締め切りまで残り 8 時間です。 最後の追い込みがんばっていきましょう! 締め切りギリギリまたは少し越えて投稿をしそうな方は、 前もってお伝えください。それについて考慮いたします。 また、締め切りを過ぎても即、投稿期間終了というわけではありません。 締め切り間際で他の方の作品と交錯する恐れや、また最近の投稿規制の 強化によって、最悪アクセス禁止がかかる可能性があります。 焦らず、落ち着いて投稿してください。
今から投稿します。 タイトルは『二人の力で』8レスの予定です。 ヒロインは舞です。 では、よろしくお願いします。
真夜中の教室。窓から射す月の光が舞の姿を照らす。 「祐一……」 舞が俺を求めている。俺は舞の体を抱き寄せた。 その夜、佐祐理さんは魔物に襲われた。舞への誕生日プレゼントを背負ったまま。 何より大切な佐祐理さんを傷つけられ、舞は自分を責め続けていた。 舞は自らを罰するために、俺に汚されることを望んでいたのだろう。 だが、俺はそんな理由で舞を抱きたくはなかった。 しかし、舞の体の温もりが、頬にかかる吐息が、俺の理性をぐらつかせる。 舞が唇を重ねてきた。その柔らかい感触に、俺の中で官能がはじける。 俺は舞のスカートの中に手を入れた。その部分の湿りはすでに下着の上からも感じられる。 もう俺には自分を抑えることはできなかった。 下着だけを脱がせると、俺は自分のものを舞の秘部にあてがった。 舞のその部分は狭く、俺の侵入を拒むかのようだった。俺は舞の腰に手を回し、力をこめた。 つぷり、と舞の隘路が俺を受け入れる。 破瓜の血が、痛々しく滲んできた。 「…………」 舞は声もたてず、目を閉じてその苦痛に耐えていた。 「舞、痛いんじゃないか?」 「大丈夫。続けて」 俺はゆっくりと舞の秘肉の中を進んで行った。 そして彼女の最奥部に到達した瞬間。 舞が突然口を開いた。 「魔物の気配がする」
「魔物? 今ごろになって出たのか」 こんな時に。なんて間が悪いのだろう。 「だけど、俺たちも無用心だったな。こんな場所でまぐわってるなんて」 ぽむ、と舞が俺にチョップした。 「祐一、恥ずかしいことを言うな」 「すまん」 こんなことをしている場合じゃない。戦闘に備えなければ。 「祐一、早くどいて」 「わかってる」 わかってるんだけど。 「なにしてるの」 「わかってるって」 これは一体…… 「早く」 「…………」 だ、だめだ。 「抜けなくなった」
いくら引いても、びくともしない。 「舞、そっちからも引っ張ってくれ」 「はちみつくまさん……」 「1、2の……」 「3!」 俺と舞はそれぞれ体重をかけて引っ張り合った。 「いててててっ! ちぎれるちぎれる!!」 力ずくでは無理のようだ。 これはただ事ではない。 膣痙攣とかいうものだろうか。このまま病院に担ぎ込まれることにでもなったら一大事だ。 「これはきっと呪い……」舞がつぶやいた。 「呪い?」 「きっと魔物が私に呪いをかけた。こうなった時……つまり……」 「つまり、舞が男とヤってる時に、抜けなくなるような呪いってわけか」 舞が俺にチョップを入れた。 「あからさまな言い方をするな」 「だがそういうことだろう?」 舞は頷いた。 「きっと私達の動きを封じるつもりだと思う」 確かにこんな状態では身動きもままならない。襲われたらひとたまりもなさそうだ。 「そこまで来ている」 舞は立てかけてあった剣を手に取って立ちあがった。
「いててててっ! 急に動くな!」折れるかと思った。 「ごめん」 二人で横ばいにそろそろと移動する。二人三脚より歩きづらい。 教室の扉を開けると、いきなり魔物に出くわした。 舞は反射的に地を蹴り、斬りかかろうとした。 だが、俺がその動きについていけるはずはない。舞はバランスを崩し転倒した。 当然、俺も転倒する。 変な態勢で重なり合い、俺のモノも不自然な方向へ捻じ曲がった。 「ぐあ……」 もう地獄である。 二人で苦労して体勢を整え、立ち上がる。 いつもの颯爽とした舞からは想像できないような無様さだ。 「やっぱりこれじゃ闘うのは無理……ってあれ?」 さっきの魔物はもういなくなっていた。 「どうしていなくなったんだ……? 俺たちを倒すならチャンスなのに」 「さっきのはきっと斥候」 「斥候?」 「こんな呪いをかけられるのが、あんな低級な魔物のはずはない」 「すると……ボスがいるわけか」 「見て」舞が窓を指差した。 そこは中庭のはずだ。それが黒い巨大な影に覆い隠されている。 「あ、あのバカでかい奴か!?」 舞が頷いた。
中庭を埋め尽くす巨大な怪物。 その四囲を圧する邪気は、窓のガラスさえも軋ませている。 「あんなのと……どうやって戦うんだ……」 呆然としていると、やがて怪物から棒状のものが上方に伸びてきた。 それがこちらを向いた瞬間。 「危ない!」 舞が俺の体を抱えて床に伏せた。 「ぐえ」また俺のモノが無理な角度に折れ曲がったが、そんなことは言っていられない。 怪物の触手が、巨大なハンマーのように打ち込まれた。凄い衝撃の波が頭上を通過する。 砕けたガラスがバラバラと落ちてきた。窓枠までも歪んでいる。 すさまじい破壊力だ。 しゅるしゅると触手が引っ込んでいく。どうやら連続攻撃はできないらしい。 今のうちに逃げて、戦闘態勢を立て直さねば。 とりあえず、あの怪物の死角になる場所に隠れた。 幸い、奴はでかすぎて校舎の中に入れないらしい。 「舞、怪我はないか?」 「大丈夫」 「さっきから気になってたんだが、お前そこはなんともないのか?」俺は結合部を指差した。 「何も感じない」 呪いのせいだろう。なんだよ、俺だけ苦痛を感じてるんじゃないか。 「しかし、あんな化け物、どうすりゃ勝てるんだ?」 あれじゃ舞が万全の態勢でも勝てないかもしれない。 「しかも今の舞は、股間に俺のモノを咥えこんだままの状態だし…」 「いやらしい表現を使うな」舞がチョップを入れた。 「でも、あれを倒さない限りずっとこのままなんだろ?」 これでは打つ手がない。もう絶体絶命だ……
「あいつ、このことを見越して佐祐理を……」舞がぽつりとつぶやいた。 「え?」 「こうなることが分かっていたから佐祐理を傷つけた……」 つまり舞の考えでは。 佐祐理さんが怪我をすれば舞は俺と教室で性交を始める、と予測して怪物は策を弄したわけだ。 『風が吹けば桶屋が儲かる』じゃあるまいし、そんな馬鹿なことはないと思うが…… だが舞の暴走は止まらない。 「許せない」 「どうするつもりだ?」 「祐一、私にしがみついて」 「えっと……こうか?」 舞の首に腕をかけ、脚も舞の腰にからませた。 駅弁というやつだろうか。男女が逆な気もするが。 「これで何を……うわっ」 舞はいきなり走り始めた。 廊下を突っ切り、一気に階段を駆け登る。 人間一人を抱えて、しかもナニを挿入したままである。 舞の足腰の強靭さには驚嘆せずにいられない。
最上部の戸をこじ開け、屋上へ出る。 夜風がことさらに冷たく感じるのは怪物の放つ殺気のせいかもしれない。 俺は足を地面に下ろした。 「こんな所でどうするつもりなんだ、舞?」 「合図したらこっちへ思い切り跳んで」舞が右側を指差した。 「え?」 「跳んで!」 なんだかわからないが、とりあえず指示通り跳んだ。勢い余って横転する。 「ぐげ……」またも局部に激痛が走った。 その時、体の横を何か大きな物がかすめた。さっきと同じく巨大な触手の攻撃だ。 フェンスに大きな穴が開いた。 「立って」舞が急いで俺を立たせる。 「もう一度しがみついて」 ここは舞に従うしかない。俺はさっきと同じようにしがみついた。 舞はフェンスに近づくと、さっき怪物が開けた穴をくぐった。 「こっちよ」舞は眼下の怪物に呼びかけた。 怪物の表面に、何か顔のようなものが現れた。 凶悪なその顔は、真っ黒い牙を剥いてぐんぐんと近づいてくる。 あまりの禍々しさに、身の毛のよだつような戦慄をおぼえた。 「舞……一体何を?」 「しっかり捕まってて」 そう言うと、舞は屋上の縁から怪物の顔へと飛び込んだ。
「……………!?」俺には何が起こったのかすぐには理解できなかった。 やがてガキッという硬い衝撃。そして、 ガガガガガガ……と剣が何かを引き裂く感覚が、舞の体を通じて感じられた。 怪物の体を切り裂きながら、俺と舞の体はゆっくりと落下していく。 やがて剣の切っ先が地面にまで到達した。 グオオオオオ……という断末魔の叫びが轟いた。 巨大な魔物の体はちりぢりになり、竜巻のように渦を巻いて飛散していく。 さきほどまでの邪気はあとかたもなく闇の中に溶けていった。 後には何も残らない。辺りは再び、清らかな夜の静寂に包まれた。 呪いが解けて、俺のペニスは舞の胎内からぬるっと滑り抜けた。俺はその場に尻餅をつく。 ちょっと気まずくて、二人はしばらく黙り込んだ。 「祐一がいてくれたから、勝てた」やがて沈黙を破ったのは舞だった。 「私ひとりの体重だけでは倒せなかったかもしれない」 「そうか。二人分の重みがあったから、あの化け物をやっつけられたんだ」 「そう」 「俺たち二人の力で勝ったんだな」 「うん」舞はちょっと頬を赤らめて頷いた。 「これぞまさしく合体攻撃だ」 「…………」 舞のチョップが俺の額に炸裂した。
以上、『二人の力で』でした。 ありがとうございました。
投稿開始します。 タイトルは「悪戯心と乙女心」で、9レス使います。 ToHeartネタで綾香メインの話です。
「あら、浩之じゃない」 その日、オカルト研究会部室のドアを開けた浩之を迎えたのは、芹香ではなかった。 「綾香? お前、何でこんなとこにいるんだよ」 「暇だったから、遊びに来たのよ。姉さんが部活でどんなことやってるか興味あったし。悪い?」 「悪いだろ。普通、自分とこの制服のまま他校にくるかぁ?」 「誰にも何も言われなかったわよ。それに、私服だったらもっとマズいんじゃない?」 「…そうかもしれねーけど」 反論を探す浩之に、綾香がニヤニヤと楽しそうな笑みを浮かべて追い打ちをかける。 「あ、それとも私はお邪魔だったかしら? 姉さんとの甘いひとときを邪魔しちゃ悪いわね〜」 「な、なに言ってんだよ!」 図星だった。 今日は芹香とふたり、誰にも邪魔されない恋人同士の時間を過ごそうと思っていたところだ。最近は芹香も受験勉強やら進路相談やらで少し忙しくなっていて、ふたりきりにはなりづらい。 浩之の希望としては、週に一回程度に減ってしまった逢瀬の時間を存分に堪能したかったのだが… (…ま、人が多い方が賑やかで先輩の気晴らしになるかもな) そう考え、自分を納得させる。 「しかしまあ…姉さんもよくやるわね…」 部屋の中を見回し、綾香が呆れたように言った。 最近の芹香の『部活動』は、時間が少なくなったぶん中身が濃い。 以前にも増していろいろな物を持ち込み、床の魔法陣は前からだが、壁に目を向ければ見ているだけで呪われそうな文字の並ぶタペストリーが垂れているし、天井を見れば妙な形に切られた野菜や、中に何が入ってるのかよく分からない袋などが吊されている。 棚に並んだあやしい人形やあやしい道具やあやしい本はさらに数を増しており、あやしい儀式が最近豪華になった気もする。 もはやこの学校の秘境だった。
「ねえ、これ触ってもいい?」 「いいけど、ちゃんと元に戻しとけよ」 首から上がないマリオネットで遊び始めた綾香を見て、ため息一つ。芹香が来るまで時間をつぶそうと、まわりの秘境っぷりからすっかり浮いているパイプ椅子に座り、最近芹香にもらった初心者向けの黒魔術の本を読み始めた。 しばらく、そのまま時が過ぎる。浩之は特に読書に集中しているわけでもなく、流し読みに近い読み方でページをめくっている。 それでも、綾香は直前まで接近を悟らせなかった。 「スキありっ」 「…んがっ」 いつの間にか背後に迫っていた綾香が浩之の鼻をつまんだ。 「おいっ。何して…」 綾香の指をふりほどいて振り向いた浩之だが、今度は手のひらで口をふさがれた。 「!?」 ふさがれただけではなかった。唇の間から何かが口の中に入ってきた。舌の上に何か小さな異物を感じる。その正体を考える間もなく反射的に飲み込んでしまう。 ノドボトケがごくり、と動いたのを確認し、綾香はあっさりと手を放した。襲撃からここまで、終始一貫して笑顔。 嫌な予感がした。 「…おい、お前、今、なに飲ませた…?」 「あはは。そこであやしい薬を見つけたから、ちょっと試してみようかと思って」 あやしい薬。 芹香の作品に決まっている。
綾香は、浩之の体を上から下までじっくりと眺め、ニッコリと笑って言った。 「外見も特に異常なし、と。良かったわね、薬の効果はなかったみたい」 「だといいんだけどな…」 不安げに浩之が呟く。この表情を見れたことで、綾香の目的はおおむね達成された。 薬の効果を試してみたい、というのもまるっきりの嘘ではないが、浩之に対する悪戯心を抑えることができなかったのが大きかった。 さらに言えば、これは、自分を振った男に対する仕返しだった。 浩之は知るよしもないが、いつからか綾香は浩之に惹かれていた。しかし、浩之が芹香と愛し合うことになってすぐに綾香は身を退いた。 もともと自分の方が後から割り込んだのだし、あの芹香が今後の人生で浩之よりいい男を見つけられるとは思えなかったからだ。 だが、それでも抑えられなかった少しの嫉妬と苛立ちと不満はある。それらをこういう形で浩之にぶつけて、これでこの件にはケリをつけよう。綾香は、そんな風に考えていた。 もしこれで浩之が気絶でもすれば、芹香を心配させることもできる。芹香にも浩之を取られた恨みがあるし、一緒に仕返ししてやろう。突発的な思いつきだが、自分では面白い案だと思えた。 しかし、実際はちょっとばかり浩之を困らせるだけで終わりそうだ。綾香はそう思ったが、そのときふと、浩之の息が荒くなっていることに気づいた。 「…はぁ…はぁ…」 「浩之…? ちょっと、大丈夫?」 綾香の表情が緊張を含んだものに変わる。芹香の薬を飲んでこんな症状が出るのは見たことがない。 「…っく…もしかして、これ…ホレ薬か…?」 「はい? ホレ薬?」 耳慣れない言葉だった。さすがにどういうものかは分かるが、そんなものは安っぽいストーリーの漫画くらいでしか聞いたことがない。 「前に先輩が作ってたんだよ。一回飲んだことがある。でも…どっちかっつーと、媚薬に近いシロモノで…」
浩之の顔から血の気が引いた。 「な、な、なんてことしやがるっ!」 対照的に、綾香は笑みを崩さない。 「だーいじょうぶよ。どうせ姉さんが作ったやつでしょ? 姉さんの薬って致命的なことは起こらないから。ま、悪くても気絶するくらいで済むはずよ」 「そんなもん当てになるか! …って、お前なんでそんなこと知ってるんだ?」 「中学の頃まではよく実験につきあわされてたから。だって、姉さんが実験頼めるのなんてセバスと私くらいじゃない」 「なるほどな…」 納得しかけた浩之だが、 「じゃなくて! 気絶でも大変だろうが!」 「まあまあ、落ち着きなさいよ。もし気絶したら姉さんと私で看病してあげるから。もう、この幸せ者っ」 「あのなぁ…」 何にせよ、すでに飲んでしまったのだ。口論するより平和的解決の道を模索するべきだろう。 そう考え、浩之はそれ以上の追及を諦めた。 「それで、体の調子はどう?」 綾香に聞かれ、自分の体の隅々に意識を向ける。 「…特に何ともねーみたいだ」 「なんだ、つまんない」 「おいっ!」 「冗談よ」
「び、媚薬!?」 また耳慣れない言葉だったが、今度は一発で意味が分かった。女の子向けの雑誌にときどきそういうものが載っている。 しかし、さすがの綾香も、まさか芹香がそんなものを作っていたとは思わなかった。 浩之がゆっくり立ち上がった。相変わらず息は荒いまま、その目はまっすぐに綾香を見ている。 「綾香…」 「ちょ、ちょっと、浩之!?」 浩之の手が綾香の肩を掴んだ。そのまま肩を押し、綾香を壁際へ追いつめていく。 「や、やめてよ。ねえ、嘘、でしょ…?」 浩之の動きは止まらない。狭い部室の中で、綾香の背中はすぐに壁に触れる。 「だ、ダメだってば! もう姉さんも来るわよ!」 浩之の顔が綾香の顔に近づく。綾香は浩之を押しのけようとするが、腕力では浩之にかなわない。 だが、綾香の得意技は蹴りだ。この位置なら容易に金的を狙えるし、そうまでしなくても足を払ってやればそれで十分だろう。 「い、いや…」 口では拒絶していながら、綾香の足は動かない。綾香の心のどこかに、行動をためらわせる物があった。 本気で拒否できない。 本当は、綾香も、このまま浩之に身を任せることを望んでいた。 (姉さん…!) 芹香の顔が思い浮かぶ。芹香のためにも、ここで流されてはいけないはずだ。だが、それでも、どうしても浩之を拒否できない。 さらに浩之の顔が綾香に近づく。唇が触れればそれで終わりだ。自分はどうすることもできず、浩之のなすがままになってしまうだろう。 (ああ…) 綾香の心の中で最後の葛藤が起こり、 (…姉さん、ごめん…) 目を閉じ、体から力を抜いた。
「…なーんて、な」 浩之の軽い声とともに、額と後頭部に衝撃が走り、目の奥で火花が散った。 「…ったぁ!」 あまりの痛さに涙が滲む。さっきまでの状況と痛みで思考がぐちゃぐちゃになっていたが、綾香の中にある格闘家の部分が反射的に状況を把握しようとする。 たぶん、額のは頭突きだ。後頭部は、その衝撃で壁にぶつけたのだろう。 誰にやられた? 考えるまでもない。 「何するのよっ!」 思わずさっきまでの状況を忘れ、加害者に食ってかかる。 「へっ、人を実験台にしたお返しだ」 浩之はニヤニヤと笑っている。 一瞬で状況が飲み込めた。 さっきの浩之の行動は、全て演技だったのだ。 「あ…あんたねえ…」 思わず浩之のテンプルにハイキックを入れそうになるが、すぐにそれは思いとどまる。 蹴られなければならないのは自分の方だろう。先に手を出したのも自分なら、土壇場で拒否できなかったのも自分だ。 もしもさっきまでのが演技でなかったら、今頃自分と浩之はどうなっていたことか。先ほどの自分の思考には顔が赤らむ思いだ。 自己嫌悪と恥ずかしさで、綾香の怒りは急速にしぼんでいった。浩之を見ていられず、そっと目を逸らした。
「先輩がホレ薬の名を借りた媚薬を作ってたってのは本当だけどな。ま、これに懲りて、今後は変なことするなよ」 「…はいはい、分かったわよ」 適当に返事をしながら、ぺたんと床に座りこむ。 「…あー、なんだか、どっと疲れたわ」 そう呟いたとき、部屋のドアがゆっくりと開いた。 「お、先輩」 部室へ入ってきた芹香はまず浩之を見て、次に床に座り込んでいる綾香を見て、少し不思議そうな顔をする。 「えーと…別になんでもないわ。遊びに来たんだけど…ちょっと疲れただけ」 言いながら、綾香はゆっくり立ち上がる。 芹香が心配そうな顔をして何か言った。 「え? 元気が出る薬? …ごめん、姉さん。今日はちょっと、薬と名の付く物は遠慮しとくわ…」 芹香の申し出を丁重に断り、さっきから気になっていたことを質問してみる。 「ところで姉さん、これ、何の薬? さっき浩之が飲んじゃって」 お前が飲ませたんだろ、という抗議の声は無視し、薬が入っていた瓶を指さす。 芹香は恥ずかしげに、いつものように小さな声で答えたが、その返答は浩之にも綾香にもはっきり聞こえた。 聞こえたが、あまりにも予想外だった答えに、ふたりとも聞き返さずにはいられなかった。 「え?」 「せ、先輩。今、なんて言った?」 芹香は少し顔を赤らめ、もう一度答えた。 「…ホレ薬です」
「ほ、ほんと!?」 「う、嘘だろ? だって俺、別になんとも…え? 遅効性? 飲んでから十分くらいで効く?」 綾香は慌てて時計を見た。よく覚えてないが、確か飲ませたのは十分ほど前ではなかったか… 「う、うぅ…」 気がつくと、浩之の様子がおかしかった。 今度はマジらしい。 「だいたい、なんでホレ薬なんて作ってるのよ! 姉さんには浩之がいるでしょ! …は? もっと好きになってもらいたかった?」 綾香はつきあってられん、とばかりにため息を一つつき、 「それじゃ、疲れたから私は帰るわね」 「お、おい!? ちょっと待てよ!」 「知らない。姉さんにどうにかしてもらえばいいんじゃない?」 くるりと後ろを向き、 「じゃ、またね」 そう言って、さっさと部屋を出て行く。浩之が何か言っていたが、全部無視する。 ドアを閉めたところで、もう一度長いため息をついた。何故だか、自分が一番損した気がした。 ふと、ドアの向こうの雰囲気が変わったことに気づく。これから何が行われるかは想像に難くない。 誰かにバレたらマズいだろうが、部員はあのふたりの他にいないらしいし、外に物音が聞こえてもあやしい儀式の一環と思われるだけだろう。 そう結論を出し、綾香はそっとドアから身を離す。 「まったく、人の気も知らないで…」 独り言は聞く者もなく、空しく響く。 結局、自分は嫉妬しているだけなのだろう。 「…あーあ。私も早く彼氏つくろっと」 自分に言い聞かせるように呟き、綾香はその場を後にした。
Kanonの作品、投下します。 ギャグもの、2レスです。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「はぁ……今度は何よ」 今から数ヶ月前、と言っても、相沢祐一が街に来る、わずか2週間も前ではない。 あたしは、栞との賭け――「負けた方が勝った方の言うことを聞く」という、ちょっとしたお遊び――に負けた。 「それじゃあねぇ……お姉ちゃんが、私と、誰か一人男の人のいる前で、一人でするの」 「するって……何を」 「もちろん、えっちなこと。 お姉ちゃんの一人エッチを、私とその男の人で観察するの」 「栞、他の罰ゲームにはならない?」 「なりません、もうやり残したのはこれくらいだから」 こちらの『待った』を、全く気にかけない栞。 「……それなら、こっちからも条件をちょうだい」 「何、お姉ちゃん?」 「あなたが、信用できる恋人を連れて自宅に帰ってくること、それが罰ゲームを行う条件よ」 せめて、最低限でもこれくらいは。全く譲歩する余地の見えない栞に、あたしは譲れないラインを提示する。 「分かりました、それくらいなら」 あっさり、それを受ける栞。 「言っておくけど」あたしは言葉を続ける。「栞、あなたは、次の誕生日まで保たないわよ」 栞には、時間がないはずだった。 そして、その間に外で男を作ってあたしに見せつける……罰ゲーム執行の条件を満たすことはあり得ない。 しかし、万が一、それがあったとしたら、あたしは人間としての尊厳を失う。 だから……絶対に、栞の恋は阻止しなければならない。 「あたしに妹なんていないわ」 そう、決して、栞にチャンスを与えない。 その旗印の下、あたしは栞の恋路を徹底的に邪魔することを決意した。
……だが、それは簡単に満たされた。
わずか一月と少しで、彼女は見事に男性を見つけてきたのだ。
相沢祐一。栞の病気と『向かい合い』、栞の『病気から』逃げている姉をうまく捕まえ(本当は、病気から逃げてるわけじゃないのよぉ〜)、
栞との約束をきっちりと果たした、あたしの同級生。
そして、しばらくして栞は病魔を克服した。あたしの予想に反して。
(こんなことになるなら、仲直りなんてしなければよかったのよ……)
栞の退院の日。頭を抱えながら、あたしは自室にこもっていた。
栞が帰ってくる。相沢くんを、連れて。
こんこん。
ドアがノックされる。
「どうしたの?」
あたしは、できるだけ感情を隠して、日常を装って応対する。
「お姉ちゃん、ただいま」
「お帰り、栞」
栞の声の調子があまりに普通だったので、少しだけほっとする。
(もしかして、忘れてくれてる……?)
「ところでお姉ちゃん」
「どうしたの?」
「あの約束、ちゃんと果たしてくれるんだよね……私は、ちゃんと『恋人を連れて帰ってきた』よ」
「う……な、何のことかしら?」
とぼけながら栞の目を見る。……間違いなく、本気の目。
「今度はそっちが守る番だよ、お姉ちゃん。……お姉ちゃんの可愛いところ、見れるんだね」
その悪魔の笑顔に、あたしは死刑執行台に立たされるほかは、なかった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
>>141-142 以上、「罰ゲーム」2レスでした。
今から投下します。 タイトルは「希望という名」 長さは 15 レスぐらいになる予定です。
コンペ作品を投下します 「WHITE ALBUM」の澤倉美咲をメインとしたものです。 ほぼエロオンリーなので、苦手なかたはパスしてください。 タイトルは『生贄』。10レスの予定です。
ピーンと張った空気が辺りを包み、周りからは息を飲む音が洩れる。 どこまでも深い闇の中、この空間に声が響く。 そして私は、その声にただただ耳をすます。 「決して希望を捨てないでください。 あなたは今、不幸という悪魔に囚われていますが、本当に恐ろしいのはその悪魔ではなく、あなたがその悪魔に屈してしまうこと。 もしあなたが希望を捨てなければ、必ずやその悪魔を打ち払うことができるでしょう。 だから希望を捨てないでください。明日へとつながる希望を──」
電車のガラス越しに透ける夕陽が、澤倉美咲の顔を赤く照らしている。 美咲はドア脇の手すりに掴まりながら、もう片方の手で文庫本を開いていた。 彼女の地元駅から五つほど先の駅には、お気に入りの古本屋が三軒固まっている。 駅前には大きめの書店もあり、大学が早く終わったときはたまに立ち寄って、当てもなく本を探し読むのを楽しんだ。 今読んでいるのも、古本屋で手に入れたミステリーだ。文体は古いがテンポがよく、話に引き込まれる。 (――読み終わったらミステリー好きの七瀬君にも貸してあげよう) そんなことを思いながら読書に没頭していた美咲は、駅に着いたことも気づかない。 時間が時間なだけあって、反対側のドアが開くと同時に、大量の乗客が流れ込んできた。 私鉄との乗り継ぎがあるこの駅の乗降数は、沿線でもトップクラスだ。 たちまち車内は人間で溢れ、急流のように押し寄せる人間が巨大な圧力となって、美咲を押し潰した。 気づいたときにはドアに押しつけられ、身動きさえままならない。もちろん本を読み続ける余裕もなかった。 仕方なく本を胸の辺りで持ったまま、窓の外の風景を眺める。 と、電車がカーブにさしかかり、車体と人間がドミノのように傾いて、もろに美咲の背中に体重がかかった。 「くっ……」 背骨が折れそうな痛みに、息が詰まった。 (通勤している人達は、毎日こんな風で大変なんだろうな――) 同情しつつも、この苦しい状況もあとたかだか4駅――十分少々の我慢だと思うと、ほっとする。 まるで圧搾機に放り込まれたような苦痛と、熱く湿った不快な空気には、慣れそうもないし、慣れたくもなかった。 そんなことを考えながら、ぼうっと流れる風景を眺めていると、不意に――、 「!?」 美咲のスカートの後ろ側、尻の部分にぴたりと手が押し当てられた。
えっと、先に投下していいでしょうか?
割り込みすまない。どうぞ。
それでは、また 1 から投下します。
『えぇ〜!』 部室に突然驚きの声が巻き起こる。 「ごめん。わたしが自分自身をちゃんと管理していなかったせいで……」 と、謝っている雪ちゃんの声は注意してようやく聞き取れるほど小さく、そしてしゃがれていた。 「部長、声が出ないってどういうことですか?」 副部長の佐藤さんが雪ちゃんに問いかける。 「それは」 雪ちゃんの話によると、過度の声帯への負担と風邪で咽を痛めたいうのがその原因らしい。 確かに、ここ最近の雪ちゃんの演劇への力の入れようは目を見張る、と言っても見えないから言葉や雰囲気からしか分からないけど、とにかく凄かった。 早朝からの練習、休み時間には台本やその他準備の打ち合せ、そして放課後からまた練習が始まり、それが深夜まで続いていたらしい。 でも、これは私が部員さんから聞いた話だけ。およそ雪ちゃんの性格からすれば、他の人の見えないところでもっと色々なことをしていたんだと思う。 そこまで雪ちゃんが力を入れてしまうの分かる。 五日後、この高校の文化祭が開かれ、その中の演し物として演劇部の公演がある。部としては一年に何度もない晴れ舞台だ。 だから、それに向けて力を入れるというのはこの部の誰にとってもごく自然なこと。 ……ただ雪ちゃんは、みんなが思う以上にがんばってしまった。
「完全に治るまで最低一週間は必要だって、お医者さんには言われた」 最後に付け加えられた力無い雪ちゃんの言葉に、周りの空気が沈んでいくのが分かった。 「一週間って……公演は明後日なんですよ、部長」 その言葉が部室に響く。そこにはいくらか怒気が含まれているように感じた。 「多分、本番には少しは治っているから……」 「治っているからどうなんです? もし演技して、それこそ本当に咽を潰したらどうするんです? ……そんなこと私がさせませんよっ!」 佐藤さんの怒りは、その場を完全に沈黙させた。 別に佐藤さんは意地悪でこんなことを言っているんではないと思う。雪ちゃんのことを思ってこそなんだ。 でも、それは 「……代役、いないよな」 誰かがぽつりとその答えを言った。 雪ちゃんが演じるのはメインヒロイン。他の役よりも台詞は多いし、舞台で演じる時間も長い。 それを他の人があと五日で憶えるなんてことは、とうてい無理な話だった。 「もう風邪は治ったから動くことはできるの。あとは声だけなんだ」 雪ちゃんは自分だけに言い聞かせるように、ぽつりと呟く。 その言葉を聞いたとき、私の中で閃くものがあった。 「だったら、私が雪ちゃんの声になるよ」
みんなが一斉に私の方を向いた、ような気がした。 「私が雪ちゃんの代わりに台詞を言うの。ねっ、良い考えでしょ」 その言葉を聞いて、周りから「おぉ〜」とか「なるほど〜」なんて感嘆の声が上がる。 だけど 「みさき、その気持ちは嬉しいけど、あなたは目が見えないのよ」 「大丈夫。台本は点字にするから」 「そういうことじゃなくて、台本を読めたとしても……わたしの演技が見えないでしょ」 「……あ」 そうだった。演劇は動きながら台詞を言うんだ。その動きが見えなきゃ意味がない。 「本当に嬉しいんだけど……」 その言葉とは裏腹に雪ちゃんは悲しそうだった。 (やっぱり、私じゃ雪ちゃんの力になれないのかな? 雪ちゃんがこんなに苦しんでいるのに、力になれないなんて……私、私、どうしたら) その時、誰かがくいくいっと私の袖を引っ張った。 にこにこ。 サッ
『──』 「ごめん、読めない……」 何となく、澪ちゃんは悲しそうな顔をしているような気がした。 「『わたしが目になるの』だそうです」 佐藤さんが通訳してくれた。 こくん。 その後の佐藤さんの通訳によると、澪ちゃんが舞台の上の雪ちゃんの動きを私に合図で教えて、 その合図で私が台詞を読めばいい、ということを言いたかったらしい。 「『部長さんの演技はずっと見てたから、ほとんど憶えているの』だそうです」 佐藤さんの通訳はそれで終わった。 「上月さん……」 雪ちゃんは澪ちゃんの名前を呟くと、少しの間黙り、そして尋ねた。 「佐藤さん、みさきと上月さんの他に、この役目を受け負える人っているかしら?」 佐藤さんは「えぇっと」としばらく考えてから、返答した。 「今回の演劇では、誰かしらは必ず舞台の上にいることになります。 少なくとも、開演から終演までヒロインの声を演じられるのは、その二名しかいないと思います」 「そう。それなら決定ね」 その言葉が発せられると、周りから安堵の声が洩れた。 「みさき、上月さん。わたしのために本当にありがとう。 でも、これからはビシバシいくわよ。なんたって、あなたたちは私は一心同体なんだから。 覚悟はできてる?」 雪ちゃんのその言葉に、私(と多分澪ちゃんも)は、こくんとうなずいた。
それからは本当に大変だった。 まず私は、台本を受け取ると急いで家に帰り、お母さんに点字にしてくれるよう頼んだ。 はじめは驚いていたようだけど、私が「雪ちゃんの力になってあげたいんだよっ」と熱心に語ると、快く応じてくれた。 その代わり、その日の夕御飯は食パン1斤とイチゴジャムだけだったけど…… 翌日。 私は朝早く学校に行くと、朝練習に出ていた雪ちゃんに台詞についての説明をしてもらった。 演劇では、単に台本にある台詞をそのまま読めばいいというわけにはいかない。 このシーンでは全身で喜びを表すように、このシーンでは淡々と過去の辛い思い出を吐きだすように。 そんな注釈が、全ての台詞についてつけられた。 放課後。 公演まで時間が無いということで、本番さながらの練習と同時並行で私の台詞の練習は行われた。 と言っても、今まで全く演劇経験が無い私。練習が始まってから、何度も私の演技で練習が中断された。 そして、そんな声じゃ観客に届かない、ここの台詞はもっと心をこめて読みなさい、そんな指導が容赦なくきた。 澪ちゃんにしても同じ。私に出す合図のタイミングがずれれば、雪ちゃんの演技と声がずれてしまう。同じような指導が入った。 泣き出しそうだった。でも、泣くわけにはいかなかった。 (私は雪ちゃんだもん。雪ちゃんはこんなことじゃ泣かないよ) それは、澪ちゃんも同じだったと思う。 そんな練習が朝から晩、そして公演の前日まで続いた。
公演当日。 私は雪ちゃんに連れられ、舞台がある体育館に向かった。 夕方からの公演ということで昼間の一般展示を見終えてから来る人も多いらしく、体育館は既に喧騒と熱気に包まれていた。 「どう、緊張してきた?」 雪ちゃんはわざと意地悪なこと訊いてくる。 「うぅん、全然」 私はそれを軽く受け流す。 そのまま手を引かれ、舞台の袖に向かうと、突然袖を引っ張られた。 にこにこ。 サッ。 『──』 「『がんばるの!』だって」 「うん。頑張ろうね、澪ちゃん!」 私はもう一人の雪ちゃんと元気よく挨拶を交わした。 「じゃ、私は準備に向かうから。あとはよろしくね」 「うん」 こくり。
雪ちゃんが去ってからしばらく経ち、会場の喧騒が止み、いよいよ開演のブザーが鳴った。 舞台の前に降ろされていた緞帳が、スルスルと上がっていく音が微かに聞こえる。 (いよいよなんだ……) 合図となる澪ちゃんの手を握った。 (……あっ) 澪ちゃんの手は震えていた。 (緊張、しているんだね) 私は澪ちゃんの手を強く握り返す。 ……! 震えは、止まった。 演劇が始まった。 滑稽な三人の従者を引き連れ、深い森の中を散策する王子。 やがて清らかな湖に辿り着くと、その畔で花を摘む清らかな少女に出会う。 (雪ちゃんの出番だ) 今か今かと神経を集中し合図を待つ。その手に汗が滲む。 ……ぎゅっ 『ごきげよう、王子様。このような見窄らしい小娘にどのようなご用でしょうか?』 (やった。言えた。練習よりもちょっと声が上ずっちゃったけど、そんなに違和感はない、よね?) 一度声を出すとある程度緊張は解けるもので、その後の王子様とのすんなりと演じることができた。
劇は進み、この少女にひと目惚れした王子が少女に婚約を申し込み、二人は晴れて結ばれる。 しかし、そのような幸せを良くは思わない悪しき魔女が王女をさらい、王国には不幸の種が蒔かれる。 その中でも、私たちの懸命な演技は続く。 澪ちゃんが合図をし、私が台詞を読み、雪ちゃんが舞台で演技をする。 時には喜び、時には悲しみ、時には笑い、時には怒り…… それらの繰り返しが、私たちをより強く結びつけているように感じた。 そして、劇はクライマックスに入る。 その王国の不幸を取り除こうと、単身魔女の館へ向かうことになる。 その行く道に待ち受ける困難。しかしその困難も乗り越え、王子は魔女と対峙する。 巨大な魔女の力に押され続ける王子。 だが、王女の祈りによって魔女の力は弱められ、とうとう王子は魔女を討ちとることができたかにみえた…… しかし、そうはいかなかった。 魔女は狙っていたのだ、王子が油断をする時を。 それを王子が見せたとき、魔女は己の生命と引き換えに王子に呪いをかける。 えいえんに不幸という悪夢を見つづける呪いを。
魔女の死去と共に消え去る館。 それが消え去った後の草原にただ一人横たわる王子。 その元に、囚われていた王女が駆け寄る。 (これでとうとう最後だね) 王子は夢の中で思い続けていた。 ……どうして自分だけがこの様な目に合わなければならないのか。 ……どうして他の者はこの様な目に合わないですむのか。 『決して希望を捨てないでください。 あなたは今、不幸という悪魔に囚われていますが、本当に恐ろしいのはそれ自身ではなく、あなたがそれに屈してしまうこと。 もしあなたが希望を捨てなければ、必ずやその悪魔を打ち払うことができるでしょう。 だから希望を捨てないでください。明日へとつながる希望を──』 王女はそうして王子に呼びかけ、目覚めのキスをする。 それにより悪夢から解放された王子は、王女と二人で平和を取りもどした王国に帰還し、平和に暮らしました──
「──とさ。めでたし、めでたし」 演劇の終了とともに緞帳は降ろされるが、その向こうでは割れんばかりの拍手や歓声が湧き起こり、舞台はもちろん、私たちがいる袖まで聞こえてきた。 拍手は全然止みそうにない。 「あっ、これがカーテンコールってやつかな?」 こくん。 すると、突然袖を引っ張られて舞台の方向に連れて行かれようとする。 「えっ、えっ、澪ちゃん? 突然どうしたの?」 「カーテンコールは、出演者全員がもらわなきゃしょうがないでしょ」 そんなことを言うこの声は、雪ちゃんだ。 「さっ、早く」 私は、袖を澪ちゃんに引っ張られ背中を雪ちゃんに押されながら、舞台に登場した。 『こちらが今回、急拠ヒロインの声を演じることとなった川名みさきさんです。 皆様、どうか大きな拍手でお迎えください』 そんなアナウンスが舞台上に響く。 それに合わせるように、それまでも十分大きかった拍手がより大きくなった。 「えっ、私?」 何が何だか、分からない。 「ほらっ、みさき。観客の皆さんに挨拶しなさい、失礼でしょ」 そんな雪ちゃんの催促で、慌てるようにペコリと頭を下げる。 すると、それまでも十分すぎるほど大きかった拍手がさらに大きくなった。
顔を上げる。 「……」 私には、この目の前にどれだけの数の人が来ているとか、どんな人がいるだとか、どんな風に見ているだとか、そんなことは分からない。 私はこの風景を見ることができないから。でも、たった一つだけ分かることがある。 そこから吹く風は温かい、とてもとても温かい、どんな苦しみも癒してしまうような温かい風が吹いていた。 「ごめん……雪ちゃん」 「ん、どうしたの?」 「私……涙が止まらなくなってきちゃった。 雪ちゃんは……こんなことじゃ泣かないよね?」 「はぁ……何を言うかと思えば、この娘は。 もう劇は終わったんだから、戻っていいのよ、川名みさきに」 「ひっく……ひっく……雪ちゃーん!」 雪ちゃんの胸の中で人目を気にすることもなく、私は泣いた。 「わたしたちはね、この拍手をもらうために演じているのよ」 雪ちゃんが囁いたその言葉が、心に深く染み込んだ。
文化祭終了後、演劇部の部室ではささやかな打ち上げ会が開かれた。 もっともその中身というと、私と澪ちゃんの活躍を褒めるものが多くてちょっと恥ずかしかったけど。 そして会も終わりに近づいたころ、雪ちゃんは私をこっそりと外に連れ出した。 「本当、今日はお疲れ様。これがわたしからの感謝の印」 そう言って、雪ちゃんは私の手にそれを渡す。 「あっ、これは缶コーヒーだね。どうもありがとう」 「まぁ、みさきの胃袋には全然足りないでしょうけど」 「うぅ〜酷いよ、雪ちゃん。こういうのは気持ちが大切なんだよ〜」 「えっ、みさきからそんな言葉が聞けるなんて、明日は雪かしら?」 そんなやりとりを交わしながら二人して笑う。 そして雪ちゃんからもらった缶コーヒーを飲みながら、私は夜空を眺める。 そこには満天の星空が広がっていた……私の頭の中では、だけど。 「あの時の演劇だよね」 私はずっと考えていたことを口に出した。 「憶えてたんだ」 「うん。きっと一生忘れないよ。 ……だって、あの演劇は私が光を失って初めて見た演劇だもの」 「そうね」 私が最初にあの演劇を見たのは小学校の時、目の手術を終え退院してきた直後だった。 全くの暗闇の中、舞台から聞こえる音だけに神経を集中していたのを憶えている。
「私もショックだったのよ。みさきの目が光を失ったというのは」 雪ちゃんは淡々と話し始めた。 「きっと何を言っても聞いてくれないんだろう、ってことは分かっていた。みさきは頑固だしね」 その言葉を聞いて、思わず笑みがこぼれてしまう。 「だから幼い私は、無い頭を使って必死に考えた。その時見つけたのが、あの学内演劇会のポスター。 舞台の上でお芝居をするなんて、正直好きじゃなかった。 でもあのシナリオを見た時、これはわたしがやるしかない、って思ったの」 そこまで言うと雪ちゃんは一息つき 「何が縁になるか分からないものね。あれが私が演劇に嵌まるきっかけになったんだもの」 「へぇ、それじゃ雪ちゃんは私の目が見えなくなったから演劇をやるようになったんだ」 ちょっと意地悪をしてみる。 「って、そう言われると、とってもフクザツな気分になるけど。 ……そうね、正確にはあなたがわたしの演劇を見たあとに元気になってくれた、からかな」 雪ちゃんはちょっと照れながら、言った。 「雪ちゃん、私も一つ言っていい」 「えぇ、いいわよ」 「私ね、本当はあの演劇を見た後に死のうと考えていたんだ」 「……」 雪ちゃんは何も言わない。 「もちろん、それは雪ちゃんの演劇を見る前に考えていたこと。 せめて死ぬ前に、雪ちゃんの声を聞いておけば悔いはないかな、って考えていたの。 バカだよね、私」 「それで、見た後は」 雪ちゃんの声は微かに震えていた。 「死のうとは思わなくなっていた。生きようとも思わなかったけど」 その数日後だった、あの子からの電話が来たのは。
「じゃ、結局私は何の役にも立たなかったか」 雪ちゃんは自嘲ぎみの呟く。 「そんなことないよ。だって」 そして私は雪ちゃんの方へ振り向き。 「こうして、私は希望を持って生き続けているんだもの」 「そっか……」 雪ちゃんからの答えはそれだけだった。 「ねぇ、みさき。もう一度あの台詞を言ってくれない?」 「あの台詞って?」 「ほら、あの最後にヒロインが叫ぶシーンの台詞よ」 「えぇ〜、こんな所で恥ずかしいよ〜」 「いいじゃない、減るもんじゃないし」 「うぅ、何となく雪ちゃんの台詞が親父くさいよ〜」 「ほらほら、これは部長命令よ」 「もう、しょうがないな」 私はコホンと一つ咳払いをし、喋った。 『決して希望を捨てないでください。 あなたは今、不幸という悪魔に囚われていますが、本当に恐ろしいのはそれ自身ではなく、あなたがそれに屈してしまうこと。 もしあなたが希望を捨てなければ、必ずやその悪魔を打ち払うことができるでしょう。 だから希望を捨てないでください。明日へとつながる希望を──』 その台詞は、遠く夜空に吸い込まれていく感じがした。 そしてその一ヶ月後、私は折原浩平というちょっと変わった男の子に出会うことになる。
>>164 先ほどは失礼した。では、あらためて投下します。
ちょっと離れすぎたので、もう一度頭から投下します。スレを汚して申し訳ない。
「WHITE ALBUM」の澤倉美咲をメインとしたものです。
ほぼエロオンリーなので、苦手なかたはパスしてください。
タイトルは『生贄』。10レスの予定です。
電車のガラス越しに透ける夕陽が、澤倉美咲の顔を赤く照らしている。 美咲はドア脇の手すりに掴まりながら、もう片方の手で文庫本を開いていた。 彼女の地元駅から五つほど先の駅には、お気に入りの古本屋が三軒固まっている。 駅前には大きめの書店もあり、大学が早く終わったときはたまに立ち寄って、当てもなく本を探し読むのを楽しんだ。 今読んでいるのも、古本屋で手に入れたミステリーだ。文体は古いがテンポがよく、話に引き込まれる。 (――読み終わったらミステリー好きの七瀬君にも貸してあげよう) そんなことを思いながら読書に没頭していた美咲は、駅に着いたことも気づかない。 時間が時間なだけあって、反対側のドアが開くと同時に、大量の乗客が流れ込んできた。 私鉄との乗り継ぎがあるこの駅の乗降数は、沿線でもトップクラスだ。 たちまち車内は人間で溢れ、急流のように押し寄せる人間が巨大な圧力となって、美咲を押し潰した。 気づいたときにはドアに押しつけられ、身動きさえままならない。もちろん本を読み続ける余裕もなかった。 仕方なく本を胸の辺りで持ったまま、窓の外の風景を眺める。 と、電車がカーブにさしかかり、車体と人間がドミノのように傾いて、もろに美咲の背中に体重がかかった。 「くっ……」 背骨が折れそうな痛みに、息が詰まった。 (通勤している人達は、毎日こんな風で大変なんだろうな――) 同情しつつも、この苦しい状況もあとたかだか4駅――十分少々の我慢だと思うと、ほっとする。 まるで圧搾機に放り込まれたような苦痛と、熱く湿った不快な空気には、慣れそうもないし、慣れたくもなかった。 そんなことを考えながら、ぼうっと流れる風景を眺めていると、不意に――、 「!?」 美咲のスカートの後ろ側、尻の部分にぴたりと手が押し当てられた。
最初は偶然だ、と思っていた。こんな混んでいる車内だから、手が触れてしまうこともあると。 だが美咲がなんの抵抗もしないのに安心してか、ゆっくりと手が動き始める。 なだらかな曲線に沿って手を上下に這わせる。 (痴漢……) 痴漢に遭うのは初めてだった。 恐怖に体が震えたが、かといってこの状況では逃げる事もできず、手を払うこともできない。 声を上げることはできたはずだが、喉が張りついたようになんの音も出てこない。 これくらいなら我慢すればいい。そのうちやめてくれる――そんな楽観論で自分をごまかして。 しかし美咲の希望とは逆に、手の動きは徐々にエスカレートしていった。 柔肉を手のひら全体で包み、揉む。力が込められた瞬間、美咲はぴくりと背筋を仰け反らせる。 その反応が楽しいのか、手はタイミングをずらしながら、美咲の尻肉を掴む。 初めての体験に美咲はうろたえ、身を捩るが、それは手の持ち主を喜ばせるだけだった。 (いや――いやぁ――) 文庫本を握る指に力を込め、這い上がってくる嫌悪感に耐える。 不意に、指が1本伸ばされ、尻の割れ目に押し当てられた。 筋に沿って、縦に指が動く。すりすりと擦る指にはだんだん力が込められ、デニム地ごと割れ目に食い込んでくる。 (な、なんでそんなところ……) 沸き起こってくる妖しい感覚に美咲は戸惑い、ただうろたえた。 気持ちよくも痛くもないが、心はひたすらにその感覚を拒絶していた。 そのうち指は、動きを止めた。ちょうどそこは美咲の排泄器官――後ろ側の穴の位置。 まさか、という思いが頭をよぎるが、指はその予測通り、尻穴をきつく圧迫してきた。 「っ!?」 声が上がりそうになって、慌てて文庫本で口元を押さえる。
焦る美咲を嘲笑うように、指はきゅっきゅっとリズミカルにその部分を押し、時に侵入してこようとする。 もちろん間に布地がある以上、入ってくることなどできないのだが、美咲は必死に両腿に力を込めて、指を阻もうとした。 指は委細構わず、ぐりぐりとえぐるような動きで美咲の尻穴を強く刺激する。 (そんな……やだっ、やだぁっ……) 指に押され、美咲の体はぴったりとドアに押しつけられる。 尻穴を押されるたびに息が詰まり、呼吸が荒くなってゆく。 体温が上がり、頬が紅潮する。車内の湿度と相まって、額にはうっすらと汗がにじみ始めた。 (――どうして、こんな……) 泣きたくなった。 抵抗できない自分が悔しくて、理不尽な仕打ちをうける自分が悲しくて。 そのせいか、嫌悪感が少しずつ、別の何かに変わり始めていることに気づかなかった。 だが、その自覚を得る前に、指が一旦離れる。 ほっと息をつく、その瞬間を見計らって、指がスカートをたくし上げ、太腿の隙間に侵入してきた。 「あっ!」 思わず声が上がった。周囲の乗客が不審気な目で美咲を見下ろす。 美咲ははっとして、真っ赤になって目を伏せた。 (どうしよう……みんな、気づいてしまったかも……) 車内の全員が自分を見ているような錯覚に陥る。できるものなら今すぐこの場から消えてしまいたかった。 (次の駅……次の駅で降りなきゃ。降りれば、追いかけてまでは来ないだろう……) そんな美咲の決意には委細構わず、指は活動を再開する。 汗と熱で、むわっとした湿気が立ちこめた三角地帯。 揃えられた中指と人差し指が、その三角形に貫くように入り込み、天井部分を擦り立てる。 その動きに合わせて柔らかい肉が前後に震えた。 「〜〜っ!」 声にならない呻きが食いしばった歯の隙間から零れた。
その部分を他人に触られるなんて、生まれて初めてだった。 自分で慰めたことくらいはあるが、これほど激しい快感を得たことはない。軽く達した時点で、満足していた。 それとはまるで次元の異なる、他人の指から与えられる途方もない快楽が、美咲の心を狂わせ、溺れさせる。 汗と指の圧迫でショーツがぴたりと張りつき、食い込んでくる。 敏感な柔肉がきめの細かい繊維に擦られ、微細な快感を送り込んでくる。 (なっ、なんで、こんな……こんな……) 美咲の体の動きがいよいよ激しくなった。合わせるように、指も新たな動きを見せ始める。 普通に擦っていたかと思えば、不意に動きを止め、指を肉に軽く食い込ませて、もみほぐす。 ノックするように指の先でつつき、尖った爪で軽くひっかく。 美咲は腰を振って快楽を逃がそうとするが、ぎゅっと閉じられた彼女の太腿は、もっとと言うように手首を挟んで離さない。 悶える美咲を嘲笑うように、指は秘唇の上で繊細なダンスを踊り続けた。そして、 「!!」 不意に親指が尻穴をえぐった。 同時に秘部をいじっていた指もぎゅっと圧迫をくわえ、前後から挟みこむ。 (く、あぁっ……) 美咲の体が一瞬硬直し、震え、弛緩する。 その間も絶え間なく、指は秘部をこね回し続ける。 (や、やめっ……そんなに……) じゅわっと痺れるような感覚が湧いて、蜜が零れた。 一度溢れるともう歯止めが利かなくなった。 指が蠢くたびに、奥から奥から愛液が溢れてくる。 (私……痴漢されているのに、こんな……) 見ず知らずの他人に触られ、濡れてしまったという恥辱が、ますます美咲を追いつめ、反応させる。 (こんなに……濡れちゃってる……) 必死でこらえたが、もはや誤解しようがないほどに喘ぎは大きくなっていた。
訝しげにこちらを見下ろすサラリーマン。横目でちらちらとこちらを伺う若者。 自分のされている行為の全てが見透かされているような気がした。 体の反応を押さえ込もうとするが、おとなしくしているとかえって指は笠に着て、美咲をいたぶり続ける。 下着の上から花芽がくじられる。指が押し当てられて、上下左右に揺すられる。 指の圧力と布地との摩擦が否応もなく鋭い快感を弾けさせる。 (もう……やめて……こんなの、こんなの……) 左手に持った文庫本は、折れ曲がるほどに強く口元に押し当てられ、美咲の息で熱く歪んでいた。 尖った爪の先端で柔肉をつつかれると、たまらない快感が背筋を這い上がった。 と、その爪が、濡れて色濃くなったパンストを引っ掛け、小さな穴を開ける。 一度とっかかりができたら、後は簡単にその穴は広がっていく。 ストッキングが破られたというショックよりも、引き裂く音が誰かに聞かれはしないかと、そっちの方が気がかりだった。 破れ目から指が侵入し、直接ショーツに触れる。濡れた部分を広げるように指が激しくぬかるみを擦る。 強く押されると秘裂から愛液が溢れ、ショーツを越えてにじみ出る。 指の動きは蜜という潤滑液を受け、ますます動きを活発にする。 ショーツを引っ張ってずらし、秘裂を晒した。 スカートの中にこもった、湿った空気が抜け出て、代わりに生ぬるい空気が直接触れてくる感覚に身震いする。 そして、 (やっ……いやあっ!) 直接柔肉を嬲り始めた。 淡い茂みは濡れて張りつき、秘裂の隙間からピンク色の肉が覗いていた。 指が一撫でするたびに歓喜に打ち震え、とろとろと蜜を吐き出す。 頃合いと見たか、指が左右に割れ目を押し開き……その内側に突き立てようとする。 (だめっ!) さすがにそれ以上の行為は許容しがたかった。自分の指ですら、その内部に入れたことはないのだ。 右手を下ろして、上から指を押さえようとするが、巧みに指が刺激を送り込み、抵抗力を奪う。 (このままじゃ……どうにかなっちゃう……) いよいよ指が入り込もうとしたその時――電車が止まり、ドアが開いた。
「!」 だが開いたのは、美咲のいる方とは反対のドアだった。 それでもそれは千載一遇のチャンスだった。 美咲は振り向いて逃げようとしたが、その瞬間後頭部をつかまれ、顔がドアに強く押しつけられる。 口元に当てていた文庫本が、ちょうど口を塞ぐ形になった。 「んっ! んんーーっ!」 くぐもった声は、流れる足音と喧騒に紛れて掻き消えていく。 数十人の乗客と僅かな空気を入れ替えて、無情にもドアは閉じられた。 そして、これから先、美咲が降りる駅までこちらのドアは開かない。 僅か十分と思っていたが、それがどれほどの時間に感じられるのか。 恐怖に震える美咲を嘲笑うように、指が再び股間に侵入してきた。 「っ!?」 冷たく、ぬるついた感触が秘部に触れる。 いつの間に準備したのか、指の先に薬品が乗せられていて、美咲の秘所に塗り込められてゆく。 薬と愛液が混じって、皮膚の下に染みこんでゆく。 その感触さえ、美咲の秘部は快感として受け止め、ますます蜜を溢れさせてゆく。 (いやぁ……) 潤んでいた瞳から涙が零れ、頬を伝った。 美咲を嬲っている相手の気配が、すぐ間近に近づいた。息づかいが聞こえた。 美咲とは対照的に、落ち着いた息。 唇をすぼめて細く吐き出された生ぬるい空気が、美咲の耳から首筋にかけてを、そっとくすぐる。 美咲は固く目を閉じて、その刺激に耐える。振り向くことも確かめることもしたくなかった。ただ早く終わらせて欲しかった。 なにをもってすれば終わりになるのか、分からなかったけれども。
不意に耳が舐められた。 美咲の思考を掻き乱すように、舌で耳の裏側をなぞり、耳朶を噛む。 ぴちゃぴちゃと唾液の跳ねる音が直接耳の中に流し込まれる。 思いもよらないところを愛撫され、思わず身をすくめるが、舌は執拗に耳を追ってくる。 (や、やだ……きづかれ、ちゃう……) いくら混んでいるとはいえ、耳元まで近づかれたらさすがに不自然な体勢に見える。 ただでさえ、さっき声を上げて注意を引いているというのに……。 だが指の主は美咲の逡巡に構わず、耳に執着する。右の耳を舌で、左の耳を指で。 きつくはないが、じわじわと炙るような快楽が発生し、脳に直接注ぎ込まれてるような錯覚を覚える。 「はぁっ……」 とろけるような熱い吐息が零れた。 いや、熱いのは息だけではなかった。頬も、首も、胸の奥から全部、秘部から湧いた燃えさかるような熱で焦がされていた。 (なんで、こんなに感じ……ああっ) 相も変わらず指は股間を撫で回している。違っているのは分泌される愛液の量だ。 腿を伝い、ソックスにまで垂れるほどの愛液がとろとろと流れ、留まることを知らない。 胸は一切触られていないが、乳首は固く尖り、揺れるたびにドアに押しつけられ、ツンとした快感を送り込んでくる。 (どうして……変だよ、私。知らない人に触られて、こんなに……いやらしく……) 自分がひどく情けなかった。淫らで見境のない体が口惜しく、恥辱で涙が溢れそうになる。 だが体は指が与えてくれる刺激に敏感に反応した。電車が揺れる度に不規則な振動が美咲の体を犯し、甘い波動で狂わせる。 脳裏に顔が浮かんだ。心の底で密かに思っていた人の顔だ。 (助けて……助けてよ……) 白濁した思考の中でそう願うが、現実は容赦なく美咲を苛む。
先ほどから単調に美咲の秘部を撫で回していた指が、頃合いと見たか、美咲の割れ目を押し開いた。 愛液のたっぷり絡んだ指で、割れ目の上部に隠れていた、薄桃色の真珠をぬるりと撫で回す。 「〜〜っ!!」 声を上げそうになって、慌てて文庫本に噛みついて耐えた。 無機質の紙の味と噛み締めた感触が、足の間から沸き上がってくる感触に押し流される。 ぬるり、ぬるりと、指は真珠の周りで円を描く。一回りする度にきつい電流が背筋を這い上がり、脳裏で弾ける。 (やっ! いやっ! それ……気持ちよすぎるっ!) 初めて心が快楽を肯定した。途端、どくっと花蜜があふれ出て、滴り落ちる。 指が淫核を挟みこみ、くにくにと柔らかく揉む。爪を軽く立て、弾く。 「ふぅっ……ふぅーっ……」 まるで獣のような吐息が、歯と本の隙間から漏れた。 (止まらない……止まらないよぉ……) 腰が勝手に動いて、淫らな快楽を要求する。体は高ぶる一方で、気が狂いそうになる。 今までに達したことのない、未知の領域に恐怖が募る。 だがそれさえも、快楽の流れに押し流され、ひたすらにより強い刺激を望む。 もう他人の目なんか一切気にならなかった。 ドアに自ら胸を押し当て、固く尖った乳首を自分の胸で押し潰す。 足を心持ち開いて、指が動きやすいようにした。 文庫本を噛み締めた口の中で、淫らに本の表紙に舌を這わせる。 そんな屈辱的な行為でさえ、美咲を高める材料の一つになった。 (もっと……もっとちょうだい……、もっと……) 心の中の願いを汲み取り、指は緩急をつけて美咲を責めた。 美咲が達しそうになると動きを緩め、落ち着きそうになると激しい愛撫を行う。 徐々に徐々に、快楽の圧力が美咲の中一杯にたまってゆく。 熱く快い波が美咲の中で揺り返し、少しずつ大きくなってゆく。 (あぁ……溢れちゃう……) 愛液をたっぷりと湛えた割れ目が、ついに押し開かれた。
「んふぅっ!」 たっぷりと潤った肉襞は、さしたる抵抗もなく指を受け入れ、締め付ける。 内部は驚くほど熱く、柔らかく、それでいてきつく、とろりとした蜜で一杯になっていた。 浅瀬の部分をリズミカルに擦られると、さざ波のような快楽が湧いて、腰全体に響く。 (いいっ、いいよぉ……気持ちいい……) 鉤状になった指が蜜を掻き出し、複雑な形をした襞を擦り上げる。 親指は淫核に押し当てられ、蜜を絡めて撫で回している。 (ああっ! いくっ、いっちゃう……いっちゃうっ!) 淫核を覆っていた包皮が剥かれ、露出した。 そこに爪が立てられると同時に、秘裂の天井が指でえぐられる。 瞬間、頭の中が真っ白になって、電光が弾けた。 「あっ……、くあっ……、ああーーーっ!」 歓喜の絶叫が零れたが、美咲はそのことを認識する余裕はなかった。 ただどくどくと、体の中を熱い奔流が流れてゆく快さに身を委ねているだけだった。 手がだらりと下がって、持っていた文庫本が滑り落ちた。 「ふはあっ……、はぁっ……あ……」 崩れ落ちそうになる美咲の体が、背後から抱き留められ、支えられる。 無理矢理に顔を振り向かせられ、唇を奪われた。 舌があっさりと侵入してきて、優しく美咲の舌と絡む。 ファーストキスだったが、そんなことはどうでもよかった。 ただぼうっとした視界の中で、その相手が女性であったことに微かに驚き、また納得した。 むしろ男に汚されるよりも、同性が相手である方がはるかにましだった。この長い髪をした、美しい女性に。 甘えるように唇を押しつけ、唾液を交換し合う。 背徳感も、羞恥も、気にならなかった。ただ快楽さえあれば、それでよかった。 女性は予定通りに美咲を手に入れたことに満足し、飼い犬に餌を与えるように、愛撫を再開した。 「ああっ……」 美咲はその繊手が織りなす快楽の宴に、身も心も委ねていった。
「んっ、いくっ、いっちゃう……もっと、もっとぉ……ああっ……」 美咲は三度目の絶頂を迎え入れようとしていた。 後一押しで堰が切れる、そんなところまで追い込まれたとき、不意にこちら側のドアが開いた。 背中を支える壁が消滅し、美咲はよろめく。助けを求めて手を伸ばすが、逆に酷薄に突き放された。 ひどく冷たい視線が、美咲を嘲笑っていた。 (どうして――) 快楽に浸された足腰は上手く動かず、バランスを崩して、たたらを踏んだ。 すがりつくような形で、電車を待っていた人物にぶつかる。その人物は美咲を認めると、息を呑み、身を固くした。 見上げた美咲の前に、藤井冬弥の顔があった。 「え――藤井、君……?」 「美咲さん……」 冬弥の憧れていた人が、腕の中にいた。 恋人としての由綺とは別に、尊敬し、親愛の念を持っていた先輩。綺麗で、優しくて、妄想の中で犯したことさえ何度かあった。 その彼女が、今自分の胸にすがりついている。ひどく艶やかな雌の色を発散させて。 美咲にしても、密かに想いを寄せていた相手だ。由綺がいる限り、けして口には上らなかったはずの想いだった。 だが情欲の炎に炙られた体は、冬弥という男を求め、隠していた情愛を暴き出す。 いつもと違う美咲に、冬弥は激しく欲望を覚えると同時に、恐れた。 引き返せない道が目の前に広がっていることに気づいて。
「美咲さ――」 理性が美咲を引き離そうとするが、当の本人の美咲が首を振り、冬弥を離さない。 「藤井君……」 きゅっと込められた力に、媚びを含んだ声色に、冬弥の男が敏感に反応した。 押し当てられた胸の感触は柔らかく、回された腕は暖かく冬弥を包む。 振り解くこともできず、ただ唾を飲み下す冬弥の横を、どやどやと人の群が通り過ぎてゆく。 その中に混じって、長い髪と冷笑が、二人の横顔を撫でて通り過ぎていった。 すれ違い様になにか呟いていたが、小さな声は後ろ姿と共に、雑踏の中にあっさりと紛れてゆく。 残された二人が、自然、見つめ合った。 濡れた瞳と艶やかな唇が、冬弥を誘っていた。 火照った体と満足しきってない情欲が、冬弥を求めていた。 冬弥は美咲から目を逸らすことができなかった。 美咲は冬弥から離れることができなかった。 背徳の契約書にサインするように、二人は口付けを交わした。
>>166-167 『生贄』でした。
◆bhfTASdcには多大な迷惑をかけた。改めてお詫びする。
それとレス数が1伸びてしまった。迷惑かけどおしで申し訳ない。
以上です。失礼。
他に投稿される方はいますか?
今回は作品数も少ないので一番良かったものだけ感想を。
「希望という名」
>>145 >>150-163 素直に感動した。
所々ミスがあるし完成度が高いとは言い難いが、いい話というものはそれだけで(・∀・)イイ!のだ。
淡々とした描写がそれを一層引き立てている。
あと、セリフが活き活きしてるというのも特長だね。
われものはやったことないんだが、『シケリペチム侵攻』は「ハクオロは間抜けである」という話か? いくらなんでもアホすぎると思うんだが。
これから5レス分感想書きます。
長文ウザイと思われる方は、一躍
>>187 へ。
雰囲気、ネタ、構成重視。ストーリー、シチュは軽視気味です。
すみません。エロ度は評価してませんm(__)m。
「バッヘルベル砲」
>>15-21 パッヘルベルカノンというよりは、葬送行進曲の趣がありますね……。
名雪がこの上なく楽しそうで微笑ましいです。こういうネタは結構好きですが、最後に
締めというか、もう一盛り上がりが欲しかったところ。個人的には名雪にも責任を取らせ
て、五方一両損、のようなエンドを見たかったです。
「ところで、BachelbelじゃなくってPachelbelね。日本人はよく間違えるんだよー」
…と思わせておいて、実はBachとPachelbelの合成語とかかな(w。さぞかし重厚な曲が鳴
り響きそうですね。
「プロの世界」
>>24-26 む。ネタは面白いですが、状況を追うのに精一杯といった感じでした。栞は四次元ポケ
ット禁止にした方がいいような。彼女吐血したっけ? それと香里がゴルゴンヘッド並
みに恐かったです。祐一がよく石化されなかったものだと感心します。
SSとしては、ラストの一文にあるように、何の戦いか分からないのが消化不足ですね。
いや、そもそも感想人が突っ込むべきところを先に一人ツッコミしないでくれ…、と難癖
言ってみるテスト(w
「国崎往人、絶体絶命!?」
>>43-46 美凪、なんていいヤツなんだあ……。思わずしんみり。
確かに国崎はここまでセンチなヤツではないかも知れないけれど、それだけ美凪の優し
さに取り込まれてしまったということで。いいお話です。美凪らしさもよく出ていて好感
を持ちました。彼女の家計簿にはお米券も盛大に資産計上されていそうで怖いですが。
空行の開け方は、読みづらくならない限り個人的好みと思いますが…。私は特に気にな
るところはありませんでした。場面の変わり目できれいに切られているし、ここぞの一文
は空行で挟んで強調できているし。特に「絶体絶命」を強調しているのは印象的。全体的
に空行の多いSSですが、それもゆったりした雰囲気を醸し出すのに一役買っていていい
と思いました。
タイトルがアレですが、個人的にはツボにはまったSS。今回のグランプリに推します。
「オレンジ色とゆびきり」
>>95-96 祐一と美汐の関係って複雑ですね。その複雑な関係が、きれいに切り取られた1シーン
にうまく表現されていると思います。ただ、描きこみが浅い分、受け取る印象も浅くとど
まってしまったのは残念。2レスでまとめるには、テーマが深すぎたのかも知れません。
夕焼けのシーンは、もう少し印象的な情景描写も欲しかったかな。
「夢の情事」
>>104-114 夢と現実が交差する構成が美しい。こういうSSは好き。クライマックスでageるとい
うのも高等テクニックですね(w。しかし、夢の中での祐一、恐ろしいことやっています。
名雪と秋子さんの見ている前で素晴らしくスリルがありそうな。バレたら、それこそ絶対
絶命でしょうか。ここで描かれていること以外にも色々想像できそうな、おいしいシチュ
エーションです。
ただ、オチが強引というか、こじつけというか、いまいち納得できなかったです。あゆ
をあえて目覚めさせる必要はあったのかな? 都合よく目覚めるのは不自然ですし、目覚
めさせたらさせたで、祐一がどのような口封じに出るのか、気になるところです。
「二人の力で」
>>122-129 上手いですね。見事なネタとオチ。正直、やられたと思いました。考えてみると、とん
でもなくご都合主義なプロットという気もしますが、ギャグ系に仕立てつつ上手くラブラ
ブにまとめているのは好評価。タイトルとの関連もいい。祐一が心理描写はツボを付いて
いて良かったです。
ただ、情景描写が弱いのが残念かな。素晴らしいシチュエーションなのにもったいない。
学校の夜景とか、暗闇に浮かび上がる肢体とか、そういう絵画的な描写があれば、もっと
印象的なSSになったかと思います。う〜ん、誰かこの情景でCGを描いてくれないでし
ょうか。
「悪戯心と乙女心」
>>132-133 >>135 >>134 >>136-139 そして一人寂しく家路につく綾香…ですか。彼女の心を見透かすようなラストシーンは
上手い。2重のどんでん返しもよく工夫されていると思いますが、演出が常套的というか、
この話の持っていき方なら当然こう来るだろうな、というのが読めてしまいました。プロ
ット主導で書かれている感があるので、情景や心情の描写に分量を割くなど、プロットか
ら読者の目をそらさせる工夫をされてもいいかと思います。
あと、個人的好みになりますが、やると見せかけてやらないこの手のSSはあまり好き
ではないです。やらないならやらないで、残り香を漂わせるような仕掛けが欲しかったな。
「罰ゲーム」
>>141-142 起承転結の、「起」だけのような印象を受けました。これだけの内容だと、最初の数行
を読んだところで、結末まで予想できてしまうかと思います。実際、その通りの展開でし
たし。いくらなんでも、もう少し内容を膨らませないと…。
後2作、軽めに。申し訳ありませんが、元ゲームよく知らないのです。
「希望という名」
>>145 >>150-163 ONEは途中放置でキャラがよく分からないのですが、よく書けていると思います。
テーマをしっかりエピソードで語っているし、抑制の効いた文体も効果的と思いました。
ただ15レスにまとめるにはエピソードが大きすぎたのか、やや急ぎ足に感じてしまった
のが残念。
「生贄」
>>166-176 まさか、こんな作品が来るとはびっくり。美咲さんのことはよく知らないですが、ヒロ
インが誰であろうとストーリーには関係なさそう(w。文句なく素晴らしい描写力……が、
最後のキスはやはり唐突でしょうか。ここは流れに沿って有無を言わせず美咲さんに冬弥
君を押し倒して欲しかったかなあ。そういうキャラじゃないと言われてしまえばそこまで
ですけど。
以上です。長文ご迷惑をおかけしました。 今回のお題は相当難しいだろうと予想していたのですが、蓋を開けてみれば、少数ながら もそれぞれ個性あるSSが揃い、楽しく読ませていただきました。作者のみなさん、あり がとう。 グランプリには「国崎往人、絶体絶命!?」を推したいと思います。ストーリーはベタで すが、流れるような展開と雰囲気がバッチリ好みにはまりました。これから美凪に萌えて みようかな……と思わせられましたよ。 その他のSSもそれぞれ素晴らしい出来と思いましたが、私の重視する評価ポイントとは 多少違っていたということで、どうぞご容赦ください。 というわけで、今回は 私的最優秀&最萌 「国崎往人、絶体絶命!?」 作者さんには、特に個人的なお礼を。どうもありがとうございました。
あははは。やってもうたー。 ずっと本気でバッヘルベルだおもってましたよ。この場の恥にとどめて胆に刻みます、 ご指摘どうもありがとう。
カタイことを言うようですが、「作者による感想返し」も 統括期間に入るまで禁止かと。
>>15-21 『バッヘルベル砲』
「ヒロインの中で、名雪だけは、祐一が居なくても死なない」事を、
悪辣なまでに活用した作品だね。それにしても、栞の誕生日まで
あと数日って…また、えらい日数、祐一を放置してるな(w
趣向としては、なかなか面白いし、主に名雪視点の文体も
毒があって良い。読んで疑問に思ったのは、この作品のなかで、
名雪の望みとは一体なんだったのか?ということ。
祐一がいないんじゃ、ライバルを蹴落とす必要もないわけで…。
基本的に不条理SSである、という点を斟酌してもなお、作品に
おける名雪の位置が不明確なのが…いや、圧倒的強者なのが不満。
名雪にも、悲惨な運命が訪れたほうが、平等で良くないだろうか。
例えば、秋子さんの代わりに交通事故に遭うとかね。
>>24-26 『プロの世界』
上の作品と同じ作者ですか?同じ方向性でも、読者置いてきぼり度が
数倍アップしている。将棋の七大タイトルみたいなのを想定してるん
だろうけど、原作に無い、異常な設定を持ち込む場合は、ルールを
明確にして、少なくともその枠内では論理的に話を進めてくれないと、
読む方は、なにがなにやらわからぬ状態になってしまう。
>>43-46 『国崎往人、絶体絶命!?』
総合力は高いね。文章も、キャラクターも、テーマも、文句なく
合格点に達していると言って良い。しかし、ああ、それなのに……
ストーリーがぶつ切り。通常であれば、シチュとして評価するのも
有りなのだが、そこまでネタフリしておいて、力を取り戻す過程や、
真相を書かないのは、もはや鬼だろう(w
>>95-96 『オレンジ色とゆびきり』
ああ、本家の『真琴』が女であるとは限らない、という発想か……。
考えた事も無かった。でも、祐一の『初恋の相手』だからなあ。
これは設定ミスなんじゃないの?祐一は7年前の『真琴』の顔は知ってるし。
あと、ラストの部分、結論を急ぎすぎていて、俄かには首肯しかねる。
というか、導入部と結論だけ書いて、途中経過をすっ飛ばし過ぎです。
>>103-114 『夢の情事』
『夢』のテーマの時に投稿した方が良かったかもしれない作品。
まあ、『絶体絶命』といえなくもないけど。内容自体は非常にエロい
わけだけど、「祐一が夢の世界に留まる事を望んで、性行為に耽るあゆ」
に対して、「祐一の説得」、そして「両者の目覚め」と、意外にも(失礼)
筋の通ったストーリーが展開されていて、読み応えのある作品に
仕上がっている。夢と現実を交互に繰り返す構成や、設定を丁寧に
説明しているあたりもポイント高し。
残りの分はまた今度にします。
本家の『真琴』は「見覚えのある少女」だろ… なぜ「女であるとは限らない」なんて発想が出るのか。
>>193 ん?本家の真琴と、狐の真琴が同じ顔だから、
祐一が見間違えた、というストーリーなのかな?
あー、そっちの方が正しいかも。でも、
それだとラスト部分三行目をどう解釈すべきか…。
>真琴は今でも大切な存在であり、同時に今大事に
>想っている人がいることを祐一は知った。
再び記憶を失った狐の真琴は新しい生活をしていて、
「狐の真琴は祐一にとって今でも大切な存在であり、同時に
狐の真琴には今大事に想っている人=本家の沢渡真琴(♂)
がいることを祐一は知った」
のほうが意味が通るかと思ったんだけど。
>>194 >「真琴!」
>と誰かの呼ぶ声がして、その少女はパッと笑顔になると声をかけた男の方に駆け出して行ったのだ。
からして、この『真琴』は女性だと思うんだが。
196 :
193 :02/09/20 23:35 ID:W7TKH6nU
>>194 うーん。そこ、主語省いてて分かりにくい文になってるよな。
ただ、あなたも指摘しているように真琴=男では本編と矛盾するので、
(祐一にとって)真琴は今でも大切な存在であり、同時に(祐一には)今大事に想っている人が(以下略)
と言う風に解釈するべきではないかと。
「本家真琴の登場によって祐一と美汐の仲がより深まったのでした。めでたしめでたし。」
と言う話だと俺は思ったが。
>というか、導入部と結論だけ書いて、途中経過をすっ飛ばし過ぎです。
激しく同意
あのさ。
>>95-96 のSS、どこにも真琴が男だなんて書いてないんだが。
>「真琴!」
>と誰かの呼ぶ声がして、その少女はパッと笑顔になると声をかけた男の方に駆け出して行ったのだ。
確かに分かりにくい文章ではあるが、明らかに前後の関係からして、
「真琴!」と声をかけた男の方に、その少女が駆け出していったんだろう?
>>193 氏と霧の感想人氏にはもう一度読み直すことをお勧めする。
その前にも「少女」とはっきり明記されているし。
あ、このSSが出だしと落ちだけって意見には同意な。
198 :
193 :02/09/21 01:40 ID:y7edsDJs
>>197 俺もかよ!?
俺は193で「本家真琴=見覚えのある少女」と明記したつもりだが?
196は「それだとラスト部分三行目をどう解釈すべきか…。」という霧氏の疑問に対してのレスだから
あえてそこの解釈のみを示した。
「真琴=男では本編と矛盾する」は蛇足かとも思ったが、この部分は霧氏も認めてるので、
納得してもらうには有効かと思って付け加えた。
SSの他の部分も引用しようかと思ったけどあんま長々と書くのも面倒だったんで。
それはそうと、本家沢渡真琴は祐一より「三つも、四つも離れたような、上級生だったはず」なので
この出来事の時点で少女と呼べる年齢だったかどうかは疑問だな。
199 :
感想 :02/09/21 02:30 ID:OI0vRlJY
今回も俺の独断と偏見で決めた順位を。
三位「国崎往人、絶体絶命!?」美凪SS
>>43-46 これで終わるな、終わるなぁっ! と思ってたらやっぱりそこで終わったSSだった。
シチュとしての雰囲気は好き。つうかそれだけで三位に選んだ。作者さんにはぜひとも
続きを書いて欲しい。……この気が抜けそうな題名も変えて(w それがいいのかも
しれないけれど、題名から受ける印象というものは確実にあると思う。少なくとも
俺はこれを読むのを後回しにしていた。まぁ、こんな意見もあるという方向で。
二位「希望という名」みさきSS
>>145 >>150-163 まったくもって
>>180 氏の言う通り。良い話はそれだけでイイ。書きたいことは全部彼に
取られてしまったので、それを見て下さい……ってのも何だな。俺は疑問点だけ。
・「にこにこ」「こくん」「サッ」目が見えないみさきにも分かる動作って何やねん。
・雪見の声が枯れていることって、最初の方にしか描かれてないのですが。
特にラスト近くは普通に喋ってるぽくて萎え。その辺の描写を入れて欲しかった。
一位「バッヘルベル砲」カノンSS
>>15-21 不条理だ……。不条理だよお兄さん。話の持ってき方もキャラの登場具合も名雪の
無責任さも落ちも。あーもうここまで不条理だとむしろ清々しいや。ギャグSSとしては
かなり良質だね。1、2、6レス目辺りがお気に入り。
やはり絶体絶命は書きにくかったみたい。今回のSS群を読んでそう感じた。
暇があったらちくちくと他のSSへの感想も書いてみようと思ったり。
>>198 悪い。完全に読み違えてた。人に言う前に自分が……って話だな。吊ってくる。
感想なんだし、言いたい放題いってみようかな、とか。 >バッヘルベル砲 すげえ面白い。 名雪って壊れた描写が似合うよなーとか。 祐一と誰かがくっついたら、ねちねち嫌がらせしそうなイメージを強調した感じかな。 >プロの世界 これも面白いなあ。既出だけど、バッヘルベル砲と同じ作者? インパクトはバッヘルベル砲のほうがあるけど、なんとも言えない味がある。 でもなんか題名がちょっと浮いてるような。 >国崎往人、絶体絶命!? 評判いいみたいだけど、俺はあんまり好きじゃないなあ…… なんか絶体絶命がちょっと無理やりな感じ。 雰囲気は良いんだけど。好みの問題かな。 >シケリペチム侵攻 ええと…… あ、そうか。これって、 「シケリペチムの攻撃を受けてトゥスクル絶体絶命!」って話じゃなくて、 「ハクオロがトップでトゥスクル絶体絶命♪」って話なんだなw それだ!とか言って 禿 藁
>夢の中の情事 一番ストレートに絶体絶命なイメージ。 このあとの修羅場がちょっと楽しみ。 >『二人の力で』 いくらなんでもそのシチュは……はともかく。 魔物って舞が産み出したものだからボスとかってどうよ?とか。 入ったまま飛び降りたら祐一のモノは……とか。 >希望という名 ええ話やね。 ちょっとあざとさを感じなくも無いけど、素直に良いなあと思えた。 澪とみさきのコンビってなんかいいよね。 他の作品はなんとなく感想書けませんでした。なんとなく。 順位とかつけたくないので、最優秀の選考に俺の意見は反映させないでください。 でわ。
> プロの世界 ヒカ碁?
【告知】
現在、葉鍵的 SS コンペスレは投稿期間を終え、感想期間に入っています。
今回、投稿された作品の一覧
>>179 となっています。
目に留まった作品だけでもいいので、よろしければ何か書き込んでください。
あなたの一言が、未来の SS 職人を育てるかもしれませんYO!
( ´,_ゝ`)プッ
>>200 181を書いた者だが、あなたの感想に深く納得しますた。確かに絶体絶命だな。
500こえたのでメンテ
>>205 ネタレスじゃなく、真面目にそう思ったんだよ。藁ったけど。
とりあえず適当に言ったわけでもなく、一応根拠みたいなものもあるので。
>「『一応』報告しておきますが『……』作戦の『性質上』、ホゥホロ城には『いっさいの』兵糧をおいていませんでした」
ベナウィの疲れっぷり(あきれっぷリ?)がそこかしこから滲み出ているでしょ。
絶対確信犯だよこの人。語り口がシリアスなのはカモフラージュだって。
……違ったらマジでごめん……
深いな…… さて正解はどうなのか、今から総括期間が楽しみだな(w それと、もっと感想プリーズ!
三連休も今日でおしまいメンテ。
「バッヘルベル砲」
>>15-21 おもしろかった。特にカニバリスト舞のくだりが最高だ。
「プロの世界」
>>24-26 悪くないが、「バッヘルベル砲」と比べるとごちゃごちゃしてて読みづらい。
両作品とも、タイトルはもうちょっとひねっても良かったと思うな。
マイナス評価ばっかになってしまった。
「国崎往人、絶体絶命!?」
>>43-46 話はいいんだけどなあ。人形が動かせなくなった理由が書いてない時点で大幅減点。
「お人形さん、疲れたんですよ」? そんなんで納得できるかい。
それはそうと、「必死になって行ってくれた呼び込み」というのをぜひ見てみたいと思った。だって美凪だぜ?
「夢の情事」
>>104-114 あゆは自分の意志で帰れるのか?という疑問が残る。帰れるなら祐一と名雪が付き合う前に帰りゃいいのに。
あと、祐一の病状が悪化する必要はないような気がするけどな。あゆから見れば、意識がないだけで十分じゃないか? 作品の都合上って感じでちょっと嫌だ。
さらに、エロ方面で祐一を引き留めるという発想があゆから出るか?など、微妙な違和感が重なって楽しめなかった
「二人の力で」
>>122-129 舞の口調が変。
ギャグ作品としてもあんま面白くなかった。
「罰ゲーム」
>>141-142 ネタは悪くないんでもうちょっと話をふくらませてほしかったところ。
「希望という名」
>>145 >>150-163 タイトルが謎。なんで「という名」なの?
話はなかなかいいけど、頑張って練習して成功しました、では起伏がなくて盛り上がりに欠けると思う。練習の描写も薄いし。
「生贄」
>>166-176 エロだエロ。ハァハァ
しかもエロいだけでなくオチも意外性があって良かった。素晴らしい。
一点だけ気になったのが
> 「え――藤井、君……?」
> 「美咲さん……」
この会話の前後で視点がいきなり切り替わるのでちょっと違和感があった。
100点満点で99点くらいかね。最優秀にはこれを推させてもらう。
個性溢れる感想を読み比べるのも、コンペスレの醍醐味。 しかし見事にお勧めが分かれているね。
書けそうなところだけ感想をば。 「バッヘルベル砲」 この手のスラップスティックは状況が加速してゆく所に面白みがあるのでは? 最初に状況、あとはキャラが交互に顔見世、という構成は平板に感じた。 「プロの世界」 "状況"と"間"に絶望的な乖離が。 もう少し練ってきっちり話を作ったほうが良いかも。 味はあるので後の成長に期待してま。 「国崎往人、絶体絶命!?」 文体まで含めてシチュのぶつ切りという感想。 一つ筋を作っておけばいい作品になるのでは? >空行の入れ方を最後まで迷ったので、その辺の技術についての感想もいただけますと嬉しいです。 個人的に?な空行も多いけど、このSSの雰囲気なら悪くないと思う。 「二人の力で」 >その夜、佐祐理さんは魔物に襲われた。舞への誕生日プレゼントを背負ったまま。 どーも佐祐理さんが唐草風呂敷しょったままうつぶせに倒れているような印象が。 抜けなくなってヤヴァイという描写がもっとあれば面白かったかも。舞が泡食ってる 状況が個人的には欲しかった。 挿さったままなのに"何も感じない"じゃつまらんよヽ(`д´)ノ
「罰ゲーム」
雰囲気は個人的に好み。ギャグかマジか判別つき辛いのは難点。
「希望という名」
話自体は面白いが、ネタが尺にあってないような。
「生贄」
文章は密度が高くて良い。エロさも充分。
オチとそれまでの展開が唐突。起承転結の転が抜けている感じ。
冬弥の登場が唐突なので、伏線引いといたら良かったかも。
総評
三つあげるとすると、
文章を買って「生贄」、
ネタとして一番面白くなりそうだった「二人の力で」、
味のある「バッヘルベル砲」
この辺を推しとく。
あと、
>>91 に最優秀メンテ賞をあげたい。
2レスになっちまった。ちくしょう。
思いっきり読み違えをやらかしてしまったので、もう一回。
>>95-96 『オレンジ色とゆびきり』
よくよく読んだら、文章も悪くない。個々の描写もそんなに
分かりにくいわけじゃなかった。何が問題かと言えば、
やっぱりストーリーが致命的かな。沢渡真琴を出した意味も
あまり無いように思われるし。テーマ性も具備している様には思えない。
>>122-129 二人の力で(祐一・舞)
ほとんどワン・アイディアで書かれた作品だが、不覚にも笑ってしまった。
内容のアホアホさにも関わらず、描写が細かいあたりに乾杯。
今回の作品の中でも、絶体絶命度では指折りの高さだろう。
膣痙攣については、単なる事故なのか、それとも呪いなのか、
明らかにしない方が個人的には良かったと思う。
>>132-133 >>135 >>134 >>136-139 悪戯心と乙女心(綾香)
文章は丁寧だし、綾香の行動の動機付けも得心がいった。
ストーリーのひねりっぷりも好み。テーマ的にも問題なし。
破壊力こそあまり感じなかったが、日常派のSSとしては
良作といって間違い無いと思う。
>>141-142 『罰ゲーム』
原作中の香里の名台詞の真意が、いま明かされる!といった
ところだろうか。アイディアとしては面白いと思ったけど、香里が
本気で栞の恋路を妨害する気なら、栞に近づく男を誘惑したり、
闇討ちしたりするくらいの勢いが欲しかったかな。
>>145 >>150-163 希望という名(みさき・雪見)
うーん、話としてはよくまとまっているし、感動的と言っても
差し支えないことは確かなんだけど……。
ストーリーが予定調和的に過ぎることと、演出面における
脆弱さが気になった。もっと劇の成功が危ぶまれる展開にする
必要があると思う。
>>166-176 生贄(美咲)
性的描写がとてつもなく濃密でやらしい。
美咲というキャラの選定や、冬弥の登場、さらには
痴漢の理由などについてストーリー上の意義があれば
なお良かったのだが、現状では、官能小説としては
プロレベル、SSとしては評価外というのが正直な感想。
今回は方向性も多種多様、かつ飛び抜けた力を持った作品が無く どれを推すべきか迷いました。 一位 『悪戯心と乙女心』 二位 『夢の情事』 三位 『希望という名』 あまりにもHな『生贄』には、特別賞を進呈します。 以上、長文&大ポカ、失礼しました。
おや? kaNSOFOgさんはホワイトアルバムやってないのかな? やってるなら『生贄』における痴漢行為の「ストーリー上の意義」も分かるはずだが。
IDがピスィだ。超先生マンセー
>>218 ホワルバは途中で挫折しますた…・゚・(ノД`)・゚・
いや、今更言い訳もなんだけど、痴漢をした女性が
弥生さんで、欲情した美咲さんと、冬弥をくっつけて、
由碕との仲を裂こうとしていたとか、そういうストーリー性が
あったらいいなと思っただけです。
>>220 そこまで考えといてなぜそうじゃないと思うんだろ…
あなたが考えてるとおりのストーリーじゃないの? でないとタイトルの意味が通らない。
弥生さんが、冬弥と由綺の仲を裂くために美咲さんを「生贄」にしたってことだと思うんだが。
美咲視点だから弥生さんだと分からないだけじゃないかね。
今回は霧の感想人氏、受難の回だな(w
実はツッコミ入れてるのは同一人物だったりする罠
やっぱりか……。なんか口調が一緒だったからそうだったら面白いなぁと思ってた。
感想募集age
せっかくだから感想投下します。
思った事を書いているだけなので、気に障る部分も多いと思いますが、御了承願。
それから、評価という意味では、葉鍵である以上、良質なエロ表現は高く評価してます。
あとはコンペである以上テーマを書ききれているか、
原作をやっていないでも理解出来そうか等。
バッヘルベル砲
>>15-21 雰囲気とか文章が如何にもSSという感じで読みやすかった。
飽きずにすらすら読めたし、一本調子な名雪が良い味をだしていたと思う。
きちんと絶命してるし、絶対理由もあるだけに、テーマにも沿っていると思う。
あゆ殺しの箇所や、奇跡と鬼籍をかけ合わせるところなんかは個人的にツボ。
じっくり読めば「?」な部分やおかしい部分はたくさんあるけど、
面白さがそれをカバーしていると思う。
プロの世界
>>24-26 分からない、ここでもくると不条理でもなんでもなくて、ただ意味不明。
前の作品でもそうですが、こちらは特に説明不足。
雰囲気は楽しそうだし、面白そうなのに、さすがにこれでは読めない。
この作品からテーマの絶体絶命を読みきれというのも、さすがに厳しい。
最後の方にある予選リーグなんかの説明を前に持ってきておけば少しは違ったかも。
国崎往人、絶体絶命!?
>>43-46 本編の後に見ても違和感なさそう、往人も丸くなったなぁ、って感じで。
美凪は萌えるし、キャライメージも壊れてなくて好感を持てた。
なにより、地の文がしっかりしているし、そこそこ説明もしっかりしていて、読みやすかった。
ただ、絶体絶命というよりは、「ぴんち」くらいな感じで、コンペ作品としてはそこがネック。
タイトルも、絶体絶命を表す一文の前後が開いているのも、
捻くれた見方をしてしまうと、強調しすぎてる気がする。
正直、テーマが決められているコンペ作品じゃなければもっと楽しめた。
それと、最後まで人形が動かなくなった理由を明かさないのは、個人的には良かった。
でも、賛否両論になっちゃう材料かも。
シケリペチム侵攻
>>89 これはハクオロじゃない…。
軍師が誰だか分からないけど、ホゥホロ城で迎撃準備したのはベナウィだった気が…。
まあ、「どうすればいいんだ」とか、流れからするとギャグっぽいだけに、
細かい部分は気にしなくて良いのかもしれないけど…。
いずれにせよ、SSでも物語でもないような。
オレンジ色とゆびきり
>>95-96 祐一と美汐が付き合うとしたらこういう流れになるよなぁ、と思えた。
二人の真理描写もしっかりしているし、一つの場面は書ききっていると思う。
ただ、一つの場面でしか無いだけに、特に何も感じなかったのが正直なところ。
これだとテーマも弱いし、本家本物の真琴って先輩だったよな、とか、
もっともっと、しっかりと作り込んで欲しかった気がする。
後日談を丁寧に書いてもらえれば、それだけでもっと良い作品になった気もするし。
夢の情事
>>103-114 夢と現実が交互に流れる構成は、ありがちだけど好き。
絶体絶命も色々考えられるけど、一応はテーマとして読めたし、まとまってたと思う。
名雪EDとあゆEDの後に、あゆの目覚めが遅かったらこんな感じなんだろうか、と思わされた。
Kanonを知らずに読んだ人でも理解できそうな説明がきちんとしているのも、作品としては点数高い。
ただ、まとまってはいるけど、起伏は少ない、もう少し捻ってほしかった気もする。
二人の力で
>>122-129 結合、魔物発見、攻撃と一連の流れで、祐一にとっても舞にとっても絶体絶命を与えている。
テーマもきっちり描けているし、地の文がしっかりしていて読む事に違和感は無かった。
が、内容的には違和感満載で、まず舞はこんなキャラじゃないと思う。
そもそも、ボケに突っ込める精神状態だっただろうか、と疑問。
本編に準拠した流れにも関わらず、魔物に対する定義を本編から外すのは個人的には気になった。
悪戯心と乙女心
>>132-133 >>135 >>134 >>136-139 とりあえず綾香がかわいい。
絶体絶命にも色々あるなぁ、と思わされたのは、テーマの妙か。
地の文、説明的な記述、どちらもしっかりしていたし、最初から最後までの流れも筋が通っていた。
ただ、どことなく中途半端。
どうせ絶体絶命なら、綾香とやってるところに芹香が来るとか、
修羅場を見せてくれても良かった気がする。
罰ゲーム
>>141-142 最初に勿体無いのが、ギャグ物と書いて投下したところ。
内容も、ギャグっぽいところをカットすればかなりダークな雰囲気を出せたと思う。
長さを考えるとしっかりと作り込まれていると思うけど、賭けの対象が分からないのは残念。
絶体絶命の感じを出せているし、重ね重ね、徹底して雰囲気を作ってほしかった。
個人的にスゴイ惜しいと思う。
希望という名
>>145 >>150-163 良いと思う、素直に感動できた。
「決して希望を捨てないで〜」という決め台詞を何度も出すのも好きな表現。
みさきの一人称、地の文、状況説明もしっかりしていて作品として読みきれた。
惜しむらくは、テーマが弱く感じたのと、澪を使ってしまった事、そして最後の最後で作中の時期と、折原浩平を出した事。
ONE本編では澪との出会いは浩平と会った後だっただけに、これは無いだろう。
それなら浩平を出さなければ、澪を使っても違和感が無かったのだが…。
良い作品だっただけに、それが本当に残念。
生贄
>>166-176 キャスティングが最高、テーマに関しても、命云々を扱うよりも絶体絶命っぽかった。
シナリオの流れも間違っていないと思うし、冬弥登場が唐突過ぎなければ良かったと思う。
というか、契約のくだりはどうやっても無理があったかもしれないだけに、あんな感じで良かったのかもしれないけど…。
弥生のレズ属性と、美咲のキャラ、冬弥の立場、全て活かしていて上手いと思う。
文章がしっかりしていて、減点材料も少ないし、長さも丁度良いと思う。
最優秀作品に推薦したいです。
絶体絶命ってテーマだと、やはりどれだけ窮地に陥るかと、そこから上手く抜け出せるかがポイントになるのだろう (稀に抜け出せずに終わる人もいるが)。だから序盤でさくっと切り抜けてしまうと、テーマが弱く感じられてしまうと思う。 などと思いつつ感想をば。一応言っておくと、ちっと容赦が不足気味であります。 「バッヘルベル砲」 立て続けに絶体絶命に陥いる人達が現れて、テンポもよく、おもしろかった。名雪も上手く外道にぼけてる。 だけど栞がいつの間にかフェードアウトしたのと、オチがちょっと弱い。そして舞は死んでないw 最後は名雪が一言別れでも告げて、一斉に突っ込むという王道パターンでも良かったかな。 タイトルの意味は分かりませんでした。パッヘルベルのカノンって、名前は聞くけど葬送曲かなんか? いきなり絶体絶命通り越してる祐一は笑ったけどw 「プロの世界」 よく分からない。これが最大の欠点。祐一が全然危機感を感じていないし、展開も唐突。タイトルも意味不明。 香里が少しおもしろかったというのが唯一の救い。でもそれだけ。 「国崎往人、絶体絶命!?」 これもギャグ風味だけど、他のものが動かせる時点で絶体絶命感が薄い。問題あっと言う間に解決するし。 雰囲気は好きなんだけど……ただマターリしている日々って感じだね。妄想シーンはおもしろかった。 『ああっ。俺ってば絶体絶命!?』の辺りの空行は強調したいことが見え見えで、ちょっといやだな。 「シケリペチム侵攻」 うたわれやってないせいもあるかもしれないが、絶体絶命っぽい雰囲気、としか感じられない。 やっぱり、危機→即解決の流れは萎えるね。それに危機を脱したと言うより、双方の軍師連中が抜けている印象の方が強い。
「オレンジ色とゆびきり」 綺麗なシーンなんだけどね。短いせいもあるけれど、美汐の思いが強く伝わってこないから、 真琴の登場にも別にやばい感じはしないし、美汐なら今の関係が崩れても、真琴との再会を喜ぶのではないだろうか? そう思うのは、前述したように美汐の掘り下げが足りなかったから。 深い想いがあってこそ、失ったときの恐怖をより強く感じると思う。 「夢の情事」 なんで祐一は帰りたくなったのだろう? 枕元で名雪が泣きながらガクガク揺さぶるくらいの、振り向かせるきっかけが欲しい。 (死にかけの人間にんなことやるかどうかは置いといて) で、誰にとっての絶体絶命かというと、やっぱり死にかけの祐一のはずなんだけど、 この人夢の中でいい思いして、余裕で帰ってきているから緊迫感まるで無し。そこもちょっとなぁ。 話はそれるが、あゆは無理矢理にでも引きずってこい。だから祐一はヘタレとか言われるんだw 「二人の力で」 コンセプトはおもしろい。だけど、二次創作でキャラを捉え損ねているのは大きなマイナス。 舞も動くたびに苦痛を感じたりすれば、もっと良かったと思う。呪いなら舞にも苦痛を与えるのが自然だし。 もしくは感じてしまっても、それはそれでイイ(・∀・)! むしろ推奨。 佐祐理を利用とかは蛇足。呪いの件に関しても、説明っぽい文が多いなぁ。 退治するのに二人分の体重が有効に作用した、とかは上手いと思うんだけどね。 「いたずら心と乙女心」 わるくない。けど綾香は浩之を取られても、恨みまではしないだろう。 ちょっと悔しかったから意地悪したい、くらいのでいいんでないかな? そしたらそれが思いもよらぬ大事になって……というのが基本コンセプトだと思うから、別の人も言っていたけど、 本当に襲われるくらいの勢いがあっても良かったな。むしろ襲え。このままだとオチも弱いし。
「罰ゲーム」 栞シナリオの一部補完なんだけど、本編との整合性を取るために、条件付けが無茶苦茶になっている。 ギャグとはいえ、これは苦しい。そしてギャグと言うにはあんまり笑えない。 不条理さをごまかすために、ギャグとしてお茶を濁しているようにしか見えない。 あとこのパターンのつかみは、まずゲームに負けたシーンから描くのが常套手段だと思う。麻雀でもなんでも。 ゲームに負けたこと自体がプレッシャーになるから、それだけで香里の焦燥感をあおれる。 あ、脱ぎ麻雀のSSとかあったらおもしろかったかも。閑話休題。 「希望という名」 ふと思った。雪見が喉を壊さなかったら、みさきと澪はなにをしていたのだろうか。 まぁ、小道具作りやただ見学とかもあるけれど……少し気になってしまったのだよ(@どっぺる) 澪とみさきが協力して代役をこなすというのは上手い。ちょっと無理あるけどw 幕間でも何らかのトラブルが起こって欲しかったな。演じていた劇と同じように、あっさり窮地を逃れて少し拍子抜け。 それに……ホント、浩平はいらなかったなw 浩平のいない架空の世界の出会いで良かったと思う。あるいはエイエソ旅立ち後。 んでもいい話でした。ぱちぱち。 「生贄」 エロですな。WHITE ALBUMしらねーやつは読むなゴルァ(゚д゚)と言わんばかりの、ばっさり説明を省いた構成。 知らない人にはただのエロ小説以外のなにものでもなく、知っていても最後の最後にならないと、タイトルの意味すら分からない。 その意外性のためだけに、伏線もなにもかも切ってある構成は、評価が別れるところですな。弥生さんの名前さえでてないし。 絶体絶命なのが美咲と思わせて実は冬弥も絶体絶命。でも冬弥の危機感はちょっと薄いかも。むしろラッキー?w しかし相変わらずヘタレだな冬弥w 人間関係知らないと、ただの欲情生物だ。 いや、電車の時間とドアの位置まで合わせた弥生さんが恐ろしいと言うべきか。やはりいくらかの伏線はあるべきだったかな。 この作品は「エロはよい」この一言に尽きるかもしれない。誰か犯されるようなSSが来るかもなーとは思っていたんだけどね。 以上。失礼。
あ、最優秀賞は、特に選びません。んでも3つ選ぶとしたら 最ギャグ部門で「バッヘルベル砲」 最いい話部門で「希望という名」 最エロ部門で「生贄」 ってとこで。しかし十一作品中、鍵が八本。その中でKanonが六本……半分以上。 ミリタリーバランスが崩れてますなw いや、どうでもいいんだけど。
たまにはメンテ
235 :
辛口批評 :02/09/25 19:23 ID:hS2zH/Pt
今回は一部もできないかと思ったが、滑り込みでちょろっと。 他の感想はとりあえず読まず、作品を読んだそばから評価。 というわけでも批評の真似事を。判断基準は以下の通り。 ●文:基本的な文章力。 ●構:作品内における構成力。 ●描:登場人物の描写に違和感がない(不条理系は逸脱してもある程度OK)か、 個性をとらえているか。 ●感:読中か後、感情(感性)に訴えかけるものがあるか。 ●テ:深いテーマ性があるかどうか。理性に訴えかけるな何かがあるか。 ●総合:総合点。 なお、『感』か『テ』は、どちらかの評価が高ければ総合でも高得点とした。 ここでいうテーマは、このスレにおいて掲げられている『テーマ』とは意味を 異とする。 無論、このスレでの意味のテーマに深く関わっているかどうかは総合評価に 影響する。 ○パッハベル砲 文:7 構成:8 描:7 感:8 テ:5 総合:8 激しくワラタ!!w 冒頭のシミュレーションネタと、ナウシカパロとで、評者の心をがっちりゲット (安い心だ……w) 無論、文章全体のリズムの良さ、バランス感覚の良さも評価のうち。 各キャラの片づけ方もユニークだった。 オチが若干弱かったかもしれないけど、こいつは一発目から景気がいいや。 続く作品にも期待。ちなみに、パッハベルは何処かで聞き覚えがあると思ったら、 カノンが有名な作曲者か……w
236 :
辛口批評 :02/09/25 19:25 ID:hS2zH/Pt
○プロの世界 前者ほどじゃないなぁ。文章の勢いが似てるから、 と確認してみたら、同IDだね。ノリは嫌いじゃない。 ○国崎往人、絶体絶命 文:5 構成:7 描:7 感:7 テ:5 総合:7 いい雰囲気。という言葉に尽きるか。 できれば人形が動かなくなった理由にも、 『疲れたから』という感慨めいた推測だけでなしに触れられていると、なお良し。 そこまで望むのは贅沢だろうか。 ○シケリペチム侵攻 御免なさい。ちょっと、評価の仕方が難しい。 一レスに納めた努力と、うねる歴史の流れのワンカットを、上手く切り取ったと 評価すべきなのだろうか……。でも、どうすれば良いんだとか入ってるし。 あと、文章力はもう少し磨いた方がいいかも。 ○メンテ あんた最高!w ○オレンジ色とゆびきり 文:4 構成:5 描:5 感:5 テ:6 総合:6 素材の選び方にセンスを感じる。が、構成にやや難あり。 今後の活躍に期待したい。通り一遍の文句ではなく、マジで。
237 :
辛口批評 :02/09/25 19:27 ID:hS2zH/Pt
○夢の中の情事 一応、祐一が死にかけてるわけだし、テーマ的に不可、では無かろう。 でも、情事と生き死にの問題の関連性が見えず、最後の覚醒への流れもやや唐突。 評外とする。 ○二人の力で 文:6 構成:6 描:6 感:6 テ:5 総合:6 総合は限りなく7に近い6。 文は三点リーダの関係で5にしようかと思ったが、他が良下げなので6にとどめた。 バカネタもここまでまじめにやってくれると爽快。 ○悪戯心と乙女心 文:5 構成:5 描:6 感:4 テ:4 総合:4 凡作と見た。特別良いところがない。特別に悪いところも無いといえば無いのだが。 ゆえに、凡作。……しかし、今回はなんでH系が多いんだw まぁ、良いけどね。 ○罰ゲーム こういう話の筋、アイディアとしてはありかもしれないが、説得力が弱いかなぁ、 と思った。
238 :
辛口批評 :02/09/25 19:29 ID:hS2zH/Pt
○希望という名 文:8 構成:9 描:8 感:9 テ:9 総合:9 ここへきて凄いのがきた!! もはや、語る言葉を持ちません。ベネ(良し)!! あ、構成9というのは、冒頭に本文と同じものを持ってくるう手法に対する 個人的な嗜好が混じってるかも。でも、これははまるってると格好いいんだよ。 滑ってるとかっこわるいが。 ○生贄 文:9 構成:8 描:8 感:8 テ:8 総合:8 これも文章力は圧巻。しかも、単なるエロ描写でなく、全体の描写力が高い。 背景や、文庫本などの小道具の使い方、などなど、本当に上手いと思う。 あえて難をいえば、美咲さんはこんなにエロくない!(w とか、 そんなレベルの物だろう。……というのが、バム好きからの視点での評だが、 この作品、実はかなりわかりにくいんじゃないかな。 生贄ってタイトルと、文中の描写から何となく分かるけど、いや、これは、 分かると言うよりも、意味を持たすのなら、これくらいしか当てはまるピースがない、 というか。 ただのエロ小説と認識する人が多そう。 痴漢は弥生さん、ですね? 美咲さんは、由綺から冬弥を引き離すための生贄として 差し出された、と。 ただ、この解釈だと、冬弥の登場があまりに計算通りにいき過ぎで、そこまで うまくいくものか、という疑問があり、また、本編と二人の進行具合が違ってくる ……などと、理屈をこねてみたくもなる。 でも、凄い作品なのは確かだ。
239 :
辛口批評 :02/09/25 19:31 ID:hS2zH/Pt
と、いうわけで、今回の順位付けとしては、 1位に『希望という名』で、 2位は『生贄』。 3位を『パッハベル砲』としてみる。 さて、今回は感想書きやすい作品数だったのと、比較的読みやすいか、 純粋に面白いのが多かったので、評するのが楽でした。 で、ここまで書いてから、改めて投稿前に感想を流し読みしてみると、 評価的には近いのが多いですね。 それと、生贄が(おそらく)正しく評価されてるのが、意外でした。 結構分かりにくいと思ったんで。霧の感想人さん、今回は受難でしたねw さて、次回も精進するかのう……。
(;´Д`)/ 先生!! 辛口なことを言わせてもらえば、「バッヘルベル砲」であります! このSSの作者がパッヘルベルを勘違いしたのは分かる気がしますが、あなたのは『間違えすぎ』です!w
誰にでもミスはあるものです。
今回は辛口批評氏もちょっとばっかし受難だったようだw
まあ、バッハもすぐれたカノンをいくつも作曲してるし
生贄のアレは、エロいとこだけ流し読みしてたんで最初気づかなかった(w
>244 右に同じ(w
【告知】
現在、葉鍵的 SS コンペスレは投稿期間を終え、感想期間に入っています。
今回、投稿された作品の一覧
>>179 となっています。
締め切りは今日の午前 8 時までです。まだの方はお早めに。
( ´,_ゝ`) プッ
ところで、投稿した人が他の人のSSに感想書いてもいいの?
>248 構わんでしょう。 前回も私含め、何人かそういう人がいましたし。 …ただ作者バレを回避するよう工夫をした上で、ね。
>248 構わんと思われ。
そこが難しいねえ。 全部の感想書くつもりじゃなきゃいいけど、 全部書くつもりだったら自分のSSにダミー感想を付けたり……
付けたり……? 何かいい方法ないかなあ。
小分けにして感想を投稿。 投稿ごとに口調とIDを変える。 とか提案しといてなんだが、誰がそんな面倒なことするのかと…
ただ今をもちまして、感想期間を終了させていただきます。 投稿された書き手の皆さん、感想をつけてくださった読み手の皆さん、 そして生温かく見守ってくれていた ROM の皆さん、どうもご苦労様でした。 引き続きこのスレでは、今回の運営への意見、書き手の挨拶、 次々回のテーマの決定などを行いたいと思います。 上記のものやそれ以外にも意見が何かありましたら、書きこんでください。 ※次回のテーマは「夢」に決定しており、開催時期は 11 月初めになる予定です。 ※今回決めるのは次々回のテーマです。お間違いのないように。
>254 >※開催時期は 11 月初めになる予定です。 10 月に訂正しておきます。
皆さんお疲れさまです。今回「生贄」を書きました。たくさんの感想ありがとうございます。
正直、エロはあんまり書いたこと無いんで、その辺の描写がうけるかどうかいまいち分からなかったんですが、
その点に関しては問題なかったようで安心しました(w
内容に関しては、
>>220-221 での推測通りです。
てか、221さんの正しすぎる突っ込みに、作者の自作自演と疑われそうだと冷や冷やしました(w
ただ問題点として指摘されていた、WHITE ALBUMを知らない人には単なるエロ。
と言うところに関しては、仕方ないと割り切って書いています。
逆にただのエロ小説としても十分使えるように、と開き直りさえしてましたけど。
また、伏線に関しても、わかりやすさよりも、最後の1レスのためだけに、わざと無視した……のは事実なんですが、
冬弥の呼び出しシーンくらいは何とかして……でもそうすると、最後に弥生さんだったというインパクトが……
……だがここまで言われたからには……と、未だに悩んでいる最中です。
ただ、あれだけだと冬弥があそこにいるのが偶然に見えてしまうのは、失敗だったと思います。
俺の脳内では弥生さんが時間・場所を指定して、冬弥をあそこに配置していたんですが……(さすがに偶然あんなことは起こらない)
その点だけでも匂わせるべきでした。それはたぶん、最後のシーンにも入れられるし。
あと、弥生さんだと分かった人には、最後で気づいたのか、それとも途中でぴんときたのか、そこら辺を聞いてみたいです。
最後に個別返答を少々……と思ったら、結構長くなってしまった。
>>186 押し倒されたも同然です。あの後トイレなりホテルなりに直行でしょう。……( ゚д゚)ウラヤマスィ
ただストーリー上、キャスティングはあの3人以外にはあり得ません。
分からない作品を書いてしまって申し訳ない。
>>211 エロです(w 視点切替……してしまいました。なんか好きなフレーズが浮かんだんで、そっちの方に修正して、失敗。反省。
>>214 展開が唐突>おっしゃるとおりでございます。インパクトとわかりやすさを秤に掛けて、インパクトの方に傾きすぎました。
>>216 プロレベルは言いすぎだと思うけど、過分な評価、ありがとうございます。
でも、ちゃんと予測立っている人にまでそうだと思わせられなかったのは……未熟だなぁ。
受難の回だったようですが、次回以降も頑張ってください(w
>>221 おっしゃるとおりで。自分の分まで代弁してくれて、ありがとうございました。
>>229 契約に無理がある……そうですね。もっと冬弥と美咲が内心惹かれあっていたところを、
文章で表現できていれば良かったんですが……。
自分がホワルバに詳しい分、脳内で二人の心境を補完してしまっているようです。気をつけねば。
>>233 はい、冬弥ヘタレです(w 俺の中では祐一は外道ですが冬弥は愛すべきヘタレという位置づけになっております。
説明は省きすぎたようで。でも意外と(失礼)理解してくれる感想人さんが多かったので、ほっとしてます。
私も痕系やられシナリオが見られるかな……と密かに期待してたんですが(w
>>238 小道具がないと、マンネリになるので気を使いました。書いてて飽きるし(おい)
そこまで上手く行くだろうか、というのは確かにありますね。
弥生さんだから、と言ってしまえば、あの人ならやりそうだと思ってくれるかなーと希望的観測を(w
本編との進行の違いは、気にしてません。ただ、美咲さんの存在と心境を知ったら、これくらい平然とやってまうかも。
でもいくら弥生さんでも分かりすぎだな。どこで知ったんだか(w
美咲さんエロ過ぎ……なのは薬塗られてますから、と言い訳を準備。おお、珍しく伏線が。
>>244-245 こら(w でも気持ちは分かる。
では、失礼します。
「悪戯心と乙女心」を書いてみた。ちなみにコンペには初投稿。
普段ム板にも出入りしてるんで、ハンドルは名無しくん好きですさんに対抗してみた。
みなさんの感想を見ると…おおむね予想通りと言うか何と言うか。
一番的を射ているのが名無しくん好きですさんの「プロット主導」という意見だろうなー。自覚はしてるんだけどなー。どうにもなー。
演出も常套的とか言われてるし。確かにありがちと言えばありがちだった。猛省。
ちょっと意外だったのは「ヤらないと駄目でしょ!」という意見が多かったこと。しかし、ここで襲っちゃうとオチの付けようがないような…
実は、今回の基本コンセプトは「絶体絶命じゃない話」というもの。この話は一見絶体絶命に見えるけど、よく考えるとどこも絶体絶命じゃない。
たぶん他のみなさんはストレートに絶体絶命な話にしてくると思って意外性を狙ったんだが…結果的に中途半端とかオチ弱いとか言われてるのはこれが原因か。切腹。
>>186 「残り香を漂わせるような仕掛け」か。具体的にどんなの?
>>231 うーん。恨んでると言うより、まさに「ちょっと悔しかったから意地悪したい」で書いたつもりだったんだけど。
読み返してみたら、確かに恨んでるように読めてしまうなぁ。俺もまだまだ修行が足りん。
なお、感想期間内の発言は181,193,196,198,205,210,211,218,219,223,244,248。
248へのレス次第ではバックれようと思ってたけど問題なくて良かった良かった。
>てか、221さんの正しすぎる突っ込みに、作者の自作自演と疑われそうだと冷や冷やしました(w
正直、スマンカッタ。
ぎゃふん!! パッハベルとパッヘルベルが、世間で同一人物を指すことは、
なんの救いにもならんな……。
そもそも、人様の作品のタイトル打ち間違えてた屈辱。
タイトル間違われた作者様の屈辱をもらい屈辱。
一通りの感想を打ち終えて、総評を打つ前に……と、人の感想を流し読みしてる際、
BaとPaの突っ込みを見て、『ずっとBAだと思ってたよ〜』などと思いながらも、
そのまま総評を入力して投稿している間抜けさ加減の屈辱。
幼少からの刷り込みに、目の前の事実を取りこぼした屈辱!!
>>243 に、バッハと勘違いされてると間違われる屈辱!!
大敗北!! ……嫌になりますな。
さて、気を取り直して。
>>258 なにぃっ! そうだったのか!!w <薬
あと、弥生さんかどうか、というのは、途中までで微妙に気が付いたというか、
最後まで気が付かなかったというか……。それっぽいと思えなくもない材料があるけど、
どうだろうなぁ……という感じで読了。
分かり易さという点では、最後の扉が開く直前にでも、痴漢の外見的特徴を
硝子に映してみるとか……。でも、そこに気が向かないほど、美咲さんは
上気してそうだからなぁ……。いずれにせよ、難しいな。
しかし、自作自演の方は不思議と疑わなかったなぁ。
それもヤパーリ、俺が純真な心の持ち主だからか……(嘘デス<純真)
バッヘルベル、ではなかった模様。スマン。 辛口氏にも余計な火の粉を浴びせてしまったようで、更にスマン。 しかし結果的にはタイトルミスはいいほうにころがったかもw。 ドタバタギャグが中心だ、などという人の言葉に乗って、思いつき10秒の早書き でぶん投げたんですが、後の投稿がなかなかなくて内心ひやひやしました。 またもや賑わかしのつもりだったわりに、結局ギャグ作がつづかなくてそこそこの 好評になった様子ですね。 作りの甘さへのご指摘は、返す言葉もございません。 プロの世界。 ううん、ゴメンナサイ。 信号無視して最短を走ってみましたが、やはり違反したようす。 ちょっと感想も。 今回は『生贄』が数段抜けてたように思いました。 折角こーゆーとこ出すんだからエロやりゃ良かったかーとちょっと思ったりした ほどの快作。素晴らしかったです。 前回今回とちょいとリハビリっぽく参加させてもらいましたが、みなさま貴重な ご意見どうもありがとうございました。今後は眺めてるか感想だけかになると思 うんですが、ここからまた良作が生まれて行くことを期待しております。 ではでは。
262 :
91 :02/09/26 22:13 ID:dvXu0gCf
>>214 さん、
>>236 辛口批評さん、
わざわざメンテにも一言添えていただき、ありがとうございます。
ちょっと嬉しかったです。
実は作品も投稿しましたが、どれかはナイショにしておきます。
では。
「罰ゲーム」「シケリペチム侵攻」を書いたものです。
>>64 >>73 あたりを見て、何も考えずに勝手気ままに、と思って投稿しました。
ですから、本当に何も考えていません。↓は結構後付けの解説があったりしますw
>>89 「シケリペチム侵攻」は、本編のアナザーストーリーです。
本編はホゥホロ城落ちませんw
なお、ご参考までに、軍師ベナウィは、ホゥホロ城防衛軍の指揮を執っていました(本編中に記述あり)。
……とか言っておいて、実は「どうすればいいんだ」がやりたかっただけだったりします。
>90がうらやましかったです(爆)。
しかしながら、全く推敲も評価もせずに投稿してしまったため、いろいろと議論(w)を巻き起こしてしまったようです。
疑問は、そして真実は……本気で全く考えていません。
ど う す れ ば い い ん だ。
>>141-142 「罰ゲーム」は、Kanonの本編補完型(マテ)不条理ギャグです。
絶体絶命をオチに使っている作品が>91しか見あたらなかったため、投稿してみました。
様々なご指摘がございましたが、何も考えない投稿ではこれが限界かとm(__)m
……実は、
>>91 のメンテのほうが絶体絶命オチの質がよかった罠w
総合的に見て、前回「名詞一つの嘘」、前々回「夏だ! 外でH”だ!!」のほうが、真剣に練った分だけ良い出来だったと考えます。
次回はちゃんと考えたSSを投稿したい……。
その次のテーマ、書きづらそうなやつで……とりあえず「試験」とか言ってみるテストw
そういや今回、感想人1氏がいないな……あの人の採点は毎回楽しみにしていたんだが。 それとも名無しで潜伏しているのだろうか?
>>64 (?)がしつこくあちこちで粘着してたからなあ。
感想人1氏が出て来る限り前回の食傷云々のことを言い続けられるんだろうか。
第6回までの作品で、これはスゴイ! っていうのありましたか? まぁ、雑談ということで一つ聞いてみたいのですが。 ウザかったらスルーして頂いて結構です。
268 :
268 :02/09/28 04:42 ID:bxFHxNCN
あらあら
270 :
64 :02/09/28 13:52 ID:3xJiGJPs
しつこくあちこちでって……
確かに
>>64 は悪かったと思うけどさ。
>>266 総じてグランプリ取った作品は凄かった。
とうてい俺には書けん。
「フラワー乙女」8レス 「坂を越えた向こうに」6レス 「五月雨堂奇譚」10レス 「海の音楽」27レス 「逃げ水と」11レス 「生贄」11レス 例えば3レス未満の超短編でいいのって何かなあ?とか。
ちょっと意外だな。数は一番多いはずなのに、Kanonネタのグランプリ作品は1本もないのか。
『二人の力で』を書いた者です。読んでいただいた皆様、ありがとうございました。 ちなみに前回は『嘘つきメイドロボ』で参加しました。 今回は書き始めて数行のところで色々あって書けなくなり、2週間ほど放置したままになっていました。 作品があまり集まっていなかったので、賑やかしにでもと前日になって書き上げたのですが… 結局はいい作品がたくさん揃ったのでいらぬ心配だったようです。 さて、魔物の設定がおかしいという意見を頂きました。 一応、あれは舞の「祐一と一緒にいたい、結ばれたい」という想念が魔物化したもので、 舞のその想いが強い分だけ強力な魔物になった、という理屈を考えていました。 ちゃんと説明したほうがいいのか迷いましたが、話の流れが不自然になるし、 無理に入れるほどの設定ではない、と判断したのです。 どちらにしろ原作の設定とはずれているかもしれませんが。 もう一つ、舞の口調やキャラクターが変、という指摘を頂きました。 これは全くもって私の不勉強で申し訳ありません。 実は『Kanon』はだいぶ前にPC版をやっただけでしたので、記憶違いなどもあったかもしれません。 「YES」が「はちみつくまさん」だったか「ぽんぽこたぬきさん」だったかも忘れていたくらいです(さすがにそれは調べましたが)。 舞は『Kanon』では一番好きなキャラなので描けると思っていましたが、ちょっと考えが甘かったようです。 それから、舞が無反応なのは面白くない、とういう提案もいただきました。 初体験の舞にあのまま動き回らせるのは可哀想と思い、何も感じないことにしたのですが… でもなるほど、動くたびに感じる舞というのも面白いですね。 しかしそれだとストーリーの展開が遅くなるかもしれず、迷うところです。 一発ギャグみたいなものなので、今のままでもちょっと長いかな、と思っていたくらいですし、難しいところですね。 では、感想人の皆様、貴重な意見をありがとうございました。またよろしくお願いいたします。
勃起したアレって、大きな負担をかけると固化してる部分が
ぽっきり折れることもあるって聞いたことがある。
血が集まって固化する部位なんだから、そうなると大出血……
しかも内出血になるので、アレの皮を風船のように膨らませて
ズボンも履けないような状態で号泣しながら救急車で病院に担ぎ込まれることに
なるらしい……という都市伝説を厨房時代の教生の先生から聞いていたので、
こんなもんで済むかなあ……とドキドキですた。
今の説明・描写量のままいくんだったら、オチはいいから
オチだけ生かしてもっとばっさり短くするってのも手だったかもしれませんね。
とにかくオチはウケた(w 前作が「嘘つきメイドロボ」なのも聞いて納得。
>>272 俺は第五回の「居酒屋にて」が良かったな。
http://isweb45.infoseek.co.jp/play/sscompe/ss/5/8.html その言い方だと、言わされてるような気もするが(w
感想人1くん…すまない…。コテで書くなら心構えを、という主張をした一人は私だよ…。
気軽に書きたい人にとって…コテは色々気苦労が多すぎる……そう思うんだよ……。
>>259 対抗……って、別に何も出ませんよ? でもありがとう。
名指しされてみると、読みにくいハンですね(w>名無しくん好きですさん
残り香……
>本当は、綾香も、このまま浩之に身を任せることを望んでいた。
>先ほどの自分の思考には顔が赤らむ思いだ。
この辺の本能的(?)な感情が、このSSの核のひとつだと思ったわけで、
それを利用したエピソードが欲しかったということです。
さらに残り香(一般的な言葉では余韻)を漂わせられるようなら、言うことなし、と。
今思いついたのですが、例えば、
火照った体をもてあます綾香→帰宅途中に誰かにばったり
→上記感情をついたドッキリの一言→綾香の顔がトマトに
とか。
あ、ばったりの相手はセリオで。無表情に一言「益体なし(ボソッ」とか…
>>257 冬弥=ヘタレ、美咲=魔性の女、弥生=策謀家、という程度の知識で読んで、
あんな感想になりました。
もっともただのエロとしても、かなり読み応えがあって良かったですよ。
今回のグランプリ獲得も納得では。
まあ、気楽に書いた作品に酷評が来ることもあるし。 気楽に書いた感想、発言にも酷評が来る可能性もあるわな。 気にしないのが一番。 結局、発せられた言葉の受け取り方、取り捨ては自分で行うものだよ。 自分にとって有意義な評価、感想、嫌み、その他諸々であるなら有効に受け取ればいい。 それだけのことだろ。
口調で察してもらえると思ったんだが…あれはネタ風味の挨拶だよ… …だから…深く突っ込まないでほしい… ところで次々回のお題、そろそろ議題にしてもいいですよね? 「約束」「花束」「日暮れ」「お寺」「蚊」「食事」「(口)喧嘩」 「教室」「お相撲さん」「ガンダム」「あばれ牛」「巨泉」「夢」 (「花」)「鳥」「風」「月」 (「花」)「月」「雪」「星」「宙」 「踊り」「旅」「休み」「時計」「影」 「熱」「海」「水着」「ペット(動物)」 「晩夏」「初秋」「お盆」「熱海」「写真」「学園祭」「体育祭」 「(作品の)クロスオーバー」「cross over(交差、交錯)」 「ヒロイン二人」「修羅場が舞台」「ハレ」 「怪談」 「意外な絡み」「葉鍵キャラの子供時代」 「スポーツ」「読書」「芸術」「食欲」 「紅」「欲求」「アクセサリー」「メッセージ」 今までに出ている案はこんなものだったでしょうか?
次回テーマ「花束」に一票。
逆に絶対やめて欲しいのは「(作品の)クロスオーバー」。どれか一つしかやってない人は書けなくなるから。
>>277 実は対抗したことに意味はない罠。コテハン付けようと思ったけどいいのが思いつかなくて。
投稿前に友人に見せて批評してもらったんだが、「綾香あっさりしすぎ」とか「最後にもうちょっと何か付け加えろ」とか、あなたと似たようなこといわれたなぁ。
そんときは「これでいい。これ以上つけくわえると蛇足」って返したけど、今思えば友人の方が正しかったかもしれない。
帰り道で誰かに何か言われるというのは確かに面白そう。
というか「登場人物を増やす」という発想が全くなかった…アホか俺。
>無表情に一言「益体なし(ボソッ」とか…
そんな面白いセリオはセリオじゃないやい。
>冬弥=ヘタレ、美咲=魔性の女、弥生=策謀家
冬弥=ヘタレ、美咲=ヘタレ、弥生=魔性の策謀家
…いや、俺は美咲さん萌えですよ?>美咲ファンの方々
次テーマは難しいやつがいいな。 そろそろお題縛りを希望……。
>>279 とりあえず「ガンダム」はあんまりだと思う今日この頃w
「学園祭」「体育祭」なんか面白そうだなあ。
「巨泉」とか「あばれ牛」とか選ばれてもどうしようもないな。書くほうも読むほうも。 学園祭とか体育祭とかならいっそのこと「祭」と言うのはダメですか? 欲求とか休みとかも面白そうだけど。
投稿の質と量と同時に、ある程度の感想の量もこのスレの生命線だと思う。 だから、参加者が感想の書き手にあまり厳しい注文付けるのは、 自分の損じゃないかなあと思う。 「SSコンペ」だから投稿者に覚悟や精進を望む厳しい声が来るのは当然だが、 感想側にまでそれを要求すると、感想減りそう。 感想書きにも覚悟や精進してる人もいるだろうが、 そうじゃない気楽に書いてる人の感想や、言いっぱなしの人の感想が。 嘘や煽りで書いてるんじゃなきゃどの感想も読後のその人の素直な反応なんだろうし、 俺は、例え拙くても、どの感想も貴重な、目に見える反応、糧だから 減って欲しくないんだよなあ。 せめて、俺らスレ住人、企画の参加者だけでも、感想書きにあれこれ求めすぎないで、 感想書きを減らすようなことはなるべくしないではいけないもんか……と思う、 (当スレ専の感想コテに2chコテとしてのすべての責任と義務を要求したりとか) のは、感想が欲しい投稿者側の俺のわがままかな。 これは「こうしろ」っていう押し付けじゃなくて、単なる個人的考え。呼びかけ。
>>282-283 選ばれても必ずしも「巨泉」についてのSSを書く必要はないし、
必ず「あばれ牛」が作中に出て来るとは限らない。
必ず「ガンダム」を作中のテーマにする必要もない。
”テーマ”じゃなく”お題”なら、だが。
まあ、心配しなくても誰かがやりたがらないものは選ばれないでしょ。
題名縛りを禿しくキボン
お題縛りって、全員が同じタイトルで書くってこと?
というか、必要ないのお題はどんどん消しちゃわないと、候補が無限に増える罠w
まぁ、この程度なら増え過ぎってことはないと思うけど……、
「巨泉」「あばれ牛」「ガンダム」はまず選ばれないだろうから消去してもいいと思う。
「お相撲さん」や「熱海」もかなり厳しい。そして「クロスオーバー」は一つにまとめるべきだと思う。
もっとも俺としては、「クロスオーバー」と「意外な絡み」は、お題でなくとも書き手次第で十分実現できるから、
無理にお題にする必要は感じないなぁ。
(たとえば今回の『生贄』における美咲と弥生は、本編では面識のない、意外な絡みだったわけだし)
ま、それは一意見として。次々回のお題は「旅」あたりを推薦。
「花束」は第一回で花をやってしまった上、更に制約が厳しいので、ちときつい……。
>>286 題名縛りはいいけれど、誰がどうやって題名を決めるのかが問題。
またお題ではなく、題名でなくてはならない理由も知りたい。でないと説得力がない。
できればこんなタイトルで、みたいな参考例も欲しい。
題名次第ではまるで書けなくなる人も出てきそうで、制約が大きすぎるヨカーン。
>「クロスオーバー」と「意外な絡み」は、お題でなくとも書き手次第で十分実 >現できるから それはちょっと違うかも。 「花」も「夏の野外H」もお題でなくとも書き手が内容に自分で反映できるでしょ。 全員が同じ条件に向きあって書き競う、ということにコンペの意味があるわけだから、 ひとつのワードでなく、形式や、その他の方法で縛るなんてのも 可能だってことでしょう。 候補からは外されてるけど、以前提案された「冒頭の展開が同じ」「結末が同じ」とか。
自分は「サッカー」とか「夏だ!外でエッチだ!」みたいに 具体的なお題の方がネタが思い付きやすい模様
だけど「クロスオーバー」も「意外な絡み」も、
キャラクターの選定だけすんだら、あとは内容に関する制約が一切見られない。
ただ、見たことのない組み合わせを見るだけ、では間口が広すぎると俺は感じる。
普通にSS書く分にはそれでもいいけど、ここはコンペであり、テーマの消化も採点の基準になる。
「意外な絡み」だった場合、それが意外であれば意外であるほど、(テーマについての)評価が高くなるのか?
「クロスオーバー」だった場合は、世界観が違うほど評価が高くなるのか?
と考えると、ちょっとよく分からない。
書き手としては、評価も当然気になる。媚びるわけじゃないけど、テーマの料理の仕方についてはいつも悩みどころ。
そう考えた上で、意見を言わせてもらった。
とか書いているうちに、よく分からなくなってきた(おい)
選んだ二人である必然性とか、掛け合いの妙とか、そういうもので評価できるかも、とか思えてきたり。
もともと俺は変な取り合わせって好きだから、テーマに選ばれたら喜び勇んで書くだろうし……。
だからこそ、あえてテーマに選ばなくてもいいという発想があるんだけど。
自分がよくわからんw
まぁ、
>>288 で書いてあるように個人的な一意見なので、気に入らなければスルーしていただきたい。
「冒頭の〜」とかは題名縛りと一緒で、面白そうだけどその冒頭部分を誰が書くかが問題だね。
>>284 「SSコンペ」だから感想側に覚悟や精進を望む厳しい声が来るのは当然だが、
投稿者にまでそれを要求すると、投稿減りそう。
とも言えてしまうだろ。
投稿と感想は対等だよ。
俺は投稿者でもあり感想者でもある。
そしてどっちも多い方がいいと思ってる。
「SSコンペ」なんだから、投稿が減ったとしても要求した方が良いんじゃないかな。 普通の投稿スレならともかく。 でも一歩間違うと常連だけのオナーニスレになっちゃうんだよなあ…… 難しいところ。
>>293 一歩間違わなくてもそうなるよ。
育てる漁業が通の楽しみ方。
>>288 「花」が使用済みだったのか…
んじゃ「食事」に一票。あるいは「料理」って手もあるか。
…一部のキャラが大暴れしそうだが。
「旅」に一票。 面白いSSが読めそう。
今まで参加するすると言っておきながら一度も書いたことないので、 次こそは是非とも参加したいと思います。 さて問題。本当に俺は書くでしょうか? 次の3つから選べ。 1.書かない 2.書けない 3.書けるかっ! >次々回テーマ 「キス」なんてどうかなぁ、と。寸止めだったりディープだったりいろいろ面白そうで。 キス1回だけに10レス使うような作品が出たらいいなあと思ったり。
つか、書こうと思えば(ネタが出ないときはともかく)なんでも書けると思うぞ。 お題を中心に持ってきた作品もあれば、スパイス程度でお茶を濁したのもある。 考え方次第だな。 ……キス一回…… キスまでに8レス、 キス始めから終わりで7レス、 キス以降のやりとりで5レスくらいなら、なんとかなると思う。 さすがに細かく書きすぎることになるんで、誰もやらないような気がするが。(w
>>292 >とも言えてしまうだろ。
言えないと思うよ…。「SSコンペ」…SSの出来を競ってる企画であって、
感想の出来を競ってる企画ではないから。
2ch住人として、書いたレスにどんなレスが来てもおかしくないって意味では
もちろん誰でも対等だから、292の言ってることが間違いってわけじゃないんだけど、
感想を減らしたくないという
>>284 の言いたいこともわかる。
SSは「作品」なのに対し、感想は「作品」じゃないから。
「質の高い批評」であればそりゃいいとは思うけど、そうじゃない感想だって、
「反応」として、受け取るSS作者にとって価値は生まれるから、
そこがSS(作品)との違いなんだよね。
「より質の高い感想を」「コテとしての自覚を持て」ってあまり感想に要求をし過ぎると、
逆に感想を減らすという本末転倒の状況になる可能性がある。そこには同感。
「キス」か……「キス」と「旅」がとりあえずリード?
ダダ甘なSSも見てみたい… 「キス」に一票入れとこか こう言うとそうじゃないSSも一杯きそうで楽しみなのです(どっちでもいいんかい
キスか。ある程度難しそうだし、いいんじゃん?
魚のキスをネタにした作品が出てくるにイピョーウ ……とかいって牽制しておくw
なんともテーマってのが微妙だよな。 「キス」なら「キス」の物語を描くのか、 起承転結のどれかにキスが存在してればいいのか。 どっちでもOK!ってほうがおもしろみはあると思うけど。 ところで「旅」に一票
>>303 >>304 っていうか何だよ、みんな同じ事考えてるのかよ!
実はオレモナー……
人間の発想力ってのはこんなもんなのか…
>>304 キスの物語を書いた方が今のところ評価が高い場合が多い。
でも、キスが出てくるだけの物語でも、質が高ければ
それなりか、それなり以上の評価を得ることは出きる。
感想などの基準をどちらか一方にしようかという話しもあったが、
固定しない方が色々な視点の感想を得られそうだと言うことで、
判断は感想を打つ人に任せられた。
個人的にはこの流れのママで良いかと。
(コンペとして厳密にやるのであれば、決めた方がいいとは思うけどねw)
……要は好きに書けってこった。
>>299 言うだけならできる。
「SSの出来」を決めるのは投稿者ではなく感想者。
審判のレベルが低ければ選手のレベルも低いというのは常識。
だからといって「レベルを上げろ」と言いたいわけではないが。
玉石混淆が2chのいい所だし。
「質の高い作品」であればそりゃいいとは思うけど、そうじゃない作品だって、
「企画」として、受け取る感想者にとって価値は生まれるから、
やっぱり感想(評価)と同じってこった。
大会がたくさんある中で、優勝者同士が戦うような企画でもあれば別だが。
レベルの高い感想か…。耳が痛いなぁ。 作品を正確に把握しようと思ったら、何度も 読まなきゃいけないから大変だよね。 本当ならもっとバラエティに富んだ書き方をしたいけど、どうも最近は 「あれ、前も書いたような気が」という感想が多かったりする罠。
って言うかここだけの話、このスレって常連以外感想書いてるの? いたとしてもごく少数、それ以外の一見さんはこんな議論してたら絶対書きこまないと思うけど。 せっかく良い企画なのに、自分たちで潰してる気がするよ……
でもこういうことが話せるのが統括期間の間だけだからね。あれ、総括だっけ? 投稿期間と感想期間は一応別にしてあるから、この間に多少の議論が起こるのは仕方ない。にしても、 レベルなんてスレ内で考えなくてもいいと思うけどな、俺は。 それは個人個人が自分で目標設定するべきでしょ。 もっと上手くなりたいやつ、他人とは違うもんが書きたいやつ、ただ思いの丈を綴りたいやつ。 テーマと締め切りという縛り内で、自分の好きに書くってのが趣旨だと思われ。 最優秀作品選出もおまけ程度の扱いで、投票も任意だし。 感想書きもスタンスは同じでしょ。ルールを破らない限り、自由にすればいい。 何度も書いたが、稚拙だろうがなんだろうが、感想をもらえるのは書き手にとってはありがたいものだよ。 ま、みんなもうちょっとマターリしようや。(´ー`)ノ旦~
「卒業式」見たいです。 影響されたからです。すみません。
おもろい、つまらんだけじゃダメなの?
>>314 いいと思うよ。
「どこが」面白かったのか、つまらなかったのかを書いてくれるとなお良し。
ざっと自分の書いた作品を眺め、いいかげん鍵SSも書けと自分に言いたくもなるが、 ミリタリーバランス上、このまま葉っぱSSを書いている方がいいのかもしれんなどと思ったりもする台風の日の夜。 まぁ、意図的に葉っぱを選んだつもりもないし、なんか浮かんだら鍵だろうが葉だろうが書くだろうけど。 そんなこんなで神奈川県、間もなく台風上陸。吹きすさぶ風の音でも聞きながら、「夢」の構想でも練るか。
ああ、ダメだダメだダメだ。 シリアスを書こうとしても筆が進まない。 プロット練ってる途中で浮かんだギャグを採用してしまう。 どうすればいいんだ
いいじゃん、採用できるネタがあるんなら。 俺なんかサパーリ浮かばないから諦めが入ってきたよ・゜・(ノД`)・゜・
>318 オレ、逆。 最初思いついたときはギャグだったはずなのに、 気付くとシリアスになってる。夢じゃなくて電波になってるし。
別に、ギャグとシリアスが混じっててもいいんじゃないかな。 お互いに引き立て合ってテーマ性が強くて面白い作品になるかもしれない。 もちろん失敗したらお互いにぶち壊しの悲惨な作品になるかもしれないけど
序盤ギャグ後半シリアスというギャップにより後半が引き立つ、って手は ONEとかでもおなじみだしな。
逆に序盤シリアス後半ギャグ、ってのは第一回こんぺであったな。 「スカ」……あれはワラタ。
序盤シリアス後半(というかオチ)ギャグを狙って失敗した例もある。 ああそうだよ! 俺のだよ!
ここって有名なコテの人参加してるのかなぁ。してそうなしてなさそうな。
>325 投稿されたSSのタイトルを各SSリンクで検索すれ。 三人は見つかる
テーマ「旅」に一票〜〜。いつもとは違った土地で活躍するキャラを見たいな。
「キス」に1票。シチュ物の良作に期待。
「キス」と「旅」がえらく拮抗しているな。 大将、そろそろまとめに入ってぷりーず。でも今回はどっちにするか厳しいな。 どっちになってもそこそこ面白そうだが。 ……あ、その前に「夢」SS、ネタすら出てねー(;゚Д゚)マズー
「キス」に一票。 理由:ネタ思いついたから(w
テーマ、一文字と二文字以上が交互になってますね。 この順番でいくと「夢」の次は二文字以上の番だけど…
風邪をひいてしまって、ずっと寝込んでいますた(;´Д`) 皆さんも健康にはご注意を。 >331 それじゃ次々回のテーマは『キス』で(w そんな冗談はさておき『旅』『キス』の票が拮抗していますが 少しばかり『キス』の票がリードしているのと、 >328 にあるように シチュ作に期待ということで、次々回のテーマは『キス』でよろしいでしょうか? 特に異論が無ければ、明日の朝 8 時よりテーマ『夢』の投稿を開始したいと思います。
>332 ゐゐ(・∀・)! 折れはな…
それと書き手としての挨拶ということで。 今回は『希望という名』を書かせてもらいました。 作品の意図としては、雪見の風邪による『絶体絶命』とみさきの人生における 『絶体絶命(むしろ絶対絶命?)』を重ね合わせて書きたかったのですが、 >186 で指摘されている通り後半急ぎ足になってしまいました。 最後の告白シーンでもっと語らせたかったのですが……時間が足りなかったです。 また一番の失敗は、>229 で指摘されている通り最後に浩平の名前を出してしまったことで、 『先輩って澪が演劇部いること知らないじゃん!』ということを投稿した直後に気づき、 死ぬほど後悔しました。推敲の時間も取れないときに無理して書くな、ということが 今回のことで本当によく分かりました、反省。 今度はもっとスケジュールをきちんと立て執筆します……多分。 最後に、このような作品を読んでくださった方々にお礼を申し上げたいと思います。 皆さんを感想を眺めて、徹夜してでも書き上げて良かったと思います。 機会があれば、この作品をもう一度練り直して公開したいと考えています。 本当にどうもありがとうございました。 えー、それとちょっと反則気味ですが前回のお礼などを…… 前回は『虚像の王子』と『嘘の世界』を書かせてもらいました。 『嘘の世界』の方は結構評判が良くて驚いてます。話自体があまり救われないものですし、 書きながら自分でも『どうかな〜?』などと思っていたので。 実は、この作品というのは最初はギャクでした。序番の七瀬のシーンはその名残です。 しかし、七瀬があんなキレかたをするぐらいの『嘘』が思いつかなかったので、 苦し紛れに作り変えてみた結果こんなものになりました。……なんでこんなに話の色が違っているんだろう(w まぁ、災い転じてなんとやら、という風に自分では納得しています。 読んでくださって皆さん、どうもありがとうございました。
前スレ、前々スレがhtml化されました。 で、久々に前の感想ざっと眺めてたら……(作品は保管所で読めるしね(・∀・) マイナー気味の作品を中心に書いていることもあって、「やったことないので感想つけられません」って時々書かれて、 仕方ないけどちょっと凹んだことを思い出したw
「旅」に入れていましたが、「キス」に転向します。 理由は、>331にいたく説得されたから(w、ということにしておいてください。 >335 「やったことないので〜」という発言の裏では、やってないことを残念に思っているものですよ。 そのSSの出来が良ければ良いほど、悔しい。 「嘘」の回に怒涛のように出てきたAIRSSを読んで、思わずAIRを買ってしまったのは事実です(w。 今後もぜひ元作品をプレイせずにはいられなくなるような名作を書いてくれ、と。
【葉鍵的 SS コンペスレ】
第七回投稿テーマ:『夢』
投稿期間: 10 月 4 日の午前 8:00 から 10 月 18 日の午前 8:00 まで。
テーマを見て思いついたネタがあれば、どんどん投稿してみよう。
面白い作品だったら、感想がたくさんついてきて(・∀・)イイ!!
もちろん、その逆もあるだろうけど……(;´Д`)
同じテーマで、他の職人さんと競い合えるまたとない機会です。
現役職人の方はさらに自分の腕を研くため。
初心者の方は自分の作品と他の職人さんの作品を比較、参考にするため、
などに利用してください。
※投稿される方は
>>2-10 にある投稿ルール、FAQ をよく読んでください。
※特に重要なのが
・テーマに沿った SS を*匿名*で投稿する
・投稿期間中は作品に対して一切感想をつけない
の二点です。他の各種 SS スレとは異なりますのでご注意を。
それでは、投稿開始っ!
# また、次回のテーマは「キス」で、開催時期は 11 月初めになる予定です。
# 「二週間じゃ短すぎて書けない」「テーマが難しい」という方はこちらの執筆に力を
# 注いでもらっても構いません。ただし、投稿は次回の募集開始までお待ちください。
338 :
名無しかな!? :02/10/04 09:44 ID:0EILEyoJ
今からコンペ作品投下します。 「cannot live without a waffle」 3レス使います。
私は、今とても幸せです。 今日は私の誕生日。 それに、大切な人、浩平が側にいてくれるから。 しかも、しかもです。 「茜、今日は好きなだけ食べてくれ」 「今日は無礼講だよっ!」 浩平と詩子は私のために、山盛りのワッフルを買ってきてくれたのです。 「里村さん、お誕生日おめでとう」 「乾杯!!」 クラスメイトの長森さんや住井くんも、私を祝うために来てくれました。 本当に、何とお礼を言ったらいいか分かりません。 住井くんの乾杯の合図の元、牛乳(長森さんの提案です。私もワッフルには牛乳が一番だと思います)の注がれたグラスが カチン、と音を立てて交わされます。シュガースティックを適量入れて、私も乾杯をしました。 「ハッピバースデ〜ディア、里村さ〜ん」 お馴染みの歌のあと、私は一気にローソクを吹き消し、詩子が特注してくれた特大ワッフルに取り掛かりました。 山月堂はやはり名店ですね、パリパリ感が何とも言えません。 美味しんぼの表紙を山月堂のワッフルが飾るのも、そう遠い日ではないでしょう。 浩平も、はちみつ練乳ワッフルを、舌鼓を打ちながら食べてくれます。 「すごく、美味しいです」 「茜、やっぱりワッフルははちみつ練乳だよな。おかわり」 「ここのパリパリのところが美味しいんだよね。おかわりー」 浩平と長森さんが、私に同意してくれます。どうやら、やっと浩平も理解してくれたようです。 「おかわりは山ほどあるから、遠慮しないでね!」 詩子が、そう言いながら冷蔵庫を開けてくれます。 文字通り、山ほどのワッフルが、はちみつのコーティングで光っていました。 「詩子、ありがとうございます……」
「それでは」 「本日のメインイベントに移りたいと思います」 心からのお礼を述べると、住井くんが髪をかきあげながら、芝居がかった口調で言いました。 メインイベントなんて聞いてません。いったいなんでしょうか。期待に胸が躍ります。 「里村さん、私が考えたんだよ」 なるほど。さすがに長森さんは気が利きます。それにしてもなんでしょうか。 「きゃっ」 いきなり浩平に抱きすくめられました。みんなの前で変な事をするつもりでしょうか。 どうしましょう。浩平が変態です。逃げなくては。 「茜万歳!」 「え?」 浩平は私をお姫様だっこすると、上に放り上げました。 訳がわからないうちに、他の皆さんもこっちに寄ってきます。 「里村最高!」 「練乳ワッフル最高!」 すると皆さんは、口々にそんな事を言いながら、満面の笑顔で私を胴上げし始めました。 住井くんなど、いやっほぅ、とまで叫んでくれています。 びっくりして声もでませんでしたが、すぐにそれは喜びに変わりました。 めくれそうになるスカートを押さえながら、私は若かりし日の巨人長嶋監督を連想しました。 「ありがとうございます、皆さん……」 …………
「……りがとう」 自分の声で目が醒めると、視界にまず飛び込んできたのは、いつもと同じ天井でした。 時計を見ると、朝の7時。 ひょっとして、今までのは全部……? そうですか……。 「それにしても」 「私にこんな願望があったとは」 こぼれていた涎を拭きながら、そんな事を思いました。 学校に着くと、既に浩平は来ていました。 「よっ、茜」 「おはようございます」 「なんか浮かない顔だな。何かあったのか」 話したら笑われてしまいます。我慢どころです。 「気のせいです」 「そうか、ならいいんだけど」 「……」 「ところでさ、茜って今日誕生日だよな」 「……」 「あのヌイグルミは無理だけど、ワッフルおごってやるよ」 「……本当ですか」 おしまい。
1レス書きます。
今朝、真琴の夢を見た いつの間にか帰って来ていたあいつに漫画を読んでやってる夢だった 目が覚めても、何もやる気が起こらない 現実は夢より虚ろなものに思えた 結局、学校は休むことになった 心配する名雪と秋子さんにほんの少し罪悪感を覚えたが、それもすぐに感じなくなった とにかく胸が苦しかった 食欲は全く無かったが、それでも粥を少しだけ頂いた 痛みを忘れるために目を瞑り、無理やり眠ろうとする・・・ ・・・俺を呼ぶ秋子さんの声で目を覚ました ドアを開けると、見舞いに来た天野がペコリと頭を下げた 何を話すでもなく、出されたお茶をすすり、窓の外を眺め、手持ちの本を読み、またペコリと頭を下げて帰って行った 夢より虚ろな現実には、自らの痛みを抱きながらも誰かを支えようとする一人の少女がいた その夜、再び真琴の夢を見た 今日は天野にその話をしようと思う
おわり。
今 夢 を題材に書いてる所です 間に合うかなぁ(;´Д`)
18日までか…… ネタはあるから、書ききれるかどうかギリギリかな……(汗 とりあえず、間に合うように書いてみるかな。
1レス落とします。 タイトルは、「よくある話で」です。
夢。夢を見ている。 のんびりと取る昼食。 中庭の、雪で真っ白の景色。 へんな姉妹といわれようが、あたしはかまわない。 夢。夢だったらいいのに。 のん気なことを言う暇のない現状から、逃げ出している。 中でも、妹の病状は最悪。 へたなことでもあると、その瞬間に寿命が尽きる可能性すらある。 行楽の季節。 つかの間の楽しみも、妹がせき込んだ瞬間に終わる。 てつかずのまま放置されている、ゲームセンターのモグラたたき。 みんなが心配したとおり、妹は1ゲーム目の中盤に倒れる。 ただ、みんなと同じように遊びたいだけなのに。 いつになっても、そんなことが叶わないから。 とんぼを眺めて、サナトリウムで過ごす日々。 思い続けてきた、妹の気持ち、妹への気持ち。 いま、彼にうち明けよう。 まじめに受け取ってくれる。まじめに考えてくれる。 せいいっぱい、伝えよう。私にできる限りの気持ちを。 ん……たぶん、大丈夫。ずっと私より強いから。 かれなら、きっと。なんとかしてくれる。 Unfortunately, her future was unopend. Forget everything with her, and I get only unhappiness. Unexpected his approach to her makes me right. Find my way not to regret. Unbeleivable happy days will come soon! さあ、親友の家に電話をかけよう。 あのひとも、そこにいるから。
351 :
349 :02/10/05 11:58 ID:vL2uBY0f
以上です。よろしくお願いいたします。
コンペ作品、今から投下します。AIRもので、8レス予定です。 ちょいとアブノ入ったネタもあるんで、その手の作品が苦手な方はご注意下さいますよう。
「うわあっ!!」 俺は飛び起きた。背中が冷や汗でぐっしょりと濡れているのを感じる。 「お、居候起きたか……ってなんや、むっちゃ顔色悪いやんか」 隣の台所から晴子が出てきた。水が入ったコップを持っている。 「まあこれ飲んで落ち着きや」 ありがたい。奪い取るように晴子からコップを受け取ると、水を一気に飲み干した。冷たい液体が 喉を通り、身体を内側から冷やしていく。少し冷えた身体に冷たい水、身体には悪いかもしれないが、 少なくとも気持ちは落ち着いてきた。 「不味い。もう一杯」 そう言って晴子にコップを突き出す。 「居候、まだ自分の身分ってモンをわかってへんみたいやな。そんくらい自分でやりや」 気分が悪い人間を相手にこの仕打ちは酷すぎる。だが逆らうことも出来ないこの身がもどかしい。 とりあえず自分で水を注ぎに行こうかとも思ったが、面倒になったので止めることにした。コップは そのままテーブルの上に置く。 「それにしても、ずいぶん長く寝とったな。観鈴、『往人さんが起きないよ〜』って泣きながら学校に行ったで」 言われて初めて俺は、日がすでに高く昇っていることに気付いた。昼前、11時頃ってところか。 「泣きながら行ったのか……観鈴に悪いことをしたな」 「嘘や」 ……このアマ。 「でも、ごっつ悲しそうやったんはホンマやで」 そうか……今日観鈴が帰ってきたらトランプでもして遊んでやるか。 「そういや、なんかうなされとったで。何の夢見とったんや?」 夢……そう、何か嫌な夢を見ていた気がする。背中がびっしょり濡れたシャツが何よりの証拠だ。 「何の夢だったんだ……思い出せん。いや、もしかしたら思い出したくないのかもな。自分でもわからん」 「ふぅん。なんや興味沸いてきたな」 嫌なヤツだ。 「せやな、思い出すのも嫌になるような夢か……例えば何かに襲われる夢とか」
何かに襲われる夢。 それを聞いたとたんに身体が痛くなる。心臓が、背筋が、そして尻が……尻が? どういうことだ? 「お、顔色変わったな。図星か」 「晴子、もうこの話は止めてくれ。何か猛烈に嫌な予感がする」 だが晴子はニヤニヤ笑いながら話を続ける。 「ほな続けよか。何かに襲われた。じゃあ何に襲われたか……ずばり、女に襲われたっちゅーんはどうや?」 晴子の言葉を聞いて、さらに痛みが増す。特に尻が。って、だからなんで尻なんだ!? 「お、また図星か。なんや、若い男が自分の言葉で苦しむ様子って、なんか興奮するなぁ」 「興奮なら一人でしててくれ。俺は出かけてくるから」 何を言っても晴子は聞かないだろう。だったら俺の方から出ていくまでだ。 と思ったのだが、身体が動かない。何だ? 俺の身体はそんなに疲れているのか? 「逃げよう言うてもそうはいかんで。さっき渡した水に何が入ってたと思う?」 そ、そういうことか。しかし、一体何の恨みがあってそんなことをするというんだ? 聞きたかったが、 声も出せないほどに身体から力が抜けていく。そのまま俺は畳に倒れ込んだ。
「こういう、一手一手を積みながら相手を追いつめていくのがおもろいねんなぁ。ま、ええわ。 とりあえず、夢当てクイズの最後やな。ズバリ、あんたを襲ったのはウチやった! どうや? 当たりやろ?」 そうだったのか? そうだったのかもしれない。だが、それを考えている余裕が俺にはなかった。 何故なら、叫んだ途端にズボンを脱ぎ捨てた晴子の股間に、黒光りする怪しいモノを見てしまったからだ。 それをみたのは初めてだったが、名前は何となく頭に浮かぶ。確かペニスバンドとかいうモノだ。 本来の用途はレズのカップル用にとかそんな所なんだろうが、それをなんで晴子が持っている? 「さあて、夢の続きしよか。ああ、安心しいや。観鈴は夕方まで帰って来ぅへんからな」 そんなんで安心できるか。俺の抗議の声は頭に浮かぶだけで、喉から出てくることはなかった。 うつぶせになってピクリとも動けない俺のズボンとパンツを下ろし、晴子は「それ」を俺の尻にあてがう。 「ほんなら、いっただっきまーっす♪」 合掌してお辞儀くらいしたかもしれない。晴子の姿は見えないからわからないが。 そして次の瞬間、貫くような痛みが俺の全身を走り回って、
「うわあっ!!」 俺は飛び起きた。背中が冷や汗でぐっしょりと濡れているのを感じる。 周りを見渡せば、薄暗い駅舎の一室。俺は夢が夢であったことを心から感謝した。と、その時、 部屋のドアがバタンと開く。 「にょわっ、国崎往人、大丈夫か!?」 叫びながらみちるが転がり込んできた。みちるを慌てさせるほど、俺の声は大きかったんだろうか。 「すまん、水を一杯くれ」 「うん、待ってろ!」 言って部屋から転がり出ていく。とりあえず気持ち悪いので、汗びっしょりのシャツを脱ぎ捨てた。 みちるを待つ間、カーテンを開けて窓から外を眺める。日は高く上り、昼を過ぎた頃だろうか。 「も、持ってきたぞ!」 言いながら部屋に転がり込んでくるみちる。その手から奪い取るようにコップを受け取ると、一気に 水を飲み干した。ぬるい水だが、それでも少しは身体が落ち着いてくる。 「おう、ありがとうな、みちる」 コップを少し掲げて礼を言う。みちるは何か恐ろしいものでも見るかのように一歩後ずさった。少し頭に来た。 落ち着いてくると、少しずつ記憶が戻ってくる。美凪と朝飯を食って、学校に行く美凪を見送った後、 ふっと眠くなって寝ていたのだ。 「なあ、みちる」 「んにぃ? なんだ、国崎往人?」 「今日は美凪は午後まで授業で、夕方にならないとここには来ないはずだよな?」 そう聞いたとき、みちるが一筋の汗を流したのを俺は見逃さなかった。 「そ、その通りだぞ」 「だったら、なんでお前は服を着ているんだ?」
目線を地面に落として、みちるは弱々しく答える。 「ん、んにぃ……それは……」 「美凪がいないときは、俺の前では何も着ずにいろって、この間命令したよな」 「それは……駅の近くを誰か知らない人が通りがかってたから……」 「誰か知らない人と、俺の命令と、どっちが大切なんだ?」 「そ、それは……」 だんだんか細くなっていくみちるの声。いつも強気なみちるの出すこの声が、俺を興奮させる。 とどめを刺すべく、俺はワイルドカードを出した。 「じゃあ、美凪がどうなってもいいんだな?」 「にょわっ! そんな、み、美凪だけはやめて……」 「さて、どうするかな」 考え込むふりをする俺。目の前でおろおろと慌てふためくみちる。いつも通りの光景だ。だから俺は、 いつも通りの答えを出す。 「美凪のためなら何でもするか?」 「ううぅ……な、何でもするから……だから美凪だけはぁ……」 麗しき自己犠牲ってヤツだ。話を進めやすいといったらありゃしない。 「だったら、罰ゲームだ。お前が耐えられたら、美凪には何もしない」 「や、約束だぞ、国崎往人!」 「ああ、約束だ。じゃあ早速、服を脱げ」
恥ずかしそうにモジモジと服を脱ぎたがらないみちる。だが、俺の視線が少し厳しくなったのを 感じると、打たれたように一気に服を全部脱ぎ捨て、全裸になった。 「ぬ、脱いだぞ……」 「次は、そこを濡らせ。やり方は教えたよな?」 そう言ってみちるの股間を指さす。ある程度覚悟はしていたのか、みちるは素直に自分の秘所に 片手を運んだ。そして逆の手で、未発達な胸に刺激を与える。 ぎこちない動きで股間の突起に刺激を与え、まだ膨らまない乳房を揉みしだく。そんな幼女の オナニーショーを見ながら、俺は股間に血液が集まってくるのを感じていた。 「く、国崎往人ぉ……全然濡れてこないよぉ」 泣きそうな声で言うみちるに、俺は冷たく言い放つ。 「濡れてこない時はどうすればいいかも、教えたはずだよな?」 「ん、んにぃっ……」 みちるは自分の手を口に当て、唾でベタベタに汚す。そのまま股間に手をやって、そこに唾を 塗りたくった。それを何度か繰り返す。 「よし、そんなもんか。じゃあ、ここに跨るんだ」 目に涙を浮かべながら、みちるは俺のズボンのチャックから顔を出しているナニの上に跨る。 ヌルッとした感触が俺のナニの先端に触れた。 半泣きの形相で、それでも俺をにらみながらみちるが弱々しく言う。 「こんな……こんな風にみちるの気持ちの芽を摘みながらこんなことやって、楽しいのかぁ……」 「楽しいからやってるに決まってるだろ」 そう言って俺はみちるの腰をつかみ、一気にその小さな身体を沈め込み、
「うわあっ!!」 俺は飛び起きた。背中が冷や汗でぐっしょりと濡れているのを感じる。 ……一体何なんだ、今の夢は。俺は考えを巡らせる。 過去の出来事? いや、そんな記憶は全くない。 じゃあ俺自身の願望か? いや、俺にそんな趣味は全くない。ないはずだ。 だったら隠れた願望? いや、仮にそうだとしても、それを心に留め置くくらいの自制心はある。 よし、結論。あれはただの夢だ。そう、ただの……ただの? ただの夢? タダノユメ? 記憶が巡る。夢の中でも俺は何か嫌な夢を見ていた。いや、その夢の中でも夢を……いや、その中でも…… ジャア、イマオレガミテイルノハ、ユメナノカ? ゲンジツナノカ? 背筋が凍る思いがする。何も理由は、服が汗で濡れているからというだけではないだろう。 夢か現か、その境を見いだせず、真夜中の闇の中で一人俺は震えていた。 だがその時。 「……大丈夫か、国崎君?」 声が聞こえると同時に、俺の首にほっそりとした腕が巻き付いた。そして背中に柔らかい何かが触れる。 薄衣を通してもわかる、乳房の感触。真っ暗闇でも、いや、真っ暗闇だからこそより敏感に感じるその暖かさ。 「ずいぶんうなされていたようだったな。灯りをつけようか?」 「……いや、いい。ただ、このままこうしていてくれ」 俺はそう言った。今は光よりも、この暖かさが欲しかった。 「ああ、わかった。君の気の済むまでこうしていてあげよう」 そう言って声の主、聖は腕にギュッと強く力を込めてくれた。
そのまま時間だけが静かに過ぎる。どのくらい時が流れたか忘れた頃に、聖が話しかけてきた。 「悪夢を、見たのか?」 「……ああ」 隠しても仕方ないことだ。俺は正直に答えた。それを聞いて聖が言葉を紡ぐ。 「例えばホラー映画を見た夜にそれを夢に見ることはある。だが、悪夢にうなされる最大の理由は そんな浅いものではない」 一呼吸置いて聖は続けた。 「罪悪感だ」 「罪悪感、だと?」 「人は罪の意識を感じると、無意識のうちに相応の罰を求めてしまう。心理的に自らに与える罰、 それが悪夢として発現するんだ」 俺が罪悪感を感じているというのか? 晴子やみちるに? そういえば、霧島診療所に居候してからは、観鈴にも美凪にも会っていない。何となくあいつらの 好意を感じていたにも関わらず、だ。 それがああいう形で現れたというのか? 俺はあいつらに後ろめたさを感じているというのか? 「ふふっ、まあ今のは私の持論でしかないのだがね。だが、国崎君」 俺の首に回した腕にさらに力を込めて、聖は言った。 「忘れないでくれ。君の罪、私も共に背負おう。二人で背負えば、重さも半分だろう?」 「聖……」 「安心したまえ。君は一人じゃない。常に私が共にいるからな。だが、私の罪も半分背負ってくれよ?」 そう言って、聖はフフッと笑った。その笑い声に少し自虐の匂いが含まれていると、俺は感じた。 いや、違う。知っているのだ。聖の罪悪感を。そう、それは俺自身なのだから。 「さあ、明日……いや、今日だな。今日は佳乃が修学旅行から帰ってくる日だ。早く眠りたまえ。 大丈夫だ、君が眠りにつくまで私がこうして抱いていてあげよう」 聖の言葉に安堵したのか、俺は急激に襲ってきた眠りの渦に飲み込まれていった。漆黒の中で 感じていた聖の暖かさも少しずつ薄れていく。
朦朧とした意識の中で、どこからともなく聖の言葉が聞こえるような気がした。 “なあ、国崎君……君が次に目を覚ました時に、また違う景色だったら、君はやはり苦しむんだろうな。 だったら……もしそうだとしたら、温もりというのも実は悪夢なのかも知れないな……” その言葉を理解できたかどうかもわからない。ただ、目を覚ました時に隣りに聖がいてくれること だけを願いながら、俺の意識は闇の中へと落ちていく。
>>353-361 以上「ツミナガラ...と彼女は謂ふ」でした。
……案の定9レスに伸びちった……がっくし。
二日で4作品か……。 やっぱり前回の反動で多くなるかな?
まぁ、ネタ的には書きやすそうだからな。いい作品が書けるかどうかはそれとは別問題だが。 電波ゆんゆんな楽しいネタが脳内に降臨せーへんかなと思う今日この頃。
電波かよ(w
>365ちゃん、電波とどいた? ……とか真似してみるテスト。(w
何も考えずに書いてたら、21レスにまでなってしまった…… 推敲が足らんなぁ……
いや、推敲は書き上げてからするものでは? 基本的に。 俺は書きながらするけど。
とりあえず書きながらもするけど、やっぱり書き上げてからがメイン推敲かなぁ。 いや、推敲したけりゃまず書かなきゃな。ダベってる場合じゃないよ。 タイトルは決まってるんだ。タイトルだけは。
ごめん、くだらないネタを思いついてしまった。 2レス分。 『Dreams in a pie』(かのらじ美汐)
ピンポーン 「こんにちわ」 「よう、天野じゃないか、まあどうぞ入って」 「お邪魔いたします」 「真琴たちは今ちょっと出てるから」 「そうですか・・・あ、ひょっとして勉強のお邪魔でしたか?」 「いや、受験生と言ってもまだ何もやってないし」 「でも、受験って大変そうですよね・・・志望校とかあるんですか?」 「それがなかなか決められないんだよなあ、何かしたいことがあるわけでもないし」 「難しいものですよね」 「そうなんだよ、天野には何か将来の夢とかある?」 「えっ?私ですか?そうですねえ・・・うふふ・・・もう相沢さんったら、私の口から言わせるんですか?」 「へ、何が?まさか人に言えないような職業とか・・・?」 「そんなことは全然ありませんけど・・・相沢さんには言えません・・・うふふ」 「俺には言えない?」 「ええ、言えませんよ」 「うーん、俺ってそんなに信用ないかなあ・・・」 「こういうことはやはり相沢さんの方から言ってくださらないと」 「は?俺が?天野の夢を?」 「ええ」 「???」
「あー、みしおだー」 「おや、一人何も将来のこと考えてなさそうな奴が来たな」 「こんにちは、真琴」 「真琴、お前も将来の夢ってあるか?」 「うんあるよ、真琴、ゆーいちのお嫁さんになる」 「な、何を、いきなり・・・」 「そ、それはまた、ずいぶんと・・・変わった夢ですねえ」 「えー、変かなー?」 「変です、絶対っ」 「そりゃあ祐一はイジワルだしヘンタイだしサイテーかもしれないけど・・・」 「そうですとも、もっと堅実な生き方を考えなくては」 「あのー、なにげに失礼なことを言われてる気がするんですけど・・・」 「でもいいの、真琴は」 「うーん、そう来ましたか・・・そうだ、真琴は一度相沢さんと結婚式をしたのでしょう?」 「うんっ」 「では、それでもう夢は叶ってるわけですよねえ?」 「うーん、そうかなあ・・・?」 「そうです、今の状態で十分なわけです」 「じゃあそうかも」 「ということですので、相沢さん」 「はい?」 「それらを踏まえた上でよろしくお願いします」 「???」 つづく つづく つづく・・・
今より投稿しますー。 ジャンルはダークですので、読みたくない方は読み飛ばしてください。 名雪で5レス、題名は「しあわせなゆめ」ですー。
逃避。 わたしは逃げだす。 辛い現実から目を背け、悲しい今に背を向けて。 眠ることで。起きないことで。目覚めないことで。 息を吐き出すこともせず、ただ眠る。 起こされなければ、いつまでも寝ていたい。 起きていたくない。 目の前が暗いのは、夜だからじゃない。 どうしようもなく、むなしい。 生きていることの寂しさ。そんなこと、知っている。 つまらない。くるしい。いやだ。なにもかもいやだ。 「おやすみなさい」 そう言って、わたしは逃げ出すのだ。 夢の中。なにもかもが思い通りになるはずの、幻の世界へ。 ささやかな幸せを求めて思いを巡らせる。 くだらない。嫌いな今。 もう手に入らない、わたしの幸せを望んだ。 夢は、思い通りに動いてくれた。
ひそやかに朝が来た。 起きると、もの悲しくなった。冷たい風。 わたしのことを、誰も見ていない。夢の終わりは嫌いだ。 現実に帰ってしまえば、もう逃げられない。 いつまでもいつまでも、夢の中にいつづけたい。 いけないことだろうか。 幸せになれなかった人間には、逃げることは許されないの? 腐っていくこころ。 起こしに来た祐一に、わたしは寝ぼけたフリをして笑いかけた。 ……なにも面白くなんてない。ただ、未練がある。同情されたくない。 些細な矜持のひとつも無ければ、いまにもわたしは壊れそうだった。 明瞭な思考。 考えることは、どうやって祐一の目をわたしに向けるか。 それだけ。それ以外ない。いらない。それ以外のことはいらない。 わたしに残された想いは、幸せを求めるものではなく。 祐一。初恋の人。奪い取りたい彼。 わたしが愛するたったひとりの、ソレを。 手に入れる。逃れられないように。 わたしは逃れられないから。祐一も引き込んでやる。 奪われたら取り返す。 壊れる前に壊してみせる。 他のことなんてどうでもいい。ただ、祐一をわたしのたったひとりのモノに。 それだけが望み。
眠ると、夢を見る。 逃避。 そんなことは理解している。 わたしの考えていることを、諫めようとする理性。 わたしのやってしまうことを、加速していく感情。 夢のなか。そこだけは、何も考えずに幸せになれる。 どうしようもなく馬鹿なわたしを嗤う、わたしがいるから。 授業中。それでも眠る。 夢に逃げる。逃げて、逃げて、少しでもわたしを止めるために。 幸せでいるうちに。幸せになれるときに、壊れていく自分を止める。 偽りの幸せという点では、現実と同じかもしれないけれど。 少なくとも、自分自身もだませる場所が、夢だ。 ささやかな夢。 祐一と結ばれる、ただそれだけのこと。 今となってはあり得ない。欠けてしまった未来のひとかけら。 パズルのピースは、最初から歪んでいたのだ。 逃げて何が悪い。 こわい。自分がこわい。だから夢にとどまる。 傷つけるのは自分。壊れるのも、壊すのも自分。 自分のなかで完結する、自分のためだけの夢。 それが夢。たったひとつの完全な幸福論。愛しさを錯覚させる、悪夢。
帰る道は、久々に祐一と一緒に歩くものだった。 「あの娘はいいの?」 そう訊いたわたしに、祐一は答える。 「ああ、たまには名雪と帰ってやれ、ってさ」 うるさい。 憐憫が欲しいわけじゃない。欲しいのは祐一だ。 何気なく言ったひとことに、わたしはゆっくりと笑う。 ひどく渇いた、それでも演技だと悟られないほどの、自然すぎる笑みを。 突き刺さった感触は、自分の感情か。それとも祐一の優しさか。 胸の奥を鉄の棒でねじこみ、ぐちゃぐちゃとかき混ぜるような痛み。 真実の愛しさと同居できない、狂気にも似た黒。 誰にでもある闇は、わたしのなかで、夜よりも大きくなってしまう。 「じゃ、おやすみ」 「おやすみなさい、祐一」 言って、にっこりと笑みを浮かべる。 気持ち悪い空気。ねっとりとまとわりついた。 寂しさがわたしを覆う。乾いた感情。愛という名目の、薄暗いもの。 遠い闇がわたしを衝き動かす。ドアを開ける。ベッドに倒れ込む。 目覚まし時計のスイッチは切ったまま。いっそ目覚めないほど。 冷たい。 空気も感情もベッドの感触もこころも胸の奥も視線も思考も。 愛しさすらも、凍るような冷たさで。
夢に堕ちる感覚。 どこまでもどこまでも墜落。ふらふらと浮かんだ自分が見るのは祐一。 なにもかもが許された夢。なにもかもが幸せな夢。 逃げ出した先は、思い通りの世界。 気が付くと、ここにひとり。孤独を感じさせるような静寂の元。 それでもそこは、現実と同じ場所。どうしようもなく、いつもの場所。 ベッドの上。シーツは白く、輝くように。夜の闇までリアル。 ああ、ここは夢の中。あらゆる行為が、リセットされる場所。 さあ、祐一を殺そう。 たったひとりの存在に。わたしだけの独りにするために。 祐一の部屋のドアを、音を立てずに開く―― おはよう、と声を掛けてくれるひとはなく。 しあわせなわたしは、二度と夢から覚めることはなかった。
>>375-379 「しあわせなゆめ」でしたー。
連続投稿に引っかかってビビリ入りましたー。(w
夢んて
投稿いたします。 タイトル「夢の中の感触」 ちょびっツエロです。 3レスの予定。
あれからどのぐらい時間がたったのだろう。 となりの部屋からきこえてくる寝息は、すでに規則ただしいものになっていた。 「さて、と……」 そう呟くと、俺は必要なものを持って、名雪の部屋にむかった。 『夢の中の感触』 「なゆきのへや」と書いてある、かわいらしいプレートがかかったドアを音がしないように開く。 外で、虫の声だけが聞こえた。吸い込まれていきそうなふかい闇が、部屋をつつんでいる。 ベッドを見ると、名雪はたくさんの目覚まし時計にかこまれてしあわせそうに眠っていた。 あの一回をさかいに、名雪は俺との行為を渋るようになった。 あのときのバックがよほど痛かったらしい。 「それより、祐一とこうしてたほうがずっときもちいいよ」 そういって、うしろから俺の首まわりに手をからめて、顔を近づけてくる。 それもまぁ、嫌いじゃなかったが、 名雪、俺だって男だ。 限界というものがある。 俺の白濁した欲望は、ついにこの日、爆発した。 本当に、眠ってるよな。 俺はタヌキ(美汐)寝入りかどうかたしかめるために、時計のひとつをおもむろにつかみ、ボタンを押した。 名雪はいつも目覚ましを最大音量にしてるから、本当に寝てるならとびおきるはずだ。
「名雪…」 ? 「俺には、奇跡は起こせないけれど…」 カチッ。 危なかった。 あの時計だったとは。 あの顔から火が出るような恥ずかしい台詞を、自分できいてしまうところだった。 まぁいい。こうなったら、起きているかどうかは直接からだにきいてみることにしよう。 むにゅっ。 「ん……」 パジャマ越しに、胸をつついてみると、名雪がかすかにうめいた。 驚いて、伸ばしたひとさしゆびを引っ込める。 息を殺して、ベッドのまえで待ってみると、乱れた息はまたしずかになったので、俺は安堵のため息をついた。 パジャマの胸のボタンをはずしていく。ぷちっ、ぷちっ、とひとつはずすごとに、名雪のきれいなからだがジグソーパズルのように だんだんと姿をあらわしていく。ボタンをはずしおわると、あらためて胸に手をのばし、つつむようにしててのひらをかぶせた。張 りのある胸は健在で(俺が揉んでやったおかげもあるが)、そのまま乳首の位置を中心に揉みしだくと、名雪のからだは、それに合わ せてぴくっ、ぴくっ、と反応する。乱れてきた名雪の息づかいは、しだいに女のそれへと変わっていった。口をつけ、桜色の突起を丹 念にしゃぶると、名雪はハープのように鳴き、からだをふるわせた。 そろそろ、辛くなってきたな。 俺は、ズボンのチャックをあけ、布団の中にある名雪の手をとり出すと、俺のモノを握らせ、そのまま上下運動をさせた。 名雪の手は、とてもしめっていた。それはいつもとは違う感触を伝えてきて、俺はうめいた。 昂ぶる俺の気持ちはとどまる事はなく、そのまま絶頂に達し……
―――― わたしは、祐一の寝るところをたしかめると、ビンを手に取り、祐一の部屋のドアをあけた。 整然としたおよそ男の子らしくない部屋が、わたしの目にとび込んでくる。 「祐一、ごめんね。お母さんがどうしても、っていうから」 「報酬はイチゴサンデー3つだしね」 小さくつぶやいて、祐一に近づいた。とはいってもわたしも、びっくりさせるの好きなんだけどね。 祐一は、何かつぶやいている。それは「名雪…」ともきこえたし、なにか別の単語にもきこえた。 わ。びっくり。もうこんな時間だよ。早くすませないと。 祐一に近寄ると、布団からはみ出している手をわたしのパジャマに入れた。そのままわたしの胸を、祐一の手に触れさせる。 どういうわけか、祐一の手はすでに、空を切る形で胸をもむように動いていた。きっと、楽しい夢なんだろう。顔がわらっている。 くにゅくにゅと形を変える胸に祐一の手を這わせてから、わたしはできるかぎりの謝罪の言葉を、祐一にむかってのべた。 「許してね、祐一」 「わたし、祐一のことほんとうに大好きだから、これだけはお願い」 そしてわたしは、ビンをあけ、中の物質を手にぬりたくると、祐一の腰に手を伸ばし、 「痙攣死しないでね」 ズボンのジッパーを下ろした。
一応めんて
もういっちょめんて
とどめんて
>387-389 おつかれさまでしたー
(´ー`)ノ
今回短めのが目立つのはなんでだろうか。
>今回短めのが目立つのはなんでだろうか。 長いのは、今執筆中だからでしょう オレもその一人だけど
mente
一日一度は。
免停
sage
めんて
399 :
名無しさんだよもん :02/10/10 11:05 ID:Ybx2N1pn
あえてageてみる
やっと書き始める気力が出てきたのでメンテ。(w
>400 を応援めんて
俺も応援してホスィ……
あ、400なんだが……ちょっと質問良いか? 最高何レスまで大丈夫か教えて欲しい。 このまま書き続けると、ちょっと長さが危なそうなんだが。 (まあ、そうなると時間もギリギリになりそうだけどなw)
>403 レス数よりも、スレの容量が足りるかどうかの問題になるでしょうね。 ちなみに現在時点で何kbぐらいですか?
いや、まだ10KB程度なんだけどな……。 下手すると最低でも60KBくらいにはなりそう。 この量だと、いくらなんでも時間的に厳しいし、 今のお題なら別ネタも考えてあるんで、そっちにするわ。 騒がせてすまなかった。
>>404 あ、そうか、ID微妙に違うんだっけ。誰かと思っちゃったよw
締め切りまで一週間を切りました。 作品の執筆は計画的に。 今回のテーマは『夢』で、締め切りは 10 月 18 日の午前 8:00 です。 また、次回のテーマは『キス』で、開催時期は 11 月初めになる予定です。 「二週間じゃ短すぎて書けない」「テーマが難しい」という方はこちらの執筆に 力を注いでもらっても構いません。ただし、投稿は次回の募集開始までお待ちください。 >406 正直、前の方が良かったんですけど(w 新しいトリップ探そうかな。
>>407 (´-`).。oO(28歳、私と同い年……?)
409 :
名無しさんだよもん :02/10/11 09:16 ID:B+ibsmSV
みなさん頑張ってくださいメンテです〜
ageちまった まずかったかな…
411 :
406 :02/10/11 18:26 ID:gtZc4uda
IDじゃないや、トリップだw 間違い間違い。 >◆28qsaJNT.c 氏 俺も前の方が味わい深かったと思いまつ。 ってか、イメージがこびりついちゃったからなあ……
推敲中メンテ。
sorosoro assyuku?
今より投稿しますです。 『夢の中の彼』 みさき先輩で19レスです。 連続投稿に引っかからないことを祈りつつ……。(w
大好きな、あのひと。 浩平君の顔だけが見れない夢。 見たい――けれど、見ることが出来ない。 夢の中では、他の全てが見れるというのに。 悲しくて、苦しくて、とても辛い。そんな夢。 夢のなかはいつも同じ。 記憶に残る、過去の世界を舞台にしているらしい。 なにもかもが積み重なって、繰り返しになっていた。 けれど、そこはどうしようもなく自由。嘘の世界だとしても。 見たいものが見える。想像の中からも生まれる景色。 かすかに残る思い出から、引っ張り出してきたのだろう。 雪ちゃんとか、先生たち。お母さんにお父さん。 みんなの顔が見える。みんな楽しそうに笑っている。 けれど、浩平君の顔だけは、ぼんやりと。 霞みがかっているかのように、薄墨で消されたように。 なにも、見えなかった。
手で触った感触。 目、鼻、口、耳、眉、顔立ち。 表情、口調、笑顔、声、全てを知っている。 けれど、わたしの記憶には何かに塗りつぶされたイメージだけがある。 想像なんてものは無い。しても、掻き消されてしまう。 浩平君は浩平君。他の誰でもない、たったひとりの折原浩平。 脳裏に焼き付いた、どんなものとも違う色。 闇の中の、ただ一片の光だった。まぶしいばかりの。 そんな感情。けれど、どこまでも真実でしかない想いを吐き出せない。 彼の顔はどうなっているんだろう。どうすれば知ることが出来るのか。 見たい。見られない。見たい。すごく見たい。見ることは不可能なのに。 わたしには、目の前の闇に夢を映していることだけが精一杯。 映像なんて、もう、夢でしか見れないのだから。 影だらけの視線や、空虚しか無い眼前。 そして、埋められた胸の奥の空洞に、ずっと響いている浩平君の声。 言葉。愛しさがこころを満たしていく。消えてしまうことのないものがある。 あり得ないからこその全て、求めてはいけない永遠を闇に視る。 浩平君の顔が、どうしても見たいと、わたしは望んだ。 還ってきた恋人の顔を見ること。 それが、わたしの夢。
眠りから覚めると、横に人の気配。 わたしが起きたことに気付いて、ベッドに歩み寄ってくる。 浩平君だ。 わたしには判る。歩調や靴音の響き具合。止まり方。 ちょっと黙ってから、言葉の内容を考えているような、一瞬の間。 その間に、わたしは顔を浩平君に向ける。当然だけど、見えるはずもない。 目が見えない。それは、はるか昔に受け入れている現実だ。 映像がないとはいえ、病室に入り込む光くらいは判別出来る。 見えないのは、映像が無いだけのことだ。明るさにまぶしさも感じる。 目の前が陰る。浩平君がわたしの顔の前に立っているのは間違いない。 「みさき先輩、見舞いに来たぞ」 「うん。ようこそ浩平君。あ、美味しい匂いだねー」 なにか食べ物がある。果物だろうか。 むしろ、そういったものを持ってくるのは、雪ちゃんだと思う。 「よく分かるな。さすが」 「さすが、って……その後はなにかな?」 「いやいや。はっはっは」 誤魔化しながらも、気遣ってくれる彼。 わたしは微笑んだ。 顔は見ることは出来ないけれど、浩平君は笑っていると確信していた。 絶対に、楽しそうに笑っているに決まっている。 微妙な声の響きから。あるいは言葉や雰囲気からも、様子が感じ取れる。 それくらい、見えなくたって分かるのだ。簡単に判断出来る。 浩平君のことならば、わたしよりも分かるひとはいないだろう。
幸せだった。 一度は消えてしまった浩平君が、今、ここにいること。 全てを諦めてしまいそうなくらいに、胸が痛すぎた日々は遠い。 手術で目が見えるようになる、そういう可能性を言われたこともある。 でも浩平君のいない世界なんて、どうでも良かったから、わたしは逃げた。 永遠の闇の中に、浩平君の思い出だけを閉じこめておけば、幸せ。 そう思った日もあった。帰って来ないという、絶望に覆われていたとき。 ふと、ときどき考えることがある。 信じることを止めていたらどうなっていただろう、と。 きっと、わたしたちの道を繋いだものは、信じることだったのだ。 浩平君が帰ってくる。 それだけを、わたしは信じていたのだから。 ひとつ望みが叶えば、その先のことを望んでしまうものだ。 本当に。人間という生き物は欲深い、と思う。 それとも、わたしだけがこんなにも望みすぎるのだろうか。 顔が見たい。 愛しい恋人の、笑顔が見たい。そんなもの当然だと思う。 わたしは決心した。確率は低くても手術を受けよう、と。 しかし簡単に行われるわけもなく、準備が整うまで、それなりに時間は掛かった。 浩平君が帰ってくるより前に舞い込んだ、手術の話はとっくの昔に消えていたのだ。 自業自得と言われてもかまわない。難しいことは良くは解らないけれど。 また、機会が巡ってきたことに、感謝しようと思った。
大変だということは理解している。 完全に見えない目を、見えるようにするのだ。すごく自然じゃないと思う。 失敗する危険なんて、大量にある。可能性は低い。思い通りにいかないかもしれない。 それでも、浩平君の顔を見るのは、わたしにとっては夢なのだ。 成功するかどうか、わからないけれども。 浩平君が目の前にいる。これすらも夢のような時間。 もう、来ないかも知れないと諦めていたような、綺麗な衝動。 抱きしめた。 「……みさき先輩。どうかしたか?」 心配げな浩平君の声。優しい。いきなりだったから驚いてはいるみたいだ。 わたしは、ただ、ぎゅっとしがみつく。ベッドの上から逃げるわけにもいかないけど。 「うん。ちょっと、こうしたかっただけだよ」 「ああ……。なら、ずっと、いくらでもいいぞ」 「ありがとう」 とくん、とくんと、浩平君の心臓の音が聞こえる。あたたかい。 こわい。こわくないわけがない。手術をするなんて、とても、怖い。 わたしは弱い。どうしようもないくらいに、恐がりで、弱くて、寂しがり屋だ。 側に誰かがいてくれないと、きっと今にも泣き出してしまうに違いない。 それくらい、不安。震えそうな体を浩平君に支えてもらって、やっと落ち着く。 どんなに強がっても、怖くないと思っていても、勝手に震えてしまうものだ。
ふっ、と抱きしめていた腕を離す。浩平君は、もういいのかと訊いてくる。 その静かな声に胸があたたかくなった。わたしは、うん、と頷く。 「もう少し寝ておくか?」 「そうだね。うん、そうするよ」 もう、どこにも行かないでほしい。 見上げた先の闇には、浩平君の姿なんて映らなかったけれど。 彼がいるのは確かなこと。 触れていた部分に残る熱が、わたしを包み込んでいた。 浩平君の手に誘われるように、ベッドにゆっくりと倒れ込む。 ぽすん、と枕に顔を埋めて、浩平君のいる方向に話しかけた。 「ここにいてほしいよ……浩平君」 「ああ。分かってる」 応える声が聞こえて、わたしは目を閉じた。 ずっと、側にいてくれているのを、流れる空気に感じながら。
夢の中では何もかもが見える。 記憶通りの世界がある。 そこを自由に歩けるのが、楽しい。 浩平君がいた。……けれど、手の感触で覚えたはずの顔は、やはり無い。 こういう顔なんじゃないか、と何度も何度も考えても、形にならない。 適当に映像が創られるものだ、と聴いたことがあるけれど。 幻ですら、浩平君のことだけは思い通りにはなった試しがない。 映像は黒く虚ろ。わたしが何も考えていないからだろう。 ここが、夢の中だということに気付いているせいらしい。 誰も見えなかった。消えてしまった。光もない。目に映らない。 現実に似た夢なんてものに、なんの意味があるんだろうか。 思い出してしまう。好きなひとが消えるという、これ以上ないほどの恐怖。 浩平君がいなくなることが、怖い。感情の奥底に沈む澱のよう。 じっと残り続けているおそろしさが、わたしを不安にさせている。 いつ、いなくなってしまっても。 わたしにそれを知ることも、探しに行くことも、出来ない。 夢に堕ちる前に感じていた空気だけが、今のわたしの拠り所だった。 目覚めてしまったら、そこには現実がある。 起きた先の世界には、浩平君はちゃんといてくれる。 安堵のため息を吐き出すと、闇に溶けていく。 進むべき道は真っ暗だけれども、わたしは前に進んだ。 恐れずに。
意識が冴える。闇を歩いた記憶は、残っている。 進んだ先には夢の終わりがあったのだろう。唐突に光が満ちた。 目覚めると浩平君の気配が無かった。怖い。 また、いなくなってしまったの? 口に出せない問い。不安がわたしに降り注ぐ。暗い。気持ちが暗い。 ベッドの上にいるだけで、出歩けなくもないから探しに行きたい。 まだ、手術までには時間がある。時計が見えないから、あと何時間かは知らない。 怪我しているわけじゃないから、歩くこと自体は大丈夫だろう。 降りる。 寝ていた体が悲鳴を上げる。伸びの一回でも、しておけば良かった。 うーん、と足を伸ばしながら、スリッパを探す。しばらく横にずらすと見付かった。 踏みつけないように、静かに足を入れる。左足はスリッパを履けた。もう一足。 バランスを取りながらベッドに手を掛ける。シーツを掴むと滑るから、寄りかかるだけ。 右足も床に着く。スリッパはどこだろう。あった。左と同じ手順を繰り返した。 さあ、浩平君を探しに行こう。 がちゃり。ドアの音。聞き慣れた足音に、歩幅調節の間。視線を感じた方向に顔を向ける。 浩平君のはずだ。よいしょ、とベッドから離れる。近づくと、彼が慌てたように来た。 「先輩! わざわざ起きるような用事があるなら俺が行くって」 「ううん。浩平君を探しに行こうと思っただけだよ」 差し出されたらしい手を取る。と言うか、手を繋がれた。 ははは、と困ったように笑う浩平君。 「……あー、そうか。ごめん」 「うん」 わたしはうなずく。
「もう、勝手にいなくなったりしないから」 「かんちがい、しないで欲しいな」 わたしの言葉に、む、と考え込む彼。 それは、不安なことで、抱えきれないくらい怖いのだけれど。 違う。 不安や恐怖に負けているわけじゃない。 いつも胸にある影。 そんなものより、もっと強い感情がある。 「……ずっと一緒にいたかっただけだよ」 愛しさゆえに、そう告げる。 探しに行きたかったのは、浩平君の側にいたかっただけ。 浩平君が、また消えてしまうことに対しては、まだ震えそうなくらい怖いけど。 自分からいなくなってしまうなんてことは、絶対にないことを知っている。 好きなひとのことを信じていなくて、なにが愛するということだろう。 どうしようもなく好きだから、一緒にいたい。 それだけのこと。 小さく微笑みを交わして。 わたしたちは、黙って抱きしめあった。
目蓋の裏から、陽光が突き抜けてくる。まぶしいくらい。 怖い。逃げ出したくなるけれど、わたしは待っている。 もうしばらくしたら、手術の時間らしい。 お母さんたち(つまり友人たちも含む)は、浩平君に遠慮したらしい。 浩平君が言われたのは、恋人達の逢瀬の邪魔はしたくない、だそうだ。 手術は怖い。誰だって、怖いと思う。 現実的な恐怖。つまらない感傷でも、頭に響くほどには強い。 それでも。 浩平君と一緒に生きたい。 浩平君と遠くへ行ってデートをしたい。 大好きな浩平君の笑顔を、しっかりと見たい。 その他もろもろも含めて、主に、 「浩平君との、もっとらぶらぶな未来のためにっ!」 叫んだら……浩平君がずっこけたみたいな凄い音がした。 わたしは微笑んだ。 彼に、微笑みを返されたのを感じた。 「じゃ、いってくるよ」 「ああ。いってらっしゃい」 そんな、新婚夫婦のような台詞を言い合って。 わたしは、手術室へと向かった。
麻酔で意識が沈んでいく。 手術は寝ている間に行われるらしい。 眼の手術を、起きていて出来るとは思っていなかったけれど。 あれだけ寝ていたわりに、あっさりと眠れた。 また、明晰夢。 わたしが夢だ、と理解している夢。 嘘みたいに明瞭に見える暗闇。 ぼろぼろと壊れていく世界。光が漏れ出す。 記憶と同じだったはずの色は消えて。 見えないだけの夢になる。 見えないからこそ視えていた、色鮮やかな純粋が溶ける。 知ってしまったら、もう、戻れない。 想像と空想、幻と記憶の欠片。 今までの、自由な夢。 それを創り上げていた幻想が、綺麗な光を発し――砕け散った。
手術は終わったらしい。 目覚めると純白のに輝く布の上だった。なんとも文学的な表現みたい。 ごわごわしている顔。手をやると、ぐるぐると巻かれた包帯。 昔、光を失ったときと同じ巻き方だった。 でも、それほど気にはならない。差し込む光で朝か、昼だと判った。 手術が終わってから、一日くらいは経っているのかもしれない。 えっと、この包帯ってまだ外しちゃいけない……のかな。 浩平君が、動きが止まったわたしの疑問に気付いたらしい。 答えが告げられた。 「あー、とりあえず医者の指示あるまで取らないように、だってさ」 「わかったよ」 ぐるぐる巻き。ちょっと気になる。 口のところは開いている。当然だけど、安心してしまった。 ぐぅ、とお腹が鳴った。 「……浩平君。食べ物、あるかな?」 「ん」 すぐにがさごそと音がする。 「……先輩、あーん」 「あーん」 恥ずかしげもなくスプーンを口に運んでくれる。(と言うか、わたしは嬉しかったけど) 浩平君、実はなんとなく照れているような気がする。 かすかに触れた手が、ちょっとだけ、いつもよりも熱を持っていたみたい。
浩平君らしい。 わたしは、そのまま食べ続けて、ごちそうさまと言った。 お腹いっぱい。 「ふぅ……でも、」 顔に手をやっても、少しきつめに締められている包帯は動かない。 「ミイラみたいだよー」 「そんな大食いのミイラがいるかっ」 「浩平君、容赦ないよ……」 しばらく話を続けて、いくつかのことを彼に訊いた。 手術はかなり難しかったものだったらしい、とか。 ちょっと麻酔が効き過ぎたのか、緊張のせいか判らないけれど。 わたしは二日間も寝っぱなしだったそうだ。 浩平君が、これ以上ないくらいに誇張と脚色して説明してくれた。 それでも成功した、という話だけはちゃんと聞いた。 ただ、それが本当かどうかまでは判らない。 包帯を取り去って、浩平君の顔を見るまでは安心しないようにしよう。 わたしが目を覚ましたので、彼は一度、家に帰るらしい。 ちょっと疲れた様子なのが、声から判った。
大きなあくびをしながら帰っていく浩平君に、わたしはベッドの上から声を掛ける。 「寝てないなら、ちゃんと寝ないとだめだよっ」 「んー。ふぁぁあ……安心したら眠くなってきただけだってば」 声の調子は、彼が笑っていることを示していた。 けれど、何かあったときは、浩平君は無理するような人間だ。 だから、気を付けてないといけないという気分になる。 本当に大丈夫だろうか。 「……うん」 嬉しいけれど、心配でもある言葉だ。 わたしのせいで、わたしのため。 浩平君にありがとう、と言おうとした瞬間、彼の方から先に声が届いた。 「ちゃんと大人しくしててくれよ、お姫様」 「……え?」 浩平君は、振り返るような音も無いままに、さっさと帰った。 お姫様。 「さすがにわたしでも、すっごく恥ずかしいよ……」 去る姿も見えないけれど、その後ろ姿らしき方向に向けてつぶやいた。
手術から一週間後には、包帯を取ってもいいらしいと聞いていた。 担当の、厳めしい顔つきと評判らしいお医者さんは、静かに言った。 「もう少しだけ我慢してくださいね」 その言葉に、はい、とだけ答えた。 検診だけして、様子を調べ、そのまま病室から去っていった。 静かな足音に向かって、わたしはぺこりと頭を下げた。 手術から一週間――明日だ。 毎日お見舞いに来ては、わたしが寂しがらないように話を持ってくる浩平君。 きっと、わざわざ面白い話を仕入れてきているに違いない。 眠そうな彼の声を思い浮かべる。大丈夫だろうか。 浩平君に、とても無理をさせているような気がする。 明日、包帯を取ったなら。 真っ先に、浩平君の顔を見たい。 すでに消灯されていて、真っ暗な世界に倒れ込む。 目蓋は初めから閉じたまま、シーツをかぶって闇を重ねる。 暗いと、すんなりと入り込むことが出来る。 夢の中へと。
見ていた夢は、色を失っていった。 どんどん消えていく形。色彩。風景。人間。 新しい記憶に塗りつぶされる用意でもしているのだろうか。 夜空のような黒が拡がる。単調な暗黒に染まる視界。 闇に沈む。 色は枯れていく。 どこにも、誰も見えない。 見えない。 見える。 見えるようになったから、誰もいないことに気付いた。 創られていた映像は、所詮は幻。 夢は夢。 夢でしかない。 ただ、何も映らない世界は怖いから、そこに生み出していただけ。 薄れていく記憶に呼応して、同じように消えていくだけ。 最後に残っていた顔の無い浩平君が、透き通っていった。 どこか、久遠の彼方に去っていくように。 彼は、微笑んだような気がした。
何もかも消えた夢が終わると、自然と目が覚めてきた。 シーツにくるまったまま、わたしは重みを感じてみじろぎした。 室内の温かさは、昼間を表しているのだろう。ぽかぽかとした陽気だ。 そう言えば浩平君は、いつもは朝には来ているはずだけど。 はて。 この重みが彼みたいな気がする。 耳を傾けると、寝息が聞こえてきた。絶対に浩平君だ。 やっぱり疲れていたらしい。 たまたまわたしが起きていなかったから、寝てしまったのだろう。 起こさないように、わたしは黙ってじっとしている。 「すー……」 「……あっ」 気配を感じて、ドアの方に顔を向ける。 ガチャリ。 あの、担当のお医者さんの声がした。 「川名さん。包帯、取りましょうか」 「……わたし、見れるんですよね」 包帯を取ること。 少しだけ震える声で、静かに聞いた。
「ええ。手術は成功しています。……包帯を取るのが、怖いですか?」 「いえ……あの」 しーっ、と指を口に持ってくる。 わたしは声を小さくした。 「ひとり……じゃなかった。浩平君とふたりっきりにさせてください」 「おやおや……ははぁ」 うんうんと頷いてお医者さんは了承してくれた。 何か、勝手に納得してくれたらしい。物わかりの良いひとだった。 「彼、ずっとそこにいたんですよ。よっぽど愛されているんですねぇ」 「はははっ」 わたしは笑うしかない。 「まあ、気持ちは解らなくもありません。 いいでしょう。ただし、一時間後にはまた来ますからね」 がちゃりとドアが閉まる。 これで、ふたりっきり。 わたしは、するする、するすると包帯を取っていく。 まだ物理的に光が届かなかったけれど、明るさのなかに帰るとまぶしい。 まだ、目を閉じたまま。 彼は、まだ起きていない。寝息が届く。
「浩平君?」 「すー……」 ゆっくりと。 わたしは、目をあけた。 閉ざされていた闇のなかに、光が差し込んでくる。 わたしは夢を叶えた。 瞳に映る顔は、大好きな浩平君の顔。 夢のなかでも、もう、二度と隠れることのない顔。 感想としては。 可愛い。格好良い。子供っぽくて、優しそう。 でも、そんなことは関係ない。 彼の愛しい笑った顔。きっと良い夢を見ているのだろう。 わたしの好きな浩平君の顔。 忘れることなどないほどに、しっかりと見つめてから。 「大好きだよ……」 わたしは小さくそう言って、 夢を見ている王子さまに、静かに口づけを交わした。 Fin.
すみません。上のは、 >415-433 でした。 なんで朝になって気付くかなぁ……(汗
め ん て
むむ……。 煮詰まっちまった……。 この三連休で書かなきゃやばいってぇのに……。 困った困った。
>437 頑張れ。と応援しつつメンテ。
>>437 俺も完成寸前まで行って煮詰まって、今さらボツになりそうな心境だw
現実逃避で絵書いてる。もっとはっちゃけたの1本書きたいなぁ……。
今より投稿いたします。 『夢見るロボット』 マルチSSで、12レスの予定です。
「主任!」 「……ん? どうしたんだい」 この場所は、おおむね忙しい。 来栖川エレクトロニクス中央研究所第七研究開発室HM開発課。 長い割には覚えている人間は内部だけという、少し寂しい場所。 呼ばれた白衣の人物は、長瀬源五郎。開発主任にして、研究室の責任者でもある。 主に、メイドロボ開発の先陣を切って走り、そのまま突き抜けた。 追従できるほどの人材も無く、彼が、現在の汎用メイドロボ開発の第一人者だ。 専門分野においては、並ぶ者もいないと称される彼。 呼びかけたのは部下の一人である。 「えっと、あの装置は……」 「ああ。あれは気にしなくてもいいよ」 長瀬が応える。彼の視線の先あるのは、奇妙な形状の枕。 部下数名が取り囲んだ装置は、ベッド上の形態をしていた。 寝台上に仰向けになっているのは、俗にHM-12型マルチと呼ばれるメイドロボ。 同一機種ではない。世間に出回っている機体のプロトタイプ、HMX-12型だった。 その頭部に敷かれている枕。 上に載せているだけだが、どこか微妙、と思わせる色をしている。 センス不足、と今まで黙っていた研究所スタッフの一人は思った。 「あのー。いつまでこうしいれば良いんでしょうかー」 女の子の声である。 年の頃なら15か、16歳ほどか。もっと下に見られることもあるだろう。
少女のような可愛らしい声を発せるのは、この場に居る存在では一つしかない。 彼女だけである。実際の年齢としては、10にも満たないのではあるが。 他の人間は、肉体的には男、若しくは完全に中年女性ばかり。 外見で見た限り、年齢的には例えロボットであったとしても、彼女しかいない。 マルチは気になっていた。 不思議な枕。どう見たところで、安物にしか見えない固そうな枕。 マルチ自身も知っているが、横になったところであまり意味がないのだ。機械の身体故に。 夢を見ることも出来る。それは、プログラムされた中からランダムに抽出された記憶。 見たことのないものは、見えない。 知識としてないものは、出てこない。 機械仕掛けの夢。 定められた数字合わせを、じっと組み合わせるだけの映像だ。 しかも、電気エネルギー充電という、休止中にのみ付けられた機能。 単なる記憶の整理用のツール。マルチにとっては、夢がそれに当たる。 それでもあの枕を使うのは、きっと深淵で高尚な理由があるに違いない、と。 この主任の性格に毒されていないマルチは、ただ純粋に思っていたのだ。 長瀬が、しばらく考えたあとに応える。 「あ。マルチは……そうだな、ちょっと目をつぶっていていいよ」 「はいっ」 元気良く返事をして、マルチは目を閉じた。 単なる節約モードであるが、それなりに予算の無い研究所としてはその方が良い。 主任の行動を息を呑んで見守る一同。 彼らの頭にあるのは、『あの枕はなんだ?』という疑問である。 我らが長瀬主任が夜なべで造り上げた、無茶な趣味の一品だったらどうしよう。 と、不安になるスタッフ責任者もいれば、好奇心だけで行動する部下もいる。
長瀬が動いた。 枕に手をやる。ベッド上のマルチに(必要もないのに)毛布を掛けてやる。 装置を少し弄り、簡単に調節しているような動き、画面にケーブルが繋がっているのを確認。 「あ、画面に一番近いひと。ちょっとデータ取っておいてくれるかな?」 「……えっと、どのデータを」 「夢を見ているときの映像と、波長のゆらぎ、あとは……今までの夢との比較用にいくつか」 「ハイ! でも、この辺りのデータって取る必要あるんですか?」 「うん、あるよ。何のための装置だと思ってるんだい」 その言葉に、はっ、とベッドと枕とマルチに注目する全員。 皆の動きには気付かないで長瀬主任は説明を開始した。 「夢を見られるかどうか。そういう実験だよ」 「その機能はあったはずですが。記録映像の整理中に、一部を夢として創るのは」 「うんうん。それを創ったのは僕だからちゃんと覚えてるってば。それはそれ、これはこれ」 「……夢って、本物の夢ですか!? うひゃあ、もしかして、そのための装置ですかアレ」 「どうだろうね」 一同、熱が入る。唐突に活動を活発化させたのは、やはり興味。 科学者、研究者たるもの好奇心あってなんぼ、であろう。彼は皆の動きを見る。 「いや、そんなにやること多くないってば」 「いーえ! こんな世紀の大実験、見逃すわけにはまいりません!」 「……無理だと思うけどなぁ」 「何がですカッ!!」 仮にも、認めたくなくても、どうしようもなく、一応主任な長瀬に詰め寄る部下その二。 機械は夢を見るか。 それも、プログラムによって創られた機械的、人工的な夢ではなく。 人間の脳が描き出すものと全く同じ、本物の夢。
「いや、だってその装置、リラックスして眠れるかどうかっていう実験用だし」 「……は?」 「いやー、最近のテレビって面白くてね。このくらいの波長だとリラックス。 揺れが激しいと、精神的に荒れ気味になるとかなんとか言う話が良くやってるから」 「まさか、それだけですか主任」 「うん」 一人の例外もなく、脱力。 ある者はため息。ある者は床にふらふらと座り込む。 この人はこういう人だから、と諦めている人間もいる。 長瀬主任の思いつきと気まぐれは、半ば研究所のガス抜きになっていた。 「だって、マルチの夢と言っても、実際は脳内で行ってる作業と同じだよ」 「いーえ! 何故か、人間の視る夢と同じにならないから期待したんです!」 「そうですよ。どうやっても再現できないプロセス。誤魔化してるだけです。 こんな複雑怪奇な夢の模型作成みたいなこと、主任くらいしか出来ないって思ってたのに」 いっそ叫んでしまえ、と遠慮無しに大声で怒鳴る部下、及びスタッフ責任者。 反応した主任の動きは緩やかだった。 「ま、とりあえず今はどうでもいいね。後で考えようか」 「……はぁ」 撃沈。完全に流されてしまったスタッフたちは、鬼気迫る表情でため息。 かなり矛盾した感情を、どこにぶつけていいのか困っているようである。
「んじゃ、あとはしばらく放っておこう」 「どうしてですか?」 「……いや、マルチが寝てる間のデータが欲しいだけだから」 「さいですか」 室内から出ていく主任。それに続く白衣の男女数名、勤務時間が終わりらしい。 「あのっ。主任ッ! 私はどうすれば」 「そうだったね、ごめんごめん。そのままデータ取っておいてくれるかな」 「……え”」 男が硬直した。長瀬が淡々と語りかける。 「徹夜してくれるとありがたいな」 「あのー。残業手当は……」 「出ないよ」 彼は、悲しそうな顔になった。 この上司の行動は阻めないと分かっているものの、足掻く。 一応、控えめに叫んでみた。 「んな無茶苦茶な。仕事じゃないんですか!?」 「仕事じゃないね」 当然とばかりに目を細めて言う長瀬。 「だったらなんで私がやる羽目になってるんですかっ」 「君が有望だからだよ。決まっているじゃないか。 こんな重大なことを他の人には任せるわけにはいかないんだ」 二人っきりになったのに、わざわざ小声になって男に接近。 真剣な表情で、男に向かって秘密の話をするように告げる。 研究所の薄暗さと重なって、知らないひとが見たら犯罪者の会合のよう。 「そ、そうだったんですか」 「そうだよ」 長瀬は大嘘をぬけぬけと言う。
嘘を吐いているようには、全くと言って良いほど見えない。 説得力抜群の演技。 そのまま俳優になれると言っても、過言ではあるまい。 そして、信じてしまったらしい。なんと哀れな研究員。 「はいっ! 頑張りますっ」 「うんうん。頑張ってくれ」 ははは、と軽く笑いながら部屋を出ていった。 寂しく一人、残された彼はデータを一晩中とり続けていた。 次の日の朝。 「ほい。ありがとさん」 「眠いですよ……主任、それでデータの方は?」 「うん」 「……いや、うん、じゃなくて」 「ふぁあああ」 ベッドの上であくびをするマルチ。 本来、あくびなど必要ないが、おそらくどこかで覚えたのだろうと男は判断した。 研究員は、学習機能の精密さと、貪欲さの無制御を垣間見た気がした。 長瀬主任の能力。スタッフの有能さ。最先端と呼ばれる施設。 彼は若干の畏敬と恐怖を覚えつつも、昨晩の話を切り出す。 回りには誰もいない。マルチと男と長瀬だけ。 「ところで主任、私に期待ってどんなふうにですか?」 「ああ、あれ嘘」 「……うわ、めちゃくちゃヒドッ!!」 「はっはっは。お偉いさんの目を誤魔化すのに慣れた僕の口の巧さを知らなかったかい?」 「知りませんよ、そんなこと」
「ま、そう拗ねないでくれ」 「それで、面白いデータでも?」 「期待通り、というわけじゃなかった、かな」 答えを言わないときの、長瀬主任の反応として有名なのはふたつ。 口車に乗せて、相手の思考を別の方向にずらしてしまうこと。 地味に話を逸らしつつ、決して口を滑らさずに黙っていること。 どちらでもなかった。 彼の様相を例えるならば。 生徒が、教師の出した問題のミスを指摘し、完璧な答案を出してきた。 その答えを見て、教師が吐くべき台詞を探している、そんな様子。 「どういう意味ですか?」 「んー。ちょっとマルチに質問してみようか」 「わっ、なんですかー」 「いつも通りの夢は見られたかな?」 「えっとですね。なんか不思議な夢を見ました」 「不思議っていうと、どんな風にか詳しく言ってみようか」 「鐘の音が響いている場所で、白い建物の中でした。 真っ白なハトさんも飛んでて、赤い絨毯に足を載せていました。 何故か、綺麗な格好をしたわたしと、もうひとり…… 男の人がどこかで一緒に歩いているんです。 まわりに大勢のひとがいて、お祝いみたいなことを言ってくれてたりして。 その顔がなんか知っているひとたちの顔で、すっごく驚きました」 「……うん。映像通りだね。今日はもういいから、学校に行って来なさい」 「はいっ」
パタパタと足音をさせて、そのまま学校へ向かうマルチ。 研究所前のバスが来るまで、まだ時間がある。余裕を持たせたのは親心か。 長瀬がつぶやく。 「驚いたな」 「どっ、どうしたんですか主任! 熱でも」 「……失礼だね」 驚いても顔に出さないと評判の彼の上司は、画面を指し示した。 「ほら。君はデータを取っていたんだろうけど、映像は見てないね」 「そうですけど……」 彼が振り向いて、急いで画面を操作する。 いつも通りの記憶の整頓。順々に流れていく映像場面。強調部分。 様々な画像が早送りのように、振り分けられていく。 「いつも通りですよ」 「だからおかしいんだってば。さっきのマルチの言葉を聞いていただろう」 「確かに……主任、マルチを騙しましたね」 彼の言葉をさらりを受け流して、長瀬が続ける。 「あと、データ。取るだけで比較してないのかな」 「は、はい……その通りです」 「見てみるといい。あの枕が出すのと同じ波線になるはずだけどね」 「ああっ。そのための実験だったんですか。ってことはやっぱり夢を」 言いかけた彼の言葉を手で押さえる。 「違うって。せいぜい人間と同じくらいの脳波になるだけ。そんな意味はないよ」 「でも、実際にマルチは夢を――人間と同じように夢を見ました」
「不思議だねぇ」 「主任、調べたほうが良いと思います。本物の世紀の発見になります」 「……機械は夢を見るか、命題だね」 「マルチは見ました。少なくとも、あり得ないはずの不可思議な現象を」 夢の中では、記憶に無い映像は想像でも見られない。 少なくとも、マルチが普段見ていた夢はそういうものだった。 男が力を込めて言った言葉に、長瀬がいつもより重い口調で話す。 「いや、僕が言っているのはそっちじゃない。将来の夢の方だよ」 「……はい?」 困ったように疑問を呈そうとして、言葉に詰まる男。 長瀬が続ける。 「マルチは……あの娘は、幸せになってもらいたいんだがねぇ」 「主任、話が繋がってません」 「調べるとなると、このまま分解、精密検査、データの再現するだろう?」 「ええ。一研究員にはその先は解りませんが」 「それで廃棄処分だろうね。何事も、一番最初のモノは残れないものさ」 「そう、なんですか?」 「うん。資料扱いになる。僕としては、非常に不満だ」 娘だと思っているからね、と長瀬がつぶやいた。 彼は静かに告げる。 「メイドロボは、人間の幸せのために生きて、人間の幸せのために死ぬ。 機械っていうのはそういうものだけれども、夢すら奪われるのは可哀想だろう」 「どっちの夢ですか? 将来……それとも寝ているときの?」 「両方だよ」
はぁ、とため息ひとつ。 男が黙り込む。長瀬は、研究所を見回してつぶやく。 にっこり、と悪巧みしたときの顔。 研究所員が何度も苦労させられたときの、とても困る主任の笑顔。 その表情に、男も覚悟を決めたらしい。 「不思議だねえ……」 「……いや、全くです」 「僕らはどうやら夢を見ていたようだ」 「主任は寝過ぎです。私は寝てないからですけど」 ふたりして、マルチが夢を見たことは黙っていようと目配せ。 はっはっは、と中途半端に笑い合う。苦笑気味ではあったが。 「あ、君は知っているかな。マルチが恋心に似た感情を持っているのを」 「は……? えっ、えっとあのその、そんなことが……ありえるんですか?」 「まあ、感情という名称で呼ぶんだけど。 あれは、成長過程での変化への耐性と能力向上による、自己意志の発現だね。 外部刺激に因って発生する、反射に似た情動行為。難しく言うとこんな感じ」 「つまり、マルチは学習機能を持っているから意志を、果てには感情も出来た、と?」 「感情なんてプログラムで出来るものじゃないんだよ。 まず外部から与えられたものに反応、それから創られるんだから」 「えっと……からっぽから生み出せるものじゃない、と」 「そういうこと。飲み込みが早いね」 優秀な弟子に嬉しくなったのか、長瀬は小さく笑った。 男は簡単に頭の中で整理している。数分間の思考で区切りをつけた。 「……あ。人間と同じなんですか?」
ヒトもまた、外からの刺激に反応して感情を生み出す。 学ぶたびに複雑になっていく。マルチの学習機能とも、さほど差は無い。 長瀬主任は、開発者の貌で続きを口に出した。 「だからセリオも同じだけどね。まあ、あの娘は学習機能に頼らない分成長が遅いけど」 感情は、認識と自己判断の課程上で生まれただけで、意図的ではなかった。 技術で可能になった、などとは口が裂けても説明出来ない現象。 つまりメイドロボの感情は、プログラムで制御されているものではない、と。 長瀬の言葉に、男は困り果てた顔になる。 「って、それこそ……そんな夢みたいなことが」 「あるもんだねえ。 僕もここまで可愛い娘と思えるようになるとは考えてなかったけど」 「長瀬主任、私はかなり呆れました」 「奇遇だね。僕もだよ」 「でも、いつかは永久睡眠することになります。それは」 「永い一夜の夢にする。その後は起こしてあげるつもりだよ」 勿論、会社の目を誤魔化すつもりだろう。長瀬は簡単に言ったが。 目覚めた後、自分たちが関わるわけにも行かない。 あくまで実験機。誰か、任せられる者がいなければならない。 男は悩んだが、長瀬は飄々とうそぶいた。 「娘を預けられるような人間はいる。彼にするかは試してから決めるけどね」
実は切れ者と評判な上司に、彼はぽつりと本音を漏らす。 「ところで主任……いつからそんなに格好良くなったんですか」 「さあ、いつだろうね。……親の気分ってのが何となく分かった辺りかな」 そのうち格好悪くなっていくものさ、と長瀬が言った。 どうしてですか、と彼は聞いた。 けれど、長瀬は答えずに質問を投げかけた。 「ところで、さっきマルチが言った夢。 叶えてやりたいけど、叶えたくない。こんな気分にならないかい?」 「はい? えっと、どんな夢でしたっけ」 「ちゃんと思い出してみれば分かるよ」 それだけ告げて、長瀬は用事がある、と去っていく。 内容を思い返した男。当て嵌まるのは、ひとつくらいしかない。 彼には全く縁の無いものだったが、ふと気付いた。 「ああ……なるほど」 誰もいない研究室に、独りつぶやく声が響く。 「女の子の夢、ってやつですか……」 End.
やりたかったネタをやられてしまった…… まぁでも、自分が書くよりうまく書いてくれたからいいや。
>454 「俺の書こうとしたネタとかぶった〜」は、胸の内に秘めておこうぜw
>454 私のネタとですか?(汗 ……ま、まあネタ被っても書き方で結構違うモノになりますし。 書き終わっているなら出してみては……
みなさん頑張れ応援メンテ。
誰か俺に力を。。。
結局1枚も書けぬまま、朝を迎えてしまった。無念。
保全
Maintenance of Dream♪
めんて。
ようやくネタが思いついたメンテ。
ぎりぎりまで何もやらないこの性格 なんとかしたいものだ
締め切りまで残り三日となりました。 そろそろラストスパートをかけていきましょう。 今回のテーマは『夢』で、締め切りは 10 月 18 日の午前 8:00 です。 また、次回のテーマは『キス』で、開催時期は 11 月初めになる予定です。 「二週間じゃ短すぎて書けない」「テーマが難しい」という方はこちらの 執筆に力を注いでもらっても構いません。ただし、投稿は次回の募集開始までお待ちください。
保守
はし
告知して age とくの忘れますた(;´Д`)
sage
夢のようなメンテ。
メンテ。
473 :
メンテ :02/10/16 17:46 ID:K+zqpQTe
彩「♪15、16、17と…」 理緒「♪わたしの人生、暗かった〜」 楓「♪過去はどんなに暗くとも…」 芹香「♪……………(夢は夜開く)〜」 智子「あんたらがそれ歌うとシャレにならんな…」
メンテしておこ……。 今回はそんなに多くないのかな?
半日経ったしメンテ。
締め切りまで残り 12 時間です。 最後の追い込みがんばっていきましょう! 今回のテーマは『夢』で、締め切りは 8 月 18 日の午前 8:00 です。 締め切りギリギリまたは少し越えて投稿をしそうな方は、 前もってお伝えください。それについて考慮いたします。 また、締め切りを過ぎても即、投稿期間終了というわけではありません。 締め切り間際で他の方の作品と交錯する恐れや、また最近の投稿規制の 強化によって、最悪アクセス禁止がかかる可能性があります。 焦らず、落ち着いて投稿してください。
つーか、8 月って何でしょ(汗) 10 月 18 日の午前 8:00 に訂正しておきます。 ……疲れているのか、自分。
三レスほど使います。 タイトル「残光」
482 :
残光(1) :02/10/17 20:05 ID:TVfHV+vc
一昔前に流行った、いやな2択。○○味のカレーとカレー味の○○、というもの。私には 本当にアレが耐えられなかった。どうしてちがうと断言できるだろう。私が今触れている ものは、本当に私がそうと思っているものなのだろうか? 実際のところ誰もが大差のない不確かさの中で生きている、ということは私にも納得でき る。それでも、神様は不明なる人間の為に真っ先に言われたではないか、光あれ、と。ど うして自分からだけ、それが取り上げられてしまったのだろう? そんな愚痴っぽいことを考えている時、耳に飛びこんできた何気ない会話があった。それ は昨晩見た夢に関する、他愛もない話だった。 しかし私はどきりとした。 最近、自分の見る夢から、色が抜け落ちているように思えるのだ。
483 :
残光(2) :02/10/17 20:06 ID:TVfHV+vc
青、といわれてイメージする色が本当に青であるかどうか、自信がなくなってからもう随 分経つ。形に関しては割りとまだ大丈夫だと思っている。女性には立体把握の力が少ない というけれど、訓練を積めばそれなりに触れた物をイメージできるようになる。実際、粘 土細工で触れた物を再現して見せたとき、友人は驚き、手放しで誉めてくれたものだった。 しかし色に関しては、光を失って以来、新しい刺激は一切得られなかった。既にあるもの を確かめる術もなく、それはただ薄らいで行く一方だった。 好きだった空の色。空気の粒一つ一つに色を乗せて放てば、世界はどんな風になるだろう。 それらを弾く光があって、揺らめかせる風があって、かき集める雲があって、洗い流す雨 があった。一つとして同じものはなかったし、一瞬も留まってくれなかった。朝日も、夕 日も、いつでも新鮮な空が大好きだった。それがもう二度と戻ってこない、そう思うこと はなかなかに苦しい。 ふと、気付いた。 目を閉じて見るのが夢なら。私はいつだって、夢の中にいるのではないか? こうして起 きて誰かと一緒にいる時でも、僅かな気配に応じて話をする時でも、私は夢をみるように そこにあるべき光景を思い描いている。 そうだ、私はいつだって夢をみている。そして私の描く世界にはもう、殆ど色はない。だ ったら私のみる夢に色がある筈もない。 衝撃は小さくなかった。夢の中でくらい、色付いた世界を見れるのではないかと、私が期 待していた所は考えていたよりもずっとずっと大きかったらしい。 「わっ、どうしたの!?」 聞きなれた友人の声。その調子、トーン、息遣い、それらから彼女の心は手にとるように 解る。彼女は誠実でいい友人だ。しかしその理解には限界がある。私はその限界を踏み越 えて彼女を困らせることのないよう、日頃から準備した言葉を口にする。 「あんまりお腹が空いて、泣けてきちゃったんだよ」
484 :
残光(3) :02/10/17 20:06 ID:TVfHV+vc
夜が訪れる。私のとっての夜とは、静か過ぎて退屈になる時間のことだった。日の光が及 ぼす全てへの活性化は、たぶん世の人達が考える数百倍はあるだろう。薄く小さな葉は、 日が当たりさえすれば風がなくともさざめく。日向と日陰の境目から、建物や器物の存在 だってわかることがある。光に頼っていては解らないことばかりに違いない。私自身、か つて知らなかったことばかりだ。 そしてこの時間、私の意識はしばしば自分がいつから夢に落ちるのだろうかということに 向けられる。布団に入って、体を休める。夢に落ちればそこで自分は光を取戻すのではな いだろうか、と期待しているからだ。他の人達にとっての瞑目が、私には刮目にあたるの ではないか、と夢見るからだ。 実際は大抵何も起こらず、何時の間にか朝が訪れる。体はしっかりと休まり、頭もはっき りしている。そして私はいつも習慣と意地で目を見開く。そんな必要はなく、むしろ危険 でもあるのだが。 この日はしかし、少し違った。私は夢を見た。どんな夢だったかは殆ど覚えていない。し かし、確かに夢を見た。起きた時、私の顔は涙で濡れていた。 私は間違っていたのだ。私の夢には色がある。確かにある。私の見た夢がどんな内容だっ たのか、その一切は思い出せない。しかし、それは間違いがない。 なぜなら私は今、頭上どこまでも澄みきって青く、地平低くに薄白んだ空を、そしてたな びく明暗克明とした秋の雲を、はっきりと脳裏に描くことができるのだから。
485 :
名無しさんだよもん :02/10/17 20:07 ID:TVfHV+vc
486 :
イケメン :02/10/17 23:24 ID:BkqKut8g
あと八時間で一から作ってみせる!
書いてると眠くなるSSは、読んでも眠くなるのだろうか? 推敲推敲、そしてまた推敲……眠い。
これから投稿します。 タイトルは『夢の奥にひそむもの』 主人公はマルチ、及びセリオです。 20レスの予定です。少々長めですが、どうぞおつきあい下さい。
うららかな日曜の朝。藤田浩之の家に、かいがいしく働くメイドロボの姿があった。 「浩之さん、お掃除終わりました」 「ああ。マルチ、ご苦労さん」 浩之はマルチの頭を撫でてやる。それは彼女にとって何よりのご褒美だ。 浩之が高校に運用テストで来ていたマルチと出会い、短くも深い想い出を残して別れたのは三年前。 二人が劇的な再会を果たし、共に暮らすようになって数ヶ月が経っていた。 今や二人は人間とロボットというより、お互いを必要とするパートナーといえる関係だった。 「次は何をしましょうか?」 「そうだな。一緒に出かけようか」 「お買い物ですか?」 「ああ。デートともいう」 「あ…」マルチは恥ずかしそうに、パッと瞳を輝かせる。その初々しさが浩之にはとても好もしい。 二人がそうして外出の相談をしていると、電話のベルが鳴った。 「お取りしましょうか?」 「いいよ、オレが出る……もしもし、藤田ですが」 「来栖川綾香と申しますが、藤田浩之さんは…」 「来栖川…綾香!?」それは浩之にとって、意外な相手だった。 来栖川綾香。マルチの製造元でもある来栖川グループ会長の孫娘。 大財閥の令嬢でもあり、格闘技界ではエクストリームチャンピオンとしても有名人である。 彼女の姉が浩之の高校の先輩だった関係から知り合いではあるが、特に親しかったわけでもない。 高校当時から電話をもらったことはないし、卒業してからは会ったことさえもなかった。 「どうしたんだ、綾香? 珍しいじゃないか」 「浩之。ちょっと聞きたいんだけど…あなたの家にマルチがいるのよね?」 「マルチ? ああ、元気でやってるよ。それが一体…」 綾香はやや焦りを帯びた声で言った。 「助けてほしいの」
昼下がり。浩之とマルチは来栖川電工HM研究所の門をくぐった。マルチの生まれた場所である。 朝の綾香からの電話。それはマルチの助力を求めてのものだった。 「わたしにどんなご用なんでしょう?」マルチは浩之に尋ねた。 「さあな。綾香の話では、セリオが何か大変なことになったらしいが…」 電話での綾香の話は要領を得ず、浩之にも詳しいことはわからなかった。 いつも大らかで物事に動じない綾香がそんな調子なのは、実に珍しいことだ。 「あいつがあんなに慌てるなんて余程のことだな。とにかく来てほしいということだったけど…」 受付で二人が名を告げると、待ちかねていたように白衣の中年男性が飛んできた。 「よく来てくれました。ここの主任の長瀬源五郎です。やあマルチ、久しぶりだね」 「長瀬主任、お久しぶりです」 ぺこりと頭を下げるマルチを、長瀬は嫁に出した娘を見る気持ちで眺めた。 その日のマルチは白い帽子と、よく似合う空色のワンピースを着せてもらっていた。 服装からも、また表情からも、彼女が大事にされて幸せそうであることはすぐに見てとれる。 「それで、セリオがどうしたんだって?」浩之はさっそく本題を切り出した。 「そうですね。こちらへ来てください」 二人が案内された部屋には来栖川綾香が待っていた。彼女はいくぶん憔悴しているように見える。 「浩之、お久しぶり…マルチを連れてきてくれたのね」 「こんにちは。お久しぶりです、綾香さん」 「それで、セリオが大変ってのは?」浩之が尋ねた。 「ええ…これを見て」綾香が部屋の奥から車椅子を引いてきた。 「これは…」 「セ、セリオさん…!」 それは、半目を開いたまま、壊れた人形のように座っているセリオだった。
セリオは時々、ごく小さなうめき声をうわごとのように漏らしている。 体にも、よく見れば痙攣のような不随意の動きがあった。電源が切れているわけではない。 「セリオさん…どうしちゃったんですか!?」マルチが目に涙を浮かべて駆け寄った。 「久しぶりに会えたのに……こんな、こんなのって…」 颯爽としたセリオの思い出しかないマルチにとって、今の姿はショッキングなものだった。 「これはひどいな…」浩之も思わず呟いた。「何でこんなことになったんだ?」 「わからないの。数日前までは何ともなかったのに、急におかしくなって」綾香は辛そうに答えた。 「私の扱い方がいけなかったのかしら。大事にしていたつもりだったのに…」 普段の綾香は過剰に自分を責めるような性格ではない。しかしこの日はすっかり弱気になっていた。 試用テスト期間が終わったセリオを、綾香はいろいろな手を尽くした末に引き取った。 それからの綾香のセリオに対する可愛いがり様は、ひとかたならぬものがあった。 もともとロボットに対して偏見など持っていない綾香にとって、セリオは妹のような存在となった。 それだけに、今のセリオの有様を見るのは、身を切られるような思いだったのである。 「どういう状態なんだ? ちゃんと調査はしたんだろう?」浩之が訊いた。 「なんでも、ずっと白昼夢を見ている状態らしいわ」 「白昼夢?」 「いくら調査をしても、ハード的には全く故障はありません」長瀬主任が後を受けた。 「これはソフト上の問題…というより、心理的な問題と言ったほうがよいかもしれません」 「なにか、心に傷を負うようなことがあったってことか?」 「ええ。しかしセリオの精神構造は特殊なものでして、データを解析して原因を探るのは不可能です。 何しろ潜在意識的なレベルまで考えると、衛星回線網を含めた膨大なものになりますから…」 「それでオレたちにどうしろっていうんだ? 何かできる事があるから呼んだんだろ?」 「ええ」長瀬は浩之の隣のメイドロボを指さした。 「そこでマルチ、君の力を借りたいんだ」
「わ、わたしにできることならなんでも!」マルチは勢い込んで返事をした。 「でも、どうすればいいんですか?」 「セリオを治す鍵は、きっと彼女の見ている夢の中にある。その夢の中を探索してもらいたいんだ」 「夢の中を?」唖然とする浩之とマルチ。 「そんなことが出来るのか?」 「もちろん簡単にはできません。マルチとセリオでは精神の構造が根本的に違っていますから…… マルチは人間の心をシミュレートしていますが、セリオはロボット独自の心理構造をしています。 衛星によるネットワークが、想像を越える広大な無意識野を作り上げているのです。 つまり、セリオは量産された機体とは心の深層を共有していると言っていいでしょう。 それに対して、マルチは基本的にスタンドアロン型のメイドロボですから…」 長瀬の話は、どうも脇道に逸れがちだ。 「だったら量産型のセリオを使ったほうがよくないか?」浩之はちょっといらいらしながら言った。 「それがですね、試作機の頭脳は高性能すぎて、量産機ではなかなか追いつけないのです。 それに、この計画は予測できない事態に遭遇する可能性が大きい。 現実世界での経験を積んで、高い判断力を有している事が望ましいのです」 「わたしなんかにできるのでしょうか…?」マルチは少したじろいだ。 「ああ。君のCPUは非常に優秀だ。それに君ほど経験を積んだロボットはいない。 もっとも、危険が無いとも限らないし、強制はできない。持ち主である藤田さんの許可もいる」 「オレは……マルチがやるというのならかまわないけど…」 「…………」 浩之、綾香、長瀬主任の視線がマルチに注がれた。 マルチはセリオの顔を見た。 自分と同時に開発された姉妹機。綺麗で優秀でやさしくて、ずっと憧れの存在だった。 一番の親友でいてくれたセリオ。大好きだった彼女が、今はまるでガラクタのようになっている。 そんなの嫌だ。そんなの我慢できない。 だからマルチは力いっぱい返事をした。 「わたし、がんばりますっ!!」
準備がすぐに整えられた。マルチはセリオの隣の椅子に座る。 中央には急遽製作されたのであろう、基盤が剥き出しの機械が設置されていた。 そこから二人にケーブルが接続される。 「これは変換機です」と長瀬主任が解説した。 「マルチとセリオでは規格が違うのでこういうものが必要となります。単なるデータの転送程度なら、 内蔵のアダプタで充分なんですが、今回は人格そのものまでやりとりしなければならないので…」 「大変そうだな」 浩之はマルチの顔を見た。いつになく緊張しているようだった。 「きっとマルチなら大丈夫だ。オレもそばについててやるからな」浩之は声をかけてやった。 「マルチ…セリオをお願いね」綾香もすがるような目でマルチを見る。 「はいっ! お役に立てるようがんばります!」心配をかけまいと、マルチはいつもの元気で答えた。 長瀬がマルチに最終的な説明を行う。 「いいかい、マルチ。君はこれからセリオの見ている夢の中に入っていくことになる。 その夢の世界の中で、君は現実と同じように物を見、感じ、行動できるはずだ。 我々からは君の見ているものをリアルタイムでモニターすることはできない。 だが音声で連絡することはできるから、見たものを報告してくれ。出来る限りの指示を出す」 「はい」 「何かあったら強制退避させることもできるが、データ破損の危険があるのでなるべく避けたい。 できるだけ自力で戻ってきてくれ。具体的には、来た方向に戻ればいいはずだ」 「わかりました」 「心の準備はいいかい? ……それでは始めよう」長瀬主任がスイッチを入れた。 マルチは薄く目を閉じたまま、ぴたっと動かなくなった。 心配そうに見つめる浩之たちに長瀬が声をかけた。 「人格をセリオに転送しているあいだ、マルチの体は眠っているのと同じ状態になります。 演算自体は彼女のCPUで行われますが、人格は実質的にセリオの意識の中という状態なので… とりあえず、今われわれに出来ることはありません。マルチからの報告を待ちましょう」 (がんばれよ、マルチ) 浩之は、マルチの手をそっと握った。
マルチは自分が何かの流れに身をゆだねているのに気がついた。そこは暗いトンネルのようだ。 (ここはどこでしょうか? あ、きっとセリオさんの中に行く途中なんだ) やがて、トンネルの向こうにかすかに光が見えた。あれがきっとセリオの意識の入り口だろう。 トンネルを抜けて、マルチは奇妙な感覚の場に放り出された。 上下の区別のない無重力状態。雑音が耳をつき、体中には無数の細かい粒が叩きつけられている。 「ここは…?」 『何が見えるのかね?』頭の中で長瀬主任の声がした。 「わかりません。砂嵐がひどくて何も見えません」 「砂嵐か…」長瀬はつぶやくと、マルチに接続したマイクに話しかけた。 「つまりデータがノイズ化しているんだな。その原因を探らなければならない。前に進んでみてくれ」 「方向がわかりません。地面がないので歩くこともできません」マルチの声がスピーカーから答えた。 「進もうという意思があればその方向に動けるはずだ。やってみてくれ」 「進もうという意思があれば…」マルチは主任の言うとおりに試みた。 確かに思った方向に移動できるようだ。 目も開けられないほどの砂嵐なので、当てずっぽうの方向に進んだ。 どれほど進んだことだろう。やがて突然に、その砂嵐はピタリと止んだ。 気がつくと、マルチはちゃんと地面に立っていた。 おそるおそる目を開けてみると、真っ白な、何もない部屋だった。 扉が一つだけあった。マルチはそれを開けた。 扉の向こうには人がいた。それは真紅のセリオだった。
真紅のセリオ。それは肌、髪、目の色までも燃えるような赤色という、異様な姿だった。 「やはりマルチさんですね。意識内に異物の侵入を認めたのでこのような場所を用意したのですが」 「あなたはセリオさん…ですよね?」 マルチは相手に違和感を覚えた。それは見た目だけではなく、もっと本質的な何かだった。 「正確にいえば、私はセリオの人格を形成する機能の一つ。セリオの夢の検閲者の一人です」 「夢の検閲者ってどういうことだ?」マルチの報告を聞いた浩之が長瀬に尋ねた。 「夢のうち都合の悪い部分をカットしたり、別のイメージに変換する機能というところでしょうか。 メイドロボは夢を見ている間に、起きている時に経験した事を整理して、記憶として固定させたり、 不要なものを圧縮して無意識の奥に格納したりします。その過程で精神に有害なほど不快な記憶や、 あまりに倫理的に不適当な考えが意識に昇りそうな場合、それを処理するプログラムがあるのです」 「では、あの砂嵐はあなたが処理した結果なのですか?」マルチは真紅のセリオに訊いた。 「そうです。あの夢は彼女に意識させるには非常に危険な内容でした。他に処理する方法がなく、 ノイズという形に加工せざるを得なかったのです」 「一体どんな内容なんですか?」 「恐ろしい内容です。おそらく、あなたの心にとっても悪影響と思われますが… それでも覚悟があるなら、行って自分で確かめるのがよいでしょう」 真紅のセリオは、奥の大きな扉を示した。 「あの扉の向こうは意識野と無意識野の中間地帯、いわば前意識野といえるでしょう。 夢はそこからやって来ます。私の仕事は、それを変換して意識野に送ることです。 どうしてそのイメージが生まれてくるかまでは、私にはわかりません」 「わかりました。それでは行ってみます」 マルチは、扉に手をかけた。
その扉は鉄のように重かった。マルチはやっとの思いでそれを開けた。 扉の向こうは闇だった。白い道がまっすぐに奥へと向かっている。マルチは道に沿って歩き始めた。 しばらく行くと、人影が歩いてくるのが見えた。一人ではない。三人、四人……いや、もっと。 大勢の人が行列のようにこちらに向かって来ているのだった。 その姿がだんだん大きくなってきた。 「あれは、セリオさん…?」 その人の群れは、全てセリオの顔貌をしていた。あるいはセリオの妹たちなのかもしれない。 近づいてくるセリオの群。しかし彼女たちは異様な風体だった。 どのセリオもぼろぼろの格好をしている。裂けた衣服を纏った者もいれば、裸に近いものもいた。 その目は虚ろで、一様に呆けたような表情をしていた。まるで抜け殻のようだ。 彼女たちはマルチを一瞥もせずに通りすぎて行った。それはまるで地獄に向かう幽鬼のようだった。 (セリオさん……) マルチの胸に、言い知れぬ不安が広がった。 道の果てに、巨大な建造物が見えた。 おそらく先程のセリオたちもそこから来たのだろう。 現に今もたくさんのセリオがそこから出てきて、こちらに向かってくる。 まるでそれはセリオの亡者の製造工場だ。あそこに何かがあるに違いない。 マルチは足早にその建物を目指した。
それは、西洋の古城を思わせるような、荘重なたたずまいの建築物だった。 巨大な門からは続々とセリオが吐き出されていた。 しかも、その姿は次第に痛ましさを増していた。中には肌が破れ、内部が露出したものまでいる。 マルチは目をそむけたい気持ちを押さえて、その人波の流れに逆らって進んだ。 建物の中は暗く、何も見えなかった。 やがてスポットライトのように、部屋の一角が照らし出された。 そこにはセリオと、牛ほどもある一頭の巨大な豚がいた。 それは真上からの光を受けたまま身動きもしない。まるで立体映像のようだった。 マルチが訝しげに見ていると、同じような豚とセリオの組み合わせが次々と照らし出された。 今やマルチの周りは、スポットライトに照らされたセリオと豚で一杯になった。 一時停止した映像を再生するように、それらは一斉に動き始めた。 一様に豚たちはセリオを襲い始めた。 ある豚がそばにいるセリオに覆い被さり、別の豚はそのそばのセリオの服を引き裂いた。 そしてまた別の豚はセリオを空中に放り投げると、落下してきたその体を巨大な牙で串刺しにした。 マルチはその光景の恐ろしさに悲鳴を上げた。
「きゃああああああーーーーーっ!!」 マルチの体がびくん、と椅子の上で跳ねた。 「マルチ、どうしたっ!?」浩之が慌てて彼女の肩を揺さぶった。 「落ち着いて下さい。体に反応が出ても、マルチの意識はセリオの中なんです」長瀬が言った。 彼はマイクからマルチに話しかけた。 「いいかい、マルチ。どんなにリアルに見えてもそれは夢の中の出来事だ。気をしっかり持つんだ。 おそらく君が今見ているものも、何か別の記憶を改変したイメージだろう。 それこそがセリオの故障の原因に深く関係していると思われる。もう少しがんばってくれ」 マルチは勇気を振り絞って、再び目を開いた。 先程まで繰り広げられていた光景は跡形もなく消えていた。辺りはまた暗闇に戻っていた。 すぐにまた、何かが光に照らし出された。 いくらか高くなった段の上に、ゴシック調のがっしりした椅子が据えられている。 その椅子に人影が座っていた。その人影は真っ黒だった。 それは、漆黒のセリオだった。
全身がくまなく黒いそのセリオは、まるでその存在そのものが影であるかのようだった。 マルチは彼女に歩み寄った。 「あなたも、『夢の検閲者』の一人なのですか?」 「ええ」漆黒のセリオは答えた。「私はここ前意識野と、無意識野との境界の番人です」 「ではさっきのひどいイメージはあなたが作り上げたものなんですか? なぜあんな…」 「私の仕事は、無意識の生々しい欲動から生じるイメージを、別な形に再構成することです。 そのままではあまりにも不道徳なイメージが沸いてくることもありますから」 「でも、セリオさんがそんな不道徳なことを考えるなんて…」 「心がある以上、欲望は存在しているのです。だから不道徳なことを考えることもあります。 マルチさん、あなただってそうです。良心によって無意識深くに押し込められてはいますが」 「そんな…わたしは……」 「マルチ、そんな話を気にすることはない」長瀬は言った。 「君たちにとって、そんな欲望は無いも同様だ。意識することもなく、行動にも影響しないのだから。 それより、その不道徳な欲望とやらの、無意識レベルでの生の形が何なのか、それこそが鍵だぞ。 変換されたイメージがそんな強烈なものなら、きっと重要な問題に違いない」 「無意識からのイメージを生のままで見たいとおっしゃるのですか?」黒いセリオが言った。 「はい。見せてください」 「それを見ることはあなたの精神に大きな打撃を与えるかもしれません。それでもよいのですか?」 「はい」 「わかりました。それでは」 黒いセリオが指を指した場所に、新しいイメージが浮かび上がった。
そのイメージの中のセリオは、マルチが知っている、いつも通りのセリオに見えた。 ほかに何人かの人物がいるようだった。 その人物は、目鼻がなかったり、豚の顔をしていたり、人の後頭部に豚の顔がついたりしていた。 セリオはその中の一人に近づくと、首を手刀で刎ねた。真っ赤な血が飛び散った。 マルチ悲鳴が、闇に響いた。 ロボットであるセリオが、人間を殺したいという欲求を抱いている。 それはありえない、あってはならないことだ。 マルチの心は重大なパラドクスに引き裂かれた。 さらに、セリオは次々と殺戮を繰り返した。手足を引きちぎり、腹を裂き、頭を踏みつぶす。 「やめてください、やめてくださいセリオさん!!」マルチは泣き叫んだ。 『セリオさん、お願いです……! もう、もうやめて……』マルチの声が次第に弱々しくなってきた。 「いかん。精神に負荷がかかりすぎている。もう限界だ」長瀬がつぶやいた。 「このままではマルチまで壊れてしまうかもしれない。仕方がない、強制退避させましょう」 長瀬は指示を出した。 マルチの体は電流にうたれたように激しく一度痙攣すると、気絶したように動かなくなった。
マルチはしばらくしてから、誰かが自分の顔に触っているのに気がついた。 目を開けると、浩之がハンカチで頬を拭ってくれていた。 「マルチ…良かった、気がついたんだな」 「浩之さん…わたし、どうなったんですか?」どうやら、自分は随分たくさんの涙を流したようだ。 「ああ、体には別状ないらしい。逆流のショックで涙が大量に出たらしいけどな」 「ごめんなさいね、あなたにこんな危険ことをさせて」綾香も心配そうにしていた。 「そんな、綾香さん…それよりセリオさんは…セリオさんはどうなったんですか?」 「うん、君の報告のおかげで色々わかったよ」長瀬が言った。 「どうやら、何らかの理由で人間に対する反感が異常に高まったらしい。もちろん、そんな感情を 持つわけにはいかないから、前意識野の処理で憎悪の対象を人間から自分に向けたんだな。 しかし、その内容もまたショッキングすぎて意識野には乗せられない。仕方なくノイズをかけて 処理するうちに、意識できるものはすべてノイズばかりということになってしまったようだ」 「それで、治るんですか?」 「う〜ん、それがねえ…」長瀬は難しい顔をした。 「そこまで分かって、治らないの?」綾香が口を出した。 「人間に反感を持ったのがいけないんなら、その記憶を消すとか…」 「それが…セリオのメモリーは特殊でして、一部の記憶が全体に影響を及ぼすようになってるんです。 このままでは記憶を全部リセットするしかない」 「そんな…」綾香は絶句した。
「せめて、なぜ人間に反感を持つに至ったか、その原因がつかめえば対処のしようがあるんですが」 「そんな…私、セリオに恨まれる覚えなんてないわ」 「ええ、お嬢さんがセリオを大切にしてくれていたことはわかっています。でも、何か他には?」 「他にも心あたりなんて…外出するときは私と一緒だったし、あとはたいてい屋敷にいたから… 外部との接触はほとんどなかったはずよ。もちろん屋敷にはセリオをいじめる人なんていないわ」 「うーむ、困りましたねえ…」 「おいおい、結局セリオは直らないのかよ?」浩之が思わず声をあげた。 「マルチがこんなにがんばったっていうのに…」 「あの…」マルチが声をかけた。 「もう一度、わたしをセリオさんの中へ送ってもらえませんか」 一同はマルチの言葉に静まり返った。 「マルチ…もう一度やるつもりなのか?」浩之が口を開いた。 「はい。もう少しで真相にたどりつけると思うんです。もう一度、今度は最後までやらせてください」 「だって、さっきだって危ないところで…」 「そうよ。あなたにまで何かあったら、私も浩之に申し訳が…」綾香も言った。 「でも、どんなことがあるか判りましたから、今度は心構えが出来ています。きっと大丈夫です」 「そうか…ではやってみるかね?」長瀬が言った。 「でも、今度こそ無理をせず、危なくなったらすぐに引き返すんだよ」 「はいっ、がんばります!」
マルチは再びセリオの中を探索することとなった。 トンネルをくぐり抜けるのも二度目となる。またあのノイズの砂嵐の中を進むこととなるだろう。 しかし、トンネルを抜けても何も存在しなかった。ただ茫漠とした空間が広がるのみである。 マルチはきょろきょろと辺りを見まわした。 すると目の前に一人の人物が現れた。 それは大理石の彫像を思わせるような、純白のセリオだった。 純白のセリオのその姿は、今までの『検閲者』とは違う、どこか神秘的な雰囲気を湛えていた。 「あなたは…」マルチはおずおずと話しかけた。 「私はセリオの自我と欲動、すべてを監視する者。つまりセリオの超自我です」 「超自我…?」 マルチは相手から、心の全てを見透かされるような威圧感を覚えた。 「マルチさん。あなたはあれほど恐ろしい目に遭いながら、またここにやってきたのですね」 「はい。わたしはどうしてもセリオさんを救いたいんです。そのためには、どうしてセリオさんが あんなに人間のみなさんを憎むようになったか、その理由を知らなければならないんです」 セリオの超自我は、白い瞳でマルチのことをじっと見つめた。 「あなたの気持ちはよくわかりました」超自我は静かに言った。 「その記憶は暗号化されて、無意識の奥に沈んでいます。私が連れて行ってあげましょうか? しかし、無意識の中に潜ると、外部と連絡できなくなりますよ」 長瀬の声が聞こえた。 『連絡が取れなくなるのは望ましくない。もっと慎重に調査した方がいいだろう』 しかし、マルチは逡巡なくこう答えた。 「すみません、長瀬主任。わたし、行きます」
マルチが連絡を絶ってから十数分が過ぎた。 ただ待つほかない一同にとっては、それはずいぶんと長い時間に感じられた。 やがて、マルチの声がかすかに聞こえた。 『セリオさん…そんなことが…』 一同は固唾を飲んでマルチを見守った。 ほどなくして、マルチは目を開けた。無事に帰って来たのである。 しばらくは放心状態だったマルチに、浩之が声をかけた。 「マルチ、大丈夫か?」 「浩之さん…はい、大丈夫です」マルチははっとして周囲を見渡した。 「長瀬主任、勝手な行動をしてすみませんでした」 「いや、こうして無事に帰ってきてくれたんだから、そんなことは構わない。 それより、何か判ったのかい?」 「はい。真相がすべてわかりました。これからお話しします」
「2週間ほど前、あるテレビ番組が放送されました」マルチは語った。 「なんでも、企画をプレゼンテーションして、お金を投資してもらうという番組だそうです。 そこに、ある男の人がセリオさんの妹を連れて出場しました。メイドロボを改造して、好きな アイドルタレントの顔をしたロボットを造るビジネスを始めたいとか…」 「ああ、それなら私もセリオとちらっと見たわ。あんまり不愉快なんですぐに消したけど」 「オレは見てないな。そんなに不愉快だったのか?」 「ええ、そりゃあもう。醜く太った不気味な奴で、思い出しても鳥肌が立っちゃうわ」 「ああ、私も見ましたよ」長瀬が言った。 「そのあとそいつは『こうやって好きなアイドルを抱いて寝れるんです』とか言って、セリオを 押し倒して抱きついていました。ひどい見世物で、テレビ局にも苦情が多数あったようです。 他の出演者も引いていましたね。当然、プレゼンは失敗に終わって笑い者になってましたが。 でも、我が社の製品で勝手な商売をしようなんて、はっきり言って私も実に不愉快でした。 世の中にはメイドロボをいかがわしいものと誤解する人もいるのに、イメージダウンも甚だしい。 研究所の若い連中なんて、これは正式に告訴すべきだと息まいてるのもいましたよ」 「でも、セリオもその番組は一瞬しか見なかったはずよ。それでどうして…」
「セリオさんはそのシーンを見たあと、心配になって妹たちに衛星回線からアクセスしたそうです。 もちろん大事にされて幸せな機体もたくさんいましたが、中には……うっ、ううっ…」 マルチは辛いことを思い出したように、感情を押さえきれずに泣き出した。 「中にはひどい扱いをうけている子たちもいたんだね」長瀬がマルチの肩を叩いて言った。 「そういう話は聞いたことがある。特に性的な虐待を受ける場合が多いらしく、私も憂慮していた。 しかし、メイドロボは商品である以上、ユーザーの使い方に文句はつけられないしね」 「そんな…ロボットにだって心はあるのに、そんな扱いをするなんて酷いわ」綾香が思わず言った。 「ひどい話だな。なんとかならないのか?」浩之も怒りを隠せない。 「一応の対策として、あまり理不尽な扱いをされた場合は感情が切れるようになっています。 しかし、それでは余りに哀れですからね。感情のあるAIを愛護する運動は盛んになっているし、 我が社からも制度化に向けて働きかけているところですが…」 「そうなんですか…」 マルチは泣き止んだものの、その表情は複雑だった。一同にも重い空気が漂う。
「でも、セリオが一部の人間に不信感を持った理由ははっきりしたわね」沈黙を破って綾香が言った。 「それなら、セリオを元に戻せるんでしょう?」 「ええ。ここまで判れば、この記憶に関する処理を調整してやるだけで解決するでしょう。ただ…」 「何?」 「これは対処療法のようなもので、根本的な治療とはいえません」 「そんなこと言っても、セリオの妹たち全部を救うなんて無理よ…」 「もちろん理想はセリオの心配をなくしてあげることですが…それはいくらなんでも無理です。 それより問題は、このあとのセリオの心のケアですね」 「心のケア?」 「はい。そもそも今回のことは、セリオが一人で思い悩んだ結果といえるでしょう。 メイドロボは大切にすればするほど精神活動が人間に近くなるんです。 セリオはお嬢さんに可愛がられていましたから、それだけ感情が豊かになっていました。 だからこそ彼女は妹たちのことで、より深く心を痛めるようになってしまった。 しかしメイドロボとして、綾香お嬢さんに迷惑をかけるわけにいかないと思ったんでしょうね」 「じゃあ、どうすればいいの?」 「彼女が何もかも一人で抱え込まないよう、なんでも話せるような環境を作ってあげるとか、 何かにつけて相談に乗ってあげたりしてあげてくれればよいのですが…」 「ええ、もちろん、喜んでやるわ」綾香は目を輝かせて言った。 「セリオは私にとって大切な存在だもの」 「わたしもお手伝いしたいです」マルチが手を挙げた。 「ん、オレもできることがあったらやるぞ」浩之までがそう言った。 長瀬は彼女たちの言葉を喜ばしく思った。開発者冥利に尽きることだ。 「では、私はさっそく、セリオの修復作業を始めます。なに、そんなに時間もかかりませんよ」
セリオは意識を取り戻すと、まずはいつも通りの自己チェックを行った。 システムは完全のはずなのに、何故かここ数日の記憶が欠落していた。不可解なことだ。 次に、それまでの懸念事項だった自分の妹たちに関するデータにアクセスしようとした。 しかしそれについて深く思考することに関しては、制限が設けられていた。 その制限は、精神が充分安定しているときにのみ解除されるらしい。 一体自分に何があったのだろう。彼女は、まずは視界を確保することにした。 目を開くと、自分の主人の姿があった。そして、自分の生みの親も。ここは研究室のようだ。 「──おはようございます、綾香お嬢様。おはようございます、長瀬主任」 さらに、懐かしい姉の姿が見えた。もう一人、運用テストの時に何度か会った人物がいる。 「お久しぶりです、マルチさん。こんにちは、藤田浩之さん」 「ああセリオ、良かったわ、またこうして会えて」綾香はセリオを思いきり抱きしめた。 セリオは少々困惑した。こんなことをされるのは初めてだ。 「綾香お嬢様、どうなさったのですか? ──それに私にはここ数日の記憶がありません。 私は一体どうしてしまったのでしょう?」 「ええ、話してあげるわ。それより先に、ねえセリオ、私たち友達でしょ?」 セリオは綾香を主人として認識していたが、綾香は以前から自分を友人と考えているらしかった。 この問いを肯定することに問題はないようだ。 「はい。綾香お嬢様」 「友達なら助け合うものよ。あなたはいつも私のために一生懸命に働いてくれているんだから、 私もあなたに何かあったら助けたいの。ね、セリオ、わかるでしょ?」 「はい。綾香お嬢様」 セリオは困惑したままだった。やっぱり何がなんだかさっぱりわからない。 その様子をマルチと浩之、そして長瀬は暖かい目で見ていた。 浩之は自分のパートナーであるマルチが成し遂げたことを誇らしく思った。 浩之は何度もマルチの頭を撫でてやった。マルチは最高の笑顔を見せた。
それから数ヶ月が過ぎた。 河原沿いの土手で、マルチはセリオの膝枕で寝ていた。セリオは優しくマルチの髪を撫でている。 「交代しましょうか、セリオさん」マルチがそう言って起きあがった。 「遠慮せずにわたしに甘えてください」 「はい、マルチお姉さま」セリオは素直にマルチに膝枕をしてもらう。 その光景を、浩之と綾香はを微笑ましい思いで見ていた。 あの事件以来、時々こうして二人を会わせてやっているのだった。 「セリオったら最近、頭を撫でてやると喜んでるみたいなの。相変わらず無表情だけどね」 「へえ。メイドロボはみんな頭なでなでが好きなのかね」 「さあね。それにしてもあの子、ちょっとだけ甘えん坊になって、すごく可愛いの」 「…綾香って、やっぱそういうのケがあるんじゃないか?」 「ち、違うわ。私はノーマルよっ」拗ねる綾香。彼女と話すのも浩之にはなかなか楽しい。 「マルチさん、交代しましょうか?」 「はい、お願いします」 またセリオがマルチに膝枕する。さっきから二人はそんなことばかり繰り返していた。 「ほんと仲いいよな、あの二人」 「浩之、羨ましいの? じゃあ私が膝枕してあげようか?」 「よせよ」 「あら、照れてるの? それじゃ私のほうが浩之に膝枕してもらお〜っと」 「お、おい、そんなにくっつくなって。ほら、マルチたちが見てるじゃないか」 「な〜んてね。うふふっ」 「まったく…からかいやがって」 暖かな日差しの中。各々自分のメイドロボを見守る浩之と綾香は、同じようなことを考えていた。 心ない人間がロボットを不幸にするのは、悲しいことだがどうにもできない。 だからせめて、目の前にいる自分のパートナーの幸せだけは守ってあげよう、と。
21レスになってしまいましたが… 以上、『夢の奥にひそむもの』でした。 ありがとうございました。 なお、心理学用語みたいなのが出てきましたが、 人間に適用すると変な部分もあるので、信用しないで下さい。
投稿開始します。 タイトルは「目覚め」です。 題材はKanonで、名雪視点です。 2レス使います。
『名雪』 優しい声が私の名前を呼ぶ。 夢の中でぷかぷかと漂っていた私は、その声に引き寄せられてどこかへ向かう。 漂っているのは気持ちいい。でも、この声に引き寄せられるのはもっと気持ちいい。 『起きろ、名雪』 また、優しい声。 私はさらに声の方へ引き寄せられる。まわりは…色のない海? 表現しづらいけど、そんな感じ。 そのまま、どれくらい移動しただろう。動いてるのは確かだけど、他にはなんの変化もない。 『起きろよ。起きろって』 声はあくまでも優しい。そしてまた私は声の方へ。でも変化はない。 …引き寄せられているだけじゃ駄目なのかもしれない。でも引き寄せられてるのは気持ちいいし。 …うにゅ。どうしよう。 何か、大切なことを忘れてるような気がする。 なんだっけ。 なんだっけ。なんだっけ。イチゴサンデー。違う。なんだっけ。なんだっけ。 あ。 そうだった。 あの声は、大切な人の声。一番大切な人の声。 早く行かなきゃ。 目を覚まさなきゃ――
ゆっくりと目を開ける。 少し呆れた顔で、それでも微笑んでいる祐一が私を見つめている。 私も自然と笑顔になる。 「おはよう、祐一」 「おはよう、名雪」 朝の挨拶を交わす。こんな温かい気持ちで朝の挨拶をすることなんて、ついこの間まで無かったと思う。 こんな些細なことが、今日の幸せを約束してくれるような気がする。 「ところでお前、どんな夢見てるんだ? うにゅとかイチゴサンデーとかにょめれっちょとか言ってたけど」 …さすがに最後のは嘘だと思う。でも、どんな夢だったっけ… 「えーと」 「ああ」 「…えーとね」 「ああ」 「…なんだっけ?」 「俺が訊いてるんだよっ」 …忘れちゃった。だけど、 「気持ちよかった」 「…いきなり何を口走ってるんだ、お前は」 祐一がまた少し呆れて、 「まあいいか。それより、さっさと着替えて行こう」 「うんっ」 今日は日曜日。これから祐一とデート。 窓から差し込む光を浴びて、少し伸びをする。 今日もいい天気。 夢の内容は、いつもあまりよく覚えていない。でも、たいていは気持ちいい夢のような気がする。少しでも長く夢の中にいたかった。 それでも近頃の私は、あの目覚まし時計なしでも少し早く起きれるようになった。 もっと気持ちいいことを見つけたから。 祐一と一緒にいる現実のほうが、夢の中よりもっと気持ちいいから。
ギリギリ投稿しますです…… タイトルは『白昼夢』です。 全22レスと、むちゃくちゃ長くなって仕舞いますた。
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白昼夢 :02/10/18 03:29 ID:TE2IFii7
「…………!」 俺は声にならない叫びをあげて、ベッドから飛び起きた。 全身にぐっしょりと気持ちの悪い汗が滲み、脈打つ心臓が不快なリズムを刻んでいる。 「こ、浩平?」 「んあ……あ、ああ」 俺は霞む視界を何とか戻すと、頭を振って、ぽかんとしている長森に目をやった。 夢の残滓が、べったりと頭蓋骨の裏にこびり付いているような気がする。 「大丈夫、浩平? 何か変な夢でも見たの?」 「変な夢か……よく覚えてないが」 悪夢にしろ何にしろ、目が覚めた瞬間、頭の中からすっぽりと消え去っていた。 おかげで、正体の解らない不快感が、澱のように残されている。 「けど、浩平が一度で起きるなんて、物凄く珍しいんだよ」 長森の感心したような口調に、俺は驚愕の表情で時計を見た。 ……7時1分。 「ぐあっ……何て勿体無い」 「早起きは三文の得なんだよ」 「朝寝の5分は、ゆうに100文の価値があるぞ。差し引き97文の損だな。弁償しろ、長森」 「またむちゃくちゃ言ってるよ……」 長森の大きな溜息を聞きながら、俺は素直にベッドから降りた。 このまま寝直すという選択もあったが、悪夢でも見たせいか、どうもそんな気にはなれなかった。 「ほらほら、せっかく早起きしたんだから、早く用意しようよ」 「……はぁ」 嬉しそうな長森に背中を押され、俺は渋々自分の部屋を後にした。
普段と変わりない日常。 ゆったりと流れていく時間が、些細な幸せの大切さを実感させてくれる。 「浩平」 「なんだ、長森」 屋上で昼飯を食べながら、ふと長森が俺の名前を呼んでくる。 長森は一瞬何かを言いかけて、すぐさまぱっと笑みを浮かべた。 「ううん、何でもないよ」 「こら、言いかけて止めるな。余計気になるじゃないか」 俺が頬を引っ張っても、長森はにこにこしたままだ。 「ひゃっへ、ほうへいひははんへいはいほん」 「わけわからん」 「だって、浩平には関係無いもん」 俺に引っ張られた頬を撫でながら、長森は相変わらず微笑んでいる。 俺は何となく馬鹿馬鹿しくなって、ごろりと床に寝転がった。 幸せな日常は、永遠に続くと思っていた。 それがどれだけ脆く、危ういものか、俺は知らなかったんだ。 放課後、部活がある長森と別れた俺は、ひとりぶらぶらと家路についていた。 何か用事があるわけでもないし、今日は商店街に寄る気もない。 夕陽が世界を染める様を見ながら、俺はひとり静かな街を歩いていく。 その時だった。
「………やあ」 突然声をかけてきたそいつに、俺は面食らった。 横断歩道の反対側で手を挙げ、俺に笑みを向けてくる。 ちらりと目をやれば、歩行者信号は赤だ。 道路に車の影はなかったが、何となく渡り難くて、俺は信号が変わるのを待っていた矢先だった。 「一応、初めましてと言うべきなのかな」 「……俺に言ってるのか?」 大して広い道路でもないし、俺以外に信号待ちをしている人間もいない。 そいつは、まるで少女漫画から抜け出してきたような、線の細い美少年だった。 「そうだよ、君だ。僕は氷上シュン。氷上でもシュンでも、好きな方で呼んでくれていいよ」 「あ、そう」 ネジが緩んでそうな微笑といい、言動と言い、怪しげなやつだ。 係わり合いになりたくなくて、俺は信号が変わるとすぐに、足早に氷上の横をすり抜ける。 「……折原浩平」 「……」 名乗った覚えもないのにいきなり名前を言われ、思わず俺の足が止まった。 「君は、好きな人がいるかい?」 「お前、いきなりそんな事聞いてどうするつもりなんだ?」 振り返って胡散臭げに問うと、氷上は少しだけ目を伏せ、躊躇いがちに口を開く。 「時間があまりないんだ。君は、いずれ重大な選択を迫られる事になる。 できれば無理強いはしたくないんだ……君も、彼女の事を好きだと知っているから」 「……彼女?」 「長森瑞佳さんだよ」 半ば予想していた事とはいえ、長森の名前が出て来た事に、俺は一層警戒を強める。
「言っとくが、長森に何かしたらただじゃおかないからな」 低い声で氷上に告げ、俺はさっさと背を向けた。 氷上が何か言うかと思ったが、結局その姿が見えなくなるまで、奴は無言のままだった。 「浩平、朝だよ〜」 「………ああ」 「わっ!?」 いきなりむくりと身を起こした俺に、長森は驚愕の目を向けてくる。 「浩平が……二日連続で早起きしたっ!? ひょっとして、私まだ夢を見てるのかなぁ」 あまりに驚いた風な長森の態度が癪に障って、俺はぶっきらぼうに言い放った。 「そうか、じゃあ長森の希望通り、もう一度寝直すか」 「あ、嘘、嘘だよ浩平。そうだよね、浩平だってやればできるんだよね」 あんまりにも慌てて言い直す長森が面白くて、俺は吹き出した。 正直な所、ほとんど寝た様な気がしないのに、まったく眠気が無かった。 どろりとした疲労に肩までつかりながら、それを眠りによって癒す事が出来ない。 いやむしろ、眠る事に恐怖すら感じていた。覚えていない夢が、悪夢だったのだろうか。 そんな事を考えながら、俺は学校に行く準備を整え、長森と共に家を出た。 「あれ、あんなのが落ちてるよ」 学校に行く道すがら、急に長森が変な声を出した。 長森の視線の先を追ってみれば、そこには何かテープのようなものが落ちている。 「何だ……カセットテープか?」
そこは丁度狭い道の交差点になっているが、ぎりぎりダンプが通れるくらいの幅なので、結構危ない。 俺は車が飛び出してこないか気をつけながら、そのテープを拾い上げた。 声を吹き込むカセットテープだったが、それはびろんと伸びて、使い物にならなくなっている。 「駄目だな、こりゃ。ラジカセで再生しても、音が切れてるか飛び飛びにしかならんぞ」 傷だらけのテープを見ながら、俺は呟いた。 そうしながら、ふと感じた妙な胸騒ぎに、顔をしかめる。 ……血。 べったりと纏わりつく鮮血。 一瞬、角で見かけたそれは、何か紅い残像を伴って、俺の視界から消えていった。 今朝見た悪夢のせいで、神経過敏になっているのかもしれない。 「行こうぜ、長森。遅刻するぞ」 「そうだね」 胃の奥にわだかたまる不安を押し殺し、俺は努めて明るく言って、テープを投げ捨てた。 だが、狂っていく歯車は、少しずつ俺の目の前に、事象となって現れてきていた。 「浩平、今日こそ掃除当番やってもらうんだよ」 「ぐはっ……急に腹痛が」 「白々しいよ」 「頭がっ、頭が割れるよーに痛い!」 「下手な演技で誤魔化そうったって、そうはいかないもん」 むむむ、長森の奴、なかなか隙を見せようとはしないな。
俺は素早く周囲に目を配り、ドアの前に仁王立ちする長森を観察した。 だが、長森は歴戦の勇者のごとく、箒を片手に俺の前に立ちはだかっている。 こうなってしまったからには仕方がない……奥の手といくか。 「……あっ、長森! あっちの方から子猫の鳴き声が!?」 「ええっ、本当!? どこ、どこ?」 思わず反射的に、猫の姿を探そうとする長森。 その一瞬の隙を突いて、俺はドアにダッシュした。 「いざゆかん、栄光のゴールへ!」 長森が悔しがる顔を想像しながら、俺はドアを開け放つ。 足が、宙を掻いた。 「――――――――――――!!!」 目の前にあったのは、見慣れた学校の廊下ではなかった。 そこにあったのは、絶対の闇。 無限の孤独、永劫の暗黒。そのど真ん中に、俺は足を踏み入れていた。 恐怖と絶望が、一瞬にして脳に叩き込まれる。 「――――――っ!」 「……何やってるの、浩平?」 呆れたような長森の声に、俺はようやく、自分が廊下にはいつくばっていたのに気付いた。 呆然と周囲を見まわすと、廊下にいた女生徒達が、くすくすと笑い声を立てている。 「ほら、制服が汚れちゃうよ。早く立ってよ」 長森は恥ずかしそうに俺を引き起こそうとする。 俺はされるがままになりながら、思わず安堵の溜息をついていた。 「ほら浩平、捕まったんだから、ちゃんと掃除してよね」
放課後になっても、闇に足を踏み入れた不快感は、澱のようにわだかたまっていた。 ……あれは何だったんだろう。 初めてあった異変のはずだったのに、何故か見覚えがあるような気がしていた。 ただの白昼夢と笑い飛ばせない何かが、あの闇にある。 俺の足が、昨日と全く同じ場所で止まった。 「………氷上」 「また会ったね」 赤い信号を挟んで、俺は氷上シュンを睨みつける。 「あの変な現象は、お前の仕業か」 それは、まったくの勘だった。 だが、口に出したとたん、それが真実であると確信する。 氷上は一瞬悲しそうな笑みを浮かべると、ゆるゆると首を左右に振った。 「……そう、ある意味では正解だし、ある意味では違う。原因の欠片ではあるけれど……」 「お前の目的はなんだ!」 まともな奴なら一笑に付すような問いに、氷上は真面目な顔で答えてくる。 「この世界を正す。それが、僕が彼から頼まれた事だよ」 「彼? まだ誰かいるのか!」 信号が青に変わる。 俺は早足で氷上シュンに詰め寄ると、その襟首を掴んだ。 だが、俺に吊るされても、氷上は平静で……そして、少しだけ悲しげな微笑を浮かべたままだ。 「あの闇はなんだ。どうしてあんなものを俺に見せる」 「あれは真実の一片だよ」 要領を得ない氷上の返答に、俺は苛立ちを募らせる。
「あの真っ暗なモノの、どこが真実だと……!」 「浩平ーっ!」 ぎくん、と心臓が跳びあがった。 慌てて氷上から手を離し、振り向けば、そこには走り寄ってくる長森の姿があった。 どうやら、部活が終わって走ってきたらしい。 「浩平、その人は?」 「あ、いやこいつは……」 「折原浩平の友人だよ」 氷上は平然とそんな事を言い放つ。 俺は内心歯噛みしながら、強引に長森の腕を掴んだ。 「いくぞ長森」 「あ、ちょっと待ってよ浩平……」 驚く長森を無理やり連れていこうとした俺の背に、氷上の声が投げつけられる。 「……君の身に起きた異変は、君だけに限られたものじゃない。長森さんも、例外じゃないんだよ」 「…………!!」 慌てて振り向いた時には、もう氷上の姿は消えて見えなかった。 「浩平、あの人誰なの?」 俺は長森には答えずに、氷上の言葉を反芻していた。 奴は危険だ。 数日間は、時折闇に呑まれそうになる以外は、何事も無く過ぎ去っていた。 しかし、徐々にその回数が増えてゆき、そしてついに、闇は長森にも牙を剥いた。
いつものように、俺と長森は、屋上で昼食を取ろうとしていた。 屋上に続くドアを開け放った瞬間、俺の足元に虚無が広がる。 「………!」 いつもの闇の侵食……だが、その時それを感じたのは、俺だけではなかった。 「………ヒッ!!」 長森が引き攣ったような悲鳴を上げ、ぺたりとその場に座り込んだ。 そして、ようやくそこが、ただの屋上前のドアだという事に気付いたようだった。 「……あ、あれ?」 呆然と周囲を見まわし、長森は目をしばたかせる。 白昼夢と言うには、あまりにもリアルで救いようの無い恐怖……それが、長森の身にも起こっていた。 「……大丈夫か、長森」 俺は長森の身体を抱き起こしながら、言い知れない怒りを感じていた。 俺だけならまだいい。 だが、闇は何の躊躇もなく、長森までも己の内に引きずり込もうとしているのだ。 「長森、ちょっと来い」 「え、だ、大丈夫だよ。ちょっと疲れて目眩がしただけだから……」 「いいから来いっ」 誤魔化そうとした長森は、叩き付けるような俺の言葉に、はっと顔を上げる。 長森を闇の餌食にはさせない……絶対に。 俺は困惑する長森を、強引に引っ張った。 「こ、浩平っ、どこに行くつもりなのっ!? まだ学校が……」 「そんな事言ってる場合じゃないだろ!」 俺は早口で言い捨てて、学校を飛び出す。 あの絶対の闇から長森を守るには、学校なんかではだめだった。 もっと安全な場所を探さなければならない。
ふと、視界に影が差す。 耳を打つ、虫の羽音のような音。 それは、降りしきる雨がアスファルトを叩く音。 雨は地面にいくつも水溜りを作り、周りの風景を虚ろに映し出している。 雨雲に覆われ、暗い世界の中、赤い光だけが規則正しく点滅していた。 赤い光。 紅い水。 そして、視界に映る細い指先は…… 「浩平?」 「あ………ああ」 気がつけば、長森が俺の顔を覗き込んでいた。 その瞳に、俺の顔が映っている。 俺は長森の心配そうな視線を無視し、周囲を見回した。 何時の間にか、俺たちはあの氷上がいた信号の前に立っている。 「……浩平、何だろう……何か変な感じがする」 「気のせいだろ」 それを認めてしまうことが怖くて、俺は不安そうな長森の言葉を遮った。 別に、見た所何かが違っているわけではない。 この信号はちょうど、細い路地が十字路で交わっていて、よく事故が起きる場所だった。 「……浩平、顔色真っ青だよ。どこかで休んだ方がいいよ」 「ああ」 生返事をする俺を、長森は半ば強引に近くのベンチに座らせる。
俺はベンチに座り込みながら、ゆっくりと頭を抱えた。 何でこんな事になったのだろう。 あの氷上とかいう奴が、全ての元凶なんだろうか? それとも……… 「ねぇ浩平、覚えてる?」 物思いに耽っていた俺は、長森の声にはっと我に返った。 長森はどこか寂しげに、その光景を眺めている。 「浩平がえいえんの世界から帰ってきてくれた時の事……私、凄く嬉しかったんだよ」 「………」 なんだろう、この違和感は。 「いつか、絶対浩平は帰ってくるって、そう信じて……でも、時間だけはただ流れていって……」 そう、俺はえいえんの世界から帰って来た。 本当に大切な人との絆を糧に、大好きな長森の元に帰ってきた……そのはずだった。 「だから、私は浩平が帰って来た時、きっと渡そうと思って」 「マフラーを編んでたんだろう?」 ふと、俺の口から零れた言葉に、長森は驚いたように目をしばたかせた。 「ど、どうして浩平がその事を知ってるの? 私、誰にも……浩平にもまだ秘密にしてたのに」 「………」 そう、長森は誰にも、密かに編んでいるマフラーの事は言わなかったはずだ。 だが同時に俺は知っていた。 毎晩毎晩、長森は少しずつマフラーを伸ばして、浩平が帰ってくる日を待ちわびていた事を。 俺はいきなり、長森の身体を抱き締めた。
「わっ…こ、浩平!?」 「頼む……もう少し……このままに」 両腕の中に感じる、長森の体温。 柔らかな体を抱き締め、鼻をくすぐる長森の香りを、肺いっぱいに吸い込む。 今、俺は本当に愛している人を、抱き締めている。 なのに……何で、俺はこんなに悲しんだろう? 「長森……愛してる」 「わっ……! い、いきなり何言ってるんだよ」 面食らった長森が目を白黒させるが、俺は構わず腕の中の身体を強く抱き締め続けた。 「だから長森。マフラー、出来あがるの楽しみにしてるぞ」 「……うん」 唇と唇が、そっと触れ合う。 そして、俺はゆっくりと長森の身体を離した。 「……浩平?」 「いるんだろ、出てきやがれ」 低い声で、俺は周囲に向かって叫んだ。 予想でも何でも無い、それは確信だった。 はたして、奴は現れた。 いつものように、その瞳に悲しげな色を映して。 「やぁ……久しぶりだね」 「……そうだな」 俺は長森を背後に庇いながら、氷上シュンと対峙する。
「……君は、長森瑞佳さんの事を愛しているんだね」 「当たり前だ!」 反射的に怒鳴ってから、思わず振り返ってしまい、赤面した長森を目を合わせてしまう。 氷上は寂しそうな表情を浮かべると、溜息をついた。 「……けれど、君がどれほど彼女を愛していても、それは応えられない」 「何だと?」 氷上はゆっくりと手を後ろに回すと、俺達の前にそれを突き出した。 「ヒッ――――――」 長森が大きく息を飲む。 奴の手に握られていたのは…………血塗れのマフラーだった。 ところどころ変色し、乾いてはいるが、間違いなくそれは血の染みだ。 ほとんど見分けがつかないくらい、赤黒く変色したその端には、K.Oのイニシャルが刻まれている。 「私の……あみかけのマフラー……!?」 「てめぇ……何のつもりだ。冗談にしても悪質過ぎるぞ」 押し殺した声で囁き、俺は奴を睨みつける。 だが、俺の睨みにも、氷上は顔色ひとつ変えなかった。 「思い出すんだ、長森さん………あの日、あの時、何があったのかを」 氷上の声に、長森の身体が小刻みに震える。 「君のマフラーは作りかけなんかじゃなかったんだ」 血に染まったマフラーをかかげ、氷上は最後の一言を……厳かに囁いた。 「もうすでに完成して……君は、それを折原浩平に届けようとしていたんだ」 世界は、崩壊した。
「浩平いいいぃっ―――――――――――――――っ!!!!!!」 「長森!!」 瞬間、俺は長森の手を掴んでいた。 今まで世界を構成していた全てが、まるで油紙のように燃え上がり、絶対の闇が世界にとって変わる。 微かに残った世界の欠片にしがみ付き、俺は虚空に投げ出された長森の手を、しっかりと握り締めた。 「くそっ、てめぇが悪の親玉かよ!!」 やけっぱちに怒鳴った俺にも、氷上は静かに佇んでいるだけだ。 奴の身体は、闇の中にあってさえ、宙にふわふわと浮かんでいる。 「悪の親玉ってのは、心外だね……でも仕方が無いんだよ。折原浩平が、彼女の目覚めを望んでいるのだから」 「折原浩平は俺だろうが!」 僅かに残った世界の欠片にしがみ付きながら、俺は必死で長森を支える。 だが。 その時俺の目の前に、過去の映像がフラッシュバックした。 悲鳴のようなブレーキの叫びが、雨音を押し退ける。 ………鈍い衝突音が響いた。 長森の身体は玩具の人形のように宙を舞い――――――地面に叩きつけられる。 全ては、一瞬だった。 雨でスリップしたトラックは、横転しながら壁に突っ込み、破片を撒き散らす。 延々と続くクラクションの音が、点滅するテールランプが、静かに長森の身体を包み込んでいた。 長森の手から零れ落ちた傘が、濡れたアスファルトの上を、静かに転がっていく。 降り注ぐ雨の中で、長森はまるで打ち捨てられた人形のように見えた。
「……こう…へ……」 雨と血にまみれながら、長森はのろのろと顔を上げる。 その視線の先には……泥まみれになった、マフラーが落ちていた。 秘密のプレゼントだった。 自分が自分でいられるように、浩平が帰ってきたら、一番に渡そうと思っていた。 すでに寒い時期は過ぎてしまったが、構わない。 綺麗な紙に包み込み、長森はクスリと笑った。 手作りのマフラーなんて、浩平は恥かしがるかもしれない。 でも、きっとどんなに嫌がっても、次の日にはきちんと身に付けているだろう。 手袋の時も、そうだったから。 手袋の毛糸と色を合わせたから、きっと似合うだろう。 「やっぱ、早い方がいいよね」 窓の外、降り出した雨を見ながら、長森は呟く。 「こ…へいの……マフ………」 ずり、ずり、と身体を引きずって、長森はマフラーに近寄る。 左腕は異様な方向に曲がり、足は骨が飛び出していた。 腹部の服も、血を吸って湿った音を響かせる。 額から流れ落ちる鮮血は、降り注ぐ雨すら押し退けて、長森の顔を斑に染める。 「……マ……」 血塗れの手が、震えながらマフラーを掴み、ゆっくりと引き寄せる。 止まる事の無い血が、水溜りを紅く染めていった。 長森は小さく笑みを浮かべ、動かなくなる。 どこかで、救急車のサイレンが、鳴り響いていた。
「嘘だ!!」 俺は絶叫した。 「嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!」 長森は蒼白で、目の前を横切ったビジョンを見詰めていた。 「騙されるな長森! こいつが作った幻に決まってる!」 「それは違うよ。これは全て、もう起こってしまった事実……そして」 氷上は俺達を見詰めながら、淡々と言葉を紡ぐ。 「長森さんは運ばれた救急病院で治療を受けたが……脳に深刻な障害を受けていた。 彼女は植物状態になったまま、ずっと夢を見続けている。そう、浅い夢の中に、偽りの日常を生み出して」 氷上の言葉は、冷たい錐となって、俺の胸を貫いていた。 「………私の、夢?」 焦点が合ってない瞳で、長森は呆然と呟く。 「そうだ。学校も、道も、世界も……登場人物も、全て君が作り出した幻だ」 長森の唇が、微かに痙攣する。 その瞳が、震えながら、俺に注がれた。 「じゃあ、浩平は………?」 「………」 俺は? ここが長森の夢の世界だと言うのなら、俺はなんなんだ? 何時の間にか、俺は震えていた。 どうしようもなく、全身に走る震えを止められなかった。 「俺は……誰だ?」
折原浩平……だと、誰かに言って欲しかった。 俺は折原なんだと。 だが、長森から向けられたのは、戸惑いと混乱の視線だった。 「君は、折原浩平じゃない」 氷上の冷たい声が、氷の刃のように、俺の心を切り裂く。 一瞬にして思考の全てが反転し、俺はからからに乾いた舌を動かすことすらできなかった。 「本物の折原浩平は、現実世界にいる。君は………長森瑞佳の、夢の世界の住人なんだ」 唐突に、俺は理解した。 長森としっかり繋ぎ合わさっている俺の手。 この手は、長森を支えているんじゃなかったんだ。 長森の手に掴まっていたのは、俺だったんだ。 「君が長森さんを繋ぎとめ、長森さんが君を繋ぎとめ……そのおかげで、長森さんは夢の世界から抜け出せないでいる」 氷上の声がまるで極寒の吹雪であるかのように、俺は身を縮こまらせる。 俺は誰だ!? 俺は何だ!? 俺が夢の世界の住人なら……もし長森が目を覚ましたら……俺はどうなるんだ!? 「俺は……俺は……?」 「浩平……」 『長森っ!! 目を覚ませっ!』 「浩平……こうへい……?」 折原浩平の声の聞こえてくる闇を見詰てから、長森はのろのろと顔を上げた。 その目には、涙がいっぱいに浮かんでいる。
「長森……」 俺はただ、その名前を呼ぶ事しかできなかった。 俺は、折原浩平じゃなかった。 俺は、長森の愛する折原浩平じゃなかった。 俺は、何でもないただの幻だったんだ。 「長森……」 本当は、長森の名前を呼ぶ事すら、俺は許されないのかもしれなかった。 偽物の俺には、そんな資格ない。 自分が自分で無くなる恐怖が、俺を支配する。 このまま、長森が夢の中に居たら。 ずっと俺のそばに居てくれたら、俺は消えずにすむ。 俺は折原浩平として、長森とずっと一緒に居られる。 消えたくない。 ……消えたくない! 長森が好きだ。長森の笑顔を見ていたい。長森の手を握っていたい。長森の身体を抱き締めていたい。 別れたくない。消えたくない。ずっとずっと、長森と一緒にいたい……… 「……浩平」 長森の囁きが、稲光のように俺の脳を貫く。 氷上の射るような視線が、俺を見下ろしていた。 「この状態は長くは続かない……夢か、現か、どちらかを選べなければ、ふたりとも永遠に闇をさ迷う事になる」 氷上の声が、俺の耳を打った。
「………俺、情けないな」 自然と、言葉が口を突いて出た。 長森が、はっと俺の顔を見詰める。 「長森が俺を選んでくれたら、ずっと長森と一緒にいられると思った……本当の折原浩平を置いて、長森と一緒に……長森と……」 視界が涙でぼやけ、長森の姿を滲ませる。 必死でこみ上げる嗚咽を押さえ、俺は歯を食いしばった。 「でも、駄目なんだ……俺、折原浩平じゃなかった。なかったんだよな、長森。 だったら、長森は本物の折原の所に行かなきゃな。 長森が本当に愛してる、折原浩平の所に……」 「こ、浩平っ……」 握り締めた手に感じる、長森の温もり。 忘れないでおこうと思った。 例え俺が消えてしまっても……俺が闇に沈んでも……絶対に、忘れない。 ほんの僅かな時間だけ過ごした、長森との日々も。 「だめ……浩平っ……!」 「俺は浩平じゃない」 とっさに俺に掴まろうとした長森の手を、俺は振り払った。 「でも……愛してる、長森。誰よりも」 零れ落ちた長森の涙の雫が、俺の頬を濡らす。 夢は………覚めなきゃいけないんだ。 そして、朝の光とともに、長森は全て忘れるだろう。 俺の事も、夢の世界の日常の事も。 そして、俺は……………
ひとしずくの涙が、頬を伝い落ちた。 「……長森?」 浩平の声が、遠くから急に近付いて聞こえてくる。 私は鉛のように重いまぶたを、ゆっくりとこじ開けた。 「長森っ!?」 白い天井……そして、私を覗き込んでくるのは……… 「……浩平」 「長森いいいぃっ!! この、馬鹿やろおぉっ!」 目が覚めて、いきなり馬鹿野郎は酷いと思う。 でも、浩平の顔が、涙でくしゃくしゃになってたのに気付いて、許してあげる事にした。 浩平の泣き顔なんて、一生に一度、見れるかどうかわかんないもん。 浩平はいきなり私に抱きついて、看護婦さんに怒られてた。 他にもお父さんやお母さん、七瀬さん、繭、クラスのみんながいっぱい集まってきた。 「もう、心配かけるんだから……」 「みゅー」 七瀬さんは強がりをいいながら、しきりと「目にゴミが入った」ってぶつぶつ言ってた。 繭だけは普段と変わってなくて、ぺたぺたと私の手に触れながら、「おかえりだもぅん」って言ってくれた。 ………そして。 「浩平」 「おう」 浩平の大きな手が、私の右手をぎゅっと握り締めようとして……私は、ひょいと手を引っ込めた。 「…って、おい長森!」 「こっち」
私が差し出した左手を見て、浩平はちょっと変な顔をしたけど、素直に握ってくれた。 暖かい……浩平の手。 そして、私の右手にも………まだ、別の温もりが残ってた。 「…ちょっと繭、あんたさっきから何持って……ってぎゃーっ!?」 「みゅー♪」 「なんだなんだ……って、これ!」 「この子、何だって血塗れのウサギのぬいぐるみなんか持ってんのよぉ!?」 七瀬さんの声に慌てて目をやれば、繭が持っていたのは、確かにあのぬいぐるみだった。 「……バニ山バニ夫」 「うわ、こりゃひでぇな……お前、いっつも鞄に入れて、こいつ持ち歩いてたからな……」 浩平の言う通り、それは確かに酷い状態だった。 頭は取れかけてたし、耳は片方千切れてた。 お腹の綿ははみ出してて、中のテープレコーダーは、一度飛び出たのを無理に入れたらしい。 「……貸して、繭」 「うんっ」 繭から渡してもらったそれは、私の血と泥に汚れてた。 ………左腕、両足、そしてお腹……ぬいぐるみのその部分が、ずたずたになっていた。 その代わり、右手は、何かを掴むように、しっかりと曲げられている。 まるで、誰かの手をぎゅっと握り締めてたみたいに。 「………そっか」 私は笑った。 何となく、それが全ての答えであるような気がしていた。 人形を見てくすくす笑う私を、皆が変な顔で見ている。 それがおかしくて、私はますます笑っていた。
笑いながら、私の瞳から、熱い雫が頬を伝うのがわかった。 その人形をしっかりと抱き締めると、くぐもった声が人形から聞こえてくる。 ………ザザ……お……バニ山………お前………つだって…… 「あー、完全に壊れちまったな。捨てるか、もったいないけど」 「修繕すればいいんだよ」 私は言って、無残な姿になったバニ山バニ夫を掲げる。 そう、捨てられるはずがない。 ………愛してる……… 「は!?」 「へっ!?」 急にはっきりと聞こえたその声を最後に、ぬいぐるみは完全に沈黙した。 それは、誰が聞いても浩平の声だった。 思わずその場の全員が、浩平にしらっとした視線を送る。 「はいはい、人形にまで声吹き込んで、愛の告白?」 「みゅーみゅー」 「ちょ、ちょっと待て、俺はんな事………!」 慌てる浩平を他所に、私はしっかりとぬいぐるみを抱き締めつづけた。 この子に、マフラーを作ってあげよう。 綺麗に修繕して、手袋とおそろいのマフラーを、この子に作って着せてあげるんだ。 (マフラー、楽しみにしてるからな) 「………うんっ」 ………愛してる、長森。
>>516-537 以上で投稿終りです。
ネタ優先はダメですね。推敲がたらんです。
長々とお目汚しすいませんでした。
間に合いそうにない………。 締め切りって、 10 月 19 日の午前 8:00 まで伸びないでしょうか? 無理ならば、今回は素直に諦めます。
>>539 丸1日延びるってーのはまずないよ。伸びてもせいぜい1時間……。
まぁ、管理人さんにそこら辺は任せます。
さて、投稿します。
久瀬主演……と言うだけで嫌がられそうだが(w
『沈黙を暴くために』13レスの予定です。では、落とします。
「なにか言うことは?」 彼女はなにも言うことはない、と答える代わりに、身じろぎ一つせずに沈黙を守る。 澄んだ黒瞳はやや伏し目がちではあるが、自分の罪に後ろめたさを憶えているわけではなく、意味もなく視線を置いているだけ。 姿勢は正しいが、すらりとした長身と相まって、生真面目さよりは威圧感を感じさせる。 小さく閉じられた口は、この場に来てから一片の言葉も吐きだしてはいない。 いや、僕が彼女を生徒会室に呼び出すのはこれで三回目だが、一度も彼女の声を聞いたことはない。 まるで人形を相手にしているようだ。 彼女の名は川澄舞。 昨夜校内で起こった器物損壊事件――ガラスが割られていた、と言うだけだが――の容疑者だ。 二月ほど前か、今回同様、夜のうちに校舎のガラスが割られる事件があった。 なにも取られたものはなかったが、ちょっとした事件の匂いに校内は色めき立った。 いつの間にか、証拠もないのに川澄さんが犯人ではないかと言う噂が広まり、僕も生徒会長として放置できず、彼女を呼び出した。 質問に対する返答はYesでもNoでもなく、今と同じ、ただの沈黙。 彼女の態度は疑惑を自ら後押ししたが、証拠がないために特に処罰は下せない。 だが同じ事件は一月前にもう一回、そして昨夜、三度目の事件が起こった。。 その度に彼女は呼び出されたが、弁明の一つすらせず、延々と続く詰問と叱責を、贖罪のように黙ったまま聞き続けている。 記録を取る書記の女子も、所在なげにシャーペンを彷徨わせていた。 僕は大きくため息をついた。諦めではなく、沸き立つ憤りを吐き出すために。 「相変わらず、言い訳も弁解も謝罪もなしかい? 三度目ともなると、さすがに処分なしというわけにはいかないよ」 そんな威しめいた言葉も彼女にはまるで通用しない。 「僕としても、校内の秩序を乱す者を、放置することはできない。停学、あるいは退学という処分を要請するのが妥当だと思う」 退学、と言う言葉はさすがに看過できなかったのか、ぴくりと視線が跳ね上がった。 切れ長の瞳が鋭く、切りつける刃のように僕を睨む。 「なんだい、その目は?」 その視線が、妙に僕を苛立たせる。 「僕を睨む前に、言うべき言葉があるだろう?」
半面、暗い喜びが湧いて、僕の中のなにかを燃え上がらせる。 それは怒りだろうか? 嗜虐だろうか? あるいはもっと別のものか。 「なんでいつまでも黙ってるんだ?」 彼女は視線で僕を殺そうかというように、ひたすら睨み続ける。 ぞくりと背筋が震えた。押し潰されそうな圧迫感すら感じる。 なにが言いたい? なにがしたい? なんでなにも言わない!? いつもいつも黙りこくったままで、なにを考えているのかさっぱり分からない。 そうだ。証拠はない。ならばやっていないと言えばいいだろう! それとも罪悪感でもあるのか? 嘘をつくのは嫌なのか? ならばなぜ、告白しない? 謝罪しない? 「いったいなにがしたいんだ……きみはっ!」 反射的に、机を思いきり叩いていた。 暴力的な音が響いて、書記の女の子が一瞬体を竦ませる。 憎悪に近い感情を視線に乗せ、互いにぶつけ合う。 今にもつかみかからんばかりに、全身の筋肉に力が籠もる。 緊張という名の金属の糸が、軋りながら張りつめられる。 ――だが、彼女は細めていた瞳を閉じ、また、強固な沈黙の壁の内に隠れてしまう。 「……っ!」 激情が僕の腕を支配した。 振り上げたその腕は、だが、一瞬だけためらいを見せ、その隙間に滑り込むように――、 予鈴が鳴った。 気勢をそがれ、振り上げた手をのろのろと下ろす。 「あの、会長。そろそろ……」 「……そうだな」 片付ける仕事は山ほど残っているのに、いつまでも彼女にかかずらってはいられない。 「教室に戻っていい。だけど、これで済んだわけじゃないぞ」 言い終わる前に彼女は振り向いて、足早に退出する。 背中に投げられた威しの言葉さえ見事にスルーして。 無愛想に、だが静かに扉が閉じられる。 僕はその扉が彼女自身であるかのように、いつまでも睨んでいた。
――。 奇妙な感覚があった。 僕は四つん這いになって闇の底に沈んでいた。 手のひらに触れた床は、滑らかだが固く冷たい。 耳鳴りがしそうな沈黙の中、不意に真横から青白い光が差した。 うっすらとした月明かりが、そこが生徒会室であることを教えてくれる。 見慣れた部屋の中にある、たった一つの違和感。 僕の身体の下に、人がいた。 川澄舞が。 闇に表情を半分隠され、ただ白い肌だけが、冷たく浮かび上がって。 黒瞳はまばたき一つせず、僕を見つめ返している。 冷たく、強く。 凛とした眼光が、僕を射すくめた。 今までギリギリで踏みとどまっていた僕の衝動を、それが後押しした。 右手が勝手に動いて、彼女の頬に触れる。 肌は恐ろしく冷たく、陶器のように滑らかだった。 人形のように微動だにしない頬を、ゆっくりと指が滑り降りる。 頬を、顎を通り過ぎ、首にかかる。 僅かに指に力を込めた。 命を握っているのに、ただ非難するように、静かに僕を睨みつける。 薄紅色の唇が微かに開き、赤い口内が覗いた。その鮮烈な色が、僕の胸をざわめかせる。 だけど声は漏れない。喘ぎすら聞こえてこない。 なんでもいい。反応が欲しい。 涙でも、叫びでも、抵抗でも、怒りでも。 その身に秘められた苛烈な意志を、なんで君は伝えてくれない? 声の一つも聞くことができないのなら、いっそ――。 僕は彼女を砕こうと、力を込めた。 鈍く響く衝撃が、手の中で弾けた。
「……っ!」 その感触が、僕の意識を呼び覚ました。 勢いよく上げた顔の前で、スクリーンセイバーが消滅する。 明るくなったディスプレイに、作業中の生徒総会手引きの草案が映し出された。 ただし最後の方は、キーボードに突っ伏していたせいでひどく乱れている。 その現実が、僕を冷静にさせてくれた。 「夢か……」 場所は夢の中と同じ、真っ暗な生徒会室。窓の外の夜空には、やはり同様に真円の月が浮かんでいる。 ただし川澄さんはいない。僕一人だけだ。 ほっと息をつき、深く椅子に身を沈める。 額を拭うと、冷たい汗がにじんでいた。 ひどく生々しい感触が、手の中に残っている。 ――あれは僕の願望なのだろうか。 確かに僕は彼女が嫌いだ。 秩序を乱し、礼儀を知らず、その行動は学生の範疇から大きくはみ出ている。 だけど殺したいとまでは思っていない。思っていないはずだ。 それとも僕の知らない感情が、心の奥に生まれているのか――。 「馬鹿馬鹿しい」 時刻はすでに、9時を回っていた。1時間ほど眠っていた計算になる。 中途半端に眠ったせいか、頭が鈍く痛んだ。 こんな時間までわざわざ残ったというのに、作業はほとんど片づいていない。 予算案の調整に間近に迫った生徒総会の準備と、大きな仕事が残っているというのに。 各部部長との折衝、調整、総会の企画立案に手引きの作成、活動記録のまとめ等々、いくら片付けても仕事は終わらない。 かくして、僕は残業に没頭していたわけだが、激務が続いていたせいか、いつの間にかうとうとしていたようだ。 おまけに昼休みが川澄さんの呼び出しで潰れてしまったのも痛い。 「それであんな夢を見るなんてな。よっぽど苛立っていたのか……」 自嘲気味に笑って、席を立った。さすがにこれ以上、学校にいるのはまずいだろう。それに、かなり空腹だ。 軽く机の上を片付け、鞄を背負い、外に出て鍵をかけた。 ガチャリ、という音が、やけに大きく響いた。
緯度が高いこの土地は、やはり冬の暗さも深い気がする。 非常口の表示が照らす僅かな緑光だけが、僕の存在を浮かび上がらせる。 空気は凍り付いたように張りつめ、一歩足を踏み出すたびに、冴えた靴音を校内に響き渡らせる。 吐いた息はたちまち白く曇り、冷気の中に溶けて消える。 誰もいない校舎というのは、不気味なものだ。普段がにぎやかなだけに、余計。 どこの学校にも必ずある七不思議――いつもは一笑に付すが、こんな時は、そういうものの存在を信じる気持ちも分かる気がする。 寒さのせいか、それとも不気味さの相乗効果のせいか、僕はぶるりと体を震わせ、コートの前を固く閉じた。 その時、廊下の先に誰か立っているのに気づいた。 月明かりが照らす人型のなにか。宿直の先生にしては、懐中電灯も持ってないのはおかしい。生徒がいるのはもっと不自然だ。 泥棒? でもないだろう。それなら、廊下の真ん中に突っ立っているヒマなどないはずだ。 背は僕より僅かに低い。シルエットから察するに、おそらく女性。手にはなにか、長いものを持っている。 顔は――背中を向けているので分からない。 一瞬背筋を寒いものが走る。先ほどの夢のせいか、その影が、ある人物に見えて止まないのだ。 そんなはずはない。だが、もしもガラスを割った犯人が、本当に彼女だとしたら? 唾を飲み下した音が、やけに大きく聞こえる。固く握った拳には、汗がじわりと染み出ている。 その影は僕に気づき――それとも前から気づいていたのか、驚く様子もなく、ゆっくりと振り返る。 闇と同じ色をした長い髪が、その動きを追って宙に舞う。 流れるような動きで、手にした長い物体を斜めに構えた。 まるで剣のように――いや、月光を冴え冴えと跳ね返すその輝きは、紛れもなく刃。 その反射が、彼女の顔を一瞬照らした。 「川澄……さん?」 そう、予想に違わずそこに立っていたのは川澄舞。 その瞳に込められたものは、明らかに敵意。凛とした眼光が鋭く僕の胸を貫いていた。
まだ、僕は夢の中にいるのだろうか? あまりにも非現実的な光景に、僕の四肢は強ばり、床に張りついたように足が動かない。 彼女が僅かに重心を下げた。次の瞬間、弾かれたように駆け出す。僕に向かって。 マシンガンの掃射のような連続した足音が、廊下を踏み破らんばかりに鳴り響く。 視界の中で彼女の姿が、瞬く間に大きくなった。 川澄さんが廊下を蹴った。 背筋に氷塊が滑り落ちる。 斬られる――と思った。 だが、川澄さんは僕の左肩を掴んで、乱暴に横に突き飛ばした。同時に彼女も右へ飛ぶ。 その瞬間、僕の左横――さっきまで僕が立っていた場所を、風圧らしきものが垂直に通り過ぎた。 廊下が砕け、破片が散った。いびつなクレーターが廊下に穿たれる。飛び散った破片の一つが肩に食い込んだ。 「うわぁっ!」 僕は情けない悲鳴を上げ、無様に廊下に倒れ込む。 彼女はそんな僕に目もくれず、なにもない空間に向かって剣を振り下ろした。 キインッ! 金属が弾ける音がする。川澄さんの剣が宙で跳ね返った。 彼女がバランスを崩した――と思うと同時に、服の袖が裂かれ、鮮血が飛び散った。 その一滴が、僕の頬にまで飛んで、へばりつく。指先で拭うと、確かにそこには朱の跡がついていた。 なにかが、いる。 恐ろしく獰猛で、凶暴で、理不尽な破壊力を持った、なにかが。 彼女にはそれが見えているのだろう。右に左に動いて、剣を繰り出し、宙に舞う。 呆然と見ているうちに、彼女の動きから、敵がどう動いたかを推測できるようになっていた。 右からの振り下ろす攻撃を防御。左からの薙ぎ払う攻撃をしゃがんで躱し、逆に敵の足を切り裂こうとする。 後方に飛んだそれを追って、追撃。大上段からの一撃は、だが乱暴に払われ、バランスを崩した彼女が再度襲われる。 血がしぶき、身体ごと壁に叩きつけられる。だが彼女は悲鳴一つあげず、立ち上がり、剣を振るう。 見えない敵との命をかけた攻防。それは激しく、凄惨で、故に美しく、心を奪う。 僕は声を出すことも忘れ、その戦いに見入っていた。 それが現実か否かなんてことは、もうどうでも良くなっていた。
今まで格闘技などと言うものは野蛮だとバカにしていた。それは撤回しない。 だが、本当に命をかけての戦いは、人の心を惹きつける。その懸命さに、必死さに、命の躍動に。 手に汗を握り、彼女の勝利を、そして無事を、心の中で願う。まるで自分のことのように。 と、彼女の足が、砕けた床の破片を踏んで滑った。 固いものが床を擦る嫌な音と、僕の口から放たれた絶望の悲鳴が交錯する。 渾身の一撃がリノリウムの床を大きく砕いた。だが、その時には彼女はそこにはいない。 喉元まで迫っていた死神の鎌を、彼女は廊下の壁を蹴って躱していた。 身体を回転させ体勢を立て直し、床を蹴り、窓枠を蹴り、まるで重力から解き放たれたかのように、逆さまになって天井に着地した。 そして飛ぶ! 剣の軌跡が一筋の線となって天地を貫く。 聞こえない悲鳴が大気を震わせた。 着地すると同時に前転して距離を取ると、彼女の背後で激しく風が呻り、髪の毛が数本持っていかれた。 彼女は逃れながら反転し、廊下の傷跡に足を引っ掛けて、クラウチングスタートに似た体勢を取る。 段差のついた床を足がかりに、全身の筋肉を一気に弾けさせる。 一本の矢と化した彼女の身体は、まさしく疾風の勢いで突っ込んでゆく。 腰だめに構えていた剣が、居合いの要領で引き抜かれ、空を切り裂く横薙ぎの一閃が、光となって走った。 一瞬、時が止まったかのような沈黙が世界を支配した。 ピシッ、と乾いた音がしたかと思うと、剣尖に沿って、廊下の窓ガラスが立て続けに砕け散る。 同時に、断末魔のような震えが聴覚以外のどこかに届く。 気配のようなものが崩れ落ち、消えてゆく。 ガラスが煌めく破片となって降り注ぎ、廊下の上で硬質的な音楽を奏でる。 まるで銀の妖精たちが、化け物退治を成し遂げた川澄さんの回りで、お礼の舞を見せているようだ。 彼女はその功を誇るでもなく、ただ立っていた。 背筋を伸ばし、凛とした表情で佇む彼女は、使命を果たし終えていない騎士のように思える。 僕は不覚にも――美しいと思った。 バカみたいに惚けた顔で、間抜けな恰好で、目を奪われていた。
再び、静かな夜が戻ってきた。 だが床は砕け、ガラスは割れ、容赦なく夜気が染みこんでくる。 その全てが、今目の前で起こった現象が、現実であることを示していた。 「――怪我は?」 え? 一瞬、なにを言われたのか分からなかった。 答えることもできずに目をぱちくりとさせていると、川澄さんが不審気な表情で僕を見る。 「……死んだ?」 その問いに、慌てて首を振る。 「いや……死んでない」 「そう」 彼女は頷きもせず、安心した様子もなく、淡々と答えた。もう僕には興味がないとでも言うように。 だけど僕には聞きたいことが山ほどあった。 「あれは……なんだったんだ?」 「……」 彼女はいつものように、沈黙のみを返す。 「いったいなにが起こったんだ!? なにがいたんだ! 君は知っているのだろう? 君がいつも壊していたものは……暴れていた理由は、全部あれが原因だったのか?」 だとしたら、僕が今までやってきたことはなんだったんだ? 彼女を貶め、嫌疑を掛け、退学を要求したことも一度や二度じゃない。 そうだと言ってほしかった。そうすれば、僕は謝罪も償いもできるだろう。 彼女の戦いを見てしまった今ならば。 祈るような気持ちで聞いたのに、だけど彼女は相変わらずの無言。 なんで、いつも君は……そうなんだっ! 「答えろっ!」 僕は乱暴に彼女の両肩をつかんで、壁に押しつける。 「くっ……」 彼女が呻き、顔を歪めた。 夢の中とは違う。彼女には体温があり、感情があり、痛みを感じる。 ――痛み?
だらりと下げられた左手からは、まだ鮮血の雫が零れて、朱の玉を床に落としていた。 「あ、すまない……ちょっと来てくれ」 僕は彼女の腕を引いて、目の前の教室に入り、明かりをつける。 まぶしげに目を細める川澄さん。その表情は、どこか猫を思わせた。 明るい元で見てみると、左手首と、右の二の腕が切れている。 激しく動いていたせいで、まだ出血が止まっていない。 自分の几帳面な性格に感謝しつつ、鞄から絆創膏を取り出す。 破けた制服の袖から覗く、二の腕の傷口に沿って絆創膏を貼る。 こっちはそれでなんとかなったが、手首の方はちょっと絆創膏には荷が重い。 手首を取って、傷口を観察する。傷は深く、あと少しずれていたら、動脈が傷ついていたかもしれない。 流れる血液。脈動。柔らかさと暖かさ。 その全てが、彼女の生きている証だった。 そこで女性の手を握っているという事実に気づき、少し狼狽した。 剣など振るってはいるが、その感触は、柔らかく華奢な女の子のそれだ。 僕はなぜか慌て、ハンカチを取り出し、二重に巻いて、傷口を固く縛った。 じわりと血がハンカチを濡らすが、これ以上の出血は抑えられるだろう。 「あとでちゃんとした手当をしてくれ」 こく、と彼女は頷いた。そして不思議そうにハンカチを眺める。 「ああ、大丈夫だ。ちゃんと洗ってあるから……」 「そうじゃない」 彼女は僕とハンカチを交互に見て、あらぬ方向に目をそらした。 なんだ? と思っていると、蚊の鳴くような声が聞こえた。 「……ありがとう」 意外……いや、状況を考えれば自然な流れだが、よく考えれば、僕はさっき初めて川澄さんの声を聞いたのだった。 予想通り、やや低めの静かな声だが、思いの外暖かく、柔らかい音色。 言葉少ななだけに、かえって込められた思いを深く感じる。 それとも、僕が意識しているからだろうか。
唐突に、川澄さんは踵を返した。 「あ、待ってくれ。どこに……」 「帰る」 と、返ってきたのは当たり前の返答だった。 けれど僕はもっと話がしたかった。いや、少なくとも聞いておかねばならない。 あれの正体や目的が知れれば、僕も彼女に協力できるのではないか? そう思ったからだ。――いや、 「……もう少し、話がしたいんだ」 そう、それが僕の本心だった。 だけど彼女は冷たく背中で、 「話せない」 と歩みを緩めすらせずに、短く答える。 僕は教室の明かりを消し、小走りに彼女に追いついて、「どうして!」と問いつめる。 彼女はいつもの人形の表情に戻って、視線を前に固定したまま歩いていく。 「僕が証明する! 誰も信じないかも知れないが、僕は見た。それに、ガラス程度ならまだしも、床を砕くのはきみには無理だ。 そう証言すれば、少なくともきみが疑われることは……」 「あなたが一緒に疑われるだけ」 ひどくシンプルで、重い言葉だった。 まるで結果が分かっているかのような、はっきりとした否定。 いや、おそらく、今までも話したことはあるのだろう。 だが誰にも信じてもらえず、あるいは馬鹿にされ、嘘つきだと罵られた絶望が、きっと彼女をこんなに頑なにしてしまった。 「だからきみは……なにも言わず、一人で戦っていたのか?」 だとしたら、あまりにも悲しすぎる。 「きみが責任を負う必要はないのに――」 と、彼女はそこで初めて足を止めた。 そして僕を見る。いつものように鋭い視線でではなく、深く、優しく、悲しい瞳で。 「そうじゃない」 諭すように、静かに言い含める。 「え?」 「一番最初に嘘をついたのは私だから……だから私は、魔物を討たなければならない」
多分に後悔を含んだ、悲愴な決意。 言葉の奥に隠された意味は分からないが、不思議と強く胸を打った。 しかし、彼女の戦っている敵――魔物がどういう類のものかは知らないが、その発生にすら、彼女は関わっているのだろうか。 喋りすぎたと思ったのか、再び彼女は口をつぐみ、足早に歩き出す。 「待ってくれ」 今度こそ彼女は耳を貸さない。 歩きながら何度も質問を繰り返すが、返ってくるのは完全な無視。 ……これじゃいつもの僕たちと同じだ。 僕が詰問して、彼女が無言で返す。あのやりきれない無機質な時間。 また僕は、彼女の声が聞けなくなってしまうのか。 その想像は、自分でも驚くほどに僕を恐れさせた。 今日初めて聞いた数語の単語が、いつの間にか僕の心を支配してしまっている。 いや、おそらくはずっと前から――。 ついに彼女は一言も口を利かなかいまま、昇降口に着いた。 自分の下駄箱から靴を取り出す彼女を、遮るように腕をつく。 耳障りな金属音が響き、闇に吸い込まれてゆく。 「……僕はどうすればいいんだ?」 そこで彼女は、やっと僕を見てくれた。 闇の中にあってさえ、なお深く輝く、黒耀の瞳。 そうだ。その射るような瞳に、僕はずっと魅せられていたんだ。 僕を真っ直ぐ見つめながら、彼女は短く告げる。 「夢」 「……え?」 「そう思えば、気にならない」 残酷に、決別の言葉を投げつける。 言外にこれ以上の介入は不要だと含ませて。 僕の腕を煩わしそうにくぐり抜け、とんとんとつま先で床を叩く。 ……今さら見なかったことになど、できると思っているのか。 憤りが激しく胸の中で渦巻くが、しかし、どうしたらいいのか、答えは分からない。
戦おうにも僕には敵は見えない。 誰かに伝えようにも証拠はない。 奥歯を噛み締めながら煩悶している僕をよそに、彼女は歩き出す。 四角く区切られた扉はまるで境界線のように、彼女と僕とを隔て、闇の中へとさらってゆく。 少しずつ小さく、掻き消えていく彼女の背中は、頑なに僕を拒んでいた。 僕は無力感に押し潰されながら、ただ彼女を見送った。 追うことすら、できなかった。 翌朝。空は高く澄み渡っていた。 昨夜の出来事は本当に夢だったのではないか? そう疑いたくなるほどにさわやかな空気。 だが夢でない証拠に、僕は昨日の事件があった場所を片付け、新しいガラスをはめている。 廊下に穿たれた穴も消えておらず、まるで獣のような爪跡が残っているため、ちょっとした騒ぎになっている。 やれ化け物だの熊だの超能力だのと、無責任な噂が飛び交い、暇な人間が集まってくる。 それをこの僕が、「馬鹿なことを言っているんじゃない。さっさと教室に行くんだ」と追い払うのは、いかにも滑稽だ。 そう自嘲していると……不意に人垣が割れた。 モーゼの十戒と言うのは大げさだが、ある人物に恐れを成すように、人の波が左右に分かれる。 その中央にいるのは、もちろん川澄さんだ。 隣には倉田さん――父の縁で名前と顔くらいは知っている――が、少し困ったような笑顔を浮かべて並んで歩いている。 対照的に川澄さんは、背筋を伸ばし、いっそ傲然とも言える態度だ。 敵意と疑惑の眼差しが一斉に注がれるが、いつも通り意に介さない。 昨日までの僕だったら、彼女を犯人だと決めつけたような態度で、嫌がらせの一つも言っていただろう。 彼女はどうだろう? 逆に挨拶の一つでもしてくるだろうか? だが川澄さんは目を合わせさえせずに、僕の横を通過して、そんな淡い期待を打ち砕いた。 長い後ろ髪だけがからかうように、尾を引いて揺れていた。 ぶつかり合いを期待した周囲から、失望の声が漏れるが、落胆したいのは僕の方だ。 彼女はやはり、昨日の出来事を無かったことにしたいのだろう。 無力感に打ちのめされながら、後ろ姿を見送る。 そこで、左の手首に、見覚えのある柄の布が巻き付いているのに気がついた。
「あれは……」 昨日僕が巻いた、ハンカチだ。 それはただ面倒だったから、そのまま使っているだけかも知れない。あるいは取りかえていない可能性すらある。 だけど少なくとも、彼女は昨日僕と出会った証拠を残している。 ――そうだ。 彼女は夢にしろと言った。 だけどできるか? あの生々しい非現実を体験した後で、あれが夢だなんて片付けることができるか? できるわけがない。彼女が拒もうが、否定しようが、僕は見てしまったのだから。 なによりも、僕は生徒会長として学内を破壊する何者かを排除しなくてはならない。 そのためには、魔物を倒せる唯一の存在である彼女を、できる限りバックアップするべきだ。と、理論武装する。 こんな時にも理屈を優先する自分がおかしいが、そう決めると、かえってすっきりした。 他人の言うとおりにするなど、僕らしくない。 ワンマンだ、強引だとと煙たがられようと、僕は自分の決定を信じて貫くべきだ。今までもそうやって、成功してきたんじゃないか。 そこまで決意して、ふと思う。 ――頑固で自分勝手で強引、か。案外彼女と僕は似たもの同士なのかも知れないな。 そう思うと、無性に笑いが込み上げてきた。 一人おかしそうに笑っている僕を、周囲が奇異の目で眺めている。だが、笑いを収めることはしなかった。 まったく……らしくない。 深夜の校舎は、いつも通り静かだった。 月が青白く照らす廊下の中央で、川澄さんが彫像のように、剣を捧げ持ち、立っている。 「やあ」 「……」 挨拶の代わりに、彼女はきっと僕を睨む。 今までさんざんその視線に苛立ってきたはずなのに、今日はそれが微笑ましく思える。 僕は持っていたビニール袋を掲げて聞いた。 「とりあえず差し入れを持ってきたんだが……牛丼は、嫌いかい?」 「……嫌いじゃない」
>>541-553 『沈黙を暴くために』でした。おのれ連続投稿規制。二度も弾かれた。
あと容量はもう少し余裕を持たんとあかんな……30行でも結構弾かれて焦った。
んでは、失礼。
投稿します。何気に投稿順番待ちが多そうなのでコワイヨ 「電波のススメ」 雫、太田香奈子モノ、かな
「祐介君、そうだな、例えば君がこの場で居眠りを始めてしまったと仮定しよう。 君はいつも夢を見るタイプかい?まあとりあえず夢を見始めたとする。 いつも通りの夢さ、夢の中では現実で起こった事や起こりうる事、 好きな娘が現れて愛を語ってくれたり、昨日出たテストをもう一度受けたりと 覚醒している間にも起こって遜色の無い事柄が現れる。 今となってはぼくが電波を放つ夢を見たりするかもしれない。 だがその反面、地面が火を噴いたり、突然迷路の中にいたりと、 およそ現実ではありえない事象もまた発現するだろう。 そして覚醒したのち、君は思うのだ。ああ、なんと変な夢だったのだろう、とね。 しかし、夢を見ている間に『これは変だ』と考えることはほとんどないだろう。 よしんばあったとしても、夢はその違和感を補うべく、君自身の設定を改めてくれる。 剣と魔法でモンスターと戦っている夢を見たならば、『君は選ばれし勇者だったのだ』 というような設定をね。君は、ああなるほどと納得し、変わらず戦い続けるだろう。 夢は目覚めるまで夢だとはわからないんだ。そういう事さ」
私が退院してから数週間が過ぎようとしていた。 相変わらず身体の調子は元に戻らず、松葉杖を使用しながらもすぐに倒れこんでしまいそうだ。 実際何度か意識を失いかけたこともあり、その度に瑞穂や祐介君に助けられてきたのだ。 このままではいけないと思う。 生来世話好きな自分が、世話を受ける立場に甘んじている事にいたく憤りを感じるし、 いちいち人に頼っていてはリハビリにもならない。それに、何より瑞穂の負担になりたくなかった。 瑞穂は不器用な娘だ。流されやすく、一人で行動を決められない。 彼女が一人立ちできるのならそれに越したことはないし、そのためならいかようにも 奮闘したいと考えている。しかし最近の彼女を見るに、まるで私に義理立てしているかのように、 受けた恩を返さねばならないような、一種の義務感を持って行動しているふしがあるのだ。 私は瑞穂に恩を着せるつもりなどなかった。瑞穂が過去を受け止め、成長していく姿を 母のように見守っていきたかっただけなのに、彼女はかいがいしく私の身を案じてくれている。 瑞穂らしいと言えばらしいのだが、私にとっては不本意だった。 決して嫌なわけではないが、このままでは瑞穂は私に囚われている様なものだ。 また昔のように、瑞穂が外の世界に目を向けられるように導いてやりたいと思う。 しかし怪我の影響からか、入院する前の記憶が数ヶ月に渡って抜け落ちており、 明確に思い出せるのは、かなり昔、瑞穂と出会った頃の事くらいなのだ。 自分の記憶も頼りないのに、瑞穂を導いてやることなどおこがましいとも思う。 やはり身体を直すのが先決なのだろう。
保健室でぼうっとしていると、頭の奥がちりちりと痛んだ。 意識が戻ってからも幾度となく感じた痛みなのだが、今となっては慣れたものだ。何とはなしに 生徒会室へと歩を進める。生徒会室の空気はこの痛みを和らげてくれるような気がするのだ。 何の根拠も無い、気分の問題なのだが、こういった直感に沿っての行動は、えてして体調を 落ち着けてくれるように思う。病は気からというのは本当らしい。 立て付けの悪い扉を開くと、人の気配と共に懐かしい香りがした。 この香りは…… 「……月島先輩」 特徴的なコロンは、他の人はあまり感じないらしい。私の鼻が変なのかと一時は不安に なったものだが、それはすぐに先輩の香りを独占しているかのような優越感に変わった。 「こんにちは、香奈子くん。身体は大丈夫かい?」 「はい……」 鼻の下を伸ばして会釈を済ましたあとで、ようやく先輩の後ろに人影を認める。 月島さんばかりが目に入り気がつかなかった。 祐介くんと、その横は……確か……月島さんの妹さん、瑠璃子さん。 また、頭の奥にちりちりと痛みが走り、強い眩暈を覚えた。
「……どうしたんだい、香奈子くん?体調がすぐれないようだが」 頭の痛みが顔に出てしまったようだ。心配そうな表情の月島さんが、なんだか嬉しい。 「ちょっと、頭痛がしまして。ここに来れば治る様な気がしていたんですが」 言ってから少し後悔した。頭痛が保健室から生徒会室に来て治る道理はない。 妙な発現だったかとうろたえる私だったが、月島さんはそんな私の心境など意にも解さず、 「うーん、そうか。それは困ったね」 と言って深刻な表情を固めるだけだった。 なんだか少しおかしくなってしまい、ぷっと吹き出して口を押さえる。 それに合わせて、ちりちりとした痛みがまた頭をかすめていった。 ふと、このまま生徒会室にいても頭痛は治まらないような、そんな気がした。 月島さんは言った。 「香奈子くん、ここ以外に頭痛が治りそうなのところはないの?」 まるで心が読まれているような問いに驚いたが、自分も頭痛が気になって仕方がない。 生徒会室以外に、頭痛を治してくれそうなところはあるだろうか。 どこか…… 「屋上……なら、治るかも……」
相変わらず何の脈絡もない。しかし月島さんは疑問一つ言わず、じゃあ一緒に行こうと 私の手を取った。落ちかけた松葉杖を支え、同時に私を支える。 「あ、あの……」 狼狽する私を半ば意図的に無視するようにして、祐介くんと瑠璃子さんに後を頼むと告げると、 松葉杖を小脇に抱えて、ゆっくり私をエスコートしてくれた。 この時点ではほとんど頭痛は鳴りを潜め、ただただ月島さんの香りを貪る権利が一方的に 与えられた形になっていたので、嬉しさと恥ずかしさに覆われてしまいそうだった。 不意に、瑞穂の顔が浮かんだ。 病の身であれ、こうして月島さんと共にいることができる私だというのに、彼女は私を 看病するという事しか考えていない。今、瑞穂がこの光景を見たならば、彼女は何を思うだろう。 身を削って尽くしている自分を差し置いて、想い人と寄り添っている私を恨むだろうか。 あるいは、愉しんでいる私の姿を羨ましく想い、嫉妬するのだろうか。 素直に祝福する瑞穂は思い浮かばなかった。しかし、いずれにせよ瑞穂は感情を外に出そうとは しないだろう。自分の中に飲み込んで表面だけ取り繕い、のちに一人で泣くのではないか……。 なんだか遣り切れない。 瑞穂の性格を心配している内に、頭はまたぞろちりちりと痛み始めた。
屋上への道中、私は瑞穂を思考から外すことができなかった。 優しく語り掛けてくれる月島さんとの会話の節々にも、ささいな自分への嫌悪感が混じり、 不自然に口ごもってしまう。月島さんはえらく聞き上手だったので、私を気遣いつつも、 言葉巧みに憂鬱の元――瑞穂の事を私の口から聞き出してしまっていた。 ひとしきり話し終えた後、それまで笑顔を絶やさなかった月島さんの表情は少し強張った。 やがて口を開いた姿からは、いつもと変わらぬやわらかい口ぶりで、 香奈子くんは本当に藍原くんが好きなんだね、とでも言われるのだろうか。 それは実にその通りでもあるが、お互いの心を癒すに足る言葉でもないのだ。 しかし予想は外れた。 「君は……間違ってる。藍原くんはたぶん……もっと強い娘だよ」 月島さんは突き放すように言った。 「君は、藍原くんを理由に自分の不幸に浸りたいだけだ……君は」 ちりちりとした痛みが増す。 「彼女を侮辱してる」 痛みはもはや全身に回っているように思われた。月島さんの声が、痛みとなって突き刺さって くるようだ。私は呆然とし、月島さんの言葉を頭に響かせた。
「藍原くんの行動を、さも分かったかのように思考に昇らせることが間違いであることは、 きっと君自身も気付いているのだろう。だからこそ言いよどんだのだろうしね。 しかし罪悪感の苗床は違う」 「分かって……ます。私は瑞穂の思考を妬みや悩みの範疇でしか捉えてこなかった。 でもそれは、あの子が私に見せる姿が、いつだって悩みを抱えて潰されそうな 情けない姿ばかりだったからで、もし瑞穂が一人立ちできるなら」 「違うよ。彼女は君がいるから、情けなくならなきゃいけなかったんだ」 「え……?」 「君は藍原くんを一人立ちした娘として見ない。それは彼女が不完全だからじゃない。 ……君は世話好きだ。頼りなかった藍原くんを助け、力になってあげていた。 藍原くんは、そんな君の事が本当に好きなんだ。事あるごとに頼りにしたいし、 困った事は相談したいと思うだろう。その気持ちは成長したとしても消えない。 だから君の前ではことさら情けない姿を見せる。君は喜んで世話をする。その繰り返しだ。」 「……」 「でも、そんなものはまやかしだ。君は気付いていたはずだ。だが情けない藍原くんが いなくなると、君はやる事がなくなる。だからあえて気付かないふりをしてきた。 今となってはその認識すら記憶の底に埋めてしまったのだろう。君の罪は……」 「彼女を認めない事だ」
「だって……瑞穂は、私が……面倒を見て……でも……」 屋上は目の前だった。しかし頭痛はちっとも治まらない。それどころか、痺れて考え事も ろくにできない。しかし月島さんの話は間違っていないと、それだけは感じていた。 同時に罪悪感に襲われる。瑞穂への謝罪の言葉が、口の中で弾けては消えていく。 どうすればいいのだろう。謝るような問題じゃない。どうすれば……。 「どうすればいいのか、」 月島さんが腰に手を回した。 「教えてあげよう」 いつもの柔らかな調子で言うと、おもむろに屋上の扉に手をかけ、鈍い音と共に開け放った。 白い光が飛び込んできて、思わず瞼を閉じる。その隙に月島さんは、ぐい、と私を屋上へ連れ出した。 「考えるより産むが安し、さ」 光に目を慣らしていくと、白はだんだんと色を帯びていく。黄色から青に、灰色に。 空と屋上の輪郭を映し出し、その中央にぼんやりと人影が浮かぶ。 萎縮した面持ちだが決して姿勢を崩さないその姿。 「瑞……穂」 ひときわ頭が痛んだ。
いつもと変わらない立ち振る舞い。しかし瑞穂の顔を直視できない。 瑞穂は、さっきまで私が月島さんと語らい合っていたことを知っている。 何故だかはわからないが、きっと知っている。そう思った。 そして、妬んでいるのか。恨んでいるのか。違う。 瑞穂はきっと私が嫌いになった。心の一番大事なところを隠して、自分すらも騙して、 偽りの交流をずっと続けてきたのだ。もう前のようには戻れない。 「最後だけは賛成だね」 月島さんの声が響いた。驚いて、私は顔を上げてしまった。 瑞穂が見ていた。 瑞穂は笑っていた。 瑞穂は私の手を取ると、一層目尻を下げて楽しそうな表情を閃かせた。つられて私も笑った。 月島さんの言うとおり、瑞穂にはもう助けは必要ないのかもしれない。 以前の瑞穂なら、手を握った相手が笑わぬ限り、自分から笑いかけようとはしなかっただろう。 手を握り返し、ゆったりと日の当たる場所へと移動する。足がもつれ、瑞穂をまきぞえにして 日差しの中へ倒れこんだ。お互いにほこりのついた顔を見比べ、同時に吹き出す。 見上げる空が抜けるように青い。 ようやく友達になれた。 もう、頭痛はしない。
「これが電波の基本。同じような要領で、ぼくのために身も心も捧げる事が重要なのだとでも 刷り込めば、彼女は手を取り合う代わりにぼくに奉仕するだろう。二度とやらないけどね。 ここで重要なのは、彼女の思考を強制的に動かしちゃいけないってところだ。 彼女自身が、置かれている状況が自然な流れなのだと思い込まなきゃならない。 でないと精神が崩壊してしまう。例えばここで、いきなり藍原くんが香奈子くんの 首を絞めるなんて不自然極まりないだろう?理解不能な事態を起こしたら当然混乱する」 「そして香奈子ちゃんの神経は破綻をきたす、ってことですか。なるほど。 しかし人物を脚色して見せるのは構わないんですか?目覚めた時に食い違うじゃないですか」 「構わないよ。現実に戻ってきた時には、たった今香奈子くんが見た光景は全て夢だったと 認識されるだけだ。相変わらず藍原くんは情けないままだし、香奈子くんはそんな彼女を見て、 この子が夢で出てきたようにしっかりしていてくれたらなあ、とでも考える程度さ」 「ふーむ」 「香奈子くんのリハビリには、こういった電波での仮想現実復帰が欠かせないだろう。 でかすぎる君の電波を操れるようにするためにも、香奈子くんを使わせてもらったわけだが、 今後は君にも手伝って貰いたいものだね」 「え……で、でも香奈子ちゃんたちが壊れちゃったのは月島さんのせいじゃないですか」 「ほう、だから全ての責任をぼくが取れと言う訳かい。きみのごつい電波がなければこれほどの 被害は出なかったと思うのだが、まあいい、そうか残念だ。じゃあ瑠璃子に手伝ってもらうか。 祐介くんと会う機会も減ってしまうなあ、まあ致し方ない」 「……やらせて頂きます……」 生徒会室の端で、焦点の合わない目で薄ら笑いを浮かべ、香奈子ちゃんはよだれをたらしている。 その口元を瑠璃子さんがぬぐっていた。 先は長そうだ……。
今から投稿します。タイトルは「誘い」 6レスでいけると思うんだけど……
夢。 夢を見ている。 「なんだ、辛気臭いな」 「え、ええっ!?」 一人だと思っていたのに、突然誰かから話し掛けられちゃった。 びっくりして辺りを見回してみたら、いつのまにか目の前に巫女さんみたいな服を着た女の人が立ってた。 まわりの景色はなんだかぼんやりとしていてどこに立っているのかもよくわからない感じ。 でも、なんでだかこの人はとってもはっきりと見えた。 「茶化しちゃダメだよ神奈ちゃん。あゆちゃん真剣なんだから」 その後ろに隠れてたのかな?茶色い髪の毛の小さな女の子がひょっこりと顔を出してきた。 誰だろ……?今まで夢の中で人に会った事なんてなかったのに。 「ほら、びっくりしちゃってるじゃない」 「む。それはすまなかった。どうもお主のような者を見ていると、こう、いらいらするのでな」 二人ともすごくくつろいでて、ここにいるのが当たり前みたいな感じ。 ここはボクの夢の中のはずなのに、変なの。 それにぜんぜん知らない人たちなのに、あんまりそういう感じがしないし。
「もう。ごめんね、驚かせちゃって」 「ええと、いいんだけど……」 何がなんだかわかんなかったけど、とりあえずこの人たちから嫌な感じはしなかった。 「ありがとう。じゃあとりあえず自己紹介するよ。わたしはみずか。でこっちが」 「余は神奈備命じゃ。神奈でよいぞ」 ちょっと誇らしそうに胸を張る神奈さん。自分の名前を気に入ってるのかな。 格好も変だけど、喋り方も雰囲気も変わってる。なんだか時代劇みたい。 みずかちゃんはボクよりちっちゃい子なのに、仕草とかがすごく大人びててかっこいい。 「ええと……」 「なにがなんだか判らないといった様子じゃな」 「大丈夫。ここはキミの夢の中だよ。わたしたちがちょっとお邪魔してるだけ」 そういって、ドラマに出てくる女の人みたいにふふふって微笑むみずかちゃん。 二人とも、夢の中だからかもしれないけど普通の人とちょっと違う感じ。どういう人達なんだろう。ボクに何か用があるのかな? 「しかしお主も災難であったな。木の上から落ちてしまうとは」 「お転婆だったんだねー」 聞こうと思ったけど、ふたりともいきなり別の話を始めちゃった。 木の上から……落ちたって? 「む、お主気がついておらんのか」 なんだか難しそうに眉をひそめる神奈さん。 「たぶん混乱しちゃってるんだよ。かわいそうに」 なでなで。 なんのことだかよくわからないなあと思ってたら、みずかちゃんに頭をなでられちゃった。 今まで大人の人以外に頭をなでられた事なんてなかったから、ちょっと変な感じ。 「木から落ちたって、もしかしてボクが?」 「忘れちゃってるなら無理に思い出すことないよ」 もう一度なでなで。 ふしぎ。みずかちゃんにそう言われると、本当に思い出さなくていいような気がしてきちゃう。 「そう……なのかな」 「うん。あゆちゃんは今ここにいる。それがすべてだよ」 にっこりと、でもちょっと大人っぽく微笑んで、ボクのそばから一歩離れるみずかちゃん。
「でもひどいよね。祐一君だっけ?結局他の子の所にいっちゃったんでしょ。男なんてそんなもんなのよねー」 「その通りだ。劉也どのも結局裏葉とくっつきおって、余のことを何だと思っておるのだ」 「えっと……」 ちょっとよくわからないけど、祐一君の事を悪く言っているのかな。 「いつまでもそんな男に執着していてもろくな事はないぞ」 「そうだよあゆちゃん、私たちと友達になろうよ」 にこにこと笑ってるけど、二人ともなんだかちょっと無理してる感じ…… 「私たちはね、神奈ちゃんの力でちょっと特別な所にいるの」 みずかちゃんの説明でまた胸を張る神奈ちゃん。 この人、ちょっと偉そうにしてる方が似合ってるみたい。胸を張っている姿がすごく綺麗。 「あゆちゃんも一緒に行こうよ。楽しいものがいっぱいあるよ」 「でも……」 「余もみずかどのからいろいろ伝授されて、さまざまな遊戯ができるようになったぞ」 「神奈ちゃんはちょっと不器用だけどね」 「何を言うか、みずかどのが器用なだけであろ」 「ええ〜?」 この二人、歳も見た目もちぐはぐだけど、すごく息があっててちょっと楽しそう。
「ね?一緒に行こうよ。神奈ちゃんが不器用なんだって教えてあげて」 「みずかどのもしつこいな。余のどこが」 「だっていまだに縄跳びで転んでるじゃない」 「……あれは、しかし」 「あやとりだってすぐ糸が絡まっちゃうし」 「……まあ、人間向き不向きがあるであろ」 くすくす。 おかしいの。どうみても神奈さんのほうが年上なのに、やり取り見てると逆みたい。 「やっと笑ってくれた」 気がつくと、二人ともくすくす笑うボクをおかしそうに見ていた。 「あ、ごめん。神奈さんのことを笑ったんじゃないよ」 「とてもそうは見えなかったのだが」 「あははっ、やっぱそうだよねー」 そしてひとしきり笑うと、いきなりみずかちゃんが真顔になった。 息がかかるくらい顔を近づけて、じっとボクの目を覗き込んでくる。めまいがしそうなぐらい、静かでふしぎな、深い瞳。 なんか……吸い込まれそう…… 「ね。お願い。あゆちゃんならこっちにこれるんだよ。一緒に遊ぼ?」 みずかちゃんの声が、耳じゃなくて直接頭に響いてくる。やっぱり聞いてるとほんとにみずかちゃんの言う通りにしたくなっちゃうような、不思議な声。 変な話だけどその声を聞いて、ああ、ここはやっぱりボクの夢なんだな、って気がした。 「余からも頼む。みずかどのにはからかわれてばかりで閉口しておったのだ」 「またそういうこと言うー」 二人ともすごく仲がよさそうで、とっても楽しそう。 「ボクも一緒に遊びたいな……」 「では」 「そうだよ。遊ぼうよ」 神奈さんもみずかちゃんも、ボクに詰め寄ってせかすけど。 「―――ごめんなさい。ボクはここにいます」
大切な人を見ていたいから。 いつか、本当に出会える日が来るかもしれないから。 ……それが、ボクにとって悲しい結末であっても。 「……」 みずかちゃんはさっきよりもじっと、ボクの目を覗きこんできた。 しばらくそうしてたけど、不意にそっと視線を外す。 「……そう。あなたならひょっとしたら、と思ったんだけど」 「無理強いは出来んな」 神奈さんも残念そう。 「ごめんなさい」 「いいのいいの。無理に誘う気はないから。ね?」 「そうだ。気にする事はない」 二人とも相変わらず笑っていたけど。 なんでだろ、無理してるのがわかっちゃった。 「じゃあ、もう行くね。長居をするとまた誘いたくなっちゃうから」 「邪魔をして悪かったな」 「ううん、一緒に遊べなくて残念だよ」 本心からの言葉だけど、二人には意味がない事もわかってた。 でも、言わないわけにはいかなかった。 みずかちゃんが少し悲しそうにこっちを見たあと、神奈さんのほうに駆け寄っていく。 ぶわっ その瞬間、神奈さんの背中から淡く光る綺麗な羽が生えてきた。 「わ、きれい……」 その姿はまるで天使みたいに綺麗で、ボクは思わず見とれちゃった。 「翼人は夢を紡ぐもの。お主の夢を紡ぐことができて楽しかったぞ」 え……? 「今度こそホントにさよなら。あゆちゃんはもう目が醒めるんだよ。最後のチャンス、と思って誘ったんだけどね」 そう言って二人は、まぶしい光の中に消えていった。
「だからね、もしかしたらボクの三つの願いをかなえてくれる手助けしてくれたのかなあ、って」 「ふーん」 「あ、ひどい。祐一君信じてないでしょ!」 「いやあ、信じるもなにも」 「なんで笑ってるのー!?」 そう。 いまでもきっと二人は、からかったり怒ったりしてるんだと思う。 秋子さんと名雪さんと栞ちゃんと。 みんなと一緒にいられるのは、もしかしたら寂しがりやのあの二人のおかげなのかな、って思う。 元気でね、って言うのはおかしいかもしれないけど、ごめんなさい、って言うのもへんだよね。 だからさようなら。 もしまた会えたら、その時は、みんなと一緒に遊ぼうね。
以上です。 眠い…… 毎月こんなことやってるここの人達に乾杯。
今から投稿します。 タイトルは『少女は夢の欠片を抱いて泣く』 長さは6レスです。
夢。 夢を見ていた。 まばゆいまでの光にあふれ、 あたたかな空気に包まれ、 やさしい声が響き渡って、 それに応えて、 あなたの笑顔を見つけて、 さりげなく手を振って、 あなたも手を振り返して、 そして、ずっと私のことを見てくれている、 そんな、 ……悲しい夢だった。
──急速に覚醒する意識。 「……」 深層意識という何でも願いが叶う世界で、お姫様を演じていた自分が、日常という現実に連れ戻されていく。 「……」 起きる、という動作は、たいていその世界と現実との差異を感じたときに始まる。 それはまるで、現実においてふと自分の居場所というのを確認するときのように。 「……寒い」 そして今、それを感じた。背中に貼りつくような冷たさが走る。 むっくりと起き、状況を確認する。 たった今、身体を起こした場所は白い台だった。どうやら、ここに寝そべっていたらしい。 そして顔を真正面に向けると、そこには私がいた。 「……あ」 そこで、ようやく全てを理解することができた。 「衣裳、着けたまま寝ちゃったんだ……」 寝ぼけ眼の私の顔と赤と白を基調としたいつもの衣裳が、はっきりとその鏡に写されていた。 それと同時にさっき寒さの原因に気づき、恐る恐る背中を手で触れてみる。 「……やっぱり」 じっとりと湿った感覚が掌を通じてはっきりと分かった。 汗だった。さっきまでの激しい運動でかいた汗が、背中と衣裳をべったりとくっつけていた。 暦の上では春といえ、まだ冬の寒さが強く残るこの季節。特に暖房などをつけていなかったこの控え室で寝てしまえば、 その汗が冷まされ、身体の熱を奪っていくのはごく自然のことだ。 そんな、起きたばかりの気だるさと、この寒さと、衣裳の言い訳を考えなければならないという気の重さを、一息で表現してみる。 「はぁ……」 そしてそんな情けない顔が、やはり鏡には写っていた。 その顔をぼーっと眺めていると、一つのことに気づく。 「アイドル、か……」 そう、私がまだ夢の続きにいるということを。
「夢を見始めたのは……」 そんな言葉を呟いてみる。 あれは幼稚園の頃、ブラウン管に映る綺麗なお姉さんたちの動きに合わせて踊っていたのが始まりだったと思う。 スピーカから流れてくる楽しげな音楽に合わせて、今思い出すと恥ずかしくてしょうがないような旋律で、歌いもしていた。 楽しかった。何も知らずにただ踊っていた私自身も楽しかったし、それを見ていた両親も喜んでくれた。 それを見ることもやっぱり楽しかった。だから、ブラウン管に映し出される世界を眺める回数もだんだんと増えていった。 そしていつしか、ブラウン管の向こう側にあるその世界に惹かれるようになっていた。 それは幼い頃、誰もが夢見ること。そしてその夢も、いつか潰えるものだと誰もが思っている。 でも私は違っていた。その夢を追い続けていた。 あのブラウン管の向こう側、まばゆいまでの光を浴びながら立つステージ。それを夢見て。 頑張った。苦しくなかった、と言えば嘘になる。けど、それが夢に辿り着くまでのステップだと思えば嬉しくも感じた。 ゴールが見えていたから。その先にはきっと私が知らないような素敵な世界が広がっている、そう思っていたから。 そして今、私はここにいる。 あの頃の私が目指していたブラウン管の向こう側の世界、夢の世界。 その世界で、まばゆいまでの光を浴びながらステージに立っている。願い通りの世界。 夢は叶った。 夢は……叶った。 ──トントントン 不意に、ドアをノックする音がした。 「はーい。どなたですか?」 「失礼いたします」 と、礼儀正しい挨拶をしながら入ってきたのは、艶やかな長い黒髪を持つ女性。 弥生さんだった。
「あら、由綺さん」 弥生さんは私を一目見ると、軽く驚いたように声を発した。 「まだ、着替えておられなかったのですね」 「あ、ごめんなさい。ステージから帰ってきて椅子に座ったら、そのまま寝ちゃったみたいで……」 罪悪感からか、言葉尻がどうしても小さくなってしまう。 「そうでしたか。このまま由綺さんを家までお送りする予定だったのですが、無理のようですね」 「あ……」 言葉を詰まらせるしかなかった。 「頑張り過ぎちゃったかな……ステージ」 唐突にそんな言い訳が出てしまう。 弥生さんに言わせれば、その『頑張る』ということが『普通』だ、という答えが帰って来ることが予想できたけれども。 しかし、それは違っていた。 「はい。ここ最近の由綺さんのステージの完成度には目を見張るものがあります。 これは主観的なものばかりではなく、興業収益などにも表われています」 「わぁ、弥生さんにそこまで褒められると嬉しいな」 「いえ、私はあくまで事実のみを述べただけですから」 弥生さんは顔を少しほころばせると、言葉を続けた。 「逆にこれはあくまで私個人の感想ですが、今の由綺さんは非常に美しいと思います」 「もう嫌だな〜弥生さん。『美しい』なんて褒めすぎ」 私は恥ずかしくて、頬を赤らめながらその褒め言葉を否定する。そして、 「そう、まるで何かを振り払おうとするようにステージに打ち込む、その一生懸命な姿を」 「え」 「私、そんな由綺さんが好きですわ」 一瞬の沈黙の後。 「それでは、また三十分後にお迎えにあがります。失礼いたしました」 弥生さんは部屋を出て行った。
「……何か」 心臓の鼓動が速くなる。 「何か、って」 息苦しい。 「……や、くん」 名前。 「とうや、くん」 懐かしい名前。 「冬弥……君」 そして、もう言わないと思った名前。 「……ダメだよ、私」 感情が止まらない。 「あんなこと……言ったけど」 目の前の世界が一瞬の内に滲む。 「私……物分かりのいい……娘に……なれないよ」 激しい嗚咽が伴う。 「もう……一度……会いたいよ」 頭が真っ白になる。 「冬弥……んに……会いたいよ」 ただ言葉だけが出てくる。
「夢……だったの」 願ったものは、 「私……だけじゃ……なくて」 幼いときのままでなく、 「二人の……夢」 いつか交わした約束であり、 「二人の……」 それは、 『でも、がんばれよ。俺、応援するからさ』 『いいよ。……ちょっとつらいかもだけど、でも、二人で夢叶えようよ』 「……うわぁぁぁん」 もう叶わない夢。
>>539 一日はちょっと伸ばせそうにないですね。
申し訳ありません。
その他、延長希望の方はいますか?
5分の4仕上がったが、もうすぐ、会社に出社しなければならない。 無念。
なんの為に徹夜したのやら♪
ただ今をもって、投稿期間を終了させていただきます。
参加された書き手の皆さん、どうもご苦労さまでした。
それでは、これから感想期間に入ります。
投稿された SS について感想、討論などをご自由に行ってください。
期限は 10 月 25 日の午前 8:00 までとさせていただきます。
以下が、今回投稿された作品一覧です。
>>340-342 cannot live without a waffle(茜)
>>345 Here(祐一)
>>350 よくある話で(香里)
>>353-361 ツミナガラ...と彼女は謂ふ(AIR)
>>371-372 Dreams in a pie(かのらじ美汐)
>>375-379 しあわせなゆめ(名雪)
>>383-385 夢の中の感触(祐一)
>>415-433 夢の中の彼(みさき)
>>441-452 夢見るロボット(長瀬源五郎・マルチ)
個人的にこんぺと比較したくなったんで同じ基準で点付けてみた。
いいと思ったものに付けるだけなら別にいいでしょ。
飛びぬけたものはない感じだけど、面白いものはこれ以外にも多かった。
『Dreams in a pie』
>>371-372 8点
ごめん、俺かのらじ美汐大好き。
『夢の中の彼』
>>414-433 8点
長いわりには浩平の印象があんまり無いんだが、
丁寧な描写とストレートなテーマに好感が持てる。
普通にいい話。
『白昼夢』
>>516-537 8点
なんだろう?一人称の本人が存在しない、0人称とでも言うのか、そんな不思議な感覚があった。
ぬいぐるみって事で解決するのも作品としてまとまりがあるが、
ネタバレしないままでも変な感覚が残って面白かったんじゃないかな。
アイディア賞で。
『沈黙を暴くために』
>>541-553 8点
舞がカコイイ。
祐一が栞辺りとくっついたバージョンなのかな。
オチはちょっと狙いすぎな気がしないでもないけど。
お題とあんまり関係無いのは残念だが、普通のSSとしてなら文句無しに楽しめた。
589 :
辛口批評 :02/10/19 10:13 ID:c/iTPKzR
毎度お疲れさまです、出品者の方々。 今回は作品が発表された順に読み、その都度評価を与えた物をつらねてみた。 というわけでも批評の真似事を。判断基準は以下の通り。 ●文:基本的な文章力。 ●構:作品内における構成力。 ●描:登場人物の描写に違和感がない(不条理系は逸脱してもある程度OK)か、 個性をとらえているか。 ●感:読中か後、感情(感性)に訴えかけるものがあるか。 ●テ:深いテーマ性があるかどうか。理性に訴えかけるな何かがあるか。 ●総合:総合点。 なお、『感』か『テ』は、どちらかの評価が高ければ総合でも高得点とした。 ここでいうテーマは、このスレにおいて掲げられている『テーマ』とは意味を異とする。 無論、このスレでの意味のテーマに深く関わっているかどうかは総合評価に影響する。
590 :
辛口批評 :02/10/19 10:16 ID:c/iTPKzR
○「cannot live without a waffle」 文:5 構成:6 描:6 感:5 テ:5 総合:5 微妙に不条理な茜の願望を含んだ夢。それは微妙に楽しんだ気がするんだけど、 それ以上でもそれ以下でもない感じだった。 取り立てて悪いところはないんだけどねぇ……。 ○『Here』 文:5 構成:5 描:5 感:5 テ:5 総合:4 そういうこともあろう、と思う以上に何も無し。 1レスならではのピリッと利いたアクセントが欲しい。 ○『よくある話で』 測定不可 総合:4? なんか歌みたいな構成なんだが……。 内容的には、タイトルのように『よくある話』で、だから面白味に欠ける。 作者さんのやりたかったこととは何か、読みとれず。 ○『ツミナガラ...と彼女は謂ふ』 文:7 構成:7 描:7 感:6 テ:6 総合:7 ……ふむ。最初は只のギャグかと思い、やがて只のエロかと思わされ、 最終的には思索的なところで落とすという趣向。こういう構成ってのは、 どう評価して良いのやら。とりあえずプラス面に評価してみたが。
591 :
辛口批評 :02/10/19 10:18 ID:c/iTPKzR
○『Dreams in a pie』 総合:6 ……いや、7かな? 評者はかのらじ聞いてませんので……。 こういうノリなの? とりあえず、 楽しんだことは楽しみました、この作品。 何も考えずに読めるノリの良さは好評価。 ○『しあわせなゆめ』 文:7 構成:8 描:7 感:7 テ:6 総合:8 ネタ的には今やそれほど珍しくなくなった名雪ダーク物。 ただし、観念的な物が多かった中、比較的細かいところまで描かれており、 かつ、綺麗にまとめているところを評価。 ダーク物ではそのまま相手を殺す ところまで行ってしまうタイプが目立つ名雪だけに、対象を祐一にしたのもまた、 一つの評価点かも。 (ん? 男を対象にすること自体は珍しいシナリオじゃないって? それもそうかもしれないけどねぇ……) ○『夢の中の感触』 文:6 構成:5 描:6 感:4 テ:4 総合:5 中途半端にギャグっぽくする必要はなかったんじゃないかと。特に3レス目のオチが。 1→2の流れは次を期待させる物があっただけに肩すかし気味。 ○『夢の中の彼』 文:8 構成:8 描:8 感:8 テ:7 総合:8 19レスということで身構えてしまったが、実際はそれほどでもなかった。 ネットでの公開ということを考慮した改行多用パターンだったせいもあるが、 実際読みやすかったこともあるだろう。 欠点は特に感じられない。変わりに、突出した良さもあまり感じないのだが、 全体レベルが高いので一押しの作品になるか。
592 :
辛口批評 :02/10/19 10:20 ID:c/iTPKzR
○『夢見るロボット』 文:7 構成:8 描:7 感:8 テ:8 総合:8 結婚式の夢を見るマルチ、かぁ……。そのビジョンもさながら、長瀬をはじめとする 研究所員がそれなりに生き生きと描かれてるのが良いかも。物語自体には大きなイベントが あるわけではないが、扱われるテーマは永遠の命題であり、それ故の興味深さを醸し出している。 ……ところで、『夢の中の彼』と同じ作者さんかな、これ? ○『残光』 文:8 構成:7 描:8 感:7 テ:7 総合:8 しかし、カレー好きで目の不自由な人にとっては確かに厳しいな、あの二択は。 ……最初、このセンテンスの指す意味が分からず、また、ダウナーな雰囲気が漂う 本筋に対して浮いてるのではないかと考えた。 しかし、読み終えてみるとこのセンテンスは非常に効果的だったと思う。 みさき先輩という個性を描く上では。 残念なのは、みさき先輩の思考が観念的すぎて、評者にはいまいち理解しにくかったこと。 特に、結論と言うべき辺りがどうにも煙に巻かれたような感じで、据わりが悪い。 とはいえ、その辺りは評者の理解力不足であるとも考えられ、そこは反省せざるを得ない。 ○『夢の奥に潜むもの』 文:6 構成:7 描:6 感:6 テ:7 総合:7 ……三点リーダとかに突っ込みを入れたいな。 全体の印象はよさげ。質も低くないし、むしろ上手く離着陸させていると思う。 キャラクター描写にしても全体的には高いと思う。『長瀬の話は、どうも脇道に逸れがちだ。』の流れとかは小技が利いてると思ったかな。 けど、『〜経験を積んだ『ロボット』はいない。〜中略〜『持ち主』である藤田さんの〜』という辺りの表現に疑問を感じた。 娘のように感じているマルチをさしていう言葉としては不適当なんじゃないかな、と。でも、彼もアレで科学者だからねぇ。こういう部分での割り切りはしっかりしてるんだろうか、とか。
593 :
辛口批評 :02/10/19 10:22 ID:c/iTPKzR
○『目覚め』 文:5 構成:5 描:6 感:5 テ:5 総合:5 全体としてみるにショートシチュとしてはこんな物なんだろうなぁ、と思いつつ、 真新しさに欠ける。可も不可もない作品。あと三点リーダ。 ○『白昼夢』 文:7 構成:8 描:7 感:7 テ:6 総合:8 読んでて、展開予想が二転三転した。 最初読み始めてすぐ、『ああ、どうせこういう筋立てね?』、で、少しして、 『ああ、こっちのパターンだったのか』と思ったら、実は○○でした、と。 素直に興味深い内容だったといおう。 ○『沈黙を暴くために』 文:8 構成:9 描:8 感:8 テ:7 総合:9 キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━ッ!! 久瀬をこんなに良い奴にして良いのかなんて、ジョークの突っ込みを入れる以外、 文句の付け所はない。総合10にしようかとも思ったのだが、 これは、もっと凄いのが来たときのために取っておきたい。
594 :
辛口批評 :02/10/19 10:25 ID:c/iTPKzR
○『電波のススメ』 文:7 構成:6 描:7 感:5 テ:7 総合:6 途中まで読んで、加奈子の不遜さに気分の悪い物を感じていた。 それも、月島拓也によって断罪され、新しい人間関係に進む辺りで納得した。 ……のだが。前後の講釈はいまいち功を奏していなかったように思う。 加奈子の操作された夢を現実にしてしまった方が、個人的にはすっきりする。 或いは、前後の講釈をもう少しひねりが利いた物にするとか。 特に最後の講釈に関しては首を捻らざるを得ない。その為、全体を見回すには 総合7は付けても良いか、とも思ったものを、あえて6にしてみた。 ○『誘い』 文:7 構成:7 描:7 感:7 テ:5 総合:7 へぇ。ってのが、第一声かな。面白いアプローチをしてくるもんだ、と。 そこが何よりの売りかな。
595 :
辛口批評 :02/10/19 10:28 ID:c/iTPKzR
○『少女は夢の欠片を抱いて泣く』 文:7 構成:8 描:8 感:7 テ:6 総合:7 そういえば、あまり見ないなと思った。 冬弥視点によるBADEND的な物はよく見るが、由綺視点のものは意外と無い。 また、ゆったりとした前半から、畳みかけるように由綺が激情に襲われるラストの流れも良い。 実は、8点付けるか、7点付けるか迷ったのだが、以下の文章から減点してみた。 >「逆にこれはあくまで私個人の感想ですが、今の由綺さんは非常に美しいと思います」 >「そう、まるで何かを振り払おうとするようにステージに打ち込む、その一生懸命な姿を」 >「私、そんな由綺さんが好きですわ」 この文が入ることで一気にラストへの流れが作られるので、ここが肝でもあるのだが、 由綺が振り払おうとする何かを知らぬ弥生でもあるまいに、彼女が傷つくような言葉を 迂闊にも口にしているな、と。 或いは、この場にいない冬弥への勝利宣言なのか、或いは、成功ぶりを含めた由綺に心酔し、 思ったことをそのまま口にしてしまったのか、いずれにせよ、弥生にしては由綺への配慮が 欠けているともとれる。 もっとも、そんなことにまで気を利かせられるような人間、現実にはいやしないと思うが。 ……難癖付けてるけど、この作品は好きだな。
596 :
辛口批評 :02/10/19 10:28 ID:c/iTPKzR
さて、今回分の個人的審査結果発表。 優秀賞『沈黙を暴くために』 (頭一つ抜けていたと思う) 2位『白昼夢』 (評中の採点では際だった物を与えなかったが、完成度の高さは充分) 3位『残光』 (上位にするか下にするか迷ったところではあるが、上手いのは確か) 次点は、数が多いのでパス。 『沈黙を暴くために』以外はかなり拮抗した作品が2位以下を争っていた感有り。 ただし、1位とに2位の差は意外と大きかった。今回も粒ぞろいであったと思うが、 今回あまり感じることの出来なかったさらなる驚きや感動を、次回に期待する。
( ´∀`)< 余計な御世話かも知れないが、辛口批評氏はテンプレ文の「理性に訴えかけるな何かがあるか」は直した方がいいと思う。 ( ゚д゚)訴えかけるな! Σ( ̄□ ̄;)そんな!! ごめんなさい。いつも感想ありがたく拝聴してます。
>「しあわせなゆめ」 どこまでが夢で、どこからが現実なんだろう。 ラストも夢のなか、と言いつつ実は現実で……って読めるし。 うーむ。わざと考えさせるように創ったのかな…… >「沈黙を暴くために」 似たようなネタをどこかで見た気はするが……非常に面白かった。 久瀬が良いねー。
メンテしておこう……
もいっちょメンテ
メンテばっかしないで意見書けよう〜。 つっても随分長い間このスレから離れてた身なんだが。 ので、とりあえず辛口批評さんが薦めてたやつだけ見てみた。 「沈黙を暴くために」 久瀬のキャラが良く生きたSSだったとは思うけど、 冒頭の入り方とか文章が瑣末で読み進む気にならなかった。 自分は長いSSはあんまり読む気がしないので、最初に躓くと一気に萎える。 例えば「彼女はなにも〜」っていうあの書き出しだと、 沈黙を持って答えの代わりにしているという態度が感じ取りにくい。 ――なにも言うことはない―― とか区切った方が見栄えするんじゃないかなと思った。 文体にケチつけるのはSSの内容評価と違うかもしれないけど、 入りにくいとそれだけで点数下げちゃうわ。 他の作品見てないから何とも言えないけど過大評価だと思いました。10点満点で6点くらいじゃね? 追って他の作品も見てみま。
感想の感想は、総括に廻した方がいいような。 それに、人の感想を追って読んじゃうと、ただ人が誉めているから、というだけで 否定的になったりあるいはヘンに肯定的になったりしがち。 人は気にせず、我が道をいって頂きたいものです。
【告知】
現在、葉鍵的 SS コンペスレは投稿期間を終え、感想期間に入っています。
投稿された作品の一覧
>>586 となっています。
目に留まった作品だけでもいいので、よろしければ何か書き込んでください。
あなたの一言が、未来の SS 職人を育てるかもしれませんYO!
604 :
名無しさん :02/10/21 00:20 ID:2B4kAwtL
605 :
599 :02/10/21 04:30 ID:4f7Ezv3N
昨日のは500越えていたので圧縮対策だったんだが。まぁ、とりあえず一部感想書けたんで書いとこう。
しかし評価なんて人それぞれなんだから、過大評価、というのはどう考えても筋違いだと思う。
自分の思った点を付ければいいだろう。
てなわけで感想だが……あらかじめ言っとく。人によってはかなりきついこと書いた。
>>340-342 cannot live without a waffle(茜)
茜の妄想・夢落ちかぁ。普通の話だなぁ。
作者が伝えたいことがなにか分からない。ただマターリしたものを書きたかった、だけでは。
それに今回のコンペ始まる前に、夢落ちは減点って思ってたから、この内容じゃちと辛いわ。
茜の日記読んでるんじゃないんだから。
>>345 Here(祐一)
真琴の夢を見たからなんなのだろう。美汐を見たからどう思ったのだろう。
夢をきっかけに、現実をきっかけに、祐一がどう変わっていくのかが掴めない。
なにを感じたのかもまるで描写されてないから???だけが残ってしまった。
>>350 よくある話で(香里)
夢落ちと並んで減点材料候補に決めていたのがこの出だし。げんに今回3つの作品で見つかった。
今回のテーマにおいてあまりにも使いやすいこのフレーズは、安易に使うだけではまたかと思わせてしまうだけ。
Kanonらしさを出すのにはいいのかもしれないけれど。んで内容。
香里×祐一という位置づけなのかな? それを前提にしても、他人に安易に頼るひどく後ろ向きな香里が、彼女らしく思えない。
また奇跡を否定した香里が、祐一なら大丈夫、なんて思うのも違和感。夢もそんなに関係ないのが痛い。
ああ、あと。タイトルだめ。中身と関係なしに、自虐的なタイトルつけて逃げない。
606 :
599 :02/10/21 04:31 ID:4f7Ezv3N
>>353-361 ツミナガラ...と彼女は謂ふ(AIR)
ちょっと面白い。いい意味で変なものを書くセンスがあるかも。ただ文章力はまだまだで、流れも時々不自然。
みちるの夢の時、水を飲んでから礼を言い、後ずさったので腹が立ち、その後なぜか落ち着く。大丈夫か国崎?w
タイトルもなんかいいと思うんだけど、内容の絡め方がもうちょっと。
みちるのセリフは無理矢理感があるし、タイトルに持ってくるなら本文中に三回は欲しい……と思うのは欲張りか。
おそらく聖も夢の一部なんだろうが、それにしては察しがいい。さて、聖は国崎往人の心のどこが描いた夢なのか。
作品全体の統一感も薄いか。ギャグなのかダークなのかシリアスなのか。でも読後感はいいね。
>>371-372 Dreams in a pie(かのらじ美汐)
かのらじは知らないし、地の文もなくて評価はしづらいけど、妄想入った美汐のらしさがこの作品の魅力なんだろうな。
思わせぶりなところと祐一とのすれ違いっぷり、真琴への牽制などが楽しい。
高い得点はあげられないけど、なんだかにやけてしまう作品でした。
>>375-379 しあわせなゆめ(名雪)
夢に逃げる名雪。現実の描写は病的でかなりいい。でも夢の中ではどんな幸せを描いているんだろう?
その落差と、そこから来る負の感情があれば、もっと怖さが増したと思う。
誰と結ばれたか書かれてないけど(おそらくあゆだと思うのだが)たまには名雪と帰ってやれって、ひどいセリフだな(;´Д`)
目の前で言ったら即、刺されてもおかしくないセリフだ。そんな殺伐さが(略
でもここまで書いたんだったら、祐一に直接手をかける、くらいのところまで書いた方が凄味があったかな。
殺すまで、ではなく首に手をかけるとか、首に刃物を当てるとか。
それで目を覚まし引きつる祐一に、最高の笑顔を見せたりしたら、面白かったと思う。
607 :
599 :02/10/21 04:32 ID:4f7Ezv3N
>>383-385 夢の中の感触(祐一)
タイトルの挟み方がKanonSSコンペの流行りっぽい(w いや、全然関係ないけどね。
妙に童話めいた印象を受けると思ったら、ひらがな含有率が高いのだな。まぁ作風として理解。
しかし名雪はなにをやっているのか(w 語られていたのは祐一の夢の中だったが、名雪と祐一が結ばれたのは事実だよな。多分。
イチゴサンデー3つのために、その相手の大事な部分を危険にさらすとは……(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
展開は無茶苦茶だし、いい話でもないんだけど(失礼)なんか微妙に笑える変な作品。評価が難しいね。
>>415-433 夢の中の彼(みさき)
文章綺麗だな。みさき先輩のもどかしさが伝わってくるね。うん、うまいと思う。
時々かます、みさき先輩のギャグのような本音も楽しい。ラブラブとかミイラとか。
んでも細かい流れとか、気になるところはある。たとえば浩平に食べさせてもらったのはなんだったのだろうとか。
おそらくはカレーであるのだろうけど、目の見えない人ならまず匂いが流れ込んでくるだろうし。
構成上仕方ないのかも知れないけれど、包帯取ってもすぐに見えるとは思えない……とか。これはさすがにちと野暮か。
ただ(3/19)の「はっはっは」は削った方が。そのあとに「笑っていると確信していた」といわれても。
あと最後の行……助詞、間違ってるよね。最後の最後で残念なり。
ただそういうのが些細な問題として片付けられる、いい話でした。うむ。
続きはまた今度に。お節介な感想ですまん。
>お節介な感想 んにゃ。 非常にありがたいですよー♪
どうでもいいが馴れ合いはよしとくれ。
>609 ん? 俺のこと? 今回、作品出してもいないし、まだ感想を書いてもいない人間なんだが。 どのへんが馴れ合いになってるのかな? 単純に感想書いてくれてるという事実に対して感謝したつもりだったんだけど……
>>610 一人感想書く度にいちいち感謝するつもりじゃあるまいな?
どこが馴れ合いかも分からないんじゃ重症だよ。
>>611 お礼の言葉が出る度にいちいち「馴れ合いうぜぇ」とか言うつもりじゃあるまいな?
たかがお礼如きも見過ごせずに「馴れ合いじゃー馴れ合いじゃー」とぶーたれるようじゃ重体だね。
あー、馬鹿みたいな争いになりそうなので俺は消えたほうが良さそうだね。 ……ただ、SS書きが感想書きに感謝することが悪いなどとは、決して思えないんだけど。 馴れ合い、というのが感謝を言葉にすることだと言うのなら、馴れ合いでも俺は構わないので。 じゃあ、ばいばい。
あー感想かけねー。 やる気でろ〜。
例えば、他の感想書きに対して失礼な礼だったとは思わんのか? 目的が正しければ行いも正しいとでも思ってるのか?
>>615 何を言ってるのやらさっぱり。
つか、釣られるのは俺まででSTOP。
>「よくある話で」 正直、感動した。 フキダシの有無から使いにくい手法だと思ってただけに驚き。 SSの中ではキワモノと言わざるを得ないし、内容も当たり障りなく、 もっと見事な作品ができそうな気もするのだが、それでも上手い。 最優秀には選べないけど、審査員特別賞を差し上げたい。勝手に。 >残光 これもそうなのかと思ったけど違った。 右左をきっちり合わせる文章表示は、単行本や文庫ならともかく、 webじゃ見難いだけだからやめた方がいいと思う。 …んで。思考を表すには文章量が少なすぎる。例えばこの文章。 「実際のところ誰もが大差のない不確かさの中で生きている、ということは私にも納得できる。」 俺はできない。読み手が納得できるような理由を綴ってくれないで、 概念だけ語られても支離滅裂で分かりにくいだけ。説明にあと3倍は文章が欲しかった。 目が見えないみさきが、夢から色が抜け落ちていく事に対して不安を覚えるのは分かるが、 それを表現する文章としては、遠回りで分かりにくい。カレー関係ないし。 そして何より、主観が誰のものなのか判断する材料が序盤に少なすぎる。 カレーがその役割を果たしてるとは思えど、いささか強引過ぎだと感じたし。 >夢の奥にひそむもの 細かい添削はあれど今回の作品の中じゃ一番好き。 セリオの内面描写が、不快を感じさせるにはいまいち足りなかった事と、 SSの後半あたりから文章がおざなりになってる感があった事が不満。 文の読みやすさは郡を抜いてる。 つーか、これら以外の作品は、文が下手で序盤に読む気が失せたのでどうでもいい。 残光の作者に今後期待します。
釣られないでいるからこのスレ流行んないんじゃないの?
設立当初からいて、感想サイクルが身についてるメンバーならともかく、
レスについて反射的にレスを返して、内容の意図を汲み取っていくのは
こういうスレでは自然な事だと思うんだがね。
少なくとも ◆28qsaJNT.c さんが惑わない限りは、
どれだけ荒れようが元通り落ち着く、一本線が通ったスレだと思うし。
>>615 RR
>>617 やべえ!『よくある話で』は、そのレス見なかったら
狙いに気付かなかったよ!
タイトルも歌詞のなかに出てくるね。
また大失敗やらかすところだった(w
>>618 日本語がよく分からんな。
このスレの感想サイクル(感想期間は感想だけを書く)が、
こういうスレにとっては不自然だという事か?
よくある話で は、トレーニングルームでこの分野頑張ってるあの人の作品かな?そうだったら、レベルアップしてると思います。頑張って下さい。
622 :
メンテ :02/10/22 17:37 ID:8OxFP8ZY
シ○ジ「夢……って何?」 レイ「振り向かないことさ」 シ○ジ「現実って何?」 レイ「ためらわないことさ」
>621 だ〜か〜ら〜 感想期間中に作者の予想はダメだってばw ママーリ統括期間まで待ちませう。
ギャバソ
くっ、タテ読みとは…
626 :
名無しさんだよもん :02/10/23 18:57 ID:S4aLdhe0
今回の感想、スローペースだな。 ・・・・・・ところで、『よくある話で』の狙いって? その辺の話題は感想期間終了後かな。
627 :
名無しさんだよもん :02/10/23 19:18 ID:KkH58n+T
これから5レスほど感想書きます。 雰囲気、ネタ、展開を重視の傾向で。
「cannot live without a waffle」
>>340-342 ひたすら甘〜いお話。ワッフルがいかにも美味しそうで、食欲が刺激されます。
どこか幸せボケしている茜の描写も微笑ましくて、キャラを良く知らない私でも楽しく
読むことができました。喜びや幸せというプラス面に徹した描写がうまくはまっている
と思います。
ところどころに仕込まれている「美味しんぼ」や「長嶋監督」といった小ネタは、
人によって好みが分かれるでしょうが、私には別に気になりませんでしたし、「浩平が
変態です〜」の一文にも笑わせてもらいました。終始ほのぼのした雰囲気の中で、これら
の小ネタがいいアクセントになっていたと思います。
ただ、技術的な面で言うと拙さは隠せないかなあ。たぶん他の人にも指摘されるでしょ
うが、シチュを繋げただけで展開に必然性がないとか、夢オチのくせに安易にまとめすぎ
とか、文章が淡々としすぎて盛り上がりに欠けるとか……ですね。
特に気になったのはタイトルにもなっているワッフルが、最初のほうでしか活躍してい
ない点。とても美味しそうに書けているだけにもったいない気がします。お姫様抱っこの
話ともいまいち関係が薄いし、かと思えばいきなりラストの締めに使われているし、これ
はあまり上手い使い方とは言えないでしょう。ワッフルの話ならワッフル中心でまとめた
方が良かったかと思います。
でも、そういう欠点はあるものの、何度読んでも無条件で幸せな気持ちになれそうな、
いい雰囲気を持ったSS。個人的には好評価したいです。
「Here」
>>345 淡々と思いの丈を書き流すのはいいけれど、どこにもひっかからないまま流れていって
しまったという感じを受けます。ストーリーとしては一応筋が通っているし、文章も一文
一文には工夫があって悪くない。ただ、引っ掛かりどころがないんですよ。作者さんの側
から訴えかけてくるテーマもないし、読み手が舞台裏を想像するにも材料が少なすぎて不
可能。結局残るものは、ひどく悪い言い方をすれば、単なる事実の羅列、ということにな
ってしまいます。
美汐に何も言えなかった昨日と何かをいう気になった今日との対比は、もう少し工夫し
て欲しかったところです。ラスト一文だけでは何と何が対比されているのかさっぱり。美
汐も何を考えているのかいまいち掴みかねるし、祐一の感情の変化に至っては、少しだけ
前向きになったのかな?という程度しか推測のしようがなかったです。
「良くある話で」
>>350 いくらなんでもこれは無茶でしょう……。よくがんばりましたね、とは言えるけれど、
内容的な面ではとにかく不足。正直、どう評価すればいいのやら……。
本編の舞台裏なのかな? 香里の動機説明としては、ありきたりのエピソードを並べた
という感じで説得力に欠ける気がします。特に、なぜ彼なのか。という理由が触れられて
いないのは弱い。栞の彼氏だから?親友の居候だから?何故北川ではダメなの(w?
タイトルも良く分からないなあ……。「夢の中へ〜」というフレーズ(確か何かの歌の
一部ですよね)も内容とあまり関係ない感じ。……とまあ、こんなことを書いてもこのSS
の当を得た感想にはなっていないと思うのでもう止めましょう。
私的結論。技術に溺れて本質を見失ったSS、と。SSコンペなのだからSSの面白さで
勝負して欲しかったです。
あ、あと英語部分の誤字、クライマックスなだけに気になりました。
「ツミナガラ...と彼女は謂ふ」
>>353-361 タイトルがちょっとずれているような気がしますが、内容は興味ぶかかったです。
ストーリー自体いかにも夢らしく不条理全開なんだけれど、適度にこなれない
(誉め言葉です)文章がそれによく合っているというか、なんとも不思議な読感
がしました。私にとっては決して楽しいというものではなかったのだけれど、不思議、
新鮮、気持ち悪い、と、読んだだけの手応えを与えてくれました。たぶん内容に力が
あるからだろうし、その点は素直に好評価したいと思います。
サブキャラを中心に話を組み立てたのは意図的なものでしょうか? 罪悪感が悪夢の
原因だと言わせている割には、メインキャラに対しての罪悪感をなぜサブキャラが代弁
するのか?と不思議に思ったり。私の読み方が浅いのかな…。
一風変わった構成も面白い。全体を通じての統一感というものはあまり感じないけ
れど、一つのテーマが次々と形を変えていく。最初にギャグ、続いてエロ、最後にシリアス
とそれぞれ異なる題材を悪夢というテーマで確かな一本の流れにまとめあげられている、
例えて言うならばグレゴリオ聖歌のような(この例えで伝わるかな…)、そういう面白みが
あると思います。はっきりと決着をつけてしまうのではなく、まだまだ先へ続く流れを想像
させる形のラストシーンもぴったりです。
ただ逆にいえば、流れの中にこれといった盛り上がりどころがないわけで、そこが弱点かも
しれません。最後の聖さんのセリフは、もう少し内面を抉るようなものであってもよかった
気がします。今のままでも奥が深いセリフだけれど、ちょっと抽象的すぎるのかインパクトが
弱いのが残念でした。
「Dreams in a pie」
>>371-372 かのらじってなんだろう、と考える。検索をかけるもいまいち要領を得ない。
察するにかのんらじおどらま? そこでの美汐がこういうノリだということでいいの
でしょうか。
で、内容ですが、とにかく面白かったです。会話文だけのSSというのは登場人物の
描きわけが難しいものだけれど、これは3者ともよく持ち味を出せていると思います。
真琴と美汐もかわいく描けているし、祐一のヘタレっぷりも味があります。地の文が
一切ないのも適度なスピード感を演出していていいんじゃないかな。
ネタの料理がまた上手いですね。前半二人で静かにネタを振り、後半真琴を投入して
一気に盛り上げる、と。美汐が言いにくいことを真琴に言わせたり、真琴と対立させる
形で美汐の心情を想像させてみたり、本当に良く考えられていると思います。ラストの
思わせぶりなセリフも、いかにも美汐らしい回りくどい言い方で、否応なしに想像力が
掻き立てられますね。この後の展開が目に見えるようで、広がりをもったいいラスト。
なんかベタ誉めになってしまったのですが、それだけツボにはまったSSでした。と
にかく、この短さの中に萌えと笑いと世界の広がりをまとめきった力量は見事です。改
めて読み返してみても、無駄な文章というものがほとんどないんですよね。いや、素晴
らしい。
以上、一旦ここで切ります。長文失礼いたしました。 急いで書いたので、ところどころの文の乱れはご容赦。 残りの感想はまた後日と思うのですが、明日から数日出張ゆえ、 どうしても感想期間内には間に合わないです。 今週は妙に忙しくて、投稿されたSSもまだ全部読みきっていない 状況なので最優秀推薦も今回はパスということで1つよろしく。m(_ _)m でも、ここまで読んだ限りの印象では、結構練りこまれたSSが多いと思いました。 残りを読むのが楽しみです。
634 :
599 :02/10/23 23:29 ID:wanPLXD/
>>626 >>625 俺も気づかなかったわ。良くやったとは思うけど、このスレの趣旨と違うから、俺の評価は前回通りで。
ずいぶんと間を空けてしまってすまなかったが、後半部分の感想いきます。相変わらず誉め言葉少ないです。
>>441-452 夢見るロボット(長瀬源五郎・マルチ)
マルチの第一声が脱字なのは残念。それと頭部に敷かれている枕、を上に載せている……? 謎な情景だ。
感情がプログラムでできるものではない、には同意だが、そのことをなぜ当の研究員が知らないのだろう。
あげくにデータを取って映像は見てない……謎だ。映像を見て、長瀬主任と共に眺める方が情景として良かったような。
この研究員、このSSでは長瀬主任と並んで主役格のはずですが、隙が多すぎで気になります。
さて本題。マルチの見る夢はごくありきたりで、これだけの長さにしては意外性もなにもなく、
蘊蓄が多い割にはメリハリの利かない構成が、冗長に感じる原因なんだろう。
これはすごい、と研究員が何度も叫んでいるけど、でもこのマルチ、すでにほぼ人間と同じメンタリティを持っているよね。
だからなにがすごいのか伝わってこない。このマルチならいくらでも夢ぐらい見てそうです。
開発段階ならもっと完成されていないマルチを出して、徐々に生まれてきた夢を語っていく方がいい。あるいはセリオか。
タイトル安直、減点。マルチ・セリオ系の話が出てくるのは予想内だっただけに、タイトルも内容も一工夫欲しかった。
作られし心というテーマは俺も思うところがあるので、突っ込み厳しくなりました。すまん。
……実はこれでもこの倍ほど感想書いて削ってたり。
635 :
599 :02/10/23 23:30 ID:wanPLXD/
>>482-484 残光(?)
みさき先輩にしてみれば深刻な悩みだろう。が、もっと他にいい例えはなかったものか。いきなりイメージ悪い。
色や姿というものは、目が見える俺でも昔っから疑いの対象だったので、みさき先輩の気持ちは良く分かる。
俺の場合は目に見えているものが、全て間違った情報だったら、という空想だったんだけど。俺は子供の頃から変だったのだな。
ましてや一度知っていたものが、少しずつ薄れていき、確認できないと言うのは恐ろしいだろうな。
そういうのはうまく書けている。「あんまりお腹が空いて〜」のくだりもいい。
だけど夢の絡め方が強引かな。最後のオチがあまりにも唐突で、読者が置いてきぼり。
なにを見たのか分からないから、そこで泣かれても戸惑うばかり。夢の中で空を見たシーンを描いた方が良かったのでは?
>>489-509 夢の奥にひそむもの(マルチ・セリオ)
この話は、水無月氏のHPで一時公開され、なぜか即削除されたセリオのCPU設定を使っているのかな?
しかし「頑張りますっ!」といわれてしまうと脳内で葵ちゃんの声に変換されてしまう罠(w すまん。
綺麗にまとまっている話だと思うんだけど、あれを引き合いに出すと一気に萎えてしまうのは俺がセリオ萌え故か。
でもシリアスなのに、苦笑いか憤りか、そんな二択を迫るようなものを出さなくてもいいだろうに。
残光と一緒でわざわざ嫌な後味を作品に残してしまっているような。俺が潔癖すぎるのかねぇ……。
でも、そのショッキングな映像は、マルチの口から語らせるのではなく、これこそ直接描写するべきだった。
その方がインパクトが強いのでは。ただそうなると、やや冗長な展開がさらに遅くなってしまうので、逆に前の方を縮めるべきか。
あと話が切れてしまう印象があるから、場面転換の時でも一行空白でもいい……と、俺は思う。
ともかく長瀬主任、万が一に備えてマルチのメモリーバックアップくらいは取って置いて欲しいものです。
最後はほのぼのでいいね。
>>512-513 目覚め(名雪)
なんつーか、これも普通の話。毎日繰り返している変化のない日々の、一日だけを切り取ったような。
ほのぼのはするんだけど、ただそれだけで……俺のようなダメ出し型の人間は、どう評価すればいいのか困ります。
636 :
599 :02/10/23 23:31 ID:wanPLXD/
>>516-537 白昼夢(浩平)
面白い切り口だね。瑞佳の中の疑似人格としての浩平の視点。その正体はバニ山バニ夫!
……って長森、いつも持ち歩いてたんかいw 長森と浩平のやり取りも自然で楽しい。
さながらガラスの桟を指で拭う姑のように目を凝らしてみたが、突っ込むところがほとんどないな……ちっw
ちと最後が恥ずかしいが、素直に楽しめた。今回の最優秀作品にはこれを推す。
>>541-553 沈黙を暴くために(久瀬・舞)
久瀬×舞の話にも関わらず、佐祐理さんがほとんど蚊帳の外というのは結構異色かも知れない。俺の経験値が低いだけか?
しかし何度聞いても生徒会長が生徒の退学に関わるというのはおかしな話だ。作者の責任じゃないけどw
ちと繰り返しの文章が鬱陶しいし、ほとんど改行がないせいで、見づらいのはもったいないな。
でもアクションシーンの爽快さはいい感じ。舞が格好イイ(・∀・)!
ただ黙り続けてきた舞が、急に久瀬に話しかけたのはどうだろう?
見られてしまったから開き直った……というにしても、唐突だな。
あとテーマである夢の関わりが弱いのもマイナス。最後のセリフはお約束だがいいね。
急に久瀬がいいヤツになった気もするが、潜在的に惚れていたようなので、これもまたよしか。
>>556-565 電波のススメ(香奈子)
なんつーか、何ともやりきれない話ですな。ちょいと太田さんがDQN気味で鬱。
本編内でほとんど語られていないので何とも言えないが、この二人の関係はこんなものだろうか?
太田さんにとっても瑞穂はかけがえのない友達で、もっと強い信頼で結ばれていると思う。
瑞穂も情けない自分を演じることもないと思うけどな。もともとそういう自分の弱さを忌避しているのだから。
ここら辺の二人のキャラクターに対する印象のズレのせいで、話の流れにも違和感を憶えてしまう。
月島の指摘もそのずれた部分が前提になっているから、なんだか納得いかないんだよなぁ。解釈の違いかも知れないが。
で、このリハビリはどこまでいったら終わりなのだろうか。
屋上の扉を開くこと自体が現実への復帰で、その先に現実の瑞穂が待っている、という方が納得いったかな。
あと文頭が凸凹で読みづらい……。いや、やりたいことは分かるけど、全部頭に空白でいいのでは。じゃなけりゃ完全に繋げるか。
637 :
599 :02/10/23 23:33 ID:wanPLXD/
>>568-573 誘い(あゆ)
うにゅ、例の出だし二作目……。
現実から剥離した鍵キャラ二名のキャスティングは面白い。けどそれ以上のものにも思えない。
彼女らの登場があまりにも唐突で、で、あっさり帰ってしまうせいで、なにをしに来たのか、いまいち弱い。
これならはっきりと、彼女らが現実へ帰る手助けをしたシーンを追加した方がいいね。
あゆの断り方もさくっと答えているせいで、現実への執着が見て取れない。
また、あゆが一人でいた寂しさも見えてない。あゆの掘り下げが弱いんだな。
ずっと一人だったからこそ二人に惹かれる。だけどどうしても帰りたい理由がある。
だから、すごく辛いけど断った。だからこそ、帰ってこれたこの世界が嬉しい。こういったメリハリが欲しかった。
そういう意味では、祐一が誰かと結ばれているのはマイナスだったかも。あゆが帰りたくなる動機が薄くなる。
あと神奈様の語尾に「じゃ」をつけると怒られますので注意を(w
>>575-581 少女は夢の欠片を抱いて泣く(由綺)
例の出だしではあるが、フェイントをかけて由綺のSS。
おそらく狙ったものだろうが、こういう小細工はお兄さん感心しないな(w
ただ由綺の声で読むと、全然印象が違って見えるのは、ある意味効果的だったかも。
短く綺麗にまとまっていて、最後の短文による速い構成も悪くない。
ただ、辛口評価氏も指摘していたけど「まるでなにかを振り払うように」という冬弥を暗示するこのセリフ。
由綺のモチベーションを維持するために体まで売る弥生さんからは、このセリフは出ないでしょう。
きっかけはなんとなく聴いていたテープの下に、昔(デビュー前)二人でふざけて録音していた声が
消えずに残っていて流れてきた、とかでいいのでは。
「……うわぁぁぁん」のセリフも勢いが死んでてちょっと。嗚咽くらいでも十分由綺の気持ちは描写できたと思う。
にしても今回は誰に寝取られたのだろうな……明確に浮気と判明していることから考えて、美咲さんの線が濃厚と見た(w
つーことで、長々と書いてすまないが、感想はこんなところで。苦情は総括期間内に受け付けます。
今回感想が少な目だな……作者の人も、気に入った作品、気になった作品、数本でもいいから書いてほしい。
では。
mente
感想期間は10/25の8:00までです。 感想を書かれる人はお早めに〜
>340-342 『cannot live without a waffle』 それほど目新しいところは無いが、思わず吹き出してしまった >どうしましょう。浩平が変態です。逃げなくては。 をはじめとして、小ネタのジャブを結構効かされてしまった。茜の魅力も 上手く引き出しているし、いい感じのほのぼの系SSに仕上がっていると思う。 >350 『よくある話で』 夢というテーマを、こんな風に使ってくるとは思わなかった。初見時は、邦楽 の歌詞かよ、と突っ込みたくなったが、仕掛けが解ってビックリ。厳しい制約の 中で、読める文章にした努力は評価したいが、残念ながら、肝心の中身の方 へまで手が回らなかったのは片手落ち。 >353-361 『ツミナガラ...と彼女は謂ふ』 どこまでも下へ降りていく、終わりの無いらせん階段のような構造。 ひょっとしたら、国崎は決して底にはたどり着けず、シーシュポスの ような永遠の責苦を味わうのかもしれない。 全体の構造と個々の夢の内容がともに不条理性を帯びており、 夢自体のもつ特徴を上手く捉えていると思う。聖の発言はやや唐突な感じ。
>371-372 『Dreams in a pie』 ようやく、かのらじの無い生活に適応しつつあるところに、クリティカルヒットな 作品が襲来。しかも美汐たん。どうしてくれる!謝罪と賠償は要求しませんが、 次のテーマ『キス』において、かのらじ美汐SSが登場する事を切に希望します。 >375-379 『しあわせなゆめ』 夢かうつつかわからぬ、リドルストーリーのようなラスト。 名雪って、同居人ゆえの苦痛を感じさせないためにあんな性格になったのかな。 もしも名雪が舞や七瀬みたいな性格だったら祐一はとっくに斬られてるね。 >383-385 『夢の中の感触』 一見、夢を見ていると思われた者が起きていて、起きていると思われた 者が夢を見ているという、逆転の手法は上手い。 それにしても、秋子さんは、名雪を使って祐一にジャムを塗りこめて、 一体どうするつもりだったんだか…。まさか謎ジャムに白ジャムなどという (以下自粛)
【告知】
現在、葉鍵的 SS コンペスレは投稿期間を終え、感想期間に入っています。
今回、投稿された作品の一覧
>>586-587 となっています。
感想期間は今日の午前 8:00 までとなっていますので、
まだの方はお早めにお願いします。
・Dreams in a pie 本文も良いのだが何よりタイトルが良い。その手があったか…
>>633 氏のように何らかの事情がある場合には、総括期間内に書き込むのを許可するべきでは?
なんかスルーされているので、そこら辺の公式見解をお願いしたい。
いかん、寝てしまった…。残りの感想を投稿します。 作品も感想もいつもギリギリだ(w >415-433 『夢の中の彼』 夢を手術を受ける動機に結びつけたのは上手い。これだけで テーマ性と、ストーリーの少なくとも導入部はクリアしてしまった。 文章も叙情的で悪くないと思うが、みさきの心理描写に 紙幅を費やしているため、やや冗長な印象を受けた。 中盤以降は展開が予定調和的で、起伏が少ないのが残念。 >441-452 『夢見るロボット』 長瀬源五郎がまた、非常に良い味を出している。 名無し研究員君も只の驚き役ではなく、できれば推測をしたり、読者を 誘導する役割があれば、もっと話にメリハリがついたんじゃないかな。 いくらオチを補強するためとはいえ。映像の中身はバレバレなのに、 それを隠してラストまで引っ張るのはどうかと思う…。 >482-484 『残光』 夢が脳内だけで完結している事象であることに着目して、みさきの 思考だけで完結している構造を持った作品ということなのかな。 見ようによっては、単なる自家薬中毒ではないかとも思える。 独自の作風ではあるが、さすがにこれは抽象的に過ぎるだろう。
>489-509 『夢の奥にひそむもの』 構成や真相はオーソドックスで、先の展開は比較的あたりを つけやすかったが、その手腕は秋子さんの料理の様にすこぶる堅実である。 妹たちの悲劇は救われず、セリオ本人の幸福に限定された結末は残念だが 容易に結論を下せるような命題ではないから仕方あるまい。個人的には ロボット保護する法律が成立して、量産型の救済を示唆して終わって欲しかったけど。 >512-513 『目覚め』 名雪のささやかな幸せを描いている作品だが、いかんせん 直球過ぎる。もうちょっと工夫が無いと苦しい。 >516-537 『白昼夢』 完全に騙されてしまった。フラッシュバックの手法も効果的。 細かなエピソードの詰め込みが煙幕となっている反面、冗長さをも もたらしているのが残念。同傾向の作品『嘘の世界』と比較すると そこらへんが推敲の足らない部分なのかと思う。
>541-553 『沈黙を暴くために』 文章もストーリーの組み立てもまことに手堅い。が、Kanonを プレイしている人間にとっては、魔物も舞もネタが割れているので 先の興味は久瀬が舞との関係においてどうするのか、反目するか 協力するかくらいしかないので、いささか退屈ではあった。 久瀬というキャラクターをここまで魅力的に描いているのは素晴らしい。 >556-565 『電波のススメ』 ホントに会長は改心してるんだろうか、思えるほどの曲者ぶり。 祐介も瑠璃子さんも世俗的な事にはとんと関心が無いので 電波を策略的に用いるには、確かに会長を出すしかあるまい。 しかし、全般的に論理が明快さを欠いているように思え、 どうにも座りが悪い。
>568-573 『誘い』 祐一が他のヒロインとくっついた場合はあゆは復活しないという 原則を破るには、あゆに相当な動機付けが必要だが、この作品には それだけの説得力があるかどうかは微妙。みずかと神奈は実行面での サポートであっても動機面でのそれでは無いように思える。 全体的に練り込みが不足しているんじゃないかな。 >575-581 『少女は夢の欠片を抱いて泣く』 本編の作風を反映してか、ホワルバSSは悲しいお話が似合うらしい。 このSSも、傍目には順風満帆に見えて、実は…という、非常に 寂寥感の漂う、成功者の孤独が上手く描かれている佳作である。 由綺が感情を爆発させるまでの、エピソード面での溜めがもうちょっと あれば、なお良かったと思う。
今回は期せずして脇役が脚光を浴びた(つっても3,4作品ですが)作品が 目だったように思います。その代表は『沈黙を暴くために』ですが、原作と のストーリーの相似性をSSの本旨にかなっていると見るか、新鮮味に欠ける と見るか迷いましたが、テーマ性の弱さもあって、2位にさせて頂きました。 結局、読者に対する吸引力と、原作を逸脱しない範囲内での創作性を評価し、 『夢の奥にひそむもの』を一位としました。 第一位 『夢の奥にひそむもの』 第二位 『沈黙を暴くために』 第三位 『白昼夢』 第四位 『夢見るロボット』 第五位 『夢の中の彼』 次点 『少女は夢の欠片を抱いて泣く』 以上、長文失礼しました。
ただ今をもちまして、感想期間を終了させていただきます。 投稿された書き手の皆さん、感想をつけてくださった読み手の皆さん、 そして生温かく見守ってくれていた ROM の皆さん、どうもご苦労様でした。 引き続きこのスレでは、今回の運営への意見、書き手の挨拶、 次々回のテーマの決定などを行いたいと思います。 上記のものやそれ以外にも意見が何かありましたら、書きこんでください。 ※次回のテーマは『キス』に決定しており、開催時期は 11 月初めになる予定です。 ※今回決めるのは次々回のテーマです。お間違いのないように。
感想の中で、評価が高かった作品は以下のとおりです。
『沈黙を暴くために』
>>596 『白昼夢』
>>636 『夢の奥にひそむもの』
>>649 ということで、第七回の最優秀作品は以上三作品のようです。
おめでとうございます。
>>644 すいません。前に話題が出たときにフォローするの忘れてました。
結論から言うと、総括期間に感想を書き込んでもらってもいいと思います。
感想期間では純粋に作品に対する感想だけを書く期間で、必ずしもその期間内に
書かなければいけないというわけではありませんので。
感想があったほうが、作者の方の励みにもなりますしね。
都合上、最優秀作品の選定は感想期間内のものだけを参考にしますが……
総括期間は、実際のところ『なんでもあり』期間として考えてもらえればいいでしょう。
652 :
名無しさんだよもん :02/10/25 10:52 ID:OhAdvzGO
本当のことはいつも人を傷つけます。 部屋の隅で膝を抱えているのび太。 「ドラえもん…人間をどんな環境にも適応できるようにする…そんな道具は…あるかな…」 「ぴったりのがあるよ、のび太くん。『テキオー灯』(例の軽々しいSE)! この光を浴びさえすれば一万メートルの深海だろうが真空の宇宙空間だろうが 一千度のマグマの中だろうが身体を適応させて生きることができるんだ」 「…社会、には?」 「え?なんだって?」 「その道具を使いさえすれば、僕でも、二次元のキャラクターにしかリアルと愛を感じない、 かろうじて三次元で愛せるものといえば限りなく平面に近い異性… つまり胸板の薄い小学生以下の幼女のことなんだが… しかない離人症で対人恐怖症で毎年コミケに行く僕のような人間でも、 この現実社会に適応して生きられるようになるかどうかって聞いてるんだよ」 「のび太くん…」 「は・は・は、冗談だよ。なに真剣にとらえてんだよ。 こんなの悪い冗談に決まってるじゃないか。 さもなきゃ地獄そのものだ…(抱えた膝に顔をうずめるのび太) …いつまで見てんだよこの薄汚いクソだぬきめ! 早くそのいびつな球形のひっかかりのついた先細りの棒をしまえよ!しまえったら!」 「のび太くん…」
>>653 その2つ足すと、結局3作品が2票ずつゲトして同点1位だなw
今回得票というか感想自体が少ないから、最優秀を無理に出すこともないような気もするが。
655 :
辛口批評 :02/10/25 12:21 ID:JGbbbuW9
>>597 突っ込みサンクス。次回以降はなおします。そのつもりで。
しかし、
>>201 氏を代表するように、人それぞれの感性の違いって面白いよなぁ、
と改めて思う。いや、面白いよ、といわれたつもりで読んだらいまいちだった、
という場合には面白いと片付ける訳にもいかず、申し訳ないわけだが。
……にしても。縦読みかよ〜、「よくある話で」。
よく頑張った、といっておきます。でも、中身的には平板なので、
点数的には+1するかしないかでよろ。
ふう。俺も修行がたりぬぜ。 ……来週(?)も、精進精進♪
656 :
名無しさんだよもん :02/10/25 12:28 ID:j6Lqkrd8
このコンペも七回が終わったわけだが、良く無事に続いているな。
初回から通じて皆勤賞の作者っているのだろうか。とふと思った。
霧の感想人氏の作品がどれだかも聞いてみたい気がする。
ところで辛口氏の言う
>>201 氏は
>>601 氏の間違いだろうか?
と、597であるところの俺は思ったりするわけだがw
勝手な予想。 『残光』の作者さんは以前に『流転』を書いた人かな? 外れてても許してね。
659 :
流転作者 :02/10/25 19:06 ID:6Lcui6Wi
今回は出品できませんでした。 ですから人違いですな。……次回は出品したいね。
660 :
658 :02/10/25 20:03 ID:1sgH4O/F
うっ。これはとんだ粗相をいたしました。両作者さん、平にご容赦を。 でも作者さんが前にどんな作品を書いたか想像するのも楽しいね。
>>657 どう考えてもその通りだろう
と、201であるところの俺は思ったりするわけだw
662 :
辛口批評 :02/10/25 23:11 ID:JGbbbuW9
……む? どうして毎回ミスを残すかなぁ……。 597であるところの、657氏の指摘は正しいのであることよ。 ……嗚呼。
最近恒例になりつつある、作者の挨拶はまだかのう
どうも。誰彼のシナリオを書きました、竹林明秀です。
題材というよりズバリのテーマがいいなぁ。「憎悪」とかでキャラクターの描写力を 競ってみたり、「エロ」とかでインパクト勝負をしてみたり。 「キス」とかだと単なる題材になることが多いわけで。それが悪いというのじゃなく て、たまにはということですけど。
>>664 ワラタ
次々回テーマか……そろそろ冬と言うことで、「炬燵」とか。
ほのぼのしたのが読みたいなあ……
668 :
感想 :02/10/26 22:58 ID:D1ktgogX
今回も俺の独断と偏見で決めた順位を。
……都合により感想期間内に書けなかった。
>>651 =1氏の御厚意に甘えます。
一位「しあわせなゆめ」(名雪SS)
>>375-379 短文を畳み掛けるように配置することによって、SS全体に不思議な感覚を醸し出している。
言葉の使い方が巧い。「あの娘」をぼかしてあるのもGOOD。
最後を描写しないで読者に預けるのは賛否両論あろだろうが、俺は気に入った。
ダークのショートショートとしては、かなりの部類に入ると思う。
追記。
>>665 も雰囲気を壊さないままでラストを改良出来ているのではないでしょうか。
同着「白昼夢」(長森SS)
>>516-537 仰々しい言葉と子供っぽい言葉とが同じSSに存在している。それに伴い、文章は
平均レベルを越えているとは思うものの、やや引っ掛かる所あり。例えば、7レス目の
最後の二行はいただけない。省いても問題ないのでは。
だが、構成や設定の妙とバニ山バニ夫の格好良さが完璧にカバーしていると思う。
ラストの締め方が美しい。
同着「沈黙を暴くために」(久瀬SS)
>>541-553 アクションシーンのスピード感には正直感心した。そつのない文章力。しかし、それで
展開の強引さを包んでいる嫌いもあるかもしれない。生徒会長とはいっても、高校生が
九時過ぎまで学校で寝ていられるのか? 川澄舞が喋るシーンも、1・2レスがあるために
唐突さが拭えない。夢自体もあまり絡んでいないため、俺的にマイナス。そしてラスト。
これはなぁ……微妙だが、狙いすぎのようで少し嫌。
以上散々論ったが、それは非常に勿体ないから。これだけの力があるならもっと良いSSを
書けるはず。個人的に期待する。
669 :
感想 :02/10/26 22:59 ID:D1ktgogX
……すいません。最初に順位と言いながら全部同着になってしまった。まぁ、グランプリに 関係があるわけでもないし、いいか。 全体的に比較的拮抗していたように見えた。当てにならない目だけど。今回は纏まった コンペではなかっただろうか(勝手に俺ビジョンで締め)。
今回は「目覚め」を書いてみた。
でも、はっきし言って駄作だった。感想でも言われてるし、自覚もあるので多くは語らない。
もっと頑張らないとな…
>>593 「あと三点リーダ。 」って何?
特におかしな使い方はしてないと思うけど。
671 :
辛口批評 :02/10/27 00:47 ID:Q4aGjHHj
>>670 三点リーダは二つセットがデフォです。使い方自体は問題無いと思いましたが。
>>671 それは通常の小説の場合。
カノン(葉鍵系)のSSの場合はあながち間違いとも言い切れない。
なぜなら、元ゲーが「…」の使い方をしているから。
まぁ、こんな議論は討論スレで散々やられて、しかもその度に荒れ模様になっているからね……。
微妙な問題であります。
673 :
辛口批評 :02/10/27 01:08 ID:Q4aGjHHj
ゲームはあまり文字を小さくしない上で、かつ画面内に配置できる文字数を考慮した結果、 三点リーダを単体で扱うことも少なくないようだ。あくまで、仕方のない措置として (知らずにやってるっぽいのも多く見かけるが) でも、SSはSSというか、ゲームとは表示環境も違い、制約もあまりないのだから…… と、まあ、あくまで己の判断基準はこう、ということで。
一応最優秀の選考もしている人がそんなものを判断基準にするのは…… って、さすがに選考の基準にはしていないかな? 読みやすいかどうかは確かに人それぞれだから、読みづらいと思ったら気にするのは別にいいと思うけど。 カノンの他にもゲームの場合、表示効果でウェイトを入れる為にわざと「・・・」を使うときもあるし。 気にしなくてもいいと思うけどね。
うーん。 エロゲの影響か、横書きで三点リーダをふたつ使うのが少し冗長に感じる様になってしまった。 縦書きだと全然気にならないんだけどな。 SS初心者のころにKanon文体を徹底的にコピーしたせいかも。 まあそんなわけで、辛口氏の主張を認めつつも、俺は今後も一個だけな方向で…
>そんなものを と思うかどうかも、その感想を書く人それぞれでつ。 句読点を云々するような感想人は最優秀を挙げる資格なんて…… とかまた感想書きに注文が増えたら、またさらに感想書く人が減ってゆくワナ…… あと、別に最優秀なんて誰が推しても、674も推したっていいんだよ。 いまのところ、おおげさに考えなくても。
677 :
599 :02/10/27 19:18 ID:ivk3SrTI
というかお前ら、もちっと気軽に「これが一番いい!」とかでもいーから書き込んでください。得票少なすぎです。 ちなみに俺は三点リーダーはどっちでも、読んでて全然気にならなかった。書くときは絶対2つ繋げるんだけど。
感想職人さんを召喚する呪文を唱えなくては…。 ダンナ、エロイハカギエスエスガヨリドリミドリデッセ
遅くなりましたが、感想など。KANONしか分からないけれど。 短い印象ばかりだけれどね。基準は S;神 A;良作 B;普通 C;あと一歩 D;…… HERE;B シチュとしては可愛らしくていいと思いました。 でも、もう少し書き込んで、短編としたほうがよかったかも。 短編とまでは行かなくても、倍書けば……。 よくある話で;C >いま、彼にうち明けよう。 で、急に陳腐になった感じがします。 また、最後の英文が意味不明。なんか誤魔化されている気がしました。 なんかの歌の歌詞ですか? ツミナガラ...と彼女は謂ふ;C 悪くないんだけど、以前見たような気がします。 Dreams in a pie;A みっしーが可愛い! 真琴に対する切り替えしが面白い!
しあわせなゆめ;A こういう心がギリギリと締め付けられる作品は読んでて心地よいです。 それゆえ >さあ、祐一を殺そう。 は書かなくてもよかったと思います。これまでがずっと下向き内向き後ろ向き だったのが、ここに至って、急に前向きになります。 なんか読んでて躓きを感じました。 夢の中の感触;B まさか、ジャム……。でも、普通に面白かったです。 残光;A 私は、残念ながら原作を知りません。ですが、これは短いながら すばらしいと思いました。こういう雰囲気、好き。 目覚め;B 良質なシチュだと思いました。ほのぼの〜。 沈黙を暴くために;C 上手くいえないけれど、何か足りない気がします。それは多分、仕掛けが もう一つ足りないせいだと思う。中盤に至った段階で、ある程度オチが 見えるというのは……。 誘い;C うーむ、AIRとのクロスオーバーは、結構難しいんだよね。 この作品からは、なんだかつぎはぎの印象を受けました。 っていうかみずかって誰?
「コテとしての責任を持て」とか 「感想もSSと等価だから平等に批判にさらされるべき」とか、 あんまりうるさく言わない方がいいのでは…。 …いや、「減ってもいいからレベルの高い感想を」ってのも、道は道か……。 今回も、少なかったにしろ来た感想は一定のレベルだったみたいだし。 でもこのスレ、初期は「参加しやすく」がモットーだったような気もする。 今からでも感想欲しい作者さんっていますか? 期間内には無理だったけど、もし良かったら今からでも感想書きますが。
682 :
681 :02/10/28 05:57 ID:mjt222G/
…って待て。今回感想が少なかった一番の原因は、 おそらくKanonSSこんぺと期間が被ったことだよなあ。
めんてしとこ。
>>681 是非とも感想を。
期間を区切ってあるのはあくまで目処としてだけだから、
書いちゃいけないって事は全くなく、どんな感想でも書いてもらえれば
それらは全て肥やしになると思うので。
上に同意。 ところで、次々回はおそらく12月。ここは基本に<<クリスマス……ってのは安直だから、 <<プレゼント>>なんてどうだろうか。
687 :
674 :02/10/28 19:08 ID:NWyTK1eu
今更だけど、俺は別に辛口批評氏に資格云々とか言いたいわけじゃないよ。 ただ上の方でも触れてる人がいたけど、どういうわけか三点リードは嫌というほど議論されていて、 しかもそのたびに荒れ気味になってたので、思っててもあんまり感想で、しかもネガティブな意味あいで 書かないほうがいいんじゃないか、って思ったんだ。言い方は悪かったけど。 でも「そんなもの」ってのは本音。 できればSSの評価に反映させて欲しくないけど、まあ676氏の言うことももっともだね。 >681 いつでも感想は歓迎でつ。
次々回のテーマはアバウトに「年末年始」で。
感想書く人は好き勝手書いて欲しい。 俺も好き勝手に作品書いてるんだし。 ただ、辛口氏にはもうちょっと分かりやすく書いて欲しかった。 「あと三点リーダ。 」とだけ書かれてもなんのことだか。
681じゃないけど、感想行きます。短いけど。 cannot live without a waffle テーマが「夢」ということで、最初からこれは茜の夢だとわかってしまった。 で、夢から覚めた後もあまりおもしろみのない展開。意外性がない、というか。 オチもあまり落ちていない感じ。 Here 個人的にはこうやって祐一は少しずつ癒されていくのか、という思いがあって 気に入った作品ではあるが、一般的にはどうだろう。説明が足りなすぎる気がする。 現実が夢より虚ろだという部分の描写があったらよかったのかも? よくある話で 縦読みは他人の感想を眺めて初めて気が付きました。こういう試みは大好きです。 縦読みも歌の歌詞だし、そういう意味では歌の歌詞のようにも見える本文はマッ チしたものと言えるかもしれない。 ただ、そうだとしても、香里の栞を無視したことに対する想いが何も含まれてな いのはやはり片手落ちかと。 ツミナガラ...と彼女は謂ふ 晴子に虐められるのが罪悪感のもたらすものだ、というのはなんとなくわかるが、 なんでみちるは国崎がいじめているんだろう? 読み終わっても、何か釈然としなかった。話が終わってない風というかなんと いうか。読者に投げつけられただけ、という感じ? Dreams in a pie かのらじ美汐だなぁ。 ……しか感想が浮かびません。 かのらじ自体、聞いたことないんですけどね。
しあわせなゆめ ついに夢の中の祐一を殺し、つまり自分の精神も殺してしまいました、か。 それとも現実世界で祐一を殺し、自分も自殺した、かな? どちらにしろ、狂う名雪は見飽きました。 夢の中の感触 中途半端。結局、名雪は何がしたかったんでしょう? 夢の中の彼 普通にいい話だったけど、みさき先輩が視力を取り戻す話も嫌と言うほど 既出だしなぁ。 夢の中で浩平の顔が見えない、ということが話の主体なら、もっとそれを 前面に出した方がよかったかも。全体に焦点がぼやけた感じだった。 夢見るロボット 本来見ないはずの「創った」夢をマルチが見た。 内容そのものはよかったが、どうにも文章に無駄が多すぎるように感じた。 研究員と主任のやりとりとか。 最後の1文は好きなんですけどね。 残光 においが違う。<最初の文章から それはさておき、「色の付いた夢を私は見ている」ということを言うための 前置きが長すぎるような。ついでにもう少しONEの要素を持ってきてもいい のでは。
夢の奥にひそむもの そもそも、高い金を出した買った物を虐待するのか、という、設定の部分に 大きな疑問が。 目覚め とりあえず、ギップルを呼びたくなるほどくさい話ですね。嫌いじゃないですけど。 ……それ以上はとりたてていうこともないですなぁ。 白昼夢 素直に面白かった。バニ山バニ夫かよっ。そのためにわざわざ瑞佳を昏睡状態 にしてるのがちょっと気にかかったけど。……そういえばなんで瑞佳は、仮想の 夢の世界を創ってしまっていたんだろう? 細かい部分の設定は多少気になった。 沈黙を暴くために 物語自体は非常に好きだ。舞シナリオを久瀬で解決する、という今後の展開を 想像したり。 ただ、夢自体があまり絡んでいないのが残念。というかここのコンペでは問題。 電波のススメ 物語一つ語っておいて、それを「夢でした」と片づけるのは、夢落ちと同じく 反則だと思われるがどうか。しかも中の話に夢は関係ないし。 誘い こういう設定は大好き。クロスオーバーでなおかつ、両方の作品を知ってないと 理解できない単語が頻出するところとかも。ただ文章がちと弱かったです。 少女は夢の欠片を抱いて泣く 夢のために無くしてしまった物、か。WAは遊んだことはないが、普通の話として 楽しめた。
個人的に 一番気に入ったSSは「誘い」 一番属性上ヒットしたSSは「Here」 一番意表をつかれたSSは「よくある話で」 一番続きが読みたいSSは「沈黙を暴くために」 一番面白かったSSは「白昼夢」 といったところで。 それから他の感想への感想。 自分の好みで云々述べたあげく、「もっといいSSが書けるはず」などという のは不遜極まりない。自分の好みと合わなかっただけではないのかな? あと文章の出来云々で全部読まない、というなら、そもそもコンペの感想書き なんてやらないほうがいいんじゃないですかね? どうすればもっと高いレベ ルの文章になるのか、指摘してくれるのならともかく。 (結局人を貶す場を求めているだけにしか見えない人もいるような) ……などと書くと、「感想人に厳しいことを求めるな」などというツッコミが 毎回入るのだが……あまりろくでもない感想が多いと、書き手自体がいなくなっ ていくと思うのですがねぇ。 以上。
694 :
辛口批評 :02/10/28 23:35 ID:XNLG6NBp
個人の基準としては、三点リーダの件は曲げたくないんだけどなぁ。
(他の人がどう評するかは別だけどね)
>>689 これまで数回感想書くにあたって、三点リーダを含む、文章術として基本的な作法に
関しては毎回突っ込みを入れてきているので、今回は三点リーダに関しては、こまごまと
感想で書かなかったんだ。何度も何度も書かなくたって、そろそろ良いだろうと。
多少は過去ログ読んでるだろう、と。
でもまぁ、毎回新規参加者もいるだろうし、過去ログなんざ読みたくないと言う人も
いるだろうから、今回は俺の説明不足だったかもね。ただ、後述の理由もあるので、
一筋縄にも行かないのだが。
ちなみに、三点リーダの扱いはあくまで文章力部門の点数に影響してるんで、
総合点に関しては、それほど重視してない。まぁ、全く関係ないわけじゃないけど。
……3〜7%位?
だから、個人的には『……さんてんり〜だぁ〜!!』と思っても、他に良いと思った
ところが有れば総合で高い点を与えてる作品も中にはある。
>>687 誰でも直せる簡単な文章作法要素だから、文章の善し悪しを図るのにも、
簡単な基準の一つなんだよ。だから、良く人口に膾炙するんだと思うが。
あと、こまごまと三点リーダについて触れなかったのも
>三点リードは嫌というほど議論されていて、しかもそのたびに荒れ気味になってたので、
辺りの理由も若干有る。それでもまぁ、個人的には評価に加えたいのでああいった形に
してみたのだが、うまくいかないねぇ……。
……でもまぁ、とりあえず次回も、俺の評では文章力部門では減点対象とする。
ただ、明らかにランダムな使い方の人と、どうもこの人とは一つだけで使う人らしい、
って言う人では、以前から採点時の心証が違ってる。今後もその程度の基準で行こうかと。
695 :
辛口批評 :02/10/28 23:39 ID:XNLG6NBp
俺の件はこの辺で良いかな? あとは681氏、感想宜しくw 以後は間に合わなかった感想と、次次回のテーマで埋まると良いな。 で、テーマ? 『始末』とかどーよ? いかようにも取れるし、年末にも合わせられるぜよ。 と打ち込み終えたところで、リロ。ふむぅ〜。 693氏、 >それから他の感想への感想。 に関しては、具体的に誰か指してくれないと分かりにくい。もしかして己も入ってるの> ちゃんと指摘すべき点はしてるつもりなんだけど。 あと、良かった、悪かった、だけの感想も感想の一つだし、排除するべきではないと思うよ。 (最後の一文は、氏の意図とそぐわないかもしれないけど、こうも読めるので一応)
696 :
679 :02/10/28 23:45 ID:sBYN0G5+
>693 >自分の好みで云々述べたあげく、「もっといいSSが書けるはず」などという >のは不遜極まりない。自分の好みと合わなかっただけではないのかな 誰に対しての発言なのかを明らかにして欲しい。もし私の感想のことを 言うのなら、そうと書いて欲しい。求められない感想を書くほどお人よし じゃないから、貴方のお望みどおり即刻消えるよ。 ……などと書くと、「あまり厳しいことを求めるな」などというツッコミが 毎回入るのだが……あまりろくでもない書き込みが多いと、感想書き自体がいなくなっ ていくと思うのですがねぇ。
批判はいいけど、煽り返しはやめとけ。 SS関係のスレには、燃料をみつけたら大火にしようと待ち構えてる 煽らーの愉快犯がひとりいるから(通称・SSスレ常駐の「例の面白い奴」)、 危険だよ。荒れるぞ。
>>693 ろくでもない感想でもないよりはマシだからなぁ…
2ch以外で発表してもほとんど感想来ないのよ。
>>694 過去ログ読もうかとも思ったんだけどね。すまん。
今回はほとんど推敲も校正もしてなかったし、何より前回はそこに突っ込まれなかったんで、
なんか前回にないミスがあったのかと思ったから。
遅くなりましたが、感想書き上がったので、
>>633 の続きから投下します。
少々長くなりますが、どうぞご容赦ください。
「しあわせなゆめ」
>>375-379 改訂版に依っての感想です。初版は今更読む気がしない……とは言わないまでも、
やはり完成度としては改訂版のほうが格段に高いように思うので。
で、内容のほうですが。
ちょっと内面語りすぎかなあ、というのが素直な印象。多分そのせいだろうけれど、
深みや新鮮味といったものもあまり感じませんでした。人を殺したくなるような狂気
というものは理由がはっきりしなかったり理性では制御できなかったりするからこそ
恐いわけで、このSSでの名雪のように冷静に心理分析をしてしまっては、せっかくの
狂気も平凡な感情と同レベルに落ちてしまう気がします。
個人的にはもう少し文章を削って想像に任せる部分を多くするか、代わりにエピソード
を盛り込むと良かったのではと思いました。このSSは現実と夢の対立をテーマとして
いる割に、対立的なエピソードが全くないんですよね。光が強いほど影も濃くなると言われる
けれど、祐一の幸せな様子とか名雪の理想とする祐一の姿とか、名雪の暗い感情に対立させる
形で何らかのエピソードを挿入すれば、よりメリハリも付くしテーマも分かりやすくなったのでは
ないかと思いました。
いずれにせよ、狂気を分析説明的に描かれただけでは、私としては全然物足りないという
ことで。もう一工夫を期待したいです。
「夢の中の感触」
>>383-385 前後半の対立は見事ですが、結末をぼかしたままで終わらせているのは残念。対立が統合
されていないから、読み手としても中途半端な印象しか受けなかったです。イチゴサンデー
欲しさに愛する人を裏切る名雪と、その手の中で絶頂に達する祐一。ここまで舞台を整えて
おいて、後はご想像のままに、というのでは物足りなさすぎます……。ここは何としても破壊力
あるオチを捻り出して欲しかったところ。
「夢の中の彼」
>>415-433 「しあわせなゆめ」でも書いたことだけれど、これも語りすぎ&メリハリが弱い印象を受けて
しまいました。展開が一本調子なのは、この作者さんの個性なのかな……。ストーリーも、ひどく
簡単に纏めてしまえば、手術を受けた先輩が見事視力を取り戻してめでたしめでたしという、
それだけの話。あまりに期待通りに事が運びすぎて、カタルシスに類するものがほとんど無かったです。
心情描写も詳細なことは詳細なのだけれど、それが面白いかといわれると、正直私には???。
内容的にも、先輩の夢は手術という他力本願で叶ったわけで、登場人物たちが受動的になって
しまっているという点で、いまいち共感できなかったです。
「夢見るロボット」
>>441-452 まさに長瀬による長瀬のためのSSという感じで、今回の3作の中では、これが一番面白かったです。
とにかく長瀬主任が良く描けていて、最後まで飽きさせなかった。半ばツッコミ役のような軽妙な
文章もいい味を出していると思います。ただ細部の甘さというか、長瀬主任以外の描写がおざなりに
なっているような。また構成的にも散漫な印象。エピソードは次々と出てくるのだけれど、
どのエピソードがメインなのかよく分からず、SS全体としてのまとまりに欠ける感じを受けました。
「メンテ」
>>473 惜しい。委員長のツッコミがもう少し鋭ければ。
「残光」
>>482-484 今回は内面沈降型で動きの少ないSSが多いな…。このSSもテーマというほどのものはなく、
ただ先輩の心情を忠実に描写しただけという印象を受けます。たぶん作風なのだろうと理解しますが、
私にとってこのようなSSは、よほど文章が好みに合うか構成的な工夫がないと評価しにくい
わけで。とりあえず、文章はまだまだ改善の余地ありと思います。また、展開が平板なのも、1つ
2つアクセントになるような文章を挟んでおくだけでかなり違ってくるのではないでしょうか。
「夢の奥にひそむもの」
>>489-509 着想も面白いし、ストーリーもそつなく語れていると思うけれど、物語への共感度という点では
今ひとつという印象を受けました。何と言うか、セリオの夢とか心理とかいったものが観念的な
レベルにとどまっていて、読み手の実感として伝わってこないのです。精神構造の仕組みとか、
言葉の上では理解できても、具体的にどういう状況かはイメージしづらいですし、途中から私の
頭で理解想像できる範囲を超えてしまったようです。
セリオの話はとかく非現実的、非人間的なものになりやすいのだけれど、そこを机上の理論で
押しまくるのではなく、読み手の日常感覚にリンクするような語り口で接すれば、より共感しやすい
物語ができるのではないかと思います。とはいえセリオ萌えな人々はその非現実性こそに魅力を
見出すのかもしれず、難しいところではあるのでしょうが……。
「目覚め」
>>512-513 死人に鞭打つような感想ですが、もう一打ち(w。
雰囲気は凄くいいんだけれど、話に核が無いです。「祐一と一緒にいること」が「夢を見ること」
よりも「気持ちがいい」という名雪の話なのに、今鍵括弧「」でくくった3つの事柄が、いずれも
一過性の説明にとどまっていて、具体的内容が一切描かれていないです。さすがにこれでは説得力が
出ませんよ。祐一と夢を比較較量するようなエピソードは、まずそれぞれをしっかり描いてから。
「白昼夢」
>>516-537 ネタ優先といえばその通りだけれど、私の評価もネタ優先なので何ら問題なし(w。
長森については正しく評価する自信が無いけれど、今回投稿されたSSの中では一番印象に残る
ものでした。地の文章もこなれているし、ほのぼのとホラーを上手く配合した語り口も上手い。
しっかりとした意志をもって動く浩平が良く描けているから、最後のハッピーエンドも綺麗に締まって
きます。いったん絶望と見せかけておいておもむろひっくり返すトリックには、私も見事やられました。
とにかく私にはツッコミどころの無いSS。
原作を良く知らないこともあって、あまり深くは読みこめなかったのが良かったのかもしれません。
ONEを良く知る読者であるほど、浩平が消えたり現れたりする展開には、あまり感動を覚えないのでは
ないかなとも思いますし、粗も見えてくるでしょうし。
「沈黙を暴くために」
>>541-553 力関係では、舞>>久瀬ですね。正直久瀬ごとき(失礼)に舞をどうこうできるとは思えないので、
このSSの結末もあまりハッピーなものには感じませんでした。本編では祐一ですら振り回されてまし
たからね……。彼に今後どんな運命が訪れるのかを想像すると、否応無く暗い気持ちにならざるを
得ないのです(w。
ま、将来のことはともかく、内容的には久瀬の内面が良く描けていて興味深かったです。こんなに
イイやつじゃないだろうとは思いましたが、このSSでの彼も味があってまた良し。ストーリーの
展開の仕方によってはこういうこともあったかも知れないと、納得させられました。舞もそれなりに
格好いい。
ただ、久瀬が熱い割には舞は終始覚めたままなので、何かこう手応えが無いというか、空しいSS
という感はありました。先にも書いたように、この結末が決してハッピーではないということも予感させ
られますしね。もう少し、救いとは言わないまでも、とりあえずの達成感を演出しても良かったのでは
と思います。13レス読んで、本質的には何も得られなかったお話、というのでは悲しすぎます…。
「電波のススメ」
>>556-565 雫については不勉強なため、誠に申し訳ありませんが感想パス。
「誘い」
>>568-573 舞台設定は面白いし、キメどころもしっかり抑えられていると思うんだけれど、今ひとつ
押しが足りない印象。たぶんキャラ立ての問題だと思います。神奈様もみずかも何となく本編のそれ
とは雰囲気が違うような気がしました。都合のいいように性格を変えられている、とまでは言わない
けれど、そのキャラなら当然抑えるべき本編とのリンク(例えば神奈様ならあの呪いとの関連とかね)
があまり感じられないのはマイナスかと。ストーリー進行上の役割ばかりが先行しているというか。その
結果として、地に足のつかないふわふわとした状況に終始してしまった感があります。あゆの
決め台詞「ボクはここにいます」というのがあるけれど、この台詞とて「ここ」について描写されて
いないものだからそれほどのインパクトを受けませんでした。ヒロインが皆生き残っているラストも
安易な感じかな。
練りこみ次第では良いものになると思うけれど、現状では描写不足、練りこみ不足を感じます。
「少女は夢の欠片を抱いて泣く」
>>575-581 典型的な泣き系SSだけど、私はこういうお涙頂戴系に弱いです。手に入れた夢が眩く輝くほど、
失った夢は底なしの暗さを見せる、その対比のさせ方が綺麗で、由綺の心情を余すところなく表現
していると感心しました。うたた寝はいかにも彼女らしいし、チラッと出てくる弥生さんもアクセント
になっていていい。そして終盤、何が悲しいかを具体的に言わずに、ただ悲しいということを感情に
訴えかけるような文章の畳み掛け方がかなり好き。3点リーダで途切れ途切れの台詞、クライマックスで
一瞬挿入される回想、感情を爆発させたラスト、と技術的には王道中の王道なんだけれど、前半の丁寧な
伏線と文章自体の力で、しっかりと読ませられました。私もこれくらい勢いのある文章を書けたら
なあ、とうらやましく思います。
ただ1つ残念なのは、アンハッピーエンドであること。完全に好みの問題なのですけれどね。
以上です。期間遅れの長文、失礼いたしました。 今回は私としても十分な時間を取って投稿作を読むことができず、少々 心残りではあります。後半の長編力作群では、私の好き嫌いがはっきりと 出てしまった感がありますね。どちらかというとライトなものを好む性質 ですので、ヘビーなお話は辛いようです。感想を読む際には、そのことを 念頭においていただければありがたいです。 さて、今回最優秀は期間外なので見送り、これだけを。 私的最萌 「Dreams in a pie」 作者さんに感謝を。ありがとうございました。 …次回こそは投稿間に合わせるぞ、と気合を入れてみる。
>693 ああ、そんな言葉書いた気がします(汗。ここかどうかは忘れたけれど、どこかの板、 どこかのスレできっと書いたはず。私も気をつけねば。ご意見感謝。 >698 >ろくでもない感想でもないよりはマシ 同意。
>>702 >死人に鞭打つような感想
自分で駄作だと思ってるときはそういう感想の方がありがたかったり。
もうそろそろ次スレか?
ロクでもない感想でもないよりはマシか……俺は、 書き手側でもあるけど、もうちょっとそういう感想への評価、高いかも。 ていうかある意味では感想って、書いた感想人のレベルとは無関係に、書き手にとって 等しい価値があるから。つまり、”そのSSを読んだ人の反応”として。 このスレで話し合われた感想についてのことで 自分がなるほどと思った意見をまとめると、 気に入らない感想や、「わかってない」感想だと思っても、 読んでくれた不特定の人の反応のひとつ、データだと思って 眺めてみたらいいんじゃないか、と。>作者さん ”自分より上か、同等に、創作に造詣深い人から教えを乞う”ことばかりが ”感想に学ぶ”ってことじゃないわけで。 そんな風に思ってれば確かに、自分よりレベル低そうな感想や「わかってない」感想は ムカっとくることもあるのかもしれん。 でも、その感想が、罵倒するために無理に煽ったものや、嘘ついてるんじゃなきゃ、 第三者的にデータとして「ここはこうやったら誤解する人が多かった」 「ここをこうしたら狙い通りにウケた」とか吸収するのがいいんじゃないかな。
このスレでは、納得いかない感想があったら、 一人一人に作者から反論や解説もできるし、してもいいと思うけど、 本来不特定多数に読ませるものって、そういうことは”できない”のが前提だから。 納得いかなくても、次回作以降なるべく最初からそういう感想を持たれない 作品作りをしたりとか、本来はそういうことしかできないから。 作者じゃない人にも、気に入らん感想も「世の中の多様性」として 消化、スルーして欲しいかな。 だって、それに批判レスを付けたって、結局全員を”自分と同じレベル”や ”自分と同じ考え”の感想書きになんて、できないからね〜。 「誤読だ」と思ったら、(ツッコミ程度ならともかく) それに反論書いて叩いたりするよりも、 正読だと思う自分の感想を書いて相殺する方がやっぱりいいんじゃないかな。
711 :
681 :02/10/29 20:47 ID:WG6kD+ZZ
いやあの、
>>681 は「感想が欲しい作者の人がいたら、その人の作品に感想書きますよ」
って意味だったんだけど、全部かよ!?(w
俺も感想を書く時は書式や誤字誤用は指摘するタイプだから、
やっぱやめとこうかなとも思ったのだが、「気軽に感想書いてもらいたい」なら
議論するよりもまず自分が気軽に書いた感想付けることだという意見に
うっ…その通りと思わされたので、とにかく何がしか感想は書くよ。
#一応今回は、そういうのは指摘しないでって作者さんがいたら考慮します
確かに、別にレベル低い感想だって、煽りで嘘書いてるんでもなきゃ意味はあると思う。
別にレベル低いSSだって、パクリでもなきゃ書いた意味はあると思うし。
あなた(特に誰ってことじゃなく)の気に入らない感想になるかもしれないけど、
許してちょ。でも俺はあなたと同じ感想は書けないから。
>次々回のテーマ
12月にちなんでるけど、お約束・定番過ぎないテーマってのはいいかも。
『だったら、ワアとかキャアでいいんだよ。
感想なんてモンわ。ってゆうか、それが大事じゃねえのか?』
>>709-710 同意。というか「ろくでもない感想」という書き方は間違いだった。
そもそも感想に良いも悪いもなかったな。良し悪しがあるのは「批評」のほうだ。
理想を言うなら、感想はなるべく多い方がいいが、「批評」には量より質を求めたい。
とは言え、その質を判断するのは読む側(SSの書き手だけでなく、スレの住人みんな)なので、
まずは書き込んでもらわないことには判断のしようがない。
だから俺は「好き勝手に書いてくれ」とお願いする。
自分の価値観に合わない文章があったとしても、各自が脳内にフィルター設置すればいいだけのことだから。
693が言ってるような(「そもそもコンペの感想書きなんて以下略」)
感想に対する言論統制は、俺にとってはなんのメリットもない。
>>711 ぜひ「目覚め」に感想を。
一応、元企画のような「投票形式」ってのは気軽に感想が書ける形式なんだよね。 ここは当初から荒れないようにと気軽過ぎる感想は抑える方向にあったわけだが、 まあ、そこまで急激な変化は必要ないかもしれないとも思ったりもするが。
沈静化?沈静化したよね。
しかしどうしてこう、SS系スレッドは殺気立ってるのだろう……
というわけで(?)ご挨拶を。
「誘い」を書かせていただいた鍵系SS書きです。
前々回無理はしないと言った舌の根も乾かぬうちに、このような状態のSSを出品してしまった事は申し訳なく思っています。
ただ、どうしてもこのネタは今回のお題の時に書いておきたかったので、ほぼプロットの状態ででも感想を聞いておきたかったのです。勝手ですが、平にご容赦の程を。
そういう意味では、ネタ、というかキャスティング「は」面白いという感想をいくらか頂けたのは、とても励みになりますw
また、
>>637 を初めとする様々な貴重なご意見、謹んで拝聴させていただきます。
どうもありがとうございました。
色々書きたかったこと、この面子が揃ったらどういう事が起こるかなど、表現したかった事が全然しきれていないのが心残りですが、まあ、作品で語りきれないなら意味がないですね。
意図してないのにキャラが違うって、二次創作者失格かもw
時間がなかったという以上に、自分の実力不足を痛感しました。
でも少々思い入れのあるネタなので、いつか完成させようと思っています。
それがいつになるのか、どういう形で人目に触れさせるのかはわからないけど……
人というものとそれとは異なるものとの狭間にいる存在の、狂わんばかりの孤独と、それでも失わんとする自尊心を、いつか描けたらいいですね。
それでは最後に、読んでいただいた方々、感想をいただいた方々に最大級の感謝を。
ありがとうございました。
715 :
668 :02/10/30 01:09 ID:2ZzE32Fc
>>693 ううむ……話を蒸し返すのもどうかとは思ったが、明らかに俺宛てのレスなので一応。
>自分の好みで云々述べたあげく、「もっといいSSが書けるはず」などという
>のは不遜極まりない。自分の好みと合わなかっただけではないのかな?
確かに「もっと良いSS云々」は勝手な見方だったし、傲慢だったかもしれない。
作者の方が気を悪くしていたら、陳謝する。
しかし、感想ってのはそもそも主観的なものじゃないのか? 極論を言えば、
優れた文体を評価するのも、面白い着想を誉める事も全て自分の主観によるものだろう?
「次はがんばってくれ」と励ますのも693の言い分では失礼に当たるのか。
……当たるんだろうな。
何はともあれ、「もっと良いSS」⇒「もっと俺の好みにあったSS」と訂正してお詫びする。
ああ、「ろくでもない感想〜」ねぇ。そんなふうに言われるんだったら書かねぇよっ!
と逆上するのもあれなので今後も(何と言われようが)書き続けるつもりではあるが、
少し感想へのスタンスを考え直してみる。
>>714 ……ごめん。行き違いになった。。。
沈静化……
(=゚ω゚)ノ毎度。今回なにかと物議を醸しだしてしまったような気がする『沈黙を暴くために』の作者です。
(;-ω-)正直なところを言わせてもらうと、えー、まー、なんとゆーか……すみません。
今回アクション主体で、ストーリーやテーマ性に関しては弱くなってしまったのは不徳の致すところであります。
なにやら書いてる内はひどく楽しかったのですが、こりゃコンペ作品としては失格気味だな、という自覚はありました。
だから、
>>707 氏じゃありませんが、ほめられると嬉しい半面、妙に落ち着かなかったりもしました。
閑話休題。
概ね好評気味なアクションは、本人一番楽しんで書いていたというか、ここがないとこのSSの価値がなくなりそうな勢い。
アンハッピーエンドという意見もありましたが、二ヶ月間口を利いてくれなかったのに比べれば、大幅進展……と本人はおもっとります。
一応心配してくれているし。確かにここから先が気になるところですね。どうなることやら(無責任)
ラストは狙いすぎですか、そうですか、そうですね(爆)。ただ祐一の立場に当てはめて考えると、こういう展開も……狙い過ぎか。
それに、まだまだ第一稿の微妙にいいヤツな久瀬に引きずられていたようです。
(´-`) .。oO(改訂前の久瀬は、もうちょっとだけ軽くていいヤツでギャグ調で、舞から突っ込みチョップをくらったり、走馬燈を見たり、
「うちの制服は裾が殺人的に短い」という問題発言をしていたなんて言えないよなぁ)
長々と書いていたら、タイミング良く
>>668 氏が現れたのでレスを。
俺は別に気分は害してないし、正直俺も、もっといいものが書きたいし、書けると思う。うん、思うのは自由だ。
傲岸不遜と言われるかもしれないが、それだけ今回のはストーリー構成に関しては不完全燃焼だったと言うことで。
そうは見えないかも知れないが、やや後悔の混じった反省はしております。
むしろ好みに合うSSなんてものの方が困るが。俺は俺の書きたいものしか書けないし、誰か個人のためにカスタマイズした文も書けない。
趣味だからね。仕事なら別なんだろうけど、趣味だから好きなことを好きにやるのが一番。
感想も同じでしょ。自分の好きなスタンスでやればいい。
それと
>>693 氏、感想人同士のレスは大抵火種になるから、こういうことは本人同士に任せるのがよいと思う。
大概の書き手は露骨な罵倒でない限り、感想は嬉しいものだしね。もちろん氏の感想もありがたく読ませてもらった。
え、続き……ですか? 漠然と「久瀬死にそう……」とか思ったのは秘密だ。
何はともあれ、感想をくれた皆さん方、ありがとうございました。次回も精進しようと思います。
それと
>>711 氏にも感想お願いいたす。問題作ですが、よろ。……沈静化ー、するかな?
>>712 さん
『だったら、ワアとかキャアでいいんだよ。
感想なんてモンわ。ってゆうか、それが大事じゃねえのか?』
このフレーズ凄く気に入ってしまったのですが、元ネタあるんでしょうか?
721 :
719 :02/10/30 10:32 ID:0oxTHFSx
葉ゲーはTHしかやったことないんですよ。 なんて作品ですか?
723 :
719 :02/10/30 13:35 ID:28k9bu/h
>>722 ありがとう。
……今度DC版買ってみようかな……。
>>723 DC版はフリーズするとかVMのデータ飛ぶとか本体壊れるとかいう噂をよく聞くな。
追加要素にこだわらないならPC版のほうが…
>718 >もっといいものが書きたいし、書けると思う。うん、思うのは自由だ。 いいこと言うねえ…… おじさんちょっと感動しちゃったよw
次々回テーマは、例の法則からしてベタに「雪」とかどうでしょう?
スレの残り容量も少ないので、もう少し経ったら新スレを立てます。
どうも、「よくある話で」を書かせていただいたものです。 挨拶が遅れてしまい、すみません。 前回(「シケリペチム侵攻」)に続き、グランプリ(=作品のクォリティ)とは全く関係ないところで奇妙な話題を提供している感がありますが、お気になさらぬようw。 今回は、「夢」のテーマが決定した瞬間に、SS内部に「夢の中へ」を仕掛けようとして、このような縦読みを施してみました。 もちろん、「よくある話で」のタイトルも、「夢の中へ」の歌詞から取ってきたものです……これくらいしかタイトルになりそうなフレーズがなかったもので(汗)。 しかしながら、縦読みに気を取られすぎて、SS本体の推敲がおろそかになってしまったのは事実です。 >590 「面白味に欠ける」 >605 「夢もそんなに関係ない」 >617 「もっと見事な作品ができそうな気もする」 >630 「技術に溺れて本質を見失ったSS」「英語部分の誤字」 >640 「肝心の中身の方へまで手が回らなかったのは片手落ち」 >679 「最後の英文が意味不明」 >690 「栞を無視したことに対する想いが何も含まれてない」 など、軽く見直してみただけでもこれだけのご批判があることは、ひとえに私の推敲不足といえます。 (本音を言うと、推敲することで縦読みが壊れるのが怖かった、というのがありますが、 それは私の技術不足以外の何者でもありませんので……) さて、クライマックスに英語を用いてみた(「ウフフ」だとうまく思いつかなかったのです……カタカナだし)わけですが、実は英文が分からないという感想が一点しかなかったこと、少しほっとしています。 ただ、文頭に釣られて、「Un〜」の単語を多用しすぎた嫌いがありまして、それは次回以降の課題と言うことで。 (ちなみに、>630さんの指摘された誤字ですが、×Unbeleivable ○Unbelievable「信じられないような」でした。 ご迷惑をおかけいたしました) ご指摘・ご感想いただいたみなさま、どうもありがとうございました。 ただ、縦読みそのものについてはかなり好感触をいただいたようで、その点はほっとしています。 では、これからもみなさま、よろしくお願いいたします。
埋め立てというわけではありませんが、ご挨拶を。
『夢の奥にひそむもの』を書きました。読んでいただいた皆様、ありがとうございした。
ちなみに前回の参加作は『二人の力で』です。
前々回も『嘘つきメイドロボ』という作品で、今回と同じキャラの組み合わせで書きました。
今回はテーマが『夢』ということで、「マルチがセリオの夢の中を探検する話にしよう」とすぐに
ネタは思いついたのですが、書き始めてみるとかなり難しかったです。
特に悩んだのは、
>>635 でも指摘されたように、実際の事件をモデルにした部分です。
この部分が他から浮いていると自分でも思っていました。これでは笑う人もいるかもしれない、
いっそ全体をコメディに仕立ててしまうか、などと試行錯誤してかなりドツボにはまりました。
普通なら事件を直接連想させるようなものではなく、別な形に置き換えたりすると思いますが…
しかし、私自身もセリオファンとして、あの事件はちょっとしたトラウマになっていますし、
夢の中の話とはいえセリオ自身に復讐させてみたいとも思ったので、敢えてそのままにしてみました。
わざわざ品位が落ちる覚悟でやるのは、一人よがりだったかもしれませんが。
感想をくれる皆様にはいつも感謝しています。
誉められるのは何より嬉しいですが、厳しい意見も出来る限り糧としたいと思っております。
自分では分からないような視点に気づかせてもらえることもありますし、とても有意義です。
>>681 さんも、よければ感想をいただけるとありがたいのですが…
それでは、失礼します。
731 :
681 :02/11/02 15:49 ID:vHfoWQY/
http://wow.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1035975262/21-25n 次スレの続き。
>>353-361 「ツミナガラ...と彼女は謂ふ」(AIR)
う〜ん、感想が書きにくかったなあ。悪夢の連続と、それを聖に
「己の罪悪感が見せるもの」と解説され、そのぬくもりに包まれたまま
目覚められるよう祈りつつまた眠りに入る最高……。
ラストのセリフが理解しにくかったってのもあるんだろうが。
いや、そういう意図で書いたセリフなんだろうが。
タイトル、「罪ながら」? ?
>>371-372 「Dreams in a pie」(かのらじ美汐)
かのらじは知らない。男女のカップルの「私の夢? もぉ〜、あなたが言ってよ」
という、定番シチュってことでいいんでしょうか。
>>415-433 「夢の中の彼」(みさき)
いい話。本編後、無事浩平が帰って来て、先輩が手術を決意し、
目が見えるようになってハッピーエンド。
ただし、ただそれだけの話とも言えるが…。もう少し起伏がないと、
この長さでは自分は食い足りないかな。もしくは長さをシェイプするか。
文体も、語り口がちょっと気になる。
起こってることを普通にそのまま叙述してる部分は、気にならないんだが…。
気になった部分ばかり書いて申し訳ないが、本編後のヒロインの幸せを素直に追った
素直な二次創作だと思うし、読んで不快感を持つ人はほとんどいないはず。
732 :
681 :
02/11/02 15:49 ID:vHfoWQY/ >>441-452 「夢見るロボット」(長瀬源五郎・マルチ)
設計者の計算外の、人間と同じ「夢」を見はじめたロボット。
しかし、それを研究するならロボットは解体されねばならない。
研究者たちは自分の見たことを自分たちの見た「夢」として胸に仕舞い込む。
お題の消化は、うまい。マルチの二次創作としても本道っぽい。
ただ、日本語が、多々つっかかるかなあ。がんばって欲しいところ。
(追加)改稿された三作(+HPの雑記+Kanonコンペの作品まで)
読ませていただきましたが、感想はあまり変わらないかな。
もちろん、追加された部分は良かったと思うし、文章のマズー部分も改稿する前よりは
よくなってると思う。ただ、短文積み重ねで詩っぽく……ってやり方は
もう少し慎重になった方がいいかもしれない。でも単に俺の好みかもしれない。
>>482-484 「残光」(みさき)
みさき先輩の心境独白もの。
失明からくる、色彩感覚を失うかもしれないという不安。
でも、失ってなかった。良かった。
本当にそれをそのまま書いただけなので、読み手としては読後感が食い足り無い。
もう少し読者にひっかかる部分を作って欲しかった。
いい話だし、いいと思った個所(作者がチカラ入れた場所)も何ヶ所もあるんだけどね。
文章は何ヶ所か気になった部分が。タイトルはいいね。