>>449 >>453 ガス・パイプライン連続爆破 露とグルジア、関係悪化
両政府、“犯人”めぐり対立
【モスクワ=内藤泰朗】ロシア南部で二十二日、グルジアとアルメニア向け天然ガス・パイプラインなど三カ所で連続爆破テロが発生し、両国へのロシアからのエネルギー供給が全面的に止まった。グルジア側がロシア側の犯行をにおわせたことに対し、ロシア側が猛反発。
両国関係は急速に悪化している。パイプライン連続爆破テロは一方で、ロシアへのエネルギー依存の危うさを改めて浮き彫りにした。
ロシアでの報道によると、一回目の爆発は、二十二日午前二時五十分(日本時間同八時五十分)ごろ、北オセチア共和国の州都ウラジカフカス南部三十キロ地点で発生。グルジア方面向け天然ガス・パイプラインの大動脈が爆破された。
二回目は同三時十五分ごろで、同共和国からグルジアの首都トビリシに向けた予備パイプラインが爆破され、同十一時五十分ごろには、同じ北カフカス地方にあるカラチャイ・チェルケシア共和国でグルジアに電力を供給する高圧送電線が爆破され、電力供給が全面的に停止した。
グルジアとアルメニアは、ロシアの天然ガスにほぼ百パーセント依存しているだけに打撃は大きく、急遽(きゅうきょ)、隣接するカスピ海の資源大国アゼルバイジャンから昨年完成したパイプラインを経由して天然ガスを輸入することになった。
グルジアは、イランからのガス輸入も検討しており、ロシアのガスへの依存度低下を加速させることになるとみられる。
連続爆破は、北カフカス全体の政治・経済の不安定化をもくろむチェチェン独立派武装勢力を含む反政府勢力のほか、グルジアに反発を強めるロシアの特務機関やロシア民族主義者など双方の「過激派」による犯行が考えられている。
ただ、グルジアのサアカシビリ大統領が二十二日、「ロシアによるグルジアのエネルギー・システムに対する深刻な破壊活動が行われた」と述べたことに対し、ロシア外務省が、同大統領は「ヒステリーで、常軌を逸している」と反論。
グルジア議会のブルジャナゼ議長が、ロシア外務省の反応こそが「異常で、常識から外れている」と猛反発し、感情的な対立に発展している。
グルジアは、同国から分離独立しようとしている南オセチア自治州やアブハジア自治共和国などをロシアが支援し、ロシア軍の撤退を引き延ばしているなどとロシアを批判。
ロシアは、グルジアがチェチェン独立派をかくまっているとして、互いに非難合戦を繰り広げているが、今回の連続テロは両国の溝を一層深めそうだ。
モスクワでは、二十二日から旧ソ連圏では最も親ロシア的なアルメニアと天然ガスの値上げ交渉が行われているが、エネルギーの「ロシア・リスク」は、こうした良好な関係にも将来的に微妙に影響を及ぼしてくる可能性も出てきた。
(産経新聞) - 1月24日3時28分更新