韓国海軍スレ KDX『149番艦』

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359マンセー名無しさん
イ・スンシン級駆逐艦の回顧と展望と題すべき文書があった。海軍
予算に大鉈が振るわれる前の文書なので、現在の状況とは異なる
所もあるが、興味深い内容だったので要約を紹介。

ttp://www.emilitarynews.com/board/sboard.php?brd_code=d0003&no=80&mode=view&cpage=2
この記事はイ・スンシン級の実際の運用で明らかになった情報などが公
開されてきたのにあわせて、同級の計画から建造、問題になっている防
空能力の問題と改善方法に関する論評を行っている。

・イ・スンシン級はKD-1(広開土大王)をタイプシップとしてその拡大改良型
として設計。機関部や主要センサーはKD-1を踏襲。KD-1の運用で明らか
になった問題点の改善も盛り込まれた。

リムパック参加経験を元に、航洋性の改善と全般的な作戦能力、武装搭載
能力の拡張、今後の改良に耐える発展性の確保などを考慮した結果、排水
量が3800tから5500t級に拡大。結果としてKD-1はイ・スンシン級の建造を準
備する技術実証艦的な存在となった。これと似た例は少数生産に終わり、ポ
ハン級コルベットに生産が切り替えられたトンへ級コルベットにも見られる。

KD-1は船体を7度傾斜させたステルス設計が採用されたが、これは本格的
シミュレーションを経た物ではなく外国の事例を模倣した物で、実際の効果
は低かった。イ・スンシン級は本格的なRCS減少を踏まえた設計が施された。
RCS減少の設計はドイツIABG社の技術をベースにし、英BEAのチェック、米
JJMA社(現Alion)が監修を担当した。

設計では出来るだけ傾斜が設けられ、上部構造物もRCSを減少させる工夫が
盛り込まれ、砲塔やマスト形状もステルス性が考慮され、主要部分には電波
吸収剤が使用された。これによりイ・スンシン級は、非ステルス型の1200tコ
ルベットよりも小さい目標として捉えられるステルス性を確保した。赤外線ス
テルス対策ではカナダ製の排気冷却システムが採用された。
360マンセー名無しさん:2009/07/05(日) 01:53:42 ID:y3hL4EJt
一方、静粛性の部門では問題があった。イ・スンシン級は推進装置に振動低減
を目的とした静音マウントを韓国海軍として始めて採用し、振動と騒音を抑制、
米海軍と同じ規格の静音マウントの国産化を行った。しかし、建造では海軍の
要求がしばしば変更され要求の整理が行われなかった事もあり、造船所は海
軍の静粛性要求を満足させる事ができず、海軍が艦艇受領を延期する事態も
発生。この問題の解決には相当の資金と時間を費やす事になった。

目立たないメリットとしては、優れた船体設計を採用した事で最高速度は公証
数値より数ノット高く、KD-1よりも余裕のある船体を採用した事でエンジンの整
備性が改善され、信頼性向上に繋がり、運用する士卒から良い評価を得ている。

イ・スンシン級はおおむねKD-1に比べて優秀な水上戦闘艦であるとの評価を得
ているが関係者たちの評価はよいものばかりでは無い。「KDX-2はKD-1の運用
実績をきちんと検討せず、早急な整備を優先してKD-1よりも1000t大形にして一
部の武器システムを強化しただけの任務の区分もあいまい」であるとの批判が
なされたりもした。

カン・ヨンオ退役提督は著書の中で「フリゲートを建造する途中で、新参謀長は
哨戒艇を大量建造するようにし、3200tDDG建造中に新参謀長は4500t級DDG建
造に変更、さらに新しい参謀長は7000t級イージス艦計画を推進しようとした」朝
令暮改の建造計画を強く批判した。またイ・スンシン級の防空能力不足はしばし
ば指摘され、国政監査でも絶えず議論の的となった。

問題の出発点としては、イ・スンシン級が計画された当時、韓国海軍では予算や
時間の問題から革新的な装備や概念を導入することはできず、ギアリング級の
退役が迫っており、戦力の空白を避けるため早期にイ・スンシン級の配備を行う
必要性があった。そのため建造ペースはこれまでにないスピードで実施された。
結果として1番艦の運用で明らかになった問題箇所を修正するまもなく後続艦が
就役する事態となり、まとめて改善を行和ざるを得ない悪循環を生じた。
361マンセー名無しさん:2009/07/05(日) 01:56:09 ID:y3hL4EJt
当然、装備についても十分な選定期間が得られず、KD-1で運用が実証された装
備がそのまま搭載される事にもなった。最も大きな問題は、KD-1の探知距離の短
いMW-08レーダーをそのまま搭載したことである。予算の制約、当時海外市場で直
ぐに調達できる別のレーダーがなかったこともあるが、これはイ・スンシン級の防空
能力の効率を相当程度低下させる事になった。

KD-1はシースパロー短SAMと127mm砲、ゴールキーパーCIWSによる防空シス
テムを構築した。これは1980〜90年代の汎用フリゲートの防空システムに相当
するもので火砲に頼った既存艦艇よりは進歩した。しかし、ポイントディフェンス
に留まりSSM防禦では能力が限定され運用の幅は狭い物だった。海軍ではイ・
スンシン級では、SM-2MR Block3aA、RAM、127mm砲と30mmCIWSによる、エリ
ア/ポイントディフェンス/近接防禦から構成される多層防空システムを構築し、
KD-1の問題を解消した。

イ・スンシン級では最大探知距離450kmのSPS-49二次元レーダー(運用では複雑
で限界があるがOTH能力を有する)が目標を探知、目標が180kmまで接近すると
STIR-240目標照準レーダーが目標の高度を確認、SPS-49の情報とあわせて目
標の三次元データを得る。これをもとにSTIR-240がSM-2を誘導する。リムパック
2004では113km離れた目標の撃墜に成功した。しかし、イ・スンシン級最大の問題
とされる三次元レーダーの欠如は、同級のエリアディフェンス能力に大きな制約を
与えている。MW-80では探知距離に制限があり、複雑な電子妨害状況下では目
標の探知には殆ど役に立たないと見られており、エリアディフェンスではこの欠如
を補う複雑な運用の工夫が必要となる。
362マンセー名無しさん:2009/07/05(日) 01:57:34 ID:y3hL4EJt
イ・スンシン級は2基のSTIR-240を使用して同時に最大4目標の迎撃が可能。しか
し、各国が実用化を進めている超音速SSMに対しては不十分な能力しか有してい
ない。イ・スンシン級は過渡的な状況で登場し、西欧諸国の防空艦艇と比較して
10〜15年ほど遅れた艦になってしまった。超音速SSMの攻撃を受けた際には、理
想的な状況でも二発のSM-2を発射するのが限界である。また、複数の方向から
の攻撃に対する処理能力にも限界がある。

海軍ではイ・スンシン級の防空能力を補うためセジョンデワン級DDGを導入したが
これも完全な解決ではなく、イ・スンシン級の防空能力改善は不可欠である。西欧
の防空艦艇を参照した、イ・スンシン級に対するフェイズド・アレイ・レーダーと三次
元レーダーの導入は現実的な対処案ともいえるだろう。

上記の、イ・スンシン級の分析と改良について海軍の関連論文集や内部意見を反
映したものである。海軍自身この問題を認識している証左である。しかし、海軍の
セジョンデワン級のような大形艦艇偏愛は、艦隊の改良や新規装備に対する意見
を封殺する事になっている。これは国力不相応な贅沢だとの批判をあびる事にな
っている。

結果、海軍もセジョンデワン級5隻を整備した後でという条件ながら、既存の駆逐艦
のレーダー能力改善、または次期DDGに関する概念研究を続けている。
363マンセー名無しさん:2009/07/05(日) 02:03:00 ID:zPGq1hjz
>ID:y3hL4EJt
投下完了かな?要約・要約乙!
何か、意外にまっとうな問題認識だな>韓国海軍
しかし、改装で搭載するのに適切な3次元レーダーがないという状況は変わってないのだが、どうする気かな。
ヨーロッパでは、ASTER艦対空ミサイル系列の武器システムの開発は盛んだが、これは現行のKD-2とのインテグレーションで死ぬだろうなw
後は、APARか、その軽量型のSEAPAR、オーストラリアのCEAPARか。
APARは本格的防空用だから後日搭載は困難、SEAPARは逆に個艦防空用だから用途に不適。
CEAPARがベストかね。オーストラリアのMEKO 200に後日装備される予定らしいし。
364マンセー名無しさん:2009/07/05(日) 02:04:58 ID:y3hL4EJt
このスレの諸賢の方々には、既に知ってる情報ばかりだと思われ恥ず
かしいばかりであるが、イ・スンシン級について韓国人が纏めた最近の
分析ということで紹介。

海軍予算に大鉈が振るわれた国防計画2020の見直しにより、セジョン
デワン級の3番艦以降の調達は困難になる事が予想される。

この欠を補うため上記の文末で取り上げられたイ・スンシン級のアップグ
レードが実現することになる可能性は増したとみるべきなのか。しかし、
旧式化する沿岸警備艦艇の更新という差し迫った問題もある(国防計
画改定ではFFX計画は先送りとなったが、これに関して海軍が見直しを
求める可能性もあろう。)

実際には、セジョンデワン級のMD能力確保が優先され、上記の2つは先送
りとなる気もするが。
365マンセー名無しさん:2009/07/05(日) 02:39:04 ID:y3hL4EJt
>>359-362 の続きというべき文章がこちら

海軍「次期駆逐艦」計画は可能か?
ttp://www.emilitarynews.com/board/sboard.php?brd_code=d0003&no=76&mode=view&cpage=2

これも、海軍予算に大鉈が振るわれる前の文書なので、現在の状況とは異なる
所もあるが、興味深い内容だったので要約を紹介。 しかし、この文章を見ている
と今回の国防改革の見直しは不可避だったという観を改めて深くする。


国防計画2020改定前、韓国海軍では2020年までに推進される次期駆逐艦、通称
「KDX-4」計画に関するスタディを行っていた。しかし、多くの専門家は予算問題か
ら今後20年間の間排水量5000t以上の水上戦闘艦を建造できるのか疑問を呈し
ていた(注:国防計画改定でこの懸念が実体化することになる)

KDX-4汎用駆逐艦計画は、何度も実施が延期されてきた。これは莫大な建造費
と維持費を要するセジョンデワン級DDGの2隻追加建造が求められる状況下で、
汎用駆逐艦建造の余裕は無いと判断された事による。

韓国海軍では2015年までにセジョンデワン級2隻の追加建造が承認された場合、
イ・スンシン級の発展型である次期駆逐艦の配備を目標としている。しかしこれ
が実現できるかも懐疑的な見方が多い。

世界的な経済危機、国内景気悪化や為替レート問題等が重なった事で海軍の
大規模新規建造計画は相当なダメージを受ける事が避けられなくなった。しかし
海軍はこの状況下でもセジョンデワン級3.4番艦、ドクト級の発展型25000t級多目
的揚陸艦(あるいは韓国型空母)の計画を進めようとしていた。韓国海軍のこの
拡大政策に対しては国防部や海軍の一部から反対が再燃していた。
366マンセー名無しさん:2009/07/05(日) 02:39:53 ID:y3hL4EJt
もちろんセジョンデワン級を本格的に運用するには同形艦4隻、できれば5隻が必要
だということは理解されているが、セジョンデワン級の整備によりFFX大量整備、対
潜ヘリ調達など実質的な戦力確保に相当の悪影響を及ぼした事も事実である。

そのうえ、セジョンデワン級の運用経費は最低でも年300億ウォン、通常500億ウォ
ン、海外派遣を行った場合には700億ウォンの経費を要する。

結局、膨大な維持費でイ・スンシン級の運用に使用を来たしたり、ウルサン級やポハ
ン級が耐用年数を超えても運用される状況下で、セジョンデワン級5隻を整備したと
ころでまともに運用できるのかという疑念は少なくない。さらに必要な周辺諸経費を
合計するとその金額は天文学的数字となる。

譲許を改善するため、新規建造は据え置き、既存の装備を近代化しようという意見
も次第に取り上げられている。以下では、提案されているイ・スンシン級の各種近
代化案を見ていくことにする。