連続ドラマ小説「ニホンちゃん」 4クール目

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448生姜おじさん
生姜おじさん(1)

ザイニー君には生姜おじさんというおじさんがいます。カンコ家の血を引くため
エラは張っていますが、渋い声と紳士的な物腰がシシローおじさんに通じる
ものがあり、ニホンちゃんはちょっぴりあこがれています。

ニホンちゃんとタイワンちゃんが道を歩いていると、そのシシローおじさんに
生姜おじさんが抗議している所に出会いました。抗議といってもとても穏やか
な声です。ニホンちゃんはカンコ家の人とは大違いだと思いました。
それもそのはず生姜おじさんはザイニー君と同じく日本で生まれ育ったのです。
生姜おじさんはシシローおじさんがお墓参りに行くのに反対のようです。
「ニホン家には昔から名誉ある撤退という言葉がある。
 シシローさんは墓参りから名誉ある撤退をすべきだ。
 そうすればシシローさんのニホン家での人気もあがるだろう。
 チュウゴ家も反対しているが、あの家は商売の方針を変えて新しい事業をしようと
 しているから、ニホン家と仲良くしたいと望んでいる。墓参りを止めれば、
 チュウゴ家と今よりずっと仲良くなれる」
ちょっと妄想入っている部分もありますが、後半の説得には筋道が通っていて、
カンコ家の感情を押し付けるやり方とは大違いです。
ついシシローおじさんも「お墓参りはみんなと約束したわけじゃない」とトーンダウンしてしまいました。
449生姜おじさん:2001/08/04(土) 21:33 ID:bHTEE3lk
>>448
生姜おじさん(2)

生姜おじさんはシシローおじさんに追い討ちをかけます。
「だいたいニホン家はアメリー家に従いすぎる。ニッテイさんの時に家に花火を
 打ちこまれた件も抗議して賠償をもらうべきだ」
そのときニホンちゃんには「謝罪と賠償しる!」というカンコ君の姿が生姜おじさんに
重なって見えました。ニホンちゃんはニッテイおじいさんとアメリー家が喧嘩した時、
果たし状の到着が手違いで遅れて、ニッテイおじいさんの不意打ちになってしまった事を
知っています。だからって花火を打ちこむのはやりすぎだとは思いますが、その負い目もあり、
ニッテイおじいさんが無条件で降参した以上、謝罪と賠償を求めるのもどうかと思うのです。
訴えるなら賠償より、二度と花火が使われる事の無いよう訴えたいと思うニホンちゃんなのでした。
それだけに生姜おじさんの言葉にカンコ家の血の伝統を見た思いですっかり幻滅してしまいました。

しょんぼりしたニホンちゃんを見てタイワンちゃんがあわてて元気づけます。
「うちのパパは、墓参りはその家で決める事でよその家が口出しすることじゃないって言ってたよ。
 だから大丈夫、きっとシシローおじさんはお墓参りに連れていってくれるよ!」
落ちこんでいたのは違う理由だったのですが、タイワンちゃんがはげましてくれているのが
分かったのでニホンちゃんはにっこりほほえみました。
「うん。ありがとう。私もシシローおじさんのこと信じている!名誉ある撤退なんてしないって」
「名誉ある撤退かぁ、アイツもその言葉をおぼえてくれたらいいのにね!」
二人のほがらかな笑い声が道にこだまします。
450生姜おじさん:2001/08/04(土) 21:34 ID:bHTEE3lk
>>449
生姜おじさん(3)

二人の笑顔がヒッと引きつりました。
噂をすれば影でアイツが二人の所に走ってきたのです。呼んでもいないのに。
「ニダニダニダニダー!やい、ニホン!三陸池の魚取り券はいらないニダ!
 北方池でサンマを取るのは止めないニダ!でも仲良くするニダ!
 ウリの家に遊びに来ておやつを置いて帰るニダ!」
カンコ家はまるで親の仇のようにニホン家の邪魔ばかりしているのですが、
それがウヨ君のマンガ本以来、めだって酷くなりました。
その結果、ニホンちゃんがカンコ家に遊びに行く回数は半分に減ってしまいましたが、
カンコ君はニホンちゃんの持ってきてくれるおやつが無いと困るのです。
名誉ある撤退という言葉をカンコ家に教えてくれるよう生姜おじさんにお願いしたいニホンちゃんでした。

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始めてニホンちゃんを書きます。お目汚し失礼。
生姜おじさんは在日三世の東大教授です。正直、カン先生とかぶっています。セリフは朝生から取りました。
小泉総理の「靖国参拝は公約では無い」発言はニュースからです。教授が説得に成功したわけじゃありません。
それでもニホンちゃんはシシローおじさんのお墓参りを応援してます。
三陸沖の漁業権請求を韓国側から返上してきたのもニュースからです。