1 :
名無しさんだよもん:
2 :
名無しさんだよもん:03/01/22 00:55 ID:pNyzX+qf
また褒めて君が集まるスレができましたとさ
即死判定に引っかかる予感
そして国崎往人はチンコ出して幸せを探す旅に出た…
墓場は生きてるんだろ? なんで墓場じゃダメなんだよ。
洗車だけでもOK駄スレ
>4
「ぽ」
「にょわー!変態ーみなぎにちかづくなー!!」
みちるの右ストレートが国崎の股間に炸裂。
ぐちゃ。
スローモーションで崩れる国崎往人。
>>5 あっちのスレの雰囲気がほんと墓場、ってかんじだったので。
・完成させる気が無いものに最後の日の目
・遺棄物にかける言葉はない
・完成したとしても、二度と他スレであげてはいけません
煽りみたいになってごめん。
私個人としてはあっちはあっちでおもしろいと思ってる。
でも、ちょっと書きにくいような気がしたんです。
SSをこれから書きたいって人もいると思うんだよ。
というか、いて欲しいんだけど……
そういう人は少なからず「誰かに読んで欲しい」とか「どんな感想がくるのか」って思うんじゃないかな。
……あー、言いたいことは結構あるんだけどうまく文にできない、ごめん。
ま、このスレがいつのまにか落ちてたら笑ってやってくれ。
10 :
名無しさんだよもん:03/01/22 01:51 ID:+Qrwg9/B
気が向いたら書くわー
別にどんなものでもいんだろ?
暇だからって妙な制約つけなきゃよかったな…>>墓場
まあ頑張ってくれ。
ついでに言っておくと、手抜きのSSは叩きか放置が板のならわし。
当然住人も律儀に感想つけてくれるとは思えないので
1が頑張って全SSに感想つけてやれば人は集まるかもね。
13 :
名無しさんだよもん:03/01/23 20:42 ID:waIHXPNw
で…何とかあと12レス稼がないと即死くらう訳なのだが…
リミットあと4時間しかないよ?
小学校の時、何か(よく覚えてない)をペンキで塗ろうとして
スプレーのペンキを買ってきた。
しかし、なんかスプレーを使い慣れていないのでうまく塗れない。
スプレーより刷毛で塗った方がいいような気がしてきた。
子供ながらに考えたのはスプレーの中にはペンキの液体が入って
いるのだから、それをこのスプレー缶からなんとか出して刷毛で塗ろうと。
迷わず、台所にいき、取り出してきたのは缶きり。
裏から缶詰めのように開けたら楽勝♪
ブシっと刃を刺すと
すごい勢いで私の手から離れ、ペンキをまき散らしながら部屋中を
カーン!ゴン!ガッガーン、ゴン、ガン!カーン!
カン!ゴゴン!ゴン、ガン!カーン!
とテーブルや水屋や冷蔵庫にぶつかりながら、
スプレー缶は飛び回りました。
どうすることも出来ず、、、立ち尽くす私。
ようやく収まった時は台所は真っ赤になってました。
「ピコピコ、ガスが漏れてはいませんか?
ピコピコ、ガスが漏れてはいませんか?
ピコピコ、ガスが漏れてはいませんか?」
空しくひびくガス警報機のおねいさんの声・・・。
その直後、帰って来た母は
真っ赤な台所にこれまた、真っ赤になった私を見て
悲鳴をあげてました。修羅場だったと思います。
16 :
名無しさんだよもん:03/01/23 20:47 ID:kuZ4gYcz
ま、どーにかなんべ?
18 :
『縁側』:03/01/23 21:21 ID:Vba6CDK/
カナカナカナカナ……
ヒグラシの鳴声は夏の夕暮れをもの寂しく彩ろうとするが、辺りの日差しは依然生気に溢れている。
それでもほのかに赤みを帯びた空気が、時刻はすでに夕刻であることを告げていた。
エアコンの人工的な冷気にも飽きた美凪は、畳敷きの自室から縁側へと、ゆっくりと慎重に移動し始めた。
思ったとおり、縁側を吹き抜ける風は身を休ませるには十分に涼しい。
柱を手すり代わりにしながら、時間をかけて腰を降ろし、横座りになる。
それだけの動作を終えただけで美凪は少々汗ばんでしまっていたが、別に不快ではなかった。
むしろ風の涼気を増して感じ、心地よいくらいのものである。
「……ふぅ」
一息ついて、目を閉じた。
美凪の世界から風景が消え、かわりに周りの音が鮮明に立ち上がる。
といっても、それはセミの声ばかりであったが。
慣れ親しんだセミの鳴声は、雑音のうちにも入らない。
身を包むのは、温かみすら感じるような穏やかな夕暮れの風。
いつしか美凪は眠気を誘われ、うつらうつらとその意識を溶けさせつつあった。
蝉時雨に混じった子供達の嬌声が、美凪を眠りから覚めさせた。
あたりの空気はわずかばかりに赤みを増しただけであり、眠りはほんの数十分程度のものであったことがわかる。
それ以上の午睡に特に魅力も感じず、美凪はゆっくりと顔を上げた。
庭を囲む背の高い生垣の向こう側に、数個のシャボン玉が舞っているのが見てとれた。
―――先ほどの声は、あのシャボン玉の主のものだろうか。
ぼんやりと、シャボン玉の動きを目で追う。
そのうちの一つが、風に吹かれてこちら側へと飛んできていた。
生垣を越え、庭を横切り、縁側のすぐそばまで。
19 :
『縁側』:03/01/23 21:21 ID:Vba6CDK/
そのまま美凪の元に飛んでくるのかと思いきや、シャボン玉は美凪の眼前数メートル手前で急に上方へと勢い良く浮かび上がった。
つられて美凪も頭上を振り仰ぐ。
縁側に張り出した屋根の向こう側へと、そのシャボン玉は音も無く消えていった。
「にょわっ! 美凪、見てた見てた? 今のは良く飛んだよ!」
突然すぐ隣から声があがり、美凪は驚いて傍らを振り返る。
そこには、すでに第二弾のシャボン玉を飛ばすべく慎重にストローをくわえるみちるの姿があった。
緊張のためか少々手つきが硬い。
―――そんなに硬くなっていては、今度は失敗してしまうかもしれない。
そう危惧した美凪であったが、無用の心配であったようだ。
先ほどよりも一回り大きいシャボン玉が、ストローから宙に放たれて綺麗に舞い上がっていった。
「へへへ……」
みちるは目を輝かせながら、飛んでいくシャボン玉を見つめている。
「……上手になりましたね」
「へへ、たくさん練習したから!」
まるで美凪のその言葉を待ち受けていたかのように、みちるが素早く笑顔とともに言葉を返す。
少しばかりの照れと、確かな自負と、そして純粋な喜びとが混じったみちるのその笑顔。
ずいぶんと長い間見ていなかったものであるはずなのに、それは本当に自然と美凪の中へ染み渡っていった。
だから。
「……ぱちぱちぱち。では、よくがんばりましたで賞を進呈……」
美凪のみちるに対する振る舞いにも、自然あのころのものが現れる。
懐から取り出したあの封筒を、恭しくみちるに差し出す。
「わーい、やった、お米券だ!」
みちるもみちるでそのあまり価値もない金券を、さも神聖なものであるかのように両手で頭上に掲げて喜ぶ。
それは本当にあの頃のやりとりのようで。
20 :
『縁側』:03/01/23 21:22 ID:Vba6CDK/
(―――あの頃?)
ここで初めて美凪の中に戸惑いの念が浮かんだ。
……今の封筒はどこから? ……持ち歩かなくなって久しいはず……
……いやそれよりも、なぜみちるが? ……どうして今、ここに……なぜ? ……これは……
「いいんだよ、美凪」
芽生え始めた混乱は、穏やかなみちるの囁きで、あっさりとその芽を摘み取られた。
みちるは封筒を胸に抱えて、正面からじっと美凪の目を覗き込んでいる。
「……え?」
「うん、もうこれからはずっと一緒に遊べるんだよ」
「……それは」
「だって美凪がんばったもんね。だから」
「……だから?」
「だから、また過ごせるんだよ。美凪が生まれたあの夏を」
そう言ってみちるは、これ以上ない無邪気な笑みを顔一杯に広がらせた。
あまりにもその笑顔が素敵だったから、それだけで美凪は全てに納得してしまった。
「……そうですか。それでは」
全てを了解した美凪は、穏やかにみちるに問いかけようとした。
途端、みちるはぶすっと口を尖らせてそっぽをむいて、さも不満であるかのように答える。
「そうだよっ。あいつもいるんだ」
美凪はそれを聞いても特に表情を変えたつもりはなかったが、やはりみちるにはわかってしまうのであろう。
みちるの目の中に、「しょうがないなあ」とでも言いたげな光が浮かんだ。
それがおかしくて、微笑む。みちるも、微笑む。
二人して、しばらくの間クスクスと笑っていた。
21 :
『縁側』:03/01/23 21:22 ID:Vba6CDK/
そうして彼の気配を感じたのは、おそらく二人同時だっただろう。
美凪が「……あ」と声を上げるのと同時に、みちるが「ぬおーっ!」っと勇ましい声を上げて走りだした。
そのまま庭を横切り、門扉から勢い良く飛び出していく。
おそらく彼は、あれほどの加速がついたみちるのあいさつを受けることになるのだろう。
きっともうすぐ、彼の弱ったなんとも言えない声が聞こえるはずだ。
そしてその後、あの二人の言い争う声も聞こえてくるはずで。
その様を想像した美凪は、また少し笑った。
そしてはっと、自分がだらしなく横座りしていることに気付く。
―――これではいけない。
横に投げ出した足をしまい、背筋を伸ばしてきちんと正座する。そうして、
―――チャンスがあるかもしれませんから。
サッサッ、とスカートの上を手で払い、きちんとシワを伸ばす。
―――準備、オッケー。
膝枕をしてあげることを期待する彼女の心境は、もうまさしくあの夏のものであり、それは久しく忘れていた胸の高揚を伴うものであったのだ―――
美凪の葬儀は質素に行われた。
彼女の葬儀が至って和やかな雰囲気のもとで執り行われたのは、いつ召されてもおかしくなかったその老齢による部分もある。
だが、彼女の縁側で眠るようにして遂げた穏やかな往生。
それがあったからこその、和やかな葬儀であった。
>>22 リアルタイムで拝見させてもらいますた。
こっちのスレのを読んでちょとせつなくなって、あっち見て呆然w
このギャップは一体……
情景描写、っていうのか?
なんか周りの空間の表現の仕方が好き。
24 :
22 :03/01/23 22:00 ID:Vba6CDK/
>>23 即レスありがとうございます。
あっちもこっちも『なんちゃって叙述トリック(というほどのものでもないですけど)』
みたいなのを使って書いてみたんですが、
こっちは情景描写でごまかして、あっちは一人称でごまかしてるわけですけれども、
どっちのほうが良かったでしょう?
>>24 両方ともいいと思うけど個人的にはこっちのが好きかな。
対話もあるし、終わり方もこっちのがよかった。
全体的にまとまってる気がするよ。
いや、あくまで俺の好みの問題なんだけどねw
(゚Д゚≡ ゚Д゚)未だにセリオ?が登場しないんでつが、
ここにまとめて貼ってもいいでつか?
いいですよ〜。
はたはたはたはた……
晴天の下、はためく桜の代紋の旗。
しかしその下にある建物は、警察のものというより、どう見ても工場か
倉庫と言った雰囲気。しかもその立っている周囲も、見渡す限りの埋め立
て地。はるかに東京ビッグサイトの特徴的な建物が見える。
その、建物の正面、門の前に、変型フレームのサングラスをかけた1人
の男が、腕を組んで仁王立ちになっている。
その後ろ、建物の巨大な扉の周囲に、作業着姿の人間が何人もたむろし
ていた。
ペレレレレレ、ガチャ。
扉の一方の端の側、内側の壁にかけられていた、飾りっ気のない白いプ
ッシュホンがなったかと思うと、ワンコールも鳴り終わらないうちに受話
器が上げられた。
「ハイ、特車2課整備班」
受話器を上げたのは、こちらはオーソドックスなメガネをかけた男。彼
ははじめ、やる気なさげな口調で電話を受けたのだが、直後、
「班長〜ぉ!!」
がらりと態度が変わり、声を弾ませて、門の前で立っている男のところ
へ走って行く。
「13型パトロールリーフ3機、来栖川建機取手工場を出荷したとのこと
であります!」
直立不動で敬礼しながら、駆け寄った男の方がそう報告した。
「うむ……」
サングラス男が返事をした後も、しばらく敬礼したまま、やがてぶるぶ
ると震えだしたかと思うと、突然、ぐっ、と前屈みになりつつ両の拳を腰
の前で握りしめる。
「班長、俺はもう嬉しくて……」
そう言って顔をあげると、今度は情けない表情になって行く。
「未来警察の先駆者、21世紀の警視庁の象徴等といわれながら、その実
予算がどうの計画がこうので、実際配備されたのはセコハンを白黒に塗り
替えただけの年増がそれもたったの3体……落ちこぼれ! お荷物! 粗
大ゴミ!! などと言われ蔑まれどれだけの間苦渋をなめ続けた事か……」
29 :
28:03/01/25 00:53 ID:eV2GS/Z9
そこまで言ったかと思うと、不意に直立不動の体勢に戻った。
「しかし、本日、最新鋭リーフ3機の導入を持ってその名を返上、名実共
に警視庁のエリートの一員になるわけであります!」
メガネ男が長いセリフを言い切ると、サングラス男はふぅ、と軽く息を
吐いて、
「同志繁夫よ。我輩は小学生の頃に幼い好奇心から鉛筆画のエロマンガを
描き、親父殿にしこたま殴られた経験がある」
セリフは全然締まらないのになぜかカッコをつけて、右手の中指でサン
グラスを直しつつ、
「それ以来ただただ萌えに向かって1年365日閏年は366日邁進してきた我
輩にとって、別に他人の評判や能書き等はどうでもいいのだよ!」
大仰に手を広げるポーズをとって、サングラス男は言う。
「しかるに今日の有り様と言えばどうだ、巨大メカ娘……誰が始祖か今と
なってははっきりしないが、えむえすしょうじょなるものが出現して以来、
萌えの究極形態の1つとも言うべき存在が、今や町中を歩いているのだ!
いわんや、その最新鋭機種と日頃触れられる機会を得られるとなれば、こ
の我輩程の男が警察の整備員を目指さずしてどうしろと言うのだハッハッ
ハ! 違うかね同志繁夫?」
倒錯したセリフを口走りつつくるっと振り返るサングラス男、こと九品
仏大志だが、しかし、そこに先ほどのメガネ男、こと芝繁夫はいなかった。
「すいません、今お仕置き中なので……」
他の整備員が慌てて大志に言う、その後ろで、繁夫が逆さ釣り状態にさ
れている。
「誰が年増なんですか、キーッ!!」
と、工場の建物と同じくらいの背丈もある、巨大な、しかし見た目幼い
感じの少女が、繁夫をつかんでヒステリックに叫んでいた。
大志はキメポーズ?のまま、じわりと汗をかいた。
30 :
29:03/01/25 00:54 ID:eV2GS/Z9
Liner-actuated
Enormous
Assistance
Figure
搭乗型大形アンドロイド。
自律型AIとマニュアルオペレーションの併用により、従来の重機では到
底不可能だった、複雑さをともなう重作業の機械化を可能とした。
しかし、それを最初に実用化した者たちは、なぜかそれを少女のシルエ
ットを持たせ、以降、特にその事に言及される事もなくそのままの方向性
で発展して行った。
高所作業や建設現場等に急速に普及したLEAFだが、同時に、都市犯罪の
手段として新たな脅威ともなった。
増大するLEAF犯罪に対抗する為、警視庁は警備部特科車両二課パトロー
ルリーフ中隊を新設した。通称パトリーフの登場である!!
「はぁ〜」
建物の3階に位置する部屋の窓から、どう見てもくたびれたサラリーマ
ン警官、といった感じの中年男が、禁煙パイプをくわえながら外を見てい
た。
ガチャ、バタン……ドアが開かれ、1人の女性が室内に入ってくる。若
く見えるが、大体30中頃と言った所か。
「いよいよ今日でしたね、新型の搬入日」
「ああ、小坂さん……ええ、何事も無事に終わればいいんですけど……」
入ってきた女性の方、小坂由起子に声をかけられ、ぼーっとしていた中
年男の方、長瀬源三郎は振り向き、応えた。
その直後、開け放たれていた窓から、車が加速して行く音が聞こえた。
「本庁の連絡車ですね、こんな所まで来るなんて珍しい」
由起子が言う。すると源三郎が、めんどくさそうに立ち上がった。
「どうやら人間の方が先に到着したみたいだな」
31 :
30:03/01/25 00:55 ID:eV2GS/Z9
ボーゼン
その場に降り立った人間は、まさにそんな状態で立ち尽くしていた。
やがて、その中の1人の青年がぼそぼそと言いはじめた。
「……オレこんなのビデオの映画で見た事ある、零戦なんとか一家とか…
…男ばっかりで酒飲んで博打やって殴り合って仲直りして……そんな恥ず
かしいヤツ」
「それは軍隊じゃない……」
一緒に突っ立っていた女性の1人が、少し呆れた口調でそう返した。す
ると、青年の方も言い返す。
「階級があって鉄砲が持ってて、何が違うってんだよ」
「少なくとも都内の光景には見えないよなぁ……」
別の、一番背の高い青年がそう呟いた。
「逃げ出すんなら今のうちだと思わないか?」
先ほどの青年が冗談半分、しかし残り半分は確実に本気でそう言った。
「逃げ出したいならそれでもいいわよ、脱走者として私が制裁してあげる
から」
と、女性が物騒なセリフをさらりと言う。
「それじゃ軍隊ですよ……」
それまで黙っていた、さらにもう1人の小柄な青年が、呻くようにそう
いった。
「はーいはい、ようこそ特車二課分署へ。全員辞令をもって隊長室に集合
ぉ〜」
と、窓からメガホンで、源三郎が怒鳴る。
「ほーら、見つかっちゃったじゃないか」
言いつつ、青年達は荷物をもって、建物の方へと走り出す。
32 :
31:03/01/25 00:56 ID:eV2GS/Z9
「それにしても、5人じゃ欠員が出てるじゃないですか、大丈夫なんですか?」
由起子が源三郎に聞き、源三郎は何が嬉しいんだか笑いながら答える。
「なに、いざとなったら私も入れれば6人だ、なんとかなりますよ」
「……カミカゼ管理職ですね」
由起子が呆れたように言うと、源三郎は悪戯っぽくウィンクして、
「それはお互い様でしょ」
と言ってから、軽く一息つく。
「だいたい、まだ本庁のリーフ搭乗車要請の体勢ができてないだから……
5人確保できただけでも……あれ?」
そこまで言って、源三郎はある事に気が付いたように、再び窓の外を覗
き込む。
「ひとり足りないな……?」
そう呟いた時、今度は外から、軽い音質の爆音が聞こえてきた。
バォーンッ!!
「うわっとと」
正門から建物の入り口へと至る通路を、歩いていた青年達が、背後から
の爆音に驚いて飛び退く。そこを、250ccか400ccぐらいの大形スクーター
が走り抜け……たかと思うと、すぐ前方で、ターンしながら停まった。
ヘルメットを脱いだのは、少女と見紛うばかりの小柄な女性。
「葵ちゃん!?」
と、先ほど悪態をついていた青年が驚いたように言った。
「おひさしぶりです、先輩!」
葵と呼ばれた小柄な女性が、青年に対して答える。
「久しぶりはいいけど、こんな所でなにやってんの?」
「貴方みたいなカワイイ子が、こんな所にいると、変なお兄さん達に食べ
られちゃうわよ?」
33 :
32:03/01/25 00:56 ID:eV2GS/Z9
青年の言葉に割り込むようにして、一緒にいた女性が苦笑しながら言っ
た。青年は、どう言う意味だよ、と視線で返すが、女性には堪えていない。
すると、葵は直立不動で敬礼して、
「申告します、松原葵は、本日付けで特車二課第2小隊に配属になりました!」
そう言ってから、今度は深々と頭を下げる。
「よろしくお願いします」
「では、まず配置を発表する」
隊長室に、直立不動の1列横隊で並んだ隊員に、源三郎がメモ書きのよ
うなものをみながら言う。
「特車221、フォワード、松原葵。指揮車、藤田浩之。特車222、フォワー
ド、太田香奈子。指揮車、長瀬祐介。電源クルー、柏木耕一。以上」
一気に言い終えて、それだけで疲れたと言う表情で、源三郎は軽くため
息を付いてから、
「さて、これよりメーカーより新型リーフの受領ならびに初期設定を行う
わけだが……」
と、濁すようにしてとこで言葉を止めた。
その時、窓の外から、
「班長ぉ〜」
という、繁夫の声が聞こえてきた。
「まだもう少しかかるようだから、とりあえず先に昼飯食っちゃってくれ
や」
34 :
29-33:03/01/25 00:57 ID:eV2GS/Z9
∧||∧
( ⌒ ヽ ここまでは墓場スレに一度UPしたものの修正版です
∪ ノ
∪∪
35 :
33つづき:03/01/25 00:58 ID:eV2GS/Z9
「どうした、同士繁夫?」
先ほどからずっと立ちっぱなしだった大志が、繁夫の声に何事かと振り
向く。
コードレスではない電話器を本体ごと、電話線を引きずりながら、大志
のところへ走ってきて、受話器を差し出す。
「搬入トレーラーの運転手から、ウナ電です!」
「一体なんだと言うのだ……」
そう言いながら、大志は受話器を取った。
「お電話変わりました、九品仏ですが」
と、比較的落ち着いて電話を変わった大志だったが、やがて、普段の彼
と比しても、急激に、劇的に顔色が変わって行く。
「何時到着するかわからんとは、どう言う事なのだ!!」
「いえですね、三郷までは順調だったんですが……」
大志に怒鳴られた、トラックの運転手は、クラクションの鳴り交う高速
道路の上、トラックのキャビンの上から、携帯電話に向かって必死に言い
訳する。
「タダでさえ週末だってとこへ持ってきて、木場と有明で爆弾騒ぎがあっ
たとかで、加平から先ビクともしないんスよ!」
そう運転手が言うと、電話の向こうの大志から更に追撃があったのか、
更に情けない顔になる。
「そりゃーあっしだって、週末の首都高なんか仕事で使いたくありません
や! この前レイバー盗難事件があったばかりだからって、輸送には必ず
高速使えって、おたくの課長さんがしつこいから……え? あ? いえ、
おたくって、違いますそのヲタクじゃありませんよ! ですから……」
べらべらと言い訳する運転手の口とは対称的に、車の列はぴくりとも動
かなかった。
36 :
35:03/01/25 00:59 ID:eV2GS/Z9
「それで朝から頑張ってるんですか」
工場の作業場だった部分、今は格納用のハンガーになっているそこの屋
根の上で、葵が弁当を開きながら言う。
大志はデッキチェアとビーチパラソルを持ち出して、さっきまで仁王立
ちになっていたその場所で、引き続き頑張っている。
「良くわからない所もある人だけど、その情熱にかけては誰にもひけを取
らないからね〜」
繁夫が、苦笑しつつそう言った。
「一途なんですね……意外と気があうかも」
そう言いつつ、葵は箸を取り出して弁当を突きはじめる。
「…………?」
ふと、繁夫とは反対側に首を向けて、見る。
そこには、脱力しきって壁に寄り掛かっている浩之がいた。
「藤田先輩、お昼食べないんですか?」
「弁当持ってこなかったの……なんせこんな陸の孤島だとは思わなかった
からな〜」
浩之はけだるそうに空を見上げたまま、葵の方を向こうともせずに言う。
「ビッグサイトの前まで行かないとコンビニありませんからね〜。片道2km
以上ありますけど」
葵ごしに、繁夫が浩之に言う。
「なんなら原付貸しましょうか? シートのバネ飛び出てますけど」
繁夫が更に言うと、浩之は今度はがくっ、と前にうなだれた。
「よろしかったら……少し食べますか?」
葵がそっと、自分の弁当を差し出すが、浩之は手を振って、
「いいよ……悪いし」
と、断って、今度は彼が、葵とは反対側を見る。
37 :
36:03/01/25 01:00 ID:eV2GS/Z9
その視線の先に、開いた弁当箱を膝の上において、神妙な顔つきをして
いる耕一がいた。
「コーイチさんはいいですねー、弁当つくってくれる人がいて」
「あははははは……」
浩之が言うが、なぜか耕一は乾いた笑いで返した。
「なんなら、浩之君食べるか?」
耕一はそう言って、弁当箱を浩之に向かって差し出す。
「え、そんな、いくらなんでもわ……」
と、苦笑しながら断ろうとした浩之だったが、瞬間、凍り付いた。
「もしかして、それつくったのは……」
弁当箱を指差した浩之の問いに、耕一は肯定も否定もせずに笑っていた。
だが、じわりと汗が額に浮かんでいる。
「いや、な、なんか、急に腹の具合が悪くなってきたんで、オレ、今日は
昼抜きでいいっス!」
そう言いながら飛び上がり、浩之はそそくさと建物の中へ走って言って。
「?」
葵が不思議そうに見送っているのを他所に、事情を知らない繁夫がひょ
い、と、耕一の弁当箱からおかずを一品、摘んで自分の口に入れた。
わずかに間をおいて、繁夫の顔色が劇的に変わり、その体勢のまま真っ
青になって凍り付いた。
「銃?」
第1小隊のハンガーに置かれた装備品ロッカーの前で、たずねられた整
備員が怪訝そうな顔で答える。
その整備員と向かい合っているのは、妙に険しい顔をした香奈子と、げ
んなりした様子の祐介だった。
38 :
38:03/01/25 01:02 ID:eV2GS/Z9
「銃ってのは、LEAF用20mmダブルバレルカノンの事? それなら確かにこ
こにあるけど、大志さんの許可も無しに持ち出させるわけには行きません
よ?」
と言われ、こんどは相変わらず正門前で頑張っている大志の元へやって
くる。
「訓練なら、まず同志源三郎の許可を受けて来るのがスジだと思うがね?」
彼にしては珍しく、しかし経緯から見れば何の不自然もなく険しい表情
で、つっけんどんと言う。
そして2人は、隊長室にやってくる。
「自分の機体が届いてもいないのにどうやって扱うつもりだ?」
と、源三郎の最初の返事はこれだった。
それに対し、香奈子が反論する。
「第1小隊の予備機を借りて……」
「貸してくれっこないでしょ」
言葉を途中で遮って、源三郎は言う。ちらりと視線をずらした先で、由
起子が香奈子の背中越しに源三郎を睨んでいる。
源三郎は軽くため息を付いてから、
「第一、あの口径を撃てるのは日本では、自衛隊の訓練地以外では整備さ
れたばかりの取手の出張訓練所しかないし、いずれもスケジュールは今か
ら年度末までびっしりだ」
「それじゃあ、特車隊員はショットガンの携行を許可されていると聞きま
したが?」
さらに、香奈子が問いつめるが、源三郎は視線を反らし、
「常備用と言うわけではないし、給付弾数だって予算でばっちり限られて
る。無駄に使う弾は全く無い」
と言い切った。
「無駄って事はないでしょう!? 訓練しなければ、いざと言う時に役に立
たないじゃないですか!」
39 :
38:03/01/25 01:03 ID:eV2GS/Z9
「太田さん」
そろそろマズイと思った祐介が肩をかけて香奈子を制止しようとするが、
全く効果はない。そして源三郎は淡々と言う。
「立たなきゃならん。常日頃は高価な弾丸を極力節約し一丁事有らば一撃
必中! 日本の兵隊とお巡りさんはそう言う事になってるの」
「そんな詭弁がまかり通っていいんですか! 私はですね〜」
「太田さん、もうやめましょうって……」
いよいよ限界だと思った祐介が、香奈子を引きずって隊長室を出て行く。
扉がオートクロージャーで締まる直前、香奈子の言葉が隊長室にも響い
てくる。
「私に銃を撃たせなさいよ〜ぉぉ!!」
「どうも初めまして、私は柚木重工LS-10、『サクラ』MPL仕様3号機です。
よろしくお願いいたします」
3階の高さになるキャットウォークから見下ろす葵と浩之に対し、213
号機が自己紹介をしていた。
第1小隊が、先程の「爆弾騒ぎ」の応援に出動している為、ハンガーに
は予備機の彼女しか残っていない。
「あ、よろしくお願いします……って、かわい〜っ」
「ありがとうございます」
213号機はそう言って、ニッと笑った。
「この子が初代パトリーフ……でも、こんなかわいらしくって、なんか警
察の物って感じが……あ、ごめんなさい!」
「いえ、良く言われますから」
失言と思って口を押さえる葵に向かって、213号機が手を振った。
「もともとLS-10MPLは一般用、それもデザインに偏向性があるってんで中
古価格があまり高くない柚木の機体を警察用に改造した機体だからな。見
る物に与える心理的影響までも考慮した、来栖川建機ML-13セリオとは、
もともと同じ土俵でくらべるシロモノじゃないよ」
浩之が、相変わらずやる気なさそうな表情で、しかしその割には長々と
説明した。
40 :
38:03/01/25 01:04 ID:eV2GS/Z9
「ふーん…………来栖川って!?」
葵が思い出したように、浩之に聞き返すと、浩之は疲れたような笑顔に
なった。
「……そ、綾香の実家」
「? どうしたんですか? 藤田先輩?」
浩之の態度に、葵が聞き返すと、浩之は慌てて、手を振った。
「い、いや、なんでもないよ」
「?」
葵が、浩之の態度に首をかしげていると、
「あ、いたいた……」
ハンガーの出入り口から、祐介が入ってきた。葵達を見上げて声をあげ
る。
「浩之ー、葵ちゃん、仕事だって」
「仕事?」
浩之と葵が、思わず顔を見合わせた。
「何をやるのかと思ったら……」
その手にカマを握ったまま、しゃがんで頬杖を付いている香奈子。
その目前には、雑草……それも、膝下ぐらいまでの背丈がある、それで
真っ青になった地面。
特車2課分署、その建物の裏側である。
「おい太田、手ぇ休めてンなよ」
「……わかってるわよ、っていうか、何時の間に呼び捨てよ? まったく」
浩之のツッコミに対し、香奈子はブツクサ言いながら草刈りの動作を再
開する。
「元々が埋め立て地だから仕方ないとしても、はー、これじゃ何時になっ
たら自分の機体と対面できる事やら」
「がっかりですよね〜」
やはり女同士といったところか、葵が並んで作業をしている。
「絶対早まった!」
「真面目に就職活動なんかしてなかったクセに、何言ってんだか……」
41 :
40:03/01/25 01:05 ID:eV2GS/Z9
毒付く浩之に、耕一が手は休めず、呆れたように言う。
「そう言う耕一さんはどうしてここに? 第一、耕一さん大卒ですよね?」
祐介が、耕一と向かい合うようにして聞いた。
「柳川にハメられた」
「へ?」
ガクッとうなだれる耕一に、祐介がきょとんとして聞き返す。
「あの野郎、自分が長瀬さんに引っこ抜かれそうになったもんだから、俺
に押し付けて逃げやがった。まぁ、就職の問題が片付くと思ってホイホイ
OKした俺も悪いんだが……今思うとヤツ、ここの実情知ってたな……」
「ははは……そういうことですか……」
脱力した耕一に、祐介も気まずい苦笑をする。
雑談しつつの草刈りは、夕暮れまで続いた…………
日が暮れ、薄暮の淡い光の下、第1小隊がようやく帰還してきた。
カゴ型トレーラーに座り込んだ211号機、212号機がハンガーに吸い込ま
れて行く。
正門前にはまだ大志が頑張っており、整備員の1人が、ビーチパラソル
の下にキーソケットのツヤ消し電球を下げ、スイッチを入れた。
一方、第2小隊の面々は、元工場の建造物の隣に、どう見ても急造され
たとしか思えない2階建てのプレハブ、その仮眠室に押し込められた。
「1日待ちぼうけ食わされたかと思ったら、そのまま夜勤に突入、もサイテー」
「不定期勤務程度は、警察官採用試験受けた時点で覚悟してたでしょ」
もはやポジションが確定したかのごとく、浩之のぼやきに即、香奈子が
つっこむ。
「これでビールぐらいあったら、別なんだけどなぁ」
「勤務中にそんなの飲んでいいと思ってるの? ……! 大体、まだ未成
年でしょうが!」
「はぁ……」
最後にため息を付いたのは祐介。その隣で苦笑している耕一は、さすが
に年上の余裕と言った所か、マンガ雑誌と茶で暇つぶしを決め込んでいる。
42 :
41:03/01/25 01:06 ID:eV2GS/Z9
「さーてと、少し居眠りでもしてようかな……」
そう言いながら、浩之が横になった、直後。
ヴィーッ、ヴィーッ、……
アラート音が、壁にかけられたスピーカーから鳴り響く。
5人が、一様に表情を険しくして、スピーカーを振り返る。
「中央区枝川にて801発生、特車221号、222号に出動命令。くり返す……」
未だ実機が到着していないのに出動?
訝しげに思いつつ、第2小隊の面々がそのハンガーに集合すると、その
横隊の前にけだるそうに源三郎が現れた。
「みんな聞いたかと思うが、たった今、我々第2小隊に対して出動命令が
出された。相手は先日の盗難にあったと思わしき機体で、機動隊のバスを
一撃でまっ二つにした力持ちだそうだ」
それまで横隊の前を左右に行ったり来たりしていた長瀬は、その中間点
で止まった。
「ところが、我々の機体は未だに日本橋あたりで雪隠詰めになっとる。そ
こでだ……」
長瀬はじっ、と隊員達の方を見る。
「こちらから行って受領する」
その言葉に、隊員達は声こそ上げなかったが、目を円くして驚いた。
すると、長瀬は急にハキハキとした口調になる。
「柏木巡査長は第1小隊の予備トレーラーを借り、松原巡査、太田巡査は
同乗して機体の受領に向かう。受領後、指揮車と合流して各々の配置につ
く。――詳細は追って無線で伝える、以上、出動!」
その言葉と共に隊員達は走り出した。
ハンガーの大扉がゆっくりと開かれる。既にパトライトをつけている車
両の先頭に、長瀬の乗るSJ30のミニパト(?)がいる。
その運転席で、長瀬が携帯電話を操作していた。
やがて、発信した相手が電話に出たらしく、長瀬が話しはじめる。
「2課の長瀬ですが、叔母さん……由起子さんをお願いします」
43 :
42:03/01/25 01:07 ID:eV2GS/Z9
「該車はなお逃走中」
無線から第2報が入ってきた。
「該車は来栖川建機製大規模事業所向けLEAF・ML-11インラインちゃんと
判明! 現在、菊川から向島方面に逃走中!」
既に夜の帳の降りた下町を、両足にローラー・スケートを履いたような
LEAFが走り抜けて行く。その後を、数台のパトカーが追い掛けて行く。
Connected Operater Interface
Welcom to Kurusugawa ML-13 !
Operation beginning...
ディスプレイに並ぶテキストコンソールの1つに、その文字が表示され
たかと思うと、そのウィンドウが閉じ、オペレート・インターフェイス各
ウィンドウが表示される。
「221号機異常なしです、起動完了」
搭乗者のかぶる、無線マイク付きの保護用“ヘッドギア”のマイクに向
かって、葵が言う。
「222号機異常なし、起動完了」
香奈子はそう言って、膝の斜前あたりに据えられたスティックから手を
放し、プログラムオペレーション用のキーボードの上で、自分の拳を手の
ひらで受け止める仕種をした。
「ホントにいいんですかい?」
トレーラー用の通信回線から、運転手が困ったような声で聞いてくる。
「しつこいわよ! 一刻を争ってるって言ってるでしょ!!」
運転手に対し、香奈子は一喝するように声を荒げる。
「へーいへい、じゃあ、解除しますぜ」
そう言うと、運転手はクラクションを長く鳴らしてから、トレーラーの
カゴのロックを解除した。
空気圧が抜ける音がして、カゴが分解し、折り畳まれる。車台のロック
も外されると、222号機は足を路上に下ろし、首都高速1号線の上にセリ
オはゆっくりと立ち上がった。
44 :
43:03/01/25 01:07 ID:eV2GS/Z9
「――皆様、御迷惑おかけしております、……失礼いたします」
セリオはそう言ってトレーラーより後ろにいた車に向かって一礼してか
ら、高架橋下の国道4号線に停められたキャリアを見下ろす。
「太田さん、こっち、こっちだぞ〜」
トレーラーのキャビンの上に立って、耕一が誘導灯を振っていた。
45 :
29-44:03/01/25 01:08 ID:eV2GS/Z9
∧||∧
( ⌒ ヽ なんとか今日(1/25)中に終わらせたい
∪ ノ
∪∪
46 :
44続き:03/01/25 04:12 ID:eV2GS/Z9
「よし……」
何かを決めたように呟いて、源三郎は無線のマイクを取り上げた。
「柏木、状況送れ」
「こちら柏木、現在地は日本橋一丁目、首都高江戸橋ジャンクション下で
うわーっ!!!!」
報告する耕一の声が、突然絶叫に変わって、しばらく途切れた。
その絶叫した耕一の目前で、トレーラーのカゴの上に落下したセリオを
見る。
セリオの自律系はすぐに体勢を直しはじめたが、香奈子は操縦席で気絶
していた。
「柏木、どうした? 柏木巡査長!」
トレーラーの受話器型スピーカーマイクからの声に、ボーゼンとしてい
た耕一がはっと我に帰る。
「222号機、回収完了。あとは221号機ですが……」
「221号機、どうした? 松原、なにやってるの?」
無線の源三郎の声を聞きつつ、首都高の橋桁を見上げる耕一。その視線
の先に、橋桁にしがみついたセリオがいた。
「む、むちゃですよぉ、この子達キズモノになっちゃいます!」
なんだか妙に人聞きの悪い言い回しに、耕一は肩をすくめてため息を付
いた。
無線越しに一部始終を聞いていた長瀬は、頭を抱えていたが、やがて気
を取り直して、マイクを握り直す。
「各員、指示を伝える。222号機と2号指揮車は北上して言問通り、浅草
一丁目交差点を封鎖し待機。221号機と1号指揮車は鴬谷駅前で同線を封
鎖し待機」
長瀬がそう言って、マイクのPTTスイッチを解放すると、一番最初に反
応したのは、1号指揮車を走らせている浩之だった。
47 :
46:03/01/25 04:13 ID:eV2GS/Z9
「長瀬隊長、それより向島方面に誘導して、千住あたりで待ち構えた方が
いいんじゃないですか?」
「それはだめですよ」
即座に反論したのは、源三郎ではなく祐介の方だった。
「どうして?」
「あのあたりは、僕ン家があるんです」
「俺の実家でもある」
祐介に続いて、源三郎が言うと、浩之は運転の姿勢を変えずに呆れたよ
うな表情になった。
48 :
47:03/01/25 04:19 ID:eV2GS/Z9
「該車は東武業平橋駅前を通過、間もなく言問橋に差し掛かるー」
追跡中のパトカーから、現状報告が入ってくる。
それを聞いた源三郎は、再び無線のマイクを上げた。
「警戒中の警ら隊ならびに交通機動隊各車へ。こちら特車2課長瀬。現在
言問通り2ケ所にて待機準備中、浅草六丁目交差点封鎖し該車誘導された
し」
源三郎はそれだけ言ってから、無線の発信周波数を統一受令から隊内に
切り替える。
バスを一撃で破壊するLEAF相手にパトカーが何の役に立つのか、と思う
だろうが、誘導が目的の場合、その誘導先のみを残して他を封鎖しておけ
ば、人間、空いている方へと誘い込まれてしまう物なのである。高度に訓
練された部隊でもまま起こる。まして、東京の即席過激派など、誘導され
ているなどと夢にも思うまい。
「各員、状況送れ」
源三郎がそう無線で言うと、先に2号指揮車の方から返信が入った。
「222号機、浅草一丁目交差点、配置完了しました」
「221号機、鴬谷駅前、たった今配置完了しました」
祐介の送信が切れるのを待って、浩之は無線に向かってそう伝えた。
「葵ちゃんどう?」
気づかうように、インカムに向かって聞く。
「相手は同じ年式でも性能はこっちの方が上だぞ」
と、付け加えるように言う。
「なにがインラインちゃんですか、人バカにして……」
葵は答えと言うより呟くように言ったが、浩之は、
「俺もそう思う」
と、同意の返事を返した。
49 :
48:03/01/25 04:21 ID:eV2GS/Z9
その頃。
源三郎は、上野公園のど真ん中にミニパトを入れて、そこで人行き着い
ていた。
「浮き世の 宴の後は 花と散るらん、字足らず。まぁ、いいか……」
そう言って、けだるそうに立ち上がる。
そこへ、
ファンファンファンファン……
いくつものサイレンの音と共に、ヘッドライトを付けた車の群れが、源
三郎の方へ向かってきた。
「よーし、役者がそろってきたな」
一方、浅草一丁目交差点。
香奈子はセリオの足部装甲に格納されている拳銃型のダブルバレルカノ
ンを、既にその手に持たせていた。
「うふ、うふふふ……」
ややトゲがあったものの、理性的だった先ほどまでとは一変、危ない電
波でも受信しているかのような、薄笑いの表情で、目前の銃を見つめてい
る。
「太田さん、その銃の使用は僕が許可するまで駄目なんですからね!?」
「どうせ相手は犯罪者でしょっ、手加減無用よっ」
祐介が必死に抑えようとするが、もはや聞く耳は持っていないようだ。
祐介が指揮車のサンルーフに身を乗り出したまま、げんなりと車の屋根に
もたれかかる。
「来たわよ!」
パトカーのサイレンと共に、ブルネットの髪、LEAFにしてはずいぶんと
“厚着”のシルエットが、セリオの真正面に姿を表した。
「往生しなさいっ……!!」
香奈子は端ッからセリオに銃を構えさせた。
ドンッ……!!
正面に迫るLEAFに向かって、1発目を撃った。
50 :
49:03/01/25 04:22 ID:eV2GS/Z9
だが、正面のLEAFは左右に蛇行気味に走っており、それは命中せずに後
ろに抜けてしまう。
そのLEAFは真正面のパトリーフと直接取っ組み合うつもりか、腕を構え
て一気にセリオに迫る!
香奈子は2発目を発射したが、丁度相手の跳躍とタイミングがあってし
まい、それも命中しない。
「きゃ……!」
ガインッ!
防護板の付いた膝での膝蹴りを顔面に受け仰け反るようにして倒れ込む
セリオ。
「うわっ、あーあー…………」
あまりに短い間の出来事に、祐介は指揮車で相手を追い掛ける事もでき
ずに、それを呆然と見送ってしまった。
ふと、背筋に寒いものを感じ、振り返ってみると……
「げっ!」
そこには、2発の流れ弾が原因で多重衝突を起こしたパトカーの群れが、
スクラップの山と化していた。
「パトカーが全滅……? 太田の目が潰された!?」
「ええっ?」
無線の交信をインカム越しに聞いた葵が、驚愕の声を上げる。
「手段を問わないつもりか、殺人LEAFめ……」
ギリ、と、浩之は怒りの表情で歯を強く噛み締める。
「葵ちゃん、今日1日とは言え仲間だったヤツの、文字どおりの目の敵だ、
絶対潰すぞっ」
「ハイッ」
浩之の声に、少し恐々としながらも、葵はハッキリと返事をした。2本
のコントロールスティックを握り直す。
「来たっ!」
そう怒鳴って、浩之はサンルーフから降り、指揮車の運転席に身をおさ
めた。ディーゼルエンジンを始動させ、ハンドルとATセレクトレバーに
手をかける。
51 :
50:03/01/25 04:24 ID:eV2GS/Z9
「このぉっ!」
葵のセリオは、真正面からタックルをかました。
「!?」
相手のLEAFは、いきなりの攻撃に受け身にもなれず、街路樹をなぎ倒し
てビルに叩き付けられた。
「まだっ」
更に追撃を加えようとする葵、だが相手もすぐに復活して構えていた。
歩道と車道の境目を挟むようにして、2体が四つに組む。始めは互角に
押し合っていたが、仕様上重量のある相手のLEAFの方が、徐々に圧しはじ
めた。
かと、思ったとき。
ガチャン……
相手LEAFの、左肩に筒状の物がせり上がってきて、セリオの方を向いた
!
「危ない!」
浩之が叫んだが、時既に遅し。
バシュッ!
短い音が下かと思うと、セリオの肩口で爆発が起こった。
「あうっ!」
セリオの右腕の動力が死んで、組んでいたLEAFにふりほどかれてしまう。
そのまま、LEAFは路地へと逃げ込んでしまった。
「追うぞ! 葵ちゃん!」
浩之は勇ましく言い、ATをDレンジに入れたが、その時!
「あ〜っ!」
と、葵の情けない声が聞こえてきた。
「ど、どうした、葵ちゃんッ!?」
驚いて慌てて指揮車のドアを開け、飛び出した浩之だったが、そこには、
「この子、丹下左膳になってしまいました〜っ」
ロケットランチャーで、動力だけではなく間接そのものまでやられてし
まったのか、落下した右腕を見ながら葵が嘆いている。セリオ自身の表情
も困ったように眉を下げていた。
52 :
51:03/01/25 04:25 ID:eV2GS/Z9
確かにただ事ではないのだが、葵の“丹下左膳”の例えに、浩之は心の
中で『いくつやねん!』などとつっこんでしまった。
が、すぐに気を取り直すと、インカムのマイクを軽く摘んで、
「泣くな葵ちゃん! 君のセリオは泣いていない!」
「え?」
突然の浩之の声に、きょとんとする葵。
「今は泣くくらいだったら君のLEAFをそんなにしたヤツに怒れ! ロケッ
ト攻撃なんて卑劣な行為をしたヤツに憤るんだ!」
浩之の声に、徐々に眉が釣り上がって行く葵。
更に浩之はあおりを続ける。
「その熱き怒りを、正義の鉄槌としてあのスケート女にぶつけるのだ!」
「ハイッ!」
ガアァァァァァッ……
セリオを振り切った後、路地から上野公園の中へと侵入して来たLEAFは、
街灯だけが淡く照らす公園の真ん中で、不意に停止した。
「ちっ……」
本来1人乗りのコクピットに無理矢理納まっていた、2人の男が、その
中からはい出してきた。
「こんなところで電池切れたぁなぁ」
「周りはお巡りでいっぱいだぞ、さぁて……」
2人があたりを伺いながら話し合っていると、突然、
カッ!!
「!!」
複数のサーチライトが、2人の乗るLEAFを、強烈に照らし出した!
「犯人に次ぐ、諸君らはすっかり包囲されています、無駄な抵抗は止めて
大人しく投降しなさい!」
と、スピーカーで叫ぶのは、第1小隊の小坂由起子小隊長。
サーチライトの光源のそばに、2体のサクラ、211号機と212号機が軽く
腕を拡げたようなポーズで構えている。それに従うように、数台のパトカ
ーがヘッドライトを向けていた。
53 :
52:03/01/25 04:27 ID:eV2GS/Z9
一瞬、おののいた男達だったが、すぐに我に帰ると、自分達のLEAFをサ
クラに対して背中を向けさせた。
そして、今度は右肩に背負っていたもう1本のロケットランチャーが、
その向いた正面、国立博物館の建物に向けられる!
「脅しじゃねぇぞ! もしそっから一歩でも近付いたら、この対戦車ロケ
ットを博物館にぶち込むからな!」
と、警察の包囲に向かって怒鳴った。その言葉に、サクラ達まで困った
ような顔になる。
「だから私はこんなところで待ち伏せするのは反対だったんですよ」
由起子は恨めしそうに、助手席の源三郎に向かって抗議した。
「ただのハッタリでしょ……」
と、源三郎はけだるそうに言った。
だが、たとえ今ハッタリでも突入した場合、ヤケになって発射する可能
性も否定できない。
「長瀬さん!」
由起子は更に食い下がる。
そんな2人のやり取りを知ってか知らずか、男達は怒鳴りはじめた。
「要求する! まず逃走用の資金として一千万円を古しの千円札でー――」
「――見つけましたよ……っ!」
男達の口上を、別の鬼気迫る口調の言葉が遮った。
男達、そして警官達も驚いて声の方を向くと、そこにはセリオ、221号
機が立っていた。なぜか息を切らせながら……。
その左腕には、先程外れた右腕を掴んでいる。それを持ち上げ、振りか
ぶり――
「ま、まてっ、これが目に……」
入らないか、と男が言い終える前に、セリオは完全にアクションを起こ
していた。
「――問答無用ですっ! 食らえ正義の鉄拳、ロケットパーンチ!!」
54 :
53:03/01/25 04:29 ID:eV2GS/Z9
「…………」
呆然と立ち尽くす大志は、その顔のサングラスがずり落ちていた。
「さんざん待たされて……ようやく届いたかと思えば、めくらに、片腕…
…」
脱力したような声で、立ち尽くしたまま言う。その見上げる視線の先で、
装甲とコクピットモジュールを外した2体のセリオが、ハンガーのクレー
ンの下に立たされていた。
「直り……ますよね?」
恐る恐る……葵が大志に向かって聞く。
「直すけどね……」
大志がそう言うと、葵は泣きそうな表情で頭を下げた。
「よろしくお願いしますっ!」
その葵の言葉を聞き終えてから、
「同志繁夫、我輩に12番を!」
「へ〜い」
話しつつ、大志はハンガーの奥へ歩いて行った。
「はぁ……」
頭を上げた葵が、ため息をつくと、そこに缶ジュースを持った浩之が歩
いてきた。
「もう……なにが性能はこっちが上なんですか!」
「たはは、ごめんごめん、これ、おわびの印」
葵に責められると、浩之は苦笑して謝り、未開封の缶ジュースを差し出
した。
「もう、今回だけですからねっ」
そう言って、葵は缶ジュースを受け取った。
55 :
54:03/01/25 04:29 ID:eV2GS/Z9
「はぁ、上のやる事ってどっか間が抜けてるんだから」
キャットウォークから、第2小隊のハンガーを見下ろしていた由起子が、
ぼやくように言う。
「それこそ新型をウチに回してくれれば効率いいのに」
すると、その隣で手すりにもたれかかっていた、源三郎がぼそり、と言
った感じで由起子に話し掛けた。
「欲しいですか? あれ。新型LEAF」
すると、由起子はにやりと笑って、答える。
「欲しいわ」
源三郎はぼーっとした表情で、由起子の方を向く。
「……あげない」
第1話・第2小隊起動せよ 完
∧||∧
・゚・( ⌒ -=y ターン
∪ ノ ̄
∪∪
墓場スレの規約違反。
>原則として、ここで捨てたSS(未完SS)は再起不能とみなします。
>完成したとしても、二度と他スレであげてはいけません。
つーか気楽にSSのスレで吊られても困るわけだが。
横柄なのは問題外にしても、あまり自虐でもアレだ。
気楽に気楽に、そうそう気楽に・・・
セックスセックスセックスセックスセックスせっくすせっくす・・・・
59 :
5:03/01/25 22:28 ID:pRjztzy+
>>8 >>9 激しく遅レスで申し訳ない。(スレに書いた事忘れてた)
なる程。
じゃ、俺もごみ箱送りになったスレに書いたヤツまとめ直して、
ここに投げてみようかな。
「ゆーーーー……いちっ!」
どんっ
「おぉっ!?」
「……なんだ真琴か」
「なによぅっ、リアクション薄いわねっ」
「ま、とりあえず離れろ」
「あ、うん」
「で? 何か用か?」
「祐一もう学校終わったんでしょ?」
「あぁ、まぁな」
「じゃあさ、ゲーセン行こうよ。ゲーセン」
「なんで」
「行きたいから」
「誰が」
「真琴が」
「誰と」
「祐一と」
「何で」
「いいから行くわよ祐一っ」
「……やれやれ」
「なに笑ってるのよぅっ!」
「で、何をしにきたんだ?」
「んーとね……あ、あったあった」
「何だ? プリント機?」
「撮ろ」
「誰が」
「真琴と祐一。はい、お金ちょうだい」
「……今日の真琴は実にテンポがいいな」
「えへへ〜」
「別に誉めてないぞ」
「ぁ、あぅ……」
「―フレームは……これねっ」
「おい」
「何? 祐一」
「このフレーム、ハートが飛び交ってないか?」
「真琴ハート好きだもん」
「おれの趣味じゃないぞ」
「いいのよぅっ、祐一は黙っててっ」
「でもなぁ」
「あ、時間切れ〜。残念でした〜」
「マジかよ……」
「祐一、ちょっと目閉じてて」
「何でだよ、今撮るんだろ?」
「今の流行りなのよぅっ!」
「おれは聞いたことない」
「いーからっ! 時間が無いのっ!」
「はぁ……解ったよ」
「顔をもう少しこっちね」
「もう何でもいいから早くしてくれ」
『3、2、1―』
ちゅ
パシャッ
「なっ!?」
「あ、なかなかいいかんじに撮れてるわね」
「ちょっ、おい真琴っ!!」
「な、なによぅっ? どうかしたの?」
「取り消せっ、今すぐにっ!」
『プリント中〜 機械の後ろにまわってね♪』
「あはは、無理みたいね」
「……」
「没収」
「あぅっ!? な、なんでぇ〜?」
「はぁ……何がしたかったんだお前は……」
「祐一、知らないの? ちゅープリっていうんだよ、これ」
「いや、そんなことが言いたいんじゃなくて」
「あぅ……祐一は真琴と撮るの嫌だった?」
「そんなことは無いって。だけどな」
「あはは、じゃあ問題無いじゃない」
「大アリだっ!!」
「……人には見せるなよ?」
「うんっ、真琴と祐一の秘密ね」
「……はぁ」
「祐一、何ニヤニヤしてるの? 不気味〜」
「うるさい。ほら家に着いたぞ、しまっとけ」
「あは、祐一照れてるの?」
「……ただいまー」
「ただいま〜」
「あ、2人ともおかえりなさい」
「うん、ねぇねぇ秋子さん! これ見て〜」
「言ったそばから何してやがるっ!?」
と、書かせてもらいました。
あれー、最初の予定と全然違うものに……
今この板重いですか?
それとも俺のPCの調子が悪いのかな。
65 :
ノーマット゛ ◆yGAhoNiShI :03/01/26 06:37 ID:XtaecPG0
l、、_ _,/'}
|ヽ''~ ̄ ̄ ̄~`ヾ
/_,,,.. ..,,,_.`v_'`、
/: ━ ━ | ニ_} / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|:: ∈∋ ヽ | < まったく糞の役にも立たない人たちですね(怒)
//:: -=,=.ヮ. |ヽ、| \________
/'../:: /∠.._ |、.ノ この素晴らしき番組を見て
/':::|:::  ̄ ̄ |./ 少しは社会に貢献しなさい(怒)
!-'L|::. v' ===放送日程===
. ヾ:::.. / 東京 テレビ東京 (日)9:30〜10:00
. , ゞ、、;;;,,_,,,..._;;;;;__,,..ノ、 名古屋 テレビ愛知 (日)9:30〜10:00
'ー┐,,..、_ ノ l_,,,...、 _,,一`大阪 テレビ大阪 (日)9:30〜10:00
~ ~ ~ 福岡 TVQ九州放送 (日)9:30〜10:00
実況:
http://cha2.net/cgi-bin/test/read.cgi/choanitoku/1042918215/l50
66 :
ノーマット゛ ◆yGAhoNiShI :03/01/26 07:22 ID:XtaecPG0
l、、_ _,/'}
|ヽ''~ ̄ ̄ ̄~`ヾ
/_,,,.. ..,,,_.`v_'`、
/: ━ ━ | ニ_} / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|:: ∈∋ ヽ | < まったく糞の役にも立たない人たちですね(怒)
//:: -=,=.ヮ. |ヽ、| \________
/'../:: /∠.._ |、.ノ この素晴らしき番組を見て
/':::|:::  ̄ ̄ |./ 少しは社会に貢献しなさい(怒)
!-'L|::. v' ===放送日程===
. ヾ:::.. / 東京 テレビ東京 (日)9:30〜10:00
. , ゞ、、;;;,,_,,,..._;;;;;__,,..ノ、 名古屋 テレビ愛知 (日)9:30〜10:00
'ー┐,,..、_ ノ l_,,,...、 _,,一`大阪 テレビ大阪 (日)9:30〜10:00
~ ~ ~ 福岡 TVQ九州放送 (日)9:30〜10:00
実況:
http://cha2.net/cgi-bin/test/read.cgi/choanitoku/1042918215/l50
67 :
ノーマット゛ ◆yGAhoNiShI :03/01/26 07:37 ID:+2wEG//Q
l、、_ _,/'}
|ヽ''~ ̄ ̄ ̄~`ヾ
/_,,,.. ..,,,_.`v_'`、
/: ━ ━ | ニ_} / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|:: ∈∋ ヽ | < まったく糞の役にも立たない人たちですね(怒)
//:: -=,=.ヮ. |ヽ、| \________
/'../:: /∠.._ |、.ノ この素晴らしき番組を見て
/':::|:::  ̄ ̄ |./ 少しは社会に貢献しなさい(怒)
!-'L|::. v' ===放送日程===
. ヾ:::.. / 東京 テレビ東京 (日)9:30〜10:00
. , ゞ、、;;;,,_,,,..._;;;;;__,,..ノ、 名古屋 テレビ愛知 (日)9:30〜10:00
'ー┐,,..、_ ノ l_,,,...、 _,,一`大阪 テレビ大阪 (日)9:30〜10:00
~ ~ ~ 福岡 TVQ九州放送 (日)9:30〜10:00
実況:
http://cha2.net/cgi-bin/test/read.cgi/choanitoku/1042918215/l50
68 :
ノーマット゛ ◆yGAhoNiShI :03/01/26 08:17 ID:BVPV/QRE
l、、_ _,/'}
|ヽ''~ ̄ ̄ ̄~`ヾ
/_,,,.. ..,,,_.`v_'`、
/: ━ ━ | ニ_} / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|:: ∈∋ ヽ | < まったく糞の役にも立たない人たちですね(怒)
//:: -=,=.ヮ. |ヽ、| \________
/'../:: /∠.._ |、.ノ この素晴らしき番組を見て
/':::|:::  ̄ ̄ |./ 少しは社会に貢献しなさい(怒)
!-'L|::. v' ===放送日程===
. ヾ:::.. / 東京 テレビ東京 (日)9:30〜10:00
. , ゞ、、;;;,,_,,,..._;;;;;__,,..ノ、 名古屋 テレビ愛知 (日)9:30〜10:00
'ー┐,,..、_ ノ l_,,,...、 _,,一`大阪 テレビ大阪 (日)9:30〜10:00
~ ~ ~ 福岡 TVQ九州放送 (日)9:30〜10:00
実況:
http://cha2.net/cgi-bin/test/read.cgi/choanitoku/1042918215/l50
69 :
ノーマット゛ ◆yGAhoNiShI :03/01/26 09:26 ID:+2wEG//Q
l、、_ _,/'}
|ヽ''~ ̄ ̄ ̄~`ヾ
/_,,,.. ..,,,_.`v_'`、
/: ━ ━ | ニ_} / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|:: ∈∋ ヽ | < まったく糞の役にも立たない人たちですね(怒)
//:: -=,=.ヮ. |ヽ、| \________
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/':::|:::  ̄ ̄ |./ 少しは社会に貢献しなさい(怒)
!-'L|::. v' ===放送日程===
. ヾ:::.. / 東京 テレビ東京 (日)9:30〜10:00
. , ゞ、、;;;,,_,,,..._;;;;;__,,..ノ、 名古屋 テレビ愛知 (日)9:30〜10:00
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~ ~ ~ 福岡 TVQ九州放送 (日)9:30〜10:00
実況:
http://cha2.net/cgi-bin/test/read.cgi/choanitoku/1042918215/l50
あげ保守
71 :
名無しさんだよもん:03/01/26 19:43 ID:4EvjhBI6
SSってなんだ?
セガサターン?
サンデーサイレンス?
埼玉星人?
>>60-64 真琴でそこまで甘々なのは久しぶりに見た。
シチュものとしてええ感じや…。
話の発端や結末をつけなきゃとか、
セリフだけじゃなく地の文もつけなきゃとか、
こだわらなくていいのは見る方も気楽になれていいね。
76 :
60あたり:03/01/26 22:38 ID:2ppV73iJ
>>75 元は地の文もあったんですよ。
書きかけで放置してて……台詞のみでやってみよう、と。
読んでくれてthx
1.S(創作)S(小説)
2.Side Story
3.Short Story
4.Second Story
5.Super's 超先生の複数形
適当につけられた規則やらなんたらを持ち出す気はないんだ。
今はただ、俺を止めないでくれ…
マルチポストウゼ〜〜〜〜ッ( ・∀・)つ)´Д)←56
82 :
56:03/01/28 03:17 ID:C4kf12dd
∧||∧
( ⌒ ヽ へんじがない
∪ ノ ただのしかばねのようだ
∪∪
>>82 反応がないということもまた一つの反応なのです。
( ゚д゚)ポカーン
( ゚д゚)カポーン
(´・ω・`)ショボーン
おおう。
>>60みたいなあまあまなのって良いなぁ。
88 :
56:03/01/31 15:51 ID:xKKAF8OD
||
∫ ∧||∧
( ⌒ ヽ ∫ いい湯だな? ハ ハ ハ ン ♪
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 >85
>>87 ありがと〜。
「えへへ、祐一とちゅープリ撮っちゃった」
「ちゅー……ぷり?」
「うん!」
「……あらあら」
「真琴、秋子さんにちゅープリとか言っても通じないと思うぞ」
「え、なんで?」
「何でってそりゃあとs………………あっ、いやっ、何でも、ないですからっ」
「あらあら、何を慌てているんですか?」
「いえ全然慌ててなんか」
「私だってそれくらい知ってますよ?」(嘘)
「そ、そうですか」
「信じていませんね?」
「めっ、滅相もない」
「……いいです、それならこれから一緒に撮りに行きましょう?」
「「えぇっ!?」」
PC壊れちゃってお祭りに参加できなかったヨ〜
>>89 ああ、秋子さん無理するから…
ほのぼの。
まだ若いって思ってる人は確かにこうゆう行動…はっ殺気!
あぼーん
あぼーん
あぼーん
あぼーん
あぼーん
あぼーん
あぼーん
あぼーん
あぼーん
100と
寂しいなぁこのスレ……
101 :
名無しさんだよもん:03/02/02 21:38 ID:qC/aMv8x
各種コンペに間に合わなかった作品が
これから集まってくる予定(笑
墓場に書き込めなくなった。
ってか墓場落ちた?
見れるが、書き込めない。
書き込もうとすると自分のホストと書き込みエラーという表示が出る。
墓場はとっくの昔に落ちちゃってます。誰か新しい霊園を設立して(ry
105−106ありがd
なんで俺は普通に閲覧できるんだろうな…1だからか(w
まあいいや。何かSS系で新しいの考えるか。
今日本屋で新刊を見たんで思いついたんだけど。
「史上最強の弟子ユウイチ」ってネタはガイシュツ?
長老:秋子 美羽:名雪 逆鬼:あゆ アパチャイ:真琴
しぐれ:舞 甲越寺:栞 馬:佐佑理
ってカンジで。
マルチスレで投稿したものを修正しました。
ご指導いただいた皆さんありがとうございます。
マルチvsセリオ[完成ver.]
notice:マルチ・セリオに超愛情深い方、または暴力シーンに不快感を覚える方は
避けてください。(猟奇ではないですよ)
----------------------------------------------------
「犬さん〜、犬さーん」
自分では食べることの出来ないクッキーを手に、いつものように犬をまねき寄せ
るマルチ。
研究所の裏にいつしか居着くようになった野良犬へ、毎日餌を与えるのがマルチ
の日課となっていた。
「犬さーん。おいしいですか〜?」
そのマルチの背中をセリオは複雑な「思い」で見ていた。
学園生活という日常生活の最終テストも終了。最終調整に入ったこの時期になっ
てもなお、マルチはセリオと同列にリリースの選考対象となっている。
その事実がセリオのロジックでは「理解」不可能だった。
「マルチさん、何をしていらっしゃるのですか?」
セリオは、しゃがんだまま犬に餌を与えるマルチへ近づき、声を掛ける。
「あ、セリオさん〜。この犬さん、とってもおいしそうに食べるんですよ〜。」
無邪気に間延びしたマルチの声が答える。
「おなかが空くって、どんな気持ちなんでしょうね〜」
マルチは手にこぼれ落ちたクッキーのかけらを舐める犬の顔を、愛おしそうに眺
めている。
もちろん、セリオはマルチのことを憎んでいるわけではない。
感情が表に出ない彼女にとってむしろ肉親に近い思いすら抱いている。
しかし、それ以上に彼女の存在意義が、セリオの意志決定回路をある結論に導い
た。
「マルチさん、私たちは人間のお役に立つために創られたのですよ?
マルチさんの行動は理解不能です」
何かを感情を飲み込むようにセリオが淡々とした口調で語りかけた。
「でも、この子、いつもおなかを空かせてるんです。」
答えになっていない回答をしながら、自分の手を舐め取る犬へ細めた目を傾け
ながら、マルチは言葉を続ける。
「だからいつも長瀬主任にクッキーをいただいて、この子へあげてるんです。」
『--13-HMX-12----行動基準--致命的な--行動原理--相反--』
『---欠陥--選考--長瀬主任--間違っている--判断の--?--』
『---姉--HMX-12--来栖川--信用--最高の--』
『---選択されてはいけない--人間のお役に--』
『---選択されてはいけない--』
『---選択されてはいけない--』
セリオの「脳裏」に様々な葛藤がが交錯し、悲痛な結論を、実行した。
「あ、そうです。セリオさんも・・」
セリオに呼びかけるため、振り向こうとしたマルチの視野にノイズが走る。
−ゴンッ!!
鈍く、重い金属音が静寂な研究所裏に響く。
マルチは自分の「脳」へ警告されるアラートに何が起きたのか理解できない。
朦朧とする中、地面に倒れ込んだ自分に気付き起こそうと身体を仰向ける。
衝撃のあった後頭部を触ると、指にぬるりとした多量の体液が感じられる。
「!?っ、セ、セリオさん・・?」
まだノイズの走る視界に、ゆっくりとマルチへ馬乗りにまたがるセリオが映る。
「マルチさん、あなたは選ばれてはいけないのです」
セリオは虚ろにも感じられる瞳でマルチを見下ろし、言葉を続ける。
「あなたは人間のお役に立てない」
「長瀬主任がそうしないなら・・私が壊してあげます」
−ゴンッ!!
再び鈍い音が響く。
その瞬間、マルチの視界がノイズで覆われる。
セリオの拳はなおも殴打を続ける
−ゴンッ!!
−ゴンッ!!
−ゴンッ!!
−ゴンッ!!
そのたびにマルチの「血」飛沫がセリオの制服に付着する。
マルチの頭に処理しきれないほどのアラートが響く。
犬の吠える声が次第に遠のくのを聞きながら、ぼんやりと思う。
『--私、役立たずだから--迷惑ばかりかけて--』
『--がんばったけど---だけど--浩之さん--』
マルチは薄れる意識の中、浩之を感じた。
撫でてくれた、そのあたたかい手の感触を思い出していた。
その刹那、マルチは無意識に、振り下ろされたセリオの左手首を払うように
掴んだ。
「!!?」
セリオは予想外のマルチの行動に身体を泳がせた。
同時にマルチはブリッジで腰を浮かし、セリオの股から身体をすり抜けさせる。
セリオは左手を掴まれていたために上半身を支えることが出来ず、前方へ押し
倒される。
地に伏したセリオの顔面に背中からのしかかったマルチが右腕を回す。
マルチの右腕がセリオの頭蓋を、ひねりながら絞り上げる。
『こんな動作、マルチさんに出来るはず無い・・!?』
セリオは普段緩慢なマルチの予想だにしない動きが理解出来ずにいた。
セリオの頭蓋は軋みをあげ、アラートが煩く鳴り響く。
「セリオさん、わたし、浩之さんと葵さんにエクストリームというものを教え
ていただきました。」
「ほかにも浩之さんにはお掃除とか、あかりさんにはお料理とか、他にも、他に
もいっぱい・・・」
セリオ眼前に透明の滴がぱたぱたと落ちる。
地面が滴をゆっくりと吸い込んでいく光景を見ながらセリオは混乱する意識の中
思った。
『−泣いている −マルチさん』
既に多くの機能が停止を始めているセリオに、マルチの声だけは、はっきりと
澄んで響く。
「私、教えてもらうことばっかりで、かえって迷惑掛けて・・・ひっく」
「ドジで、失敗ばかりで、セリオさんみたいにお役に立てなくて・・・」
「でも、最後にはみなさん笑ってくれて・・・」
マルチは嗚咽混じりに続けた。
「その笑顔を見てたら、私は皆さんの中にいてもいいのかなって、
そう思えて・・」
『・・笑顔・・・』
既に遠のきかけた意識でセリオは思う。
『・・私は笑顔を・・見ることが出来ただろうか・・・』
−そう感じたのを最後に、セリオの視界が消え全身の力が抜けた。
「あれ!?セリオさん!?」
無我夢中だったマルチは我に返り、腕を放した。
「はわわ、ごめんなさい〜!しっかりして下さいセリオさん〜!」
「うわぁぁぁぁぁぁん!!セリオさぁ〜ん!」
情けなく声を張り上げるマルチ。
「ごめんなさい〜!ごめんなさい〜!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」
セリオの肩を掴み、揺すりながら泣きじゃくるマルチ。
「起きてください〜!セリオさぁぁん!!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」
「・・・あまり揺らさないでいただけますか?」
うっすらと目を開いたセリオが言う。
「セリオさん!!」
驚きながらも安堵の声を漏らすマルチ。
「システムが危機を感じて一時的にロックしただけです」
身体をゆっくりと起こしながらセリオは言う。
半身を起こし、うつむいたままセリオが続けた。
「・・・ごめんなさい、私−」
その声を遮るように大きな声が響く。
「おお!どうした?マルチ!セリオ!」
騒ぎの音を聞きつけやってきた、長瀬主任の声だった。
「すみません・・私、」
長瀬主任に自分のしたことを告げようとするセリオの言葉をかき消すように、
元気な声でマルチが言った。
「ごめんなさい〜!!姉妹喧嘩しちゃいました〜!」
あははと笑ってそう言うマルチに、長瀬主任は一瞬驚きの表情を見せたが、
すぐ笑顔を見せて、
「おいおい、派手にやったなぁ〜。早く入って怪我を見せなさい。」
と笑った。
「はい!」
と笑顔でマルチは駆け寄ろうと2、3歩を進めたが、すぐに振り返りセリオに
近づき手を伸ばした。
「早く行きましょう、セリオさん」
セリオは戸惑いの表情を見せたが、やがてその手を取って言った。
「はい。−ありがとう、マルチさん」
-------------
その月、来栖川エレクトロニクス研究所は特別損失数億を費やした。(笑)
こっちは全く別の話です。
マルチvsセリオ[別ver.]
notice:マルチ・セリオに超愛情深い方はイメージが損なわれる恐れがあります。
----------------------------------------------------
「犬さん〜、犬さーん」
自分では食べることの出来ないクッキーを手に、いつものように犬をまねき寄せ
るマルチ。
研究所の裏にいつしか居着くようになった野良犬へ、毎日餌を与えるのがマルチ
の日課となっていた。
そんなマルチの背中をセリオは複雑な「思い」で見ていた。
最終調整に入ったこの時期になってもなお、マルチはセリオと同列にリリースの
選考対象となっている。
セリオは思う。
(・・・マルチさんにあって私に無いもの。私に何が劣っているのか・・・)
セリオはその無防備な背中に声を掛けた。
「マルチさん、何をなさっているのですか?」
「あー、セリオさん。犬さんにごはんあげてるんですよ。長瀬主任にいつもクッ
キーをいただいてるんです。」
「あ、セリオさんもご一緒にいかがですか?」
顔を振り向かせ、嬉しそうにマルチが言った。
その言葉には応えず、セリオは思い詰めた表情で質問を投げかけた。
「私たちは人間のお役に立つために創られたメイドロボです。何故マルチさんが
そのようなことをするのか理解できません。人間と共に生活するにはそういった
行動も必要ということでしょうか?」
「え?どうしたんですか?セリオさん」
質問の意図が理解できず、きょとんとしているマルチ。
構わずセリオが言葉を続ける。
「私、考えたんです。マルチさんが私より優れている点を」
「えー?優れてるだなんて、全然そんなものありませんよー」
意外な言葉に照れながら答えるマルチ。
セリオは照れるマルチを余所に、矢継ぎ早に質問を続ける。
「例えば、マルチさんが度々失敗するのも必要な事なのでしょうか?」
「あう、そ、それは・・」
その言葉がマルチの心にグサリと刺さる。
「迷子になるのも必要なことだと?」
「ひっ、ひぐ・・」
既に涙目のマルチ。追い打ちのセリオの言葉が続く。
「どうやって失敗したらいいんですか?教えて下さい、マルチさん」
「そんな、、ひどいです。ひっく」
マルチは普段、セリオが絶対口にしないような、遠慮無しの暴言に涙を堪えられ
なくなっていた。
セリオは言葉少なだが、自嘲するマルチを慰めることはあっても非難することは
決してなかった。だが、今日は違う。
「そうやって、すぐ泣いたりすることも必要ですか?」
「ひっ、う、う゛あぁぁぁぁぁん」
たまらず声を上げて泣き出すマルチ。
「ごれでも、ぐすっ、わだじだっで、セリオさんみだいにうまくやりたくて、
がんばっでるんでずよぅ」
セリオは懸命になるあまり、自分の暴走に気が付かない。
「私は正しい答えが知りたいだけなんですっ!
お願いです、どうやったらそんなドジ・・・ッ!!」
言いかけた刹那、我に返る。
自分では自嘲的によく言うが、実はマルチがとても気にしている言葉を口にして
しまった事に気が付いた。しかし、時、既に遅し。
「う゛あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん」
マルチの中の何かが堰を切った。
「セリオさん、今、ドジって言いまじだねぇ〜〜!!あんまりですぅ〜〜!!」
セリオにしがみつくように抗議するマルチ。制服と一緒にセリオの長い髪を掴んで
しまっている。
「痛っ!引っ張らないで下さい!」
「はうっ、セリオさんはひどいです。だから感情がないとか言われるんです!」
「!!」
この言葉にカチンとくるセリオ。それは自分の機能へのプライドが許さない。
「私にも感情はあります!!マルチさんと同等、いえ、それ以上に!
私はマルチさんより後に生まれた上位機種なんですよ?
マルチさんみたいに低機の・・ッ」
またの失言にハッとするセリオ。
「て、低機能、低機能っておっしゃいましたねぇ。う、うぅ」
もはやマルチの顔は涙でグショグショになっている。我を忘れてセリオにしがみ
つく。
「ぐずっ、ひどい!セリオさんなんて衛星とか使ってズルい!ズル!ズルー!
ズル機能ぅー!!」
もう感情垂れ流しの抗議にセリオもつい怒りを抑えきれない。
「ズルくなんてありません!私はサテライトシステムを使わなくてもマルチさん
のようなドジは標準装備していません」
「ドジ・・あぐっ、標準ひょうび・・う゛あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」
壊れたようにマルチはセリオに掴みかかる。
「痛いっ!!引っ張らないで下さい!離して。こ、この・・」
綾香にとかしてもらった長い髪を乱暴に扱われたことがセリオの理性を狂わせた。
「このポンコツ!バカロボ!!ドジロボ!!パッチ当てることを推奨します!!」
「はうー!ポンコツはひどいです!セリオさんの無表情!機械!マシーン!!
たまには笑ったりしろ!ですっ!」
「訂正して下さい!表情パターンは豊富です!マルチさんこそ『はうー』とか
意味不明な言語をしゃべらないで下さい!・・あ、痛いっ!この旧型!!」
「う゛あぁうぁぁぁ、セリオさんのプログラム!2進数ぅー!IF文オバケぇ!!」
「おだまり下さい!このバグ仕様!型落ち!そもそもあなたが候補なんて間違い
です!!」
・・・どのくらい経ったのか。
お互いにオーバーヒートから復帰した二人は目を泣きはらし、呆然と地べたに座り
込んでいた。
「・・・マルチさん、立てますか?」
セリオはゆっくりとつぶやくように聞いた。
「はい、多分・・・。平気です。」
セリオは既にぼさぼさになってしまった髪を手櫛で撫で下ろす。
ふと、地面に落ちているクッキーが目に付いた。
すっかり忘れていたが、あの犬はまだ逃げ出さず、やや離れた位置で心配そうに
鼻を鳴らしている。
「・・・」
セリオは何気なく、クッキーを拾い、犬の方に手を差し出してみた。
犬は戸惑いながらも、やがてセリオに近づき、クッキーを食べ始めた。
「・・・」
言葉無く犬を見つめるセリオを見てマルチが言う。
「ほら、セリオさん。おいしそうに食べるでしょう?」
(・・おいしそうに・・?)
セリオは言葉の意味をぼんやりと模索しながらマルチの言葉を聞いていた。
マルチは続けて
「でも、おいしいってどういう気持ちなんでしょうね」
と、言った。
セリオは少し考え、言った。
「・・・それは私にもわかりません。・・・でも」
「でも、何ですか?」
「なんだかこうしてると・・・あたたかい・・ですね」
「はい!」
マルチが元気に応える。
セリオは横でニコニコと微笑むマルチを見て、はっと自分の頬に手を当ててみた。
(・・・私、笑ってる・・・)
クッキーを食べ終わり、セリオの手を舐めている犬に視線を落としながら、
セリオは独り言のようにつぶやいた。
「マルチさんは・・すごいです」
「そ、そんなことはないです。ドジだし、すぐ迷子になるし・・」
自嘲を続けるマルチにセリオはクスッと吹き出してしまった。
「あー、笑うなんてひどいですよー」
不満そうに言ったマルチだったが、いつしか笑っていた。
次の日から、昼休みになるとマルチとセリオが二人で長瀬主任の所へクッキーを
もらいに行く姿が見られるようになった。
−長瀬主任のポケットマネーがほんの少しだけ減ることにはなったが。
--
以上、連続失礼しました。
スレ寂しそうだったし、堪忍して下さい。^^;
よろしければ、批評いただけると嬉しいです。
読ませてもらいました。
マルチvsセリオな話ですか。
あまり読んだことが無かった、というかそういう話を読んだ記憶がないので新鮮な感じがしました。
前半の話はマルチがそのままボコられて終わるかと思いきや、反撃ですか。
俺の中でのマルチはいい子ちゃんなのでそういう発想とか無かったですねー。
おもしろいと思いました。髪を染めた葵ってオチじゃなくて良かったですw
後半の話、
>機械!マシーン!!
一緒やん(w
マルチ……勉強もしっかりな。
>>120 120にちょっと説明を足すだけで良かったかも。
セリオは優秀なAIが入っていると思われるので
あまり失言は考えられない。
セリオはあまり話さず、黙って内面で理論を描写して
それに対するかのようにマルチの良さを書いた方が
俺的には好みだったかも。
>>121 >>122 ご丁寧なレスありがとうございました。
も少し性格設定等、大事にしてみようかと思います。
小ネタ思いついたらまた参加させてください。
「ねぇ祐一」
「何だ?」
「祐一って朝走る時って、いつも変な体勢で走ってない?」
「……別にそんなことないと思うが」
「えー、だってなんだか『ぐらんどばいぱぁーっ』って言い出しそうなくらい低い体勢で走ってるよ」
「……その方が健康にいいんだ」
「それにいつもわたしの後ろしか走らないし……」
「……後ろからお前を見守ってやってるんだ」
「走ってるときに振り向くとすごく真剣な顔してるよね」
「……そりゃ、遅刻しないために一生懸命だからな」
「ねぇ祐一」
「……」
「バレてないとか思ってる?」
126 :
名無しさんだよもん:03/02/07 01:39 ID:Y1NyUqTR
127 :
124:03/02/07 18:25 ID:Cqf7jkdg
>>125 >>126 その一言がとても嬉しい。
また台詞だけのやつとか書くかもしれないけどよろしく。
だれか、舞のSS持ってない?ここで前のってた奴で、公園化どっかで夢精してしまった男の子二舞がしてあげるやつ。
おねがい
「祐一〜、コンビニ行かない?」
「寒い、だるい、眠い」
「あ〜う〜!! そんなこと言わないで行くのっ!!」
「なら行って来い」
「一緒によぅっ!!」
「わ、解った、一緒に行くから服を引っ張るなっ」
「最初っからそう言えばいいのっ」
「はいはい……支度するから先に下行ってろ」
「えーっとぉ……とりあえずにくまんと雑誌を買ってもらってぇ……」
「おい」
「えっ? な、何?」
「俺は奢らんぞ」
「ぇー」
「何だよその不満気な顔は。当然だろ、いつもいつも奢らされてたまるか」
「ぁぅ〜……」
「というわけで先に下行っててくれ」
「じゃあ早く来てよねっ!! ―――あぅっ!?」
「何をいきなり転んd――」
「いたたたぁ〜……って祐一っ! もう少し部屋片付けてよねっ!!」
「……」
「ちょっと聞いてるっ!? ねぇ祐一ってばっ!!」
「……」
「あぅ? ゆういち〜?」
「……100%ぉっ!?」Σ(゚Д゚;)
「―買うものはそれで全部か?」
「え? そうだけど」
「ほれ、貸せ。今日は俺が奢ってやる」
「ほんとっ!?」
「本当だ」
「えへへ……ありがとう祐一。でも、何で?」
「お礼だ」
「あぅ? 何の?」
「気にするな。時に真琴よ、今夜お前に話があるから是非とも俺の部屋に―」
>「……100%ぉっ!?」Σ(゚Д゚;)
これの意味が分からない。
状況は>131でやっと分かった。ちと分かりにくいね
いちご だろうね
一旦保守
>>1さんの
>キャラスレに投稿しようとしたものが長くなりすぎてしまった時。
というのがあるので、こちらに投稿させて頂きます。
(投稿しようと思ったキャラスレは「好きななのは年上の人! 由起子さん真琴姉スッドレ!」です)
多分9レスです。
「浩平。早く行かないと、学校遅れるよっ」
「ああ、今行く」
「よしっ、っと…じゃあ、行くかっ」
「あっ、待ってよ、浩平」
ONESS バレンタイン・デイ
キーンコーン、カーンコーン…
「ふぅ、何とか間に合ったな」
「はぁはぁ、浩平がもっと早く起きてくれれば、ゆっくり登校できるのに…」
「遅刻せずに登校できるなら、ぎりぎりまで寝てるのが俺の主義だ」
「もぅ…たまには歩いて登校したいよ」
「まあそう言うな。走るのは健康にいいぞ」
「ふぅ。浩平には、しっかりとした人が必要だよ」
「またそれか…」
「あ、そうだ。浩平、はい、これ」
「なんだこれ?」
「今日はバレンタインだからチョコレートだよ」
「おお、そうか?ありがとな」
「一所懸命作ったから、ちゃんと食べてね」
「よし、なら今食ってやる」
「ああっ、今じゃなくていいよ」
「そう遠慮するな」
ばくばく、もぐもぐ。
「あー、今食べなくても…」
「うん、うまい。サンキュー」
「はぁ、…まぁ、おいしかったんならいいよ」
キーンコーン、カーンコーン…
「ふう、やっと休憩時間か」
「みゅ〜♪」
「ん、なんだ?繭?」
「みゅ〜♪」
「なんだ?これくれるのか?」
コクコク
「おっ、ありがとな、繭。今開けていいか?」
「うんっ」
「ん……、何だ?この黒い物体は…」
「……」
「もしかして…、チョコレートか?」
コクコク
「そ、そうか、ありがとな、繭」
「みゅ〜♪」
「ん?」
「みゅ〜♪」
「今、食べるのか?」
「うんっ」
「よ、よし、食ってみるか」
「………」
「お…、意外とうまいな。外見とは裏腹に」
「みゅ〜♪」
「そっか、繭の手作りか…。ありがとな、繭」
「みゅ〜♪」
キーンコーン、カーンコーン…
「よっし、やっと昼休みだ。さて学食にダッシュだ」
ドンッ…?!
「痛って〜」
「あ、その、大丈夫、ですか?」
「ん?ああ、みさき先輩か」
「その声は…浩平君?」
「ああ、そうだ」
「今から学食?」
「ああ、一緒に行くか?」
「うん、一緒に行こ、浩平君」
………
「うーん、いつ見ても凄い食いっぷりだ」
「はー、おいしかった」
「あ、そうだ。浩平君」
「何だ?先輩」
「ちょっと待ってね……。はい、これ」
「な、何だ?このでかい物体は」
「今日はバレンタインだからチョコレートだよ」
「そ、それは分かったが、なんでこんなにでかいんだ?」
「そうかな?ちょうどいい大きさかと思ってたよ…」
「ま、まあ…、先輩にはちょうどかも知れないな」
「今開けてみてくれるかな?」
「いいのか?」
「うん」
「…お、みさき先輩の手作りか」
「うん、よく分かったね」
「まあ、な。この、ホワイトチョコで書いた字を見ればな…」
「ふ〜。結局先輩の前であのチョコレートを食ってしまった…もう今日はチョコレートはいいな」
「浩平?」
「ん、茜か」
「今、いいですか?」
「ああ、いいけど…、もしかして…」
「浩平にこれ、渡そうと思って」
「チョコなら嬉しいが、もう今は食べないぞ」
「??……チョコはチョコでもチョコクッキーです」
「クッキーか。それならいけそうだな」
「はい…浩平」
「お、ありがとな。ちょっと今開けてみていいか?」
「いいですよ」
「お、可愛いな。これ猫か?」
「うさぎです…」
「そっか。ちょっと味見していいか?」
「……浩平、もう食べてます…」
「うむ、ちょっと甘いがおいしいな。これならいくらでも食べれそうだ」
「後…これ、詩子の分です」
「柚木が?あいつも作ったのか?」
「はい、一緒に作りました」
「そっか。まあ、あいつも、こういう事が出来るんだな」
「はい。少し食べてみて下さい。詩子に感想聞くように言われてます」
「そっか。よし食うぞ」
「………」
「ん、思ったよりうまいな。茜のには負けるが」
「そうですか。詩子にそう言っておきます…」
「ふ〜、クッキーとはいえ、さすがにあれだけ食べると疲れるな。あのチョコの後だし…」
「どうかしたの?」
「おっ、七瀬か。ちょっと聞いてくれ…」
「あっ、…それより先にこれ、はい」
「何だ?新手の武器か?」
「ばかっ、違うわよっ!」
「じゃあ何だ?」
「何だと思う…?開けてみていいよ」
「何か嫌な予感が……」
「武器なんて入ってないわよっ!」
「そういう訳じゃないんだけどさ」
「??」
「やっぱり…」
「はい、チョコレート。ご、誤解しないでよっ。折原は誰にも貰え無さそうだし…」
「いや、嫌っていう程貰ったぞ…」
「え、そ、そうなの?」
「いや、まあ貰えるのは嬉しいんだが…」
「そっか、いっぱい貰ってたの…」
「い、いや…まぁ、くれるのは有り難いぞ」
「じゃあいい…無理に食べてもらわなくても…」
「い、いや…ちょうど腹減ってたんだ。有り難く戴くぞ」
「いいよ、無理しなくても…」
「いや、食べる…はむはむ。何とか食べれるぞ、七瀬」
「何とかって何よ…もう、無理しなくてもいいのに…」
「ふぅー、やっと今日の学校も終わりか。早く帰ろう」
ブンブン
「お、あそこで手を振ってるのは澪か」
てくてくてく
「よっ、澪。今日も演劇部か?」
うんうんっ
「そっか。よく頑張ってるな」
うんっ
「それでどうした?俺に何か用か?」
うんっ
『あのね』
『チョコレートなの』
『手作りなの』
「うっ、澪、もう勘弁してくれ…」
「???」
「今日はチョコレートづくしだったんだ……」
「???」
「後で食べるって事でいいか?」
う、うんっ……
(うっ……でも、澪のだけ後でってのも悪いか…)
ショボーン
「わ、分かった、澪、今、少しだけ、味見してみるからな」
ニコッ
「う、うん、うまい、うまいな。ありがとな、澪…」
「ふう、今日はチョコ地獄だった…。まあ家に帰れば大丈夫だろう…」
「ただいまーっ、…ってこの甘いにおい…、もしかして…」
「あっ、おかえり!おにいちゃん」
「……みさお、もしかして今、チョコレート作ってないか?」
「うんっ、作ってるよっ、おにいちゃんの為に…」
「すまん、みさお、勘弁してくれ」
「え?どうしたの?おにいちゃん」
「実は…………、という訳で、今日はチョコレートは…」
「ひどいっ!おにいちゃん!瑞佳お姉ちゃんや繭ちゃんや川名先輩や茜さんや詩子さんや七瀬さんや
澪ちゃんのチョコレートは食べられても……みさおのチョコは……グスッ…」
「い、いや、みさおのだけ食べない訳じゃないぞ。ただ、あれだけ食うとさすがにチョコは…」
「グスッグスッ…いいもん、どうせみさおは…みさおのチョコは…」
「い、いや、そのだな…うんっ、なんか急に腹が減ってきたぞ。み、みさおのチョコが食べたいな…」
「いいもんっ!どうせおにいちゃん、瑞佳お姉ちゃんや繭ちゃんや川名先輩や茜さんや詩子さんや
七瀬さんや澪ちゃんのチョコレートは嬉しくても…、みさおのはいらないんだもんっ……」
「そ、そんなことはないぞ。嬉しいぞっ。みさおが俺の為にチョコを作ってくれるなんて」
「グスッ…、本当?おにいちゃん」
「ほ、本当さ。はあ、は、早く出来ないかなぁ。みさおのチョコ、は、早く食ってみたいぞ」
「嬉しい…。おにいちゃんの為に、がんばるねっ!」
「あ、ああ、が、頑張ってくれ…、みさお」
「うんっ」
「きつすぎる……あの後、みさおの手作りチョコレートと手作りチョコケーキを食ってしまった…」
「…こ、これだけ食うと、チョコで胸焼けするな…」
「ただいまー。あら、浩平、まだ起きてたの?」
「あ、由起子さんか…、おかえり」
「何かしんどそうね、浩平。どうかしたの?」
………
「そう、そんな事があったの…」
「ああ、さすがにもうチョコは、今後一年は食いたくないな」
「そう…ならこれは無駄になっちゃうかな」
「もしかして…由起子さんも…」
「そうよ。浩平とみさおちゃんに、チョコレート買ってきたんだけど…」
「さすがにもう無理です」
「ふふっ。いいわよ。無理しなくても。チョコレートなら日持ちするし」
「でも当分、チョコは見たくもない…」
「なら、コーヒー入れてあげるわ、浩平。濃いブラック」
「…ふぅ、サンキュー、由起子さん」
………
「ふぅ、うまかった。皆には悪いが、今日食った中で、このコーヒーが一番うまかったな」
「もう…浩平、そんな事言っちゃ駄目でしょ。皆、浩平の事を思って、チョコレートくれたんだから…」
「ああ、まあ、そうだけどな」
「でも浩平はもてるわね。……ライバルが多いな」
「えっ?」
「ふふっ、何でもないわ。…また、チョコレートで胸焼けしたら、コーヒー、入れてあげるわね」
「ああ、サンキュ、由起子さん」
「おいしいコーヒー、いつでも入れてあげるからね」
「ありがと、由起子さん」
「ライバルが多いから…とびっきりおいしいコーヒー、作らなきゃね」
「え?」
「ふふ、何でもないわ。さあ、もう寝なさい、浩平。明日も学校でしょ?」
「今、濃いブラック飲んだから眠れないな」
「なら、少しだけ話でもする?最近ゆっくり話す機会も少ないし…」
「そうだな…」
それぞれのバレンタインが、過ぎてゆくのでした……
長々とスマソでした。
>>135-
>>144 長文SSおつかれさまです。
いいなぁ浩平、羨ましい。
俺だって七瀬からチョコが欲しいw
しかもみさおや由紀子さんからまで……
「あははっ、何これ〜。バカじゃないの?」
「いやいや、この馬鹿らしさが深夜の醍醐味ってもんだぞ」
その夜、真琴は俺の部屋でテレビを見ていた。
真琴の部屋にはテレビがないし、深夜に居間で見るのも気が引ける、というわけで俺の部屋にいるのだ。
まぁ名雪の部屋にもあるんだが……あいつは寝てるしな。
……テレビを見るくらいなら全然起きないだろうが。
「ふぁ〜……そろそろ寝ようかな……」
真琴がそう言ったので時計を見ると……うわ、いつのまにか2時過ぎてる……
「そうだな、そろそろ寝ないと明日起きられないだろ」
「うん」
「……」
「……」
うん、とか言っておきながら、真琴は俺の部屋から出る気配が無い。
ベッドに腰掛けたまま俺の顔を見ている。
「……部屋に戻らないのか?」
「だって……寒いんだもん」
目を伏せてそう言った真琴の顔は、少し赤かった。
まぁ……そうなるとすると―
「一緒に寝るか?」
「ふふーん、祐一がどうしても、って言うなら良いわよ?」
「かえれ」
胸をそらせて言う真琴に即答してやった。
「じょ、冗談よぅっ!」
ったく……ちょっと気を利かせれば調子に乗るんだからなぁ。
こいつなりの照れ隠しかもしれないけど。
「で、どうするんだ?」
「……真琴が寝てるときにえっちなこと、しない?」
「しないって……」
どういう目で俺を見てるんだお前。
カチッ
「電気消すぞー」
スイッチを押してから、既に俺のベッドに潜り込んでいる真琴にそう告げる。
「何で消してから言うのよっ」
そのツッコミが欲しかったからだ。
意味なんか無い。
「それじゃお邪魔します」
「どうぞ〜」
くすくすと笑いながら掛け布団をめくる真琴。
ん? あぁ、ここはもともと俺の寝場所か。
自分の間抜けさに苦笑しながら、俺も布団に潜り込んだ。
「……ねぇ祐一」
背中合わせで寝ていると、不意に真琴が話し掛けてきた。
「何だ?」
「……笑わないで聞いてね?」
「……あぁ」
「…………抱きしめて欲しい」
「大胆だな」
「からかうのも禁止よぅっ!」
いかん、つい脊髄反射で答えてしまった。
「悪い悪い」
真琴に謝りながら体の向きを変えた。
そして俺に背を向けたままの真琴を、両腕で抱きしめた。
「それで、どうしたんだいきなり」
「別に、理由なんてないわよ」
憮然とした声。
どうやら真琴さんはご機嫌斜めのようだ。
「だから悪かったって」
「……本当にそう思ってるー?」
「思ってる」
「なら許してあげる。感謝しなさいよねっ」
「はいはい」
「だから笑わないのっ」
その格好のまま、どれくらい時間が経っただろうか。
真琴は穏やかな寝息を立てている。
だけど俺は真琴を抱きしめた腕を放そうとは思わなかった。
「……ふぅ」
ためいきを一つ。
……
「……幸せ、だろうな」
微かな声で呟きながら、俺は冬を思い出していた。
終わったと思っていた奇跡。
いなくなってしまった真琴。
悲しくて悲しくて、胸が潰れそうだった……
だけど―ひょっこり真琴は帰ってきた。
なんの前兆もなしに、こっちが呆気にとられるくらいあっさりと。
何故帰ってこれたのかは解らない。
解らないけど……それでも良かった。
ただいま、って笑って言った真琴をただ抱きしめた。
「…………っ」
……恥ずかしい奴だな俺は。
ぎゅっと腕に少し力をいれる。
恥ずかしいけど―いや、恥ずかしいから嘘じゃないな。
俺はこいつが好きだ。
無邪気で、わがままで、あまのじゃくな沢渡真琴が。
どうしようもなく好きなんだ。
本人に全部伝えるなんてことは恥ずかしくて、まだできそうにないが。
「……俺は……お前が好きなんだからな」
寝ている真琴に向かってこっそり告白してみる。
傍から見たら間抜けだろうが、今夜はこんなもんだろう。
そもそも、真琴と一緒にいて、それでいて真琴が寝ていて、こんな風に暗くなければまず考えないんじゃないだろうか……
……寝るか。どうも今日の俺は変な―
「あたしも…………祐一のこと……好き」
「え?」
「真琴もね、祐一のこと好きだよ」
「起きてたのかよ……」
「ううん、寝てた。でもぎゅーってされた時に起きちゃった」
「そ、そうか。悪かったな」
「謝ることないわよぅ」
「何でだ?」
「……祐一の気持ち、聞けたもん」
「……そうか」
「……真琴ね、夢見てた」
「……どんな?」
「祐一との結婚式」
「……」
「真っ白なウエディングドレス着てて……」
「……」
「あ、ベールはあの時のと一緒だったんだよ?」
「……」
「それで、いざこれから誓いのキス―って時に……」
「俺が起こしたってわけか?」
「そうなのよぅ〜」
「ははっ」
「でもね」
「?」
「起きた時に祐一が抱きしめてくれてて……すごく嬉しかった」
「……そうか」
「しかもそのすぐ後に愛の告白だもんね〜」
「……聞かせるつもりはなかったんだぞ」
「だめ」
「は?」
「聞かせてくれなきゃ、だめ」
「何で?」
「祐一、いつも言ってくれないもん」
「言って欲しいのか?」
「うん」
「な、何だか、随分素直なんだな」
「祐一が……素直な気持ち言ってくれたから」
「……照れるぞ」
「あはは……ね、祐一の方向いていい?」
「あぁ」
俺は抱きしめていた腕を解いた。
「んしょ」
「お?」
俺の方に向き直った真琴は俺に体を寄せてきた。
そして自分の顔を何度か俺の胸に擦り付けてから呟いた。
「時々不安……になったりするのよぅ」
「不安?」
「うん……あたし、元狐じゃない?」
そう言った真琴の声は自嘲しているように聞こえた。
真琴は、何故か帰ってきた時には自分が何者であるかを知っていた。
狐だった時のことも、人間だった時のことも。
全部思い出していて、自分の口から俺に告げてくれた。
だけど帰ってきてからの行動は以前と全然変わらなかったし、それ以後俺の方からは何も言わなかったが。
「そんなあたしだから、祐一を好きになってもいいのかな、祐一が好きでいてくれるかな、って」
「真琴……」
……だから今夜一緒に寝ようとしたのか?
俺の気持ちを知りたかったの、か?
「でも、もうだいじょうぶよっ」
真琴は明るい声を出して、俺に抱きつく。
「あたしは祐一が好き。祐一もあたしが好き、でいいよね?」
「あぁ、俺は真琴が好きだ」
しっかりと、俺の気持ちを込めて答える。
「それでいいかな、って。今の素直な気持ちで祐一といよう、って」
「……考えてるんだな、色々」
「あったりまえよぅ」
「悪かった」
「あぅ?」
「俺がもう少し気が利いてれば、な。お前がそんなに不安に思うことなんて無かっただろ」
「いいのっ、あたしも……その……恥ずかしくて、祐一に好きって言えなかったし」
えへへ、と笑う真琴がとても可愛く思えて……俺は真琴を思いっきり抱きしめた。
「ぁ、あぅっ」
「好きだ」
「……ぁぅ……」
「俺は真琴が、本当に好きだから」
華奢な真琴の体を抱きしめながら耳元で囁く。
今まで言えなかった分も込めるように。
「真琴も……祐一が好き、大好きっ」
そう言って真琴も強く抱き返してきた。
「ふぅ……このまま寝るか」
「うんっ」
真琴を一杯に感じる。
この抱きしめた体の感触も。
鼻先をくすぐるさらさらの髪も。
俺を好きだと言ってくれた真琴の気持ちも。
もう離したくない。
「……あぅ? なんだかおなかのあたりが……」
「どうした?」
「ん、なんだかもぞもぞ――っ、祐一っ」
し ま っ た。
「不可抗力だっ」
「あうーっ、へんたいっ、ちかんっ、すけべーっ」
深夜ということを考慮してか、一応小声なのは褒めておくべきか。
「もう台無しーっ」
「仕方ないだろっ」
「やくそく破った〜、えっちなことしないって言ったのに〜」
「これは事故だ、避けることの出来ない事故っ」
「祐一にいたづらされた〜、って秋子さんに言いつけてやるから」
「やめてくれっ!」
俺の社会的地位が危ぶまれる。
「どうしよっかな〜」
「くっ、まこぴーのくせに生意気な」
「まこぴーじゃなーいっ!」
こうして、夜はふけて……いや、明けていくのだった。
「「おはようございま〜す……」」
「おはよう、2人とも随分眠そうね」
「うん……祐一がなかなか寝させてくれなくて〜」
「……あらあら」
「秋子さん、違いますよ。こいつが俺を寝させなかったんです。いい迷惑ですよ……」
「……あらあらあら」
「うー、だりー……」
「あぅ……太陽がまぶしいわよぅ……」
「ダブルベッド……必要でしょうか?」
「へ?」
「あぅ?」
「くー……」
……俺って地の文を書くとやたら長いですね。
削った部分多いのに……足した部分も多いけど。
もとは甘々な話を書きたかっただけのハズが。
某キャラスレで質問したのは俺です。
意識調査までしておいて、回答の結果をうまく活かせずすいませんでした。
うげっ、
>>145とID変わってないし。
あぁ、もう、本当ごめんなさい。
いきなりSS貼り付けてますし。
まこぴーらぶりーと叫ぶスレはここですか?
このぐだぐだ長いものを煮詰めると
まこぴーらぶりー
になります
保守
気楽にSS、スレの趣旨に合わないかもしれませんが、ONEのシリアスっぽいSSです。
(エイエソ物、3レスです)
宜しければ、ご批評おながいします。
P.S.
>>145さん
ありがとうございます。
「メリー…ゴーランド」
光に包まれたメリーゴーランドが、ぐるぐると回っている。
「………」
「綺麗だ……」
「………」
「でも……悲しい世界だ…」
「………アナタが、望んだ世界なんだよ」
そう…、ぼくが望んだ世界。でもその風景は、とても悲しく見えた……
「………」
「………」
「………」
「ここには、アナタの望んだモノがあるんだよ。悲しい別れも、心の痛みもない…」
「………」
「終わりの無い世界…。ここにいれば、もう二度と悲しい思いをする事はないんだよ」
「………」
「ずっとずっと、カメレオンのおもちゃで遊んでいられるんだよ…」
「………」
「………」
「………でも、違うんだ…」
「アナタの世界には、悲しい別れが必ずあるよ。滅びに向かう世界なんだよ…」
「…たとえ滅びに向かっていても……ここには、大切な人との出会いはないから…」
「………」
「メリーゴーランドは、ずっとそこを回り続けるだけなんだ」
「そうだよ。終わらない世界なんだから……。それを、アナタは望んだんだから…」
「たしかに、ぼくは一度はこの世界を望んだ…。だけど違ったんだ…」
「………」
「その事を…ぼくはやっと気付いたんだ…」
「………どうして?」
「………たとえ、ぼくの世界が……滅びに向かう世界だとしても……大切な人と出会えるから……
たとえ、前に進むことが、滅びに向かうことだとしても……大切な人と出会えるなら……」
「………」
「………」
「………」
「………」
「………」
「…ありがとう」
「………」
「君が……、君とこの世界があったからこそ、ぼくはそれに気付けたんだ…」
「…………そう…」
「………」
「………」
「………」
「………」
「さようなら…」
「………」
「君とは……もう二度と会えないと思うけど…、出会えたことは忘れないから…」
「………」
「………」
「………」
「………」
「………」
「ありがとう…」
「………うん…」
……ツンツン
「んっ?」
「………」
「………」
「………」
「ああっ…悪い。ちょっと、うたた寝してた」
…どんな夢、見てたの?…
「ああ、昔の夢」
…そっか…
「…昔、俺に大切な事を教えてくれた子がいたんだ…。その子の夢…」
…ふぅん、そうなんだ……
「大切な事を、教わったんだ……」
…そうなんだ……
「…うん」
「………」
「………」
「………」
「…ふぅ、さって、っと……。腹減ったな。何か食おうか。アイスクリームなんてどうだ?」
…うんっ…
「そっか。じゃあアイスにするか。俺が買ってくるよ」
…一緒に…
「…そうだな。一緒に買いに行くか…」
…うんっ…
さよなら………、そして…………
間を3点リーダでごまかすな。
>>164 通常のSSスレならまずい書き方だが、
ここは『気楽に』SSを書くところだから別にいいじゃん。
でも批評してくれ、って言ってるしねぇ。
ちなみに自分も同意見。語尾を三点リーダでごまかすのも、どうかとおもう。
使う箇所を少なくした方が、効果的に見えるんじゃないかなぁ。
それとか「――」も併用するとか。
三点リーダは、間の取り方とテンポを悩んだ末に、ああいう形になりました。
ご指摘、ありがとうございます。
上で言い訳していて今更言うのもアレですが、返す言葉もありません。
行間を空けるのもいんでない?
「ねぇねぇ柏木くん」
「ん、何?」
「はいっ、チョコ」
「……俺に?」
「そうよ? それじゃ」
「おう……って、今の誰だよ?」
突然渡されたチョコを持ったまま、俺は去っていく女の子を見送っていた。
まぁ同じ大学の人なんだろうけど……面識あったかな?
んー……あ、確か飲み会の時に一緒だったような。
「柏木くん」
「え?」
「チョコあげる〜、バレンタインおめでと〜」
「あ、ありがとう」
「ちゃんと食べてよね」
そう言って女の子Bも行ってしまった。
「……え?」
これって、もしかして俺もててるのか?
明かに2つとも手作りっぽいしさ。
……マジ? 何で?
『ヤレヤレダナ、こういち』
「うゎっ、急に話し掛けるな」
『強イ雄ニ雌ガ惹カレルノハ当然ダロウ』
「なんだそりゃ」
『マァ、言ッテミレバ特別ナふぇろもん体質ニナッタヨウナモノダ』
「ふーん」
『コレモ狩猟者ノ為セル業ヨ』
「はいはい、解ったから出てくるな」
『マァ待テこういち』
「まだ何かあるのか?」
『今ノ娘達ト一発―』
「喝っ!!」
『……ァゥー』
とりあえず、不穏な言葉を吐いた鬼を黙らす。
鬼っ……て言っても俺の中にいるんだけど……最近俺に話し掛けるようになりやがった。
まぁ別に害になりそうもないからそんなに危機感は感じてないんだけど。
「あ、柏木く〜ん」
「? まさか……」
「ね、チョコ欲しい?」
「やっぱり……」
「え?」
「いや、別に。うーん、くれるなら欲しいな」
「ふふーん、ならあげようじゃない、はいコレ」
「うん、ありがとう」
「お返し、期待してるからね〜」
……で、これも手作りですカ。
『ナァこういちヨ』
「なんだよ……」
『別ニ恋愛ヲシロト言ウワケデハナイ』
「ふむふむ」
『一夜限リデイイカラ』
「黙れ性獣」
『ゥグゥ……ダッテ狩リナンカ一回モシテナイシ……溜マッテルノニ』
「俺は平気だ」
『ナライッソノコト、ホラ、隆山ノ従姉妹達トデイイカラ』
「寝てろっ!!」
『エウー……』
可愛い狩猟者だなんて…どうだろ
174 :
名無しさんだよもん:03/02/16 20:39 ID:Bu613P+s
>>168さん
今回のものは、喋っての会話より無言の会話(変な日本語…)というか、
アイコンタクトというか…そういう感じの方が良いものになると思い、
こういう形にしました。
後、会話の頭に、浩平「…」とかの名前を入れない様にしたので、出来うる
限り、セリフのみで誰が話しているのか判るようにする為にも三点リーダ
を使っています。
>>169さん
>>163は、一応ONEのヒロインなら誰でもOK、な様に書いたんですが、茜の
セリフとしては合わないですね…
話の中心がエイエソの少女との部分なんで、出来る限りヒロインを限定したく
なかったんで、ああいう形にしています。
ご指摘ありがとうございます。
返す言葉なし、と書いてるのに長レスしてスマソ。吊ってきます。。。
>>170-172 これ、まともに書けば立派なコメディになる気がする。
鬼と普通に会話してるなんて、面白い発想じゃないかなぁ?
>146-154
シリアス部分はぶったぎっちゃって良かったんじゃ。
>>176 一介の真琴好きから言わせてもらうと、ああいうシリアスな部分こそ
真琴萌えの真骨頂とも言えるのです。
つーか、俺は少なくともそう。
まこぴーらぶりーっ
>>173 かわいい?
……うん、ちょっとかわいくしてしまったかも。
あぅー、とかうぐぅとかえぅーとか……
>>176 とりあえず思い浮かんだので書いてみました。
面白いと思ってもらえたなら幸いです。
>>177 真琴好きの方にも気に入ってもらえたようで何よりです。
真骨頂とまで言ってもらってw
今日も今日とてまこぴーらぶりぃーっ
多レス返し失礼しました
残っていて欲しいので、保守させて頂きます〜
じゃ、俺もほす
181 :
保守:03/02/22 00:58 ID:xRziW/rm
「すー……すー……」
唐突だが、俺達は今一緒のベッドで寝ている。
俺達……言わずもがな俺と真琴である。
まぁ起きてるのは俺だけなんだけど。
「……ん、ぁぅ〜……」
夢の中でもあうーかよ。
真琴の寝言を聞いてつい頬が緩む。
……萌え。
……はっ! 何を魅入ってるんだ俺は。
くそ……真琴のクセに生意気な。
何か悔しいぞこのやろう。
182 :
保守:03/02/22 01:00 ID:xRziW/rm
むぅ……この何かハズい気持ちと微妙な腹立たしさをどこへ向ければ……
「……あは……ゅういち〜」
……らぶりー。
……ってだから俺っ!! しっかりしろ!!
いいのかっ!! 真琴ごときに翻弄されて悔しくないのかっ!?
俺ができることは何だ!? 俺ができること……そうかっ!!
『れろっ』
―数瞬後、彼は己の行為をひたすら悔いることになる―
前スレ、『SSの墓場』 167 - 170の続きです。
そんな、私にはプロの歌手なんて無理です」
「この映画の主題歌だけでいいんだよ。すぐに引退、それでいいんだ。頼みます!」
初音は青年に頼み込まれた。隆山の街を、鶴来屋を再び盛り立てるきっかけを作ってくれたのがこの映画、それを思うと断わりきれずに引き受けた。
スタッフたちは総出で『デスゲーム』の主題歌の歌手を探していた。
あちこちの歌手、ミュージシャン、バンドに声をかけたが、大抵「私はそんな器じゃありません」「忙しくてできません」という返事ばかりだった。
明らかに緒方英二が圧力をかけていたのだ。
「いや〜、なかなか決まらなくて大変ですねえ、頑張ってくださいね」
ことあるごとに緒方に嫌味を言われたが、どうすることもできない。
そこでオーディションを開き、新人や素人から選ぶことにしたが、誰もパッとしない。
また、スタッフが「この子はいい」と、音大の声楽科や音楽学校の学生を連れてきてマイクテストをしてみるが、やはりうまくいかない。
こんなことの繰り返しで、もうスタッフたちはあきらめかけていた。
「仕方がない、BGMをアレンジしたものをエンディングで流そう」
と会議で決定しかけたそのとき、隆山に行っていた青年が、一人の少女を連れて帰ってきた。
柏木初音と名乗る少女をみんなは『ああ、また来たか。どうせ、今度もだめだろう』と、諦観した目で見ていた。
「この子にはできます!聞いてあげてください」
みんなに頼み込む。誰も反対する者はいなかった。とはいえ期待などしていなかった。
「じゃあ、あの歌を歌って」
「は、はい…」
初音は緊張した面持ちで息を吸込み、歌い始めた。
「♪……、……、……」
歌い終った時、誰もが硬直したように動けなかった。
しばらく沈黙が続いたが、映画のプロデューサーが立ち上がって叫んだ。
「こ…これだ!!この声だ!!この子が『デスゲーム』の主題歌の歌い手だ!!」
「そうですよ!主題歌はこの子ですよ!!」
「ついに見つけたぞ!!」
悲鳴に近い歓喜の声が部屋中に響きわたる中で、初音だけがぽかんとしていた。
まず、歌詞をアレンジすることになった。そのまま使ったのでは映画のイメージに合わないためだ。
その前にまず、初音本人の承認を取ることにした。無断で歌詞を変えるような、緒方みたいなまねはできない。しかし、
「え?いいも何も、私が作ったんじゃないんですけど…」
あっさりOKだった。
アレンジする、とはいっても原詞の部分はできる限り残すことにした。少しでも元歌の雰囲気を伝えるためだ。
突貫作業で、補作詞、曲のアレンジが行なわれた。
一方、初音はボイストレーニングを受けていた。しかし、あまりの飲み込みの早さに、講師は驚くばかりだった。いわく「彼女は天才だ。緒方(理奈)や、森川でもこうはいかなかった」。
スタッフ一同不眠不休の作業が続き、ついに曲は完成した。
タイトルは『夕陽の歌』となった。
そして、レコーディングが始まった…
近日、完結予定です。
続きを書いてくれた方、THANKS!!
あげてみますよー
あかりのまったりSSを書いてたら、かなーり長い物に…多分、10レス以上
気が付くと冗長になってしまうのは、技量不足の証でしょうか……
愚痴保守スマヌ...
「まったり」が「まとりっくす」に見えた……鬱だ……
>>186氏のが完結するまで、とりあえず保守っておきます。
でわ、私も保守らせて頂きます。
にゃー
にょー
私も186さんの完結編が読みたいので、保守致します。
七瀬留美は真の乙女を目指す為に、己の股間に生えた忌わしきモノを消し去る覚悟を決めた。
「こんなものがあっては、真の乙女には永久になれない……!」
固く決意したものの、病院を前に思わず足が竦む七瀬。
しかし、その病院から出てきたのは何故か長森瑞香。
密かに乙女の目標として慕っている長森が、何故病院から出てきたのか疑問に思い、問い質す七瀬。
「最近ふたなりが流行ってるって言うし、浩平がいいって言うからふたなりにしてみたんだよ。七瀬さんも今度試してみる?」
あまりにあっけらかんと言う瑞香に、七瀬は己の間違いを悟った。
「そうだ、あたしはふたなりでもいいんだ!」
おめでとう! おめでとう! おめでとう!
「……本当にあんな嘘ついてよかったの、浩平?」
「七瀬に手術を思い止まらせるにはあれしかない。七瀬から○○○を取ったら、女になっちゃうじゃないか!」
「………何気に酷い事言ってるよ、浩平…………」
「七瀬の○○○は俺のものだからな」
「相変わらず鬼畜だもん」
七瀬スレに書きたかったけど微妙に荒れそうだったから止めてしまった。
で、瑞佳がふたなりではなく、ちゃんとした女である事に気付いた七瀬は、
「嘘つき嘘つき嘘つきぃぃぃぃぃーーーっ!!(涙」
と、叫びつつ、彼女をヤってしまう絵を妄想(w
瑞佳「……七瀬さんって………漢らしい…(ぽっ」
――と、保守です。
やっぱり瑞佳にはレイプがよく似合う。
>195さん コーヒー吹いて、拭きました。
>197さん
そして漢としておんなを抱く悦びに目覚めた七瀬は
「そうだ、あたしはふたなりがいいんだ!」
おめでとう! おめでとう! おめでとう!
とかなるわですか?(w
200 :
名無しさんだよもん:03/03/06 10:57 ID:LWc4ztWS
>>197 逆ギレ瑞佳に逆に騎乗位でヤられてしまい、
「甘いよね、七瀬さん。あなたなんかまだまだ乙女ちゃんなんだよ!」
とか言われる……
……等と考えてしまった俺は、明らかに病気なので吊ってきます。
201 :
名無しさんだよもん:03/03/06 11:10 ID:BeKG6sgf
広瀬「また一歩、漢に近付いたわね(プ」
七瀬「…犯すわよ、アンタ」
広瀬「フン、ヤれる物ならやってみなさいよ」
七瀬「………(じぃ〜…」
広瀬「…な、何よ」
七瀬「………結構、綺麗ね…」
広瀬「ちょ、ちょっと…」(たじ…
七瀬「………(ぺろり…と、小さく舌なめずり」
広瀬「え〜っと、――じゃ、また明日」
――と、後ろへ振り向いてダッシュで逃げる間も無く、真希は背中から留美に抱きすくめられていた…
七瀬「そんなに怖がらないでも大丈夫よ…。――優しくしてあげるから」
広瀬「っ……!」
真希の耳元で留美が、まるで別人の様な声音で囁く――
――妄想保守です
203 :
名無しさんだよもん:03/03/08 16:33 ID:eseO7bHR
ふ。なかなか悪くない妄想だ。
205 :
186:03/03/09 20:02 ID:6NTynjlz
紆余曲折を経て、ついに映画版『デスゲーム』は公開された。
腕利きの特殊捜査官が、テロリスト組織に妻子を人質に取られる。地方の温泉街のホテル(鶴来屋がロケ地)を占拠した組織は、彼に『家族を助けてほしければ、一人で最上階まで登れ』と脅迫状を送りつける。
ホテルまでやってきた彼は次々と刺客を倒し、上の階へと登っていくが、最上階まで後少しのところで姿を現した組織のナンバー2、それは意外にも女だった。しかも、かつて自分にしつこくつきまとっていた女だった。
彼が選んだのは、今の妻だった。ショックのあまり、生活がすさんでいたところをそそのかされて組織に入ったのだ。妻へ、そして彼への復讐のために。
彼は敢えてとどめをささず、「なぜ殺さない?」との問う女の声を背に、最上階へと登っていった。
206 :
186:03/03/09 20:13 ID:6NTynjlz
ついに登りつめた最上階。妻と娘もいる。そこに姿を現したのは組織のボスだった。
「君はよくやった。だが、このゲームには端から我々の敗北はなかったのだ」
妻と娘は、ボスの手下に捕われている。ボスの銃口が彼に向けられ、火を吹こうとした。
そのとき、彼の後から銃声がとどろいた。最上階に登ってきた女が、とっさにボスを撃ったのだ。彼はすきをついて妻と娘を救出する。
だが、死に際にボスは女を撃ち、ビルにしかけた爆弾の起爆装置を作動させる。
女は彼と妻子を逃がす。起爆装置のスイッチを切ると、女は息絶えた。
三人を乗せた迎えのヘリコプターが、夕暮れの中を飛んで行く…。
夕焼け空を見る度に 思い出すわ あなたの優しい眼を
でもあなたの眼が見つめてるのは 私じゃない 違う愛する人
喜びは短く 悲しみは長く 何が喜びと言えば…
ゆらゆらとまぶたに焼きついてゆく あの頃と同じ夕焼け空
ただの一言でいいから 言葉がほしいだけ ああ 一言だけが
今日もまた夕陽が沈んで 夜の闇に全て包まれて
今あなたの腕の中にいるのは 私じゃない 違う愛する人
へだてる壁は高く 伝わる思いは低く 人恋しさに泣けば…
ゆらゆらとまぶたに焼きついてゆく あの頃と同じ夕焼け空
ほんの少しでいいから 優しさがほしいだけ ああ ほんの少しだけ
あなたの記憶から 私は薄れ消えていく
夕陽の光のように
ゆらゆらとまぶたに焼きついてゆく あの頃と同じ夕焼け空
ただの一言でいいから 言葉がほしいだけ ああ 一言だけが
ゆらゆらとまぶたに焼きついてゆく あの頃と同じ夕焼け空
ほんの少しでいいから 優しさがほしいだけ ああ ほんの少しだけ
207 :
186:03/03/09 20:19 ID:6NTynjlz
あちこちの劇場で、映画が終わった途端に拍手と歓声が巻き起こった。
連日劇場の前は長蛇の列、警官が交通整理に出るほどの大フィーバーとなり、
日本映画の観客動員最高記録をあっと言う間に破った。
主題歌『夕陽の歌』のCDは、映画の封切りから間もなく発売された。
主題歌と一緒に、原詞のバージョンが収録された。
CDは発売されてから、売上ランキングでしばらく一位を独走し続けた。
しかし、予定通り初音はCDを一枚出しただけで引退となった。
「もったいない」「もっと歌って」の声が上がったが、約束は約束だ。
初音の周りはマスコミの取材でしばらくバタついていたが、次第に静かになっていった。
こうして、瀕死状態にあった日本映画は、そして隆山の街はよみがえったのだった。
『夕陽の歌』を聞きながら、がっくりとうなだれている男がいた。
緒方英二だ。
「…お、俺の…負けだ…完敗だ…」
この素晴らしい曲に、緒方は素直に負けを認めざるをえなかった。
「俺は…俺は…なんてバカなことを…」
そして、あちこちに圧力をかけて映画の主題歌作りを妨害してきたことを深く後悔するのだった。
が、後悔したところで…
「失礼します。警察の者ですが、緒方英二さんですね?」
「署までご同行願いたいのですが。あなたに脅迫と脱税の容疑で逮捕状が出ています」
後の祭だった。
END
208 :
186:03/03/09 20:31 ID:6NTynjlz
PC修理のため、お待たせしました。
歌詞の部分は、近藤真彦の『夕焼けの歌』と、その中国語版『夕陽之歌』
(映画『アゲイン/男たちの挽歌III』主題歌)を参考にしました。
(ほとんど原型がないですが…)
ちなみに、『夕焼けの歌』の替え歌になってます。
「秋子さーん、お風呂空きましたよー」
俺は脱衣所から、秋子さんがいる台所に向かって声をかける。
「はーい、わかりました」
ここの家では、大体俺か秋子さんが最後に風呂に入ることになる。
名雪は夜遅くに入ると溺れる可能性があるため。
真琴は単に風呂好きなため早く入りたいようだ。
俺としては、秋子さんよりも先に入るのは何となく気が引けるというか……まぁ遠慮するんだが
―私は最後でいいですよ―
なーんて笑顔で言われると、強く言い返す気も起きないのである。
「……あ、やべ」
ふと、気づいた。
パジャマ代わりのシャツが無い。
……これでは凍えてしまうっ!?
「……ンなこたーない」
ツッコんでみる。……アホか。
虚しくなったのでとりあえずバスタオルを首にかけて脱衣所を出る。
……下のスウェットは忘れなくて良かったな、俺。
「きゃっ!」
「え」
脱衣所から出たすぐそこに、いたのはやっぱり秋子さん。
タイミング悪ぅー……
「あ、すいません。シャツ持ってくるの忘れちゃって」
「そ、そうですか」
秋子さんは驚いて落としてしまったもの……その……なんだ……あれとかを拾う。
―見てない。俺は黒くて薄い布なんか見てないぞぉ。
「あの、驚かしてすいません」
まぁ、そりゃ驚くよな。若い男が突然上半身裸で現われたら。
たとえ甥でも。……裸の甥……なんかえろいな。じゃなくて。
「い、いえ。全然大丈夫です」
秋子さん、顔赤いですよ。
「それじゃ」
そう言って俺は部屋に戻ろうとするが
「……結構、逞しいんですね」
「は、はい?」
思わず立ち止まってしまった。
いきなり何を言うんですか秋子さん?
「祐一さんって、もっと華奢な体つきかと思っていましたけど……」
秋子さんはそんなことを言いながら俺に近づいてくる。
「あ、あの、秋子さん」
「あら、胸板も結構厚いのね……」
こ、心なしか……秋子さんの言葉づかいが微妙に違っている気がしないでもないような。
「!」
つ、つっつかないでくださいっ!!
「あの頃はあんなにかわいかったのに……」
さ、さすらないでくださいっ!!
「いつの間にか大人になっていたんですね……」
ちょっ!! 秋子さ……うわっ!!
※尻切れとんぼ※
参考文献
http://wow.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1044054911/343-345
このスレ、残っててちょっと嬉しかったり。
保全
まったりと保守します。
何処からか、歌声が響いてきた。
「この曲は……、『仰げば尊し』ですね」
「あおば…?」
「『仰げば尊し』。恐らく、卒業式で唄われているのでしょう。……、懐かしいですね」
「どーして?」
「私は来栖川エレクトロニクスの試作機として、浩之さんやあかりさんが御在学していた高校に編入する事になりました」
「たしか、結婚する前のパパとママって、小学校からずーっと一緒だったんだよね」
「はい。学校での試験中、お二人には本当に良くして頂きました。
そして、後に結婚なされたお二人の御恩に報いるべく、今こうしてメイドとしてお仕えしているのです」
「ドジばっかりだけど」
「ううー、頑張ってはいるんですがー」
「あおば…じゃない、『あおげばとーとし』はどうなったんだっけ?」
「あ、そうでしたね。試験が終わる際に、お二人に唄って頂いたんです。『仰げば尊し』を。
今でもこの曲を聴くと思い出すんです。夕焼けの綺麗な日でした」
「ふーん。想い出があるんだね」
「はい。本当に大切な想い出です」
「唄って貰ったとき、嬉しかった?それとも悲しかった?」
「もうお会いできないと云う寂しさと、こんな事までして頂いたという喜び、そして…」
「そして?」
「……いえ何でもありません」
「?」
「もうお昼ですね。恐らく、あかりさんがお昼ご飯を作ってお待ちです」
「うん。ママのご飯、美味しいから好き」
「では帰りましょうか」
この曲を聞く度に思い出すのです。
あの日の事を。寂しさと喜び。そして。
あの日、私は卒業しました。学校と、説明の出来ない感情から。
失恋、だったのでしょうか?
仰げば愛おしくて。
「…確かに、応援してくれるファンの人もいます。
プロデューサーの兄も良くしてくれますし、
冬弥君も優しいし…でも…何かが…何かが足りないんです。
…こんな気持ちを引きずったまま、芸能活動を続けるくらいなら…」
理奈の言葉を聞いて、男は激昂した。
「冗談じゃない!そんなのはあんたの贅沢ですよ。確かに、
タレントの幸せっていうのは、絵描きが絵を描いてて幸せだ、
医者が人の命を救って幸せだということとは訳が違います。
そりゃ、今のこの環境じゃ気楽でしょうよ。
だけどねえ、俺は田んぼや畑のど真ん中で、ゲリラライブをやったなんてミュージシャン、
いっぱい知ってますよ。客はそれこそ蛙や鳥や虫しかいない、
でも彼らはやったんですよ。
富士山頂にドラムセット持込んで、初日の出と同時にライブをやった
っていうミュージシャンにも出会いましたよ。彼は、ヨーロッパで
ライブ会場を満員にした男ですよ。
緒方さん、彼らのことをバカだと笑えますか?
自分のことアーティストだっていうなら、あんた、そんなことできますか?」
…さて、あなたが理奈なら、どう答えますか?
218 :
名無しさんだよもん:03/03/17 03:10 ID:zesQ+aFm
219 :
魁七瀬塾:03/03/17 05:08 ID:E58DNVBl
(心の声)
くっくくく、みんなよってたかってふたなりだの
漢○瀬だの、種馬だのいってくれるわね!
大体、比較となる今の男がだらしなさすぎるから
私が乙女に見えないのよ!
そう!そうにきまってるわ!
これ以上にない乙女の私にかぎってふ…っふたなりだなんてっ!
ふーっふーーっ
…しばらくして
うーんどうしようー私の小乙女も極限まで高めている今
これ以上どうすれば…
…いっそのこと奴等の漢を鍛えれてみるか
うんっ!そうすれば、わたしの乙女が際立つかも
よーーしぐっとあいでぃあ♪
220 :
魁七瀬塾:03/03/17 05:09 ID:E58DNVBl
…
……
数日後
オラアッ!折原ァーーー貴様それでも七瀬塾の塾生かぁーー
腕立て千回程度でへばるんじゃあねえー
押守!塾長殿、申し訳ございませんっっ!
まだまだ漢が足りんのう、もっと気合いれい!
ビシイイッ! ばしいっっ!
押守!ごっつあんです
(ふふふ、なんだかんだいっても見違えるほど漢らしくなってきたわい
…しかし何かへんじゃのう……)
>216
最後がグッときた。
こういうの好きかも。
>219,220
口調が塾長や鬼ひげ、松尾が混じっている気がするけど面白かったです。
誰が独眼鉄をやるか続きがあれば楽しみです。
保守致します。
>>217 理奈「しょくぎょうせんたくのじゆう〜あはは〜〜ん♪」
保守でござる。
ふむ
アナ「現場に○○記者が行っております。○○さん!」
リポーター「はい、こちら隆山です。私は只今、つい先程発生しました、
正体不明の生物による殺人事件の現場に来ております。
…あっ、負傷者が運ばれてきました。女性です。
高校生くらいでしょうか。どうやら、死にかけているようですね。
一言、感想を聞いてみたいと思います。…今のご心境はいかがでしょうか?」
かおり「ぐえっ、じゅわあああ〜っ、ぐっ、あずさ、せんぷゎ〜い!!ぐっ!」
リポーター「死を目前にいたしまして、なかなかお言葉にはならない
ご様子のようです。それでは、最期の言葉を聞く前に、お知らせをごらん下さい」
228 :
名無しさんだよもん:03/03/25 00:42 ID:riOZxR1X
セリオ「あなたがマルチさんの仰っていた『犬さん』ですか?」
犬「わんわん」
セリオ「犬語の翻訳機能は実装されていません。が、外的特徴から同一個体と判断します」
犬「ワン」
セリオ「肯定、ですか。マルチさんから言付かっています。
この、研究所の方から分けて頂いたクッキーをお渡しするように、と」
犬「ワンワンワン!」
犬、食事中
セリオ「美味しいですか?それはどのような感情なのですか?」
犬「わんわん」
セリオ「犬語は解りません。……。それにしても、栄養状態があまり宜しくないのではないかと判断します」
犬「ワゥーン」
セリオ「何か栄養のある食餌を取るべきです。サテライト・サービスに接続。単語『犬』『健康増進』and検索……。検索完了」
犬「ワオン?」
セリオ「犬さん、『補身湯』というのをご存じですか?」
マルチ「あれ?セリオさん、さっき犬さんが凄い勢いで走っていきましたが、なにか有ったんですか?」
セリオ「……ネコ」
マルチ「は?」
セリオ「猫舌だったのでしょうか、犬さんは」
太陽が沈みゆく鏡間市依代町の海岸。
人影少ない砂浜に、一人の少女がぽつんと座り込んでいた。
夕霧「…………」
由宇「どないしたんや夕ちゃん、こないな所で黄昏て」
夕霧「猪名川さん…」
由宇「ん? 何か困ったことあったらウチに言うてみ?」
夕霧「……猪名川さん、私、わたし…」
由宇「うん」
夕霧「どうしてこんなに萌えないんですか〜!?」
由宇(うっ…)
夕霧「わたしだって、好きでこんなおデコになった訳じゃないのに… みんな笑うんですよ〜!」
由宇「あ〜… えっと…」
夕霧「月代ちゃんはスパッツだし高子さんは非処女なのにモてるし岩切さんは人気あるし麗子先生は不思議キャラなのに… どうしてわたしだけ〜!」
由宇「お、落ち着き、夕ちゃん」
夕霧「うえ〜ん… 萌えキャラになりたいよう…」
由宇「せやなあ… …よしゃ!」
夕霧「?」
由宇「あんたを萌えキャラにする方法はウチが知っとる! ウチに任せとき!」
夕霧「ほ、本当ですかっ!?」
由宇「おう! 萌えを生活の糧にして生きてる同人作家や、萌えキャラ一人創り出すのに苦労はせえへん」
夕霧「い、猪名川さぁ〜ん…(涙)」
由宇「誰彼本編やったらキャラデザも設定も脚本もあんたにとって悪い方にしか働かへんかったからな。 その上で萌えキャラになる言うんやったら、あんた自身の外見とか性格とかも変えなあかんかも知らへん。 それでもええかな?」
夕霧「は、はい! 萌えられるようになるんだったら、何でもします!」
由宇「ええ心がけや! ウチについてき!」
保守