学園物語★KOVA 17歳★2

このエントリーをはてなブックマークに追加
915外伝・秋のソナタ・外伝
914です
>>909氏の「家出」のシーンからアナザーストーリーでお目汚しを

「もういやよ。何もかもいや!」
涙をにじませた目を伏せ勝ちに、何かから逃げるような早足で街を行く秋子。
秋子は確かに逃げていた。
現実逃避の大言壮語ばかりで、社会の革新どころか、家庭の保守さえできない夫から。
成長を拒否して引篭り、怯懦と怠惰の言い訳をカルトまがいの思想に求める息子たちから。
そんな3人を、強く優しい母・貞淑な妻として支えた自身の人生から。
20年間家庭を気丈に支えてきた自分の中で、何かが壊れたような気がした。
だが、自分を縛っていた自分自身が「何か」から解き放たれたような気も…

家を飛び出したものの、秋子には行くあては無かった。
父は「女三界に家無し」を、女のあるべき姿として常に秋子に説きつづけた。
「夫が至らないなら、それを補うのが妻の務めだ」。受け入れてくれるはずもない。
また、年老いた父の心労を増やすこともしたくなかった。
それでも秋子は逃げる。あの家から少しでも遠くへ。


916外伝・秋のソナタ外伝2:03/10/04 04:29 ID:UcMxJg4h
秋雨が降り出した。雨足はすぐに強くなる。秋子には傘も無い。
ここ数日の温かい陽気があったので、夏服同様の薄着で飛び出したのだ。
薄手の白いワンピースに冷たい雨が染み込み、たちどころに体の芯まで冷やす。
美しい漆黒の長い髪を水が伝い顔に垂れる。涙か雨か区別もつかない。
「こんな思いするくらいなら、生きていない方がましだわ」
何かが壊れた秋子は、自暴自棄になりうずくまった。
雨は一層強く、秋子の体を濡らして冷やす。

雨が急に止んだようだ。
「こんなところで…。アキちゃん、具合悪いの?」
保が怪訝そうな顔で、秋子に傘を差し掛けて立っていた。
秋子は知らず知らずのうちに、保の住むマンションの近くに
足を向けていたのだった。
秋子「保…さん?」
雨と涙で顔に後れ毛を貼りつけたまま見上げる
保「風邪をひかないようになんとかしないと。取り合えず僕のとこ…」
秋子「ううううう」
何かが中で風船のようにはじけた秋子は、まるで幼女のように泣きじゃくった