葉鍵板最萌えトーナメント!!準決勝 Round165!!
オガリナ支援SS【決別】
――ピアノの音が響いていた。
最新の音響設備を備えた部屋で、重厚なグランドピアノが音を流し続けている。
高く歌い上げるように、低くささやくように――。
ショパンの小品が終わってモーツァルトに切り替わるころになると、奏者は突然気まぐれに主題を変え始めた。
ジャズ、アップテンポにアレンジされた演歌、そしてネコふんじゃったと、支離滅裂な演奏が続く。
ピアノの上に置かれた五線紙には、音符の代わりに“∠´×`)ユズハニャーン”が丁寧な筆致で落書きされている。
要するに、いまこの瞬間、プロデューサー緒方英二はぜんぜんやる気がなかった。
ふと目を上げると、ドアの脇にあるランプが来客を告げている。
鍵盤から指を離して、白髪の天才は気のない動作で椅子から立ち上がった。
いかにもだるそうな風情で、扉の電子ロックを解除する。
開いたドアの向こうには、隙なくスーツを着こなした長身の女性が立っていた。
「失礼します」
小ぶりのファイルケースを抱えて一礼すると、艶のある黒髪がさらりと流れた。
「おやおや、弥生さんがここに来るなんてめずらしいね。
今日は由綺ちゃんに着いてなくていいんだっけ?」
「由綺さんは今日はオフですから……。少し、よろしいですか?」
彼女は『あなたもそれくらいご存じのはずです』とは言わなかった。
篠塚弥生という女性は、余計な会話で時間を無駄にすることを好まない。
<続く 1/10>
44 :
名無しさんだよもん:02/03/05 03:43 ID:FfdT8fxi
>>37 ここに投票しなおすだけで、いいんだよ!!!
うーん、迷っててもキリないなぁ・・・
く<ちづ・・・
いや、く<理・・
やっぱ、く<ちーちゃ
あー、もう、こんな優柔不断な男だったのか俺は!
支援でだいぶ心揺らいだが・・・
初志貫徹ということで、<<千鶴>>さんで。
やっぱり葉の代表はあなたしかいないでしょ。
コードは同一ドメインなんたらで取れませぬ。ADSLです。
微かな香水の匂いが部屋を横切って、篠塚弥生の長身がピアノの前に立った。
この怜悧な女性に対する評価は、好意的なものからそうでないものまで幅広く存在している。
あらゆる無駄がそぎおとされたその動作は、プロダクション内では洗練とも無機質とも評されていた。
ただ、彼女が『恐ろしく切れる』という一点において、大勢の意見は一致している。
「十四時の約束をしたお客さまがお見えになったそうです。よろしければこちらにお通しするそうですが」
英二は壁の時計にちらりと目をやった。
――13:32。
「もうそんな時間か。ありがと」
やはりどこかなげやりな返事をして、両手の人差し指だけで黒鍵を順番に押していく。
気の抜けたような和音が、厚い防音壁に当たって跳ね返ってきた。
「……伝言は以上です。それから別件ですが、この書類の決裁をお願いします」
「あ〜、この件は任せるよ。いいから適当にやっといて」
書類をつまみ上げて、英二はひらひらと手を振った。
「はい。では、お仕事中失礼しました」
五線紙の“∠´×`)ユズハニャーン”に気付いたとしても、彼女がそのことに触れることはない。
必要なことのみを簡潔極まる口調で言うと、弥生はきびすを返した。
――その背中に、道化るような英二の声が掛かる。
「弥生さんは……今日の来客のこと、気にならない?」
均整の取れた弥生の長身が、直線的な動作で振り返った。
温度のない視線で英二を一瞥してから、彼女は微かな笑みを浮かべる。
「気になりますね。私と由綺さんの今後にも関わりますから……」
「でも、別に心配することでもないんじゃないかなあ。由綺ちゃんの人気って今すごいんだし」
まるで他人事のように、森川由綺のプロデューサーはそう言ってのけた。
「頂点に立つよりも、それを維持することの方が何倍も困難ですわ」
ごく微量だけ、弥生の声には得意げな響きが混じっている。
何気なく煙草をくわえて――英二は部屋に灰皿がないことを思い出した。
「ふむ、弥生さんは謙虚だな」
「悲観的な予想は当たらなくても困りません。ですが、楽観的な予想は外れると致命傷になります」
「なるほどね」英二はくしゃくしゃになった紙箱に煙草を突っ込んだ。
<続く 2/10>
みなさん 私は殺戮が好きです
みなさん 私は殺戮が好きです
みなさん 私は殺戮が大好きです
柏木家で 路上で マンションで 河原で 水門で 洞窟で 前世で 食卓で
痕で行われる ありとあらゆる殺戮と残虐行為が大好きです
狩りの現場に居合わせた通行人が 轟音と共に首を飛ばされるのが好きです
私を取材しに来た 雑誌記者の相田さんが 捕まって鎖で拘束される時など 心がおどります
鶴来屋に泊まる 耕一さんのお友達の小出さんが さらわれて陵辱されるのが好きです
悲鳴を上げて 狩猟者から逃れようとする日吉さんが 恐怖のあまり失禁した時など 胸がすくような気持ちでした
鬼になった耕一さんを 庇おうとする楓が 私の爪で 引き裂かれるのが好きです
亡霊に操られた耕一さんが ただの肉塊になった初音に 何度も何度も中田氏している様など 感動すら覚えます
悦楽主義の柳川刑事が 薬漬けの梓を耕一さんの上に 吊るし上げていく様などはもうたまりません
死を覚悟した耕一さんが 私の繰り出した鬼の手によって 身体を貫かれ 血飛沫を上げて倒れるのも最高です
愚かな妹達が 私の手料理は不味いと言ったので 柏木邸ごと木端微塵に粉砕した時など 軽くイッてしまいます
>>28 李師父!やはりお口は語るものではなく吸うものなのですね。
先生の教え、理奈ちゃんをちゅーちゅーする時フラッシュバックさせます。香港映画みたいに!
とはいえ、千鶴側も予告ぼにゅむらんがあるので、昼まで投票は保留させていただきまっす!
49 :
相@:02/03/05 03:44 ID:EfhAwW2o
ちょうど二年前――。
人気の絶頂で引退した緒方理奈の後を引き継いだのは、当時着実に実力を伸ばしていた森川由綺だった。
もちろん、雑多な市場の動きを読んで、気まぐれな流行の波を注意深く乗り切る必要はあった。
だが、結果として、新たなトップアイドルはさしたる困難もなく頂点に登りつめたと評されている。
「ああ、そうだ。弥生さん……」
不意に、英二が軽薄な表情を消した。
目もとの道化た光が消えると、この男は急に鋭角的な雰囲気を帯びるようになる。
先ほどまでとはうってかわって、張りつめたような空気が流れた。
「なんでしょう?」
弥生の表情に変化はない。
「給湯室の娘に、出すのは一番安いお茶でいいって言っといて」
へらへらと――音が聞こえてきそうな落差で、英二の顔がもとに戻った。
弥生の表情には、やはり変化はない。
「コーヒーをお出しするようアドバイスしておきましたが……変更しますか?」
「……いや、いいんじゃない?」
弥生の様子を見て、白髪のプロデューサーは脱力したように笑った。
「では、失礼いたします」
今度こそ、弥生は振り返ることなく部屋を退出した。
素っ気ない残り香のなかに、白髪の男が毒気を抜かれたような顔でとり残される。
(ぜんぜん笑わないでやんの)
まばらに無精ひげの生えたあごを撫でて、英二は軽く苦笑を漏らした。
完全防音を施された扉は、閉じる時も音を立てなかった。
弥生自身の足音を除いて、廊下には物音ひとつない。
(さすがの緒方さんも、今日は平静ではいられないようですね)
エレベーターの前まで来ると、篠塚弥生は言葉には出さずにひとりごちた。
――彼も自分も、心に狂おしいほど柔らかい部分を隠している。
そして、それを他人にさらけ出すには心の壁が高すぎた。
<残りは支援スレに→
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