祐一「他の船が危険にさらされてるのに、それを見過ごすのは宇宙の船乗りじゃないよな」
久瀬「理由はどうあれ、警告もなく発砲したという事実は永久に残るんだぞ?
   これがあらゆる外交的、軍事的問題を引き起こすことは想像に難くない!
   馬鹿なことをして、後悔するのが君だけであればいいがね……」
久瀬はそう吐き捨てた。
361山崎渉:03/04/17 15:58 ID:BiZElejP
(^^)
213.25.170.97 , 213.25.170.97 , ?
362名無しさんだよもん:03/04/17 23:59 ID:a2H79+6X
>>353
ここ何本か書いている者です。
おそらく今回のも、お気に召さないと思いますが。
しかし、私にも言わせてください。
私は個人的に、ボタンひとつでホイホイ光速を越えてみせて、
何光年の宇宙の距離もひとっとび……なんて話だけは、書きたくないんです。

光速の3500倍でかっ飛ばすのも結構。
そうしないと登場人物が年老いますからね。
ですが、忘れないで下さい。
祐一や浩之が挑戦するのは「人類初の恒星間飛行」です。
自然が定めた絶対の壁 c を、人類で初めて破ろうとする一世一代の大仕事です。
「さぁ、いざ発進!!」のひと声で、そんな大事業にやすやすと成功されては困ります。
無数の苦難と挫折の末に、決死の思いで空を飛んだ人類史の先人たち、
例えばモンゴルフィエ兄弟やリリエンタール、ライト兄弟に申し訳が立ちません。

宇宙というのは、文字通り死ぬほど厳しい環境です。
恒星間の大海原は絶望的に広く、真空と極低温と宇宙線は容赦なく人を殺します。
加えて、この超未来葉鍵のストーリーには、
対立する二国間の政治情勢という別の厳しさもあるのです。
そんな逆境全てを押して宇宙を目指すことは、尋常な決意ではない。
「楽しい楽しい宇宙旅行」になど、なりえません。
あらゆる障害が飛行士を襲うでしょうし、事実、スレのごく初期からそうではないですか。
↓の著者に、私は深く共感するものです。
ttp://homepage2.nifty.com/eman/columns/lostsw.html

そうそう、私はご覧の通りの独自設定厨なので、ご迷惑なら誰か代わりに書いて下さい。
363名無しさんだよもん:03/04/18 00:43 ID:mp3ngG9K
>>362
「イカロス・モンゴルフィエ・ライト」
言いたい事はわからんでもないがね。

宇宙の過酷さとそれを演出せんが為に用意された彗星のブラックホール仕立て。
どういうかどんな作意が加わればあの宙域にあのタイミングであんな天体が紛れ込むんでしょうな。
宇宙の暗黒と貴方の用意した試練との間には結構な隔たりがあるように思えますな。

ついでに言うとあんたの脳内設定なんぞあんたにしかわからんのだ。
やる気があるのだったら最後まで責任を取っていただこう。
この期に及んで「ご迷惑なら〜」等と逃げ場を用意するなどいかがな物かと思うぞ。
せめて周りがあんたのいうところの宇宙の旅を実感するまで位はステラ・ポラリス足
ろうとする位の気概は見せてほしいものだ。


所で、お話は面白かったですぜ。
364名無しさんだよもん:03/04/18 01:13 ID:xxctAARy
>>363
WMAPの最新の観測によると、
宇宙の全質量の実に96%が、ダークマターとダークエネルギーです。
「そのくらいご存知でしょう?」(CV:神谷浩史)
ダークマターの候補物質のひとつとして、原始宇宙で形成されたかもしれない
無数のマイクロブラックホールというのが挙げられていますので、
それが事実なら、太陽系に10個や100個存在しても別に不思議はありません。
参照先として日本語の適当なサイトが見つかりませんが、
primordial black holes や dark matter でグーグル先生に訊いてみて下さい。

逃げ場を用意したつもりもございません。
自分の書いたものを暫くしてから見直して、
「独自設定:作るのは楽しい、作られるのは辛い」という言を思い出しただけです。
それでもいいのなら。
カエレ!と言われるまで書きますが、よろしいか?

ご愛読、ありがとうございます。
365名無しさんだよもん:03/04/18 01:36 ID:mp3ngG9K
>>364
だから直径150億Km(諸説紛々)の空間内の十個や百個だろうが(w

凹むかと思ってちょっと誉めておいたがそんな気遣いは無用だったようじゃねー。
まぁこのスレがあんたのもんだと思うのなら好き勝手やってみな。
超光速の方法を勝手にワームホールでの空間跳躍式にして、ブラックホール持ち出して
ワープが危険だなんて言い出したあんたにゃ今更かもしれないかな。
366名無しさんだよもん:03/04/18 02:58 ID:xxctAARy
>>365
はい、諸説紛紛ですね。
現代の天文学ではダークマターの正体など判っておりません。
だから極端な話、我々が見ている太陽系はたったの5%で、
その19倍が原始ブラックホールで、太陽系空間に潜んでいるかもしれないのです。
現在判っていない原始ブラックホールの存在確率を、話の中でどのように定めようとも、
それは書き手の書いた者勝ちでしょう。
(そうそう、おっしゃるように直径150億km=半径50天文単位の中に
もし100個のブラックホールがあるなら、遭遇確率はそう低くはなさそうだとも言えますね)

>超光速の方法を勝手にワームホールでの空間跳躍式にして
はあ。
今は亡き1氏は、船をトンネル効果でタージオンからタキオンへ化けさせると言いましたし、
私もそれに従って、「タージオンからタキオンへの相転移」と言っておりますが。

ただし。
1氏の設定では、実証試験の俎上に乗せられたばかりのタキオン化技術にも関わらず
あまりに完全無欠、難攻不落すぎる嫌いがあります。
タキオン化は確率制御で確実に実現でき、化けてしまえば通常空間の物質に妨げられない。
ちょっとくらい弱点じみたものがあってもいいと思うことが、
お前の勝手だと言われれば、致し方ありませんが。
(なお、光速に達するには無限大のエネルギーが要るので
実際の量子トンネル効果ではどう頑張っても確率は数学的にゼロです。念のため)

量子ワームホールを導入したのは、別に亜空間だか超空間だかを飛ぶためではなく、
言わば即席の弱点であります。量子ワームホールは不安定なのです。
説明で超空間という言葉は使っていますが、あれは虚数質量を持つタキオンに化ける際に
邪魔になった実数質量の一時預かり場所ぐらいに考えています。

とまあ、こういう独自設定厨だから何を書いても嫌がられるのでしょう。
しかし独自設定を一切用いずにSFを書ける人がいたら見てみたいものです。
367名無しさんだよもん:03/04/18 03:20 ID:xxctAARy
>>365
ひとつ気づきました。
もしかして「直径150億光年」、
つまり宇宙全体に10個や100個と書きたかったですか?

だとしたら、あなた甘すぎますよ。
宇宙初期に作られた原始ブラックホールは10のン十乗個。
多くは宇宙の歴史の中で寿命を迎えたでしょうが、
今もかなりの数が残っていると予想されるからこそ、
ダークマターの候補物質に挙げられてるんです。
368名無しさんだよもん:03/04/18 04:58 ID:XNTzweY4
>>366-367
最初に太陽系内に10個や100個って言うたんはあんたやん。
その前提をあと付けでその十九倍がどうのといいだすのはどないな話や。
それやったら最初っからそれだけの数を謳っとき。
ついでに言うとその5%内にさも10個や100個ある事を前提にしているあたりに都合のいい「嘘」がある。
しかもニュートリノ説、超対称性粒子説、モノポール説に、アクシオン、宇宙のひも説とそれこそ諸説あるブラックマターを
原始ブラックホール説に限定しているのもこのシチュのために用意された都合のいい「嘘」。
第一あの宙域は人跡未踏の地ではなくささやかながら葉の拠点もある。
あの付近には遭遇しそうなBHなぞ無かった訳だ。
だからこそあんたはわざわざBHを彗星に乗せて投入したんだろ?
あの場所あの瞬間に。

なのにそれを冷たい宇宙の掟、運命の必然のように語る滑稽さはどうよ。

断っておくが、その「設定」自体が悪いというんじゃない。
そもSFなんだしそれを持ち込むことは問題では無い。
問題は、リレーを軽視して設定をつくるその「行為」にこそあるという事を理解してもらいたい。

あ、あとわざわざ人の発言捻じ曲げて勝手な解釈付きでこき下ろそうとするそのやり口も正直どうかと思うな。


とは言え、リレー云々を語るのならば自治厨気取りより新作あげてる方が100倍益しか(w
まぁ、がんばりな。
他の書き手が出てこない以上このスレの流れはあんたの物だ。
369名無しさんだよもん:03/04/18 13:01 ID:UjG+nt8b
で、どこを斜め読みすればいいんだ
370名無しさんだよもん:03/04/18 16:32 ID:CEBkTWpV
死にかけのスレで議論すな、うざい。

そもそもそんな事で言い合う時点で、リレーなんぞ成立せん。
読み手の事もちったぁ、考えれ。

俺?宇宙の事なんぞ全くわからん。でもヤマト好きだぞ。
371葉鍵衛生班:03/04/20 07:44 ID:8dP8kqoH
  
372名無しさんだよもん:03/04/24 01:16 ID:pIRZ37ld
とりあえずメンテしとく。
生きていれば新作が投下されるかも知れぬし。
373葉鍵衛生班:03/04/25 06:54 ID:x0O4rFIf
 
374名無しさんだよもん:03/04/26 23:03 ID:TgkGWBlE
375葉鍵衛生班:03/04/27 15:16 ID:1tlnieW3
376名無しさんだよもん:03/04/27 22:43 ID:KPkLNw4h
めんて
377名無しさんだよもん:03/04/30 07:03 ID:SEs/BNrM
でんぱ
378葉鍵衛生班:03/05/03 16:01 ID:ozemDgiP
379名無しさんだよもん:03/05/04 16:51 ID:pyqa4TNr
(゚∀゚)
380名無しさんだよもん:03/05/04 22:23 ID:aA258gEk
やっぱあれだ。書かないんだったら書いてあるものを全否定しちゃいかんね。
381名無しさんだよもん:03/05/06 22:17 ID:pCCaHdA2
>>1はどこいった?
382名無しさんだよもん:03/05/08 13:28 ID:IwOcZwKF
みまもーられることもーなくー♪
383葉鍵衛生班:03/05/09 11:02 ID:rySrCReJ
 
384名無しさんだよもん:03/05/14 01:05 ID:ffyG/1Q/
ミューゼスCは無事軌道に乗ったそうな。

このスレは見事に軌道から外れちゃったなぁ(w
385名無しさんだよもん:03/05/15 21:55 ID:X5eOYYdh
保守
386名無しさんだよもん:03/05/15 22:24 ID:t1pYqSEB
かわ(・∀・)イイ!
ttp://61.115.1.12/index.html
387葉鍵衛生班:03/05/16 10:13 ID:Hh88N+Rq
388名無しさんだよもん:03/05/22 14:04 ID:f8jFMkNJ
保守
389あい:03/05/22 15:27 ID:KpZV9e8q
わたしのアソコを見て♪
http://jbbs.shitaraba.com/computer/2100/jsweb_1.html
390名無しさんだよもん
偏差値の高いスレだな