>>201 中国・カザフパイプライン完成 石油ルート多極化
【北京=福島香織】カザフスタンからの石油を中国へ輸送するパイプラインの一期工事アタス(カザフ)−阿拉山口(中国)が15日竣工(しゅんこう)した。16日付中国各紙が報じた。中国にとって初の国境を越えたパイプラインの完成。
2020年には中国の石油輸入依存度が60%以上にのぼるとの予測もあるなか、国策として進める石油供給ルート多極化構想を大きく推進することになる。
全長962kmを一年余りの工事で完成させた。総工費7億ドルで年間輸送量は2000万トン。当面は年間1000万トンを輸送する。中国が今年インドとの買収合戦で勝ち取った元カナダ企業のペトロカザフが所有するクムコル油田が当面の供給源となる。
外務省は「中国とカザフおよびロシアの三国間の互恵互利の協力を推進するのに有利」と述べ、ロシア・西シベリアからカザフに南下した石油もこのルートで輸入されることを示唆。
日本との競合で着工が遅れている東シベリアからのパイプライン計画を尻目に、ロシアからの鉄道以外の供給ルートをとりあえず確保した格好だ。
このほか、中国がカザフ国内に以前から権益をもつケンキヤクとクムコル油田をつなぐ総延長1000kmのパイプライン計画は現在調査中。
国境の阿拉山口から新疆ウイグル自治区・独山子の国内最大規模の製油所につなぐパイプラインも建設中で、中国はこれにより石油の宝庫・カスピ海沿岸への足場を固めることにもなる。
中国の今年の石油輸入量は商務省によると1.3億トン前後で輸入依存度は35-40%。中国石油化工(シノペック)の専門家は2020年に輸入依存度は60%、2030年は80%にのぼると予測。
中国はエネルギー安全保障のため供給ルートの多極化を推進しており、
2015年以降には、中東、アフリカからタンカーで運ぶマラッカ海峡ルート▽ロシア、カザフ、ミャンマーからのパイプライン(一部鉄道)ルート▽カナダ、中南米からの太平洋横断ルートを、およそ「5.5対3対1.5」の割合で分散させる構想をもっている。
(産経) - 12月17日5時1分更新