【ワタナベ】はぐれ浪人生の恋物語・純情派【ゆき】
1 :
名無しなのに合格:
2 :
ドリルペニス ◆8M2XAyewt2 :2006/03/09(木) 16:39:04 ID:dVT0wHisO
2げとーっ!
3 :
1:2006/03/09(木) 16:46:15 ID:S7ZQgBFJ0
出会いは予備校だった。
去年の春、浪人覚悟の国立1本勝負で見事玉砕した僕は予備校選びで迷っていた。
田舎に住んでいたので最寄の予備校までは電車で2時間以上かかったのだ。
親とよく相談した結果、隣県の都市部にある予備校の寮に入ることにした。
1年間余計なことを全く考えずに勉強漬けの生活を送るはずだった・・・
その子は高校生で、休日も毎日予備校の自習室で熱心に勉強していた。
寮の門限があるから夜まで自習室に残れないためわからなかったが、
恐らく平日も学校が終わるとその足で(平日見かける時はいつも制服だった)
予備校に来て講義を受け、講義のない日や早く終わった日は自習室が
閉まるまで勉強しているんだろうな、と僕は考えていた。
寮には自習室があったので僕はたまにしか予備校の自習室を使わなかった。
浪人生と高校生じゃ授業も別だし、その子を見かけるのは週に1度くらいだった。
もともと目立つ子じゃないし、他にも数え切れないほどの女子高生が予備校に
通っていたのだから、なぜその子だけが目に付くのか自分でもわからなかった。
クラスが一緒だった浪人生の中にも可愛い子はいたし、女子高生にだってもっと
派手な子やきれいな子が何人かいた。しかしそのうちに夕方授業が終わって
友達と食堂に行ったり、早く目が覚めた休日に予備校の自習室に行ったりすると
無意識にその子の姿を探すようになっていた。
高校が夏休みに入る頃になると休日は毎日予備校で自習するようになっていた。
その子は休日は10時頃に来るので、それから30分くらい遅れて予備校に行き、
その子のいる自習室を探して後ろの方の席を取った。そしてその子のうしろ姿を
時々眺めながら勉強をした。驚くことに、そうすることで勉強はかなりはかどった。
使っているテキストや参考書から文系で国公立志望であることはすぐわかった。
もちろん具体的にどこの大学を目指しているかはわからなかったが、どうやら少し
レベルの高い所のようだった。一橋の法、と僕は予想した。あるいは予想というか
むしろ希望に近いものだった。それは僕の志望大学だったのだ。
4 :
2:2006/03/09(木) 16:47:01 ID:S7ZQgBFJ0
夏休みに入ってからはほぼ毎日自習室で顔をあわせることになった。もちろん僕は
怪しまれたりしないように3日か4日に1回は違う教室を使うように心掛けたが、
そんな気遣いは無用のようだった。彼女はいつも一心不乱に机に向かっていた。
僕は2つだけしか夏期講習を取らなかったし、それらは8月の中盤にあったので
夏休みに入って1ヶ月ほどそんな日が続いた。その子もほぼ毎日姿を見せた。
そして奇跡は夏期講習で起こった。
夏期講習で取った2講座は同じクールに行われて、1時限目と3時限目にあった。
僕はここ最近10時半に予備校に来る生活に慣れていたので初日の1時限目に
遅れてしまった。開始の5分後くらいに教室に入るともうほとんどの席が埋まって
しまっていた。僕は生まれつき軽い弱視で、遠くの席からだと板書がよく見えない
ため、授業ではいつも早めに来て前の方の席を取るようにしていた。眼鏡も持って
いたけど、重いし、目が疲れるのであまり使わないようにしていた。でも仕方ない
ので後ろの方に空いた席を見つけて座り、ふと隣の席に座っている人を見て僕は
文字通り固まった。呼吸もできなかった。心臓が普段の何倍も大きな音で血を
体内の各所に送り出していた。そう、そこにはその子が座っていたのだ。
数秒後、なんとか我に返って講義を受ける用意を始めたものの、僕の頭はひどく
混乱していた。何がなんだかわからない。落ち着け、いいかい?簡単なことだ。
隣に彼女がいる。ただそれだけ。オーケー、なんでもない。隣が違う人であっても
何も変わらない。僕は夏期講習を受けに来た。ここにいる皆がそうだ。彼女だって
そうだ。それだけなんだよ。たまたま同じ講座を取っていて、たまたま隣の席に
なっただけじゃないか。汗を拭け。前を見ろ。彼女の横でこんなにうろたえて、
変な人に思われたらどうするんだ。
5 :
3:2006/03/09(木) 16:47:47 ID:S7ZQgBFJ0
なんとか体裁だけ講義を受けるよう整えたものの、手足のかすかな震えや汗が
止まるまでには数分の時間が必要だった。横目でちらちらと彼女を見たけど
その子は全く気に留めていないようだった。まるで誰かがが横に座ったことに
気付いてもいないといった風に。そう感じると幾分気持ちが落ち着いてきた。
走ってきたためにかなり汗が出ていたけど、僕は(多分)あまり汗が臭わない
方だし、着替えるときに無臭のデオドラントスプレーもかけてきたので多分
大丈夫だろう。僕は小さくため息をひとつついて顔を上げた。
講師はちょうどこれから5日間講習をどう進めるだのという話を終えたところで、
では早速最初のページから行きましょう、と黒板にむかって何か書き始めた。
眼鏡をかけなきゃ、と思った瞬間、絶望がまるで雷のように僕の体を痺れさせた。
僕の眼鏡は太い黒ぶちの枠が丸く大きくなっていて、それをかけるとくたびれた
フクロウのように見えた。お世辞にもセンスがいいとは言えない。僕は迷った。
結局眼鏡をかけるのはやめた。そしてこの眼鏡をつくった眼科医を呪った。
彼は将来僕が予備校で気になる女の子の横に座って眼鏡をかけなきゃいけなく
なることぐらい想像しなかったんだろうか?世界中の眼科医はそういう状況で
かけても恥ずかしくないと思える眼鏡しか作るべきじゃないと僕は思った。
そして身を乗り出して懸命に目を凝らしながら講師の話に耳を傾け、板書の
内容を把握することに神経を集中していった。
講義が始まって40分ぐらいたった頃、内容の半分が終わって区切りがついたため
講師は休憩ついでに、といって雑談を始めた。この講師はいつもそうするのだ。
僕は普段の10倍ぐらい疲れて、ふぅーっと大きく息を吐いた。授業に集中していて
隣にその子が座っていることを忘れてしまっていた。目をつぶって指でマッサージ
しながら眼筋の疲れをやわらげようとした。その時、肩をとんとん、と叩かれ
僕をちょっと驚いて目を開けた。その子が僕に用があるようだった。僕の頭は
再び真っ白になり、鼓動が急に早くなった。
6 :
4:2006/03/09(木) 16:49:44 ID:S7ZQgBFJ0
「目が悪いんですか?」とその子は小さな声で聞いてきた。講師は雑談に夢中だし、
周りの生徒も肩を回したり、伸びをしたり、友達と小声で話をしたりしていて特に
目を引くような心配はなかった。「すごく目を凝らしてたから・・・」悪いことを
注意されて言い訳をするように、その子は弱々しくそう付け加えた。「ちょっとね、
眼鏡を忘れちゃって」と僕は嘘をついた。眼鏡はいつだってかばんに入れてある。
「あの、私のでよかったら、ノート見ていいですよ。板書はそのまま写す方だから」
といってその子は僕から見やすい位置にノートをずらしてくれた。
「あ、ありがとう。いいの?」と一瞬間をおいて僕は言った。その時講師がまた講義に
戻ったのでその子は微笑を浮かべて軽くうなずいた。笑顔を見たのは初めてだった。
その笑顔は、春の温かいそよ風のように軽く、自然で、優しかった。僕の中で何かが
溢れ、体の中を満たしていった。温かい何かが。それから講義が終わるまで、僕は
その子の横顔と手とノートをずっと眺めていた。講師の声は遠くから聞こえる車の
音のようによそよそしく、僕の意識にとどまることなくどこかへ抜けていった。
講義が終わると、僕はお礼を言った。「気にしないで下さい。それより字が下手で
読みにくかったんじゃないですか?」と彼女は言った。とんでもない、読みやすく、
綺麗な字だった、と言うと「いや、そんな」と言って少し赤くなって首を振った。
そして「それじゃ、また明日」と言いながら手を振って行ってしまった。僕は手を
振りながらもう一度お礼を言い、その子が消えた後もそのままぼーっとしていた。
3時限目の講義の間も気がつくとぼーっと朝のことを考えていた。その子の横顔を
鮮明に思い出すことができた。小さな鼻、少し上向きの唇、長くて細いまつげ、
そして額にかかるきれいな髪の毛。さらに僕はあの微笑を思い出す。温かい春の
そよ風のような、あの微笑を。僕は彼女に恋をしたんだ、とふと気がついた。
会いたい、会ってもっと話がしたい。僕は講義が終わった後、お礼に食事でも、
と言えばよかったと後悔した。
7 :
5:2006/03/09(木) 16:50:29 ID:S7ZQgBFJ0
次の日の朝、僕はシャワーを浴びながら今日の講義が終わったら昨日のお礼と言って
食事に誘おうか迷っていた。昨日のお礼で今日食事に誘うなんてどう考えても変だ、
でももっと話がしたい。正直に言うと、前日の夜からずっとそのことを考えていた。
勉強の邪魔にならないようにするには食事の時間に話す以外におそらく方法はない。
よし、お礼とかどうでもいいからとにかく食事に誘おう、と最後には決心した。
いつも朝はシャワーなんて浴びないから、その日もまた遅刻しそうだった。
しかし僕は走らなかった。汗をかくわけにはいかない。結局5分遅れそうだった。
予備校についてエレベーターを待っていると、なんとあの子が走ってくるのが
見えた。僕は扉を開けたまま彼女を待ち、なるべく感じのいい笑顔を作って
おはよう、といった。その子は息を切らせながらありがとうございます、と言った。
汗が額を伝っていて(その日もとても暑かった)彼女はそれを恥ずかしがってか
うつむいて黙ってしまった。顔には走ったことで頬にほてりがまだ残っていた。
僕は食事のことを言おうと思ったが、言い出せずに教室についてしまった。
やっぱり席はほとんど埋まっていたけど、前の方にもひとつだけ空いてる席があり、
扉の所で二人で席を探しているとその子が見つけて教えてくれた。僕は二人で
座れる席を探したけどなかったし、しょうがなくそこに座ることにした。でも
講義には全然集中できなかった。その子がどこにいて何をしているのか気になる。
もちろん黒板を見ているんだろうが、僕のことを見ている可能性はないだろうか。
もしかすると僕が自習室でそうしたように、後姿を見ていたくて前の方の席を
僕に勧めたんじゃないだろうか。ふう、まったく。そんなわけはないじゃないか。
恋をすると人はこんな馬鹿な考え方をするようになるのか、と僕は思った。
講義が終わるとすぐ、僕は後ろを見回した。その子は僕と目が合うとちょっと
微笑んで手を振った。僕もそれに合わせて手を振った。そしてその子は教室を
出て行ってしまった。次の日も言えなかった。考えてみればしょうがないことだ。
8 :
6:2006/03/09(木) 16:51:16 ID:S7ZQgBFJ0
僕はそれまで女の子と付き合ったことはおろか、まともに話をしたこともなかった。
小中と1学年に1クラスしかないような田舎の学校だったし、高校は私立の男子校
に通った。小学校から一緒の女の子には一度、「外見も性格も悪くないけど、別に
良くもないのよね」と言われたことがある。まあそうなんだろう、と思っていた。
女の子と付き合う機会がなかったとかそういうんじゃなくて、なんというか、
そういった考え方自体が起きなかった。それは自分とは別の世界の事、といった
感じだ。僕の世界は村上春樹の小説や紅茶のアールグレイ、そしてパソコンが
あれば用は済んだ。もちろんオナニーはしたけど特別セックスがしたいとは
思わなかった。大学に入れば彼女だってできる、と思っていたのかもしれない。
でもその時はこれまでになく強く、一人の女を僕は求めていた。なんとしても
彼女を食事に誘わなくてはいけない、と僕は感じた。失敗してもいい、誘うこと
自体が僕を、それまでの僕から進化させてくれるような気がした。進化というか、
僕がそれまで「自分の世界」としてみなしていなかったものに光をあてることが
できる、つまり「自分」という領域を広げれるような、そんな気がしていた。
次の日の講義が終わったあと、僕は彼女の方へ歩いていき、不思議そうな顔を
する彼女に、もし今日の昼食を誰かと食べる予定がなかったら一緒にどうか、
と聞いた。彼女は最初少し驚いた顔をし、そしてとても申し訳なさそうな顔に
変わった。顔の表情だけでよくこんなに感情を伝えられるな、と僕は思った。
「お昼は友達と約束してるんですけど・・・」と彼女は言った。
9 :
7:2006/03/09(木) 16:51:58 ID:S7ZQgBFJ0
僕はもちろんショックだったけど、予想はしていたし、もう混乱することも
なかった。緊張で足が震えたし、変な汗が首筋を伝ってシャツの中に入っていた。
心臓は機関銃のように爆音でかなり速いビートを刻んでいたし、知らずに手に
すごく力を入れて握っていた。僕は小さく息を吐いてこぶしを崩し、体勢を立て
直して「じゃあ明日はだめ?」と聞いてみた。彼女の表情を見ているだけでその
返事はわかった。彼女はさらに申し訳なさそうな顔になり、小さく首を振った。
「いつも一緒に食べてるんです。同じ高校の子で、同じ大学目指してるんです。
そんなこと関係ないか。うーん、あの、すみません。いや、もしかしたら、
というかもしよかったら、えーっと、あの、毎日自習室来てましたよね?」
僕はかなり驚いて言葉が出なかった。「あ、すみません。私なんか覚えてません
よね。よく自習室同じだったんですよ。」「や、それはもちろん、もちろん?
知ってるけど・・・え、え?知ってたの?」
「私のこと、覚えててくれたんですか?よかった、だってまさか同じ講習
だなんて思ってなかったから、本当に最初はすごいびっくりしましたよ。」
「ねぇ、ちょっと待って、君はよく僕と同じ教室で自習していることに
気付いていたの?僕が毎日わざわざ君のいる教室を選んでいたことを?」
「え?」と言って彼女が言葉につまり、僕の言ったことを理解しようと
考えるような表情をするのを見て、僕は自分の犯した決定的な過ちに気付いた。
やれやれ、これでストーカーと思われるの決定だ。
たぶん1分かそこらだと思う、彼女は僕の言ったことについて考えていた。
そして確かめるような表情で、「私のいる教室を選んでたんですか?」と
これまた自分の言っていることを確かめるようにゆっくりとしゃべりながら
僕の言ったことを確かめた。僕はもう取り返しはつかないし、と開き直る
しかないようだった。どうやらもうごまかすことはできそうにないし、
もともと諦めはいい方だった。
10 :
8:2006/03/09(木) 16:52:45 ID:S7ZQgBFJ0
小さなため息をついてから僕は言った。「そうだよ。偶然一緒の教室だった
んじゃない。僕が選んだんだ。そうじゃなきゃあんなに毎日一緒になるわけ
ないだろう?」彼女は納得するように、感心するように何度かうなずいた。
不思議とその表情には僕に対する嫌悪感のようなものは見られなかった。
彼女が僕に嫌悪感を抱いていたら、恐らく今までのようにすぐにそれとわかる
だろう。ということは、僕は嫌われていないのか。なぜ?
彼女はひとしきり何か考えるように目を閉じていた後、口早に言った。
「私は偶然っていうか運命みたいなものだと思ってたんです。でもそれなら
この講習終わっても私が自習室来るんならあなたも来てくれますね?そしたら
友達は来週から家族で旅行行くらしいんで、その時お昼一緒に食べませんか?
もし来週はだめならいいんですけど、また明日講習終わったらいいかどうか
教えてくれますか?・・・うん、それじゃ」彼女は手を振りながら行って
しまった。僕はしばらく動けなかった。運命?
わけがわからなかった。今までこれほどまでに頭が混乱したことはなかった。
僕は講習どころじゃないと思ってそのまま寮に帰った。寮の友達は顔色が悪い
みたいだから医者に行ってきたらどうだと言って心配してくれたが、僕はただの
寝不足だから今から寝ると言って部屋にこもった。夕飯の時間を過ぎた頃に
寮長から電話がかかってきたが、数十秒鳴って止まると、それ以来電話は鳴ら
なかった。どうやらさっきの友達が具合が悪くて寝ているらしいと言ってくれた
ようだった。僕は心底その友達に感謝した。
11 :
9:2006/03/09(木) 16:53:28 ID:S7ZQgBFJ0
あたりは静寂に包まれているように感じられた。もちろん本当は他の部屋から
しゃべり声が聞こえたりするし、蝉たちはまるで一番大きな鳴き声を出した
ものにはハワイ旅行があたる大会の参加者たちのように競い合って泣いていた。
しかし僕の耳には沈黙しか聞こえなかった。僕はベッドに寝転んで混乱した
頭を軽く叩きながらさっきの会話を思い出しながら彼女の口にした言葉の
正確な解釈を探った。大切で、簡単で、明確なことから順番に、正確に。
まず第一に、彼女は来週昼飯を一緒に食べようと誘ってくれた。いや、
誘ったのは僕の方だから、来週ならいいのだけれど、と取るべきなのだろう。
とにかく大切なことは彼女は僕と一緒に食事をすることを、まあ少なくとも
嫌がってはいない、ということだ。しかもわざわざ友達のいない日を提示した
わけだから、二人で食事をすることに積極的なのだ。これはかなり風向きが
いいんではないだろうか。
次に、彼女は僕とよく自習室で一緒になったことに気付いていた。それを、
「運命」と思っていた。それは「運命の恋人・・・」というように続く類の
「運命」なのだろうか。そうだとしたらかなり喜んでいいのではないか?
それとも、何か彼女なりに別のニュアンスを表現したかったのだが、たまたま
出てきてしまった言葉が「運命」なのだろうか。そうだとしたら、本当に
言いたかった言葉は?
表情は決して怒っていたり引いていたりはしないようだった。それとも彼女の
顔に浮かんでいるわかりやすい表情は意思によって制御されたもので、さっきは
そんな負の感情を表に出さないようにしていたとも考えられそうだ。でもなぜ?
そんなことをしなきゃいけない理由は見当たらないし、むしろストーカーに
対して嫌な顔をしなければそいつは勘違いするんじゃないか?自分は拒否されて
いないんだと。
12 :
10:2006/03/09(木) 16:54:17 ID:S7ZQgBFJ0
僕はその時とても切実に彼女の本当の気持ちを知りたいと思っていた。誰か
他人に対してそんな感情を抱いたのは初めてのことだった。僕は懸命に彼女の
言葉や動作ひとつひとつから示唆を読み取ろうとした。いくつもの仮説を
たて、それらの反証を探した。いくつかは明確な根拠を持って否定できたが、
ほとんどはあり得ることのように思えた。でもとにかく明日はもちろん
来週でもオーケーだと言おう。それ以外のことはまた考えればいい。
なんだかいろいろと見逃していることがあるような気がしたけど、まだ9時
前だというのにひどく眠くなって僕はそのまま寝てしまった。そして次に
目が覚めた時には時計は10時過ぎを指していた。パジャマに着替えなきゃ、
と思って起き上がると妙なことに気がついた。明るすぎる。僕は状況を理解
するのに何秒かかかった。
突然何かひらめいて携帯を見ると、日付は1日進んでいた。全身の血がまるで
大きな栓を抜いたみたいにどこかへ吸い込まれて消えていく気がした。たしか
彼女は今日の講習が終わったら返事をしてくれと言っていた。それなのに僕が
こなかったら最上級に失礼なやり方で断られたと解釈してしまうかも知れない。
顔を洗って歯を磨き、着替えて髪を直すと荷物も持たずに予備校へ走った。
予備校に着いたのは1時限目の終わる少し前、10時45分ぐらいだった。
教室のドアを開けると(思ったより勢いよく開いてしまい、何人か振り返った
ので少し恥ずかしかった)講師は一瞬あきれたような顔で僕を見て、また最後の
雑談に戻っていった。その子は手をひざに置いてノートも開かず、うつむいて
机の上の一点を見つめているようだった。まるでそこにとても重要な予言が
書かれているかのように。
隣の席が空いていたので僕はそこに座った。そこに行く途中にも何人かが僕の
顔を覗き込んだ。僕はその目には気付かない、という顔をして席に着いた。
そして終業のベルが鳴るまでとにかく座っていた。座る以外にやったことと
いえば呼吸くらいだった。何を言えばいいのか、何をすればいいのか、全く
もって思いつかなかった。顔を上げて何か言ってくれるのを待つしかなかった。
しかしなぜこの子はうつむいたまま動かないんだろう、と僕は考えていた。
13 :
11:2006/03/09(木) 16:55:01 ID:S7ZQgBFJ0
僕がいなかったから、それはわかる。それ以外の理由だったらそれは僕の
守備範囲外で僕には関係のない話だ。その可能性ついて考える必要はない。
問題は、僕がこなかったせいで、なんで彼女がこんな風にうちのめされなきゃ
いけないか、ということだった。(僕にはそのときの彼女の様子をこれ以外の
言葉で表現できないし、後で聞いた所その表現はまあ的を得ていた)
ベルが鳴って講義が終わり、生徒があらかた出て行って教室がしんとすると、
彼女はその姿勢のままとても小さな声でしゃべり始めた。「どうしてこんな
遅かったんですか?」「寝ていたんだ。昨日ふっと寝ちゃって、目覚ましとか
かけたりするの忘れてたんだよ。」と僕はなぜか彼女に合わせて小さな声で
答えた。「昨日私が言ったこと覚えてますか?」「もちろん、覚えてる。昨日は
そのことしか考えてなかった。」「・・・そのことを考えていて、ふっと
寝ちゃったんですね?」僕は返事に困った。なぜそんな意地悪な質問をするんだ?
意味もないし、何も前に進まない。後退さえしない。「ねえ、遅れたことは
本当に悪かったよ。けどさ、僕は君と食事をしてゆっくり話がしたいって言う
ためだけに来たんだ。その話をしようよ。」
また彼女は黙ってしまった。後になってだんだんわかっていくことだけど、
この子は心に負担のかかることがあるとこんな風になる。この日も僕の返事が、
というか前日自分が言ったことについて僕がどんな風に考えてるのか気になって
しょうがなくて、それが僕が全然来ないもんだから、どんどん悪い方へ考えて
塞ぎこんでしまったらしかった。彼女は消え入るような小さい声でゆっくりと
待っている間自分がどんな気持ちだったのかを僕に話した。彼女が語り終える
までには30分以上かかった。言いたいことを全部言ったのか彼女は顔を上げて
向こうの窓の方を向いた。窓に反射してぼんやりと顔が見えたが、そこには
いつものような表現力豊かな表情はなかった。僕は悲しくなった。彼女の気持ちに
同情するとかじゃなくて、単純に悲しかった。そして彼女の表情を奪った僕の
くだらない失敗を憎んだ。僕は彼女を抱きしめた。
14 :
12:2006/03/09(木) 16:55:51 ID:S7ZQgBFJ0
彼女は一瞬驚いたようだが、何も言わずに自分の胸の上にまわされた僕の
腕に触れた。彼女の体はとても細く、繊細なガラス細工のように壊れやすい
ように思えた。胸には薄手のシャツを通して下着の感触が感じられ、それは
想像してたより少し硬くゴワゴワしていた。そして心臓の動きにあわせて
彼女自身が伸縮してるんじゃないかと思えるくらい体全体からはっきりと
鼓動が感じられた。教室にはもう人がいなかったし、僕は何分かそのまま
抱きしめていた。次第に体の触れている部分は熱を持ったよう熱く蒸れ、
脇の下から汗が伝い落ちるのが感じられた。僕は首筋にそっと鼻を近づけ、
静かに深く息を吸い込んだ。すこし湿った温かい空気が肺を満たし、その
ほのかな甘い香りが僕の頭をぼおっとさせた。何も考えることができなかった。
とても自然に耳元で「君のことが好きなんだ」と囁いた。
僕は言いながら自分でも信じられなかった。こんなに自然にこんな言葉が
言えるなんて。だいたいが外は35℃以上ある真夏の昼前に、予備校の
教室で女の子を抱きしめているなんてこと自体ありえないことだった。
電車や車の走る音、蝉の声、エアコンの音などが響く中で、物音ひとつ
たてずにじっと抱き合っている僕らはまるで間違った場所にいる間違った
存在のようにひどく非現実的だった。やがて彼女は僕の体にあずけていた
重心を起こし、それにあわせて僕は腕をほどいた。こちらを向いて座り
なおした顔にはかすかにあの微笑が戻ってるようだった。僕はほっとして
体中の力が抜けた。あちこちの筋肉が痺れ、僕はとても緊張していたことに
気がついた。「お昼食べに行きませんか?」と彼女は言った。汗を含んだ
シャツの上にかかるエアコンの風が妙にひんやりと感じられた。
15 :
13:2006/03/09(木) 16:56:55 ID:S7ZQgBFJ0
昨日友達に僕のことを話したら私のことはいいから二人で食べに行って
きなよ、と言ってくれたんだと説明してくれた。そこで僕は予備校から
歩いて10分くらいで行ける駅の裏のイタリア料理店に連れて行った。
安くはないけどうまくて量の多いパスタを出す店としてサラリーマン
とかに評判の店だった。僕は同じクラスで少し仲良くなった地元の子と
何度か来たことがあって気に入っていた。勤め人の昼休みにはまだ少し
時間があったので店はあまり混雑してなかった。女の子とふたりでどんな
ところに食事に行けばいいのか全然わからなかったけど、まあイタリアンなら
間違いはないだろうと思ってそこにした。それにそこなら予備校生は来ない。
予備校生は普通、駅前の500円で昼を済ませられる店に行くのだ。
食事中僕らはあまり会話をしなかった。僕は何を話せばいいのか
わからなかったし、彼女は自分の顔より大きな皿に山盛りになって
出てきたパスタをなんとかたいらげようと必死になっているよう
だった。結局彼女はパスタを半分くらい残した。女の子には量が
多すぎたんだ、と僕はその店を選んだことを後悔した。勘定は初め僕が全部
支払ったが、(2800円くらいだった。安くはない)いいと言うのに彼女は
半分支払うと言って聞かなかった。しかたなく僕は1000円だけもらう
ことにした。彼女はこれから自習室に行くと言ったので一緒に自習することにした。
3時限目に講習があることはまったく頭になかった。教室についてから僕は自分が
何も持っていないことに気がついた。そこで席を取っておいてもらってひとりで
寮へと勉強道具を取りに帰った。
自習室に戻ると彼女はもう熱心に勉強を始めていた。僕が席につくとちょっと
顔を上げて微笑み、またノートへと視線を戻してしまった。僕も勉強しようと
問題集とノートを広げたが、まったくやる気がおきなかった。がんばってる
彼女の横でぼーっとしているのは悪い気がしたので一応問題を解いてるふりを
していたはずだが、ノートには全くやった形跡が残ってなかったし、7時頃に
夕飯の時間で寮に帰らなきゃと思い出すまでの記憶はほとんど残っていなかった。
僕がそう言って席を立つと彼女はちょっと待って、とあわてて荷物を片付けた。
16 :
14:2006/03/09(木) 16:57:53 ID:S7ZQgBFJ0
僕は駅まで彼女を送っていった。やっぱりあまり話はしなかった。駅につくと
彼女はすこし迷ったような顔をして一瞬立ち止まったが、「今日はありがとう
ございました。それじゃ、えっと、また」と言って手を振って言ってしまった。
僕は何か言わなきゃいけない気がしたけど、結局何も言えずに手を振って送った。
寮に帰って夕飯の席についたが、全然食欲もなくてほとんど食べずに部屋に
帰った。そんな僕の様子を気にかけて、同じ階の友達が二人で部屋に遊びに
来てくれた。僕は彼らにあわせて楽しそうに振る舞い、馬鹿な話に手を叩き、
声を上げて笑った。自分の笑い声じゃないような気がした。しばらく馬鹿な
話(ほとんどが寮長の悪口だった)をしていると、友達のひとりが突然、
「そういえばお前、毎日塾の自習室でやってんだってのな、なんで?」
と聞いてきた。もうひとりも「そうそう、なんで?」と口をそろえる。
僕はドキッとしたが「や、なんか塾の方が集中できるんだよ。」と言うと
「ふーんそんなもん?俺も塾行ってやろっかな。」「お前はどこ行っても
どーせやんねーから一緒だって。」と深入りされずにすんだのでホッとした。
1時間ほどして彼らが帰ると、ベッドに横になってその日のことを考えた。
彼女はどんな風に思っているんだ、という疑問がずっと頭の中で繰り返された。
昼間僕は彼女を抱きしめ、好きだとまで言ったのにそのことについて彼女は
何も言わなかった。特に何も感じていないんだろうか。いやそんなことはない
はずだ。僕が講習に遅れただけであんなにも精神的に追い込まれてしまうような
子が何も感じていないはずがない。そもそも僕が来なかったことで彼女は何を
そう辛い思いをしなきゃいけなかったんだ?・・・僕が彼女のことを想う様に
彼女も僕のことを好きでいてくれているんじゃないだろうか。そう考えると
急に鼓動が速くなった。可能性。彼女が僕のことを好きだという可能性について
考えてみると、いろいろな疑問が解けるような気がした。しかし僕はそれを
強く信じることができなかった。だいたい僕のことを好きになってくれる子が
この世に存在すること自体が疑わしい。もしいたとしてもそれがたまたま好きに
なったあの子だなんてどうして信じられただろうか。
17 :
15:2006/03/09(木) 16:58:41 ID:S7ZQgBFJ0
同じようなことをぐるぐると考えているうちにそのままだんだん頭が回らなく
なってきたように感じたので寝ることにした。次の日起きたのは9時過ぎだった。
一瞬僕は焦ったが、荷物を用意しているうちに講習がもうないんだと気がついた。
そこでゆっくりと朝ごはんを食べ、講習の始まる前と同じように10時半頃に
予備校へ行った。しかし彼女の姿はどこにも見当たらなかった。講習があるのかも
知れないと思って全部の教室を覗いてみたが、影も形もなかった。僕は不安に
なった。しかしいつまでも教室を覗きまわっているわけにも行かないので適当に
自習室選んで入ったが、勉強には全く手につかなかった。彼女は僕に会いたくない
から来ないんだろうか。そんな考えが胸をよぎるたびにきりきりと胸が締め付けられた。
しまいには吐き気がしてきたので、昼過ぎに寮に帰った。帰る前にも全部の教室を
見て回ったが、未だかつてそこには彼女が存在したことがないかのように彼女の
姿はなかった。実は彼女の存在なんてはじめからなくて、僕の妄想が作り上げた
幻想なんじゃないかとすら感じた。
寮の部屋についてもどうしようもなかった。予備校のテキストを開いてみても、
びっしりと並んだ字を眺めているだけで目が回ったように気持ちの悪さが増した。
しょうがなくテキストを放り投げてベッドに寝転ぶと、自分が致命的なミスを
犯していたことに気がついた。僕は彼女に携帯の番号かアドレスを尋ねるべき
だったのだ。そうすれば彼女がどうして予備校に来ないのか聞けるし、そもそも
好きな子にアプローチする方法としては、まず携帯の番号を聞くというのが王道
のような気がした。いきなり食事に誘うなんて乱暴すぎたんじゃないだろうか。
僕はそれまでそんなことを思ったことはなかったけど、女の子と仲良くなる方法
を自分が全く知らないことをとても悔しく思った。知らない男に話しかけられて
携帯の番号を教えてくださいと言われるならまだわかるけど、食事に誘われたら
女の子は引いてしまうんじゃないだろうか。いや待てよ、彼女は断らなかった。
ということは?
18 :
16:2006/03/09(木) 16:59:52 ID:S7ZQgBFJ0
可能性。またあの可能性が頭に浮かんできた。それに僕は彼女にとって、少なく
とも「知らない男」ではない。彼女は僕が毎日同じ自習室にいたことを知っていた。
また鼓動が速くなる。自習室でよく目にする男と偶然夏期講習で一緒になり、突然
食事に誘われる。それを受けた彼女はその時どう考えたんだろう。突然また別の
可能性が頭に浮かぶ。それとともに背筋に悪寒が走る。彼女が気の小さい性格で、
僕の突然の誘いを断ることができずに嫌々受けたという可能性。すると彼女が
食事中にほとんどしゃべらなかったことや、予備校に来ていないことにも簡単に
説明がつくんじゃないだろうか。僕は深い不安の中に突き落とされた。呼吸すら
困難に感じた。やはり最初から食事になんか誘うべきではなかったんだ。もし
それまで僕のことを悪く思っていなかったとする。あるいは好意と言っていい
感情を持っていた可能性もある。しかし突然食事に誘ったことで全ては終わって
しまったんだ。僕は悔しさと絶望で涙を流した。泣いたのは久しぶりだった。
ひとしきり泣いた後、ベッドの上に座りなおしてしばらくぼーっとしていた。
心の中にあったものが涙と一緒に全部流れ落ちてしまったように感じられた。
窓から差し込むまぶしい西日が背中を温め、壁に長い影を作っていた。しかし
それは自分の影じゃないように思えた。自分の体も自分のものじゃないように
感覚がひどくよそよそしかった。いっそこのまま心だけ肉体を離れ、ふわふわと
空を舞ってあの子のもとへと飛んでいきたいな、と思った。僕は庭に植えてある
木の枝に腰掛け、窓から部屋にいる彼女を眺めるのだ。彼女が本を読み、食事を
して風呂に入り、ベッドで横になって寝付くまでの間じっと息を殺して見守る。
そして彼女が完全に眠ったことを確認すると、そっと窓を通り抜けて眠っている
彼女の横に立ち、月明かりが青白く照らす横顔を見る。僕は彼女のほほに優しく
手を触れる。それからつやのある細い髪に触れる。彼女はくすぐったそうに
少し体を動かすが、また規則正しい静かな寝息をたてる。
19 :
17:2006/03/09(木) 17:00:46 ID:S7ZQgBFJ0
突然僕は彼女の目を覚まさせたく思う。彼女を起こして今自分がここにいることを
教えたい。僕は彼女の肩をつかんで揺さぶる。起きて、と音にならない声で言う。
彼女は眠たそうに目を開ける。何事かと部屋を見渡す。しかし彼女の目に僕の姿は
映らない。こんなにもすぐ目の前にいるのに、彼女は僕のことを見ていないんだ、
と僕は思う。とても寂しくなる。僕はここにいるよ、と力の限りに叫ぶ。しかし
僕の言葉は空気を震わせることができずに彼女の耳に届かない。やがて彼女は少し
不思議そうな顔をして、また安らかな眠りに入る。その寝顔はかすかに、しかし
とても幸福そうな微笑みに包まれている。彼女は僕のことが見えなくてもこんなに
幸せそうな笑顔をしているんだ、と僕は思う。また涙が流れる。涙はほほを伝って
あごまで行くと、そこで少し迷ったように止まってから意を決して床に降り立つ。
涙はとても大きな音を立てて床に落ちた。僕はその音に驚いて顔を上げる。しかし
そこは自分の寮の部屋だった。太陽はすでにそのかすかな残照を遠く見える山の
端に置いて姿を隠し、辺りはすっかり暗くなっていた。
自分が気付かないうちに眠ってしまったんだとわかるまでに数秒かかった。あれは
夢だったんだ、と気付くと少しほっとしたが、夢の中で見た彼女の不気味なまでに
美しい寝顔はいつまでも頭の中に残っていた。廊下から話し声が聞こえ、それと
ともにおいしそうな匂いがやってきた。僕はひどくお腹がすいていた。トイレで
顔を洗って食堂に降りていくと、もう数人が食事を始めていた。僕は猛烈な勢いで
ご飯をかきこみ、3杯もおかわりした。お腹がいっぱいになると部屋に戻って机に
向かった。何故か気持ちがすっきりしていた。それから夜中まで集中して勉強した
ので、2日間まったく勉強が手につかなかったせいで遅れていた計画を半分以上
取り戻すことができた。前期の古文の復習を終え、充実した気持ちでベッドに
入った。昼間寝たせいで頭がひどく冴えていたが、目を閉じて眠ることに集中して
いると、そのうちに深い深い眠りがやってきた。今度は夢をみることもなかった。
翌朝は10時ごろまで寝ていた。起きて窓の外を見ると、空は暗い灰色の雲に覆われ、
目に見えないほどの雨も降っている様だった。
20 :
18:2006/03/09(木) 17:01:30 ID:S7ZQgBFJ0
僕は少し迷ったけどやっぱり予備校へ行くことにした。傘はいいような気もしたが、
一応差していった。着いたのは11時前で、また自習室を全部見て回ったけど彼女は
いなかった。今度は全部の教室を見て回ったりはしなかった。売店でペットボトルの
お茶を買ってから一番空いていた自習室に行こうとエレベーターを待っていると、
後から肩を叩かれた。振り返ってみるとそこには彼女がいた。僕は一瞬また夢なんじゃ
ないかとさえ思ったが、どう考えも夢であるはずがなかった。「おはようございます」
と彼女は笑顔で言った。髪や服は少しだけ濡れていた。僕は「お、おはよう」と言った
ものの、その声はなんだか録音した声を聞いているみたいに不自然な響き方をした。
エレベーターに入ってボタンを押した後、僕は彼女にどこの階へ行くのか尋ねようかと
思ったが、彼女はそんなこと全く気にならないようにハンカチで服やかばんを拭いて
いたのでやめた。6階について僕が降りると彼女も当然のように一緒に降り、一緒に
自習室に入ったので僕はなんだか嬉しくなった。
しかしいざ隣に座るとドキドキして少し居心地が悪かった。いつもは後から眺めるだけ
だったあの子が隣に座っていると考えるとなんだか不思議な気がした。僕らは無言で
ひたすらに勉強した。僕は時々横目で彼女を覗き込むこまなければいけなかったことを
除くけばそこそこ集中して勉強できたし、彼女はいつものように脇目も振らず問題集に
没頭していた。彼女は勉強に熱中すると少し目を近づけすぎる嫌いがあった。首を前に
曲げるため前髪が時々耳から落ちて目にかかり、それをいちいち手で掻き上げるのだが、
そのたびに僕はドキッとしてしまう。それだけじゃないのだが、彼女の仕草はなにか
不思議な力をもって人を惹きつけるものがあるようだった。少なくとも僕は月が地球の
重力から逃れることができずにただ周りを回っているようにその力から逃れることが
できないのだった。いや、逃れる気なんてさらさらなかったのかもしれない。まさに
僕は月のようだった。常に彼女のそばにいたいのだけれど、そうはいかない。離れた
ところで距離を保って彼女を見つめることしかできない臆病な月。
21 :
19:2006/03/09(木) 17:02:16 ID:S7ZQgBFJ0
1時過ぎに彼女は昼ごはんを食べに行こうと誘ってくれた。どこか行くかと訪ねると
弁当を持ってきたと言ったので僕もコンビニでサンドイッチとサラダを買って近くの
公園に行き、屋根のついているベンチに座って二人で食べた。今度は前より少し会話が
弾むようになった。そこで僕は初めて彼女の名前を知った。驚くことに僕はそれまで
彼女の名前を知らなかったどころか、知らないことに気付きもしなかったのだ。彼女の
名前はユキといった。市内にある私立の女子高に電車で通っていて、自宅から高校まで
通う乗換駅がちょうど予備校のある駅だと教えてくれた。高校の駅も教えてくれたが
それは僕の知らない駅だった。(そもそも僕は予備校のある駅と模試で行ったことの
ある駅にしか知らなかった。)それから彼女は僕のことを聞いてきた。僕は自分の話を
したが、話をしていて自分はなんとつまらない人生を送ってきたんだろうと思った。
僕の人生は悲劇でもなければ喜劇でもなかった。驚くところも、感動するところも、
悲しむところもなく、笑えるところさえなかった。
何分か話したと思うが、結局ユキが僕について知ったことと言えば僕が平凡な環境で
育った平凡な少年だということだけだったろう。親は田舎の小さな町で小さな書店を
開いていて、特別金持ちでも貧乏でもなく、僕と3つ下の弟は地元にある小学校と
中学校を卒業したら隣町にある県下では上の下といったレベルの私立男子校に通い、
僕は一応特別進学クラスという名のついている国公立大学進学を目指すクラスに入り、
3年間クラスのトップ3にはいたものの浪人し、今に至る。うまくまとめれば1分も
かからずにすむ身の上話だった。しかしユキは熱心に耳を傾け、時々質問しながら
僕の話を聞いてくれた。「スポーツとかやってなかったんですか?」とユキは聞いた。
「中学校のときは部活みたいな感じでいくつかやったけど、何しろ全校で100人
ほどしかいないような学校だからね。全然弱いし、夏は野球で冬はサッカーみたいに
なってて、まあ遊びみたいなもんだよ。」と僕が言うとよく理解できないような顔を
していた。それはそうだ。都会の人間には1学年に1クラスしかないような田舎の
中学のことなんて想像すらできないものなのだ。
22 :
20:2006/03/09(木) 17:02:58 ID:S7ZQgBFJ0
雨は上がっていたものの、まだ空はどんよりとした雲に覆われていた。ベンチには
屋根がついていたから濡れてはいなかったけど、空気は水分を含んで、肌寒くすら
感じた。「今日は涼しくて気持ちいいですね。もう夏は終わっちゃったのかな。」
と小さな弁当箱を片付けながらユキは言った。「夏が好きなの?」と僕が聞くと、
「うーん、夏っていうか、夏休みが終わっちゃうのが寂しいなって思って。」と
言った。そういえば8月が終わるまであと1週間ほどだし、9月になるとユキは
学校があるので毎日自習室で会うこともできなくなるな、と僕は思った。ユキは
何か考え事でもしているように無言で中を見つめていた。ユキはそのことについて
どんな風に思っているのか聞きたくてしょうがなかったが、あいにく僕にはそんな
勇気はなかった。離れることも近づくこともできずに同じ距離を保ってぐるぐると
地球の周りを回る月。それが僕なんだ、とまた思った。ふと気がついたように
「そろそろ戻りましょうか」とユキが言って、僕らはまた予備校に戻った。ふたりで
歩いていても僕らの間には微妙な距離があった。
戻ってからはまた勉強に集中した。7時頃僕が帰らなきゃいけなくなるまで一言も
しゃべらずにシャープペンシルを走らせた。ユキは3時頃1度トイレに立った以外は
ほとんど姿勢も変えずにやっていたので、僕も休憩したりすることもできずただ
ひたすらテキストをこなしていた。おかげで世界史の復習が1日で半分ほど終わった。
エレベーターで1階に下りると、外はもう真っ暗でまた雨が降っていた。ユキは傘を
持っていなかった。「けっこう強いですね」と手を雨に当てながらユキはつぶやいた。
僕は自分の傘を握り締めながらなんと言えばいいのか迷っていた。一緒に傘に入って
いかないか、と誘ったらユキはなんと思うだろう。僕が迷っている間ずっとユキは何も
言わずに手を前に突き出したまま手が雨に濡れるのにまかせていた。僕はよし、と心の
中で一声かけてから思い切って「入っていきなよ」と言った。それだけ言うのが精一杯
だった。ユキはうれしそうな顔で僕の方を見た。僕は照れくさくてとても顔をあわせる
ことなんてできなかった。
23 :
21:2006/03/09(木) 17:03:54 ID:S7ZQgBFJ0
僕が傘を広げると「ありがとうございます」と言ってユキが横に並んだ。僕は純粋に
彼女のことを思ってだが、「そんなに離れてちゃ向こうの肩が濡れちゃうよ。もっと
こっちの方へおいで。」と言った。言ってから自分がなんと言ったのか理解できた。
恥ずかしさで顔が熱くなるのを感じた。ユキは少しの間躊躇していたが、僕の方へ
近寄ってきた。二人は寄り添って歩いた。僕はユキが濡れないように彼女の背中で
傘を差したので、体に腕を回すような格好になった。おかげで彼女から遠いほうの
腕に雨が当たったが、全然気にならなかった。僕は喜びと緊張と恥ずかしさが複雑に
絡み合うとらえどころのない感情に酔っていた。周りから見たら仲の良い恋人同士に
見えるかも知れないな、と思って辺りを見回してみても、通りを行く人々は僕らの
ことなんてまるで気にならないようだった。僕はほっとしたような少し残念なような
よくわからない気持ちになった。ユキは駅に着くまで下を向いたまま何も言わずに
ただ歩いていた。
改札の前まで来ると僕らは立ち止まり、並んで立ったまましばらくそのままでいた。
ユキはあいかわらず下を向いて一言もしゃべらなかったし、僕は周りの早足で歩く
人々を見るともなしに見ていた。歩いている間、僕はあることを彼女に尋ねなければ
いけないと決めていた。携帯の番号だ。でもどうやって聞けば良いのか全く見当も
つかなかった。やがて彼女はふと気付いたように顔を上げ、僕の方を見た。そして
「あの、ありがとうございました。えーっと、・・・それじゃ、また」と言って頭を
下げると行ってしまいそうになった。僕はまだ考えがまとまっていなかったけど、
「待って!」と呼び止めた。とっさの事だったのでかなり大声を出してしまった。
何人かの通行人が振り返ったが、また早足で歩き出した。ユキは驚いたのか目を丸く
して僕を見つめていた。心臓が高鳴り、胸が苦しかった。全身の血が集まったように
顔が熱く火照り、きーんという耳鳴りが脳を刺した。地面が突然安定感をなくし、
固い蜂蜜の上にいるように体がふらふらとしているように感じた。僕はありったけの
力を振り絞って足の震えを殺し、手を握り締めて声を出した。
24 :
22:2006/03/09(木) 17:04:37 ID:S7ZQgBFJ0
「あ、あのさ、もしよかったら、その、け、携帯の番号を教えてくれないかな?」
ユキは「えっ?」と言ったきりまた下を向いて黙ってしまった。彼女がそんな風に
感じ何を考えているのか、その表情からは全く判断できなかった。というより僕は
そのとき何も考えることができなかった。「あ、もちろんだめならいいんだけど」
と僕は付け加えた。彼女は驚いたように顔を上げ、首を振って「や、そんなこと、
だめなんかじゃ全然ありません。なんていうか、その嬉しいです。どうぞ。」と
携帯を渡してくれた。僕は一瞬呆然としたが、慌てて自分の携帯を取り出そうと
ポケットに手を突っ込んだけど指にうまく力が入らなくて携帯を落としてしまった。
拾って開いてみたものの、操作がうまくできなかった。二人ともドコモだったので
赤外線で番号を交換できたのだが、それだけのことをするのに何回も失敗して結局
5分くらいかかってしまった。ありがとう、と言って携帯を返すとユキはちょっと
微笑んですぐ走って行ってしまった。僕は何も考えられずにしばらく彼女の消えて
いった空間を見つめていた。
全身から力が抜けていった。そのまま体が宙に浮いてしまうんじゃないかとすら
思えた。心臓は相変わらず暴力的なまでに激しい鼓動を繰り返していたが、思考は
徐々にもどってきた。それとともに嬉しさが全身に膨らんできた。大声を出しながら
跳びあがって喜びたかった。ふわふわとする体の感覚をどうすることもできないまま
寮に帰った。雨に濡れた右腕に当たる風が冷たくて気持ちよかった。部屋に戻って
体を拭いてから着替えると、また新しい困難にぶち当たったことに気がついた。
番号を交換したんだから、電話かメールをするべきじゃないだろうか。電話だと
うまくしゃべる自信がなかったので当然メールを送ることになるのだが、それまで
女の子にメールを送ったことなんかなかったのでなんと打って送ればいいのか想像も
つかなかった。食事中もずっと考えていたのだが全く思い浮かばなかった。そうこう
しているうちにあれから1時間以上たっていた。あんまり遅くなるとよくない気が
したが、といってなんと言えばよいのだろうか。
25 :
23:2006/03/09(木) 17:05:31 ID:S7ZQgBFJ0
さんざん迷った挙句、ある名案が浮かんだ。高校の時仲の良かった友達のひとりに
女友達の多い、いわゆる「モテる」タイプがいた。男子校の生徒はだいたい2種類に
大分される。片方は「モテる」タイプでもう一方が「モテない」タイプだ。中間と
いうのはほとんどいない。モテるタイプは見た目も派手で女友達も多く、常に彼女と
呼べる女の子がいる。モテないタイプはその逆で、見た目も地味で女友達はひとりも
いない。ましてや彼女なんているわけがない。女の子とまともに話したこともない、
早い話が僕のような人間だった。そして学校でもだいたい同じタイプでかたまって
行動していた。しかしその友達(ノボル君といった)は僕のいた特進クラスで唯一の
モテるタイプで、何故か僕と仲良くした。クラスの他の人とは全くと言っていいほど
話さなかったのに、僕はよく遊びに誘われた。そのほとんどはカラオケや合コンとか
いったもので明らかに僕が行ったら場違いなのに、僕がそう言うとノボル君は笑って
お前は変なやつだな、と言っていた。彼が笑うと綺麗に並んだ白い歯が見えた。
僕はトオル君に電話した。彼は4月から東京の私立大学(いわゆるマーチのひとつ)
に通っていた。何回か呼び出し音が聞こえた後「もしもーし」と懐かしい彼の声が
聞こえた。それから30分ほど話した。僕はそれまでのいきさつなどをなるべく
細かく話し、なんてメールを送ればいいか尋ねた。すると彼は「お前、これから
何回もメールするのにいちいちそんなに考えてらんねーだろ?別になんか特別な
こと言う必要ないって。普段一緒にいるときに話すみたいにただその時思ったことを
送ればいいんだよ。」と言ってくれた。なんだか当たり前のことのようだけど、
彼が言うとすごく大切なアドバイスのように聞こえた。「そーかー、お前もやっと
女に目覚めたか。しっかしなんつーか純情だよな。聞いてるこっちが恥ずかしく
なってくるよ。」僕は電話のこちらで赤くなる。「や、でもいいと思うよ。うん。
なんかお前らしくっていいじゃん。がんばれよ。またなんか聞きたいことあったら
電話なりしてくれよな。あとヤったら教えてくれよ。」僕は一瞬何を言っているのか
理解できなかった。
26 :
24:2006/03/09(木) 17:06:15 ID:S7ZQgBFJ0
やっとそれが理解できても返事ができない。「ははは、黙るなって。冗談だよ。や、
冗談ではないかな。本当に教えてくれよ。」「そんな、そんなことまだ考えてないよ。」
「考えてするようなことじゃないだろ。でもちゃんとゴムはつけるんだぞ。今のうちに
買っておけよ。」「でもまだ付き合ってもいないし・・・」まだ?これから付き合う
予定なんてあるのか?と僕は考える。「もう付き合ってるようなもんじゃん。その子も
絶対お前のこと好きだって。まーチャンスがあったら付き合ってくれって言ってみろよ。
それじゃ、俺そろそろバイト行くから。また電話してくれよ。」と言って彼は電話を
切った。僕は混乱した。どうやら彼の言っていたことのほとんどは僕には容量オーバー
のようだった。考えても仕方ない、それより早くメールを送らなきゃ。と思い直して
携帯を見ると、メールが1通来ていた。誰だろうと思って見てみると、それはユキから
だった。僕は慌てた。何か失敗したような気持ちになった。彼女のメールはそれまで
僕に送られてきたどのメールよりも絵文字がたくさん使ってあってカラフルだった。
『帰りは傘入れてくれてありがとうございました□□あと□アドレスも教えて
くれてありがとうございました□□ずっと聞こうと思ってたけど恥ずかしくて
できなかったからさっき聞かれたときは本当にうれしかったデス□□明日も
一緒に自習できますか?□』(□は絵文字)僕は何度も読み返してみた。体が
温かい液体で満たされていくような幸せな感覚だった。時間がたっても消えて
しまわないように保護をかけておいた。そうすればまたいつでも読み返せる。
たった1通のメールでこんなにも幸せになれる自分が不思議だった。しばらく
してからはっと気がつき、僕は慌てて返事を送った。こちらこそアドレス教えて
くれてありがとう。もちろん明日も塾に行く。また一緒に昼を食べたい。という
ような内容だった。送ってから自分のメールを見直してみるとなんだか彼女の
メールに比べてすごく素っ気ない気がした。絵文字を使えばよかったかな、とも
思ったがよく考えたら絵文字の使い方なんて知らなかった。
27 :
25:2006/03/09(木) 17:07:13 ID:S7ZQgBFJ0
返事を待っている間は他の事が何も手につかなかった。何度も問い合わせをし、
何度もユキから送られてきたメールを見返した。マナーモードのバイブを手に
感じると一瞬体がこわばった。早く読みたいはずなのに何故かそろそろと携帯を
開き、一息ついてからメールを読んだ。1度読み、もう1度ゆっくり読んだ。
やっぱり絵文字がたくさん使ってあった。僕の見たこともない絵文字もあった。
『お昼はいつも買って食べるんですか??□もしそうなら明日ワタナベ君の分も
お弁当作ってきちゃっていいですか?□□迷惑ならいいんですけど□□□今日の
お昼は前よりいっぱいお話ができて楽しかったデス□□』言うまでもないけど、
僕は母親以外の誰かに弁当を作ってもらったことなんてなかった。ユキがなんと
言っているのか理解するまでに数秒かかった。いや、日本語としてはもちろん
ひとつひとつの言葉、文章の意味は理解できた。単にそれが信じられなかった。
ユキが僕に弁当を作ってくれる?
だんだんとまた喜びが膨らんできた。僕はユキの作った弁当を食べるところを
想像してみた。それがどんな事でどんな意味を持つのかよくわからなかったが、
とにかく素敵なことなんだろうということはすぐにわかった。彼女の持っていた
弁当は女の子らしいキャラクターの絵がついている小さなもので一応上下2段に
なってはいたものの、僕が高校の時に使っていた弁当箱と比べれば少なくとも
3倍は小さかった。ユキはそれぐらいの量を僕の分として作ってきてくれるかも
知れないな、と考えると到底腹いっぱいとはいかないように思えたが、不思議と
ま、それでもいいや、となった。それからいろいろとまた想像をしていたが、
メールを返していないことに気付くと慌てて返事を送った。そしてまたメールを
読み返し、保護をかけておいた。やれやれ、僕は全部のメールを保護するつもり
なのか?この調子じゃ受信ボックスはそのうちユキのメールでいっぱいになって
しまうじゃないか、と思って保護を外そうと思ったけどやっぱりそのままにして
おいた。まあ最初だからしかたないよ、と僕は自分に言い訳をした。
28 :
26:2006/03/09(木) 17:07:56 ID:S7ZQgBFJ0
12時を過ぎてユキが寝ると言うまでそれから10回ほどメールをした。最後に
おやすみ、と送ると携帯をおいて僕もベッドに寝転んだ。気が張りつめていて
全く眠くなかった。ふと思い付いて目覚ましのスイッチを入れ、歯磨きをした後
部屋の電気を消してまたベッドに潜り込んだがやはり寝れなさそうだった。僕は
考えるともなくその日の事を朝から思い出していた。いろいろな事があった。
エレベーター待ちで偶然出会った。同じ自習室で隣に座って勉強をした。昼には
公園で一緒に食事をし、話をした。彼女の名前もそこで初めて聞いた。そして
帰る前には駅で携帯の番号も聞いた。帰ってからノボル君に電話をしている間に
ユキからメールがきていた。僕はユキの言葉や仕草、横顔、綺麗な長い髪が風に
揺れている光景なんかを鮮明に思い出すことができた。すべてが不自然なくらい
はっきりとしていて実際に起こったことのように思えなかった。寝て起きたら
全部夢でした、なんてことになってもおかしくないような気がした。
あまりにもうまくいきすぎている、と僕は思った。ユキが僕に好意を持っている
ことはその時にはもうかなり信じられたが、それが逆に不安を煽った。どうして
ユキは僕なんかに興味を持ったのかがわからなかった。どう見ても僕は冴えない
浪人生だったし、実際の中身も冴えない浪人生だった。少なくとも自分では人に
勝っている、または人に訴えかけるようなものを持っているとは思えなかった。
僕が女だったら僕なんて見向きもしないだろう。もっと輝いている、そう例えば
ノボル君のような、話していて楽しく魅力的な笑顔を持った男の人がいい。僕は
いつもおどおどして女の子とうまくしゃべれないし、ユキの前で笑顔を見せた
ことはほとんどないような気がした。彼女は僕に、また僕と一緒にいる時間に、
いったい何を求めているんだろうか。僕はしばらくそのことについて考えていた
けど結局わからなかった。考えても仕方がないと思い寝ることにすると、自分が
かなり疲れていることに気付いた。僕は深い眠りについた。
29 :
27:2006/03/09(木) 17:08:44 ID:S7ZQgBFJ0
翌日目覚めると空はすっかり晴れ上がり、また蝉が猛烈に鳴き狂っていた。また
気温は思い直したように昇りつめ、じっとりと体にまとわりつくような熱気が
あたりを覆いつくしていた。まだ夏は終わりそうもないね、と僕はそこにいない
ユキに向かって言った。朝食を食べた後に歯を磨いていると、ユキからメールが
届いた。もう塾についたとあったので、僕はあと15分くらいで行く、と返すと
急いで支度を整えて塾へと急いだ。着いて携帯を開くと○○教室にいます、と
いうメールがきていた。僕がその教室のドアを開けるとユキは後ろの方の席で
もう勉強を始めていて、僕に気がつくと笑顔で手を振ってくれた。それからまた
二人は並んでひたすら勉強をした。昼になると彼女が指で肩をつつき、食事に
行こうと目で合図した。僕はうなずいてから立ち上がり、二人でまた公園へと
歩いていった。ユキが持ってきた弁当はちょうどいい大きさだったので僕は少し
ほっとした。お父さんが前使ってたやつなんです、とユキは説明してくれた。
僕が食べるのをユキは恥ずかしそうにちらちらと見ていた。他人に食べる所を
ちらちら見られるというのは変な気分だったが、僕は「すごくおいしいよ」と
言ってあげた。実際にそれはこれまで食べたどんな弁当よりもおいしかった。
ユキはさらに恥ずかしそうに顔を赤くしてうつむいてしまった。どうすればいい
のかわからなかったので「これ全部ユキちゃんが作ったの?」と聞いてみたが
彼女は小さくうなずいただけでもじもじと膝に置かれた自分の弁当を見つめて
いた。どうしようもないので僕はまた食事に戻ったが、恥ずかしがってる彼女は
とてもかわいかった。それから食べ終わるまではしばらく二人とも無言だった。
一気に食べ終えて「ごちそうさま、本当にありがとうね。」と僕が言うとユキは
「多すぎなかったですか?お父さん大食いだったから。最近はすこし減ってきて
それで弁当箱も小さいのに変えたんですけど」と言った。「多すぎじゃないよ、
全然。こんなにおいしい弁当ならこの倍は食べれる」と言うと「そんな・・・」
と言ったきりまたうつむいて黙ってしまった。
30 :
28:2006/03/09(木) 17:09:27 ID:S7ZQgBFJ0
僕はこの時から彼女を恥ずかしがらせるのにやみつきになってしまい、ことある
ごとに照れさせるようなことを言った。おかげで怒らせてしまったこともある。
彼女は僕よりずっと時間をかけて小さな弁当を食べ終え、その間ずっと僕はお茶
を飲みながらユキがこれまた小さな箸を使ってご飯を食べるのを眺めていた。
うだるような暑さと蝉の声がひっきりなしに鳴り響く中で、僕とユキの小さな
世界は穏やかな喜びと居心地のよい平和に満ちていた。僕は何も考えずに彼女の
手や口もとが動く様を見ていた。その白く透きとおったなめらかそうな肌は、
まるで何かの象徴のように微妙な陰影を変化させながらまぶしい夏の陽差しを
受けて輝いていた。昼食が済むとさすがに暑くて汗が出てきたので日陰を求めて
前と同じ屋根のあるベンチに座り、また話をした。ユキはやっぱり僕のことを
いろいろと知りたがったが、残念なことに自分自身のことについて僕はあまり
多くの語るべきことを持っていなかった。そこで二人は途切れがちにとりとめの
ない会話をした。僕は自分が自然と微笑んでいることに気付いた。
塾に戻るとまた僕らは勉強に集中した。7時を過ぎると彼女を駅まで見送り、
寮に帰って夕飯を食べながらメールを送った。今度は待っている間も勉強した。
(返事が気になってあまり集中できなかったけど)12時頃におやすみと送って
寝た。次の日も同じような感じだった。ユキはまた弁当を作ってきてくれて、
僕においしいと言われると恥ずかしそうにうつむいていた。自習室では並んで
座り、一言もしゃべらずに勉強をした。駅まで見送り、寮に帰ると寝るまでの間
10回くらいメールを交換した。そんな風にして1週間ほどが過ぎた。その間
毎日彼女は弁当を作ってきてくれた。食事の後と駅まで送る間は時々沈黙の入る
僕ら独特のリズムの会話を楽しんだ。会話とメールを積み重ねて僕らはお互いを
徐々に知っていき、それにつれて少しずつ二人の間の距離は短くなっていった。
いつまでもこんな日が続けばいいと思うほど幸せだった。しかしもちろんそんな
ことはない。時は僕らの気持ちを考慮せずに流れ、季節は移ろってゆく。夏は
その猛烈な暑さの記憶だけ残して終わろうとしていた。
31 :
29:2006/03/09(木) 17:10:13 ID:S7ZQgBFJ0
8月31日、よく晴れた暑い日だった。その日ユキは朝からあまり元気がない
ようだった。会ったときに挨拶を交わしたきり食事中も一言もしゃべらなかった
し、いつものような豊かな表情はどこかへ隠れてしまったように寂しそうな顔で
ずっといた。遠くを見るような目でどこかをじっと見つめているようだったが、
彼女が何も見ていないことは僕にもわかっていた。あるいはそれまでの1週間の
僕ら二人をじっと見つめていたのかも知れない。その幸せな時間はこれ以上続く
ことはないということを彼女も僕もよく知っていた。翌日からユキはまた学校が
始まり、それまでのように毎日一緒に自習して昼を食べたりと1日を共に過ごす
ことはもうできなくなる。僕は朝からあることを心に決めていた。ユキにもう
1度ちゃんと好きだと言い、付き合ってくれと言うのだ。もちろんそんなことを
言ったからといってもう毎日ずっと一緒にいることはできなくなる、という事が
変わるわけじゃないのはわかっていた。しかし言わずにはいられなかった。
僕はいつものようにユキより早く食事を終え、なんと言って切り出そうか悩んで
いた。隣ではユキが膝の上に置かれた弁当に視線を落としたまま普段よりさらに
ゆっくりと食べていた。僕はあれこれと言葉を探しながら何気なく目の前にある
鉄棒を眺めていた。ふと気がつくとユキは弁当を脇にのけ、下を向いたまま手で
顔を覆ってかすかに肩を震わせていた。彼女が泣いているとわかるまでに時間が
かかった。僕はどうしたらいいのか全くわからなかった。適当な言葉は何ひとつ
思い浮かばなかった。とりあえず彼女の肩に優しく手を載せた。不規則に震える
彼女の肩はほとんど肉がついていないようで、手を触れると骨の存在を感じた。
不思議な感触だった。ユキはそのうちにだんだん落ち着いてきて、やがて小さな
声で「ごめんなさい」と言った。その一言は僕の胸をとても強く締めつけた。
目の奥すぐそこまで熱いものがこみあげてくるのを感じた。僕はそっと彼女を
抱き寄せた。
32 :
30:2006/03/09(木) 17:11:28 ID:S7ZQgBFJ0
ユキは僕に体を預け、心臓の音を聞くような格好でまた少しの間泣いていた。
僕はどんな言葉をかけていいかわからずに、ただ頭を撫でていた。まっすぐで
綺麗な髪は僕の手の動きにあわせてさらさらと波うった。前にもこんなことが
あったな、と僕は思い出した。彼女は僕が遅れたことでひどく落ち込んでいた。
その時は何が彼女をそうさせたのかよくわからずに、ただ抱きしめていた。でも
今はわかる。彼女の不安が、悲しみが、孤独が、恐怖が、そして絶望がこうして
触れ合っているお互いの肌と肌を通して僕にも伝わってくる。彼女は僕に心を
開きそれらを伝えようとし、僕もまた心を開いてそれらをつかもうとしていた。
彼女は深い、とても深い海の底にいた。そこには光も届かず、空気もない。ただ
重く冷たい水が体を押しつぶそうとしていた。声を出して助けを呼ぼうとしても
水の中ではただ泡となって浮かんでいってしまうだけだし、周りには誰ひとり
としていない。深い海の底では何も見えず、何も言えず、呼吸すらできない。
そして彼女をそこへ突き落としたのは僕であり、彼女を見つけそこから助け出す
ことができるのも僕ひとりだった。僕はユキのほほを伝う涙を一粒指に取り、
その温度や感触を確かめるように親指とひとさし指をこすり合わせた。その涙は
温かく、同時に冷たかった。「君のことが好きなんだ」と僕はまた言った。前に
僕は自分のためにその言葉を言った。しかし今度は彼女のためにそれを言った。
ユキは僕の胸でうなずいた。何か言いたそうだったが、言葉は出てこなかった。
「ずっと一緒にいよう。離れていても、ずっと一緒に。」と僕は言った。それは
二人のための言葉だった。「僕と付き合ってくれる?」と僕が訊ねると、ユキは
大きく何度もうなずいた。「ありがとう」と僕は言って彼女の小さな頭に僕も
頭を預けた。しばらくして彼女も「ありがとう」と言った。かすかに震えている
その声を、僕はたまらない程いとおしく感じた。微妙な力の加減ですぐにでも
壊れてしまいそうなもろく美しいガラス細工のような彼女の心を、いつまでも
この手で守っていきたいと思った。
33 :
31:2006/03/09(木) 17:12:11 ID:S7ZQgBFJ0
僕はさらに少しだけ強くユキの体を抱き寄せた。ユキも僕の胸に顔を押し付け、
腰の辺りに腕を回した。彼女はもう泣いていなかった。目を閉じたまま夢で見た
寝顔のように安らかで優しい微笑を顔に浮かべていた。しばらく僕らはそのまま
黙って抱き合っていた。僕はほほに触れる彼女の細い髪の感触と、そのほのかな
(恐らくシャンプーか何かの)香りを楽しみ、脇に感じる彼女の体重を楽しみ、
胸に感じる彼女の吐息の温もりを楽しんだ。すべては幸せに満ち、うるさい蝉の
声さえも僕らを祝福しているように思えた。「知ってましたか?」と少しして
ユキが言った。「何を?」と僕が聞くと、「私が、その、ワタナベ君のこと好き
なんだってこと」とゆっくり言った。だんだんと恥ずかしさからか声が小さく
なっていった。「不安ではあったけど」と僕は答えた。「知っていたというか、
そうであって欲しいってずっと思ってたよ」「迷惑じゃないですか?」とユキは
また聞いてきた。「迷惑って、え、何が?」と僕は驚いて聞き返した。
僕は少し驚きすぎたようで、彼女を慌てさせてしまった。「いや、その、なんて
言うかその・・・私と・・・本当に付き合ってもいいと思っているんですか?」
「付き合って」と言うときに声が一段と小さくなってしまうところがかわいいと
思った。「本当にって、そりゃ本当に付き合って欲しいと思ってるよ。とても」
「でも私なんかにかまってると勉強できなくなったりしないですか?」「そんな
ことないよ。というか、もう気にしないでいることなんてできないんだから例え
勉強できなくなったとしてもそれは付き合ってなくても変わらないんじゃない?
もしかしてユキちゃんは勉強できなくなったりして迷惑なの?」と言って僕は
少し不安になった。彼女は顔を上げて何度も首を振り、必死に否定してくれた。
「全然、全然そんなことないです。すごくうれしいです。本当に。ただ私のこと
迷惑だとか邪魔だとか思って嫌いになったりしないかなって思って・・・」と
最後は泣きそうな声になってきた。僕は笑って彼女の頭を撫でた。
34 :
32:2006/03/09(木) 17:13:00 ID:S7ZQgBFJ0
「なんて言うのかな、そりゃユキちゃんのこと気になって勉強できなかった時も
あるよ。でもそれは迷惑とか邪魔とかじゃないんだ。僕もこんな気持ちになった
のは初めてだからよくわかんないんだけど、なんて言うか、うーん・・・なんか
うれしいんだ。変かも知れないけど、ユキちゃんのことで頭がいっぱいになって
いる自分がうれしいっていうか・・・わかるかな?うまく説明できなくて悪い
んだけど、ごめん」と僕が言うと、ユキはまた恥ずかしそうにもじもじしながら
「なんとなく・・・わかる気がします。私もそうだから」と答えた。そして照れ
隠しににっこりと笑った。僕も笑って「なんだか僕たちは似てるみたいだね」と
言った。ユキはうれしそうにうなずいて、「でもワタナベ君はちゃんと思ってる
こと言ってくれるけど、私は恥ずかしくて全然だめだから、全部ワタナベ君に
言ってもらってるような気がします。ごめんなさい。本当は心でずっと言ってた
んですよ」と言った。「何て?」と僕が聞くと、彼女はまたうつむいてしまった
けど、消え入るような小さな声で「その、好きですって」と言った。
35 :
33:2006/03/09(木) 17:13:57 ID:S7ZQgBFJ0
それからちょっとして僕らはまた塾に戻り、夜まで勉強した。いつものように
ずっと何もしゃべらなかったけど、時々僕が顔をのぞき見ると彼女も僕の方を
見てにっこり笑ってくれた。僕もうれしくなって笑い返した。7時になって駅へ
向かう間に、僕は学校にいる間もメールを送っていいか訊ねた。授業中はあまり
すぐ返せないかも知れないけど、と言ってくれた。「実は私も今そう言おうかと
思ってたんですよ」とくすくす笑っていた。そして「あ、でもそっか。明日は
始業式だけだし、火曜日まではテストで午前中だけなんだ。だからお昼からまた
塾に来れますよ。」と言った。予備校の授業は5日の月曜からで、1日は朝から
ホームルームのようなものがあったものの、どうやら日曜まではそれまでどおり
一緒に昼ごはんを食べれるようだった。その事実はユキをとても喜ばせた。僕も
彼女の笑顔を見ているとすごくうれしく思えた。「それじゃ、明日は始業式が
終わったらダッシュで塾に来ますね。」と言って彼女は改札を通っていった。
そして僕らは付き合いだした。それまではどんなものなのか想像もつかなかった
けど、付き合っている女の子がいるということは決して悪いものではなかった。
いや、正直に言ってかなり素晴しいことだった。生活が一変するわけではない。
ただユキが僕の彼女だという事実に僕は満足し、安心し、喜んだ。試験が終ると
彼女は毎日6時間か7時間の授業の後そのまま塾に来て、塾の授業を受けたり
自習室で勉強したりした。僕も夕方に授業が終ると自習室で勉強し、ユキが来る
のを待った。彼女は塾の授業が夜遅くまである日もあったので毎日とはいかない
けど、可能な限り僕たちは会い、並んで勉強し、寮の門限が迫ってくると駅まで
一緒に歩いた。彼女が学校で、僕も予備校で授業を受けている間はメールを送り
あった。二人ともまじめに授業を受ける方だったのであまり回数は多くないけど
重要なのはそんなことじゃなかった。話題も別にこれといったものはなかった。
僕たちはメールをすることによって離れていてもお互いに「つながっている」と
感じていたかっただけなのだ、恐らく。
36 :
34:2006/03/09(木) 17:14:44 ID:S7ZQgBFJ0
休日には朝から同じ自習室で勉強し、昼にはユキの作ってきた弁当を二人で食べ
ながら話をし、また夜まで勉強して駅まで送って別れる、という夏休み後半の
1週間と同じような過ごし方をした。夜はメールでおやすみを言って眠りにつき
朝はメールでおはようと言って目を覚ました。そんな具合に一緒にいない間は
常にメールをしていたので僕は9月に初めて1月分の無料通話を使い切った。
それまでは前月の繰り越し分がさらに翌月繰り越しに、といったようにどんどん
無料通話が増えていたのだ。それでも僕らは電話はほとんどしずにいつもメール
だったので無料通話を越えることはなかったのだけれど。とにかく毎日ユキと
メールをしていたおかげで僕はかなりメールを打つのが速くなったし、絵文字の
使い方も覚えていった。彼女はありとあらゆる絵文字を使った。僕にはなぜその
絵文字を使うのかわからない場合もあった。だいたいペンギンの絵文字なんて
メールに使わなきゃいけない人がいるんだろうか。でも彼女が使えば不思議と
違和感はなかったし、ペンギンも心なしか使われて喜んでいるように見えた。
9月の半ばにノボル君から電話がかかってきた。この前の子とはどうなった、と
彼が訊いてきたので僕は付き合ってくれと言った、と答えた。「おっマジで!?
でどうだった?オッケーだったろ?」「うん」「やーるねーワタナベ君、どう?
どんな感じなん?てか彼女の写メ送ってくれよ」写真なんてないよ、と言うと
彼は驚いて言葉も出ないようだった。やがて気を取り直したように「まあ、今度
撮ったら送ってくれ。てか明日にでも撮れ。あ、そうだそういえばゴム買った?
ゼロゼロスリーってやつがいいぞ、薄くて。ちょっと高いけどな」「まだそんな
こと気が早すぎるよ」「ははは、冗談だって。でも買っておいて損はないぞ。
いざって時になきゃ困るからな。それよりお前らいつから付き合い始めたの?」
「えっ?えっと今日でちょうど2週間くらいかな、8月31日に言ったんだよ」
「おっそりゃいーな、覚えやすくて」覚えやすいと何がいいのかと僕が訊くと、
彼はあきれたように「お前マジでそんなこと言ってんの?」と言った。
37 :
35:2006/03/09(木) 17:15:34 ID:S7ZQgBFJ0
彼によると付き合い始めた日は毎月「○ヶ月記念日」といって何かするもんだ、
とのことだった。僕は何故毎月そんな風に記念しなきゃいけないのか、何かする
といっても何をすればいいのか、31日は毎月ないから30日や翌月の1日でも
いいのか、などを質問した。僕にはとにかくわからないことばかりの様だった。
「何でって、お前何でもだよ。女の子はそーゆーの覚えててもらうと喜ぶんだ。
逆に覚えてないと怒ったりするけどね。だからそれを覚えててお祝いしようって
お前が思ってると伝わるんなら何したっていいし、日にちなんかちょっとぐらい
ずれても別にいいんだよ」「なんかプレゼントしたり?」「それもありだな。
でも浪人生で毎月プレゼント用意すんのも大変だろ?だからまープレゼントは
クリスマスと誕生日とそこまでいけばだけど1年記念ぐらいでいいんじゃね?
あとは毎月記念日にどこか連れて行ったりしてやりゃいいと思うよ」僕はどこに
連れて行けばいいかも何をプレゼントすればいいかも全然わからなかった。
またその時になったらいろいろ訊くよ、と言って僕は電話を切った。最後に彼は
また「コンドーム買っとけよ、あとヤったら教えてくれよ」とだけ言った。僕は
ユキとそんなことをするなんて想像もできなかったし、その時に自分がちゃんと
していられるか自信がなかった。もちろんそういったことに興味がなかったとか
そういうことじゃない。僕だって他人と(たぶん)同じように興味があったし、
写真やビデオでそれなりの知識は持っていた。しかしストーリー性のあるビデオ
でもその筋書きなんてとても現実には起こりえない、あるいは僕には起こすのが
不可能そうな言動に満ちていたので参考になりそうもなかった。どんな状況で
何を言えばそんな状況にもっていくことができるのか、と電話の後しばらく僕は
考えていたが、ユキからメールがくるとなんだか悪いことをしたような気持ちに
なってやめた。なんとなくそんな想像をしていたなんてユキに知られたら嫌われ
てしまうような気がした。
38 :
36:2006/03/09(木) 17:16:15 ID:S7ZQgBFJ0
勉強の方はユキと付き合い始めてからもかなり順調だった。むしろ夏までよりも
順調なくらいだった。時々あった全くやる気が起きないような日もなくなって、
何もすることがないと自然に机に向かうようになった。二人で勉強している間は
相変わらず一言もしゃべらずに集中していた。二人はいつも一緒にいたので当然
友達からもお前高校生と付き合ってるらしいじゃん、と言われ僕は認めた。もう
隠す必要も感じられなかったし、むしろそう言われるのはいい気分だった。でも
あまり詳しい話はしなかった。なんとなく二人の世界に他人を入れるような事は
したくなかった。その世界ではお互いがお互いだけで満足し、その内にも外にも
それ以上は何も望まなかった。しかしその時の僕には全くそんな気はしなかった
けど、おそらく僕らが望み夢見ていたことはこの世の中で手に入れることが最も
難しい種類のことのひとつだったのだ。僕らはそれに気付かずただ目の前の幸せ
だけを考えて身を寄せ合っていた。
9月が終わりに近づき、僕はノボル君が言っていたことを気にしていた。僕らは
1度もどこかへ出かけたりしなかったし、はたして彼女が勉強もせずに1日遊ぶ
なんてことを望んでいるのかどうかわからなかった。24日の土曜日に公園で
弁当を食べながら僕はそれとなくどこか行きたいところはないかと訊いてみた。
ちょうど1週間後の10月1日は二人とも模試や何やらが何もない日だったので
どこか行くならその日だろうと僕は見当をつけていたからだ。でもそのことには
触れずに、毎日塾で勉強しているけどたまにはどこか遊びに行ったりしたいって
思わないの?と言った。彼女はちょっと考えてから「うーん別に思わないかなぁ
・・・塾に来ればワタナベ君に会えるし」と言って恥ずかしそうに笑った。僕は
ちょっと出鼻をくじかれたような気がしたが、それでも気を取り直して「いや、
ふたりでどこか行きたくないかなって思って。ほら、その、デートとか・・・」
と言ってみた。言いながら僕も顔が赤くなってしまったようだった。
39 :
37:2006/03/09(木) 17:17:00 ID:S7ZQgBFJ0
ユキはやっぱり恥ずかしそうにしながら「え、あの、それは・・・行きたいです
けど・・・でも、ワタナベ君はいいんですか?勉強できなくても?」「やっぱり
勉強したいよね。や、いいんだ。ちょっと思っただけだから」「やっ私は・・・
その、どこか行きたいなぁって思ってたんですよ、ずっと。でもワタナベ君に
うざいって思われるような気がして言えなかったんです」それだけ言うとユキは
うつむいて黙ってしまった。僕もちょっと黙っていた。どうやら僕らは同じ事を
考えていて同じ理由で言い出せなかったんだなと思うとなんだかおかしくなって
きた。ユキを見ると彼女も少し笑っていた。僕は声を出して笑った。「どこか
行こうよ、来週の土曜にでも。ちょうど付き合い始めてから1ヶ月になるし。」
と僕が言うと「覚えててくれたんですか?」と言ってユキは喜んだ。ノボル君に
感謝しなきゃな、と僕は思った。彼に言われなきゃ僕はたぶんそんなこと気にも
しなかっただろうし、それで彼女を喜ばせることもできなかっただろう。そして
つくづくノボル君のすごさに感心した。
「どこか行きたいところある?」と僕が訊くとユキはしばらくうーん、と言って
考えていた。ベンチに足を乗せ、ひざを折り曲げて両手で抱え、ひざのあいだに
あごを載せて考え込んでいるユキの姿を僕は眺めていた。ユキのちょっとした
仕草や声、しゃべり方なんかのひとつひとつが僕にはとても可愛く思えた。でも
僕はそれまで一度も彼女に「可愛い」と言った事はなかった。たぶんそう言うと
彼女はとても恥ずかしがってまたさらに可愛く見えるだろうと思ったが、そんな
ことを言ったら自分まで恥ずかしさでまいってしまいそうだった。僕はしばらく
ぼーっとそんな事を考えながら彼女のことを見つめていた。彼女はその視線に
気付いて恥ずかしそうに笑い、「ワタナベ君が行きたいところに行きたいです」
と言った。「まいったな」と言って僕は笑い、「じゃあ僕が行きたいところは
君の行きたいところだ」と返した。「ずるい」と言ってユキは口を尖らせながら
ほほをふくらませて僕をにらんだが、僕はそんな可愛らしいにらみを見たことが
ないと思った。「わかったよ。考えとく」と僕は降参した。
40 :
38:2006/03/09(木) 17:17:52 ID:S7ZQgBFJ0
その日の夜に僕はノボル君に電話した。忙しいから明日にしてくれないかと彼が
言ったので次の日にまたかけた。ホストの真似ごとみたいなバイトしててな、と
彼は言って前日のことを謝った。今日は良かったのかと僕が訊くと「給料はいい
けどきつくってさ、そんな毎日はやってらんねーよ。朝まで酒飲んで女と話して
馬鹿みたいに騒いでるんだぜ?」と言った。でもまあ楽しいし俺にあってる気が
するんだこの仕事、と彼が言ったので僕も心から同意した。「で、なんだっけ?
どっか行くんだって?」「うん、どこ行けばいいかな」それから長い時間電話で
話し合った。彼はいろいろと遊ぶ所を教えてくれたが、そのどれも僕が行った
ことのない場所だった。「でもなんとなくお前らはそーゆー風な遊ぶとこよりも
いわゆる『デートスポット』って感じのとこのがいい気がするな」と少ししたら
彼は言った。僕にはそれらの違いがよくわからなかったが、なんとなく彼の言う
通りのような気がした。「車もないもんなー。電車で行ける所かぁ・・・うーん
難しいな」どうやらノボル君にとっては逆にそっちの方が悩ましいようだった。
結局3ヵ所候補を挙げ、その中からユキに選んでもらうことにした。ずいぶんと
考えたが3つしか(どれもノボル君が考えたのだけれど)出なかった。何度も
お礼を言い、本当に助かったと言うと、「いやそんなのはいいんだけどさ、お前
写メ送ってくれるっての忘れてねー?ずっと待ってたんだけど」僕は忘れたわけ
ではなかったのだが、ユキに写真撮っていいかと言うのに気が引けたのでずっと
言えずにいた。「じゃあ今度遊びに行ったらその時撮って送るよ」「けっこう先
じゃん。まーいいや、それじゃーな」ありがとう、と最後にもう1度言って僕は
電話を切った。そしてベッドに寝転んでユキへのメールを打った。ふと電池の
残量が残り少なくなっているのに気付き充電器につなげた。そういえば最近よく
充電するようになったな、と僕は思った。ユキと付き合うまではずっとほかって
いて1週間に1回くらい電池が切れているのに気付くと充電していたのだけど、
その頃には2日に1回は充電して常に電池が切れないようにしていた。
41 :
39:2006/03/09(木) 17:18:42 ID:S7ZQgBFJ0
二人で話し合った結果、水族館へ行くことになった。僕は小学生の時に1度だけ
水族館へ行ったことがあったが、その時の記憶はほとんどなかった。ほとんど
人生初と言っていいようなもので、それがユキと行くのだから、僕はその日が
近づくに連れて緊張してきた。だいたいデートだなんて何を話してどんな風に
振舞えばいいのか全然わからなかった。着ていく服も問題だった。寮へは自分の
持っているほぼ全ての服を持ってきていたのだが、それでもスーツケース一杯に
ならないほどだった。塾へも毎日同じような服装で行っていた。そういえば僕の
服装についてユキはどんな風に思っているんだろう、とその時初めて思った。
正直なところ服の良し悪しなんて全くわからなかったけど、どう好意的に見ても
僕の服装はオシャレだとは言えなかった。大型スーパーで3000円くらいで
売ってそうなズボンを2本と、これまた1000円くらいで買えそうなTシャツ
7枚をローテーションして夏を過ごした。
結局1枚シャツを買うことにした。木曜日はユキが塾の授業で会えない日だった
ので夕方から繁華街へ買い物に行った。親から毎月仕送りとして2万円もらって
いたのだが、昼飯しか使い道がなかったし、夏からは昼飯もユキに作ってきて
もらっていたのでその頃には2月分以上貯まっていた。僕は1万円だけ下ろして
財布に入れ、デパートの紳士服売り場へ行った。まったくどんなものにするのか
考えてなかったけど、店員に進められるままにちょっと品の良さそうな半袖の
シャツを買った。9000円くらいしてびっくりした。でも寮に帰って鏡の前で
そのいかにも清潔そうな薄いグリーンのシャツを着てみるとなんだか育ちのいい
青年のように見えて気分が良かった。似合っているかはよくわからなかったけど
いつも着ている服よりは100倍見栄えがした。とにかく僕は9000円出して
ポール・スミスというなんとなく聞いたことがあるような気のするブランドの服
と共にこれを着れば恥ずかしくはないだろう、という自信を買ったのだ。
42 :
40:2006/03/09(木) 17:19:40 ID:S7ZQgBFJ0
デートの日は朝から良く晴れて、10月にしては暑過ぎるくらいに天気のいい日
だった。僕らは予備校のある駅で待ち合わせ、そこから電車に揺られて水族館へ
向かった。待っている間は早く会いたくて仕方がなかったのに、いざ顔を見ると
なんだか照れて妙に居心地が悪かった。ユキはもちろん僕以上に照れていて、朝
おはようと言ったきりずっと口を閉ざしていた。そんなユキの様子を見ていると
次第に僕は落ち着きを取り戻してきて、それにつれて体の奥深くからこみ上げて
くるような高揚感が心を満たした。水族館へ入る前に港の公園で弁当を食べ、
ちょっと海を見ながら散歩をした。あまり話はしなかったけど、僕らは並んで
歩きながら目が合っては微笑みあった。磯の香りを含んだ海風が時折強く吹いて
ユキのやわらかい髪をなびかせ、その細い一筋ひとすじに初秋の暖かな陽射しが
あたって輝いていた。その光景ははっとするほど美しく、僕はそのまま時間を
止めてずっと眺めていたいと思った。本当に夢のような1日だった。
ユキは小さい頃水族館が好きでよく連れて来てもらったけど最近はずっと来て
いなかった、と言ってはしゃいでいた。ひとつの水槽を何分もかけてじっくりと
覗いては僕に何か気付いたことを報告し、それについてふたりで少し話し合って
から次の水槽へと小走りに移っていった。彼女は水族館にいる生物ならほとんど
全てに興味があるようだった。イルカや熱帯魚だけでなく、カニやクラゲ、亀、
深海魚やどんな種類のものかよくわからない生物までとにかく全てを漏らさずに
回って観察した。僕は魚を見るフリをしながらそんな彼女の姿をずっと眺めて
いた。薄暗い館内で水槽の中からこぼれる青白い光に染まったユキの横顔を見て
いると、なんだか幻想の世界にいるように感じられた。そしてそんな幻影の中で
きらきらとした無邪気な輝きを湛えた彼女の瞳がひときわ眩しく見え、まるで
深海魚が餌をおびき寄せるためにちょうちんを灯すように、その輝きに僕は強く
惹きつけられた。ユキはそんな僕にかまうことなく水槽の住人たちとの会話を
楽しんでいた。
43 :
32:2006/03/09(木) 17:20:28 ID:S7ZQgBFJ0
秋は幸せな季節だった。相変わらず僕は毎日予備校で授業を受け、それ以外の
時間はほとんどその予習復習に追われていたけど、ユキが隣にいるだけで勉強を
している時でさえ幸せを感じられた。単調な日々の1分1秒を、かけがえのない
ものとして大切に感じることができるというのは素晴しいことだった。僕が言う
言葉で笑ったり驚いたり照れたりする彼女の姿をいつまでも見ていたかった。
怒ったり悲しんだりする表情すら(僕はたまに勘違いや配慮の足りなさでユキを
怒らせたり悲しませたりもしてしまった)印象的な映画の1シーンのように僕の
心にその記憶を深く刻み込んでいる。僕らは自習室で一緒に勉強し、並んで歩き
ながらとりとめのない会話をし、休日の昼には彼女の作ってきたおいしい弁当を
食べた。月に1度はどこかへ出掛け、お互いに少し照れながらもいろいろな話を
した。ユキは僕が好きな小説を読みたがったので、持ってきていた何冊かの本を
貸してあげた。そしてそれについて感じたことを教えてくれ、僕も自分の意見を
言い、二人の「感じ方」を少しずつ共有していった。
44 :
42:2006/03/09(木) 17:21:43 ID:S7ZQgBFJ0
それは素敵な作業だった。ユキの感じ方は僕にとってとても新鮮で興味深いもの
だった。言葉で表すのはとても難しいけど、繊細で、優しく、感傷的で、しかし
どこかに強くしっかりとした生命を感じた。それは彼女の個性なのか、それとも
男と女の差なのかはわからないけど、僕は自分と全く異なったものをそこに感じ
たし、その違いに驚いた。その違いは決定的でありながらそこには敵意のような
ものは感じられなかったし、居心地の良いぬくもりを感じた。ユキはそんな心を
恥ずかしがりながら小さな声で言葉を選ぶようにゆっくりと僕に話してくれた。
そして僕を、僕という存在をその世界に受け入れてくれた。もちろん僕も同様に
彼女に心を開き、彼女を受け入れた。二人で小さな世界を共有するという行為は
とても自然で特別なことだった。そして僕はあまり一般的ではないかも知れない
けど、それを愛だと思った。ユキに対して愛を感じているとはっきり認識した。
愛とは素敵なものだと僕は思った。そんな素敵な感情を抱くことができたことに
心から感謝した。
45 :
43:2006/03/09(木) 17:22:28 ID:S7ZQgBFJ0
話を現実的なことに戻そうと思う。僕がいろいろな初めての体験をした2回目の
「記念日デート」について。10月30日の日曜日、僕はやはりどこへ出掛ける
か迷いノボル君と相談した末に街へ行くことにした。ぶらぶらと色々な店を見て
歩き、たまにユキが気になった店に入って女の子らしい細々としたアクセサリー
や服や靴なんかを見た。日曜日の街にはたくさんの人とたくさんの商品が溢れ、
人々は(あるいはアクセサリーや靴なんかが)それぞれの目的や関心に向かって
のみ存在し、そこには僕がいる意味や価値などは全くないように思えた。ユキは
それでもウインドウショッピングを楽しんでいるようだったので少しは気が楽に
思えたが、昼過ぎになるとさすがに疲れてきたように見えた。そこで2時ごろに
適当な店を選んで入り、遅めの昼食をとった。疲れた?と僕が訊くと「少し」と
ユキはちょっと笑って答えた。ユキも僕も特に買いたいものがあったわけでは
なかったので、街を歩くのはやめることにした。だからといって他に行くあても
なく、歩いているときに街頭で配っているのをもらったクーポンがあったので
カラオケに行くことにした。人生で初めてのカラオケだった。
46 :
44:2006/03/09(木) 17:23:16 ID:S7ZQgBFJ0
カウンターでクーポンを見せると3時間から割引が利くということだったので
とりあえず3時間部屋を取った。混雑していると延長できない場合もありますが
よろしいですか?と訊かれたがそれ以上いると寮の夕飯の時間に遅れそうだった
のでそれでいい、と言った。案内された部屋はこぢんまりとしていて窓もなく、
照明が落とされているなかでテレビ画面の放つ光が異様な明るさを撒き散らして
いた。空気はどんよりとしてタバコの嫌な臭いがたちこめ、壁には様々な種類の
ジャンクフードの広告が一面に貼り付けられていた。10分前になったら電話で
お知らせします、と言って愛想の悪い店員が部屋を出て行くと、僕らはしばらく
何も言わずにぼーっとあたりを見回していた。目があって僕が「カオスだね」と
つぶやくとユキはばつが悪そうにくすっと笑った。そして「せっかく来たんだし
何か歌ってください」と僕に言った。そこで初めて僕はカラオケが歌を歌う為の
場所であったことに気付いた。
どうしてかはわからないけど、僕はカラオケが歌を歌う場所だという認識をして
いなかった。何か若者たち(という言葉を19の僕が使うのも変な話だけれど)
の文化の象徴のようなものとして捉えていて、街に出て遊ぶならカラオケだろう
というような単純な思考でそこを選んだ。つまりカラオケに来て実際に自分が
歌うんだということを全く想定していなかったのだ。だから歌うといっても何を
歌えばいいのかわからなかった。僕はラジオも聞かないしテレビだって寮に来て
からは全然見てなかったので、その時に流行っている曲や歌手なんて何ひとつ
知らなかった。だいたい高校生の時だってテレビで見るのはニュースやスポーツ
番組ぐらいだったし、歌を歌うのだっておそらく中学の音楽の授業で合唱をした
以来のことで、音楽の成績は3年間ずっと2か3だった。僕は困った。カラオケ
なんて初めてで何を歌えばいいのかわからない、と僕が言うとユキは驚いた。
「どんなの歌えばいいのかな」と僕が訊くと「そんなこと私に聞かれても・・・
普段どんな歌聞いてるんですか?」
47 :
45:2006/03/09(木) 17:24:02 ID:S7ZQgBFJ0
ビートルズ、ローリング・ストーンズ、ジミ・ヘンドリクス、ジェフ・ベック、
など古いロックしか僕は聞かなかった。中学生の頃に家で見つけた父親のCDを
聞いて好きになったものばかりだった。ユキはビートルズしか知らなかった。
先に歌って、と言うとユキは恥ずかしいからと嫌がった。しばらく気まずい沈黙
が僕らを包んだ。壁を通して違う部屋で歌っている声が聞こえた。どんな歌かは
わからなかったけど、とにかく大声で叫ぶように歌っているらしかった。ユキは
黙ってひざに置いた自分の手を見つめていた。僕はしかたなく「ビートルズで
いい?」と言った。ユキはうれしそうな顔をしてうなずいた。僕はほっとして
どうやって曲を選ぶのか教えてもらい、ユキも知ってそうな「イエスタデイ」を
リモコンで入力した。テレビ画面が切り替わり、よく意味のわからない映像と
共に大音量でイントロが流れ出した。僕は思わず耳を覆った。見るとユキも耳を
覆いながら「うるさいですね」と笑いながら言っているようだったけど、声は
聞こえなかった。
僕はユキが音量を調節してくれ、なんとか耳が慣れてくると僕は歌った。ユキの横で
歌うのはなんだかとても恥ずかしかった。ユキはテレビ画面を見つめながら僕の
歌を聴いていた。声が震えるせいで時々音を外しながらもなんとか歌いきると、
顔が熱く火照ってどくどくと体全体が脈打っているように感じた。「知ってた?
この曲」と僕が訊くと「うん。中学の時英語の授業で聞いた気がする」と笑顔で
言ってくれた。ユキの笑顔はいつだって僕を安心させてくれた。僕が照れ隠しに
「下手だった?」と言うと「そんなことないです」と慌てて否定してくれた。
「じゃあ次はユキちゃんの番だね」と僕が言うと「えっそんな・・・私聴いてる
だけでいいです」と言って恥ずかしそうに笑った。「だめだよそんなの。順番に
歌わなきゃ、僕はちゃんと歌ったんだからね」と僕が少し意地悪に言ってみると
「え順番なんですか?ずるい、そんなこと初め言ってなかったじゃないですか」
と言いながらほほを膨らませてしまった。
48 :
46:2006/03/09(木) 17:24:44 ID:S7ZQgBFJ0
歌い緊張が解けたせいか気分がハイになっていたので「そんな顔したって今日は
ゆずらないからね」と言った。ユキが一生懸命恐い(と本人が思っている)顔を
しながらにらんできたので僕もにらみかえし、そのまましばらくにらみあった。
先に折れたのはユキの方で、ぷっと吹き出して笑い出した。僕も笑って「はい、
ユキちゃんの負け。ちゃんと歌ってよ」と言うと、ユキは本を取って開きながら
ELTとかでいいですか?と言った。僕はELTが何かわからなかったのでそう
言うと、おかしそうにくすくす笑いながら番号を入力し、「じゃあ歌いますから
あまりよく聴いてないでくださいね」と言ってマイクを取った。「全神経を集中
して聴くよ」と僕が言ったとき音楽が始まったのでユキは軽く僕の左腕を叩くと
歌い始めた。彼女の声は優しくてとても心地よく響いた。恥ずかしがってか少し
声は小さかったけど、丁寧に音階をなぞり、正確な速さで音楽に歌詞を乗せた。
僕は画面に現れる歌詞を目で追うのに疲れると目を閉じ、変な硬さのソファーに
身をゆだねてその気持ちのいい歌に浸った。
49 :
47:2006/03/09(木) 17:25:33 ID:S7ZQgBFJ0
終えるとユキは静かにマイクを置き、「寝ちゃったんですか?」と小さな
声で言った。「寝てないよ、すごくうまかった」と目を閉じたまま僕は答えた。
「気持ちよかったよ、聴いてて」彼女は照れているようだった。「何て曲?」と
僕が訊くと「フラジール」と教えてくれた。確か「壊れやすい」だったっけ?
前に単語帳で見たことがあったな、と僕は思った。形容詞、フレイル「もろい」
と同じ語源だとターゲットに載っていた。「割れもの注意」と僕はつぶやいた。
「え?」「ターゲットで見たんだ。フラジールの意味。壊れやすいって形容詞。
割れもの注意って荷物にシール貼るでしょ?たしかそれが英語だとフラジールだ
って書いてあって、面白かったから覚えてたんだ」知らなかったと言ってユキは
僕に体をもたれかけてきた。僕が少し驚いて顔を起こそうとすると、彼女は手を
僕の目にかぶせて「もう少しこのまま寝てて」と静かに言った。「何でも知って
いるんですね」「そんなことないよ、ターゲットだってまだ完璧じゃないしさ」
ユキはしばらく黙っていた。「寝てるの?」と僕が訊くと僕の胸でゆっくりと
首を振った。「何か考えてるの?」と訊いても返事がなかったので、あきらめて
それからは僕も黙っていた。ユキは本当に寝てしまったんではないかと思うほど
静かにじっとしていた。僕は少し不安になったので目を開けて彼女の顔を見た。
ユキは僕の顔をじっと見つめていた。少しの間見つめあった後「目開けちゃだめ
じゃないですか」とユキは笑った。「どうして僕の顔を見ていたの?」と訊くと
ユキはその質問には答えず、「ワタナベ君ってどこ狙ってるんですか?」と逆に
訊いてきた。「どこって・・・あっ大学?一橋だけど、一応」ユキはふーん、と
言ったきり下を向いて黙ってしまった。彼女が何を考えているのかよくわからず
僕は少し混乱した。「どうしたの?」「なんでもないです。そいえば聞いたこと
なかったなぁって思って。一橋かぁ・・・やっぱり頭いいですね」そう言って
僕に向けた笑顔はどこか寂しそうだった。僕は何かに気付いたような気がした。
50 :
名無しなのに合格:2006/03/09(木) 17:27:42 ID:S7ZQgBFJ0
一応全部貼ってみました。
>>43の「32」は「41」の間違えです。
51 :
名無しなのに合格:2006/03/09(木) 17:30:52 ID:BzYWUdR+0
53 :
名無しなのに合格:2006/03/09(木) 19:51:50 ID:Q8tWXx8M0
>>1 おつかれ!
わたなべ待ってるよまた続き書いてくれ
54 :
名無しなのに合格:2006/03/09(木) 22:44:32 ID:qzM1EYOP0
>>1 お疲れ様。
私はpart2を建てた者だけど、1〜47で抜け落ちている箇所はありま
せんよね?それが一番気になります。誰かこの1〜47で読んだ人はい
ないですかね?自分で確かめるのが一番かもしれないませんが、それは
なかなか時間が・・・笑
55 :
名無しなのに合格:2006/03/09(木) 23:14:59 ID:WU7mFfzkO
>1
Good Job!
今日のMVPは君だ!!
56 :
名無しなのに合格:2006/03/09(木) 23:44:10 ID:BzYWUdR+0
あとはワタナベさんを待つのみ…
つか受験板はまた止められたな。。。スルーすりゃいいのに心狭いヤツがいるもんだ。
57 :
名無しなのに合格:2006/03/09(木) 23:53:46 ID:qzM1EYOP0
間一髪で良かった良かった!
ギリセーフ
受験板のスレは停止されてしまいましたね。
非常に残念ですが僕にできることは僕の話を読んでくれる人のために
書き続けることだと思うのでこのスレでがんばってみます。
ということでこれから続きを書くので書けたらまた来ます。
そういえば国公立前期の発表がもう出ていると思いますが
受けた人はどうだったのでしょうか。受かってたらおめでとうございます。
落ちていた人も後期があるのならあと何日かまた頑張ってくださいね。
60 :
名無しなのに合格:2006/03/10(金) 13:44:14 ID:4RrV68xn0
キター
期待してますよ
記念カキコ
62 :
名無しなのに合格:2006/03/10(金) 17:47:07 ID:fxDYcl0M0
おぉワタナベさん気付いてくれたかヽ(゚∀゚)ノ
んじゃ楽しみが戻ってくるわけだ.゚+.(´∀`*).+゚.
ついでに前期落ちたorz
付け足すと後期申し込んでないorz
63 :
名無しなのに合格:2006/03/10(金) 21:25:27 ID:Xni7GmjZ0
>>62 浪人もそんな捨てたもんじゃないんじゃないかな。
ゆきちゃんみたいな彼女作れば良し!!笑
64 :
名無しなのに合格:2006/03/11(土) 00:46:39 ID:5ZEzGCot0
上げとく
65 :
名無しなのに合格:2006/03/11(土) 01:56:45 ID:DvOrdnU0O
良い話しですね!続き楽しみにしてます!
気付いたら1時間たってたw
恋したいなぁ…
67 :
名無しなのに合格:2006/03/11(土) 02:15:08 ID:DvOrdnU0O
耳をすませば→ハニカミ→このスレ。今日はなんだか恋をさせる日みたいですね
大学いったらかわいい彼女つくります
年上の!!
´Д`)<ワタナベマダァ〜?
70 :
名無しなのに合格:2006/03/11(土) 09:25:08 ID:bVpVA1qwO
彼女ほしーーい
ワタナベさぁぁぁん
72 :
名無しなのに合格:2006/03/11(土) 22:13:59 ID:0sUc5Bh4O
なんかこのスレ、ワタナベ来ないと糞スレ化してるぞ…そろそろ来てよ
( ´・ω・)
73 :
名無しなのに合格:2006/03/11(土) 22:17:49 ID:DvOrdnU0O
早く続き知りたい(>_<)
74 :
名無しなのに合格:2006/03/11(土) 22:50:01 ID:3YzecWJQ0
かもーん
75 :
パオ:2006/03/11(土) 22:52:42 ID:WRgyMy+OO
バリバリ気になる。
お願い!!早くして!!
てか早くしろよ
77 :
名無しなのに合格:2006/03/11(土) 23:41:01 ID:0sUc5Bh4O
100までいったら降臨するとみた
78 :
名無しなのに合格:2006/03/12(日) 01:16:24 ID:D2dkI3S2O
ワタナベさん
マジで早く読ませなさい(#゚Д゚)コ
すみません。やっと出来上がりました。
今朝仕上げて書き込もうと思ってたらメモ帳起動した瞬間に
ヒュンって音と共にパソコンが死んでしまいました。
かれこれ4年近く使っていたのかな?もう限界だったようです。
仕事が終わってから父親に昔(といっても上のより新しいんですが)
店で使っていたパソコンをネットに繋いでもらって、それからまた
書き直してとしていたらこんな時間になってしまいました。
家族になんでそんな緊急にパソコン使わなきゃいけないんだと
怪しまれるというおまけつきです。大変な一日でした。
>>62-63 この大学にどうしても行きたい!っていう目標があれば浪人も決して
悪くない選択だと思います。目標に向けて努力していれば1年なんて
すぐに終わってしまいます。よく考えて充実した1年を過ごせるよう
自分にとって最良の判断ができるといいですね!
>>69-78 お待たせしました。本当に遅くなってすみませんでした。
楽しんでいただけるといいのですが・・・今日の内容は書いていて
ちょっと恥ずかしいと思いました。本当に純情派なのかなぁ
↓では行きます↓
ユキの寂しげな笑顔はすぐに消えてしまった。後には何も残っていなかった。
しかし僕の心には線香花火がいつまでもその光の残像を残すように彼女の笑顔が
残っていた。表情を失くしてしまったユキはうつむいて何も言わずに自分の手を
眺めていた。僕も何も言えなかった。何かを言わなければいけないはずだった。
いや、何かじゃない。ユキにどこの大学を目指しているのか訊かなければいけな
かった。でも訊けなかった。訊くのが怖かった。僕が受験するつもりだったのは
全部東京の大学だった。ユキが東京の大学を目指していないとわかれば、それは
春から離れ離れになることを意味していたからだ。それまで大学に入ってからの
ことなんか考えたこともなかった。しかし僕がどんなに強く願っても時の流れは
止まらないし、秋が終わり冬を過ぎると春は確実にやってくるのだ。そして僕は
一橋に入りたいがために浪人までしているのだからその時になってそれを変える
ことなんてできるはずがなかった。僕は圧倒的に無力だった。
ユキちゃんはどこ狙っているの?―同じ質問を口の中で幾度となく繰り返した。
彼女が黙っていることが僕の絶望感を一層強くしていった。離れ離れになったら
やっぱり別れなきゃいけないんだろうか、と考えたくないのに考えてしまった。
テレビ画面では何かの宣伝がやっていたが、スピーカーから大音量で流れている
はずのその音は厚いフィルターを何枚も通してから耳に届いているように奇妙な
響き方をしてよく聞こえなかった。まるで僕らのまわりを質の違う空気が包んで
外側の音を跳ね返し、内側は密度の濃い沈黙に満たされているようだった。何も
しゃべらずに考えていると悪いイメージばかりが膨らみ、救いと呼びえるものは
この世に存在しないかのように思えた。やはり訊かなければいけない。全身から
力をかき集めて僕は口を開いた。しかし僕の体にはどうやらほとんど力が残って
いなかったようで、出た声は自分でも聞き取れないんじゃないかと思うくらいに
小さなものだった。なんとかユキの耳には届いたようで、彼女は顔を上げて僕の
方を見た。彼女の目は心なしか輝きが弱く見えた。
ユキは口を小さく開き、何かを言おうとした。しかし言葉は出てこなかった。
代わりに涙がひと粒ほほを伝った。それは僕に残されていたわずかな希望を打ち
崩すには十分すぎる量の涙だった。少しの間ユキは必死に言葉を探していたが、
やがてあきらめたように小さく首を振り、手で顔を覆って泣き始めてしまった。
僕は何を言えばいいのかわからなかった。何を言いたいのかもわからなかった。
何かを言いたいのかすらわからなった。僕はひどく混乱し打ちのめされていた。
何も考えられなかった。ただそこにいただけだった。手にも足にも力が入らず、
肉体と精神が乖離しているような感覚に陥った。いっそこのまま逃げ出したいと
思った。不細工な体なんか捨ててユキの心と一緒に時間がゆっくりと流れている
よどみのような場所へ行き、いつまでもこのままでいたいと思った。しかしそう
考えると逆に現実の世界へと猛烈な勢いで感覚が戻された。僕はカラオケの中で
泣いているユキの横にいた。そこは空気が悪く、時間は確実に流れていた。
僕はユキが泣いている様子を何もせずに眺めていた。しばらくすると急に彼女が
泣いているということに気が付いた。彼女は両手で顔を覆い、その小さな体を
不規則に震わせながら泣いていた。僕は自分が感じている恐怖や悲しみをユキも
同じように感じているんだと気が付いたのだ。いや、僕が彼女の言葉で気付いた
よりもずっと以前から大学のことを考えていたのだろう。そしてそれをひとりで
抱え込んでいたのだ。どうしてそれまで何も言わなかったのかはわからない。
僕にはわからないことがたくさんあった。ほとんど何ひとつ知らないと言っても
よかった。しかし僕にわかっていた本当に数少ないことのひとつは、彼女が弱く
無防備なその心で何かを守るために必死になってひとりで闘っていたということ
だった。彼女はその闘いにおいてひどく傷つき、弱りきっていた。その時流れた
涙はその傷から流れ出てくる心の血だった。ぼろぼろになり、声にならない声で
僕の助けを呼んでいた。それまで僕はその声に気付けずにいたのだった。
それまでの自分があまりにも無神経で無力だったということに僕は愕然とした。
そして過去の自分をとても激しく憎んだ。そんなにも自分を憎んだのは初めての
ことだった。しかしどれだけ強く憎んでも過去を変えることはできなかった。
憎しみは行き場を失い、あてもなくそこらを彷徨った末に自分へと戻ってきた。
僕は自分の憎しみで自分の心をずたずたに切り裂き、これでもかというほど蹴り
飛ばし、踏みつけ、押し潰した。痛かった。それまで味わったことのないほど
強烈に胸が痛んだ。抵抗することはできなかった。いいだろう、好きなだけ痛め
つけてくれ。僕は思った。その痛みで彼女の負った傷を代わってやれるのなら
それでいい。どんどんやってくれ。憎しみは津波のようにやってきて僕の心を
めちゃくちゃにした挙句、何もかもをその中に巻き込んでまたどこかへ去って
いってしまった。後には何ひとつ残されてはいなかった。ちょうどいい。何かを
始めるには空っぽから始めたほうがいいんだ。僕はこれからユキを守るのに十分
なくらい優しい人間になってやるぜ、と過去の自分がいた場所に呼びかけた。
相変わらずユキは泣いていた。僕はそっと彼女を抱き寄せ、優しく頭を撫でた。
彼女はいつもと違う香りがした。甘すぎないさわやかなその香りはおそらく普段
つけてないコロンのようなものだろうと僕は思った。髪をかき分けると耳たぶに
小さなイヤリングが光っていた。それにも僕は朝から気付かなかった。それまで
彼女がイヤリングを付けていたことがあったかどうか思い出そうとしたが、全く
思い出せなかった。まあいいさ、と僕は自分に言い聞かせた。何もかもこれから
始まるんだ。長い髪の間から出た小さな耳に口を近づけ、僕はそっと囁いた。
「大丈夫だよ。僕はここにいる。いつまでもここにいるさ」ユキは僕の胸の中で
何度もうなずき、僕の背中に手を回してシャツを握った。僕も頭に載せていた
手を彼女の体に回し、両手でしっかりと抱きしめた。しばらくそうしてるうちに
呼吸のリズムがだんだんと整ってきたので、ユキが落ち着きを取り戻してきたと
わかった。でもユキは離れようとしなかった。「もう大丈夫?」と僕が訊くと、
「ううん、まだもうちょっと」と言ってくすっと笑った。
ユキの声が聞けたことで僕はとても安心した。少しするとユキは顔を上げ、僕を
見てにこっと笑って見せてくれた。彼女の笑顔はいつだって僕に安らぎを与えて
くれた。「ごめんなさい」と彼女は言った。「いつもいつもこんなんだから嫌に
なっちゃいませんか?私のこと」「そんなことないよ。ユキちゃんが泣いている
時はいつもいつもこうしてあげる」ユキは恥ずかしそうに目を伏せて小さな声で
ありがとう、と言った。そしてえへへ、と笑って上目遣いに僕を見るともう一度
今度は少し大きな声でありがとうございます、と言った。涙の跡で赤くにじんだ
ほほを一層赤く染めながら恥ずかしそうに笑う彼女の顔はとてもかわいく、僕は
思わずキスをした。ユキは驚いたように一瞬ぴくっとしたが、目を閉じて僕を
受け入れてくれた。彼女の唇は小さくて柔らかく、涙でちょっとしょっぱい味が
した。顔を離すとユキは恥ずかしさからかうつむいてしまった。僕はぼんやりと
まだキスの感触が残る唇を指で触れてその余韻に浸っていた。それまで経験した
ことあるどんなことよりも素敵な感触だった。
その後僕たちは電話で利用時間の終了を知らされるまで、抱き合ったままずっと
話をしていた。結局初めてのカラオケで僕は3時間いて1曲しか歌わなかった。
ユキは自分の目指している大学の話をしてくれた。地元の国立大学で経済学部を
目指しているとのことだった。「私はね、本当はどこの大学でもいいんです。
でも親が一人暮らしを許してくれないし、あの人たち見栄があって地元で名前の
通る大学に行って欲しいもんだから、そこしかないんですよね。私には選ぶ権利
ないんです」と彼女は寂しそうに言った。「両親とも超地元縛りな人たちだから
大学の名前なんてそこと東大、京大、早稲田慶應ぐらいしか知らないんですよ。
きっと一橋なんて私立だと思ってるんじゃないかな」と言って笑う彼女の笑顔も
どこか翳があって、それが僕を寂しい思いにさせた。模試の成績を聞くと僕のと
たいして差がなく、一橋でもC判定が出そうなくらいだった。彼女の志望だと
おそらくA判定だろう。僕らは寂しい思いを抱えたまま、それまでより寄り添い
あって帰りの電車に乗った。
89 :
ワタナベ ◆ak1txl.bKk :2006/03/12(日) 04:10:03 ID:2AdUdDcN0
もうちょっと書いたんですがキリがいいのでここまでにしときます。
また明日も書き込みができるようにがんばります。
90 :
名無しなのに合格:2006/03/12(日) 04:16:18 ID:xB0vGetfO
ワタナベ乙
91 :
名無しなのに合格:2006/03/12(日) 07:53:57 ID:YbN81M5PO
ワタナベさん、乙です♪
明日も楽しみにしてます(´∀`)
92 :
名無しなのに合格:2006/03/12(日) 08:30:39 ID:Sv9+LCY1O
お疲れ様!!明日も楽しみにしてます!!
94 :
名無しなのに合格:2006/03/12(日) 10:59:54 ID:D2dkI3S2O
乙
文才はあるようだが、まだまだ改善すべきとこはたくさんあるようだ
と、小説大好きの俺が言ってみる
ずっとwktkですよw
95 :
名無しなのに合格:2006/03/12(日) 16:41:07 ID:EPdZa2bk0
ワタナベはどこの予備校なの?
つか、ユキは東京の学校を受験しようとしてるんじゃないのか?
地元って今住んでるところとは違うのか?
どこが離れ離れやねん・・・。
99 :
名無しなのに合格:2006/03/12(日) 19:52:25 ID:uSvhKCFh0
千葉?私と一緒だ!
100 :
名無しなのに合格:2006/03/12(日) 22:52:07 ID:a89PkdBr0
100かなヽ(゚∀゚)ノ
ワタナベさん!!乙!!!
>>97 どこ情報?www
101 :
名無しなのに合格:2006/03/12(日) 22:58:39 ID:lX8DTIk10
オツカレーション
今日中にできるかと思ってたけど無理でした。
続きは明日か明後日になりそうです。
>>94 駄文であることには目をつぶってください。
どんな小説が好きなんですか?
>>95-99 千葉じゃないですよ。どうして千葉って出てきたんだろう・・・
関東ではないです。じゃあどこかっていうのはご想像にお任せします。
お互いに知らない人じゃなきゃ恥ずかしくてこんな話できませんから
あいつかも!って気付かれたくないんですよね。もう気付いちゃってる
人もいるかも知れないけど・・・なまりとかでわかっちゃわないように
気をつけてますが大丈夫かなぁ
105 :
名無しなのに合格:2006/03/13(月) 00:16:41 ID:9sngKWOiO
>>ワタナベさん
駄文だなんてそんな…
磨けば光る原石かなと
それにこういう身近な恋愛話好きですよ
てか書籍化したら若年層に売れまくると思うんだがなぁ
セカチュウみたいなほとんどありえない話より何倍もいいと思う
なんだ、もともと地方に住んでるって寸法か。
107 :
名無しなのに合格:2006/03/13(月) 10:16:04 ID:vbwa0R8wO
まぁいいじゃないか。ワタナベが書きこんでくれりゃ俺はそれで良いよ…
108 :
名無しなのに合格:2006/03/13(月) 18:02:41 ID:OzZBS2SP0
今日は無しか…残念だ
109 :
名無しなのに合格:2006/03/13(月) 22:10:59 ID:DRS2mS0M0
ここ見るの日課になってきたw
>>109 俺もだw
でも更新されない(´・ω・`)
111 :
名無しなのに合格:2006/03/13(月) 23:27:38 ID:OzZBS2SP0
明日に期待。
112 :
名無しなのに合格:2006/03/14(火) 00:00:27 ID:B8i3/U2FO
週間ジャンプよりも待ち遠しい
113 :
名無しなのに合格:2006/03/14(火) 00:01:27 ID:cQj7IuBh0
全国主要大学・将来期待賃金表上位
(
ttp://mitleid.cool.ne.jp/75.htm)
@ 一橋大 1178.5万円
A 東京大 1116.7万円
B 京都大 *955.6万円
C 東工大 *918.6万円
D 慶應大 *811.9万円
E 神戸大 *692.1万円
F 上智大 *602.9万円
G 東北大 *596.7万円
H 名古屋 *591.5万円
I 九州大 *579.6万円
114 :
名無しなのに合格:2006/03/14(火) 17:56:54 ID:mdmxT+fLO
今日はホワイトデーだから、ワタナベは来ないのかな。。。
115 :
名無しなのに合格:2006/03/14(火) 19:41:18 ID:lOoTl1850
>>114 その可能性あるな。
母親が仕事から帰ってくるなり「お返しは?」を連呼してくるからキレた…
116 :
名無しなのに合格:2006/03/14(火) 23:02:42 ID:kf81B9jnO
>>114 そ れ だ
あまりにも自分と関係ないので気付かなかった
117 :
名無しなのに合格:2006/03/15(水) 00:35:33 ID:dbWczR+sO
大変だな
今夜もなしか
119 :
名無しなのに合格:2006/03/15(水) 14:58:30 ID:kvbprkUR0
マダァ〜?
ワタナベめ
じらせるとは中々やるな
まあ気長に待とうじゃないか。
あれだけの量を一度に投下するって事は、まとめて書いてるってことでしょ。
書くのに手間取ってるんじゃいのかな。
122 :
名無しなのに合格:2006/03/15(水) 21:50:24 ID:iXO703J5O
昨日ホワイトデーでいちゃいちゃ→そのままラブホで1泊→今日も一緒にいちゃいちゃ
と見た!
今は春休みだし、4月から大学生という事を考えると、お互い会いたいのも分かる。
123 :
名無しなのに合格:2006/03/16(木) 00:25:34 ID:JvSaUC3Y0
ワタナベ〜〜〜〜
明日なかったら…
124 :
名無しなのに合格:2006/03/16(木) 10:49:45 ID:8C333iXS0
ワタナベー
(*´д`*)甘い文章だなぁ
小説読み込んでるとこういう文が書けるのか。
126 :
名無しなのに合格:2006/03/16(木) 11:40:29 ID:JvSaUC3Y0
ワタナベが来なくてもワタナベファンは増えていく…
つか今日あたりマジで来てくれよ。。。
ワタナベの文章をもうちょっといい感じに書き直してあげたいと思う今日この頃
余計なことしなくていいよ
ワタナベが書くからいいんじゃないか
129 :
名無しなのに合格:2006/03/16(木) 12:58:22 ID:7+q+HcxG0
130 :
名無しなのに合格:2006/03/16(木) 17:04:38 ID:vi7/eJkL0
ワタナベどうしたんだろ…PC壊れたのかな
父親のPCがどうとかとかいってたから可能性あるな
続きお願いしますわたなべさん
132 :
名無しなのに合格:2006/03/16(木) 22:58:32 ID:JvSaUC3Y0
今日もなしかよ…
しかも129に普通に引っかかった俺って…orz
>>132 ワタナベが来なくて相当モヤモヤしてるんだなw
ワタナベ明日は頼むぞ!
ずっと来れなくてすみませんでした。
14日はその・・・はい。そうです。それです。
昨日、一昨日は人生初のアルバイトをしてきました。
高校の時の友達に誘われて派遣バイトってものをやってきたんですが、
日給で8千円くらいもらえても隣町まで行かなきゃいけないから交通費
かかるし、お昼代も考えると1日働いて6千円弱になってしまうんです。
あまり効率よくない気がするんですがだいたいそんなものでしょうか。
朝早いから帰ってきたらすぐに寝ちゃって・・・昨日も8時ごろに
寝たのでさっき起きて、少しずつ書き溜めていたのにちょっと加えて
やっと書き込みできるようになりました。今日は夕方少し店番するだけ
なのでまたがんばって書いてみます。
>>122 そんなことできるわけもありません。しかもホテルに泊まるなんて・・・
行ってみたい気はしますが。どんな感じなんでしょうね?
>>125 読み込んでいるって言えるほど読んでるわけでもないんですけどね。
好みもかなり偏ってますし。ただ本だけは小さい頃から周りにたくさん
あったので読んだ数は多めなのかも知れません。
>>127-128 僕の文才では表現できることの限界があるかも知れませんし、それは
僕自身が一番痛切に感じていることなんですが、うまく文章に表せない
ことってまだよく理解できてないことなのかも知れないからそれはそれで
無理に伝えようとしなくても良いんじゃないかって思ってます。小説好きな
人には稚拙な表現がはがゆく感じられるでしょうが、これは日記みたいな
ものですからそれもそれでいいんだと思って自分を誤魔化しています。
>>130-131 PCは何も問題ありません。というか前のより速くて使いやすいです。
問題は僕自身にあったのです。お待たせして申し訳ありませんでした。
ということで続きいきます。
11月の半ばにユキの誕生日があった。僕はやっぱりノボル君に電話して助けを
仰いだ。誕生日プレゼントに何をあげれば良いのか見当も付かなかったからだ。
ノボル君は即座に候補を挙げてくれた。ブランド品、香水、アクセサリー、、、
どれも僕に選ぶことの難しそうなものばかりだった。「てか本当は彼女に聞くか
一緒に選ぶのが一番良いんだけどな。それはだめなのか?」「それはわかるけど
教えずにいて驚かせたいんだ」「あーうん、わかるよ」ノボル君は少し黙って
考えていた。「・・・何か『これが欲しい』とか言ってなかった?」僕は記憶を
たどってみた。以前街を歩いた時にユキが欲しがっていたものがいくつかあった
はずだったけれど、よく思い出せなかった。「服はサイズあわせなきゃいけない
から一緒に買わなきゃいけないし・・・やっぱバッグとかアクセがいいかな」と
ノボル君は続けた。僕はそう言われてはっと気が付いた。「確か何かのバッグを
欲しがってたよ」と言うとノボル君は「おーまじで?じゃそれでいいんじゃね?
いくらぐらいだったよ、買えそうか?」と言ってくれた。僕は値段を思い出して
みようとしたが、その時値札を見たかどうかさえ思い出せなかった。
「わかんない、バッグって高いの?」と僕は訊き返した。「高いやつは高いよ。
ブランド物とか。10万以上するやつもある」とノボル君は教えてくれた。僕は
驚いてしまった。女の子はそんな高いものばかりどうやって買っているんだろう
と思った。僕なんか全身合わせて1万円もしない服装ばかりだった。「そんなに
高かったら買えないよ」「まあどれもそんなに高いわけじゃないよ。どんなやつ
だった?ブランドとかわかるか?」僕は必死になって思い出す。「あまり大きな
やつじゃなかったと思う。ブランドは・・・わかんないな。ヴィトンとか僕でも
知ってるブランドではなかったと思うよ」「大きさは値段にあまり関係ないよ。
まあ買えなかったら別のやつにすりゃ良いから一度見てきたらいいんじゃね?」
その通りだった。と言ってもその他に何を買えば良いのかはわからなかったが。
しかしそれ以上彼を巻き込んで悩み続けるわけにもいかないと思い、礼を言って
電話を切った。「気にするなってそれぐらい」とノボル君は言ってくれた。
僕は少し落ち込んでいた。ノボル君と電話をするとなぜかいつも寂しいような、
悔しいような気持ちになる自分がいた。初めはなぜだかわからなかったけれど、
その頃にはだんだんとわかるようになっていた。それはつまりこういうことだ。
ノボル君は僕が知らないこと、女の子との付き合い方や喜ばせ方なんかを何でも
知っていた。僕は彼に言われた通りに、いや彼の言ってくれたことのうちほんの
少しのことをユキにしてやり、彼女はそれを喜んでくれた。ユキはそれらが僕の
考えたことだと思っていただろうし、僕もそのように振舞っていた。僕は彼女を
だましているようなものだった。しかしそれ自体に僕は罪悪感とかを感じていた
わけじゃない。僕がひとりで考えて行動してユキを傷つけるよりは(それは実際
何度もしてしまったわけだけども)、ノボル君に知恵を借りてでも彼女が喜んで
くれた方がいいと思っていた。問題は、それだったら初めから彼のように何でも
女の子の気持ちをわかってやれる人と付き合ったほうがユキは幸せなんだろう、
ということだった。
僕はそれをずっと考えていた。特に大学の話をしてからは、ユキが寂しそうに
笑う顔を見るたびにその考えが頭に浮かんで僕を苦しめた。ノボル君だったら―
ノボル君がユキの恋人だったら、そんな風に寂しく笑う彼女を救ってやることが
できるんじゃないだろうか―そんな風に考えると胸の奥が焼けるように痛んだ。
僕はノボル君に嫉妬していたのだ。彼の優しさに、思いやりに、素敵な笑顔に。
女の子と付き合う上で僕が彼に勝っている点は何ひとつなかった。ユキは彼の
ことを知らないから僕でいいと思っているだけで、もし彼と会って話をすれば
10分もしないうちに彼のことを好きになってしまうような気がした。そして
恐らくこう思うのだ。何で私は僕みたいな男なんか好きになったんだろう、と。
そう考えると僕はたまらなく怖くなった。僕はそんな風に思われたくなかった。
しかしそう思われても仕方のないくらい僕が思いやりや優しさに欠けていたのも
事実だった。僕はそんな自分を変えたかった。そしてそのためにはノボル君の
助けが必要だった。僕にはどうすることもできないジレンマが僕を苦しめた。
僕は適当な理由をつけて親に5万円ほどお金を振り込んでもらい、口座から全て
お金を引き出すとバッグを買いに行った。以前ユキと歩いた道をひとりで辿って
店を探し、目的のバッグを見つけた。値段はたいして高くなかった。店にいた
他の客は若い女の子ばかりで僕は居心地の悪い思いをしたが、店員は何もかもを
承知しているといった風に「彼女さんにプレゼントですか?」と言ってくれ、
僕が黙ってうなずくと慣れた手つきで綺麗なラッピングをしてくれた。そして
それを店の紙袋に入れようとしたが、ちょっと考えると別の地味な紙袋に入れて
渡してくれた。僕が心の底からほっとして(ラッピングも店の袋も、僕が持って
歩くにはあまりに女の子らしすぎたのだ)それを受け取ると、ちょっと笑って
うなずいてくれた。それがまた僕を照れさせた。僕は早足で店を出るとちょっと
考えてから以前服を買ったデパートに行った。お金がかなり余っていたので服を
買おうと思ったのだ。
それまでは特に考えもしなかったことだけど、その頃僕はかっこよくなりたいと
強く思っていた。顔まで変えることは出来ないにしろ、服装なんかをオシャレに
するだけでもしないよりはいいと考えた。そこでデパートで冬物の上着を2着と
ズボンを1本買い、本屋で男性用のファッション雑誌を買って帰った。それだけ
買うともうお金は2万円も残ってなかった。親をだまして得たお金で服を買った
ことですごく気が重かったが、なんとかそれを頭の片隅に追いやってしまった。
プレゼントを目立たないところに置き、ベッドに寝転がると買ってきた雑誌を
開いてさっと目を通した。そこにはいくつものタイプに分けて膨大な数の服装や
髪型についての解説が載っていた。僕にはその違いがよくわからなかったが、
一見不良っぽい服装にまでタイプやセンスの良し悪しがあることには驚いた。
「色使い」とか「モード」とかコメントに使われている言葉の意味は掴みにくい
ものばかりだったが、とにかくそれぞれにこだわりがあることだけはわかった。
誰もデパートの店員に薦められるまま服を買っている人はいないようだった。
僕は髪についてのところをよく読んでみた。男なのに美容院で髪を切ってもらう
ことが当然のように書いてあってまた驚いた。いくつもの髪型が写真つきで紹介
されていたが、僕にはどれがいいのかよくわからなったので、とにかく美容院に
行って髪を切ってもらおうと思った。値段の相場は1万円以上と書いてあって、
もちろん僕はそれにも驚いたのだが、どうやら払えないほどではなさそうだった
ので決心した。しかしどこに行くかが問題だった。それまでは寮の近くにあった
床屋で2回ほど切ってもらっていた。男性でも入れる美容院なんてどこにあるか
知るわけもなかった。僕は寮にいる一番オシャレそうな友達にどこの美容院へ
行っているのか訊いてみた。すると彼はなぜかとても嬉しそうにいくつも場所を
教えてくれ、さらには紹介カードといって30%オフになる券までくれた。僕は
一緒に行こうという誘いを丁重に断り、お礼を言った。彼は少し寂しそうな顔を
していた。一緒に美容院へ行くのが楽しいことなのか僕にはわからなかった。
翌日にもらったカードを見て電話をし、予約を取った。電話をかけるだけなのに
ものすごく緊張してしまった。そのせいで電話の受付をしてくれた女性が言った
「カット」という言葉が髪を切る意味だということに気付くのに5秒ほど時間が
かかったほどだった。「スタイリストのご指名はありますか?」と言われ、また
スタイリスト=美容師だとわかるまで時間がかかり、ない、と答えて予約時間を
決めると値段を訊いてみた。「ご予約の方はカットのみでよろしかったですね?
それでしたらシャンプー、ブロー込みで4900円になります。クーポンか何か
お持ちでしょうか?」僕が友達からもらったカードがあると告げると、でしたら
3割引になりますのでカードを忘れずにお持ちください、と言われた。電話を
切ってからずっと「ブロー」の意味を考えていたが、次の時間の授業が終わる頃
やっとドライヤーで髪を乾かすことなんじゃないかと思いついた。意外に値段が
安かったことにはほっとしたが、知らないことばかりで美容院に行って何か恥を
かくんじゃないかと思うと不安になった。
145 :
ワタナベ ◆ak1txl.bKk :2006/03/17(金) 06:18:21 ID:2zrrdF5E0
今回は一応ここまでです。
メモ帳で書いておいたものをコピーして書き込んでいるんですが、
書き込んでからミスがないかとかチェックするために読み返しています。
だからミスを見つけても書き込んでからだから直せないんですよね。
改行ミスとかが多いのはそのためです。さらに今回は細切れに書き足して
いったので、今読み返してみるといつもよりさらにひどい文章のような
気がします。つながりがめちゃくちゃだし、同じ表現や主語が連続したり
して非常に無駄の多い読みにくい文章になってしまっていますね。
しかし読解力に優れたみなさんならきっと難なく読んで下さるだろうと
他力本願に信じています。
すみません。次からはもうちょっとちゃんとした文を書くようにします。
初めてリアル遭遇したw
ワタナベさん、乙です(`・ω・´)次作も頑張って〜♪
このスレ関係ないですが…昨日最後の最後で本命合格しました(T∀T)
今何月くらいの話?
>>145 乙です。
センター小説20点台の俺でも読めたので、多分大丈夫でしょう。
次回も期待してます。
150 :
名無しなのに合格:2006/03/17(金) 12:51:02 ID:dUIr2sAv0
わたなべさんお疲れ!
>>146 おめ
>>148 この前(?)夏休み終わったし、冬モノを買ったんだから11,12月ぐらいじゃね?
>>150 おまえ国語できないな
10月下旬か11月上旬だろ
152 :
名無しなのに合格:2006/03/17(金) 19:09:44 ID:D0t1nlDR0
153 :
名無しなのに合格:2006/03/17(金) 19:10:31 ID:Qt31A5dm0
154 :
名無しなのに合格:2006/03/17(金) 19:31:25 ID:j5L5iIbi0
155 :
名無しなのに合格:2006/03/18(土) 01:16:39 ID:VRTVfptU0
>>151 150ですけど、えぇ国語は出来ません^^
でも理系なんで構わないと思ってます。
>>152 ありがとうございますww 前スレからの愛読者失格でした^^;
超おもしろい・・このスレにであえてよかったー!!
1時間ぐらいかけて読んじゃった・・!
157 :
名無しなのに合格:2006/03/18(土) 22:26:42 ID:VRTVfptU0
あげ
158 :
名無しなのに合格:2006/03/18(土) 22:45:34 ID:MDI/bR0+O
最近、更新が遅いなぁ。。。
それだけユキちゃんと上手くいってるって事なのか…
159 :
名無しなのに合格:2006/03/19(日) 15:37:16 ID:+Qjsji0I0
まーだー野球見ながら待ってるぜ
160 :
名無しなのに合格:2006/03/19(日) 19:05:26 ID:PgSfNRCcO
ナベさん最近サボりすぎでは……?
161 :
名無しなのに合格:2006/03/20(月) 00:34:14 ID:aZOxLwDvO
ま、いろいろあるんだろ。気ながに待とうや
162 :
名無しなのに合格:2006/03/20(月) 00:58:06 ID:MlugBHm40
今日もなし…ワタナベさん(´;ェ;`)ウゥ・・・
日本が決勝に進んでも、これじゃあショックだorz
明日には期待してます(`・ω・´)
163 :
◆0xlAKsgixI :2006/03/20(月) 21:05:43 ID:QiszwxJn0
age
164 :
名無しなのに合格:2006/03/21(火) 00:37:18 ID:/692Ah2yO
ナベさん…(¬з¬)
165 :
名無しなのに合格:2006/03/21(火) 01:10:15 ID:jS+/BTTs0
ワタナベさん…
166 :
名無しなのに合格:2006/03/21(火) 01:31:40 ID:jiqghbp8O
ナベさん(>_<)
test
168 :
名無しなのに合格:2006/03/21(火) 19:18:13 ID:8HQ3Iwbj0
間延びし杉!!
169 :
名無しなのに合格:2006/03/21(火) 19:41:59 ID:RxygDzo90
保守
170 :
名無しなのに合格:2006/03/21(火) 23:55:00 ID:S4EibiX5O
早くきてくれ〜〜
171 :
名無しなのに合格:2006/03/22(水) 13:35:39 ID:Fc0ZgwtNO
まだぁ〜??(@_@;)
172 :
名無しなのに合格:2006/03/22(水) 22:19:21 ID:QUczvRqU0
マチクタビレタ〜
☆ チンチン〃 Λ_Λ / ̄ ̄ ̄ ̄
ヽ ___\(\・∀・) < マダー?
マチクタビレタ〜 \_/⊂ ⊂_ ) \____
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ /|
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | マチクタビレタ〜
173 :
名無しなのに合格:2006/03/22(水) 23:14:22 ID:BWIFFFA1O
死んだな…
174 :
名無しなのに合格:2006/03/23(木) 04:58:06 ID:HbJcYA01O
これって実話ですか?それとも実話に少し手を加えたのですか?
どちらにしろ美しいお話ですね。
175 :
名無しなのに合格:2006/03/23(木) 11:24:35 ID:zRgqYHGmO
保守
ちょっと引っ張り過ぎでしょうか?
ワタナベさん。
177 :
名無しなのに合格:2006/03/23(木) 19:04:04 ID:uIqLqc8h0
( ´O)η ファ〜
178 :
名無しなのに合格:2006/03/24(金) 13:34:41 ID:jdRmHHDc0
保守
179 :
名無しなのに合格:2006/03/24(金) 13:44:07 ID:quRW0WfTO
今過去レス読んだ…今年浪人するから、こんな状況になれたら浪人も楽しいなと思う
40万部のベストセラー『嫌韓流』の第2弾
『嫌韓流2』発売中
意外とおもしれーぞ
181 :
名無しなのに合格:2006/03/25(土) 08:44:38 ID:OsPvDSq20
もう消滅か?
182 :
名無しなのに合格:2006/03/25(土) 09:07:26 ID:FCCgbhDgO
前の話しから一週間以上たったな…
なんか読むモチベーション下がるよな
成長は東京、中京圏が軸 構造改革で人口移動加速
日本の実質国内総生産(GDP)成長率は2015年度に向けて3%台前半が期待できるものの、
地域間の人口移動が進むことで東京圏(東京都と神奈川、千葉、埼玉の各県)や中京圏(愛知、静岡、岐阜、三重の各県)を中心とした
経済成長になるとの見通しを野村証券金融経済研究所が5日、まとめた。
地域格差が進む理由として、政府の財政再建や国から地方へ税源を移す三位一体改革により、
地方自治体の間で行政サービスの競争が起こると指摘。
その結果、東京圏や中京圏への人口集中が進み、これら地域の消費や生産が拡大するとしている。
また、雇用形態の流動化、若年層を中心に所得格差が進むことも人口移動の流れを加速させるとした。
(共同通信) - 12月5日20時22分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051205-00000221-kyodo-bus_all
184 :
一浪♂:2006/03/25(土) 20:59:08 ID:G6Uwysaq0
ワタナベさんの小説は浪人生になんか希望を与えてくれますね!
自分は物理科いきたいからこの春から今年受かった大学蹴って東工大狙ってる
ものですがワタナベサンの小説読んでたら浪人生活も捨てた
もんじゃないかなと
思えました
185 :
名無しなのに合格:2006/03/26(日) 01:22:43 ID:B4MQB1hR0
あげ。なんかあったんだ。気長に待つ。
186 :
名無しなのに合格:2006/03/26(日) 19:25:00 ID:NLzaoR3fO
ワタナベ…
なぁみんな好きってどういう気持ちなんだ?
よく誰が好き?とかって話するじゃん?
別にかわいいと思う子はいっぱいいるけどそれは好きと違うのか?
187 :
名無しなのに合格:2006/03/26(日) 20:47:13 ID:asrMr3ESO
意味不
188 :
名無しなのに合格:2006/03/26(日) 21:30:04 ID:3r3CdgO90
189 :
名無しなのに合格:2006/03/27(月) 00:56:55 ID:eqGLVvF60
>>186 俺もかわいいと思う子はいたけど好きではなかった。
でも大切にしたって思う人が出来てから
自分の中の好きという気持ちが少しわかった。
人それぞれだから、気長に待て。
それにしてもワタナベ…早くきてくれよ。。。
190 :
名無しなのに合格:2006/03/27(月) 01:39:04 ID:MwLObH+NO
わたなべ早くしてくれ〜〜
おかげで彼氏持ちの子に恋しそうになってるやん(;´Å`)
age
192 :
名無しなのに合格:2006/03/27(月) 22:54:32 ID:Hdy91GI/0
早く書き込んでよワタナベ・・・・・
浪人なのに気になって勉強手につかないじゃない↓↓
193 :
名無しなのに合格:2006/03/28(火) 00:11:45 ID:+/4NYiof0
書き込みする人も減ったな。
ワタナベは来るのだろうか…なんかもう来ないんじゃないか?
194 :
名無しなのに合格:2006/03/28(火) 05:17:44 ID:aEUxPJDc0
まだ?もぅ大学生になっちゃうよ〜
可能性としては
@大学生になるため上京とか引っ越しとかドタバタ劇中である
Aやはりこんな時期だけに、旅行やら飲み会やらイベントだらけである
B単に飽きたor面倒である
C…ユキちゃんと何かあり、とても進行できる状態ではない
DWBC観戦に行き、そのまま帰化してしまった
のどれかかなぁ、と二浪決定の俺が予想してみる
196 :
名無しなのに合格:2006/03/28(火) 14:35:03 ID:i9ita3LeO
どう考えてもCだろ。
って事でCに1票!
197 :
名無しなのに合格:2006/03/28(火) 15:37:52 ID:55kdzfp3O
引っ越しやらなんやらでどたばたし、旅行やら飲み会にいき、ゆきちゃんと何かが起こり、書き込みがめんどくさくなって、WBCにいって帰化した。
198 :
名無しなのに合格:2006/03/28(火) 16:39:49 ID:6lYgw45ZO
ワタナベ―早く―
199 :
名無しなのに合格:2006/03/28(火) 16:47:50 ID:suNfJcgP0
YUKIにバレたwwwwwwwwwwwww
とかか(((;゚Д゚)))ガクガクブルブル
200 :
名無しなのに合格:2006/03/28(火) 20:53:43 ID:+/4NYiof0
200ゲトー
ワタナベ〜〜〜〜〜
201 :
名無しなのに合格:2006/03/28(火) 21:13:16 ID:StuCyoTkO
大学合格→一人暮らし→部屋にパソコンあらず→かけない
202 :
名無しなのに合格:2006/03/28(火) 22:02:33 ID:awq1xM/j0
ありえる。
203 :
名無しなのに合格:2006/03/28(火) 23:39:40 ID:iNLkEzJT0
マチクタビレタ〜
☆ チンチン〃 Λ_Λ / ̄ ̄ ̄ ̄
ヽ ___\(\・∀・) < 予備校始まっちまうよ!!
マチクタビレタ〜 \_/⊂ ⊂_ ) \____
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ /|
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | マチクタビレタ〜
204 :
名無しなのに合格:2006/03/29(水) 08:45:55 ID:74v3f74AO
ナカジマよ。お前のファンはたくさんいる。
せめて書き込めない時は、今週は忙しいんで!
とか言っておいてくれ。
205 :
名無しなのに合格:2006/03/29(水) 08:55:08 ID:69U2sMEsO
ナカジマて…
らも?
207 :
名無しなのに合格:2006/03/29(水) 23:51:50 ID:TpElt3+60
・・・
208 :
名無しなのに合格:2006/03/30(木) 15:00:04 ID:oh3tR5NP0
はやくー
209 :
名無しなのに合格:2006/03/30(木) 22:59:48 ID:MEVEJ/W50
毎日こうして来るけど・・・無いのにはショック受けるな。
名前間違えてスマセン。笑
ナカジマというよりワタナベでした。失礼した
俺の苗字が書いてあるスレだから覗いたら
何これ羨ましい
212 :
名無しなのに合格:2006/03/31(金) 14:03:57 ID:Pvv3L/EWO
ワタナベどうしたんだろ…
213 :
名無しなのに合格:2006/03/31(金) 21:13:02 ID:IyyJObjq0
ふらぁー
214 :
名無しなのに合格:2006/03/31(金) 23:48:43 ID:XvTFGjI5O
letter
215 :
名無しなのに合格:2006/03/32(土) 03:06:59 ID:oppg737GO
はぁ〜〜、恋ってつらいな。
216 :
名無しなのに合格:2006/03/32(土) 07:30:26 ID:IKYED0c+0
217 :
名無しなのに合格:2006/03/32(土) 15:47:03 ID:JkDHk3s60
保守
218 :
名無しなのに合格:2006/03/32(土) 15:58:02 ID:Tckl6dll0
つらいつらい
最後の書き込みから15日経過。
220 :
名無しなのに合格:2006/03/32(土) 20:25:34 ID:zlyS7kcDO
3/32はありえないっすよw
ワタナベさんに何かあったのかなぁ…心配でたまらんっすよ_| ̄|○
3/32w
今年度の始まりを受け入れられないのだな。
222 :
名無しなのに合格:2006/03/32(土) 22:06:03 ID:hMzFjBdY0
受け入れられないよ〜まだ大学生になりたくない
223 :
名無しなのに合格:2006/04/02(日) 22:37:26 ID:oST2GEw0O
儂、ワタナベさんの文、最後まで、読みた……ぐはっ、ゲホゲホッ…ハ、ハヤク……
_ト ̄|〇
225 :
名無しなのに合格:2006/04/03(月) 07:43:54 ID:biW6pHuyO
要するに上京してパソがないんだよ。学校始まれば図書館かどっかで書いてくれるだろ?
それしか考えられん
_| ̄|
〇
226 :
名無しなのに合格:2006/04/03(月) 08:41:26 ID:n0BFdHs7O
図書館で2CHできないょ。
アクセスブロックされる。
この放置はひどい
228 :
名無しなのに合格:2006/04/03(月) 13:53:11 ID:fT9KJIwS0
ナベさん生きてんのかな…
229 :
名無しなのに合格:2006/04/04(火) 13:21:01 ID:/9OvBCJS0
保守
230 :
ワタナベ:2006/04/04(火) 23:35:05 ID:blR8qvDmO
すみません、今パソコンないです。もう少し掛かります。
231 :
名無しなのに合格:2006/04/04(火) 23:38:18 ID:Bv40hvWuO
ナベさぁーん。
報告サンクス。わかったぜ。首を長くして待ってるぜ。
出来るだけお願いな!
本物か?トリップないけど…
233 :
名無しなのに合格:2006/04/05(水) 08:05:51 ID:1HsZBQdU0
え!?本物!?
234 :
名無しなのに合格:2006/04/05(水) 10:18:58 ID:r6sBvA7QO
偽物やろ。騙されるな!
てか、ユキちゃんにフラれたからもう続きはないよ。
235 :
名無しなのに合格:2006/04/05(水) 14:51:56 ID:9S7XGqg40
にせものだな
236 :
名無しなのに合格:2006/04/06(木) 00:25:56 ID:FTBz9lYJ0
保守
237 :
名無しなのに合格:2006/04/06(木) 10:29:18 ID:bygJnRM40
わざわざニセモノにしたてあげなくてもいいじゃん。
おし本物だったらニセモノ扱いされて嫌な気分になって書き込まなくなっちゃうかもよ。
ニセモノだったとしても物語になんら影響はないし。
>>234 ふられてたとしても今まで書き込まれた所からふられるまでの物語をワタナベは書いてくれると俺は思う。
238 :
名無しなのに合格:2006/04/06(木) 20:38:04 ID:p9TNNUpXO
もし本物だとしても偽物と言われてしょうがない状況だからナベさんは嫌にならないよ。きっと
てかナベさんもうここにはいなくなってしまったのか??
きっといつか…
239 :
名無しなのに合格:2006/04/07(金) 00:48:15 ID:AiEc2mGj0
age
240 :
名無しなのに合格:2006/04/07(金) 10:18:55 ID:VSJ4hhhAO
ここで終わるとかいう萎えることはやめていただきたいw
241 :
名無しなのに合格:2006/04/07(金) 16:23:07 ID:dXck7A+gO
ナカジマ「ここでの反応かなりいいし、俺には才能があるやもしれん。ここで無料で発表するのはもったいない。この物語をまとめて出版社に出してみよう」
とか(笑)
243 :
名無しなのに合格:2006/04/07(金) 20:29:12 ID:jQWAGn790
なしてそこでナカジマ
244 :
ワタナベ:2006/04/07(金) 23:12:55 ID:H64Y4M26O
オマエラがボケだから来ないんだよ
245 :
名無しなのに合格:2006/04/08(土) 00:36:09 ID:z99cEOiq0
やっぱり偽者か…
246 :
名無しなのに合格:2006/04/08(土) 15:30:21 ID:ILkHOUCKO
偽もんに注意しよう!
本もんならコテ付けるのにな。
コテじゃないだろwwwwwwww
248 :
名無しなのに合格:2006/04/08(土) 19:23:57 ID:9pnV/JvD0
ワタナベ→東京で現在一人暮らし〔パソコンまだ通じてない〕
249 :
名無しなのに合格:2006/04/09(日) 04:50:27 ID:Ox3ZpZeQ0
>>247 初心者バロスwwwwwwwww
半年ロムってろ!!!!!!
250 :
名無しなのに合格:2006/04/09(日) 10:10:06 ID:QAs3wuQNO
252 :
名無しなのに合格:2006/04/09(日) 20:26:22 ID:NCuMCTMIO
なんだよ…もういいよナカジマお前…
嘘ですワタナベさん早く来てください
本当にありがとうご(ry
まあ気長に待ちましょうよ
254 :
名無しなのに合格:2006/04/10(月) 01:56:01 ID:nFJCQPpRO
255 :
名無しなのに合格:2006/04/10(月) 23:18:13 ID:JRM9NJvy0
>>249 ワロスww
お前もしかして本気か??w
気長に…気長に…
257 :
名無しなのに合格:2006/04/11(火) 00:03:19 ID:ruaCRq+MO
わたなべ……
258 :
名無しなのに合格:2006/04/11(火) 00:04:31 ID:QKOrlTBC0
259 :
名無しなのに合格:2006/04/12(水) 01:04:59 ID:2lj1wNHpO
じゃあワタベが帰ってくるまで俺が語ろう。
恋はしたことないから語れん
待つのは4/20くらいが限界かな
260 :
名無しなのに合格:2006/04/12(水) 01:11:14 ID:2lj1wNHpO
サロンやし俺の受験日記より
俺はなんて弱い人間なんだ。受験で失敗してすげぇわかった。これはある意味収穫なのかも。あ!俺幸せもの!?そーかもね。
まじこんなことで友達に愚痴りまくって俺の弱さが十分にわかった。本当につらいんだよ。頭がおかしいよ。本当に死にそう。俺は馬鹿だ!
最低ではないけど弱すぎるしダメダメだ!マイナスには考えないほうがいい!わかってる!でもなんなんだ本当。自分壊れますょ…
今まじ余裕がゼロだよ。明日は勉強しよう。このダメ思考に打ち勝つんだ。俺!
そーとーわけわかんない思考に陥ってるな(笑)
261 :
名無しなのに合格:2006/04/12(水) 01:37:21 ID:84N3q7go0
>>260 その感じすっげぇぇーーーわかるよ!!!!!
でもそーだ!打ち勝ってさらにおっきく成長するんだーーー
>>261 そーっすよねぇ!じゃ毎晩1日分日記貼っていきます。
受験のことや俺が考えたことを書いてある日記です。
思想的なものが強く賛否両論あっていいものもあります。
たぶん20日くらいには終わります(短っ!!)
たまにしか書いてなかったんで
話ブッタ切ってたら悪いんだけど
正直ね、読み返してて思ってたの…
こんな恋愛が出来ると言う事は、やはり運命としかいいようがないんじゃないか?ワタナベの旦那
例え時が経って、離れ離れになる時がきたとしても
ワタナベの旦那とユキ嬢の歩む道は永遠に一緒だという事を願ってる
心から願ってるよ。
そんな事言っちゃう19歳の漏れは好きな子がいるけど気持ち押し殺すために仕事に生きるよ
漏れの好きな子が、その子の好きな人と幸せになれるようにね…・゚・(ノД`)・゚・。
人生山あり尻ありだね
264 :
名無しなのに合格:2006/04/12(水) 18:36:20 ID:1hr62G/t0
>>263 少し気持ちわかる最後のあたり。。おれは告白したくても相手が彼氏もちじゃ・・・
だから俺は受験勉強によってわすれようとする
265 :
名無しなのに合格:2006/04/12(水) 19:16:01 ID:GJhEWaaq0
266 :
名無しなのに合格:2006/04/12(水) 19:36:23 ID:dQnLvEnCO
キモチわりーよ。馴れ合ってんじゃねーって
267 :
名無しなのに合格:2006/04/12(水) 21:35:27 ID:7Q0aW5QUO
>>262 ここはおまいのスレじゃねーよ!
貼るなら違うトコへ逝けよ!
>>267 そうやな。俺もやめたほうがいいかなと思ったさ
ここは恋愛スレな感じがいいしね!
じゃやめときます!すいませんした。
恋してぇーー
269 :
名無しなのに合格:2006/04/13(木) 00:33:45 ID:yYC/5OwPO
愛を下さ〜い
Wow Wow
愛を下さ〜い
ワタナベ…?
Σ( ゚д゚)
271 :
名無しなのに合格:2006/04/14(金) 13:33:03 ID:8RURWoaxO
しかし無責任なやつだな
272 :
名無しなのに合格:2006/04/14(金) 16:48:43 ID:n8FJKrP0O
さて、そろそろカキコしてきても良い頃だが…
273 :
名無しなのに合格:2006/04/15(土) 12:07:16 ID:HIOd1GsE0
どうするか
ワタナベが書かなきゃ
スススススレが成立しないジャマイカ!
275 :
名無しなのに合格:2006/04/16(日) 20:07:03 ID:XKKOMRMh0
まだー?。゚(゚´Д`゚)゚。
276 :
名無しなのに合格:2006/04/16(日) 20:09:11 ID:p5dFF3vK0
いまあいヤバすぎ。切なすぎ
俺泣きすぎ
278 :
名無しなのに合格:2006/04/18(火) 00:16:23 ID:mrSgXMEAO
1日1保守!
279 :
名無しなのに合格:2006/04/19(水) 00:50:38 ID:1ECrc1i5O
1日1保守!
280 :
名無しなのに合格:2006/04/19(水) 07:58:25 ID:iwn6u4BZ0
眠い゜゚
281 :
名無しなのに合格:2006/04/19(水) 21:21:05 ID:AMz1fg59O
ワタナベさんがいなくなってもう一ヵ月経っちゃったなぁ…(泣)
どうしたんだよー(;´Д`)
282 :
名無しなのに合格:2006/04/20(木) 21:32:28 ID:XPvbDYlm0
もぅ来ないに50万ペソ
283 :
名無しなのに合格:2006/04/21(金) 20:00:24 ID:L3qmgGZAO
1日1保守!
284 :
名無しなのに合格:2006/04/23(日) 00:25:57 ID:tRWwcwf6O
1日1保守!
もしかして彼女と別れたから来ないんじゃねーのかな?
または釣りだったか。本当なら放置などしないはず…
286 :
名無しなのに合格:2006/04/24(月) 21:31:56 ID:4dvIZ1uj0
ここまで手のこんだ釣りとか伝説だなw
287 :
名無しなのに合格:2006/04/25(火) 22:35:41 ID:GHZHsk7vO
1日1保守!
関係ないけど電車男が釣りだったって説もあるから
この人が釣りじゃないとは言いきれないよ
無論、どちらも釣りじゃないと信じてるつもりだ
289 :
名無しなのに合格:2006/04/26(水) 16:15:14 ID:j2FxFtFXO
きっと来てくれるよ!!
ザクからの報告も待ている
291 :
↑(゚д゚)人(゚Д゚)シメジ ◆.crazy.z7M :2006/04/26(水) 16:21:50 ID:fvChglPKO
切ないよ…。勉強できないよ…。なぜかフラれてもフラれても好きになってってしまうよ…。自分がコワいよ…。相手もきっと僕のことコワがってるよ…。あぁ…。
((┗┓( ̄∀ ̄)┏┛))
292 :
名無しなのに合格:2006/04/26(水) 16:27:29 ID:Hta/o3kOO
293 :
名無しなのに合格:2006/04/26(水) 23:12:39 ID:ozV0efxuO
駿台のパンフの桜蔭卒の理科1のチェックの服着た子に恋した。どうしたらいい?
>>292勝手に電車厨にすんな
ってか、いきなり出てきて死ねとか言われても困る。とりあえず死ぬのは無理
295 :
名無しなのに合格:2006/04/29(土) 03:09:21 ID:GWR4tSNDO
1日1保守!
296 :
名無しなのに合格:2006/04/29(土) 23:12:26 ID:GWR4tSNDO
1日1保守!
297 :
名無しなのに合格:2006/05/01(月) 13:07:33 ID:mop79uQsO
もう五月か
298 :
名無しなのに合格:2006/05/03(水) 03:48:32 ID:7LY6rmS6O
ほしゅ
299 :
名無しなのに合格:2006/05/03(水) 22:22:08 ID:MqXv3QF4O
1日1保守!
300 :
名無しなのに合格:2006/05/04(木) 02:18:51 ID:SqC1vW2hO
保守!?
301 :
名無しなのに合格:2006/05/05(金) 23:16:39 ID:ZhZm2GtPO
もうあれだな。
302 :
名無しなのに合格:2006/05/06(土) 15:16:28 ID:Ag7WK+fWO
だな。
303 :
名無しなのに合格:2006/05/06(土) 23:23:26 ID:Nn9sUzxRO
ツリだな
304 :
名無しなのに合格:2006/05/06(土) 23:34:59 ID:Q8XdgQSx0
hitotubashi
305 :
名無しなのに合格:2006/05/08(月) 13:30:56 ID:ogImEIqcO
1日1保守!
306 :
名無しなのに合格:2006/05/08(月) 23:59:55 ID:ogImEIqcO
1日1保守!
307 :
名無しなのに合格:2006/05/09(火) 23:17:29 ID:YvBeVVJwO
1日1保守!
308 :
名無しなのに合格:2006/05/11(木) 00:40:54 ID:2K+0EVogO
1日1保守!
ワタナベ死んだんじゃね?
310 :
名無しなのに合格:2006/05/11(木) 18:48:03 ID:z5ZW8IS/0
>309
私もそれが心配です
311 :
名無しなのに合格:2006/05/12(金) 02:35:24 ID:t6LaZCkEO
死ぬ理由がないやろ!!
思い出して三週間ぶりに来たがやはりだめか…
大学生になったが恋愛の予感はないし…。ヤバす
314 :
名無しなのに合格:2006/05/13(土) 23:28:48 ID:We2DpaGnO
1日1保守!
315 :
名無しなのに合格:2006/05/14(日) 22:04:53 ID:m41nKPC7O
1日1保守!
316 :
名無しなのに合格:2006/05/16(火) 01:03:45 ID:zwhNpuwiO
1日1保守!
317 :
名無しなのに合格:2006/05/17(水) 00:17:46 ID:tBhGsttuO
1日1保守!
318 :
名無しなのに合格:2006/05/17(水) 23:45:10 ID:tBhGsttuO
1日1保守!
319 :
名無しなのに合格:2006/05/19(金) 01:38:30 ID:iHWRk4w6O
1日1保守!
もう落としてよくね?
321 :
名無しなのに合格:2006/05/19(金) 14:33:38 ID:MDI8r6Hh0
【2000国勢調査→2005国勢調査 人口増減数】
△増加 ▼減少 (単位:人)
北海道━ ▼**55638
東北━━ ▼*183123
関東━━ △1053460
中部━━ △*156895
近畿━━ △**37100
中国四国 ▼*124793
九州沖縄 ▼**50929
322 :
名無しなのに合格:2006/05/20(土) 12:10:48 ID:YMh4C78qO
>320
そうだな
でも今月いっぱいは粘ろう。
ちなみに『1日1保守!』は全て俺のレスだ。
323 :
名無しなのに合格:2006/05/20(土) 21:40:14 ID:Z21MuwtX0
ageてすみませんでした。
325 :
名無しなのに合格:2006/05/23(火) 00:15:08 ID:UXV3NYgOO
1日1保守!
326 :
名無しなのに合格:2006/05/25(木) 00:01:05 ID:qII93OB/O
1日1保守!
>>313 基本的にこのスレ覗くために極たまに来るんだよ。
ワタナベ現れたことから見ててさ。ザクの報告も待っている(笑)
保守乙
328 :
名無しなのに合格:2006/05/26(金) 01:24:23 ID:zdfIENg2O
1日1保守!
329 :
名無しなのに合格:2006/05/27(土) 21:00:39 ID:WDwj4nAvO
1日1保守!
330 :
名無しなのに合格:2006/05/27(土) 22:01:44 ID:lIG1i9qSO
着実に月末が近づいてきてるわけだが
331 :
名無しなのに合格:2006/05/28(日) 21:32:32 ID:VMpRWIyJO
1日1保守!
332 :
名無しなのに合格:2006/05/31(水) 18:43:36 ID:jZCqzq5RO
消滅寸前記念age
333 :
名無しなのに合格:2006/06/01(木) 21:55:50 ID:IBd3oDfPO
もう待ってるだけじゃだめだ!
とりあえず大学生板にでもワタナベを探すスレでも立てたら良くね?
俺立てられないから誰かぁー
334 :
名無しなのに合格:2006/06/03(土) 00:06:58 ID:WoGzztjnO
一日一保守!
うぉぉぉおぉおおっっっ!
>>335 いや、あげとけよ。じゃ今から大学生板でナカジマ探す板の代行頼んでくる
ちくしょー代行拒否されたし。
もうダメかもな…ここからは誰かが恋を語るスレにすれば?
予備校で自分以外全員女子の俺が来ましたよっと。
>>338 そんなとこないやろ!んで女とは喋るだ?
340 :
338:2006/06/07(水) 19:41:22 ID:kKyoso+T0
つ 投身永逝ボッタクール
女たちでグループ作ってしまって会話に入る余地が無い・・・
341 :
名無しなのに合格:2006/06/07(水) 19:55:39 ID:RJwV8/peO
とりあえずあげときますね☆
>>340 女のほうもみんな見てる所で一人しかいない男に喋りかけるのは勇気いりそうだし、キミから話しかけたほうがうまくいきそうだな。
チャンスがあったら特攻せよ!
343 :
338:2006/06/07(水) 22:22:47 ID:kKyoso+T0
ありがd
明日あたり昼飯時を狙ってみる
344 :
名無しなのに合格:2006/06/08(木) 19:31:04 ID:VPfLIua10
保守age
さすらい刑事はないのー?
ほっしゅほっしゅ
347 :
名無しなのに合格:2006/06/10(土) 23:27:36 ID:8vl+l9ft0
ホシュage
恋してぇ。
てか恋の前に最近軽く廃人気味だ…
土日睡眠(15時間くらい)と飯と2チャンで終わる。
やることはたくさんあるのにやる気しない。
まず部屋の片付けしなきゃ…だがベッドに倒れ込む。
助けて…
349 :
名無しなのに合格:2006/06/11(日) 23:30:44 ID:AiktlDoX0
俺もそんな時期があった。そのときに考えてたことで自分で出した答えが
結構自分の支えとか糧になるから人生の夏休みと思っておもいきり悩み考えろ
350 :
名無しなのに合格:2006/06/13(火) 22:08:22 ID:EvT/yQeB0
>>348 あれ?なんでこんなとこに俺がいるんだ??
ageてしまった…
スマン
い、いや謝る意味が…このスレは保守するぜ!
俺が何のために生きてるかって?
守りたいスレがあるからさ。
あー自分の後ろにテレビカメラ付いてて全国中継されててたらサボらずやるべきことテキパキやるだろうになぁ…
353 :
名無しなのに合格:2006/06/17(土) 13:05:55 ID:REzyhPmA0
保守
354 :
名無しなのに合格:2006/06/20(火) 01:20:59 ID:ti05l0RrO
>>353 乙。
頭にいい夜食はバナナらしいぞ。ラーメンはだめ。タンパク質は分解されたらアミノ酸になる。
ポイントは糖の摂取。
一番悪いのは食い過ぎ。消化する間は血液に血がまわるからな。
頑張れ受験生!
とのこと
訂正。胃に血が
まことに申し訳ない。深くお詫び申し上げます。
356 :
名無しなのに合格:2006/06/22(木) 20:43:52 ID:USL4DbzS0
今日好きな子に話しかけれた俺は大学合格
358 :
名無しなのに合格:2006/06/26(月) 01:25:23 ID:aU/VL4xDO
>>356 今そっちも片付けとかないと後悔の渦だよ。
もっといろんなことしときゃヨカタオモモモモ…
359 :
園長:2006/06/26(月) 01:26:12 ID:GbY+X56U0
360 :
名無しなのに合格:2006/06/26(月) 01:43:51 ID:9MUwykwg0
好きな子に話しかけたぞー
前から気になっててなかなか声をかけられなかったんだが、知ってる事知らない振りして
きっかけ作って話しかけた、10分間ぐらいだったけどなかなか言い感じで話せたつもり、
笑顔が素晴らしくて吸い込まれちゃった。週1回しか合う機会無いからちょっとつらい・・・
昼休み。教室の自分の席で一人寂しく弁当を食べてる男がいる。そう、この男がこの物語の主人公である。その男の名前は「和樹」だ。少しこの男の紹介をしてみよう。特徴として、顔は不細工の童顔で背は低い。自分に極端に自信が無い為、女の子とは殆んど話せない。
自分に自信が無い和樹は女の子とは殆んど話せなかったが、男相手には不細工だから出来るであろう馬鹿な行動を連発してウケをとっていた。逆にその行動がまた女の子と和樹との溝をさらに広げていたんだと思われる。
和樹は恋愛話が嫌いだった。高校生と言えば愛だ恋だと盛んになる年頃だが和樹には苦痛でしかなかった。不細工が故に恋愛なんて諦めていた和樹にとって友達が恋愛に騒ぎ回っているのは面白く無かったし、恋愛が出来ない和樹に対して周りの友達からの冷めた対応も嫌いだった。
しかし、和樹もやはり心は普通の高校生だったのだろう、恋愛なんて出来る分けないって思ってる一方で、心の奥では恋をしたがっていたし、普通に気になっている女の子もいたのだ。後になってこの子が和樹の人生を大きく変える事になるのだが・・
さて、和樹の紹介はコレ位にして、話を進めて行きましょう。
和樹にとって高校3年生の1年間は悪夢のような1年でした。友達が出来なかったのだ。今までどんなクラスでも本当の友達かどうかは解らないが大抵は仲良く出来ていたのに、高校最後の年になって出来なかったのだ。
理由は簡単だ。仲の悪いグループと同じクラスになったのだ。いわゆる学年の中心グループと自負してる奴らでイケメンばかり。1、2年の時からお互いに嫌いあっていた奴らの中に俺は一人入れられたのだ。必然的に男子と友達になれなかった。もちろん女子とも・・。
和樹は初めて一人ぼっちになってしまった。いや、今までも心のドコかでずっと孤独を感じていたのだが、今度は内面だけでなく表面的にも一人ぼっちになってしまったのだ。和樹は暗くなった。
この時もっとショックな事が起きた。今まで友達と思っていた奴らからも見捨てられる様になったのだ。馬鹿やってウケをとるしか能が無かった和樹が暗くなって面白くなくなった。じゃあもう要らないやって感じで壊れたオモチャの様に捨てられたのだ。
和樹にとって今までで一番辛い時期であった。しかしただ辛いだけでは無かった。コレから得られるモノもあったのだ。和樹は部活をしていた。今まではずっと中途半端にしていたのだが、真剣にする様になったのだ。まさに鬼の如くに。
顔が悪い。頭も悪い。友達もいない。悪い意味で三拍子揃っている和樹にとって自分の存在を確認出来る場所が部活だけだったのだ。和樹は必死だった。朝は5時に起き、毎日20km走った。夕方には部活の練習が終わった後で自主練習をした。もう周りなんて気にしなくなった。
相変わらず学校では一人ぼっちだったが、心の中は少し楽になっていた。そんな時だ。和樹は今まで考えもしなかった事を考える様になった。「もしかして俺、好かれてる??」初めて感じるドキドキだった。相手は部活の後輩。しかも二人同時にだった。
好かれているという確信は無かった。しかし、女性との関係の乏しい和樹にとってちょっとした事でも意識してしまうのだ。例えば合宿での事だ。練習も終わり飯を食べてる時、部員Aから「おーい和樹。松田(後輩女子)がお疲れ様、明日も頑張りましょうねって伝えてだって」・・
もう一人一年生の子は俺が脱ぎ散らかしたジャージを毎日たたんでくれる様な子でした。でも2人とも和樹に直接話しかけてくる事はありませんでした。和樹の雰囲気として話かけづらい所があったんだと思います。いや、ただの勘違いだったかもしれませんが。
和樹は更に練習に打ち込んだ。お世辞にもカッコいいと言えない和樹だったが一生懸命部活に打ち込んでいる姿をちゃんと見てくれている人がいる事を知り、嬉しくてしょうがなかったのだ。女の子に注目されるのは初めてだった。
いいハナシやなー。で、これは何なの?携帯から普通に打って作ってそうな気がするが
和樹が部活の鬼となって2ヶ月がたった。いよいよ高校最後の大会が近付いていた。もともと能力のあり県内でも活躍出来ていた和樹だったが、鬼のように練習した和樹は、今や優勝候補筆頭になっていた。
大会は呆気無く終りをつげた。次の日の新聞を見て、学校の奴らはビックリした事だろう。「永瀬和樹、1500mで大会新記録の圧勝!!」新聞に和樹の走っている写真とともに大きく載せられたのだ。和樹にとって初めて自信になるモノを得た瞬間だたのかもしれない。
和樹はそのまま関東大会も入賞、インターハイも自分なりに満足する走りが出来、充実して大会を終える事が出来た。その頃からだろうか、和樹は自分には才能があると思うようになり、将来プロのランナーになる事を夢見るようになっていた。
和樹には2つの選択肢があった。部活に残って練習するか、一人で練習をするかだ。和樹は何も悩まづに一人で練習する事に決めた。プロを目指してる俺は部活みたいな甘い世界に浸っていてはいけないんだ。和樹はそう考えていた。
いや、しかし1つだけ和樹には悩む事があった。それは和樹の事を見ていてくれた2人の後輩女子の存在だ。「俺が部活に参加せず、一人で練習するようになれば、御互い顔をあわせなくなる。そうしたら俺の事なんて直ぐに忘れられるんじゃないか?」
和樹は少しだけそんな事を心配をしていた。だが、和樹には何かプロのランナーになる事に使命感を感じており、「全てはプロランナーになる為」和樹の頭の中ではそんな言葉が渦巻いており、もう恋愛とかそんなものは二の次になっていた。
それからまた暫く時間がたち、季節は秋を迎えていた。相変わらず和樹は学校では一人ぼっちだったが、学校の中は少し様子が変わって来てる様だった。そう高校3年と言えば、大学受験の年なのである。
一般入試組は目の色を変えて勉強し、推薦組の奴らは今までにも増してチャラチャラして遊ぶ様になっていた。和樹も推薦組だった。しかし和樹だけは遊びほける事無く、毎日練習を続けるのであった。
和樹は早稲田大学スポーツ科学部を受ける事にした。早稲田と言えば箱根駅伝の名門。沢山の素晴らしいランナーを出す大学だった。和樹はこんな辛い高校生活なんか脱け出して早く早稲田に入りたいと思う様になっていた。勿論落ちる事なんて考えもしなかった。
11月13日。早稲田の入試の日が来た。入試は小論文面接だけであったが、和樹は万全の準備をして試験に臨んだ。和樹には自信があった。「俺はインターハイに出てるんだ。落とされるわけが無い」という何の保証も無い自信であったが、和樹には最強の武器として疑わなかった。
1週間後、和樹はネットで試験結果を確認しようとしていた。緊張なんてしていなかった。パソコンのスイッチを入れ、インターネットで早稲田のホームページを開く。それから受験生用のページにアクセスした。この頃には少し緊張とも何とも言えない何かを和樹は感じていた。
1時間後、和樹の目には少し涙がにじんでいた。和樹は落ちたのだ。和樹にとっては予想もして無かった事が起きた。更に数日後の事だ、和樹にとって悔しい話が入ってきた。なんとクラスの遊びほけていたイケメン数人が指定校推薦で早稲田に受かったのを知ったのだ。
和樹は何も考えられなくなっていた。自分が落ちたショックに加え、今までただイケメンなだけのカス野郎だって思い込む様にしてた奴らが早稲田に受かったショック。「俺はこんな何も努力もしてない糞野郎に負けたのか・・」「今まで俺がして来た事は無駄な事だったんだ・・」
和樹は滑り止めにも落ちた。それからは全ては悪い方向に進む様になっていた。今まであれだけ練習を重ねてきた和樹であったが、その日を境にパッタリ練習をしなくなったのだ。
390 :
名無しなのに合格:2006/06/27(火) 21:06:21 ID:aT891ufNO
支援
久しぶりの長編をありがとう
391 :
名無しなのに合格:2006/06/27(火) 21:23:38 ID:BvRr3vBH0
ワタナベこないしね・・・
続編きになる
それからの和樹の生活は一変した。今まで毎朝5時に起きていたのが学校に間に合うギリギリの8時に起きる様になった。学校では今まで通りだったが、学校が終わると練習もせず、その代わりに犬を連れて河原まで散歩に行くようになった。河原までは歩いて15分ほどの距離だった。
河原に着くと和樹は犬のロープを外し、一方和樹は土手で何をする事も無く、何を考えるわけでも無く、ただボンヤリと座り込み時間が過ぎるのを待っていた。暫くして家に帰るが、やはり何をするわけでも無くラジオを聞きながら夜遅くまで起きてる様になった。
和樹の心の中にあった絶対的なモノはスッカリ無くなっていた。あれだけプロのランナーになる事を夢見ていた和樹だったが、今となってはそんな夢をみていた自分が馬鹿馬鹿しくて仕方無かった。
和樹にとって何も無い日々が続く様になって1ヶ月が過ぎた。そんなある日和樹は特に意味は無いが散歩のコースを変えてみた。少し遠くにある公園に向けてMDを聞きながら歩みを進めた。その時和樹はある事を思い出した。
「この先って生野さんの家だ」和樹は少しドキっとした。生野という女の子は和樹とは中学校高校と同じ学校で、中学の時は同じバスケ部、高校の時は2年の時に同じクラスだった子だ。小柄で本当に可愛らしい子だった。
和樹は中学の頃から密かに生野に想いを寄せていた。だが、和樹はいくら自分が想いを寄せても無駄な事なんだと言うことを自分に言い聞かせ、諦める努力をした。その甲斐があってか、今日散歩で生野の家の事を思い出すまで生野の事を思い出す事は無かった。
ようやく目的地の公園に着いて和樹はいつもの様に犬を放し、自分はブランコに座り込んだ。しかし今日は何かが違っていた。いつもなら時間が過ぎるのをただボンヤリ待つだけなのに、今日は生野の事を思い出していた。
しかし、思い出される事と言ったら、和樹が生野の事を好きだったという事と、努力して諦めたという事実だけだった。当然の事だった。話した事も無い生野との思い出なんてあるわけも無かった。和樹は改めて自分の虚しさを感じた。
和樹は帰り道、ワザと遠回りをして生野の家を避けて帰った。一瞬だけでも生野の事を思い出し、ドキっとしてしまった自分への警戒だったのかもしれない。「俺なんかが生野さんの事を好きになっちゃいけないんだ」改めて自分に言い聞かせ和樹は家へと向かった。
それから更に1ヶ月が過ぎた。まだ進学先が決まっていなかった和樹は部活の仲間と一緒に東北地方の少し部活の強い大学を受ける事にした。勿論名前を書けば受かる様な大学だ。
和樹はもう部活に対してヤル気なんて無かった。しかし今まで担任や親に部活を強調した進路選択を主張してきた事から今更変える事が出来なかったのだ。でも和樹は少し喜びも感じていた。やっとこの辛く寂しい1年が終ろうとしていたからだ。
和樹もやっと進路が決まり季節もそろそろ卒業の時期になってきていた。和樹にとっては地獄から解放へのカウントダウンの日々だった。日に日に新しい環境への希望は膨らみ、卒業式の日をまだかまだかと心待にしていた。
そして遂に卒業式の日がやってきた。式やクラス最後のHRなんて対した思い出の無い和樹には退屈なモノでしかなかった。そして全てが終わり、唯一楽しみだと言える部活での集まりに和樹は足を向けた。
部活の集会と言ってもありふれたモノで、3年生1人1人から挨拶をして、監督の話しを聞き最後に下級生からの寄せ書きを3年生が貰うというものだった。そんなドコでもやるありふれた行事であったが、ふと気付いた時和樹の瞳から涙がこぼれてきたのだった。
和樹は初めて人前で涙を流した。辛い高校生活から解放された安心感からの涙だろうか?いや違うのだ。感動の涙だったのだ。コレまで自分の高校生活は最悪で青春なんて1つも無いと思い込んでいた和樹であったが、何も無い事は無かったのだ。
そう、和樹は精魂尽きるまで部活にうちこんだのだ。ある時は足が痙攣するまで走り込み、またある時は嘔吐するまで走り込んだ。辛い練習ばかりであったが今となれば良い思い出の様に思われた。
408 :
名無しなのに合格:2006/06/28(水) 09:10:17 ID:kklOxPtI0
そして和樹は最大の勘違いに気付いたのだ。和樹は一人ぼっちでは無かったのだ。確かに学校では一人ぼっちだった。しかし部活ではちゃんと和樹の事を受け入れてくれる仲間がいたのだ。近すぎて解らなかった仲間だったのかもしれない。
集会も終わり今度は写真の撮りあいが始まった。久し振りにテンションも上がり騒いでいた和樹であったが、後ろからある女の子の声がする事に気が付いた。「和樹さん。一緒に写真とって貰えませんか?」
1年の山下だった。いつも和樹のジャージをたたんでくれてたあの女の子だ。和樹は快く写真を撮る事を承諾した。しかし写真を撮る時には緊張のせいか顔がひきづっているのに気が付いた。。何せ和樹にとっては初めての女の子とのツーショットだったのだ。
和樹はもしかしたら2年の松田も写真を撮りに来るんじゃないかと密かに期待をしていたが結局松田は来なかった。色々打ち上げも終わり和樹は家へと帰った。和樹は日課になった犬の散歩に今日は後輩から貰った寄せ書きを持って行く事にした。
いつもの河原に着き、いつもの土手に座り込み、和樹は後輩に貰った寄せ書きをじっくりと読み始めた。中には和樹の事を尊敬してるだの、ずっと目標だっただの和樹の事を敬う内容の事が沢山書かれていた。しかし、その中に他の文と比べて明らかに文字数の多い二つの文があった。
1年の山下と2年の松田だった。和樹は少しドキドキしていた。二人が書いていた文の内容は殆んど一緒だった。和樹の頑張ってる姿に憧れていたとか、もっと和樹と話しがしたかったとか、また会える事を楽しみにしているなどなどそんな事が書かれていた。
和樹は初めて普通な青春的なものを感じていた。こんな気持ちになるのは初めてだった。そして初めて真剣にアプローチをかけようかどうか悩んでいた。しかし、俺にそんな事出来るわけ無いとすぐに思い直したのだった。
416 :
名無しなのに合格:2006/06/30(金) 03:08:49 ID:0b+nqekdO
ワッフルワッフル
417 :
名無しなのに合格:2006/07/01(土) 22:46:03 ID:uIoyhEFI0
ん?終わりですか?
418 :
名無しなのに合格:2006/07/06(木) 16:56:27 ID:/trXdglzO
保守age
誰も改行しろと言わないおまいらの優しさに感涙した。
420 :
名無しなのに合格:2006/07/07(金) 18:36:13 ID:Yo+JAF220
久々に見たらこんな長編が始まってたとは・・・
続きも期待しているぞ
421 :
名無しなのに合格:2006/07/11(火) 19:23:16 ID:A6JmEmJI0
こいつも釣りか・・・・
281 名前: 名無しなのに合格 投稿日: 2006/04/19(水) 21:21:05 ID:AMz1fg59O
ワタナベさんがいなくなってもう一ヵ月経っちゃったなぁ…(泣)
どうしたんだよー(;´Д`)
新着レス 2006/04/29(土) 03:43
282 名前: 名無しなのに合格 投稿日: 2006/04/20(木) 21:32:28 ID:XPvbDYlm0
もぅ来ないに50万ペソ
283 名前: 名無しなのに合格 投稿日: 2006/04/21(金) 20:00:24 ID:L3qmgGZAO
1日1保守!
423 :
名無しなのに合格:2006/07/11(火) 21:27:40 ID:A6JmEmJI0
正直大学受験関連版でつりはやめれ
あ
425 :
名無しなのに合格:2006/07/14(金) 23:23:37 ID:ah6U1p1g0
ウあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
426 :
名無しなのに合格:2006/07/23(日) 00:19:02 ID:i/segw4GO
あげえぇぇぇええぇぇぇえぇぇっっ!!
427 :
名無しなのに合格:2006/07/23(日) 18:26:28 ID:KKA/TyR7O
なんだ結局ワタナベは釣りだったのか
428 :
名無しなのに合格:2006/07/26(水) 23:38:45 ID:CJONGISk0
うああああああああああ
あああああああああ
ああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああ
あああああああああああ
>>428 おちつけ。もう、受けいれるしかないんだあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁっぁぁぁぁぁっぁぁぁ
ぁぁっぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁっぁぁぁぁxっぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁっぁぁっぁああああああああああああああああaaaaaaaaaaa
aaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa
aaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa
aaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaoaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa
aaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa
430 :
名無しなのに合格:2006/07/29(土) 19:10:28 ID:eEb32k20O
ほ
431 :
名無しなのに合格:2006/08/01(火) 00:51:19 ID:qsEBZIK+O
し
432 :
名無しなのに合格:2006/08/02(水) 17:55:46 ID:/wk4JLkT0
の
433 :
名無しなのに合格:2006/08/03(木) 01:02:55 ID:sfAeZ+3JO
カ
434 :
名無しなのに合格:2006/08/04(金) 15:49:12 ID:+hwhCC2cO
ワ
435 :
名無しなのに合格:2006/08/07(月) 01:00:46 ID:rJpEhkMrO
が
436 :
名無しなのに合格:2006/08/08(火) 23:21:42 ID:mK3SAK+jO
は
437 :
名無しなのに合格:2006/08/11(金) 01:06:11 ID:St4J7bx5O
ん
438 :
名無しなのに合格:2006/08/12(土) 23:54:26 ID:Xxu0Zk9aO
ら
439 :
名無しなのに合格:2006/08/17(木) 12:07:17 ID:hQ0+nj2ZO
ん
440 :
名無しなのに合格:2006/08/21(月) 01:39:47 ID:J8iKwGl8O
し
441 :
名無しなのに合格:2006/08/28(月) 22:00:19 ID:QRy8ZWnp0
て
442 :
名無しなのに合格:2006/09/02(土) 21:40:14 ID:x7jDao8xO
う
443 :
名無しなのに合格:2006/09/05(火) 17:13:27 ID:PalLGMnOO
み
444 :
名無しなのに合格:2006/09/11(月) 00:19:49 ID:HPMLFZzk0
の
445 :
名無しなのに合格:2006/09/14(木) 14:28:14 ID:Nq5Xsz1u0
す
447 :
名無しなのに合格:2006/09/18(月) 17:22:27 ID:zKQlZn9J0
頼むから続きを・・・・
by九州の世ゼミ生
294 名前: 名無しなのに合格 [sage] 投稿日: 2006/04/27(木) 10:00:44 ID:4UZlXTteO
>>292勝手に電車厨にすんな
ってか、いきなり出てきて死ねとか言われても困る。とりあえず死ぬのは無理
295 名前: 名無しなのに合格 投稿日: 2006/04/29(土) 03:09:21 ID:GWR4tSNDO
1日1保守!
新着レス 2006/07/11(火) 21:20
296 名前: 名無しなのに合格 投稿日: 2006/04/29(土) 23:12:26 ID:GWR4tSNDO
1日1保守!
297 名前: 名無しなのに合格 投稿日: 2006/05/01(月) 13:07:33 ID:mop79uQsO
もう五月か
449 :
名無しなのに合格:2006/09/20(水) 14:42:01 ID:3QROaktjO
星の河が氾濫して海の巣
450 :
名無しなのに合格:2006/09/22(金) 18:19:47 ID:mWRodBzu0
い
451 :
名無しなのに合格:2006/09/24(日) 00:29:58 ID:oMwYLNiK0
まさかナカジマ特定されたんじゃまいか?
453 :
名無しなのに合格:2006/09/29(金) 10:29:51 ID:LR0pBx1nO
ほ
454 :
名無しなのに合格:2006/10/05(木) 00:36:37 ID:tVRICVt60
も
455 :
名無しなのに合格:2006/10/09(月) 13:11:44 ID:XhTKKVbY0
の
457 :
名無しなのに合格:2006/10/21(土) 13:09:32 ID:VQNA1Kl8O
わ
458 :
名無しなのに合格:2006/10/21(土) 17:27:16 ID:Qe39bg9N0
【出世】
上場企業社長輩出率 上場企業役員排出数
大学学部名・指数 大学学部名・指数
東大法・・・・・0.144 東大経済・・・0.601
東大経済・・・0.140 東大法・・・・・0.553
京大経済・・・0.107 京大経済・・・0.546
慶應経済・・・0.099 一橋商・・・・・0.436
慶應法・・・・・0.064 一橋経済・・・0.435
阪大経・・・・・0.063☆ 慶應経済・・・0.419
慶應商・・・・・0.063 名大経済・・・0.369☆
一橋商・・・・・0.062 京大法・・・・・0.332
一橋経済・・・0.055 神戸経営・・・0.296
東大工・・・・・0.050 慶應法・・・・・0.286
京大法・・・・・0.050 東北法・・・・・0.263☆
神戸経済・・・0.047 阪大経済・・・0.261☆
九大経済・・・0.043☆ 慶應商・・・・・0.250
東工大理工・0.041 早稲田商・・・0.237
名大経済・・・0.041☆ 神戸経済・・・0.223
東北法・・・・・0.040☆ 早稲田政経・0.217
名大法・・・・・0.035☆ 東大工・・・・・0.214
早稲田商・・・0.033 一橋経済・・・0.199
阪市立商・・・0.032 九大経済・・・0.194☆
一橋社会・・・0.032 阪市大経済・0.190
九大法・・・・・0.190☆
(一部、二部、地方上場企業における社長・役員の数を2004年度学部卒業生数で割ったもの)
プレジデント2005年10月31日特別増大号より
クレイジーダイヤモンド!!!
どらどらどらどらどらぁッッッ!!!!
460 :
名無しなのに合格:2006/10/30(月) 20:05:42 ID:EqPqHoyOO
ほ
461 :
名無しなのに合格:2006/10/30(月) 20:18:49 ID:SP9c6sqD0
462 :
名無しなのに合格:
のちみちみんななすんらのな