楓ねこ育成スレッド

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1名無しさんだよもん
○月×日

 冷たい秋雨の降った、あの日。俺は、道端で彼女に出会った。
(…捨て猫、か)
 見なかったことにして、足早に通り過ぎようかと思った。

「にゃー…」
「………」

 でも。その体が、小刻みにふるえているのを見てしまったから。
 その姿が、記憶の底の何かにちくりと刺さったから。
 両腕で抱きかかえるようにして、俺は彼女を連れて帰った。

「本当はこのアパート、ペット禁止なんだけどな…」


それは、ある秋の日のこと。
この日から、あなたとかえでねこの生活は始まりました。

平行世界?
猫よけペットボトル〜楓〜スレ#12
http://game.2ch.net/test/read.cgi/leaf/999983029/
2名無しさんだよもん:01/10/23 12:06 ID:p+pg+vru
○月×日

 びしょ濡れになった身体を、タオルで拭いてあげる。
 猫は、目を細めて喜んでいるようだった。

「…奇麗だな」

 真っ黒な毛皮が、蛍光灯の光を反射してつやつやと輝く。
 俺は、いつかどこかで、こんな女の子に会ったような/そんな記憶は、無い。
 とりあえず。俺は猫を持ち上げて、大切なことを確認してみた。

「ふにゃっにゃっ!」
「ふーん。君は、女の子か。じゃあ、名前は…」
「……」
「かえで…うん、なんだかよく分からないけど、君には『楓』がぴったりだ。そんな気がする」
「にゃー」
3名無しさんだよもん:01/10/23 12:07 ID:QCkmrpME
ただでさえ本スレが盛り上がりに欠けるんだから本スレでやってくれ。
4名無しさんだよもん:01/10/23 12:16 ID:qp8lQPYQ
○月△日
 …このネコ、けっこうわがままだ。
 特売200グラム増量のキャットフードには見向きもしてくれない。

「ほら、サンマ買ってきたぞ、かえで」
「にゃー」
5 ◆hGrdp//E :01/10/23 12:37 ID:AUWOLF9e
首輪を買ってあげた。
かえでにはこれがないと始まらない。何故か、そんな気がした。
6名無しさんだよもん:01/10/23 13:08 ID:kvfrC0el
最近猫とエッチする夢をよく見てマジで自己嫌悪に陥ってます
何かふわふわしてて気持ちいいんだ〜
7名無しさんだよもん:01/10/23 13:09 ID:MDTt6uxH
8名無しさんだよもん:01/10/23 13:59 ID:c2dhBHA+
サークル[致命傷]さんの同人誌
「すきすきこういち。」シリーズみたいでナイス!
続きキボ〜ン
9名無しさんだよもん:01/10/23 14:25 ID:A8JvpHzG
下げないでください…
寂しいです…にゃあぁ…
10名無しさんだよもん:01/10/23 15:34 ID:jXTsrHc0
おしっこしたので、お尻を拭いてあげた。ふきふき
なんかどきどきする・・・なんでだろ。
11木風ねこ:01/10/23 18:00 ID:QosE9GMS
 にゃぁ
   ∧ ∧
   ミ・ο・ミ
〜(,,uuノ
12名無しさんだよもん:01/10/24 10:33 ID:3mwnRN3u
足下にすり寄ってきたかえでを抱き上げる。
やわらかくてあたたかくて、どきどきした。
13名無しさんだよもん:01/10/26 10:37 ID:a8NyhBVe
 にゃーの
   ∧ ∧
   ミ・ο・ミ
〜(,,uuノ
14名無しさんだよもん:01/10/26 17:45 ID:DZL7TrhE
部屋に慣れてきたらしく、とたとた走り回る。
ちょっと目を離したとき、か細い「みゃー」って声が。
振り向くと、カーテンレールの上から降りられなくなっていた。
おびえたような顔。そっと抱き上げて、胸元に抱く。
ふわっとした、ほとんど重さを感じられない柔らかな手応え。
「かえで、あんまりはしゃいじゃだめだよ」
安心させようとそっとなでていたら、いつの間にか眠っていた。
安らかな寝顔を見て、思わず頬がゆるんだ。
15名無しさんだよもん:01/10/27 07:43 ID:oEkAwprw
 
16名無しさんだよもん:01/10/27 17:51 ID:oaCGpNef
age
17かの■〜:01/10/27 18:02 ID:aoWvDHd5
今にも獣姦に走りそうな萌えスレだよ・・
18かえで:01/10/27 18:12 ID:2Bww8Tjy
○月×日

きょお〜ごしゆじんたまのまねぇおして、につきぉかいてみたにゃ。
じをかくのむずかしいにゃ。
ごしゅじんたまわすごいにゃ。
かえでわまだ〜じがうまくかけないし、いみもよくわからないにゃ。
でも、これからもがんばてかくにゃ。
あ、そぉそぉかぇでのにつきのことわ
ごしゅじんたまにはないしょにゃん♪
19がっくす:01/10/27 18:56 ID:E5+IPUWH
金が無くなってから,楓猫が帰ってこない…

やはり,飯が無いからか…ううっ,猫ってヤツは…
20楓ねこ:01/10/28 00:33 ID:r3kp9KeJ
にゃあ〜〜。
21名無しさんだよもん:01/10/28 00:36 ID:g7O80hgI
楓ねこのビジュアルってどんな感じ?
俺脳内ではたるとたん互換なんだが…
22名無しさんだよもん:01/10/28 00:47 ID:CSHeKYCi
結末はアルジャーノンみたいに…なるのか?
23名無しさんだよもん:01/10/28 00:51 ID:J6vpQibx
いや、天使のしっぽかもしれないぞ。
24かえで:01/10/28 01:04 ID:jIr9g/d1
10月28日

なんだか、ごしゅじんたまがおきちゃいまちたにゃ。
それでかえでもおきちゃたにゃん。
じつわかえで、すうぢていうのぉおぼぇたにゃ。
なんか月と日ていうのわ、かえでののぅとにはじめからついてるにゃ。
かえでわ、これぇよめにゃい。
ごしゅじんたまはいつもここにすぅぢおかいてるから
かえでのもあつてるとぉもうにゃ。
あ、ごしゅじんたまがきたにゃ。
かぇで、またねるにょ。
かえでも、にんげんさんたちみたく
もつと、じおかけるよになるのかにゃあ?
かえで、またねんねするにゃん♪
ごしゅじんたまといしょーだにょ。
25名無しさんだよもん:01/10/28 07:02 ID:asfkwAVt
ねるにょって…
26かえで:01/10/28 13:32 ID:rMMrV15Z
10月28日

きょおのあさ、おうちにおきゃくたまがきましたにゃん。
めがねおかけた、にんげんさんでしたにゃ。
かえでも、ごしゅじんたまといしょーにいつて、ごあいさつ。
めがねのにんげんさんは、かえでお、だいてくれました。
ごしゅじんたまは、そのにんげんさんのことぉ、「やなぎかわ」ていてましたにゃ。
ごしゅじんたまのおともだちかにゃ?
かえでも、おともだちいぱいいるにょ♪
みんななかよしさんにゃ♪
かえでわ、にんげんさんたちと、もつといぱいなかよくなりたい。
いつか、かえでもことばおしゃべれるようになるのかにゃ〜?
27かの■〜:01/10/28 15:54 ID:6IkVhGwv
(・∀・)カエデ!
28名無しさんだよもん:01/10/28 22:10 ID:h7El28k3
みたおんしゃの漫画みたいな感じで。
29青紫:01/10/28 23:22 ID:FXYtuyD7
>>26
あれは「やなぎかわ」じゃなくて「やながわ」と読むのだよ?
あと俺の書いたオマケシナリオもヨロシクな!
30名無しさんだよもん:01/10/28 23:52 ID:rMMrV15Z
>>29
そうだね。スマソ。
これからは気をつけるよ。
どうも昔から、柳川を「やなぎかわ」って逝っててね。
近所の飲み屋も「やながわ」なのに「やなぎかわ」って逝ってるもんで。
よく周りから注意されるよ。
31名無しさんだよもん:01/10/29 00:27 ID:X2wlzr9v
これからは気をつけるって
ただの知恵足らずじゃねぇか…
32名無しさんだよもん:01/10/29 00:41 ID:xEkzmPTF
>>31
気にしないでヽ(´▽`)ノ
観鈴ちんと同じくらいの知能指数だから。
…小学生レヴェルってこと!?…(;´Д`)
33名無しさんだよもん:01/10/29 01:53 ID:iIQGVCM5
.>30
あれはねこかえでっぽく
わざとやっていると思ったら
マジだったとは……(^^;;;
34名無しさんだよもん:01/10/29 02:10 ID:xEkzmPTF
>>33
いや、そもそも猫楓がご主人様が「柳川」って
言ったのを聞いたわけで…
だから、わざとにしても読みを間違えるわけない。
よって、漏れが悪かった(;´Д`)
これからは、現実でも「やなぎかわ」発言は控えます(^^;
35かえで:01/10/29 16:08 ID:C+gp6Lln
10月29日

きょぉは、ごしゅじんたまおしごとのひ。
でも、なかなかおきにゃいの。
だから、かえでがおこしにぃきました。
さいしょはぁ、かえでのまえあしでぺたぺた。
でもおきにゃい。
つぎは、ごしゅじんたまのうえにのっかてみた。
おきにゃいの。
かえでじゃぁおこせにゃいのかにゃ〜?
かえでさむくなちゃたから、ごしゅじんたまのおふとんのなかにはいつたにょ。
あたたかかたょ。
すこしたつたら、ごしゅじんたまぁあわてておきたにゃ。
ちこくだ〜ていてた。
かえでもがんばつたんだよ。
あしたはちゃんとおきようにゃ。
36名無しさんだよもん:01/10/29 19:07 ID:BI8o5XMu
…というか、青紫に訂正されるなよ(w
37名無しさんだよもん:01/10/30 01:55 ID:HaT7BD/K
史上最強のツッコミといえよう>36
38 ◆hGrdp//E :01/10/30 10:20 ID:zHSm0D6h
まあネコだから。
39かえで:01/10/30 15:59 ID:8Y3kZoSq
10月30日

きょぉのごしゅじんたまは、かえでよりもはやくおきたにゃ。
きのぉおきられなかつたから、がんばたにょ。
やぱり、ごしゅじんたまわえらいにゃ〜
きょおのごしゅじんたまわ、おしごとがはやくにおわたから
もぉかえつてきたの。
これからでかけるぅていてたにょ。
かえでもいきたいていつたら、おるすばんだつて。
でも、かえでわひみつのでぐちしつてるから
これからごしゅじんたまお、おいかけるにゃん♪
40途中経過…:01/10/30 16:29 ID:8Y3kZoSq
耕一「さてと、今日の晩飯、何にするかな?」
………
耕一「楓には、サンマがいいかな。あいつサンマ好きだもんな〜」
と、俺は一番活きの良さそうなサンマを手に取る。
耕一「…俺もサンマにするか」
俺はもうひとつ、サンマを手にとった。
そのあと、俺は適当なものを選び、レジで買い物をすませた。
耕一「さてと、さっさと帰るか…」

………

……



耕一が少し歩き、大きな道路に差し掛かったときだった。

一匹の小さな黒い猫……

とても見覚えのある、その姿………

耕一「かえで!?」
俺は驚いた。楓は家の中にいたはず。なのにどうして…?
楓「にゃぁ…」
と、楓は耕一を見つけ、嬉しそうに鳴いた。
今にも消えそうなくらい、小さな鳴き声…
41途中経過…:01/10/30 16:30 ID:8Y3kZoSq
耕一「かえで〜!そこで待ってるんだぞ!今、そっちに行くから!」
耕一は叫んだ。目の前は道路…
楓がこっちに来たら危ない。
しかし、楓は耕一のもとへ駆け出して来ていた。
耕一「くるな!楓!」
キキーーーーー!
タイヤと道路が擦れ合う音が辺りに響いた。
少しだけ、ゴムが焼けたような、嫌な臭いが俺の鼻を刺した…
一瞬、何が起きたのか、俺には分からなかった。
ただ、俺の目にはしっかりと映っていた。

小さな、黒いモノが空を舞っている様子………

ほんの一瞬の出来事だった。
耕一「かえでーーー!」
俺は楓の元へ飛んでいった。
その小さな黒い身体はすでに動かない…
もう俺にはどうすればいいのか分からなかった。
ただ、いつものように俺が楓のことを呼べば目が覚めてくれる…
そう思い、俺はずっと叫んでいた……
42名無しさんだよもん:01/10/30 23:31 ID:Dgs4o7Ge
楓スレでやればいいのに…
43名無しさんだよもん:01/10/31 00:18 ID:/Jl/TbM8
>>39-41
ラわーん!続きは奇跡をキボンヌ!!
かえでねこたんがかわいそうだよー。(涙)
44続き:01/10/31 00:49 ID:590i/0Nw
 ふと、後ろに人の気配を感じて振り向いた。
 リボンの大きなセーラー服を着た女の子が、身じろぎもせず、楓を抱えて
泣き崩れる俺をじっと見つめている。
 清楚な雰囲気で整った顔立ちの、上品な少女。だが、彼女にはその雰囲気と
似合わない、どこか浮世離れしたところがあった。
 不意に少女が口を開いた。その可憐な口から発せられる言葉はあまりにか弱く、
今にも消え去りそうで、何を言っているのかほとんど聞き取ることができなかった。
「……え、何だって?」
 俺は少女の口に耳を近づけて聞き返し、少女は言葉を繰り返した。
 今度は、彼女の小さな声がようやく聞き取れた。
「……………………(悲しいのですか?)」
 俺は戸惑いながらも、返事を返す。
「ああ……」
「……………………(あなたの猫さんですか?)」
「そうだ、俺の猫だ。なんでこんなことに……」
「……………………(生き返らせたいですか?)」
「あたりまえだろう!だけど、そんなことできるわけが……」
「……………………(できます)」
 その言葉に、俺は頭を殴られたように呆然とした。
「なんだって!?」
45続き:01/10/31 00:58 ID:590i/0Nw
「……………………(その猫さんを生き返らせることはできます。でも、そのためには
 あなたが大きな犠牲を払わなければなりません)」
 少女は無表情な顔で俺を見つめると、言葉を続けた。
「……………………(覚悟できますか?)」
 俺は一瞬迷った。彼女の言う犠牲とは何だろう?まさか、代わりに俺の命を
さしだせなどということは。だったら、どうする。
 そもそも、この見知らぬ少女のいう生き返りなどというものを信じていいのだろうか。
 だけど、俺は決心した。この少女の言うことを信じよう。
 楓を生き返らせることができるというのなら、その言葉に賭けよう。そして、
そのためならば、どんな犠牲でも払ってやる。
 そう決心させたのは、楓への想いだけではなかった。
 俺を決心させたのは、この謎めいた少女から漂う不思議な気迫だった。
 この娘には、力がある。信じられないような奇跡を起こす力が。
 なぜだか、そう思わせるものがあった。
「ああ、覚悟する。何をすればいいんだ?」
「……………………(ついてきてください)」
 少女はそう言って、先に立って歩きだした。
 俺は事情がよくわからないまま、楓をかかえて少女の後を追った。
46かえでにつき:01/10/31 00:59 ID:Cq3/5bih
続きは昨日と同じくらいの時間に書こうと思ったけど、
違う人が書いてくれたし、ageられてしまったため
卒業します。(続きも全部出来てたんだけどね)
かえで日記を読んでくれた人(いたのか?)ありがとう。
柳川の件ではスマソ(;´Д`)
でわ。
47名無しさんだよもん:01/10/31 01:11 ID:eQjYLuSc
さいなら
4843:01/10/31 07:13 ID:hidOEP02
>>46 かえでにつきさん。ごめんなさい。
かえって邪魔したみたい。もしよろしければ
あなたの続きを読ませてください。
でも、載せるかどうかはあなたの心のままに
して下さい。

>>44-45さん
わがままきいてくださってありがとう。
あなたの続きも同じように読みたいです。
きっとかえでねこを助けてあげて下さい。
おねがいします。
49名無しさんだよもん:01/10/31 23:23 ID:yqULe63v
このスレッドも上げて
ねこかえでの魅力をさらにアピール
50名無しさんだよもん:01/10/31 23:29 ID:b2nusMN+
今宵は満月。月の神秘のちからを借りたとしても、
あの黒髪麗しい少女が反魂の秘法を成就する
ことはできないのだろうか。

ああ...かえでねこたん...(啜泣)
5144:01/11/01 01:53 ID:rj1rp/ay
ありゃ。
続きを書く予定でしたか。こりゃ、横から飛び込んで邪魔しちゃったかな。
今日は仕事が詰まってるので、この続きは明日にでも。
52名無しさんだよもん:01/11/02 11:12 ID:lk1DwVoS
45の結末が気になりすぎる、本当に黒猫を飼いたい気分になってきたよ
あああ楓ねこたん例え、この世の法則が捻じ曲がってでもいいから奇跡よ
起きてくれええ気になって夜も眠れないよ・・・・・・・・・・・世界中のみんなが
君を待っているんだよ!戻ってきてくれええ楓ねこたん・・・・・・・・
53名無しさんだよもん:01/11/02 11:20 ID:lk1DwVoS
うううう・・・・・・・・・この話をみて本当に黒猫を飼いたくなったよ
45の話の続きが気になりすぎます、楓ねこたん・・・・例えこの世
の理に反してでもいいから生き返ってほしい・・・・・・
もう一度この手に温もりを思い出させて欲しい、楓ねこたん・・・・
54名無しさんだよもん:01/11/02 11:23 ID:lk1DwVoS
52,53
あら2重に書込んでしまったか、最初見たときは書込めでなかったと思ったんだが
55続き:01/11/02 22:31 ID:L1GjdNUb
 夕暮れの光の最後のひとかけらが、部屋の中を赤く照らし出していた。
 少女に連れてこられた先は、近くの高校の一室だった。「オカルト研」という
札の下がった小さな部屋。部屋の中には髑髏とか、いかにもそれっぽい雰囲気の
小物が並べられ、床の中央には複雑な模様の魔方陣が描かれている。
 その少女--芹香は、さっきからなにやらせっせと作業を続けている。
 魔方陣の模様の上に、チョークでまた別の模様を書き加えている。中央に置かれた
香炉に、いろんな色の粉末を少しずつ加えている。香炉の脇には、乾燥させた
草のようなものがいくつも置かれ、彼女の後ろには、ひどく古びた厚い本が置かれて
いた。
 これが、魔法ってやつなのか……?
 やがて、芹香は立ち上がって俺に振り返り、言った。
「……………………(準備できました)」
 そういって、彼女は俺が抱えている楓のなきがらを受け取り、魔方陣の上に
横たえた。
「……………………(始めます。覚悟はいいですか?)」
「いいけど……、いったい何をするんだ?)」
「……………………(あなたと、楓ちゃんの命をつなげます)」
「命をつなげる?」
「……………………(はい)」
 そう言ってから、俺の不思議そうな顔を見て彼女は続けた。
56続き:01/11/02 23:07 ID:L1GjdNUb
「……………………(楓ちゃんの命は、もう尽きてしまいました。なくなった命を
元に戻すことはできません。でも、ほかの人の命を吹き込んで、死んだものを
よみがえらせることができるのです)」
「そ、それで俺の命を使うと?)」
「……………………(そうです)」
 そう言われて、さすがに俺も怯えた。楓が生き返るなら、どんな犠牲でも払う
つもりではいたが、それでも俺が代わりに死ぬとなったら、ためらわずにはいられない。
「じゃ、じゃあ俺は死ぬのか?」
「……………………(いいえ、そんなことはありません)」
 彼女が驚いた顔で否定したので、俺は安堵した。
「……………………(でも、あなたの命が減ることになります)」
「命が……減る?」
「……………………(あなたの命で、楓ちゃんは生き続けます。あなたの命は、
あなた自身と楓ちゃんの両方を支えることになるのです。だから、楓ちゃんが
生き続けるかぎり、その分だけあなたの寿命は短くなります。それが、あなたの
払う犠牲です)」
 そういうことか。俺はやっと理解した。
 もう寿命の残っていない楓のために、俺は自分の寿命を分けてやらなければ
ならないのだ。俺の寿命があと何十年残っているか知らないが、その時間を
楓に分け与える。仮に楓があと十年生きるなら、俺の寿命は十年短くなるという
ことなのか。
 かまうもんか。俺の心は決まっていた。
 楓なしに生きる何十年より、たとえ短くても楓と一緒に暮らす日々の方が
ずっと価値がある。
57楓ねこたん万歳:01/11/03 10:57 ID:MArkaidy
続きができましたね♪気になって気になって何回もPCの電源要れ直しました。
楓ねこたん生き返りそうだが複線もきになってしまう、幸せな結末を祈ります。
最後に続きを書いていただきありがとうございます。
次回も楽しみにしています。
58名無しさんだよもん:01/11/03 23:42 ID:w+oVLAk9
なんで二つ立てたのか分からないがこちらも頑張って欲しい
すきすきこういちみたいで良いし
59続き:01/11/05 01:51 ID:Awf2Z0mu
「いいとも。俺の命、楓に分けてやるぜ」
 俺が答えると、芹香はこくりと一つうなずき、香炉に火をつけた。
 かび臭いような甘いような、なんとも不思議な香りが立ち上る。
「……………………(この術が成功するかどうかは、あなたと楓ちゃんの絆にかかって
います。あなたと楓ちゃんの心が強く結ばれていれば、命をつなげることができます。
そうでなければ……)」
 それだけ言って、彼女は魔方陣に向き直り、儀式の続きにかかる。
 彼女は魔方陣の前に立つと、両手を上げ、指先で複雑な模様を描きながら、かぼそい声で呪文を唱えていく。
「u……taw……ar……er……umo……nog……ak……oke……tar……a」
 彼女が呪文を唱えていくとともに、部屋の中には香の匂いと白い煙がたちこめ、魔方陣も、彼女の姿も、楓の姿もぼんやりとかすんでいく。
「lea……fha……mou……o……war……ika……sh……ir……a」
 呪文の詠唱が続き、部屋の中には奇妙な空気が立ち込める。
 楓の体がびくっと跳ねた。俺は楓を食い入るように見つめる。
「ke……yni……wa……mak……et……ak……una……iw……a」
 さらに呪文の詠唱が続くと、俺の中にしだいに妙な感覚が生まれてきた。
 体の力が抜けていく。俺は立っていられなくなり、ひざと手をついてしゃがみ
込んだ。
 何か……引っ張られているような気がする。まるで俺の中から魂が抜け、
楓の方に向かって吸い込まれていくような……。
「……………………(いけない)」
 意識が薄れていく俺の耳に、芹香の声がかすかに聞こえた。
「……………………(耕一さんと楓ちゃんの心の結びつきが弱い。このままでは……)」
60名無しさんだよもん:01/11/05 02:58 ID:qdaRjxyp
うう引っ張りますねえ^^
次回も期待してます。
頑張って下さい
61名無しさんだよもん:01/11/05 06:36 ID:BUnswJwm
下がりすぎ&続編期待age
62続き:01/11/06 01:54 ID:JvsLHQ3k
「駄目なのか!?」
 俺の悲痛な声に、芹香はかすかに首を振り、さらに呪文を唱えながら、香炉の
わきに置かれた草をひとつずつ香炉にくべていく。
 草がくべられるたびに、香炉からはさっきまでとは違う匂いが立ち上り、
色の違う煙が部屋に立ち込める。
 その煙の中で呪文を唱え続ける彼女の額には脂汗がにじみ、その顔はこれまでの
彼女からは想像できないような険しい表情に歪んでいる。
 彼女は呪文のほかに何も口にしなかったが、その顔に浮かんだ表情から、
この術が失敗しかけていることが俺にも感じ取れた。
 やっぱり、駄目なのか?楓を生き返らせることはできないのか?
 楓と俺の心の結びつきが弱いからか?
 俺と楓の関係は、そんな希薄なものだったのか。
 俺は、楓の命を救ってやることもできないのか。
 そう考えたとき、俺の心になぜか、不思議な思いが浮かんだ。
 前にも、こんなことがあった気がする。俺の想いが足りなかったために、
大事な、とても大事な何かを失ってしまったような。
 それが何だったのかは思い出せない。だが、その不確かな記憶が俺の心に
新たな決意を吹き込んだ。
63続き:01/11/06 01:54 ID:JvsLHQ3k
 死なせてたまるか。
 楓を死なせてたまるか。
 もう、大事なものを失うのはいやだ。
 じっとしていられなかった。俺はがむしゃらに楓に向かって走り寄る。
「……………………(いけません耕一さん、魔法陣に入っては!)」
 彼女の声にかまわず、俺は魔法陣に飛び込み、楓の体を抱きしめた。
「楓!頼む、戻ってきてくれ!俺を置いて行かないでくれ!」
 そのとき、俺の体を衝撃が突き抜けた。
 痛みのような、熱さのような、まぶしさのような、言葉にできない衝撃。
 一瞬目の前が真っ白になり、何も見えなく、聞こえなくなった。
 それはわずかの間だったのかも知れないし、もっと長い時間だったのかも知れない。
俺は時間の感覚を失っていた。
 気が付くと、周囲は一面に真っ白だった。何も見えない。まるで雲の中のような、
ふわふわした空間に俺は浮かんでいた。
 俺の腕の中にいた楓も、消えてしまっていた。
 ここは、いったいどこだ?
 呆然としている俺の後ろから、誰かが呼びかけた。
「耕一さん……」
64続き:01/11/06 01:59 ID:JvsLHQ3k
たぶん、次で決着がつくと思います。
でも、結末がお気に召すかどうかは分かりませんが……。
あ、先に言っちゃうけど、楓ねこは生き返らせます。
でも、それにまつわる話が……。
65名無しさんだよもん:01/11/06 02:34 ID:i6C/gtd6
今回も楽しく読ませていただきました!感謝。
楓ねこたん生き返るのですか、めでたいっす。
ただどうも複線がきになって、ただでは生き返らない気が^^
単なる杞憂で済めばいいのですが。
出来れば、第1章完みたいな感じで長編を希望!!(わがまま言ってははまずいか)
締めくくりにかなり期待しています
頑張ってください
66名無しさんだよもん:01/11/06 23:14 ID:d+XmIKWD
ひそかに熱いスレかも……。
67名無しさんだよもん:01/11/08 08:16 ID:FiKrVC/d
楓猫、どうなるの〜?
68続き:01/11/08 17:53 ID:q80u/m8R
 はっとした俺が振り返ると、背後に女の子が立っていた。
 おかっぱ頭にセーラー服の、小柄な女の子。整った顔立ちが印象的な、はかなげな
雰囲気の娘だった。
 女の子はじっと俺を見つめていた。その目には涙がにじみ、肩は小さく震えている。
「耕一さん……」
 彼女はもう一度俺の名を呼ぶと、俺の腕の中に飛び込んだ。
「耕一さん、また会えた。よかった……」
 そして、彼女は俺の胸に顔を埋めて、堰を切ったように泣き出す。
 その目から止めどもなく流れ出る涙が俺の胸を濡らし、嗚咽が俺の耳を突き刺した。
 いったい、この娘は誰だろう?
 記憶にない、見覚えのない少女。だが、俺の腕の中で泣き崩れる彼女を見ていると、
いたたまれない気分になった。
 誰か知らないが、この娘の方は俺を知っているのだ。それも、俺と再会したことを
泣いて喜ぶほど親密に。なのに、どうして俺には彼女の記憶がないのだろう?
「すまないけど……、君、誰だい?」
 俺の問いに、彼女ははっとして、涙に濡れた顔を上げて俺の顔を見上げる。
「…………憶えて……ないのですか」
 彼女の悲しいまなざしに、俺は胸が締め付けられた。
 なぜだろう。なぜ、俺は彼女を憶えていないんだ?
69続き:01/11/08 17:54 ID:q80u/m8R
 不思議だった。俺は彼女をよく知っているはずだ。知っていて当然なのだと
いう気がした。だのに、彼女が誰なのか、まったく思い出せない。
「すまない……」
 俺はそう答えるしかなかった。
 彼女の顔を深い悲しみの表情がよぎり、それはすぐに、なにか達観したような
吹っ切れた表情に変わった。
 彼女は泣きやみ、俺の胸から離れて向き合うと、小さな、だがしっかりした声で
言った。
「わたし……楓です」
「楓……、かえで……」
 俺の楓と……同じ名前。
「あなたは……きっとあのときの記憶を封じこめてしまったのですね」
「あのとき……?前に君に会ったのか?」
「はい……」
「教えてくれ。俺はいつ君に会ったんだ?どうして俺は憶えてないんだろう……?」
 最後の部分は、彼女への質問ではなく、自分への問いかけになっていた。
「いいんです……」
「え?」
「憶えてないのなら、その方がいいんです……」
 謎めいた言葉を口にすると、彼女はかすかに微笑んだ。
「わたし、嬉しいんです……。また、こうして一緒にいられるんですから……」
70続き:01/11/08 17:55 ID:q80u/m8R
 彼女は俺の手をその小さな両手で握り締めると、その手に頬ずりした。
 彼女の両目から、またひとしずくの涙がこぼれ、彼女と俺の手を濡らした。
 しばらくそうしていてから、彼女は俺の手を離し、また俺の目をしっかりと
見つめて言った。
「さようなら。いつまでも一緒にいてください……」
 え?
 さようなら、いつまでも一緒にいて、だって?
 おかしなことを言うんだな。
 どういう意味……と問いかけようとしたとき、彼女の姿はすでになかった。
 さっきまで確かに目の前にいたのに、今は彼女の気配もどこにもなかった。
「楓……、どこだ?かえで!」
 俺は声の限りに楓の名を呼んだ。
 その声に答えたのは、猫の鳴き声……、楓の声だった。
「楓……、そこにいるのか?」
 そう呼びかけると、俺の足元にどこからか楓が現れ、鳴き声を上げながら俺の
足にすり寄ってきた。俺は楓を持ち上げてしっかりと抱きしめた。
「楓……楓……かえで……」
 俺はその名を繰り返した。
 どちらの楓に呼びかけているのか、自分でもはっきりしなかった。
 眠りに落ちる瞬間みたいに、心地よい感覚に包まれ、そして何も考えられなくなった。
71続き:01/11/08 17:57 ID:q80u/m8R
もうちょい
72何で猫になったんだろう?:01/11/08 23:35 ID:DDBROnQz
ふうむ色々と謎が多そうですね、設定に深みが感じられて面白いです。
今後も期待しています。
73名無しさんだよもん:01/11/10 22:08 ID:1FE+AXbn
萌えー
74名無しさんだよもん:01/11/10 22:42 ID:0S5Hk42p
萌えメンテ
75名無しさんだよもん:01/11/11 23:12 ID:gHvB+ASQ
地獄車も責任持ってSS書いて欲しいよ。
76続き:01/11/12 21:35 ID:unDzvU12
 体を揺さぶられて、はっと気が付いた。
 目を開くと、芹香が俺の上にかがみこんで体をゆすっていた。
「……………………(あ、気が付きましたか?)」
 彼女はそう言って、ほっと息をつく。
「……………………(無茶しないでください。魔法をかけている最中に魔法陣に
入るなんて危険すぎます)」
「ああ……ごめん」
 そう言って、俺は立ち上がり、部屋の隅にあった椅子にかけた。
「変なものを見たんだ……。どこかなにもないところに一人でいて、そこに
女の子が一人現れて、何か言っていた……。はっきり憶えてないけど。
あれはなんだったんだろう……?」
 彼女は首をかしげて少し考え込んでから、
「……………………(楓ちゃんを生き返らせる魔法をかけていたので、あなたが
入ったときに魔法陣は、冥界につながっていました。あなたはそのときに、冥界を
覗いたのだと思います)」
「じゃあ、あれは誰だったんだろう……?」
 俺は考え込んだが、そのときふと楓のことを思い出した。
77続き:01/11/12 21:35 ID:unDzvU12
「そ、それより楓はどうなったんだ?」
 彼女はこくりとうなずき、
「……………………(大丈夫です)」
 その声と同時に、俺の腕の中で楓がぴくりと動いた。
 よく見ると、楓は静かに息をしている。気持ちよさそうに眠っているのだ。
 俺は安堵の息をつく。
「よかった……」
「……………………(本当に、よかったです)」
「ありがとう……、芹香さん。なんてお礼したらいいか……」
「……………………(いいえ、わたしの力ではありません)」
「え?」
「……………………(わたしの力では、楓ちゃんを生き返らせることはできません
でした。生き返りの魔法は失敗しかけていました。でもそのとき、そう、耕一さんが
魔法陣に飛び込んだときに、なにか……誰かが力を貸してくれたのです。その誰かが
あなたと楓ちゃんのこころを結び付けて、魔法を成功させてくれたのです)」
 そう言って、彼女は不思議そうに首をかしげた。
「そうか……、まあとにかく、楓が助かってよかった……」
 俺は、つやつやとした楓の毛並みをなでながらそう答えた。
78続き:01/11/12 21:36 ID:unDzvU12
 楓は俺の腕の中で何度か身じろぎし、伸びをしてから、俺の方に顔を向けて鳴いた。
 にゃ〜お。
 そして、楓は俺に向かって口をきいたのだ。
『……ここはどこにゃ?ごしゅじんさま、かえではここでなにしてるにゃ?』
「しゃ、しゃべった?楓が!」
「……………………(ちがいますよ)」
 芹香はかすかに笑った。
「……………………(楓ちゃんは、あなたの命をもらって生き返りました。いま、
あなたと楓ちゃんは同じ命を持っているのです。だから、あなたには……、あなたに
だけ、楓ちゃんのこころが聞き取れるのです)」
 なるほど。
 そう言われて気が付くと、楓は本当にしゃべっているわけではなかった。
 以前と同じに、にゃあにゃあ鳴いているだけだ。
 だけど、楓が鳴くときに、楓の言葉が俺の心に飛び込んでくる。
『ごしゅじんさま、なにを泣いてるにゃ?』
 楓はそう言って、俺の腕を駆け上がり、肩の上で俺の頬をぺろぺろと舐め始めた。
79続き:01/11/12 21:37 ID:unDzvU12
『かえで、ごしゅじんさまをむかえにいったはずなのに、どうしてここにいるにゃ?
なにがあったのにゃ?』
「あとでゆっくり話してやるよ。さあ、帰ろう……」
 俺は芹香にもう一度お礼を言ってから、オカルト研の部室を後にした。
 彼女と一緒にすっかり暗くなっている廊下を抜け、校舎を出て校門のところまで
来ると、門のところに一台のリムジンが止まっていて、脇に大きな体格の
背広姿の男がじっと立っていた。
「お嬢様、お言葉どおりお待ちしておりました。ご用事はお済みですか?」
 その男の言葉に、彼女は
「……………………(ええ、終わりました。帰りましょう)」
 答えると、車に乗り込み、最後に俺たちに
「……………………(さようなら、またいつか)」
 ぺこりとお辞儀すると、車を出させて走り去った。
「さ、帰ろうか、楓」
『うん、かえろうにゃ』
 楓は俺の腕を抜け出して地面に降り、家に向かって走り出す。俺はその後を
追って歩いていった。
80とりあえず終:01/11/12 21:38 ID:unDzvU12
『おなかすいたにゃ。ばんごはんはなにかにゃ?』
「ああ……、サンマ買ってきたんだけど、この騒ぎで放ってきちまった。
うちになんか食べるものがないか、探してみよう」
『やすものキャットフードはもういやにゃ』
「こいつ……、勝手なことばかり言ってるな」
 夜の空気の中、街頭の光が道路に楓の影を映していた。楓がとことこと駆け出すと
影は楓を追い越しては消え、また次から次へと現れる。楓の毛並みと同じように
黒い影。影と戯れる楓を眺めていると、さっきまでの出来事が夢や幻ではなく
楓が本当に生き返ったのだということがようやく実感として伝わってきた。
「まったく、おまえは気楽だよな……」
 気まぐれで、向こう見ずで、甘えん坊で、生意気な楓。
「まったく、世話を焼かせやがって……」
 俺は、楓に見えないように、上着の袖でそっと頬の涙を拭った。
81とりあえず終:01/11/12 21:39 ID:unDzvU12
一応、決着がつくところまで書きましたが、
この後はどうしたものか……?
82楽しませていただきありがとです:01/11/12 22:11 ID:8oHVMGpk
まずは物語が一区切りつきましたね、おつかれさまです。
楓猫復活万歳\(~o~)/といったところでしょうか
なかなか設定に深みがあるので、今後もかなりのサイドストーリー、
もしくは続編がつくれそうですね期待しています。
一読者の心情としては、楓猫の前世であろうとおもわれる楓ちゃん本人を
本編もしくは外伝どちらかにでも登場してきてほしいですね。
楓猫もいいのですが、なんか過去に起こったと思われる楓ちゃんの悲劇を
思うと・・・・・作者さんの思惑とはおそらくズレる展開を期待しちゃうん
ですよねえ。楓ちゃんには幸せになってもらいたいなあ、でも楓ねこの新たな
アビリティに関する話もみてみたい気もするし・・・・・・・
生意気な楓ねこもいいし
気長にまっておりますので、是非続きをみてみたいです。
83名無しさんだよもん:01/11/13 02:27 ID:3KNeUeDS
下がってきたのでage
84新展開の前の中休み:01/11/15 15:28 ID:ainrQ1KB
新展開の前の中休み&楓ちゃん誕生日記念

 楓と話が通じるようになったので、字を覚えさせてみることにした。
 意外と物覚えはよく、すぐにひらがなを読めるようになった。
 さすがに漢字を読めるようになるには時間がかかりそうだったので、本屋で
ひらがなで書いてある童話を探してきてやった。
『へ、ん、ぜ、る、と、ぐ、れ、ー、て、る、は……』
 いっしょうけんめい字を読んでいる姿が、なんとも微笑ましい。
 しばらくは本に読みふけっていそうだったので、俺は楓を残してテーブルで
くつろいでいた。
 コーヒーを飲んでいると、突然興奮した様子で楓がやってきた。
『いいことがわかったにゃ、ごしゅじんさま』
「え、なんだ?」
『ごしゅじんさまは、おおさまになれるにゃ』
「お、王様??」
『かえではそうりだいじんになるにゃ』
 俺はいったいなんのことか分からず、考え込んでしまった。
『だから、ながぐつをつくってほしいにゃ』
 え?長靴?
 もしかして。
85新展開の前の中休み:01/11/15 15:29 ID:ainrQ1KB
 頭にひらめいた俺は、楓が読んでいた童話を確認した。
 ……あー、なるほど。
「なあ楓、今の日本には、王様も、伯爵も、魔法使いもいないんだ。……総理大臣は
いるけどな」
『にゃ?そうなのにゃ?』
「だから、おまえの考えていることは実現不可能だ」
『ふにゃ……、でもそれなら、このほんはうそをかいてあるにゃ。わるいほんにゃ』
「いや、お話ってのはもともと嘘を書いてあるのが当たり前なもんでな……」
 それから、俺は童話とはどんなものかを楓に説明してやる羽目になった。

『ざんねんにゃ。ごしゅじんさまをえらくしてあげられるとおもったのににゃ』
 楓は本を読むのに飽きて、今は毛糸球と戯れている。
「いいって。おまえがそれだけ字が読めるようになったなんて、立派なもんだ」
 それに、おまえのその気持ちだけで嬉しすぎるくらいだぜ。
 俺は、心の中でそっと付け加えた。
 寝転がって毛糸球をがりがりかじっている楓をおいて、俺は机の上に開いたままの
本を閉じ、本棚にしまった。
……『ながぐつをはいたねこ』、か。
86新展開の前の中休み:01/11/15 15:33 ID:ainrQ1KB
というわけで、特別編です。
楓ちゃん誕生日記念で特別にage。

今後の構想ができたので、続きを書きます。
ただし、いろいろと忙しいので頻繁に続きを出せないと思いますから
気長に待ってください。
87名無しさんだよもん:01/11/15 21:12 ID:FvgYDptx
待っていました
新展開に期待♪
気長にまってます
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