外国人の地方参政権の是非

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247法の下の名無し
>禁止説ではなく許容説をとっていることを明らかにする必要はない、
>と言いたいのかな?

明らかにする必要はない、というよりも、
そもそも憲法が外国人参政権を「要請してるかしてないか」という問題と、「禁止してるかしてないか」という問題は別のものなんだから、
禁止か許容かという審議をしなくとも、要請しているかしていないか、という点に関して結論を出すことはできるでしょうと。

で、実際争われているのは「要請してるかしてないか」ということなんだから、「禁止してるかしてないか」という問題に
関して、地裁が触れてない(審議していない)可能性もあるのではないかという疑問です。
って、現物みれば早いんだけど、見つからない。。
248法の下の名無し:04/11/22 00:38:15 ID:Ce71Bvd+
貼り。

大阪地判平5・6・29判タ825・134

4 憲法上、地方公共団体についての選挙権を保障されている者
右2、3で述べたところからすると、日本国民、すなわち日本国籍を有する者については、憲法で、
地方公共団体についての選挙権が保障されているということができるが、日本国籍を有しない定住外国人
については、右権利を憲法が保障していると認めることはできない。確かに、日本国民と同じように
その地域社会の重要な構成員として、これを維持発展させるのに大きな貢献をしてきたと自負している
定住外国人にとって、国益を巡って諸外国と利害が対立する場合に、日本の国家意思を確定し、これに
基づき諸外国との外交を直接担当しなければならない国政、すなわち政府レベルの政治への参加は
ともかくとして、その行政機能の内容も地域住民生活の福祉を図ることを直接の目的とするものが多く、
また、国政のそれと比べると政治的色彩も薄い地方公共団体の政治・行政についてさえ、これに参加する
機会が与えられていない現実は不当にすぎるとの意見が出てくるのも一面もっともなことと考えられない
ではない。しかし、すでに説示してきたとおり、少なくとも憲法上は右のような外国人に対しても右参政権
は保障されていないといわざるを得ないし、また、仮に右の者に参政権を付与することが憲法に違反しない
との立場を採り得るとしても、これを付与するか否かは立法政策の問題にすぎないというべきである。
249法の下の名無し:04/11/22 00:45:56 ID:y7KgkXTC
>>248
おおっ、ありがとう。

やはり、禁止か許容かという論点に関しては判断してないね。
250法の下の名無し:04/11/22 00:54:46 ID:5kCnl6Mv
>>247

平成7年の最高裁の判決が出たあと、特に禁止説をとる立場の学者から
確かにそういう批判もありました。
だから、百地教授なんか今でも「傍論」だ、余計な部分だと騒いでいる(笑) 。

まぁ、禁止説をとる学者からは、平成7年の最判が余計なことを書かなければ
「ほれみたことか。学説は一斉に許容説になびいているが、判例は未だに俺たち
の禁止説だ」と言えますからね。

ところが、禁止説の学者からそのような批判が出たために、平成8年6月26日の
名古屋高裁金沢支部の判例(判例時報1582−30)は次のように判決理由を
書きました。

※〔1〕〔2〕〔3〕は説明の便宜のため、私が番号をいれました。
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〔1〕地方自治に関する規定の趣旨からすると、わが国に在留する外国人のうち
でも永住者等であってその住居する区域の地方公共団体と特段に密接な関係
をもつに至ったと認められる者について、その意思を日常生活に密接な関連を
有する地方公共団体の公共的事務の処理に反映させるべく、法律をもって、
地方参政権を付与する措置を講ずることは憲法上禁止されているものではない
と解するのが相当である。
〔2〕しかしながら、右のような措置を講ずるか否かは、専ら国に立法政策にかかわる
事柄であって、このような措置を講じないからといって違憲の問題を生じるもの
ではないと解すべきである。
〔3〕したがって、日本国民たる住民に限り地方参政権を有するとする本件各国籍条項
が憲法15条1項、憲法93条2項に違反するものということはできない。
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分かりますか?
〔1〕で真っ先に禁止説をとらないことを明言しているのです。
禁止説をまず否定した場合、要請説をとれば原告勝訴、許容説をとれば
原告敗訴になりますので、まだ先を続けなければなりません。
そして〔2〕で許容説をとることを明らかにして
〔3〕で原告敗訴とした訳です。

ものは言いようですね。こう書かれると許容説を明らかにしたところは「傍論」
とは言えなくなります。この判決を書いた裁判官は頭が切れます。

尚、この判例は模範六法やコンサイス判例六法の憲法93条のところに
出ています。読んでみてください。