外国人の地方参政権の是非

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250法の下の名無し
>>247

平成7年の最高裁の判決が出たあと、特に禁止説をとる立場の学者から
確かにそういう批判もありました。
だから、百地教授なんか今でも「傍論」だ、余計な部分だと騒いでいる(笑) 。

まぁ、禁止説をとる学者からは、平成7年の最判が余計なことを書かなければ
「ほれみたことか。学説は一斉に許容説になびいているが、判例は未だに俺たち
の禁止説だ」と言えますからね。

ところが、禁止説の学者からそのような批判が出たために、平成8年6月26日の
名古屋高裁金沢支部の判例(判例時報1582−30)は次のように判決理由を
書きました。

※〔1〕〔2〕〔3〕は説明の便宜のため、私が番号をいれました。
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〔1〕地方自治に関する規定の趣旨からすると、わが国に在留する外国人のうち
でも永住者等であってその住居する区域の地方公共団体と特段に密接な関係
をもつに至ったと認められる者について、その意思を日常生活に密接な関連を
有する地方公共団体の公共的事務の処理に反映させるべく、法律をもって、
地方参政権を付与する措置を講ずることは憲法上禁止されているものではない
と解するのが相当である。
〔2〕しかしながら、右のような措置を講ずるか否かは、専ら国に立法政策にかかわる
事柄であって、このような措置を講じないからといって違憲の問題を生じるもの
ではないと解すべきである。
〔3〕したがって、日本国民たる住民に限り地方参政権を有するとする本件各国籍条項
が憲法15条1項、憲法93条2項に違反するものということはできない。
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分かりますか?
〔1〕で真っ先に禁止説をとらないことを明言しているのです。
禁止説をまず否定した場合、要請説をとれば原告勝訴、許容説をとれば
原告敗訴になりますので、まだ先を続けなければなりません。
そして〔2〕で許容説をとることを明らかにして
〔3〕で原告敗訴とした訳です。

ものは言いようですね。こう書かれると許容説を明らかにしたところは「傍論」
とは言えなくなります。この判決を書いた裁判官は頭が切れます。

尚、この判例は模範六法やコンサイス判例六法の憲法93条のところに
出ています。読んでみてください。